衆議院

メインへスキップ



第18号 平成24年2月29日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十四年二月二十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      井戸まさえ君    石関 貴史君

      磯谷香代子君    今井 雅人君

      打越あかし君    江端 貴子君

      小原  舞君    大西 健介君

      大西 孝典君    岡田 康裕君

      金森  正君    岸本 周平君

      櫛渕 万里君    桑原  功君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    杉本かずみ君

      玉木雄一郎君    玉城デニー君

      仁木 博文君    橋本 博明君

      村越 祐民君    室井 秀子君

      山尾志桜里君    山岡 達丸君

      山崎  誠君    山田 良司君

      湯原 俊二君    和嶋 未希君

      渡部 恒三君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    岩屋  毅君

      小里 泰弘君    金子 一義君

      金田 勝年君    佐田玄一郎君

      橘 慶一郎君    野田  毅君

      馳   浩君    山本 幸三君

      斉藤 鉄夫君    東  順治君

      笠井  亮君    塩川 鉄也君

      内山  晃君    服部 良一君

      吉泉 秀男君    柿澤 未途君

      山内 康一君    中島 正純君

      松木けんこう君

    …………………………………

   国務大臣         岡田 克也君

   総務大臣         川端 達夫君

   法務大臣         小川 敏夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣         細野 豪志君

   防衛大臣         田中 直紀君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 松原  仁君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     古川 元久君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    中川 正春君

   内閣府副大臣       石田 勝之君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    石井 隆之君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    稲田 伸夫君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十九日

 辞任         補欠選任

  金森  正君     井戸まさえ君

  櫛渕 万里君     玉城デニー君

  近藤 和也君     岡田 康裕君

  玉木雄一郎君     山尾志桜里君

  花咲 宏基君     磯谷香代子君

  馬淵 澄夫君     小原  舞君

  湯原 俊二君     桑原  功君

  小里 泰弘君     岩屋  毅君

  東  順治君     斉藤 鉄夫君

  笠井  亮君     塩川 鉄也君

  阿部 知子君     服部 良一君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     金森  正君

  磯谷香代子君     花咲 宏基君

  小原  舞君     和嶋 未希君

  岡田 康裕君     近藤 和也君

  桑原  功君     湯原 俊二君

  玉城デニー君     櫛渕 万里君

  山尾志桜里君     小山 展弘君

  岩屋  毅君     小里 泰弘君

  斉藤 鉄夫君     東  順治君

  塩川 鉄也君     笠井  亮君

  服部 良一君     吉泉 秀男君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  小山 展弘君     玉木雄一郎君

  和嶋 未希君     大西 孝典君

  吉泉 秀男君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として警察庁交通局長石井隆之君、法務省刑事局長稲田伸夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村智奈美さん。

西村(智)委員 おはようございます。民主党の西村智奈美です。雪の中、皆さん、朝早くからお疲れさまでございます。

 きょう、私は、税制、そして社会保障の面から閣僚の皆さんに御質問したいと思います。

 政権交代して二年半たちますけれども、この間、民主党のマニフェストに対しては、ばらまき四Kなどと言われまして、随分と批判をされてきました。ですけれども、これは、明確な政策目的を持った所得の再分配政策である、そしてそれは、この間広がってきた格差や貧困に対して適切に手を打つべき政策であったというふうに私は思っておりまして、ぜひこれは今後とも継続をしていかなければいけないものだというふうに考えております。

 きょう、皆さんのお手元に資料を何枚かお渡ししております。まず、一枚目をごらんいただきたいと思うんですけれども、これは、昨年の末に開かれました政府の税制調査会で配付された資料からでございます。

 これを見ますと、経年で給与収入の分布がどういうふうに変遷してきたかということがわかるわけですけれども、昭和六十年から平成九年にかけて、いわゆる所得の高い層がふえてきたということがおわかりいただけるかと思います。他方、平成九年から平成二十二年にかけては、所得の比較的低い層の方の割合がふえてきたということでございます。

 これはどういうことをもたらしているかということなんですけれども、この間、ここ二十年間くらい、税制というものは随分同じような形で累進緩和が進んでまいりました。税率構造はフラット化したままであったということで、その上の四角に書いてあるんですけれども、「結果として、個人所得課税による所得再分配機能が低下している。」というふうにここは明確に書かれております。

 平成二十二年の厚生労働省の国民生活基礎調査の概況によりましても、景気拡張期、ここの昭和六十年から平成九年にかけての間は、ちょっとこれは別の話になりますけれども、いわゆる貧困率が高まってきた、そして、データがある一九八五年以降は、平成二十一年に貧困率が最悪になった。これは、政権交代後の平成二十二年の厚労省の発表でそういうふうに言われております。

 ここ二十年、やはり貧困率というのは我が国の中で上がってきた。それを実は国際的にも証明しているデータがございます。それが二枚目以降ですけれども、これは東京大学の大沢真理先生からお借りしたデータです。

 ちょっとコピーを縮小しまして二枚のものを一枚にしたんですけれども、上の方が、OECD諸国の貧困率を高い方から順に並べたものです。日本を見ますと、上から四番目ということで、ワーストクラスの貧困率を日本はOECD諸国の中でも示しているということ。

 また、その貧困率が一体どのくらい、例えば税や社会保障の再分配によって改善されたかということを示しているのが下の表なわけなんですけれども、これは貧困削減率というふうに呼んでおりますが、ここにおいても我が国は、見ていただくと、下の表ですが、貧困削減率は極めて低いという状況をあらわしています。これは何かといいますと、我が国の税制や社会保障制度が実は貧困の削減には余り寄与していないということが示されております。

 そして、次のページを見ていただきますと、これは貧困削減率を世帯の類型別で見たものなんですけれども、成人全員が就業している世帯において、貧困削減率は何とマイナスになっております。つまり、税や社会保障の再分配をくぐって貧困削減率がマイナスになるというのは、これは日本だけであるということ。そしてまた、その下の方を見ていただきますと、子供についての貧困削減率を見ますと、やはりOECD諸国で唯一、貧困削減率がマイナスになっているということ。これは、かつて国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩さんも「子どもの貧困」という本で明らかにされていたことだと思います。

 この結果、何が起こってきたか。結局、ここ二十年くらいの税制というのは、先ほど申し上げましたように累進緩和が進んできた、その結果、再分配機能が衰えてきた。言うまでもありませんが、ここ約二十年の税制というのは自民党政権下で行われてきたわけでございます。

 この中で、このグラフを幾つか見てきまして言えるのは、比較的低所得で子育てをしている世帯がこの間最も大変な思いをしてきたということなんだと思うんです。実際それは、政権交代直前、いろいろなケースが報道されました。母子家庭の方々の大変な御苦労、また、例えば離職などによって子供さんが高校で勉強を続けることを中断せざるを得なかったというようなこともいろいろ報道されまして、やはりここは大変大きな問題である。

 そして、ちょっと長くなりますけれども、次のページを見ていただきますと、税負担の累進性、そして社会保険料の逆進性について示したものがございます。上の方は税負担における累進性ということですが、これはちょっと、大変わかりにくいかもしれませんが、何となく税負担が右の方に少し上がっているような感じがいたしますけれども、所得に対してきちんときれいな累進性があるかといえば、明確にそういうふうには言えない。社会保険料についても、所得に沿ってその負担率はどうなっているかというと、これは逆に明確に下がってきておりまして、所得が上がるほど負担率が下がっていくという明確な逆進性があるということが言えるのではないかと思います。

 まず、財務大臣にお伺いいたします。

 こういう税制の構造になっていることについての御感想から伺います。

安住国務大臣 御存じのように、所得税はフラット化をずっとやってきました。ですから、七〇%を超えるような累進税率の高さだったわけですけれども、これを四〇%台までならしてきて緩和してきたわけでありますけれども、そうしたことが、今委員御指摘のようなこのグラフにもあらわれていると思います。

 そういう中にあって、民主党政権になりましてから、子ども手当等の創設をし、あわせて年少扶養控除等を廃止したり、それから実質的に高校の授業料無償化等をやって、そういう意味では、お金持ちの人の税負担は軽くなりましたけれども、低所得者の皆さんやそういう方々に対しての手当てというのは比較的手厚くやってきたつもりでございます。そういうことは、私は、いろいろな数字には証明されているのでないかなと思います。

 今後の課題として、最初の、一枚目のグラフに戻りますけれども、その表を見ていただいてもわかるように、実はやはりお金持ちの、所得の高い人の比率がふえているんですね。逆に、いわゆる中間層が非常に減ってきているという傾向が、むしろ、非常に特徴としてあらわれております。

 ですから、総理も、もう一回中間層を、分厚い中間層をつくっていこうということをお話ししておられるわけですから、そうした点からいうと、所得が急激に高い人がふえてきている、一千五百万以上ですか、こういう方々に対する税のあり方をどうするかというのは、今後、十分やはり議論を行っていきたい。

 今回の税制の改正の部分でも、四〇%のところを、五千万以上ですけれども、五%とりあえず上げましたけれども、今後、こうした累進性について、十分また皆様と一緒に議論をしていきたいと思っております。

    〔委員長退席、笹木委員長代理着席〕

西村(智)委員 二十年間かけて行われてきた累進緩和を一気に戻すということはなかなか難しいと思いますけれども、少しずつ時間をかけて、できるところから議論し、確実に取り組んでいただけるようにということを期待いたしております。

 また、こうしたデータをもとに、先日、民主党に対する緊急提言に関して行われた院内学習会の際に、大沢真理先生がいろいろなことを提言してくださいました。こうした逆進性に対しては給付つき税額控除を導入するようにということ、これは、先日行われた予算委員会の参考人質疑の中でも森信先生が御指摘くださっていました。また、雇用の非正規化に歯どめをかけて、均等待遇を実現し、被用者社会保険を適用するということ、これについては、先日も参考人の駒村先生が御指摘くださっていました。また、将来は年金一元化をして、その年金に最低保障機能を持たせるということ、子ども手当や高校無償化は堅持して、多様な社会サービスを充実すること、こういうふうな指摘をされておられまして、私もそれは全く同感で、ぜひ進めていきたいと思っているところです。

 社会保障と税一体改革担当大臣にお伺いいたしますが、こうした現状の中で、社会保障制度改革において、所得の再分配に対してはどのように取り組んでいくお考えか、伺いたいと思います。

岡田国務大臣 まず、委員お示しのこのグラフは大変興味深いものであります。特に、所得の少ない方々に社会保険料の負担が非常に重くなっているということ。例えば、国民年金の定額負担ということもあるかもしれません。それから、国保の保険料が払えないという話は、ここ数年、よく聞かれる話でありますが、そういったことをこれは裏づけている資料かなというふうにも思います。

 そういう中で、こういった問題にしっかり対応していくために、今回の社会保障・税一体改革の大綱の中では、所得の低い方々の負担に配慮するための保険料軽減、年金の加算などの低所得対策の強化を盛り込んでいるところでございます。それから、非正規雇用の問題、格差を是正するために、働き方に中立的な社会保障制度を目指して、短時間労働者に対する厚生年金、健康保険の適用拡大、生活困窮者対策の推進などによる重層的なセーフティーネットの構築なども盛り込んでいるところでございます。

 それから、このグラフに実は出てこない話として、やはり借金で社会保障を賄っている、そういう問題はこのグラフには出てこない話であります。そういう意味では、やはり世代間の負担の不公平ということも同時に考えていかなければいけない。そういうことで、子ども・子育て対策に対する七千億の新規政策に対する投入ということも、この大綱の中には盛り込まれているということであります。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 大臣御指摘になられたように、世代間格差ということも最近少し明るみに出てきまして、私も、これはなかなか大変な問題だなと。社会保障が将来世代に対する安心できる仕組みであるということを示していくためにも、社会保障と税の一体改革はやはり着実に進めていく必要があるだろうと思いますし、私としても全力で応援、お支えをしていきたいと思っております。

 岡田大臣はここで結構でございます。ありがとうございます。

 続きまして、厚生労働大臣にお伺いいたします。先ほどのグラフで見ていただくと、四枚目、十一と書いてあるところですが、社会保険料負担について、これはやはり所得の低い人ほど実は高い率で負担をしている、こういう逆進的であるという図が示されておりますけれども、こういう現状に対して御感想があれば、お伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 これは先日、予算委員会でも議論になりまして、やはりもう少し所得の高い方に御負担をいただくことが、今上限がございますので、そのあたりの検討も必要だと思っています。

 そして、委員が御指摘のこの表の中で、やはり、全員が就労している共稼ぎ、一人親、単身の家庭で、貧困削減率が今の税制、社会保障制度をかけるとマイナスになる、逆に働いているというのは非常に大きな問題だと思っています。

 そういう意味では、今、非正規雇用がしっかりとその働きに見合った均等な待遇が受けられるようにとか、短時間の方々にしっかりと社会保険を適用するとか、幾つかのことを今回の改革でもしていますし、先ほどからの子供のいる世帯の貧困ということに対しましては、最初に委員がおっしゃったように、子ども手当とかそれから高校の無償化を入れたことによって、二十二年度から七百万円以下の可処分所得がふえたというようなデータもございますので、そういう意味では、政権がとってきている政策が効果がある方向だというふうに私は思っています。

西村(智)委員 子育て世帯における可処分所得をふやしている、押し上げているということは本当に大きな効果だと思います。

 ちょっとそのことをまた改めてお示しするために、資料の最後のページを見ていただきたいんですけれども、これは財務省からの資料ですが、これも年末の税制調査会で配付された資料の中の一枚でございますが、平成元年の四月と平成二十二年の現時点との比較で、税負担がどのようであり、さらに、子ども手当と高校実質無償化によってネットの負担がどのくらい変化するかということをあらわしたものでございます。

 この計算をするに当たって、何枚か、幾つかほかにパターンがあったんですけれども、子ども手当と高校無償化を見たいがために、夫婦プラス中学生プラス高校生、このケースを資料として持ってまいりました。これを見ていただきますと、黒い太線、両方に書いてありますけれども、確認しましたら、これが子ども手当と高校実質無償化による効果をあらわしているということでございます。

 二つのグラフを比較いたしますと、ちょっと下の数字が小さいですが、下が給与収入、それで、給与収入五百万円くらいまで、五百万円の層で見ていただきますと、ちょうど縦に細い線が入っていますが、ここでいいますと、平成元年の方が負担率が六%、平成二十二年の方が負担率が七・六%ということになっておりますので、現在の方が年収が五百万円くらいまでは負担が重くなっているということがおわかりいただけるかと思います。

 ところが、それ以上の年収の方を見てみますと、現在の方が軽いんですね、平成二十二年の方が。平成元年の方が重くなっております。そして、では、年収五百万円以上というのは一体どのくらいの世帯なのかというと、これは一枚目の表を見ていただきますと、年収五百万円までの階層は、どうでしょうか、全給与所得者の大体七〇%超えぐらいでしょうか。この七割の世帯において、この間、以前よりも負担が重いということになっていた。逆に、それ以上の世帯は負担が軽いということが続いてきた。こういうちょっといびつな税制がこの間行われてきたということがおわかりいただけるのではないかと思います。

 そして、子ども手当と高校の無償化で負担が軽減されて、右の方の、平成二十二年の方の黒い線を見ていただきますと、下の方にぐっと下がっているわけですが、これはネットの負担がマイナスになっていることをあらわしておりますが、これは、お聞きしましたら、大体、年収三百五十万円くらいからネットの負担がプラスになっているということでございました。年収三百五十万円くらいといいますと、一枚目の表でちょっと推測いたしますと、大体、給与所得者の五〇%くらいかなという感じだと思います。それだけの世帯に恩恵がある、所得の低い世帯に対して恩恵があるというのが子ども手当と高校実質無償化の成果なんだと思うんです。

 そこで、子ども手当についてなんですが、現在、昨年の八月に合意されました中身に基づいて立法化が行われたものと承知をしております。児童手当法の改正案ということでこの国会に提出をされているわけですけれども、私、ちょっと今、見ておりまして、心配しております。といいますのは、これだけ低所得の方々に対して恩恵のある、効果のある子ども手当が、名前を変えたとしてもここで打ち切られることになってしまっては、本当に大変なことになる。

 なかなかおわかりいただけないかもしれないんですけれども、実は、この間、民主党の中でもいろいろ議論をして、政府にも提言をして、従来の児童手当法にはないさまざまな改善策を昨年の特別措置法から盛り込みましたよね。例えば、子供の国内居住要件を設けたりですとか、あるいは施設にいる子供さんたちにも届くようにしたりとか、そういった改善策をいろいろ取り込んできましたが、この児童手当法改正案が三月末までに成立しないときに一体どういうことになるんだろうか、いろいろなことを想像するんですけれども、これはぜひ厚生労働大臣からお答えをいただきたいというふうに思います。

    〔笹木委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山国務大臣 今委員もいろいろ、るる御指摘いただいたように、貧困層に大変効果も出てきている今の制度ですけれども、法案が年度内に成立しませんと、四月からは手当額が多くのところで大幅に減額されまして、そして中学生は対象とならないという従前の児童手当法が適用されることになります。それからまた、四月に転居されたりしますと、随時払いはできますけれども、実務上、システム改修ができないので、市町村での支給が困難になる。それからまた、成立の時期によりますと、六月の支給も困難になるのではないかと思っておりますし、今御指摘のありました、これは国会内でも議論いただいて、皆様の御意見も入れて取り組みました国内居住要件ですとか施設内の子供のことですとか、それから保育料や給食費の徴収のことなどが全部行えないということになります。

 今回は、御承知のように、超党派の話し合いが進まなかったために、暫定的にと言うとちょっとあれかもしれませんけれども、政府が出させていただいていますが、ぜひ超党派で御議論いただいて、これは当然今出しているものは修正をさせていただきますので、何とか年度内に成立をさせていただくように各党各会派にお願いをしたいというふうに思っています。

西村(智)委員 ぜひ、私の立場においても、年度内成立に向けては力を尽くしていきたいというふうに思います。思いますが、これはやはり国会での議論ということもありますので、最終的に年度内に成立しないこともあり得る。そうすると、先ほど大臣が御紹介くださったようなさまざまな事態が発生する。

 そして、法案が最終的に、年度をまたいだとしても成立をしないということも考えられる。考えたくないですが、考えられる。こうなったときに、本当に先ほど申し上げたようなさまざまな改善点が生かされないことになってしまう。もとの制度に戻る。そして、今まで中学生に支給されていた子ども手当がゼロになってしまうということで、全世帯における実質的な手取りも、これは完全にマイナスになってしまうというふうに思うんです、控除が廃止されていますから。

 最終的にこの法案が成立しなかった場合に、どういう課題がありますでしょうか。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったとおりでして、特に、先ほどからの、ずっと最初からのお話を見ても、所得の高い方たちに有利であった控除を所得の低い方たちにということで、控除から手当ということを民主党はとってきました。そのために年少扶養控除を廃止していますので、それで子供の手当、児童手当が支払いできないとなると、先ほどからおっしゃっている、特に低所得者の方々の家庭に、お子さんのある家庭に大きな打撃が与えられることになると思います。

 昨年八月の議論の中では、超党派で、どういう法律の仕組みにするかとか、それから年少扶養控除もどうするかというようなことを含めて全てお話し合いをいただくことになっていますので、私どもはそれをしっかりと受けとめたいと思いますから、ぜひ、多大な影響が出ないようにお願いをしたいというふうに思います。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 先ほど見ていただいたグラフで、特に我が国においては、子供の貧困ということをずっと言われておりますし、大きな問題だと思います。さらなる貧困を生まないためにも、やはり子供に対する手当は、この制度の継続はどうしても必要でありまして、児童手当法の改正案の早期成立のために私も努力をしたいと思っております。

 また、時々言われることですけれども、現金給付だけかということなんですが、現物給付も、今取り組まれている、全ての子供たち、そして全ての子育て家庭のための子ども・子育て新システム、これについてもぜひ実現を図っていけるようにということをお願いしたいと思います。

 さて、高校無償化について、文科大臣にお伺いいたします。

 従来、私たちは、子供の育ち、学びに対して切れ目のない支援が必要だというふうに考えまして、象徴的には子ども手当、そして高校生になってからは高校の無償化、そしてその先は奨学金制度の充実ということで、シームレスな支援の形というものを考えてまいりました。

 高校の無償化については、現在、三党の実務者協議が行われているというふうにお聞きをしておりますけれども、この制度を私は、将来を担う子供たちの育ちと学びを保障するということと同時に、誰一人取りこぼさないための、包摂する社会のための、本当にその最初の部分の大事な政策だと思っています。

 かつて、希望格差というようなことも言われまして、いろいろな学業のパイプから子供が取りこぼれてしまう、そしてその先には非常に大きな格差が発生するということで問題になったことがございましたけれども、そういったことがないように、全ての子供たちにひとしく希望が与えられるようにということで大事な政策だと思っていますが、この高校実質無償化について、基本的な理念についてお伺いしたいと思います。

平野(博)国務大臣 議員も御案内のとおり、この理念ということでございますが、改めて、私は、こういう考え方でこれを導入しているんだということをかいつまんで御報告申し上げます。

 第一点は、高等学校においての進学率が九八%と、ほぼ一〇〇%に近い方々が進学をしている、こういうことであります。すなわち、国民的な教育機関になってきた、こういうことであります。その教育の効果というのはやはり広く社会に還元される、こういう効果もあるわけでございますので、その教育費については社会全体で負担をしていくんだ、こういうのが一つの大きな柱でございます。

 二つ目は、高等学校においての教育については、家庭の経済がどういう状態であろうが、何人も意志があれば受けられる体制をつくる、安心して教育が受けられる環境をつくる、こういうことが一つの大きな理念でございますし、今委員がお示しをいただきました、こういう所得の部分の変動がございます。そういう意味では、家庭の経済的負担の軽減を図っていくんだ、こういうことが二つ目であります。

 三つ目は、国際的に見ましても、やはり後期の中等教育についての無償化というのがもう世界の常識になっている、こういうことでございますので、そういう大きな考え方、背景のもとにこの施策を進めてきたところでございます。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、今御議論をいただいている、また、切れ目ないこういう施策をこれからも文科省としては打っていかなきゃならない、かように考えているところであります。

西村(智)委員 本当に高校無償化については、私はやはり、こういった子供の貧困という点からも、また、先ほど大臣がお答えになられたような世界的な潮流、また教育に対してよい効果が出ているということ等々からいたしましても、継続すべきだと思います。

 ちょっとこの前、お聞きしましたら、主要な先進国の中で高校実質無償化を導入していない国は我が国だけ、早いところでは一八〇〇年代から。アメリカは、聞きましたら、南北戦争のときに導入した州が多いということで、我が国はそこに、南北戦争の時代に、この分野に関しては今まさに追いついたところかな、そういうふうに思います。

 いずれ、ここ二十年間で本当に深刻に進んできた所得の格差、そして貧困の問題、こういったことを解消するために、控除から手当へ、そしてチルドレンファーストという理念で、ともかくも、政策転換を少しずつ今やっているところだと思います。

 なかなか急激に変えるわけにはいきませんけれども、ぜひこの二つの政策、子供に対する手当、そして高校実質無償化、これは維持していただいて、あわせて社会保障と税の一体改革を進めて、全ての人のための包摂する社会の実現のために頑張っていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて西村さんの質疑は終了いたしました。

 次に、打越あかし君。

打越委員 おはようございます。

 きょうは二月二十九日、衆議院の四年間の任期で一日しか来ない日に記念すべき質問に立たせていただきましたこと、関係者の皆さんに感謝を申し上げて、質問に入ります。

 この十五分間は、お茶の時間にさせていただきたいと思います。

 昨年四月の半ばに、お茶の振興法が成立をいたしました。私も与党の議員連盟の幹事長としてその振興法の成立に携わらせていただきましたが、それから一カ月後に、神奈川県の南足柄市、足柄茶で有名なこの地域からセシウムを含む生茶が検出されまして、それ以降、次々にセシウム被害というのが報告をされました。

 結果的に、その出荷の制限あるいは出荷の規制を受けた地域、あるいは出荷の自粛を行った地域はどの程度に及んだのか、そのことをまず農水大臣にお伺いしたいと思います。

 あわせて、お茶の昨年の生産被害、特に現場において、今年度の生産に影響を持ち越さないようにさまざまな手を打っていただいた。特に深刈り、中切り、台切りと、散髪でいえば丸坊主にするような形でお茶の木を切ると、生産力が落ちたり、あるいはその処理等々、いろいろな費用が出てくるわけですが、そういった現場の農家に対して、農水省の方としてはどのような手を打ってきたかということ、あわせて、ことしの被害農家の生産力の回復といったものはどういう状況に見ているのかということをお伺いしたいと思います。

 特に、ことし、間もなく、あと二、三週間もすれば、お茶の新芽が出てまいります。お茶の農家は、春一番の一番茶にその年の運命が委ねられるということであります。ことしの全国の一番茶の中にセシウム被害が絶対起こらないんだ、そういう対策について、農水大臣の方から御答弁をお願いいたします。

鹿野国務大臣 日ごろからお茶の振興に御尽力をいただいて、ありがとうございます。

 まず、出荷制限が行われた県でございますけれども、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、神奈川県、この五県でございます。それから、出荷自粛が行われた都県は、福島県、埼玉県、東京都、静岡県、こういうことでございます。

 そして、こういう状況の中で、今お話をいただきました深刈り等の技術指導、こういうものを徹底するように行ってまいりました。そしてまた、茶樹の枝葉を刈り落とすことによる放射性物質の除去効果というものを実証するための経費も助成をいたしてまいりました。

 このようなことから、引き続き、本年の一番茶の生産に向けて、きめ細かくこれからも、いろいろな技術面も含めて、いろいろと指導等を行っていかなければならないと思っております。

 また、二十四年産の一番茶につきましては、各産地におきまして放射性セシウム濃度の検査を実施した上で出荷されるということになるわけでございますけれども、二十三年産の九月から十月に収穫されたところの秋冬番茶では、ほとんどが暫定規制値を下回っておった、こういうふうなことも報告を受けているところでございます。

 農家へのいろいろな面での技術指導というふうなものなり、あるいは茶樹の生産力の回復にもこれから十分配慮をしていかなければならない、こういうふうなことから、おおむね順調なる生産、出荷が可能になってきているのではないか、こういうふうに考えておるところでございます。

打越委員 昨年のこの被害が出始めたときというのは、東日本はちょうど一番茶の最盛期の途中でした。非常に残念な時期で、しかも、中切り以上をやれば八割以上のセシウムはカットできるというような実証実験の結果も伺っていますけれども、時期的には中切り、台切りに適さない時期ということで、おおむね深刈りで対応したというふうにも伺っていますので、少しまだ心配が残っているという気もいたします。

 さらに、どこで規制するかということで、お茶は、生葉のとき、荒茶のとき、あるいは煎茶、加工をした最終仕上げのとき、あるいは飲むとき、いろいろな形で規制値が全部違っているということで、随分現場も混乱をしましたけれども、今、飲む段階での十ベクレルということになって、一つの目安はできたと思うんですが、特に現場については、いろいろな費用が発生した場合の支援も含めて、いい対応をしていただきたいと思います。

 一方で、流通関係、販売店あるいは消費者という方々のお茶に対する信頼感というのが少し心配をされます。この一連の被害の中で、流通関連の混乱、被害をどのように把握しておるのか、あるいは対策を打ったのかということ。あるいは、日本のマーケットあるいは消費者全体の中にあるお茶全体に対する信頼の回復、あるいは消費の回復といったものについて、今後どのように取り組んでいかれるのか、お聞きしたいと思います。

 あわせて、今回は非常に海外が、日本の原子力被害についてはいろいろな反応をしている。昨日、ヨーロッパが、この三月末までの輸入規制を十月まで延長するんだといったことを決めたというお話もあります。輸出しているお茶について、さまざまな制約、条件あるいは影響が出ているのではないかというふうに思われますけれども、この輸出についての影響や被害について、あるいはそれに対してどんな対策をとってきたのかということ、そして、国内、国外問わずに、お茶に対する安心、安全のPRの方法等々について、農水省の対応をお伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 お話のございました放射性セシウムの問題によりまして、茶商の皆さん方、流通業者にも、製品の回収や出荷自粛によるところの影響があったというふうなことも承知をいたしておるところでございまして、これはもう賠償というふうな形で請求も行われておりまして、それに対して、我が省としても後押しを引き続いてやっていきたい、こう思っております。

 また、茶商等の流通業者に対しましては、日本政策金融公庫等々の特別貸し付けやセーフティーネット保証等を用意いたしまして、今後とも経営が継続できるように支援をいたしておるところでございます。

 それから、いわゆるお茶の信頼回復、消費回復に当たりましては、生産段階におけるところの放射性セシウム濃度の低減のための取り組みを引き続いて適切に実施してまいりたい。そして、モニタリングの結果を消費者の皆さん方に対して速やかに提供させていただく。こういうような取り組みが非常に大事なことだと思っております。このことによって、少しでもお茶に対する信頼を回復してまいりたいと思っております。

 なお、輸出につきましては、各省とも連携をとりながら、科学的根拠、客観的根拠に基づいて判断をしていただきたい。こういうようなことで、いろいろな形で規制緩和等々の要請をいたしておるところでございますけれども、いわゆる出荷制限等が課せられた地域のお茶につきましては、放射性物質の検査証明書の提出が新たに求められておりますけれども、二〇一一年の輸出量は前年をやや上回っている、こういうようなことでございます。

 こういう輸出相手国・地域に対しまして、我が国のお茶に対する状況というものをこれからも丁寧に説明させていただきながら、輸出が少しでもふえるように努めていきたい、このように考えておるところでございます。

打越委員 おかげさまで、輸出についてはそれほどとまらなかったということですが、新たな証明書をつける、検査を強化するという費用が非常に発生しているというふうにも伺っています。ぜひ、しっかりとした相談相手になってほしいというふうに思います。

 昨年成立したお茶の振興法、国が基本方針を定める予定になっておりましたが、この震災の関係もあって少しおくれているという認識を持っていますが、今ちょうど国の基本方針、パブリックコメントをいただいているさなかだというふうに伺っています。

 この国の基本方針の、これからのお茶の振興の方向性、あるいは特に重点的なポイントについて御紹介ください。

鹿野国務大臣 先生方の与野党ともにの御努力によりまして、昨年、いわゆる議員立法として法案も成立をしていただきました。

 それを受けまして、今基本方針に取り組んでおるところでございますけれども、やはり一つは、地域経済のかなめとしての重要な茶業の振興、二つ目は、お茶の文化的側面の振興、三つ目は、放射性セシウム問題からの脱却を主なるポイントとして、このような考え方で、現在、策定作業を行っておるところでございます。

 当然、この基本方針の策定に当たりましては、生産者なりあるいは茶商の皆さん方の、また消費者の皆さん方の意見を幅広く反映することが重要である、このようなことから、三月十日までの一カ月間、今お話しのとおりにパブリックコメントを実施しているところでございまして、今年度中をめどにして何とか策定、公表したい、このように考えておるところでございます。

打越委員 これまで農水省のいろいろな振興というのは、どちらかというと生産者にウエートを置く、いい品物をつくってもらうということにウエートを置いているわけですが、実は結果として見ると、生産者の方々を含めて、一番喜ばれるのは、やはりよく売れること、値段が高く維持されること、消費が拡大をしていくこと、これが大事だと思います。

 振興のポイントは、農水大臣だけではなくて、文科大臣も一緒に計画づくりにかかわるということになっています。これは、やはりお茶の文化、お茶の消費に対する、だんだんお茶離れが進んでいるということで、それを教育面からもしっかり支えてほしいという狙いがありますので、そのことも含めてしっかりやってほしいと思います。

 明治時代の開国のときに、日本の輸出産品の最大の武器は生糸とお茶であったというふうに言われます。本来お茶は、日本の世界に輸出していた主産物でもあったと言われますし、そしてまた、現在でも輸出については負けていないということでありましたが、お茶にはさまざまな効能があります。

 今、例えば掛川市というところで、掛川スタディという勉強が進んでいます。大体全国の平均の四倍ぐらいお茶を飲んでいる地域、静岡県の一部でありますけれども、ドクターの数が半分ぐらい、病床数も半分ぐらいであるけれども、がんの死亡率とかメタボ発生率とか、さまざまなものが相当低い。このお茶を中心としたライフスタイルを確立すると、近いうちに医療費は三兆円から五兆円ぐらい軽減されるのではないかといったような報告も出ています。

 また、例えば委員長の地元である三重県あたりでは、養殖マダイ一万尾にお茶を餌に与える、あるいは畜産で牛や豚にお茶を与えるということが非常にいい影響を与えているというふうにも言われます。

 インフルエンザにもお茶は効く。全国で、お茶でうがいをする習慣は今でもありますけれども、このカテキンで、喉につくウイルスをつきにくくしてくれる。さまざまなお茶の効能がある。

 今、中央会の会長が言っているように、日本の一番いいスタイルというのは、一年間に米が百キロ、魚が二十キロ、そしてお茶を二キロ飲んでもらえれば本当にいいライフスタイルになるんだという主張をしておりますが、私もそのとおりだと思っています。

 ぜひひとつ、お茶の振興というのは、生産の振興だけではなくて、お茶の文化の振興やお茶の効能の振興、そういった日本型のすばらしい生活、食生活を確立するためにこれからも頑張っていただきたいと思います。

 ことしの新茶シーズン、現場に笑顔が絶えないことを祈りながら、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中井委員長 これにて打越君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 本日は、小川大臣、松原大臣、お忙しいところ、大変恐縮でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、危険運転致死傷罪のことについて、非常に考えさせられる大きな事件が発生しましたので、御質問させていただきたいと思います。

 昨年の十月三十日、愛知県の名古屋市内で、ブラジル人による飲酒、無免許、死亡ひき逃げ事件というものが発生いたしました。これが今非常に物議を醸していまして、マスコミでも大きく取り上げられて、番組でも特集を組んでこの事件をやっております。

 それはなぜかといいますと、このブラジル人は、無免許で、しかも無車検の車で、そして飲酒をして、テキーラ六杯それから生中を三杯飲んだと本人は言っているらしいですけれども、それで車を運転して、事故を起こして、逃走して、一方通行を逆走して、そして横断歩道を渡っていた十九歳の青年をひき殺して、さらに逃げたという事件でございます。

 しかし、この後に私は問題があると思っておりまして、これだけの大きな事件を起こしておきながら、交通事故の一番の重たい刑である危険運転致死傷罪というのが適用されていないんですね。今現在、自動車運転過失致死傷罪というものが適用されて、そして、もうこれは三月の九日に判決を迎えてしまうことになっております。

 本当になぜこのようなことになったかということで私は思っているんです。本当に、被害者、それから御遺族の方から見たら、殺人罪を適用してもらってもおかしくないという思いでいらっしゃると思うんですけれども、なぜ今このような状況になったかなというふうに私は思っております。私は、これは完全にミステークであったのではないかな、捜査に何か誤りがあったんじゃないかなというふうに思っております。

 これは、検察側が求刑をしておるのが十年です。そして、資料をお配りしておりますけれども、見ていただきたいんですが、一番上の自動車運転過失致死傷罪というのが七年以下の懲役です。そして、その二つ下の交通事故の場合の救護義務違反、これが死亡の場合は十年以下の懲役。併合罪で、重たい方の罪の一・五倍を科しますので、本来、十五年までいけるんですよ。でも十年しか求刑していない。ここもおかしいなと私は思うんです。なぜこのようなことになったのか、本当に私は疑問でございます。

 これは、普通の事件のように、よくニュースでごらんになられるように、罪が軽過ぎるんじゃないかといって控訴できないんですね。これは検察側がこのように求刑しているので、三月九日に判決が出てしまったら、もうこれで終わってしまうんです。だから、被害者の御遺族の方は今必死になっていろいろな運動をされております。

 この点について、これがなぜ危険運転致死傷罪が適用されず判決を迎えてしまうのか、これはミステークがあったんじゃないのか、捜査に誤りがあったのではないかということで、法務大臣にお伺いします。

小川国務大臣 お尋ねの件でございますが、今まさに判決直前の裁判の状態というときに、個別の事件に関しまして法務大臣がいろいろ意見を言うということはやはり裁判に対する干渉ではないか、こう受け取られることになりますので、大変申しわけないんですが、具体的な案件ということにつきましては答弁を控えさせていただきたいと思います。

 ただ、一般論として申し上げれば、検察は、決して危険運転致死罪を意図的に除外したとかそういったことではなくて、さまざまな証拠関係を分析した結果そういう判断になったのであろう、このように思っております。

中島(正)委員 多分そのような御答弁をいただくことになるかなというふうに思っておりました。大臣のお立場上仕方ないことかとは思うんですけれども、今の危険運転致死傷罪の罪というのは、適用基準に非常に曖昧なものがあるのではないかというふうに思っております。

 この危険運転致死傷罪の方の要件というのが大きく分けて四つありますけれども、アルコールまたは薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為、そして、進行を制御することが困難な高速度で、または進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為、そして、人または車の通行を妨害する目的で通行中の人または車に著しく接近し、かつ、重大な事故の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為、そして、赤信号を無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為という、この四つのどれか一つでも当てはまっていれば危険運転致死傷罪は適用されると思うんですけれども、私は今回の事件は全て当てはまっていると思うんですね。

 一つだけ言えば、一番最後の赤信号を無視しというのが、たまたまその交差点に信号がなかっただけなんです。これはもう、信号があれば恐らく無視して突っ込んでいる。それは検事さんが言っておられるようなんですけれどもね。だから、なぜこれが適用されないのかというのは、私は、この法令に非常に曖昧なところがあるのではないかなというふうに思っております。

 そして、今、日本の法律は、飲酒に絡む事故に対して非常に刑が軽過ぎるんじゃないかなというふうに思います。先ほど見ていただいたこの資料のとおりなんですけれども、非常に罪が軽いと私は思います。ですから、この危険運転致死傷罪についても、抜本的な法律の改革が今後必要なのではないかなというふうに思っております。

 私の思うには、例えば飲酒、それから薬物中毒、そして無免許、ひき逃げ、これが少しでも含まれていれば全て危険運転致死傷罪を適用することがいいのではないかな、そのように法改正をしていかなければいけないのではないかなというふうに思いますが、法務大臣の御所見をお願いいたします。

小川国務大臣 お答えいたします。

 交通事故というのは、基本は事故であり過失でありまして、これをわざとやれば殺人なり傷害となるわけでございます。ただ、事故で過失であるというのが、過去、この危険運転罪ができるまでの状況でしたけれども、しかし、余りにも事故が起きる蓋然性が高い、こんなひどい危険なことをやればもう事故が起きる蓋然性が高い、その事故が起きる蓋然性が高いような危険な運転をするのであれば、これは故意犯と同じように準じて処罰してもいいのではないかというところにあったわけでございます。

 そうすると、その運転類型が余りにも事故に直結するような危険が高いということに着目をしますと、ただ単に飲酒した、薬物があったということのみをもって直ちにそのことが事故に直結する危険性が高いと言えるかどうかという点がございますので、委員の御指摘のところ、よくわかるのでございますが、やはり慎重に議論をしなければならない点だというふうに思っております。

中島(正)委員 小川大臣、ありがとうございました。お忙しいところ済みませんでした。

 松原大臣、それでは御質問させていただきたいと思います。

 この危険運転致死傷罪の適用については、やはり一番重たい罪ですので、立証が非常に難しくて、地検は警察庁からの送致について積極的に起訴しないということがありまして、警察庁、検察庁が双方でこの危険運転致死傷罪の適用に非常に消極的であるという声も聞かれます。

 これの原因といたしまして、この危険運転致死傷罪ができたときに附帯決議がありまして、そこの一つに、「本法の運用に当たっては、危険運転致死傷罪の対象が不当に拡大され、濫用されることのないよう、その構成要件の内容等も含め、関係機関に対する周知徹底に努めること。」この一つのことがひっかかっていて、本当に及び腰になっているという点があるかと思われますけれども、松原大臣の御所見をお願いいたします。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 危険運転致死傷罪は、悪質な交通事故事件に対する国民の厳罰化機運の盛り上がりを背景として、平成十三年の刑法改正により創設されたものであります。

 名古屋における事案につきましては、御遺族の心情を第一に考えますと、このような事案については危険運転致死傷罪を適用すべきとの声があること、また、危険運転致死罪の適用を求める約三万人の署名が集まっていることも承知しております。

 また、危険運転致死傷罪創設の際、委員御指摘のように、その対象を不当に拡大し、濫用すべきではないとの国会での附帯決議や御議論があったことも承知をしております。

 危険運転致死傷罪の適用に当たっては、そうした背景に思いをいたし、法と証拠に基づき的確な捜査を行い、適用すべきものについては確実に立件をしてまいりたいと思います。

 終わります。

中島(正)委員 ありがとうございました。

 ちょっと時間が来てしまいましたので、アルコールの逃げ得について、もう一問御質問させていただきたいと思っていたんですが、時間が来てしまいました。

 御遺族の気持ちを酌んでいただいて、三月九日までに何とか助けてあげたいと思っております。どうかまた、何とかよろしくお願いいたします。

 本日は、ありがとうございました。

中井委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、松木けんこう君。

松木委員 松原大臣、済みません、ちょっと一言だけ言いたいことがある。

 小川法務大臣にも私言ったんですけれども、今の中島委員の質問なんですけれども、検事がこの遺族に対して面談をしたときに、おまえらテープをとるなとか、いろいろとプレッシャーをかけているという事実がありますので、答えは要らないですから、ぜひ、それを法務大臣と話し合いをして、このまま本当に九日に判決を出していいのかということをもう一度よく精査してください。お願いします。それだけです。

 済みません。

中井委員長 松木君、余り勝手にやらないように。そんな、自分で大臣をとめて、自分で注文つけて、自分で進行したらだめだよ。これはルール外だな。気をつけてください。

松木委員 委員長、済みません。申しわけございませんでした。

 ずっと予算委員会、議論を聞かせていただきまして、私も何度か質問をさせていただきました。どちらかといえば、この予算委員会というのはやはりいろいろな要望が多くて、どうしても、それがまたお金がかかるということも随分あるんじゃないかなというふうにも思いました。予算のないと言われている今日でも、これだけやはり要望が多いわけです。そして、私も地元に戻ればいろいろな要望をまた受けているわけでございますけれども、しかし、無駄をなくすとか、あるいは田中さんが、何か休眠口座ですか、あれでまたお金が使えるとか、いろいろな話も出てきましたけれども、基本的にはやはりお金が、どうしても出ていく方が多いんじゃないかなという気がします。

 そして、物事は、ある人から見れば無駄、そしてある人から見れば必要ということが多いと思うんですね。例えば、八ツ場ダムの問題なんかもその典型だと思います。大臣が、首都圏をタイのようなことにしてはならないということを言いましたけれども、首都圏がタイのようになるのかというのは非常に私は疑問を持っていますし、そんなことを言っていったら、全てコンクリートで固めなきゃいけないし、お金が幾らあっても足りないというふうに思っております。

 ただ一点、やはり政治家がちゃんと決断をする、そして責任をとるということが求められているんではないかなというふうに私は思っております。だから、選挙のときに約束したことは重いんだというふうに思います。

 その点から見ると、TPPも同じことが言える。民主党は、農業者に対して戸別所得補償政策を入れました。そして、この大きな理由は、食の自給率を四〇%から五〇%に上げるとか、あるいはお金があれば国際社会で何でも買えるという気持ちを脱却する、あるいは次の世代の農業者にちゃんとつながるようにということでつくった政策だというふうに思っておりますけれども、どう考えても、自給率が上がらない方向の性格の政策を今、野田政権はとろうというふうにしております。

 そして、それを古川大臣は両立を目指すということも言われておりますけれども、アクセルとブレーキ、これを両方とも踏んで本当にうまくいくのでしょうかね。非常に不安があります。

 もう一度お願いです。TPPというものからは早く脱却をしていただきたい。そして、もっといい方策を考えていただきたいというふうに思います。

古川国務大臣 お答えいたします。

 まず、一点だけちょっと。休眠預金の話、何か国が使うように言われましたが、これは民間の中のお金の流れをよくしようということで、そこだけ誤解のないようにしていただきたいと思います。

 TPPにつきましては、今、参加に向けて関係国との協議に入って、さまざまな情報収集をしているところでございます。そういった意味では、松木議員がおっしゃるような、特に農業者の方々が持っておられるような懸念、そういったものには私どもとしても情報提供して、しっかり応えていかなきゃいけないと思っております。

 同時に、これは、両立できないんだというのじゃなくて、していかなきゃいけないことだと思うんです。

 農業者の中でも、第二種兼業農家のような方々は、一方で昼間は工場で働いて、そして一方で農業をやっていらっしゃる方も多いわけです。そういった意味では、雇用の場を守っていく、そうしたこともやっていかなきゃいけない。同時に、農は国のもとなりとも言いますので、そういった意味で農業を守っていく。やはりこれは両方をしっかりやっていきたいというふうに思っております。

松木委員 専業農家もあるんですよ、いっぱい。いずれにしても、厳しいことだと思いますので、大きな問題になる前に撤退を要求します。

 以上でございます。

中井委員長 これにて松木君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本幸三君。

山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三でございます。

 きょうは三十分しかありませんので、簡単にやりたいと思います。

 この予算委員会の審議を聞いていて、要するに、財政再建あるいは年金の問題、消費税の問題にしろ、その第一歩はデフレを脱却しない限り何も進まないということなんですね。それは日本銀行の金融政策でやるしかないんですけれども。

 先般、日本銀行は新しい金融政策をアメリカのまねのようなことでやりましたけれども、そのときに安住財務大臣は、実質上のインフレターゲットだということを申して評価されました。

 そもそも、インフレ目標政策の本質あるいはその長所というのは何だとお考えですか。

安住国務大臣 おはようございます。よろしくお願いします。

 先生の御指摘のように、インフレターゲットに対し、私は、実質的なインフレターゲットというふうに申し上げました。

 そもそもインフレターゲットをどう定義するか、それぞれ意見の分かれるところだとは思いますが、私なりに申し上げさせていただきますと、中央銀行が一定の物価上昇率の目標を設定し、その達成を優先する金融政策を行うことである。ですから、そういう点からいえば、数字で明示した明確な目標を持って、その政策の透明性を図っていくということがインフレターゲットであるというふうに私としては思っております。

山本(幸)委員 半分正解で、半分足りないのですが。

 要するに、数値を出すということが大事なんですね。数値を出すことで、中央銀行がどういう金融政策をやるかということが透明化される。つまり、政策の透明性が図られる。政策が透明になると、それが妥当かどうかの判断ができるということであります。つまり、政策とその妥当性が明確になる。

 それから、もう一つ忘れているのが、最大の長所というのは、数値が出るわけですから、それが達成できなかったら責任が出てくるんですよ。達成責任、それから、できなかった場合は説明責任。

 政策が透明化され、妥当性が評価され、そして責任が明確になるということが、インフレ目標政策の最大の長所なんですよ。これがなければインフレ目標政策とは言えない。そこをわかっていない。

 だから、インフレ目標政策と日銀のやっているものは言えますか。

安住国務大臣 先生、今回の日銀の政策決定会合、二月十四日では、中長期的な物価安定のめどを日銀としては機関決定したわけであります。

 ですから、当面、物価上昇率は、消費者物価上昇率一%を目指して、強力に金融緩和を推進していくということを示しておりますので、目指す物価上昇率と時間軸を明確にしたということは私は言えると思いますけれども、今後とも、先生いつも御指摘でございますけれども、明確な説明責任、これは今の日銀法においても国会における説明というのは求められているわけでございますから、それについて引き続きやっていただくとともに、あともう一つは、先生いつも御指摘で、私もそうだなと思いますけれども、マーケットに対する期待感、このインフレ率をやはり持ってもらうということが、今回、例えば株価等にも影響しているのかなと思っておりますので、そういう点では、厳密に言うインフレターゲットかと言われると、私も、率直に言って、そこは判断の分かれるところだと思いますので、実質的なという言葉をつけ加えさせていただいたところでございます。

山本(幸)委員 だから、違うんだから、そんなこと言いなさんなと言っているんですよ。そのために、私は比較表をつくりました。これは結構大変だったんだから、全部読んでもらわなきゃ。

 それで、「評価」のところは私の個人的な評価でもありますが、ただ、これは学習院の岩田先生にもチェックしてもらいましたから、その先生も同じ評価を持っているということでもありますけれども。詳しいことは午後の財務金融委員会等でやりますが、いずれにしても、日銀はめどと言って責任を逃れている。時間もはっきりしないんだ。つまり、政策の透明性も責任も明確になっていないんですよ、日銀のやっていることは。だから、だめなんだ。

 したがって、本当にデフレを脱却しようと思って、年金をうまくやり、消費税を意味があるようにするためには、これはだめですよ、日銀法を改正して目標政策をきちっとしなきゃ。そのことは後でまた財務金融委員会でやりますから、覚悟してください。

 それから、交付国債の話に移ります。

 交付国債で基礎年金の二分の一の負担で足りない部分を賄うわけでありますけれども、これは財源をつくらなきゃそういうことはできないわけですね。過去三年間やってまいりましたが、安住財務大臣、今年度は何で賄ったんですか。

安住国務大臣 今年度は、三党合意によって、復興国債、復興財源で賄ったということでございます。

山本(幸)委員 復興国債というのは、赤字国債、特例国債、普通国債ですね。

安住国務大臣 御指摘のとおりでございます。

山本(幸)委員 今年度は赤字国債で賄いましたと。では、来年度はどうして赤字国債で賄わないんですか。

安住国務大臣 私の考えるところは、復興に関する国債の発行は、先生、三党で合意をして、あらかじめ所得税、法人税等で償還の財源を決めて合意を得ました。

 ですから、そういう点では、先生御指摘のように、特例公債で発行したということは事実でございますけれども、償還の財源をしっかり決めて、そして合意をしたということで、その中に、言ってみれば年金の二分の一の分が含まれるというふうに私は理解しております。

山本(幸)委員 あなたは、これまでの国会で何と発言していたんですか。消費税というしっかりした財源を用意しているから、交付国債でやりますと言っているんですよ。消費税をちゃんと上げてやるということが、しっかりした財源なんでしょう。どう違うんですか。全く同じじゃないですか。

安住国務大臣 済みません、復興国債は赤字国債ではないので、それは訂正いたします。(発言する者あり)復興債です。済みません。(山本(幸)委員「いや、赤字国債でしょう」と呼ぶ)市中に発行する国債でございます。

山本(幸)委員 あなた、赤字国債と建設国債の違いがわかっていないぞ。復興債は赤字国債じゃないんですか。

安住国務大臣 復興債は復興債でございます。

山本(幸)委員 では、財政法の四条、何と書いてあるんだ。

安住国務大臣 いやいや、建設国債を四条でたしか言っているわけでありますから、あらかじめ償還を決めて復興債というものを発行しているという意味で、特例公債とは区別をして私は申し上げたということでございます。

山本(幸)委員 財政法四条で建設国債と書いてある。そうですね。財政法はそれしか書いていないんだよ、国債は。本来はそれしか発行してはいけない。だけれども、それ以外を特例公債といって発行するんですが、建設国債以外のものは一般財源として使うんだから、それを赤字国債というんですよ。違いますか。違うんですか。

安住国務大臣 先生の御指摘はそうでございますけれども、復興債に関しては、あらかじめ償還財源を決めておりますので、復興債という定義でございます。

山本(幸)委員 では何、所管大臣だからそんなことを言うわけ。私は国債の性格について質問しているんだよ。国債の性格でいえば二つしかない。要するに、普通国債があって、その中は建設国債か赤字国債しかないんですよ。そうすると復興債は赤字国債でしょうと。違いますか。

安住国務大臣 ですから、復興債は、あらかじめ償還財源を決めて、しかし、市中に出すときには、それは建設国債も特例公債もこの復興債も同じ国債としての、いわば市中に発行するということは同じでございますけれども、明確な定義として言えば、特例公債とは分けて考えております。

山本(幸)委員 では、特例公債と復興債はどう違うんだよ。だって、特別の法律でそういう国債を発行するから特例公債といっているんでしょう。復興債も、特別の法律をつくって発行したんだから特例公債ですよ。復興債は特例公債に入らないとあなたは言うんですか。

安住国務大臣 いや、ですから、財政法上の厳格な位置づけはおっしゃるとおり建設国債の発行で、年度によって、その年の予算に必要な国債を発行するのは特例公債という位置づけでございます。

山本(幸)委員 そういう常識的なことを早く認めて、だから、ことしは復興債という形の特例公債を発行して賄ったんですよ、その二分の一との差額は。だから同じことをやればいいじゃないかと言っているんですよ。何で違うことをやるんですか。消費税というしっかりした財源を用意しているとあなたは今まで何回も答弁しているんだから、同じことじゃないですか。同じことをやりなさいよ。

安住国務大臣 金子先生にも同じような視点から御指導いただきましたけれども、先生、長年の、平成の十六年、十七年からこの議論は始まっておりますが、やはりこの二分の一というのは消費税の一%分に相当する、これは自公政権下でもそれぞれ歴代の総理も厚労大臣も御指摘があって、この法案が通る段階では、やはり明確にそこをターゲットにしていたと思います。

 しかし、法律の制定時点では、この一%を、消費税が引き上げられることもなく、いわば穴のあいた状態でそこのルールだけが決まってしまった。ですから、麻生総理、その後、鳩山、菅総理と、それぞれここについてはいわばやりくりをしながら一般財源の中で賄ってきたわけでございますけれども、昨年のああいう大震災を受けた後の財政状況の中で、先生が今御指摘のような復興債という合意に至りました。

 私は、今回この交付国債を出すに当たっては、あらかじめ償還財源を決めて、御批判はあると思いますけれども、やはり消費税というものでしっかりとこれを担保していくということは、原則論に立ち返っても、私としては、やはりこの交付国債のやり方は正しいのではないかなというふうに思っておりますので、何とかこのルールで、もちろん、これから払っていくわけですから、そういう意味では、年金会計に対しても責任をとっていくということももちろん私どもも考えておりますので、ぜひ交付国債で、今回は二分の一の二・六兆円を賄いたいというふうに思っております。

山本(幸)委員 全然説得力がない。消費税というしっかりした財源を担保にしてやるんでしょう。そういうことだったら、復興債も、復興増税というちゃんとした財源を担保にして、復興債という赤字国債を発行してやったんですよ。同じことをやればいいじゃないですか。

 それは、おっしゃるように、ちゃんと消費税という財源が、まあ消費税かどうかはわからないが、財源を確保してやるというのが筋だけれども、まだそれはできていないんだから。そうであれば、粉飾するようなことはしちゃいけないというんですよ。ちゃんと見えるようにやればいいんですよ。ことしはちゃんとそれでやったんだから、同じことをやればいいじゃない。

 ところで、では、交付国債と普通国債とはどう違うんだ。交付国債とは何なんだ。

安住国務大臣 今回は、あらかじめ償還の財源を明確にしております。これは消費税というものが成立をするということが前提でございますけれども、そこはやはり違うと思います。それから、市中にこれを出すわけではございませんので、そういう意味での公債発行とは違うと思います。

山本(幸)委員 全然わかっていないんだよ。少しは役人が書いたことも勉強してきなさいよ。

 交付国債とは、出資金の支払いや慰弔金の支払い等のために、次が大事なんだ、債券の発行による発行収入金を伴わない、伴わずに、国が金銭の給付にかえて交付する国債をいうんですよ。つまり、発行収入金がないのが交付国債なんだよ。

 これは、どうしてこういうことを使うかというと、その年に全部出ていくかどうかわからないようなものに対して、収入金がなくてもそういうことをやれるということがあり得る、その年には全部出ていくわけじゃないんだから。だから、出資金とか慰弔金の支払い等のためにやるんだよ。

 ところが、今回のように、年金のように、お金がその年に全部出ていくんですよ。そうしたら、その年に収入もちゃんと伴って入っていなきゃ困るんだよ。だから、赤字国債でやれと私は言っているんだよ。

 ここが、交付国債と普通国債、赤字国債と根本的に違うところなんだ。何で、年金という財源がその年に全部使われるのに、その年に収入金が入ってこないようなことをやるんですか。

安住国務大臣 偶発的な支出、つまり、保証枠みたいなものであればそういうこともあり得ると先生御指摘だと思います。ただ、これまでの、昭和二十七年の、例えば戦没者の遺族に対する弔慰金等、これは毎年十年ずつ延長して交付国債の発行をしておりますけれども、これは、そういう点では、こうした偶発的な出費、つまり保証枠的なものではないわけです。

 先生の御指摘のようなことは、十分、そういういわば交付国債のやり方もありますが、今回のような例も過去の歴史にはありますので、そうした点では、こうしたやり方があってもいいのではないかと思っております。

山本(幸)委員 戦後の混乱期の歳入がないときと今は違うんだよ。

 あなた、財務大臣として何を責任を持ってやらなきゃいけないか。財務大臣というのは、いかに歳出を要求から厳しく査定して歳出を膨らまないようにして、そして収入をしっかりと確保して、それをコントロールするのが財務大臣なんだよ。しかも、その収支をはっきりと示す。これをちゃんとやらなかったら、財務大臣の責任、資格はありませんよ。こんなふうに粉飾するようなことをやって恥だと思わないんだったら、財務大臣として失格だと私は思うよ。

 だって、それは戦後の混乱期にいろいろあった。本当に収入があるかどうかもわからないんだから、そういうときはできないんだ。だけれども、今みたいにきちっと財政の会計とかいうのがしっかりしてきたときに同じことを言っちゃだめですよ。それは財務大臣として恥ずかしいと思うよ、私は。

 そして、今や、整理して、交付国債を使っているのは、出資金とか慰弔金とか、その年に全部出ていくものでないものしか使っていないんだよ。年金の支出は必ず出ていくんだから、ちゃんとした収入がなきゃおかしいんですよ。それを、あなたは、交付国債という形にして、収入がないにもかかわらず、年金積立金管理機構か、そこにやって、実際はそこのお金を使うんですよ。そこの資産を売り飛ばして現金をつくって、それを年金の支払いに充てるんですよ。これをつけかえと言わなくて、粉飾と言わなくて何と言うんですか。

安住国務大臣 私、最初に先生に申し上げましたように、茂木政調会長にも言いましたが、それは、できれば、この法律ができたとき、二分の一の財源の確保というのも体系としては担保しておかなければならなかったという点では、お互いやはり反省をしないといけないと思うんです。

 恒久的にこれは、永遠にといいますか、今の年金制度であれば続くわけですから、そういう点では、ことしも来年も再来年も、またその先もということであれば、やはり消費税というものを充ててやらせていただくというのも、私は一つの考え方ではないかなというふうに思っております。

山本(幸)委員 いや、何を言っているのかよくわからないな。要するに、茂木さんに返事したように、できればやりたくなかった、あなた、そうおっしゃいましたね。そうなんですよ、やはりおかしいんだよ。

 こんな粉飾を財務大臣がやるようだったら、本当、恥ずかしいと思う気持ちがなきゃだめなんだよ。粉飾ですよ。隠しているじゃないか。これが粉飾じゃないと言ったら、ではオリンパスのやっていることなんか粉飾じゃないという話になっちゃう。

 そこを中川大臣はよくわかっているんだよ。中川さんは、きのういろいろ発言して、陳謝して撤回しましたけれども、私は、あなたはよくわかっているんだと思う。私は、あなたほどの人が失言したとは思わない。あなたはやはりわかっているんですよ。この交付国債はおかしい、それから、消費税は賛否があって見通しが困難だ、はっきりそういうことがわかっているんだ。そうすると、これについては、予算修正、交付国債取り下げもやらざるを得ない、そうおっしゃるとおりですよ。

 わかっていて、確信犯で発言したんでしょう。

中川国務大臣 いや、担当外のことを発言したということについて反省しておりまして、撤回をいたしました。

 その上で、先ほど財務大臣のお話、非常に苦労しながら予算を組んできた中で、正しいというふうに思っておりまして、消費税、これを話し合いの中でぜひとも成立させていくということ、このことを私からも改めてお願いしたいというふうに思います。

山本(幸)委員 いや、あなたは正直なんだよ。やはり私は、あなたほどの人が、所管外の話だからといって、そう簡単に失言するとは思わない。

 あなたは、結局、消費税が難しい状況になったということを見て、何かしなきゃいかぬと。だって、与野党合意しなきゃ消費税法案なんか通らないんだから、そこの準備をする必要があるんじゃないかといってアドバルーンを上げたんじゃないんですか。違いますか。

中川国務大臣 消費税については、野党の皆さんも基本的にはこれは上げていく必要があるだろう、そういう認識のもとに今政策をつくっておっていただくということ、これを信じておりまして、そういう意味では、消費税は成立をするという前提で私も考えていきたいというふうに思っています。

山本(幸)委員 随分苦しい言いわけをしていますが、あなたの認識は非常に正解だと思いますよ。

 官房長官、要するに、閣内に、消費税の見通しは困難だと認識している大臣もいるんですよ。それから予算修正もあり得ると認識している大臣もいるんだ。交付国債取り下げは当然その一環としてあり得ると認識している大臣もいる。そういうことを考えないと消費税法案はうまくいかないと考えている大臣がいるんですよ。しかし、本当はそれをぽろっと言っちゃったらだめなんだけれども、私は一石を投じるために意図的に言ったと思うよ。しかし、官房長官としては、それは内閣のたがの緩みですよ。

 それを官房長官がきのう注意したということでありますけれども、一体、内閣として、消費税の見通しは困難、予算修正もあり得る、交付国債の取り下げもあり得るというように考えている人、認識している人がいるということについて、やはりそれは、そういうことをこの時期に言うということについての軽率さ、軽率じゃない、考えてやっているんだと思うけれども、そのことについて本当は総理に聞きたいんだけれども、総理は呼べないからお伺いしますけれども、一体この内閣はどうなっているんだ。こういう状況が起こるというのは、大体、内閣の崩壊の前夜ですよね。

 あなたは、どういう注意をされたんですか。

藤村国務大臣 御質問は、どういう注意をしたかという御質問であったと思います。

 きちんと過去の経緯というのは、中川大臣もお知りでないところもあったようには思いますが、少なくとも、二月十七日に社会保障・税一体改革の、政府・与党では素案としていたものを閣議決定した、これを年度内に税法の部分も含め法案化し、出していく、そういうことでありますので、これに盛り込む消費税引き上げを前提とする交付国債関連法案の早期成立ということも内閣としてこれは一体として国会にお願いをしていく立場である、このように申し上げて、中川さんの所管外のお話については、よく、きちっと過去の経緯も調べた上で注意して発言を今後ともしていただきたい、こんなことを申し上げました。

山本(幸)委員 中川さんはそんなことは百も承知で発言しているんですよ。

 この問題はいずれまた取り上げることになると思いますが、その中で大事なことは、一つ最後に聞きたいんだけれども、安住大臣、この前、もし消費税法案が通らなければどうなるんだという質問に対して、三分の一に戻りますと答弁されましたけれども、それはそういうことでいいんですか。

安住国務大臣 これは、年金交付による、特別会計法ではそういうふうになっておりますので、私がこの間も申し上げたとおりでございます。

山本(幸)委員 では、三分の一に戻るということは、今年金を払った人から取り上げるということですか。財源がないんだから、余分に払ったものは取り上げるということですか。そうじゃないでしょう。役人の説明だと、違いますよ。どうなんですか。(安住国務大臣「いや、私もそうです」と呼ぶ)では、三分の一に戻るということはどういう意味なんですか。違うじゃない、戻らないじゃないの。

安住国務大臣 三六・五%相当額は一般会計から受入金で計上します。二分の一との差額分につきましては、これは国民年金、厚生年金積立金からの受入金を計上することになるということでございます。

山本(幸)委員 つまり、通らなくても年金支払いは行われるんだ。それは、積立金が取り崩されて、年金財政をまさに従来の計画からおかしくしてしまう。つまり、年金財政をがたがたにして、やるということになるんですよ。そういうことですね。

安住国務大臣 結局、先生、特別会計法における今の私どもの考え方、法律に基づいた執行ということになれば、積立金を取り崩すということは特段不自然なことではないと思います。

 ただし、いろいろな意味で穴があくという御指摘があるとすれば、だからこそ、やはり消費税でこうしたことについて充当していくということについて、ぜひ御賛同いただければと思っております。

山本(幸)委員 あなたは今、重大発言をされましたね。そのときに積立金を取り崩すことは特段の問題はない。大問題ですよ。

 そんなことを財務大臣が平気で言うから、年金をもらっている人は心配でしようがなくなるんだよ。自分たちの年金財政ががたがたになるんだから。あなたはそういうことを平気で言っているというのがわかっていますか。

安住国務大臣 いや、顔はポーカーフェースですけれども、気持ちの中はなかなか複雑な気持ちはありますけれども、何とか消費税を上げさせていただきたいと思っております。

山本(幸)委員 そうであれば、中川さんの言っているような話がまともになってくるんですよ。そこをしっかり、官房長官初め内閣できちっと緊張感を持ってやらなきゃ、こんなものはうまくいきませんよ。

 そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

中井委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 自民党の岩屋です。

 時間がないので、きょうは、安保の問題に絞ってお伺いをしたいと思います。

 まず、官房長官は余り時間がないというので、先にお願いしたいと思いますが、武器輸出三原則についてでございます。

 これは、私どもにとっても長年の課題であり、懸案でございました。そういう意味でいうと、見直しをされたということについては評価をさせていただきたいと思います。

 官房長官、この三原則の見直しの最大の狙いというのは何でしょうか。

藤村国務大臣 二十二年暮れのいわゆる新防衛大綱でも、防衛装備力の国際的環境は大きく変わっている、こういうことも指摘がありましたので、我が国の平和貢献やあるいは国際協力に関し、従来から海賊対策のためのインドネシアへの巡視艇供与、あるいはハイチ、南スーダンへのPKO派遣などに取り組んで国際社会からの期待が高まっている中で、国際共同開発・生産についても、国際的に高い技術力を有する分野を持つ我が国に対して、欧米諸国からさまざまな期待が寄せられている、これが現状でございます。

 さらに、国際共同開発・生産に参画することは、最新の防衛技術の獲得等を通じ、我が国自身の防衛産業の生産、技術基盤を維持、高度化するということにも、あるいはコストの削減にも資する、こんなことも考えられます。

 そうした点を踏まえて、平和貢献、国際協力に伴う案件及び我が国の安全保障に資する防衛装備品等の国際共同開発・生産に関する案件について、これまでの、例外化措置は個別に行ってきましたが、例外化措置における考え方を踏まえて、厳格な管理が行われることを前提として、防衛装備品等の海外移転を可能とする旨、今回は基準を内閣官房長官談話により公表したところでございました。

岩屋委員 今お話がありましたけれども、私は、一番大事なところは、国内における防衛産業基盤をしっかり維持する、その技術を維持するというところにあると思うんですね。

 これは我々も反省しなければいけないことだが、やはり防衛装備の調達については、ある意味でいうと、余りにも同盟国に依存をし過ぎてきたということは言えると思うんですね。できたものを言い値で買わされる。ブラックボックスつきで渡される。その間にどんどんと防衛産業基盤が弱ってきた。技術の移転が進まなくなってきた。官房長官、ここが最大の問題だと思うので、その視点をしっかりと政府として持っておいていただきたい。

 我が国の防衛産業基盤をしっかり維持することが日本の防衛力であり抑止力の重要な要素なんだ、こう思うんですけれども、いかがですか。

 あと、防衛大臣、どうぞ前に。時間がかかるから。

中井委員長 それはだめです。それはだめ。そういうことはちゃんと理事会で。

 集中のときには御要求がありましたからこちらへ座らせました。今回は何も御要求がありませんから、そういうことはできません。

岩屋委員 そうですか。

 では、官房長官、もう一回見解を聞かせてください。

藤村国務大臣 今、岩屋委員の御指摘、私もそのように思います。

 やはり日本の技術、特に防衛産業に関する技術の中でも高いものがたくさんあるけれども、これは、いつも押しつけで買わされているということでなしに、さっきもちょっと申しました国際共同開発やその生産に参画するということがなかなかきょうまでは難しかったわけで、最新のそういう防衛技術の獲得もしながら、そして我が国の防衛産業の生産技術基盤を維持、さらには高度化するということが必要だと思いますし、それはさらにコストの削減などにもつながっていくだろう、そのように考えております。

岩屋委員 しからば、この三原則を緩和して国際共同開発に道を開いていくということになりました。

 今、FXの問題が重要な課題となってきております。我々は、ちょっとF35を選定したという過程について疑問を持っているところであって、これはこの後、石破委員の方から詳しく聞かせていただきます。納期が守られるかどうかわからない、大体、機体そのものが未完成だ、値段が幾らになるかわからない、米軍が運用するまでは修理もできない、こういう買い物を決めたということが正しい判断かどうかということについては、後に石破委員から詳しく聞かせていただきますけれども、官房長官、やがてFXXという話も出てくるわけですね。こういった主力戦闘機等の調達に際してもというか、こういう主要装備に際しても国際共同開発に道が開かれた、こういうふうに考えてよろしいですか。

藤村国務大臣 まず、今のF35Aの件については、既に契約の中で、この武器三原則の緩和の前の話でありますので、これは、今後我が国が参加できるものがあるならば、それはそれで参加をしたいという旨は表明していきながら交渉はする、こういうことでございます。

 それから、その先の話を今おっしゃったので、これは今後のこととして個別に判断していくということになろうと思います。

岩屋委員 将来のことは個別に判断するということですが、官房長官、私は、そういったところにも道が開かれていかなければ、この三原則を緩和した意味は出てこないのではないか、こう思っているんですね。重要な装備について、やはり国際共同開発を研究も含めてやっていくんだということでなければ、三原則を緩めた意味がない、私はこう思っているので、そのことはしっかり念頭に置いて、今後検討していただきたいと思います。

 さっき官房長官から説明がありましたが、官房長官談話では、「我が国の安全保障に資する防衛装備品等の国際共同開発・生産に関する案件は、従来個別に行ってきた例外化措置における考え方を踏まえ、包括的に例外化措置を講じること」とする、こういう談話でしたね。ということは、今後は、従来個別に行ってきた例外化措置のようなことはしない、こういうことでよろしいですか。

藤村国務大臣 談話を読んでいただいたこのとおりではございますが、少なくとも、今、特に防衛装備品の国際共同開発・生産ということにちょっと限定して言いますと、まず一つは、我が国政府による事前同意が必要であるということは確かにあります。その際に、当該移転が我が国の安全保障に資する、これも大事なポイントです。それからさらに、その国際共同開発・生産における我が国の貢献が相対的に小さい場合であって、かつ、当該第三国がさらなる移転を防ぐための十分な制度を有しているという場合に限定しておりますので、実は、それ以外だと付与、つまり国際共同開発に参加しない、付与しない、こういうことになると思います。

 ただし、これはこの中で言えることであって、今後のこととしては個別にやはり判断せざるを得ない、していくことになる、このように思います。

岩屋委員 そうしたら、私は、一点、どうしてもこれは聞きたかったんですけれども、既に日米で共同開発している弾道ミサイル迎撃用のミサイルですね、能力を向上したミサイル、SM3ブロック2Aというものなんですが、これについては、従来の日米間で交わした交換公文、覚書によって、第三国に対する移転にも道が開かれているというふうになっているわけですよね。

 でも、官房長官、やはりミサイル迎撃用のミサイル、しかもこれは世界最高水準ですよ、極めて戦略性の高い兵器なんですね。これは、オバマ政権は二〇一八年までにヨーロッパに配備しようという計画だと聞いておりますけれども、そうすると、周辺の安全保障環境とか、その周辺の国々の軍事戦略とか、極めて大きな影響を及ぼしかねない兵器であるので、私は、本来は、三原則の見直しが先に来て、その新しい指針に基づいてこういった問題については検討されなければいけないと思っているんです。

 ところが、前の北澤大臣、ゲーツ国防長官との会談の中で、半ば第三国への移転が国際公約のようなことになってしまっている。これは、私、ちょっと手順としてはおかしいのではないか、こう思っているんですよ。

 官房長官が示された新しい談話、そこに示された指針のもとに、では今後、どういう検討の過程を経て第三国への移転、どういう手続を経て第三国への移転というものが決められていくことになるんでしょうか。

藤村国務大臣 もう一回繰り返すことになるかもしれません。

 今回の指針で申し上げたのは、その移転が、一に、まず我が国の安全保障に資するという判断が必要であります。それから、二に、その国際共同開発・生産における我が国の貢献が相対的に小さいということがあります。かつということでありますが、当該第三国がさらなる移転を防ぐための十分な制度を有している場合、この三つの基本のポイントを踏まえながら判断していくことになろうと思います。

岩屋委員 官房長官、私が申し上げたいことは、個別に行ってきた例外化措置をやめて、今度、包括的に三原則を緩和したということになったわけですから、しかも、これから国際共同開発にも道を開いていこうということですから、そこでの成果物が第三国に移転される場合は、私は移転に否定的なわけではないですよ、消極的なわけではないが、やはりかなり厳格な手続を踏まないと、国民に対しても、あるいは周辺国に対しても説明がつかないんだろう、こう思うのです。

 もともと三原則というのは外為法の運用指針でしょう。それを、官房長官談話という形で、一回一回例外化措置を設けてきたわけだけれども、それを包括的に緩めたということであるならば、私は、かなりハイレベルの検討の仕組み、そういうものを設けるべきだというように思うんですけれども、いかがですか。

藤村国務大臣 今おっしゃったように、厳密に判断する、その最終判断は、これは法律、外為法の関係では、経済産業大臣が最終的にそれは判定するということでございますが、今おっしゃった御提案というのは十分に受けとめて、慎重に今後も検討していきたいと思います。

岩屋委員 それでは、大綱、中期防についてお伺いをしたいと思います。

 どうぞ、官房長官。

 大綱、中期防がまだ国会で正式に議論されていないというのは極めて異常なことですね。これは一昨年つくったわけでしょう。去年は確かに大震災という不測の事態があった。けれども、一年以上たっても国会で正式に議論ができていない。もちろん国会の責任ではあるけれども、これは、全ての予算の大もとがこの大綱、中期防なんですから、これに基づいて防衛省関連の予算がつくられて法案がつくられるわけですから、これを国会で正式に議論していないというのは極めて問題だと私は思うんですよ。

 国会も努力しなければならないが、防衛省も努力が足らないんじゃないですか。しっかり努力してもらいたいと思うんですが、どうですか、防衛大臣。

田中国務大臣 大綱、中期防の審議の点につきまして岩屋議員にお答えをいたします。

 私も防衛大臣に就任をいたしまして、衆議院の安保委員会の委員長を初め理事の皆さん方にも御挨拶をいたしまして、これが本会議で審議をされておらないという問題については、御指摘もありましたし、私も重要な問題であると認識をいたしておるところであります。早く、国会の皆さん方にも働きかけまして、まずは衆議院の本会議で新たな大綱そして中期防について審議をお願いしたい、そういうことで今動いておるところでありますが、御理解をいただきたいと思っております。

岩屋委員 これをつくったのは前の総理のときですね、前の前の防衛大臣のときですね。そういう意味では、はるかにピントがずれちゃっているんですね。しかし、これは何も国会の承認事項ではないが、国の防衛の基本方針、装備の計画というものを国会できちんと審議するというところから、初めてこの防衛に関する、安全保障に関する議論が始まるわけで、これは一日も早く実現しましょう。

 この間、沖縄の再編計画の見直しが発表されました。これは単発で起こってきたことではないと思うんですね。まず四年ごとの国防計画の見直し、QDRというものがあって、この間発表された国防戦略の新指針というものがあって、そして今回の再編計画の見直しにつながってきている。

 この一連の流れを防衛省としてどう評価しているのか、どうこれを受けとめて、どう対応しようとしているのか、その点について防衛大臣のお考えを聞かせてください。

田中国務大臣 米国のQDRの点につきましての御質問と思います。

 二〇一〇年に発表されました米国のQDRにおきましては、アフガニスタン等における作戦を最優先しながら、海、そしてまた空、宇宙、サイバー空間といった国際公共財に対する侵害に対する対処ということで、米軍の戦力のバランスを修正するということでうたわれたところでございます。

 我が国としては、今日、在日米軍の長期プレゼンスを保証し、グアムを地域における安全保障に係る活動のハブにする二国間の再編ロードマップ合意の実施に向けて日本とともども引き続き取り組んできたわけでありますが、防衛省といたしましては、我が国を含むアジア太平洋地域の平和と安定のために、在日米軍を含む米国のプレゼンスは非常に重要と認識をいたしております。したがいまして、今、米国の新国防戦略が発表されました。そしてまた、日米協議がスタートいたしておりますが、いわゆるアジア太平洋の重視という米国の新たな戦略の中で、我が国の抑止力を維持しつつ、そしてまた基地の提供をいたしております沖縄の負担を一日も早く軽減をしていく、こういう方針で防衛省としても取り組んでおるところでございます。

岩屋委員 沖縄の負担軽減はもちろんのことでありますが、今大臣が言われた、抑止力を維持するというのは極めて重要なところだと私は思います。

 つまり、米軍は戦略上のかなり大きな転換を図ったと私は思うんですね。フォーメーションを懐深くして分散するというのは、やはり中国というものをかなり意識しているからでしょう。接近拒否戦略のための中国の能力というのは、年々向上してきておりますね。

 ある意味では、米軍自身のリスクを分散しておく、懐深いフォーメーションに変えておくということなんだけれども、そうなると、沖縄並びに南西諸島自体の抑止力、我が国の抑止力ということからいうと、むしろ、下手をすれば弱まるおそれすらある。こういうふうに防衛省としては受けとめて、しからば、そこをどうやって補強していくか、日本の自主的な努力によってどうやって穴を埋めていくか、こういう考え方に立たなければいけないんじゃないでしょうか。いかがですか。

田中国務大臣 先生御指摘のところだと思います。アメリカは、新国防戦略でアジア太平洋重視ということでスタートをいたしておりますし、グアムをそのハブとして、拠点として、先生がお話しのように、分散をして、そして地域あるいはアジアの面の抑止力を高めていくという中にあるところでございます。

 我が国は、先生御存じのように、南西諸島のこれからの防衛力を強化しておくということで今スタートをしてきておるところでありますが、やはり、我が国の防衛力を高めていくためには自衛隊の強化もしていかなければいけないということでございますので、今、日米協議を行っておるところでありますが、それと並行して、我が国の抑止力をどう高めていくかということも防衛省に与えられた大きな役割であるというふうに認識をいたしておりますので、協議を並行しながら、その点についても防衛省として知恵を出していきたい。皆さん方にも御提案をいただきたいと思っておる次第でございます。

岩屋委員 大臣、そういう御認識をお持ちであるならば、大綱、中期防が策定された後、こういう同盟国の重大な戦略転換があった、これから大きなフォーメーションの変化も出てくる、こういうことですから、しからば、大綱、中期防というのは早目に見直す必要があるんじゃないですか。いかがですか。

田中国務大臣 お答えいたします。

 一昨年の十二月に大綱、中期防を策定いたしました。その中にありまして、世界の安全保障環境も変化をしてきておる、そしてまたアメリカの新国防戦略も出てきておりますので、真剣にこの問題については研究をし、そしてまた今後の方針を立てていくということでありますが、当面、先ほど申し上げましたように、この決定を国会において御審議いただきながら私どももその対応をしていきたいと思いますが、すぐに見直しをするという段取りに入っているわけではございません。この審議の中からさらなる状況を見つつ我々も対処していくということで、御理解をいただきたいと思います。

岩屋委員 もう今、あなた方がつくられた大綱、中期防の不備というのは、この時点でかなり明らかなんじゃないですか。

 この間、輸送力の欠如というか、不十分であることについても質疑が行われたと思います。この間、北海道から民間フェリーで戦車を私ども大分県の日出生台に持ってきて訓練をするということがありましたね。しかし、戦車を移動させるなんというのは、有事のときの対応としては、そこに民間フェリーを使うなんというのはおよそ非現実的な話であって、動的防衛力というからには、大臣、今ある基盤的防衛力をどんどん動かすことができるという展開力、輸送力がなきゃいかぬわけでしょう。これすら足りていないということがはっきりしているわけですね。

 だから、国会の審議を通じてなんと言う前に、やはりこの大綱、中期防は早目に見直す、こういう決意をされるべきなんじゃないですか。いかがですか。

田中国務大臣 今提示をいたしております大綱、中期防におきましても、動的防衛力を中心に具体的に、先生ももう御存じだと思いますが、南西地域の島嶼部における強化ということもございます。

 また、御存じのように、戦闘機あるいは輸送機の予算化ということも努力をしてきておりますが、確かに先生がお話しのように、自衛隊の中でもまだまだ動的、運用でございますけれども、運用面でやはり不備があるというような面も見受けられるわけでありますから、そういう面もしっかりと分析をし、また研究をして、我が国の自衛隊からの抑止力というものをどう強化できるかということを真剣に考えていくということで、お答えを申し上げたいと思います。

岩屋委員 ちょっとらちが明かないので、大綱、中期防の議論をしっかりさせていただくときに、またやらせてもらいたいと思います。

 外務大臣、来てもらっているので、最後にちょっと済みません。

 南スーダンPKOの話ですけれども、これはなかなか、現地の情勢がかなり厄介みたいですね。バシル大統領は、南スーダンとの戦争も辞さないなんということを公言しているぐらいで、国境沿いではかなり紛争も続いているし、死者も出ているということですが、現地の治安情勢は大丈夫ですか。いかがですか。

玄葉国務大臣 岩屋委員から、現地の情勢はどうなのか、こういう話でありますけれども、犯罪はふえているというふうに報告を受けています。ただ、ジュバそのものについては平穏だと。

 ただ、今おっしゃったとおり、国境に行きますと、やはりスーダンといわゆる武装勢力との間で衝突が散発的に発生をしている。あわせて、ジュバから離れた一部地域では、今度は部族間の衝突が散発的に起きているというのが現状であります。

 ただ、今、自衛隊の施設部隊等々が派遣をされている、汗を流していただいているその地自体は、基本的には現時点において平穏、安定しているというふうに判断をしております。

岩屋委員 どうも今の外務大臣の説明では何か安心できない中身ですね。

 また、今回、バングラデシュに自衛隊の駐屯している周辺の安全確保をしてもらうということでしたけれども、やはり、早くPKO法を改正するなり一般法を制定するなりして、自衛隊の権能を拡充して、あるいは新たな安全確保のための武器使用基準を付与するなどの措置をとらないと、非常に危険なところに今出してしまっている。治安については人任せ、天任せみたいなところがあると思うんですね。

 政府でも作業を進めていると聞いていますが、どういう内容で、どのぐらい進んでいますか。

玄葉国務大臣 これは、いわゆる在り方懇で整理された課題がございますので、例えば平和構築などのような新たな今のニーズにどう対応できるのかとか、今おっしゃったとおり、武器使用権限の法制面での検討も含めて、あるいは、もっと言えばオール・ジャパンでどう取り組みができるか、そういったことも含めて、今関係府省庁間でその要否も含めて検討している、そういう状況でございます。

岩屋委員 これは、大臣、やはり急ぎましょうよ。そして、我々ももう一般法を国会に提出しているわけですから、全然ほったらかしになっていますけれども、早くそういうものを議論して、自衛隊の国際貢献のための権能を充実したものにしないと、このまま危ないところにどんどん出していくということは、私は、好ましくない、やるべきではないというふうに思うんですね。これは、ぜひそういう努力をお互いにさせていただきたいと思っています。

 最後の最後に、ホルムズ海峡、なかなかイラン情勢も深刻ですが、これは、政府は今、頭の体操をしているということでしたが、何かP3Cで哨戒することができるのではないかということが検討されているということですが、最新の検討状況はどうなっていますか、万が一の場合に。

玄葉国務大臣 恐らく、これは石破先生から質問があった、いわゆる哨戒監視と防衛省の設置法四条十八だったと思いますけれども、P3Cはたしか、その条項を読むと、いわゆる調査研究のため、こういうふうに書いてございますから、その関係との整理とか、さまざま整理すべき事項は幾つかやはりあるんだろうというふうに思います。

 ですから、そういう意味からして、その整理を今しているということだと私は理解をしていますし、少なくとも私のところではそういう整理を今しているということでございますし、恐らく防衛省もそういう整理をしていて、本当にできるのかできないのか、そんな簡単なものではないということも含めて整理をしているということではないかと思います。

岩屋委員 万が一の場合は、我が国経済、国民生活に極めて甚大な影響を及ぼす地域の話ですから、政府としてしっかり検討を進めておいていただきたいと思います。

 終わります。

中井委員長 これにて岩屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、石破茂君。

石破委員 農水大臣にお尋ねをいたします。

 私はずっと思っているのですが、私も農水政務次官、総括政務次官、大臣とやってきました、自給率という概念は一体何なんだろうかということをずっと考えています。自給率そのものが自己目的化して、政策目標となっていいのかということでございます。

 私は、森内閣で総括政務次官をしておったときにセネガルへ参りました。セネガルの農業大臣と議論をしておって、自給率が低い同士、お互いWTOで協力しようという話をしました。そのときにセネガルの大臣から、日本と一緒にやることはできないとはっきり言われました。

 それは、自給率が低い理由が全く異なるのだと。セネガルは、国家財政が厳しくお金がないのである、土壌改良もできなければ、ダムもできなければ、新しい品種改良もできないのである。よって、海外から輸入をせざるを得ないのである。日本はそうなのか。土壌改良ができず、ダムがつくれず、品種改良ができないのか。そうではあるまい。金がないから自給率が低いということではなかろう。それは消費者の選択であり、政策の選択としてそうなっているのではないのか。自給率が低い理由が全く異なるにもかかわらず、そういう議論を一緒にやることはできない。私は、かなりショックを受けたことをよく覚えております。

 大臣もいろいろな国際交渉にお出になりましたから、世の中で言うフードセキュリティーとは何なのだということは、飽食の生活を保障するのがフードセキュリティーではないはずだ。飢餓、貧困にあえぐ人がどうやって食料にアクセスすることができるのか、その機会をいかにふやすのかということがフードセキュリティーという概念なのであって、そこを履き違えたまま国際社会で議論すると非常におかしなことになるという認識は、何度か国際交渉に出て、私は痛感をいたしております。

 自給率というのは、幾らでも上がり、幾らでも下がりますね。仮にの話ですが、荒唐無稽な話ですが、食料の輸入が全部途絶えたとする。餓死者がいっぱい出たとする。そういう場合に自給率は、それでも一〇〇%なんです。そうですよね。自給率そのものを政策目標とするということからは少しスタンスを変えなきゃいかぬのじゃないか。

 私は、大臣在任中に、なるたけ自給力という言葉を使ってきました。それは、農地であり、農業者の年齢構成であり、水路とかダムとかため池とか農道とか、そういう農業インフラストラクチャーであって、そういうものは数字になってきちんと出るものだ。むしろ、日本の農業を強くしていくという観点からすれば、いかにして農地を守り、いかにして農業インフラを整備し維持し、そしていかにして農業の後継者をつくっていくか。私は、数に拘泥しているわけではありませんので、その三つを政策目標として農政は展開されるべきではないかと思っておりますが、いかがですか。

鹿野国務大臣 今、石破先生から触れられた点につきまして、私は、食料自給率というふうな目標を掲げるということは、やはり国にとりまして、国民に食料の安定供給をしていくというふうなことは非常に重要なテーマだと思っているんですね。そうしますと、その自給率というものを一つの目標に掲げて、それが食料の増産につながっていくというふうなことでありますならば、私は、それなりに自給率というものが意味があると思うんです。

 そして、今先生が触れられた自給力ということについては、私もかつて自民党におったときに、先生と一緒にいろいろ議論しました。いわゆる不測の事態に備えて、きちっと食料生産体制の基盤の力をつけておく必要があると思うんです。そういうふうな意味においては、自給率というよりも、自給力というものの一つの設定も大事ではないかというふうな議論をしたことも思い起こすわけであります。そういうのも、一つ、私は御指摘のとおりの面もあると思います。

 ただ、自給率というふうなものをわかりやすく、五〇%にしたいんですよということを目標を掲げて、そしてそれに対して、生産者の人なりあるいは消費者の人に理解をしていただく中で、ともに一体的に、食料の増産に向けて、不測の事態に備えて生産体制をつくり上げていくというふうなことも意味のあることではないか、こういうふうに考えておるところでございます。

石破委員 私は、自給率という言葉がひとり歩きするのが怖いんですよ。そのことだけを政策目標として、自給率は達成されたが自給力は落ちていたということになったらば、それは本末転倒になるのだと思っていますね。

 いろいろな国で自給率が一〇〇を超えているというのがございますでしょう、一二〇とか二〇〇とか。何であんなことが起こるのだといえば、それは輸出しているからですよね。輸入をいっぱいしても、それを上回る輸出をすれば自給率は一〇〇を超える、これは算数として当然のことでございます。

 では、戸別所得補償と自給率、仮に自給率という言葉を使いましょう、これを上げるというのは、どういう整合があるんだろうかと思っています。そして、生産調整とはどういう関係に立つのか。

 私、農水大臣のときに生産調整を見直すと言って、大批判を浴びました。しかしながら、真面目に努力をして生産調整をして価格形成に努力をした人たちがいて、片っ方でそんなことは関係ないといってばんばんつくる人がいて、正直者がばかを見る制度は、それは永続性がないのだということを言ってきました。真面目にやった人がばかを見るような制度があっていいと私は今でも思っておりません。生産調整は見直すべきだということを言ってきました。

 仮に自給率という言葉を使うとしましょう。それを自給力の、いかにして農地を守るかということに置きかえてもいいのですが、生産調整をする、それを達成した者は補償するということは、農地を使わないということを所与のものとしているのであって、農地が使われないということは、結局のところは自給力を落とすことにほかならないのだと思っています。

 大臣の御地元の山形県、つや姫、上海で今、一俵七万五千円で売れているんですよね、一俵七万五千円。上海で話を聞くと、幾ら高くてもいい、量は幾らでもいい、買いたいというお話があるわけで、我々最初に議員になったころは、日本の米は粘り気が多くて水分が多くて、そんなもの食べないよと教わったものですが、今やそうではなくて、日本の米を食べてみたいという人は世界じゅうにいっぱいいるわけですよね。

 海外の米が恐ろしいという人もいますが、農業というのは気温と土と水と光の産業ですから、日本ほど恵まれている国はないのだ。かてて加えて、日本は世界で一番厳しい目を持った消費者を持っていますから、品質は非常に高いわけですよね。

 海外に売るということは、その分、農地を使うということになるのである。今のように単収をずっと抑えていくというやり方は、私はやはりよくないと思うんですよ。日本の単収というのは海外より低くなっちゃっていますからね。海外に輸出をし、農地をフルに活用するという考え方も農政として中心に据えるべきではないか。

 生産調整と自給力、そして所得補償、その三つについて、大臣、整理して御説明ください。

鹿野国務大臣 所得補償政策を推進することによって、まず基本的には農業者の方々が安心して安定的な食料供給にいそしむことができる、そういう意味で意味のあることだと思っております。

 それから、生産調整につきましては、私は、今先生触れられたとおり、ただ単に生産調整をすればいいということではなしに、生産調整をした場合にほかの作物をつくってもらうというようなことが非常に大事なことだと思うんです。生産調整したわ、もうほったらかして耕作放棄地になるような、そういう状況だけは避けなきゃならない。

 特に、我が国においては、農地の面積というものが限られているわけでありますから、そういう意味では、最大限農地を生かしていくというふうな意味で、生産調整した場合はほかの作物をつくってもらうような、そういう誘導策というものが不可欠だな、こういうふうに私は思っておるわけであります。そのことによって自給力なり自給率というふうなものを低下させないということに持っていく、こういうことが大事なことだと思っております。

石破委員 このことは、もう一度突き詰めて議論をしたいと私は思っております。自分の中でも整理ができているわけではありませんが、私も二十数年農政をやってきて、日本の農業はよくなったかといえば、胸を張ってよくなったと言う、そんな自信は全くありません。そのことの自責の念を持ちながらやっていかなきゃいかぬので、政治家のための農政でもなければ、政党のための農政でもない。要は、数字が全てだ、結果が全てだと思っております。

 大臣、どうぞ御退席いただいて結構です。

 安全保障について承ります。

 私は、抽象論、精神論のお答えは要りません。もし抽象論、精神論のお答えでしたらば、わかっている方がお答えをいただければ結構ですので、そのことを最初に申し上げておきます。

 通告していますが、田中大臣、防衛省改革について一川大臣からどんな引き継ぎを受けましたか。

田中国務大臣 御質問でございますが、直接の引き継ぎは受けておりません。しかし、防衛省改革というのは、私自身も防衛省の皆さん方とお話をして、そして非常に大事な問題であるというふうに今認識をいたしております。

 当然、内局と統幕と、そしてまた現場の制服組の皆さん方がいらっしゃるわけでありますが、その中にありまして、やはり機能的に、機動的に防衛省が対応していけるような、そしてまた我々政務三役との連携もございます。そういう中にありまして、今までの状況を私も把握はいたしておるところでありますが、防衛省の改革の経緯といたしましては、当然、防衛省改革の実現に向けた実施計画というものが公表をされてきておるところでございまして、その中で防衛会議の法定化あるいは防衛大臣の補佐官の新設というものが進んできておりますけれども、御存じのとおり、統幕の機能強化、そして防衛力の整備部門の一元化というものも検討されたというふうに聞いております。

 私は、この中で、最近いわゆる統幕の皆さん方ともお話を申し上げておりますが、何とか、陸海空の動的防衛力というものをいかに発揮していくかということに対して、統幕がどのような役割が担えるかということを今省内では指示をして、検討を指示しておるところでございます。

石破委員 以下、副大臣に承りましょう、副大臣はずっといらっしゃいますのでね。

 防衛省改革というのは、福田内閣のときに総理から指示があり、私、林大臣、浜田大臣、官僚がつくったものを全部書きかえて、まさしく政治主導でやってきたものです。民主党政権になってからそのことは進んでいない。進んでいると私は思っていない。

 あの主眼はどこにあったかというと、部分最適の総和は全体最適になるとは限らないということです。

 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊が、これが一番いいのだと思ってやったものの総和は全体最適にはならない。どういうオペレーションを想定して、大臣がよくおっしゃる運用というのはそういうことですから、どういうオペレーションを想定して、そのためにはどのようなものをどれだけ持つべきかということ、これを統合してやらなければだめなのだということが防衛省改革の主眼だったはずです。そのことは、副大臣、よく認識をしておられるはずです。それをやらなければ、まさしく今予算審議していますが、国民の血税を使って防衛力を整備する、でも、いざやってみたらば統合運用するために必要なものがそろっていなかったということであれば、何のための防衛力整備かということです。

 防衛省改革の精神、そして、これから民主党政権においてこれをどのように進めていかれるおつもりか、副大臣の所見を承ります。

渡辺副大臣 大臣が答弁されましたけれども、御指名でございますので、僣越ながら私なりの考えを述べさせていただければと思います。

 統合運用という中で、実態的にこれからどういうことが防衛大綱と中期防を今後進めていく中で必要なのかという中で、現場の声、特に統幕の皆さん方の声、そして反面でシビリアンコントロールというものを考えたときに、やはりこれは内局の方針のもとでその意見を酌み上げるということであります。

 そこで、今回の震災でもそうでございました、あるいは今回のアメリカの国防戦略もそうですけれども、やはり現場をわかっている方々が、どういう装備品が必要で、どういうものを統合することができるのか、今そのどこの部分がおくれているのか。例えば情報の相互運用においても、陸と海と空とあったときに、海と空はできるけれども陸がおくれているのではないか、そういう現場の声を聞いて、そしてそのためには予算づけの中で何が必要かということを、例えば予算編成の中で必要とする、こういうこと。それから、アメリカとの統合運用の中において、どこの部分において日本がすぐれているのか、あるいは同等なのか、あるいはおくれているのか、その点についても、私たちはやはり現場の声を聞きたいというふうに思っております。

 ですから、現状、いろいろな形でできるだけ現場の方々の意見を聞いておりますけれども、防衛省改革の大きな中で、シビルの方とユニホームの方と同列の中で私どもは意見を今聞くようにしております。どちらが突出してもいけないんだと思っておりますけれども、そのことが、先ほど岩屋委員も指摘をされましたいろいろなものの、大綱やあるいは中期防に沿って今後いろいろな形で政策を進めていく中で、どういう形が一番いいのかということについては考えてまいりたいなと思います。

 そして、防衛省改革については、調達本部の問題がございました。そしてさまざまな、防衛省にも捜査が入ったというような、非常に恥じるべきこともございました。そんな中で、どのようにして政策決定なり調達の部分をさらにさらに透明化していくかということについては、今後まだまだ進めていくことがあろうと思います。

石破委員 わかりました。

 私ども自民党としては、この防衛省改革、必ずやり抜くということを国民の皆様方にお約束をいたします。これをやらなければどうにもならない。陸海空の部分最適の総和は決して全体最適たり得ない。オペレーションをどうするかということがわからないで、何をどう装備するかの議論はあっていいはずがない。私どもは必ずこれをやり抜きます。

 偵察機について承ります。

 この間も議論しましたが、大震災、大津波でRF4を飛ばしましたよね。阪神・淡路大震災のときも、この偵察機の性能というのは随分問題になった。これは我々も反省をしなきゃいかぬことだが、これの改修をしてこなかったということですね。これではいかぬ。

 今回、FXの議論がされますが、同じ原型機を使っているRF4E、これも同じ問題を抱えているわけですよね。ではどうするんだということで、偵察ポッドを新しく発注する。東芝に発注しましたね。ところが、これが、期間が長い、性能が発揮されないということでキャンセルになった。

 では、これは一体どうなるんですか。偵察性能というのはこの後どのようにやっていくのか。FXの議論ばかりしていますけれども、この偵察性能がいかに大事かということは今回の震災、大津波でわかったことであって、ではこれをどうするかということが二十四年度予算にどう反映されましたか。

渡辺副大臣 御指摘の、F4の改良をした、偵察ポッドをつけた、まさにこのRF4の話でございました。

 これは御案内のとおり、東日本大震災でも活動しましたけれども、集めたデータを、一回おりて、結果的に、データリンクを空からできるのではなくて、一回基地に戻ってそれをまた運ぶというような非常に旧型のものでございまして、過去には有珠山ですとか雲仙・普賢岳の噴火等、災害には活動しましたけれども、では、それが軍事のときには、有事のときにはどうなのかという話をすると、非常にこれは旧型のものでございます。

 この現状を踏まえながら、我々として、偵察機の必要性については認めつつも、東芝との契約が破棄になったという技術的なものがございましたけれども、この点について、我々はやはり自前の偵察機を持つということが必要であろうと。

 ただ、この点について、技術的なものや予算的な面においていろいろ制約がございますが、二十四年度予算の中では、この点についてはまだ、予算措置をしてこの点をどうこうするということまでは至っておりません。まだ検討中というのが正直なところでございます。

石破委員 というような話で、大震災、大津波の反省はどうなったということですよ。

 F35が偵察能力を持っている、こういうふうに言われますよね。この導入は一体いつになるんですか。それまでの間どうするんですか。グローバルホークの議論も随分されているけれども、これが本当に今回のような場合に役に立つかといえばまた別の議論でして、そのことについてきちんと検討しなければ、そこに大きな穴があくということですよ。予算審議というのはそういう話だからね。

 今副大臣から、そのことについては検討していないという正直なお話があった。そのことについて検討しなくてどうするんですかということを私は申し上げておきたい。そのことについては、海外から偵察機を入れるなりなんなり、そういう能力を補っておくということをやらなければ、偵察軽視というのは日本のずっと悪い伝統であって、このことに目をそらしてはならないと私は思っております。

 それでは、何でF35になったのかということです。その説明を国民がみんな得心しているとは私は思わない。最初はF22だったわけですよね。F22がだめで、これは要撃戦闘機ですよね。F35はマルチロールファイターではあるけれども、どちらかというとステルス性を重視した対地攻撃機なのであって、そして、F22はエンジンが二つついている、F35は一つだ、空戦性能においてはF22の方がすぐれているだろうということを考えたときに、何でF35になったのかということについて、私は、防衛省も政府も十分な説明ができているとは思わないですよ。

 もう一つ、さっき岩屋さんも聞いたけれども、F35になったときに、どれだけライセンス生産ができますか。国内産業の基盤はどうやって維持されますか。共同開発をしているイタリアでも、最終組み立てと、ごく一部の部品しかつくれないんですよ。F35を入れることによって、国内産業基盤はどうなりますか。

 F15Jで、関係している会社は千五百ありますよね。財務大臣はよく御存じでしょう。千五百社ですよ。そのうち中小零細企業が八割ですよ。大きなメーカーは、防衛省の発注から外れたとしても、やらなかったとしても、まだ残っていくことができる。ちっちゃな会社は、それだけでやっている会社がいっぱいあるのを副大臣は御存じだと思いますよ。F35を入れることによって国内生産基盤はどうなるのかということを我々はよく考えなければいけない。

 なぜF35か、そして国内製造基盤はどうなるのかということについて考えを述べてください。

渡辺副大臣 御指名でございますので、私なりの考えを申し上げるとすれば、御案内のとおり、今回のF35の選定につきましては、今、国内の装備品メーカー、国内の企業参画はどうかということも考慮に一つ入れました。当初は、F35を選択した場合に、日本の企業はどの部分、どのぐらいを関係できるのかと。今イタリアの例を出されましたが、イタリアでたしか三割、日本の場合は四割というふうな話が言われておりました。

 ただ、それも、FMS契約条項によってどうなるかということについては、防衛省の方から何度も確認をしておりますけれども、今後の協議の中で、やはり国内の生産基盤をとにかく維持するということのために、我々は、その点についても全力を挙げて交渉していきたいと考えております。

 特に、航空機産業の場合は、波及効果は自動車産業の三倍とも言われておりますので、その点については、委員の懸念されていることは我々も共有しているところでございます。

石破委員 これは本当に私も、防衛省の仕事をしていたときに、いろいろなメーカーの方の話を聞きましたよ。みんな死活問題なんですよね。そして、一回失われた技術はもう戻ってこないんですよ。これをどうやって維持していくかということは、省内にプロジェクトチームでもつくって、現状を把握しながらやっていかないと。役所は潰れませんからね。中小企業は潰れるので、一回なくなった技術は戻らないのでね。

 今副大臣から言及があったけれども、これは大臣に聞きます。

 価格が高騰した場合に、これはどうなりますか。一機幾らになりますか。価格が、もしライセンスもすれば二倍になるわけですよね。違約金を取ると言っていますけれども、違約金を取ったらどうなるんですか。違約金を取ったって、飛行機は入ってこなくなるわけですよ。その間にどうやってその穴を埋めるんですか。違約金だけ取ればいいというものじゃないでしょう。その後どうするんですか。大臣、答えてください。

田中国務大臣 この二十四年度でF35Aを四機発注いたしておりまして、その提案内容につきましては、アメリカ側に厳守をするということで今話を進めておるところでございます。

 そんな中にありまして、価格、納期の問題につきましては、既に二十四年度の我が国の予算が計上されておるわけでありますので、御存じのように一機九十九億でありますが、そのものにつきまして、四機の予算の対応があるわけでありますので、アメリカ側のいろいろな発言がございますけれども、防衛省といたしましては、これをまず厳守していただくということが最優先であるということでありますし、違約金等の話あるいはその他の件につきましては、まだその話を進めておるところではございません。

石破委員 だから、精神論は結構ですと言ったじゃないですか。そうじゃなかったらどうするんですかということを考えているのですかということを聞いているんですよ。

 大体、これは、計画どおりに全部配備されるのはいつですか。それまでどうするんですか。何機調達して、いつできるんですか。答えてください。

田中国務大臣 全体で四十二機でございますが、今年度は四機でございます。

 そして、四十二機は引き続き、たしか十年後までに全機を発注するということになっておると思います。

石破委員 二〇二六年じゃないんですか。十年後ですか、二〇二二年でいいんですか。

田中国務大臣 中期防衛期間中、平成二十三年から平成二十七年におきまして十二機取得することにしておりますので、平成二十四年度には四機ということになるわけでございます。

 全体で四十二機の取得をするということになりますので、二十七年以降に引き続きこの発注をする、取得をするということになるわけでございます。

石破委員 四十二機が導入されるのはいつだと考えているかと聞いているんですよ。その間にどうやってF4EJを飛ばし続けるのか。その間に防衛力にどのような穴があくのか、あかないのか。そして、違約金を取るというだけで、精神論をお述べになりましたが、もし、それで金だけ取って飛行機が入ってこないということになったらどうするんですか。

田中国務大臣 まず、今の計画を厳守するということが大前提でございます。しかし、この最初の四機が、その納期あるいは価格の問題が生じた場合には、この内容、提案内容については両国で契約をしているわけでありますから、それが実行できないということになりましたら、当然それはもとに戻すということになってくるわけであります。

 しかし、その代替の機種があるかどうか。これは今回、三機種、選定のことになったわけでありますが、その中で、かわるべき、このF35Aというのは、性能的にも、あるいは今のこの環境の中で我が国には大変必要な機種だということで判断をいたしたところでありますので、それに見合うものがあるかどうかというのは、これからの判断になると思っております。

中井委員長 防衛大臣、石破議員が二回にわたって、四十二機そろうのはいつの予定ですかと。さっき言われた年数は違うんじゃないですか、こう言っていらっしゃるが、それに対してきちっと答えてください。

田中国務大臣 四機が今回でありますし、十二機が平成二十七年、それ以降が引き続き……

中井委員長 いやいや、四十二機になるのはいつですかと。(石破委員「委員長、わからないんですから、いいです、結構です」と呼ぶ)ああ、そう。

石破委員 本当にこれで日本の防衛は大丈夫なんですか。本当にやれるんですか。おもちゃを買うんじゃないんだよ。命をかけて戦うパイロットを乗せて飛ぶんですよ。どう考えているんですか。

 もし入らなかったら違約金を取ればそれでいいというものじゃないと言ったでしょう。そのときに、ほかの手段をどのように考えるのかというのを考えるのが防衛政策というものでしょうが。それが防衛の責任者というものでしょう。違約金さえ取ればそれでいいみたいな答弁はやめてください。そうなったときに、どのような代替手段を考えていますか。

田中国務大臣 今回のF35Aの四機の問題につきましては、恐らく、この夏前に納入のことが決定をされる、正式な契約に至るのは夏前だと私は認識をいたしております。

 したがいまして、この時期に至りましてもこの提案内容が実現できないという事態になりましたら、これは我が国の防衛力の整備に当たっては大変状況が不安な状況になるわけでありますから、当然、この問題を解決するためには、この契約を取りやめるか、あるいは新たな機種の選定に入るか、そういうことも視野に入れなければいけないと思っておりますが、まずは、今の提案内容を厳守していただきまして、そして必ず実現をしていただくということが日米の内容でございますので、それを最大限努力していって、我が国の防衛力に資するということで今臨んでいることは御理解いただきたいと思います。

石破委員 これは、委員長、お願いですが、できるだけというか当たり前の話ですけれども、聞かれたことに正面から答えていただきたい。何のための審議時間かということでございます。F35について質問するということを申し上げているわけであって、精神論を聞きたいのではありません。具体的にどうするかというお話を私は聞いているのですよ。

 それでは、もう一つ伺いましょう。

 この震災、大津波で、先回申し上げましたが、自衛官たちはどういうシフトで勤務をしていたかということですよ。

 実際やっていたのは、三勤一休ということでしょう。三日間ぶっ通しで働いて一日休みということをやってきたわけでしょう。自衛官が三人亡くなりましたよね。若い方がお一人、四十代、五十代の方々が一人ずつだったかな。三勤一休、私なんかにはとてもできないです。本当に過酷な仕事だと思います。それだけで私たちは自衛官に心から敬意を払わねばならないと私は思っていますが、何でこんなことになるか。

 前回も申し上げたように、若い人が少ない。我が自衛隊の平均年齢というのは、大臣、御存じですか。いえ、いいです、三十五歳ですよ。イギリスが三十歳ですよ。五歳違うというのはどんなことなのか、四十代の自衛官たちがどれだけ現場で過酷な仕事をしているか。どうやって若い人たちをふやしていくかということを考えなければ、幾ら大臣が精神論を語ったってどうにもならないですよ。これは私ども、本当に反省しなきゃいけないことだと思っています。

 現場が一番苦しんでいるのは、若い人たちが足りないということです。どうやって若い人たちの再就職を考えていくかということについて、もう一度伺います。これは副大臣に聞いた方がいいかな。今回の予算で、どうやって若い人たちをふやすようなものが盛り込まれているか、今後どのように考えているかということが第一点。

 もう一点は、予備が足りないということは、私ずっと、防衛省にいたときから申し上げてきたことです。予備が足りない。特に幹部の予備なんて、ほとんどいないに等しいですよね。ほとんどいません。

 有事があったときにダメージは受けるでしょう。ない方がいいに決まっているが、殉職される方も出るでしょう。傷つく方も出るでしょう。大体、尉官クラス、昔の少尉、中尉、そこまでしか予備役はいないはずですよ。では、中隊長、大隊長、これが落命したときに誰が埋めるんですか。どうやってこれを埋めていくんですか。下の者を上げるといって、下の者が上がったから務まるような仕事ですか。そんなことがあるはずがない。どうやって予備役をふやすか、どうやって若い人たちをふやしていくか。

 これは私、孤軍奮闘と言うつもりはないけれども、防衛省にいたときに叫びまくったけれども、誰も関心を持ってくれなかった。結局、しわ寄せが行くのは現場の自衛官たちでしょう。その人たちに思いをいたすのが政治というものでしょう。

 どうやって若い人をふやすか。そして、予備役の数を持っているということは、常に有事なわけじゃないですから、それがいろいろな調整弁になっていくわけでしょう。予備役というものをどう考えるか、若い人をどうふやすか、そのことについて今年度予算に何が反映されたか、これからどうするか。副大臣、お願いします。

渡辺副大臣 この問題は同じ思いでございまして、私も身内に自衛官がおりましたので、よく存じております。そして、現場の方々ともお話をしていますが、今回の東日本大震災で、いろいろ検証の中で出てきたのは、第一線部隊のマンパワー、これに対してやはり非常に確保が大変だったということが一つには挙げられました。

 まさにこの日本の平均年齢の高さを下げるために、私たちは今、若い人たちの採用をとにかくふやしていくことと、そしてまた、真ん中が膨らんでしまった曹に対して、いかに新しい職についてもらって、後方の支援、後ろの方の支援を、後方の部隊として仕事をしていただけるかということの体制に着手をいたしました。

 そしてもう一つ、予備自衛官の話でございますけれども、先生がよく著書の中でも指摘をされているように、一つには予算の問題、そして職場の理解があると思います。

 私どもは、予備自衛官の実態、今回の震災で要請があったけれども行くことができなかった方々、それは何の理由だったのかということも含めて一回全部調査をして、その上で職場の理解を得られるような制度を考えていかなければいけませんし、そして、予備自衛官の幹部でこれまでの知見や経験を生かした方々が、実際大震災やあるいは有事があったときに対応できるようなどういう役割を担うか、後方支援だけではなくて、基地の警備業務だけではなくて、そういう経験をされた方がどういう現場へ行くことができるかということについても真剣に検討したいと思っております。

 先生のお考えは私どもの共通の認識だと思っています。

石破委員 私ども、政権にあるときに、今申し上げたようなことはできませんでした。政権交代によってできることを期待いたしました。それが政治主導だと思っていた。だけれども、残念ながらまだ十分にできているとは思えない。

 今、民主党が政権にある間は、我々も全面的にこの問題に協力しなきゃいかぬと思っている。しかし今度、我々は、今までできなかったことを必ずやるということを国民にお約束したいと思っております。

 以上で終わります。

中井委員長 これにて石破君の質疑は終了いたしました。

 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 私は、汚水処理につきまして質問させていただきます。

 汚水処理については、下水道の国土交通省、農業集落排水の農水省、そして浄化槽の環境省と、三つに分かれております。今後、これをより合理的に運用することによってお金を大きく節約できるのではないか、また、より快適な国民生活をより早く獲得できるのではないか、こういう観点から質問させていただきます。

 まず初めに、東日本大震災の被害の状況ですが、まず国土交通大臣に、下水道施設の被災状況について、簡潔にわかりやすく説明していただきたいと思います。

前田国務大臣 お答えいたします。

 この面の専門家であられる斉藤先生にお答えするわけですが、うまくできるかどうか。

 東日本大震災において百十一カ所の下水処理場が被災しましたが、そのうち九十七カ所は既に正常に稼働しております。

 現在、応急的な処理を行っているものが十二カ所あります。それから、地域が壊滅的な被害を受け、生活排水等の発生がないため稼働停止となっているものが二カ所でございます。

 今申し上げました応急処理を行っている十二カ所、そのうちの九カ所は、平成二十四年度中の完了を目指しており、残りの三カ所についても、段階的に処理水質の向上を図りながら早期の完了を目指しているところであります。

 稼働停止中の二カ所については、今後の復興まちづくりとあわせて、その復旧を検討中でございます。

斉藤(鉄)委員 例えば、仙台市の南蒲生浄化センターなどのところでは、下水処理については応急処理がなされているものの、その整備に大変時間がかかるというふうに聞いておりますが、復旧の見込みはどのようになっているでしょうか。

前田国務大臣 御指摘の南蒲生というのは、仙台市の一番大きな下水処理を行っているところでございまして、たしか七十万人ぐらいをカバーしているんでしょうか。

 宮城県の県南浄化センター、仙塩浄化センターについては、本年四月から一部本復旧し、そして県南浄化センターでは本年夏を、仙塩浄化センターでは本年中をめどに復旧を完了させる予定です。

 そして、御指摘の南蒲生浄化センターでは、平成二十七年度中に復旧を完了させる予定でございます。

斉藤(鉄)委員 大型のところについては、応急処理で行っていて、出ている水はその分品質が悪くなっている、このように認識しております。

 次に、農業集落排水ですが、被害状況はどのようになっているでしょうか。

鹿野国務大臣 この東日本大震災におきまして、十一県におきまして、四百二地区、約六百億円の被害、こういうふうなことでございます。二月の二十三日現在ということでございます。

 農業の集落排水施設は、規模が非常に小さいということで分散をしておりまして、主な被害は、液状化によるところの管路の損壊、こういうことでございまして、短期間で応急の復旧が可能であったところも多いわけであります。

 現段階におきましては、このようなところが約九割、三百七十地区の施設の復旧を完了または実施中でありまして、これからも復旧に努めてまいりたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 一割がまだというところだと思います。

 浄化槽の被害状況はどうなっておりますでしょうか。

細野国務大臣 いつも環境政策に温かい御支援をいただきまして、本当に引っ張っていただいておりまして、感謝申し上げます。ありがとうございます。

 合併浄化槽ですけれども、大きな被害を受けた岩手県、宮城県、福島県において環境省で調査をしております。

 特に、その三県の中でも津波による被害を受けた地域及び内陸部で震度六弱以上の地震を観測した地域の浄化槽千基について抽出をいたしました。つまり、最も深刻なところにおいて、浄化槽がどれぐらい耐えて、そして、どれぐらい機能が失われたのかということであります。

 そうして調べましたところ、最も厳しいこのエリアにおいて、七二%の浄化槽は、そのまま使用できる状況でございました。

 一方で、浄化槽の入れかえが必要と見られる、いわゆる全損した浄化槽というのは、全体の三・八%ということでございました。

 残りの約二八%が応急修理が必要であるということでありますけれども、この応急修理というのも、送風機の故障であるとか消毒剤の固定機器の破損など、応急対応が極めて迅速に可能なものでございまして、そのかなりの部分が既に復旧しているという状況でございます。

斉藤(鉄)委員 汚水処理の被害につきましては、できるだけ早い復旧ということを考えますと、早急に復旧ができるということが重要かと考えますけれども、浄化槽については被害の状況も少なかった。

 それから、今後これをどう復旧していくかということなんですが、下水道のところは前が下水道だったんだからそのまま下水道で、農業集落排水のところは前がそうだったからそのままでということではなくて、この復旧についても臨機応変に考えていくべきだ、このように思います。浄化槽についてはそういう意味では特に早急な復旧が可能かと思いますが、環境大臣、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

細野国務大臣 浄化槽はそれぞれ分散化をしておりますので、そういった意味で、災害に強く、そして復旧も極めて早い、そういう特徴がございます。したがいまして、それぞれの地域といろいろな話をする中で、浄化槽の整備をというお話があれば、できる限りの対応をしてまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 この後の全国の汚水処理の話とも関連いたしますけれども、この復旧ということにつきましても、どういう方法が最も合理的か、どうすることが最も早く被災者の方に快適な生活を取り戻すことになるのかという点で連携をしてもらいたい、このように思います。

 その連携については、また後ほど質問をさせてもらいます。

 今度は全国の汚水処理ということについてお伺いしたいと思いますが、この汚水処理は、生活環境を保全する、そして公衆衛生を保つということで、文化的な生活を送る上で、国民の生活レベルを向上させるという意味で最も基本ではないか、このように思っておりますし、また、自然環境保全ということでも非常に大事な分野だと思います。

 この汚水処理施設、まだ普及していないところもたくさんございますが、現在どういう状況なのか、全国レベルで現状を教えてください。

細野国務大臣 汚水処理の人口普及率でございますけれども、平成二十二年度末現在で八六・九%となっておりまして、普及していない地域というのが一三・一%、人口でいうと千六百万人ほどということでございます。

 この二十二年度末の数字というのは、東日本大震災により調査が実施困難であった岩手県、宮城県、福島県を対象外としたものでございますので、この状況を踏まえると、若干数字が変わってくる可能性はございます。

 その中でも特に普及率が低いのが、人口規模が小さい市町村でございまして、人口五万人未満の市町村に限定をしてみますと普及率が七二・二%にとどまっておりますので、そういった意味では、まだ三割弱の方々が汚水処理施設のないところで生活をされている、そういう状況でございます。

斉藤(鉄)委員 全国平均では一三%の人がまだ汚水処理の恩恵に浴していない。しかしながら、人口五万人未満の市町村ではその割合が、今、七二%とおっしゃいましたから、引き算すると二八%の方が恩恵に浴していない。つまり、田舎に行くほど、過疎地に行くほど整備が進んでいないということかと思います。

 この未普及を解消する上で浄化槽が果たす役割というのは、環境大臣としてどのようにお考えか。

細野国務大臣 人口が分散をしているいわゆる田舎のエリアにおきましては、これはやはり、できるだけコストをかけずに、そして短期間で設置できるという浄化槽のメリットは極めて大きいものがあると考えております。

 したがいまして、この汚水処理施設のあり方については、それぞれ自治体でもさまざまな要望が出てきておりますし、私どもとしても整備を急ぎたいというふうに考えておりますので、これからの、二八%ほどの整備をされていないところについては、浄化槽が果たす役割というのは極めて大きくなってくる、これからますます増大するだろう、そのように考えております。

斉藤(鉄)委員 汚水処理の大宗が下水道であるということは、もうこれは人口比率から見ても当然でございます。これまで人口密集地を中心に進めてきたということで、下水道が一番大きな比率を占めている。その後、農村地域におきまして、農村地域の中でも人口が集まっている集落を中心に、農業集落排水という形で進んできたということで、農業集落排水が果たしてきた役割も非常に大きい、このように考えているところでございます。

 しかしながら、残った一三%のところは、先ほど環境大臣から答弁がありましたように、非常に人口が分散をしている、家々が離れて存在しているというところがほとんどなわけでございます。これまで汚水処理を三省で分担して、連携をとりながら頑張ってきたわけですけれども、これからについては、これまでのやり方をよく見直して、最も国家にとって効率的な、お金が少なく、かつ、望んでいる人には早くということを考えていかなければならない転換点に今来ているのではないかな、このように思います。

 しかしながら、基本的には、下水道整備区域、下水道計画区域、そして農村におきましては農業集落排水計画区域、このように分かれているところがあって、かなり前に計画されたものがそのまま生きている、適切な見直しがされていない、これは後ほどまた話をしていきたいと思いますけれども、そのように感じているところでございます。

 国交大臣に、下水道につきまして、これまで汚水処理の大宗を占めてきました。その果たしてきた役割は非常に大きいと思います。今後も、かなり広い地域にわたって、この下水道計画区域で、下水道をこれから整備するから待っていてくださいよという地域が非常に広いというふうに私は認識しておりますが、そういう意味で、見直しということを考えていかなくてはならないと思いますが、国交大臣のお考えをお伺いします。

前田国務大臣 公共用水域の水質をちゃんと正常に保っていくということが一番大事かと思います。そのために三省でやっている事業ですが、御指摘のように、下水道というのは先発して、しかも密集地域をやってきたわけですから、ほとんどの市域の中心部は下水道ということになっております。

 先ほど環境大臣との質疑の中にありましたように、やはり後発の地方都市、特に五万人以下とかいうところになっておりますと、これは過疎化も進んでいるところでございますから、市域の中でもかなりまばらに住んでいて、下水道でやるには非常に効率が悪い、そしてまた人口も減っていくというところですから、当然、先生御指摘のように、この三省の事業というのはきちっと調整をして、最も効率的なやり方をとる必要があると思います。

 そういう意味では、既に、都道府県構想という、三省が寄って、どういうふうに分担していくかという協議をやっておりまして、何度か、大体五年ごとぐらいにその協議を更新していることになっております。今申し上げたような問題意識のもとに、今、計画区域を縮小させるというようなことも、事業そのものは自治体がやるわけですから、これは県が間に入ってその計画の見直しを進めている。そのときに最も効率的なあり方ということでやっていただいていると承知をしておりまして、国交省としても、今の状況に合ったような方向にしていく必要があると認識をしております。

斉藤(鉄)委員 県が主体的にやるべきこと、地方自治体が主体的にやるべきこと、それはよくわかります。

 しかし、現実には国家財政も大きく補助しているわけでございまして、国としての大きな方針ということも必要かと思いますけれども、国交省として、下水道の見直しについて、何らかの指導性といいましょうか、方向性というようなものは出されていないんでしょうか。

前田国務大臣 既に、このような考え方で、人口減少や厳しい財政状況を勘案して、下水道区域の縮小も含めた早急な見直しを推進するように要請を発しております。

斉藤(鉄)委員 午前中最後の質問ですが、もう一問、国交大臣に。

 では、その見直しが十分これまで進んでいる、このように認識されておりますでしょうか。

前田国務大臣 見直し中の団体というのが、平成二十三年三月末時点で三十一団体、それから、今年度末までに四十四団体で見直しがなされる予定だ、このように承知をしております。

 引き続き、早急に見直しがなされるように、また、内容についても随時フォローをしていくつもりでございます。

斉藤(鉄)委員 内容的にはちょうどいいところなんですが、時間が参りましたので、午後の質問に回したいと思います。

中井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 汚水処理のあり方について議論をしております。

 午前中、これまでの計画、下水道、農業集落排水、そして浄化槽、これをどのように組み合わせるかということについて、各都道府県ごとに構想の見直しが進んでいるというところまで来ました。

 その構想を私も見てみたんですけれども、大変各県とも精力的な見直しが進んでおります。

 例えば新潟県につきましては、平成二十三年度の見直し、五年前に比べまして、集合処理、まあ集合処理ですから、下水道ないしは農業集落排水から個別処理、つまり合併浄化槽へというこの変更を大幅にふやすことによって、前回の構想に比較して八千百六十五億円、新潟県全体ですけれども、一兆円近い予算の縮減を実現するというふうに、この新潟県の構想に書いてございました。

 また、京都府では、今後、残っている方二万四千人に対して、これを集合処理から個別処理へ転換する、このことによって、ここはちょっと計算の仕方が違うんだと思いますけれども、二百八十億円の縮減に結びつき、かつ完成予定年を最大十二年短縮することができる、このように構想にございます。

 また、私の地元広島県では、これは、コストまた期間については何も書いていないんですけれども、当初は県全体で合併浄化槽については七・四%という計画だったんですが、今回、見直しによって一二・二%。つまり、残されたものはほとんどもう個別処理にする、その方がコストそして完成年度の短縮化に大きく結びつく、このような構想を練っているところでございます。

 つまり、財政的に非常に厳しい、また、早くやってほしい、こういう方が多い中で、また、今残されている地域は住宅がそれぞれ分散している、そういう地域が多いということを総合的に考えれば、集合処理から個別処理へという流れになっているのではないかと思います。

 そうなりますと、問題は、計画の策定、見直しに当たって、既存の汚水処理施設、もっと具体的に言うと、これまではここは農業集落排水の計画だった、もしくは、ここは下水道の計画地域だった、しかしこれを個別処理にしようといったときに、もう既に、その計画は待てないからということで、個別処理、つまり合併浄化槽を設けていた家もたくさんあるわけでございます。そういうことについてはどうなっているのか。これは国交大臣にお聞きをいたします。

前田国務大臣 委員御指摘のように、下水道による整備人口が減少して、集合型の方が減少して、個別処理といいますか、合併浄化槽の方に移っているということであります。

 平成二十二年度までに見直し済みのところで、数値を公表している二十三県のデータをここに持っているわけなんですが、今までの構想だと、二十三県なんですけれども、処理人口四千五百九十万に対して、新しい構想では四千百五十万人。四百四十万人、下水道の方が減っているんですね。農村集落の方も、三百四十万から二百十万まで、百三十万減っています。一方、浄化槽の方が四百万から五百万に百万ふえている。

 その傾向は、これからも、特に過疎が進んでいる地方都市等を中心に続くと思いますので、そういうものを計画の見直しに入れていく。既にこの計画でもこのように相当減らしているわけなんですけれども、多少時間のずれというのはあるでしょうけれども、適宜見直していくということが必要だろう、こう思います。

斉藤(鉄)委員 より具体的にお聞きしますと、既に合併浄化槽を私の家は入れました、そういう比率の大きい地域と小さい地域、そういうところを計画の見直しの中で考慮するか、こういう意味です。

前田国務大臣 しょっちゅう計画変更していくというわけではありませんが、実態に合った計画の変更ということで、都道府県についても要請をしてまいりたいと思います。

 例えば、私ごとになるんですが、私の田舎の実家、事務所に使っておりますが、合併浄化槽でございます。国道、相当離れたところに本管がありますけれども、とてもそんなのを引っ張ってきてくれと要請をするつもりはなくて、実態的には合併浄化槽で続いている、そういうところが多いんじゃないかな、こう思います。

斉藤(鉄)委員 では、今後の見直しについては、実態をよく見ながら、最も合理的な方法を選択できるような形で見直していくということでございますね。わかりました。

 次に、農業集落排水についてお聞きします。

 この農業集落排水について、これまでその計画の見直しをどのように進めてこられたか、お伺いします。

鹿野国務大臣 農林水産省といたしましては、今お触れになりました農業集落排水施設の効率的な整備を推進するために、国交省、環境省と連携をいたしまして、都道府県に対して、汚水処理の整備に関する構想に関する通知を平成七年に出しました。そして、その通知に基づきまして、各都道府県におきましては、社会情勢の変化を踏まえて、平成十四年及び平成十九年に、都道府県の整備構想を見直すよう、また引き続いて通知を出したところでございます。

 今日の段階におきましては、平成二十二年度までには三十一都道府県が見直しを終わりまして、そして平成二十三年度末までには、これに十三県が加わって、四十四都道府県が整備構想の見直しを行う、こういうふうなことになっているところでございます。

斉藤(鉄)委員 この農業集落排水につきまして、私、最近こういう例を見ました。具体的な名前は挙げてくれるなということでしたので、あえて名前は挙げませんけれども、ある県で、その県では、今回、唯一農業集落排水が採択になったそうでございます。ところが、その地域は実はもう合併浄化槽が五〇%以上普及しているという地域だったそうです。ですから、地元の人も、残った御家庭に合併浄化槽を市町村設置型できちっとやってくれた方がはるかに安く整備ができるということだったんですけれども、採択になった。

 農業集落排水の場合は全ての家が納得しないと事業は行われないわけですが、もう既に浄化槽を設置している家がよく納得しましたねと言いましたところ、やはり何年かぶりに来る大型公共工事、雇用の拡大にもつながるというようなことでその事業が採択になったというふうな話を聞きました。

 そういう意味では、この辺、改善の余地があるのではないか。ここで、来年度の予算についても、そしてこれからかかるであろうメンテナンスというようなことを考えても、改善の余地はあるのではないか、このように考えた次第でございますが、農業集落排水の場合、もう既にその地域で浄化槽を設置しているという人はどのように扱われるんでしょうか。

鹿野国務大臣 当然、設置されているというふうなことでありますならば、その施設がどういう状況にあるかということも踏まえて機能診断をして、そして補修なり更新を行っていくということを、各都道府県におけるところの整備構想の見直しの機会を捉えてやっていくべきじゃないかな、こういうふうな認識をまず一つ持っておるところでございます。

 それからもう一つは、やはり、汚水処理を普及する地域というふうなことを考えたときには、施設の特性やコストの比較というものがどういう形で地域のニーズに合っているかというふうなことも、当然、施設として選択をしていくということでございますから、既存の農業集落排水施設の機能というふうなものを強化することによって、隣接する地域において活用するというようなこと等々も考えていかなきゃならないことだと思っております。

斉藤(鉄)委員 まさにそのとおりだとは思いますけれども、今後、この三つの方法、より合理的な組み合わせで、コストと品質、バランスのとれた計画にすべきではないかな、このように思います。

鹿野国務大臣 今先生から、バランスのとれた施設をつくっていくべきじゃないか、対応すべきじゃないか、こういうことでありますけれども、平成二十三年度からは県の一括交付金でも対応ということで、県で地域の声をよく聞いて整備してほしいというようなことも私どもからも申し上げているところでございます。

斉藤(鉄)委員 ここまでの議論をちょっとまとめますと、下水道そして農業集落排水、歴史もございます。そういう意味で、今後は維持管理に莫大なお金がかかっていくだろうということが、技術予測で明らかになっております。

 そのことを考えますと、計画の見直し、これは先ほど答弁ありましたように徹底的に進めていただかなくてはいけない、このように思いますけれども、特に、下水道計画区域、農業集落排水計画区域、もう一度、コスト、今後、将来的な負担、これは地方財政、また、めぐりめぐって国の財政に大きな負担となってきます。そういう意味で、最も合理的な方法を選ぶべきだ、計画を徹底的に見直すべきだ、このように考えますけれども、農水大臣、国交大臣のお考えをお伺いします。

鹿野国務大臣 今先生おっしゃられたことは、一つの重要なことだと思います。

 ただ、農業集落排水施設というのは、先ほど来からのお話のとおりに、どちらかというと農村地帯におきましても過疎地域でございまして、特に、財政的な事情なりあるいは人口の減少等々という問題を常に抱えておる、そういう地域でどうするかというようなことになるわけであります。

 それだけに、やはりその地域においては、集落排水の施設に対する要望も一面強いところもあるわけでございますので、今後、都道府県の整備構想というものにつきましては、今申し上げたようないろいろな形での実際の動きというふうなものも差異が生じてくるということも踏まえて、五年程度の期間ごとに、定期的に内容を点検しながら、社会情勢の変化に合わせて、適宜見直していく必要があるのじゃないか、こう思っております。

 これからも、国土交通省そして環境省と十分連携をとりながら、都道府県に対して情報提供というふうなもの、あるいは技術的な支援というふうなものを特にこれから私どもも努めていかなきゃならないと思っております。

前田国務大臣 三分野の施設につきましては、確かに、こうやって省庁が三省庁に分かれているというところがあります。したがって、そこをいかに連携して調整して、最も合理的な排水処理形態にするか。

 それからまた、地域そのものに戻ってまいりますと、地域住民の公平性というのが重要かと思います。それは、負担の公平もあるでしょうし、それから文化的な生活という意味での、ちゃんと水洗便所等があるというようなことの公平性。そういった意味では、自治体の要望といいますか、自治体自身が、その中で最も合理的なそれぞれの分担というのがいかにあるべきかということもしっかり検証していっていただきたいと思います。

 そういうことに対して、あえて申しませんけれども、一応、制度的には五年ということになっていますけれども、地域によっては変化が非常に激しいわけですから、私は、その変化に応じてきちっとフォローを、計画の見直しも含めてフォローをしていく必要がある、このように思っております。

斉藤(鉄)委員 この問題については、いろいろな解決方法が提案されております。きょう、その一つ一つについてその提案を取り上げるつもりはありませんけれども、しかし、投入する財政、そして得られる結果、それをバランスよく考えたときに、やはり適宜適切な計画の見直しと、全体から見た計画の見直し、その見直した計画にのっとって、無駄が出ないような形で進めていくというのが最も合理的ではないかと私自身考えておりますので、そういう考え方で、三省庁よく連携をとって進めてもらいたいと思います。

 一つ、補助率について質問させていただきます。

 この三つの方法、農業集落排水それから下水道については国庫補助率は二分の一ですが、浄化槽については三分の一ということで、差がついております。少なくとも、この三つの方法をうまく、バランスよく組み合わせていく、特にコストパフォーマンスの高い浄化槽について、これから人口分散地域についてはそれが主体となるということを考えたときに、浄化槽についての補助率を下水道や農業集落排水と同じように引き上げるということが私は必要だと思いますが、この点について、環境大臣、どうでしょうか。

細野国務大臣 斉藤環境大臣の時代に、これを一部、二分の一に引き上げるという形でやっていただいたというふうに承知をしております。

 ただ、これは、モデル事業であったり、もしくは低炭素社会対応型の浄化槽ということで、極めて限定的な部分でございまして、それについては延長をということでお願いをして、来年度についても、大体、浄化槽予算の二割強については二分の一の補助をいただいておるところでございます。ただ、残りの八割弱のところは三分の一の補助ということになっておりますので、そこは、下水であるとか農業集落排水とはまた異なる位置づけになっております。

 これまでは、どちらかというと下水、さらには農業集落排水が主で、その穴を浄化槽が埋めるということになっておったわけですが、斉藤委員の御質問を伺っても、改めて、これからは、それこそ整備されていないところというのは浄化槽の役割が大きくなるわけでありますから、浄化槽の位置づけ自体をもっと前に打ち出していって、しっかりと整備をしていく必要があるだろう、そのように考えております。

 したがって、まだ全く調整という段階ではありませんけれども、補助率のアップということについてはぜひ目指してまいりたい、そのように考えております。

斉藤(鉄)委員 補助率のアップについて前向きに取り組むということで、そのアップの前面に立ちはだかっているのが財務省だ、このように言われております。

 先ほどもありましたが、例えば、新潟県だけで、今回、農集や下水道から浄化槽に転換するというだけで一兆円、八千億ですが、一兆円近いコスト削減になるという試算が出ております。これは新潟県自身が出したものです。これを四十七都道府県に拡大すれば、相当大きな財政負担の軽減になるのではないか。

 そういう意味で、浄化槽を推進するというインセンティブとして、この補助率の下水道並み、農業集落排水並みアップが必要だ、そうすることによって、長期的に見れば国の財政負担は大きく軽減できる、このように考えますが、財務大臣、いかがでしょうか。

安住国務大臣 午前中からお話を聞かせていただきまして、浄化槽のメリットというのを十分御指摘いただいたと思います。

 今、前田大臣、鹿野大臣、それから細野大臣と三者三様のお話をいただきましたけれども、私はやはり、前田大臣、特にお話ありましたけれども、五年ではなくて、かなり長い期間というよりは、時代の流れが速いので、それに合った対応というのを、農村集落排水、下水道、この浄化槽、それぞれ、先生の御指摘のようなことも踏まえて、自治体で対応していただければというふうに思っております。

 ですから、三省間の協議をぜひいろいろな意味で進めていただきたい。モデル事業の効果をぜひ検証させていただきながら、適切な制度設計については努めてまいりたいと思っております。

斉藤(鉄)委員 モデル事業の検証をしっかり行って、補助率アップについても検討していくという前向きな答弁をいただきました。

 今、大変厳しい財政状況の中で、非常に地味ですけれども大切なこと、そして日本の水環境を守る。特に、今、地方では、里山を大切にしよう、里山が生物多様性を保っている日本の大きな要因であるということも言われております。そういう意味でも、また財政という意味でも推し進めていただきたいということを強く要望して、質問を終わります。

中井委員長 これにて斉藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、最初に、液状化被害に対する被災者支援策について質問をいたします。

 先週の金曜日、二月の二十四日、千葉の地方公聴会に参加させていただきました。四人の意見公述人の方から貴重な御意見をいただき、その中で、この千葉県の液状化被害というのは改めて大きなものということを実感したところであります。その地方公聴会での御意見を踏まえて質問をする予定です。

 松崎秀樹浦安市長は、浦安市域の八六%が液状化被害だった、半数以上の世帯が被災をした、このように述べておられ、宇井成一香取市長は、三千五百ヘクタールの地域がすり鉢状にどんと四十センチ落ちている、横軸でも最大三メートル動いている、民地の境界の確定の問題などが出てくるんだという、広範囲での液状化被害を訴えておられました。

 そういう中で、特に液状化被害の被災者の実情が浮き彫りとなりました。一つは、健康被害の問題であります。

 住宅の傾きによる被災者の健康被害がいまだに続いております。松崎浦安市長は、居住者には健康被害が生じて、今なお苦しんでいる方もいる、半壊以上の被害が約三千六百棟だが、この半壊基準の傾斜が百分の一、角度でいうと〇・五七度でも、苦痛を感じるというのが実態だと。宇井香取市長さんは、家全体の傾きがわずかであっても、中にいると平衡感覚がおかしくなり、吐き気や目まいがするといった形で、家に住めなくなったという方がたくさんいる、このように訴えておられました。

 そこで、平野復興大臣に、こういった液状化被害、家の傾きによる健康被害の問題は深刻だ、こういう点についての御認識について一言お尋ねしたいと思います。

平野(達)国務大臣 液状化による家屋等の被害、こういうことに対しての対策については国交省等を中心に取り組んでまいりましたけれども、その中にいることによる精神的な被害ということだと思いますが、そのことについては、大変申しわけございませんけれども、今の段階で、私の方できちっと調べてきたということはございません。

 ただ、そういうことがあるということについては、今委員から御指摘ございましたので、しっかり調べるべきだということであれば、それを踏まえて対策をとりたいというふうに思います。

塩川委員 ぜひ調べていただきたい。

 これはもともと、被災者の被害認定に当たりまして、その基準を昨年五月二日に改めました。それは、家屋の傾きについてよりきちんと見るということで、その理由というのが健康被害の問題だったわけですね。実際に、傾いた家に住み続けるということが健康被害をもたらすんだ、こういうことがそもそも被害認定の基準の見直しだったわけですから、そういう点でも、実情がどうなっているのかについて改めて調べていただきたい。これは要請しておくものであります。傾いた家のままでは健康被害が解消されません。

 もう一つ、お話を聞いていてそのとおりだと思いましたのが、自宅復旧の経済的負担が大きいという問題であります。宇井香取市長さんは、修繕には建てかえに近い額がかかるというお話をされておられました。また、液状化問題の専門家の石原研而中央大学研究開発機構教授も、液状化被害対策に一世帯当たり数百万円程度必要とすると述べておられました。

 液状化被害の場合には、三つの経費がかかるわけです。つまり、まず、地盤の改良、宅地の地盤の復旧のための経費がかかるということ、あと、家屋部分の復旧の費用、傾いた家をジャッキアップなどで直すという費用がかかるのと、家周りですね、塀とか外構などの経費、こういう三つの経費がかかるということで、液状化地盤の復旧費用というのは、工法によっていろいろ変わりますけれども、家屋の復旧や外構の復旧費などを加えるとやはり一千万円を超える。家を建てかえるに近い額がかかると言われております。

 こういう液状化被害に対して、復興交付金の液状化対策推進事業が創設をされたわけです。しかしながら、被災自治体の市長さんからは、使い勝手が悪いという厳しい批判のお言葉がありました。

 松崎浦安市長は、市街地液状化対策事業が基幹事業として示されたことは、本市の住宅地の液状化対策を進める上で評価できるとしながらも、事業化に向けては、宅地所有者の費用負担が大きく、関係権利者の合意形成の面で大きな課題があることも明らかになったと述べ、実現可能性の低い事業だ、個人負担を強いるのが数百万から五百万、六百万と超えていく額になってしまうが、これを新たに強いるということはとても私どもから言えないと。

 ここで例示しているこの金額というのは液状化地盤の復旧費用の部分だけですから、先ほど言ったように、その他に家屋とか外構の復旧費もかかるわけであります。

 そこで、平野大臣にお尋ねしますけれども、こういった被災者の方の負担についてどのように軽減を図っていくのか、この点について、いろいろな制度を活用した上での取り組み、こういうふうにやれば可能だという点についてお答えいただけないでしょうか。

    〔委員長退席、西村(智)委員長代理着席〕

平野(達)国務大臣 まず、個々の家屋の倒壊あるいは被害等々につきましては、もう御案内のとおりに、被災者生活再建支援金の支給という制度がございます。そのほかに、この液状化対策ということにつきましては、今の災害復旧制度というのは、あくまでも公的な部分、例えば道路とかあるいは道路に係る附属施設、こういったものに対する復旧ということをやるという、その前提で仕組まれています。今回は、それをできるだけ拡大解釈して個々人の負担をできるだけ軽減するということで、国交省の方でもかなり検討を加えて制度を設計したということでございます。

 あと、この制度を使って、この制度以外には、例えば家屋の再建等々については融資制度等々もございますし、こういったものを総合的に使っていただきながら復旧に努めていただければありがたいというふうに思います。

塩川委員 踏み込んだ措置が必要だと考えます。

 今、被災者生活再建支援金や融資制度のお話がありましたけれども、とてもそれで対応できるわけではない。三つの費用負担を考えれば一千万円を超えるという中で、これではもう限りがあるのは明らかであります。

 松崎浦安市長は、負担額は高く見積もっても百万円だと述べておられました。そうでなければ液状化対策推進事業が絵に描いた餅になると述べておられたわけであります。

 政府は、復興交付金、自由度の高い交付金と言っております。そういう点では、どのように活用すれば市長が述べているような個人負担が百万円以内になる、そういうものになっていくのか、この点でぜひ知恵を出していただきたいんですが、例えば効果促進事業というのはきちんと使えないんでしょうか。あるいは、取り崩し型の復興基金とか災害救助法の住宅応急修理などについても、これを柔軟に活用して費用負担の軽減のために充てるとか、こういう取り組みで、合わせわざで、この負担軽減策というのはもっと国として知恵を出して、提案もしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 まず今の、復興交付金の中の効果促進事業という部分につきましては、個人の財産に係るさまざまな助成というものは、これは原則やらないということで考えております。

 それから、先ほどのお話の中に、個人として百万円が限度だというお話がございましたけれども、それは少なければ少ない方がいいということになりますが、先ほど申しました被災者生活再建支援金の支給につきましては、最大三百万、そういうお金が出ております。あと、さまざまな、液状化につきましては、繰り返しになって恐縮ですけれども、できるだけ個人の負担にならないように、その制度の適用の範囲を広げております。それから、先ほど申し上げた融資制度等、こういったものを活用していただくということで、百万ということにつきましては、それが限度額かどうかということについては、個々の状況によってやはり若干異なってくるのではないかというふうに思います。

塩川委員 効果促進事業について、個人の財産に係る助成はやらない、そこがそもそも問題だという声がたくさん上がっているわけですよ。そういう枠をはめるために、被災者の復興、被災者の生活再建ができないのでは、そもそも制度そのものの意味がないということであります。ここのところこそ見直すべきだ。

 この液状化対策推進事業について見ても、公共について液状化対策を行う、その際に、当然、接する民地部分も液状化対策をやらなければ、公共部分の液状化対策も意味をなしませんねという趣旨で行われるわけですよね。ですから、所有者について一部の負担を求めるけれども、公共の部分と民地の部分と一体的にやるというのがこの事業であるわけです。もし、個人負担が大きいためにこういった事業に手を挙げられないような被災者が多ければ、公共部分の液状化対策も進まないという結果になるんじゃありませんか。

 そういう点でも、個人負担をいかに軽減するかというのは、この事業そのものを成り立たせる、公共の液状化対策をきちんと進めていく、その一番のポイントになると思うんですが、この立場で負担軽減策、改めて考えるべきじゃありませんか。

平野(達)国務大臣 いずれ、今の制度をさまざまな観点で運用することで、例えば今の事業の適用の範囲をどこまで拡大できるか、これはその地域その地域の計画によって変わってくると思います。そういったところにつきまして、我々の方も知恵を出していきたいと思いますし、また、現場の方も知恵を出していただくということで、できるだけ個人の負担が過重なものにならないように、このことについては最大限努力をしなければならないというふうに思っております。

 その個々のケースの状況に応じて、ここの部分までは助成対象になる、事業の対象範囲になる、こういったもののやりとりというのは十分可能だというふうに思います。

塩川委員 個人の負担が過重とならないようにする、そういう観点での取り組みをぜひ具体化を求めたいと思いますし、その点でも、効果促進事業の使い方について、より一歩踏み込んだ柔軟な対応が求められているということは重ねて申し上げておくものであります。

 それと、この液状化対策推進事業についてもう一つ指摘をしたいのが、所有者同意の問題があります。

 この点については、事業としては国土交通省で具体化されておりますので、前田大臣にお尋ねをいたしますが、事業を進めるに当たって、復興交付金の交付要綱では、液状化対策事業計画の区域内の宅地について所有権及び借地権を有する者のそれぞれ三分の二以上の同意が要件の一つとなっています。

 先ほども紹介しましたが、松崎浦安市長は、事業化に向けては、宅地所有者の費用負担が大きく、関係権利者の合意形成の面で大きな課題があることも明らかになったと、液状化被災宅地所有者の費用負担が合意形成にとって課題となっていることを指摘しておられます。

 そこでお尋ねしますが、この三分の二以上の同意というのは、個人負担をするということも含めた同意となっているのか、それとも違うのか、この点についてお尋ねいたします。

前田国務大臣 お答えいたします。

 この液状化の対策事業でございますが、幾つかの、家そのものをちゃんと改修するという前に、まずは地盤改良というものが必要なわけでございますから、その地盤改良のみについて申しますと、大体、街区というものは、周りが公道、多分この場合、市道であったり町道であったりということで囲まれているわけでございますから、そこの地盤改良というのをやるわけでございます。

 そのときに宅地の部分までも、多分、工法的に言うと、かなりのところまでオーバーラップして地盤改良をやるということになりますので、もちろん三分の二以上の賛同ということが前提になっておりますし、ということは、やはり地盤改良をなさる場合には当然負担ということも生じてくるわけでございますが、事地盤改良ということについて言えば、かなりのところまで公共の方の事業と一体化してやれるのではないか、このように思っております。

    〔西村(智)委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 もう一回はっきりお聞きしたいんですけれども、個人負担ということを同意の要件としているのかということなんです。

前田国務大臣 それは前提になっております。

塩川委員 既に地盤改良しているような方もいらっしゃるんです。そういった方にさらに負担を求めるということを同意の前提とするということは実態にも合わなくなっているということも含めて、しっかりと制度が動くように対応を求めていきたいということであります。柔軟な対応を行うべきだということであります。公共工事の液状化対策と一体に宅地部分の液状化対策を進めるこの液状化対策推進事業については、先ほども言いましたように、宅地部分の液状化対策を進めることなしに公共の液状化対策も進まないわけですから、この被災者の個人負担の軽減のために知恵を出すべきだということを重ねて申し上げておきます。

 次に、こういう大震災などの復旧復興業務に係る国家公務員の超過勤務手当、その中でのサービス残業問題について質問をいたします。

 東日本大震災、原発事故に対して国を挙げての対策が求められております。予算額も大きくなり、執行する体制の強化も必要であります。被災自治体の体制強化とともに国の体制強化も重要となっております。復興業務に係る人員の増員そのものが必要なのに、現状は、定員削減の中で残業による長時間労働で対応しているのが実態です。その中で、超過勤務手当の不払い、いわゆるサービス残業があるのではないかという懸念があります。

 東日本大震災、原発事故があった二〇一一年三月以降、超過勤務手当が大きくふえております。配付しました資料の一枚目に、二〇一〇年度末で、各府省で予算の枠を超えたため、財務省と協議をし、流用で超過勤務手当を措置した府省の表となっております。さらに、下にありますように、今年度については、原子力安全・保安院が年度途中で既に流用に関する財務省協議を行い、流用が認められております。

 原子力安全・保安院の月別超過勤務手当支払い総額の推移、これはめくっていただいて二枚目ですけれども、二〇一〇年に比べて二〇一一年の超過勤務手当の支給が大きく上回っております。当月の超過勤務手当分は翌月に計上されますから、このグラフでは一カ月ずれて出てくるわけです。昨年三月の超過勤務手当は四月分として計上されるということで見ていただければ結構であります。

 前田大臣、平野大臣、ありがとうございました。済みません。

 復旧復興業務に従事してきた幾つもの官庁の一つに水産庁があります。水産庁は、東北地方を中心とした太平洋沿岸の漁港が壊滅的な被害を受けたのに際し、発災直後から、漁民や漁村の支援、インフラの一体的早期復旧、漁業、水産加工、流通の一体的な支援を行ってまいりました。当然この間、大震災復旧復興を初めとした多額の予算が計上されたわけであります。

 そこで鹿野農水大臣にお尋ねしますが、水産庁の昨年度の予算が幾らか、また今年度の予算、補正も含めまして幾らになったのかについてお答えいただけますでしょうか。

鹿野国務大臣 平成二十二年度におきましては、水産庁関係の当初予算が千八百十九億円、補正予算が九十三億円、合計で千九百十六億円でございます。平成二十三年度におきましては、当初予算が二千二億円、一次補正が二千百五十三億円、二次補正が百九十八億円、三次補正が四千九百八十九億円、四次補正が二百十二億円、合計で九千五百五十四億円でございます。

塩川委員 二十二年度、補正を足した額は千九百十二億円。

中井委員長 補正が入ってないという話じゃないですか。(鹿野国務大臣「後で精査させていただきます」と呼ぶ)

塩川委員 私がお聞きしていたのは、二十二年度は補正を含めて千九百十二億円に対して、二十三年度予算額の合計が九千五百五十四億円ですから、五倍に膨らんでいるわけであります。

 そこで、重ねて鹿野大臣にお尋ねしますが、水産庁の職員の定員というのは、二十二年度と二十三年度、それぞれ何人で、増減はどうでしょうか。

鹿野国務大臣 水産庁の一般会計予算定員は、平成二十二年度末におきまして八百七十一人です。平成二十三年度末におきましては八百六十六人、マイナス五人、こういうことでございます。

塩川委員 定員は減っております。つまり、一人当たりの仕事量がふえたことになるわけで、残業時間も当然ふえているんじゃないのかと推測されるわけであります。

 しかしながら、配付資料の三枚目、水産庁の月別超過勤務手当支払い総額の推移ですけれども、保安院と対照して見ていただくとよくわかると思いますが、確かに年度当初は前年度比で残業代は増加をしているわけですけれども、七月、八月で見ると前年度と同程度になり、九月以降は下回っております。

 先ほど確認しましたように、前年度に比べて予算の規模が五倍になっている。災害復旧の査定から、またさまざまな復興業務など支援を行うということであれば、多忙であることは当然推測をされるわけですけれども、残業代は年度後半には減っている。これから本格的に、おくれている復旧も進めるし復興もやろうというのに、残業代が減っているのは余りにも不可思議だと思うんですが、大臣はどのようにごらんになりましたか。

鹿野国務大臣 今先生から、水産庁の月別の超過勤務手当の支払い総額について見せていただきましたが、平成二十三年の三月十一日に発生したところの大震災によりまして、水産関係、漁業関係に甚大な被害が発生しました。そして、震災発生直後から水産庁職員を総動員いたしまして、被災地の支援物資の供給、あるいは被害調査、あるいは一次補正予算の確保、その他いろいろな推進等の緊急対応が必要だったために、震災発生から平成二十三年五月までの超過勤務につきましては、平成二十二年に比べて大幅に増加した、こういうことでございます。

 六月以降でございますけれども、できる限り通常体制に戻しながら、効率的な業務執行というふうなものに意を注ぎながら、引き続き、被災地の水産業の復旧復興に対応してきたところでございます。

 さらに、八月以降でございますけれども、これらの取り組みによりまして、超過勤務が前年より減少した課も出始めたところでございますけれども、実は、この前年の、平成二十二年の八月から十二月までのころにおきましては、資源管理・漁業所得補償対策の、初めてそういうふうなものをつくりました。そういうことに対する対応、あるいは赤潮対策、あるいは尖閣諸島におけるところの中国漁船の衝突事件への対応等々で、多様な業務により超過勤務が多かった、こういうふうなことでございます。

塩川委員 二十二年度の仕事が忙しくなった、それは当然あるでしょう。しかし、同じようなことは今年度もされておられるわけで、要するに、復旧復興の仕事がどんとふえたわけじゃないですか。補正を一次、二次、三次、四次と組んで、それは全部水産庁の予算はついているんですよ。災害復旧から始めて、インフラの一体的な早期復旧が必要だと、漁港の支援から魚市場から水産加工の施設、製氷所とか冷凍冷蔵庫とか、一連のものについてきちんと査定もするし、それに対しての復旧もするし、その上で、やはり復興の仕事というのは、復興交付金のメニューも含めてたくさん含まれているのが水産庁の仕事であるわけですよ。

 それなのに、本当に被災地のために懸命に努力しておられる方の残業時間が前年度より少ないというのは、全く納得がいくものではありません。こういう農水大臣の答弁では、復旧復興で働く現場の職員の姿がまるで見えていないということを言わざるを得ません。予算規模が五倍なわけですから、仕事は大幅にふえているということを考えても、どう考えても納得がいきません。

 先ほどごらんいただいた原子力安全・保安院で見ても、二〇一一年度の残業代は、四月分から十一月分の合計で、前年度比ですと一・八倍なんですよ。当然ふえているわけです。まさに東北を中心とした太平洋沿岸の漁港が壊滅的な被害を受けているときに、水産庁の仕事というのは極めて大きかったということは、当然、大臣もよく御存じのことだと思うんですね。それなのに、水産庁の二〇一一年度の四月から十一月分の残業代というのは、前年度と比べると一・〇四倍なんですよ。少なくとも保安院は一・八倍になっているのに、水産庁は一・〇四倍ということは、前の年と変わりがないということですよね。保安院と比較しても、余りにも不自然じゃないでしょうか。

 重ねてお尋ねしますが、水産庁については、残業予算の枠におさまるように、超過勤務手当の予算の枠におさまるように、特定の月以降については、何割削るとか何割減らすとか、こういった定率でカットしているんじゃないかな、こういうことを疑わざるを得ないような数字の出方なんですけれども、大臣、この点についていかがですか。

鹿野国務大臣 職員の超過勤務につきましては、各職場の管理者が、いわゆる公務のため、臨時または緊急の必要がある場合におきまして命じておるわけでございまして、二十三年度八月以降におきましても、調整率等を用いて超過勤務支給額を減額しているというような事実はございません。命令によって超過勤務を行った全時間に対して超過勤務手当が支払われているということでございます。

 また、超過勤務手当予算、こういうことでございますけれども、平成二十三年度におけるところの水産庁の超過勤務手当等予算額は、当初の予算額は七億二千万円でありまして、十二月末時点での執行額は五億九百万となっておりまして、二十三年度におきましても、超過勤務手当予算の不足は生じないものと思っておるところでございます。

塩川委員 そこが全く納得がいかないわけであります。

 こういう数字の出方を見ても、組織的に残業代の不払いを指示しているのではないか、こういう疑念が浮かぶわけであります。

 改めて、大臣、答弁を読むということではなくて、実態はどうかということについて、きちんと一度調べてみたらいかがですか。調査をする考えはございませんか。

鹿野国務大臣 いわゆる農林水産省におけるところの職員の超過勤務手当の支払いにつきましては、職員の超過勤務については課長等管理者が命令をいたしているわけでございまして、この命令によりまして超過勤務を行った全時間に対して超過勤務手当を支払っているところでございますということを申させていただきたいと思います。

塩川委員 指摘しましたように、残業予算の枠におさまるように残業の計画的な不払いが行われてきたんじゃないのかという疑いというのが、前年度に比べて既に一・〇二倍となっていることを見ても、帳尻合わせをしているということを考えざるを得ない。

 これはほかの省庁でも、例えば、瓦れき処理などの課題を抱えた環境省とか、経済産業省と同じように放射線対策に追われた文科省とか、復興の公共事業予算が倍増した国土交通省など、全ての省庁で前年度に比べて残業が大幅に増加をしたはずであります。原子力安全・保安院が前年度比で一・八倍にふえて、流用の申請を今年度上げているのは見ていただいたとおりですが、しかし、それでも全ての残業代が支払われているのか疑わしい。しかし、ほかの省庁では流用の申請さえ上がっていないわけですから、水産庁と同じように、予算の枠内におさまるように残業代を不払いにしたのではないかという疑いを持たざるを得ません。

 実際には、在庁時間などという言い方で、そういう名前での実態としてのサービス残業が行われている。これを一掃すべきだということを申し上げたい。

 最後に、復旧復興業務に従事する人員体制の強化が求められているときに必要なのは専門職を初めとした増員を図ることであり、人件費二割削減などといって定員を減らし、七・八%の賃下げまで行うのは間違いだ、ましてや残業代も支払わないというのは許されない、このことを述べて、時間が参りましたので、質問を終わります。

中井委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、財務大臣の方にお伺いをさせていただきます。

 平成二十四年度の税制の改正において、昨年見送られた地球温暖化対策のための課税の特例が提出をされております。しかし、この内容、特にエネルギーの需給勘定を見れば、多額の繰越金と不用額を毎年出しております。

 平成二十二年度決算では、繰り越しが四百二十八億円、不用額が六百五十二億円という大変膨大な額であります。にもかかわらず、今回の改正では、石油が二千四十円から二千八百円、LNG、LPGは千八十円から千八百六十円、そして、石炭は何と二倍、七百円から千三百七十円と大幅な引き上げであり、そして今年度、三百九十一億円の増収を見込んでおります。

 昨年見送られ、そして業界からも異論が出てきている中で、国民生活を直撃するこの引き上げを今なぜやらなきゃならないのか、大臣の見解をお伺いいたします。

安住国務大臣 残念ながら昨年の国会においてはこれは成立をしませんでしたが、再び出させていただくということになりました。

 地球温暖化対策のための税でございますので、税制による地球温暖化対策を強化するとともに、エネルギー起源CO2排出抑制のための諸施策を実施していくために必要な財源だと思っております。

 地球温暖化対策は、我が国のみならず、地球規模の重要かつ喫緊の課題でありますから、欧州諸国を中心とした諸外国では、一九九〇年代以降、燃料などのCO2排出源に対する課税の強化というのは進められているということでございます。

 我が国における現下のエネルギーをめぐる状況等を受け、省エネルギーの推進、また再生可能エネルギーの拡大など、エネルギー起源CO2排出抑制対策を推進していくということは重要な課題になってきているのではないかなと思っております。

 さらに、今回の地球温暖化対策のための税というのは、CO2排出量に応じて広く薄く御負担を求めるものでありますが、急激な税負担にならないよう税率を段階的に引き上げますので、先生先ほど御指摘あったような初年度の額は、そういう額になります。

 しかし、だんだんとそれは少しずつ負担をお願いしていくことになりますが、こうしたことは温暖化対策を進める上にもやはり必要な財源だと思っておりますので、ぜひ、平成二十四年度税制改正において地球温暖化対策のための税の導入というものを私どもとしては実現したいというふうに思っております。

吉泉委員 今、大臣の方からありました。確かに、私も、CO2の原因をもたらす化石燃料、この燃料に対して広く薄くそして公平に課税する、このことについては理解はしております。しかし、毎年毎年のいわゆる不用額を出しているんですよ。十七年は三千六百九十一億、十八年、十九年、二十年、そして二十一年、毎年毎年多くの額を余らせている、不用額を出している。

 こういう状況の中で、昨年政府の方として考えたわけでございますけれども、こういう一つのエネルギーの勘定、そのことを見まして、何も上げる必要はないのではないか、こういうことで見送られた、こういうふうに私は理解をしております。ですから、今回またしてもこの提案をする、こういうことに対して、大変自分としては納得がいかないわけでございます。

 そしてまた、地球温暖化対策のための課税、こういうふうに言いながらも、実際は、中身を見ますと、CO2の排出抑制対策よりも、石油業界なり燃料の業界に対する一つの支出、その部分がはっきりしない、こういう一つの不安を持っております。

 そしてまた、この安定供給対策、去年よりも大幅にまたここの対策費が大きくなってきております。この燃料の安定供給対策のいわゆる使途でございますけれども、調べてもなかなか私たちは理解ができない。ひょっとすると、業界の補助金のばらまきではないか、こういうような疑いの目も自分自身は持つわけでございます。

 その点を含めて、地球温暖化対策といいながらの燃料の安定供給対策の支出等について、使途について、経済産業大臣の方にお聞きします。

枝野国務大臣 今回負担をお願いしております地球温暖化対策のための税は、御承知のとおり、我が国の温室効果ガスの約九割を占めるエネルギー起源のCO2の排出抑制対策の抜本強化を図るということでありますので、いわゆる石石税によって負担をいただくということでございます。

 したがいまして、負担の趣旨から考えまして、その使途についても、エネルギー起源CO2の排出抑制対策の抜本強化を図るという使途で使わせていただく。つまり、省エネルギーや再生可能エネルギーの普及等を通じて、エネルギー起源のCO2の排出抑制対策に確実に充てることが、負担者であるエネルギー起源CO2のもとになる石油、石炭を使われる方の理解を得るためにも必要であるということでございます。そして、そうした趣旨の中で、今回の使途については使わせていただくという計画になっております。

吉泉委員 自分自身もそのことについては十二分理解をしながらも、薄く、広く、公平に課税をする、そういった点の中において一番大きな問題が地球温暖化対策だ、こういう一つの名目になっているわけでございます。しかし、地球温暖化対策というのは、排出源対策ばかりではなくて、吸収源対策、このことも大変重要なものでありますし、森林の部分に寄与する部分が非常に多いわけでございます。しかし、今の税の引き上げ、このことについては、森林の吸収源対策の部分については一切触れられないわけでございます。

 確かに、法的なものもあります。それぞれ石油業界なり燃料業界の方々に対する課税だ、だからこそ吸収源には使うことはならない、こういう言い方を私自身も聞いています。しかし、実際的に言えば、この分が業界にそれぞれ課税はされながらも、最終的には、それぞれ、企業やそしてまた国民生活そのものに全部転嫁をするわけでございます。

 だとするならば、一つの、余っている、さらには不用額を出しているこの金額、その分について、やはり法改正をしてまでも、森林の吸収源、この分に対する対策費としても振り向けるべきではないか、こういうふうに思っているわけでございますけれども、そのことに対してはどうでしょうか。

枝野国務大臣 先ほどもお話ししましたとおり、今回お願いをしているのは、エネルギー起源のCO2の排出に限って課税の負担をお願いするということからは、温暖化対策という意味では、CO2の排出を抑えることと、それをいかに吸収するかということ、もちろん両面が大切であるわけですが、特にエネルギー起源のCO2の排出に特化をして、そこに着目をして課税、負担をお願いしているという趣旨から考えれば、今回はエネルギー起源のCO2の排出を抑制する目的で使わせていただくということで御理解をいただきたいと思います。

 また、不用については、これはまさにさまざまな、例えば、そうしたCO2の排出に向けた投資等に対する補助などの項目が少なからず入っております。こうしたものはどうしても景気動向等によって上下をするものでございまして、逆に、そういったことをせっかくやろうとして、経済環境的にも各事業者の皆さんが可能であって申請をしているのに、予算が足りなくてできないというようなことをある程度避けて、バッファーを見なきゃならない。

 もちろん、そうしたものをいかに減らしていくか、不用というのを減らしていくかということをさらに努力しておりますが、政策的に必要がない部分が余っているというわけでは必ずしもないということは御理解をいただきたいと思います。

 その上で、森林の吸収源対策については、税制改正大綱においても、二十五年度以降の地球温暖化対策の国内対策の策定に向けて検討する中で、国全体として財源確保を引き続き検討するものとされておりまして、今後、そうした観点で政府内で検討してまいりたいと考えております。

吉泉委員 今のCO2の対策の関係は、ほとんどまだ進んでいないというふうに私は思っております。とりわけ、我が国の京都議定書の削減目標、これを世界に公約しながら、マイナス六%、こういうふうに言っているわけでございます。しかし、環境省の資料を見ると、二酸化炭素の排出量はいまだに基準比で〇・〇四%増加している、こういう数字が出てきているわけでございます。

 そんな面の中からいうならば、やはり今のCO2対策は大変重要なんだろうというふうに思っております。そうした面の中で、今大臣から言われました。しかし、それぞれのこの税制改正のPR、さらにはお願いをする内容については、あくまでも温暖化対策というふうに名目を打って、そして引き上げをお願いしたい、こういうふうに私たちに対して言ってきているわけでございます。

 ですから、私としては、今の現状、大臣の見解、このことについてはいまだちょっと不十分だというふうに思っておりますけれども、今回、毎年毎年不用額を出し、そして繰り越しを出しているこの額を、今大変な、消費税を含めて、国民生活、さらには経済が非常に状況が容易でない、そういう中においてこれを引き上げなきゃならない、このことについては私は理解できない、そのことを申し上げさせていただいて、次の項に移らせていただきます。ありがとうございました。

 次に、環境大臣の方にお伺いをさせていただきます。

 被曝の影響については、広島、長崎の経験、経過からも明らかなように、十年後、二十年後、さらには四十年後、こういうふうな状況の中でこれが明らかになる、こういうものだというふうに私は理解をしております。

 しかし、今、原発事故が起きてから一年になろうとしております。そして、県民の被曝に対する不安は日々大きくなってきております。そうした中で、政府は、データベース、基本調査、このことを通しながら、福島県民の長期にわたる健康管理とさらには治療への活用、こういうことに生かしていきたい、こういうことで健康管理のための基本調査を今実施しているわけでございます。

 しかし、今現在、回収率はたった二〇%、そして避難区域等の回収率もやっと五〇%、こういう状況になっております。この数字は、やはり今、政府や県の健康管理の進め方、さらには体制そのものに県民の信頼が得られない一つのあらわれであるのではないか、こういうふうに思っております。

 そして、若いお母さん方、まさしく甲状腺の検査、健康診断も外部被曝の検査だけであり、一番恐れているのは内部被曝、この部分に対する心配が非常に大きいんだ、こういう声が今、日増しに大きくなってきております。

 そうした中で、もう間もなく一年になろうとしているこの福島県民の健康の実態、そういうものをどういうふうに大臣として、数字が低くなっていることも含めながら、どういう見解を持っているのか、お伺いさせていただきます。

細野国務大臣 御指摘いただきましたように、福島県の皆さんの健康に対する不安、これはもう大変重大な問題でありまして、それにしっかりと応えていく対応を政府としてしていかなければならないというふうに思っております。

 そのためにも、できるだけ多くの皆さんの健康状態を把握し、そのデータを将来に向かっても生かしていく、そういう視点が極めて重要でございます。県民の健康管理調査というのはそういう視点から実施をされておりまして、中身につきましては、県民健康管理調査検討委員会というのが福島県につくられておりまして、そのもとで放射線の専門家による検討を経て決定をされておりまして、もちろん政府としても、専門家を出すなどしてさまざまな協議をして一緒にやってきている、そういう状況でございます。

 御質問のこの回答率でございますけれども、先行調査地域としております浜通りの地域につきましては、五〇%を上回っているわけであります。浜通りと、飯舘村も入っておりますが、あとは一部中通りも入っておりますが、そういう地域においては五〇%を上回っておりますが、全体としては、どうしても、例えば会津などの皆さんについてはなかなか回収率が上がってこないということもあるようでございまして、御指摘のように二一%という状況になっております。

 これは、将来に向かって回収率を上げていかなければしっかりとした健康管理をすることができませんし、また、将来に向かってどういったことがあるのかというのを全体としてもやはり把握しなければ対策も打てないということでございますので、回収率の向上というのは極めて大切であるというふうに考えております。

 そこで、その向上に向けまして、幾つかの対応をしております。例えば、書き方の説明のDVDを作成して配付したり、また、DVDというのは、これは若い方はいいですが、年配の方はそれをごらんになることが難しい方も中にはおられますので、そういった方々に対して、学生のボランティアなどによりまして訪問説明会をやったり記入支援をするなどの対応もしております。その他、マニュアルをつくったり、その意義を積極的に広報するなどに努めて、さらなる回収率の向上というものに努めてまいりたいと考えております。

吉泉委員 もう時間がなくなってきたわけでございますけれども、特に私たち社民党は、被曝手帳、このことをやはり県民に出すべきでないか、こういうふうなお話もしてきたわけでございますけれども、それにかわるものとして県民健康管理ファイル、こういう一つの方向性を出しながらやってきているわけですけれども、これもいまだにできていない、こういう状況でございます。このことをそれぞれ、県民に応える、県民の不安に寄り添う、こういう立場の中でしっかりやっていただきたい、このことを申し上げさせていただきます。

 最後に、今週の月曜日、福岡高裁で水俣病溝口訴訟の判決が出ました。国の厳格な認定基準によって患者認定の申請を却下されたのは違法、こういう状況で出されたわけですけれども、認定手続の運用の誤りを明確に指摘した判決であるというふうに私は思っております。国は、上告などせず、この判決を契機としてこれまでの認定基準や運用を改めるべきだろう、こういうふうに思います。そのことを最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて吉泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、民主党政権は一体どっちなんだというのを二点聞きたいというふうに思います。

 あらゆる問題について、前向きなのか後ろ向きなのか全然わからない、人によって言うことが違う、聞いている私たち、また国民は、一体どっちなんだというふうに思ってしまうことがたくさんあるというふうに思います。結局何にも前に進まないので、要するにこれはやる気がないということなのかな、こういうふうにも思わざるを得ない、こんな状況ではないかと思います。

 まず、政権奪取の原動力ともなったマニフェストの、国家公務員人件費二割削減についてお伺いをしたいというふうに思います。

 もともとは、今もかもしれませんが、二〇一三年度中の二割削減を目指していたはずであります。ところが、二月十日、岡田副総理が記者会見でこう話しておられるようであります。これを数で出そうとすると、それは解雇しないと、やめていただかないと数は合いませんから、それは今の公務員制度ではできないことだと思うと。これについて報道では、来年八月までの任期中の実現は事実上不可能だという認識を示した、こういうふうに大きく報じられています。

 これについて、一方、二月二十三日の予算委員会で、我が党の江田憲司幹事長が野田総理に、これは野田内閣の方針ですかとお尋ねをいたしたところ、マニフェストに書いた国家公務員人件費二割削減、これは目標として堅持をしている、また、来年八月までが任期なので、実現に向けて努力をしていきたい、こういうふうに答弁をされています。

 これは一体どっちなんだということをお聞きしたいと思うんです。国家公務員人件費二割削減のマニフェストの公約について、野田内閣として今任期中の達成を断念したという理解でよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 柿澤委員も十分わかった上で言っておられると思いますが、メディアがいろいろな発言を、勝手にタイトルをつけたりして報道しますから、余りそういったことを前提にして質問されない方がいいと思います。

 野田総理も言われているように、我々、今までも、国の業務のスリム化による定員純減と、人事院勧告に基づく給与改定、そのことに加えて今回の七・八%、そういったことで約五千億円以上の削減をしてまいりました。残る部分についても、現在私のところで、公務員の計画的な削減の推進や人事給与制度改革の推進についてさまざまな場で議論をしておりまして、二割という目標を達成するために引き続きしっかり努力をしているところでございます。

柿澤委員 つまりは、野田総理が御答弁をされたように、マニフェストに書いた国家公務員人件費二割削減、これを任期中に達成するということは堅持をしている、こういうことでよろしいですね。

岡田国務大臣 我々、総人件費で二割削減ということを申し上げているわけでございます。この目標をしっかり持って、さまざまな努力を重ねていきたいというふうに考えております。その中には、もちろん地方への移管とかそういったことも含めて、全力を挙げて目標達成に向けて努力したいというふうに考えております。

柿澤委員 私は、現状を踏まえて考えれば、印象論としては、任期中の達成を目標として堅持をするんだという野田総理のおっしゃっていることよりも、岡田副総理が記者会見でおっしゃられたように、現状なかなか達成は困難だという認識の方が、何となく、現状を踏まえて考えると、非常に正直なお話なんじゃないかな、こういうふうにも感じるんですけれども、野田総理の御答弁に歩調を合わせて、この二割削減を今後も任期中の達成を目指していくんだ、こういう御答弁でありました。

 では、提出予定の行政構造改革実行法案、こういうものがあるというふうに聞いておりますけれども、二〇一三年度までの二割削減というところを法案の中で明記するのかどうか、これもさまざまな報道が行われている状況でありますので、この点について御見解をお聞かせいただきたいと思います。

岡田国務大臣 今委員が言及されました行政構造改革実行法案、仮称だと思いますが、これは民主党の中で現在議論を行っているところだと承知しております。私もいろいろ連絡は受け、お互い認識は共有化しながら、作業は党の方で進めていただいておりますが、基本的には、これは党でまだ最終決定までいっておりませんので、私が何かそれについて言及すべきではないというふうに思っております。

柿澤委員 それでは、姿勢として、行政構造改革、こういうふうに皆さんはおっしゃっているわけですけれども、これを実行することによって二割削減を任期中に進めていく、こういう認識に岡田副総理は立っておられるということでよろしいですね。

岡田国務大臣 私は、マニフェストに書きましたように、この任期の中で総人件費二割削減という目標の達成に向けて全力を挙げていきたいというふうに考えております。

柿澤委員 それでは、その現政権の方針のとおりに二割削減をできますということで考えたといたしましょう。

 二〇一四年四月一日には、七・八%特例法案に基づく給与削減の回復措置が行われることになります。これは、直後には消費税が上がる、こういうタイミングになるわけですけれども、いずれにしても特例法案に基づく七・八%の給与削減は二年後には回復をするわけでありますので、これは私は二割削減という中には含めてはいけない数字ではないかというふうに思います。

 とすると、任期中の二割削減ということをきちんとした形で達成するためには、今後わずか一年余りの間に給与改定等で相当な額の国家公務員人件費削減を実現しなければならない、こういうことになるかというふうに思います。道半ばどころか、なかなか本当にまだまだ先が長い、こういう道のりではないかと思いますが、この短期間で一気呵成に進められるのかというふうに思いますけれども、具体的な数字で、あとどのぐらいの規模の人件費の削減を進めなければいけない、こういう状況にあるのか、お聞かせいただきたいと思います。

岡田国務大臣 委員御指摘の点は、二十六年度からの給与水準がどうなるかということかと思います。

 このことは、我々は今、法案を国会に提出して御審議をお願いしているわけでありますが、我々は、人事院勧告制度を廃止する、そして国家公務員の人事給与制度全般を所管する公務員庁を設置して、そこで基本的に労使交渉の中で給与を決める、こういうふうに考えているわけであります。

 そういうこともあって、その後の給与水準がどうなるかということは労使交渉に委ねられるわけですから、現段階で政府の人間である私がどうなるということは言えないということでありますが、私は、それはそのときの労使がしっかりと交渉されて国民の納得できる水準が決まってくる、そういうふうに考えているところであります。

柿澤委員 岡田副総理はこうおっしゃっているわけです。二割削減には国家公務員を解雇しないと、やめていただかないと数が合わない、こういうふうにおっしゃっているわけですが、今お話をされた民主党政権における国家公務員制度関連法案ですが、この公務員制度改革の法案はそういう内容になっていないのではありませんか。

 与野党合意に基づいてつくられた国家公務員制度改革基本法の趣旨を全く踏み外して、労働協約権付与による労使交渉で、給料は下がり得るけれども、上がる可能性もある、公務員庁なる役所をつくって労使交渉に当たらせる。全てが違うとは言いませんけれども、しかし、当初、基本法で想定されていたようなパッケージとは全く違う法案になってしまっているというふうに思うんです。この法案が通れば二割削減が実現できる、そういう内容になっているとは到底、私たちから見ると思えない、このように思います。

 その点で、私たちは、当初の基本法に基づく国家公務員法改正案等のパッケージ、霞が関改革関連法案というものを、自民党、みんなの党の共同提案で国会に提出したこともありますけれども、こうした方向に基づく法案を、やはり基本法に基づいて成立させていく、このことこそがやはり本来の二割削減、公務員人件費削減に向けた道筋ではないかというふうに思いますが、御見解をお願いします。

岡田国務大臣 現在の国家公務員基本法の中でも、団体交渉によって給与水準が決まるということは認められていることだというふうに思います。ですから、我々も含めて三党で合意して今でき上がっている国家公務員基本法のパッケージと、我々がそれをもとにして御提案している公務員改革四法案のパッケージと、具体的にどこが違ってどこが問題なのかというところをぜひ御指摘いただきたいと思うんです。

柿澤委員 ここについて、あと四分というところで全てを申し上げるということにはなりませんが、いずれにしても、私たちは、本当の与野党合意に基づいて、基本法を通して、そしてこれこれの法案をこの年限までに通していくということをやってきたわけですから、その道筋に戻って議論をすべきだ、このことを申し上げておきたい、このように思います。

 厚労大臣にお見えをいただいておりますので、お伺いをしたいと思います。

 訪問看護ステーションの一人開業の件について、きょうはお伺いをしたいと思います。

 常勤換算二・五人が開設要件となっている訪問看護ステーションについて、一人開業を認めて、ただでさえ全国で足りない訪問看護ステーションの担い手を、裾野を広げようという提案がかねてから行われてまいりました。昨年三月の行政刷新会議、規制仕分けにおいて、一定の要件のもとでこれを認める、こういう評価結果も出されています。

 いつ、どのような形で、この一人開業を認める予定であるのか、厚労大臣にお伺いをしたいと思います。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、訪問看護ステーション、これは開業要件として二・五人の看護師配置ということになっていますけれども、現在、震災の状況を受けて、これは昨年四月に、きょうまでですけれども、平成二十四年二月二十九日までの間、被災地に限ってですが、特例的な扱いとして、各市町村の判断によって、看護師一人での訪問看護ステーションの開業を認めるという特例省令を制定しています。

 今委員がおっしゃいました規制仕分けの結果を受けて、内閣府行政刷新会議規制・制度分科会の追加方針、これを踏まえまして、昨年七月二十二日に、一定の要件のもとで人員基準の見直しについて検討をし結論を得る、なお、その見直しに当たっては、特例措置の実施状況を踏まえ検討すると閣議決定をされています。

 現在、この特例省令に基づきまして、福島県の福島市で一件の申請が受理されています。各自治体の御意見も踏まえまして、対象地域を岩手県、宮城県、福島県に限定した上で、この対象期間を九月三十日まで延長いたしました。

 これからこの訪問看護ステーションの人員基準の見直しに当たりましては、閣議決定をしたとおり、この特例措置の実施状況を踏まえた上で、しっかりと検討をしていきたいと思っています。

柿澤委員 この特例措置は、今おっしゃったように、被災三県に絞って六カ月間の延長を認められたわけですけれども、これまでの間に十数件の申請があり、しかし受理されたのは福島市一カ所だけ、こういう状況になっています。

 この先、半年間延長されたとしても、申請されたら門前払い、こういうことが繰り返されて、やはりだめですね、ニーズがありません、規制改革はなし、こんな結論になってしまっては、何のために特例措置の実施状況も踏まえて検討だというふうに閣議決定されたのかわからなくなってしまうというふうに思うんです。

 昨年八月の厚生労働委員会でも、やはり申請がなかなか受理されない、こういう状況を御指摘申し上げて、もう一度実情を精査して、懸念のようなことがないように適切に対応させていただく、こういう大塚厚労副大臣の御答弁もいただいています。こうした点を踏まえて、ぜひ今後の実情を精査して対応をお願いしたいというふうに思っております。御答弁をいただければと思います。

小宮山国務大臣 それは決してそんな門前払いをしているということではございません。ただ、やはりこれは命を預かるということもありますので、そこはしっかりと、安定的な、そして迅速な対応ができるかどうかをちゃんとチェックするということで、しっかりとこれからまた半年間の間にそれを進めていきたいというふうに思っています。

柿澤委員 時間も参りました。一点、質問ができなかったんですけれども、失礼をいたしました。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明三月一日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.