衆議院

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第20号 平成24年3月6日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十四年三月二日(金曜日)委員長の指名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。

 第一分科会(皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項)

   主査 武正 公一君

      今井 雅人君    岸本 周平君

      橋本 博明君    石破  茂君

      山本 幸三君

 第二分科会(総務省所管)

   主査 若泉 征三君

      杉本かずみ君    中井  洽君

      仁木 博文君    赤澤 亮正君

      阿部 知子君

 第三分科会(法務省、外務省及び財務省所管)

   主査 西村智奈美君

      金森  正君    鉢呂 吉雄君

      花咲 宏基君    金田 勝年君

      野田  毅君

 第四分科会(文部科学省所管)

   主査 若井 康彦君

      馬淵 澄夫君    室井 秀子君

      湯原 俊二君    馳   浩君

      東  順治君

 第五分科会(厚生労働省所管)

   主査 笹木 竜三君

      江端 貴子君    山崎  誠君

      渡部 恒三君    橘 慶一郎君

      高木 陽介君

 第六分科会(農林水産省及び環境省所管)

   主査 佐々木隆博君

      近藤 和也君    山岡 達丸君

      小里 泰弘君    内山  晃君

      松木けんこう君

 第七分科会(経済産業省所管)

   主査 石関 貴史君

      玉木雄一郎君    山田 良司君

      伊東 良孝君    小池百合子君

      笠井  亮君    中島 正純君

 第八分科会(国土交通省所管)

   主査 村越 祐民君

      打越あかし君    大西 健介君

      櫛渕 万里君    金子 一義君

      佐田玄一郎君    山内 康一君

平成二十四年三月六日(火曜日)

    午前八時五十一分開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      石関 貴史君    今井 雅人君

      打越あかし君    江端 貴子君

      大西 健介君    岡田 康裕君

      岡本 充功君    金森  正君

      岸本 周平君    櫛渕 万里君

      近藤 和也君    佐々木隆博君

      杉本かずみ君    玉木雄一郎君

      中屋 大介君    仁木 博文君

      橋本 博明君    畑  浩治君

      花咲 宏基君    馬淵 澄夫君

      村越 祐民君    室井 秀子君

      山岡 達丸君    山崎  誠君

      山田 良司君    湯原 俊二君

      渡部 恒三君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      金子 一義君    金田 勝年君

      小泉進次郎君    佐田玄一郎君

      齋藤  健君    塩崎 恭久君

      平  将明君    橘 慶一郎君

      丹羽 秀樹君    野田  毅君

      馳   浩君    坂口  力君

      東  順治君    笠井  亮君

      内山  晃君    渡辺浩一郎君

      阿部 知子君    照屋 寛徳君

      江田 憲司君    山内 康一君

      中島 正純君    浅野 貴博君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           岡田 克也君

   財務大臣         安住  淳君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   防衛大臣         田中 直紀君

   国務大臣

   (郵政改革担当)     自見庄三郎君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   古川 元久君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月五日

 辞任         補欠選任

  岸本 周平君     三宅 雪子君

  花咲 宏基君     玉城デニー君

  馬淵 澄夫君     玉置 公良君

  橘 慶一郎君     河野 太郎君

  阿部 知子君     照屋 寛徳君

  玉置 公良君     初鹿 明博君

  小里 泰弘君     柴山 昌彦君

  金田 勝年君     あべ 俊子君

  照屋 寛徳君     中島 隆利君

  玉城デニー君     阪口 直人君

  渡部 恒三君     空本 誠喜君

  伊東 良孝君     秋葉 賢也君

  東  順治君     高木美智代君

  中島 隆利君     服部 良一君

  打越あかし君     矢崎 公二君

  三宅 雪子君     本村賢太郎君

  河野 太郎君     橘 慶一郎君

  野田  毅君     城内  実君

  内山  晃君     斎藤やすのり君

  山内 康一君     柿澤 未途君

  玉木雄一郎君     平  智之君

  橋本 博明君     小野塚勝俊君

  金子 一義君     小野寺五典君

  高木美智代君     遠山 清彦君

  斎藤やすのり君    小林 正枝君

  阪口 直人君     道休誠一郎君

  空本 誠喜君     藤田 大助君

  遠山 清彦君     赤松 正雄君

  小林 正枝君     渡辺浩一郎君

  服部 良一君     重野 安正君

  柿澤 未途君     山内 康一君

  道休誠一郎君     磯谷香代子君

  山岡 達丸君     石山 敬貴君

  山崎  誠君     中林美恵子君

  秋葉 賢也君     伊東 良孝君

  杉本かずみ君     緒方林太郎君

  藤田 大助君     後藤 祐一君

  本村賢太郎君     橋本  勉君

  城内  実君     井上 信治君

  赤松 正雄君     石田 祝稔君

  石山 敬貴君     岡本 英子君

  小野塚勝俊君     菅川  洋君

  柴山 昌彦君     小里 泰弘君

  石田 祝稔君     稲津  久君

  笠井  亮君     穀田 恵二君

  渡辺浩一郎君     渡辺 義彦君

  磯谷香代子君     井戸まさえ君

  橋本  勉君     長島 一由君

  初鹿 明博君     熊田 篤嗣君

  稲津  久君     大口 善徳君

  穀田 恵二君     笠井  亮君

  山内 康一君     柿澤 未途君

  緒方林太郎君     小室 寿明君

  平  智之君     坂口 岳洋君

  中林美恵子君     山崎  誠君

  室井 秀子君     石原洋三郎君

  山本 幸三君     近藤三津枝君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

  熊田 篤嗣君     浜本  宏君

  大口 善徳君     稲津  久君

  高橋千鶴子君     佐々木憲昭君

  渡辺 義彦君     中後  淳君

  菅川  洋君     神山 洋介君

  あべ 俊子君     金田 勝年君

  小野寺五典君     北村 茂男君

  稲津  久君     古屋 範子君

  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君

  中後  淳君     石田 三示君

  重野 安正君     吉泉 秀男君

  柿澤 未途君     山内 康一君

  井戸まさえ君     山尾志桜里君

  坂口 岳洋君     山本 剛正君

  浜本  宏君     永江 孝子君

  近藤三津枝君     長島 忠美君

  佐田玄一郎君     永岡 桂子君

  古屋 範子君     江田 康幸君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

  神山 洋介君     皆吉 稲生君

  後藤 祐一君     向山 好一君

  北村 茂男君     丹羽 秀樹君

  吉井 英勝君     宮本 岳志君

  石田 三示君     内山  晃君

  吉泉 秀男君     服部 良一君

  石原洋三郎君     森山 浩行君

  岡本 英子君     高邑  勉君

  櫛渕 万里君     高橋 英行君

  小室 寿明君     杉本かずみ君

  長島 一由君     小山 展弘君

  皆吉 稲生君     高井 崇志君

  向山 好一君     柴橋 正直君

  山本 剛正君     加藤  学君

  江田 康幸君     大口 善徳君

  服部 良一君     阿部 知子君

  小山 展弘君     畑  浩治君

  高橋 英行君     石井登志郎君

  高邑  勉君     宮崎 岳志君

  永江 孝子君     吉田 統彦君

  森山 浩行君     室井 秀子君

  矢崎 公二君     柳田 和己君

  宮本 岳志君     赤嶺 政賢君

  内山  晃君     豊田潤多郎君

  松木けんこう君    石川 知裕君

  石井登志郎君     櫛渕 万里君

  加藤  学君     玉木雄一郎君

  柴橋 正直君     渡部 恒三君

  高井 崇志君     橋本 博明君

  畑  浩治君     岸本 周平君

  宮崎 岳志君     山岡 達丸君

  柳田 和己君     打越あかし君

  山尾志桜里君     花咲 宏基君

  吉田 統彦君     馬淵 澄夫君

  井上 信治君     野田  毅君

  永岡 桂子君     佐田玄一郎君

  長島 忠美君     山本 幸三君

  丹羽 秀樹君     金子 一義君

  大口 善徳君     東  順治君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

  豊田潤多郎君     内山  晃君

  石川 知裕君     松木けんこう君

同月六日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     岡本 充功君

  馬淵 澄夫君     畑  浩治君

  室井 秀子君     岡田 康裕君

  伊東 良孝君     塩崎 恭久君

  小里 泰弘君     齋藤  健君

  橘 慶一郎君     平  将明君

  山本 幸三君     丹羽 秀樹君

  東  順治君     坂口  力君

  内山  晃君     渡辺浩一郎君

  阿部 知子君     服部 良一君

  山内 康一君     江田 憲司君

  松木けんこう君    浅野 貴博君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     室井 秀子君

  岡本 充功君     櫛渕 万里君

  畑  浩治君     中屋 大介君

  齋藤  健君     小里 泰弘君

  塩崎 恭久君     伊東 良孝君

  平  将明君     小泉進次郎君

  丹羽 秀樹君     山本 幸三君

  坂口  力君     東  順治君

  渡辺浩一郎君     内山  晃君

  服部 良一君     照屋 寛徳君

  江田 憲司君     山内 康一君

  浅野 貴博君     松木けんこう君

同日

 辞任         補欠選任

  中屋 大介君     馬淵 澄夫君

  小泉進次郎君     橘 慶一郎君

  照屋 寛徳君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算

 主査からの報告聴取


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、各分科会主査から、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。

 第一分科会主査武正公一君。

武正委員 おはようございます。

 第一分科会について御報告申し上げます。

 その詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主な質疑事項について申し上げます。

 まず、内閣所管については、歳入庁創設の見通しなど、

 次に、内閣府所管については、沖縄振興一括交付金のあり方、証券取引等監視委員会の調査のあり方、金融・証券税制の問題点、市街地の液状化対策への支援の必要性など、

 次に、防衛省所管については、今後の防衛力整備の方向性、防衛装備品の適切な調達方法など、

 次に、復興庁所管については、東日本大震災復興交付金の配分基準などでありました。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第二分科会主査若泉征三君。

若泉委員 第二分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、地方公共団体の公会計制度改革への取り組み、社会保障・税一体改革における地方への財源措置の必要性、市街化区域内農地の固定資産税のあり方、無線通信回線の安定確保、災害時等の消防力の充実強化等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第三分科会主査西村智奈美さん。

西村(智)委員 第三分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑項目は、司法制度改革の現状と課題、法制度における女性差別の現状、子の引き渡しの審判に係る問題点、ODA予算の配分のあり方、第三国定住難民支援の問題点、平成二十四年度税制改正に係る論点等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第四分科会主査若井康彦君。

若井委員 第四分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、科学技術振興への取り組み、少人数学級及び教職員の定数のあり方、大学改革の方向性、重要文化財建造物の防災対策、奨学金制度のあり方、教育相談体制の整備の必要性等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第五分科会主査笹木竜三君。

笹木委員 第五分科会について御報告します。

 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行いました。

 詳細については会議録に譲りますが、その主な質疑事項は、年金制度について並びに年金記録問題への対応、医師不足解消に向けた取り組み、精神科医療のあり方、肝炎対策の拡充、生活保護制度見直しの必要性等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第六分科会主査佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 第六分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、TPP交渉参加と国内農林業の保護、戸別所得補償制度の法制化の必要性、原発事故に伴う農産物の風評被害対策、東日本大震災被災地の漁業及び水産加工業の復旧状況、被災動物の救済、保護の促進、水俣病患者救済施策の推進等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第七分科会主査石関貴史君。

石関委員 第七分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、我が国の半導体産業のあり方、今後のTPP交渉の行方、原子力発電コスト試算の見直しの必要性、メタンハイドレートの国内開発の推進、中小企業に対する経営支援のあり方、地域間における連系送電網の強化等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 第八分科会主査村越祐民君。

村越委員 第八分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、鉄道、港湾、河川整備の推進、離島保全のための法整備の必要性、本州四国連絡道路における地元負担の軽減策、ニュータウン再生への取り組み、空き家撤去に係る国の指針策定の必要性、災害対策としての道路整備の重要性等々であります。

 以上、御報告申し上げます。

中井委員長 以上をもちまして各分科会主査の報告は終了いたしました。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

中井委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより社会保障(年金を含む)と税などについての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本充功君。

岡本(充)委員 おはようございます。

 きょうは、時間をいただきましたことを、委員長、理事、そして委員の皆様方に感謝申し上げたいと思います。

 限られた時間でありますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、この一月の三十日に出ました日本の人口推計の新しいもの、これをもとに、今後日本の人口がどう変わっていくか、それを皆さんにお示ししたいと思います。

 一枚目のボードをごらんいただきたいと思います。

 ここにもありますように、日本は二〇〇五年を底にして合計特殊出生率が上に向いてきた、上になってきたということでありますけれども、残念ながら、まだまだ一・三台ということで、人口が伸びていくというところまではいきません。そんな中、これからどうなってくるか。本当に厳しい胸突き八丁をこれから歩いていかなければなりません。

 二〇一〇年の現時点において、赤い、いわゆる仕事をするであろう年齢、十五歳から六十四歳の皆さん方はこれだけの割合いますが、残念ながら、これから先、この赤い人口層がどんどん減っていく。そして、ここに書いてありますように、二〇四二年には六十五歳以上の人口がピークを迎え、そこから先は、紫の矢印の線を見ていただきますとおわかりのように、高齢化率のピークは四〇%を超えて高どまりをしていく。そして、現時点が、紫のグラフがまさに急峻に伸び上がっている、こういった場所であります。

 そういう意味では、これから大変厳しい年月を日本は過ごしていかなければならない、こういう状況にあるわけでありまして、この中で社会保障をどうしていくかというのが大変重要な課題になってくるわけであります。

 私も、厚生労働委員会に所属をする中で、こういった問題はかねてより意識をしてまいりましたし、そういった意味で、これから先どれだけの社会保障が必要になってくるのか、今議論になるのは当然だと思っています。

 二枚目のボードを見ていただきたいと思います。

 二枚目のボードは、人が生きていく中で、一体、社会保障をどのように必要とし、そして受け取っていくのか、さらには、下側は負担でありますが、この負担をどのくらいお支払いになられているのか、こういったことを、横軸が年齢、縦軸が金額であらわしたものであります。

 生涯で見ますと、ここで改めて確認をしたいのは、当然のことだと皆さん思われるかもしれませんが、六十歳以降は、ピンク色の老齢年金、年金の受け取りが大きな金額を占めていく。また、紫色の医療は、全年齢を通じて一定程度の受け取りがあるものの、やはりこれも、高齢化する中、八十歳を超えていくとさらにその金額はふえていく、こういった絵姿になっているということであります。

 一方で、注目をしなければならないのは、若年齢の皆さんもかなりの給付を受けているということを皆さんにぜひ御理解いただきたいと思います。

 人の人生が、これから高齢化をしていく、長寿化をしていく中で、八十五歳だとすれば、最初の二十二年から二十五年は、こうやって見ていただきますと、給付の方が上回る時代が続きます。一方で、六十歳からまた給付がふえていく、こういう時代が続くわけであります。実質的に、二十二歳から二十五歳ぐらいから六十歳ぐらいまでの、いわゆる先ほどお示しをしました十五歳から六十五歳と言われる層の皆さん方が負担が重くなり、人間としては、二十代半ばから六十ぐらいまででこの負担をし、そして自分が育ててもらった二十過ぎまでの時間と六十を過ぎてからの時間を皆さんのお世話になる、これが人間の姿だということでありまして、実質的に負担をしている三十五年間、そしてその後五十年ぐらいを皆さんのお世話になる時間、こういった割合になっている。

 そういう意味では、実質的な働く時間でありますこの三十五年から四十年ぐらいの時間が大変厳しいと言われるのもやむを得ないものがあるのかな、私はこのように思っているわけであります。

 そんな中で、年金につきましては、御案内のように、今百十兆円近い積立金を持って運用しています。当然のことながら、年金は、高齢になりますと、掛金を払わずに一〇〇%受け取り、こういうことになるわけであります。

 また、医療は、実は高年齢になっても保険料を払ったり、また窓口負担を払うということもあって、高年齢になっても負担をするんだとはいっても、実は給付と負担の割合は著しく偏ってくる。つまりは、負担をするお金が少なくなり、そして給付の方が圧倒的に大きくなる、こういう構図になっていくことが明らかであります。

 一例を挙げますと、例えば、八十五歳までいくと、お一人の受け取る一年間の医療費が九十六万五千円。一方で、年間で窓口や保険料で御負担をいただくのは十三万四千円。差し引きすると、八十万円ぐらいが給付増、給付の方に多いということになります。

 一方で、では、四十歳の方はどんなものかということでお話をしますと、四十歳の方は、受けられる医療は年間十二万八千円、平均ですけれども。一方で、御負担は二十七万円。そういう意味でいうと、二十七万円払って十二万八千円の医療を受けているということであれば、やはり負担感は強い、こういうことになってまいります。

 したがいまして、必ずしも、健康保険は高年齢になっても保険料を払うから年金と違うんだという話だけではないと思います。一年間で使い切ってしまう健康保険、これには積立金がありません。したがって、よく騎馬戦型と言われる三人で支える高齢者一人、今の絵姿、そして、二〇五〇年ごろには肩車型、一人で一人を支えるということになりますと、一年間で必要な医療費をその一人の若い人が払わなきゃいけないという状況が来るのではないかという危惧も持つわけであります。

 そういった中で、改めて確認をしたいわけでありますけれども、厚労大臣にお伺いをしますが、年金には積立金をつくってきて、そして、上に乗っている高齢者の方、騎馬戦であれ肩車であれ、上に乗っている高齢者の方は、御自身が過去に払ってきた年金の積立金で一定程度負担を軽くするべく浮いてもらっているわけでありますけれども、一方で、健康保険や介護保険は単年度で使い切りであって、結果として、これから先も毎年毎年、その年に必要なお金を現役世代が払わなきゃいけないという仕組みになっている理由はどのようなものがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 今委員御指摘のように、年金は積立金、医療保険制度、介護保険制度はそうなっていないということは、医療保険制度、介護保険制度というのはその保険者が分かれていて、年齢、職業、住んでいる地域などでばらばらな制度であるということが一つ。それから、年金と異なって、今御紹介いただいたように、高齢者も保険料とか窓口負担を負担することで保険制度の支え手になっている。こういうことから、一年から三年の短い期間で、短期保険という形で回しているという実態がございます。

 それからまた、医療や介護の費用がふえているというのは、高齢化ももちろん大きな要因ですけれども、そのほかに、やはり医療が高度化をしている。それから、介護についても、以前は大家族で、家族の中で見ていましたけれども、そうでないことも含めて、介護サービスが充実をしてきている。こういうことから、そのサービスを受ける、あるいは医療を受ける方が、それに伴って保険料をお払いになって、それを上げていくということの方が払う方の御理解が得られるのではないか、そういうことがあります。

 また、医療保険、介護保険で多額の積み立てを持ってそれを運用するというのはいかがなものかということもございますので、これはもちろん、高齢者の皆さんに医療などをもっと御負担いただくという検討もさせていただいていますが、これを、医療保険制度、介護保険制度を積み立ててやるということは慎重に考える必要があるかと思っています。

岡本(充)委員 当然、積み立てでやるということになると、新たな負担のお金が出てくるということもあります。しかし、このボードでもお示しをしましたけれども、高年齢になると、どうしても医療もより必要性が高まってくるという実態を踏まえつつ、そしてまた、年金などはマクロ経済スライドがあり、実質的にこれから先の伸びが一定程度に抑えられるのに対して、毎年一兆二千億円とも言われる社会保障の伸びの多くを医療、介護が占めているという状況を踏まえて、やはり検討をする必要もあるのではないかというふうには思っています。

 つまり、今いる、今生きている人たちで、これから先は胸突き八丁だと言いました。その社会保障をどう支えていくかというのは、これから、まずはこの社会保障と税の一体改革がなし遂げられた上でありますけれども、次の課題としてやはり出てくるんだろうと思っています。

 あわせて、最後のボードをちょっとお示しをしたいと思いますが、民主党のマニフェスト、さまざまお約束をしてきた中でありますが、やはり子育て世代により支援をしていきたいということでこれまで取り組んできました。

 ここにもあります、中学生と高校生の子供さんがいらっしゃる御家庭においては、年収四百万、五百万、七百万となっていますが、この収入、四百万、五百万、七百万それぞれで、二十二年のいわゆる改正前の税と手当の状況というのはどうかということでいいますと、中学生、高校生の御家庭では、これまで、二十二年改正までは基本的に手当がありませんでしたから、税がそのまま負担ということで、赤い棒となっています。右側ですね。そして、矢印を経て、二十二年改正を経ると、こうやって手当が出て、実質的な税負担というのは大きく下がっている。もちろん、税金の負担はふえているように見えますが、そこにいわゆる子供に対する手当や高校の実質無償化が加わって、このように大きく改善をしているということも、ぜひテレビを見ている皆さんにも御理解いただきたいと思っています。

 高校無償化も、そして子どものための手当も、これからまた議論があるとは承知をしていますが、こういった事実関係を踏まえながら、もちろん、受けていない皆さんにも御理解いただきたいと思っています。

 最後になりますけれども、こういった社会の実情を踏まえつつ、社会保障と税の一体改革を進める中で、私はやはり避けて通れないのが貧困化、貧困対策だと思っています。

 そういう意味で、その一つにもなるかもしれないと思っていますのが、いわゆる短時間労働者への社会保険の適用拡大、そしてまた、もう一つは、貧困対策とは必ずしも言えませんけれども、いわゆる厚生年金と共済の一元化の問題、被用者年金の一元化の問題。これについて、私はやはりこの社会保障と税の一体改革の中で打ち出していくべきではないかというふうに考えるわけでありますが、総理、岡田副総理、そして財務大臣、それぞれの御見解をいただければ幸いであります。

安住国務大臣 おはようございます。

 被用者年金の一元化は非常に重要な課題だというふうに思っております。今、私どもとしては国家公務員共済制度を所管しておりますけれども、厚労省ともよく相談しながら、法案の提出等に向けて関係の調整というものをこれから鋭意行っていきたいと思っております。

岡田国務大臣 被用者年金の一元化につきましては、今財務大臣が言われたとおりであります。早急に取り組んでいかなければいけない課題であり、現在、政府の中でいろいろ調整を行っているところであります。

 それから、短時間労働者への社会保険適用拡大につきましても、短時間労働者であっても通常の労働者と同じ社会保険を適用して、働き方に中立的な制度を目指さなければいけない。そして、短時間労働者が国民年金よりも低額な保険料で、将来、基礎年金に加え厚生年金の給付を受けられるようにするということは、格差是正という観点からも重要であります。

 党の方でもいろいろ御議論いただいているところでありますが、早急に国会に法案を提出したいというふうに考えているところでございます。

野田内閣総理大臣 被用者年金の一元化と短時間労働者への社会保険適用拡大の意義は、今、副総理と財務大臣の御説明のとおりでございます。

 今回、一体改革は、社会保障の充実と安定化に必要な法改正を順次法改正として提案していくということと、あわせて、年度内にそれを支える安定財源をつくるための税制の抜本改革の法案を提出する。それをあわせて一体として行っていくということでありますが、今申し上げた二つはその大事な柱でございますので、今細部の詰めを行っておりますけれども、成案を得て、法案を提出できるように努力をしていきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 先ほどもお話をしましたけれども、日本の社会保障は世界に冠たるものがあると私は思っていますので、これをさらにいいところを伸ばしていくような改革を、党でも、また政府でも続けていく、こういう決意を私も述べさせていただいて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、江端貴子さんから関連質疑の申し出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江端貴子さん。

江端委員 民主党の江端貴子です。

 本日は、社会保障と税の集中審議におきまして質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 社会保障といいますと、私がライフワークとしております介護制度について質問したいところでございますが、時間が限られておりますので、少し大枠の質問をさせていただきたいと思います。

 社会保障制度は、従来、年金、医療、介護といった、医療は全国民を対象とはしておりますけれども、どちらかといえば高齢者の方々に対するサービスをどうするのかといったことが中心に議論をされてきました。

 今回の社会保障制度と税の一体改革では、この年金、医療、介護の三分野に加えて、子育て支援や若者の就労支援を四つ目の柱にし、若年層や壮年層が高齢者の方々を支えるだけではなくて、全世代が参加しお互いに支えていく、未来へ投資していく、これが改革のポイントの一つでございます。

 そこで、この子育て支援の中心となりますのが、お手元の資料の一枚目にあります子ども・子育て新システムの創設です。待機児童の解消、幼稚園、保育園のそれぞれのよさを持つ、そしてまた待機児童の解消や幼稚園の定員不足の解消にもつながるようなこども園の創設、いわゆる幼保の一体化、そしてまた、さまざまな地域での子育て事業への支援が含まれております。

 小宮山厚生労働大臣は、長年にわたって、この子育て支援に取り組まれてきました。今回のこの制度に対する思いと、まずは平成二十四年度に当たって何から取り組まれるのか、お伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃっていただいたように、子ども・子育てにもしっかりと手厚くやっていこうということが今回の社会保障改革の大きな柱です。

 その中で、子ども・子育て新システムは、御紹介いただいたように、まず私たちは、経済的負担が持ちたい子供を持てない原因だということで子ども手当に取り組みましたが、あわせて、子供の居場所をつくらなければいけない。就学前の全ての子供たちが、親が働いているかどうかにかかわらず、質のよい学校教育と保育を受けられる総合こども園、これを、消費税を御理解いただいたら、その中の予算で、インセンティブをかけて手挙げ方式で、なるべく早く総合こども園に、保育所はほとんどなると思いますし、幼稚園も多くのところがなっていただきたい。

 あわせて、地域によっていろいろ実情が違いますので、例えば、過疎の方の地域でも、隣の市町村と一緒になって総合こども園という、そういう名前のもとに、いろいろな細かい仕組みなどもあわせ持つような形にしたい。

 そこで、いろいろ地域でNPOの皆さんなどが子育て支援をしていらっしゃること、あるいは小規模の保育をしていらっしゃるところも基準を満たせば財政支援をして、しっかりと子供を地域でいろいろなところで育てられる環境をつくっていきたいというふうに思っています。

 それで、二十四年度は、やはり安心こども基金に盛り込みました待機児の先取りプロジェクトなど、この新システムが動くまでも、今、力を入れて、この政権でしっかりと子供たちの居場所をつくることに努めていきたいと考えています。

江端委員 引き続き、野田総理に伺います。

 総理は、昨年の十月に横浜市の認定こども園を視察され、園児たちとも交流されたことが大きく報道されました。今回の本システムに対する総理の決意をお聞かせいただければと思います。

野田内閣総理大臣 子供は社会の希望であり、そして未来をつくる力だと思います。しかし、残念ながら、現状は、安心して子供を産み、そして育てられる環境か、あるいは預けられる環境かというと、そうではないところが問題だと思います。

 合計特殊出生率はやや改善の兆しがありますけれども、まだまだだと思うんです。その上で、社会保障の中で、これまでは、年金、医療、介護、そういうところの給付が中心でございましたけれども、きちっと若い世代、子育て世代もサポートしなければいけない。それを柱にするというのが今回の社会保障改革のまさに一丁目一番地、全世代対応型の社会保障に転換しようということでございます。

 子ども・子育て新システムについては、今厚労大臣から御説明がございましたけれども、今回、税制の改正の法案と同時に、これに関連する法案を提出させていただきたいというふうに思います。

 重ねて申し上げますけれども、社会保障の改革の中の一丁目一番地です。これを何としてもなし遂げたいというふうに思っております。

江端委員 人生前半の社会保障に重点を置いていくという、非常に力強い御答弁をいただきました。

 さて、社会保障制度の現行制度の継続と、こうした機能の拡大、充実に向けて、財源として議論されているのが消費税です。

 消費税については、まずはやるべきことがあるだろう、こういった意見を多くいただきます。無駄の削減、天下りの廃止、みずからの身を切る覚悟、こういった意見の中で、今、公務員の給与七・八%の引き下げは、与野党の皆さん方の協力により、法案が成立いたしました。さらなる人件費の削減、特別会計の見直し、あるいは独立行政法人の見直しなどは、今、岡田副総理のもとで議論が行われております。また、議員定数の削減や歳費の削減については、与野党の協議会で協議が行われております。こうした動きを目に見える形で国民の皆さんにも知らせていかなくてはならないと思います。

 社会保障制度を持続可能な制度にしていくためには消費税の導入もいたし方ないとおっしゃる方でも、次によく出る話が、それでも生活必需品は据え置いてほしい、あるいは、食品だけでも税率を下げてくれないかといったお話もお聞きいたします。

 お手元の二枚目の資料をごらんください。これは、諸外国における食料品に対する軽減税率の適用例です。

 左は、ぜいたく品か否かの違いということで、フランスでは、世界三大珍味と言われている三つのうち、キャビアだけが高い税率、そして、フォアグラとトリュフは低い税率となっております。これはフォアグラとトリュフは国内産業を保護するために軽減税率が適用されているのではないかとも言われております。また、マーガリンは高くて、バターは低い。これもバターを製造する酪農家を保護するためと言われています。

 右側は、外食と食料品の違いということで、イギリスやドイツ、カナダが適用いたしておりますが、イギリスでは、テークアウトは税率が高いけれども、総菜はゼロ。逆に、ドイツは、店内で食べれば高いけれども、テークアウトは低い。また、カナダでは、ドーナツの個数によって税率を変えている。

 こうやって見ていますと、この線引きが非常に難しいとも思われますし、この基準をめぐって利権が生じやすいのではないかといったことも党内でも議論がございました。

 閣議決定された大綱では単一税率としているところですが、財務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

安住国務大臣 今、江端さんから御紹介のあったその表を見てもわかるとおり、例えばフランスのチョコレートは、普通のチョコレートだと約二〇%、板チョコだと五・五。やはりこれは、商品によってこういう分け方をしていくというのは、導入から長い経過、経緯を踏まえて、丁寧にやっていって初めてでき上がってくる、いわゆる国々の文化が反映するものだと思います。

 言わんとするところは、多分、低所得者の皆さんへの配慮をどうやってやるかということの、これは一つの方法だと思うんですね。それからいうと、一つ懸念をしているのは、実は、食料品へのこういう軽減税率というのは、所得の高い人ほど食料品を買うわけですね。ですから、所得の高い人ほど実はその恩恵を受ける可能性もあるんです。ですから、そういう点では、所得の低い方々への配慮の仕方というものは、例えば給付つきによる配慮とか、さまざまなやり方があると思います。

 それから、所要財源、かかる経費ですね、これもやはり算定をすればかなり大きくなる可能性もあるわけです。それから、やる側の事業者も、そういう意味では非常に手続上の難しさもあると思います。

 私は、全く否定をしているのではなくて、プラス、マイナスがあるという指摘だと思うんですね。

 それから、やはり日本の国において、どの物品を安くして、どれを例えばそのままにするかということについては、その区分の不公平感、江端さんもおっしゃいましたけれども、これをやはりクリアしていくということも重要だと思います。

 ですから、そういう点からいうと、さまざまな課題がありますのと同時に、やはり基準税率が大体一五%以上の国で実はこの配慮というのは行われているんですね。そうした点からいうと、今回は一〇%を提案させていただいておりますが、その中において、我が国においては単一税率で、むしろ低所得者の皆さんに対して、給付つき税額控除等で例えば直接現金を給付したり、そういうことで配慮していきたいというふうに思っております。

江端委員 今、低所得者の方々には給付つき税額控除などを考えるというお話もありました。この件については次の岡田委員も御質問されるかもしれませんので、次の質問に移ります。

 もう一つ、消費税で言われるのは、格差是正の問題です。消費税のような、みんなで負担する税だけではなくて、富裕層の方々にもう少し負担をしてもらったらという声も上がります。リーマン・ショック以降、欧州でも富裕層に対する課税強化の動きが見られますが、この点についての御見解はいかがでしょうか。

五十嵐副大臣 委員御指摘のとおり、今、長年のフラット化ということで所得の再分配機能が衰えている上に、この消費税がもし上がるということになりますと、これは低所得層に比較的重いということになりますので、所得再配分機能をどう取り戻すかということが重要になってくるということで、高額所得者にもう少し多い負担を求めるべきだという意見が出ております。

 そのために、今回、特に五千万円以上の所得の方々に最高税率を四五%まで上げさせていただく、あるいは資産をお持ちの方に相続税を上げさせていただくという措置を提案させていただいておりますけれども、さらに検討すべきだという御意見もあります。富裕税という考え方もありますし、また、税率構造、一〇%、二〇%、三〇%という各フラットが、長さがまちまちになっているので調整すべきだというようなこともありますので、今後検討させていただきたい、こう思っております。

江端委員 現在の円高、デフレの状況では消費税を入れるのは非常に難しい、まずは経済を上向かせてからだという議論もございます。それから、中小企業や商店街の方々からは、消費税の転嫁は難しいし、一〇%になってしまったら商売をやめざるを得ないといった悲痛な叫びも上がっております。

 まずは、この社会保障制度を安心、安定した制度にしていく、そして、消費税を上げる前にまずやるべきことはやる、そして、この道筋を国民の皆さんに丁寧に説明していくことをお願いいたしまして、私からの質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 この際、岡田康裕君から関連質疑の申し出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田康裕君。

岡田(康)委員 おはようございます。民主党の岡田康裕でございます。

 本日は、このような貴重な機会をお与えいただきまして、委員長初め関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 きょうは社会保障と税の集中審議の場でございますので、その範疇で、消費税に軸足を置いて、また、先ほど江端委員から、給付つき税額控除について岡田委員からというふうに言っていただきましたので、その点も触れてまいりたいなと思っております。

 その前に、少し大きな話を質問させていただきたいと思うんですが、総理はこの間、ぶれることなく、ともすれば、数ある政策課題の中で最も難易度の高い、消費税の課題を含むこの一体改革に不退転の決意、政治生命をかけて取り組まれていると思うんです。そのことに、私も横で見させていただいて、本当に心から敬意を表したいと思います。

 しかしながら、ましてこのねじれの中でこのことをなし遂げようと思いますと、もちろん、与野党間でのいろいろな調整、いろいろあるかと思いますけれども、やはり何といっても王道は、国民の皆さんからまず私たち自身が強い後押しというか、民意の強い支持をまず得る、得られる自分たちになること、これがまず何よりの王道だと思っております。

 この強い民意の後押しといいますのは、例えば、消費税の話を町中でさせていただいたときに、仕方がないな、お金がないんだったらしようがないな、こういう消極的な容認みたいな話ではなくて、よしわかった、ではそれをみんなで一緒にやって乗り越えていこうじゃないか、そういう積極的な応援みたいなものがいただけるようなところまで私たちは国民の皆さんと語り合って、御理解をいただいて、強い民意の後押しをいただけるところまで至る。そういう状況になれば、与野党協議も、ねじれの中であっても自然とうまく進んでいくことになるのではないかと思うんですけれども、まず、そのあたりの御認識はいかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 今回、社会保障と税の一体改革、私は待ったなしの状況だと思っております。どの政権でも、もうこの時期に避けて通れない、先送りのできない課題だと思います。

 と申しますのも、第一には、先ほど来御議論がございましたけれども、これまでは医療あるいは介護、年金等々の給付に充てた社会保障ですが、やはりこれからは、子ども・子育てという分野についても、しっかり柱として位置づけていかなければいけない。全世代対応型への社会保障、この転換が急務であるということ。

 それから、先ほど、人口構成の話で、将来四〇%台の高齢化率になるというお話がありましたが、既に首都圏の郊外の団地などでは、もう四〇%を超えているようなところがあります。都市が老いてきています。ということは、医療とか介護とまちづくりを一体で進めるような地域包括ケア等も、これも急がなければなりません。

 というように、社会保障改革が一つ、待ったなしということと、それからもう一つは、これはやはり人口構成の問題でありますけれども、少子高齢化が進み、もともと国民皆年金、国民皆保険は世界に冠たる制度でありましたが、余りにも人口構成が変わってきたものですから、いずれは胴上げの社会から肩車の社会へと急変するんですね。その問題を考えたときに、では財源をどうするかということは、将来の世代のポケットに手を突っ込んで赤字国債で対応するということは、これはもう原則として、あってはいけないだろうと思います。

 それからもう一つは、現役世代中心の所得税や保険料だけでももう賄っていけない。そうすると、やはり、全ての世代が分かち合うという意味では消費税という安定財源が必要、これにかじを切ることも急務だというふうに思います、今の人口構成から考えて。

 それから、あえて言うならば、欧州の債務危機等々、これも対岸の火事ではありません。ということも含めて、待ったなしの状況であるということ。

 消費税の御負担は全て社会保障に還元する。どなたでも、あらゆる世代のときでも、病気になったり失業したり等々、困るとき、弱るときがあります。そのときに出てくるところが社会保障ですから、全ての皆様に、こういう国民の暮らしを支える社会保障に使うんだということを丁寧に丁寧に御説明をして御理解を得ることが一番大事だというふうに思います。

岡田(康)委員 ありがとうございます。

 私たちも、党内でも指示をいただいて、それぞれの地域でPR活動も、お一人でも多くの方にお会いできるように努力もしてまいりたいと思いますし、私も税制調査会でお役をいただいて、今週末は山形へ行ってこいというお話もいただきましたので、自分なんかでよろしければぜひ行こうとも思っております。

 しかしながら、私、先ほど申しました、消極的に仕方がないなと容認していただくレベルから、よし、みんなでそれをやろうじゃないか、そういう積極的な応援まで皆さんの御支持をいただくためには、大きく三つポイントがあると思っているんです。

 今の総理の御答弁の中にもお力強い御決意もいただきましたから、うれしく思うところもあるんですけれども、やはり一つは、この一体改革を、その一里塚だ、第一歩だ、私たちはこう位置づけているわけです。

 財政の観点からすれば、確かに、この五%のうち四%を財政健全化に充ててもまだ足りませんから、赤字幅が埋まりませんから、確かに一里塚です。しかし、それは、財政の側面の、あえて言えば、つらい、暗い話だと思うんですね。しかし、国民の皆さんが期待されている一里塚、第一歩というのは、どういう社会保障制度の未来ビジョンに向かって進んでいる第一歩なのか。つまり、高齢化率がどんどんどんどん上がっていくという話もさんざん聞かされるわけですね。こういう状況の中で、本当に私たちはこの高齢化社会を希望を持って暮らし、乗り越えていけるんだろうかというところに対する不安が物すごく立ち込めているんです。

 こういう閉塞感とか、薄暗い部屋の中でどこへ向かって進んでいったらいいんだろうか、そういう不安に対して私たちがちゃんと応えられるかどうか。その将来ビジョンを、今総理が御答弁くださったようなお話も含めて、こういうビジョンに向かって私たちは進みたいんだということをまず繰り返し繰り返しお伝えすることが大事だと思うんです。

 ですから、対話集会をこれからしていく中でも、人口動態がこうなっているから仕方がないんです、財政的に大変だから仕方がないんです、附則百四条にも書いてあったんですとか、また、任期四年の中には税率が上がらないからマニフェスト違反じゃないじゃないですかとか、議論さえしないとは言っていなかったですとか、そういう理屈を幾らこねても、なかなか消極的な容認から積極的な応援にまで変われないと思っているんです。

 ですから、先ほど総理がおっしゃってくださったような社会保障の中身の全世代型への転換の話とか、そういうことをもっとわかりやすく前面に出して説明していく努力というのが必要なのかなということを、私も対話集会に臨ませていただきながら、最近しみじみと感じている次第です。

 三つポイントがあると申しましたけれども、もう一つは、その将来ビジョンに向かって進んでいく道のりを、明るく希望を持って一歩一歩歩いていただけるようにできるかどうかだと思っているんです。

 これはどういうことかといいますと、財政がこんな大変な状況ですから、恐らく、トータル、ネットとして見れば、給付がふえるような部分よりも負担の方がふえる部分の方が平均的には大きくならざるを得ないと思うんですよ。ですけれども、そのことばかり頭に入ってしまうと、どうしても一歩一歩が、つらい、暗い道のりになってしまうんです。そうではなくて、決してばらまきをしてくださいと言っているわけでも何でもなくて、今やっている、明るさを感じられるような取り組みをもっと知っていただく努力というのもこれまた必要なんじゃないかと思っているんです。

 例えば経済対策、これはもう最近の補正予算の中でもいろいろな取り組みをされていると思うんです。財政的な面からいけば、立地補助金に五千億積まれていたり、エコカーの補助金があったり、PFIなんかも、かなり市場規模、可能性があると思うんですね、総合特区もやられていますし。税制面にいけば、エコカーの減税があったり、住宅取得のときの非課税枠の拡大があったり。金融緩和もされていますし、また、それがちゃんと企業の方に流れていくための制度をつくることにも、財政基盤を安定化させることにも、何千億というお金を積んでいるはずなんです。

 そういう明るい希望を感じられるような経済対策とかの話題も、今、野田内閣においても、筋がいいアイデアが上がってきたらもう全部やるぐらいの覚悟で取り組まれていると思うんですよ。そういうこともあわせてお伝えしていくことで、一歩一歩の道のりが希望を持った明るいものになると思うんです。そのあたりの発信がまだまだ足りていないんじゃないかと私は思うんですけれども、そのあたりの御認識はいかがでしょうか。

岡田国務大臣 委員の御指摘もよくわかります。

 したがって、我々各大臣、分担して今全国を回ってお願いしているところです。ただ、私の実感としては、消費税の引き上げそのものに対して、これはいかぬ、そう言う方は実はそう多くはないのではないかというふうに受けとめております。そして、必要性は理解しておられる。しかし、実際に、委員も御指摘のように、ではどういった安心なあしたがあるのかということについて、もっとしっかり確信を持ちたいというふうに考えておられると思います。

 そういったこと、そして委員の御指摘の、これから経済が成長していく中で明るいあしたが待っているということをいかに説得力を持って語っていくかということは非常に重要なことだと思っております。

岡田(康)委員 ありがとうございます。

 それでは、少し具体的なことについて、残り時間わずかですけれども、触れさせていただきたいと思います。

 お手元に資料も配付をさせていただいているんですが、先日、二月十七日に閣議決定された大綱の中に、消費税の項目が三十二ページにございます。

 その中で、下線を引かせていただいているんですが、「いわゆる逆進性の問題も踏まえ、二〇一五年度以降の番号制度の本格稼働・定着後の実施を念頭に、関連する社会保障制度の見直しや所得控除の抜本的な整備とあわせ、総合合算制度や給付付き税額控除等、再分配に関する総合的な施策を導入する。 上記の」途中省略しますが、「施策の実現までの間の暫定的、臨時的措置として、」最後に、「簡素な給付措置を実施する。」こう明記されています。

 この文章をストレートに読みますと、もう一ページお手元につけさせていただいておりますが、これはかつての政権、平成元年の消費税導入時、そして平成九年の五%への引き上げ時にワンショットで、一年だけ臨時福祉特別給付金という、一万円ずつお金を配るということをなさっています。

 配られた対象は、その裏面にございますけれども、生活保護受給者の方だったり、福祉年金等受給者であったり、児童扶養手当受給者でありましたり、七十歳以上の高齢低所得者の方々。これは、住民税非課税措置をされている方々ですね。平成九年の消費税引き上げ時のときには、六十五歳以上の高齢低所得者の方々であったりと。

 こういうふうに、一万円を配っていたりするこの制度のことを思い返すような大綱の書きぶりなんですけれども、これは、このときは一年ぽっきりのワンショットです。その理由を聞いていけば、年金給付とか生活保護給付が物価でスライドしてくるところが一年ぐらいタイムラグがあるので一回だけやったんだという理屈なんだと思うんですが、この大綱の書きぶりからすると、給付つき税額控除というのができるまでの間、何年かこういうことをするというふうなイメージに読めるんですけれども、そのあたりは、そういう理解でよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 これは、委員が今読み上げられたところにも書いてあることでございますが、詳細な制度設計はこれからでございます。給付の開始時期とか対象範囲、基準となる所得の考え方、財源の問題、そういったことについて今後検討していくということであります。

 ただ、我々がこういった簡素な給付措置を考えましたその理由は、これも委員今御指摘されたとおりですが、総合合算制度、あるいは給付つき税額控除、こういったいわば恒久的な制度を入れるに当たって、これはやはり番号制度、マイナンバー制度などが前提となりますので、少し時間がかかる。その間を埋めるものとして考えておりますので、そういったことも含めて、詳細な制度設計を考えていかなければいけない。従来型の一年だけの、ばらまき型と言ってしまっていいかどうかですが、そういったものとはやや違うものになるのではないかというふうに考えております。

岡田(康)委員 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて岡本君、江端君、岡田君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 本日は、御質問の時間をいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、一問だけ御質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 今般のAIJ投資顧問による年金消失事件は、国民に大きな衝撃を与え、さらには社会保障に対する不安を抱かせたのではないでしょうか。よって、安心できる公的年金制度、公的社会保障制度をきっちりと構築していかなければなりません。そんな中で、安心できる郵便局が果たす役割は大きいと言わざるを得ません。

 野田総理は、一月の施政方針演説で、政治・行政改革と社会保障・税の一体改革の包括的な推進を行うとし、郵政改革関連法案についても、今国会においてこそ速やかに合意を得られるよう、野党の皆様に改めてお願いを申し上げる、地域社会を支える基盤である郵便局において三事業のサービスを一体で提供し、利用者の利便性を高める郵政改革の今国会での実現を図ると発言されております。

 今、郵政民営化の改正法案成立に向けて、各党の皆様に御協力とお力をいただきながら、郵政の修正の協議が行われているところでございます。

 今回、公明党さんにも大きなお力をいただいております。最近、公明党さんが提案された案は、私どもの党の考えとも大きな違いはありません。民主党さんもこれに対し賛成の方向であるとのことでございます。

 間もなく予算審議が終了し、郵政民営化の改正法案の審議に入ることと思います。これまで、政権交代してから二年半、六回の国会で四回の審議が行われてまいりました。今回で五回目の審議でございます。

 野田総理と自見大臣には、重ねて重ねての質問で大変申しわけございませんが、ぜひ、早急に委員会で審議し、郵政民営化の改正法案を今国会で成立させなければならないと思いますが、野田総理と自見大臣の御見解をお願いいたします。

自見国務大臣 いろいろな切り口があると思いますが、先生が、郵便局は社会の安心ということを言われました。私も、明治以来、郵便局が社会の安心に果たしている役割は非常に大きいと思っております。そして、そういった安心の役割をしっかり果たせるようにしていくのが、まさに郵政改革の大きなポイントだというふうに思っております。

 私も、昨年の三月十一日の東日本大震災の発災以来、被災地の避難所を何度か訪問させていただきまして、そこで高齢者の方々にお会いしたわけでございますが、御存じのように、被災地で郵便を配っている方、今、被災地で郵便、はがきは配っておりますが、実は、年金の受け取りのために貯金の払い戻しをお願いした。これは、以前なら、先生いろいろ言われています、共同担務でございましたから、郵便局員は、貯金の扱い、手紙、はがきの扱い、保険の扱いができたわけでございますけれども、今は別会社でございまして、できないと言われたということで……

中井委員長 自見大臣、まことに申しわけない、野田さんの答弁もありまして、時間が来ましたので。

自見国務大臣 はい。

 ということで、郵便と郵便局は別々の会社になっておりますので、分社化の弊害が、こういう一番助けていかなければならない被災地の最前線の本当に高齢者の方々にも非常な心痛を催しているということでございますから、後から総理からあると思いますが、各党各会派の御理解をいただきながら、この郵政改革を何が何でも、本当に二年半もかかったわけでございますから、ぜひ実現していただきたいということを強く申し上げておきます。

中井委員長 野田総理大臣。短くお願いします。

野田内閣総理大臣 郵政改革については、今、与野党間で真摯な協議が進んでおります。公明党さんの御提案を軸に、あと一歩だと思います。その協議が早く調うことを祈るとともに、内閣を挙げて、郵政改革の今国会での実現に全力を尽くしていきたいというふうに思います。

中島(正)委員 ありがとうございました。

中井委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺浩一郎君。

渡辺(浩)委員 新党きづなの渡辺浩一郎です。

 きょうは、まず、交付国債のことについてちょっとお伺いしたいと思います。

 基礎的なことだと思いますけれども、まず、この交付国債、基礎年金の国庫負担の不足分の二・六兆円を交付国債を発行してしのごうということだろうと思うんですけれども、まず、こういう方法しか本当にないのかどうか、ちょっと財務大臣にお伺いしたいということですね。

安住国務大臣 おはようございます。

 さまざまな御議論がこの予算委員会でもありました。確かに、ほかの方法はないのかという御提案も随分いただきましたが、二分の一にするこれまでの経緯、経過等を考えますと、やはり恒久的な財源をこれに充てていくということは、自公政権下でもこれは御主張なさっておられたことでございました。しかし、この法案ができたときには、その恒久財源の担保というのはなかったんですね。ですから、めどとしては、やはり消費税一%だったと思います。

 しかし、それができないということで、麻生総理、そして鳩山総理、菅総理の代では一般財源の中でいろいろやりくりをしてやってきたわけでございますが、今回、東日本大震災等でそうした財源というのはかなりの部分充当いたしましたので、そうした意味からいうと、さまざまな財源をやりくりしても、やはり限界が来ておった。

 同時に、原点に返れば、恒久財源を充てて、この二分の一を安定化したものにしていかなければならないという考えに立てば、やはり交付国債というのが我々としては最善の策であろうというふうに思い、今回提案をさせていただいたところでございます。

渡辺(浩)委員 最善ではなくて次善だという話も今周りからありましたけれども。

 もしもそうだとしたら、年金法の改正をしなきゃいけないんだろうと思うんですけれども、そういうことも含めて、今後、段取りとしてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、そのことをちょっとお伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 平成二十四年度も基礎年金の国庫負担を二分の一に維持する、このことを明らかにするために、二月の十日に提出しました国民年金法改正法案、これで交付国債の発行に関する規定を盛り込んでいます。

 ただ、償還につきましては、税制改正法案とあわせて法制化をする必要があるということで、国民年金法改正案では、償還の規定を別に法律で定めるとしています。そして、償還の規定は、税制改正法案とともに提出をする厚生年金保険法の改正案、こちらに盛り込むことを予定しています。

 税制改正法案とともに、この二つの法案の成立が不可欠でございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思っています。

 ただ、後になると審議に影響があるという御意見がございますけれども、法案の審議には間に合うようにこの厚生年金法の改正案も提出をさせていただきたいと考えています。

渡辺(浩)委員 その後どうするんですか、今の後。

 今のその法案を通して、それで予算立てをしてという話になるわけですね。それから、これは関連法案の中に入れていくという形になるんだろうと思うんですけれども、だとしたら、これは私の個人的な見解、今の話を聞きますと、私、個人的にはちょっとそれにはなかなか賛意を示せないなという思いを持っております。そのことをちょっとお話し申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 総理、これだけ経済が低迷していますけれども、まず基本的なこととして、消費税の増税の中でやろうとされていますけれども、まず、今の景気をどういうふうにとらえているか。私どもはデフレというふうに見ておりますけれども、ちゃんと総理の中でもきちっとそういう思いを持っていらっしゃるのかどうか。また、もしもそうだとしたら、なぜこのデフレの中で消費税を上げようとされているか、その根本的なところをちょっとお伺いしたいと思います。

 風邪を引いている人に冷たい水をぶっかけて、さらに悪化させるんじゃないかと当然普通の人たちは思うわけですね。それにもかかわらず、このデフレ状況の中で消費税を上げていこうというその本意というものをぜひ、まずお教えいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 まず、持続的に物価が下落している状況を踏まえますと、今の認識という意味では、緩やかなデフレ状況にあるという認識を持っております。したがって、デフレを克服する、デフレから脱却する、そして経済の再生を図るということは、我が内閣の、復興とか原発との戦いとあわせて、重要な課題だと位置づけております。

 そのためにも、二十三年度、一次から四次まで補正予算を組みました。それを着実に執行していく。加えて、今御審議いただいている平成二十四年度予算でも、例えば復興関連でも三・八兆円、そういう復興需要を早期に顕在化させていくということと、あるいは、新成長戦略を加速する、日本再生戦略を年央までにまとめる等々、切れ目ない経済対策を講じながら、デフレ脱却に向けて全力を尽くしていきたいというふうに思いますが、そのこととあわせて、社会保障と税の一体改革は、先ほど来の議論がありましたとおり、待ったなしの状況だというふうに思っております。

 したがって、経済再生は一生懸命やりますけれども、二〇一四年の四月から八%、二〇一五年の十月から一〇%という法案は、今回提出をさせていただきたいというふうに考えております。

渡辺(浩)委員 なるほど、そういうふうだとすれば、デフレを脱却していくことには、僕はそれはなかなか弱いんではないかなという気がするんですね、今の話ですと。継続的なこととおっしゃいましたけれども、もっともっとインパクトのあることをしない限りは、私はちょっと弱いんではないかなという個人的な意見を持っております。

 それで、今、デフレを脱却するために、どういうふうに言えばいいですかね、うまく言えないんですけれども、もう少しほかの方法があるんじゃないかと思うんですけれども、例えば、景気を回復させるために財政出動をするとか。その前に、野田内閣でも継続していると思うんですけれども、プライマリーバランスをちゃんと維持していくということがデフレを脱却する方法にはならないんじゃないかと思っているんですけれども、その辺の意見はどうでしょうか。おわかりでしょうか。

野田内閣総理大臣 プライマリーバランスを気にするなということですか。(渡辺(浩)委員「そうです」と呼ぶ)それは、国際社会では通用しないでしょう、そんなことをしたら。財政規律を守らない国になったら、経済はだめになりますよ。それは乱暴な意見だと思います。

渡辺(浩)委員 いや、そうはいっても、今、景気が回復しない中で、それを慎重に考えるということぐらいはできないんですか。いかがですか。別物だと言われていますけれども。

 要するに、プライマリーバランスというのをきちっと今やろうと野田内閣はしているのだろうと思うんですけれども、その前に、菅内閣のときにもそれをやろうとしていたみたいですけれども、実際に、プライマリーバランスを堅持していくということが、デフレを進めるというか、デフレを脱却する方法にはならないんじゃないかと思うんですね。

 私は、デフレを脱却することがまず大事だと思っているんです。そのことによって日本の経済を活性化していくことが大事だと思っているんです。それがちょっと見えていない中で、やはりデフレを脱却する方法をぜひとってもらいたいというふうに思っていますけれども、その辺はいかがでしょうか。

安住国務大臣 質問の趣旨が、私なりに、ちょっと核心をついているかどうかわかりませんが、もし、消費税とデフレ、インフレをリンクした御質問だとすれば、デフレだからといって実体経済が成長していないとは言えないと思うんです。

 例えば、二〇〇三年から二〇〇六年の、これは小泉総理の構造改革のときは、確かに年度毎のGDPデフレーターはマイナスであったんです。ただ、この間、デフレからの状況は、根本的に脱却はしませんでしたが、実質成長率はプラスだったんです。民間消費、設備投資も推移していまして、失業率も四%台までぐっと低下をして、改善をしております。

 また、これを逆説的に申し上げますと、では、インフレなら景気がよくて消費税を上げられるのかといえば、高いインフレ率で消費税を上げた方が経済への打撃は大きいということも言えるわけですね。

 ですから、堅調な成長を経済で果たすことと、大きなトレンドとして考えたインフレ、デフレ論というのは、私は、先生、区別して考えなければならないと思うんです。

 それと同時に、やはりPBの話は、これは世界の中で、極めて厳しい目で、今、市場も世界各国も見ているので、財政再建を果たさずして景気だけどんどんよくすればいい、それは、もしかしたら、公共事業等、財政支出の伴う歳出をふやせということであれば、なかなかそれは、政府としての見解とは相入れない部分があるということを申し上げたいと思っております。

渡辺(浩)委員 私個人は、やはり財政出動をしていくべきだという考えに立っていますので、今の質問がうまくでき得なかったかもしれませんけれども、そのことを念頭に置いて質問させていただきました。

 最後になります。もう時間がありませんので、ちょっと総理にお伺いしたいんですけれども、東日本に対して、復興で予算を相当投入いたしました、補正予算を含めて。このことによって、効果が出てくるのはすぐではないと思いますけれども、将来、相当、日本の経済の活性化につながるかどうか。その辺のところは、総理の認識をぜひともお伺いしたいと思います。

安住国務大臣 内需を底がたく起こしていくことはあると思います。ただ、それが長期的に持続するかどうかというのはまた別の話でありますけれども、与野党でお決めいただいた予算をちゃんと執行していけば、当然、何かしらかの成長というものは、日本経済に寄与するというふうに思っております。

野田内閣総理大臣 二十三年度、一次から四次の補正を組みました。これを着実に執行することと、今御審議いただいている二十四年度の予算の中にも三・八兆円、これは復興事業にかかわるものがございます。それらをしっかり執行することによって復興需要を顕在化することができますので、これは経済にとって基本的にプラスになっていくというふうに思います。

 また、先行指標でありますけれども、例えば公共投資、公共工事請負金額が被災三県の災害復旧分を中心に前年比で増加をしており、底がたい動きとなっておりますので、成長にしっかりと結びつけていかなければいけないと考えております。

渡辺(浩)委員 私も同感でございまして、昔の朝鮮特需というふうにはならないと思いますけれども、それに類するような形になってくれればな、ある意味では日本の景気の回復の起爆剤になればなと。それは言葉を選びますけれども、そういうことを言って、復興の予算のことですから、景気の回復ということはなかなか言えないんだろうと思うんですけれども、私としては、それに大いに個人的には期待をしたいというふうに思っております。

 最後になりますけれども、ちょっと予定外の質問で恐縮なんですが、先ほど来から伺っていますと、社会保障制度そのものが、いろいろなところでどんどん広げていこうということが、野田首相の一つの基本的なスタンスかと思っておるんですね。介護、年金、保険、医療だけではなくて、子ども手当も含めてどんどん広げていこうと思っているみたいですけれども、それはそれとして、どんどん広げていけば、やはり切りがなく広げていったら、それは限界が出てくると思うんですね。

 それから一方では、それとは同時にかもしれませんけれども、やはりある程度国民一人一人が自立していくという考え方をしていきませんと、何でもかんでも国に頼ればいい、そういう状況というのを私は今非常に強く感ずるんですね。

 ですから、それを、一方では、必要なところは社会保障をちゃんとやるけれども、そうでないところはきちっと自分たちで自立していく。そういう考え方を一方ではちゃんと訴えていかないと、私は、どんどん社会保障の費用がかかってくる、そうでなくたって高齢の人たちがふえてきているわけですから、そういう認識というのはこれからとても大事だろうと思いますけれども、野田首相の考え方をお聞かせください。

中井委員長 岡田担当大臣。時間が来ましたから、短く。

岡田国務大臣 委員のおっしゃることは、基本的には私はそのとおりだと思います。国が何でもやればいいということではない。

 我々の一体改革も、別に国がどんどんやることを広げているわけではございません。子ども・子育てについては力を入れたいと思いますが、全体としての、しっかりと見直すべきところは見直しながら、国民の負担が過大にならないようにしなければいけない、そういうふうに考えているところでございます。

渡辺(浩)委員 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。

 次に、野田毅君。

野田(毅)委員 自由民主党の野田毅でございます。

 きょうは、時間の限りがありますので、できるだけ簡潔に御質問をいたしますが、また、できるだけ簡潔にお答えをお願いしたいと思います。

 まず、改めて総理の決意を聞きたいんですけれども、一月ですか、改めて総理が税と社会保障一体改革に政治生命をかけるという強い意思表示をされたんですが、これほど重い言葉はありません。大変ハードルは高いと思います。それでもあえてやり抜くという決意をしておられるかどうか、まず冒頭、お伺いをいたします。

野田内閣総理大臣 社会保障と税の一体改革は、私は、待ったなし、先送りできないというふうに思っております。自分が今ここで政権をお預かりした以上、この改革は不退転の決意でやり遂げていく、そういう思いでございます。

野田(毅)委員 政策論としてまことにそういうことは大事なことだと思いますが、政策論が正しいから政治論としてそれが国民に受け入れられるかどうかは別問題です。

 特に日本は議院内閣制の国なんですよ、アメリカの大統領制とは違うんです。与党があって初めて内閣が誕生するんです。そういう意味で、与党の中がばらばらで突き進むということになると、どういうことになるんでしょうか。政治生命をかけるとおっしゃる以上は、少なくともまず党内を一枚岩に結束していくということが最低限必要なことではないか。あるいは、どうしてもそれができないなら、どっちを優先するんですか。消費税、社会保障の一体改革を優先するのか、党の一枚岩を優先するのか、この決断が迫られているわけであります。

 この点について、まだ我々から見ると腰が定まっているかどうかよくわかりません。そういう段階で野党に協議を要請し、野党の協力によって政府・与党のばらばらを乗り越えようということは、これは議院内閣制としてはおかしな話ではないでしょうか。それでもあえて総理はこの税と社会保障の一体改革は何としてもやり抜くんだという、その腹をくくっておられるかどうか、改めてお伺いをいたします。

野田内閣総理大臣 まず、一枚岩でない、ばらばらであるという前提には、私は立っておりません。

 というのは、この社会保障と税の一体改革は、昨年一年間ずっと丁寧な議論を積み重ねてまいりました。その上で、昨年の六月に成案を政府・与党としてまとめました。その成案をより具体化する素案の作業も、丁寧な議論、多くの人が議論に参加して、かんかんがくがくの議論をいたしまして、昨年の年末、党の御了解を得るときには、百人ほどの人が深夜まで残っておりましたけれども、これは拍手で終わっています。それを踏まえて、一月六日にこれは政府・与党として決めました。それを踏まえての閣議で、今度、大綱としてきたわけで、このときも議論をしています。

 重要政策について、それは金太郎あめのようにすぐにみんなが同じ意見を持つことはありませんが、かんかんがくがくの議論を手順を踏んで民主的に、手続に瑕疵がなくやってきているつもりでございますので、これからもそういう丁寧な議論をしながら、政府・与党挙げてこの問題に取り組んでいきたいというふうに思います。

野田(毅)委員 建前はよく知っています。だけれども、現実に、固有名詞を出すのはいかがかと思いますが、小沢さんたちは違うことをおっしゃっているじゃないですか。そして、多くの民主党の皆さんの中でも、正面からこれに対して異論を現に唱えているじゃないですか。国民はみんなそれを知っているんですよ。

 では、本当に党内をまとめ切れますか。まとめ切れなかったら、これは諦めざるを得ないんですよ。そうすると、あなたが政治生命をかけると言ったことがおかしくなりますよ。その点はどうお考えですか。

野田内閣総理大臣 これまで瑕疵なく、まさに多くの人の議論を経ながら、熟議を交わしながらまとめてまいりました。これからも同じように、いろいろな意見はあると思います。行革をもっと先にやった方がいいとか、本気の姿勢を示せとか、政治改革が必要だとか、経済の再生とかありますが、この社会保障と税の一体改革本体自体を反対だという意見はないと思います。そこは丁寧な議論をしながらコンセンサスを得ていきたいというふうに思います。

野田(毅)委員 今ここですぐ結論が出ることではないでしょうけれども、ただ、ちょうど小泉さんが郵政改革にまさに思いを込めておやりになった。事の是非は別として、これを貫くためにあえて与野党の反対を押し切って、ただ押し切るだけじゃない、自分が思いを持つだけじゃなくて、そのための具体的な戦略、手順を考えて、周到に準備をして対応した。だから、できたんです。

 その点で、今見ていまして、総理の戦略、手順がきちんと進んできているんだろうか。思いは一生懸命おっしゃっていますからよくわかりますけれども、具体的に党内を取りまとめていくため、あるいはまとまらなかった場合には、小泉さんのときにはあえて反対派を切ったわけだ、あえてそれだけの荒療治をしてなし遂げたんですよ。

 今回、民主党の中でおまとめになる努力をしていただくのは当たり前のことです、議院内閣制の与党なんですから。だけれども、どうしてもあなたに従えないという方々が大量にあるならば、そういう方々とたもとを分かって、それでもなお突き進むという腹構えがあるのかないのか、これが今問われているんですよ。その腹構えがないのに野党に抱きついてきても、野党も迷惑だ。本気でおやりになるなら、我々だって本気でおつき合いしますよ。そこの腹がなくて、形だけ、上辺だけでやっても動かない、これが政治の本質じゃないか、そう思いますが、改めて、小泉さんと同じような腹の覚悟はあるのかどうか、ちょっと聞きたいですね。

野田内閣総理大臣 まず、本気であることは間違いありません。そこは御理解いただきたいと思います。

 問題は手法です。私は、小泉さんのように抵抗勢力をつくって物事を進めるというやり方は、今回のテーマはふさわしいと思っていません。

 すなわち、どなたも必要性は感じながら、タイミングの問題を含めて国民の理解を得るためにどうしたらいいか考えているんです。これは与党も野党もそうだと思いますが、ある意味、それぞれに内なる敵があります。それをどう克服するかが、今回の社会保障と税の一体改革の最大のテーマだと思います。

 誰かが抵抗する、誰かが悪者、だから私は正しいんだというやり方ではなくて、どなたも心の中には持っているテーマなんですね。それをどうやって共通理解に持っていくかというのが今回問われているというふうに思いますので、本気ではありますけれども、私は抵抗勢力をつくってというやり方の手法はとりたいとは思っていません。

野田(毅)委員 野田さんが、総理が抵抗勢力をつくりたくないというのはよくわかる。だって、ノーサイドと言ったんだから。そうでしょう。だけれども、ノーサイドということは、民主党内の争いをやめるというノーサイドだ。消費税については賛成サイドか反対サイドしかないんですよ。これだけは断言しておきます。賛成サイドか反対サイドしかない。

 今いろいろおっしゃったから、これから努力をされるでしょうから、きょうはこの程度にしておきますけれども、ただ、念のためにちょっと聞いておきたいんですが、三月中に法案を国会に提出するという、これだけは約束は守っていただけるんですね。

野田内閣総理大臣 自公政権のときの平成二十一年税制改正法の附則百四条が、まさに税制の抜本改革は平成二十三年度内に提出ということになっています。その趣旨に沿って、閣議決定をし、法案を提出したいと考えております。

野田(毅)委員 今、党内のいろいろな乱れについてお話をしましたけれども、私がなぜそういうことにこだわるかというと、多くの国民の皆さんは、今回の消費税の引き上げについてマニフェスト違反だという認識がある。これが違反であるかどうか論争するつもりもないです、つくった作成責任者の小沢さんたちがそうだと言っているんだから。しかも、ユーチューブのあのビデオは全部流れています、この前の選挙のときに今の民主党の幹部の方々がどんな物言いをしていたか。

 そして、その結果政権が誕生して、今三人目です。基本は、同じこの前の総選挙によってできた政権なんです。鳩山さん、菅さんとは違うといっても、正統性はこの前の選挙にあるわけです。だから、この前の代表選挙で自分は違うことを言ったから別だとは言えないんです、国民から見れば。

 そのことについてもう一遍きちんと説明しないと、今、民主党の若い方々が選挙区で何と言われていますか。答え、できないじゃないの。そうでしょう。そのことを考えた場合に、この問題は致命的に大事な問題なんですよ、マニフェスト問題について。

 これは、いやいや、そうじゃないんだとかいって取り繕う言い逃れをするんじゃなくて、やるなら正面からきちんと、まず国民におわびをして、マニフェストを撤回して、それから進めるのが物事の順序じゃないんですか。私は、ここに書いてあるとおり、パネルにしましたけれども、物事の順序というのは、野党にすり寄ることじゃなくて、まず国民との関係を最優先して組み立てる。国民との関係がきちんとできれば、与党内の結束もできるんじゃないですか。その点について総理はどうお考えですか。

野田内閣総理大臣 マニフェストの撤回というお話でございましたけれども、もちろん、実現できていないものもあります。しかし、社会保障あるいは地域主権改革等々、相当の立て直しもやってきているというふうに私は思います。政策項目の中では、実現できたものも相当数あります。したがって、これを撤回するというのはちょっと乱暴な意見だと思います。

 ただ、消費税に限って申し上げれば、これはマニフェストには書いてありませんでした。多くの人の共通理解というのは、私どものいわゆる政権担当期間中、任期中は消費税は引き上げない、そして引き上げるというときには国民の信を問うというのが共通理解だったと思います。

 しかし、その前の発言で個々の政治家が、私も含めてであるかもしれませんけれども、さまざまな物の言い方をしていることによって、国民の皆様には、なぜ今回、社会保障と税の一体改革を民主党政権がやろうとしているのか疑問が出ているとするならば、そこは私は、やはり政権を預かる立場になって、国民生活と財政に、そして社会保障に責任を持たなければいけない立場となって、どうしても待ったなしということで御理解をいただかなければいけない。そのためにおわびをしなければいけないことはあるかもしれませんけれども、そういうことはきちっと丁寧に説明をしていきたいというふうに思います。

野田(毅)委員 私は、マニフェスト違反がけしからぬと言わないんですよ。マニフェストそのものがおかしいんですよ。そもそも、簡単に言えば、財源なきばらまきのマニフェストが今回の混迷を招いているんです。これが本質なんですよ。約束を守れる前に、守れない約束をしたことに問題があったんです。だから、撤回しろと言っているんです。おわかりと思います。

 そこで、なぜ私がそういうことを言うかというと、実は、消費税を上げようと言うと、みんな嫌ですよ。人の痛みはほっておいても、自分の痛みは嫌ですよ、人情として。だから、第四コーナーを回って、いよいよ、まあ総論はわかるがねと。いずれ消費税引き上げが必要だというのはみんなわかっている。財政再建の必要性はみんなわかっている。だから、聞けば、みんな六割以上賛成だ。だけれども、では今やっていいですかと言うと、大体七割、八割は、その前にやることがあると。必ずこのハードルが来るんですよ。このハードルをどう乗り越えるかということが一番大事なことなんだ。そうでしょう。

 だから、そのために実はさっきから小泉さんの話をしたんだけれども、我々も異論は確かにあったけれども、それでも小泉さんはやり抜いたんですよ。それは、このままいったら、さっき誰か、渡辺さんも言っていたかな、高齢化がどんどん進んでいく。進んでいくことを放っておいて、それを全部消費税だけでカバーしようとしたらとんでもない消費税率になるんだから、聖域なき歳出削減だ、公債費ももう三十兆以上にはふやさないということで、二〇〇六骨太に至るまで徹底した歳出削減をやってきたんですよ。

 今、ちょうどパネルを出しておりますけれども、お手元にありますが、小泉さんのときにこれだけのことをやったんだ。結局、このことによって、地方は三位一体で疲弊した。あるいは、農業もばっさり削りました。公共事業も削りました。防衛費も、あるいはODAも文教費もみんな削った。さらに社会保障は、伸びてはいるけれども、これも当然増の経費を削って削って、例外はしなかった。診療報酬も削った。

 それだけのことを実はやってきて、この間に、恐らく、比較でいくと、二〇〇一年から二〇〇七年までの間に、国債費と社会保障費を除くその他の一般歳出でいうと三・八兆円削っているんですよ。だから、間の毎年毎年度累積したら、十兆円以上になります。それから、国債の発行額は三十兆から二十五兆円ぐらいまで切り込んできている。

 つまり、これだけの歳出削減をどんどんやってきて、その結果が、参議院選挙で我々は惨敗したんですよ。もうそろそろ歳出削減だけではかなりあっちこっちに無理が出る、だから、それは引き続いて無駄を排除するのは当然だけれども、あわせて消費税の引き上げに着手しなきゃいかぬのじゃないかというのが実は福田内閣だったんだ。

 そのときに、あなた方は逆のことをおっしゃったんですよ、そのころから、安倍内閣の参議院選挙から。あのときにもう既に、子ども手当二万六千円、二・六万円かな、それから農業の戸別所得補償方式、国民の生活第一と。この前の総選挙では、もっともっと無駄の根絶をやるんだ、消費税の引き上げなんかとんでもない、四年間で埋蔵金も十六・八兆出します、高速道路無料化も上乗せができます、ガソリンの暫定税率も廃止します。

 つまり、それだけのことをどんどんおっしゃったわけですから、多くの国民は、わあ、そうか、まだまだ削り代はそんなにあるのかい、小泉さんのときにあれだけのことをやって、あれだけあっちこっちに痛みが現に出てきたにもかかわらず、まだそんなに無駄がたくさんあったのかとみんな思ったわけだ。そして、政権がかわったわけだ。だから、国民は、今の内閣に約束を守れということに期待をしている。

 だけれども、演説ばかりしてはいけませんから聞きますが、あなた方は政権をとって、今度は三度目の予算編成なんだ。四年間で十六・八兆円、お金を出しますということをおっしゃったけれども、今、この三年間で、事業仕分けを初めいろいろやった結果、幾らお金が出ましたか、答えてください。

安住国務大臣 先生、十六・八兆は、率直に言えば出ませんでした。

 ただ、恒久財源としては三兆円程度は捻出をしましたし、しかし、これは単年度のワンショットでございますけれども、これについては、特定の財源の捻出ということでは、出せたときには、二十二年度にはたしか平均で七、八兆円出しておりますので、そうした点では努力というものはしておりますけれども、しかし、十六・八兆丸々出したのかということに関して言えば、そこまでは至っておらないということでございます。

野田(毅)委員 何か口ごもって、十六・八兆円は出なかったということだけ理解しました。

 だけれども、実際にその期待感を裏切ったのと、私は、これは何か普天間と同じじゃないかなという気がしたの。つまり、普天間のときも、もうやむを得ないかというところまで行っていたんだけれども、そのときに、最低でも県外と言って期待を持たせた。その上で、名護の市長選にまで介入をして反対派の人を市長にしちゃった。その上で、よく考えてみたら、やはり必要だったと。前よりももっと悪くなっている。

 今回、マニフェストの問題だというのはそこなんですよ。小泉改革でやるだけのことをやってきて、もうやむを得ないかなと、そこまで来たのに、いやいや、まだまだあるんだよということで、甘い期待感が世の中に広がってしまって、今日になって、前よりももっと厳しい環境、ハードルをみずから高めてしまっているのではないですか。そのことについて総理はどう思いますか。

野田内閣総理大臣 さっきちょっと財務大臣が答弁されましたけれども、初年度、平成二十二年度は財源捻出目標が七・一兆でした。実は、九・九兆つくっているんです。マニフェストの主要事項は恒久財源で三兆円台ですが、翌年度も相当額つくっているんですね。ただし、それはつくったものもあっても、御承知のとおり平成二十一年の、リーマン・ショックの後の大幅な税収減等を踏まえて、そちらに対応せざるを得ない等々もあったということです。

 マニフェストについては、昨年の八月に、当時の岡田幹事長のもとで検証させていただきましたけれども、いろいろな理由があります。リーマン・ショックだとか、ねじれだとか、大震災とかありますが、一方で、我々の見通しが甘かったことについても率直に明記させていただいてあります。その点は、反省をすべき点は大いに反省をしながら、国民の皆様に説明をしていきたいというふうに思います。

野田(毅)委員 数字をいろいろ言っても、恒久財源でないからそれほど意味があると思いませんが、どういう無駄を実際省いたか。きょうは時間の関係がありますからこれ以上言いませんけれども、要は、少なくともこのマニフェストは、財源なきばらまきのマニフェストそのものを改めない限りまだまだ動かないですよということだけ申し上げたい。

 そして、物事の順序なんですよね。まず、マニフェストのその誤りをおわびして撤回をしてください。それからその次に、まず与党内をまとめてください。その上で野党に協力を要請してほしい。この順序が大事ですよということを、あなたにはぜひもう一遍肝に銘じておいていただきたい、こう思います。

 そこで、今度、社会保障との一体改革の問題について、先ほど来いろいろやりとりがあって、あれっと思って聞いたんですけれども、まず、世の中にも若干誤解があるんですけれども、我が党の社会保障に対する考え方、どういうものを持っているかというのは大体御承知なんでしょうか。

 先月二十四日に、「わが党の政策ビジョンと平成二十四年度予算」というのを発表いたしました。この中の四ページに、社会保障に関する考え方を書いてございます。これは総理、お読みになりましたか。

野田内閣総理大臣 ざっと読ませていただいたので、それを踏まえて党首討論に使わせていただきました。ありがとうございました。

野田(毅)委員 財務大臣は読みましたか。

安住国務大臣 私は、二十四年度の予算の組み替えのところだけは、数字は読ませていただきました。それから交付国債のところも読ませていただきましたが、全体としては読んでおりません。申しわけございません。

 先生のおっしゃっている、自助自立の基本的な社会保障の確立というパーツであれば、今ここに持っております。

野田(毅)委員 厚労大臣はお読みになりましたか。

小宮山国務大臣 申しわけありませんが、まだ読んでおりません。

野田(毅)委員 ここに、総理、この政権の性格があらわれているんですよ。

 そもそも、今日の我が党の考えがどうなのかということをまとめて書いたものを担当の厚労大臣がお読みでないということは信じられない。その程度の一体改革に対する熱意なんでしょうか。総理はどう思いますか。

野田内閣総理大臣 まだ読んでいないということで、ぜひ読むという気持ちはあるというふうに思います。

野田(毅)委員 これは、テレビを見ている国民の皆さんも、口があいて塞がらないと思うんだ。だって、これを発表して十日以上たっているんですよ、少なくとも。そうでしょう。そして、いよいよこれから一体改革の法案を出すんだよと。その中で、何が一番我が党は関心を持っているのか、この点について当然頭に置いた上でなきゃ物事は進まぬのじゃないですか。そうでしょう。

 私は、この問題はもう少し後で突っ込みたいと思うんですけれども、よく誤解があるんですが、政府・与党の出している社会保障の改革とはそもそも一体何物なんだろう。これはいつからこんなものをつくったんですか。いつからこれをつくったんですか。総理、これはいつから始めたの。これは税と一体改革ですから、これは総理です。

野田内閣総理大臣 一体改革は、去年一年ですから、おととしの暮れあたりからこの一体改革の議論をして、成案づくりの議論をしてきたと思います。成案を六月につくったんですね。だから、そのスタートは、その前の年の暮れぐらいから、社会保障を先行させながら議論をしてきたというふうに記憶をしています。

野田(毅)委員 僕はこの話を聞いて、ああ、これはもうとてもできないと思った。だって、そのときにあなたは財務大臣ですよ。これを言い出したのは菅内閣じゃないですか。菅さんが再選されて、あのときの選挙はこんな話は全くなかった。TPPもなかった、この話もなかった。あったのは、ただ政治と金の話だけの代表選挙をやった。

 そして、第二次菅内閣が発足したときに、この税と社会保障の一体改革、法人税の減税、TPP、いきなり言い出したんだ。そして、中身がないから、年が明けてかその前だったか、与謝野さんを引っこ抜いたんじゃないですか。そして、その与謝野さんがお土産に持っていったのが、福田内閣、麻生内閣のときの改革案なんですよ。

 つまり、自民党案がないんじゃないんです。自公政権でつくった社会保障国民会議の最終報告が基本ベースになっているんですよ。これが我が党の今日の社会保障の改革案なんですよ。(発言する者あり)今、賛成しろ、こういう声があった。そっくりそうなら賛成しなきゃならぬのです。ところが問題は、そうでない、上乗せ、はみ出し、後退が一緒にくっついちゃっているからだめなんですよ。これが問題なんですよ。

 なぜそんなことをやっちゃったんですか。これは、全部マニフェストにこだわった結果、与謝野さんが持っていった原案にいろいろ、上乗せ、はみ出し、後退をくっつけちゃって一体改革と称しているんですよ。だから問題は前に進まないんだ。

 この点について総理はどう見ていますか。

岡田国務大臣 今、野田委員がおっしゃったことは、確かにかなりの部分で自民党、公明党の時代に御議論をいただいたこと、そこと共通性があるということはそのとおりだと思います。だからこそ私は、いろいろお互い話し合って、胸襟を開いて話し合って合意に達する可能性が高いのではないかというふうに思っているわけでございます。

 ただ、その後、我々が我々の考え方に基づいていろいろと改革をした点、修正をした点について、それを全てはみ出しだとか、そういうことで排除されてしまいますと、上乗せとか、そういうふうになってしまいますと、これはまた議論が十分できなくなりますので、そういったことの是非については、それも含めてぜひ議論させていただきたい。

 我々が加えたものについて、それが全くだめだというふうに私たちは思っておりません。必要性があると思うからそういうふうにさせていただいたわけで、ぜひそこは胸襟を開いて協議をさせていただきたいというふうに考えております。

野田(毅)委員 具体的に言いますと、この前からこの委員会でも、我が党から鴨下委員初めいろいろ指摘しましたね、年金問題。この問題も、我々は、基本的には現行の制度を基本としてしかできないよと。ただし、その中でも、もう既に国会へ出していますが、せめて共済と厚生年金、サラリーマンの年金だけはまず一本化しようじゃないかといって既に法案を出したわけだ。だけれども、これに反対していたのはあなた方じゃないの。それで、今回、何かまたそれをやろうなんて言い出しているんだけれども、本当にできるんですか。公務員の労働組合の皆さんをあなたが抑え切れますか。法案はまだ出ていませんよ。

 それから、最低保障年金の話も、もうきょうは同じことを繰り返しませんが、問題点がある。

 そして何より、我が党の今までの指摘の中でまだ厳しくは言っていないんですが、もともと、サラリーマンの年金と自営業者の年金を一緒にできますか。これは健康保険も同じ。つまり、サラリーマンは、半分は雇用主が出すわけでしょう。しかも、その部分は全部税金は控除しているんですよ、所得税も法人税も。言うなら税制優遇になっているんですよ。だけれども、農業を初め個人事業主、誰も半分負担なんかしてくれませんよ。これを一緒くたにしてどうやって一つの年金制度でできますか。

 この本質的な問題がまだ、今までの議論の中で我が党から厳しくそこまでは話が及んでいません。入り口のところの議論でやっていたわけです、最低保障年金の話。そういったことを含めて、何で今回、一体改革と称してそんなことまで盛り込んできたんでしょうか。私は不思議でしようがない。

 それからもう一つ、我々が問題にしている一つは、後期高齢者医療もそうだ。これもあなた方は反対で、潰そうと。反対だと言ったんでしょう。廃止と言ったんだ。これはどうするんですか。

 いま一つ、少子化対策だ。これは既に、去年から我々は、おかしい、待機児童解消にはつながらない、この問題はむしろ現場を混乱させてしまうのではないかと。幼稚園の私学助成は残すというし、とにかく複雑で現場が混乱するだけ。この問題も時間があれば本当は徹底的に、この問題だけでも時間かかりますけれども、我々は断固これは反対だということを申し上げてあるわけだ。にもかかわらず、さっきの総理の話も何か一丁目一番地なんて胸張っておっしゃったから、それなら、これが枕になったらその次の消費税の議論には全然入れませんね、こう思うんですよ、一体改革とおっしゃるのなら。

 この辺は、都合のいいところだけはつまみ食いをして、都合の悪い消費税の引き上げに関してだけは自民党に泥をかぶせてやろうということに見えてしようがないんだ。もう少し、パッケージとして本当に戦術、戦略の組み立てをし直してみたらどうですか、総理。

岡田国務大臣 いろいろ御指摘いただきました。

 まず、被用者年金の一元化については、これは必ず実現して、早い段階で法案を国会に提出する、こういうことで今調整を行っているところでございます。

 それから、今最低保障年金のお話がございましたが、まずこれは二つ話があって、最低保障機能を充実する、これは現在の年金制度のもとでもできることで、これもこの国会の中で御議論いただきたいというふうに思っております。やはり所得の少ない方々にとって、非常に少ない年金額というのは結局年金の役割を果たしていないわけで、もう少しそこのところを厚くしたいということで具体的な提案をさせていただいているところでございます。

 ただ、抜本的に変えるということにつきまして、ここで余り細かい議論をするつもりはございませんが、自営業者の負担が重くなるという御指摘もございました。しかし、諸外国を見ますと、やはり雇い主の負担がない分、自営業者が倍の負担をしているという国は実はたくさんあるわけで、ここは具体的な制度設計をどういうふうにしていくかということにかかわる問題だと思います。そういうことはぜひ協議の中で議論させていただきたいというふうに考えております。

 最後に、我々の言う総合こども園のお話がございました。これは、実は自公時代に既に決定をされました認定こども園の発展拡充を図るものでございます。

 先般、私、鳥取県に行きまして、認定こども園を視察してまいりました。大変複雑な制度で、言われたのは、幼稚園の部分は教育委員会に、そして保育園の場合は県に、例えば画用紙の請求をするにしても、この子の分、何人分はこれは保育園籍、何人分は幼稚園籍、そういうことで非常に複雑で手間がかかるという御指摘もいただきました。それを一歩進めて、我々は総合こども園という形にしたいということでございます。共通の基盤がありますから、私は十分議論できることだと思います。

野田(毅)委員 今ある認定こども園と今度の総合こども園は全く質が違います。いずれ改めてそういう場があれば言いたいと思います。

 少なくとも、今回の大義名分というのは、やはり待機児童解消ということが最大のうたい文句なんでしょう。これは、少なくとも地域的にある程度限定されている。田舎の方は逆に子供の数が少なくて困っていますよ。それから、都会でも地域によって全然違う。そういう意味で、必要な地域については特別な措置を講じていくという、具体的に実践的なやり方をやればいい。地域限定、期間限定と言ってもいい。それを、何か制度をいじくり回して喜んでいるというのはいかがか。

 ついでに、ちょっと言いましたから、我々が考えて取りまとめた少子化対策、これだけ簡単にちょっと御紹介しておきます。

  これまでの少子化対策に止まらず、家族を幅広く支える家族支援政策を積極的に進める。子供に対する現金給付は、所得制限を含め児童手当制度を基本に見直すとともに、待機児童問題の解消、幼児教育の無償化、保育制度の充実など現物給付の充実を第一に取り組む。

  政府・与党が進めようとしている「子ども・子育て新システム」は、待機児童解消が期待できず、制度が一層複雑化するなどの問題に加え、保育の質の低下や保護者の負担増を引き起こしかねない保育の産業化の方向に向かうものであり、わが党の考えとは相いれない。

ということを書いております。

 したがって、この問題に余りにもこだわり過ぎると物事は前に進まないですよということを念のために申し上げておきます。

 それでは、簡潔に。長くは要らぬですよ、時間がないから。

小宮山国務大臣 私どもが子ども・子育て新システムで就学前の子供たちに用意をしようと思っているのは、恐らく基本的には、子供のためというところでは共感をいただけるところが多いかと思うんです。

 もちろん、待機児さんの問題もあります。でも、一つは、先ほども申し上げたように、就学前の子供が、親が働いていると保育園、働いていないと幼稚園で学校教育、これは、やはり幼児教育をもっと小さいときからやるというのは先進国でもとられていることですので、今回は、親の働き方にかかわらず、全ての就学前の子供に質のよい学校教育、保育をというのが柱として一つあるということ。

 それから、総合こども園につきまして、今都会と地方のお話がございましたが、都会の方では待機児さんがたくさんいます。そこについては、幼稚園が三割ぐらいあきがありますので、そういう意味では、そこで幼稚園が総合こども園になる、保育園が総合こども園になる。そこで受け皿がふえると同時に、過疎化の地域では、今度は少子化のために、幼稚園、保育所、単独では成り立たなくなっている。それが総合こども園ということで一緒にやれますし、隣の市町村と一緒にもつくれるようにしています。

 それで、認定こども園の場合は、先ほど岡田副総理が申し上げましたが、今回、これは子ども家庭省を将来はつくりたいと思っていますが、なかなか一度にはできない中で、一元化をして内閣府でこれを扱うということで、そういう意味では、認定こども園がふえなかったことに対しても、そこはニーズに応えられると思っています。

中井委員長 小宮山厚労大臣、せっかくですから、自民党さんの政策をちゃんと参議院の予算委員会までにお読みいただくように要望しておきます。

野田(毅)委員 大分宣伝の機会を与えたようなことなんでしょうけれども、実はかなりの問題があることだけ申し上げておきます。

 私も、今自民党の社会保障特命委員会の委員長をしております。この中で、つい先般、少子化対策について、単に幼児教育のあり方、保育のあり方等々だけではなくて、女性の働き方の問題を初め、いろいろな角度からプロジェクトチームをつくりました。そういうことで、野田聖子さんなり、特に小渕優子さんなり、かなめになっていただいて、いずれ我が党として、また改めて出します。

 そういったことで、しっかりと我々の考え方を謙虚に聞いてもらいたいということをお願いします。(発言する者あり)お互いさまという話があったけれども、与党はあなた方なんです。あなた方はいつまで野党の気持ちでおるんですか。通したいというのなら、与党が真摯に、謙虚にやらなくて物事は成りますか。

 そこで、ついでと言うと恐縮なんですが、この中では余り大きな扱いではないんですけれども、今度の改革案の中で、医療保険の中で国保料の見直しが入っていますね。確かに、今までの市町村単位だけでは非常に難しい、限界がある。そこで、都道府県単位に財政範囲を広げようという話になっている。これはそのとおりです。

 そこで、実にイロハの話なんだけれども、お伺いしますけれども、今、国保料、国民健康保険料、どういう決め方になっているか、大臣、御承知でしょう。国保料の基準は何ですか。

 サラリーマンの場合は、年金と同じように給料から天引きですね。結婚してもしなくても、一定割合を天引きしますね、基本的に。半分会社負担だ。では、自営業者、国民健康保険、これはイロハの話だから、役所の応援を求めなくたって、当然、大臣であれば基礎知識として持っておかなきゃいけませんね。どういう決め方になっていますか。何を基準に保険料の額は決まりますか。国会議員も国保料なんです。

小宮山国務大臣 一号の保険料は所得に応じて払うようになっているというふうに考えています。

野田(毅)委員 どういうこと。

小宮山国務大臣 一号の保険料は負担能力に……

中井委員長 まだ質問。お互いに勝手にやらない。

小宮山国務大臣 はい。

 国民保険料は、世帯ごとに保険料を算定して世帯主が納付するという形をとっています。一号の、それから……(野田(毅)委員「委員長、時間の無駄だから、ちょっと」と呼ぶ)あとまた、介護の保険料などについては、低所得者に配慮をして負担能力に応じた負担を求めるということで……

野田(毅)委員 介護を今聞いていません。

 あなたは今一号だとおっしゃった。では、二号、三号とは何ですか。だから、そういうことを知らないなら知らないでいいですよ。だけれども、知らないのは恥ずかしいですね、担当大臣として。

 だって、国民健康保険というのはみんな身近な話じゃないですか。それがどういう基準で保険料が決まるか。言うなら、租税法定主義の基本と同じ話じゃないですか。農家の皆さんはどうやって保険料が決まるんですか。そうでしょう。当然、所得割があって、均等割があるわけですよ。そうでしょう。さらにもう一つ、資産割があるんですよ。

 資産割があるということを大臣は御承知ですか。

小宮山国務大臣 所得割、資産割、均等割、それから平等割、これがあるというふうに承知をしております。

野田(毅)委員 今言ったとおりじゃない。

 それで、問題は、これは我が党でもやはりちょっとうかつだったと僕は思うんですよ。資産割は、何を基準にして資産を把握できるんですか。個々人の資産ですよ、収入じゃないんですよ。何を基準にかけているんですか。

 では、預金、みんなわかっているんですか、市町村の役場は。何でやっているんですか。銀行預金がわかるわけないじゃないですか。そうでしょう。

小宮山国務大臣 それは、固定資産税をもとに出しています。

野田(毅)委員 それはそれしかないんだけれども、問題はその固定資産なんですよ。

 あなたは東京の区の中に固定資産を持っているかどうか知りません。あるいは、ほかの地域に持っているかもしれません。だって、お医者さんなんかでもあっちこっちに持っている人はたくさんいますよね。ほかの地域に持っている固定資産をどうやって役場が調べられますか。大阪に住んでいる人が東京にマンションを持っている、たくさんあるじゃないですか。

 では、東京のマンション、どうやって誰が調べるんですか。どうなっているんですか。

小宮山国務大臣 それは、住んでいる市町村の中での持っているものしか現在は把握ができていません。

野田(毅)委員 それは当たり前なんですよ。なぜかというと、固定資産税台帳は市町村にしかないんですよ。市町村を越えたところの固定資産は、誰が幾ら持っているかわからないんですよ。そういうことを前提にして今の国保税が決まっている。おかしいと思いませんか。特に、都道府県に広げようなんていったら、都道府県なんかわかるわけないんですよ、固定資産税台帳がないんだから。

 そういうことを頭に置いてやらないと、いずれにしても、こういう現地の、本当にイロハの部分、そこが全然、ちょうど番号なしに年金をやるのと一緒だ。年金番号なしに幾らやったって、それは消えるんですよ。一番の本質は、年金番号じゃなくて、やはり番号がなかったことが消えた年金の根本じゃないですか。

 同じように、固定資産税を課税標準にする場合には、課税というか、国保税といいますから、それの把握はどうなっているか。ここがわからないで、では、今まで何を基準に取ってきたんでしょうか。大臣としておかしいと思わないの。思うなら、改めるようにしてください。

小宮山国務大臣 それは、所得の把握の仕方、今財務省の方でやっているものを基準にしていろいろやっておりますので、それは政府として、どういう形で本当に公平な、納得していただけるような所得の把握をするかということ、全体の所得、資産の把握、その持っているものの把握をするかということを検討する必要があるかと考えます。

野田(毅)委員 今、所得の話をしているんじゃないです。あなたは今二つ間違っているの。

 所得の捕捉は、社会保険料を決めるときには市町村でやっているんですよ。市町村が所得の捕捉をする。市町村が捕捉をする前提として、国税から通知が来るんだ。だから、国税から来ないことも市町村は当然わからなきゃいけないんです、住民税は。

 それから、今聞いたのは資産ですよ、収入じゃないんです。これは別の話だ。だから、おかしいでしょうと。だから、素直に、本当にこれからちゃんと勉強して、役所に戻って、根っこからやはりこの制度を見直す。当たり前じゃないですか。別に、これは与党、野党じゃないんですよ。抜本改革をやろうというのなら、それぐらい習わなくてどうするんですか。どうですか。

小宮山国務大臣 それはおっしゃるとおりだと思いますので、おかしいところは改められるように、しっかり勉強させていただきます。

野田(毅)委員 それは、今まで自民党がやってきたことは全て正しいと誰も言っていませんよ。だから、今回一緒にやろうとおっしゃるなら、やじがいっぱいあるけれども、そんなことは横へ置いて、改めるべきところは謙虚に改めようというその姿勢がなくて、物事は進まぬのですよということを申し上げておきたいと思います。

 それから、社会保障の見直しに関連して、大変気になる、これは我々も問題点があるんですけれども、それは、今回の中で、社会保険料の引き上げ、特に短時間労働者に対する保険料の引き上げ、非常に大きな問題になっていますね。この点を、これはどう受けとめるのか、岡田副総理からちょっと聞きましょう。

岡田国務大臣 先ほども御答弁したところではあるんですけれども、やはり、そういった社会保障制度、特に厚生年金、健康保険、その適用を拡大していくということは、基本的な考え方として私は必要なことだと思いますので、もちろん、御異論もいろいろなところにあるというふうに承知しておりますが、そこはよく調整をして、そして、拡大の方向で、既定方針を踏まえて、しっかりとした法案の形にしたいというふうに考えております。

野田(毅)委員 今反対しておられる、まあ、こんなこと、プライベートなことを言ってはいけませんが、流通業界の皆さんはもう必死になっていますよね。これは彼らがわがままで言っているのかどうなのか。私はそうは思わないんです。これは決して流通業界だけではないんです。かねてから、もう十年以上も前から、建設業界の下請の方々だとか板金だとか、いろいろな人がたくさんいますよ。どれだけ苦しんでいますか、社会保険料負担で。本当に、中小企業は大変ですよ。最低賃金制もあるけれども、特にこの社会保険料負担が大きいんですよ。

 そのことが、結果として雇用者をふやせない。そして同時に、また非正規がふえる、給料を上げられないという現実があるということを考えてみると、今日のデフレの一つの原因は、お金の量もさることながら、やはり需給関係がうまくいかないという、需要不足が一つの大きな原因だし、その需要不足の大きな原因の一つが、雇用者所得が落ち込んでいる。この雇用者所得が落ち込んでいるということの背景に、結構こういった問題が影響を及ぼしているんじゃないんですか。

 そういう意味では、デフレの一因にもなりかねないという問題が社会保険料の問題にあるんだということを、この認識は、さて、これは誰に聞くんだろうか。この話は、厚労大臣よりは、むしろ経済政策との兼ね合いだから、これは経済財政担当。

古川国務大臣 委員御指摘になったように、これはさまざまな面を配慮していかなければいけないと思っています。

 したがいまして、今、我が党、また政府の方でもさまざまな御意見は伺っております。そういった御意見をしっかり受けとめた上で、最終的には判断してまいりたいというふうに考えております。(発言する者あり)

野田(毅)委員 今、答えていないと。全く答えていないです。それはなぜかというと、答えがないから。だから、それはわかります。

 答えを言いますが、今フランスでも、我が国では、デフレのときの消費税との関係、いろいろ議論がある、しかも景気が悪いとかいろいろあるわけですが、ヨーロッパ、いろいろな国がみんな消費税を上げているわけだ。しかし、同時に社会保険料の負担を下げようとしているんだ。今まで、どちらかというと、社会保険料があるから、ほかの税は、消費税は引き上げないでいいんだと言っていたけれども、もう社会保険料の引き上げそのものに限界が来た。

 では、社会保険料と所得税、法人税と何が違うんですか。全部直接税そのものじゃないですか。経済に与える影響は一〇〇%同じなんだ。では、なぜ別々にするんですか。

 もう時間がないから私から言いますが、答えは一点です。使途がはっきりしているからなんだ。受益との関係がはっきりしているから、社会保険料に誰も文句を言わなかったんです。それでも限界があって、もうこれ以上できないところに来てしまって、経済にも弊害を与えるということになってきた。だったら、社会保障を何によって財源をつくるんですか。これがもう一つの消費税の議論の本質でなきゃいけないんだ。そうでしょう。

 そこで、これは、何のために平成十一年度から予算総則を入れたか。私もそのときに入れさせた張本人ですから、そのときの狙いは、これを見てもらうとわかると思うんだけれども、最初の黄色い部分、消費税の収入は、国に入った収入は全てを基礎年金、老人医療、介護にしか使わない。これは今もそうなんですよ。だから、今も、国家公務員の給料には消費税から一銭も入っていませんよ。地方公務員は別だ、地方交付税を通じたりして。防衛費にも行っていませんよ。ODAにも、公共事業、ほかには行かないんだ、国の金では。それでも足りないのが現実なんだ。では、どうするというのが今の問題でしょう。

 そこで、もう一つ、実はこの分野に使うお金は、社会保険料が一番大きな根っこにあるんですよ。であれば、社会保障財源を賄う一つの有力な話として、消費税の使い道も、この社会保障にしか使わないということであるのなら、収入に対する保険料が社会保険料であれば、消費に係る保険料と考えてみたらどうですか。そのことによって、両々相まって社会保障の財源をカバーするということを考えないと、もう社会保険料は上げられない、では消費税ばかりこれから上げていいんですかということもあるし、一方で、では社会保険料をもっと上げていいんですかという話になるわけだ。

 このことの議論は、本当は私が言うんじゃなくて、そもそも政府が、あなた方が言わなきゃいかぬのじゃないですか。そうでしょう。だから、私は、今の内閣が本当にどこまで真剣なのかと。

 考えてみれば、二年前の二月、私は予算委員会で菅さんに質問した。当時は菅さんは財務大臣だった。そのときの答弁は、逆立ちしても鼻血が出なくなるくらい、徹底的に無駄を排除してからでないと消費税の議論に入りませんと言ったんですよ。マニフェストだけの話じゃないんですよ。それが、舌の根も乾かないうちに、一年もたたぬうちに、税と社会保障一体改革だなどと菅さんは打ち出したんじゃないの。

 同じ政権基盤、同じあの選挙によって野田総理も誕生しているんだから、その重みを考えた場合に物事の順序がある。だったら、素直に、我々もやはり必要だとかねてから言ってきているんですから、だったら野党に、協力する前にやることがあるじゃないですか、物の順序が。それが、まずマニフェストの撤回と国民へのおわびをやってください、与党の中をまとめてください、それから野党に協力を要請してください、この順序でやってください、こういうことなんです。

 総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 政策論としては相当かみ合うなというふうに思いました。政治論の前提条件ではなく、本当に、この国会審議も含めてでありますが、真摯な議論を重ねていけば私は必ず合意形成できると、野田先生の御指導をいただいてよくわかりました。ありがとうございました。

中井委員長 この際、塩崎恭久君から関連質疑の申し出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。塩崎恭久君。

塩崎委員 自民党の塩崎恭久でございます。

 昨晩のNHKの九時のニュースの中で、「被災地で失われる絆」というコーナーがあって、放射能から逃れるために妻と小さい子供は県外、そして若い夫が一人福島に残って仕事をしているけれども、酒の量はふえる、そして、家族のきずなを守ることの厳しさを日々感じているという話がありました。

 二度と福島第一原発のような事故を起こしてはならない、そして、それを避けるための原子力政策と原子力規制組織をつくっていかなければならないということを改めて痛感したわけでありまして、それに対して野田民主党内閣がちゃんとしたことをやっているかというと、そんなことはないし、そもそも、予算関連の日切れ法案というふうに勝手にお決めになっているこの規制庁法案でありますけれども、五百四億の予算がありながら、中身については何の議論もしないままこの予算を衆議院で採決しなければならないということであります。中身においては問題含みであることを、きょうもお示ししたいというふうに思います。

 二月二十八日に、民間の事故調査委員会、福島原発事故独立検証委員会が立派な報告書をまとめました。国会の方も、事故調査委員会、これは全会一致で通ったものでありますが、政府から、東電から、そして政治からも完全独立をしてやるというその委員会も、今、調査が佳境に入っております。

 細野大臣、あなたは黒川委員長に接触しましたね。

細野国務大臣 黒川委員長が就任をされてから初めてお会いをいたしましたのは、委員長が就任の後に私の大臣室においでをいただきまして、事故調査委員会をやるのでということでわざわざ御挨拶に来ていただいて、それに対しては、国会事故調という非常に権威ある委員会ができたわけですので、その委員長がじきじきにわざわざ私の大臣室まで来られたということで、大変恐縮した記憶がございます。

 ですので、接触という意味では、初めは委員長の方から直接来られたということでございます。

 その後、二月二日に委員長が声明を出されました。その中で、「政府が「組織の在り方」を定めた法案を決定したことは、私には理解できません。」こういうコメントがありましたので、これは御説明に行くべきではないかというふうに考えまして、事務方を通じて連絡をとらせていただきました。

 私の方からは、もちろん、事故調査委員会ですので、できる限りの透明性が必要だというふうに思いましたので公開でということを申し上げたんですけれども、先方の御判断で非公開でということで、最終的に、二月二十日にお伺いをして法案についての説明をさせていただく、こういうことになったわけであります。

 私としては、国会事故調の趣旨を踏まえて御説明に上がったつもりでありましたけれども、いろいろと御批判、厳しい御意見をいただきましたので、今後、説明が必要だというふうに私自身が判断いたしましたときは、直接連絡を事務方を通じてさせていただくということではなくて、議院運営委員会などを通じて相談をさせていただいて、御許可をいただいたときに説明に上がりたいというふうに思っております。

塩崎委員 この法律は全会一致で通りました。そして、その中に接触規制が書いてあります。それをあなたは破ったということをみずから認めなきゃいけないと私は思っていますし、そもそも、事故発生当時、あなたは総理補佐官でありました。その後、担当補佐官になり担当大臣になって、そして、今回の規制庁法案もあなたが責任者でやっておられる。その立場でやったら、当然、A級戦犯と言わないまでも、A級調査対象者ですから、接触をするというのは、この法の趣旨からして絶対にあってはならぬことなんですね。外国だったら、多分これは辞任物ですよ、当然。それをあなたは破ってしまった。

 ですから、何をしゃべったか我々には何にもわかりませんから、いろいろ説明は今ありましたけれども、それだけかもわからないし、そうじゃないかもわからない。マスコミの間では、この委員長に、善処を図ってもらうことを前提に叙勲の話までしたという話が流れていますよ。事実ですか。

細野国務大臣 こういうテレビが入っている席ですので、どういう根拠でおっしゃっているのかわかりませんが、事実を私の方からきちっと御説明したいと思います。

 先方は、委員会の委員の方が、委員長はもちろんですが、あと三名おられました。事務方の方々もおられました。私どもも、私も参りましたけれども、準備室の職員も含めて法案の説明に行っております。

 どういった説明をしたのかということについては、ある程度しっかりとした記録がありますので公開はできますが、それは委員会の方の聴取に応じたということでございますので、そのあり方については私どもが判断をできる立場にはないということであります。

 法案の中身については私も承知をしておりまして、この調査委員会の法の第六条には、委員長または委員は、利害関係者と職務を遂行する場合以外の場合において面会等により接触したときは、その概要を記載した報告書を翌月に議会議長に提出しなければならないという旨が規定をされております。

 私は、こういう趣旨で報告をしていただくことで問題がない形で説明をさせていただいたということでございまして、法に反したというふうには思っておりません。

塩崎委員 これはもともと、実は法律を直接規制をかけようと思ったけれども、法制上難しいというのが法制局の解釈でした。したがって、これを委員長、委員に接触の報告義務づけという形でやりましたけれども、事実上、我々は、これは皆さん全会一致ですから、立法者の意図としては、これは接触禁止だということを言って、抑止力として報告書を設けたんです。

 ですから、何を説明されても、我々は聞いていませんから、マスコミフルオープンならいざ知らず、わからない。おまけに、報告書の具体例を見てみると、驚くことに、いろいろなことがわかるんですね。

 例えば原子力安全委員会の事務方が行っていますよ。それから枝野さん、あなたの配下である経産省の局長さんも行っています。それから、科学技術庁系の文科事務次官だった方、この方も行っています。きょう、後からお話ししますけれども、実は文科省はいろいろな意味で一元化に応じていないんですね、これは細野さんもいらいらしているんだろうと思うんですけれども。そういう人たちが結構接触しているんです。

 ですから、野田総理、政府の人たちは一番接触してはならない人たちなんですから、こういうようなうかつなことをやらないように私はぜひ言ってもらいたいと思いますので、そのことについて一言いただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 基本的には、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法第六条の趣旨に沿って対応していきたいというふうに思います。

塩崎委員 枝野大臣、局長さんが会いに行っていらっしゃいますけれども、あなたの命で行っているんですか。そうじゃないと言われても我々はよくわかりませんから。どういうことであなたは行かせたんですか、行かせていないんですか。どっちですか。

枝野国務大臣 細野大臣が黒川さんとお会いになっていたことも報道で知りましたし、局長がそれに同席していたことも今伺いました。初めて伺いました。

塩崎委員 今初めて聞いたと言ったって、そんなことは我々にはわからないわけでありまして、つまり、李下に冠を正さず、これは政府も東電も、そして我々政治家も、ですから私も、つくった方でありながら、全然会っていませんから、何をやっているのかさっぱりわからない。しかし、それが我々の目的だったんですから。その趣旨を踏まえてやっていただきたいと思います。

 そこで、今、今回のことでわかったことは、大臣が動いたら、いかに独立性が危うくなり、そしてまた、不当な圧力をかけていると見られるかということであります。

 ですから、これが実は規制庁法案の問題についても同じことが言えるということをはっきりここで我々も確認ができたわけですし、やはり法律で独立性は担保しないと守られないということだと思います。

 そこで、この規制機関の独立性について入っていきたいと思いますが、野田総理が去年の九月、国連で、世界最高水準の安全基準をつくるんだということを宣言されました。やり方は二つあって、規制と利用を分離する、つまり規制機関を独立させる、これが一つ。もう一つは、一元化を図るということをおっしゃった。私は、それは全く正しいと思う。そして、IAEA基準にのっとってやられるということもおっしゃったんですね。

 もう一回、基本を確認したいと思うんです。これは、IAEA、国際原子力機関の安全基準というのがあって、この中に規制機関の独立性というのが定められています。そこに一番の原則が書いてあるわけですけれども、十分な権限、十分な職員、十分な財的資源、つまり、権限も独立し、人事も独立し、予算も独立していなければいけないし、政治からも経済政策からも、そして政府の各部門からも独立していないといけない、独立した規制判断と決定ができるように、いかなる不当な影響にも左右されないようにしなければいけないということが書いてあるんですね。

 この独立性の一番大事なのは、細野大臣、人事です。前回、規制庁長官は大臣任命で、閣議決定をした後、大臣任命をするということであります。この人は身分保障はありませんよね。つまり、更迭を幾らでもされ得ると考えてよろしいですね。

細野国務大臣 独立性につきましては、最も大切な部分は、推進側から明確に独立をするというこの部分だというふうに思っております。IAEAにもそのことが書かれておりますし、また、累次の日本に対するさまざまなIAEAからの見解の中でも、そのことが示されております。

 そしてもう一つ、政治からの独立性ということも重要でございます。

 したがいまして、原子力に関する規制については、法的に委任をされて、その原子力規制庁の長官が客観的、科学的にそうした判断を行うというふうにしているところでございます。

 人事につきましては、任命は大臣が行う、内閣としての決定ということでございますが、さまざまな日ごろの運営、さらには危機管理時における炉の問題についても、この原子力規制庁の長官がやるということでございます。そうした委任規定がございますので、その趣旨に鑑みれば、そういう判断の是非によってこの人事が動かせるものではないと考えております。

塩崎委員 身分保障があるかどうかをイエスかノーかで答えてください。

細野国務大臣 委任規定がありますので、そういった部分については完全に委任をされているということであります。

 人事権につきましては、これは大臣ということになります。

塩崎委員 大臣ということですから、いつでも更迭ができるということは常識であります。それは、しかし世界の非常識なんです。アメリカもフランスもイギリスも、みんな罷免されません。身分保障があります。

 ですから、この規制庁の長官は、例えば初動の動きとか、あるいは浜岡原発をとめるとか、あるいは今度問題になっている再起動をどうするか、この問題については一切弱い立場でしかない。つまり、人事でおどせば一発なんですよ、これは。ですから、大臣と、あるいは総理と対立をしたら、自分の人事権を持っている人の言うことを聞かざるを得なくなるということになるんです。そうじゃないですか。

細野国務大臣 今、浜岡の例であるとか技術的なことについておっしゃいましたが、そこの独立性がそれこそないがしろにされるということがあってはなりませんし、そういう制度にはなっておりません。技術的な問題については法的に委任をされておりますので、そういうことではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。

塩崎委員 細野大臣ももう霞が関に大分長くお住まいになっているからわかっていると思いますけれども、人事が全てなんですね。権限が独立していても、人事で幾らでも、おどせば終わりですから。

 次に、職員の話に行きたいと思います。

 この間、ノーリターンルールについて、人事政策を二十四日ですか、発表しましたよね。以前言ったように、七人の指定職はノーリターンルールだということを聞いていました。今度、政令職というのが加わると言っています。これが原則ノーリターンだというふうになっていますが、何人加わるんでしょうか。

細野国務大臣 済みません、その部分については事前に御通告いただいていなかったものですから、正確な人数は今手元にございません。ただ、指定職ということでございますので、参事官以上ということでございますので、一定の人数についてノーリターンルールということであります。

 ただ、人事は中で育てていかなければならないと思っております。したがいまして、課長職以上について、これはノーリターンルールという原則にいたしますけれども、そこから、下からそういったところに上がってくる人をできるだけ育てることによって独立性をしっかりと確保していきたいというふうに思っております。

 このノーリターンルールというのは、これまでの役所のあり方からはかなり踏み込んでおります。これを実質的にしっかりと確保することで、塩崎委員が御懸念のようなことにならないように、しっかりやってまいりたいと思っております。

中井委員長 ちょっと待ってください。

 資料持っているの。あるの。

塩崎委員 いや、いい。結構です。私、知っていますから。

 十二人です。十二人なんです。七人プラス十二人で、十九人だけがノーリターンないしは原則ノーリターン、そういうふうに書いてあるんですね。

 今いろいろおっしゃいましたけれども、考えてください。これは四百八十五人ですから、規制庁の人数は。たった十九人ですよ、ノーリターンは。たった十九人。おまけに、経産省は三百五十九人来ていますから、十九人全員がノーリターンだとしても、三百四十人は相変わらず規制庁と経産省の間を行ったり来たりするという、何にも変わらないじゃないですか。

 ですから、結局、長官はいつでも更迭をされ得る、そして、職員は今のように、昔の経産省と新しい規制庁との間を行ったり来たりということで行くわけですから、何の独立性なんかもないということになってしまう。絶えず、本省のどこに戻れるかな、こう考えるわけですよ、みんな。そうすると、安全政策はゆがんでしまう。結局、結論的に言えば、経産省の出先あるいは植民地が環境省にできるということになってしまう。

 育てる、育てるとおっしゃっているけれども、例えばこう書いてある。成果を上げ、役割を果たした後で、本人が希望する場合も復帰を認める場合があるというんだよ。だから、これではもう、成果を上げて役割を果たしたなんというのは、大体みんなそうなっちゃいますから。誰でも戻れるということになるルールだということがよくわかった。本当は、一生原子力規制にかかわっていく、そういう人をこれからは育てなきゃいけないということ、多分細野大臣も同じだと思うんです。

 ですけれども、今の人事政策、御発表になったものは、結局、今までの発想のままの人事政策をやっているとしか思いようがないんですね。ですから、これは第二保安院をつくることであり、また、言ってみれば原子力村がそのまま引っ越してくるということしか言えないんですよ。どうしてこんなことをやるのか。

 例えば、この間、メザーブさんが国会事故調に来てお答えになっていましたけれども、NRCというのはアメリカの連邦政府の中でも一番人気が高い組織なんだそうですね。そして、多くの人はずっと、終身NRCにおられるということでありました。

 せっかく育てて研修もして鍛えた人がまた戻っていく、そんなことをやっているような発想でやるということは、つまり、今回の福島の事故のことを本当に真剣に考えていないということだと私は思うんですよ。福島の人たちに前回も申しわけないと言いましたけれども、こんな人事政策で独立性なんて一体どこにあるんですか。

細野国務大臣 NRCの人事のやり方というのは、私も直接、メザーブ元委員長はもちろんですが、現在のNRCの委員の皆さんとも随分議論をしましたので、よく承知をしております。人事の組織としては、人数からしても、能力からしても、これはかなり日本の保安院とは差があります。そういう力を持った組織をしっかりとつくりたいというふうに思っています。

 ただ、その一方で、初めに組織をつくるときは、どうしても、これまでの経験者を集めてくるしかないんですね。ですから、経済産業省や文部科学省の中で、これまで原子力政策にかかわってきて、そして、これまでのやり方から変えるということについて、特に指定職以上は、私、直接面接しようと思っていますから、もうこれで、もとのところに帰るのではなくて、ここで骨を埋めて原子力安全規制そのものを正面から捉えてやる、そういう思いを持った人を採用したいと思っております。そして、そこをそういう人事をすれば、当然下は、それを見習ってしっかりと上を目指していくという組織が一番望ましいわけですね。

 ですから、塩崎委員おっしゃるように、あるとき新しくスタートしてゼロから立ち上げるのであれば、いきなりそういう組織を目指すということになるのかもしれませんけれども、既にある組織の中で有為な人材を集めてきてその組織を強くするということをやらなければならないわけです。

 ですから、そういう現実対応の中で、指定職以上はノーリターンルールで、それ以下は中で育てていく、こういう考え方に立っているということでございます。

塩崎委員 全く新しいものをつくらなきゃいけないというときに、確かに、最初は二、三年とか五年ぐらいあるかもわからない。しかし、そこから先のことを書いているんですよ、これは。それで、これだけしかノーリターンルールにならない、あるいは原則ノーリターンですから、これすらも怪しい話であって、そんなことで、本当に一生ずっとここにいるような人が育つわけがない、私はそう思うんですね。

 だから、そこのところはまた議論するとして、今わかったことは、人事の面においても独立性はほとんどないし、そして、次に見る、これは総理がおっしゃった一元化の問題も、実は極めて中途半端なんですね。極めて不十分。

 例えば、放射線防護も全部文科省から来るわけではない、それから、保障措置は全く文科省に残ったまま、それから、SPEEDIは来ると言っていますけれども、実は、SPEEDIの前提となるふだんの放射能のモニタリングについては、前回も言いましたけれども、これは相変わらず文科省に残っちゃうんですよ。

 何でこんな独立性がないものであり、また一元化も、総理がやれと言っているのにやらないのか。なぜだろうかということを考えると、大体わかったのが次のパネルであって、やはり人事なんですね。また人事ですよ。要するに、ふだんのルーチンの人事と、それから天下りなんですよ。

 これを見てください、「原子力規制支援法人への天下り・現役出向」。役員を見たら、大体半分は、全部、天下りか現役出向ですよ。それから職員だって、何と九十三人も行っているんですね。こういうところが独立をされちゃったら、本当に独立させられたら、なくなっちゃうから、切れちゃって。そうすると、経産省からも文科省からも行けなくなる。それは困るよね。多分、事務関係の人たちが考えた、今までどおりの人事の発想でしょう。

 しかし、もう百八十度変えなきゃいけないんですから。それを、相変わらずこういうことがあって、多分私はそうなったと。失いたくない、だから、原子力の安全よりも人事を大事にする、あるいは権益を守る、そこのところをやってしまったというふうに私は思っているわけであって、結局、一元化しないのは、国民のためか、あるいは、細野さん、文科省の天下りのためなのか。

 やはりこれは、福島の被災者の方々に対しても気持ちに応える、世界もやはり迷惑がかかっているわけですから、そのお気持ちにも応えなきゃいけないと思っていますけれども、何でこんな中途半端なことをやるんですか。

細野国務大臣 人事でございますけれども、旧来の発想だと、出向して、そのポストはその省庁の指定のポストになっていますので、もとに帰って、それでまた次の人が来るということをやります。

 今度の原子力規制庁ではそういう考え方はとりません。もちろん課長以上は、これはノーリターンということになりますので、そもそもどこかの植民地人事というようなことはあり得ないわけですけれども、その下も含めて、これは文科省のポストの課長補佐だとか、これは経済産業省のポストの補佐だとか、そういう人事はいたしません。適材適所で人を育てて、中で強い組織をつくっていく、そういう考え方に立ちます。

 一元化でございますけれども、文部科学省とも、この半年以上、継続してずっと協議をしてまいりまして、その中で、かなりの部分についての一元化はできたというふうに思っています。

 ただ、セーフガードについては、保障措置については、これは塩崎委員も恐らくいろいろ聞かれて把握をされているのではないかというふうに思いますけれども、長い歴史があって、IAEAなどの関係であるとか政府の信頼性も含めて、文科省としては今は残すということでございましたので、ではそれは検討課題にしようということで、今年末までに、そういったことについても協議を継続するという形になったものでございます。

 天下りの御指摘もありましたけれども、それぞれの組織のあり方については、特に独立行政法人、公益法人もそうですけれども、これは根本的に見直さなければならないというふうに思っています。それは、どこかの省庁の権限だとか天下りとか、そういうレベルではなくて、本当に強い規制機関をつくるためには、こういう本当の現場の、例えば安全の管理をするような、こういう組織の人間というのは極めて大事なんですね。そういう組織のあり方であるとか人事であるとか待遇であるとか、そういったものをどうしなければならないという、そこから入りたいと思っています。

 過去、私どもが天下りの問題について厳しく追及してきたことは忘れてはおりませんので、そこも含めて、あり方を根本的にこれから変えていくということを申し上げます。

塩崎委員 大事なことは、人と金の流れをとめるということであるし、それから、そもそも、さっきのセーフティー、セーフガード、セキュリティー、このいわゆるスリーSというのは、日本が洞爺湖サミットで福田総理が唱えたことなんですね。これを一体的にやるというのは当たり前で、それをまた、この年末までに、何で今やらないんですか。そんなの妥協しちゃだめですよ。それはおかしい。全然おかしい。

 時間がないので、最後に、この間ちょっと取り上げた、究極のIAEA安全基準破りをちょっと示したいと思うんですけれども、その次のやつはこの間も示したとおりです。

 根本的に間違っているのがこの法案にあって、これは、原子炉の鎮圧の指揮等も含めて事務局としてサポートをこの新しい規制機関がやると。これはあり得ないことであって、きょうちょっとパネルにはしていませんけれども、手元に資料があるウェートマン・レポートでは、この間言ったように、役割と責任は緊急時においても混同してはならない、つまり緊急時も独立性を保たなきゃいけないのに、これは明らかに従属関係にあるということをこの間お認めになったはずですよね。

 これ、今お話がありましたが、ハウエバーの話ですよ。ここのところが、混同すべきではないと言われておきながら、ちゃんと対等な協力をしなきゃいけないのに従属関係のままでいくというのは完全に間違っているし、このウェートマン・レポートを正しく解釈して法律をつくったとこの間おっしゃったんですよ。全然違うじゃないですか、これは。だとすれば、今回の法案は、もう根本的なところで間違っているわけで、IAEA基準に反しているわけでありますから、こんなものを審議しろといったって無理ですよ、それは。

 一番の根本的な、緊急時においても独立性が担保されなければならないと言っているのに、堂々とこうやって総理の下でやれと。この間の民間事故調でもそうですけれども、官邸の指示でもって大混乱をしてしまったわけですから、こんなことが許されるわけがないわけであって、だから、こんな法案で我々に審議しろといったって無理ですよ。それはどうですか。

細野国務大臣 御指摘のウェートマン団長のレポートですけれども、改めて読み直しております。

 ここで言っている役割分担は、電力会社と規制機関、そして政府のそれぞれ異なる役割があるので、それをしっかりと整理をするようにということで書かれているんです。そして、それぞれの独立性について書かれています。

 その最後に、こういう記述があります。「これらの役割と責任は、緊急時においても混同すべきではない。」そのとおりです。「しかし、そうした状況においては、公衆の最適な防護を保証し、適切な情報が入手できるようにするために緊密な協力が求められる。このことは特に、広範な区域にわたって発電所外の対策措置が求められ、様々な機関または省庁を通じてそれを実施する必要があるような苛酷事故において重要である。」つまり、こういったケースにおいては、どう連携するかを考えなさいということをこのレポートでも言っているわけですね。

 そこで、私どもは、役割分担を明確に先日もお示しをしましたし、改めてお示しをしたいと思います。

中井委員長 細野君、ちょっと時間が来ていますから、そこで打ち切ってください。

塩崎委員 今のは全く間違っていて、対等な協力をしろということを書いているのであって、政府が、官邸が上に来て、下に規制庁が来るなんということは全く書いていないんですよ。そこのところをあなたは間違っているとこの間言ったのに、まだ言っている。そこのところを実は内包しているこの法案は、もう国際社会に背を向けているわけですから、こんなもの、我々は、福島の人たちに申しわけない、世界に申しわけないし、そもそも主権国家として私は恥ずかしいと思うんですよね。

 再稼働を早くしたいから四月一日スタートと言われていますけれども、こんないいかげんなものでつくったもので安全基準を新たなものをつくったって、私は、絶対に世界も国内も安心もしないし、これではだめだと思うんです。

 ですから、もう一回IAEA基準にのっとってつくり直してきて、それをみんなでじっくり議論して、そして事故調査委員会が、黒川委員会もやっていますから、その結論が出てきたらもう一回全部見直すというふうにしていかなければならないというふうに私は思っています。

 時間が参りましたので、最後に総理、法案をもう一回出し直してくる、つまり、IAEA基準にちゃんと合ったものとして出してくるということをやるおつもりはありませんか。

野田内閣総理大臣 先ほどの細野大臣の答弁で、ぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

塩崎委員 理解はできませんので、また続きをやりたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、小泉進次郎君から関連質疑の申し出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 総理、きょうは、三十分間、よろしくお願いします。

 九二%、この数字が二つの別々の世論調査で、たまたまだと思いますが、同じ数字が出ました。総理は、この二つの世論調査、何と何の世論調査か知っていますか。

野田内閣総理大臣 わかりません。

小泉(進)委員 一つは、毎日新聞の世論調査で、税、社会保障に対する調査です。これは、年金や医療、介護など日本の社会保障制度の将来に不安を感じますかと。これが、感じるというのが九二%です。この問題については本論の方で触れます。

 もう一つの九二%、これはきょうの朝日新聞ですね、一面で出ていましたけれども、福島県の県民の皆さんに対する意識調査。これで、復興に対する道筋がついていない、これが九二%であります。

 しかし、大変な事実もありますが、同時に、困難な中でも前を向いて頑張っている方々もいるのも事実です。

 二月の十一日、ちょうど十一カ月の日ですけれども、私は、福島県に行ってまいりました。リンゴ農家の方の除染の現場を見て、恐らくきょうも、阿部さんといいますけれども、七百本のリンゴの木の皮を剥ぐ、そういう除染の活動をしています。

 その方が私に、ぜひ多くの人に届けてくれ、そう言った言葉が、新聞、テレビの報道とかは、被災地は大変だ、大変だ、そういう声ばかりだけれども、そういう声だけじゃなくて、こうやって次を見据えて、何とか前を向いて頑張っているという人もいる、そういうことも伝えてほしい、そんな声もいただきました。

 そしてもう一つ、そのリンゴ農家の方の除染の活動を視察して、私もやらせていただいた後に、福島市内の仮設住宅の集会所に行きまして、浪江から避難をされている浪江町民の皆さんと対話集会を開催しました。そこで、一人の若い方が対話集会に来てくれて、その対話集会の後にお話をしたら、実は、その方は、四月の一日付で内閣府に入省が決まっている、公務員の、若き有望な方でした。

 お話を伺ってみたら、実は、ほかの省にも内定をもらっていて、内閣府にももらっていて、考えた結果、内閣府に決めたそうです。何で別の内定の方じゃなくて内閣府にしたんですか、そのように聞いたときに、その方はこう答えました。内閣府だったら、自分の地元の福島の復興に携われる仕事ができるかもしれない、そう思って内閣府に決めました。こういう方がいること。

 もうすぐ三月十一日、一周年が来ますけれども、これが新たなスタートだ、そういう気持ちで、復興庁、いろいろ批判もあります、復興庁じゃなくて査定庁じゃないか、こういう声もありますので、新たな気持ちで、改めて復興に取り組んでいただくこと、自民党もそこは全力で協力をします。

 総理、一言お願いします。

野田内閣総理大臣 いつも、小泉議員におかれましては、被災地の現場に入っての生のお話をお聞かせいただき、また御提言をいただき、本当にありがとうございます。

 悲しみはそう簡単に消えるものではないと思います。だけれども、今、官邸にも被災地のさまざまな、最近の、生の写真を掲載しているんですが、間違いなく、やはり前進を始めている、希望を持って動き出している方が、特に若い人がふえてきているというふうに私も思います。

 そういう思いをしっかり受けとめて、復興庁についての今御指摘ございましたけれども、被災地の御要請にワンストップで、縦割りを排して、しっかりとスピードアップして、加速して対応していきたいというふうに思います。

 これからもまた前向きな御提言、よろしくお願いいたします。

小泉(進)委員 それでは、きょうの集中審議のテーマ、税と社会保障の一体改革について質問をしたいと思います。

 今から三十五年後、私は六十五歳になります。総理に率直に聞きたいんですけれども、そのとき、私は年金をもらえますか。

野田内閣総理大臣 百年安心と自公政権のころからおっしゃっているわけでございますので、当然のことながら、年金は持続可能なものにしていかなければならないし、小泉さんが、何歳になるんですか。(小泉(進)委員「今、三十歳です」と呼ぶ)当然もらえるようにしなければいけない。そういう不安をなくしていくことが我々の、政府の責任ではないでしょうか。

小泉(進)委員 残念ながら、多くの私たちの同世代、なかなかそうは思っていないんですね。特に、さっき九二%の、国民の多くの方々が社会保障の将来に不安を抱いている、そういう結果が出ました。

 これは、例えば年金のこと。今、私、聞きましたけれども、収入が低い若い世代の方、特に国民年金の方ですね、毎月一万五千円の負担が重い。それに加えて医療保険、これも重い。その中で、未納の方、私の同世代ですよ、二十五歳から二十九歳ぐらい、二人に一人が国民年金を払っていません。

 そしてもう一つ、なぜこれだけ払っていないか。それは、将来、四十年間払い続けても、本当にそのときもらえるのか、こういう不安。これは否めない現実だと思います。

 今回の税・社会保障一体改革のポイントの一つは、今まで高齢者の給付の方に偏り過ぎた、その現在の社会保障の制度を、より若い人たちに希望を与えるような全世代対応型の社会保障制度にしたい、これが改革の一つのポイントだと思いますが、総理、全世代対応型、これは具体的にどういう意味ですか。

野田内閣総理大臣 これまで、給付は、どちらかというと高齢者向きの医療、年金、介護に中心的に充てられてきたというふうに思います。負担は、一方で、小泉さんのような現役世代あるいは若い人たちが担ってきました。

 そうではなくて、支える側の人たちにも、子ども・子育て新システム、先ほど野田先生からもいろいろ御指摘いただきましたけれども、そういうところに、支える側にも、人生前半の社会保障という観念のもとで社会保障の恩恵を感じてもらえる、そういうものにしていこうというのが、全世代対応型の社会保障という考え方であります。

小泉(進)委員 それでは、全世代対応型の社会保障制度にするために、消費税の増税分を幾ら使いますか。

岡田国務大臣 今回五%引き上げをさせていただくわけですが、そのうちの一%部分が新しいことに、残り四%が従来の制度の維持のためにということであります。その一%の中の七千億円を子ども・子育てのための対策に使うということが現在の考え方であります。

小泉(進)委員 今副総理がおっしゃったとおり、五%上げる分の四%は、今の制度を維持するため、そして赤字国債で発行している部分、ここに充てる。残りの一%ですよね、その新しいものをやるのは。しかも、この全世代対応型のところに行くのは、その一%分のうちの七千億にすぎない。これで本当に全世代対応型になりますか。

岡田国務大臣 既存の医療、年金、介護の中でも、もちろん医療も、これは高齢者医療だけではありません。現役世代の医療も当然あるわけでございます。委員の問題意識は私もよくわかるわけで、世代間の公平の問題、これは非常に重要だというふうに思っています。それを特に持続可能なものにして、若い世代に安心と夢を持っていただくための一体改革でなければならないというふうに考えております。

 ただ一方、他方で、今の高齢世代は、実は介護保険というのは最近入ったわけですね。これは、小泉さんが厚生労働大臣のときにこの制度を入れたわけであります。私は厚労委員会の野党筆頭をやっておりましたので、よく存じておりますが、この介護保険がないときは、みんな自分たちで自分たちの親の面倒を見たわけであります。そういう意味では、新しい制度が入ることによって変わってきている。

 子ども・子育ても、我々の子育てのときにはそんなに充実した制度はなかった。しかし、これからの子育て世代にはより充実したものがあるということですから、損得だけで考えるのではなくて、世代間の助け合いという中で、もう少し大きな気持ちで見ていくことも必要ではないかというふうに思っております。

小泉(進)委員 副総理がおっしゃったとおり、この世代間の公平性の問題は、損得でやるべきではありません。これは、世代間の衝突とかそういったことにしてはいけません。そこは同じ認識です。ただ、今ここまで広がってしまった、若い人たちと社会保障の給付を受けている側の人たちのこの差、これは生半可なことでは是正できませんよ。

 総理は、一月の十三日の記者会見で、つらいという言葉を四回使って、こう言っています。耳当たりのいい、耳ざわりのいいことを言って国民の歓心を買うという政治ではなくて、つらいかもしれないけれども、訴える側もつらいんです。それは、選挙が厳しくなるかもしれない。誰もが思う。負担をする側もつらい。だけど、つらいテーマもしっかりお訴えをして御理解をいただけるという政治を日本でつくれるかどうかが、私は正念場だというふうに思います。

 そのとおりだと思います。ですから、きょうは、今からそのつらい話をしたいと思います。つまり、社会保障の中の切り込み、また効率化の部分です。

 最初に、医療費の自己負担割合について伺いたいと思います。

 今、医療費の窓口での自己負担、これは年齢で分かれていますけれども、一体どうなっていますか。

小宮山国務大臣 今、七十五歳以上の高齢者は一割、それで、七十から七十四は、仕組み上は二割ということになっていますけれども、それが実現しないので、今、公費で補助を入れて一割のまま、それで、それ以下の方たちは三割ということです。

小泉(進)委員 きょう私が取り上げたいのは、まさにその七十から七十四歳の部分なんです。

 本当だったら、この七十から七十四歳の方々に二割の自己負担のお願いをしなければいけないところを一割という、毎年の予算措置で据え置いております。これは自民党の政権からそうです。これは、私たちもあのとき凍結をしてしまった。

 今、この凍結で毎年幾ら使っていますか。

小宮山国務大臣 毎年二千億投じています。

小泉(進)委員 毎年二千億ですよね。私は、これは厳しい話、総理が言うつらい話かもしれませんが、二割に本来どおりやるべきだと思います。

 今回、大綱の中で、残念ですが、これは後退したんです。なぜですか。

小宮山国務大臣 私も、これはやはり現役世代の負担を、もう少し世代間の公平をするということも含めて、ここは三割、二割、一割と、そこは二割にすべきだと私も思っています。厚生労働省の審議会の中でもそういう御意見をいただいていました。

 ただ、今回は、今のいろいろな経済的な環境の中などで、そこは御負担いただけないという判断が与党の中でもございましたので、残念ながらできなかったと私自身もそう思っています。でも、来年はこれは必ずやらなきゃいけないというふうに考えています。

小泉(進)委員 今回はやれなくて来年がやれるという意味が私はわからないんですよね。状況は何が変わるのか、わかりません。

 総理、総理はどう思っていますか。

野田内閣総理大臣 大綱の中に、その書き込みは入っていたというふうに思います。(小泉(進)委員「検討するです」と呼ぶ)ええ、という検討をさせていただきたいというふうに思います。

小泉(進)委員 これは素案から検討するということに、素案と大綱はほとんど同じですけれども、その前の成案の段階から後退をしちゃったんですよ。

 私も、七十から七十四歳の多くの方々、有権者の方がいますよ。しかし、なぜあえて、今一割でお願いをしている負担を二割にしてくださいと言うかといえば、このままじゃ済まないということを、多くの若い人たちだけじゃなくて、実は、その社会保障の給付を受けている側の人だって、このままじゃ済まないというのをわかっていながら、そういう措置があるからそれを受け入れているんです。あとは政治の決断ですよ。

 厚労大臣、これをやりたいと言いましたね。あとは、その思いを酌んで総理が決断すれば、大綱だってまだ、閣議決定はしましたけれども、これから与野党で話し合う中でもここら辺はできる部分なんじゃないですか。

 これから、与党、野党、どの党が与党をとったって、厳しい話は避けられませんよ。これはやるべきだと思いますけれども、総理、どう思いますか。

岡田国務大臣 これは、党の中でいろいろ議論してこういう結果になりました。私も非常に残念に思っている一人であります。

 ただ、消費税の引き上げを、これは今ではありませんが二〇一四年からお願いする、それから、年金の物価スライド、これはやめていたものを規定どおり下げる、スライドさせる、こういうことを決めるトータルな判断の中で、ここは少し無理ができないなという総合判断をしたものでございます。

 ただ、これからいろいろ中身を協議していく中で、自民党の中でそういう御意見があるということであれば、そのことも含めて協議させていただきたいというふうに考えております。

小泉(進)委員 そうやって、岡田副総理もやりたかったけれども残念だ、小宮山厚労大臣も残念だ、そう言うんですが、実は、民主党が野党だったときの発言や主張を聞くと、今と全く違うんですよ。

 当時は自公政権で、この二割を一割に凍結という判断をしました。私はそのときのことを知りませんから、当時の議事録を見て、また、いろいろな新聞報道も調べて、当時の野党民主党はどういうふうに言っていたんだろうな、恐らく、ひよったなとか選挙が怖いのかとか、こういう主張をされているのかなと私は思ったんですね。そうしたら、むしろ逆で、一割水準を維持しろ、二割にするのは高齢者いじめだ、こういう主張をしていたんです。それが今、それができなくて残念だと。どうしてこうなるんですか。

岡田国務大臣 我々野党時代の発言、私は私なりに整合性を持って発言しているつもりでありますが、やはり野党の立場になるとどうしても甘くなるというか、そこは、政権を攻撃することに急な余り、どうしても逆に振れてしまうというところはあると思います。これは、お互い、与党、野党を経験していく中で学ばなければいけないことで、やはり国会の場などで、お互い相手を批判するだけではなくて、より深い国民の立場に立った議論が必要である、そう思っております。

 野党時代、我々が言ってきたことについて、私、反省がないわけではございません。

小泉(進)委員 総理、どう思いますか。

野田内閣総理大臣 与党になって見えてくる風景というのもあります。野党になって見えてきた風景もあると思います。お互い、風景、見えてくるものが大体近づいてきていると思います。

 今の御指摘、私は、社会保障も、効率化、重点化の部分はさらにまだ必要な議論があると思います。そこは知恵を出していかなければいけないということは、委員の御指摘のとおりだというふうに思います。

小泉(進)委員 私も、いつか与党の風景を見たときに、当時の野党のときの風景と違うようなことを言ってはいけませんから、野党のときから、つらい、厳しい話をしておかなきゃいけないなと。

 これからは、どの党が与党になっても、恐らく、あれができますよ、これができますよじゃなくて、厳しいんだけれどもこれをやらせてください、そういう時代でしょう。だからこそ、今、野田総理がおっしゃったとおり、野党だからこう言ったらいいとか、与党になったら風景が違います、こんなことはやめなきゃいけないと思います。

 今、この負担の話もしましたけれども、消費税はこれから上げる、そして、こういった消費税以外だって、やることをやらないと、私は、若い人たちが、ああ、自分たちの将来のことを思って政治は本気で闘ってくれている、そういうふうに見えないと思うから、この問題を取り上げているんです。

 総理も言いましたね、この効率化の部分、負担の部分は与党、野党で話し合う余地があると。しかし、そういう厳しい話こそ、皆さんがまず示すことが与党としての矜持なんじゃないですか。総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 今回、まさに通常国会に出す法案と、それから、社会保障の改革項目については来年以降も順次出していくものもあります。そういう中で、一遍に負担ばかりふえるとちょっと耐えられない、つら過ぎるという話もありますので、先ほど副総理もお話がありましたけれども、消費税の御負担をお願いする、年金の特例加算を解消する等々、幾つかのことはやっていくんですが、順次どの段階でどういう御負担をしていただくのかということは、これはちょっと工程表的な、スケジュール感を持って、そして国民に御説明していく必要があるのではないかな、丁寧にやっていく必要があるのかなというふうに思います。

小泉(進)委員 では、その道筋をいつ見せてくれるんですか。

野田内閣総理大臣 全体像は、これは一体改革の第二章に書いてございます。それぞれの改革項目は、いつまでに何をする、例えば、この国会中に法案を出すもの、平成二十四年度以降に出すもの、中長期的に出すものということで、これは整理してございますので、それを踏まえてやっていきたいというふうに思います。

小泉(進)委員 いや、消費税はいつだとかは書いてありますよ。しかし、社会保障のこれこれこうやりますということは、その道筋、ロードマップにないんですよ。それがないから、多くの方は、どこか頭の中で消費税の増税は避けられないだろうなということはわかっているんだけれども、一体上げてどうなるのかな、これはわからないんですよ。だから、理解が広まらない。総理、違いますか。

野田内閣総理大臣 その必要な法改正については書いてあるつもりです。この国会中に出すものと、それ以降のものと。(発言する者あり)検討という言葉を書いているのもありますよ、確かに。だけれども、それは全部整理してパッケージでこれは文章で書いてありますので、それはまさにロードマップだというふうに思います。

小泉(進)委員 いや、検討と書いているものまで道筋だと言われたら、これはロードマップと言えませんよ。ロードマップというのは、検討したものを形にして示しているものがロードマップじゃないですか。それが、いろいろなものが、今回大綱の中で、検討、検討のオンパレードなんですよ。

 例えば、私は、これはますます多くの方に怒られることかもしれませんが、本当に全世代対応型にするとしたら、きつい話、これは真っ正面からやらなきゃいけない、二割負担の話だけじゃないんですよ。

 例えば、いわゆる病院に行くたびに自己負担に加えて百円負担をしていただけませんかという、この制度の話が当初ありました。私は賛成です。これはやるべきだと思っています。しかし、これも落ちました。これも検討です。なぜですか。

岡田国務大臣 これは、党の中で議論する中で、私もなるほどなと思ったのは、要するに、百円を負担する方は医療を受けられる方ですね。しかし、それを何に使うかといえば、高額療養費、高い医療費を御負担する方に対して、それを緩和するために使う。それは本来、病院に行く方が百円出す形で負担するのがいいのか、もう少し幅広く御負担いただいた方がいいのか、そういったところの議論をもう少しきちんとしなければいけない、こういうことでございました。

小泉(進)委員 しかし、それじゃ、結局、医療費を負担するのは、自己負担か保険料か税か、この三つしかないんですよ。それで、自己負担はだめですよとなると、保険料か税ですよね。保険料をこれからもっとふやしたら、全世代対応型どころか、全世代に負担を対応してもらうんですか。これは通るわけないじゃないですか。

 それで、総理、今回、この窓口百円、定額受診時負担制度ですか、難しい言葉でいうとそういうふうに言うみたいですが、これは、実は非常におもしろい世論調査の結果が出ているんです。読売新聞で、一月の二十九日、出ていました。この窓口で百円上乗せ、実は、全ての年代で六〇%を超える賛成なんです。どう思いますか。

岡田国務大臣 例えば、これが病院に必要以上に行くというようなことに対する一つの歯どめになるということであれば、私は意味のあることだというふうに思います。ただ、そういう高額療養費の負担のためということであれば、論理的にはそれは、医療保険に入っておられる方、保険料全体で負担していただくか、税金で負担していただく方が、私は理屈としては合っているというふうに思っております。

小泉(進)委員 理屈としては、百円を窓口で患者さんに負担してもらうよりも、副総理は、保険料か税金の負担を上げて全ての人で負担をしてもらう方が合っているという理屈ですか。

岡田国務大臣 つまり、これは何に使うかということなんですね。(小泉(進)委員「高額療養費ですよ」と呼ぶ)はい、高額療養費の負担という意味では、それは私は、税か保険料の方が理屈に合っているというふうに考えています。

小泉(進)委員 ということは、そこは、今でも重い社会保険料の負担とかは、これは現役世代だって避けられないんですよ。

 今回、税・社会保障一体改革のポイントの一つは、今のままの制度を維持したって、これから人口も減る、少子高齢化も進む、現役世代の負担が加速度的にふえていく。特にことしからは、団塊世代が六十五歳を超えて、十年後には七十五歳以上にみんななります。そこからは大変ですよ。特に、年金じゃなくて、伸び率が高いのは医療と介護ですよ。だからこそ、そこの部分でも、現役世代に負担がこれ以上行かないような改革を、負担の話を年齢を問わずお願いしなきゃいけないんじゃないですか。

岡田国務大臣 多分思いはそう違わないと思うんですが、そういった、窓口で定額で御負担いただく、あるいは、安い医療であればその部分は自己負担していただくとか、いろいろなアイデアが今までも出てまいりました。そういったことはそれぞれ検討に値する。そして、そのことは、医療費全体の負担を和らげるために私は使うべきであって、特定の目的のために使うというのは、必ずしも論理的に一対一対応をしておりませんので、そこはちょっと分けて考えた方がいい。

 そういう、窓口で追加的に負担することはだめだと私は言っているわけじゃありません。そこでできたお金は医療費全体の負担を和らげるために使われるべきであるということを申し上げているわけです。

小泉(進)委員 ということは、今副総理が言ったことを整理すると、窓口百円とかをやることは別に反対じゃないけれども、その百円取るような負担を高額療養費だけに使うのは反対で、それ以外の部分であるならばオーケーだ、これでいいですか。

岡田国務大臣 これは私の意見を申し上げております。必ずしも党の意見ではありませんが、私はそういうふうに考えております。

小泉(進)委員 いや、ちょっと待ってください。副総理ですよ、副総理としての答弁なんです。

 もう一度、その立場からの答弁をしてください。

岡田国務大臣 私の意見も含めて、これから政府の中、党の中で議論していくべきだと考えております。

小泉(進)委員 今もう大綱は閣議決定されているんですよね。閣議決定されていて、野党に協議をしてくださいとお願いをしている段階で、これから党で議論したいと思います、ちょっと違うんじゃないですか、これ。私は本当にこれはおかしいと思います。

 もう時間が終了したという紙が来ましたので終わりますけれども、総理、若い人たちはわかっていますよ、消費税がいずれ一〇%じゃ済まないこと。そして、これから、年金だって、自分たちが六十五歳になったときに六十五歳じゃなくなっているんじゃないかなと。これ、みんな本当は考えていますよ。

 だけれども、政治を見ていると、そこの議論に、何か腫れ物にさわるような感じで、パンドラの箱があいたら困るみたいな感じで、触れないんですよ。それが、私たち若い世代から見たときに、いつまでたっても変わらない。そして、ますます投票に行かなくなって、その結果、負の連鎖で、投票に行く方々の方に政策が向くんです。

 だからこそ、今、政府にいるのは民主党ですから、民主党の言葉が、本当に全世代対応型か問われていると思いますよ。

 この問題、またやらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

中井委員長 これにて野田君、塩崎君、小泉君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。坂口力君。

坂口(力)委員 久しぶりに質問に立たせていただきました。総理以下各大臣には連日御苦労さまでございます。お疲れと思いますが、私の質問はまことにシンプルで、そして基本的なものばかりでございますから、心を落ちつけていただいてお答えをいただきましたら結構かと思います。

 まず最初に総理にお聞きをしたいというふうに思っておりますが、かつて総理が財務大臣をしておみえになりましたときに、私、年金を初めとする質問に立たせていただきました。そのときに、もしも消費税を上げた場合には、それは目的税化して社会保障に使うんですねということをお聞きしましたら、いや、そういうことは言っていないという、あの当時は御答弁でございました。

 お立場は変わりましたけれども、現在、どういう使い方をしたいというふうに思っておみえになるのか、一言だけ聞いて、本格的な質問に入らせていただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 きょうは五十分、御指導のほどよろしくお願いいたします。

 財務大臣時代は社会保障に充てるというところまでは定まってはいませんでしたけれども、いろいろ党内の議論を積み重ねながら今日に至りましたけれども、結果的には、消費税率五%引き上げる際には、一%を社会保障の充実、四%は社会保障の安定化、すなわち全額社会保障にその使途を向けるということを判断させていただいております。

坂口(力)委員 ありがとうございました。

 それでは質問に入らせていただきますが、政府・民主党は年金一元化の試算を発表しないことにしたということであります。論議を重ねて、マニフェストにも書かれましたし、そして詳細な試算も出されました。私、拝見をいたしましたけれども、かなり詳しい試算だというふうに思っております。皆さんの考えられたことは、十分私は分析されているというふうに思います。

 マニフェストに書かれたんですから、その前に、かなり党内でも議論をされて、合意を得てマニフェストに出された、そしてその分析もされたということでございますが、しかし、それにもかかわらず試算を発表しないことにしたというのは、これはどういう意味なのか。試算はしたものの、これはちょっと使い物にならないというふうに思われたのか。それとも、いや、そうではなくて、五%の消費税の話をしているときに、別途七・一%、消費税に換算しての話でありますけれども、七・一%必要になるというような議論をすることはどうも議論を混乱させるから、これは先送りしようということになったのか。その辺の事情をひとつ総理からお聞かせいただきたいと思います。

岡田国務大臣 今委員の御指摘の、発表しないことにしたというのは、最近の話を御指摘になったというふうに理解をいたします。

 党の中の一部で試算をしたものがあった、ただし、それは党として何か決定したものではなかったということがまずございました。私は、当時幹事長でしたが、試算したこと自身も知りませんでした。

 しかし、その数字がメディアなどを通じて明らかになった。ただし、どうしても、メディアの扱いも含めて、消費税七%とか、四つのケースがあるにもかかわらず、そのうちの一番手厚いものが、しかも、すぐに上がるような印象をもって伝えられましたので、少しここは一呼吸置いた方が混乱を招かないだろうということで、とりあえず試算の発表は先送りするということにいたしました。

 結果的には、約一週間たって、少しそういう報道もおさまったところで、そういうものがあるということについては党の方から発表させていただいた。しかし、もちろん、それは党が何か決定したものではない、そういう説明も含めて発表させていただいたということでございます。

坂口(力)委員 野田総理がいつの間にか岡田総理になってしまいました。

 読売新聞によりますと、一月の二十九日、首相官邸で政府・民主三役会議を開き、二〇一五年に消費税率を一〇%に引き上げる社会保障・税一体改革と試算とは別との認識で一致をした、こう伝えております。また日経新聞によりますと、一月三十一日、野田首相は、どのように議論を深め整理するかは党が判断すると党に丸投げをしたと書いております。

 これは岡田副総理の方でも結構でございますが、一体改革と試算とは別の話だというのは、これはどういう意味でしょうか。消費税五%の引き上げは当面の話であり、年金の話は先の話だから、時期が違うので別の話だということを言われたんでしょうか。

岡田国務大臣 別の話という意味は、五%から一〇%に消費税を引き上げさせていただく、その内訳として、年金の抜本改革の部分はカウントしていないということでございます。

坂口(力)委員 そうしますと、現在の税の改革というのは、これは五%だけの話をしておみえになる、そういうことでしょうか。

 社会保障と税の一体改革を議論していきますと、社会保障の方は、年金のように非常に長期にわたるものがございます。それに対して、五%の消費税というのは、これはここ数年の間の話の問題と申しますか、そういうふうに捉えられているのではないか。私は、社会保障というのは非常に長期にわたる議論でありますから、それとあわせて税のことを議論するときには、税についても、長期にわたるものをどうしていくかということの議論が必要ではないかというふうに考えております。

 それで、この問題ばかりやっておりましてもいけませんので、私の考え方を申し述べて、そしてもう一つ、総理が、議論、整理は党が行う、こういうふうにおっしゃった。マスコミはこれを丸投げというふうに言っているわけでありますが、議論や整理は、私は、長い期間をかけてもうされてきたと思うんですね。整理あるいは議論というのは、それはもうそのときは過ぎて、そしてあとは、どう決断するか。これをこのまま続けていくのか、それとも、ここは一旦棚上げをする、凍結をする、そういうことにするのか、その決断をするのが総理のお役目ではないかと私は思います。

 そこをせずに、そして党の方にまあ適宜やってくれというのでは今はもうだめで、社会保障と税の一体改革を今進めていくときでありますから、今こそ総理が、自分たちが掲げた一つの年金制度なら年金制度について、ここは一旦少し時間を置いて、そして移行なら移行というふうにお考えになるかどうかというようなことを、今こそこれは議論を進めていかれるときではないかと思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 私どもの思い描いている新しい年金制度は、もう御案内のとおり、最低保障年金と所得比例、これを組み合わせたものであります。これは長い党内の議論の積み重ねの末に描いてきた一つのゴールです。これは基本的には堅持をしています。

 堅持をしていることを今回の一体改革の大綱の中にも明示させていただいておりますけれども、その具体的なものは、今回の新しい人口推計であるとか、あるいは自営業者のサンプル調査とか、いろいろあります。そういうものを勘案しながら、これは厚労省に発注するのか民間のところにもお願いするかはわかりませんが、基本的には、その辺の制度設計はマニフェスト事項なので党が主体的にまずやっていく。

 当然のことながら、私は党の代表でございますので、深くかかわっていかなければいけないと思いますけれども、そこに当然政府も連携をしていくというスタンスで、決して党に丸投げということではございませんが、そういう段取りを踏んでいくということでございます。

 それを先送りするか撤回するかということでございますが、まず、こういう新しい年金制度というゴールから見ながら、そこと整合的な現行制度の改善をしていこうというのが二〇一五年に向けての今回の一体改革の中身でございますし、今の現行制度の改善をもともと主張されているところと、ゴールから見ながらの改善と、私はその議論はかみ合う余地があるのではないかと思います。

坂口(力)委員 分析をされて、その結果をごらんになって、私は、民主党の皆さん方も、そんなに金がかかるのか、そこまで金がかかるとは思わなかったというふうに思われたのではないかと思います。

 この二番目の表でございますが、年金、医療、福祉と書いてありますけれども、これは介護が主でございますし、そして、これは平成十八年の推計でございますからちょっと推計は古いものでございますけれども、これをごらんいただきますと、そうすると、年金、医療、介護で、年金よりも医療、介護の方が非常にたくさんかかるということがごらんをいただけます。

 それから、もう一枚お出しをいたします。三枚目でございますけれども、これは、皆さん方が一、二、三、四と四通りの計算をされました。四通りの計算をされた二番目と四番目を、複雑になりますから、ここに書かせていただきました。

 そういたしますと、かなり先の話ではありますけれども、四番目の、一番多くの皆さん方に最低保障年金が全体に行き渡るものを採用するということになりますと、六十一・三兆円という、六十兆円に上る額になる。これは、皆さん方が計算されたものでございます。現行制度でいえば三十五兆台でとまるものが、六十兆台になるということでございます。

 消費税に換算をいたしますと、これは一一・二%。七・一%というふうに言っておみえになりますが、本当は根っこから計算すると一一・二%。現在四・一%使っているからその分を引いて七・一、こう言っておみえになるわけでありまして、七・一なら七・一でもよろしいですけれども、かなりな財源がかかる。

 しかも、これだけ財源がかかって、そうして皆さんの年金がふえるのならばこれはいいですけれども、年収四百万を超えたぐらいなところから、現在の年金よりも年金額が少なくなっていく。これは、一番いい案でも年金額が減っていく。しかも、莫大な消費税がかかる。

 これは皆さん方も、一元化、一元化と言っておみえになりましたときには何かいい案のように思ってきたけれども、しかし、こうして分析をしてみると、これは大変なことだね、ここで天下にこれを出して、これでやりますとはいささか言いにくいね、そう思われているのではないかと私は思っております。岡田さん、にやりとしておりますけれども、多分そう思っておみえになると私は思います。

 そういたしますと、これをこれからどうしていくかということになります。将来、これだけの年金の額がかかる。消費税に換算をして一一%、まあ七%にしたといたしましても、たとえ七%にしたといたしましても、消費税でもしもこれを賄うということになりますと、消費税は地方にも渡さなければなりません。今回の五%でも、一・五二%は地方に渡すということになっていますから、そうすると、三〇%地方に渡すということになります。もしも七・一%の消費税ということになりますと、これは、一〇%の消費税をつくって、三%を地方に渡して、七%を年金に使うということになるのではないかというふうに私は思います。

 そう考えますと、かなり大きな額でありまして、将来、年金にこれだけ大きな額を必要だということになりますと、そうすると、医療や介護に使う金はどうするのということになってまいります。

 医療や介護、これはかなりな額ですね。去年でありますと、平成二十二年から二十三年にかけましての一年間の医療の増加は一・六兆円でありまして、その中の四分の一を国費として出している。だから、四千億円毎年上がっていく勘定になっている。四千億といいますけれども、毎年その分だけずつ上がっていくということは大変なことでございます。

 それに、介護が非常に最近ふえてきました。介護は毎年どのぐらい上がってきますか、厚生労働大臣。

小宮山国務大臣 医療、介護の充実全体で、今回は大体一・六兆円超ぐらいが必要だというふうに考えています。

 介護でいいますと、二〇一一年が七・九兆円、それが二〇二五年には十九・七兆円ということを計算しております。

坂口(力)委員 一年一年どれだけ上がるかということでございますけれども、最近は、医療と同じ額になって四千億なんです。だから、医療、介護で八千億、毎年上がっていくわけですね。

 今回のこの五%の消費税のアップを皆さん方はお示しになりましたが、この五%の中で医療に回るものはどれだけありますか。

岡田国務大臣 その内訳はちょっと手元にございませんが、五%の中の一%は新しいもの、その一%の中で医療に回りますものがたしか八千億ぐらいだったかと思います。残りの四%は、従来の制度を持続可能なものにするためのものでございます。

坂口(力)委員 この「社会保障と税の明日を考える」、皆さん方が出されたものでございます。これを拝見いたしますと、六千億円、〇・六兆円と書いてあります、医療費に。ちょっとおっしゃったのとは少な目になっております。ただ、そのほかに、高齢者に対して一%ということになっていますが、この一%が何に使われるのか、よくわかりません。だから、医療という関係できちっと書いてあるのは〇・六兆円でございます。

 そういたしますと、これは、〇・六兆円ということになりますと、毎年毎年上がっていきます医療あるいは介護等の上がりに追いついていけない額であります。そうですね。そういう状況でありますから、一体、医療、介護をどうするかということの議論をきょうはしたいわけでありますが、その前に、もうちょっと消費税全体の話をさせていただきたいと思います。

 一番目の表をごらんいただきたいと思うんです。これはヨーロッパにおきます消費税率と日本の比較でございまして、イギリスもイタリアも二〇%、フランスが一九・六%、ドイツが一九・〇%、スペインが一八・〇、スウェーデンは二五・〇ということで特に高いですけれども、大体二〇%前後ですね。

 これに対して、今回日本は、五%を一〇%にしたいという提案をしておみえになるわけであります。これから先、日本の中で消費税はどのぐらい上げることが可能だというふうにお考えになっているか、総理並びに財務大臣からお聞きしたいと思います。

安住国務大臣 坂口先生にお示しいただいたとおりで、我が国の消費税は五%でございます。では、今後どれだけ消費税を上げられるのかということに関しては、率直に言うとわかりません。

 社会保障だけで見ますと、この社会保障は、先生一番御存じのように、保険料を含めた全体のバランスで考えなければなりませんし、また、私どもの立場でいえば、プライマリーバランスを含めて財政の健全化をどう図っていくかという問題もあるわけでございます。

 その場合であれば、基幹税として、さらに法人税や所得税とのバランスをどうしていくかということもあるものですから、全体の社会保障関係の設計とそれから税収、また高齢化社会の中での人口バランス等を総合的に勘案しないと、なかなか、ここまで上げれば大丈夫だというところまでは結論は至らないと思っております。

野田内閣総理大臣 今回の一体改革は、社会保障を支えるための安定財源の確保と財政健全化を同時達成というのが目標なんですが、いわゆる財政のところでは、二〇一五年までにプライマリーバランスの赤字を対GDP比半減という目標がございます。

 それは今回の改革で対応できると思うんですが、その先のことは、大臣も答えましたけれども、歳入改革もいろいろな改革があります。歳出改革もやらなければいけない。新成長戦略に基づいて、成長に資する、そういう施策も打たなければいけない。等々ありますので、二〇一五年以降についてはいろいろなバリエーションがあるというふうに思います。

坂口(力)委員 いろいろなバリエーションがあるというふうにおっしゃいますけれども、皆さん方が示されている年金だけでも、これを取り上げましたら、将来さらに一〇%上積みされるわけでありますから、もう二〇%になるわけですよ。ヨーロッパと同じ額にそれはなってしまいますね。そうしたら、その後の医療や介護の財源をどうしていくかという問題に突き当たってくる。医療の問題はこれからやりますけれども、岡田副総理、何かありますか。

岡田国務大臣 先ほど委員が御指摘された、年金よりもむしろ医療、介護でこれから資金需要が出る。ですから、全体をどういうふうに割り振っていくかということは非常に重要なことで、我々がやや年金に財源をとられるということは、これはなかなか痛いところではあります。

 ただ、先ほどの我々の試算の数字は二〇七五年度の姿であって、先ほど委員は、我々の試算で七%消費税が必要だから、それに地方三%を合わせて一〇%だということですが、二〇七五年に国と地方の分担をどうするかというのはかなり先の話ですから、今と同じ割合かどうかということは、それはそのときの議論だというふうに思います。

 それからもう一つ、生活保護というのをどう考えるか。今の延長線上で、きょうはそれは福祉のところに入っていると思いますが、最低保障年金機能を強化していけば、生活保護というのはむしろ減っていく、そういうことも言えるかと思います。逆に言うと、今の制度を充実していったときに、かなり生活保護の方に、年金だけでは足りなくてそちらに行かれる方が多い。結局それも税金で賄うわけですから、そういったことをトータルでどう考えていくかという問題ではないかと思います。

坂口(力)委員 それはちょっと苦しいですね。

 先の話ではありますけれども、将来、消費税に換算して七・一%の財源が必要ですということでありましたら、それは確保して考えていかなきゃならぬですね。将来は将来のこと、まあ何とかなるだろう、また子供や孫たちは何とかするだろう。それで、とにかく今はそれはさておいておいて、そして医療や介護に先に使っていってはどうかという話にはならぬのですね。年金でこれだけ要りますということを決めるんだったら、その分は、徐々に上がっていくわけですから、一遍に上がるわけではないことは私もわかりますけれども、徐々に上がっていかなきゃならぬ。そうすると、それはちょっと横に置いておいて、積み立てておいて、そして現在必要なものを考えていかなきゃならない。

 三割要るかどうかは、先でわからぬとおっしゃいますけれども、あるいは三割で済むのか、四割か五割になる可能性だってあるわけでありますから、そこは先がどうなるかということは予測しにくいところもありますけれども、現在の状況の延長線上で考えましたら、それはやはり三割はとらなきゃならぬということだと思います。そうすると、一〇%は年金に必要だということになる。一〇%必要だということになると、今度一〇%にもしも消費税がなりましたら、二〇%それだけでかかるということになりまして、それに医療、介護を積み足していきましたら、スウェーデンやデンマークよりも日本は高くならざるを得ないということになってくるではありませんか。

 そんなことを国民がなかなか許してくれるとは私は思いませんし、全てを消費税でするかどうかということも、これはいろいろ考えていかなきゃならないというふうに思います。

 皆さんがつくられました「社会保障と税の明日を考える」の中を拝見しますと、消費税で出していただきましたものは全て社会保障に使います、経済が好転をいたしましても、そこから出てきます財源は、ほかのところに必要であって、現在の社会保障を賄っていくほどのことはできません、それは無理ですということがこの中に書かれている。これは全体を見ましたら一理のある話だというふうには思うわけですけれども、その中で、今回年金だけが突出して語られていますけれども、医療、介護をどうしていくかということとあわせて考えていかなければならない。

 医療は、先ほど申しましたように年間一兆六千億、その中で、保険料や自己負担分は出していただくとして、国が出すものは現在四分の一の四千億ですね。しかし、毎年四千億ずつどんどん上がっていきましたら、五年しましたら約二兆円でありますから、それに介護の分が同じほどしばらく上がっていくということになりましたら、大変な額になっていきますね。

 だから、その辺のところも、これはトータルで見てどうするかということをやはり考えて、そして今回の社会保障と税の問題は考えていかなければならない話ではないか。先に年金で、これは年金の分ですよといって一〇%を押さえてしまいましたら、そうしたら、これはもう夜桜を見に行くときの昼の場所取りみたいなものでありまして、一〇%分を押さえましたということになりましたら、あとの場所、後の人の見る場所がなくなってしまうわけで、医療や介護の分はなくなってしまうということになります。

 だから、私はどこまでが可能かということを申しましたけれども、皆さんは、ここはどこまでとは言いがたいから、おっしゃいませんでした。それは言えないんだろうと私も思いますけれども、しかし、これから先の日本の社会保障にどれだけかかるかということは、大体計算のできる話でありますから、その計算のできる話に対する税制をどうしていくかということは言わざるを得ない。そこを黙って、五%だけに、小さな範囲内に置いておいて、そして社会保障の方の話も年金に特化をしてというだけの話では済まない。ここはもう少し、話を大局的立場からしていかないといけない。

 政局よりも大局で、これは総理がいつも言われる言葉でありますが、私は大局から発言をしておるわけでありまして、総理の方も、大局からこの辺のところをどうするかということをお答えいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 坂口先生御指摘のとおり、年金はまだマクロ経済スライドがあるから一定の抑制があるんですが、むしろ、これから伸びてくる医療、介護にどう対応するのか。もちろん、給付費の伸び等の試算については、これは今回の一体改革の中でも出しております。去年の成案のときも出させていただきましたけれども、そういう全体像を見ながら、公費の負担はどうあるべきか、保険料はどうあるべきかという議論、まさに大大局に立って議論をしていきたいというふうに思います。

坂口(力)委員 議論をしていきたいのはよくわかるわけで、私も議論をしていきたいわけでありますけれども、その議論の先に、アウトラインと申しますか、国民の皆さんは、そうすると大体これだけの社会保障費がかかって、それに対する国の準備はここまでしてくれるんだなということがわからないと、国民も安心できないんだと思うんですね。社会保障の前途に対して非常に不安だという人が多いというのは、その辺の国の姿勢が問われていると私は思います。

 しかも、この医療、介護の方は、きょう野田先生もおっしゃいましたけれども、保険料がだんだんだんだん上がってまいりました。だんだんだんだん上がってまいりまして、そしてもう、協会けんぽですかね、今までの中小企業が入っておみえになります皆さん方の政管健保と呼ばれておりましたもの、協会けんぽと言っておりますけれども、協会けんぽあたりはもう一〇%に達してきている。

 私は、保険料一〇%というのは、ちょっと限界だと思うんですね。大きい企業の中には、まだ五%ぐらいなところもありますよ。しかし、三十人とか四十人とか、あるいはもっと小さいところ、そうしたところが入っておみえになるところが一〇%に達したということは、これはかなり厳しくなってきていると思わざるを得ません。

 そうしますと、この皆さん方は、もう一〇%に達したから、何とか助けてほしい。その助けてほしいというのは、その中からいわゆる高齢者の医療費を出さなきゃならないから、四割出さなきゃならないから、それが非常に厳しいと。だから、国の方でもう少し高齢者医療の方は何とかしてほしい、我々が出す保険料からは、それは少なくしてほしいという議論が今起こっている。だから、そこも考えていかなきゃならぬわけですね。現在、毎年四千億ずつふえていきますというだけではなくて、これからの保険料の問題も考えていかなけりゃならないということになります。

 この辺のところを、やはりきちっと押さえるべきところは押さえて議論をして、そして全体でどうかという、具体的なことはともかくとして、大きな目で見た場合に、医療、介護、年金、そして子育て、これで大体これぐらいの額はかかるということが想定できるわけであります、先ほどのも二〇二五年にはどれだけかかるということを出してあるわけでありますから。

 私が平成十八年度の試算のを出しましたけれども、皆さんが出しておりますこの中の数字は、もっとたくさんかかるようになっております。もっとたくさんかかるということなんですね。だから、そこを一体どうしていくかという議論も少ししていかないと、トータルの議論になっていかないではありませんかということを言っておる。

 医療は、二〇二五年に五割増しになります。二〇一一年に比較をして、二〇二五年には医療は五割増し、そして介護は六割増しぐらいになります。これは一五五になっていますけれども、介護だけでありますと六割ぐらいになる。年金は二割ぐらいの増加にとどまる、こういうことであります。医療、介護は、年金とは違って、先の話だからといって待つわけにいきません。毎年毎年要る話でありますから、ここをどうしていくかということの議論を少し詰めないといけない。そこを私は聞いているわけです。

 それでは、担当大臣の小宮山大臣から、その辺のところはどういう議論をしておみえになるのか。その中で、とりわけ高齢者医療ですね。高齢者医療は大変になってまいりました。その中でどうしようというふうに思っておみえになるのか、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。手短にひとつお願いします。

小宮山国務大臣 先ほどから坂口委員がおっしゃっているような問題点は、ぜひ皆さんで広くいろいろ知恵も出していただきたいと思っているところなんです。

 医療と介護が、大体、今の関係でいきますと、年金五割、医療が三割、福祉が二割ということでございますので、全体に額が伸びていく中を、今、何とか効率化できる部分はしようということで、例えば、医療でいえば在院日数をなるべく少なくするとか、介護予防などを、今度、地域包括ケアで在宅医療・介護を支援する中で、予防のところをもっと力を入れて、なるべくかからないようにしようとか、幾つかの効率化のことも考えておりますが、全体として、やはりこれだけ高齢化が進んでいることや、医療費が高額かかるようになっていることなどから、ここの負担のことについて考えなければいけないというのは当然のことでございます。

 今回、社会保障の一体改革でお示ししているのは、二〇一五年までのところをお示しして、そこのところでこういう形でやりたいので、ここを拡充します、こちらを削ります、その中でお願いをしたいということで、機能強化のところで充実をさせるところで一%分ということを出させていただいているんです。

 先ほどから年金の御議論もいただいていますが、今の年金制度でずっといけば、手直しをすればいいというお考えかとは思うんですけれども、その場合に、坂口委員も御承知のように、国民年金のところで未納が半分あるというようなこと、若い人たちが今信頼していないということは、午前中、小泉委員からもございましたけれども、そうしたところを解決するために、民主党が考えているのも全てよいことばかりとは全く言っておりませんで、御指摘のように、中堅所得のところからは、今度は給付額が下がってしまうというような問題点もあるわけですから、そこのところはやはり党派を超えていろいろ御議論いただいて、国民の皆様にも、こういう場合はこうなるというケースをお示しして議論をしていかなければいけない問題です。

 これは政権がかわってもずっと続かなければいけないわけですから、そういう意味で、こちらも御提示をさせていただくものを今党の方でも準備をしておりますけれども、ぜひ、両方をテーブルにのせて、年金も御議論いただきたいですし、医療、介護がふえていくというのも、本当にその費用がふえるのはそうでございますので、どこをどういう形にするかということを、今私どもが考えている一端を申し上げましたが、そういう中でもふえていかざるを得ないのは確かでございますので、それを税でやるのか、保険料でやるのか、自己負担でやるのか、そこのところはいろいろとこちらからも案をお示ししますので、御議論いただければと思っています。

坂口(力)委員 それでは、もう一遍ちょっと整理をしますけれども、年金制度につきましては来年提出をするというふうに言っておみえになりますね。なぜことし出さないんですか。なぜ来年なんですか。これは選挙までの時間切れを狙ったものだというふうに言う人もあります。私はそんなこと言いませんけれども、そういう人もいるぐらいであります。これは、出そうと思えば出せる話。それが、もう来年の話だと。

 来年の話でも結構ですけれども、それでは、今どこまで年金制度は議論をされて、今どの辺のところまででき上がっているんですか。それで、その中では、民主党が示されました第一案から第四案までの中で、どの案に近いものを出そうと思っておみえになるんですか。まず一つ、それを聞きます。それからその後、医療保険について、高齢者医療について聞きますけれども、まず年金について、もう一遍整理してください。

小宮山国務大臣 先ほど言っていただいた七・一%ふえるというのは、一番手厚くした四番目のケースです。

 先ほどから御議論ありますように、これは試算として調査会の幹部が共有したものですが、それを今、党全体としてどういう形で制度設計するかを議論しているところへ、厚労省からも参加をいたしまして、キャッチボールをしながら、どういう形のものがいいかということを詰めているところですので、時間切れというのではなくて、大綱にも書いてあるとおり、来年の通常国会には出せるように、今そこの議論を詰めている最中でございます。

坂口(力)委員 そうすると、一案から四案まで、まだどこになるかもわからない、大臣自身も、どの案にしたいかということもまだ決まっていない。それで来年、間に合いますかね。来年出すということは、ことしじゅうに法案をつくらなきゃならぬということですよ。そうすると、それをやろうと思えば、六月ぐらいまでにあらあらのことを決めなきゃならぬわけですよ。今の段階でそれすらもなかなか難しいということでありましたら、これは時間切れを狙っているとしか思えませんね。

 それならそれで結構です。時間切れなら時間切れで結構でございますが、それでは、もう一つの方の医療の問題で一番大きな問題は何かといえば、これは高齢者医療です。

 高齢者医療に、健保組合もあるいは協会けんぽも、みんなここへ出さなきゃならないものですから、四苦八苦しているわけですね。これがだんだんと高くなってきた。そうすると、そこを一体どうしていくかという問題になってきている。

 民主党さんが、高齢者医療について、今までの高齢者医療制度はだめで、つくりかえるということをおっしゃっていることは承知をいたしておりますが、これもなかなか国会には出てこない。非常に急を要する話ですけれども、一向にこれも出てこようとしていない。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたから、簡単で結構ですけれども、その辺のところをどうするかということを一言お答えいただいて。

小宮山国務大臣 七十五歳になった時点で年齢で分けることに対する御批判があったということから、後期高齢者医療制度の廃止ということを民主党としては申し上げてきたわけですけれども、高齢者医療制度改革会議で取りまとめられた案では、七十五歳以上の方も現役世代と同様に国民健康保険か被用者保険に加入していただく、その上で、公費、現役世代、高齢者の負担割合を明確化するということと、都道府県単位の財政運営といった現行制度の利点は生かしながら、よりよい制度を目指す形をとりたいと考えています。

 ただ、これにつきましては、都道府県の方の御意見とか、いろいろ関係者の御意見もありますので、今、関係者の間で意見の取りまとめを行っているところでございまして、その合意を得た上で、なるべく早く法案を提出させていただきたいと今やっているところでございます。

坂口(力)委員 議論はこれからという感じを受けますね。

 さて、時間がなくなってまいりましたので、最後に総理に一つお聞きをして、そして締めくくりにしたいというふうに思います。

 ずっと議論をしてまいりましたように、年金を先に議論して年金の額を先に決めて押さえてしまうと、医療、介護に回る金を生み出すことがなかなか難しい。医療、介護の額を毎年毎年少しずつ上げて決めていくということになりますと、大きな額を使った年金制度は将来難しいということになってしまう。どちらを先にやるにいたしましても、トータルでどれだけかかるかの話でありまして、医療、介護を先にやっていけば、民主党さんがおっしゃっているこの多額の財源が必要な年金制度は難しいというふうに私は思っております。

 先ほど申しましたように、年金で先に押さえるということになりますと、これは医療や介護の必要な財源も食ってしまうわけですね。そういうことになりますと、それはハイエナ的存在、こう私は言うておるわけでありますが、医療、介護の額を食ってしまうということになってしまう。

 それで、ここをどうするかの話ですけれども、もともと、ここをただしていけば、余りにも一元化の年金制度がお金を食い過ぎる。もっと少ない一型か二型でいかれるというんだったら、それはわかりますよ。そのかわりにみんなの年金の額はがくっと下がるということになります。一番年金額が下がりにくい第四案でいきますと、今度は財源が非常にたくさんかかる、こういうことになってくるわけですね。

 だから、どの党も同じでありますけれども、自分たちでつくりました政策というものには思い入れもあります。何とか実現をしたいというお気持ちもわかります。しかし、どれほどやりたいと思いましても、財源がなければできない話でありまして、私たちも経験をいたしておりますが、あれをやりたい、これをやりたい、幾つも言いましたけれども、財源がないがゆえにそれは私たちも凍結をしなければならないということが何度もございました。

 今、総理として、トータルで見たときに、医療、介護、そして年金、子育て、これだけのことをやっていくだけで、そのほかにもまだ障害者の問題だとかいろいろな問題がありますよ。だけれども、この四つだけを見ましても大変な額がかかってくる。ここをどうするかということの決断を総理がされるときではないか。

 それはやはり、もうこの辺でひとつ今までの年金制度は一度凍結をして、そして、皆さん、謙虚にもう一度最初から話し合いましょうというぐらいなことは言わないと、これは前に進みませんので、その辺のお話を聞いて終わりにしたいと思います。

野田内閣総理大臣 夜桜の場所取りみたいにならないようにすることは、これはもう御指摘のとおりだというふうに思いますけれども、ただ、私どもの描いている最低保障年金と所得比例年金のこの考え方、やはりこれは概念を持ちながら具体的な制度設計をさせていただきたいと思うんです。

 これはずっと議論の積み重ねがありました。逆に、立場を変えたときでありますけれども、御党が与党で我々が野党だったときに、御党のつくった福祉社会ビジョン、私は非常にすばらしいものだと思いますが、その撤回をしないと議論できないというような議論をやっていたら、これは前へ進まないというふうに思います。したがって、そういうそれぞれの議論の積み重ねがあるということは、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

坂口(力)委員 ありがとうございました。これで終わります。

中井委員長 これにて坂口君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 七十五歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度の二年ごとの保険料の改定がこの四月に行われます。

 パネルをごらんいただきたいんですが、後期高齢者医療制度、これが導入されてからの東京都の場合の保険料の推移であります、年間保険料でありますが。

 第一期、二〇〇八年から九年度、平均八万五千三百九十二円、第二期、二〇一〇年から一一年度、八万七千百三十二円、第三期、二〇一二年から一三年度、この四月からの第三期は九万四千四百六十円もの値上げになります。

 全国的にも、少なくとも四十三の都道府県で値上げが判明しておりまして、神奈川県でも九万円台、宮崎県、滋賀県など、各地で大幅にアップする。四千円以上の値上げが十七の都府県に上ります。

 そこで、総理に伺いたいんですが、こうした保険料の値上げが、それでなくても大変な多くの高齢者の生活にどういう影響を与えると総理は認識されているでしょうか。これは総理の認識を伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 今御指摘のような形で急速な高齢化が進んでおりますので、高齢者の医療費とか介護費用が急激に増加をしている中で、これらの費用を社会全体でどのように負担していくかということは重要な課題であるというふうに思います。

 その上で、こうした御負担を、今御指摘のあった後期高齢者医療制度、介護保険制度などは、多額の公費のほか、現役世代からの支援金や納付金によっても支えられております。こうした費用が増加する中、受益者である高齢者の皆様にも一定程度の御負担をお願いすることは、世代間の公平という観点からも必要ではないかと思います。

 ただし、こうした御負担を、それぞれの高齢者にとって過重なものとならないように、所得の低い方については保険料の軽減措置を実施し、適切に配慮しているものと承知をしております。

笠井委員 いろいろおっしゃいましたが、大幅に上がることは認められたと思うんです。

 そもそも民主党が政権公約でこの後期高齢者医療制度の廃止を掲げていたわけですが、今総理は、その公約はどこへ行ったのかというようなお話でした。その制度を弁護する答弁に、私、率直に言って、あきれました。

 同時に、減免措置と言われましたけれども、それも全く不十分で、免除をするには制約がありますし、現実には、年金、預貯金の差し押さえということまで今全国で起こっているわけであります。

 後期高齢者医療制度の保険料だけではありません。六十五歳以上の介護保険料も、三年ごとの改定が、ことし四月、これも四月に行われます。ちょうど今地方議会にかかっている最中でありますが、ほとんどの自治体は今引き上げの方向ということであります。

 パネルをごらんいただきたいんです。

 介護保険制度が導入されてからの全国の月額の保険料の推移でありますが、第一期、二〇〇〇年度から二年度、平均二千九百十一円、第二期、二〇〇三年から五年度、平均月額三千二百九十三円、第三期、二〇〇六年から八年度、四千九十円。この間、高齢者が誰でも安心して介護を受けられるようにということで、介護保険料の引き下げ、これを求める国民の要求、運動が反映しまして、三年前の第四期でいいますと、二〇〇九年から一一年度の改定の際には、前の期に比べても、ほぼ横ばい、四千百六十円ということで、ほぼ据え置きというふうになりました。

 それが、この四月からの第五期になりますと、これは厚労省からもらった資料でつくりましたが、まだ確定していないが五千円程度になるということでありまして、まさに二割の大幅アップということになります。年間にすると一万円も値上げになって、年間保険料は六万円になってしまう。

 総理、先ほどの後期高齢者医療制度の保険料もそうなんですが、年金だけの収入で医療費や家賃、あるいは医療・介護保険料などを差し引かれて、何とかそれでも一月五万円ぐらいでやりくりしてきたけれども、その上この四月からどちらの保険料も上がる一方で、片や年金の額は引き下げられるということになると、どうやって暮らしていくのか。これは本当に悲鳴であります。全国から悲鳴とともに怒りの声が沸き起こっている。

 こういう声、総理はどう受けとめておられるでしょうか。

小宮山国務大臣 介護保険につきましては、御承知のように、公費で五割、四十から六十四歳までの現役世代が三割、高齢者で二割負担することになっていますので、これは現役の方々にも御負担をいただいていますので、御指摘の五千円につきましては、高齢者の方にも御理解をいただきたい。

 ただ、その介護保険料は、低所得者の方に配慮をして所得段階別に保険料を負担する仕組みになっていますけれども、この一体改革では公費をまた別枠で投入いたしまして、低所得高齢者の保険料負担を軽減したい、そのように思っているところでございます。

 それから、先ほどの医療の話も、総理からもお答えございましたけれども、全体にお示しいただいた負担に対応して、一人当たりの平均の医療の給付費というのが、第一期の七十六万円余りに対しまして、第三期は八十五万円余りになっている。

 そういう中で、どうしても医療費の負担も高くならざるを得ないわけですが、保険料改定の際、前回と同様に、広域連合の剰余金を充当することですとか、都道府県に設置されている財政安定化基金の取り崩しなどで、なるべくそこが高くなり過ぎないように抑えているということ、また保険料の軽減措置を実施することによりまして、何とかその御負担が過度にならないようにやっているところでございます。

笠井委員 現役世代も負担しているから高齢者は生活が大変でも我慢しろ、こういうふうに聞こえました。

 後期高齢者医療制度は、先ほど言いましたけれども、民主党は廃止を言っていたわけですよ。それを何か、続けること、あるいは、今のあれを前提にしたような話になっている。大体、暮らしても本当に大変な状況の中で、こんなことに痛みを感じないのかと、今の答弁から一かけらの痛みの思いも伝わってきませんでした。

 そして、政府の一体改革でいえば、やはり大変だからということで消費税増税という話になりますが、じゃ、大綱を見て、消費税増税して後期高齢者の医療の負担も減るとか、あるいは介護保険料も減るとか、そんなこと、みじんも書いてないじゃないですか。まさに重大なことをやろうとしていると思います。

 さらに、来年度からでいいますと、介護保険料の値上げにはね返らないように抑える措置までなくしてしまった。

 この二年半にわたって介護職員処遇改善交付金というのが国から出されてきました。何しろ、介護の現場で人材不足は深刻であります。それが解消されないのは労働条件が劣悪だから、共通した認識でした。十分な介護サービスには介護職員の確保と処遇の改善が不可欠ですけれども、だからといって、介護報酬を上げたら保険料の値上げにはね返る、値上げを避けようとしたら職員の処遇が改善できない、こういうことで、国が直接交付金を出して、介護職員の給与を月額一万五千円上げようね、こういうことでやってきた仕組みだったと思います。

 政府はこの制度を来年度、つまりこの四月からやめることにしたわけですが、なぜ打ち切ったんでしょうか。

小宮山国務大臣 処遇改善交付金でありますと、これは毎年毎年その予算を補正予算のところで積んでいくので、来年続くかどうかわからないところでなかなか職員を雇えない、そういうお声もありましたので、今回は介護報酬の中に組み込んで、しっかり本予算の中に位置づけたということで、その意義は御理解をいただきたいというふうに思います。

 それで、介護報酬などにつきましても、基礎年金の受給者の方とか所得のない方に対しましてはかなり軽減できるような措置もとっておりますので、そういうことの中で御理解をいただければと思っています。

笠井委員 補正で毎年積むというので、見通しが立たないから制度を変えたと言われましたけれども、だったら、本予算でちゃんと組めばいいじゃないですか。そうしたら恒久的にやれるわけだから、安心して、そうやって給与を上げることに使うことができるわけであります。全然今のは説明になっていない。

 大体、この交付金がなぜ三年前に導入されたか。余りにも介護職員の処遇が劣悪だったからです。過酷な仕事、二十四時間勤務、いろいろある。それなのに、ほかの職と比べても賃金が低くて、現場の声はこうです。十三年ちょっと働いているのに手取りで二十万以下で、本当に介護職って評価されていないと思う、入って二、三年目のときと給料がほとんど変わっていない。四十代の女性です。また、事業者の側も、求人広告を出しているけれども、問い合わせもほとんど来ない、サービスの依頼を断らざるを得ないとか、若い世代の介護職員が不足している、土曜日、日曜日、夜間の要望に応えられない。深刻な訴えが寄せられております。

 こうした現状を改善する必要があるが、それが保険料の値上げにはね返るようではいけない。だから、当時、民主党だって、我々日本共産党、あるいは野党四党で共同で二〇〇九年の三月の国会に法案を出したんです。介護労働者の人材確保に関する特別措置法を出して、結局、その分を直接国が出そう、民主党もそのことを主張したし、我々も大いに一緒にやろうということで、野党一緒になって出したんじゃないんですか。

小宮山国務大臣 それはやはり、今のいろいろな財政状況の中から安定的にきちんと毎年出そうとすると、これは介護報酬の中でやらざるを得なかったということで、今回、四万円、何とか介護の場を充実するために、先ほどの介護保険料が上がっているのも、やはり施設の整備とか介護職員の処遇を上げるためにそのお金を使っているということです。そのことが、御負担もいただくと同時に、やはりそれだけの充実した介護サービスを受けられるということにつながるので、その辺の説明はしっかりさせていただきたいというふうに思っています。

笠井委員 負担がふえるんですね。

 それで、私、野党時代にはいいことを言って一緒にやろうと言っていて、政権をとったら態度が変わるというのを典型的に見るんですけれども、そんなことの結果、結局、保険料の値上げにはね返ることになるんです、今大臣も認めた。

 当時、そうならないようにということで、世論等、運動もありました、そして野党四党で出して、そして当時、自公政権でしたが、自公政権ですらと言うといろいろあるかもしれませんが、自公政権のときに、国が直接交付金を出す制度をつくらざるを得なかった。つくろうということで一緒にやったんです。当時の舛添厚生労働大臣も、保険料を上げない形で介護労働者の給与を上げる必要性を国会でも繰り返し強調されました。

 この交付金の制度によって、二年半の間に、合計三千九百七十五億円の国費がつぎ込まれてきました。その効果について、昨年秋の社会保障制度審議会の部会もこう述べて評価しております。交付金申請事業所では、介護職員の平均給与額が約一・五万円増加、対象外の看護職員やケアマネジャー等でも一万円前後増加、介護労働者の需給逼迫状況は改善した。もちろん問題点もあるということは言っていますが、全体として肯定的に評価している。

 では、聞きますけれども、この交付金をやめて、やり方を変えて、新しいやり方で加算方式とありましたけれども、では、それによって国庫負担はどうなるのか。職員の処遇改善のために、これまで二年半、年間千九百億円を国から交付金として出していたのに、今度は報酬加算にして、国の支出は五百億円程度、つまり、一千四百億円も削減することになるんじゃないですか。

小宮山国務大臣 これはやはり、先ほど申し上げたように、予算の中に組み込んでやるのには今の財政の事情からしてなかなか難しいということがあり、それで、交付金で毎年積んでいくよりは、安定して毎年きちんと確保されないと、なかなか、人件費に充てて、きちんとした介護職員を確保することができないという現場の声もございまして、今回こういう形をとりました。

 今、前のときの九千円を足しますと二万四千円、介護報酬、四万円とお約束しましたけれども、二万四千円改善されて、そのことによって介護職員の離職率が非常に下がっている、定着してきたということもございます。もちろん、予算がたくさん潤沢にございましたら、それは本予算で国も出してやればいいということなんですけれども、これは今回は、財務省ともいろいろ話をした結果、介護報酬でやるということにいたしましたので、御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 まあ、あれこれ言われましたけれども、財政事情があってということで、結局、減らしたことは認められました。財政事情があっても、こういう大事な問題は、魂を入れてちゃんとやる、工夫するというのが政府じゃないですか。

 高齢化で介護費用がふえて、国の負担もふえたというふうに政府は言いますけれども、結局、その負担がふえたのは千三百五十五億円程度で、一方で、今回のやり方で千四百億円も削る。結局、国は全然ふやしていないんですよ。負担を減らす。そして、ふえていくのは高齢者の保険料と利用料、四十歳以上の現役世代の保険料、都道府県と市町村でのそういう負担になっていきます。値上げにはね返らないようにということで、介護職員の処遇を改善すると言ってきたのに、言っていることとやっていることが逆だと思います。

 何とかいい介護サービスを提供したい、事業者も職員の皆さんも懸命です。人の支援というのが最大のテーマの一つです。私自身も、二十年間、母の介護をやってきましたけれども、在宅から施設へと今お世話になってきていますけれども、やはり職員の方々も、家族の生活が成り立たないと結局この職でやっていけないということで、退職する職員の方、目の当たりにしてきました。

 しかし、保険料が値上げになっても大変、そんなことでは利用できない介護保険になってしまう。だから、今回、制度を変えようとしたときに、全国知事会も市長会も町村会も、保険料の上昇と地方の負担増を招かないように、国が財政負担を果たすこと、交付金を継続すべきということを強く求めてきたわけです。にもかかわらず、国だけが責任を大きく後退させて、国民と地方自治体に肩がわりさせることは論外だと言いたいと思います。

 大体、民主党はマニフェストで言ってきたんですから。ちゃんと国で見ようということを言ってきたんですから。そういう問題、一体改革といいながら、保険料の値上げが大変なときに、国の負担を減らして、国がとるべき責任を放棄するだけ。保険料の値上げ、利用料の値上げ、サービス切り捨て、加えて消費税増税、どこが一体改革かということを言いたいと思います。

 そこで、社会保障はそういう形で四月から軒並み負担増というのが迫ってくるわけですが、財源といえば、専ら消費税の話ばっかり出てきます。増税です。増税を言うなら、まず、富裕層から応分の負担をと言いたいと思うんです。

 欧米諸国では、富裕層の中からも、自分たちに増税をという動きが活発になってきています。幾つか発言を紹介したい。

 世界で最も有名な投資家とされる米国のウォーレン・バフェット氏は、私や友人たちは億万長者に優しい議会に甘やかされてきた、こう言って、自分たちに増税をとニューヨーク・タイムズに寄稿して話題になりました。マイクロソフトのビル・ゲイツ氏も賛成だと応じて、オバマ大統領は一般教書演説で、ほとんどの米国人はそれを常識と呼ぶだろうと述べました。

 欧州でも、フランスの化粧品会社ロレアル創業者の娘さんなど富豪十六名が連名で、我々に課税せよと嘆願し、イタリアの自動車会社フェラーリの社長も、高所得者層に要請すべきだと述べています。

 これらを受けて、税調でも議論があったと聞いていますが、欧米各国では富裕層への増税の具体化が始まっていると話題になった。

 ドイツでは、富裕層グループが、富裕層と貧困層の格差拡大を阻止するために、貧困層にではなく富裕層への課税強化により公的債務を削減するようにメルケル首相に要請をしております。

 これは大きな意味で総理の感想を伺いたいんですが、こうした欧米での流れをどのように総理は受けとめていらっしゃるでしょうか。

野田内閣総理大臣 欧米を含めて、行き過ぎた格差を是正する動き、所得再分配の見直しの動きというのは、私は広範な広がりになってきているというふうに思います。

笠井委員 では、それに対して、今、日本でやろうとしていることが十分なことをやっているか。日本では富裕層へのむしろ減税が繰り返されてきました。その結果どうなっているか。

 このパネルは、国税庁の申告納税者の統計から、申告所得階層別の所得税負担率をグラフにしたものであります。所得が一億円を超えますと、逆に税負担率がぐっと下がっていく。そして、一番高いところでは一四・二%に下がるということであります。

 総理に端的に伺いますけれども、一億円を超えたら下がっちゃうという、こうしたことを正すという必要があるなという意思はお持ちかどうか。いかがでしょうか。

安住国務大臣 申告所得階級別のその表は私どもの方で出したものでございまして、笠井先生言うように、これは、いわゆる証券優遇税制と言われているようなものなんかがこうしたことに影響していると思います。

 そういう点から、総理からも御指示がありまして、二十三年の税制改正において、これは景気回復に万全を期すため、軽減税率一〇%を二年間延長するということです。これに対しては、先般、志位委員長からも御指摘がありましたが、今後どうするのかという御指摘でございましたが、総理の方からも、二十六年一月から確実に本則に、つまり二〇%に戻すというようなことを含めて、累進税率の今後のありようについても、今回、フラット化を随分これまで進めてきた歴史があります。しかし、これに対して、少ないじゃないかという御指摘かもしれませんが、四〇%を四五%に最高税率は引き上げました。これは所得が五千万円超のところでございます。

 今後、こうした流れの中で、税率をどういうふうに累進性をしていくかということは十分議論をしていかなければならないときだと思っております。

笠井委員 今、財務大臣が言われまして、所得税の最高税率を上げるということでありますね。課税所得で五千万円以上のところについて五%引き上げるということですが、所得税の最高税率の見直しをやって、では、実際に増税になるのはどれぐらいの人数で、そして税収増というのはどれぐらいと見込んでおられるでしょうか。

安住国務大臣 ちょっと今、人数はわかりませんが、税収そのものは四百億程度でございます。

笠井委員 我々も調べてみたんですが、影響人員というのは三万人程度。額としては、税収額増収が四百億程度ということであります。本当にわずかなんですね。ですから、五%の引き上げというと、この折れ線のカーブがわずかにちょっと上に膨らむぐらいということになるだけで、ほんの一部、わずかの増収にすぎません。

 では、これも数字がないと言われるかもしれないけれども、一九九八年に所得税、住民税の最高税率を六五%から五〇%に引き下げたうち、今、五%分戻すというわけですが、仮に最高税率を九八年水準に戻したら、増税になるのは何人ぐらいで、そして増収は幾らぐらいというふうに見込んでいるでしょうか。

安住国務大臣 ちょっと資料はないんですが、最高税率はアッパーで七〇%だったんですね、昭和六十一年ですか。これのときの所得課税はたしか八千万超だったので、これは五〇%に下げて二千万になっていますよね。

 ですから、その間の所得の人たちはこの中に入るということになりますが、申しわけございませんけれども、統計上の問題は、ちょっと今、数字は持ち合わせておりません。

笠井委員 富裕層についても考えるということであり、五%引き上げという話もされているわけですが、四百億は辛うじて試算されているということでありましたけれども、私、その程度のことで、片や消費税増税は十三兆円ですからね、こういう話にならないと思うんですよ。しっかりと、どれだけやったらどうなるかというのを見て検討するのが当たり前で、数を持っていないということ自体が私は非常に不思議であります。富裕層への優遇に本格的に手をつけなければ、大金持ちほど減税になるという問題を正す根本問題にならないと思います。

 そこで、最後に総理に伺いたいんですが、OECD、経済協力開発機構は、昨年十二月に報告書を発表して、加盟国での貧富の格差が過去三十年間で最高に達したとして、これらを是正するために富裕層への増税をすべきだと各国政府に提言をいたしております。報告書は、所得に占める最富裕層の割合の増加は、この集団がより大きな租税能力を持っていることを示している、つまり、そういう人たちはもっとたくさん払えるということで、富裕層に公正な比率の税を負担させるべきだということを提案いたしております。

 OECD加盟国であり、格差の拡大、財政危機が深刻な日本でこそ、この提言を正面から受けとめて、富裕層への課税強化というのをそれこそ真剣に検討して具体化すべきじゃないかと思うんですが、総理、いかがお考えでしょうか。

安住国務大臣 ちょっと今、私の資料、手元で持っているもので恐縮でございますが、答えになるかどうかわかりませんが、二十一年度で、一千五百万円以上の所得を持っている方は四十五万人、四十五・一万人でございます。内訳はもう時間がないので申し上げませんが、そのうち五千万以上となると二・七万人ということでございます。

野田内閣総理大臣 御指摘のような方向性の中で今税制改正を行っていると思います。

 評価は、そんなものかというお話があるかもしれませんが、所得税の見直し、それから資産課税においては相続税の基礎控除の見直し等々、方向性としては、日本も所得再分配の機能を見直していくという方向性で、税制をこれから議論していきたいというふうに思います。

笠井委員 これから議論ということですが、その前に消費税増税という話では、ちょっとこれは議論といっても順序が違うんだと思うのです。

 私たち日本共産党の提案は、所得税、住民税、相続税も、大幅に減税する以前の水準に戻す。所得税、住民税の最高税率は九八年水準の六五%に、相続税は七〇%に戻す、さらに、高額な株や不動産など、資産に課税する富裕税を創設するというのが日本共産党の提案でありますが、こういうことによって、富裕層や大企業への優遇、それから不公平を正す税制改革で、我々の試算では八兆円から十一兆円の財源を確保することができる。そういうことも含めて、今こそ真剣に検討すべきだと思います。大金持ち優遇を、これから議論するというだけで、きっぱりとやめようとせずに、ひたすら消費税増税をまずということは許されない。このことを強調して、質問を終わります。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 野田総理は、去る二月二十六、二十七日の両日、総理就任後、初めて沖縄を訪問されました。その際、仲井真知事と会談して、総理が、普天間飛行場の辺野古移設が唯一有効であると明言し、日米合意に基づいて普天間飛行場の辺野古移設を推進すると表明されました。一方で、総理は、沖縄の基地負担の軽減にも言及されております。ところが、仲井真知事を初め、沖縄県民は、辺野古移設、これではむしろ沖縄の基地機能の強化と、基地負担と犠牲の強要にすぎない、こういうふうに思っておるんです。

 野田総理は、辺野古移設が唯一有効とする方針が沖縄の基地負担の軽減につながると本気で思っておるんでしょうか。

野田内閣総理大臣 先月の二十六、二十七と、内閣総理大臣としては初めて沖縄を訪ねさせていただきまして、仲井真知事初め、関係者の皆様とお話をさせていただきました。

 そのときに申し上げましたのは、今、日米間で協議を進めさせていただいております、いわゆるパッケージを外す、普天間の移設の問題と沖縄の海兵隊をグアム移転する話と、それから一方で嘉手納以南の土地の返還の問題、これらをパッケージを外しながらというその話の進め方の、いわゆる我々の基本姿勢を御説明する際に、日米合意に基づくということは、辺野古への移設が唯一有効な方法であるということ、そのことを前提としながら、一方で嘉手納以南の土地返還等と沖縄の負担軽減についてはより早期に具体的に結論を出していきたいという思いをお伝えさせていただいたということでございます。

照屋委員 とても沖縄県民には納得できません。残念であります。

 ところで、総理、仲井真知事との会談場所の県庁前に、そして、総理がヘリから上空視察をされた辺野古の砂浜で、「NOダ!」「NOダ!」というプラカードを掲げておった県民を現認されましたか。

野田内閣総理大臣 二十七日の月曜日の早朝、県庁にお尋ねをした際に、県庁の周辺にプラカードを持っていらっしゃる方々がいらっしゃったことは認識をしています。いろいろプラカードを持って、シュプレヒコールもされていました。辺野古を上空から見たときには、ノーだというのはちょっとわかりませんでした。

 以上です。

照屋委員 私は、総理はどうも沖縄の現実を直視しない、いや、私に言わせると、総理は沖縄の現実を県民にじかに接して見聞することが怖いとあるいは思っていらっしゃるんじゃないか、こうとすら思うのであります。

 ところで、野田総理、沖縄には命どぅ宝という言葉があるというのを御存じでしょうか。

野田内閣総理大臣 命という意味ですね、それが大事な宝だということではないでしょうか。

照屋委員 命どぅ宝というのは、琉球王朝以来、国策に翻弄され、あの悲惨な沖縄戦では二十万余のとうとい命が失われ、敗戦後の二十七年に及ぶアメリカの軍事支配下で不条理にも命が奪われた、その中から命こそ宝なんだよという沖縄の思いがこもった言葉なんだ。だから、ぜひ総理には、命どぅ宝、この言葉を、私は、胸に深く深く刻んでいただきたいと思います。

 そうすれば、総理は、報道によると三月二日に日本酒を一升飲まれたようですが、今度沖縄に来られるときには、世界の銘酒、古酒泡盛を一升ごちそういたしましょう。

 鹿野大臣、私はTPP交渉参加には断固反対の立場であります。

 大臣、私は貧農の九人兄弟の三男坊に生まれました。亡くなった両親は、サトウキビ生産と、母豚一、二頭の養豚にいそしみ、私たち九人の子供を育ててくれました。当時の我が家では、サトウキビ代と子豚を売って得る現金収入が全てでした。それでも両親は、九人の子供たちを養育し、学校へ通わせてくれた。私は、ひたすら農業に生き、死んで沖縄の土に返った両親を心の底から尊敬しております。

 さて、パネル、配付した資料は、TPPが沖縄の農林水産業に及ぼす影響について示したものです。関連産業の波及効果を含めた影響は、金額にして一千四百二十億円に上ります。また、パネルにはありませんが、離島県沖縄にあって、農林水産業は、定住人口、地域社会の維持に大きく貢献しております。TPPが及ぼすこれら沖縄の農林漁業の公益的、多面的機能の喪失は、地産地消など食品関連産業や観光資源への影響が約九百十三億円、領土、領海並びにシーレーン確保など国防や安全保障の公益的損失が約一千億円と算出されております。

 TPP参加によって、沖縄の第一次産業、とりわけ農業は壊滅的な打撃を受けるのは避けられないと思いますが、大臣はいかにお考えでしょうか。

鹿野国務大臣 今、こうやって先生から、TPPに関してでございますけれども、影響額、すなわち関連産業も含めての試算につきまして私どもに指摘をいただきました。こういう中で、私どもも、こういう影響について受けとめさせていただきたい、こう思っております。

 そういう中で、TPPに関しましては、今、交渉参加に向けていろいろ、関係国が我が国に何を求めるかというようなことを情報収集しておるわけでございますので、そういう中でしっかりとその情報を受けとめて、国民に提示をしながら議論していくことが大変重要なことだと改めて思っておるところでございます。

照屋委員 TPPは、農業だけではなくて、医療や保険、雇用、公共工事、食品や自動車の安全基準などの多分野にわたり国民生活に直結をする問題であります。

 先ほども言いましたように、大臣、私は、命どぅ宝も大事ですが、農業こそは命だと思う。農業、農家、農民を大事にしないような政治、国は滅びてしまうんじゃないかというぐらいに私は思っております。

 大臣、総理、きょうはウージ染めのネクタイをしてきました。誰も褒めぬから自分で褒めますが、すてきでしょう。ウージというのはサトウキビなんです。サトウキビの汁で染めた織物なんです。だから、サトウキビ、沖縄農業が壊滅すると、地場産業、伝統工芸、雇用や社会保障までだめになってしまう。

 そこで、鹿野大臣、沖縄の豚は鳴き声以外は全部食べられるというのを知っていますか。

鹿野国務大臣 初めて教えていただきました。

照屋委員 ちょっと声が小さいので……

中井委員長 初めて教えていただきましたと言いました。

照屋委員 ああ、そうですか。

 養豚がだめになると、食文化の豚肉もだめになる。足テビチというのがあるんです、沖縄に。ヤマトでは豚足という。あれが沖縄の長寿の秘訣なんです。だから、大臣には、TPPを推進するんじゃなくて、日本の農業、沖縄の農業を大事にして、特に大臣には、そして総理にも、沖縄の黒糖と足テビチを召し上がって、そうすれば、根拠は必ずしも十分じゃありませんが、九十二歳までは長寿できます。なぜ九十二歳かというと、私の祖父、農業でしたが、九十二歳まで健在でした。

 さて、田中防衛大臣に尋ねます。

 報道によりますと、日米両政府は、去る二月二十七、二十八日に開かれた外務、防衛の審議官級協議で普天間飛行場の大規模補修に大筋合意し、日本側も一定の費用負担に応ずる方針にあるようです。

 多くの県民が、大規模補修は普天間飛行場の固定化につながるものだと懸念し、反発を強めておりますが、普天間飛行場を固定化しない、普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去するという具体的な方策等について、大臣の考えをお聞かせください。

田中国務大臣 普天間飛行場の大規模補修についての御質問だと思います。

 米軍施設の維持管理については、これまで基本的に米側の予算で行われております。他方、老朽化が著しいなどの理由により建てかえや改修工事を要するものについては、予算の範囲内で日本側による提供施設整備として行っているものでございます。

 なお、普天間飛行場は、設置されてから既に五十年以上経過しており、航空機の運航に際し、安全面での配慮は必要と認識をいたしております。

 日米間における協議の詳細については、現在も協議中であることから、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、普天間飛行場の固定化はしない、そしてまた、最優先に危険性を除去するという方針には変わりないわけでございますし、移設に取り組んでまいりたいと思っております。

照屋委員 普天間飛行場は、老朽化をしているだけではなくて、世界一危険な欠陥飛行場なんです。これまでも関係委員会で大臣にお尋ねをしましたが、クリアゾーンの問題にしたって、住民の安全は確保されない、アメリカでは飛行場としての基準すら満たしていない。だから、普天間飛行場は移設をする、返還をする、こういう合意がなされたわけで、老朽化した、一、二年の応急補修だから応分の負担はやむを得ない、こういうことでアメリカの言いなりになって金をじゃんじゃん出しておったら、これが結果的に普天間飛行場の固定化になり、危険性の除去にもつながらない。ましてやアメリカからは、日本は現金自動支払い機だ、こうやゆされるような事態になりかねない。

 私は、この三・一一の大震災があったからこそ、そして国民の社会保障を大事にするという観点からも、今、日本の政治がやるべきことは、アメリカを思いやることではなくて、国民を思いやることだと思いますが、大臣、お考えをお聞かせください。

田中国務大臣 普天間飛行場は、先生御指摘のとおり、世界一危険な飛行場でございます。その中にあって、日米間では、この普天間飛行場を移設するということで、この十五、六年間、努力をしてきたところでございます。

 私といたしましては、早くこの負担軽減を最優先で図っていく、そのためにはやはり、普天間飛行場を移設して、そしてまた、その関連の基地の土地を日本に返還していただくことが今求められておると思っておりますし、沖縄県の皆さん方にぜひ御理解をいただきながら、そしてまた真摯に知事ともお話を申し上げて、この事態を打開していきたいという思いで、今取り組んでおるところでございます。

照屋委員 私は、きょうの質問を通して、野田総理には古酒を一升瓶、そして鹿野大臣にはウージ染めのネクタイを、それから防衛大臣には普天間飛行場をプレゼントすることを約束して、終わります。

中井委員長 これにて照屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 みんなの党の江田憲司でございます。

 本日は、前回に引き続きまして、この国難の折に、かつ、デフレで経済が疲弊している中で、なぜ野田総理は増税一直線に突き進むのか、その基本的な財政や金融の認識について問いただしたいと思います。

 前回は、国家経営にも企業経営にもバランスシートの、貸借対照表ですね、しっかりとした考えを持っていただきたいと。国、地方を合わせて千兆円の借金があって大変だ、GDPの二倍なんだとおっしゃるけれども、その一方では七百兆円の資産、財産があるんだ、当たり前のことですね。それから、生まれてくる子供一人には背中に七百万円の、一人七百万円の借金を背負って生まれてくるんだとおっしゃるのなら、一方で五百万円の資産、財産を持って生まれてくるんだとおっしゃらないとフェアじゃないでしょうということを申し上げたわけでございます。

 バランスシートの右方の負債だけ取り出したら、トヨタだってソニーだってあした倒産ですから、そんなこと言ったって、増税の必要性なんか誰も理解できません。

 それから次に、財務省のホームページを挙げまして、はっきり言えば、二〇〇二年当時ですけれども、当時も国、地方の長期債務は七百兆円に及び、GDPの一四〇%あった。財務省は当時、国内では大変だ大変だと言いながら、外向けには、強固なファンダメンタルズだ、全く心配はないんだということをおっしゃっていた。これは完全な二枚舌ですよね。

 ですから、そういう中で、引き続き認識を問いただしてまいりますが、ここで興味深い記述があるんですよ、ホームページの中に。

 日米などの先進国の自国通貨建て国債のデフォルト、債務不履行ですね、は考えられないと断言しているわけですが、この意味するところを教えてください、総理。

安住国務大臣 十年前でございますので、当時、ソブリンリスクという言葉もなかったわけであります。そうしたことからいえば、十年前には、私は、江田先生、与野党であっても、そういう意味では、国家の財政が市場から厳しい指摘を受ける、こういう状況というのはやはり十年の中で大きく変わってきたものであろうというふうに思っております。

 そうした点でいえば、こうした、確かに国債のデフォルトは考えられないというような指摘はいたしましたが、時代は大きく変わって、今はその重要性というものは市場の中からも見られていると。

江田(憲)委員 これは定量的な問題じゃなくて、理論的な問題なんですよ。本当に、安住さん、いつも、わかっておられるのか、わかっておられないのか、すれ違いなんですけれども、これはどういうことですか。日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられないという理論は、これは十年たったら変わるんですか、こういう経済理論は。本当にそれは、財務大臣としてその見解でいいんですか。

安住国務大臣 はい、いいです。

 というのは、つまり、国家の債券というものに対して、当時は、特別な金融機関やさまざまな業種で危機というものがあったり、デフォルトが、その債券がいわば紙くずになったりというのはあったと思います。

 しかし、多分、ソブリンリスクというのは、そういう意味では国債が、ここでも一度議論がありましたが、CDSのようにいわば商品化されていて、非常にある意味で、一つの厳しい市場の中での評価というのが、ほかの企業なんかの債券と同様な視線で見られ出した、そういうことは私は変化だと思っています。

江田(憲)委員 全く間違いです。

 それでは、ちょっと角度を変えますが、十年前だから違うんだとおっしゃるから言いますけれども、十年前の数字は、国、地方の長期債務は七百兆円、GDPの一四〇%、このときは強固なファンダメンタルズで、現在の長期債務は二〇一一年で八百九十四兆円、GDPの一一〇%は破綻寸前なんだという理屈を説明してください。

安住国務大臣 当時も、対GDPにおいて決して楽な状況ではなかったと思います。しかし、債務が累積をしてきたことは事実でありまして、そういう意味では、十年前に比べて格段に我が国の財務内容はよくない。

 多分、江田先生の御指摘は、財務諸表というか、日本の財産というのは、さまざまな分析からいえばもっと資産というのはあるじゃないか、そういうのを全部総合的に財務諸表のように見て判断せよということだと思います。

 しかし、もちろんそれは我々のところで出した資料もありますが、例えば道路や橋、国有財産の土地、そういうものは、確かにそれは財務諸表の中でカウントはされますが、この間も言いましたけれども、現実に世界で見たときには、やはり対GDP比で幾らの累積債務を持っているかというのが一つの指標として判断されるわけですから、そういう中で健全性というのを議論していった方が私はよかろうと思っています。

江田(憲)委員 野田総理、あなたは、国民に増税の理解を求めたいと言って、今テレビ出演もされているんです。今みたいな、もう本当に薄っぺらい一つだけの数字、一千兆円の借金があってGDPの二倍だ、それしか言わないでしょう。そんなことで理解を求められると本当に思っているとしたら、本当に皆さん失格ですよね。

 だからこそ、財務省は、今、道路道路と言いますけれども、それは有形固定資産だけのことで、ここに書いてあるじゃないですか。日本は世界最大の貯蓄超過国だ、今の数字でいえば千四百八十八兆円。国債はほとんど国内で、低金利で安定的に消化されている。世界最大の経常黒字国で、債権国、二百五十二兆円です、二〇一〇年の数字は。外貨準備は積み上がってもう百兆。こういう複眼的な重層的な数字を見ながら国家経営をせずしてどうするんですか。もういいですよ、何回繰り返しても、千兆円、累積債務でソブリンリスク、そんなばかなことはありません。

 総理、最後に一言聞きますけれども、これはゆゆしきことですよ、大臣とあろうものが、日米などの先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられないという意味を、総理大臣、これを理解せずして国民に理解を求められませんよ。どうですか、総理。

野田内閣総理大臣 まずこれは、平成十四年の外国格付会社宛て意見書というのは、まさに格付が不当に低くされていることについて、我々のファンダメンタルズはしっかりしているんだぞという意味での意見なんですね。かつてはこういうことをやっていたと思いますが、今は民間会社の格付については一々言わないんです。だから、立場として、我々のことをちゃんと正当に評価しろという意味で出している意見書なんです。

 その後、平成十四年から変化した中で、財務大臣のお話がありましたけれども、状況はやはり相当変わっているというふうに思います。一つは、まず、この一番下のところに書いてありますが、経常黒字国であることは今もそうです。だけれども、今は、経常黒字国であっても金利が引き上がるということがヨーロッパでありました。ベルギーなどではそうです。状況はやはり変わってきています。

 そして、さっき大臣がおっしゃっていましたけれども、バランスシートの問題もありますが、道路とかの財産、あるいは地方への出資金、あるいは年金の将来の給付に充てる積立金、こんなのは売却なんかできませんから、やはりそのカウントの仕方はちょっと違うと思うんですね。

 等々いろいろとありますが、私は、平成十四年に比べて、財政規律をきちっと守る国かどうかの監視の目は相当厳しくなっていることは意識しなければいけないんじゃないでしょうか。

江田(憲)委員 何度言っても私の趣旨が理解されないですよ。ギリシャは、累積債務のGDP比率は日本より低いんでしょう、だけれども破綻したわけです。そんな一つの指標で判断したら間違いですと言っているだけで、まさにこういう多角的ないろいろな、道路道路と言うけれども、バランスシートの中でも有形固定資産のところだけですから、そんなことを私は言っているのではありません。

 もう何度聞いてもわからないようですから私から答えますと、これは、通貨・金融理論として確固たる理論なんです。要は、自国通貨建て国債がなぜ債務不履行にならないかというと、それは通貨権がある。要は、いざとなればお札が刷れる。ギリシャはユーロ圏だから、自国通貨を持っていないから、お札も刷れない、金融政策も発動できない。しかし、日米などの自国通貨、イギリスもそうですけれども、これは通貨権、金融政策を独自に持っているからデフォルトはない。これは確固とした金融理論ですよ。それすら知らない。十年前のことは関係ないんです。

 では、皆さんがよく言う、ギリシャは対岸の火事ではない、どこがギリシャと日本が似ているんですか。言いますよ、よく聞いておいてください。

 ギリシャというのは、今言ったように、自国通貨建てではないんですよ。通貨政策も金融政策も独自にできないんです。

 二番目。ギリシャの国債は七五%は外国人が買っている。日本の国債は九五%は自国民が買っている。

 三つ目。対外純資産。これは道路でも何でもないですよ、皆さん、対外純資産は日本は世界最大、二百五十二兆円。ギリシャはどうですか。マイナスですよ。負債国なんです、対外負債国。そして、ギリシャという国はもう過去五回デフォルトしている。

 それから、これも昨年末の予算委員会でやりましたけれども、CDSですね。CDS、聞いてもとんちんかんな答えしか返ってきませんでしたが、このCDSというのは、その国の国債がデフォルト、債務不履行する危険度を示す指標ですよ。これが、三月二日時点で、もうギリシャは二四〇%を超えています。この半年間でも七〇%です。日本の国債のCDSレートは一・二%。これは、フランスと比べても、ロシアと比べても、中国と比べても低い数字なんですね。

 市場は、皆さんみたいにうそをつかないんですよ、正直なんです。こういうふうに、全部のファンダメンタルズ、財務省も認めているようなファンダメンタルズを見て、誰も破綻寸前の国債なんか買わないんですよ。だから、日本の実力を認めた上でそういうふうに言っている。

 どこが似ているんですか。ギリシャは、自国通貨建ての金融政策、通貨政策もとれない、国債は外国人が買っている、それから純資産はマイナスだ、しかもCDSレートはもう二四〇%だの七〇%。どこが日本と一緒なんですか。教えてください、総理。

野田内閣総理大臣 私は、ギリシャと似ているなんて言ったことないですよ。欧州の債務危機は対岸の火事だと言っています。ギリシャだけではなくて、それは指標がどうのという話じゃありません。確かに国債を誰が保有しているかは全然違います、形態は。

 だけれども、仮にギリシャじゃなくてイタリアとしましょう。イタリアはプライマリーバランスがとれている国ですから、日本よりはるかに財政は健全といえば健全ですよ。債務残高は対GDP比一〇〇%を超えている国です。でも、プライマリーバランスはバランスがとれている国だったんです。だけれども、金利七パー、八パーになったじゃないですか。

 それは、いろいろな意味で対岸の火事じゃないということは、何をもって財政規律を守っていないか見られたときに、サーチライトが当たったら危ないよという警告のことを言っているということであります。

江田(憲)委員 それはいいことを聞きました。では、これから野田総理は、ギリシャは対岸の火事ではないという言葉はもうやめるということですね。

 前回、私の十日ほど前のあれで、安住大臣はしきりに、ギリシャがあります、ギリシャがありますと言い続けたじゃないですか。では、総理と大臣は違うんですか。

安住国務大臣 私は、ギリシャを初めとした財政危機はという話をずっと言っています。

 それで、一つずつお話をさせてください。

 自国通貨建ての話は、それができるから幾らお札を刷ってもいいんだというのは、私はちょっと御乱暴なんじゃないかなと思っています。

 それから、CDSの話だって、二〇〇九年の九月時点では、ギリシャはベーシスポイントで一一九だったわけですね。それがある日突然発散をして、現在六八三二。江田さんは多分もう御存じでお聞きになっていると思いますが、これは富士山の山のように徐々に徐々に上がっていって、そして大きくなるんじゃなくて、今総理からもお話があったように、イタリアだって、そういう点では、突然これは発散するので、債務の危機というのは、ある日突然そういう意味では襲ってくる危険があるということじゃないでしょうか。

江田(憲)委員 私が言っているのは、いつ来るかわからない危機をオオカミ少年のように言い立てるよりも、今、目の前にある危機に対応しなさいと言っているんです。原発事故や震災対応、デフレ経済の脱却、これが最優先課題なんですよ。申しわけないですけれども、ギリシャは対岸の火事ではないと言い続けた人が、ギリシャとは関係ありません、よく言えたものです。

 こんなことで、国民にいろいろなテレビや講演で理解を求められるという方がおかしいと思いますね。

 そして、もうちょっと時間がありませんから、最後に。

 では、九七年の消費増税、私は当事者の一人でした。三から五に上げましたね、そのときのプロセスを御説明します。今回のプロセスといかに違うことかというのが、まざまざとおわかりになると思います。

 村山内閣で、実は九四年九月に閣議決定をし、法案が十一月に成立をしております。しかし、このときも、大変、景気への配慮を怠らなかった。何と、九四年、九五年、九六年と、三・五兆円の恒久減税、そしてプラス二兆円の特別減税、合わせて年間五・五兆円の所得税、住民税減税を三年間続けたんですよ。

 その結果、どうなったか。経済成長、当時の統計で、九五年二・二%成長、九六年三・六%成長。九七年四月一日の前年には三・六%の成長を達成していた。そして、株価に至っては二万円を超えているわけですよ。今幾らですか、九千円そこそこじゃないですか。

 これだけ景気に配慮して、しかも明白な手を打ってそこまでいって、かつ、九六年九月には、橋本五大改革、後に六大改革になりますけれども、中央省庁の再編や財政構造改革、金融ビッグバン等の痛みを伴う改革というものを訴え、そして九六年十月には総選挙に入って、そして、当時与党であった自民党は、二百十八議席から二百三十九議席、二十議席以上伸ばしたんです。よく、増税を訴えて選挙を勝ったためしがないと言う人がいますが、大間違いで、このときは確実に増税を訴えて、私は百十カ所全部、総理秘書官として橋本総理についていきましたから。全部に消費税増税を訴えて、勝った選挙だったんです。

 こういう形で、九七年四月の三から五に上げる前にしっかりと景気を回復させ、経済を成長路線に乗せた。そして、やはり、国会議員や役人、我が身を切る改革、そういった五大改革を打ち出した。現実問題、一年後にはもう中央省庁の再編は結論を出して、予定どおり二〇〇一年から発足させた。こういった丁寧な丁寧なプロセスを経て、三から五に上げたわけです。

 もう一言だけ言うと、このときは、増減税一体といいまして、今みたいに、五%上げて十三・五兆円も負担増なんてないんですよ。増減税一体、要は、二%上げる分は減税する。しかも、恒久減税で、三・五兆円はずっと続けていく。こういうような、年収六百万円以上の人は増税しても従来より負担減になるような配慮をしながら、消費税を三から五に上げたわけです。

 こういったプロセスと比べて、本当にあなたは、デフレに対してもろくな手も打たない、身を切る改革もしない。国家公務員の人件費二割カットはどうなったんですか。来年夏までにやるといったって、法律すら期限を書かないというじゃないですか。そして、ひたすら消費税を五%上げる。この格差ですよ。

 国民は、皆さんは、こういった丁寧なプロセスを踏めば理解もしてくれるでしょう。しかし、あなたのやり方では絶対に増税はできない。ここで断言をしておきます。何かあれば。総理。

中井委員長 そう一々わめかない。僕はちゃんと当てているんですから。

野田内閣総理大臣 丁寧なプロセスをたどらなければいけないということは、それは御指摘のとおりだと思いますが、これも私なりの検証ですが、例えば九四年九月閣議決定、減税をやっていますよね。これは、バブル崩壊後の景気対策として減税を先行させていく、それに合わせた、見合いの増税をしようということだったというふうに思いまして、今回の意味合いは、社会保障を支えるための安定財源という議論と、これはちょっと、このころは、もともとの経緯として違うというふうに思います。

 それから、九六年、五大改革の表明ということがありますが、財政構造改革というのは、再び九六年から赤字国債を発行せざるを得なくなったから、やらざるを得なくなったというふうに思います。

 そして、国民に信を問うための総選挙というのは、その前、九三年に総選挙があって細川政権ができた後に、村山内閣、橋本内閣。消費税増税を争点にというよりも、まさにその時期が来ていたということだと思いますので、丁寧な議論をやっていかなければなりませんけれども、御指摘のそのとおり全てそうかというと、果たして、私も、経験則からいうと、ちょっと違うのではないかなというふうに聞いておりました。

江田(憲)委員 そういう難癖をつける前に、御自身が、要は、ここでほかの議員もあれしていましたけれども、経済が回復しないと税収は下がるというのは歴史的な真実なんですからね。同じなんです、状況は。

 そういうことで、繰り返しオウム返しのようにやっていても国民の理解は絶対に進まないと最後に申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明七日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時散会


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