衆議院

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第21号 平成24年3月7日(水曜日)

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平成二十四年三月七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      石関 貴史君    今井 雅人君

      打越あかし君    江端 貴子君

      小原  舞君    大西 健介君

      岡田 康裕君    奥野総一郎君

      金森  正君    岸本 周平君

      櫛渕 万里君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    杉本かずみ君

      平  智之君    玉木雄一郎君

      仁木 博文君    橋本 博明君

      花咲 宏基君    藤田 大助君

      馬淵 澄夫君    村越 祐民君

      室井 秀子君    山岡 達丸君

      山崎  誠君    山田 良司君

      湯原 俊二君    渡部 恒三君

      あべ 俊子君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      金子 一義君    金田 勝年君

      佐田玄一郎君    橘 慶一郎君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    遠山 清彦君

      東  順治君    笠井  亮君

      吉井 英勝君    内山  晃君

      阿部 知子君    山内 康一君

      中島 正純君   松木けんこう君

    …………………………………

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           岡田 克也君

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   防衛大臣         田中 直紀君

   国務大臣        

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   国務大臣

   (宇宙開発担当)     古川 元久君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   国土交通副大臣      奥田  建君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月七日

 辞任         補欠選任

  玉木雄一郎君     藤田 大助君

  仁木 博文君     岡田 康裕君

  湯原 俊二君     小原  舞君

  小里 泰弘君     あべ 俊子君

  東  順治君     遠山 清彦君

  笠井  亮君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     平  智之君

  岡田 康裕君     奥野総一郎君

  藤田 大助君     玉木雄一郎君

  あべ 俊子君     小里 泰弘君

  遠山 清彦君     東  順治君

  吉井 英勝君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     仁木 博文君

  平  智之君     湯原 俊二君

    ―――――――――――――

三月七日

 被災者救援・復興へ、今こそ軍事費や無駄の削減、暮らし・福祉・教育の充実の二〇一二年度予算編成を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三一〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第三一一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三一二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三一三号)

 同(志位和夫君紹介)(第三一四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三一五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三一六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三一七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三一八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐田玄一郎君。

佐田委員 自由民主党の佐田玄一郎でございます。

 きょうは、主に復旧復興について質問をさせていただきたいと思います。

 言うまでもありませんけれども、三・一一、もうすぐ一年が来るわけでありますけれども、既に一年が経過しておるわけであります。当初、三県で、全壊戸数が三十七万軒、そしてまた一部損壊を含めますと百万戸を超す、こういうふうな大災害であったわけであります。

 しかしながら、一年がたってみて、よく聞くのは、復旧復興がおくれているんじゃないかとか、もっと効率的にやれないのかとか、いろいろなそういう声を聞くわけでありますけれども、今現在、震災の前に比べると、特に着工の建物がまだ一六%ぐらいしか復旧していない、こういうふうなことを聞くわけであります。

 それともう一つ、問題点は、例えば宮城県の女川町や岩手県の大槌町は沿岸部でまだ一%ぐらいしか復旧復興が進んでいない、住宅の建設が進んでいない、そういう状況の中で、また、逆に平野部では、例えば名取市も大変な被害を受けたわけでありますけれども、だんだん、二割程度の復旧が進んでいる。こういうことを考えたときに、かなり差が出てきているんですけれども、この辺について、復興大臣、どのような対応をされておりますか。

平野(達)国務大臣 被災された方々の住宅復興は本当に喫緊の課題でございます。その一方で、委員も御承知のように、津波地域で被災された方々の住宅、これをどこに建てるかということについてはなかなか難しい問題がございます。高台移転ということを選択するところ、あるいはかさ上げをしてそこを選択するところ、さまざまな意見がございまして、今、地域の中では、意見集約に大変なエネルギー、大変な努力をしているということでございます。

 この意見集約ができて、そしてまた移転先の権利関係等々の調整ができれば工事着工ということになるわけではございますけれども、そこに本当に大変な労力、時間を要しているというのが実態でございまして、ことしじゅうにできるだけ多くの地区がそこの合意にこぎつけて着工する、そういう地域をできるだけたくさんつくることが大事ではないかというふうに思っております。

 そのための人的な支援、専門家の派遣、こういったことについては、国も万全の体制をもって後押しをしていきたいというふうに考えております。

佐田委員 つまり、まちづくり計画が進んでいない。その大きな原因の一つに、やはり沿岸部がかなりの大きな被害を受けている、こういうことが考えられるわけでありまして、本当に更地のような状況になっている。したがって、その権利関係も非常に難しくなっているというのはわかりますけれども、そういう原因があるということでありまして、早くまちづくり計画を進めていかなくちゃいけない。そのためには、人員もかなり投入をして、しっかりとしたいろいろな計画を立てていかなくちゃいけない、こういうふうに思っております。

 一方、私が感じておるのは、復興庁のあり方なんですけれども、復興庁は、そういうことを効率的にやるために、組織的に岩手、宮城、福島にも置いておりますけれども、この組織体系の中で本庁というのは今どこにあるんですか。

平野(達)国務大臣 復興庁の本庁は東京にございます。

佐田委員 それと、現地には何人ぐらい復興庁から派遣されているんですか。

平野(達)国務大臣 現在では、各県ごとに三十名ということになっております。

佐田委員 つまり、全体で百七十人しかおられないんですね、復興庁というのは。その中で各県に三十人ずつということは、九十人ということでよろしいんですか。

平野(達)国務大臣 失礼しました。全体では、青森事務所、茨城事務所を入れて常駐で九十七名ということになっています。

 ちなみに、岩手では二十八名、宮城三十四名、福島二十八名ということでございます。失礼しました。

佐田委員 つまり、非常に少人数でやっておる。そういう中において、本当に、もう一年たっているにもかかわらず、まだ話し合いが済んでいないという状況は、私は、非常に遅いんじゃないか、復旧復興がおくれるというふうな意見を聞くのは本当に当然じゃないかなと思うんですよね。

 それと、もう一点、復興庁には復興推進会議というのが直接的についている、組織的に。それと復興推進委員会というのがありますけれども、復興推進会議というのは基本的に各大臣が全員入っている。そういう中において、復興庁の仕事というのはいろいろとあるわけですけれども、例えばボランティア活動であるとか、教育、文化、そして雇用促進であるとかいろいろな、災害の廃棄物、環境、住宅、こういうことがあるんですけれども、ワンストップ的にこれをどんどん進めていかなかったら復旧復興は進まないわけですね。

 その中において、こういう下部組織というか直接ついている組織の中に、復興会議、こういうものがあったときに、これは二重行政になるんじゃないですか、各省庁の大臣が横に並んでいるこういう組織をまたつくるということは。

平野(達)国務大臣 まず、住宅を高台移転する場合の権利調整、これは誰がやるかということになりますと、国も、例えば国交省の職員、あるいはURの職員、こういった方々が入りまして、さまざまなアドバイス、こういったものをやります。しかし、最終的な決断、あるいは権利調整、こういったものは基本的には地域でやっていただかなければなりません。申し上げたいことは、あくまでも、国あるいは県はそれをサポートする、あるいは強力に後押しをする、そういう体制を組んでいるということでございます。

 それから、あと、復旧復興につきましては、これは政府を挙げてやるということでございまして、今、例えば国交省のお話をしましたけれども、国交省は国交省で職員がチームをつくって、例えば、まちづくりの計画策定に対するアドバイスを行う、あるいは海岸堤防の設計等々についてもアドバイスを行う、こういったことをやっております。農水省は農水省で、そういった同じような役割をやっております。

 復興庁は、そうしたことを全体としてコーディネートする、あるいは、あえて言えば、司令塔的な役割、そういった位置づけでありまして、復興推進会議は、そういった意味で全閣僚が出席をして総理出席のもとでやる、そういう構成になっているということでございます。

佐田委員 つまり、一段上に置いて、復興庁は各省庁に指令をして指導していく、そしてワンストップサービスを遅滞なくやっていく、こういうことをやっていただきたいということを私は申し上げているのであって、非難しているわけじゃないんです。ただ、こういう組織というのは往々にして、各大臣全員が集まってやるということになると、二重行政、三重行政になる可能性もあるということで、私は危惧しておるということを申し上げているのであります。

 そしてまた、その中で、しっかりと復旧復興をやってもらう中におきまして、先ほど申し上げましたように、内陸部と沿岸部が相当に差が出てきているということは事実であります。その大きな理由は、今言われたように、まちづくり、復興の計画が進んでいないということが大きな原因でありますから、その辺を集中的にぜひやっていただきたいと思うんです。特に、この寒空の中で住宅のない方々もたくさんいらっしゃるわけですから、そういうものを中心に、今何が必要かということを理解してしっかりとやっていただきたいと思うんです。

 例えば、総動員するということになったら、住宅金融支援機構のような政府機関、独立行政法人ですから政府に近いわけでありますけれども、要するに、金融機関の申請が、今二千七百七十二件出ているそうですけれども、やはり青森から宮城にかけての三陸沿岸は非常に申し出が少ない。つまり、自分の家が流されたのに自分の家を建てることができない、こういうふうな建築制限がありますから、非常に厳しい状況があるということなんですけれども、復興大臣、どう思われますか。

平野(達)国務大臣 委員の御指摘された問題意識は私も共有させていただいているつもりであります。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、津波地域、津波で被災を受けた地域、これをどのようにするかということについては、やはり時には大変つらい決断をしていただかなくちゃならないということでありまして、私は、ここについては、本来なら、時間が許されるのであれば十分な時間をかけて、そして権利調整をしてまちづくりをしていくのが本当の姿であるというふうに思いますが、それではもう復興ができません。

 そういう中で、今ぎりぎりの調整をしていただいているということでありまして、このことは首長さんが来るたびに、この権利調整だけはしっかりやっていただきたい、その中で、国もあるいは県も必要な支援をやるということは、繰り返し繰り返し申し上げているだけではなくて、しっかりその体制をつくって臨んでいる、そういう状況ということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

佐田委員 先ほど大臣の方からURのお話があったんですけれども、都市再生機構は、この震災に際しましては、被災者の方々へのUR賃貸住宅の提供、これは要するに東京の空き部屋を使っているということなんですけれども、または応急仮設住宅建設用地の提供、応急仮設住宅建設支援要員の派遣、被災市町村の復興支援の対応、震災復興のためのまちづくり支援ということでやっておるんです。

 これはお聞きしましたら、彼らは相当な技術者集団なわけですよね。今のところ、いろいろな造成関係の仕事もしておる。高台の造成であるとか、まちづくり、計画、そしてまた地目の変更であるとか、そういうこともかなりなれておるわけです。

 お聞きするところによると、現地に行かれている方が、今URの職員が三千八百人おられるんですけれども、その中で、まだ七十五人という、これは本当にこれでやれるのかなと非常に危惧している。もう一年たっているわけですから、もっともっと有効利用すべきじゃないかと思うんですけれども、国交大臣、いかがですか。

前田国務大臣 佐田先生にお答えいたします。

 御指摘のように、現在、七十四名のURの職員、専門家が、岩手県、宮城県、福島県、全部で十七市町村に派遣されて、いろいろと相談に乗っているところなんですが、実はそれだけではありませんで、むしろ、協定を結んで、まちづくりそのものをURにアウトソーシングするという方向を出しております。具体的には、協定の締結済み地区というものが塩竈市あるいは新地町、これは災害公営住宅の関係です。それから、市街地整備事業関係でも協定を締結したところが、岩手県の山田町あるいは陸前高田市等において合計六地区ぐらい出てきております。さらに、復興まちづくりの推進ということで覚書等を締結して、宮城県東松島市、女川町、南三陸町、こういったところで進み始めております。

 さらに、年度内の基本協定締結を目標に市町村と調整を進めている地区も幾つかありまして、こういったところで住宅でありあるいは戸建てでありというようなことでアウトソーシングというものが相当出ていけば、かなりまとまって進むのではないかと期待もしております。

佐田委員 つまり、先ほど復興大臣の方からありましたように、相当にまちづくりがおくれているわけなんです。

 まちづくりは何をするかといったら、高台移転の問題であるとか、権利関係を明らかにするとか、そのためには測量をしたり、そしてまた造成をしたり、そういうことを、やはり技術者を徹底的に送る、そして、もう直営でやるぐらいの気持ちで、人員をかなりの数を投入してやっていく、私はこういうことが大事なんじゃないかと思うんです。

 そういう中におきまして、やはり一番、高台移転であるとか、そうなってきますと、特区法ができましたけれども、なかなかそれが動いていない。そして、特区法の中でどのようにいろいろな規制を緩和してまちづくりをしていくか、そういうことも、皆さん、地元の方々も、そして復興庁も一緒になって、あらゆる手だてを講じてやっていかなくちゃいけないんじゃないか、こういうふうに思っておりますので、ぜひその辺を、ここは農地だからだめですよとか、ここはちょっと調整区域ですから難しいですね、保安林だから難しいです、そういうことではなくて、そういうことは復興大臣が中心となって、二重行政じゃなくて、どんどん各省庁にお願いをしてやっていくということが大事だと思うんですね。

 今、高台の方に行きますと、高台は宅地じゃないですからね、やはり農地であるとか山林が多いと思うんです。それの地目変更なんかは農地法が絡んでくるわけでありますけれども、農林大臣、いかがですか。

鹿野国務大臣 今先生がおっしゃられたとおりに、それぞれの市町村の考え方ということの中で、できるだけ農地の転用等々につきましては弾力的にやっていくというふうな基本的な考え方でいかなきゃならないと思っております。

佐田委員 とにかく、全省庁が一丸となって、そして人、物を集約して、一日でも早くこの復旧復興を進めていただきたいと思います。そういう中において、おくれているんじゃないかなんて言われないようにぜひともお願いしたい。

 瓦れきの問題もきょうは時間があれば質問したいんですけれども、瓦れきの撤去というのは非常に重要なことであります。

 そしてまた、なおかつ、今必要なものというのは、住宅が非常に不足しているということもあるわけでありまして、いわゆる仮設住宅だけでいくわけにいかないわけですから、将来に向けて、自分が不安になっている、それを払拭して、何としてでも、我々としては政治の力で面倒を見ていかなくちゃいけない、こういうふうに思っております。

 先ほども申し上げましたように、かなりの、比率にするとまだ十数%しか復旧していない。そういう中におきまして、仮設住宅は五万数千戸ありまして、今入居されておるわけですけれども、もう一年がたった。原則は二年ということは、もう一年で出なくちゃいけない。そして、中身は、耐久は五年ぐらいしかない。耐久期間が五年しかない。では、その後はどうなるのか。その後はどうなるかということになりますと、やはり国や地方自治体における公営住宅が必要になってこようかと思うんですね。

 公営住宅は、今回は激甚災害でありますから、四分の三は国が負担する。四分の一は何とかまた国の方で負担していただけるという方向に向いておるわけでありますけれども、公営住宅はいかがですか、進んでおりますでしょうか、復興大臣。

平野(達)国務大臣 災害公営住宅については、年度内に着工できるところも出てきておりますが、全体的にはまだまだでございます。いずれ、集合住宅、戸建て、いろいろな形態がございますけれども、災害公営住宅の建設もあわせて急がなければならないというふうに思っております。

佐田委員 つまり、仮設住宅を出られたら、今度は、やはり非常に安いお金で借りられる公営住宅というのは非常に必要になってくると思うんですね。

 そしてまた、その公営住宅につきましても、家賃を補助するなりして低く抑えて、そしてもう一つ大事なことは、公営住宅をできるだけ早く払い下げていただきたい。払い下げることによって、これは持ち家になってくるわけでありますから、そういう中において、今、耐久年限の、普通でしたら四分の一のところを六分の一ぐらいにして期間を縮めて、そしてそういう方々に住んでいただき、また最終的には短い期間で払い下げをしていただく。

 こういうことを進めるためには公営住宅は非常に重要だと私は思っておるんですけれども、公営住宅がなかなか今進んでいないというのが現実なんです。これは、今どのぐらい進んでおりますか。

前田国務大臣 確かに、まちづくりの計画ができてというようなことが前提になるものですから、その辺では、なかなかスピーディーにというわけにはまいらないわけでございます。しかし、現在、市町村とも復興に向けての取り組みが本格化しておりまして、岩手県で四千から五千戸、宮城県で一万二千戸とするそれぞれの供給方針が定まりまして、仙台市、そして相馬市においては、既に着工が始まったというふうに聞いております。岩手、宮城、福島等において、合計千七百戸分の用地が確保され、そのうち千戸については設計にも着手をしているというところでございまして、地方公共団体等とも協議を進めて、制度の概要や事例など、情報提供もどんどん進めてまいります。

 そういったことで、災害公営住宅の計画づくりへの支援ということをしっかりやってまいる所存でありまして、具体的に言えば、コミュニティーの形成であったり、高齢者への配慮であったり、そして何よりも、町そのものが持続可能でないといけませんので、その辺のところのお互いの理解というようなことも進めていかなければなりません。さらに言えば、地域の資材である材木、木造というものもなるべく積極的に採用していくように進めてまいりたい、こう思います。

佐田委員 大臣、ぜひ、もう一年たったわけですから、今、計画は二〇一六年までに岩手で四千から五千、宮城で一万二千の計画があるというお話がありましたけれども、実際は、今、仙台市で十二戸、そして福島県の相馬市で二十四戸、三十六戸しかまだできていないという現状があるわけでありまして、仮設住宅はあと一年で原則出なくちゃいけないということを考えると、速やかに多くの公営住宅をつくっていただきたい。そして、安い賃料で借りられる、そういうふうな御配慮をいただきたい。

 そしてまた、住宅を建てるためには、多少余裕のある方は、余裕のある方はそういらっしゃいませんけれども、その中で今度は、やはり住宅金融支援機構の五年間のゼロ金利、こういうものをしっかりと使って住宅を建設していくということが私は非常に重要なことになってくると思うんですけれども、ほかに、住宅金融支援機構以外でも何か対策を練られているかどうか、国土交通大臣にお伺いしたいと思います。

前田国務大臣 確かに、この地域はもともと持ち家志向の強いところでありますから、みずから、そういった住宅金融支援機構等のゼロ金利の融資等も含めて、そちらを志向されている方々も多いわけでございます。

 さらに加えて、復興のための賃貸住宅そのものが、災害公営住宅そのものが、将来これを払い下げるということについても特例措置を講じておりまして、いわば、木造であれば、たしか耐用年数三十年の四分の一の何とかというのを縮めるだとか、そういった措置も講じております。

 できるだけのあらゆる措置を講じて進めてまいりたい、こう思います。

佐田委員 繰り返しになりますけれども、つまり、仮設住宅から公営住宅、公営住宅では安い賃料で借りられる、これはできるだけやっていただきたいということ。それと、耐用年数、今十何年とありまして、集合住宅なんかもあると思いますから、大体五年から十年ぐらいだと思いますけれども、できるだけそれを短い期間に短縮していただく、こういうことは規制緩和でできるわけですから、できるだけ早くやっていただきたい。それともう一つは、住宅金融支援機構で、今、ゼロ金利で五年でやっていますけれども、できるだけそれを長く延ばしていただきたい。

 こういうことによって、今、一年たって一六%なんということのないように、これからしっかりと、住宅対策も、そして復旧復興対策もやっていただきたい、こういうふうに思っておるわけであります。

 そういう中で、やはり総動員をしてやっていくという中において、私が気になるのは、URであるとか住宅金融支援機構というのは独立行政法人でありますけれども、それがしっかり、やはりこういう危機的状況、災害の中においてはフル活動すべきだと私は思うんです。今のお話ですと、なかなかフル活動しているとは思えないんですけれどもね。

 そういう中で、逆にまたそれを、違う方向では、民主党の行政刷新会議の中では、その会社を、国で災害をフォローしなくちゃいけないときに特殊会社にすべきだとか、そういう議論を一緒にするということは私はいかがなものかなというふうに思うんですけれども、本当は岡田さんを呼んでおけばよかったんですけれども、復興大臣はどう思われますか。

平野(達)国務大臣 住宅の再建とか地域の再生にとって、今、都市再生機構、住宅金融支援機構は大変大きな役割を果たしていただいているというふうに思います。

 特に、URさん、都市再生機構の技術者がいなかったら、これはもっともっと大変な状況になっていたというふうに思いますし、被災市町村によっては、全面的に都市再生機構に業務をお願いするといったことを考えている市町村もあります。先般、私も都市再生機構の理事長さんにお会いしまして、このところ都市再生機構の役割は非常に大きいということで、ぜひとも積極的な関与とこれからの執行に向けて支援をお願いしたい、かつ仕事をお願いしたい、そういうお願いを申し上げました。

 そして、独立行政法人の見直しでございますけれども、一月二十日に閣議決定された独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針におきまして、特に都市再生機構については特殊会社化を検討することとされていることもありまして、「東日本大震災の復興事業の推進に留意しつつ検討を進める。」とされたところでございます。都市再生機構、住宅金融支援機構の見直しの検討は、この基本方針に沿って、私にすれば、まず復興事業の推進に支障が生じないように進められるべきだというふうに思っておりまして、私の立場からすれば、この観点からこの動きは見ていく必要があるというふうに思っております。

佐田委員 復興大臣、とにかく、こういう危機的状況ですから、平時じゃありませんから、そういう中において、こういう組織については、例えば五百人、千人ぐらい派遣するとか、そして市町村に行っていろいろなことを直営でやってやる、いろいろな業務をやってあげる、技術者もたくさんいるわけですから、そのぐらいのことをぜひやっていただきたいと思うんです。それをやれば相当に、やっているな、そういう雰囲気になってくると思いますよ。ぜひそれをお願いしたいと思います。

 また、復興庁について、東日本災害特別区域法の対象区域というのがあるんですけれども、これは私ごとで恐縮なんですけれども、これは多分災害救助法なんかも適用になるんだと思うんですけれども、そういう中において、我が群馬県も大変に、福島の方からも被災された方々が多いときで三千六百人ぐらいおられた、今でも二千人ぐらいおられます。それに対して、子供さん方の就学の問題やら、そして、お父さん、お母さんの雇用の問題やら、あらゆることについて群馬県が直接これをやっておったんですよ。

 そしてまた、群馬県の方は、野菜を中心とした風評被害、うちの方に赤城山というのがあるんですが、赤城山の上の方は、今でしたらワカサギを釣りに来る人がたくさんいるんですけれども、そういうお客さんも、観光のお客さんも全然いなくなってしまった。にもかかわらず、この特区法の中の区域から、対象区域から外されているんですけれども、これはどういうことなんですかね。

平野(達)国務大臣 特定市町村の指定というのは、これは被害額等々とそれから財政力の規模等々の、そういったことで勘案されて指定されております。

 一方で、今委員から御指摘がありましたように、被災者を受け入れていただいた、特に被災直後においては大変だったと思います。なお、全国においては、福島県から六万人の方々が県外に避難されておりますので、そういった避難されている方々を受け入れていただいている自治体がたくさんございます。

 こういった自治体には、総務省の方としても例えば交付税措置でしっかり財政的な負担を緩和するとか、今そういった制度を講じておりますし、風評被害ということにつきましては、風評被害の防止策のさまざまな制度というのは一応用意させていただきまして、恐縮でありますけれども、それを使っていただいて例えばPR活動に努めていただくとか、こういったことをやっていただく、こういう仕組みにさせていただいているということでございます。

佐田委員 これを見ると、埼玉県の久喜市であるとか、千葉は被害がありましたけれども、我が県も相当な被害があったので、ぜひその辺の御配慮もお願いしたいと思います。

 それと、もう時間がなくなってきたんですけれども、ちょっと急がせていただきますけれども、先般、東北地方で非常に不調が多くて、なかなか仕事が進まないというお話を聞きました。そういう中におきまして、いろいろと、復興JVの問題であるとか、労務費の単価の見直しであるとか、これは、平時でやっておるならば十月に改正をして四月に施行ですから、そんな半年もかけておったら大変なことですから、その中において早くやっていただくということは当然のことだと思いますし、今後ともそういう検討をしていただく。

 それと、不調の仕事の中でやはり多いのは、規模が小さいものが不調が非常に多い。つまり、技術者が少ないから、そこに一人一人つけるといけない、こういうことだと私は思うんです。そういうことを勘案したときに、これは私の考え方なんですけれども、私も四回ほど地元をずっと視察させていただきました。その中で、例えば仙台なんかだと、海岸沿いに畑があって、その周りの側溝は完全にやられておって、その横にある道路もほとんどやられておる。その近くには住宅ももちろんそう、そしてまた学校まで破壊されておる。もう全体的に破壊されておるわけですね。

 そういう中で、私は思うんですが、これは復興大臣にお聞きしたいんですけれども、復興庁というのはワンストップでやるわけでしょう。ワンストップで仕事をやるわけですから、その中を区画を決めて、今検討されているのは、例えば同じ河川の中で小さい仕事を集めるということですけれども、例えば、畑の方で土地改良で相当やられているところがある、側溝までやられておる、道路もやられておる、そういうことを総合的にやるということはできませんか。

平野(達)国務大臣 例えば施設が単独で被災しているというものを災害復旧事業で対応する、これはこれで対応すればいいと思います。しかし、今回のように、特に津波という、委員は津波の地域のことをおっしゃっていると思うんですが、面的に全てが被災しているというところにつきましては、これはできるだけ面として捉えながら総合事業としてやっていくという観点は重要だというふうに思います。そのためにつくったのが復興交付金制度でありますが、これは、さまざまな事業を束ねているという意味で、まだまだ使い勝手が悪いという批判はございますけれども、そういった制度的な仕組みはつくりました。

 あわせて、計画も、面として計画をつくっていただく。その中で、面としてつくっていただくことを、復興庁の職員も国交省の職員も、場合によっては農水省の職員も入って、あわせてみんなでこれを検討する、こういう体制を今つくりつつある。今までもつくってきたつもりでありますけれども、うまくいっているところと、まだうまくいっていないところがございます。それをできるだけ全ての地区でしっかりとした体制になるように、これは急ぎたいというふうに思います。

 委員の指摘についてはきちんと受けとめて、そういう方法、そういう観点で、面的にやるということについての視点はしっかり持っていくことが大事だというふうに思っております。

佐田委員 つまり、面的、区画を決めて、その中で、学校がある、または公共施設がある、そして側溝がある、道路がある、いろいろな公物がある、こういうことについて、きょうは国土交通大臣も総務大臣も、皆さんいらっしゃいますから、農林大臣もおられるから、そういう中でぜひ総合的に、これは所管がここ、ここは所管がここじゃなくて、復興庁が中心になって区画の中をしっかりとワンストップで復旧復興をやっていただきたい、こういうふうに思います。緊急的にそんなことができるのかなというふうに思われるかもしれませんけれども、そういうことを進めなかったら、この復旧復興はしっかりとできないと私は思いますので、ぜひその辺をお願いしたい。

 時間がなくなってまいりまして、細野大臣にも非常に重要なことをお聞きしたかったんですよ。

 なぜかというと、細野大臣、答弁は結構ですけれども、ぜひお考えいただきたいのは、今、ボランティアの方々がおられる。ボランティアの方も一年間で相当に入られました。人数的には九十万人ぐらい入られている、もう御存じだと思います。

 私は、この間、新聞を見ておりましたら、そういう方々が働いておる、テレビでも、働いているのがおる、私が行ったときも働いておられました。しかし、皆さん方、非常に防護をしていない。例えば、マスクをしていないとか作業着でやっていないとか安全靴を履いていないとか、こういうことが非常に問題になると思うんです。

 瓦れきの中には、PCBやアスベストも相当入っているわけですね。アスベストというのは、私もアスベストの救済法をつくりましたけれども、これでいわゆる暴露、吸って病気になった場合には、中皮腫といって大変悪質な病気になるわけですから、大臣、この辺のことはぜひ気をつけていただきたい、こういうふうに思います。

 これは答弁は結構ですけれども、やはり、そういうボランティア、良心でやられておるわけでありますから、なお一層、そういう方々を守るような気持ちで、大臣、ぜひやっていただきたい、こういうふうに思います。

 最後になりますけれども、私も、もうこれは余り言いたくなかったんですけれども、散発的に八ツ場ダムの話が出てくるものですから、一応言うだけは言わせていただこうと思いまして、ちょっとまとめて持ってまいりました。

 これまで、実は、過大な流量を設定しておるとか、キャサリン台風から何十年もたっておるから森林がかなり生えてきて土壌が変化しているんじゃないかとか、いろいろな御批判を受けているんです。しかしながら、キャサリン台風というのは昭和二十二年に来たのでありますけれども、平成十七年に利根川水系の河川整備基本方針というのができまして、これはもう国交大臣には釈迦に説法でありますけれども、要するに、基本高水は二万二千立米というのが八斗島であって、その中で、下流部門の河道掘削であるとかそういうことについては一万六千五百立米、そしてまたダムの本体では五千五百立米を担当すると。このことについても、疑問があるとか、そういうことが、いろいろなことを言われておるわけであります。

 これにつきましても、平成二十三年の六月七日に日本学術会議で、カスリーン台風当時と現在の利根川上流の森林増加に伴う土壌発達に低減効果を認めたが、数十年単位の土壌変化は考慮する必要はないというふうな結論が出ているわけですね。

 それともう一つは、これも同じ二十三年でありますけれども、この基本高水につきましては計算方法がおかしいというふうに言われておりましたから、国土交通省で再計算をし、また、東京大学、京都大学の方で別モデルでやっても、同じ二万二千立米前後であったということをぜひ御指摘させていただきたい、こういうふうに思っております。これも、日本学術会議は二十三年の九月にこの数字も認めております、はっきり言って。これは認めるということになっております、正確に言うと九月の二日でありますけれども。

 その後に、検討の場というものがありまして、これは有識者会議が主催している検討の場で、これからの河川計画については二、三十年レベルでやらないとできないでしょうということで、基本高水一万七千立米ということになりました。これは決して最終じゃありません。一万七千立米をやる、こういうことになったわけであります。

 今、課題が出ております。国土交通大臣に申し上げたいのは、生活再建法の整備の問題と河川整備計画でありますけれども、ぜひ早くやっていただきたい。本当に、地元の方々も大変苦しんでおりますし、早くやっていただきたいということは、もう全員が、大臣もよく御存じのとおりであります。あと、治水、利水、これらも非常に重要なことでありますから、ぜひこれをお願いしたいということであります。一日でも早く八ツ場ダムの完成をぜひお願いしたい。

 今私が言ったことにつきまして、国交大臣、最後に一言お願いいたします。

前田国務大臣 昨年の末に、八ツ場ダムについては、有識者会議の結論は続行妥当ということでございました。そういうことも前提にした上で、熟慮の上、担務の大臣において決断をしたわけでございます。

 そのときの決定の一つの条件として、官房長官の裁定というのがございます。今議員の御指摘のように、生活再建のスキームをしっかりつくるということで、これは法案を今用意しておりまして、今国会に提出をさせていただきます。

 それから、これまた議員御指摘のように、利根川の整備計画の基本方針というものはもう既に出ているわけでございますから、これを受けて早急に整備計画をつくるということで、これも官房長官裁定のもう一つの条件になっておりまして、この整備計画をつくるための、どういうような形でやっていくか。もちろん、地方整備局にその検討の場があるわけでございますが、そこに、さらにいろいろな方々、もちろん意見を異にされる専門の学者というような方々も入っていただいてやっていくつもりです。

 しかし、いずれにしろ、首都圏の、東京を含め、東京、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬が上流にあるわけでございますが、一番重要なこの地域の治水の安全度というのが、なかなか一般の方々には御理解されていませんが、非常に脆弱であるというのは事実でございます。タイのようなことにしてしまったら、これはまさしく日本そのものが、東京を中心に国際競争にさらされているわけでございますから、そういうことのなきように、とにかく早く整備計画をつくりたい、こう思っております。

佐田委員 最後に一言だけですけれども、細野大臣に、瓦れきの最終撤去というものが、処理というものがまだ数%なんですね。ぜひ、日本全国に訴えていただきたいと思います。私も群馬県で訴えておりますけれども、今、群馬県でも、中之条、高山村、東吾妻、ここで衛生組合をつくって一生懸命やっているみたいですから、ぜひそういうことを広げていただきたい。それを申し上げまして、終わります。

中井委員長 これにて佐田君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊東良孝君。

伊東委員 おはようございます。自由民主党の伊東でございます。

 地域医療の充実に向けた医師確保対策ということで、十点ほど用意しました。時間が限られておりますので、簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、平成十六年、いよいよスタートいたしました臨床研修医制度であります。御案内のとおり、この後、全国的な医師不足というのが大きな問題になりました。特に若手医師は都市部に集中する傾向になり、相対的に大学の医局に残る研修医が少なくなる。さらにはまた、大学医局から地方公共団体等々の自治体病院あるいは地方病院に医師を派遣していたのが、その能力を大きく減少させることになってしまったわけであります。

 この状況は、当時からもう八年たつわけでありますけれども、一向に変わっておりません。逆に、都市部と、いわゆる僻地あるいは離島等との医療格差が拡大しているというふうに私も思うわけであります。

 民主党政権として三度目の予算編成をなされたわけでありますけれども、全国の医師不足対策にどのように取り組まれたか、具体的な政策があれば、お聞かせいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 地域的な偏在とか診療科の偏在というのは大変重大な問題だと思っていますので、今回の診療報酬改定の中でも、そこに重点を置いて取り組ませていただいています。

 また、地域的な偏在については、地域ごとに、人口十万人当たりに対する医師数を見ましても、全体として、西日本に比較しますと、東日本が医師数が少ない傾向がございます。

 また、平成二十二年に実施しました必要医師数実態調査によりますと、医療機関が必要と考えている医師数は実際にいる医師数の一・一四倍ということで、それだけ足りないということだと思います。これを診療科ごとに見ますと、リハビリ科が一・二九倍、救急科が一・二八倍、産科が一・二四倍となっていまして、診療科によっても差が生じています。

 過疎との関係でございますけれども、こうした地域偏在、診療科の偏在は非常に重要な課題だと考えていますが、そのことと地域の過疎とどういう関係があるかということは、ちょっとまた検討してみる必要があるかというふうに思っております。

伊東委員 私の資料をちょっとお配りさせていただきましたが、北海道の人口十万人当たりの医師数というのは、全国平均とほぼ一緒であります。ただ、御案内のとおり、偏在度が大変に大きくて、北方領土に隣接する地域、根室地域では九十六・八人、これも最新のデータでありますけれども、全国、全道平均の半分以下ということになっております。また、これに近い数字のところもたくさんあるわけであります。

 一方、医科大学、医育大学を持つ都市部は、三百人を超えるところもある、あるいは大きく全道、全国平均を超えている。まさに、地域の医師の偏在、こういうふうになるわけであります。

 さらに、私はお話をさせていただきたかったのは、北海道の大きさであります。次のページにこれを描いておりますけれども、国土面積の二二%。沖縄の方から、南から数えますと、沖縄と九州七県、四国四県、さらに中国地方の山口、島根、広島でしょうか、この十五県分の面積があります。人口は五百五十万。医師数から見ますと、一平方キロ当たりの医師数という出し方が実はあるんですけれども、これを参考にしますと十五・九人であります。北海道は、一平方キロ当たり十五・九人、十六人ですね。全国平均が七十六人でありますから、五分の一にしかならぬわけであります。ですから、広大なところに医師が極めて少ないということになります。

 今、小宮山大臣の方から、過疎との関係はまだわからないというお話でありましたけれども、これは、産婦人科が大変に減少しておりまして、少ない状態です。子供を産めない。あるいは、小児科がない、救急医がいない。さらにはまた、麻酔科医がいないから手術ができないということになりますと、いや、ここで暮らすのは大変難しいという話に若い御夫婦はなってくるわけであります。さらにこれは少子化、過疎化が進むということになっておりまして、この医師偏在に対する認識と対策についてどうお考えか、お伺いします。

小宮山国務大臣 今回ではなくて前回の診療報酬改定、プラス改定した中で、診療科の偏在を大分手当てをしたので、全国的には産科と小児科はふえているんですけれども、地域によっては、今おっしゃるように、産科がなくて子供がなかなか産めないという状況があることは承知をしております。

 それで、こうした取り組みの一つとして、医師不足の地域などでの勤務を条件づけることで、地域枠で今学生を入学させていますので、その卒業生が間もなく出ることになります。この修学資金を貸与するために、都道府県ごとに設置する地域医療再生基金、これを活用するという形で、地域枠で今学生を育てるということをやっています。

 これからも地域のいろいろな実情の中でしっかりとそれに対応できるように、こうしたこともあわせて取り組んでいきたいというふうに考えています。

伊東委員 大変にありがたいお話でありますし、北海道も、これは特区制度を活用して、札幌医科大学の定員増を図っているところでもありました。

 三つの国公立医育大学が北海道にあるわけでありますけれども、入学定員の拡大や奨学金と連動した地域枠の拡大、今お話しいただいたとおりでありますが、こうした拡大に伴いまして、専任の教員の定員増あるいは教育施設等の増改築等々が必要になってまいります。地元に残るというか定着させるための入学定員の増が必要でありまして、定員増になった人たちが、みんなまた都会に出ていってしまうということでは何にもならないわけであります。

 これらの定員増あるいは大学のいわゆる教育環境の整備のために財政支援も必要ではないか、こう思うわけでありまして、ここは文科大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 どれだけの財政措置をしているのか、こういうことでございます。

 先生には、北海道において、五百五十万人の道民を、医療の体制という意味では非常に不十分ではないか、こういうことで御指摘がございました。

 端的に申し上げますと、国立大学法人の運営費交付金並びに私立大学の経常費補助金において、先生御指摘の定員増、さらには、教育指導者の配置、実習等々の整備費として、いわゆる教育環境の整備に伴う経費として二億円を実は計上しております。

 そういうことを含めて、今後の医学部の入学定員のあり方については、厚生労働省を含めて、特に地域偏在等々の問題、大変重要な問題でもございます。つい先日も、私は二月の四日に北海道の知事からも強い御要請を受けておりまして、先生にも大変御協力いただいております白老の方へ伺ってきたときにそういうお話もいただいております。頑張ります。

伊東委員 臨床研修医制度が全て悪いという話ではもちろんない話であります。

 従来、大学の医局に残って専門の勉強をしていた人たちが、若手の医師が、民間の専門病院、あるいは高度な医療技術を持つ指導者のもとに出かけていきたい、指導を受けたいということでありますから、これはわからないわけではありません。

 資料につけておりますけれども、僻地が嫌なのではないということがこの資料の中からも実は読み取れるわけであります。四枚目、五枚目につけておりますけれども、郡部、僻地に従事することを希望している人は少ないが、条件が合えば従事したい、そして専門医の取得について、とても重要だ、あるいは重要だと考えている人も多いわけであります。これは指導者を求めているところでもありますけれども、一方で、これを放置しますと、都市集中型になってしまうわけであります。

 大学の医局に残る研修医が少なくなる。ということは、その医局から派遣される公立病院のお医者さんも非常に少なくなってくる。結局、今まで若手医師を地方に派遣していた医局の機能が大幅に低下しているものでありますから、医師引き揚げという問題が常時起こってくるわけであります。

 八年間経過して、さまざまな問題点あるいはデメリット部分も示されているわけでありますし、しかしながら、一向にこれが改善されてこないということは、この臨床研修医制度そのものを根本的に見直す必要があるのかなという思いもするわけであります。この点につきまして、御見解があればお聞きします。

小宮山国務大臣 臨床研修制度は、平成十六年度に導入をされましたが、平成二十二年度の研修から、研修医の募集定員に都道府県別の上限を設けるなどの見直しを行っています。

 また、次の見直しに向けまして、省内に医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループを設置いたしまして、基本的な診療能力ですとか、研修医のキャリア形成、地域医療に与える影響など、さまざまな項目について今鋭意検討を進めています。

 この結果をもとに、平成二十七年度の研修から適用することを念頭に、ことしじゅうにも制度見直しのための論点を取りまとめたいと思っています。

伊東委員 これは本当に政府としても必要なことであろうというふうに思います。若手のお医者さんが、好んでとは言わないまでも、貴重な経験として僻地あるいは郡部に出向いて、総合的にいろいろなあらゆる病気治療に携わる、経験するということは、これは大事なことであろうというふうに思います。

 今、都道府県ごとの定員数というお話がありました。国が定める研修医の募集定員数が、実際応募する人と乖離しているのではないかという指摘があります。首都圏への研修医の集中につながる国が定める募集定員数を、地方の医師不足、医師偏在の要因を考えると、希望者数と募集定員をおおむね都道府県別に一致させる必要があるのではないかというふうに思います。東京ばかり取り上げるわけではありませんけれども、いわゆる大都会の研修医の国が定める募集定員数を減らして、地方に少し厚く配分するなどのことが必要だと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

小宮山国務大臣 先ほど申し上げたように、二十二年度の研修から、地域偏在の是正のための募集定員の上限を設定しています。京都ですとか大阪、今東京の御指摘がございましたけれども、募集定員に対する採用実績の割合が高くなっているのは、都会の募集定員を減らしているためだという考え方もございます。

 ただ、委員からの今の御指摘もそのとおりだと思いますので、またさらに御意見もいただいて、よりよい形にしていければというふうに思います。

伊東委員 資料でおつけしているわけでありますけれども、臨床研修医の募集定員に対する採用実績の割合という、全国の都道府県別のグリーンと赤っぽいので表示したものがあります。これを見ると、改善されてきているなという地域もありますけれども、依然として医師数の充足度というか、募集定員に対する採用実績の高い地域というのは固まっているところでもあります。こうした長期間にわたる、これは十六年から八年分でありますけれども、こういったものを参考にしながら、募集定員によって改善を図っていくということが必要だ、このように思うわけであります。

 二十七年度からということでありますので、ぜひ反映されるような形をお願いしたいと思うものであります。

 次に、医療の高度化あるいは専門化が進む一方におきまして、総合的な診療能力を備えた医師の育成を支援する必要があると思うわけであります。家庭医療専門医や病院総合医を、医師が不足する地域において地域医療の担い手として育成する仕組みが必要であろうと思います。

 具体的には、学会の認定制度や総合的な診療を行う診療科名の標榜科目への追加、さらには、専門医制度の見直しの中で、総合医を専門医に位置づけるといった措置を講ずるべきではないか、こう思うわけでありますけれども、これについては、大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 厚生労働省の中に、医師の質の一層の向上ですとか偏在是正を図ることを目的としまして、昨年十月に、専門医の在り方に関する検討会を開催いたしまして、今検討を進めています。

 この検討会の中では、求められる専門医像についてですとか地域医療の安定的確保についてなど、いろいろな項目を検討しております。総合的な診療能力を持つ医師がどうしてもその地域には特に必要になるわけですので、そうした医師を専門医に位置づけるかどうかを含めまして、これも今年度中に意見の取りまとめを行いまして、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。

伊東委員 私は、ぜひこれをお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、社会医療法人の認定要件につきましてお伺いします。

 これは、救急医療や僻地医療などの実施が条件となっております。僻地医療の実施の対象を僻地診療所から拡大するなど、厳しい医師不足の状況を踏まえた社会医療法人の規定の見直しが必要ではないかと思いますけれども、これについて御見解をお伺いします。

小宮山国務大臣 今の御質問に対する前に、申しわけありません、私、専門医についての検討が今年度中と申し上げましたが、二十四年度中でございますので、訂正をさせていただきたいと思います。失礼いたしました。

 今の御質問でございますけれども、社会医療法人、これは地域医療の重要な担い手であります医療法人のうち、救急医療とか僻地医療など、特に地域で必要な医療の提供を担うということで、平成二十年の七月から都道府県知事が認定をしています。

 認定に当たりましては、救急医療などに関して一定の基準に適合していることですとか、法人運営の公正性に関する要件に適合すること、これが必要です。

 社会医療法人が支援する対象となる僻地医療施設の範囲を拡大するなど、認定要件の見直しにつきましては、これは税制上の取り扱いなどとも密接不可分でございまして、社会医療法人が果たしてきた役割などを踏まえて、関係省庁とも十分に協議をしていく必要があるというふうに考えています。

 現時点でその議論を行うだけの実績などがまだ蓄積をされていないという点もございますので、引き続きこのあり方につきましては検討させていただきたいと思います。

伊東委員 北海道では、産婦人科初め小児科、外科等々の医師が不足しておりまして、地域偏在も著しく、特に分娩体制や救急医療体制の確保に苦慮しているところでもあります。

 先ほど、昨年の診療報酬改定の際にこれらについて配慮したというお話でございましたけれども、やはり、これらの医師不足が深刻な特定診療科に対して、診療報酬の充実あるいは医師の勤務環境の改善などを図る必要があるわけであります。具体的な対策をとっていく必要があると思いますけれども、もう一度、この点について大臣の見解をお伺いします。

小宮山国務大臣 昨年の改定はほんのわずかしかプラスにできませんでしたが、その前回とあわせて、診療科の偏在には重点的に取り組んでいるところです。これは、救急、産科、小児科また外科、こうしたところに重点的に診療報酬を充実させています。

 具体的に申し上げますと、平成二十二年度の診療報酬改定では、救急、産科、小児、外科等の医療の再建、これを重点課題といたしまして、平成二十四年度の診療報酬改定でも、引き続き、救急医療の充実のために救急搬送患者の受け入れの評価、それから産科医療の充実のためにリスクの高い妊産婦の入院の評価、また小児医療の充実のために小児の集中治療の評価、そして外科医療の充実のために手術料の引き上げ、こうしたところに重点的に配分をするということを行ってきています。

伊東委員 ただいま大臣から具体的な施策をお聞かせいただいたところであります。

 つい数日前、私、北海道で新聞を見ておりましたら、札幌医科大学の医局から派遣されている麻酔科医が一気に五人ほど地方の病院から引き揚げられて、ちょっと大変な騒ぎになっておりました。

 麻酔科の先生がいらっしゃらないと手術ができないということになってまいります。ゆゆしき問題だなという気がいたしております。救急の体制あるいはその報酬を引き上げ、あるいは分娩の体制を引き上げる、さまざまな御努力の中で、しかし、少ない麻酔科医の確保をどうするかというのが大きな課題になっています。

 次の質問とも絡むわけでありますけれども、出産あるいは育児などを理由に、多くの女性医師が離職を余儀なくされております。ただいまお話ししました麻酔科医も、従前は男性が多かったのでありますが、近年は女性が麻酔科医につくケースが非常に多く、育児、出産でしばらくお休みをする、こういうケースがふえていることが理由であります。

 地域医療を確保するためには、離職した女性医師の復職が容易になるよう、保育サービスやあるいは復職に向けた研修体制の充実が必要であります。さらには、多様な勤務形態の導入の促進など、年々増加している女性医師を地域医療にしっかり確保することが大事であろうと思うわけであります。せっかく能力、資格をお持ちになりながら医師職を離れておられる女性がたくさんいらっしゃるとしたら、これは、しばらくまた家庭の中に何年かいると、復職するときの自信がちょっとないとか、子育てとの兼ね合いで厳しいとか、こういうことにもなってくるわけであります。

 総合的な観点からの支援策というのが必要ではないかと思いますけれども、同じ女性の立場として、大臣、いかがでしょう。

小宮山国務大臣 これは、私、野党の議員であったときから女医会の皆様などともお話をして、全体に女性がワーク・ライフ・バランスが図られていませんが、特にお医者様の場合は厳しいという話の中で、対応はいろいろ協議してきたところです。

 現在、子供を持つ女性医師の離職防止ですとか復職支援のため、病院内保育所の運営などに対する財政支援を実施しているということがございます。また、今おっしゃったように、離職をしている女性医師の復職支援のため、都道府県に受付とか相談窓口を設置しまして、研修を受け入れる医療機関を紹介しまして、復職後の勤務形態に応じた研修を実施できるようにしています。そして、女性医師バンク、ここで就業あっせんなどの再就職支援を実施していまして、こうした事業につきましては二十四年度予算でも必要な額を計上しています。

 こうした取り組みを着実に実施することによって、能力のある、意欲もある女性のお医者様が働き続けられるように、これはしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えています。

伊東委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 それでは、時間でございますので、最後の質問にさせていただきます。

 北海道では、地域医療再生基金を活用した医育大学の地域枠入学者を対象とする奨学金の拡大や、あるいは、ただいまお話ありました女性医師の復職支援などにつきましても取り組んでいるところであります。

 地域医療再生計画の終了後も、地域にとって必要な事業が継続できるよう、地域による各種施策に対する国の財政支援あるいは後方支援をお願いしたいと思いますが、最後に、これにつきまして、北海道だけのことを私は今取り上げましたけれども、これは全国平均のお話だと受けとめていただいて、地方、僻地そして離島で医療過疎に悩む方々に本当に力を与えるような政策をぜひお願い申し上げたいと思います。

小宮山国務大臣 地域での医療のいろいろな課題を解消するために、今御紹介いただいた地域医療再生基金、これによりまして、地域枠の医学生に対する修学資金の貸与ですとか、医師確保等の地域医療の充実強化のために大学医学部に寄附講座を設置するとか、そうしたことなどを各都道府県で事業に御活用いただくようにしています。

 それからまた、地域医療支援センター、今年度から十五の道府県に設置をしていただき、運営を支援していますが、ここで、キャリア形成上の不安の解消をしながら、地域枠の医師などを活用して医師不足病院の医師の確保に支援をしたいと思っておりまして、この地域医療支援センターはまた二十四年度は五カ所ふやしまして二十カ所にしたいと思っていますので、こうしたことをあわせて御活用いただけるように充実させていきたいと考えています。

伊東委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

中井委員長 これにて伊東君の質疑は終了いたしました。

 次に、あべ俊子さん。

あべ委員 おはようございます。自由民主党のあべ俊子でございます。

 まず、岡田副総理にお尋ねいたします。

 予算委員会でございますが、これは国会での正式な与野党協議の場ではないんでしょうか。

岡田国務大臣 予算委員会でさまざまなテーマについて議論をするということは、私は非常に意味のあることだというふうに思っております。ただ、協議のやり方というか、与野党で話し合うというのは、いろいろな形があっていいというふうに考えております。

 質疑という形になりますと、どうしても我々は御質問に対してお答えするということになるわけで、それもいろいろなことを深めるためには非常に有用だというふうに思いますが、それとはまた別に、お互い胸襟を開いて話し合うという場があっても私はいいというふうに思っております。

あべ委員 ほかにも場があった方がいいというお答えでございますが、これは正式な国会での私ども野党が与党案に対して意見を言う会というふうに理解してよろしいんでしょうか。安住大臣、いかがですか。

安住国務大臣 国会の質疑と協議は違います。

あべ委員 では、委員会における私どものいわゆる問題提起に関しては、さまざまなところに反映されるために委員会をやっているということの理解は、私は間違っているんでしょうか。小宮山厚生労働大臣。

小宮山国務大臣 それは、委員会の中でのいろいろな御提起とか、ここで討議をさせていただいたことが政策に反映するということは当然あると思います。

 ただ、協議というのは、両方がそれぞれの思いを言い合う中で結論を出す。委員会の中の質疑というのは、御質問いただいたことにお答えをするというので、それはいろいろな形態が必要だというふうには思います。

あべ委員 そうしますと、委員会の意味というのは、私どもが質問したことに対して政策に反映されるという位置づけは間違いではないでしょうか。岡田副総理。

岡田国務大臣 この予算委員会初め各委員会でのやりとり、その中で我々、なるほどと、そういうふうに感ずることもございます。いい御指摘をいただくこと、あるいは、厳しい、我々の思い至らなかったところについて御指摘いただくことも当然ございますので、そういう場合に、我々の政策にそれを反映させるということは、私は重要なことだと思っております。

あべ委員 岡田副総理、私ども、こういう予算委員会の中で、野党となりまして、与党提案に対しまして私どもが政策に反映していただくということは、委員会にとって私どもに重要な点でございますが、しかしながら、一月六日の税と社会保障の一体改革素案という素案にもならないぐらいあらあらだったと言われたものが二月十七日の大綱になったときに、なぜ予算委員会での意見が反映されなかったのか。岡田副総理、教えてください。

岡田国務大臣 我々としてはいろいろな、その間、予算委員会でも御指摘いただきましたが、それを踏まえて各党間で協議をお願いしてきたわけでございます。そういった協議をして、お互いきちんと合意ができれば、それは素案から大綱に至る過程でそれを反映させることは可能だったというふうに思います。

 ただ、残念ながら、そういう双方向の協議というところまでは至りませんでしたので、我々も非常に残念だったんですが、大綱を閣議決定させていただきました。

 そういう協議をぜひしていただいて、それを反映させる形で、さまざまな法案、今、順次国会に提出をさせていただきつつありますが、できれば国会に出す前にそういったものが反映できれば、ある意味ではベターだというふうに思います。

あべ委員 その素案が一月六日に出てから閣議決定二月十七日まで、予算委員会、四十九時間七分行ったわけであります。そのときに税と社会保障の話がいっぱい出てきたわけでありますが、協議ではないから、委員会で言われたことは全く無視されたということは私は理解ができません。特に、一生懸命、丁寧に与野党協議をしていただきたいと野田総理もおっしゃっている。岡田副総理も丁寧におっしゃっている。だけれども、予算委員会のこの四十九時間七分、全く無視された形で閣議決定された。これに対して、岡田副総理、もう一度コメントをお願いいたします。

岡田国務大臣 むしろ、閣議決定がなければ協議できないと言われたのは、野党の皆さんの方だったのではないでしょうか。ですから私たちは、やむなく閣議決定をしたということでございます。

 この予算委員会でいろいろな御議論をいただくことは非常に有用だと思いますが、ただそれが、例えばあべさんがいろいろ御提案されたことが、自民党としてのまとまった意見なのか、そこまで至っていないのかということも、これは問題によってははっきりしないわけで、やはり協議は各党間でそれぞれきちっとした形でやる、そういったことが必要ではないかというふうに思います。

あべ委員 私どもが委員会で質問するときに、揚げ足をとるだけではなく、ここのところがよくわからない、ここのところはもっと明確にしなければやはり国民の皆様が納得ができないんじゃないかということでも質問させていただいているわけであります。

 今回の毎日新聞の三日、四日の世論調査における社会保障の不安、これは、今の議論を聞いて皆さんが、自分たちの老後はどうなるんだろうか、また若い人たちは、自分たちの将来は本当に大丈夫なのかという不安をあおってしまったのではないかと思います。岡田副総理、これに関してはいかがお考えですか。

岡田国務大臣 この急速な少子高齢化という事態の中で、国民の多くが、社会保障制度が持続可能かどうか、将来自分の老後はきちんと保障されるのか、そういう不安を持っているということは事実でございます。だからこそ、しっかりとした社会保障・税の一体改革を進めなければならない、そういうふうに考えているところでございます。

あべ委員 おっしゃるとおり、ここのところはしっかり整理をしていかないといけない部分でございますが、何度も申し上げますが、素案から閣議決定になったら議論をすると言われたけれども、余りにもあらあら過ぎる素案を、私は、四十九時間七分を経た中で、閣議決定しなければいけないからといって、全く変更なしに何もほぼ変わらず閣議決定をするということが理解ができないわけであります。

 そうすると、皆さんが、野田総理が、また岡田副総理が、本当に丁寧に丁寧に、与野党協議をお願いしたいと頭を下げていた、しかしながら、素案から閣議決定までほぼ何もほとんど変更されていないというのは、余りにもいんぎん無礼な内閣ではないかと私は思うわけでありますが、これに関して、本当に丁寧に私どもの意見を聞いてくださるというお覚悟があるんでしょうか。教えてください。

岡田国務大臣 御意見を聞く用意はもちろんございます。ただ、それは個々の意見というよりは、やはり党で集約をしていただいて、政党間で正式にきちんと話し合いをするというプロセスは必要だというふうに思います。

あべ委員 私どももまとめさせていただきますので、ぜひ与党の皆様の御意見も取りまとめていただけたらと思うわけであります。

 特に、税と社会保障の一体改革、私は本当にこれは重要だと思っておりますが、本当に一体改革になっているのか。特に税の部分の、消費税を上げる部分、これはやらなければいけないかもしれないけれども、社会保障の部分も余りにも総花的で、花も咲かないぐらいの中身なので、将来的にもっともっと増税が必要になるんじゃないかというふうに皆さんが不安に思っているのではないかと思います。

 私は、岡田副総理、特に与党の中で社会保障に対して詳しい方が実は余りいらっしゃらぬのではないかというふうに思っている中でありますが、岡田副総理だけは、この日本の将来にとっての税と社会保障がどうあるべきかということを真剣に考えてくださっている方だと私は信じています。

 岡田副総理、今回の、閣議決定された税と社会保障の一体改革、岡田副総理にとって理想のものから何合目まで来たか、教えてください。

岡田国務大臣 まず、今の大綱に示された中身ですけれども、率直に申し上げて、これは自民党や公明党が今まで御議論いただいてきたことと私はそう大きな違いがあるというふうには思っていないわけです。ある方は、ほとんど一緒じゃないか、こういうふうに言われた方もいらっしゃいます。

 我々、やはりこれをまとめるためには、今まで自民党や公明党を中心に政府を構成されておられたときに議論されてきたこと、それをなるべく引き継ぐ形で我々の案をまとめることが結果的には賛同を得られる、得やすいということもあって今回の案がまとまっておりますので、私は、全く中身がないとか、あるいは自民党・公明党時代、与党時代に御議論いただいたことと違っているというふうには思っておりません。

あべ委員 それで、何合目か教えてください。

岡田国務大臣 これは答え方は非常に難しくて、まだまだだと言うと抜本改革じゃないと言われそうな気がしますし、ただ、やはり消費税を五%上げるという中で最大限のものは盛り込んだつもりでございます。一部、確かにまだ検討中というふうに留保してあるものがございます。こういったものも含めて与野党間でしっかりと御議論いただいて、お決めいただければというふうに思っております。

あべ委員 私は、岡田副総理が本当にやらなきゃいけないことが、社会保障に関してはまだまだ書き込めていないのではないかというふうに思うわけであります。

 内閣府で、「社会保障を通じた世代別の受益と負担」という経済社会総合研究所から出された世代間格差の報告書でございますが、これは副総理、お読みになりましたか。

岡田国務大臣 余り細かくは見ておりません。ただ、新聞などで報じられたときに、その程度の中身は承知をしております。

あべ委員 安住大臣、お読みになりましたか。

安住国務大臣 私も、この研究員の鈴木先生とはテレビで何度か話をしたりしております。全部読んだわけではありませんが、新聞の記事等を含めてガイダンスはやりました。

あべ委員 岡田副総理、岡田副総理は何年生まれでいらっしゃいますか。

岡田国務大臣 一九五三年です。ちょうど受益、その一対一ぐらいの世代かと思いますが、この鈴木さんの計算によると、プラスになる、あるいはマイナスになる、その間ぐらいかと思います。

あべ委員 安住大臣、何年生まれですか。

安住国務大臣 昭和三十七年の一月十七日です。

中井委員長 僕は言わなくてもいいですか。

あべ委員 済みません、委員長にはお尋ねいたしません。また、女性である小宮山大臣にもお尋ねいたしませんが、この報告書で、一九五五年生まれ以降は支払い超過という世代間格差が新聞報道で出されたわけであります。すなわち、安住大臣は逃げられない。さらには、五三年生まれである岡田副総理。

 私は、この世代間格差の調査は国民の不安を非常にあおったと思います。社会保障は会計学ではないわけであります。若い世代が、自分たちの将来がどうなるのか、この調査をしっかりと政策に反映させずして不安だけをあおってしまったことに対して、岡田副総理、御意見をいただきたい。

岡田国務大臣 まず、この内閣府経済社会総合研究所の鈴木先生初め研究員のグループが発表した調査でありますが、これは内閣府の正式なものではないという位置づけでございます。つまり、個人論文であるということでございます。したがって、内閣府の公式見解ではないということでございます。

 ただ、そのことは横に置いて、世代間の格差、御党の小泉議員などは、むしろ世代間格差の問題を中心にきのう質疑を展開されたわけであります。

 私は、この調査については、いろいろな前提の置き方その他ありますので、これがどのぐらい実態を反映しているかということについては疑問も持ちながら、しかし、若い世代がこの人口構成の大きな変化の中で自分たちの時代に社会保障制度が果たして十分なものが受けられるのかという不安を持っていることは、やはりそれはちゃんと受けとめて、そして、そういうことにならないようなしっかりとした対応が我々に求められているというふうに考えております。

あべ委員 では、今回の税と社会保障の一体改革閣議決定の中で全世代対応となっておりますが、小宮山厚生労働大臣、これはどこの部分がそうですか。

小宮山国務大臣 一つは、子ども・子育てのところで、昨日もいろいろ答弁させていただきましたが、就学前の子供の居場所をつくることを中心とした子ども・子育て新システム、ここに、今回消費税でお願いをしたいと言っているもののうち、今までよりはかなりの比率、多く子供に入れています。そういう意味で、ここは子育て世代、現役世代への重点的な政策だと思っています。また、非正規雇用が若い人たちが多いということで、若年者の就労支援とか全員参加型の就労ができるようにということで、就労の支援なども盛り込んでいます。

 全体として、今回の社会保障と税の一体改革は、後世へのツケ回しをなくしていくというところに四%分を使わせていただきたいと思っていますので、そういう意味では、将来にツケ回しをしないというこの姿勢をきっちりと出すことも、やはりこれからの現役世代への、今の世代間格差を是正していくというところで御理解をいただける部分ではないかというふうに考えています。

あべ委員 私は、この税と社会保障の一体改革、何が欠けているかといえば、景気回復対策と、さらには、先ほど大臣もおっしゃいました、雇用の部分をもっと強く書いていかなければいけないと思っているわけであります。

 なぜかといえば、子育てどころか結婚もできない低所得者対策、これをどうしていくのか。四月一日に入社式が行われるその時期にハローワークに行かなければいけない若者たちが、本当に将来不安を持っている。

 そういう中にあって、低所得者対策はやりましたとおっしゃっています。低所得者に一万円、さらには低年金に六千円みたいな報道がいろいろ出ているわけでありますが、低所得者とはそもそも、安住大臣、誰ですか。

安住国務大臣 所得の低い人だと思います。

あべ委員 そうしますと、皆様のお手元に配付資料がございます、所得が低いというのは一体何の所得なんでしょうか、安住大臣。

安住国務大臣 それは資産がある人というのをストックで見た場合とフローで見た場合があるという御指摘かもしれませんが、資産を全部把握するのは難しいんですね。私どもが今まで使っていたものでいえば、いわゆるフローでいう所得の多寡を私は申し上げたわけです。

あべ委員 そうしますと、ストックの部分は全く無視した形で低所得者を区切るということで、岡田副総理、これに関してはいかがですか。

岡田国務大臣 例えば生活保護などは、そういった資産についてもきちんと調査をして、所得は少ないけれども資産のある方は対象にしない、そういった形で支給されているというふうに理解をしております。

あべ委員 この所得の捕捉というのが非常に難しいと言われているのが、給付つき税額控除に反対される方々の理屈でもあるわけでありますが、しかしながら、世代間格差をここの表で見ていただきますと、現金が、すなわち当初の所得が多いのは五十代でありますが、所得が少ないけれども宅地資産が多いのが七十代、金融資産が多いのが六十代であります。ここの格差の部分に関しては、岡田副総理、どうお考えですか。

岡田国務大臣 これは統計ですから、事実を反映したものだというふうに思います。

 ただ、気をつけなければいけないのは、所得の格差よりも資産の格差の方が同じ世代の中で比べたときに大きい。つまり、高齢者の皆さんはトータルで見ればこれだけの資産を持っておられますが、ない方は全くない、持っている人は結構持っているというその格差が、つまり、世代全体でくくって見てしまうとちょっと見誤ってしまうところがあるのだろうというふうに思います。

あべ委員 そうしますと、ここのフロー、ストックの両面の所得把握の格差ということが、いわゆる給付の不平等をつなげるというふうに思うんですが、マイナンバー法案で、国税と地方税、さらには所得税と住民税、さらには固定資産まで把握できるわけでありますが、しかしながら、金融資産が把握できないということが私は一番問題だと思っています。

 安住大臣、この金融資産に対しての把握をどのようにお考えなのか、前向きに考えているのか、後ろ向きに考えているのか、教えてください。

安住国務大臣 その真ん中ぐらいであります。

 いろいろな深みにはまる議論をしないといけないんですよ。この金融資産の、では七十代の人が多く持っていることをいいとするか悪いとするかという議論もあるかもしれませんが、基本的に考えると、多分相当な努力を積んで、納税をした上で貯蓄をしているということもあるわけです。だから、単に持っているものが例えば多いから、そこから課税をもう一回するという話は、私は二重課税、三重課税になりかねないこともあると思います。ですから、国家がまた、それぞれの持っているものを全部管理するということも、多分国民的な議論もあると思います。

 他方、きのう、例えば野田先生が固定資産税と保険の関係をしました。あの議論でいうと、私は全くそうだなと思う反面、納税者の側から見たらどうかというと、東京に持っている人は東京で払うし、例えば私でいえば、石巻に持っている人は石巻で払う、個々には払っているんです。ただ、石巻市でもし見たら、東京で払っている分というものがわからないということが一つの……(あべ委員「私は金融資産の話をしているんです」と呼ぶ)だから、トータルで深みにはまると私は言っているので、今ちょっと深みに入ってみたわけです。

 だから、そういうさまざまな議論があるので、今後、とりあえずマイナンバー制度で源泉徴収を含めたフローのものをしっかりとまず把握をした上で、さまざまな対応を立てていくというのが現実的ではないかというのが、私がその真ん中だと申し上げたところなんです。

あべ委員 大臣、この議論は非常に難しいことはわかっておりますが、勝手に違う方向の深みにはまらないでいただきたいと思います。私がお話を聞いているところの部分ではまっていただけたらありがたいわけでございます。

 そうしますと、この相続税の強化と贈与税の緩和の政策ということも含めて、社会保障と税の一体改革内には入っているわけでございますが、この相続税の増税で生前贈与が本当に増加するというふうに安住大臣はお考えですか。

安住国務大臣 これは、やはりまだまだそういう点では議論をしていかないといけないと思います。

 例えば、相続についても、今回、二四改正の中でも改正はしているんです。五千万で法定相続一千万だったのを、三千万で、さらに法定相続人に対する贈与を下げております。そういう点では、いろいろ議論はあるところですが、全体の大体五%ぐらいになっているはずなんですね。

 それをさらに下げていくべきだという議論もありますから、消費税のことだけ突出しているという御指摘もありますが、私は、高齢化社会を迎えて、今の実勢に合わせて、現役の方が先生がおっしゃるように金融資産をこれだけ例えばストックをして、それを、お亡くなりになったりした場合に、国はどういうふうにこれに対して目を向ければいいのか。つまり、御子息にそのままやればいいという考え方をとっているところもあります。

 この間メキシコに行ったら、メキシコは何か……(あべ委員「メキシコの話なんかいいです」と呼ぶ)メキシコの話はいいですか。それは非課税なんですね。

 だから、そういう点では十分問題意識を私は持っております。

あべ委員 そうしますと、今言われた相続税の部分は、実は四・一%ぐらいしか支払っていないわけであります。資産移転が進まないと、ここのところの、なぜ進まないかといえば将来不安が大きいからなんですね。

 ところが、もう一つ問題は、相続税を上げただけでは、老老相続が続いているわけです。相続人の平均年齢は何歳か、岡田副総理、御存じですか。

岡田国務大臣 平均寿命が八十代ということですと、六十代ではないかと思います。

あべ委員 六十七歳というふうに言われているわけでありますが、六十七歳で相続しても、余り欲しいものがある人ばかりではないと思うんですね。そうすると、お金がもっと市場に回るということが大切だと考えたときに、高齢者に富が集中しない仕掛けをしなければ、この高齢者に富が集中していること自体が日本経済の停滞の大きな原因ではないかと思うわけです。

 安住大臣、メキシコの話以外でお願いします。

安住国務大臣 ですから、お孫さんに対する生前贈与を今回少し工夫をしたりしておるんですが、私もそういう点では、あべさん、問題意識は珍しく一緒じゃないかなと思っているんです。

 やはり、ある意味で日本の経済を活性化させるためにも、高齢者の皆さんが、戦後から大変苦労をして営々と蓄積をしてきた富、財産が、金融資産になり、また株になり、家になっていると思うんですね。その方々も、終戦、廃墟から立ち上がって頑張って自分で築いてこられているわけですから。しかし、これをさらに使っていただいたり、お孫さんの世代や若い世代に継いでもらうための工夫というものを、与野党でぜひ話し合っていいものをつくっていきたいと思っておりますので、御指導よろしくお願いします。

あべ委員 このストックとフローに関しては、やはりマイナンバーとあわせてしっかり議論をしていかなければ、相続税だけの話では、私は、この世代間格差、各世代の中でもかなり格差があるということは存じ上げておりますが、議論をもっと深めなければいけないと思っております。

 さらには、財産はあるけれども現金が少ないという方々に配っていくことが本当に支援になるのか。特に今言われている給付つき税額控除、私は、まるでウエルフェアの拡大になる、すなわち、そうではなくて、働くインセンティブとしての勤労給付だという考え方をもっと出していかなければいけない。

 税と社会保障の一体改革の中で、増税するからここは逆進性対策だといって給付つき税額控除を前面に出すのは、私は間違いであると思います。働く人ほど応援してもらえる、流した汗が報われる、アリとキリギリスが、最後キリギリスが勝ってはいけない。若い人たちの中で、夢は何ですかと聞いて、生活保護をとるのが夢だと言っている人がいるんです。ここのところを、やはり勤労給付という考え方を、給付つき税額控除ということをもっと、岡田副大臣、前面に出していただけませんか。

岡田国務大臣 いつの間にか副大臣になってしまいましたが……(あべ委員「ごめんなさい、失礼」と呼ぶ)まあ、それはいいんですが。

 消費税を導入したときに、所得の少ない方、少ない方というのはもちろん働いておられる方も含めてですが、そこにどう対応するかということで、一般的には複数税率ということも言われますが、それよりは給付つき税額控除の方がいいのではないか、それは我々の党の中で今まで長年議論してきたその結果でございます。

 そういったことについても、ぜひ各党間で議論していただければというふうに思っております。

あべ委員 やはり、自助、公助、共助、働く人が本当に自分たちが報われる。若い方々が、自分たちの将来はどうなるんだろう、働かない方が得かもしれない、そんなふうに思う社会は本当にいけない。二十代、三十代が、自分たちが頑張ればこの日本は必ずよくなるし、自分たちも頑張っていけば報われるんだ、そう思える税と社会保障の一体改革をぜひとも進めてまいりたいと思いますので、まず与党をまとめていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 きょうはありがとうございました。

中井委員長 これにてあべさんの質疑は終了いたしました。

 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 本日は、離島振興の関係について集中的に議論をさせていただきたいと思っております。

 日本に島は六千八百五十二島ありまして、そのうち人が住んでいる島は、大分減りましたけれども、後ほど詳しく議論させていただきますが、四百二十一島という状況で、日本はまさに島国であるわけでございますが、なかなかこの予算委員会で島のことは取り上げられないという状況の中で、私、公明党の離島振興対策本部長を拝命しておりますので、その立場から後ほどいろいろと議論させていただきたいと思います。

 その前に一点だけ、東日本大震災の復興関係で前田国土交通大臣にお伺いをしたいと思っております。

 私、東北の復興に関しましても、復旧復興支援チームの座長を党の中で命ぜられておりまして、特に岩手三陸沿岸部の町々に通っております。先週末も、陸前高田、大船渡、釜石、三カ所回ってまいりました。私個人としては六度目の現地入りになるわけでございます。

 そこで、前田大臣も御承知のとおり、今新たなまちづくりの計画を被災自治体の方でしております。そのまちづくりの作業過程の中で最大の懸案の一つが、鉄道の復旧をどうするかということになっております。

 特に、大臣御承知のとおり、陸前高田は、もう中心市街地が右から左まで一ミリ残らず大津波で破壊をされておりまして、全くゼロの状態からまちづくりをしなきゃいけない。そういう中で、鉄道がもとのとおり復旧されるのかどうか、あるいは津波を想定しまして少し内陸側に寄せた方がいいのか、そういうことが計画の中核的な部分を占めるわけでございますが、最近、JR東日本側から、とりあえず鉄路の、鉄道の復旧を一時的に断念をして、BRT、日本語ではバス高速輸送システムと言うそうでございますが、つまり、それを導入させてもらいたいという話があるということですね。

 これは、今まで単線の鉄道があった大船渡線とか山田線とか、あるいは宮城県ですと気仙沼線のところに、鉄道のかわりにバスレーンにして、バスで輸送をするという案のようでございます。ただ、これは率直に、私、先週末、陸前高田の戸羽太市長と直接お話をしてきましたけれども、地元では懸念が示されております。

 前田大臣はこのJR東日本のBRT計画の容認を示唆する御発言をされているということなんですが、東北は雪国でございますから、雪国で鉄道のかわりにバスを走らせるという計画は、当然デメリットやリスクも伴うはずでございます。ただ、一連の報道を見ても、余りそういう負の側面については説明がなされていないんですね。バスになった方が輸送量がふえますよとか、鉄道よりも運行本数をふやすことが容易ですよとか、そういうメリットが非常に強調されているわけでございます。

 そこで、この国会の場で、どういう経緯とそれから説明があって、JR東日本が鉄路の復旧のかわりにバス、BRTを導入したいということになっているのか、大臣の方から御説明いただきたいと思います。

前田国務大臣 お答え申します。

 遠山先生が現地の復興について党の中でも積極的に御指導をされているということは承知しております。

 事実関係だけちょっと申し上げますと、記者会見でたまたま、JRのこういうBRTというのがあって進めているようだが、どう考えるかという問いかけがあったから、もう何ら資料もなしに私の考えを申し上げただけであります。

 どういうことを申し上げたかというと、今御指摘の陸前高田なんかは特にそうですが、まちづくりそのものを全く新しくやり直さなければというようなところですから、そのまちづくりと鉄道、公共交通をどういうふうに一体化してやっていくかという計画が整わないと、JRの復旧ということも、これは現実には着手できません。時間がかかるというところがあって、現実に、また復旧と並行して公共交通というのを確保していかなければならない。特に宮城県側の気仙沼の方でしょうか、気仙沼線なんかについてはかなりそういうお話が出ているということを例に引いて問われたものでございますから、それはそれで現実的な案として、直ちに公共交通の足を確保する手段としては有効ではないか、このように申し上げた経緯がございます。

遠山委員 ちょっと前田大臣、若干私と認識が違うんですね。というのは、今大臣は、例えば陸前高田を例にとれば、陸前高田の新たなまちづくりの計画が立たないとJRの復旧はできないとおっしゃったように聞こえましたが、順序は実は逆なんです。

 私、もう率直に申し上げます。今、まだ公表されていない、陸前高田市の中で検討されているまちづくりの案を地図で見せていただきましたけれども、要するに、鉄路が復旧するのかしないのか、それがバスになるかどうかで、駅をどこに置くのか、あるいは、国道四十五号線というのは沿岸部をずっと走っているんですけれども、当然今までは海岸すれすれのところにあったものを中に移そうということで、国土交通省でいうと道路局と話しているんです。ところが、道路を中に持ってくるときに、鉄道がどうなるのか、そもそも、鉄路になるのかバスになるのかでまちづくり計画は全部変わってしまうので、実は、JRがどうするか決まらないとまちづくり計画はできないんです。だから、そこは順序が逆なんです。

 それで、大臣、さらにもう一つ付言しますよ。私は、先週の土曜日に釜石の復興庁の支所へ参りまして、そこの支所長と一時間、意見交換してまいりました。今、復興交付金の事業ということを復興庁が各自治体から申請を受けて、それを査定して、これは認める認めないという作業をしているんですが、復興庁から見れば、新たなまちづくりの計画をきちんと立てた被災自治体の交付金事業については認定しやすいと私にはっきり言っているんです。

 ということは、何が言いたいかというと、鉄路の復旧をどうするかということが決まらなければ、まちづくり計画の全体像が出ない。まちづくり計画の全体像が出なければ、それに付随をした復興交付金事業も認定されない。よって、復興プロセス全体がおくれるという話になるんですね。

 よって、これは大臣にもう一回御答弁いただきたいんですが、まず、戸羽陸前高田市長本人から、私、電話でも再度確認しましたが、三陸沿岸の市長さんたちは原則として鉄路の復旧を求めています。鉄路の復旧を求めているんですが、ただ、鉄道が全部復旧するまでの間、公共交通システムが何もないという状況がいかぬと。そこで、仮復旧としてバスをJRとして運行させるという計画があって、そのメリットはこうですよという詳細な、丁寧な説明があれば、それを市議会や市民に問いかける用意はあるという立場なんです。

 そういう立場を理解していただいた上で、丁寧な、つまり、JR東日本の一社の都合でバスの方がコストが安いとか復旧が早いとか、ところが地元の人たちから見れば、一旦バス専用レーンをつくってしまったら、もう二度と鉄道が三陸に来ないんじゃないか、こういう懸念をどうしても持ってしまうわけですから、その場合は、きちんと市民の皆さんにわかるように、いやいや、最終的に必ず鉄道にします、しかし、それまでの間、こういうスキームでバスにしますというようなことを言っていただかないと、この問題というのは解決しないと思いますけれども、大臣としてちょっと努力していただけますか。

前田国務大臣 先ほどはちょっと記者会見の話をしたんですが、鉄路の復旧については、基本的には委員のおっしゃるとおりだと思います。

 私が申し上げたのは、気仙沼線のことなんでしょうか、そういうお話が出ていたということについてのお話をしたわけで、今御指摘のような、大船渡、山田線、岩手県側、こちらの方は、陸前高田を含めて非常に大きな被害を受けたところで、今、広域的にまちづくりをやろうと非常に意欲的に取り組んでいただいているということも聞いておりまして、当然のことながら、最終的には委員の言われたような方向になるのが望ましい、こう思っております。

 そのためには、協議会を関係機関の中で設けて協議をするという方向に行くのだろうと思うんですけれども、今のところはまだJRの内部で何か検討しているというぐらいのところだと聞いておりまして、当然、おっしゃるように、きちっとまちづくりの計画に合わせて、鉄路をどういうふうに位置づけるかということも含めて協議をやっていただく。

 ただ、その間、全く公共交通機関がないということでは、これは非常に困るし、問題がありますので、ここは便法があれば大いに、それを採用されるのも一つの選択だ、こう思っておりまして、そういうところも含めて、御指摘のように、もちろん、現地には復興庁のみならずUR等のまちづくりの専門家等もどんどん入ることになっております。あるいはアウトソーシングもする。そういう中で、いい計画を練っていただくということを期待しております。

遠山委員 大臣、こればかりやると離島に行かないので御答弁はもう結構ですけれども、二点だけ要望を申し上げたいと思っております。

 一点は、JR東日本に対して、この復旧復興に対して政府がなかなか財政支援をしないという問題について、きちんと国土交通省の中で検討していただきたいというのが一点です。

 もう一点は、きょうのこの議論を踏まえて、JR東日本側に、地元の自治体に説明する際に、例えば、仮復旧としてバスを使う、よって、それに要する土地はこういう状況であり、大体何年間ぐらいを想定してバスを運行しますと。その後、そのバスレーンの、私は専門家じゃありませんから、これはあくまでも仮ですよ、例えば、そのバスレーンをつくった上に鉄道を復旧します、それはいつごろをめどに結論を出してこうしますということを、被災自治体が新たなまちづくりができるように整合性をとった説明をJRから被災自治体にちゃんとできるように、大臣からもきちんと指導していただきたい。これは要望としてお伝えをしたいと思います。

 では、もし何かあればどうぞ。

前田国務大臣 委員の御指摘を踏まえて、指導というか、JRにもちゃんと申します。

遠山委員 ありがとうございます。

 そして、前田大臣、重ねての質問になりますが、離島のお話に移りたいと思っております。

 冒頭申し上げましたとおり、日本の島六千八百五十二のうち、人が住んでいる有人離島は現在四百二十一。これは実は、終戦直後には約八百の島に人が住んでいたと言われておりますので、半減をしているわけでございます。

 私、国会に参りましてから約十年、十年間かけて七十一の有人離島を回ってまいりました。七十一の離島を回りまして率直に思っていることは、超高齢化、少子化、過疎化、人口減少、限界集落だらけというのが島の実情でございまして、今、私の後ろに座っております打越議員と一緒に来年度末に期限が切れる離島振興法の改正に向けて与野党の協議をさせていただいております。私も参加をさせていただいております。

 この与野党の議論の中で出てきていることを二つ、まず伺いたいんですね。

 それは、一つは、四百二十一まで減ってしまった有人離島が、このまま放置するとさらに五十、百と減っていくのではないかという懸念を、島を回っている我々はよくわかっているつもりでございます。その観点から、まず一つは、今までの離島振興法は島を持っている都道府県に島の振興を任せるというのが考え方なんです。しかし、日本は島国で、島国ということは、日本の国境は全部島であるということですね。ですから、国境を守るというのは、これは国の仕事であって、極めて当たり前の話ですけれども、その島の振興を、地方分権とかいろいろあるかもしれませんが、都道府県にお任せしますよというのは実はおかしいんです。これは我々が政権にいたときに直さなかったことも含めて、おかしいんですよ。

 だから、今回の改正では、離島振興については、地方分権が進もうが、国の責務でやるということを理念として明記すべきであるというふうなことを主張させていただいておりますが、離島振興所管の大臣として、どのような御見解でしょうか。

前田国務大臣 委員が公明党の本部長として積極的に取り組んでいただいていることに敬意を表します。

 その上で、御指摘のとおり、離島振興法は期限切れが迫っておりますので、今国会においてぜひ延長の成立をさせていただきたいと私も海洋担当大臣としてお願いをする次第です。

 もちろん、議員が申されたように、日本は海洋立国でございますから、その海洋立国というのは、まさしく離島によって領海というものが確保されていると言って過言じゃないわけでございます。そういった意味で、高齢化、どんどん人口が減っていく離島の生活の確保、振興というものは非常に重要な国の責務でもあると思います。

 そんな意味で、法改正について、御党、公明党を初め非常に積極的に今進めていただいている。その中で、今御指摘のような国の責務というものも大いに議論をしていただいて、反映をしていただけるとありがたいな、こう思っております。

遠山委員 大臣、続けて、私たちが基本理念に盛り込みたいもう一つの概念は、離島定住の促進でございます。

 お手元の資料、私がお配りした資料の一枚目を見ていただきたいんですが、これは最近、長崎県の壱岐、離島ですね、壱岐の漁協の方からいただいた貴重な資料でございまして、これは簡潔に申し上げると、漁連に所属している漁船が北朝鮮船籍の不審船を発見して、それを海上保安庁に連絡して、海上保安庁の巡視艇が来るまでずっと監視を続けた記録なんです。

 我々国会議員はよく、島は国境保全のために大事だよねという抽象的な議論をしますけれども、まさにこの資料がその証拠なんですよ。海上保安庁の船やあるいは海上自衛隊の船だけでは、四百四十七万平方キロメートルもある日本の海域は全部監視なんかできないんです。

 実は、島を回ったことのない国会議員は知らないんですけれども、こうやって日常的に、ここを見てください、「状況」というところの一番上、監視出港といって、ここに書かれている船は漁に行くのではなくて、自分たちの周りの海域を監視するために十九時に出港しているんですね。そして、二十一時十二分に不審船を見つけて、探照灯を当てて、全く反応がないからこれは不審船だということで、海上保安庁に二十一時十六分に連絡をして、そして、巡視艇が現場に着くまで一時間半、そこでずっと追尾を続けるということをボランティアでやっているわけでございます。

 すなわち、島に人が住んでいる。そして、島ですから漁業が基幹産業です。その漁業の基幹産業があって、そして漁船がいるからこういうことが生まれるわけでありまして、きょうはTPPの議論はいたしませんけれども、離島がどんどん住みにくくなって、人がどんどん本土にみんな移り住んで無人島がふえたら、こういうことはできませんよ。

 ですから、離島定住、離島に人が住みやすい環境を促進するということも今度の離島振興法には書いて、今政権を担当している民主党としてもそういった観点での支援策をぜひ強化していただきたいと思いますが、一言御答弁いただきたいと思います。

前田国務大臣 私も海大好き人間でして、しょっちゅう行っていまして、多少年寄りの冷や水ですけれども、まだ潜ったりもしております。

 海上保安庁が今まさしく領海の安全を確保するべく精励しているわけですが、その下支えといいますか、その支えをやっていただいているのが、今御指摘の各漁業組合でございます。

 私も、時間を見つけては、現地を激励、あるいはそういう状況を視察に行っておりまして、石垣にも参りました、鹿児島の管区にも行きました。あるいは境港であったり博多であったり、そういう訪問をするたびに、漁業組合と協定を結んで、連絡をしっかりといただいて、それで対応しているという、一種の、海の男と言ってはいけませんが、海にかかわる人たちのネットワークがしっかりと日本の場合には離島を中心にできているというのが、これはなかなか世界にはないすばらしい財産だな、こう思っておりまして、離島の振興というものを具体的にハード、ソフト両面から、この法改正を通じてぜひいいものにしていきたい。ぜひ、御党を初めとして、各党の議論を深めていただくことを期待いたします。

遠山委員 大臣、大変いい御答弁をありがとうございます。ただ、言葉だけじゃなくて、やはり財政支援というか、お金もないと離島振興ができないものですから、その話は時間があれば後ほどさせていただきたいと思います。

 次に、小宮山厚生労働大臣、平野文科大臣に来ていただいておりまして、私ども公明党として提案をさせていただいているんですが、離島振興に対する政府の体制を強化しなきゃいけないんじゃないか、こう思っております。

 より具体的に申し上げますと、現行の離島振興法では、離島振興の所管大臣は三大臣になっております。農水大臣、それから前田大臣がやっておる国土交通大臣、そして総務大臣、三大臣だけなんですね。ところが、今離島を回りますと、先ほども申し上げましたけれども、もう大変な超高齢化と人口減少。

 資料の二枚目を見ていただきたいんですが、これは、私が先週行ってまいりました三重県鳥羽市の四つの離島の人口動態と高齢化率が書いてある表でございます。

 三重県鳥羽市には四つ島がございます。坂手島、神島、菅島、答志島という四つの島で、私、この四つの島を二日間かけて、先週回ってまいりました。

 ちょっとこの表はわかりにくいんですけれども、資料二枚目の一番右側の二段目を見ていただきますと、離島地区の人口が、平成三年、二十年前に何人だったかというのが書かれております。六千百二十七人でございます。それが、二十年たちまして、一番左側を見ていただきますと、離島四島合わせて四千二百三人ということですから、二千人、三分の一の人口が減じているということになっております。さらに、高齢化率を見ていただきたいんですが、太枠で囲んでおります。一番下の坂手島の坂手町の五三・五%を筆頭に、軒並み四〇%、三〇%台、こういうことになっているわけでございます。

 そうしますと、人口減少、少子高齢化ですから、島の方々と懇談しますと、それも、私が懇談している相手というのは、大体元気そうに見えるけれども、おばあちゃん幾つと言ったら八十七とか、集会を島でやっても、一番若い人と言って、はいと手を挙げて五十八とか、そういう状況が今の離島の現実でございます。ですから、御意見を言ってくださいと言うと、ほとんど話題が、医療、介護、それから子供が少なくなっても学校を潰さないでくれという教育。あるいは、島に高校がないから出ていく。高校生一人を三年間、島から出ていって支えると、三年間で四百五十万ぐらい仕送りしないとだめだ。もともと平均年収が二百万ないところで、どうやって高校生を一人、三年間、島の外で卒業させるかというのは、これは至難のわざなんですね。

 そこで、私どもとしては、小宮山さんの厚生労働省と平野大臣の文科省と、ぜひもっと強い形で離島振興に責任を持っていただきたい。できれば、本当は所管大臣になっていただきたいとまで思っているんですが、両大臣の御見解を伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 私も先日、長崎の方で、離島の医療の話をたくさん聞かせていただいてまいりました。

 おっしゃるように、少子高齢化が進んでいる離島の中では、介護、医療、そしてまた子供を育てるための支援というのは非常に必要だと思っていますので、今も、拠点病院の運営とか巡回診療とか、あと保育所の運営とかを厚生労働省でも支援していますので、そういう意味では、関係省庁としっかりと連携をとってやっていきたいと思っています。

 ただ、所管大臣ということについては、今お話のあった議員立法でまた御検討もいただいていると思いますので、そういう御議論をいただければというふうに思います。

平野(博)国務大臣 今、小宮山大臣がお答えした考え方と同じでございますが、私も、安全保障委員長のときに離島をずっと回ってきました。特に、今、壱岐の話がありましたが、対馬の方に行きましたが、人口がその当時からいうと半分に、七万人ぐらいから三万何人になっているということですから、議員御指摘の点について同じ認識でおります。

 そういう中で、文科省としては、教育とか文化の振興、特に離島の地域課題については、所管であるかないかは別にして、しっかりこれをやっていかなきゃならない、こういう認識でございます。

 所管についてどうだということであれば、これは今各党間の協議ということでもございますし、議員立法も、出されて五十年になるんですかね。二十八年からの議員立法ですが、五回ぐらい改正しておられるわけですから、その積み上げられた議論のもとに、やはり文科省が所管として入れ、こういうことであればうれしい限りだと思っております。

遠山委員 平野大臣、所管大臣をやりたいと解釈できる大変前向きな御答弁をありがとうございます。先ほど来申し上げておりますとおり、島というのは、やはり人が住まなくなったらどんどんその価値が下がってまいりますし、正直言って、先ほどの話じゃないですけれども、国益も損じてしまうという深刻な問題になっておりますので、ぜひとも、これはもう政府を挙げて取り組んでいただきたい、このように思っております。

 それで、小宮山大臣、お時間が余りないと思いますので、出ていかれる前に、最後、一問お聞きをしたいと思っております。

 私、二年前の十一月十日の予算委員会で、当時少子化担当大臣でありました岡崎トミ子さんに、産婦人科医が不在の離島に住所を置きながら妊娠して出産をされる女性が、実は、正確なデータはないんですけれども、離島地域で生まれている赤ちゃんの数というのは年間五千人はいるんです。そのうち、私どもの推測では、千人以上の赤ちゃんが、産婦人科医が存在していない島に住所を置いている女性から生まれているということなんです。

 端的に申し上げますと、きょうのお配りした資料の三枚目につけさせていただきましたが、これは離島振興法の対象地域ではなくて、奄美振興特措法の対象地域であります喜界島の取り組みでございます。

 喜界島には産科がないんですね。隣の奄美大島へ行かなきゃいけないという状況の中でどういう支援をしているかといいますと、喜界町として、一回の妊娠期間中につき十四回まで奄美大島に行く往復の航空運賃を補助しております。それからさらに、「出産旅費及び宿泊費」という項目を見ていただきますと書いてありますが、出産予定日または出産日の前二十一泊、一泊当たり上限を三千円として二十一泊分まで支援をする。こういう形で、産科がない、産科医がいない島でも赤ちゃんを喜んで産んでいただけるように、島の外に行くときの旅費とか宿泊費を支援しているわけです。

 私どもが申し上げたいことは、こういう喜界島がやっている取り組みを全国展開して、その費用負担をできれば全額国費で、私個人の計算では恐らく五億円かかりません、千人ぐらいの赤ちゃんで妊婦さんですから。ですから、出産一時金でありますとか妊婦健診無料化とか、いろいろな支援を今までやってきましたけれども、それは全国の支援であって、そのままとっておいて、それに加えて、島から外に出て出産しなきゃいけない方々、妊婦健診を受けなきゃいけない方々に対する財政支援というものを厚労省として真剣に考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 妊婦さんが必要な健診を受けられるこの制度は、御党が大変創設に御努力されて今全国で展開をしていますが、今の妊婦健康診査支援基金、これは交通費とか宿泊費は含んでいないわけですね。それで、今自治体のお取り組みをおっしゃっていただき、また岡崎大臣が答弁をされたのを私も承知しています。

 ただ、これがほかの僻地との公平性とかいうことで、正直言ってなかなか検討が今進んでいないというのが現状でございます。ですから、今御検討いただいている議員立法の中で、例えば妊産婦の通院とか滞在費に対する支援ということを新たにもし盛り込んでいただくということであれば、これは、後ろに財務大臣もおられますけれども、関係省庁としっかりと検討させていただきたいと思います。

遠山委員 今までで一番すばらしい答弁をいただいたと思っております。

 議員立法のことは、私自身も含めて与野党で協議していますので、しっかり手当てをしたいと思いますが、大臣、配らせていただいた資料の四枚目が、現時点で離島振興対策実施市町村の中で独自に妊産婦さんを支援している市町村のリスト。二十五自治体ありまして、これは厚生労働省さんに調べていただいて持ってきていただきました。

 これを見ていただくとわかることは、確かに、一部で、政府の中で、いや、もう既にやっている自治体があるんだから国費でやらなくてもいいじゃないかという御意見はわかるんですけれども、格差がすごいんですよ。例えば東京都の神津島村を見てください。ここは、出産支援金として交通助成一回当たり五万円を五回までですから、満額でもらうと一人当たり二十五万円かけているわけでございます。しかし、その他のところを見ていただきますと、二十五万円もかけている自治体というのは残念ながらそれほどない。つまり、離島を抱える自治体も、財政的余裕は全くないところがほとんどでございますので、非常に苦しいんですね。

 私は、小宮山大臣が本当に子育て支援を頑張っておられるという立場を理解しておりますので、やはり産婦人科が島にないという極めて厳しい環境の中でもお子さんを産んでくださる妊婦さんについては、確かに、中山間部とか他の僻地もありますよ、そういうところとの比較とかバランスというのは、特に与党で大臣をされていると配慮せざるを得ない面だと思います。しかし、島というのは、台風が来たら船が出ないとか、条件不利の度合いがちょっと違うと思うんですね、とにかく車で病院へ行けないわけですから。ドクターヘリを普及すれば多少カバーできますけれども。

 ただ、いずれにしても、私が申し上げたいのは、先ほど申し上げましたとおり、恐らく、一年間に離島で生まれる赤ちゃんのお母さん全員を、旅費とか交通費の面倒を見ても五億円以内の予算措置で済む話ですから、できると思うんですね、私は。ですから、今前向きな御答弁をいただきましたので、我々の与野党の協議と、そしてその後の政府の執行の中でぜひ実現をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 では、厚生労働大臣、御退室いただいて結構でございます。

 次に、平野文科大臣にお伺いをしたいんですけれども、今、産科医のいない離島の話をしましたが、高校が設置されていない離島も多数ございます。

 先ほど申し上げましたとおり、そういう島の子供たちは、中学校を出ると十五の別れが今もあって、船だけじゃなくて飛行機で行く子供さんもいますけれども、両親や友人と別れて高校に進学をするわけでございます。その高校未設置の離島から進学する高校生をぜひ支援してもらいたいということを、公明党は二年以上前から我が党の離島振興ビジョンという政策集で提案をしてまいったんです。また、参議院におきましても我が党の秋野公造参議院議員が、昨年、この問題を積極的に取り上げました。文科省に提案もいたしました。

 その結果、来年度の予算案の中に、高校未設置の離島から島外に進学する高校生へ財政支援をするという事業ができたと伺っておりますけれども、この中身の概略を簡単に御説明いただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 委員御指摘の点につきましてはまさにおっしゃるとおりでございまして、私どもが調べますと、高校未設置の島におられる高校生は大体二千四百人ぐらいだというふうに承知いたしております。

 したがいまして、公明党の方からビジョン二〇一一というところで強く御要望をされておられる、こういうことを踏まえながら、特に島の外の高校へ進学するという意味では通学費、居住費の負担が非常に重い、こういうことで、この二十四年の予算案に新たに離島高校生修学費ということで一・八億円を予算計上させていただきました。

 具体的には、自治体が行う修学支援事業に対しまして二分の一を補助する、こういうことでございまして、年額十五万円の修学支援費の補助、こういうふうに考えているところでございます。

遠山委員 ありがとうございます。

 平野大臣、続けてお伺いしますが、この措置は年額十五万円で二分の一補助ということなんですけれども、法的根拠を持った恒久措置なのか、それとも、とりあえず来年度だけの支援措置なのか、その点お答えをいただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 お答えいたします。

 今回起こしました事業につきましては、へき地児童生徒援助費等の補助金に、公明党の先生からいろいろ言われ、大きく要望されたということで、一つのメニューを加えて追加したものでございます。したがって、法令があるというよりも、予算の補助として対応している、こういうことでございます。

遠山委員 大臣、そうすると、これは法的根拠はないけれども予算措置として補助メニューに加えてやるということで理解をいたします。その点については、まさに私ども与野党で話している議員立法の中で、できれば離島振興法の中に法的根拠をつくりたい、こう思っておりますので、つくられた後は法的根拠を持った支援措置としてやっていただければと思います。

 この件で最後に一点、大臣、年間十五万とおっしゃったんですが、そうしますと、大体一カ月当たり一万二千五百円の支援になります。高校生を島の外に送り出している親御さんは、大体みんな言うのは、月に八万円から十万円かかるというお話なんですね。全く今までゼロだったことを考えれば一万二千五百円でもありがたいんですけれども、できれば月当たり二万円ぐらいまで増額をしてもらいたいという声が、これも島に住んでいる住民の方からあるんですけれども、これは増額はできないんでしょうか。

平野(博)国務大臣 今、現実には、とりあえずワンステップとして年額十五万ということで補助をしていく、こういうことでございます。

 しかし、先ほど先生おっしゃられたように、いろいろな意味でこの離島の問題というのは大変大事なことである。法定化は、議員立法の中で組み込んでいただければ、さらに私どもとしては強くそのことを考えていきたい。いけると思いますし、加えて、やはり各自治体の御要望を踏まえて、今後適切に私は対応したいと思います。後ろに財務大臣がおりますから、財務大臣と十分相談をして考えていきたいと思っております。

遠山委員 安住財務大臣、ぜひよろしくお願いいたします。

 それで、時間が大分なくなってまいりましたので、最後の質問になるかと思いますが、前田大臣にお伺いをしたいと思います。

 お配りした資料の一番最後を見ていただきたいと思います。これは公明新聞の昨年十月三十一日付の一つの紙面でございます。地域再生に頑張っている市町村を特集するコーナーでございますが、取り上げられているのが島根県の海士町という離島自治体でございます。

 この島は、私はまだ行っておりません。公明党の離島振興対策本部の事務局長の山本博司参議院議員が昨年現地に参りまして、現地の実情を見て、私も報告を受けたという形になっておりますが、驚いたことに、島根県の一つの離島で、高齢化、人口減少に悩んでいた島に、どんどん若い人がIターンでこの五年間住み出して、人口の約一割をIターンで占めるようになっている。

 それから、記事の左側、大臣、お忙しいでしょうから後で簡単にぱっと見ていただければいいんですが、隠岐島前高校という高校があるわけですね。この島は、ほかの離島と同じなんですが、一九九七年には生徒の数が七十七人いた離島の高校なんですが、十年間で、二〇〇八年までに生徒の数が二十八人まで激減をして、そうなりますと、島の子供たちの人口がどんどん減ってくれば、もう廃校か、こういう危機になったわけです。

 ところが、記事に詳細書いてありますけれども、町長さんを初め、また民間の方も初め、この高校の魅力を再構築するということに取り組みまして、まずは、島の高校だけれども国公立大学に進学ができますということで、いい先生を集めて特別進学コースもつくって、自然豊かな島の高校から、ある意味、東京や大阪、都会のいい大学に入れます、こういうことにした。

 それから、島根県知事も協力して、ユニークな取り組みなんですが、島留学制度ということを独自にやりまして、地元の自治体が寮費とか食費を補助する、その財源を、町の職員の給与を削減してそれに充てるということで、島留学制度というのをつくったんです。そうしたら、東京都とか大阪府の子供たちが、この島の高校に行きたいと。自然豊かな島で高校生活を送りながら、また大学は自分たちの地元に戻ってくる。どうせ同じ高校に行くならばということで、島留学生がふえました。それで、大臣、こうなんですよ。七十七人いた学生が十年で二十八人になって、来年度、また八十人に戻ったんですね。それでクラスを二つにする。こういうことをやっております。

 ぜひ、こういう離島の成功事例をほかの島でも共有化させるようなことを促進する事業を国交省としてもやっていただきたいんですが、最後に御答弁いただきたいと思います。

前田国務大臣 委員御紹介の海士町、隠岐の島の例というのは、本当に勇気の出る、力強い、すばらしい、むしろソフトの事業といいますか、こういったことをやらにゃいかぬと思います。

 国土交通省としても、離島体験滞在交流促進事業というものと、それから、離島の場合には確かに流通費が高くつくものですから、離島流通効率化事業というのをつくっておりまして、前者については約二億円、後者については約五億円ということで、今言われたようなことを間接的にでも応援できるような、そういうソフト事業も進めたいと思いますし、さらに言えば、地域戦略交付金というのがあります。これもむしろ来年度ふやしておりますので、ぜひこういったものも活用をしていただきたい、こう思います。

遠山委員 日本の源流は島であると私は思っておりますので、ぜひ、きょうの議論も踏まえて、さらに離島に対して格段のお取り組みをお願いいたしまして、私の質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて遠山君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、宇宙関係予算について、そこからまず伺っていきたいと思います。

 最初に古川担当大臣に伺いますが、宇宙開発戦略本部でまとめた宇宙関係予算案は幾らか、そのうち防衛省分は幾らかということをまず伺います。

古川国務大臣 お答えいたします。

 内閣官房が集計いたしました宇宙関係予算は、平成二十四年度予算政府原案におきまして、復興復旧対策経費を含め、二千九百八十億円であります。そのうち、防衛省予算は二百八十八億円でございます。

吉井委員 田中防衛大臣に次に伺っておきますが、二〇一二年度の防衛省の宇宙関連予算は幾らですか。

田中国務大臣 今、古川大臣からお話がありましたけれども、防衛省の宇宙関連予算は、平成二十四年度予算案において、歳出ベースで約二百八十八億円となっております。(吉井委員「契約ベース」と呼ぶ)契約ベースは千九百八億円が計上されております。

吉井委員 配付いたしました資料をごらんいただきたいんですが、米印の一に注釈を書いておきましたけれども、内閣府から環境省までの民生利用の合計金額は二千五十一億二千百万円です。米印の二に示しておきましたように、防衛省予算は千九百七億七千五百万円、これに情報収集衛星、いわゆるスパイ衛星と言われているもの六百三十億二百万円を加えることになりますから、宇宙の軍事利用にかかわる予算は二千五百三十七億七千七百万円、このトータルが宇宙関係の予算の本当の姿です。つまり、宇宙関連予算に占める軍事利用の予算が五五・三%。ですから、二〇〇八年度の三六・七%に比べて、金額ベースで見れば二・一倍にふえていると思うんですが、間違いありませんね。

田中国務大臣 間違いございません。

吉井委員 宇宙航空産業界、ここは宇宙予算が減った、減ったとよく騒いでおりますが、事実は逆で、宇宙基本法以降二倍に増額した。まさにこの点では、宇宙基本法の狙いどおりになっていると思うんです。

 そこで次に、本来の宇宙科学の発展と宇宙の民生利用による国民生活への貢献、この点について伺っておきたいんですが、「はやぶさ」に続く「はやぶさ2」のような宇宙物理への貢献とともに、三・一一のときのような津波によって、人工衛星の観測画像を活用することで、波源がどこなのか、複数の波源から発生した津波の移動や複数の津波の重なりによって、どこに、どの規模の津波が発生したかなど、多くの重要な情報が得られます。それは、津波地震学の発展や防災対策にとって非常に大きな役割を果たせることになります。

 古川大臣に伺っておきたいんですが、そういう本来の宇宙科学の発展に貢献する、こういう考え、こういう立場に立つべきじゃありませんか。

古川国務大臣 委員が御指摘ございましたが、宇宙基本法は議員立法によって成立したものでございますけれども、その基本法に従った宇宙の開発利用に現在努めておるところでございます。

吉井委員 実は、アメリカのNASAの海面観測衛星ジェイソン1を使って、東日本大震災で発生した津波の複数の波頭が太平洋上で重なり合って大きな津波になる観測結果を示した、こういう報告なんかが出ているわけですね。

 ですから、本来のあり方としては、やはりそういう防災のために、また宇宙物理の発展のために、民生利用にもっともっと力を入れなきゃいけないと思うんですが、ところが、残念ながら、大規模災害対策と安全保障を目的としているんですが、安保の立場から、情報収集衛星の画像というのは秘密扱いですね。衛星秘密は、機密、極秘、マル秘に分類されて、防災や地震津波学の発展に実は貢献していないんです。

 そこで、官房長官に伺っておきたいんですが、情報収集衛星の画像を提出させるということが私は必要だと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

藤村国務大臣 御質問の情報収集衛星の画像公開につきましては、画像を詳細に分析されることとなり、情報収集衛星の性能やあるいは運用実態が明らかとなり、今後の安全保障上の情報収集活動に支障を来すおそれがあることから、一般に公開、提供することは困難であります。

 いずれにいたしましても、情報収集衛星は、大規模災害への対応もその目的としております。発災後は速やかに、情報収集衛星による撮像を行い、必要な判読、分析を行った上で、その結果を官邸初め関係省庁に提供し、活用しているところではございます。

吉井委員 私、ちょっとおかしいと思うんですよね。防災目的と一つ掲げているわけでしょう。実は、解像度の点でも余り変わらないようなアメリカの商用画像を買って、約三千万円出して、それでもって判断する。一体何のための情報収集衛星かということになってくると思うんです。

 そういう点で、やはり本来の防災とか宇宙物理に役割を果たす、そういう宇宙研究開発へと進むべきである、このことを申し上げておきたいと思うんです。

 次に、田中防衛大臣に伺っておきますが、アメリカのもとで、アフガニスタンで戦争が行われてきましたが、そのアメリカが今度アフガニスタン空軍に提供を予定している輸送機C27について、プロペラを二十台、ブレードを六十本、日本側から米軍に提供したと思うんですが、防衛大臣、これは間違いありませんね。

田中国務大臣 昨年、米国に提供したプロペラ・ブレードについて、事前に経済産業省に確認したところ、武器専用の設計が見られないこと、民間での使用実績があること等から総合的に判断いたしまして、提供をいたしておるということでございます。

吉井委員 これまでは、日米間でのミサイル防衛その他での共同研究というところに一つ国会決議が風穴をあけた例はあるんですが、武器輸出三原則に関する輸出貿易管理令別表第一、第一条、第四条関係の貨物の九というところの「軍用航空機若しくはその附属品又はこれらの部分品」に相当すると思うんですが、枝野大臣の方は、これがあるのにこの輸出を認めたわけですね。

枝野国務大臣 この場合の軍用、つまり武器ということの意味は、当該物の形状、属性などから客観的に武器専用品と判断できるものを武器に該当するものとしてきております。逆に、民需実績があるなど軍民両用のいわゆる汎用品については武器に該当しないという運用をしてきているところでございます。

 御指摘のプロペラ・ブレードは、材料や強度などの点で軍専用の設計ではない、実際にカナダにおいて民間機に使用されており、民需実績があることから、総合的に判断した結果、武器輸出三原則等の上の武器には該当しないと判断したものでございます。

吉井委員 そういうことを言い出すと、米軍がアフガン空軍に送った輸送機なんですよ。その部品を汎用品だなどと言い出してどんどんどんどん日本から輸出していく。これはもう明白に、武器輸出三原則に、これまでの輸出貿易管理令で示してきたものにも反するということをきちんと押さえておかなきゃいけないと思うんです。

 田中大臣に伺いますが、情報収集衛星に見られる徹底した秘密主義と、それから武器輸出三原則の今のようなねじ曲げ解釈や運用こそが、私は、今回の三菱電機などの水増し請求不正事件を生み出した最大の元凶だと思うんです。

 ところで、政府は、昨年十二月二十日の安全保障会議で、F4にかわる航空自衛隊の次期主力戦闘機としてロッキード・マーチンのF35を決定し、閣議了解しました。二〇一一年四月二十一日のアメリカ議会局資料によると、アメリカ国内での生産機数二千四百四十三機、海外販売を二千機から三千機と推測されておりました。それが、共同開発から撤退する国が出たり各国の購入辞退が相次いでいるというのが現状だと思うんですが、生産数が減っていくだろうという予定も出されております。

 現在の各国の予定機数は幾らなのか。もともとの生産予定機数は幾らなのか。これは、二〇一二年、ことしの二月十六日のアメリカ議会局の資料の方でも、イタリアにしても百三十五機の予定を九十機に減らすとか、ノルウェー、オランダ等が先送りするとか、デンマークは共同開発から撤退するとか、いろいろアメリカ自身が実態をつかんでおります。

 田中大臣に伺っておきたいのは、各国の予定機数が幾らかとか、もともとの予定機数は幾らなのかとか、こういったことについて防衛大臣としてどのように掌握しておられるかを伺っておきます。

田中国務大臣 世界におけるF35の調達予定機数等についての御質問だと思います。

 米国のF35の総調達予定機数は、二〇一三年度米国予算教書によれば、約二千四百機でございます。また、我が国は、今般、次期戦闘機としてF35Aを選定したところでありますが、その総調達予定機数は四十二機でございます。

 その他の国のF35の総調達予定機数については、各国政府が公表しているとは承知をいたしておりませんし、世界における総調達予定機数を含め、今のところ把握はいたしておりませんが、報道等では、八カ国が予定をしておるということは存じ上げておるところでございます。

吉井委員 アメリカ国内では、毎年の調査で、議会調査局の方で資料をまとめて、一体どういうことになっているのかというのは調べているわけですよね。それはなぜかといいますと、今度、二〇一二年度予算で四機分の調達予算を計上して、一機九十九億円、最終的に四十二機導入方針で、報道ベースでは、F35について維持費含めて一兆六千億円になるだろうと見られているわけですが、最近、九十九億じゃなくて、今度は一機百二十二億円に引き上げられるなどという話もあります。

 つまり、米国における、ロッキード社における調達機数がふえるか減るかということは、一機当たりのコストにかかわってくるわけですよ。ですから、きちんと日本としても情報をつかまないことには、何か、最初はとりあえず一機当たり九十九億で、それを四機ですから数少ないみたいなお話でお考えかもしれないけれども、とんでもない膨大なものになるわけですよ。

 それで、一体、調達コストは一機幾らと今政府はお考えなのか、これを田中防衛大臣に伺います。

田中国務大臣 F35Aの調達コスト及び生産コストについての御質問だと思います。

 平成二十四年度に取得する四機については完成機を輸入することとしており、平成二十四年度の予算では、一機当たり約九十九億円で計三百九十四億円のほか、シミュレーターの取得経費等である約二百五億円を含めて、合計で六百億円を計上いたしております。

 先方から提案をされておりますが、その内容につきましては、価格及び納期については厳守をするということで強く要請をいたしておるところでありますし、今、それを守っていく、こういうことで話が進んでおるところでございます。

吉井委員 これは、軍事機密という壁に皆封じ込めてしまうと、原発事故と一緒なんですよ。結局、秘密主義が将来とんでもない災いを引き起こすということにもなるわけです。

 今も、維持費等含めて六百億というお話ありましたけれども、これは報道ベースで見ますと、維持費含めて将来的に一兆六千億円と見ているわけでしょう。きちんとした根拠を持って、これは防衛大臣としてそこを把握して物を言っていただかないと、何か気楽に、子供のおもちゃをトイザらスへ買いに行く話じゃないですから、やはりきっちりしてもらいたいと思うんですよ。どうなんですか。

田中国務大臣 先生御指摘のとおりでございます。

 我が国にとって大変重要な防衛の問題でございますので、防衛省といたしましても、この予算、そしてまた先方の提案内容を厳守するということで、監視をするといいますか、防衛省からアメリカに人を派遣いたしまして、さらなる確認をする段取りになっておるところでございます。

吉井委員 気楽なお話を聞かせていただいたんですけれども、調達機数が今国際的には減ってきているわけですよ。そうしたら、当然、一機当たりの調達コストは上がるわけなんですね。

 米英など九カ国で共同開発しているものに、今度は日本も防衛メーカーが生産に参加するということにしているんですが、もともと、軍用機のボーイングやロッキード社と三菱電機や三菱重工との契約というのは非常にたくさんあるわけですね。F35の生産や修理に当たって、では、三菱重工や三菱電機、IHIなど、日本のメーカーの分担はどういうふうに進めていかれることになっているんですか。

田中国務大臣 F35の生産分担についてでございますが、今般の次期戦闘機の機種選定においては、航空自衛隊が保有する戦闘機について、将来にわたり、安全性を確保しつつ高い稼働率を維持し、我が国の運用に適した能力向上等を実施していくため、航空自衛隊に納入される戦闘機を対象に、国内企業の製造参加を求めておるところでございます。

 提案内容を踏まえ、平成二十五年度以降に取得する三十八機の製造には国内企業が参画する計画ですが、F35Aの製造に係る我が国国内企業の参画のあり方については、これから米国政府等との協議中ということになるわけであります。

 我が国国内企業が受け持つことになる部分については、まだ決まっておらないのが現状でございます。

吉井委員 大体、警戒管制機などにしても、機体本体は三菱重工でつくったりとか、それから電子機器類は三菱電機とか、IHIがエンジンとか、これまで既に伝えられてもおりますし、実績もあるわけですね。しかし、それについては、既にその議論をやっているんじゃないかと思うんです。

 私、藤村官房長官に伺っておきたいんですが、昨年十二月二十七日の安全保障会議で武器輸出三原則緩和の方針を出すその前段に、日本の防衛産業メーカーが他の国と共同生産、分担に参加できるようにするということで、二十七日の安全保障会議の方では、武器の輸出と共同生産、開発について、包括的に例外措置をとるとしたわけですね。つまり、こういうことが幾らでもできるようにやろうということを政府として既に始めていっているわけですが、このやり方というのは、武器輸出三原則に反するやり方なんじゃないですか。

藤村国務大臣 まず、武器輸出三原則につきましては、国際紛争等を助長することを回避するという平和国家としての基本理念に基づくものであり、政府としては、この基本理念は引き続き堅持していく、そういう所存であります。

 他方、我が国の平和貢献や国際協力については、従来から、海賊対策のためのインドネシアへの巡視船艇供与や、ハイチあるいは南スーダンへのPKO派遣などに取り組んでいて、国際社会からの期待というのは高まっていると承知しております。

 また、今おっしゃっている国際共同開発・生産につきましても、国際的に高い技術力を有する分野を持つ我が国に対して、欧米諸国等からはさまざま期待が寄せられているのも現実であります。

 そしてまた、国際共同開発・生産に参画することは、最新の防衛技術の獲得等を通じて、我が国防衛産業の生産、技術基盤を維持、高度化するとともに、コストの削減にも資するものであります。

 そうした点を踏まえて、昨年末、平和貢献・国際協力に伴う案件及び我が国の安全保障に資する防衛装備品等の国際共同開発・生産に関する案件について、もちろんこれは厳格な管理が行われること等を前提としておりますが、防衛装備品等の海外移転を可能とする旨の官房長官談話を発出したところであります。

吉井委員 一九八一年三月二十日の衆議院本会議で採択された武器輸出問題等に関する決議、いわゆる武器輸出三原則では、

  わが国は、日本国憲法の理念である平和国家としての立場をふまえ、武器輸出三原則並びに昭和五十一年政府統一方針に基づいて、武器輸出について慎重に対処してきたところである。

  しかるに、近時右方針に反した事例を生じたことは遺憾である。

  よつて政府は、武器輸出について、厳正かつ慎重な態度をもつて対処すると共に制度上の改善を含め実効ある措置を講ずべきである。

  右決議する。

これは、自民党から共産党まで共同提案して決議したわけですよ。

 それで、これは今、平和理念というお話はありましたけれども、JAXA法などでは、今度変えようとしているわけですけれども、平和目的に限るとしていた部分を外して、平和理念という言葉に変えてしまって、先ほど来御紹介してきましたような軍事利用にどんどん風穴をあけていく。そして、予算もふやせば、法の扱いも、これは三木内閣のときに一層厳しくし、しかし中曽根内閣のときも、これは内閣としての意思だということで、この決議はきちんと尊重してやってきたんですよ。

 自民党政権時代でも、例えばミサイル防衛とか日米間だけの研究について部分的に風穴をあけるということはやってきましたけれども、今度は部分的な風穴の話じゃないんですね。包括的に武器の輸出も共同生産、開発もやりましょうと。

 これは藤村官房長官に伺っておきたいんですが、国会決議を、一内閣で、内閣の意思で、あなたはそういうことをやっていいというお考えですか。

藤村国務大臣 まず、今御紹介いただいた国会決議について、これは非常に重く受けとめる、当然のことでございます。

 それから、昨年末に公表した基準というのは、一昨年末に新防衛大綱を取りまとめた際などに国会でいただいたさまざまな御意見あるいは御指摘も踏まえての策定であった。

 また、武器の輸出については、既に外為法の規定が整備されております。武器輸出三原則等は、昭和四十二年の佐藤総理、そして昭和五十一年の三木総理の国会答弁等でその運用ルールを示したものである。そのため、先般の基準についても、外為法の運用ルールに関するものであって、これまでのやり方を踏まえての内閣官房長官談話ということになった次第であります。

吉井委員 いや、そこは大分違う話だと思うんですよ。

 これまでは、自民党政権時代に風穴を少しずつあけた部分はありましたよ、部分的に。しかし、今度は、防衛装備品の海外への移転については、従来個別に行ってきた例外的措置における考え方を踏まえてという枕言葉はついているにしても、包括的に例外を講じるとしているわけですね。F35にしても、世界九カ国で共同生産、開発をやっているものですね。その中にはイスラエルも入っているわけですよね。

 そういうふうな状況の中で、一内閣で、内閣の決定だといって、国会決議を実質的にはもう丸ごと変えるというふうなやり方が、あなたは本当にそれでいいというお考えなんですか。

藤村国務大臣 今、移転のことをちょっとおっしゃったので、これはきちっと申し上げます。

 我が国政府と相手国政府との間で取り決める枠組みにおいて、きちんとこれは決める。一つ、我が国政府による事前同意なく、一に、当該防衛装備品等が当該枠組みで定められた事業の実施以外の目的に使用されること、二に、当該防衛装備品等が第三国に移転されることがないことが担保されるなど厳格な管理が行われることが前提として行われております。

 そして、私ども、一内閣とおっしゃいましたが、武器輸出三原則については、歴代の内閣が申し上げてきているとおり、いわば国是として守っていかなければならない、そういう認識もございます。

吉井委員 私は、国会決議の中、どういうものでやったかということをやはりよくそしゃくしなきゃいけないと思うんですよ。それは、さっきの経産大臣の答弁にもありましたように、実際は、輸出貿易管理令の別表第一の貨物の九、軍用航空機もしくは附属品または部品に相当するものが移転しても構わないという発想になっているんですよ。それがさらに拡大されるわけですよ。

 こういう例外をどんどん政府として公然とやっていったら、本当に、この国会決議をたった一つの内閣で、国会で全会派共同提案して一致して決めたものがこんな簡単に放り投げられてしまっていいのか。私は、これは極めて重大な問題だと思うんです。

 時間が参りましたという紙が来ましたから終わりますけれども、私は、こういう話は、税金を食い物にするような軍産共同体をさらに拡大していくようなやり方、あなたの官房長官記者会見の後、経団連の米倉さんだけ、はしゃいで記者会見をやっていましたよ。おかしいじゃないですか。このやり方は原発事故の二の舞になる、このことをはっきり申し上げて、質問を終わりたいと思います。

中井委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 私は、本日二十分お時間を頂戴いたしましたので、よろしくお願い申し上げます。

 三月十一日の震災、津波並びに東京電力福島第一原発事故から、やがて一年がたとうとしておりますが、とりわけ被災地の復旧復興は、きょうも皆さんがお取り上げでありますが、なかなか進んでおらない状況があると思います。

 わけても、福島県においては、やはり原発事故による被害というものが加わっておりまして、ある予測によれば、人口が近年のうちに半減をしてしまうのではないかというようにも言われております。若いお子さん連れのお母さんたちが帰らない、帰りたくても帰れないという状況があるという中で、また、国民の多くが、我が国における原子力の安全行政ということに疑念を抱き、また、これから先どうなっていくのかという方向性をきちんとしてほしいと願っていると思います。

 そんな中で、この原発事故については、政府にあっても、畑村委員会が事故調査委員会を立ち上げておりますし、また国会においては、自民党の塩崎議員の多大なる御尽力で国会に調査委員会ができ、相進んでおるところでありますが、同様に民間においても、民間事故調査委員会というものが発足して、二月二十八日に調査報告書を出しておられます。きょう御答弁いただく細野現環境大臣、あるいは枝野前官房長官、現在は経済産業大臣も、その中でインタビューに応じておられるものでございます。

 こういう大部な調査委員会の検証報告となっておりまして、私も少しずつ読み進めさせていただいておりますが、その中で気がつく幾つかのことがございますので、国民の安心を求めるという観点から、きょうは質問をしたいと思います。

 まず一点目は、この本でも取り上げておりますし、また委員会でもたくさんの方が取り上げられましたSPEEDI、いわゆる事故が起きたときに風向きなどを予測して放射性物質の飛散する方向を住民などの避難に役立てるための方策でございますが、このことについてお伺いを申し上げます。

 事故発災当時は、SPEEDIの管轄は文部科学省になっておりました。文部科学省が外部に委託してこのSPEEDIというものを開発もし、運用もしてまいったわけですが、ちょうど事故の最も佳境にあります三月十五日、北西部方向に放射性物質が飛散したということが言われておりまして、また、そちら側に住民が避難されていたという不幸な重なり合いの中で、文部科学省は、今の平野大臣ではございませんが、当時の担当の御判断で、三月十六日から、このSPEEDIのいろいろな操作というか作業管理責任を原子力安全委員会の方に委ねるという判断をなさった、これは随所で公表されておりますが、この理由について、まず平野大臣にお願いいたします。

平野(博)国務大臣 SPEEDIの運用に関する御質問でございますが、私の今の現立場で承知していることを答弁させてもらいます。

 平成二十三年三月十六日の午前の、当時の官房長官、枝野さんのもとで、モニタリングデータの取りまとめ及び公表は文部科学省、これらのモニタリングデータの評価は原子力安全委員会、同委員会が行った評価に基づく対応は原子力災害対策本部が行う、こういう役割分担を整理されたと私は承知をいたしております。

 当時、なぜこういうことになったかといいますと、現地対策本部、本来、現地でモニタリングということをすべきという仕組みになっておったわけだと思いますが、現地ではモニタリング活動が十分行われる環境にない、こういうことで、国が主体となって、より積極的にモニタリングを実施するということがその当時の喫緊の課題となった、こういうことでございます。このような状況のもとで、官房長官から示された役割分担をベースに、文部科学省はモニタリングに全力を尽くす、SPEEDIの運用はモニタリングデータの評価を行うこととなった原子力安全委員会が担当することになったものでございます。

 具体的には、文部科学省に駐在しておりましたSPEEDIのオペレーター二名が三月十六日から原子力安全委員会に移動し、原子力安全委員会がSPEEDIの計算指示を直接行うことになった、こういうふうに私は認識をいたしております。

阿部委員 御説明はそのようなのだと思いますが、長く文部科学省がやってこられて、実際の、手なれているというか、そういうものでもあったわけです。

 やはり、事故が起きますと、実は三つの要件が必要になると思います。一つはモニタリング、そしてもう一つは原子炉から放出される放射性物質の放出のもとの量、そして三つ目はこれをいろいろ評価しまして避難に結びつけるということでありますが、このとき、にわかに安全委員会に手渡されたSPEEDIの管理運営情報は、その後も実は一貫して、三月の下旬に至るまで、ある意味で有効に活用されなかったわけであります。手渡したとして、その後が有効に活用されておれば、実は、今、国民の中に多々あるような不信や不安というものも少ないことであったろうと思いますが、そうではなかったという現実があるわけです。

 ここから、これから環境省の中に置かれる原子力規制庁を担当される細野担当大臣に伺いますが、この規制庁のあり方は別途また、委員会を環境省の外局に置くかどうかの問題は別にして、今のところ、とりあえず、管理運営上、今事故が起きてもそうですが、原子力安全委員会が取り扱うことになっております。私がこの間、いろいろなヒアリング等々の情報を集めて、班目原子力安全委員長のお話などをお読みいたしますと、なかなか、ここで本当に安全委員会がそうしたものを担当していくというところの位置づけがまだきちんとされていないのではないかとあえて言わせていただきたいと思います。そして、今度の組織の中で、実はモニタリング体制は文部科学省、そしてSPEEDIの部分だけ安全委員会、ここは規制庁に置かれるわけです。こういうふうにまた分離された形が続くわけです。

 私は、新しく発足する規制庁は、いずれの形態をとるにしろ、モニタリングから、あるいは原子炉の情報から、そして風向きを予測するSPEEDIまで一括管理、きちんとそこができないとまた同じ轍を踏むように思いますが、この点について細野大臣の御見識を伺います。

細野国務大臣 阿部委員の御指摘は、基本的にごもっともだというふうに思っております。

 今回の事故発災直後、実は一番問題になりましたのは、モニタリングというのは、災害が発生をしたときは自治体がやることになっていて、国が直接やれる体制になっていなかったわけです。そこで、当時、私も官邸におりましたので、そのときに、やはりモニタリングは国がしっかりやらなければならないのではないかということで、随分、文部科学省の皆さんとやりとりをしたという記憶がございます。

 ですので、国がまずしっかりやれる体制をもう一度つくるというのが大原則になるわけです。今は、文部科学省はその体制をつくっていて、ほかにも、例えば食品であれば厚生労働省であるとか農林水産省もさまざまなモニタリングをする、そういう体制になっております。

 もう一つ大事なことは、そうしたモニタリングを、文部科学省だけではなくて、実は環境省も一部やっておるんですけれども、いろいろな部署でやっている。それを、どこをそのときにはからなければならないかというコントロールタワーが不在だったわけです。ですから、当時の官邸の中で、では、どこをはかるかということも含めて、なかなか判断をする権限がどこにあるのかということも含めて混乱をした、そういう経験がございます。

 したがいまして、モニタリングをやる部署自体は、文部科学省や厚労省、農水省を含めて、今も複数存在をしておりますし、新しい規制庁が誕生した後も全部を集約するということはいたしません。ただ、どこをはかるべきかというコントロール機能は、平時も含めて原子力規制庁が持つ。そして、いざ原子力災害が発生をすると、これはもう絶対に起こしてはなりませんが、これにやはり備えなければなりませんので、そのときは、原子力規制庁そのものがしっかりとモニタリングをできるような体制をとっておくということが重要であると思っております。

 具体的には、福島に関する、この事故に関するモニタリングの予算というのは規制庁が全て持つという形になっておりますので、有事については直接規制庁自身がはかれるという体制も含めて、今回の事故で経験をした当面の問題は、私は新しい組織のもとで解決ができるのではないかというふうに考えているところでございます。

阿部委員 今、有事のコントロールタワーを新しい規制庁が持ち……(細野国務大臣「違います、平時もそうです」と呼ぶ)平時も。では、両方持つということでありますが、当然なことですね。有事は突然やってくるわけで、平時からやっていないと。

 それにしては、正直言って、きのうもずっと省庁とやりとりをいたしたんですが、全体のモニタリング体制にどのくらいお金がかかっているかとか、本当に体系立っているかということが、残念ながら私は、まだ新しい庁はできていないからというお言葉があるやもしれませんが、できていないように思います。予算づけ一つ、では、全体でどのくらいになっていますかということもなかなかばらばらで、出てまいりませんでした。

 今、細野大臣が平時も有事も大切なのだとおっしゃるモニタリングのコントロール体制、実はこれは今までは文科省がやっておられたわけです。でも、ここが本当に上手に移行しないと、ばらばらばらばらの中で、では、あそこの実測データを持ってこい、SPEEDIに入れようと、また泥縄式になっていくわけです。

 ここは強く、モニタリングの平時常時、その上にコントロールという体制をしいていただきますようお願いを申し上げます。

 次の質問に移らせていただきます。

 この間、何回か取り上げさせていただきました原子力規制の問題については、やはりどなたもおっしゃいますが、実際に規制をしていく人の人材の質、能力である、突き詰めればそうであろうと思います。そして、政治家には政治家の能力、官僚には官僚の能力があって、これがうまく協力し合って国民を守っていけるものと思いますが、枝野経済産業担当大臣にお伺いをいたします。

 国会の事故調などの報告の中で、寺坂前保安院長もおっしゃっていますが、五階に菅総理たちの対策本部があり、地下にも経産省を中心とする省庁が集まった体制があり、自分は五階にもおらず、そして、御自身の原子力保安院の方での業務もこれあり、責任もこれあり、実はこの間、上と下とは申しませんが、政治家たちのおるところとお役所との間の上手な情報伝達、すなわち、省庁の皆さんにはぜひ、ロジスティック、大事な情報を政治家に伝える、そういう意味のロジをやっていただきたかったが、ここがうまく機能しておらなかった。結果として、政治家が独走する部分もあったやもしれません。

 では、その体制は今見直されただろうか。その端的なあらわれとして私は議事録問題を取り上げさせていただいて、そして、現場の担当者、その当時、原子力災害対策本部の総括班が議事録をつくるということであったから、その担当者にも聞いていただきたい。私は、本当は寺坂前院長にも、実は、官邸と地下の媒介をしていただいて情報を上げる、そういうことが一番重要だったと思うんですが、この点について見直しはどこまで進んだか、枝野大臣に伺います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、三月十一日の直後、違う立場から見ておりましたが、保安院が保安院として集めた、得た情報を、例えば官邸の幹部等に十分に伝達をする役割、機能が果たせていなかったというのは、真摯に受けとめて反省しなければいけないというふうに思っております。

 その事態を踏まえて、万が一にもまた大きな原子力災害があった場合、例えば今度の院長も技術屋さんではいらっしゃいませんが、しっかりと原子力についての基本的な認識あるいは原子力発電所についての基本的な認識をお持ちで、私のところにも日常的な報告についてもきちっとしていただいておりますし、また万が一の場合の経産省内そして官邸に対する情報伝達については、その教訓を踏まえた体制を整備しているところでございますので、少なくとも三・一一の直後のような事態にはならない、これは自信を持って申し上げたいと思っております。

細野国務大臣 簡潔に御答弁を申し上げます。

 新しい規制庁のもとで、そこは相当しっかりと整備をしていかなければならないというふうに思っております。

 大きな事故が発生をした直後は、やはり官邸に機能をしっかりと集中する必要があります。ただ、そこが保安院と連携をする、そういう情報共有ができておりませんでしたので、その情報機能を強化します。そして、原子力規制庁の中でしかるべきポジションの人間が、事故を起こした電力会社の本店に行って、そこで情報管理をする、もう一人の責任者が今度はオフサイトセンターに行くという、当初は官邸と電力会社の本店とそしてオフサイトセンターの体制、そして、落ちついてきたら官邸から保安院に戻って、保安院でしっかりとやる、そういう体制を組むべく今準備をしているところでございます。

阿部委員 では、最後に、原発の再稼働のことについて伺います。

 民間の検証委員会の中で、私にとって大変に有意義であった点は、福島の第一原発事故は、実は六基ございまして、四基、あと、事故には今直接関係しておりません五号機、六号機、問題がなかったわけではありませんが、これらが狭いところに、一カ所に集中してあったこと、ここでは並行連鎖原災と言っておりますが、複数の炉が密集して並ぶことによって連鎖事故を起こした。一号機の水素爆発が三号機の作業、中でも冷却作業を妨げ、三号機の水素爆発が二号機のベント作業と海水注入を難しくする、すなわち、つながっているために一つの炉の事故に抑え込むことができないような状況をいいます。

 今度、再稼働を予定されているやに聞きます大飯原発でも、お手元に資料がございますが、四つの原子炉が三百メートルの中に非常に近接してございます。お互いの炉の関係は五十メートルか六十メートルしかありません。おまけに、福島でも問題になった使用済み燃料プール、ここも大変な本数が現在眠っております。

 再稼働に当たっては、これらについての対策をどう考えられるのか。三号炉には千四百三十四本、四号炉には千三百七十一本の燃料棒であります。隣接しているということはこれは変えようもありませんが、一体どのようにお考え、この指摘を受けとめるか、枝野大臣にお願いします。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、今回の事故では、各炉が隣接をしていたため、例えば、ある炉の水素爆発の瓦れきが、高い放射線量で他の作業に対してマイナスの影響を与えた等ということがございました。いろいろなところから指摘を受けているところでございますので、今、ストレステストを踏まえた専門家による検証、安全委員会における検証のプロセスでありますが、ストレステスト等においては、そのことも踏まえた中で、きちっと万が一の場合でも抑え込みができるのかということの作業を進めていただいております。

 また、燃料プールについても、特に今具体的な作業が進んでいる大飯などについては、高いところにたくさんの燃料があるんですが、福島とは形状が違っていて、地表面のところと同じぐらいの高さということですので、これについても、今回の福島の事故で対応に困難を来したというその原因については、そういったことまで含めて検証作業を進めていただいているところでございます。

阿部委員 済みません、一言だけ。

 今、枝野さんのおっしゃったことでちょっと違うのは、ストレステスト以上の、シビアアクシデント以上の問題が隣接問題であります。重ねて御検討をよろしくお願い申し上げます。

 終わります。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内です。

 文部科学省に質問をさせていただきます。

 文部省の検討会が出している提言なんですけれども、国際共通語としての英語力向上のための提言というのがあります。これによると、中学校や高校の英語の担当教員に求められる少なくとも必要な英語力という基準があります。中高の英語の先生に少なくとも求められる英語力の基準は、英検だと準一級、TOEFLだと五百五十点、TOEICだと七百三十点以上ということが掲げられています。

 しかし、この文部省のレポートによると、公立中学の英語の先生でこの求められる基準を満たしているという先生が全体のわずか二四%、高校の場合は四九%、高校でさえ半分以下の英語の先生しか求められる英語力の基準を満たしていないという大変深刻な事態があります。

 TOEIC七百三十点というのはどれぐらいの英語力かというと、よく企業の海外駐在員の資格なんということでいうと、最低が七百三十ぐらいなんですけれども、何となく感覚的に言うと、七百三十というと余り英語を教えるレベルではありません。多分、受験英語で、できる子は高校三年生でもこれぐらいとっている子はたくさんいると思います。それから、TOEIC七百三十ぐらいでは、恐らく英字新聞を十分なスピードで読めるかというと難しいと思います。ましてや英作文を指導できるかというと、むしろ、まだ教えてもらわなきゃいけないぐらいのレベルだと思います。それから、この程度の英語力というのは、恐らく才能とかセンスの問題ではなくて、真面目に単語と文法を覚えていれば、これぐらいはできなきゃいけないというレベルの英語力だと思うんですね。

 私自身は余り英語は得意じゃないんですけれども、英語の先生ではないので人に迷惑はかけておりませんが、学校の先生が英語ができないというのは大変問題だと思います。しかも、文部省のレポートでも、これだけ中高の英語の先生の英語力が低いということが指摘されております。

 これから、文科省としては、こういった公立中学、高校の英語の先生の英語力をどうやって上げていくか、大臣のお考えをお聞きします。

平野(博)国務大臣 先生御指摘のところは私も同感でございまして、私自身も英語力が低いもので、昔もっとしっかりやっておけばよかったなと身を恥じているところでございます。

 今御質問の、少なくとも教える先生の英語力についてということにつきましては、全く先生と同じ認識でございまして、特に、子供たちの英語を通じたコミュニケーション能力を高める、こういうことで、英語教員の質の向上は重要であると考えております。

 文科省としては、都道府県、各指定都市教育委員会に対しまして、英語教員の採用に当たり、英語によるコミュニケーション能力を十分に考慮した採用試験をやっていただきたい、また、質的能力の高い教員の確保に努めるように今促しているところでございます。

 加えて、これは採用するときのことでございますが、今後、採用された後におきましても、新しい学習指導要領におきましては、高等学校では英語で授業を行うことを基本とするなど、英語教育の充実が図れるように、英語教員の英語力、指導力の一層の向上のために、一つの事業としては、英語力の指導改善事業、並びに日本人の若手英語教員の米国派遣事業等々をこの二十四年度の予算措置とさせていただきまして、先生御指摘のあるように、さらにしっかりとやれる体制にこれからも努めてまいりたいと思っております。

山内委員 もしかしたら、私も大臣も英語が得意でないのは、中高の英語の先生が悪かったんじゃないかと思わなくもありませんが、そもそも、採用時でこれだけ、英語の教員免許を持っているのに英語ができない人がこんなに公立の中高に採用されている、この点が非常に問題ではないかと思います。英語のできない通訳は多分失業すると思うんですけれども、英語のできない英語の先生は万の単位で日本にはいるということがデータとして明らかになったということがあると思います。ですから、採用で厳しくするとおっしゃいましたが、ぜひやっていただきたいと思います。

 それから、既にいる英語の先生の英語力を上げるということもやらないと、あるいは、英語力が一定の基準内に達しない先生は、場合によっては、首とは言いませんが、別の科目を教えてもらうとか何か考えないと、子供たちが不幸だと思うんですね。

 そういった意味では、英語教育の充実、いろいろ英語力を上げるための政策はありますけれども、まずは先生の質を上げるということにぜひ力を入れていただきたいと思います。

 以上で、文部省の質問を終わります。

 次に、財務省、大臣にお尋ねします。

 私、最初に、不思議に思ったんですけれども、財務省の下に酒類総研というお酒の研究所があるんですね。独立行政法人酒類総合研究所、広島にあるんですけれども、これは大臣、いらっしゃって視察されたことはおありでしょうか。

安住国務大臣 ありません。

 酒類総研は、明治三十七年に大蔵省に醸造試験所として設置されたものが、今御指摘のあるように、東広島市に平成七年に移転をしたということでございますが、私自身はまだ行ったことはございません。

山内委員 酒税が税の柱であった明治とか大正の時代の名残で財務省の下にこういう研究所があるようなんですけれども、私も四年ほど前に視察に行きまして驚いたんですけれども、ブドウの研究とかをやられているんですね。何で財務省がブドウの研究とか、あと、きき酒のコンクールの主催とか、本当にこれが財務省がやるべき仕事なのか。恐らく民間でもやれるし、民間でやるべき仕事が非常に多いと思います。

 実際、民主党の行政刷新会議の事業仕分けでも、中身を相当見直すべきだという指摘がなされております。私も全く同感です。昔だったら、酒造メーカーとか造り酒屋さんの指導ということは重要だったかもしれません。これだけ技術も発達している中で、あえて国の機関がやる必要があるのかというと、非常に疑問に思う業務がたくさんあります。

 今回、ことしの一月二十日の閣議決定で決まった独法の見直しでは、廃止ということが決まっております。廃止ということには私も賛成なんですけれども、ただ、廃止した上で、「必要な定員・予算を確保した上で、その機能を一体として国に移管する。」と書かれております。廃止したけれども国に全部そのまま戻すということでは、全く行革になりません。むしろ、国家公務員の数がふえるだけですから、相当事業を整理して、この事業はもうやらないとか、民間でやってもらうとか、相当整理して、人手も減らした上で、最後に残った最小限の機能だけ国に統合するということであれば、私はまだ納得ができます。

 このあたりが公開されている資料ではまだ詳しく書いてありませんが、この見直しに当たって、焼け太りすることがないのか、あるいは予算削減、コストの削減がちゃんとなされるのか、その点について大臣のお考えをお聞きします。

安住国務大臣 そういう疑問はごもっともだと思います。

 それで、酒類総研については、書類送検じゃないですよ、酒類総研ですけれども、これは確かに平成二十一年の事業仕分けで、今、山内さんがおっしゃるようなことなんですが、ただ、必要性は認める、役割をもうちょっと大幅に見直して、改めようという話だったんですね。

 主の業務は何かというと、酒の分析・鑑定、品質評価、それから酒をつくっている皆さんに対する講習、それから研究調査をやりますよということでできております。

 とりあえず事実関係だけを申しますと、運営費交付金が平成十三年度独法化で、その時点で十三億六千万円だったんですね。これは随分減ってはきています。現在、二十三年度でいえば十億七千万。これはまだ多いという御指摘もあると思いますが、ではなぜ今回国に一回戻すような形をとったかというと、これは廃止をします、廃止をして、今御指摘のように、私は今四つの分類を申し上げましたが、そのうち品質評価と講習事務については民間に移管をする、これは平成二十六年の四月ということを予定しています。それから、酒の分析・鑑定との関連性の低い研究については、大学の研究機関への引き継ぎをやはり同平成二十六年の四月に予定をしております。

 こうしたことをやらせていただいて、結局、すると残るのは研究調査の部分だと思うんです。これは当面、国税のお酒に対する課税と、例えばアルコール度数や酒の品目を分けたりしていくときに、ある程度研究的な仕事をする人は国にとっても必要であろうということで残しました。

 現在、職員は四十三人でございます。私の手元にある内訳でいうと、東京におるのが七名、広島の本体にいるのが三十六名でございますが、事務、技術系職員が十二人で、研究系が三十一人おります。ですから、今後、研究系はそういう意味では本省に一回戻ってもらうということにはなりますけれども、今言ったように、業務を大幅に見直すことによって効率化等をぜひ図っていきたいと思っております。

山内委員 ぜひ、効率化、特にきき酒とか講習とか、ほとんど役所がやるべきではない仕事までやっていたわけですから、そこを削れば、十三億が十億七千万に減ったどころか、もっと減らせると思います。

 それから、業務の内容を見ていると、安全性とかチェックをすると書いてあるんですが、本来消費者庁がやった方がいい仕事もあろうかと思います。あるいは農水省の方でやった方がいいんじゃないか。ブドウの研究なんかは本当に財務省がやるべきかという気がいたしますし、そういう中身を整理した上で、税の徴収と関係のない、関係のある分析というのは正直言って余り多くないと思います。いろいろなレポートを見ましたけれども、この酒類総研がやらなきゃいけない仕事というのは余り残らないと思います。そういった意味では、単なる名目だけの廃止で国家公務員がふえるということにならないように、厳しくチェックをしていただきたいと思います。

 もし大臣おっしゃっていただけるのであれば、何億円ぐらいまで削れるとか、人もどれぐらい削れるとか、可能であれば目標を設定していただきたいと思いますが、最後に一言、感想をお願いします。

安住国務大臣 いわゆる移管をしますので、品質評価とか分析・鑑定との関連性の低い研究という分は、運営の金でいえば四千万ぐらいはとりあえず、ここでは運営のことに関して言えば削れるのかなとは思いますが、さらに、業務の必要性については私も少し精査をさせていただきたいと思っております。

 人員については、先ほど研究の人間が三十一人いると言いましたので、それは当面すぐにというわけにはいきませんが、しかし、御指摘のような主張も十分理解できますので、今後、国民の皆さんから見ても御指摘を受けないような形にしていくよう努力していきたいと思っております。

山内委員 時間が来ましたので終わりにしたいと思いますが、財務省こそ歳出削減に一番熱心に取り組むべき役所だと思います。税金の無駄遣いを削減するということを財務省がやらなかったら、ほかの省庁はもっとやらないと思います。ぜひ、安住財務大臣には、無駄の削減、歳出削減、先頭に立ってしっかり、増税ばかりじゃなくて歳出削減も頑張っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

中井委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明八日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十分散会


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