衆議院

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第22号 平成24年3月8日(木曜日)

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平成二十四年三月八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      石関 貴史君    今井 雅人君

      打越あかし君    江端 貴子君

      緒方林太郎君    大西 健介君

      柿沼 正明君    金森  正君

      川口  博君    川村秀三郎君

      岸本 周平君    櫛渕 万里君

      小室 寿明君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    瑞慶覧長敏君

      杉本かずみ君    玉木雄一郎君

      仁木 博文君    橋本 博明君

      花咲 宏基君    馬淵 澄夫君

      村越 祐民君    室井 秀子君

      山岡 達丸君    山崎  誠君

      山田 良司君    湯原 俊二君

      渡部 恒三君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      金子 一義君    金田 勝年君

      佐田玄一郎君    橘 慶一郎君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    東  順治君

      笠井  亮君    内山  晃君

      中後  淳君    阿部 知子君

      柿澤 未途君    山内 康一君

      中島 正純君   松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)

   (行政刷新担当)     岡田 克也君

   総務大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地域主権推進担当)   川端 達夫君

   法務大臣         小川 敏夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   防衛大臣         田中 直紀君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)            松原  仁君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)   古川 元久君

   国務大臣

   (防災担当)

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   中川 正春君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     瑞慶覧長敏君

  大西 健介君     柿沼 正明君

  岸本 周平君     小室 寿明君

  仁木 博文君     川村秀三郎君

  渡部 恒三君     緒方林太郎君

  内山  晃君     中後  淳君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     渡部 恒三君

  柿沼 正明君     川口  博君

  川村秀三郎君     仁木 博文君

  小室 寿明君     岸本 周平君

  瑞慶覧長敏君     打越あかし君

  中後  淳君     内山  晃君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  川口  博君     大西 健介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村智奈美さん。

西村(智)委員 おはようございます。民主党の西村智奈美です。

 予算委員会も、八十六時間というかつてないほどの長時間に及ぶ審議、そのうち三十四時間が集中審議ということでございました。大変中身の濃い議論をリードしてくださった中井委員長に、まずは敬意と感謝を申し上げたいと思います。公平かつ円満で、そして、時には大胆でありながら、緻密に委員会を運営していただいたこと、本当に、振り返ってみても大変学ぶところが多かったなというふうに思っております。

 さて、今回の予算案でありますが、政府全体として、現下の情勢に極めて細かく配慮された予算案になっているというふうに思います。

 日本再生重点化措置の上積み、そして、他党からはばらまきなどと評されておりますけれども、きちんと所得の再分配に目配りをした子ども手当や高校無償化、そして農業の戸別所得補償のこと、これは効果が高いし、評価もされておりますので、継続すべきだと思います。あわせて、地域自主戦略交付金、沖縄一括交付金の拡充、また、再生可能エネルギーの研究開発等々も含まれておりまして、これは切れ目なくやっていく必要があります。ですから、期日内にきちんと成立させるということが極めて肝要だと思います。

 あわせて、そういう直接的な影響だけではなくて、このことが世界に向けて発する政治的なメッセージにもやはり配慮しなければいけないと思います。

 先日、日銀が、さらなる金融緩和とインフレターゲットの導入を発表いたしました。これに、米国の動きや、また、欧州の債務危機に対する支援の発表等々もありまして、今、我が国の円高、デフレも極めてよい局面に入りつつある、そういう期待が持てるわけであります。

 あわせて、先日、参考人質疑の中で、犬飼参考人が、世界から日本への信頼、信用、期待を失うようなことがあれば、日本と日本経済と日本企業にとって大きな痛手となるというふうなことを指摘されておられました。

 市場の信認を確保するということは極めて重要であって、そういう観点からも、この予算案を年度内に成立させる、期日内に成立させるということの持つ意義は大きいと考えますけれども、財務大臣の見解を伺います。

安住国務大臣 本当に長時間の御審議を中井委員長初め与野党の皆さんにいただきまして、本当にありがとうございました。

 今御指摘がありましたように、何とか中期財政フレームで定めた財政規律を守り、同時に、歳出の削減によって捻出をいたしました一兆円規模で、日本再生重点化措置というものを講じたわけでございます。さらに、今度の予算で重要なことは、三兆八千億の引き続き復興に係る予算を盛り込みました。これは、与野党の合意で特別会計の法律も今般、出させていただいているわけでありますが、被災地の復興のために、いち早く、この予算を年度内にぜひ、御審議の上、成立を図っていただければと思いますので、参議院でも引き続き私の方からも強く要請をしたいと思います。

 欧州の深刻な財政危機の御指摘は全くそのとおりでございますので、市場の厳しい目に我々はさらされている、そういう厳しい認識の上に立って、財政運営に対する予測可能性というものを高めて、市場から不安を持たれないように、しっかりとこの運営というものをしていきたいというふうに思っております。

西村(智)委員 政治の停滞というのは、やはり市場にもマイナスのイメージ、印象を与えることになりますので、そうならないように、私たちも力を合わせて取り組んでまいりたいと思います。

 さて、復興大臣にお伺いをいたします。

 東日本大震災の発災からもうすぐ一年を迎えることになります。先ほど財務大臣からもお話がありましたように、新年度予算案の中で約三兆八千億の復興特会ということで、集中復興期間に十九兆円の復興事業費が必要だとされてまいりましたけれども、補正予算と新年度予算を合わせると、大体この十九兆円に達したということではないかと思います。

 復興庁が発足いたしまして、ワンストップサービスが可能になりました。ぜひ、これからこの強みを生かして、さらに復興を加速化していただきたいと思いますが、大臣の復興に向けた決意を伺います。

平野(達)国務大臣 間もなく発災から一周年という状況になります。一方で、二月十日、復興庁が発足いたしました。現地では、まだまだ復興のスピードが遅いという御指摘を受けておりまして、これは真摯に受けとめなければならないというふうに考えております。

 その一方で、国会での熱心な御議論等々もございまして、復旧復興に必要なさまざまな施策、例えば復興特区、復興交付金制度、あるいは心のケアの対策、あるいは雇用対策、さまざまな道具立てがそろいましたし、あるいは災害復旧についても、災害査定がおりまして、工程表もできました。

 こういった施策をフルに活用して、ことしは何としても、復興のつち音がはっきり聞こえる、そういう年にしなければならないというふうに考えておりまして、復興庁はその先頭に立って取り組む必要がある、取り組みたい、そのように考えております。

 また、福島については、昨年の冷温停止を受けまして、これから復旧復興の段階に入ってきたというところでございますけれども、福島の復旧復興は、何といっても国の責任がより重いということもございまして、さらに復興庁の役割は大きくなるのではないかというふうに思っておりまして、司令塔としてその役割をしっかり発揮したい、このように考えております。

西村(智)委員 先般も我が党の委員からの質問がございましたけれども、特に被災した子供たちの心のケア、これはやはり継続してやっていくことが必要だと思います。

 また、これは私の地元の話でもありますが、福島からまだ多くの方々が山形県、新潟県等々に避難をして、被災された方々が移ってこられておりますが、先般、平野大臣は、そういった地域の首長さんにもお会いいただいて、本当に真摯に耳を傾けていただきました。そのこともあわせて感謝を申し上げたいと思います。

 さて、社会保障と税の一体改革については、集中審議が二回行われまして、大変深い議論が行われたというふうに思います。

 先日、私も一般的質疑で質問させていただきましたが、私がそこで申し上げたかったことは、社会保障と税というのは、歳入と歳出の一体改革という側面ばかりではないんだということでございます。所得の再分配を社会保障と税を使ってうまくそこをつなげてやって、貧困率を削減していっていただきたい、これが私の質問の思いだったわけです。

 税には累進性が乏しくて、社会保険料においては全く逆進的になっているということも表を使ってお示しさせていただきましたが、そこを正しながら、安心できる社会保障を充実していくということが求められると思います。

 今回の社会保障と税の一体改革に盛り込まれている施策の多くは、消費税の引き上げにより財源を確保して実現されるものでありますけれども、二十四年度予算案においても、例えば在宅医療の充実など、改革に向けた大きな一歩が示されております。その上で、さらに子ども・子育て支援の抜本的な拡充ということも予定をされております。

 しかし、この一体改革の全体の絵姿がまだ国民の皆様に十分理解いただけていないのではないかと思っております。

 この一体改革の中で社会保障をどう充実していくかということを、二十四年度予算案で対応するものも含めて、厚労大臣から積極的にPRしていただきたいと思います。

小宮山国務大臣 今回の社会保障の改革の中では、これまでは高齢者三経費が対象と言われていたものを、子育て支援も入れて四本柱にし、現役世代が支え手だけではなくて、全世代に対応した形にしたというのが特徴でございます。

 子供については、幼保一体化などで、就学前の全ての子供たちに質のいい学校教育、保育をということを含めて、地域、家庭までの子育て支援を幅広く支援できるような仕組みを導入しています。

 また、貧困のお話がございましたけれども、若年層を中心に非正規がふえている、そうした中で、貧困・格差対策という意味も含めて、短時間労働者への社会保険の適用など、さまざまな政策も盛り込んでいるところです。

 来年度予算の中では、待機児さんを解消する先取りプロジェクト、これを実現して子供の保育を充実するとか、お話にあった在宅医療・介護、これを充実するなど、一体改革の方向性に沿って来年度も可能な限りやっていきたいと思っていますし、皆様に御理解いただくために今全国を担当大臣が歩いたりしておりますが、さらに丁寧に御説明をし、後世へのツケ回しをしないことが生活の安心につながって、それは経済の方にもいい効果があるということも含めて、説明をしていきたいというふうに思います。

西村(智)委員 わかりました。

 社会保障のための税だという目的と手段の関係ではなくて、社会保障も税も所得再分配のための手段であって、だからこそ、最高税率の見直し、また控除額の頭打ち、また給付つき税額控除なのだということをぜひ閣僚の皆様には訴えていっていただきたいなと思っております。

 さて、総合特区制度について伺います。

 この委員会の中では余り質問はなかったかと思うんですけれども、新成長戦略を実現するための手段として、総合特区の強力な推進が期待されております。規制改革を重点的に進めるとともに、地域の取り組みに対して、政府が一体となって必要な支援、バックアップを行っていく必要があると思いますが、大臣の見解を伺います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 まずは、御質問いただいてありがとうございます。

 御指摘の総合特区制度は、国際競争力の強化と地域の活性化のための包括的、先駆的なチャレンジに対して、規制の特例措置にとどまらず、税制、財政、金融措置も加えて総合的に支援をしようとするものでございまして、昨年十二月に取りまとめた日本再生の基本戦略においても、総合特区の活用が当面重点的に取り組む施策として位置づけられておりまして、現下の厳しい経済状況において、円高に伴う国内産業の空洞化対策、デフレ対策として、総合特区に対して各地域から大変強い期待が寄せられました。

 昨年十二月に、全国三十三カ所、総合特区を指定されましたけれども、これらの区域において取り組みを推進した場合に、試算でありますが、五年後の経済効果は約九兆円、雇用創出効果は三十七万人という数字も出されております。

 このために、各地域の取り組みに当たって、規制の特例措置等の実現に向けては、国と地方の協議を前向きに進めていきたいということと同時に、財政支援についても、政策課題解決に有効な取り組みについては、関係府省との連携を通じて、既存の予算制度や総合特区推進調整費を最大限活用するなどして、総合特区の取り組みを重点的に支援してまいりたいと思っております。

西村(智)委員 ありがとうございました。

 米軍再編について、一言だけ大臣から答弁をいただきたいと思います。

 二月八日に、我が国と米国との間で共同記者発表、報道発表がございました。ロードマップをいわゆる切り離すということでありますけれども、私は、これは、さまざまな懸念の声は聞かれますが、沖縄の負担軽減という点からはよかったというふうに評価いたしております。

 これについて、大臣の見解、短くお答えいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 短くということでございますので、簡潔に申し上げたいと思います。

 おっしゃるとおり、沖縄の負担軽減を先行させる、そしてもう一つは、やはり刻々と変わり得る安保環境に日米ともにしっかりと対応する、そういった観点から、今回、在日米軍再編の調整について議論を進めていくということになりました。

 できるだけ、特に土地の返還などについて、可能なものから早期に実現できるように議論を進めていきたいというふうに考えております。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 最後に、総理にお伺いいたします。

 八十六時間という長い審議時間、それに比して、総理もこの委員会に御出席され、そして、朝九時開会、五時半閉会ということもたびたびございましたが、その間、一度も席を立たれることなくここに着席をされていたことには、本当に心から敬服いたします。

 今回、民主党政権になって三回目の予算編成となったわけですけれども、この予算案にかける総理の思いを率直に語っていただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 西村委員におかれましては、理事として円滑かつ充実した予算審議のためにお骨折りをいただきまして、ありがとうございました。

 日本再生重点化枠一兆円、これは日本の成長に資するための予算であります。それから、一次から四次まで復旧復興の予算をつくりましたが、あわせて、今回の二十四年度予算においても三・八兆円の復興予算がございます。早期に復興需要を顕在化していく、そしてスピードアップしていくということは大事だと思います。

 いずれにしても、日本再生元年予算でありますので、一日も早い成立を目指して、全力で頑張っていくことを申し上げたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

西村(智)委員 終わります。

中井委員長 西村さん、お褒めいただいてありがとう。

 これにて西村さんの質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 平成二十四年度の予算審議も最終盤を迎えました。委員として初めての予算委員会でありましたが、与野党双方からそれぞれの理念に基づいたさまざまな提案や指摘があって、総体として中身のある議論が展開され、私自身も非常に勉強をさせていただきました。

 このたび、政府は、社会保障と税の一体改革を行うという大きなテーマを実行しようとしております。一体改革は、大きく分けて、社会保障改革、税制改革の二つに分かれ、さらには、行政改革、政治改革などとも関連をしております。

 従来どおりの審査であれば、社会保障は厚生労働委員会、税制は財務金融委員会という形になりますが、一体改革はさまざまな事項が関連してくるものでありますから、オープンな場でしっかりと議論していくことが大事であるというふうに考えます。

 国会という情報発信のしやすさから考えますと、特別委員会を設置して与野党間の議論の場を確保すべきというふうに考えますが、野田総理と岡田副総理のお考えをお聞かせください。

岡田国務大臣 まず、委員には、今まで御審議に大変御協力いただきまして、本当にありがとうございます。

 今の御質問に関してですけれども、もちろん、法案に関しては順次国会の方に提出をさせていただきたいというふうに思っております。それをどういう形で審議するかということは、これは国会でお決めいただくことでありますので、委員の御提案も含めて、各党間でよく協議をしていただきたいというふうに考えております。

野田内閣総理大臣 中島委員におかれましては、郵政改革関連法案を含めてさまざまな御質問をいただいたこと、本当に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 今、副総理も御答弁されましたけれども、税制改革に関する関連法案は、これは附則百四条に基づいて、年度内の提出を目指しております。社会保障改革に関連するものは順次提案をすることになっていますが、もうほとんど予算関連法案は提出をしていますし、税制改革の抜本法案と同時に出すものもたくさんございますが、それらの法案を出した暁には、速やかに御審議をお願いしたいというふうに思います。

 その審議のあり方、運びについては、これは国会にお任せをいたしますが、法案提出後には速やかな御審議をお願いしたいというふうに思います。

中島(正)委員 ありがとうございました。

 間もなく東日本大震災から一年を迎えます。被災された方々のことを思いますと、一刻も早くこの本予算を成立させるべきであるということを申し上げて、少し早いですが、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中井委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、小池百合子さん。

小池委員 おはようございます。自民党、小池百合子でございます。

 来週には東日本の大震災から一年という節目を迎えます。改めまして、被災地の皆様方に心からのお見舞いを申し上げます。また、一日も早い復興がなし遂げられますように、ここは党派を超えまして、真摯な取り組みを続けていくということを申し上げておきたいと思います。

 さて、本日、予算委員会、締めくくり総括を迎えました。先ほど来話がございましたように、予算審議を通じてさまざまな問題点も浮き彫りとなっているわけでございまして、この時間を活用させていただき、幾つか整理をさせていただこうと思います。

 ちなみに、審議時間でございますけれども、この締めくくり総括が無事に終了いたしますと、八十八時間五十分ということになるわけでございます。これまでの最長、これは郵政法案をめぐってのあの国会でございましたけれども、こちらが八十九時間二十分だという記録がございます。

 また、国会での真摯な審議を続けてまいりましたのも、鉢呂筆頭理事を初めとする皆様方もいろいろと御労苦があったことかと思いますし、また私ども野党も審議拒否をすることはございませんでした。そして、中井委員長の、私どもから見ればある意味では強引な委員会運営ではございましたけれども、解任決議を出すこともございませんでした。

 さて、この平成二十四年度の予算審議を通じて、そして終局を迎える運びとなっているわけでございますが、このペースはどうしても暫定予算の編成ということはもはや避けられない、このように思うわけでございます。

 そもそも、第四次補正予算の審議の際に、私、指摘をさせていただきました。ひとえに、会期延長もしないで先国会をさっさと閉じられたということ、それから、今国会の開始もはっきり言って遅かったですよ。極めて遅い。その上に第四次補正予算から始めるということで、これだけ時期がずれ込んだわけでございます。被災地の復興、そして国民生活を考慮したスケジュール感というのがそもそも必要ではなかったか。ましてや、財務省という強い味方がついていながらこの状況は一体何なんだということでございます。

 暫定予算の準備に入られている、このように理解してよろしいんでしょうか、総理。

安住国務大臣 準備はしておりません。ぜひ年度内に成立をするよう、私の方からも、参議院にまたこれは舞台を移しますけれども、誠心誠意、与野党の皆さんに働きかけてお願いをしていきたいと思っております。

野田内閣総理大臣 あくまで年度内の成立を目指してまいりたいというふうに思います。そのための努力を一生懸命やっていきたいというふうに思います。

小池委員 政府としてはそうしか言いようがないんでしょうけれども、しかしながら、御準備をしっかりと進められることをお勧めしておきたいと思います。

 それから、第四次補正予算の審議の際に、私、質問に立たせていただきました。その際に指摘をさせていただいた、また他の委員からも何度か指摘をさせていただいた交付国債の扱いでございます。

 消費増税の先食いをする形、それから将来へのツケ回しをする形で、年金積立金のお財布の中に手を突っ込んだわけですね。私どもはこれは粉飾ではないかということを申し上げてきたわけであります。ましてや、その根拠となる法律の改正ということもまだ霧の中ではないか、このように聞いているところでございます。

 そもそも、交付国債という、ある種の禁じ手とでも申しましょうか、テクニカルなこのやり方、これを当初予算から活用するということについては、不見識である、このように申し上げたく存じます。また、堂々と赤字国債で明示をすべきだということも指摘をさせていただいた。

 そういった点については、中川正春大臣もそういったことを重々理解された上で本音をおっしゃったというふうに思いますが、中川大臣、改めてこのお考えについて伺わせていただきます。組み替えの必要性まで指摘をされたわけですね。改めてお願いします。

中川国務大臣 あのときも申し上げたんですが、私の考え方というよりも、そうした選択肢、いろいろあるということでございますが、私たち政府としては、今の予算、こういう形で御理解をいただいて、消費税も含めて通していただきたい、それが基本的な考え方でございます。

小池委員 さっきから基本的な考え方ばかり伺っているんですが、なかなか現実はそういう簡単な話ではないかと思います。

 また、今回の交付国債を活用するための根拠となります年金法の関連法案でございますけれども、これを今国会中に提出の予定と、きのうこの予算委員会の理事会にもその旨が伝えられたわけですけれども、これはできるんですか。

小宮山国務大臣 年金交付国債の発行に関する法案、国民年金法の改正案は二月十日に出してございまして、その中で、二十四年度の国庫負担割合もきちんと二分の一にするということ、それから交付国債の発行については予算で定める額、そして運用収益相当額として政令で定める額もここに含まれるということなどをこの中に盛り込んでいます。

 ただ、この償還については消費税率の引き上げによって得られる財源ということですので、これは税制改正の法案とあわせて今月中には出したいと思っておりますので、御審議いただくときまでには、両法案そろえて御審議いただけると考えています。

小池委員 あと、消費税の増税に関する法案をこの三月中に提出するということでよろしいんでしょうか、安住大臣。

安住国務大臣 そのとおりでございます。

小池委員 政府というか与党内にはさまざまな反対意見も噴出をしていると聞いているわけでございますが、これが不成立ということになりますと、そもそもの根拠が吹っ飛んでしまうということになるわけですね。そういったまさに絵に描いた餅のような状況でこの平成二十四年度の予算が成り立っているということは極めて不安定ではないかと思うんですが、安住大臣、いかがでしょうか。

安住国務大臣 どこから話していいか、随分この議論は先生とも、またこの国会で一つの大きな論点になりました。

 十六年の改正で二分の一に上げるということは賢明な考え方だったし、ただ、願わくば、そのときに財源の確保をどうするかということも議会の中で決めていればよかったわけですけれども、そうはならなかったわけですね。そういう中で、再三申し上げていますけれども、この三年間、麻生内閣以来、税外収入を含めてやりくりをしてきて、しかし、東日本大震災がありまして、そのやりくりにも限界が来た。そういう中で来年どうするかという話の中で、私どもとしては交付国債を発行してこれを賄っていく。先生は、それを先食いではないかという御指摘でございます。

 ただ、党首討論で、谷垣総裁も我が党の野田総理のお話に対して、ここの部分は消費税が、一%分が相当であるという旨のお話をいただきました。となれば、赤字国債でという御提案を自民党のビジョンの中ではいただいておりますけれども、しかし、それは、方法論としての一つかもしれませんが、確実な恒久財源というよりは、やはり次世代にツケを残してしまうという考えでもあると私は思います。

 ですから、そういう点からいえば、あらかじめ償還財源をしっかりと消費税で担保して、それで法律は、先生御指摘のように二段階になります。しかし、それに対してしっかりと、その二つが通れば年金基金にそういう意味では何か穴があくわけではありませんから、ぜひ予算案と消費税法案、年金法を通していただいて、私は、そういう点では、考え方は谷垣総裁の御指摘のとおりで、私どもとそこは非常に類似しているところは多うございますから、ぜひ御賛同いただければというふうに思っております。

小池委員 先ほど厚労大臣の方から国民年金法のお話が出ましたけれども、今回の一連の社会保障と税の一体改革と言っておられる中で、パートの法案などを含めたこちらの方も成立をしなければ、まさに社会保障と税の一体改革にならないわけですね。ところが、なかなかこの法案が出せないのではないかというふうに伺っているんですが、見通しはいかがでしょうか。

小宮山国務大臣 パートなどの短時間労働者への社会保険の適用拡大につきましては、同じ企業に働いていて正規か非正規かで処遇が違うというのはおかしいですし、やはりこれから超少子高齢社会の中で、労働力としても非正規の皆さんたちもしっかりと処遇をする必要があるということで、今回、これは多様な働き方の保障ということと、貧困・格差対策ということの両方から、社会保障改革の中の一つの大きな柱だと思っております。

 現在の経済情勢などから事業主の皆様の御懸念があることも承知していますから、これは現実の今の状況も踏まえながら、実現可能なレベルから順次進めていくという形で、今、関係者の皆様の御理解がいただけるように全力を尽くしていますので、あわせて法案を、厚生年金法の改正案の中に含めて、消費税などの税制改革の法案と同時に出せるようにしたいというふうに考えています。

小池委員 社会保障と税の一体改革ということでずっと政府・与党の方は進めておられるわけでございます。まさに一体の部分が欠けてしまうと一体ではなくなるわけで、一体これは何なんだという話になってしまうわけでございまして、そのあたりが非常に見通しが暗いといいましょうか、先行きがなかなか見通せないのではないか、私どもはこのように思っているわけでございます。

 ですから、こういった状況を考えてみますと、また、私どもの主張ということもございまして、この審議が終わるときには予算の組み替え動議を出さざるを得ない、このように思っているわけでございます。

 さて、民主党のマニフェストの破綻の問題についても、この予算委員会でも何度も取り上げさせていただきました。幾つかの問題点が出てきたわけでございますけれども、つまり、マニフェストで高らかにうたいながら、実はその後取り消してしまう、それは不可能であるからといって、そして何らかの形で変えてしまうという例は枚挙にいとまがないわけでございます。

 一方で、今もパートの取り扱いをお話しいただいたわけでございますけれども、マニフェストでうたっておられた最低賃金、これは一体どうなったんでしょうか。全国平均で千円を目指すということをおっしゃっていたわけですが、これについては取り下げられたんでしょうか。

 それから、もう一つあわせて伺いますけれども、労働者派遣法で、製造業への派遣を原則禁止というふうに民主党はうたっておられたわけでございますけれども、こちらの方も取り下げたと理解してよろしいんでしょうか。

 以上、二つ伺います。

小宮山国務大臣 最低賃金の千円を目指すということは、千円を目指して今も歩んでいると思っておりますので、取り下げたわけではございません。わずかずつですけれども上げていることによりまして、改善は全国的にされているというふうに考えています。

 それから、派遣法につきましては、昨日、厚生労働委員会で御可決をいただきましたけれども、これは、私ども政府の方の考え方で法案を出しましたが、民主、自民、公明の皆さん方の御努力で、出したものがずっと何国会も審議もされないままで来た中で、私どもが主張しておりました派遣労働者を保護する規定もかなり盛り込まれているということから、私どもは一歩前進だと考えていますので、三党で御同意いただいた御努力にしっかりと感謝をしながら、まず一歩進めるという形でこれをやっていくということだと考えています。

小池委員 都合のいいときには三党合意を出し、そして、都合がというか、ネグりたくなるときはほったらかしにするというのが民主党のこれまでのやり方であったと私たちは思わざるを得ません。

 その三党合意の扱いについても、この予算委員会で何度か取り上げさせていただきました。一番問題になった部分が高校の無償化についての扱いでございました。そして、農業者の戸別補償制度についてもしかりでございます。三党の担当者が真剣に議論を重ねて合意をし、サインをしたというものが、結局、ほったらかしにされていたというのが高校無償化の例でございます。農業の戸別補償につきましては、合意をされていたけれども、結局、何ら予算に反映されることはなかった。一体、三党合意というのは何なんだという思いが私どもにはございます。

 そういった形で三党合意をすぐほごにしてしまうようでは、一体、その担当者の苦労というのは何なんだと。特に、岡田副総理の御発言については、当時は幹事長でサインはしたけれども、後は政府だからみたいな話で、どうもその辺のところがうまく引き継ぎもされていなかったわけでございます。そういった、タイトルが変わることによって後は知らんぷりということは、これはもうぜひともやめていただかなければ、三党間、そしてこの国会の中での信頼が醸成されません。

 これについて、野田総理、今後、こういった点を改めるという決意を聞かせていただきたい。

野田内閣総理大臣 一つは、高校無償化については、これは三党の幹事長間による確認書がございました。それを踏まえて、誠実に対応していきたいというふうに思います。

 それから、農業の戸別所得補償についても、政調会長の間で実務者協議の再開について今調整中と聞いております。そういう議論を踏まえて、誠実に対応していきたいというふうに思います。

小池委員 今も委員から声が飛びましたけれども、球は投げてあるけれども、まだ答えはないというものもございます。どうぞ真摯に、そして私たちが信頼を抱けるような、そういう話し合い、そして、前に一歩一歩進めるとよくおっしゃいますけれども、そのことを確実にやっていかなければならない、こう思っております。

 このマニフェストにしても、三党合意にいたしましても、言うだけ番長では困るわけでございます。言うだけ政党でも困るわけでございます。言うだけ政府でも困るわけでございます。そういった確実な一歩、そして一歩を重ねるということをみんなでやっていかなければ政治不信につながるわけでございますので、野田総理も、そして政府の皆様方も、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、社会保障と税の一体改革、素案の状態であったものから、今度は政府の大綱として閣議決定をされた。その際に、議員定数という、立法府の課題をこの大綱に盛り込んだということも私どもは問題視をさせていただきました。

 モンテスキューの三権分立の考えからいいますと、やはり行政府と立法府、それぞれ役割が違うわけですから、幾ら何でも、この社会保障と税の改革の大綱の中にそれを盛り込んだということは、これは改めるべきだと思います。

 この大綱もずっと記録に残るわけでございまして、今からでも遅くないので、この部分は取り除いた方がいいのではないでしょうか。野田総理、いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 大綱の閣議決定の際に、御指摘のとおり、法案提出など立法府のあり方に深く踏み込んだ表現があることで国会の御議論に御迷惑をおかけしましたことは、さきにも深くおわびをさせていただいたところでございますので、以後、閣議決定についてはより慎重な態度で臨んでいきたいというふうに思っております。

小池委員 ここでおわびをされたとしても、記録は残るということでございます。この政府ではそういうことをやったんだという記録が残ること、これは恥ずかしいというふうにお考えいただいた方が皆さんのためにもよいのではないかと思います。

 さて、今は議員定数の話でございましたが、今度は国家公務員の定数に関して伺わせていただきます。

 六日の行政改革実行本部で、二〇一三年度の国家公務員の新規採用者の数の上限を決めたということで、政権交代前の〇九年度の採用と比較して四割を超える削減だということで、この方針を固めたと報道もされているわけでございます。

 〇九年を基準年度とされたわけでございますが、〇九年度比では四割超の削減とはいえ、前年度、一二年度と比較いたしますと二割超にすぎない。つまり、四割も削減しましたぜ、それも自公時代から比べてこんなに頑張ってますねんということを言わんがためにこの数値を持ってくる。

 温暖化対策でも、九〇年度比かどうかというので、基準年をめぐっていろいろな議論もございますが、これは数字のまやかしじゃないんですか、岡田副総理。

岡田国務大臣 まず、三月六日の行政改革実行本部で私から申し上げたことは、確かに二十一年度を基準年度として今まで議論してきましたが、二十三年度は三七%減、二十四年度は二六%減である、二十五年度の新規採用については、そういったこれまでの抑制を大幅に上回る抑制を行うことを要請したということでございます。

 いろいろな数字が飛び交っておりますが、そういう数字については私は一切申し上げておりません。

小池委員 一切申し上げていない、四割云々ですか。

 では、明確な数値、上限といいますか、その数値については述べられたんじゃないんですか。

岡田国務大臣 今申し上げましたように、これまでの抑制、つまり、二十三年度、二十四年度、四割弱、三割弱でありますが、これまでの抑制を大幅に上回る抑制を行うということを要請したということで、四割とか二割とか、いろいろな数字がメディアに躍っておりますが、そういう数字は一切私は申し上げておりません。

小池委員 改めて伺いますが、では、その比較について、〇九年度を基準年度としたということは、これはおっしゃっているんでしょうか。

岡田国務大臣 これは、従来から、二十三年度のときも二十一年度比、それから二十四年度に行いましたときにも二十一年度比を使っておりますので、同じように二十一年度比を使っただけで、別に政権交代前と比較しようという意図があったわけではございません。

小池委員 では、なぜ、二十一年度ということを基準年、まさに基準として比較してという話だと思いますけれども、そこに的を絞って、前年度比ということについてはおっしゃっていないわけですか。

岡田国務大臣 二十三年度、二十四年度とそれぞれ二十一年度比でやってきておりましたので、それを基準年として、来年度についても同じ基準年度を使ったということで、余り深く考えられる必要はないんじゃないかというふうに思います。

小池委員 〇九年度から比べてということでございますが、やはり一年一年でどれぐらい変わっていくのかということを比較するのは、政府の当然のやり方ではないかと思います。

 ここで改めて、それでは数字について、目標ということについても全然おっしゃっていないんでしょうか。

岡田国務大臣 何度も繰り返しますように、これまでの抑制、つまり、二十三年度、二十四年度、それぞれ四割弱、三割弱でありますが、それを大幅に上回る抑制を行うということでございます。

小池委員 非常に曖昧な話でございますが、人間の数ですから、数字は明確に出てくるわけで、もっと明確にお答えいただかなければ、もしくは、もっと明確にその設定をされなければいけないのではないか、ただ大胆にとか、そういう志の部分だけではだめなのではないか、こう思います。(発言する者あり)そう、一言で言えば、数字のまやかしではないかということを申し上げているわけでございます。

 さて、先日も御紹介いたしましたけれども、「わが党の政策ビジョンと平成二十四年度予算」という、このわずか十一ページの冊子でございますが、お読みいただきましたでしょうか、安住大臣。

安住国務大臣 二回熟読いたしました。

小池委員 総理はいかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 拝見をさせていただいております。

小池委員 私どもの考え方をしっかりとこちらの政策ビジョンと予算への考え方に盛り込ませていただきました。

 円高・デフレ対策、震災復興、国土の強靱化、社会保障制度改革、そして力強い農林水産業の振興などの重要政策を盛り込ませていただいたところでございます。また、私どもの綱領にのっとって、日本人のきずな、地域のきずなを前面に押し出しております。

 さらに、自助自立ということを第一として、そして共助、公助の順に政策を組み合わせるという基本的な考えのもとに政策を積み重ねたということでございまして、改めて、そういった考えを持っている私どもと、どのようにして今後の日本づくりを進めていくのかをお考えいただければと思います。

 また、私どもは、ばらまきということではなくて、やはり、みずから汗を流してみずからで頑張るという人をまずサポートしていくということ。もちろん、共助、公助も当然行うわけでございますけれども、まず頑張る人たちを、もっと頑張ってもらえるような、そんな社会づくりをしなければ、この日本という勤勉な国民の国家というもとが揺らいでしまう、このような危惧を抱くわけでございます。

 さて、昨年の三月十一日から間もなく一年を迎えようといたしております。

 きょうの新聞報道でも、国民の皆さんから赤十字などを通じて寄せられた寄附の総額が五千二百九十億円に上ったということが伝えられております。ボランティアの数も九十三万人である。本当に、国民が、きずなというこの大切さを思い知り、そして一日でも早く復興をという被災地への願いを込めてそれぞれが活動をされたということであり、この日本の国民のきずなのすばらしさに私も心から敬意を表している一人でございます。

 しかしながら、また、残念ながらと言うべきでしょうか、復興については、遅々として進んでいるというか、進んでいないことはないんです、ですけれども、遅いというのが、多くの方々が口にされる感想でございます。

 また、復興庁も設立をされましたが、被災地の県知事が、あれは復興庁ではなくて査定庁ではないか、そのような感想を述べておられる。復興庁が妨げになっては、復興庁をつくった意味がないんですね。日々の査定を厳しくするという財務省、主計の発想を超えて、ここは、一日も早い復興をということを進めていかなければならないのではないか、このように思います。

 その中で、この復興の妨げの最大の問題が災害の廃棄物でございます。

 瓦れきという言葉を使われますと、被災地の方々からすれば、我が家、愛すべき家族とともに過ごした我が家が廃棄物と称されることについても、これはいろいろな、心を痛めておられる方々もたくさんいらっしゃると思います。

 しかしながら、このいわゆる災害廃棄物を処理しない限りはなかなか前へ進めないということも、私は、阪神大震災の中におりまして痛感をしたところでございます。そして、その際に、近隣の自治体が広域処理ということで受けてくれた、このことについても感謝をしているところでございます。

 この瓦れきの処理というのはあくまでもマイナスの作業であって、プラスの段階に持っていくまでのエネルギーというのはなかなか大変なものがあるわけでございます。

 放射線の問題がございますけれども、しかしながら、岩手、宮城などの廃棄物については広域処理をさらに進めていかなければいけないのではないだろうか、そんな思いから、先日、環境大臣を経験した私ども、川口順子先生、鴨下一郎先生、そして私が自民党から、それから斉藤鉄夫先生が公明党から、そしてまた江田五月先生、そして小沢鋭仁さんということで、環境大臣経験者が集まりまして、ここは、我々が行政を担当していたときの知見を活用して、そしてみんなでやろうではないかということから、キャラバン隊も組んでいこうという話などもしているところでございます。

 しかしながら、やはり放射線の問題が、住民の皆さん、受け入れの地域の皆さんからすれば、不安、危惧を抱かれるわけでございます。ここは、説明の仕方も、しっかりとわかりやすく、そして正しく伝えるということが必要になってくるかと思いますけれども、細野環境大臣、百ベクレル以上のものはばらまかないという考え方でよろしいんでしょうか。そしてまた、食品の安全基準とともにちょっと御説明いただければと思います。

細野国務大臣 復興のことを考えますと、この瓦れきの問題が最大の障害になっているというふうに思っておりまして、依然として処理をできている量が限定的であるということについては責任を感じております。また、その中で、小池元大臣を初め先輩方が集まっていただいて、力をかしてくださる、一緒にやってくださるということで、本当に心より感謝を申し上げます。

 瓦れきの広域処理を進めるには、二つポイントがあるというふうに思っておりまして、一つは、被災地の状況というのをできるだけ正確に知っていただくことだというふうに思っております。そして、そのことを伝える一つの責任が私どもにありますので、その広報を、三月十一日、これを一つの重要な時期と捉えまして、今やっております。

 もう一つが、今御指摘をされた安全性の問題です。

 この安全性の問題については、早い段階で、八千ベクレル・パー・キログラム以下の廃棄物であれば安全に処理ができる。周辺に及ぼす影響が〇・〇一ミリシーベルト・パー・イヤーです。ですから、通常ですと空間線量が一・四から一・五ぐらいですから、〇・〇一というのはその範囲に完全に隠れてしまう、そういうレベルですので、問題ないと考えております。

 八千ベクレルというのは、灰にした後に埋めることができる基準でございますので、廃棄物という意味では、二百四十から四百八十のもので、二十倍ということにはなりませんので、そのあたりを上限として設定をすれば問題なく安全に処理できる、そういう考え方で広域処理をお願いしております。

 国としてはこの基準に問題はないというふうには思っておりますが、それぞれ自治体は考え方がございまして、自治体の中には、百ベクレル以下であれば受け入れてくださるというところがあれば、そういったはかり方もした上で廃棄物を被災地から運ぶということもやっております。

 ですので、国としては基準はつくっておりますし、その基準については、これは私ども自信を持って皆さんに御説明をさせていただいておりますが、それぞれの自治体の考え方にもできるだけ沿う形で広域処理を何とかやっていきたいと思っております。

 食品については、厚生労働大臣の方からということでございますので、よろしいでしょうか。

小宮山国務大臣 食品の基準値につきましては、事故後すぐに出しました暫定基準値、今使っているものも、これは国際的に見ても十分に安全なものでございますけれども、現在、放射性物質の量がかなり減ってきているという現実も踏まえまして、さらに安全の上に安心していただきたいということで、四月から新しい基準値を施行したいというふうに思っています。

 これにつきましては、特に赤ちゃん、小さいお子さんですとか、そういう方たちへの心配が本当に全国から寄せられているので、なるべく感受性の高い子供に寄せて考えるということと、それから、若い人たちの方に基準値のベースを今までよりより多く置いて、現実的な中でさらに安全なものということでやらせていただいています。

 パブリックコメントなどでも、今回の方向性を大体御支持いただいていると思っていますので、これからは、しっかりとそこを丁寧にリスクコミュニケーションをして、今のものでも安全だけれども、より安心していただくためにやっていくということなどを、説明をしっかりとしていきたいというふうに考えています。

小池委員 先日の元環境大臣が集まったときもそうなんですけれども、今の、廃棄物の処理についての基準は環境省、そして食品の放射線をどれぐらい含むかということについての基準は厚生労働省。ただ、やはり住民の側から考えますと、これは一つ同じ情報として捉えないと、私は大丈夫なのか、子供は大丈夫なのかといったところで、厚生労働省も環境省も関係ないんですね。パンフレットを見ましても、そういった観点が抜け落ちております。

 そのために復興庁をつくったようなものでありまして、復興ということで、被災地のみに限られているというふうにお考えかもしれませんが、これは、オール・ジャパンでやるためには、国民の目線から見てどうかという情報を発信しなければ、みんな、ただでさえ、セシウムの話であるとか、放射線の場合はいろいろな単位が、それもマイクロから、単位だって違うわけでございますので、もう混乱しているわけです。だから、国民に対してもっと親切に伝えなければ、自治体の受け入れを決める長も、なかなかこれは苦しいということなのではないでしょうか。ぜひとも、そういう観点で進めていかなければ復興は進められないということを改めて申し上げたく存じます。

 さて、一年前の三・一一のその次の日に菅総理が福島へ視察に向かわれた件で、この予算委員会で改めてその件について梶山弘志議員が枝野当時の官房長官に質問もされたわけでございますが、そのときに、内閣総理大臣を守るという観点からは体を張ってでもとめるべきであったと思っておりますが、国民益、国益を守るという観点からは判断が間違っていなかったと思っておりますと。

 だから、総理を守るためにはとめるべきであったけれども、国民益、国益のためには行かせてもいいという判断は正しかった、このように理解してよろしいんでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のとおりでございまして、当然、政治ですので、政治的リスクを常に考慮しながら政治家は活動しているわけです。大震災発生直後から、私自身、ここの局面は、この原発事故や災害対応、これがあらゆる政治的リスクよりも優先すると判断をしておりましたし、恐らく当時の菅総理においてもそうだろうと思っておりましたが、念のため、政治的にはリスクがありますよということはきちっとお伝えをいたしましたが、総理御自身も、そうしたことよりもより優先することがあるんだという御判断でありましたので、このことを優先すべきであるというふうに思いました。

 ただ、あえて、内閣官房長官として総理を政治的に守るという役割も、それには劣後する優先順位の使命ではありますけれども、その使命の観点からはとめるべきであったというふうにも思います。

小池委員 それは、体を張ってでもとめることが菅総理の女房役である官房長官の役目であり、そして、最高の指揮官である総理がその指揮の現場を離れるということに対しての問題を認識して、国益、国民益の観点からも、両方からも体を張ってとめるべきであった、私はこう思いますよ。

 その後の、これから事故調であるとか、それからまたこの国会の場でも、議論といいましょうか、真実を明らかにしていかなければならないと思いますが、また、菅前総理の参考人招致ということもこの理事会でお願いをしている、委員会でお願いをしているところでございます。私は、ですから、その判断は間違っていなかったというその判断が違うのではないかということを改めてここで申し上げておきたいと思います。

 これからも、一年がたってということで、さまざまな検証が行われることでございましょう。

 阪神大震災のときに、もう車両が、みんなにとって一人一人の有事なので、車が混雑して、そして自衛隊の緊急車両も一インチずつしか動かなかったということ。これが、なますを吹くとでも申しましょうか、今回は被災地で燃料が不足してしまった。ガソリンが届かないというようなことがございました。中には、ガソリンスタンドの長蛇の列で待っている間に、ガソリンがもったいないからエンジンをとめて、そこで練炭をたいて、そして亡くなった八十二歳の男性がおられたというようなことがございます。

 阪神大震災のときは与党としておられた枝野さんでしょうけれども、しかしながら、あのときの教訓で、その後さまざまな法律の改正もいたしましたが、そこで、通行証がないとどうのこうのというような話ではなくて、通行証よりも、ガソリンのタンク車というのは形を見ればわかるわけで、高速道路も当時はすいていたんですよ、結果として。どうしてそのことの判断ができなかったのかということを、玄葉大臣もいろいろとそれに括弧つきの御尽力をされたということを伺っておりますけれども、やはりそういった場合の想像力ということも必要ではないか、このように思っております。

 それから、間もなくといいましょうか、法案もこれから審議に入るということでございますけれども、今回、環境省の外局としての原子力規制庁がスタートをするということでもこの予算委員会で議論がございました。客観的な分析、研究等をすることが当然必要であるし、ましてや、これまで保安院が経産省の中にあったということも大きな問題点で、反省しなければなりません。

 一方で、私も環境大臣を務めて地球温暖化対策などを進めている中で、今回、原子力の規制庁が環境省の外局になるというのは、どうもいまだに違和感を感じて仕方がありません。

 それは、予算的にも人数的にも霞が関の中でも一番小さい環境省が、ここでがっとその規模を膨らませるということは、役所の観点からすれば、それはめったにないことではございますけれども、やはり、客観的に三条委員会で持っていくこと、そしてまた、政治家が判断しなければならないと言うけれども、その政治家の問題点であって、むしろ客観的な情報が上がってくるようにする、ノーリターンルールなんて当たり前だ、私はこのように思っていることをお伝えしておきたいと思います。

 さて、消費税の話に隠れてといいましょうか、余り目立っておりませんけれども、地球温暖化対策税のことについて伺わせていただきます。いわゆる環境税というものでございます。

 私、かつて大臣の際には、この環境税を提案した一人といいましょうか、一番先に提案をいたしまして、大変袋だたきに遭った経験がございまして、消費税というもっと大きな税の中で、すっと入っていくということについては、ある種の感慨を抱くものでございますけれども、これはすなわち、負担につながってくるわけでございます。消費税も、まあ増税なわけで、新税という名の増税でございます。

 それで、地球温暖化対策は必要ではございますけれども、一方で、これは企業、個人から見ますと、円高に加えて、消費税の増税、電気料金の値上げということで四重苦になっているわけでございます。そしてまた、太陽光発電などの自然再生エネルギーのフィード・イン・タリフの部分もこれから決まってくるということで、これで五重苦ということになってくるわけであります。

 当初私が提案をいたしました環境税というのは、炭素に税をかける、賦課をかけることによって、ある意味でそれが省エネを促進する、技術開発を促すという意味がある。であるならば、それによって得られた税収を例えば企業の社会保障分の負担軽減に充てるということを、最初の設計のときに私は提案をいたしました。

 これは、欧州などにおける炭素税、環境税、気候変動税などの思想と全く同じでございます。企業活動が、それこそ重税によって不活発になって雇用が減ってしまっては社会全体がうまく進まない、そういったことでございまして、今回はそういう形には残念ながらなっていないわけでございます。

 さて、今回の地球温暖化税でありますが、消費税も二段階によってじわじわと上がっていく、八から一〇へと。この地球温暖化税も、平成二十四年の十月一日、ことしの十月に導入をされて、二十六年、二十八年のそれぞれ四月一日、これもじわじわ上がるんですね。これは、大いに国民の皆さんにも企業にとっても負担になるわけでございます。

 初めて消費税が導入されたときには、電気税を廃止したり、電気料金を下げたりという工夫があったんですけれども、今回この気候変動税を導入するに当たって、また電力を値上げする流れが必然的に出てくると思いますけれども、これに対しての配慮ということについてはどのようにお考えなのでありましょうか。まず環境大臣、そして枝野経産大臣。

細野国務大臣 地球温暖化対策税につきましては、歴代の環境大臣が非常に導入に向けて努力をしてこられました。そういった中でなかなか導入に至らなかったわけでありますけれども、この段階においてさまざまな各会派の御理解もいただいて、ことしの十月から導入ということでかなり実現性が高くなってきておりまして、そういった面で心より感謝を申し上げたいと思います。

 この温暖化対策税でございますけれども、段階を分けているということも、一つは負担の軽減という観点からの配慮ということであります。

 そして、初年度どれぐらい家庭に負担がいくのかというのを計算いたしますと、キロワットアワー当たり〇・一一円という計算になっておりますので、それが最終的にガソリンであるとか軽油であるとか、そういったものを通じて家庭の負担になって、月百円、年間千二百円という、そういう負担になってまいります。

 これは、もちろん今の厳しい家計ということを考えれば御負担ではあるんですけれども、そこは温暖化対策でさまざまな対策をこれからやっていく。失礼しました、今の千二百円というのは最終年度でございます。順番に上げて、今計画されているもので最終段階で千二百円ということでございます。大変失礼いたしました。それを有効に活用することによって地球環境にプラスになるという点で、ぜひ御理解を賜りたいというふうに思っているところでございます。

 一点だけ、環境省に規制庁を置くことについて言われましたので、簡潔に。

 環境省では今除染に取り組んでおりまして、除染をやる中で、放射性物質の拡散というのがいかに環境に悪影響を及ぼすかということを身をもって体験しております。ですので、そういう間違いを絶対に起こさないための厳しい規制を導入するという意味で、環境省はしっかりやり得る組織になっているというふうに思いますので、ぜひとも御理解を賜りたいというふうに思います。

枝野国務大臣 私の所管は電気料金ということになるかというふうに思います。

 電気料金については、最近の燃料の高騰、それから原子力発電所の方が少なくとも従来の計算ではコストが安いことになっていたことと比べて、原子力発電所を使えないという状況の中では、その代替手段を使えばコストが上がって電気料金が上がるという可能性は間違いなくある、これは否定をいたしません。東京電力においては、それに加えて原発事故への対応を含めたさまざまな財務状況の悪化によって、電気料金の自由部門については既に値上げの姿勢を出しておりますし、規制料金についても値上げの申請をするのではないかというふうに言われていることは承知をしております。

 経済産業省といたしましては、こうしたことが国民生活や産業活動にできるだけ影響を及ぼすことのないよう、特に従来の電気料金が、少なくとも東京電力については大変な高コスト構造の中でそれが電気料金に付加されていたという長年にわたる悪弊を、今、原子力損害賠償支援機構を通じて抜本的に見直すべく指示をしているところでございますし、今後、少なくとも規制料金の申請に当たってはさらに厳しく査定をしてまいりまして、その高コスト構造を変えさせることによって抑制させていきたいと思っております。

 さらには、他の電力会社においても類似の構造が見られるであろうということは十分に予想されますので、規制料金はもとより、自由化料金についてもできれば値上げに至らないように、値上げをする場合であってもできるだけ抑えられるようにということは厳しくやってまいりたいと思います。

 それに加えて、やはりコストのかなりの部分が原料代でございます。原料の価格というのは、残念ながらこれも高コスト構造の一つですが、電力会社ごとにばらばらに価格交渉していたのではなかなか競争力がありません。価格の決定制度の中においても、燃料代をいかに低く抑えるかということにインセンティブを与える、そういう制度を導入しようということで今進めておりますが、同時にこれは国家間での交渉というところも非常に大きくございますので、例えば、既に北米におけるシェールガス等の獲得等について、これは、政府、経済産業省としても、できるだけ安い価格で燃料を調達するということについて全力を挙げてまいりたいと考えております。

中井委員長 一言申し上げます。

 役所の皆さん、答弁席までメモを勝手に持ち込むというのはだめですよ。十分事前のレクチャーと、そこへメモを出すのは構わぬが、ここまではだめ。あえて申し上げておきます。

小池委員 今のエネルギーの話については、これはまた日を改めてじっくり伺っていきたいと思います。

 今、日本の状況というのは、まさに空洞化の方向に残念ながら進んでしまっているわけでございまして、私は、何か象徴的だなと思ったのは、野田さんが総理になられた翌日かに、パナソニックが物流本部をシンガポールに移すというのが出たときに、松下政経塾の出身の方が総理になった途端にパナソニックが移すというのは、何とまためぐり合わせだなというふうに思ったわけでございます。

 それと、私、最近のさまざまな動きを見ておりまして、きょうもiPadの新しいのが出るそうでございますけれども、一方で、エルピーダメモリが破綻をしたということ、それから東電の問題がございます。そして、保安院を今度は規制庁にという話。それから、今の松下であるとかシャープであるとか、日本の白物家電が空前の赤字を出しているということを考えたら、かつて城山三郎さんが「官僚たちの夏」で、当時の商工省の活躍……(発言する者あり)当時。もう通産省になっていましたか。その事務次官までされた方ではありますけれども、あのころと経産省の役割そのものがもう変わってきているんじゃないだろうかと思うんですよ。だって、今、日本のクール・ジャパンとかといっているのは、余り経産省のお世話になっていないところ、業界が非常に頑張ったりしている。

 私は、これまで野田さんも私も一緒に目指してきた、政府、行政は余りぐちゃぐちゃと規制で口を出さない、自由な活動をする、ただし、しっかりとチェックするところはチェックをするという話。例の年金基金の話がここでまた絡んでもきますけれども、やはりそういった形をしなければ、日本はこれから自縄自縛に陥って、そして何か、新しいベンチャーを起こそうという人たちも最近気力がないですよ。このままで本当に日本はやっていけるのかということに対しては、例えば経済産業省の役割などをもう一度見直して、そして新たな日本づくりを進めていかなければならない、こうつくづく思っているところでございます。

 ちょっといろいろ伺いたかったんですけれども、少し時間がなくなりましたので、最後、こうやって政権交代が行われる土壌はもうこれでできて、実現ができているわけでございます。そして、実際に野党のときと違って、例えば国際会議、最近は数がどんどんふえてきていますよ。そこに各国は、例えば専用機を使ってびゅんびゅん飛んでくるんですね。はっきり言って、閣僚、総理を含めてですけれども、議会にこれほど縛られている国というのはないことを、もうつくづく今よくわかられたと思うんです。

 これまでは、チャーター代が高いとか、国会を軽視して何だといって反対されてきた皆さんが、今そのことを痛感されているというだけで政権交代の意味がある、私はこのように思っているんです。チャーター機などは、普通に、国民からすれば、もったいない、何だ、あんな政治家だけぜいたくしてと思われるかもしれないけれども、先ほどの国益という観点からは、これは必要経費だとつくづく今思っていらっしゃるんじゃないでしょうか。

 そういう中で、政権交代というのを本当に意味のあるものにしていきましょうよ。さもなければまた、大阪の橋下知事は大人気ですよ、でも、この制度が何も変わらない中で彼ら新しい人が来ても結局同じことになってしまって、さらにはそれが結局大きな政治不信につながってくるということは国家としての不幸である、このように思っております。

 参考の資料として、私の新聞記事など、かつて書かせていただいたのを、今、政府を担う身になって改めてお読みいただければと思います。それも慎重に書きました。そのことを書くことによってまた国会がとめられちゃうからね、当時の皆さんによってとめられる心配があったから、非常に慎重に書いたものであります。

 それで、きょうは議員定数の削減、公務員の削減それから歳費の削減。公務員の削減について、ちょっと岡田副総理に改めて、先ほど公務員削減、新規採用四割の新聞報道を私は取り上げたわけですけれども、この新聞報道、では間違いだったということでよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 四割という数字は私は申し上げておりません。記者の皆さんに何回も言うんですが、なかなか訂正はしていただけないんです。

 私が申し上げたのは、過去二年間、四割弱、三割弱、それを大幅に上回る削減を行うということを申し上げているわけで、具体的な数字は申し上げておりません。私は、あらかじめ数字を申し上げるよりは、きちんと結果でお示しをしたいと考えております。

小池委員 報道の間違いは正された方がいいかと思います。

 また、皆さんのお手元に配らせていただいた「EUの上場企業の女性役員比率」というので、これは日本は一%ということだと思いますが、フィンランド、ラトビア、それでEUでは、女性の取締役の数、例えばノルウェーなどは四割を下回ってはいけない、中には上場の廃止ということまで今EUで起こっていることでございます。これを日本で適用しますと、経団連の企業はみんななくなるということでございます。

 それからまた、女性の議員の比率ということについても、これは韓国が、同じ儒教の影響が強い社会ということで、ずっと日本と韓国とちょぼちょぼだったのが、ここへ来て大変、韓国は女性、ハンナラ党というか、朴槿恵さんであるとか韓明淑さんとか頑張っていますけれども、今、韓国に水をあけられつつあります。クオータ制を導入したということもございます。それから、政党助成金を、より多くの女性議員、候補者を立てた、確保した政党にはより多くの傾斜配分が行くように、そのような工夫もされています。日本は現時点ではただただ政党の自主判断に任せたままで、このていたらくでございます。

 だから、削減、削減、削減も、これも必要な部分はありましょう。しかしながら、そこにある種の国家としてのパラダイムシフトをしていくために何をしなければならないか。企業、そして最近は大学の学長さん、ケンブリッジにしてもハーバードにしても女性学長ですよ。こういったことが普通に行われるような社会に変えていかないと、日本は全く異質な社会になり続けるということでございます。

 また、女性の活用といいましょうか、女性が生き生きと暮らせる社会をつくろう、日本人、国民全体がということを、例えば今回、公述人に小室淑恵さんに来ていただいて、もう委員の皆さんは、はっと息をのんで聞いていらしたと思います。ワーク・ライフ・バランスのことでございます。

 やはり発想を変えなければいけないと思います。そしてまた、ただ削減すればいいというのではなくて、新しい国の形のために各政党が何をすべきかというのをもっと真剣に考えるべきであります。私が女性だからこのことを言っているのではありません。成長戦略で最も即戦力は女性であるということを、この締めくくり総括の最後に私は主張をさせていただきたいと思います。

 野田さんはいかがでございましょうか。最後に決意をお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

中井委員長 トータルで答えてください。(小池委員「女性の部分だけでいいです」と呼ぶ)女性の部分だけでいい。

野田内閣総理大臣 女性の部分については、まさに御指摘のとおり、御意ということでございます。

小池委員 ありがとうございました。

中井委員長 小池議員の御指摘にありましたけれども、当予算委員会におきましては、昨年から、各党各会派の御理解を得て、予算質疑中にかかわりませず、大臣の海外出張については大変御配慮をいただいております。このことに委員長として感謝を申し上げます。

 これにて小池さんの質疑は終了いたしました。

 次に、東順治君。

東(順)委員 おはようございます。公明党の東順治でございます。

 ロシアのプーチン氏が大統領に当選をいたしました。きょうは、最初に、北方領土問題につきまして、総理に現在の御心境みたいなことを伺いたいと思います。

 朝日新聞主筆の若宮氏とプーチン氏とのやりとりの中で、いろいろなことが書かれておりました。

 プーチンさんはもともと柔道家ですよね。だから、柔道の独特の用語を使いながら答えておられましたけれども、最初に、「我々は日本との領土問題を最終的に解決したいと強く思っている。」と、北方領土問題に対する意欲ということを示されたようでございます。そして、「柔道家には大胆な一歩が必要だが、勝つためではなく、負けないためだ。我々は、勝利を手にしなければならないわけではない。必要なのは受け入れ可能な妥協だ。いわば」、ここはわざわざ日本語で言われたそうですが、「「引き分け」のようなものだ。」つまり、今後の北方領土問題について、受け入れ可能な妥協が必要である、こういうふうに言及している。

 ここで若宮氏が、あなたは引き分けとおっしゃるが、引き分けというのは、つまりそれは二島返還という意味なのか、それだけだったら不十分じゃないかと。プーチン氏はもともと、一九五六年、日ソ共同宣言の平和条約後に歯舞、色丹の日本引き渡しをここで決めましたね、これをスタートラインとして領土問題は考えなきゃいけないということが基本的にプーチン氏のキーワードだったというふうに理解しているんですが、そういう意味から、あなたは引き分けと言うけれども、それには二島では不十分じゃないかという若宮氏の問いかけに対して、「では私が大統領になったら、日本の外務省とロシアの外務省を向かい合わせにして、」これまた日本語で言ったそうなんですが、「「始め」の号令をかけよう。」こういうふうにおっしゃった。

 つまり、その意は、二島プラスアルファの意ではないかというふうに私は感じたんですけれども、こういうやりとりを受けて、総理は電話で祝意を伝えられた、こう伺いました。

 総理も柔道家ですよね。たしか柔道二段ですよね。したがって、これから直接やりとりする中に、結構、柔道用語を使いながらのやりとりみたいなのが出てくるんじゃないかと思いますが、実際に、本当に若宮氏の言うように二島ということだけで終わってしまうと、柔道用語じゃありませんが、待てとかあるいは指導というのが入ってくるんじゃなかろうか、こう思います。

 そこで、プーチン氏に対して、総理は、英知ある解決をやっていきたいという言葉を使われたようでございます。この英知ある解決というのは、総理の中に、御自分の中に、果たして今後の北方領土問題の解決への妙案というようなものがあるのか。総理の腹案というのはもう鬼門ですからね、妙案というのがあるのか、あるいは、今はない、単なる願望なのか思いなのか、そこをちょっとお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 朝日新聞とのインタビュー、若宮さんとのインタビュー、私も詳しく拝見させていただきました。プーチン氏の領土問題を解決しようという意欲は非常に強く感じる、そういうコメントが続いています。

 ただし、引き分けの意味、これは恐らく、双方が納得できる結果、一定の結果という意味だとは思うんですが、今、東委員おっしゃった五六年のあの路線でいくならば二島返還です。二島返還というのは、四島のうちの二島だから、半分だからいいという話ではなくて、歯舞、色丹というのは面積でいうと七%です。残り九三%来ないということは、引き分けにはなりません。あのときは、主権のあり方等々、詰めた話になっていません。したがって、それは引き分けではないんですね。

 それ以上のことを考えているのかどうかは、真意としてわかりません、まだわかりません。したがって、この間、三月五日、大統領当選確実というときに祝意の電話をさせていただきました。あくまで祝意の電話ですから詰めた話はしていませんけれども、そういうことを踏まえて、領土問題については英知ある解決をしよう、知恵を出し合っていこう、そういう意味の話をして、実務者においては柔道用語で申し上げました始めということを、もうスタート、声をかけようじゃないかと言ったら、笑ってはいらっしゃいました。

 というところから、まさにこれからスタートだというふうに思います。

東(順)委員 ということは、英知ある解決というのは、これから意欲を持って英知ある解決に臨みたいという思いである、こういうことですね。わかりました。それでは、この北方領土問題はこれで終わります。

 私は、これから、選挙制度改革、今国会で大変大きな焦点の一つとなっております、これについて質疑を申し上げたい。

 質問をする前に、きょうは大変いい機会でございます。全閣僚がおそろいです。それからまた、各党各会派の皆さんもここにおそろいです。あるいはまた、国会テレビを通してやりとりを見ておられる議員の方も大変多いんではなかろうか。そういう意味で、質問に入る前に、私は、十五回に及ぶ先国会、今国会をまたがる各党協議会、これの議論の経過というものをぜひ皆様に知っていただきたいという思いで、あえてこの経過ということを語らせていただきたいと思います。

 お手元に紙があるかと思いますが、この協議会における三つのテーマ、一つが一票の格差、二つ目が定数削減問題、そして三つ目が、民意を削減しなくて済んで、かつ定数削減をしていく、民意削減に至らない定数削減のための制度改正、この三つが主なるテーマとして協議がなされてまいりました。

 一票の格差問題については、大変残念ながら、二月二十五日に勧告期限を越してしまったんですけれども、これについては、各党とも、与党、野党を問わず、当然のことながら二月二十五日という期限は守らなきゃいけない、そして一票の格差というものは二倍以内にしっかり抑え込まなきゃいけない、これはもう共通した各党の意識でございます。これに対して反対する政党なんというのは一つもございません。

 二番目の定数削減ですけれども、これも、いろいろな党がこれまでの選挙で選挙公約として掲げてまいりました。そしてまた、今ここに至って、国民の声に大変強いものがございます、削減をしろと。これらを含めて、これは全党とは申し上げませんが、ほとんどの党が、やはり定数削減すべし、我が党もそういうスタンスでございます、こういうことなんです。

 問題は、この三番目なんですね。定数削減はすべしだが、定数削減することによってかえって民意というものの削減ということになってしまうと、これは悲劇になるじゃないか、何のための定数削減かということにもなる。主に中小政党に寄せられている民意、つまり、比例というものを舞台に当選をしてきている中小政党に寄せられた民意というものが削減された形での定数削減ということになってくると、これは大変な話になる。つまり、民主主義に逆行することになっちゃう、民主政治に逆行することになる。私が今ここにこうやって立って発言できているのも、まさに汗と涙の、我が党に寄せてくださった方たちの民意の結晶によって今ここに立っておられるわけで、そういう方たちが、中小政党、たくさんいらっしゃるわけです。この民意を削減するということになってしまうと大変な問題になってくるということが、実は大議論になっているわけでございます。

 それを時系列的に言いますと、昨年、この改革協議会が始まって最初に、いわば二段階論というものが一つの段取り案という形で、座長である民主党さんから提案されました。これはまさに、もう二月二十五日という期限が迫ってきているんだから、先に一票の格差だけきちんと決着をつけて、そしてその後に、追って、この定数削減の問題とそれからまた選挙制度そのものの改正、つまり、定数削減をすることによって民意を削減しなくて済むような制度設計、選挙制度の改正、これをやろうという、いわば二段階論の提案がございました。

 これはもう本当に昨年、大議論になりまして、議論の焦点はまさに私がさっき申し上げたところです。つまり、民意の削減につながるということを置き去りにして一票の格差だけをやるということになってくると、これは大きな大きな問題になっちゃうということで大議論になって、年を越して、そして再びこの協議会が開催をされました。

 この大議論を受けて、実は、民主党の座長さんから、これまでの二段階論、段取り論、この提案が撤回されたんです。そして新しい提案が出てきたんです。その提案とは何かといったら、今申し上げました一票の格差、定数削減、民意削減に至らない定数削減のための制度改正、この三つを同時決着しましょうという新提案になったんですね。しかも期限を決めて、二月二十五日までに同時決着をしましょう。私は、なかなか思い切った提案だ、よし、これはいいということで了といたしました。それで、同時決着を目指して、二十五日まで精力的に、またこの協議会の議論が始まりました。

 しかし、なかなかここは折り合いがつかない。なぜ折り合いがつかないか。それは、御党民主党さんが、過去の国政選挙、衆参一回ずつ、マニフェストで比例から八十定数削減ということを高々とうたっておられる。それ自体は私は大きな問題にする気はないんですが、そういう、比例から削減ということだけをうたって、それによって中小政党に寄せられる民意というのが同時に削減をされるというところをうたっていないものですから、そこをどうするか、そこをどう制度設計し直すかということをうたっておられないものですから、それでいつも大議論になってきたわけですね。

 結果的に、制度設計をしないまま、比例からのみ削減をして、そして一票の格差問題に決着をつけようじゃないか、二月二十五日に間に合うように、総理に対する勧告が間に合うように何とかやろうじゃないかということで、主に民主党さんがそう主張される。

 しかし、それは、とてもではないけれども、中小政党にとってみればもちろん不安で仕方がないわけですね。その二つだけがどんと解決しちゃって、制度設計というのが後に残されちゃったらば、これはもう民意の削減ということに一気にいっちゃうわけですから、これは当然のごとく大変な不安になり、冗談じゃありませんよと。しかも座長は、同時決着ということを提案して、それでずっと進んできたじゃないですかということになったんですね。

 一票の格差を先行すべしとおっしゃっている自民党さんも、実は、単なる比例からの定数削減とだけはおっしゃっていないんです。やはり、中小政党に被害が及ばない、民意の削減にならないような制度改正あるいは制度設計をやるべし、自民党さんもこうおっしゃっているんですよ。

 そこを明確に、制度設計をやり直すべきだ。抜本改正という言葉が使われたり、制度改正という言葉が使われたり、いろいろしているんですけれども、そこを明言しないのは、大変申しわけないけれども、民主党という政党一党なんですよ。ところが、選挙制度というのは全党、全会派、全議員に及ぶことですから、第一党がよしとかオーケーとかノーとかいう、そういう次元の話ではないんです。

 したがいまして、ここでぐっととどまっちゃって、大変きつい言い方になるかもしれませんけれども、比例からのみ削減とだけおっしゃっている民主党さんのその姿勢というものが実は足かせになって、そして一票の格差というところにいかない、定数削減ということもなかなか本当の議論が始まらない、こういう状態に今なっているわけでございます。

 私たちは、当然のごとく、国会が違法状態になっているなんというのはもう耐えられないんだよ。これは当たり前ですよ、国会議員として。だから、違法状態から何としても脱出したい、そして、違憲、違反、違法、こう言われることも何としても脱出したい、こういう思いでずっと進んでいるんですけれども、残念ながらその一点が足かせになっている。

 ということで、昨日、第十五回目の選挙制度協議会となって、昨日は、御報告が上がっているかもしれませんけれども、やはり民主党さん、そこをもう一回真剣に議論してほしい、外から見ていても熱が伝わってくるような議論をしてほしい、そしてもう一回改めて各党の主張を確認してほしい、そしてその上で座長から新々提案というものを持ってきてほしいと。そうしないと、もういつまでもいつまでも進まない。

 きょうのどこかの新聞で、小田原評定なんて書かれていましたよ。いつまでもいつまでも結果の出ない選挙制度協議会、小田原評定。心外ですよ、本当に。一生懸命、真剣に議論を重ねているんだ、僕らは。一日も早く違法状態を脱したい思いでやっているわけですから、そういうステップ、プロセスを踏んで十五回の協議会が行われてきたということをぜひ皆様に御認識をいただきたいというふうに思う次第でございます。

 長々となりましたけれども、経過についての説明をさせていただきました。

 そこで、質疑に入らせていただきます。

 最初に、民主党さんが掲げておられます比例定数八十削減ということでございますが、岡田副総理にまず伺いたいんですが、よく、マニフェストの中間検証をずっとやってきたということをいろいろな場でおっしゃいますね。この比例定数八十削減についての中間検証というのは行われたんでしょうか。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、昨年の夏にマニフェストの中間検証を行いました。ただ、私の記憶では、政治改革のおっしゃる部分については特に触れていなかったというふうに思います。

 もう一つだけ申し上げれば、年末に社会保障・税一体改革の素案をまとめました。そこでは、衆議院議席の八十削減というふうに書かれております。

東(順)委員 つまり、マニフェストの中間検証をやってきたけれども、この比例定数八十削減についてはやられなかった。ここで検証していれば、多分、これは中小政党に対する民意を削減することになりかねないからという結論が出たかもしれませんね。そこをやっておられないから、これを掲げたままになっている。それが足かせになって協議会の議論がなかなか進まない、私はそのように思います。

 そこで総理、私の先ほどの報告を聞いていただいて、そして、実はこの制度改正というところ、制度設計というところだけきちっと合意できれば、一気に一票の格差問題も解決をしていく、そして、あわせて定数削減というものをどのぐらいやるかという議論に一気に入っていく、こういうふうに思うんですけれども、総理はいかがお考えですか。

野田内閣総理大臣 先ほど来の東委員の、これまでの与野党協議の真摯な、真剣な協議の経過については、改めて理解を深めることができました。大変ありがとうございました。

 その上で、民意を削減しない制度改正、その理念、考え方としては、それはそのとおりだと思うんですが、問題は、それぞれの政党にいろいろお立場があって、まだ開きがあるんだろうと思います。

 その妙案が見つかれば一挙にパッケージで解決というお話でございますが、何としてもこれは成案を得るべく、小田原評定なんという表現は本当に困ったものだと思いますが、真剣に議論をしているわけですので、一方で、余りその議論の結果が出てこないと、どうしても、立法府は何をやっているんだという批判になります。

 ましてや、二月二十五日に、違憲と同時に違法になったわけでございます。急がなければいけないということもそのとおりなので、何としても、さっき領土問題で英知という言葉を使いましたが、まさに英知を持って各党で協議をしながら成案を得るように強く期待をしたいと思いますし、党内の議論でも、私どもが何か一つにこだわっているというお話がありましたが、比例の削減は、これはマニフェストに書いてあります。大綱にも書きました。一方で、一票の格差のために小選挙区を削ることは今まで何も言っていなかったんですが、ゼロ増五減については、理解を示すお話をさせていただきました。

 自説をずっと押し通して潰そうという気はありませんので、そこは御理解をいただきたいというふうに思います。

東(順)委員 英知を結集してということでございますが、大変申しわけないんですが、定数削減で民意を削減しなくて済むその英知、その制度の設計、これをやろうと言っているのは、民主党さん以外の全政党なんです。むしろ、その英知を民主党さんに今望んでいるわけで、それで、新しい提案をぜひ持ってきてほしいということでございます。

 今の制度というのは、衆議院小選挙区比例代表並立制ですね。ということは、小選挙区の方で民意を集約して、比例の方で民意を反映させよう、このバランスをしっかりとっていこうじゃないか、こういうことなんですけれども、そこから出発した選挙制度なんですけれども、残念ながら、比例と小選挙区、なかなかバランスがとれていない、アンバランスとなっている。

 それは、よく出てきますけれども、小選挙区の方で第一党となった政党の得票率が四〇%台にかかわらず、議席獲得率は七〇%、過去二回の衆議院選挙はそうだったというような話がなされたり、本当に補正効果というものが比例からなされているんだろうか。残念ながら、やはりアンバランスの方がちょっと強いな、だから、もう少し補正効果を強くしなきゃいけない。

 つまり、比例の方に反映される民意の幅を少し広げた方が、政治のバランスとしては、小選挙区と比例のバランスとしてはもう少しいいバランスになるのではないかということで、私たちは連用制というものを提案させていただいているんですけれども、ここで時間をとってそれを説明するつもりは毛頭ございません。それはまた場を改めたいと思います。

 小選挙区の方に民意が集約されている、つまり、二大政党が覇を競い政権を争うということで民意が集約されているとは言っているんですが、果たしてそうなんでしょうか。つまり、民意がどんどん離れていっている、この深刻な状況というのを何とかしなきゃいけないんじゃなかろうかと私は思います。

 例えば、この三月の三日、四日ですか、毎日新聞社の世論調査で、民主党さんの支持率というのは、前回の一七パーから一四パーに低下しています。同時に、自民党さんも、一六パーから一三パーに低下している。伸び悩んでいる。日本の政治の第一党、第二党、民主党さん、自民党さん、この二つを合わせても二七%ですよ。そして、支持政党なしが、実に前回の四八%から五四%に広がっている。

 つまり、これは、本当に二大政党に民意が集約されているというよりも、民意がどんどん離れていっちゃっている。非常に私は深刻な事態と思います。その上で、定数削減だけをやって、中小政党に寄せられている民意をさらに削っていくというような結果になってしまえば、これはますます日本の政治は大変深刻な状況になってしまう、こういうふうに思うんですね。

 そこで、先ほども岡田副総理、触れられました、この素案決定のときの税制抜本改革の中で、定数削減というくだりがありますね。ここで、「定数削減なくして増税なし」、こううたっている。「消費税引き上げまでに、」「衆議院議員定数を八十削減する法案等を早期に国会に提出し、成立を図る。」つまり、消費税引き上げの前に定数削減を図るということをうたっています。

 それから、先ほどの小池委員の質問の中にも出ておりましたけれども、社会保障・税一体改革大綱の閣議決定、ここでも同じようなことがうたわれている。つまり、「議員定数削減や公務員総人件費削減など自ら身を切る改革を実施した上で、税制抜本改革による消費税引上げを実施すべきである。」

 あくまでも消費税を引き上げる前に定数削減をするんだ、こういうふうにうたっているんですけれども、これは総理、今、間違いないお気持ちなんですか。

野田内閣総理大臣 ちょっと今の御質問の前のところの、私どもの民主党と自民党の政党支持率の話がございました。

 私は、民主党、自民党だけではなくて、この国会にかかわっている、中小の政党も含めて、既成の政党全てに対する支持が離れていく可能性があると思っているんです。それは、何かを決められない政治です、今の政治改革も含めて。

 だから、私は、今の民意の話は、まさにこういう問題を解決することによって国民の信頼を得ることができると思いますので、もちろん大きな政党も責任がありますが、中小政党も含めて、やはり立法府として英知を出していくことを国民は求めているということをまず申し上げたいというふうに思うんです。

 その上で、消費税引き上げ前の実施というのは、今私どもが提起をさせていただいている社会保障と税の一体改革というのは、二〇一四年の四月に八%、まず上げさせていただくということです。その前に、今メニューとして私どもが掲げている、政治改革や行政改革を実施するということの考え方のもとで整理をさせていただいております。

 その上で、今御議論いただいている選挙制度改革の問題、定数是正、一票の格差を含めて、そこまで延ばす話では決してないと思います、幾ら何でも。今いろいろ御批判をいただいておりますけれども、やはり早急に英知を出して、成案を得て、そして実現していくテーマだと思いますので、私は、それは十分に議論をして、その工程の中で対応できるものというふうに思っております。

東(順)委員 前段の政党支持率の話は、言わずもがなですけれども、我が党の支持率というのはほとんど変わりません。あるいはぐっと上がってきたりもします。だから、ここで問題にしているのは、日本の政権を預かっている第一党、その政権を争っている第二党、ここから離れているということが私の趣旨なんですよ。つまり、民意の集約がもう壊れ始めているじゃないかということで言ったのであって、そういうことでございますので、その御認識をしっかりしておいていただきたい。

 総理に伺いたいんですけれども、では、これまでのやりとりの中で、同時決着、一票の格差と制度改正と定数削減やるべし、もう御党以外はみんなそう思っておられる。御党から出しておられる座長さんも、樽床さんなんですけれども、やはり同時決着すべし、こういう趣旨でこの協議会を進めています。

 そこで、総理、一票の格差だけをまず先にやって、それから制度設計だ、定数削減だということではなくて、やはり善は急げですから、同時決着の方が、もちろん定数削減を含めて全てが一気に進んでいくわけですから、いいと思われませんか。いかがですか。

野田内閣総理大臣 今、政党間の協議会の場でも同時決着を目指しているということでございますから、私は、やはりその動きは尊重しなければいけないと思います。

 でも、それは、なるべく早くというか、早急に本当に結論を出さなきゃいけないと思うんですが、逆に言うと、でも選挙制度というのは、本当にそれぞれのお立場、いろいろあると思います。私どもだけがそれに対して批判的、抵抗しているような感じで今御指摘がございますけれども、それは必ずしもそうではないんじゃないでしょうか。英知があればそれは賛同できる話なんですが、まだそこまでの妙案はないということではないんでしょうか。

東(順)委員 ところが、必ずしもそうなんですよ、本当に。それはよく報告を受けてほしい。きのうなんかはまさにそうなんですよ。

 だから、総理、それぞれの政党はそれぞれ違うから、いろいろな考え方はありますよ、ありますけれども、中小政党の民意を削減したり圧縮するような結果になっちゃいけないというのは、ここはもうコンセンサスになっているんです。そこで、英知を結集しようと。

 総理は非常に深みのある方ですから、やはりこういう案がいいんじゃないかなという、腹案とは言いません、妙案、何か心の中にございますか。どうですか。こんな案がいいんじゃないかと。例えば、御党の座長さんの私案の中で、連用制という言葉にも触れていますよ、一部連用という言葉で。やはり御党も一生懸命考えておられるんですよ。

 総理、いかがですか。何かいい案はございませんか。

野田内閣総理大臣 いや、私一人の頭の体操でうかつに申し上げる話ではなくて、本当に全党挙げた議論の中で英知をつくり出していきたいと思いますが、その中で、特に交渉当事者になるのは座長でありますから、彼を通じて私どもの知恵というものが反映できるようにしていきたいというふうに思っております。

 連用制ももちろん、よく研究させていただきたいというふうに思います。

東(順)委員 連用制ももちろん、その選択肢の一つでという意味のことをおっしゃいました。これは非常に、大変重たい言葉だと思います。

 それでは最後に、この連用制について、あろうことか、憲法違反の疑いありなんというような一部の声があるんですよ。これはとんでもないことで、憲法第四十七条で、第四章「国会」というところで、「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」要するに、選挙制度とかその他一切は国会の裁量なんだよ、こう明確にうたっているにもかかわらず、憲法違反だなんという声が一部にあるんです。これは断固打ち消しておきたいと僕は思いまして、法令解釈担当でもあります枝野経産大臣に所感を伺いたいと思います。

中井委員長 時間が来ているから、短くやってください。

枝野国務大臣 まず前提として、選挙制度については、議会政治の根幹にかかわる問題でありますので、各党会派において御議論いただくべき事項でありますし、それについての憲法解釈についても、一義的には議会において御検討いただくべきことと思っておりますが、あえて議会の側からお尋ねでございますので、まさに議会においては幅広の裁量権が含まれておりますので、もちろん、制度の組み方にもよりますが、一般論として、連用制だから憲法違反になるというふうな立場には立っておりません。

東(順)委員 ありがとうございました。これで終わります。

中井委員長 これにて東君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 沖縄の普天間飛行場の辺野古移設業務について質問いたします。

 去る二月二十八日の当委員会で、私は、辺野古の米軍新基地建設に伴う環境影響評価書の作成業務の九割以上を防衛省OBの天下り企業が受注している問題を取り上げて、徹底調査と資料提出を求めました。これに対して、中井委員長からも強く言っていただきまして、三月六日の理事会に防衛省から資料が提出されました。全体は精査中でありますが、一点だけ確認をしておきます。

 防衛省は、今回、提出資料の中で、沖縄防衛局が、公表しなければならないことになっている入札の参加表明書を提出した業者名、選定の有無や理由等を記載した結果書を閲覧に供していないということを認めました。

 田中防衛大臣、理事会の場で徳地経理装備局長は申しわけなかったということを述べましたが、ただ謝って済む話ではないと思います。なぜ規則にあるのに閲覧に供していなかったのか、そのことを公表する責任者と定められている真部沖縄防衛局長に理由を確かめたのか。そして、規則どおり直ちに改めて、今、閲覧に供しているんでしょうか。いかがですか。

田中国務大臣 閲覧に供するべき文書を閲覧に供していなかったことは大変遺憾なことであり、適切な公表がなされるよう、規則遵守の徹底について指示したところでございます。また、防衛省においてコンプライアンスを担当する監察本部において、各地方防衛局に対しさらなる遵守の徹底を図らせるよう指示をいたしたところでございまして、沖縄防衛局の局長につきましては、本省の局長から厳重に注意をいたしたところでございますし、また、再発防止をするということで指導をしたところでございます。

笠井委員 なぜ、公表しなかったという理由は何ですか。

田中国務大臣 沖縄防衛局から聞きましたところによりますと、規則の理解不足のため報告をしておらなかったということでございまして、その認識については、もっと厳格にその内容を実施するというように指示をしたところでございます。

笠井委員 およそ防衛省・自衛隊がみずから決めた規則どおり仕事をしていない、これほど怖いことはないと思うんですよ。

 前回の質問に対して、防衛省は、アセスに関する事業の発注は三十四件、八十六億円であることを答えましたが、それを含めて、二〇〇六年のロードマップに基づく普天間飛行場移設に関する業務は、全体で何件、幾ら発注されてきたか。そのうち、民主党政権にかわった二〇〇九年九月以降、何件、幾ら発注をされてきたか。それぞれ件数と金額を、端的に数字だけお答えください。

渡辺副大臣 お答えいたします。

 二〇〇六年のロードマップの発表以降、普天間飛行場の移設に関連する業務及び工事については百八十九件契約をしておりまして、その当初契約額の総額はおよそ二百十二億円でございます。また、そのうち、二〇〇九年九月の民主党政権の発足以降においては三十六件契約をしておりまして、当初契約額の総額はおよそ三十二億円でございます。

笠井委員 ここに、防衛省から提出された百八十九件の一覧表と入札・契約状況調書というのがあります。

 お配りした資料は、そのうち、民主党政権下で発注された業務を一覧にしたものでありますが、今ありました三十六件中、環境影響評価業務は十件ということで、それ以外の業務、黄色の部分にしましたが、二十六件、その中には管理棟新設土木工事、工場新設土木工事、隊舎新設土木工事まで含まれております。本格的に進めている。

 田中大臣、もう辺野古移設を前提にして、陸上部の建設事業は着々と進めているんじゃないですか。普天間飛行場移設に関する業務というふうにはっきり防衛省の資料も書いてあります。

 アセス以外の業務を実施している理由は何でしょうか。

田中国務大臣 現在、日米再編の検討をいたしておるところでございまして、その準備の状況の中で、今、そういう意味では、安全対策あるいは環境対策も必要な地域につきまして工事を進めておるというふうに聞いておるところでございます。

笠井委員 安全対策とか環境対策じゃないんですよ。管理棟をつくったり、工場をつくったり、隊舎をつくっているんですから。陸上工事も普天間飛行場移設に関する業務としてやっているわけですよね。辺野古に代替飛行場をつくることができなければ、こんなことをどんどん進めたって、結局、意味がないわけですから、後で。ごまかしちゃだめだと思うんですよ。

 総理は上空から視察されて確認できなかったかもしれませんが、私は外務委員会の視察で実際にシュワブの中でも見てきました。進めている。

 二〇一〇年二月二十六日の当予算委員会で、私がこの問題を取り上げたときに、当時の北澤防衛大臣は、キャンプ・シュワブの内陸部における用地の造成や建設工事は、進んでいることは間違いありませんと認めました。同時に、現在進んでいる工事は、前政権で契約しまして、我々の政権になってから契約したものはないと言っていたんです。鳩山総理も当時、契約に至っていないものは全くやっておりませんと答弁しておりました。

 ところが、その五月に辺野古移設を認めて、その秋から、移設に関する陸上部の業務も新たに民主党政権として始めたということではないか。

 これは総理に伺いたいんですが、先日、沖縄にいらっしゃって、辺野古への新基地建設を唯一有効な方法だと、あたかもこれから沖縄県民の理解、納得を得て進めるようなことをおっしゃいましたけれども、実際には、辺野古移設を前提にして、粛々とこうやって既成事実をどんどんつくっている。来年度予算でも予算をつけているわけです。こんなやり方が許されるか。総理が誠心誠意と言われるんだったら、まず、そこのところで、沖縄が、いいですよと万が一言ったとして、それからやるのが当たり前で、今進めているのはとめる、これは当然じゃないですか。

野田内閣総理大臣 先般、沖縄をお訪ねした際には、今進めている日米協議における私どもの基本的な姿勢を御説明させていただきました。従来のいわゆる辺野古への移転と在沖海兵隊のグアム移転、そして嘉手納以南の土地の返還ということを、パッケージではなく切り離して、抑止力を維持しながら沖縄の負担軽減を具体的に進めていくという御説明をした際に、普天間からの移転先については、辺野古が唯一有効な方法であるということの認識をお示しさせていただきました。

 基本的には、この姿勢は変わらず、これからも丁寧な説明に努めていきたいというふうに思いますけれども、先ほど御指摘のあった、いわゆる縦覧をしなかった等々、反省すべき点はあるというふうに思います。これについては、先ほど防衛大臣が説明されたとおり、いわゆる担当職員の認識不足もあったと思いますが、改善措置をとったと思います。

 今進めている工事の詳細については、ちょっと私はわかりませんけれども、防衛大臣からきちっと説明できるものだと承知をしております。

笠井委員 万が一にも沖縄県民は認めないんですけれども、その認めないところでどんどん進めることは、本当にとんでもないと思うんです。沖縄県民の怒りに油を注ぐだけだと思います。

 私、それだけではないんですね。これらの発注業務の入札状況を見ると、これまた実に不可解な状況があります。

 例えば、キャンプ・シュワブに新たな隊舎や厚生施設などを建設するに伴って、沖縄防衛局が昨年八月八日に入札を行った建築補備設計業務というのがあります。この資料でちょうど真ん中辺にございます。防衛省が提出した資料によれば、当日、一般競争入札によって、その一からその三まで三つの業務の入札が行われて、これらの入札には、国建、協和設計事務所、泉創建エンジニアリングの三社が参加をし、それぞれの業務を受注していますが、これらの入札には、参加企業の間に不可解な法則があることがわかりました。

 国建が落札した際の入札調書というのがここにございますが、これを見ますと、そのときの入札で二番目に低い金額で入札していた協和設計事務所が二つ目の入札を落札する、この二つ目の業務の入札で同じく二番目に低い金額で入札していた泉創建エンジニアリングが残りの業務を落札するといったように、入札に参加した三社で三つの業務を順繰りに回して、見事にすみ分けて受注している実態がございます。

 防衛大臣、こういう実態はおかしいというふうに思われませんか。

田中国務大臣 先ほどの御質問にちょっと追加いたしますと、先ほどの工事は、いわゆるキャンプ・シュワブの陸上部門の工事でございまして、現在、日米の合意のもとに行われている工事でございますので、つけ加えさせていただきます。

 また、受注の内容につきましては、今精査をいたしておるところでありますし、前回御指定のありました資料を提供させていただきましたが、さらに詳細については、今、確認中でございます。

笠井委員 日米合意のもとに陸上部を進めていると言われましたが、沖縄とは合意していないんです。沖縄は合意していないんです。それをどんどん進めているんですからね。

 今の入札状況をめぐる不可解な状況ですが、調べてもらいたいと思うんです。別々に実施された入札で、しかも一般競争入札で、このように参加した企業が順序立てて、順繰りに受注することなど、これはもう典型的な話なんですね。これこそ、談合によって企業間であらかじめ落札者をすみ分けていない限り、あり得ない状況が起こっているわけです。

 しかも、泉創建エンジニアリングが落札した際の入札では、計二回の入札が行われておりますが、いずれも一番低い金額で入札した企業が泉創建エンジニアリングということで、二回やっても変わらない、つまり、一位不動になっているわけです。それどころか、二位、三位の企業まで順位が不動であります。こんな偶然が一体どこにあるのか。これらの入札の発注した側の支出負担行為担当官、責任者は、これまた真部防衛局長であります。

 さらに、この三社について調べてみたら、例えば、国建には、二〇〇六年の施設庁談合事件に直接関与して、施設庁設備課長だった当時、三日間の停職処分を受けた九州防衛局調達部長が顧問として天下るなど、全ての企業に防衛省OBが再就職しているという共通点まであります。

 防衛大臣、ちょっと私、これはあきれちゃうんですね。前回、質疑の中でもただした問題がありました、アセスで。今度また、陸上部でもこんな形で談合が典型的にある。そして、そこに処分された防衛庁の職員まで天下って、そしてやっている。本当に、もうあきれて物が言えないぐらいなんですが、今言っていますが、徹底的に調査して、この結果を公表すべきだと思いますが、どうですか、大臣。

田中国務大臣 入札には、一般入札もございますが、プロポーザル方式の入札もございます。

 その中にありまして、業者の方々が受託をするわけでありますけれども、やはり適性というものがございますし、価格の問題もございますので、一般競争入札、そしてまたこのプロポーザル入札というのは、その業務に適性があるという形のものが選定をされてくるわけでありますので、徐々にそれが絞られてきて最終的に一社になるわけでありまして、そういう面では、一つは、価格が適正なものになる、あるいは業務が遂行できる業者の選定ということの過程を経ているわけでありますので、適正に行われておるということを申し上げたいと思います。

 それから、再就職の問題でありますけれども、これは、その立場にいたときには業務の問題からいわゆる対応がされたわけでありますが、一事不再理でございまして、そしてまた、再就職をすることにつきましては、本人の努力によって、そしてこれから新たな仕事についておられるわけでありますので、決して不適切ではない。これはしっかり仕事をされておるということで聞いておりますが、そのような疑念がありましたら、私は確認をすることはやぶさかではないと思っております。

笠井委員 これだけ具体的に問題を指摘しているのに、調べるとはっきり言わないんですよ。まず守ることから言って、大体、一事不再理だとか、それから適切にやれているとか、とんでもない話ですよ、大臣。まず調べてから言わなきゃだめじゃないですか。

 適正にやられていると言われますけれども、沖縄防衛局の入札監視委員会及び本省の公正入札調査会議、私、議事概要を見ました。この発注案件、全く審議されていませんよ、されていないんですよ。何でそれで適正なんて言えるんですか。まず調べると言わなきゃおかしいでしょうが。なぜ、天下りOB、処分された人を守るんですか。

田中国務大臣 法令に従って適正に処理をしておるということでありますが、先生の御指摘がございましたので、前回、資料を提出させていただきましたけれども、さらなるお話がございましたら、私の方で努力をしていきたいと思いますし、確認をし、また、当然、調べることも進めていきたいと思います。

中井委員長 防衛大臣、調べて、委員長のところへ報告書を出してください。理事会で諮りますから。

田中国務大臣 はい、わかりました。

笠井委員 私、本当にこんな態度ではだめですよ。沖縄県民がまさに、納得どころか、ますます大変なことになりますよ。

 総理、これは防衛省だけじゃないんです。辺野古移設を前提にした先行整備を進めるばかりか、既に利権あさりまで先行実施されている疑いを私は指摘したんです。海上部のアセスも、陸上部の業務も疑惑だらけ。しかも国建は、つい三月三日から、辺野古移設推進ということでアメリカ政府に対して社長が要請に行った國場組の関連企業なんです。いろいろな問題が出ているんです。

 これでは、辺野古というのはもうけのための唯一の有効な方法ということになっちゃうんですよ。これほど沖縄県民、国民を愚弄した話はない。防衛大臣がはっきり言わないので、委員長が言っていただきましたけれども、総理、政府としても、きちっと疑いのある問題については調査して結果を公表する、こういうことは最低限やっていただきたいと思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 普天間移設の問題についての基本方針はさっき申し上げたとおりです。

 すなわち、そのためにも、沖縄の皆様の御理解を得るために、疑念を晴らすための努力を最大限していかなければいけませんし、今の委員長の御差配のとおりに従うべきだと思います。

笠井委員 沖縄県民からノーを突きつけられて、しかも既に利権まみれになっている新基地建設業務をやめて、私は、普天間基地は無条件撤去だ、このことを申し上げて、質問を終わります。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 九分ですので、端的にお願いいたします。

 復興交付金についてお伺いいたします。

 地方自治体の使い勝手のいい、そして復興に資するための交付金として出されたこのスキームですが、実はいろいろな問題がございます。地方自治体側からも、宮城県の知事などにもいろいろお声が上がっているところでありますが、私がきょう取り上げたいのは、一体、この復興交付金においては原発による災害はきちんと対象に含まれるのか否かでございます。

 お手元にございます資料を見ていただきますとわかりますように、例えば二本松市は、実は百億余りを申請いたしましたが、結果は三千万円で終わっております。例えば申請内容ですが、浪江町の皆さんが被災されて二本松市に住んでいる、そのための住宅をつくりたい、あるいは、外に出られない子供たちが屋内プールや体育館で遊びたい、そうした費用が一切ここには認められませんでした。

 この傾向は、実は、浜通りという比較的津波のひどいところに比べて、中通り、福島も伊達も二本松も郡山もそうですが、申請すらできないところ、あるいは申請されても査定の厳しいところなど、一つの目立った傾向がございます。

 平野復興担当大臣、明言していただきたいが、原発による被災、それは建物が破壊されただけではありません。避難された方、遊べない子供たちのための施策でもあるんだということをこの場で大臣が明言されないと、現場のやりとりが非常に混乱しております。いかがでしょう。

平野(達)国務大臣 まず、復興交付金は、基本的に地震、津波の被災を受けた地域を想定してつくられているということであります。

 津波等々では、例えば、海岸堤防が壊れる、下水道が壊れる、道路が壊れる、こういった公共施設の壊れた場合には災害復旧事業という制度がございます。ところが、町並みが全部流されてしまったとき家を移転するという場合には、もとにあったところにつくるということではありませんから、ここには災害復旧事業というのは適用できません。災害復旧事業が適用できませんから、さまざまな事業を集合してやるというのが復興交付金事業です。

 先ほどの二本松市は、建物は壊れておりません。建物が壊れておらなくて、プールがある程度放射能で汚染されているから新しいプールをつくっていただきたい、こういう申し出でした。これが妥当かどうかについては、今別途いろいろ検討しておりますけれども、少なくともこの復興交付金という制度で対応するというのは望ましくないというふうに私は思っています。

 この旨については二本松市にはそのように伝えておりまして、では、どのように対処するか。これは多分、求償対象経費になってくると思いますから、別途いろいろな形で検討することが必要だと思います。

 なお、そういった施設がどうかということも含めて、今検討中だということでございます。

阿部委員 そういう形でやるから、三重苦に苦しむ福島が最もこの交付金が使えなくなるわけですよ。総理、果たしてそれでいいわけですか。建物が激しく壊れなくても、降った放射能によって町は壊れているんですよ。見た目に壊れていない分だけ、心も、そして将来も壊れているんですよ。

 この復興交付金が今、平野さんがおっしゃったようでは、QアンドAの中には原発災害にも使えますと書いてあるんですよ。それから、最終的にはこれを決めるのは総理なんですね。この復興交付金のいろいろなスキームの中で、内閣総理大臣は、必要性、効率性、事業実施の確実性及び進捗状況を勘案するものとするとして、あなたの責任なんですね。

 私は、今の平野さんの答弁は到底納得できない。福島県の人にそれを言ってごらんなさい。そんなことで、本当に厳しいですよ、皆さん。でも、一番おくれているじゃないですか、何につけ。総理、これで本当にいいんですか。考え直してください。いかがですか。もう私は時間がないので、総理にお願いします。

野田内閣総理大臣 ちょっと私、通告がなかったんですが、今のやりとりを聞きながら、平野大臣がもっとちゃんと説明できる部分があると思いますので、担当大臣によくお聞きいただきたいというふうに思います。

阿部委員 それが総理の冷たさなんですよ。国民があなたに求めるものは、この災害から本当に手を差し伸べて、戻りたいというだけなんですよ。そういう政権では到底国民の支持はないものと思いますから、よくよく考え直して、今の平野さんの答弁とQアンドAと突き合わせて、そして被災地の声を聞いて、やっていただきたい。

 二問目、細野大臣に伺います。

 瓦れき処理の問題で、皆さんお取り上げでありますが、確かに、被災地を助けたいという思いは他の都道府県にもあります。でも、そこに暮らす住民の不安があります。何をなさねばならないか。二つあると思います。

 大臣は、既に環境基本法と循環基本法の改正を厳命されております。しかし、それに付随する大気汚染防止法、土壌汚染防止法あるいは水質汚濁防止法など、付随する体系、すなわち、燃やせばガスが出る、排水が出る、河川も既に汚染されておる、こういう中で暮らす国民にとって、大臣がきちんとそういう関連する法も放射能というものを含んで改正していくという明確な意思をここでお出しにならないと、いや、燃やしたって低いんです、何だって大丈夫ですと言うだけでは処理は進みません。いかがでしょう。

細野国務大臣 環境省が、原子力に関する、さらには放射性物質の問題に対してもしっかり向き合っていく必要があるというふうに考えております。そうした考え方に基づいて、環境基本法さらには循環基本法については改正の法案を既に閣議決定させていただいております。

 その上で、そのほか個別法も十数本、確かに環境省が抱えておる、これに放射性物質が除かれているという問題がございます。これも改正に向けて準備を進めたいと思ってはおります。

 ただ、現段階には除染の特措法があって、そこで放射性物質の取り扱いについて書かれておりまして、個別法を改正するとなると、自治体のさまざまなこれからの対応についても準備をする必要がありますので、その特措法の見直しとあわせてやってまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 それじゃ遅いというのが私の指摘で、だって、よそに持ち出そうとしているんですから、特措法が福島の八千ベクレル以上のものを主なる対象としているということで、関連する法律を待たずに改正すべきだという私の指摘であります。

 ここをちゃんとやらないと、幾ら持ち出すの何のといったって、住民が安心しないんですよ。政治はまず安心をメッセージすることです。

 最後に枝野大臣に伺いますが、きのうの質疑で、最後、私とのやりとりが中途になりました。

 再稼働問題で、実は二次ストレステストをやらないでいくわけです。隣接する炉の問題は、二次ストレステスト、あるいはそれ以上のものがあるということがこの間、指摘されております。

 では、福島事故の何に学んだんですか。大飯原発だって、きのうも言いました、三百メートルの中に四つも並んでいるじゃないですか。隣接事故が起きたらどう防災するんですか。そのことを明確にしないで再稼働なんかできないじゃないですか。いかがですか。

枝野国務大臣 ストレステストの一次評価においても、大飯原発のように複数の号機を持っている発電所の場合には、今回の教訓に学びまして、全ての号機が同時に同程度の被災をする、その場合を前提に評価しているところでございます。

 ちなみに、一次評価によって、原発、今回の福島と同様な地震や津波があった場合でも過酷事故に至らないという安全性をしっかりと確認する、それが再稼働の前提条件であるというふうに考えております。

 一方、二次評価は、これまでの安全神話が、いろいろな意味で安全を確認すればこれで大丈夫だということの上で安全神話に乗っかっていたという教訓を踏まえて、安全が確認をされた原子炉であっても、どこに弱点があるのかということをしっかりと見きわめて、その弱点をしっかりと補っていく、さらに強化をしていくという観点から行うものでありまして、全く別次元のものでございます。

阿部委員 残念ながら、枝野さんのおっしゃったような一次評価、ストレステストはなっておりません。これはまた引き続いてやらせていただきます。

 終わります。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 まず、総理にお伺いをいたしたいと思います。

 予算審議と並行して、福島復興再生特措法の審議が復興特別委員会で行われております。福島の復興再生、大変重要なことだと思います。しかし、だからといって、私は、除染をするから帰還をしなさいということを住民に強いることはできない、こういうふうに思っております。

 そして、残念なことではありますけれども、今や、帰らない、また帰れないという人がふえている、これもまた現実かというふうに思います。一月末に帰還宣言をした川内村では、二十代では、帰らないという人が七二%に上っていると言われています。また、毎日新聞のアンケート、これは百二十九人中百二人が福島県の避難者でありますが、そのうち六三%が、故郷を離れて定住を考えている、こういうふうに答えておられます。

 こうした方々にもきちんと新天地で生活を立て直す選択の自由が与えられなければならない、こういうふうに思いますけれども、総理の御見解をまずお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 除染をするから帰還を強いるということは、現実にそういうことはあり得ないと思います。

 除染をするということは、ふるさとに帰りたいと思っていらっしゃる方のその思いを実現するための一つの条件でありますが、そのほかにも、雇用の問題であるとかインフラの問題とか、帰るためにはいろいろな問題があります。そういうものをしっかりと被災地の皆さんの声を聞きながら対応していきながら、帰れる条件をどんどんアップしていくというのが政府の姿勢であって、強いるということもありませんし、戻るか戻らないかは当然その皆さんの選択肢はあるというふうに思います。

柿澤委員 そんな中で、年間二十ミリシーベルト未満の地域を避難指示解除準備区域として、除染をしながら帰還を目指していく、こういう判断がなされました。昨年十二月の低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループの結論を踏まえたもので、これを受けて細野大臣も、二十ミリシーベルトで人が住めるようになる、こういうふうに語っておられる。

 しかし、これがいかに高い数値かおわかりなんでしょうか。チェルノブイリを経験したウクライナ、年間五ミリシーベルトで移住義務区域とされています。日本の二十ミリシーベルトは、それに比べると線量基準が四倍いわば甘い。さらに、一ミリシーベルト以上を移住権利区域としており、避難先に定住して生活再建できる権利を明確化しています。

 除染による帰還ありきのように見えるこの我が国の対応は、このような移住の権利の視点を欠いているように思われます。今回の福島第一原発事故に関しても、今のような帰還を前提にした、いわば宙ぶらりんな、月ごとの賠償金の支払いを続けるような対応ではなく、一定の放射線量を基準として移住の権利を明確化して、定住先での生活再建への十分な支援措置を国として講じるべきだというふうに考えます。

 この点、総理の御見解をお伺いします。

野田内閣総理大臣 その二十ミリシーベルトの位置づけでありますけれども、これは、原子力安全委員会がICRPとかIAEAにおける考え方も踏まえて昨年八月四日に示した緊急防護措置の解除に関する考え方において、解除日以降年間二十ミリシーベルト以下となることが確実であることを避難指示の解除をするための必須の要件であるとしているわけであります。さらに、内閣官房に設置された、国内外の有識者から成る低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループにおいて、年間二十ミリシーベルト以下については、他の発がん要因によるリスクと比較して十分低いものであることの評価が得られております。

 こうした考え方を踏まえて、昨年十二月二十六日の原災本部において、年間二十ミリシーベルト以下となることが確実な地域は、住民の帰還に向けて準備を進める区域としているということで、その位置づけをまず御理解いただいた上で、政府としては、ICRPが示す、合理性を踏まえつつ被曝線量をできる限り低くしていくとの考え方に沿って放射線防護対策を講じており、放射線モニタリングや、年間一ミリシーベルトを長期的な目標としている除染など、国民の皆様の安全、安心を確保するための取り組みを引き続き全力で進めていきたいというふうに考えております。

柿澤委員 今の政府の対応がどういう現実をもたらしているのかということについて、十分な御理解をいただけていないように思います。

 次に、AIJ投資顧問の年金消失事件に関連してお伺いします。

 旧社保庁OBがAIJへの運用委託の水先案内人になっていたこと、しかも、運用委託していた七十四の厚生年金基金の三分の二に旧社保庁OBらが天下りしていたといいます。旧社保庁、厚生労働省の天下りネットワークがAIJへの年金マネーの運用委託を誘導して、年金消失の被害を拡大したとも言える図式が明らかになりつつあります。

 同業種の中小企業が集まってつくる総合型の厚生年金基金に天下りが特に多いということが知られております。AIJに運用委託した年金基金二千億円の消失により、こうした中小企業が代行部分の穴埋めを求められる。中小零細企業が巨額の追加負担を求められ、連鎖倒産も危惧されている状況であります。

 私は、旧社保庁、厚生労働省の責任は免れないと思います。にもかかわらず、きのうの厚生労働委員会でお尋ねしたところ、小宮山大臣は、あくまで中小企業に御負担をいただく、繰り返し答弁をされました。本当にそれでいいと思いますか。

 年金のプロだという旧社保庁OBを受け入れて任せたら、いつの間にか年金は消失してしまって、その穴埋めも自分たちでやってください、それで経営が苦しくなっても知りません、総理として、それを厚生年金基金の加入中小企業に言えるんですか。お尋ねを申し上げます。

安住国務大臣 AIJの問題は、ゆゆしき問題だとは思います。

 ただ、厚生年金基金の、一般論ですけれども、御主張の点というのは、まず、企業側にメリットがあることと、解散する場合に、必要があれば企業側に負担を求めることを前提に、これは企業側が設立をした仕組みでありますよね。ですから、厚生年金基金の財務が悪化したからといって、国民の広く血税で集めていただいた税金を投入する対応というのはおよそ考えがたいものだというふうに私どもは認識しています。

柿澤委員 厚生労働省は、この天下りの問題も含めて、調査チームをつくって今調査を進めている。つまりは、この問題に関して、厚生労働省及び旧社保庁がどのようなかかわりを持ってきたかということについて問題意識を感じておられる、そういうふうに受けとめてきたわけですけれども、しかし、この問題について、責任を感じてこの解決に向けて踏み込んだ措置をとる、こういう対応は残念ながら期待はできないんだ、こういうことが、きのう、きょうの御答弁で明らかになったように思います。

 極めて残念だと思いますが、時間も来ておりますので、質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。

中井委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 次に、中後淳君。

中後委員 新党きづなの中後淳でございます。

 長い時間をかけて審議を進められてきた平成二十四年度予算、きょうが締めくくり質疑、そして私が最後の質問者ということで、甚だ役不足かなと若干思いますけれども、そう言われないように、時間を与えられたことに心から感謝を申し上げて、質問したいと思います。

 野田総理、何度も何度も聞かれてもううんざりしているかもしれませんけれども、最後にちょっと改めて伺いたいんですが、総選挙前の街頭で訴えられていたお話。マニフェストに書いてあることは命がけで実行する、書いてないことはやらないんです、それがルールです、また、シロアリ退治をして、天下り法人をなくして、天下りをなくす、そこから始めなければ消費税を引き上げる話はおかしいんですと訴えられておりました。

 当時、野田総理は、今任期中に消費税の増税について、法案提出まで含めて、腹案でも構わないので、考えられていたのか、いなかったのか。また、いたとすれば、なぜそれを訴えなかったのか。いなかったとすれば、いつ考えが変わったのかということについて、確認をさせていただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 マニフェストに消費税については書いていないんですが、今、私が街頭で言った話でしょうか、含めて、基本的な考え方はやはりそういうことでした。

 多くの人の共通理解としては、消費税は任期中には引き上げない、政権担当期間中、任期中には引き上げない。上げるとすれば、その前に国民の信を問うということが共通認識だったと思います。言い方はそれぞれいろいろあったかもしれませんが、その共通認識で臨んできたことは間違いないというふうに思います。

 その上ででありますけれども、やはり大きな税収不足、九兆円も発生したりとか、一方で社会保障は毎年一兆円自然増であるとか、社会保障の不安定感に対する国民のまさに信頼性が欠如してきていること、それを持続可能なものにしなければいけない状況は待ったなしになってきている状況、財政においても待ったなしになってきている状況。私ども実際に予算を組んで、先ほど来御議論ありましたけれども、基礎年金の国庫負担を二分の一に上げるために埋蔵金等の臨時財源を充てるということも、復興という大きな事業ができたことによって、それも難しくなってきたこと等々あわせて、マニフェストには明記はしていませんでしたけれども、途中から党内では議論がずっと始まりました。

 そういうことを踏まえて、国民の皆様に丁寧に御説明をしながら、御理解をしていただくように努力していかなければいけないと考えるようになったということであります。

中後委員 そうすると、政権交代後、総理は財務副大臣、財務大臣と歴任されてきたわけですが、その過程の中で、いろいろな状況の変化もありました、震災もありました、そういう中で考え方が変わったということで、確認させていただいてよろしいんですか。

野田内閣総理大臣 変わったというか、認識を深めたということであります。

中後委員 認識を深めたというと、その前から考えていたけれども深めたという話になると思います。

 そうでなくて、その後、総理が政権交代後にいろいろと考え方が変わった中で、今訴えられていることを訴えられているのかということについて質問したんですけれども、もう一度お願いします。

野田内閣総理大臣 いずれの日にか税制の改革をやらなければいけない、日本の財政状況を考えれば、歳出改革もやらなければいけないし、成長の道にお金をまさに振り向けて成長路線もとらなければいけないけれども、あわせて歳入の改革は避けて通れないということは、これは私も民主党のときの次の内閣の財務大臣でありましたから、そのことは念頭に置いておりましたので、その考え方はずっと持っております。

 したがって、そのスピードを、むしろ前倒しで歳出改革はやらざるを得なくなったという意味で、変わったのではなくて認識を深めたと申し上げている次第であります。

中後委員 おっしゃっていることもわからなくはないんですけれども、総選挙で訴えてきたこととの整合性という意味で、本当に今のようなプロセスでいいのかということについてはしっかりと考えていかなきゃいけないなというふうに思っております。

 どう見ても、財務副大臣、財務大臣任期期間中に考え方を変えてきたというふうに見られると思いますから、ある意味、財務省にのみ込まれてしまったというふうに皆さん見ていると思います。ドジョウ内閣だと言われていますけれども、本当に大きなサギに食われてしまったんじゃないかなというような認識を私は今しているところです。ぜひ、その官僚主導というところから抜け出すためにも、もう一度原点に返っていただきたいなというふうに思います。

 質問の時間も限られておりますので、今回の予算、三月中に成立しない可能性も出てきました。するかもしれませんが、しない可能性も大きくあるという状況にあります。暫定予算を組まなければいけない可能性もある。

 また、本予算と一緒に審議されて成立を期さなければならない特例公債法案も先送りになるようであります。昨年同様、ある意味空手形の予算という形で、これからそれに向けて、それを改善するため、解決するために、またこの予算委員会等で審議が別の機会にあるんだと思いますが、与党・民主党の代表として、この状況についての所感を伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 予算についてはあくまで年度内成立を目指して全力を尽くしていく、そのための御説明をしっかり参議院の方でもやっていきたいというふうに思います。

 それから、特例公債については、残念ながら、今般の野党の幹部の皆様の、例えば「日曜討論」とかの発言等々、会見の発言を聞くと、御賛同いただく状況の中ではないということでございますので、一旦衆議院で一つの結論を出したら、参議院で態度が変わるということはよほどのことがない限りあり得ないわけですので、より御理解をいただくための努力を引き続きしていきたいというふうに思っています。

中後委員 いずれにしても、毎年毎年、予算が三月中に、年度内に成立するかどうかということは大きな問題になっていると思っております。これは今に始まったことではないと思うんですが、何が言いたいかといいますと、これは国会のスケジュールの都合であって、私は、自治体の現場にいる中で、国の予算がなかなか決まらないところで、ある意味、暫定的に地方は、国会の予算がこの形で決まるだろうということを想定しながら、三月中に各自治体の中で予算の成立をさせていくわけです。

 暫定予算になるにしても、特例公債法案の取り上げにしても、実際に迷惑を受けるのは自治体であったり国民であるというふうに思うわけです。本来であれば、国の予算の骨格が決まったものを受けて、それをもとに地方で予算を組み上げていくということをしないと、地方の方も、きめ細かな政策だとか精度の高い予算というのはなかなか組みにくい状況があるなというふうに私は思っておりました。

 本来でいうと、二月中に予算、三月中に関連法案等を成立させて、四月から国も全国の都道府県も市町村も、予算をしっかりと、確定した予算で進められるような環境整備というか改善というのが必要かなというふうに思っているわけですが、その点について所感を伺いたいと思います。

安住国務大臣 予算を新年度から円滑に執行すべきだということは、おっしゃるとおりだと思いますね。

 地方も、三月で県議会等々が行われて、今、中後さんお話しのように、確定をしない場合は、これは見込みとしてやるわけですね。ですから、我々としても、これは戦後の長い歴史もあるんですけれども、今回は第四次補正予算等の編成もありました。予算が、きょう衆議院を、このまま順調にいけば上がりますので、先ほど総理もお話ありましたように、何とか年度内の成立に向けて、あす以降、参議院の方で、私どもも真摯にこのお願いをしながら、成立に向けてこれまで以上に努力をしていきたいというふうに思っております。

 結果的に、地方自治体並びに国民の皆さんに御迷惑がかからないように努力をしていきたいと思っております。

中後委員 私が指摘したいのは、今のこのプロセスそのものをもう少し見直しをしないと、いろいろな混乱状況のときに、本当に現場で、人も物もお金も動かしている現場が混乱をするという状況を回避できないのではないかということなんです。

 その点についてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

安住国務大臣 与野党で、これからまたそういうルールについても十分議論していただければと思います。

中後委員 今のこのプロセスの延長線上だと本質的な意味での改善はなかなか難しい、もっと踏み込んだ国会改革等も必要だということをお話しさせていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて中後君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十四年度予算三案に対する質疑は全て終局いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 ただいままでに、自由民主党・無所属の会石破茂君外二名から、また日本共産党笠井亮君から、またみんなの党柿澤未途君から、それぞれ、平成二十四年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、各動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。橘慶一郎君。

    ―――――――――――――

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算及び平成二十四年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

橘(慶)委員 自由民主党・無所属の会を代表して、平成二十四年度予算に対する編成替え動議について、その提案理由を説明させていただきます。

 自民党は、平成二十四年度予算に関して「わが党の政策ビジョンと平成二十四年度予算」を民主党、予算委員会の理事会に提出いたしましたが、残念ながら御理解をいただけないことから、編成替え動議の提出に至りました。

 まず、政府案の問題点を三点申し述べます。

 第一に、平成二十四年度予算が、当初予算の総額を抑えるために、平成二十三年度の四次補正予算へのつけかえや、二・六兆円分の交付国債など、将来へのツケ回しをした、いわば粉飾予算である点であります。

 第二に、マニフェスト破綻の予算である点であります。消費税の増税は民主党の財源論が破綻したことの証左であり、後期高齢者医療制度の廃止や国家公務員総人件費の二割削減等は先送りになっております。

 第三に、三党合意に違反した予算であるという点であります。高速道路無料化は予算計上されていませんが、子ども手当、高校授業料無償化、農業者戸別所得補償制度については、三党合意がほごにされております。公党間の信頼の基本となる約束は誠意を持って守るよう、民主党に強く求めるものであります。

 これら三つの問題点に加え、震災からの本格復興と今後の万全な防災対策、円高、デフレからの脱却、安定した社会保障制度の構築といった重点課題への対応が極めて不十分であります。

 そこで、政府案の問題点を踏まえ、我が党の組み替え案の概要を申し述べます。

 我が党は、特に、デフレからの脱却と日本経済の再生、経営改善を促す農業政策への転換、事前防災の考え方に立った国土強靱化、自助を基本とする安定した社会保障制度の構築、国益にかなう外交、防衛などの政策分野について、重点的に取り組むべきだと考えております。

 以下、各分野について申し述べます。

 政府案には、円高、デフレの是正や成長戦略を具体的に進める予算項目が見受けられません。また、農業においては、ばらまき色の強い戸別所得補償制度を、農業生産者を支える政策、農業地域を元気にする政策、農業用地を確保する政策を基本としたものに組み替えます。

 地方の活性化策として、地域自主戦略交付金を取りやめ、より政策効果の高い地域経済対策特別交付金、地域雇用創出緊急交付金を創設し、使い勝手のよい制度に改めます。

 国土強靱化のために、コンクリートから人へとのキャッチフレーズは撤回し、国民の生命と財産を守る、真に必要な事前防災、減災事業を中心に、予算を八・三兆円にふやすこととしております。

 安定した社会保障制度の構築へ向け、年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げることは不可欠でありますが、その財源は、正直に赤字国債で対応すべきと考えます。

 また、子ども手当については、名称を児童のための手当に変更するとともに、九百六十万円以上の所得の世帯への月額五千円支給を取りやめることで、約四百億円を節約いたします。

 生活保護については、手当より仕事を基本に、不正受給への厳正な対処と同時に、就労促進、現物支給の活用、医療扶助の適正化などの対応によって、八千億円程度を減額すべきであると考えます。

 高校授業料無償化については、所得制限を設けることによって二千億円の財源を確保した上で、低所得者への給付型奨学金の創設や、公立、私立間の格差の是正を早急に行うべきであります。

 国益を守る観点から、大使館体制と人員の強化など外交基盤の整備を強力に推進します。また、国防の観点から、防衛大綱、中期防を新たに策定し直します。さらに、我が国においても、サイバーテロへの対応を含め、サイバーセキュリティーの対策強化を早急に進めます。

 その一方で、行財政改革を徹底し、経費を削減します。国、地方公務員の人件費を削減し、国費ベースで一兆五千億円のスリム化を行います。同時に、無駄遣いの撲滅に向け、不断の努力を行い、個々の政策をゼロベースで総点検することにより、合計で約五千億円程度を削減します。

 以上、我が党が考える組み替えによる予算の総額でありますが、国庫負担引き上げ分二・六兆円を差し引けば八十九・二兆円であり、予算の追加重点配分を含めても、政府予算案の総額の九十・三兆円よりも一・一兆円減額した予算となります。

 我が党は、この国難のときこそ、国民に対して正直に真実を語り、日本の新しい将来像を明確に示しつつ、厳しい政策も覚悟を持って示していくべきであると考えます。

 委員各位の御賛同を心よりお願い申し上げ、趣旨の説明といたします。(拍手)

中井委員長 次に、笠井亮君。

    ―――――――――――――

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算及び平成二十四年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一二年度予算三案につき政府がこれを撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案理由及び概要について御説明いたします。

 まず、撤回、編成替えを求める理由についてであります。

 野田内閣は、消費税大増税と社会保障の連続削減という一体改悪を強引に進めようとしています。日本共産党は、暮らしも経済も財政も破壊する消費税増税に強く反対するとともに、社会保障充実、財政危機打開の提言を発表し、消費税増税に頼らずに、社会保障の財源を確保し、財政危機を打開する道を提案しています。この方向への改革こそ断行すべきであります。

 日本経済は長期にわたり低迷、後退に陥ったままです。ところが、野田内閣は、旧態とした大企業中心の成長戦略にしがみつき、TPP参加という危険な道に踏み出そうとさえしています。この路線を転換し、閉塞状況からの打開を図らなければなりません。そのために、二百六十兆円もの大企業の内部留保を賃金など国民の所得をふやすために還流させることを初めとして、内需主導の経済政策へとかじ取りを切りかえることが必要です。

 東日本大震災から間もなく一年がたとうとしています。被災地の復興は遅々として進んでいません。被災者の生活となりわいの再建に力を注ぎ、復興への展望を本格的に切り開かなければなりません。また、東京電力福島原発事故の被害から国民の暮らしと健康を守ることはますます切実な課題となっていますが、収束宣言を出した政府や東京電力の対応に多くの国民、被害者から不信と憤りの声が上がっています。東電と政府に除染、賠償などで責任ある対応をとらせることが求められています。あわせて、原発からの撤退を決断し、原発に頼らないエネルギー政策への転換を進めなければなりません。

 以上の立場から、予算案は直ちに撤回して、抜本的に組み替えることを求めるものであります。

 次に、編成替えの概要について述べます。

 第一は、消費税増税計画を撤回することであります。消費税増税を前提とした交付国債の発行など到底容認できません。社会保障の財源は、歳出を見直し浪費を一掃すること、また、富裕層や大企業を優遇する不公平税制を是正することで生み出すことです。

 第二は、大きく崩された社会保障の再生に踏み出すことです。小泉内閣による構造改革と、それを丸ごと引き継ごうとしている民主党政権によって、医療、年金、介護、障害者福祉、失業者対策、生活保護などあらゆる分野で連続的な削減が行われてきました。その修復と社会保障の再生に向けた対策を講じます。

 第三は、国民の所得をふやし、内需主導の経済政策に転換することです。人間らしい労働のルールの確立、本格的な中小企業振興策の実施、食料自給率の向上と農林漁業の再生、総合的な子育て支援と教育条件の整備などを進めます。TPPへの参加はすべきではありません。

 第四は、東日本大震災からの復興、生活となりわいの再建を本格的に進めることです。事業再開の意思のある全ての事業者を対象とした二重ローン対策、雇用対策、農林水産業の振興、住まいの再建、被災地の医療、福祉、教育の再生などに取り組みます。

 第五は、東電福島原発事故から国民の暮らしと健康を守るため、除染と全面賠償に総力を挙げることです。今回の重大事故は、原発に依存する危険性をまざまざと示しました。原発からの撤退を政治決断し、再稼働計画は中止します。自然エネルギーの急速な普及に取り組みます。

 以上、編成替えの概要を御説明いたしました。詳細は、お手元に配付した動議を御参照願います。

 委員各位の御賛同をお願いし、趣旨の説明といたします。

中井委員長 次に、柿澤未途君。

    ―――――――――――――

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算及び平成二十四年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柿澤委員 みんなの党を代表して、ただいま議題となりました政府提案の平成二十四年度予算を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。

 平成二十四年度予算は、民主党政権となって三年目の予算でありますが、民主党が二〇〇九年のマニフェストで掲げていた予算の組み替えによる財源捻出や特別会計のゼロベースでの見直し、独立行政法人の全廃を含めた抜本的な見直し、天下りの根絶、国家公務員の総人件費の二割削減といった改革は実現せず、子どものための手当、農家の戸別所得補償、高校無償化といった理念なきばらまき政策は続けられています。加えて、平成二十四年度予算では、二〇〇九年マニフェストで中止と明言した八ツ場ダムの建設の継続が決まっています。

 その結果が、一般会計総額が九十兆円を超える予算であり、その財源の四九%を公債に依存するという破綻寸前の財政の姿であります。しかも、平成二十四年度予算では、東日本大震災からの復旧復興経費三・八兆円を一般会計から切り離し、特別会計に計上しています。また、基礎年金国庫負担割合二分の一を維持するために必要な経費二・六兆円については、交付国債という手法を使い、歳出予算から消すという操作を行っています。つまりは、平成二十四年度予算は、実質的に九十六兆円を超えるところまで肥大化した予算であります。

 この財政の肥大化を放置する一方で、野田政権は消費税増税に突き進んでおります。社会保障と税の一体改革という美名のもと、その改革の中身を詰めず、無駄遣いは放置し、ばらまきを続けたまま、増税を行おうとしております。長期のデフレからいまだ脱却できない日本経済にとって、消費税増税は大打撃となります。野田政権の増税路線の行き着く先は、デフレの一層の深刻化と税収の低迷による財政のさらなる悪化であります。みんなの党は、増税の前にやるべきことがあると考えます。デフレから脱却し、名目四%成長の実現と、議員や公務員の身を切る改革の断行を最優先にすべきであります。

 大阪維新の会の動きでわかるとおり、改革は地方から始まっております。権限、財源、人間を地方に移譲し、地方から動き始めた改革の流れを後押しすることこそが、今やるべきことであります。中央集権で霞が関、永田町ばかりが肥大化する予算では、日本の停滞状況を打破することはできません。政府は直ちに我が党のアジェンダに従い、予算案を改めるべきであります。

 編成替えを求める理由は次のとおりです。

 第一の理由は、増税の前に行うべき身を切る改革が全く不十分なことです。国民に負担を求める前に、まずは国会議員や官僚が身を切り、議員特権の見直しや人件費の大胆な削減を行うべきであります。

 第二の理由は、歳出削減努力及び財源捻出努力がなされておらず、ばらまきが温存され、財政の肥大化が放置されていることであります。平成二十四年度予算編成では、予算配分見直しのために日本再生重点化措置が設けられましたが、その規模は一兆円程度にすぎず、小手先の見直しにすぎません。みんなの党は、各種の交付金、補助金、負担金、委託費、庁費を一律二〇%削減し、これまでの予算構造を大胆に見直すべきであると考えます。また、特別会計の埋蔵金の徹底した掘り起こし、政府保有株式の売却など、財源捻出努力を徹底すべきです。これにより、国債発行額を大幅に抑制することができるのです。

 第三の理由は、中央集権型予算から地域主権型予算への転換が必要なことであります。衰退する地方に元気を取り戻すためには、国民に身近な地域が政治の主体となり、地域住民のために政治を行うことが不可欠であります。それには、脱官僚、地域主権を実現し、官僚統制経済と中央集権体制から脱却しなければなりません。民主党の国のひもつき補助金の一括交付金化では、中央による地方への統制が残ります。みんなの党は、権限、財源、人間の三ゲンを徹底的に地方に移譲し、地方の真の独立を獲得する必要があると考えます。

 次に、編成替えの概要について説明いたします。

 まず、ばらまきや無駄の削減であります。

 子どものための手当、農家の戸別所得補償、高校の無償化等の廃止等により二・二兆円を削減いたします。さらに、人件費、補助費、委託費、庁費の見直しにより五・六兆円を削減いたします。経済危機対応・地域活性化予備費も削減いたします。

 次に、埋蔵金の発掘であります。

 国債の定率繰り入れの停止により十・四兆円、労働保険特会の積立金取り崩しにより五兆円、政府保有株の売却により三・五兆円を捻出いたします。

 また、国税庁の持つデータを歳入庁が創設されるまでの間、厚生労働省に渡すことで、社会保険料収入を三兆円ふやします。

 次に、地域主権であります。

 国の消費税収十・四兆円を、全額を地方に移譲し、地方の基幹・安定財源といたします。その分の地方交付税は、子どものための手当、高校無償化に相当する額を除き減額し、また、地方交付税や義務教育国庫負担に反映される地方公務員人件費なども二割削減いたします。

 さらに、我が国の経済成長につながる施策を盛り込みます。

 法人税の実効税率を半分引き下げます。また、経済成長につながる科学技術予算を三割増といたします。さらに、平成の農地改革を推進することとし、農家の戸別所得補償制度は廃止する一方、開国予算として当座一兆円計上いたします。

 みんなの党の組み替え案が実施されれば、公債残高は政府案に比べて十七・六兆円も減少いたします。

 以上が、みんなの党の組み替え案の概要であります。

 何とぞ我々の動議に委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げまして、趣旨弁明といたします。

中井委員長 これにて各動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより討論に入ります。

 平成二十四年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議三件を一括して討論に付します。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。橋本博明君。

橋本(博)委員 民主党の橋本博明です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました平成二十四年度総予算案に賛成し、自由民主党・無所属の会、日本共産党及びみんなの党提出の組み替え動議のいずれにも反対する立場から討論を行います。

 現在、我が国は、東日本大震災、福島第一原子力発電所事故からの一日も早い復興を実現するとともに、欧州債務危機、長引く円高、タイの洪水などによる日本経済への影響にも配慮した積極的な経済政策が求められております。他方で、我が国の財政が厳しい状況に置かれていることは皆様御案内のとおりであり、極めて微妙なバランス感覚に基づいた予算編成が必要であります。

 本予算案では、まず、復興対策として新たな特別会計を設け、ハード事業を幅広く一括化し自由度を高めた復興交付金、災害廃棄物の迅速な処理、被災中小企業等の資金繰り支援などが盛り込まれております。

 その上で、日本再生重点化措置を実施し、各省庁の政策的経費について見直しを行い、その財源を活用することで、パッケージ型インフラの海外展開や中小企業の技術力強化など、日本再生のための数多くのプロジェクトを盛り込んでおり、予算の重点配分を実現しております。

 また、大きな効果を上げております高校実質無償化のための諸経費、大学卒業後一定の所得を得るまで返済を猶予される新たな奨学金の創設、農山漁村の六次産業化に向けたファンドの創設、待機児童の解消などに向けた保育サービスの拡充、求職者支援制度による就職支援、国際競争力の強化と地域力の向上を図る総合特区制度など、国民生活を支えるための予算も盛り込まれております。

 復興、経済成長、財政健全化の三つの目標を同時に道筋をつける点で、本予算案はベストであり、日本再生元年にふさわしいものであると確信しております。

 議員の皆様におかれましては、被災者を初め多くの国民の生活に目を向けられ、期待に応えるべく、与野党の壁を越えて御賛同いただくよう心からお願いをいたしまして、私の討論といたします。(拍手)

中井委員長 次に、金田勝年君。

金田委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表いたしまして、自由民主党・無所属の会提出の編成替えを求めるの動議に賛成、政府提出の平成二十四年度予算に反対の立場から討論を行います。

 平成二十四年度政府提出予算は、見せかけだけの粉飾予算、マニフェスト破綻予算、三党合意違反の予算といった極めて問題の多い内容でありまして、それを承知の上で国会に提出し、本委員会の審議においても、これを問いただしても、政府から納得のできる明快な回答はありませんでした。まさに、民主党の政権担当能力のなさのあらわれであります。

 我々は、復興予算はもちろん、日本経済の再生、国土強靱化、地域活性化や農業分野など、真に必要な分野については重点的に予算を上乗せいたします。

 その一方で、高校授業料無償化などの民主党マニフェスト関連経費の見直し、国、地方公務員人件費の削減、自助自立の考えに基づいた生活保護費の抑制等によって財源を生み出し、我々のあらあらな計算でも、予算全体で一兆一千億円程度の削減が可能であります。

 また、基礎年金の国庫負担割合二分の一への引き上げの財源につきましては、民主党政権は、紆余曲折の末、その全額を交付国債の発行で賄うという、実に安易かつ将来に禍根を残しかねない粉飾まがいの手法を選択いたしました。我々は、正直に真実を語るとの立場から、一般会計において、将来における償還財源を明確にした上で赤字国債を発行して財源を確保すべきと考えております。

 我が党の提案いたします組み替え予算は、基礎年金国庫負担引き上げ分を含め、総額九十一・八兆円であります。国庫負担金引き上げ分を差し引けば八十九・二兆円で、必要な予算を上積み計上いたしましても政府の予算総額よりも一・一兆円もスリムな予算となります。

 加えて、我が党の提案いたします経済成長戦略の実施や大胆な金融緩和策の断行によりまして、デフレから早期に脱却し、その結果、景気回復と税収増を図り、赤字国債の発行額をさらに減らすことは十二分に可能と考えます。

 我々は、真実を直視せず内容において不十分な政府予算は即刻撤回すべきであるとの考えから、政府案には反対するものであり、確かな政策ビジョンに基づいた我が党の編成替え動議に賛成を表するものであります。

 なお、日本共産党及びみんなの党提出の編成替え動議につきましては、考えを異にするため反対することを申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)

中井委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十四年度の予算案に対し、反対の立場から討論いたします。

 まず、反対する第一の理由は、マニフェスト総崩れの予算であることであります。

 八ツ場ダム建設中止、二万六千円の子ども手当、高速道路無料化など、マニフェストの主要政策のほとんどが見直し、破棄されてしまいました。また、歳出削減や予算の組み替えで十六・八兆円の財源を捻出するとの公約も全く成果が上がっていません。

 その一方で、野田総理は、やらないと公言してきた消費税増税だけはやみくもに推し進めようとしており、マニフェスト総崩れは誰が見ても明らかです。

 私は、民主党の政権公約は、三回目となる今回の予算案において完全に崩壊したと断言するものであります。

 反対する第二の理由は、粉飾的な手法を用いた取り繕い予算であることであります。

 本予算案は、三年続けて新規国債発行が税収を上回る異常な予算となりました。また、一般会計規模は、中期財政フレームの歳出の大枠である基礎的財政経費六十八・四兆円を達成したかのように装っていますが、詳細に見れば、本来二十四年度当初予算に計上すべき経費を二十三年度第四次補正予算に前倒し計上させるなどによって、結果的に小さく見せているだけのごまかしが幾重にも施されております。

 きわめつけは、基礎年金の国庫負担二分の一への引き上げのための財源二・六兆円を一般会計に計上せず、年金交付国債で対応し、表面上、普通国債発行額を抑えるというこそくな手法を用いていることです。

 政策実行のための財源、税源が確保できないならば、普通国債を計上して対応する、これが本来のあるべき財政の姿であり、今般の年金交付国債の発行に見るような粉飾的な手法は根源的にあってはなりません。財政の透明性や健全性を損ねるもので、言語道断であります。

 反対する第三の理由は、昨年来の政党間、なかんずく民主、自民、公明の三党協議の信頼を損ねる不誠実な予算であることであります。

 歳出の見直しに関しては、民主、自民、公明、三党の合意に基づき、二十四年度以降の農業戸別所得補償や子どものための手当のあり方などについては、平成二十四年度予算編成プロセスで、誠実に対処するとしていたにもかかわらず、野田政権は、公党間の協議への対応も不誠実なままで、みずからの都合を優先し、予算を計上しました。

 一部では三党間の協議が再開されつつあるものの、予算編成過程におけるこうした態度は、公党間の信頼にかかわる問題であり、かつ、そのまま国民への不誠実さを示すもので、まことに遺憾であると強く申し上げるものであります。

 反対する第四の理由は、デフレ、円高からの脱却への戦略なき予算であることであります。

 予算案の内容を見ても、景気回復や経済再生に向けた成長戦略を初めとする対策はどれも中途半端であり、デフレ・円高対策なども経済対策と合わせた戦略が見えません。

 本予算案の唯一と言ってもよい目玉である日本再生重点化措置についても、アフガニスタン支援、自衛隊の艦艇、航空機等の燃料費など、全く重点化措置に合致しない内容も含まれており、到底、デフレからの脱却も、力強い景気の回復への期待も抱かせるものではありません。

 以上、主な反対理由を申しました。

 なお、自由民主党・無所属の会から提出された組み替え動議については、野田内閣の財政運営、財政政策に対する意見、考え方に関しては認識を共有する部分があるものの、総合的に勘案し、反対いたします。また、みんなの党及び共産党から提出された動議についても、見解を異にする部分がありますので、反対をいたします。

 以上です。

中井委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一二年度総予算三案に反対、日本共産党提出の編成替え動議に賛成の立場から討論を行います。

 総予算三案に反対の理由の第一は、消費税増税を前提とした予算だからです。

 野田政権は、社会保障・税一体改革と称して消費税一〇%への大増税を進めようとしていますが、これは、国民生活に深刻な打撃を与え、経済も財政も破壊するものです。本予算では、基礎年金国庫負担二分の一に必要な財源に交付国債を充てることとし、その交付国債の償還財源を消費税増税で賄おうとしているのであります。このようなやり方は到底許されません。

 社会保障の財源は、証券優遇税制の廃止、大企業への新たな減税の中止など富裕層や大企業を優遇する不公平税制を是正すること、大型開発や軍事費など歳出の無駄にメスを入れることによって確保すべきです。

 第二に、野田内閣は、消費税増税は社会保障のためと言いますが、年金の支給額、子ども手当は削減され、後期高齢者医療制度、介護保険制度の保険料は大幅に値上げされます。国民に消費税増税を押しつけ、社会保障は削減する、まさに一体改悪と言わなければなりません。

 第三に、国民の生活を支え、長期にわたり低迷、後退に陥った日本経済を立て直す予算とはなっていません。

 外需依存の成長戦略、大企業の利益最優先の経済政策は既に破綻しています。今必要なことは、国民の所得をふやし、内需主導の経済政策に転換することです。日本の農業に破壊的打撃を与え、地域の雇用と経済を破壊するTPPへの参加はやめるべきです。

 第四に、沖縄の米軍普天間基地問題で、辺野古への新基地建設を沖縄県民の総意を踏みにじって押しつけようとしていることです。断じて認められません。しかも、政府が強行した環境アセス評価書は、その内容が極めてずさんなだけでなく、その事業そのものにも重大な疑惑があります。グアムへの米軍基地建設経費の負担は中止すべきであります。

 第五に、東電福島第一原発事故から一年たった今も、東電と国は全面賠償に背を向け、除染も遅々として進んでいません。根拠もなく収束宣言を出した政府に対し、多くの国民、被災者から不信と憤りの声が上がっているのは当然であります。

 今、東日本大震災からの復興に向けて被災地では懸命な努力が続けられていますが、復興のかなめである働く場の確保、農林水産業の再建を初め、被災者の生活となりわいの再建に国が責任を果たすべきことを強調するものです。

 なお、自由民主党の編成替え動議は子ども手当などの見直しを含んでいることもあり、また、みんなの党の編成替え動議はTPP推進であり、いずれも反対であります。

 以上、討論を終わります。

中井委員長 次に、中後淳君。

中後委員 新党きづなの中後淳です。

 平成二十四年度政府予算案に反対の立場から討論いたします。

 そもそも、私たち新党きづなのメンバーは、現民主党政権が総選挙の際にあれだけ真正面から否定していた官僚主導に回帰し、党内の大きな声にも耳をかさず、既得権益に切り込むどころか、逆にのみ込まれ、格差の広がる米国追従型の新自由主義路線に強引に突き進もうとする路線と決別するために離党いたしました。

 予算は内閣そのものです。私たちが否定した路線に突き進もうとする内閣の予算に賛成できるはずもありませんが、まずは年金交付国債です。

 これは、新規国債発行額を見かけ上四十四兆円にとどめるためだけに編み出された奇策であり、体裁ばかりにこだわり、余りに見え見えで不健全、品格に欠けています。そして、その償還は、消費税引き上げ後に増税分で充てることが明言されました。まさに消費増税へ向けての踏み絵予算と言えます。

 総選挙で約束したことには後ろ向きで、年金を人質にとって消費増税に不退転の決意を見せる野田内閣は、もはや財務省、官僚機構に完全にのみ込まれております。今やるべきことは、高度経済成長期につくられた制度、仕組みにとらわれ、既得権益でがんじがらめになった日本を大転換することです。

 政治主導で地域主権型に国家の統治の仕組みを変え、大きな無駄を省き、これからの時代を見据えた社会保障の方針を定める、デフレから脱却し、疲弊した地域経済の活性化を図るという約束をして、国民の絶大なる期待を背景に政権交代が実現しました。

 しかし、本予算案からは国民と約束した理念すら感じ取ることができません。言ったことはやらないで、言っていないことをやるという、まさに裏切りの予算と言っても過言ではありません。このような予算で国民に消費税の増税を求めることはあり得ません。

 日本国の主権者は、言うまでもなく国民です。その主権者を裏切る行為は、民主主義の精神にも日本国憲法の精神にも反する、許されざる行為であり、改めて国民に信を問うべきだということを申し添え、本予算案に反対いたします。

 また、自民党、共産党、みんなの党から提出されました編成替え動議につきましては、総合的に勘案しまして反対とさせていただきます。

中井委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、二〇一二年度政府予算三案並びに自民党及び共産党、みんなの党提出の撤回のうえ再編成を求める動議にいずれも反対する立場から討論を行います。

 大震災後初めての本格予算編成となった二〇一二年度政府予算案は、震災と原発事故からの復旧復興、脱原発社会への転換、デフレからの脱却、格差是正や社会保障を含めた社会のあり方が問われたにもかかわらず、日本再生を目指すとした野田総理が不退転の決意で臨むとしたのは消費増税と秘密裏のTPP推進だけでした。そこには、日本社会が直面する危機にしなやかに対応できる社会をどうつくるのか、あるいは日本を愛し、アジアとの共生をどう求めるのかというメッセージが伝わってまいりません。リスクを放置したままで過去最大規模の予算をつくっても、ざるのように抜けてしまい、日本再生は到底果たせるものではありません。

 以下、反対の理由を申し述べます。

 第一に、格差是正効果を生み、消費需要増にも寄与している子ども手当の変質、高校無償化や戸別所得補償の見直しなど、民主党が政権交代で約束したマニフェストからかけ離れている点です。

 第二に、年金交付国債という奇策を用い、年金財源を人質にして消費税引き上げに道筋をつけるものとなっている点です。

 第三に、八ツ場ダムの本体建設再開を初め、大都市圏環状道路、首都圏空港の強化、仕分けされたスーパー堤防の復活など、人からコンクリートへと逆転したかのように、総合的かつ緻密な検討を欠いた大型公共事業の再開ラッシュとなっている点です。

 第四に、東日本大震災により損壊した原子力関係の広報施設の修繕を初め、被災地域広報施設復旧対策事業交付金など、原子力関係予算の大胆な見直しにはほど遠く、一方で再生可能エネルギー促進予算は甚だ不十分で、脱原発社会を志向するものにはなっていない点です。

 第五に、防衛関係費が、防衛力の構造改革を行い動的防衛力の構築を目指すものとなり、復興関係を含めれば実質増へ転じている点です。

 第六に、辺野古関係予算が二十二億円増となるなど、いまだに辺野古移設に固執している点です。

 第七に、貧困対策や格差是正策、福祉関係予算、雇用対策、中小企業支援策、住宅対策について、規模、内容ともに不十分である点です。

 第八に、官民連携による海外プロジェクトの推進、農林漁業の競争力強化等、財界の求める新成長戦略に応えるものでしかなく、持続可能性を見据えた経済再生策となっていない点です。

 二〇一二年度予算三案にはそのほかにも多くの問題点が含まれており、賛同することはできません。

 間もなくあの三・一一から一年を迎えようとしていますが、東日本大震災復興交付金は、当初のふれ込みとは異なり、極めて使い勝手が悪く、自治体側からの不満の声が聞こえているばかりか、自治体向けの復興交付金申請のQアンドAには書き込みながら、手のひらを返したように原発災害には適用されないと復興大臣みずからが公言するなど、福島切り捨てにつながりかねない高圧的姿勢が明らかになりました。

 そもそも、復興関係予算の多くがハード分野に傾斜し、被災者や避難者の生活や雇用に着目した支援措置が少ないという問題もあります。

 大震災からの復興と原発事故収束を第一に、まさに福島の復興なくして日本の再生なしと言ったはずの総理の所信を裏切ることなく、TPPや消費税に脇目を振るのではなく、政府を挙げて復興と日本再生に邁進することを求め、私の反対討論を終わります。

中井委員長 次に、中島正純君。

中島(正)委員 私は、国民新党を代表して、ただいま議題となりました平成二十四年度予算三案に賛成、自由民主党、日本共産党及びみんなの党提出の編成替えを求める動議にいずれも反対する立場から討論を行います。

 現在、我が国が抱える最大の課題は、東日本大震災からの復旧復興と福島原発事故への対策、そしてデフレ経済からの脱却であり、これらの課題を克服するための取り組みには一刻の猶予も許されません。

 東日本大震災からの復旧復興については、先ごろ復興庁が発足し、ようやく復興に向けての体制が整ったところであります。また、復興のための平成二十三年度補正予算は、まさに執行されつつあります。

 平成二十四年度予算には、瓦れき処理の費用、インフラの復旧費用、東日本大震災復興交付金などの被災地の復旧復興になくてはならない経費が計上されており、一日も早い成立が望まれております。

 原発事故対策も同様です。平成二十四年度予算には、福島の再生に向けた除染作業や食の信頼回復のための費用が計上されており、広範囲に及ぶ福島原発事故の影響から一刻も早く立ち直るには、これらの事業の迅速な実施が必要です。

 経済に関しては、先ごろの日本銀行のさらなる金融緩和、実質的なインフレ目標導入を受け、円高傾向に変化が生じたように思えます。また、株価も回復傾向にあり、経済の立ち直りの兆しが見え始めたころです。

 日本銀行の姿勢の変化には、この予算委員会における審議が貢献したと考えております。しかし、金融政策だけではデフレ脱却は不可能であります。財政政策がそろって初めてデフレ脱却への道筋が見えてきます。

 すなわち、デフレ脱却の兆しが見えかけた現在、迅速な予算の成立、執行が必要とされているところです。平成二十四年度予算には、日本再生重点化措置による成長につながる各種の事業が計上されております。予算の執行がおくれて、デフレ脱却の好機を逃すことは許されません。

 東日本大震災からの復旧復興、福島原発事故への対策、デフレ脱却という三つの課題の克服に対する責任は、与野党を問わず、政治に課せられたものです。平成二十四年度予算の成立はそのために必要なものであり、政治的な対立で予算の執行がおくれるような事態はあってはならないことです。

 なお、自由民主党、日本共産党及びみんなの党から提出された編成替えを求める動議につきましては、見解を異にするものであり、賛成することはできません。

 以上、平成二十四年度予算に賛成する理由を述べまして、私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

中井委員長 次に、松木けんこう君。

松木委員 我々、新党大地・真民主は、超消極的ですけれども、賛成の立場で討論をします。

 今、野田政権が意欲を示している消費税の引き上げやTPP、これに関しては、この場をかりて一言申し上げたいというふうに思っております。

 消費税とTPPは、もともと菅直人前総理が、民主党内で十分な論議もせず唐突に打ち上げたものでございます。いずれも、政権交代を果たした二〇〇九年の衆議院選挙で掲げた政権公約にも含まれてはおりません。そして、菅前首相の後を引き継がれた野田首相も同じ路線を踏襲しているようでございますけれども、我々は、今これを行うことは国民を裏切る行為であると考えており、到底これに関しては賛成できないんです。

 今、各地の商店街には、残念ながらシャッターがおりたままのところが大変多いんです。そして、家庭の主婦の皆さんの多くは、少しでも安い食品を求めてスーパーを何軒も回って、日々の家計の切り盛りをしています。その現実を鑑みても、なお消費税増税にのみ邁進をするのは、国民の生活が第一の政治をというふうには私は言えないというふうに思っております。

 財政再建はもちろん大事なんです。ただ、そのためにまず政府が最優先でやるべきことはたくさんあるはずなんですね。それのほとんどが手がついていないんですね。そして、新しい考え方だって出ているじゃないですか、例えば競り下げ方式とか。これは皆さんの党から出たんですよ、村井君の。まだほとんどやっていないでしょう。こういうこともあります。それに、無駄の削減、鳩山先生は一生懸命やると言ったはずなんです。天下りの問題もあります。予算の組み替えをやるとも言っていたはずなんです。こういうこともあります。

 とはいえ、やはり東北の被災地で一刻も早く復旧復興を望んでおられる方々もおられるわけですので、復旧復興のための予算までとめるわけにはいかないということでございます。

 もう一つ、ちょっと言わせていただきたいんですけれども、先ほど新党きづなの皆さんが、大変予算案に対して厳しい態度で反対をされておりました。しかし、皆さん、閣僚の皆さんも考えていただきたい。きづなの皆さんというのは、去年民主党を離党したんですけれども、もともとは政権交代を掲げて理念を一緒に実現しようとした同志であったはずなんですよね。そうですよね。

 そして、彼らがその決断に至ったのが何であったのかということをやはりもう一度よく考えてもらいたい。反対せざるを得なかったことを政府の偉い皆さんがやはりもう一度考えていただきたいなというふうに思っております。彼らは同志だったんですからね。

 すぐにいろいろなことを他党の人と話し合いをするのもいいけれども、しかし、その前に、これからはやはり御党内の方でもよく話し合われることをしたらいいというふうに思いますし、そして、もっともっとお仲間を大切にするようにアドバイスも、ちょっと生意気ですけれども、させていただきます。

 ぜひ原点に戻ることを要望して、一応賛成ということで終わります。(拍手)

中井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより採決に入ります。

 まず、石破茂君外二名提出の平成二十四年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立少数。よって、石破茂君外二名提出の動議は否決されました。

 次に、笠井亮君提出の平成二十四年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立少数。よって、笠井亮君提出の動議は否決されました。

 次に、柿澤未途君提出の平成二十四年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立少数。よって、柿澤未途君提出の動議は否決されました。

 次に、平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立多数。よって、平成二十四年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十四年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中井委員長 この際、一言申し上げます。

 去る一月三十日に審査を開始して以来、長期間にわたり終始真剣な御議論を重ねていただき、本日ここに審査を終了することができました。

 これもひとえに各党理事、委員各位の委員会運営並びに質疑に対する御理解と御協力のたまものであり、ここに深く感謝の意を表し、心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十一分散会


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