衆議院

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第23号 平成24年3月30日(金曜日)

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平成二十四年三月三十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 笹木 竜三君 理事 武正 公一君

   理事 西村智奈美君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 若井 康彦君 理事 若泉 征三君

   理事 石破  茂君 理事 小池百合子君

   理事 高木 陽介君

      石関 貴史君    磯谷香代子君

      今井 雅人君    打越あかし君

      江端 貴子君    金森  正君

      岸本 周平君    京野 公子君

      櫛渕 万里君    近藤 和也君

      佐々木隆博君    杉本かずみ君

      玉木雄一郎君    仁木 博文君

      橋本 博明君    花咲 宏基君

      馬淵 澄夫君    村越 祐民君

      室井 秀子君    山岡 達丸君

      山崎  誠君    山田 良司君

      湯原 俊二君    渡部 恒三君

      あべ 俊子君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      金子 一義君    金田 勝年君

      佐田玄一郎君    橘 慶一郎君

      野田  毅君    馳   浩君

      山本 幸三君    東  順治君

      笠井  亮君    内山  晃君

      豊田潤多郎君    阿部 知子君

      山内 康一君    中島 正純君

      松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     岡田 克也君

   総務大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地域主権推進担当)   川端 達夫君

   法務大臣         小川 敏夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   防衛大臣         田中 直紀君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)            松原  仁君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)   古川 元久君

   国務大臣

   (防災担当)

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   中川 正春君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     磯谷香代子君

  馬淵 澄夫君     京野 公子君

  伊東 良孝君     あべ 俊子君

  内山  晃君     豊田潤多郎君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     大西 健介君

  京野 公子君     馬淵 澄夫君

  あべ 俊子君     伊東 良孝君

  豊田潤多郎君     内山  晃君

    ―――――――――――――

三月二十九日

 平成二十四年度一般会計暫定予算

 平成二十四年度特別会計暫定予算

 平成二十四年度政府関係機関暫定予算

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十四年度一般会計暫定予算

 平成二十四年度特別会計暫定予算

 平成二十四年度政府関係機関暫定予算


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計暫定予算、平成二十四年度特別会計暫定予算、平成二十四年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して議題とし、審査に入ります。

 まず、三案の趣旨について政府の説明を聴取いたします。安住財務大臣。

    ―――――――――――――

 平成二十四年度一般会計暫定予算

 平成二十四年度特別会計暫定予算

 平成二十四年度政府関係機関暫定予算

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

安住国務大臣 おはようございます。

 このたび、平成二十四年四月一日から四月六日までの期間につきまして暫定予算を編成することといたしましたが、その概要について御説明申し上げます。

 まず、一般会計について申し上げます。

 暫定予算が本予算成立までの応急的な措置であることに鑑み、今回、暫定予算におきましても、事務費等の経常的経費のほか、既定施策に係る経費について、暫定予算期間中における行政運営上必要最小限の金額を計上することとしております。

 なお、新規の施策に係る経費につきましては、原則として計上しないこととしておりますが、社会政策上等の観点から特に措置することが適当と認められるものにつきましては、所要額を計上することとしております。

 また、公共事業関係費につきましては、新規発生災害に係る直轄災害復旧事業費、直轄の維持修繕費等については、暫定予算期間中における所要額を計上することとしております。

 さらに、地方財政につきましては、四月に交付する地方交付税交付金等に係る所要額を計上することとしております。

 歳入につきましては、税収及びその他収入の暫定予算期間中の収入見込み額を計上することとしております。

 以上の結果、今回の一般会計暫定予算の歳入総額は百十八億円、歳出総額は三兆六千百五億円となります。

 なお、三兆五千九百八十七億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りについては、必要に応じ財務省証券を発行することができることとしております。

 次に、特別会計及び政府関係機関の暫定予算につきましても、一般会計に準じて編成いたしております。

 以上、平成二十四年度暫定予算につきまして、その概要を御説明いたしました。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

中井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中井委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹木竜三君。

笹木委員 おはようございます。民主党の笹木竜三です。

 質問を始めます。

 まず冒頭に、田中防衛大臣に、本日、弾道ミサイルに対する破壊措置等の実施に関する自衛隊行動命令が発令されたと聞いております。いろいろなことを想定して、あらゆることを想定しながら、備えをしながらこの発令をされたんだと思いますが、一言御報告をいただけますでしょうか。

田中国務大臣 お答えをいたします。

 先ほど、弾道ミサイル等に対する破壊措置等の実施に関する自衛隊行動命令を発令いたしました。これは、今般の北朝鮮による発射予告を受け、航空総隊司令官を指揮官とするBMD統合任務部隊に弾道ミサイル等に対する破壊措置を命ずるものでございます。この命令により、イージス艦を日本海及び東シナ海へ、PAC3部隊を首都圏及び沖縄本島、宮古島及び石垣島へ展開させ、我が国領域への落下に対する万全の備えをしたいと考えております。

 国民の生命と財産を守るために、防衛省そして自衛隊が、想定外がないように万全の備えで対処する。想定外も、後で後悔があってはいけないわけでありますので、万全のそれぞれの対応をして臨んでいくということで、御報告を申し上げたいと思います。

笹木委員 今、田中大臣の答弁の中にもありました、想定外のことがないように万全の備え、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 きょうは暫定予算の審議、十四年ぶりの暫定予算を組むことになったのは本当に残念であります。

 私の質疑では、主に社会保障・税一体改革について質疑をしたいと思いますが、まず総理大臣、一言で結構です、きょう閣議決定をされたということで、そのことについて御報告いただけますでしょうか。

野田内閣総理大臣 社会保障と税の一体改革につきましては、ついこの間まで、閣議決定した大綱を踏まえまして、党内で闊達な御議論をいただきました。多くの同志の皆様に御参加をいただいて、さまざまな御意見を頂戴して、政府の中にのみ込むものはのみ込むというような対応をして、今回、法案を提出させていただくべく閣議決定をさせていただきました。

 こういう形になりましたので、与野党のしっかり胸襟を開いた議論、国会審議を通じて、早期に成立できるように全力を尽くしていきたいというふうに思います。

笹木委員 それで、閣議決定の当日という大切な、そして、いろいろ報道されていますように大変な日であるわけですが、なおさらのこと、私自身が、都内においても地元においても、国民の方々から非常に今現在でも多くいただく御意見というか、質問であったりもしますが、そういうことを代弁する形で質疑を行いたいと思います。

 今後、人口減の高齢社会になる、すごいスピードでなっていくということで、高齢者の人口も比率も、例えば二〇一二年に三千八十三万人が二〇五〇年には三千七百六十八万人になる、比率も二四%から三八%を超える比率になっていく。一方で、現役世代、二十歳以上六十四歳以下、この人口自体も減るし、今七千四百十五万人、それが二〇五〇年には四千六百四十三万人になっていく、比率も減っていく。こんな中で、医療、介護、年金、こうした経費を、ではどうやって給付がふえる分を補うのかというふうなお話をしています。

 そうすると、では、掛金、保険、それと自己負担、これをふやすだけでいいんだ、それだけでやれという意見は皆無だと思います。税金の投入をふやすしかない、圧倒的多数の方がそういうふうに言われます。そして、その中で、消費税を上げること、これもやはりやらざるを得ない、これも、一般に言われる以上に、私が実際に聞いている中では非常に多数になってきているんじゃないかと思います。

 ただ、常に言われるのは、やるべきことをやってから消費増税だ、これは党内でもさんざん我々も議論、話をしてまいりました。無駄遣いをなくす、それをしっかりと努力をやってから消費税増税をという意見はいまだに多いわけです。

 一つ一番最初に挙げたいのは、いわゆる特別会計等の剰余金。これはもう十年以上前からになります。最初は、どうして国の資産は公開されないのか、政府の負債は出るけれども、資産は、バランスシートはどうしてだめなのか、そこから始めて、そこに必要以上に剰余金、たまり金があるんじゃないか、途中からは埋蔵金ということも命名をされて、我々、野党時代から運動してきたわけです。

 これは、二十二年度で六兆円余、二十三年度で二・七兆円余、これだけの埋蔵金を、いわゆるため込んでいるもの、たまり金を外に出して、税金としていろいろ必要なものに使うことをしてきたということです。これは、口火を切って、実際に進行中であるということだと思います。

 二つ目に多い御意見が、やはり、行政や政治が身を切る改革をしているのか、したのか、この御意見です。

 岡田担当大臣にお聞きをしたいわけですが、国家公務員の給与の引き下げ、どこまで決定できたのか、どこまで成果を上げたのか、そして、今後、この給与の引き下げ以外も含めて、どの分野でどこまで行政改革をさらに進めていく、そういう覚悟をお持ちなのか、お答えいただきたいと思います。

岡田国務大臣 今委員御指摘の埋蔵金以外に、政権交代後、公共事業予算についても一・三兆円削減したということを申し添えたいと思います。

 その上で、人件費に関しましては、政権交代後、人事院勧告に従った給与の引き下げやあるいは人数の純減などを重ねてまいりましたが、それに加えて、二月二十九日に、国家公務員給与の平均七・八%の削減を内容とする法律が成立をしたところでございます。野党の皆様にも御協力いただきながら、こういった法案が成立をいたしました。合計で、現時点までで約五千億円の削減、これは人件費総額の一割でございます。ここまでは来ているということでございます。

 この人件費に関して申し上げますと、しかし、これでは十分ではないというふうに考えておりまして、さらなる総人件費の削減をしっかりとやっていきたいというふうに考えております。

 例えば、退職金に関して官民較差が非常にあるということを最近の人事院の調査は明らかにいたしました。その是正が必要でございます。

 それから、やはり公務員の数を削減していくということは非常に重要なことであって、希望退職や、あるいは我々再就職のあっせんということをやっておりませんので、結果としてなかなか早期に退職するということが減っている。みずから再就職先を選んで、そして第二の人生をプランしていただくために、そういった意味での支援というのは私は必要ではないかというふうに思っておりまして、そういった整備もしていかなければいけない。新規採用の削減についてはいろいろ御意見はありますが、そういうことの全体の中の一環として、これも近々発表させていただきたいというふうに考えております。

 とにかく、できることは全てやる。しかし、そのことが結果として国家公務員の皆さんの意欲をそぐことになってはなりません。仕事の仕方、働き方を変えるということも含めて、全体として取り組んで、効率的で無駄のない、そういった政府をつくり上げていきたいというふうに考えているところでございます。

笹木委員 今の公務員制度改革、行政改革については着実に進めているし、今後もやれることは全てやっていくというお話だったと思います。

 さらに、よく言われる意見というのは、政治の身を切る改革。我が党はもともと比例の八十削減、これを出しているわけですが、これは今、野党との協議、政治改革実行本部で協議中だ、合意に至るように努力をしているというふうに聞いております。

 次に多いのが、消費増税をして、その分を絶対に社会保障以外のことに使わないと約束ができるのか、こういう意見も非常に多いわけです。

 続けて岡田担当大臣にお答えをいただきたいと思います。しっかりと、一切ほかのことには使わないと約束をしてほしいということです。

岡田国務大臣 我々は、今回の五%引き上げ分について全額社会保障のために使うということを明言しているわけでございます。

 そして、この点について、法律の条文上も担保をしなければならないというふうに考えておりまして、本日、閣議決定した法案においては、消費税法第一条第二項に、「消費税の収入については、地方交付税法に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。」ということで、社会保障四事業、年金、医療、介護、そして子ども・子育て、ここに使途を法律上限定しているということでございます。

 なお、地方税法におきましても、引き上げ分の地方消費税については社会保障施策に要する経費に充てることを規定するということでございまして、法律上ほかの用途に使えないということはしっかりと担保されているということでございます。

笹木委員 原理原則に非常に厳しい岡田担当大臣から、法律にも書き込むと今約束をしていただいたということで、国民の方々にも非常に安心をしていただけると思います。

 ここで、AIJ問題について、自見金融担当大臣にお答えをいただきたいんです。

 いろいろな意見が出ていますけれども、一番大事なのは、やはり制度の信頼性にかかわるということだと思います。それで、今、AIJ投資顧問が、企業年金の資産を消失した、業務改善命令を出されている。しかし、それにもかかわらず、香港の信託銀行からこっそりと運用財産が引き出されることはないのか、こういった心配の声は非常に聞きます。ありとあらゆることはやっていただいているということでいいのか、これが一点目。

 あわせて、二点目もお聞きしたいわけですが、顧客の年金基金が監査報告書の開示を要求した、しかし、正規の報告書は提出されなかった、偽造した報告書が出された、顧客にとって全体の運用の流れ、全体像も見えていなかった、いろいろな問題があります。あるいは基金への天下りの問題、これも今報道をされています。こうしたことが一体になってこの問題は起こっているんじゃないかということも指摘はされています。

 自見担当大臣に、こうしたことの再発防止のためにどういうようなことが今課題として考えられているのか、お答えをまずいただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今般の事案ではほとんどの顧客が厚生年金基金であると見られておりますが、三月二十三日に行政処分において、顧客資産の保全が非常に大事でございますから、保全が円滑に進むようにAIJ投資顧問会社とアイティーエム証券の両社に対して業務改善命令を出したわけでございます。

 具体的には、今先生が言われましたように、ファンドの運用財産が香港などにあることを踏まえ、両社に対して、本件運用財産につき、管理保全措置に必要とされる協力を速やかかつ適切に行うこと、あるいは管理保全措置をとるために必要とされる情報を速やかにかつ適切に顧客に開示、提供することなどを命じたところでございます。

 それからもう一点の質問でございますが、再発防止といいますか、今の時点ではどう考えているかという話だったと思います。

 この事案は、もう先生御存じのように、投資一任業者による虚偽の運用報告、虚偽の勧誘がなされたこと、また、投資一任業者による改ざん行為のために第三者による正常なチェックが、監査法人なんかから送られておりますけれども、それを改ざんすることによってチェック機能が妨げられたところに、そういったことをやっておるわけでございますから、やはり再発防止策としては、投資一任業者、運用受託機関、これによる虚偽の報告や勧誘に対する制裁の強化、あるいは年金基金が投資一任業の信頼性や運用成果を判断する上での有益な情報の運用報告書への追加、それからファンドの受託会社等の第三者によるチェックが有効に機能する仕組みについて検討する必要がある、こう思っております。

 いずれにいたしましても、大変大きな、大変奥の深い事案でございまして、全力を挙げて、証券等監視委員会あるいは金融庁挙げて、徹底的に検討し、今の時点ではそういったことを考えておりますけれども、さらに今、強制調査ということも証券取引等監視委員会が決定していただいておりますから、刑事事件を目指して今やっておるところでございますから、そういう結果を踏まえて、しっかり徹底的に検討してまいりたいというふうに思っております。

笹木委員 ここで続けて、一言で結構なんですが、自見金融担当大臣。

 要は六月までに再発防止の改善を行う、それは早くてもいいわけですが、というふうに聞いております。その改善を実行、責任を持って担当大臣である自見大臣がやっていただける、そのことを確認させてください。一言、決意を聞かせていただければ結構です。

自見国務大臣 今、証券取引等監視委員会によるさらなる調査、それから投資一任業者に対して、日本国の全投資一任業者に一斉調査をやりました。その結果も踏まえて検討する必要があると思いますので、六月までに再発防止策を取りまとめるということを確約せいということでございますけれども、できるだけ意に沿って、現時点ではいつまでにするということは申し上げられませんけれども、そういった結果を、きちっと事実を踏まえて、また、いろいろな方々の御意見も聞きながら、再発防止あるいはこれらの課題に早急に全力を挙げて検討して、成果が得られるように実施してまいりたいと思っています。

笹木委員 今のお答えで、六月までに自見金融担当大臣が責任を持って再発防止改革、そのことをやっていただけるということの答弁をいただきました。どうかよろしくお願いします。

 安住財務大臣に確認をさせていただきたいんです。

 消費税の価格への転嫁の問題、これは地元の中小とか小さい企業、下請的な企業、必ずこのことの御心配の発言を聞かされます。三%から五%に上げたそのときにも、ガイドライン、相談窓口、そうしたことをいろいろやったと聞いています。

 あるいは、親会社と子会社の関係では、優越的な地位を利用した不公正な取引の取り締まり、監視の強化、こうしたことも当然必要ですが、以前やった三%から五%に上げたときのいろいろなことの対策の検証、どれだけの効果を上げたのか、そうしたことは今行われているんでしょうか、ここでお話しいただけたらありがたいと思います。

安住国務大臣 今、いろいろ検討させております。

 それで、やはりこの場でも何度か質疑がありましたけれども、例えば価格転嫁ができない、その中に、いわゆる泣き寝入りといいますか、優越的地位を濫用してそうしたことがあると。

 ですから、今回は、前回よりもかなり取り組みを強化いたします。公取等を使った定期的な調査もしっかりやっていきますし、いわば、そうしたことで大変困っている中小企業、零細業者の皆さんに、やはりきちっとこちら側がアクセスをし、また、あちら側からも気楽に相談していただく、ある意味で商売の不利益をこうむらない形でやれるような対策というものを万全を尽くして設計してまいりたいと思います。(発言する者あり)

中井委員長 何ですか。何か聞くの。

笹木委員 申しわけない。時間がもうないものですから、小宮山厚生労働大臣、平野文科大臣にもお聞きしたいことがあったわけですが、申しわけないですが、ちょっと時間がないので。

 本来、ここで成果を御報告いただきたかったことは、ほかには例えばサービスの受け方の納得の問題。例えば在宅で介護を受けたい、あるいは医療を受けたい、そういう方々が六割以上いる、しかし現実には、病院で、あるいは施設でということになっている。入院の日数は、アメリカの五倍、ドイツの三倍、税金の非常に高くついている面もある。こういうことに対する大きな改善が今回なされました。

 あるいは、今までは高齢者三経費ということで年金、医療、介護だったわけですが、画期的なこととして、子ども・子育て新システム、全世代対応型の社会保障に。これも非常にいいんですが、今回じゃないですが将来の社会保障像として、さらに全世代対応型で、雇用につながる職業、キャリア教育、これは北欧のいろいろな例を見ても、今後検討があるべき社会保障の将来像で必要じゃないかということを感じています。

 最後にお聞きをしたいんですが、まず枝野経産大臣、今、衆参のねじれの中でいつも思い出すのは金融国会のことです。あのときは、我々が野党で、今の野党の方、自民党が与党でした。ねじれがあったのも同じような状況です。

 党内では、やはり、政局優先で一気にこのときに解散に持ち込むべきだという意見も当然ありました。一方で、これは政局にするべきじゃなくて、ちゃんと野党と与党で合意をつくる、野党も責任を持って合意をつくることをやるべきだという意見もありました。結果、後者を選んだわけです。その数年後でも、評価は賛否両方でした。

 今、実務にかかわられていた当時の責任者の枝野経産大臣、振り返ってどういうふうに評価をされているか、どういうふうに感じておられるか、一言感想を聞かせていただけたらと思います。

枝野国務大臣 九八年の金融危機のときは、御指摘のとおり、当時の野党の民主党で私、当時の与党自民党では今の石原幹事長が交渉窓口ということで、金融の法案について協議をいたしました。

 党内外から、一気呵成に解散に追い込んで政局にすべきだという強いプレッシャーがございましたが、日本の金融をしっかりと守らなければ大変なことになるということで、政局ではなくて政策でしっかりと議論をさせていただいて、与野党一致して金融再生法を成立させることができました。

 その後も、あそこで追い込んでいたらもっと早く政権交代できたのではないかという声、御批判をいただいていますが、私は、やはり政局のために政治をやるわけではありませんので、この国のために何が重要であるかということの判断で、あのときに金融再生法を与党と合意して成立させたことは正しかったと自信を持っております。

笹木委員 私も同感です。当時も、私も先輩の議員のところに訪ねていって、ここで政局優先にしたら歴史に断罪される、そうした議論をしたのを覚えております。

 最後に、総理に確認というか決意をお聞きしたいんですが、一言だけ前でつけ加えますと、今、イタリアのマリオ・モンティ首相がスーパーマリオと言われて話題になっております。総理も、おとついですか、お会いになっているということです。自分自身には選挙がないから、国民に不人気になる、あるいは不人気の可能性があることも迷わずやれたと発言されています。

 それはそれですばらしいことなんですが、もし、苦い薬、総理が言われる苦い薬、国民に不人気の可能性のある懸案があるたびに選挙で選ばれない方をリーダーにということになったら、これは民主主義の破壊になるんだろうと思います。そういう難しい案件ほど、ねじれ国会のもとで与党と野党が合意をつくっていく努力は、ふだんのテーマよりもしっかりとやらないといけない、これが我々国会全体の義務だと思っています。

 閣議決定のきょう、総理の決意を改めてここでお聞かせいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 先般、モンティ首相とお会いしました。彼がやっている改革というのは、財政再建もやる、経済成長も図る、厳しい改革もしっかりやり抜いていて、国民から高い支持があります。厳しいことをやっているんですが高い支持。その結果、金利も七%から五%へ下がって、投資もふえつつあるということで、これは、やはりやらなければいけないことをきちっと国民に御説明していくということが大事であって、与野党でも、これまで復興についてはそういう認識のもとで一致して協力していただきました。

 社会保障と税の一体改革も、これは待ったなしでございますので、これはもう改めて言うことはありませんが、やはり政局よりも大局に立った、そういう議論を大いにしていきたいと考えております。

笹木委員 国会全体でしっかりやっていきたいものです。

 質疑を終わります。

中井委員長 これにて笹木君の質疑は終了いたしました。

 次に、石破茂君。

石破委員 十四年ぶりの暫定予算です。民主党政権においても、我々の政権においても、暫定予算なんて初めてやるという方がこの場にも多いんだと思いますね。

 何でこんなことになったのか。私どもは、総理御案内のとおり、それは与党の政府の不手際で審議がとまったことはありましたが、私どもで審議拒否をしたことなんか一回もない。きちんと審議が進むようにやってきたし、委員長やあるいは鉢呂筆頭や多くの委員のお力によって、随分と集中審議もやり、中身のある議論ができた、私はそのように野党筆頭として自負はいたしております。

 にもかかわらず、何でこんなことになったんだということです。どうも聞いていると、政府として、暫定予算を組まざるを得なくなった、まことに申しわけのないことであると。本来あるべきものではないんですね、補正じゃないんだから。暫定予算を組むに至ったということは、やはり政府としてその責任は感じるべきではありませんか。私どもは足を引っ張ってはおりませんよ。総理、どういうふうにお考えですか。

野田内閣総理大臣 一月二十四日に国会がスタートをし、四次補正予算から御審議をいただいて、そして本予算の御審議をいただきました。石破筆頭理事の御協力もあって、集中審議を五回やって、大変熱心な御議論がございました。その間に少し、いわゆる三党合意、与野党協議の部分のところで、我々も反省しなければならない点等がございまして、若干の空白が出てしまいましたけれども、総体としては、大変長い時間、熱心な御議論をいただいて、政策論議としては深まった部分も私は相当にあったように思います。

 国会の審議としては、非常に熱心でいい御議論だったと思いますが、結果的に暫定予算を十四年ぶりに組まざるを得なくなったということについては、これは私どもは深く反省しなければいけないと思います。したがって、一日も予算の空白が生じないように、こういう形で暫定予算の御審議をいただいておりますけれども、基本的にはこういうことのないようにしなければいけないということは間違いない話でございます。深く反省をしております。

石破委員 今の総理の御答弁で私はよろしいと思いますが、どうも政府・与党としての自覚とか責任感とか、そういうものは本当にあるのかということを感じざるを得ない。

 今の総理のお言葉でわかりましたが、本当に申しわけのないことだ、何とかお願いしたいというような謙虚さあるいは責任感、そういうものが、もう与党になられて三年目で、まあ見てくれ、四年間、あと一年しか残っていないわけですからね、どんなに任期満了まで引っ張っても。そのことの自覚はよくお持ちをいただきたいと思っております。

 私どもとして、今回の暫定予算は当然、必要なものが盛り込まれておるものでございますから、質疑の中でよほど変なことが出てこない限り、これは賛成をするというような方針でございます。これは、私どもとして、責任ある党としてそういう態度をすべきものだと思っております。

 笹木議員の御質問にもありましたが、きょうは消費税法案というものが閣議決定をされた。自見大臣、当然サインをされたことだと思います。国民新党のお考え、立場と、自見大臣のお立場と、どのように両立をするのか、御説明ください。

自見国務大臣 お答えをさせていただきます。

 一昨日、民主党の政調会長がおいでになられまして、ぜひ連立のパートナーとして税制法案に賛成をしてくれという正式のお申し込みが国民新党の本部の方にありましたので、昨日、朝八時から、また私も十二時から、昼間の十二時、それから夜七時と集中的に会合を重ねたわけでございます。

 今回の閣議の大変重たい署名でございましたが、昨晩開催された国民新党の議員総会において、所属議員が八人のうち六人が参加でございますが、連立は離脱しない、そして私に署名をしなさいということを六人の全員の総意として決定されたものでございます。それを受けて、国民新党の副代表としてその決定を踏まえて行ったものだというふうに思っております。

 我が党の立党の精神、これは石破先生御存じのように郵政民営化の見直しでございまして、政権を担う連立与党の一員として最後まで、これは、今度は本当に自民党さん、それから民主党さん、公明党さんで合意をしていただけたということで、きょうの閣議でも郵政改革法案を撤回する決定をさせていただいたわけでございますけれども、そういった中で、こういった大変重たいことでございますけれども、署名をさせていただいたというのが事のてんまつでございます。

石破委員 代表は違うことを言っておられるわけですよね。政務調査会長は違うことを言っておられるわけですよね。今、六人の総意とおっしゃいましたけれども、その六人は代表でもなければ政務調査会長でもないわけですよね。

 そうすると、今の自見大臣のお話を聞いていると、国民新党というのは、郵政法案の見直しということが政策プライオリティーの第一なのでそれを優先したのである、消費税というものについては、それはもうその前にはプライオリティーというのは下なので、代表が何と言おうが政務調査会長が何と言おうが、個人、自見庄三郎としてサインをしたのだということなんでしょうか。どうも言葉がよくわからないんですね。

 国民新党としてどうなのだ、個人としてどうなのだということですが、きょうのサインは、国民新党副代表たる国務大臣自見庄三郎としてサインをした、こういう理解なんですか。

自見国務大臣 石破議員にお答えをいたします。

 国民新党の副代表としての閣僚として、国民新党の党議決定をしたものですから、そういった意味で、決定を踏まえて、大変重たい署名でございましたが、署名をさせていただいたということでございます。

石破委員 党議決定されたんですね、これに賛成するということを。亀井代表も政務調査会長もそれで了とされたんですね。

自見国務大臣 私の党の事情でございまして、亀井さんは非常に存在感のある、経験の豊かな政治家でございますが、きちっと、我が党の綱領に従って、正式に党議決定をさせていただいたということは事実でございます。

 御存じのように、どんな党であれ、一年生の議員であれ十年の議員であれ、私は育ったときから渡辺美智雄先生から、先生も一緒に渡辺先生に育てられたわけでございますけれども、国会議員というのは政策については皆平等だと。ですから、当時、中曽根さんは大先輩でございましたけれども、中曽根さんもおまえも給料は一緒だ、こう言われたわけでございまして、国会の、国政の最高機関のメンバーはそれぞれに独立して、私は大変尊重すべきものだというふうに確信を持っております。

石破委員 まあ、何のことだかよくわかりませんが、後で議事録を見てみればわかることですよ。

 要は、党とは何なんだということですよ。今、綱領という言葉をおっしゃいましたよね。要するに、何を実現するための党なのだということは、それは大きな党であれ小さな党であれ、きちんとしたものを持っていなければ、そこに集う者は烏合の衆でしかあり得ないということなんですよ。何だか知らないけれども、選挙に勝つために、これを言えば受けるだろうみたいなことで党をつくって、都合が悪ければ、その党の決めたことには関係ないんだというようなことをやっていると、国民から政党助成金をいただく政党とは一体何なんだということが必ず問われますよ。政党助成金を導入する前の政党とその後の政党は違うのでね。

 私たちは、国民の税金で党というものを、随分とその資金面を頼って運営をしているわけですよね。だから、党は何のためにあるのだということを軽んずると、必ず国民から手痛いしっぺ返しというか当然の審判を受けるということは、みんな全て自覚をしなければいかぬことです。

 これは答弁は要りませんが、民主党の中の綱領策定というのはその後一体どうなりましたか。消費税がどうのこうので大騒ぎをしておられて、幾晩も幾晩も、何時間も何時間もやっておられますが、それも大事なんだろうけれども、この委員会の場でもきちんとやるとおっしゃった綱領策定の方が先なんじゃないですか。何をやるための党なのかということこそ、何時間も何時間もかけて、何日も何日もかけておやりになる。そうでなければ、民主党という党が一体何のための党なんだ、選挙互助会なのかというふうに言われても仕方がないことだと思いますよ。

 消費税の議論は随分長くおやりになりました。それはこれから質問いたしますが、何をするための党なのかということをもう一度民主党の皆様方はきちんと御議論をされないと、何のための党が何のために政権を担っているのかということがわからないので、今の状況になっているというふうに私自身は思っておるところでございます。

 それでは、税と社会保障の一体改革なんですが、総理は、ブーメランという言葉はお嫌いなんでしょうけれども、今を去ること七年前の衆議院本会議で、このようにおっしゃっておられますよね。消費税を上げ、医療費を引き上げ、定率減税を引き下げ、風邪から治りかけていた日本経済を肺炎にしてしまった、同じことをまたやろうとしているのではないかということを、二〇〇五年、小泉内閣のときに、こんなときに消費税を上げるのかい、こんなときに医療費を上げるのかいというふうに御指摘になりました。

 さて、今とどう状況が違うんでしょうか。今すぐ上げるとは言っていない、今すぐ消費税を上げ、医療費を引き上げるとは言っていないと。状況が変わってからやるのであって、このときに言ったことと今やっていることは整合しているというふうにお考えなのでしょうか。

野田内閣総理大臣 一つには、私どもが政権をお預かりする立場になって、そして国民の生活と国家財政とをしっかり守っていくという立場になったときに、まず事実、予算編成等にも実務としてかかわってまいりました。その際に、どうしても社会保障の改革は待ったなしの状況であるということを改めて痛感したこと、それも急がなければいけないということ、それを支える安定財源についても、きちっと財政規律を守りながら対応していかなければいけないことの必要性を感じているということでございます。

 そのことを踏まえて、過去にいろいろ言動があったかもしれませんけれども、少なくとも、当時よりも待ったなしの状況というのが深まってきていることは間違いないというふうに思いますので、今、そういう政治判断をさせていただいているということでございます。

石破委員 民主党政権三年目で、私も、ずっとこの予算委員会でいろいろな質問に立たせていただきました。

 最近になってつくづく思うのですけれども、やはり民主党のやっておられることというのは、全てやり方が一緒じゃないのかという気がするんですよ。今回の消費税あるいは税と社会保障の一体改革の議論を見ていると、これは普天間の問題とほとんど一緒ですね、やり方が。

 つまり、普天間はどうであったかといえば、普天間基地の代替施設は国外だ、最低でも県外だとおっしゃった。いや、それはマニフェストに書いてないなんぞと余計な言いわけはしないでくださいね。それは沖縄文書というのか何という名前だったか忘れたが、そういう文書で、きちんと民主党として、マニフェストではないけれども、公式の文書でそのように定められ、そして選挙の直前に、当時の代表であった鳩山さんが沖縄に行ってそのようにおっしゃった。

 沖縄の県民は、そうなんだ、自公ではできなかったが、民主党になれば国外だ、最低でも県外だというふうに大勢の人が信じましたよ、間違いなく。その結果として、我が党は沖縄では一議席もとれなかった。全滅をした。

 その後どうだったか。学べば学ぶほど沖縄におけるアメリカ海兵隊の果たす抑止力の重要性がよくわかったと言って、結果的に、菅総理になり、野田総理になり、結局もとの案に戻っていった。私は、この期に及んでもとの案でいいとは思いません。相当に手直しをしないと辺野古に移設できないと思いますよ。

 そして、私はこの場で総理に、沖縄に行かれたときに、ひめゆりの塔に行かれるのも大事でしょう、末次先生の碑にお参りになるのも大事なことでしょう、しかし何よりも大事なのは、一番翻弄されてきたのは誰なのだ、一番翻弄されてきたのは辺野古の住民であって、どんなに困難があろうとも、辺野古の住民に会って、手をついてわびるというところからでないと何も始まらないということは再三再四申し上げました。上空から見るだけなんということはやめてくれということも申し上げました。ですけれども、それはかないませんでしたが。

 話を戻せば、さんざん期待をあおって、結局できなかった。自民党・公明党時代の考え方に戻ったんだ。それで、あなた方は前から言っていたじゃないか、そうであれば協力するのが当然だと。党内には反対、反対、大反対という人がいっぱいいて、それはおかしいじゃないか。

 沖縄でもそうですよね。沖縄選出の議員さん方は、今でも国外、最低でも県外と言っておられますよね。党内では反対、反対、大反対、マニフェストのとおりにやるべきだ。消費増税の前にやるべきことがあるということをおっしゃって、党内はまとまらない。マニフェストで言っておられたのと違うことをやろうとしておられる。それはもともと自民党が言っておったことではないか、協力するのが当然ではないかと。

 これは、普天間のお話と今回の消費税の増税のお話と、構図としては全く一緒なんじゃないですか。違いますか。

野田内閣総理大臣 まず、普天間の問題については、御指摘のとおり、消費税と同じように、マニフェストには書いてはいなかったんですが、沖縄政策ビジョンという一つの私どもの政策の到達点の中では記載をされておりました。したがって、一人の代表の単なる発言ではなかったということは、これは御指摘のとおりでございます。

 その上で、県外移設の可能性についてさまざまな検証を行いましたけれども、いろいろ紆余曲折がありましたけれども、最終的には、今の日米合意を踏まえた対応をすることに決定させていただき、今、その努力をさせていただいていることでございます。

 消費税についても、これは確かにマニフェストには記載をしておりませんでしたけれども、基本的には、任期中には、私どもが政権を預かっているときには徹底した歳出削減をやっていくんだというのが基本的な姿勢であって、仮に、消費税を引き上げなければいけない、そう判断したときには、その前に国民の信を問うというのが、これも大方のコンセンサスで、それに沿って私も発言をしていたというふうに思います。

 その上で、普天間の問題についても、これはまさに外交、安全保障にかかわることです。そして、この消費税、社会保障とまさに税という、内政においては最大の、根幹にかかわるテーマであります。その根幹にかかわるテーマについて、曲折があったことは確かでございますけれども、しかし、まさに国民生活を守らなければいけないという視点に立ったときに、今、現時点のこういう姿勢になりました。党内に引き続きいろいろな議論があることは事実でございますけれども、いわゆる意思決定については、きちっとプロセスをたどってそれぞれやってきました。

 そのことは、いろいろ傷を負うこともあります。特にこの社会保障と税の一体改革などは、国民の皆様には苦い薬を飲んでいただく、痛い注射を打っていただく話でございますので、むしろ、そのことに変更することによってのリスクは相当にあると思います。

 しかし、まさに国民生活、国益を考えたときに、普天間の問題においても、あるいはこの財政の問題においても、そういう決断をしていく、そういう責任のある政権党でありたいと私は思っておりますし、そのことは、皆さんが前に言ったじゃないかという軽い気持ちでお願いしているわけではありません。そこは、石破筆頭理事も含めて、共有できる部分は相当あるというふうに思っておりますので、真摯にお願いをさせていただいております。

石破委員 前の選挙のときに野田さんが代表だったわけではないから、それはあなたの責任だと言うつもりはないんですよ。そのつもりはないんだけれども、そして、あなたが一生懸命国益を考え、次の時代の国民のことを考え、誠心誠意やっておられるということも私は評価をしているつもりですよ。できる協力は野党であっても国家国民のためにやらなきゃいかぬ、そのこともよくわかっていますよ。

 ですけれども、今の総理のお話を聞いていると、普天間の問題も、国益を考えればこういうことだ、痛い注射を打ち、苦い薬を飲むのも国民のためにやらねばならぬことだ、であるからしてと。こういう論法は一緒なんですよね。

 選挙のときに何をおっしゃったかというのは、この国会というのはその選挙のときに選ばれた議員たちで構成をされているんですよ。そのときに国民が何を思ったかということで我々はここに議席を得ているわけですよ。そのことをどう考えるかというのは、やはり避けて通ってはいけないことだと私は思うんですね。

 確かに、法案は決める、しかし、やるかやらないかは選挙を経てなんだ、それは当たり前のお話です。しかし、法案を決めるということ、消費税を上げ、社会福祉の選択と集中をやるということは、少なくとも民主党に一票を入れた人たちは、そういうことをやると思って入れた人は一人もいない。間違いなく一人もいない。消費税は上げないんだ、無駄を省けば金は出てくるんだ、十六兆八千億円出てくるんだと。

 最低保障年金だって、制度がスタートしてから四十年後なんて、一回でも言いましたか、選挙のときに。(岡田国務大臣「言っています」と呼ぶ)言いましたか、文書に書きましたか。いや、いいですよ、岡田さん、あなた答えなくても。選挙のときに、どれだけの人が公開討論会で言いましたか、党首討論会で言いましたか。

 では、岡田さん、あなたに聞きましょうか。

 言ったというけれども、あの選挙のときに党首討論がありましたよね。何度もやりましたよね。そして、いいですか、あなたも七回選挙をやっているんだから御存じでしょう。街頭演説で、あるいは箱物でもいい、七万円は制度がスタートしてから四十年たってから初めてやりますということを言った人がどれだけいたと思っていますか。

岡田国務大臣 何人いたかということは、これは検証のしようがありません。

 ただ、新しい我々の制度が完全にフルに動くためには、それは四十年後であるということは、実は選挙以前に、委員も御記憶だと思いますが、参議院と衆議院で合同の年金と社会保障協議会というのをつくりました。その中で、既に明確に発言されておりまして、そのことは議論の前提であるというふうに考えております。

石破委員 まあいいですよ、そういう水かけ論をしてもしようがない。要は、我々は結果責任であって、人がどう思ったか。俺はこう言ったけれどもわからなかったんだとか、マニフェストには書いてないぞとか、いや、書いたけれども読まなかったとか、そういうことを言ってはいけないんだと思うんですよ。人がどう思ったかということが極めて大事なことだし、選挙における党首討論会でそのことをきちんと正直に言ったのかということであります。

 これは、では何で七万円なんだろう。七万円の根拠というのは一体何だったんですか。

岡田国務大臣 基本的には、国民年金の給付額を参考にし、それに若干上乗せをしたということでございます。

 委員が先ほどお話しになった中で、選挙の際のいろいろな議論、限られた時間の中でどうしても、これは反省を込めて言うんですが、やはり有利なところ、それを選んで言うという傾向があることは否めないと思います。限られた時間ですから当然そうなるわけですが、しかし、不利なこともきちんと言うということも重要なこと、そこが十分至らなかったというところは、私は反省しなければならないと思っております。

石破委員 そのほかにもいろいろなことが明らかになっていますよね。つまり、今の年金に比べて、二〇五五年というから、今からずっと先の話で、我々も生きているかどうか、多分生きていないんでしょうな。生きていない世代のことだから何を言っても構わぬという話じゃないのでね。

 では、二〇五五年で今の制度と比べてどれだけ負担がふえるのか。たしか十一・七兆円ですよね、ふえるのは。そして、これはもっとはるか先の話だが、二〇七五年では二十五・六兆円ふえるはずですよ、計算をしてみれば。それはもう先のことだから知らないよでは済まないので、まだ見ない時代に対しても責任を負わなきゃいけないのが我々政治家であって、今さえよけりゃいいとか、日本さえよけりゃいいとか、次の選挙さえよけりゃいいとか、そんなことを言うんだったら政治家なんかやめた方がいいというのは、政治改革のときに随分と岡田さんとも議論したことであります。

 では、ずっと先なんだが、二〇五五年で十一・七兆、二〇七五年で二十五・六兆ということですよね。そして、年収が四百二十万円以上の人、こういう人たちというのは今よりももらう額が減るんですよね。そのことというのは、制度を設計したときに、選挙のときに、四十年後というのはあのとき言ったというのは、国民が知ったかどうかは別にして、では承っておきましょう。では、負担はふえるんだ、四百二十万円以上の人はもらう額が減るんだということはわかっていましたか、わかっていませんでしたか。

岡田国務大臣 まず、これは一つの試算であります。正確なものはきちんと計算し直さなければならないというふうに考えております。

 その上で、四百二十万というのは、夫婦の場合はこれは八百四十万ということでございます。ですから、必ずしも所得の少ないということではないということでございます。その試算をした結果、おっしゃるように、一定の範囲の中で年金額が減る層がかなり広範囲に出てくるということが数字で裏づけられたのは、昨年のことでございます。

石破委員 それは、やらなかったんですか。あるいは、政府というシンクタンクを持っていなかったので、そういうような計算はする能力がなかったということですか。

岡田国務大臣 その試算が可能になったのは、我々が与党になって、厚生労働省にその試算を依頼することが可能になったということでございます。

石破委員 私どもは、最低保障年金七万円なんてできないよということを選挙のときに申しました。だけれども、そんなことはない、自民党の言うことなんか信用できないというふうに、私は日本国じゅうあちらこちらで民主党の候補にあざ笑われたことをよく覚えていますが、やはりそういうことをきちんきちんとやるべきではなかったか。

 そして、政府をもって計算機を回してやってみたら実はこうだったということでありとせば、もしそれと同じことを選挙のときに言っていたらどうなったか。八百四十万としましょうか。そんなに安くないぞ、結構高いと今副総理はおっしゃいましたが、それも言ったとしましょう。でも、それ以上の人は減るんだよ、ずっと先は負担はもっとふえるんだよということを正直に言っていたら、違う結果になったんじゃありませんか。

岡田国務大臣 これは、どこまで選挙のときにわかっていたかということでもございます。

 ただ、我々、基本的な考え方として、所得の少ない方の年金が十分ではない、やがてこれは生活保護ということになるのかもしれませんが、でき得れば年金という形で老後の生活を安心してできるようにしたい。したがって、税で賄う最低保障年金、そしてそのほかは、所得に応じて保険料を払っていただき、それに準じて年金を支払っていくという所得比例年金、こういう考え方が間違っているとは私は今でも思っておりません。

 それをどういうふうに制度設計していくか。それは、最低保障年金をどの範囲で出すかということによって必要な負担額は変わってくるわけでございます。我々の試算によりますと、政府の今の案でも、五十年後、七十年後には、やはり消費税を引き上げないとやっていけないという結果になっております。別にそのことを選挙のときに当時の与党の皆さんが言われたわけではないと思うんですね。

 ですから、どの範囲までわかって、どの範囲まで有権者にそのことを説明していくか、これはなかなか難しい問題だというふうには思います。

石破委員 いや、難しい問題だで片づけられちゃ困るのでね。

 では、承りますよ。きょう閣議決定した消費税関連法案、これはいつ国会にお出しになりますか。そして、税と社会保障の一体改革であれば、社会保障の改革関連の法案も一緒に出さないと、一体改革の議論に当然なりませんよね。これをあわせて出さなければ一体改革でも何でもないのであって、では消費税関連法案は、何だか、仄聞するところによると、連休明けてから、そんなばかなことはないんでしょうね。そして、社会保障の関連法案、これは厚生年金も含みますが、これを一緒に出さないと議論になりませんよね。

 一緒に出しますか、いつ出しますか、お答えください。

安住国務大臣 本日決定をいたしました、いわゆる消費税にかかわる部分の消費税法等の改正案については、本日国会に提出をいたしますので、速やかな御審議をお願いしたいと同時に、どういう委員会でどういうふうにするのかは国会の方にお預けをいたしますので、ぜひ御審議を賜ればと思っております。

小宮山国務大臣 社会保障の改革の法案につきましては、きょう閣議で、工程表も一緒に閣議決定をいたしました。

 それで、子ども・子育てですとか、多くのものはこの中に入っていますけれども、おっしゃったような新しい年金の法案は、マニフェストでお約束したとおり、来年の通常国会に向けて出したいという予定を書かせていただいておりますし、被用者年金の法案につきましては、二階建ての部分までは今、四月上旬に出させていただきたい、そういう工程表も一緒に出しておりますので、これは順次法案を提出したいということでお願いをしていますので、ぜひ御理解をいただきたいと思っています。

石破委員 とても理解はできません。そういうものは、ばらばらに、五月雨に出されても困るのであって、そういうものをばらばらに出しながら、片っ方では消費税法案、今財務大臣がおっしゃった、閣議決定をした、きょう国会に提出した。結構なことです。だとするならば、財務大臣としても、あるいは内閣全体としても、厚労関係の社会保障関係の法案がばらばら出てくるのではなくて、その作業を急がせて、一体として国会で審議をさせるべきだ、私はそう思いますが、そういうふうに総理はお思いになりませんか。

野田内閣総理大臣 先ほど小宮山大臣がちょっと触れましたけれども、今回やらなければいけない社会保障の改革の項目ごとに工程表をお示ししています。今国会中に法案提出しなければいけないもの、それから平成二十四年度以降に提出するもの、そういう整理をしていますが、今国会中に提出して、税法とあわせて一緒に御審議いただきたいと思っていますのは、既に五つの法案については提出済みでございます。それから、本日、子ども・子育て新システムであるとか、いわゆる短時間労働者の適用拡大の問題等の年金関連とか、これもきょうは同時に法案の提出をさせていただきました。

 若干、少しおくれるというのが、被用者年金の一元化と、それから後期高齢者医療制度。これは、今国会中に提出をすると言っている話でありますが、おくれているということでございますが、ただ、その制度のイメージについては、社会保障との一体改革の中で全体像と方向性はお示しをしていただいていますので、その議論に支障が出るということはなくて、一体改革として御議論いただけるものというふうに思います。

石破委員 私は、年金の一元化も長寿高齢者医療制度も、かなり根幹をなす部分なので、これも一緒に出されないとだめだと思いますよ。

 後期高齢者、高齢者を粗末にする自民党とさんざんおやりになりましたよね。こんなとんでもない制度はきっぱり廃止だと言って、まだ残っていますよね。基本的にはあれは正しいんですよ、あの制度は根幹的に正しいものなので。

 年金制度もそうです。あたかもすぐに破綻するかのごとくミスター年金の方がおっしゃっておられて、不安をさんざんあおって、それをもって自民党はぼろ負けに負けましたが、いいです、それは選挙に負けた私たちが悪いんだから。だけれども、そういうものを全部一体として出すということが、私は政府の責任だと思いますよ。

 そして、最低保障年金七万円なんぞというものは、ああいう荒唐無稽なものはお下げになった方がよろしいですよ。それは岡田副総理も示唆をしておられますけれども、あのように実現不可能なもの、あるいは厚生年金受給者の方にとってはほとんど関係のないお話、そういうものはきちんと下げるという選択肢はお持ちの方がよろしいと私は思っております。

 それで、もし野党に協力を求めるとするならば、消費税一〇%ということを申し上げたのは私どもの方が先です。政調会長として、いろいろな議論もありましたけれども、これはやらねばならないということで、参議院選挙の公約に書かせていただきました。私どもも基本的にその考えに異を唱えるわけではありませんが、これをやろうとするならば、やはり、選挙のときに言ったことは何であったのかということ、そのことを総括し、国民に向けて、別に私たちに謝罪してくれとは言わぬですよ、一票を入れた国民に向けて、誤解を招いた点があった、あるいは十分に承知をしないままに公約を述べた、人間、無謬とは言いませんから、誤りがあったことをきちんとわびるということなのでしょう。

 そして、総理がおっしゃるように、五十一対四十九であっても、五十一で決めるということは、それは立派なことです。そうあるべきでしょう。いつまでも選挙のためにと言っているような人かどうかは知らないが、そういう議論をしていても何も決まらぬのでね。国民が怒っているのは、何も決まらぬ政治ということに対して怒っておられるんだと私は思いますよ。その責任はどっちも負うべきでしょう。決めなきゃいかぬのです。

 もし仮に、反対、反対、大反対という人がいれば、それは切るというような決意が必要なんでしょう。採決のときに造反する、そんなことをやられてたまりますか。それだったら、反対なら反対とはっきりおっしゃってくださればいいんです。副大臣をやめ、政務官をやめ、そんなことだけで済むはずはないので、採決のときに反対するんだったら、今からそれは数に見込んでおいてもしようがない。それは、そうであって初めて、私どもに対して、どうしても協力してもらいたいという立場を得るんじゃありませんか。

 そして、法案を決めた後か前か、そこはいろいろな議論があります。もう一度国民に決めてもらおう。それは自民党のためでも民主党のためでもなくて、この審判はまさしく主権者たる国民に仰ぐのだということをきちんとお約束をされるということは、我々が国民に対して果たすべき責任だと思うし、それができるのは内閣総理大臣であるあなたしかない。そのことをきちんとやられたとするならば、私どもも当然、国家国民のために、一緒に議論をし、よりよいものをつくるということだと思います。

 ですけれども、総括もしない、わびもしない、反対する人は相変わらず同じ党内にいる、そして、国民の審判を仰ぐということも約束しない。それで協力をしてくれと言われても、それはできないですよ。いかがですか。

野田内閣総理大臣 二つの重要な論点があったと私は思います。

 一つは、マニフェストを含めての総括ですね。何を言ったのか、何ができなかったのか、できたのかも含めてです。その総括は、当然、これは選挙の時期をいつやるかは別として、国民に信を問うときには、いわゆる一つの業績投票という要素がありますので、それはしっかりと国民の皆様に総括をした上で御説明をするのが筋だと思います。

 私は、依然として、マニフェストのその掲げ方には工夫の余地があると思いますけれども、マニフェスト選挙自体は意義があると思っています。

 問題は、やったこと、やらなかったことの総括をきちっとした上で選挙に臨むかだと思います。昨年の八月の段階で、副総理が幹事長のころに中間検証を行いました。そういう総括もしていますが、もちろん、選挙の直前にも、もっときちっと全体の総括が必要だと思います。

 それは、私どもについては、今後も、例えば年金の制度も、最低保障年金と所得比例年金を組み合わせたものも決してバラ色ではないと思っています。でも、バラ色ではないけれども、言わなければいけないものも出てまいります。そういうことがきちっと、バラ色を振りまいたとする御批判があるならば、そうではなくて、きちっと正確に、どういう制度設計をやっていくかということをマニフェストとしてお訴えしなければいけないということが現段階で言える総括だというふうに思います。

 逆に言うと、お互いにそういう努力が必要だと思います。郵政民営化、バラ色だと思った人はいっぱいいました。そのことによって自民党が大勝し、我々は惨敗したということもあります。今度は、郵政についてまた見直しの議論が起こっているわけで、それは、御党においてもそういう総括をぜひして、お互いに現実的に切磋琢磨できるような、そういうマニフェスト選挙をしたいというふうに思います。

 その上で、今、党内の御指摘がございました。これは二つ目の大きな論点だと思いますけれども、いわゆる成案をつくり、素案をつくり、大綱をつくり、大綱を踏まえて今回の法案提出になりました。いろいろな議論があります。重要な政策でございますから、それぞれ真剣なお立場でいろいろな意見が表明されました。全て取り込めたわけではないと思います。多くを取り込みました。だけれども、私は、プロセスは丁寧にやってきたという自負はあると思っております。

 それを踏まえて、またその採決の暁に造反が出るとか出ないとかじゃなくて、造反が出ないという前提のもとでマネジメントをしていきたいというふうに考えております。

石破委員 今の時点でそうおっしゃるのはわかりますよ。そのお答えでこの場はしのげるかもしれません。ですけれども、そうでなかったときにどうするかということを考えるのが私は覚悟というものだと思っています。

 それは、総理は、これに政治生命をかけるということは、私自身は余り軽々に口にすべきものではないと思っているけれども、どうしてもこれをやることが政治家あるいは宰相野田佳彦としての責任だというふうにお考えだとするならば、造反が出ないように努力をするというような甘い幻想、期待は余りお持ちにならない方がいいと思いますよ。そして、我々が協力をするというからには、総理が本当に、民主党よりも国家が大事であると、当たり前の決意をお持ちになることだと思います。

 私は、ノーサイドということはマイサイドがないということだというある学者の先生のお言葉をこの場でも申し上げたことがある。どっちの顔も立てようというのは、結局のところは何もできないということなのであって、本当に総理が、民主党よりも、党内融和よりも、国家のためにこれをやらねばならないという決意をお示しになったときに、それは人の心は動くし、我々野党もそれに協力をしようと。自民党のために日本があるわけじゃないし、民主党のために日本があるわけじゃないし、我々は、党こそ違え、国家のために働く責任を持っているのだ、このことは私は申し上げておきます。余り希望的なことはおっしゃらない方がよろしいです。

 消費税というのは、そもそも何のための税金なのかということを最後に承っておきましょう。

 弾力条項ということをおっしゃる方がありますね。経済成長率、名目、実質、これが達成できなければ消費税は上げないのだ。中身は詳しく私は存じませんが、私は、そういうお話というのは、消費税というのは一体どういう税金なのかということについての御理解がないか、あるいは全く違うお考えをお持ちなのか、どっちかなのではないかといぶかしく思っております。

 つまり、消費税というのは、景気がよかろうが悪かろうが、法人税や所得税と違って、きちんと入ってくるという特性を持っている。だからこそ、何に使ってもいいというものではない。景気がよかろうが悪かろうが高齢化は進むのであって、少子高齢化を山に例えればまだ三合目ぐらいの話であって、これから物すごいピークが来るわけであって、そのことを考えたとするならば、景気がよければとか悪ければとか、そういうことが固定化されて連動されてはいけないと私は思っているのですよ。

 景気をよくする努力はほかにやっていかねばならない。規制緩和であり、GDPとGNPを両方上げていくということであり、外資をもっと導入していくということであり、いろいろなものを総動員しながら、財政政策も金融政策も総動員をしてやっていかねばならないのであって、だけれども、それが功を奏して上がらなければ消費税を上げないという考え方は、私は基本的に間違いだと思いますが、総理、どのようにお考えですか。

野田内閣総理大臣 今回入っている景気への配慮をする条項ですけれども、経済の好転を条件というよりは、それを目指すということになっています。数値も入れましたけれども、それは、新成長戦略であるとか日本再生戦略を含めて、デフレを克服して、円高を阻止して、そして日本が安定した成長の軌道に乗っていくということに政府は全力を挙げていくということがいわゆる本意、意思であります。それをやらなければいけないというふうに思います。

 一方で、消費税の性格ですけれども、これは、石破委員の言っているとおりだと思います。景気の動向によって所得税や法人税は大きな影響があります。だけれども、消費税はそことは関係なく安定しているということと、もう一つは、これは社会保障のための安定財源としての位置づけなんですね。

 その意味でいうと、社会保障改革の大きな考え方でいうと、それは、負担のところと給付のところ、ここで世代間の公平を図るということです。給付の方は、高齢者向け中心だったものをもっと人生前半の社会保障に充てていこうということと、それから負担の面においても、所得税とかあるいは保険料とかというところに頼るのは現役世代中心じゃありませんか。そうではなくて、全ての世代において助け合い、支え合えるという仕組みからも消費税がふさわしい。そういう二重の意味から、安定財源に消費税を充てていこうということでございます。

石破委員 余り総理とこれで議論する機会がないので、承っておきます。

 私は厚労の専門ではないので、あるいは正鵠を外したことを申し上げたら恐縮なんだが、社会保障の選択と集中ということの本当の意味は何なんだということなんですね。甘いバラ色の話ばかりしていても仕方がないので、そうすると、自分たちは助かるかもしれないけれども、次の世代はとんでもないことになるのであって、選択と集中の中身は一体何ですか。

 選択と集中というのは結構ポジティブな言葉なので、みんな賛成賛成と言うんだけれども、中身を聞くと、そんなことは知らなかったと言われちゃたまらぬので、言っても受けないけれども言わなきゃいけないことは世の中にあると思っているのですよ。

 子育てはちょっと横へ置きます、年金にしても医療にしても介護にしても、その本質というのは、リスクを回避するための保険という本質があるんじゃありませんか。病気になったらどうしよう、年をとって収入もなく資産もなかったらどうしよう、体が不自由になって収入もなく資産もなかったらどうしよう、そういうリスクに対する保険なのだけれども、そこに公費を大量に投入し、本当に困窮の立場にある方も、比較論の問題ですが、それよりも困窮度が低い方も同じように扱うということになりますと、財政はどこまで膨張してもとまらぬのではありませんか。

 保険というものの本質をもう少しきかせるべきではないのか。そして再配分の機能をもう少しきかせるべきではないのか。そして、もっといろいろな経費削減に対する、経費削減というのは、困っている人を困らせるという話じゃありませんよ、困っている人に対してもっと十分な手当てをするという意味で申し上げているのだけれども、それを削減していくイニシアチブがきいていないということの三つの問題点を私は感じているんです。

 選択と集中というのは、実はそこを議論しなければいけないのであって、当然今よりも受益が減る人はいる。だけれども、持続可能性を維持するためには、それはあえてお願いをせねばならぬことだ。それをきちんと訴える責任が政治にはあると思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおりだと思うんです。

 例えば、老後の生活を考えたときに、我々が最低保障年金という概念を考え始めたというのは、年をとったときに、例えば、夜露をしのぐ家がない、寒い中、セーターも買えない、食べるものもないということにならないような最低限の生活を確保するためにはどうしたらいいのか。それは、アメリカのように自己責任の強い国にするのか、そうじゃなくて、お互いが支え合い、助け合えるのか、公費をどれぐらい投入するのか。私は、一定程度はそこは公費を投入して、将来に対する安心感はつくらなければいけないというふうに思います。

 そういうものを、今は老後だけでお話ししましたけれども、これは人生いろいろな段階で、例えば失業することもある、病気になることもある、けがをすることもある。社会保障というのは、困ったとき、弱ったときに出てくるサービスだと思います。それは、まさにリスクという意味においては、保険の考え方というのは十分大きな比重を占めるものだと思います。その上での議論を行っているんですが、その中では、選択と集中ということは、要は効率化と重点化を進めていくということだと思います。

 今回のいわゆる社会保障改革の中で、充実の部分はもともと三・八兆ありました。そこで効率化、重点化が一・二兆出てきましたので、今、社会保障の充実は二・数兆という言い方をしています。そういう形で、これはまだ足りないという御指摘なのかもしれません。ただ、生活保護の部分の不正受給の問題とか、いろいろな効率化を図っていかなければならない視点というのは、これは与野党共有できるものだと思っておりますので、議論を深めたいというふうに思います。

石破委員 いずれにしてもという言い方はよくないかな、きちんとした情報というものを開示し、本当に御負担をお願いすることは御負担をいただかねばなりません。そして、どうやって経済を成長させるか。

 きょうは時間がないから聞きませんけれども、余り議論はなかった、経産委員会では多分あったんでしょうけれども、エルピーダの破綻というのは、本当に私ども、よく考えなきゃいかぬことだと思っています。政府が何をつくるかなんて決めていいはずはないし、お金を集めるのも、政府が集めちゃだめなんですよね。何で我々は韓国に勝てないのかということもきちんと議論した上で、総理も私も同じ昭和三十二年ですから、何とか逃げ切れる世代かもしらぬですよ。だけれども、次の時代がどうなんだということ、そのことをちゃんと示して、そして国民の審判を仰ぐということを念頭に置きながら、これから先、結論を得るように努力をしていただきたいし、私どもも応えていかねばならないと思っております。

 あと、外交、安全保障を少し聞かせてください。

 総理、先般韓国にいらっしゃって、本当はもっと長い時間行っていただきたかったと私は個人的には思っていますが、結局、北朝鮮のやっていることというのは、私、二十数年ずっと見ていて、暴走する、したかのように見せかける、大変大変ということで各国がやってきて、まあまあ落ちついてという話になる。いろいろな見返りを与える、それに応じたように見せかけるが、実は、それは見返りを受けるようなものでも何でもなくて、本来やらねばならないことをやっただけの話だ。見返りを与えるようなものではなかったが、まあ、とにかくおさまった、よかったよかったと。その後、また暴走を始めてということがずっと繰り返されてきたわけですよね。

 最後に、合衆国まで届く、あるいはグアムまで届く、ハワイまで届く、沖縄までには既に届くわけですから、そういう核ミサイルを持ったときに局面はがらっと変わるということで、時間はどんどん北朝鮮に有利に働いているはずなんですよ。間違いなく、今まで行われてきたことはそうですよ。

 何でこんなことが起こるかというと、アメリカ、日本、中国、全部政策の優先順位が違うからでしょう。

 アメリカは何が一番恐ろしいか。核拡散ですよね、今のところ。中国は何が恐ろしいか。中朝同盟は今でも有効なので、あそこで騒ぎが起こったら、それはもう中国自体が揺らぐわけで、とにかくそんなことをやられてはたまらぬと。日本にとっては、日本まで届く核ミサイルが実用になったらたまらぬということで、それぞれ優先順位が違うので話がばらばらになって、でも、一番のキーを握っているのは中国だとするならば、中国の懸念をいかにして払拭するかということを考えていかないと、一番脅威に直面しているのは日本なのですから、それをやる役割を我々日本国は持っているのではないかということであって、暴走したら何とかとめよう、あるいは経済制裁をしよう、それをずっと繰り返してきたけれども、何で今のような状況になっているのか。

 金正恩最高指導者というのか、領導者というのか、司令官というのか、何と呼んでいいかはわかりませんが、間違いなく遺訓政治をやりますよね。否定することはみずからの正統性を否定することですから、間違いなくやりますよ。ミサイルも撃つ、核開発もする。政権の基盤が安定しているか不安定なのか、そんなことは私にはわかりません。だけれども、不安定だということも念頭に置かねばならないのであって、だとすれば、それを乗り越えるために、私は哨戒艦撃沈事件も延坪島に対する砲撃も全てその中にあるものだと思っていますよ。

 日本国として、今何をなすべきか。それは、各国の政策の優先順位を調整し、その中において日本が何をやるべきなのか。では、今の周辺事態法でいいのかいということ。あるいは、ガイドライン、これを見直す必要があるんじゃないのかい。場合によっては、憲法の考え方を見直す必要があるんじゃないのか。普天間の話も、いつまでも引きずっていいということじゃないんじゃないのかい。私たちは、これをきちんと解決するために果たすべき責任があると思いますが、今の政府がそれをやっているとは私には思えないのですけれども、どのようなお考えでこれから北朝鮮に対して臨んでいかれますか。総理、お答えいただければありがたいです。

野田内閣総理大臣 北朝鮮が抱える問題の中で、いろいろな問題があります、懸念があります。これは、石破委員御指摘のとおり、あえて優先順位というならば、各国、関係国、違いがあるということは、私はそのとおりだというふうに思います。

 違いがありますけれども、その調整をしながら、まさにどうやって、例えば今だったら、人工衛星と称するいわゆるミサイルの発射を自制させるか、これは、最大公約数として、共通してみんなが懸念を持っています。今回ほど中国もロシアも深い懸念を共有しているということは、今までになかったことだというふうに思いますので、これは関係する六者協議の関係国が連携をしながら自制を求めていくということがまず大事だと思います。

 自制を求めても、今委員御指摘のとおり、私は、遺訓を大事にすることがまさに権力の継承の正統性としてあの金正恩氏が捉えているならば、それは撃つ可能性は高いと思います。では、高いとするならば、その後に深い懸念を持って自制を求めてきた関係国がどういう対応をするのか、安保理も含めてどういう対応をするかということの中で、まさに、問題意識の地ならしを一つ一つ段階ごとにやっていくことが必要ではないかというふうに思います。

石破委員 外務大臣はよく御理解だと思いますのでお尋ねはしませんが、本当に、時間は北朝鮮に有利に働いているという認識を我々は持たないと、とんでもないことが起こりかねないというふうに私は思います。そして、韓国の選挙が控えているということ、韓国にどういう政権が誕生するかということも、私どもは注意深く見ていかねばならないというふうに思っております。

 ミサイル破壊命令、これはどの条文でいきますか。どの条文に基づいてきょうそういう決定をなさいましたか、防衛大臣。

田中国務大臣 自衛隊法八十二の三の三でございます。

石破委員 これは何で立法された条文ですか。防衛大臣、これはどういう趣旨で立法された条文ですか。

田中国務大臣 今回の破壊措置の、自衛隊の発動として行うものではなくて、自衛隊法上の任務として、公共の秩序の維持に該当しておると思います。

石破委員 それは自衛権の三要件に該当しないからですか。大臣、自衛権の三要件に該当しないからですか。

田中国務大臣 自衛権の発動ではございません。国民の生命と財産を守るということでございますので、警察権に該当するというふうに認識をいたしております。

石破委員 済みません、自衛権の三要件をお答えください。

田中国務大臣 自衛権は、急迫不正のもの、あるいは、我が国に対して、それ以外の手段がないという場合に自衛権が発動される、そしてまた必要最小限の自衛をするという三条件でございます。

石破委員 後ろから総理が教えているという場面を私は初めて拝見いたしました。政府総動員という感じがよくいたします。

 警察権ですよね。そうしますと、きょう一部新聞にありましたが、F15を飛ばすという法的根拠、あれは何ですか。そして、誰に警護の任務を付与するのですか。そして、武器が使える場合はどんな場合ですか。護衛艦ですか、F15ですか。何が武器が使えて、その場合に危害を許容するのはどういう場合ですか。そのことをきちんと念頭に置かないでF15を飛ばすということがあってはならないですよ。

 そのことについて、あれは誤報なのか、そんなことは決めていないのか。いかなる法的根拠に基づき、どういう場合に、どういう武器使用ができるんですか。

田中国務大臣 先生御指摘のF15の問題につきましては、決めているわけではございません。

 しかし、イージス艦が発射する準備をしておるわけでありますので、その状況の中で、やはりいわゆる危険が伴うという、妨害があるというような事態のときにはイージス艦を保護する、こういうことで、自衛隊法の九十八条の問題というふうに出て……(発言する者あり)ああ、ごめんなさい、九十五条ですね。持ってきませんでしたから。そういうふうに報道はされておりますけれども、現実には検討をしておるという状況ではございません。

 きょう指示をしたわけでありますので、現実にどう対応していくかということは、これから検討をされるというふうに認識をいたしております。

石破委員 これは総理に申し上げておいた方がいいんでしょうね。さっきから総理が、九十五条であるとか、いろいろなことを後ろからサジェストしておられるという場面を、私も長く議員をやっていますが、初めて見ました。どの条文を使うか、何のときに撃てるか、どういう場合に危害が許容できるのかということをきちんと頭に入れておかないと、何が起こるかわからないですよ。

 戦というのは、私、別に、口幅ったいことを申し上げて恐縮だけれども、ちっちゃなことから起こる、偶発的なことから起こるということの方が多いんじゃないんですか。ちっちゃな判断ミスから、あるいはミスカルキュレーション、あるいは相互理解の欠如、そこから物すごいことが起こるのであって、それは、防衛大臣たるもの、条文が全部頭に入っていなくて何で瞬時の判断ができるんだということだと私は思いますよ。

 これはホルムズ海峡においても同じ話であって、この問題を余り軽く見ない方がいい。

 私は、アメリカが中東から中国、太平洋に、対中国にシフトしたと聞いたときに、本当だろうかと思いましたよ。確かに、イラクから引いた、アフガンからも引く、だからという話になったときに、イスラエルがそれをどう考えるのかということ。あのイランが核を持つということをイスラエルは本当に物すごく深刻に考えていると思った方がいいですよね。

 それは、イランの問題というよりも、イスラエルのアメリカとの関係ということも念頭に置きながらやらなきゃいけないことであって、イスラエルは今保守政権です。イランもそうですよね。そうすると、本当に封鎖するぞということが、できやしないさというふうに鼻で笑うんじゃなくて、一日や二日だったらできるかもしれないということを念頭に置いていろいろなオペレーションを考えていかなければいかぬのは当たり前のことです。そのときに、外交努力は外交努力としてやっていって、では、防衛として何ができるんだということを考えていかなければならない。そのときに、では、何ができるか。

 機雷掃海ということをペルシャ湾でやった、湾岸戦争の後でやった。そうすると、今回、仮にできるとすれば、どのときにどんなことができますか。頭の体操なんて言っても、あそこまで掃海艇が行くのに一月以上かかるのであって、決めたときには、頭の体操が終わったときには事は済んでいましたというようなことがあったらば、あの地域に原油の相当を依拠する、八割ですか、日本は大変なことになるわけですよ。

 そのときに何ができますか。今どのように防衛大臣は認識していますか。

田中国務大臣 イランの問題は、平和的、外交的に努力をしていくことが大前提でございますが、防衛省といたしましては、先生が御指摘のように、いろいろと検討しておることは事実でありますが、今のところ、具体的に対応するというようなことは、まだ結論を得ているわけではございません。内閣全体でこの問題については検討していくというところでございます。

石破委員 内閣全体で考えるんじゃないんですよ。自衛隊法上、何が可能なのかということを事実として聞いているのであって、やるかやらないかを聞いているのではない。法的に何が可能であるかということを聞いているんです。それは内閣全体じゃありません、防衛省が考えることです。

田中国務大臣 お答えいたします。

 あえて法的観点から一般論として申し上げれば、以下のとおりだと思います。

 機雷掃海については、一般に、遺棄された機雷などの場合には、我が国船舶の安全確保の観点から、自衛隊法第八十四条の二に基づき除去することが可能でございます。

 また、対潜哨戒を含む警戒監視については、一般に、我が国周辺における自衛隊の警戒監視活動は、防衛省設置法第四条第十八号により、我が国の防衛という防衛省の所掌事務の遂行に必要な調査及び研究の一環として実施しているところでございます。

 外国艦船に対する洋上補給については、共同訓練等に際して実施されるものを除き、現時点においてこれを実施し得る法的根拠は存在をしておりません。

 我が国の警察権の行使として行うタンカーを含む我が国船舶の護衛については、海上保安庁では対処できない場合には、自衛隊法第八十二条の海上警備行動として自衛隊が行うことが可能でございますが、これは全体に一般的な問題でございまして、これから具体的な問題につきましてはまた国会で御議論もあろうかと思いますけれども、防衛省としても検討をしていく課題だと思っております。

石破委員 いや、朗読されてもいいんですけれども、中身がわかっているかどうかの話で、武力攻撃の一環として敷設された機雷とは何ですか、遺棄された機雷というのはどういう概念ですか、そういうことがきちんとわかった上でないと、命をかけて現場で行動する自衛官に対して命令することはできませんよ。

 では、領海に敷設された機雷と、公海上に敷設された機雷と、領海に敷設されたが領海外に出ていった機雷と、これはどういうような場合分けができるかということ。あるいは、国際法に反して敷設をされたものであるならば、それを排除することは可能ですか。

 では、これだけ答えてください。国際法に違反して敷設された機雷は、それを排除することは我が国は可能ですか。

田中国務大臣 外国による武力攻撃の一環として敷設された機雷ということになりますと、やはりこれは、我が国としては憲法上の問題があり、対処することはできないというふうに認識をいたしております。

石破委員 何でそれが憲法に規定された国際紛争を解決する手段としての武力の行使になるんですか。

田中国務大臣 外国による武力攻撃の一環として敷設されているということでありますので、自衛隊としては限度を超えるということで対処できないということで認識をいたしております。

石破委員 時間が来ました。総理、申し上げておきますが、危機管理というのは、本当にその一瞬の判断ですよ。何で大臣がその責任を負うかといえば、それは選挙で選ばれているからですよ。選挙によって選ばれた、そして国会で選ばれた、選挙で責任を負えるからですよ。だから、大臣が責任を負うんです。大臣が命令を出すんです。

 本当に一瞬の判断ですよ。いろいろな条文、そしていろいろな状況、それが頭に入って、判断ができて、だからこそ国の独立が守られ、自衛官の命をかけて戦う、活動する、それに報いることができる。これ以上は申し上げません。それをよくお考えください。

 以上で終わります。

中井委員長 これにて石破君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木でございます。

 まず、総理にお伺いしたいと思うんです。

 これは通告していないんですけれども、政治の目的、究極の目的ですね。例えば、きょう、消費税の問題で閣議決定をされました。税と社会保障の一体改革、この少子高齢社会において重要な問題だと思います。また、先ほどから石破委員も、質問に出ていた北朝鮮のミサイルの問題、これも危機管理の問題としては重要な問題。外交、安全保障もある。または教育の問題や環境の問題、またエネルギー、経済、いろいろな分野、これはやらなきゃいけないと思うんですね。でも、それは何のためにやるのか。

 実は、よくこの国会の議論でも出てくる、国民の生命財産を守るという言い方をよくしていますね。もちろん、財産、生命、それぞれ守らなきゃいけないんですけれども、究極は、国民の一人一人の命をいざというときに守っていく、これが政治の役割じゃないかなと僕は思うんですが、その点について、総理のお考えを最初にお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 国の役割、政治の役割というのは、私はすごく幅広いと思うんです。きょう御議論いただいた社会保障と税、これはまさに内政における重要テーマ。一方で、国家の独立、そして平和を守るということも国として大きな役割です。こうやって吸っている空気だって、これは政治のテーマです。飲んでいる水だって、これは政治のテーマです。ありとあらゆるものが今多くの政治のテーマでありますが、でも、一番大事なことは、これは高木委員御指摘のとおり、国民の命を守るということだと思います。

高木(陽)委員 今総理からそういうお言葉をいただきましたので、これから首都直下型の防災の質問をしたいと思います。

 これは、なかなかリアリティーがなくて、まあ何とかなるだろうだとか思ってしまう。

 三・一一がありまして、かなり国民の中には防災の意識が高まってまいりました。その中にありまして、東海地震を初め三連動の地震、これも政府部内ではいろいろと検討されている。きのうも中央防災会議が開かれたというニュースを見ましたし、そこでは、九・一の防災の日には首都直下型対応の防災訓練をやろう、こういうお話も出ていたと伺いました。

 その中にありまして、内閣の閣僚の中にも東京選出の方が三人いらっしゃるんですね。法務大臣と厚生労働大臣と、あと松原国家公安委員長。総理も千葉ですから、枝野大臣も埼玉で、首都直下型というのは、もう皆さん方の命にかかわる問題ですね。それ以外の閣僚の方は、東京に大体在住というか平日はおられるわけですから、そういう部分でいうと、この首都直下というのは本当に重要な問題であるなということから質問をしたいと思います。

 きょうは、追及だとかそういうことじゃなくて、共有の認識を、特に委員の皆さん方もその認識を持っていただいて、どうするかという、そのスタートにしていただければなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 その上で、首都直下の発生の確率ということで、これまで、三十年以内に七〇%の確率と言われておりまして、この七〇%の確率というのは、三十年後に起きるんじゃなくて、きょう起きてもおかしくないという話なわけですね。

 その中で、実は先日、文科省の研究チームが、東大の地震研を中心にして、フィリピンプレートが滑り込んでいくところの位置が十キロぐらい浅い、そういうようなデータが出まして、これまで中央防災会議で想定していた震度六強が震度七になる、こういう話がありました。

 六強と七のこの差というのはもう天地雲泥の差があるということで、この被害想定及び対策の見直しについてやらなきゃいけないと思うんですけれども、いつまでに取りまとめるのか、これをまず伺いたいと思います。

中川国務大臣 東日本大震災を受けまして、御指摘のように、専門家の間でも、日本列島の応力状態が大きく変化をしてきているということ、それを受けて、この首都直下型地震も切迫感を持って対応していかなければならないということ、これが基本だと思っております。

 そんな中で、まず、直下型地震の想定なんですが、これはもともと平成十七年に想定をしておりまして、マグニチュード七クラスのものを前提にやってきました。それに加えて、先ほどの、東日本の震災、そして東大チームがさっき御指摘にあったような新しい知見を出してきたということ、さらに言えば、これまで想定のなかった相模トラフ沿いで発生するマグニチュード八クラスの地震なんですが、これも今回は対象にして、もう一度この地震想定というのを見直していきたいというふうに思っております。

 それと同時に、最大クラスの地震、津波に備えた対策、これも今、それぞれの対策の委員会に基づいて議論を同時並行的に始めておるということであります。

 そんな中で、具体的なスケジュールなのでありますが、防災対策推進検討会議のもとに、首都直下地震対策を検討するワーキンググループというのを実は三月七日の日に構成しまして、今、先ほど申し上げた、同時並行的にやっているんですが、その中で議論していかなければならない項目、これは、首都中枢機能の継続性の確保、それから震度分布、津波高の推計、それから被害想定の実施、そして被害想定に基づいた首都直下地震に対する予防、応急、復旧、復興の各対策の方向性を決めていくということにしております。

 震度分布、津波高についてはことしの秋ごろまで、それから、これに基づく被害想定は冬ごろまでにまとめるということになってきておりまして、さらに、切迫性の高い首都直下型の地震で、できる対策を早急にやっていくということの中から、首都中枢機能確保対策や帰宅困難者対策、これを中心にして、夏ごろをめどに、当面実施すべき首都直下地震対策を取りまとめていくということ、こういうスケジュールでやっております。

中井委員長 各大臣に申し上げますが、きょうは質疑時間が三時間であります。各委員は極めて短い時間でこの三兆数千億の暫定予算の質疑をしなきゃなりません。答弁は簡略にお願いします。

高木(陽)委員 短くお願いいたします。

 それで、これからどんどん見直しをするんですけれども、これは早急にやっていただきたいということと、その上で、では、今まで震度六強の想定でいろいろと手を打ち始めてきました。地震前に何ができるのか、発生したときにどうなるのか、またどういう対応をするのか、これはやはり重要で、できる限りのことをやらなきゃいけないと思うんですけれども、その中で、まずやはり耐震化ですね。

 東京湾北部地震というのが一番被害想定が厳しくて、震度六強ですよ。そのときに、まず火災で焼失するのは六十五万棟、第一撃の揺れで全壊するのは十五万棟、液状化で三万三千棟が崩れる、急傾斜地が崩れて一万二千棟が崩れる、最終的に八十五万棟がいわゆる一瞬にしてなくなっていくわけですね。

 その中で、まず耐震化なんですけれども、よく言われる、昭和五十六年に建築基準法が改正されて、五十五年以前の住宅戸数、首都圏一都三県、これは国交省で聞きまして、三百七十万戸ある。五十五年以前の建物が三百七十万戸ですよ。そのうちで、耐震診断及び耐震改修、補強した戸数、これはどれぐらいあるのかわかりますか。

前田国務大臣 御指摘のことでございます、平成十八年から平成二十二年度の五年間の間で、耐震診断を行った戸数は十一万七千戸、耐震改修を行った戸数は一万七千戸です。

高木(陽)委員 一万七千戸。三百七十万のうちの一万戸ですよ。ということは、ほとんどされていないということですよね。それが、どこが震源地になるかにもよるんですけれども、崩れる。総理も私も同期ですから、ちょうど阪神大震災のとき一期目でしたね。あのときは、やはり震度七のところはもう本当に潰れていたわけですね。それがあるという前提。

 その中で、公的な耐震助成というのが今行われています。これらも、実はやるのは自治体ですから、国がいろいろな交付金や補助金等々を出しているんですけれども、自治体によって大分ばらつきがあるんですね。例えば横浜なんかは、一律に、耐震改修するなら三百万円出す、こういう話がある、財政的な余裕もあるのかもしれませんけれども。これが区市町村単位でいきますと本当に差がある。ここら辺のところの制度をやっていない自治体もあるんですね、その耐震の補助を。

 ここら辺のところは国として指導、対策をしっかり打った方がいいんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。

前田国務大臣 委員御指摘のように、確かに自治体によっては耐震診断をしていないところもございますね。そういったところについては、特に昨年の震災以降ふえてきているように聞いております。

 そして、御指摘の対策でございますが、地方公共団体において補助を行った場合については、そこについて社会資本整備総合交付金等により支援をしております。それからまた、税額控除もやっております。さらには、住宅の耐震のエコポイントということで、自治体を介さずに、マイホームのオーナーですか、改修をする施主のところに直接渡すというようなことで、できるだけの支援を今しているところでございます。

高木(陽)委員 できる限りのことをやると言うんですけれども、さっき言ったように三百七十万のうちの一万戸ですから、まだ全然、規模が違う。

 もう一つ、インフラ対策で、これは質問というより、ちょっと聞いていただきたいと思うんですけれども、緊急輸送道路というのがあるんですね。いざというときに、自衛隊等々または救援部隊等々がばっと入っていく。そのために道路を、この間の東日本のときには啓開活動を東北の整備局がやってくれました、そういう意味も兼ねて、そこはしっかりとあけなきゃいけない。

 逆に言ったら、橋等々は崩れる可能性がありますから、緊急輸送道路に指定しているところは、その橋はもう一回チェックをしなきゃいけないということで、これは首都圏で、道路に一万一千の橋があるんです、川だとかにかかっている橋が。その緊急輸送道路用の一万一千の橋のうち、直轄及び高速道路等は八百、または自治体の管理の道路は千、これは補強してある、ちゃんとチェックをしている。まだ一割なんですね。だから、それが崩れてしまったら、幾ら応援部隊が入ろうと思っても入ってこれないという現状がある。

 もっと言いますと、緊急輸送道路で現地まで行ったとします。最も大切なのは、例えば倒壊をした家屋から人を救出する。そのときに、例えば自衛隊が行きました、または消防が行きました。行ったはいいんだけれども、緊急輸送道路でそこまで行くんですけれども、ある一定の地域はもう市町村道ばかりですよ、路地だとか。そういうところの橋を含めますと、二万二千あるんです。これは各自治体管理が大半ですから、ここはほとんどチェックされていない。

 それが崩れる可能性があったら、幾ら自衛隊が行っても、この間の東日本大震災のときは、自衛隊が仮設の橋をつくったところもありました。ただ、首都圏でそういうのが起きた場合に、七十二時間で倒壊をしているところから救出するのは、命の分かれ目ですから、そういったことができるかどうかを考えた場合には、こういう古いインフラを総点検して、これは緊急輸送道路だけじゃなくて、自治体も含めてやらせて、その上で、直下型の地震に早急に対応するべきだと思うんです。

 これは、ある意味でいうと公共事業になっちゃうんですね。公共事業で、コンクリートから人へということで政権交代が行われましたけれども、二年半たって、総理も大分そういう言い方をされなくなった。やはり必要なところにつけなきゃいけないという認識になっていただいているとは思うんですけれども、ここで、何度か予算委員会、参議院の予算委員会でも我が党が主張しました防災・減災ニューディールということで、やはり命を守るところには集中的に投資をしてやらなければいけないと思うんです。

 この必要性について、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 確かに、政権交代した後に最初の予算編成をしたときに、公共事業関係費を大きく削りました。その影響もありまして、最初、例えば平成二十一年の当初予算が七・一兆だったのが平成二十四年度で四・六兆という意味では、額としては減ってきています。

 ただし、高木委員御指摘のとおり、命にかかわるものについては、これはやはりやらなければいけないということは、特に、阪神・淡路の事例もありましたけれども、直近の大地震によっても改めて痛感をしたことでございますので、真に必要なインフラ整備はこれからしっかりやっていきたいと思いますし、防災・減災ニューディール、御党からの御提起、それを参考にさせていただきながら、平成二十三年度の補正予算の際に生かしていただいたり、二十四年度予算に生かしたりさせていただいておりますので、これからも積極的な御提起をお願いしたいというふうに思います。

高木(陽)委員 積極的なその御発言、感謝申し上げたいと思います。

 今度は、地震が発生したとき、これはなかなかイメージできないと思うんですけれども、今回の首都直下型というのはまず火災が起きるだろう。関東大震災では十万人が亡くなりました。ほとんどは火災です。そのときに、同時多発で火災が起きるわけですね。

 特に、東京でいうと、環状六号線、七号線、八号線の木造密集地域、このあたりは大体燃えるだろうと言われている。そのときに、同時多発で火災になったときに、消防、それぞれが消火に駆けつけると思うんですけれども、普通は、一つの消防署で一遍に二つ三つなんて火災はないわけですね。火災が起きて、消防署を挙げてがっと行くということはあるんですけれども、同時多発に起きて大規模火災になったときにどのように対応するのか、これをちょっとお伺いしたいと思うんです。

川端国務大臣 お答えいたします。

 通常の火災は、言われたように消防本部が対応する、あるいはもう少し大きいのだと応援協定を結んでいるところで対応するんですが、きょうの御議論は、首都直下型地震ということだと思います。

 これに対して、東海地震、それから東南海、南海、このような大規模の部分に関しましては、被害想定をいたしまして、それに対して、いわゆる都道府県域を越えて出動する緊急消防援助隊の円滑な部隊運用のためにアクションプランをつくっております。

 応援が必要とされているのが埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県に対して、被災状況に応じて段階を分けまして、被災都県を除き全国から応援部隊が投入されて消火活動に当たる、そしてそれも、担当の県も決めておりまして、段階に応じてそこへ出動するということになっております。

 同時に、二十一年の三月に、緊急消防援助隊の登録隊数を今までの四千から四千五百隊にふやしました。その中で、消火部隊に対しては、首都直下型地震への対応強化ということで百隊増隊をいたしまして、体制整備にも努めているところでございます。

高木(陽)委員 周辺から応援部隊が来るというんですが、先ほど言ったように、緊急の輸送道路が開通していればいいですね。開通していないと、東京または一都三県に入ってくることもできない。

 その上に、問題は、燃えているところに本当に行けるかどうか。多分、東京の場合だと、昼間また夕方等々あった場合には、幹線道路には車があります。基本的に自家用車はそのまま、動かしちゃいけませんから、そこでもう渋滞でとまっちゃうんですね。三・一一の帰宅難民のときにも、幹線道路があれだけの大渋滞になりました。ただ、あのときは、被害がなくて大渋滞ですよ。今回は、電柱も倒れるでしょう、火災も起きているでしょう。そんなときに消防車がそこまで行けるのか。

 例えば、先ほど言った、道路が不通、緊急輸送道路で何とかその地区まで行ったけれども、燃えているその場所は区市町村道の橋がおっこちていて消防車が行けない、こういう場面もあるでしょう。そういうようなときのことも考えて、やはりあらゆる想定をしなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。

 各自治体消防ということもありますけれども、これは、神奈川、千葉、埼玉というのは、自治体消防、各市消防本部なんですね。東京は東京消防庁というでっかいところが司令塔になるんですけれども、一都三県の三県の方、ここら辺は、例えば総理の船橋で火災が起きた。船橋市消防本部が動いているんだけれども、ここはもう人手が足りない、消防車も足りない。隣の市川やその周辺のところも燃えている。応援をもらうにしても応援をもらえない。市消防本部ですから、それはどこが司令塔になるのかということをちょっとお伺いしたいと思うんです。

川端国務大臣 市町村が基本的には消防の責任者でございますので、基本的には、普通の消防活動は各市町村長が司令塔になっております。各応援部隊が来たときには、同様の応援を受けた市町村長の指揮下に活動で入るということであります。

 ただ、緊急消防援助隊が出動する場合というのははるかに大規模でございますので、その出動計画においては、被災地の市町村長の指揮を支援するために、大都市消防本部から登録されている指揮支援隊が被災市町村に出動するということになっております。

 また、被災都道府県の知事は、被災市町村が複数ある場合の応援部隊の配置など総合的な調整を行うために、みずからを本部長とする消防応援活動調整本部を設置することとなっておりまして、緊急消防援助隊からは指揮支援部隊が出動し、本部員として活動することになるということであります。

 市町村単位の場合はそこにそういう機能がありますが、複数の市町村にわたっての応援は、被災都道府県知事のもとにこういう組織をつくるということで決めておりまして、この仕組みは東日本大震災の際にも十分に機能し、効果を上げたものと考えております。

高木(陽)委員 東日本大震災のときは、各市町村が壊滅したんですね、あれは津波でしたけれども。そういった部分では、情報さえとれない。例えば、宮城の知事が県下の市町村長と、首長さんと連携が最終的に全員とれたのは三日後だった。火事というのはその場で起きているわけです。三日間延焼したら大変なことになる。そういうことを考えた想定をしないといけないのじゃないかなというふうに指摘をしておきたいと思います。

 もう一つは倒壊家屋ですね。中川大臣、これは答えなくていいです、認識をちょっと共有したいと思うんですけれども、東京湾北部地震で全壊をする。さっき、いわゆる揺れで十五万棟、液状化で三万三千棟、急傾斜地の崩壊で一万二千棟、十九万五千棟が崩れる。震度七だったらもっと多いでしょうね。

 東京は、この間も発表されましたけれども、一世帯当たり大体一・九人、二人住んでいる。そうなりますと、約四十万人の人がその家屋の中にいるわけですね。これが、時間にもよりますけれども、寝ているときに起きてもし全壊した場合、震度七の揺れは十秒ぐらいでもう全壊しちゃうんですよ。抜け出せない。ということは、四十万人が生き埋めになっているんです。

 そのときに、では誰がそれを引きずり出すか。消防は、十二時間後に四千七百五十人がそのために動く。四十八時間後に八千六十人です。警察も四万八千人。自衛隊が行く。自衛隊も機動力がありますから、当初は二万二千人、最終的には十一万まで行くということになりますけれども、十一万人がそこに入るには何日かかかる。

 さっき言った全壊をしている人、七十二時間が限界点です。そのときに四十万人が生き埋めになるんです、東京湾北部で。震度七だったら四十万人どころじゃないですよ。桁が一つ上に上がるでしょう。百万人単位ですよ。さあ、百万人の命をどうするかという話なんです。だから、さっきの耐震化も、自治体に任せて、メニューがいっぱいありますからどうぞなんという悠長なことをやっていたら死ぬわけですね。

 こういうことを、もっと政治がいわゆる想像力をたくましくしなきゃいけない。この間の三・一一みたいな想定外なんて絶対言っちゃいけないんですよ。最悪のパターンを想定しながら、では今できることは何なのかということを考えなきゃいけない。四十万人が生き埋めになるんですよ、数字上は。それはもっと少ないかもしれない、少ない方がいいんですけれども。

 もう一つ、鉄道の対応を言いましょう。

 ラッシュ時の運行で車両がどれぐらいあるか、乗車数、何人ぐらい乗っているかというのを、これは鉄道局に聞いたんですけれども、わからない。朝七時、三千五百万人の首都圏に住んでいる人が、働いている人、また通学する人、だあっと乗っている。実は、JRに確認したところ、これも正確な数字じゃないんですが、朝七時台は百八十万人が車両に乗っているんです。東京メトロに聞くと、大体五十万人乗っている。さらに民鉄各社、これは確認していないんですけれども、それも入れますと、大体三百万人が朝のラッシュ時に車両に乗っているんですね。それが、震度七が一気に来た場合どうなるか。

 実は、阪神大震災は、震度七のときに、あのときは五時四十六分でした。ほとんど電車は走っていなかったんだけれども、十四本中十三本の列車が脱線したんですよ。九〇%以上です。震度六強のエリアでは、十三本中三本が脱線、二三%。東京湾北部、今、震度六で想定しますけれども、この脱線の想定というのはなされていますか。

中川国務大臣 これは、先ほど申し上げた平成十七年の予想というのがあるんですけれども、朝八時台に東京湾北部地震が発生した場合に、脱線事故によって、死者三百人、それから重傷者を含む負傷者が約一万二千二百人発生するというふうに見込まれております。

 しかし、定性的には、鉄道や道路をまたぐ橋梁が被災、落下したというようなことだとか、あるいは運行中の列車や車両が被災して死傷者が増加するというような、そんな要因も加えていくと、これよりも増加をしていくというふうな推定がされております。

高木(陽)委員 今の話でいきますと、一万人がけがをするだろう。三百万人が乗っている、ラッシュアワーです。

 JRにも聞いたんですけれども、落橋、いわゆる橋が崩れたり、この補強はかなりやっているんです。ところが、御茶ノ水駅というのは崖がありますね、駅のところ。あれは実は関東大震災で崩れているんです。しかも、聞いたら、あとは、盛り土の土手になっているような駅がありますね。この駅も崩れるんです。そういう想定というのはなかなかされていない。

 さらには、例えば時速百キロで走っている、脱線をする。百キロで走っているんですよ、ただ脱線じゃなくて。しかも、カーブだったら福知山線みたいになりますよ。そこには、一つの車両でラッシュアワー時は三千人が乗っているんです。三千人が一遍に脱線する、または転覆する。だから、一万人ぐらいのけがじゃないんですよ、想定としては。まあ時間にもよりますけれども。

 そういうときに、では、乗客三百万人、JRに聞きました、メトロにも聞きました、とまると駅でおろすんですね。ところが、地震が来たらその場でとまりますから、駅でとまらない。そのとき、停電になるでしょう。もし安全だったら、停電じゃなければ駅まで運ぶんですけれども、それは多分できないから、その場でおろすんです。

 ところが、車両のドアをあけますね、緊急にドアをあける。そうすると、ホームだったらそのままおりますけれども、線路におりるときは階段でおりますね。その階段は車両に一つしかついていないんですよ。満杯の電車の中で、しかも、高齢者や障害者や女性だとかは飛びおりることもできない。それだけでも、けが人が出ますね。

 さらに問題は、では、それを何とかおろしました、駅まで連れていきました。三百万人が駅に滞留するんです。ラッシュ時だと、三百万人がさらに乗ろうとして駅に来ているんです。倍の人数ですね。これをどこに避難させるのか。今、駅と自治体がその滞留者をどうするかと検討し始めたわけです。でも、それは、駅にその三百万人もしくは倍の六百万人をずっと置いておくことはできませんよ。しかも、火災が迫ってくるかもしれない。

 では、そういうとき、どこに避難をさせるか、これはどうなっていますか。

中川国務大臣 そういう問題意識を持って検討しなければいけないということで、民間も含めた官民連携の、首都直下地震帰宅困難者等対策協議会というのを立ち上げました。

 そこで今、先ほどお話しになられた六百五十万人を想定した議論をしているんですけれども、基本的には、むやみに移動させないということ、この基本原則を徹底していくということ。

 それから、一斉帰宅抑制の基本方針をまとめていって、三日分の物資の備蓄を民間を含めてやっていくということ。

 それから、あと、どこに導くかということ。一旦、さっきのお話のような状況になったときなんですが、これは、民間施設等も含めて、事前にそうした一時滞在施設としての協定を結んでいくということで、一つ一つ具体的に進めていきたいというふうに思っております。

高木(陽)委員 今、滞留者という話がありました。

 今、駅のところから言いましたけれども、自宅にいる、もしくは会社にいる等々はいいですけれども、例えば、電車に乗っていたり、移動していたり、買い物していたりという人が大体一千万人前後いるんですよ。一千万人をどうするかという話なんですね。

 さらに言いますと、そういうことを今協議しているけれども、これも早急にやってもらいたいし、多分、話し合っても、例えば十万人、二十万人は何とかなるでしょう、または百万人ぐらいは何とかなるでしょう、残る九百万人は何とかならないんですよ。これが現実。

 もう一つは避難所。これも内閣府防災担当に聞いたんです。都内の避難所というのはどれぐらいあって、収容人数はどれぐらいか、備蓄はどれぐらいあるのかと聞いた。知らない。把握していないんですよ。これは自治体の問題だということになっているんです。

 縦割り行政だとか、または、国、いわゆる都道府県、市町村、それぞれがもっと連携をとらなきゃいけないんじゃないかなということでちょっと申し上げます。

 東京都内、これは都庁に聞きました。

 避難所の数は二千六百六十一、これは島を除きます。最大の収容人数は三百九十五万人なんですね。想定被害による避難所の生活者数、東京湾北部の場合は二百六十万人がそこにいるでしょう。三百九十九万人が避難者になるけれども、このうち、避難所以外で生活すると考える者も存在するため、二百六十万人と一応想定しているんです。

 では、食料はどうなのか。一日三食、二百六十万人ですから、大体七百八十万食。一千万食近くですね。ところが、備蓄の食料は一千五百万なんですよ。二日分あるかどうか。三日何とか持ちこたえるというんですけれども、では、あとはどこから調達するかといいますと、例えば東日本のときは、三十五万人が避難所にいたんです。一日百万食ですよ。その百万食が避難所に届かなかったんです、三日間ぐらい。届いたところもある、県庁まで来たけれどもその先は行かない、そんなパターンですよ。しかも、自治体はかなり被災しているから、その避難所に対していろいろと手が打てない。では、周辺から来るか、西日本から来るかというと、多分、混乱しているから来ない。例えば東京のコンビニを見てみても、これは三・一一のときに一斉になくなりましたよ。そうでしょう。

 そう考えると、日本全国でそういうのがなくなったときに、それを補給できるか。避難所に移った二百六十万人は家がないわけですから、その人たちは、一週間じゃない、一カ月もしくは二カ月、三カ月いるわけですから、その人たちの食料を当面毎日一千万食調達できるシステムをつくっておかなきゃいけないんです。

 どこかから調達するじゃないんです。そういうことまで考えるのがまさに危機管理だと思うんですね。ところが、それは考えられていない。これは危ないことですよ。暴動が起きますよ、下手したら。東日本大震災で、日本はいい国だとなった。でも、そういう状況になったらどうなるかわからない。だからやってもらいたいということなんですが……(発言する者あり)いいです、ちょっと待って。もう時間なので。これは、共通認識で、責めているんじゃなくて、そういうのをやりましょうという話なんです。

 もう一つは、官邸の備蓄食料というのはどれぐらいあるかと聞いたんです。これも、これは危機管理上秘密ですと。僕は、そんなにないと思うんです。どこかから買ってくればいいぐらいな感覚なんじゃないかなと思う。

 官房長官、これはどうですか。

藤村国務大臣 中央防災会議では、首都直下型地震に対して、一応三日間の備蓄をすべしということは決めていただいています。

 首相官邸におきましても、具体的に今数字は申しませんが、それを上回る相当の備蓄をきちんとしている。そういうことがやはり備えである、そのように考えております。

高木(陽)委員 例えば、総理がいざというときに指揮するわけですよ。御飯を食べないで三日間、一週間指揮できないですからね。そういうのもしっかり考えてやってもらいたいということ。

 もう時間も参りましたので、これも一つ指摘だけしておきます。瓦れきの処理。

 東京湾北部で、八十五万棟が焼失、全壊した場合の瓦れきが九千六百万トンなんですよ。今回は二千万トン。それの四倍、五倍、これができるわけですから、どこで処理するんだと。

 そのときに考えようじゃだめですよ。今でさえ広域処理が、あれは放射能の問題もあって大変なんですけれども、首都圏で、山下公園は関東大震災でつくったと言いますけれども、九千六百万トン、一億トンです。これをどうするか。これも今からいろいろなシミュレーションをしながら考えておいていただきたいということ。

 最後に、これはもう首都機能移転をした方がいいんじゃないかな、このために。何でか。三千五百万人がこの地域にいること自体が多過ぎるんですよ。これからずっと中央防災会議で内閣を挙げてやってもらうんですけれども、やってもらって、いろいろと手を打つ。でも、これは、三千五百万人、そしてそのうちの、今想定は一万一千人死ぬと言われているけれども、もっと死にますよ。関東大震災並みに十万人が一遍に亡くなるかもしれない。

 そういうことを考えた場合に、やはり人口を減らすということを含めて、この首都機能移転も考えた方がいいのではないかな。今までも議論されてきましたけれども、喫緊の課題だということを御指摘申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて高木君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、本日政府が消費税増税法案を閣議決定したことに強く抗議いたします。

 野田総理が、政治生命をかけて、不退転の決意と言われて、この間、国会と国民に説明、理解を求めてきたと思うんですが、その結果はどうか。国民は理解、納得するどころか、逆に反対を強めているというのが現実だと思います。直近一カ月の世論調査を比べてみましても、消費税増税に賛成という方が減っていて、そして、調査のたびに反対がふえて、過半数という数字が並んでおります。今国会で成立させるべきでないということについては、六割がそうだという調査の結果もあります。

 そこで、総理、なぜ消費税増税に国民の理解が得られていないというふうに思われるでしょうか。

野田内閣総理大臣 社会保障と税の一体改革は、これはもう待ったなしの状況でやらなければいけない大きな課題だというふうに思っています。

 国民の皆様におかれましても、社会保障に対する将来の不安を持っている方が多いと思います。その不安を取り除くために、社会保障を安定化させること、充実させること、そのためのお金として、安定財源として消費税をお願いするということをきちっと何度でも何度でも御説明をしながら理解を求めていきたいというふうに思います。

 世論の状況は、今、笠井委員の御指摘のとおりだと思いますが、むしろ、世論に従っておもねるのではなくて、世論を誘導して国民のための政治を実現するということを私は心がけていきたいというふうに思います。

笠井委員 おもねるのではなくてと言われましたが、世論の方は、一体改革ということで説明をされても、消費税増税によって社会保障が安定するとは思わないという方が八割おられるわけですよね。政府は、これまでも全国各地で、二十三府県だと思うんですが、対話集会をやってこられて、これからもやるということですが、やはり賛成より反対、懸念の意見が多かったという状況、目立ったという状況があります。

 総理を先頭に、テレビのこうした国会質問でも説明してきたのに、それを聞いた国民が、知れば知るほど増税反対がふえるということであります。大体、与党内でごたごたがあると繰り返しきょうも言われておりますけれども、これはやはり、一〇%への増税に国民が批判と怒りを強めている反映だと思います。これ以上増税されたら商売上がったり、そして、今でも家計は火の車なのに、将来の展望が見えないこの一体改革ということで、そういうときに閣議決定で押し切ることはあってはならないと思います。

 そこで、一つだけ具体的なことを聞きたいんですが、総理、今回閣議決定した法案には、民主党内の議論を経て、いわゆる景気条項というものが盛り込まれた。名目三%、実質二%の数字自体が、努力目標ということで増税の条件ではないというのだから、歯どめには何にもならないと思うんですが、しかし、この条項を入れたということは、消費税増税が景気に影響がある、影響を与えるということだと思います。

 であるならば、伺いたいんですが、この消費税増税を実施する前の景気がどうかということではなくて、増税を実施したら景気がどうなるか、その影響こそむしろ真剣に検討すべきじゃないか。政府・与党はその点をきちっと検討して詰めたのか。どうでしょうか。

岡田国務大臣 まず、委員、私も週末各地区を回って、いろいろお話をさせていただいております。厳しい御意見もたくさん確かにあります。しかし、同時に、消費税の引き上げは必要だという声もかなりあることは事実で、きょうこれを持ってまいりましたが、こういう意見も出していただいて、私も目を通しておりますけれども、ここに書いていただく方は、実は、消費税の引き上げは必要だとか、あるいは、もっと、税率も五%でいいのかとか、そういう意見すらあるということも申し上げておきたいと思います。

 今景気に関してのお話がございました。消費税を入れる直前、そして直後についての影響というのは、古川大臣のところで試算をしていただいております。しかし、あの今回入れた条項は、別に条件づけるものではなくて、経済状況が極めて厳しい場合には、総合判断して、それを見送ることがあり得るという、どんな増税も時の経済状況と無関係ではできないわけでありまして、そういういざというときのための措置を定めたものでございます。

笠井委員 沸き上がる世論の支持があるわけじゃないんです。むしろ、反対が強いんです。

 そして、決めるときの経済状況と言いますが、あの村山内閣が閣議決定した、九六年の三パーから五パーのときですが、あのときだって年率換算で一二・七%ということで、二十三年ぶりの高成長と言われるような状況の中でやったらどんと行っちゃったという話でありまして、そのやった後のことの影響という問題が大きいと思うんですよ。

 先ほど石破委員からも、野田総理自身の野党時代の二〇〇五年の本会議の発言がありましたが、今回の増税による負担増というのは、年間十三・五兆円、さらにそれ以外にも含めると十六兆、二十兆という負担増になる。日本経済を肺炎にしたという九七年のときの九兆円の倍以上の負担になってくる。しかも、この十四年間に非正規労働者は七百万人もふえています。そして、勤労者所得は九十二万円も減っているわけです。

 そんなときに大増税したら、国民の実質所得を大幅に奪って、中小企業はますます苦しくなる、景気、経済が大破壊することは明らかじゃないか。実施したときの影響について真剣に考えないとおかしいんじゃないでしょうか。総理、どうですか。

古川国務大臣 経済に対する影響は、やはりしっかり考えていかなければ、もちろんでございます。だからこそ、さまざまな状況をしんしゃくして、その上で総合的に判断をする、そういう形になっているというところでございます。

笠井委員 実施したときの深刻な影響については、今の答弁は本当にそういう認識があるのか、そういう思いがいたします。

 九七年のときの議論はありました。そして今、国民自身が本当に大変なときに、しかも一方では社会保障と言いながら、むしろ、メニューとすれば、四月から早速年金は減る、そして児童扶養手当などが減って、後期高齢者や介護保険料は値上げされる、その先も、むしろ充実部分も大きく減るという話が出ているわけでありまして、私どもは、総理にも我が党の提言を渡しましたけれども、消費税に頼らず社会保障を拡充し、財政危機も打開する道を探求することこそ政治の仕事だ。今からでも閣議決定を撤回して、きょう夕方五時に提出予定ということでありますが、国会提出をやめるように強く求めたいと思います。

 次に、沖縄防衛局が発注した普天間飛行場移設に関する業務についてでありますが、私は、三月八日の当委員会の質問で、キャンプ・シュワブに新たな隊舎や厚生施設等を建設することに伴うコンサルタント業務において不可解な入札実態があることを指摘して、徹底調査を求めました。中井委員長からも御指示いただいて、理事会にも、その結果、報告の紙が出ました。

 防衛省、その調査の結果、何が明らかになったのか、明らかになった事実について端的にお答えください。

渡辺副大臣 三月二十九日衆議院の予算委員会理事懇に提出をした資料の内容でございますけれども、平成二十三年八月の八日に沖縄防衛局において行いましたキャンプ・シュワブ関連の入札、三業務の受託者は、シュワブ平成二十三年建築補備設計その一が株式会社泉創建エンジニアリング、そして建築補備設計その二が株式会社協和設計事務所、建築補備設計その三が株式会社国建でございました。

 そのうち、第一回入札における入札金額の順位と第二回入札における入札金額の順位は、金額の低い方から、株式会社泉創建エンジニアリング、株式会社協和設計事務所、株式会社国建の順でした。

 この当該三件は、その年の十一月十日に防衛局で開催された入札監視委員会の審議対象期間には含まれておりましたけれども、三件とも抽出をされずに審議の対象とはなっておりませんでした。

 次に、この三件は、同じく二十三年の十二月十三日に、防衛省の本省において開催された公正入札調査会議における統計的分析に盛り込まれておりますが、個別的な討議は行われておりません。

 さらに、御指摘の国建、協和設計事務所、泉創建エンジニアリング三社のうち、株式会社国建には、平成二十一年八月一日に九州防衛局調達部長を最後に退職いたしました大楽幸市氏が、同年の十一月、二十一年の十一月一日に再就職をしております。

 なお、同氏は、平成十八年六月十五日に、防衛施設庁入札談合等事案の際の防衛施設庁設備課長として、入札談合への関与行為により、停職三日の処分を受けていると報告をいたしました。

笠井委員 要するに、防衛省の調査では、一つは、一般競争で実施された入札で参加した三社が順序立てて三つの業務を順繰りに受注していたこと、そして二つ目に、問題のコンサルタント業務は入札監視委員会や公正入札調査会議では全く審議されていなかったこと、三つ目に、その受注企業には、現職時に防衛施設庁談合事件に直接関与し、処分された防衛省OBが天下っていたこと、まさにその点が明らかになったわけでありまして、いずれも私が前回指摘したとおりの事態であったわけですが、その結果、発注機関である防衛省としてはどう対応することにしたんでしょうか、大臣。

田中国務大臣 御指摘のような疑いを持たれるということについては、注意をすることで、申しつけたところでございます。

 御指摘の三件の業務が沖縄防衛局入札監視委員会と公正入札調査会議で審議されなかった点については、沖縄防衛局入札監視委員会の審議の対象とする契約は、審議の対象期間の契約実績から委員が抽出を行って対処しておりまして、沖縄防衛局が審議の対象とする契約を抽出することができなかったわけでございます。

 防衛省本省に設置している公正入札調査会議は、地方防衛局及び地方防衛支局が発注する建設工事等の入札及び契約に関する統計的な分析に基づき、総括的な討議を行っておるわけでありますけれども、なお厳密な討議を行うようにしたいと思っております。

 次に、処分歴のある元職員が関連企業に再就職している点については、株式会社国建に再就職した大楽幸市氏の再就職にかかわる手続は、自衛隊法第六十二条等の規定に基づき、再就職先での地位が防衛省との契約の折衝等を行う地位でないということを確認するなどで、基準を満たしている上で防衛大臣の承認を得て、適正に行われたものと考えております。

笠井委員 いろいろ言われましたけれども、ちゃんと調査を尽くしたかどうか、まだ問題はいっぱいあるわけです。

 談合という場合には、入札に参加している者の間の見積もりを見てその共通点がないかということは、一つ、談合があるかないかというのを見るポイントだと思うんですが、それだけではなくて、発注者側が仕切る談合だってあるわけですね。その典型が、かつての防衛施設庁の官製談合だったわけです。そして、今回、あのときに関与して処分を受けた人物までが登場しているというのが私が問題にした点であります。

 それでは伺いますが、私は前回の質問で、問題の入札事案の発注者側の支出負担行為担当官、つまり責任者が真部沖縄防衛局長であることを指摘しましたが、今回の不可解な入札実態と真部局長とのかかわりについては、これはきちんと調査したんでしょうか。本人からは事情聴取をしましたか。

田中国務大臣 真部局長を、本省に来たときに、適正に行うようにということで注意をいたしたところでございます。

 調査については、私は、適正に行われておるということの報告がございましたので、調査よりも、確認をするということで対処をしたところでございます。

笠井委員 注意して、確認するというだけじゃだめなんですよ。適正にやられているという報告があったので、それを受けまして、ちゃんとやりなさいよと言ったのでは、何も解明できないわけです。

 この業務費の内訳明細書ということについて、これが問題になるんですが、この取り扱いについて定めた防衛省の通知によれば、支出負担行為担当官である真部氏は、入札参加者から提出された見積もり、内訳明細書の内容が関係職員以外に漏えいすることがないよう、開札時間、入札をあける時間まで、善良なる管理体制をもって、どうして善良なるというのかよくわからないんですが、厳重に保管する立場にあるわけであります。

 つまり、入札参加者が提出した見積もり情報を全て知り得る立場の真部氏がどうかかわっていたかは、これは問題の核心だと思うんですよ、かつて官製談合という問題もありましたから。そこで事情聴取すらしていないということは、私は驚くべき怠慢だと思います。

 私、前回も指摘しましたが、そういう形でこの業務がやられている。そして、米軍シュワブ基地の陸上部では、移設に関する業務、そして建設工事が着々と進められているわけであります。

 総理は、前回の答弁で、今進めている工事の詳細についてはわかりませんというふうに言われましたが、防衛省の資料でも、辺野古移設を前提にした建設工事であることは明確であります。一方で、辺野古移設について、新基地建設について、丁寧に説明して、合意、納得、理解を得るというふうに言われている。そういう状況でおきながら、陸上部ではどんどんそれを前提にして進めているというのはおかしいじゃないかと私申し上げました。

 まず大前提として、陸上工事は直ちに停止すべきじゃないかと思うんですが、これは総理、どうでしょうか。

田中国務大臣 キャンプ・シュワブの陸上部分で実施している工事でございますが、従来から工事が始まっておりまして、新たな予算においては、新たな工事を発注しているわけではございません。既に工事が行われておるものにつきまして、日米合意のもとに工事を行っているわけでありますので、引き続きの工事だということで認識をいたしております。

笠井委員 従来からと言うけれども、民主党政権になってからもつけたことはこの前も言いました。さらに、問題になっているということで、そして一方では、野田政権としては、丁寧に説明するといって、移設について沖縄に話しているときにやるのはおかしいじゃないかと言っているのに、従来からやっている、日米合意というのは話にならないと思います。

 最後に伺いますが、去る三月二十七日に沖縄県は、辺野古への新基地建設に向けた政府のアセス評価書、環境影響評価書の公有水面埋立事業に関する知事意見を提出して、三十六項目で四百四件に及ぶ不適切事項というのを指摘しました。二月に提出した飛行場の事業の知事意見百七十五件を合わせると、問題点は五百七十九件もあります。まさに、環境保全は不可能という知事意見というのは評価書への沖縄県民の疑問を代弁するものだと思いますが、これは総理、どういうふうに受けとめていらっしゃいますか。

野田内閣総理大臣 御指摘の辺野古移設に係る環境影響評価書についてでございますが、防衛省において、評価書に対する知事意見の内容を精査の上、評価書の補正をするなど、丁寧に対応していく方針と承知をしております。

 沖縄においてさまざまな御意見があることは承知をしていますが、政府の方針について沖縄の皆様の御理解を得るべく、今後も誠実に対応していきたいと思います。

笠井委員 沖縄地元紙の社説は、「知事意見で沖縄の意思は鮮明になった。今度は野田首相が辺野古断念を決断する番だ。」と、オール沖縄の意思を明確に述べています。沖縄新基地建設計画にせよ、消費税増税にせよ、政府が説得しようとすればするほど国民や県民世論は反対を強めている。民意に真摯に耳を傾けて、そういう押しつけをやめるべきだと申し上げたいと思います。

 最後に、日本共産党は、本暫定予算に反対を表明いたします。

 野田内閣が消費税増税を強行に進めようとして国会を混乱させたこともあり、来年度予算の年度内成立が不可能となって編成せざるを得なくなったものですが、それが暫定予算であります。その責任を厳しく指摘するものです。

 本暫定予算のうち、生活保護費など社会保障関係費、災害復旧事業費、地方交付税交付金等は当然計上すべきものですが、在日米軍駐留経費、米軍再編関係経費、また憲法違反の自衛隊海外派兵経費なども含まれております。しかも、消費税増税を前提とした来年度予算と一体のものであり、賛成できません。

 以上表明して、終わります。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 けさの消費税の増税法案の閣議決定、並びに、本日こういう形で暫定予算を組まねばならなかった事態は、ひとえに民主党の政権運営の優先順位のあり方が問題なのだと思います。

 三月十一日、我が国が経験した地震、津波、そして原子力発電所の事故を通じて、私どもの国は、最も大事な命ということを守りながら、おのおの災害に強く、そして地方が豊かで、さらに真に美しい日本というものを求めて新たなスタートを切るべきであります。その場合にまずなさねばならないことは、地方分権の大きな柱にもなります再生可能エネルギーのもっと大胆な普及や、あるいは働き方、この間格差を深めております雇用の問題にまず手をつけることだと思います。そうしたことの見通しがないままに消費増税のみが先行すれば、我が国は逆に地方が疲弊し、また格差が拡大していくと思います。

 以下、順次質問をいたします。

 私は、現在最も懸念の点、原子力発電所の事故、並びに、それがあったにもかかわらず再稼働を急ぐ政府の姿勢について本日はただしていきたいと思います。

 お手元の一枚目の表でございますが、これは、原子力発電所において、特にこの間、二号炉におきまして、予定された水位、三メートルほど格納容器の中にあり、そこに溶融した使用済み燃料が落ちていると言われていたものが、わずか六十センチしかなく、また、水をかけ続け、冷やして、その水を循環させて、これを周辺に漏らさないようにやっているはずのところが、ここの赤のマークのように、これまで、去年の暮れから今まで四回にわたり漏れが生じているという事態であります。

 細野大臣に伺いますが、私が昨年来、何度もこの原子力発電所の事故、十二月十六日に収束発言したのはやはり国民の実感とも世界の感覚とも違うのではないかと指摘してまいりました。今回のこの漏えい発生というところ、三月二十六日の四角を見ていただきますとわかりますが、ここでは八十リットル余りが漏えいをして海に出ております。また、十二月の四日の漏えいでは約百五十リットル余り、これも海に出ております。細野さんはあのときも、海にも漏らしていないし、事故が起きても対処できる体制なんだとおっしゃいましたが、今海に漏れ出ているものの中にはストロンチウムが入っております。今の工程では除去できないからであります。

 こうした事態をどうごらんになるのか、果たしてこれで収束と言えるんだろうかということをお願いします。

細野国務大臣 今回、水漏れによりまして海まで到達をしてしまいましたことについては、これはもう本当に申しわけなく思っているところでございます。

 収束との関係でございますけれども、私ども、この事故の最も深刻な影響といたしまして、周辺住民の皆さんに避難をしていただいた、このことだというふうに思っておりまして、その意味において、万一不測の事態が発生をした場合においても、敷地境界における被曝線量が十分に低い状態を維持できるとの評価をしておりまして、これをもって冷温停止状態、そしてサイトの中の事故そのものは収束したというふうに判断をしたところでございます。

 ただ、今回のような小規模なトラブルというのがまだ十分に克服をすることができておりませんので、三月二十八日に原子力安全・保安院から東京電力に対して、仮設の設備を恒久的な設備に更新をしていくなどすることによって、全体としての信頼性の向上に係る計画を策定するように指示を行いました。

 また、それにあわせて、同じ日に政府と東京電力の中長期対策会議の運営会議が開かれておりましたので、私、直接参りまして、その中で、速やかに中長期のロードマップを改訂して、的確に進捗管理を行うことができるような体制をつくるように指示をしたところでございます。

 最後に、確かにセシウムは取り除けておったんですが、ほかの核種で取り除けていないところがございますので、多核種除去設備、これをできるだけ早期に設置すべく、今やらせているところでございます。

阿部委員 私が言いたいのは、事故が起きてからそのことに対応しないで、予測して対応しなきゃいけないというのが今回の三・一一から学んだことなんですね。でも、こうやって聞く都度、漏らしていません、海にも大丈夫ですと言って、次に聞けば、やはり漏れていました、これから対応しますと。こういうことが続けば、国民は不安に思うし、不審に思うんですね。

 枝野経産大臣に伺います。

 現段階で、こうした不安を国民に与えながら、大飯の原発、三、四号機の再稼働を、枝野さんは安全性にのっとって政治責任で進めるとおっしゃいました。枝野さんの考える安全性というのは何でしょうか。短くお願いします。

枝野国務大臣 現在、政府で決めているストレステストのプロセス、昨年の七月に決めました折には、福島のような予想を超える地震や津波があった場合でも、福島のようないわゆる炉心溶融のような深刻な状況に陥らないということ、これは技術的、専門的に御確認をいただく必要がある。その上で、原発を稼働させることについて、地元の皆さんを初めとする国民の皆さんの一定の理解が得られているかどうかは政治的に判断させていただく、こういうことでございます。

阿部委員 国民には安全性の中身が全く伝わらないんですね。

 班目委員長に伺います。

 三月二十三日の会見で、今、枝野さんがおっしゃったこの間の御答弁で、今まで一次評価というものを大飯の原発でやってきました。炉の安定性とか、そうしたことを含めてですね。でも、班目委員長は言っていますよね。今まで一次評価というものを原子力安全・保安院でやられたと思いますけれども、それでは世界的に納得を得られるものではないでしょうと。

 何を言っているかというと、事故が起きた後の、起きないことの想定じゃなくて、起きたと想定して、そのことの対処がどうあるかが十分でないと、これは世界的な評価にたえられないという意味だと思います。

 班目委員長は、七月六日、保安院に対して、世で言う安全性の担保のために、炉のものと、それから事故が起きたときの対応も含めての安全性評価を要請されていると思いますが、現段階でそれはなされているんでしょうか。御意見を伺います。

班目参考人 御質問の、昨年の七月六日付の原子力安全委員会の方から経済産業大臣宛てに発出した総合的安全評価というものは、これは一次評価と二次評価と分けて行いますという計画が保安院の方から出されて、その計画自体は了承してございます。ただ、やはり原子力安全委員会の要望に応えるためには、一次評価だけでなく、二次評価までぜひ実施していただきたいというふうに考えているところでございます。

阿部委員 最後に、野田総理に伺います。

 総理が国民の生命に責任を持つわけです。今、福島では、まだ自分のふるさとにも帰れない、東電も賠償もしていない、そして原子力の炉も不安定である、配管も漏れる。こうした事態の中で、果たして総理は政治責任で、今、班目さんもおっしゃったような、安全性について二次評価もすべきだという、これは御助言であります、決めるのは総理です。そういう段階で、果たして本当に国民の生命と安全に責任が持てる判断ができるんでしょうか、お伺いいたします。総理に、最後です、お願いします。

野田内閣総理大臣 当然のことながら、しっかりと安全性をチェックしていくということが基本中の基本でございまして、安易に再稼働を私どもは行け行けで考えているわけではございません。あくまで安全性チェックです。

 いずれにしても、最後の判断は、最終的には政治的には私の責任だと思います。

阿部委員 その安全性の担保が、今、班目さんがおっしゃったように、不十分というかできていないんです。ここをしっかり受けとめて、国民に応えるようお願いいたします。

 終わらせていただきます。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内です。

 最初に、総理に財政再建の進め方について質問をさせていただきます。

 増税と歳出削減をどのようなバランスで進めていくべきかという点です。

 財政再建には、収入をふやすというところと歳出を減らす、この二つの面があると思います。増収ということに関しては増税と経済成長による自然増というのがありますが、この際、ちょっと経済は読みにくいので経済成長は無視して、増税と歳出削減をどれぐらいのバランスで考えたらいいのかということについてお聞きしたいと思います。

 ある経済学者によると、歳出削減七、増税三ぐらいがいいんじゃないかというような意見もあります。あるいは、イギリスの財務大臣は、歳出削減が八割で増税が二割がいいというふうに明確におっしゃっております。

 私も、どれぐらいがいいか、人によって考え方がありますが、ある程度明確に示した方が国民にもわかりやすいし、どっちの方向に進んでいくのかということがわかりやすいということで、こういう数値、大ざっぱな数値の割合というのを教えていただければと思います。

野田内閣総理大臣 かつて、三と七とか、二とか八とか、いわゆる比率の議論があったことも承知していますし、そういう学者さんの御提起もございましたが、そこで言われていることは、若干、我々の、今、財政再建の取り組みをする前の時間というか時代であって、しかも、我が国と国情が違うのは、それぞれ、やはり高齢化率がそれほど高くないというような状況もございました。だから、三とか七とか、二とか八という諸外国の事例がストレートに日本に当てはまるということはないというふうに私は思いますが、だから、その数字を言うのは難しいんです。

 ただし、成長による増収は外すというお話でございましたので、歳出削減と歳入改革でいうならば、国民に御負担を求める以上、しっかりと歳出削減の努力をしているということをやはり実感していただける、御理解いただけるような環境整備をしなければいけないと思います。

山内委員 私はどちらかというと中立的な質問をしているつもりでありまして、別に、高齢化率が高いので五、五とか、あるいは増税七対歳出削減四でも構わない、構わないというか、それは総理のお考えだと思うんですよ。ですから、どれぐらいがいいのか、自分として理想と思われるのはないんでしょうか。

 別に諸外国の例をまねろとも言いませんし、日本に合った割合というのがあるんだと思いますけれども、ある程度大きな方向性を示した方がみんなわかりやすいと思うんですよ。それは今ないとしたら、将来これぐらいを目指したいとか、考えるおつもりはないでしょうか。

野田内閣総理大臣 数字を、ちょっとやはりバランスをとって云々という話ではなくて、あくまで政府の姿勢として、今回、公務員の人件費の問題もありますし、あるいは特別会計の改革とか、あるいは独立行政法人改革とか、既に出てきている行革のメニューは、二〇一四年の四月に、最初八%に引き上げる際までには少なくともやり遂げておかなければいけないと思いますし、行革というのは不断の努力だと思います。歳出削減というのは不断の見直しが必要でございますので、息を抜かずに、さらに、行革の実行本部もつくりましたので、さらなる行革もやりながら、具体的に国民の御負担をお願いする際には、きちっと政府も、まずは隗より始めよで、努力しているなと思っていただけることが大事だと思いますので、数字で申し上げるのは、ちょっと確たることは申し上げられません。

山内委員 残念なので、次の質問に行きたいと思います。

 二番目の質問は時間がないので飛ばして、核セキュリティーについて総理にお尋ねをします。

 今週、総理が核セキュリティーのサミットに出られました。それに合わせて、日本政府としても、例えば、警察官を増員するとか、警察と自衛隊との連携強化をやる、そういったことを表明されて、その点、私は非常によかったと思っております。

 実は私、二年ぐらい前から原発のテロ対策ということに関心を持って、経済産業委員会でも質問をしたことがあるんですけれども、そのとき政府から受けた説明の印象は、一義的には事業者の方で警備をやりますと。もちろん警察もある程度関与するけれども、どっちかというと事業者任せの面が強いという印象を以前は持っておりました。それじゃいけないと思っておるんです。

 総理にぜひお願いしたい点は、今、警備の状況を見ていると、民間の警備会社、日本の原発警備は二社が大体独占しているそうです。電力会社の子会社であったりとか、必ずしも有力な警備会社ではなくて、そういう中小の警備会社が担当していることが多いようであります。したがって、レベルは余り高くないということを聞いたことがあります。

 あるいは、日本の機械警備というのは非常にすぐれている、カメラとかセンサーは非常に質がいいそうです。ただ、機械警備に頼ると、雨のときとか嵐のとき、あるいは風が強いときとか、いろいろな自然条件によってはなかなか対応できないケースもあり得るそうです。

 そういういろいろな問題がある中で、もっと警察なり自衛隊なりそういった公的な関与が必要だと思っているんですけれども、私がお話を聞いた元自衛隊の特殊部隊の方に言わせると、今の警備の状況は、特に警察と自衛隊の連携が非常に悪い、あるいは、どこからが警察でどこからが自衛隊かというのもわからない、いろいろな点で不備があるので、総理のお立場で省庁間の横の連携とか境界線をしっかり決めるという作業が必要じゃないかということをそのテロ対策のプロの方はおっしゃっておりました。これについて。

細野国務大臣 簡潔にお答えをいたします。

 おっしゃるとおり、核セキュリティーということを考えたときに、日本の行政の体制の中で大変な努力はしておりますが、さらに上を目指していかなければならないと思っております。

 新しい規制庁のもとに警察や自衛隊からも人を出していただくことを予定しておりまして、そのもとでしっかりとした連携をしていかなければならないと考えております。民間に頼るのではなくて、そこは政府が責任を持ってやらなければならない領域だというふうに考えておりますので、そういう体制に努めておるところでございます。

野田内閣総理大臣 今回の原発事故の原因は自然災害でございましたけれども、一方で、そうした検証を通じて、テロに対する原子力施設の脆弱性というものも明らかに浮き彫りになったと思います。

 先ほど委員が御指摘のとおり、どちらかというと事業者任せだったところがこれまであったのかもしれません。もちろん、事業者としてやることもあるだろうと思います。例えば、電源や冷却機能の多重化とか警備の問題もありますが、加えて、一番大事なことは、御指摘いただいたように、警察と自衛隊との連携だと思います。そのためには、もちろん、横串を通してどういうやり方をするのかということと、訓練も含めて、やはり問題意識を共有しながら連携できるようにすることと、警察、自衛隊だけではなくて、海からの対応もあると思いますので、海保との連携などなど、課題はあると思います。

 そういう問題意識は今回の教訓で相当に得られたと思いますので、委員御指摘のような方向の中で、政府としての対応のあり方ということをさらに深く検討させていただきたいと思います。

山内委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。

 最後に、郵政改革法案が、もう出たのか、これから出されるのかわかりませんが、今話題になっております。この郵政改革法案がTPP交渉に与える影響について、総理と外務大臣にお尋ねをしたいと思います。

 アメリカの議会などでは、かんぽ生命と民間の保険会社との間の競争条件が公平でなくなるんじゃないかということで、もしこの郵政改革法案が前に進むと、アメリカの議会などが日本のTPP参加を拒否する可能性が出てくるんじゃないかと思うんですね。そういう認識を総理と外務大臣はお持ちなんでしょうか。

古川国務大臣 お答えいたします。

 かねてより米国政府は、日本郵政の民営化の是非については中立的な立場を維持する旨表明しております。我が国のTPP交渉参加に向けた米国との協議における米国政府の立場は、先般行われた意見募集の結果や米国内の利害関係者との協議等を踏まえて検討されているところであります。

 郵政民営化に関しますこのたびの合意につきましては、民主党、自民党、公明党の間において、対等な競争条件の確保についても議論が行われたものというふうに聞き及んでおります。

 政府といたしましては、これまでと同じように、WTO協定を初めとする国際約束との整合性を確保していく、そうした従来からの考え方を引き続き表明してまいりたいというふうに考えております。

山内委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。

中井委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次に、豊田潤多郎君。

豊田委員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。

 私並びに新党きづなは、消費増税につきまして、消費税を増税する前にやることがあるのではないかという、この一点で主張を続けてまいりました。きょう、たしか閣議決定をされるということを聞いておりますけれども、消費増税の関係ですが、その切り口は、以前から、社会保障と税の一体改革ではなく歳出と歳入の一体改革を行うべきと主張してきたところです。

 今回、質問要旨に、わかりやすく、ちょっと標語的に書きました。まず、そこにございますように、「消費税を増税する前に、やるべきことがある。」一つは、「行財政改革なくして増税なし。」二は、「社会保障なくして増税なし。」三は、「景気回復なくして増税なし。」です。

 まず、以上三点について、総理の所見をお伺いします。

岡田国務大臣 消費税という形で国民に負担をお願いする際に、行財政改革あるいは社会保障制度の改革、そして景気回復、こういったことが重要であるということは委員御指摘のとおりでございます。

 特に行財政改革につきましては、私も担当大臣として現在全力で取り組んでいるところですが、政権交代後、例えば、公共事業予算を大幅に削ったり、あるいは埋蔵金と言われるものを引き揚げて一般会計に使ったり、あるいは独法や特会についてはこの国会に法案を出しておりますが、さまざまな改革をしていたことは、委員も最近まで民主党におられて、よく承知しておられることだと思います。

 もちろん、それで十分だということではございません。これからも全力を挙げて行政改革、財政改革に取り組み、国民の皆様の御理解をいただきたいというふうに考えているところでございます。

 社会保障改革につきましては、今回、税・社会保障一体改革ということで、特に、所得の二極分化が進む中で、所得の少ない方に対する対策、例えば、年金の最低保障機能の強化、それからもう一つは子ども・子育て支援、そういったところに重点的に予算を、追加的な予算を振り向ける、そういった改革もあわせ行うこととしております。

 景気の問題につきましては、我々、その数字を具体的に掲げておりますので、車の両輪として、増税の条件ではありませんが、しかし、景気を回復するということが基本的に歳入増につながるわけでありますので、しっかりと景気回復のためにあわせて努力をしていくということでございます。

豊田委員 今、副総理の方から御説明ありましたけれども、私は、今、野田内閣が進めようとしている消費増税は二つの大きな問題があるというふうに考えています。

 問題の第一は、その内容、中身の問題であります。

 今、副総理からいろいろとやっておりますというお話がありましたけれども、行財政改革につきましても、まず、その内容、中身が不十分であると私は思っていますし、社会保障の具体的なビジョンというものも描けていない。特に年金問題というのはどうなっているんですかと言いたくなります。さらに、景気回復のシナリオが全く見えてこない。

 このような状況で消費税を上げるということは大問題だというふうに私は認識しておりますし、今まで、副総理にしろ、総理がやろうとされてきたことは、それなりの努力は私は評価しますけれども、従来の統治機構とか組織の延長線上、今までの制度の延長線上で物事を進めようとすると限界があるわけです。

 ですから、思い切って、この制度、あるいは統治機構とか組織、これを抜本的に見直して、そして、徹底した無駄の排除とそれから予算の効率化を図るということによって、歳出の削減を大幅に図っていくということが大切ではないかということを御指摘します。

 それから、第二の問題。これは時間差の問題であります。

 私が三点指摘いたしましたけれども、全て、やります、これからやります、消費税の増税の前に何とかやりますということですが、それは順序が逆だと思います。

 まず、きちっと行財政改革をやりました、あるいは法案をつくって、これをやります。あるいは社会保障についても、こういうビジョンをきちっと示して、そのためにこれだけの消費税の増税が必要です。それから景気回復についても、こういう手を打って、そして景気が回復します、したがって消費税の増税を国民の皆さんにお願いします。これが順序でありまして、今、野田内閣のやっていることといったら、全てそれを後回しにして、それをやろうという意欲は感じられますけれども、実績をまずつくってから、それから消費税の増税ということを私はやるべきだと思います。

 今のままなら、これは単なる増税法案にすぎません。増税の前にやるべきことをやらずして、単なる増税法案を出すのであれば、私どもは断固反対します。

岡田国務大臣 先ほど申し上げましたように、行財政改革については、政権交代後、我々は真剣に取り組んで成果も上げているつもりでございます。委員も最近まで民主党におられたわけですから、そのことはよく御存じのはずであります。それは仲間の議員に対して、私は、適切な言葉ではないんじゃないかというふうにすら思えます。

 それから、統治機構の改革を主張されました。具体的に何を言っておられるのか、御指摘いただければお答えできると思います。

豊田委員 私は、民主党が二年半前に政権交代をしたときに、本当に行財政改革を進めてもらえる、あるいは進められるということをもって一生懸命やってきました。しかし、行政改革一つにしても、法案一つも出てこないじゃないですか。なぜ、この消費税をやろうというときに、せめて同時に、こういうことをやります、こういう法案で閣議決定をしますということがどうしてできないんですか。

 その内容がわからない。しかも、消費税の改革の前にやるべきことという行財政改革を、副総理はやるやるとおっしゃっていますけれども、それでは実際にどれだけの成果があるのか、歳出削減効果がどれだけあるのか、その試算すらもないじゃないですか。

 そういうことで、私は、消費税を増税するということは大変問題だと思っていますし、さらに、社会保障の年金の問題はどうなるんです、年金についてきちっとしたビジョンをなぜ出せないんですか。そのことをお伺いします。

岡田国務大臣 まず行財政改革ですけれども、この国会に、特別会計それから独法についての改革法案は出します。それから、党の方でいろいろ本当に真摯な御議論をいただいて、行政改革を実行するための法案が既にできております。あとは出すタイミングだけでございまして、党内手続は全て終わっているというふうに聞いております。これはまさしく、委員の同僚議員がそれこそ真剣な議論を重ねた中ででき上がったものでありまして、何もできていないという、そういう言い方は私は承服することはできません。

 それから、年金の話は、これも委員は一緒にやっておられたわけですから、よくおわかりだと思いますが、我々は、来年国会に法案を出すということで、今、党の中で御議論いただいているわけでございます。

豊田委員 来年法案を出すということは、これはおかしいんじゃないですか。もっと早くなぜできないんですか。それから、行財政改革の話についても、なぜその法案が、今準備しています、準備していますと、どうして少なくとも同時に出てこないんですか。

 なぜ消費税だけがこんなに早く、それは年度内にと法律の附則に書いてあるからということかもしれませんけれども、一体改革というのなら全部まとめてパッケージで出す話、私は、少なくとも一体として出すべきだ。本当は、まず実績として行財政改革を行った後に消費税の増税という議論に入るべきだと私は思いますが、少なくとも、一体改革と言っているのなら、なぜその法案が出てこないんですか。

野田内閣総理大臣 社会保障と税の一体改革でございますので、社会保障の関連法案、ことしじゅうに出さなければならない法案は、税法とほぼ軌を一にしながら出していますので、一体改革の議論はできます。

 一方で、行政改革は、何をいつまでにやるかということではなくて、これまでもやってきました、これからも歯を食いしばってやっていくわけですので、それは包括的に、あわせて議論をしていくということでございます。

豊田委員 質疑時間が終了しましたので、最後ですが、私は大変、総理並びに副総理の答弁は納得できません。ちゃんと、一体改革というならば、何度も申し上げていますように、消費税の増税をする前にやることをやってから消費税を上げていただきたい。このことを最後に申し上げまして、質問を終わります。

 以上です。

中井委員長 これにて豊田君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十四年度暫定予算三案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中井委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 平成二十四年度一般会計暫定予算、平成二十四年度特別会計暫定予算、平成二十四年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中井委員長 起立多数。よって、平成二十四年度暫定予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十四年度暫定予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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