衆議院

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第27号 平成24年7月12日(木曜日)

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平成二十四年七月十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中井  洽君

   理事 大谷 信盛君 理事 金森  正君

   理事 細川 律夫君 理事 三日月大造君

   理事 室井 秀子君 理事 石破  茂君

   理事 小池百合子君 理事 牧  義夫君

   理事 高木 陽介君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      今井 雅人君    江端 貴子君

      大西 健介君    大西 孝典君

      奥野総一郎君    柿沼 正明君

      勝又恒一郎君    川口  博君

      黄川田 徹君    岸本 周平君

      櫛渕 万里君    小室 寿明君

      後藤 祐一君    近藤 洋介君

      杉本かずみ君    高井 崇志君

      竹田 光明君    玉木雄一郎君

      中屋 大介君    仁木 博文君

      野田 国義君    橋本 博明君

      花咲 宏基君    早川久美子君

      平岡 秀夫君    森山 浩行君

      山岡 達丸君    山崎  誠君

      山田 良司君    山本 剛正君

      湯原 俊二君    吉川 政重君

      渡部 恒三君    赤澤 亮正君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      金子 一義君    金田 勝年君

      近藤三津枝君    佐田玄一郎君

      齋藤  健君    橘 慶一郎君

      長島 忠美君    野田  毅君

      馳   浩君    平沢 勝栄君

      茂木 敏充君    相原 史乃君

      金子 健一君    高松 和夫君

      三宅 雪子君    赤松 正雄君

      東  順治君    笠井  亮君

      内山  晃君   斎藤やすのり君

      阿部 知子君    柿澤 未途君

      山内 康一君    中島 正純君

      松木けんこう君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           岡田 克也君

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       郡司  彰君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   国土交通大臣       羽田雄一郎君

   環境大臣         細野 豪志君

   防衛大臣         森本  敏君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣         平野 達男君

   国務大臣

   (拉致問題担当)     松原  仁君

   国務大臣

   (金融担当)       松下 忠洋君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (経済財政政策担当)   古川 元久君

   内閣官房副長官      齋藤  勁君

   外務副大臣        山口  壯君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   農林水産副大臣      岩本  司君

   財務大臣政務官

   兼復興大臣政務官     若泉 征三君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           高橋  博君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            針原 寿朗君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十二日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     野田 国義君

  江端 貴子君     近藤 洋介君

  後藤 祐一君     大西 孝典君

  橋本 博明君     磯谷香代子君

  花咲 宏基君     柿沼 正明君

  平岡 秀夫君     奥野総一郎君

  馬淵 澄夫君     森山 浩行君

  小里 泰弘君     茂木 敏充君

  橘 慶一郎君     平沢 勝栄君

  山本 幸三君     近藤三津枝君

  山岡 賢次君     高松 和夫君

  東  順治君     赤松 正雄君

  内山  晃君     斎藤やすのり君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     橋本 博明君

  大西 孝典君     勝又恒一郎君

  奥野総一郎君     中屋 大介君

  柿沼 正明君     花咲 宏基君

  近藤 洋介君     江端 貴子君

  野田 国義君     稲富 修二君

  森山 浩行君     吉川 政重君

  近藤三津枝君     長島 忠美君

  平沢 勝栄君     橘 慶一郎君

  茂木 敏充君     齋藤  健君

  高松 和夫君     相原 史乃君

  赤松 正雄君     東  順治君

  斎藤やすのり君    内山  晃君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     山本 剛正君

  勝又恒一郎君     後藤 祐一君

  中屋 大介君     平岡 秀夫君

  吉川 政重君     川口  博君

  齋藤  健君     小里 泰弘君

  長島 忠美君     山本 幸三君

  相原 史乃君     山岡 賢次君

同日

 辞任         補欠選任

  川口  博君     高井 崇志君

  山本 剛正君     竹田 光明君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 崇志君     馬淵 澄夫君

  竹田 光明君     小室 寿明君

同日

 辞任         補欠選任

  小室 寿明君     早川久美子君

同日

 辞任         補欠選任

  早川久美子君     打越あかし君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

中井委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁警備局長西村泰彦君、農林水産省大臣官房総括審議官佐藤一雄君、農林水産省消費・安全局長高橋博君、農林水産省食料産業局長針原寿朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介です。

 質問の機会をいただき、委員長初め与野党の理事の皆様に感謝申し上げます。

 本日は、日本再生に向けた道筋、経済政策を中心に議論をしてまいりたいと思います。

 早速質問に入ります。

 総理、政権交代のあの夏から間もなく三年であります。残念ながら、現在の民主党に対して有権者の方々から厳しい声が寄せられております。この声は真摯に受けとめなければなりません。同時に、経済の状況を示す数値、この三年間の数値の推移を冷静に見ますと、着実に成果が上がっているのも事実であります。

 資料、パネルを用意したので、ごらんをいただければと思います。

 第一に、雇用情勢であります。失業率は、自民党時代の麻生政権からバトンを引き継いだ二〇〇九年九月は五・四%でした。今や四・四%と、一%改善しております。完全失業者数は六十五万人も減りました。有効求人倍率は倍増しております。雇用情勢は確実によくなっているわけであります。

 企業収益に目を転じてみたいと思います。企業収益も大幅によくなっている。法人企業統計、大企業から中小企業まで全国二万社の調査でありますが、民主党政権下の三年間で経常利益は倍増しております。設備投資も三割ふえているわけであります。

 耐久消費財、住宅着工。住宅着工は、麻生政権の末期は過去最悪でありましたが、野田政権で大変多くふえているというわけであります。自動車も六割ふえております。

 この結果、足元の経済成長率も大きく改善しております。この資料のパネルのとおりであります。

 消費者物価指数は、政権スタート時はマイナス二・二%、これが、五月時点でついに前年同月プラスに転じました。物価の下落傾向もようやく歯どめがかかりつつあるわけであります。

 リーマン・ショックの後遺症がある二〇〇九年九月に、私たち民主党は政権を預かりました。どん底でありました。しかも、その後、未曽有の東日本大震災を受けました。原発事故もありました。今も復興のさなかであります。福島県では、今も十万人を超える方々が避難生活を余儀なくされております。総理がおっしゃるとおり、福島の復興なくして、被災地の復興なくして日本の復興はなし、この復興のさなかであります。まさに、国難に直面をしながら、しかし私たちは一歩一歩経済を好転させていることが、数字にこのとおりあらわれているわけであります。特に、この数字にあるとおり、野田政権になってから改善の度合いが加速しております。

 こうした経済面の成果について、総理は率直にどのように受けとめられておるか、また、上昇の入り口にある今だからこそ、これからことし後半、そして来年の政策が日本経済の十年先、二十年先を左右すると考えますが、いかがお考えでしょうか。

野田内閣総理大臣 おはようございます。

 ちょうど、私どもが政権をお預かりするようになった、一昨年の九月以降でありますけれども、これは四四半期プラス成長になりました。それまでがリーマン・ショックの大きな影響がありましたので、日本経済は厳しい状況でございました。私どもも景気・雇用対策に力を入れ続けてきたことも事実でありますが、これは公平なことを申し上げたいと思いますけれども、自公政権下でまいた種が芽が出てきたこともそれを支えたということは公平に言わなければいけないというふうに思います。その結果、四四半期プラス成長になりました。

 ただ、東日本大震災が昨年の三月発生をしたその前後から、残念ながら、日本の景気は減速をしましたけれども、累次にわたる補正予算、そして今年度の予算を執行する中で、今、足元においては、一月から三月のQEにおいては年率の成長率が実質四・七%と、主要先進国や新興国の成長率に陰りが見える中で、復興需要を背景としながら個人消費の伸びなども出てまいりまして、足元はそういう数字が出てまいりましたけれども、これは気を抜いてはいけないと思っております。

 私は、福島の再生なくして日本の再生なしと申し上げましたが、被災地の復興なくして日本の復興はないと考えておりますので、その復興需要をさらに顕在化させながら、景気の回復の軌道というものをしっかりと捉えていきたいと思いますし、それだけではなく、次第にこれは民需主導のものへと変えていかなければなりません。そういう発想のもとに、経済については常に目配り、気配りをしながら、特に海外の要因による下振れリスクもありますので、そういうことに十分に気をつけながら、力強く日本は景気を回復していく。そして、今、消費者物価のお話、御指摘もありましたが、改善の方向にありますけれども、しっかりとデフレを脱却し、日本の経済を活性化するということは、これは我が内閣の大きな課題の一つでございますので、これからもしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。まさに野田総理らしい真面目な御答弁、愚直に真面目に、そして燃える闘魂を秘めながらこれまで政権に取り組んでこられた、まさに総理らしい御答弁でございました。

 総理、まさに、この裏側にも示したとおり、経済成長も、先進国、新興国、大変厳しい状況の中で、我々は土俵際で踏ん張っているんじゃないか、こう思うわけであります。この一年間、特に経済が立ち直り始めた最大の要因は、私は、野田首相のぶれない、そして決めることは決めるという首相の政治姿勢、この政権の政治姿勢に大きな要因があるんじゃないか、こうも考えております。

 象徴となっているのは、先般、三党合意で決めさせていただいた社会保障と税の一体改革であります。これは、政治的には最も難しい課題であります。この改革をめぐり民主党の仲間が離れてしまっていったこと、これは残念なことではあります。しかし、首相は改革の必要性を粘り強く訴え、そして我々民主党は決定をした。そして、自民党、公明党の方々とまさに大局に立って合意に至ったわけであります。

 国論を二分する課題であっても、厳しい選択であっても、逃げない姿勢を貫いているのが野田政権であります。海外ではかねてから高い評価を得ております。最近では、意外にも橋下大阪市長がすごいと褒めたという話も仄聞しております。まあ、どういう思惑かどうかは別にして、評価をされている。

 国内にとっても企業にとっても、やはり政権が決めることは決めるんだ、そして逃げないんだという姿勢、これが一定の安定感につながり、私は、結果として、予測可能性を企業や個人が持つことができることによって経済活動を上向かせている面がある、こう考えますが、総理はいかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 大変評価をしていただくことはありがたいことでありますが、自己評価は私は余り自分ではしないようにしたいと思っておりますし、余り褒められたことがないので何て答えていいのかわかりませんけれども、要は、今までの政治は、特に、いつも申し上げているんですが、去年の七月か八月のイギリスのエコノミスト、あれが私の問題意識の危機感の背景にあります。決められない政治、先送りをする政治を日本化と評している、国際社会がそう見ていることについて、非常に私は危機感を持ちました。

 困難な問題はたくさんあるんです。その困難な問題を先送りしてきたからこそ、待ったなしの状況になってしまうんです。そういう政治とはやはり決別をして、これは民主党単独でできる状況ではありません、しっかりと熟議を重ねながら与野党の合意を得て国難を突破していく、国難から逃げないという政治をぜひやりたいという思いは強く持っております。これからもその姿勢は変えないでいきたいと考えております。

近藤(洋)委員 ぜひ、ぶれない政治、野田内閣、そして民主党政権、ぶれない政治を貫いていきたい、それをお支えしたい、こう思います。

 さて、経済は生き物であります。ぶれない姿勢と同時に、その時々に合ったスピード感のある政策の実行が極めて大切であります。その意味で、昨年のといいますか、今回の補正予算に盛り込まれた、現在実行の補正予算でありますが、自動車のエコカー補助金、総額三千億円のこのエコカー補助金は、震災後の日本経済にあって非常に大きな役割を果たした、こう思っています。

 この制度は、先ほど総理が御指摘をされたとおり、まさに自民党内閣、政権でスタートした制度であります。その制度を、我々がバトンを受けて、民主党政権下で延長をし、そして改善を重ねてまいりました。昨年の税制改正では、補助金だけではなくて、まさに車体課税の暫定税率部分も引き下げ、また、エコカー減税の拡充もあわせて、まさに三本の矢を実行したわけであります。

 まず、枝野経済産業大臣、円高に苦しむ国内産業、そして雇用にとっての効果についてお答えをいただければと思います。

 また、この補助金ですが、どのような形で収束をしていくのか。新聞報道ではそろそろ、七月、八月ということも出ておりますが、どのような状況なのか、お答えください。

枝野国務大臣 お答えをいたします。

 自動車産業は、御承知のとおり、一産業ということにとどまらず、日本の全製造業の出荷額の約二割を占めますし、幅広い裾野産業のある分野でございますので、就業人口の約一割、五千四百五万人を抱える基幹産業でございます。

 ここに、昨年末に、エコカー減税、そして自動車重量税の負担軽減、さらにはエコカー補助金という政策を打ちまして、日本自動車工業会の需要見通しによれば、二〇一二年の新車販売台数は、こうしたさまざまな政策の効果を合わせて、昨年から約八十万台ふえて五百二万台に達する見込みとなっております。この約八十万台の需要増加というのを試算いたしますと、約一・六兆円、国内における自動車販売を押し上げられます。そして、それによって約四・六兆円の経済効果、約十六・四万人の雇用維持あるいは創出の効果があるということでございます。

 なお、これでございますが、現在、執行状況としては、自家用自動車について約二千七百四十七億円の予算額に対し、七月十日現在、申請金額が一千九百八十九億円でございます。したがって、補助金の残額は約七百五十八億円程度となっております。

 今後の推移でありますが、販売台数は景気動向などさまざまな要因によって変動するため、具体的な終了時期の見通しを立てるのは極めて困難でございますし、また、それを明言するのも適当ではないと思っておりますが、今後とも、残余額について、タイムリーにかつ正確に情報提供してまいりたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 この補助金が終了するとき、まさに各ディーラーの方々も混乱をされると非常にまずい、こう思うわけでありますから、きちんと情報開示して、この時点で大体終わりそうだということを、ユーザーもそして販売者も混乱しないような手だてを講じていただきたい、こう思うわけであります。

 このエコカー補助金は単年度。これをつくる際に当たって、総理が大変英断を振るわれた。財務大臣と、まさに政治主導で、当時あの補助金は、我々与党でありましたけれども、一千億から一千五百億円ぐらいかな、そんなイメージだったんですが、ふたをあけてびっくり、三千億円、どんと出されたわけです。考えてみますと、あのとき、タイの洪水もありました、さまざまな状況の中で、官邸主導で御決断をされた。今、枝野大臣言われたように、大変な効果があったということであります。

 しかし、これは、お金が切れれば終わるという制度であります。国内の自動車の利用者、ユーザーの立場、購入者の立場に立てば、補助金もいいんだけれども、本質的には、自動車関係諸税の引き下げを恒久化することが本筋だ、こう思うわけであります。

 そもそも自動車は、買うときに取得税を取られる、消費税とまた別に取られる。重量税もある。保有する段階で自動車税もある。買うとき取られ、使って取られ、保有して取られと、異常な税金をかけている。これは世界で日本だけであります。

 民主党政権下では、これまで税制改正で、過去、手をつけてくることができなかった自動車重量税の引き下げを実現したわけですね。一〇年度には二千億円、そして昨年は一千五百億円の減税を断行しました。暫定税率を引き下げていったわけです。しかし、まだ暫定税率は残っています。ほかの税も残っております。

 ここは、消費税を引き上げるわけでありますけれども、この引き上げに合わせて、こうした複雑かつ多重的な自動車関係諸税の引き下げまたは廃止を実行すべきと考えますが、まずは経産大臣、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 お答えいたします。

 まず、お答えの前に、先ほど、自動車産業の就業人口をちょっと読み間違えたようでございますので、正確に申し上げると、就業人口全体の約一割、五百四十五万人を抱える極めて広い裾野産業であるということでございます。

 その上で、御指摘のとおり、経済産業省としては、自動車に関して、多段階で多様な税目が課せられており、その負担を軽減する方向で見直しの議論を行ってきたところでございます。

 また、この二年間、近藤議員にも大変な御協力をいただきまして、自動車重量税についての減税を実現することができてきておりますが、さらに、平成二十四年度税制改正における与党の重点要望に、自動車取得税及び自動車重量税については廃止、抜本的な見直しを強く求めるということで、国、地方を通じた関連税制のあり方の見直しを行い、安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ、簡素化、負担の軽減、グリーン化の観点から見直しを行うこととしているところでございます。

 しかも、その後、今回の消費税率の引き上げの議論の中で、消費税率八%への引き上げ時までにこの方針に沿った抜本見直しを行う、結論を得るということで三党で確認をされたというふうに承知をしております。

 これらの方針に沿って、車体課税の抜本的見直しの実現に向けて取り組んでまいりたいというふうに思っておりますので、引き続きの御支援をよろしくお願い申し上げます。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 まさに大臣今おっしゃったとおり、民主党の重点要望には、「廃止、抜本的な見直しを強く求める。」こう書いております。また、社会保障と税の改革に関する民主、自民、公明三党の三党合意の中にも、三%引き上げる、「八%への引上げ時までに結論を得る。」と。

 この結論というのは、まさに廃止も含めた抜本見直しだろう、こう我々は解釈しているんですが、財務大臣、この辺、来年度の税制改正から先取りをしてもいいんじゃないかという気すらするんですが、大臣、いかがでしょうか。

安住国務大臣 取得をするときの税金は、実は地方税でございます。山形県もそうでございますし、二千億円ぐらいの税収なんですね。

 御指摘のように、我が党での税制大綱をまとめていただくときのプロセス、それから三党の中でも、消費税を引き上げさせていただくときに、二重課税の問題として、この問題をやはりシンプルにして、そして、ユーザーの皆さんに重税感をできるだけ和らげる対策をしましょうということでございますから、それに沿った対策はしっかりやっていきます。

 ただ、一方で、都合のいい話に聞こえるかもしれませんが、しかし、地方のこの二千億円というのは貴重な財源になっておりまして、やはり地方からはこのお金を減らさないでほしいという声が強うございます。

 ですから、それぞれ先生方の御地元の中での財政の状況等も踏まえて、また、我々にとっても重量税は大きな財源になっておりますので、そこらのあんばいというものを十分勘案しながら、しかし、引き上げの段階の中で、今から二〇一五年まで上げさせていただく消費税でございますので、十分、そういう意味では、自動車の消費といいますか、販売の減退にならないような形での工夫というものをぜひとっていきたいと思います。

 ただ、時期については、前向きに、もう積極的にどんどん来年からという御指摘でございますけれども、少し検討させていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 台所というか、財務を預かる財務大臣でございますから、慎重な御答弁になるのは当然かなと思うわけでありますが、ただ、これは大改革、消費税という改革をするわけですから、ぜひお考えをいただきたい、こう思うわけであります。

 また、総理、これは消費税の引き上げに合わせて、やはりこの自動車関係諸税、安住大臣もこれはきちんと検討する、こういう話でございましたが、この自動車関係諸税をきちんと見直す必要がある。地方税のお話がございました、全くおっしゃるとおりであります。しかし、これは全体の、国税、地方税、国の取り分、地方の配分も含めて、自動車関係諸税の中での配分を考え直して、地方に影響を与えないような組み立て直し方もできるのではないか、こう思いますし、また、総理、自動車に限らず、住宅の取得に関しても、やはり影響を軽減する手法がどうしても必要だろう、こう思います。

 税制というと、最近どうも負担増の話だけが、イメージだけが先行しておりますけれども、消費税率の引き上げに合わせて税をスクラップする、整理することが大事じゃないか。まさに攻めの税制改正を決断、実行することで、経済産業構造を変える、世の中を変える、日本を再生することができる、こう思うわけです。

 消費増税とあわせて、自動車関係諸税、さらには住宅関連、またその後も申し上げますけれども、攻めの税制に転じて世の中を変えるということに踏み出すことがまさに野田政権の使命ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 自動車関係の諸税については、経産大臣、財務大臣から御答弁があったとおりでございます。

 その上で、住宅のお話がございましたので、私ども政府の考え方をお示ししたいと思いますが、住宅の取得については、一時の税負担の増加による影響を平準化及び緩和する観点から、必要な措置について、財源も含め総合的に検討するということになっております。

 政府としては、今般の三党合意文書において十分な対策を実施するとされた趣旨も踏まえて、住宅の取得に係る必要な措置について、消費税率の八%への引き上げ時及び一〇%への引き上げ時にそれぞれ実施するべく、平成二十五年度以降の税制改正及び予算編成の過程で総合的に検討していきたいと思います。

 それから、御指摘のあった攻めの税制のお話でございますけれども、私どもの大きな役割は日本経済の再生、これは重要課題に位置づけております。デフレから脱却をして経済の活性化をするためには、きのうも国家戦略会議でいろいろな議論がございましたけれども、規制改革あるいは予算措置と同時に、御指摘のような攻めの税制措置という考え方もあるかと思いますので、そういうことは機動的に経済の状況を見ながら対応していきたいと考えております。

中井委員長 近藤さん、口を挟んで悪いけれども、さっきの財務大臣の答弁の、地方の税金の問題があると言ったけれども、消費税増税は地方へ配分するんだから、こんなことでごまかされちゃだめだよ。もう一遍やれよ。

近藤(洋)委員 委員長、御指摘ありがとうございます。

 まさに五%分の一・五%が地方への配分、こういうことでございますので、委員長の御指摘のとおりでございまして、ちょっと攻めの税制に関連して……

中井委員長 取るだけ取ってごまかすんだから、そんなものはだめだよ。

近藤(洋)委員 御指摘ありがとうございます。

 攻めの税制なので、ちょっと順番を変えて、安住大臣、ひとつ税についてもう一つ突っ込んで伺いたいんですが、その中で、例えば住宅や教育資金、これはお年寄りの方が大変お金を持っているわけですね。これは孫のために使うという方も多いと思うんです。

 孫のためならとにかく与えてあげようという方、世の中にも多いと思うわけですけれども、この住宅や教育資金をおじいちゃんやおばあちゃんが孫のために拠出した場合、例えば教育資金を一括して二千万円、一千万円、子供にいい大学に入ってもらいたいということで出した場合、これは例えば贈与税、今、百万円、ある程度の減税はなりますけれども、一括した場合はこれを繰り延べるとか、例えば住宅についても、孫の世代のために出した場合は、相続税との絡みも含めてでも結構でしょうけれども、さまざまな減税措置を思い切って講ずる。こうすることによってお金がどんどんどんどん動いていくということもあろうかと思いますが、こうした税制改正、財務大臣、いかがでしょうか。御検討されたらどうでしょうか。

安住国務大臣 ごもっともでございまして、今、私どもも問題意識として持っておりますのは、高齢化社会の中で、資産の保有だけを見ますと、やはり先輩方の方が資産を持っておられる、そこをどういうふうに現役世代にバトンタッチしていくかというのは、一つ、税制上の課題ではございます。ですから、今お話ありましたように、贈与税の問題を我々の中で、今回、三党合意で項目からは落ちましたけれども、この相続、贈与についての改革というものについて提案をさせていただいたわけであります。

 その中で、今、近藤さん御指摘のように、おじいちゃん、おばあちゃんが例えばお孫さんに対してお渡しをする、これをお孫さんが、例えば今でも教育に充てたり本当に生活に必要なものに関しては非課税措置をしておりますけれども、これについてさらにその枠をどういうふうに広げていくかということは、十分私どもとしてやはり検討していきたいと思います。

 生きたお金を有効に使わせていただくと同時に、おじいちゃん、おばあちゃんにとって渡しがいのあるやり方で、これがまた社会に生きていくということは、還元をし、またお金が回っていくということからいうと大変好ましいものでありますので、具体の制度設計について十分御相談させていただきながらやっていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 大臣、ありがとうございます。

 この議論、実は成長戦略ファイナンス会議で私もかかわって議論したときに、なかなか財務省の事務方は税に踏み込むことを嫌がったんですけれども、今大臣、こうやって御答弁いただきました。ぜひこの世代間の移転について、これも来年の税制改正で実行してもらいたい、こう思います。税は社会を変える力がある、こう思っております。

 続いてですが、日本再生の道筋についてお伺いしたいと思います。

 昨日の国家戦略会議において、日本再生戦略の素案が示されました。総理、正直申し上げますと、再生戦略というか、戦略と名のつくものをこの政府はいろいろたくさんつくられているんですね。何たら戦略、かんたら戦略、いろいろ、もう全部戦略と、恐らく二十から三十ぐらい世の中に政府の戦略というものがあるんじゃないか、こう思っております。そうすると、世の中の戦略、何たら戦略というのがありますが、あり過ぎてどれが大事かわからないわけでありますが、この日本再生戦略は、震災からの復興、デフレからの脱却による日本経済の立て直しといった課題を解決するためのまさに中心となるべき戦略だ、野田政権の最も重要なプランだと私は受けとめますけれども、この日本再生戦略の位置づけ、その目的について、総理、明確にお答えいただければと思います。

野田内閣総理大臣 確かに近藤さん御指摘のとおり、財政運営戦略、新成長戦略、若者雇用戦略等々、戦略と名のつく構想はたくさんございますけれども、この日本再生戦略は、御指摘があったとおり、東日本大震災あるいは原発事故、円高の進行等の新たな危機を乗り越えて日本再生への道筋を示していくということでございます。これまで、特に経済の関連では新成長戦略がございました。これを厳しく精査して、何がボトルネックなのかということなども踏まえましてまとめようとしているものでございますので、ある種、新成長戦略を強化、再設計していく中で、さらに幅広くさまざまな観点を入れているという内容でございます。

 きのう、御指摘のとおり、これまたいわゆる原案を示させていただきました。社会の多様な主体がその能力や資源を最大限に引き出して新たな価値を創出していく共創の国づくり、キョウソウというと、ちょっと音だけではわからないかもしれませんけれども、競い争う競争ではありません。狂って騒ぐ狂騒でもありません。ともにつくる共創の国ということを理念としながら、活力にあふれて、そして世界を魅了する日本をつくり、居場所と出番がある社会の実現をしていこう、こういう趣旨でございまして、東日本大震災からの早期復興と原発事故からの再生、我が国経済にとっての当面の最大の課題であるデフレ脱却に向けた取り組み、これは世界の主要国が同じ共通の命題でありますけれども、経済成長と財政再建の両立などを図るために、今後三年間に集中的に取り組む期間を設けながら、我が国の力強い成長を築いていきたいと考えております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 この再生戦略、まさに野田政権の中核になろうかと思うんですが、これは我々も、党としても、これからまた意見を申し上げていきたい、こう思うわけでありますけれども、いずれにしろ、この計画をどう実行させるか、これが非常に大事なんだろう、こう思います。

 二〇二〇年度までに、環境エネルギー、グリーン分野で五十兆円市場、百五十万人の雇用をつくる、さらには健康分野、ライフ分野で五十兆円、二百八十万人の雇用をつくる、こうは書いておりますけれども、どうやって実現させるかというフォローアップ、検証、仕組みの見直しも重要かと思いますが、御担当の古川戦略大臣、いかがでしょうか。

古川国務大臣 お答えいたします。

 おっしゃるように、やはり私たちは、新成長戦略以来、実行するだけじゃなくて、成果を出していく。あのLCCのように、オープンスカイ政策を実行しただけではなくて、実際に新規参入があって、今まで飛行機に乗れなかった人も乗れて、いろいろなところに行けるようになる。そこの成果まできちんと出していくということにこれまで取り組んでまいりました。

 今回の日本再生戦略においても、その成果まできちんとフォローする、そういう面は大変重視をいたしておりまして、新成長戦略では二〇二〇年の目標というのを掲げておりましたが、今回、その前段階の中間目標、二〇一五年度の中間目標というものを設定させていただきました。

 例えば、ライフイノベーションについて一つ申し上げますと、二〇一五年度中間目標といたしまして、マンパワーの必要量として医師や看護職員及び介護職員の人数の見込みとか、また医療や介護支援サービスの市場規模、こうしたものを掲げて、そして、しかもそれを今年度から毎年、どこまで進捗しているのか、どこまで成果が出ているのか、ただ実行しているだけじゃなくて、どこまで成果が出ているか、そこをしっかり検証していきたいと思っています。

 原則として、五月をめどに成果目標の達成度を軸に評価を行いまして、その評価がよくない場合には、施策の見直しとか、そういうものも踏まえていきたいと思っております。そして、こうした評価を踏まえて次の年度の予算にまでそれを反映させていく。成長戦略と予算編成というものを一体として取り組んでいく、そのことによってしっかり成果を出していく、そのことを担保していきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、きっちり検証する作業、これはもちろん政府においても行われるべきですし、我々議会としても、政党としてもしっかりかかわっていきたい、こう思うわけであります。

 さて、野田総理は、分厚い中間層の復活こそ日本の活力のスタートだ、源だと繰り返し御発言をされています。社会経済でいえば、まさに中規模、小規模、中小企業こそ分厚い中間層なんだろう、こう思うわけであります。企業の九九・七%は小規模、中規模企業であります。そして、雇用も七割を占めているわけであります。日本の成長の軌跡、足跡を見ても、ソニーやホンダ、パナソニックといった会社もかつては中小企業だったわけであります。

 さてそこで、中小企業の創業、転業、さらには海外展開といった活動を後押しするということは私は日本再生戦略のど真ん中にあってもいい、こう思うわけでありますが、経済産業大臣、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、中小企業は日本の雇用を支えています。それから、特に地方の地域経済を支える柱になっております。

 そうした現状自体が大変重要であるのに加えて、御指摘のとおり、今の日本を引っ張っている大企業の多くが六十年前は中小企業であった。特に、この二十年ほど、日本経済が正直言って閉塞状態にある、世界経済が大きく変化をしているという中では、既存の大企業が過去の成功体験を引きずる中で時代の変化に対応してうまくやっていく、もちろんこれもやっていただかなきゃいけないんですが、それ以上に、むしろ過去の成功体験に縛られない、今は小さな企業が時代の変化にしっかり対応して大きな活力を発揮していただく、このことがないと、この閉塞状況は打破できないというふうに思っております。

 そうした中で、残念ながら、これまで、どちらかといえば中小企業政策は、一つには、中小企業にはさまざまな類型がある、業種、業態も違うし、規模も中小企業といっても全然大きく違うし、しかし、どうしても一律の中小企業政策という傾向が強かった。それからもう一つは、とにかく、弱いところだから何とか下支えしましょう、こういう政策がどうしても多かった。ただ、これではなかなか今の時代状況に対応できない。特に、創業や転業、海外展開という形で今の中小企業が活力を持っていただく、このことのためにはよりきめの細かい政策が必要だろうということで、これは近藤議員にも御協力いただいて、“ちいさな企業”未来会議を設置して、これまでどちらかというと各種団体や地方自治体などを通じて伺っていた中小企業の声を、できるだけ生の声を直接伺う、こういう議論を積み重ねてきました。

 その結果として、たくさんあるんですが、主なことを申し上げますと、実践的な知識サポートが必要だろう。意欲はある、それからベースになる技術とか何かはあるけれども、経営についてとか海外展開とか、いろいろな知識が不十分である、こういうことをサポートしていくことを充実させていくとか、それから、さまざまなタイプに応じた支援策を、きめ細かくいろいろなバリエーションをつくっていこう。それから、まさに海外展開ということでは、特に中小零細企業においては、ここについてはなかなか情報がとれないということで、特に海外展開のさらなる支援が必要だろう、こういったことを取りまとめてきているところでございます。

 そして、これはまさに日本再生に向けた大きな骨太の柱になるべきものであるということで、国家戦略会議の中でも説明を申し上げてきているところでございまして、昨日示された原案でも、成長力強化に向けた柱の一つと位置づけられました。

 もちろん、さまざまな、グリーンとかそういった分野も大事でありますが、中小企業というのをさまざまな分野でしっかりと育てていく、応援をしていくということがこれからの日本の再生の鍵であるというふうに思っておりますので、引き続きの御支援をよろしくお願い申し上げます。

近藤(洋)委員 私の地元の米沢でも“ちいさな企業”未来会議を開催していただきましたが、ぜひ、大臣の主導権で充実した政策をこれからどんどん出していただきたい、我々も提案をしたい、こう思います。

 もう時間もあれなので、質問は最後の一になるかと思いますが、この日本再生の基本的な視点の中に、人を動かし、物を動かし、お金を動かす、こうあります。特に、お金を動かすということも、これは大事だと思うんですね。国は大変な借金を抱えていますけれども、個人は一千五百兆円の金融資産、個人の資産があるわけであります。これを活用して日本を元気にする、こういうことだろうと思います。

 その中の一つに、休眠預金の活用というのもございます。十年間以上口座の出し入れがない預貯金のことであります。日本全体で毎年八百億円程度発生するのではないかと言われておりますけれども、この休眠預金、英国や韓国では既に活用されております。

 日本ではこれまで、銀行が自分の利益として処分をしてこられた。当時、古川大臣が休眠預金を活用しようと言ったときに、全国銀行協会は、これはフィクションだ、夢物語だ、こういうふうに言われたわけです、無視したわけでありますけれども、これは政治の力で、この休眠預金の活用、今歩み出しつつあると聞いております。

 大臣、具体的にいつからこれを活用するのか、また、これをどのような分野に活用しようとお考えか、お答えください。

古川国務大臣 今委員からも御指摘ございましたように、休眠預金は、休眠という言葉に象徴されるように、日本の中で動いていないお金はたくさんあるんですけれども、いわばその象徴のようになります。あと、今、この休眠預金は、十年以上取引がないだけじゃなくて、実は、預金者の人に連絡がとれなくなっている、そういう預金なんですね。

 ですから、これは本当に、もし使われる予定の方は、もしあったら、ぜひ自分で引き出して使っていただきたいと思っているんですけれども、そうでないものについては、これはやはり預金者の方々の理解もちゃんといただく。そのためには、法律上の措置、そしてまた、払い戻しの請求があればきちんと払い戻しもする、そういう仕組みをちゃんと整備する。その上で、二〇一四年度中には管理、活用に向けた体制構築を終了させていただいて、早ければ二〇一四年度中にも活用していきたいというふうに考えております。

 お金の使い道につきましては、やはり今、今の枝野大臣のお話にもありましたけれども、次の時代を担っていくような企業を育てるためには新しい創業とか起業を支援していかなきゃいけない。また、NPOなんかが活動して新しい社会をつくっていく。ですから、NPOとか、新しい創業、起業をするような、そういう分野に使うことを考えていきたいと思っておりますけれども、使い道の使途については、これはもともと預金者のお金であるということも考えまして、さまざまな方々からこれから意見を聞いて、そしてその使い道を決めていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 時間ですので、質問を終わりたいと思います。

 本来ならば、来年度の経済がちょっと鈍化する、ちょっと心配なところがあるものですから、これは攻めの税制とあわせて臨機応変に財政措置も必要じゃないか、具体的に言うと、補正予算の編成も必要じゃないか、こういう声が党内に大変強くなっております。この思いもぜひ受けとめていただきたいということだけ申し上げて、優秀な民主党の二人のバッターに譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申し出があります。近藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 おはようございます。民主党の今井雅人です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。

 早速、まず野田総理にお伺いしたいと思います。

 月曜日の予算委員会で、G8、G20の御報告がございました。改めて、会議に御参加されて、国際社会は日本の財政状況をどのように見ているとお感じになられたか、お答えをいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 欧州債務問題を背景としまして、財政健全化への重要性の認識というのが、これは国際社会、どんどんと強まっております。先般のG8、G20でも、財政健全化の進め方についての活発な議論が行われました。

 こうした中で、財政状況の極めて厳しい日本については、財政健全化を着実に進めることが不可欠であるということは、国際的にも共通の認識になっているというふうに思います。例えば、先般のG20では、特に財政状況が厳しい米国と日本に対して、中長期的な財政の持続可能性を図ることが重要であるという指摘もございました。

 それぞれの会議において、私からは、財政健全化と経済成長、これは両立させなければいけないという認識を持っていることと、それを踏まえて、今、社会保障と税の一体改革、これは社会保障のための安定財源確保と財政健全化を同時に達成するものである、こういう取り組みの説明なども行わせていただきました。

 ロスカボスの会議は、これは一日だけの会議でしたが、一番大きなセッションであった世界経済のところで今と同様の説明をさせていただきまして、国際社会についてもこれは一定の歓迎の声と評価があったと理解をしています。

今井委員 ありがとうございました。

 日本で政権交代が起きたわずか二カ月後です、ギリシャでも政権交代が起きまして、そこで国家財政の粉飾が発覚してギリシャ・ショックがスタートした。その後、日本もリーマン・ショックで税収が大きく落ち込みました。世界が日本を見る目も非常に厳しくなってきています。改革は待ったなしの状況になってきた、このことは私も全くそのとおりだというふうに思います。

 しかし、国民の声は依然として大変厳しい。先日の朝日新聞の世論調査を見ますと、消費税を引き上げる法案に賛成が四二%、反対が四九%になっています。反対の理由として圧倒的に多い意見は、国の歳出削減が進んでいない、景気や生活に悪い影響がある、この二つです。

 こうした声を私たちは重く受けとめる必要があると思いますけれども、総理はどういうふうにお考えになりますか。

野田内閣総理大臣 歳出削減、行革というのは、これは私は、民主党結党以来の、ある意味では一番多くのメンバーがやらなければいけないと思っている魂が入った政策だと思うんです。

 だから、これまでもやってまいりました。これは誤解が多いんですけれども、消費税を上げるために行革をやるんではなくて、これまでもやってきたんです。事業仕分けもやってまいりました。今回の国家公務員の人件費の削減もやりました。独法の改革もやる、特会の改革もやる、法案を出しています。これからもやるんです。消費税を引き上げるための行革ではないんですね。これまでもやってきた。

 だけれども、国民の皆様の声が、自分たちに負担を求めるんだったら、まずは隗より始めよという声が多いということは、これは真摯に受けとめなければなりません。これまでやってきたことをしっかりとこれまで以上にやるんだ、社会保障と税の一体改革とまた一体となった行政改革、歳出削減もやっていくということで御理解をいただくように努めていきたいと考えております。

今井委員 おっしゃるとおり、行革はもうずっと常にやっていかなきゃいけないということだと思います。

 その上で申し上げたいんですが、総理は不退転の決意で社会保障と税の一体改革をやり遂げるというふうにおっしゃいました。

 私は、これをやり遂げるというのは、この国会でこの法案を通す、このことだけでは十分じゃないと思うんです。今後、二〇一四年に消費税を実際に引き上げが実施できるような環境をしっかり整えていく、このことにも政治生命をかけていただく必要が、その責務があると私は考えておりますけれども、総理、いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 それは、まさに今井さんの御指摘のとおりです。

 社会保障と税の一体改革は、待ったなしでやらなければなりません。だけれども、その前にやらなければいけないことがあるという御議論があります。何かを前に何かをやらなければいけないという議論があったことが、ずっと先送りの原因になってきました。

 一緒にやらなければいけないんです。一緒にやらなければいけないことは経済の再生です。これは何が何でも経済を再生させなければなりません、環境整備として。

 それからもう一つは、行革と政治改革。これは不断の努力を常にやらなければいけませんけれども、二〇一四年に具体的に消費税の税率を引き上げる前までに、今お示ししているようなメニューというものは全て仕上げるような、そういう覚悟で、何かをやらなければ、その後に何かしなければいけないという議論じゃなくて、あれもこれもという、特に経済再生と政治改革、行革は、社会保障と税の一体改革と一体で包括的に進めなければいけない改革だという認識を持っております。

今井委員 ありがとうございました。

 全く私も同感でありまして、これはやはり並行してやっていくものでありますから、引き上げだけが表に出ていますけれども、我々はそれをやるためにいろいろな改革をこれからもやっていく、そういう御答弁だったと思いますので、私もしっかり支えていきたいというふうに思います。

 歳出削減のことに関しては、これから同僚議員にお任せしますけれども、一点だけお伺いします。

 現在国会に提出されています衆議院の定数削減、これを何としても成立させていただきたいというふうに思っておりますが、総理の御決意はいかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 政治改革は、一票の格差是正と、今御指摘のあった定数削減と選挙制度改革、これを一体として対応するということを、これまでの実務者協議、そして幹事長レベルでの協議が続いてまいりました。幹事長レベルで我が党の案を提示させていただきましたけれども、残念ながら、まだ多くの党の御賛同をいただいている状況ではありません。

 これは、私どもは、マニフェストの中で、比例を八十削減と国民の皆様にお約束をしました。その八十という目標を掲げつつ、多くの党の御理解をいただくためには、一票の格差を是正しながら、まずは四十の比例の削減、小選挙区は五の削減になります、そういう削減を、今、御賛同を得るべく努力させていただいておりますが、何としてもこの国会で、多くの党の御賛同を得ながら定数削減に踏み出していきたいというふうに考えております。

今井委員 ありがとうございました。

 これは身を切る改革の象徴でもありますから、必ずこれを成立するということで私たちも頑張っていきたいというふうに思います。

 私は、きょうは、もう一つの課題、景気をどう支えていくかということについて質問したいと思います。

 まず、ちょっとこちらをごらんになっていただきたいんですが、こちらはIMFの世界経済の見通しの推移と新興国のGDPの推移をお示ししています。見通しの方を見ていただきますと、過去に何度も下方修正がされてきています。また、今、世界経済の約四割を占める新興国の景気が急速に落ち込んできている、このこともわかるかというふうに思います。アメリカの雇用環境も改善されておりません。欧州も不安定な状態が続いているのは御存じのとおりだと思います。

 リーマン・ショックのときに、日本には大きな影響がないとおっしゃった方がおられましたけれども、結果、日本は最も大きな影響を受けました。今、日本の成長率は、先ほど近藤議員が挙げられましたように、この三年間、伸びてきていますけれども、これからどうなるかわからないわけですね。

 私が一番恐れているのは、これから国際経済の低迷の影響で日本の景気が落ち込んで、そのことで消費税の引き上げができない状況に陥ってしまうことなんです。そうなると、景気は落ち込む、財政は悪化する、国際社会からの信用を失う、金融市場も不安定になるという最悪の事態になりかねません。ですから、これだけは絶対に防がなきゃいけないというふうに思っているんです。

 そこで、まず古川経済財政担当大臣にお伺いしたいと思うんですが、私は、現下のこうした状況を踏まえまして、予防の意味も含めて、大胆な経済対策を早急に実施する必要があると思っているんですね。だから、お伺いしたいのは、今年度の補正予算も含めて、そうした政策を早急に実施されるお考えがあるかどうか、お答えいただきたいというふうに思います。

古川国務大臣 確かに、委員がおっしゃるように、世界経済は大変不透明感が増しておりまして、これは我が国の景気の下振れの大きなリスクだというふうに捉えております。したがって、国内の経済状況は、復興需要などもありまして、内需が押し上げられて緩やかに回復しつつありますけれども、そうした状況には十分注意をしていかなければいけない。

 ですから、これは、今後の状況、そういうリスクなども踏まえて、必要なときには柔軟かつ機動的にさまざまな措置をとっていくことを考えております。

今井委員 どうもありがとうございました。

 ここでその確約ということはできないかもしれませんけれども、ぜひ、これからの世界経済の推移をよく見ておいていただきたいんですね。日本に本当に影響が来るという前に、やはり果断にいろいろ対策を打っていく、事前にやっていくということ。政治の役割は、起きてしまったことに対応するだけじゃなくて、起こさないように対応する、こういうことも大事ですから、ぜひその点を御考慮いただいて、また政策を検討していただきたいというふうに思います。

 そこで、今度はその財源について財務大臣にお伺いをしたいと思います。

 今回は消費税の引き上げ幅が非常に大きいわけです。当然、それに対する対応も、大胆なものでなければなかなか効果が出ないということではないかというふうに思います。

 そこで、平成二十二年の六月に閣議決定されました財政運営戦略にはペイ・アズ・ユー・ゴー原則というのがうたわれていますが、本文を読みますと、「原則として、」と規定されています。つまり、例外はあるわけです。金融市場の影響を考えましても、プライマリーバランスが改善されるということが見通しが立っていれば、一時的な財政支出には金融市場は恐らく寛容な姿勢を示す、私はそういうふうに思っております。

 そこで、財務大臣にお伺いしたいんですけれども、昨年の税収が二兆円程度上振れをするというふうにお伺いをしておりますが、その活用はもちろんです。さらに、状況に応じて赤字国債の発行も伴った大胆な経済対策を講じる必要が出てくることもあるかというふうに思っているんですが、そういうことを御検討していただくことはできないか、お答えいただきたいと思います。

安住国務大臣 まず、四月に成立をさせていただいた今年度の予算なんですが、これが本格執行が始まったのが大体六月からなんですね。ですから、各財務局から刻々と、この執行の状況とかそれぞれの全国の中でどういうふうな推移をしているのかというのを、今我々としてはよく見ております。

 それで、今井さんの御指摘は、やはりしっかり内需を含めて日本経済の下支えをすべきだということだと思うんですね。そのことについては私どもも全く異議はございません。

 ただ、問題は、特例公債法の成立もいまだに見通せない状況でございます。そういう中で、何とか、総理も、先ほど古川大臣もお話しさせていただきましたけれども、デフレからの脱却、これをするためにあらゆる措置を講じるということは三党合意の中にも記してありますから、それに基づいた行動を私はやはりしていかなければならないと思っておりますので、どういう方法があるかについては今の段階で明確には申し上げられませんが、下支えをしながら、消費税の引き上げに当たって、非常にそういう意味ではこれは個々の国民の皆さんへの生活を含めて影響がありますので、そうしたことで経済の落ち込みがないような対応を、ことしから来年に向けてしっかりとっていかなければならないと思っております。

今井委員 ありがとうございました。

 これは実は党内でもいろいろ議論があったんですけれども、やはりペイ・アズ・ユー・ゴーを必ず全部守って財政規律を守っていかなきゃいけないという御意見の方もいらっしゃいます。

 私は、金融市場におりまして、自分の感覚です、これは正しいかわかりませんけれども、やはり市場は、毎月の収支、これがだんだんと膨れていくということに対しては大変神経質に見ますけれども、一時的に将来のために財政出動するということに対してはそれほど大きな反応をしないというのが、これは私の意見でありまして、それが正しいかどうかわかりませんが、そういう意見もあるということで、ぜひちょっとまた御考慮いただきたいというふうに思います。

 では、少しだけその中身について御質問したいと思います。

 これから日本にとって最も重要なテーマの一つは、エネルギー政策をどうするかということで、日本再生戦略の中にも載っているというふうにお伺いしていますが、原発がどれぐらい減らせるかというのも、正直言って、これにかかっているということだと思います。代替エネルギーの確保にも集中投資が当然必要ではありますけれども、それと同時に、いかに省エネ社会をつくっていくか、これも重要なんだと思います。

 そこで、枝野大臣にお伺いをしたいんです。

 これは実は、私、以前も予算委員会で質問させていただきましたが、例えば、データセンターのような電力を極端に消費するものを、地方の寒冷地ですとかあるいは地下空間を利用したところに移す、こういう政策。あるいは、先日、経済産業委員会でも議論になっておりましたけれども、照明、空調の省エネ化、それから、大臣のお言葉をおかりすれば、保温をキーワードにした住宅政策の推進など、省エネ推進のための政策をこの際集中的に実施するべきだと私は思っているんです。

 こういうものへの支援策を本格化できないかどうかというのを今私考えているんですが、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘、全く同感でございまして、原発への依存度をできるだけ早く引き下げていきたい。そのためには、もちろん新エネルギーの普及拡大というのも重要でありますけれども、いかに、あるエネルギーを効果的に使うのか、少ないエネルギーで快適な生活やしっかりとした産業活動を行うかということが重要であるというふうに思っています。

 そうしたことの中では、やはり一つ大きなポイントになるのは、民生部分における、結果的に熱に変換される部分をどう省エネ化するのか、あるいは、原発を減らしていくということでは、ピークカットをしていくのか。きのうも、熱をうまく利用した地下熱であるとか、河川の水の温度が大気温とは違う、こういったことを活用している施設を直接見てもまいりました。

 それから、何といっても、建物を魔法瓶のようにすれば、エネルギー効率が物すごくよくはなるわけでございます。これについては国土交通省ともしっかりと連携をして、これをできるだけ早く普及していくということは、経済政策という観点からも潜在的な需要があるわけですから、最大限急いでまいりたいと思っています。

 産業用の分野は、各企業が省エネにはもう既にかなりの努力をしてこられているので、大きな分野というのはなかなか残っていないとも言われているんですが、御指摘のとおり、データセンターのような、コンピューターを大量に動かすと膨大な熱が出ます、これを寒冷地域に移すだけでも相当な省エネ効果があります。

 これを具体的に進めていくには、従来のような、企業が所有するサーバーをデータセンターに預けるというやり方よりも、むしろ、クラウドコンピューティングを推進していくことで分散化をしていく、その分散化の先も寒冷地をお願いしていくということだというふうに思っておりまして、これについて、クラウドコンピューターの信頼性向上を含めてしっかりと後押しをしてまいりたいと思っておりますので、引き続き、さまざまな知恵がありましたら、御指摘をお願いいたします。

今井委員 ありがとうございます。

 民主党は脱原発依存という政策を出しておりますから、それがどれぐらい本気かを見せるのも、こういう政策をどれぐらい進めるかということにかかっていると思いますし、また、これは今御指摘のとおり景気対策にもなりますので、ぜひこういう点を重点的にやっていただきたいと思います。

 時間が大分迫ってまいりましたので、最後に金融政策についてお伺いしたいと思います。

 日銀ですけれども、これまで量的緩和を拡大してきまして、二月には中長期的な物価安定のめどというのを設定しました。当面は一%ということですが、その達成まで金融緩和を進めるという、インフレターゲットのような政策を採用しました。

 しかし、今現状がどうなっているかということなんですけれども、これを見ていただきますと、大変残念ながら、景気がちょっと不安定になってまいりまして、消費者物価指数、これは直近ではまた下落しています。特に、私が重要にしております食料、エネルギーを除いた物価、これは前年同期比マイナス〇・六%なんですね。デフレ状態にあります。

 今度は隣を見ていただきたいんですが、これは、リーマン・ショック、二〇〇八年の一月を一〇〇として、そこから先進国の中央銀行が資産をどういうふうにふやしてきたかという図をお示ししていますが、見てすぐわかると思います。少なくとも、その前はわかりませんよ、この二〇〇八年のリーマン・ショック以来、一番金融緩和の量が少ないのは日銀なんですね。これは厳然たる事実だということだと思います。

 そこで、財務大臣、きょうは本当は総裁にも来ていただきたかったんですが、政策決定会合があるということで、財務大臣にお伺いします。

 ここまでの日銀のデフレ対策、そしてその効果をどのように評価されておられるでしょうか。

安住国務大臣 二月に、日銀としては、中長期的な物価安定のめどを一%を目指してということで、それで、今、CPIの話も出ました。今、直近で下がっているのは、多分、原油価格が下落をしておりますから、そのことが反射しているのではないかと私は思いますので、そういう点では、全体には政策的な金融緩和というのは私は徐々に効果はあらわれてくるとは思います。

 ただ、問題は、この一%というゴールを私どもとしては決めていただいた以上、それに基づいて私どもとしても財政的な面からさまざまなことをやりますし、金融面から今七十兆の、ある意味では日銀にとりましては思い切った緩和策はとっているというふうに日銀の総裁もおっしゃっておられますけれども、金融面でさらなるそういうふうな下支えというものをさせていただいて、結果的には、やはりこのゴールに向かって、これを早い段階で実現していくということがデフレ脱却ということにつながると思っております。

今井委員 これは見ていただきますと、実は、コアコア、エネルギーを除いている部分も下がってきていますから、そのところはよくちょっと見ていただきたいというふうに思います。

 それで、今まさに御指摘ありました、このデフレの問題は政府と日銀が一体となってやっていかなきゃいけないということでありまして、以前、この予算委員会で前原政調会長が、総裁と総理が定期的に会合をするような、何かアコードのようなものをやって、しっかりとタッグを組んでいくということをやったらどうかという御提案があったと思いますが、非常にいい提案だと思うんですね。

 ですから、これから毎月毎月でも結構です。どういう進捗状況になっているのかというのを政府と日銀でしっかり一体となってやるような仕組みをつくっていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

安住国務大臣 総理も、総裁とのそういう意味ではコミュニケーションというのは、これまでの内閣以上にやらせていただいております。

 やはり、今御指摘ありましたように、経済を本当にデフレから脱却させるには、車の両輪だと思いますね、財政当局、政府とそれから日銀というのは。

 そういう意味では、アコードというやり方については、それぞれ各国のやり方がありますから、ある意味で独立性の問題等々があるので、法律の改正まで御指摘いただくこともあるんですけれども、現状では私は、しっかりとしたコミュニケーションを総理のリーダーシップのもとでとっていただきながら、随時、適時適切に日銀には我々の意思も含めてお伝えをさせていただいて、適切な対応をしていただくような仕組みというものをしっかりとっていきたいと思っております。

今井委員 ぜひ、国民にわかるような形で、しっかりしたタッグを組む、その姿勢をちょっと見せていただきたいというふうに思います。

 もう時間が参りましたので、最後に申し上げておきたいのは、先日、IMFが、円は中長期的観点から幾分過大評価である、若干円高水準にある、こういう助け船を出してくださっていますので、これは国際社会に堂々とこういうことは言えるという状況でありますから、ぜひ、財務省の方も、今の水準は円高過ぎて、これはしっかり是正していくんだ、その姿勢を示していただきたいということのお願いと、それから、先ほど福島の話がございました。

 私の地元にも、実は福島の方から避難をしてこられている方がたくさんおられまして、何回かお話ししておりますけれども、本当に早く戻りたいというふうに切望しておられます。我々も、本当にこれは決意を持って、少しでも早くそういう方をお帰しできるように頑張っていくということを決意を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中井委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申し出があります。近藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 先ほど野田総理大臣から、社会保障と税一体改革と一体として経済の再生、そして政治・行政改革を進めていくんだという御決意をいただきましたけれども、私も六年前に政治活動を始めて、まず政治家と公務員が身を切る、その上で消費税を含めた負担のお願いを国民の皆様にさせていただいて、そのお金で社会保障、安心できる社会をつくっていくんだということを一貫して申し上げてまいりました。

 きょうは、この政治改革、特に議員定数削減の話と、行政改革がどこまで進んでいるのかということを中心に質疑をしてまいりたいと思います。

 まず、議員定数の話でございますけれども、今我が党は議員立法で、ゼロ増五減、一票の格差是正と連用制を含めた比例の定数削減という案を出しておりますけれども、今こちらに、我々の出した案で仮に二〇〇九年の衆議院選挙の投票結果を当てはめるとこうなりますという、これは機械的に計算したものがございます。

 これをごらんになっていただくとわかるように、例えば、みんなの党さんは五から十になるとか、民主党がむしろ、数が全体として減るだけではなくて、これは自民党さんにも苦しい結果になるんですが、小選挙区でたくさんとる大政党は比例のところでかなり損をするということを覚悟で、民主党としては相当身を切った提案をさせていただいているという中で、少数政党の皆様に何とかこれで御納得いただけないかという提案をさせていただいておりますけれども、この提案について、民主党代表としての野田総理の御見解をいただければと思います。

野田内閣総理大臣 政治改革は、まず一つは一票の格差是正、これは違憲であると同時に違法状態になっております。これを正さなければいけないと同時に、各党が国民の皆様にお約束をした定数削減、私どもは八十削減をお訴えさせていただきました。それを踏まえてどういう合意ができるかどうか。あわせて選挙制度改革を、これはセットで結論を出すということが実務者協議、幹事長協議での方向性であります。

 なかなかこれは合意形成ができていませんけれども、今御指摘があったとおり、我が党としての公職選挙法改正案、そして区割り審設置法の案というものを今法案として提出させていただきました。中身は、選挙制度と定数の削減に関しては御指摘のとおりで、言えることは、選挙制度というと、かつて、ゲリマンダーという言葉があったように、自分の党に有利になるようにするということが往々にしてありました。そういう考え方は私どもは今回持っておりません。

 その上で、やはり選挙制度は多くの党の御賛同が必要でございますので、特に少数政党に配慮をしたという提案をさせていただいておりますので、ぜひとも多くの党の御賛同を得るように、そして今回の国会で成立できるように全力を尽くしていきたいと考えております。

後藤(祐)委員 ぜひ国民の皆様も、我々はわがままな案を出しているわけじゃないんだということに御理解をいただきたいというふうに思います。

 次に、これと並んで大事な、国家公務員の総人件費二割カットの話でございますけれども、これについては、この四月から、政権交代前から比べると大体一〇%ぐらい下がっているわけでございます。

 この総人件費二割削減というのは、我々民主党のマニフェストの中で掲げさせていただきました。これに基づいていろいろな削減をしてきているわけでございますけれども、こちらにこれまでの総人件費の推移というのもございます。

 この二割削減、今政府としての正式な目標になっているのでしょうか。今、これから退職金をどうするかですとか、いろいろな議論をしているわけでございますけれども、ぜひ、これは党としての目標というだけではなくて、政府としての公式な目標にして今後の総人件費削減に当たっていただきたいと思いますけれども、岡田行革担当大臣の御見解をいただきたいと思います。

岡田国務大臣 政府としても、二割削減を目標に、その達成に向けて努力をしているところでございます。

 今委員御指摘のように、公務員の給与の七・八%削減を含めて、約五千億円の削減、つまり一割までは来ております。

 今後、それに追加してどうするかということですが、現在、公務員とあわせて、独法や大学法人などの人件費の削減についても、それぞれお願いをしているところであります。これは政府の人件費という項目には挙がってまいりません。独法とか大学に交付金という形で行きますが、しかし、実質的にはこれは人件費ということであります。

 それから、先般の、退職金の官民格差四百万、これを是正するということになりますと、これを一度にやるか何回かでやるかということはまだ決めておりませんが、いずれにしろ、平年度ベースで五、六百億の金額になります。

 それから、先般決めていただいた被用者年金一元化法が成立すれば、そのことによって、平年度ベースで二百億円の追加費用負担の削減効果が見込まれるということでございます。

 そうすると、五百億と二百億で、これで七百億ということになるわけであります。

 そのほか、もちろん、二割と党が言われたときには、地方分権で地方に移管する分も含むという概念で、そこがどのぐらいになるかということにもよるんですが、私が今考えておりますのは、一つは、やはり仕事を減らすということが大事だと思うんですね。仕事量をそのままで人件費を一方的に減らすわけにはいかない。ですから、必要性の少ない仕事を減らすことが一つ。それからもう一つは、これも今内閣府の中で議論させていただいておりますが、IT化によってどれだけ人が減らせるか。

 それから、これも私の方で今検討しておりますが、公務員の給与カーブについて、これをどうするか。我々の現在までのヒアリング結果によりますと、民間は大体五十歳ぐらいでピークになるかそこから下がるか、あるいは少なくともフラットにはなる、公務員の場合は六十歳に向かってふえていく、そういう構図がございます。こういったものをどのように是正していくかという問題があります。

 そして、早期退職に対していろいろなインセンティブをつけていくということも必要だと思います。四十代、五十代から第二の人生を考えていただいて、公務員でないところで活躍していただく、そういうことが可能なようにしていく。これは、あっせんはしないという大前提で当然考えなければなりませんが、そういったこと全体を含めて、二割に向けて、その目標に向けて頑張っているところでございます。また、委員及び党の御協力をいただきながら、断固として進めていきたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 給与をカットするというのは、本当に働いていらっしゃる方にとっては一番厳しいことでございます。

 私も、二年前、当時の菅直人総理大臣のころに、人事院勧告を深掘って給与を下げるぐらいのことをやらないと消費税なんてできるわけないですよ、これをやりましょうと直談判に行きました。ただ、その後、我々民主党の議員は、公務員の組合の応援をほとんどの方、私も含めていただいているわけです。組合の方からすると、応援したのにひどいじゃないかという話であります。ですが、ここは何とか御納得いただけませんかという粘り強い交渉をみんなでして、御納得をいただいた上で下げているわけです。

 これから先どうなるかということなんですけれども、このフリップで、ことし、平成二十四年度、がくんと下がっています、この四月から給与が下がったので。このままいくと、二十五年度もこういう形になります。では、二十六年四月一日、どうなるか。

 つまり、今の七・八%給与引き下げというのは二年間暫定ではないかという御批判が特に野党の皆様からありますが、では、その後どうするかということについて、本来は、これは、労働協約締結権を付与する今の公務員制度関連法案を通していただいて、きちんとした労使交渉をした上で、二十六年四月以降の給与を、据え置くのか上げるのか下げるのか、交渉で決めるべきだというふうに私は思うわけでございますが、もし仮にこの法案が通らなくて、あってはならないことですが、労使交渉ができないという事態になった場合には、人事院勧告に戻って、この数字でいうと、こう上がっちゃうのではないか。

 つまり、人事院勧告というのは民間企業の平均値ですから、毎年〇・一とか〇・二しか下がりません。野党の皆さん、本当にそれでいいんでしょうか。次の政権がどうなるかわからない中で、どういう状態になろうとも労使交渉で決めるべきではないか。その意味でも、この公務員制度関連法案、しっかりと通すべきだというふうに考えますけれども、総務大臣の御見解をいただければと思います。

川端国務大臣 御指摘のとおり、現在、この四月から七・八%公務員給与カットということで、これは大変厳しいお願いを、議員立法でありますが、することになりました。厳しい財政状況と東日本大震災の復興の財源に充てるということで、二年間の限定であります。

 そういう意味で、今、国会に国家公務員関連四法案、本会議で趣旨説明、質疑が終わってという段階でありますけれども、これが通らないということになりますと、あってはならないと思いますけれども、現行のままということになって期限切れを迎える。

 そうしますと、そのときには、労働基本権は引き続き制約されているということになりますので、人事院勧告制度を尊重するということ、今までどおりの姿勢ということになりますので、直近ということになりますと、平成二十五年の人事院勧告を踏まえて国政全般の観点から検討を行った上で、必要な法案を出すということになりますので、そのときに、人事院勧告は、おっしゃったように民間準拠で出てくるか、どういうものが出てくるかも我々予断を持つわけにはいきませんけれども、そういう中で、政府として尊重する中で、一旦下げたものをどう扱うかというのは非常に、そのときの判断ということにならざるを得ない。

 一方、通していただいた状況でありますと、自律的労使関係ということで労使で決めるというときには、政府といたしましては、民間給与それから国の財政状況、そして、言われていることでありますけれども、現状のいろいろな内政上の状況を見ますと、やはりどういうレベルでこれから引き続きお願いするかは、我々は使用者側として提起をし、真摯な労使交渉を行って決めていって、それを国会に出すという手順になりますので、どうしてもこの仕組みをやらせていただきたいというのが我々の立場でございます。

後藤(祐)委員 ぜひ、この公務員関連法案は、与野党でよく議論して通していきたいというふうに考えております。

 それでは、続きまして、天下りの問題について、今どうなっているかという状況を皆さんに御報告したいと思います。

 二〇〇九年の衆議院選挙の際、民主党のマニフェストには、「天下りのあっせんを全面的に禁止します。」と書いてありました。このあっせんの禁止は、実際に一〇〇%あっせん禁止が成り立っております。

 その結果、どうなっているかと申しますと、この数字なんです。各府省の管理職というのは再就職するときに届け出をしなきゃいけないというルールがあるんですが、その結果、政権交代前の二十年度、数字を見ますと、千二百三十六人再就職をしていて、二十二年度、これは政権交代後です、二十一年度はちょっと間なので数字が中途半端なので、二十二年度で見ますと、四百六十二人と激減をしているわけでございます。

 実際、役所の局長クラスの方なんかも、昔であれば自然に特殊法人の役員か何かに再就職されていたわけですけれども、今は、やめられて、一旦無職になって、御自分でいろいろ御苦労をされて、大学教授になられておられたりとかいうことが普通になっております。大変厳しいんです。

 ただ、二つほど大変誤解を受けかねないことがありました。一つは、元財務次官の方が日本郵政株式会社社長、ここに再就職したことがありました。もう一つは、資源エネルギー庁長官が東京電力の顧問というところに再就職したことがありました。この二つの人事をもって民主党の天下りに対する姿勢が大変厳しく報道されるようになりました。これは大変残念なことだと思いますし、私は、この人事は余り適切ではなかったんじゃないのかなというふうに感じております。

 ぜひ、今の、天下りあっせんが禁止された後の再就職の状況についてどうお考えになられるか。それと、先ほどの二つの人事についてどうお考えになられるか。それと、これからどうするかということに関して、今、後ほど触れますが、行政改革実行法案という中で、公益法人に対する天下り、ここを特に厳しくしようということで、天下りの不適切な受け入れをしているような公益法人に対しては予算を出さない、あるいは特権的な権利みたいなものは剥奪するといったようなことも含めて検討してはどうかというような案を我々提出させていただいておりますけれども、この三つに関して、岡田大臣の御見解をいただきたいというふうに思います。

岡田国務大臣 まず、委員御指摘のように、政権交代後、天下りのあっせんの全面禁止、そのことは貫徹されております。加えて、独立行政法人の役員について、公募でやるということも進めてまいりました。

 この結果、例えば、公務員OBの独法役員というのは、政権交代前の平成二十年十月一日時点で百八十九名、今は、平成二十三年十月一日現在で四十五名ということでございます。もちろん、公募によって公務員OBが選ばれるということ自身を排除しているわけではございません。そして、そういう例はございます。しかし、公募にした結果、数がこれだけ減ったということでございます。

 御指摘の日本郵政とそれから東電の顧問の人事ですが、法律的にはこれは法に反するものではないということでございます。日本郵政については、株主提案によって取締役を選任するということが法で決められておりますので、株主というのは国ですから、そういう意味では法的にはそれに反するものではない。それから、東京電力の顧問の場合も、役所のあっせんがあったわけではありませんので、そういう意味では法的にはこれも問題はない。

 しかし、特に東電のケースなどを見ますと、これはやはり、こういった福島第一原発の事故があって、そしていろいろな負担を被災者の皆さんはもとより国民全体におかけしているときに、誤解を招きかねない行動であったということは言えるというふうに思っております。

 さて、公務員OBの人事につきましては、さらに規制を強化するという意味で、先ほど議論になっておりました公務員制度改革関連法案において、再就職等監視委員会に違反行為を未然に防ぐなどの観点からの任命権者への指導助言という権能を付与しておりまして、より監視機能を強化するということにしております。

 そして、民主党の御指摘もいただきましたので、今、国会に出しております独法の通則法改正法案におきまして、独立行政法人役員の公募を法的に義務づけるということにしたところでございます。今までは法的に義務づけまではいっておりませんでしたが、法的に義務づけるということで、この改正案が通りますと、独法の役員については公募で行うということになるわけでございます。

 そして、委員御指摘の、政府と関係の深い公益法人の公募による役員選任のあり方についても、現在政府の中で検討しているところでございます。

 そういったさまざまな問題について、新たな方針を打ち出したいというふうに考えているところであります。

 ただ、一点だけ申し上げさせていただくと、先ほど再就職が減っているというお話がございました。これは、いいところと悪いところと両方ありまして、それだけあっせんをしないということで厳しくやっている結果ではありますが、人事の滞留というか、なかなかやめていただけないということが同時に起こっております。

 これから、定年は六十歳ですけれども再雇用もするということになっておりますので、全体の組織の活性化という観点からは、先ほども申し上げましたように、やはり早く第二の人生というか、違う分野で活躍していただけるような、そういう道を開くことも重要だというふうに考えております。

 先般、政府で行っております有識者会議の中でも、再就職先のマッチングを含めた再就職支援を行っていくことを検討すべきであるというふうにされておりまして、もちろんあっせんはしないわけですが、みずから再就職を例えば四十代、五十代でする意欲のある人に対して、民間の会社などを活用して再就職先を選び取っていけるような、そういう仕組みというのはやはり整えるべきではないかというふうに考え、そのこともあわせ検討を行っているところであります。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 それでは、お金の方の話に移ってまいりたいと思いますが、マニフェストができていないという御批判をよくいただきます。では、なぜマニフェストができなかったのかということについて、これは総理に御答弁いただきたいのですが、マニフェストの財源を出すという面においては、こちらのフリップに出してあるとおり、平成二十二年度、二十三年度、このとおり財源はある程度出ているんです。

 ところが、先ほどもありましたが、リーマン・ショックがあったりですとか景気後退なんかで例えば九兆円程度税収が失われるですとか、いろいろな要因がありました。結果としてできていないことについてはおわびを申し上げなきゃいけないと思うんですけれども、できているところがどこで、ここは不可抗力だったといったところを、ぜひ総理にわかりやすく分解して御説明をいただきたいというふうに思います。

野田内閣総理大臣 マニフェストに掲げました、無駄遣いを改めていくということについては、政権交代直後から政府・与党が一体となりまして、事業仕分け等で全力で取り組んでまいりました。その結果、例えば公共事業関係費については三年連続減額になるなど、一定の成果が上がって、今数値でお示しいただいたような財源の確保もできました。この財源をもって、マニフェストの主要政策である、今は新児童手当となりましたが、前、我々が約束した子ども手当、あるいは高校授業料の無償化、あるいは農家の戸別所得補償等々、そういうマニフェストの主要政策を実現することができました。

 ただ一方で、これは率直に認めなければなりませんのは、補助金や人件費の削減であるとか、あるいは、租税特別措置によって財源を確保するというこの目標は、当初目標どおりでは数字は出てきていません。という意味において、去年の夏に民主党のマニフェストの中間検証を行った際に、財源の見通しについての甘さがあったこと、これは認めて、そして国民の皆様におわびを申し上げました。その結果、いわゆる暫定税率の廃止等、主要項目の中でもその財源が確保できずに、できないままにあるというものもあります。

 一方で、財源の見通しについての甘さがあったことも事実でありますけれども、委員御指摘のとおり、リーマン・ショックの直後の経済の厳しい落ち込みの中で、やはり税収が九兆円減ってしまったという状況の中で政権を引き継いだということ、あるいは、政権発足後二年目に東日本大震災が起こり、政策の優先順位を変えていかなければならないという、これも生じたことなどの影響も出ていると思います。

 ただし、これは、無駄遣いをなくしていくということは、先ほども私御答弁で申し上げましたとおり、これは民主党結党以来のまさに終わりなき事業だと思っておりますので、これからも全力で取り組んでいきたいというふうに思います。

後藤(祐)委員 最後に総理に伺いたいと思いますが、今のお話に関連するんですけれども、なぜ民主党は、我々は行政改革を行うんでしょうか。

 つまり、今までは国会議員の定数削減ですとか、あるいは公務員の給与削減ですとか、やってきました。これはどちらかというと率先垂範の意味があったと思うんです、消費税も含めた。ところが、これからもっとお金が多分足りなくなります。歳出削減をもっと進めていかなきゃいけない。あるいは国民の皆様にサービスの水準を下げるということをお願いしなきゃいけない。今度は国民の皆様におけるいろいろな負担、ここをお願いしていく、あるいは規制改革で成長を進めていかなきゃいけない。つまり、今後の民主党として、歳出削減と規制改革という大変苦しいお願いを長い間にわたってしていかなきゃいけないと思うんです。

 ぜひ、民主党にとっての行政改革の意味、これを野田総理のお言葉で最後にいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 先ほど、結党以来の終わりなき事業と申し上げました。私ども、よく綱領がないと言われますけれども、基本理念という綱領は一九九八年につくっております。その基本理念において、「私たちは、これまで既得権益の構造から排除されてきた人々、まじめに働き税金を納めている人々、困難な状況にありながら自立をめざす人々の立場に立ちます。すなわち、「生活者」「納税者」「消費者」の立場を代表します。」と明記してございます。これが私どもの理念なんです。

 その理念の延長線上に、これまでマニフェストに掲げてきた税金の無駄遣いを一掃するという方向感があって、したがって、行政改革であるとか政治改革は、その延長線上にある、常にやらなければいけないテーマとして位置づけられているということでございます。

後藤(祐)委員 原点に戻るといったときに、原点はマニフェストじゃないと思うんです。今まさに野田総理がおっしゃった、この一九九八年の「私たちの基本理念」のところがむしろ原点であって、まさに、生活者、消費者、納税者、この立場に立つというところまでやはり我々は戻らなきゃいけない。マニフェストは、もちろんその時々で私は見直していかなきゃいけないものだと思いますし、今後の民主党のあり方、きょうの野田総理からのお言葉で示していただけたと思います。

 きょうは本当にどうもありがとうございました。

中井委員長 これにて近藤君、今井君、後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、茂木敏充君。

茂木委員 おはようございます。自民党の茂木敏充です。

 野田総理とは、五月二十三日、社会保障と税一体改革の特別委員会での審議以来、一カ月半ぶりの議論ということになります。よろしくお願いいたします。

 まず、今九州地方を襲っている豪雨災害の話でありますが、きょうも、熊本県、大分県を中心に、十時時点でも三万三千世帯以上に避難指示が出る、九州全域に大きな被害が広がっております。自民党は、先週段階で既にこの九州地方の豪雨災害の対策本部を立ち上げまして、月曜日には現地にも視察に赴きまして、現場の声をしっかりと聞かせていただいて、我が党として激甚災害の指定も含めました七項目の緊急提言を政府の方に申し入れをさせていただいております。

 ぜひ、政府におかれましても迅速かつ万全な対応をしていただきたい、このように強く要請をさせていただきます。

野田内閣総理大臣 先般の豪雨の際にも、私どもも、政務三役が現地に行って、さまざまな対策についての検討を今行っておりますが、御党からの御提言も真摯に受けとめていきたいと思います。

 また、きょうの豪雨は、ちょっと今までの記録にないような大雨と聞いておりますので、きょう情報連絡室を立ち上げまして、しっかりとした対応をしていきたいと考えております。

茂木委員 現場の自治体は相当頑張っています。しっかりと政府がそれを支援できるような体制をつくっていただきたい。財政面も含めてお願いを申し上げるところであります。

 さて、きょうの私の質疑のポイントでありますが、これをキーワードであらわすと図の一のようになると思います。ごらんください。

 一体、呉越同舟。合意、朝令暮改。ちなみに、この朝令暮改でありますが、鳩山さんが総理時代に朝三暮四と間違えた言葉であります。それから三番目に、政治、危急存亡。四文字熟語の方は余りいいニュアンスの言葉ではありませんが、現実に今の国会で起こっていることだ、こんなふうに私は思います。

 我々は、社会保障と税の一体改革の衆議院での採決、六月二十六日から、民主党の分裂、そしてまた処分、そして院の構成のやり直し、二週間待たせていただきました。そして、ようやく来週から参議院の方で社会保障と税の一体改革の委員会審議が始まる予定であります。

 国会は残念ながら波静かではない、こんなふうに私は思っております。参議院での審議入りの前に、大きなポイントについて、改めて政府・与党としっかりと整理、確認をしておくことがこの法案を成立させる上でも必要不可欠だ、こういう思いできょうの質問をさせていただきたいと思います。

 まず、一体改革法案の衆議院での採決についてであります。

 今回の採決で、与党側から協議の要請を受けました我々の方から採決で一人も、自民党も公明党も反対者は出ませんでした。しかし、残念ながら、与党民主側から五十七名もの大量の造反が出たわけであります。与党側の賛成者、二百二十名。与党だけでは法案可決ができなかったわけであります。

 そして、造反をされた方、図の二をごらんください。造反のパターンもさまざまですし、さらに、造反後の行動、これもばらばらであります。

 まず、離党届にサインをしながら、まさか本当に離党届を出すとは思わなかった、こういったことで離党届を引っ込めた議員もいる。造反からの造反、こんなふうにも呼ばれておりますが、やはり私は、これは国会議員として最低だ、こんなふうに思っております。

 また、造反をしながら、法案に対して反対の考え方は変えずに党に残っていらっしゃる議員、そして法案に賛成できずに棄権された方、これも含めると三十三名もいらっしゃるわけであります。この国内残留組ならぬ党内残留組、いかがなものかな、こんなふうに思っております。

 造反者の処分に当たりまして、今後、党議さらには三党合意に従うことの確認、念書をとられるかとられないか、それはまさに党の問題でありますが、少なくとも、党議そして三党合意に従う、こういう確認はとっていただきましたね。総理、ぜひ民主党の代表としてお答えください。

野田内閣総理大臣 六月二十六日の一体改革関連法案の衆議院採決におきまして、五十七名我が党から反対者あるいは棄権、欠席者が出ました。このことについては、国民の皆様に大変御心配をおかけしたことを深くおわび申し上げたいと思いますし、その結果が国会の審議にも影響したこと、御党も含めて各党会派の皆様に御迷惑をかけたことはおわびを申し上げたいと思います。

 その中で、処分自体は党内の手続にのっとって対応が決まりました。今後、これから参議院の審議に入っていくわけでございますけれども、三党合意を踏まえて、しっかり党が一致結束して対応できるように、そのためにきょうも両院議員総会を開きますし、あしたは全国幹事長会議を開き、一致結束して対応するように万全を尽くしていきたいと思っております。

 一筆書くとかどうとかということは、これはちょっと党内のルールではありませんが、今申し上げたような努力をしながら、一致結束して対応して、公党間の信頼の確保にも努めていきたいというふうに思っております。

茂木委員 私は、念書をとれとか、そんなことを申し上げておりません。それから、両院議員総会、全国幹事長会議、お開きになるのは、そちらの党の問題ですからお任せをいたします。私がお聞きしているのは、確認はきちんととられましたかと。

 なぜこういうことをお聞きするかというと、今、党内に造反をしながら残っていらっしゃる方、これと近い考えの方が参議院でも民主党にいる、こういうふうに言われているわけですよ。

 参議院で今度こそは民主党も一体になってこの法案を仕上げる、こういうことであれば、当然、衆議院側で確認をとる、私はこういったことが必要ではないかなと思います。もう一度お答えください。

野田内閣総理大臣 衆議院においては、もう採決で投票行動を示されたわけです。その方たちが云々ということは、これはもう党の処分としての対応となりました。

 参議院において一致結束して対応するために、いろいろな、これから党内のコンセンサスをしっかりとやっていくために、参議院の執行部と一体となって、一致結束して対応できるように努力をしていきたいと思います。

茂木委員 私は、確認をとられましたか、こういう話をしていまして、党の処分の問題を申し上げておりません。党の処分について、軽い、重い、いろいろな判断があると思います。しかし、法案をしっかりしようと思ったら、衆議院段階での崩れというものをやはり是正する必要があるのではないかなと思っております。

 三党で合意をして、そして、総理、参議院でも協力をお願いするわけでしょう。そうしたら、そういった確認をしっかりとった上で参議院の審議に臨む。十八日までには確実に参議院でも確認をとります、それが私はお願いする礼儀ではないかな、最低限の礼儀だと思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 今、参議院議員の一人一人の確認をという段階ではなくて、当然、これは党の方針として決めておりますので、それに従って行動するようにしっかりと説明をしていきますし、もちろん、採決の前までには、それぞれ一人一人がしっかりと投票行動をとるような努力はしていきたいと考えております。

茂木委員 御答弁を聞いていると、参議院でもまた衆議院の再来になるのではないかな、大変そんな懸念も持つところであります。

 衆議院で、我々、本会議で採決を行いますと、記名採決の場合は、こういった白い木札、白票と呼ばれております、これを投じることになります。そして、反対の場合は、グリーン色ですけれども、青票というのを投じることになっています。

 今回の社会保障と税の一体改革、三回記名投票を行いました。当然、一体改革ですから、賛成の人は全て白、そして反対の人は全て青ということで、野田総理も私も、白、白、白と入れたわけであります。そして、小沢さんや共産党の皆さんは、青、青、青、こういった形で投票された。ところが、鳩山さん、鳩山元総理、投票行動を見ますと、白、白、青なんですよ。白、白、青、運動会じゃないんですよ。支離滅裂だと思います。

 我々は今回の議論を、社会保障と税の一体改革、こういうことで捉えてきました。ですから、我々が提案した社会保障制度改革基本法、最終的には推進法ということで合意いたしました、これをまずきちんと受け入れてほしい。そして、実務者の皆さんも大変御苦労される中で、税だけじゃない、社会保障だけじゃない、これを全体で、パッケージで合意するんだ、こういったことでやってきたわけであります。そして、全体での合意が十五日にでき、そして二十六日に採決。

 ところが、鳩山さんは白、白、青。私は、やはりここに来ても一体改革であることをわかっていらっしゃらなかったんじゃないかな、こんなふうにしか思えないんですけれども、総理は鳩山元総理の投票行動をどのように考えられますか。

野田内閣総理大臣 その投票をした前の週だったと思いますけれども、鳩山元代表と三十分ほど官邸でお話をさせていただきまして、増税先行で社会保障は何もやらない、そういう誤解があったので、かなり社会保障についての御説明をしました。社会保障についてはかなり御理解をいただいたんです。ただ、やはり御自身が代表としてマニフェストで臨んだ選挙では、消費税については触れていなかったということに責任を強く感じていらっしゃいましたので、多分そのことをもって反対をされたのではないかというふうに推察をしております。

茂木委員 財源がないのに政策はできません。これは、私は一回生議員でもわかっていただかなくちゃいけないことなんじゃないかなと。ですから総理も、税と社会保障の一体改革、こういったことをおっしゃっているんだと思います。

 鳩山元総理の処分、党員資格停止が六カ月から三カ月に軽減された。処分について、これは税と社会保障一体改革を支持していただいている国民の皆さんからも強い批判が出ているのは間違いないところであります。ただ、処分は民主党の問題であります。

 しかし、この税と社会保障の一体改革、我々は全員賛成し、そして今、支部長として、落選をしている我々の仲間も、これはきちんとやっていこうと必死で地元で訴えているんです。一方で、民主党で造反をされた方、国会では党の方に残っている、しかし地元に戻ると、私は消費税に反対した、増税の前にやるべきことがあるんだ、こういったことを今でも言っている。今これを見ていると、まさに呉越同舟状態、さらに言えば獅子身中の虫ですよ。こんな状態を放置していていいんですか。総理、お答えください。

野田内閣総理大臣 いわゆる投票行動、行動についての対応は、先般の党内の手続を経て対応させていただきました。これからも引き続き、党内のコンセンサスを得られるように、一致結束した対応ができるように、もちろんこれから参議院の審議ですから、参議院議員のまさに結束というのもありますけれども、衆議院においても、まさにこれは地域の活動と絡んでまいります。苦渋の決断で賛成をされた方も一生懸命今国民の皆さんに説明をされているときに、そうでない方が違う形で隣の選挙区でやっているというのは、それはどなたも違和感を持つと思いますので、そういうことのないようなコンセンサスづくりをこれからしっかりやっていきたいというふうに思います。

茂木委員 ぜひ代表として、そこいら辺、指導力を発揮してほしいんですよ。総理が政治生命をかける、こう言っている法案でありますから、党内に残られるからには、この一体改革にきちんと賛成をする、苦しくてもやはり国民に説明をする、こういう努力がなかったら、私は、残念ながら党員として失格じゃないかな、こんなふうに思います。

 ちなみに、獅子身中の虫、これはもともと仏教語なんですね。菩薩になろうと誓った人が守るべき規律を定めた梵網経、これに言葉がありまして、仏法を破り害をもたらすのは内部にいると。ぜひ御参考にしていただきたい、こんなふうに思うところであります。

 野田総理はこれまで、消費税はマニフェストには書いてなかった、だから、引き上げの決定はするけれども、引き上げの前には国民に信を問う、こういうことを言ってこられたと私は思っております。当然、次回の総選挙では、今度こそ民主党の選挙公約、マニフェストと言うかは別にして、選挙公約に、この税と社会保障の推進、そして消費税の引き上げ、公約として盛り込まれますね。

野田内閣総理大臣 それは国民生活に非常に直結をするテーマであります。社会保障の持続可能性を確保してその安定財源を確保するということは、これは本当に国民のためだと思って、厳しい決断でありますけれども推し進めてきたわけでありますので、国民生活のために、我々は、それは約束としてマニフェストに明記したいというふうに考えております。

茂木委員 マニフェストに明記をされると明言をされました。

 小泉元総理は、郵政改革のときに、郵政改革に反対の我が党の議員を切って、賛成の候補者、刺客とも呼ばれましたが、全ての選挙区に立てたわけであります。当時、小泉総理は、殺されてもいいんだ、こんなことも言っていました。やはり私は、政治生命をかけるということにはそういった覚悟が必要なんだ、こんなふうに思っております。

 それで、次の選挙に消費税の問題を公約として掲げる、そうなりますと、この消費税、一体改革に反対をされる議員を公認することはまさかありませんね。党内の手続の規定の問題を聞いているんじゃありません。総理の覚悟を聞いているんです。明確にお答えください。

野田内閣総理大臣 これは、この一体改革だけではなくて、まあマニフェストの中身はそれぞれこれからあると思いますが、しっかりとマニフェストに書いたことをちゃんと遵守するかどうかというのは、公認の基準になると思います。

茂木委員 一丁目一番地だと思います、総理にとって。そうおっしゃってきた。我々も、その意気込みで協力をしてきた。それをマニフェストに掲げる、それについて反対の方は公認されない、当然のことだと思います。明確にぜひお答えください。

野田内閣総理大臣 マニフェストに明記することに賛同できないんだったら、それは公認の基準から外れると思います。

茂木委員 明確にお答えいただきました。次回選挙で民主党は消費税、そして一体改革の推進に反対する議員は公認をしないと総理の方からしっかりおっしゃっていただきました。

 せっかくのあの三党合意でありますが、衆議院の採決の後、もう一つ重大な問題が起こっております。

 まず、図の三をごらんください。

 これが六月二十一日の三党の確認書であります。三党の幹事長のサインもあります。私も政調会長としてこの会談に同席をいたしました。総理もお手元の、三党実務者間会合合意文書を誠実に実行する、こうした確認書、さらに、各党実務者が六月の十五日の合意に向けて連日ぎりぎりの協議を続けた結果の実務者の合意文書、ごらんになっていると思います。

 私は、今回の合意、それぞれの政党が考えの違いを乗り越えて、譲るべきところはお互いに譲り、一致点に達した、決められる政治に向けて大きな一歩だった、そんなふうに考えております。その意味でも、極めて重い、そして厳正な合意だと私は胸に刻んでおります。総理の受けとめはいかがですか。お聞かせください。

野田内閣総理大臣 社会保障を充実、安定化させるために、そしてその安定財源を確保するために、今生きる国民のためだけではなくて、将来世代もしっかりおもんぱかって、各党それぞれの固有の政策がある中で、ぎりぎり国民のために合意をした。そのことは私は政治にとって大きな前進だったと思いますし、そのことは大変重たい公党間の約束だと受けとめております。

茂木委員 ありがとうございます。同じ認識である、そんなふうに感じております。

 ところがその一方で、民主党では、国民そして有権者への説明用資料として、「政権交代の成果と課題」と題した資料が、採決直後の六月二十八日、午後の二時以降でありますが、民主党の所属議員全員に送られています。ここにいる三日月理事なんかは、早速二十八日に御自身のホームページにもそれをアップされているわけであります。

 その説明資料、中身を読んでみると、とんでもないことが書いてあるんです。まさに朝令暮改、三党合意の約束違反であります。

 具体的に申し上げます。

 民主党の資料の十九ページには、取り組み中の政策として新年金制度、高齢者医療制度が挙げられています。

 図の四の一をごらんください。

 どう書いてあるか見てみますと、新年金制度、平成二十五年の国会に法案提出、現在、党内で新制度について議論中。高齢者医療制度、後期高齢者医療制度は廃止、平成二十四年、ことしですよ、通常国会に法案提出、現在、政府・与党一体で制度改革の検討、関係者との調整を推進。二十八日に出された資料であります。本当に後期高齢者医療制度の廃止法案、この国会に出すんですか。これは三党で合意した社会保障制度改革推進法案や実務者の確認書に明らかに反するんですよ。

 三党で合意したのはこうなんです。図の四の二をごらんください。

 三党合意では、将来の年金制度や後期高齢者医療制度については、民主党が勝手に法案を出すのではなくて、あらかじめ三党間で合意に向けて協議をする、さらに、社会保障制度改革推進法で設置が決まった国民会議の審議を経て必要な法制上の措置を実施する、こういうことにしたんじゃないですか。

 総理も前向きに捉えていただいた我々の国民会議の提案、そして実務者の皆さんが本当に苦労されてまとめた三党合意、ここに実務者の一人、細川議員もいらっしゃるわけですけれども、これでは、三党合意は一体何だったんですか。まさに鳩山元総理の党員資格を六カ月から三カ月に縮めた以上の朝令暮改だ、私はこんなふうに思いますけれども、いかがですか。

野田内閣総理大臣 この図の四の二のとおり、いわゆる実務者の確認書そして社会保障制度改革推進法案、これはまさにそのとおりであって、例えば最低保障年金であるとか後期高齢者医療制度、こういう高齢者医療制度にかかわること、公的年金制度にかかわることについては、これはあらかじめ三党間で合意できるように検討するということになっています。

 その上で、推進会議ができたときには、そういう幅広く有識者も含めた中で御議論ができるようにしたいということでありますが、その意味では、これらの最低保障年金も後期高齢者医療制度も、旗をおろしたという言い方をされる方もいらっしゃいますが、我々は、そうではなくて、固有の政策の打ち消しはしていませんので、この三党間の合意の中に、あるいは有識者会議の中に入れていきたいと考えております。

 そのことと、この図の四の一で書いてあることとの矛盾というのはないと私は思っておりまして、例えば高齢者医療制度については、三月の閣議決定において通常国会に法案提出と明記というのは、これは事実なんです。大綱に書いてあるとおりであります。その上で、新年金制度についても、当然、これは公党間の協議があったり、あるいは有識者会議で議論するとかありますけれども、我々が準備をしているという事実はそのとおりであって、来年法案を提出するために、党内でプロジェクトチームをつくって検討をしています。これは事実でございますので、今申し上げた、図の四の一と四の二にそごがあるということではないというふうに思います。

茂木委員 明らかに詭弁です。

 確かに、図の四の一に従って進めてこられたんでしょう、今まで民主党として。しかし、図の四の二の右側が加わったんですよ、三党合意で。それが新しい事実なんです。全部四の一を否定するわけじゃありませんけれども、図の四の二の右側が加わったわけですよ。

 マニフェストを撤回したか撤回していないか、こういうことではなくて、新年金制度それから後期高齢者医療制度については、まずは三党協議での合意、そして国民会議での審議、こういう二重の制約が加わったことによって、四の一にあるように、それを見るとあたかも民主党が単独で何でもできる、こういうふうに書いてあるんですけれども、違うじゃないですか、三党で合意することになったんですよ。そして、国民会議にかけることになったんですよ。そういった意味では、民主党だけではマニフェストどおりにやれなくなった、これが今時点の事実なんです。六月十五日、そして六月二十六日の採決以後の事実はそうなんですよ。

 一部のことだけを捉えて、事実ですと。確かにそうでした、過去においては。そして、それを全部否定するわけじゃありませんけれども、新しい事実が我々がつくって加わったんですよ。それを全く捨象して、前のことだけを書く。これはやはり、国民に対して説明不足どころか、ミスリーディングな説明だ、こういうふうに言われてもしようがないと私は思います。

 ぜひ、二十八日のこの文書、撤回をしてください、回収をしてください。お願いします。

野田内閣総理大臣 事実に反するならば、それは回収とかというのはあります。

 この図の四の二の右側のような実務者確認書、そして推進法案に位置づけられている国民会議、こういうものを経ながら、我々の固有の政策を打ち出して、御理解をいただくように努力をする。これはもう事実、これは重たい責任だと思うし、むしろ、我々の固有の政策を実現するための舞台として位置づけていきたいと思っているんです。

 そのことと、政権交代の成果と課題という、課題も含めてこれは取り組み中の話なんです。これは事実であるので、党内としてこういう努力をしているし、そういう閣議決定に基づいているということは事実なので、うそならば、それは回収したりしなければなりませんが、あえて言うならば、これから何かつくるときに、社会保障と税の一体改革の中でこういう六月十五日の合意があったし、推進法案が出ている、こういう舞台の中で我々は主張を通していきますよということを、あえて書くならばこれから注意しなければいけないと思いますが、この図の四の一がうそでも何でもないということは御理解いただきたいと思います。

茂木委員 図の四の二の左側に書いてあるのが、これがもともとの民主党がやってきたことでした。そして、それに加えて、六月十五日の合意で、そして衆議院の採決で、図の右側のものが加わったわけですよ。

 ですから、足していただいても結構ですけれども、図の左側だけではやはり事実を説明していないんですよ、国民に。そうじゃないですか。そうしたら、やはり少なくとも、回収をされないということだったら、このことが追加になっています、三党合意でと。そのことに全く触れていないんですから、今の状態では。だったら三党合意、総理の方から協議をお願いされて、本当に実務者の方、頑張ってきましたよ。細川さんだって怒ると思いますよ、これでは。何のためにやってきたのかとなると思いますよ。

 きちんと、現状はこうなっています、そういう文書を十八日前に出してください。お願いします。

野田内閣総理大臣 私は、それぞれ公党で、いろいろな機関紙で今回の合意を踏まえた記載があることは承知しています。それぞれ、やはり独自の自分たちの固有の考え方を鮮明にされていますね。それは私は、だから、一つ一つ公党の機関紙、大きな間違いがあって、うそがあるならば、それは何か対応しなければいけませんけれども、さっき申し上げた解釈なんです。そこはぜひ御理解いただきたいと思います。

茂木委員 これでは、三党合意を誠実に履行する、そういうふうに言えないんじゃないかなと私は思います。

 左側がこれまで民主党が主張してきたことであるのは間違いありません。そしてこれからも国民会議で主張されたい、こういうことはわかっておりますけれども、右側が今加わった事実なんですよ。このことに全く触れないで、あたかも民主党だけでこれからやっていく。これは説明として明らかにおかしいんじゃないかな、こんなふうに私は思います。

 では、事実じゃないことは言っちゃいけないという話なので、次を見てみましょう。民主党のマニフェスト違反。図の五、マニフェストの進捗状況という資料、これをごらんください。国民の皆さんも、これを見ると唖然とすると思います。

 この図の右側の取り組み中の政策の中に、何と八ツ場ダムの中止が入っているんです。これはことしから本体工事に着工したんじゃないですか。高速道路の無料化、これも三党合意で、平成二十四年の予算には計上しないことになったはずです。さらに、暫定税率の廃止、これは、政権交代一年目の年末の予算編成で、当時の小沢幹事長が官邸に乗り込んで、鶴の一声で暫定税率廃止を暫定税率維持に転換したマニフェスト破り第一号じゃないですか。

 こんな子供にもばれるようなうそはよくないと思いますよ。少なくともこの部分についてはマニフェストを変更したと、私はきちんと言うべきだと思いますけれども、これも事実だというんですか。

野田内閣総理大臣 これは、全部ちょっとつぶさに見ていなかったので、自分なりの解釈で申し上げますけれども、多分、既にやったことを主な成果として、できていないことを取り組み中という表現なんだろうと思うんです。

 高速道路の無料化については、東日本大震災が起こった後に、政策の優先順位を決める中で、その財源を復興の方に充てるということで、社会実験を中断する形になっていますので、だからこういう取り組み中ということだと思います。

 暫定税率の廃止については、その財源が確保できていない状況だったので、政権交代の一年目のときに、鳩山首相、小沢幹事長のときにできないという宣言をしていますので、したがって、そういう扱いなんだろうと思います。

茂木委員 それを取り組み中とは、普通の日本語では言わないと私は思います。子供の教育上よろしくない、こんなふうに私は思います。

 マニフェストというのは、四年間でやる、こういうものだった、そんなふうに理解しているわけでありますけれども、いよいよ来年が最終年度ですよ。では、取り組み中だと言うんだったら、来年度の予算編成に向けた概算要求で、財務大臣、来年は八ツ場ダムの予算は認めないんですね。それから逆に、高速道路の予算は盛り込むんですね。はっきり答えてください。

安住国務大臣 八ツ場については、債務負担行為を今かけているわけではないんですが、七億円程度だったと思いますが、本体工事分として計上はしております。これは、しかし、官房長官が出した裁定案というのがございまして、生活支援に関連する関係法案をきちっと成立させて、なおかつ、水利計画全体の検証を行うというのが約束でございますので、それが履行された後に執行という形にはなりますが、今の状況ではそうでございますから、ですから、そこを見守った上で来年度予算の対応をしなきゃいけないと思います。

 高速道路につきましては、これは三党の合意で、被災地に対する財源の確保等を行うということで、その約束が今履行中でございますので、この流れでいえば、これを来年度予算にということは、変更がない限りは行われないということになると思います。

茂木委員 総理、今の答弁をお聞きになられましたか。マニフェストは四年なんです。そして四年目の予算に、八ツ場ダムのが入ってくる、高速道路は入ってこないということになると、もう取り組み中とは言えないんですよ、どう考えても。これは、諦めたこと、撤回したこと、そういうことになるんだと思っております。資料に、先ほども申し上げたように、明らかに事実と反することがたくさんあり過ぎます。

 もう一つ、民主党の資料では、マニフェストの財源確保について、全く事実と異なる説明をしています。

 図の六の一がその資料ですが、これを見ると、左側のように、平成二十三年度までの財源捻出額が六・九兆円。一方で右側で、その使い道は、マニフェスト関連が三・三兆、基礎年金の国庫負担二分の一の財源が二・五兆円、社会保障の自然増への対応が一兆円超、こういうふうに書いてあります。一見もっともらしく見えるんですけれども、しかし、ここに民主党のマニフェストの一番の問題点、つまり、無駄の削減、埋蔵金の活用、そして税制改正でマニフェストの財源、最終的には十六・八兆円、これを確保するとした民主党のマニフェストの構造的な欠陥があり、極めて初歩的なミスがある、私はこんなふうに思っております。

 どこに問題があるか、説明をいたします。

 マニフェスト施策、これは、毎年実行する以上、その財源も一年限りのものではなくて、恒久的な、毎年使える、こういうものでなくてはならないはずであります。説明資料のように、マニフェストの財源七割達成、六・九兆円の財源確保ができたんでしたら、それを基礎年金の二分の一の国庫負担、そして社会保障費の自然増の財源に回せば、消費税を別に五%上げる必要はなくなってくるんですよ。さらには、年金交付国債をやめても、ことし、年金のつなぎ公債を発行する必要はなくなってくるんですよ。いかがですか。

安住国務大臣 ワンショットのお金と恒久財源とを混同しているんではないかという御指摘のことについては、私どもとしても、恒久財源については、三兆円台の確保はしたけれども、ここまで至らなかったということは、総理も率直にここでお認めをさせていただいております。

 これについては、税外収入等はどうしても恒久財源にならない部分がありますので、そこは、このグラフで見ると非常に誤解を与えるのではないかということであれば、私が今申し上げたのが基本的な考え方でございます。

茂木委員 至るところに過ちが見られるんです。

 この財源確保、これはひどいんですね、本当に。余り細かい数字のことを言いたくないんですけれども、図の六の二をごらんください。

 マニフェスト財源の七割を確保した、こういうふうに図の六に書いてあるわけですけれども、最終的に十六・八兆円確保するという民主党のマニフェスト財源、今、安住財務大臣も認めたように、図の一番右側にあるように、埋蔵金の活用、こういった五兆円の穴が構造的にあいているんですよ。これは毎年のお金じゃないんです。毎年出てくるお金じゃないのを十六・八兆の一部として積み足している、こういう問題がまずあるわけであります。

 そして、民主党の説明資料のとおりであっても、財源捻出額は六・九兆円ですから、平成二十三年度のマニフェストの予定額の五五%しかいかないんですよ。恒久財源じゃない埋蔵金を除けば、二九%。さらに言うと、本来のマニフェスト財源ということだったら、二六%なんです。何が七割達成なんですか。よく書けますね。お答えください。

安住国務大臣 これは、六・九兆を、十二・六兆を丈にしたときには先生御指摘のように五五%でございます。

 ただ、私、これは政調の方でおつくりになったんですが、この七割と申しますのは、多分、暫定税率の廃止分のところを十二・六からそいで、削って、そこで六・九ということで約七割というふうにお書きになっておられるのではないかと思います。確認はしておりませんが、計算上はそうだと思っております。

茂木委員 暫定税率の分、二・六兆円、確保しないということだったらそれで結構ですよ。ただマニフェストでは確保することになっていたんでしょう、その財源は。

 私はむしろ、マニフェストの財源の前に年金の財源、そういう本来どの政府がやってもやるべき財源を確保した上で、まだ余裕があるんだったらマニフェストをやられるのは結構なんですけれども、社会保障の財源は出ません、それでもマニフェストはやります、それだったら完全に本末転倒なんですよ。どう考えても、七割、こういう数字であったり、至るところに事実誤認であったりとか明らかにミスリーディングの部分がある、こんなふうに考えているところであります。

 民主党のマニフェスト、財源の見通しが甘かった。このことについては民主党の中間検証でも既にお認めになっていますけれども、単純に財源の見通しが甘かっただけではなくて、要するに埋蔵金、これは毎年出るわけじゃないんです、同じ額が。それを、この五兆円について、あたかもこれを、九・一兆円がもともと無駄の削減であったりとか予算の組み替えで出す財源でしたが、それと一緒にして入れてしまった。ワンショットのものを恒常的なものに入れてしまった。そこに構造的な欠陥があったんじゃないかな。

 そういった意味では、民主党のマニフェスト財源、これは十六・八兆ではなくて、もともと十六・八兆マイナス五兆、つまり十一・八兆が最大だったんですよ。もちろん今、三兆ぐらいですから、その十一・八兆にも及んでいませんけれども、こういった構造的な欠陥があったということなんだと思います。総理、この認識をお認めいただけますか。

野田内閣総理大臣 おっしゃったように恒久財源と埋蔵金との、ワンショットを合わせた額になっていたということが非常にちょっとわかりにくくなっているということは、これは事実だというふうに思います。

 ただ、先ほどの、その前の図の六の一に出てきたように、恒久財源として歳出削減を行い、そして税制改正を行った、その中でマニフェストの主要政策は実現をしてきています。

 一方で、ワンショットのお金は、それは御党が政権のころからもそうですけれども、基礎年金の国庫負担のところについてはワンショットのお金をいっぱい入れながら何とかやりくりしてきたということであって、そこは、だからワンショットのお金もやはり大事なんですね。そこがちょっと混在になっているところがわかりにくいということは、御指摘のとおりだというふうに思います。

茂木委員 我々は、そういった財源の工夫、埋蔵金の活用等々もやってきましたけれども、それを恒久財源のように見せたことは一度もありません。

 もう一回、国民の皆さんにもわかりやすいように聞かせていただきます。

 埋蔵金の活用、五兆円ですね、これが恒久財源なら、社会保障費に回せば消費税は八%で済むんですね、五兆円ですから。恒久財源でないなら、マニフェスト財源にカウントしたこと自体が最初から問題だったんですよ。どちらかなんです。だから、恒久財源なら消費税は一〇%要らない、恒久財源でないならマニフェストが最初から間違っていた。どっちかなんですよ。どちらなんですか、お答えください。

安住国務大臣 この財源は毎年捻出されるものではないので、そういう点では、いわゆるワンショットの財源でございます。

茂木委員 財務大臣の方から率直に、マニフェストには、そういった財源、一年のものを恒久財源にカウントしてしまった、こういう構造的な欠陥があったとお認めいただいたようであります。ありがとうございます。

 さて、次に、今回の実務者協議でも一つの大きなテーマとなりました景気対策、そして成長戦略について議論をさせていただきたいと思います。

 改めて、図の七をごらんいただきます。

 これは、サブプライム問題の発生、リーマン・ショック前後、それぞれ三年間の日本の名目GDPの推移を見たものであります。

 我々が導入しましたエコポイント、エコカー補助金によります景気押し上げの効果、これも若干、ある程度あったものの、政権交代以降の名目GDP、これは年平均四百七十五兆円。右側です。これに対して、リーマン・ショック前、これは平均で五百八兆円ということですから、リーマン・ショック前と比べると、まだ三十兆円も下回っているということであります。

 二〇〇八年以降の日本経済の落ち込み、これは、確かにサブプライム問題、そしてリーマン・ショック、こういう外的な要因、全世界的な問題でしたが、景気の後退は、当時の政権与党でありました自民党批判、こういったことにつながったのは私は間違いなかったと思っております。そして、現在の政府・与党に対する批判、そして政治全体に対する不満の背景にも、根底にも、私は、まだ回復されていないこのマイナス三十兆円の景気の落ち込み、こういったものがあるんだと思っております。

 そして、今後、消費税の引き上げ、こういうことになりますと、当然、駆け込み需要、これが引き上げの直前には発生をするということでありまして、その後には需要の落ち込み、これは、政府の見通しでも毎年一兆円から二兆円、こんなふうに言われておりまして、この後、同僚の、我が党の齋藤議員の方から、経済見通しも甘い、こういった指摘もさせていただきたいと思うんですが、いずれにしても、マイナス三十兆に加えて、消費税の引き上げに伴ってさらに需要不足が起こる。

 だから、今回の三党協議におきましては、図の八にありますように、我々自民党の提案で、税制改正の附則十八条、いわゆる景気条項の中に、成長戦略や事前防災、減災等に資する分野に資金を重点的に配分するなど、我が国経済の成長に向けた施策を検討する、こういう条項を盛り込みをさせていただいたところであります。

 実際、日本の経済力、そして国際競争力の低下、極めて深刻なものがあります。

 引き続き、図の九をごらんください。

 もちろんこれは我々が政権を担っていた時代からのものを含めた数字でありますが、日本の一人当たりGDP、これは、二〇〇〇年の三位から二〇一一年には世界第十八位。国際競争力指数は、九〇年の一位から、ことしは二十七位に低下をしてしまいました。ジャパン・アズ・ナンバーワン、そんなふうに言われた時代がいつだったんだろうか、こういう思いも持つところがあります。さらに、図の一番下の技術革新力指数、これは、この一年でまたランクの方が五位落ちて、二十五位になっているわけであります。

 これは、私、決して政権批判のために申し上げている、政府批判のために申し上げているわけではありません。この状況を見れば、日本の国会が、今回の民主党の内輪もめのように、やれ賛成だ、やれ反対だ、こういがみ合っている余裕はないんじゃないかな、こんなふうに思うわけであります。

 そこで、提案でありますが、政府が毎年のように細かい成長戦略をつくる、このことも結構なんですが、その前に、国会の意思として、日本の今後の経済のあり方、そしてそれを達成する手段やプログラムを定めた骨太の基本法を早急に制定する必要があるのではないかな、これこそ超党派でやる必要がある、こんなふうに今考えております。

 図の十をごらんください。

 自民党が経済の分野でこれから提案いたしますのは、図の一番下にあります日本経済再生・競争力強化基本法であります。この基本法では、まず、今後五年間を日本経済の再生と競争力回復の集中改革期間とする、そして、法人税率など制度の国際標準化や、過当競争となっている国内の産業の再編を進めていく、さらに、成長分野を特定しまして、そこに政策、資金、こういったものを集中的に投入するターゲティングポリシーを導入する、こういったものであります。

 この日本経済再生・競争力強化基本法の詳しい内容につきましては、この後、我が党の齋藤健議員の方から提案をさせていただきますが、この基本法の必要性、総理としてはどうお感じになるか、お答えください。

野田内閣総理大臣 今、さまざまな数値が出ておりました。このまま放っておくと、少子高齢化の問題もあります。さまざまなボトルネックを日本は抱えております。その課題を乗り越えて、このまま放置していくと坂道を転がっていく国になりかねないと思います。極東の片隅に位置するお年寄りの多い元気のない国になりかねません。まさに、ここが今瀬戸際だと思います。そのための経済再生についてお互いに問題意識を共有し、危機感を持ちながら、どういう考え方のもとでやっていくかということについての意思疎通をして、合意ができるならば、それはいいことだと思います。

 ちょっとこの中身のお話は、よく子細に検討しなければいけないと思いますが、今我々が用意している日本再生戦略も、そんな問題意識なんです。集中改革期間は三年間でありますが、この基本法は五年間となっておりますけれども、そういう問題も含めて、腹蔵ない意見交換ができればと思います。

茂木委員 ありがとうございます。

 この国会では、社会保障の分野で我々が提案をいたしました社会保障制度改革推進法、もともと我々は基本法と呼んでおりましたが、これが修正の中で推進法という形で三党合意に達しまして、衆議院で可決まで行きました。

 また、自民党では、事前防災、こういった考え方に立ちまして、できる限り、これから日本で起こるさまざまな災害、まさにきょうも起こっているわけでありますが、これに備えていこう、こういった国土強靱化基本法、これも既に法案を国会の方に提出してございます。

 さらに、ことしはサンフランシスコ講和条約からちょうど六十年、四月の二十八日でありました。それに向けまして、我が党として、四月の二十七日に、憲法改正の草案、前文から全てを見直す、こういった草案も発表してございます。

 そして、安全保障の分野でも、今月、ここに石破筆頭理事がいますけれども、我が党として、自衛権の行使は必要最小限度とする解釈は維持しつつ、国際情勢の変化などに合わせて、集団的自衛権の一部もその必要最小限度に含むとした国家安全保障基本法も法案化をいたしました。また、PKO法の改正や自衛隊の海外派遣を一般法とする包括的な国際平和協力法案、これも既に国会に提出をしております。

 我々の国家安全保障基本法は、恐らく、野田総理の国家戦略会議フロンティア分科会の提言とも共通する部分が多くあると思いますが、自衛権の行使は必要最小限度とする解釈は維持しつつ、集団的自衛権の一部もその必要最小限度に含む、こういう我々の考え方に対する総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

 また、安全保障基本法や、自衛隊の海外派遣について、特措法ではない一般法の制定について、政府の方での検討状況はどうなっているのか、法案化の見通しは立っているのか、お答えください。

野田内閣総理大臣 まず、先般、国家戦略会議のもとにつくったフロンティア分科会、この分科会の中には四つの部会があります、叡智、繁栄、幸福、平和。その平和部会の中で、二〇五〇年までをにらんだ中長期のビジョンづくりの際に、大体平均年齢四十三歳という若い有識者の会議なんですが、その中で、集団的自衛権についてのいわゆる解釈のあり方、見直しについての方向性が出てまいりました。ただ、これは一つの有識者の会議でありますので、今それが政府の方針というわけではありません。

 現行においてはやはり今の解釈のもとで対応する、現時点ではということはかねてよりこの国会の中で申し上げておりますが、そういう分科会での御議論もありますし、御党のこういう考え方もあるので、その議論というのはさまざまなレベルで行われてしかるべきだろうというふうに思います。

 PKOの関連では、今、駆け込み警護の問題なども含めてどう対応……(茂木委員「駆けつけ」と呼ぶ)ごめんなさい、駆けつけです。駆けつけ警護の問題も含めましてどうあるべきか、PKO法の……(発言する者あり)そうです、ちょっと駆け込み需要と混同しました。失礼しました。そういう議論を、今政府内で最終的な調整をしているところでございます。

茂木委員 私がお聞きしたのはPKOの一部じゃないんです。PKO法の改正、それから自衛隊を海外に派遣する場合、テロ特措法であったりいろいろな形でやってきました。そういう個別の特措法ではなくて一般法としてやる、そういった包括的な国際平和協力活動法、こういったものが必要であろう、こういうことで我々は既に法案も提出してございます。

 そして、国家安全保障基本法、これにつきましては、解釈を変えるのではないんです。解釈は必要最小限度、しかし、その必要最小限度というのは、時代であったり我が国の持っている能力、こういったものによっても変わってくる、その場合、集団的自衛権の一部がそれに含まれることはあり得る、こういった解釈をしている。それについての総理の見解を聞かせてくださいということです。

野田内閣総理大臣 まず、PKOについては、今申し上げたようなテーマの中での修正というか改正ができるかどうかを検討しておりまして、一般法、これも一つの考え方だと思いますけれども、そのあり方というのは大いに議論をしていかなければいけないというふうに思っておりますし、党の中でもそういう議論があるということは事実でございます。

 それから、今、集団的自衛権の一部を必要最小限度の自衛権に含むというお考えは、これは一つの考えだというふうに思います。これは御提出いただいているということでございますので、国会の中でいい議論ができればというふうに思います。

茂木委員 私はもう議論の時間はないんじゃないかなと。先ほど総理もおっしゃったように、最初のキーワード、危急存亡なんです、日本は安全保障の面でも経済の面でも社会保障の面でも。ですから、もう具体的に我々は法案を出しています。法案化をしています。政府の方の法案の準備はできるんですか、できないんですか。お答えください。

野田内閣総理大臣 政府の方の、例えばPKOに関する今の準備はさっき申し上げたとおりです。一般法としてではありません。いわゆるPKOの、改善というか改革の方向性で法案の準備を、今政府内での最終調整をしているという段階であります。

茂木委員 なかなか大きな法案については準備が整わない、こういう状況なのかなと答弁をお聞きいたしました。

 我々は、責任野党として、責任政党として、税と社会保障の一体改革の問題では政府にも協力をし、与野党の協議を進めてまいりました。ただ、今の内外の緊迫した情勢、まさに危急存亡、こういったことを考えたときに、日本の安全保障の問題、そして経済の再生の問題、これについては、民主党の手続、そしてまたいろいろなプロセス、今回の一体改革のように待てないんですよ、もう。ですから、我々が政権をとってこういった緊急の課題についてはきちんと対応する、こういったことをしていくしかないな、こういう思いを改めて強くしたわけであります。

 そこで、最後に解散・総選挙のタイミングについてお伺いをしたい、こんなふうに思っております。

 総理は常々、やらなければいけないことをやり抜いた暁に国民の信を問う、このように明言されておられますが、我々は、総理にとってやるべきこと、やらなければいけないこと、これはまさに社会保障と税の一体改革だ、こういうふうに理解をいたしております。そして、国民の多くも早期の解散を求めております。

 図の十一をごらんください。

 これは一体改革の関連法案を衆議院で採決した後に行われたマスコミ五社の世論調査の結果でありますが、解散・総選挙の時期について、五社中四社の調査で、できるだけ早くという回答が最も多くて、五社全てで、できるだけ早く、ことしじゅうにを合わせれば過半数、五割、六割を超える国民が早期の解散を求めているわけであります。

 この税と社会保障をしっかり仕上げたらすぐに解散して国民に信を問うてほしい、これが私は国民の声だと思いますが、総理は、この国民の声、どのようにお受けとめになられますか。

野田内閣総理大臣 いずれにしても、我々の任期は四年間で、あと約一年ぐらいです。その一年の間に、できるだけ早くから任期満了までですから、まあ、こういうことだと思います。来年前半と任期満了を入れても四割ぐらいいますので、この一年の幅の中ではこういうことになるんだろうと思いますが、それは、この一体改革もそうでありますけれども、いつも申し上げているとおり、やるべきことをやり抜いた暁に、適切な時期に国民の信を問いたいと思いますし、一年を超えるということはないわけでありますので、適切な時期に対応したいと思います。

茂木委員 一年を超えたら憲法違反ですから。

 やるべきことをやり抜いた暁にということでありますけれども、昨年、当時の菅総理は、みずからの辞任の条件として三つ挙げられました。二次補正予算の成立、再生可能エネルギー特措法の成立、そして特例公債法の成立、この三つ。これは、考えてみますと、我々が協力すればすぐにでもできる、そういう緊急の案件でもあったかと思います。もちろん、私、野田総理に、辞任しろ、そういったことを迫っているわけではありません。

 そこで、余り多く言われても困ります、それから余り先のことまで言われても困ります、さらには、経済対策とか行政改革、どの政権でも当たり前に進めていかなきゃならない、こういう問題を言われても困ります。野田総理として、まさに野田カラーとして、どうしても今やるべきこと、今やっておかなければならないこと、あったら挙げてください。

野田内閣総理大臣 野田カラーというよりも、今本当に国民のためにすぐにでも結論を出さなければいけないことは、一体改革もそうでありますけれども、やはり心配なのは特例公債です。これはやはり予算執行に影響してまいりますので、国民生活を守るために、何としても特例公債は早く成立させなければいけないと思っています。

 加えて、この社会保障の一体改革と関連するんですが、マイナンバーの法案であるとか、あるいは公務員制度改革とか、さまざまな重要法案があります。加えて、一票の格差の問題も含めての政治改革の関連もあります。これら、やはりまだやらなければいけないことが残っていると認識をしています。

茂木委員 一票の格差の問題、ゼロ増五減、これは総理も優先して取り組みをしなければいけないと。我々はそれでやっていきたいと思います。合意をすればこれはすぐにできると思います。

 それから、特例公債の問題でありますけれども、これは恐らく、九月末の予算の執行が三十九・三兆になると思います。そして十月が五兆強ということですから、十月いっぱいまではもつんです、特例公債につきましては。それを考えると、税と社会保障の一体改革、これを成立させて、すぐに解散・総選挙をして、臨時国会をやっても十分にできる課題なんじゃないかな、私はこんなふうに思っております。

 もう一回、どうしても今やらなくちゃならないこと、いろいろずらずら並べられても困るんです、そして、当たり前にどの内閣でも、次でもできることを言われても困るんです。野田総理としてやるべきことを明確にお答えください。

野田内閣総理大臣 特例公債も、今、予算の執行を抑制するという段階ではありません。でも、かなり執行管理をしながらやっているんです。これは不自由な状況だと思います、相当に。

 だから、十月まで待てばいいというのは私は非常に危険な議論だと思うし、特例公債がいつまでも成立しないときに、日本のリスクとして見られたとき、社会保障と税の一体改革もそのリスクを意識しながらお互いやってきたと思いますが、特例公債がいつまでも通らない状況のときに内外がどう見るかということも意識しなければなりません。したがって、私は、これは早く結論を出さなければいけないと考えております。

茂木委員 特例公債についていつまでも通さなくていいということじゃなくて、タイムスケジュール的に、予算の執行ぐあいでいくといつになりますかということを私は解説申し上げた次第であります。

 総理の方でどうしても特例公債を通したいということであったら、総理として全体の政治状況について判断をしていただいて、こういう状況だから特例公債を通してほしいという御提案がありましたら、前向きに考えさせていただきます。

 以上、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

中井委員長 この際、平沢勝栄君から関連質疑の申し出があります。茂木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平沢勝栄君。

平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。

 限られた時間ですので、簡潔な答弁をお願いしたいと思います。

 最初に、松原大臣、時間がないようですから、ちょっとお聞きします。

 きのう、横田めぐみさんのお父さんからお手紙をいただきましたけれども、拉致問題には動きがありません、政府間の交渉がなければ解決できません、日朝間の交渉が一日も早く再開されるよう御尽力くださいと。まさに、御家族の方はもう一日も早く解決してほしいと。

 今、いろいろと努力しているんでしょう。だけれども、努力じゃ意味ないんです、結果が出なければ。そして、この問題は二十年後、三十年後に解決しても意味がないんです。今すぐ解決しなきゃならないんです。結果を出さなきゃならないんです。そのためにどういう取り組みをしているか、お答えください。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 ことしは北朝鮮が拉致を認めて十年であり、昨年十二月には金正恩新体制への権力移譲がなされたわけであります。

 今、横田さんのお父さんからのお話があったわけでありますが、私もそこはじくじたる思いで日々活動をし、また交渉しているところであります。

 金正恩体制に移行して以降、北朝鮮側は、この拉致問題の解決に関して一定の解決したいという意欲を持っているのではないかと私は思っております。ただ、現実には、こういう場で御報告するところまでは来ていないのも実情であります。

 私は三つの条件を付しておりまして、平沢さんが言うように、御家族が生きている間に、御家族が元気な間に戻ってこなければ解決にならないというのは当然であります。幾つかの条件を出して議論しているところでありまして、とにかく九月十七日が北朝鮮に小泉さんが行かれて十年という一つの筋目でありますから、そこに向かって解決するようにさらに頑張っていきたいと思いますし、一方において、この十年という筋目に何ら発展がないようであれば制裁を強化すべきであるという家族会や救う会や特定失踪者調査会や多くのジャーナリズムの声があることも強く承知をし、認識をしているところであります。

 以上です。

平沢委員 総理、この拉致問題は、二〇〇二年に小泉さんが動かれて、そして二〇〇四年に小泉さんが動かれて、そのときに動きがあったんです。総理ももっと先頭に立って真剣にこれに取り組まれるお気持ちはありませんか。

 松原さんは結構です。

野田内閣総理大臣 拉致問題という主権の侵害にかかわるテーマ、そして重大な人権侵害にかかわるテーマ、その解決のために、先頭といいますか、私もいつもバッジをつけて忘れないようにしておりますけれども、しっかりと問題解決のために全力を尽くしていきたいと考えております。

平沢委員 結果を出すことが全てなので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、聞きたいことはいっぱいあるんですけれども、最初に、前回の続きで、農水省が中心になってやった北京への農産物輸出問題、これはもう一回簡単に整理しますと、ここに農林水産省と書いてあるけれども、これは官邸も絡んでいるんです。総理、官邸も絡んでいるんです。官邸も絡んで、政府を挙げて、中国に農産物を輸出しましょうと。そして、そのために協議会というものをつくった、窓口を。この協議会に入るには入会金も要るし、年会費も要る。これを集めて、そして、中国にこの協議会を通じて送れば検疫等で便宜を図ってもらえる、だから入りなさいということで会員を募ったんです。官邸も絡んで、そして、これに、北京、中国大使館のスパイと言われた李春光なども絡んでいたんです。

 そこで、この前、これについて農水省から、この事業についての中間報告、それから、機密が漏れたということに対しての中間報告が出ました。あわせて、協議会というものができまして、協議会も、事実経過という報告書を出しています。この三つを比べてみると、中身がかなり食い違っているんです。

 この中間報告について、農水省はどう思いますか。

郡司国務大臣 お答えさせていただきます。

 今ありましたように、二十九日に調査の報告書というものを公表させていただきました。これは任意の中でありますけれども、私どもの方でできる範囲の調査をしたという内容について報告をさせていただきました。その後、私自身はその文書を目にしたのは随分後ということになりますけれども、協議会の方からも同じような経過というものが出されました。

 大筋で見ると、流れそのものはそれほど違っていないような流れの形になっているというふうに思っております。一つ一つを見ると、私どもの方で調査をした内容と異なる内容、あるいは実際にはないような会議体でありますとかそういうものが含まれておりますから、若干、手に入ったことの時間的なものもあって、今それらを精査しておりますが、いずれにしましても、私どもの任意で調べたものについて、それから国会の審議の中でもいろいろと御指摘をいただいております。私どもとして、いわゆる、それだけではなくて第三者の評価というものを行う中で、これからまた精査をしていきたいというふうに思っております。

平沢委員 答弁は簡潔にお願いしたいと思います。

 どこが食い違うか。食い違うところは山ほどあるんです。

 まず、農水省の中間報告では、民主党の有志議員が五回にわたって勉強会というか研究会を開いたと。これは民主党の議員だけじゃないんですよ。そこに中国大使館の人たちが入って、こういういろいろな日本の政策決定等をする会合を開いたわけです。そのメンバーの中に、協議会の資料によると、齋藤官房副長官も入っていた、当時の一川防衛大臣も入っていたということが出てきますけれども、それが農水省の中間報告にはないんです。

 これは、いたんですか、いなかったんですか。農水省。

岩本副大臣 平沢委員にお答えをいたします。

 私どもも、任意の調査の限界がある中でしっかり調査していっておるわけでございますけれども、そのメンバーの中でも、食い違っている方が、いらっしゃらない方が入っていたりとか、情報が錯綜し過ぎておりまして、どこが違うかというのをちょっと事務方から説明させていただいてよろしいですか、余りにも違うものですから。簡潔に説明させますから。

平沢委員 私が聞いているのは、齋藤副長官は勉強会に出ていたんですか、出ていなかったんですか、一川防衛大臣は出ていたんですかと、その事実関係だけを聞いているんですよ。

岩本副大臣 事実関係は、私どもが入手した資料の中には入っておりません、その方が出席したと。

 それだけじゃなくて、いろいろまだありますので、ちょっと事務方から説明させていただいてよろしいですか、委員長。

佐藤政府参考人 平沢先生の御質問にお答えいたします。

 今先生の方から御指摘ございましたように、有志議員の研究会が開かれていたわけでございますが……(平沢委員「いや、結果だけ。いたか、いないかでいいんですよ」と呼ぶ)はい。そのときに御出席されたかどうかについては、今のところ定かではございません。

平沢委員 話になりませんよ。

 要するに、官邸も入っていたんですよ。それを、結局、今みたいに、メンバーは意図的に隠しているんですよ。

 なぜかというと、この協議会がつくった事実経過というのを見ると、例えば、五月二十八日に、副大臣、官邸、協議会でこの問題について協議したと書いてある。もっと言えば、五月十七日にも、内閣、官邸も含めて協議したと書いてある。知っているでしょう、農水省。やっているんでしょう、そういう会合を。

中井委員長 平沢委員に申し上げますが、その協議会の資料というのは、我々は全然知りませんし……(平沢委員「農水省が持っているでしょう、そんなのは」と呼ぶ)いやいや、私ども、この委員会理事に、理事会にお出しいただいておりませんので、それをもとに御質疑いただいても、お答えできないところもあるし、折衝できないです。

平沢委員 ですから、事実関係だけ聞いているんですよ。事実関係だから、その勉強会に出ていたんですかということを聞いたら、要するに、わからないと。

中井委員長 では、その資料抜きで聞いてください。

平沢委員 はい。

 では、勉強会に出たくらいはわかるでしょう。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 齋藤副長官につきまして御出席したかどうかについては、そのとき、うちの出席者が何人かいましたが、確認していないということでございます。

平沢委員 では、これは後でもう一回聞きます。ちょっと今確認してください。

 では、シンクタンクの副会長、中国のシンクタンクの副会長が出ていた、このシンクタンクの副会長というのは、王行虎のことじゃないですか。

佐藤政府参考人 先生御指摘のこの勉強会の出席者につきましては、我々が主催しているものじゃなくて、オブザーバーでしか出ておりませんので、誰がいたかどうかということについては、相手方の同意を得ておりませんので、明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

平沢委員 だって、李春光というのは名前が出てくるじゃないですか。李春光を書いて、何で王行虎のことは書けないんですか。それを言ってください。では、李春光は了解をとったんですか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃっていただいた李元書記官につきましては、今回、大きな問題になったというふうなこともありまして、当時の座長等の了解を得て名前を出させていただいているところでございます。

平沢委員 では、第五回目には李春光の名前がないんですけれども、第五回は、そこに同席していた人の話によると、李春光は出ていたと言っていますよ。出ていたんじゃないですか。では、なぜ第五回目の研究会のときに李春光の名前を外したんですか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 第五回にオブザーバーとして参加した手前どもの職員の聞き取りによりますと、出席していなかったというふうに聞いております。

平沢委員 これはうそです。全農が呼ばれているんです。全農の人が、そこにいた李春光から質問を受けているんですよ。だから、こんないいかげんな調査報告なんですよ、農水省の調査報告は。

 ちなみに、王行虎、シンクタンクの副会長といいますけれども、王行虎というのは諜報機関員と言われていますけれども、そうじゃないんですか。警察。

西村政府参考人 農林水産省の中間報告に中国系シンクタンク副会長にかかわる記述があることは承知しておりますが、特定の個人に関するお答えについては差し控えさせていただきます。

平沢委員 王行虎は、あれでしょう、王行虎という名前を言っているんですから、王行虎は諜報機関員でしょう。その諜報機関員も入っている。李春光も入っている。それとずっと五回にわたって民主党の議員が一緒に勉強会で政策決定までやっているんでしょう。

 では、聞きますよ。

 この報告書の中で、十一月三十日、李春光が筒井副大臣の部屋で何と言ったかというと、野田総理が中国に行かれたときには、中国側からは農業分野交流の促進といったことを言うので、日本側からは、ということは日本の野田総理は、常設展示館など具体的な発言をしてほしい、これは李春光が言っているんですよ。これは書いてある、報告書に。そのとおりに実際動いているんです、総理は。だから、やったことは間違いないとしても、総理は李春光が言ったとおりにその後動いているんですよ。総理、どう思われますか、これ。

野田内閣総理大臣 いや、別に、その李春光さんが言ったとおりかどうかって、私は、日本の農産物と食品の輸出拡大は中国に向けて大事だという観点での発言はしています。その前に、その常設の展示館、建設中のものについては十分ほど行きましたけれども、その事業の後押しをするようなことは全く触れておりませんし、彼の思惑とは全く違うと思います。

平沢委員 そうじゃなくて、総理がその常設展示館に立ち寄られたこと自体がその事業に対する支援になるんですよ。それは結果的になるじゃないですか。それを言っているのは、李春光が筒井副大臣の部屋で言っているんですから。だから、そもそも、総理の行動とか発言とか何かについて外国の大使館員が副大臣室でいろいろ言うということ自体がおかしくないですか、日本政府の問題について。それを言っているんですよ。

野田内閣総理大臣 筒井副大臣と李という人がそういう会話を本当にしたのかどうかもわかりませんので、それは何とも言えません。(平沢委員「報告書に出ているんですよ、これ」と呼ぶ)報告書に出ているんですか。

平沢委員 中間報告書に出ているんですよ、総理。中間報告書に出ている。では、見てください。中間報告書に出ているんです。

針原政府参考人 事実経過だけ御説明させていただきたいと思います。

 報告書の十一月三十日の記載で、私も同席したというふうにはっきり書いてございます。私の記憶によれば、確かに、李書記官は、日本側から常設展示館など具体的な発言をしてほしいと発言された記憶がございます。この報告書は、その私の記憶に基づいてこのように書かれております。

 ただ、私は、省内の調査チームにこのようにも申し上げました、その際には、総理がそのような具体的な発言をするはずがないというふうに私も申し上げましたし、筒井副大臣もそのようにおっしゃったと思います、それでその話は終わりになったというふうに記憶しております。

 以上でございます。

平沢委員 だって、その後はそのとおりの発言をされているじゃないですか。そして、実際に、筒井副大臣のアドバイスに従って、総理はその展示館に立ち寄られているじゃないですか。だから、こういったことについて、総理の行動、発言について外国の大使館員が日本の副大臣の部屋でこんなことを協議すること自体がおかしくありませんかと聞いているんです。

山口副大臣 大使館員が政務三役のところに来ていろいろな話をすることはよくあります。そういう意味で、日本産の食品輸出について話をされたこと、私もその詳細について、そこの現場にいませんでしたけれども、そのこと自体が特におかしいというふうには思っていません。

平沢委員 指名していないのにあれしないでくださいよ。

 いずれにしましても、総理はどう思われますか。

野田内閣総理大臣 確かに、常設の展示館、建築中のところに行きました。ただ、個別の事業の後押しをするようなお話は全くしておりませんし、書記官と副大臣の間でどういうやりとりがあったかどうかわかりませんが、それをもって私の心が動いて何か発言をするということは全くありません。

平沢委員 総理が立ち寄られたことが応援になるんですよ。総理、そこはしっかりしてくださいよ。

 では、今回の報告書の中で機密漏えいのことが出ています。書類が、機密性三という極めて機密性の高いものが外部に漏えいしたということが出てきます。これについては、筒井副大臣に渡した書類が漏えいしたということが報告書には書いてあるんです。しかし、筒井副大臣は漏えいしたことを否定するということが報告書に書いてあるんです。だけれども、一方で、協議会の方の資料を見ると、これは鹿野大臣に渡した資料ということが書いてあるんです。そして、中間報告の中でも、鹿野大臣に渡したということを協議会の田中代表が言っているということが書いてあるんです。これはどっちかですよ。田中代表に渡したのは、鹿野大臣か筒井副大臣のどっちかなんです。農水省、どっちなんですか。

郡司国務大臣 資料そのものは筒井副大臣用に作成をした資料が流れているということについては、これは事実、私どもも確認をさせていただきました。

 時間的な経過を申し上げれば、十二月の五日に鹿野大臣の方に説明をした資料がございます。その資料は、その場で鹿野大臣の方からお戻しをいただいたような形になっておりまして、その二日後に副大臣に対して、その資料をもとにして加えたものが書いてあるものをお渡しした、こういうようなことがございまして、それが流れたということを私どもの調査で調べて、資料そのものが違うものだというようなことをいろいろな方からお聞きをしたところ、鹿野大臣から渡すというのは若干無理がある、話としてつながらない、こういうことで、資料そのものは副大臣の方からの資料というような形でまとめさせていただいたものでございます。

平沢委員 協議会の方は、これは鹿野大臣、田中代表は鹿野大臣に渡した資料だということを言っているわけです。協議会の資料の方にも、そこはいきさつが詳しく書いてあるんです。大臣に、米の国内需給見通し、この資料を渡しているということがはっきり書いてあるんですけれども、ともかく、それは中間報告にも書いてあるわけですから。ですから、大臣か副大臣かわからないけれども、どっちかであることは間違いない。これは、公務員が渡したら国家公務員法違反ですよ。大臣か副大臣だったら大臣規範に触れるわけでしょう。

 総理、総理の責任はどうなるんですか。こういう機密資料を、大臣か副大臣であることは間違いないということをもう農水省の報告の中に書いてあるわけですよ。これは当然、総理にも責任もあるでしょう。

中井委員長 郡司農水大臣。(平沢委員「いや、総理の責任を聞いているんですよ」と呼ぶ)いや、もう一度行きます。

 機密書類なのかどうか、それをきちっと言ってください。

郡司国務大臣 その資料は三に相当する機密文書、書類でございます。

中井委員長 何に相当する。

郡司国務大臣 機密性三に相当する文書でございます。

 ただし、先ほど言いましたように、大臣用に作成をした資料、副大臣に作成をした資料、それが、すなわち、それ以外の、大臣以外の六名の方にも渡っておりまして、その方々についても事実調査を行いました。もちろん副大臣にもお聞きをして、いずれからも、渡したことはないという、その中での報告をさせていただいたということでございます。

平沢委員 ほかの人にも行っているけれども、ほかの人は田中代表との接点がないんでしょう。あるのは誰かといったら、それは大臣とか副大臣とかその秘書しかないんでしょう、接点が。だから、もう明らかに、あの文書を読めば、中間報告を読めば、これは副大臣の可能性が濃い、こういうことじゃないですか。それじゃなかったら大臣ということになるじゃないですか。だったらば、大臣か副大臣だったらば、どちらか、これは政治責任が当然あるんじゃないですか。任命責任はどうなるんですか。

野田内閣総理大臣 要は、流出したのは大臣説明用の資料か副大臣説明用資料かということだと思うんですね。(平沢委員「いや、副大臣の資料とは言っている」と呼ぶ)こちらの報告ではそうですね。農水省では副大臣の説明用の流出だということでありますが、でも、今御説明があったとおり、その流出の経路は特定できていないわけなので、任命の話云々という段階ではないというふうに思います。

平沢委員 そうしたら、何で、この流出が、もし公務員だったら国家公務員法違反なんですから、告発していないんですか。捜査当局に任せないんですか。農水大臣。

郡司国務大臣 二十九日に調査の報告をまとめました。そしてその中で、告発をすべきではないかというような国会での御指摘もいただいておりまして、それを私どもも、今そのような形をとるべきかどうかについて第三者の評価を行うというような形をさせていただいております。

 また、関係当局とも事前に相談をさせていただいておりますが、これはもう委員御存じのことでございますけれども、公的機関による告発の場合、犯罪の構成要件に該当するか精査をするとともに、捜査が効果的かつ円滑に行われるよう事前に十分な調整を行っているということでございます。

平沢委員 これは告発しなければおかしいでしょう。だって、明らかに機密文書が漏えいしたことは間違いないんですから。わからない、わからないと言うんだったらば、特定するために告発するのが私は農水省の務めだと思います。

 そこで、農水省はこの報告書の中で、自分たちはこの協議会をいろいろと応援してこなかったような、特に検疫上の便宜が図れるというような形での応援をしてこなかったように言っていますけれども、それは事実なんですか。農水省。

佐藤政府参考人 この件に、報告書でもまとめさせていただいておりますが、検疫についてそういった特例が設けられるから入りなさいといったような、そういったような勧誘の仕方はなかったというふうに聞いております。

平沢委員 そういうことをずっと農水省は言っているんですけれども、例えば、六月二十五日、秋田県議会で何と出ているかというと、昨年の一月、国から中国に輸出できる枠組みを新たにつくるのでその説明会をやりたいという案内が来た、それでそこに出た。そして、そこで何と言われたかというと、そこに入れば、中国政府に今要請してあるから、検疫なんかで非常に便宜が図れる、そういう話だった。なるほど、それはいい話だなと思ったけれども、はっきり言えば、これは眉唾だなと正直思った、こう書いてあるんです。これは秋田県議会で出ているんですよ。秋田県議会で出ている。秋田の担当課長さんの方がよっぽどしっかりしている。

 農水省はそういった形で勧誘したんじゃないですか。

佐藤政府参考人 これまで手前どもの調査で、農水省の職員が、この協議会の設立に際しまして、団体の方々にこういったことにつきまして紹介したという事実はございますが、検疫でのメリットが受けられるといったようなことでの勧誘はなかったというふうに聞いております。

平沢委員 秋田県議会でちゃんとそういうのが出ているんですよ。

 そこまで言うなら、それなら、去年の八月十日に東北農政局が各県の担当者にメールしているんです。メールしているのは、この協議会にぜひ入られたらどうですかという勧誘のメールなんです。

 その中で何と言っているかというと、検疫条件が整っていない品目の今後の輸出取引については、通常通関できるよう中国政府に働きかけを行うようです、それから検疫条件緩和への働きかけが期待されます、こう書いてあるんですよ。

 これはもう協議会ができた後ですよ。東北農政局ですよ。農水省がやっているじゃないですか。要するに、検疫について便宜が図られるという期待感を誰もが持つじゃないですか。しかも協議会ができた後ですよ。

 おかしくないですか、こんな形でプロジェクトが、これはあくまでも民間の事業だといいながら、農水省がそこまでコミットしているのは。

佐藤政府参考人 お答えします。

 中国への農産物の輸出につきましては、かねてから各県に輸出促進協議会というものをつくっていただいていまして、そこに我が農政局がいろいろとメールを送ったり情報提供していたという事実がございます。

 それと、その際、今先生おっしゃっていただきましたように、検疫についてはこういうことで今働きかけていますという、そういう事実を述べたんじゃないかというふうに考えているところでございます。

平沢委員 何ですか、やはり検疫のことについて触れているじゃないですか。だから、これに入れば検疫上の便宜が図ってもらえると当然誰もが思うじゃないですか。

 だから、山形県は県の補正予算に組んだんですよ、この協議会に入るための費用として、そういう補助金として。だけれども、その後、これはどうもいかがわしいということで、そこから撤退しているんです。それで補正予算の執行はなかったんです。ほかの県でも同じように、これは入るか入らないかとみんな頭を痛めているんです。だけれども、これはどうもおかしいな、秋田県の方で言っているように、これはどうもおかしいなということで入っていないんです。

 総理、こんなにお金を集めているんですよ。これは後で、午後で聞きますけれども、お金をみんなから集めて、それで、これに入れば検疫上の便宜が図れる特典がありますよということで皆さんから集めて、そして第一陣として送ったらば、結局はみんな廃棄処分になってしまった。全然、特典もあるも何もないんです、これは。第一陣として粉ミルクと米とそれから日本酒を送ったら、これは全部廃棄処分になってしまったんです。

 それに、総理もその展示館に立ち寄られたりして、それで、日中首脳会談でその問題に触れたりして、結局、この事業を結果的に応援したことになっているじゃないですか。どうなんですか。

野田内閣総理大臣 いや、私は、今の、個別事業の後押しをするような発言は首脳会議では全く言っておりません。さっき申し上げたとおり、農産物や食品の輸出拡大に向けての話はしておりますし、ちょうど大震災の後の風評被害で苦しんでいる状況でしたので、その話はしていますが、立ち寄ったそこの事業の後押しの発言は全くやっておりません。

平沢委員 総理、わかっていないですね。立ち寄られたこと自体がそのプロジェクトを応援したことになりませんかと言っているんですよ、立ち寄られたという事実が。だって、応援していなければ、何の関係もないところだったら、総理がわざわざお忙しいスケジュールの中で立ち寄る必要なんかないじゃないですか。

 立ち寄ったということで、そこを視察されたということ自体が、このプロジェクト、いろいろといかがわしい事業だということで、秋田県議会でもこんなものはいかがわしいと思ったと言っている、その事業を総理は応援したことにならないですか。

中井委員長 申し上げます。

 時間が参りまして、午後からの御質疑へ移っていただきたいと思いますが、農水省の中間報告においては、先ほど平沢議員から御指摘のあった農水省の勧誘等について詳しく盛られているのかどうか、きちっと理事会の方へ文書でもって出していただきたい。

 それから、郡司大臣からは、何か第三者委員会に任すとか任さぬみたいな話がございましたが、第三者委員会できちっと検証するというなら、どういうメンバーでいつまでにやられるのか、これをはっきりと答弁していただきたい。

 それから、平沢議員にお願いしますのは、何かの報告書をお持ちだと、それから秋田県議会の議論もお持ちだということですが、これもコピーで理事会へお出しをいただきますと同時に、再三総理に対して、会談で総理が応援の言葉を言ったという……(平沢委員「言っていないです、総理なんて。立ち寄ったということを言っているんです」と呼ぶ)立ち寄ったことは、行動だというだけで、言葉で応援、言葉に出したと……(平沢委員「いや、結果的に応援になった」と呼ぶ)結果的にということですね。(平沢委員「そういうこと」と呼ぶ)はい。

 そういうことだという理解をして、午後からまた……(平沢委員「いや、ちょっと一言」と呼ぶ)午後の前にどうぞ。

平沢委員 齋藤副長官に、ぜひ、十三時までの、質問を私がするまでに、確認のためにちょっと出させてください。

中井委員長 昼から出させましょうか。

平沢委員 はい。

中井委員長 齋藤官房副長官、昼から出られますね。

 呼ぶことにいたしまして、午後一時から委員会を再開いたします。

 この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。平沢勝栄君。

平沢委員 午前中に続いて質問させていただきます。

 齋藤副長官、おいでいただきましてありがとうございます。

 齋藤副長官は、民主党の、中国に対する農産物の輸出プロジェクト、こちらに協議会をつくり、中国に展示館をつくって、そして会員を募って、検疫等で便宜を図って輸出を進める、この勉強会に参加されておられますか。

齋藤内閣官房副長官 お答えさせていただきます。

 今先生の御質問の研究会というのは、最近、いろいろ各種委員会で出ている研究会のことだろうかなというふうに思いましてお答えさせていただきます。

 今回、さまざま御指摘いただいている中国への農産品の輸出拡大につきましては、私自身は、御承知のとおり、昨年九月に、野田内閣就任と同時に実は入っているわけで、そういう意味でいいますと、研究会も、その後、最近、研究会なるものが存在していたということについて承知をする程度でございまして、私自身は、研究会に何回、何月何日にあったかどうかということについてもつぶさに承知しておりませんし、出席したことはございません。

平沢委員 二〇一〇年の八月から十一月にかけて五回、研究会が行われたんですけれども、一回も出られたことはないということですか。イエスかノーかだけ。

齋藤内閣官房副長官 ございません。

平沢委員 では、これはまた後で検証させていただきます。

 では、齋藤副長官の秘書の松本さんはどうですか。

齋藤内閣官房副長官 そのことで、私自身が、今申しましたように九月から副長官に就任しておりますので、それ以前のことについて尋ねたことはございません。

平沢委員 松本さんは中心的な役割を果たしていたんじゃないですか。もう一度。

齋藤内閣官房副長官 お答えするものを用意していないので、全く存じ上げておりません。

平沢委員 では、これはまた別の機会に聞くとしまして、この中国への輸出プロジェクト、いろいろな書類が、なぜか知らないけれども、農水大臣、副大臣名で中国の民間企業の方と取り交わされているんです。これで、金銭的にはどうなんですか。債務負担行為は一切生じないんですか。この中間報告書を読んでみると、法的な拘束力はない、ない、こんなことばかり書いてありますけれども、中国側もそれをそのとおり納得しているんですか。

佐藤政府参考人 平沢先生の御質問にお答えします。

 覚書、声明、こういったものにつきまして、副大臣、大臣名で出していることは事実でございます。これにつきましては法的拘束力がないというふうに私ども考えておりまして、これについては、念のため、第三者評価の中でまた御意見を賜っていきたいというふうに思っております。(平沢委員「中国は」と呼ぶ)

 中国につきましては、当方ではいまだ確認をしておりません。

平沢委員 ここで、ちょっと資料を見てください。

 これは農水省が中国側の意向をまとめた資料らしいんですけれども、これによると、何ですか、これは。中国側が日本側に負担してほしいというのが、初年度だけで、初年度というのはもう終わっていますけれども、四億一千六百万あるじゃないですか。そして、今年度で二億三千四百万あるじゃないですか。これは中国側の意向じゃないですか。農水省がまとめた資料じゃないですか。農水省がつくった資料でしょう、これは。

針原政府参考人 お答えいたします。

 その資料は、論点調査結果によりますと、中国側との打ち合わせの際に、中国側が常設展示館に係る経費について口頭で発言があった、農林水産省側でその内容を書きとめ、それを表形式でまとめたということが確認されております。

 また、それは独立した紙でございまして、それはあくまでも中国側の意図を確認したというふうな取り扱いだと承知しております。

平沢委員 今、いみじくも言ったように、中国側の意図は、日本側にこれだけ払ってほしい、今までいろいろないきさつ、やりとりがあるから、こういうことなんです。

 これは、筒井副大臣が中国の民間会社のトップに宛てた確認書なんです。

 これについて、中間報告ではこの確認書について何て書いてあるかというと、筒井副大臣に聞いたら、文書については、自分は新潟にいたから代筆を頼んだ覚えがある、しかし、相手に渡ったかどうか、それについては聞いていないけれども、多分渡っていないと記憶しているとか、それから、協議会の代表理事に聞いたら、記憶は定かでないけれども、当時来日していた中農集団側からこのようなものが欲しいと言ってきたからこういうものをつくったんだ、しかし、筒井副大臣のサインをもらったか、あるいは代筆しておけと言われたかは記憶にない、相手方に渡したかも記憶にないと。

 何でこんなわけのわからない文章になるんですか。ちゃんと筒井さんの署名があるじゃないですか。これは筒井さんの署名ですよ。筒井さんの署名のある文書なのに、代筆だとかわけのわからないような中間報告になぜなっているんですか。

佐藤政府参考人 平沢先生の今のお尋ねでございますが、筒井副大臣から、この確認書の経緯につきましてお聞きしております。

 また、元顧問からも、この関係について、どうだったかということで記憶をたどっていただいたわけでございますが、顧問につきましては、そういうものについて先ほど先生が御質問いただいたような回答でありまして、それ以上のものについては当方としては確認できていないところでございます。

平沢委員 何を言っているかさっぱりわからないんですけれども、筒井農水副大臣が確認書というものに署名してこの文書を出しているんですよ。それに対して、何で中間報告では、代筆だとかなんとかわけのわからないようなそんな書き方になっているんですかと聞いているの。ちゃんとこれは筒井さんの署名があるじゃないですか。

佐藤政府参考人 この文書につきましては、筒井副大臣が地元新潟にいたときに、顧問の方から、こういう文書が欲しいというような問い合わせがあって、それであれば代筆しておいてくれといったような、そういったようなものでございます。

平沢委員 では、これは代筆なんですか。これはちゃんと本人の署名があるじゃないですか。

佐藤政府参考人 具体的なものを今見てお答えすることはできませんが、報告書に書きましたように、代筆してもいいといったことで筒井副大臣は顧問の方に申し上げたということでございます。

平沢委員 これは、本物があるのに、代筆だとかなんとかわけのわからないことを言っているんですよ。

 委員長、これはあれしてくださいよ。これはちょっと、質問続けられませんよ、こんななら。だって、これは本物なんですよ。

中井委員長 理事会で協議します。

平沢委員 これじゃしようがないじゃないですか。だって、これは大事な書類なんですよ、確認書なんですから。

中井委員長 それは、代筆だと書いてあるの、報告書に。

平沢委員 報告書に代筆だというようなことが書いてあるんですよ。だって、本人の署名があるじゃないですか、これは。

佐藤政府参考人 筒井副大臣は元顧問に対して、代筆して出しておいてもいいということをお答えしたという、まず事実がございます。

 それで、同顧問は、これについて代筆したかどうかについては、先ほど先生の方からありましたように、サインをもらったか代筆したか、そういうことをしたということで、よく覚えていない、こういう言い方でございました。

中井委員長 ちょっと佐藤君、七月一日はどこにいたの、筒井君は。

佐藤政府参考人 筒井副大臣は地元新潟にいらしたというふうに聞いております。

中井委員長 いらしたと。確かめていないの、報告書は。

佐藤政府参考人 はい。いらしたということでございます。

平沢委員 これはだめです、やはり本人を呼ばないと。だって、本人の署名があるんですから。それで、代筆だとか。代筆だって、本人の署名が、これは字が特徴があるからわかるんですよ。だから、本人をやはり呼ばなきゃだめですよ。確認できませんよ、これは。

中井委員長 理事会で協議いたします。

平沢委員 それで、内容を見てください。

 この内容は、確認書で三を見てください。日本国農林水産省として、要するに、向こう側に差し当たって立てかえてくださいといってここに書いてあるのは、敷金とか家賃、内装費及び設備費、宣伝広告費等、そして、日本国農林水産省副大臣として署名しているんです。

 一切日本側にお金の負担は生じないというようなことを言っていますけれども、これは大丈夫なんですか、こんな文書を出しておいて。

佐藤政府参考人 今の関係でございますが、この確認書をよく見ますと、家賃の立てかえ払いを農発食品に要請する文書でございまして、ただそれだけの要請文書になっていまして、これから我が国の方が債務を負うといったものにはならないものというふうに考えておりまして、これにつきましては、第三者評価の中でまた御意見を賜っていきたいと思っております。

平沢委員 いずれにしましても、これは要するに、立てかえ払いを農水副大臣としてお願いしているんですよ。では、農水副大臣がこんな文書を出すことはいいんですか。

山口副大臣 署名権限のない農水省の副大臣のものですので、法的拘束力はないというふうに思っています。

平沢委員 何ですか。では、署名権限のない者が何でこんなものを出したんですか。

中井委員長 山口君、出てくるんだから、ちゃんと答えて。

山口副大臣 形式面で、国際約束の署名権限のない農林水産省副大臣により署名されているということが一つあります。それから、内容面でも、双方に何らかの権利義務を課するものではなくて、一方または双方の協力の意図を表明するものとされていると承知しています。

平沢委員 要するに、今聞いているとさっぱりわからないんですけれども、国民の皆さんもわからないと思いますけれども、署名権限がない。では、法的拘束力もないようなこんな書類に何で筒井副大臣は署名したんですか。だということは、完全な越権行為じゃないですか。これは何なんですか。これはおかしくないですか。

 総理、どう思われますか。こんな、署名権限はないと言っているんですから。総理、どう思われますか。これは総理が答えてくださいよ、時間もないから。

中井委員長 平沢さん、時間も来ていますから、これで最後で。

野田内閣総理大臣 今、法的効力はないというお話でございました。どういう経緯で、どういうお話で、なぜ署名したのか、ちょっと定かによくわかりませんのでコメントはしにくいんですが、よく報告を聞きたいというふうに思います。

平沢委員 報告を聞くも何も、これはもう完全に破綻しているんですよ。一言で言えば、詐欺みたいなあれなんですよ。それに、総理も含めてみんなが加担しちゃったんですよ。それで、結果的に被害者が数多く出ているんですよ。これに総理は、先ほどから全く責任がないようなことを言っておられますけれども、総理も展示館を視察され、そして首脳会談でこの話に言及されているんですよ。ですから、やはり加担しているじゃないですか。

 これはまた、いずれしっかりとやりたいと思いますけれども、委員長、お願いしますけれども、やはりこの話は、鹿野前大臣、筒井前副大臣、それから田中さんを呼んで集中審議をやらないと、全然事実関係は明らかにならないんですよ。農水省はわけのわからないような答弁ばかり繰り返しているんですよ。ちゃんとやってくださいよ、これは。

中井委員長 理事会ではもう二回ほど協議になりましたが、きょうの御要請を受けて、さらに協議をいたします。

平沢委員 では、質問を終わります。

中井委員長 この際、齋藤健君から関連質疑の申し出があります。茂木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健でございます。

 きょうも質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 私は、当選後初めてこの予算委員会で質問させていただいたのが当選三カ月後の二〇〇九年十一月でありましたが、そのとき以来、質問のたびに、私は、揚げ足をとらない正論の直球しか投げないので、御答弁の方も直球でお返しくださいと言い続けております。今回もこのようにお願いを申し上げまして、質問に入っていきたいと思います。委員長も、御差配のほどよろしくお願いをいたします。

 そして、熊本、大分で大雨の被害が大分出ているようでございます。私の質問中にもし総理御自身が指揮をとらねばならないような事態になりましたら、どうぞおっしゃっていただけたらと思います。

 早速質問に入りたいと思います。

 先月末、社会保障と税の一体改革の関連法案が衆議院を通過いたしましたけれども、このとき、当然詰めておかなくてはならない論点として、経済政策あるいは成長戦略をどうしていくか、そういう論点があったと思います。私は、今でも週に二、三回は街頭で報告をさせていただいておりますけれども、デフレ下での増税なんてふざけるなという声をよく言われます。私も大いに感ずるところがありますので、この点については、賛成をした者の一人として真剣に答えていかなくてはならないと決心をしているところであります。

 まず最初にお伺いいたしますけれども、政府の成長戦略、検討されていると聞いておりますけれども、今どういう段階にあるか、御報告願えたらと思います。

古川国務大臣 お答えいたします。

 一昨年六月にまとめました新成長戦略、これを昨年の震災そして原発事故も踏まえて再編強化した、さらには、新成長戦略のフォローアップをして、ボトルネックになっている部分をしっかりとチェックして、そういった部分を克服していく、そうした日本再生戦略というものの素案を、昨日、国家戦略会議に提案させていただいて、現在、これから最終的な取りまとめに向けての協議を始めているところでございます。

齋藤(健)委員 ということは、今なお検討段階にあるということでよろしいですか。

古川国務大臣 先ほど申し上げましたように、既に二年前に新成長戦略はまとめて、実行に移しております。

 そういった意味では、今までやってきたこと、それを二年たったところでフォローアップもして、ボトルネックになっているところを乗り越えていってちゃんと成果を出していく、そこまでつなげていくために、今その新成長戦略を再編強化したものをまとめているということでございまして、既にその成長戦略は二年前にまとめて、実行に移しているということでございます。

齋藤(健)委員 二年前といえば、震災の前でありますよね。震災で日本の経済は大きく変わっていると思います。

 フォローアップをされているということでありますが、私が聞くところによりますと、今月末に何とか取りまとめていきたいという報道がなされているようでありますが、いずれにいたしましても、消費税の税率を引き上げるという法案を提案されれば、経済への影響緩和策をどうするかということが当然議論になると思います。街角の声は、そういう意味では当然沸き上がってくる声だと思います。

 にもかかわらず、なぜこの衆議院の国会審議に間に合うようにきちんとした政府としての成長戦略の提案をされずに、今なお七月末に向けて検討しているなんという状況なのか。段取りがおかしいんじゃないかと思いますが、この点についてどうお考えになりますか。

古川国務大臣 繰り返しになりますが、もう既に二年前にまとめた新成長戦略を実行に移しているわけでございます。例えば、最近大変話題になっておりますLCCなどは、オープンスカイ政策をとって、その成果として出てきているところでございます。そしてまた、総合特区についても指定をして、今まさに特区が動き出そうとしている。そういった意味では、着々と成長戦略の実行は行っている。

 それを成果にどうつなげていくか。まだまだ総合特区などは、指定をして、成果というところまでつながっておりません。一日も早くこうした成果を発現させる、このことが重要なことだというふうに認識をして、今まさに実行に移している状況でございます。

齋藤(健)委員 それでは、今、七月の末に向けてまとめられて国民に示そうとされているものは何なんですか。

古川国務大臣 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、今まで実行を行ってきておりますけれども、この前フォローアップをした中で、やはり進捗にボトルネックになっていて、例えば規制とか何かの困難を乗り越えていく、もう一歩踏み込んでいかなきゃいけないとか、そういうところも見えてきました。そういうものを明確にしていくということ。

 そしてさらに、先ほど委員からも御指摘がございましたように、昨年の震災そして原発事故を受けて、根本的な見直しというものをやはりやっていかなきゃいけない部分もあります。昨年末にまとめました日本再生の基本戦略におきまして、新成長戦略で実現をしようとしていた施策を被災地の復旧復興の過程で重点的そして集中的に前倒しして実行していく、そうした方策もとって、例えば東北メディカル・メガバンク構想など、医療イノベーションで実現しようと考えていることを、もう既に着手もいたしております。

 また、原発事故を受けて、これまでのエネルギー政策も根本から見直していかなきゃいけないということで、これはかつてから新成長戦略でも、グリーンイノベーションを実現するということをうたっておりましたけれども、さらにこれを、グリーンの成長をより強化して、この七月から始まりました固定価格買い取り制度を初め、再生可能エネルギーを最大限に普及させていく取り組みというものを行っているわけでございまして、そうした新成長戦略からこの二年間の社会経済状況の変化、そういったものを踏まえて、今、日本再生戦略という形でまとめさせていただいているということでございます。

齋藤(健)委員 これから国民の皆さんの懐に手を入れて消費税をお願いするというときであります。そして、皆さんがデフレ下で増税して大丈夫かと心配しているわけであります。それを、今大臣のお言葉の中では、根本的な見直しも必要になってきたとおっしゃっていました。

 であるならば、誠意として、この増税をお願いするときに、こういう経済対策をあわせてやりますという具体策をあわせて出すべきではないのか、今根本的な見直しをいろいろやっていますということでは段取りが悪いのではないか、本当に政治生命をかけるとまでおっしゃっている政治課題なのであれば、そういうものもきちんとそろえて国民の皆さんの判断を仰ぐのがいい段取りというものではないのかということを私は申し上げているわけであります。

 何度聞いても、どうしても一緒に提示する必要はないんだ、後でいいんだということであるならば、これは我々の考え方とは随分違うということであります。

 私は、こういう段取りの悪さが、これから七月に出しますなんということが新聞に躍るようなことでは、街角の皆さんの不信を増幅させるだけですよ、他党の、我々の協力を取りつけるのが難しくなりますよ、こういうふうな経済対策と一緒に引き上げの方をお願いします、なぜそういう提案をしないのかということを私は言っているわけであります。もう御答弁は結構です。

 ですが、我が党は、段取りが悪いからといって、では、この引き上げの法案全部反対すればいいのか、そうは考えておりません。仮に段取りが悪くても、この社会保障と税の一体改革は我が国にとって本当に大事だと思いますので、我が党は賛成に回ったわけであります。でも、経済政策についてまで賛成票を投じたわけではないということを明言しておきたいと思います。

 それでは、我が党はどうしたいと思っているかということを少しお話をしたいと思います。

 一言で言えば、二段階論でやっていくべきだと思います。一つは、デフレギャップを埋めて、成長軌道に乗せるための経済対策、そしてもう一つは、消費税引き上げの景気へのマイナス効果を埋める対策、これもあわせて、組み合わせて講じていくべきだと考えております。

 デフレギャップを埋め、成長軌道に乗せていくための政策につきましては、午前中、茂木会長も少し触れたと思いますけれども、これは我が党の考えをパネルにまとめたものでありますが、ここに日本経済再生・競争力強化基本法というふうに書いてあります。

 これは今我が党で検討しているものでありますが、この中の具体的な中身としましては、今の日本経済が本当に危機的な状況にあるという認識のもとで、この五年間で、集中改革期間ということで日本の成長力をもう一回高めていく、そういうものを策定していく。

 そして、中身としては、今までは、輸入をして、そして輸出をする、そういう経済モデルで日本は、貿易モデルですけれども、経済を成長させてきましたが、これからは、海外で投資をしたその利益を国内に還流をしてきて、それがまた国内の成長につながっていくというような、そういう好循環をつくり上げていくように我が国の経済モデルも転換をしていかなくてはいけないんじゃないか。これは貿易モデルを諦めるということではありません。貿易でも国富を稼ぐし、投資でも稼ぐという、この二つのエンジンで日本の経済をこれから活性化していくという基本的な考え方に立つべきだと考えております。

 それから、科学技術の司令塔機能がかなり混乱をして、非効率なものになっております。政府の予算が、バイオ一つとっても、経済産業省だ、農林省だ、厚生労働省だということでなかなかうまく前へ進んでいない現実がありますので、これを本当に機能させて、本当に日本の成長につながる分野に集中的に、政策資源、人間もお金も投入できるような仕組みを、科学技術の真の司令塔組織の創設ということでつくっていこうではないかということであります。

 それから法人税率、これは今、世界最高水準だと言われております。このままでは企業も日本で事業を続けることが難しいという声がどんどん高まってきておりますので、これを少なくとも世界水準、我々はマニフェストで二〇%台というふうに言っておりますけれども、このくらいに引き下げて、さらに、引き下げるだけではなくて、産業再編につながるような、強い企業ができ上がるような形でのそういう法人税改革というものをこれから本気でやっていかなくてはだめだということであります。

 それからもう一つは、成長分野をこれから幾つか政府が特定をして、そして、その成長分野に政策資源を集中投入する。難しい言葉になりますが、ターゲティングポリシーというものをこれから官民挙げて本気でやっていかなくてはいけないのではないか。

 そして、さらに言えば、特区制度も、選択と集中でもっともっと力強いものにしていかなくてはいけないのではないかというようなことをこの基本法のもとに盛り込んで、国を挙げてやっていく必要があるということ。これが我々の経済政策の一つ目の提案であります。

 私どもは、今、日本の優良企業と言われるものがどんどん海外へ出ていって国内産業が空洞化していく現状を、戦後最大の経済危機だと捉えております。そして、基本法を策定して、国家的危機意識のもとで諸施策を講じていくべきだ、このように考えているわけでありまして、これまでのように、時間ばかりかかってやっと出てきた政策が小粒でしたみたいな、そういうふやけた経済対策を続けていると、日本で事業をしようとする人がいなくなっちゃいますよと、私は焦りにも似た危機感を持っております。

 時間との勝負なので、あっと驚くくらいの大胆な経済再生策、競争力強化策を政治の力で実行に移していかなければ、はっきり言ってこの国はじり貧だというふうに思っております。

 二段階論のもう一つの柱は、消費税引き上げの景気へのマイナス効果を打ち消す対策をこういう政策とあわせてやっていかなくてはいけないということであります。この点が、我が党と政府・民主党の考え方の大きな違いなんじゃないでしょうか。

 まず、内閣府の試算では、これは私が伺ったところによれば、消費税引き上げが経済にどういう影響を与えるかということに関して言えば、年平均にすれば〇・一%GDPを引き下げる影響であるという分析をされております。五%の引き上げで、景気への影響は、平均すればですけれども、年〇・一%のGDP引き下げの影響だというふうに分析をされておりますが、本当にこんな軽微な影響で済むとお考えでしょうか。

古川国務大臣 まず、ちょっと、前の御発言について一言だけ申し上げさせていただきたいと思いますが、直球勝負と言う割には、かなり変化球を投げていらっしゃるなというふうに感じます。

 先ほどから申し上げておりますけれども、成長戦略は既に二年前に実行して、やってきているんです。しかし、震災とか原発事故とかがあって、やはりそういう新しい状況の中では根本的に見直していかなきゃいけない部分があるだろう。そうした形の中で再生戦略もやってきているわけでありまして、言葉尻の、抜本的な見直しという言葉を使ったからとか、そういうことで言われるのは余り齋藤先生らしくないんじゃないのかなというふうに思います。

 経済の再生については、これは与党とか野党とかにかかわらず、やはりやらなきゃいけないことだと思うんですね。しかも、今の日本経済というのは、ここ二、三年でこういう状況になったわけじゃありません。いわばバブル崩壊後、もう二十年間こういう状況が続いてきているわけなんですね。この間、確かに、おっしゃるように、思い切って政策をやるべきだったと思います。これは、そういった面でいえば、自民党政権下でもできていなかった、それは事実だと思います。

 そうした中で、我々も今新しい政権のもとで、例えば特区のお話がございましたけれども、総合特区の場合には、税制の優遇も含めた、以前の自民党政権時代の特区ではそういう税制上の優遇はなかったわけでありますけれども、そういったものをちゃんと入れさせていただきましたし、復興特区のときには、これは齋藤議員からも、法人税の免税を入れたらどうかという御提案もいただきました。そういう齋藤議員の御提案も踏まえて、五年間、法人税免税、そういう新しい大胆な仕組みも入れているわけです。

 ですから、ここは、経済の再生については、お互いにいい意味で競い合っていくということがやはり大事なことじゃないかと思います。社会保障と税の一体改革も、これは三党で協力してやっていこうということでありました。やはり経済再生についても、お互い一緒に日本経済再生に向けてやっていくということが非常に大事なことだというふうに思っています。

 その上で、今御指摘のあった消費税の影響でございますけれども、さまざまな試算があります。

 多分、齋藤議員は、民間機関などで提案しているものの影響でいいますと、大体〇・二%から〇・三%ぐらい実質成長率を押し下げになるのではないか、そういう数値なんかをごらんになられて、政府の見方が甘いんじゃないか、そういう御指摘ではないかと思いますけれども、私ども、民間試算の場合には、改革に伴う社会保障支出の増加による成長率押し下げ効果、そうしたものが多分民間試算の中では含まれていないと思うんですね。そうしたものを私どもは勘案いたしますと、これは大体〇・一%ぐらいの押し下げ効果になるだろうと。

 そうした考え方で試算をお示しさせていただいているわけでございまして、消費税の引き上げの影響が、民間試算などと比べてそんなに大きな差はないというふうに考えております。

齋藤(健)委員 私の質問は、本当に〇・一%の引き下げで、大臣自身もそうお感じになられているのかという質問でありました。

 それから、齋藤らしさというのが大分広まってきてうれしいなと思ったんですが、私が申し上げているのは、今検討し直しているのであれば、それも引き上げの提案をするときに間に合わせて出した方が国民の皆さんにとって親切じゃないかということを言っているわけでありまして、なぜそれを一緒に出さないのかという理由を聞いているわけであります。出した方がいいのに、なぜ出さないのかと聞いているわけでありますが、ちょっとたくさん質問事項がありますので、この辺にしておきます。

 少なくとも、先月八日に行われた社会保障と税の一体改革に関する特別委員会の参考人質疑では、私質問させていただきましたけれども、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの五十嵐参考人、この方は、消費税を五%引き上げた場合には〇・八%ぐらいの影響が出るんじゃないか、そういう証言を国会でしております。そして、なお、同じ日、小峰隆夫参考人は、消費税の五%引き上げのGDPに与える影響は、二年目に、一年目に出る影響と合わせると何と一・七五%になるんじゃないかというふうに言っておりまして、余りに政府の見通しと違うものですから、大臣自身も本当にそう思われているのかということをお伺いしたわけであります。

 私どもは、デフレ下の増税というものは本当に危険だと考えております。だから、念には念を入れた最善の措置をとらなくてはいけないんじゃないかと言っているわけであります。〇・一%なんという前提で物事を考えるととんでもないことになるんじゃないかということ、ここが皆さんと違うということであります。

 実際に、過去、痛い目に遭っているじゃないですか。自民党政権のときだったですけれども、九七年に消費税率を引き上げたとき、あのときは、念には念を入れて、所得税の特別減税、これを三年間、先行して二兆円規模で実施をし、さらに恒久減税も三・五兆円規模でやっていたにもかかわらず、たまたまですが、アジアの金融危機や山一、そして拓銀の問題なんかと重なりまして、景気の腰が折れました。

 今回の消費税の引き上げ幅は五%であります。〇・一%という前提で物を考えるのではなくて、もう少し大きな影響があるということを踏まえて、消費税率の引き上げが行われると同時に、そのマイナスの影響が見込まれる同規模の、年間二兆から三兆円ぐらいだと思いますが、追加的な内需拡大策を三年間ぐらい通常予算に上乗せして行う、そういう形で万全を期すべきではないかというのが我が党の考えであります。

 具体的には、国内の投資を促進するような、あるいは、きょうもかなり災害が出ているようでありますが、災害のために早急にやらなくちゃいけない公共事業ですとか、景気に即効性のある、そういうものを、引き上げと同時に、影響を緩和するような対策としてやるべきではないかというのが我が党の考えなんです。

 この二段階で、将来の成長をきちんと確保する政策と、それから消費税の影響を緩和する政策もクリアに、こういうものをやりますというのを引き上げ時までに準備をしてやらなくてはいけないというのが我が党の考えでありますけれども、この点について政府としてはどのようにお考えでしょうか。

古川国務大臣 先ほどの民間議員の、今、そういう御試算であれば、それは事前にぜひお示しをしていただければ、私どももきちんとお答えをできたと思うんです。

 これは、齋藤議員、直球勝負で中身のある議論をしたいということであれば、やはりこうしたデータ、そうしてお示しをされるのであれば、それはやはり事前にお示しをしていただかないと、私どもとしてはこれは何をベースにしてやっておられるかわからないわけでありますから、そういった意味では、ぜひ今後、議論を深めるためにも、そうした具体的なデータ、お示しをされるのであれば事前に教えていただきたいということをお願いさせていただきたいと思っております。

 その上で、この消費税の引き上げに伴う景気への影響、そうしたものは十分に私ども考えていかなければいけないというふうに思っております。

 そのことについては、三党が合意した附則の中でも、しっかり、影響も踏まえた対応策をとっていくということは記されているわけでありますから、そういった意味では、そうした法律で決められたところに従って、政府もきちんとした対応をとっていかなければいけないというふうに考えています。

 今の日本の経済の足元で見れば、これは復興需要が顕在化をしてきて、景気は回復をしつつありますけれども、しかし、これを民需主導の経済回復にしっかりつなげていく、そのために必要な政策はきちんと打っていく、そのことは機動的にやっていきたいと思っています。

 ただ同時に、今世界経済の不透明な状況もありますから、先行きの不透明なリスク、そうしたものを十分配慮して、適時適切に必要な政策を打ってまいりたいというふうに考えております。

齋藤(健)委員 私が伺ったのは、皆さんが出している〇・一%という影響について、大臣が本当にそう思っているのかというのを聞いただけであって、こんな質問、事前に聞かせなければ答えられないような大臣だったら要らないと思いますよ、私は。

 私も長いこと役人をやっていましたけれども、今の私の質問は、ひっかけるような質問だとか、それから民間の数字を大臣に聞くとか、そういうことはしていません。皆さんが出した数字、これが低いように思われるから、本当に大臣はそう思われているのかと本心を聞いただけじゃないですか。それが事前に聞かなければわからないなんて、ちょっとふざけていませんか。どう思いますか。

古川国務大臣 今、民間議員の、こんなに低いじゃないか、そういうお話があったからです。私どもはモデルを立てて示させていただいているわけであります。そうした示させていただいた数字について、それが低いというのであれば、そこはちゃんとお示しをしていただければ、そこについて、ちゃんとこちらとしても確認をした上でお答えをさせていただいたということで申し上げたということでございます。

齋藤(健)委員 私が聞いたのは、先に行きますが、〇・一%について大臣も本当にそう思われているのかと聞いたので、思われているなら思われていると言っていただければいいので、事前に質問をとか、そういうことを言われる筋合いの話ではないなというふうに思っているだけを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 私どもが最後申し上げたいのは、こういう二種類の経済対策の組み合わせだということを、これからしっかりやっていかなくちゃいけないという点、これがきょうの古川大臣の答弁を聞いていても、ちょっと私どもと違うなということでありますので、この辺をしっかりと認識していただきたいと思います。

 そしてもう一つ、次は、この政権の経済政策は本当に大丈夫かという観点から、二つ目の論点として、エネルギー政策を取り上げていきたいと思います。

 先月、二十九日ですか、政府のエネルギー・環境会議が、エネルギー・環境に関する選択肢というものを取りまとめられました。これは、三つのシナリオを示しまして、国民的議論を開始し、その上で、エネルギー選択、それと表裏一体の地球温暖化対策に関して責任持って結論を出すというものでありました。現実に、二〇三〇年での発電電力量に占める原子力の割合をゼロ%にするケース、それから一五%にするケース、それから二〇から二五%にするケースと、三つのシナリオが提案をされております。

 これからこの提案について議論を深めていきたいと思いますけれども、まず私がお伺いをしたいのは、この三つのシナリオは本当に問題が多いと思います。

 私は、きょう、国民の皆さんがこのシナリオを見たときにきっと持つであろう素朴な疑問をぶつけたいと思いますので、ぜひ御答弁の方も国民の皆さんに対するものだと思ってやっていただければと思います。

 一つ目ですが、このエネルギーの供給構造を皆さんが検討するに当たって、日本の成長率を想定されましたね。これは、二〇一〇年代に一・一%、二〇二〇年代に〇・八%、実質日本のGDPが伸びるという前提でこのエネルギー供給構造を議論されているわけでありますが、一方で、皆さんの掲げている成長戦略というのは、少なくとも二〇一〇年代は実質二%の成長を目指していたはずです。ところが、このエネルギー供給の方は、二〇一〇年代は一・一%、そういう成長を前提としてエネルギー供給構造を考えているわけであります。

 皆さんは一・一%の成長ケースではよくないと判断されているので、成長戦略で二%に持っていこうとされていると私は認識しております。そうであるならば、その二%成長を実現するエネルギーシナリオというものを当然示すべきだと思いますが、なぜ二%成長のシナリオを国民の皆さんに示さないのか、その理由についてお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 このエネルギーミックスについての議論、そもそも、多様な意見がございますが、その多様な意見の分かれているポイントの一つが、将来の経済見通し、これについての意見自体、見方自体が分かれているということで、総合エネルギー調査会の基本問題委員会でも、まさにこの数字について、一方からはある特定の数字などに対して高過ぎる、一方からは低過ぎると、さまざまな議論がございました。

 したがって、国民の皆さんに、参考としての数字にしても、まさに予断を持つことなく、政府としてどちらかに誘導するとかという視点ではなくて、まずは、これまで、エネルギー・環境会議の選択肢の、特にこのエネルギーミックスに関する部分についての議論は、自由に多様な皆さんに御議論いただいた総合エネルギー調査会基本問題委員会での議論をできるだけ踏まえたものをお示しをし、その議論の中で国民の皆さんにさまざまな御意見をいただきたいということでございます。

 そして、この総合エネルギー調査会の基本問題小委員会では、さまざまな御意見がございましたが、そうしたことの中で、今回置きました数字、二〇一〇年代平均一・一、二〇二〇年代平均〇・八という慎重シナリオを想定した上での試算ということで提起をいただいておりますので、これについて何か私どもの方でいじりますと、それは何かに誘導しているのではないかという誤解を招く。

 その想定がどういう数字であるのかということについては、同時にきちっと明示をしておりまして、当然のことながら、もっと高い数字、しっかりと民主党政権が続いて頑張れば、続く高い数字になりますから、その高い数字になりそうだと思われる方は、これでは想定が甘いということになるでしょうし、もしかすると、もっと低いんじゃないかと思われる方は、いや、もっと低いんだから、もっと省エネ効果がきくはずだと、そのこと自体を国民の皆さんに自由に御議論いただきたいと思っています。

齋藤(健)委員 今、皆さん方の成長戦略のレポート、二〇一〇年代は何としても二%の成長を目指して政策を総動員するというふうに表明しているわけですね。そして、その二%成長を達成するためにはどういうエネルギー供給構造でなくてはならないかというものを私は皆さんが示す必要があると思うんですけれども、それを何で、一%成長で国民の皆さんに意見くださいなんということが二%成長を掲げている政府ができるのか、私には理解できません。

 二%成長を達成しようとするならば、それを達成するために必要なエネルギーがちゃんと供給できるかどうか、そういう検証をするのは目標を掲げる者の最低限の責務じゃないでしょうか。それを、国民の皆さんに御意見を伺いますと言いながら、いや、実は成長率は一・一%でいいんですと。政府みずからがそういうことを国民の皆さんに検討してもらうというのは、言っていることと違うんじゃないでしょうか。

 私は、もう一度伺いますけれども、二%成長のときにエネルギー供給がちゃんと賄えるかどうかという検証をして、国民の皆さんにそれをなぜ示さないのかという理由をお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 繰り返しになりますが、将来のエネルギーミックスについて、国民の皆さん本当に多様な意見に分かれておられます。私ども、本当に率直に、まずは国民の皆さんの御意見が那辺にあるかということを踏まえた上で、その上で、政府として責任を持って、そのエネルギーミックスの結論については国民にお示しをする。

 ただ、これだけ、原発事故を受けて、国民の皆さんの関心が高く、国民の皆さんに長期にわたって影響を与えることについてですので、まずは、こちらとしては、国民の皆さんからできるだけ自由に御意見をいただいて、それを踏まえて、私どもで最終的にはもちろん責任を持って選択肢を決めていくという、このプロセスをとりたい。

 したがって、私自身、総合エネルギー調査会の基本問題委員会において、もちろん将来の成長見通しについては政府の目標数字というものを基本に考えていただきたいと思う一方で、まさに各界各層の皆さんが御参加をされている、そこでの議論を、私は意見をいただく立場でありますので、総合エネルギー調査会にああしろこうしろと誘導する立場ではありません。誘導したのでは審議会の意味がありません。したがって、御自由に御議論いただいた。

 そして、今回、国民の皆さんに選択肢をお示しするに当たっても、この審議会での御議論を基本的ベースにした上で、政府として何かに誘導しているという誤解を招くことのないように、できるだけそこでの議論を生のまま、整理だけはさせていただきましたが、お示しをしているということでありまして、まさに国民の皆さんからできるだけ白紙の状態で御意見を伺う、誘導をしないという方針に基づいて、自信を持ってやらせていただいています。

齋藤(健)委員 全く理解できないんですけれども。

 政府が二%を表明している以上は、その二%が実現できるエネルギー供給構造というものはどうなるかというものを私は示すべきだと思います。それは誘導とかいうことではなくて、政府が二%の成長を目指しているわけだから、そのときにもしエネルギーが足りなくなったら困るんじゃないですか。ですから、二%成長を目指す以上は、これだけをやれとは言いません、いろいろなケースを計算してもいいでしょう。しかし、二%成長を目標として掲げている以上は、それを実現するためのエネルギー供給というものはどうあるべきかというものを、まず最初に国民の皆さんに表明すべきだと私は思います。

 ですから、二%成長を本当に実現しようと思っているならば、それが可能であるエネルギー供給構造というものを皆さんに問いかける必要があると思いますし、もし、それをやらずに一%成長のエネルギー供給構造だけ見ればいいというのであれば、二%成長というものは絵に描いた餅になりますから、二%成長の目標の方を取り下げるか、私は論理的にはどっちかしかないと思うんですけれども、どう思いますでしょうか。

枝野国務大臣 繰り返しになりますけれども、今回の選択肢をお示しするに当たっては、まさに、政府が何かを誘導するのではなくて、国民の皆さんのさまざま、多様な意見、その中で政府の目標ということを十分承知をいただいて、その上でも、選択肢を示すに当たっての参考数字はこの数字をベースにしてやるべきだということが、私は総合エネルギー調査会の基本問題小委員会から中間報告を受けたものでございます。ですから、これは、政府が示している想定見通しというよりも、まさに政府が外部の皆さんである総合エネルギー調査会の皆さんの御議論から御報告を受けたものを国民の皆さんに客観的にお示しをしているものでございます。

 その上で、例えば二%の数字について、ぜひ出すべきだとか、そういう皆さんにおいては、まさに国民的議論の中で、名目三%の成長の想定を置いたさまざまな数字などを御提起していただいて、さまざまな御議論をいただければというふうに思います。

 当然のことながら、最終的に、さまざまな国民の皆さんの議論を踏まえて、エネルギー基本計画を決めるに当たっては、それは政府としての経済成長についての目標というものを当然前提にして、整合性のとれた形で御提起をさせていただきます。

齋藤(健)委員 委員長、わかりますでしょうか、私はよくわからないんだけれども。

中井委員長 いや、僕も余りわからない。

齋藤(健)委員 それでは、委員会で皆さんが選んだ委員の先生方が、成長率は一%でいいと言えば、じゃ、それでやってください、〇・五%でいいと言えば、それでやってください、でも、政府は二%でやります、でも、そっちの方のエネルギー供給構造はどうなるかはわかりません、とりあえず一%で、国民の皆さん、どうですかというのは、私はわからないと思います、国民の皆さんは。二%を目指すのであれば、それを達成できるエネルギー供給構造というものを目指すのであれば、それを提案するのは私は当然のことだと思いますが、また恐らく答弁が繰り返されると思いますので、次の……

中井委員長 ちょっと齋藤さん、もう一度、頭のいい人ですから、きちっとわかりやすく、答弁、整理させます。

齋藤(健)委員 お願いいたします。

中井委員長 では、枝野さん、少し、きちっと数値の点を。

枝野国務大臣 繰り返しになってしまうんですけれども……

中井委員長 いや、繰り返さぬ方がいい。繰り返したらわからないから。

枝野国務大臣 政府として、エネルギー基本計画、まさにこれからのエネルギーをどうするのかということを、今決めたのではありません、これから決めていくに当たって国民の皆さんに御議論をいただく。その御議論の中身、ベースについても、政府があらかじめ結論ありきというような形で誤解を招いたのでは、今のエネルギーに対する、原子力に対する国民の皆さんの不信というものの中では、なかなかしっかりとした議論をいただけるとは思っていません。

 したがいまして、この間、総合エネルギー調査会などの議論においても、政府として何か介入をしない、自由に御議論をいただく、その御議論の中で出てきたものを国民の皆さんにできるだけ生で御提示する。当然のことながら、私自身、政府の目標の数字と違うではないかという御批判があることは十分承知をして、でも、それでやるべきだと申し上げました。

 当然、こういった御議論はあると思います。これの目標数値は政府の目標より低いんだから、エネルギー供給について見通しが甘いのではないか、こういう御議論もどんどんしていただく。そうしたことの中で、最終的に決めるエネルギー基本計画については、もちろん、政府の他の目標数値と整合性をとった形でしっかりと整理して、責任持って提示をさせていただきたいと思います。

中井委員長 枝野さん、政府の一〇年代二%成長という数値を置いてはどうしてだめなの。置けばいいじゃない。置いて、ゼロ、一五%、二〇%というので御議論いただければいいだけだろう。どうしてだめなのか言ってくれ。

枝野国務大臣 今までの経緯を申し上げました。先ほど来申し上げましているとおり、いろいろな議論、その議論のポイントが、成長見通しがどうなるのか、それによってエネルギーはどれぐらい節約できるのかということが、まさにエネルギー調査会における意見の分かれている議論のポイントの一つでもありましたので、そこについて政府が何かどちらかに誘導しているかのような誤解を与えるようなことはあってはいけないということでこうしましたという経緯を申し上げました。

 しかし、例えば国会からぜひ三%、二%という政府の目標数値に基づいた試算もお示しをしろということの御指示があれば、それは私どもが誘導するわけではありませんので、その指示に従わせていただきたいと思います。

齋藤(健)委員 政府が二%の目標を掲げているにもかかわらず、このエネルギー・環境会議というのは政府の一部なんですよ、皆さんが、大臣がメンバーなんですから。そして、政府を挙げて取り組むと皆さんの文書に書いてあるんですからね。ですから、この会議は政府なんですよ。

 政府が二%目標を掲げておきながら、国民の皆さんに問うエネルギー供給構造の成長率の前提が一%だったら、国民の皆さんは戸惑うじゃないですか。同じ政府なんですよ。この三つのシナリオを提案して皆さんからの意見を聞いているのは、エネルギー・環境会議という政府なんです。その政府が、一方で二%を目指しますと言いながら、一方で意見を聞くときには一%で意見を聞くというのはすごくおかしいことだと私は思いますし、国民の皆さんは、では二%のときはどうなるのか、見せてくれなきゃわかりませんねで終わってしまうような話だと思うので、もうこれ以上は言いません。

 もう一つ、省エネが物すごい問題があるんです、この試算で。

 省エネ目標に関しまして、この三つの選択肢に共通の省エネ目標というのを掲げているんです。共通です、全部のシナリオに共通。

 それはどういう目標かというと、省エネルギーについては、二〇三〇年までにGDPが二割以上ふえる見通しの中で、まあ、一%成長で二十年続いたらそのくらいになりますよね、二割以上ふえる見通しの中で、現状のレベルから一割削減するということなんですよ。GDPは二割ふえるけれども、使うエネルギーは一割も少なくて済むという省エネ目標を掲げているんです。

 私は、高い省エネ目標を掲げるのはいいことだと思いますけれども、これは余りにも高過ぎると思います。言いかえれば、日本社会全体のエネルギー効率というものが、日本社会全体ですよ、全体のエネルギー効率というものがわずか十数年で四割近く改善をするというのが、省エネの目標として全てのシナリオに当然のこととして盛り込まれているわけです。

 私が言いたいのは、それがうまくいかなかったときにどうするのかということであります。やはり省エネが進まなかったから停電しますというわけにはいきません。ですから、これだけ意欲的な目標を掲げる以上は、それがうまくいかなかったケースにも備える選択肢を提案するのが真摯な、誠実な対応ではないかと私は思います。GDPが実質二割ふえてもエネルギーはむしろ一割少なくて済みますというのは、そういう極端な省エネシナリオだけを示して他の省エネシナリオは考えなくていいというのは、もはや政策ではなくて願望に近いものじゃないかと私は思います。私は、高い目標があっても構わないけれども、事エネルギーに関しては、できませんでした、省エネが進まなかったのでエネルギーは足りなくなりましたでは済まないぞということを申し上げているわけであります。

 エネルギーは、国民生活に直結する問題でありますし、産業競争力にも直結する問題でありますし、さらには、供給が不足してもすぐにふやせるという性格のものでもありません。供給をふやすのに、下手をすれば十年単位での時間がかかるようなものです。

 そういうものでエネルギーというものの性格を考えた場合に、省エネシナリオについて、願望に近いような目標だけを全部に当てはめて、もう一段低い目標でのシナリオというものも検討しておくべきだと私は思いますけれども、なぜそうしないのかということをお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 先生のような御議論がこれだけの原発依存体質をつくってきたんだなというふうに思いながら承っておりました。

 私どもは、昨年の東日本大震災の教訓を踏まえて、強い意思を持って原発への依存度を引き下げていく、これは私は大方の皆さんの、国民の意思だというふうに思っています。そうしたことの中で、省エネルギーをどれだけできるのか。もちろん、できないことを言ってはいけないと思います。

 したがって、総合エネルギー調査会の基本問題小委員会、むしろ脱原発派が少ないのではないかという御批判をさんざんいただいてきました、つまり、これまで原発に依存しないとこの国は回らないのではないかという自民党政権以来のメンバーの方々がかなり残っている構造の中でも、この省エネ目標についてはほぼ一致して、これは実行できる目標だということで、したがって、共通の目標としてしっかりと示させていただいているものでありまして、私どもに政権を預からせ続けていただければ、この目標は必ず実行いたします。

齋藤(健)委員 まず、この日本社会全体で四割近い省エネルギーというか、エネルギー供給構造を四割近く改善するということを十数年でやるということは、極めて高いハードルだと私は思います。

 そして、これができなかった場合に、できませんでしたで済まない話でありますので、その高い省エネ目標以外にも幾つか検討をしていく必要があるんじゃないかということを申し上げているわけでありまして、高い目標を掲げてはいけないと言っているわけではありません。なぜ、もう少し、この意欲的な目標がうまくいかなかったときに、国民の生命にも直結するんですよ、電気が足りなくなっちゃったら、だから、そうならないときに、そうならなかったときのためのいろいろなシナリオを用意しておくべきではないかと言っているだけであります。

 そして、私が今申し上げておきたいのは、私の発言のどこが、これまでこういう事故を招いた原因につながったかということを明確に後で文書で出してください。

枝野国務大臣 私も、ちゃんと議事録を見てください、事故につながった要因だなんて一言も言っていません。

齋藤(健)委員 それはちょっと私も聞き間違えたかもしれませんが、いずれにしても、枝野さんが申し上げたようなこと、それが過去のエネルギー政策を、私が言うようなことだったからということについては、もう少し根拠をきちんと示していただきたいと思いますが、委員長。

中井委員長 枝野さん、あなたは優秀な人だけれども、昔から瞬間湯沸かし器で、すぐかっとなったらわっと言うから、もう少しこらえて、丁寧に答弁をするように。

枝野国務大臣 私の感想がもし質疑者に対して失礼があったとすれば、それについてはおわびを申し上げますが、私はそういう印象を持たせていただいた、印象の問題でございます。

 その上で、繰り返しこれは言わせていただきますが、この省エネ、どれぐらいできるかというのは、これも大事なポイントで、総合エネルギー調査会で、本当に幅広い皆様の議論の中で、これで大きく議論が分かれていれば、いや、これは目標が高過ぎるからもうちょっと低い目標のものをつくれという議論になったはずです。私自身、議事録を全部読んでおりますが、その幅広い皆さんの議論の中で、この目標については大方の皆さんが一致をしているということは、ぜひ十分御理解をいただきたいというふうに思います。

齋藤(健)委員 社会全体のエネルギー効率が、繰り返しになりますけれども、十数年で四割近く改善するということは、人類史上経験したことのないような物すごい話だと思います。私は、でも、それで皆さんの意見が一致しているというならやられたらいいと思いますけれども。

 ただ、繰り返しますけれども、エネルギー供給というものは、足りませんでした、ごめんなさいでは済まないので、それがうまくいかないようなケースについても備えておくべきではないかということを、敗北主義のように捉えられるのであればそれは仕方がありませんが、私は、念には念を入れて、そういう提案もされたらどうかということを申し上げているわけでありますが、それがわからないのであれば、残念ですけれども、我々が政権を取り戻して全部やり直すしかないと思います。

 それから、もう一つ、ちょっと時間がなくなっちゃったので、本当はもう少し質問をしたかったんですけれども、これは、国民的議論に付すということで、もう既にパブリックコメントに出されているわけであります。繰り返しになりますけれども、二%成長というものを掲げておきながら、なぜ一%で供給を議論するのか、私にはわかりません。また、省エネ目標も、すごく高いのをやるのはいいけれども、それができなかったときの次の高目の省エネ目標というものも示して議論するということをしないというのがなぜだか、私にはわかりません。わからないけれども、この三つのシナリオは既にパブリックコメントに付されてしまっているわけです。

 私が申し上げたいのは、このような二%、一%というようなことが極めて曖昧になったまま国民のパブリックコメントに付されて、そして、そういう前提のもとで行われた検討に仮に結論が出されて、それをまた世界に表明するとか、約束したり、そういうことになることを私は非常に恐れておりますので……

中井委員長 齋藤君、時間です。過ぎていますから、まとめてください。

齋藤(健)委員 ええ。きちんと議論した上で世界に約束をしていただきたい。二五%のCO2削減のようなことの再現はしないでいただきたいということを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

中井委員長 これにて茂木君、平沢君、齋藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、金子健一君。

金子(健)委員 国民の生活が第一の金子健一でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。我が国民の生活が第一、きのう、結党大会を開かせていただきました。結党後初めての質問となりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 冒頭、九州地区で大雨の被害が続出しております。私たち国民の生活が第一、きのう結党したばかりの党でございますけれども、早速緊急態勢をとらせていただきました。福嶋議員を現地に派遣しまして、今情報収集に当たっております。政府におかれましても、万全の策を講じていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 質問に入ります前に、一言申し上げたいと思っております。

 九日の予算委員会におきまして、我が党の牧議員に対しまして、岡田副総理から非常に違和感を感じるといった発言がありました。副総理は、何か勘違いをされておられるんでしょうか。

 牧議員は、この税と社会保障の閣議決定の内容が増税先行、社会保障制度の先送りであるとして、副大臣の職を辞されております。その後、民主党、自民党、公明党の三党協議の結果が出た法案に対しまして、増税のみの先行、さらに民主党が唱えていた社会保障制度が崩壊するとして、法案に反対し、離党をいたしております。副総理の認識が不足していらっしゃるんではないんでしょうか。

 説明をさせていただきますと、九日の日に副総理が牧議員に対しまして、厚生労働副大臣であったときに閣内にいたのだから、そのときにこの話をすればよかったんだ、それで違和感を感じるという御発言があったというふうに聞いております。その認識の不足に私は大きな違和感を感じております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、景気対策についてお伺いをします。

 私たちは、消費税法案に対しまして、政府と民主党執行部の強引な手法に抗議し、民主党を離党いたしました。現下のデフレ状況、現下の経済の状況において、消費税増税の先行は許されません。九日の予算委員会においても、総理は、日本の今大きな課題は経済の再生であり、デフレ脱却と経済の活性化のために政策を総動員してしっかりやると答弁しておられます。

 では、実際、地方経済はどうなっているでしょうか。私の地元だけではなく、小売そして卸売業者は、この不景気の中で消費者に五%の消費税分を上乗せできない、卸と小売で、三%、二%をどちらがどれだけ負担するかを相談している、利益がもともと少ない中でこれを負担するとなると、もう私は廃業するしかないという話を聞きます。

 そしてまた、野田総理は、私と同郷、同年代でございますので、共通の友人がおります。共通の友人の方から、今増税すれば経済が壊れる、野田をとめてくれと言われました。その方に申し上げたんですけれども、あなたが言ってください、私たちは当然言いましたと。金子さん、どうしてもとめてくれと言われています。

 これが今、地方の経済の状況です。これを受けて、いま一度総理の御決意をお伺いしたいと思います。

中井委員長 総理の前に、岡田担当大臣。

岡田国務大臣 まず、金子さんが先ほど言われた牧さんの話ですが、私が申し上げたのは、牧さんは厚生労働副大臣を、野田政権スタートとともに、少なくとも半年以上やられたはずなんですね。この間、社会保障制度改革の省内の本部長代理あるいは代行もやられたということですから、やはり社会保障制度の内容について当然責任があるし、あるいは少なくとも、その中身がないというのであれば、あるようにする、そういうことが可能だったのではないですかということを私は申し上げたわけでございます。

 それから、今の話ですけれども、もちろん、消費税の引き上げは……

中井委員長 その話は総理大臣が答弁しますから。

岡田国務大臣 わかりました。

野田内閣総理大臣 国民の皆様、特に中小企業、零細企業を経営されている皆様、家計のやりくりに苦労されている皆様がそれぞれの経済活動や生活への悪影響について心配をされているということは、私も十分よく承知しているつもりでございます。共通の友人が誰だかちょっとわかりませんけれども、私の友人の中でもそういう心配をしている人がいることは間違いないだろうというふうに思います。だからこそ、経済の再生というのはしっかりやっていかなければいけない。

 足元は、今実質四・七%の成長です。これを、今緩やかな回復傾向でありますけれども、成長軌道にしっかりと乗せていくということ、それを緊張感を持ってやっていきたいというふうに思いますし、やはり、デフレ脱却、経済活性化、これは国民が望んでいます。まさに、消費税を上げて国民の御負担を上げる、その前に経済を好転させるために全力投球で頑張っていきたいというふうに考えております。

金子(健)委員 総理、そのようによく申されています。

 私も地方議員をやっておりました。総理も地方議員から国会議員になられた。ここまでは随分道のりは違いますけれども、今同じ立場で同じ目線でいられる方だと思って、私、幾つか実例を述べさせていただきたいと思います。

 福島原発、三月十一日以降、さまざまなところで風評被害があります。ホテル、旅館、いわゆる観光業の方々に対する風評被害があります。五県に対して、今損害賠償請求がありますけれども、例えば千葉県、外房では損害賠償対象になっておりますけれども、内房はまだありません。内房の方々は大変厳しい状況です。風評に風評が重なりますので、木更津等々の方々に対して、顧客が去年より減っているという悲鳴が上がっています。それに対して損害賠償が行われていない、これも一つの今の政治のはざまではないかというふうに思っております。

 これが一つの課題となりますけれども、これは一つずつ聞いていきます。これに対しまして、今後の、そして今の見通しをお答えいただきたいと思います。

枝野国務大臣 御承知のとおり、観光などに対する風評被害については、福島、茨城、群馬、栃木は中間指針がありますのでこれに基づき、それから、それ以外の千葉県と山形県においては、観光関係団体と東電の間で賠償を類型化して、できるだけ迅速にお支払いをするという協議を行って、合意できたところから順次賠償の支払いを行っているところでございまして、外房について進捗していることは承知をしております。

 内房についても、関係団体の皆さんが東京電力とその類型化による処理、お求めがあれば当然東京電力はそれに応じて交渉するべきであるというふうに思いますし、もしまとまらなければADR等の手法もあります。また、類型化以外の方法で個々に東電に対して請求していただく、簡単にまとまらなければADRなどを御活用いただくということで進めているところでございますが、特にADRなどの対応が必ずしも迅速ではないという御指摘を受けておりますので、できるだけ急がせるように、これは文部科学省が所管でございますが、文部科学大臣にお願いをして進めているところでございます。

金子(健)委員 最後にまとめてまたお話をさせていただきたいと思いますけれども、もう一つの個別の事例として、釣り船があります。漁船です。これはある意味漁業です。港を使って、船を使ってということです。属しているのは漁業協同組合。しかし、お金は釣り客からいただきます。観光なんです。この方々に対して今損害賠償がされていません。いわゆるはざまに入っています。役所でいうと、国土交通省の観光庁、そして水産庁という形になります。どちらがどちらだと言っている間に一年半がたってしまいます。

 このことにつきまして、どのような対応をされるのか、お伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 いわゆる遊漁船の損害については、漁業という形での営業損害で請求いただいても、それから観光業ということの風評被害ということで請求いただいても東京電力は賠償の請求を受け付けているという報告を受けておりますが、もし門前払いをされているようなことがありましたら、具体的に御指摘いただければ私の方から行政指導をいたしますので、ぜひ後ほど事務的に、個別の問題、こういう案件についてということを御指摘いただければというふうに思っています。

 恐らく、実際の遊漁船の被害の実態からすれば、漁業の営業損害というよりは、観光業として風評被害の請求をしていただいた方が実態に合うと思いますが、そのことを含めて、個別のことがあれば、当然東電は交渉に応じるべきだと思っておりますので、御指摘ください。

金子(健)委員 最後の実例として申し上げます。

 地域の建設業の方々、御存じのようにどんどんどんどん潰れていってしまいます。馬淵議員が国土交通大臣をやられたときに入札制度改革の閣議決定をされたというふうに思っております。これの実効性がまだまだないというふうに地域の建設業の方々は言われていますけれども、現状とそして見込みを教えていただきたいと思います。

羽田国務大臣 お答えをさせていただきます。

 建設投資の減少に伴う受注競争の激化により、災害対応など地域社会を支えている建設産業が疲弊をしている、こういうふうに私も認識をさせていただいております。

 このため、昨年八月には入札契約適正化指針を閣議決定し、競争参加資格としての地域要件の適切な活用、そしてダンピング対策の強化について定め、地方公共団体に対しても要請し、周知徹底を図っているところであります。

 さらに、今月の十日になりますけれども、建設産業戦略会議の提言を踏まえ、地域を守り支える建設産業を育成するための入札契約制度の改革を、関係省庁とともに連携し、速やかに実行に移していきたいと思っております。

金子(健)委員 今申し上げた三つはほんの一例だというふうに思います。

 私たち国民の生活が第一は、増税の前にやることがあるというふうに申し上げております。総理の方から、これは並行してどんどんやっていくものだというふうにお話はありますけれども、今私が申し上げているのが地域の実情なんです。これをきちんとやらなければ、増税法案が提出されて、そして今採決をされた、それだけの影響でもうやめようという方々もたくさんいるんです。

 これを十分に情報としてきちんと認識をしていただいて、行政改革も含めて、今総理そして大臣の皆さんが言われたことは、皆さんはそう思っていらっしゃるかもしれませんけれども、行政の末端までは行っていない。だから、このような時間差がある。そして、行政のはざまが起きてしまっているんです。これが現実の実情なんです。

 まず最初にやらなきゃいけないことは、増税をすることではなくて、この辺をきちんと整備すること、それが一番最初に大事なことだと私は思っています。

 続きまして、社会保障についてお伺いします。

 九日の予算委員会で、民主党、公明党の議員との質疑を聞いてまいりました。そこで改めて感じましたのは、増税先行、社会保障の先送り、自公と民主党の考えに大きな隔たりがあるということでございます。

 国民会議を設定して成案を図ると言いますけれども、総理は本当にまとめる気があるんでしょうか。あると思ったら相当な楽天家ではないんでしょうか。それとも、また民主党の社会保障を捨てても妥協を重ねるということになるのでしょうか。民主党の反対意見を無視して、また自公政権の言いなりということになるんでしょうか。総理のお考えをお聞きしたいと思います。

中井委員長 自公は政権じゃないですから。(金子(健)委員「失礼しました」と呼ぶ)

岡田国務大臣 まず、委員、増税先行とおっしゃいましたけれども、もちろんそうではなくて、今回、全体で八本の法案が衆議院で可決されました。税金に関するものは二本であって、残り六本は社会保障に関するものでございます。年金で二本、子ども・子育てで三本、そして議員立法一本でございます。

 年金の中では、パートへの年金の拡大とか、それから被用者年金の一元化とか、あるいは年金加入期間、受給するために必要な期間二十五年を十年にすることとか、そういう中身が含まれておりまして、これはそれぞれ非常に重要な中身だと私は思います。したがって、それが増税先行、社会保障置き去りということでは決してないということでございます。

 子ども・子育てについても、もちろん、認定こども園の大幅な拡充がなされて、そして幼保一元化というものが力強く一歩進むことになった。そして、そこに七千億円のお金を投入して、働くことと子育てがきちんと両立できる、そういう状況をつくり出そうということで、三党で合意をして、可決されたわけでございます。

 そういうものがきちんとありますから、別に増税だけが決まったわけではございません。

 そのことを申し上げた上で、しかし、委員御指摘のことにかかわるかと思いますが、確かに、後期高齢者医療制度といいますか高齢者医療の問題とかあるいは年金の問題については、これは国民会議で議論するということになりました。国民会議については期限が切られていまして、一年なんですね。一年の間にきちんと結論を出さなきゃいけませんので、これは棚上げでも何でもなくて、三党がきちんと、さまざまな残された社会保障の問題について議論をして、結論を出す責任があるわけです。ぜひそこのところを御理解いただきたいというふうに思います。

金子(健)委員 その国民会議が問題だと私は思っているんです。

 九日の谷垣総裁の質問の中で、谷垣総裁はこう言っていらっしゃいます。確認書の合意というのを三党で結びました、これは、あらかじめ三党で議論することになっておりますが、自公は、おっしゃったようなことは賛成できないわけですね、私どもは少なくとも賛成しません、そのような話をされています。

 私たちがここで聞いていて、普通に考えると、社会保障の考え方が違い過ぎるというふうに思います。その中で、一年を区切りとして国民会議で合意を得なければいけない、その合意が得られなかった場合はどうするのかと聞いているんです。お願いします。

岡田国務大臣 もちろん、我々の高齢者医療の考え方とか年金の、最低保障年金あるいは所得比例年金、これは、自民党、公明党から見れば、賛成できないということになると思います。だからこそこれは議論が必要なわけで、我々はこれが重要な政策だと。

 例えば、今の年金制度を考えたときに、やはり国民年金にこれだけ多くの人が加入できていない、あるいはしないという状況は放置できない。それを解決するための切り札として、我々は最低保障年金ということを申し上げているわけです。それに対するいろいろな自民党、公明党からの御異論は当然あるわけで、まさしく、そういうことを虚心坦懐に話し合う場として、三党の協議の場があり、あるいは国民会議があるということであります。

 できなかったらどうするか、そういう悲観的な見方ではなくて、これはやはり、年金制度をよりよくするということは非常に重要なことなので、国民の立場に立って真摯に議論していく。できなかったらどうかなどということは、考えるべきではないというふうに思っております。

金子(健)委員 これだけで時間が過ぎてしまいますので、最後に申し上げておきます。

 きのうの参議院本会議の中で、自民党の鴨下議員からお話がありました。そのときの答弁をお話しさせていただきますが、民主、自民、公明三党合意で、今後の公的年金制度、高齢者医療制度に係る改革は三党で協議することになっているが、我が党はこれを認める結論にならないと述べられたという話を聞いております。

 本当にこれをベースに今の国民会議をやられていて、結論が出るんでしょうか。民主党は今、岡田副総理が言われたような、どうしても譲れない部分は、よく野田総理も言われています。その中で、一年間で結論が出るんでしょうか。今までの経験、私も民主党にいた議員として申し上げさせていただければ、また妥協をするんでしょうか。ここにいるみんなを裏切ってまで、また政調会長一任で結果を出して、一年後に決めるということになるんでしょうか。私は心配でなりません。

 時間がありませんので、最後にもう一つ、TPPについてお伺いをさせていただきます。

 産経新聞の七月十日版によりますと、政府は九日、環太平洋経済連携協定、TPP交渉参加で、八月中に参加を正式決定し、米国など関係九カ国に通告する方針を固めたと報じられております。これは事実でしょうか。

古川国務大臣 お答えいたします。

 御指摘の報道は承知をいたしておりますが、政府として、八月中にTPP交渉参加を正式に決定する方針を固めたという事実は全くございません。

金子(健)委員 また、同じように、国家戦略会議のフロンティア分科会の報告書、七月の六日に出されておりますけれども、そこで、環太平洋パートナーシップへの参加を通じてというような中間報告が出ていると思います。これについて大臣の御所見を伺います。

古川国務大臣 お答えいたします。

 フロンティア分科会は、国家戦略会議のもとに設置されたものでありまして、有識者議員の皆様方に自由闊達な議論を精力的に重ねていただいて、そのコンセンサスを分科会の責任において取りまとめていただいたものであります。

 この報告書については、これは国家戦略会議の方に報告をしていただきましたが、これが直ちに政府の方針となるものではございません。

金子(健)委員 時間になりました。

 最後に、農水大臣にお伺いをします。

 今のお話を聞いていても、TPP交渉参加にまだ結論が出ていないというふうに思っております。農水大臣はさまざまなところで、まだまだ情報が提示されていないTPPについて発言をされておりますけれども、ここで再度確認をさせてください。TPPに対する考え方をお聞きしたいと思います。

郡司国務大臣 TPPは、今お話がありましたように、私どもの関心がある事項について、あるいはまた相手の私どもに求めているものについての情報の収集を行っております。

 それらの情報を開示して、しっかりと議論をした上で最終的な結論を出すということになろうかと思います。党の議論も続いております。最終的には、政府がそのような総合的な上に立って判断をするものだというふうに思っております。

金子(健)委員 ありがとうございました。終わります。

中井委員長 この際、三宅雪子さんから関連質疑の申し出があります。金子君の持ち時間の範囲内でこれを許します。三宅雪子さん。

三宅委員 国民の生活が第一の三宅雪子でございます。

 まず、冒頭に、九州における集中豪雨で被災に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 さて、野田総理、二〇〇九年の夏、民主党のスローガン、キャッチフレーズは何だったのでしょうか。

野田内閣総理大臣 一番の表紙には、政権交代、国民の生活が第一、こういうフレーズが出ておりました。

三宅委員 このたび、その国民の生活が第一というスローガン、そして二〇〇九年夏の理念、志を持って、私は党を出ました。新しい党、国民の生活が第一の人間として、本日、質問をさせていただきます。初質問となります。よろしくお願い申し上げます。

 まず、総理は大変演説が上手なことで知られています。代表選でのドジョウ演説、私も本当に感動いたしました。あれは本当によかったです。しかし、よくなかったのは、消費税の話をすればよかったですよね、それがなかった。これはちょっと残念です。

 しかし、実は、野田総理の一番いい演説は、二〇〇九年夏の大阪の議員の応援演説、シロアリ演説だと私は思います。あの演説はすばらしい、実行していればなんですけれども。いろいろな意味で、こちらは後世に残る演説になるというふうに思います。

 野田総理、御自分ではどちらの演説の方がいい演説だとお思いですか。

中井委員長 その大阪の演説というのは、誰の何の演説ですか。

三宅委員 野田総理が、御自身がどちらがお好きですかということです。

中井委員長 どこでやった演説。

三宅委員 シロアリ演説とそれからドジョウ演説です。大阪のシロアリ演説です。森山さんのときのシロアリ演説です。

野田内閣総理大臣 いろいろな演説をやってきました。その場その場で一生懸命お訴えをしておりまして、どっちがいいとかどっちが悪いということはありません。いつも反省も多いです。そんな、自分でどっちがいいとかと評価するような話ではありません。その場その場で一生懸命お訴えさせていただいております。

三宅委員 その場その場ということだったんですが、この二〇〇九年の夏は、私も含め、誰しもが総理と同じ熱い思いを持って、同じ気持ちだったというふうに思います。しかし、私から見て、あのときの演説をされた総理から大分変わられたように感じる次第でございます。

 税金に群がっているシロアリを退治しなければいけない。一匹も今シロアリがいないとお思いでしょうか。あのとき総理は、並行してやるというふうにはおっしゃっていません。退治するとおっしゃったんです。そして、消費税は上げないとおっしゃったんです。もう一匹もシロアリはいないとお思いでしょうか。

野田内閣総理大臣 きょう、午前中の質疑でも申し上げました。九八年の民主党の結党以来、生活者主権、納税者主権、消費者主権、これは基本的な我々の理念というか、魂だと思っております。

 特に、納税者主権を考えたならば、やはり税金の無駄遣いはさせない。既得権益にはびこっているいろいろな、シロアリという表現を私もしたことがありますが、そういうものは取り除いていくということは、これは終わりのない事業だと思っています。これまでもやってきた、これからもやり抜いていくということでございます。

三宅委員 時間がないので、この件はまた質問させていただきます。

 官邸の前の抗議の声、この件に関しまして、音とおっしゃったという報道もありましたけれども、実際、これは音とおっしゃったんでしょうか。

野田内閣総理大臣 それはどういう根拠でのお話ですか。私は言った記憶はありません。

三宅委員 これにつきましては、たびたび委員会でも出ております。

 抗議の方々は人数が毎週毎週ふえている。総理の地元船橋でもデモが起きている。そして、ほかの大臣の地元でもデモが起きている。この抗議の声は、時間がたつにつれて、おさまるどころか、どんどんと大きくなっています。なぜでしょうか。これは、総理の御説明に国民が納得していないからなんです。

 総理は一度、街頭演説の延期をされていますよね。国民の皆様の前で話したいとおっしゃって、しかし、あの日は不測の事態があって延期になられた。あの街頭演説をもう一度やって、説明したいとお思いなんでしょうか。この状況をどのように収束させたい、皆さんに納得していただきたいというふうに思っているんでしょうか。

野田内閣総理大臣 原発再稼働についてのお話だと思います。また、今、国民の同じような関心事である一体改革、これは、国会審議を通じて、あるいは記者会見を通じて、テレビを通じて、機会があるごとに御説明をしてまいりました。内閣支持率は余り変わらないんですが、世論調査の傾向は、例えば社会保障一体改革も、そして原発の再稼働も、賛成と反対の差が縮まってきています。これからもしっかり説明していきたいと思います。

三宅委員 世論調査の結果はさておき、人数はふえている、そして総理の御地元、違う大臣の御地元にも御抗議の声がふえている、そのことをどのように収束させようとお考えなのか。世論調査のことは聞いていません。

野田内閣総理大臣 民意の捉え方はいろいろあると思います。官邸周辺で多くの方が集まっている事実は、重く受けとめなければなりません。ただ、それを収束させるということは、私にはそれはできません。それぞれの個人の思いで参加をされているわけでございます。

 あくまで、多くの国民の皆様が、大体、国論を二分するテーマでありますから、いろいろなルートからいろいろな声が入ってきます。さまざまな声、多くの声が入ってきますけれども、できるだけ私どもがやろうとしていることをしっかり御説明して、御理解をいただけるように全力を尽くしていきたいと思います。

三宅委員 次は、ちょっと話を移しまして、大津で起きたいじめとされています中学二年生の自殺について、大臣にお聞きしたいというふうに思います。よろしいでしょうか。

 この件を正式に大臣がお知りになったのは、いつなんでしょうか。

平野(博)国務大臣 三宅委員の御質問でございますが、知ったという意味でいきますと、報道に接しましたのは七月の四日でございます。ただ、私、国会の御理解をいただいて海外に行っておりまして、実際には六日ということになりますが、四日に向こうでメールか何かで知りました。

三宅委員 大臣がお知りになったのが四日ということも私は驚きなんですけれども、まず文科省の担当者が知ったのが二十四年二月だということでございます。しかも、これも、教育委員会からの話ではなくて、全国紙を見て知ったということです。では、教育委員会に問い合わせをしたのかというふうに聞いたところ、問い合わせをしなかったそうです。しかも、政務三役に話を入れなかった。その間、事がどんどんと大ごとになっていって、民事訴訟が起きたにもかかわらず、政務三役に入れていなかった。そして、七月四日の日に報道が大々的にされて、大臣に報告が上がったというわけでございます。

 このことは、一つの市、県というところを超えて、本当に全国の保護者の方の心配事項と今なっているわけでございます。そして、残念ながら、警察の方が三回にわたり被害届を受理しなかった。これは文科省の方からははっきり聞いております。そういった中で、大変信頼関係が損なわれている。

 そういった中で、きちっとした調査が今後進められるというふうには私は思いません。また、思われていないというふうに思います。このことに対して、平野大臣はどういうふうにしていこうかと。きのう、本当に異例なことですけれども、学校の方に捜査が入った。そして、暴行事件ではないかという疑いがあるわけですけれども、ここまでの事態に十月からなってしまった。この間、何回か大臣に報告が上がってもいい状況はあったわけでございます。

 お聞きしたところ、年間、昨年でいう三百一件のうち、いじめとされるものは四件。この数字自身も私自身はちょっと違和感があります。この数字の精査はぜひまた大臣にしていただきたいというふうに思いますが、その四件についての御報告はされていたのか、そういったことをふだんから気にされていたのか。そして、今後このことをこれだけ大きくなって心配している保護者の方に対してどのようにしていくのか、例えば第三者委員会みたいなものを考えているのか、教えていただけますでしょうか。

平野(博)国務大臣 この案件につきましては、昨年の十月十一日に滋賀県の大津市立中学校二年生の男子生徒が飛び降り自殺をした、こういうことでございます。そのときには、文科省としても状況はつかんでおりました。その間、今、三宅さんがおっしゃるように、いろいろな意味で訴訟が起こっておる、こういう経過もございます。

 しかし、私どもとしては、やはり子供の命というのは非常に大切である、守らなきゃならない、この気持ちは常に持ち続けている、またいなきゃならない、こういうことでございまして、特に、昨年、児童生徒の自殺の事案が多く発生をしておりまして、文科省としても、何としてもこれを防ぐ方法ということで、昨年の六月に、実は、背景調査の基本的な、原因究明を含めて、しっかりするようにという通知を発出いたしてございます。その中に、学校、教育委員会に通知する、こういうことでやっておりまして、それの周知に努めてきましたが、残念ながら今回こういう事案が起こった、こういうことでございます。

 私としては、何としても、今までのやり方が本当にいいのかどうか、このことも含めて、しっかり見直さなければならない、かように実は思っております。

 六月のときにも、被害者の方もおられるわけでございますので、被害者の方の意向も十分踏まえて、中立的な立場での第三者委員会をしっかりつくって確認をするようにということもその通知の中に記載をさせていただいております。それが本当にやれていたのかどうかということは、事後になりますが、今、状況をしっかりつかんでいきたい、かように思っております。

 一方、自殺の件数でございますが、文科省のとっております数字と警察がまとめている数字と、年度の違いはあるんですが、いろいろな要因があるということで、四件あったということについては私は承知をいたしております。

 いずれにしましても、大変痛ましい事件でございますし、私としては、本当に心から御冥福をお祈りいたしますとともに、二度と起こさない、こういうことで、文科省が受け身的な発想ではなくてより前向きにこの問題を解決しなきゃならない、こういうことで、しっかりと再発防止に努めてまいりたい、かように考えております。

三宅委員 平野大臣の大変真摯な御答弁、ありがとうございます。

 もちろん真相の究明とともに、先ほどお話ししたとおり、三百一件のうちのいじめが四件ということで、しかしながら、教師との人間関係とか、いろいろな細部にわたりまして、いじめと疑われかねないものも幾つか含まれています。ですから、この四件、本当に四件なのかということを含めて、数字の精査をぜひしていただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

 最後に、総理にまた御質問させていただきます。ガバナンスについてでございます。ガバナンスといいますか、物事の優先順位につきまして、本当に僣越ながら、私がちょっと疑問に感じたことを申し上げます。

 これは一例です。例えば、総理の面会につきましては、政治的な判断もあって、一概に誰に会って誰に会わないというルールはもちろんないというのは重々承知をしております。会っても、それは公開されるべきでないと私も思っております。しかし、どうひいき目に見てもちょっとおかしいのではないかという事項が最近も取り上げられました。七月一日、東京新聞でも、総理はちょっとそういう傾向があるのではないかと、これは私じゃないですよ、東京新聞で取り上げられました。

 六月二十七日、十三時三十分から参議院議員総会に総理は出席されていました。そして、十四時八分、三十八分ぐらいたったところで、まさに議論が白熱していました。それは、総理が命がけで臨んでいる消費増税などの話の議論の最中です。その最中に、大事な来客があるとおっしゃって中座をされました。この大事な来客というのは誰だったんでしょうか。

野田内閣総理大臣 二十七日が参議院総会ですね。その二日前の二十五日に代議士会で、結束を呼びかけてという会合がありました。それを踏まえて、幹事長、幹事長代行から、参議院の総会においてもきちっと、これから参議院の審議になりますので、決意と要請をしっかりやった方がいいということで、お話をしに行きました。そして、参議院の執行部からも、約三十分出てほしいということでございましたので、それで出ていったわけであって、私は大事なお客さんがあるからという言い方は、むしろ幹事長がお話をされました。(三宅委員「いや、参議院の議員が皆さん言っています」と呼ぶ)

 参議院のその総会において、幹事長から、外国のお客様があるから出るというお話があったんですが、それは事実じゃないので、お客様はありますけれどもと言って、それで私はお許しをいただいて出ていったということでございますので、これは参議院執行部御了解の上で出ていっている話でございます。

三宅委員 参議院執行部が了解していても、参議院議員が了解していなかった。そして、皆さんは、よほど偉い外国の要人に会うと思って、次の日の首相動静を見てびっくり。何と一回生議員と、参議院議員全員をほったらかして会っていた。

 どちらが先約だったんでしょうか。誰と会っていたんですか。

野田内閣総理大臣 さっき申し上げたとおり、参議院執行部御了解の上で、私が去った後にお一人、お二人の発言があったということでありましたけれども、どんどん皆さんが手を挙げているときに出ていったわけではございませんので、それは参議院の執行部の御判断で、正しいというふうに私は思っております。

 その上で、どなたに会ったかということでありますが、たしかあの日は衆議院の一年生の有志の方と、その三十分か四十分後会ったと思いますが、その前に、その人たちに会うために先に戻っていたというよりも、大事な電話のやりとり等々もあったので戻っているということでございまして、それは日程には出てきておりません。

三宅委員 わかりました。では、総理は、消費増税に命をかけるとおっしゃっているけれども、その議論よりも大事なお客様がいらっしゃったので中座したということですね。

 そういったことで、消費増税に命をかけるとおっしゃっている総理、優先順位が違っていませんか。復興復旧に命をかけるというのが普通じゃないですか。ですから、大増税内閣であってはいけないというふうに思います。被災地の、現地の大臣が笑っていらっしゃいますけれども、この内閣は復興復旧内閣であるべきだというふうに思っております。

 国民の生活が第一が党名ですから、私は当然この党名を繰り返すことになりますけれども、二〇〇九年の夏を鮮やかに思い出していただきたい、総理に思い出していただきたい。最後に一言申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

中井委員長 これにて金子君、三宅さんの質疑は終了いたしました。

 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 冒頭、野田総理、先ほど来テレビを見ておりましても、随時、九州・熊本、大分方面の大変な大雨による災害、死者、行方不明も出ている、また、数万世帯に避難命令が出た、こういう事態が起きています。亡くなられた方あるいはまた被災された皆さんに、心よりお悔やみ申し上げます。

 と同時に、総理、七月の三日ぐらいから十日ほどにわたって、九州方面は断続的に大変な大雨の災害を受けています。これに対してどのような手を打ってきておられるか、まず冒頭、お聞きしたいと思います。

野田内閣総理大臣 九州地区を中心とした大雨に対する被害、これまでも、最近もございました。それに対しては、政務三役を派遣して、現地からの報告を上げていただいております。

 きょうのこのまさに記録的な豪雨については、朝の段階で官邸において情報連絡室を設け、今は官邸の中でさらにレベルアップした組織を立ち上げまして、緊張感を持って対応したいというふうに思っておるところでございます。

赤松(正)委員 昨年の三・一一の直後、要するに、この今の時代は巨大災害の時代、このような位置づけ、規定づけ、そういう時代に私たちは突入しているんだ、こういうことを科学者、いろいろな方々から指摘を受けます。最近の、今申し上げたようなそういう大雨についても、やはり、甘く考えないで厳しく対応していかなくちゃいけない。きょうのこの大雨も、かつてなかった大雨である、こういうふうな、気象情報の中でも特筆されるべきものだ、そういう指摘がありますので、しっかりと対応をお願いしたいと思います。

 さて、まず冒頭ですけれども、民主党は、もう既に、ことしの初めですか、正確なときを忘れましたけれども、党綱領を見直す、検討する作業に入った、党綱領を見直す作業に入ったと聞きますが、まだできない。この状況はどうなっているんでしょうか。

野田内閣総理大臣 政調の中に綱領を検討する作業チームを立ち上げて、今その作業チームの作業をしていただいているところでございます。

赤松(正)委員 この党綱領なるもの、党綱領がないと言うと、あると、総理はいろいろな場面でおっしゃっています。ついこの間も、参議院の自由民主党の議員からの指摘に対して、いや、党綱領は事実として言えばあるんです、こういう言い方をされておりました。

 しかし、これは、しっかりと拝見をさせていただくと、党綱領的なるものと言うにも値しないような非常にお粗末なものだ、そんなふうな言い方をせざるを得ません。これを、私に言わせれば、もう政権交代した時点で、この一番最後のくだりに「政権交代可能な政治勢力の」云々という言葉がありますよね。ですから、三年前に政権交代を実現されたんですから、その時点で直ちに、おくればせながらでもやるべきだったと思うんですけれども、なぜそれがおくれているんでしょうか。

野田内閣総理大臣 九八年結党時につくったのは、いわゆる基本理念という形で、名称として綱領とは使っておりませんが、政党としての届け出をする際に、いわゆる綱領としての位置づけの中で出したものでございます。

 その評価は、今厳しい御評価がありましたけれども、その当時、結党時のメンバーで問題意識を共有したものを、短い文章でありますけれども、簡潔にまとめたものであります。

 その中には、きょうの討議の中でもお話しさせていただきましたとおり、生活者主権であるとか消費者主権であるとか納税者主権とか、その後もしっかりとその理念を堅持しながら、その後のマニフェストにも生かしてきた、そういう考え方も基本的には置いてあるというふうに思っております。

 ただ、それからもう十数年たちました。そして、累次のマニフェストもつくってまいりました。それから、各年ごとの政策の集大成というか議論の集大成については、インデックスというものもつくってまいりました。綱領という形でそれを厚みを増す作業はこれまでやってきませんでしたけれども、政党としての理念に基づいた議論の積み重ねはしっかりやってきているということでございます。

 でも、その上で、今、先ほど申し上げたような、綱領についても見直しをするための作業に入っているということでございます。

赤松(正)委員 大臣、いろいろ言われましたけれども、この間の答弁、川口順子さんの質問に対して、しっかりした考え方を共有しながら物事を進めてこなかった、そういう趣旨の発言をされています。

 私は、こういう政党に政権を託さざるを得なかったという日本国民は本当に不幸だ、そう言わざるを得ない。しっかりした考え方を共有しながら物事を進める、そういうことができてこなかったということを民主党の最高責任者が認められているということは本当に残念だ、そんなふうに思います。

 次に、きょう、これから前半の部分、議論することに関連するんですが、民主党は極めて国家戦略という言葉が好きな政党だなと。政党の中に、政調会長が、国家戦略室ですか、そういう部門を設けてそこについたり、あるいはまた、今、内閣の中に国家戦略担当大臣、大変に重みのある大臣だと私は思います。古川さんがその大臣の任に当たっておられますけれども、この国家戦略担当、これは何をする部署なんですか。

古川国務大臣 これは、まさに二〇〇九年のマニフェストのときに、国家戦略局と行政刷新会議を置くという、それに基づいて、局の手前の国家戦略室というものが置かれたものでございますけれども、これは、総理直属の機関として、内閣として重要な事項、特に今、国家戦略室におきましては、国政の内外にわたる、内閣として重要な事項、予算であるとかあるいは税制あるいは経済政策、そうしたものを中心に、重要事項について、司令塔としてその方向性を示して、そして各省に対して指示をしていく。

 まさにそうした、総理の直属の機関として、戦略室、今はその上に戦略会議というものを置かせていただいておりますけれども、ここが政策面での重要事項の司令塔として機能しているということでございます。

赤松(正)委員 大体、政党で、政党自体にそういう政党の戦略がない、そういう集団が国家戦略なんておこがましい、そんなふうに思います。今の話を聞いていても、総理直属で、司令塔の役割で、さまざまな政策に対して指示を出す、こうおっしゃいましたけれども、そういうふうなことをやっているようには全く見えない、そんなふうなことを指摘しておきたいと思います。

 さて、きょう私が冒頭で取り上げたいのは、いわゆるエネルギーの問題であります。このエネルギーをどう選択するか。先ほど、自由民主党の齋藤委員からもいろいろありました。私とはちょっと、角度が少し違う点になろうかと思いますけれども、しかし、エネルギーをどう選択するのかということについては、これは日本国国家として極めて大事であると思います。

 しかし、さっきの古川さんの話の中にも、平板な言い方をされて、当面はこれに力を入れているというふうな言い方が何もなかった。私の理解では、エネルギーをどう選択するか、エネルギーのベストミックスというこの問題については、相当に大きなテーマである、私はそう思うんですけれども、そういう国家戦略担当大臣を中心とする今の野田政権の、この三・一一以降の、エネルギーをどうするのかという問題についての熱意が伝わってこない、めり張りが全くきいていないと思いますけれども、いかがでしょうか、総理大臣。

中井委員長 古川担当大臣。何もやっていないと言われていますから、ちょっと弁解を。

古川国務大臣 はい。

 昨年六月にエネルギー・環境会議というところを設けて、これは菅前政権のもとでございますけれども、そこで脱原発依存の方向を決めて、そのもとで、これからのエネルギーのあり方をどうするのか、あるいは原子力政策をどうするのか、あるいは環境政策をどうするのか、こうしたことについて、総合エネ調等それぞれ、そのエネルギー・環境会議で決めた基本方針に基づいて議論を行って、そしてその結果を踏まえて、さきにあの三つの選択肢というものをお示しさせていただき、今、国民の皆様方に御議論をいただいて、そうした皆様方の声も踏まえて、八月をめどに、エネルギーミックスの政府としての責任ある方針を決めさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

赤松(正)委員 私、去年の十二月に、衆議院外務委員会で野田さんに質問しましたね。たくさんのメンバーからの質疑をやっておられるので覚えておられないと思いますが、今まで、私だけじゃなくて、当院あるいはまた参議院においても、原子力発電あるいはエネルギーに関することを聞いたら、必ずと言っていいぐらい、夏まで待ってくれ、来年の七月に、あるいは八月に、夏に一定の結論を出す、方向性をまとめる、こういうことが答弁として返ってまいりました。そうですよね。

 それで、野田さん、いよいよ夏がやってまいりました。夏がやってきた。今、古川大臣はいろいろなことを言われましたけれども、しかし、私が見るところ、そういうふうな、つまり、去年の十月ですか、六月ですか、そういうスタートをして、二十五人の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会、このメンバーが議論をしてきた。そして、今、六月の段階で一応終わった。こういうふうな流れがあるんですけれども、去年からことしにかけての議論というものが国民の中にほとんど見えてこない。それで、突然、七月からそういう国民の皆さんの意見を聞く。これでは何を聞こうとしているのか。

 さっき私はめり張りがきかないと言ったけれども、何か、スタートラインで総理大臣が国民の皆さんに呼びかけをする、こうこうこういう理由で皆さんにお聞きしたい、こういうこともあっていいはずだと思うんですけれども、全くそういうことがない。野田さん、何なんですか、これは。総理大臣、この辺で答えてください。

野田内閣総理大臣 エネルギーの中長期のあり方についての考え方を、去年の段階から、年央にはまとめていきたい、それまでの間に国民的な議論をしていきたいというお話を再三、国会での赤松委員の御質問も含めまして、お答えをしてきたというふうに思います。

 その中で、ではこれまで国民的な議論がなかったのかというと、御指摘のあった総合エネ調等々を含めての会議にも、多くの皆様の声もたくさんお寄せいただいております。そういうお寄せいただいている意見なども踏まえながらの議論をしてまいりました。

 ただ、正式に、これは今三つの選択肢という形で国民同士の議論もしていただくわけでございますので、そのキックオフの仕方が多分弱いという御指摘だとするならば、どうやっていくのか、ちょっと何か考えたいというふうに思います。御指摘はありがたいというふうに思います。

赤松(正)委員 要するに、キックオフなんですよ、総理大臣。

 要するに、古川さんが先ほど来言っておりますけれども、参議院で情報提起がないじゃないかと言われたことに対して、古川大臣も、また、今、野田総理大臣もある種同じことを言った。つまり、総合エネルギー調とか原子力委員会とか、要するに私が今問題にしている今回の二十五人の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の議論以外に、いろいろなところで今まで意見が出たんだ、そういうものを国民の皆さんに御提示させていただいていると古川さんは答えたんだよね。今、野田総理大臣もそうなんだ。それは非常に、私たちから見ると、ずるずるずると来ている感じがするんですよ。

 やはり、今までどういう議論があったかは別にして、あの三・一一以降の大変な、私が冒頭言った巨大災害の時代、これまでとは全く違う大きな災害が必然的に起こるんだ。報告書にも書いてありますよね。だから、今までのエネルギーに対する考え方と全然違うんだという状況の中で、大変な議論を二十五人がされた。読みましたよ、報告書。

 さっき枝野大臣が齋藤さんとのやりとりの中でいろいろおっしゃっていたこともよくわかっています。そういう議論が全然反映されていない。これは、幾つかの議論があった、こういう議論もあった、一方でというような格好になっておりますけれども、ちょっとばかりおかしい。これは、五年やった憲法調査会の議論のまとめについてもいろいろ枝野さんや私は苦労してやりましたけれども、そういうやり方とも全く違って、変な感じなんですよ、今回のこの総合資源エネルギー調査会基本問題委員会のまとめは。

 ですから、今、お二人の大臣の答弁を引かせていただきましたけれども、この一連の議論の反映のされ方というのは非常にずさんだ、私はこう思いますけれども、反論はおありでしょうか。

枝野国務大臣 総合エネルギー調査会の基本問題委員会について御議論、フォローいただいていること、大変ありがたいと思っております。

 エネルギー・環境会議に報告をした中間まとめについての御評価、これはさまざまな御評価があろうかと思います。

 その上で、これからの国民的議論にしっかりとそれを生かしていくということで、私の方から委員の皆さんにお願いをいたしまして、今までの議論を踏まえて、それぞれイコールではないですけれども、三つのシナリオについて、自分のニアリーイコールの選択肢について、こういう議論をしてきてこういう背景でとか解説をしていただくというようなことをそれぞれの委員の方にお願いして、これをエネルギー・環境会議のこの選択肢のホームページのところに全部くっつけて、それぞれの、今までの議論を踏まえた委員の皆さんからのいわゆる見解といいますか、それから、それの背景になっている資料等もしっかりとお示しをする、こういう手配をさせていただいたところでございます。

 さらに、これまでの総合エネルギー調査会の議論が国民的議論に生かされるように、また御示唆、御指摘いただければ、できるところから順次急いで進めてまいりたいと思っております。

赤松(正)委員 枝野大臣、今、三つのシナリオということを言われましたけれども、この三つのシナリオが提示されているのは知っています。何で三つのシナリオなんですか。

枝野国務大臣 まず、前提として御理解いただきたいのは、三択で、何か議論が終わったところで、これのどれか、そのままの形でこれに決めますということで選択肢をお示ししているというものではございません。

 例えば、いわゆるゼロシナリオにしても、二〇三〇年までにゼロですから、多分、その結論は、そこはいいんだけれども私は二〇二五年までにゼロだとか、直ちにゼロだとか、いろいろな御意見があると思いますし、一五についても、二〇三〇年一五ですが、いや、そこから先ゼロに、そのままの延長線上でいくなら賛成だけれども、そうじゃないなら反対だ、いろいろな多様な意見があると思います。

 実際に、総合エネルギー調査会などの議論も多様なものがございました。国民的な議論を進めていただく上で幾つかの軸をお示しして、それを軸に、いや、私はこれに近いけれどもこうだとか、こういう議論でないとなかなか国民的議論が進まないのではないか、こういう思いで三つのシナリオをお示ししているということでございます。

赤松(正)委員 いや、全然答えになっていないんですよ、枝野大臣。

 要するに、なぜ三つなのかというのは、私は、大ざっぱに言えば四つだと思いますよ。つまり、先ほどの自民党委員とのやりとりの中で、政府があらかじめ予見を持って提示するのではないんだとおっしゃいましたよね。そうなんですよ。だとするならば、私風に言わせれば、大ざっぱに大枠は四つです。

 まず一つ目は、直ちにゼロですよ。二つ目が、段階的にゼロです。今言っているところの一つ目のシナリオが二つ目に来るんです。三つ目が、今言っているところの二〇から二五ということなんでしょう。そして四つ目は、かつての原子力ルネサンスみたく、要するにふやしていく。こういうのも、ニュートラルな立場から見れば、そういう主張をした人もいるはずですよね、ごく少ないでしょうけれども。

 だから、そういう四つの提示をするのがある種自然なのに、三つのシナリオにしちゃっている。

 シナリオというのも、どうも私は気に入らないんですけれどもね。三パターンとか、さっき、冒頭、総理大臣はシナリオという言葉は使われなかったですね。シナリオというのは、大体、台本とか劇の何とかで、余りいいイメージを持たないんですけれども、何となくおかしいと思います。

 というのは、先ほど大臣が軸ということを使われました。今回のエネルギーベストミックスをどうつくっていくのかという国民に提示しているこの問題は、原子力発電軸、原発軸だけなんですよ。何で原発軸だけなんですか。

 要するに、国民に情報を開示するんだったら多様な軸があっていいはずです。文字どおり、さっき大臣言われたでしょう。私に言わせれば、そういう原発軸だけではいけない、そう思うんですけれども、どうでしょう。

枝野国務大臣 まず、シナリオという表現がいいのかどうかというのは御指摘を踏まえてよく考えなきゃいけないと思うんですけれども、私の思いとしては、どうも選択肢というと何か三つの中の一つのどれかしかないんだ、こういう印象を与えてはいけないなということで、余り選択肢を意図的に使っていないところがあるんですが、シナリオという言葉にも問題があるかなということについては、真摯に受けとめたいというふうに思っています。

 それから、直ちにゼロと、それから従来どおり原発をたくさん使うという選択肢もあり得るのではないかと。

 もちろん、これは国民的な議論を今フリーにお願いをしているわけですから、そういう御議論があって当然だと思いますし、そういう御意見がたくさんあったりとかすれば、またそれを受けとめなければいけないとは思っておりますが、これは、今のエネルギー・環境会議のスタートのときから、原発依存からの脱却、脱原発と原発依存からの脱却、何が違うのかという御意見もあるかもしれませんが、今は依存をしている、少なくとも三月十一日まで依存をしていた状態である、これはだめなのでという、ここまでの方向は政府として決めさせていただいて、お示しをさせていただいている。

 ですので、政府として、まずこの枠の中で、ではどれぐらいのスピード感で、どこまで脱却をしていくのかということについて選択肢をお示しさせていただいたということで、白紙で、フリーでということを申し上げましたが、その大きな方向については、昨年六月に示させていただいた枠の中でということで今回示させていただきました。

 繰り返しになりますが、両サイドの、外側の意見について、全く排除するものではございません。そういった意見も含めて、さまざま御議論をいただければと思っております。

赤松(正)委員 そういうのを含めてさまざまな議論をいただきたいといっても、そちらが言うところの三シナリオという形で提示されたら、なかなかそれは難しいですよ。

 それから、まず私が申し上げたいのは、再生可能エネルギー導入への力点が弱過ぎるということですよ。再生可能エネルギーというものをどのようにして導入していくのかということが、全くこの報告書からは見えない。

 今皆さんのお手元に配らせていただいた資料の二ページ目、「再生可能エネルギーの導入内訳(二〇三〇年の総発電電力量に占める割合)の推計」というのがありますけれども、選択肢一、二、三、これは先ほどのシナリオ一、二、三ということなんでしょうけれども、これをずっと見ますと、いわゆる再生可能エネルギーの中で風力だけが、一二、七、七から三というふうに選択肢一、二、三の中で違いを見せていますが、あと、右、太陽光、地熱、水力、バイオマス・廃棄物、こういうものについては、わずかに地熱が、選択肢一、いわゆる一シナリオで四パーということだけで、あとはみんな同じ数字です。これはどういうことなんでしょうか。

枝野国務大臣 先ほどの、もっと多様な軸があるのではないかというお尋ねとも共通するかと思います。なおかつ、もっといろいろな可能性があるじゃないかという御指摘だと思いますし、私もそう思います。

 二つ理由がありまして、一つは、まさにこれは本当に多様な組み合わせがあって、百人百様と言っていいんだろうというふうに思います。そうしたことの中で、例えば、百パターンありますけれども皆さんどうでしょうかということでは、かえって御議論がしにくいのではないか。では、三つに絞ったら、絞り過ぎではないかという御批判も真摯に受けなきゃいけないと思いますが、決して三つだけではありません。その中で、いや、俺は、確かに、ゼロはゼロだけれどもここのところは違うんだとか、これはどんどん出していただきたいと思います。

 その上で、この数字が一致しているのは、これは総合エネ調の御議論をフォローしていただいていれば御承知かというふうに思いますが、やはりそこでの御議論の中で、例えば、太陽光は大体六ぐらいだねということは、おおむねこれは一致をされていたというのが私どもの理解でございます。

 率直に申し上げて、私自身、議論を全部フォローしていまして、ここのところで、いや、もっとたくさんいくのではないかとか、こんなにいかないんじゃないかという議論がもっと激しくあるのかなと実は私自身想像していたんですが、そこのところは、おおむねこれぐらいの線じゃないかということは、委員の皆さんの間では一致をしていた。しかも、繰り返しになりますが、かなり幅広い委員の皆さんがいらっしゃるということでございます。

 今後、例えば我が党の中も、いや、もっと早く、二〇二五年にもっと再生可能エネルギーを入れられるはずだということの御提起も先日いただきました。もちろん、国民各層、各界各層ですが、特に、民意を代表している各党あるいは各政治家の皆さん、より具体的に、ここはもっとできるとかさまざまな御提起をいただければ、当然、それも真摯に受けとめながら、議論の集約を努力してまいりたいと思っております。

赤松(正)委員 先ほど来の話を聞いて私は不思議な感じがするのは、要するに、いろいろ意見を言ってくださいとおっしゃっていますよね。私に言わせれば、その六月末、三シナリオを決める前にそういうふうなことをすべきであった、あるいは、国民に提示する前に、言ってみれば、今そういうことをやる、国民提示の前にやらなきゃいけない、そう思うんです。

 例えば、整理しますと、要するに、この再生可能エネルギー軸というものがあってもいいと思うんです。それから時間軸。これは二〇三〇年で区切っていますよね。二〇三〇年とは、今から十八年後です、約二十年後。それを三十年あるいは四十年とする中で、どうやって再生可能エネルギーを、省エネをやっていくのかというふうになれば、また違ってくる。

 ですから、さっき百云々と言われたが、そういうことを私は言っているんじゃなくて、大きな軸を複数用意する、そういうことを国民に提示しなくちゃいけない。今、もう既に国民に提示しているんですよ。提示している状況の中で、いろいろ意見があったら言ってください、そんなことでは国民は戸惑うばかりですよ。

 だから、そういう軸を、原発だけの軸を国民に示すということの前に、いろいろな軸、少なくとも、私の言うところの時間軸あるいは再生可能エネルギー軸、こういうふうなものを示すということがあってよかったと思うんですが、どうでしょう。

枝野国務大臣 御指摘は、ある意味、うなずきながら聞かせていただいているところでございます。

 率直に言って、私自身、迷いました。総合エネルギー調査会の御議論、これを誘導することはしちゃいけないというふうに思いましたけれども、どういうふうに整理していただくかについては、一定の示唆を委員長などにもお話をした部分はあります。

 そのときにも、確かに、ではなぜ二〇三〇年なのかと。例えば、二〇三〇年はゼロじゃないかもしれないけれども、二〇五〇年は明確にゼロという意見も、これは有力にあるだろうというふうに思います。これを排除するつもりは全くないんですけれども、では、幾つぐらいの軸と、その軸の中における、二〇四〇年ゼロの人と、二〇五〇年ゼロの人もいるし、二五年ゼロの人もいるし、本当にここは御意見のある方それぞれの思いがあって、さまざまな意見がある。

 これをたくさん並べれば並べるほど、議論は、ある意味、錯綜、混乱をするところもある。では、かといって、絞っても、このうちのどれかに決めるんですと、これもあってはいけないということで、最初に申し上げましたとおり、議論をする上での三つの選択肢をお示ししましたが、それぞれのお立場、御意見について、例えばパブリックコメントなどについても、自由記載でいろいろなことを書いていただける、それについてはしっかりと精査をさせていただいて、例えば、風力はどのシナリオもみんな甘いとか、太陽光はどのシナリオもみんな厳しいとか、いろいろな御意見があり得る。そういったことを整理するのは大変ですけれども、しっかりとやってまいりたいと思っております。

赤松(正)委員 いや、だから、さっきの繰り返しになりますけれども、そんなことを今言っているんじゃだめだということなんですよ、枝野さん。英邁なる枝野大臣が、大分苦労したということをおっしゃったということは、私は大変な情報開示だと思いますけれどもね。

 枝野大臣、私が言っているように、繰り返すようですけれども、要するに、まあ、百歩譲って、三シナリオに、表向き、出すのはいいとしましょう。しかし、その背後には、時間軸、そして再生可能エネルギーを、この報告書を読んでいくと、引き算という考え方があった。原発を抜いた後、この再生可能エネルギーを、どうしたら原発のない分を、原発で埋められない分を満たすことができるのか、そういう考え方が大事だと書いてあるじゃないですか、そういうことを主張した人がいたということを。だから、要するに、そういうことに立脚した軸を後ろの方につけておく、そういうことがあったら、何も混乱しませんよ。

 だから、そういう点で、極めて今回のやり方というのは、本当に生煮えのまま出している、そう言わざるを得ないと思います。

 その上で、肝心のテーマが曖昧なままなんですよ。この問題、まだいきますけれども、例えば一つ、要するに、原発の新増設をどうするのか。これはどうするんですか。

枝野国務大臣 まさに新増設をどうするのかというのは大きな論点だというふうに思っていますが、全体として原発をどうするのかというまず大きな方向性について、国民の皆さんの御議論を踏まえた方向性を示す。

 極端にわかりやすい話をすれば、例えば二〇三〇年ゼロシナリオであれば、これは、新増設はあり得ないだろうというふうに常識的に思います。結論を先取りして申し上げているわけではありません。

 それから、そもそも、二〇三〇年一五%シナリオというのも、これも、今の自然体で、四十年廃炉、八〇%稼働率ということを機械的に適用し、なおかつ新増設が困難であるという現状を踏まえたものであるという背景は御説明しておりますので、それぞれの、例えばこの数字、この三つのどれかになると限るわけじゃありませんが、原発、何年ごろ、こういう数字ということがまず大枠が決まったところで、新増設についてほぼ必然的に結論が出てくるということだろうと思っています。

 その上で、あえて申し上げると、ほぼ完成をしている幾つかの原発をどうするのかとか、そういう話は、最終的には応用動作として議論はあるかと思いますが、おおむねそれぞれの方向性が出れば、それに基づいて決定をしていく話だろうというふうに思っています。

赤松(正)委員 何だかよくわからない話を言っておられましたね。

 あと、原発の四十年廃炉ルールをどうするのかとか、あるいは大飯原発の再稼働、これは本当に、大変重要な問題でしたよ。野田総理大臣が国論を二分しているというあのときの、大飯原発の問題について、現実な観点に立ったら再稼働を認めざるを得ないと発言をされたあの記者会見を見たら、前半で国論を二分と言っておきながら、後半、脱兎のごとく、再稼働に結論を導いていくという話をされているわけですね。そういう問題とか、あるいは使用済み核燃料の最終処分場の問題について、これは一つ一つ聞くと長くなるので一点に絞りますけれども、いずれも曖昧なんですよね。

 温室効果ガスの削減という問題はどうするんですか、環境大臣。

細野国務大臣 温室効果ガスの削減というのは、我が国にとっても、世界にとっても極めて重要な目標であります。

 先ほど来の赤松委員の方からの御議論の中で、中央環境審議会のことが一度も出てまいりませんでしたけれども、実は精力的に議論をしてまいりまして、そこで出てきた選択肢とエネルギーの選択肢を合わせる形で今回提示をしております。

 二〇三〇年のめどとして立たれる二〇%台半ばの目標と、そして二〇二〇年というのが非常に大きな目標になってまいりましたので、それについての現実的な姿というのを提示して、これも極めて重要な問題でございますので、国民の皆さんにしっかりと御議論いただきたいというふうに思っております。

赤松(正)委員 二五%の目標をどうするのかということを全く触れられませんでしたけれども、どうなんですか。それを聞いているんです。

細野国務大臣 二〇二〇年ということに関しましては、数字として出ておりますこの数字というのは、一〇%前後という数字になっております。これは国内の真水の数字でございますので、それに、森林吸収源と、そしてCDMの制度を初めとした、海外の排出量を我が国に取り込んでいくというこの制度を合計したのが、国際的に提示をしてきた数字ということになってまいります。

 これは、したがいまして、この二つの数字というのは明示をしておりませんので、一概に比較をすることは難しいわけでありますけれども、二〇二〇年の二五%という数字そのものについては、極めて厳しい状況になっているというふうに認識しております。

赤松(正)委員 ですから、ここでも時間軸というものが大事になってくるんですよね。だから、そういう点で、今回の、国民の皆さんに七月一日から提示をして国民的大議論を受けるというものの中身というのは、至って情報開示がいいかげん、そんなふうに私は断定せざるを得ないと思います。

 要するに、夏の終わりまでに決めるんですか。大体の方向性を決めて、そうしてそれを日本のエネルギー計画の中に反映させるということを大臣はほかの場所でおっしゃっておりますけれども、そういう国民的議論、皆さんが言うところの国民的議論後の、私は情報開示が極めていいかげんだと思うんですけれども、その後の政策決定プロセスというのが曖昧だと思うんですよね。

 どういう主体が何をどういったプロセスで決める、エネルギー基本計画の中に入れるというふうにしているんでしょうか。先ほど来、総理大臣も、あるいは枝野大臣も、私がここで言ったことを含み込む、あるいはそういう意見を一般にいろいろ聞かせていただきたいということを言われましたけれども、そういうことも含めて、どのように収束させるというか、日本のエネルギー基本計画の中に入れていくということを考えておられるんでしょうか。

古川国務大臣 これは、八月をめどに、国民の皆様方のさまざまな御意見を踏まえて、政府として責任のある決定をエネルギーミックスについて行いたいと思っています。それを踏まえて、エネルギー基本計画であるとか、また原子力、核燃サイクルの話、そしてまた環境の話、それぞれの担当大臣のところで、そうしたエネルギーミックスを踏まえた上で決定をしてまいりたいというふうに考えております。

赤松(正)委員 だめですよ。要するに、さっき言っているようなことがいろいろ指摘をされている、そういうことがあるのに、今言われたのは、八月に決める、国民的議論を一応やったという形をとるのはだめ。

 総理大臣、要するに、総理大臣が、先ほど私の提言に対して、考えるというふうな意味合いのことをおっしゃいましたよね。総理大臣、要するに、先ほど来言っているのは、時間軸あるいは再生可能エネルギーというものをどのように充足させていくか、こういうところについての情報開示を加える、修正を加えた上で国民にいろいろ提示をする、これをやってほしい。やらなきゃいけない。そういうことをやった上で、総理大臣が国民の皆さんに直接呼びかけてください。

 このキックオフ、私風に言わせれば、号砲一発というのがないとだめです。こういう大事な問題を、非常にルーズな形でずるずるいくのはだめ。総理大臣、答えてください。

野田内閣総理大臣 その号砲一発のやり方をどうやるかというのは、これはちょっと検討させてください。もう既に国民的な関心事だとは思いますけれども、大いにこの選択肢を中心に議論してくださいという号砲のかけ方、それはちょっと宿題とさせていただきたいと私ども思いますが、多くの関心事で、多くの皆様に関心を持って議論に参加をしていただきたいというふうに思います。

 議論をしていただく際に、さっき、いわゆる時系列の置き方であるとか、あるいは再生エネルギーを中心に置く軸の置き方とか、いろいろ、私はアイデアとしては納得できるんです。三つの選択肢でありますけれども、議論をいい議論にしていくための工夫というのは、常に改善をしながらやっていかなければいけないなと。どういう取り入れ方をするのかということも、ちょっと今すぐすとんとはこないんですが、非常に問題意識としてはよくわかるんです。いい議論をしてほしいんです、本当に。そのための材料提供とか情報提供というのは一生懸命やりたいと思っていますので、その工夫をやりながらやっていきたいと思います。

 さっき大臣が答えたように、中長期のエネルギーの構成についての方向性を出す、そのときに、先ほど齋藤議員との議論じゃありませんが、では成長とのあり方はどう考えるのかとか、バックエンドの話をどうするのかとか、派生というよりも、一体的にこれまた方向性を出していかなければいけないものが出てまいります。それは十分認識をしているつもりでございますので、そのときにまた改めて、この国会審議も含めて、そのときもまた国民的な議論になるようにしなければいけないのではないかと考えております。

赤松(正)委員 大事なことを総理大臣は言っておられたと思います。

 ですから、この問題は七月、八月で決着をつけるなんという問題じゃないと思うんですよ。大きな、壮大な日本の方向性を決めるわけですから、ドイツみたく、いろいろなものをひっくるめて二十年かけてやった、ここまではいかなくとも、やはり、私に言わせれば、国民的議論に行く前の学者の皆さんとの協議、あるいは枝野さんが中心になって官僚の皆さんといろいろどうやって提示するかと決めた部分、そういうものがある種ブラックボックスに入っちゃっているんですよ。大臣は一生懸命答弁をしてくれたと思いますけれども、今ごろになってそういうことを言って、それで、あとわずかな期間で、もう言っちゃっていることだから八月で終わりますというのならだめだと思いますね。

 それは、ぜひ大いに検討していただく。宿題だ、こう言われたので、宿題を与えますから、いい結論を出していただきたい、そう思います。(発言する者あり)提出期限。提出期限は、もう早急に、七月、八月でしょう、ゴールは。(発言する者あり)お盆は遅いね、七月いっぱいですね、少なくとも。

 では、やじが多いので、大臣、今のことを、宿題の期限を。

古川国務大臣 総理もお話ございましたように、しっかり総理とも御相談をして対応していきたいと思っていますが、一点だけ、情報については、データベースをつくって、これまでの議論もしっかり見ていただけるように、しかもわかりやすい形で、しかも、これは将来のことでありますから、子供たちでも議論をしていただけるようなわかりやすい説明もお示しをするような、そういうデータベースを今つくって、随時開示をいたしております。

 そういった意味では、きちんとこれまでの議論の情報も提示して、皆様方が、今委員から御指摘のあったような、時間軸とかそういう視点からも考えられるような、そうした工夫はしっかりしてまいりたいというふうに思っております。

赤松(正)委員 ぜひ、そういう複数の視点、さっき齋藤さんが指摘されたような点も一つの軸になるんですね、コスト軸というんでしょうか、そういう部分もあっていいと思います。

 さて、防衛大臣、済みません、お待たせをいたしました。最後に、残された時間、オスプレーの配備の問題について質問をしたいと思います。

 今、オスプレーはどの辺にいるんでしょうか。

森本国務大臣 私の知るところ、アメリカ西海岸を出て、ハワイを経由して、それからグアムの方に向かっていると承知しております。

赤松(正)委員 大臣、グアムに一旦寄るんですよね。

 今、岩国あるいは沖縄、日本全体がこのオスプレー配備の問題について深い関心を持っています。私は先ほど、沖縄県知事、仲井真さんと、私どもの代表、山口代表、副代表たちと一緒に会いました。本当に切々と、こんなにしばしば落ちるオスプレー、これを唯々諾々とわかりましたとは言えません、大臣や防衛大臣にしっかり沖縄の心を伝えてほしい、こう言われました。

 森本大臣、グアムにしばらくとどまってくれというふうにアメリカに言うおつもりはありますか。

森本国務大臣 日本にオスプレーを配備する前に、四月にモロッコ、六月にフロリダで事故が起きたことは事実であり、その結果、地元を初め日本の国内に大変大きな心配とか懸念が広がっていることは非常によく知っておりますし、この問題は大変重く受けとめております。私も、本日、沖縄県知事、昨日は山口県知事ともお会いし、切々と二つの県の状態をお聞きし、御要望を承りました。

 ただ、日米関係というのは、御承知のとおり、非常に円熟した、素直に率直に物が言える関係にありますが、我々というか日本政府は、これだけの事故があって、なおかつこのまま予定どおり持ってくるのかということについて大変事態を深刻に見まして、アメリカに日本として主張すべきこと、もっと全体の計画をおくらせることができないのかということを言い、アメリカにもアメリカの事情があって、相当厳しいやりとりをした結果、岩国に持ってくるが、この二つの事故の調査報告を日本側に提出し、飛行安全が確認できるまでは一切の飛行を行わない、この一点において日米が折り合ったということであります。

 先生の今の御質問のように、ずっと、こういうふうに海を渡ってくる船荷の契約というのは、実は正直申し上げて、私たちは、一番最初に接受国通報をアメリカ側から受けたときに、よくわからなかったんです。といいますのは、アメリカ政府が民間のアメリカの海運会社と契約をして船荷をずっと運んでくる。どこに何日寄るのかということも我々は通報を受けてなかったわけです。

 正直申し上げて、この契約はアメリカ政府がアメリカの民間海運会社と約束をしている契約に基づく海上輸送であって、今のお言葉ではありますけれども、私は、いわゆるこの私契約の中に我々が手を入れるといいますか、何かしらの注文をつけるという考えはありません。

赤松(正)委員 大臣、私は、今回の問題は大いに森本大臣にも責任があると思いますよ。要するに、沖縄の人たち、岩国の人たちも含めて、どこの国の大臣だとみんな思っているんですよ。

 私は、「MV―22オスプレイ」という防衛省が出したパンフに注文をつけたのを御存じですか。知っておられますか。うなずいておられるので知っておられるのだから、総理大臣は多分御存じないと思うから言いますが、実は私が指摘する前までは、「モロッコにおいて発生した墜落事故について」「米側が実施してきた」云々と、こういうデータのことが記述してあって、結論部分に、「機体の安全性に何ら問題はない。」と終わっていたんですよ。「機体の安全性に何ら問題はない。」と防衛省がつくった書類にあるというのはおかしいじゃないですか。何ら問題はないとのことであるとか、伝える話なんだから。

 だから、そういうところに、要するに、日本の防衛省がアメリカの代弁者になっている、こんなふうに見えることが、沖縄県民の強い反発、ひいては日本じゅうの、この問題を通じて見る日本政府の、アメリカと日本が関係を深く持って、これは当然大事なことです、しかし、その関係深化の中に大きな隘路というか問題というのがあるのも指摘したい、そう思うんですね。

 最後に、この問題でも一つ提案をしたいと思います。

 万一事故が起こった場合、起こっちゃいけませんけれども、万が一事故が起こった場合の責任の所在というのを明らかにすべきだと思うんです。

 米軍の事故調査に基づいて日本政府が安全を主張しているのじゃなくて、また、防衛省の皆さんが今度アメリカへ行くんでしょう、あるいはまた防衛大臣が行くんでしょう、そういう形ではなくて、日本政府が独自に安全を検証すべきだ。これをしっかりやる。事故が万一起こったら日本政府が責任をとる、こういうことを明確にしないと、この問題は解決しません。そう思います。どうでしょうか。

 では、これは防衛大臣が答えて、最後に総理大臣に聞きたい。時間がないので、短くお願いします。

森本国務大臣 沖縄にオスプレーを持ってきても事故が起きないように、まずこの二つの事故の真相究明というか、原因をきちっと究明して、再発防止策がその中に盛り込まれ、先生の今の御指摘のように、それだけではなくて、アメリカが安全を確認したと言ってみても、我々が真に安全が確認できるという具体的でかつ確実な措置がとられることが非常に重要だと思います。

 その点で、我々は、別途の分析調査もやろうと思っていますし、人も送ってブリーフィングを受けようと思っていますが、いずれにせよ、日本としてきちっと安全を確認するということが何よりも重要であると思います。

 一言だけ。

 米側の代弁者だというお言葉でしたけれども、今の日米関係というのは沖縄を含む南西方面の安全という非常に大きな問題を抱えていますので、そこのところは、日米同盟をいかにして強化するかという大事な視点を考えながらこのオスプレーの配備を進めていきたい、かように考えております。

中井委員長 時間が過ぎています。

赤松(正)委員 ごめんなさい。

 最後に総理大臣に聞きたい。

 今の件は、過去に例があるんです。一九六四年に初めて米海軍の原子力潜水艦が日本に寄港した際に、米海軍が提供する原子炉の安全性を日本の原子力委員会が検証したという過去の例があるんです。

 総理大臣、最後に、今の日本政府の責任、このことについて明確に答弁をお願いします。

中井委員長 赤松さん、二分時間を超過しています。特別に許します。

野田内閣総理大臣 米側から情報提供してもらうというのは当然であります。米側の安全性のチェックというのもあると思いますが、日本政府としても安全の再確認をするという意味においては、例えば国交省なども含めて、日本での安全確認もしっかりやりたいというふうに考えております。

赤松(正)委員 委員長、ありがとうございました。

中井委員長 これにて赤松君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 東京電力福島第一原発事故から一年四カ月が経過いたしました。被害は今なお継続をし、拡大し続けております。避難者が十六万人を超えて、県外避難者は六万三千人に上る。引き続き、困難な、先の見えない生活を強いられております。家族も地域社会もばらばら、そして人間が共同して生活するという当たり前の権利が奪われている。

 福島県の浪江町は、ことし四月に復興ビジョンというのを発表しましたが、その作成に当たって子供たちにもアンケート調査をし、千二百十七人からアンケートを集めました。

 ここに持ってまいりましたが、その中で自由意見ということで、子供たちが手書きで意見を書いているというものがずっと書いてあります。「大人になったとき、浪江町はどんな町になってほしいですか」、この問いに、「原発事故の前の様に放射能の心配のないきれいな浪江町になってほしい」「なみえのいえにすみたい」「かぞくみんなですごしたい」。他方で、「浪江には戻らない。自分に子供が出来たら、住みたくない。もう住めない町。」という声もあり、胸が痛みます。

 そこで、総理、こういう福島の被災地、被災者が深刻な事態になっているという認識、当然持っていらっしゃると思うんですが、どう受けとめておられるでしょうか。

野田内閣総理大臣 今委員御指摘のとおり、警戒区域、計画的避難区域を初め、今なお約十六万人の皆様が避難を余儀なくされているという状況でございます。

 先般、私も福島県をお訪ねいたしまして、いわきの中で仮設住宅に入っていらっしゃる方、あるいは川内村に行って、全村帰還という方針ではありますが、今お帰りになっている方はまだ二割という状況の中で、例えば、子供たちとお会いしても、中学校で早く野球やサッカーの部活動をしたいけれどもメンバーがいない、クラブ活動はバドミントン部だけとか、いろいろなお話を聞いて、帰っていただくための、希望されている人たちのための環境整備をするためには、当然、産業振興であるとか雇用であるとか、あるいは医療、介護の整備であるとかインフラの整備であるとか、あるいは教育環境がどうかとか、いろいろな課題があることを改めて認識した次第でございます。

 帰還を望まれている皆様が一日も早く帰還できるような、そうした整備に全力を尽くしていきたいと考えているところでございます。

笠井委員 なぜそんな事態になっているかが問題だと思うんです。

 国会事故調査委員会が五日の日に最終報告書を衆参議長に提出いたしました。その冒頭にこうあります。「福島原子力発電所事故は終わっていない。」

 その上で、住民の被害状況についてもこう述べております。「住民は事故から一年以上たっても先が見えない状態に置かれている。政府は、このような被災地域の住民の状況を十分把握した上で、避難区域の再編、生活基盤の回復、除染、医療福祉の再整備など、住民の長期的な生活改善策を系統的、継続的に打ち出していくべきであるが、縦割り省庁別の通常業務的施策しかなく、住民の目から見ると、いまだに整合性のある統合的な施策が政府から打ち出されていない。」

 こう指摘があるんですが、総理、そういう責任を感じていらっしゃいますか。

枝野国務大臣 御指摘は真摯に受けとめなければいけないと思っておりますし、また、特に住民の皆さんからどう受けとめられているのかということは、本当に真摯に受けとめなければならないというふうに思っております。

 ただ一方で、今御指摘いただいたことについては、除染、それから賠償、避難区域の見直し、それから今総理がおっしゃられた、具体的に、戻っていただくためのさまざまな作業、これは、復興庁をつくっていただきまして、平野大臣を中心にして、経済産業省、環境省等関係省庁、そのもとに、東京においても現地においても、省庁のことについては縦割りの壁なく仕事をさせていただいているところでございます。

 十分にそのことが伝わっていない現状であるということを真摯に受けとめながら、さらに、できるだけ急いで、今のそれぞれの作業を前に進めてまいりたいと思っております。

笠井委員 そういう責任を持ったことになっているかということなんです。昨年十二月に総理が事故収束宣言を出されて、幾つかの地域では、ことし四月十六日、警戒区域が解除されて、避難指示解除準備区域に区分が変更されるところもある。そして、そこでは宿泊はできないけれども立ち入りが可能となって、あたかも事態が改善されたかのように言われておりますけれども、とんでもないということであります。

 パネルをごらんいただきたいんですが、これは南相馬市の地図でございますけれども、南相馬市の被災状況を示したものであります。上の方から鹿島区、原町区、小高区ということで、この赤いラインが二十キロ圏でありますけれども、黄色いところが三十キロ圏ということです。

 私も一昨日、福島市から飯舘村を通って南相馬市、鹿島区、原町区、そして小高区、この二十キロ圏内で、新たな避難指示解除準備区域のところに行ってまいりました。一言で言いまして、昨年の三・一一から一年四カ月、時計がとまったまま、こういう衝撃的な光景を目撃いたしました。つい一週間前まではカラスの声しかしない、こういう話も聞きました。

 津波で流されたままの車や船がまだ転がっている。家の一階が津波で抜けてしまったままになっている。倒壊した家もほとんどそのままです。田んぼは草ぼうぼうか、あるいは干拓地の方は水浸しのままということで、解除の日を待ち望んで、四月十六日、午前零時を過ぎたときに、真っ先に戻るということで戻られたものの、戻ってみると、上下水道などのライフラインはとまったまま、自宅のトイレも使えない、ごみも出せない、瓦れきの仮置き場も決まっていない。帰宅しても何もできない。本当に期待があったのに、これが絶望に変わって、自殺された方もおられます。また、お話を伺った方のいとこの方は一週間後に心筋梗塞で亡くなってしまったということでありました。

 政府は、収束宣言を出して立入禁止は解除したわけですが、帰るための手だてはとっていなかった、ただ帰れると言っただけであります。

 総理、こんなことで国の責任が果たせる、こういうふうにお考えでしょうか。これは総理に伺いたいと思います。さっきは枝野さんから説明がありましたので、お願いします。

野田内閣総理大臣 昨年の十二月、私が宣言したのは、冷温停止状態になったという、ロードマップに基づいた中での一つの判断をさせていただきました。その後、避難区域の見直しに関して、これは原災本部の決定に基づいて警戒区域の解除であるとか避難指示区域の見直し作業を進めてきており、そのために、除染であるとか必要な事業等を、国がやるべきこと、あるいは市町村が担当するものとかいろいろありますが、それぞれの役割分担の中でしっかりとやっていきたいというふうに思います。

 ただ、被災地の皆様のいろいろな思いがあることは事実でございますので、被災地の皆様に寄り添う気持ちの中で対応していきたいというふうに考えております。

笠井委員 事故が収束したとはっきりおっしゃってから、一連の事態はこういうふうになっているわけです。

 昼間だけでも帰ることができるというのは、生活となりわいの再建の準備が始められるということでありますが、現地で伺いますと、せめて解除する前にそのための最低限の条件はつくっておいてほしかった、それもやらずに解除宣言をしただけで、解除後も瓦れきの仮置き場も排水ポンプの再建も具体的手だてがまだとられていないと。解除をされてから三カ月になります。

 総理、あの収束宣言以降、あらゆる施策や賠償が、結局のところ、現場の実態を置き去りにして収束という方向に進みつつあることに対して、これは私が言っているんじゃないんです、現地の自治体や住民の怒りが広がっているというのが現実であります。

 除染にしても一向に進んでいない。例えば福島県の資料によりますと、県内の住宅でいっても、一ミリシーベルト以上の対象になるのが六十万七千戸ありますが、除染計画があるのはそのうち八万八千戸、実際にやった実績というのはわずか二千戸にとどまっております。農地でいえば十二万ヘクタール除染が必要なのに、それが本当に進んでいなくて、例えば畑地、畑についていえば計画もわずか二千七百三十五ヘクタールで、実績はわずか二ヘクタール、二ヘクタールであります。

 福島に行きまして、いろいろな方から言われました。全ての除染事業に対して、線量の線引きなく一〇〇%国が財政措置することを明確にしてほしい、最終処分場について国が早期に決定をし、仮置き場設置を市町村任せにせずに、安心できる仮置きの技術の確立や住民のコンセンサスづくりに役割を果たしてほしい、さらに、個人で発注する除染、既に行った除染についても計画に位置づけて、かかった費用を国が補償してほしいと、具体的な要望を聞いてまいりました。

 私、国が責任を持つというんだったらやるべき点は幾らでもあるということを、改めて行って感じました。どうして一年四カ月もたつのにこんな程度の実績しか進まないのか、これはどうですか。

細野国務大臣 福島の皆さんには大変、依然として苦しい中で生活をしておられる方がたくさんおられますので、政府の対応が行き届かない点が多々あることについては、改めておわびを申し上げなければならないというふうに思っております。

 先ほども総理からの答弁もありましたけれども、昨年末の冷温停止、事故の収束というのは、これは意味合いとしては、むしろ、オフサイトについての対応に政府として全力を尽くしていくということでありました。そして、そのことは福島の皆さんにも我々としてはもう最大限お伝えをすべく、これまで言ってきたところであります。

 今、笠井委員の方から御指摘があった除染でございますが、直轄で除染をすべきところに関しましては、地域の皆さんの同意をとる必要がありますので、現在その作業を各地で続けているところでございます。

 ただ、同意がなされている間除染ができないのでは皆さんに大変申しわけないことでありますので、常磐自動車道の除染を先行させたり、また拠点をつくることによって、いざ面的な除染がすぐできるように、その準備を進めているという状況でございます。

 一方で、直轄地域以外につきましては、汚染状況重点調査地域に百四の市町村が手を挙げていただきまして、そして、その中で約九割の自治体で法定計画または緊急実施方針に基づく計画を既につくっていただいています。この九割の自治体の中で、個別に幾つのおうちが除染できているかとか、どれぐらい農地ができているかということについては、先ほど笠井委員がおっしゃったような形で、課題があるのは事実でございます。

 私どもとしては、除染の最大の障害になっているのは仮置き場であるというふうに思っておりますので、環境省の職員が、それぞれの町に担当者がしっかり参りまして、仮置き場についての説明であるとか、さらには具体的な設置の仕方であるとか、そういったことについて一緒にやらせていただいている、そういう状況でございます。

中井委員長 細野大臣、除染の費用、七千四百億円、補正か予算でついておったと思うが、さっきの笠井さんのお金の負担について少し御説明をしていただきたいと思います。(笠井委員「いや、いいですよ」と呼ぶ)いや、あれだけぼろくそ言われたら、それは言わなあかぬ。(笠井委員「ぼろくそじゃないですよ。ちょっと委員長、次の質問やりますから」と呼ぶ)それはちゃんと言わないかぬ。

細野国務大臣 では、委員長から御指摘をいただきましたので、費用につきましては、これは国がしっかりと全面的に持つという方針でございます。福島の方に基金をつくっていただいて、そこから除染費用を出しておりますが、さまざまな御要望、つまり、個人でやられたものについて、さらには農地について、いろいろな個別の御要望をいただいておりますので、今、笠井委員が指摘をされたことは、全て私ども直接聞いております。そういったことについてできるだけしっかり対応できるように、現在努めているところでございます。

笠井委員 だけれども、要するに、進んでいないという事実があるわけですね、ここは。だから、本当に国が責任を持ってやる。それを合意が得られないとか、聞き方によっては地域の人のせいにするみたいなことがあっては絶対いけないわけですから、そこは言っておきたいと思います。

 賠償も進んでいないんですね。これは、原発事故被害者と東電との和解ということで、紛争解決センターでいろいろと取り扱っていますが、三千件余りの申請のうち、和解成立は一割以下の三百件足らず。とにかく東電が、和解について一旦はやるよと言ったけれども、それをやらないとまた言ってみたり、あるいは回答期限を引き延ばしたりということで渋っている、妨害しているということが問題になって、政府も対応をとらざるを得ないという問題がある、やっていると思うんです。

 避難区域の不動産賠償についても、まだこれは検討中で進んでいないんですね。政府が支払い額を試算して、古い木造家屋については、築年数に関係なく、新築価格の最低二割までは賠償する方向で地元に説明が始まっていると伺っています。だけれども、二割では家が再購入できないわけですよね。それができなければ生活再建できない。火災保険とか、あるいは都市整備の場合だと、立ち退きだと、相当するものをちゃんとかわりに建てられるように出るわけですから、再購入の価格を賠償してもらわなきゃ建て直しできない、こういう訴え、切々としてありました。

 こういうことさえまだ検討中で、一年四カ月もたったのに具体化していない。どうしてこれで被災者が希望を持てるというんでしょうか。

枝野国務大臣 済みません、まず一言だけ。

 先ほど、避難指示解除準備区域の件についてでございますが、もし、この区域見直しによってすぐに従来の生活に戻れるという受けとめをされた方がいらっしゃるとすれば、そこはさらに丁寧にしなきゃいけないと思っていました。そこを誤解のないように、解除の準備だ、そこから時間がかかるんだということ、準備が始まってからの、インフラ整備を初め時間がかかるんだということは丁寧に御説明をしていきたいと思っています。

 それから、賠償についてですが、ADRがおくれていることについては、これは文部科学省も今総力を挙げて人員の強化等努めていただいている一方で、東京電力が、ADRの結論は事実上片面的な拘束力を持って、それに従えということは、前社長も私の目の前で約束をさせています。

 今回、経営陣がかわりました。例のテレビ会議の公表の問題も経営陣がかわったことによって前に進みましたので、新しい経営陣において、被災者の立場に立って、ADRを通じた和解等が迅速に進むよう、さらに指示をしてまいりたいと思っております。

 それから、不動産の賠償について、これはまさに生活再建に密接にかかわるものでございますので、東京電力に任せることなく、国が前面に立って、関係自治体から御意見を伺いながら、東京電力の賠償基準に反映すべく調整を行っているところでございます。

 現時点でまだ具体的な数字等をお示しできませんが、できるだけ早くさせていただきたいということで、関係自治体から意見を伺うことを、総力を挙げて、全力を挙げて急いでおります。もう少しだけお時間をいただければと思っております。

笠井委員 これは再購入できなきゃ意味がないので、そこのところはしっかりとそういうことでやってもらいたいと思います。

 それで、避難区域から避難して帰還を切望する県民も、避難先での定住を求める県民も、避難区域外で長期被曝の不安に駆られて自主避難をされている県民も、不安を抱えながら残ることを決めた県民の皆さんも、みんな被災者であります。同じ日本国民であります。ところが、三十キロ圏ということでいうと、緊急時避難準備区域ということでいって、同じ区内で賠償や国保税の減免措置等に線引きが持ち込まれたりしている。

 福島県内に分断の線引きをするんじゃなくて、ひとしく支援する義務を政府は負っている。政府は、原発の被害はまだ継続、深化しているという立場に立って、除染、賠償、被災者支援を一体に行う必要があるということを強く求めておきたいと思います。

 それで、あれこれやっている、努力すると。まあ努力しなきゃいけないんですが、一向に進まないというところでいうと、やはりそれは、政府自身が今回の原発事故にみずからの責任をどれだけ感じているのかという問題があると思うんです。

 今回の国会事故調の報告書の重要な指摘の一つは、「今回の事故は「自然災害」ではなくあきらかに「人災」である。」と断じたことであります。

 総理は、この人災という指摘をどう受けとめていらっしゃるんでしょうか。

野田内閣総理大臣 これまで規制と利用が一体的な組織であったことなど、従来の原子力安全の規制体制や体系について問題があったことは、これは真摯に反省をし、原子力安全規制の設計を含めて、規制体制や体系の抜本的な見直しを行っていかなければならないと考えております。

 政府としては、地震発生直後から、深刻な事態であるとの認識のもとで、原子炉の冷却であるとか住民の皆様の避難について、その時点時点において全力で取り組んできたというつもりでございますけれども、しかし、今回の国会事故調の御指摘にもあるように、その後判明した事実やあるいは対応において、事態の認識やその対応において十分ではなかったということも、これは御指摘のとおりのところはあるだろうというふうに思いますので、事故調から受けたこの中身をよく読ませていただきまして、今後、二度とこういうことが起こらないように、適切に対応していきたいというふうに考えております。

笠井委員 今、よく読んでというふうにおっしゃったんですが、国会事故調の報告書は、地震発生前に当然備えるべきこと、実施すべきことをしていなかったことが福島原発の人災につながったというふうに指摘をしているわけです。

 総理も、そういう意味において、今いろいろなことを言われたんですが、人災だという認識を持っているのかを伺っているんです。持っているんだったら、私は、こういう指摘があったら、大飯原発の再稼働じゃなくて、まずとめるべきだ、こう思うんだけれども、人災というふうに認識しているかということです。

野田内閣総理大臣 事業者も、そして政府においても、あるいは専門家の皆さんもそうかもしれませんが、安全神話に浸り過ぎていたという意味においては、これは深く反省をしなければいけないというふうに思います。

 加えて、規制と利用を分離すべきという御議論がずっとあった中でずっと一体で進めてきたという、その判断がずっとされなかったということも含めますと、これは誰がどうのという話ではありませんが、やはり歴代のいろいろな人の判断の問題もあったんではないかというふうに思います。

 また、さっき申し上げたように、一旦地震が発生をし、事故が発生した後、その都度全力を尽くしたと思いますけれども、事故調が指摘するように、その状況認識であるとか対応において十分でなかったということは、これも重く受けとめなければいけないというふうに思っています。

 そういうことなども含めまして、これから二度と起こらないようにするために、今回提言がいろいろ出ておりますけれども、提言の中では、政府の危機管理体制の見直しであるとか、独立性、透明性等の新しい規制組織の要件であるとか、原子力法規制の見直しといった項目がありますが、これらは、先般の原子力規制委員会設置法として法律を整備していただいた分野もあります。あるいは、今回の御提起の中で、すぐにでも実施していかなければいけないものもあるかと思いますので、そこはよく精査をしていきたいというふうに考えております。

笠井委員 安全神話に浸っていた、それから規制と推進が一体となっていたという問題を含めて、そこまで言われるんだったら、天災じゃなくて人災と、何でそこをはっきり言わないのかなと私は思うんですけれども、どうしてもそこをおっしゃらないというのは、私は不思議でしようがない。

 世界が見て、この報告書について、今回の報告書は人災と言っているというのが見出しで出るぐらいばあんと、やはりそういうふうに注目されているわけですよ。報告書にあります。歴代の規制当局と東電との関係においては、規制する立場とされる側の逆転関係が起きて、規制当局は電気事業者のとりこになっていた、その結果、原子力安全についての監視、監督機能が崩壊していたと。このとりこの関係が崩壊しないまま、これまでの、試験をいろいろやるとか、いろいろな意見を聞いてというふうにやって、再稼働を始めていくということになったら、福島の教訓は何も生かされていないじゃないかということになるわけですよ。

 総理がそういう姿勢となると、結局のところは、人災を再び繰り返すということになってしまう。そうなったら、どうやって責任を果たすかという問題だと思います。

 この福島の話、一たび事故が起こったら、ほかの事故とも違う、本当に特別の異質の危険を、原発事故は、長期にわたって、時間的にも空間的にも地域的にも及ぼす。まさにそれを我々一年四カ月、目の当たりにしたわけです。

 今こそ、福島県が復興の基本理念に原子力に依存しない社会をうたって県内の全原発の廃炉を求めている重い事実を受けとめて、原発ゼロ日本への決断を強く求めたいと思います。

 そこで、そういうことも含めてなんですが、先ほど来議論がありました。政府は、将来の原発比率の問題、あるいはエネルギーをどうするかということについて国民から直接意見を聞く、そして八月末までに決定するということで、先ほども赤松委員ともやりとりがありました。三つの選択肢、あるいはそれにとどまらないという話もありましたが、その議論の問題について若干質問してみたいと思うんです。

 この七月初めから幾つかの形態での国民的議論を始めるというふうにしております。その一環として、今週、週末ですね、七月十四日から八月五日までの間に全国で意見聴取会を開催するということでありますが、この開催形式のポイントは何か、説明してください。

古川国務大臣 この意見聴取会は、まさに今回お示しをさせていただいた政府の三つのシナリオ、それをベースにして、それぞれこのシナリオがいいんじゃないかという方々、代表者の方々に三人ずつ出ていただいて、皆様に御議論をいただく、それを私どもはしっかり聞かせていただくという形で進めさせていただきたいというふうに考えております。

笠井委員 国民的議論をするということで、十一カ所でやるということなんですが、一会場ごとの時間というのが、この要項を見ますと、わずか一時間半程度というふうになっていますが、これはどうしてなんですか。

古川国務大臣 そこは、では、何時間やればいいかということでおっしゃっておられるのかと思いますけれども、私どもとしては、お集まりいただいた、それぞれのシナリオをベースに考えられる代表者の皆様方から御意見をいただいて、また、その方々で少しお話をしていただく時間もつくらせていただく、それで大体一時間半から二時間程度、そうした時間というものを設定させていただいたということでございます。

笠井委員 先ほども枝野大臣も、しっかりした議論ということで、三つだけでも多様な意見があるんだ、それからほかの大臣も総理も、しっかりした議論が必要だと言われたと思うんですが、この一会場百名から二百名の参加者ということでありますが、そのうち、今、古川大臣が言われたみたいに、意見陳述するのは、一つのシナリオ、選択肢でわずか三人、掛ける三で九名ということですが、百名から二百名のうちわずか九名しか意見陳述を認めないというのはなぜですか。

古川国務大臣 今回のシナリオの御提示は、国民同士の皆さん方でエネルギーの話について御議論をいただきたい、特に、基本的に原子力依存度を下げていく、その中で、では再生可能エネルギーをどこまで、そしてまた化石燃料もどこまでそこに依存していくのか、原子力の依存度を下げていくというそこをベースに三つのシナリオをお示しさせていただいているわけでございます。

 その中で、それぞれのシナリオをベースにして、その考え方に立たれる方々というものを無作為で今回三人代表として選んでいただいて、お話をいただき、そして、そのお話を受けて、ほかに聞いていただく方々についてはアンケートをとらせていただいて、皆様方がどういうお考えを持ったか、そうしたことも私どもとしては受けとめさせていただくという形で、さまざまな国民の皆様方の御意見をそうした形で聞かせていただきたいという形で今回の形をとらせていただいたということでございます。

笠井委員 そうすると、百名から二百名集まって、三人掛ける三人がお話しになって、それでアンケートであとほかの人は意見を書くと。質疑応答時間はないんですね。

古川国務大臣 ここでは、意見を述べていただく皆様方で御議論をいただく、意見表明もしていただくということを考えておりますので、そうした形でアンケートをいただいて皆様のお考えは私ども受け取らせていただくということを考えております。

笠井委員 そうすると、意見を述べる九人だけが発言すると。

古川国務大臣 その場の発言はそういうことであります。

笠井委員 今週からの三連休、土曜日を含めてですが、さいたまと仙台と名古屋の三カ所で意見聴取会が開かれると要項にあります。

 それで、この三カ所については、昨日、十一日の日に参加申し込みが夕方五時に締め切られたということでありますが、この当日の開催時間、何時からこれをやるかということについてはいつ決定、公表されましたか。

古川国務大臣 ちょっと手元に今ございませんけれども、もう既に、決まり次第、これは公表をさせていただいております。

笠井委員 ちゃんと答えてください。役人、わかるでしょう、事務方の方は。

古川国務大臣 きのう発表させていただいております。(笠井委員「きのうですか。きのうが締め切りですよ」と呼ぶ)はい、昨日発表させていただいております。

笠井委員 締め切った日に開催時刻を発表したんですか。参加申し込み、普通は、いつ、どこで、何時からやりますという話なんですけれども、申し込み締め切りはきのうの夕方の五時なんですよ。今の古川大臣のあれだと、何時から開催しますというのを知らせたのは、決めたのはきのうですか。

古川国務大臣 これは時間調整等がありましたので、そこは、きのうの時点で時間を決めて、発表させていただいたということでございます。

笠井委員 時間調整って何ですか。普通こういうのは、何日何時から、どこでというのは、開催要項で当たり前でしょう。時間調整って何の調整。

古川国務大臣 会場の調整等で時間を調整させていただいたということでございます。

笠井委員 ちょっと説明じゃないですよ。会場は借りているわけですから、借りた途端に時間はわかるわけですよ。

中井委員長 ちょっと答弁を整理してください。

古川国務大臣 募集時点では日にちと場所はお示しをしましたけれども、開催時間については、調整がつき次第お示しさせていただくということで募集させていただいたということでございます。

笠井委員 何でそんなことをするんですか。普通は、何時からなら出られると質問を申し込む人は考えるわけですよ。だから、朝六時だったら出られないし、夕方九時だったら出られないし、だから、何時だ、一時だというので、それで申し込みできるねといって行くわけですけれども、申し込んだけれども、そのときは何時からやるのかわからなくて、後になってから何で開催時間が決まるんですか。

古川国務大臣 遅くなったことは、これは本当におわびを申し上げなきゃいけないんですけれども、先ほど申し上げたように、さまざまな調整をするのに時間が少しかかったということでございます。

笠井委員 ちょっと委員長、これは理解できないんですけれども。

 国民の声を聞くことが目的なはずなのに、さまざまな調整があって、何時から開催するかはその日になって、締め切りの日に知らせましたと。一会場ごとの開催時間はわずか一時間半で、しかも、二百人ぐらい集めて、たった九名しか意見陳述できる者は認めなくて、ましてや質疑応答の時間もなくて、そもそも開催時間すら直前まで誰もわからない。こんなのあるんですか。

 そもそも、この意見聴取会の開催場所の選定についても私ちょっとクエスチョンマークがあるんですけれども、全国十一都市で実施するということでありますが、なぜ十一都市なのか。例えば福井県からは、原発立地の都道府県で見ると北海道、宮城、福島だけで、大都市に偏りぎみではないか、福井県などの意見が十分届くのか疑問が残るという声も上がっている。これだけの大問題ですから、私は、全都道府県とか、もっと全国的に数多く開催すべきじゃないかと思うんですが、何で十一カ所なんですか。

古川国務大臣 今回は、これは別に意見聴取会だけじゃなくて、国民同士でさまざまな形の議論をしていただきたいということで、情報データベースを整備して、ここに必要な、御議論をいただくためのそうした情報の提供というものもさせていただきます。

 また、意見聴取会につきましては、これは動画での中継、配信も行いますので、会場に来れない方々にはそうした形で見ていただくこともできますし、またさらには、討論型の世論調査、そういうようなこともやらせていただきたいというふうに思っています。そしてまた、パブリックコメントでいろいろ皆様方から御意見もいただきたいと思っております。

 今回は、そうしたさまざまな形で国民の皆さんに御議論いただいて、そうした御議論の結果というものを私どもとしては真摯に受けとめていきたいという形で今回さまざまな形をとらせていただいているわけございまして、この意見聴取会だけということではございませんので、御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 討論型世論調査、これは新しくやるというので随分言っているわけですけれども、これも東京で三百人ぐらいで、一回やるだけですよ。

 パブリックコメントといいますが、七月二日から三十一日まで意見を出してくださいと言っていて、そのことをこのホームページで発表したのは七月七日でしょう。事務方に聞いたら七日に発表しているんです。もう二日からパブコメ始まって、三十一日で締め切りなんですよ。これで十分できるかという話だと思うんです。

 しかも、十一カ所といえば、例えば北陸地方は富山市なのはなぜかという話になっています。富山、結構だと思うんですけれども、しかし、北陸でいえば、交通の便を考えたら、何で金沢市じゃないのかという意見もあります。何でですか。

中井委員長 古川担当大臣。時間が来ていますから、短くやってください。

古川国務大臣 別に、どこかを排除してとか、そういうことではなくて、全国バランスよく、さまざまな地域で、そして、私どもがお話しするというよりも、直接それぞれのお立場の方々の御意見を聞く、そういう機会を設けさせていただいたということでございますので、何か特定のところを外したとかそういうことではなくて、全国バランスよくという形で十一カ所選ばせていただいたということでございます。

中井委員長 笠井君、重ねて申します。時間が来ていますから、まとめてください。

笠井委員 先ほど、前の質疑者は二分間延びているんですからね。

中井委員長 共産党さんにもいつも時間を配分しています。

笠井委員 いや、違います。まだあと二分間あります。

中井委員長 ありません。

笠井委員 この十一都市を見ますと、富山市には北陸電力の本店があります。

中井委員長 共産党さん、それはだめです。

笠井委員 仙台市には東北電力の本店があります。名古屋市には中部電力本店があります。大阪市には関西電力の本店がある。福岡市には九州電力本店など、全てが、とにかく電力会社の本社の所在地です。単なる偶然じゃありません。

中井委員長 笠井さん、まとめてください。まとめてください。

笠井委員 最後に総理に伺いますけれども、あれだけの原発事故があって、今後の日本の選択、大事な問題。選択肢そのものもこれでいいのかという議論があるのに、もっときちっとやる必要があると思うんです。このやり方がいいのかどうか。

中井委員長 時間をお守りください。

笠井委員 そしてもう一つ、官邸前であれだけ、二十万人集まっておられます。代表の方が総理に会いたい、直接申し入れたいと言っている。ゼロの会でもそういうことを言っています。

中井委員長 笠井君、次の質問からペナルティーを科しますよ、そんなことやるなら。

笠井委員 そういう形で、きちっと受けとめていただきたいんですが、いかがでしょうか。最後に伺います。

中井委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。(笠井委員「委員長、それはおかしいです」と呼ぶ)だめです。

 次に、斎藤やすのり君。(笠井委員「おかしいですよ」と呼ぶ)大幅に超過しています。(発言する者あり)だめです。

 斎藤君。

斎藤(や)委員 新党きづなの斎藤やすのりでございます。

 梅雨末期の集中豪雨がございまして、熊本や大分で大きな被害が出てしまいました。今夜遅くから、また熊本県内はさらなる豪雨に見舞われる、そういう予報でございます。被災してしまった方には本当に心からお見舞いを申し上げます。政府には速やかで弾力的な対応をぜひよろしくお願い申し上げます。

 私の地元、宮城の被災地を歩きますと、最近、国会では復興のことが余り議論されていないんじゃないか、風化させてはいけないというお叱りを受けます。実際、ことしに入ってから、国会の復興特別委員会では、福島特措法それから原発事故子ども・被災者支援法、この二つの議論以外で復興全般について議論されたというのは、ことし一回しかありません。これは風化させてはいけませんので、ぜひ国会でも活発な議論をよろしくお願い申し上げます。

 まだまだ、復興どころか復旧も進んでいないところもたくさんございます。私の住む仙台は、海沿いでは津波被害、そして内陸部では、余り報道はされていないんですけれども、宅地災害が頻発しました。宅地に亀裂が入ったりそれから擁壁が崩れたり、これで家屋が傾いたりという被害が続出しました。仙台市内では五千八十カ所、宅地被害が発生しております。

 私は、この宅地災害について、震災後すぐ、五月、六月の段階で、早く工事を始めないと梅雨や台風で二次災害が発生してしまうから、一刻も早く事業をつくって工事を始めてくれと、もう私は何度も大臣に要望に行きまして、省庁に足を運びました。現地にも、国交大臣、当時の岡田幹事長、それから官房長官が次々来まして、何とかしなきゃいけないとか頑張りますとか言われて、持ち帰るわけでございます。現地の方からすれば、それは当時のトップの方が来てくださるわけですから、そうやって言ってくださるわけですから、すぐに工事が始まる、何とかしてくれるんじゃないかと思うじゃないですか。ところが、この工事、いまだに始まっておりません。

 震災から一年半たちました。ちょっとこちらをごらんください。仙台だけではありません。仙台も白石などでもそうなんですけれども、五千八十カ所もの被害が出たこの宅地災害なんですが、宅地の崩壊はそのまま放置されています。

 野田総理、この宅地災害の復旧事業の工事、着工されている件数は何件だと思いますか、御存じですか。野田総理、何件だと思いますか。

平野(達)国務大臣 地震でもって、いわゆる滑動崩落して家が崩壊した件数、委員の報告では五千件、仙台の報告では四千数百件というふうに私は伺っておりますが、今、これを二百四地区に分けて、設計を開始しております。復興交付金の基幹事業である造成宅地滑動崩落緊急対策事業を実施するということで、去る三月二日に第一回目の復興交付金の交付可能額通知を行ったところであります。

 この二百四地区、地区ごとによって対策が異なってまいります。あるところでは地下水を抜く、あるところではアンカーを打つ。こういった中で、今、設計を進めると同時に、住民の一軒一軒の方々に、こういう工法でやりますという同意をとりながらやっています。

 このところに若干時間を要しておりますけれども、早期着手が可能な地区については秋から、それ以外の地区についても本年度中の事業着手を予定すると聞いておりまして、復興局としても復興庁としても、この作業の後押しをしっかりやってまいりたいと考えております。

斎藤(や)委員 簡単に言いますと、この工事が始まっている件数はゼロなんですよ。一年四カ月たってゼロなんです。工事が一つも始まっていないんです。

 今いろいろ大臣が言われておりましたけれども、なぜ始められなかったのかといいますと、復興交付金を仙台は待っていたんです。それがいつまでたってもおりてこない。おりてきたのはことしの三月、一年たってからです。ようやくこれから現地調査に入るところなんです。その間にも何度も大雨、台風に遭って、もう二次災害が発生しています。今でも土地が、まさに今、滑っているんです。地すべりが起きているんです。

 私は、昨年まで民主党の議員でした。昨年夏の民主党内の復興財源のあり方を決める会議で、千年に一度の震災なんですから、特別会計から切り崩してでも、日銀による国債の直接引き受け等、禁じ手を使ってでも、ぜひ早期に十兆円規模の予算を組んでくださいというふうにお願いしました。ところが、会議の中で、岡田副総理、当時の幹事長が私の意見に対して、東北にとって千年に一度でも、日本全体にとっては、東海も東南海地震もあるから千年に一度ではないと。前例をつくりたくないということだったのだと思います。

 また、これは報道ベースですけれども、当時の片山総務大臣が五月ごろに、当時の野田財務大臣に、政府がすぐに予算を積んで、自治体が復興計画をつくることが被災者の安心につながる、だから復興債を出して早急に本格的な予算を組むべきだと進言したら、当時の野田財務大臣は、予算の財源を明確にするのが先だと言って拒んだという報道がございました。復興の財源をきちんと確保しない限りは予算は組まない、何が何でも増税したい財務省と、その言いなりになってしまった当時の野田財務大臣。

 復興税の法案が国会で採決されたのは震災から八カ月以上たった十一月末、交付金の一次配分が決まったのは震災から一年たってからのことし三月です。その一年間に、この宅地災害を受けた、被害を受けた方は不安でいっぱいだったんです。自分の家が崩れるという不安以上に、自分の家や庭が崩れて、お隣さんの、崖の下の家屋に被害が及ぶんじゃないか、近所に迷惑をかけてしまうんじゃないか、心配で夜も眠れない。実際に、私に、実は精神を病んでしまったというふうに訴えた方もいました。

 事業に適用された世帯はまだいいです。今回の事業の適用条件に外れてしまった世帯もたくさんありまして、その方は、家でジャッキアップしたり、パイルを入れたり、自前で一千万円以上もかけて再生しております。

 そんな中で、復興の予算が十五兆円のうち六兆円余っちゃったという報道がありました。そのうち一兆一千億円は必要なくなりました、不用です、国に戻します、こんなのを被災地の皆さんが聞いて、納得いくわけがないじゃないですか。

 被災した中小企業を支援する補助金にグループ化補助金というのがあります。この制度については、皆さん大変喜んでおります。ところが、申請が殺到してなかなか補助金を得ることができません。我が宮城県では、予算の枠が三百十五億円、それに対して百四十七グループから一千四百四十一億円の申請がありました。倍率は五倍です。ところが、予算は今回の募集分でなくなってしまいます。

 平野復興大臣、これでグループ化補助金は終わってしまうんでしょうか。グループ化補助金事業は続けるべきだと考えますが、大臣、お考えはどうでしょうか。

平野(達)国務大臣 グループ補助金の答弁をする前に一言だけ。宅地の災害につきましては予算はしっかり確保します。予算を確保して、繰り返しになりますけれども、仙台市の方では住民の方々と、一人一人と話をしながら、今その復旧計画、復興計画をつくっているということは、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 それから、中小企業グループ化補助金でございますけれども、これまで百九十八グループ、三千二百八十九社に対しまして、国費一千四百六十八億円、県費と合わせて二千二百二億円の支援を行っております。

 現在、二十四年度当初予算の五百億円を活用した第五次募集、公募をやっておりまして、七月中にも各県から交付決定を行うべく審査を進めております。この予算が五百億です。しかし、実際には、これをはるかに上回る希望がございました。ここから外れるグループというか企業もございます。この中には、計画を見ると、ちょっとこれはどうしてもなじまないなというのもございますが、中小企業庁の方では、これをブラッシュアップすればきちっとしたグループ補助金になじむようなものもあるというふうに聞いておりまして、これは、経産大臣、安住財務大臣ともしっかり調整しながら、必要な予算は確保したいと考えております。

 幾ら堤防の予算を確保しても、あるいは港湾の堤防の予算を確保したり、ほかの予算を確保したとしても、働く場の確保と住宅の確保がないと復興にはなりません。このことをしっかり頭に刻みながら対応したいというふうに思っています。

安住国務大臣 予算が余ったのはけしからぬというお話ですけれども、自治体からの要望に応じて、ある意味では、ああいう災害でしたから、一次の段階で、斎藤さんも与党にいらっしゃったころなんですけれども、これは多目につけたことは事実です。しかし、結果的に、それが浮いたからけしからぬのではなくて、それはまた復興に充てていくんですね。

 ですから、私は、予算が足りなくてけしからぬということではなくて、ある意味で、例えば仙台市とか宮城県とか、そういう方々から大体要望を聞いた上で予算を措置したんですけれども、昨年中にはやはりなかなか消化し切れなかった。具体で言うと、例えば小学校の予算をつけましたけれども、そこはまだ造成も用地の例えば移動もままならないからそれはそのままあるとか、そういうことでございますから、地方自治体とよく話を進めながら、ぜひ有効にそのお金というものは使っていきたいと思っております。

斎藤(や)委員 三次補正の決定がおくれたということが一番の原因だと思います。

 今、平野大臣の答弁から、これはグループ化補助金は継続するということでよろしいですか。

平野(達)国務大臣 復興担当の大臣として、復興大臣としては、その方向で経産大臣、財務大臣としっかり調整していきたいと思っております。

野田内閣総理大臣 大震災発災した後に、早急に第一次補正予算を組みました。その後の、多分二次補正をめぐっての御議論で、五月のときには、復興の次の予算をつくるための財源の話がまだ決まっていませんでした。復興債がどうのという御提案があったという話ですが、復興債という概念もまだそのときは決まっていないときでありましたので、だから、それは一方的な御指摘だと私は思っております。

斎藤(や)委員 時間がないので、次へ行きます。

 TPPの問題、率直にちょっとお伺いしたいと思います。

 先ほど別の委員から、TPP交渉参加表明、これが八月にも行われるのではないか、そういう報道があるというふうに言われました。野田総理に直接お伺いします。八月中に表明するんですか、イエスかノーかで答えてください。

野田内閣総理大臣 そういう報道ではありました。でも、事実ではありません。

斎藤(や)委員 ノーということでよろしいですか、八月中はないと。

野田内閣総理大臣 いつまでに決める、そういう決め打ちをしておりません。相手国との協議があります。国内における議論の熟度というのもあります。そういうものを踏まえて判断をするので、八月云々とかそういう決め打ちをしているわけではございません。

斎藤(や)委員 米国の大統領選が終わった後の十二月の交渉入りが可能になるデッドラインが八月ということですから、八月、九月、少なくても九月の国連総会のあたりで発表するのではという報道もされております。

 TPPの交渉というのは国民生活を非常に左右いたします。これは消費増税以上に我が国のさまざまなルールが、国民の皆さん、変わります。医療制度、薬価制度、保険、さまざまな資格制度、移民も含めた雇用、公共事業の発注、郵政事業、共済保険、自動車の税制、食品の安全基準、著作権、知的財産。

 このTPPというのは、これは単なる経済連携ではありません。例えば、米国から見た場合にTPPルールに適合しない我が国の国内の規制、法律、条例があった場合に、これは商売の障壁だから取っ払ってくれ、取っ払わなければ裁判にかける、こういうことが認められるわけでございます。裁判にかけられて多額の賠償金を取られる。日本の国のルール、秩序を変更させられる。TPPのルールというのは国民の主権が侵害されるリスクを伴っているということを国民の皆様にお伝えしたいというふうに思います。

 このTPP、八月、九月、早ければということがあるかもしれませんけれども、もっともっと私は国民的議論を広げるべきだというふうに思います。情報公開もまだ全然されておりません。これをしないで、政府の専権事項だからといって独善的に参加表明するのは民主主義の否定です。

 総理、きちんと国会でTPPのことを議論する、集中審議をする、あるいは、公明党さんからも出ていたのではないでしょうか、TPP特別委員会を設置する、こういうことをぜひしていただきたいんですが、野田総理の答弁を求めます。

野田内閣総理大臣 まず、今、TPPの中身の話の中では、ちょっと違うお話が随分あったというふうに思います。ISD条項の話も含めてのお話だと思いますが、これは今まで日本が結んできたさまざまな条約等にも入っていることであって、我が国もこれを使って我が国の企業が守られるということもあるので、これは相互的な問題であって、非常に今被害妄想的なお話が多かったと思いますが、御懸念があるということはわかります。

 したがって、相手国との協議を通じて得た情報についてはきちっと国民のために議論に供するように情報提供していきたいと思いますし、二月以降、いろいろな御説明とか意見聴取の会とかを含めて九十回ほどやってまいりました。

 その上で、国会審議にかかわることは、これは私がどうのこうのと言う話ではございませんけれども、少なくとも、平成二十三年の十一月十一日、衆議院の予算委員会、そして同じ日に参議院の予算委員会で集中審議がありました。そして平成二十四年で、一月三十一日、これは衆参においてTPPに関する集中審議がありました。三月二十六日、参議院予算委員会、外交、安保という枠組みでございましたが、ここでもたくさんの御議論がございました。四月十八日の衆議院予算委員会でもこういう集中審議がありました。集中審議にはなっていませんけれども、TPPについては、御議論はあらゆる機会に行われていると思います。

 特別委員会等をつくるかどうかについては、これは国会のお運びというか、国会の中での御議論だというふうに思っております。

斎藤(や)委員 これは本当に、原発再稼働もそうですし、消費増税もそうですし、国民の合意が必要なんです。私は、これは国民の合意なき国策、原発再稼働、消費増税、そして第三弾がTPP加盟だと思っています。

 原発というのは停止ボタンを押せばとまる。消費増税は政権が交代すれば廃案に追い込める。しかし、このTPPだけは、一度交渉に参加して、だめだからといって出ていくことはできません。相手の国があることなんですから、出たら抜けられないんです。

 総理、消費増税、TPP、原発再稼働、これは国民に対する丁寧な説明、皆さんの同意が必要です。この三つの是非を国民の皆様に審判してもらってください。それは、増税法案が通る前、さらなる原発再稼働のスイッチを押す前、TPP加盟を表明する前に、つまり、今月、八月でもいいので、ぜひ審判を受けるために解散してください。総理、どうですか。

野田内閣総理大臣 今の御指摘も間違いがあると思います。TPPの交渉参加は、それは政府として判断をしますけれども、ただ、これは党内の御議論をよく踏まえて対応しますので、一方的に進めるということはありません。加えて、政府としてそういう意思決定をしたとしても、最終的には国会の御判断を仰ぐことになっておりますので、そういう統制があるということを、間違ったメッセージを出されていることは訂正された方がいいというふうに思います。

 その上で、解散するかどうかでありますが、やるべきことをやり抜いた後に国民の皆様の審判を仰ぐということであります。

斎藤(や)委員 オバマに表明する前に、ぜひ国民的議論とそして国会での十分な議論をお願いいたします。

 TPPの加盟を決めたら、御党からまたさらに続々と離党者が出てくると私は思っています。消費税や再稼働はまだ我慢できるけれども、TPP加盟は許さぬという方が残っています。野田政権はもたなくなるということを忠告しておきます。

 それ以前に、交渉参加を表明するというのであれば、消費税の阻止も含めて、私は、同志と決起して、野田政権を倒しに行かなきゃいけないと思っています。

 決められない政治からの脱却といって、決めちゃいけないものまで決めてしまうのは、将来の世代に対して私は顔向けできません。決めちゃいけないもの、デフレ時の増税、安全が確保されていない原発再稼働、守るべきものを掲げない戦略なきTPP交渉参加、この三つに関しては、国民に説明しないで、国民の審判もとらないで進めることがないように、心から心から心からお願いして、私の質問を終わりにいたします。

中井委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 冒頭、私は、きょう何人かの委員が御質疑になりました、あす金曜日、また恐らくたくさんの、再稼働をめぐって不安を訴える国民の皆さんが官邸にお集まりになると思います。恐らく、一九六〇年の安保改定のときを上回る方が官邸に来られておると思います。

 そこで、野田総理に御質問いたします。

 先ほど来総理は国民との対話、非常に今私どもの国は、どう何を決めていくのかということで困難な、消費税にしろ、TPPにしろ、原発再稼働、そしてオスプレー問題もそうです、本当に国民が一緒に考え、一緒に選んでいかなきゃならない時代が来ていると思います。

 そこで、今週末、先ほど来の、いろいろな十一カ所での討論会があるようですが、それに先んじて、今たくさんお集まりの、官邸前に来られている皆さんに、総理は、官邸の中で声を聞いているのではなくて、出てこられてお会いになったらいかがでしょう。お子さん連れのお母さんとか会社員の会社帰りの方とか、私は、総理が中からや上から見るとは違う方々がそこに来られていると思います。そして、国民的論議というものを総理御自身がこれからやっていこうと思われるのであれば、まず、あした出ていらして、お話しされたらいかがでしょう。御質問いたします。

野田内閣総理大臣 原発に関連するテーマ、これは再稼働、あるいはこれからの中長期の計画なども含めまして、国民の皆様にさまざまな多様な声があるということは承知をしておりますし、私のところにもさまざまな形でさまざまな声が届いてきております。

 官邸周辺に多くの方がデモに来ていらっしゃるということは、私もよく存じています。デモは確かにふえています。ただ、官邸周辺のデモというのは、このテーマ以外にもよくあるんですね。一つ一つ、デモの皆様に私が出ていってお会いするということは、今までも前例がないし、そういうやり方が望ましいのかどうかは、これは別だと私は思います。

阿部委員 まず、総理はデモとおっしゃったけれども、全然デモじゃないんですね。普通総理がイメージするデモでもありません。本当に、ただ来られている。それは、総理が出てみないからわからないんですよ。そして、そうやって決めつければ決めつけるほど、総理と不安を抱えた国民の距離が開くんですね。その一方で国民的論議と言ったって、やはりしっくりこないんですよ。すとんと落ちないんですよ。

 今総理が数々デモはあるからとおっしゃいましたけれども、こんなに多くの人がただ集まってくるというのはなかったことですよ。私は、それくらい不安が強いということと、やはりあの三月十一日の出来事というのは大きくこれからの進路を変える出来事だと思います。

 総理、どうですか。デモではありません。乳母車のお母さんが来ているんです。お会いになりませんか。もう一度お願いします。

野田内閣総理大臣 乳母車のお母さんであるとか、あるいはほかの関係でも官邸周辺にいろいろな方が来られることがありますけれども、官邸周辺のお集まりになった方に私が直接出向いていろいろお話をその都度するというやり方がいいかどうかは別だと私は思います。

 国民の皆様が、去年の三月からちょうど一年四カ月たって、依然として複雑な感情を持っていらっしゃることは重く受けとめなければなりませんし、国論を二分しているテーマだと思います。多くの皆様が大変関心を持っていることは真摯に受けとめなければなりませんけれども、その声の聞き方、判断の仕方については、それはいろいろやり方があるんだろうと思います。

阿部委員 総理がおっしゃったように複雑な感情だからこそ、私はお会いになったらどうですかと言ったんですね。本当に複雑なんだと思います、今国民が置かれた状況は。そして、そのことに対して表面的に論じたら絶対に禍根を残します。

 私は、これ以上総理と問答いたしませんけれども、官邸からお仕事が終わって御自身の公邸にお帰りになる途中でもいいんです、お立ち寄りになれば。そんなに一々さあ会おうなんという構えをしなくても、本当にあの景色が何であるのか、一国を預かる総理にはぜひ肌で感じて見ていただきたい、そんな上から目線でおっしゃっているんじゃなくて。総理の素質、資質にかかわります。

 次に、では、この週末に行われようとしているいわゆる討論。原発のシナリオ、二〇三〇年ゼロ、二〇三〇年一五%、同じく二〇三〇年二〇から二五%と提案されても、これは恐らく何を聞かれているのかよくわからないと思うんです。

 そこで、総理にお尋ねしますが、私たち、原発ゼロの会というのをつくって、これは、国民の中で原発をゼロにしていきたいという願いを持つ人たちのために、この立法府にいる議員がどう応えるかというので、七つの党派の、超党派の議員の会であります。いつまでにゼロにするかはおのおの工程がありますけれども、とにかくゼロにしようという意思を持った議員が集まってまずやったことは、危険な原発を早く廃炉にしていくという作業です。

 総理たちは、安全なものから動かしていくという言い方、あるいは必要性を見て動かしていくという言い方ですが、やはり地震大国にあるこの五十基の原発プラス使用済み燃料棒が入っているプールは非常に危険が強いです。地震だけじゃなくて自然災害に対してもです。

 そこで、私たちがまず、五十基、今残されたものを、直ちに廃炉にすべき二十四基と、それから、おのおの、地盤の状況とか炉の古さとかあるいは周辺の人口とかを分けて、二十六基は恐らく順次廃止していこうという考え方であります。

 そこで、総理に伺いたいのは、例えば、二〇三〇年に原発の依存度一五%という数値をとるには、この中では浜岡原発などは稼働させていないとこの一五%になりません。すなわち、五十基を全部稼働させて、四十年廃炉と新しいのをつくらないというコースにのっとると、幾つも稼働させねばならないものが出てきます。浜岡もそうですし、柏崎刈羽もそうであります。東北で被災した女川や東通もそうであります。

 私たちは、被災したものは廃炉する。浜岡は菅総理がとめた、英断だと思います。それは廃炉に持っていく、危険が高いから。でも、二〇三〇年一五%のときは、これらが動いていないとできません。そのことにお気づきでありましたでしょうか。総理、お願いします。

野田内閣総理大臣 今回お示しをしました三つの選択肢のうち、今、阿部委員から御指摘は、一五シナリオの、二〇三〇年時点で一五%という原発比率のお話だと思いますけれども、これは、既存の原発に四十年運転制限制度を自然体で適用した場合の数字にほぼ相当するものであって、現在ある全ての原発が動いていることを前提とするものではございません。

 そして、いずれのシナリオも、二〇三〇年のときのゼロも、一五も、二〇から二五もでありますけれども、これは個別の原発の稼働状況について特定の想定を置いているものではない、そういう前提に立っているということでございます。

阿部委員 総理がそう説明を事務方から受けておられるんでしょうけれども、間違っています。四十年で廃炉していく、新規をつくらないという前提に立つと、この二〇三〇年時点で動かしている原発の中には、先ほど申しました中部の浜岡四号炉、五号炉、東京電力の柏崎刈羽の二、三、四、五、六、七、これは年限がそうなりますから、四十年炉ではないということですから。それで、東北の女川、東通などが動かないと一五%にならないんです。よく事務方と検討していただきたい。

 危険なものを動かすということは、今の大飯の再稼働一つとっても、活断層の指摘とかあって、大変国民の不安が広がっている。やはりこの国にとって、私はそういうやり方は大きな傷を残すだけである。危険なものを廃炉していこうとドイツのような合意をまずとられること。これは国民が、エネルギー政策と原発もつくり続けてきました、でも地震の列島だった、あの震災、そして災害も経験したんです。まだ帰るに帰れない人もいる。今の総理の御理解は、残念ながら間違っています。私が申し上げた浜岡とかが動いていなければ、一五%にどう計算してもなりません。この次、また御質疑いたしますから。

 では、どうぞ。

野田内閣総理大臣 さっき、個別の原発をどうするかということは想定していないということを言いました。今、ちょっと大事な御指摘があったと思うんですけれども、今もそうです、これからもそうですけれども、危険なものを動かすということはあり得ません。それはあってはならないということです。安全性を、今は今の知見の中で最大限生かしながらチェックします。これから、明らかに危険だ、例えば活断層が走っているじゃないかと指摘されているものがありますよね、そういうものが明確なものを動かすということは基本的にはあり得ない、そこは御理解いただきたいと思います。

阿部委員 だったら、何度も申しますが、二〇三〇年はどうひっくり返っても一五%になりません、浜岡をとめたら。浜岡を動かすんですか。総理、しっかりと点検していただきたい。

 個別のものを云々していないと言うけれども、具体的、個別なんです。原発はそこにあって、何年たっていて、例えば地盤がどうか、人口がどうか、具体なんです。具体の見えない提案をしても国民は選べません。例えば、二〇三〇年一五%は浜岡が動いているんですよと言った途端、国民はその選択肢はとらなくなります。それほどに丁寧な選択肢の提示がないと、具体的でイメージできなければ国民だって選べないと私は思います。

 大事な点です。もう今週末これで出されるというから、先ほど来、再生可能エネルギーの比率はどうか、あるいは工程、そのプロセスがどうなっているのかとか、たくさんいい指摘がありました。焦ることなく、総理もさっきそれを御理解されているんですから、国民に提示するデータです、しっかり検討していただきたいと思います。

 引き続いて、消費税問題に行きます。

 衆議院で消費税が可決された翌日の新聞には、こぞって、この増税が特に中間所得層に負担が重いのだという記事が幾つか、こぞってと言うほど出ました。

 私は、その中で、ここに持ってまいりましたのは、第一生命研究所というところが総務省のやっております家計調査に基づいて、年収を二百五十万円以下、それから二百五十万から三百万、そして三百万から三百五十万と段階的にして、実績に消費増税のそれを掛けて、実際の家計の状況に消費増税を掛けて試算したものであります。

 簡単に言うと、この結果は、年収にして二百五十万から三百万のところが大変に負担が強くなるという図であります。金額にして申しませば、この二百五十万から三百万のところは約十万円、正確には九万八千円であります。二百五十万円以下は七万六千円。消費実態に合わせて、消費税が上がったときの負担を示したものであります。

 総理にお伺いいたしますが、総理のおっしゃる分厚い中間層とは、一体、このグラフでいうと、どこからどこくらいが総理の頭の中では中間層であり、分厚いのでありましょうか。総理の感覚を、申しわけないが伺います。

安住国務大臣 まず、消費税の特性からいえば、それは確かに、広く薄く国民に御負担を願うと私も再三述べてきましたけれども、水平的な税でございますから、そういう意味では先生の御指摘はそうかもしれません。この試算は民間のものでございまして、政府のものではございません。それで、だからこそ今、三党で、逆進性対策はしっかりやっていきましょうということがまず一点。

 それから、もう一つは、先生、少し視点を変えてみますと、大変申しわけありませんが、我が国における国民負担率というものにもう一回着眼をしてもらわないと……(阿部委員「違う答弁じゃないですか。委員長、仕切ってください。私は、分厚いとは何かと聞いているんです」と呼ぶ)

中井委員長 答弁中ですから。

安住国務大臣 国民負担率は、我が国はやはり低いんです。ですから、その分、サービスをすれば、どうしたって孫子に借金をしてしまうという構図を変えないといけないということです。(阿部委員「ちょっと待ってください。こんなことで、おかしいですよ。聞いていないことですよ。質問時間に食い込みますから、やめてください」と呼ぶ)

 それから、分厚い中間層のことでございますけれども……(阿部委員「おかしいですよ、委員長」と呼ぶ)

中井委員長 どこがおかしいですか。おかしくありません。はい、やってください。(阿部委員「おかしいですよ。分厚いとは何かと聞いているのに、答えがないじゃないですか」と呼ぶ)

安住国務大臣 いや、ですから、私は今から政府としてお答えします。

 分厚い中間層については、金額の多寡によって一律に定義できるものではないということは、私は申し上げておきます。

 そういうことからいうと、先生、額で幅を持って考えるということではなくて、私どもとしては、それぞれ、所得の低い方をある程度やはり特定させていただいて、それに対してきちっとした給付をしたいと思っております。

阿部委員 私の問題意識は全然違うんですね。低所得者対策で聞いているんじゃないんです。この増税は中間層に重い。そして、この二百五十万円から三百万は、実は二百五十万円以下は相対的貧困と区分けされるんです。これ以降は、恐らく野田総理の頭の中でも中間層でしょう。でも、何の配慮もありません。そのことを何度も聞いています。

 これは、今回初めて明らかにされた、いわゆる公的年金の加入者の年収の、収入の分布であります。御承知のように、公的年金、国民年金は、五四%の方が年収で百万円以下であります。この方たちが保険料も負担し、国民年金もお払いになる。社会保険自身がその収入の著しい低下によって危うくなっているということだと思います。

 厚生年金の方のピーク値は二百五十万から三百五十万円。これは加入者ですよ、受給者じゃなくて。これとて多くはありません。そこに、例えば国民年金で二百五十万あるいは三百万くらいの世帯の方は、国民健康保険にしたら五十万円、年間お払いになります。保険料がもたないと私は繰り返し指摘しました。

 そして、子供たちをお持ちになればなるほど国保の保険料が上がることくらいは、せめて対策してくれと言いました。これを、本当は小宮山さんにお答えいただきたいですけれども、時間の関係で、恐縮ですが短くお願いいたします。具体的に何を進められたでしょう。

小宮山国務大臣 それは、御指摘の一号の被保険者は、委員も御承知のように、やはり非正規の低所得の方ですとか無収入の方が入っているからこういう形になります。

 それに対する対応としては、低所得の方には保険料の免除をしていますのでその周知を図るとか、あるいは低所得の非正規の方には今回厚生年金の適用を拡大するとか、また、新しい年金制度で民主党が提起をしているのは、所得に応じて払える所得比例年金、これは三党合意の中で議論することになりますが、そういうような対応をさせていただいています。

阿部委員 なぜ質問に答えていただけないんですか。子供さんが多いほど保険料が多くなることにどう対処していますかという答え、どれでもないじゃないですか。不誠実ですよ、小宮山大臣。私は、きのう投げたんです、これは。もう三回目なんです。結構です、最後の一問がありますから。

 そんな、おっしゃりたいことと私の聞いていること、違うじゃないですか。子供の数が多かったら、国保では本当に医療保険すら払えないんですよ。だから、今、国保世帯で、ゼロから十八歳のお子さんで無保険になった方が五万人以上、六万人もいるんですよ。確かに短期保険証は出たけれども、家計を考えれば深刻です。

 次、最後です。

 今、よく生活保護が問題になりますが、実は、二百万人近い生活保護の方のうち、二十七万人が十八歳未満です。深刻な事態で、これへの支援を、もう時間がございませんので、ぜひ考えていただきたい。二十七万人の子が生活保護の中で育つ国になっているということであります。

 終わらせていただきます。

中井委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 消費税増税法案が、民自公の修正案、三百六十三対九十六、圧倒的多数で可決をされました。民自公三党の議員が修正案の提出者として答弁席に座って、消費税増税の必要性を答弁する、こういう姿を見ていますと、まるで大連立の予行演習のように見えたわけであります。

 さて、この消費税増税法案の修正案で、附則十八条、世に言う景気条項の修正が行われました。案文はパネルのとおりであります。

 第一項、これは変わっていませんが、名目三%、実質二%の経済成長率が掲げられております。税率引き上げの時点でそれを達成していなくても増税できる、政府は何度も答弁をされています。

 その上で、二項が追加されました。「税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、」「成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」、こういうふうに書いてあります。つまりは、消費税増税で財政資金ができるので、財政出動して成長戦略と防災対策をやりましょう、こういうことであります。しかも、御丁寧に「等」までついて、それ以外の名目にも金が投じられるようになっています。

 そして、第三項、前二項の措置を踏まえつつ、税率引き上げの停止を含めて検討する。裏を返せば、前二項の実施状況を見て税率引き上げを判断する、要するに、財政出動をどれだけやったか、その規模を踏まえて税率引き上げを実施する、こういう文言になっているわけです。

 この修正は、消費税増税により余裕のできた財政資金を公共事業に投入する、こういうことに道を開くものではありませんか。社会保障の充実はどこかに行ってしまって、いつの間にか公共事業にすりかわっているではありませんか。御答弁お願いします。

安住国務大臣 全く事実とは違います。

 それで、二項は、きょうは午前中からもいろいろな議論がありましたけれども、これは御党の江田幹事長も御指摘があるんですけれども、やはり景気が心配で、消費税を上げさせていただいたときに急激に落ち込むということを何とか防がなければならないのではないかということがあるわけですね。ですから、そういうことをではどういうふうにやっていくかということと、あの三・一一以来いろいろな意味で大災害が想定されることにどう対応するかということを、いわば二のところに附則としてつけ加えました。

 しかし、ここに書いてあるものを見ていただくとわかると思いますが、予算を使うとは書いておりません。私どもは、こういうことに対して、資金の重点的配分というふうに書いてあるんですね。これは、柿澤さん、消費税で上げさせていただいたお金は全て年金、医療、介護、それから子育て支援に行くんです。そのお金が浮いたからどんどん公共事業をやれというのは、ちょっと私は乱暴な議論だと思っておりますし、それは事実と違います。

 景気のことをやはり十分配慮しながら、同時に、財政再建の道をそれたやり方を三党で考えているわけでは全くありませんので、ぜひそこは誤解のないようにしていただきたいと思います。

柿澤委員 この文言を読めば、これは確かに消費税の増税による財源を充てるとは書いていません。しかし、「税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、」これは、財源のありかをぼかしつつ、しかし「成長戦略」、書いてありますが、「事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」、これは予算措置をする、そういうことではありませんか。

 いずれにしても、こういう文言の第二項がつけ加わった、これが民自公の修正による第二項であります。この修正を主導したとされる自民党さんは、防災インフラへの集中投資を行う、こういう国土強靱化基本法案を提案されておられます。報道によれば、今後十年間で総額二百兆円と言われて、実現すれば年平均で二十兆円の公共事業を行う、こういうことになるわけであります。

 かつての自民党政権下では、補正予算で公共事業を積み増して、兆単位でケインズ的な財政出動による景気対策が繰り返されてきました。公共投資の増加が経済成長率に与える影響をどのように野田総理は見ておられますか、お尋ね申し上げます。

野田内閣総理大臣 先ほどの答弁ともちょっと連動しますけれども、これはあくまで社会保障に使う、財政の対応力が回復をしたときにどういう形で使うか、ここがその二項に出てくるようなお話で、成長戦略であるとか減災、防災等に使うということの中で経済をよくしていこうという発想であるということでございます。

 公共事業だから、それをばらまきをしようということではございません。必要な減災、防災、命のインフラにかかわるようなところについては、これは今はまさに防災の主流化という時代でありますので、しっかりやっていく、必要なお金はつけていくということでありまして、これまでは無駄なばらまきはいろいろありました。その無駄なばらまきを我々はやろうとしているわけではございません。

 経済との関係において、公共投資との関係ですよね。一九九八年以降、累次の経済対策によって公共事業の追加等を行ってまいりました。経済の下支えに一定の寄与はあったかもしれません。でも、それが必ずしも高い経済成長率の実現に結びついていたということではないということが私は事実ではないかと思っております。

柿澤委員 では、二枚目のパネルをごらんいただきたいと思います。これは、公的固定資本形成と純輸出の対GDP比をグラフにしたものであります。

 これは、日銀が出すマネーの総量が変わらない中で、市中から資金を引き揚げて公共投資に回すと、市中の実質金利が高くなって、為替が円高に振れてしまうわけです。このため、輸出が減少し、公共投資による有効需要の追加を相殺してしまう。グラフを見ても、ごらんのとおり、公的資本形成と純輸出は一方がふえると一方が減る、逆相関の関係になっています。結果として、公的固定資本プラス純輸出の実線の部分はほとんど変わっていない。結局、経済の全体のGDPはふえず、経済は成長しないわけであります。これがマンデル・フレミング効果と言われるものであります。

 日銀の金融政策が今のままで公共投資をふやすのであれば、それは円高を招いて、そして輸出を減退させて、そして結局、経済成長率は変わらない、こういう結果を招くだけなんですよ。そして、現状、日銀のこれ以上の積極的な金融緩和を引き出す手段を政府は持ち得ていない。それどころか、政府は金融緩和に消極的な河野龍太郎さんを日銀審議委員に提案して、国会にだめ出しを食らったりしているわけであります。

 こういうことを幾ら行っても、結局、第二項で先ほど修正案に書いてあったとおり、こうした事前防災、減災に資する分野に重点的に財源を投入することによって経済の下支えになる、こういう効果は見込めないんだということがこのグラフによって明らかではないかと思います。

 次のパネルをごらんいただきたいと思います。

 そういう状況の中で、今、民主党政権による公共事業の凍結解除が相次いでいるんです。国交省は、六月二十九日、整備新幹線の未着工三区間の着工を認可しました。消費税増税法案が衆議院で通過した直後を見計らって、この総事業費三兆円の大型公共事業にゴーサインを出した、こういう格好であります。

 私も、公共投資は何でもかんでも反対だというわけではありませんけれども、パネルを見てのとおり、BバイCは一・一、費用便益はプラスマイナスぎりぎりの数字になっているではありませんか。

 皆さんは、今の財政状況は財政破綻の危険がある、財政再建待ったなしだ、増税待ったなしだと言ってきたではありませんか。それでいて、採算性の怪しい整備新幹線の着工認可をおろして、三兆円の巨費を投じていく判断をしている。この判断は果たして妥当なんですか、お尋ねをします。

羽田国務大臣 お答えをさせていただきます。

 整備新幹線の今回着工の三区間に関しては、BバイCいずれも一・一となっておりますけれども、これは、投資効果について大変厳しい、今までにない試算を行った結果と認識をさせていただいております。

 具体的には、新たな需要の掘り起こし、すなわち誘発需要については、過去の需要予測と異なり、今回は一切見込んでおりません。また、将来の人口減少を織り込むなど、かたい前提を置いて投資効果を試算させていただいております。その上で、公共事業の関係費に過度に依存しないことを前提に、事業ペースを調整して、財政規律にも十分配慮しております。

 したがって、今回の着工については、国民の皆様にも御理解をいただけると思っております。

柿澤委員 では、お尋ねしますけれども、BバイC全て一・一、これはぎりぎりなんです。費用便益ですから、採算性そのものの数字じゃない。採算性そのものは、場合によってはもっと下回る可能性すらある、こういうものだというふうに理解をします。この算定は、本当に今おっしゃったとおり適切に行われているんでしょうか。

 例えば、北海道新幹線。新千歳まで四千円台なんというLCC、格安航空会社ができてきているのに、格安航空会社の就航により飛行機に流れる率が高まる、こういうことをきちんと想定できているんでしょうか。

 この一・一が適切なのかどうか、お伺いします。

羽田国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今までは、航空とか鉄道また道路等を別々にやっておりましたけれども、これを全て勘案してBバイCについては行わせていただいております。

 また、この投資効果については、昨年十二月の政府・与党確認事項に基づいて、改めて確認を行うというふうにされておりまして、これを受けて、交通政策審議会に小委員会を設置し、計九回、公開の場で有識者による精力的な議論を行っていただいたところであります。この結果、四月に、国土交通省が行った試算の妥当性が確認されたとの結論をいただいており、適切にBバイCを算定させていただいたものと思っております。

柿澤委員 今申し上げたように、LCCが就航する成田から新千歳、大体五千円を切るような運賃になっている、こういう状況がある中で、私も調べましたけれども、航空需要の見積もりに関して言えば、正規運賃の大体七〇%ですか、これでカウントしている、これが現実ですよね。確かに、かたく見積もった、今まではそうかもしれませんけれども、それでなおかつ一・一だ。これは、本当に、今こうした財政状況の中で着工を決断する路線であるのかどうか、本当に私は首をかしげてしまいます。

 新名神のことも書いておきましたけれども、これなんて、小泉政権時代から実に十年も凍結してきたものを、凍結を決めた国幹会議にかわる審議会の議決等も経ないで、前田国交大臣の、これはエープリルフールではありません、四月一日に発表したんですよ、こんな鶴の一声で凍結を解除している。早速、着工凍結に中心的な役割を果たした猪瀬直樹さんがかみついていますけれども、こんなやり方では何でもありになってしまうと思うんです。

 早くも、秋に補正を組む、こんな話になっています。しかも、平成二十三年度予算の決算剰余金を全額使うという案が検討されているそうではありませんか。これはおかしくありませんか。財政法六条で、剰余金が出た場合は、その二分の一以上は借金返済に回すと法律で決まっているではありませんか。それを何で、法律改正までして、補正で使ってしまうんですか。財政再建待ったなし、そして増税待ったなし、こういう状況で、借金返済に充てるのが当然ではありませんか。言っていることとやっていることが違うと思いますよ。御答弁ください。

安住国務大臣 復興をしないといけないからですよ。復興に充てさせていただくということで、私はそれは、コンクリート、無駄な公共事業なんて、全くそんなことは考えていません。

 まず申し上げますと、例えば、防災が、来るときには避難道をつくったり、何も三十メーターの津波が来るときに三十五メーターの堤防をみんなでつくろうなんていう話は全くしておりません。むしろ、より効率的に税金の投入、もしくは民間の資金等を使って効率的なやり方で人の命を守ろうという話を三党でしているわけです。

 新幹線につきましても、何かあした、あさってすぐできるような口ぶりですけれども、そうではありません。これはもう言わずもがなでございますが、施設の利用料なんかが上がってきた仕組みの中で、二十数年間かけて、財政面での負担をできるだけかけないようにしようということでやっていこうということでございますから、ぜひ一本一本冷静な議論をしていただきたいと思います。

 安い航空運賃の話をしましたけれども、議論の中の話の中心がどうも東京から北海道、東京から北陸。そういう見方だけをしていると、例えば九州新幹線が今あれだけ地域活性化していることを説明できなくなるんじゃないですか。そういう視点もぜひ考えてください。

中井委員長 時間が終わりました。

柿澤委員 復興予算だって四割余しているじゃないですか。それをさらに上乗せしようというそれ自体が私たちには理解できない、このことも最後に申し上げさせていただいて、質問は終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

中井委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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