衆議院

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第6号 平成25年2月14日(木曜日)

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平成二十五年二月十四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 岩屋  毅君

   理事 遠藤 利明君 理事 小此木八郎君

   理事 萩生田光一君 理事 馳   浩君

   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君

   理事 石田 祝稔君

      あかま二郎君    秋元  司君

      伊藤信太郎君    今村 雅弘君

      うえの賢一郎君    衛藤征士郎君

      大串 正樹君    大塚  拓君

      奥野 信亮君    金子 一義君

      塩崎 恭久君    関  芳弘君

      中山 泰秀君    西川 公也君

      西銘恒三郎君    野田  毅君

      原田 義昭君    藤井比早之君

      船田  元君    牧原 秀樹君

      宮内 秀樹君    宮路 和明君

      保岡 興治君    山本 幸三君

      若宮 健嗣君    大西 健介君

      岸本 周平君    玉木雄一郎君

      辻元 清美君    原口 一博君

      坂本祐之輔君    重徳 和彦君

      中田  宏君    中山 成彬君

      東国原英夫君    浮島 智子君

      佐藤 英道君    井出 庸生君

      柿沢 未途君    笠井  亮君

      村上 史好君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   新藤 義孝君

   法務大臣         谷垣 禎一君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          茂木 敏充君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    石原 伸晃君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       古屋 圭司君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     山本 一太君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   森 まさこ君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (規制改革担当)     稲田 朋美君

   財務副大臣        小渕 優子君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十四日

 辞任         補欠選任

  小池百合子君     大串 正樹君

  塩崎 恭久君     宮内 秀樹君

  渡海紀三朗君     藤井比早之君

  前原 誠司君     大西 健介君

  佐藤 正夫君     井出 庸生君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     小池百合子君

  藤井比早之君     渡海紀三朗君

  宮内 秀樹君     塩崎 恭久君

  大西 健介君     前原 誠司君

  井出 庸生君     佐藤 正夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十四年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十四年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 平成二十四年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十四年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。

 三案に対する質疑は、昨十三日終局いたしております。

 ただいままでに、民主党・無所属クラブ長妻昭君外一名から、並びにみんなの党柿沢未途君外一名から、それぞれ、平成二十四年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、両動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。岸本周平君。

    ―――――――――――――

 平成二十四年度一般会計補正予算、平成二十四年度特別会計補正予算及び平成二十四年度政府関係機関補正予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸本委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提案の平成二十四年度補正予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を説明いたします。

 まず、編成替えを求める理由を申し述べます。

 民主党としても、一定規模の補正予算は必要であると考えますが、問題はその中身であります。

 安倍内閣の経済対策、これを実行するための補正予算は、旧来型の公共事業の大盤振る舞いであり、その財源を確保するために五兆円を超える国債の追加発行を予定しています。かつての自民党政権下では、バブル崩壊以降、二百兆円を超える公共事業を行ってきましたが、結果として、経済再生にはつながらず、将来の子供たちに借金の山を残すこととなりました。

 政権に復帰した自民党によって同じ失敗が繰り返される極めて大きな懸念があります。

 まず、補正予算に計上されている公共事業の年度内執行は極めて困難ですし、財政法に定める、特に緊要となった経費と言えるかどうか疑問であります。また、今でも復興需要などから人件費、資材費が高騰する中、補正予算の過大な公共事業により、被災地の復興がおくれるおそれがあります。さらに、政府として費用対効果分析などの経済効果が示せないような公共事業が将来の成長につながるかどうか、大きな懸念があります。

 同時に、補正予算で多額の国債を発行することで、見せかけ上、来年度当初予算の国債発行額を抑制することは、財政の透明性の観点から大問題です。安倍内閣は、来年度予算において借金収入が税収を上回る異常な状態を解消できたと胸をお張りになりますが、その実態は、補正回しによって、今年度補正予算と合わせると民主党政権時を大幅に上回る国債を発行することで、公共事業をばらまいているのであります。

 私が財政演説に対する代表質問で指摘しましたように、補正予算はどうしても財政規律が甘くなりがちです。そのような財政運営を行ってきた結果、我が国は、昨年末で九百九十七兆円、国民一人当たり約七百八十二万円の借金を抱え込むことになっています。補正予算は、財政法の規定に基づき、特に緊要となった経費の支出で、かつ年度内執行可能な支出に限定すべきであることを改めて指摘をしておきます。

 次に、編成替えの概要を御説明いたします。

 今申し上げましたように、政府提案の補正予算に計上されているもののうち、社会資本整備総合交付金を含む復興・防災対策及び暮らしの安心・地域活性化以外の新規公共事業と防災・安全社会資本整備交付金及び農山漁村地域整備交付金は、年度内執行の補正予算の原則に反し、被災地の復興の妨げとなるおそれがあり、これを補正予算に計上することは適当ではありません。

 また、このような実質的に次年度に繰り越される事業の財源を確保するための国債発行を今年度補正予算に計上することは、財政の透明性に反することから、是正する必要があります。

 よって、今申し上げた新規公共事業及び三つの交付金については、補正予算に計上する一兆二千十七億円を削減し、また、交付金にかかわる事業の地方負担分を補填することとしている地域の元気臨時交付金についても、この削減に対応する額六千九百四十二億円を削減することとしております。その結果、これら公共事業関連の支出の削減に伴い不要となる建設国債の発行額一兆八千九百五十九億円を削減いたします。

 以上が、民主党・無所属クラブの組み替え案の概要であります。

 何とぞ私どもの動議に委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げまして、提案理由といたします。(拍手)

山本委員長 次に、井出庸生君。

    ―――――――――――――

 平成二十四年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十四年度特別会計補正予算(特第1号)及び平成二十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

井出委員 私は、みんなの党を代表して、政府提出の平成二十四年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、その趣旨を説明いたします。

 みんなの党は、昨年秋、十兆円規模の大型補正予算を提案しましたが、今回政府が提出した補正予算案は、その規模は適正と考えます。しかし、内容は、旧来型の公共事業の増額や霞が関の肥大化につながる官民ファンドの創設など、大いに問題があります。経済成長に結びつくとは思えず、以下、三つの理由から、予算の編成替えが必要と考えます。

 予算の編成替えをすべき第一の理由は、補正予算案が公共事業のばらまきとなっていることです。

 社会的インフラの劣化、老朽化が問題化している今、インフラの維持補修を重視することは当然です。例えば、私の信州長野県を見ても、今後二十年間で、河川管理施設の八割が建設から四十年を過ぎると言われています。防災の観点からも、老朽化したインフラの補修、強化の事業に集中投資が必要です。

 しかし、補正予算案の公共事業費のうち、老朽化対策は、本委員会で麻生財務大臣が答弁したとおり、わずか四分の一にすぎず、老朽化対策や防災の美名のもとに不要不急の公共事業が大幅に追加されたことは明らかです。また、補正予算で実施すべき事業ではない、裁判所や法務省、国際協力機構など官公庁の施設整備費が計上されています。

 さらに、これらの事業の財源を建設国債の増発に求めています。新たに借金をしてまで、補正予算で緊急にやるべき事業ではありません。

 第二の理由は、政府による市場への過剰な介入が推し進められ、官の肥大化につながる予算となっていることです。

 補正予算案では、各省庁の官民ファンドと呼ばれる基金に多額の貸し付けをする予算が配分され、リスクマネーを供給することになっていますが、政府が関与した大規模なリスクマネー供給は、市場への過剰介入であると言えます。また、官民ファンドは、投資先の審査の甘さや、投資のための投資を行う傾向にあり、政策的効果が期待できません。

 第三の理由は、東日本大震災からの復興を加速するための予算が不十分であることです。

 補正予算案では、復興加速のために一・六兆円を配分していますが、そのうち一・三兆円は来年度の復興財源の追加であり、学校の耐震化など緊急性の高い経費の追加は三千百七十七億円にすぎません。一・三兆円もの予算を、現時点で使い道のわからない来年度の復興財源に充てるよりは、予算の使い道を被災地が決める形の被災地特別地方交付金を創設すべきです。

 みんなの党は、かねてより、復興の主役は霞が関ではなく地方であり、そのための財源と権限を地方に移すべきだと主張してきました。復旧復興が進まない原因の一つは、霞が関が財源と権限を手放さないことです。現地の状況を把握している被災自治体に財源、権限を委ねることが、真の復興加速につながります。

 補正予算案の内容を見る限り、三本の矢のうちの機動的な財政政策とは、不要不急な公共事業の積み増しであると判断せざるを得ません。民間投資を喚起する成長戦略も、官民ファンドへの予算配分など、霞が関中心の発想から抜け出せないようで、期待できるものではありません。

 以上の理由から、みんなの党は、平成二十四年度補正予算三案を撤回し編成替えを行うことを求めます。

 次に、編成替えの概要について申し上げます。

 まず、被災地が自由に使える被災地特別地方交付金を創設し、一兆円を計上します。財源は、来年度への復興財源の繰り越しを中止することで確保します。

 次に、ばらまきの公共事業を見直し、二兆円を削減します。ミッシングリンクも含む新規公共事業の見直しで一・三兆円を削減するほか、官公庁修繕も見直します。あわせて、地方の借金の肩がわりにすぎない地域の元気臨時交付金を減額します。

 次に、官主導から民間活用型の経済対策への振りかえを行い、〇・七兆円を計上します。官民ファンド、リスクマネー供給を削減する一方、設備投資促進のための自由償却制度の導入、また、民主党政権時代、過去三年間の科学技術振興費削減分の復活などを行います。

 ほかに、農地規模集約に係る支援策の導入で〇・四兆円、確実な公債償還の実施に一兆円を計上します。

 財源の見直しでは、国債整理基金積立金の活用で三兆円を追加する一方、消費税増税を前提とした年金特例公債の廃止で二・六兆円の削減、公債発行の抑制で〇・四兆円を削減します。

 以上が、みんなの党の組み替え案の概要です。

 何とぞ我々の動議に委員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げ、趣旨説明といたします。

 なお、民主党・無所属クラブ提出の組み替え動議につきましては、考え方の共通する部分が多くあるものの、相違点もあり、やむなく反対いたしますことをあらかじめ申し添えます。

 以上です。

山本委員長 これにて両動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより討論に入ります。

 平成二十四年度補正予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議二件を一括して討論に付します。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。小此木八郎君。

小此木委員 おはようございます。私は、自由民主党の小此木八郎です。

 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となっております平成二十四年度一般会計補正予算、平成二十四年度特別会計補正予算、平成二十四年度政府関係機関補正予算、以上三案に対しまして、賛成の討論を行います。

 我が国経済は、今、大きな試練に立たされております。円高、デフレ不況が長引くことで、名目GDPは三年前の水準とほぼ同じ程度にとどまり、製造業の競争力は低下、貿易赤字も拡大しております。

 昨年、第二次安倍政権が樹立されるや、円高傾向は急速に緩和され、株価も急速に回復しております。しかし、まだまだ国内の成長機会や若年雇用の縮小、復興の遅延など、閉塞感を払拭できない状況も継続しております。

 こうした中、安倍総理は、所信表明演説において、我が国にとって最大かつ喫緊の課題は経済の再生であるとの認識を示し、政権の最大の課題として、頑張る人が報われる社会の再構築を掲げました。大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という三本の矢で経済の再生を推し進めることを宣言されました。

 そして、政権発足後、ロケットスタートを切り、年末年始を返上の上で、一月十一日には緊急経済対策を決定、一月十五日には補正予算を概算決定するというスピード感で、日本経済再生のために全精力を注ぎ込んでこられました。

 本補正予算は、緊急経済対策を実施する裏づけとなるものとして、復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安心・地域活性化という三つの分野を重点分野として、十分な予算措置を講ずるものであります。本補正予算を一刻も早く成立させて、国民の皆様のもとに届ける必要があります。

 日本経済の再生に向けて、もはや一刻の猶予も残されておりません。その認識は、ここにおられる委員各位共通のものと信じております。今こそ、日本の活力を取り戻すために、党派を超えて、一丸となって前へ進むことが必要であります。

 本補正予算を一日も早く成立させ、国民の皆様に具体的施策を一刻も早くお届けすることを期待し、賛成の討論といたします。

 なお、民主党及びみんなの党提出の編成替え動議については、見解を異とするため反対することを申し述べ、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

山本委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、政府提出の平成二十四年度補正予算三案については反対、民主党提案の組み替え動議については賛成、みんなの党提案の組み替え動議については反対の立場から討論を行います。

 初めに、この間の予算委員会における審議に際し、連日の審議を実りあるものとするべく御尽力をいただいた委員長、また与野党各党の理事の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 しかしながら、やはり本日の採決は時期尚早だと感じております。戦後二番目の規模と言われる補正予算、かつ、財務大臣みずからが、審議において、時間がないから本予算より査定が緩む傾向があるとおっしゃった補正予算であればこそ、その内容をしっかりと審議、検討することが、納税者である国民の負託を受けた国会の務めだと考えます。

 我々、これまでの審議の中でさまざまな問題を指摘し、補正予算を真に実効あるものとするために何が必要なのか、まさにこれから検討すべきだと考えていました。我々が要求した参考人招致や資料についても、いまだ十分な回答をいただいていないものが多くあります。このような状況にもかかわらず、審議が締めくくられ、採決に至ったことは、まことに遺憾であります。

 さて、このたびの補正予算には、緊急経済対策として総額十兆円を超える予算が計上されており、その財源には五兆円を超える建設国債、つまり借金が充てられています。経済対策の中心は公共事業やいわゆる箱物など約五兆円の公共投資で、その多くは繰り越しを前提とし、今年度中の執行が困難なものです。

 政府は、公共事業拡大の理由として、笹子トンネル事故を受けたインフラの補修、老朽化対策を挙げていますが、公共事業予算に占める補修、老朽化対策はわずか四分の一であることも明らかになりました。

 また、東日本大震災の復興事業で建設業の人材不足が深刻であるにもかかわらず、事業を無理に上積みすることで、予算の早期執行が困難となるだけでなく、被災地の復興の足を引っ張る可能性さえあるということも指摘をされました。

 さらに、安倍内閣は、補正予算の総額を積み上げることには熱心な一方、無駄遣いのチェック、特別会計の改革、独立行政法人改革、また天下り規制など、行政改革にどのような方針で取り組もうとしているのか、その中身は明らかになりませんでした。

 その上、政府は、補正予算で多額の建設国債を増発しておきながら、来年度の予算については財政規律を守ったかのように喧伝していることは、財政の実態を国民に見えにくくするものであり、大きな問題です。財政健全化は、詭弁を弄して実現できるものではありません。

 我々民主党は、経済対策の必要性そのものについては否定をしません。しかし、根拠と事業内容が不明瞭で、査定が緩く、財政規律をゆがめるような予算を認めるわけにはいきません。そこで、政府提出の補正予算のうち、新規の公共事業に関する予算の一部を削除し、それに相当する地域の元気臨時交付金を減額するとともに、建設国債の発行額をおおむね一・九兆円減額する内容を旨とする組み替え動議を提出したものであります。

 なお、みんなの党提出の組み替え動議につきましては、考えを同じくする部分も多いものの、歳入に関する考え方などが我が党と異なることから、反対をいたします。

 政府におかれましては、いま一度、予算編成のあり方について再考いただくことを要求して、反対討論といたします。(拍手)

山本委員長 次に、中田宏君。

中田委員 日本維新の会の中田宏です。

 私は、ただいま議題となりました平成二十四年度補正予算案三案に対する賛成の討論を行います。

 ただし、現下の経済情勢に照らし、補正予算そのものの必要性は認めるものの、その内容、財源等については疑問なしとはしません。以下、それらの理由について述べます。

 今般の補正予算のうち、政府の緊急経済対策に関する財政支出は十兆二千八百十五億円にも達します。本日、衆議院で可決したとしても、参議院での審議日程を考慮すれば、この補正予算の成立は早くて二月下旬になり、年度末までわずか一カ月余りの時間しか残されていません。当然、その期間に十兆円を超える財政支出を実際に執行することは物理的に不可能であり、その大半が来年度に繰り越されることを見越して編成がなされたということになります。

 これは、地方公共団体にとって大変大きな負担となります。例えば、地域の元気臨時交付金、防災・安全社会資本整備交付金、農山漁村地域整備交付金など、いずれも地方公共団体での予算の執行に至るまで相当の手続や時間がかかるものばかりであり、それらは当然に年度を越えた執行になってしまいます。

 我々日本維新の会は、年度をまたぐ地方公共団体の予算執行の手続について、本委員会の質疑の中で二度にわたり政府の配慮を求めました。

 麻生財務大臣による答弁の中では、従来、各省庁の地方出先機関で繰り越しに係る事務手続の簡素化が十分でなかったことを認めた上で、今回の補正予算の執行に当たっては、簡易な書類への統一や地方自治体に図面等の提出を求めないことなど、事務手続簡素化の趣旨を各省庁に対して要請する旨の改善の約束を得ることができました。また、総務大臣、国土交通大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣からも、同様にその徹底について約束がなされました。この点については、全ての地方自治体にとって朗報だと評価をいたしたいと思います。

 一方で、今回の補正予算が、いわゆる公共事業、より明確に言うならば公共工事に偏重したものになっていること、経済活性化に向けた地方公共団体による交付金等に対する裁量が少ないこと、七十歳から七十四歳までの高齢者の医療における窓口負担軽減措置の継続の見直し、TPPへの交渉参加などについては、既得権を有する団体等への配慮や参議院選挙への影響を心配してからか、問題点を積み残したままとなっています。

 一連の予算委員会での我が党からの提言や質問に対し、残念ながら、安倍総理や各大臣から明確な方向性が示されることはありませんでした。

 また、戦後二番目に大きな今回の補正予算について、安倍総理は、何度も何度もやるものではないと答弁しましたが、我が国の財政をさらに悪化させた点は深刻であることも強く申し上げておきたいと思います。

 最後に、一昨日、みんなの党の補正予算への修正案をいただき、我が党として賛同できる内容もありましたが、残念ながら合意には至りませんでした。また、民主党からも同様に修正案をいただきましたが、検討の結果、賛同には至りませんでした。したがって、我が党としては、両党の修正案には反対、政府案に賛成とした次第です。

 以上、本補正予算案の問題点を指摘するとともに、来年度予算の審議においてはより精緻な議論、建設的な議論を闘わせることをお約束して、日本維新の会を代表して、私の賛成討論といたします。(拍手)

山本委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました平成二十四年度補正予算案に賛成の立場から討論を行います。

 以下、賛成する主な理由を申し述べます。

 第一には、東日本大震災からの復興を加速させる予算である点であります。

 安倍内閣では、復興の司令塔である復興庁の体制を抜本的に強化し、五年間で十九兆円の復興予算枠を拡大しました。まさに被災者に寄り添う対応です。

 補正予算では、津波被災地域の住民の定着促進策や社会インフラの整備、被災地における雇用対策、除染対策などが盛り込まれています。政府には、当初予算と合わせ、被災地のため、復興のために、適切な執行を強く要請いたします。

 第二には、国民の命を守る防災・減災対策が盛り込まれている点であります。

 公明党は、緊急性を要する社会インフラの老朽化対策を進めるとともに、今後想定される大規模災害にいち早く備えるべきであると強く主張してまいりました。

 笹子トンネルの天井板落下事故を教訓に、本補正予算でトンネルや橋、道路などの総点検と修繕、補修が前倒しで実施されることは、緊急課題に対応するものであり、高く評価をいたします。一部にあります公共事業イコール無駄遣いとの批判は全く当たりません。

 また、補正予算では地方財政にも十分に配慮し、事業推進による地方自治体の財政負担を軽減する防災・安全交付金も盛り込まれました。

 そのほか、病院や福祉施設の耐震化、通学路の安全対策の予算、さらには、我々公明党が推進してきた学校耐震化も、公立小中学校の耐震化率を九〇%から九三%まで押し上げる予算を確保しており、早期の執行が欠かせないものと考えております。

 第三には、成長戦略及び中小企業対策として、省エネ、再エネの促進策、再生医療などの研究開発、さらには、中小企業、小規模事業者らの資金繰り支援や経営支援、事業再生支援などが盛り込まれている点であります。

 これらの施策を速やかに実施し、円高、デフレからの脱却と力強い経済の再生を図ることが重要であると考えます。

 第四には、国民の暮らしを守るため、若者の自立支援や新卒者への就職支援策、地域雇用の創出策などの雇用対策や子育て支援策などが拡充強化されている点でございます。

 特に、保育士の処遇改善を含む人材確保策が講じられるなど、未来の宝を育てる支援策が前進したことは高く評価をいたします。

 以上、主な賛成理由を申し上げました。

 補正予算と平成二十五年度当初予算が連動し、切れ目のない経済対策を講じることが何よりも重要であり、速やかに成立することを期待し、私の賛成討論を終わります。

 なお、民主党・無所属クラブ、みんなの党提出の撤回のうえ編成替え動議については、見解を異にするため、反対をいたします。(拍手)

山本委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一二年度補正予算三案に反対、民主党並びにみんなの党提出の組み替え動議に反対の討論を行います。

 本補正予算は、自民、公明両党が政権に復帰して初めて編成した、十三兆円にも及ぶ巨額のものであります。

 今国民が求めているのは、いかに所得をふやすか、安定した雇用で人間らしい暮らしを保障するか、デフレ不況から脱却し、庶民増税なしに財政再建への一歩を踏み出すかどうかであります。

 ところが、本補正予算は、そのようなものになっていません。

 以下、四点について指摘します。

 第一に、緊急経済対策を実行するためという内容は、旧来の大企業支援策と国債増発による公共事業の復活そのものです。

 もちろん、公共事業の中には老朽化対策など当然のものもありますが、全体として景気回復につながらず、国民に巨額の負担を押しつけることになりかねません。

 大企業の身勝手なリストラ、賃下げをやめさせ、内部留保の一部を賃金と雇用、中小企業に還元し、国民の所得をふやして経済の好循環の突破口を開くことこそ必要です。

 第二に、復興対策では、津波により被災した持ち家住宅のうち集団移転事業の対象にならないものについて、被災団体が住宅再建を支援できる施策を盛り込んだことは、切実な要求を反映したものと言えます。

 しかし、今被災者が痛切に求めている、住宅再建支援金の五百万円以上への増額、半壊以上への対象拡大、中小企業グループ補助金の大幅な拡充、国の全額負担による医療、介護の減免措置の再開などは盛り込まれていません。

 第三は、基礎年金国庫負担の財源二・五兆円をつなぎ国債で確保するとし、その償還財源は消費税増税で賄うとしていることです。

 物価を上昇させる政策を進めながら消費税増税を実施すれば、国内需要と消費を一層冷え込ませ、被災地の復興の妨げにもなることは明らかです。消費税増税実施の中止を改めて強く要求するものであります。

 第四に、軍事費は、補正予算では過去最大の二千百二十四億円を計上し、PAC3ミサイルの取得など自衛隊の体制強化を盛り込む異例の予算です。周辺諸国との軍事的緊張を高め、東アジアの平和的環境づくりに逆行するものと言わねばなりません。

 以上、討論を終わります。

山本委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 私は、生活の党を代表して、ただいま議題となりました政府提出の二十四年度補正予算三案に反対の立場から討論を行います。

 生活の党といたしましても、景気対策の必要性については認める立場でありますが、以下の理由により、このたびの補正予算に反対をいたします。

 まず第一に、補正予算案では、アベノミクス、十兆円という規模が先行した財政政策のもと、その大半を占めることとなったのが公共事業であります。

 しかし、この約五兆円の公共事業の中身は、十分に精査もされず、緊急性や必要性に疑問符がつく事業が盛りだくさんであります。本来であれば二十五年度の本予算で措置すべき予算を初め、前政権で削減された事業を復活させ、公共事業の大盤振る舞いであります。

 既に年度末を控えて事務手続や事業の消化も難しいこの時期に大規模な公共事業を打ち出すこと自体、全く理解できません。

 また、財源についても、野党時代には民主党政権に財源は財源はと事あるごとにかみついていたにもかかわらず、あっさりと建設国債の大量発行に踏み切ってしまう傲岸ぶりを発揮しております。財政規律もあったものではありません。

 次に、基礎年金国庫負担の二分の一の実現と称し、二兆五千八百四十二億円の年金特例公債の発行が含まれております。この特例公債の償還財源は消費税増税分であり、まだ実施の判断もされていない増税を財源とすることは許されるものではありません。

 このような消費税増税を前提とした予算には、断固反対いたします。

 さらには、消費税増税が組み込まれている景気対策を幾ら行っても、景気の好転は望めず、税収増が実現できないことは明白です。

 以上の諸点を指摘して、政府の二十四年度補正予算案への反対討論といたします。

 なお、民主党、みんなの党提出の動議につきましては、認識を共有する点もあるものの、見解を異にする点もあり、総合的に勘案した結果、反対といたします。

山本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより採決に入ります。

 まず、長妻昭君外一名提出の平成二十四年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立少数。よって、長妻昭君外一名提出の動議は否決されました。

 次に、柿沢未途君外一名提出の平成二十四年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立少数。よって、柿沢未途君外一名提出の動議は否決されました。

 次に、平成二十四年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十四年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、平成二十四年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十四年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時三十三分散会


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