衆議院

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第7号 平成25年2月28日(木曜日)

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平成二十五年二月二十八日(木曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 岩屋  毅君

   理事 遠藤 利明君 理事 小此木八郎君

   理事 萩生田光一君 理事 馳   浩君

   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君

   理事 石田 祝稔君

      あかま二郎君    秋元  司君

      伊藤信太郎君    今村 雅弘君

      うえの賢一郎君    衛藤征士郎君

      大塚  拓君    奥野 信亮君

      鬼木  誠君    金子 一義君

      小池百合子君    関  芳弘君

      武部  新君    武村 展英君

      豊田真由子君    中川 俊直君

      中山 展宏君    中山 泰秀君

      西川 公也君    西銘恒三郎君

      野田  毅君    原田 義昭君

      比嘉奈津美君    福田 達夫君

      藤井比早之君    船田  元君

      牧島かれん君    牧原 秀樹君

      宮川 典子君    宮崎 謙介君

      宮路 和明君    保岡 興治君

      山田 賢司君    山本 幸三君

      若宮 健嗣君    大西 健介君

      岸本 周平君    玄葉光一郎君

      後藤 祐一君    玉木雄一郎君

      辻元 清美君    原口 一博君

      前原 誠司君    山口  壯君

      坂本祐之輔君    桜内 文城君

      重徳 和彦君    中田  宏君

      中山 成彬君    東国原英夫君

      浮島 智子君    佐藤 茂樹君

      佐藤 英道君    柿沢 未途君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

      宮本 岳志君    村上 史好君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   外務大臣         岸田 文雄君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   財務副大臣        山口 俊一君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  笠井  亮君     宮本 岳志君

同月二十八日

 辞任         補欠選任

  うえの賢一郎君    鬼木  誠君

  大塚  拓君     宮崎 謙介君

  小池百合子君     豊田真由子君

  関  芳弘君     山田 賢司君

  渡海紀三朗君     藤井比早之君

  中山 泰秀君     中川 俊直君

  船田  元君     武村 展英君

  牧原 秀樹君     武部  新君

  岸本 周平君     山口  壯君

  玉木雄一郎君     玄葉光一郎君

  原口 一博君     後藤 祐一君

  中田  宏君     桜内 文城君

  佐藤 英道君     佐藤 茂樹君

  宮本 岳志君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     うえの賢一郎君

  武部  新君     福田 達夫君

  武村 展英君     船田  元君

  豊田真由子君     比嘉奈津美君

  中川 俊直君     中山 展宏君

  藤井比早之君     渡海紀三朗君

  宮崎 謙介君     大塚  拓君

  山田 賢司君     関  芳弘君

  玄葉光一郎君     玉木雄一郎君

  後藤 祐一君     原口 一博君

  山口  壯君     大西 健介君

  桜内 文城君     中田  宏君

  佐藤 茂樹君     佐藤 英道君

  塩川 鉄也君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 展宏君     宮川 典子君

  比嘉奈津美君     牧島かれん君

  福田 達夫君     牧原 秀樹君

  大西 健介君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     小池百合子君

  宮川 典子君     中山 泰秀君

    ―――――――――――――

二月二十八日

 平成二十五年度一般会計予算

 平成二十五年度特別会計予算

 平成二十五年度政府関係機関予算

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(訪米報告等)


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

山本委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、訪米報告等についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁白川方明君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩屋毅君。

岩屋委員 おはようございます。自民党の岩屋毅です。

 総理、訪米、まことにお疲れさまでございました。かねてより、日本の外交、防衛の基軸は日米同盟である、この日米同盟を再構築することが安倍政権としての最重要課題の一つであるというふうに総理はおっしゃってこられました。そういう意味で申し上げますと、今回の日米首脳会談、私は、大きな成果を上げることができた、同盟の再構築に向かって非常によいスタートを切っていただいたというふうに思っております。

 首脳会談において多岐にわたって話し合いがされておりますけれども、中でも国民の皆さんが極めて重大な関心を持ってこられたTPPの問題、我が党の公約は、聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉には参加しないというふうに言ってまいりましたが、その公約の線に沿って総理はオバマ大統領と話し合いをされて、共同声明をこの件に関して発するということをされました。その中で、例外はあり得るのだということを明示的に確認されたというのは大きな前進であったというふうに私は思って、高く評価したいと思っております。

 しかし、中身はこれからでございます。どういう中身になっていくのかということについてさまざまな懸念もあることも事実でございまして、昨日は、自民党の外交・経済連携調査会、衛藤征士郎会長のもとで、六項目の懸念事項について、六項目の守り抜くべき国益についての決議がなされ、総理もそれを受けとめられたと思います。これを前提にしてこれから判断をされていくということでよろしいですね。そこを確認させていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 昨日、衛藤外交・経済連携調査会会長から、御熱心に御議論をいただいた上の決議を会長が持ってこられまして、それをいただいたわけでございます。そして、衛藤会長ともお話をさせていただいたところでございますが、こうした御議論あるいは懸念があるということも踏まえ、判断をしていきたい、このように思います。

岩屋委員 既に、こうやって党の意見も聞かれた、連立を組む公明党さんの意見も総理はお聞きになられた、判断をする環境というのは徐々に私は整いつつあると思います。一方、米国議会の判断を得るためにもかなりの日数を要するということもこれあり、そう時間をかけていいものでもなかろう、こう思うわけでありますが、いつ判断をされるお考えでございますか。

安倍内閣総理大臣 判断の時期につきましては、米側も米側の国内の事情あるいは関係国との調整もあるわけでございまして、そうしたことも勘案をしながら、また、今までの交渉の経緯をもう一度よく精査していく上において国内への影響も勘案して、そんなに先の話ではございませんが、なるべく早い段階で決断をしたい、このように思っております。

岩屋委員 外交は、外交判断は政府の専権事項でございますし、交渉も政府において行われるべきものでございますが、問題は、私は説明責任だと思うんですね。これまで、この問題に関して、もちろん前政権も努力をしていただいたんだとは思いますけれども、十分に国会や国民に情報が提供されてきたとは私は言えなかったと思います。

 したがって、安倍政権においては、TPPの交渉参加はこれから総理が判断するわけですが、仮に交渉に参加をするとなったときに、交渉事ですから全てを事前につまびらかにするというわけにはいかないかもしれませんが、しかし、党に対して、国会に対して、ひいては国民に対して適時適切に説明責任をしっかり果たしていく、これが必要だというふうに考えておりますが、どのように進めていかれるお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まず、交渉に参加するかしないか、それは私が最終的に判断をさせていただきたいと思います。

 その際、例えば参加をするという場合は、私は、どういう判断によって参加をする判断に至ったかということはきちっと説明させていただきたいと思います。また、参加しないという選択肢をとったときにも、なぜ参加をしなかったかということについても説明をさせていただきたいと思います。

 そして、参加をするという判断をした場合は、それから交渉が進んでいくわけであります。交渉中のことについては余りつまびらかに御説明できないということもございますが、いずれにせよ、それがもし最終的に批准に向けて進んでいくということになれば、批准の段階で国会の承認が必要であります。そして、国民的な支持、あるいは議論の中における国民的な支持を得るような努力もしなければならない。ということは、当然、しっかりと説明をしていく責任が我々には生じてくるわけでございます。

 そうしたことを全て勘案をしながら進めていかなければならないと思っております。

岩屋委員 仮に交渉に参加をすると判断をされた場合は、今総理がおっしゃったような手順をもって、説明責任をしっかりと果たしていただくようにお願いをしておきたいと思います。

 それから、首脳会談では本当に多岐にわたって議論がされているわけです。日米同盟というのは、何も防衛だけに限ったことではなくて、政治、経済、文化、安全保障、万般にわたる二国間関係なわけでありますが、やはりその根幹になっているものは安全保障だと私は思います。

 首脳会談の席上、総理は我が国の今後の方針について大統領に説明をされておられます。防衛費を増額する、人員もふやす、大綱、中期防は見直していく、そういう自主防衛力の強化の方針をしっかりとお示しいただいたと思います。

 それに加えて、集団的自衛権の検討を始めるということも言及をされたと私は承知しております。

 もちろん、私ども自民党も長きにわたって議論を重ねてまいりまして、総理と同じ考え方に立っているわけでありますが、ただ、これは丁寧に作業を進めていかなければいけないな、広く国民の皆さんの理解をいただくような手順を丁寧に踏んでいく必要があると思っています。

 総理のもとで、今、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会、柳井懇談会が再スタートしておりますが、こういうものを受けて、新しい考え方を丁寧に固めていくということが必要だと思っておりますが、この問題について、総理はどういうスケジュール感というか手順で作業を進めていこうと考えておられますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今回の首脳会談は、自由民主党が政権に復帰をして、そして私が総理になって初めての首脳会談でございますから、我々がどういう基本的な外交戦略を持っているかどうか、安全保障に対してどういう認識を持っているかどうかということをしっかりとオバマ大統領に説明しておいた方がいいということで、基本的な考え方を説明したところでございます。

 その中において、アジア太平洋の戦略環境が厳しさを増す中において、この地域の平和と安定のためには、やはり強い日本は強いアメリカにつながり、強いアメリカは強い日本につながる、そのことによってアジア太平洋地域はより平和で安定した地域になっていくという話をしました。

 日本は、その中において、自分でしっかりと努力はしていく中において、防衛費をふやし、そしてまた日米の連携を密にしていく、同盟をより機能を向上させていくためには、集団的自衛権の行使についての解釈の変更について検討する必要がある、このように申し上げたわけであります。別にこれは約束したことでも何でもなくて、我が国、また私の考え方について、考えの一つを開陳したわけでございます。

 そこで、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会を再び立ち上げたところでございまして、前回は、四類型を中心に議論がなされ、報告書が出されました。あれから五年たって、さらに安全保障環境も変わってきていますから、日本の国益、そして日本人の生命財産を守るために何が必要かということについて、有識者の皆様に再び議論をしていただいております。

 まさにこれは慎重な議論が大切だと思っておりますから、私は余り予見を与えることは申し上げずに、まさにもう一度さらから議論をしていただいているわけでございまして、議論においては慎重な深い深い議論をしていただいておりますので、今の段階で、どれぐらいに成果物が出てくるかどうか、議論が終結するかどうかはわかりませんが、しっかりと検討をしていただきたい、このように思っているところでございます。

岩屋委員 自民党も、野党時代にさまざまなこの安保関連の法案を提案させていただいています。今話題になっている邦人保護のための自衛隊法の改正であるとか、国際貢献のための一般法の提案もさせていただきました。

 全てやはり憲法解釈の問題、憲法の問題に最後はぶち当たるんですね。だから、ここを丁寧に整理していくということが必要だと思っておりますので、政府・与党間でもよく連携をさせていただいて、総理がおっしゃるように慎重に進めていくべきだと私も考えております。

 時間がなくなってまいりました。総理は、アベノディプロマシーと私は呼ばせていただきたいと思いますが、非常に的確、適切に進んできていると思います。東南アジアに行かれ、今度米国に行かれました。ロシアには森前総理を派遣されました。韓国には麻生副総理が行かれました。いよいよ中国、日中関係ですね、これをどうマネージしていくかということが問われてくると思います。

 総理の米国での発言、私は非常に冷静かつ毅然としたものだったと思います。領土に対する挑戦は容認できない、どの国も我が国の決意に関し判断ミスを犯すべきではない、一方、我が方から緊張を高めようとは思っていない、私の側のドアは中国指導者に対して常に開かれていると。

 極めて適切な、かつ力強いメッセージだったと思いますが、いよいよこの日中関係、総理が最初に唱えられた戦略的互恵関係を進めるために、どういうアクションをこれから起こしていこうとされておられますか。

安倍内閣総理大臣 日中関係を戦略的互恵関係にしていくということで、六年前、一致をしたわけでありますが、戦略的互恵関係というのは、一つのことで事態が悪化をしたり、あるいは両国関係に懸案が生じたとしても、これは全ての扉を閉じるべきではなくて、一つの問題、課題についてはお互いが議論していくことでコントロールをしていかなければならないというのが戦略的互恵関係の基本なんだろうと思います。残念ながら、そういう状況にはなっておりません。

 ですから、まずは、我々は、中国側に対して、特に経済では切っても切れない関係なんですから、こういう関係はもっとお互いに大切にしていきましょうということも含めて話し合いを進めていきたい。あらゆるレベルにおいて我々はドアはあけております。我々の側は、日本側はドアはオープンにしておりますから、その中において、日中関係、忌憚のない議論や話し合いができる関係を早く復活していきたい、こう思っているところでございます。

岩屋委員 アベノミクスに加えましてアベノディプロマシーの成就へ向けて、私ども党としても最大限のバックアップをしてまいるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて岩屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 総理、訪米、大変御苦労さまでございました。今回の訪米で総理がオバマ大統領と首脳会談が実現しまして、安全保障問題はもちろんのこと、経済問題、エネルギー問題、そういう問題、多岐にわたる幅広い意見交換をされまして、多くの点で意見の一致を見たことを私どもは高く評価をしたいと思います。つまり、失われていた信頼を回復して、日米同盟の再構築のスタートを新たに切ることができたのではないか、そのように考えております。

 まず最初にお聞きをしたいのは、その中でも総理が本当に力を入れてこられて、この日米首脳会談の概要の説明のところにも、両首脳間でじっくりと議論が行われたという、TPPの問題につきまして確認をしておきたいと思います。

 総理は、終了後の記者会見で、私は聖域なき関税撤廃が前提ではないとの認識に至ったと述べられております。要は、先ほどからありましたように、例外はあり得るんだ、そういうことをかち取ったんだと言われておりますが、私は、これは本当に大きな前進ではあったと同時に、ただ、自民党の選挙公約の条件をクリアした、そういうことを言われたにすぎないとも言えるわけでございます。

 もっと大きなことは、やはり総理が指導力を発揮して、国民にTPP交渉参加や経済連携の狙いやメリットというものをしっかりと丁寧に説明して、そして参加することがどのように国益につながっていくのか、そういうことを、今、残念ながら国民の中には交渉参加への反対論とか懸念を持つ声もあるわけでございまして、そういう声にも丁寧に配慮しながら広範な国民の理解を得ていく努力が私はこれから何よりも必要ではないか、そのように考えております。

 具体的にお聞きをしたいのは、一昨日だったと思うんですが、私どもの山口代表から、二点、総理に電話会談で、配慮をしていただきたい、そういう要請をされたと伺っております。

 一点目は、TPPは国民生活に広く影響する重要な貿易交渉ですから、情報を国民に提供し、議論を経て国民のコンセンサスをつくる、そして国益を最大化することに努力するよう配慮していただきたい、それが一点でございます。二点目は、特に農業については、多面的な機能を持つこと、そして食料自給率を今後高めていくこと。

 この二点について十分な配慮をしっかりとしていただきたい、そういう考えを伝えた上で、交渉参加の判断は、これはもう政府の専権事項ですので政府に一任する、そういうふうに伝えたというように私も伺っているんですが、安倍総理に、私どものこの二点の配慮要求についてどのように受けとめておられるのか、まず確認をさせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま佐藤委員が、TPPに参加するかしないかについて、TPPの意義、意味について、あるいはまた、その際留意する点について大変わかりやすく整理をしていただいた、このように思います。

 今佐藤委員が指摘されたように、まずは、このTPPについては、アジア太平洋地域に新たな自由貿易圏ができるわけであります。この百年ぐらい、人類の歴史においては、自由貿易かどうかという議論がずっとなされてきたわけでございますが、基本的には、自由貿易を進めていく中において人類全体の富をふやしていくことにつながってきたんだろう、このように思います。

 しかし、同時に、その国々には、それぞれの国々に国柄があり、守るべきものもあるんだろう、こう思うわけでございまして、当然、山口代表から御指摘をいただいた二点については十分に留意をしていく必要がある、このように思っております。

 特に農業については、多面的な機能、これは、国土を保全していく、そして環境を守っていく、地域を守っていく、まさに日本の文化そのものと言ってもいいと思います。そうしたものは当然守っていくし、あるいは食料自給率、今でも高くはないのでございますが、これは、いずれにしても、TPPいかんにかかわらず、食料自給率を向上させていく不断の努力もしなければいけませんし、そのために、攻めの農政、農業に力を入れていきたい、こう考えているところでございます。

佐藤(茂)委員 それで、昨日も、同行された加藤副長官にお越しいただいて、我が党のプロジェクトチームでも再度要請をさせていただいたんですけれども、今、TPPの影響については、前政権時代の平成二十二年に、経済産業省、農水省、内閣府、それぞれが異なる試算を示している、そういう状況で終わっているわけでございます。

 政府内が異なる試算を各省ごとにばらばらで出しているようでは、説得力が全くないと私は申し上げたいわけでございます。ぜひ政府は、関係省庁足並みをそろえて、合理的な理由と積算根拠を挙げてTPPの影響をわかりやすく示す必要があると私は考えております。

 TPPに参加した場合の影響に関する試算について、交渉参加の表明前に政府としてきちっとした責任ある公表をきちっとすべきだと私は考えますけれども、総理、この点についての見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 前政権においては役所ごとに影響についての試算が発表されましたが、これが非常に数字の違うまちまちな発表だったものでありますから、国民の間でも大変混乱が生じたわけでございます。こうした反省を我々は踏まえまして、今度は、試算については官房長官のもとで政府として統一的な試算をするよう、今、鋭意作業を進めております。

 私といたしましては、この試算も勘案しながらTPP交渉参加の判断をしていきたい、こう思っております。この試算については、準備ができ次第、いずれかの時期に公表しなければならないと考えております。

佐藤(茂)委員 私どもがきのう確認したのは、交渉参加の表明前に、やはり国民に納得していただくためにも、国民が判断し得る、そういう数字というものはしっかりと示すべきである、そのことをあえて申し上げておきたいと思います。

 今度、安全保障関係の質問にさせていただきたいと思うんですが、懸案となっております米軍再編のことでございます。

 今回の日米首脳会談で、普天間飛行場の移設と嘉手納以南の土地返還計画を早期に進めることで一致した、そのようにあります。特にここで、今までの日米首脳会談とちょっと違うのは、早期にという、この意味について確認をしておきたいと思うんですね。

 早速、二十六日には、防衛省が移設に向けて名護漁業協同組合に対して移設同意を要請して、手続を進められたという動きも政府はされております。

 ぜひ総理に確認しておきたいのは、日米首脳会談で、具体的なスケジュールというのが、この早期にの中に具体的に言及されたのかどうか。もう一つは、今、そうはいっても、沖縄県は仲井真知事がどのような判断をされるのか。また、沖縄県全体も、県外移設を求めるという方針に議会も含めてなかなか変わりはない方向でございますから、地元との意思疎通を図りながら丁寧にこれは進めていくべきところも、他方として大事な要素としてあると思うんですが、このスケジュール感と、今後の普天間飛行場移設の進め方について総理としてどのように今考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 普天間基地については、これを固定化させてはならないわけであります。そして、この早期移設を進めていく上において、その方向性について、今まで沖縄県側と政府との信頼関係がなくなってしまった、この失われた信頼関係をまず再構築することから始めなければならない、このように考えたわけでございまして、私も沖縄に参りまして、仲井真知事と二人で忌憚のない意見交換をしたところでございます。

 仲井真知事との信頼関係をつくることができたのではないかと思うわけでありますが、同時に、担当の山本大臣も再三沖縄を訪問いたしておりますし、また岸田大臣も、訪米に際しまして事前に沖縄を訪問し、仲井真知事とじっくりと会談をしたところでございます。

 同時に、沖縄からの要望としては、嘉手納以南の基地、キャンプ・キンザーを初め、その基地を早く返還してもらいたい、時期を明確にしてもらいたいということであります。ここが難しいところは、これは相手としての米国があるわけでありまして、米国側にそろそろ時期を示してもらいたいということを我々は申し上げたい、こう思ってきているわけであります。

 一方、普天間の移設についても、アメリカは早く結論を出してもらいたいと思っていますが、同時に、沖縄の、特に普天間周辺の人たちは、早くこれは閉じてもらいたい、こう思っている。

 この二つのミッションを背負っている中において、二つともやはり早期に実行していこうということにおいては私もまた大統領も一致をしたわけでございまして、今の段階でいつということは、今すぐこの場では申し上げにくいわけでございますが、いずれにせよ、まずは嘉手納以南の土地の返還について、なるべく早く、明確に、こういうスケジュールで返還を始めますよということについて結果を出していきたいと思っております。

 他方、普天間の移設については、沖縄側の理解を得ながら、なるべく早くそれを実行していきたい、このように思っているところでございます。

佐藤(茂)委員 もう一つは、北朝鮮の核実験への対応につきまして、どういうやりとりがあったのか、総理にお聞きをしたいと思うんです。

 安保理以外の制裁について、日米首脳会談でも、そういう問題も含めて日米で協力をしていきたいと。総理は、その後の記者会見で、金融制裁について日米間で緊密に協力していくことでも一致したと述べられているわけでございます。

 金融制裁ということでいうと、二〇〇五年の、これは前ブッシュ政権のときだったと思うんですが、マカオのバンコ・デルタ・アジアという金融機関の北朝鮮の口座を凍結して、非常に効果があったというように言われているわけでございます。

 ただ、金融制裁で北朝鮮の口座に大きく網をかけていくためには、国家間の協調とともに、財務当局や銀行、金融機関が連携し合って協議して、抜け穴のないような、そういう制裁を工夫することが極めて大事になってくると思うんですが、安保理以外の制裁というのはこの金融制裁のことなのか。その上で、金融制裁に向けてここまで合意されたのなら、日米の関係当局の協議をスタートさせる意思がおありなのかどうなのか、総理の見解を伺っておきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 オバマ大統領との間では、北朝鮮の核実験について、その対応についてお話をさせていただきました。

 米国側も、その前のミサイル発射によって、このミサイルが米国本土を射程に入れている、さらに小型化が進んでいるかもしれないという事態を深刻に受けとめているわけでありまして、それまでは、国際社会全体に対する核不拡散、核の拡散という意味において、これは危険である、とめなければいけないという考え方であって、世界に対する脅威。しかし、今の段階は、もう既にアメリカ本土に対する脅威というふうに受けとめている中において、国連における厳しい制裁、そして、今、日本は独自の制裁を行っておりますが、日米で協力して制裁をしていくということについても、アメリカ側はそれは必要であるというふうに考えていると思います。

 そこで、金融制裁でありますが、バンコ・デルタ・アジアにおける金融制裁、当時私は総理大臣でありましたが、日本側では当時の尾身財務大臣と米国側の財務長官と緊密に連携し、事務的にも詰めていきながら、バンコ・デルタ・アジアの凍結を含め、実は、バンコ・デルタ・アジアだけではなくて、世界じゅうであれは網をかけていたわけでございますが、今般も、財務当局同士で協議を進めていこうということになったところでございます。

 ただ、彼らも学習をしておりますから、よりこうかつにはなっているでしょうし、我々も金融制裁をするということをある程度申し上げておりますので、彼らもその準備をしているでしょうから、それにさらに我々も対抗しながら、しっかりと効果を出して、彼らの政策を変えていきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 総理、本当に短い時間でしたけれども、いろいろと率直にお答えいただきまして、ありがとうございました。

 ただ、日米間にはまだまだいろいろな諸課題が残っておりますし、この日米首脳会談を実りあるものにしていけるかどうかというのは、私は、これからの総理のリーダーシップと具体的な行動にかかっているのではないか、そのように思っております。

 我々、与党の一員として、しっかりと総理を支えて頑張ってまいることを表明いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 まず、福島の復興について質問をいたします。

 総選挙以来、週に三、四日のペースで現地、現場に立っています。現場に神宿るではありませんけれども、いろいろなことが、二カ月間歩いてわかってきました。そこで、冒頭、幾つかお聞きしたいというふうに思います。

 まず、安倍総理は、福島の復興がおくれている、加速化させると繰り返しておりますけれども、福島の復興の何がおくれているのか、その要因は何だというふうに考えていますか。

安倍内閣総理大臣 福島においては、地震と津波だけではなくて、福島第一原発の事故がございました。そこで、何がおくれているかといえば、基本的には、被災された方々がもとの生活に戻ること、それがおくれているわけであります。

 そこで、何が原因かといえば、例えば除染の問題であります。そして、その除染の問題と同時に、これは除染する必要がないところも含めて、移って、もともとのふるさとに帰れるかどうか、あるいは高台移転も含めて、そうした住宅の建設についても実際おくれているわけであります。

 そこで、何が原因かということについては、これはやはり省庁の縦割りが残念ながら残っていて、復興庁はできましたが、復興庁が完全に司令塔として機能を果たしていない、予算がついても結局ひもつきになっていて、その執行において、地元の方々の声を十分に吸収しながら縦割りを排してその執行ができていないという点もあります。

 これは、さまざまな規制もあれば、法律的な壁があるわけでございますが、例えば農地転用のようなことですよね。そうしたことが、残念ながら、復興を急ぎたいという皆さんの声に沿うた形で打破されていないということに問題があったと思います。

玄葉委員 本質的な話だけで、きょうはいいんです。

 一言で言えば、生活再建、そして除染だと思うんですね。除染はなぜおくれているんですか。

安倍内閣総理大臣 除染について言えば、これは復興庁というよりも環境省の所管であったわけでございます。しかし、これは環境省と復興庁にまたがっていたのでありますが、なかなか環境省だけでは手に余ることもあったわけでございまして、我々は、むしろそれは復興庁によって、除染についても権限を持って司令塔としてやってもらいたい。もちろん執行は環境省が行うわけでございますが、基本的に根本大臣のもとで除染についても行っていくということを決めたところであります。

玄葉委員 二カ月ずっと歩いて、率直に申し上げて、体制の問題じゃありません。結論から言うと、結局、タブーを破る時期が来ているということではないかというふうに思っているんです。

 つまり、除染がなぜ進まないかといえば、中間貯蔵施設ができないからです。そして、中間貯蔵施設ができないから、仮置き場もできないんです。だから、除染が進まないんですね。

 では、なぜ中間貯蔵施設ができないのかといったら、これは復興の哲学にも絡む話でありまして、復興の哲学は、よみがえらせる、戻す、あるいは戻るということが基本だと思うんですね。この基本は変えるべきじゃないと思うんですけれども、中間貯蔵施設をつくるということは、ほぼ、同じ土地には戻らない、先祖代々の土地、守り継いできたその土地を手放すということであります。

 今まで、なかなかこのタブーを破れなかったということではないかと思うんですね。時間も必要だったと思うんです。誰が悪かったということじゃないと思うんです。気持ちを整理する時、時間、これも大切だったんです。

 ですから、よみがえらせる、戻す、戻る、こういう復興の哲学、理念というものを基本にしながらも、あわせて、戻れない方々がいる、あるいは、住民意向調査が出てきました、もし除染が進んでも戻らないという方々もいらっしゃいます。戻れない、戻らない、そういうことも並行して表で議論を始めるときが来た。

 当然、先祖代々の土地を手放すわけですから、そういった方々の気持ちを十二分にそんたくをしながらそういう議論をしていく、ここができないと、ずっとおくれていると言われるんです。どうですか。

安倍内閣総理大臣 その議論については我々も最初から問題意識を持っていて、そして当然、それについては我々は議論を進めています。

 今、担当大臣を呼んでいただいていないので、つまびらかに進捗状況は説明できませんが、これはまさに、担当の大臣も現地に入って、今の問題点は、もちろん我々の政権において着実に決断をして進めていくということはお約束をしたいと思います。

玄葉委員 実際進んでいないんです。私も泥をかぶるつもりで言っているんですよ、総理。泥をかぶるつもりで言っているんです。

 つまり、表で議論をするということをしていないんです。これは、復興に与野党はありませんから、私も、野党ですけれども、泥をかぶります。そして、さまざまな提言をこれから福島の復興についていたしますから、委員長、この場でも、ぜひ福島の復興あるいは被災地の復興について、集中審議を含めて精力的に、この委員会での議論をお願いしたいというふうに思います。

 ちなみに、安倍総理は福島に、三・一一以来、総裁になられるまで一年半ぐらいありました、比較的時間があったのではないかと思いますけれども、どのくらい福島の被災地に足を運ばれましたか。

安倍内閣総理大臣 総裁になってからですか。(玄葉委員「なるまで」と呼ぶ)総裁になるまで、今それは急に質問されましたから、わかりませんけれども、三回ぐらいだったと思います。

 それと、先ほどの質問でありますが、しかし、やはり今玄葉さんも認められたように、民主党政権では、やはりやり方もうまくいかなかったんですよ、基本的なやり方自体も、進め方も。だから、おくれているんじゃないですか。そのことはしっかりと認めた方がいいですよ。その上に立って、我々は違うアプローチをします。そのことについて説明をしてもらいたいのであれば、最初から担当大臣を呼んでいただければよかったんですよ。どういう進め方をしているかということについて、中身のある議論をできます。

 しかも、今はもう議論しているときではないんですよ。実際何をやるか。ですから、我々は今、何をやるべきかということをやっています。それを説明してほしいのであれば、ちゃんと担当大臣を呼んでいただきたいと思いますね。

玄葉委員 これは哲学と理念の話をしていて、私は、今回の質疑を通じて、どうも安倍総理、やはり福島に思い入れが余りないなと思って残念に思いましたけれども、やはり与野党なくこれを進めて、しかも、私は泥をかぶってきょう申し上げているんですよ。それをそういう言い方をされるというのは、私は非常に残念だというふうに思います。

 その上で、TPPの交渉について、私の方から何点かお聞きをしたいというふうに思います。

 安倍総理がよくこのTPP交渉で使う、国益確保のために全力を尽くすというふうに発言をしていますけれども、この国益とはどういう意味ですか。

安倍内閣総理大臣 国益とは、まさにこれは国の利益であり、国民の利益であると思います。

玄葉委員 例えばJAの、全中の会長さんが、交渉に拙速に参加すれば国益を毀損する、こういうふうに発言をされるわけですけれども、安倍総理の今おっしゃった国益と、全中の会長さんの先ほど引用した国益というのは違いますね。

安倍内閣総理大臣 国益というのは、いわば、場合によっては、それぞれの方、仕事についている方々によって見え方が違うかもしれません。私は内閣総理大臣でありますから、国民全体、国の、現在だけではなくて将来も見据えた中において、国の利益を考えていかなければならないわけであります。

 ですから、例えば、万歳さんは全国の農家に対して責任を持っていますから、その農家を守るのが万歳さんの責務であって、その責務を果たすために全力を尽くす、これは当然のことだと思いますよ。それが間違っているとか言うつもりは全くありませんし、その観点から主張をしておられる。

 しかし、それと同時に、では、自由な貿易体制を構築することによって、また、あるいはアジアの国々とアメリカ、カナダあるいは南米の国々が入る新しい経済圏を構築し、そしてそれがさらに大きく広がっていく中において、ルールづくりに積極的に参加をしていくことによって得られる利益があります。その利益と可能性全体を含めて判断するのは私の仕事であろう、このように思います。

玄葉委員 そこはそのとおりだと思います。つまり、まさに総合的な国益論に立って、今、安倍総理が述べられたように、経済のみならず安全保障を含めた国力全般、あるいは国際的地位の向上、もちろん農業もそうであります。いずれにしても、政治家の役割というのは子供あるいは孫の世代に豊かさを引き継ぐことだと思いますので、総理として、やはり大局的な観点に立って、大きな国益論から判断をしていくということだろうというふうに思います。

 恐らく、一〇〇%、心の中で交渉参加表明について固めているというふうに思いますけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 この判断は、交渉参加するかどうか、これは国民の生活に大きな影響が出るわけでございますから、そこは、まず、私の責任は極めて重い中にあって、今の日本の置かれている状況、そして未来に向けて何をすべきかということも考えながら、影響等も勘案して、最終的に私が判断をしていきたいと思っております。

玄葉委員 総合的な国益論に立って大きな判断をしてほしいと思います。

 その上で、この日米の共同声明を評価したいというふうに思いますけれども、一言で言えば、当たり前のことを確認する、その国内向けのパフォーマンスのために、非関税措置で必要以上に押し込まれているなというふうな印象が私にはいたします。

 まず、当たり前のことというのは、特に安倍総理が言うこのセンシティビティーの存在、そして、最終的な結果は交渉の中で決まっていく、そして三つ目は、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない、これをかち取った、こういう言い方をしているわけですけれども、同時に三パラ、つまりは、自動車部門や保険部門に対処、その他の非関税措置に対処、なされるべきさらなる作業が残されているというふうに、まさに明示的にここに記されたというのが今回の共同声明であります。

 当たり前のことと言ったのは、最初のセンシティビティーの存在というのは、実際は、民主党政権下で下ごしらえの交渉は事実上終わっていました。

 二つ目の、最終的な結果は交渉の中で決まっていくというのも、既に昨年四月に私とUSTRのカーク通商代表との間で、まさにこれは明示的に、文書にしたわけではありませんけれども、物品における関税は交渉の中で決まっていくものである、そういうことは確認をされています。

 三つ目の、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない、これは当たり前のことですよね。

 これは、岸田さん、通告していないけれども、例えば途中参加したメキシコとかカナダとかマレーシア、こういうふうに、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束させられたんですか、どうなんですか。

岸田国務大臣 我が国においては昨年来さまざまな情報収集に努めていますが、いずれにしましても、今回のこの共同声明は、この三点について、文書において対外的に日米の両首脳が確認をした、明示的に文書によって確認したことに大きな意義があると我々は認識をしております。

玄葉委員 これは質問に答えてください。

 通告していなくて、そこは申しわけないと思うんだけれども、当たり前のことなので聞いているんですが、マレーシアとかメキシコ、カナダ、これは、あらかじめ一方的に全ての関税を撤廃することを約束させられて入ったのですか。

岸田国務大臣 TPP交渉全体も今交渉が進んでいる段階だと思っています。交渉が今継続されている、こういった中でさまざまな協議や議論が行われている、当然のことです。

山本委員長 玄葉光一郎君。(玄葉委員「ちょっと、質問に答えて」と呼ぶ)

 いや、これは玄葉さん、質問の方針を変えてみたり方向を変えてみたりしながら説明を求めないと、これは理事会や理事同士でやってもらちが明きませんから、もう一回質問してください。

玄葉委員 もうこれは本当に基本中の基本なので、途中参加して、マレーシアもカナダもメキシコも、そんな約束はさせられていないんですね。ですから、こういう当たり前のことを、ある意味、通ったわけです。

 しかし、同時に三パラを、先ほど申し上げたように書き込まれたということで、この三パラ、先ほど申し上げた、自動車、保険に対処、その他の非関税措置に対処、なされるべきさらなる作業が残されている、これはなぜ共同声明に載せたんですか。

安倍内閣総理大臣 今、玄葉大臣は当たり前のこととかおっしゃったけれども、それだったら民主党政権時代に文書にすればよかったじゃないですか。外交交渉において……(玄葉委員「幾らでもできた」と呼ぶ)幾らでもできたと言っても、できなかったじゃないですか。では、何で首脳会談のときにつくらなかったんですか。

 政治は結果なんですよ。出していない結果に対して、後で、出した人に対して、そんなのは俺たちだってできたと言ったって、なかなか世の中には私は通らないのではないか。まあ、余りそれを私は喧伝するつもりはありませんよ。

 そして、この第二パラグラフについて、それはなかなかそう簡単にはとれない話だったと私は思っています、実際交渉をしていて。随分交渉して、最前線で交渉していただいた皆さんには本当に頑張っていただいたと思っています。

 やはり、これを文章化するかどうかということが大変困難であり、それは決まらなかったんですよ。そして、それは首脳会談においてやっと、この第二パラグラフにおいてもちゃんと文章化するということが決まっていくわけでありますが、第二パラグラフと第三パラグラフをあわせて、これは最終的に文章化することができたわけでありまして、三パラと第二パラグラフをセットにして文章化ということになった、こういうことであります。

玄葉委員 まさにそういうことなんですよ。つまりは、この二パラの、我々からいえば当たり前のことを文書化するために、そのために三パラで譲って押し込まれたというのがこの結末だということなんですね。

 ちなみに、総理、これはいずれ参加表明されると思いますけれども、参加表明の時期には、アメリカの同意というものは既に得た形で参加表明をするというふうに考えてよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 これは別に第三パラグラフが押し込まれたわけでは全然ないわけでありまして、それについては、ずっと交渉していく中において、それは当然どういう結果が出せるかということになってくるわけでございます。

 そもそも、この会談において、我々は、我々の公約である、聖域なき関税撤廃について、それを前提条件にする以上、交渉には参加できないというのが自由民主党の国民との約束であるから、これは私たちはたがえるわけにはいかないということを申し上げて、申し上げた上において、この文章について私は口頭で先方に申し上げ、そして文書化することを迫ったわけであります。その上において……(玄葉委員「ちょっと、質問に答えて。同時期ですか」と呼ぶ)私は、当然、この公約について、これが確認できたと説明しますよということを申し上げた。

 そして、同時期かどうかということについては、これは、まず我々は、党内でもさまざまな議論があります。そうしたことも踏まえながら、そして国内への影響ということを勘案していきます。そして、米国側は、国内への、やはり米国側も質問もありますし、関係国に対する、それは説明もあるんだろうと思います。そこは、ある程度、日本と米国においてタイミング等においても調整をしていくということになるわけであります。

玄葉委員 もう事実上参加表明していると思いますが、これはアメリカとよく調整をした方がいいと思うんですね。つまり、一方的に参加表明という形になってしまったときには、この事前の協議でここに明示的に書かれちゃっているわけですから、べた折れになっちゃう可能性がありますので、これは提案として言っておきたいというふうに思います。

 ところで、自民党の公約は、聖域なき関税撤廃、こう言っているんですけれども、聖域とは一体何ですか。例外のことですか。

安倍内閣総理大臣 この聖域ということについて言えば、これは我々の公約でありますが、つまり、ここは譲れないというものがそれぞれの国にあるわけでありまして、そうしたそれぞれの国の事情においてそこは譲れませんねということについて、これが全く、しかしそれは認められませんよということにはならないようにしなければならないということになるわけであります。

玄葉委員 例外あるいは除外ということではないんですか。

安倍内閣総理大臣 これはまさにいろいろな対応があるんだろう、このように思います。つまり、これは全てが関税撤廃の対象になるということではない、こういうことであります。

玄葉委員 恐らく、安倍総理とオバマ大統領との会談で例外という言葉は使っていないと思うんですね。恐らくサンクチュアリーと言ったんじゃないかというふうに推測いたしますけれども。

 これから交渉に入っていって、米は除外を求めますね。

安倍内閣総理大臣 まだ交渉参加するかどうかを決めていない中において、今そうしたことについて私が答弁するのは適切ではない、このように思います。

玄葉委員 以前、私が答弁する側にいたときは、自民党議員の大半は、具体的に何を例外として求めていくのかと何度も私に聞いたんですね。

 でも、私、やはり最低、米は除外を求めるというのは大事だと思うんですね。九千タリフラインあります。そのうち、例えばアメリカと豪州、高いレベルの経済連携ですけれども、一%の除外をしています。一%というと、九千タリフラインのうち一%ですから、九十のタリフラインです。米とその調製品だけで三十四ですから、つまり一%以内におさまるんですね。

 ですから、これから当然、交渉していく中で、この米は除外を求めるべきだということを申し上げておきたいというふうに思いますけれども、もう一言だけ、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 我々は、この中に農産品ということでセンシティビティーがあるということを既に先方に認めさせているわけであります。そして、まだ、これは参加するかしないかということを申し上げているわけではございませんから、実際に何を除外にするということについて今ここで申し上げるのは適当ではないだろうと思います。

玄葉委員 立場が変わればこれほど変わるのかな、こういう感じでありますけれども。

 ちょっと三パラの話、もう一言だけ申し上げます。

 ここまで押し込まれると気になるんですけれども、自民党さんの方でも、自動車について数値目標は入れない、入れるべきではない、こういうふうに言っているようであります。私もそう思いますし、私たちの交渉の中で数値目標が入るという状況ではありませんでした。

 そのことは当然だというふうに思いますけれども、例えば税金について、軽自動車の税制を廃止するなんということは、まさかのまないと思いますけれども、いかがですか。

岸田国務大臣 まず、共同声明の三パラ目の内容については、従来までも日米間でさまざまな協議を行ってきました。その中で、この三パラに書いてありますような自動車、保険にアメリカ側から大きな関心が示されてきた、これはそのとおりであります。そして、その三パラの趣旨は、こうした協議をこれからも引き続き行う、こういったことをこの声明の中に盛り込んだ、これが趣旨でございます。

 ですから、こうした具体的な中身のやりとりは、従来からやってきましたが、中身については今ここで申し上げるわけにはいきませんが、この三パラの趣旨はそういった趣旨だということをまずぜひ御理解いただきたいと存じます。

玄葉委員 失礼ながら、質問に答えてくれていないというふうに思いますが、後で山口、前原両氏が詰めてくれるというふうに思います。

 今回、自民党の公約は確かに、聖域なき関税撤廃の交渉には反対ということでした。ただ、それぞれの議員の総選挙時のアンケートとかを見ると、現閣僚でも相当数、明確に反対というふうに答えているんですね。自民党議員さんではかなりの数の方々が反対、つまり、条件つき反対じゃなくて反対、あるいは断固反対という集会に出ているわけですね。

 そうすると、これは当然、その方々の説明を聞きたいというふうに思うんですね。これは、私は、それぞれの個々の議員、もしこのまま交渉に参加するということになれば、きちっと説明責任を果たしてほしい、そうでなければ極めて不誠実ということは申し上げておきたいというふうに思います。

 あと二分ですから、あわせて、日米のこの首脳会談で、私は著しい違和感を感じたことがあるんですね。

 それは、この三年間で著しく損なわれた日米のきずな、こういう言い方を安倍さんは、レッテル張りでいたします。確かに、私も外務大臣時代に認めたんですけれども、鳩山さんのときに一時揺らぎが出た、このことはそうだと思います。でも、その後の政権で立て直したというふうに考えています。

 本当に安倍総理が言うように著しく損なわれたというなら、あのとき胸を張って、何か完全復活したみたいな宣言がそもそもできるのか。著しく損なわれていたなら、一度会っただけで取り戻せるものなのか。だから、そもそも、一時揺らぎは出たけれども立て直していたというのが率直なところだというふうに思います。

 現に、安倍さんのあの宣言のような胸を張った会見も含めて、あの内容について、その後、米国から何の反応もありません。何のコメントもありません。ですから、アメリカとすれば、野田政権の延長線上というのが率直なところなんですね。

 実際に、私は、今回、オバマ大統領は総理をいわば品定めをしたという側面があるのではないかというふうに思います。だから、私は、もちろん、国益に資することはしっかりと協力をしますし、どうかなと思ったら厳しくチェックをしようというふうに思っています。

 それで、最後の点、何が言いたかったか。つまりは、安倍総理の発言を聞いていると、何か単純なレッテル張りあるいはパフォーマンス、そういうのが非常に私は気になります。もしそういうことをこれからも続けるということであれば、私は、今後は厳しく追及していきたいというふうに思います。

 そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

山本委員長 この際、山口壯君から関連質疑の申し出があります。玄葉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 きょうは、訪米等を踏まえて、外交に集中して質問させていただきます。

 総理、外交には党派的な発想を持ち込まないということが立派なステーツマンとして大事なんだと思っています。

 二月二十四日付の朝日新聞が客観的なタッチで伝えているところとして、以下のようなくだりがあります。「政権交代で「日米関係が変わった」と宣伝したい安倍氏側に対し、オバマ氏側は野田前政権時代から良好な日米関係に変わりないのだから、ことさらに演出する必要はないとの考えだ。」「これに対しホワイトハウスは、両国関係は政権交代に影響されないということに力点を置いている。国家安全保障会議(NSC)のラッセル・アジア上級部長は、会談を前に「日本は二度の劇的な政権交代を経たが、二国間関係は非常に安定し、強固だ。両国で同盟に対し、非常に強い超党派の支持がある」と強調した。」これは二月の二十四日付の朝日の記事です。

 それが実態だと思います。今、玄葉さんが言っていた趣旨も、そのようなことの一つの見方です。だから、私は、党派的なことにこだわる総理でなく、やはりステーツマンとして、外交は水際までというところで対応していただくというのが、これからの我々日本のあるべき姿だと思っています。

 さて、TPPについて。

 総理は、今回の訪米において、TPPについて交渉参加の道筋をつけるべく会談に臨まれたと思いますけれども、そもそもの話として、特にTPPには地政学的な課題があると思います。要するに、純粋に経済的な要素を超えた側面があると思います。その点、総理はどのように捉えておられますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これはまさにアジア太平洋である。アジアだけではなくて、米国、カナダ、特に米国が参加をし、アジアの国々が自由貿易圏をつくっていくということが極めて重要なポイントなんだろう、このように思います。伸びていくアジアとまた米国大陸とをつないでいくということもありますし、そして、さらにこれは、APEC参加国との経済連携協定にもつながっていくわけでございます。

 そういう意味においては、最初の核となるこのTPPについて、もし参加をしていくということになれば、そこでルールに従うのではなくて、ルールづくりにも参加をしながら、こうしたクリエーティブに自由貿易圏をつくっていく中において日本が主導的な役割を担う、そして地政学的にも地域の繁栄、安定にも大きく資するものになって、そしてその中で、日本も、中心的な役割を担っていくことになるという意義があるんだろうと思います。

山口(壯)委員 トインビーという歴史学者が、世界の重心はいずれ西洋から東洋に、すなわち大西洋から太平洋に移るだろうというふうに予言しました。現在、そのことが現実のものとなって、東洋では、日本に加えて、中国あるいは韓国あるいはASEAN諸国あるいはインド等々が著しく経済を発展させていると思うんです。まさに西洋から東洋に、大西洋から太平洋に世界の重心が移りつつあることを我々は目の当たりにしています。

 アメリカが、アフガン、イラクによって相当国力を消耗した。また、ヨーロッパが債務危機によってまだ混乱から抜け切れていない。そういうときに、アジア太平洋地域は経済発展のエネルギーに今満ちているわけですね。その意味で、今総理が言われたことというのは、私と見方を同じくします。

 そして、このTPPというのは、大きなジグソーパズルの一つだというふうに捉えています。

 私も外務副大臣をやらせてもらったときに、一つにはTPPの準備を進めるということ、もう一つには日中韓の自由貿易協定の交渉を始める、ここまでは何とかたどり着きました。そして、まだ構想の芽だったですけれども、ロシアを入れた環日本海経済連携、要するに、環太平洋経済連携があるのであれば環日本海経済連携があってもいいじゃないか、その意味で、去年の七月二十四日ですけれども、六カ国を招いてトラック2でやろうということで、日本、ロシア、韓国、中国、モンゴル、これにアメリカも、環日本海というには少し遠いけれども入ってもらおうじゃないかということでやりました。

 いずれ、このTPP、あるいは日中韓の自由貿易協定、あるいはロシアを環日本海経済連携で引き込んでいく。私は意図的に、そのとき北朝鮮はもちろん除外しています。いずれ北朝鮮が頭を下げて、ああ、そういういい話、俺も仲間に入れてくれということを将来の可能性としてとっておきたかったから。これは、私たちが政権交代して、この芽はしかしそのまま置いていますから、ぜひ、総理が今言われたTPPのルールメーキングのみならず、今世界は流動化していますから、その意味で、新しい秩序をつくっていく意味で、日本がこのTPPなり、それから自由貿易協定の日中韓、あるいは最近はASEANも含んだRCEPという十六カ国もあるでしょう、これを念頭に置いて、ジグソーパズルの一つとしてTPPを見るべきだ、そんなふうに思っています。

 総理、そういう意味で、これらを統合するのは一体どこの国になるんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今、山口委員が御指摘をされたような、まさに創造的な外交を展開していく、あるいは経済連携の枠組みを考えていくということは重要なポイントだろうと思いますし、戦略性が満ちているお考えだったと思います。

 まさに、そういう意味においては、基軸となるのはあくまでも、これは日本でありますから日本を基軸として考えるわけでありますが、自然とやはり日本になるのであろう、このように思いますし、ASEANの国々を訪問してきたわけでありますが、そうした日本の役割を期待しているわけであろう、このように思います。

山口(壯)委員 アメリカとか中国というのは、ある意味で我が強いと思うんですね。中国は中華思想というものもあるだろうし、アメリカは昔から、マッカーサーが来たときにも、アメリカン・シーザーだ、自分は征服した日本にアメリカの民主主義を広めるんだ、そういう気持ちでやって、その片りんが今でも見えますから。麻生大臣のおじいさんの当時の吉田茂総理も、そういうことでは非常に、アメリカとできるだけ対等の立場でやるんだと言いながらも、しかし、アメリカの力というのはそこに厳然としてあったわけです。

 そういうことであれば、やはり日本がこれからの、最終ゴールはFTAAPという例のアジア太平洋でのFTA、FTAのAP、FTAAP、ここに向けて、このTPP、日中韓自由貿易協定、あるいはASEAN諸国を含めたRCEP十六カ国、それから将来、環日本海経済連携というものをまとめていくのは日本しかありません。違いを受け入れられる日本が、そこを堂々とやっていくということが必要なんです。だから、そういう意味で、アメリカと交渉されるときにも、そういう日本だということをイメージしながら交渉していただきたいなというふうに思うんです。

 その意味で、今回、安倍総理は、聖域なき関税撤廃に反対と言われているわけですけれども、この聖域なき関税撤廃など、実はもともとどこにも議論になっていません。全ての関税撤廃を前提とせずということが成果のように言われていますけれども、実はもともと、そのようなことが議論になったことは全くありません。全品目を交渉テーブルに上げるべしということが言われているだけです。

 昨年末の総選挙において、聖域なき関税撤廃というもともと存在しないものに反対というのは、私から見たら、初めから賛成を念頭に置いた言いぶりとして、正直かなり見え見えでした。しかし、この総選挙中に、聖域なき関税撤廃に反対と聞いた有権者の多くの方は、ああ、自民党はTPPに反対なんだな、そういう立場で総選挙を戦っているんだなと受け取ったと思います。大変意図的に、トリッキーな表現です。

 そして、昨年末の総選挙の際、多くの自民党候補者の人たちが、農協の求めに応じてTPP反対の署名をされておられます。それで今回、TPP交渉参加ということになると、理屈はともあれ、うそつきと呼ばれても仕方ありません。

 その意味で、私はもともとTPP推進論者です。ただし、慎重に推進するという考え方です。推進論者ですから、総理がオバマ大統領といろいろとお話をされたこと、これはもちろん異を唱えるものではありませんが、総理が聖域という言葉を使ってオバマさんと話をされた、その聖域とは何を指すかということを、もう一回、総理の言葉でお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 今委員が、うそをついたと言われてもしようがない、これは聞き捨てならないわけでありまして、自民党においては相当の議論をしました。自民党の中でも、賛成派もいれば反対派もいます。そこで、自民党は、お互いに合意できるのは何かということを探っていくという知恵があるわけでありまして、と同時に、責任感があるんですね。

 選挙においてうそをついてはならない。両派が合意できる一点を苦労して探したところにおいて、最終的には、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉には参加できないということにおいて、これで一致をして、そしてそれを党の公約にしたわけであります。

 私は、党の公約として戦った以上、私も何回もこれは党首討論等で聞かれましたから説明もしているわけでありまして……(発言する者あり)聖域とは何かといえば、これは先ほども答弁をさせていただいたわけでございますが、それぞれの国にはそれぞれの国の事情、国柄があって、それを守るためにはいわば関税撤廃はできないという分野がある、こういうことであります。

山口(壯)委員 私は、有権者の方がどうとられたかと。あの自民党の聖域なき関税撤廃には反対だという言葉を聞いて、ああ、TPPには反対されるんだなと有権者の方はとられたわけです。そして、現実に署名もされている。そういうことに対して、申しわけないけれども、へ理屈で対応されているというのが、私にはおかしいなと。

 これは、実は私が言っているのではありません。いろいろな、全中も含め、あるいは有権者の多くの方が、今テレビを見ておられる方も、まあ、自民党はそういう意味では頭がいいから、言ってみれば逃げ道を残しながら、聖域なき関税撤廃なんてもともと、聖域というのは、総理も言われるごとく、どこの国にもセンシティブな品目があるということを総理も知っておられて、あの公約をつくった。だから、聖域なき関税撤廃というのは、もともと世の中に存在しないわけです。ということを知っておられて、なおかつ存在しないものに反対をする、そういうことを言っているわけです。

 今回の合意というのは、米側から見ると、譲歩にはなっていません。そのことを多くの人が気づいています。先ほど玄葉さんからも言いました。米国はもともと、全ての関税撤廃の約束まで求めてはいないからです。

 ちなみに、TPP関係国でそういう要求をする国はあるのでしょうか。先ほど岸田大臣、必ずしも質問の意味が明確になっておられなかったから、今交渉中ですという答え、正直言ってちょっとすれ違っているんです。全ての関税撤廃の約束まで求めているという国が今の十一カ国の中にありますかということをお答えください。

岸田国務大臣 TPP交渉は、原則として関税撤廃を目指す、こうした高い目標を掲げて交渉がスタートをしています。そして、その中でさまざまな各国のやりとりが行われて、そして今交渉が進んでいる、こうした現状にあります。

山口(壯)委員 全ての関税撤廃を約束することを求められていますかと言っているんです。目指すということは当たり前なんです。だけれども、約束をすることを求められていますか。

岸田国務大臣 約束は求められておりません。

山口(壯)委員 そのとおりなんです。

 したがって、こういう意味では、正直、もともとそういうことは求められていないわけです。今回、米側から譲歩ということは全く、正直言って私には、米側がどこを譲歩したのかというのは見えません。ただし、日本側は、ある意味で、自動車、保険の言及を三パラでやっていることによって、米国の主張に沿う形になっているんです。

 ちなみに、米国は、日本からの輸入車に、今、乗用車で二・五%、トラックで二五%の関税をかけています。しかし、日本にアメリカ車が来るときには、関税は既に〇%ですね。そういう中で、アメリカからは、TPPがたとえ成り立ったとしても、自動車産業を守るために関税を残したいということが既に来ています。そういうのは私はフェアじゃないと思うんです。

 この声明の内容というのは、従来の米国の基本姿勢とほとんど変わりないですけれども、フェアじゃないと国民のみんなも思っておられると思います。これは組合とかそういう話じゃないんです。自動車産業を支えている大きな分野があるわけですね。

 ちなみに、この自動車の輸入、日本から輸出したものに対する輸入で約四千七百億円の関税が支払われているわけですけれども、その半分がこの自動車関連なんです。そういう意味では、もしもこの自動車の関税が残るということであれば、日本からTPPに入るということの、ある意味ではメリットが半減以上してしまうわけです。

 だから、ぜひここはきちっとした交渉で、昔、吉田茂首相が頑張ったがごとく、アメリカに対して、そこは申しわけないけれどもフェアにいきましょうということを言っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、今回のこの共同声明の意味ですが、これは、今日までも我が国はさまざまな二国間協議、情報収集のための協議等を積み重ねて、情報収集は行ってきました。しかし、今回は、対外的に日米の首脳がしっかりと合意をし、そしてこれを文書において明確化させた、このことに大きな意義があると思っています。

 そして、今おっしゃったこの三パラ目の自動車の話でありますが、この三パラ目の意味は、今日までも自動車は米国の大きな関心事でありました。議論を行ってきました。この議論を今後も継続する、こういった趣旨を明示化した、こうした文書であります。

山口(壯)委員 交渉を継続する中で、アメリカからフェアじゃないことを言われた場合には、きちっとそこは交渉でやりますということをおっしゃってください。

岸田国務大臣 おっしゃるとおり、この交渉においては、我が国の国益のために最善を尽くす所存でございます。

山口(壯)委員 米韓FTAというのがあります。この米韓FTAの中では、アメリカの車を韓国が輸入する場合に、アメリカの安全基準を満たしていればそのままでいいよ、特に韓国の安全基準はもう要らないよ、各社二万五千台ずつそういうことが割り当てられている。こういうことをアメリカは日本についても言ってきているわけですけれども、こういうことは私はフェアじゃないと思っています。

 こういうことに対しては、岸田大臣あるいは安倍総理、きちっと交渉しますということを国民の皆さんにお伝えください。

岸田国務大臣 協議については、従来までもさまざまな協議が行われてきました。今後も我が国の国益のために最大限努力をする、当然のことであります。

山口(壯)委員 岸田大臣、安全基準がアメリカでオーケーだったものは全て韓国でもオーケーというのは、正直、韓国もよくそこまで譲歩してしまったなと思います。でも、これを前例にされたら、日本というのは、フェアなことを守れないと思うんです。

 だから、日本としては、アメリカの安全基準を通っても、日本として安全基準が満たなければ、それは申しわけないけれども、ノーズロで二万五千台ずつ各社が輸入するというわけにはいかない。これはいかがでしょうか。

岸田国務大臣 協議の中身について、今協議の最中であります。ここで明らかにするわけにはまいりません。

 国益のために最大限努力する、当然のことです。

山口(壯)委員 気持ちをしっかりと伝えていくことが、国民の皆さんが安心される、そういうことです。協議の最中だからそれすら言えないということでは、ああ、やはり交渉というのはアメリカが強いのかなという印象を、今テレビを見ておられる方は思われたと思います。

 その意味で、一方的な撤廃が回避されたからといって聖域が守られたとは言いがたいというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 済みません、ちょっと冒頭部分を聞き損ないました。失礼しました。

山口(壯)委員 今回、一方的な撤廃ということはしなくていいよということが趣旨としてあります。しかし、それだからといって聖域が確保されたわけではないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 共同声明の二パラグラフ目にありますように、全ては交渉によって決まる、こうしたことが盛り込まれています。そのとおりだと思っています。

山口(壯)委員 したがって、交渉によって聖域がとれなかった場合は、総理、どうなりますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まさにTPPについては、交渉に参加するという判断をして、そして交渉を妥結させる。これは、国益を求めてそういう方向に進んでいくわけであります。ですから、あくまでも国益を守るために、あるいは国益を増進するために交渉を行っていく、それに私は尽きるだろうと思います。

山口(壯)委員 米は、現在七七八%の関税がかかっています。今、多分、テレビを見ておられる方のイメージとしては、この聖域というものがもしもとれた場合に、それはずっと聖域なんだろうなというイメージを持っておられると思うんですけれども、これは実は、それすら時限的な可能性が高いわけですね。すなわち、聖域がとれても、実は、準備期間として関税を維持できるのは、例えば十年とかに限られる可能性が極めて高いわけです。

 この点、安倍総理、どういうふうに対処されるお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まだ交渉参加を決めていないわけでありまして、その交渉にもし参加するということになれば、そこからまさに交渉が始まっていくということになるんだろうと思います。

 いずれにせよ、我々の約束というのは、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉には参加をしないということであります。そして、そこで今度の首脳会談において、それはまさに前提条件ではないということが明らかになったと私が確信したというふうに申し上げたわけであります。

山口(壯)委員 米について、たとえそれが聖域だとしても、実は十年ほどの準備期間が認められるだけで、その後はこの扱いがなくなるというのが、これがごく普通の今のTPPの議論なんです。だから、そういう意味では、最初十年はとれたとしても、それは実は、その向こうは、この七七八%というのが極めて難しい。

 私は、絶対だめだとは言いません。可能性は一%、二%あります。しかしそれを、総理は今、国民の皆さんに、どういう状況かということは、そこまではわかっているわけですから、それはお伝えされた上で、なおかつ交渉に臨んでいくということでないと、今交渉に臨んでいないからというだけでは、私は、国民は違うイメージを持っていると思います。

安倍内閣総理大臣 予備的な交渉というのは今やっていますよ。しかし、その中で共同声明を出しました。まさにこの共同声明が全てであって、この共同声明によって、我々は、交渉参加において聖域なき関税撤廃を前提条件とはしていないということについては確信が持てた、こう申し上げているのであって、その上において交渉、これは、交渉する前に全てが決まっていたら交渉する必要がないわけでありますから、参加をしてからさまざまな交渉をする、これが普通の交渉の姿だろう、このように思います。

山口(壯)委員 国民に対してよく情報を提供するということが今回のTPPの根本ですから、そこはよく守っていただきたいと思います。

 ちなみに、保険はありますけれども、医療についてアメリカ側がどういうことを言っているかということがありますけれども、これは私から答えを言わせてください。

 医療について、国民皆保険というものが危うくなるということが言われていますけれども、実は私も、外務副大臣をやらせてもらったときに、アメリカ側のUSTRと交渉した結果、昨年の三月一日、二日に東京で開催された米国アジア・ビジネスサミットというのがあって、アメリカのカトラー通商代表補が代表としてやってきました。そのときに彼女が堂々と言ったことが、TPPは、日本や他の国の国民医療保険制度を民間ベースの医療保険制度に変更を求めるものではない、混合診療を含め、民間の健康サービス提供者に関して日本の制度変更を求めるものではない。ここまではきちっとかち取っているんです。

 したがって、国民皆保険というのはここら辺まではかち取っていますから、交渉が始まっていないからどうのこうのじゃありません。交渉が始まる前でも、こういうことはできるんです。だから、そういう意味では、私は、逃げずにきちっと立ち向かっていく、そういう日本であっていただきたいという思いで先ほど聞かせていただきました。

 ちなみに、会談では、アメリカ側は尖閣での日本の自制的な対応を評価したと伝えられています。その気持ちはきっと、アメリカはアフガン、イラクにおいて国力を相当消耗した、経済までつらい状況になった。それでオバマ大統領は、来年でアフガン撤退路線を明確にして、これから国内の雇用をふやすために輸出をふやしたい、その際のターゲットはアジア太平洋ということでTPPも言っている。ただ、アジア太平洋を見てみたら、日本、中国、韓国がしっくりしていないということで、何とかしてほしいということだと思うんです。

 そういう意味で、日中関係に今後どのように取り組まれる考えか、特に、総理からは対話のレベルを上げていきたいというふうに語ったと言われますので、それはどういうことを具体的に言われんとしたのか、お聞かせください。

安倍内閣総理大臣 六年前、私が総理大臣のときに、胡錦濤主席そして温家宝首相と会談を行い、戦略的互恵関係で一致をしたわけであります。

 戦略的互恵関係とは、まさに両国が友好な関係を維持していくことが両国の国益に資するという認識を持つことでありまして、時には一つの問題において両国が国益がぶつかる場合もありますが、しかし、それはコントロールをしながら、全体の関係においては良好な関係を維持していこう、あるいは、話し合いのパイプはずっと維持をしていくということであるはずだ、我々はそう理解をしておりますし、中国側もそのはずであったわけであります。

 しかし、残念ながら、尖閣の問題に端を発して、中国側と日本側のハイレベルな対話は十分に行われておりません。我々は、日本側のドアは常にあいているということを申し上げております。

 その中において、先般、公明党の山口代表と習近平総書記の会談が行われたわけでございますが、その中においても、中国側は尖閣海域に領海侵犯、あるいは防空識別圏への侵入を繰り返しています。これは極めて我が国にとっても遺憾なことではありますが、その中でも私たちは対応は継続をしていかなければならない、このように考えておりますし、私は、この場で私がこう申し上げていることも中国側には当然伝わっているわけでありますから、中国側にはそれを受けとめてもらいたい、こう思っているところでございます。

山口(壯)委員 公明党の山口代表が先般訪中されて、首脳間の対話というものを課題として持ち帰られたと承知しています。

 きょうは太田大臣にもお越しいただいて、特に、中国との関係も非常に熟知されている太田大臣ですから、山口代表が訪中されたそのフォローアップはどのようになされるべきと考えておられますでしょうか。

太田国務大臣 極めて大事なときだというふうに認識をしておりまして、両国の戦略的互恵、また大局的な判断というものが大事だということは、山口代表と習近平総書記との間で話があり、そして、ハイレベルの指導者の交流ということが大事だ、習近平総書記からも、両国のハイレベルでの指導者の交流との提案を重視し、真剣に検討していきたい、こういう発言があった。

 山口委員よく御存じのように、発言の裏のメッセージ性というのを感じ取るということが私は極めて大事だというふうに思っておりまして、そうしたことをよく受け取って、さまざまな役割が内閣の中にもあると思います、環境整備に努力をしたいというふうに思っています。

山口(壯)委員 安倍総理、公明党の山口代表がそういう日中間の首脳の対話ということを課題として持ち帰ってこられた、これに対して安倍総理はまだ反応されていないわけです。対話の窓口は開かれているというメッセージは今出ています。しかし、この対話を持ち帰ってきた、課題を持ち帰ってこられたことに対してまだ反応はされていないんです。例えば、いつ中国に行かれるというふうなおつもりがありますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 山口代表が訪中された際に、私の親書も託させていただいているわけでございます。

 そこで、山口委員も外務省におられたから御承知だとは思いますが、外交において、いわば、首脳会談をやる、あるいはハイレベルの交流をするというのは、両国の国益であって、我が国だけの国益ではないんですよ。私たちのためだけにやってくださいというものではなくて、それをした方が両国にとってもいいし、アジア太平洋地域においてもいいでしょう、こう我々は申し上げているわけでありますし、さまざまな働きかけも行っております。

 しかし、そこでさまざまな外交的なやりとりが当然あるわけでございますが、今それをつまびらかに申し上げることはできませんが、大切なことは、こちら側は常に対話を呼びかけているということであります。

山口(壯)委員 外交官同士で話ができなければ、あとは軍人の仕事になってしまうということは、よく言われることです。ぜひ総理、対話を続けることによって物事をコントロールしていくということに努めていただきたいと思います。

 特に、日中間の対話というのは、首脳間同士ではなくて、民間人の人も入れた新しいシステムをつくるべきかもしれません。そういう意味では、昔、池田名誉会長が頑張っておられた時代もあったし、あれは大きなスタートとして今に残っていると思います。ぜひ、この日中関係についても、複合的な視野でもって進めていただきたい、そのように思います。

 これで質問を終わります。

山本委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申し出があります。玄葉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 玄葉、山口両委員の質問に続いて、まずTPPから議論をさせていただきたいと思います。

 TPPに入れば、特に世界第一の経済大国であるアメリカと自由貿易のスキームができれば、どういうメリットがあるのかということを国民にしっかり示すことが、理解を得る一番のポイントだと私は思います。

 そういう意味においては、もちろん、先ほど山口議員がおっしゃったように、地政学的な問題、将来的にはボゴール目標に向かって二十の地域・国が経済統合していく、そのためのルールメークというものを、安保の面での同盟国であるアメリカと一緒に、経済、貿易の面でもそういったルールをしっかりつくっていく。私は、そういう重要性があるとは思いますけれども、もっとダイレクトに、国民からすると、アメリカとの自由貿易を結べば何がプラスで、何がマイナスで、トータルはプラスになるのか、そういうわかりやすい説明が求められると思います。

 総理に簡単にお答えをいただきたいわけですが、どういう分野で日本はプラスになり、どういう面でマイナスになり、しかし、このアメリカとの自由貿易を結べばトータルでプラスになるんだという説明を総理としてはされるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 このTPPについて言えば、今、前原委員が指摘をされましたように、さまざまな影響が日本の社会にはあるわけでありまして、これを総合的に勘案して私は判断をしたいと思います。

 確かにそれはダメージをこうむる分野もありますし、プラスになる分野もあります。今ここにおいて明示的に私から申し上げることは差し控えたいとは思うのですが、しかし、一般的には、工業製品においてはプラスになり、そして農業製品においてはマイナスになるのではないか、こう言われています。

 しかし、それと同時に、これは、さらに物の交流が進み、あるいは知的財産においても、そうした物、コンテンツの行き来がより活発になっていくわけであります。そうした中において、さらに副次的な可能性も生まれてくるだろうし、そして、果たして農業分野が、これはダメージを受けるだけかどうかということもあるんだろうと思います。

 新しいマーケット全体を俯瞰しながら、どんな可能性があるのかということを考えるきっかけにもなっていくわけでありますから、そう単純にここはだめと考えるのではなくて、それぞれの分野に可能性があるんだということも含めて、そしてそういう可能性をつくっていくことが、もしそういう判断をするのであれば我々政府の責任であろう、このように思います。

前原委員 総理がおっしゃったことは、私は大事なことだと思うんですね。

 つまりは、規制緩和の一種です。競争を高める、関税をなくしていく。そのことによって、今まで競争力が弱いと思われていた分野について競争力が生まれる、あるいはその努力がなされる。そういったことも付加しなくてはいけないわけでありまして、単純にどれがプラスでどれがマイナスかというだけではいけない。そして、それを取っ払ってきたところに新たなビジネスチャンスが生まれてくる、付加価値が生まれてくる素地があるということは大事なポイントだと思います。

 その上で、さらに質問をしたいわけでありますが、先ほど総理は、プラスになるとしたら工業製品、そしてマイナスになるとしたら農産物だろうということをおっしゃいました。私もそう思うんです。そして、仮にTPPの交渉に入る場合には、いわゆる得意分野と、言ってみれば日本の不得意分野、これをうまく合わせながら交渉するというのが当然大事なことなんだろうと私は思います。

 そういう意味において、一番得意な分野は、工業製品の中でも私は自動車だと思います。

 では、自動車について今アメリカがどういう要求をしてきているのか。これは我々、与党の立場にいましたので、よくわかっています。先ほどから議論のあったように、関税について、いわゆる事前協議の中で立場を明らかにしろ、そしてもう一つは安全基準、これも韓国と同様のものを求めるということをやってきているわけであります。

 この点は明確に総理にお答えをいただきたいと思いますけれども、まず、プラスのものとマイナスのもの、得意分野と不得意のもので、自動車については工業製品の中でも日本が得意分野である。得意分野のものをTPPの本交渉の中で材料に使うということならわかりますけれども、その前でいわゆる武装解除をさせられて、そして本交渉に入るという選択肢は、先ほどから何度も国益という言葉を総理はおっしゃっていますが、総理のおっしゃる国益という観点に照らして考えれば、そういう交渉はあり得るんでしょうか。総理に伺っています。

山本委員長 ちょっとその前に一言だけ。短く。

茂木国務大臣 事実関係から申し上げますと、関税について、TPPに参加している交渉国に対して我が国が払っている関税は、年間大体四千七百億です。そして、そこの中で自動車が半分ぐらいを占めます。

 そして、自動車につきまして、アメリカは既に韓国との間でFTAを結んでおります。恐らく、そういった項目をアメリカとしては要求してくると考えております。

安倍内閣総理大臣 今、経産大臣から答弁をさせていただきましたように、前原委員も御承知のように、そうした交渉はずっと今まで予備的に交渉として続いてきております。そして今も継続中であるということでございまして、我々としては、全体を見ながら国益を守るための交渉をしていきたい、このように思っておりますし、そういう観点から交渉に参加するかどうかという判断をしたいと思っております。

前原委員 いや、私が聞いているのは、私は、TPPに入るべきだ、交渉に参加すべきだと思います。しかし、得意分野がある、不得意分野がある、それは本交渉で議論すべきであって、得意分野を武装解除して、それなら入っていいぞというアメリカの交渉のやり方というのは、交渉としては非常にうまいやり方なんですね、向こうからすると。だけれども、それは、我々にとっては、やる選択肢ではないと思うんです。

 つまり、我々が本交渉の中でどういう、それはトータルの議論の中で行う議論としていろいろな選択肢はあるかもしれませんけれども、得意分野を、まずそれをアメリカ側の要求を認めてからでないと入れないよというようなやり方というのは、私は、先ほどから申し上げているように、総理のおっしゃる国益というものに絶対に反する。それを前提とするなら、むしろTPPの交渉にも入るべきではない、それぐらいの思いでおりますけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 この交渉においては、もう既に二年が経過をしてきてしまっております。我が党が政権に復帰したのは二カ月前でありますから、そして、二カ月間でこの首脳会談まで交渉をして、共同声明を出すに至ったわけでございます。

 一方、先ほど来、民主党の委員の方たちも指摘をしておられるように、ある程度、これは最終的な妥結に向けての期限が切られているわけでございまして、つまり、我々が政権を引き継いでからはもう残余の期間というのは余りない中において判断をしていかなければならないということになるわけでございます。

 そこで、我々も全力を尽くして交渉しますが、当然、米国側も自分たちの国益を最大限に拡大していこうという、そういう交渉になるわけであります。

 そこで、やはりどんな段階においても我々は判断を迫られるわけでありまして、その状況で、では交渉参加しないということについては、これはもうTPPに入らないという選択をするということそのものになるわけでありまして、当然、その中において、どこまで我々がかち得たかどうかということについても、今も交渉しているわけでありますが、それも含めて総合的に判断をしたいと思います。

前原委員 私は、自動車の関税、トラックの関税の問題とそれから安全基準の問題、この二つは絶対に譲るべきではない。これを譲って入れば、これはまさに国益を損なう話になると思います。

 これがもし武装解除して入れということになれば、カードがない状況で入らされるわけですよ、TPPの交渉の中に。自動車、トラックというのが日本の一番のいわゆるカードであるとすれば、そのカードをあなた方は出口に置いておいて中に入りなさいということになるということは、私は、それは国益を失うことになるということを申し上げたいし、それを全くアメリカに押し切られてもし入るということになれば、安倍総理の言う国益というのは一体何なんだということになるということは申し上げておきたいと思います。

 それから、安全基準も韓国と日本と違うところがあります。それは、右通行か左通行かという大きな違いが一つありますね。韓国とアメリカというのは同じ、言ってみれば右通行、ライトというのは真ん中に寄らせているわけですね。そういう意味においては、左側通行の日本とは、韓国、アメリカの車と日本の車というのは構造的に違う面もたくさんあるということはおわかりだと思います。

 そういった安全にかかわることについて妥協して入るということが、果たして本当に国民の理解を得られるかどうか。私は、その点についても絶対に妥協すべきではないと思います。

 先ほど、お答えいただいていません。自動車、トラックについて、本交渉の中で交渉するものだと考えるかどうか、安全基準については譲らない、この二つについてもう一度明確にお答えください。総理がお答えください。

山本委員長 茂木経済産業大臣。少し、短くやりますから。

茂木国務大臣 最終的な関税の税率等々は本交渉の中で決まっていく、そのように理解をしております。

 そして、安全基準につきまして、前原委員おっしゃるように、ライトの位置であったり、つき方、違う部分もございます。日米共通の部分もある。そのように理解をいたしております。

前原委員 テレビを見ている方からすると、安倍さんも茂木さんも何も答えていないんです、我々の質問に対して。

 つまり、もう一度申し上げますよ。逃げているとしか言いようがないんですよ。自動車、トラックの関税をまさに例外扱いとして認めるんだったら、日本はTPP交渉に入ってきていいよと言っているわけでしょう。そして、米韓FTAのように、安全基準について、しっかりと二万五千台の枠については無条件で認めろということを言ってきているわけでしょう。そういうようなことを認めたままでTPP交渉に入るといったら、それは国益を失うということになります。

 お答えがないので、これはとにかくしっかり、本予算の議論もありますので、何度でもこの点については、我々、詰めさせていただきたいと思います。

 これは、実は、総理、政府に対するバックアップなんですよ。議会の中ではこういう意見が強いというカードを我々は総理に、生意気な言い方ですけれども、お与えをするんです。議会ではこういうような厳しい意見があるから、そこは妥協できないんだということをぜひ日米の事前交渉の中で使っていただきたいということは申し上げておきたいと思います。

 さて、日米安保の重要性について、後半、質問させていただきたいと思います。

 総理にお伺いします。

 幾つでも結構です。日米安保はなぜ重要なのか。一部の政党に、アメリカの言いなり、アメリカの言いなりにならないということを言っている政党もあります。私は、言いなりとか言いなりにならないということの議論を根本から、正面からやるつもりはありませんけれども、日米同盟がなぜ必要なのかということをやはり国民に示すために、幾つでも結構です、総理が考えておられることをお示しください。

安倍内閣総理大臣 日米同盟というのは日米の安保条約に基づく同盟であって、その中で、委員御承知のように、大切なのは五条であって、日本がもし海外の国から攻められた場合は、米国は日本と共同対処する。共同対処するというのは、事実上、これは日本のためにアメリカの若い兵士が命をかけるという防衛義務を負っているわけでありまして、世界じゅうで防衛義務を日本に対して負っているのは米国だけであります。

 それは、例えば尖閣についても五条の対象になるということは、クリントン国務長官もケリー国務長官も明確に示しています。つまり、アメリカとして明確に示している。つまり、この尖閣において力の行使をしようと思えば、日本だけではなくて、日米を相手にしなければならないということになるわけでございます。

 そしてまた、北朝鮮が日本にミサイルを撃ち込む、その際、日本はこのミサイル基地を攻撃する能力はありませんが、そうすると、もし日本だけであれば、では押そうかとボタンを押す意思が固まれば、ボタンを押してしまうかもしれない。しかし、それに対しては日米で共同対処しますから、打撃力を持っている世界最強の米国が報復をする可能性があります。

 また、核攻撃に対しても、拡大抑止について米国は明確にコミットしているわけでありますし、先般の核実験の後も、オバマ大統領との電話会談で、核の傘をしっかりと提供していくということになりました。つまり、日本を核攻撃すれば、アメリカの核報復も覚悟しなければいけないということになり、つまり、それが抑止力になっていくんだろうと思います。

 そういうことだけではなくて、日米同盟が、お互いに同盟国であるということによって、国際場裏で、例えば国連において日本がこういう決議をしてもらいたいというときに、米国がそれは味方をする。あるいは、さまざまな、国際場裏における国際機関の委員を決めていく上においても、アメリカは同盟国だから日本を支持しようということにもつながっていくわけであります。

 そういう意味で、同盟国というのは、同じ、いわば運命共同体的なきずなを持っている。そのことはまさに日本にとって大きな国益だろう、私はこのように思います。

前原委員 今総理のおっしゃったことについては、いずれも日米同盟関係で重要なポイントだと思います。

 五条、つまりは、やられたら、自分がやられたものとして共同対処するということを決めている。それから、核の抑止力の問題。核の傘というものを、しっかりとアメリカは日本に対してオブリゲーションを負っていることを明示的に示しているということ。それから、敵基地攻撃能力。やられたらやり返す能力は日本はありません。盾と矛の役割分担の中で、アメリカが矛の役割をし、日本は専守防衛、盾の役割をするということで、役割分担をしている。今総理がおっしゃったことは全て日米同盟関係の重要なポイント、必要なポイントだと思います。

 あと、加えさせていただきますと、六条ですね。六条によって日本は基地提供をしているわけでありますけれども、そのことによって、アジア太平洋地域の安定のための公共財に日米同盟関係がなっているということも一つだというふうに思います。

 また、先ほどからおっしゃっていること、あと私が今申し上げることも含めて、そういうものがあることが日本という国の安定性のもとになっているということで、経済繁栄の礎になっているということですね。つまりは、脆弱性というものがその分低減をされているということで、投資もされるし、経済活動もされる、株も一定の値段になる、円、為替も一定のものになるということでありまして、それが経済活動の基盤になっているということも日米安保の重要なポイントだと思います。

 さて、先ほどおっしゃったパワー・プロジェクション・ケーパビリティー、攻撃能力の話、それからもう二つ、私は、防衛面で日米安保の重要性について申し上げたいと思います。

 二つ目は、パワー・プロジェクション・ケーパビリティーの次に私が申し上げることは、インテリジェンスの話です、情報収集。

 日本は、今、多目的衛星ということで四基打ち上げていますけれども、アメリカは、ペンタゴンだけでも百基以上あります。そういう意味では、情報収集能力、例えば衛星という面においても彼我の差がある。

 それから、ミサイルが飛んでくるという話を先ほどされましたけれども、それは、北から飛んでくる場合には七分ぐらいで来ますから、アメリカしか持っていない高高度の静止衛星で熱感知をして、そして早期にそれを知らせてくるということで、インテリジェンスはアメリカに頼っている。

 また、内調というものは日本にありますけれども、例えばCIAとか、あるいはイギリスで言うMI6とか、モサドとか、こういうものについては日本はない。そういう意味では、ヒューミントというものもかなり、インテリジェンスという意味においてはアメリカに頼っている部分がある。

 それから三つ目は、防衛装備なんですね。例えば、今まで、日本の主力の戦闘機あるいはイージス艦、これをとったってやはりアメリカから購入をしているということでありまして、装備、インテリジェンス、そして敵基地攻撃能力、こういうものについても、まさに死活的な、日本の安全保障の鍵を握っているのはアメリカであるということだと思います。

 ただ、ここからは少し議論を総理とさせていただく中で建設的な議論をしたいと思いますけれども、こういうアメリカにおんぶにだっこでいいのかという議論もあります。つまりは、防衛装備についてはアメリカにおんぶにだっこ、インテリジェンスについてもアメリカにおんぶにだっこ、やられたらやり返す能力についても日本は全くない、そしてアメリカにお願いしますということ。

 ただ、これは、一九五一年の旧安保条約から数えますと六十年以上の年月の中で今の日米安保体制というのが固まってきたわけでありますから、一朝一夕にそれを変えるということはできないし、また、すべきでもないというふうに思います。

 そこで、一つずつ、やはりしっかりと日本の足腰を強めながら、それがひいては日米の協力体制を強めるということをやっていかなくてはいけません。その一つが、実は武器輸出三原則の見直しなんですね。

 共同開発、共同生産、これは、野田内閣のときに我々で武器輸出三原則の見直しを行い、共同開発、共同生産をやれるようにしていこうということをやってきたわけです。これは、日米の結びつきも強くなると同時に、日本の防衛産業の基盤をしっかりやはり持たなきゃいけない、これがなくなったら再び築くのは大変ですから。そういう意味では、この共同生産、共同開発というものをしっかりやっていこうということであります。

 そこで、質問をいたします。

 この議論をするときに、これは防衛大綱の中で議論を初めにしました、私も外務大臣としてこれにかかわりましたけれども、一つ大きなポイントはイスラエルの対応だったんですね。アメリカとの共同開発、共同生産をするということになると、アメリカと特別の関係にあるイスラエルというものにどうしても武器が渡ってしまう可能性がある。今回のF35の取り扱いについても、そこが争点になったというふうに思います。

 しかし、私は、この点について、もちろん対外的にしっかり説明するということは行いながらも、こういう問題も乗り越えなければ、同盟国であるアメリカと共同開発、共同生産はできないと思います。総理、その点についてどう思われますか。

安倍内閣総理大臣 武器輸出三原則について、野田政権時代に官房長官の談話を出された。あれは、私は、極めて有意義というか、ある意味歴史的に重要であった、このように思います。

 その観点から、つまり、我が国を防衛するためにはF35が絶対的に必要であります。この世代の戦闘機を持たなければ、残念ながら日本の国を守ることができない。その中において、新しい生産システムの中に入っていくことがいわば安定的なF35の購入につながっていきます。

 そこで、今までの武器輸出三原則との関連、またあるいは民主党政権時代に出された官房長官の談話があります。ただ、イスラエルという存在があって、イスラエルは、いわば、さまざまな中東の事態に対して今後武力行使も可能性としてはあるわけであって、そうすると、その可能性のある国に行く可能性が出てくるわけでございます。

 そして、では、それをもってして、これからF35の共同生産に全く参加できなくていいのか。これはまさに極めて大きな課題でございまして、これは近々、政府として官房長官から談話を出させていただきたいと思いますが、この談話を出すに当たっては、ある意味、これは認識は前原さんと同じだと思いますが、状況が変わってきましたから、今までの積み上げよりもある程度私は踏み込んだ現実的な対応として、日本を守るために何をすべきかという観点から考えて、そして談話にしていきたい、このように思っております。

前原委員 もともと、武器輸出三原則という三原則というのは、紛争当事国、共産国、そして国連決議、この三つに限定しようというところが、三木内閣で極めて全てがだめなようになったということでありまして、そういう意味では、私は、原点に戻るべきだと思うんですね。

 つまりは、死の商人にならない、それは大変結構だ、しかし日本の安全保障も必要、そしてさまざまな国との関係があるという中で、今総理がおっしゃったように現実的に対応するということがないと、私は、日本の防衛基盤とか日本の安全保障の足場というもの、ひいては、それが、さまざまなチャレンジがこれから来ると思いますけれども、それにしっかりと対応するものになっていかないと思いますので、そこは党派を超えてしっかりやってもらわなくてはいけない点だというふうに思います。

 それからもう一つ。ちょっと時間がなくなってきましたけれども、防衛大綱を見直すとおっしゃっていますね。

 我々、あの防衛大綱も、総理がブレーンの一人として考えておられる北岡伸一先生にも入っていただいて、かなりいいものができたと私どもは自負しています。どこを変えるつもりですか、防衛大綱の。

小野寺国務大臣 大綱の見直しにつきましては、今、省内を含め、今後政府内で検討していくと思っております。

 前原委員御指摘のように、この大綱については、民主党政権下におきましても動的防衛力というお考えを出して、さまざま、しっかりとした考え方を出してきていただいていると思いますが、例えば、北朝鮮が、昨年十二月十二日にミサイル事案がございました。その際も、能力が恐らく相当向上しているということもございますし、また、サイバーを含め、さまざまな御指摘もございます。民主党政権下でつくられた大綱を私ども参考にさせていただきながら、直近のさまざまな課題に対応できるよう検討していきたいと思っております。

前原委員 総理に申し上げたいんですけれども、さまざまな答弁の中で民主党政権の否定をされます。それは否定するところもあるでしょう。だけれども、先ほどの武器輸出三原則の見直し、それから今の防衛大綱の動的防衛力、こういうものについては、私はまさに、繰り返しになりますけれども、党派を超えて評価されるべきものだと思っています。そういう意味においては、私は、民主党政権でつくった防衛大綱だから見直すという意味での見直しであれば、極めて矮小化されたものになると思います。

 そういう意味で、今の小野寺大臣の答弁では、具体的に今から決める、考えるということであれば、もうちょっと煮詰まってからポイントを、例えば、これは事実かどうかわかりませんよ、産経新聞では「敵基地攻撃能力保有へ 防衛大綱改定で検討」ということが書かれています。この是非については議論する余地があると思います。パワー・プロジェクション・ケーパビリティーを持つということは、相当なお金と相当な装備が、仕掛かりが必要でありますので、私でさえ、このことについてはそんなに軽々に検討すべきであるということは言えないような大変大きなテーマであります。

 しかし、何か具体的な新たな検討課題がないのであれば、なぜ防衛大綱の見直しということに言及されたのか。その点について、もう一度総理から御答弁をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私は民主党政権の成果を意地になって認めないというふうに言われておりますが、ただ、先ほど申し上げましたように、防衛大綱においても、私は、新しい防衛大綱だった、このように思いますし、率直に言って評価をしております。しかし、今回なぜ防衛大綱を変えようかということは、いわば防衛大綱のようなものも不断の検討は必要だろう、このように思っているんですね。

 そこで、小野寺防衛大臣が答弁をしたように、アジア太平洋の戦略環境が厳しさを増している中において、それにどう対応していくかということを考える必要はあるだろうということで申し上げたわけでもありますし、小野寺大臣も意欲を持って、いわばそれに即したものをつくっていきたいということであります。

 そして、敵基地攻撃について言えば、私の問題意識としては、それをずっとアメリカに頼り続けていいのだろうかということなんだろうと思います。ですから、F35を導入するのであれば、F35の能力もあります、そういうものも生かしていくことができるかどうかということについての検討はしなければならない。

 申し上げておきますが、これは民主党政権時代の大綱を否定したいがために申し上げたわけではなくて、その延長線上で考えていくべきではないかと思っております。

前原委員 もう終わりますけれども、防衛大綱というのはやはり十年、二十年のタームで決められるべきで、その防衛大綱に基づいて、五年ごとの中期防の中で具体的な装備を整備していくということだったと思うんですね。だから、余り防衛大綱をころころ見直すと中期防と逆転をしてしまうということになりますので、そこは、もしつくり直すのであれば、十年、二十年しっかりともつような防衛大綱をまさに全国民的な議論の中でしっかりやっていただくということを求めて、質問を終わりたいと思います。

山本委員長 これにて玄葉君、山口君、前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田宏君。

山田(宏)委員 おはようございます。日本維新の会の山田宏でございます。

 まず総理、訪米御苦労さまでございました。

 私、二月八日に本委員会に立たせていただきまして、訪米前に、総理のTPPへの対応について、何点かお尋ねをいたしました。その中で、自民党の公約である、聖域なき関税撤廃が前提でないと確認をされたならば、早期に交渉参加への決断をすべきだという視点でお話をさせていただきました。

 そのように会談もなって、そして共同声明が発表されました。今いろいろ議論になりましたけれども、私は、国内にいろいろな不安がある中でこういったことが文字になったということは成功だったと素直に評価したいと思っております。

 そういった中で、私は、やはり速やかに交渉に参加をしていくということが非常に重要だと思います。これは政府の決断一つでできることでありますので、やはりいろいろな御意見はあろうかと思いますけれども、早期の決断をお願いしたいと思うんです。

 ここまでオバマ大統領と交渉をされて、文書にされたわけですから、ここで、いろいろ国内で相談した結果、交渉にはちょっと参加はできませんというようなことはあり得ないと思うんですけれども、その点、いかがでございましょうか。

安倍内閣総理大臣 この会談の結果を受けて、アメリカ側はアメリカ国内において調整をしてまいりますし、既に参加を表明している国々との交渉もあるんだろうと思います。

 私は、聖域なき関税撤廃ではないということを確認いたしましたので、持ち帰りまして党に対して説明をしていくという責任もございます。党においてさまざまな議論がなされておりまして、当然反対の議論もたくさんあります。そうしたことも踏まえて、国益にかなう道を選んでいきたいと思います。

 今ここで、参加以外には道がないということを申し上げるつもりはもちろんありませんが、やはり、よく党内の意見を聞いていくことも、私は自由民主党の総裁でもありますから、その責務であり、友党の公明党の御議論も拝聴したいと思っております。

山田(宏)委員 この交渉は、これからの世界の自由貿易のルールのひな形になるような交渉事でございますので、なるべく早目に交渉に参加して、そしてそのルールづくりにきちっと入っていただき、その結果、これはだめだという場合もあるでしょうし、国会が批准しない場合もあろうかと思いますけれども、どうかその点はお願いしたい、こういうふうに思っております。

 もしこれで交渉に参加しないということになれば、かつてのトラスト・ミーと同じことになってしまうと思うんですね。ですから、そういった意味では、ぜひここは早期に交渉に参加していくということが日本の国益につながる、リーダーとしての求心力につながるというふうに思っておりますので、ひとつお願いしたいと思っております。

 新聞紙上では、今回のTPP交渉参加、TPPに参加した場合の経済の評価について、先ほどもいろいろ御質問がありましたけれども、GDPを約三兆円好転させる、増加させるというような試算も政府にあるかのような報道がございました。こういった点については、全体としてはプラス、こう考えているんですけれども、農業にはまたマイナスもあろうか、こういうような御議論もあります。

 私は、農業についてなんですけれども、関税七百何%を常に死守するという方針がいいのかどうか、これもやはり考えてほしいな、こう思っております。

 やはり、農業は強くしていかなきゃならない、輸出産業にしていかなきゃいけない、成長産業にしていかなきゃいけないとなりますと、保護しているだけでは米産業は強くならない。やはり一定の競争の中で日本の米産業が世界に雄飛していくという戦略がなければならないと思うんです。

 ですから、あくまでもこれは聖域で一歩たりとも譲らないということが本当に日本のためになるかどうか、その点はやはり大きな戦略的思考が私は必要だ、こう思っております。

 いろいろ新聞を読んでおりますと、農業関係のさまざまな団体の方々やそういった被害を受けると想定されている方々から、一定の農業への配慮というものを求める声も上がっているように思います。

 かつて、私も国会議員のときに、一九九三年にウルグアイ・ラウンド交渉が妥結して、米というものが関税化され、ミニマムアクセスというものが認められて、その後、ウルグアイ・ラウンド農業対策費として膨大な予算が計上されました。

 まず、このかつての自由化交渉の中から生まれてきたウルグアイ・ラウンド農業対策費というのは、いつからいつまででどれぐらいの額が使われたのかということを農水大臣にお聞きしたいと思います。

林国務大臣 お答えいたします。

 ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意関連対策、いわゆるUR対策ですが、同合意による国内農業への影響を緩和するために、事業費で六兆百億円、うち国費が二兆六千七百億円で実施をしております。事業実施期間は、平成七年度から十四年度までの八年間でございます。

山田(宏)委員 この八年間で六兆百億円のお金が費やされたわけです。これも日本の農業を立て直してよくしていこうという意図でつくられたと認識をしておりますけれども、この予算が使われた八年間で、農業就業人口がどれぐらいに推移したのか、また、米の作付面積、平年収量というのがどれぐらい増加したのか、この点について、質問を事前にお話をしていると思うので、もしわかったら教えていただきたいと思います。

林国務大臣 済みません、ちょっと正確に御質問を把握していなかったようでございますが、新規就農は、平成六年で六千三百人、平成十年には一万一千人と……(発言する者あり)新規就業青年ですね、この効果としては出ておるようでございますが、後でまとめて資料はお届けしたいと思います。

 十二年の七月に中間評価というのをやっておりまして、稲作労働時間が六割短縮されるというような効果があるものもあった。しかし、例えば、担い手に農地の過半を集積するという目標、七十六万ヘクタールの目標と立てておったわけですが、これは四六%しか達成できなかったということで、非常に低い水準になっているというものもあるということを平成十二年の中間評価で既に行っているところでございます。

山田(宏)委員 これだけのお金を八年間投じても、私の資料だと、農業従事者はその八年間で七百四十万人から五百六十万人まで減りました。また、平年収量も一千百万トンから八百七十万トンまで減りました。結果としては、このウルグアイ・ラウンド対策費、農業対策費が六兆円も費やされたにもかかわらず、農業の発展というものにはほとんどつながらなかった。

 いろいろな理由があると思うんです。やはり、その中の理由の一つとして、この対策費は、ほとんど道路とか建物、箱物、そういったものに費やされて、農家の方々のレクリエーション施設とか温泉施設とか、または農業空港とかスーパー農道とか、こういったものにほとんどが費やされてしまって、農業そのものの競争力回復というものにはほとんど効果がなかったんじゃないか、こういう評価がありますけれども、農水大臣、どうでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げたような評価がある中で、一概に全て、例えば農業農村整備が効果がなかったということではないというふうに思っております。集約する効果とか労働時間が減ったとかですね。

 ただ、当時は、今の状況と比べてみますと、例えば累次にわたって農地法の改正というのをやりまして、二十一年度が大きかったわけですが、平成の農地改革ということで、いろいろな主体の参入を認めております。そういうことがない中で当時やっていたという状況の違いもありますので、そういうことも加味しながら、対策というものがもし必要になれば打っていくということが考えられると思います。

山田(宏)委員 農水大臣としてはそういうことを言わざるを得ないと思うんですけれども、総理、どうですか。このウルグアイ・ラウンドの対策費というのは、これだけのボリュームをかけた効果があったというふうにごらんになっていますか。

 また、その反省というか評価のもとで、今後、このTPP交渉における中で、農業の問題も、やはり本当に農家の求めているもの、本当に農業の従事者が抱きたい希望というものとは、このウルグアイ・ラウンドの予算というのはほとんど何か、全部とは言わないまでも、そういう気持ちとは乖離したものではなかったかというふうに思いますけれども、いかがでございますか。

安倍内閣総理大臣 当時、ウルグアイ・ラウンドに参加するかしないか、平成五年、私と山田さんは当選同期で、私は野党で、山田さんが与党という立場だったと思います。当時、我々は、自由民主党は反対の立場であったわけでございます。しかし、この予算については、基本的にこれは、確かに圃場整備等も進めて集約化しやすい基盤はつくったとは思いますが、反省点も確かに、今委員の御指摘で、多々あったんだろうな、このようには思います。

 そういう反省も含めながら、何が必要か。まさに農業が、若い人たちが自分たちの情熱や能力を生かすことができる分野である、こう思ってもらえるような分野にしていくために何が必要かということは、TPPとは別に、常に考えていかなければいけないし、今こそ考えていくべきだろう、このように思っております。

山田(宏)委員 やはり、これから農業対策というものが必要になってきたときに、これまでのやってきた結果、それは善意であったとも思います、しかし、やはりその効果についてはきちっと精査をして、本当に日本の米、農業が世界に雄飛できるような、そういう環境をつくっていく。それは補助だけではない。やはり一定の競争環境というものを工夫して入れる必要がある、私はそう思います。ですから、そういった視点でぜひ今後考えていっていただきたい、こう思います。

 次に、日米同盟の問題は、単に経済だけではありません。同盟といえばやはり安全保障が基本的な柱になります。そこで、幾つかその点でお考えをお聞きしていきたいと思いますけれども、まず、その前に、尖閣の問題に入りたいと思います。

 きょうの朝日新聞で、「中国船に追い回された」ということで、尖閣領海で、領海ですよ、魚釣島のすぐそばで操業していた二隻の鹿児島県の漁船が、二月四日、中国の公船によって日本の領海内で追い回されて、結局、操業ができずに離れたというような記事が載っておりました。

 この事案は、当然、海上保安庁としては把握をされていると思うんですけれども、事実関係についてちょっと御報告をいただきたいと思います。

太田国務大臣 きょうの新聞記事に「中国船に追い回された」という記事が大きく出ておりますが、この事案については承知しております。

 二月四日、尖閣諸島の領海内で海監二隻が一時的に日本漁船に接近するような状況になりました。中国側の活動の意図については承知していないところでありますが、事実についてはよくわかっております。

 海上保安庁では、海監二隻に対しまして、巡視船により退去要求を行い、領海外へ退出させたという事実でございます。

山田(宏)委員 ということは、漁船が操業しているということは海上保安庁は当然認識をされていながら、そこに中国の公船が領海内に侵入してきて、そして日本の漁船を追い回すという中で、海上保安庁の巡視船もその中国の公船に続いて追っかけごっこをしているというような構図になっていたんでしょうか。

太田国務大臣 その中に入って、海上保安庁の船が領海外に押し出すような形でやったということでございます。

山田(宏)委員 ここの記事によりますと、午前七時ごろから操業していて、正午過ぎに中国公船二隻が接近、危険回避のため移動すると、並走する形でついて回り、午後五時ごろ操業を諦めたと。非常に長い時間です、朝から晩まで。

 こういった事態が起きていたということで、船長は、こういったことが起きると、私も魚釣島は行きましたけれども、非常に魚影がはっきり見えるぐらいたくさん魚がいますよ、大きな魚が。非常にいい漁場だ。こういういい漁場で日本の漁船が安心して操業できないということでいいのか、ぜひ安心した操業ができるようにしてほしいというようなコメントも出されておりました。この新聞では、「中国公船は一カイリまで接近してきた。威圧感があり、臨検を受けないか不安だった」という船長の証言もあります。

 こういった事態というのは、昨今、たびたび起きている事態なんでしょうか。

太田国務大臣 昨年の九月十一日以来、領海あるいは接続水域にかなりふえてきたという状況にございます。この二月ということからいきますと六件だと記憶しておりますけれども、そういう事態が起きた。六件、領海内に入ってきた、まあ六日ということ。

 最近は、その回数だけでなくて、非常に長時間にわたるというのが大きな特徴でありまして、いずれにしても、領海の警備を海上保安庁としてしっかり今やっているという状況でございますし、今後もそう努めたいと思います。

山田(宏)委員 昨今の中国は、こういった挑発的行為をどんどんエスカレートするばかりではないかという感じがするんですけれども、この中国側の狙いというものを日本側がどう捉えているのか、政府としてどう捉えているのか、一度お聞きをしておきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 なかなかこの意図を推測するのは難しいところがあるわけでございますが、尖閣について言えば、これは一九七一年まで全く中国は主張していなかった。しかし、国連において尖閣の海域には相当大きな資源があるという発表がなされた後、中国は、自分の領土である、こう主張し始めたわけでございます。つまり、南シナ海での彼らの活動を見ている上においても、こうした資源に対する彼らの力による現状変更という動きがございます。

 と同時に、残念ながら、中国はいわゆる反日教育をずっと進めてきている中においてそうした大きな世論があるのも事実でございまして、そういう中において、こうした挑発的行為をすることがいわばある種の支持を受けているということもあります。そして、ちょうど政権の移行期でありまして、まだ人事が全て行われていないという状況の中でこうしたことが起こっているということであります。

 ここでやはり私たちがやるべきことは、しっかりと対話をしながら、かつエスカレートさせないということが極めて重要ではないかな、このように思います。しかし、前線で海上保安庁の諸君や自衛隊の諸君は本当に厳しい任務を実践しながらよく頑張っていただいている、このように思います。

山田(宏)委員 中国側のこれまでの尖閣周辺における動きというのは、現状を少しずつ変えていく事実の積み重ねをしている。つまり、この尖閣諸島周辺は中国の領土、領海であるということを少しずつ事実を積み重ねていっている、また、それがエスカレートしている、日本が黙っているとさらにまた半歩進んでくる、こういった事態だろうと思っております。

 恐らく今度は、この漁船の状況が、拿捕という、つまり、中国の経済水域または中国の領海でやっているということを理由に、拿捕という手段もとり得るのではないかと思っております。

 これまで日本は、北方領土周辺においても、また李承晩ライン設定後の竹島周辺においても、相手国が日本の漁船を不当に拿捕していったということが数々積み重なってまいりました。そういったことを考えておりますと、この尖閣周辺でも漁船の拿捕というのはもう現実性を帯びているのではないか、こう思っております。

 海上保安庁が特にその点については矢面に立っていただいているわけでありますけれども、今後、私は、中国の情報をお聞きしますと、日本側のさまざまな対応を想定して、中国の公船だけではなく、中国海軍も加わったさまざまなシミュレーションを行っていると聞いております。

 そうしますと、事によっては、拿捕が行われた場合、日本が、当然ながら海上保安庁の船が出てくる、そうすると、向こうの公船と極度の緊張関係にある。そういった中で、遠回しに中国の海軍の軍艦が出てくる。今でも存在しているわけですが、そういった船が出てくると、今度は日本の海上自衛隊が関係してこなきゃいけないということになってきます。

 そういうことまで日本の場合は、拿捕だけではなくて、シミュレーションを海上保安庁と海上自衛隊できちっとやっておられるのかどうか、この点についてお聞きをしておきたいと思います。

太田国務大臣 基本的にやっております。

 海上保安庁が領海警備をする場合に、そうした自衛隊との連携というのは極めて大事だというふうに思っておりまして、それは常日ごろから共同訓練やあるいは通信訓練等を実施しているところでありまして、特に秘匿通信訓練ということで、自分たちだけでわかるという形での特に通信の連携ということについては、やっております。また、こうした緊密な連携のもとに共同訓練という形でやっていることも事実でございます。

小野寺国務大臣 このような領海侵入事案につきましては、一義的には先ほどお話がありました海上保安庁の巡視船が実施をしておりますが、海上自衛隊としましては、平素より、P3Cにより、尖閣諸島を含む我が国周辺海域において警戒監視を行っております。

 また、さまざまな情報につきまして、あるいは公船等の情報につきましても、無線等により、海上保安庁と速やかな連絡体制をとっております。

 なお、御指摘がございました海保との共同訓練でありますが、平成十一年以降、通信訓練は毎年二百回以上、また、不審船への共同対処マニュアルというのを平成十一年の十二月に策定しておりますし、これに基づくさまざまな訓練ということを毎年のように、基本的にはやっております。

山田(宏)委員 ちょっとまだ質問していないことをお答えになっているので、次に共同訓練の話をしようと思っていたんです。

 たしか、海上保安庁と海上自衛隊が尖閣のさまざまな事態を想定した共同訓練、きちっとオペレーションをして、そこの海域に出てやるということは一度もやっていないはずですよ。これまで海上自衛隊と海上保安庁がやってきた訓練というのは、北朝鮮の工作船をどうやって追い出すかというのはやっていますよ。しかし、尖閣のこの厳しい状況の中で、そういった訓練を行っていないんじゃないですか。

 どうですか、防衛大臣。

小野寺国務大臣 今御指摘がありました海上保安庁との共同訓練でありますが、これは不審船を含めた対応ということで、たまたま共同訓練を行っている場所というのが尖閣周辺ではありませんが、私どもとしましては、あらゆる事案に対応できるように、柔軟性を持って訓練をさせていただいております。

山田(宏)委員 これ以上やってもしようがないんですけれども、海上保安庁と海上自衛隊、なかなか組織の壁があります、警察と軍隊ですから。そういった意味では、やはり情報を瞬時にお互い共有していくという体制はもっと進めていかなきゃいけないと思うんです。

 総理、これからこういった事態を想定しながら共同の訓練もする、それから、官邸の情報機能も、現在、制服が官邸の秘書官とかに入っていないですよね。やはりホワイトハウスなんかは、そういう人たちがちゃんと入って、きちっと専門的なアドバイスを大統領にしているわけですよ。日本の場合は、そういったものが、やはり間に何人か立っていて、それで総理ということになりますので、官邸の機能も、そういった制服組を何人か秘書官として加えてやっていく体制をやはりとるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでございますか。

安倍内閣総理大臣 ただいま山田委員から、必要な問題点、我々が検討しなければいけない必要な問題点について御指摘をいただいたと思います。

 尖閣の対応においても、防衛省とそして海上保安庁がしっかりと共同して対応できるように、あるいは、共同して対応できるようなマニュアル、既にさまざまな、共同的な対応ができるような、訓練等も含めて、できておりますが、今後さらに、尖閣の事態に対応した、尖閣でその訓練をやるとは限りませんが、図上の演習についても含めて、これはちゃんと検討していくべきであろう、このように思います。

 そして、今後、NSCをつくっていく上において、当然、私は、制服の人たちに入ってきていただいてスタッフとして仕事をしていただくべきであろうと思っております。

山田(宏)委員 私は、NSCの発足を待たず、いつ何が起きるかわかりませんので、そういった対応だけはぜひ早期にしていただきたい、こう考えております。

 ちょっと、質問の時間が大分迫ってきたので、集団的自衛権に入りたいと思います。

 先ほども何点かお話がありました。自分の国は自分で守るというのは当然の原則でありますが、今、全部自分の国で守れる国というのはアメリカ以外にないわけです。そういった中で、やはり同盟関係というものが自国の安全保障にとっては非常に大事です。その同盟関係という基本は、やはり個別的、集団的自衛権で成り立っているわけです。集団的自衛権というのは、自分が攻撃を受けたら相手が助ける、相手が攻撃を受けたら自分が助けるという当然の正当防衛です。

 この固有の自衛権に属する個別的、集団的自衛権について、今までの政府解釈というものは、たしか集団的自衛権については、それを有しているけれども行使は憲法上できない、こういう政府解釈だと思いますけれども、その点、官房長官に確認しておきたいと思います。

菅国務大臣 政府としては、今まではそのとおりです。

山田(宏)委員 権利はあるけれども行使できないということはどういうことかというと、例えば、損害賠償の請求権があるけれども損害賠償を請求することは行使できない、または、表現の自由はあるけれどもそのようなさまざまなものを出版することはできない、こういうことと同じで、権利のないことと同じことですよ。

 権利があるということは、行使することと一体なんですよ。ですから、権利があるけれども行使できないなんというようなばかげた解釈をやっていけば、私は、日本はどんどんどんどん、こういった自衛または安全保障という面でおくれをとってくると思うんです。

 二年前に、アメリカのアナポリスという海軍士官学校に行ってお話を聞いたことがありました。日本の自衛官も来ていました。その中で私が質問したのは、日米の共同訓練のときにミサイルが飛んできた、そのミサイルはアメリカの艦船を狙っている、または日本の艦船を狙っているという想定なのか、どちらの艦船を狙っているかわからないという場合もあるじゃないか、だけれども、集団的自衛権が認められないから、アメリカの艦船を狙っている場合は、日本の自衛艦は、自衛の船は、軍艦は動けない、対応ができない、こんなような想定をしているんですかと聞いたら、そんなことはあり得ないとアメリカの軍人は答えていたわけです。そうしたら、日本の海上自衛隊の武官は、間に立って、いや、いろいろ考えておりますということで、現場は大混乱ですけれども。

 私は、安倍内閣になって、そろそろこの問題はやはり決着をつけるべきだと思うんですけれども、一般論として、権利があるのに行使ができないなんというような権利があるんですか。

菅国務大臣 安倍内閣として、集団的自衛権について、先般、委員も御承知だと思いますけれども、懇談会を立ち上げました。そしてこれは、前回の報告書を踏まえる中で、安全保障の変化の中で我が国の平和と安全はどうしたら守ることができるのか、そういう議論を今始めております。

山田(宏)委員 いや、権利があるのに行使できないという権利はあるんでしょうか、一般論で。

菅国務大臣 一般論というよりも、今後そうしたものを、この安全保障の懇談会の中で、私たちは、議論を踏まえながら、新しい安全保障について今対応を検討しているということで御理解をいただきたいと思います。

山田(宏)委員 内閣法制局が代々受け継いできたこの解釈と称するもの、こういうのはやはり何というか、法律の専門家による専門家のための全く現実を無視した議論でありまして、内閣法制局は内閣の一員でしょう。そうしたら、やはり総理大臣がきちっと、常識は、権利はあるけれども行使できないなんというようなばかなことがあるか、そういうような方針できちっとこの解釈は見直すべきだということを指示すれば、私は終わると思うんですよ。

 こんな懇談会を再開されまして、何回こういうことをぐちぐちぐちぐちやっても、いろいろな事態があるなんて例示を、四類型とかあったけれども、四類型に当てはまらないものだって山ほどあるわけです。類型を挙げれば挙げるほど、ああ、そういう場合は認められるというような限定列挙になってしまって、そんなことをやれば、日本の防衛をする場合、適時適切な判断ができないと思うんです。

 私は、もうこれはストレートに、やはり集団的自衛権を有しているということまではもう決まっています、これは。慣例でもはっきりしているわけです。ですから、有しているならば、行使は当然できる。ただし、行使をする場合は、その当時の政府によって、慎重の上にも慎重に、また、国会の承認が必要な場合はきちっと国会と相談をして行使をしていくと言えば済むんですよ。

 そういう懇談会を何回も何回も重ねても、私は、安倍さんらしくないと思う。だから、ここはやはりぴしっと総理の見識を示していただきたいと思っています。

安倍内閣総理大臣 先ほど、権利があって行使できない、そんな権利なんかあるのかという御質問でございましたが、維新の会の西村眞悟議員は、財産は持っていてもそれを処分する能力に欠けている場合、いわゆる禁治産者と言われている場合は、それは、財産に対して権利は持っているけれども、処分することはいわば許されていないというふうに、西村眞悟さんが弁護士として解説をしておられて、そうすると、では、日本はそういうことなんですかということになってくるわけでありまして、しかし、それでいいということではないわけであります。

 大切なことは、この集団的自衛権については、残念ながら、国民的にはまだよく理解をされていないわけでありまして、例えば、私の友人に集団的自衛権の行使について賛成してくれますかと言うと、それは反対だと言うんです。しかし、では、さっき山田委員が指摘をされたように、日本の自衛艦の艦艇とそしてアメリカの海軍の艦艇が、例えば東シナ海において日本のシーレーンを守るために並走して走っていたときに、アメリカの海軍の船がミサイル攻撃を受けて、こちら側が例えばイージス艦だった場合は、こちら側の船しかそれは感知できないということはあり得ますね。そして、その方向も、アメリカの艦艇だということは相当離れている距離であってもわかるわけです。自分たちの艦艇ではなくて、そっちを狙っている。そして、それを撃ち落とす艦艇はアメリカの海軍の船にはなくて、こちらのイージス艦にはあるということは、現実問題としてあり得るわけですね。これを撃ち落とさなくていいんですかと言ったら、当然撃ち落とすべきでしょうと私の友人は言うんですね。それがすなわち集団的自衛権の行使ですよと言うと、ああ、それだったら行使すべきですね、こういうふうに言うわけであります。

 例えばミサイル防衛においても、既にアメリカのイージス艦も、先般の北朝鮮のミサイル発射については、日本海に配備をされるわけでありますが、このイージス艦と日本のイージス艦は情報を共有するわけであります。ミサイルの航跡を追う場合は、一時的にイージス機能を全部上に向けて、周りについての防備は手薄になるわけでありますが、それを例えば日本のイージス艦が機能をいわば補助する形になって、一体的にミサイル発射に備えているときに、そこに対する攻撃をこちらが探知をしたときにアメリカのイージス艦を助けないということになれば、これは日米同盟が危機的な状況になるわけでございます。

 こうしたことも含めて、ですから、前回四類型において議論を重ねたわけでございますが、国民的な誤解としては、集団的自衛権の行使を権利として認めたら、それは権利として行使をしなければならないと誤解をされているわけでありますが、それは行使する権利となったとしても、あとは政策的な選択肢の中で、これはやれる、これはやれませんよということを、政策的にいわば選択肢として考えていけばいい。その政策的選択肢の中で四類型というものはどうだろうかということを考えてきたわけでございます。

 世論調査においても、この四類型においては、ここで行使をするのは当然のことですねというのは、六、七割近い方々が支持をしていただいていますが、残念ながら、まだ集団的自衛権の行使そのものには実は支持が余り高まっていないという現実がございます。そういう意味においては、しっかりとまだ議論をして、国民的な議論を高めていく必要があるんだろうと思います。

 ですから、まだ第一回目が終わったばかりでございますが、これから精力的に議論を進めていただきたい。今、安保法制懇で議論を進めておりますが、議論をしていただきたい、このように思っております。

山田(宏)委員 今の総理の答弁は、やはり総理はもう集団的自衛権は当然行使できるものという前提でお話しになっていましたよ。ですから、それをちゃんと、余り細かく細かく類型をつくると、こういう場合はどうなんだ、ああいう場合はどうなんだということになると、余計複雑怪奇な世界に入ってしまいますから、これは当然、権利があれば行使はできる、しかし行使するかどうかは慎重の上にも慎重に判断するということで、もう終わりなんです、この議論は。余り複雑にしない方が私はいいと思うんですね。

 この集団的自衛権、個別的自衛権の問題は、実は人間にあらわせば正当防衛なんです。正当防衛というのは、刑法第三十六条にこう出ているわけですね。「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」こうなんですよ。国でいえば、この正当防衛がいわゆる個別的、集団的自衛権なんです。

 だから、個人の場合の正当防衛は、自分に来た危害は守っていいけれども妻子や友人に危害を加えられたときは俺は知らぬよ、これはあり得ないわけですよね。それはやはり助けなきゃいかぬわけですよ、急迫不正の侵害に対しては。だから、やはりこれは当然そういうことができる権利は人間にも自然権として認められているし、国家にも自然権として、つまり、もともと国家としてある権利として認められているから、国連憲章にもサンフランシスコ平和条約にも、全部それが書いてあるわけです。

 ですから、ここは余り複雑にしない方がいい。世論への説明は必要です。しかし、やはり、どこかでこの決断を早くしていただいた方が日本の安全、日米同盟にとっても私はいいのではないか、こういうふうに考えております。

 それからもう一つ、防衛費について一点だけ。

 来年度の予算で防衛費の増額を図ったということで、これは大変評価をいたしております。

 これまでは、防衛費は、例えばGDP一%以内というような三木内閣時代の方針みたいなものがあって、それが、踏襲はされていないけれども、事実上そのGDP一%以内という枠が一つの心理的な壁になってきたような感じがいたしております。

 しかし、アメリカはGDPの四・五%、韓国は二・五%、やはりかなりのそういう努力をしているにもかかわらず、日本がこういった状況でいいのか。しかも、自分の国の安全を守るということから考えれば、このGDP一%枠なるものは当然ながら安倍内閣では存在していないと思いますし、その点についてまず一言、明言をしていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 もちろん、安倍内閣において、一%という枠は存在をしておりません。

 そもそも、三木内閣において一%という枠がつくられたわけでありますが、これは私は不適切であったと思いますね。

 つまり、防衛費というのは自分の国の事情だけで決められることではなくて、防衛環境が、安全保障環境が厳しくなってくれば当然それに対応していく必要がありますし、逆であればそれに対応して減らしていくということなんだろう、このように思うわけであります。当然、財政的な制約はかかるわけでありますが、必要な防衛費というのは、機械的にGDPに結びつけて考えるのは、これは全く間違った考え方ではないかと思います。

山田(宏)委員 全く同意です。

 私の時間はあと二分ぐらいになりました。

 今メモが入りまして、十一時に議運の理事会において日銀人事の提示があったという報告を受けました。

 このことについては、今後国会内で議論をして、両院で議論をしていくということになるんでしょうけれども、我々日本維新の会は、過去とのしがらみがない政党であります。

 今回、特に日銀の人事について取り沙汰されたり、ああだこうだと各党がいろいろなことを言っていることについて、やはり、国民から見ると、一体何がどう問題で、この人の何がどういいのかということがはっきりわからないと思うんですね。

 そうすると、どこでその人たちが明示的に、きょうで内示されたわけですから名前がはっきりするわけですけれども、これまでの慣例でいきますと、議院運営委員会で幾つか質疑がある。しかも、すごく短い時間の、限られた人たちによる質問がある。それも、マスコミにはオープンにならない。また、議員の傍聴すら人数の制限がある。一般の傍聴はなおさら認められない。これっていいのかなと、国会の問題ですけれども、感じております。

 アメリカなんかは、重要なそういった大統領指名の人事については、各担当の委員会で聴聞会というのが開かれて、よくテレビでやっています、いろいろな質問を国民の前で受けて、それに答えます。そういった形を通じて少しずつ、ああ、この人はこういう考え方かということを納得し、国民にも議論が湧き起こるわけです。そういう聴聞会の前には、書面でその人に対して質問をすることもできるというような機会をつくっています。

 やはりもう、前もって名前が出たからどうだこうだじゃなくて、名前が出てから、きちっと国民の前で、オープンな場所でその人の考え方をもっと聞いていくという必要があるんだろう、こう思います。

 これは国会内で決めることでありますけれども、長年、与党、野党の立場でこういった人事案件にかかわってこられた総理として、御所感を伺いたいと思っております。

安倍内閣総理大臣 今、委員の質問を聞いておりまして、確かに、国民の皆さんにとって非常に注目度の高い人事、極めて重要な人事においては、そうした、山田さんが言われたような、御本人がさまざまな質問に対して答えていきながら能力を示し、考え方を示していくという考え方も、一つの考え方としてあるのだろうな、私はこんなように思いました。

 これは国会において、各党各会派においてよく御協議をいただきたい、このように思います。

山田(宏)委員 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 この際、桜内文城君から関連質疑の申し出があります。山田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。桜内文城君。

桜内委員 日本維新の会の桜内文城です。

 本日は、総理が訪米から帰国されまして、その集中審議ということで、外交問題等について御質問するつもりですが、具体的な質疑に入る前に、冒頭、安倍総理に所感をお伺いしたいことがあります。

 今回、アメリカに行かれたときに、アーリントン墓地、無名戦士のお墓に行かれたというふうに報道されております。大変いいことだというふうに考えます。我が国の総理が外国にお邪魔した際に、そのように、無名戦士のお墓、国のために命をささげた方のところに参拝される、翻って、日本国内において、残念ながら、今、諸事情があって、総理が靖国神社に参拝されることがなかなか難しい状況にあるのも現状です。

 これについて、総理、どのようにお考えになるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先般、訪米した際に、アーリントン墓地に参拝をいたしました。それはつまり、アメリカのために戦い、命を失った兵士たちに敬意を表するためであり、これは国際的な儀礼として、首脳間の訪問の際に行われることでございます。

 訪米の際に、CSISというところで講演をしたのでありますが、そこで質問を受けることになっておりまして、場合によって、私の靖国参拝について質問が出るかもしれないと思って、私なりに答えを用意していたわけでありますが、それはつまり、アーリントン墓地に私は参拝をいたしました、それは国のために戦った兵士たちに敬意を表することであり、これは当然のことであろうと私は思いますと。その中において、日本においては、靖国神社に祭られている、日本のために戦い命をささげた英霊に対して、国のリーダーが敬意を表するのは当然のことではないかと私は思うと申し上げようと思っていました。

 かつ、アーリントン墓地には南軍の兵士も北軍の兵士も眠っているわけでありまして、それは、例えば南軍の兵士が南北戦争において奴隷制度を堅持するために戦ったという理念とはかかわりなく、それはすなわち、国のために戦ったということで敬意を表するのであって、その理念とはかかわりがないということについてもお話をさせていただこうと思っておりました。

 いずれにせよ、国のために戦った英霊に対して敬意を表する、これは当然のことであろう、このように思っております。

桜内委員 私も全く同感でございます。ぜひこれから、この国会での議論を通じて、外交関係の上でも、我が国の総理がしっかりと英霊のみたまに参拝できる、そういった環境をつくっていくことが必要だと考えております。

 具体的な質問に入ります。

 日銀による外債購入について、まずお尋ねをいたします。

 さきの参議院の予算委員会におきまして、まず、二月十八日に安倍総理が、御答弁の中で外債の購入について触れられております。金融緩和の中身として、市場から国債を買ったり、そのほか、国際的に議論になっている外債を買う、そういう考え方もございますという御答弁をされておられます。

 一方で、その翌日に麻生財務大臣が、閣議後の記者会見で同じようなことを問われた際に、外債購入する気はありません、それから日銀法の改正、今当面考えていませんというふうにお答えになった。

 これをどう考えればよろしいのか、総理とそれから財務大臣、お二方にお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 二月十九日の閣議後の記者会見の話をしておられるんだと思いますけれども、私の発言は、金融緩和の手段として、これは外債購入について述べたものではありません。

 役所におられたので御存じなんだと思いますけれども、日銀というところでは為替に介入するようなことに結果としてなるような外債購入というのは極めて慎重にやっていただかないと、日本銀行が為替に介入するということは、我々としては、これは今の状況において断固避けねばならぬことですし、基本的にもそういうことはできないことになっておりますので。

 こういった、金融緩和の手段として何を買われるかについて、日本銀行の買われる債券について我々が介入するということはありませんけれども、外債を買われることが、イコール為替というものに直結しかねぬような状況の中においては極めて避けていただかねばならぬという意味で、あの発言をさせていただいております。

安倍内閣総理大臣 私は、金融緩和の手段としてさまざまな選択肢があり、その一つは例えば外債の購入だろうということを申し上げたわけであり、一方、麻生財務大臣は、現在の段階でそれは考えていないという非常に慎重な答弁をされたということであります。

 私は選択肢の一つとして明示をし、その選択肢を今はとらないということを麻生大臣は、今の為替の動き、あるいはまた国際社会との関係等々も全て勘案をしながら答弁をされたんだろう、このように思います。

桜内委員 日銀法四十条というのがございまして、そこで、日本銀行が外国為替の売買をする権限等、あるいは目的等の縛りが書かれております。

 きょうせっかく白川総裁来ていらっしゃいますのでお伺いしたいんですけれども、この日本銀行法四十条に基づいて、今現在、日本銀行のバランスシート等に、外国為替といたしまして五兆八千億円、それから外貨債券として四兆五千億円保有していらっしゃいます。

 確認したところ、四十条一項に基づいて、四十条一項というのは、日本銀行は必要に応じみずから外国為替の売買を行うことができるという規定ですけれども、これで実際に買われているわけです。そういった意味で、財務大臣の御懸念もわかりはするんですけれども、通常の為替介入、これはまさに四十条二項で、国の事務の取り扱いをする者として日本銀行が行うものであって、今現在既に、この四十条一項に基づいて、必要に応じみずから日本銀行が外国為替を保有しているわけであります。

 安倍内閣の売りでもあります、一本目の矢である金融政策、金融緩和という意味でいえば、私は、今現在日本銀行が二年ほど前からやられております資産買い取り基金、これは大変よい制度だと考えております。その資産、どういったものを買うのかということについては、まさに金融緩和の手段として、為替介入という意味じゃなくて金融緩和の手段として、日本銀行にまさに独立性を与えて御判断いただいていいのではないかと考えるんですけれども、その辺、総裁の御意見をお伺いいたします。

白川参考人 お答えいたします。

 まず、日本銀行法との関係でございますけれども、日本銀行法第四十条は、第一項におきまして、日本銀行の行う外国為替の売買を、みずから行うもの、国の事務の取扱者として行うもの、海外中央銀行等または国際機関の事務の取扱者として行うものの三つの形態に分類しております。その上で、第二項において、いわゆる介入目的のものにつきましては、国の事務の取扱者の立場で行うべきであるということが定められております。

 したがいまして、介入目的と解される外国為替の売買については、これは日本銀行独自の判断で行うことはできないということでございます。

 その上で、今のその御指摘の点でございます。

 日本銀行は今、資産買い入れを行っております。このことを通じて金融市場に潤沢に資金を供給する、あるいは、そのことの裏返しでございますけれども、金利水準を下げていくということを行っております。

 現在、日本には国債が大量に存在しております。したがいまして、そうした目的を遂行する上で、何か日本銀行が買い入れるべき金融資産に不自由をしているという状況ではございません。

 日本銀行としては、金融政策の目的をしっかり遂行するために、今後とも適切に政策を行っていきたいというふうに思っております。

桜内委員 今お答えいただいたとおり、日本銀行が、デフレ脱却に向けて政府と物価安定目標二%を共有した以上、これはとことんあらゆる手段を使ってやっていただきたいというふうに思っております。

 次の質問に参ります。

 物価安定目標二%についてお尋ねをいたします。

 今般の日銀と政府の共同声明の中で、物価安定目標二%ということが設定されたわけです。

 これはちょっと用語の問題で細かい話で恐縮なんですけれども、昨年の二月だったかと思うんですけれども、その際、一%の物価安定のめどというのが英文ではゴールというふうに訳されておりまして、それで為替市場が大幅に反応したということがありました。

 今回は、英文の資料を見ますとターゲットということで、まさにインフレターゲットとして、世界の金融の先進国とようやく肩を並べたなという印象を持っておるんですけれども、ここのところ、どう解釈が、一緒なのか違うのか。

 細かいところなので恐縮ですが、白川総裁、お願いします。

白川参考人 お答えいたします。

 今先生の方から英語の話がございましたけれども、英語という面でいきますと、FRB、米国はゴール、それからイングランド銀行、英国はターゲット、それからECB、これはデフィニションという言葉を使っております。

 ただ、いずれにしましても、どの中央銀行も、物価の安定ということを目的として金融政策を行っているというわけでございます。

 めども目標も、金融政策の目的である物価安定について数値的なイメージを伝えるという点では、これは同じでございます。しかし、昨年二月に私どもがめどという言葉を使いましたのは、目標という言葉が、一定の物価上昇率と関係づけて、金融政策をとにかく機械的に運営していくんだというふうに誤解される、そういうおそれがあったためでございました。

 しかし、この一年間、金融政策をめぐる議論が深まりを見せた結果、海外の金融政策の運営実態は柔軟な物価安定政策であるという理解が着実に広がってきたことから、もはや、そうした誤解を心配する必要はなく、目標と表現することが日本銀行の考え方を伝える上でわかりやすく適当であるというふうに判断した結果、一月の決定会合では、新たに物価安定の目標を導入いたしました。

 今後、日本銀行では、その新たな物価安定の目標のもとで、経済、物価の現状と見通しや、金融面での不均衡を含めたさまざまなリスクも点検しながら、物価安定のもとでの持続的な経済成長を目指していくということでございます。

 こうした金融政策の枠組みは、現在、多くの中央銀行が採用しているものと同じでございます。柔軟な物価目標政策というふうに言われるものでございます。

桜内委員 長々と御説明をいただいたんですが、わかったようなわからないような気もするわけですけれども、こういうことであれば、昨年の段階から、ゴールなんて言わずに、さっさとターゲットと使った方が世の中のためにはなったのではないかなというふうに思います。

 この政府と日本銀行の共同声明について、これは総理と財務大臣にお尋ねをいたします。

 といいますのは、この共同声明、よく書かれているといえば書かれているんですけれども、やや責任の所在が曖昧な部分が残っているのではないかと私は感じております。

 もちろん、日本銀行に対して物価安定の目標二%ということを設定し指示したような形になっているわけですけれども、その書きぶりですけれども、「日本銀行は、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取組の進展に伴い」云々「認識している。」というふうな書きぶりとなっております。この幅広い主体というのは、日本銀行に確認したところ、政府あるいは企業ということであります。

 そこで、いわゆるアベノミクスの三本の矢の、特に、政府であればまず財政政策ということで二本目の矢、それから、企業も含めてしっかりと投資がふえ、そのために信用供給も日銀だけでなく金融システム全体としてふやしていく、そのために必要な、この二本目、三本目の矢を想定して、逆に言うと、その三つが、本当に三本の矢が一本にまとまって、それでこそ折れない矢になる、そういうことを書かれた文章だと私は理解しております。

 ただ、逆に言いますと、日本銀行を一人いじめてもなかなかデフレ脱却というのはできないわけですので、そこは、政府としてもしっかりと、二本目の矢、三本目の矢というものを一体としてこれから推進していっていただきたいと考えております。その辺について、総理または財務大臣。

麻生国務大臣 まことにおっしゃるとおりだと存じます。

 日本銀行、よく言われるヘリコプターマネーとか、いろいろな意味で、お金を刷ればいいじゃないかという御説は今でもまだちらほらちまたに言っておられる方がいないわけではありませんが、大蔵省におられておわかりと思いますが、お金を刷るということは、日本銀行が市中銀行に対して、日銀の当座預金を、おたくは幾らあります、おたくは幾らありますというのを知らせるだけであります、簡単に言えば。

 問題は、そこから誰かが、企業が、個人が借りて実際市中に出回らない限りは、刷ってもお金は市中銀行にとどまるだけということで、過去にそういう例はありましたので、日本銀行だけに押しつけても、二番目、三本目の矢がなければ、お金は市中に散っていきません。

 したがいまして、政府としては、二本目の財政の部分と三本目の経済成長の部分と三つ一緒に、同時にやらなければ、いわゆるインフレ達成というものを日本銀行だけに押しつけるのは甚だしく偏っている、私どももそう考えておりましたので、我々としては、三つ同時にやらせていただくということが今回の政策の基本で、したがって共同責任を負っている、私どももそう思って頑張っております。

安倍内閣総理大臣 今、桜内議員がおっしゃったように、まさに三本の矢は折れない、これが本来の語源、毛利元就公の語源でありますが、それが大切であるというのも、私も同じ認識であります。

 この二%の物価安定目標の達成については、日本銀行が責任を持ってできるだけ早期に実現することを我々は期待しておりますし、そこはしっかりと日本銀行に責任を持ってやっていただくということであります。他方、物価上昇は実体経済の成長を伴って安定的に実現をしていくことが望ましいわけでございますので、このため、政府として、機動的な財政政策、マクロ経済政策運営を進めていくわけでございますし、同時に、民間投資が間断なく起こってくることも必要でございますが、そのための投資を喚起する成長戦略が必要である。この三本伴って、デフレから脱却をし、力強い成長軌道に乗っていくことと我々は期待をしているわけであります。

桜内委員 そこで、日銀が二年前から、もう三年になるんですかね、設置されています資産買い取り基金について伺っていきたいと思います。

 私は、この資産買い取り基金は大変重要だと考えております。これを日銀の独自の判断で二年ほど前に設置されたというのは大変高く評価したいと思っておりますが、実はこれは、内容的に言えば、通常、先ほど財務大臣もおっしゃいましたような、まず一段階目の、金融機関と中央銀行との国債のやりとりで金融システム内部にお金がたまるだけの話、ベースマネーをふやすだけではなくて、金融システムの外にお金があふれていく、これは信用供給していく、そういった仕組みの一つとして、直接日本銀行がそういう信用供給を外部に対して行っていくためのツールだと私は考えております。そういった意味で、これは逆に言いますと、非伝統的な金融政策ということで、実質的には財政政策のようなものに近くなってきているというのが、実は金融論上の定説なんです。

 ただ、その日本銀行の資産買い取り基金、私、きのう日銀の担当の方から、今までどんなふうに運用といいますか、ふやしてきたのか等々お聞きいたしましたところ、一つ残念なことは、基金を設定して、基金は順調に残高が増加してきております。ただ、逆に言いますと、今の日本銀行のバランスシートを見ますと、基金以外の部分というのが実は減ってきておるんですね。

 こういったことをやると、せっかく基金をつくっても、日本銀行全体としてベースマネーをどうふやしていくのかというところで十分なものがないというふうに感じるわけですけれども、まず、そこについて総裁の御意見をお伺いしたいと思います。

 先ほどちょっと総裁は首をかしげていらっしゃいましたけれども、きのう、これは日銀から資料をいただいております。

白川参考人 お答えをいたします。

 現在、日本銀行は、先生が御指摘のとおり、資産買い入れ基金、これを中心に強力な金融緩和政策を行っております。したがいまして、日本銀行のバランスシートの中でこの資産買い入れ基金というものの占めるウエートが非常に高くなっております。現在、これは着実に買い入れを進めております。もちろん、季節性がございますので、若干変動する局面はございますけれども、しかし確実にこれはふえております。

 ことし、それから来年、この二年間にかけまして、この資産買い入れ基金、それから貸出支援基金、これを合わせますと、大体六十兆円ぐらいはふえてくる、そういう規模でございます。

 現在でも、日本銀行の資金供給は、対名目GDP比で、主要国の中では最も多い中央銀行でございますけれども、さらにふえていくということで、確実にふやしていくということで、これは明確に私どもとして発表しているところでございます。

桜内委員 全然答えられていないので、もう一度質問します。

 要は、基金が二〇一〇年九月末から徐々にその規模を拡大しておりまして、直近の今月二十日段階で、六十七兆六千億に達しております。一方で、その基金を除いた日本銀行のバランスシート上の資産の規模というのが、二〇一〇年九月末、要は基金が設置されてもまだ残高ゼロのときに、百二十一兆円の規模がありました。それが、残念ながら、今月二十日の段階では九十二兆円、約三十兆円も減ってきております。

 こんなことをやっていると、せっかく基金を六十七兆円まで積み上げましたと言っても、三十兆円、一般の勘定の、バランスシート上の資産が減ってきておっては、これは意味がほとんどなくなるとまでは言いませんけれども、何やっているんだということになると思うんですけれども、総裁、いかがでしょうか。

白川参考人 今、突然の御質問なので、数字に即してはまた後から事務方からお答えいたしますけれども、しかし、日本銀行が資金を供給する、この資金の供給の金額、これはマネタリーベースというふうに呼んでおりますけれども、これは確実にふえております。

 それから、季節、月々の変動、これはもちろんございますけれども、しかし、日本銀行のバランスシートを一年前、二年前、三年前と比較してみると、これは確実にふえております。

 したがいまして、日本銀行は資金供給をこれからも行っていくという方針に、これは間違いはございませんし、今後とも行っていきます。

桜内委員 これはやはり、総裁がもうすぐかわられるということなので、余り言うのも失礼、かわいそうな気もするんですけれども、確かに日本銀行全体の、基金も含むバランスシートの規模というのは、二〇一〇年九月末の段階の百二十一兆円から、今は百六十兆円までふえておりまして、それは評価したいと思います。

 ただ、残念ながら、この基金が六十七兆円までふえてきているにもかかわらず、それ以外の一般勘定といいますか、そこの資産の金額、三十兆円も減っているんですよ。そこも含めて、本来であれば、ベースマネーのコントロールをしっかりと日銀総裁としてしていただくべきだったんじゃないのかなということは指摘しておきます。

 これに関して、政府、総理と財務大臣にもお尋ねしたいんですけれども、やはり、先ほども一点指摘いたしましたけれども、日本銀行が直接市中に、銀行システムの外にお金、信用供給を行っていく、こういった資産買い取り基金のようなものというのは、私は、実質的には財政政策とほぼ一緒の効果があるんだと考えております。

 それについては、やはり政府ももっと口を出してもいいと思うし、そのかわり、政府もしっかりと責任を負って、例えば、これは私、ずっと持論として申し上げているんですけれども、こういった中央銀行の基金を設置する場合、そこに、これは実質的な財政政策だからということで政府が例えば政府保証をつけて、政府の判断で投資先を幾らか決めていく、そのようなやり方もあると思うんですけれども、それらの提案について、どうお考えになりますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 政策的な手段においては、これは日銀が独自に判断をすることでございますから、私がとやかく言うつもりはございませんが、ただ、今回、日本銀行と共同声明を出して、二%という物価安定目標を設けました。これは、政府としては、二%達成、できるだけ早い時期に日本銀行にやってもらいたい、こういうことでございます。

 同時に、経済財政諮問会議において、四半期ごとに、この目標に向かっているかどうかということについてもしっかりと議論をしていくわけでありまして、その際、日本銀行総裁にどういう進捗状況にあるということも含めてお話をしていただく、また、手段においても御説明をいただくということになるわけでございまして、その際、今、桜内委員が御指摘になったことについても、この委員の中からも指摘をされる方もいるかもしれません。

 いずれにせよ、国会の場においてはこういう手段においても当然議論がなされるわけでありますが、そういう中から最適の選択肢を日本銀行に選んでいただきたい、このように思います。

桜内委員 ありがとうございます。

 日本銀行に関する質問はこの辺で終わりにしたいと思いますので、白川総裁、御都合があるとお聞きしていますので、この辺でお帰りいただいて結構です。

 三本の矢の三つ目について、少し質問をさせていただきたいと思っております。

 成長戦略ということで、今回の補正予算にイノベーティブ基盤の強化ということで、補正予算上、八千億円程度の予算が計上されておるんですけれども、このイノベーティブ基盤、イノベーション基盤、一体何なんだと。

 予算の科目を見ておりますと、もちろん、いろいろなお金の使い道が上がっております。見せていただきましたらば、ただ、何を書いているかよくわからないんですが、イノベーション創出に向けた科学技術研究の加速等、一千四百六十五億円、iPS細胞等を用いた、まあ、これは確かに大変なイノベーションだと思いますけれども、これは二百四十二億円、ちょっと少ないんじゃないかなと思うぐらいでありますけれども。それから、官民イノベーションプログラム、実用化に向けた官民共同研究の推進、千八百億円。

 いろいろお金を使われるのは、確かに、景気対策といいますか、三本の矢の二本目の財政政策として機動的にやっていただくのは結構なことだとは思いますが、やはりイノベーションといいますと、例えば、日本企業がつくることのできなかったアイフォンですとか、あのような画期的な新製品、世界の人々の気持ちをわくわくさせて、どんどん売り上げも上がっていくというようなものをどうつくり出すのかということがやはりイノベーションじゃないかなという意識を持っておるんですけれども。

 この辺について、やはり規制改革であるとか、自由な経済活動を促進していく。甘利経産大臣の責任は大変重いと思うんですけれども、まだ政権が発足して間もないので、このイノベーション推進とは何だと問われるとちょっと困るかもしれませんが、今大臣がお考えになっているイノベーションの促進というものについてどう進めていかれるのか、お考えをお聞かせください。

甘利国務大臣 政府と日銀との共同声明の中にも、イノベーション基盤の強化という文字が入っております。

 補正でいえば、先生御指摘のように、具体的に、iPS細胞の研究を加速するとか、あるいは、公設試の設備がかなり古くなっております、これを入れかえる等々の予算措置はしてあります。

 もっと広義に申し上げますと、例えば、先般も総理から御指示がありました、総合科学技術会議を予算的にもあるいは権能的にももっと強化をして、出口を見据えて、一気通貫で、上流から下流へと研究開発、それから市場を見据えた製品開発へとつながっていくような体制をとれという指示が出ております。

 私が主宰をしております競争力会議におきましても、あらまほしき社会像、今、日本が抱えている課題、それが解決された社会像を見据えて、そこに到達するまでにどういう措置が必要なのか、規制緩和、規制改革は何が必要かとか、あるいは上流の基礎研究はどういう部分が必要だとか、そういう方向性が見えてきます。それをきちんとロードマップ化して、あらまほしき姿に到達するまで、いろいろ、国を挙げて、あるいは官民一体となって取り組んでいく。

 広義に言えば、そういう成長戦略の具体像、それから成長戦略を実施していくための規制改革の体制、あるいは基礎研究の体制、あるいは、基礎研究でも、予算のめり張りをどっちの方向に上流でつけていくか、あるいは官民一体の体制、もろもろを含めて、イノベーション基盤の強化というふうに表現をさせていただいております。

桜内委員 ぜひ、日本の社会のあり方そのものを恐らく変えるであろう規制改革、そして新規参入規制の撤廃ですとか、これからの日本をどうつくっていくのかについて、私どもも国会でしっかり議論をさせていただきたいと思っております。

 今の成長戦略との関係で、TPPに少し話題を移したいと思っております。

 きょうのこの予算委員会でもTPPについては幾つか質疑がなされておりますけれども、私がここで提起したいのは、国益、守るべき国益とはそもそも一体何なんだということであります。

 安倍総理が、これも参議院の予算委員会で先ほどの答弁をされたときに、美しい国ということについて答弁されております。大変私はこれを高く評価したいと思うんですが、「活力とチャンスと優しさのあふれる国」、まさにこれが私は大事だと思っております。「自立の精神を大切にする」、私ども日本維新の会の綱領にも、自立する個人、地域、国家というのがありまして、方向性は非常に重なっているなと考えるところなんですが、ただ、TPPの御議論、これは他党のことですので私がとやかく言うことではないんですけれども、与党自民党内部でも、慎重に考える議連の方々ですとかが大変活発に活動をされていまして、その議連がブログをつくられて、TPPに関して守り抜く国益ということを勇ましく書かれております。

 六項目挙げられているんですけれども、例えば米、麦、牛肉、乳製品、砂糖等の農林水産物の重要品目とあるんですが、これは全部言っていたら切りがないといいますか、例えば麦とか、もう輸入が九〇%以上になっているものを国益とは、ちょっとどういうことかなと思ったりもします。

 また、国民皆保険。国民皆保険が悪いとは言いませんけれども、例えば医療機関経営への営利企業参入、混合診療の全面的解禁を許さない。まあ、それも一つのお考えだとは思いますけれども、日本の医療をどう守っていくのかという大きな観点に立てば、混合診療を解禁した方が、もしかすると、患者の立場からすれば、今よりも安く、先進的な、リスクは高いけれども、またお金もかかるけれども、全部保険適用除外というようなことなくして、利便性が高まるかもしれない。

 そういった議論もなく、ちょっと国益というところで、安倍総理がおっしゃっている美しい国というものを、やや同床異夢的に皆認識しておるのではないのかなというふうに感じております。

 私、地元が愛媛の大分田舎なわけですけれども、ミカンの産地でもあり、魚の養殖が盛んなところです。ですので、農林水産業が基幹産業というような地域でございますけれども、そういったところで、やはり農協がこのTPPについて大変な反対をされております。交渉参加すら反対という自民党の議員の方もいらっしゃいます。

 この間、討論会があって、ちょっとびっくりしたんですが、自由貿易体制というものが本当に美しい日本にとっていいのか否かという問題提起をされて、それは、問題提起としてはいいんですけれども、私が感じましたのは、私も、本当に何もないところから今こうやって国会のこの場に立たせていただいて、一から後援会もつくって、無所属から始めていますので、本当に苦労してきたわけです。

 そういったときに、現代の身分制といいますか、世襲の議員の方が皆悪いと言うつもりはありません、けれども、田舎の村社会の中で、農協と村社会がまた一体となっている、その中の人間関係で、競争をむしろしない、農協法十九条というのもありますけれども、そういった競争をむしろしない中で、ほどほどの平等感とほどほどの自由というのを美しい日本と呼ぶ人たちもいるのも確かです。

 ある種、江戸時代的なものかもしれません。これは別に江戸時代を悪く言うつもりもないんですけれども、日本史なり歴史学の世界で江戸化とか江戸時代化というふうな用語が最近使われているそうなんですけれども、そういった意味で、どういった日本を目指していくのか。

 私は、村社会あるいは現代の身分社会の中で何が足りなくなってくるのかというと、人材の流動性、それと資本の流動性だと思います。余りに村社会で、私ぐらいの同級生の者が田舎に帰っていくと、何か商売をしようと思っても商店街でいじめられる、新しいことをやろうとすると必ず足を引っ張られる、そういう村社会がどうしてもあるんですね。ですので、村社会を維持しようとすればするほど、若い者がいなくなる、資本も来なくなる、特に女性がいなくなる。そういった意味でいえば、では、江戸時代に帰ればいいのかという時代でもないと思います。

 美しい国、これから目指すべき社会、私はやはり、競争であるとか既得権の塊をどう壊していくのかというのが日本社会を新たにつくりかえていく上で大変重要だと思うんですけれども、その美しい国の同床異夢感があるんですけれども、総理の御意見をお伺いさせてください。

安倍内閣総理大臣 美しい国については、いわば、日本人にとって、チャンスがあり、生きがいがあり、そして優しさと可能性に満ちあふれた、そういう自律の精神のある日本ということでございます。そして、さらに、多くの国々から尊敬される国にしていきたい、このように思っております。

 その中において、いわば国益については、その立場立場によって守るものというのは、やはりこれは多少見え方が違ってくるのはそうなんだろうと思います。その中において、日本全体を俯瞰しながら、日本の国益を守るため、いわば最善の国益とは何かという観点から、このTPPについては参加、不参加を判断していきたい、このように思いますが、その際、参議院でも申し上げましたが、今申し上げたような美しい国、強い日本をつくる上に資するものであるかどうかということについて判断をしていきたい、このように思っております。

桜内委員 ありがとうございます。

 その方向性は私も大変共感するところでもありまして、ただ逆に、地元に帰りますと、もちろん自民党の先生が大変今いっぱいいらっしゃるので、そこで議論が合わなくなってくるんです。総理のおっしゃることは本当にそうだなと思うんですけれども、地元の村社会みたいな田舎で政治活動をしておりますと、どうしても何か私は一人浮いてしまうところもあるんですが……(発言する者あり)頑張ります。

 ということで、これに関係して、私は本当に思うのは、福沢諭吉が、明治の初めに、「福翁自伝」の中で、門閥制度は親のかたきでござると言って、村社会そのままの封建制度であるとか江戸時代のような身分制度であるとか、これを本当に嫌ったわけですね。新しい日本の国をつくっていくという気概が当時あふれていたと思うんですけれども、その方向をぜひ私は堅持していきたいと思っております。

 冒頭、靖国参拝のことについても総理にお尋ねいたしましたが、国を守るという点でいえば方向性は一緒だと思います。そしてまた、美しい国を目指すという点も同じだと思います。ただ、美しい国あるいは国益の内容が、自由民主党は大変大きな政党ですので、やや別の方向を向いている方もいらっしゃるのかなということを今指摘した次第でございます。

 TPPについて、きょう林農水大臣にも来ていただいていますので、農協についてお尋ねしたいと思います。

 農協が悪いと言うつもりは一切ありません。けれども、農協法十九条、独禁法適用除外の規定がいまだにあります。

 むしろ、競争が阻害されて、例えば優越的地位の濫用といいますか、普通の商社とか銀行だったらあり得ないような、例えば、取引を、農協を通さずに、今どきですと、うちの田舎ですと、インターネットを使って、紅まどんなとか甘平とか、すごくおいしい高価なミカンもあるわけですけれども、そういったものを勝手に売ろうとすると、農協に勝手なことをするなと怒られて、それで、借りていたお金を返せと言われたりですとか、あるいは肥料を売ってくれなくなるですとか、そういった江戸のかたきを長崎で討つみたいな、そういうことが間々あるやに聞いております。

 これは、TPPに交渉参加していく上において、もちろん日本の農業を守らなくちゃいけないと思うんです。でも、そのためには、やはり競争を促進していくということが僕は必要だと思っております。

 この点について、林農水大臣のお考えをお聞かせください。

林国務大臣 御指名いただきまして、ありがとうございました。

 今のお問い合わせは、多分、農協法の九条の方の適用除外だというふうに承知をいたしております。

 これは、協同組合について独占禁止法の適用除外が認められたのを引いて九条でやっているわけですが、独禁法の全てが適用除外になっておりません。したがって、今お話があったように、生産物の共同販売、生産資材の共同購入等は適用除外になっておりますが、逆に、農協が組合員に農協の事業の利用を強制する、ほかの会社等を利用させない、まさに今御指摘があったようなこと等、不公正な取引方法を用いる場合には適用除外となっておりません。

 したがって、農協が不公正な取引方法を用いた場合には、公正取引委員会と農水省が連携して厳しく対処をしているところであります。

 以上でございます。

桜内委員 運用が伴っているかといいますと、間々聞くところは、公取も、四国でいいますと、高松に二十名程度いらっしゃるぐらいでして、全然目が届くような状態でもありません。ぜひ大臣のリーダーシップで、公取とも協力して、しっかりと公正な競争市場をつくっていっていただきたいと思います。

 本当はきょう、あと五分もないんですけれども、防衛関係を最後、一点だけお尋ねしたいと思います。

 特に、北朝鮮の核、ミサイル開発というのが、今月も大変な事件があったりしました。そんな中で、ぜひ日本政府として、これは外務大臣にお尋ねしたいんですけれども、国連の安保理決議なり国連としての制裁、そして我が国政府としての制裁、どのようにお考えになっているのか、そしてまた、その実効性をどう担保していくのかについてお尋ねいたします。

岸田国務大臣 まず、国連の安保理におきましては、昨年のミサイル発射に関して、決議第二〇八七号、こうした決議を採択しておりますが、この中で、北朝鮮が核実験を行った場合には重要な行動をとる決意、これを示しております。

 それにもかかわらず、このたび、核実験が強行されました。このことに対し、安保理は制裁を追加、強化し、より効果的な内容の決議を採択する必要があると我々は考えております。そうした考えのもとに、安保理の理事国、今月の議長国は韓国でありますが、韓国、米国、ロシア、中国、そうした関係国と連携をとっている、こういった状況であります。

 そして、具体的に、我が国としてどのような措置をとるかということについては、十二日に内閣総理大臣声明が発せられていますが、今後の北朝鮮の対応、国際社会の動向を考慮しつつ、さらなる対応について検討する、こうした方針であります。

 いずれにしましても、より強化された効果的な内容の決議、制裁が必要だと我々は考えております。

桜内委員 机の上の時計であと三十秒あるので、最後の質問をします。

 竹島に関して、昨年、政権交代前に玄葉外務大臣が、ICJ、国際司法裁判所への単独提訴について国会で答弁されております。

 私は、ぜひ竹島、北方領土については、この際、法と正義に基づく解決を求めていくべきだと考えますけれども、最後、外務大臣、御所感をお話しください。

岸田国務大臣 竹島問題のICJへの単独提訴につきましては、引き続き検討、準備中であります。

 竹島問題、一朝一夕に解決する問題ではありませんが、冷静に粘り強く対応していきたいと考えております。その中で、この単独提訴についても考えていかなければいけないと思っています。

桜内委員 終わります。ありがとうございました。

山本委員長 これにて山田君、桜内君の質疑は終了いたしました。

 午後四時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三十分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。柿沢未途君。

柿沢委員 みんなの党の柿沢未途でございます。

 安倍総理は、日米首脳会談を経て、TPP交渉参加を決断されたようであります。私は大変結構なことだと思います。総理就任から二カ月、大変迅速な判断だった。

 何しろ、つい十二月の衆議院選挙では、自民党の候補者はこんなポスターをつくって戦っていたんですから。「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。 自民党」。これは、山形二区の選挙区内に張られた自民党支部のポスターであります。渡辺喜美代表の栃木三区だって、渡辺代表自身は、安倍さんは政権をとったら間違いなくTPP交渉に参加しますよと言っているのを、対する自民党の候補者が農協と一緒になって、TPP絶対反対、こういうふうに叫んでいたわけです。

 結果はどうか。衆議院選挙で、TPP交渉参加すべしと真っ正面から掲げて、安倍さんもそうしますよと言っていた渡辺喜美代表の言ったとおりになりつつあるわけです。

 私たちは、TPP交渉参加を最初から言ってきましたので、安倍総理のこのたびの決断をぜひ応援したいというふうに思っています。しかし、自民党内を見ると、なかなかこれは大変そうであります。

 自民党外交・経済連携調査会が二十七日に採択したTPPに関して守り抜くべき国益は、米、麦、牛肉等の農産品の関税だけでなく、自動車等の工業製品の数値目標、排ガス規制、軽自動車。国民皆保険。残留農薬、遺伝子組み換え食品。ISD条項。郵貯、簡保、共済。著作権。弁護士、医師、看護師、エンジニア、建築家等々の資格制度。漁業補助金。新聞の再販制度。JT、NTT、NHK、JR。ずらずらずらっと、これだけのものを守り抜く、守り抜け、こういうふうに言っています。

 自民党の衆議院選挙の公約は、聖域なき関税撤廃を前提とする限り、交渉参加に反対。とすると、今回の日米首脳会談で守れると確認した衆議院選挙における聖域と、今回のTPPに関し守り抜くべき国益というのが、これは一体どのように重なっているんでしょうか。これらを守り抜く、少なくとも決意としてはそういうことだと理解してよろしいでしょうか。お伺いします。

安倍内閣総理大臣 自由民主党として国民に対してお約束をしたのは、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉参加には反対する、これがまさに公約であります。そして、それプラスJ―ファイル。J―ファイルは、正確に言いますとこれは公約ではなくて、そこにさまざまな目指すべき政策が書いてあります。そこで二番目から六番目までの項目が書いてあるわけでございます。

 しかし、当然、まず、参加する上においては、この聖域なき関税撤廃ということが確認されなければならない。そして、このJ―ファイルに挙げたものについては、もし参加するということになれば、交渉の中において、これは何とか交渉で実現をしなければならない、こういうことになっているわけでありまして、今申し上げた考えをもとに我々は選挙を戦ってきたところでございます。

 そこで、首脳会談においては、聖域なき関税撤廃ではないということを確認いたしました。その中で、農業あるいは工業製品、センシティビティーがあるということが明らかになったわけでございまして、今中身について個別に申し上げることはできませんが、これから自民党の議論もあります、そういうものも伺いながら、最終的には私が判断をしていきたいと考えております。

柿沢委員 これを踏まえて、こういう御表現もされておられたかと思いますので、基本的には、これを踏まえて交渉参加に向けて臨んでいくということなんだと。とすると、これは物すごく網羅的で、本当に多岐にわたる分野について、これもあれも、これもあれもと入っているわけで、これでは本当に交渉参加ということのハードルを乗り越えられるのかなというふうにも感じるわけであります。

 それで、米についてお伺いをしたいと思います。

 守り抜くべき国益の第一に、農林水産品の関税、なかんずく米のことが書いてあるわけです。これを関税撤廃の聖域にするのがTPP交渉の核心のように言われるのですけれども、そのように七七八%の高関税を守り抜くことで、果たして米農家を守れるのでしょうか。

 日本の米生産量のグラフがあります。一九九四年に一千二百万トンが、二〇一二年には八百万トン、高い関税で守ってきた国内の米市場はどんどん縮小をしている。高齢化と人口減少で、今後さらに縮小していくことになると思います。国内市場が縮小する中で、米生産量を維持または拡大し、米農家を守り抜くにはどうすべきか。私は、米の輸出を拡大していくしかないというふうに思います。

 政府はどのように米輸出を拡大していこうとしているか、農林水産大臣にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 農林水産物や食品の輸出拡大に当たっては、まず日本食文化を発信することによりまして、そのすばらしさを世界に普及し、海外の需要の拡大につなげつつ進めることが重要だというふうに思っております。

 米は、今先生おっしゃいましたように、我が国農業の基幹作物であるばかりでなく、日本食文化の発信や農林水産物、食品の輸出促進に当たり、重要な要素になるものと認識しております。

 例えば、おすしというのは非常に世界じゅうで知られているわけですが、これはもう私から言うまでもなく、刺身とシャリ、お米ということでありますから、こういう日本食文化をきちっと発信していくことによって輸出につなげていければと考えておるところでございます。

柿沢委員 日本の食文化を広げることで米の輸出を拡大していこう、こういう御答弁でありました。それはそれで私は大変重要なことだというふうにも思います。

 その一方で、この一千二百万トンから八百万トン、二〇一三年には八百万トンを切る水準になるかもしれません。こういう生産量の減少、そして消費量の減少、国内市場は小さくなっている中で、輸出を拡大し、米の生産を維持し、そして米農家を守る。こういう点でいえば、私たちから見れば、やはり関税引き下げによって内外価格差を解消して価格競争力を高めて、さらには輸出国先の、相手国の関税をも引き下げる、まさにTPPこそが米輸出の切り札になるのではないか。これを聖域や関税化の例外にしてどうするのかという気もするんです。

 どうやってこの米輸出を拡大して国内の米農家のための活路を開けるのか、ぜひ農林水産大臣にもう一度お聞きをしたいと思います。

林国務大臣 みんなの党の政策を少し拝見いたしましたが、関税を全部やめて価格を下げて、そして輸出等で需要をふやしていくことによってやっていく、そういう考え方があるということは私承知しておりますが、一方で、関税を撤廃するということになりますと、安価で米が入ってきますから、国内の生産者の経営をまず直撃する、国内の生産が当然減少する、自給率が低下をする。また、もし直接支払いによって国内生産を維持するということになりますと、相応の納税者負担というものが必要になってくるということになりますので、そういう政策のあり方については慎重に検討をすることが必要である、こういうふうに考えております。

柿沢委員 日本は七七八%の関税を米に対してかけて、国内価格を高い水準に維持している。その結果として、日本の米は、品質はいいけれども、高くて、国際的に見ればなかなか競争力がない、こういう状況になっているわけです。

 これを、関税の引き下げ、撤廃によって、まさに高品質の日本の米、既に内外価格差は縮まりつつあるわけですから、関税を下げることによって、逆に、高品質の日本産の米が世界的に見れば割安で購入することができる。こういうことになれば、まさに日本の米の生産量をふやして、そして国内消費に充てられない部分は輸出に回していく、こういうことが可能になるんだというふうに思うんです。

 そういう形で、まさに攻めの農政というのはこういうことを指すのではないかというふうに思いますが、このような観点で考えていく、こうした方向性を農林水産大臣は持っておられないんでしょうか。お伺いしたいと思います。

林国務大臣 まず、TPPで関税が撤廃されるというのが両面あると思いますが、入ってくる方の関税と、それから、我々がもし入ったとすれば先方に出しやすくなるという、両方を御指摘だと思うんですが、シンガポール、ブルネイ、それからベトナム、ペルー、豪州、ニュージーランド、メキシコ、カナダ、これはもう既に無税なんですね。

 したがって、今でも、TPPに入る入らないにかかわらず、無税で向こうに出そうと思えば関税はゼロになっている、そういうことでございまして、これに入ったからといって、我々の輸出がすぐ有利になるというものではないということは申し上げておきたいと思います。

柿沢委員 私たちから見れば、こうやってTPPに参加をし、そして日本の農業の国際的な産業競争力といいますか、それを高めて、海外のマーケットを獲得できるものに生まれ変わる、これがTPPの果たすべき農業に対する役割ではないかと思うんです。

 弱った農家がその脆弱な体質のままさらなる農業予算をかち取るために、いわばTPPはつくられた脅威として今機能をしていて、むしろ、こうした関税が引き下げられる中、また、日本が、ある意味では海外のマーケットに日本の高品質の農産品を売り込む上で、ある種、日本の国内市場の価格がこれだけ高い関税に守られて高い水準になっている。ここを下げていくことが、やはりTPPに入って、そして関税の引き下げ、撤廃、こうしたところに進んでいく意義だというふうに思います。

 今後、例えばカナダやメキシコ、こういう国々も加入をしてくる。こうした中で、日本のマーケット拡大のためにTPPをある種てこにしていく、こういう考え方をぜひ持っていただきたいというふうに思います。

 今回、首脳会談に当たって、日米両政府による共同声明というものが発表されました。これで聖域なき関税撤廃が前提ではないということが確認された、TPP交渉参加に向けたハードルをクリアした、大きな成果だ、こういうふうに報じられています。

 これはホワイトハウス発表の英文の共同声明ですが、簡単な三つのパラグラフによって成り立っています。

 一つ目の段落、英語の授業みたいで恐縮なんですけれども、「should Japan participate in the TPP negotiations, all goods would be subject to negotiation,」とある。つまり、日本がTPP交渉に参加するとしたら、全ての物品が交渉の対象になる、交渉のテーブルにのせられる、こういうことですよね。

 これは、一昨年、ハワイの日米首脳会談で、野田総理がそう言ったということを米国側が発表されて、言った言わないの大騒ぎになったのと同様の表現です。このときの国会質疑で、こんなことを言ったんだったら野田総理は打倒しなければならないと、参議院自民党の、当時の山本一太参議院議員は野田内閣倒閣宣言までぶち上げているものであります。

 今回、共同声明を見る限り、全ての物品が交渉のテーブルにのせられるというこの点について、安倍総理はオバマ大統領に同意をしているというふうに思われますけれども、そうした理解でよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 この共同声明は三つのパラグラフになっておりますから、三つ全体で考えなければならない、こういうことであります。

 その中で、いわば、我々は、聖域なき関税撤廃はだめですよ、こういうことでありますが、この第二パラグラフにおいて、一定の農産品、米国には一定の工業製品という、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティーが存在することを認識しつつ、こう書いてあります。そして、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することが求められることではないということを確認するということでありますから、あらかじめ聖域は全く認めませんということにはなっていないということがここでも確認をされておりますから、これは聖域なき関税撤廃ではない、こう確認したところでございます。

柿沢委員 三つのパラグラフで構成されていることは事実でありますが、しかし、この第一パラグラフの、第一段落のここの部分。まさに全ての物品を交渉のテーブルの上にのせる、これはとんでもない発言だといって、かつて国会審議で、民主党政権に対して自民党の皆さんがむしろ大変厳しく批判をしていた、こういう部分だったというふうに思うんです。

 ここの部分は、ある種当然の前提であるかのようにこの共同声明に盛り込まれている、これでいいんですねということを確認したいと思っているわけです。

安倍内閣総理大臣 たしか、あのときは、米側が発表して、そして日本側が否定するという大変な迷走になってしまったわけですが、今回はそういうことがないように、しっかりと文章でそれを定めたわけであります。文書に書いたことはアメリカ側も日本側も同意したことである、それは当然のことであります。

柿沢委員 全ての物品は交渉のテーブルにのせられる、こういうことが共通合意事項としてこの共同声明に書かれた、こういうことだということであります。

 では、次のパラグラフもあるんだという話でしたので、次の段落、次のパラグラフに行きましょう。

 ここがまさに共同声明の成果の核心部分だと思います。交渉参加のために、一方的に全ての関税を撤廃するということをあらかじめ宣言、約束する必要はないということが確かに書いてあります。「it is not required to make a prior commitment to unilaterally eliminate all tariffs upon joining the TPP negotiations.」こういうことですね。これが、関税撤廃の例外が認められた、期待した以上の成果だ、こういうふうに日本では報じられているわけです。

 ところが、これは英文を読むと、交渉参加のために関税撤廃を宣言する必要はないけれども、しかし、最終結果は交渉で決まるということだけが書いてあって、交渉の結果、聖域が認められるというような文章の書きぶりになっているわけではない。なっていないですよね。そのような理解でよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 それは当然、交渉していくわけですから、交渉のテーブルの上にはのりますけれども、それをおろすこともできる、交渉においてですね。おろすことができないんだということになればこれはだめですけれども、それはおろすことができるということは、これではっきりしたということではないかと思います。

柿沢委員 いや、もともと、午前中の審議でも出ていましたけれども、そもそも、交渉参加に当たって、あらかじめあらゆる関税を撤廃しますなんということは求められているんですか。求められていないのではないかと思います。カナダもメキシコも、交渉参加に当たって、あらかじめ全ての関税を撤廃しますというようなことを言わされているわけではない。

 とすると、あらかじめ全ての関税を撤廃することを宣言する必要はない。この文章はそもそも存在しない必要性を打ち消しているだけだということになりはしませんか。お伺いします。

岸田国務大臣 TPP交渉については、二〇一一年のTPPのガイドライン、当時、参加国は九カ国でしたが、九カ国の首脳が確認したガイドラインというものが存在いたしますが、そこにおいて、原則として関税は撤廃するという大きな方針が示されています。ですから、こうした方針について、どうだろうか、さまざまな情報があり、我々は情報収集してまいりました。

 今回、文書においてこれを確認した、ここに大変大きな意義があると考えています。

柿沢委員 今、原則撤廃だというお話が岸田外務大臣から出たわけです。原則撤廃だけれども、最終的には交渉の結果に委ねられている。ここのところは確かにそういうふうに書かれていますけれども、しかし、最終的に聖域なきということになるのかならないのかということは、それこそ交渉で決まるわけですから、見通せるものではない。つまり、聖域が認められるということは、これにはどこにも書いてないわけですね。

 安倍総理、もう一度。こういう理解で私はいいと思うんですけれども、安倍総理もいいですか。

安倍内閣総理大臣 これは要するに交渉力があるかないかということにもつながってくるわけでありますが、いわば交渉において我々は国益をしっかりと守ることができるかどうか、つまり、交渉に参加したら、その交渉すら基本的にできるかどうかということでもあります。

 そして、センシティビティーとして農産品を認めた。実は、アメリカは、ほかの国とも交渉しておりますから、そうしたこと自体について、文書においてそれを認めるということについては、なかなか抵抗があったのは事実であります。だからこそ、二年間、ここまで来てしまったんですよ。そして、我々は政権について二カ月間でこの文章にたどり着いたわけであります、首脳会談を経て。

 ですから、当然、交渉でありますから、これは交渉においてその可能性がないということであれば、それはつまり我々の公約にかかわってくることでありますから、だから、我々の公約との関連においてそれはもう一度確かめたということでありますし、また、オバマ大統領の前において、私たちは、国民との約束において、聖域なき関税撤廃が前提条件である限り交渉には参加をしないということを選挙でお約束をして政権をとった以上、それをたがえるわけにはいかないということをはっきり申し上げました。

 その上において、この三つの文章について、私も説明し、これは文書化してもらわなければ困るという話をして文書化されるということになった上において、私は、聖域なき関税撤廃ということを前提条件としないということを確信を得たということを説明しますよ、それでいいんですかということを念を押したわけであります。

柿沢委員 聖域なき関税撤廃ということを、要するに、全ての関税撤廃をあらかじめ宣言するということが交渉参加の条件だということは、どこにもなかったわけです。

 それを、結果としてこの文章化をした。文章化をした後、その後、この三つ目のパラグラフがついてきたわけです。日米両政府は、TPP参加に関する二国間協議を進めると。「more work remains to be done, including addressing outstanding concerns with respect to the automotive and insurance sectors, addressing other non-tariff measures,」とある。

 これを読むと、アメリカは、TPPの要求水準を満たすために、自動車、保険、他の非関税分野における日本の譲歩が必要であると考えているというふうに読めます。きちんとやってくださいよという、日本に注文をつけているかのような表現でもあります。

 TPP交渉参加には、アメリカを含めた全ての交渉参加国の承認が必要になるので、何か、これは入り口で交渉参加の条件を突きつけられてしまったような感じもあるわけですけれども、この三つ目のパラグラフの理解はこういうふうにも見えるわけですが、総理の見解はいかがでしょうか。

岸田国務大臣 第三パラグラフの意義、内容ですが、日米間においては、今日までも、閣僚を初めさまざまなレベルで協議が続けられてきました。そして、その中において、米国側からは、自動車、保険、そこに書いてあるような分野に高い関心が表明されてきた、こうした内容でありました。こうした協議を引き続き続けるということを明記した、これが第三パラグラフの意味であります。

柿沢委員 結局、この共同声明で何をかち取ったんでしょうか。

 TPPが高い水準の貿易自由化を目指すものであるのは事実でしょうけれども、全ての関税撤廃をあらかじめ約束せよとはそもそも求められていない。カナダもメキシコも求められていない。求められているのは全ての物品を交渉のテーブルにのせるということで、これは、かつて野田総理がそれを受け入れたと報じられたら自民党から激しい批判を浴びせられたにもかかわらず、今回、共同声明の冒頭にこれが当然の合意事項であるかのように載っている。しかも、アメリカの関心事項である自動車や保険分野の懸案を解決しなければ入れてあげないというふうにくぎを刺されているかのような表現まである。

 一体、日本は今回の共同声明で今までと違う何をかち取ったんですか。総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 柿沢委員も、野党としていろいろとこの共同声明に対してけちをつけたいんでしょうけれども、今までもやはり、交渉においてこうした文書にするかしないか、これは大きかったんですよね。

 今、例として挙げられたように、アメリカが出したら、それは、野田総理あるいは当時の民主党政権は言っていないということになった。言った言わないになったんですよ、結局。だから、そういうことがあってはならないから、ここはちゃんと文書にして、そしてその上において、我々は国民との約束があります、その約束において、私たちは約束をたがえていないんだということについて確認をしたところであります。(発言する者あり)

 ちょっと静かにしていただけませんか。あなた、理事なんだから。

山本委員長 答弁していますから、静かに。理事ですから、ちょっと静かに。

安倍内閣総理大臣 よろしいですか。

 つまり、そこで、我々はしっかりと公約を果たしているということを明確にするということを、この文書化することによって果たしたわけであります。

柿沢委員 いや、この共同声明の線でいいんだったら、今まででもこれはよかったということになるんじゃないかと思うんですよ。全ての物品をテーブルの上にのせて、これでいいというんですから。

 しかし、これまでは、自民党の皆さんの多くは断固反対、絶対反対だったわけです。そして、TPP交渉参加を掲げた私たちみんなの党に対しては、農協さんと一緒になって集中砲火を選挙戦中加えてこられた。それが結局これでは、選挙のときまではTPP断固反対、絶対反対、ポーズとして叫んでいただけなのではないか、こういうふうに思えてなりません。

 私たちは、TPP交渉参加賛成ということを選挙で真っ正面から掲げさせていただいて、戦わせていただきました。一体どちらが国民に対して本当に必要なことを語ったということになるのかなというふうに思います。

 こうやって、結局、野田政権時代に既にイシューとして挙がっていた問題について、いとも簡単にこのような共同声明に落とし込まれている。そして、聖域なき関税撤廃が前提条件であれば交渉参加には反対、こういうお立場ですけれども、しかし、聖域が設けられる見通しは基本的にこれは不透明なままの文言の表現になっている。それに加えて、自動車や保険分野に関するアメリカ側の関心事項、懸案事項については、具体的にこの三パラグラフ目に盛り込まれている。

 これで、一体何をかち取って、何をかち取ったから自民党あるいは政権としてTPP交渉に参加をしていくということになるのか、この点が私は大変疑問に思えてしまうのであります。

 最後に申し上げれば、このTPP交渉参加に日本として決断をして進んでいくということについて、私は否定をするつもりはありません。しかし、あのような、冒頭示したような、大変多岐にわたる、これもこれもあれも守り抜け、こんな注文をつけられている。こういう状況の中で果たして本当に、自由貿易をてこにして日本の成長をもたらしていく、こうした結果が得られるのか、大変疑問に思うところであります。

 質問の時間も参りましたので、終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

山本委員長 これにて柿沢君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 日米首脳会談でのTPPの問題について安倍総理に伺います。

 パネルを用意いたしましたけれども、このパネルに、日米の共同声明が左側に書かれております。

 第一段落、第一パラグラフにおいて、日米両政府は、日本がTPP交渉に参加する場合には、「全ての物品が交渉の対象とされること」を確認するとあります。

 そこでお尋ねいたしますが、この「全ての物品が交渉の対象とされること」とは、日本の九千余りの関税品目、その全てが交渉の対象とされるのか、この点について、まず確認させてください。

岸田国務大臣 日米首脳会談で一致しました日米の共同声明、この第一パラグラフにあります、全ての物品が交渉の対象とされているということ、これは御指摘のとおり全ての物品が交渉の対象になるということですが、これは、この文書においてはそれ以上でもそれ以下でもありません。全ての物品が対象になる、それをそのままここに記載させていただいております。

塩川委員 日本にとっては、日本の九千余りの関税品目全てが交渉の対象ということでよろしいんですね。

岸田国務大臣 この共同声明の文書においては、確認したのは先ほど申し上げたとおりであります。

 我が国のタリフラインが約九千であるということも、これは事実であります。

塩川委員 九千余りのタリフラインについて、いわば全ての物品が交渉の対象とされるということですから、日本側においては、その九千余りの関税品目が対象となるということであります。

 次に、共同声明では、その後に、日本が「「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになる」としております。

 そこでお尋ねしますが、これの右側の方に引用してありますけれども、このTPPの輪郭では、TPPの重要な特徴の一つとして「関税並びに物品・サービスの貿易及び投資に対するその他の障壁を撤廃する。」とあります。

 これはこのとおりだと思うんですが、その点だけ確認させてください。

岸田国務大臣 御質問の趣旨は、この二〇一一年のTPPの輪郭において関税を撤廃すると書いてあるということを確認しろということですか。(塩川委員「はい」と呼ぶ)このように記載をされております。関税等を撤廃するという記述はございます。

 ただ、全ての関税を撤廃するかどうか、これについてさまざまな認識があり、今日までさまざまな情報収集に努めてきた、これが我が国の立場であります。

 最終的に、即時撤廃がどの程度なのか、段階的にどの程度撤廃されるのか、あるいは例外がどの程度認められるのか、これについて、さまざまな議論があり、情報があり、我々は今日までその情報収集に努めてきた、こうしたことでありました。

 そして今回、日米首脳会談で、この共同声明を発して、文書でこの点を確認した、これが経緯でございます。

塩川委員 要するに、関税撤廃が原則となっているという点はそのとおりですね。

岸田国務大臣 この二〇一一年のTPPの輪郭の文書、これはここにお示しいただいたとおりでございます。

塩川委員 次に、こちらのパネルの方ですけれども、これは内閣官房の資料で、日本のEPA、経済連携協定と、アメリカ、EU等のFTA、自由貿易協定の自由化率の比較の資料であります。

 左上のダイダイの部分をごらんいただきたいのですが、ここに、ちょっと字が小さくて恐縮なんですけれども、既存のEPAにおいて、経済連携協定において関税撤廃をしたことがない、そういう品目が約九百四十品目あると書かれております。

 その右側を見ますと、二つ目の欄ですけれども、それぞれ品目、名称が書かれておりますけれども、米や麦や牛肉や乳製品、砂糖などを初めとした農林水産品では、一番上に四百品目、次に三百二十品目、三つ目の枠のところには約百三十品目とありますから、合計すると、約八百五十品目は関税撤廃をしたことがないということであります。

 そこで、総理にお尋ねいたしますけれども、これまで関税撤廃したことのない、このような約八百五十品目の農林水産品もTPP交渉の対象となるということでよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 いわば、全ての品目についてテーブルにはのせるわけでありまして、それを交渉によっておろせないということではないというふうに認識をしております。

塩川委員 全ての品目がテーブルにのる。ここで挙げてあるような農林水産品の重要品目、この合計では八百五十品目についても交渉のテーブルにのる。これまで関税撤廃をしたことのない品目も交渉の対象となることがここではっきりとしております。

 要するに、今確認してきた点というのは、共同声明では、包括的で高い水準の協定を達成するとして、重要品目を含む全ての物品が交渉の対象とされて、これまで関税撤廃をしたことのない品目についても関税撤廃交渉の対象とすることを米国政府と確認したということになります。この点が極めて重大だと思います。

 そこで、岸田外務大臣にお尋ねいたしますが、日本の締結したEPA、経済連携協定の品目ベースでの自由化率、品目ベースでの自由化率というのは十年以内に関税撤廃を行う品目が全品目に占める割合のことですけれども、この品目ベースの自由化率は何%台で、あわせて、アメリカのFTAにおいては、ここにも書いてありますが、九六%以上、一〇〇%近い自由化率を実現している。これが、それぞれ日本とアメリカの締結をしているEPA、FTAの現状だということでよろしいですね。

岸田国務大臣 我が国が締結したEPAの自由化率、品目ベースでおおむね八〇%台後半です。貿易ベースでおおむね九〇%以上というのが日本の締結したEPAの自由化率です。

 一方、米国が韓国等と締結してきたFTAの品目ベースの自由化率は、御指摘のように一〇〇%近いと承知しております。

塩川委員 共同声明では、日米両政府は、日本が他の交渉参加国とともに、「「TPPの輪郭(アウトライン)」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する。」とあります。

 そこで、総理にお尋ねいたしますが、TPPのベースとなっているP4協定は、原則として全ての品目について即時または十年以内に関税撤廃することを規定しております。そうなると、共同声明で言う包括的で高い水準の協定というのは、このアメリカが結んでいるような自由貿易協定にもあるように、一〇〇%近い自由化率となるような関税の撤廃ということにつながるのではありませんか。

安倍内閣総理大臣 そのことは、今委員がおっしゃったことは、ここには明示的には書いていないわけでありまして、しかし、当然、交渉の中においてそういうものを求めていきたい、こう考えているかもしれない。

 しかし、参加国はそれぞれのセンシティビティーを抱えているわけでありまして、多くの国々が参加をしているわけでありまして、このマルチの中において物事は決まっていくわけでありますから、当然、日本は、日本の国益を守るために、もし参加ということになれば、日本の立場を主張していくのは当然のことであると思います。

塩川委員 米国政府と確認をしました、この包括的で高い水準というのは何なんですか。

岸田国務大臣 この包括的で高い水準ですが、二〇一一年のTPPのアウトラインにおきまして、TPPの重要な特徴の一つとして、包括的な市場アクセスを挙げ、「関税並びに物品・サービスの貿易及び投資に対するその他の障壁を撤廃する。」との目標をこのアウトラインで掲げています。

 さらには、このアウトラインの中で、「物品貿易に関する条文案では、協定参加国がWTO協定上負っている義務を上回る重要な約束を含む参加国間の関税撤廃、及び貿易障壁となりうる非関税措置の撤廃も扱われている。」こういった文言がございます。

 共同声明にあります包括的で高い水準の協定というのは、このTPPのアウトラインの内容全体を指していると認識をしています。

塩川委員 いや、それだけじゃわかりませんよ、アウトラインの中身はまさにアウトラインであるわけで。

 アメリカ側の方は交渉に参加をしているわけですから、全体の状況が見えているわけですよね。日本側はこれから入るかどうかという話をされておられるときですから、内容もわからないのに包括的で高い水準ということを認めるということになると、それは、アメリカ側の考える高い水準、まさに一〇〇%近い、そういう水準ということを確認、約束したということになるんじゃありませんか。

岸田国務大臣 まず、包括的で高い水準の協定という認識については、今日まで日米間で協議をし、そして、他の関係国とも二国間協議あるいは情報収集に努めてきました。そうしたさまざまな積み上げのもとに、包括的で高い水準の協定、先ほど我々が認識している、この認識に至ったわけであります。これは、そうした認識で我々は正しいと考えております。

塩川委員 答えになっていません。

 この資料にあります「日本のEPAと米・EU等のFTAの自由化率比較」、この資料が出たのが二〇一〇年のときですけれども、民主党政権のもとであります。

 二〇一〇年の十月の民主党政権における新成長戦略実現会議で、当時の玄葉担当大臣は、このパネルの説明として、近年の主要貿易国のFTA、EPAの自由化率は九五%を超えるものがほとんどでございます、アメリカとの経済連携を検討する場合には、このような高いレベルの自由化が求められているということを前提に考えなければなりませんと述べているように、これまでのような日本の経済連携協定での八〇%台どころか、九五%を超える、アメリカにとってみれば一〇〇%近い自由化率となることを当時の民主党政権も指摘してきたわけであります。

 総理にお尋ねしますけれども、アメリカと共同声明を交わした以上、包括的で高い水準の協定となれば、アメリカが求めるような一〇〇%近い自由化率となり、関税撤廃を除外されてきた農林水産品も明け渡すことになるのではないのか。そういう点でも、重要品目を除外対象とする、入り口で除外するような、そういう担保というのは一体どこにあるんですか。

安倍内閣総理大臣 入り口で除外するという担保は、これは共同声明の中にはないわけでありますが、しかし、それを、聖域がないんだ、つまり、交渉に参加をして、交渉において、残念ながら守るべき聖域を全く守ることができないんだということではないということを確認したわけであります。

 つまり、我々自由民主党の公約というのは、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉には参加しないということを我々は公約で約束をした、これが自由民主党の公約でありました。この公約に反しているかどうかということについて我々は確認をしたということでございます。

塩川委員 いや、これまでも、アメリカの要求による農産物の関税撤廃によって日本農業は大きな打撃を受けて、食料自給率は後退してきました。今回のTPP参加となれば、さらに食料自給率が後退し、地域経済や地域社会、ふるさとと国土を守ることもできません。もちろん、棚田も守れません。

 TPPは、医療や労働、食品の安全などのルールの規制緩和や撤廃を目指すものであり、国民の暮らしと安全を脅かすTPP交渉の参加はやめるべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。

山本委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。

 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 きょうは、長時間の質疑ということで、お疲れさまでございます。最後の質疑者でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 まず、先ほどの総理の施政方針演説、お聞きをいたしまして……

山本委員長 村上さん、せっかくの質問なんですけれども、きょうの集中は訪米報告等でございまして、施政方針以降の質疑については、これは三日以降の代表質問からでございますので、御注意をお願いします。

村上(史)委員 施政方針そのものを問うわけではありません。今回の日米交渉を……

山本委員長 それでは、訪米のことに関連して御質問ください。

村上(史)委員 関連です、関連。理事会ではそういう話はないということだけは申し添えたいと思います。

 三つの外交の基本方針を示されました。今回の日米会談において、総理のこの三つの基本方針に基づいて成果はどうであったのか、そしてまた、所期の目的は十分達成された、そのようにお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今般の首脳会談においては、まずは、アジア太平洋地域の安全保障環境が大きな変化をしております、この中において両国が認識を一つにすることが大切であろう、このように考えたわけでございまして、例えば、海においては、自由な海を日米同盟によってしっかりと守っていく、そして、力の行使で現状を変更することはできない、あくまでも法による秩序を構築していく、そのことにおいても日米で協力をしていくということについても一致を見たわけであります。

 また、北朝鮮による挑発が続いている、これに対しても、日米で協力して対応していこうということであります。

 さらには、日本は、ASEANにおいて外交を展開していますが、その中で特に、自由や民主主義、基本的人権という普遍的な価値を共有する国々との関係を強化し、そしてその外縁を広げていく外交を展開していくという戦略的外交について、それを米側に基本姿勢として説明したわけでございます。

 そしてさらには、TPPの話、あるいはまた嘉手納以南の我が国への返還等についても要求し、早期にそれを実現してもらいたいという話をしたわけでございます。

 つまり、そういう意味において、普遍的な価値に立脚する外交の展開、あるいはまた主張する外交、そういう基本原則にのっとって日米首脳会談を行ったところでございます。

村上(史)委員 今の総理のさまざまな成果の披瀝でございましたけれども、残念ながら、共同声明とか、また、オバマ大統領と二人で共同記者会見という場面がなかったということで、いささか物足らない内容ではなかったかな。もちろん、内容についてはそれなりの評価をいたしますけれども、この時期に行くということの時期的な問題もあったのかもしれませんけれども、やや冷ややかな印象を受けたということを申し上げたいと思います。

 そこで、戦略的な外交に関連いたしまして質問をさせていただきたいと思います。

 オバマ政権は、二〇一一年に示しました国家軍事戦略で、アジア太平洋地域の重要性を強調しております。また、あわせて、日本、韓国、オーストラリアとの同盟強化がうたわれております。また、昨年二〇一二年の新国防戦略では、イラク、アフガニスタンでの戦争の終結を受けて、アジア太平洋と中東との戦力の再調整をする、そして、中国を意識した軍事的安全保障のリバランスを図っていく、こういう方針が出されました。

 これは、アメリカにとっては実は国内問題でもありまして、財政再建そしてまた国防予算の削減ということに対処するという、指針としての位置づけがあります。アジア太平洋にシフトすると同時に、同盟国に対しては応分の負担を求めていくんだよという方針になっております。

 こういうアメリカの大きな変化、新戦略というものは、日本にとっても当然、大変重要な、大きな影響があると思います。このことについて安倍総理は、どのように認識をされて、このアメリカの新戦略、変化について、リバランスについてどうお考えになっているのか、そして首脳会談でそれが議論をされたのか、そのことをお聞きしたいです。

 総理にお願いいたします。これは直接オバマ大統領と……

山本委員長 その前に少しだけ、岸田外務大臣、短く。

岸田国務大臣 まず、このアメリカの新国防戦略、昨年発表されました新国防戦略ですが、米国は、アジア太平洋地域の動向が今後のアメリカ経済あるいは安全保障上、密接に関連しているという認識のもとで、同地域がさまざまな課題とそしてチャンス、機会がある、こうした認識に基づいて、アジア太平洋地域を重視する新たな戦略指針を掲げたと理解しております。

 このアジア太平洋地域に対するコミットメントまたはプレゼンスを強化するということは、この地域の平和と安定にとって大変重要だと我々は認識をしております。こうした戦略に対する認識を我々は持っております。

 そして、そのために我が国もみずからの防衛努力をしなければいけない。これは、さきの日米首脳会談においても、総理からアメリカにしっかりと表明をさせていただいております。その上で、日米の協力を進めていくことが確認された、これが日米首脳会談のありようでありました。

安倍内閣総理大臣 ちょっと申し上げさせていただきたいのは、先ほど、記者会見という、いわゆる通常の記者会見の形ではございませんでしたが、最初に執務室で政治、外交問題について首脳会談を行いまして、それから、閣議室に移って経済問題について昼食をとりながら会談をする前に、執務室において、内外の記者に対して私と大統領からそれぞれコメントを述べ、記者の質問に答えたわけでございます。

 そこで、リバランスでございますが、つまり、米国自体がアジア太平洋を重視していくということになるわけであります。中東地域において、イラクとの戦い、そしてアフガンとの戦い、ここに大変アメリカは重点を置いていたわけでございますが、アジア太平洋地域の安全保障環境が変わりましたから、その中において、そういう認識を持ってアジアを重視していく。

 これは安全保障上も重視をしていくわけでありますが、一方、米軍自体は、予算との関係もあって、だんだん予算は削減されていくという可能性があるわけでございます。だからといって、日本にかわりを求めてくれと我々が要求されているわけではありません。

 そういう中において、日本は、そういう環境の変化を我が事として捉えて、日本としてやるべきことをやっていくことによって、強い日本ということは、これは強いアメリカにつながっていくということを私は説明したわけであります。アメリカから要求されているわけではありませんが、日本のこととして、我々は、だから十一年ぶりに防衛費をふやしたわけでございます。

 そして、日米同盟関係のきずなをより強化していく。それは、例えば集団的自衛権の行使の解釈について検討を加えていくことによって、日米同盟関係はより強化されていく。強化されていくことによって、アジア太平洋地域のパワーバランスの変化に対していい変化を与えていくことになるわけでありますし、地域の平和と安定に資する、こういう説明をしたところでございます。

村上(史)委員 ということは、実は総理自身から、今の御説明とあわせて、オバマ大統領に対して、防衛費の増額、集団安全保障を行使する検討をする、あるいは防衛大綱の見直し、ガイドライン、これを示した理由というのは、いわゆるアメリカの新戦略に呼応した形で述べたということでよろしいんですか。

安倍内閣総理大臣 私が申し上げたのは、アジア太平洋地域の戦略的な環境が厳しさを増しているわけであります。北朝鮮のミサイル発射と核実験がありました。そして、南シナ海、東シナ海における中国の振る舞い、行動があります。こういう中において、これはいわばアジア太平洋地域の安全保障環境が厳しくなっていますから、アメリカの戦略の変更に対応するということではなくて、日本にとって安全保障上の必要があります。

 そして、アジア太平洋地域の平和と安定のためにも、日本自身がいわば日本の努力を示していく必要がありますから、今申し上げたようなことをやっていく。しかし、それは日本だけではなくて、日本は日本のこととして独自の努力を積み重ねていきますが、同時に、日米でともに緊密な連携をとりつつ協議をしていくことが大切であろう。

 その中で、今おっしゃったように、防衛大綱も見直しをしていきますし、ガイドラインについても見直しをしていく。それは、米国とそれぞれの役割分担等もよくこれから検討をしながら、さらに地域の安定を図っていこうという話をしたわけであります。

村上(史)委員 今の御答弁においても、もちろん日米同盟という枠組みの中での協力は十分必要なんですけれども、いわゆる先ほど来申し上げているアメリカの新防衛戦略に基づいた新たな日本の立場、日本の外交のあり方、そこまで日本として再検討する用意があるのか、そのことを私はお聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 米国がアジアを重視する、これは戦略環境が変わっていますから、ある意味当然の流れなんだろうと思いますが、私はいいことだと思うんですね。オバマ大統領はハワイ生まれでありますから、ある意味、アジア太平洋の大統領と言ってもいいと思います。だからこそ、しっかりとアジア太平洋地域を理解してもらいたいということがあるんですね。理解をしていただくということについては、日本の立場もよく理解をしていただく、日本の立場から見たアジア太平洋地域はどうなっているのかと。

 そして、私は、その前に、タイ、インドネシア、そしてベトナムに行ってまいりました。それぞれの国の今の安全保障環境はどう変化をしているか、これは私がどういう話を聞いているかということについても説明をいたしました。

 その意味において、米国もそういうことをちゃんと頭に入れながら戦略を考えてもらいたい、こんな観点からも首脳会談を行ったということであります。

村上(史)委員 私が言っている意味とはちょっと違うんですけれども、また今後、予算委員会で質疑を深めていきたいと思います。

 北朝鮮の問題について、最後にお尋ねをしたいと思います。

 午前中の質疑の中で、外務大臣の方から、いわゆる新しい強い制裁についての御答弁がございました。

 重複を避けたいと思いますけれども、今、アメリカにとっては、経済制裁はするけれども北朝鮮のいわゆる暴走に歯どめがかからない、二度、三度、四度と、今後も核実験、ミサイルの実験もあり得るという中で、いよいよアメリカにとって、本土に脅威を感じる状況になりつつあるのではないか。

 その中で、アメリカとしては、国連憲章七章の四十一条で今対応していますけれども、四十二条に踏み込む可能性があるのかどうか。そして、そのときには大きな緊張が出現するわけで、特に日本は、その影響を直接受ける可能性があります。その点についての見通し、そして、今後、日本はどう対応していこうと考えておられるのか。現実に、かつて、クリントン大統領が北朝鮮に直接攻撃をしようという計画があったということもあります。

 今後のことについてお尋ねして、質問を終わります。

岸田国務大臣 安保理決議については、昨年のミサイル発射を受けて採択されました二〇八七号において、核実験等を行った場合には重要な行動をとる決意が示されていましたが、それにもかかわらず、今回、核実験が強行されました。

 制裁を追加、強化して、より効果的なものにする、こういった内容を新たな決議に盛り込まなければならないと思っていますが、この協議は今現在も続いております。関係国の中で協議が行われている段階ですので、この段階で内容について申し上げることはできませんが、ぜひ、関係国と連携して、より強化された、そして効果的な決議を採択するよう我々もしっかり働きかけていきたいと思いますし、それを期待したいと思っています。

村上(史)委員 終わります。

山本委員長 これにて村上君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十二分散会


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