衆議院

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第13号 平成25年3月13日(水曜日)

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平成二十五年三月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 岩屋  毅君

   理事 遠藤 利明君 理事 小此木八郎君

   理事 西銘恒三郎君 理事 萩生田光一君

   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君

   理事 石田 祝稔君

      あかま二郎君    秋元  司君

      穴見 陽一君    伊藤信太郎君

      今村 雅弘君    うえの賢一郎君

      衛藤征士郎君    大塚 高司君

      大塚  拓君    奥野 信亮君

      金子 一義君    菅野さちこ君

      木内  均君    熊田 裕通君

      小池百合子君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    清水 誠一君

      白須賀貴樹君    助田 重義君

      鈴木 憲和君    関  芳弘君

      田野瀬太道君    田畑  毅君

      高木 宏壽君    高橋ひなこ君

      武部  新君    武村 展英君

      津島  淳君    辻  清人君

      冨樫 博之君    渡海紀三朗君

      中川 俊直君    中山 泰秀君

      西村 明宏君    野田  毅君

      葉梨 康弘君    原田 義昭君

      藤井比早之君    牧原 秀樹君

      宮路 和明君    保岡 興治君

      山本 幸三君    若宮 健嗣君

      大西 健介君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    郡  和子君

      階   猛君    玉木雄一郎君

      辻元 清美君    寺島 義幸君

      中根 康浩君    原口 一博君

      足立 康史君    岩永 裕貴君

      遠藤  敬君    小熊 慎司君

      坂本祐之輔君    重徳 和彦君

      杉田 水脈君    中田  宏君

      中山 成彬君    西田  譲君

      東国原英夫君    浮島 智子君

      佐藤 英道君    柿沢 未途君

      佐藤 正夫君    林  宙紀君

      高橋千鶴子君    宮本 岳志君

      畑  浩治君    村上 史好君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         新藤 義孝君

   法務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣         石原 伸晃君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   財務副大臣        山口 俊一君

   経済産業副大臣      菅原 一秀君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      赤羽 一嘉君

   環境副大臣

   兼内閣府副大臣      井上 信治君

   環境大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    秋野 公造君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)           田中 俊一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)       関  博之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官)            萩本  修君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)       廣瀬 直己君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     穴見 陽一君

  うえの賢一郎君    武村 展英君

  大塚 高司君     小島 敏文君

  大塚  拓君     藤井比早之君

  奥野 信亮君     冨樫 博之君

  小池百合子君     高橋ひなこ君

  塩崎 恭久君     菅野さちこ君

  中山 泰秀君     田野瀬太道君

  西川 公也君     木内  均君

  船田  元君     小林 鷹之君

  牧原 秀樹君     熊田 裕通君

  山本 幸三君     津島  淳君

  若宮 健嗣君     葉梨 康弘君

  岸本 周平君     郡  和子君

  玉木雄一郎君     階   猛君

  辻元 清美君     中根 康浩君

  原口 一博君     黄川田 徹君

  前原 誠司君     奥野総一郎君

  坂本祐之輔君     小熊 慎司君

  重徳 和彦君     岩永 裕貴君

  東国原英夫君     足立 康史君

  佐藤 正夫君     林  宙紀君

  宮本 岳志君     高橋千鶴子君

  村上 史好君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     今村 雅弘君

  菅野さちこ君     白須賀貴樹君

  木内  均君     清水 誠一君

  熊田 裕通君     鈴木 憲和君

  小島 敏文君     西村 明宏君

  小林 鷹之君     助田 重義君

  田野瀬太道君     中山 泰秀君

  高橋ひなこ君     小池百合子君

  武村 展英君     うえの賢一郎君

  津島  淳君     山本 幸三君

  冨樫 博之君     奥野 信亮君

  葉梨 康弘君     若宮 健嗣君

  藤井比早之君     大塚  拓君

  奥野総一郎君     寺島 義幸君

  黄川田 徹君     原口 一博君

  郡  和子君     岸本 周平君

  階   猛君     玉木雄一郎君

  中根 康浩君     大西 健介君

  足立 康史君     東国原英夫君

  岩永 裕貴君     西田  譲君

  小熊 慎司君     遠藤  敬君

  林  宙紀君     佐藤 正夫君

  高橋千鶴子君     宮本 岳志君

  畑  浩治君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  清水 誠一君     高木 宏壽君

  白須賀貴樹君     田畑  毅君

  助田 重義君     船田  元君

  鈴木 憲和君     辻  清人君

  西村 明宏君     大塚 高司君

  大西 健介君     辻元 清美君

  寺島 義幸君     後藤 祐一君

  遠藤  敬君     杉田 水脈君

  西田  譲君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑  毅君     中川 俊直君

  高木 宏壽君     武部  新君

  辻  清人君     牧原 秀樹君

  後藤 祐一君     前原 誠司君

  杉田 水脈君     坂本祐之輔君

同日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     西川 公也君

  中川 俊直君     塩崎 恭久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十五年度一般会計予算

 平成二十五年度特別会計予算

 平成二十五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算、平成二十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として総務省大臣官房地域力創造審議官関博之君、法務省大臣官房審議官萩本修君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 本日は、震災復興等についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。自民党の葉梨康弘でございます。

 三月十一日で、東日本大震災から二年を経過いたしました。私の選出県であります茨城県もまた被災県でございます。お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、今なお三十二万人の方が仮設住宅で暮らしている状況に、心からお見舞いと復興への誓いを申し上げたいと思います。

 私、自民党の東日本大震災復興加速化本部の事務局長を務めております。三月の六日に、自民党、公明党両党で、安倍総理に対しまして、復興加速化のための緊急提言というものを提出させていただきました。

 これにつきましては、代表質問では公明党の井上幹事長、あるいは、さきの予算委員会でも我が党の高市政調会長からも御質問等あったわけですが、ダブらない形で、今、被災地にとって何が必要なのか、さらに、政治として、我々が今のステージで何をやらなければならないかということについて、少し細かくなるかもわかりませんけれども、御質問を申し上げたいというふうに思います。

 まず第一は、政府参考人にお聞きしたいと思います。

 この予算委員会の議論でも、あるいは代表質問の議論でも、相続がなかなかうまくいかない、行方不明の方もいる、そういう場合に、従来の住所や居所を去り、容易に戻る見込みのない方、不在者、これに財産管理人がいない場合、家庭裁判所は、申し立てによって、不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、財産管理人選任などの処分を行うことができることとされている、この不在財産管理人制度を活用しようという議論がなされました。

 そして、ここでお伺いいたします。不在財産管理人というのは、不在者ごとに別々の人物を選任しなければならないという制度になっているんでしょうか。お答えください。

萩本政府参考人 複数の不在者について財産管理人の申し立てがあった場合、その不在者と不在者との間で利益が相反するということがあり得ますので、そのような場合には、原則として、不在者ごとに異なる財産管理人を選任する運用がされているものと承知しております。

葉梨委員 実は、よく具体的にイメージしますのは、残念ながら行方不明になられてしまった方がたくさんいるからということでこの制度を使うのかというと、私も実情をいろいろ聞いてみますと、法務省、結構一生懸命やっていただきまして、行方不明になった方については死亡という形でどんどん進めていただいているんです。

 ところが、今回、防災集団移転事業ということで、津波で被災した土地が高台に移るというような事業が行われる。高台においては、山林なんです。山林の土地というのは、決しておくれているとかおくれていないとかいうわけではなくて、非常に価格が低いものですから、相続がされていないというところが結構あります。

 これは宮古市の例ですけれども、七カ所のうち二カ所は相続がされていない。登記名義人が明治時代の方、そして、一応戸籍の上では十六人の登記名義人がいるんだけれども、今のところ、どこにいらっしゃるかよくわからない。

 逆の場合もあります。防災集団移転事業の場合は、自分の宅地を売りまして、その方の防災集団移転の費用に充てるという形になっていますけれども、その自分の住んでいる宅地、固定資産税はずっと払ってきていましたけれども、震災前、亡くなったお父様の名義そのままになっていた。

 この資料二の例ですと、余り詳しくは説明いたしませんけれども、これは楢葉町の例でございます。県内に転出した方、東京に転出した方、さらには亡くなられた方、全部捜してみますと多分三十人ぐらいになるんじゃないか、でも本当にどこにいるんだかわからないというような状況が現在あるということです。

 そして、今の不在財産管理人制度、これを活用したとしても、弁護士ないしは司法書士の方を選任するのが通例になっているんですが、先ほどの宮古市の例では、宮古の支部の中で弁護士さんは四人しかいません。それから浜通りでも、相馬支部には十二人、いわき市の支部にも三十人しか弁護士さんはいないんです。別々に選任するということが物理的に非常に不可能になっている、そんなような例も聞いています。これはあくまで一例です。これ以上、全部を調べていません、被災地の負担になりますから。

 ですから、今のは例示ですけれども、このような状況が出来した場合に、やはり我々としては何らかの法律的な手当てというのをとっていかなきゃいけないと思います。

 法務大臣から、私どもとも一緒に検討しながら、積極的かつ迅速に対応していただきたいというふうに思いますけれども、御答弁をお願いいたします。

谷垣国務大臣 今の葉梨委員の御指摘は大変重要な御指摘でございまして、今の制度の運用の改善、あるいは、自治体とも一緒になって、具体的な事例に即していろいろ検討しておりますが、足らない部分があったりした場合は、いろいろ御一緒に検討させていただいて、柔軟に対応していきたいと思っております。

葉梨委員 ありがとうございました。

 実は、この件につきましては、私どもの復興加速化本部の中でも、例えば、この場合、利害相反という問題はありますけれども、一人の弁護士さんがまとめて代理人になることができないか。その場合は、ある程度時限的な法律ということになってまいるんでしょうけれども、それは政府でやるべきなのか、あるいは議員立法でやるべきなのか。

 それについても、さらに今後、連立を組みます公明党、さらには野党の皆さんと、もしも問題があるのであれば、やはり私ども国会の責任として、立法、制度という形で被災者の方に少しでも役に立つようなことを前向きに進めていくことが大事だというふうに考えております。

 次の質問に移らせていただきます。

 暮らし、さらにはなりわい、そういったものを復興していかなければなりません。そのためには私たちとして何ができるか。やはり予算を国会では審議してしっかりと確保することですし、また、その効率的かつ適正な執行についても、我々はしっかりと、監視ということではないんでしょうけれども、ちゃんとモニターをして、そして必要に応じていろいろなことを申し上げていくということでございます。

 そこで、中小企業、それから農業について、ちょっと二つの視点からお伺いをしたいんです。

 今、仮設住宅の方は大変問題となっています。仮設住宅の二年間の期限をもうちょっと延ばそう、そういうようなお話もあります。

 同じような話が中小企業でもあります。仮設の店舗あるいは仮設の工場、ここら辺に入居する事業者は昨年末で二千七百四十四社になっています。これがやはり、先の見通しがなかなかつかないものですから、もうちょっと延ばしてくれないか、そういうような要望、これは切実な要望としてあります。

 そしてまた、何で延ばしてくれないかという要望のもう一つ大きな理由が、これはいい制度なんですけれども、グループ補助金ですね。中小企業等グループ補助金、これによって仮設から出て新しい店舗、新しい工場をつくるための補助金が前政権の時代にセットされた。非常にいい制度だと思います。

 しかしながら、問題点は、通常の公共の入札とか調達というのは、資材が高騰したり人件費が高騰したときに予定価格は上げることができるんですが、グループ補助金の単価というのは変わっていないんです。昔の安いままの資材で算定されたものが補助金として行くものですから、結果的に、新しい店舗をつくったり、新しい工場をこれからつくっていこうというときに、思ったよりも自己負担がふえてしまう。これは非常に大変な問題になると思います。

 まずはとりあえず、しかし予算化されたものですから、それに対しては、例えば無利子の融資でつないで、そして将来、政府と我々と一緒になって知恵を出して、何らかの支援策を考えていくということも私は必要だと思います。

 さらには、そういった個別の相談に乗るためにも、現在、産業復興相談センターがあるわけですけれども、その設置期限を延長する。そういったようなよりきめ細かな対応と、さらには、将来の制度的な対応が担保されているから、では今はこれでいこうというような安心感を中小企業の方々にしっかりと与えていくということが大切じゃないかと思います。

 これについては、経産大臣はきょうは公務会談があるということで、経産副大臣、それから復興大臣から、しっかりと連携をとって対応していくということを、安心できる形で御答弁をいただきたいと思います。

菅原副大臣 葉梨委員から大変重要な御指摘を賜りました。

 御案内のとおり、中小企業、小規模事業者の方々が事業を早期に再開するために、中小企業基盤整備機構が、市町村の要請を受けまして、仮設の工場や店舗につきまして原則無償で貸し出しをする事業を行っております。

 御指摘の入居期間でございますが、これは機構の方では期間を特段定めておりません。実際的には市町村でそれぞれ定めているわけでございますが、委員の御指摘を踏まえまして、被災地の実情やあるいは入居の事業者の意向を踏まえまして、柔軟に対応するように努めていきたいと思っております。

 また、あわせて、もう一つのリカバリー策でありますグループ補助金でございますが、復旧事業に思ったよりも時間を要してしまう、そうした中で、二十四年度内に事業が終了しない、こういう事業者も既に出てきていることは承知をいたしております。御指摘がありましたように、資材の高騰や設計の変更等、いろいろな事情によりまして事業者の自己負担がふえてしまう。

 こういう状況に対しまして、実は、貸付期間、最長で二十年、融資を受けてから五年間の据え置きをして、無利子貸し付け、最長で二十年という、いわゆる高度化融資制度というものがございます。なかなかこれが周知徹底されていないような状況もございますので、この点、県や東北経済局等にしっかり周知徹底を図るように努めていきたいと思いますし、また、復興庁と連携しながら、被災者の事業のニーズにしっかり応えられるように努めていきたいと思っております。

根本国務大臣 葉梨さんのお話、私もそのとおりだと思います。

 私も、復興大臣をやって、一番大事なのは、被災地ごとに状況が異なる、そして業種によっても、あるいは復興の段階によっても課題、問題点が違うんですね。今お話しの仮設店舗とグループ補助金については、うまくやった方は仮設店舗からグループ補助金を活用して新しい本店舗をつくった、こういう例もあります。

 ただ、私が大事だと思いますのは、やはり今回の震災は、時間軸、タイムスパンの中で、柔軟にさまざまな制度に対応していくということが何よりも大事です。新しい段階、ステージで新たな課題、問題が出てまいりますので、今、産業副大臣からも御答弁がありましたが、我々、大事なのは、現場主義に立って柔軟に対応して一日も早い復興をなし遂げることだと思いますから、この産業政策についても、経済産業省と十分に連携をして取り組んでいきたいと思います。

葉梨委員 このような現場の問題を幾つかいろいろと拾ってみますと、私もつくづく感じることなんですが、現地においてのいろいろな相談体制、それから市町村の行政の体制のマンパワー不足というのは、本当にかわいそうな状況にあります。

 県の職員、それから市の職員に聞いてみますと、超過勤務が月にもう百時間。非常に疲れている中で、復興を目指して一生懸命頑張っています。今回、復興予算も復興庁ということでワンストップ化されましたけれども、それでもやはりいろいろなメニューが結構複雑にあるものですから、なかなか処理し切れない。

 そこで、一点、実は復興予算の問題ではなくて、結構大切な問題です。

 民主党政権のもとで、特に農業を営む者について、農業の担い手の方について、例えばですけれども、農業機械は結構高いものですから、これを買うのに大体半分とか三分の一補助するという制度があるんです。それから、販路を拡大するというようないろいろな事業をやったときに、それについて個々の農家に対して補助をするという制度があるんです。

 具体的には、そういったようなソフト事業と言っておりますけれども、民主党時代に戸別所得補償の財源ということもあって多少縮減された、この経営体に対する機械を補助するという事業、約二十億円ほど、今回の補正予算とそれから今度の当初予算で拡充になっています。さらには、被災地にも都市の住民を呼び込んで、そしていろいろな活動をやってもらおうというような事業についても、被災地だけじゃありませんけれども、二十億円ほど措置されているし、先ほど言いました販路拡大に資する事業についても、四十億円ほど当初予算で措置されている。これは一般の予算です。

 ところが、問題点は、被災地の市町村の経済課、通常、経済課ですけれども、そこが物すごく今忙しいです。復興交付金あるいは復興関係で、もう頭がいっぱいです。一番かわいそうな人たち、まあ、かわいそうという言葉を使うと語弊はあると思います。仮設住宅で暮らしている人がいる、まだ住まいも再建できていない人がいる。でも、ようやっと、さっき言った中小企業のように、新しい工場をつくる。農業もそうです。新しい農業をこれからやっていこうというときに、機械を買いたい。そういう人たちの指導まで、なかなかこの市町村の経済課というのは回ってこない。

 そうなってしまうと、結果として何が起こるか。日本全国で使えるような予算が被災地では使えない。こんなおかしなことになってはならない。

 ですから、その意味では、東北の農政局がございますけれども、農林水産省の場合はやはり個別の農家さんとつながった事業が特に多いものですから、もちろん、復興庁の司令塔機能というのをしっかりと尊重した上で、各市町村ともよく連携をとって、その上で、そういったマンパワーの援助、それからいろいろな御相談に乗っていただくように御配慮願いたいなというふうに思います。

 農水大臣、よろしくお願いします。

林国務大臣 お答えいたします。

 我が省は、東日本大震災、特に甚大な被害を受けた青森県、岩手県、宮城県、福島県、これらの被災地に対しまして、平成二十三年五月ですから、震災の直後から、東北農政局、地域センター及び本省からも派遣をいたしまして現地支援チームというのを編成して、現地の意向の把握、復旧復興対策の周知徹底、指導助言等のきめ細やかな支援を行ってきたわけでございますが、今お話がありましたように、二十四年の二月に復興庁をつくったわけでございまして、ワンストップということでやることになりました。

 したがって、我が省から復興庁に職員を派遣して一元的対応に協力をするということもやりながら、今お話のあった、出していただきましたけれども、農業に特化した振興策とか、農地を中心とした土地利用等の相談活動等については、農林水産省独自で、地域センターを中心に、必要に応じて市町村等に出向いて対応を行っております。

 したがって、こういうさまざまな、今御指摘いただいたような事業を活用して、被災地の皆様の創意工夫ある活動を支援していく必要があると考えておりまして、今後も、復興庁と連携しながら、地方農政局それから地域センター、これらが市町村や団体や農家の方々からの相談にきめ細かく応じるということで、先ほど委員が御指摘になったような、結果としてここに全体の予算が余り行かなくなるということがないように、しっかりと被災地の農林水産業の復興に取り組んでまいりたいと思っております。

葉梨委員 そして、大きな三つ目でございます。

 やはり国会の役割というのは、政府とも相まってですけれども、正しい情報を国民に対して提供するということも非常に大切だし、また、国民の理解の醸成に資する、そういったような活動を政府とは別の立場で行っていくということも大切だと思います。

 私は茨城の選出ですけれども、茨城の北の方でちょっと問題となっている事例がございます。

 福島県の鮫川村、ここの地図にありますので大体場所はわかるかと思いますけれども、ここにいわゆる放射線で汚染された堆肥の焼却場を建設するという計画が持ち上がりまして、鮫川村の方々とは環境省もいろいろとやられていたんですが、御案内のように、ここはもう完全な県境、それから市境の町でございまして、いわき市、さらには北茨城、ここの人たちが、全然情報の提供がないじゃないか、一体どうなっているんだという反対運動が今起こっている地域でございます。

 もちろん、この問題について私も担当者双方からも聞いてみたんですけれども、環境省の側からすると、今度の焼き場というのはちっちゃいものだ、安全なものだし、そんなに大きな問題となるものだとは思っていなかった。それから、少なくとも、この焼くというのは最終処分ではなくて、容量を小さくして腐らなくするために、中間貯蔵施設に持っていくためには絶対に必要なものだと。

 でも、さすがに、それを聞いてみますと、こういう場所につくるわけですから、隣接の市町村の方々とのコミュニケーション不足というのは、これは私は明らかに否めない面があるのかなというふうに思います。

 そして、これからよく事前の説明をするということも大切なんですけれども、初めてなものですから、やはり周りの住民は、焼却場をつくるといったら、それは最終処分場をつくるんだというふうに思い込んでいらっしゃる方もたくさんいるんです。

 ですから、それをつくった後に、これは広域の瓦れきの処理の問題でも問題となりましたけれども、やはり、後で、住民が客観的にモニターできるんですよ、モニターをした上で、何か問題があったときにはこういうような対処をするんですよというところまで、パッケージでしっかりと住民の理解というのを得ていく必要があるんじゃないかと思います。

 環境大臣、お越しでございます。テレビの前で、まず、この除染に当たっての焼却というのは絶対に必要だということについての意味、それについて答弁をしていただきたいと思います。そしてその上で、住民に対する丁寧な説明ですとか、あるいは客観的なモニターの仕組み、これをしっかりと提示していただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

石原国務大臣 葉梨委員が、懸案となっておりますいわゆる減容化施設、これは特に農業に関係をする稲わらとか堆肥とか、放射性汚染物質を、汚染されてしまったものを焼くこと等によりまして小さくしていく、そのために必要な施設を、今御指摘のとおり、福島県の鮫川村において環境省が建設中ということに端を発した御質問であると認識をさせていただいております。

 もう申すまでもありませんけれども、農家の軒先に置かせていただいたり、牧草地の横に置かせていただいたり、時間もたってまいりましたので、それが腐敗したり、乾燥してきたら発火をしたりするおそれがありますので、やはり、中間貯蔵施設に運ぶ前に小さくして、それをコンクリート等に詰めて、しっかりと保管をするということが大切だと思っております。

 このことについては、村内の多くの皆様方の御同意は得ておりますけれども、委員御指摘のとおり、場所が福島県の南部でございまして、茨城県の北部、北茨城市と隣接をしておりますし、福島県のいわき市とも隣接をしている。そういうところでありますので、今後、委員の御指摘のとおり、近隣の皆様方に、もちろん、今の前段の説明は、させていただければ皆さん必ず理解をしていただける。では、その施設ができて、どういう環境影響があるのかないのかということで反対論が起こっているんだと認識しております。

 これは、私も減容化施設をいろいろ見てまいりましたけれども、最近の施設というものは、フィルターをつけたり、排ガスに対してしっかりと処理が適切に行われているということは言うまでもございませんし、それが数値として分単位で出るわけでございます、どういうものが空気中に排出されたかどうか。

 こういうモニタリングの結果というものも公表させていただかなければなりませんし、その施設ができたことによって周りが何か逆にまたおかしくなるんじゃないかといったような、風評被害ということもしっかり防止する。そのためには、データを日々明らかにして、安全であるということをしっかりと説明させていただきたい、こんなふうに考えているところでございます。

葉梨委員 実は、ちょっとそれてしまうんですが、質問はいたしませんけれども、私、自民党で今、TPPの対策委員会の取りまとめ担当事務局次長というのを仰せつかっておりまして、この質問が終わりましたら、そちらの方、きょういろいろと議論になるかと思いますが、多分似たようなところもございまして、交渉に参加するかしないか、それは別として、仮に参加した場合でも、その状況がどういう形でモニターできるか、あるいは、何か問題があったときにどういう形でハンドリングができて対処ができるか、ここのところがないと、やはり大きな不安というのを周りの方も抱えてしまうということを非常に私も痛切に感じております。

 このことは私のひとり言でございますので、まずはお耳には入っているかということで、これで終わらせていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 子ども・被災者の支援関連法の問題でございます。

 これはちょっと見づらくて恐縮なんですけれども、下の二つ丸がしているところがありますが、これが私が住んでいる取手市なんです。

 一時間の線量が〇・二三マイクロシーベルト以上ですと、年間被曝量が一ミリシーベルト以上になる。一ミリシーベルト以上のところをずっとこのパネルで、ちょっと絵がわかりづらいのでサインペンで囲ませていただいたんです。その意味でいうと、私が住んでおります取手市、これは一ミリシーベルトを超えるホットスポットなんです。

 ただ、周りに、私も住んでいるし小学生の娘もおりますけれども、自主避難している人というのは一人もいません。ただ、避難はしないまでも、除染もやっていますし、何か健康面で支援策を国からいただけたらやはり大変ありがたいというふうに思っている人たちもたくさんおります。

 でも、片一方で、取手市の中でも農業をやっている方なんかは、取手市が支援対象地域ということになって、自主避難も認められる、そんな地域になったら、また野菜の値段も下がっちゃうかもわからないなというふうに思っている人たちもいるわけです。

 ですから、なかなか、こういう地域の指定というのはいろいろと悩ましい問題はあるんですけれども、私は、これを解決するのは、やはり客観的、科学的、専門的、そして多角的な検討をしっかり加えるということが大事だと思います。

 しかしながら、今、喫緊の課題として、現実に、一ミリシーベルト以上の地域でそのような要望がいろいろとあるわけです。ですから、私どもの住んでいるような取手市、そういったホットスポット、こういう地域について、そういう地域だけではございませんけれども、何も地域指定があろうがなかろうが、この法律の趣旨に定められたような関連施策というのは前倒しでどんどん進めていただきたいな、それが一つの要望でございます。

 それから、先ほども申し上げましたように、この一定の基準というものの設定に当たりまして、やはり各方面から意見を聞く場をしっかりつくってほしい。そして、科学的で専門的で多角的な検討を加えた上で、日本として、健康に対して放射線量が与える影響はこうなんだということを、国民に本当にわかりやすく政府としても示していくということが安心の確保のためには絶対に必要だし、また、それが、ある意味でこの法律の趣旨を生かすことにもなるのではないかというふうに考えます。

 復興大臣から答弁をお願いいたします。

根本国務大臣 私も、今の葉梨先生の御意見、非常によく考えられた御指摘だなと思います。

 子ども・被災者支援法、我々も、施策はまずどんどんやりたいと思っているんですね。ただ、一番の問題は、政策支援地域という概念で、この政策支援地域が、二十ミリシーベルト未満であって一定の基準以上と書かれております。法律上、一定の基準。法律制定の過程でも、この一定の基準についてはさまざまな議論がありましたが、一定の基準ということで法律で規定された。

 したがって、今お話しのように、一定の基準をどこで引こうかという議論をすると、人々を引き裂いてしまうことになりかねないとか、あるいは風評被害が出てくるのではないかとか、こういう御意見もあって、一方で、多様な事情を総合的に勘案して決めていく必要がある、こういう御意見もありました。

 ですから、私も、お話しのとおり、一定の基準については、専門的、科学的な検討が必要だろうと。先般の原災本部におきまして、私の方から、原子力規制委員会と原災本部において、放射線量とそれに応じた防護措置、これについて専門的、科学的に、国際的知見も活用して原子力規制委員会で検討してほしいと、その依頼をさせていただきました。

 また一方で、葉梨先生おっしゃるように、内外の有識者の知見も集めて、専門的、科学的に、原子力規制委員会のこれから出てくるであろう考え方も含めて、しっかりとここを議論していきたいと思います。

 一方で、葉梨先生のおっしゃられたとおり、被災者支援法では、政策支援対象地域、それに基づいて基本方針をつくる、こうなっているものですから、この基本方針をつくるのがおくれてはならないので、今のホットスポット対策を含めて具体的な施策を早急にまとめて、政策はどんどん前に進めていきたいと思います。

葉梨委員 よろしくお願いします。

 本日は、本当に短い時間でしたけれども、今、この復興のステージの中で、我々として、政治として何が必要だ、法律の制度の面、あるいは予算の執行の面、それから国民に対する理解の醸成の面ということで質問を進めさせていただきました。

 この提言の作成に当たっては、私も常に、総理の施政方針にありました、国会議員としての責任あるいは政治としての責任ということを強く考えさせられました。被災地の方々の声を聞きました。そして、思いを一つにすること、まだできていないかもわかりませんけれども、やはり思いを一つにすることは大事だと思います。

 でも、思いを一つにして、それを写真に撮って自分のホームページに載せるだけで終わらせてはいけない。やはり国会議員である以上は、それを何らかの形で、制度の面あるいは予算の面、そういった形でアウトプットを打ち出していかなければならないな、そういうことを、立法府に身を置く者として、加速のために汗をかかなきゃいけないという決意を新たにしたところでございます。

 自民党は、野党時代からも、震災復興のため、これまでも各種の提言を行ってまいりました。新しいステージに復興は入りました。より具体的な事項について多くの方々から意見を聞いて、施策に集めて、英知を結集していくことが必要です。

 総理には、与党が提言を出しましたけれども、本日も野党の方々からもたくさんの質疑があろうかと思います。野党の方も含めて広くその声を聞いて、国会議員の責任として、与野党一致をして復興の加速化に取り組んでいただきたい。その決意をお願い申し上げたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま葉梨委員の質問を伺っておりまして、葉梨委員は、恐らく現場に行って足を使って一つ一つ拾い集めた御質問なんだろうな、本当にそう思いました。まさに、一つ一つの問題意識のその向こう側に、その中において苦しんでいる人たちの姿が見えるような質問を今いただいたと思っております。

 我々の基本的な姿勢としては、しっかり一つ一つの課題に一つ一つ答えを出していくことによって結果を出していきたい、このように考えております。

 自由民主党も、野党時代ではありますが、五百七十七の提案を当時の与党に、そして政府に対して提出をしました。その中から、政府から出される閣法として三十、そして議員立法として十以上の法案が成立をしたわけでございます。

 この後、野党の皆様からも御質問をいただきますが、そういう皆様も、恐らく、地元の声を拾って、そしてそれを反映させようという思いなんだろうと。思いは同じでありますから、我々も、野党の皆様の提案の中にも、直ちに実施をしなければいけないもの、あるいは政策にまとめていくもの、予算化しなければいけないもの、法律を変えなければいけないもの、そうしたものに対してはしっかりと対応していきたい、このように考えております。

葉梨委員 この提言については、また三月後、この提言の内容について政府からいろいろと御報告も求めるように申し入れをさせていただいています。そして、政府と与党、それから野党の皆さんも一緒になって、この震災復興のために一丸となって邁進していきたいということの決意を申し上げさせていただきまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 この際、西村明宏君から関連質疑の申し出があります。葉梨君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西村明宏君。

西村(明)委員 自由民主党の西村明宏でございます。

 一昨日、被災地の東日本大震災追悼式の方に参列してまいりました。私も、震災当日、あの大津波が襲った仙台空港の近くで被災をいたしました。すぐに、行方不明となった仲間を捜しに被災現場に行き、そこに横たわっている御遺体、そしてまた、見つかった御家族の御遺体にすがって泣くあの姿をいまだに忘れることができません。御遺族のまだ癒えぬ思い、そして今なお仮設で御苦労されている、そうした御家族の思いをしっかりと受けとめて、次に迎える三度目の正月には、明るい未来へのともしびをしっかりと届けなければならない、そういうふうに意を強くしているところでございます。夢を形にする、そして希望を現実にする、これが何より大事でございます。

 震災後、全国でも有数のイチゴの産地であるところの若者たちが私のところにやってまいりました。イチゴをつくりたい、だけれども全てをなくしてしまったんだ、そういう思いでございました。すぐに仲間の方に連絡をとって、当時の宮腰農水部会長を初めとした皆さんが現場にお越しいただきました。そして、若者たちとしっかりと話をしながら、どうやればいいのか、いろいろな知恵を絞って、形にしていきました。今ようやく、イチゴ農家、少しずつ歩みを進めています。

 全てのこと、形にしていく、これが何より大事なんだと思います。今、イチゴ農家だけではなく、農林水産業、商工業、こういったものに対してもしっかりとした支援を継続して行っていく、このことをまずもってお願い申し上げたいと思っております。

 昨日の地元の新聞には、「癒えずとも前へ」という大きな見出しが飾られていました。この思いで、まだまだ心の傷は癒えない、だけれども、あしたに向かってしっかりと歩むというその思いが、まさに東北の思いでございます。これをまずしっかりとみんなで受けとめていかなければならないと思っているところでございます。

 さて、安倍新政権となりました。一月十日の復興推進会議で、総理から、復興の加速について御指示をいただきました。そして、三月七日には、一定の成果を取りまとめたところであります。これをいかに実行していくのか、これが大事であります。

 根本復興大臣とは、ともに落選中でございました。東北志士の会という集まりで、いろいろなことをお話しさせていただきました。そのときに復興大臣がよくおっしゃっていたのが、言うだけじゃだめなんだ、形にするんだ、実行するんだ、そうおっしゃっておりました。この復興会議の取りまとめの成果をいかに実行するのか、復興大臣のお考えをお聞かせください。

根本国務大臣 西村委員は、被災地におられて、そして被災地の皆様と一緒に、今のお話の農業の問題を含め、本当に復旧復興に情熱的に頑張っておられました。私も同じ境遇でありましたので、何とかこの復興を一日も早く我々の手で具体的に前に進めたい、そんな思いでいっぱいでありました。

 一月十日に、復興推進会議、安倍総理から、復興の加速の指示を受けました。

 私がこれまで取り組んできたことを簡単に申し上げますと、年末年始返上で、復興庁の司令塔機能の強化、やはり推進体制が大事ですから、復興庁の司令塔体制の、司令塔の強化。そしてもう一つは、財源フレームの見直しなんですね。私が被災地に行きますと、五年間で十九兆円という財源フレームがある、これについて、来年、再来年はどうなるのか、この不安が非常にありましたから、これは、五年間で二十五兆円の財源フレームの見直しをいたしました。

 そして、具体化については、来年度の予算あるいは補正予算で、新たな加速策、これを出しました。例えば、津波被災地では、住宅再建に対する支援、あるいは産業立地促進のための産業立地補助金の津波被災地への拡充。福島についても、福島復活プロジェクト、長期避難者のための支援や、あるいは早期帰還への加速、あるいは、低放射線量で、運動不足になっている子供たちのための運動機会の確保、屋内運動場の整備、営農再開の支援。さまざまな具体的な復興加速策、これを盛り込みました。

 そして、今月七日の推進会議においては、その補正や当初予算で組んだ加速策に加えて、住宅、復興まちづくりに関する事業の工程表と目標の明示、これは、仮設住宅におられる方が、自分たちは、いつ、もとの住宅に、あるいはもとの暮らしに戻れるんだろうか、先が見えない。ですから、市町村ごとに、地区別に、いつ災害公営住宅ができるか、あるいは用地が供給されるか、それを明示いたしました。

 そして、もう一つは、用地、資材、マンパワーなど事業実施の隘路もありますし、いかにして用地取得から住宅再建までのスピードを上げるか、あるいは隘路を打開していくか、その具体的な対策を明示いたしました。

 そして、復興交付金の運用の柔軟化、これも随分、市町村から、あるいは県から要望がありましたので、復興交付金の柔軟化も進めました。

 そしてさらに、原子力災害に係る早期帰還、定住のためのプラン策定、これも取りまとめて決定をいたしました。

 大事なのは、今お話のとおり、我々、言葉だけではありませんから、政治は具体的に前に進めることが私は政治だと思いますので、引き続き、西村委員の御支援をいただきながら、復興庁を司令塔に、しっかりと復興の具体策を前に進めるように頑張ってまいりたいと思います。

西村(明)委員 ありがとうございます。

 安倍政権ができるまでの間、復興のスピードが遅いという指摘がずっとなされてまいりました。復興事業の推進に当たっては、平時の、通常のときの手続、法規体系にかかわらず、特別な状況だということを認識して、規制緩和などの手続を加速化していく、このことが必要だと思います。復興大臣はいかがお考えなんでしょうか。

 そしてまた、今後、津波によって流された地域、この地域に再び宅地や農地を整備していこうという話になったときに、所有者不明の土地というのがたくさん出てまいります。この土地をそのままにしておくと、そういった事業の妨げになっていくわけでございます。こういった問題にいかに対処していくのか、復興大臣のお考えをお聞かせください。

根本国務大臣 西村委員のおっしゃるとおり、復興のスピードアップ、これが何よりも大事であります。先ほど申し上げました住宅再建、まちづくりのためのタスクフォース、これはまさにそのための検討の場を、私が大臣で、関係省庁の局長を集めて具体的に詰めた議論をいたしました。

 復興については、まず用地取得がある。ここに例えば所有不明の土地の問題もある。この権利関係をいかに解きほぐしていくか。次に、埋蔵文化財が出ますと、いかにその調査を早く進めるか。そして、設計から施工まで、この期間をいかにして短縮するか。こういう具体策が実は必要なので、これは取りまとめました。

 例えば、防災集団移転促進事業で、津波被災地から高台に移転する、この津波被災地で問題だったのは、農地の転用の許可だったんですね。そこは、住宅を取得して高台に移転してもらうんですが、農地を取得しようと思うと転用の許可が必要だ。転用の許可は、この農地をどう利用するんですか、利用計画をつくれ、こうきますが、その段階で利用計画はつくれませんから、むしろそこは転用許可を不要とすべきじゃないか、こういう議論を、総理の指示もいただいて、これはもう転用許可が不要になりました。ここは規制緩和がもう今されました。

 ですから、そういう問題を一つ一つ解きほぐすことが大事で、ただいまの所有者が不明の土地の取得、これは先ほどの議論もありましたが、まずそういう用地取得の体制が市町村で不十分ですから、ここも、用地取得体制のマンパワー不足に対するてこ入れをする。そして、今の、所有者不明の土地の問題、これは先ほどお話がありましたが、所有者不明の土地あるいは相続人がたくさんいる土地、これは財産管理人制度がありますから、先ほどもありましたが、これは法務省で、具体的にどういう運用をすることによってスピードアップするか、司法書士さんや弁護士会に事前に話をして、どのぐらいの人数が必要になるか、あらかじめ想定して、これは裁判所にお願いするわけですけれども、そういう取り組みもしよう。あるいは、土地収用に関しても、審査期間の短縮、これもやることにいたしました。

 我々、一番大事なのは、具体的に進める体制、仕組みづくりも必要ですから、要は、関連する復興庁、法務省、国交省、この連絡会を被災県ごとにつくりまして、そこで即応できる体制も仕組んでおります。この辺の仕掛けを活用して、ぜひ現場主義に立って復興を加速させていきたいと思います。

 あと一点、土地収用については、どうやって手続をスピードアップするか。これは、今やらせているのは、いろいろな事業がありますから、類似事業を束ねて、この類似事業からどうやったら審査の簡素化ができるか、事務処理体制をどう強化するか、調書作成をどう簡素化するか、この辺のことを検討させていますから、あらゆる政策を総動員してこの復興加速に努めていきたいと思います。

西村(明)委員 被災地におきましては、技術者や技能者の不足といった問題、そしてまた、賃金の上昇、生コンなどの資材の不足や価格の上昇によって、入札不調の発生や施工の確保に支障を来すおそれがありますが、これまでどのような取り組みをしてこられたのでしょうか。

 国交大臣におかれては、三月三日、仙台で開催されました復興加速化会議に御出席いただきましたけれども、提起された諸問題、この解消に向けて、具体的にどのように取り組むのか、御決意をお伺いします。

太田国務大臣 三日の日に仙台に行きまして、復興加速化会議を開いて、県それから仙台市、建設業界あるいは資材関係の方々、そうした方に集まっていただきまして、会議を開きました。

 焦点は、生コンをどうするか、入札不調の現状がどうなっているか、人の不足、職人さんの不足というのにどう対応するか、その点でございます。

 入札の不調というのがかなりの数に上っているというのは昨年来のことでありますけれども、大きな工事、直轄などはほとんど不調はございません。小さくて、ちょっと手間がかかり過ぎるというようなことが多くて、不調ということが数が多くなっているという現状であります。

 一旦不調になったものを、ロットを大きくしたりして再びかけますと大体契約ができているということで、県も市も、積み残しは現在のところありませんという明確な答えがございました。なおかつこれは注視していかなくてはならないことなので、しっかりその辺を見きわめて、さまざまな、ロットの大型化を初めとする工夫をしていきたい、このように思っています。

 生コンは確かに不足をしています。地域によって随分違うんですけれども、砂が足りないというところ、そして石が、骨材が足りないところ、そしてセメント自体のところ、ヤードがないのでなかなか砂やそういうものを置けないというところ、プラントが足りないところ、こういうところを九ブロックに北からずっと分けまして見ますと、一つ、例えば、これは調整をすっと全体にして、ヤードやあるいはプラントというのをつくるというふうにしてきたんですけれども、どうしても、二十六年度から三陸自動車道というものの工事がいよいよ本格的に始まります。そこで、どうしても釜石とか宮古の方ではプラントが民間ではなかなかできないということもあったりして、追加してやらなくてはいけないということもありまして、国としてプラントをつくるということを指示してまいりました。

 人の問題も、復興JV制度や全国からの派遣ということも含めて、また、派遣したところの方たちにそのお金をしっかり、交通費等を上積みするようにというような措置をとって、それぞれ地域によっても違いがあり、また、項目によっても違いがありますけれども、よく調整しながら、そこの隘路を断ち切るということで、今、力を入れているところであります。さらに力を入れてまいりたいと思います。

西村(明)委員 ありがとうございます。

 被災市町村の依頼を受けまして、個別の事業をまとめて民間のゼネコンやコンサルタントと契約することによって事業を加速化する方法、いわゆるCM方式を宮城県におきましても女川町や東松島市などで導入しておりますが、都市再生機構、URにおいても自治体の支援をしているところでございます。

 このような取り組みを拡大して、復興のスピードをさらに上げていく必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

太田国務大臣 復興の加速化については、そこは急所の一つだというふうに思っています。

 都市再生機構が、被災自治体のノウハウや人の不足を補うために、平成二十三年以降、被災地に職員等を派遣して、こうした取り組みをしてきているところでございまして、災害公営住宅の建設や市街地の整備事業というのを促進してきています。

 先生おっしゃるように、陸前高田や女川あるいは東松島、都市再生機構が入りまして、CM方式ということで、民間にそれをしっかりできるようにということで指示をしまして、そこが、民間のノウハウを生かして、さまざまな入札への手続とか、あるいは土地の取得であるとか建設だとかをやるということを推進してきております。これは、個別に小さく発注するというよりも、それが合わさってできるという利点もございまして、このCM方式というものが、またURの働きというものが極めて大きな働きをこれからさらにしていくというふうに思います。

 さらに地域を拡大して、これが復興加速に前進するようにということに心がけたいと思っております。

西村(明)委員 ありがとうございます。

 総理、震災後に早速に被災地の方に足を運んでいただきました。総理から、当時はまだ総理ではございませんでしたけれども、その後にいろいろな物資を運んでいただきました。十トン車を何台も連ねておいでいただいた。そして、防災服に身を包んで一緒に段ボールを運んでいる姿を通りかかった皆さんが見て、びっくりしていたのを思い出します。

 食べ物がようやく届き、そして、着がえをしたい、下着が欲しい、そんな話のときに、暖かい下着が届きました。安倍総理から届いた下着で、いやあ、あったけえなと言っていたおじいちゃんやおばあちゃんの顔を思い出します。

 そしてまた、コロッケ隊。山口県から多くのコロッケを運んでいただきました。その炊き出しをずっとやっていただいた。たくさんの冷凍コロッケを残していっていただいたので、その後、私も半年以上にわたって炊き出しをやってまいりました。あのころは、仮設住宅に皆さんが入るまでということでひげを伸ばしておりまして、そのひげの防災服姿でコロッケの炊き出しをしておりますと、だんだん子供たちが顔を覚えて、私の顔を見ると、ああ、きょうはひげのコロッケ屋さんが来た、温かいコロッケだと言って喜んでいたのを思い出します。

 そういった御支援を、本当に、安倍総理初め自民党、公明党の皆様に、そしてまた民主党を初めとした野党の皆さん、力を合わせてやったということ、被災地を代表して、心から御礼を申し上げるところでございます。

 さて、今回の復興の加速化策によって、被災者の皆さんは復興に向けた期待が大きく膨らんでおります。その一方で、これが実行されて初めて復興を実感できるというふうに考えます。

 そのためには、政治が強力なリーダーシップを発揮していくことが何より必要だと考えますけれども、総理の御決意をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 発災以来、西村委員も、当時は議席を失う中での大震災でありました。その中で、国会で地域を代表して発言できない、政策を実行できない、そういうもどかしさを感じておられたんだろうな、本当にそう思うわけでございます。

 まさに地域に密着して頑張ってこられた皆さんの声に応えていくことが我々の使命なんだろう、こう思っている次第でございます。

 私も、昨年十二月に総理に就任して以来、一カ月に一回ではありますが、月に一回のペースで被災地を訪問してきているところでございます。

 安倍政権としては、東北の復興なくして日本の再生がない、この思いで、全大臣が復興大臣という考え方で取り組んでいるところでございますが、先日の七日の復興推進会議において、住宅再建、復興まちづくりに関する事業の工程表と目標を明示しました。つまり、いつになったら生活が再建していくんだ、いつになったら仮設から出られるんだということを明示することによって、将来に希望を持っていただき、不安を払拭していきたい、このように考えました。そして、用地、資材、マンパワー等の事業実施の課題への対応策を含めまして、また、これは福島県でございますが、原子力災害に係る早期帰還、定住のためのプランも策定し、公表したところでございます。

 これらをお示ししたのは、被災地の方々の御期待に応えていくために求められている実行力であります。実行力を私たちが政治のリーダーシップで示すことによって、自分たちの生活は、ことしよりも来年、確実によくなっていく、来年の三月の十一日は希望の日にしたい、こういう思いで、これからも責任を持って、政治のリーダーシップで復興を加速していきたい、このように決意をしております。

西村(明)委員 強い御決意、ありがとうございます。

 きょうは麻生大臣にも御出席いただいておりますので、一点、御要望させていただきます。

 一月二十九日の復興推進会議で、復興財源フレームを十九兆円から二十五兆円に拡大したところであります。財務大臣におかれましては、これを踏まえた復興財源の確保をしっかりとお願い申し上げたいと思います。

 また、地域におきましては、グループ補助金、宮城県内においても、採択件数百五十四件、二千百五十億円の補助金を受けて復旧に邁進しているところであります。今後、まちづくりが本格化するにつれて、再建を目指す企業ニーズというのが高まると予想されますことから、今後とも十分な予算の確保をお願い申し上げたいと思います。

 被災地は、決してあの震災を忘れることはできない、忘れない、その思いで歩みを進めているところでございます。新聞にありました「癒えずとも前へ」、その気持ちでしっかりと着実に前進してまいりますので、政府・与党挙げた、一体とした強力な取り組みを心からお願い申し上げまして、質問にかえさせていただきます。

 どうぞよろしくお願いします。被災地は頑張ります。

山本委員長 これにて葉梨君、西村君の質疑は終了いたしました。

 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 おはようございます。

 三・一一から二年を過ぎました。先日は、私も、天皇陛下、皇后陛下御臨席のもとの追悼式にも出席をさせていただきまして、改めて、復興を加速しなければならない、こういう決意を深くいたしました。

 二万人を超える、お亡くなりになった方、また行方がいまだわからない方、そして震災の関連でお亡くなりになった方がいらっしゃいます。私は、改めて心から哀悼の意を表しますとともに、いまだ三十一万五千人の方が避難生活を余儀なくされている、そういう方々が、本当にもとの生活に、普通の生活に戻れるように、これからも全力を挙げていきたいというふうに決意をいたしております。

 私たち公明党は、三月の十日に仙台市で東北復興会議というものを開きました。これは三・一一の前日でありますけれども、そこには東北の各地方議員、そして、公明党は震災の復興に最後まで寄り添っていこう、こういうことで、各県また被災市町村に担当議員を決めまして、直接そこの地域の議員ではありませんが、日本全国、それぞれ担当いたしまして、足しげく通わせていただいて、いろいろなお声も聞かせていただいているところでございます。

 そのときに、三月十日の日に、新生東北復興決議というものを代表のもとで決議いたしました。全文を読み上げることはいたしませんけれども、その中で最後に、「私たちは、東日本大震災並びに原発事故の風化を防ぎ、経験に基づいた真に実効性のある防災・減災対策を確実に実行する。」こういう決議を仙台でいたしました。本当に復興を一日も早くなし遂げなきゃならない、こういう決意で取り組んでまいりたいと思います。

 私は、まず総理にお伺いをいたしたいというふうに思います。

 総理もこの震災が起きたときは野党の時代、私たちも野党でありましたが、いろいろな提言を自由民主党もなさった。私たち公明党も七百項目以上の提言もいたしてまいりました。また、議員立法等にも与野党を超えて取り組んでまいりましたけれども、残念ながら、行政権がない、直接実行できなかった、そういう思いを私たちは共有しているわけであります。

 そういう中で、総理として、もうちょっと早く進められるんじゃないのか、そういう思いもずっとなさったのではないかと思いますけれども、復興の加速化、それはどういうことが障害になって、こうすればうまくいくんじゃないだろうか、進められるんじゃないだろうか、こういう思いをなさったと思いますが、率直な御意見をまずお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 政権が発足をいたしまして、何回か現場に足を運びました。その際、現場の方から、現地の方から要望があったのは、復興がなかなか進まない、窓口に行っても、これはこっちの別の省ですよ、あるいは、わざわざ東京まで一々陳情に足を運ばなければならない、こういう声が随分ありました。

 そこで、私たちは、まず縦割り行政をやはり排していこう。かつては、縦割り行政の中において十分に復興庁が機能していなかった。これを、まず縦割りを排し、現場主義で実行していくということに重点を置いたわけであります。被災地の状況を的確に踏まえて、施策を講じていかなければなりません。そして、スピード感に欠けるところも事実あったわけでありまして、これを思い切って変えていく必要もある、このように思いました。

 そして、安倍政権においては、こうした状況を解消して復興を加速していくために、政権交代直後に、実行に必要な復興予算に関するフレームの見直しを行い、そして、いわゆる福島、東京二本社体制の導入をいたしまして、司令塔機能の強化など、縦割り行政を排して、現場主義に立った取り組みを実行してまいりました。もちろん、まだまだ不十分な点はたくさんあるんだろうと思います。そういうことについては、一つ一つ率直な御批判、御意見は承りたい、それに私たちはスピーディーに対応していきたい、こう思っております。

 そういう中におきまして、委員を初め公明党そして自民党から、まさに足で集めた、そうした要望に対する政策的な提言をまとめていただいた。我々もこうした提言を生かして、さらに被災者の方々が、復興は加速しているな、そう実感していただけるように全力を尽くしていきたい、このように考えております。

石田(祝)委員 復興の加速化について、私たち公明党も党内で、一体何がいわゆる隘路になっているのか、阻害要因になっているのか、まずそれを洗い出して、そしてその上で、ではそれをどうするか、法律の問題、また役所の仕組みの問題、いろいろあると思いますけれども、そういうことで、公明党は公明党、そして自由民主党は自由民主党で、復興の加速化の議論をそれぞれ党内でいたしまして、今総理がおっしゃったように、最終的に自公で一本化をいたしました。復興の加速化の緊急提言、こういうものを私たちは取りまとめをいたしまして、三月の六日、総理に提言としてお出しをいたしました。サブタイトルとしては「震災三年目の冬を希望持って迎えるために」、こういう提言もさせていただきました。

 それで、私は、この提言をして感じたことは、今まで決められない政治ということをずっと言われてきて、では、決められない政治から決める政治だ、こういう言葉になってきたんですけれども、決める政治だけでは不十分だ、決めてそして実行する、実行して結果を出す、そして結果を出して次につなげていく、このサイクルをしないと、決める、決められないということだけではなくて、やはりどこまで実行できるか、結果が出せるか。やはり政治は結果ですから。

 そういう意味では、ぜひこの緊急提言を、総理も取り入れていただいて実行していただけると思いますが、この緊急提言について御感想があれば、お伺いをいたしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 この緊急提言は、まさに一つ一つの問題について、その課題、そしてどうすればその課題を解消できるかという具体的な事柄一つ一つを集めた提言だ、このように思っております。その提言は、まさに皆様が被災県に足を運んで、直接被災者の方々から要望を受けた結果だろう、このように思っております。

 そして、政府としては、予算的な措置、あるいは行政上の裁量の中でできること、あるいはまた法律を変えなければいけないこと、そうしたものをしっかりと整理しながら、まずできることは、例えば法改正が必要ないものは、今すぐできることは直ちにやっていきたい。そして、補正予算、本予算もありますから、そこで対応できることは直ちにやっていきたいし、あるいは、対応の柔軟性によってできることもたくさんありますから、そうしたことについては直ちに実行していきたいと思います。

 また、例えば、民間の方々の御協力をいただきながら実行できることもあります。JR東日本であったり、あるいはまた鉄道、バス関連であれば、宮城交通、福島交通の方々に御協力をいただいてできることもたくさんあるわけでございます。そうしたことについてもリーダーシップを発揮して、あの提言を実行するために全力を尽くしていく考えであります。

石田(祝)委員 それでは、具体的な話を何点かお伺いいたしたいと思います。

 今からお聞きすることは、やはりそれぞれの現場で私たちがお聞きをしたり御要望いただいたりしたことでございます。

 一つは、国土交通大臣にお伺いをいたしたいんですが、いわゆる被災者、避難をされた方の高速道路の無料化、こういうことで、ことしの三月三十一日で切れるところ、避難指示の出た方については来年の三月まで延長する、こういうことを決めていただきまして、大変喜んでいただいていると思います。

 もう一つ、今言われているのが、自主避難をされた方、そういう方も、自主避難といえ、原子力発電所の事故というもともとの原因があって、それは線量の問題とかで直接避難をということではないかもしれませんけれども、御自身の判断ということはあっても、やはり御家族が別れているということもあると思いますので、この自主避難の方について何らかの措置を私は講ずるべきではないのか、このことを思っておりますが、国土交通大臣、いかがでしょうか。

太田国務大臣 御指摘のように、非常に大事なことだというふうに思っています。

 現在、子ども・被災者支援法に基づいて、自主避難者を対象にした支援施策がさまざま各府省で検討されているところですが、高速道路料金への支援措置につきまして、この一環として、復興庁とともに検討を現在行っております。

 貴重な時間ですので率直に申し上げますが、支援を実施したいと私は考えております。

 さまざまな課題の解決に向けて、復興庁などの関係省庁ともよく連携をとって、調整の上に、できるだけ速やかな実施に向けて対応していきたい、このように考えております。

石田(祝)委員 前向きな力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 続きまして、環境大臣にお伺いしたいんですが、福島県外に避難そして居住されている方で、子供さん等について継続的に甲状腺がんの検査を続けていく、こういうことが決められておりますけれども、例えば、これは私は青森の方からお聞きをしたんですが、青森県は、指定医療機関というのは弘前大学しかない。全国で七十七カ所ほど指定をされているようでありますが、これをふやしていくということもお聞きをしておりますけれども、そうすると、弘前大学のそばにいて検査を受ける方はいいんですが、青森といっても広うございます。また、そのほか、日本全国、福島以外、四十六都道府県に避難をされておりますから、指定医療機関まで、検査はやりますよ、しかし、ここまで自分のお金で来てください、こうなるわけですね。

 ですから、ここのところも、小さいお子さんもいらっしゃいます。ですから、せめて、合理的な経路で行かれる場合、それを対象にした交通費の補助、また、大変な遠隔地であれば前日泊まるだとか、そういう点も踏まえた、いわゆる検査を受けるためのお金の問題について、これはもう出していくべきではないのか、私はこういうふうに考えますが、いかがでしょうか。

石原国務大臣 石田委員の御指摘の点は大変重要な点だと私どもも認識をしております。

 昨年は七十一機関でございましたけれども、現在、委員が御説明をいただきましたように、七十七機関まで、医療機関の数がふえてまいりました。百十三の医療機関にもう依頼をさせていただいているということを聞いておりますので、やはり避難をされている方々がお近くの医療機関でこの検査を受けられるようにするということを、私どもも側面援助をしていかなければならないと考えております。

 受診の際の交通費についてのお尋ねでございましたけれども、原子力損害賠償に関する法律に基づきまして、賠償の範囲を定めるために作成されております中間指針を見ましたところ、東京電力の賠償の対象になるとされておりますので、この点につきましても、復興庁とともに連絡をとりながら、どういう手だてが考えられるのか、考えてまいりたいと考えているところでございます。

石田(祝)委員 これは、十八歳未満の方を対象にするということで、二十を過ぎるまでは二年に一回、過ぎれば五年に一回、ずっと検査をしていく、こういうことです。

 ですから、ある意味でいえば、三十六万人が対象になっていると思いますが、二年に一回ということだと、一年、大体十八万人、二十を過ぎた段階になったら、その五分の一、一年間七万二千人ぐらい、こういうことですから、賠償の対象になっているから賠償の方でというんじゃなくて、それはある意味では相殺すればいいわけですので、本人が余り負担にならないように、この検査を受け続けて、しっかりと健康に配慮ができるようにこれはお考えをいただきたいというふうに思います。

 それで、きょうは経済産業大臣、外国の要人との会談ということで、副大臣に来ていただいていると思いますが、原子力発電所の事故で、いわゆる損害賠償、いろいろな部面があると思います。精神的なもの、また、商売をやっている方だったら営業の賠償だとか、そして農林水産業だったら農産物、林産物等の補償だとか、いろいろあると思いますけれども、その中で、やはり全体的に同じようなスピードで賠償がされているのか。どうもでこぼこがあって、おくれているところについての要望が非常に強いように思いますけれども、そこのところ、おくれているところをどうするのか。

 こういう点も踏まえて、きょうは副大臣、賠償をやはり早くしてほしいというお気持ちの方がたくさんいらっしゃるわけですから、そういう点について御答弁をいただきたいと思います。

赤羽副大臣 お答え申し上げます。

 今、石田委員の御質問にありましたように、東京電力による賠償は、一つ目には、精神的損害等に対する賠償がございます。また二つ目には、営業損害、就労不能損害に対するいわゆる所得補償がございます。そして三つ目には、宅地建物、家財、また事業用資産等の財物に対する賠償がございます。

 このうち、一つ目、二つ目につきまして、被害者お一人につき毎月十万円の精神的損害賠償や所得補償につきましては、被害者の約九割に当たる方々から御請求がございまして、一昨年からお支払いをさせていただいているところでございます。

 さらに、避難指示区域の見直しに伴いまして、昨年九月末から、将来分を含んだ一定年数分の包括払いとして、精神的な損害と所得補償等につきましては、約三万八千件、総額でいいますと約千九百二十億円の支払いがなされているところでございます。

 また一方、財物補償につきましては、事業用の資産に対する賠償は昨年末からようやく開始されまして、現在のところ、約一千件、総額約十億円の支払いがされているところでございますが、御指摘の宅地建物等の財物賠償につきましては、大変おくれておりまして、現在、財物の所有者の確認方法や、また、地元から請求書類の記載をさらにわかりやすくするようにといった御指摘もあって、今、関係の被災自治体の皆さんと鋭意協議をしているところでございます。相当大詰めになっておりますが、現時点で支払いが開始できていないことは、大変申しわけなく思っているところでございます。

 いずれにしても、東日本大震災から丸二年が経過をいたしまして、今なお不自由な避難生活を余儀なくされている被災者の方々がその生活再建が一日も早く進むように、経済産業省としても、被災者に寄り添いまして、可能な限り早期に東京電力において財物賠償が開始できるように最大限の努力をしてまいりたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

石田(祝)委員 済みません、副大臣は結構なんですけれども、これは復興大臣にちょっとお伺いしたいんです。

 これは、復興再生総括本部で、早期帰還・定住プランの中に、「財物賠償について、可能な限り早期に賠償に必要となる請求書の送付を開始する。」こういう一文が入っておるんですが、今副大臣からの御答弁、私はそのとおりだと思いますが、なお、復興大臣、質問を直接通告はしておりませんけれども、これをお取りまとめになったと思いますから、この点について非常に、どうなっているのか、こういうお話も私もお聞きをするんです。今お答えできる範囲で、ああ、そういうことなら、待っているんだけれども、復興大臣の言葉を信じてもうちょっとおとなしく、おとなしくと言うと失礼ですけれども、これは賠償を待つか、こういうことになろうと思いますが、この点、復興大臣から御答弁いただけますか。

根本国務大臣 赤羽副大臣から全体の話がありました。

 私も、書類を送付する、それは聞いております。ですから、我々も、全体の早期帰還・定住プランをまとめるときには、賠償の迅速、丁寧な支払い、これを定住プランにまとめて、そして促進するように取り組んでまいりたいと思います。

石田(祝)委員 その点、ではよろしくお願いをいたしたいと思います。

 きょうは、土地の問題で、用地の取得について、これは復興大臣と法務大臣ということだと思いますが、お伺いをいたしたいと思います。

 やはりいろいろなことをお聞きすると、土地の手当て、用地の取得、これが非常に時間がかかったと。これは、農地の転用の問題も先ほどお話にもございましたけれども、それ以外に、昔からある土地で、相続されていない、建物も、建物自体は新しいんだけれども、滅失登記がなされていないものだから登記の最初が明治だとか、家は今住んでいる人が建てている、しかし、登記そのものはもうずっと前だ、そうすると法定相続人がたくさんいる。そういう権利関係が複雑になっているということがあるんです。

 それで、きょうは、法務大臣と復興大臣、両大臣に、この用地の取得について、私はなぜ聞くかというと、これが非常に復興の隘路になっている。そういう観点で、ここを早く整理してやっていただかないと進まないんじゃないか、こういう問題意識を持って、我が党でも随分党内で議論をいたしました。

 この点につきまして、法務大臣、復興大臣、どちらが先でも結構でありますから、用地取得について、今後どう進めていくか、どう早く進めていくかについて御答弁をお願いします。

谷垣国務大臣 今、石田委員の御指摘になった用地取得の問題、所在が不明でわからないとかいろいろな問題があるというのは、当委員会の御審議の中でもたびたび御指摘をいただいているところでございます。

 これに対する民法上の制度としては、不在者財産管理人制度、それから相続財産管理制度というのがございまして、今後、これを積極的に活用して、利用者をふやしていかなきゃならないのは当然のことだと思っております。

 それで、現在、法務省としては、まず、この財産管理人のなり手を確保しなければいけませんので、財産管理制度が円滑に運用されるように、最高裁判所事務総局あるいは司法書士等専門家の団体に対して協力を要請したり、そういったことを今進めております。

 それから、政府におきましては、被災自治体と一緒になりまして、具体的な用地取得に係るケース、具体的な課題の解決策を実際の事業に即して今いろいろ検討しておりまして、法務省としてもこれは積極的に協力をしております。

 引き続き、可能な限り運用上の措置あるいは改善策を講じながら、今のような具体的な事例で制度上問題が明らかになってきたときは、関係省庁と連携しまして、必要に応じて、迅速にその改善方策も検討していかなければならない、このように考えております。

根本国務大臣 石田議員からも、与党の復興加速化のための緊急提言、非常に多角的に分析をしていただいて、提言をいただきました。

 用地の取得、本当に私は、確かに用地を取得できれば事業が進みますから、まあそれぞれの課題もありますけれども、用地取得が非常に大きな課題だと思っています。

 我々が取り組んでいることを御紹介いたしますが、一つは、関係省庁で連絡会をつくっていまして、土地の境界、権利、こういう問題について被災自治体の相談に応じる。連絡会において問題解決に向けた協議を実施しております。

 もう一つは、自治体の用地取得の職員も不足しておりますので、ここはやはり、用地関連業務の外部委託もありますが、ノウハウを提供する必要があるのではないか。市町村ごとに、関係省庁の実務者による支援チームが被災自治体を直接訪問してアドバイスをする。私は、やはり実際の運用の問題は、アドバイスが非常に必要だと思いますので、専門家チームを直接派遣してアドバイスを行う。

 財産管理人制度については、今、谷垣大臣から御答弁がありました。

 土地収用制度については、三陸の復興道路はかなり早くやっているんですね。類似事業に照らして、審査の簡素化や事務処理体制の強化や調書作成の簡素化の手続を迅速化する。もろもろやっていきたいと思いますし、モデルケースを設定して具体的な対応をさせていただきたいと思います。

 いずれにしても、制度上の隘路をしっかり乗り越えるべく、頑張ってまいりたいと思います。

石田(祝)委員 総務大臣、済みません。お呼びをしておりましたが、消防団員の問題についてお聞きしたかったんですが、またの機会にさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。

 次に、黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたい、こう思います。

 まずもって、二〇一一年三月十一日の東日本大震災の発災から二年が経過いたしました。一昨日には国立劇場で、天皇皇后両陛下をお迎えしての追悼式が挙行されました。地元市町村でも、それぞれ追悼式が開催されました。

 二年といえば、仏事では三回忌であります。一年目の一周忌のときは、なかなかそれぞれの家庭で一周忌ができなくて、合同の慰霊祭という形で行われるしかなかったのでありますけれども、二年たって、少しずつ自分を取り戻してくるといいますか、そういう中で、三回忌をできるところも出てまいりました。しかしながら、引き続き合同で法事をやるというところが多いというのも現状であります。

 そういう中で、周りを見ますと、予算委員会のメンバーの方々も、ちょっと私自身も、どこのどいつだと言われそうでありますので、復旧復興に係る経緯をちょっと話をしてみたいと思います。

 発災後、菅内閣でありました、今思えば、原発事故の収束というのが大変な状況であったので、何をやっているんだという話になりました。私自身もそう思いました。しかしながら、復旧復興はすぐさまやり切らなきゃいけないと。

 先ほど言ったとおり、原発事故の収束ということで、当然、阪神・淡路大震災の例がありますので、それを踏まえてということになりました。しかしながら、阪神・淡路大震災の場合は、面積的に、兵庫県、淡路島といいますか、そういうところなのでありますが、何せこの東日本大震災は、北海道から房総半島まで、あるいはまた房総半島だけじゃなくて四国にも津波が来たわけであります。

 大変な復旧復興で、どうしたらいいんだということで、政府の方でも、役人の方も、とりあえず出さなきゃいけないというようなことでしょう、阪神・淡路大震災の基本法をちょっと見直しただけみたいな話になっちゃったものですから、与党、野党にかかわらず、本当にこれでいいのかということで、法案自体は、閣法が一回撤回されまして、そして、やはり復旧復興は与党も野党もないんだということから始まったはずであります。

 そういう中で、自民党の筆頭は額賀先生ですね。うちの方は官房長官をされた藤村先生ですね。それから各会派の皆さん、全員理事が集まって、そして復興基本法を組み立てていったわけであります。

 先ほど公明の石田先生が質問されましたけれども、石田先生の方からは、女性の視点といいますか、被災者の方々の、弱者の方々、そういうところもしっかり書き込むべきじゃないのかと。

 それから、被災地だけではなくて、東海、東南海、南海とか、これから大きな災害が来る可能性が極めて高いということで、そういう中で、減災、防災のところも大事ではないのか等々も入れながら、そうしてできた法律であります。

 そしてまた、最も大事なところといいますか、予算ですから、歳入と歳出があります。借金をしなきゃいけない、国債を発行すると。そしてまた、国税、地方税、増税でもって国民一人一人の力も得なければいけないということで、そういう制度設計だったわけであります。そういう中で、一人一人が復興に向けてかかわってくれるということであります。

 もちろん発災当初は、もう報道機関、大変なものでありました。一年目の節目、そしてまたこの二年目の節目でも、報道機関も大変な報道をされております。しかしながら、時期が来たから、ちょっと黄川田君どうなんだという形での報道には、私も立腹したところであります。

 生活している人は、二年目でそこで生きているんじゃなくて、ずっと生きています。そういう生きている人を常に取材しないでどうなんだと。二年目だから取材して、そしてどうだこうだというのは、私自身も本当に、私も被災者の一人でありますので、議員としては、それはそれで、それなりの対応なのでありますけれども、次の三年目、五年目ということになると、ちょっと寂しいところが正直あります。

 もちろん災害復旧は、御案内のとおり三年で終わりというのが常識であります。どう考えても三年では終わらないと思っております。

 そしてまた、地震本体であれば、地震の揺れが終われば、そこから復旧が始まります。津波に関しては、津波が一日、やはり第何波という形で潮が満ち引きしますので、押し寄せてきますので、でも、それでも一日で終わります。しかしながら、福島の原発に関しては、これはもう本当に覚悟を決めた政治、国家がしっかりと責任を持たなきゃいけないということをつくづく感じております。

 ですから、阪神・淡路の場合は、瓦れきを処理すれば、そこから復興が始まります。そこにうちが建てられます。そこに商店街が形成されていきます。そのとおりであります。

 津波災害の復旧復興のスタートラインは、私も、明治二十九年、昭和八年、そして昭和三十五年のチリ地震津波と、三度も津波にやられた人間でありますけれども、今度の大震災の津波は、浸水区域では、とてもそこは生活の場にはならない、住宅の場にはならない、そういうことです。もちろん、本当は海のそばで過ごしたいというのが本音ですよ。しかしながら、現実は難しい。

 そういう中で、高台をつくるということ、高台を提供してやること、これができて、私は仕事の半分だと思っています。

 福島の場合は、加えて、やはり最終的な部分といいますか、除染をして、何か薬をかければ放射線がなくなるということではありません。まとめていかなければなりません。まとめれば放射線の程度も高くなります。ですから、どうしても中間処理施設が必要であります。

 科学的知見が追いついてくればということで多分、原発もどんどんつくっていった。いまだに核のごみの最終処分場は決まっておりません。もちろん、この指定廃棄物を長年にわたって管理しなきゃいけないということでありますから、この中間処理施設が、いろいろな仕事があります、でも、大きな課題の一つだと思っています。

 そういう意味合いの中で、復興関係の予算は特別会計で措置するということになりました。それは、出と入りを明確にするということ。先ほどお話ししたとおり、国民の増税でもって賄うということでありますので、その税の使われ方を明らかにしなきゃいけない、こういうことだと思っています。

 そういうところの中で、実は先ほど、マスコミから遠ざかられないように、しっかりと復旧復興を与野党にかかわらずやっていかなきゃならないと思っておるのでありますけれども、予算の関係で国債を発行しますね、借金といいますか。その中で、震災に遭いましたので、復興国債というものができたわけであります。

 その前に、個人国債の売れ行き状況といいますか、今現在、平成二十四年度はどうなっていますか。財務大臣にお伺いいたします。

麻生国務大臣 今、総額二兆円を予定しておりますが、本年二月までの状況で一兆三千六百七十二億円の販売を行ったところであります。

黄川田(徹)委員 受け入れ先があって、順調に売れているということでありますね。

 二十四年度は、復興国債の中に復興応援国債というのがあるわけであります。テレビでごらんになった方もあまたおりますが、国債を一千万購入すると、金貨といいますか、百万ごとに銀貨といいますか、その裏に図柄がありまして、陸前高田市の一本松がその図柄となっておるのであります。

 安倍内閣閣僚の資産が公開されました。前内閣の資産と比べて、閣僚平均で倍の資産を持っているということであります。具体的に言うと、一億円以上持っておるということであります。

 国民から増税、所得税も増税されました、住民税も増税されました。痛みを求めておるのでありますので、少なくとも、この復旧復興に大臣も見える形でもってかかわるんだということで言われていましたけれども、どうなんですか、この復興国債を皆さんは御購入済みでありますか。

 実は、復興応援国債の方はこれからはちょっと買えないんですよ。まず、それとは別に、復興国債を皆さんはお持ちですか。総理、副総理、それから復興大臣、御三方からお尋ねいたします。

安倍内閣総理大臣 復興応援国債の方は一月でもう既に終了しているんだろう、このように思うわけでございますが、復興国債については私は持っておりません。

 ただ、もちろんこれは、国債を買うだけではなくて、寄附をしたり、あるいは、多くの人たちに声をかけて、ボランティアを募って地域の支援をしていく、いろいろな形での支援の仕方はあるんだろうと思うわけでございますから、まさに国民の皆様には、この復興国債を買うということもそうですが、寄附であったり、あるいはまた、特に風評被害を受けている地域の物産等の購入等も含めて今後とも支援をしていただきたい、このように思っております。

麻生国務大臣 今おっしゃるとおり、応援国債の方はもう既に完売しております関係もあって、今後、個人向け復興国債の購入については検討させていただきたいと思っております。

 ただ、黄川田先生、もう御存じのように、これがちょっとひっかかりましてね。これでと言ったってわかりませんよね。感謝状のところに私の名前が書いてあるもので、感謝される人が感謝する人と同じ人というのはちょっとどうかなと思って、これが買うときに一番ひっかかって、それが大臣になったときに一番ひっかかったところだったので、検討させていただきます。

根本国務大臣 私も被災地におりまして、復旧復興、自分でも何とかできないかということで活動しておりましたが、復興国債は所有しておりません。

黄川田(徹)委員 今、麻生財務大臣がお話ししたとおり、実は、復興国債の購入者には財務大臣名の感謝状が配付されるというところであります。

 実は私も、発災後、今復興の政務官をされております長島さん、山古志村の村長さんですね、発災直後から我が陸前高田市にも来られまして、私も仮設に住むわけでありますので、長島さんは何年仮設に住みましたかと。村の人たちがみんな仮設から出た後だということで、三年と半年だと。私も、家内が見つかって、四人見つかって、火葬したのは八月十四日、その日に仮設に入りましたので、そのときは全員、陸前高田市の被災者は仮設に入りました。最後に入った人間でありますので、最後に出なきゃいけないと思っております。

 その間、安倍内閣の閣僚のような資産はありませんけれども、まず、うちを建てるにはまだ時間があるということで、私も復興国債を幾ばくか購入させていただきました。

 司令塔をしっかりとつくり、そして各大臣が復興大臣の思いを一にしてやるということであります。こういうものも形に見える支援策でありますし、麻生副総理には、どなたか紹介して、私どものことだと思って購入してくれないかというようなところがよろしいんじゃないかと思っております。

 以上であります。

 それでは、二十四年度の予算の執行状況なのでありますけれども、復興に係る予算の執行状況は、これは国の予算もありますけれども、復興の現場は自治体であります。県や市町村であります。

 県や市町村の予算の実態はどうなっているのか。平時と有事という言い方はありませんけれども、この東日本大震災が起こる前はどのぐらいの規模で、そして起きた後、震災関連対策ということでこういう事業がさまざま、補正予算も含めて拡大して、二十四年度の予算はどのぐらいになっているか、そしてまた、その執行状況はどうなっているのか。そういう大局的な部分を事前に認識しているのか、わかっているのか。そういう部分をちょっと確認したくて、復興大臣にお伺いしたいのであります。

 例えば、被災地の岩手であれば、被災地の沿岸地区は十二市町村ありますけれども、平時はこのぐらいの予算なんですけれども、やはり復旧復興の関係でこのぐらいふえている、しかしながらその執行はこのぐらいだ等々ですね。

 今、三月の中でありますので、県議会も予算特別委員会、市町村も予算特別会、同時進行でやっているでしょうから、来年度予算の措置もそうでありますけれども、措置した予算がどうなっているかというところもありますので、把握しているかしていないかでも結構でありますので、よろしくお願いいたします。

根本国務大臣 今の御質問の点につきましては、私、今、当然、全体像はわかっていますけれども、今の御質問の点については、今、手元に資料がありませんので、しかるべき対応をさせていただきたいと思います。

黄川田(徹)委員 それでは、金額は別にしても、全体像は把握していますということでありますので、その全体像みたいな、大臣が御認識しているところでいいですので、御発言をお願いいたします。

根本国務大臣 先生、全体像というのは、津波被災地ということですか。(黄川田(徹)委員「大臣自身がわかっている範囲でいいですので。例えば、福島であればこうであるとか、どうであるとか」と呼ぶ)

山本委員長 ちょっと待ってください。質問という形でお願いします。

黄川田(徹)委員 委員長、済みません。

 福島であれ、あるいはまた宮城であれ、どこか切り取ってでもいいですので。

 それでは大臣、福島市の予算は、今現在、幾らなんでしょうか。県庁所在地福島の予算です。

根本国務大臣 今、どの自治体においても復興がどんどん進んでいますから、それは前年度を上回るボリュームで予算を執行しております。

 それで、市町村ごとの数字については、今、私も手元にありませんので御答弁できませんが、全体の数値については、復興関係予算の執行状況ということで、全体の話については、例えばインフラ復旧、まちづくり、これについては、平成二十三年度補正予算及び平成二十四年度予算の執行状況については、例えばインフラ等復旧、まちづくりにつきましては、四兆七千三百八十七億円のうち、内示済み額が二兆三千三百九十九億円、支出済み額が四千六百二十二億円、執行率は四九・四%となっておりますが、例えば福島県でいえば、今回、新たな福島県特有の課題に対応する予算、これを用意しました。

 例えば、具体的には、長期避難者がおられます。そのための災害公営住宅の建設、あるいは関連整備、これが大体五百億円ぐらい用意しております。あるいは営農再開予算、これは二百三十二億円ほど補正予算で講じております。さらに、帰還支援の予算でも講じておりますし、低放射線量で子供たちが運動不足になっている地域、これについては、若い世代の定住支援のための公営住宅の予算や、あるいは屋内運動場の予算、大体百億円。

 要は、例えば二十五年度当初予算あるいは補正予算では、例えば福島県という話がありましたが、新たな加速策を用意しておりますので、その部分の予算はふえてまいります。

黄川田(徹)委員 私の質問の仕方が悪かったかもしれません。私、勘違いしまして、福島市と言いました。県庁所在地でありますからね。

 それでは、先生は郡山出身でしょうから、郡山の市の予算はどうなっていますか。

根本国務大臣 私も今は資料を持ち合わせておりませんので、ここで不正確な数字を言うわけにいきませんので、御容赦をいただきたいと思います。

 ただ、郡山市についても、除染予算の数字も相当ありますから、かなりの予算に、前年度に比べてさらに膨大な予算になっております。

黄川田(徹)委員 大臣が新たな仕事として福島にしっかりと予算をつけるというのはよくよくわかります。ただ、そのためには、今までの予算がどうだったのかというのがあって、次の予算だと思っていますので。

 というのは、例えば私の町のお話をいたします。人口が二万四千ありましたけれども、津波で流れて、あるいはまた、みなし仮設に行ったりして、今、二万ぐらいだと思っています。平時で百二十億ぐらいです、予算が。それが一千五百億です。それで、減額補正したりして、減額補正ということは、予算がついたんだけれどもなかなか消化できないということですよね。

 そしてまた、二十五年度、来年度の予算であります。一千億であります。麻生先生は総務大臣もされていますから、交付税といえば、標準財政規模とかがありますので、大体三十万ぐらいの町が一千億を超えるぐらいの予算なんですよ。逆に言うと、二万人の町が三十万都市の予算を背中にしょっているということですよ。

 予算執行をするにも、また地元の陸前高田市の話をすれば、三百人の職員のうち百人が流れているわけですよ。大槌町というところもよくテレビに出ます。あそこも大変な状況です。二つだけ言うとあれですから、特にも、リアス式海岸の中では、女川、南三陸、陸前高田、それから大槌、山田、大体こういうところですね。

 特にも、曲がりなりにも私のところは市ですけれども、町や村はもっと大変です。本当に大変です、予算を消化するということが。みんなサボっているわけじゃないんですよ、一生懸命やっているわけなんですよ。トップがいて、下に上意下達すればそれで済むということじゃないですよね。一生懸命やっていて、なおかつなかなか難しいところがあるというところ、言葉を並べればすぐにスタートが早くなるというところでないところ、その大変さをやはり共通認識しなきゃいけないというところがすごくあると思っておるわけなのであります。

 いずれ、予算の執行は大変厳しい中にある。執行するのは職員だ。職員の体制はどうなっているか。幸いにも、本当に全国から自治体の職員の皆さんに応援に来てもらっております。総務省では、その応援体制の仕組みをつくったり、それから、地方六団体の協力を得ながら、あるいはまた姉妹都市との関連で、お互い人を出し合いながらということもあります。それから、発災直後に人の出会いがあって、そして、何としても俺はここで仕事をしたいということで、具体的に言えば、陸前高田市の副市長も、そういう縁があって、志願して来ておられます。

 応援に来られる方は、その思いが物すごく強い人がありまして、その思いの強さがゆえに、実は岩手では、我が陸前高田市と大槌町、最も厳しいところなのでありますけれども、職員の方が亡くなっております。そういう現実をやはりしっかりおさらいした上で一つ一つやっていかなきゃならないというところは、これは共通認識として持っていていただきたい、こう思っております。

 その上で、二十五年度は、やはり本格的な復旧復興になると思っております。

 当初は、保健師さんであるとか、あるいはまた介護士さんであるとか、そういう方々が必要だったのでありますけれども、今まさにつち音が鳴ってくるところ、やはり社会資本の整備ということで、あるいはまた、防災集団移転あるいはまた土地区画整理事業等、技術吏員の方々が必要とされる。では、技術吏員だけがおればいいのかというと、それをサポートする、一体となっている事務方も必要だ。

 そういう面で、本当に、二十五年度も各自治体は大きな予算を執行していかなきゃならないんだけれども、その体制は大丈夫かというところをちょっと確認したいと思っていました。

 きょうは総務大臣も来られておりますので、その辺よろしくお願いいたします。

新藤国務大臣 今の黄川田委員の問題意識は共有したいと思います。

 そして、私もじくじたる思いがあります。現地の皆さんは、もっと悲痛な思いがあると思います。今までの築き上げてきた町が一瞬で壊れたわけであります。被災地に行けば、至るところ、直さなければいけないところだらけ。そして、新しく町をつくらなければいけない。そういう中で、予算が十倍を超える、作業量も十五倍を超える、そういう部分があるのをよく承知しております。

 その中で、我々もできる限りのお手伝いをしたい、こういう思いで、職員の派遣、全国に協力を呼びかけてやってきているわけであります。一年間で、延べで八万人以上の方がお手伝いにお邪魔しております。一日単位で千六百から千八百人ぐらい行っていると思います。

 そして、来年度は、今既にもう御要望が出ている中で、千五百人近くの人材確保の要請があります。しかし、残念ながら、現状で対応できているのは六百六十人、こういう状況であります。これからしっかりとさらに数字は詰まっていくと思いますけれども、現状、そういう状態なんです。

 そしてさらに、任期つき職員の採用を呼びかけたり、それから、民間企業からも、特別職という形で、民間企業の職員の身分を変えないままお手伝いに行ける、そういったこともできますよというような問いかけをしています。そして、経団連やいろいろな産業界に、企業からもお手伝いに行ける人がいれば行っていただけませんか、こういうお願いもしております。さらには、職員の中でOBになった方が、それでは、ある一定期間、もう一回お手伝いしよう、こういうようなリストもつくろうじゃないかと。

 我々ができる限りの考えられる制度の中でのことはやっておりますが、まだ全然足りないと思います。何よりも、まず、受け入れ先の自治体が、それでは本当に何人もの人間を受け入れられるか、こういう問題も出てくると思います。ですから、心は焦りますけれども、やはり実現可能性の範囲でしっかりと対応していく。

 さらに、もう一つ、みんなで考えて、抜本的なこれからの東北の新しいまちづくりをしなくてはならないわけですから、その中でどういう体制をとらなきゃいけないのかということは、私は研究しなきゃいけない。職員等は、もっと何かいい策はないのかということで、この議題になるたびにハッパをかけている、また、私も自分で考えていきたい、先生からもぜひ建設的な御提案があればいただきたい、このように思います。

黄川田(徹)委員 民間からの登用、退職者の登用、あるいはまた、たしかJICAの皆さん方からもとか、あらゆる方策を尽くしておるようでありますけれども、いずれ絶対数が足りないという共通認識は持っておりますので、さらに前に進めるように、復興大臣のお力もおかりしながらやっていただければ、こう思っております。

 そこで、時間もちょっと残り少なくなりましたので、前復興大臣の平野達男の名誉のためにも、ちょっと確認したいところがあります。

 総理は、発災から二年ということで記者会見をしまして、高台移転のおくれには土地買収や埋蔵文化財調査などの問題がある、現場の状況に即して見直しを行う、手続を大胆に簡略化していくと総理会見で述べられました。

 さまざまな復旧加速化のための手順を発表されましたけれども、これまでの復興庁はそういう取り組みは何もしてこなかったのかなというところを発表されると、例えば、初めての人たちなんかは、何だ、何もやってこないで、こんなことなんか当然やるべき話なんじゃないのかということになりかねませんので、安倍総理が発表した部分とこれまでできていなかった部分を、ちょっと区分けしてお話をしていただきたいと思うんです。

 安倍総理から、まず、その記者会見の趣旨といいますか、復興加速化のためのお話の部分を簡潔にお話しいただいて、もう一つ、その後、復興大臣に、土地の関係ではさまざまな課題が山積しているはずだ、具体的な事例を抽出して研究しようじゃないかということで、釜石の鵜住居、片岸海岸と鵜住居川の県工事の防潮堤の中でいろいろな課題が出てくる。一年前に前大臣が指示して、さまざまな課題を浮き彫りにさせたはずなんであります。

 例えば、何といいますか、明治の時代の共有地があって、とても相続も何も、どうしようもない、行方不明者がおる。さまざまな課題が出てきたはずなんですが、その勉強会の結果が反映されてこうなったのか。その辺のより具体的なところを大臣からお願いしたいと思います。

 基本的な趣旨を総理からお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 総理に就任をいたしまして、被災地を訪問して、実際に被災地から、もっと復興を加速化してもらいたい、あるいはまた、いつになったら高台移転できるのだろうか、あるいはまた、いつになったらこの仮設住宅から出ることができるかどうかという声が数多くあったのは、恐らく委員も御承知のとおりであります。

 そういう中において、さまざまな要因を我々は見直ししたところでございますが、復興庁、これは民主党政権も一生懸命やっておられたと思いますよ、それを否定するものではございませんが、復興庁のあり方、あるいは予算の執行の面において縦割りが生きていたのは事実でありますから、この縦割りを排して、そして、復興庁の司令塔機能を強化していくということであります。

 そして、徹底的に現場主義を貫くためにも、もっと復興庁の職員も含めて出ていって、前面に出ていく必要があるだろう。これは県レベルだけではなくて、市町村レベルにも出ていって、そして、そこで聞いた話を決めることができるような、そういう体制にしていきたいということで、いわば東京と福島の二本社体制にしたわけでございまして、そして、その場で経験を積んだ復興庁の事務次官である峰久氏を復興総局の担当者として、ずっとこの現地にいるようにいたしました。つまり、現地自体にこの峰久氏がいるわけでありますから、相当の裁量権を持った人物がそこで話を聞いてそこで決断できるという体制にもしたわけでございまして、そういう意味においては、かなりこれは司令塔機能と現場主義が徹底できることになったのではないか、このように思っております。

 と同時に、住宅再建と復興まちづくりに関する事業の工程表の目標を明示いたしました。そしてまた、用地や資材、マンパワー等の事業実施の隘路の対応等についてもお話をさせていただき、そして、復興交付金の運用の柔軟化、また原子力災害に係る早期帰還提示のためのプラン策定等についてお話をさせていただいたわけでございます。

 今、例として挙げられた文化財の問題、あるいは農地からの転用の問題でございますが、この問題については、安倍政権においてこれをどう加速化させていくかということが大きな使命であります。そして、その対応について、その具体的な取り組みについてもしっかりと示していく考えであります。

 詳細については、復興大臣から答えさせていただきたいと思います。

根本国務大臣 整理をして、二点御説明をしたいと思います。

 先生の御指摘のあった釜石市鵜住居地区の防潮堤事業をモデルケースとした取り組み、これは関係自治体、関係機関が参加して、そして、全体の用地問題も含めて、鵜住居地区の防潮堤事業をモデルケースにして、ここで具体的な課題、問題がどういうものがあるか、それに対してどういう取り組みをするか、これを検討してまいりました。

 私も、モデルケースで具体的な課題、問題点を抽出して、具体的な対応をする、これは非常に大事なことだと思います。先生にお話をいただいた防潮堤事業をモデルケースとした取り組み、これはやっております。その中で出た課題を抽出して、それを施策に反映させる、それは一つやっております。

 さらに、それに加えて、住宅再建・まちづくりタスクフォースをつくったのは、私が中心になって、関係省の局長を束ねて、そして、具体的な住宅再建、復興まちづくりのさまざまな課題を整理して、施策を前に進めようではないか、このためにタスクフォースをつくりました。

 今も総理からお話がありましたが、要は、仮設住宅におられる方が先が見えない、そのためには、やはり住宅再建の具体的な工程表をつくろう。それから、個別には、用地取得から文化財発掘、いろいろありますから、そこの具体的な課題を抽出して対応策をまとめたということであります。

黄川田(徹)委員 民主党時代も、林地開発、あるいはまた保安林の解除、農地転用、さまざま課題がありました。それを越えながらやってきました。それから、いつも大臣がお話しされる、所在不明の土地所有者が多数見込まれる、これをどうするか。一年前のこれまでの対応状況の中に、法務省、家庭裁判所の話、弁護士会の話、もう既に出ているんですよ、一年前から。

 別に、やっていることは間違いないですよ、必要なんですから。我々の認識と皆さんの認識が一緒だということ。ただし、これだけじゃ前に進まないので、さらなる何か新しいものが出ているのか。例えば法務省の法律を変えるであるとか。先ほど自民さんで言っていましたよね、なかなか政府でできないんだ、民主党の政府もできなかった、自民党の政府もなかなか前に進むことができないと。であるなら議員立法でもとお声もかけましたよね、野党の皆さんにも。そこまで行っているのかどうかの部分もなんですよ。

 ですから、ややもすると、何もなくて突然こういうものが出てきたという話じゃないということは、例えば契約のCM方式とか、平野達男が、何としても、事務方がやらないからどうしてくれるんだという形の中でですよ。だから、既に私の町もそうですよ、東松島もそうですよ。それこそ生き延びたじゃないですか、都市再生機構が。生き延びたという言い方もないですけれども。本当にその人たちにお世話になっています。いろいろな意味で、切り取って議論するんじゃなくて、しっかりやらなきゃいけない。

 それから、工程表の問題もですが、工程表はどだいなかったんですか。私は仮設におりますけれども、市町村レベルで工程表がなかったら、焼き討ちに遭いますよ、住民の方々から。みんな、自分たちの町は自分たちでつくるということで、市町村ごとに復興基本計画もあるわけですよ。そして、首長たちは、被災者を目の前にしておりますから、常に計画を出していかなきゃいけない。

 もちろん、国全体レベルで統一的に持つということは大事なわけですよ。では、その日程表を、工程表を国の職員が市町村に回って聞いてくるんですか。そうじゃないでしょう。照会をかけるんでしょう、ある資料を下さいということで。

 先ほど言った予算の関係も、もし、今の予算の執行状況、被災地はどうですかというふうな文書を出すと、とてもそんなことやっていられないよ、今の執行もあるからと。だから照会できなかった、だから実は持っていないんだ、正直にそういうふうに言ってもらえればよかったのであります。

 ですから、課題は、別に大臣をなじっているわけじゃないんですよ。自分もじくじたるものがあって、今ここに立って質問しているわけでありますから。ですから、思いを共有するということが私は一番大事だということを言っておるわけであります。

 そこで、大臣は本当に意欲満々でありますし、福島の方でありますし、私も、十一月の十六日に解散だったのでありますけれども、何としても福島だけは見なきゃいけないということで、解散の後も、十一月の二十日、十一月の二十一日、福島を見てまいりました。なぜならば、青森の三沢からずっと海岸線を下がってきて、岩手の十二市町村の海岸線を見て、そしてまた気仙沼から山元まで見て、新地が見えてきて、そして、いわきまで行かないでどうするんだという思いがあったからであります。

 最初言ったとおり、上流の除染をどんどん進めても、黒い袋がたまるばかりであります。下流の部分の中間貯蔵施設は、誰でもできる仕事ではありません。やはり政治が信頼を取り戻して、決断と実行だと思います。それは、私は、今の根本大臣しかないと思っております。検討とかなんとかは我々も言ってきました。しかし、もう検討の時期を過ぎております。必ずや、二年後、二十七年一月には稼働できるように、よろしくお願いいたしたいと思います。

 結びであります。

 暗い話ばかりでありますけれども、岩手にとっても何とか明るい話をしなきゃいけないと思っていました。

 二〇一一年、被災の年でありましたけれども、関東以北、東北で初めての世界遺産、文化遺産に平泉が本登録になりました。本当は記念となる岩手だったのであります。しかしながら、大震災でありました。逆に言うと、復興から立ち上がれという意味かもしれません。

 そしてまた、今、被災地では、宇宙の誕生を解明しようということで、素粒子を加速する国際リニアコライダー誘致というのをやっておりまして、世界のどこかにつくらなきゃいけないということなのでありますが、どうも諸外国からも、ぜひとも日本でつくってくれというような声もありそうであります。

 私は、岩手と宮城の境のところに住んでおりますので、御党であれば、小野寺五典は私の同志であります、防衛大臣でありますけれども。被災のときも、与党、野党なく、一緒に仕事をさせてもらいました。なおかつ、復旧復興、何か明るい材料がないかということで、適地というものがありますので、どこでもというわけにいかないのでありますけれども、どうも、岩手、宮城の、昔は北上山地と言ったんですけれども、今の社会の勉強では北上高地と言うそうであります、そこが有力な候補地となっておるのであります。そしてまた、地元でも、官民挙げて頑張ろうという声も高く、誘致運動も展開しておるところであります。

 復興再生の活性化、起爆剤になるのではないかと思っております。総理にも、ぜひ復旧復興のプロジェクトとして認識をしていただきたいと思うのでありますけれども、御所見があれば、お伺いいたしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 委員も熱心に取り組んでおられるリニアコライダーでございますが、世界最先端の加速器技術を日本は持っているわけでありまして、このイノベーションを牽引してきているわけであります。

 このリニアコライダーについては、確かに、委員がおっしゃったように、大きな夢のある構想である一方、大変巨額な資金が必要となるということもある、そのことも考えていかなければならないわけでございますが、政府としては、まずは研究者レベルでの国際的な設計活動の進捗状況を見定めながら検討をしていきたい、このように思っております。

黄川田(徹)委員 前向きなお答えをいただきまして、ありがとうございます。

 いずれ、国際社会の中では、ぜひとも日本ということでありますので、日本に誘致するためには、それなりの応分の財政負担をしなきゃいけないということであります。

 財政の台所を預かっておられるのは麻生先生でありますので、麻生さんからも一言だけお願いいたします。

麻生国務大臣 間違いなく、二十一世紀中にこれが決着がつくかつかないかというぐらい遠大なプログラムなんですけれども、こういったものに基本的に取り組むという姿勢が、やはり人類の進化、進歩につながっていくのだと思っておりますので、私どもとしては、こういったものはぜひ日本にとりたいという意欲を持っております。

黄川田(徹)委員 終わります。

山本委員長 この際、郡和子君から関連質疑の申し出があります。黄川田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 今の黄川田委員のやりとりにもありましたけれども、私どもがこの間やってきたことについても、ある意味、評価をしていただけるだろうなというふうに、そう認識をさせていただきました。

 先週末には、五回目の復興交付金の可能額が通知をされました。あわせて、復興交付金の運用の柔軟化を図ること、それからまた基幹事業の採択の対象の拡大、効果促進事業の対象拡大や弾力化など、これも発表されたわけでして、いずれも被災地の思いを受けとめたものと、私自身も評価をしているところでございます。

 しかし、今、やりとりの中にもありましたように、予算の執行というのはなかなか思うようにはまいりません。予算委員会でも幾度か指摘をされておりますが、マンパワー不足、資機材の不足、そしてまた土地の権利調整の難しさ、これも、私どもが政権にあったときにも、本当に苦労をしながら、いろいろな制度設計を図って対応してまいりました。

 今お話にあった総務省マターの人材の確保、そしてまた、新たに国家公務員のOB、霞が関のOBを派遣できるようなスキーム、また、復興JVや、それからコンストラクションマネジメント、CM方式、URの活用、これらも着実に進めてきたところだというふうに思っております。

 また、先ほど工程表の話がありましたけれども、私からも一言つけ加えさせていただきたいと思います。

 安倍総理の追悼式典の後の記者会見で、これまでの問題は、工程表を発表してこなかったというふうに批判をされましたけれども、この一年間、昨年は、工程表を早くつくれつくれということで、平野復興大臣を筆頭にして各地域を丹念に歩いてまいりました。

 そして、私が当時担当いたしておりました宮城復興局においては、地域カルテというものを既に作成しておりまして、例えば、堤防については工期はこのぐらい、そして、道路についてはこうなる、その後に宅地造成が進んで、住宅の再建についてはこの後になるねというような、そういう工程表もつくっていたわけでございます。

 あたかも、何もなかったのに、安倍政権になってこれがぱっとできるということではないはずでありまして、そこについても、これは通告しておりませんけれども、安倍総理に答えていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 詳しくは大臣から答弁させていただきますが、しかし、被災地を回りまして、実際に仮設に住んでおられる方々から、いつになったらこの仮設から出られるんだ、高台への移転がどれぐらいに始まるんだ、もとの生活に戻るんだ、その大体の見通しを示してもらいたいという声が強くあったわけでありまして、その工程について復興大臣からちゃんとそれを示してもらいたい、そういう要望に応えたということでございます。

 私は、何も、前の政権が何もやっていなかったということを言うつもりはないわけでありまして、大切なことは、私たちがやっていることも不十分であります、いろいろな御批判がある、政権与党あるいは政府において、それも受けとめながら、それに対応していくのが責務なんだろう、こういう思いで仕事をしているつもりでございます。

郡委員 これまで一生懸命に井戸を掘ってまいりました。また、それを使っていく上でも、使い勝手の悪いところは私どもも一生懸命に応援をさせていただきたい、そんなふうに思っているところです。政権がかわって、総理のリーダーシップがさらに発揮されて、私たちが創設した制度もぜひそれを有効活用していただいて、加速化をしていただきたいというふうに思います。

 さて、幾度かこの予算委員会の中でも取り上げられました入札の不調の問題でございます。

 宮城では、今年度、二〇一二年の四月から一三年の一月までの数字で、発注金額が一億円以上の土木一式工事の不調が二五%、また、三千万円から一億円までは五〇%、一千万円から三千万円で六〇%、一千万円未満ですと実に七一%にもなっております。

 宮城県内の建設工事の入札参加登録業者は、十年間で四分の一に減少をしております。建設業界全体の規模が縮小している中で今回のこの震災が発生し、マンパワーが不足して、全国各地の工事人の方々が今被災地に結集をして復興活動をしていただいているわけでございます。

 今ここにお出ししましたのは、公共工事設計労務単価の推移でございまして、全国各地から多くの工事人を抱えていて、宿泊費もかさむ、それからまた、不足する資材を調達するのに時間がかかる、コストは想定を超えるものがございます。この表というのは、公共工事の工事費の積算に用いるための単価の推移なんですけれども、下落傾向からなかなか脱却できておりません。復興需要での人手不足にもかかわらずであります。

 復旧復興の事業が本格化する去年の今ごろから、何度も不調というのが発生いたしまして、私たちも、工事の範囲の内容の見直し、あるいはまた不調への対応策としてこの労務単価の見直しを、これまでは一年ごとだったんですけれども、三カ月ごとにしていくということをさせていただきました。引き続きしっかりやっていただきたいというふうに思っております。

 広域的に移動が多い技術職の方々については、例えば、被災三県で労務単価に差が出ないように統一単価にするということですとか、また、これまで調査していたものの対象をさらに広げていくなど、適正な調査をさらにしていく、そしてそれを反映していくということが重要なんだと思っております。これは業界団体の方からも要望が出ていることだと思いますけれども、いかがでしょうか。

太田国務大臣 入札の不調、おっしゃるとおりです。

 生コンの不足とか人手、さまざまなことがありますが、いろいろな機会に、ここでも答弁させていただいて、そういうことがないようにという中の一つにこの労務単価の推移ということがございます。

 表を見せていただきましたが、これがずっと下がっていったまま。しかも、私が非常に気にしておりますのは、鉄筋と型枠、ここが一番実は不足しているところなんです。そこが上がっていない。

 これは、調査によってということで、三カ月単位ということなんですが、六月、九月、十二月ということで積算をいたしまして、単価見直しをしてきたんですが、この三月にも、調査をしっかり踏まえて、労務単価が上がるように、私としては、調査をしっかりして、やるということをきょうは表明させていただきたいというふうに思っているところでございます。

 また、貴重なお話をいただきまして、被災三県で単一単価ということは貴重な提案であるというふうに思っています。

 県ごとでそれをやるということが原則であるわけですが、この発注は、納税者の公平というようなことからいっても、それぞれ高くするというわけにはなかなかいかないという事情は、それぞれにとって別の角度からいくとあるわけですが、さまざまなそうした難問ということもよく踏まえた上で、適正な価格が設定できるようにということで、さらに努力をしたいというふうに思っています。

郡委員 平時ではないですので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 先ほど、土地の権利調整を含めた問題については、黄川田委員とのやりとりにもあって、法務大臣等もお答えいただいておりました。当時の平野大臣が、南三陸や釜石、これを、大変難しいところがあるのでシミュレーションしようということで、着手をさせていただいたというふうに思っております。それが今回、復興庁に設置されたタスクフォースにつながっている、そういう認識で、私も先ほどの根本大臣の答弁を受けとめさせていただきました。

 この土地の問題というのは本当に難しい。私どもも、本当に本当に苦労を重ねてきたことでございます。法整備が必要であるとすれば、それにもいち早く私どもも対応したいと思いますので、協力は惜しみません、どうぞ頑張っていただきたいと思います。

 次は、女性の視点で伺わせていただきたいというふうに思っております。

 日本社会は、世界経済フォーラムが毎年発表しておりますジェンダーギャップ指数、このランキングで百一位、OECDで最下位でございました。OECDは、過去複数回にわたって、男女平等への取り組みが遅いというふうに指摘をされております。

 昨年は、IMFの専務理事であるラガルドさんが、帰る日程をおくらせてまでNHKの番組に御出演をされて、女性が日本を救うというふうに御発言をくださいました。

 こうしたことを意識されてのことだと思いますけれども、安倍総理は施政方針演説の中で、女性が輝く日本として、全ての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、輝けるような国づくりを進めると述べて、先ごろ、官邸に若者・女性活躍推進フォーラムを設置されたというふうに承知をしております。

 第二次安倍政権における東日本大震災からの復興に果たす女性の役割について、どうお考えなのか、伺います。

安倍内閣総理大臣 復興におきましても、女性の役割あるいは女性の視点というのは極めて重要であるというふうに考えております。

 避難所においても、女性のリーダーのおられるところは、やはり女性の皆さんのプライバシーをどうやって守るべきかという配慮がなされていたというふうに伺っております。

 そこで、御承知のように、復興庁にも男女共同参画班を置きまして、女性の意見を取り入れたまちづくりを行っている事例を収集し、紹介するなどの取り組みを行っているわけでございまして、この復興におきましても、女性の皆様にもしっかりと復興に参画をしていただき、あるいは、これは役所側だけではなくて、一緒に、被災地の方々もともにそういう姿で進めていくことが望ましいだろう、このように考えております。

郡委員 前向きな、積極的な御答弁をいただきました。感謝いたします。

 三月八日は国際女性デーでありまして、男女共同参画を担当する森大臣も、女性の活躍の推進は、日本経済の再生のみならず、東日本大震災からの復興、国際的な日本の貢献など、さまざまな課題への対応に当たっても欠くことはできないんだというふうに述べておられて、胸をなでおろして、力強くも思ったところでありました。

 私ども民主党政権は、女性の視点というのを、とりわけこの復興については多く取り入れてきたつもりでございます。

 例えば、復興構想会議の「復興への提言 悲惨のなかの希望」、この中の「第四章 開かれた復興」、ここにおいては、地域包括ケアと社会的包摂の推進を述べておりまして、この中に女性をとりわけ強く書かせていただきました。男女共同参画の視点を忘れてはならないと定めさせていただいています。

 また、基本方針におきましても、女性に関連する記述、これを十カ所にわたって盛り込ませていただきました。

 先ごろ、安倍総理のもと、復興推進会議が開かれまして、新政権による復興加速化政策が明らかになりました。これは官邸のウエブサイトにも発表されているので、それを拝見させていただいたんですけれども、この中には、残念ながら、女性というワード、あるいは男女共同参画という記述は一切見当たりませんでした。

 また、メンバーが一新をされました復興推進委員会のメンバー、かつて、十五人のメンバーのうち、四人が女性委員でございました。今回、新たになられた皆様方、女性が一人減りまして三人になりました。いずれの方々も、残念ながら、男女共同参画、女性の視点というのが必ずしも御専門であるかといいますと、これはちょっと頭をひねるなというのが私自身の受けとめ方でございます。

 また、三月の六日、自民党、公明党、与党の皆様方から、「復興加速化のための緊急提言 震災三年目の冬を希望持って迎えるために」というのが政府に提出されたと承知をしております。ここにも、一切、女性の記述は見当たりません。

 政府・与党の復興政策における男女共同参画の視点について疑問を持たざるを得ないな、言行不一致ではないかなと率直に思った次第であります。総理大臣また自民党総裁として、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 復興推進委員会につきましては、根本大臣のもとで人選を進めたところでございますが、確かに、これを見ますと、四人が三人に減った、これは御指摘のとおりでございます。

 今そういう御指摘をいただいてそのように思ったのでございますが、しかし、旧メンバーにおいては、委員長が五百旗頭さんで、委員長代理が御厨さんでございました。御承知のように、委員長代理が相当、これは委員会を取りまとめていく重要な役割でございますが、今回は、新メンバーにおいては委員長代理に女性の方に就任をしていただきまして、まさに、この委員の中で、一委員としてということではなくて、実際に委員会をマネージしていく立場で進めていっていただくことになったのではないか、このように考えております。

郡委員 残念ながら、経済畑の皆様方が多くいらっしゃるなという印象でもございました。

 また、私、先ほど、与党の皆さんから提出をされたその提言の中には、女性というキーワードも、また男女共同参画の視点も一切なかったということも指摘をさせていただきましたが、自民党総裁として、こういう提言を受けとめて、どんなふうにお感じになっているのかをお答えいただいておりませんので、お答えください。

安倍内閣総理大臣 復興という側面で考えておりましたので、今委員の御指摘の視点について、もしかしたら薄かったのかもしれない、このように感じたわけでございますが、しかし、この推進委員会については、女性の活躍の役割はむしろ増したのではないか、つまり、委員長代理という極めて重要な役職をやっていただくことになった、このように思います。

根本国務大臣 先ほどの推進委員会について、総理の御発言にちょっと補足をさせていただきたいと思います。

 推進委員会は、復興の加速化、新しい東北の創造というものをやりたいんですね。当然、その中には女性の視点は入ってまいります。

 そして、委員につきましては、我々もさまざまな角度から人選をいたしました。東北の未来社会やあるいは経済の活性化を構想できる知識と発想力を持っているかどうか、あるいは地元の知恵や被災地での活動経験、こういうものを多角的に検討して、被災地の現場などで実際に活躍されている有識者を中心に人選をいたしました。

 女性の中には、実際に男女共同参画の観点から活躍されておられる方もおられますし、防災や避難所などでの生活環境に関して男女双方の視点から取り組んでいる方もおられますので、今後とも適切に、我々、男女共同参画の視点も取り入れて、推進委員会の中でやってまいりたいと思います。

郡委員 発災直後の避難所で女性たちがどういう立場に置かれていたのか。仕切りのない避難所で、プライバシーの確保が難しくて、お布団をかぶった中で着がえをせざるを得なかった。あるいは、乳幼児のいる家族は避難所にいづらかった。また、避難所の女性たちが炊き出しだとか高齢者のお世話や子供のお世話をしなくちゃいけなくて、仕事に行くことができなかった。また、暴力被害や児童虐待、こういうことが増加をした。

 大変困難な状況にあったという、この状況を安倍総理は当時お聞きになりましたでしょうか。

安倍内閣総理大臣 避難所を訪問した際、そういう御意見も承りました。ですから、それについては、当時、我々、野党ではございましたが、自民党の要望の中にももしかしたらあったかもしれませんが、そうしたこともアドバイスとして当時の政府に申し上げたことを覚えております。

郡委員 現在も、暴力、これは増加傾向が見られまして、先日報じられたところによりますと、宮城県警、福島県警へのDVの相談件数は増加をしておりました。福島県警への相談件数は過去最多だったんですね。狭い仮設住宅で、逃げ場のない女性、子供たちがいるわけです。政府は、こうした現状をしっかりと認識され、対応をしっかりととっていただきたいというふうに思います。

 私は、こうした問題の背景には、まだまだ日本の女性の地位というのが、確固たる地位を占めていないのが背景にあろうというふうに思っています。

 制度上の問題も存在しているというふうに認識をしております。例えば、さまざまな制度、義援金や弔慰金、また被災者生活支援金などの支給でも、世帯単位になっていて、個人単位になっていないということなんですね。

 例えば、旦那さんが津波で亡くなった。妻に弔慰金が支払われる場合、専業主婦ですと五百万円の弔慰金が支払われます。パートでぎりぎり百三万円ちょびっとの収入を得ていた女性は、残念ながら、夫の扶養家族というふうにはみなされないために、その弔慰金は二百五十万円になります。

 また、女性が亡くなった場合、旦那さんが受け取った弔慰金は、その女性、妻が働いていたとしても、かなりの年収を得ていたにしても、五百万ではなくて二百五十万です。主たる生計者ではないからなんですね。

 また、こういう例もあります。被災前は三世帯で暮らしていたんだけれども、被災後、やむを得ず世帯が分かれて生活をしなければならなくなった。しかし、義援金も被災者生活再建支援金も、これは一世帯分だけであります。

 また、DVの被害に遭って別居中の妻へは、自分の親や子供の弔慰金であっても、世帯主の夫へ支給される仕組みです。

 私も、政権にいながら、じくじたる思いでありますけれども、ここの風穴をあけることはできませんでした。こういうことを解決していかないといけないんだろうと思っています。安倍総理も、強いリーダーシップで、これを政治主導でぜひやっていただきたいと思います。

 きょうは厚労大臣においでいただいておりますので、この辺について、認識もお話しいただければというふうに思います。

田村国務大臣 今委員からお話がございました義援金に関しては、市町村が地域の実情に応じてこれを支給しておるわけでありまして、実態は世帯主という形になっておりますし、また、災害弔慰金も、災害でお亡くなりになられた遺族に対しまして、法律にのっとった順位でこれを支給しておる。

 これは、遺族に対して支給するとなっておるわけでありますけれども、便宜的には、自治体の実態はどういうふうになっているかというと、一番初めに申請をされてこられた方に対して、遺族の代表ですねというような確認をするところもあるんですけれども、そこにお支払いをされておられるというような状況のようでございます。

 個人に支払うのがいいんじゃないか、支給するのがいいんじゃないかというお話でありますが、多分、自治体、現場は、大混乱の中で、全ての個人を特定して、個人個人に支給することがなかなか困難だということも現状としてはあるのであろうと思います。

 そういうことを考えながら、個人に支払うという意味からすれば、今、それぞれの自治体が実態はどうなっておるのか、こういうことをしっかりと情報収集させていただいて、できれば、おっしゃられるとおりでございますので、事例を集めながら、厚生労働省としても、どういう対応をしていけばいいのか検討させていただきたいというふうに思っております。

 また、災害弔慰金等々の支払う金額に関して、これは法律で決まっておるものでありますから、風穴をあけるのは難しいというお話でございましたけれども、ちょっとこれは、どういうふうに検討していくのかということも含めて、いろいろな議論はさせていただきたいなというふうに思っております。

郡委員 ありがとうございます。ぜひ議論をこれからも進めていきたいと私自身も思っております。

 それから、厚労大臣が、どういうふうな状況に被災自治体でなっているのか、まだ把握ができないというふうなこともおっしゃったわけです。大変だろうということですが、実は、阪神・淡路大震災のときに西宮市役所の情報システム担当職員が開発をして、現在、総務省から全国の地方自治体に提供されているシステムがあるんですよ。被災者支援システム、ここに被災者台帳というのが盛り込まれておりまして、この被災者台帳は個人単位での利用が可能になっているんです。

 被災者支援システムの整備状況、それではどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 今お話のございました西宮市で開発されました被災者支援システムを含めまして、被災者の支援のための情報システム、これを整備している状況ですが、平成二十四年四月一日現在で、市区町村で、二百八十団体が整備済み、百七団体が整備中ということでございます。

 なお、現在、内閣府の方におきまして、中央防災会議の検討会議の報告を踏まえまして、被災者台帳の法的な位置づけを検討していると承知しておりますので、総務省といたしましても、地方公共団体などの関係者の方々の御意見を伺いながら、具体的な情報システムのあり方やその導入に関しまして、この検討に協力してまいりたいと考えております。

郡委員 ぜひ推進をしていただきたいというふうに思います。

 三本目の矢というふうに言って申しわけないんですけれども、被災地の子供たちのことについて、安倍総理にもお尋ねをしたいというふうに思っております。

 被災地では、多くの子供たちがまだ仮設の校舎で勉強している状況が続いているんですね。この冬は例年になく大変厳しい寒さでございました。

 それらの学校に対して、地元仙台の教育委員会から、高騰する暖房用の燃料の使用節減を求める通知が送られました。きょうお配りしている資料の中にも入っておりますけれども、暖房費は、実は当初予算で決められるんですね。ですから、想定外の高騰には対応し切れないんです。学校ごとに本当に涙ぐましい努力をし、対応してきたわけですけれども、中には、コートを着て寒さに耐えながら勉強する子供たちもおりました。

 円安の結果がこのような通知をもたらしたものとも言えなくもないというふうに思います。アベノミクスならぬアベノリスク、総理はどういうふうな御感想を持たれますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 確かに、現在、金融緩和を行っている中においてさまざまな現象が出ているのも事実でございますが、一方、例えばJTの株の売却益については復興に使われることになっているわけでございますが、これは、当初は売却益は五千億円だったものが九千七百億円に上がったわけでございまして……(郡委員「私の質問に答えていただいていないです」と呼ぶ)

山本委員長 いやいや、円高と関係しているでしょう。

安倍内閣総理大臣 まさに今、円高について質問されたわけでありますから、円高、つまり経済政策に絡めて質問されたから、経済政策に絡めてお答えをさせていただいているわけであります。

 つまり、その中でいろいろな側面があります。確かに、残念ながら、原油については、これは円安だけではなくて、そもそも中東情勢の大きな変化によって原油が上がっているという問題点があります。それに加えて、我が国において、いわば原子力発電所がとまっているという中において、購入する上において購買する方の力が弱まっているということもあるわけでございます。

 その中で、そういうこともありますが、今申し上げましたように、JT株が上がった結果、売却益が五千億円だったものが九千七百億円、つまり、四千七百億円、被災地のために使えるお金がふえたんですね。これはよかったじゃないですか。

 ですから、そんな顔をせずに、こういうことも、これはいわば結果として被災地のために、復興のために使えることになったわけでありますから、お互いにそういうところは評価し合った方がいいんだろう、こう思うわけでございます。

 その中において、今御指摘になった点は円安という観点から御質問があったわけでございますが、一方、この暖房費については、お話をさせていただきますと、被災した子供たちが勉強にふさわしい環境の中で安心して学ぶことができるようにすることは極めて重要である、こう考えております。御指摘の点も含めて、児童生徒の健康面にも十分配慮した適切な教育環境が確保されるよう、政府としても教育委員会に対して必要な指導を行っていきたい、このように思います。

 繰り返しになりますが、今、では、円安が悪い側面だけなのか、我々が行っている経済政策が悪い側面なのかといえば、それはそんなことはなくて、おおむね経済はいい方向に向かっている。それは、仕事をつくっていくことにもつながっていくわけでもありますし、何よりも、復興のための財源、これをしっかりと確保していくことにも資する、私はこのように考えておる次第でございます。

郡委員 アベノミクスについては、大変な評価があり、そしてまた好評であるというのも承知をした上で、しかし、一方ではこういうこともあるのだ、こういうことにもしっかりと目配りをしていただきたいというふうに思います。

 それとあわせて、被災地の子供たちの困難というのはまだ続いておりまして、狭い仮設住宅で、勉強机のある子供さんというのは本当に少ないんですね。民主党政権下で、集会所に勉強スペースをつくらせていただきました。また、NPOやNGOなどの皆さんたちを応援させていただいて、勉強を支援していただく、そういう活動もしていただいているところです。

 経済状況も厳しくて、沿岸地域のある中学校、実は、先日、卒業式を終えたんですけれども、津波で一階部分が被災をしておりまして、しかし、二階部分はまだ使える。勉強はほかのところに間借りしてやっているんですが、その被害があった二階で卒業式を終えたという子供たちにも会ってまいりましたけれども、その沿岸地域の中学校、就学支援を受ける率が大変高まっているわけですね。私たちの政権でつくった被災者就学支援事業、そして一般の生活保護世帯等にも給与されることになる就学支援ですけれども、これを受給する生徒が八割を超えている学校もあるんです。

 生活保護基準の引き下げが行われた場合に、この基準が連動しているということで、これは長妻委員もずっと質問をさせていただきましたけれども、その影響がないようにお願いをしたいということと、またあわせて、被災者就学支援事業の延長をしっかりとお願いしたいというふうに思っております。

 また、高校生には、これもなかなか伝わっていなかったことかもしれませんけれども、使っている皆さんたちには大変好評で、ありがたいと言っていただきました。事実上の給付型と言っていい奨学金制度を、高校生に私どもはつくらせていただきました。宮城県では八千名ほどがこれを利用しております。

 被災地の子供たちは復興の担い手として活躍するわけで、学習の機会をぜひ、学ぶことを諦めることがないように、この支援制度の延長、二十七年度以降の延長についても明言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

下村国務大臣 お答えいたします。

 まず、先ほど、仙台市の灯油の件がございました。

 文部科学省で確認をさせていただきましたが、仙台市の教育委員会によれば、毎年十月下旬ごろ、各学校が使用する暖房用灯油の配当量を一回で通知しているそうですが、ことしは、灯油の購入単価が上がったため、予算の執行状況を見て過不足のない配当を行うため、平成二十四年十月の段階で二回に分けて配当することを決め、一回目の配当を平成二十四年十月三十一日、二回目の配当を平成二十五年二月六日に通知したということで、各学校への配当量は前年と比べて大きな変動はないということでございます。

 ただ、委員からの御指摘もございました。子供たちにとって学習状況が、十分に勉強できる対応ができるように、自治体に対しても、そういうふうに対応しているということでございましたが、改めて確認をいたします。

 それから、今お話がございました生活保護については、教育関係就学支援金等は下がらないように二十五年度の予算にも措置をされておりますし、今後についても、要生活保護世帯においても、各地方自治体にお願いをしながら、レベルダウンをさせないようにしっかりと対応するようにしていきたいというふうに思います。

 そして、今御指摘の被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金でございますけれども、これは小中学生に対する学用品等の援助。それから、高校生に対する奨学金事業について御指摘がございましたが、これは、貸与を受けた者の年収が一定額未満の場合は返済を免除する。給付型とはちょっと違いますが、収入によって、低ければ返さなくてもいいということでございまして、これについてはしっかり取り組みをしてまいりたいと思います。

 今後、平成二十三年度当初と同様の取り扱いを平成二十六年度まで実施するために必要な経費は既に全額国庫負担で措置しているということでございますので、各自治体において従前と同様の事業の実施が可能でありますが、文部科学省として、今後、二十七年度以降についても、復興基本方針や被災地のニーズ等を踏まえ、児童生徒、幼児、長期的な就学支援が必要であるというふうに考えておりますので、適切に取り組んでまいりたいと思います。

郡委員 ぜひ二十七年度以降の継続もお願いいたします。

 質問を終わります。

山本委員長 この際、階猛君から関連質疑の申し出があります。黄川田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 黄川田さん、そして郡さんに続きまして、私も、被災地であります岩手県の代表として質問をさせていただきます。

 まず、震災から二年がたちました。私も、震災直後、現地に伺いまして、三つのことを感じました。一つは、自然の途方もない力の前で人間というのはいかに無力か。そして、今、そういう中でも自分はここに生きている、そのことへの感謝の気持ち。そして三つ目は、今、私はこうして政治の場に立っています、政治家としての使命として、この復興というのは全力で取り組んでいかなくてはいけない、そういう気持ちで今日まで来ました。

 私どもの政権の時代に、復興特区であるとか復興交付金、また、そもそもの復興基本法というのもつくりました。二重ローン対策にも取り組んでまいりました。そうしたさまざまな法制度、あるいは中小企業のグループ補助金など、予算も含めて、いわば民主党政権は生みの親だったと思っております。

 ただ、残念なことに、本当にこれは恥ずかしいことなんですが、生みの親が離婚したといいましょうか、そういうこともありまして、今、皆さんの政権、その政権の方に育ての親として活躍してもらわなくちゃいけない、こういうことだと思っております。

 そこで、まず安倍総理に、質問の本題に入る前にお聞きしたいんですが、私どものつくったこうした予算や法制度について、生まれた子供をいじめたりけなしたりということではなくて、ぜひ、広い気持ちでもって大きく育てていってほしい。育ての親として、ぜひ、大きく育てて復興に役立ててほしいと思います。この点について御見解を伺います。

安倍内閣総理大臣 まさに役割を親として例えていただいたわけでございますが、基本的に、私たちは皆さんが生んだ子供を育てていく、こういう大きな責任があるわけでありますから、時には厳しく叱ることもございますし、間違った方向に行きそうになったら正しい道に正していく。

 しかし、いずれにいたしましても、多くの制度等々は前政権でつくられたものであります。そして、その上に立って我々は、しかし、人間がやることですから、必ずこれは間違いもありますし、制度上のミスもあるわけでありますから、それを正していくことも我々の使命なんだろう、こう考えている次第でありまして、我々も、根っこから全く間違っていたということを言ったこともございませんし、そういうつもりもないわけでございまして、被災地の皆様の気持ちに寄り添いながら、そうした現場の声を拾い上げながら、そうした仕組み等について、よりよいものにしていきたい。

 そういう中におきましては、階委員を初め皆様方からも、こうした方がいいという意見をお寄せいただきたい、このように思っている次第でございます。

階委員 我々民主党も、生みの親として責任を果たすべく、まさに現場主義、それから積極的に提案していく、また、改革を継続していく、こういう立場から御意見を申し上げていきますので、よろしくお願いします。

 質問に入りますけれども、これも一つの提案なんですが、私は、震災から二年たって、まだ被災地という言葉が現地を指すのに使われているのはちょっと残念な気がします。実際に、地元の方々からもそういうお声を時折聞きます。

 震災から二年たって、あたかも震災直後の状況で静止している、固定しているようなイメージを抱くわけですけれども、もはやそういうときではないんだ、これから復興を進めていく、あるいは日本再生の先駆けとしていく、そういう意味で、例えば復興地であるとか、再生の先端地であるとか、そういう表現をこれから使っていくべきではないかと思いますが、この点について総理はどのようにお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 確かに、委員が御指摘になったように、復興が進んでくる中におきまして、岩手、宮城、福島を一くくりに被災地と呼ぶことに対して懸念の声もあるということを私も承知しておりますし、それは十分に理解できるところでございます。

 被災地という言葉につきましては、法律や報告書に加えて一般にも幅広く使われておりまして、これを直ちに変えていくということは容易ではありませんが、復興の進捗状況を踏まえながら、被災者の感情に配慮した柔軟な対応、言葉遣いを今後とも行っていくということと同時に、いまだ復興が十分に進んでいない地域も含めて、一日も早く被災地との呼称が過去のものとなるように全力を挙げていきたい、こう思うところでございます。

 つい我々も、なかなかほかに呼び名が浮かび上がらないものでありますから被災地と言ってしまうわけでありますが、今委員が御指摘になったような気持ちを持っておられる方々もおられるんだということも念頭に置きながら対応していきたい、このように思っております。

階委員 国交大臣がお見えで、観光のことについてお尋ねします。

 先般は、盛岡と宮古を結ぶ横断道路の一部の開通式がございまして、簗川道路といいますが、そこにも大臣はおいでになっていただきました。ありがとうございました。

 そしてまた、道路ができてくると観光というものも活性化してくるわけですけれども、ただ、一つ、観光について気になっていることがあります。

 これから観光をふやすことによって、経済的効果というよりは、私は、もっと大事なことは、全国津々浦々から現地にたくさんの人が来ていただいて、末永く復興を応援してくれる人をふやしていく、その意味でも観光というのは大事なんだと思っています。

 ところが、大手の旅行会社さんから言わせると、そういう現地に観光客を呼び込むようなツアーというのはなかなか企画しづらいんだと。そういう企画がかえって地元の方の感情を逆なでするのではないかということで、ちょっと腰が引けているようなところがあります。

 そこで、私どもの岩手県の中には、観光業の方が中心となって、旅行商品には発地型と着地型というのがあるんだそうです。発地型というのは、中央の大手旅行会社が企画するもの。そして着地型というのは、現地の観光業さんが中心となって、現地の観光素材をフルに活用して滞在してもらうような、そういう着地型の観光商品を企画しているんだそうです。この着地型商品を広く世の中に販売していくためには、販促のためのいろいろな費用がかかります。その点について、観光庁として支援をしていただけないか。

 これは、一次補正のとき、私は内々に観光庁の皆さんに御相談しました。なかなか難しいということで一次補正のときはだめだったんですけれども、今度もし本予算が成立するとなれば、観光庁も被災地の復興のために何がしか施策をされると思います。その施策の中で、着地型観光を活性化するための補助なりなんなり、そういうものを取り入れていただけませんでしょうか。お願いします。

太田国務大臣 観光は非常に大事であると私も思っています。

 東北の観光ということにつきまして、この二年、大変な状況であったということもありまして、東北観光博を初めとしてさまざまな取り組みが行われてきましたが、私が直接現地に行きまして、旅館の方に聞いたり、大変な中で踏ん張っていらっしゃるという方のお声も直接聞かせていただいたりしました。

 そういう中で、今お話のありました着地型観光、ある意味では、パッケージツアーを現地から発信するという取り組み。現地で私が聞きますと、この二年間、きずなということが、全国の中でもボランティアも含めてできてきていると。そして、いよいよ復興を実感するということについては、観光というのは非常に大事な役割を果たせるというふうに思っています。

 そういう意味で、この着地型旅行のパッケージツアーというようなことについて、国として、観光庁として、しっかり応援する体制をつくりたい、二十五年度予算にも予算化してそういうことをやっていきたい、このように思っています。

階委員 ありがとうございます。

 これは、震災で被害を受けた地域だけではなくて、日本全国の活性化につながるような先駆的な事例になると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、先ほど来お話が出ております住宅再建等の話に移らせていただきます。

 これが、先ほど来お話に出ている工程表、今回、政府の方から出されているものの一例を示しております。私、黄川田さんもおっしゃっていたんですけれども、既に同様のものは県とか自治体でつくっている中で、これを新たにつくられた目的というのは何なのかということをまず復興大臣に御確認したいと思います。

根本国務大臣 仮設住宅にお住まいの皆さんは、先の見えない不安を抱えておられます。そして、一日も早く住まいのめどを立てられるように、これを、我々、しっかり示そうではないかということでやりました。

 確かに、岩手県でもロードマップはありますよね、住宅戸数は示していました。岩手県も宮城県も、市町村別に、地区ごとに、住宅の戸数と、それから、例えば土地区画整理事業では、従来、宅地供給がどのぐらい行われるかということは、岩手県のロードマップでもそこは対象になっていませんでした。ですから、我々、それを全部盛り込んで、各市町村ごとに全部出ますから、そこもお互いに、市町村も県も協力しながらこれを進めていこうということで工程表を明示いたしました。

階委員 役所の方に伺うと、これは住民サービスとしてやられるということを言われていたんですけれども、もしそれが本当ならば、既にこういうものは住民の方には示されております。

 私は、新たにもしこれをつくるんだったら、例えばこういうことをしたらどうかと思うのは、この工程表の例でいいますと、一番上の土地区画整理事業のところですけれども、平成二十八年度以降でずっと線がとまっているところがありますけれども、二十八年度以降というのはいつなのかというのがよくわからないんですね。もし本当に住民サービスということであれば、この二十八年度以降はいつなのかということを示す必要があると思いますし、そもそも二十八年度というのはちょっと遠いなという気もしますから、これを短くするなり、そういうことに取り組んでいくべきではないかと思います。

 こういうことについて、どのように復興大臣は考えますか。

根本国務大臣 御指摘のように、実は、面整備事業というのは時間がかなりかかります。区画整理事業などの面整備事業、これによる民間住宅等の宅地用地については、実は、今回取りまとめた昨年末の段階では、事業実施に必要な大臣同意や事業認可がとれておらなかったものですから、具体的な工程が未確定な計画も確かに存在しております。これについては、今回の工程では実は調整中としておりますが、できるだけ早期にその具体化と工程、目標の提示を図っていきたいと思います。

 あと、全体の住宅再建については、用地取得から、埋蔵文化財、土地の権利関係の調整、あるいは設計、施工、こういう一つ一つの段階がありますので、この段階ごとに具体的にどういう対策でスピードアップできるか、それは具体的な対策をまとめて、今回提示をしております。これに沿ってどんどんやっていって、さらに新しい課題が出れば、また的確に対応していきたいと思います。

階委員 引き続き、午後に質問させていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。階猛君。

階委員 引き続き、質問させていただきます。

 午前中の最後の方で、政府の今示されている工程表の具体例を皆様にお示しして、二十八年度以降、いつになったら工程表が完成するのかわからない点についてただしました。その点について、復興大臣から、これから具体化していくということでございました。

 ただ、その具体化していくに当たって、きょう、この委員会でも再三出ておりますように、用地取得の問題が最大の課題だと思っています。

 総理にお尋ねします。

 十一日の記者会見で、高台移転を加速できるよう、手続を大胆に加速化していくというお話をされていました。この点、きょうの、復興大臣を初めさまざまな方の答弁で出ているような内容で十分なのかどうか。

 私は、既存の不在者財産管理人制度であるとかあるいは土地収用手続、これだけではなくて、もっと抜本的な法改正が必要なのではないか。民法でいえば、公共のために、公共が土地を取得する、行方不明の土地を取得する場合に、取得時効の特例ということも考えられるのではないか。あるいは、収用手続でいえば、アメリカ軍などが駐留軍用地を取得する場合の特措法というのがありますけれども、そういったことにも参考になるものがあるのではないか。

 そういう法改正も含めた検討をするべきではないかと思いますが、その点、総理の御見解を伺います。

根本国務大臣 我々、用地取得の円滑化について、今さまざまに検討しております。先ほど来、財産管理人制度も、法務大臣からも答弁がありました。収用法も、できるだけ審査手続を短縮する、そういうこともやっております。

 その上に立って、これから具体的にどんどん取り組んでまいりますが、法改正の必要性が出てくれば、まずは制度を徹底的に運用する、制度のネックを乗り越えていく、そしてその上で、法改正が必要なものについては、そこはその時点で検討をしていきたいと思います。

階委員 法改正、次の段階で考えるということで、果たして工程表に示した期限は守られるのであろうか。守られるのであれば、それはそれでいいんですけれども、もし今のやり方でちゃんと守れるというのであれば、ここは総理にお願いします、この工程表どおり住宅の再建は進めるという決意をお示しください。

安倍内閣総理大臣 我々も、工程表をお示しした以上、大きな責任があると思います。今、階委員から御提言もございました。

 まずは、現在の段階で取りまとめているものをしっかりと行っていく。しかし、さまざまな課題が出てくるのであれば、そうしたことに固執することなく、また新たな対処方法を検討していくということは当然のことだろう、このように思っております。

階委員 ぜひ、工程表を示した以上、今の総理のお話にもありました、しっかりこの工程表を守って進めていただきたいと思います。

 今、まちづくりをするに当たっても、さまざまな公共工事をするに当たっても、生コンが足りないという問題、これも委員会で取り上げられております。

 今回、復興推進会議の中の、まちづくりの加速化に向けた施策パッケージというのを見ますと、生コンのことについても触れられております。生コンについては、宮古・釜石地区において、三陸沿岸道路工事のための公共プラントを国が新設する。

 私、ちょっと思ったのは、三陸沿岸道路工事のためのという限定が付されているのが気になったんです。生コンが足りないのは道路工事だけではなくて、さまざまな公共の工事であり、あるいは民間の工事でも生コンは足りません。であれば、せっかく国が公共プラントをつくるのであれば、私は、なるべく用途は広くして、公共工事さらには民間の工事まで使えるように、そういうこともやってみたらどうかと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

太田国務大臣 生コンがどういうふうに需要がしてくるのかということについて、九ブロックに分けて検討させていただきました。

 ここでは何回かお話をさせていただいているんですが、砂が足りないところもあれば、ヤードが足りないところもあれば、ここはもう足りないから、二次製品といいますけれども、ブロックという製品で堤防等はやるというようなこともいろいろやったんですが、生コンのプラントがどうしても不足するという、そうした計算のもとで、釜石、宮古は、公設のプラントをつくるということでやらせていただきました。特に、二十六年度以降、三陸道路が本格的に工事があるものですから、需要が、ある意味ではね上がるということがあって、そうしたことをやろう、こうしています。

 民間のプラントをよく見て、また、民間にできるだけやっていただくというようなことも含めて、そこでよく調整をして、民間の供給というのを逆に圧迫するということのないように、そして、いずれにしても、きっちり事業が遂行できるようにということで、これを活用していきたい、こう思っています。

階委員 確かに、民業圧迫にならないようにという視点は重要ですけれども、被災地で本当に生コンが足りなくて困っているという状況ですから、そこは柔軟に、民間の方と連携をとりながら、ぜひ、せっかくつくったプラントを有効活用していただければと思っております。

 次の質問ですが、総務大臣にお尋ねします。

 三月一日に、現地に、役場とか市役所に民間企業の方が出向しやすいような通知を発信されました。私も、総務省の方にもぜひこういうのをお願いしたいということをお話ししたので、この方向性は本当にありがたいと思います。

 ただ、私、現地でお話を聞いていて、もうちょっと改善した方がいいなと思うのは、情報提供ですね。特に、東京であったり大阪であったり、ほかの地域で、被災された地域のために何かしたいと思っている民間企業の方は、実際問題、自分は役に立つんだろうか、どういう仕事が今足りないんだろうかということが気になると思います。

 この間もテレビでやっていましたけれども、用地交渉の人員が非常に足りない。例えば大槌町では、八百人の地権者に対して、用地交渉の職員が八人しかいない。八人の方は今任期つきで各自治体から来ていますけれども、用地交渉なんかは、私は、素人考えですけれども、民間の企業の方でも十分やれるのではないかと思っています。

 そういう具体的な仕事の内容を示して、そして、出向する人が、よし、これだったら応募しよう、こういうふうにしていただけるような広報活動というか、そういうものもされたらどうかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 階委員とは、決算行政監視委員会で、党派を超えて、いい仕事ができた、同志だ、このように思っています。それは奥野さんも同じです。ですから、建設的な御意見を頂戴して、また、今回、そういった御指摘も踏まえて、我々も即座に反応したということであります。

 何よりも、とにかくマンパワーが絶対的に不足しているわけであります。ですから、今行ける人で、まだそれに気がついていない方がいるならば、あらゆる手段をとって周知しようじゃないか、こういうことで、このような今回の取り組みになりました。

 そして、企業に対しては、企業に在職のまま、特別職として自治体が受け入れることもできます、それから、そういう状態で企業が派遣していただいた方を自治体が給与を見る場合には、それは交付税でもって我々が措置をいたします、こういったことも自治体の方に周知をいたしました。

 さらに、これをわかりやすく広報するホームページの拡充は、今、作業中であります。近日中にリニューアルします。

 それから、今御指摘の、どんな職種が欲しいのかということも、イメージとしては出しております。ですから、今度はマッチングの中で、各自治体のホームページ等も充実をしていただいて、その中で、より効果が上がるようにしていきたいと思います。さらにこれは力を入れていかなければいけない、このように思っています。

階委員 ありがとうございます。

 現地の自治体は、日々の仕事に追われて、なかなか自分たちでは情報発信できませんので、ぜひこれは総務省が中心となって進めていっていただければと思います。

 最後、これはちょっと厳し目な質問になると思います。

 復興予算枠が、今回、六兆円追加になりました。

 従前、十九兆円のときに、我々の政権では、復興基本法の七条というところがあります。資金確保のための措置という規定でありまして、この第一号には、「復興及びこれに関連する施策以外の施策に係る予算を徹底的に見直し、当該施策に係る歳出の削減を図ること。」要は、復興関連以外の予算はなるべく削って、浮いたお金を復興の財源に充てましょう、こういうことなんですね。これに基づいて、我々は、十九兆円の財源について確度の高いものを捻出して、子ども手当を削減したり、公務員の人件費削減などということもやってきました。それで、十九兆円については何とかめどが立っている。

 今回、六兆円追加されます。この六兆円の中で、四兆は郵政株、それから二兆については過去の余剰金を使う、決算の剰余金を使うというようなことでありますが、その二兆円の中身を子細に見ていきますと、歳出削減は新たにどのようなことをやられたかということを見ますと、七百億円しかないんです。義務教育負担金の見直し、地方の先生の給料を下げる、これによって七百億円ということで、全体六兆円の中での七百億円しか歳出削減がされていない。

 これは、私は問題ではないかと。基本法七条というのは、与党、野党で共同してつくった法律でございまして、我々もそれは遵守してきた。与党になった自民党・公明党政権の皆様も、この七条というのは重く受けとめて、歳出削減を全力でやるべきではないかと思っております。

 ここはまず、財務大臣、お願いします。

麻生国務大臣 この十九兆円フレームの見直しのために、今言われましたように、復興財源確保法という法律によって復興財源に充てるとされております例の郵政の株式の売却収入が約四兆円程度、それから二十三年度決算剰余金の一部などが二兆円程度として、合計六兆円を見込むことにしておるんですが、この財源の一部は歳出削減により賄うこととされておるのは言われたとおりなので、これは民主党政権のときに決定をされております。子ども手当の見直しなど、歳出削減の中身につきましては、これは自公両党の主張も取り入れられた結果として実現したということも事実だと記憶します。

 したがって、自民党、公明党及び民主党の三党合意に基づいてこれは決定したものであると認識しておりますので、二十五年度の予算におきましても、我々は、三党合意を踏まえた歳出削減の取り組みを継続いたしております、今でも。

 その上で、今般、歳出削減のさらなる深掘りにつきましては、地方公務員人件費の削減等々に連動した、今言われたとおりの国の負担金、補助金の削減分、約七百億円を捻出したところでして、歳出削減努力が足らないのではないかと言われますけれども、極めて短期間の間にこれだけのことができたのは、足りないという御指摘は当たらないのではないかと考えております。

 いずれにしても、復興基本法や財源確保法の趣旨に沿って、歳出削減を含めた復興財源の確保というのは今後とも引き続き努めていかねばならぬものだと思っております。

階委員 当初、五年間十九兆円ということを、我々、当時の野党の皆さんとも話し合って考えたわけですね。ところが、その後の事情によって六兆円上積みしなくちゃいけない。これは必要な予算ですから、上積みすること自体を問題にしているわけではないです。ただ、六兆円をどうやって財源を調達するかについて、先ほどの復興基本法の七条という重要な規定があるわけです。この規定を六兆円の話の中では余り守られていないということを私は指摘しています。

 それで、二兆円の中、それから四兆円という郵政株、この郵政株の方にちょっと話を移しますけれども、郵政株については、そもそもまだ上場されていません。先般来、この予算委員会でも四兆円の根拠というのを聞いていますけれども、上場株価がどれぐらいになるかというのを、資産価値であるとか、類似業種の株価を参考にした試算とか、そういう具体的な検討をされたわけではなくて、過去の政府売り出し株のロットを参考にして決めているような話でした。

 私は、それは、今度は復興基本法の八条に、復興債の発行等という規定がありますけれども、「あらかじめ、その償還の道筋を明らかにする」という規定があります。これとちょっと抵触すると思っていまして、四兆円の郵政株、こんなざっくりしたやり方ではこの規定を守っていると言えないのではないかと思っています。その点、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 四兆円のことに関しましては、これは御存じのように、日本郵政の売却対象分というのが決まっておりますから、この発行済み株式の三分の二、これが簿価で七・三兆円ということになっております。

 このうち、平成三十四年度までにおいていわゆる売却をして収入を得ることになるんですが、復興財源確保法において復興財源とされておる、ルールになっておりますので、その見積もりにおきましては、どのくらい売却できるかということは、株というのは、確かに民主党のときの八千六百円が今は一万二千円ですから、倍も変わっていますので、逆にまたあしたになったらこうなるかもしれません、それはわかりませんよ。わかりませんけれども、市場において、我々として、これまでにやられた機械的試算で出しておりますので、平成三十四年までに大体四兆円と見込んでおるんですけれども、これより少なくて済むかもしれませんし、我々としては、四兆円はこれにて十分確保できると思っております。

階委員 おっしゃるように、株価は水ものです。

 私が言いたいのは、過度に不確定要素の大きい株の売却収入に頼るというのは、やはり、先ほど申し上げた八条の「その償還の道筋を明らかにする」という法律の趣旨に反しているのではないか。むしろ七条の歳出削減をなるべく多くやって、そして、なるべく不確定要素は少なくしていく。これがやはり七条、八条から導かれる帰結ではないかと思っています。

 今回の六兆円、この財源の立て方、私はまだまだ直すべき余地があると思っています。総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 歳出削減につきましては、先ほど財務大臣から答弁をさせていただきましたように、三党合意の中において、十九兆円のフレームの中では子ども手当を縮減する、これは、自公が主張して三党合意の中で取り上げられて実行されたものでございますが、その後、七百億円。ここまで努力はしておりますが、しかし、今回、短期間の中において新たな財源を見つけるのは難しかったのは事実でございます。

 いずれにせよ、今後、財政を健全化させていく中において不断の努力は進めていきたい、こう思っているところでございます。

階委員 私どもは、その十九兆円の枠、どうやって財源を工面するかというときに、苦渋の決断でしたけれども、子ども手当、我々の本当に看板政策でございましたけれども、当時の野党の皆様からの御意見も取り入れて、やりました。

 正直言って、この郵政株について、まだ当時は郵政民営化の見直しということもありましたけれども、もっとこの比率を高めたいというのもあったんです。そうすれば財源についてもっと楽に捻出できる、こういう話もあったわけですけれども、我々は、なるべく確度の高いもので財源を捻出しようということでやってきたわけです。

 それとともに、私どもが取り組んできたのは、復興についてやはり国民皆様の御理解、御協力を得なくちゃいけないということであります。安易に国民の共有財産を売却したり、あるいは、これから復興のための臨時増税が必要だということで、追加の予算が必要になったから増税をお願いするということでは、震災の復興、これで恩恵を受ける地域にとってはこれはまだいいんですけれども、それに協力する全国の皆様はどのように思われるであろうか。

 私は岩手の代表ですから、どのような形であれ復興予算がつくということは、これは本当にありがたいことだと思っています。ただ、長い目で見た場合、そのようなやり方では国民の協力は得られにくいのではないか。

 正直言って、復興にはまだまだ時間がかかります。そして、末永く国民の皆様に協力をしていただかなくてはいけません。だからこそ、歳出削減、七条に基づいてしっかりやらなくてはいけない。

 総理に最後、行政改革、歳出削減について、復興のためにも必要だ、御決意をお願いします。

安倍内閣総理大臣 復興は今後も続いていくわけであります。当然、我々、財政を再建させていく、これも安倍政権の大きな命題でございます。

 この中で、景気をよくしていく、経済を成長させていくと同時に、無駄を撲滅していく。不断の努力によって、いわば歳出の削減努力、その中においては行政の改革を行っていくのは当然のことであろう、このように決意をいたしております。

階委員 ありがとうございました。

山本委員長 これにて黄川田君、郡君、階君の質疑は終了いたしました。

 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。

 昨日に引き続きまして、質疑をさせていただきます。

 まず初めに、原発事故災害における子供の健康についてお伺いをいたしたいと思いますけれども、過日も、環境省の調査によって、福島県外の子供たちの甲状腺の状況、これは福島県とほとんど変わりがなかった、そのような発表もあったところであります。しかしながら、一方で、今、県内の親御さん、また子供たちは、不安の中で生活をしているというのも実態でございます。

 私も参議院時代に賛同者の一人となりましたけれども、まず初めに、子ども・被災者支援法の基本方針、これは、取り組むという姿勢も衆参のさまざまな答弁の中でお聞きはいたしましたけれども、改めて、早急に基本方針を策定して、法の精神をしっかりと生かしていくということが重要だと思いますが、大臣の見解を求めます。

根本国務大臣 子ども・被災者支援法については、支援対象地域、それは二十ミリシーベルト未満、一定の基準以上となっていて、実は、立法過程でもこれはいろいろな議論があって、一定の基準ということに示されました。

 その一定の基準について、我々も、やはりこれは科学的、専門的、海外の知見も集めた基準が必要だろうということで、先般も、原災本部で原子力規制委員会に、放射線量について、低減のための放射線防護と組み合わせてどう考えるべきか、その依頼をいたしました。そして、その結果も踏まえて、我々も、専門的、科学的、内外の知見も含めて、この一定の基準、そして災害支援対象地域を決めていきたいと思います。

 一方で、基本方針で支援地域、こうなっていますから、支援地域については検討が必要なので、実は、具体的な施策、これはさまざまな施策がありますが、これを近々まとめてお示ししたいと思っております。具体的な施策については、これは前に前に進めていきたいと思います。

小熊委員 この法案はもともと政権交代前に参議院の野党で力を合わせてつくった法案でありますし、そういう意味で、当時の参議院の自民党の先生方も一生懸命努力してつくったものであります。その後、民主党政権下では、ある意味ほっておかれたというか具体的に進まなかったという部分でありますので、これはしっかりと、この法律の趣旨に従って、具体的に実行策を進めていっていただきたいというふうに、ぜひとも早急にやっていただくことを強く申し入れさせていただきます。

 先ほど述べました甲状腺の部分ですけれども、これは福島県内広く調査をして、いろいろな数字が出てきて、大分不安が広がったわけであります。そうしたことを前提に、実際ほかのところではどうなんだということで、長崎、甲府そして弘前というところで調査をしたわけであります。

 それで、福島とそんなに変わりがないので大丈夫だろうという見解ではあるんですけれども、ただ、この調査を詳細に見てみますと、三歳児からとなっているというふうに思いますが、三歳児未満の部分についてなぜ外したのか。その調査の必要は私はあるというふうに思うんですけれども、見解を求めます。

石原国務大臣 これは一般論でありますけれども、医療関係の方からお話を聞かせていただきますと、甲状腺の発症というものは年が幼児に近づけば近づくほど少ない。そして、今回のそれ以外のところ、今委員が御指摘されました三カ所の調査については、幼稚園、保育園等々にアトランダムにお願いをさせていただいて調査をしたということで、意図的にゼロ歳―三歳児を外したということではございません。

小熊委員 WHOでは、私の知る限りでは、そこは足りていないという指摘もあるようでございますし、これまで、震災以降、さまざま議論してきた中で、安全と安心は残念ながら違うんですね。本来であれば、国民の皆さんが、政治が、政策がとった安全対策で納得をいただくというのが本来のあり方ですけれども、そこに信頼がない。ですから、やはり、安心していただくための、これはある意味、あつものに懲りてなますを吹くようなこともあるのかもしれませんけれども、そういったこともやっていかなければ、安心して暮らしていけないというところであります。

 今大臣のおっしゃったことは専門家の意見ではありますけれども、それでは、県民の親御さんたち、子供さんたちは安心ができていないという状況もあります。

 そうした背景を踏まえて、また、この三都市の調査だけではなくて、もう少し広く、長期的に、福島県外において健康調査をさらにしていくことが安心につながっていくことだというふうに私は考えますけれども、大臣、再度お願いいたします。

石原国務大臣 治験の数が一体幾つあれば臨床例として十分であるのかということなども含めまして、専門家の御判断によってこの調査が行われたものと承知をしております。こういう御議論があったということもしっかり専門家の方にお伝えをさせていただいて、そんな中で、この心配というものは、どこまでやれば心配でないのかということは、人によって対応が違いますので、科学的、技術的、専門家の知見によりまして、大多数の方が安心できるというものを求めてまいりたいと考えております。

小熊委員 そういう意味では、大臣も現地に入られて、そこは、専門家ではないんですよ、やはり政治家としての判断ですよね。

 科学的知見に立って、きのうもやりましたけれども、リスクコミュニケーションをしっかりと確立していく中で皆さんに御理解をいただくということは正しい方向性だとは思いますけれども、現状においては、やはり心配の方が大きいところでありますから、これは屋上屋を重ねるような、そうした調査もあるのかもしれませんけれども、十二分に、専門家の判断ではなくて、まさに住民と被災者と触れ合った中でのそういった調査が必要だと思いますけれども、では、それを、復興大臣、地元ですから、答えてもらえますか。

根本国務大臣 私は、今の石原大臣の話にもありましたけれども、専門的、科学的な部分は、やはり専門的、科学的な知見、そして検討が必要だと思います。

 我々は、それを含めて、今お話がありましたけれども、リスクコミュニケーション、私は、リスクコミュニケーションは本当に大事だと思いますよ。ですから、専門的、科学的知見を含めてそれを提示して、しっかりと安心していただくように、リスクコミュニケーションを十分にやっていく、これが何よりも必要だと思います。

小熊委員 そういう意味では、今、被災地におきましては、とりわけこの原発事故災害におきましては、これは、福島県ということで一くくりにもできない。また、市町村別という枠組みでもない。地域、もしくは個々人の家庭、家庭、その家庭内でも、その家族の中でも意見が分かれている。さらには、一人の人間の中にもいろいろな自分自身がいる。私もそうです。

 きのうも風評被害の方でやりましたけれども、ここは大丈夫だと言いながらも、こうした健康不安もある。本当に悩みながら、自分自身の中にもいろいろな人間がいながら、福島県民は生活をしている、そうした背景を踏まえて、それは科学的知見でやるのが大前提なんですけれども、そうしたこともしっかりと踏まえた上で、今後、これは人の命にかかわるわけですし、とりわけ、未来を担う子供たちのまさに健康と、あわせて精神的な健康もきちっと支えていかなければいけないということであれば、万全の体制をもって調査をして、対応していく。

 さらには、しこりはほかのところでも自然的に出るものですよと言ったとしても、親御さんからすれば大変不安な部分もありますから、そうしたフォローの体制、相談体制もしっかりととっていくような施策を実現していくことを望んで、次の質問に移りたいというふうに思います。

 資料も配付をしておりますけれども、これは、私の地元の会津若松市の修学旅行の変遷の資料でございます。昨日も、消費者担当大臣が、風評被害対策、国が全面的にやっていくんだという力強いお言葉をいただきましたし、また、これまでも、他県のさまざまな地方自治体においては、首長さんたちが、福島県にぜひ修学旅行に行きましょうといった、そうしたリーダーシップを発揮している県や市町村もあるんですけれども、実態はこのとおりであります。

 かなり多く、震災前は修学旅行に来ていただいてきたわけでありますけれども、今、地元の努力、またそうした他県の皆さんの御理解のもとに、こうして戻ってきつつはありますけれども、残念ながら、まだまだその理解にはほど遠いなというのも、この数字を見て明らかであります。

 また一方で、こうした他県の親御さんたち、校長先生は行きたい、教育委員会は行かせたい、しかしながら、その学校のPTAの全部とは言いません、一部の方から、とんでもない、学校は何を考えているんだ、教育委員会は何を考えているんだ、そんな声があるのも私は重々承知をしております。

 そういう意味では、総理初め、必ず現場を見て、そこで感じ取って、考えて政策を実行していく、もちろんそのとおりです。しかし、こういったことを考えれば、被災地の外でも、まさに被災地以外の生活の中にも、この被災の、原発事故の問題というのは実は存在をしているわけであります。

 同僚議員の皆さん、閣僚の皆さんも、皆さんの御子弟が、例えばこの東京で、またこの首都圏で学校に通っておられる方もいると思います。そこも実はこの被災の現場なんですよ。PTAの中でこういう議論が行われたときに、大丈夫だと言っているのかどうか。でも、やはり、危険だ、危ないという親御さんの意見、それに抵抗し切れずにというか、それに結局は決断をして、修学旅行を福島県に派遣はできない、そんな状況になっているところであります。

 そういう意味では、リスクコミュニケーションという意味では、まさに学校の教育の現場で、さらに親御さんも含めて、どのようにこれは努力をしていくのか、お聞かせいただきたいと思います。

下村国務大臣 お答えいたします。

 今の資料を見させていただいて、NHKの大河ドラマの場所でもありますし、これから風評被害も払拭されて、大勢の方々が来られるのではないかというふうに期待をしたいと思います。

 今、学校における、風評被害における放射線知識の問題等がございました。この放射線に関係した風評被害や差別を防ぐために、児童生徒を初め国民全体が放射線についての正しい知識を持つことが重要であるというふうに思います。

 放射線に関する教育については、新しい中学校学習指導要領の理科において、約三十年ぶりでございますが、放射線に関する内容を復活させたところでございます。全国の学校で、平成二十三年度から指導が行われております。

 また、二十三年度から、放射線についての正しい知識を学ぶための児童生徒用の副読本を作成、配付し、基礎的な知識のほか、放射線等の人体への影響、放射線や放射性物質から身を守る方法などについて学ぶことができるようにもいたしました。

 さらに、教職員向けの支援として、副読本に関する教師用の指導資料の作成、配付や、教職員向けのセミナーへの専門家の派遣も行っております。

 国民全体を対象として、日本原子力研究開発機構や放射線医学総合研究所において、講習会等の開催や専門家などの派遣を行いまして、放射線に関する国民の科学的理解の向上にも取り組んでおります。

 平成二十五年度予算案におきましても、事故後の状況の変化を踏まえて、放射線に関する副読本を改訂するための経費など必要な経費を計上しておりまして、今後とも、児童生徒を初め、国民全体が放射線に関する正しい知識を持ち、科学的に考え行動することができるよう、教育の充実に努めてまいりたいと思います。

小熊委員 長々とありがとうございました。

 副読本については、今、改訂のための予算もついているということで、私の地元ではやはりちょっとあれはよろしくないというところもありましたから、ぜひ、現場の声を聞いて、しっかりフィードバックをしていただきたいと思います。

 これは、学校の教育現場はいいんですけれども、親御さんに対してはどうですか。結局、この修学旅行の話は、親御さんの理解の問題につながってくるんですね。これは文科大臣、答えられますか。

下村国務大臣 先ほどもお答えいたしましたが、教職員向けのセミナーに専門家を派遣して行っております。学校の先生方がこれからPTA等親御さんに対して、その専門家のセミナーの講習を経て、今度は学校の先生方が一般の方々、御父母の方々に対してしっかりとした話ができるような、そういう対応をしているところでございます。

小熊委員 今、地元の観光関連の経済人たちも、独自にキャラバンを張って、他県の学校を回って理解を求めているところであるんですけれども、きょう提示はしていませんが、例えば宮城県においては、都市部の、やはり仙台市が戻りが悪いんですね。都市部の生活者の中には、これは生徒数も多かったりして、反対者も、それはゼロにはならないでしょうから、どうやって理解を求めていくかというのは、今後、この数字がどう変わっていくかということで、この取り組みの評価が一つ定まるところだというふうに思います。

 そうしたキャラバンで回った方々の御意見をお伺いすると、やはりなかなか、学校の先生も、一人でも二人でも、強いPTAの声を聞くとひるんでしまうというのが実態ですよ。

 これは、御承知のとおり、教育旅行は、一年だめで、では次の年に復活しますかというと、やはりある程度の、三年、五年のサイクルで回していますから、一回来なくなると、復活するまで三年、五年かかっちゃうんですよね。そうすると、長期的なこういう減退傾向にあるということは地元にとっては大変大きなマイナス要因でありますし、実際、大丈夫なところを避けているというところが問題で、大丈夫じゃないところに来てくださいと言っているわけじゃないんですよ。だけれども、PTAの人の判断は、福島県だから大丈夫じゃないと一くくりでやられてしまっているし、数字で見てくれない。

 会津若松市は原発から百キロです。百キロ同心円、同心円だけで全てをはかれませんけれども、同心円でやったら、結構な、あえてここでどこどこも同じ百キロですと言わないですけれども、入ってくるわけですよ。でも、同じ百キロのその地点とこっちの百キロでは全然違っているというのが今の実態ですから、やはりこれは、私もそうですけれども、政治の場面で幾ら頑張っても、なかなか国民の多くの皆さんの理解を得るというのはハードルが高い、道が険しい。だからこそ、これはしっかりと取り組んでいかなければなりませんし、克服していかなければいけない課題であります。

 これはぜひ、きょうは会津若松市だけですけれども、県内、もしくは東北も含めて、もしくは北関東も風評被害で大変なところでありますから、当該地域のこうした状況をしっかりと、数字を丹念に積み上げて、対策と照らし合わせて、今後とも最大限の努力をしていただくことをお願い申し上げまして、次に移りたいというふうに思います。

 文科大臣、ありがとうございました。

 次に、これは、原発事故災害で困難をきわめている福島県だけではなくて、東北全体にも言えるところでありますけれども、いわゆる人口の流出問題です。

 これは、震災直後、私の同僚議員、上野議員、総理の仲人っ子でありますけれども、かつての国土庁長官の方の勉強会に参加することができて、それは阪神・淡路のときの長官だったというふうに記憶していますけれども、その阪神・淡路の教訓もありながら、やはり今回の大震災はこれに当てはまらない部分がある、そうした指摘を当時からしておりました。

 それはやはり、都市部での災害ではなくて、過疎地域も含めた、人口の少ない地域での災害でもある、これをきちっと踏まえて対応していかなければなりませんよ、そうしたことを指摘していただいて、大変これはいい指摘をしていただいておったなというふうに思っているわけであります。

 そうした観点からいうと、最近の調査の中でも、東北三県を比べれば、御承知のとおり、仙台という大都市を抱えている宮城県は増加傾向にありましたけれども、岩手、福島県は減少傾向にあります。もともと、さまざまな、国土審とかいろいろなところで出している人口推計で見ても、二〇五〇年には東北の人口は六割程度になるということが、震災前に推計として示されていたところでありますけれども、そうしたことに追い打ちをかけているというのが現状です。

 さまざまな施策によって産業の復活、また企業立地交付金等で、今の段階でざっくり言うと、福島県内でおよそ四千人ぐらいの新規雇用が見込めるというふうにも言われていますが、震災で失われた雇用というのは三万、四万、数万に及んでいることを考えれば、これはまだまだ追いついていないわけであります。

 しかしながら、この流出問題、これは地域地域によってやはり違うわけであります。ですから、過日も復興大臣、テレビ等でも発言されていましたけれども、これは、しっかりと定住していただくような、流出をとめていく施策と、呼び戻す施策、あわせて必要だということを発言されておりました。

 これは、福島県ということではなくて、被災地全般にかかわるこうした人口流出に対応する、具体的にどのように取り組んでいくか、初めにお伺いいたします。

根本国務大臣 小熊議員、今お話がありましたように、私は、やはり大震災、それぞれ状況が異なるんですね。阪神大震災と東北の今回の大震災、これは様相が違います。阪神大震災は都市部ですから、あそこはまちづくり、住宅再建、これが一番メーンだった。ところが、東北の場合は、東北が、いや日本が将来抱えるだろう課題、人口の減少あるいは過疎化、高齢化、これが実は今回の大震災で今直面しているということだろうと思います。

 ですから、そういう前提に立って、いかに復興を加速化させていくか、これが大事だと思います。

 津波被災地と福島県、それぞれ抱える問題は違いますよ。津波被災地では、特に三陸沿岸部、例えば水産業以外に大きな産業がない地域も多かった。例えば水産加工施設、これは比較的、支援策で今立ち上がっていますが、一番必要なのは、住宅再建、まちづくりだと思います。

 ですから、先ほど来お話をしておりますが、とにかく住宅再建が大事なので、復興工程表も明示した。そして、さまざまな、実現するための手だてについてもスピードアップ策を講じた。そして、住宅再建が進んでいく中で、なりわい、産業再生という話が出てきますから、グループ補助金あるいは産業立地補助金も津波被災地まで拡大いたしました。

 一方で、福島の問題は、ただいまも議論がありましたが、やはり放射能問題という問題を抱えていますから、いかに帰還してもらって定住を促進するか、実はここが大事で、さまざまに当初予算でも加速策を講じましたが、特に帰還を促進したい地域の帰還、定住促進プログラム、これもまとめました。そして、しっかりと帰還支援、定住促進、これをやっていく。

 あるいは、先ほども修学旅行の話で出ましたが、例えば、福島県では中通りを中心に、子供たちが屋外活動を制限されました。ですから、肥満があったり、あるいは体力の低下も起こっている。ここはやはり、福島県というのは子供にとって魅力のある地域なんだ、これも訴えていかなければなりません。その観点から、子供が伸び伸びと屋内で運動できるような屋内の運動場の整備や、あるいは、若い世代に戻ってもらうために公営住宅が必要だという声もありました。それらを含めた子ども元気復活交付金、これも今回、予算で組みました。

 要は、我々、さまざまな政策を総動員で、とにかくこのふるさとをよみがえらせる、これが何よりも大事だと思います。

小熊委員 修学旅行に立ち戻ってあれなんですけれども、それを言っちゃうと、屋内で遊んでいる地域には修学旅行へ行けないみたいになっちゃうところはあると思うんです、まあ、それはいいんですけれども。

 人口流出の問題は、そういう意味では、ある意味ではこれもまた特殊な地域かもしれませんけれども、震災直後、私の地元の会津の柳津町に一時的に避難をされていた葛尾村の村長さんとお話をしたら、あそこも御承知のとおり牛で村おこしをしていた村でありますから、山古志村を見に行ったというんですね、村長さんは震災の直後に。

 そうしたら、これは今、合併して長岡になっていますけれども、旧山古志村でいえば、人口が六割ぐらいになっちゃっていた。私もちょっとあるとき調べたら、奥尻も、地震、津波でやられて、これは自民党政権下でしっかり震災対策をしたんですけれども、離島ということもありますけれども、これもやはり人口が六割になっている。それは村長さんもさすがだなと思いましたけれども、政治的な感覚で、自分のふるさともこういうふうになるのかな、一生懸命やったとしてもというようなことを言っていました。

 今回、今、一生懸命やっていると言っていますけれども、過去の例、これは全てが当てはまるわけではないですけれども、阪神・淡路よりは、私は、今回の大震災、地域によっては、この山古志や奥尻の過去の例というのが当てはまってくるというふうに推測されます。

 そうすれば、非常に厳しい状況にあるわけですよね。人口が戻っていない、産業も復活していない、高齢化も、山古志でも四割になっちゃったというところもありますから。そうした現実を踏まえて、これまで一生懸命そこもやってきたんでしょうけれども、結果、そのとおりなんだ。そこと比べて、さらなる過去の取り組みの事例も踏まえて、また答弁をお願いいたします。

根本国務大臣 ですから、復興加速策が私は必要なんだと思いますよ。

 福島県あるいは東北、一次産業ですから、農林水産業、これをいかに復活させるか。例えば、今の葛尾村の話がありました。福島県では、例えば、まず避難指示されたところに戻ってもらおう、営農再開のための各種手だてが必要ですよ。ですから、今回の補正予算で営農再開支援のための二百三十二億円の予算を講じました。そして、新たな農業の希望の芽も出していかなければいけない。私は、その意味では、まだ、各地域で農業者、専業農家、本当にいろいろな取り組みをやっている。新しい芽が出ていますよ。そういう新しい芽に着目して、しっかりとした農業支援もしていく。今回、福島県全体に立地補助金も適用拡大しましたよね。

 ですから、具体的な政策手段をつくって、それをいかにして活用していくか、そこが私は復興加速策の肝だと思いますから、現状からいかにして加速をさせていくか、ここに精力を注いでいきたいと思います。

小熊委員 企業立地も、会津もそれは恩恵を受けていますし、全県的に認めていただいた。残念ながら、浜通りよりは中通り、会津にちょっと寄ってしまっているという部分もありますから、そこもしっかり今後対応していかなければならないというふうに思っています。

 人口流出に関しては、ぜひ、これまで積み上げてきた奥尻や山古志、全てが当てはまるわけではありませんけれども、ここでやれてよかったもの、また、ここで実は効果が上がらなかったもの、反省点も踏まえて、今後の対策に生かしていただきたいということを御指摘させていただきます。

 次に移ります。

 いわゆる中間貯蔵と最終処分場の問題に移りたいと思いますけれども、実は、この点について、まさに決める政治を実現していかなければ、特に、今触れていました福島県の人口流出の問題に関しても、最終的な決断を避難民もできないというところが背景にあります。

 これは、地元の町村長、また町や村の方々も、必ずふるさとを取り戻して帰るんだ、そう訴えておられます。一方で、丸二年経過して、さまざまな住民アンケートの結果を見ると、残念ながら、もう帰らない、除染の実態を見て判断をする、除染をしたとしても帰らない、本当にさまざまな住民の意思がまた変化をしています。

 これはやはり、その地域に中間貯蔵施設がどのようにできるのかによって帰る、帰らないを判断する方もいますし、あとは、除染をしたといったって、これは最大限の努力をしなければならないんですけれども、原発の廃炉が何年かかるのかわからない。除染は終わったとしても、目の前に、近くに収束していない原発があるというところに除染が終わったから帰れというのも、これは心理的には酷だなというふうに思うんですね。

 そういう意味では、今後、原発事故で残念ながら影響を受けた地域というのは、これはどのように政治が決断していくのかというのは、大きく、それぞれの被災者にとって、今後自分の人生を決定していくのに重要な事案でもあります。

 まず、これは総理にお伺いしますけれども、大前提として、安倍総理は、原発事故で影響を受けた地域、双葉郡を中心とするこの地域は、必ずきれいな国土、県土に戻して、そして、住民の皆さんに帰っていただくんだということが大前提であるという認識でよろしいか、お伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘になられた双葉郡について言えば、今、我々、除染について努力をしているわけでありまして、避難をされている方々の中にはもう帰るという意思を失っておられる方々もおられるわけでありますが、しかし、同時に、やはり帰りたいという方々がおられるわけであります。その中で、我々が最大限の努力を積み重ねていくということは当然のことだろう、このように思っております。

小熊委員 そうすると、間、これは最大公約数をとれないんですよね、もう帰らないという人と帰るという人。住民の合意を形成していきますといっても、これはどこまでいっても交わらない意見なんですけれども、今の総理の見解でいうと、帰らないという人よりは帰るという人を重視して、これから最大限の努力をしていくということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 もう既に相当避難が長引いていますから、みずから選んで新たな生活を進めておられる方々もおられます。同時に、やはり、新しい生活をスタートしようという方々の中にも、もうこれは帰れないんだから、それを前提に国は考えてもらいたいというところもあることも承知をしております。

 その中において、現在の段階においては帰りたいという方々がおられるわけでありますから、この方々の意向に応えるために、当然努力を重ねていくべきだろう、このように思っております。

小熊委員 そうすると、これは補償の問題、賠償の問題にかかわってくるんですけれども、一定程度して、除染もして、ここは大丈夫だから帰ってくださいと。だけれども、もうそこに帰りたくないという人のものは、その所有者に戻すわけです。でもその本人は、もう帰らないんだから使わないんですね。では、それを不動産屋さんを通して売っていくとなったときに、これは現実、なかなか売れないですね。

 さらには、今、警戒区域が解かれた町や村でも悩んでいますけれども、多くの村民、町民が帰ってきていないというのも、今、もう警戒を解かれた区域の地域では起きているのが現実ですよ。そうすると、そうした、町がすかすか、村がすかすかの状態で、町長さん、村長さんたちに行政運営してくださいといっても、効率化も図られない、なかなか予算も大変だという状況になってくるわけですよ。

 それも想定して、例えば、ある町の人口が戻ったのが三割、四割だとしても、しっかりそれを支えていくということも想定しているということでしょうか。復興大臣でもいいですよ。

根本国務大臣 例えば、まず一つは賠償がありますね。賠償については、帰還、避難準備解除区域、要は三つの区域の見直しをしました、それに応じた賠償は、今これからどんどん進んでまいります。

 それから、一方で、それは人それぞれの判断がありますよ。戻ろうとする方、あるいは戻らないでとどまろうとする方、それぞれに私は支援が必要なんだろうと思います。特に、今、すかすかだという話がありましたけれども、だから我々は、今回、帰還支援、加速のための予算を講じたわけですね。帰ろうと思ったら介護施設が足りない、では介護施設のそこは応援しましょうね、あるいは商店の再開にも支援する、こういう予算を用意しましたよ。

 大事なのは、それぞれの地域が判断できるようにする、それぞれの地域が、国が後押しをすることによって帰還できるような環境を整備していく、それが私は今求められていることだと思います。

小熊委員 帰還の中には時間軸も大事だと大臣も常に言っておられますけれども、確かにそうですよ。人それぞれ時間の感じ方というのは違う部分はありますが、とりわけ、働き盛り、子供を抱えた親御さんたち、一年、二年というのは、やはりこれは重いですよね、待つといっても。これは早く決定をしていかなければいけないというふうに思います。

 具体的に、何年待たなきゃいけないんですか、帰るまで。それはなるべく早く帰しますという答弁になるんでしょうけれども、これから三年だって大変ですよ。今、二年間たったってもう大変なんですもの。あと一年、二年待ってくれといっても、それだったらもう帰りませんという人もふえてくると思いますよ、避難先で根っこを張っちゃって。

 やはり、これは拙速な対策はよろしくないんですけれども、でも、うまくやって遅くやっても、それもよろしくない。だったら、三十点、四十点でも、早く決断をしてもらえるような政策を打っていった方がいいというふうに、私は時間というものが大事だというふうに思いますから。

 これは大臣の中では、帰還に関して、帰還困難区域、何年と示されてはいますけれども、五年、ちょっと大きいですよね。それについて見解、どうですか。

根本国務大臣 一番大事なのは、どうするかですから。ですから、区域見直しを我々早急にしようということで、区域見直しを今精力的に進めているんですね。それで、区域見直しの結果、帰還できる地域と、例えば五年、居住制限がかかる地域と、それ以上の帰還困難地域、これをお示ししているところであります。

 そして、その区域見直しが大事なので、区域見直しをした上で、今回、帰還、定住促進プログラムをつくりました。これは除染から公共インフラの再開から、実は、帰還できる地域、これももう川内村は帰還宣言しましたよ。帰還できる地域については、例えば来年何月に帰還しますよ、こういう宣言をする市町村も出てまいります。

 大事なのは、例えばそういう宣言を待たずに、今からもう既に、帰還、定住促進プログラムについて、公共インフラの整備や、あるいは生活、産業、さまざまな施策がありますが、それを前倒し、前倒しで今やっていきたいと思っておりますので、そういう地域づくりをすることによって、それぞれの住民の皆さんが希望を持って戻れるように、あるいは、それぞれの選択に資するように、そこはさまざまな再建加速策を講じていきたいと思います。

小熊委員 その後の除染がしっかり進まなければならないんですけれども、今、一時保管も決まらずに、仮置き場の仮置き場みたいなことになっちゃっているわけですよ。

 中間貯蔵に関しては、これはしっかりタイムスケジュールも示されて、そのとおり、今努力をしているところではありますけれども、一方で、最終処分場が全然進んでいないんですね。御承知のとおり、県内におきましては、この中間貯蔵が最終処分場になってしまうのではないかという懸念をしているのも事実です。

 この最終処分場の決定に関して、取り組みに関して、大臣にお伺いをいたします。

石原国務大臣 委員が御指摘になりました最終処分場というのは、これは中間貯蔵施設に、まだ中間貯蔵施設もできていませんけれども、そこに貯蔵したものを持っていく先でございますので、これは非常に重要な問題だと政府全体で認識をしております。

 そのために、まずは何をやるか。物は一遍に全て解決するということは、これは迷惑施設ですから、なかなか難しいと思います。やっと中間貯蔵施設、昨年の十一月に知事がお認めいただいて、調査ですよ、まだ建設じゃありません、調査をやっていいと。そして、調査の会社も決まって、調査が始まっている段階でございます。

 この中間貯蔵施設、そして調査が決まって、そこでやりたいということが決まったとしても、そこには地権者がいらっしゃいますから、その方の理解を得ない限り、土地を売ってくださらない限りは、そこに中間貯蔵施設ができません。ですから、やはり地元の皆さん方の御理解を得られるような形で、幅広い意見を聞きながら、最終処分場というものも民主党政権の時代にも何カ所か候補があったということも承知しておりますが、私どももじっくりとこの問題に取り組ませていただきたい、こういうふうに考えております。

小熊委員 その当該地域が国有地であれば、地権者の同意は要らないわけですけれども、周辺住民の御理解という言葉が、合意という言葉がありましたけれども、これは何か定量的な指標というのはあるんですか。住民合意、住民の理解というものに定量的なものはありますか。

石原国務大臣 中間貯蔵施設においては、もう候補地が三つの町に、前政権下でそこを調査してみようということになりまして、まだ一つ、選挙が終わったばかりで御理解を得ていないところもありますけれども、調査して決めていきます。

 そのとき何を実際の物差しにするかということは、中間貯蔵施設についても物差しは決まっておりませんし、ましてや最終処分場、先ほどお話をさせていただきましたように、中間貯蔵したものを運ぶわけでございますから、運搬方法の安全性というものもまだ全く確立されておりません。もちろん研究はさせていただいています。

 こういうものの積み重ねの中で、今お話のありましたことは決まってくるものだと承知しております。

小熊委員 全然その基準値内の福島県外の瓦れきも、東京都や大阪市や北九州は受け入れた、ほかの自治体ではなかなか、そういったものでも受け入れないという。こうした住民の感情を考えると、最終処分場の建設というものは、これはなかなか、その住民の理解というのは到底得られないようなものであるというふうに、残念ながら、私は感じています。

 しかしながら、そこでも、決められる政治をどのように実現するかという意味では、総理、住民の合意が前提ではあるんですけれども、これはどこまでいっても反対者は必ず出ますよ。アメリカの、これは事故による放射性廃棄物ではなくて、アメリカも最終処分場をネバダにつくるといって、一九八〇年代に決めたものが、二〇一一年に、訴訟も多い、反対者も多いということで、オバマ大統領が白紙撤回しているぐらいですから。

 これは住民の理解が前提ということであれば、私は、結局は、最終処分場というのはずっとつくられない、どこにも決めることができない。そして、中間貯蔵施設が、三十年というめどではなくて、四十年も五十年もずっと続いていってしまう。そして、その間に、セシウムであれば半減期を迎えて影響が出なくなる、そんなふうになってしまうんじゃないかということを推測しています。

 やはり最終処分場の決定に関しては、中間貯蔵の三十年間の中でということではなくて、これは福島県の多くの方が言っていますけれども、最終処分場が決まらなければ中間貯蔵もつくれない。でも、そんなことをやっていれば、仮置き場の仮置き場、そうしたことがいっぱいできてしまっていって、かえって危険でもあるということですから、私は、早急に中間貯蔵はつくるべきだというふうに思いますし、あわせて、最終処分場の決定もイコールでやっていかなければ、これは結局、だまし討ちではないですけれども、先送りで、福島県民の皆さんの心を傷つけることになると思います。

 この最終処分の決定に関して、ある程度の時期的なもの、総理、明示できますか。

石原国務大臣 先ほども御答弁させていただいたんですけれども、今委員もおっしゃられましたが、ともかく中間貯蔵施設をつくって、野に置かれているもの、あるいは軒先に置かれているもの、これをしっかりと中間貯蔵施設に運ぶ。

 それとあわせて、そのまま埋めるのであるならば量はかさみますけれども、いわゆる減容化、物を焼いたり、今新しい技術ができております。そういうものの開発や、先ほど運搬についても若干お話をさせていただきましたけれども、これをどういうふうにやるか。もちろん、最終処分場がどこになるのか、海に近いところなのか山の中なのか、それによって運搬方法というものが変わってくるわけですけれども、最終処分のあり方がどうあるべきかということを今検討させていただいているという段階でございます。

小熊委員 中間貯蔵ができれば、福島県内の除染された廃棄物はそこに集められますけれども、他県のものは結局仮置き場になっているわけですよ、栃木や茨城や、ほかの県のものは。そうですよね、そこのものは福島県の中間貯蔵に持ってくるわけじゃないんですから。

石原国務大臣 ただいまの話は、指定廃棄物、すなわち、放射能の汚染度が福島県に現在しているものよりも低いものの処分についてというお話でございますならば、今、この件につきましても、担当する県につきまして御相談をさせていただいて、各県の中で処理できる方法はないか、これもいろいろないきさつがございまして、地元の皆様方の大きな反発を買った現状で私どもは政権を交代いたしましたので、もう一度、スタートに戻って今取り組ませていただいていると御理解をいただきたいと思います。

小熊委員 そういった中では、これこそまさに住民の最大公約数はとれない、こういう分野だと私は思っています。そういう中で、あくまでも総体的に住民の合意を得て決めますというのであれば、これは決まらない政策です、残念ながら。一部の反対者があったとしても、具体策を講じるためには決断と英断が必要だというふうに思う政策です。決して百点のとれる政策ではありません。これが決まらなければ、その地域に帰るか帰らないかということも判断できないというのが今の現状でもあるというふうに思います。

 そういう意味では、時間を無駄に使うわけにはいかないんです。早い決定で、その地域に何が起きるのか、何が建設されるのか、どういうふうになっていくのか、そしてその補償をどうするのかというのを一日も早く決定して、しっかりとそれを進めていくということが、これが本当の決められる政治だというふうに思っています。

 中間貯蔵施設、最終処分場の決定というのは、大変重いです。住民の合意は、絶対的に、一〇〇%の合意は得られません。そういう中でも、総理のリーダーシップのもとに、ここはどう決めていくのか、そしてそれは時間をかけないで決めていくということを、しっかりとやっていくということを、総理、しっかりと取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、質問を終了させていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

山本委員長 この際、足立康史君から関連質疑の申し出があります。小熊君の持ち時間の範囲内でこれを許します。足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 ただいま質問させていただいた我が党の福島出身の小熊慎司議員、私は大阪の出身でございますが、今こうして政治を志すまでは、二十年余りにわたって、まさに原発を所掌している経済産業省に勤務をしておりました。こうした立場から、今回の東日本大震災と、この震災に伴い発災した福島第一原発事故、本当に痛恨のきわみでございます。

 私は、この東北の復興、福島の再生が成るまでは、福島、東北へのコミットメントを絶対に失わない、こうした決意で今政治に取り組んでいるところでございます。

 さて、冒頭、私は総理に、東北の復興、福島の再生への決意をお伺いいたしたいと思っておりましたが、今、福島出身の小熊議員への御答弁を伺っておりまして、同じ内容を繰り返してもせんないかなというふうに思いまして、そこは割愛をいたします。

 かわりに、これは通告にございませんが、一政治家あるいは一国民として、御存じであればちょっとお伺いしたいのが、今回の原発事故でよく国民の皆様にも知られるところとなった原子力発電の実態でございますが、原子力発電所には使用済みの核燃料が蓄えられております。全国の原発に蓄えられておりますが、御承知のとおり、天井近くに、非常に堅牢とは言いがたい形で蓄えられております。これはなぜ天井近くにあるか御存じですか。総理、もし御存じであれば。もし御存じなければ結構です。

 では、御存じないということですから、通告もございませんでしたので、私から御紹介しますが、あの使用済み燃料が天井近くに危うい形で置いてある理由は、仮置き場だからなんですね。本来、使用済み燃料は、中間貯蔵し、最終処分をしていく。今、さまざまなサイクルの事業も進んでおりますけれども、各原子力発電所に蓄えられている使用済み燃料、天井近くに置いてあるのは、仮置き場。この仮置き場の状態が全国で今なお続いている、これが今の日本の原子力発電の現状である、こう指摘を申し上げたいと思います。

 パネルを一つお見せしますが、これはもう皆様もよく御承知の、避難指示区域の見直し、最新のものでございます。先般の見直しで、この赤い地域が帰還困難区域でございます。事故後六年が経過しても、被曝線量である年間二十ミリシーベルトを下らない。年間二十ミリシーベルトを下らない、下回らないというのは、つまり、この黄色い地域、居住制限区域に相当する線量が依然として続くということを意味します。つまり、事故後六年たっても、初めてこの赤い色が黄色い色に変わるだけである。

 そういうようにして時間が経過をしていく中で、この第一原発周辺にお住まいであった方々が、ふるさとで子供を育んで、また、お孫さんを見守る、そうした当たり前の生活を回復できるかどうか。小熊議員が先ほど再三質問を申し上げたように、この点について不安をお持ちであることは、私はいたし方のないことであると考えております。

 地元の首長さんの御意見を賜っても、地域の具体的な将来像を決める責任は国にある、これが地域の声でございます。

 小熊議員が申し上げた決める政治、私も同感でございます。この地域には将来にわたって住まないことも含めて、地域の将来を決断することが地域の首長さんにはできない、国の責任であり総理の責任であると私は考えますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほども根本大臣からお答えをさせていただきました。今回は避難区域を見直ししていくという判断をいたしました。

 そこで、住民の方々にとって、いつ帰れるのか、これは大変な不安なんだろう、このように思います。区域見直しの結果、帰還困難区域のように、事故後六年を経ても放射線量の関係で帰還が難しい区域はございます。そうした区域を中心に、将来どうなるのか、そういう不安が広がっているのも事実でございます。帰りたいと考えておられる方々もおられますし、また、もう帰れない、またそれ以前に、もうそういう帰ろうという考え方は捨てて、新しい生活を求めておられる方々もおられるわけでございます。

 難しいのは、これは政治の判断として、確かに、先ほど小熊委員も指摘をしておられたように、政治の場において判断をすればみんなが拍手喝采をしていただく、こういう政策というのは必ずしもそれが全ての政策ではないわけでありまして、逆に、その判断において、半分、あるいはもしかしたら半分以上が何でそんなことを決めたんだという決断も、我々の責任、政治の場において責任を持つ立場にある者にとっては、そういう苦渋の判断もしなければならないわけでありますが、そこは将来を見据える中においてしっかりと判断をしていきたい、このように思います。

 同時に、やはりこれには時間も必要であります。基本的には、先ほどの小熊委員とも足立委員とも問題意識は同じでありますが、そこは、地域の方々にとっても、やはり時間というものも必要でありますが、同時に、もっと早くしてくれという人たちのお考えもあるのも重々承知をしております。

 しかし、その中において、しっかりと、戻りたいという方々がいる中において、我々は、まずはその方々の要望に応えるべく努力を進めていく。しかし同時に、それだけでいいのかどうかという問題意識は持ちながら判断をしていきたい、このように思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 一方で、先般、石原環境大臣がこの帰還をめぐって御発言をされておられます。

 いわゆる土壌汚染、汚染された土壌などの廃棄物、放射性廃棄物について、その中間貯蔵施設をめぐって、帰還できなくなる住民が出ることについて、いたし方ないと。マスコミからさまざまに問われ、施設の上に住居があれば住めなくなるのは、物理的な問題として、一般論として当然だ、こういう御発言がありましたが、大臣の真意を改めてお聞かせください。

石原国務大臣 ただいま総理あるいは復興大臣からお話がありましたとおり、帰りたい、絶対帰りたいという方もいらっしゃいます。その一方で、どんなに除染をしても、もう私は帰りたくない、いろいろな方がいらっしゃるんだと思います。

 私が申し上げましたのは、中間貯蔵施設は絶対につくらなければならない、かたい信念を持っております。そして、そのためには御地元の方々の御理解を得なければなりません。御理解を得た後に、中間貯蔵施設ができますと、そこで居住をしていた方は戻れない。そのようなことも今まで誰も言っていなかったというようなことで御批判を受けたんだと思いますけれども、そういう皆様方に対しては、適切な補償によりまして地権者の方々から買わせていただくこととしておりまして、その結果として、お売りいただいた土地はその方のものではなくなる、こういうことをお話しさせていただいたことが真意でございます。

足立委員 私は、最初、この石原環境大臣の御発言を報道で知りまして、現在の政府・与党も、きょう私どもが申し上げているような観点から、これまでにない新しい東北、福島の具体的な将来像について踏み込んだ御発言をされていかれるのかなと、ある意味での期待を持ったわけでございますが、今もおっしゃられたように、その実態は、物理的な建物があるところには住めないだろう、こういう当たり前のこと、一般的なこと、こういうことでございます。残念ですが、現状ではいたし方ないということでありましょう。

 次に、復興予算についてお伺いをします。

 私は、除染の見通し等の現状について、国民の皆様に本当のことをお伝えしていくことが一番大事なことである、復興の大前提であると思っておりますが、本当のことを伝えなければいけないのは現状だけではありません。復興予算、政策についても、私は壮大なフィクションが存在をしていると考えております。

 このパネルには、復興庁の二十五年度予算案が書いてございますが、この金額と、それから一括計上の仕組みの趣旨も含めて、復興大臣、改めて御説明をお願いします。簡潔にお願いします。

根本国務大臣 御指摘の平成二十五年度復興関連予算案、これにつきましては、復興交付金など、被災地のニーズを把握しながら復興庁が直接執行する予算約六千億円のほか、復興庁が一括計上している予算、これが、この表のとおり約二兆二千億円あります。

 この一括計上予算、お尋ねがございました。

 一括計上予算については、まず、復興庁は、被災地からの要望を踏まえて、必要な予算を一括して要求、確保します。そして、事業箇所ごとの事業の実質的内容、これを決定して各府省に通知します。各府省は、それに基づいて契約、公示などを行う仕組みになっております。要は、復興庁が予算の配分を通じて事業の実質的内容を決定する、こういう仕掛けにしております。

足立委員 今大臣から御紹介があったように、実際に復興庁が独自の予算として執行しているのは、この青い部分、六千七百四十八億円でございます。一方、この一括計上というのは、復興庁が仕切っているけれども、実際の事業実施は国土交通省や農水省、そうした事業官庁が担当するという仕組みでございます。

 皆様にお配りをしているこのA4の縦の紙、これが、今復興大臣から御紹介があった、復興庁が道路の箇所づけを決めて、それを国土交通大臣に通知をするという、この一括計上の仕組みの具体的な事例でございます。

 この箇所づけを決めるというのがいかに大変な作業であるか、私も役所におりましたので、わかっております。そのために国土交通省がどれだけの官僚を動かしているか。

 一方で、復興庁の本庁におられる人員、数百人いらっしゃるのかわかりませんが、その中でインフラを担当している職員の数は、私が事前に復興庁にお聞きをしたところ、六名であると。この六名で箇所づけを実施できるのでしょうか。復興大臣の御認識をお伺いします。

根本国務大臣 復興庁の権限として、先ほど申し上げましたように、事業箇所ごとの事業の実質的内容を決定して、決定したものを各府省に通知しているんですね。

 私は、この仕組みが、復興庁が予算の配分を通じて事業の実質的内容を決定するという、ここが必要だと思っていますが、要は、それは実際に我々の職員が中身を精査して決めて、そして決まったものを各府省庁に渡すということでやっていますから、委員がおっしゃられた、これが形だけではないかというような趣旨のことをおっしゃられましたけれども、実質的に我々が精査してやっております。

足立委員 今お示しをしているこの紙は、復興大臣から国土交通大臣宛ての通知書でございます。「東日本大震災からの復興に関する事業についての「実施に関する計画」の通知について」ということで、大臣間で通知をしている。「別添のとおり、その「実施に関する計画」を通知します。」別添、一般国道四十五号幾ら幾ら、一般国道百六号幾ら、この事業費についても千円単位まで書かれております。

 私は、こんな通知を大臣間で出している暇があったら、本当に意味のある仕事をした方がいい、こんな壮大なフィクションは即刻やめた方がいい。これが私たちの、この復興予算についての一つの指摘であります。

 そもそも、この一括計上という仕組みは、私たち、この復興庁が創設をされる当時に、政府の中で大議論がありました。

 例えば、当時まだ国政政党ではなかった大阪維新の会、あるいはみんなの党、こうした政治グループは、道州制の先駆けとして、いわゆる三ゲン、権限と財源と人間を東北に委ねて、地域のことはもう地域でやってもらおうじゃないか、そのために人材を復興庁に、東北に置く復興庁に全ての資源を集めて復興に力を尽くしていくべきだという大復興庁構想というのがありました。

 一方で、縦割りの官庁は、そんなものができたらたまらぬ、徹底的にその議論を封印する努力をされたわけでございまして、この一括計上という仕組みは、そのために生み出された本邦初公開、史上初めての仕組みでございます。このために特別の法令規定を、当然、予算の仕組みですから財務省だと思いますが、既存省庁の既得権を守るためにつくり上げた、壮大なるフィクションを支える仕組みがこの一括計上の仕組みでございます。

 財務大臣、御認識をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは、復興庁において、被災地の要望に応えて、復興事業に必要な予算を一括してというお話を受けて確保することになったという、もともとの背景はそれだったと記憶をしております。

 したがって、復興庁の一括計上の仕組みというのは、被災地に寄り添うような形で、各府省庁にまたがっている復興予算というものを総括管理するとともに、被災地の要望というものに応えて、きめ細やかな復興施策を推進することにつながっていくんだというように、私どもはそう理解をいたしております。

 したがって、人数等々、建設省の役人より現場の県庁の役人の方がもっと知っているかもしれませんし、そのまた先の市役所の職員の方がもっとよく知っているかもしれませんとは思いますが、いずれにしても、本年の二月一日に福島に復興再生総局を立ち上げ、いわゆる福島と東京の二つの本社体制というものにしたところであって、今後とも、現場主義と司令塔というものの機能を発揮していかなければならぬものだと考えております。

足立委員 少し通告と順番を変えて、今、財務大臣からの御説明で福島再生総局の話が出ましたので、一点、除染の仕組みについて、一言だけ確認をさせていただきます。

 この除染推進パッケージと申しますのは、昨年の十月、政権交代前でございますが、除染を推進するための政策パッケージとして示されたものでございますが、この一番左上に「福島環境再生事務所への権限委譲」というのがございます。この権限委譲の内容について、環境大臣に御説明をいただきたいと存じます。

石原国務大臣 ちょっと、私がやった話ではないので、説明調になってしまうのはお許しいただきたいと思います。

 福島県における除染については、国が県の基金に対して拠出をして、そして市町村は、環境省が定めたガイドライン、これは私、地元からいろいろな意見を聞いているので、直すところがあれば直せばいいんじゃないかということも言っております。

 そして、前政権の時代の昨年の夏ごろまで、その運用に当たっては、市町村から、QアンドAという形になっている部分が多いんですけれども、このガイドラインのとおりこうやっているんですけれども、これでよろしいですかねというようなことを照会があった場合、それまでは環境省、すなわち霞が関において判断をして、今の御質問にあったものはちょっと違いますね、いや、この範囲であったら、このガイドラインに沿っているものですねというような御回答を返していたと聞かせていただいております。

 そこで、そうはやっても、それではレスポンスが悪いじゃないかというような御指摘がございまして、前政権下でも、その運用部分でこのガイドラインをいろいろ改めてきた。

 そして、政権交代いたしまして、今度はもう二社体制、財務大臣から御答弁がありましたとおり、そこで全てを判断して、そこで今言ったようなことに対応するように、また、先ほどお話をさせていただきましたとおり、ガイドラインも、使い勝手が悪いという地域からの声が上がれば、それに沿って見直しをするように指示を出しているところでございます。

足立委員 今、環境大臣から御紹介があったように、これは自公政権の責任ではありませんが、今おっしゃられた内容は、QアンドAをつくった、QアンドAを改定した、わかりやすい説明書をつくった、以上です。こういうものは、普通は、私たちの常識では、行政サービスの改善にすぎない。これを、一番左上の一丁目一番地に、あたかも現地に権限委譲したかのように示しているのは、まさに、きょう私が再三御指摘申し上げている、カモフラージュというか壮大なるフィクションの一つかなと思います。環境大臣には、ぜひこの事実を改めて御認識いただいて、是正をお願いしたいと存じます。

 もう時間がございませんので、最後のテーマに参ります。

 先ほど、復興予算について御説明をしました。二月の財政演説に対する松野頼久幹事長の代表質問でも、補正予算について、次年度繰り越しを前提とした補正予算は粉飾予算であると喝破をいたしました。この補正予算、私の地元の大阪でも、ある交付金のひどい使われ方が話題になっております。

 先ほどの予算のパネルにもございますが、循環型社会形成推進交付金、いわゆるごみ処理施設の整備にかかわる交付金でございます。瓦れきの広域処理を推進するに当たって、本来市町村が負担すべき費用を全額、震災復興特別交付税で面倒を見るという制度でございます。

 私が問題にいたしたいのは、瓦れきの受け入れを表明していない自治体にも整備費の全額が交付されていることでございます。この事実について、環境大臣の御認識を問います。

石原国務大臣 これも、申しわけございません、調べてきたことでちょっと説明調に……(足立委員「簡潔で結構です」と呼ぶ)大阪のことだけにしますか、全体も。では簡単に。

 今御指摘の点は、当時、与野党関係なくその推進に向けて可能な限り努力をしていこうよということで合意をして、そういうようなことになったと承知しております。

 このような中で、今、委員御指摘のとおり、広域処理に御協力をいただける自治体に対しては、新たに整備予定の施設で受け入れる場合、すなわち、そこで瓦れきを引き受けてくれる場合には施設整備費を支援し、既存の施設で受け入れる場合には減価償却分を支援するというスキームであります。

 そして、委員が御指摘されたような、大阪市については、既存施設で受け入れていただいたので、減価償却分をもう既に支援させていただいた。

 そしてもう一つ、大阪の大きな町であります堺市については、新たに整備予定の施設で協力しますよというお話があったもので、その整備費を支援した。しかし、広域処理を必要とする瓦れきの量が減った。これは今、宮城でも、鹿児島県の方で受け入れると言っていましたけれども、もう全部処理できるからといってとまっているようなことがやはりあるわけなんですけれども、昨年の八月、環境省として受け入れ自治体を絞り込み、結果として堺市は現実には受け入れなかった、こういう事案だと思っております。

足立委員 全て民主党政権の時代ということでございますが、この制度は、ごみ処理施設を整備中のケースであれば、受け入れを検討しているだけで、検討と言えば全額裏負担を国が面倒を見る。それに対して、既に施設があるところについては、受け入れた場合のみ、それも減価償却費の瓦れき処理案分分、一部ですね、これだけを面倒見るという、もともと制度としては非常に不公平な、おかしな制度でございます。

 この補助金、多くの補助金を受け取っている市町村の一つであります大阪の堺市、竹山市長は、この交付金を返還しないのかというマスコミの問いに対して、いただけるものを断ったら市民に損失を与える、ありがたくいただきたい、こういう報道が三月二日付の毎日新聞で報じられております。

 私は、このお金は、国民の血税、復興増税、国民の気持ちが形になったものでありますので、こうした堺市の竹山市長の、ありがたくいただきたいというこの御発言についてはいかがなものかと思っておりますが、環境大臣の御認識をお伺いします。竹山市長の発言についての感想をお述べください。

石原国務大臣 ちょっと申しわけないのですけれども、具体的に堺市長がどういうふうに言われたかというのは知らないんです。申しわけございません。

 それで、調べてきました。きょうの朝もテレビでやっていたということで調べてきていたんですが、やはり、当時の状況を思い出しますと、これは与野党関係なく、日本全国で引き受けようよ、そういうものを後押ししていこうよという機運があったことは私も覚えております。そして、手を挙げづらい状況の中で検討をいただいたから、では、検討してくれたところも一部払おうということがなされたのではないか、それに対して堺市長がこういう発言をされたと。

 それに対してどう考えるかということは、今テレビを見ていらっしゃる国民の方々が判断する話だと思っております。

足立委員 最後に一言だけ申し上げます。

 今申し上げましたように、権限、そして予算、また福島の現状について、私はまだ大きなフィクションがあると思っております。震災、そして原発事故については、我々政治家が正面から向き合い、その真実を国民の皆様にお伝えをする、真摯に、我々が今認識をしている現状、そして将来に対するその政策の中身を正直に伝えていく中でしか真の復興は始まらない、こうした思いを申し述べて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山本委員長 この際、西田譲君から関連質疑の申し出があります。小熊君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西田譲君。

西田委員 日本維新の会の西田譲です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 福島県の復興問題について、まさしくこの日本再生、日本の立て直しに全力で取り組んでいらっしゃる、今日最高の安倍総理、そしてさらには卓越した閣僚の方々と、今国会、この予算委員会の場で討議をさせていただき、さらには熟慮を深めさせていただくことを、この上なく光栄に存じます。

 私たち日本維新の会は、言葉だけでの復興加速では意味がないと考えております。日本維新の会では、復興を阻害する弊害の除去こそ急がなくてはならない、このような観点から本日の質問をさせていただきたいと思っております。

 さて、三・一一から丸二年、しかし、この一年九カ月の間、必ずしも適切な方向での福島県の再建ではなかったと存じます。そう断じるのは決して私だけではなく、全国の国民の多くも一致した見解かと思います。

 とりわけ、福島県の方々が安倍自民党政権、いや、安倍総理に熱く期待しているのは、法的正義と科学に照らして、これまでの政策を正し、そして政治を王道に取り戻すべくコペルニクス的大転換をする、まさにこのことへの期待であって、これまでの間違ったやり方を自民党がそのまま無批判に継続することではないことは言うまでもないと思います。

 翻って、三・一一とは、福島第一原発、この四基の原子炉からではなく、建屋の爆発から微量なセシウムが飛散した事故の発生でもありました。そして、福島県民のうち約十万人が、二〇一一年四月二十一日より、セシウムの放射線被曝を回避するとの名目で強制的に避難させられるという、この戦後日本において前例のない、まさしく憲法第二十二条第一項に違背する居住権の禁止、さらには故郷選択の自由の簒奪が政府の手によって公然と行われました。

 憲法に違背するこの人権侵害やりたい放題の前代未聞の行政は今なお続いているわけでありますが、それは、国民の安全を守り、国民の健康を守るとの名目で当時より進められてきた政策であります。これらについては、当時から、放射線医学の多くの専門家の先生方が、医学無視の暴挙だ、さらには反科学の人権侵害だと激しく非難し、反対したものでもありました。

 さて、総理、原子力災害対策本部長であります安倍総理にもお伺いさせていただきたいと思います。

 福島第一原子炉の建屋から広範に飛散したのはセシウムのみでありまして、ストロンチウムもプルトニウムも広範に飛散してはおりません。しかも、そのセシウムの線量は微量でございます。つまり、個人の外部被曝線量は年間累積ではわずか数ミリシーベルトでございます。

 しかし、これまで進められてきた政策を振り返りますと、あたかも日本経済の発展を阻害すべく、反原発を宣伝する手段として、反医学的な福島セシウム避難を考案し、そして実行したもののように思われます。このような前政権のやり方を安倍自民党内閣が継承する合理的な理由は一切ないと考えます。

 原子力災害対策本部長として、安倍総理は、避難の全面解除を行う行政命令を直ちに決断され、直ちにそう下達するべきであると考えます。医学や科学に反する以上、災害対策基本法にのっとれば、憲法違反の人権侵害行為を即時中止するのが正しい行政のありようだと思います。異論の余地はないと考えますが、避難解除の命令を決断されるか否か、総理にお伺いさせていただきたいと思います。

石原国務大臣 私も帰還困難区域に行ってまいりました。そこを歩きまして、累積の線量計の一年間に対する被曝量を計算いたしましたら、そこを歩いただけでございますけれども、年間二十ミリシーベルトを超えてしまう。現にやはり、そういう高放射能で汚染をされた地域はございます。そこの皆さん方に帰っていいということは、現政権でも言えないのではないかと思っております。

西田委員 本日お配りさせていただいている資料の一つでございます。

 低線量セシウムは人体に全く無害でございます。そのベータ線は皮膚で遮断されておりますので、外部被曝の問題にはなりません。また、内部被曝は生物学的な半減期が短く、結果、ほとんど短時日に消えてしまいますし、あわせて、汗や尿でも排出されます。

 総理にお尋ねしたんですが、石原大臣にお答えをいただきました。そこで、石原大臣に続いてお尋ねをさせていただきたいと思うのでございますが、先ほども問題になりました除染の問題でございます。

 汚染放射性物質がセシウムしかないこの福島県で、なぜ除染が必要だと考えていらっしゃるのでしょうか。さらに、あわせて、この除染を、住民ではなくて、住民を排除して民間業者に委託する。これも何らかの政治的意図から採用したとんでもないやり方だと思うのでございますが、この点に関して、大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。

石原国務大臣 確かに、政権交代したから、いろいろな政策において政策を変更するということはあるんだと思うんですが、除染について言いますと、現に、除染を行ったところの線量というものは下がるわけであります。

 これに対していろいろな意見が県内でも出てきていることは、委員の御指摘のとおり、あると思います。費用対効果を考えてやった方がいいよ、あるいは、もっと、一ミリシーベルトまで全部やってくれ、いや、そんなところはもう戻らないという人がいるんだから、やる必要ないよ。いろいろな意見があるんですが、やはり、安倍政権としても、帰還したいという方がいらっしゃる限りは除染を進めていく。これは、線量が下がるということにおいて効果がある、私も現地を見させていただいた感覚からして、効果があると思います。

 ただし、高線量のところはこれからモデル事業として行わせていただきますけれども、予断は許しませんが、どの程度、高線量地域というのは先ほどお話をさせていただいた五十ミリシーベルト以上の地域でございますけれども、そこがどういう結果になるかということはしっかり見て、どういう方法がいいのか、これからしっかり検討していきたいと考えております。

西田委員 御答弁ありがとうございました。

 原爆の廃墟となった広島、長崎、そこの放射能で汚染された瓦れきを片づけたのは、住民ではなく、他の民間業者だったのでしょうか。生き残った住民たちこそ、強い意思で日夜営々と復興の努力をしたからこそ、迅速な復興ができたのではないでしょうか。迅速で的確な除染を妨害し、そして福島復興をおくらせている民間業者による除染こそ即時中断すべきと考えます。

 石原大臣、一点、御指摘をさせてください。

 例えば農地についてでございます。農地についても持ち主以外に除染させることが正しい、これは一〇〇%私は間違っていると思っております。理由は二つございます。

 第一は、民間業者、これは、表土を五センチ剥がした後、赤土を入れたり、もしくは中には砂利を敷いたり、科学的に不必要な除染作業をこのような異常な方策で行っております。

 第二の理由を申し上げます。

 ここに、フリップにございますとおり、セシウムは土との親和性が非常に高い性質を持っております。植物の根に吸い上げられない特性があります。フリップにありますとおり、土壌を一としますと、最終的に白米に含まれるセシウム濃度は〇・〇〇一でございます。千分の一になるわけでございます。

 結果、民間業者がこのように除染をすることによって、田畑が破壊をされる。福島のレベルでは、このように、農作物にとっても、特に稲にとっては、セシウムの被害はほとんど考慮に入れる必要がないような状況になるわけでございます。

 もう一つ、石原大臣に御指摘をさせていただきたいと思います。

 三月四日の新聞の記事、「甲状腺被曝 百ミリシーベルト以下」「避難経路で差 百倍超」、これは環境省が行っていらっしゃる調査だと思います。

 この新聞記事を見る限りでは、前提が、非常に、あってはならない荒唐無稽な前提になっているように考えます。環境省では、この調査を行う際、福島県では赤ん坊は二十四時間、五十日間ずっと屋外にいる前提になった上でのデータの算出をされていらっしゃいます。全く荒唐無稽でばかげた仮定であると思いますし、このような不必要な沃素被曝の推定をしていらっしゃいます。

 これほどまでに反医学的で、非常識も限度を超える驚異のデータづくりだと思いますけれども、大臣として把握していらっしゃいますでしょうか。

石原国務大臣 二つの質問ですが、ちょっと整理をしてお話をさせていただきたいと思うんですけれども、民間の方にやらせたらいいというのは、国の直轄の除染地域では、これは不可能なんだと思うんです。それは、住民の方にも入ってはいけないという規制をかけている以上は、これを住民の方が戻ってやるということは不可能だと思います。

 そして、委員が御指摘されました二番目。私も現場を見てまいりましたけれども、セシウムでありますので、表土五センチぐらいの土を、上下を入れかえますと、植物がセシウムを吸収するということがないので、科学的にはそういうことで除染は終了する。そういう機械ももう開発されておりまして、それによってだあっと田畑の入れかえというのをやっているのを見てまいりました。

 そこで問題になっているのは、客土の問題なんですが、所有者に、こういうふうになりまして空中線量が下がりました、これでよろしいでしょうかという話をすると、中には、所有者の方で、いや、そんなことを言わないでもっといい土を入れてくれよと言って、いい土をそこに入れて、剥ぎ取った五センチぐらいの土を畑のすぐ横のところに山積みしているということもあることも事実だと思います。

 それは、今度、燃やす等々して減容化して、小さくして処分をしなければなりませんけれども、先ほど来、御同僚の委員の方々の議論の中にありましたとおり、中間貯蔵所がまだ決まっておりませんので、そのまま野積みになっているという現状があることも事実でございます。

 そして、三点目の御指摘でございますが、事故直後に放出されました沃素131、これは、委員の御指摘どおり、半減期が八日間でありますので大変短いものでございますが、仮定計算として、一番安心をしていただくために、これはあり得ないんですよ、委員がおっしゃるとおり、あり得ないんですけれども、そのとき子供さんが二十四時間表にいたとした仮定を置いてどうであるかという、あり得ないけれども、一番極限の環境であったならばどうかという試算の取りまとめ、シミュレーションモデルを使った推計を行ったということが記事になっているだけで、そのシミュレーションのモデルの結果が何を意味するかというところの分析まではまだ報告を受けておりませんので、受け次第、皆様方にも、もちろん財団の方でも発表されるものだと承知をしております。

西田委員 今、まさに、あり得ない前提でやっているのは、安心していただくためだというような御答弁をいただきました。

 しかし、実際、こうやって報道されておりますのは、あり得ない前提でやった結果、あり得ないほど高い数値になっていることが示されているわけでございます。以後、ぜひこれは注意をしていただきたいと思います。

 時間もありません。次に移らせていただきたいと思います。

 さて、続いて、原子力災害対策本部の原子力被災者生活支援チーム、これを事実上掌握していらっしゃる茂木経済産業大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 この原子力被災者生活支援チーム、まさに、先ほどの質問でも出ましたけれども、こういう警戒区域そして避難指示区域等の見直しをされていらっしゃるチームでもあるというふうに伺っていると思います。

 このチームが用いているデータ、つまり区域の見直しで用いているデータというのは、空間線量をベースにしたデータであるわけでございますね。つまり、どういうことかといいますと、空間線量ということは、十倍に、これは説によって分かれます、四倍と言う方もいらっしゃいますけれども、外部被曝線量に比べて四倍、十倍の数値になってしまうものでございます。恐らく、文科省の、セシウムの航空機での線量測定の結果の値だと思うのでございます。

 さて、この支援チーム、帰還困難区域であったり居住制限区域の設定をしているわけでございますけれども、ICRPの二十ミリシーベルトから百ミリシーベルト、これを根拠にしているというふうな説明を私は受けております。これは、前代未聞の真っ赤なうそではないかというふうに思っているわけでございます。

 このICRPの基準値、これは人体への外部被曝線量のことを取り上げているわけでございまして、空間線量ではないはずでございます。まさしくこのフリップ、そして資料でもお配りさせていただいておりますけれども、実際の外部被曝は、通常の空間線量の十分の一に換算をいたします。もっと低い換算係数、ここでは高田教授の四分の一を取り上げさせていただいております。

 さて、茂木経済産業大臣、この生活支援チームが四倍から十倍にでっち上げた数字で避難区域の見直し作業を行っていたことを果たして御存じでいらっしゃいましたでしょうか。

茂木国務大臣 でっち上げという言葉は、ちょっと私は過ぎているんじゃないかなと思います。

 委員も御案内のとおり、外部の被曝線量、それは人の行動パターンによってもそれぞれ違ってくるわけであります。そして、御案内のとおり、避難区域の見直し、これを行うまでは、住民は避難してその地域に居住をしていないわけでありますから、住民が実際にどれだけ被曝するか、この線量というのははかれないわけですよ。

 ですから、何かの値でそれを推計するしかないということで、空間線量、これをもとにしております。もちろん、低減係数は入れさせていただいて、科学的にやっております。そして、そこの中で、一般的に、一日のうち八時間屋外で生活をする、そして十六時間屋内にいる、こういう仮定などを行いまして、住民が避難区域に居住した場合の被曝線量を推計し、区域の見直し、これを進めているわけであります。

 この推計方法につきましては、おととし、二十三年の三月二十五日、当時の原子力安全委員会の助言に従ったものでありまして、科学的に妥当と考えております。

 なお、避難指示の解除に向けまして、三月七日の原災本部で復興大臣から規制委員長に要請があったとおり、解除後の線量の管理のあり方も含め、線量水準に応じたモニタリングであったりとか、除染、健康管理等、被曝低減措置の具体化について、関係省庁と協力し、検討することとしたいと思っております。

 なお、先ほど同僚の足立議員の方から、私のいないときに、どうして燃料棒のプールは高い位置にあるかという質問があったんですけれども、燃料棒の出し入れは下からできませんから、上からやりますから、どうしても原子炉よりも高い位置に燃料プールは置く、こういうことになっております。

西田委員 足立委員の質問にまで御答弁いただき、ありがとうございます。

 大臣、まさしくおっしゃったとおり、もう御承知であるということでございますけれども、空間線量を用いている。そしてまた、御答弁の中にもありましたとおり、この根拠を全て、当時、班目春樹氏が委員長でありました原子力安全委員会が決めたんだということ、つまり過去の組織が決めたんだということで、全てそこに帰着されているような印象を受けるわけでございます。

 さて、私自身、この空間線量、そして外部被曝の線量の違いをお知らせしているわけでございますけれども、大臣は、現実問題、それをはかることはできないというふうにおっしゃっておりますけれども、実際、ICRP等は、外部被曝線量で基準値を明確につくっているはずなんですね。しかし、それはできないというふうにおっしゃる。

 私自身、先ほど大臣の答弁にありましたとおり、原子力安全委員会がこう決めたからこうするのがいいという御判断をされるのではなくて、当時の判断は不適切な部分があったかもしれないので正しく直すんだ、こういった姿勢こそ、正しい行政の姿勢ではないかというふうに思うわけでございます。

 君子過てばすなわち改むでございますので、ぜひとも、この帰還困難区域そして居住制限区域といったものが、こういった空間線量という、国際基準とはまた違った、ある意味、大臣はでたらめは不適切だとおっしゃいましたけれども、でたらめな推定によって設定されたこういった区域を直ちに廃止して、福島の避難県民が全員直ちに帰宅、そして帰郷させる、これが科学的には唯一正しい行政であるというふうに思います。

 これに立ち戻るような大臣の御指示を、今の被災者支援チームに御指示いただけますでしょうか。御答弁をお願いします。

茂木国務大臣 我々としては、被災地の皆さんの一日も早い帰還、このために最大限努力をしていきたいと思っております。そこの中で、さまざまな基準につきましても、不断の見直しが必要だと思っております。

 ただ、その一方で、帰還を早めたい、そのために安全の基準を緩めることはできない、こういう方針で臨みたいと思います。

西田委員 その安全の基準こそがでたらめであると指摘をさせていただいているわけでございます。

 きょうは、下村文部科学大臣もお越しでございますので、文部大臣にお聞きさせていただきたいというふうに思います。

 文部科学省、まさしく放射線審議会を所管する官庁でもありますし、科学を担当する官庁でもございますけれども、この文部科学省が測定をした空間線量が、まさしく反医学、反科学でございますけれども、外部被曝線量として扱われることに対して、科学を担当する省庁の大臣としての御意見をお聞かせいただければと思います。

下村国務大臣 お答えいたします。

 文部科学省は、このことに関しては、全国及び福島第一原発周辺における環境放射線モニタリングを実施する役割を担いました。そして、文部科学省が実施した、サーベイメーターや航空機モニタリングによる空間線量率や、積算線量計による測定結果が、原子力災害対策本部における避難区域の設定の参考情報として使われているということを承知しております。

 原子力災害対策本部による避難区域の設定及び同区域の見直しに当たっては、その基準とされている年間二十ミリシーベルト、これは、放射線防護に関する国際基準として広く認められているICRPの考え方を基本に、放射線防護に関する国内外の専門家の意見を踏まえつつ採用されたものと認識しております。

 つまり、日本国内における独自の判断ではなくて、ある意味では国際基準といいますか、ICRPの考え方が基本ということでございますから、これ自体が今現在において反医学的だとか反科学的というような状況ではないというふうに思います。

西田委員 まさしく今大臣がお答えになったICRPの基準というのは、繰り返しになりますが、空間線量ではなく、外部被曝線量として二十ミリシーベルトから百ミリシーベルトを定めているわけでございますので、御指摘をさせていただきたいと思います。

 さて、きょうは冒頭で総理に質問をさせていただいたのでございますが、石原大臣にお答えをいただきました。総理に、重ねてもう一度お聞きしたいと思っております。

 総理、我が国は科学技術立国でございます。それなのに、あろうことか、今まで御説明申し上げたように、医学を全面に無視する、そしてまた科学を否定する、そういった野蛮なセシウム強制避難が続けられておると思います。法的正義あるいは科学、あるいは倫理、道徳は、妥協や、もしくは、ゆがめられて用いられることがあってはならないと考えます。

 医学に反し、科学を無視したセシウム強制避難、こんなとんでもない行政を今なお継続していることによって、福島の復興は徹底的に妨害されていると考えます。そればかりか、福島県民は、自宅居住の自由あるいは故郷の喪失を強要され、さらには田畑を破壊されていると思います。医学に従い、そして科学に反しないことこそ、福島県の復興のかなめ、そして、福島県民の人権尊重の基盤であると考えます。

 どうか、今日、日本の最高の総理である安倍原子力災害対策本部長にお願いをさせていただきたいと思います。福島セシウム避難の全面解除、ぜひとも総理から出していただけるようにお願いをさせていただきます。御答弁をぜひよろしくお願い申し上げます。

安倍内閣総理大臣 安倍内閣としては、被曝線量と地元の自治体の皆様の御理解を踏まえて、避難地区、避難指示地区の見直しを行うことといたしております。具体的には、既に根本大臣が答弁をさせていただいたとおりでございまして、三万人の避難者の方々がふるさとに自由に行き来できるようになるわけでございます。

 今後とも、我々は、まず、安全とそして安心、両面において福島の方々に御理解をいただけるような形の中において、できる限り多くの方々が地元に戻れるように、そうなるべく努力をしていきたい、このように思います。

西田委員 御答弁ありがとうございます。残念な答弁ではございますけれども。

 総理は、所信でマーガレット・サッチャーを引用されました。もう時間もありませんので、最後に、私からもマーガレット・サッチャーの言葉を総理にお贈りしたいと思います。

 国が一律にお金をばらまくことが、かえって社会の不合理を増長させ、家族のきずなを弱め、そして、勤勉や自己責任といった自立の美徳を奨励するかわりに、怠惰やごまかしといった誤った風潮が社会に蔓延してしまった。これは、偉大な英国のマーガレット・サッチャー首相の言葉であります。

 自立を信条とする我が日本維新の会から、そして私から、総理にこの言葉を最後にお贈りいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて小熊君、足立君、西田君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 みんなの党の柿沢未途でございます。

 震災二周年追悼式が三月十一日に開かれました。

 お母様を亡くされた、岩手県宮古市の山根りんさん。

 多くの命が犠牲になった中、助かったからには、生きて人の役に立つことが自分の使命だと考え、世界の自然災害が発生した国々において、みずからの被災体験を生かした支援活動ができる人材となり、震災がつらい記憶ではなく、未来につながる記憶となるよう、被災地から私たち若い世代が発信していきます。

 この言葉は、大変胸を揺さぶられるものがありました。

 起きた出来事は変えられませんが、出来事の意味は事後的に決まる。あの悲惨な出来事を肯定することは決してできないけれども、あの出来事があったからこんなふうになれたんだと思うことはできる。これは、構造構成主義の哲学で、意味の原理と言われるものであります。震災がつらい記憶ではなく、未来につながる記憶となるよう、山根りんさんの言葉と軌を一にしているというふうに思います。

 復興についてです。

 南三陸町の方とお話ししましたが、二年たっても何も進んでいない。私は、二〇一一年三月十一日から二〇一二年三月十一日までの一年間より、二〇一二年三月十一日から二〇一三年三月十一日までの一年間の方が、被災者の喪失感は深い気がします。

 震災から一年は、ここまではしようがない、さあこれからだと、先に希望が持てたと思います。しかし、それから一年、目に見える復興の進展がない。瓦れきがなくなっただけで、町は戻らない。いつ仮設住宅から出られるかもわからない。行動力のある人は町を出ていってしまう。ここが東京だったら、こんなふうに放っておくのか。自分たちは見捨てられたのではないのか。こういう言葉が胸に突き刺さるようでありました。

 復興を加速化すると政府はおっしゃいます。早速、十九兆円の復興予算の枠を二十五兆円に拡大した。しかし、もともとの十九兆円の復興予算ですら、もてあましているのではないでしょうか。

 平成二十四年度中の執行が予定されている八兆円の復興予算の九月末段階での執行率は、被災地で四五・六%、極めて低調な状況です。被災三県や市町村の自治体の予算も、一・四兆円も繰り越しが出る見込みであります。これは、予算はあるのに使い切れていない状況なわけであります。

 一方で、被災地以外の全国防災対策費の執行率は九六%、これは突出している。復興予算で被災地以外の事業が、とんとんとんとん進んでいるわけです。パネルを見ていただければわかりますが、「使うべき優先順位を完全にはき違えている。」こんなふうに東京新聞では識者のコメントも寄せられています。

 その中で、平成二十四年度補正においても二十五年度の当初予算案でも、復興予算を大幅に積み増しております。これは何を狙いにこの予算の積み増しを行っているのか、まず総理にお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 平成二十四年度補正予算及び平成二十五年度予算案において、被災地の現状に対応するとともに、復興庁が司令塔となって復興の加速に資するように、新たな事業を創設するなど必要な予算を計上したのであります。

 今委員が御指摘になった執行状況でありますが、平成二十四年九月末現在で、歳出予算現額八兆円のうち執行済み額が四兆一千億円で、執行率は、今現在では、九月末の段階において把握をしているものは五二%になっているわけであります。つまり、ちょうどこれは半年ですから、半年で半分でありますから、すごく遅いということではなくて、あとの半分をあとの六カ月で、半年で執行していけばいいんだろう、このように思います。

 今後さらに、被災地における事業についての被災者との合意形成の進捗等に応じて執行率は上昇していくというふうに考えていますが、さらに復興を加速させていくために、復興事業を担う自治体のマンパワーの増強や、そして同時に、手続をやはり大胆に簡素化をしていく。

 安倍政権ができてから、まだ二カ月ちょっとでありますが、我々は、大胆に簡素化をしていくことによって執行率を速めていきたい、このように考えております。

柿沢委員 安倍総理、それは若干違います。

 執行率が五〇%だという話ですけれども、この執行率というのはどういうふうに出しているかというと、箇所づけが済んだものイコール執行率にカウントされているんです。支出に結びついたもの、支出率といいましょうか、これは実は物によっては一〇%にも満たない。実際には事業は執行されていないんです、本来の執行という言葉の意味でいえば。大変おくれている。

 四五・六%とか五二%とか、この数字以上に、被災地は、いわば、この十九兆円、二十五兆円、こうした予算を使い切れずにもてあましている、こういう状況だというふうに思います。

 しかし、こういうことを言うのが、きょうは目的ではありません。私は、被災地に今必要なのは本当にお金なのか。もちろんインフラ整備は必要で、予算の額も相当に必要でしょうけれども、しかし、それが本当に復興の加速化ということなのか、これをお尋ねしたいというふうに思っております。

 あの悲惨な出来事を肯定することは決してできないけれども、あの出来事があったからこんなふうになれたのだと思うことはできる、この言葉を震災発生直後に書いた、構造構成主義の学者の西条剛央さんが立ち上げたのが、ふんばろう東日本支援プロジェクトというものであります。

 彼の著書、「人を助けるすんごい仕組み ボランティア経験のない僕が、日本最大級の支援組織をどうつくったのか」。ここには、行政の支援も受けず、独自の発想と行動力で、瞬く間に広がったボランティア三千人を束ねて、支援の必要な人と支援したい人をインターネットでつなげて、真夏の避難所に扇風機六千台を送り、冬物家電を仮設住宅一万五千世帯に届けて、国や日赤にもできない、物すごい支援をなし遂げた経過が書かれています。

 この西条さんと震災直後から交流してきました。非常にユニークな支援活動を続けておられます。

 このパネルの写真を見ていただきたいんです。私は、このミシンを前にしたお母さんの表情を見て、はっとしてしまいました。とにかく、この顔をじっと見てもらいたいんです。本当に印象的な笑顔だと私は思います。

 これは、ふんばろう東日本が立ち上げた、ミシンでお仕事プロジェクトに参加したお母さんたちの写真です。お母さんたちにミシン講習会を開いて、ミシンをプレゼントして、自宅の仮設住宅で縫い物にいそしんでもらう。二〇一一年十月以降、四百二十三人の方々にミシンをお渡ししてきました。

 これは講習会の様子です。また表情を見ていただきたいんですが、私も、二〇一一年十二月、入谷公民館での講習会を見に行きました。今、それが発展して、南三陸ミシン工房というNPOになっています。今、三十人のお母さんたちが、この、おらほもあんだほもがんばっぺしバッグ、こういうんですけれども、あるいはこのポケットティッシュケース、こういうものをつくってインターネットで販売したり、あるいは、このポケットティッシュケースは城南信金さんとタイアップしたりして、今、このポケットティッシュは、もう既に二万個、販売をしたそうです。縫い手のお母さんたちに、この一年間で合計一千三百万円ものお金を分配したということです。これは十分な家計の足しになっていると思います。

 もう一度、お母さんのパネル。

 この眼鏡の方、佐々木さんというんですけれども、六十九歳。志津川で鮮魚と青果のお店を営んでいたけれども、津波で全流失してしまった。これで初めてミシンに挑戦をし、めきめき腕を上げているということであります。

 お隣は高橋さん、五十二歳。高橋さんは、かつて若いころに埼玉の縫製工場に勤めていたことがあって、お母さんたちの中ではリーダー格だそうです。皆さん、今や毎日毎日、夢中で仮設住宅の中でミシンに向かっているということであります。

 皆さんおっしゃるのは、こうやってみんなで集まってミシン講習を受けて、新しい友達ができて、おしゃべりしているのがとても楽しい、仮設住宅で何もやることがなくなって、ずっと閉じこもっていて、うつになってしまいそうだったと。講習会に出てきて、あれ以来初めて笑った、こういう人もいるそうであります。そして、自分自身が、支援という名のいわば施しを受ける、その側だけでなくて、何かをつくり出したり、新しいお母さんにミシンを教えたり、そういうことができるのがうれしい、こういうふうに話しておられました。

 このミシン工房に出会って人生が変わった、こういうふうに高橋さんはおっしゃっていました。あの悲惨な出来事を肯定することは決してできないけれども、あの出来事があったからこんなふうになれたのだと思うことはできる。まさに、これは西条さんの言葉そのものではないかと思うんです。

 被災者支援のあり方として、キャッシュ・フォー・ワークという考え方が言われます。施しとして受ける支援より、みずからが働いてもらった対価として報酬を受け取ることが、被災者の自立とまた尊厳につながっていくという考え方であります。

 総理は、本当に被災者の自立につながる支援のあり方とはどのようなものだとお考えになられますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 基本的には、被災者の方々がもとの生活に戻る、つまり、なりわいを復活することができるということなんだろう、このように思うわけでありまして、そのためには、今、柿沢委員が指摘をされたように、人間というのは、自分は必要とされているかどうか、そしてみずから何かを生み出しているかどうか、これがやはり私は生きがいになっていくんだろう、このように思うわけでございます。

 一日も早く就業する機会をつくり、そのための、いわば企業の展開を図るために今さまざまなメニューをそろえているわけでありますが、そうしたことを進めることによって、補償から自立に移れるように我々も全力を挙げていきたい、このように思っております。

柿沢委員 後ほど、このおらほもあんだほもがんばっぺしバッグをお届けしたいと思います。おらほもあんだほもですから、あんだほもがんばっぺしバッグでございますので、大変失礼な呼び方をしてしまいましたが。

 一台一万八千円のミシンですけれども、これはお金で渡せばすぐに消えてしまいます。こうして道具としてお渡しをして商品を製作してもらうことで、一万八千円が何倍にもなります。そして、お母さんたちが身につけたミシンのスキルは永遠に消えません。今や、それが彼女たちの新たな生きがいにもなっているわけであります。

 南三陸ミシン工房、このような被災した、特に女性の経済的自立支援、さらには雇用創出、産業振興、果ては心のケアまでを統合した支援事業を、たった数人のボランティアがやっているんですよ。これにはもちろん、国の支援も自治体の支援も、一切入っていません。南三陸町は公民館が全て流されて、さっき申し上げた入谷公民館しか残っていないそうなんですけれども、この講習会をやる公民館も、ボランティアの皆さん、あるいは有料で借りているそうなんです。このような事業を国が十分に支援してきたとは、私は思いません。

 今、南三陸町で何が言われているか、田村大臣。津波で流されて、あたりに何もない国道の交差点で一日ただ立って、運転中の携帯電話はやめましょう、こういう表示を持って立っている、これで一日一万二千五百円もらえるんだそうです。県の緊急雇用創出の基金を使った事業のようですけれども、運転中の携帯電話はやめましょう、何もない道路で、交差点で一日立つ。何のスキルも身につかないですよね。これが本当にキャッシュ・フォー・ワーク、こういう趣旨にかなうものでしょうか。

 田村大臣がおいでなので、本来の通告した質問に入る前に、今のを聞いてどう思われるか、ぜひお尋ねしたいと思います。

田村国務大臣 緊急雇用創出ということでの基金の中でやられている事業かというふうに推測はさせていただきますが、それぞれの地域がそれぞれの雇用をつくるという意味で、いろいろな使い方をされておられるんだというふうに認識しております。

 ただ、今のお話が本当だと、疑うわけじゃないんですけれども、だとすれば、どういう意図でもってそういうようなお仕事をつくられたかということは、ちょっと私には理解しかねるところもありますが、言われるとおり、何らか次の一歩に結びついていくような、そういう雇用創出につながっていただければありがたいなというふうに思います。

柿沢委員 ありがとうございます。

 ミシンだけでなく重機免許プロジェクトというのを、私もお手伝いして二〇一一年五月に立ち上げました。二〇一一年五月ですから、発災二カ月後ですね。被災した人たちに重機の免許を取得してもらって、復興事業での雇用につなげようというものであります。岩手県の陸前高田ドライビング・スクールで始まったのが広がって、今や千人以上の免許取得費用をサポートしています。一部は国の求職者支援制度の適用を受けています。

 この国の求職者支援制度なんです。失業手当が切れたり、雇用保険未加入の非正規雇用の人たちが、無料で職業訓練を受けながら生活費月十万円の給付が受けられる、こういうものであります。失業者が生活保護に陥るのを防ぐ第二のセーフティーネットだということで、民主党政権下で鳴り物入りで制度が始まったんですけれども、開始以来、利用は全く低調なんですよね。予定の三十九万人を大幅に下回る九万四千四百九十六人にとどまっているということであります。三十九万人が九万人ですから、全く低調なんです。

 被災地では、雇用のミスマッチが大変深刻です。建設作業員は足りない、それが復興事業のおくれにもつながっている。それだけでなく、パソコンのスキルを持った人も足りない。ならば、まさに被災地において、この求職者支援制度を使った被災者への職業訓練を進めていくべきではないか。それによって、被災者の皆さんは永続的なスキルを手にすることができる。ハローワークを通じてでなければだめだとか、そんなかたいことを言っていないで、積極的に展開をして、被災地におけるキャッシュ・フォー・ワーク、これを実現していただきたいと思うんです。

 ミシンの話と重機の話をいたしました。それを踏まえて、被災地における求職者支援制度活用のいかんについて、厚生労働大臣の御見解を伺います。

田村国務大臣 求職者支援制度でございますけれども、もともと、リーマン・ショックの後、基金訓練ということで、麻生総理のときにおつくりをいただいた制度でございますが、それをその後、恒久制度にされたということであります。

 雇用保険に入っていない、もしくは失業給付が切れた方々で公共職業訓練が受けられない方々がこれを受けられるわけでありますけれども、おっしゃられるとおり、今、被災地の特別訓練コースという形で、四十九の建設重機等々の訓練コースをつくっております。十分にまだ御利用いただいていない部分もあろうと思いますので、そういう意味では周知徹底させていただきたいなというふうに思います。

 一方で、なかなか重機等々に対する求人というものにつながっていっていない、求職につながっていっていないという部分がありまして、被災地の方々も、建設現場での重機運転だけを望んでおられるわけでもありませんので、そこはいろいろなニーズがあられると思いますから、いろいろなニーズにお応えできるような内容にしていくということはやはり委員がおっしゃられるとおり重要であろうと思いますから、今後とも検討させていただきたいというふうに思います。

柿沢委員 先ほどミシンの話もさせていただいたのはまさにそういうことで、別に重機に限ったことではない。また、被災地の、津波で一番何もなくなってしまったところは、職業訓練機関もないわけです。そういう意味では、私は、出前をしたり、現地に出ていって、そして仮設住宅群の中でそうしたことを継続的に行っていく、そのぐらいのことはやってもいいんじゃないかというふうに思っております。

 質問をかえます。

 質問順も変えて、東京電力福島第一原発事故による避難者への対応についてです。

 警戒区域の除染が進められて、それに伴い、帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域への区分再編が進められています。いまだ帰還の見通しが立たない地域も多い、しかも、年間二十ミリシーベルト以下なら帰還という線量基準についても、それが妥当なものと見るかどうか、賛否両論が分かれています。放射線に対する人々の感じ方は、きょうの質疑でもあらわれているとおり、多種多様であります。

 今後も、除染による放射線低減の程度には、同じ区域内でも濃淡が出ることが考えられます。しかも、既に二年が経過している。避難生活の長期化も考えると、これは、帰還であろうと移住であろうと、各自の意思が尊重されて、みずからの選択で生活再建を進めていけるような支援の制度的枠組みが必要だと思います。間違っても、長期避難者への賠償、補償を打ち切ることによって、それによって帰還を促すようなことは、私はやってはいけないというふうに思います。

 この避難者への対応について、まず、総理の見解をお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 避難されている方の中には、帰還を望む方も、あるいは新しい生活を選ばれる方もおられるんですね。今、我々は住民意向調査をやっています。そして、避難住民の方々の今後の御意向を聞いております。

 まず、帰還を望む方が一日も早くふるさとへ帰れるようにするために、先日、早期帰還・定住プラン、これを作成しました。このプランに基づいて、除染やインフラ復旧、安全、安心に向けた取り組み、これを早急に進めます。

 そして、ふるさと復活プロジェクト、十分な予算を確保し、柔軟に執行していきたいと思います。

 また、新しい生活を選択される場合、これも、住居や就職の支援は必要であります。そのために、災害復興住宅融資制度による低利融資やハローワークによる就業支援、公共職業訓練などの支援を充実していきたいと思います。

 これからも、被災者の方々の意見を聞いて、福島県、関係市町村と協力して、我々、生活再建をしっかりとそれぞれ選択できるように支援していきたいと思います。

柿沢委員 パネルを見ていただくと、これは、みんなの党が立案をした特定原子力被災地域土地利用法案のスキームであります。小野次郎参議院議員が双葉郡内の町村長の意見も聞きながらつくり上げたものであります。簡単に言うと、立ち入り制限が行われている地域について、土地所有者の要請や同意に基づいて国がその土地を買い上げ、または借り上げる。

 これは借り上げが入っているのがポイントで、将来の帰還を希望する土地所有者は、一旦国に土地を預けて除染を進めてもらって、地代を受け取りながら帰還の日を待つことができるわけです。逆に、十分除染ができなかった場合に、国に買い取りを求めることもできる。そうやって集まってきた土地を使って、国や自治体が自然エネルギーをやる、植物工場をやる、こういう地域の再生につながる事業を行う、こういうものであります。

 これは大変有用なスキームだと私は思います。小野参議院議員によると、前政権の平野復興大臣、前大臣も、一度は関心をお示しになられたということを聞いております。

 ぜひこうしたスキームを、今まさに決断のときですから、必要なものだと思います。御答弁をお願いしたいと思います。

根本国務大臣 避難指示された地域については、先ほど来申し上げておりますが、区域の見直しをいたしました。そして、区域の見直しに沿って、帰還支援あるいはその地域の公共インフラの整備を速やかにやりたいと思っていますが、それぞれの地域の復興計画、これもつくってまいります。

 今の御指摘の話は、実はこれは経済産業省の所管になりますけれども、原子力事故により生じた損害は、実は、国が被害者の土地や建物を直接買い上げ、借り上げて補助をする、こういうことではなくて、一義的には、原子力損害賠償法に基づいて東京電力に賠償の責任を負わせる、これが適切だと考えております。

 不動産については、政府の原子力賠償紛争審査会における指針を踏まえて、東京電力が示した賠償の考え方に沿って損害が賠償されることになっております。具体的には、事故時点から六年で全損、あるいは避難指示の解除までの期間に応じた割合分を賠償することとしておりまして、この賠償に加えて、さらに国が買い上げ、借り上げを行うか、これについては慎重に検討していく必要があると思います。

柿沢委員 若干、私たちのスキームに対して誤解があると思いますけれども、次の質問に移りたいと思います。

 安倍総理の胸にはオリンピックのバッジが光っております。東京選出の私の胸にももちろんあります。

 きょうは、もう一つバッジをつけています。ラグビーワールドカップ二〇一九日本大会のバッジです。アジアで初めて開かれるラグビーワールドカップ、世界的には、オリンピック、サッカーのワールドカップと並ぶ三大大会と並び称されています。私もラグビー経験者であり、遠藤先生もそうですし、山田先生もそうですし、宮本先生もそう、この中にもたくさんいらっしゃいます。

 そして、ラグビーといえば釜石です。新日鉄釜石の七連覇が鮮明な記憶として残っている方は多いと思います。その釜石市が、復興のシンボルとして、ラグビーワールドカップの会場に名乗りを上げています。ラグビーを中心に東北復興を目指すNPO、スクラム釜石も、往年の名選手の松尾雄治さんを中心に立ち上がっています。

 スタジアムの建設やさまざまな問題、乗り越えなければいけないハードルがありますが、例えば復興交付金を使ってスタジアムを建設する、こういうことも可能にして、ぜひ後押しをいただきたい。これは復興大臣に御答弁をお願いしたいと思います。

 また、総理に、このラグビーワールドカップ、東京二〇二〇年オリンピックと同様に、世界に向けて復興をアピールする、こういう場として、被災地での会場選定等、ぜひメッセージを発信していただきたい。

 あわせて答弁をお願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま委員が指摘をされたように、二〇一九年の、日本で開催されるラグビーのワールドカップについては、私は、まさに日本の復興を世界にアピールする極めていい機会になるんだろう、このように思っておりますし、東北の皆さんに勇気を与える大会にしていきたい、このように考えております。

 そこで、試合場等につきましては、今後、大会組織委員会が自治体からの申請を受けて選定をするというふうに伺っております。実は私の地元もキャンプ場に立候補しておりまして、一議員のときにはそういう活動を展開しておりましたが、本日委員から伺った被災地の思いを大会組織委員会にも伝えていきたい。また、ラグビー協会の会長は森喜朗元総理でもあるわけでございますし、大会組織委員会等の方にもしっかりと伝えていきたい、このように思っております。

根本国務大臣 釜石市のラグビー場の整備、これは市の具体的な計画をお伺いして、対応を検討してまいりたいと思います。

 それで、復興交付金の第二回配分において、ラグビー場を含むスポーツ交流拠点の基本構想検討のための調査費を配分済みなんですよ。これを活用して、市において、事業の必要性、今後市が負担することとなる維持管理費用などを含めて、事業内容を今検討されているものと思います。

柿沢委員 建設に当たってどうかということだったわけです。

 何か、事前に復興庁にお伺いをすると、ここの部分は根本大臣に答弁を委ねてある、こういう話だったんです。ぜひ御答弁をもう一度お願いして、質問を終わりたいと思います。

根本国務大臣 ですから、ラグビー場を含むスポーツ交流拠点の基本構想検討のための調査費がついていますから、あとは、これを活用して、市において、維持管理費用等も含めて十分検討されて、そして、それを我々がお伺いするということになると思います。

柿沢委員 まあ、ほぼ答弁をいただいたというふうに解釈をしたいと思います。

 心の復興が何よりも大事です。大切なものを喪失した人が、やはり新たな生きがいを持って再び前に歩んでいく、それこそが復興だというふうに思います。

 そのことを申し上げて、きょうの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

山本委員長 この際、林宙紀君から関連質疑の申し出があります。柿沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。林宙紀君。

林(宙)委員 みんなの党の新人議員の林宙紀でございます。

 私の地元は宮城の仙台です。ということで、先ほどの柿沢議員の東北弁には後で少し指導をさせていただきたいなというふうに思っております。

 さきの衆議院選挙におきまして、みんなの党として、東北で初めての一議席をいただくことができました。その議席を預からせていただいているという責任のもとに、被災地で唯一のみんなの党の議員といたしまして、現政権の自民党の皆さんが野党時代にどんなことをおっしゃっていたかということもよく踏まえながら、今後の復興に取り組ませていただきたいなというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、被災地では、こう言ってはなんですが、前の政権の復興に対する取り組み、こちらに大きな不満があるというのも否めない事実ではあります。それだからこそ、野党時代の自民党の皆さんも多くの提言を行っていただいたのではないかなと思いますが、総理自身も何度も被災地に入られておいでですので、地元が抱える前政権への大きな不満というのは肌で感じておられると思います。

 その点からいいますと、野党時代だったからああいうことを言えたんだとか、実際に与党になってみたら、やはり難しいな、なかなか進まないななどということになっては、地元としては大変困るわけです。

 ということで、いまだいろいろな課題が山積しております被災地の現状を、この東京、永田町、霞が関の視点ではなくて、東北の被災地、現地の目線に立って今後取り組んでいく、現地に寄り添って取り組んでいくという決意を、まずは総理に改めてお伺いしたいと思います。お願いします。

安倍内閣総理大臣 まだまだ三十二万人の方々が困難な生活を強いられているわけでありまして、私たちに課せられた使命は、一日も早くもとの生活に戻れるように、希望を持って第一歩を踏み出すことができるように復興を加速させていくことだ、このように考えております。その中において、全ての大臣が復興担当大臣という認識を持って、持ち場でできることは全てやっていこうということであります。

 確かに、我々が野党時代に申し上げていたこと、そして、実際に政府として責任を持ってそれを実行する段になって、もちろん、新たにこういう困難があったんだなという現実にぶつかることはありますが、しかし、その中で、私たちに課せられた使命は、やはり、とにかく一日も早く普通の生活に戻れるように、これを実現させていくことだ、このように肝に銘じて頑張ってまいる決意でございます。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 先日の追悼式で総理が発せられたお言葉というのが、恐らく、東北、被災地の関係者の中、多くの方々が、改めて、心強い、リーダーを得た、そんなふうに思っていらっしゃるんじゃないかなというふうに私は感じました。ぜひ、その期待を裏切ることのないように、これからもリードをしていただきたいなというふうに思っております。

 さて、被災した沿岸部の自治体におきましては、災害危険区域から移り住むために、集団移転ですとか、自分で土地を探して移り住むとか、そういった計画が、少しずつですが、進もうというところまで来ました。

 この中で一つ、大変重要な問題が現場の方々から聞かれます。

 自分が農地を持っている場合、その持っている農地の上にひとまず家を建てることにしようとか、あとは、集団移転の移転先に自分の農地が区画として入っている、そういう場合には、その農地を喜んで売却して提供しましょうといったことも検討の中には入っているというふうに聞いています。

 しかしながら、問題は、この農地が納税猶予制度というもの、つまり、父親、母親の代から農地を引き継ぐときに相続税などを一定期間猶予されるという制度の適用農地になっている場合が多々ある。その場合には、納税猶予が即刻そこで打ち切られまして、すぐに納税義務が発生するという事態が起こります。

 一例を申し上げますと、例えば二百坪の農地をお持ちの方、相続税でおおよそ七十万円、そして、猶予期間が二十五年ほどになっているので、その間の利子分ということで七十万円、合計百四十万円お支払いください、こういう形で税務署から言われてしまっている。こういうことが起こりますと、集団移転の移転先として善意で農地を提供しましょう、そういう場合にも、自分の農地を売って提供するという動機、それが失われてしまうんじゃないかと非常に懸念しております。

 ということで、被災地の住宅再建にかかわる農地の売却に関しましては、相続税あるいは贈与税といったものの、免除ということにはいかないかもしれませんが、軽減あるいは支払いのための猶予期間をもう少し設ける、そういった措置は考えられないでしょうか。これは財務大臣にお伺いします。

麻生国務大臣 林先生、これは、善意か善意じゃないか、なかなか税務署は見分けられぬところなんですよ。わかるでしょう。悪用しようと思ったら、これは結構できるよ、今のようなやり方をすると。そうすると、これはちょっとなかなか簡単にはいかぬなと思います。

 実際にそういう例がいろいろありますよ。例えば、さっきの話じゃないけれども、セシウムは関係ないといっても、とにかく、安全であっても安心じゃないという話ですからね、あの話は。

 だから、そういうようなことになってきたときに、農地として使えないんだから宅地でもいいじゃないかといって、そこに放射線の可能性がある土地が売れるか、買う人が本当にいるかという問題は、これはまた全然別問題だから。ここは大学のゼミと違うから、現実問題をやらないかぬから。

 だから、今言ったような話が実際に起きたら、起きたときに相談に乗ります。ただ、今の話は、常識的には、善意の第三者ばかりとは限りませんから、悪用しようと思ったらできることは未然に防ぐという立場ですので、当然のこととして、今の話はそんな簡単にいく話ではありません。

林(宙)委員 大変貴重な御指導をいただいたなというふうに思いますが、それを含めて検討していく、制度をつくっていくというのが本来の国のあり方だと私は思います。善意であるかどうか、それは当然わからないことだと思いますが、そこをどう制度設計して、それでは、例えば悪意があって売ろうとしている、そういうものには制限をかけていく、それが頭の、知恵の使いどころなんじゃないか、私はそのように思います。

 復興していくときには前例のない対応をしなければいけないというのは、これはもう総理も財務大臣もよくおっしゃることだと思いますが、そこで、これまでの前例にとらわれた考え方をするのではなくて、知恵を絞っていく、できない理由を探すのではなくて、やるためにはどうしたらいいかというところに頭を絞っていった方がいいんじゃないのかなというふうに私は考えております。ぜひ、それについては少しずつ検討をしていただけないかなというふうにお願いを申し上げます。

 ところで、今、農地のお話をしましたので、農林水産大臣の林大臣にも少しお伺いしたいなと思います。

 今後の東北の産業ということを考えると、やはり農業を成長させるということは、復興を超えた、さらにその先の未来をつくるという意味でも、大変大事な、非常に重要なことだというふうに、これは皆さんも認識は一致しておられるんじゃないかなと思います。

 その中で、政府は攻めの農業といったところも展開しようというふうにされておりますが、くしくも、本日の昼に開かれました農林水産委員会でも、大臣の所信表明の中でいろいろとございました。中でも、農地の大規模化、これは結局のところは、農地を集約していって、生産性の向上につなげるという意味も一つ入っているんだと思うんです。

 例えば今のようなことを、被災地に限らず、全国ということで考えた場合に、農地を売って、これまでの支払い猶予をされていた納税の義務が即座に生じてしまうという税制があるとなった場合に、大規模化をしていくというのは一つの阻害要因になるのではないかなというふうに私は考えております。大臣はいかがお考えでしょうか。

林国務大臣 お答え申し上げます。

 今のお話は、非常に大事な、基本的なポイントだと思っておりまして、そもそも納税猶予制度が、贈与税については昭和三十九年、相続税については昭和五十年からということで、かなり長い間やっているんですが、今まさに先生がおっしゃったように、農地がだんだん集積していくようにということは、逆に言うと、農地がだんだんだんだん小刻みになるというか、相続でどんどんどんどんたくさんの人がやるようにということを、なるべく誘導してそうならないようにするために、均分相続で四人に相続するところを一人できちっと受け取った場合には猶予される、そういう制度でずっとやってきておるわけでございます。

 そういう意味で、平成二十一年度税制改正で相続税、それから二十四年度に贈与税で、貸し付けの場合も納税猶予を継続するように措置をいたしております。

 ちょっと言葉は悪いかもしれませんが、たわけ者という言葉がありまして、田を分けてしまうということは昔から言われていたわけで、なるべくそういうことがないようにやろうという制度でやってきたということでございますので、むしろ、集積をする手前のばらけないということで、制度の意味は非常にあると思っております。

 先ほどの御質問に関連してですが、対象農地を譲渡する場合に、その対価、売ったらお金が入ってきますので、そのお金でもって、ほかのところで農地を買っていただければ農地自体は減りませんから、そういう場合には納税猶予が継続されるという、買いかえ特例というのも実はございます。

 したがって、買いかえ特例というのを活用していただければ、防災移転事業でもできるというところ、道はあるのかなというふうにも考えております。

林(宙)委員 いずれにしましても、これは、被災地だけではなく、全国にかかわってくる一つのポイントだと思いますので、また改めて農林水産委員会などでも質疑をさせていただきたいなというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 さて、少し質問をかえさせていただきますが、震災から二年ということで、被災地では、ある程度、目に見える形での復興というのも始まりつつあります。先ほども申し上げました、集団移転先の土地の造成とか、または復興住宅、こういったものの着工というものも見えてくるようになったわけなんですが、そんな中にあって、実は大変な問題が一つ残っております。たった一カ所ですが、避難所と呼ばれるものがまだあるんですね。

 ということで、総理にお伺いします。

 この避難所というものはどちらのことをお指しか、御認識だと思いますが、ぜひお答えいただけないでしょうか。お願いします。

安倍内閣総理大臣 まだ避難所が残っていて、そこに避難されておられる方々がおられるというところは残念ながら存在をしておりまして、双葉町の避難所であります。現在でも、さまざまな事情から、百三十三名の方がそこでとどまっておられる、このように承知をしております。

 そこで、今後、この避難所の取り扱いについては、双葉町で検討しているというふうに伺っております。双葉町は、御承知のように、先般、町長選挙が行われたわけでございますが、双葉町の意見を聞きながら、また福島県とも相談して、国としても必要な支援を行っていきたいと考えております。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 避難所というのは、文字どおり、災害等によって短期間の避難生活を余儀なくされた場合に一定期間の避難生活を行う施設のことだ、大体の辞書にはこんな趣旨のことが書いてあります。

 二年というのが短期間には当たらないだろうと私は思うわけですが、いまだに教室の床に畳を敷き、段ボールで仕切ったスペースで生活をする、今はもうテレビでも目にすることはなくなった光景というのが、その一カ所に限ってはいまだに続いているわけです。

 これは、埼玉県の加須市にある旧騎西高校というところの避難所がそうなんですけれども、御答弁のとおり、双葉町の住民の皆さんがそちらに避難をされて、今、百三十三名残られておるという状況です。

 総選挙のときの自民党さんの選挙公約には、こうあったわけです。「自民党は、実現不可能な政策ばかりで国民生活を台無しにした民主党に代わり、着実に解決策を進めて、暮らしの安心を取り戻します。」まさにこう書いてあるわけです。

 これがまさしく、前の政権によって置き去りになったと言ったらちょっと言葉は悪いですが、それでもそういった状況のまま残されている避難所だ。

 これはすぐにでも解決すべきだと私は思います。もし、そちらに向けての動きが遅い、あるいはなかなかアクションがとられない、そうしたら、何だ、前と同じじゃないかと言われてしまうと私は思いますが、これは復興大臣にお伺いします。

 復興大臣、この避難所の解消について、すぐに取り組まれるお心づもりはございますでしょうか。お願いします。

根本国務大臣 避難所のそもそもの考え方は、委員が先ほどおっしゃられたとおりであると思います。

 私も、一カ所だけ残っている、百三十三名の方がいまだにおられる、この理由を、どうして残っておられるのか、これは県を通じて、あるいは双葉町を通じてお話をお聞きしております。

 幾つかありますが、仮役場、社会福祉協議会が隣接しているため、役場との意思疎通が早く、さまざまな情報が入る、こう言っておられる方もおられます。唯一の避難所であることから、NPO等によるイベントの開催など、被災者支援が充実している。避難所の入所から一定期間が経過しており、既に良好なコミュニティーが形成されている。こういうことで、実はさまざまな理由でいまだにとどまっておられる、こう聞いております。

 現在、復興庁において、参事官をヘッドとした連携チームによる自治体担当、この体制を整備していますから、連携チームを中心に、双葉町の意向をよく聞き、福島県ともよく相談しながら、国として必要な支援に取り組んでいきたいと思います。

林(宙)委員 できる限り速やかに御対応をお願いしたいと思いますが、まさしく今おっしゃっていただいたコミュニティーとして、埼玉県加須市では双葉町の皆さんが、避難所の方とそれから避難所を出て借り上げ住宅に住まわれている方と、一つの強固な強いきずなのコミュニティーができている。

 避難所の方、今、借り上げ住宅に移ろうとしても、行政負担というのがもう打ち切られていますので、避難所を出ようとすると福島県内の仮設住宅に移るしか選択肢がないというふうに私は聞いております。その場合に、加須市で借り上げ住宅に住まわれた皆さんとのコミュニティーがばらばらになってしまうというのが何よりも最も嫌なことである、だからこそ今は避難所にいるという選択肢を選ぶしかないんだ、そんなふうにおっしゃっている避難者の方もいらっしゃるわけですね。

 この避難者の、今残られている百三十三名のうち三十名を超える方が、実は要介護者であったり要支援者であったり、もっと言うと、大体平均年齢にしてしまうと七十歳を超えてくるという高齢者の方々なんです。

 ということで、一つの解決策としては、加須市の近隣ですとか、あるいは騎西高校の校庭、結構広い校庭です、ここに、例えば介護機能がついた仮設住宅のようなものを建設するとか、それをもって何年か過ごしていただく、そういう対応は、厚生労働大臣、できないものでしょうか。

田村国務大臣 今委員おっしゃられましたとおり、かなり高齢化といいますか、平均年齢は六十七歳だというふうにお伺いしておりますし、要介護者、障害者の方々を含めて三十名おられるという話でございます。

 本来は、介護サービスを受けていただくというのが本来であって、例えば、よほど要介護度が上がれば、それこそ特養というような話になるのでありましょう。今、コミュニティーがしっかりでき上がっている、仮設で何かというお話なんですが、制度からいえば、本来ある福祉施設等々に何かあれば、それに対しての仮設という形のものはあるんですけれども、なかなか、今、制度の中で思い当たるものがありません。

 ただ、いろいろと事情をお聞かせいただきながら、双葉町もそうでありますし、福島県の方の御事情、それから、そこにお住まいになられている方々の御事情もお聞かせをいただきながら、できる範囲でどういうようなお手伝いができるのかということは、検討はしてまいりたいというふうに思います。

林(宙)委員 まさしく、今の政府の枠組みの中ではこれにぴったりと対応できるものというのはないんじゃないかなというふうに私は思いますが、であれば、もし将来的に大きな災害が起こった場合に、同じような問題が起こった、そのときに対応できるように今から制度設計をしておくというのは、未来の日本人に残す財産としても、私はとても大切なことなんじゃないかなと思います。

 自民党の、今の政権の皆さんに対する被災地からの期待というのは本当に大きい、これは事実です。私も、地元を回っていて本当にそのように思います。だからこそ、これまでは取り組めなかった、そういった制度設計などにもぜひ優先的に取り組んでいただきたいなというふうに思っております。

 今回、この避難所というものを取り上げたのは、いわゆる暮らしという意味の部分が被災地全般でなかなか前進していない、そういうことを多々聞くというところがあったからです。

 国土強靱化ということで全国的に大胆な予算をつけていく、これも一つの方法だとは思うんですが、一方で、災害によって図らずも生活が大変困難な状況を強いられている皆さんに、憲法でも保障されております健康で文化的な最低限度の生活、これをいち早く取り戻すということも、私は、政府に最優先で取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 それをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

山本委員長 これにて柿沢君、林君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 三月十一日から丸二年が過ぎました。死者一万五千八百八十二名、行方不明者二千六百六十八名。いわゆる震災関連死は二千六百一名、その半分が福島の方であります。改めて心から御冥福をお祈りし、全ての被災された皆様へお見舞いを申し上げたいと思います。

 一昨日、私は、宮城県石巻市の追悼式典に参加をさせていただきました。その日も懸命の捜索活動がされておりました。一日も早く家族のもとへと思います。震災と原発事故を絶対に風化させず、そして、せっかく助かった命がこれ以上失われることのないよう全力を尽くしたいと思います。

 きょうは、最初に、復興にとって最大の鍵である住まいの再建について伺います。

 三月七日に、政府の復興推進会議において、住まいの復興工程表が示され、被災市町村ごとに災害公営住宅の建設戸数とそのプロセスが示されました。今後、四半期ごとに進捗状況を示すとしております。被災者は、いつまでに、どこに、それが知りたいのであって、こうした具体的な工程表が示されることは大変重要だと思います。

 そこで、私もさまざまな仮設住宅などで被災者の声を聞いてまいりましたけれども、その中には、今、仮設住宅が建っている場所が一番いいんだという声が少なくありませんでした。交通の便や病院などのアクセスがよいというんですね。だけれども、それがURの土地だったり公共用地だったりするわけで、言ってみれば、極めて現実的な提案をしているわけなんです。ですから、その実現の障害となっている部分があれば、それを国が支援して、住民の意見が反映されるようにしていくべきだと思いますが、復興大臣に伺いたいと思います。

根本国務大臣 御指摘のとおり、災害公営住宅はできるだけ利便性の高い場所に建設してほしい、こういう要望があります。それで、実際仮設住宅が建設されておるので、災害公営住宅の適地が制限されるケースがある、これも私は想定されるんだろうと思います。

 今後、仮設にお住まいの方々に順次新しい住宅に移って入居していただく、そういうことを通じて、ケースとして、現在の仮設住宅用地、これを災害公営住宅の建設に活用することも考えられるのではないかと思いますが、実現可能性については、これはやはり、地元の市町村とよく調整しながら検討を進めていく必要があると考えております。

高橋(千)委員 今、可能性があるのではないかという御答弁だったかなと思います。

 市町村ごとの詳細な工程表が出ておりましたので、そういう問題がもうかなりクリアされているのかなと思って聞いたんですけれども、まだまだそういう実例がないということでありました。

 ただ、被災者の皆さんが一番この地域の事情をよく知っていて、その上で提案をしていますので、ぜひそれを前向きに、障害があったら国が支援をするんだということでお願いをしたいと思います。

 同じ趣旨で国交大臣にも質問したいと思うんです。

 例えば宮城県名取市などのように、もともと、かなり老朽化した市営住宅を建てかえるという計画があったんですね、震災前です。だけれども、それがずっととまっているんです。でも、市営住宅がありますから、ライフラインが整っていますので、最初からやるよりは大分条件がいいですよね。こういうことをぜひ災害復興公営住宅に使っていただきたい。こういう具体的な提案をしています。

 こういうことを大いに生かしていくべきでないかということを提案を含めて質問しますので、ぜひそこにはお答えをいただきたいと思うんです。これを一つお願いします。

太田国務大臣 大事な御指摘だと思います。よく現地と連携をとり合っていきたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 そこで、公営住宅の間取りの問題なんですね。実は、先日、大船渡市で地域公民館の館長さんをやっているという方が、仮設住宅の住民の皆さんの声をこもごも紹介していただいて、このような提案をされました。

 なぜ、ひとり暮らしなら一DK、二人なら二DKと決まっているんだろうか。茶の間と寝床が一緒だ、ひとり暮らしのおばあちゃんが一日じゅうずっと誰とも話さないで同じ場所にいる、これが人間らしい暮らしと言えるだろうか、せめて茶の間のある暮らしをと訴えられました。私、大変衝撃を受けました。

 この方の提案は、公営住宅も被災者が主役で進められないだろうかということなんですね。期限を区切った仮設とは違い、ずっと長く暮らすことを考えれば当然なんですね。柔軟な、人間らしい設計、そしてそれは、地域のことを一番よく知っている皆さんが、例えば協議会をつくるなどしてその地域ならではの公営住宅づくりを支援していくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

太田国務大臣 私は、心がこもるということが非常に大事だというふうに思っていまして、三・一一の直後、四月ぐらいから、仮設が始まるというスタートを切るときに、ひとり暮らしになってしまったという方も大勢いらっしゃって、せめて集会場をというような発想がありまして、私は当時バッジはありませんでしたけれども、仮設に集会場をつくって、そして晩御飯を一緒に食べるというような相馬市の試みというものを応援したことがございます。

 何でも画一的というよりは、心のケアというものが物すごく私は大事であろうというふうに思っています。

 そうしたことの考え方の上で、間取りの問題ということについては、これは基本的に地方自治体の判断ということになります。岩手県とそれから宮城県、それぞれ基準、方針がちょっと違っているところもありまして、岩手県ですと、一DK、四十五平米というような間取りになっておりますけれども、地方自治体として、被災者の意向や家族の構成等に、しっかりそれを把握した上で、入居者間の公平性や住宅供給までのスピードというものを総合的に判断して決定していただかなくてはならないと思っておりまして、これもまた現地、地方自治体と連携をとりたいと私は思っております。

高橋(千)委員 今大臣がおっしゃった、何でも画一的ではならないということは、とても大事なことだと思うんですね。結局これは、仮設住宅をつくるときに、やはりスピードが大変優先されたということで、プレハブメーカーに一括発注してしまった。その後で、追いだきですとか物置ですとか、さまざま追加をしなければならなくなって、費用が膨らんだという経験もございました。むしろ、そのことを考えれば、本当に今柔軟に、地域の皆さんの声を聞きながらやっていくというのは大事なことではないかと思います。

 紹介があったように、確かに、資料を一枚目につけておきましたけれども、今は参酌基準という形で、ある一定の目安があって、それ以外は自治体に委ねているという答弁だったと思うんです。ただ、補助金の上限が結構細かく決められておりますので、それに何か追加してやろうとすれば、何々の場合はこれだけというふうな形で一々上限が決まっている。そういう中での、自治体の、スピードも求められる作業という点では、なかなか難しいという状況があるんだろうということを私は察するわけですね。そういうこともぜひ踏まえていただいて、自治体と協議するとおっしゃっていただいたので。

 きょうは、総理にぜひ、住まいの確保について決意を伺いたいと思います。今話していたことを聞いていただいて、公営住宅についても被災者主役で進めるということについて同意していただけるか、また、希望する戸数に応えていくんだということについて、まず伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘になった、被災者が主役、私もまさにそのとおりだと思います。仮設住宅等にお住まいの被災者の方が新しい生活を始めることができるように、住宅の一日も早い再建に向けてできる限りの努力をしていきたいと考えております。

 御指摘の災害公営住宅の建設については、自治体が被災者の要望を踏まえ進めているものというふうに理解をしておりますが、政府としては、適切な戸数が確保されるように支援をしているところであります。

 また、先般、被災者の方々に将来の生活再建の見通しと希望を持っていただけるように、災害公営住宅について、民間住宅等用地の整備とあわせて工程表をお示しさせていただきました。御評価をいただいて大変うれしく思いますが、住宅や生活の再建について、被災者生活再建支援金による支援を講じております。さらに、今般の補正予算で、津波被災地域の自治体が住まいの形成に資する施策を通じて住民の定着促進を進めるため、震災復興特別交付税を増額したところであります。

 引き続き、現場主義に立って、まさに被災地の皆さんが主役、そういう観点に立ちながら、最大限の支援を行っていきたいと考えております。

高橋(千)委員 実は、今総理はきっと、私、二つ通告していたんですけれども、流れがあれだなと思って分けたら、後ろの方も答弁をしてくれたんだと思います。

 実は、工程表は、自力再建と公営住宅がセットで書かれています。そのことをおっしゃったと思うんですね。やはり私は、そこがすごく大事だと思うんです。せかさないでと言っている人もいるんですね。つまり、今は仕事があり、今はある程度の蓄えがあるんだけれども、息子が帰ってくると言ってくれない、そういう中で長くローンを払っていけるだろうか、そういう不安を抱えている方。あるいは、自力再建を目指していたんだけれども、まだちょっとめどがつかない。つまり、まちづくりがまだ始まっていかないわけですからね。そういう中で、改めて公営住宅を希望して、仮設に入ってくる人も今すごくふえているわけですよ。

 そういう中で、私は、やはりもう一歩後押しをする必要があるのではないかと思うんです。

 さっき、ちょっと補助の上限の話をしましたけれども、公営住宅は、一戸当たり一千数百万かかるわけですよね。しかも、その後の管理ということもございます。ですから、これは、例えば三百万の支援金を五百万に拡充をして、自力で再建できる人はやる、後押しする、その方がずっと、コストもかからないし、得策ではないかと思うんです。こういう考え方で踏み込んでいくというのはいかがでしょうか。

根本国務大臣 被災者生活再建支援の支給額、これは平成十六年の法改正によりまして、もう高橋委員御存じだと思いますが、合計で最大で三百万円の支給を受けられるということになりました。さらに、平成十九年の法改正、これについては、年収、年齢要件を撤廃した上で、生活関係経費を基礎支援金、居住関係経費を加算支援金、見舞金的な性格を有するものとして再構成いたしました。これは与野党一致の議員立法によって成立をいたしました。

 支給限度額の引き上げについては、やはりこのような立法経費、見舞金的な性格を有するものとしての他の制度とのバランス、国、地方の財政負担などを勘案して、慎重に検討すべきものと考えております。

高橋(千)委員 その見直しのとき、私自身も委員の一人として参加をしておりますけれども、四年後の見直しということを決めたわけですね。その四年後が二〇一一年だった。ですから、もうとっくに期限は過ぎているわけです。そして、こういう実態が広がっている。

 自治体は、例えば陸前高田市ですと、国と県と市町村合わせて最大で一千万くらいの補助も出している。それだけ頑張って、地域に戻っていただきたい、暮らし続けていただきたいということをやっているわけです。そういう自治体の取り組みも大いに踏まえながら、前向きに検討していただきたい、きょうはそこを指摘して、総理にもぜひお願いをしたいと思います。

 次に、原発の問題を質問したいと思います。

 三月の九日、我が党の志位委員長を先頭に、国会と県議団が一緒に福島第一原発に行ってまいりました。

 今回は、初めて四号機の燃料プールが見おろせるところまで上がることができました。四号機は天井が吹き飛び、カバーをかぶせただけですので、私、プールの水面がわずかに見えました。千五百三十三体の使用済み燃料を取り出す作業、これは、建屋は粉々ですので、隣に足場となる鉄骨施設を建設中でして、そこからクレーンで取り出すということなんですが、私たちが立ったところが三百マイクロシーベルトでありました。

 すぐ隣の三号機、水素爆発をしております。前を通るだけで、毎時一ミリシーベルト。だからバスからおりない。それだけではなく、バスも全速力で前を通り抜ける。そういう状態であります。格納容器の底はどのくらいになっているか、三号機については計測することさえ不可能だと聞いています。

 ちなみに、二号機は七十三シーベルト、これは人が六分間全身に浴びると一〇〇%死亡すると言われている量であります。

 そして地下水の問題です。流入による、日に四百トンという汚染水、この処理は、タンク一つが二日半で満杯になり、いまだに妙案はありません。改めて、事故収束とはほど遠い現実があり、廃炉までの道のりは長く、非常に困難であると実感をさせられました。

 総理も同じものをごらんになったはずです。だからこそ、収束とは言えないと発言をされたと思います。これはもう事実上、収束宣言撤回と同じ意味だと考えてよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 四号機、私も屋上に上りました。そして私は中にも入らせていただきました。これから、廃炉の作業、かなり困難をきわめると思っております。

 それで、福島第一原発についてでありますが、一昨年の十二月に、原子炉の状態を定量的に評価した上で、冷温停止状態になった、これが確認され、現在でも安定した状態にあることは変わりない、このように考えております。

 ただ、実際に、廃炉も含めた事故への対応が全て終わったわけではありません。廃炉については、研究開発も含めて、国も前面に立って加速化していかなければいけない、こう考えております。廃炉以外にも、賠償の問題、除染の問題、そして被災者の皆さんの帰還、健康管理、まだまだたくさんの課題を解決していかなきゃならない。

 そういう中にあって、全ての課題があたかも解決したようにとられかねないこの収束という言葉は適切でない、このように考えております。

 撤回ということでありますが、撤回、広辞苑で調べますと、「いったん提出したものをとりさげること。」ということでありまして、我々が提出したんじゃないんですね。前政権が収束宣言を行ったものでありまして、現政権としては、その表現は使いません。

高橋(千)委員 我々にとっては使わないということなんだから撤回でいいじゃないかと思うんですが、撤回という言葉はどうしても言いたくない、何かそういうものがあるんだろうと思うんです。ただ、使わないんだと。

 事実上、収束宣言ということは安倍政権は言っていない、これでよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 ただいま茂木大臣が答弁したように、これは野田政権において収束という言葉を使った。我々は、実際に全てのものが終わったわけではないし、地域の方々からお話を伺えば、とても政府として収束ということを言える状況にはないと思っております。そこで、安倍政権としては、収束という言葉は使わないということでございます。

高橋(千)委員 それで、まず確認をしたいと思います、使わないのだと。我々にしてみれば撤回と同じことだと言えますが、これ以上言葉をあれこれということではなくて、そのように受けとめたいと思います。

 そこで、大臣がおっしゃったこと、基本的に同じだなと今思ったんですけれども、これは、原発をなくす全国連絡会・ふくしま復興共同センターが共同で呼びかけて、昨年の十一月十一日に、福島県内の地元紙二紙、それから全国紙二紙に、大体約九百万、この部数、全面意見広告をこのように出したわけです、「原発即時ゼロは多くの国民の願いです」。そして、その中に三つのことが書いてあります。「福島の原発事故は収束していません」「除染、賠償、健康を守ることが福島県民の願いです」「政府は「原発を即時ゼロにする」決断を」、この三つが、まさに今、本当に問われているのではないかと思うんです。

 そこで、きょうは東電の廣瀬社長にもおいでをいただいております。

 福島第一原発は六基、第二原発は四基あります。東電が廃炉の申請をしているのは、第一原発の四号機までであります。しかし、御案内のように、福島県議会は既に二〇一一年の十月に、全会一致で、十基全てについて廃炉を求める請願を採択しています。また、県内五十九市町村中五十二の市町村が同じ趣旨の決議をしています。

 この声を重く受けとめ、十基全ての廃炉を決断すべきと思いますが、いかがでしょうか。

廣瀬参考人 東京電力の廣瀬でございます。お答えいたします。

 福島の原子力発電所の、残っております第一原子力発電所の五号機、六号機、それから第二原子力発電所の一、二、三、四、これら六基の原子力発電所につきましては、今後、政府の方で今お進めいただいております、原子力政策も含みますエネルギー政策全体等の御議論を踏まえて、私ども、判断する必要があろうというふうに考えておりまして、現時点では未定とさせていただいているところでございます。

高橋(千)委員 今のお話は、事業者は、やはり国の政策で判断をするとおっしゃっていると思うんですね。それで、国は今まで、事業者が決めることというふうな表現を使ってきました。私、これだったら堂々めぐりだと思うんです。

 茂木大臣、昨日の本委員会で、小熊委員の質問に対してお答えをされています。県議会の決議や県の復興計画にも全原発の廃炉が盛り込まれていることを、大臣みずからが紹介されました。そして、いまだに十六万人の被災者の皆さんが避難生活を余儀なくされている現状を考えれば、十分理解できるとおっしゃっているんですね。

 そこまで理解しているのであれば、あとは政治の決断しかありません。事故の確実な収束さえまだ困難な中、同じ東電が隣の原発を動かす、こんな選択肢はあり得ないと思います。いかがですか。

茂木国務大臣 エネルギー政策については、国の責任においてきちんと決めていきます。

 一方で、原発の再稼働の問題でありますが、法律がどうなっているか。御案内のとおり、改正原子炉等規制法に基づきまして、原子力規制委員会において原発の安全性の確認が行われる、こういうことになっております。そして、原子力規制委員会により安全性が確認されれば、事業者がみずからの判断により再稼働することが可能となる、こういう法律の仕組みになっております。ただし、現実問題としては、立地自治体と関係者の再稼働に向けた御理解、こういうものが必要だと思っております。

 そして、これまでにない大事故を経験され、いまだに十五万四千人の被災者の皆様が避難生活を余儀なくされている現状を考えれば、福島県内においてさまざまな請願そして計画が提出されている、このことは十分理解できます。

高橋(千)委員 ですから、私たちは、もちろん、全部廃炉にすべきだと言っていますよ。しかし、この福島の問題は、今おっしゃったように、これだけの重大な事故を起こしている、県民が今こうむっている被害、わかっているとおっしゃっているんだから、政治決断すべきだと言っております。

 規制委員長に伺います。

 そもそも、東電は、〇六年の耐震基準を満たしておりません。これは、国会事故調のヒアリングでも、八百億円の予算をつけておきながら何もしていないじゃないかという指摘までされているわけですよね。そうすると、仮にまた動かすなどということになれば、まず〇六年をクリアしなければならないですよね。その上で、新しい基準を満たす、そういうことが求められると思いますが、確認させていただきます。

田中政府特別補佐人 原子力規制委員会は、前々から申し上げていますが、科学的、技術的見地から原子力発電所の安全性を確認することが役割であるというふうに認識しております。したがいまして、福島の個別の原子力発電所について再稼働するかどうかという判断をする立場にはないということであります。

 ただし、一般論として申し上げますと、現在、東京電力の福島第一原子力発電所の事故を踏まえて、地震、津波など、今御指摘のような外部事象に対する対策を強化すること、それから、シビアアクシデント対策の導入も含めて新たな安全基準の改定を進めているところでございます。既存の原子力発電所につきましても、この新基準を適用し、これを満足できなければ安全性が確認できないということになります。

 そういうことで、福島の第一原子力発電所、第二原子力発電所含めまして、こういった地震、津波についての安全基準を満たしていただけるかどうかということが判断の基準になるということで御理解いただきたいと思います。

高橋(千)委員 一言でよろしいです。

 規制委員会は、再稼働の権限はありません。しかし、停止をさせる、これは原子炉等規制法の中に明確に権限があると思いますが、いかがですか。

田中政府特別補佐人 新しい改正原子炉等規制法が施行されて、七月になりますけれども、新しい基準ができますと、それに基づいてバックフィット規定が導入されます。したがいまして、この基準に適合していないと認めるときは、原子炉施設の使用の停止あるいは改造等の必要な措置を命ずるということにしています。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 やはり、話をちゃんと分ける必要があると思うんですね。再稼働云々の前に、停止をさせるという権限を規制委員会は持っているわけです。そして、今指摘をしたように、そもそも、〇六年の、震災前にやっておくべきことをやっていなかった、そういう東電が、さらに新たな基準をクリアして、今、収束作業がまだ道筋が立たないような状況でほかの原発を動かすなんということはあり得ないんだということ、だから廃炉なんだということを重ねて指摘したいと思います。

 きょうは、最後にもう一つ、東電の社長に質問したいことがございます。賠償の問題であります。

 双葉郡の区長会の皆さんが要請をされていました財物賠償、本当に再建を保証する内容にしてほしい、なぜ加害者である東電が基準を決めるのか、自分たちは被害者なのに、分厚い、難しい書類を提出して、何で東電に頭を下げなきゃいけないんだ、そうおっしゃっています。まして、その書類が厚過ぎて、何もしていないひとり暮らしのお年寄りなどもたくさんいらっしゃるんだ、そういう指摘があるんですね。これを踏まえて、三月五日に文部科学省が、ADRセンターのまとめを出した上で、東電に態度を改めるように要請をしています。

 廣瀬社長、こうした声にどう応えていくのか。誠意ある回答をお願いしたいと思います。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 御指摘の点は、今先生がお配りになられた最後のページについております、まさに文部科学省から私の名前でいただいた書面にあるとおりでございます。

 そこにありますように、原子力損害賠償紛争解決センター、いわゆるADRセンターに昨年の一月から十二月までに寄せられた声の中で、東京電力に対する御意見や御要望あるいは御不満の声というのが三割を占めるということでございました。

 私ども、できる限り親身な対応をということで、一つ一つ個別の事情を聞いて、できるだけそこに対応していくというのが基本方針ではありますけれども、まだまだそうしたことがケースとして残っているということ、御指摘でございましたので、大変重く受けとめまして、今後もしっかりやっていかなければならないなというふうに改めて思っているところでございます。

 具体的には、この一月一日に福島復興本社というのをつくりまして、そこで、地元の皆さんにより近いところで、御事情をお聞きしたり、それから実際に現場を拝見させていただいたりということで、それぞれの個別の対応をよりスピーディーにできるようにということで始めております。

 また、私どもにもいろいろな御質問や御意見を賜っておりますので、そうしたものを、私どものホームページで対応策を素早く載せさせていただいて、広く皆さんにお知らせすることによりまして、不公平が出たり、私の場合は違ったんだというようなことがないように、今、対策をとらせていただいているところでございます。

 いずれにしましても、今後も引き続きしっかり対応するように、私どもも含めまして、一生懸命やっていきたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

高橋(千)委員 時間になりましたので、要望にとどめます。

 交渉を私たち何度も東電に求めておりますので、今おっしゃったように、誠実な対応を求めたいと思います。

 ただ、文科省は指針をつくる側ですよね。指針があるからということで東電が拒否している部分があるんです。注意をするのであれば、みずから指針を見直すべきだ、このことを強く求めて、終わりたいと思います。

山本委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。岩手二区でございまして、被災地の議員としてきょうは質問をさせていただきます。

 まずもって、三月十一日から二年がたったところであります。改めまして、お亡くなりになられた皆様に心より哀悼の意を表しますとともに、今なお長い仮設住宅暮らしで大変な思いをされている方々、そして被害を受けられた皆様に心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。

 三月十一日が参りますと、マスコミではこの被災のことの取り上げが大きくなる。ただ一方、ふだんはちょっと少なくなってきたなという思いがあります。つまり、震災の記憶と経験が風化しているのではないか。

 もう一つ地元で思うのは、国会でこうやって議論しているんですが、こういうふうな措置をとりました、制度をつくりました、規制を緩和しました、何となくこれで東京は終わったような感じで、もう措置をしたという勘違いをするわけですよね。地元はもちろん野っ原が広がって、全然そこは見えていないというところが、本当に被災者の不満があるところだと思います。

 三・一一で、きょうはこうやって予算委員会で復興の集中審議をテレビ入りでしている。いいことだと思いますが、実は、こういう形で国会の委員会を、年一回でもいいですから、被災地で開いてもいいと私は思います。

 そして、災害を忘れない日ということで、復興関係、この日を祈念するというか、この日をつくる、防災の日なんかは別途ありますけれども、そういう日をつくってしっかりと忘れないでいく。そして、経験を踏まえて、忘れないでいって、さらに世界に向かって発信していくということも、経験国として大事なことだと思います。

 総理、そういうことも踏まえて、その辺をどのようにお考えになってやっていく決意か、お伺いします。

安倍内閣総理大臣 東日本大震災においては、本当にたくさんの方々が犠牲になられました。数多くの犠牲のもとで我々が得た貴重な教訓がございます。こうした教訓を各世代がしっかりと受け継ぎ、そして災害の絶えない我が国の防災に役立てていくということは、極めて重要であるというふうに思います。

 政府としては、災害事例や災害に係る教訓、伝承を記録に残すとともに、これらを蓄積、整理、共有して、防災教育に活用しているところであります。被災者に寄り添った一日も早い復興をなし遂げるとともに、今般の教訓を踏まえて、我が国全土にわたって災害に強い強靱な国をつくっていきたい、このように考えております。

畑委員 ありがとうございました。

 私、被災地の仮設住宅を回っていますと、御老人の方が多いんですが、私たちはここで死にたくない、早く移って、死ぬならばついの住みかで最期を迎えたいということを言われます。大変、身につまされる言葉であります。やはり住宅の再建が一番重要だと思います。いろいろな施策をとっても、住むところがちゃんとないと、やはり仮設だと不安なんですよね。衣食住の住でありますけれども、ここをしっかりやらなければいけないと思います。

 そこで、きょうも議論がありましたけれども、この住宅の再建には、いろいろな土地利用なりあるいは事業制度の手続、規制があります。ここを迅速にできるようにしっかりやっていかなきゃいけないということだと思いますが、これまでのところ、どのような考え方でそういうものが緩和なり改善されていったのか。そして今後、どのような形でまた検討されていくのか、そこを総論的に総理にお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま畑委員がお話しになられたように、この場所では死にたくない、それは、私が視察をした際にも、仮設住宅で生活を送っておられるお年寄りの口からそういう話を伺いました。その中において、私たちも、一日も早く皆さんが戻れるように、そして同時に、いつになったら戻れるんだというこの先の見通しをお示ししていくことが極めて重要である、こういうふうに感じたところでございます。

 復興大臣のもとにタスクフォースを設置いたしまして、住宅等の工程や目標を記載した住まいの復興工程表と、その実現及び加速化のための施策パッケージをまとめて公表したところでございます。

 今後は、関係機関が一丸となってこの工程表を円滑に推進するとともに、施策パッケージの充実を図り、さらなる住宅再建、復興まちづくりの加速化に努めてまいりたいと思います。

畑委員 私、実は感じますのは、まちづくり、そして住宅再建に対する規制のあり方というところなんです。これは後ほど個別に議論させていただきますが、やはり、平時の規制のままやっているから、どうしても既存の制度の理由がちょっと合わなくなっている部分もあるなという思いを持っております。

 復興庁は復興の司令塔だとおっしゃっておりますので、実は、こういう規制のあり方というのを常に定期的に検証してやっていく、全体を把握する、私はそういう必要があると思っております。

 この議論をするに当たって、復興庁の方を呼んで聞いたら、あるまじきことですが、そういうのは各省庁に任せてあるし、全体はわからないと言ったんですよね。それで、各省庁から個別のは聞いて、いろいろ検討、勉強したわけです。

 結局、確かに各省庁にまたがってはおります。御存じのとおり、農転なり保安林解除なり埋蔵文化財、あるいは、きょう議論させていただきますが所有者不明土地、いろいろあります。これを、実は、いろいろな復興の加速の措置をとったという話は伺うんですが、やはり踏み込み不足かなと。つまり、既存の制度の中で、時期を早めましたとか、手続というかやり方を簡略化しましたということはあるんですが、私は、やはりもうちょっと踏み込んで、要件なりあるいは事業処理そのものがこれでいいのかということも含めて、もうちょっと検討した方がいいと思っているんです。

 そういう考え方で申し上げますと、一つ、個別のお伺いをしたいわけですが、本日何回かありましたが、事業用地の円滑な確保というのがございます。これからまちづくり事業がどんどんどんどん出てくる。ここをやはり何とか簡素化しないと大変だなと思います、いろいろ自治体に聞いていても。

 そこについて、そういう簡素化に向けた措置が、どのようなことが現段階で行われたのか、そして今後どのような検討をしていくおつもりか、お伺いしたいと思います。復興大臣、よろしくお願いいたします。

根本国務大臣 先ほど総理から答弁いただいたように、住宅再建・まちづくりタスクフォース、これを私どものもとに置きました。

 そして、具体的には、法務省の民事局長あるいは国土交通省の局長、各それぞれの省庁の担当局長と議論をして、具体的に、それぞれの分野で担っている課題、問題点、それを速やかに提示して、我々議論をして、さまざまな、住宅再建、まちづくりに関する手続の簡素化を含めて、取りまとめて提示をいたしました。

 例えば土地収用法については、審査期間を短縮する、あるいは財産管理人制度、これは制度はありますが、今回のように相当なボリュームで出てくる場合には、弁護士、司法書士会にも協力をいただいて、そして裁判所にお願いをして、その管理人を速やかに、しかも数を選んでもらわなければなりません。その対応もさせていただいております。

 あるいは、用地取得については、関係省庁の応援チームを自治体に派遣して、そして具体的な事案についてアドバイスをさせていただく、例えばそういう新たな取り組みをいたしました。

 これにやはり大事なのは、手続を簡素化する、迅速化する、実際の制度運用を改める、これがまず大事ですから、それをやらせていただきました。

畑委員 今、個別具体に踏み込んだ御答弁をいただきました。

 私思いますに、所有者不明土地なんですが、今おっしゃったとおり、不在財産管理制度がございまして、これは、実は、御存じのとおり、裁判所が財産管理人を選定して、そして、土地を処分する場合には改めて裁判所の許可が必要、二重の手続が必要なわけですよね。

 これは、本来の制度趣旨からいうと、個別の財産で管理する人がいない、所有者がいなくなった場合を想定しているんだと思います。今回のように、面的に全体が誰もいなくなったというか、所有者不明土地というか、管理する人がいなくなった場合は実は想定していない。大震災を想定した制度じゃないわけです。そこに多分無理が生じると思います。

 というのは、司法書士、弁護士といっても、弁護士は岩手県で百人弱ですから、大体、あと司法書士の方を加えてもそんなに多くない。そういう方を活用しながらやるということもあるわけですが、そもそも、きょうは質問しませんが、法務省というか裁判所というのは司法機関ですから、行政機関と違って受け身の部分が多いし、そして、体制の充実とか迅速な動きというのは限界があるのだろうなと私は思います。この制度でうまく機能するかどうかは今後検証していただくわけですが、なかなか厳しいのかなと思っております。

 あと、土地収用について申し上げますと、これは相当程度、運用でできるんだろうと思います。きょうちょっと資料を配らせていただいて、これは、岩手県の要望というか、こういうふうにしてほしいと整理した資料なんです。

 土地収用でいえば、土地収用法二十条、これは土地収用上の事業認定の要件を定めております。三つだか四つの要件がございますが、いろいろ書いてあるわけです。事業者が確実に事業をすることとか、あるいは事業者の資力とか、あるいは事業が公益性を持っているかどうか。当たり前のことを書いていますが。

 そこは、実は、私も収用にいたのでわかるんですが、かなりぎりぎりやるんですよ。個人の財産権を奪うものでありますから。ただ、今回は、こういう平時ではありませんから、そこを一つの割り切りで事業認定を判断するということは、私はあっていいと思います。

 公益性なんですけれども、復興事業であれば、公益性はありますよね。当たり前ですよね、この時代に。であれば、ここはもう、全部の復興事業じゃなくても、例えば国の災害査定とか復興交付金事業として認可された事業、一定の手続が必要ですが、そういう事業については収用適格があるんだと、もう割り切って運用したらいいんだと思います。これは運用の緩和でできます。

 それから、これは土地収用法の十五条の十四で、事業説明会というか、地権者、収用対象になる人たちですから、しっかりと説明会をしなさいということが言われているわけですが、本来であれば、事業認定のために説明会を別途やるわけですよ。ただ、今回は、事業説明というのは、この事業認定の手続とは別にやっているわけですよね、各地権者、地域の住民に。そういうものをもって代替できないかということなんです。

 こういうことについて、復興大臣、いかがお考えでしょうか。

根本国務大臣 具体的な提言をいただきました。

 事業認定の問題については、土地収用法二十条の考え方があるわけですね。その法律の考え方があって、一方で、国の災害査定、復興交付金、これは運用でやっているわけですが、それが法律上の趣旨からしてうまく組み合わせることができるかどうか。これは、具体的には、土地収用法というのは強制的に土地を取得する法律ですから、個人の財産権の制約にもなりますから、手続の簡素化という観点でここまで踏み込めるかどうか、これは少し研究をさせていただきたいと思います。

 説明会の開催も、これも土地収用法の規定に照らしてどこまで簡素化できるか。我々は、簡素化できるものは今簡素化をいたしましたから、委員の提言を受けて、さらなる運用、簡素化ができるかどうか、これは研究させていただきたいと思います。

畑委員 ありがとうございました。

 これは、その都度その都度、いろいろなこういうものを踏まえて定期的に検討していただく、恐らく、必要に応じてその都度、問題が出てきたらやりますということじゃなくて、やはりスパンを設けてやっていく、このことがまちづくり事業を早めることになると思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 あと、これは答弁は要りませんで、一つの考えなんですが、この岩手県のに書いてあるんですが、財産管理人制度、これにかわって、公的機関である市町村が管理権限を持って、不在のある地域の、当然、一定の財産保全措置は必要ですよ、それをやりながら処分権を持たせる。結局、売った後はまた金銭清算ということになるんでしょうが、そういう制度も必要だということもあって、これはかなり骨の重い話だというのは、法制局の議論も私ども聞いておりますが、こういうことも含めて、長期的に検討いただきたいと思います。非常に真っ当な提言だと私は思います。

 そしてもう一つ、埋蔵文化財の話をちょっと、きょうは文科大臣に来ていただいておりますので、お伺いしたいと思います。

 実は、埋蔵文化財の話が、地元では大変だ大変だというんですよ。これはわかります。千年に一回の災害です。そういう中で、例えば、これは乱暴な言い方をしますよ、国宝とか世界遺産級であれば慎重にやるべきだと。ただ、掘ってくれば、縄文とか弥生の遺跡は出てくるわけですよ。それを通常の要件と手続でやれというのはかなり酷なんだと思います。

 それで、被災者も大変ですが、実は、そういう実務者というか役所の職員も往生して大変です。お互いが大変な、不幸な事態になっています。そういうことで、埋蔵文化財調査、今回の措置で通知が出されたとお伺いしました。これは、従前の調査による知見に基づき試掘調査を不要とするなど、発掘調査の簡略化と迅速化ということだと伺っております。

 ちょっと個別に、具体的にお伺いしたいんですが、文化財包蔵地、そこにある、埋まっている土地というのが従来の知見でわかっていれば、そこを開発する必要がないし、避けてその周辺を開発すればいいわけですが、その周辺を開発する場合でも、何か掘れと言われるというんですが、そういうことはないですし、この趣旨に反しますよね。包蔵地の外側を開発する場合には、これは特別な事情がない限りは掘らなくてもいいということでしょうか。ちょっとそこを確認しておきたいんです。

下村国務大臣 お答えいたします。

 被災地の復興に当たっては、復旧復興事業の迅速化と、そして埋蔵文化財の適切な保護の両立がやはり必要だというふうに思います。

 今御指摘がございましたように、被災地の埋蔵文化財の発掘調査において、一つは弾力的な取り扱いをする。この取り扱いについては、従前の調査による知見がある土地については原則試掘や確認調査が不要である、このことを被災自治体に周知しているところでございます。

 また、人的支援についても、必要なところについて、埋蔵文化財の専門職員、これは発掘調査の指導監督を行うものでございますが、これは全国の教育委員会の協力を得て、被災地でニーズのあるところには派遣をしております。

 また、発掘調査の費用を東日本大震災復興交付金の対象として、被災地自治体の財政負担がかからないようにしていますので、今の御指摘については、埋蔵文化財の専門職員を派遣しておりますので、現地でそれぞれの自治体が的確に対応していただければ、できるだけ早く対応ができるのではないかというふうに思います。

畑委員 ちょっと一般的な説明で、わかったようなわからないような感じだったんですが。

 包蔵地の外側で、従来の知見で掘らなくてもいいだろうという判断をされることはあり得る、そこはそういうことでいいんだということでしょうか。ちょっとそこをお伺いしたいんですが。

下村国務大臣 これはなかなか一概に言えない部分がございます。

 例えば、埋蔵文化財の包蔵地でない土地として確定している場合はこれは改めて試掘や確認調査を行う必要はございませんけれども、埋蔵文化財の包蔵地であるかないかということについてはやはり確認をする必要があるというふうに思います。

畑委員 何とぞ柔軟に対応をよろしくお願いしたいと思います。

 それで、私が規制のあり方をこうやって問題にしているのは、実は、自治体のマンパワーがかなり不足している。そこで、人を集めて応援もいいんですけれども、全国的にも大変だろうと思いますね。だから、平時の規制で、緩和できるところは緩和した方がいいわけですよ。そういうことをあわせながらやっていくのが私は合理的だと思います。

 既存制度を利用することはもうかなりほころびが出ているな、そういう思いもあります。これからぜひとも、そういう制度も含めた積極的な検討は、まちづくりが本格化してきますから、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、次に移らせていただきますが、復興交付金の運用の柔軟化ということを、住宅は飛ばさせていただきまして、ちょっと御質問したいと思います。

 復興交付金の運用の柔軟化ということが示されたわけですが、しっかりと自由度の高い運用がなされることが必要だろうと思います。

 まずは、どのような点が改善されたか、復興大臣からお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 復興交付金については、要は、各地区でどんどん復興のステージが高まってきているんですね。それに伴ってさまざまな課題への対応が求められております。

 今回の三月八日の交付可能額通知に合わせて、運用の柔軟化を行いました。これは、今までの提案を全部精査して、具体的に対応できるものは具体的に対応する、この構えでやりました。

 多少長くなりますが、丁寧に説明します。

 まず、基幹事業の採択の範囲を拡大しました。

 例えば、津波復興拠点における防災拠点施設の整備、あるいは防災集団移転跡地、ここで公園でやりたい、こんな話もありましたから、当然、その状況を見ながら、公園整備やあるいは漁業集落のかさ上げ、これも認めることにいたしました。さらに、将来を見据えた農業関連の機械の整備やあるいは観光施設整備、これらの点について対応することにいたしました。

 二点目は、効果促進事業。

 これについても、砂浜の再生調査あるいは私立幼稚園用地の整備、駅前駐輪場整備、これらを含めて、実は、ネガティブリストに該当しないものについては基本的に対応する、こういう方針のもとで、さまざまなニーズに対応することにいたしました。

 三点目、効果促進事業の使い勝手を向上してもらいたいと、いろいろな要望がありました。

 一つは、クロスで認めるということにしたんですが、県は市町村の、市町村は県の基幹事業に関連して効果促進事業をやることを可能にしました。

 そして、効果促進事業などの予算の一定割合を先渡ししている一括配分については、これも県から要望がありました、県への一括配分、これを創設いたしました。

 そして、一括配分によって、実現可能な事業を限定列挙してポジティブリスト、こういう事例を出した方がやりやすいだろうということでポジティブリストをつくっておりましたが、基本的には、ちょっと誤解もあるので、これを廃止させていただきました。

 復興交付金はもともと極めて柔軟な制度ですから、さらに、自治体の要望を受けて、我々、できるだけ柔軟に、要請に応えられるように、運用の柔軟化を図ったところであります。

畑委員 ポジティブリストの廃止、これも、実は私も、かねて委員会なり本会議で指摘していたところで、廃止するということは非常に敬意を表する次第であります。

 ただ、今、私も資料を見たら、内訳書を提出することで、例示として位置づけた上で引き続きポジティブリストは作成、そして、担当省庁からの回答を受けて事業を実施したいとの要望を踏まえ、提出された内訳書に対して速やかに修正の有無を回答と。

 これだと、従来と運用は変わらないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 ポジティブリストは廃止いたしました。内訳書というのは、そうはいっても、何でも使えるわけでもありませんから、対応可能なんですよ、非常に。

 ただ、内訳リストは提出してくださいねということでやったので、こういうものに使っちゃいかぬとかいう話ではなくて、やはり効果促進事業に使うためには、ポジティブリストは廃止しましたが、内訳書は資料として提出していただこうということで対応させていただきました。変に縛るものではありませんから。

畑委員 看板に偽りありのポジティブリストの廃止だなと今受けとめましたが、あげつらうことはいたしません。

 しっかりと、地方に柔軟なように、そこはもうさじかげんで、本当はこういうさじかげんでぎりぎりやるのはいかぬし、やり方が、国でどの程度やるというのは問題なんですが、いずれにしても、自由度があるようにしっかり運用していただくよう、今後の運用の推移を見守らせていただきたいと思います。

 あと、鉄道の復旧についてお伺いしたいと思います。

 太田国交大臣は、三月十日に岩手県の方に、盛岡の百六号簗川道路の開通式でちょっと御一緒させていただきまして、宮古まで行っていただいて、ありがとうございました。宮古では、山田線復旧へのいろいろな要望をお聞きになったと思います。

 八日には盛岡で復興調整会議も開催された。この中で、JR東日本から事業費の積算、概算で二百十億、そのうち原状復旧に要するのが百四十億だという方針が出されたということは伺いました。

 こういうことを踏まえて、時間もあれなので全体でお聞きしたいんですが、百四十億の原状復旧の部分はJRが負担すると言っているのかどうか。そして、残り七十億は、これを全部出すかどうかというのは、このままではいかぬし、調整、議論は必要だというのは私もわかりますが、大臣は前向きなことを地元でも言っていただいて、非常に勇気づけられておりますが、まちづくりとして使う部分については支援する方向で検討が進んでいるのかどうか。

 そういうことをお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

太田国務大臣 JR山田線については、国交省、そして沿線自治体とJR東、まさに地元と調整会議をずっとやってきて、今お話のありました八日にもやったところです。

 そのままの復旧ということであればJRにやってもらうということになるんですが、それについてはまだ合意ができていないということもあって、まちづくりと一体化して、かさ上げをしてそこに鉄路を置くということについて、試算としては、原状復旧ということで百四十億、そしてかさ上げというところで七十億、足して二百十億という数字が出たということです。

 私としては、まちづくりということの上で、山田線を復旧させるということについては、国としても必要なことについてはやらなくてはならないのではないかなというような、検討状況というのは、今、そこまででございます。

 調整会議でかなり、毎回毎回、私は、中身が詰まってきているというふうに思いますので、JRや地元の人たちとよく中身を詰めていただいた上で、そして、国のできる部分について、支援ということについては検討という段階に至るのではないのかな、こういうのが今の率直な状況でございます。

畑委員 ありがとうございました。

 そこで、これはJRがしっかりと鉄道を復旧しますという決断をすることにかかっているわけですが、大臣としては、いつぐらいまでにJR東日本が態度を明確にしてくれるのが望ましいとお考えか。

 実は、もう地域はまちづくりに入っているんですね、鉄道復旧を前提に。そして、六月から九月ぐらいまでの間に、区画整理は、都市計画決定なり事業計画認可が行われます。そういう動きで動いています。今さら復旧しないという話をされても自治体は困るわけです。

 いずれにしましても、そういうことをいつぐらいまでにやってもらうことが必要なのか。それがなければ、まちづくりもやはり不安で腰が入らないというか、なかなか進められません。障害がありますよね。

 そこのところを、大臣のお考えで、いつぐらいまでにJR東日本が鉄道復旧を、まあクリアされる必要な条件もありますが、してほしいと思っておられるのか、お伺いしたいと思います。

太田国務大臣 私がこの場でいつまでということを申し上げるという段階にはまだありませんが、あくまで調整会議の中で、先ほど申し上げましたように、会議を開くごとに、私は、前進し、中身が詰まってきているなというような実感をしております。

 そうした点では、さらにこの調整会議の検討を急いでいただくということが一番大事なことだと思います。

畑委員 例年でいくと、概算要求の取りまとめが八月ぐらい、そして、地元で区画整理の事業認可が六月から九月ぐらいとなれば、おのずから時期は見えているんだろう、こう思うんですが、その方向に向けてしっかりと、前向きにしっかり詰めていっていただいて、地元に勇気を与えていただくようよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて畑君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十四日午前九時から委員会を開会し、一般的質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十七分散会


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