衆議院

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第15号 平成25年3月18日(月曜日)

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平成二十五年三月十八日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 岩屋  毅君

   理事 遠藤 利明君 理事 小此木八郎君

   理事 西銘恒三郎君 理事 萩生田光一君

   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君

   理事 石田 祝稔君

      あかま二郎君    青山 周平君

      赤枝 恒雄君    秋本 真利君

      安藤  裕君    井野 俊郎君

      伊藤信太郎君    池田 佳隆君

      今村 雅弘君    岩田 和親君

      うえの賢一郎君    衛藤征士郎君

      小里 泰弘君    小田原 潔君

      大串 正樹君    大塚 高司君

      大塚  拓君    大野敬太郎君

      奥野 信亮君    門  博文君

      門山 宏哲君    金子 一義君

      菅家 一郎君    小池百合子君

      関  芳弘君    薗浦健太郎君

      渡海紀三朗君    中山 泰秀君

      西川 公也君    野田  毅君

      原田 義昭君    船田  元君

      前田 一男君    牧原 秀樹君

      宮路 和明君    武藤 貴也君

      務台 俊介君    八木 哲也君

      保岡 興治君    山田 賢司君

      山田 美樹君    山本 幸三君

      湯川 一行君    若宮 健嗣君

      渡辺 孝一君    大串 博志君

      奥野総一郎君    岸本 周平君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      玉木雄一郎君    辻元 清美君

      原口 一博君    前原 誠司君

      松本 剛明君    木下 智彦君

      坂本祐之輔君    阪口 直人君

      重徳 和彦君    中田  宏君

      中丸  啓君    中山 成彬君

      東国原英夫君    佐藤 茂樹君

      佐藤 英道君    浜地 雅一君

      樋口 尚也君    浅尾慶一郎君

      柿沢 未途君    佐藤 正夫君

      笠井  亮君    宮本 岳志君

      畑  浩治君    村上 史好君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         新藤 義孝君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    森 まさこ君

   国務大臣         甘利  明君

   外務副大臣        鈴木 俊一君

   財務副大臣        山口 俊一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  川崎 研一君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    片上 慶一君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     渡辺 孝一君

  秋元  司君     小田原 潔君

  うえの賢一郎君    前田 一男君

  大塚 高司君     八木 哲也君

  大塚  拓君     菅家 一郎君

  小池百合子君     山田 美樹君

  塩崎 恭久君     湯川 一行君

  関  芳弘君     務台 俊介君

  中山 泰秀君     山田 賢司君

  牧原 秀樹君     武藤 貴也君

  若宮 健嗣君     小里 泰弘君

  岸本 周平君     篠原  孝君

  玉木雄一郎君     松本 剛明君

  辻元 清美君     奥野総一郎君

  原口 一博君     大串 博志君

  前原 誠司君     田嶋  要君

  坂本祐之輔君     阪口 直人君

  東国原英夫君     木下 智彦君

  浮島 智子君     樋口 尚也君

  佐藤 英道君     佐藤 茂樹君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

  宮本 岳志君     笠井  亮君

  村上 史好君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     若宮 健嗣君

  小田原 潔君     門  博文君

  菅家 一郎君     大塚  拓君

  前田 一男君     薗浦健太郎君

  武藤 貴也君     青山 周平君

  務台 俊介君     池田 佳隆君

  八木 哲也君     赤枝 恒雄君

  山田 賢司君     秋本 真利君

  山田 美樹君     安藤  裕君

  湯川 一行君     井野 俊郎君

  渡辺 孝一君     あかま二郎君

  大串 博志君     原口 一博君

  奥野総一郎君     辻元 清美君

  篠原  孝君     岸本 周平君

  田嶋  要君     前原 誠司君

  松本 剛明君     玉木雄一郎君

  木下 智彦君     東国原英夫君

  阪口 直人君     中丸  啓君

  佐藤 茂樹君     佐藤 英道君

  樋口 尚也君     浜地 雅一君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

  笠井  亮君     宮本 岳志君

  畑  浩治君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     牧原 秀樹君

  赤枝 恒雄君     大塚 高司君

  秋本 真利君     大野敬太郎君

  安藤  裕君     大串 正樹君

  井野 俊郎君     岩田 和親君

  池田 佳隆君     関  芳弘君

  門  博文君     秋元  司君

  薗浦健太郎君     うえの賢一郎君

  中丸  啓君     坂本祐之輔君

  浜地 雅一君     浮島 智子君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     門山 宏哲君

  大串 正樹君     小池百合子君

  大野敬太郎君     中山 泰秀君

同日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     塩崎 恭久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十五年度一般会計予算

 平成二十五年度特別会計予算

 平成二十五年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算、平成二十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官川崎研一君、外務省経済局長片上慶一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 本日は、経済対策・経済連携等についての集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川公也君。

西川(公)委員 自民党の西川公也でございます。

 きょうは、TPP問題の集中審議、こういうことでトップバッターを仰せつかりました。

 総理が十五日に記者会見をして、今、参加する時期だ、そして、今後の憂いのないように国家百年の大計を立てていく、こういうことを本当にわかりやすい言葉で丁寧に発表してくれました。

 私も、この土曜、地元を歩いてみまして、農協の皆さん、あるいは農協関係の皆さんと話をしました。この人たちの今の心境は、TPPに参加してほしくなかった、この気持ちが素直な気持ちですけれども、入った以上は日本の農業が荒廃の一途をたどらないようにぜひ対策を立ててくれ、こういう話でございます。

 農業というのは、日本の国内農業は生産額が八兆円、海外から入ってくるものが四兆円、合計十二兆円の農産物でありますけれども、国民の食になるときには九十五兆円、こういうふうに膨らんでいくわけであります。そして、農業も林業も確かに生産額は小さいのでありますが、国土の三分の二を農林業の皆さんが支えてくれている。こういう状況でございますので、それは産業政策の中で、貿易をふやそう、これはわかります、しかし、やはり大事な農林業の皆さんも守ってほしい、こう思います。

 総理の会見、そして、きのうの党大会の挨拶を聞いておって、私は安堵をしています。しかし、国民の皆さんに、特に農業者の皆さんに、総理の考え方をこの場を通してお伝えいただければと願っております。よろしくお願いします。

安倍内閣総理大臣 農業については、いわば産業としての側面だけでははかれない面があるのは厳然たる事実でありますし、私もそのとおりだと思っております。

 よく、GDPに占める比率が農業は一・五%であって、その一・五%のために九八・五%が犠牲になってもいいのかという議論がありますが、それは間違いであります。先進国は大体これぐらいのパーセンテージでありまして、英米も一%ぐらいなんだろうと思います。いわば農業国と言われているフランスやあるいはニュージーランドでも三%とかその前後なんだろうと思いますが、しかし、どの国も手厚く農業を保護している。

 なぜ保護をしているかといえば、やはり食料というのは、もしかしたらこれはお金では買えない場合もあるかもしれない。天候に大きく左右される。そして、国土を保全し、環境を守っている。

 日本の場合は特に、我々は農耕民族であります。瑞穂の国であります。その日本の伝統と文化をしっかりと守ってきた。日本人が日本人であるために、やはり農業は国の礎でなければならない、私はこう思っているわけであります。

 その中において、交渉において、しっかりとこの農業、食を守っていくために全力を尽くしていきたい、このように思います。農業はしっかりと守っていく、食はしっかりと守っていくということは、はっきりとお約束をしたいと思います。

西川(公)委員 ありがとうございました。

 そこで、総理が二月に日米首脳会談をやって、その場で、TPPは聖域なき関税撤廃を前提としない、つまり例外ができる、こういうことだろうと思います。そうしますと、日本も例外を主張しますけれども、アメリカ以外の残りの十カ国も例外を主張してくるはずであります。

 私も自民党の事務局長で何度もWTOの交渉に出させてもらいましたけれども、あの百五十数カ国が参加する中で、うまいぐあいにグループができておりました。つまり、G10、食料輸入国の集まり、日本やスイスやノルウェーや韓国が入って、一緒になって頑張ろうと言いました。それからG20グループ、これは途上国であります。当時はブラジルもインドも入っていてくれました。よく気脈が通じて、ケアンズ・グループに対してどうやっていくか、こういうことで、応援団になっていただいたわけであります。

 今度はお互いに例外が認められるということになれば、おのずとグループができてくると思います。私どもも早く、日本の主張と協力をしてくれる人たちを見つけなきゃなりません。それらの戦略について、総理がこれから指示されますけれども、その辺をどう考えていかれるか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まさに今、西川委員が御指摘されたように、TPPは、米国のような先進国、大国タイプの国もございますし、途上国の国々もあるわけでございまして、そういう国々とそれぞれどういう連携をしながら我が国の国益を確保していくか、獲得すべきものは獲得し、守るべきものは守っていくか。私は、マルチの交渉ではこれが極めて大きなポイントになっていくんだろうと思います。

 西川委員も党のWTO事務局長として、こういう交渉戦略作成にかかわっておられました。亡くなられた中川農林水産大臣とも協力をしながら、日本は、それぞれのチームづくりの中で中心的な役割を担うことができたと思います。そして、あれだけたくさんの国々が入っている中の、少数のインナーグループにその結果日本は最終的に入ることができたわけでございまして、それはまさに交渉力の成果だったんだろうと思いますし、誰が交渉をしていくか、誰が戦略をつくっていくかということは極めて私は重要だろうと思います。

 その中において、役所だけではなくて、そうしたWTO交渉において積み重ねられた党の皆さんの知見もぜひ役に立てていきたい、こう思っておりますので、政府だけではなくて、政府・与党全体で交渉を進めていきたい、このように思っております。

西川(公)委員 そこで、今度は甘利担当大臣にお聞きをいたします。

 今回も、私ども、二月の二十七日にTPP対策委員会を衛藤調査会のもとに設置させていただいて、とにかくありとあらゆる面から検討してみよう、こういうことでやってきました。そこで、日本の課題等についてもチームの皆さんが十分検討を加えてくれました。

 また、二十一の作業分野、二十九とも言われておりますけれども、どのぐらい進んでいるんだろうと。こういうことで、政府側に資料を出してくれと私どもは言いましたけれども、結局、二十一作業分野については、守秘義務がかかっておってなかなかとれない、こういうことでありまして、結果的には想像の範囲を超えることができなかったのでございます。

 そして、TPPの今回のシンガポールの作業部会の会議でありますけれども、私どもがどうやって情報をとるかとうんと苦労したけれども、結局とれない。政府も恐らくとれなかったのは事実だと思うんです。

 会議の方式も、一説によると、十一カ国が、六百人あるいは八百人の人たちが一緒になって会議をする、議長国はその開催国の政府の首席担当官だ、こういうことでありまして、会議の内容すらわからない。こういう中で私どもは作業に挑んだわけであります。

 これは、WTOのように、有力国が集まって、グリーンルームへ集まる、そして、その日の課題を、農業は農業、ルールはルール、こういうことで分科会のような形で行われていればいいのでありますが、皆目わからない。

 こういう中で、政府はどのようにこのシンガポール会議を捉えて評価しているか、甘利大臣にお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 西川議員は、我が党を代表する農業分野の権威者であられます。その西川議員が、農業分野、農業者に思いをしっかりはせながら、何とかこのTPP交渉に向けて党内を取りまとめていこうという御尽力には心から敬意を表している次第であります。

 私も、かつて経産大臣として約二年間務めまして、WTO交渉に加わりました。その中で、少数国会議、あのときは七カ国でありました。その大臣会合を十日間、時には夜中の二時まで大臣だけでやりました。でありますから、国際交渉のやりとりというのは、少なくとも、ある程度は承知をしているつもりであります。日本のプレゼンスもWTOの中で当時相当高かったというふうに承知をいたしております。

 そういう視点で今回のTPP交渉を見ますと、WTO交渉のときには得られたような情報がほとんど外に出てきておりません。かなり、いわば隠密裏に、守秘義務がかかって、メンバーに入った者以外には外にほとんど情報が出ないという状況だというふうに思っております。

 この交渉は、入るとするならば、できるだけ早い方がいいというふうな思いでおりました。早く入って、交渉が妥結する前に主張すべきことを主張するという姿勢が大事だと思っております。

 総理が、政権交代後二カ月で決断をされました。これは、最終的にこのTPPがどういうふうに発展をしていくか、そして、このTPP自身が、単に経済の分野のみならず、新しいアジアの安全保障を含めたルールにまで関係してくるのではないかという予測のもと、これは正しい予測だと思いますけれども、そこでプレゼンスをしっかりとっておかなければならないという判断だったと思います。

 できるだけ早い時期に情報がとれる立場になっていく、そして、その立場をフルに使って、できるだけ日本の主張を織り込んでいくという姿勢が大事だと思っております。

 交渉の進み度合いに従って得られる情報もふえてくると思います。その進捗状況によって、その立場を最大限活用して、個別情報をとり、あるいはグループ情報をとっていくという姿勢に努めたいというふうに思っております。

西川(公)委員 決めたからには、早く交渉に入って、情報をとって、私どもにも共有をさせていただきたいと思います。

 そこで、この党の取りまとめに当たりまして、十二日が全中主催の農業者の大会でした。私は、十三日に何とか取りまとめたい、こう思っていました。もしおくれても十四日にはできるだろうと。

 そういうことでやっていまして、十三日の夜八時から総会を開かせていただきました。総会が無事乗り切れるかどうかというのを、私どもは、午前十時からと夕方と、二度やったんです。二時間、二時間で四時間、そこで問題点を洗い出しました。

 最後に問題になって調整がつかなかったのは、政府のこの試算の数字です、三・二兆円云々というもの。農業が三兆円減ります云々の数字です。この数字もわからないでなかなか賛意を表明することはできない、こういう役員の皆さんが多数おりました。

 それで、なるべく早く官邸の方にお願いしてその数字を聞きたかったのでありますが、総理の表明と同時にこの数字を表へ出してくれる、こういうことで、四時間かけて何とか了解をもらったんです。新聞で三・二兆円云々という数字が、我々が夕方の五時十分に説明を受けたんですよ、それにもかかわらず、朝、一面に報道されておって、後で聞いて数字が寸分たがわない。

 これで情報を操作してもらわなかったら、本当に、今回のTPPの議論の数字をやった人たちは守秘義務があるはずであります。にもかかわらず、これが世間に公表されてしまった。残念でなりません。

 それから、これから交渉をやっていくのに、WTOのときは農林水産省だけが大体のけもの、こういう状況になっていたと思います。今度は、国益を追求して、攻める人は攻める、守る人は守る、こういうことですと、みんな一緒にやらなきゃなりません。そういう意味で、農林省も、経済産業省と一緒に、内閣官房と一緒にチームを組んでもらわなければなりません。

 そこで、先ほどの三・二兆円云々がどこから漏れたか、もう今は言いません。どうでもいいです。しかし、今後こういうことがないということを国民の前でお話をしていただきたいと思います。

甘利国務大臣 私ども非常に驚きまして、というのは、私に直前に来る資料には数字のところが黒く塗り潰されておりまして、正確な数字がわからない、試算結果だとこういうことになると思います、ここに数字が入りますという説明を受けておりました。朝方、新聞に明確な数字が入っている。私はそれを切り抜いたぐらいでありました。

 情報管理については、今後、より厳しく精査をしていかなければならぬ、そこはきちんとやらせていただきたいと思っております。

西川(公)委員 大臣に申し上げます。

 人間は、受けた感じで、この人の言葉を信頼して、この人についていっていいかなどうかなというのはやはり感じるものなんですね。

 大変失礼ですけれども、農家の皆さんというのは、作業服を着て、長靴を履いて、トラクターに乗ってくれれば、相当我々と同じ考え方だなとわかってくれるんです。私は、そんな格好をしなくたって、甘利大臣の人柄を知っていますから、信頼をしています。ただ、農家の皆さんは、そう入った方がいいと思います。

 それから、交渉事は、五分の理屈で交渉したら、物わかりの悪い方と物わかりのいい方がけんかします。五分の交渉なら必ず物わかりの悪い方が勝ちますので、ぜひ物わかりの悪い担当大臣になっていただきたいということを申し上げておきます。

 時間が来ましたので、先に進みます。

 今度は、鈴木外務副大臣に来ていただきました。本当にいつもお世話になっておりまして、きょうは答えていただく立場になりましたが、私ども、アメリカと交渉する際に、アメリカの弱みというのを知らなければ交渉になりません。

 今までも言ってきたんですけれども、一つ代表的なのがジョーンズ法ですね。これは、アメリカでつくった船でしかアメリカの国内の物の移動をさせない。この自由貿易の世界でまだこれが生きている。おじいさんの時代の法律だから勘弁しろ、こういうことですが、我々、これから攻められる立場からすると、そうはいきません。

 それから、国内補助金も、出してはいけないというWTOのルールでありながら、今WTOがとまっているから出してもいいだろうと何十兆円もの農業補助金を出す。

 こういう状況でありますから、外務省でこういう情報があるぞということをほかにも欲しいんです。ほかにも欲しいんですが、今当面この二つについてどう考えておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。

鈴木副大臣 ただいま西川委員の御指摘になられましたジョーンズ法、これは一九二〇年にできた古い法律でございます。これは、内国民待遇及び数量制限の一般的禁止を定めたWTOの基本原則に照らせば問題があると考えられるものでございますが、これまで得られた情報では、TPP交渉においてこのジョーンズ法についての議論が行われていることは承知をしていないところでございます。

 いずれにいたしましても、TPP交渉において、交渉力を駆使して、我が国として守るべきものを守っていく。そのためにも、委員御指摘のような、攻めるべきところはきちっと攻めていかなければならないわけでありますので、今、具体的な御指摘もございました、そのことを参考にいたしまして、国益にかなう最善の道を求めてまいりたいと思っております。

西川(公)委員 それで、外務副大臣に申し上げておきます。質問はいたしません。

 ISD条項でありますけれども、やはり、当初のP4、千七百万人のチリと四十万人のブルネイと四百万人のシンガポールと三百八十万のニュージーランドは、競合する産業がなかったんですね。だから、ISDを考えなくてもいいだろう、こういうことで来ました。

 私どももいろいろ検討しましたが、三人の審判官では数が少ないとか、いろいろ議論は出ましたが、ぜひISDをとるかどうかは慎重にお願いしたいということを申し上げておきます。

 次に、茂木経済産業大臣にお聞かせをいただきます。

 アメリカの問題ですけれども、高い入場料があるね、こういう話が来ました。牛肉も、月齢二十カ月で来たのが、なかなか私もこれはどうなのかなと。科学的知見があってOIEが言うような三十カ月にしたのか、これはわかりませんけれども、いつの間にか拡大をされてしまった。

 問題は自動車の問題でありますが、関税の障壁の問題、あと安全基準の日本に求める問題とか、いろいろありますけれども、ここで二国間協議が、茂木大臣がサインをされてしまいますと我々の交渉が非常にやりにくくなるのでありまして、この状況と、今後大臣はどう考えて二国間の問題をやっていくのか、ぜひ国民にお聞かせをいただきたいと思います。

茂木国務大臣 西川先生と同じ栃木県、農業県の出身でありまして、西川先生はまさに農業の問題だけではなくて通商政策にもお詳しい。これからもこの交渉の中でいろいろ御指導いただきたい、そう思っております。

 さきの日米首脳会談で、安倍総理がまさに国益をかけた会談、我が国の一定の農産品についてセンシティビティーがある、このことを米国が認めた。これは、今後の交渉を進める上でも大きな意義があったと思っております。

 そうなりますと、我が国も米国に対して一定のセンシティビティーを認めざるを得ないという部分があります。自動車であったり、保険であったり、一部の非関税障壁、これはこれまでも米国が関心を示した項目でありまして、新しい事項ではありません。そして、今まさに米国との間で協議中であります。結論が出ているわけではありません。

 そして、我々日本としての協議に当たっての基本方針でありますが、鉱工業品の関税につきましては撤廃をするのが原則、そしてまた自由貿易の理念に反するような工業製品の数値目標は受け入れない、さらに国民生活の安全に関する事項は原則を曲げない、そしてWTOのルールに反するような合意、例えば、セーフガードはいいわけでありますけれども、一方的な輸入規制をするとかそういったことは応じない、こういった基本方針でこれから臨んでまいりたい、このように考えております。

西川(公)委員 茂木先生、大変丁寧に回答をいただいておりますが、自動車工業会は、アメリカの二・五%の問題、二五%の問題、ぜひこの障害を取り払ってくれということを明言してくれました。私ども、この取りまとめに当たりまして、農業界も自動車工業会もみんな呼んでやったわけでありますが、そこで軽乗用車の皆さん、軽自動車の業界は、今のままにしておいてください、こういう意見もあったことをお伝えしておきたいと思います。

 そこで、おととい、私も地元を歩いてみて、工業の人とも会いました。その人は、栃木県で工場を経営しながら、タイに進出をいたしました。ホンダ自動車の下請です。それで、一〇〇%自分たちが出資をしたけれども、もうけを自分たちが得ることができない、向こうで税金を払った残りは配当金しかもらえない、上場企業じゃないから連結できませんが、できれば連結させてくれと。

 こんなこともありましたので、もし経産省で取り組んでくれたら幸いだ、こういうことでお聞かせをいただきたいんです。

茂木国務大臣 自民党は、昨年の衆議院の選挙公約の中で、これからの日本の姿として、貿易立国プラス産業投資立国、こういった双発型のエンジンを持つ経済をつくっていく。今先生御指摘の、海外の配当であったりとか利益を日本に還元する、そしてその利益によって雇用を国内でふやしたり、また高付加価値の投資をしていく。こういった産業投資立国、これも含めて経済発展のエンジンにしていきたい、こんなふうに考えております。

 例えば、国内の企業が海外に進出をしまして、そこで得た利益を国内に還流する、そういう場合に、その戻ってくる分、これは例えば、かつては、向こうの税金が二〇%で日本の法人税が四〇%ですと、この差額には税がかかっていた。これを平成二十一年度税制改正で改正いたしまして、九五%部分、だから、残っている分の二〇%の中の九五%については非課税、こういった措置をとらせていただきました。

 今後、恐らく、国際的な連結納税、こういったものも進めていかなければならない。経産省としても全面的に支援をしていきたいと思いますが、総理として、このTPPの後に、RCEPであったりとかFTAAP、より大きな経済連携といいますか、まさに太平洋を内海にしていく、こういう動きが起こるわけでありまして、まずはその土台になりますのが、たたき台になりますのがTPPでありますから、そこの中で御指摘の問題もしっかり対応していきたいと思っております。

西川(公)委員 残りの時間が八分になりましたが、林大臣に農政問題をお聞きいたします。

 日本の農地、四百七十万とも四百八十万とも言われてきています。これを農業者が使い切っているのであれば、日本に農産物を入れるのを少し勘弁してくださいよ、猶予してくださいよ、こういうことも言えます。しかし、私どもも反省しておりますけれども、振り返ってみますと、日本農政は近年、農業者のためになったか、消費者のためになったかということになりますと、大いに反省をしなければなりません。そして、今余っている耕作放棄地が四十万ヘクタールにも及んでしまった。これが減っているのならいいんです。ふえがやっととまっている、こんな状況で、農業を特別扱いしてくれといっても、国民が許してくれない。

 この際、私ども農政に携わった者、これからも携わろうとしている者、さらには農水省、農業者、農協、みんなでまずこの耕作放棄地を解消して、これだけつくって、これだけ立派な農業をやっているんだ、これを世間に示さない限り、私は、農業支援策をお願いしても理解していただくのに困難だ、こう思っております。

 これらについて大臣はどう考えるか、お聞かせをいただきたいと思います。

林国務大臣 お答えいたします。

 今まさに、農政の中心にずっとおられる西川先生から真摯なお話がありまして、私、まことにそのとおりだというふうに思っております。

 せっかくの御指摘ですから、ここ数十年ということで振り返ってみますと、やはり、今お話があったように、まず従事者が減少している、高齢化している、また、耕作放棄地が増加している、四十万ヘクタールというと埼玉県ぐらいになりますでしょうか、ということでございます。

 要因をいろいろ分析してみますと、食生活がこの数十年で大きく変わってきて、米を五十年前と比べて大体半分ぐらいしか消費しなくなった、この需要の減少に対して生産転換が円滑に進められてこなかったのではないかということ。それから、土地利用型の農業の経営規模の拡大、必要な担い手への農地の集積、これが進んでこなかったのではないか。それから、農産物の価格が低迷する中で、経営規模の拡大ですとか高付加価値化、こういうものがなかなかはかばかしく進まなかった、農家の所得が結果として向上しなかったというような反省があるわけでございまして、しっかりと現場のこうした状況を一つ一つ克服して、農業の活性化を図っていく。

 この方向を出すことによって、国民の皆様の農政に対する御理解、農業に対する御理解をさらに深めていく必要があると私も思っております。

西川(公)委員 林大臣にお願いします。

 農業は、豊作を喜べない産業なんです。豊作になれば価格が下がる、だから結果的に収入は同じ、これは産業じゃありません。やはり、豊作を喜べる、たくさんとれてよかったねと。こういうふうにぜひ政策を持っていっていただきたいと思います。

 そして、需要に合っていないんです、今の作付は。餌米が必要だ、しかし、その四分の一ぐらいしか達成できていない。やはり集中して、需要があるところに作物をつくる、これに転換をしていただきたいと思います。

 私が言いたいのは、今度の交渉、農水省も仲間にしっかり入ってください。

 そして、平成五年十二月十五日、時の細川護熙政権の中で日本は大きな間違いをいたしました。米は一粒たりとも入れない、みんなでこういう決議をしていながら、あの平成五年にミニマムアクセス米を入れてしまいました。当時の米の消費量、一千四十八万トン、一千五十万前後だと思います。四%入れたんです。それが平成七年から入りました。これが毎年〇・八%ずつふえるんです。消費は毎年減るんです。それにもかかわらず、この制度が生きているんです。

 私は、何ともこれはしようがない話でありましたが、自分が先頭に立って、これは関税に切りかえさせてもらいました。しかし、それでもやはりふえる量は変わらない。半分しかふえませんけれども、変わらない。この間違いを、減るのにもかかわらず将来ふやす、こういう条約を結ぶことだけは絶対やらない、これだけは肝に銘じていただきたいと思います。

 あと一分ですから。

 日本に高い農産物、たくさんあります。ミカンの「せとか」、一個千円ですね。デコポン、やはり同じような値段でしょう。栃木県も、スカイツリーの完成とともに、スカイベリーというイチゴをつくったんです。イチゴというのは、暖かくなると、酸味を出して自分の種を守るんです。それを克服すれば、春になっても甘いものが食べられるんです。これも高級な作物です。

 こういうものが何で農林省の試験場からできてこないんだ、こういうことを指摘しておきたいんです。いいですか、みんな地方がつくっているんです。これは、大変な税金を使ってやっている試験研究機関から出してほしい。

 私は、福島の原発も、農水省、農業試験場、林業試験場、ここで一つぐらい世界に誇れる技術を示してみろ、こういうことを申し上げております。林大臣が先頭に立っていただくことができましたので、必ず貢献をしていただけると思います。

 いろいろ申し上げましたが、あとは、我が党の優秀な小里議員がこの後続いて農業問題を特にやると思いますが、よろしくお願いをいたします。

 外交交渉、安倍総理に先頭に立っていただいて、私どももみんなで支えてまいります。

 ありがとうございました。

山本委員長 この際、小里泰弘君から関連質疑の申し出があります。西川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 さて、TPPの問題では、現場の皆様を初め、国民の皆様に大変御心配をおかけしております。

 私は元来、この問題は慎重な立場でありますが、特に与党になりましてからのこの議論は、苦悩の日々でありました。総理も恐らくそうだったろうと思います。

 考えてみますと、二〇一一年の十一月、時の野田総理がAPECの首脳会議で、交渉参加に向けて関係国との協議を開始する旨表明をしました。以来、事実上の事前協議が進んでまいりました。安倍総理が政権を引き継がれた時点では、既に、交渉参加に向けてほとんど積み上がっていた状態であったろうと考えます。

 一方で、日本の主張を主張として確保していく、その機会を得ていくためには、タイムリミットが迫ってくる。この極めて限られた期間の中でこの大事な判断をしなければならない、そこにまず総理の苦悩があったと思いますが、いかがでありましょうか。

安倍内閣総理大臣 このTPPについては、菅総理が国会での演説の中において、参加に向けて検討するという演説をされたわけでございます。

 自来、二年が経過をしたわけでございますが、いよいよ、その中で、米国としては本年中にこの交渉を妥結したいという方向を示したわけでございまして、そして同時に、完全に参加をしていない限り、なかなか情報もとれない。一方、既に決めたルールについては、後から入っていってそれをひっくり返すのはだんだん難しい状況になっていく中において、そこで、この三月に参加表明するかどうか。事実上、ここで参加表明をしなければ、その後のルールづくりには一切かかわれない中においてルールはできてしまう。

 では、そこでもう参加するかどうか。といっても、それは、私たちの国益を守るという交渉すらできない状況ができているとなると、TPP交渉そのものにも参加できませんし、そして、このTPPで決めていくこと、決めたことは、基本的に、その後広がっていくRCEP、FTAAPにおいてもいわば基礎的なルールになっていく可能性がある。となると、世界の開放経済が進んでいく中において日本は全く外に置かれてしまうという状況になるという中において、今を逃すわけにはいかない。

 しかし、同時に、ずっと小里部会長が一生懸命頑張ってこられた、汗を流してこられた農業分野、先ほども答弁をさせていただきましたように、国の礎でありますから、これをどう守っていくか。つまり、これが大きなポイントであったわけでございまして、聖域なき関税撤廃はまさに前提条件とはならないということでございましたので、最終的な判断をしたところでございます。

小里委員 ありがとうございます。

 我々自民党は、機関決定におきまして、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源等の重要品目は、国民皆保険制度などとともに最優先の聖域として、もしこれを確保できない場合には交渉から脱退も辞さないものとする決議をいたしました。

 そもそも、日本の農業、農村は、国民の皆様に安心、安全な食料を安定的に供給していく、その本来の使命と同時に、豊かな日本の自然を守り、そして整備をされた山や田畑が水を蓄えて下流を水害から防止するという、いわゆる国土保全の機能を担っている。そしてまた、かけがえのない日本の歴史、伝統、文化を育んできた、まさに豊かな、心豊かな美しい日本そのものであります。命と民族の源泉とも言えましょう。

 この農業、農村を何が何でも守っていくという、そのかたい決意を改めてお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 日本という国は、古来より、朝早く起きて、汗を流して田畑を耕し、そして水を分かち合い、御皇室とともに五穀豊穣を祈ってきた国、私はそれが日本だと思うわけでございます。同時に、もし、病気になって農作業ができない、そういう困った人が出れば、みんなでお米を持ち寄って、助け合って、これこそまさに私は麗しい日本なんだろうと思います。だからこそ、農は国の礎であり、日本の文化、伝統、日本そのものなんだろう、このように思います。

 ですから、経済的な損得勘定だけでこれを切り捨てる、これは明らかに間違いであって、日本が日本でなくなる道を進むことになります。私は、必ず日本の農業そして食を守っていく、これは日本の安全保障でもあるし、日本の伝統と文化を守っていくことにもなるわけでありますから、そのことをしっかりとお約束を申し上げます。

小里委員 農業は自然が相手であります。限られた土地条件の中で、一生懸命いいものをつくって頑張っております。それでも、新商品の開発とか商品の差別化とかコストダウンとかいったようなことは、他の製品のようにはいきません。そもそも、市場経済の原則とはなじまないものがあります。だからこそ、まずは関税で守っていく、そのことをお願いしたいと思います。

 交渉参加に当たって、聖域があるから公約を守ったとか、いや、そうじゃないとか、そんな単純な議論ではないと思います。そもそも、聖域はみずからつくり上げるものであります。御案内のように、TPPは農業だけの問題ではない、各種産業や国民生活全般に影響が及びかねない、日本が日本でなくなるかもしれない、大変重要な要素をはらんでおります。そこから、守り抜くべき国益が見えてくるんです。

 我々は、重要農産品の関税、自動車の安全基準、環境基準、食品における農薬や食品添加物の基準、そして国民皆保険制度や、日本の主権を損ねるようなISD条項には合意をしないことなど、多くの分野にわたりまして、守るべき国益としてこれを定めて、決議をいたしました。この一つ一つが聖域であります。これらが守れないならば、交渉から撤退をする、あるいは署名をしなければいいんです。もし、これらの聖域が守れるような状態になるとすれば、もはや、そのときは、従来我々がイメージしてきたTPPとは違うものになっておりましょう。

 いずれにしても、腹を決めれば聖域は守れる、国益は守れるんです。何が何でも守り抜くべき国益を、守って守って守っていって初めて公約が果たせたということになるんだと思います。いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 確かに小里委員の御指摘のとおりでございまして、我々は、選挙の公約において、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉参加には反対すると同時に、あと五項目をJ―ファイルにおいて皆様に御説明をしているわけでございます。

 その中におきまして、まず第一項目の公約として掲げた、聖域なき関税撤廃ではないということを確認して交渉参加に至ったのでございますが、当然、交渉において、あとの五項目をしっかりと実現していくことが課せられた使命なんだろう、このように思います。

 そして、交渉者それぞれが、今、小里委員が御指摘になったような信念と気概を持って交渉していくことによって、結果を出していかなければいけない。そのことを、新たに交渉者になっていく、また既に交渉している人たちに私は話をし、指示をしていきたい、このように思っております。

小里委員 日本は極めて厳しい選択をいたしました。大変厳しい交渉が予想をされます。だからこそ我々は、守り抜くべき国益を示して、これを決議したのであります。

 政府の手足を縛ってはいけないという声もありますが、そんな低次元の話ではありません。この我々の決議が、国益を守るとのかたい覚悟となるんです。そして、盾となる、矛となって日本の国益を守っていく、日本の交渉力につながっていくんだと思います。

 交渉をおくらせてはならないと既に各国が牽制をしてきておりますが、妥結を急いでほしくないと思います。乗り合いバスと言われますが、実は、貸し切りバスであろうと思います。最大の客である日本がうんと言わなければ、走っていけないんです。どうか自信を持って、国益を確保できるまで粘り強く交渉をしていただきますように、よろしくお願いします。

 総理のお考えをお伺いします。

安倍内閣総理大臣 我々は、WTOにおいてもそうでございましたが、最大限交渉力を発揮するために努力を積み上げてまいりましたし、してはならない妥協はしない、そういう覚悟でそれぞれ交渉に当たってきたところでございますが、このTPPについては、より困難な課題が多数あるわけでありまして、より強い交渉力が求められているわけでございます。

 その中において、日本は何といっても第三位の経済力を誇る国であります。この第三位の経済力には第三位の経済力にふさわしい交渉力が備わっていて当然なんだろう、このように思うわけでございますし、今、小里委員が指摘をされたように、日本は、米国からも多くの国々からもたくさんの農産物を購入している輸入大国でもあるわけでございまして、そうしたものを力に変えながら交渉を進めてまいります。

小里委員 ぜひ、自信と大きな覚悟を持って、粘り強く当たっていただきたいと思います。

 TPPは、多国間交渉であると同時に、二国間交渉の側面も持っております。交渉の本題に上げにくい課題は、二国間で、いわゆるサイドレターという形で公文を交わして約束をさせられるおそれもあります。米韓FTAでも、薬価制度や郵便局の扱い、あるいは書籍の再販制度等において、多くのサイドレターが交わされたと聞いております。また、国民皆保険制度そのものは本題に上がらなくても、薬価制度を崩されれば、薬価が高騰して、結果として国民皆保険制度がもたないということにもなりかねません。

 あるいは、ISD条項であります。例えば、日本の農薬や食品添加物の基準が高いからアメリカの食品が日本に入ってこれないとか、あるいは、日本の自動車の安全基準、環境基準が高いからアメリカの車が日本に入ってこれないとかいうことで、ISD条項で訴えられて、結果として国益を失う危険性もあります。

 相手は、あの手この手で攻めてまいります。こっちも、二重、三重に防衛線を張って、日本の国益を守っていく必要があります。細心の注意を払う必要があると思いますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

甘利国務大臣 先生御指摘の、多岐にわたる御懸念、例えば国民皆保険であります。

 これまで得られた情報によりますと、公的医療保険制度のあり方そのもの等につきましては、TPPの協定交渉において議論の対象となっていないと承知しております。しかし、先生の御懸念の御指摘も踏まえる必要があるかと思います。

 国民皆保険制度は日本の医療制度の根幹でありまして、御指摘の薬価制度への対応を含めまして、この制度を揺るがすことは絶対にないように、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

 また、ISD、ISDSと外務省は言っていますけれども、このISDS条項につきましては、我が国がこれまで締結をした同条項を含む投資関連協定にも想定されていますとおり、締約国が必要かつ合理的な規制を行うことを妨げるものではない。我が国も、二十五カ国と投資協定あるいはEPA等の条約を結んでおります。そのうちの二十四項目の中にISDSを入れております。ですから、これが本来期待されている使命を果たす、副作用のないようにしていく必要があろうかと思います。

 これまで得られた情報によりますと、TPP交渉におきましては、投資の保護と国家の規制権限の確保との間の公平なバランスを保つということで、ISDS手続の濫用を防ぐための規定が検討されていると承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、我が国といたしましては、可能な限り早期に交渉に参加をした上で、強い交渉力を持って、主張すべきことはきっちりと主張して、御指摘のからめ手からの攻撃も含めて、各方面に留意をしながら、国益を最大限実現するように全力を尽くす考えでございます。

小里委員 ぜひよろしくお願いします。

 農業の構造改革や農産物の輸出を促進すれば関税撤廃も怖くないという幻想があります。全く現場を知らない考えであります。

 例えば、構造改革とは、規模拡大であり六次産業化でありましょう。北海道の十勝の農業は、平均作付面積が三十八ヘクタール、全国平均の約二十倍であります。六次産業化も進んでいる。まさに構造改革の優等生であります。その十勝の農業ですら、もし関税撤廃になれば、もちません。地域経済に五千億円の損失が生じるという試算でもあります。

 農業の構造改革も農産物の輸出も進めていかなければなりません。しかし、それで関税撤廃していいという話は暴論であります。関税を確保しながら、そして再生産可能な、力強い安定的な農業をつくっていかなければなりません。

 先ほど西川議員がおっしゃいましたように、いろいろな処方箋を私たちは準備しております。どうか、こういった農業の新しい未来をどうつくっていくか、素人の方々ではなくて、現場を知る私たちにお任せをいただきたいと思います。いかがでしょうか。

林国務大臣 お答えいたします。

 まさに今、小里自民党農林部会長からお話があったとおり、現場の声、そして現場の人の体温といいますか、気持ちがなえるということは非常に怖いわけでございます。

 遠慮という言葉の語源は、遠きにおもんばかりなければ近きに憂いあり、こういう言葉だそうでございます。やはり、あしたどうなるか、来年どうなるかということも大事でありますけれども、五年先、十年先を見通して、現場の方は一生懸命頑張っておられる。その見通しをきちっとつけてあげるということが、我々の大きな役割ではないかというふうに思っておるわけでございます。

 そういった意味では、党でいろいろな現場の声を踏まえて御議論をいただいている、先ほどの西川先生もそうでありましたし、小里先生もそうでありますが、現場のことを熟知して、そして、知識として熟知しているだけでなくて、一緒になって考える気持ちを持っておられて、それが現場の方への信頼につながっておられる、そういう皆様の御議論をきちっと踏まえて我々も政策を展開してまいりたい、こういうふうに考えております。

小里委員 余り知られておりませんが、漁業補助金制度の廃止を求めてくる、現に求めてきております。これが廃止になりますと、今、一生懸命復興に向けて頑張っている東日本の方々、その壊れた漁港の整備、回復、あるいは失った漁船の取得支援もできなくなります。

 ぜひ、これは我が国の特性を踏まえてしっかり対応していただきたいと思いますが、農林水産大臣、時間がありませんので、一言、決意をお伺いします。

林国務大臣 今お話がありましたように、漁業補助金は、アメリカが、過剰漁獲を招く漁業補助金について規律を設けるということを提案しているというふうに聞いておりますが、まだ各国との間で合意に至っていないということであります。

 我々は、もう御案内のとおりですが、WTOでずっと、政策上必要な補助金は認められるべきだというふうに今までも主張をしてきておりますので、TPPでもこの主張をきちっと展開するということが必要であると考えております。

小里委員 私たちも、自由貿易の推進は大事であると考えてきました。

 一方で、RCEPという方法もある。むしろRCEPを中心にして、日本にとって余り害のないルールをつくって、もってそこにアメリカとの橋渡しをしていこう、そういう考えで我々は来たのでありますが、このRCEPの方も並行して大事に進めていただきたいと思います。

 なおまた、米国は、最も頼りにする同盟国であります。ただ、一方では、申し上げてまいりましたように、自動車や食品の安全基準、あるいは社会保障制度等においては後進国であります。その米国の基準に無理に合わせる必要はさらさらありません。日本は堂々と、自信を持って、主張する外交を展開していただきたい、してまいりたいと思います。

 米韓FTAで、韓国は、まずFTAを結ぶことが目的になってしまった。そして、ふたをあけたら、大変なことになっておりました。国会は大混乱でありました。その韓国の二の舞を決して演じてはならぬと思います。

 交渉は戦いであります。国益を守る戦いは始まったばかりであります。私たちも体を張ります。どうか、政府・与党一丸となって、国を挙げて、守り抜くべき国益を守って守って守り抜いていこうではありませんか。

 最後に、総理のかたい決意をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 ただいま小里委員から、専門家としての矜持と、そして、専門的な知識の必要性についてお話がありました。

 私は、確かにそのとおりなんだろう、こう思うわけでございますし、何といっても、交渉者自身が、農業、漁業、食料の重要性と意義について十分に理解をして、そしてそれを信念としていることが必要だと思っているんです。その上において交渉していく。

 つまり、交渉者自身が、ずっと都会の生活しか知らない、農業のことについては文書で読むだけであっては、交渉において間違いなく劣勢に立たされるわけでありまして、なぜ必要なんだということをしっかり胸に刻み込むように我々も指導していきたい、このように思っております。

小里委員 ありがとうございました。

山本委員長 これにて西川君、小里君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、先週末にTPPへの参加表明をされました安倍総理を中心に、TPPの問題等につきまして御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。

 それで、きょうの一般紙各紙一面を見ておりますと、世論調査が出ておりまして、例えば、このTPP交渉参加を表明したことに対しまして、読売新聞は、六〇%が評価する、しないが二四%。朝日新聞は、七一%が評価する、評価しないが一八%。毎日新聞については、表明したことを支持するが六三%、そして支持しないが二七%。そういう数字が出ているわけでございます。

 私は、このTPPというのは、国民生活全般に影響の及ぶ包括的な協定でございまして、我々公明党もずっと言っておったんですけれども、やはり、十分な情報開示であるとか国民的な議論を通じて国益の最大化に努めていく、そういう視点が大事だということを申し上げてまいりました。

 そういう観点から、まず一問目をお聞きしたいんですけれども、総理は、今回のこのTPPに参加する、なぜ参加することに至ったのかということについて、大きく二点、理由を言われたと私は捉えております。

 一つは、世界経済の約三分の一を占める大きな経済圏がこのアジア太平洋に生まれつつある、そこに、今までの日本のような内向きではなくて、開放経済で、そういうアジア太平洋の経済成長をしっかりと取り込んでいくんだ、そういう趣旨だということを受けとめました。それが一点。

 もう一つは、そういう経済効果だけではなくて、このアジア太平洋に、アメリカを初め、普遍的価値を共有するそういう国々と新たなルールをつくっていくんだ、それが具体的には日本の国益にもつながり、世界の繁栄にもなる。具体的には、安全保障面でもこれは非常に役に立っていくことであり、また、これがアジア太平洋地域の安定につながっていくんだ、そういう趣旨の理由を言われたと私は捉えているんですけれども、改めて、さまざまに悩まれたと思うんですけれども、この交渉参加に至ることになった、そして、これは我が国にとってどういうメリットがあるんだということを、当委員会でも明確に、国民にわかりやすいように御説明をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、この判断に当たって、果たして私たちは日本の美しい田園風景を守ることができるかどうか、そして、麗しい日本の農村文化を守ることができるかどうか、日本が日本としてこれからも存在し続けることができるかどうか、これは重要な判断基準でございました。

 聖域なき関税撤廃ではないという確約ができた中において、そこで、日本はまさに貿易立国として戦後、大きな発展を遂げてきたわけでございます。海洋国家日本、まず一つは、貿易立国であるということでございます。その中において、経済の三分の一を占めようとするこの大きな大きな経済圏が誕生しようとしている中において、日本もそのルールづくりに参加をすべきだ、そして主導的な役割を担っていくべきだ。このTPPは、今後、FTAAPあるいはRCEPというものができていく中において、ルールにおいてはここが基礎となっていくことは間違いがないわけでございますから、ルールづくりを待つ国ではなくて、ルールづくりを主導的に行っていく国となる、日本は主役とならなければならない、こう判断したわけでございます。

 もう一点は、佐藤委員が御指摘になったように、海洋国家であれば、まず、私たちは海の自由と安全を守らなければならない。日本の周りの、まさにこのアジア太平洋の海が自由の海として守られていく、あるいは、力による支配ではなくて法による秩序をつくっていく。そのパートナーとなるのは、間違いなく、同盟国の米国であります。

 さらに、このTPP、またFTAAPもそうなんでしょうけれども、自由と民主主義、基本的人権という普遍的価値を同じくする国々も参加をしてくるわけでございまして、そういう国々とともに、また同盟国の米国とともにそうしたルールづくりを行っていくことは、日本の外交、安全保障、そして地域の平和と安定に間違いなく資する、このように判断し、国家百年の計である、このように決断をした次第でございます。

佐藤(茂)委員 それで、TPP交渉については、もう既に前民主党政権の時代からこの話は進んでおりまして、二年が経過して、おくれて参加する日本にとっては非常に厳しい交渉への道のりが指摘されているわけでございます。

 今まで当委員会でもさまざまに議論があったわけでございますが、ぜひここで確認をさせていただきたいのは、後から参加したメキシコ、カナダに対して、既に合意された内容はそのまま受け入れる、再交渉は要求できないなどの、交渉に際し、極めて不利な条件を課されている、そういう報道がございます。

 具体的には、例えば、これは条件というより目的でもあるんですが、包括的で高いレベルの貿易自由化を約束するんだ、二つ目が、合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さない、三つ目が、交渉の進展をおくらせないという、いわゆる三条件の問題があるんだということが言われておりまして、これは多くの国民も本当にそれで大丈夫なのかと危惧している部分があるんだと思うんですけれども、そういう後から交渉に参加した国に不利な条件がルールとしてあるのかどうか、また、我が国に対して既にそういう条件の提示というものがあったのかどうか、政府の見解を伺っておきたいと思います。

甘利国務大臣 カナダ、メキシコの件でございます。

 御指摘の報道は承知をいたしておりますが、報道でカナダとメキシコに送付をされたとされている念書のようなもの、それを我が国がこれまでに受け取ったということはありません。

 これまで得られた情報によりますと、TPPの交渉参加国は、交渉参加に関心を表明した各国について、包括的かつ高いレベルの自由化にコミットすること、交渉の進展をおくらせないことといった考え方を示してきていると承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、引き続き情報収集をしていきたいと考えております。

 一方で、御指摘がありましたとおり、TPP交渉というのは既に開始から二年以上が経過をしておりまして、既に合意をされたルールがあれば、おくれて参加をした日本がそれをひっくり返すということはなかなか難しいということは、これは厳然たる事実であろうかというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、我が国といたしましては、可能な限り早期に交渉に参加をした上で、強い交渉力を持って、主張すべきことはしっかりと主張して、国益を最大限に実現するように全力を尽くすという考えであります。

佐藤(茂)委員 それで、安倍総理は、三月十五日に表明をされる前に、我が党の山口代表とも党首会談をされまして、その場でも、守るべきものは守り、かち取るべきものはかち取っていくんだ、そういう決意を表明されました。会見でも、交渉力を駆使し、我が国として守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めていくんだ、国益にかなう最善の道を追求していくと述べられました。

 今、関税撤廃を免れる聖域の議論、すなわち、農業の五分野を初め、農産品を中心に、守るべきものの議論は会見でも述べられておりますけれども、逆に、かち取るべきはかち取っていく、攻めるべきは攻めていく、何を攻めるべきは攻めて、かち取られようとしているのか、どの分野をかち取りにいこうとされているのか、ぜひ総理の見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 具体的な分野については甘利大臣からお答えをさせていただきたいと思いますが、このTPPについては、人、金、物が自由に行き交うようになるわけでありまして、人の交流も、そして投資が大きくふえていくことは間違いないんだろう、このように思います。

 こういういわばメリット、プラス面を最大化していくように、そういうルールづくりをしていくように我々も意を尽くしていきたいと思うわけでございまして、当然、同時に、日本には鉱工業製品を初め、強い分野がたくさんございます。そうした分野のメリットをどれぐらい生かしていくことができるかということについても、交渉力を生かしていきたいと思います。

 具体的には甘利大臣からお答えをさせます。

甘利国務大臣 攻めるべきは攻める、当然の話であります。

 これから臨んでいくTPP交渉における我が国の交渉戦術ということを余り事細かに示すことは、これからの手のうちを明らかにするということでありますから、差し控えた方がいいのかとも思いますけれども、しかし、例えば確保したいルールの例として、知的財産分野における模倣品や海賊版対策の強化あるいは改善、投資分野における規制の緩和、撤廃、それから商用関係者の移動、この分野における出入国手続の迅速化及び査証発給制限の緩和、撤廃等々は挙げていいかというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、TPP交渉におきましては、交渉力を駆使しまして、我が国として守るべきは守る、攻めるべきは攻めていくことによって、国益にかなう最善の結果を追求していきたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 私は、もう交渉参加を決断されたんですから、今までもされていると思うんですが、公開されないかどうかは別にしても、やはり攻守の戦略というのは欠かせないと思うんですね。ですから、ぜひ、具体的な交渉方針、こういうものをしっかりとつくって、全力を挙げて交渉に臨んでいただきたい、そのように思うわけでございます。

 それで、攻めるべきは攻めてかち取っていく分野の一つに、私は、自動車分野が本来あるべきだと思っております。アメリカは、先ほどもありましたけれども、日本の乗用車に二・五%、トラックに二五%の関税をかけて、アメリカ国内のメーカーを守っております。この関税のために、日本の自動車業界というのは、毎年八百億円をアメリカ政府に払ってきたわけでございます。

 ところが、報道によると、高い入場料だと思うのは、日本は、アメリカとの事前協議で譲歩して、アメリカが乗用車とトラックにかけている輸入関税の撤廃を当面猶予する。要するに、そういうことを内々に合意しているという報道があります。

 これが事実なら、攻めることができる格好の分野があるにもかかわらず、交渉前から攻めるのを諦めている、かち取ることを放棄しているという姿としか映らないわけでございまして、私は、政府には、交渉に入る前から武装解除するのではなくて、もう一歩踏み込んだ交渉をすべきだ、そういうふうに考えるんですけれども、自動車分野における事前協議の報道及び交渉のあり方について、政府の見解を伺っておきたいと思います。

茂木国務大臣 TPP参加十一カ国に対して我が国が支払っております関税全体でいいますと、年間に四千七百億円、そしてそこの中でアメリカの自動車の分野、これが八百億ということですから、二割近い、相当大きな額になってまいります。

 先日の日米首脳会談におきまして、安倍総理、オバマ大統領との間で、一定の農産品についてセンシティビティーが日本はある、こういったことをアメリカに認めさせた。これは、今後の交渉において非常に大きな意義を持っていると思います。

 それによりますと、その一方で、我が国としても、アメリカのセンシティビティー、一定のものを認めなきゃならない。自動車、保険、そしてその他の非関税、これは従来からアメリカが関心を示してきた分野でありまして、特段新しいものではありません。そういった分野について、まさに今、アメリカとの間で協議中ということであります。

 協議の基本的な方針でありますが、今お話にありました関税、工業製品の関税は撤廃するのが原則であると考えております。そしてまた、自由化を進めるということですから、数値目標、こういったことは受け入れられない。さらには、自動車でいいますと、安全の問題もあります。こういったことについては原則を曲げない。さらには、WTOのルール、セーフガードは認められますけれども、例えば、一方的な輸入制限等々は認められない。こういったことはきちんと守りながら、アメリカとも誠実に協議を進めてまいりたいと考えております。

佐藤(茂)委員 茂木大臣、せっかく答弁されたのでお聞きしたいんですが、要するに、今私が申し上げた、今度交渉に参加することを認めてもらうかわりに、事前協議で、今申し上げました自動車についてアメリカ側の関税撤廃を猶予する、こういうことを既に合意しているのかしていないのか、そのことについて御答弁いただきたいと思います。

茂木国務大臣 自動車分野を含めて、現在協議中であります。

佐藤(茂)委員 ぜひ私は、これを安易に妥協するのではなくて、対アメリカに対しても、きちっとやはり言うべきものは言う、交渉して、かち取るものはかち取る、そういう強い姿勢で臨んでいただきたいと思うわけでございます。

 いずれにしても、こういう状況下での参加というのは、総理が言われたように、強い交渉力を持って臨むことが私は大事だと思っているわけでございます。

 ぜひ総理に、今後どのような交渉を進め、国益の最大化に努めていくつもりなのかお聞きしたいんですが、特に、先ほど来ありますように、市場アクセス分野の関税では、日本は今まで十三カ国・地域とEPAを結んでいますけれども、農産物を中心に、一割以上となる約九百四十品目の関税は撤廃したことがございません。特に、米、麦、牛肉、乳製品、砂糖、こういう五分野、それを全て守った場合には、十年以内に関税を撤廃する貿易品目の割合を示す自由化率は大体九四%台程度になるわけですね。ところが、TPPは関税の原則撤廃を目標に掲げておりまして、一部の例外があっても自由化率は九八%以上に達する、そういうふうに予想されているんです。

 このような高い水準の自由化を目指すTPPの理念と、それと守るべき聖域としての関税撤廃の例外措置とのバランスをいかにとるのかというのは、私は非常に難しい交渉が必要となると思うんですけれども、日米首脳会談で確認された、一定の農産品のセンシティビティーなどの例外品目を認めさせることは本当に可能だと考えておられるのかも含めて、交渉に臨む総理の決意を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 オバマ大統領との共同声明の中においても、全ての品目は交渉の対象になるわけでありますが、あらかじめ、それは全て交渉の余地がないということでは、もちろん交渉していくわけでありますから、ないわけでございまして、そこで、米国にとっては工業製品、日本にとっては農産物という一定のセンシティビティーがあることをお互いに認め合ったわけでございます。

 そこで、今までのEPA、FTA交渉よりも志の高いものをつくっていこうというのが基本的な考え方でございますが、そこの中において、これから日本が正式に交渉に参加をしていく中において、米国との交渉もそうですが、また多くの国々も参加をしてきます。そういう国々も、やはりそれぞれの国々の国柄、あるいは、特に農業を守っていきたいという考え方を持つ国も多いわけでありますから、そういう国ともよく連携を模索しながら、情報交換等々もしながら、できる限り守るべきものは守っていきたい、こう決意をしております。

佐藤(茂)委員 我々与党もバックアップいたしますけれども、ぜひ、交渉参加の判断及び、交渉というのは政府の専権事項ですけれども、交渉過程で、交渉過程ごとと言ってもいいと思うんですが、適宜、国会のこういう議論の場などを通じて、国民に情報提供を丁寧にしていただいて、国民のコンセンサスづくりに努めていただきたい、そのように私はお願いしたいと思うんですが、総理の決意を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私どもも、まず、首脳会談においては共同声明という形で、何が基本的に合意されたかということについて、合意について全面的に情報を開示させていただいたところでございます。また、金曜日においても、TPP交渉に参加することについての私の考え方を記者会見で御説明させていただきました。

 こうした形において、我々はどういう交渉を進めていくのか、何を守ろうとしているのか、どういうメリットを大きくしていこうとしているのかということについてしっかりと説明をしていきたい、このように思います。

 もちろん、交渉中でございますから、まだ、相手国との関係もあって、表に出せないものもあるわけでありますが、出せるものはしっかりと出しながら、皆様とともに、特に与党の皆様とは一緒に交渉していきたい、こう考えている次第でございます。

佐藤(茂)委員 あとは、きょう、何点か農業の質問を予定していたのですが、一つだけ代表的にお聞きしたいのですが、政府の試算で、三兆円生産額が落ちる、そういう試算が出ているわけでございます。今回の試算結果では、そういう農業の生産額が落ちて、食料自給率、このことをちょっとお聞きしたいんですけれども、食料自給率への影響も看過できない規模になることが予想されると思うんですね。今は三九%ですけれども、TPPに入り、手を打たなければ、確実に減っていくと思うんです。

 食料自給率というのは、食料・農業・農村基本法において、その向上を図ることが明記されていると思うんですけれども、このTPPに入ることとの整合性が問われることになると思うんですが、食料自給率の向上に向けて、政府として、今後どのように取り組まれていくのか、農水大臣にお聞きしたいと思います。

林国務大臣 佐藤委員が今御指摘になられましたように、食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは大変に大事だということで、そのことが基本法にも書かれておるところでございます。

 先日公表されました試算によりますと、これは、食料自給率が、供給熱量ベース、カロリーベースで四〇から二七程度、それから生産額ベースで七〇から五五に低下するという結果になっておりますが、これは、そこにも書いてありますけれども、全ての品目で即時に関税撤廃をされるという、作業を始めたのがかなり前でございましたので、今の状況からすればかなり極端な前提を置いたということでありますので、この数字を議論するに当たっては、ここを踏まえる必要があると思っております。

 しかし、いずれにしても、食料自給率の向上、申し上げたように大事なことでございますので、しっかりと、先ほど来御議論がありますように、交渉でそういうことがないように頑張っていくということではないかというふうに考えております。

佐藤(茂)委員 ここで、TPPと少し離れるんですけれども、一月にアルジェリアで人質拘束事件がありまして、日本人十名を含む多数の方が犠牲になりました。私ども、与党の在外邦人の保護に関するプロジェクトチームでそのことを九回にわたって議論してまいりまして、先週、安倍総理に、このことを教訓とした政府としての対策、幅広に、四本柱、報告をさせていただいたところでございます。

 ぜひ私は、この在外邦人の安全確保策について、改善策を早急に検討していただいて、そして、必要な法改正も、政府が閣法で責任を持って進めていただきたい、そのように考えますけれども、安倍総理のこの報告についての評価と、政府としての取り組みを伺っておきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今後、政府としても、海外への投資を盛んにしていく、そこからの収益を上げていく、あるいはインフラ輸出等もそうなんですが、そうしたことを推進していく上においても、海外で活躍する邦人の安全を確保することは極めて重要だ、このように考えております。

 その中で、佐藤委員にも、与党PT、公明党側の責任者として取りまとめていただいたこと、感謝申し上げたい、このように思います。

 与党PTにおいて、アルジェリアのテロ事件の教訓を今後に生かすべく、まず、情報収集・分析体制の強化、外交実施体制の強化、官民の情報共有、協力関係の強化、在外邦人の保護手段の拡充のための自衛隊法の改正といった幅広い分野について、大変有意義な報告書をまとめていただいた、このように思っております。

 政府においては、このテロ事件への対応について、先月末に関係省庁による検証報告書を取りまとめるとともに、現在、有識者からも意見を求め、検証を行っているところでございまして、今後、自衛隊法の改正も含め、政府を挙げて、迅速に、必要な対策に取り組んでまいりたいと思います。

佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。

 きょうは、経済対策、経済連携についての集中審議ということで、総理並びにTPP担当の甘利大臣に御質問をしてまいりたいと思います。

 ここまでの自民党、公明党さんの質問も伺ってまいりましたが、関心を持つべき事項で共有できるところも多々あります。やはり国益のかかった課題でありますので、党派を超えて、また総理の立場からも御答弁をいただきたい、このように思っております。

 まず、このTPPにおいては、日米の関係というのも大変大きなポイントの一つではないかというふうに思います。

 これに関連して、総理、一つお願いを申し上げたいと思うんですが、先日、我が党の岡田さんとの質疑の中で、クリントン国務長官の退任会見発言についてのやりとりがあったことは御記憶でいらっしゃいますでしょうか。

 岡田さんの方から、クリントン長官が退任に当たって、日本国民及び日本国の指導者の皆さんに対して日米同盟への協力と献身を感謝したい、お礼を申し上げたい、このように最後の会見でおっしゃったということであります。それに対して総理は、アメリカの国務長官が辞任会見において、日米関係は大変なことになった、そんな発言をしたら、これは大変なことになるというのは考えたらわかることでありますから、当然、外交の責任者として、責任ある立場で発言をされたんだろう、このように思いますと御答弁をされておられます。

 民主党の外交を認めないというお考えなんだろうというふうに思いますが、これはやはり、我が国の同盟国である米国のクリントン長官が、退任という大変大切な場面で、丁寧に、同盟国である日本に対して感謝の言葉を言われたわけであります。これに対して、あたかも外交、社交辞令であるかのように論評を同盟国の総理である安倍総理がされてしまうというのは、クリントン長官並びにアメリカの外交に対しても失礼な話ではないかというふうに思います。撤回されるお気持ちはありませんか。

安倍内閣総理大臣 私のコメントは、これはクリントン国務長官や米国の外交姿勢に対して申し上げたわけではありません。

 岡田さんも鳩山政権の外務大臣だったじゃありませんか、ですから、当然、最低でも県外、この姿勢には、共同責任、極めて大きな責任を持つんですよ、果たしてその責任感があなたにはあるんですかという思いの中で私はそう申し上げたわけであって、自由民主党も三年半前に野党になりました。その際、私たちの何が悪かったか、こう深刻に反省をしたんですよ。ですから、民主党の皆さんも、果たして自分たちの外交はどうだったか、やはり胸に手を当てて反省すべきは反省するべきではないかな、こういう思いで申し上げたわけでございます。

松本(剛)委員 総理、ですから、日本国の総理として、国益のために党派を超えて御発言をいただきたいと冒頭にお願いをしましたのも、既に野党の党首のお立場は離れられて、日本国の総理のお立場ですから、一つ一つ、野党の党首のように当時の与党を攻撃されるというのも私はいかがなものかと思いますが、そのことを一つおくとしても、総理は、やはりクリントン長官の会見そのものに対して論評されておられるんですよ。

 ですから、民主党の外交の批判をされるというのを、百歩譲って我々としてもしっかり甘受するとしても、長官の言葉は感謝をするというのが日本国の総理としておっしゃるべき言葉だと思いますので、そのように撤回、修正される気はありませんかというふうに申し上げたんです。

安倍内閣総理大臣 違いますよ。まさに、牽強付会というのは今のやりとりの中で使うべき言葉だな、私はこう思ったんですが。

 私が申し上げたのは、まさに岡田委員が、胸を張って、俺たちは間違いなかったよ、アメリカの国務長官が言っているじゃないかと。これはおかしいでしょう。むしろ岡田さんこそ、クリントン長官に感謝すべきなんですよ。

 恐らく、米側もたくさん言いたいことがあったと思いますよ。でも、それをのみ込んで、日米同盟は大切だから、国務長官として、そういうことには触れるべきではないとの考え方の中でそうお述べになって、それをあたかも免罪符のように高々と掲げる。これは間違っているんですよということを私は申し上げたわけでございます。

松本(剛)委員 繰り返して申し上げますが、ここに議事録もあります。総理は、クリントン長官のコメントに対して直接論評されておられる。我々も、最近、米政府の関係者の方にお会いをしたときに、これについては、日本の一員として、長官に対してそういう気持ちは持っていないということを釈明させていただくことになりました。

 やはり日本国の総理としては、民主党、自民党ということではなくて、クリントン長官が日本国に対しておっしゃったことは、そのままぜひ受けとめていただきたいということを重ねて申し上げます。

 これを残念ながら党派の争いに持ち込まれるというのは、むしろ総理の方が大変残念なことをおやりになっているというふうに思いますが、時間に限りがありますので、TPPの各論に入らせていただきたいと思います。

 今回、参加表明をされましたが、これに先立って、日米の首脳会談で共同声明が発表されました。これについては既に予算委員会で議論を重ねてきておられますので、これを踏まえて何点か確認をさせていただきたいと思います。

 これは三つの段落に分かれていますが、第二段落は日本から、そして第三段落は向こう側からの要求だと。これは二と三がセットになって文章化することができたんだというふうに総理も答弁をされておられますが、こういう理解でよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 日米の共同声明の第二パラについては、TPPに関し、私とオバマ大統領の間で、その意義やそれぞれの国内事情も含めじっくりと議論した上で、そこに書かれている三点を日米共通の認識として明示的に確認したものであり、必ずしも日本からの要求のみを記したものではないのは御承知のとおりでございます。

 そして、日米の共同声明の第三パラについては、これまでも米側が関心を表明してきた事項等について、引き続き日米協議を継続していくことを日米間で確認した、そういうことでございます。

松本(剛)委員 少し先までまとめてお答えいただいたかというふうに思いますが、第二パラグラフは日本から、第三パラグラフは米国からというやりとりだということで、セットだと総理がかつてこの予算委員会でもおっしゃいました。

 今、全体としてということでおっしゃいましたが、総理が強調されるのは第二パラグラフ、そして第三パラグラフについては多くの方が逆に説明を求めるということから見ても、それぞれのやりとりの中での交渉の結果だというふうに思います。

 この第二パラグラフについても、もうかなり議論が行われてまいりました。簡単に確認をしてまいりたいというふうに思っております。

 これによって、さらにやりとりによって、御党の公約の、聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対をするという文言に矛盾しないように、前提としないということを確認されたんだというふうに総理はおっしゃっておられました。

 関税撤廃を、原則として全品目を交渉対象とするというTPPのルールについても確認をされたというふうに思います。これは両立をしているという理解でよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 交渉参加に当たっては、我が党の政権公約、聖域なき関税撤廃を前提とするということであるかないかということが交渉参加にとって極めて大事であります。

 ただ、TPPは、原則としてテーブルにはみんなのせますよということで、それから、いろいろセンシティビティーはそれぞれ日米間でもありますし、それ以外でも当然あると思います。これは、交渉の中でそのセンシティビティーが確保されていくということでありますから、この二点は矛盾しないと思います。

松本(剛)委員 そういたしますと、今後の内容は交渉のテーブルにのせてからだということになっているという理解でよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 御説明申し上げましたように、日本といたしましては、自民党の政権公約にありますように、聖域なき関税撤廃を前提とするということだと交渉に入っていけない。しかし、それはそうではないということが確認をされた。しかし、TPP自身は、全項目についてテーブルにのせて、そしてその交渉の中で、それぞれ守るべきところがどこであるかということが決着していくということであります。

松本(剛)委員 二つ御指摘を申し上げなければいけないと思います。

 一つは、御党の公約、聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対をする。この文章に関しては、この予算委員会のやりとりでも、総理は、推進派、反対派両方がいる自民党の中での知恵からできた文章だというような御説明がありました。裏返して言えば、この公約はどちらともとれるようにちゃんと書いてある、それが知恵だという御説明だったというふうに思います。

 そして、今わかったことは、これから交渉の中で議論がされるということですから、関税撤廃がとれないということが決まったわけではないというのはおっしゃるとおりだろうというふうに思いますが、とれるということが決まったわけでもないということも事実であろうというふうに思います。その意味で、全てはこれからの交渉で何がとれるかということにかかっているという意味では、今のところ、何かがとれているわけではないというふうに解さざるを得ないというふうに思います。

 三つ目の段落の確認をしていきたいと思います。

 自動車、保険、非関税障壁という言葉が挙がっています。それぞれ、これまでも協議をされてきた内容だというお話でしたが、何をそれぞれ指すのか、今御説明できる範囲で国民にお示しをいただきたいと思います。

甘利国務大臣 これら今委員が御指摘された項目については、先ほど経産大臣から説明がありましたとおり、アメリカ側の関心ある事項ということでありまして、これは、かつて民主党の時代もそうであったと思いますけれども、日米の経済対話の中で向こう側が関心を示してきている項目であります。それは日米間で引き続き交渉を続けていくということが確認されている、それ以上でも以下でもありません。

 現状がどういう状況であるかということは、これは交渉中の話でありますし、詳細については控えさせていただきたいというふうに思っております。

松本(剛)委員 私も外交を担当していたので、一定の甘利大臣のそういう答弁が理解できなくもないんですが、他方で、私自身も、できるだけやはりぎりぎりのところまでは国民に説明をすることが、また外交力を国民と一体になることで強めることでもあろうというふうに思って心がけてまいりました。

 その中で、今お話をされました。それぞれ、これまでも自動車に関しては関税、数量規制、安全基準などのことが議論されています。保険についてもさまざま議論がありますが、少なくとも皆保険を直接議題とすることはないということは既に民主党政権時代に確認をしてきているというふうに思いますが、その場合、この保険というのは簡保を指すという理解でよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 具体的に、詳細については、協議の過程の中で余り説明をするべきではないというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、国民皆保険制度がおかしくなるというようなことは絶対にさせませんし、それから、国民の安全、安心、自動車等についても、それが損なわれるというようなことには絶対にさせないということでございます。

松本(剛)委員 答弁が届くのをお待ちしましょうか。よろしいですか。

山本委員長 甘利TPP担当大臣、補足を。

甘利国務大臣 補足、同じ答えになってしまうのでありますけれども。

 詳細については、今、交渉過程の中、これは、委員も外務大臣をやられた御経験がありますから御承知だと思います。つまびらかにさせることについてはこの時点で控えさせていただきたいと思います。

松本(剛)委員 一つは、この機会ですから、既に私どもの政権のときから皆保険の方向ではないということは確認をしてきたと思います。とれているものは国民に報告をするべきだと思いますが、そのことを一つ御確認をいただきたいということと、既に、簡保、共済などは、これまでも関心事項だということは示されてきているわけで、一定の関心事項の中だということはお認めをいただいた上で国民の議論に付するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 国益、それからこれからの戦術、戦略等々、まだスタートしたばかりであります。私どもとしては、まだ準備体制も、早急に整えるというところであります。今できておりますのは、主要な閣僚会議というのが先般の総理の指示のもとに設置されたというところでございますので、これから戦術、戦略等をしっかり抜かりのないように立てていく中で、出せるものについて情報を開示していきたいというふうに思っております。

松本(剛)委員 これまでせっかくとれているものはしっかりとっていただきたいということを御要請申し上げたいというふうに思います。

 内容について、残念ながら御説明をいただけないわけでありますが、この議論を通じて国民の皆様にも伝わっているのではないかというふうに思います。

 さて、この共同声明、文書化できたことが大きいんだというふうに総理はおっしゃってこられたというふうに思います。TPPについて、少なくとも、政府として他国との間で文書をつくったということはこれが初めてではなかろうかというふうに思いますが、そういう位置づけだという理解でよろしいでしょうか。

甘利国務大臣 今回、極めて重要なことは、日米交渉の結果、文書として具体的なことが、懸念の案件が確認をされたということであろうかというふうに思っておりますが、そういう中で、第二パラでしたか、それぞれセンシティビティーは持っているということであります。日本には農産品を中心としたものがあり、アメリカには一定の工業製品のものがあるということであります。

 センシティビティーがあるということは、これから全品目をテーブルに上げる中で、それぞれが各国の事情を話し合う素地ができた、そのことをアメリカ自身も認めているということになろうかと思います。これを文書で確認をとったということは、極めて大きなことだというふうに思っております。

松本(剛)委員 TPPについてこのような文書が出たのは初めてだというのは、私の理解であります。ここで、自動車、保険、非関税障壁もですが、TPPに関して日米間で文書になりました。

 米側の関心事項ということで、先ほど甘利大臣もおっしゃいましたけれども、従来、日米の間にはさまざまな対話のチャンネルがあります。日米の経済調和の対話というのもあります。こういった中で、米側の関心事項として示されてきたわけでありますが、TPPの日米間の協議、加えて米国の同意を必要とする流れの中での文書という中で、この自動車、保険というものがテーブルに上がってきた、これは私は初めてではないかというふうに思います。

 TPPについては、各国の同意、すなわち、米国も含めて同意が必要でありますが、その協議をするテーブルに自動車と保険というのがのったのは初めてではないかというふうに思いますが、そういう理解でよろしいですか。

甘利国務大臣 私どもは、この自動車と保険という話については、かねてからアメリカは関心事項であったと。

 日米の経済対話、これはいろいろなレベルで行われています。自民党時代にも過去にいろいろなレベルで行われてきましたし、あるいは、民主党政権の中でも、経済対話というのは、たしか菅政権のときにも行われていると承知をいたしております。

 そういった、かつて、長い歴史の中で、こうした問題について、アメリカ側が関心事項としてずっと日本側に申し入れてきた問題であります。もちろん、日本側としても日本側の関心事項は言ってきたということでありますけれども、そういう歴史の中でこの問題が出てきた。突然TPP交渉の中でこの問題が出てきたというふうには理解をいたしておりません。

 そういう経緯の中で、解決すべき両国間の課題として取り組んでいるというふうに理解をいたしております。

松本(剛)委員 大臣もよく御存じのとおり、外交交渉においては、どのテーブルにどの議題をのせるかどうかということ自身が大変厳しい交渉のテーマであることは百も承知の上で今おっしゃっているのではないかというふうに思います。

 TPPについては、参加各国の同意を得なければいけない。つまり、米国についても同意を得なければいけない。この米国の同意を得る条件として、自動車や保険という、もともと米国がとろうと思っていたものをこれに絡ませるかどうか、このこと自身はこれまでも厳しいつばぜり合いがあったものではないかというふうに考えています。これを今回はあっさりと両国政府の共有の認識というふうにしてしまったと思います。

 そこで、お聞きをしたいと思います。

 これは、日米間の協議をされているというお話でありました。この文書の中ではいつまでと決めたわけではない。外務大臣は、予算委員会で、これは条件ではないともおっしゃいました。この問題がクリアされずとも米国の同意は得られる、こういう確信を、これは総理にお聞きした方がいいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今、甘利大臣からお答えをしたように、第三パラに書いたことは、今までも交渉してきたことを、それを文書で確認したわけでございまして、そして、その性格については、以前岸田外務大臣が説明したとおりでございます。

 先般、私が金曜日に、参加について決断をした、記者会見をしたことに対して、既に、米国は歓迎する、このように声明を出しているところでございます。

松本(剛)委員 TPPに取り組む日本の姿勢は、これまでも米国に歓迎をされてまいりましたけれども、今お聞きをしているのは、第三パラグラフに書いてあるような、自動車、保険、非関税障壁、これはやはり我が国の産業にとっても極めて重大な問題だろうと思います。であるからこそ、先ほど与党の御質問の中でもそれぞれ御質問が出たような内容であります。

 これが、繰り返して申し上げますが、同意までに解決すべき課題だというふうにこの第三パラグラフは読める。しかし、継続して協議をする内容だと総理と大臣はここで御答弁をされておられます。米国の同意を得るまでにこれらについて譲歩をすることはないということをここでぜひおっしゃっていただきたい。

 なぜこういうことをお聞きするかといえば、先ほどお話があったように、農産物など、日本のセンシティビティー、これについては交渉に入ってからの内容だと。ところが、自動車などについて、もし交渉に入る前の譲歩が求められるとすれば、その後交渉に入ってから、我が国はまた異なる譲歩を求められることになるわけであります。

 一見、第二パラグラフと第三パラグラフは対等に一致をしているように見えますが、交渉に入ってからのことを書いてある第二パラグラフと、交渉に入るまでのことを書いてあるかのように読める第三パラグラフの取引というのは、極めて不利な取引をしたことになりかねません。もしそうだとすれば、これでは、交渉力のある交渉とは到底言えないわけでありまして、ぜひこの機会に、自動車、保険、非関税障壁などは、交渉に入る前に譲歩をするのではなく、全て交渉の中のテーブルにのせる、この決意をお聞きしたいと思います。

甘利国務大臣 委員も外交交渉をやられた経験をお持ちでいらっしゃいますし、恐らく、このTPPの中における、今、種々の御指摘の問題、極めてセンシティブな取り扱いであることもよく御承知だと思います。

 これからどう戦術、戦略を展開していくかということ等々もあります。お話しできないこと、たくさんあるわけでございます。この時点では、とにかく今交渉中であるということ以上のことは差し控えさせていただきたいというところでございます。

松本(剛)委員 一定の時間がたてば、米国の同意を得るところまでいかなければいけないというふうに思います。そのときに、この第三パラグラフが同意までにきいていたのか、きいていないのかは、わかってくると思います。そのときに、私が申し上げたような、先に日本が譲歩をするという交渉をもしされたんだとすれば、それは大変なことをされたということになるということを申し上げておきたいと思います。

 なぜこんなことになったのかということも、もう一点御指摘を申し上げなければいけないと思います。

 総理は、聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対をするという国民との約束を守るためだとおっしゃいましたが、そういう理解でよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 選挙における公約は極めて重たいものであるということは、委員も御承知のとおりだと思います。ですから、今回、私たちは選挙において、できることしか公約しませんということを申し上げて公約をいたしました。

 ですから、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉には参加をしない、この約束はたがえるわけにはいかない。交渉者に対してもしっかりと、事務方に至るまでこれは徹底をしていたわけでございます。だからこそ、首脳会談において、先ほど、第二段落目において、農業においてセンシティビティーがあるということを米国に認めさせたわけでございますし、私からも、聖域なき関税撤廃ではないということを国民の皆様に説明させていただきますよということをオバマ大統領に確認をしたわけでございます。

 つまり、我々は、重いこの約束はしっかりと守らなければならないという考え方の中において交渉参加を決定したところでございます。

松本(剛)委員 総理、党益と国益がもし相反した場合は、どちらが優先されるべきだとお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 我々は、そもそも自由民主党という政党は、党益なんていうものはないんですよ。自民党の存在、それは国益を守る政党である限り自由民主党であって、国益と自由民主党の党益が相反する、そんなときには自由民主党なんか解散するんですよ。当たり前じゃありませんか。

松本(剛)委員 ここまでの議論を少し整理させていただきたいと思います。

 委員各位にもお手元に資料をお配りさせていただきますが、改めて確認をできたことは、守るべきものは交渉参加の後であるということであります。そして、我々、譲歩するものは交渉参加までかどうかはわからないわけで、今、お返事はいただけませんでした。しかし、この文書を見る限りは、交渉参加までにとられてもおかしくないという状況であります。

 そして、自民党の公約は守られたか。これは言葉のとりようだというふうにも考えられますが、何よりも申し上げなければいけないのは、私どももTPPには前向きにしてまいりました。ここにおられる各党の中でも、TPPには積極的に参加をすべきだということを公約にして、選挙を戦ってこられた党もございます。しかし、自民党さんは、聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉に反対をするという、総理がおっしゃるところの、賛成派、反対派の知恵の文章をつくりました。

 この知恵を確認するために、日米共同声明がある。党の公約を国民に説明するためにこの共同声明があって、第二パラグラフは、そのために文書化でおとりになって、そして第三パラグラフは、今のところまだお認めになっていませんが、ひょっとしたら、これで、交渉の前に、これだけのものをとられるかもしれない。

 先ほど、党と国益が相反するようだったら自民党は解散するとおっしゃいましたが、最初からTPPにはきちっと参加をすると言っていれば、このような文書をとりに行く必要はないし、第三パラグラフをとられる必要もなかったわけであります。

 文書化したのは私たちが初めてだとおっしゃいますけれども、文書化をする必要があったのは、自民党の公約があったからでありまして、しっかり交渉するためには、むしろ、私は、全てテーブルの上にのせるんだからそれでいきましょうといってアメリカの同意をとっている方が、日本にとってはよっぽどプラスになったというふうに思いますが、総理、そのように思われませんか。

安倍内閣総理大臣 私は全くそうは思いません。まるで公約なんてどうでもいいじゃないかという御質問に聞こえるわけでございますが、まさにそうじゃないですか。

 私たちは、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、TPP交渉参加には反対する、これを公約で掲げて選挙に勝ったから、今、我々は政権についているんです。これを、多くの国民の皆様がこの公約を支持したからこそ、我々は政権をとったんです。

 ですから、当然、そのことを交渉において確認する、これは我々の使命なんですよ。これが確認できなければ、まさに国民との約束をたがえてしまっては、国民の政治への信頼を失ってしまう。そういう状況が三年三カ月続いたんですよ。その反省にあって、我々は今ここに立っていますから。

 だからこそ、首脳会談において、それはそう簡単なことではありませんでしたが、まさに文章としてきっちりと残す。そして、文章にして残すということは、その後、日本と米国が、言った言わないということにならないためですよ。余り前政権のことを申し上げたくないですが、前政権時代にはそういうことがあったじゃないですか。

 だから、私たちは、そういうことをしないように、今回、そういう文書化をしたということでございまして、聖域なき関税撤廃を前提条件とすることは、これは明らかに、明らかに国益に反すると私は思うわけでございます。

松本(剛)委員 とれるものだけとれたら、誰も交渉では苦労しないわけでありまして、何をとりに行くかといったときに、自民党の公約とつじつまを合わせるために何が譲られたかというのは、ここまで御説明がありませんでした。しかし、この文書を見る限り、大きな譲歩が隠れているのではないかという疑念を払拭することができないわけであります。

 米国の同意までの日米協議でどんな形になるのか、改めてここで、もしこの第三パラグラフの言うような譲歩が入ってくるようであれば、最初に申し上げたように、全て最初からテーブルの上にのせて交渉をしよう、こういうふうに申し上げた方が我が国のためになったことは間違いないということであります。

 ぜひ総理にお願いを申し上げておきたいと思います。我が国にとって農業は大変大事であります。同時に、工業も大変大事であります。総理の会見の中で、残念ながら、物づくり、工業という言葉が一つもありませんでしたけれども、今回も、この自民党の公約、農業に関連するとも言える公約のために、もし工業であるとかサービスであるとかいうことが犠牲になるとすれば、過去十年以上、二十年続いてきた我が国の失敗の経済連携交渉の、古い自民党の繰り返しになるのではないか、このことを私は懸念いたします。

 ぜひ、その意味で、国益のために動いていただきたい、そのことを強く御要望させていただいて、あとの質問を同志に譲っていきたいというふうに思います。

山本委員長 この際、篠原孝君から関連質疑の申し出があります。松本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。しばらくぶりにここに立たせていただいております。

 各党、TPPについてはいろいろ考え方がある。私は片方の旗頭であります。ですけれども、これは旗幟鮮明にして質問するのはよくないので、ひとつまずおかせていただきまして、質問させていただきたいと思います。

 TPPについて、非常に総理は前のめりな感じがするわけです。

 韓国は、FTA大国になろう、日本を追い越そうと、チリから始めました。すったもんだして、BSEの問題で大もめにもめまして、ろうそくデモとかが行われました。韓国の女子高校生が、命を犠牲にするのかといって怒ったというのがありました。

 ちょっとこのパネルを見ていただきたいんです。後で説明いたしますが、一番上、「交渉期間」のところですね。

 隣を見てください。これからどのぐらい交渉期間があるのかは知りませんけれども、オバマ大統領が、今年度中に解決すると。あと二回ぐらいしか交渉の機会がないんです。

 それで、韓国ではいろいろ問題があるんです。我々、TPPの内容はわからないんです、国民も含めて。そのときに、聞くといつも口癖で出てくるんです、アメリカの担当者から、米韓FTAを見習ってと。ここにあるようなこと以上のいい内容になるんだと言うんですね。

 役人みんな、私も役人だったのでわかるんですが、都合のいい情報しか、総理になんか、なかなか上げないんですね。後で説明しますけれども、韓国は大混乱で、李明博大統領が今、逮捕寸前とか言われているらしい、よくわかりませんけれども。それの原因の一つに、米韓FTAに前のめりになり過ぎたことがあるんじゃないかと思います。

 私、去年の二月、訪韓団の団長として参りました。ちょっと嫌みの挨拶をしました。どういうことかというと、あちらの韓米FTA阻止闘争委員会委員長、丁寧に対応してくれました。こう言ったんです。韓国は長年、日本の後ろ姿を見て経済成長をしてきた、二番手ランナーだった、しかし、FTAについてはフロントランナーになった、しかし、何かどうもうまくいっていないようだ、それを勉強しに伺ったと言ったら、敵も、敵というか、さるもの、そのとおりだと。いやいや、フロントランナーになるものじゃない、もう懲り懲りだ、こんなひどいFTAとは思わなかった、今までFTAをやってきたけれども、ほかのFTAと違うんだと。三八%、日本は一九%、FTAのカバーエリアですね、言われます、懲り懲りだと。

 しかし、日本が二番手ランナーになっているけれども、信じられない、我々がせっかくフロントランナーになって、こんなに反省して、こんなに困っているというのに、そこにのこのこ入っていくという心境がさっぱりわからないと言ったんですね。

 総理は、韓国のこの混乱等を御存じでしょうか。これについてどう思われるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 米韓FTAについては、韓国でもさまざまな議論があることは承知をしております。当然、自由貿易協定を結んでいくということは、今までのあり方が大きく変わっていく分野もあるわけでありますから、当然、そうした中において、さまざまな困難に直面する方々も出てくるんだろうと思います。

 そこで、韓国側のそれに対する対策等々について余り私が云々するべきではないだろう、このように思いますが、一方、韓国においても、米韓FTA発効一年間の統計としては、対米輸出は一・四%でありますが増加をし、そして米国からの輸入は九・一%減少した、対米黒字は三九・一%増加をしたということでございます。

 同時に、外国人の対韓直接投資については、一年間で約倍になったということでございますから、つまり、自由貿易協定等々の持つ効果としては、多くの国々が、この国には投資をしよう、そう考える効果もあるのではないか、このように思います。

篠原委員 総理の答弁はよくわかります。私もそれは承知しております。効果があったところですね。

 しかし、これをちょっとテレビも見ていただきたいんですが、小さいので済みませんが、いろいろなのがあって、何とか条項とか何とか条項があるんですけれども、それはよくわからないと思いますので、具体的なものでちょっと説明させていただきます。

 今、「保険」のところなんかはもうみんな説明されているんですが、例えば「中小企業育成」、これは大事なんですけれども、ITについての中小企業を育成しよう、これをやろうとすると、やはりアメリカの企業を差別する、こればかり言ってくるんです。外食、デニーズとかケンタッキー・フライド・チキンとかマクドナルドとか、あんなのばかりはびこってよくない、やはり、いらっしゃいませという雰囲気の外食がいいんだ、ここを中小企業適用業種として振興しようと思ったら、またクレームがついてきている。

 これは一年たっているんです。三月十五日、安倍総理が参加表明をした一年前に米韓FTAは発効しているんです。偶然同じ日なんです。

 「医薬品」、これもそこそこ出ていますけれども、「特許」で見ていただきたいんですが、ジェネリック医薬品というのがある。特許期間が終わった安い薬、日本はまだ二割ぐらいなんですが、先進国では六割ぐらいになっている。韓国でもそれが相当使われているわけですけれども、アメリカが早速クレームをつけてきまして、特許期間を長くして薬価を高くしておくというようなことをしているわけです。

 それから、医学関係で一番下の「医療保険」のところ、それから一番上の「前払い」の二番目のところにもありますけれども、国民皆保険の問題がありますけれども、韓国はもう、ほぼこじあけられています。特区が設けられました。健康保険の適用除外の地域ができまして、物すごい高額な治療だけをできる病院ができている。多分これが拡大していくんじゃないかと思います。

 原中さん、医師会の前会長がよく言われます。日本で盲腸の手術をしたら三十万円、アメリカは三百万円を超える、そういうふうにしていいのか、高額な治療というのはみんな高くなっていってしまうと。

 それから、私が許しがたいのは「学校給食」です。小さいときの学校給食、日本でもそうですけれども、地元のものを活用しようと。地産地消、旬産旬消、食べ物というのは、そこでできたものをそこで食べる、そのときできたのをそのとき食べる、これが一番自然なんです。学校給食にはそうしようと言ってやっている。韓国も同じように地産地消というのを使っている。まことに済みません、この言葉は私がつくったんですけれども、世界じゅうに使われているんです。ところが、これはアメリカの輸入農産物をやはり差別して排除しているんだから、けしからぬというふうになっているわけです。

 ほかに、ここには書いてありませんけれども、ラチェット条項とかいろいろ言われているんですが、BSEのがあるんです。今度アメリカでまたBSEが発生したときに、これをまたきつ目にして牛肉の輸入をストップするということができない条項まであるんです。

 ですから、韓国は、けしからぬ、これはもう韓国の主権を大幅に制限しているんだと言っているわけです。だから、さっきの韓米阻止闘争委員会の委員長、鄭東泳というのは、韓国といろいろつき合っている方は御存じじゃないですか、五年前の大統領選挙で李明博大統領と争った方なんです。英語もできて、それでちょっと意見交換をいろいろしてきたんですが、だから彼が不思議がるわけです。こんなに主権を侵されている、そんなところに日本はなぜ入っていくんだと。韓国は、この交渉を再交渉してやり直せとかいう声も出ているぐらいなんです。

 李明博大統領がこれに邁進したのもわかるんです。あの人の政治哲学、ヒュンダイの建設会社の社長で、そして韓国のCEOになる。つまり、韓国のセールスマン。池田勇人さんがトランジスタのセールスマンと言われたように、同じようなことをしていくというのならいいんですけれども。

 安倍総理は、私は、姿勢が一貫をされていて立派だと思います。日本の国益、日本国憲法、アメリカから押しつけられた憲法だと言っているんです。しかし、TPPは、よくお考えいただければわかるんです。アメリカのルールを世界のルールにしようというワンステップなんです。その中に入っていく。押しつけ憲法ならぬ押しつけTPPです。

 そこにのこのこ入っていくのが気が知れないというのが、かつての大統領候補、鄭東泳さんの私に対する忠告なんです。せっかく我々が一番手ランナーとなってアメリカにしてやられたと困っているんだから、こんなところにはのこのこ入っていくべきじゃないと。

 どういうことを彼が言うかというと、「前払い」の一番上を見てください。GMO、遺伝子組み換え、日本も相当気にしている人たちがいます。韓国も同じなんです。ところが、アメリカは、そんなものは表示なんかしちゃいけないというわけです。

 国の安全、国民の生命財産、何も国防軍だけで守るわけじゃないんです。食の安全、環境基準、PM二・五が典型的例です。そうやって守っていかなくちゃいけない。そうすると、TPPに入ると、アメリカから押しつけられて、日本のきちんとした環境基準、食の安全基準を弱められる可能性があるわけです。

 どうも、これは安倍総理の政治哲学、政治信条と全く違うことじゃないかという気がするんですけれども、この点の矛盾についてどういうふうにお考えでしょうか。安倍総理にお答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま篠原委員が御指摘になった問題意識は極めて重要だろう、私もこのように思っています。

 そこで、米韓FTAについてさまざまな課題、問題点を挙げられました。我々も十分にそれを吟味していく必要があるだろうと思いますし、我々もしっかりと備えていく必要があるでしょうし、かち取るものはかち取っていくために、交渉力を強化していく必要があるんだろうと思います。

 同時に、これは委員も御承知のように、米韓のFTAは二国間でございますが、TPPについては、アメリカはもちろん第一位の経済大国でありますから大きな力を持っているのは事実でありますが、多くの国々、これはマルチの会議になっていくわけでありまして、米国だけではなくて、途上国、とりわけアジアの国々が多く参加をするわけでございまして、そういう国々とともに、やはりそれぞれの国柄を守るためにはどうすればいいかということも、連携していくことも可能ではないか、私はこのように思っております。

篠原委員 基本的な考え方は一緒、ただ手法がどうかというのは、私は、TPPは非常に危険な存在だと思っております。

 特にISD、片仮名で何回も出てきていますけれども、国民の皆さんもこれまたわかりにくいかと思いますけれども、簡単に言うと、国家をアメリカの企業が訴えて、かつ、日本国の裁判所ではなくて、世銀の下の仲裁センターで裁判が行われて、日本が悪いんだということで、賠償金も払わなくちゃならない。

 ですから、憲法九条、九十六条と言っていますが、憲法七十六条というのは、日本の裁判は、最高裁判所以下、下級裁判所で全部やるという規定があるんですよ。私は、憲法違反じゃないかと思うんです。

 このISDは、よくみんな言いわけするんですよ、いや、日本のEPAにもあるんだと。当たり前です。発展途上国で、全然ルールがなくて、日本の企業がごちゃごちゃになって変なふうになったら、国に責任を持ってもらわなくちゃいけない。だから、先進国同士の豪米のFTAにはないんですよ。だから、韓国も問題にして、ISDはなくせと言って、朴槿恵大統領の引き継がれた一つの課題になっているんです。

 そういう点、自民党もなかなか立派でして、J―ファイルの中の六項目のところに入っているんですね。私は、関税も大事ですけれども、これこそ安倍総理の信条からしたら、絶対に最初から、これはだめだよ、こんなことは認めないよということを言ってしかるべきだと思うんですが、この点について、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 確かに、この六項目について、我々自由民主党は、これは守らなければならないと考えたから、この六項目にしたわけであります。

 第一項目めの聖域なき関税撤廃は認めない、これはまさに公約でありまして、これが認められなければ交渉には参加できない。そして、これを確認したから参加するんですが、同時に、交渉の中において、この残りの五項目については、しっかりとかち取るべく努力をしていきたいと思っております。

篠原委員 自民党の皆さんも頑張ってください。ISDは絶対だめですからね。

 次に、私は、安倍政権が発足して、大したものだと思います。非常にきちんとした言葉で、三本の矢と言われて、景気はよくなる、株価は上がる、円高が問題だと言ったら円安になっていく。アベノミクス、アベノミクスとよく言っていますけれども、私は、アベロノミクス、舌でちゃんと言っている、言葉だけで、予算や何か、全然政策を実行していないのに、やっている。結果が非常にいいので、これはこれで一つの手法だと思います。

 しかし、こんなことを言っては悪いんですけれども、株式相場とか為替相場はそれでいいでしょう。しかし、そういうのでうまくいかない部分があるんです。忘れておられるところがある。

 これは、甘利TPP担当大臣にぜひお伺いしたいと思います。

 オバマ大統領はTPPをどう言っておられるか。輸出倍増、そして次に、二百万人の雇用を創出すると言っているわけです。

 ところが、アメリカのAFL・CIO、日本の連合に当たるところは、大反対していますね。なぜかというと、これに先駆けた一九九四年から始まっているNAFTA、北米自由貿易協定では、メキシコに近い南部諸州の雇用が物すごく失われたんです。これを心配してなんです。

 金曜日の計算、国民の前に前もって示すというのは示されませんでしたが、これは、しようがないです、ここはほかの皆さんが言っているからいいんですが、雇用について全然ないというのはおかしいんです。

 そして、小さな統計ですけれども、若者ほどTPPに反対しているんです。なぜでしょうか。今、職がない、我々が職につけないんじゃないかと。もうついちゃった三十代、四十代の人はいいんですけれども。

 この事態について、それから、雇用についてどういう計算が政府部内で行われているんでしょうか。お伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 今回のTPPがGDPに、日本にとってどうはね返ってくるかというのは、国際標準のGTAPモデルというのを使ってやったわけであります。このGTAPモデルというのは関税だけにかかわっていることでございまして、関税がゼロになった場合には、それぞれ当該国で経済、GDPにどういう変化が起きるかということであります。

 ここでは、雇用は、それぞれの産業間移動をするということで、変化はないという前提になっています。ただ、ここは、正直言って、私もそうかなと思うのは、GDPがふえれば、普通は雇用はふえるんです。だから、GDPが三・二兆ふえるのであるならば、それに連なって、私は、雇用はむしろプラスに働くというふうに思っております。

篠原委員 なかなかそううまくいかないんじゃないかと思います。

 産業競争力会議で急に農業のことをやり出して、農業の規模拡大、規模拡大。私は、何も規模拡大に反対しているわけじゃないんです。では、規模拡大して、十ヘクタール、さっき小里さんの話の中にもありましたが、北海道でしかできないと思いますけれども、何十ヘクタールの農家ができた。私のところなんか、野菜、果物ですから、全然違って、二ヘクタールあったら、二夫婦、じいちゃん、ばあちゃん、父ちゃん、母ちゃん、四人やっていたって三ヘクタールなんかできないんです。いろいろあるんです。

 だけれども、規模を拡大していったら、では農業の雇用はどうなるか。できないことはないでしょう。農業者は、十年後、ミツイ農産株式会社の非正規雇用労働者、あるいは、もっと言えば、季節労働者、日雇い労務者に成り下がっているかもしれないんです。これは違うんじゃないかと思います。

 その逆の生き方をしている優良県を御紹介いたしたいと思います。少しは明るい話題も必要です。

 長野県です。私が長野県で生まれて育って、長野県の典型的な悪い癖もいい癖も持っているんじゃないか。よくしゃべって我を通すというのが長野県の悪いところだそうでございます。だけれども、真面目だというのもあるんです。麻生副総理からそうやって褒められたこともあります。

 見てください。五年ごとにやっている調査で平均寿命が男女とも一位になったので、僕はほっとしているんです。私の女房は長野県じゃないので嫌みを垂れていまして、封建的な長野県は、女性を虐げて男性だけが長生きしているとずっと言い続けられていたんですが、これで対等になったので、文句を言われなくなります。やはり、長寿国日本というのは、世界から褒められている。長野県が、なぜかしら、よくわからないんですけれども、ずっと一位なんです。

 それで、では、ただただ長生きしているだけかというと、そうじゃないんです。下の、後期高齢者一人当たりの医療費、かつて一位だったんですけれども、下の方から四番目か五番目なんです。一番低いのは岩手県で、これは七年前に小泉さんのときにやったので、麻生さん、また済みませんね。変わらないんです。福岡県は連続して一番高い医療費で、百十四万七千円なんです。幾らかかっているんですか。

 長野県人は、病院にいる日数も一番低いんです。見てください。これは、山口県も結構成績がいいんです。私や総理の方が、いつも健康に気をつけているということかもしれません。

 それから、野菜の摂取量が一位なんです。草食型なんですね、健康にいいという。肉食は、ちょっと語弊があるのでやめました。

 若月俊一さんがいて、農村医療がきちんとしておる、空気もきれいだ、野菜も、食べ物もいいというのは、いろいろあるんだろうと思います。だけれども、よく働いているんですね。離婚とか生活保護の方、ちょっと時間がないのでやめますけれども、これも、ちゃんとみんな一生懸命働いて、離婚もしていない、家庭も平和だ。

 それで、物づくり。さっき松本剛明さんが言っておりました物づくり。一次産業、二次産業と出てくるんですけれども、本当に汗水垂らして働いて物をつくっているというのを見てください。第一次産業足す第二次産業、これが、五年前は確かに長野が一位なので、今は山形に抜かれているんですが、ともかく一生懸命働いているんですね、物をつくって。

 そして大事なのは、上に戻って、「生活態度」ですね。高齢者就業率が断トツトップなんです。年をとっても働いている。おわかりになりますでしょう。これが大事なんです。

 こういう県、こういう国を維持するのが、国益、国益と抽象的でわからないんですけれども、長野県のような県がいいんじゃないかと思うんです。

 最近、きずなというものが大事にされています。見てください。一万人当たり公民館数も六・四と、これは断トツトップなんです。全国平均一・二です、一万人当たり。公民館に行ってああでもないこうでもない、ああでもないこうでもないと言っては失礼ですが、いろいろな会合をして、社会性もあるということなんです。みずからを律し働いて、最も日本人的な生活をしているのが長野県じゃないか。

 問題は、一番下を見てください、「TPPに対する態度」。この長野県人が、真面目な、私のような長野県人がTPPについてどういうことを考えておるかというと、これは一年半ぐらい前ですけれども、全国で千百六十七万人の反対署名が集まったんです。そのうち六十一万人、一番多かったんです、絶対数が。それからパーセントでも一番。福岡県の人もなかなか反対が多かったですね。

 この人たちは何で反対するか。農業だけじゃないんです。農業の就業者というのを見てください。第一次産業割合や農業の農家戸数は五位で一四・八〇%ですから、農家だけじゃないんです。皆さんは余り御存じないかと思いますが、セイコーエプソン、新光電気、軽薄短小の輸出型産業もあるんです。この人たちもあるんですが、この人たちも老後は兼業農家になるんです。

 なぜ私がこれを強調するかというと、ちょっと私の拙い字で済みません、一番上を見てください。済みませんね、福岡県ばかりあれして。

 福岡県と長野県の医療費の差は約四十万なんです、一年間。それで、七十五歳以上の後期高齢者は千四百七十万人いるんです。全員が福岡県人、全員が長野県人で、医療費の差が、どれだけ節約できるか。五・六兆円なんです。では、六十五歳以上は約三千万人いるんです。この計算はないんですけれども、そうすると十二兆円も節約できるわけです、医療費。医療費がGDPの八%、三十四、五兆円かかっているわけですね。これが介護費用にもかかってくるわけです。

 ですから、国益とかいうことを考えた場合、私がぜひお願いしたいのは、こういう社会もあるんだということ、規模拡大とかなんとか、そういうことばかりじゃないような気がするんです。

 総理は、美しい棚田に息をのむような感動を覚えたということを言っておられます。僕はそのとおり、油谷にもありますけれども、長野にも田ごとの月の棚田があるんです。ああいうところを守らなくちゃならない。

 これは全然経済的なものじゃない。農業の多面的機能というと、洪水防止機能それから水資源涵養機能と言われますけれども、私は、何よりもこういう機能こそ、安倍総理の価値観と同じ、日本の伝統文化、日本人の、日本の文化を守ろう、日本独自のことを支えていくんだ、これに通ずると思うんですが、この点についていかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今、篠原委員が御指摘をされた、私もそのとおりだと思います。

 私がかつて自民党で、当時は社会部会長と言われていまして、今は厚生労働部会なんですが、社会部会長のときに、長野県に倣えといって、政策を中心的に予防に力を入れるようにしたところでございますし、私もよく地元において、山口県の成績も出していただいてありがとうございます、その中で、長野県に見習うようにということを常々申し上げております。ほかでは、悔しいですから余り言わないんですが。

 確かに、健康寿命も、そして一人当たりの医療費も少ない、そして、人生ずっと仕事を持ちながら、生きがいを持ちながら、かつ自然と触れながら、物をつくっていくという喜びに触れながら人生を送ることは、これは健康を維持し、かつ豊かな人生につながっていくんだろう、このように思います。

 こういう観点もしっかりと取り入れながら、日本はすばらしい国を、美しい国をつくっていきたい、こう思うところでございますし、また当然、TPP交渉を進めていく上においても、こういうものを決して壊してはならない、このように思います。

篠原委員 総理とそこのところは同じなんですが、TPPという手段がちょっと違うんです。

 長野県では、ちゃんと死ぬまで働く、健康で働くんだということで、ぴんぴんころりというのを、僕は長野ばかりで余り日本じゅうには広まっていないと思っていたんですが、皆さん御存じですか。これはどうやってやっているかというと、長野ではTPPよりPPK、ぴんぴんころりです、こう言われているんです。もうおわかりになると思います。ぜひこういうのをちゃんとしていただきたいんですね。

 それで、その点ではちょっと気になるのがあるんです。

 専門家というので、小里さんはずっと農政をやってきた盟友です。僕はずっと農政に携わってきています。西川さんもそうです。こうした人たちと一緒にやってきました。しかし、産業競争力会議、経済財政諮問会議、こういうところから何かすぱっすぱっと、別にいろいろな意見があっていいんですが、出てくる。ところが、そこには、さっき言いました規模拡大とか、そんなようなものばかりなんですね。

 民主党政権はだめだ、外交を壊したとか総理は前に言っていたんですが、僕はそんなことはないと思います。ロンドン・エコノミストやジェラルド・カーティスさんも、日米関係はそんなに壊れていないんだということを書いておられます。そのとおりだと思います。こっちはもうやめておきますけれども。

 菅総理のときに、言い出したときに、どういうのが官邸にできたかというと、農業構造改革推進本部という変な名前だったんですけれども、菅総理の肝いりで、私のあれもありましたけれども、食と農林漁業再生推進本部というのをつくって、そして農政を改革しようというのを始めていたんです。官邸に二つしかなかったんです。ところが、東日本大震災が起きて、それが途中で雲散霧消しているんです。

 ですから、もしこれをやっていかれるんだったら、私は、農業専門の、農政を改革して、地方の人たちを不安に陥れないでもらいたい。

 安倍総理は、株式相場、為替相場には活力を与えました。しかし、いろいろ言っておられますけれども、農民、地方の人たちは不安でいっぱいなんです。この不安を払拭しなければいけないんじゃないかと僕は思います。そのためには、農業専門のきちんとした検討機関をつくるべきだと思うんですが、林農林水産大臣、ぜひそのように尽力していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 安倍総理もかねがねおっしゃっておられますように、今委員も御指摘にありましたように、多面的機能、例えば棚田にお触れになっておっしゃっておられます。

 こういうものが大事であるということは既に食料・農業・農村基本法にしっかりと明記をされて、ただ多面的機能というだけではなくて、その中にいろいろなものがあるということもここに書いてあるところでございまして、そういった意味では、食料安全保障を確保しながら、この多面的機能を十分発揮させるためにも、翻って農業の潜在力も発揮していく必要があるだろう。

 したがって、攻めの農林水産業本部というのを立ち上げまして、そこで潜在成長力を引き出していく。それが翻って多面的機能の保持にもなるし、それから、それと別に、今お話があったような多面的機能そのものに着目してやっていくという政策をよく連携させながらやっていく必要があると考えておりますので、我が省としては、その本部でしっかりと横串を刺して検討してまいりたいと思っております。

篠原委員 最後に、安倍総理に注文というか、お願いです。

 攻めの農政、攻めの農林水産業というのは懐かしい言葉なんですよ、私は古いので。一九七五年、安倍晋太郎農林水産大臣が使われていた言葉なんです。お父さんを意識されているなと。皆さん、若い人たちは知らないと思いますけれども。僕はそれでいろいろペーパーも書いたりいたしました。

 総理は、お父さんのみならず、おじいさんのことも考えてやっておられる。僕は、これは同じDNAがあるから当然だと思いますけれども、どうもTPPは、外に出ていって云々と。僕は、これは、冒頭の質問じゃないですが、安倍総理の政治哲学とちょっと違うような気がする。

 外へ出ていって、満州に出ていく、東南アジアに出ていく。これでちょっと日本は失敗したなと。しかし、その前に安倍寛さんというおじいさんもおられて、この方は、東条英機さんとかそういう人の方針に反対して、翼賛選挙のときも無所属で出て当選されている。つまり、いたずらに外に出ていくのはまかりならぬということで政治活動をしておられたんじゃないかと思うんです。ミックスしているんです。

 複雑だと思いますけれども、そういったことを考えて、ぜひ日本のかじ取りをやっていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 この際、大串博志君から関連質疑の申し出があります。松本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大串博志君。

大串(博)委員 ありがとうございます。民主党の大串博志でございます。

 きょうは質問の機会をいただき、ありがとうございました。

 TPP等の問題でございます。

 私は、去年の秋まで、政府・与党でいる際に、内閣府の政務官として、国家戦略担当の政務官として、このTPP交渉を一年間にわたって、交渉の担当者として携わってまいりました。そういう意味では、このTPPの持つ、ある意味、特色あるいは難しさ、課題あるいはとげみたいなものもある程度経験したつもりでございます。こういった中で、今、安倍総理が前に進められていることを、少し総理と議論させていただきたいというふうに思います。

 民主党、私たちは、このTPP問題は大変苦労しました。その上で、去年の総選挙の際には私たちは私たちの態度としてどう示したかというと、TPP、日中韓FTA、そして東アジア包括的経済連携、これらを同時並行的に推進するということを書きました。その上で国益を守る。それは、食の安全であり、農業であり、あるいは国民皆保険、こういったものを守り抜くんだということを書いて選挙に臨みました。

 このような書き方をしたものですから、当然、選挙においては、私たちは推進派じゃないかというふうな大変な指摘を受け、私は佐賀県、農業県でありますけれども、大変な風圧を受けました。大変な風圧の中で戦ってきたわけでございます。しかし、公約は公約として掲げながらやってまいりました。

 今回、聖域なき関税撤廃には反対するという公約で、自民党政権、戦われた。その聖域があるということで前に進もうとされているわけですけれども、日米の共同声明、ここにございます。先ほど来、この第二パラ、第三パラの議論がございます。累次この委員会の中でも議論がありました第二段落目、総理は聖域があることを確認されたということを何度もおっしゃいます。しかし、私は、どう読んでも、ここには聖域が確認されたというふうには読めない。

 この第二段落を見ていただきますと、日本には、米国には、両国ともセンシティビティーが存在するということは言われている。これは、センシティビティーがあるということを言ったところまでであって、聖域を約束するものになっていません。

 「両政府は、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであることから、」という文章があります。これについては、民主党の当時の玄葉外務大臣は、さきの四月にカークUSTR代表と話をされました。そのときに、この会議録の一番下のところです。双方は物品の関税の最終的な取り扱いについてはTPP交渉プロセスの中で決まっていくものであるということを確認したということを文書に書きました。これは、外務省のホームページにも発表して、文書であらわしました。当時、この点を確認するということを相当議論して、かつ、アメリカの理解も得た上でこういうふうに文書に発表しました。既にこのときに明らかになっているものが、先ほどの第二パラグラフの第二番目です。

 第三番目が、あらかじめ一方的に全ての関税を撤廃することを約束することを求められるものではないことを確認する。これは、ある意味当然という声もありました。なぜなら、カナダあるいはメキシコが昨夏、交渉参加をしたときにも、一方的に全ての関税を撤廃することを約束しているわけではない。ですから、日本だけが特別なわけではない、こういったことが第二段落に書かれているわけであります。

 いま一度確認させてください、総理。

 何をもって、この日米共同声明をもって聖域なき関税撤廃ではないということが確信されたのか、教えてください。

安倍内閣総理大臣 聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉参加には反対する、これが自由民主党の公約でありました。この公約をたがえることはできない、この公約を守ることができないのであれば交渉参加はできない、これは当然のことであります。その基本線に立って交渉をするように事務方に指示をしたところでございます。

 そこで、この第二段落に書いてあります、いわば、日本には一定の農産品、これは私たちは聖域と考えますよ、そして米国は工業製品を聖域と考えるということで、二国間貿易上のセンシティビティーが存在することを確認するということを文章化したわけでございます。

 そして、さらに首脳会談において、オバマ大統領に対して、私は、第二段落を読み上げまして、聖域なき関税撤廃を前提条件とはしていないということを確認したということを国民に向かって説明しますよということを申し上げたわけでございます。今、この場で申し上げているわけでありますから、これは間違いなく言ったということになるわけでございますが、そのことをもって、まさに聖域なき関税撤廃ではないということを確認したということを今申し上げられる、このように思います。

大串(博)委員 先般までの説明ですと、この第二段落目、こういうふうに文章化する、これは大変難儀なことであった、こういった形をもってして、聖域なき関税撤廃ではないということを確認してきたんだということをるるおっしゃっていました。この聖域なき関税撤廃ではないということ、今の説明でも、この文章に書かれたことを見てみても、本当にそうかということに得心は、私は農業県の出身でありますけれども、なかなかいきません。

 さらに言うと、政治は結果責任だと総理はおっしゃいました。結果責任ということを問うてみると、どういうことが今起こっているかというと、例えば先週十二日、農業者の大集会が開かれました。新聞発表では四千人が日比谷に集まった。国会の前では大変なデモもありました。

 週末、農業者の皆さんの声を聞くと、とてもこれで聖域なきではないということが明らかだとは言えないというふうな理解が蔓延しています。まさにこの聖域なき関税撤廃であるかないかということは、農業、あるいは守るべきものは守ってほしいということを思っていた人たちとの公約であったことを考え、しかし、その人たちに対して理解が得られていないということは、まさに結果責任として公約を守っていないということになっていないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 結果として守るということは、交渉の結果だろうと私は思っています。

 我々の公約においては聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上と、つまり、その前提がなくなったということについては間違いなく、なくなった、こう思っております。

 ただ、農業者の皆さんの不安な気持ちも私はよくわかります。米国のような大きな力を持った国と交渉して、自分たちの権利を果たして守ってもらえるのかどうかという不安だろうと思います。我々は、交渉においてしっかりと守っていくことによって、そういう皆さんの不安を払拭していきたい、こう決意をいたしております。

大串(博)委員 今、交渉の中でかち取っていくんだということを答弁の前段でおっしゃいながら、微妙に後半で修正されて、前提条件として聖域なき関税撤廃でないということを確認しなければならなかったんだとおっしゃった。私は後段の方が正しい公約の解釈だと思います。

 では、前提条件として聖域なきではないんだということを総理は言っているけれども、それの名宛て人たる農業団体の皆さんは、理解できない、納得できないということになっている。そこが十分な結果責任を出せていないんじゃないかというのが私の主張なんです。

 なぜこういうことになっているかというと、やはり、十二月に選挙がありました。そこでどう戦っていったか。先ほども申しましたように、私たちはTPP、日中韓FTA、RCEPを同時並行的に推進するということを公約に書いた。ですから、TPP推進派だということで大変な風圧を受けて戦ってまいりました。

 去年の十一月十五日、これは解散の直前、前日であります。TPP交渉参加表明断固阻止に関する決議というものを、大集会が東京で行われました。この左側の決議文の一番下を見ていただきますと、下線を引いておりますが、「政府のTPP交渉参加そのものを断念させるまで、組織の総力をあげて徹底して運動していく覚悟である。」という決意がなされており、ここに、当時の自民党衆議院議員百十名強だったと思いますけれども、四十人の方々が参加され、参議院からも二十名の方々が御党から参加されています。今、安倍内閣の閣僚でいらっしゃる方が四名、副大臣八名、政務官、首相補佐官八名、こういった方々が、ここにあるように、交渉参加表明断固阻止に関する決議の会議に出ていらっしゃる、こういった事実。

 そして、御党の中に、TPP参加の即時撤回を求める会というものがあります。これはJAのホームページからいただきましたけれども、二月十九日、これは総理が訪米に行かれる直前であります。この段階のときにおいても、これだけの方が入っていらっしゃいます。現職自民党国会議員三百七十八人のうち二百三十六人、六割超の皆様がこのTPP参加の即時撤回を求める会に加盟されていて、さらに、現職の大臣の方五名、副大臣、官房副長官十七名、政務官、総理補佐官十七名、こういった方が名を連ねている。TPP参加の即時撤回を求める会です。

 さらには、福山参議院議員、参議院の方でも議論されました。最も影響を受ける北海道、今回当選された衆議院議員、自民党の方十四名の中で、聖域なき関税撤廃には反対だと丁寧におっしゃった方は一人しかいない。ほとんどが、反対だという言葉をもって選挙を戦われている。

 こういうふうに、全国的にTPPには反対なんだという選挙の戦いをされているからこそ、農業団体の皆さん、農業者の皆さんは、今の総理からの説明に関して、納得いかない、こういうふうな思いを持たれている、そういう結果責任じゃないかと思いますが、総理、どうでしょうか。

安倍内閣総理大臣 党としての公約は、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉参加には反対する、それが公約であります。さらには、交渉を通じてあとの五項目を実現していく。これが、総裁以下全員が国民の皆様と交わした約束であります。

 その上で、それぞれの選挙区において、みんな、議員は自分たちの考え方を持っていますよ。党の主張だけではなくて、自分たちはこういう考え方を持っていますよということを説明する。これは全国で、みんな、それぞれの候補者が、当然、有権者に対して、だから自分は立候補しているんだということでお願いをしているわけであります。当然、それは党に入れる一票ということと同時に、その人に入れているんですね。その人がどれぐらい農業に対して思い入れが強いかということであります。

 しかし、それは最後は政党で、私が総裁ですから、私が決める。その中において、決めていく上において、いろいろな議論をしますよ。いろいろな議論をする中において、はっきりと反対をされた方々ももちろん我が党の中にはいます。そういう真面目な、真摯な議論を繰り返しながら、しかし、政権与党としての責任感も持ちながら、最終的には自民党は一本にまとまって、私の判断を支持していただいたということだと思います。

大串(博)委員 先ほど申しましたように、自民党として立候補されて、候補として戦われた方、多くの方が、聖域なき関税撤廃であれば反対だに加えて、断固反対だというような印象を国民の皆さんに受け取られる。そう思っているからこそ、農業団体の皆様、あるいは農業者の皆様は今、納得できないという声をこれだけ上げておられるんじゃないか。

 こういう状況をつくり出していること自体、結果責任と何度もおっしゃいますが、公約違反という結果責任じゃないですか。

安倍内閣総理大臣 我々もこの間、農業団体の皆様と交渉を、また御説明を重ねてきております。先ほど質問に立たれた西川委員、小里委員を初め、農業の専門家の方々が一生懸命、今政府は何を考えているかということをもって説明をしてきているわけでございまして、そして、交渉を進めていく上において、最終的に御理解をいただきたい、このように思うわけであります。

 我々は、政権をとってまだ二カ月ちょっとしかたっていない中において、十分に農業団体の方々に、これから何をなすべきかということについて御説明が浸透していない、これは反省しなければいけないと思っておりますが、まだこれから、実際に交渉しながら、同時に対策を打っていくわけでありますから、その中においては、農業団体あるいは農家の方々とよく、じっくりお話をさせていただきながら、また、御要望もいただきながら対応していくことこそが我々の責任だろう、このように思っております。

大串(博)委員 今、農業団体の皆さんとも話をされているとおっしゃいましたけれども、団体の方々だけじゃないんです。総理を含めて、全国の皆さんにどういうふうな意図表明をされていたかということが問題なんです。

 これは日本農業新聞、全国の農業者の皆さんはよくこれを読まれています。右側のを見ていただきますと、九月七日、「反TPP絶対条件 衆院選で全国農政連」、農政連は「TPP交渉参加に反対することを候補者の推薦条件として明確に打ち出すことを明らかにした。」ということが公になっている。

 そして、左側を見ていただきますと、十一月十七日付の新聞です。これは解散翌日の新聞ですね。「反TPP候補支援 全中会長」、全中会長が「「TPP交渉参加反対を明確にした各候補者、政党を支援する」と言明。」これだけ明らかにされたことが、全国の農業者の皆さんの頭に焼きついているんです。

 こういったことが明らかになっている中で、十二月一日の農業新聞、「全国農政連が一次推薦決定」、ここに縦線をつけておりますように、「農政連はTPP交渉参加に反対することを候補者の推薦条件として明確に打ち出している。」その中で、下の欄を見ていただきますと、中国地区、山口県山口四区、安倍総理、推薦を受けていらっしゃいます。

 先ほど新聞でも見ていただきましたように、この組織は、TPPに反対することを推薦の条件とするということを全国的に明確にしている団体です。ここから推薦を得るという行為自体が、総理、全国に総理自身も誤ったメッセージを出した。これも、総理自身、政治家としての公約違反につながるものだと私は思いますけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 私は何回も、党の総裁として、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉参加には反対します、これ以上のものではありませんよということを申し上げてきた。同時に、私はテレビに出演して、これがそうではない、聖域なき関税撤廃が前提条件ではないということは、これは交渉するということですよということは申し上げているわけであります。

 それを前提に、農政連の方々が推薦をしていただいているわけでありますから、私は、要らないと言う立場ではないですよね。推薦しましょうということでありますから、当然それは、それを理解した上においての推薦ではないかということでありまして、私は農政連に対して反対しますよと言ったことは一回もありません。当たり前じゃありませんか。しかし、だけれども推薦しましょうということで推薦をしていただいたことは、本当に今でもありがたいな、このように思っておりますし、私は、さまざまな団体の推薦をいただいております。さまざまな団体の推薦をいただくときに、一々その団体と、こういうことをしますよという約束をしたことはございません。

大串(博)委員 政治家として選挙を戦うときに、あるいは、総裁として衆議院選全体を戦われるときもそうでしょう。マニフェストが重要なように、政治家として選挙を戦うときに、どういう団体の皆さんから、どういう支援者の皆さんから支援をいただくかというのは極めて大切なところであり、それは政治家本人がどういう政策を志向するかというのを如実にあらわすと思います。

 今回、農政連の皆さんは、反TPPであることを推薦の条件にするということをこれだけ報道にも明らかにされ、これは全国的に知られていました。この中で、あえて推薦をとられるということ自体が、もし本当に総理が、私は聖域なき関税撤廃というところから微動だにできない、そういう条件なんですよということであれば、反TPP交渉参加を明確にしている農政連からは、済みません、私は推薦はとれませんと言うべきだったんじゃないですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 いや、農政連の皆さんにとっては、それはもちろんTPPも大切でしょうけれども、いろいろなことがあるんですよ。その中で、私との信頼関係の中において推薦したいということだったんですよ。はっきり申し上げて、そうですよ。

 その中において、これは推薦していただくということであったから、では、ありがとうございますというふうになったのでありまして、当然、その中で、もし私の発言が気に食わないのであれば、そう言っていただいて、もしあなたの発言が変えてもらえなければ推薦しませんよということになれば、私はそれなら推薦はあきらめますよということになったわけでございますが、そういうこと一切なしに推薦ということになったわけでございます。

 今、もう既に終わった選挙において、皆さんは応援してもらえなかったかもしれませんが、それは、申しわけないんですが、そういう団体との長年の信頼の積み重ねというものを御存じないからですよ。こういうしゃくし定規なものではないんですよ、人間と人間の関係というものは。人間の信頼関係というのは一日にできるものではありませんし、理屈だけではないんです。

 その信頼関係の中で我々は蓄積をしながらさまざまな団体の要望にも応えてきているわけでございますから、当然、そのことを御理解いただきたい、こんなように思うわけでございますし、そもそも、このことによって農政連が私におかしいじゃないかと言ってきているわけでは全くありませんよ。そのことははっきりと申し上げておきたいと思います。

大串(博)委員 この質問をする前に、総理に私ははっきり申し上げました。これは団体の皆様との話だけではないんだということを申し上げました。

 先ほど申し上げましたように、大々的に全国の農業者の皆様に対して、TPP交渉参加に反対することが候補者の推薦条件として明確にされているということが流布されている中で、それに対して推薦願いをされている、あるいは推薦を受けられている。この農業者全体の皆さんと総理の公約あるいは政策に対する約束、これが守られてはいないのではないか。だから、いかに総理が聖域はあるというふうに苦しい説明をされても、農業者の皆様は納得いかないということを言われているのではないか、そういう信義の問題なんです。

 そこについて、全国の農業者の皆さんとの信義に関して、総理はどうお考えですか。

安倍内閣総理大臣 今、大串さんがこの表を出されて、恐らくそれで初めて知った方の方が多いんだと私は思いますよ。

 だって、私はテレビに出て、自由民主党は聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上TPP交渉には参加しない、これが全てですということは何回も党首討論で、テレビで話をしましたよ。同時に、これがそうではないということになれば交渉参加するということもはっきりと何回も申し上げておりますよ。その上において、私に票を入れていただいているんですよ。私は本当にありがたいことだと思いますし、その上において、皆さんの御心配に応えていきたいと思っております。

 全国の農業者の方々も、その発言を見て自由民主党に投票していただいているんだろうな、こんなことを思う次第でございまして、今、このことをもって何か重大な問題であるかのように時間を費やすのは、それはどうかなというふうに私は率直に思わざるを得ないというところであります。

大串(博)委員 この点、私は信義の問題として極めて大切だと思います。そして、結果責任と繰り返しおっしゃっている総理の結果責任という観点からして、全国の農業者の皆様からは結果として理解が得られていない、このことは重く受けとめていただかなければならない。今の発言からは、その重く受けとめる真摯な姿勢が見られないということを、あえて私は申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 さて、守るべき分野、これに加えて攻めるべき分野というのがあります。自動車、保険、特に自動車なんかは、TPPでとっていくべき問題です。

 私、TPPの担当政務官として一年やってきて、このTPPというのは極めて難しいものだなというふうに思います。

 なぜかというと、普通の自由貿易協定であれば、入り口から、何をどれだけ交渉するかというのを、お互い平等な立場から議論し合います。しかし、TPPは、一定程度、九カ国間で議論が進んでいる中に交渉に入れてもらう、この交渉に入れてもらうところから議論が始まります。ですから、交渉に入る段階で、では日本は何をするのということを言われる。そういう意味で、極めて他人の土俵という性格の強い交渉になるという点が非常に難しいものだなというふうに思いました。

 これは、去年の七月、カナダが交渉参加したときに、アメリカ政府が議会に通報した文書です。こういうふうに、カナダはTPPに交渉参加したいと言っています、カナダはきちんとした国ですから交渉参加を許しますということをアメリカ政府が言っている。これでアメリカ政府はカナダに対して交渉参加を許している、こういう状況になります。これがいつ起こるのかというのが今協議中だということでございました。

 そういう中で、おととい、交渉参加を表明されました。日本の、ある意味、他人の土俵性の強いこのTPP交渉の中で交渉するツールの一つ、これは何かというと、交渉参加すること自体をいつ発表するかということだったと私は思います。

 すなわち、入り口の入場料でアメリカを含む他国が余りにいろいろなことを言ってくるのであれば、その場合には私たちは交渉参加しないことも考えますよということを一つのカードとして持つことが極めて大事な、これがTPPの性質です。

 ところが、私はおとといの記者会見を聞いて、この自動車等々、アメリカが事前交渉事項として言ってきていることに関してこういうふうにまとまりましたというふうに安倍総理、少しおっしゃった上で、だから交渉参加しますというふうにおっしゃるのかと思いきや、自動車等々に関しては引き続き継続です。

 これは相手との関係ですから、また議論が続きます。譲らされるかもしれない、入場料を求められるかもしれない。しかし一方で、交渉参加しますというカードはもう切られてしまった。アメリカに優位な交渉の立場が行く。

 すなわち、日本はもう交渉参加するということを言ってしまった。アメリカは、日本は交渉参加したいんでしょう、それであればこれをのみなさい、あれをのみなさいということを今後の交渉の中で言える立場にある。

 こういうふうな片務的な立場に置いてしまったことを、総理はどう思いますか。

安倍内閣総理大臣 いや、そもそも民主党は、TPPについて交渉参加の方向で検討するといって二年たってしまったんですよ、ずっと残念ながら決断しないで。結果、もうほとんど時間がなくなっていたんですよ。事前交渉云々かんぬんと言っているけれども、もっと早く決断をしていれば、もしかしたらもっとルールづくりに参加できたかもしれないのに、時をまさに空費してしまった結果、ここまで来てしまったわけでございます。

 そういう中において、ことし、もう年内にもという中において、まだ残っている分野において交渉していく上においてはもうこれがラストチャンスである、こう考えたわけでございます。

 そこで、先般の日米の首脳会談において決まった文書をもとに我々検討したのでございますが、その中において、第二段落目において、いわば聖域なき関税撤廃ではないということを確認した。そして同時に、それまで交渉が続いてきたことを第三段落目に書いたということでございます。

 ですから、今、交渉参加するかどうか、いわば後から入ってくるからというのは、もう既にそういう状況の中にあって私たちは政権についたということであります。その二年間、むしろ私たちは、そこまでおっしゃるんだったら、ではあなたたちは何をやっていたんですかということを言いたいわけでございます。

 そういう中において、我々は、今こう判断することが最善であろう、こう判断をした次第でございます。

大串(博)委員 二年間のことをおっしゃいましたけれども、交渉参加するというカードを失ってしまって、あとは自動車等々で譲りますという立場で交渉に入っていいのであれば、私たちだって参加することはできたと私は思います。しかし、それをすると交渉のカードを失ってしまう、だから、アメリカに対して、それはのめない、自動車でこれだけ譲ることはできないということを言い続けてきた二年半だったわけであります。

 ところが、今、どれだけこれから自動車等々で譲らされるか、これからの協議になっているにもかかわらず、交渉参加するというカードだけ切られたことが、極めて厳しい交渉の状況に日本は置かれてしまっているのではないかということを私は申し上げているんです。

 これまでの二年間、本当に、あるがゆえに急ぐべきだと言うのであれば、今回、交渉参加はまだ表明しないで、むしろ、交渉参加したいがゆえに早く自動車問題を片づけてくれとアメリカに言うのが正しい交渉だと思いますが、どうですか。

安倍内閣総理大臣 その間にも、どんどん既に参加を表明した国々においてルールがつくられ、そして話し合いは進んでいくんです。それを覆すのが難しい状況になっていくんですよ。

 カードを持ち続けたら終わりですよ。では、一年間ずっと持っているんですか。全て、関税も含めて、これは時間切れになっちゃうんですよ、タイムアウトになってしまう。それは避けなければいけないという判断を私たちはしたわけであります。

 つまり、交渉参加してあげましょうということは、これは残念ながら交渉力にはもうならないんですよ、残念ながら。ですから、交渉参加しますよということは、実は決してカードにはなっていないんだということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。

 その中において、もう時間のない中において、もうこの三月しかないですから、この三月の中において、いかにしっかりとまずは与党においてまとまることができるかどうかということが極めて重要な点なんです。そこで、自民党にもさまざまな課題があったし、反対する方々もおられたけれども、本当にみんな夜遅くまで議論をして、最終的にはまとまった。それを受けて、交渉参加という判断をさせていただいたところでございます。

大串(博)委員 これで終わりますが、交渉参加ということがカードにならないという認識で交渉に臨んでいらっしゃるとすると、極めて敗北主義的な交渉にならざるを得ないということを申し上げさせていただいて、質問を終わらせていただきます。

山本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、奥野総一郎君から関連質疑の申し出があります。松本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 まずは、総理の御英断に敬意を表させていただきます。TPP交渉参加、反対論がある中、よくぞ決断されたという思いであります。

 私も、交渉参加自体は賛成であります。しかし、守るべきものは守っていただかねばならない。総理も会見でおっしゃっておられました、守るべきものは守る、攻めるべきものは攻める。守るべきものといえば、まず農産物、そして国民皆保険制度でありましょう。また、攻めるところは、私は、自動車工業製品の関税即時撤廃をかち取っていただきたいというふうに思います。

 今、国民が一番不満、不安に思っているのは、私は、過去の日米交渉は日本がずっとアメリカに譲歩し続けてきた、そういう印象を国民が持っているからだと思います。

 私も、昔、郵政省に入ったときに、ちょうど日米電気通信交渉というのをやっておりました。一応、妥結はしましたけれども、ある通信会社、無線機会社の意向が通って、一方的に押し込まれたという印象を私は今も持っております。こうしたことを繰り返してはならない。

 ぜひとも、守るべきところは守る、攻めるべきところは攻める、そのスタンスを最後まで貫いていただきたい、それをまずお願いさせていただきます。

 そして、質問に入らせていただきますけれども、午前中、当方の松本委員から、あるいは大串委員からもありました、日米共同声明、この第三パラグラフであります。

 二国間協議、事前協議について、これらの協議、日米協議は進展を見せているが、文面を読み上げますけれども、自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処することも含めて、なされるべきさらなる作業が残されている、こういうふうに第三パラグラフには書かれています。

 これを素直に読みますと、交渉参加までに、これらの懸案事項について、未解決の事項についてきちんと結論を出すんだ、作業し終えるんだというふうにも読めます。事前協議でアメリカの求めに応じてきちんと交渉を終えろ、そうしないと交渉に入れてやらないぞというふうにも読めます。

 この点について総理に伺いたいのでありますけれども、事前交渉で、保険や自動車、譲歩することは一切ないということでよろしいでしょうか。総理。

茂木国務大臣 日米共同声明におきましては、委員おっしゃるように、自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処し、その他の非関税措置に対処し、及びTPPの高い水準を満たすことについて作業を完成することも含め、なされるべきさらなる作業が残されていると。完了する部分もあると思いますし、完了しない部分も出てくる、このように考えております。

奥野(総)委員 完了する部分があるということでありますね。逆に言えば、そこで何らかの取り決めが行われることもあるということでしょうか。総理、いかがですか。

鈴木副大臣 今、委員御指摘の日米共同声明の第三段落目のことでございますけれども、これは、あくまで、米側が関心を表明したこと、それについて引き続き日米協議を継続していくということを日米間で確認したということに尽きるわけでございます。

 米側の具体的関心について、これまで日米間のやりとりを通じて伝えられておりますが、どこまで進んでいるとか、その内容につきましては、協議中の事項であって、具体的に述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

奥野(総)委員 これまでの交渉の経緯ということでありますけれども、パネルをちょっと用意してありますが、これは、ことしの二月に内閣官房が出した、TPP交渉参加に向けた米国との協議という資料をもとに、ほぼそれをそのまま、ここに私が作成して持ち込んでおります。

 この二月の時点、日米共同声明前の時点では、三つの事項になっています。牛肉があるんですね。自動車、保険、そして牛肉というものがここに載っていました。

 今回、共同声明では牛肉は落ちていますが、パネルを見るとわかるのでありますけれども、日本は、BSE対策として、月齢二十カ月以下のものに米国産牛肉の輸入を制限しておりました。これを、アメリカの意向を踏まえて、この二月から三十カ月月齢に引き上げたということであります。この結果、恐らくは、こうした関心事項はこのペーパーには入っていないんだというふうに私は理解をいたします。

 そして、自動車については、引き続き政府間で議論中と書いておりますけれども、新聞記事がさまざま出ております。直近のものでいえば、三月十五日の東京新聞、アメリカの関税維持要求をのんだんだというふうな記事が出ています。

 アメリカは、自動車関税二・五%、トラック関税二五%の関税がかかっています。これについて、即時撤廃ではなくて、乗用車については五年超、そしてトラックについては十年超かけて撤廃するんだということで大筋合意したと書かれています。ちなみに、この五年、十年というのは、米韓FTAで韓国がのんでいるのが、五年間の据え置き、十年間の据え置き。日本はそれよりもさらに長い間、関税撤廃を先送りする、据え置くんだ、こういう記事であります。

 同様の記事は日経新聞等々にも盛んに出ているところでありますが、火のないところに煙は立たずという言葉もございます。この記事の真偽について伺いたいと思います。

茂木国務大臣 アメリカが、自動車につきまして、乗用車二・五%の関税、そして、トラックにつきまして関税二五%。これは事実です、現状におきまして。

 そして、私もさまざまな新聞報道に接しております。そして、今、日米間での協議につきましては、まさに協議中、こういった状況が現実であります。

奥野(総)委員 協議中だから言えないということでありますけれども、これが事実だとすれば、TPPに入る意義、かなり私はそがれると思うんですね。自動車関税は、アメリカだけではありません、ほかの十カ国も当然関税がかかっています。高いところは四〇%、八〇%という国もあるやに聞いています。これは、もしアメリカに譲って、ほかの国が全部、うちも関税撤廃をしないんだと言われたら、日本のこうむる損害は非常に大きなものになると思うんですね。

 先日の試算で、実質GDP、十年後には三・二兆円ふえるんだという試算がございました。これは即時撤廃を前提にしていることは私も理解をしておりますけれども、撤廃しない場合、自動車関税を据え置いた場合に、この三・二兆円というのは一体幾らに下がるんでしょうか。

茂木国務大臣 先日の日米共同声明は、安倍総理、オバマ大統領との間で、一定の農産品についてセンシティビティーがあると初めて認めさせた、これは今後の交渉において非常に大きな意義を持ってくる、このように考えております。そうなりますと、その一方で、当然、米国にも、以前からの主張、工業製品等々につきまして一定のセンシティビティーを我々も認めざるを得ない、まさにこれが交渉というものだと私は思っております。

 そして、アメリカとの協議の中で、日本としては、工業製品の関税は撤廃するのが原則である、このような主張を貫いております。そしてまた、日本はまだ協議に入っていないわけであります。ですから、今回の政府の統一試算、これは極めて、甘利大臣の方からも何度も御説明があったかと思いますが、単純化された仮定のもの、関税を全て即時撤廃した場合を想定して、追加的な国内対策を計算に入れない等々の前提を置いて試算をしたものであります。

 ただし、関税を全て即時撤廃した場合と想定はしているんですけれども、日本経済全体で毎年三・二兆円のプラス効果というのは、GTAPモデルで、経済構造調整を終えて中長期均衡に達した時点ということでありまして、その後のGDPの姿、来年から三・二兆ということでは試算をいたしておりません。

奥野(総)委員 私の質問は、では、関税を維持した場合にどれだけ影響を受けるのかということをしておりますけれども、これは、私、持ち時間が少ないので、恐らく、ないという答えになるんだと思いますが、しかし、絶対これは試算して影響を考えておくべきだと思います。

 総理に伺いたいんですけれども、自動車関税撤廃について、事前協議で逃げることはない、この記事のように折れることはないんだということをまず確認したいんですが、総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 これは交渉でございますから、あの第三段落に書いたのは、今までも継続をしてきた、そのことをもう一度確認的に文書にしたわけでございまして、現在は日米で交渉中でございますから、今、その中身についてつまびらかにはできないわけでありますが、我々としては、全体のTPPの姿を考えながら最善の道を選んでいきたい、このように思っております。

奥野(総)委員 先ほど茂木大臣の方から、とり方によりますけれども、米も譲ったんだから工業製品でも譲るべき部分があるであろうというニュアンスの話もございましたけれども、一番の得意分野はやはり自動車です。これは、私は、国益のために断じて譲っちゃいけないと思います。そこをはっきりまず指摘させていただきます。

 そして、二点目、時間もあれですので、保険の方に移らせていただきたいと思います。

 保険は、これを見ると、郵政ということで、わざわざ(郵政)と書いてありますが、ここに言っている保険というのは、いわゆる公的医療保険、国民皆保険制度について言及しているものではないということをまず確認させていただきたいと思います。

甘利国務大臣 私どもは、国民皆保険制度について、それを揺るがすことは断じて行いません。

奥野(総)委員 午前中もちょっと議論のすれ違いがあったんですが、これについてはアメリカは何も言ってきていないという理解でよろしいんですね。

甘利国務大臣 たしか、ルース大使も、総理の交渉参加声明の後、歓迎するというコメントを出されていますが、その中で、皆保険が云々というような、それは杞憂であるというコメントを出されているはずです。

奥野(総)委員 まず、そこを確認させていただきました。国民皆保険制度には触れない、触れさせないということをはっきり言っていただきました。

 その上で、郵政の話でありますけれども、パネルをごらんいただくと、何が書いてあるかというと、要するに、日本政府はかんぽ生命に新サービスを提供させるべきでないということを米国政府が主張していると。これを受けて、参考に書いてありますけれども、日本郵政はがん保険への参入を当面は凍結する考えを示した、こういうふうな資料のつくりになっております。

 実は、この主張、なぜこんな細かいことをこの二国間で言ってくるのかということでありますが、背景があります。アメリカのある企業、がん保険を日本で売っている有名な、アヒルのコマーシャルの企業でありますけれども、この企業が背景にいるということであります。

 パネルは用意しておりませんけれども、皆さんのお手元に英文の資料をお配りいたしております。これは、米国生命保険協会がアメリカ政府に出したコメント、昨年、日米の事前協議を始めるに際して出したコメントでございます。

 英文をそのまま皆さんにお配りしています。訳を読み上げたいと思いますけれども、米国政府は、日本のTPP交渉参加に関する事前の二国間交渉の間、かんぽ生命保険と民間の保険事業者との間の対等な競争条件が確保されない限り、かんぽ生命保険に新商品及び改定商品の販売を認めないとの政府間合意を目指すべきである、こう書かれています。

 まさに、この企業の主張がそのままアメリカ政府の主張としてのっかってきているということだと思いますけれども、ここに書かれていない、パネルにない部分として、二国間交渉の間に政府間合意を目指せ、こういうことが書かれているわけであります。

 先ほど来、私がずっと懸念をしている、交渉に入りたいのなら言うことを聞きなさい、交渉に入るために事前協議できちんと懸案事項を解決してくださいねとアメリカ政府が言っているんじゃないか、その懸念事項そのままのことをこの文書は言っているわけであります。

 そこで、麻生大臣に伺いたいんですが、今、かんぽ生命は、学資保険の改定について認可申請を出しています。コンプライアンスの問題等諸条件があって、今、条件つきで認可がとまっているというふうに理解していますが、諸条件がクリアされれば、近い将来これはされると私も聞いていますが、諸条件がクリアされれば、学資保険の改定についてきちんと認可が行われ、サービスインされるという理解でよろしいんでしょうか。

麻生国務大臣 これは、郵政省というか総務省におられたのでもうよく御存じなんだと思いますが、かんぽ生命の学資保険については、昨年の十一月、民主党政権のころ、十一月の三十日に、これは二つ法律がかかっていますから、郵政民営化法上の条件認可を行うということになった。条件認可ですよ。その上で、保険業法の適用ということについては見送られた、御存じのとおりです。これは、保険業法は金融庁の所管、そして郵政民営化法の方は金融庁と総務省の所管ということになります。

 御指摘のとおり、かんぽ生命は、今言われたように、支払い管理体制の充実強化をちゃんとしていただきますよ、支払いが随分滞ったりなんかしていましたでしょうと。また、運用体制、リスク管理体制の充実、加えて、新たな保険に係るシステムの改修などなど、認可に付された条件が八つあったと思いますが、八条件全てについてきちんとしていただかなければ新しい学資保険の引き受けを行うことはできない。

 これはアメリカには全然関係ない話ですから、混線しないでくださいよ。混線させようと思っておられるのかどうか知らぬけれども。これは全然関係なく、金融庁としてこういう諸条件を満たしていない今の段階で認可することはできないということで、しっかりこれをしていただければその時点で考えますということを申し上げております。

奥野(総)委員 ちゃんと条件が整えばしっかり認可していただけるということで、御回答いただいたということだと思います。

 そして、この保険、さっきアヒルの会社と言いましたけれども、主として関心があるのは、このパネルにも出ていますけれども、がん保険の提供にやはり関心があるんじゃないかということであります。その会社は、アメリカで二割、日本で利益の八割を上げているんですね。日本で医療保険やがん保険を日本郵政あるいはほかの会社が提供してパイを食われると、企業が損をする、そういう関心で恐らく物を言っているんですね。

 僕は、アメリカというのは本当にすごい国だと思うんです。一企業の利益を政府が代弁して交渉で押し込んでくる。本当に、我が国も負けないようにぜひしていただきたいですね。こんな理不尽な要求、日本の国内政策の話に口を差し挟んでくる。一企業、一私企業の利益を守るために口を差し挟んでくる。これは断じて認めちゃいけない。ですから、この話を今させていただいているわけでございます。

 この問題は、日本郵政の話にとどまらず、実は復興にも関連をしてまいります。

 総理は、復興予算、十九兆から二十五兆にふやされました。集中復興期間の五年間で、六兆円、復興予算をふやした。それ自体、私は大事なことだ、大切なことだと思いますけれども、この六兆円ふやした中の四兆円、三分の二を日本郵政の株式売却益で賄う、財源にするというふうに言っておられるんですね。

 では本当に四兆円で売れるんですかと、以前、麻生大臣に私は質問をしましたけれども、もう一度伺いたいんです。この四兆円の根拠を伺いたい。

麻生国務大臣 日本郵政株式会社の平成二十三年度末における簿価は、十・九兆円です。その三分の二、簿価でいいますと七・三兆円になりますが、これが郵政民営化法により売却対象となっておりますのは御存じのとおりです。将来における実際の売却額がどうなるかというのは、これはもうわからぬ話です。きょうみたいに株がどんと二百円も下がったりしていますから。

 今後の日本郵政の経営状況やら市況などに大きく左右されるとは思いますが、復興財源確保法という法律によって、平成三十四年度末までの売却収入が復興財源とされておりますことが一つ。

 二つ目、市場において行われた他の企業の株式売却、JTとかいろいろありましたけれども、そういった他の企業の株式売り出しの事例や、過去の政府保有株式の売却事例というのを参考にさせていただく。もうこれしかほかに方法がありませんから。そうすると、一回当たりの売却額が大体一・三兆円、最高で一・二三なんですけれども、大体一・三兆円程度と考えられることが一点。

 それから、平成三十四年までの間、期間が限られておりますので、その間に株式市場で売却できるのは、この種の額をやりますと大体三年間は新しく売り出すというのはほぼありませんので、したがって、三回売り出すということを考えますと、あくまで機械的に試算をした結果ですけれども、一・三兆円掛ける三回で約四兆円ということになるだろうと考えて、これは機械的に試算をした上で見込んでおります。

奥野(総)委員 今のお話だと、過去の最も高く売れた事例を参考にということだと思うんですね。

 この間のJTでも、大体一兆円いかないですね。JTは国際的な超優良企業であります。一方で、日本郵政、残念ながら郵便は赤字ですね。そして、かんぽ、これは新しいサービスが認められないと、今はどんどん契約数が減っているんですね。新規契約がなくなっているんですね。これは、ほっておくといずれ赤字になりかねない。新規サービスをもし一切認めないと赤字になるかもしれない、そんな企業の持ち株会社の株を、そんなに高く本当に売れるんですかということだと思うんですよ。

 やはり株主として、国の責任はあると思います。ちゃんと、外国の言いなりじゃなくて、きちんと高く売れるように企業価値を高めるようにするのも、私は政府の役割だと思います。

 総理にもう一度伺いたいんですが、事前交渉の場で、保険も自動車も折れずにきちんと交渉していただく、自動車の関税即時撤廃をとりに行く、そして保険も、日本国内の条件を満たせばきちんと新サービスを認可するんだということを、改めてここで確認していただきたいと思います。

 先ほど大臣の方から、状況によっては認めるものもある、事前協議の中で認めるものもあるんだと、ちょっと不安な発言がございました。総理にもう一度、そこの決意をしっかり御確認いただきたいと思います。

甘利国務大臣 委員御承知のとおり、今いろいろ話題になっています案件についてはアメリカ側の関心事項でありまして、これは、TPP云々の以前から、いわば二国間の話し合いの場でいろいろ案件として出てきていることであります。それが、TPP交渉と一緒に今動いているという感はあろうかと思います。

 でありますが、これは、日本とアメリカの間で、その解決に向けて、いまだ解決していないということはお互いの主張が違うということでありますから、その間合いをしっかり詰めていく作業をこれからしっかりしていくということであります。

奥野(総)委員 総理、もう一度、今の私の質問、守るべきものは守るということをはっきりさせていただきたい。

安倍内閣総理大臣 先ほどもお答えをさせていただきましたが、自動車あるいは保険については、今までもずっと交渉が続いてきたところでございますが、今回、日米首脳会談を行って、共同声明を出すという中において、このこともしっかりと確認をして書きとめておく、こういうことになったわけでありました。

 現在も交渉は続行中でございます。我々も、国益を確保するために全力を尽くしていきたい、このように考えておりますし、TPP全体を考えれば、日本の国益に資するという百年の計で判断をしたところでございますが、それぞれの分野においてもしっかりと交渉していきたいと思います。

奥野(総)委員 私の印象としては、これらの分野については、牛肉も含め一方的に譲っている感じがいたします。

 そこで、では何がとれたのか。

 時間もなくなってまいりましたけれども、ここに、TPP対策に関する決議、自民党の決議、総理もお持ちだと思いますが、手元にございます。その中で、農林水産分野重要五品目、米、麦、牛肉、乳製品、砂糖等、これらについては、あるいはこうした死活的利益をきちんと確保していくんだ、これが確保できないと判断した場合は脱退も辞さない、こういう厳しい決議をされております。

 以上、最後、この関税撤廃は認めないという決意を総理にいただきたいと思います。

山本委員長 総理、簡単に。

安倍内閣総理大臣 いずれにせよ、国益を守るために全力を尽くしてまいります。

奥野(総)委員 どうもありがとうございました。

山本委員長 これにて松本君、篠原君、大串君、奥野君の質疑は終了いたしました。

 次に、阪口直人君。

阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 私たち日本維新の会は、自立する個人、自立する地域、そして自立する国家の実現を唱えております。TPPへの交渉参加によって、これらの我々の理念を確かなものにする、その上で、総理のこの交渉参加に向けての戦略と覚悟、そして責任のとり方について、きょうは質問をさせていただきたいと思います。

 私が聞きたい大きなテーマは、二つございます。

 一つは、先ほど自立と申し上げましたが、アメリカからの自立をいかに実現するか。TPPという多国間の交渉の中で、アメリカに対していかに主張して、そして日本の国益をかち取っていくか、これがまず一つです。そして同時に、TPPへの参加によって、日本だから国際社会に貢献できる、その価値をいかに最大化するか、いかに国際社会の信頼を得るための戦略をここに反映させていくか。

 この二点について、本質的な部分をお聞きしたいと思いますので、できる限り総理にお答えをいただきたいと思います。

 さて、まず、このTPP交渉への参加を決断されたこと、この点については心から敬意を表します。自民党内部にも大変に大きな激烈な反対があり、非常に厳しい道のりであったと思います。

 しかし、ここからの交渉はさらに厳しいものになると思います。

 きょうも何度も議論はあったと思いますが、私は、このTPP交渉に参加するという中で、公正な競争条件の放棄、これがあってはいけないと思います。ただ、実際にこのプロセスで、既にアメリカに対する大きな譲歩をする要因をつくっているように私には思えてなりません。

 聖域なき関税撤廃を前提とする限りは反対、この言葉を聞いて、多くの方々は、自民党はTPP交渉参加に反対するんだなと思ったと思います。しかし、何のための事前協議なのか。これはどんな聖域をつくるか議論するためなんですから、最初からあった聖域を交渉してかち取ったように見せるこの手法、これは政治手法としてはすぐれているかもしれませんが、納得できない、こう思っている方も多いんじゃないでしょうか。

 オバマ大統領は、アメリカにおいて雇用をふやすことが大統領選挙の公約でした。ですから、とにかく日本には参加をしてほしかった。もともと交渉カードはこちらにあったわけですから、逆に、聖域を獲得することの難しさを演出したことで、足元を見られてしまった。国内では聖域を守ったように説明できても、アメリカに対しては、日本にとって最強の輸出品目である自動車において、公正な競争条件の確保を放棄するという、とんでもない譲歩からスタートしなければいけない、このようになっているように私には思えます。

 今、WBCが開催されていますが、なぜ予選の段階で四番バッターを引っ込めるような戦いをするのか。自動車の関税の撤廃、そして日本の安全基準を守る、これは絶対に譲ってはいけないと思います。ここに戦略があるなら、総理、ぜひ御説明をいただきたいと思います。

甘利国務大臣 必要に応じて総理からも御答弁があるかと思いますが、担当大臣として、先に答弁をさせていただきます。

 日米首脳会談で、文書として幾つかの項目が確認をされました。これは実はそう簡単ではなかったやりとりであります。総理は相当な決意を持って、相当タフなネゴシエーションをして、そして、あの文章をつくり上げることができたんだと思います。ということは、向こうにとってみれば、ああいう文書は、なくて済めばない方がいいと思ったはずです。だからこそ、そう簡単に事がなせなかったわけであります。

 そこで、具体的に、日米のトップがトップの責任として文書で確認したというのは、いや、我々はわかっていたとか、我々もそうだったとか、どう言おうと、文書で両国首脳が確認できたということの大きさを超えることはできないんだと思うんですね。そういうことが一つあります。

 それから、我々は白地で交渉を担当したわけではありません。

 政権を担当して二カ月強で、安倍総理は決断をしたわけであります。それは、もうタイムリミットが迫っている、つまり、日本の国益をしっかり守りながら、世界益といいますか、関係者のみんながウイン・ウインの関係になっていくということで、我々が主張できる時間、残されている時間がもうかなり少なくなっているということで決断をされました。

 ということは、今までの経緯が白紙で我々は担当したわけじゃなくて、今まで過去二年間、前政権で交渉に前向きに取り組んでいくんだということを宣言されて、それ以降、いろいろな水面下の交渉はあってきたはずなんであります。それを受けて、今度は我々がそこからスタートしなきゃならないということでありますから、今までの経緯は全部なしねというわけにもなかなかいかぬのだろうと思います。

 そういうもろもろのことを含めて、そこからいかに国益を最大限にしていくかという交渉が始まるわけでありますから、その辺の事情は御理解をいただきたいと思います。

阪口委員 確かに、交渉の内部でいろいろな葛藤があるんだと思います。

 アメリカとは、二国間協議においては腕力で負けるかもしれない。しかし、だからこそ多国間の交渉をする、多くの国々と協力をして、これまでの二国間交渉ではかち取ることができなかったものをかち取っていくのが、私はTPPに参加する意義だと思います。

 米国は、日本が輸出する際の、乗用車二・五%、またトラック二五%の関税撤廃の猶予を求めている。しかし一方で、日本は、アメリカそして海外からの輸入に関税をかけていない。これはまさに不平等だと思います。このあたりを何としてもなくしていくことがTPPに参加する意義であるとすれば、最初の段階でここを譲歩する、ここは何としても頑張ってほしいと私も思いますし、多くの日本国民も思っているのではないでしょうか。

 これでは強い日本とは言えないんじゃないか、こういった懸念を持つわけですが、総理、どのようなお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 交渉ですから、こちらがとりたいものが全部とれて、守りたいものが全部守れれば、それはそれにこしたことがないわけでありますが、それぞれの国が自分の国の国益を最大化しようとしてぶつかり合っているのが経済交渉でございます。

 その中で、ただいま甘利大臣から御説明をさせていただきましたように、既に二年という月日が経過している中において、日本側に残されている時間はもうないというところでの決断はしなければいけない。ここで決断をしなければ、基本的には、ある意味においてはもっと不利になっていくわけでございまして、さまざまなルール、話し合いがどんどん進んでいってしまいますから、後から入っていって、そこはもう変えられないという中にあって、むしろ入っていくハードルは上がるわけでございます。

 そこで、この中において、もう三月しかないということで、二月の首脳会談において何とか我々は、農業のセンシティビティーということについて、首脳間における文書において、我々が聖域と考えている分野において認めさせることができたと思います。

 もちろん、委員がおっしゃるように、工業製品、特に自動車は、日本はその生産力、生産性が高いわけであります。いわば、いかにこの強い自動車において我々が獲得できるかということもまさに大きなポイントでございますが、それは、ずっと今まで交渉している中において、我々が受け継いで交渉していくわけでございますが、そこにおいては、まずは、こういう問題について交渉していきますよということについて確認するということを文書に書き取ったわけでございまして、現在も交渉は継続中でございますが、TPP全体としてとにかく最善の道を求めていきたい、このように思っております。

阪口委員 これからTPPの参加交渉に臨むということで、既にある種のハンディがあるという厳しい状況であること、それは理解をいたしました。

 既に決まった約束事を覆すのは難しい。これは、二〇一一年におくれて参加を表明したカナダ、メキシコなども、交渉を打ち切る権利は九カ国のみにある、既に現在の参加国で合意した条文は原則として受け入れ、再交渉は要求できないなどの厳しい参加条件を言い渡されております。

 この点については、総理がオバマ大統領と日米首脳会談をされたときには、必ずしも明快にアナウンスされていなかった、三月の七日から十日前後に徐々に明らかになってきたという認識を私は持っているんですが、私が懸念するのは、こういったハンディがある中で、どのように聖域を守っていくのか。交渉力で守るとおっしゃっていますが、何を根拠に交渉力と言っておられるのか。この点について、ぜひ考えをお聞かせいただきたいと思います。

甘利国務大臣 メキシコ、カナダに対してどういう文書か念書か知りませんけれども、出されたかというのは、関係国は一切明らかにしておりません。ただ、現時点で日本にその種のものが来ているかといえば、これはありません。

 そして、交渉でありますから、もちろん、やってみなければわからないという点は当然あります。ありますけれども、マルチのいいところは、私もWTOの会議に大臣としていろいろな場面に参加をしました。少数国会合で、十日間、会議室に缶詰で大臣だけでやったという経験もあります。そういう経験から申し上げますと、マルチのよさというのは、全部が利害関係一致していないのであります。この部分はここと共闘できるし、こっちの部分はあっちとだということもありますから、そこのマルチの場で、バイの場とは違った交渉術というのが展開できるんだと思います。

 恐らく、既に参加している国々の中には、日本にぜひ入ってもらいたいと。それは、世界経済で三番目の規模の日本が入ってきて、自分たちと共闘できるところは共闘できるんじゃないか、そういう期待感があるからだと思います。

 あらゆるマルチの場面での交渉術を駆使して、国益の最大化を図っていきたいというふうに思っております。

阪口委員 交渉における力の源泉になり得る大きな要素は、私はインテリジェンスだと思います。先方がどのようなチームで交渉に臨んでくるのか、また、彼らがどういった力を持っているのか、過去に交渉の中で何を要求し、どのような戦術で要求を実現してきたのかというようなことをあらかじめ我々がしっかりと把握をして臨んでいく、これは絶対に必要だと思います。

 安倍総理も、日本のインテリジェンス機能をもっと高めなくてはいけないという意識は共有していらっしゃると思いますが、この重要な交渉、本当に日本の将来を決めるであろうTPP交渉に臨むに当たっての、こちら側のインテリジェンス体制、これはどうなっているのか。そして、実際に先方に対する情報をどの程度収集して、そして分析できているのか。この点、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

甘利国務大臣 TPP交渉は、その他の交渉、例えばWTO交渉と比べて、守秘義務というか、これがかなりきつくかかっております。ということは、外側にいるとほとんど情報がとれない。参加表明をし、そして交渉参加が認められるに従って、アクセスの密度が濃くなるということであります。でありますから、我々は、交渉の参加表明から参加への了解に向かっていく段階で、少しずつ情報の扉が開かれていくと思います。

 関係各国と、もちろん、日本にシンパシーを感じている国はたくさんあるわけでありますから、もう声明をしたわけでありますから、態度が明らかでないときよりは少し前へ進んできたと思います。その交渉に参加する進展度合いの深化に従って、濃度の濃い情報が集められると思います。その体制をしっかり組んでやっていきたいと思います。

 主要閣僚会議は、総理が直ちに設置をされました。間もなく事務方の強力なチームも編成したいと思っております。強力な布陣をしいて、しっかりとした情報がとれるように、そしてその分析に従って国益を最大化できるように全力で取り組んでいきたいと思っております。

阪口委員 今、答弁を聞いていて、正直ちょっと私、不安を感じるんです。これから情報がとれるであろうというような期待も込めたお答えだったように私には思えたんですが、しかし、現時点で、TPP交渉に参加するのであれば、相当したたかに、もう情報の収集と分析ができていなければいけないんじゃないかと思います。

 また、実際に交渉に当たるのは政府の方々が中心だと思いますが、ありとあらゆるネットワークを通して、これまで発表された情報のみならず、先方がどのような戦略で来るかということをしっかりと収集して分析するオール・ジャパンのチームをつくっていく、これが必要だと思うんですが、総理、この点についてはどうお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 経済交渉においても、情報収集力は極めて重要であります。米国も、多くの国々も情報機関がございますが、そうした情報機関も時には活用して、経済交渉にその情報を分析し使うことがございます。

 日本には、米国のCIAとか英国のMI6のような、ああいうさまざまなオペレーションをやるような情報機関はございません。しかし、そんな中においても、日本のできる最大限の情報収集はしているわけでございますが、今、阪口委員のおっしゃった問題意識を持ちながら、これはもちろん、政府だけではなくて、議員が海外に行って、そして多くの国々の議員と接触する中においてとってくる情報という中にも有効な情報もあるわけでありますし、事実、WTO交渉においては、自民党の農林水産関係の議員が海外に出ていって、相当情報をとってきたこともございます。

 そういういわば総合力を今度のTPP交渉には活用しなければならないだろう、このように思うわけでございますので、これは党派を超えてぜひ御協力をいただきたいと思います。

阪口委員 まさに、この点については、党派を超えてオール・ジャパンで対応していかなければいけないと、私も問題意識を共有しております。

 さて、具体的な交渉分野についてさらにお聞きしたいんです。

 知的財産分野においては、医療品や治療方法などの特許権を強化して輸入拡大を図っていく、これは米国の大きな戦略でございます。米国は、日本に対して、出願から二十年と定められた特許の保護期間を、販売から二十年に変えていく、このような戦略で来ている、このように聞いております。

 出願してから販売するまで大体十年前後かかるということですから、特許期間が終わった後に有効成分でつくる日本のジェネリック医薬品の使用については、これは医療費を抑える切り札でありながら、この期間が延びることによって、医療費を抑えるという戦略が機能しなくなる可能性がございます。

 国民皆保険制度、これは必ず守ると先ほどから総理は強調していらっしゃいますが、このような別の分野でしっかりと我々の要求が認められなければ、結局、国民皆保険が崩れてしまうような状況が生まれてしまうかもしれない。

 私は、この特許に関して、国民皆保険を守る観点でも相当な戦略を持って臨まなければいけないと思っていますが、この点についてのお考え、総理、お願いします。

甘利国務大臣 知財につきましては、日本側も非常に関心の高いところでございます。

 実は、小泉内閣のときに、知財戦略本部というのができました。それは、私が、党の知財戦略が必要だということで調査会を立ち上げまして、申し入れをしまして、それ以来、政府に、官邸に戦略本部ができて、知財戦略というのが進んできたという経緯があります。そういう点で、非常に我が国としても関心の高いところでございます。

 模倣品や海賊版をこの世界から駆逐するというのが戦略上の目標でもありますし、それから、特許を初めとする知財のしっかりとした管理、国際標準についても、日本が知財先進国としてしっかりリードしていかなければならないというふうに思っております。

 一国の一方的な主張が通らないというのがマルチの場でありますから、正論をきちっと論陣を張って、仲間をふやし、しっかりとした知財管理ができるようにしていきたいというふうに思っております。

阪口委員 ありがとうございます。

 最初に、日本が提供できる価値について、これをTPPを通して実現していくという私のテーマについてお話をしましたが、この点についても議論をしたいと思います。

 今後、アジアのインフラ需要は、十年間で六百兆円を超えるとも言われております。その上で、大きなライバル、これは中国ですね。港湾施設をつくる、あるいは高速鉄道、道路、上下水道などインフラ整備をしていく上で、中国は、恐らく非常に安いコストで、スピード感を持って、さまざまな国に提供できる体制を整えている。

 一方で、では、日本は何をもって中国と対峙していくかというと、これは、その国の国民にとって本当の幸せにつながるような、希望の制度をパッケージで提供していくことではないかと思います。

 具体的には、人材の教育ですとか、あるいは法整備支援、また環境技術をパッケージで提供していく。そういった取り組みを通して民主化に貢献をしていく。このことが、結局は、日本が、そういったインフラの輸出に関して、中国その他の国に勝っていく土台をつくることにつながっていくと思います。

 私は、TPPによってこれらを加速して、同時に、日本だから提供できる価値をしっかりと提供していく、そういった戦略をぜひパッケージで展開していただきたいと思うんですが、この点について、総理、お考えを伺いたいと思います。

甘利国務大臣 中国のインフラとTPPの関係。これからTPPが、中国も含んで、いわゆるアジア太平洋地域の経済連携にどうつながっていくか。

 これは、TPPは最終着地点ではなくて、最終着地点はFTAAPというのは、これは与野党共通の認識だというふうに思っております。そういう中で、TPPが、FTAAPのルール、ある種、いろいろなシステムのたたき台といいますか、土台になっていく可能性があるからこそ、総理はそれもあって決断をされたわけであります。

 適切なルール、日本は、インフラに関しては、単にインフラ自身の優秀性もさることながら、オペレーションに関して、パッケージで全部輸出することができるわけであります。その中には安全、安心ということが極めて大事な要素に入ってくるわけであります。

 ハードもソフトも、システムもオペレーションも含めて、いいシステムが将来輸出できるように、日本は、技術的にも、あるいはオペレーションでも頑張りたいと思いますし、TPPを通じてある種のルール、リーズナブルな、適切なルールができるということも期待をさせていただきます。

阪口委員 この点については、まさに日本だから提供できる価値であるという意識で、ぜひ戦略的に展開をしていっていただきたいと思います。

 さて、四月十三日にアウン・サン・スー・チーさんが来日をされます。私は、実はこのスー・チーさん側と連絡をとって、国会議員の方々との面談の機会を何とかつくりたいと思っています。先方がおっしゃるには、今回は、特に苦しいときにお世話になった方々と会いたい、今議員でない方も含めて、彼女が軟禁状態にあるときから支えてくれた方々にぜひ会ってお礼を言いたい、このようなことをおっしゃっています。

 昨年の一月九日、私、ミャンマーでアウン・サン・スー・チーさんに会っていました。まさに、そのときに、今私が申し上げた希望の制度の輸出と、そして同時にインフラの輸出、これをどのように組み合わせて民主化の進展に寄与できるのか、このような議論をさせていただきました。

 ちょうど同じ時期に安倍総理もミャンマーに行っていらっしゃったと思いますが、スー・チー氏にはお会いになったんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 ミャンマーを訪問した目的が、アジアの子供たちに学校をつくる会においてミャンマーを訪問しまして、そしてその竣工式に参りましたので、これはヤンゴンから七時間ぐらい車で道なき道を行かなければ行けない場所に学校をつくったという関係上、余り時間がなかったものでありますから、スー・チーさんにお目にかかりたいという要望は出したんですが、時間がうまく合わなかったということであります。

 セイン大統領とは会談をいたしました。

阪口委員 私がアウン・サン・スー・チーさんと会ったときには、民主化支援をしてくださる方々とはぜひ意見交換をしたいとおっしゃっていました。元総理で、大変に将来有望な、まあ、有望という言い方はちょっと失礼かもしれませんが、安倍総理がこのときにお会いにならなかったというのはちょっと残念だなというふうに私は考えております。

 さて、TPPを通して、日本の国益を最大化すると同時に、人類益そして地球益を最大化する、これを同時に実現していくのがやはり誇りある日本としての使命であると思います。

 実は私、今から二十年前、安倍総理がまだ国会議員になる前、初めての選挙に臨まれる時期であったと思いますが、カンボジアにおいて平和構築のボランティアをしておりました。ちょうどそのときに、私のルームメートで一緒に活動していた人が、中田厚仁さんという方でございました。御存じかもしれませんが、国連ボランティアの同僚として一緒に活動しているときに、銃撃をされて、命を落とした青年でございます。この四月八日が彼の二十回目の命日になるんですね。

 ルームメートですから、部屋で話をしていたときに、お互い、何で安定した生活を捨ててまでカンボジアに来たのかというような話をよくしました。彼の答えが、どんなにリスクがあっても、誰かがやらなければいけないことがあるのであれば、その誰かに自分はなりたいということでした。

 安倍総理が今回TPPの交渉参加を決断されたというのは、まさにこういう思いであると思います。何としても、交渉に参加を決断されたからには、ぜひしっかりとした果実をかち取っていかなければいけない。それが、日本にとっての果実のみならず、国際社会、地球社会にとってのプラスにつながっていく、こういったものでなくてはいけないと思います。

 このことに関して、一言、総理の決意をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 こうした多くの国が入る、マルチの経済圏をつくっていくという中における交渉については、もちろん国益を守っていくということもそうでありますが、基本的には、自由な貿易環境をつくっていく、開放経済を進めていくことにおいては、それぞれの国々が利益を得る、そういうものでなければならない。一つの国が多くの利益を得て、一つの国がいわば貧困になってしまう、こういうルールであってはならないわけでありますし、こういう経済圏であっては将来に望みがないんだろう、そういうことも当然念頭に置きながら、志の高いルールづくりをしていく必要があるだろう、こう考えています。

阪口委員 終わります。ありがとうございました。

山本委員長 この際、木下智彦君から関連質疑の申し出があります。阪口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先週金曜日に総理がTPP交渉参加を表明された件につきまして、質問をさせていただきます。

 まず初めに、今回の表明に当たり、自民党内において相当な反対があった中、御決断されたということに関しまして、個人的にも非常に感銘を受けております。しかし、私ども日本維新の会は、昨年末の総選挙におきましても、TPP交渉参加ということは唱えてまいりました。そもそも、交渉の席に着かなければ、まだ帰結しないその条件内容について賛成も反対もない、そういう思いでおりまして、今回の交渉参加表明については極めて必然だというふうに考えております。改めてこれを強調させていただきたいと思います。

 そうはいいましても、先ほど申しましたとおり、党内を含め、まだまだたくさんの反対勢力がある中、交渉の参加を決断されたということは、恐縮ではございますが、大変評価されるべきことだというふうに思っております。

 このTPPは、安倍政権が推し進める三本の矢のうち、最後の矢であります民間投資を喚起する成長戦略、この柱として、我が国が日本を持続的かつ大きく発展していく絶好の機会であるというふうに思っております。

 その上で、しっかりと国益に即した形で進めていってください。我が党も、我が国にとって正しい方向であれば、正しい方向で交渉が進められていくならば、発展につながっていくならば、しっかりと応援をしていきたい、そういうふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 さて、これから、極めて時間のない中で交渉をするというふうになりますけれども、交渉参加して、我が国の国益をしっかりと守れる条件を引き出していってもらわなければならないというふうに思っております。その意味では、今の与党自民党内で、また各種団体から、反対の意見を早期に収束させることが大変重要なことだろうというふうに思っております。

 各種報道を見てみますと、今回の交渉参加について、指摘であるとか懸念であるとか、あとは批判とか、そういうものばかりが出てくるというふうに見ておりまして、ここで、総理は、この交渉参加が国家百年の計だ、今がラストチャンス、それから、TPPはピンチではなく、むしろ大きなチャンスというふうに言っておられます。ほかにも、TPP自体については、TPPはアジア太平洋の未来の繁栄を約束する枠組みである。もう一つ、TPPの意義は、我が国への経済効果だけにとどまらない、必ずや世界に繁栄をもたらすものと確信している、我が国の安全保障にとっても、アジア太平洋地域の安定にも大きく寄与することは間違いない、私たちが本当に恐れるべきは、過度の恐れを持って何もしないことではないでしょうか、ともに前に進もうではありませんか、こういうふうな感じのことをおっしゃられています。

 本当に我が国のトップとしてすばらしいリーダーシップだというふうに感じることができる御発言ではないかと思っております。

 ただ、これだと、何かとてつもなくすばらしいことだということは何となくはわかるんですけれども、それが一体何なのかということが余り国民にはわからないのではないかなというふうに思っております。

 これを具体的に、TPPに参加することになったら何がもたらされるのか、国民が、TPPに参加したらどういうふうなベネフィットがあるのか、こういうことを明確に国民に示すべきではないかというふうに考えておりますが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 このTPPについては、先般の記者会見でもお話をさせていただいたんですが、アジア太平洋地域、ここは面積についても三分の一なんですが、経済圏としても、日本が入っていく、そして三分の一になっていくとなると、いわば大変大きな経済圏が誕生していく中において、ここを自由に物やサービスそして投資などが行き交うわけでございまして、先ほど質問者の御質問に答えまして、韓国においては、米韓のFTAにおいて、一年間で投資が倍になったということでございます。

 つまり、やはり自由な、そしてしっかりとルールが構築をされているということになれば、安心して投資がふえていくし、そしてまた、この経済圏の成立によって新しい成長が見込まれると思えばどんどん投資がふえていく、日本にもたくさんの投資が入ってくるということになるわけでございますし、当然、そうなれば日本にも多くの人材が集まってくる、こういうことにもなるわけであります。

 ですから、ただ単に、関税を機械的にゼロにして、その差し引きがどうか、それについても既に発表させていただいているところでございますが、それ以上に大きな意義があるんだろうと思います。

 そもそも、基本的に、日本は貿易立国として、自由貿易を進めていく中において経済成長をしてきた国でございます。多くの資源を海外に頼っている中においては、やはり日本が輸出をすることによって外貨を稼ぎ、それ以上の黒字を出していくことも大変必要であります。同時に、今や、海外に投資をして、その利益によって所得を得ていく。そういう二本柱で日本を成長させていくべきだという中においては、このTPPは国家百年の計として日本にとってプラスになるんだろうと思いますし、それは、RCEPあるいはFTAAP、これからさまざまな経済圏が誕生していくわけでございますが、TPPは一つのモデルとして、ここでつくったルールがもとになっていく可能性があるんだろうと思います。

 この中において、日本が同盟国の米国とともにルールづくり、枠組みづくりをしていくことは、間違いなく日本の国益になると同時に、地域の平和と安定にも資することになっていくんだろう、こう確信をしております。

木下委員 ありがとうございます。

 今のを聞いていて、やはり、何かいいものがあるんだろうということは、ふわっとはわかるんですけれども、具体的に国民の皆様が、TPPに参加することで何が本当にあるんだろうということがどうしてもまだいま一つ明確には見えないんじゃないかなというふうにちょっと感じてしまうんですね。

 私どもは、TPP参加に反対というふうなつもりで言っているのではなくて、総理にはっきりとお言葉をいただきたい、そういう思いで、応援する思いでこういうふうな質問をさせていただいているわけです。

 そこで、一つ、総理に明確に言っていただきたいことというのがあるんです。

 それは、今後ますます経済発展が考えられて、いろいろな意味でアジア太平洋地域、太平洋の覇権をもくろんでいるというふうに考えられる中国、この中国をTPPを通して国際経済の秩序に組み入れていくんだ、この流れをTPPでつくっていくんだということにほかならないということをはっきりと言っていただきたいんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 中国については、日中韓のFTAあるいはASEANプラス6のRCEP、そうした経済圏の中において、中国がそういう経済圏の中に入ってきて、もちろん中国はWTOの加盟国ではありますが、ともにルールをつくっていく、秩序をつくっていく、責任を持ってルールをつくって、そしてルールを守っていく国になることは、地域やまた世界にとっても、もちろん日本にとってもプラスであろう、こう考えております。

 現在、まずはTPPをつくっていく。これは、日本が参加をすれば、世界の第一位と第三位が入ったアジア太平洋地域の大きな経済圏として、基本的には同盟国である日本と米国が主導していくということになっていくわけでございます。

 同時に、中国については、もちろんルールをしっかりと守ってもらう。そして、政治的な目的を達成するために、経済に対して何か政治がプレッシャーをかけることによってその目的を達する、これはやはり自由な経済圏という考え方に反するものでありますから、そういう意味において、国際的なルール、良識の輪の中に中国が入ってくるように促していくことは日本にとっても大きな利益であろう、このように思います。

木下委員 ありがとうございます。

 ただ、国民が、ああ、こういうことがあるんだ、こういうことがあるのであればTPPにやはり参加していかなきゃいけないんだというふうな思いを、しっかり伝えるためには、なかなか、お立場はありますし、あと、相手国との関係がありますので、しっかりとお話はしにくいのかもしれないんですけれども、何とかそこを、対中国という部分で、これは封じ込めというふうな話ではなくて、ちゃんと平和裏に、経済的な関係の中でルールづくりをしていき、その中に中国を組み入れていく。その目的のためにもTPP参加というのは重要だというふうな思いで私は思っておりますが、その点はいかがでしょうか。

甘利国務大臣 TPPは、もちろんそれ自体、魅力的な枠組みであります。総理が会見でお示しをしましたように、太平洋を取り囲んで周りの国が太平洋を内海として自由に物やサービスや投資が行き交う、それを考えただけで夢のあるプランだと思いますが、それが、委員おっしゃるように、それ以降のアジア太平洋地域の経済的な枠組みに広がっていく、そのときのいわばルールの下書きになるという可能性があるわけですね。

 そういう中で、では、中国。中国は世界第二の経済圏であります。そういう経済の枠組みに組み入れられることによって、それぞれ果たすべき使命というのが必ず出てくるし、要請されてくるんですね。中国も自覚をするであろうし、周りの国からも、中国はこれだけの経済力を持っているんだから、国際貢献、果たす役割も、これからは受けるばかりではなくて、自分がむしろほかの国を支えていくという立場もあるんですよという中で、安全保障の安定性も出てくる。いろいろな要素があるんだと思います。

 そういうもろもろの期待を込めて、総理は今回、TPP交渉に参加するという決断をされたんだというふうに思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 もしも今、反対派が言うように、我が国が参加を断念してしまった場合、ただでさえ弱い日本の食料調達といったところが、行く行く、膨大な人口で中国がどんどんどんどん食料を調達していくようなことになった場合に、完全に、逆に言えば、日本の食料調達力というのがどんどん落ちていってしまうんじゃないかというふうに私は危惧しておりまして、そういう意味では、総理が、息をのむほどの美しい田園風景というふうにおっしゃられていましたが、我が国がTPPに参加しないようなことがあったら、これをそのままほっておくと、ただの貧しい田舎の風景になってしまうんじゃないかというふうに危惧しているので、このTPP参加ということをぜひとも推し進めていっていただきたいという思いで聞かせていただきました。

 時間が少ないので、次へ行かせていただきます。

 これから、回数を重ねることができない、残念ながら非常に少ない交渉回数の中で進めていくことになるんですけれども、その少ない回数の中でしっかりと実をとっていただきたいというふうに思っておる次第なんです。

 その意味で、交渉に当たる前に既に与党自民党の中でがちがちに取りまとめられたような農産品五品、それから国民皆保険制度の聖域化というのは、交渉を行う上では柔軟性を相当阻害するんじゃないかというふうに考えております。たとえそれが本当に大事なものであったとしても、これを絶対守らなければ撤退するというようなことを決めてしまうのは私はナンセンスなのではないかというふうに思っておりまして、一部ではもう、今の自公政権では交渉の結果としてTPP参加を断念するしかないのではないかというふうに言われていますが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まさに交渉はこれからでございますし、農家の方々の危惧は、不安を持っておられることは、それはやはり当然なんだろう、このように思います。

 特に、農業について言えば、気候や地形に決定的に左右されますから、中山間地域の方々は、広大な平らな大地を使って農業を展開する人たちと果たして同じ条件で戦えるだろうか、こういう心配をされるのは当然なんだろう、こう思います。そういう声を拾い集めて、自由民主党では、ここはちゃんと守ってくださいよ、こういうことなんだろうと思います。

 しっかりとそれは私は胸に刻みつける必要があるんだろうと思いますが、同時に、今委員が指摘されたように、美しい田園風景を守っていくためにも、産業面としての農業が強くならなくては、多面的な機能を根っこから守ることができない。現段階でもどんどんどんどん農業従事者の平均年齢は上がっていますし、若い人たちが参入してこない。全体として農業人口が減っているということであります。

 ここで、若い人たちにとって、やはり自分たちの情熱で未来を切り開くことができる分野、そういう分野にしていくことによって初めて、若い人たちも、では自分もやってみよう、そういうことになっていくんだろうと思います。だからこそ、これは単なるピンチではなくてチャンスに十分に変えていくことができるんだろうな、こう思うところでございます。

 交渉はこれからでございますから、委員も商社に勤めておられてさまざまな交渉をされた、我が農林水産大臣と同じ商社だったというふうに思いますが、そういう皆さんが駆使した交渉力を私たちも駆使していきたい、こう思っているところでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 まさしく農業、これは非常に重要なことだというふうに思っているんですけれども、農業を攻めの農業にしていくためには、やはり重要なのは農業改革。この農業改革というのは何かというと、やはり今のJA、農協の改革というのがしっかりとできなければ農業の改革というのはできないんじゃないかというふうに思っています。

 今の農協、JAは、一部で言われているところでいいますと、先ほど言いました、一つの機能としては総合商社というふうな機能も持っていたり、金融機関それから保険会社、そういうふうな一面も既に持ってきてしまっている。

 そもそもJAは、やはり農業者のための相互扶助機関だというふうな形に、しっかりともとにねじを巻き戻して、この農協改革をやっていっていただきたいというふうに思っているんですけれども、その点につきまして、先ほど総理もお話しいただきましたように、先輩であります林大臣、お聞かせください。

林国務大臣 三井物産に私よりも多分八年、九年ぐらい後かなと思って経歴を拝見しておりました。私は五年しかいなかったので、机を並べてということはなかったんですが。

 今お話があったように、JAは、総合商社的なところもある、それから金融機能もあるということでございます。これは組合員の選択によってなされているという前提がございますので、私は、農協の改革も非常に大事だと思いますけれども、やはりそのもとである農家、農業そのものが強くなって、その人たちがきちっと自分たちに役に立つ農協という意識を持ってやっていく。このことが基本にあって、いろいろなことがかみ合っていくのではないか、こういうふうに思っておりますので、ぜひまた、総合商社時代の貴重な経験を活用して御活躍を祈念しておるところでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 もう時間がないので、最後に一言だけ。

 先ほどのお話を聞いていてもやはり思うんですけれども、今の農協は既得権益の塊になりつつあるというふうに思っておりますので、ぜひとも、しっかりとした改革をしていただいて、この先、日本を支えていけるような農業をやっていっていただければと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 この際、重徳和彦君から関連質疑の申し出があります。阪口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。

 きょうは、TPPに関連しまして、長期的展望に立った大胆な改革を進めるべきであるという視点から議論をさせていただきたいと思います。

 ついに、先週金曜日、十五日に、安倍総理がTPPの交渉参加を表明されました。我々からすれば、ようやく我々の主張に追いついてきたというふうに申し上げたいと思います。

 しかしながら、まだ安倍政権が我々に追いついていない点がございます。それは、選挙のときに言っていたことに対してきちんと有権者の皆さんに対して説明をするという点がまだ追いついていないと思っております。

 やはり、聖域なき関税撤廃を前提とする限り参加しないという、二重否定になっているんですね。非常にわかりにくいですよ。地元の方といろいろ話しました。表からいえば、聖域があれば参加するよということなんだけれども、聖域がなければ参加しない、そういう二重否定の公約は、非常に一般の国民の皆さんにわかりづらかったと思います。

 ですから、ちゃんと伝えたか、伝えたつもりかということと、ちゃんとそれが伝わっているかというのはちょっと違うと思うんですね。

 現に、たしかことしの初めに、私、選挙も終わりまして、農協のJAの本部、名古屋の本部の方に幹部の方に御挨拶に上がりましたところ、実はその時点で既に、私から、多分、安倍総理はTPPの交渉には参加すると思いますよというふうに申し上げたんです。そうしたら、農協の方が何とお答えになったと思われますか、総理。

安倍内閣総理大臣 話の流れからいえば、恐らく、安倍さんは参加しないのではないですかと答えたんだろうと、今の問いかけで私はそう予測したところでございますが、いずれにせよ、公約は、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉には参加しない。そして、私が出演したテレビ等においても、それはつまり、聖域を守ることができれば参加するという旨についてもお話はいたしております。

重徳委員 御名答でございまして、そんな、参加するはずがないということをおっしゃっていました。

 これは、やはりそういうふうにしか伝わらないんですね、基本的には。よっぽどじっくり総理のお言葉を、聞く耳をちゃんと持って、そういうつもりで聞いている方は確かにそうだと思っているかもしれませんが、やはり参加しないと多くの方々が思っていたんだと思います。

 ですから、その後、私は、やはり、参加しない、参加しないじゃなくて、TPPの交渉には早目に参加をして、外交交渉をしっかり行って、それで少しでも有利な条件を引き出す努力をした方がいいんじゃないですかというふうに申し上げたんですが、それについても、これまで日本の外交はずっと負け続けてきたじゃないかということをおっしゃるわけです。負け続けてきたのは自民党政権ですよということを申し上げて、大体そのぐらいで話は終わってしまったんですが。

 やはり、こういう間違った印象を結果として誘導してしまったことについてはきちんと御説明をいただかなきゃならないと思いますし、それから、これまで外交交渉で日本は負けてきたと皆さん、おっしゃっていますけれども、今回はかなり怪しいですよ、正直言いまして。これまで十六回、ほかの十一カ国で既に協議をしてきて、今度、五月が十七回目の会合です。もうかなり不利な状況に追い込まれているということもうかがえます。

 やはり、こういう状況において、さらに申し上げますと、私は、自民党の最近の若手の議員さんには、もっと大暴れするぐらいに、農家の皆さんに自分たちはこう言ってきたんだ、断固反対だということを、平場でも、こういう表でも言う方が昔はいたんじゃないかと思うんですよ。椅子を振り上げて投げ飛ばすみたいな方も、これは特定の人物だけかもしれませんけれども。

 まあとにかく、別に暴力的な行為に出る必要はないんですが、そういうぐらいの強い思いで、自分の地元の農家を、農業を守るんだ、こういう強い思いをもっと自民党の若手の皆さん方にも持っていただきたいと思うぐらいです。

 ですから、私から申し上げたいのは、この関税撤廃が本当に聖域がなくなってしまって、本当に国益を損ねてしまうようなことがあったら、ぜひともこの交渉からは脱退する、撤退するという決意で、覚悟でやっていただきたいということでございます。

 一言お願いします。

安倍内閣総理大臣 現在の自民党においてもかなりダイナミックな議論が行われておりますし、御承知のように、このTPPについて、TPPの交渉に参加するかどうかの議論についても、相当の激しい議論がなされたのは、テレビのニュース等でも流されているわけでございますし、私も、当選したときに、ウルグアイ・ラウンドの交渉がございまして、私は農業特別行動隊というのに入りまして、この国会の前に寝袋で座り込みをして反対をしたこともあるわけでございます、根本大臣なんかは隣で寝ておりましたが。しかし、それでは残念ながら農家を十分に守ることもできなかったわけでございます。

 今回、自由民主党の中においては、農家、農業、もっと収入を上げなければいけない、今のままでも厳しい状況ですから、これをむしろ、攻めの農政ができるところはしっかりと攻めていく、守るべきところは守っていこうという中において、やはり具体的な政策を進めていく必要があるだろうという危機感の中で、恐らくこれからどんどん議論が展開されていくんだろう、私はこう思っている次第でございます。

 いずれにせよ、我々は六項目、選挙でお示しをしているわけでございまして、しっかりと交渉を通じて守るべきものは守っていきたい、こう決意をいたしております。

重徳委員 ぜひとも、断固たる決意で日本の農業を守っていただきたいと思います。

 やはり、総理に直接若手の議員さんからの突き上げのようなことが伝わらないようでは、これはまた、いつぞやの自民党のように、はるか遠いところで物事が決まっていってしまって、国民からの信頼を失い、そして下野に至るというようなことが起こってくる可能性だってあると思います。

 ですから、私は、これまでの外交の、負け続けてきたと評されてしまうようなそういう結果についてもきちんと責任を持ってやっていただきたい、こう強く申し上げたいと思います。

 それでは、これまで農政はどうだったのかということについて少し、私は今四十二歳なんですけれども、これは、私が子供のころの教科書なんです。小学校五年生の、そのころの教科書なんですが、そこに書かれていること。

 これは、宮城県、もう合併して今は登米市になっているんですけれども、米山町の役場の方の手紙からなんという社会の教科書になっています。「農業で働くわかい人がへっています。」「受けつぐ人のいない農家がふえてきました。」「仕事をするわかい人が少なくなり、あれた田畑が目につきます。」

 こういう状況、今は本当にそうですね。でも、三十年近く前もこうだったわけです。ですから、この長期間、三十年間にわたって、一体、日本の農政は何をやってきたのかということを言われても仕方がないと思います。

 そして、実際その状況を数字で少しごらんいただきますと、農業の従事者というのは、今申し上げました三十年ぐらい前というのはこの三つの棒グラフの真ん中なんですけれども、つまり、三十年前は、大体、この真ん中、平均というと、専業の方ですけれども、五十代ぐらいの農業者だったと思います。そのころ、後継ぎがいないと言われていたんですね。でも、五十代のお父ちゃん、お母ちゃんですから、まだ、わしらが頑張れば何とかなるといって、それほどの危機感に至っていなかった。

 ところが、一番右側のグラフに至りますと、これはつい三年ほど前の数字ですけれども、平均年齢六十六歳、七十代以上の方が半分近くという農業になってしまっております。ここへ来て、やはりこれだけ置き去りにされてしまった農業が本当に追い詰められているという状況が見てとれるかと思います。

 そこで、林大臣にお伺いいたしますが、これまで、過去三十年間の農政のどこに問題があってこのような状況を招いてしまっているのか、お考えをお聞きしたいと思います。

林国務大臣 お答えいたします。

 ちょうどそのパネルの一九六〇年の次の年に私も生まれて、ちょうど委員とは十歳違いということでございますが、そこからずっと振り返ってみますと、午前中、実は西川委員からも同じような御質問があってお答えをしたんですが、やはり今おっしゃられたように、高齢化、それから農業従事者全体の数も減少している。それから、これと相関があると思いますけれども、耕作放棄地の増加等が進展しているということは数字で明らかにあらわれているということでございます。

 その要因として幾つか挙げられると思いますのは、一つは、食生活が大きく変わってきた。ちょうど、一番大きな米でいうと、大体一人当たりの消費量が半分になっているということでありますが、そういう需要が減ってきた作物について、ほかの作物への生産転換というのが円滑に進めていられなかったということ、それから、土地利用型農業の経営規模の拡大に必要な担い手への農地集積がはかばかしくなかったこと、そして、農産物の価格が低迷をする中で、今申し上げましたようなことも含めて、経営規模を拡大していくとか、それから高付加価値化ということがなかなか進まずに農家の所得が向上しなかったこと、こういうことが要因として挙げられるのではないかというふうに認識しております。

重徳委員 いろいろとさまざま課題は指摘されるんですが、常にこの農政は、問題の先送りというか、なかなか効果的な、有効な手だてを打てずにここまで来た。ただ、常に役所は、例えば農林水産省は、魅力のある農業をつくらなきゃいけない、生産性の高い農家を育成しなきゃいけない、若い人たちが参入したくなるような農業をつくらなきゃいけないとずっと言ってきています。でも、どこかでやはり政治、行政、他人事だと思うんですね。なぜならば、農林水産省の役人の方で、いや、もう、いい農業をつくって、自分は役所をやめて農業に従事するんだという方がどのぐらいいたでしょうか、今まで。正直言えば、そのぐらいの熱い思いで政治も行政もやっていかなくちゃならない、そういう当事者、本人の立場でこういう産業政策をつくっていかなければいけないと私は常々思っております。

 そして、もう一つ、農業の話に、今、TPPの大きな課題ですけれども、過去にも林業の問題がございました。私の地元の岡崎には額田の山というのがありまして、森林組合の方々と話をしていると、TPPなんというのはもう今さらの話だ、林業は昭和三十九年から事実上輸入木材が解禁されて、もう本当にとんでもないことになっていると。どうも当時は、いろいろな建物、家をつくるというようなことで、建設木材が、国内も需要があって、値段も高かった。ただ、数が足りなかったので、外国からも輸入しなければ需要を満たすことができないというような事情もあったようです。

 結果として、そのときはよかったのかもしれないけれども、その後、数十年を経て、さっきと同じことです、数十年スパンで見ると、どんどん廃れていく一方で、どうすればいいのかわからない。額田の森は泣いています。そういう状況であると思いますが、この点についても、また林大臣からお願いします。

林国務大臣 お話がありましたように、林業においては、若干、先ほどの農業とか米とかと違ったところがございまして、これは私も生まれる前でございますが、まず、戦後の経済復興に伴って、昭和三十年代に入ったところで大分木材の需要がふえてくるわけですね。実は、そういう時代には国産材だけでは需要を賄い切れなかったということがありまして、こういうものに対応するという必要があって、それから林業への伐採圧力と。

 今から思えば、こういうことがあればいいなと思うような言葉でございますが、どんどん切って出してこい、こういうことがあったものですから、こういう背景の中で自由化が段階的に進んでいって、ちょうどオリンピックの年でありますが、三十九年に完全に自由化になったということでございます。その後は、御案内のように、四十年代からの貿易交渉を累次やって、関税がだんだんと漸次引き下げられてきたということでございます。

 一方、この需給がどうなってきたかというと、戦後からずっと、なるべく切らずに植えようということをやってきて、ここへ来て、もうかなりのストックができてきたということでございまして、いろいろと需要面の工夫をすることによって、国産の比率が一八%まで一回低下したのが、今、少し下げどまって二〇台半ばまでは上がってきているということでございまして、需要サイドとそれから供給サイドにいろいろな政策を打つことによってこれをさらに引き上げていかなければならない、こういうふうに思っております。

重徳委員 御説明ありがとうございます。

 やはり、いっときの判断で行ったことがその後本当に尾を引くということが、外交通商交渉においては本当にあるかと思います。

 きょうも何人かの委員の皆さん方の審議を通じまして、話をTPPに戻しますけれども、農業の聖域を求めて共同声明の文書をとった、そのどさくさなのか、自動車に関する関税については、米国の関税、トラックが二五%、乗用車が二・五%、そういう数字を維持されてしまう。

 これはもう既に一本とられてしまったのではないかというような疑念を持たざるを得ない状況も生まれてしまってきているわけでありまして、だから日本の外交を本当にしっかりやらないと、日本の社会のグランドデザインに本当に大きな影響を与えてしまう、悪い影響を与えてしまいかねない。こういうことを守っているのがひとえに日本の外交ですので、冒頭申し上げましたように、何とかお願いしたいところだと思っております。

 ついては、今回のTPPの交渉を踏まえて、これは安倍総理にお答え願いたいんですが、日本の社会、一体どういう社会像を目指しているのか、そういうことについてちょっとお話しいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 大変大きな御質問をいただきましたが、日本の社会像としては、いわば日本という国が全ての人たちにとってチャンスに満ちあふれた社会にしていきたい、このように思っております。

 同時に、日本というのは、古来より、朝早く起きて汗を流して田畑を耕し、そして水を分かち合って御皇室とともに五穀豊穣を祈ってきた瑞穂の国であります。その中でお互いに助け合ってきた。一人病気の人が出れば、その人のところにみんなお米を持ち寄って助け合った。こういういわば村の麗しい姿から国民皆保険制度というものができ上がってきた、その下地は既に日本にはあったんだろう、私はこのように思います。

 ですから、その中におきまして、強欲を原動力とする市場主義経済ではなくて、道義を重んじ、そして真の豊かさは何かということを知る市場主義経済、瑞穂の国にふさわしい市場主義経済というものを形づくっていきたい、こう考えているところでございます。

重徳委員 しかしながら、日本の国内事情、社会というのは、本当に厳しい状況に今置かれていると思います。

 特に今、やはりTPPに日本が着目せざるを得ないのは、国内市場が今後縮小していくということが前提ですね。海外が成長しているので、その成長、富を取り込んでいく必要がある、こういう認識に立たれていると思うんですけれども、逆に国内市場も、日本国内のあり方も、これからもう一度大きな改革をしていかなければいけない、私はこう思います。

 ついては、まず一つは、やはり日本は産業を一つ興すに当たっても、いろいろな面でコスト高だと言われています。そういう中で、きょうは一つ具体的に、世界一高いと言われる高速道路料金について少し議論をしてみたいと思います。

 三年半前の民主党政権に交代したときは、コンクリートから人へというキャッチフレーズがありました。ただ、今回、再交代したからといって、それは人からコンクリートへというふうに世論が戻ったとは私は思っておりません。やはり、公共事業でこれまでつくることばかり考えておりましたけれども、ここは頭を切りかえて、せっかくつくったいろいろなインフラをもっともっと多くの方々に使っていただく、つくるから使うへと発想を変える必要があると思うんです。

 その場合に、実は、麻生政権のころに土日祝日の上限千円料金というものが実現しまして、それから二年ほどでそれは終了してしまいましたけれども、いまだにETCを活用した高速道路の時間帯割引というものがあるということなんですけれども、これは二十五年度いっぱいが期限と聞いております。これの今後の方向性につきまして、国土交通大臣に御答弁願います。

太田国務大臣 高速道路料金ということについては、新しい時代のETCを今九割ぐらいの車で使っているということもありまして、渋滞というものもある、そして料金所ということが渋滞を起こす、さまざまなことが今言われている。

 そうした中で、麻生政権時代の土日千円というお話ではないんですけれども、まさに、交通渋滞をなくして、そして高速料金というものをこれからどういうふうに考えていったらいいのかという検討会を実はずっとしておりまして、二十三年の十二月でありますけれども、有識者委員会の中での中間取りまとめというのがございまして、ここでは、負担の公平性やほかの交通機関との関係を踏まえまして、対距離制ということで、これを基本にしていくべきだというのが出ています。

 現在、さらにこれを詰めて、メンテナンスとかいろいろなこともありまして、総合的に高速道路をどういうふうにすればいいかということなんですが、そこで、あわせて料金体系をどうするかということを、寺島さんを中心にした委員会で、恐らく来月ぐらいにはほぼまとまるのではないかと思いますが、料金体系も含めて、今鋭意検討中でございます。

重徳委員 今も時間帯割引はずっと続いているんですけれども、千円高速が終わった後も続いているんですが、ほとんどの方は、いつどこを走れば幾ら割り引きになるのか、わからないんですよね。しかも期間限定で、実は二十五年度いっぱいで一旦終わります。その後は何か続くんでしょうけれども。そのように、先々の予見可能性が非常に低いような制度というのは、これから先、では、高速道路沿線に投資をしてみようかとか、何かショッピングモールをつくってみようかとか、そういう新しい産業を誘発するのもなかなか難しいと思います、場当たり的に二年、三年で終わってしまうような制度では。

 ですから、私から、これは一つ、今試算をいろいろしているところなんですが、恒久的に、二十四時間、三百六十五日、距離にかかわらず定額料金で、これは五百円から千円ぐらいでできるんじゃないかという一つの試算がございます。そして、入り口のみで料金を支払って、出口はすっとおりるだけ、名古屋高速なんかはそんな仕組みなんですけれども。そうすると、ぐるぐる、ループのようなスペースも必要ないわけですから、簡単なインターチェンジであればたくさんつくれるようになるというようなことで、かなりこれは、せっかくつくった高速道路網なんですから、もっともっとこれを活用していくための方策というのは、距離が長くなればそれだけたくさんお金を払わなきゃいけないんじゃ、遠出をするのに高速道路じゃない選択をして、せっかくつくった道路を使わないという選択をする方も大勢いると思います。

 こういう高速道路料金の仕組みというのは、国によっていろいろあります。スイスなんかでも年間四千円で乗り放題という仕組みがあったり、もちろん、フリーウエーでただになっているところもありますが、日本の場合も、これは、平成六十二年、二〇五〇年以降はただになる、そういうプランだそうですけれども、いつかただになるから今たくさんお金を払うということでなく、その支払い期限もずっと、ほとんど無期限にして延ばしていくとか、いろいろな考え方があると思うので、せっかくつくったインフラをより有効に活用し、外国の資本が来たとしても、非常に日本は交通体系がいいじゃないか、そう評価してもらえるような国づくりということも具体的に検討していきたいなというふうに思っておりまして、ぜひとも、国交省と一緒に、太田大臣と一緒に検討させていただきたいというふうに思っております。

 そしてもう一つ、今後の国内市場に関して言うと、何といっても、国内市場がなぜ小さくなるかというと、子供の数が減っているからです。これについて、私も、少子化、少子化という寂しい言葉を、子供をふやす、増子化という言葉に変えてやったらどうかということを森大臣に先回もお伺いいたしましたが、何しろ、少子化の原因というのは非常に多岐にわたっていると思います。

 いろいろな課題というか要因、原因があると思いますが、森大臣に、そのあたり、どのような御認識かお尋ねいたします。

森国務大臣 少子化の要因ですね。

 結婚、妊娠、出産、育児、それぞれのステージで、国民の希望が満たされずに、未婚化や晩婚化と、夫婦が持つ子供の数が減少している。実は、国民の皆様、未婚の方で結婚したいと希望している方が九割いらっしゃって、結婚してから持ちたい子供の数が二人以上になっているにもかかわらず、未婚率が非常に高く、夫婦の出生率は二人を切りそうな勢いになっております。さまざまな要因が総合的に考えられております。

重徳委員 森大臣、実は、その前提として、やはり若い人たちが、雇用が安定しない、経済的に所得が不十分だ、このあたりが、根本的には、本質的には非常に問題だと言う方が多いです。ですから、本当に、ちょっとした手当を配るとかその程度のことではなくて、自分の仕事が、二十そこそこでついた仕事が、五年、十年たったら首になっちゃうかもしれない、会社が潰れちゃうかもしれない、こんな状況ではだめなんですよね。

 ですから、私が考えるのは、先ほどの農業の問題と同じです、今、手を打たなければ、これから二十年、三十年先に物すごい影響が出てしまう。この問題は総合的な対策が必要でして、これは、大変恐縮な言い方ですけれども、一少子化担当大臣では担い切れないテーマだと思っております。これは本当に総理、あるいは、そうでなくても麻生副総理に、もう全般、各省庁全部を束ねて総合的な対策を打つ。

 今も経済対策、三本の矢でやっていただいておりますけれども、これとて、やはり子供たちの数をふやすというところに本当に重点を置かないと、今たくさん借金もしていますけれども、それを返すのは、どんどん減っていく子供たちに返してもらう、こういう悲劇の構図がこれ以上続いてしまってはいけないと私は強く思っております。

 そういうことで、きょうは、長期的な展望を持って、これからのTPPを初めとしたさまざまな改革を進めるべきだということを申し上げてまいりましたけれども、最後に、安倍政権の政治姿勢について一つお伺いしたいと思います。

 私、生まれたころが高度成長ぐらいだったと思いますけれども、当時、経済が一流、でも政治は三流というふうに言われていました。経済は、世界に冠たる日本企業が本当にすばらしいんです。ですが、逆に言えば、だからこそ政治は、その利益を各地元に配分する、分配するということをもって自民党政治というものが長らく続いてきた。これが基本的な自民党政治の構図だったと思います。

 そして、これから先を展望するに当たりまして、今申し上げましたさまざまな日本の国力を低下させてしまう要因があります。そして、企業も今は、今はというか本当にここ一、二カ月の話ですけれども、ちょっと株が上がったとか、賃金もふえていくのかもしれないという状況ですけれども、これとて、やはり日本の企業が頑張っている、そういう土台があるからこそなし遂げている話でありまして、私は、本当の政治の仕事というのは、この間から申し上げております、三本目の矢をちゃんとやることだと思うんですね。

 これがどうも、農政改革一つとっても、あるいは少子化への対応も、やはり根本的な改革をしていくんだという姿勢がまだまだ不十分だと思います。これまでも、原発の政策をどうするんだということについても、十年以内にエネルギーのベストミックスを考えるという、やや緩慢な時の流れの中でやる。あるいは、地方分権改革をどうするんだ。この間、本会議で東国原議員が質問しましたけれども、あれに対しても、交付税制度、まず今のままでいいんじゃないかぐらいの気概しか感じられないような、そういう答弁でした。ですから、今、政治が思い切った改革を長期的な視点で今すぐやらなければとても間に合わないという事例をきょうは御紹介したつもりです。

 ですから、決して先送りをしない、そして、何か野党から問われれば、特に民主党さんから問われれば、いや民主党時代はどうだったんですか、そういう答弁ではいけないと私は思うんです。やはり、今こそこの改革を必ずなし遂げるというテーマを、株が上がったとか、それは確かに結果です。だけれども、その前提として、今の政権は何をやるのか、何をやってきたのか、こういうことについて、力強く国民に対して、小泉総理が身内を敵に回してまで、あるいは橋下大阪市長があらゆる政党を敵に回してまで選挙で戦い抜いた、こういう強い姿勢を持って、これからの大胆な改革に臨んでいただきたい。

 これを私は強く申し上げたいんですが、最後に、安倍総理から一言、御決意を述べていただければと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、第一本目の矢として、次元の違う大胆な金融政策を進めることといたしました。それは、今まで、例えば、総理と日銀の総裁、中央銀行の総裁が同じ考え方を持って同じ方向に向かって金融政策を進めていくということは、これはなかったですね。しかし、今回は、まさにそれをやったわけであります。その結果として、為替あるいは株価にいい変化が出てきたところだろうと思っております。

 同時に、国内の需要を大きく喚起して、そしてデフレ脱却に向けて、いわば温かい風が隅々まで、短期間に広がっていくように、大胆な財政政策として大型の補正予算を通していただいたわけでございます。

 そして、いよいよこれからが三本目の矢でございますが、その一つがTPPでもございます。同時に、今委員が言及されたエネルギー政策についてもそうでございますし、医療についてもそうでしょう。そうした分野において、しっかりと私たちは、改革を進めていくことによって、成長に向けて進んでいける、いわば、私たちは成長できるんだという自信を持てる、そういう時代をつくっていきたい、このように考えております。

重徳委員 断固たる決意と覚悟で日本の改革を進めていただきたいと思います。まだまだ感じませんよ、正直言いまして。もっともっと強く改革を進めていただきたい。さもなくば、日本維新の会が、刺し違える覚悟で日本の改革を進めてまいります。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 この際、山田宏君から関連質疑の申し出があります。阪口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山田宏君。

山田(宏)委員 日本維新の会の山田宏でございます。

 きょうはTPPに関する集中審議でございますが、まず、その本題に入る前に、総理を初め皆様にお礼を申し上げたいと思っております。

 それは、二月、我が党が、今回の補正予算に関して、大変大きな予算を翌年にすぐ繰り越さなきゃいけないという地方の現場の問題に対して、二月二十六日の補正予算の成立と同時に、財務省の方から指示が出まして、全地方自治体に各省庁からそういうお達しが行きました。

 その結果、これまでは年度を越えて大きな書類を抱えて出先機関をうろうろしなければいけなかった、その年度末の状況が一変をしまして、図表も要らない、工程表も持っていかなくていい、紙数枚でこの手続が済むという状況に対して、多くの自治体からお礼の声が上がっております。また、財務省も、どうなったかということをちゃんとサーベイしてくださっていまして、報告がありました。

 こういった、時にはトップが、または内閣が、トップダウンで決断をして即座に行動に移させるということを上手に加えながら、ボトムアップと一緒になってやっていくということで、やはり大きな緊張感が生まれてくる、成果が上がってくる、こういうふうに思っております。

 さて、きょうはTPPでございます。今まで同僚議員がいろいろと御質問をさせていただきました。まず、我が党は、TPPの交渉にはなるべく早く参加をすべきだ、これが国益だということを主張してまいりました。今回の総理の御判断、まことに適切であり、高く評価をしたいと考えております。

 とにかく、ルールづくりに早く入っていかないと、でき上がったルールをのまされるということになってしまいますから。それで、もしそのルールが我々ではのめないということであれば、調印しなきゃいいわけだし、国会が批准しなければいいわけです。今までそんなことは何度もありました。ほかの国も何回もありました。普通のことですよ。ですから、私は、交渉に参加するというのは、これはやらなきゃいけないと思っています。

 かつて一年半前に、野田政権で、野田元首相にAPECの後、お会いしました。このAPECは、野田元総理がハワイでオバマ大統領にTPPへの交渉参加方針を明示したときであります。その後、野田さんがどう言っていたかというと、この交渉参加方針は、日本の国内では大変抵抗があるけれども、その方針を示した途端に、今までとまっていた日中韓のFTA交渉とか、それからASEANプラス6、これは今はRCEPというんですかね、テレビを見ている方は、ASEANは東南アジアの方でわかると思うんですが、6というのは何なのかというと、御説明申し上げますと、日中韓とインド、オーストラリア、ニュージーランド。アメリカは入っていないですね。アメリカが入っていないEPA交渉というものが動き出したと言うんですね。

 要は、日本がTPPに入るのか、それとも、中国も入っているからアメリカは入っていないRCEPに入るのか、こういったことがてんびんにかけられるようになった。これからは、そういうものをてんびんにかけながら、より我が国にとっていい方をとればいいんですよ。そういう交渉をやはりTPPでしていっていただきたい、こういうふうに考えております。

 そこで、前置きはさておき、その中で、きょうも農業の問題がいろいろございました。守るものもあれば、攻めていくものもあります。我々日本維新の会は、攻める農業、輸出産業にしよう、こういうことを主張してまいりました。

 本当にそうなるのかということでありますけれども、かつて、一九八五年ぐらいから、ニュージーランドが、国を開く、関税を撤廃する、補助金を削減する、いわゆるニュージーランド改革を行いました。農業も補助金がほとんどなくなりました。関税もほとんど下がりました。その結果、ニュージーランドの農業は壊滅したかというと、八万人の農業人口が、当初は八千人から一万人減ると言われていましたけれども、千人しか減らなかったんですよ。そして、非常にGDPもよくなってきた。

 こういった状況を見ると、私たちが考える以上に、昔から農業をやっておられる方は、意外と強く賢いものであります、国の柱ですから。私は、農業をそういった面で信じたらいい、こう思います。

 そこで、攻めの農業に向かって、きょうは検疫の問題を取り上げてみたいと思っています。

 TPPの交渉分野の一つに衛生植物検疫、SPSというのがあると聞いていますけれども、農水大臣、これはどのようなルールについて交渉されるんでしょうか、短くお願いします。

林国務大臣 今委員が御指摘のありました植物検疫ですが、TPP交渉の中で、現在のところ、WTOのSPS協定の権利義務を強化し、発展させるということにつきまして合意があるというような情報がございますので、こういう方向で情報を収集して、対応を検討していきたいと思っております。

山田(宏)委員 今ちょっとフリップにお示しをしているものをごらんください。また、委員の皆様には、その本体というか、たくさん書いてある、丸とか三角とかバツとか二重丸が書いてある。これは何なのかというと、この図を見ると、日本がこれらの国に輸出する際にそれらの国でどういう検疫体制になっているかということを日本の農林省の資料から取り出したものです。

 例えば、上にベトナムがありますね。ベトナムに輸出する場合は、全部Pと書いてある。Pというのは何なのかというと、こちらの説明だと、相手国が輸入許可証を出さないと輸出できないというものです。二重丸は、何もなくても輸出できる。丸は、日本側の輸出の検疫証が要る。それから、Pは、今申し上げたように、相手側の輸入許可証が要る。星は、もっとひどくて、日本側に来て、日本の農地の状況がどうかということをきちっと調べた上で輸入の許可を出すという厳しい条件。そして、バツは輸入を認めないというものです。

 これを見てもわかるように、例えばミカン。ベトナムはPだから厳しい、タイはもっと厳しい、そしてシンガポール、マレーシアは全然オーケー、ブルネイは入れない、アメリカはとても厳しい、カナダはオーケーというような、あとずっと書いてあります。こういった条件をそれぞれ課しているわけです。

 日本の農産物を輸出しようと思っても、こういった検疫の規制を何とかしていかないと、輸出をしようという意欲を持った事業者がなかなかあらわれにくいと思うんです。こういうものは、やはりどんどん変えていってもらいたい。

 では、日本はどうなのかということで、アメリカと日本を比べてみます。下の中国は後で触れますけれども、次の資料ですね。

 アメリカから日本に輸出する場合、日本が輸入する場合はほとんど二重丸です、こういったものは。もうどうぞという感じですね。米も二重丸。ところが、今度は日本からアメリカに輸出する場合は、バツ、バツ、入れちゃいけませんよと。星というのはもう厳しい。そして、やっと米になって、日本からの米はオーケーよ、こういうふうになっているわけです。こんな不平等なことになっているわけです。

 ですから、やはりこういったものは、日本の強みを生かして、ぜひ交渉の中で強力に、この検疫の問題は日本と同様にオープンにしてもらうように努力してもらいたいと思いますが、農水大臣、どうですか。

林国務大臣 山田委員おっしゃるように、輸出を今からふやしていくというところからしますと、大変大事なところであります。

 全部並べて同じことにするというわけになかなかいかないのはもう御存じのとおりでございますが、もともと植物検疫がなぜあるかというと、病害虫等から自国の農業を守るために各国が科学的知見でやっている。これを先ほどのSPS協定で、どこまでが科学的知見で、どこまでそろえていくかということを一生懸命やっておるわけですが、各国に必要な検疫措置は当然のことながら許されておるわけでございます。

 その上で、今出していただいた、日本から米国というものでございますが、例えば、カキはバツがついておりますけれども、今交渉中でございます。それから、ニホンナシですが、モモシンクイガというようなものがあったり、ミカンについては、かんきつの潰瘍病というのがあったり、向こうにいろいろな懸念があるということでございます。

 ですから、当局の尻をたたいてどんどんどんどんやらせたい、こういうふうに思いますので、これを出したいというものが、要請が強い順にしっかりと対応してまいりたい、こういうふうに思います。

山田(宏)委員 先日、政府から、TPP交渉参加における経済の効果について発表がありました。農業はたしか三兆円ぐらいのマイナス、こういうふうな報道でございました。

 GDPで、全体としては三・二兆円の増加、こういう内容でございましたが、この中には農産物の輸出というものがどれぐらい含まれているんでしょうか。

林国務大臣 農産物の生産が、関税を即時撤廃した場合、どれだけ減るかというのを、農水省で計算して、それは三・〇兆円ということで出しております。

 ここから先は、内閣官房の方でやられたGTAPモデルということですので、必ずしも私のところではございませんが、関税が全部ゼロになった場合に、トータルで、モデルを回してどうなるかということをやっておられますので、その中に、それほど量的にはないかもしれませんけれども、一般的な輸出の中に農産物というのはあるのかなというふうに思っておりますが、我が省としては、国内の生産がどれだけ減るかというのを試算しております。

山田(宏)委員 やはりその試算、今の段階ではやむを得ないとしても、私は、農業の輸出というものをもっと国策に入れていくべきだと考えております。

 次の資料、農林水産物の主な輸出相手国・地域というものを、毎年、農林水産省が発表しております。これは二〇一一年です。何と、農林水産物で一番多く日本が輸出している先は香港なんですね。こう言っては悪いですけれども、大きい国じゃありませんよね。でかい消費地があるわけでもないですね。香港が一番ですよ。二番が米国、三番が台湾、韓国、中国と続くわけです。香港が何と二五%も占めているんですよ。

 これは何とかしなきゃいけませんよ。もっともっと、日本のおいしい安全な農産物をどんどん世界に供給する、そういう余地がまだまだあるんじゃありませんか、農水大臣。

林国務大臣 これは、先生御指摘のように、現段階での輸出先はアジアが中心となっている、一位は香港である、香港も大きな市場である、こういうふうには思っておりますけれども、まさに全世界といって地図を見て、そして、ATカーニーだったと思いますけれども、これから農産品それから食料全体のマーケットはどうなるのかという試算もあります。倍以上になっていくという試算もあるわけでございますから、その中で、我々が今からどこを狙っていくのかということになりますと、ここに、今一位から五位に入っている国にとどまらずに、大きく輸出は伸ばしていかなければならないし、その可能性は持っておるというふうに考えております。

山田(宏)委員 前向きな御答弁をいただきましたけれども、ぜひ農水大臣、日本がこういった、一位が香港で悪いと言っているわけじゃないですよ、もっとでかい消費地があるのに、こんな状況であるということに甘んじることなく、今お話のあったように、日本の農産物の輸出戦略をつくって出してくださいよ。それがやはりTPPというものに対して我々が望む一つの答えですよ。

 守るばかりじゃだめですよ。いいディフェンスというのは、いいオフェンスなんです。守ろうと思えば、攻めなきゃ。ぜひお願いします。どうですか。

林国務大臣 御一緒に勉強させていただいた中国の古典の中にも、孫子の兵法というのがございました。敵を知りおのれを知れば百戦危うからずということでございますし、今先生からお話がありましたように、攻撃こそ最大の防御だということで、我々が一体どういう強みを持っているのかということをもう一度きちっと踏まえた上で、そして、今の検疫のお話がありましたが、どういうところがボトルネックになっているのか、こういうことをきちっとやっていく必要があると思っております。

 一月に設置しました農水省の本部、私は本部長ですけれども、制度見直し検討委員会、それからもう一つは戦略的対応推進委員会、二つのチームを設けて、品目別にどういうことができるのかということを検討して戦略をつくっておりますので、ぜひ委員の叱咤激励に応えて、頑張ってまいりたいと思っております。

山田(宏)委員 ちょっとこの辺は、総理にも御決意をお聞きしておきたいと思うんです。

 今、こんなような農産物の輸出の現状を変えていく、TPPは大事なきっかけになると考えておりまして、やはりこの程度じゃなくて、もう五倍とか十倍とか、何年かかけてそこまでやるぞ、日本は農産物の輸出国になるんだ、そういうような戦略と計画、そういったものをお立てになったらどうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私は、大変いい表をつくっていただいたというふうに思います。まだまだ我々の努力によって、農業の分野において新しい地平が開かれてくるんだということが明らかになっている、このように思うわけであります。

 第一次安倍政権のときに、一兆円という目標を立てました。今五千億円ぐらいになっているんだろうと思うわけでありますが、その中で、純粋に農作物はまだ数百億円にしかなっていないという問題もあります。

 ただ、こういう形で、我々は、さらに開放経済を進めていく中においても、十分に開放経済の果実を農業分野においても得ることができるということを明らかにしながら、同時に、農家の方々は極めて真面目にいいものをつくっているんですが、それを売る努力をする、農協も含めて、もっともっと努力をしなければいけない、このように感じたような次第でございます。

山田(宏)委員 きょうの新聞の世論調査によりますと、七〇%前後の人が今回の総理のTPP交渉参加の決断に賛意を示しているわけです。私は、そういった大きな支持率をバックに、今度はさらに厳しいことも乗り越えていかなければいけない、こういうふうに思っております。

 きょうは、いろいろと農業についての御質問がありました。その内容、お考えはわかります。それも一つの理だと思います。

 ただ、私は一つの事例を示したいと思うんですけれども、実は、私は一九九五年にニュージーランドへ行きました。ニュージーランドがやった厳しい改革の現場はどうなっているか、見に行きました。

 その結果、農業についても、現場に行って、農業の関税がほとんどゼロになって、補助金がほとんどゼロになったというニュージーランドがどうなったかといいますと、今のニュージーランドを見てもわかるように、私は農業者の言葉を聞きましたけれども、今まではどうやったら補助金をうまくもらえるかということばかりを農業者で考えていた、ところが、関税が下がって補助金がなくなってくると、世界のマーケットがどういうふうに動くのかということを農業者も考えるようになった。

 こういうふうに意識転換を図らないと、日本の農業は、ただ関税がある、ただ補助金を出す、これではだめなのは今までが示しているんですよ。

 だから、私は、今の農業の、農産物の関税も一%たりとも下げないなんて、こんなのはばかげていると。それでは強くならない。むしろ、関税も、それから補助金も、上手な戦略を持って、輸出産業にするんだという決意を持って臨んでいけば、農業者というのは、今までも歴史的にずっと賢く強いんです。国の柱なんです。必ず乗り切っていける。ニュージーランドも乗り切っているわけですから、私はできると思うんですね。

 ぜひそういう決意で臨んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 もちろん、日本の農業には多面的な価値がございますが、しかし、いわば物をつくっていく、生産という分野においても、もっともっと可能性を持たせていくことが求められているんだろうな、このように思うわけでございます。ここで大切なことは、農業における日本のよさ、特性を生かした戦略をつくっていくことだろう、このように思います。

 今回のTPP交渉参加、これを機会に、しっかり内閣を挙げて強い農業をつくっていく、そして農家の収入もふえていくし、若い皆さんが農業に参入していく、そういう分野にしていくために全面的に力を結集していきたい、こう決意をいたしております。

山田(宏)委員 それでは、ちょっとテーマをかえまして、私たちは、今回、TPP交渉参加についても、反対論の一つは、日本にそんな強い交渉力はないだろう、交渉をすればアメリカに負けちゃうんじゃないのという気持ちがあったと思うんです。

 確かに、日本、勝った場合もありますけれども、一番鮮明なのは、大東亜戦争へ入っていく前の日米交渉ですね。やはり、それが余りうまくいかなかった。その結果、不幸な戦争に突入させられてしまった。こういうような状況というのは、二度と我々はもたらしてはならない。交渉というのはそれぐらい大事だ。

 昔だったら、野蛮な時代であれば、暴力を、戦争を通じて物事を解決するということがありました。しかし、だんだんだんだん、今はこういう時代ですから、やはり通商交渉というのは、本当に、かつてでいえば戦をするのと同じですよ。それぐらいの交渉体制を整える、戦に勝つという交渉体制にしてほしいと思っています。

 今回、甘利大臣がTPP担当相となられました。そして、きょう、テレビで聞きますと、事務方の首席交渉官というものを設置するという報道がなされています。

 どういう体制で今後このTPP交渉に当たるのか、まず簡単に御説明いただきたいと思います。

甘利国務大臣 総理が交渉参加声明をされると同時に、主要閣僚会議が設置をされました。私や官房長官、そして経産大臣、外務大臣、農水大臣、そして、必要に応じてそれに関係大臣が加わるという体制ができました。

 そのもとに事務局体制を今編成中でございます。各部署に、もちろん交渉部署が分かれていますから、それのえり抜きを選定しようというふうに思っております。最強のチーム安倍政権という交渉チームをつくって、しっかり国益を踏まえて交渉していきたいというふうに思っております。今、人選中でございます。

山田(宏)委員 本日、甘利大臣は、かつて経産大臣のときに何度かWTOの厳しい交渉の場にいらしたお話がありました。

 日本の場合、関係閣僚会議といっても、例えば今のお話だと、官房長官、外務大臣、経産大臣、農林大臣、そしてTPP担当、五人も六人も大臣がいて、それが交渉の一つのチームになるわけですけれども、WTOの交渉でも、行かれたらおわかりになるように、最後は一人がやるんですよね。向こうは、アメリカはUSTR代表が来るわけです。ヨーロッパは貿易総局員というのが一人来るわけです。ほかの国はみんな代表は一人なんですよ。

 日本は、その代表というのは、TPPの場合、甘利大臣ですよね。

甘利国務大臣 済みません、先ほど、外務大臣と、それから財務大臣が、御指摘のとおり抜けておりました。外務大臣、財務大臣、それから経産、農水等、こう入ってくるわけであります。

 私は関係省庁を取りまとめる事務局役をさせていただきます。日ごろの交渉レベルは、首席交渉官といいますか、事務レベルのトップが交渉をしていきます。閣僚級ということになりましたら、私や、あるいは、場合によっては関係大臣が出ていくかというふうに思っております。

 WTO交渉の場合は、私と、当時は農水大臣、二人が出席をいたしました。各国ともに、一人で出てきているものと、それから複数で出てきている国がございました。それぞれ、私の場合は経産大臣として攻める役をやり、守る役は当時の農水大臣がやったということを思い起こします。

 いずれにいたしましても、最強のチームを組んで、最強の交渉をしたいというふうに思っております。

山田(宏)委員 TPP担当相が取りまとめ役ではだめなんですよ、向こうは全権委任ですから。カークUSTR代表、アメリカの代表は、これは全権大使なんです。つまり、大統領のかわり。日本の場合は、取りまとめの大臣。取りまとめだから、所管以外は判断できないから、出られたときに、ちょっと待ってと言って、ちょっと本国に聞いてみますとか関係大臣と相談しますとなっちゃうんですよ。これがいかに日本の交渉力を、戦前も戦後も弱めてきたかということなんですね。

 ここは甘利大臣のせいじゃないですよ。これから、まさに戦とも言われる通商交渉に臨んでいくに当たって、関係閣僚会議ではだめです。やはり、総理にかわるTPP交渉大臣が、最後は事務的に詰め切れないところを自分が責任を持って判断し責任をとる、こういうぐあいになっていないと、私は、対外交渉には最後、なりにくいのではないかというふうに考えております。

 その点、総理、いかがでございますか。

安倍内閣総理大臣 確かに、委員の御指摘の側面もあるんだろう、このように思います。

 今まで、参加表明に向けて議論をする中においては、関係大臣が官房長官を中心に集まって議論を重ねてまいりました。そして、私が表明するに当たって、担当大臣ということで甘利大臣にお願いをしたところでございますが、交渉においては、事務方でいえば首席交渉官を決めるということにいたしました。

 同時に、政治レベルにおいてどういう体制をとっていくかということについては、外国の状況等も勘案しながら判断をしていきたいと思っております。

山田(宏)委員 かつてWTOの交渉に入っていた事務レベルの方から聞いたんですけれども、ある会議では、ある日本の代表が答えたんですけれども、ちょっとこれは待てよ、自分の省庁にかかわらないところもあるなということで、コーヒーブレークを要求して、コーヒーブレークの後、また相談をして会議に戻る。そうすると、戻ってみたらまた答えが、いや、いろいろ相談してみたけれども、さっきはAと言ったけれどもBだった、Bにします、こう言ったら、他国の交渉委員から、一体日本はAなのかBなのかどっちなんだと。こういったケースは多分、多々いろいろなところで今まで日本の代表者がやはり経験してきたことではないかというふうに思うんです。

 かつての日本国も、戦争前、首相もいて、海軍大臣、陸軍大臣、外務大臣、何とか大臣と、もうばらばら。結局、交渉力が弱くなって敗退した。今度は、総力を挙げるんだったら、やはり交渉の責任者は一人、そして、その人に総理がお任せになるという体制を何としてもつくってほしいと思います。

 民主党も、かつて国家戦略室というのをつくったんです。同じような発想だったと思う。国家戦略担当の大臣を置いて国家戦略会議をやって、各関係大臣がいた。そのもとに、各省庁からえりすぐりを集めて事務局の会議をつくった。同じ構造なんです。でも、機能しなかったでしょう。機能しなかったね、余り。

 それはなぜかというと、民主党が悪いと言っているんじゃないですよ。そういう体制がいけない。そういう体制はなぜ悪いかというと、事務局の人の、各省庁から入ってくる人たちは、一年ぐらいで省庁に帰っていく人もいるわけです。そうすると、どうせ俺は一年したら帰るかもしれないと思ったら、本国の方ばかり向いて仕事するんですよ。また、交渉しているとすれば、ずっと交渉の経緯を知っている人がいなくなってくるんです。

 その事務局の会議、今度つくられます、えりすぐりの最強のチーム。そこの役人、各省庁から来るえりすぐりの人たち、三年間帰しちゃだめですよ。どうですか、甘利大臣。

甘利国務大臣 私がWTO交渉あるいは二国間の通商交渉をした経験でいいますと、主みたいな人が必ずいるんですね。大体、外国は、大臣自身がその交渉の主みたいな者がいまして、そことどうやって力勝負をして負けないかということが大事なんでありますけれども、事務方にも、何十年前の交渉から全部頭に入っている連中がいます。そういうのを相手に交渉していくわけでありますから、にわか仕立ての知識ではだめだということは、経験上よく承知をいたしております。

 それと、私がWTO交渉をやった経験からいいますと、二人、農水大臣と出ていましたけれども、役割分担をしました。私は、こっちが守るためにはこっちが相当攻めていかなきゃならないということで、攻める方と受ける方と役割分担をして、そして妥協をかち取るという戦術も使いましたから、複数いればいるで、それはやり方次第だというふうに私は思っています。

 ただ、委員おっしゃるように、事務方は相当、尋ねられたなら何年前のことでもこう答えられるというか、このことに関してあそこの国はどう思っているということもすぐ答えられる、そういう点は非常に大事です。それは、交渉責任者が瞬時の判断をするときの知識として求めたときにすぐ返ってくるということはとても大事だということは、経験上、承知をいたしております。(山田(宏)委員「三年間」と呼ぶ)交渉にたえるような、しっかりとした長期の任期にしたいと思っております。

山田(宏)委員 急に言われてもお答えになれないと思いますけれども、最低三年ですよ。一年ではもう全然だめ。

 それからもう一つ、役人ばかりじゃだめです、民間の人も入れる。商社マンでも交渉力のすぐれた人、日本はいっぱいですよ。むしろ官庁の役人の方がだめ。だから、そういう人たちもチームに入れてください。どうですか。

甘利国務大臣 適切な人材があれば、いろいろと考慮したいと思っております。

山田(宏)委員 時間が来ましたので、最後までできませんでしたけれども、これから交渉がどんどん進んでいきます。ぜひ、打って一丸となる体制をつくっていただきたいと申し上げて、終わります。

 以上です。

山本委員長 これにて阪口君、木下君、重徳君、山田君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 きょうの、経済成長戦略あるいは経済対策、そして経済連携の本題の質問に入る前に、一点、本年度の予算について伺わせていただきたいと思います。あるいは、予算編成前の我が国の長期債務残高について伺ってまいりたいと思います。

 まず、現在、今年度末の我が国の長期債務残高は、国において、普通国債で七百五十兆円、その他の国債を入れて七百七十七兆円、地方において二百兆円ということで、ほぼ九百七十七兆円という理解でよろしいかどうか、財務大臣に伺いたいと思っております。

麻生国務大臣 長期債務残高の定義をきっちりしておかないかぬとは思いますけれども、基本的に、言われております長期債務残高としては九百七十七兆ということになります。

浅尾委員 その定義というのは、一年以内に返済しない負債という理解でよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 そのとおりです。

浅尾委員 それでは伺いますが、負債としては、確かに借りかえ借りかえで行われておりますけれども、外国為替資金証券残高というものがございます。これが、直近の数字が二〇一一年度までということでありますけれども、二〇〇七年度から読み上げてみますと、百二兆九千億円、二〇〇八年で百六兆八千億円、二〇〇九年で百四兆五千億円、二〇一〇年が百九兆三千億円、二〇一一年が百十五兆ということで、この外国為替資金証券残高、我が国の借金であることには変わりませんが、これは長期債務残高に入っていないという理解でよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 今の数字は正確なところです。

 先ほど一年以内と申し上げましたけれども、基本的には、償還をするもとが税によっているか税によっていないか。税によっていない、短期で回している分については、税で返還する予定にしておりませんので、これは入っていないというのが正確です。

浅尾委員 税で返還していないということでありますけれども、我が国全体の長期債務が一千兆円弱という中で、百兆円ほかに借金があるということは、考え方としてどうなんだろうかというふうに思います。

 この外国為替資金証券というのはもともと何かというと、円高になったときに為替介入をしたと。為替介入をすると、ドルを買いますよね。円を売ってドルを買う。その円の原資が、為券と言われている、三カ月以内に返すはずのものでありますが、残念ながら、為替介入をしたけれどもうまくいかずに今含み損を抱えているので、売って返すというわけにいかない、そういう性格のものだろうと思いますが、そういう理解で正しいかどうか伺いたいと思います。

麻生国務大臣 この為替につきましては、これはいろいろな目的があろうとは存じますけれども、基本的には、今言われたように、為替の差益、差損、いろいろなことに対応するところなんだと思いますが、そのために常に準備しておかないかぬところだと思っております。

 ただ、うかつにこれは売れないのは、今の場合は、政府による為替介入というのは基本的にはできないことになっております、基本的には。意味はおわかりだと思いますが、表向きではこれはやれないことになっておりますので、その意味ではいわゆる大きな影響を与えますので、今これを売りますと、とたんに円高にぼんと振れることにもなりかねぬということでありますので、極めて慎重に取り扱わねばならぬものだと思っております。

浅尾委員 私がこの外為の借金を問題にするのは、借金を買う側、要するに日本国債に投資する側からすると、外為債券であれ長期国債であれ、国債であることには変わりないということなので、それが長期国債の外数で約十分の一あるということは、国債を消化できる能力に影響を与えるのではないか。要するに、市場で消化できる量が限られているということでいえば、あるいは、これだけ借金があって大変だ、そういうことを、今後ろで大臣にレクをされている財務省の方は言っておられるわけでありますから、そういうことだとすると、これも含めて考えた方がいいんじゃないかということであります。

 確かに今は、多分、平均の損益分岐点が百十円か百二十円ぐらいだと思いますので、今これをアンワインドするというわけにいかないんだろうと思いますが、将来的に、円安がさらに進んだ場合には、これを徐々に縮小していくというのが本来あるべき姿なんじゃないかというふうに思いますが、その点についてのお考えをお伺いいたします。

麻生国務大臣 これは、全体の像を示すということが、正確ではないんじゃないか、九百七十七兆以外いろいろあるじゃないかという御指摘なんだと思いますが、例えば国の資金調達活動というものの全体像を示すという点からいきますと、国債及び借入金現在高というものを別に表で示しておりますので、その中では政府の短期証券も含んでおります。

 そういったものは別にそういった指標があるということで、別にこれは隠しているとかいうものではないということだけははっきりしておいた上で、今、もう少し減らした方がいいんじゃないか、これはもっと少なくてもいいんじゃないかという御意見に関しましては、これは、将来、いろいろなことを考えておかにゃいかぬと思いますけれども、一つ、その時期、場合によって、何も百は要らないのではないかという御意見は、その時代にあってはそういう意見も出てきても全くおかしくないと存じます。

浅尾委員 申し上げたいのは、今できないのは、介入をしたけれども結果としてそれ以上に円高になってしまって、今解消すると、国が、百兆のうちの、多分一割円高になっていれば十兆円ぐらい損が発生するからということなので、アベノミクスの一本目の矢で量的緩和を進めていけば、理論的にいえば、今既に円安になっていますが、その均衡点、今申し上げた一〇%さらに円安になることによって超えていけば、その後には徐々にこれを解消していくというのがごくごく当たり前に考えられる話なんじゃないかと思いますが、その点について御意見があれば伺いたいと思います。

麻生国務大臣 日々ちょっと振れておりますし、この為替の話は私どもの立場としてちょっとできぬことになっておりますので、幾らがどうたらということはなかなか申し上げにくいところなんですけれども、これは、損するとかもうかるということよりも、基本的には、大きな影響を与えることが予想されますので、うかつにはこの話はできないというのが一番基本的な考え方です。

浅尾委員 本来のあり方としてはちょっと異常な額だ、要するに、国の長期債務が一千兆になるとして、その十分の一が外数であるというのは異常だということを申し上げて、次の話に移りたいと思います。

 きょう、我が国の農業生産額の推移というパネルを、お手元には資料で用意させていただいておりますけれども、この傾向値を見ると明らかなように、ずっと農業生産額は減ってきております。

 そして、記憶に新しいところでは、一番直近に、我が国の農業生産あるいは農家の農業所得を何とかしようということで、お金を貿易の自由化に伴って使ったことで記憶に残っているのはガット・ウルグアイ・ラウンド対策ということでありましたけれども、このガット・ウルグアイ・ラウンド対策費は、まず、林農水大臣、総額で幾らでしたでしょうか。

林国務大臣 総事業費が六兆一千億ぐらいで、真水が、そのうち二兆七千億程度だったと思います。

浅尾委員 多分、総事業費は六兆百億だと思います。それは別に、今ぱっと出していただいた数字でありますが、ちなみに、これは私の理解では、総事業費六兆百億円は平成七年から平成十四年にかけて配られたということでありますけれども、そういう理解で正しいでしょうか。

林国務大臣 失礼しました。事業費六兆百億円、それから国費が二兆六千七百億円で、事業実施が平成七年から十四年度ということでございます。

浅尾委員 よく、予算の話をすると、事業費を大きく言う場合と国費が幾らと小さく言う場合で、今わざわざ小さい方の数字も言われたのは、これから私がする質問に対する対策なのかな、ウルグアイ・ラウンド対策ではなくて、という気もいたしますが。

 その配り始めの平成七年、あるいは配る前の年からでもいいですけれども、平成六年から一応資料は要求しておりますが、平成六年から配り終わった年の平成十四年までの農業産出額、これは全部読み上げていただくと時間もかかりますから、平成七年と平成十四年の産出額の数字、そして生産農業所得の平成七年と平成十四年の数字を読んでいただければありがたいと思います。

林国務大臣 済みません、平成六年の数字ということで調べてまいりましたので、ちょっと一年さかのぼりますが、総産出額は、平成六年が十一兆三千億で、平成十四年には八兆九千億、それから生産農業所得は、平成六年の五兆一千億から、平成十四年には三兆五千億で、そのパネルのとおりだと思います。

浅尾委員 今読み上げていただいて、これは、我が国の政府として、少なくとも農家を強くするという名目でガット・ウルグアイ・ラウンドに六兆百億円、総事業費で使ったわけでありますが、農業の総産出額、平成六年が十一兆三千百三億円だったのが、平成十四年で八兆九千二百九十七億円になっている。同じように、生産農業所得は、五兆一千八十四億円から三兆五千二百三十二億円に減っちゃっているんですね。

 ですから、これはお金の使い方としては間違った使い方だったんじゃないか。少なくとも、目的が農家を強くする、あるいは、農家を強くするということの定義が農家の所得をふやすという観点からいえば、使い方に間違いがあったのではないかと思いますが、その点について、林大臣、どういうふうに思われますか。

林国務大臣 お答えいたします。

 ここの委員会でも何度かやりとりがあったところでございますが、当時は、今の仕組みである行政評価というのがまだないころでございましたので、今のこのトータルのマクロの数字ということでは、そういうことになるということであります。

 それから、これは大きな金額でございましたので、中間評価というのを一応、行政評価の仕組みができる前ですが、やっておりまして、担い手の稲作労働時間が六割短縮になったとか、そういう効果があった面もあった一方で、やはり事業効果が、トータルで見ても今御指摘のあったとおりですが、十分に上がらないものがあるということで、これは反省すべき点があっただろうというふうに考えております。

浅尾委員 実は、農業産出額の減っている割合よりも、生産農業所得が減っている割合の方が大きいんですね。ということは、そこの要因分析をすると、いろいろなことがさらにわかるんじゃないかなというふうに思います。

 ちょっと、私の方で計算した数字が、平成六年を分母にすればよかったんですが、平成七年を分母にして平成十四年を分子にした場合の計算をしてあるんですが、平成七年を分母にし平成十四年を分子にした場合の農業総産出額は八五%、要するに一五%減りました。一方で、所得、要するに、いろいろな飼料代、種等々の費用を減じた所得は六一%に減っちゃっている。つまり、所得の減の方が産出額の減よりも大きいんです。

 ですから、いずれにしても、この表を見ていただければ、今度TPPに参加しようとしまいと、日本の農業産出額は減っている、あるいは我が国の生産農業所得は減っているわけであります。

 今の、我が国が減っているという例でいうと、先ほど七六%に所得が減ったということを申し上げましたが、直近でいうと、所得は、平成七年と比較すると六〇%、四割減っちゃっているんです、六割しかないんです。産出額は七九%なので、八割弱あるということなので、生産額というグロスの数字以上にネットの所得の減っている割合が大きいということは、十分、そのことだけとっても、TPPに参加しようとしまいと、これは対策が必要だというふうに思います。

 まず、参加しようとしまいと対策が必要だということは、多分、安倍総理も御納得いただけると思いますし、それから、今私が申し上げた、生産額が減った以上に所得が減っているというのは、これはそこにヒントがあるだろうというふうに思いますが、その大枠のお話について安倍総理に伺った上で、また林大臣にも伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 先般、記者会見でTPP交渉参加について御説明したときにもお話をさせていただいたのでございますが、農業においては、今このTPPに参加をしていない現状においても、既に農業人口も減少しているわけでございます。また、今、浅尾委員が指摘をされたように、収入そのものが減っている。この問題、課題を解決しない限り、いわば麗しい田園風景を守ろうと思っても守れないというお話をさせていただいたわけでございますが、農家の所得をふやすためにどうすればいいかということについて、具体的な政策づくりを行っていきたいと思っております。

浅尾委員 農家の所得をふやしていくということは、いろいろなことを、多分、つくっている作物別にやっていく必要性もあるんだろうなというふうに思います。

 まず、今申し上げたような観点から農水大臣に伺いたいのは、総農家数の推移ですね。これを、主業農家別、昔の言葉で言うと専業農家ということなんですけれども、何か今は言葉が主業農家というふうに定義が変わったと聞いております。第一種兼業、第二種兼業というふうに私自身は覚えておったんですが、これが、準主業農家、副業的農家というふうに名前が変わったようでありますが、平成七年から十四年までの、主業農家、準主業農家、副業的農家の戸数の推移を、もし数字があれば、あるところで読んでいただければと思います。

林国務大臣 お答えいたします。

 主業農家、今は農業所得が五〇%以上の農家ということでございますが、平成七年が六十八万戸、ここから二十二万戸減少して、平成十四年が四十六万戸でございます。経営状況が、四・二ヘクタールから、これは平成十四年に四・六ヘクタールまでは一応拡大をしておりますが、先ほどから御指摘があるように、農業所得は、平成六年の五百二十九万円から、五十九万円減少して、平成十四年には四百七十万円、こういうことになっております。

浅尾委員 準主業農家、副業的農家の数字もいただけますか。

林国務大臣 失礼いたしました。

 準主業農家、これは、平成七年が六十九万四千から、平成十四年が五十五万四千、それから副業的農家が、百二十七万九千から百二十三万一千、こういう数字の推移でございます。

浅尾委員 先ほど、生産額の減よりも所得の減の幅の方が大きいということを申し上げました。その要因分析をぜひしてくださいということを申し上げましたが、実は、ここに少しヒントがあるんじゃないかなというふうに思います。

 どういうことかというと、主業農家、昔の言葉という言い方がいいのかどうか、専業農家と言った方が個人的にはわかりやすいものですから、専業農家は、平成七年から平成十四年で六八%になっているんですね。ところが、副業的農家というのは九六%なんです。ですから、本業でやっている人が大幅に減って、副業でやっておられる方は余り減っていない。

 そこに一つ、所得が減っている要因があるんじゃないかというふうに思いますが、その点について御意見をいただければと思います。

林国務大臣 午前中の西川先生、それから先ほどの重徳先生のときにも議論になりましたけれども、マクロで減っている要因、私、先ほど三つほど挙げさせていただきました。

 一つは、食生活がかなり変化して米の消費が半分ぐらいになったけれども、生産の転換ができなかったということです。二番目が、まさに今お話のあった、経営規模の拡大に必要な担い手への農地集積がおくれた。それから三番目が、経営規模の拡大や農作物の高付加価値化が実現できず、農家の所得が向上しなかったというのがその理由としてあるだろうというふうに申し上げております。

 今先生が御指摘になったところは、特に、国民の食生活の嗜好の変化は直接は今あれかもしれませんが、二番目と三番目はまさに御指摘のところと相関性が高いというふうに考えます。

浅尾委員 では、農業関連で質問いたしますが、質問の順番を若干変えさせていただいて、次のパネルにかえたいと思います。

 今、経営規模の拡大ということをおっしゃいました。私も経営規模を拡大すべきだろうというふうに思っていますが、拡大するに当たって拡大のやり方があるというのが次にお示しする図でありまして、これは、東京大学農学部の本間正義教授の出していただいた資料でありますけれども、規模別の平成二十一年産米の生産コストを示したものでありますが、この表を見ると、実は一つのことがわかります。

 それは何かというと、平成二十一年産米と書いてある方の図は現在の生産コストなんですね。フロンティア費用というのは後で説明しますが、この平成二十一年産米というのは、現在の費用でいうと、五ヘクタール以上になると余り変わらない。

 なぜ変わらないかということの説明は、実は、分散圃場という言葉を私もそのとき初めて習ったんですが、要するに、田んぼがいろいろなところに分散をしていると、一定規模以上になるとそこに移動コストがかかるので、生産コストが下がらないということであります。

 その生産コストを本当に下げるためには、このフロンティア費用と言われている、分散圃場を集約化していく。特に米の場合、そういう方向で農地を集約化していったらいいんじゃないかというふうに思いますが、まず、その点について、これは提案として、農水大臣、どういうふうに受けとめられるか。

林国務大臣 これは本間先生が出されたフロンティア費用というもので、まさに委員が御指摘になった、一カ所のところにまとまっているというものもその要因の一つとしてあるのかなと。まあ、それ以外の要因もあるのかもしれませんが。

 したがって、圃場整備、農業のNNの事業をやったりしてやっていくとか、いろいろなことが必要になっていくかと思いますが、そういうことをやるために、先ほど申し上げたように、課題の一つとして位置づけて集積というのは進めていかなければならない、こういうふうに思っております。

浅尾委員 そうなってくると、これは税の面でもいろいろな形でのめり張りをつけていただくということが私は必要なんじゃないかなと。

 つまり、分散圃場を集約化してまとまった農地になった場合の、まずそれを耕す側のインセンティブをさらにつけるとしたら、固定資産税で多少、これはちょっと、固定資産税は減免されている部分があるので、そこだけではプラスにならないかもしれませんが、メリットを与える。

 そして、譲渡する、あるいは貸し出しでもいいんでしょうけれども、譲渡する側に対するメリットということでいえば、譲渡した場合に、これは前に予算委員会で、補正予算の審議のときにも麻生大臣に提案をさせていただきましたけれども、特に分散を解消する形での譲渡の場合は、単純な譲渡所得に対する課税に加えて、その元本分の相続税額については、これを非課税にするといった思い切った対策があってもいいんじゃないか。年間の農地全体の相続税の納税額が一千億ぐらいですから、先ほどのガット・ウルグアイ・ラウンドの六兆百億円ということを考えたら、一世代分ぐらい元本を非課税にするということも大したあれにはならない。

 今申し上げたように、生産コストが大幅に下がるということになりますので、そうした思い切った対策もぜひ考えていただきたいと思いますが、その点について御意見をいただきたいと思います。

林国務大臣 ありがとうございます。

 固定資産税は、まず、委員もちょっとおっしゃりかけたように、農地についてのみ資産価値として無関係な課税というのはなかなかちょっと難しいところもあるのではないかなとは思いますが、譲渡益については、まさに委員がおっしゃっていただいたように、農地保有の合理化等のために農地を譲渡した場合については、譲渡益から八百万円を控除して、控除した残りの額に課税する特別控除というのが認められているところでございますので、これをさらに拡大していきたいという要望も今までも出してきたところでございます。

 相続税の方は、実際の現場の話を聞いたりいたしますと、譲渡があってから相続税までかなり時間がありますと、将来の相続時までずっと保存をしておかなきゃいけないわけですね、それだけの金額を。それで相続財産から控除するということで、まずは特別控除の方を上げていくという方が直接効くのかなというふうに思っております。

麻生国務大臣 集約化、これはもう絶対です。

 理由は簡単で、コンバインを移す時間の問題ですから。コンバインがその場でやれるとなれば、一町田という一つの田んぼ、一反とか三反田から一町田とか、ああいうのでばあっと動かせるようになれば、それはもうはるかに効率がよくなりますので、先ほど言われたような本間先生の数字は全く正しい、私もそう思います。

 その上で、今、農地を相続、売却ということになりますと、これは農地として継続するかしないかというところが分かれ目になりますので、そこのところを考えないと、ちょっと不公平を招きます。なぜなら安いから。

 その意味で、今譲渡しておりますものの平均は、全国平均で大体三百万から五百万なんです、譲渡益。それで、今の税は譲渡益で切ってありますので、さらにそれより低くなりますので、その意味からいきますと、全体額としては、今それほど大きな額はこれによって与えられるとは思いませんけれども、そういったものも必要なものの一つかとは存じます。

浅尾委員 私が申し上げているのはあくまでも農地として使う場合ということで、アパートをつくったり何かすれば、それは全然別の話だということを申し上げておきたいと思います。

 今、我が国の米の消費量というのは大体八百万トンだというふうに思いますが、先般出されました政府の農業に対する影響を読むと、もし関税をなくした場合に、米の輸入がかなりふえる。これは、「既に国産米と遜色のない米国及び豪州産米の輸入により、国内生産量の約三割が置き換わると想定。」と書いてあります。

 ちなみに、農水省は、今国内と同じ品質であるというふうに思います、林大臣も昔アメリカにいらっしゃったからよく御存じだと思いますが、カリフォルニア米の中でジャポニカ米の生産量はどれぐらいだというふうに認識していますか。

林国務大臣 これは二〇〇四年産で、ちょっと古くて恐縮ですが、カリフォルニアのジャポニカ米は、これはピークということですね、最大生産量で百八十三万トン。それから、南部、アーカンソーとかああいうあたりが、二〇〇九年産のときですが、七十一万トンということでございます。

浅尾委員 カリフォルニア米全部じゃないですか、今の百八十万トンというのは。カリフォルニア米の中のいわゆるジャポニカは、私の資料では三十万トンというふうになっていますけれども。

林国務大臣 今、カリフォルニア州で百八十三万トン、二〇〇四年産ですが、一応ジャポニカ米ということです。(浅尾委員「長いものはいかがですか」と呼ぶ)これはジャポニカ米ですから、長粒種は入っていないのではないかというふうに思います。ちょっと待ってください。

 今、元帳を確認してまいりましたが、中短粒種で、ジャポニカ米が百八十三万トン、これは二〇〇四年産のカリフォルニアでございます。

浅尾委員 中短粒種で、アーカンソーでもそんなにつくっているというふうにはとても、そもそも、アメリカでつくっているジャポニカ米、要するに、国宝ローズとか田牧米というものがそれだけの量があるというのは、アーカンソーではつくっていないというふうに私は確認していますので、もし後で訂正されるならそれは訂正していただいても結構でありますけれども、そんなに生産量はないはずだろうと思います。

 ここで私は、ちょっと農水省としてどういう認識を持っておられるかということを伺いたいなと思って、これは質問通告をしておりますが、アメリカ、特にカリフォルニアは、水の利用権、何というか、水がそもそも、雨が降りません。麻生大臣も昔、二年弱カリフォルニアに留学、総理もいらっしゃったと思いますが、多分、いらっしゃっている間に雨が降った記憶というのはほとんどないんじゃないかなと思います。

 雨が降らないカリフォルニアにおいては、水の利用権、これが非常に、判例上も、それからカリフォルニア州の水を利用する州の規則の上においても、非常に厳しい規則がありまして、そもそも水というのが、利用するに当たっては、リパリアン・アンド・アプロプリエーティブ、要するに、川の水利の上に乗っかっている権利と、後からゴールドラッシュのときに水を引っ張ってきた権利と、法的には二つの複雑な権利があって、新規に水を利用しようとしても、そもそもそんなに使えない。

 カリフォルニア州の最高裁で累次の判決も出ていますが、どの程度、水の利用について認識をされておられるのか、伺いたいと思います。

林国務大臣 先ほどの米の数量につきましてはもう一度きちっと説明させますが、私が確認したところでは、カリフォルニア州のピークがああいう数字だったということでございます。

 水利権に関するカリフォルニア州の最高裁判決ということでございますが、ロサンゼルス市の水資源利用に関して、公共財産である水資源の保護のため取水量が制限されるとして、環境保護団体が勝訴した一九八三年の判決というのがございます。それから、水資源の平等な配分を否定し、農民の既得水利権が優先するとした二〇〇〇年判決。

 こういう二つの判決があるということを承知しておりますが、いずれも委員から今お話があったように、市民が勝訴したとか、いろいろな判決が出ているので、ジャポニカ米というか、米がつくれなくなるという制約がかかるような判決ということではないというふうに考えております。

浅尾委員 実は、ここにカリフォルニア州の水利用の規則というのがありまして、この中に、要は、水不足になった場合には、一番最近に水を使った人が一番権利がないというのが規則に書いてあるんです。

 したがって、そこから読み取ると、仮にTPPに入ってカリフォルニア産を増産しようと思っても、万が一、時々カリフォルニアの場合は水不足になりますけれども、水不足になったら、一番最近に利用するようになった人は使えないということなので、そういうことも含めて、ぜひ、別にそれは我が国の手持ちの資料として持っておけばいいというふうに思いますが、そういう調査をされるかどうか、伺いたいと思います。

林国務大臣 ありがとうございます。

 この間お出しした試算は、前回、昨年の、いつだったでしょうか、民主党政権で農水省が出していたものを少し見直しまして、米の置きかわりの幅を少し下げております。

 したがって、前提は変えておりますが、いずれにしても試算でございますので、先ほど申し上げた、カリフォルニア、南部諸州のピークのところから国内の消費量を引いた額が来るだろうという前提にしておりますので、その前提について、今後、いろいろな情報をさらにとって精緻なものにしていくという過程の中で、今御指摘のあったカリフォルニアの水についてもしっかりと情報収集してまいりたいと思っております。

浅尾委員 次の質問に移らせていただきたいと思いますが、次は、我が国の成長戦略の方向性について伺っていきたいと思います。

 まず第一に、大きな方向性として、この分野が伸びるといういわゆるターゲティングポリシーなのか、自由に任せるレッセフェール型なのか、安倍政権はどちらを考えておられるのでしょうか。

甘利国務大臣 これは経済再生大臣としてお答えします。

 よく言われるのでありますけれども、戦後のターゲティングポリシー、「官僚たちの夏」というようなことの再現かと言われるのでありますが、少なくとも今回とろうとしている成長戦略は、今、日本が抱えて、何年かかっても解決をしていかなきゃならない課題を分析して、それが解決された将来像を描いて、そこと今を結んで、その線上にどういう解決すべき問題があるか。そこには、国でしかできない規制緩和とかあるいは基礎研究、あるいは企業がやるべき実用化研究、それを言ってみれば時系列で並べていく、その絵図を描き出そうとしているわけであります。

 それができますと、例えば少子高齢化が、このまま放っておけば産業活力も社会の活力もそいでしまう。しかしながら、少子高齢化であっても活力がある経済社会というのは何かといえば、高齢者が健康で、長寿で、そして元気なうちに産業活動に就業できる、社会活動に従事することができる。そのためにはどういう課題があるかというようなことをロードマップ化していくというやり方であります。

 でありますから、昔のターゲティングポリシー、産業分野を最初から特定してやるということでもなければ、個別の事業ごとに特定していくやり方ともちょっと違う、新しいやり方だというふうに思っております。

浅尾委員 私は、まず国が最低限やるべきことは、企業ができないこと。企業ができないのは何かというと、基礎科学の技術の振興。つまり、いつ花が咲くかわからない基礎科学については、これは国がやっていく必要性があるんだろうなというふうに思います。

 きょう、文部科学大臣に基礎科学の技術の振興費の推移についての数字をいただこうというふうに思っていまして、たまたまなんですが、数字が一致しておりますが、民主党政権になって、本予算を組む前の補正とその次の補正で科学技術振興費が減っている。それから、民主党政権で三回組んだ本予算の中においても累積で科学技術振興費が減っておりますが、累積というのは、だんだんふえてきていますけれども、もともとは大分減らされているということで、これはいろいろな理由があるのかもしれません。一つは、文科省の予算の中で高校無償化というものが入った結果だというふうな説明もされたことがあると思います。

 まず、数字を伺いたいと思います。

下村国務大臣 お答えいたします。

 科学技術関係経費の一般会計分について、平成二十一年度第一次補正予算の執行停止を含む第二次補正予算において、政府全体で合計約二千三百六十三億円が削減されました。そのうち、文部科学省予算では一千八百二十七億円が削減をされました。

 また、今度の予算でございますけれども、科学技術関係予算について、安倍政権において、二十五年度政府予算及び平成二十四年度補正予算の合計が四兆五千九百四十三億円、うち文部科学省予算は三兆六百二億円でございまして、平成二十四年度当初予算に比べ、政府全体で九千二百五十三億円、文部科学省予算では五千九百四十五億円ふやしたところでございまして、科学技術の積極的な振興を図ってまいりたいと思います。

 高校無償化については、これは四千億かかっておりまして、ストレートに科学技術予算を削減して民主党政権で高校無償化に回したとは言っておりませんが、減らされたことは事実でございます。

浅尾委員 両方できればもちろんいいんです。両方できればいいんですが、先ほど申し上げました、国の長期的な基礎的な体力はやはり基礎科学ということになろうかと思いますし、これは必ずしも、いつ芽が出るかわからないということなので、ぜひ基礎科学についてはしっかりと予算をつけていただきたいということを要請させていただきたいと思います。

 次に、では基礎科学にお金をつければそれだけで成長するかというと、今申し上げたように、いつ芽を吹くかわからない。いつ芽を吹くかどうかわからないことだけに頼っていてもいけないので、では、どういうところを、今あるかないか、今ないものだけれども何かやったら生まれてくる可能性がある分野というのが私は成長余地が大きいんじゃないかなというふうに思います。

 例えば、今から二十五年前の数字、そして十五年前の数字をいただいておりますけれども、東京から大阪に電話をした場合に、一九八八年、一九九五年、そして二〇一三年で、それぞれの数字を、総務大臣、読み上げていただきたいと思います。

新藤国務大臣 二十五年前、一九八八年の東京―大阪間の通話料金は三分三百六十円です。そして十八年前、一九九五年の東京―大阪の料金は三分百八十円。そして現在、二〇一三年の東京―大阪間の通話料金は三分八十円でございます。

浅尾委員 これが今おっしゃっていただいたように安くなった理由というのは、NTTの通信回線をそれ以外の事業者に開放した結果、安くなったわけであります。

 一方で、通信業の国内総生産、そして、実は通信料金が、後で数字を読んでいただければと思いますが、その解釈も含めて総務大臣にいただければと思いますけれども、通信料金が安くなった結果、通信事業だけを営むということでいうと、総生産も雇用者も減っています。総生産でいうと多分二千億円ぐらい、雇用者でいうと三万五千人ぐらい減っていますが、その通信インフラの上に、ゲームとかいろいろなソフトウエアとか、そういうものを見ると、恐らく七兆円ぐらいGDPはふえて、雇用も二十万人ぐらいふえていると思いますが、今申し上げたような数字でいいかどうかということと、総務大臣のその点についての解釈を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 御案内のように、電気通信業だけでいうと売り上げの方はさほど伸びておりませんが、電気通信業に加えて、情報サービス業、それから放送業、こういった情報通信産業全体で申し上げますと、これは今、平成二十二年でありますけれども、名目国内生産額は約八十五・四兆円、これは全産業の九%、一割弱を占める、こういうことであります。

 それから雇用者数も、これは通信業だけではそんなに変わらないんですけれども、しかし、情報通信産業全体でいいますと、これが全産業の六・八%を占めるということで、平成七年に比べて二十万人の増加。売り上げでいうと二十六年間で約三倍、それから、事業者数でいうと二社から一万六千社にふえた、こういうことでございます。

浅尾委員 そういう観点でいうと、今、一番大きな、残っている大玉の規制改革は電力の送配電網なんですね。通信網は、先ほど申し上げました一九八八年から開放し始めて、ようやく、二十五年たって今はそれだけの産業になった。そうしたら、電力の送配電網、これも公共インフラですから、これを開放していくという方向性があって正しいと思いますが、担当大臣、いかが思われますか。

茂木国務大臣 基本的には、私、正しい方向だと思います。

 ただ、八〇年代の情報通信の、いわゆるネットワークの中立化、そして独立性の確保と、若干、電力は違いがありまして、今、例えば情報処理とネットワークが一体化をしております。ところが、当時においては、まだ、電力では発電に当たる部分、そういうのは非常に少なかったと思うんですね。これからやはり、電力システムにおいては、まずは調達というか発電の部分、この自由化をきちんと進める。そして、おっしゃるような形の送配電、これがネットワークに当たるわけでありますけれども、これの中立化をどう確保していくか。

 さらには、最終的な需要の部分、消費の部分でありますけれども、今までのエネルギー政策というのは、どちらかといいますと、この消費、需要の方を所与としてどれだけの供給を積み上げるか、こういう発想でありましたけれども、こちらの部分についても、多様な使用形態であったりとか多様な料金メニュー、こういったことを提供することによって、賢く、需要家の方がいろいろなものを選べることによって、需要そのものも落としていく、こういう全体の改革をしっかり進めていきたいと思っております。

浅尾委員 私が申し上げたいのは、二十五年前、通信網を開放したとき、あるいは今から十三年前の段階でも、何が出てくるか、要するに、ITがこれだけ発達するというのはわからなかったわけですよ。ですけれども、例えば今度は電力の市場を自由化していくというと、今は想像できないようなサービスが出てくるでしょう。そのことが経済の成長につながる。それは冒頭申し上げました、できるだけ民間にできる、レッセフェール的な考え方というのはそういうことだということを指摘させていただきたいと思います。

 時間の関係で最後の質問になろうかと思いますが、実は、我が国の企業の、お配りしている資料の中にもありますけれども、きょうは、財務大臣も元企業の経営者でありますし、経産大臣も元コンサルタントですから、よく御案内のことだと思いますけれども、世界各国のROEを比較すると、残念なことに、我が国は一番このROEが低いということでありまして、これの分析というのが、先ほどの農業の分析と同じように、何でそういうふうになるのか、ここをちゃんとしないと成長戦略につながらないんじゃないかという観点から伺わせていただきたいと思います。

 これはどなたにお答えいただくのかわかりませんが、ちょっと時間で、数字を私の方から申し上げた方がいいかもしれません。先に申し上げた上で、それに対する対策も含めてお答えいただいた方がいいかもしれません。

 日本と米国と欧州とで比較すると、ROEを構成する、決めるのは、実は、どれぐらい借金があるか。借金の割合が多ければ、借金の利率が低ければ、資本に対するリターンは高くなります。それから、資産がどれぐらい回転するか。それも、回転数が高くなればリターンが大きくなるんですが、実は、借金の割合と回転率はほぼ一緒なんです。

 一番残念なのは、日本の企業、これは製造業、非製造業ともに利益率が低い。利益率が四・二%というのが日本で、米国は一〇・七%、欧州は一一・七%。

 利益率が低いのはなぜなのか。それは多分、先ほど申し上げましたターゲティングポリシーで、この分野を国がやりなさいよと言ったら、みんな同じことをやっちゃうから、結局、差別化は図れない。だから、利益率が高くなるように、できるだけ自由にさせた方がいいというふうに私自身は思いますけれども、その点について伺って、私の質問を終えたいと思います。

茂木国務大臣 企業のタイプ、産業のタイプによって違うと思いますが、大きく三つぐらいあると思います。

 一つは、委員御指摘のように、日本の場合、ある特定の産業に企業、事業者の数が多過ぎる、こういう問題。そして二つ目には、やはり会社の中でも事業を新しくしていかなくちゃならない、その新陳代謝がなかなかうまく進んでいない。三番目には、グローバルに展開している企業、こういった企業の方が収益性は高いという点で、もっと日本のグローバル企業、特にヨーロッパ型の、素材であったりとかそういうところで、分野は狭いんですけれども、どこも世界が必要とするような会社、こういったことをつくっていくことが必要だと思っております。

山本委員長 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 安倍総理のTPP交渉参加表明をめぐって質問いたします。

 まず、このパネルをごらんいただきたいと思います。地方議会のTPPに関する意見書について、農水省が昨年十月段階でまとめたものであります。これが最新だということで集計を出しているそうです。

 大震災、原発事故の被災県を初めとして、全国四十四の道府県議会が意見書を採択しております。参加すべきでないというのを初めとして、多くの意見書が出ている。市町村議会では、参加するべきでないの千六百五件など、合計二千百四十四件となっております。

 総理は、こうした状況にあることを御承知でしょうか。

安倍内閣総理大臣 地方において、特に農業県においては、果たして農業が守られるかどうか、大きなダメージがあるのではないか、そういう御心配があるんだろう、我々もそのように考えておりました。

笠井委員 その後も決議が相次ぎまして、この三月に入ってからも、宮崎県、そして佐賀県、北海道議会が反対の意見書を、秋田県の男鹿市議会は、三月十五日に、総理の参加表明に対して厳重に抗議する決議も採択をいたしております。

 そこで、TPP交渉に参加をすれば、総理が言われるような、守るべきものを守る、そういう余地があるのか。

 先週の総理の記者会見でも、重要なポイントだと思います、総理は、今まで既に参加をしている国が決めたルールについて、これを後から入っていって、既に決まっていることを蒸し返すことは難しい、ひっくり返すことは難しい、こう言われまして、これは厳然たる事実だ、十分承知の上というふうに繰り返し述べられました。

 私は、それを聞いてえっと思ったんですが、去る八日のこの委員会で質問したときに、新規参入国には対等な権利が保障されずに、交渉の余地さえ奪われるということをただしたときに、総理は、交渉参加条件というのは判然としない、ぼやっとしているという答弁をされました。それが今度は、会見では明確に言われたわけですが、いつ、何によって、そうしたことが厳然たる事実として、十分承知するということになったんでしょうか。

甘利国務大臣 後で総理にも、必要とあらばお答えをいただきたいと思います。

 このTPP交渉は、今年中にまとめるというのがほぼ合意になっているようであります。まとめるときが近づいているのにもかかわらず、ぎりぎりまで参加者がそろうのを待って、それから決めるということであれば、とても決まらないことでありますから、当然、先に参加をしている国々によって話し合いがなされて、それで合意が成立したものについて、後からのニューカマーが入っていって、全部まとまったものを一からやり直すことは極めて難しいということは、いかなる交渉でも当てはまることであるというふうに思っております。

笠井委員 総理は、後から入って、既に決まっていることは蒸し返せないということを言われたわけです。

 総理、これはもう総理に答えていただきたいんですが、では、その蒸し返せないということ以外に、日本が後から入ってやった場合に、これはできないということはないんでしょうか。総理。

安倍内閣総理大臣 先般、この委員会においてお答えをしたときもそうだったわけでございますが、現在の段階で、どこまでが、どういう話し合いがなされ、合意がされているかということについては、まだ十分に情報がとれていない、判然としないわけであります。

 しかし、基本的には、後から入っていった段階において、明確に話し合いができていて合意が形成されたものについては、それをさらに蒸し返して、ひっくり返すのは難しいという認識について、先般、表明の際にお話をしたところでございますが、現段階においてはまだ、残念ながら、十分に、どこまで議論が進んだかということについては明らかになっていないわけでございますが、関税を初め、まだまだこれから議論ができる、ルールを決めていくことができる分野は残されている、このように判断をしております。

笠井委員 アメリカなど九カ国以外に後から交渉に参加したメキシコ、カナダについては、私、質問でもただしましたが、三つの不利な参加条件の念書があったとされている。

 一つは、現行の交渉参加国九カ国が既に合意した条文は全て受け入れて、再協議は行わない。二つ目に、将来、ある交渉分野で現行九カ国が合意した場合に、拒否権を有さず、その合意に従わないといけない。三つ目に、交渉を打ち切る権利は九カ国にあって、おくれて交渉入りした国には認められないというものでありました。

 総理は、会見の中で、そういう念書について我が国は受け取っていないというふうに言われましたけれども、ということは、メキシコ、カナダが念書を受け取ったことは知っていたということで受け取っていいんでしょうか。総理。

鈴木副大臣 委員御指摘のとおりのいわゆる三つの条件について、念書というものを我が国は受け取ってはおりません。

 そして、外国との今、情報収集、その関係もございますので、カナダ、メキシコに問い合わせたかどうか、それも含めて、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

笠井委員 言えないというのはおかしいですね。

 では、メキシコ、カナダが参加表明したのは一昨年十一月ですが、その後、参加が認められた昨年六月までの間に受け取ったと言われているのが三つの条件についての念書でありますが、日本にも同様に、先週総理が参加表明されたその後に、こういう条件がついた念書が来ることはないんでしょうか。総理、いかがですか。ないと言えますか。

安倍内閣総理大臣 今、鈴木副大臣から答弁させていただきましたように、まだ我が国には念書は来ていないわけでございまして、これからどうなるかということについては定かではないということでございます。

笠井委員 まだ定かではないと。まだ来ていない、定かでないということは、来る可能性があるということかもしれませんが。

 あれこれ言いますが、今後、日本がそういった念書を受け取らないとは言えなかったわけでありまして、そうなれば、ルールづくりに参加するどころか、アメリカなど九カ国で合意したことの丸のみを迫られる、これがTPP交渉ということになってしまいます。

 総理は、これから交渉に参加してルールづくりに加わると言われますけれども、では、それで果たして守るべきものが守られるのか。

 そこで確認しますが、関税についてですが、日米共同声明の第一段落のところがあります。そこにもあるように、日本が交渉に参加すれば、全ての品目が交渉の対象とされて、関税撤廃が求められて、それを目指して高い水準の協定を達成していく、こういうことになるというのは、それでよろしいわけですね。

安倍内閣総理大臣 ここに書いてあるように、「「TPPの輪郭」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する。」このように書いてあるとおりでございます。

笠井委員 このパネルは、二〇一一年の十一月の外務省の資料であります。

 日本の関税品目数は今、鉱工業製品を含めて全部で九千十八ありますけれども、そのうち、これまで日本が結んできた自由貿易協定でも、要するに、これだけは取引できない、守らなきゃいけないということで、米、小麦、砂糖、乳製品、牛肉、豚肉、水産品等九百四十品目を関税撤廃の対象から外してきたわけです。除外してきた。いっぱいあるけれども、これだけはだめだよと頑張ってきたというふうな経過だったと思うんです。

 しかし、これら最後に残ったものも関税撤廃を求められて、高い水準と今総理言われましたけれども、そういう達成を目指していくということになる。そうしますと、幾ら頑張るといっても、例外が認められて守られる保証がないと思うんです。

 そこで伺いたいんですが、関税を撤廃した場合の試算というのが今度政府から出されました。農林水産分野では、米の生産額は一兆百億円減少して、小麦の生産は一%しか残らないなど、三兆円が失われる。砂糖やでん粉などでも全滅ということで、これは沖縄や離島だけじゃなくて、小麦とともにてん菜、ジャガイモ、輪作をしている北海道にとっても壊滅的な打撃だ。食料自給率も四〇%から二七%に低下する。こう試算に書いてあります。

 総理はこの試算をめぐって、記者会見で、ピンチをチャンスにする、こう言われました。先ほどもおっしゃっていました。このピンチというのはどういう意味ですか。

安倍内閣総理大臣 この試算については、甘利大臣から当日御説明をしたように、即時全てゼロにする、そして何の対策もしないという前提でございまして、事実上そんなことは起こり得ないわけでございます。しっかりと対策も行ってまいりますし、我々、関税においても、守るべきものは守るために必死の交渉を展開していくわけでございます。

 そこで、ピンチとは、つまり、マイナス三兆円と言われておりますが、これはそうではなくて、実際にしっかりと守るべきものは守りながら、同時に、農業の可能性を引き出していくことによってチャンスに変えていきたい、こう考えているところでございます。

笠井委員 総理はあれこれ言われたんですが、だけれども、この参加表明をするに当たってこういう試算を発表して対策をする、そして守るべきものを守るとおっしゃること自体が、要するに、関税撤廃ゼロを求められる、聖域なき関税撤廃が前提の交渉だから、だから、それらに備えるために、最悪これだよ、ピンチだよというふうに言っているということじゃないんですか。

安倍内閣総理大臣 いわば私どもが、どういう影響があるかということでお示しをする中において、かつてつくっていた資料は各省ばらばらだったものを、内閣府で統一をして、甘利大臣のもとで集計して発表させていただいたわけでございます。

 そこで、一つの指標としてお示しをしたのでございますが、その中において、農業は三兆円という大きなダメージを受ける。それは、即時、関税を全て撤廃して、何も対策を打たなかったらということでございまして、そもそもそういうことにはしないということは、もう既に安倍内閣の方針として決めていることでございますし、即時に全てが関税ゼロにならないように、我々は、当然守るべきものは守るための交渉をしていきますし、その中において、ピンチをチャンスに変えるための、さまざまな農業の可能性を引き出していくための対策を打っていかなければならない、そのように考えております。

笠井委員 でも、さっき確認したみたいに、全てがゼロを目指してということで、それのテーブルに着くということですよね。その中で、結局、目指すところの、高い水準でいくというのは、ゼロに向かっていく。それは、即時じゃなくても、五年、十年を含めてそういう方向でやるという交渉だから、最悪ここだという話をやはり試算するという話じゃないですか。

 TPPは農業だけじゃありません。投資やサービス分野、知的財産を初めとして、暮らしと経済のあらゆる、二十一分野とも言われる分野が交渉対象とされて、貿易の制限撤廃が求められることになる。

 総理は記者会見の中で、こうした非関税措置の分野については交渉の余地があるということについては一切言われませんでした。関税分野はあるんだというふうには言われたけれども、非関税分野については余地があるという話は一切なかった。非関税分野については交渉しないで撤廃を受け入れるつもりなのか。そういうつもりでしょうか。

甘利国務大臣 TPP交渉は、関税だけではなくて、御指摘のように、サービス、規制、いろいろな分野の障害を撤廃するという話し合いであります。

 先ほどの質問の中にもありましたように、植物検疫一つとってみても、これがきちんとした知見に基づいて適切に対処されるならば、日本の農産品は幾らでも輸出の拡大があるんだとか、あるいは知財の件に関しても、知財管理がきちんと行われていけば、日本の模倣品、海賊版の被害はうんと減る。真正品の十倍ぐらいまがいものが出回っていると言われますから、これは大変な日本の利益にかかわってくることだというふうに思っております。

 そういうもろもろの余地はたくさんあるわけでありまして、我々がまだ交渉に参加しておりませんから情報は限られておりますけれども、現時点の中で、完全に話し合いがついた部分というのはそんなにまだ多くはない。ということは、いろいろな分野で交渉の余地があるということであろうというふうに思っております。

笠井委員 非関税措置の分野について言うと、今いろいろ甘利大臣言われたんですが、では、政府の発表した試算というのは関税撤廃の分野だけですよね。それについての試算を出された。なぜ、非関税分野の影響試算について、今いろいろ影響があると言われたけれども、それについては出さなかったんですか。

甘利国務大臣 これは、関税を撤廃した場合にどういう経済効果があるかというのは、ちゃんとモデルがあるわけですね。確立したモデルがあって、そのモデルは年々アップデートされているわけであります。それを使って試算をした。

 これは、あくまでもその分野に限ってこういう影響があります、それ以外のもろもろについては、これからいろいろ交渉の中でやっていくことであって、それについて一つ一つ、これがどう経済効果になるというのは、なかなか計算式というのはないんじゃないかというふうに思っております。

笠井委員 GTAPモデルの話をしているのかもしれませんが、しかし、国民にとっては、さっき大臣が言われたみたいに、非課税分野だってたくさんの重大な懸念事項とか問題があると言われたわけですよね。

 これは、参加するということで、交渉参加表明するに当たって、国民が、これは本当にいいのかという話のときには、トータルとして、モデルが確立したという問題じゃなくて、例えば、非関税でもこの分野だったらこういう影響があるとか、今あるいろいろな手だてだって、数は出せるはずじゃないですか。それも全く出さずに、全体としてプラスマイナスがよくなるみたいな話だけ流す。これは国民を欺くものだと思いますよ。

 日米共同声明が引用しているTPPの輪郭、アウトラインでも、「関税並びに物品・サービスの貿易及び投資に対するその他の障壁を撤廃する。」これが原則だというふうに明記しております。これに基づいて、アメリカは、先ほど来議論もありましたが、日本に対して、さまざまな障壁の撤廃を求めて、既に自動車や保険分野、協議が行われていると、あの共同声明の三項目にも書いてあります。

 そこで伺いたいんですが、総理、これは当事者ですので、「その他の非関税措置に対処し、」「なされるべき更なる作業が残されている。」というふうにあります。つまり、自動車、保険以外に、その他の非関税措置に関して、米側から何を要求されて、どういう作業が残っていると首脳会談では話し合って、ああいう文章になったんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この第三パラグラフにありますように、「TPP参加への日本のあり得べき関心についての二国間協議を継続する。」つまり、今まで既に協議を行っていたものを継続するということを確認したわけでございます。

 そこで、自動車部門、保険等々書いてあるわけでありますが、「その他の非関税措置に対処し、」ということでございますが、まさにこれは、さまざまな非関税分野について今現在交渉を行っているということでございまして、交渉中でございますので、まだつまびらかには余り申し上げることができないということでございます。

笠井委員 今回の総理の決断に先立って、自民党が出したTPP対策に関する決議というのがございますが、この中でも、ポツ二のところの二項目めに、その項目として三つ挙げていて、TPP交渉参加については、国民の間にさまざまな不安の声が存在しているぞと書いてあって、三項目あって、その二項目めにこうあります。

 例えば、この二項目めですが、「国民の生活に欠かせない医療分野でも、これまで営々と築き上げてきた国民皆保険制度が損なわれるのではないか、また食の分野においては、食品添加物や遺伝子組換え食品などに関する規制緩和によって食の安全・安心が脅かされるのではないか、との強い懸念が示されている。」こうありますけれども、これらの問題が米側との協議事項になっていないんですか。

甘利国務大臣 御指摘の御心配でありますけれども、現在のところ、遺伝子組み換え作物であるとかそのラベリングについての提案はありません。

 それから、農薬の残留基準を含め、個別の食品安全基準の緩和は議論されておりません。

 公的医療保険制度のあり方そのものについても、議論の対象となっていないというふうに承知をいたしております。

 先ほど来御指摘されていますけれども、今回の統一試算はあくまで関税撤廃の効果のみを対象としていまして、それ以外を含まない、その前提に基づいて試算したものであります。

 いずれにいたしましても、御指摘のような国民の不安、懸念がないようにしっかりと対応してまいります。

笠井委員 今、現在のところありませんと言われました。

 しかし、その中で、公的医療保険制度の問題について言えば、それ自体が俎上にのらずとも、金融サービスの問題で民間保険とか、あるいは投資分野で株式会社の参入、それらが対象にならない確証はないわけですし、それについて触れられませんでした。それらがアリの一穴になって、そして壊されていくおそれがある、まさにそういう指摘と懸念があるわけです。

 混合診療が解禁をされて、保険証一枚でどこでも医者にかかれるという日本の国民皆保険制度が崩されかねない、これが現実の懸念としてあるわけです。実際、そういう問題を含めて、さまざまな問題を通じて、そういうことがないのかどうか。

 しかも、食の安全に関しては、今までのところはないと言うけれども、では、これからそういうことが持ち出されないという保証はないのか。

 つまり、日本が今、総理が参加表明された。これから各国が、それじゃ結構ですよと言って、ずっと言っていくというようなのがまだ残っているわけですね。アメリカはまだあります。アメリカだってまだ事前交渉の段階でやりとりしている。そういう状況の中で、さらに議会で九十日あるわけですが、そういう中で、今後もそうした問題が協議対象として持ち出されないという保証はありますか。

甘利国務大臣 国民皆保険制度は日本が世界に誇る制度であります。これが揺らぐようなことは一切ありません。

 そして、食の安心、安全で国民が不安を抱くようなことがない、この点をしっかりと約束させていただきます。

笠井委員 金融サービスの問題で民間保険とか投資分野での株式会社の参入の問題が議論にならないということも含めて、言えるんですか。

甘利国務大臣 どんな議論が出るか、それは、こういう議論をしちゃいけないなんということは、口を塞ぐことはできませんけれども、少なくとも言えることは、国民皆保険制度が揺らぐというようなことはありません。

笠井委員 制度そのものを扱って、いきなり壊すなんという話を私は言っているんじゃないんですよ。それにつながる話がいろいろな問題を通じて出てくるんじゃないか、そういう懸念があるから、自民党だって決議をやっているんじゃないですか。

 今、口を塞ぐとかなんとか言いましたけれども、アメリカの方は、事前協議の中でさまざまな問題を要求してきて、これまでも対日要求がありました。そういう問題を通じて、日本がこれものむか、あれものむかということをやってきながら、じゃあいいですよということで、議会に通告をして、それで九十日で、議会もいろいろと、通商権限は議会にありますからね、アメリカは。そこのところでやってくるわけですから、そういう問題について、ではこれからもないという保証はあるのかといったら、本当に大臣、言えるのかという問題になります。

 アメリカの通商代表部のマランティス代表代行は、総理の参加表明を受けましてコメントを出していますけれども、歓迎するということを言うとともに、日米事前協議でなすべき重要な仕事が残っている、協議継続を期待しているというふうに言っております。

 事前協議の段階で、結局、非関税措置の問題でも、アメリカのルール、食の問題だって残留農薬だって全然ルールが違うんです、甘いんです、向こうは。そういう問題をそのまま日本に押しつけられることになる、こうなったら大変だ、このことを強く言いたいと思います。

 総理はこの決断に当たって、自民党内とアメリカと調整をして、私が判断すると繰り返し国会でも答弁されました。しかし、冒頭に申し上げたような地方自治体や国民とは事前に調整をやっていないじゃないか。国民不在、ないがしろの決断で、しかも、どうなるかわからないところに飛び込んでいくという話であります。守れるべきものが守れない。

 TPP交渉参加表明の撤回を強く求めて、質問を終わります。

山本委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 被災地の復興なくして日本の復興はあり得ません。私は、被災地の農林水産業を守るため、日本を壊すTPPには、交渉参加を阻止すべく、地元の方々の声を一生懸命政府に届け、何とかTPP交渉参加を見送ってほしいと訴えてまいりました。

 しかし、安倍総理は、残念ながら、そういう被災地の方々の声に耳を傾けずに、三月十五日に交渉参加を決定してしまいました。残念であります。

 昨年十二月の総選挙で、TPP交渉参加阻止を公約に掲げて戦った自民党の議員は、完全に有権者をだましたと言われても仕方ないと思います。残念です。

 TPP交渉参加表明は、被災地の東北では、大きな不安を持って受けとめられております。

 東北は一次産業の盛んな地域であります。被災からの、農業、漁業の再建を進めております。一方、放射性物質の被害、あるいは風評被害にも苦しんでおります。

 そうした中、被災した農家や漁業者は、借金をして、何年もかけて、農業、漁業を軌道に乗せていかなければならないわけです。

 しかし、もし多額の借金を負って何年も労力をかけて再建した結果、TPPへの参加によって農業、漁業ができなくなる、あるいは競争の激化によって利益が上がらなくなる、こういうことが予想されるならば、被災者は、農業、漁業の再興に力が入るでしょうか。

 TPPは、農業、漁業の復興に燃えている被災者の希望を奪うものだと私は思います。いかがでしょうか。

 そして、TPPに仮に参加するとした場合に、被災地の一次産業に対する影響、これはどのようなものか、把握されていますでしょうか。復興に与える影響というものもあわせてお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 記者会見の際にもお話をさせていただいたところでございますが、復興のために、まさに被災県において農業、漁業地帯が広がっているわけでございますから、そういう復興のマイナス、あるいは足かせにならないように、当然、特に目配り、気配りをしていく必要があるだろう、このように考えております。

 また、試算等については甘利大臣の方からお答えをさせていただきたいと思います。

甘利国務大臣 このTPP、前提を置きます。全ての関税が即時なくなったとした場合、そして、それに対応する国内対策がなされなかった場合ということで、まあ現実的にはあり得ないことでありますけれども、それを前提としますと、輸入輸出、輸入がふえ、輸出がふえますけれども、輸入の金額は輸出を三千億ぐらい上回るわけであります。

 低廉な輸入物資によって消費が喚起をされる、あるいは、それらを通じて投資が起こる等々で、全体の経済効果は、GDPを三・二兆円引き上げるということになります。

 この試算には、それ以外の、関税、非関税部門等々の試算は入っておりません。

畑委員 私は、全体の影響をお聞きしているのではなくて、被災地に対する影響をお聞きしたわけですが、恐らく、そういうのは細かくまだ出していないだろうということだと思います。被災地の議員としては、ちょっとがっかりな答弁であります。

 私は、実は、岩手県の出した試算を持っております。結構大変なんですが、例えば、私はびっくりしたのは、国産ワカメの生産の約六割は岩手県です。その六割の中の九三%は生産が減少するというデータがあって、私はびっくりしました。日本のワカメ産業、漁業の壊滅にもつながると思います。

 総理、今、しっかり手当てしていただくということをおっしゃっていただきましたので、ぜひとも、これからそういう細かいところもしっかり精査した上で、これは被災地に希望を与えなければいけません、復興をそいではいけないので、そこをぜひとも手当てをお願いしたいと思います。

 それで、次に移らせていただきますが、安倍総理は、日米共同声明で、聖域なき関税撤廃は交渉参加の前提になっていないということで判断されたということをお聞きしました。しかし、もちろん、この日米の共同声明は「全ての物品が交渉の対象とされること」と書いてありまして、これまでの国会審議で、入り口で除外の担保もとれていないという御答弁もあったことからすれば、要は、これから国際交渉して決めていきましょう、きょう何回も議論が出ましたが、そういうことだろうと思います。

 ということは、国際交渉では当たり前のことを文書化したということで、何ら画期的なものではないわけです。私も大使館に出たことがありますので、その辺の雰囲気はわかります。もちろん、これは、民主党政権時代、文書にさえできなかったんじゃないかと言われればそれまでですが、ただ、文書そのものが画期的なものではないということはあるわけです。

 私が聞きたいのは、今のような、こういう形で、二枚舌とも批判されるような形の判断になるかもしれない部分があったとすれば、残り五つの条件、これについて割と曖昧なんですよ、今でも書き方が。そして、交渉において、これは達成されたんだ、セーフだということをやって進めていくのではないかなという雰囲気を危惧しております。

 この五つの条件について若干お聞きしたいわけでありますが、五つのうち四つくらい、端的に、個別的にお伺いしたいと思います。

 一つは、自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れないということが言われております。この自由貿易の理念に反する数値目標とは何なのかということです。

 これは、数値目標そのものが自由貿易の理念に反するのか、あるいは、数値目標の中で自由貿易の理念に反するという限定が付されるのか。かつて、日米自動車協議なんかだと、自主的に民間が設定した努力目標は数値目標じゃないといって、たしか扱ったこともあると思います。こういうことが、政府が設定した目標のことを言っているのか。

 あるいは、安全基準はここで言う数値目標ではないと思いますが、そこの確認をしたいと思います。

 例えば、米韓FTAでは、排出基準設定について、米国方式を導入して、韓国に輸入される米国車に課される排出ガス診断装置の装着義務、安全基準認証などについて、移行期間の設定、一定量までの義務免除など、米国に配慮しているわけです。この安全基準というのは数値目標ではないと思いますが、そこを含めてお答えいただきたいと思います。

甘利国務大臣 工業製品というのは、例えば、これくらい、この製品について販売を確保せよとか、本来、自由な市場で消費者が選択をすべきものについて具体的な数量の目標を課すというようなことは、これはあってはならないことだというふうに思っております。

 安全につきましても、それぞれ、その国の安全基準には違いがありますが、その国の国情を反映した安全基準の違いは当然あろうかと思います。

 車でいえば、右ハンドル車、左ハンドル車が走るときに、当然、それからくる安全基準の違いはあるんだと思います。例えばヘッドライトというのは、大体、センターラインの付近から障害物があるかないかをしっかり照らすのでありますけれども、右を走る車と左を走る車ではセンターラインが違うわけでありますから、光の焦点の当たるところも違ってくるでしょう。

 それぞれ、国のルールの違いによって安全基準が微妙に変わってくる。そこは、きちんと大もとのルールに合わせるようなことも必要だというふうに思っております。

 ただ、そういう右を走るか、左を走るかの違いに影響を受けないというようなところで、国際基準からいってこのくらいは妥当ではないか等々の話はあろうかと思いますけれども、その国の安全基準を損ねるようなものについて、それをどうこうしようというのは受け入れられないというようなことだというふうに思っております。

畑委員 安全基準は数値目標ではないということと理解いたしました。ちょっといろいろ、長々の議論でしたが。

 そしてもう一つは、数値目標というのは民間が主体的にやるものは入るのか入らないか、お答えが不十分でしたが、政府が設定する数値目標はということでしょうか。そういうふうに理解しまして、うなずいておられるので、そういうことでよろしいと思います。

 ちょっと何点か、次を続けます。

 国民皆保険制度を守るということなんですが、ここで言う国民皆保険制度の意味ですが、制度の大枠を守るということなんでしょうか。

 端的にお聞きします。一部特区において混合診療を解禁するということは、これは国民皆保険制度を守ることに当たるかどうか、端的にお答えください。

甘利国務大臣 済みません、もう一回言ってください。

畑委員 特区をつくって、その特区において混合診療を解禁するとしたらば、それは国民皆保険制度を守ることに当たるのかどうか、そこを確認したいと思います。

甘利国務大臣 それとTPPと、どういうかかわり合いがあるのかがよく理解できませんが。

畑委員 実は、これは自民党の政権公約の中で、TPPの、「わが党として判断基準を政府に示しています。」と書いている中の一つですので、当然、公約をつくられた自民党であれば、整理して公約を書いたと思いますので、答えられると思ったわけですが、整理されていないということなんでしょうか。

 簡単に申し上げます。

 地域を限定して、ある地域で例えば実験的に混合診療を解禁したりして、そういう制度をとる、つまり、ある一定の地域で、今の国民皆保険制度は混合診療はまだ解禁していませんが、一定地域で混合診療を解禁するような制度をやったとして。

安倍内閣総理大臣 現在、安倍政権において、特区において混合診療を行うということについては全く考えてはおりませんが、いずれにせよ、特区制度については、我が国の主権的な判断で行うものであって、いわばTPPの中において特区が義務づけられるものではありませんし、この地域において特区をやるということを約束するということは全くないということは申し上げておきたいと思います。

畑委員 うまくかわされておりますが、そういうことをした場合にはどうなんだとお聞きをしたんです。

 要は、私が思ったのは、この国民皆保険制度、例えば健康保険制度の大枠には手をつけないで、個別の話なので細かくはお答えいただかなくてもいいですが、アメリカで開発したがんの新薬など一部のものを健康保険の対象外とするように要求する可能性が、米韓FTA同様、あるのかもしれないと思うんです。そういうのを一気にやらないで、では、例えば特区みたいなところでそれをやりましょうといった場合どうなのかという問題意識でお聞きしたんですが、これは十分な検討がまだまだということだと思います。

 そして、三点目をお聞きしたいんです。

 食の安心、安全の基準、これも基準の中の一つにありますけれども、この基準とは何なのかということをちょっと確認したいと思います。つまり、今の食の安全、安心の基準とは、日本のこれまでの、今やっているような基準と同様と考えていいのかどうか。これからのことでしょうが。

 というのは、例えて言うと遺伝子組み換え食品なんですが、これは日本やEUは表示義務がありますけれども、アメリカでは表示義務はないわけですが、アメリカでは恐らく表示しなくても問題ないと考えられているから、こういう扱いじゃないかと思います。

 そういうことを踏まえて、安心、安全の基準というのは国際的にいろいろ考え方が違うわけです。そこはどういうものが食の安心、安全の基準、自民党の公約で書いているんですよ、守りますと言っている部分の。そういうことなのか、お伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 食の安全、安心というのは、日本は、国際基準、それから国際基準の中でも、合理的、科学的な理由がある場合には上乗せ基準ということが認められているわけであります。その基準に従って日本は安全基準をつくっております。それに不安を与えるようなことは受け入れないということであります。

 それから、先ほどから個々の質問がありますけれども、質問通告をいただければ、詳細についての質問についてはお答えを用意しますけれども、全く質問通告がないことでございますので、資料が用意されておりません。

畑委員 実は、細かいところを聞こうと思ったのではなくて、自民党の基準の五つの中にありますので、公約をつくったとき、その辺は整理してつくったという思いの中で、どうなんですかとお聞きしたわけです。

 食の安心、安全の基準は、今の日本のレベルから後退しないのだなと受けとめました。わかりました。そういうことでしっかりお願いしたいと思います。

 それから、ちょっと細かくて済みませんけれども、ISDについてちょっと、議論というか、お聞きしたいと思います。

 これも、「国の主権を損なうようなISD条項」と書いていまして、限定なのか、例示なのか、意味の説明なのか、ちょっと確認したいんです。

 つまり、ISD条項そのものが国の主権を損なうもの、そういう性格だという意味で書いているのか、あるいは、ISD条項の中で国の主権を損なうようなものはだめだよと言っているのか、そこはどっちなんでしょうか。

鈴木副大臣 畑さんとは同じ選挙区なものですから、答えさせていただきたいと思います。

 ISD条項については、我が国がこれまで締結した十五の投資協定と九つのEPA、これにも規定をされておりまして、締約国が必要かつ合理的な規制を行うことを妨げるものではない、こういうことであります。

 それで、今行われておりますTPPの交渉におきましても、これまで得られた情報によりますと、投資の保護と国家の規制権限の確保との間の公平なバランスを保つということで、ISD手続の濫用を防ぐための規定が検討されている、そういうことでございます。

 いずれにしても、お尋ねの点でありますけれども、TPP交渉においては国の主権を損なうようなISD条項は合意しない、こういうことで臨んでまいります。

畑委員 今のお話を承りますと、ISD条項は既に日本のFTAに入っている、だからISD条項を入れることはあり得ると受けとめました。

 問題は、濫訴が問題である、濫訴をするようなISD条項は入れないということなんでしょうか。ちょっとそこを確認したいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま副大臣から答弁をさせていただいたように、既に日本はISD条項について何カ国かと結んでいるわけでございますが、同時に、どういう形態になるかということについてはこれから議論をしていくわけでございますが、そのときにどのような形で紛争処理をしていくかということでありますね。

 例えば、どういう場所でやるのか、何人ぐらいでやるのか、言語も含めてそうなんですが、それにおいて、やはり、日本が一方的に不利になるような条件、これは国益を損なうわけでございまして、その中で各国にとってフェアなものをつくっていくために努力をしていく、そういう考えでございます。

 TPPについては、米国だけではなくて、何カ国も入っているわけでございまして、アジアの国々も多く入っていることでございますから、そういう国々と情報交換あるいは協議をする中において、国益を損なうようなISD条項については、そうしないような交渉ができるのではないか、また、そう努力をしていきたい、このように考えております。

畑委員 わかりました。ISD条項は国益を損なうような形で入ることもあり得るし、そこは交渉していくと。

 ISD条項そのもので不安があるというのが、よくわからない人の考えなんですが、ISD条項は、そこは入ることもあり得るということだと今理解して、伺いました。

 その次に、ちょっと質問を飛ばさせていただきまして、TPP参加の場合の影響の試算について、これはTPP担当大臣に質問通告しておりまして、ここの御質問をさせていただきたいと思います。

 TPP参加の場合の試算、先ほど全体をおっしゃっていただきました。これは三・二兆円の経済効果がある、GDP押し上げ効果は〇・六六%。アメリカは自動車を例外としたいと言われていますが、これは全て即時関税ゼロにしたという前提でやっているということを伺いました。だから、これぐらいの効果があるかどうかというのは、これは今後の交渉次第なわけですが、とりあえずそういう試算だと思います。

 一方、農業の部門の生産額は三兆円減少するとされておりますが、この三兆円というのは単純な生産額の減少だけを見ているのでしょうか。恐らくそうだと思いますが、要は、問題意識は、生産額の減少に伴って耕作放棄地が多くなったり、国土が荒れたりするような多面的機能の喪失というのがありますが、これは恐らく見られていないだろうと思いますし、あるいは、食の安全とか食料自給率低下等といった間接的な効果、負の効果ですね、ここが見られていないだろうと思います。

 実は、工業にちょっと甘くて、農業の部分は一部の負の効果しか見ていないような、数字で考えるとそうなっちゃうんでしょうけれども、バランスのとれないような試算だと思うんです。

 そういうことを勘案すれば、農業の負の効果がもっと出てくる、実は言われているほどメリットがないんじゃないかなと思いますが、そこはいかが評価されていますでしょうか。

甘利国務大臣 農業については、関税が一〇%以上のもの、それから生産額が十億円以上のものについて勘案をいたしております。

 農業生産額が十兆円と言われていますけれども、その関税率一〇%以上、生産額十億以上のもの、三十三品目の合計生産額は、七兆一千億円であります。では、残りの十兆マイナス七・一は無視するのかという心配があるかと思いますが、それはほとんど、関税の影響というよりもむしろ、今でも為替が二割ぐらい変わっております。一〇%以下、十億円以下というのはそういうものに吸収されてしまうということで、影響がTPPによる影響ということではじけないということで勘案しているところであります。

 そうした中で、米が一兆円とか、あるいは牛肉、豚肉数千億というものを足し上げていくと、三兆円ということになるわけであります。

畑委員 実は、これからいろいろ議論を進めていくに当たって、今言ったような試算は、第一歩の試算だと思います。これからいろいろな、そういう間接的な効果というか、農業の多面的機能の喪失も含めた、やはりそういうところも含めた議論をしていかなければならないと思います。ぜひとも、この議論の進展に応じて、情報公開が大事だということだと思います。そういう議論を巻き起こすようなデータを出していただきたいな、このことはお願いでございます。よろしくお願いしたいと思います。

 そして、時間もなくなりましたが、一つ、TPPバスに乗りおくれるなと言う人がおります。しかし、TPPバスはとっくに出てしまっていて、いろいろ今まで議論はありましたが、メキシコとカナダ、詳細、正確なところはわかりませんが、かなり屈辱的な条件をのまされたというような見方もある。TPPバスは乗り合いバスなわけで、本当に今から乗る日本に特等席があるのか、それどころか、普通席があるのか、補助席しかないのかもしれないと思いますが、いずれにしても、しっかり交渉していくことが大事だというのが、今までの議論であります。

 そこで、交渉するに当たって私が危惧するのは、これは、いかに日本が交渉力があって体制を整えようと、国際交渉は仲間がいなければだめです。利害関係を共有する国がなければならない。このTPP関係国の中にあるのかどうか。アメリカ以外は大体、外需依存の小国です。日本に労働力を送りたいし、農産物を買ってほしい。アメリカは、大きい国ですが、今、政策転換をして、輸出主導で、輸入はこれ以上ふやしたくないということになっている。そして農産物を輸出したい。結局、日本だけが、一次産品輸出国ではなくて工業製品輸出国であります。

 端的には日本はどこと組んでそういう有利な交渉をしていくのか。国会議員と同じように、一人じゃできません。やはり国際交渉はいろいろな国と連携しなければなりません。そこをやっていくのか。

 それから、きょうの議論でわかりにくかったのは、何でTPPに入るのか。いや、守るということはわかります。あるいは、国際的なルールをつくっていくという先導役もわかります。ただ、具体的に何が得なのか、そこも含めて、最後に総理からお答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 このTPPは、世界の三分の一の経済圏が誕生しようとしているわけでございまして、その中で自由に物や人や資本が動いていくわけでございます。日本も、まさに貿易立国として戦後、経済を営々と発展させ続けてきたのは、厳然たる事実でございまして、世界が大きく開放経済にかじを切る中において、物も人もあるいは投資も自由に動いていないという国に対しては、人材も集まりませんし、投資も集まってきません。よって、経済を成長させていく上においては大きなマイナスを背負い込むことにもなっていくわけでございますので、ここで私たちは、まさにこのTPPにおいて主導的な役割を担うことによってルールづくりを行い、同盟国の米国とともに、さらに多くの国々が参加をしてまいりますから、その中で主導的な役割を担っていきたい、こう判断したところでございます。

畑委員 TPP、なかなか問題があるし、曖昧な部分が多いというのもわかりましたし、TPPは、単なる自由貿易協定ではなくて、国の形を変えるような、ちょっと異質な部分がある。そこはやはりしっかりとやっていかなきゃいかぬし、そういう意味で私たち、我が党は反対だということでありまして、そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて畑君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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