衆議院

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第16号 平成25年3月28日(木曜日)

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平成二十五年三月二十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 岩屋  毅君

   理事 遠藤 利明君 理事 小此木八郎君

   理事 西銘恒三郎君 理事 萩生田光一君

   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君

   理事 石田 祝稔君

      あかま二郎君    秋元  司君

      今村 雅弘君   うえの賢一郎君

      衛藤征士郎君    大塚 高司君

      大塚  拓君    奥野 信亮君

      金子 一義君    菅野さちこ君

      木内  均君    黄川田仁志君

      熊田 裕通君    小池百合子君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      國場幸之助君    今野 智博君

      桜井  宏君    新谷 正義君

      末吉 光徳君    助田 重義君

      関  芳弘君    田野瀬太道君

      田畑 裕明君    高木 宏壽君

      高橋ひなこ君    渡海紀三朗君

      西川 公也君    野田  毅君

      原田 義昭君    船田  元君

      牧原 秀樹君    宮路 和明君

      保岡 興治君    山本 幸三君

      若宮 健嗣君    奥野総一郎君

      岸本 周平君    玉木雄一郎君

      辻元 清美君    原口 一博君

      福田 昭夫君    前原 誠司君

      山井 和則君    岩永 裕貴君

      坂本祐之輔君    重徳 和彦君

      中田  宏君    中山 成彬君

      西野 弘一君    東国原英夫君

      村岡 敏英君    岡本 三成君

      佐藤 英道君    柿沢 未途君

      佐藤 正夫君    畠中 光成君

      宮本 岳志君    青木  愛君

      村上 史好君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)

   (道州制担当)      新藤 義孝君

   法務大臣         谷垣 禎一君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          茂木 敏充君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    石原 伸晃君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       古屋 圭司君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     山本 一太君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   森 まさこ君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (規制改革担当)     稲田 朋美君

   財務副大臣        山口 俊一君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   最高裁判所事務総局民事局長

   兼最高裁判所事務総局行政局長           永野 厚郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      清木 孝悦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        鈴木 千輝君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     木内  均君

  伊藤信太郎君     熊田 裕通君

  衛藤征士郎君     菅家 一郎君

  塩崎 恭久君     菅野さちこ君

  関  芳弘君     土井  亨君

  中山 泰秀君     黄川田仁志君

  西川 公也君     高木 宏壽君

  原田 義昭君     小島 敏文君

  船田  元君     新谷 正義君

  牧原 秀樹君     今野 智博君

  宮路 和明君     小林 鷹之君

  岸本 周平君     奥野総一郎君

  玉木雄一郎君     福田 昭夫君

  辻元 清美君     山井 和則君

  坂本祐之輔君     西野 弘一君

  重徳 和彦君     岩永 裕貴君

  中田  宏君     小熊 慎司君

  中山 成彬君     村岡 敏英君

  浮島 智子君     岡本 三成君

  柿沢 未途君     畠中 光成君

  村上 史好君     青木  愛君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     衛藤征士郎君

  菅野さちこ君     桜井  宏君

  木内  均君     助田 重義君

  黄川田仁志君     國場幸之助君

  熊田 裕通君     高橋ひなこ君

  小島 敏文君     原田 義昭君

  小林 鷹之君     宮路 和明君

  今野 智博君     牧原 秀樹君

  新谷 正義君     船田  元君

  高木 宏壽君     西川 公也君

  土井  亨君     関  芳弘君

  奥野総一郎君     岸本 周平君

  福田 昭夫君     玉木雄一郎君

  山井 和則君     辻元 清美君

  岩永 裕貴君     重徳 和彦君

  小熊 慎司君     中田  宏君

  西野 弘一君     坂本祐之輔君

  村岡 敏英君     中山 成彬君

  岡本 三成君     浮島 智子君

  畠中 光成君     柿沢 未途君

  青木  愛君     玉城デニー君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     田畑 裕明君

  桜井  宏君     田野瀬太道君

  助田 重義君     秋元  司君

  高橋ひなこ君     伊藤信太郎君

  玉城デニー君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     末吉 光徳君

  田畑 裕明君     中山 泰秀君

同日

 辞任         補欠選任

  末吉 光徳君     塩崎 恭久君

    ―――――――――――――

三月二十七日

 平成二十五年度一般会計暫定予算

 平成二十五年度特別会計暫定予算

 平成二十五年度政府関係機関暫定予算

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十五年度一般会計暫定予算

 平成二十五年度特別会計暫定予算

 平成二十五年度政府関係機関暫定予算


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 平成二十五年度総予算審査の参考に資するため、来る四月三日水曜日、福島県及び宮城県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

山本委員長 平成二十五年度一般会計暫定予算、平成二十五年度特別会計暫定予算、平成二十五年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して議題とし、審査に入ります。

 まず、三案の趣旨について政府の説明を聴取いたします。麻生財務大臣。

    ―――――――――――――

 平成二十五年度一般会計暫定予算

 平成二十五年度特別会計暫定予算

 平成二十五年度政府関係機関暫定予算

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 このたび、平成二十五年四月一日から五月二十日までの期間について、暫定予算を編成いたしております。その概要について御説明申し上げます。

 まず、一般会計について申し上げます。

 今回の暫定予算におきましても、暫定予算が本予算までの応急的な措置であることに鑑み、暫定予算期間中における行政運営上必要最小限の金額を計上することといたしております。

 そのうち、公共事業関係費につきましては、暫定予算期間中における事業の継続的執行を図るため、一般公共事業費につきましては、平成二十五年度予算額のおおむね十分の三を目途に計上することとし、その内容において、積雪寒冷地の事業についてはその円滑な実施を図り得るよう特別の配慮を加えるなど、所要額を計上することといたしております。

 また、地方財政につきましては、四月に交付する地方交付税交付金等に係る所要額を計上することといたしております。

 なお、新規の施策に係る経費につきましては、期間中に特に必要があるものを除き、原則として計上しないことといたしております。

 歳入につきましては、税収及びその他の収入についての暫定予算期間中の収入見込み額を計上するほか、公債金につきましては、公債事業費等の計上額の見合いとして、暫定予算期間中において財政法の規定により発行する公債に係る収入見込み額一兆五千五百億円を計上することといたしております。

 以上の結果、今回の一般会計暫定予算の歳出額は十兆一千八百八億円、歳入金額は二兆四千百九十二億円と相なります。

 十兆七千六百十六億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りにつきましては、必要に応じ財務省証券を発行することができることといたしております。

 次に、特別会計及び政府関係機関の暫定予算につきましても、一般会計に準じて編成をさせていただきます。

 なお、財政投融資につきましても、一般会計に準じて、株式会社日本政策金融公庫等四機関に対し、総額二兆四百四十二億円を計上いたしております。

 以上、平成二十五年度暫定予算につきまして、その概要を御説明いたしました。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房文教施設企画部長清木孝悦君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長鈴木千輝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 次に、お諮りいたします。

 最高裁判所事務総局永野民事局長兼行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧原秀樹君。

牧原委員 おはようございます。自由民主党の牧原でございます。

 三年以上の長い間、浪人をしましたが、こうしてこの場に立って質問をさせていただける機会をいただいたことに、改めて、この間支えてくださった多くの皆様、そして、きょうの機会を与えてくださった委員長、また予算委員の皆様を初め、本当に感謝を申し上げます。

 まず最初ですが、昨日、幾つかの高裁判決が出まして、昨年末に行われました衆議院選挙についての高裁判決が出そろったということになります。

 十六件の判決のうち、十四件が違憲、二件、名古屋と福岡だけは違憲状態ということでしたが、大変厳しいもので、うち二件は選挙自体無効という判決の内容でございました。私も弁護士で、アメリカの弁護士も持っているんですけれども、このような厳しい判決がこんなに出るというのは、余り聞いたことがないことでございます。

 大変深刻に私自身は捉えておりますけれども、まず、総理のこの一連の判決についての御見解をお伺いします。

安倍内閣総理大臣 高裁において、違憲、違憲状態、あるいは無効という判決が出たわけでございまして、この判決に対しては真摯に受けとめていきたい、このように思っております。

 いずれ、それぞれ最高裁で審理が行われることになる、このように思いますので、しっかりと見守っていきたい、こう思っているところでございますが、こうした状況を一刻も早く解消するために政府としても努力をしていきたい、このように思っているところでございます。

牧原委員 私は、この問題は過去の政権の問題ではないと思います。あの選挙で当選した、議席をいただいた私たち全てが、党派を乗り越えて、やはり真摯に取り組まなければいけない問題でありますので、その決意を私個人としてもさせていただきたいと思います。

 ことしの夏、参議院選挙が行われますが、その今回改選期を迎える方々の前回の選挙というときが、まさに安倍総理が一期目のときでございまして、私も大変あのことを覚えております。

 そして、その参議院選挙後に、総理に対して党内からも大変厳しい声が出るという状況でございましたが、総理が続投を支持された。私はそのことを御支持申し上げたいと思いまして、当時の一期生、八十人を超えていましたが、全員に電話をして、四十人以上の方から続投すべきだという支持をいただいて、官邸に持っていかせていただきました。

 そのときに総理が本当に閉じられた空間の中でおっしゃっていたこと二つが、私は非常に印象深く残っております。

 一つは経済のことでございまして、当時、株価は一万八千円あるいは七千を超える、今からすると大変考えにくいぐらいの水準にございました。総理は、せっかく改革を続けてきて、当時はイザナミ景気と言われた戦後最長の景気回復期の最中にもございましたから、ここで歩みをとめるわけにはいかないんだ、日本はもっともっとよくなるんだ、こういうことをおっしゃっておりました。

 再び総理になられた。今、経済再生を進めていただいております。私は、あのときの総理の御決意が今もなお続いていて、必ずこの機に経済を再生しなければいけないというふうに思っていまして、党内でも、そうしたことの責任を、私も一端を担わせていただいております。

 もう一点は、実は財政のことでした。

 当時、安倍政権で、プライマリーバランスが六兆円までいって、もう少しでプライマリーバランスの赤字が回復するという段階まで行きました。これを何としても回復させて、未来にツケを残さないような形をしっかりつくっていきたいというのが当時総理がおっしゃっていたことで、私は大変印象深く残っております。

 その後、プライマリーバランスは、やむを得ない状況もありますが、数年にわたって四十兆円を超える水準にございます。このプライマリーバランスの回復について一応政府目標はございますけれども、一体、財政再建についてどのようなグランドデザインで行うおつもりかということをお聞きしたいと思います。

 具体的に言いますと、骨太の方針二〇〇六のときに、私たちは、いろいろな反発もありましたが、十六・五兆円の歳出歳入改革をやる、うち十一・四兆円から十四・三兆円は歳出削減でやるというようなかなり厳しいことをやって、そしてプライマリーバランスを回復するんだというようなことをやりましたが、このような歳出削減ということをもう一度おやりになるのか。それとも、来年度の消費税増税というような話もありますが、このような消費税増税や、あと、経済再生を通じた税収増、こちらをメーンで考えていらっしゃるのか。

 この辺のグランドデザインについてお聞きしたいと思います。

甘利国務大臣 確かに、過去にいいところまでは行ったんですよね。そこでリーマン・ショックに遭ってしまって、世界じゅうの経済が落ち込んで、また一から出直しというような状況になってしまったわけであります。

 昨年も、七―九の数字では、速報値では年率マイナス三・五で、これは底割れするんじゃないかと。これは、政権がそのまま民主党政権であったとしても、補正予算は組まなきゃならない。そこでまた、財政状況がどうしても悪化する要因が財政出動で出てくるということになったわけであります。

 結論から申し上げますと、どういう手法で財政再建をするかというのは、やはり合わせわざだと思います。極力効率がいい合わせわざでやっていきたいというふうに思っています。

 ですから、成長戦略というのは非常に大事で、成長戦略でしっかり体力を回復して、税収を稼ぐ。消費税はもちろん、社会保障を持続可能なものにしていくということで、いろいろな意味での信頼を得るということになりますけれども、財政再建の要素もあるわけであります。その成長戦略と消費税だけでこれがつじつまが合えばそれがベストだと思っておりますけれども、それだけでなかなかうまくいかないところもある。ですから、歳出を最大効率化して、無駄を省いて、そこでもしっかりとカウントしていくということになろうかと思っております。

 いずれにいたしましても、年央をめどに過去の骨太方針のようなものを出す予定にいたしておりまして、あらあらの方向性をつけていく。今、政府自身が掲げております目標は、二〇一五年に二〇一〇年比でのプライマリーバランスの赤字幅を半分にしていく、二〇二〇年にはこれを黒字に持っていく。正直、かなり厳しい目標でありますけれども、目標は取り下げず掲げて、全力でこれに向かっていきたいというふうに思っております。

牧原委員 ありがとうございます。

 この財政再建の問題というのは、私は本当に、未来のことを考えて、我々の世代がやらなきゃいけないことだと思います。ぜひ、総理におかれましては、あのときの思いをそのままこの機会で実現していただきたいと思いますし、私たちもそれをしっかりお支えしたいと思います。

 続きまして、今、甘利大臣の方からもございました、安倍政権のいわゆるアベノミクスと言われている一本目の矢、二本目の矢は既に放たれたという理解があるんですけれども、三本目の矢について、何となく今、政府の産業競争力会議等で出るのを待っているんだというふうに受けとめている方が多いんですね。しかし、私はそうは思わなくて、既にいろいろ打たれている手全体が三本目の矢になっていると理解をしております。

 特に、私にとりましてはライフワークでもございます世界の中での通商戦略について、三月十五日に、大変難しい中、TPP交渉参加の御決断をされ、そして二十五日には、ファンロンパイEU大統領と日・EUのEPAの交渉の開始を合意されて、翌二十六日には、これは前政権で交渉入りを決めたことではございますが、日中韓の交渉がいよいよ具体的にスタートしました。

 これは、私は専門家として申し上げると、本当に何十年も課題になっていたことがこれだけ短期間に一気に動き出したというのは、歴史的な偉業だと思います。ただ、これはまだ交渉に入ったという段階でございますけれども、世界をまたぐ、日本を軸としたような通商戦略というのは、まさにこの三本目の矢の大事な部分じゃないかと思いますが、この点についての総理の御見解をお伺いします。

安倍内閣総理大臣 私は、先般、TPP交渉に参加する決意を決めました。そのことについては、まさに今、牧原委員が御指摘をされたように、日本の通商戦略として、今大きく世界は開放経済にかじを切っているわけでありまして、日本もその中で中心的な役割を担い、そして、日本こそルールづくりの主役として、世界が開放経済の中で、それぞれが開放経済をつくっていく中において果実を享受できるようなルールをつくり、そして日本も国益を増進させていくべきではないか、そう判断をしたわけでございます。

 成長戦略においては、日本の人口は当分の間減少していくわけでございますが、アジア地域においては、中国もインドもベトナムも、ASEAN、人口がふえていくわけでありまして、このダイナミックな成長を日本の成長に取り入れていくことは、絶対に日本の成長にも必要なわけでございます。その中でルールをつくって、人、物、金が自由に行き交うことによって、日本もさらに成長していくことができるし、日本の中で新たなイノベーションを生んでいくことにもつながっていくんだろう、こう思う次第でございまして、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

牧原委員 ぜひお願いします。

 この点について、一点だけ。

 私も経済産業省で専門家として交渉に参加していたことがあるんですけれども、これは大変なことです。本当に分野も広いですし、そして、日々、条文案について、各省庁、これでいいかと合い議が飛び交うという中でございます。

 もう一つ、この分野はすごく専門性も高い分野でございまして、よく私は腕相撲の例を出すんですが、組んだ瞬間に相手が強いかどうかわかるというようなことが交渉はあります。

 そういう意味で、今、交渉体制ができたようですが、ぜひその中に、既にもう引退をしてしまったけれども経験豊富なOBの方とか、あるいは民間で御専門にされているような方とか、そういう方も含めて入れていただいて、あと、一番よくないのは、交渉、TPPは長引かないかもしれませんが、長引くと、官の場合、人事ローテーションで入れかわっちゃう場合があって、そうすると、またリセットになっちゃうんですね。これがなるべくないようにしていただきたいと思います。これは提言で申し上げます。

 次に、原子力の事故についてちょっとお伺いをしたいと思います。

 この間、ネズミが原因でまた停電が起こってという、ちょっと信じがたいような事故が起こって、改めて総理が、原発事故は収束していないんだという見解を示されたことを、私はその正しさを評価させていただきます。

 大切なのは、この事故は誰が悪かったと責めることではないと私は思っていまして、この事故が起こったことをきっちりと記録に残して、そして、これを後世やあるいは世界が教訓とできるようにすることが大切だと思います。関東大震災のときに、当時の後藤新平市長が、大変詳細な記録を残せということを指示されて、そのことをいまだに我々が教訓とできるということがありまして、ぜひこうしていただきたいんです。

 このことについて、まず、私、当時、浪人中でびっくりしちゃったことがございまして、それは、政府がかなり議事録が残っていないんだというような話がございました。この点について、改めて、どういう状況であったのか、そして、その後どうしたのかということについて確認をさせていただきたいと思います。

 公文書については稲田大臣が担当ということなので、よろしくお願いします。

稲田国務大臣 ただいま委員御指摘のように、原子力災害対策本部を初めとする五会議について議事内容の記録が未完成であったということは、大変遺憾なことだと思っております。

 本件については、昨年の一月に、これらの会議の議事内容の記録を速やかに作成するということとされて、昨年の三月には議事内容の記録が公表されたところでございます。また、再発防止として、昨年の六月に行政文書の管理に関するガイドラインを改正して、原子力災害対策本部のような政策等を決定する会議については、発言者名及び発言内容を記録した議事概要または議事録を作成すること等、ルールを定めたところでございます。

 公文書管理を担当する大臣といたしまして、このような歴史的な災害に対応するために設置された重大な会議等の議事の内容の記録が適切に作成され、そして保管をされることに努めるとともに、公文書というのは本当に国民の財産でもございますので、きちんと作成、保管、管理に努めてまいりたいと思っております。

牧原委員 ありがとうございました。

 時間となりましたが、この原発事故については、例えば、SPEEDIがうまく活用されなくて、一番放射能濃度が高いところにみんなを逃がしてしまったとか、いろいろなことがございます。ぜひ、安倍総理を中心として、歴史に残るような検証を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて牧原君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本三成君。

岡本委員 公明党の岡本三成でございます。

 昨年当選をいたしました一期生議員でありますけれども、このような質問の機会を頂戴いたしました、委員長を初め委員の皆様に、心より御礼を申し上げます。

 また、初めての予算委員会での質問ですので、ふなれなところもあるかと思いますが、どうか御容赦をいただければと思います。

 私は、日本で生まれまして、日本、イギリス、アメリカで教育を受けまして、その後、アメリカの金融機関に就職をいたしまして、ロンドンやニューヨークで二十二年間働いてまいりました。その経験をもとにいたしまして、まず初めに、総理そして外務大臣にお願いをしたいことは、ぜひもっと積極的に諸外国に訪問していただきたいということであります。

 国会期間中でありましても、国益を向上させるために、総理にしかできない職責があるというふうに思いますし、外務大臣にしかできない職責があるというふうに思っております。国際会議に出席をされるときにも、トンボ返りされることなく、前後で開かれております非公式なカクテルパーティー、または、その周辺国に訪問することもぜひ御検討いただければと思います。

 私が議員になる前に勤めておりました会社の役員会に、ブッシュ前大統領が、勇退されました後にゲストスピーカーとしておいでになりました。その中で、アメリカ人を前に、ブッシュ大統領はこうおっしゃいました。ブッシュ大統領が在任期間中に最も好きだった外国の要人の一人は小泉総理でしたと。そして、この小泉総理を困らせてはいけないということで、アメリカ政府として日本に要望すべきことの幾つかは、この私が抑え込みましたというふうにおっしゃいました。

 そのお話を聞いて、やはり外交といっても、人がするものだなということを改めて痛感をいたしました。

 また、前ヒラリー国務長官は、四年間の任期中に、外務大臣の役職といたしまして訪問された国の数、百十二カ国であります。国連加盟国が百九十三カ国ですので、四年間の任期中に、何と六〇%の国を訪問されています。これは、単純計算しますと、二週間に一回、新しい国を訪問されているわけです。この中で、アメリカと他国との信頼関係を深めまして、自国の主張を伝え、自国の味方をつくり、そして外交的な勝利をかち取られていらっしゃいました。

 ぜひとも、総理、外務大臣には、縦横無尽に世界じゅうを飛び回っていただきたいと思います。

 その上で、本日は、外交問題について質問させていただきます。

 まず、日中関係についてお伺いをいたします。

 三月十四日に習近平氏が国家主席に就任をいたしまして、三月十七日には王毅氏が外相になられました。御存じのように、駐日大使であられまして、物すごい日本通。これは、日本に対する大きなメッセージを中国が発しているのではないかというふうに私は思っておりますけれども、日本政府としてのこの習近平体制に対する基本的な認識をまずお聞かせいただければと思います。

岸田国務大臣 まず、委員の方から、総理、外務大臣の海外出張につきまして御理解をいただきました。心から感謝を申し上げます。ぜひ大きな責任を担って外交に取り組んでいきたいと存じます。

 そして、新しい中国の指導部体制についての御質問をいただきました。

 先般、十七日に閉幕しました全人代におきまして、習近平共産党総書記が中国国家主席に選出されました。そして、中国の新しい指導部人事が決定されたわけです。

 まず、この新しい指導部のもとで示された国家の目標としましては、経済成長、社会の安定、そして社会の公正、この三つが大きな目標として掲げられました。

 しかしながら、今回の指導部交代につきましては、安全性あるいは継続性が重視されていることから、大きな政策の変更は想定されないと考えられております。

 ただ、新指導部の政権運営についてはしっかり注視していきたいと思っておりますし、そもそも、我が国にとりまして、日中関係は最も重要な二国間関係の一つであります。そして、両国は、世界第二の経済大国と第三の経済大国であります。地域及び国際社会の平和、発展に大きな責任を両国は担っていると考えます。

 我が国としては、中国の新指導部とともに、大局的な見地から戦略的互恵関係を進めていく用意があります。安倍総理もたびたび述べておりますように、我々の中国側との対話のドアは常にオープンであると考えております。

岡本委員 二〇〇八年から毎年開催をされております日中韓首脳会談ですけれども、報道によりますと、ことしは五月の二十五日と六日にソウルで開催する予定で準備が進められているというふうにされております。

 中国の李克強新首相、韓国の朴槿恵大統領と初めての首脳会談になる可能性があるわけですけれども、外交会談といたしましては極めて重要なものになると思います。加えまして、この機会に、日中の二国間のトップの会談を実現できるかどうかということも大変重要だというふうに思いますが、現時点で、この首脳会談の準備がどこまで進んでいらっしゃるのか、また、実現した暁には、どのように日中関係の改善について取り組んでいただけるのかということをお聞かせいただければと思います。

岸田国務大臣 日中韓サミット、そして、それに先立って、例年ですと日中韓の外相会談が行われております。

 日中韓サミットについては例年五月ごろに行われているということでありますが、ことしの日中韓サミットの議長国は韓国でありますので、今、韓国を中心として日程調整中という段階であります。少なくとも、我が国は、日中韓サミット開催について前向きに考えていきたいと考えております。

 御指摘のように、日中韓サミットが実現いたしますと、中国及び韓国において新政権が発足後、初めての首脳同士の顔合わせの機会となります。ぜひ、こうしたサミットを通じて、三国間の未来志向の協力を強化していきたいと考えておりますし、この機会を捉えて、日中韓の首脳においても意思疎通を図ることができれば、これは有意義なことではないか、このように考えています。

安倍内閣総理大臣 新たに国家主席に就任をされた習近平氏も、国務総理に就任した李克強総理も、またあるいは、韓国で誕生した朴槿恵大統領も、大体私と同じ世代であります。習近平主席あるいは李克強総理就任に際しては祝電を発出したところでございまして、こうした方々としっかりと意思疎通をさせていくことは、地域の平和と安定に資するもの、このように思っております。

 そこで、日中韓の外相会談、あるいはまた日中韓のサミットが予定をされています。こうした会議を通じて、日中韓の首脳同士あるいは外相同士がさまざまな課題について話し合いをするということは大変有意義であろうし、そしてまた、当然、さまざまな課題や問題はありますが、だからといって交渉のチャネルを閉じてはならない、だからこそ話し合いはするべきだろう、このように思っております。

 先ほど外務大臣がお話をさせていただいたように、日本は、中国に対しても常に対話のドアはオープンにしているということでございます。

岡本委員 続きまして、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの見直しについてお伺いをいたします。

 ガイドラインの見直しにつきましては、一月の十七日に課長級の協議を開始されたというふうに報道がされております。この見直し、当然、昨今の尖閣問題も十分に考慮された上での改定になっていると思いますけれども、このガイドラインの見直しの目的、内容、そして、いつぐらいまでに完了させるかという御予定をお聞かせください。

小野寺国務大臣 日米安全保障体制のもとで、抑止力向上のために、我が国は、米国と幅広い協力を進めており、ガイドラインというものを策定する、そして、各種事態に対して、米国と緊密に連携し、適切に対応できるよう、平素よりさまざまな検討を行っております。

 現在、その検討作業に入っておりまして、これは恐らく数年かかって策定するものと私どもは考えております。

岡本委員 ガイドラインの見直しに加えまして、報道によりますと、あと、一部閣僚の方も記者会見でコメントされておりますが、日米共同作戦計画が策定をされるということが報道されております。これは、ガイドラインによりますと、日本に対する武力攻撃に際して対処行動として策定されるもので、日本に対する着上陸侵略に対する作戦も含まれているというふうに言及をされております。

 報道によりますと、また小野寺防衛大臣も三月二十二日の記者会見で、日米両政府の責任者がハワイで会議を始めたというふうなこともおっしゃっていらっしゃいますけれども、このような、報道がひとり歩きしているような状況に関しまして、中国も比較的過激な反応を示しているようなことが伝わってきておりますけれども、ぜひともこの共同作戦の目的が、ミスリードして、間違って他国に伝わらないように御配慮いただければと思います。

 具体的には、この作戦の計画というのが、中国を潜在的脅威と思っているわけではない、仮想敵国とは位置づけていないというメッセージを明確にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 一部報道にありました、これは、我が方の統幕長と米太平洋司令官との協議、今月の二十日から二十四日までの間にありました。JSLSと私ども呼んでおりますが、これはあくまでも二年に一回の定期的な会合でありまして、そこで何か特別な議題で特別な内容をお話しするということの性質ではございませんし、また、私ども、ガイドラインも含めて、いかなる国も仮想敵国と考えて実は想定をしているというわけではありませんので、あくまでも我が国の安全をしっかり考えるということの内容に尽きると思っております。

岡本委員 いずれにいたしましても、日中関係は最も重要な日本の外交関係の一つですので、ぜひとも、五月の三カ国の首脳会談の実現、また、日中の首脳会談の実現を目指していただければと思います。

 最後に、JICAに対する支援について御質問させていただきます。

 JICAの中で、青年海外協力隊やシニア海外ボランティアの皆様、いわゆるJICAボランティアの皆様が途上国の中で活躍をしていらっしゃいます。私、長年海外に住んでおりまして、よく、日本は国際貢献におきまして金は出すが人は出さないというふうに言われてまいりました。

 その中で、このJICAボランティアの皆様こそが実は重要な民間外交官だというふうに海外の多くの方は思っていらっしゃいますし、東日本大震災のときに諸外国が多く支援を差し伸べてくださったその根底には、今までのJICAボランティアの皆様の各国での活動があったというふうに思っております。

 そのような任務を、危険を顧みずさまざまな途上国でやってくださる方に、国民から選ばれたリーダーとして、総理を初め皆様が、そして私たちが、心からの感謝の念を示して言葉にあらわすことは最も重要だと思っています。

 今週の月曜日、三月二十五日に、二年間の任務を終えられて日本に帰国をされたこのJICAボランティアの皆様に対する外務大臣の感謝状を差し上げる式典が行われまして、私、参加させていただきました。

 アンゴラですとかコロンビアですとか、家族を置いて単身で行かれていらっしゃる方も多くいらっしゃる地域で一生懸命活躍をされて帰国した方々に対して感謝の念を示すために、私を含めまして、多くの国会議員の方に式典への招待状が送られました。

 その式典に参加をされたのは、感謝状を贈られる松山副大臣と私の二人だけであります。おくれて、あと二人の国会議員の方々がいらっしゃいました。

 私、リーダーの仕事の一つというのは、陰で努力をされていらっしゃる方に対して、徹底的に光を当てて感謝の意を表することだというふうに思っております。

 次回の式典にはぜひ外務大臣に御参加をいただくということをお約束いただきたいとともに、できれば、総理、首相官邸にこのボランティアの代表の方々を呼ばれて、労をねぎらっていただくようなことをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山本委員長 岸田外務大臣。時間ですので、手短に。

岸田国務大臣 青年海外協力隊、我が国の顔の見える援助として、高い志を持ち、幅広い技術や経験を生かして海外途上国の国づくりに協力していると認識しております。貢献を高く評価しております。

 この感謝の意を表するため、年四回、隊員帰国時のタイミングを捉えて、外務大臣感謝状授与を行っている経緯がありますが、今回は、外交日程上の都合もあり、授与式の出席はかなわず、私の代理として松山副大臣を派遣し、意を尽くしたところでありますが、今後は、日程の許す限り、私自身、出席を検討したいと考えております。

安倍内閣総理大臣 私も全く同感でございますので、官邸において、お招きをして労をねぎらいたい、このように思います。

岡本委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

山本委員長 これにて岡本君の質疑は終了いたしました。

 次に、原口一博君。

原口委員 民主党の原口一博でございます。

 この委員会で三回目の総理との質疑の機会をいただきました。委員長並びに皆様に感謝を申し上げ、質問に入りたいと思います。

 まず、総理、暫定予算についてであります。

 この予算が暫定になった責任は、今の政府だけにあるのではない、私たちにもあります。その意味でも、しっかりと御協力をする、これが責任の果たし方であるというふうに思います。

 そこで、三点について総理に御確認をしたいと思います。

 この暫定予算、五十日間の予算でございますので、地方交付税に計上した七月分、地方公務員給与等、私たちは、兵糧攻めではないかと批判をして、その地方交付税法の一部改正案に反対をしましたが、これは含まれていないという理解をしていますが、これでいいのか。

 それから、一括交付金については、新藤総務大臣がおっしゃるように、理念を引き継ぐんだ。ぜひ総理には、一括交付金は、総理が一次内閣でもおっしゃっている、省庁の枠を超えたものでございますので、これは引き続き理念を、そしてその検討をしていくというのでよろしいか。

 そして、今回の暫定予算は、五十日分にしては、公共事業関係費が約十分の三なんですね。それは、冬に工事ができないところの前倒し、私はそれが悪いと言っているんじゃないんです。なぜこれが多いのか、五十日間で果たして消化できるかという議論は、私たちの次の内閣でもありました。

 ただ、やはり早目に予算を執行して、そして不安を解消する、これは大事だと思いますので、この三点について総理のお口から確認をさせていただいて、私たちはこの暫定予算についての態度を決めたいと思いますので、よろしくお願いします。

安倍内閣総理大臣 地方公務員の給与削減については、地方財政計画において、七月以降の対応を想定しています。したがって、暫定予算における地方交付税交付金等は、暫定期間中において給与削減を行わないことを前提に、当面の地方の財政運営に必要な所要額を計上しております。

 そして、公共事業についてのお尋ねでございますが、暫定予算における一般公共事業については、継続事業の執行等に支障が生ずることのないように、最近の契約実績等を勘案して、二十五年度予算額のおおむね十分の三を目途として計上しているところでございます。

 そして、一括交付金についての御質問でございますが、地域自主戦略交付金については、まず、地方が自由に使える一括交付金にすることを目指したということは我々も理解をしておりますが、実際には、国が事前に設定したメニューにその使途が限定をされていたこと、そして、窓口が内閣府と各府省に分かれ事務手続が煩雑であったことといった課題があったため、廃止の上、各省庁の交付金等に移行することとしたわけでございます。

 その際、地方六団体からの意見も聞き、これまで事業別に細分化されていました整備計画をより大きな政策目的別にまとめたり、運用改善や継続事業の着実な実施に必要な総額の確保、地方の意見を反映した施策を推進しております。

 今後も、地方の意見を踏まえて不断の検討を行った上において、真に地方にとって効果が高く、使い勝手のよい施策の仕組みを推進していく考えでございます。

原口委員 私たちもまだ発展途上でした。ですから、今おっしゃるような、ミシン目が入ってみたり、各省庁の見えないひもがあったというのは、それもある意味認めなきゃいけない。だけれども、今御答弁いただいたように、これは前に一緒に進めましょうよ。暫定予算についてはこれで確認をさせていただきました。

 二点目、これは先ほども質問がありましたけれども、厳しい判決が出ています一票の格差についてであります。

 総務大臣に伺います。

 選挙無効判決が確定した場合、当選人の当選の効力はどうなりますか。

新藤国務大臣 一票の格差訴訟、これは公選法の第二百四条の選挙の効力に関する訴訟として、それぞれの選挙区内の選挙人が提起することができるとされているところであります。

 そして、この一票の格差訴訟においては、最高裁でこれまで無効判決が出されたことはないわけでありまして、今後どのような判決がなされるか、それは最高裁の判断でありますので、我々としては、まだ仮定の段階での話、お答えしかねるところがございます。

 しかし、一般論として申し上げますと、訴訟が提起された選挙区について選挙が無効とされた場合には、当該選挙区から選出された議員は将来に向かって身分を失うことになる、こういうことだと考えております。

原口委員 失職するわけです。そして、失職すれば、普通はまた再選挙というふうになるんですが、しかし、区割りが確定していなければ、これは仮にの議論なんですけれども、違憲状態が続いているとすると、選挙さえできずに、その失職した議員はそのまま国会に戻れないということになるわけです、なるんだと私は判断をします。

 委員長にお許しいただいて、皆さんのお手元に三百小選挙区の一票の価値を配らせていただいています。これが三百の今の価値です。一番軽いのが千葉四区、これは野田前総理のところですね。それから、一番重いのが高知三区、これは委員長の選挙区ですね。こういう状況です。委員長、重いと言っていますが、一票の重みが重いですね。

 それで、きょうは最高裁にも来ていただきました。出るの出ないのというお話がありましたが、私は、最高裁、裁判官は語らず、個別の判決を説明してくれとは言いません。しかし、最高裁の機関として国権の最高機関でやはり説明をしていただく、あるいは事実に関してお話をいただくことは大事だろうということで、きょうお呼びいただいた委員長初め皆様に感謝をしたいと思います。

 最高裁の関係の方に伺いますが、二〇〇九年、一票の格差について違憲とした判決の中身、その中身について御質問をいたします。

永野最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今御指摘のありました平成二十三年の最高裁の大法廷判決の主文につきましては、「本件上告を棄却する。上告費用は上告人らの負担とする。」というふうな内容が記載されてございます。

 判決の具体的な内容につきましては、これは事務総局の立場として種々御説明を加えるのは適切ではないと考えておりますので、具体的な内容についての御説明は差し控えさせていただきたいと思います。

原口委員 法務大臣、開かれた司法を私たちは目指してきたわけです。

 国権の最高機関、今申し上げたように、議員は、ここにいらっしゃる皆さんは、無効となれば失職するんですよ。しかし、この中身については裁判官は語らず。裁判官に語ってくれと言っているんじゃないんです。その中身は一体何を言っているか。

 資料二をごらんください。

 これは、一票の格差がこんなに広がったのは違憲であると言っているわけですけれども、その中身について、最高裁は、しっかり、判決の解説と全文と題する論文を出しているわけです。

 つまり、この資料二と三、最高裁が何を言っているか、ここから推量するわけですけれども、二に書いてあることは何かというと、二対一におさまっているからといって、その数値の基準はそれを容認したものではないというのが一つ。二番目、一人別枠制。これは、一人別枠制についても違憲であると言っているというふうに読めます。それを、説明しないと言っているんですから国会では確認のしようがないんですが、少なくとも最高裁がここで解説しているのはそういうことであります。

 だとすると、〇増五減の今の法律だけでは、私たちは、最高裁、司法が私たちに突きつけている一票の格差について応えたことにならないのではないかというふうに思います。

 これをごらんください、一の資料。総理、総じて都会の方が一票の重みが軽いというふうに考えられていますが、北海道をごらんになってください。北海道は〇・四四八とか〇・四六九。東京から遠いところであってもこういう一票の格差が、重みが軽いところがあるわけです。

 だとすると、何が考えられるかというと、私たちは、地域代表だけではありません、国民代表です。国民代表であるということは、これはアメリカのある州の判決でしたけれども、たった十九人格差があるだけで違憲だといって、議会はそれを格差が一まですぐに変えました。

 私たちの今のまさに不作為が、それは誰が悪いと言っているんじゃないんです。最高裁が言っている、一人一人に平等の価値があるということを真摯に受けとめて改革を前に進めるべきだというふうに思います。総理の御所見を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 昨年、最高裁による違憲判決を受けて、当時の自民党、そして民主党、公明党、三党間においても努力を重ねてきたところでございます。そして、昨年、〇増五減については法律が成立をいたしました。

 この〇増五減においては、一人別枠という考え方はとらずに制度を設計したものでございまして、我々としては、高裁でこうした判決が次々と出たことを真摯に受けとめながら、この〇増五減に伴って区割り審において結論が出るわけでございまして、そうしたものを法制化して直ちにそれを成立させていきたい、こう考えております。

原口委員 今、各党各会派で御議論いただいていますが、この危機感は大きいと思います。

 今までは、こうやって一つ一つの選挙区に対して、高裁判決といえども、無効だ、その効力をなくす、国会議員の身分をなくすというのはありませんでした。しかし、それが出てきているということは、やはり私たちは真摯にそれに対応する、しかも速やかに対応しなければいけない、このことを御指摘申し上げ、安全保障問題について、総理に数点伺いたいと思います。

 北朝鮮です。

 北朝鮮は、先日、第一号戦闘勤務態勢という言葉を出しました。これは初めて聞く言葉です。この第一号戦闘態勢という言葉を今まで出したのかどうか、そしてこの背景は何か。また、北朝鮮は、休戦協定を白紙に戻したという認識まで示しています。もちろん、国内のさまざまな政権交代にかかわる、政権交代というのは新しい指導者になるという意味ですけれども、そこにかかわる求心力の低下やいろいろなものが想像されます。一体これは何を意味するものなのか。

 休戦協定を白紙に戻したというのは、戦争状態になったということでございますので、軽々しくここを見過ごすわけにはいかないというふうに思います。しかし、あちらが言うことに振り回される必要もありません。

 この第一号戦闘勤務態勢、そして白紙に戻すということについての受けとめを、総理に伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま御指摘のあった第一号戦闘勤務態勢や、休戦協定を完全に白紙化するとの表現は、今回初めて使われたものでありまして、我々も注目をいたしております。

 北朝鮮の動向については、政府として重大な関心を持っておりますし、こうした彼らの言いぶりの変化についても細心の注意を払っているわけでございまして、米国や韓国と連携しながら情報を収集し、これにどういう意味があるかということを分析しているところでございます。

 中身については、これは委員御承知のようにインテリジェンスにかかわることでございますから、詳細についてはお話しできないわけでございます。

 繰り返しこのような挑発的な発言が行われているわけでございますが、これは、北朝鮮がミサイルの発射実験をし、そして核実験を行った、それに対して国際社会が連携して国連において厳しい決議を行っていくという中において、北朝鮮がある意図を持ってこうした発言を繰り返しているわけでありますから、大切なことは、国際社会が、こうした彼らの挑発的な発言に振り回されることなく、しっかりと国連決議で決めたことを実行していくことだろう、このように思っております。

 いずれにせよ、北朝鮮がこうした発言を繰り返すことによって、北朝鮮国民にとって、北朝鮮という国にとって何の利益もないということをしっかりと認識させていくことが重要ではないか、このように思います。

原口委員 私も全く同じ認識を持っています。みずからの政権の求心力を高めるためか何かわかりませんけれども、他国を軍事でおどして得られるものはない、日朝平壌宣言の精神に北朝鮮が一刻も早く立ち返ることを私も期待するものであります。

 さて、TPPについてです。総理にきょう伺いたいのは、たった一つです。

 二十五日に、日・EU経済連携協定が動き出しました。いろいろなカードが動き出しました。これは、私は、率直に言って、私たちの政権のときにも努力をしましたけれども、皆様にも感謝を申し上げたいと思います。

 しかし、その一方で、きょう総理に伺いたいのは、私たち国会は、いつ、何を、今の政府からTPPに関する情報として得られるのか、この一点であります。

 今、手元に、総理が訪米された後のアメリカ議会の調査報告書、これを持ってきました。五十ページ近い長い英文の文章を読んでみますと、これはアメリカの方の立場ですから、総理がこの国会でおっしゃったようなことは書かれていません。むしろ、よく日本が参加してくれた、日本は大きな国だから、アメリカのビジネスチャンスあるいは貿易のチャンスが大きく広がるんだ、自分たちはいろいろなところをブロックするけれども、日本は非常に手放しで頑張ってくれたというような趣旨のことが書いてあります。まだ私が見つけ切れていないだけかもわからないので、このことについては指摘だけにとめます。

 これはこの間使った資料で、皆さんのお手元にもございます。

 前回は、交渉参加表明の前に指標を出すということに受けとめていましたが、当日出された、いわゆる試算についてですね。今、私たちは、実質、交渉参加しているわけではないです。アメリカ議会は、日本との事前協議を受けて、事前協議がまとまれば、それをもって九十日の間で審議をして、そして日本が入るか入らないかということを決定するわけです。

 アメリカ議会だけではないです。このアメリカのレポートを見ると、オーストラリアと日本との間でちゃんと話がつくんだろうかということまで書いてあります。それはよその国とのことですから、アメリカが単に懸念しているだけというふうに言うこともできます。

 さて、総理に伺います。

 ニュージーランドの資料では、交渉参加後、交渉内容は四年間開示されないというふうな文章がありました。交渉期間中に開示されない。今、TPPの交渉の最中ですね、十一カ国。その国々からの情報は確かに漏れてきません。守秘義務がかかっているんだと思います。この交渉参加後、交渉内容は四年間開示されない、守秘義務がかかっているというのは事実ですか。

岸田国務大臣 ニュージーランドの外務貿易省のホームページにおきまして、TPP交渉中のテキスト及び交渉の過程で交換される他の文書をTPP協定発効後等において四年間秘密扱いとする旨の記述が掲載されているということ、これは事実であります。

 一般に外交交渉におきましては、交渉相手国が非公開として提供する文書について、当該国の意向を尊重するということは当然のことだと考えております。

 実際、ニュージーランドのこの記述においても、交渉相手国が非公開として提供する文書について、当該国の意向を尊重するという通常の交渉の慣行に沿った扱いである、このように記されています。

原口委員 そうですね。交渉ですから、相手国との間で、これは秘密にしてほしいと言われればそれは秘密にする、当たり前のことです。しかし、これは、その内容のほとんどが今出てこないわけです。

 だから、私が総理に伺いたいのは、自民党さんも五つの条件を突きつけておられます。その条件は達成できたのかできていないのかというのを交渉の途中で検証する、私たち国会が、具体的な情報を政府からいただいて、検証する機会というのはあるやなしやということを伺いたいんです。総理に伺います。

岸田国務大臣 まず、ちょっとつけ加えさせていただきたいと存じます。

 先ほど、ニュージーランドの外務貿易省のホームページの記載について申し上げさせていただきました。先ほど答弁させていただいたとおりですが、その一方で、そのホームページの記述には、TPP交渉参加国政府は一貫してTPP交渉に関する透明性の向上にともに尽力してきている、こうした記載もされております。

 交渉ですので、相手国との関係で公表できること、できないことはありますが、公表できることは、状況の進展に応じてしっかりと提供していく、これは基本だと考えております。

原口委員 外務大臣、ニュージーランドの資料に何があるかというのは私知っていますから、それをここでおっしゃる必要はない。

 そこは、今総理に伺ったので、ニュージーランドはそう言っているというんじゃなくて、日本政府は、私たちに、交渉過程において、どのような段階で何の情報をお出しいただけますかということを聞いているんです。ニュージーランドのことを聞いているんじゃないので、総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 まだ我々は正式に参加をしておりませんから、参加をした後の縛りについて詳細に全てを把握しているわけではございませんが、当然、交渉でございますから、交渉の過程においては、公にできること、御報告できることとそうでないことがあるわけでございます。

 先ほど質問されました五項目につきましては、これは自民党のJ―ファイルの中に書かれたものでございまして、交渉の中で実現していくように我々は全力で努力をしていきたい、このように思っておりますし、できる限り、その交渉については、成果等について、開示できるものは開示をしていきたい、このように考えております。

原口委員 今、希望をおっしゃいました。ですが、まだ交渉参加していないから、先ほど外務大臣が読まれた守秘義務、四年間は表にできないというものが本当なのかどうかも確認できていない、わからないというのが今の私の認識です。

 総理はできるだけ開示をしたいとおっしゃいましたけれども、その期間の間にどのような情報が出るかというのは、まだ参加していないからわからない。これはもうこれで、この答弁で結構です。結構と言っても、それを認めたというわけじゃないですよ。その答弁しかできないだろうという意味で、結構です。

 では、さっきの九十日プロセスの話に戻りますが、少なくとも、九十日プロセスを始めるときには、アメリカの政府は、アメリカ議会に対して、日本との間ではこういうものがまとまりました、日本はこんなことを言ってますから、アメリカ議会、どうぞ認めてくださいということを言うはずですね。

 ということは、それと同じもの、その反対側のものを、総理は、私たち国会に、アメリカとの間は事前協議でこんなことがまとまりました、だから、アメリカに対しては、まあ、アメリカの議会が聞いたことを私たちが受ければわかるわけですけれども、それはアメリカ議会から聞くんじゃなくて日本政府から聞くというのが筋だと思いますが、この九十日ルールがスタートする、その過程においてというか、その時点において、総理は、アメリカとの事前協議でまとまったことについて、この国会に情報開示してくださいますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 そこは、これはもう委員はよく御承知のように、日本の仕組みと米国の仕組みが違うところでございまして、米国は大統領制で、大統領は極めて強い権限を持っておりますが、同時に、院に対して、それぞれ権限は分立、権力は分立しているわけでございまして、その中において、議会は、大統領府に対して、貿易について、交渉権においても強い権限を持っている中においてそうしたルールがつくられているというふうに私は承知をしているわけでございますが、そもそもそれは米国の憲法でそういう仕組みになっているわけでございます。

 そこで、日本においては、その段階で守秘義務がかかっていないということになれば、当然これは、公表できるものは公表していく考えでございます。

原口委員 それは、交渉前の、いわゆるアメリカとの事前協議においてまとまったことについては、今総理がおっしゃるように、出せるものについては私たちに出していただくという御答弁をいただいたというふうに理解をいたします。

 何でこんなことを聞いているかというと、国会は、この間ずっと秘密交渉と、交渉は秘密に決まっています、そんなものが外に出れば壊れる、だから、そこまで明らかにしてくださいと言っているんじゃないけれども、節目節目で公開をされなければ、私たちは、政府の皆さんが出されてきた文章を単に批准のときにイエスかノーか言うだけで、国会の、私たちの責任を果たしたとは思えないから申し上げているわけであります。それは、与党の自民党さんや公明党さんも、野党の皆さんも同じだと思います。

 逆に、総理、各国の交渉を見ますと、議会のいろいろな声、議会の中には大変強硬な声もあります。その強硬な声を外交交渉のカードにもしているわけです。ですから、国益を守るためには、ぜひそういう大切な情報を出して、そして、ここというときには国会の中で議論をしてもらって、交渉の強力なカードを後押しする。自分たちはこうやりたいんだけれども、いや、議会がこう言っているからだめなんだというケースは幾らもありますね。そういうことをぜひお約束していただきたいんですが、再度、確認させていただいてよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 日本と米国は、そもそも、これはもう議員の御承知のように、外交交渉権のあり方が違っているということがございます。そのことを前提に、我々としては、開示できる情報についてはできる限り開示をしていきたい、こう考えているところでございますし、こうした形で、我々も、国会において審議を行っている中において私たちの立場を説明してきているということでございまして、今後とも、そういう努力をしていきたいと思っております。

原口委員 まだ国会の中については、さっきの五項目についてもどうなるかという、交渉が始まっていないから仕方がないんですよ、それを責めているんじゃないんですけれども、何ら具体的な中身については議論がまだ始まっていない。

 だから、その初めのところで申し上げるわけで、米国のこの議会報告書では、日本に聖域を認めさせたとの認識はどうも彼らの中にはまだ、議会報告書ですから、日本の国会でいうと調査局のようなものでしょう、そこが言っていることですから、アメリカ政府が言っていることでもアメリカ議会が言っていることでもないとは思うけれども、少なくとも、アメリカの議員が判断の材料にするものの中には、総理がおっしゃっているようなものがまだ私には見つけ切れないということだけは御報告をしておきたいというふうに思います。

 さて、残された時間で、行革について議論をしたいと思います。

 総理、これは、租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書。これは、租特の透明化法というのを私たちの政権でつくらせていただいて、この間、皆様に御報告されたものです。

 この租特の中身を見ますと、隠れた補助金と言われるように、たくさんのいわゆる租税特別措置があります。中には、一部の団体だけで占めているもの、本当にこんなものが必要なのかというものをやっと私たちは明らかにすることができたわけです。

 委員長にお願いをしたいのですが、私たちの政権でも、行政改革に物すごい勢いで取り組んできました。ぜひ集中審議をさせていただいて、そして、私たちの政権でやってきたことについても、いいものについては、総理、取り入れてほしいんです。

 この一番下の資料をごらんになってください。これは何かというと、公共調達です。

 私たちは、公務員人件費を二割減らすということを公約しました。ところが、それは国家予算の中の六%なんですね。もちろん国債費とかなんとかありますけれども、残りの大きな部分は公共調達なんです。

 公共調達の改善計画というものを各省に出していただいて、そして、そのもとでの報告がこの年度末に出るはずであります。その報告、どのようになっているか、総理、聞かれていますでしょうか。四月に出るんでしょうか。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、行革に対する取り組み、効率的そして効果的な取り組みは、自民党も民主党も変わりがないと思っております。したがいまして、民主党において精力的に取り組まれ、いいものは引き継いでまいりたいと思っております。

 例えば、行政事業レビューなどを引き継ぐことは決めておりますし、今御指摘になりました調達改善策、これは、各府省が調達改善計画を策定してPDCAサイクルを稼働する取り組みは、政策の遂行に必要な財・サービスの調達を費用対効果においてすぐれたものとする観点で、有効なものだと考えております。

 今後の進め方について、現在、行政改革推進会議において検討をいたしております。

 新年度より、改めて、各府省において調達改善計画による取り組みを行っていただくため、次回の行政改革推進会議において、今後の調達改善の進め方について取りまとめを行うことといたしております。

原口委員 もう時間が来ましたので終わりますが、総理、資料の一番下をごらんになってください。

 これは、いわゆる少額物件の調達改革をさせました。例えば外務省、ごらんいただくと、脇机というんですか、これの価格が、インターネット調達で競り下げをすると、約五割安くなっているんです。百六十万以下は公開しなくていいということになっていますから、この調達のところについてはまだブラックボックスなんですね。官民の格差がたくさんあるというふうに思います。

 もう時間が来ていますから、これで終わりにしますけれども、簡潔に、ぜひ、こういうものについては安倍内閣でも積極的に続けていただきたいし、行政改革推進会議で議論するとおっしゃいましたけれども、調達計画を来年度もつくらせるというお約束を総理のお口からいただきたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 我々としても、民主党政権で行った調達に関する努力を評価しておりますし、我々も引き継いでいきたい、こう思っています。

 各府省において、計画を策定し、調達改善に取り組むことは、行政改革の重要な課題の一つと考えております。

 当面は、無駄の撲滅、特別会計改革、独立行政法人改革を中心に取り組むこととしておりまして、調達改善については、無駄の撲滅に関する重要な取り組みとして、行政改革推進会議において、今後の進め方について検討を行っております。

 同会議における検討を踏まえた見直しを行って、平成二十五年度から、より効果的な調達改善の取り組みを推進してまいります。

原口委員 ありがとうございます。終わります。

山本委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。

 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 きょうは、私は、今絶好調の緊急経済対策、アベノミクスの哲学、基本的な考え方を中心にお尋ねをしたいと思いますので、ぜひ簡潔にお答えをいただければありがたいと思います。

 日銀との連携で、円安、株高で一見絶好調のようでございますけれども、しかし、多くの心配があるかなと思っております。それを如実にあらわしているのが、今申し上げる、この二つの新聞記事かなというふうに思っております。

 一つは、外国人投資家は、三月第二週まで十八週連続で買い越して、累計の買い越し額は五兆六千億円を上回っている。さらに、日銀が発表した資金循環統計調査によると、家計の金融資産の残高は昨年十二月末に千五百四十七兆円、前年に比べて三・一%ふえている。しかし、貯蓄から投資へは足踏み状態だ。こんな二つの報道がございます。今株が上がっているのは、どちらかというと外国人投資家が買って上がっている、企業の業績が上がって、上がっているわけではないという、非常に心配される状況にあるわけであります。

 私も、三本の矢は賛成であります。金融政策、財政政策、成長戦略を一体的に進めるというのは賛成でありますけれども、しかし、私は、日本の経済を本当に再生させるためには順序が逆だと思っております。

 まずはしっかり成長戦略を定めて、日本の新しい産業を何にするか。産業構造を変えなくちゃならないということで、二十年間停滞をしてきたわけでありますけれども、新しい産業を何にするか、その成長戦略をしっかり定めて、その上で政府が予算をつけて、政府の予算が呼び水となって民間企業がいろいろなところに参入をしてくる。お金が足りないとなれば、日銀が金融緩和をして、しっかり資金を提供していく。そういう順序でやっていかないと、また、もしかして金融バブル、不動産バブルで終わってしまう、私はそういう心配があるんじゃないかなと思っております。

 したがって、ぜひ、そうならないために、安倍内閣はこれからしっかりとした経済財政の運営をしてほしいなと思っています。

 そういった意味では、成長戦略をつくるのに、やはり私は脱原発は大きな材料になると思っています。廃炉の技術を開発するというそれさえも、それこそ海外に対する展開ビジネスにもなるほどのすごい仕事じゃないかなと思っていますが、そうしたことをぜひ進めてほしいなと思っております。

 それでは、これから、この緊急経済対策の目的と実現性、あるいは緊急経済対策の具体策についてお尋ねをしてまいりたいと思っています。

 まず確認をさせていただきますけれども、目的については、これから聞くまでもないんですけれども、安倍総理、今回の緊急経済対策の目的はどういう目的なんですか。改めて簡潔にお答えをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、昨年の日本経済は景気の底割れにまさに直面をしていたわけでございます。これは何としても避けなければいけないということでございまして、そして同時に、長引くデフレから脱却をして、行き過ぎた円高を是正することによって日本の経済を力強く成長させていくということでございます。

 つまり、この対策の目的は、まず景気の底割れを防ぎ、そしてさらに、それだけではなくて、デフレ脱却をし、日本の経済を力強く成長させていく、それによって日本人のいわば収入はふえていく、ことしよりは来年の方がもっともっとよくなっていくという時代を取り戻すためであります。

福田(昭)委員 その目的には私も賛成でございます。しかし、デフレから脱却した状態、経済の指標にはいろいろな指標がありますけれども、どうした状態になったらデフレから脱却したと安倍総理は判断をされるのか、お考えをお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 デフレは、持続的、連続的に物価が下がり続けるということであります。それを通じて、ほかの要因、賃金や雇用やあるいは投資にもマイナス連鎖が起きて負のスパイラルになってしまう、これを脱却しなければいけないわけであります。

 そこで、どういう状態になったときにデフレから脱却するかということでありますけれども、現状における物価の基調が上昇に転ずる、これは当然であります。そして、その後もプラスで推移することが見込まれるということ、それから、持続的な物価下落をもたらすようなショックが生じる可能性が低い、つまり、一定の率で物価上昇がずっと続いていくということが確定をしてきた、その時点でデフレは脱却をされたという認識に至ると思います。

 でありますから、後々に、後を振り返って、あの時点で脱却をしていたという認識になろうかと思っております。

福田(昭)委員 総論としてはそうなのかと思いますけれども、より確信的に申し上げれば、やはり、名目GDPが実質GDPを二年連続上回るような状態、こういう状態にならないと、完全にデフレから脱却した、私はそう言えないんじゃないかなと思っております。

 では、デフレから脱却するのに、今甘利大臣が言われたような状態になるのにどれぐらいの期間を見込んでおりますか、何年ぐらいを。

甘利国務大臣 これは今から何年何カ月でということはなかなか申し上げにくいわけでありますけれども、できるだけ早く、早期にということを目指していきたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 デフレから脱却をするという考えを示したからには、ちょっと準備が足りないんじゃないでしょうかね。

 黒田日銀総裁は、二年をめどに、こう言っておりますけれども、物価安定目標二%を達成するのに。伊吹議長などは何かひとり言で、いや、四、五年はかかるんじゃないか、こんなことを言っているようでありますし、私は、やはり脱却するためには七、八年は十分かかるんじゃないかな、こう思っております。

 そうすると、やはり長期的な計画を持ってやらないとデフレからは脱却できないんじゃないか、このように思っております。

 そうした中で、経済の再生と財政の健全化を図る方策についてお伺いをしたいと思いますけれども、お手元に資料を配付させていただいておりますが、資料の一と二をちょっとごらんいただきたいと思います。資料の一は、過去二十一年間の我が国のGDP等の推移であります。

 名目GDPが伸びなくて、二〇〇五年、平成十七年から、名目と実質の実額が逆転したまま、異常な状態になっております。そして、御案内のとおり、二十三年は何とこの実額の差が四十兆円も開いております。

 そして、御案内のとおり、消費税を増税した、三%から五%にした翌年、平成十年には、名目、実質、両方の成長率もマイナスに落ちて、そして円は安くなっている、こういう状況になっておりまして、しかも、びっくりするのは、平成三年の名目GDPが四百七十三・六兆円、平成二十三年の名目GDPが四百七十三・二兆円で、実は平成三年よりも、ちょっとだけですけれども名目GDPはちっちゃくなっちゃっている。しかも、円の方は少し安くなって、きのうは九十四円七十一銭から七十三銭だそうでありますが、平成二十一年のレベルに円は戻ってきている、こういう状況でございますけれども、実はこんな日本の経済の状況。

 そして、二枚目をごらんいただきたいと思いますが、そうした中で、それでは我が国の税収がどんなふうに推移をしてきたのかというのを見てみたいと思いますが、御案内のとおり、税収が一番入ったのが消費税を増税した翌年、平成二年、六十兆一千億でありました。平成三年が五十九・八兆円。

 こうした中で、たび重なる税制改正で、所得税や法人税やあるいは相続税などを引き下げてまいりましたので、税金はどんどんどんどん、実はなくなってまいりました。

 そして、これは二十四年の予算でありますけれども、所得税は、何と、平成三年が二十六・七兆円あったものが、平成二十四年の予算ベースでは十三・五兆円と、十三・二兆円減っております。

 法人税は、平成元年、十九兆円で最大でありました。平成二十四年は八・八兆円と、十・二兆円減っております。

 消費税は、元年は三・三兆円でありましたが、二十四年は十・四兆円ということで七・一兆円のプラスということであります。

 合計しますと、最大の六十・一兆円から四十二・三兆円まで減りまして、何と税金は十七・八兆円も減っております。

 これは、一番下の方にまとめて書いておりますが、税収減の理由ということで米印で書いておきましたけれども、消費税創設及び税率引き上げに当たって、所得税、個人住民税、相続税、法人税、金融課税等を引き下げたため、景気が悪くなると即税収が減る税収構造となっている。これを直すためには、まず、それぞれの税の課税ベースを拡大するとともに、累進税率を強化すべきである。なお、法人税の赤字を九年間繰り延べられることや、輸出産業の消費税全額還付は見直すことも必要なんじゃないか。その上で消費税の引き上げがどの程度必要かということを検討することが、実は、我が国の税制としての、それぞれ、所得税、法人税、消費税などからバランスよく御負担をいただける税構造なんじゃないかなと思っております。

 例えばでありますけれども、右下の欄に国税総額に占める主要税目の割合を書いてございますけれども、平成二十二年度で見てみますと、既に消費税は二四・一%を占めております。所得税が三一・三%。しかし、これで消費税を上げると、消費税が四割を超える。まさに、所得税は二三%、法人税が一六%、消費税が四二・七%という非常にアンバランスな税制に、実はなるということであります。

 こうしたことを踏まえて、今後、皆さんのお手元にもありますけれども、借金がふえてふえて困ったということでありますけれども、今、日本のストックの、借金の残高の財政健全化指標は、よく言われますように、名目GDP分の、政府としては粗債務ということで規定をいたしております。しかし私は、純債務の方が正解かなと思っていますが、この財政の健全化指標を見て、これから日本の経済と財政をどのように再建していったらいいのか、経済を再生し、財政の健全化を図っていったらいいのかということを考えるとしたら、どんなふうに考えることができるか、お答えをいただきたいと思います。

甘利国務大臣 委員の御質問の趣旨を正確に理解しているかどうか、ちょっと自信がないんですけれども、要するに、フローベースかストックベースか、ストックベースをもっと重視すべきだという御指摘なのでありましょうか。

 そうだとしたら、ストックベースのものについては、それをそのまま債務償還とか利払いに充てられないものがたくさんありますよね。だから、やはり基本的には、フローベースで財政を健全化していくということをしっかり考えていかなきゃならないというふうに思っております。

福田(昭)委員 これを見て皆さんもお気づきだと思いますけれども、名目GDP、分母が一つも大きくなっていないんですよね。分子の借金だけ、粗債務もふえる、純債務もふえる。こういう財政構造ですから、絶対これはよくならないんですね。

 そうすると、やはり、分母の名目GDPを、経済を成長させて、しかも物価安定目標二%をしっかり達成させて、それでこの分母を成長させていく、大きくさせていく、そういう政策が必要なんだと思うんですよ。ですから、成長戦略が大事だということをお話し申し上げているのであります。

 だんだん時間がなくなってきましたので、次の方に行きたいと思います。

 次に、安倍総理が進める緊急経済対策の具体策なんですけれども、この具体策が、私から言わせるとすごく矛盾しているんですよ。

 どう矛盾しているかですけれども、安倍総理は、京都大学の藤井先生を内閣官房の参与に採用いたしました。一方では、新自由主義者の旗頭みたいな竹中平蔵さんを産業競争力会議の議員として採用いたしました。しかし、このお二人は、全く考え方が違いますよ。この違う二人を採用して、これからどうやってデフレから脱却するのか、こういう疑問があるわけであります。

 次に、資料の三を見ていただきたいと思いますが、これは、まさに藤井先生がまとめた表であります。インフレ期とデフレ期とでは求められる経済対策は全く逆だ、こういう藤井先生の考え方であります。

 これを見ますと、御案内のとおり、インフレのときには需要が供給より大きいから、経済を冷ます諸対策が必要だ。そのためには、緊縮再建であったり、政府支出を減らしたり、公務員を削減したり、増税をしたり、あるいは規制を緩和したり、自由貿易を推進したり、こういう対策が必要だ。

 しかし、今はデフレなんですね。デフレから脱却するのが安倍内閣の緊急経済対策なわけでありますよ。そうしますと、今回、需要の方が供給より少ないわけでありますから、経済を温める対策が必要だ。積極財政、十五カ月予算をつくったというのは、そういった意味では、中身はいろいろ問題があるにしても、私は正解だと思いますが、政府支出を拡大し、公的雇用を拡大する、さらに投資減税をする、これも正解だと思います。

 しかし、供給減になります雇用保護、雇用を保護するということが大事なことでありますし、保護貿易の許容ということでありますから、ここが、実は、デフレなのに、今、安倍内閣が進めようとしている政策が入っているんですね。

 それは、一つはまず、規制緩和であります。規制緩和は、ここにありますように、インフレのときは対策としていいんですけれども、デフレのときにやるというのは、非常に、逆に物価も下げてしまったり、あるいは、特に今、産業競争力会議で検討しているようでありますが、解雇の規制緩和などはもってのほかであります。

 米国は、日本がなぜこんなに経済成長したのかというのを徹底的に調査しました。その結果、二つのことが実はわかったんですね。釈迦に説法かもしれませんが、これだけ日本の経済成長をさせたもとは、一つは終身雇用、もう一つは年功序列、この二つが日本のすばらしい戦後復興をさせたんだ、こうアメリカは分析しているわけですよ。

 それを考えると、今回考えているような、解雇を規制緩和して、どんどんどんどん、それこそ解雇が自由になっていくような緩和はとんでもない話でありまして、これは慎重に考えて。厚生労働大臣が首を振っているようでありますが、そうさせないように、それはひとつしてください。そういうことであります。

 それから、TPPへの参加も、これも、関税ゼロ、そして非関税障壁も撤廃する、十年後には、そういうルールでありますから、やはり物価は押し下げますし、今のデフレ対策には余りいい対策じゃないんですね。しかも、先ほど原口委員からもお話がありましたように、アメリカの議会が、大統領との共同声明、それは全く関知しないということになったとすると、全く日本の国益は守れないですね。

 ですから、そういった意味で、ぜひ安倍総理、この辺のところは、非常に、インフレのときの対策とデフレのときの対策が入り乱れて、私から言わせると支離滅裂ですから、まさに、ここをしっかり修正していく必要があるんじゃないかなと思っています。

 そして、生活保護、年金、地方公務員等の給与の削減、まさにこれも、デフレのときにやる政策ではない。

 そしてさらには、きわめつけは、消費税増税であります。ことしの十月ごろ判断をするんだと思いますけれども、このような経済状態の中で、いかがなんですか。来年の四月に八%、再来年の十月に一〇%、そういうことは予定どおりやられるんでしょうか、いかがでしょう。

甘利国務大臣 お話が多岐にわたって、何を御質問されているのかちょっとわからなくなってきちゃったんですが、基本的に、藤井先生は、経済担当の顧問として入っているわけではなくて、国土強靱化の権威者として入られているんだと思います。

 藤井先生の経済に対する考え方、それは先生の御持論でありますけれども、しかし、あの論でいきますと、財政出動をすればするほど景気はどんどんよくなるんだという、かなり、一世代前の考え方なんだというふうに思っております。

 そこで、我々がやろうとしていることは、まず、目の前にある障害物を外していく、これがデフレを脱却する。つまり、車でいえば、サイドブレーキがかかったままアクセルを踏んでも効果が余りない、アクセルから離したらまた減速してしまう。サイドブレーキを外すという効果をまずやって、それから景気喚起の、景気刺激の財政出動をし、そして民需主導の成長につなげる成長戦略をしっかり描いていくということでありますから、極めて理にかなっているものというふうに承知をいたしております。

福田(昭)委員 大変心配です。私の質問の内容が理解できないようでは、とてもとてもデフレから脱却できません。

 藤井先生が言われているような状況、これだけインフレのときとデフレのときの対策は全く真逆だ、このことについてよく理解しないで、支離滅裂な政策をやる。

 安倍総理、いずれしっかりやらせていただきたいと思いますが、時間がありませんので、そういった意味では、ぜひ失敗をしないように、ぜひお願いをしたいと思います。

 以上で終わります。

山本委員長 これにて福田君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井委員 二十八分間、質問時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず冒頭ですが、残念なことに、昨日、成年後見がついた人の選挙は、違憲であり無効であるという判決に対して、総理そして政府、控訴をこのたびされました。このことについては非常に遺憾であります。強く抗議をしたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 きょうは、安倍総理に質問通告をさせていただきました。専門的な質問はするつもりはありませんので、ぜひとも、ほかの大臣ではなく、安倍総理の御見解をお聞きできればと思っております。

 テーマは、先ほど福田議員の質問にもありました解雇の金銭解決、そして、格差、貧困。

 アベノミクスと言われております。一定の効果はあるのかもしれませんが、一面では、物価はどんどん上がっていくということも含めて、アベノリスクとも言える副作用、非常に私は深刻だというふうに思っております。

 例えば、解雇の金銭解決というものが、その方向になってしまうのであれば、サラリーマンの方々は非常に雇用が不安定になるわけですし、雇用の安定なくして成長というものはないと思いますし、また後ほど触れますが、今回、生活保護、過去最大の、最高三年間で一〇%引き下げるということでありまして、このことに関して、子供たちが進学を諦めざるを得ないとか、そういうことが起こってくる危険性は、私は非常に高いと思っております。

 また、生活保護基準というのは地方住民税の限度額に連動をしておりますので、それによって、何十万人、下手をすれば何百万人の低所得者の方々が非課税から課税になったり、さらに伴って、保育料や介護保険料が引き上げになる、そういう面もございます。

 また、年金生活者にとっては、物価が上がっても賃金は上がらないわけでありますから、実質上、年金の切り下げになりかねません。そのような意味で、やはり格差が広がっていきかねない、このようなことも含めて質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、きょう資料を配らせていただきましたが、一枚目、ちょっとごらんをいただきたいんですが、先日の三月十五日、産業競争力会議が行われました。そして本日は、今の時間、十時から、規制改革会議の雇用ワーキングチームの初会合が今行われております。その中の議論の一つが、解雇規制の緩和、金銭解決というものであります。

 この官邸のホームページによりますと、配付資料の一ページ目でありますが、産業競争力会議の席で、安倍総理は、雇用の支援策を、雇用維持型から労働移動支援型へというように変えていくというようなことをおっしゃっておられます。この意味と、この中には解雇の金銭解決、解雇規制の緩和というものも含まれているのか、これは安倍総理の発言ですので、安倍総理、御説明をお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 現在、経済は、グローバルな経済の中において、産業構造も大きく変わっていくわけであります。

 この産業構造が変わっていく中において、成熟した産業、しかし、成熟した産業の中で発展が見込まれないという分野もあるわけでありまして、この分野から成長が見込まれる分野に労働移動をしていく、しかも、それが円滑に移動していくということが極めて重要なんだろうと思います。

 つまり、成熟型の産業の中で、かつ、将来成長が見込まれない、逆に、だんだん、もうその分野においてはむしろ衰退をしていくということが見込まれるという状況の中において、結果として、そこにみんながしがみついても全員が職を失う、収入を失うということになってしまうわけでございます。そこで、労働移動を円滑化していくことによって、失業なき、いわば労働移動支援型の形へシフトさせていくことによって、例えば、そちらに行く上において職業訓練等のキャリアアップも行っていくという支援をしていくことによって、失業せずに、いわば成長が見込まれる分野において人材も供給されるし、そして、そちらに移っていった勤労者にとっても、職が確保される、収入が確保されるということになっていくということになるのではないかと我々は考えたわけでございまして、その文脈において、私はああいう発言をさせていただきました。

 そして、雇用規制の見直しについては、これにより労働移動が円滑に行われるという見解、今申し上げましたが、という考え方がある一方で、多くの勤労者が賃金によって生計を立てているわけでありまして、雇用を通じて社会とさまざまなつながりが形成されているということを踏まえれば、これは労使間で十分に議論が尽くされるべき問題であろう、こう思っております。

 そういう考え方から、会議において発言をしたところでございます。

山井委員 趣旨はわかりましたが、私が質問したことにお答えをいただきたいと思います。

 その労働移動型への転換の中に、先ほど質問しましたように、解雇の金銭解決という方法も含まれているんですか。いや、安倍総理にお聞きしております。安倍総理の発言について聞いているわけですから。

山本委員長 その前に、田村厚労大臣。

 担当専門家から、わずかの時間ですから。

田村国務大臣 まず、今、総理がおっしゃられたように、労働、今までは雇用を維持しておったものを、それを移動支援するということで、国の助成金等々もそちらの方に移動していくように、そういうような議論があります。それからもう一方で、今委員がおっしゃられた、解雇に対する一つの規制みたいなものを緩めるべきだというような……(山井委員「いや、その話はもういいですから」と呼ぶ)いいんですか。解雇規制の話じゃないんですか。(山井委員「長いからいいです。これは審議妨害ですよ、関係ないことを言って」と呼ぶ)いや、解雇規制の話を話せと言われたから申し上げているので……

山本委員長 不規則発言はやめてください。不規則発言をやると、余計答弁が長くなるじゃないですか。

田村国務大臣 それに関しては、議論は出ておりますが、基本的に、金銭解決の問題というものに関して申し上げれば、それは、世界じゅうを見ましても、金銭で解雇するというような制度はございません。いいですか。世界じゅうを見ても、解雇が無効だとなった後に、その後、解決手段として金銭で解決するような国はありますけれども、そもそも、金銭を払って、そして解雇をするというような制度はございませんので、そこのところは御理解をいただきながら、いろいろと御意見をいただければありがたいと思います。

山井委員 私は、田村大臣の見解を聞いているのではなくて、安倍総理がこの発言をされた中に、解雇の金銭解決ということも含まれているのかということをお聞きしているわけであります。

安倍内閣総理大臣 いわば、解雇規制について、これは労働行政担当大臣から正確に説明するという必要が、私はやはり国民の皆様に対してあったと思いますよ。それを理解している上でこれは議論しているわけではありませんから、多くの国民の皆さんは、いわば、労働法制がどうなっているか、解雇規制がどうなっているのか、世界の趨勢はどうなっているかということをやはり説明させていただかなければいけませんから、その観点から、今、田村大臣から御説明をさせていただいたところでございまして、田村大臣が今申し上げたことが基本的に政府の方針でございます。

 同時に、産業競争力会議の中では、参加をしている有識者はさまざまな観点から自由に議論をしていくわけであって、その議論の中において、各議員から出た発言が私の考え方とイコールということではないんですよ。それぞれの方々から出た意見について、そうした意見をもとに我々は最終的に政府としての方向を決めていくということでありまして、だからこそ、自由な議論が行われていく中において、今までとは違うダイナミックな方向性が示されることもありますし、また、この問題については、そもそも基本的な姿勢については、今、田村大臣が示したとおりだということは申し上げておきたいと思います。

山井委員 安倍総理に聞いているんです。

 この労働移動支援型への大胆なシフトの中に、解雇の金銭解決という方法も含まれているんですか。

安倍内閣総理大臣 だからこそ、今、田村大臣が御説明したように、国の基本的な方針を今お示しをしたとおりでありまして、それは含まれていないということなんですよ。

 その中においても、さまざまな方向性についていろいろな議論が今なされているということでございますが、しかし、議員について、それが例えば私の考えと一緒かどうかということを一々ここで説明するのも、私はそれはどうかと思いますよ。

 まずは、産業競争力会議の中で、さまざまな議員が自由に皆様の見識の上で発言されることが極めて重要なんだろう、こう考えているところでございます。

山井委員 いや、私、ちょっとびっくりしました。安倍総理の考え方の中に、解雇の金銭解決が含まれていない、これは本当に重い答弁だと思います。本当にそれでいいんですか。

 これは、先日の産業競争力会議で配付された資料をここにお配りしております。その中で、どういう議論がされているかというと、ここに三月六日の産業競争力会議のテーマ別会合の議事録がありますが、この中でも、数人の委員の方が、日本の解雇規制は厳し過ぎるから緩めるべきだという主張をされておられます。

 安倍総理おっしゃるように、さまざまな意見があるのかもしれません。しかし、私が気になるのは、では、解雇規制を緩めて、あるいは金銭解決で、切られる側の労働者にとって、いや、それは困るんじゃないか、例えば子供の学費はどうなるんだ、住宅ローンはどうなるんだ、当然、反論もあると思うんですね。ところが、そういう切られる側、労働者側の発言というのが一つもないように私には見受けられました。

 それで、競争力会議のメンバー、ここにございますように、このメンバーの中で、そういう解雇される側の声を代弁する人が一人も含まれていないんですが、それは、さまざまな意見といいますが、さまざまじゃなくて、私からすると、非常に偏った、解雇したいという側の意見しか出ていないんです。

 なぜ、一方的な人たちしか選んでいないのか。安倍総理、これは選ばれたのは総理ですから、議長ですから。

安倍内閣総理大臣 リストをつくられたのは甘利大臣でございますから、甘利大臣からも説明をさせていただきたいと思いますが、そもそも、今、そのときの私の発言について山井委員から、この中に含まれていますかと。ですから、当然、それは含まれていないんですよ。

 これは、私が言っていたことイコール議員の皆さんの考え方だったら、そもそも、こんな会議をやる必要がないじゃないですか、私が全部決めればいいんですから。ではなくて、さまざまな知見を集めるんですよ。さまざまな知見を集めるからこそ、産業競争力会議には有識者が入ってきているわけなんですね。だからこそ、そこでさまざまな成果物が生まれてくるのであって、私が決めたこと、私の考えどおりであれば、そもそも、そういう人たちに話を聞く必要がないということは申し上げておきたいと思います。

 そして、我々、それぞれの選挙区で選出をされているわけでありまして、そういう方々の支援で我々はここに立っているんですね。その中のほとんどは勤労者の皆さんですよ。そういう人たちの職を、生活を守っていくのは私たちの大きな使命なんですね。

 ですから、そういう方々から、私たちは日常的にいろいろな、さまざまな意見を聞いております。それとは別に、アカデミックなアプローチにおいてどういう政策をやっていくかということが大切でしょうし、あるいはまた、産業政策を進めていく上において、経営者の観点から、当然、経営者は、利益を上げていくということと同時に、日本型の企業の場合は、基本的に従業員の生活を守っていくという観点からも企業を経営しているんだろう、我々はそう思っているわけでありますし、そういう経営者を私たちはこの会議においては選んでいるわけでございます。

 しかし、その中において、先ほど申し上げましたように、スムーズな労働移動が行われていく上において、何をなすべきかということを考えていかなければならないという中で、我々は、さまざまな支援も行いながら、職を失うことがないように、いわば失業という状況になることがないように、スムーズな移転が行えるような、そういう、ある意味では新しい時代にふさわしい労働法制についても当然検討していくべきだろう、こう考えているところでございます。

山井委員 いや、私、よく理解できないのは、さまざまな意見とおっしゃいますが、さまざまじゃないんですよ。解雇しやすいようにという意見しか出ていないんですよ、この議事録を見ましても。

 それで、きょう十時から始まっております規制改革会議の雇用のワーキングチームの座長になられた方の資料を見てみましたら、これはホームページを見てもらったらわかりますが、独法の経済産業研究所のページに、きょう、今、座長で規制改革の雇用のワーキングチームを仕切っておられる座長の方のレポートが出ております。そのタイトルは、「解雇に金銭解決の導入を」と書いてあるんですね。

 だから、皆さんが指名をされた、まさに規制改革の取りまとめの座長の方の意見が、「解雇に金銭解決の導入を」と書いてあるわけですよ。つまり、やはり安倍総理、こういう人選をされているということは、解雇の金銭解決ということをやろうとされているということじゃないんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 今、委員は、決まってもいないことなのに、決まったこととしてコンコンコンコンたたいているんですが、これは意味のない、空虚な議論なんですよ。砂上の楼閣をつくっているんですが、これは違いますよ。まだ決めていないんですから。

 決めていない中において、かつ、今委員が指摘されているのは、産業競争力会議なんですよ。つまり、産業の競争力を高めていこうという観点から議論をしています。そこにおいては、議論がどんどんどんどん、いわばこれはとんがっていく場合もあるんですよ。グローバルな競争の中で日本の企業が生き残らなければ、雇用は確保できない。生き残る上においては、世界を俯瞰しながら、どういう規制をなくしていくべきか、どういう制度にしていくべきかという議論を自由闊達にまずやっていく必要があるんですよ。

 その上において、最終的には私が判断しますよ。政治の場で判断をするんです。その段階において、これは経済界、産業界という見方だけで判断してはなりませんねという観点をそこで入れて、しっかりと最終的に判断をしていくわけであります。

 ですから、私たちの人選は間違っていなかった、私はこのように確信をしております。

山井委員 それは明らかにおかしいですよ。これは、労働力移動と簡単におっしゃいますが、この問題の主人公は、まさに移動する労働者本人なんじゃないんですか。その当事者をなぜ今入れていないのか。

 それで、私、安倍総理が成長産業を育ててということをおっしゃるのはわかります。私もそう思う。これは順序が逆だと思うんですよ。

 この議事録を見ると、新しい成長産業は何なのか、どこで雇用の受け皿をつくるのか、雇用をどうふやしていくのかという議論はまだ行われていないんです。それが十分に行われていない中で、まずメーンは解雇規制の緩和になっているんですよ。成長産業をどうするかというよりも、まず切ることがメーンに、この議事録ではなっているんです。

 それは順序が逆だと思われませんか。安倍総理、いかがですか。安倍総理。

安倍内閣総理大臣 全く、山井委員は、我々がやってもいない、あるいは目指してもいない方向性を私たちが目指しているんだといって議論をされようとしていますから、これは議論が基本的にかみ合わないんですよね。

 そもそも、まず、産業競争力会議において、今、私たちは、このグローバルな経済の中で競争力を失っているんですから、この競争力を取り戻す必要はありますね。競争力を取り戻さなければ、産業自体が衰退をしていく、あるいは企業自体が退場させられて、結局、雇用を失ってしまうんですよ。生活の基盤が根底からなくなってしまうんですね。だからこそ、それを、競争力を取り戻すという観点から、この場では議論していただいています。そもそも、解雇を自由化しようなんてことは全く考えていないということは、はっきりと申し上げておきたいと思いますよ。

 その上において、労働行政についてはそれをしっかりと議論していく場もありますし、あるいはまた経済財政諮問会議において、これは決定する場でありますが、ここにおいて、それはいわば、今、山井さんがおっしゃったような観点から、さまざまな議論を加えていきますよ。当然じゃないですか。それはこれからやっていく話であって、山井さんは何か、まるである種のイメージを張りつけようという努力をされていますが、これは全くそうではないということは、多くの国民の皆様には私はわかっていただけるのではないのかな、このように思います。

山井委員 私は議事録を見て、解雇規制緩和の発言が相次いでいるし、おまけに、きょう始まったワーキングチームの座長の方も、解雇の金銭解決の導入をとおっしゃっている論客だから、こういうものから類推すれば、こういう人選からすれば、安倍総理は解雇の金銭解決というものを目指しておられるんじゃないかと考えたんです。

 そうしたら、安倍総理にお聞きしますが、これは参議院選挙前だけじゃなくて、安倍政権においては、解雇の金銭解決というものをやるということは、可能性はないんですか。

安倍内閣総理大臣 私が総理大臣ですから、ここで答弁していることが安倍内閣の基本方針であります。

 ですから、先ほど申し上げましたよね。まず、解雇を自由化しようなんていうことは考えていないということであります。(山井委員「いや、金銭解決を聞いているんです」と呼ぶ)金銭解決についても、そうではないということは先ほど申し上げたとおりであります。(山井委員「ええっ」と呼ぶ)ええっとかおっしゃったって、私は今そのとおり申し上げているんですよ。

 これが私の答弁であります。

山井委員 いや、私よくわからないのは、そうしたら、解雇の金銭解決を考えておられないということであれば、なぜ解雇の金銭解決を訴えておられる方々をこういうメンバーに選ばれて、おまけに、それに慎重な労働者側の方々を入れておられないんですか。そこが理解できないんです。ちょっと説明をしてください。

山本委員長 人選についてですから、まずは甘利担当大臣。

甘利国務大臣 経済をどうやって再生させようかという本部のもとに、産業競争力会議というものをつくったんですよ。産業の力を伸ばしていくためにどうするか、そこの一点で識者を選んだんです。私が選定をして、総理の了解をいただいてメンバーを構成いたしました。(発言する者あり)ちょっと長妻さん、いつもやじがうるさい。アキラという名前は大体、品のいい人につけるんですから。

 それで、そういう趣旨でつくったわけですよ。だから、雇用政策は雇用政策で、別のところでちゃんとやるでしょう。競争力会議の場で、そういうメンバーを選んで、そして、その中で分科会をつくって幾つかのテーマに従って議論をした中で、民間の一部の方から出てきた話です。

 議事録をとっていらっしゃると言われていますから、最後に私が何をしゃべったかまで全部確認してくださいよ。山井さんのような誤解を受ける人がいると困るから、ここは解雇自由という話ではないということを、ちゃんと認識を持ってくれと言っていますよ、私は。よく全部読んでください。

山井委員 そこはマッチポンプなんですよ、民間議員に言わせておいて、自分たちが否定するという。

 安倍総理、そうしたらもう一回確認をしますが、安倍政権においては、解雇の金銭解決という規制緩和は行わないということでいいですね。

安倍内閣総理大臣 そもそも、今、この委員のメンバーについても山井さんと我々については認識の違いがあるんですが、産業競争力会議なんですから、つまり、日本の産業がしっかりと競争力を持って、世界の競争にも打ちかって、その中において、当然、雇用は守っていただかなければなりません。これは私たちの立場ですよ。

 参加をしている人たちにとっては、産業競争力を得るために、どういう規制が緩和されなければいけない、あるいは、どういう法制を変えていかなければいけない、自分たちはどういう努力をやっていくべきだ、マクロ政策はこうするべきだという議論を闊達にしていただきます。これは闊達にしていただく必要があるんですよ、そういう会議においては。最初から条件を定めるべきではありませんし、最初に私の考え方を一々全てのことについて縛りをかけていくという方向で述べるべきではない、こう思っております。

 そこで、これは三回目なんですが、いわば金銭によって解決をしていく、解雇をしていく、解雇を自由化していくという考え方はないということをはっきりと申し上げておきたい。もう三回も言っているんですから、これは間違いがないということでございます。

山井委員 きょう十時から今やっている規制改革会議では、解雇の金銭解決やいわゆる準正社員問題についての今後の検討のスケジュールを議論しているんですよ。もし安倍総理がおっしゃるとおりだったら、そんなことを議論する必要ないじゃないですか。それに、もし安倍総理がその気がないんだったら、そういう論者をこんなにたくさんメンバーに入れたり、あるいはワーキングチームの座長に入れるというのは、私はちょっと理解できないなと思いますが、ただ、時間がありますので、次の質問に移らせていただきます。

 こういうふうに、私は、解雇の規制緩和について非常に問題だと思っておりますが、もう一点、今回、史上最大の生活保護基準の引き下げが行われます、三年間で。そして、ここでお聞きしたいんですが、質問通告もしておりますが、地方住民税の非課税限度額と生活保護基準というのは連動をしております。ここにも資料がありましたが、例えば、過去、二〇〇三年に生活保護基準が〇・九%下がったときに翌年二〇〇四年に個人住民税の非課税限度額は何%下がったかというのを見ると、これは世帯人数でも違うんですが、平均すると、世帯人数三人でいくと、一・四%、つまり、〇・九%生活保護基準が下がったら、一・四%非課税限度額が下がっているんですね。

 ついては、今回、三年間で六・五%下がるわけですから、六・五%下がると、生活保護基準の引き下げや、それに連動して非課税限度額が引き下げられると、介護保険料、保育料、幼稚園に対する支援金、奨学金の基準とか、さまざまな制度にこの生活保護基準、住民税非課税、課税というのが、基準が変わってきます。

 そこで、来年四月以降、生活保護基準引き下げやそれに連動した地方住民税非課税限度額の引き下げに連動して基準が変わる可能性がある国の制度は全省庁で幾つあるのか、また、それによって負担増になる可能性のある低所得者の人数は全て可能性として何十万人ぐらいなのか、何百万人ぐらいなのか、それを安倍総理、お答えいただきたいと思います。

山本委員長 田村厚生労働大臣。(山井委員「いやいや、全省庁を聞いているんだから」と呼ぶ)細かい話だから。

田村国務大臣 いや、これは総理がお話しされるべき話じゃなくて私の話だと思いますから、申し上げますが、まず、生活保護に関して基準額が下がるということによって、今言われましたように、住民税非課税限度額、これが動く動かないということは、まず、二十五年度は動かないということは、もうこれは御理解をいただいておると思います。

 あわせて、二十六年度がどうなるかということはまだ決まっていないわけでございまして、これから総務省、それからそれぞれ与党の税制調査会等々で御議論をいただく、その中において、委員が、多分、思いの中であられるんだと思います、生活保護と一般の低所得者世帯、こことの物価等のバランスで今回下げたとするならば、もともとの一般低所得者層に影響が与えられるとすれば、それは不合理ではないか、こういうお話でございますから、そこは、いろいろと閣僚間で話をする中で、影響をなるべく抑えようという議論をいたしております。

 それからもう一点、二十六年度はどうなるか。それは、これからの経済情勢によっても生活保護の基準額は変わるわけでございますから、二十六年度の生活保護基準がどうなるか、まだわからないんです。わからないということは、それに合わせてこの住民税非課税限度額がどうなるかということはわからないわけでございますから、それも含めて、どうなるかわからないものを今どれぐらい対象者がいるかなんということは答えられないわけでございますから、我々は、影響をなるべく与えないように努力をしておるということを御理解をいただきたいというふうに思います。

山井委員 最後に一問だけで終わります、安倍総理に聞いているわけですから。

 安倍総理、今の田村大臣の答弁にありましたように……

山本委員長 もう時間ですよ。民主党の時間は終わっていますよ。民主党の時間は終わっているんです、長妻さん。

山井委員 何人にはねるかわからないということですが、物価は上がるのに低所得者の自己負担がふえるのはおかしいと思いますが、それに対して一言コメントをお願いします。安倍総理に聞いている。一言、お願いします。

山本委員長 委員長から申し上げます。

 民主党の時間は終了いたしました。

山井委員 安倍総理に聞いたのに田村大臣が出てきたんじゃないですか。一言、感想をお願いします。コメントをお願いします。安倍総理。

安倍内閣総理大臣 物価が上がっていく中において、もし物価が実際に上がっていけば、その中で生活保護費等についても調整されていくものと承知をしております。

山本委員長 これにて山井君の質疑は終了いたしました。

 次に、東国原英夫君。

東国原委員 日本維新の会の東国原でございます。

 予算委員会、二回目の質問に立たせていただきます。私は、こう見えても平和主義者なので、できるだけ場が荒れないように質問させていただきたいと思います。今回、機会をいただきまして、委員長並びに関係各位の方々に心から御礼申し上げたいと思います。

 今、アベノミクス、安倍政権、非常に絶好調だと思います。非常にすばらしいスタートを切られたんじゃないかと思います。

 ただ、この前、野田前首相がおもしろい比喩をされていまして、箱根の駅伝に例えられていまして、野田政権のときには、民主党政権というのは五区で、上りのつらいときだった、今は、安倍政権は六区で、下りで非常にスピードが出ているという話でした。

 実は、私も走っていてわかるんですけれども、下りの方が難しいんですね。そして、スピードが出るので非常にリスキーというか、こけたら大けがをするような、だから慎重な走りが非常に必要になるんですが、それを野田さんはわかっていらっしゃったのかどうかわかりませんが、野田さんにしては、何か非常にいい比喩じゃないかなと思ったんですね。

 今、非常に追い風で走っていらっしゃるんですけれども、区間新を出すような勢いなんですけれども、今の御所感、お気持ちを、総理、よければ。

安倍内閣総理大臣 確かに、下り坂は意外とスピードが出過ぎて転ぶ危険性もありますし、それなりに一歩一歩負荷も高くなっていくということもありますから、ここは、政策に対する自信を持ちながらも、薄氷を踏む思いで、慎重に、よく目くばせをしながら、細心の注意を払いながら政策を進めていきたい、このように思っております。

東国原委員 ありがとうございます。

 その経済政策なんですね。三本の矢というのは非常に順調だと思うんですが、金融緩和、財政出動、そしてまた成長戦略、先ほど来ずっと話があるように、成長戦略はやはり重要だと思うんですが、その前に金融政策についてちょっとお伺いしたいんです。

 大胆な金融政策ということで、日銀の総裁、副総裁、人事がかわりまして、またいよいよ大胆な金融緩和の体制が整ったんじゃないかなと思うんです。まだ、実体経済に即反映されているかどうかというのはちょっと疑問があるんですけれども、物価が上がる以上に給料が上がっていかないと、なかなか実体経済は活性化しないと思っているところであるんですね。

 一般の企業で、一部の企業では賃上げとか、動いていらっしゃる方もいらっしゃいますけれども、まだまだ、本当にデフレ脱却するのか、本当に景気がよくなるのかというのをじっと見て、それを確信されてから、賃上げとか投資とか、そういったものに踏み切られるんじゃないかな、そこまで頑張らなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。

 それで、日銀総裁の黒田氏なんですが、三月二十一日の就任会見で、二%の物価目標を二年程度で達成するために何でもやるということをおっしゃっておられます。三月二十六日の衆院財務金融委員会で、日銀が掲げる物価上昇率二%の目標について、二年を念頭に置いて、必ず日銀の責任において達成したいとおっしゃっています。これはすばらしい決意だと思うんですね。

 そして、日銀の副総裁、岩田氏ですが、この方は、同じく二十一日の就任会見で、デフレ脱却するためには、二%の目標をいつごろまでに責任を持って日銀が実行することをコミットメントすることが非常に大切だ、達成できなかったときに言いわけをしないという立場に立たないと、市場が金融政策を信用しないことになってしまう。また、まず果たすべきは説明責任だと思いますが、説明責任を果たせない、単なる自分のミスジャッジであれば、責任のとり方は辞任だと思っている、ここまでおっしゃっているんですね。

 副総裁の中曽氏なんですが、実は維新は中曽氏はバツだったんですけれども、物価目標について重い約束としたが、二年で達成には、必ずとは言いがたいとお述べになっているんですね。

 中曽氏というのは、どちらかというと慎重姿勢といいますか、消極的だと思っているんですが、この場合、僕は、せめて総裁と副総裁というのは同じ方向を向いて政策を進めていかなきゃいけないんじゃないか。例えば中曽さんがブレーキの役、おもしの役という意味もあるんでしょうが、これはやはり同じ方向で進めていかなきゃいけないと思うんですが、その辺に関して、麻生財務大臣。

麻生国務大臣 必ずしも総裁と副総裁が、片っ方はここはもうちょっとアクセルと言い、いや、ここはブレーキじゃないでしょうかぐらいの違いが出ないと、みんながみんな全員アクセルなんというのは、それは危なくて、坂道を下っているときにアクセルですよなんという話だといよいよこけますので、そこはいろいろな意見があった方が、会社とかああいった大きな組織を動かすときには、いろいろな御意見があって、最終的にはトップ、いわゆる日銀の場合は総裁が判断されるということだと存じます。

 そこは、意見が違うからという、その程度の違いはある程度ないと、そこもみんな一緒だという方が、ちょっと私らから見ると危ないかなという感じがします。

 私は、この間の記者会見を見ながら、やめますとかいろいろ御意見がありましたけれども、組織をやったことがない学者の方が来られて、やめますぐらいのことは言ったって、別に、しばらくやられたら、ああ、なかなか組織というのは難しいものだなと勉強もされますでしょうし、そういったのがいろいろあって、日銀出身、元財務省出身、元学者出身と、いろいろな方がいらっしゃる組み合わせをいかにうまくまとめていくかというのが黒田総裁の能力にかかっているんだ、私はそう思っております。

東国原委員 ありがとうございます。

 その麻生大臣なんですが、二十二日の閣議後の記者会見で、デフレからインフレに切りかえ、二%にするのはかなりの時間がかかる、こう述べていらっしゃいます。これは、二年以内の目標達成は難しいという御認識をお示しになったということでよろしいんでしょうか。

麻生国務大臣 これは、東国原先生御存じと存じますが、インフレターゲットというのをいろいろな国がやっておりますけれども、いずれの国も、インフレターゲットは、二〇だ、三〇だというような伸び率で上がっちゃっているインフレを二%、三%で抑えるターゲットというのは各国やっておりますが、デフレーションですから、マイナスのものをプラスにするインフレターゲットというのをやった経験は、世界じゅう一つもありません。

 したがって、今の状況は、マイナスのデフレマインドをインフレマインドに切りかえるというのがまず大問題というか、大変な努力なんだと思いますが、それを数年で、二年でインフレにするというのは、これまでずっと十数年デフレーションが続いてきておりますので、それをインフレマインドに変えて、かつ二%というのは、これはなかなか容易なこっちゃないだろうなと、私自身は最初、日本銀行と共同声明をつくるときにそう思いながら、私どもとしては、これは日銀がよほど覚悟を決めていただきませんと、とても成りませんよと。

 しかし、日銀側にしてみれば、うちはかなり金融を緩和しても、政府側はちゃんと成長戦略をやるんでしょうね、えらく締めに締めていた財政をきちんと機動的に運用していただけるんでしょうねという保証の関係、信頼関係をつくるのは、これはなかなか難しかったと自分で思っておりますけれども、それをお互いで、よしということで、向こうも二%、こちらも第二、第三の矢ということができたんだと思っております。

 僕は、これは二年でできればいいなと正直言って思わないでもありませんけれども、なかなかのこっちゃないなと。正直、おなかの中で、サイプラスみたいな小さな経済だけで、いきなりどんと、たった一日でサイプラスの騒ぎが日本の為替に影響する、そういう時代ですから、ヨーロッパも何となくいま一つ、ほかの国の経済がいま一つというので輸出にはとても期待できないかなとか、いろいろなことを考えますと、なかなか、この二%の達成というのは厳しい覚悟を持って臨まねばならぬと思っております。

東国原委員 私は、発言が麻生大臣らしくないと思ったんですね。麻生大臣は、もうちょっと強いメッセージを出していかれるタイプかなと。意外に慎重なので、ちょっと麻生さんらしくないなと思って。

 もうちょっと、二%を二年でやりますよ、二年を目標でやりますよと、財務大臣として、日本あるいは世界に向けて、大きな、はっきりしたメッセージというのは出せないものですかね。

麻生国務大臣 その種の御希望に応えて、安易に答えて失敗した例も過去何回かありますので。何となく、マスコミに運用され、週刊誌に運用されますので、それはやはりこっちもなかなか慎重になってきた、勉強させていただきました。

東国原委員 ですから、デフレ脱却をしたいわけですよ。景気をよくしたいわけです。安倍政権がきちっとした政策をやっていらっしゃる限り、茶々を入れるというか、足を引っ張りたくないんですよ。いいところはいいところで、やはり後押ししていきたいんですね。山井さんなんかは足を引っ張りたいと思っているかもしれませんが、私は違うんですよ。いいところはいいと。

 これは、二%をやはり達成していただかなきゃいけないわけです。困るんですよ、企業も、国民も、世界も。ですから、やるんだということをはっきり申し上げていただけませんか。どうぞ。

麻生国務大臣 お気持ちもよくわかりますし、私自身も、やるんだと、正直に申し上げて、これは確実にこの二年間でやり上げたいと思っておりますよ。思っておりますけれども、できるかと言われるから、できるかと言われると、やりますとしかお答えのしようがないんですけれども。

 取り巻いております状況というのを考えますと、その取り巻いている状況で与えられる影響は、何となく、アメリカさん、この四月のあれはちゃんと越えられるでしょうねとか、ヨーロッパさん、ECBのあれはちゃんとできますでしょうねとか、サイプラスもきちんと落ちつけますね、ギリシャもちゃんとやるんでしょうね、これらが全部影響するものですから、向こうの今の状況は我々ではなかなかよく見えてこないところがありますので、いま一つ、ああ大丈夫ですよねと、なかなかそれほど安易には言えないんですが、我々、今の安倍内閣としては、ターゲットに向かって全力を挙げてやります。

東国原委員 どうも大臣らしくないですね。

 これは、二年でできなかったら誰かが責任をとるとか、そういうことにならないんですかね。今まで答弁を聞いていると、役所体質というのはどうも責任を回避するんです、逃れるんですよね。ですから、数値目標を出したら、ここをやるんだ、みんなで責任を持ってやろうじゃないか、できなかったら総辞職だみたいな、それぐらいの覚悟を持ってやらないと、デフレというのはなかなか脱却できないですよ。

 麻生大臣、責任の所在についてはどう思われますか。

麻生国務大臣 これは、気持ちだけで脱却できるなら苦労せぬのですよ。経済というのは生き物で、数字ですから、ここで笑いをとったら幾ら取れるとか、そういった世界じゃない。商売が全然違うから。

 だから、そういった意味では責任を負っていますので、そんな無責任に安易なことはなかなか言えないというのが正直なところです。

東国原委員 今の政策が成功したら、アベノミクスが成功したら、いつかは金融引き締めの段階が来ると思うんですね、出口戦略。そういうときも、やはり僕は、誰かが先頭に立って判断して、責任も持つというようなことを国民の前に約束するべきだと思うんですよね。どうですか。

安倍内閣総理大臣 まさに、国民との関係において、先般、政府と日本銀行が共同声明を出して、日本銀行は二%という物価安定目標を示したんです。これは初めてのことと言っていいと思いますよ。いわばコミットして、自分たちの責任として、二%、かつ、できるだけ早期にという発表をしました。コミットメントをしたんですね。

 そして、今度の新総裁については、おおむね二年程度でそれの達成を目指していくというところまでコミットされたわけでありまして、これはまさに、二%というのは、超えていけば、いわばそれを抑えていくということであります。

 まずは、今はもちろん、出口戦略というのは日本銀行において金融政策として考えていくのは当然でしょうし、その中においても、先ほど例として挙げられた中曽氏は、金融にまつわるさまざまなリスクについて、それをコントロールしていくことにおいては世界的な権威でありますから、私は、あの人事については、いわば人事の妙だったというふうに思っております。

 そこで、大切なことは、しっかりと日本銀行が責任を持って、政策手段において、政策目標については、我々選挙によって選ばれた政府が日本銀行に二%でお願いしますよということを申し上げて、そして共同文書になった、手段においては、彼らが手段を自由にとっていく。これで、日本銀行はいわば独立した中央銀行としてその責任を果たしていくことになるわけでありまして、当然、どういう責任が発生するかといえば、まずは説明責任ですね。

 説明責任は完全に発生するわけでありまして、つまり、今まではそもそも物価安定目標というものを持っていませんでしたから、何に対して責任を持っているかということがいま一つ曖昧だったんですが、今度は、何に対して責任をとるかということが極めて明確になった。これに向かって果たして進んでいるのかどうかということを、四半期ごとに経済財政諮問会議でちゃんと説明していく。説明できないようであれば、これは資格がありませんねということになっていくんですね。

 その中において、先ほど麻生大臣がお話をさせていただいたように、国際社会の中においてはさまざまな出来事があります。あのリーマン・ショックのようなこともありますね。ああいうことがあれば、そういう目標を立てたってそこには到達できないわけでありますから、だからあなたが責任をとれということにはなりません。そこでちゃんと説明できるかどうかということが極めて重要になってきて、この説明責任がきっちりと課せられたということが大きな変化である、このように思っております。

東国原委員 三本目の矢、成長戦略についてお伺いします。

 先ほど、福田委員からも成長戦略が重要だという御指摘がありました。まさしくそうだと思います、皆さんも御認識だと思うんですが。

 総理が、これは施政方針演説でしたか、世界で最もイノベーションに適した国、世界で一番企業が活躍しやすい国とおっしゃっておられますが、実現するためには何が必要とお考えになられますか。

甘利国務大臣 イノベーションが進むということは、研究開発にとって極めて都合のいい場所である必要があります。それは、研究開発のインフラがしっかりしている、あるいは減税措置がきちんとある、あるいは、政府が研究開発に向けて毅然たる姿勢をとって環境整備をしていくということだと思います。

 それから、企業の立地しやすい環境というのは、経済界から六重苦の話もありました、ああいう、企業が日本の中にいたくない要素をできるだけ排除していくということが必要であります。

 あわせて、国際先端テストと私ども呼んでおりますけれども、海外にはないのに日本にある、そういう産業政策上の規制、産業を自由に展開していくに当たって障害になる規制、これは、きちんと説明がつくものについてはともかくとして、説明がつかないものは原則外していくことにしようという、国際先端テストと呼んでいますもの、それらを通じて企業立地環境をよくしていくということが、世界じゅうの企業が日本に立地したいという志向を持つというふうに考えております。

東国原委員 私は、規制緩和して民間にイノベーションをしてもらう以外、生産性を高めることはできないんじゃないかなと思う方なんです。

 成長戦略なんですが、これは今まで各政権下で、民主党政権下でも作成されました。いろいろな成長戦略が出てきましたが、今回の成長戦略、六月ぐらいに出るという話なんですけれども、今までと同じなのか、違うのか、違うとしたらどこが違うのか、お教え願えればと思います。

甘利国務大臣 具体的な成長戦略の中身について、確かに、今まで、前政権と共通するものも結果としてあろうかと思います。しかし、全体のロードマップ化がどこまでできているか、つまり、政府がどう力強いコミットをそのプランに対してしていくかということがとても大事だと思います。

 まず、総理がTPP参加を表明されました。これは大変な英断だと思います。こういう経済連携協定への英断を通じて、今まで氷漬けで動かなかったような日中韓とかあるいは日・EUが動き出しました。あるいは、ASEANプラス6という動きも始まっています。いろいろな経済連携を動かしていくということで、まず環境を整えるということがあろうかと思います。

 続いて、今、日本が抱えている課題、例えば少子高齢化というのは、このままいくと活力のない社会になってしまう。人口をいきなりふやすことはできないけれども、少子高齢化という制約の中でも活力ある未来像はどうしたら描けるのか。

 その理想像と今をつなげていって、解決すべき課題がその道筋にどういうものがあるかということで、その道筋をしっかりと示して、その道筋で、政府でしかできないこと、規制緩和というのは政府でしかできません。あるいは、上流の基礎研究というのは民間ではなかなかつらいことです、十五年先を見据えて投資をするということはなかなかできません。そこは政府の役割としてやっていく。あるいは、部分的な減税政策、これも政府にしかできないことであります。

 その政府にしかできないことをロードマップ上にきちんと示す。そして民間に、これなら投資をしようという意欲を持たせる、あるいは消費者に、これなら将来が明るいから消費をしても大丈夫だという思いに至らしめる、そういうことが大事だと思います。

 要は、政府の具体的な決意を時間軸でどう示すかだというふうに思っております。

東国原委員 そのとおりだと思うんですけれども、とにかく今までは、成長戦略をやろうとしても、既得権益だとか省庁だとか族議員さんだとか、そういったところの壁がいま一つ破れなかったんです。ここに問題があるんじゃないかと私は思うんですね。安倍政権が、チーム安倍がこれをどう破れるかということなんですよ。

 ですから、省庁の壁とか既得権益に切り込んでいくんだという、その覚悟をもう一度お願いします。

甘利国務大臣 今回、いろいろな組織を設計するに当たって、事前に総理と相談をして、工夫をいたしました。

 例えば、どういう成長の芽が、可能性があるかということを競争力会議で選定いたします。その選定に従って、規制緩和が必要な場合には規制改革会議にすぐにボールが行きます。ここは、規制改革会議の議長と競争力会議のメンバーが重複をしております。そして、基礎研究で、上流部分でどういう研究が大事だといったら、それが総合科学技術会議にボールが飛びます。総合科学技術会議のメンバーと競争力会議のメンバー、お一人は重複していただいています。人でそういうところを、組織をつなげていきます。

 そして、一番の肝は、全体の指揮をとるのが日本経済再生本部です。これは閣僚で構成されています。もちろん、本部長は総理です。ですから、課題が挙がったら総理から担当大臣に指示が行きます、この問題について回答を出してこいと。つまり、これは、各大臣に行きます球は、回答を出してこなければ、いわば勤務評定になるわけであります。総理から、必要な部分についての指示がしっかりと再生本部の会議で出る。それで、出された大臣はその解決策を持っていかなければならないということが非常にみそになっているというふうに思っております。

 年央までに成長戦略をある程度まとめたいと考えておりますが、総理からの御指示で、そこまで、出そろうまで待つんじゃなくて、案件が具体化したものはどんどん発信せよという指示をいただいております。その中には、医療機器であるとか再生医療であるとか、幾つかの球はもう出ていくというふうに思っております。

東国原委員 十五日の産業競争力会議で民間議員から、ちょっとさっきの山井さんとかぶるところがあるんですが、労働力移転をしやすく、解雇のルールを見直すべき、正社員の解雇規制の緩和を要求されました。

 これに対して、恐らく厚生労働省は慎重な立場ではないかなと思うんですが、いかがですか。

田村国務大臣 労働移動といいますか、先ほど来総理がおっしゃられましたけれども、成熟した産業から成長産業に、成熟した産業はどうしても職場が減ってくるわけでありますから、これをどう移すかという意味では、そこに失業をさせずにどう移すかという意味で、失業なき労働移動というものを支援しようということで、我々といたしましては、例えば、今まで雇用調整助成金というようなものがございまして、それは、なるべく今の企業に残っていただこうというような発想でございました。

 リーマン・ショック以降、そういうものは役に立ったんですが、今、経済状況がだんだん戻ってきていますから、そちらの方の条件をもとの方に戻しながら、一方で、雇用保険の二事業というところのお金でありますけれども、それを今度は、労働移動するためのスキルチェンジでありますとかスキルアップ、そういうもののために使っていきながら、失業をなるべくせずに次の産業、企業の方に移っていただこうというようなことを進めてまいる中において労働移動をしてまいろうということを我々としては考え、また、産業競争力会議におきましても、そのような提案をさせていただき、委員の方々からも、ああ、それはいい方向性だねというような、そんな御理解をいただいておる状況でございます。

東国原委員 六年前に、二〇〇七年五月ですが、第一次安倍政権の規制改革会議で、労働規制や労働市場のあり方を変える案が出されました。そのときの内容はどういう内容だったか、概略をお聞かせ願えればと思います。

稲田国務大臣 平成十九年の五月に規制改革会議から提出をされました、労働法制の抜本的な見直しをということで、解雇濫用法制の見直し等の提言がなされております。

東国原委員 そのとき、解雇の自由化、どの程度まで言及されたのでしょうか。

稲田国務大臣 当時の規制改革の前提といたしましては、解雇規制を中心として裁判例の積み重ねで厳しい要件が課され、社会情勢、経営環境の変化に伴って雇用と需要のミスマッチが起きた状況においても、人的資源の機動的な効率化、適正化を困難にし、同時に個々の労働者の再チャレンジを阻害しているという前提に立って、解雇権濫用法理の見直しが検討されて、判例頼みから脱却をして、解雇のルールをきちんと明確にすべきであるというような提言がなされております。

東国原委員 今回の労働規制改革の方向性というのは、二〇〇七年の方向性と同じということで考えてよろしいんでしょうか。

稲田国務大臣 同じというか、第一次安倍内閣で、今申し上げたような規制改革会議における提言がなされております。

 そして、先ほど来、総理そして甘利大臣の方から、企業が競争力をつけて経済再生を図ることによって労働者の保護も図られていくという観点に立ちまして、今、規制改革会議というのは、産業競争力会議と連携をとりつつ、そして、再生本部から、御承知のとおり雇用というものも重点分野として指示をされて、きょうは第一回のワーキンググループが開催をされておりますけれども、いかなる労働の法制が、制度がいいのかということを、忌憚なく今議論していただいているところでございます。

 したがいまして、第一次の安倍内閣の議論があることは承知をいたしておりますけれども、過去の議論にこだわることなく、固定概念にとらわれることなく、建設的な、そして精力的な議論をしていただいていると承知をいたしております。

東国原委員 私がこういう質問をさせていただくのは、前回の第一次安倍政権のときの改革魂といいますか、そういったものが、何か今回、非常に安全運転というか、非常に消極的、あのころからパワーダウンしているんじゃないかなと思うんですね。やはり改革というのは、規制改革、選挙制度改革、あるいは公務員改革、地方分権、こういったものになろうかと思うんですが、これを今の勢いで、だっと一気呵成にやっていただきたいという希望があるわけですよ。ですから、こういう質問をさせてもらっているんです。

 規制改革会議についてお尋ねします。

 二〇一三年二月二十五日、「六月までに取り組む規制改革の項目について」というのが出ております。一が一般用医薬品のインターネット販売、二が保育サービスの規制緩和、三が石炭火力発電に対する環境アセスメント、四が電力システム改革等々なんですが、この六月までに取り組む、何かテンポが遅いような気がするんですね。

 もうちょっと、すぐに規制改革、三本の矢ですから、同時に放たなきゃいけないと思うんですね。それを六月に待っていて、参議院選後、また来年の通常国会みたいな、何かスピード感に欠ける。下り坂を走っているわけですから、もうちょっと早く、そして慎重に、かつ記録をつくるようなスピード感を持って改革をしていただきたいと思うんですけれども、どうですか。

稲田国務大臣 安倍内閣の成長戦略の一丁目一番地として規制改革を位置づけておりまして、今、委員からも、頑張れというエールを送っていただいたものと認識をいたしております。

 六月までに、遅いということでございますが、今、四分野について、できたものから提言をいたしておりまして、例えば一般用医薬品のインターネット等販売については、既に規制改革会議から提言を出しているところでございます。他の三つの分野につきましても、できたところから提言、そして発信をしてまいりたいと思っております。

東国原委員 済みません、四番目の、電力小売の全面自由化、発送電分離等は、すごく遅いと思うんですが、進んだところからとおっしゃいましたけれども、これは何か非常に消極的な、そういう姿勢に感じられるんですが、いかがですか。四番目の、電力小売の全面自由化と発送電分離です。

茂木国務大臣 電力供給、これは、企業にとっても家計にとっても常に安定的でなければいけない。そして今、原発がとまっている状況の中で、できるだけ低廉にエネルギーを供給していかなきゃならない。

 そこの中で、今回の電力システム改革、御案内のとおり、戦後六十年、同じ地域独占の形が続いてきました。これを変えていく。例えば、発電側では、再生可能エネルギー、こういったものをどんどん導入して、新規参入も行っていく。一方、小売の側、これも、規制料金体系を最終的には変えて、そこの中でさまざまな使用のメニュー、料金のメニューというのが生まれてくる。

 例えば、実証実験をやっておりますけれども、北九州を初め全国四カ所でやりまして、時間帯、ピークの時間とオフピーク、それから夜で電気料金を変えていく。通常でいいますとキロワットアワー当たり二十三円のものを、オフピークの場合はこれを十六円に、夜は六円に、そして、逆にピーク時は、もし、どうしても電力が足りないような状況になったらこれが百五十円まで上げられるようなスキームをつくって、実験をしました。それによりまして、二割ピークが下がる、こういう需要が出ています。また、家計にとっても、これで一カ月の電気料金が三割下がるという形であります。

 こういった、発電側、そしてまた小売、需要が、抜本的に競争を入れて変えていく。そのためには、真ん中の送配電、これが中立になっていかなきゃなりません。

 そういった作業を順序立ててやっていくということになりますと、一年、二年ではできないんです。全体の方針はほぼ固まっております。政府としての方針を固めて、電気事業法の改正、この国会に所要の法律案を提出する予定であります。急ピッチで、最高のスピードで進めています。ただ、安定供給をきちんと確保しながらやらなくちゃならないということでありますから、改革は大胆に、しかしスケジュールは現実的にやらないと、ブラックアウトする、こういうことが絶対あってはいけない。こういう思いで、最高のスピードでやらせていただいております。

東国原委員 ぜひ、最高のスピードでやっていただきたい、区間賞をとっていただきたいと思うんです。

 世界銀行の規制環境ランキング、現在、日本は四十七位ですか。だから、企業に自由競争を促して、国際競争等に打ちかつような強い企業にしていくということが大切だと思うんですね。官主導じゃなくて、やはり民間主導でなきゃいけないですよね。民間に、投資しようという、あの三本の矢の、まさしくそれだと思うんです。

 そのためにはやはり規制緩和も必要。そのためには、所管省庁とか既得権益とか族議員等々の抵抗もあろうかと思うんですが、総理の強い強い後ろ盾、強い決意がないと、改革を全面的に支えてくれないと、これは失敗に終わると思うんですね。歴代ずっとやってきて、それがなかなか前へ進まなかった。今回は大変な期待がありますので、総理の強い後ろ盾あるいは決意、そういったものがやはり全部の改革を押していくと思うんですよ。どうでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この三本の矢の三本目の矢においては、イノベーションと規制改革、これが二つのエンジンなんですね。これを動かしていかなければ、我々、デフレから脱却をして、経済を力強く成長させ、国民が富を取り戻す、こういう経済をつくることはできないと思っていますし、まさに待ったなしだろうと思います。スピード感と、そして大胆さと勇気を持って取り組んでいきたい。そして、その私の指示に従って、甘利大臣も稲田大臣も大いなる決意を持って臨んでいるんだということは申し上げておきたいと思います。

東国原委員 ぜひ、成長戦略、今までなかった成長戦略を実現して日本を軌道に乗せていただきたいということを心からお願い申し上げまして、私の質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて東国原君の質疑は終了いたしました。

 次に、西野弘一君。

西野委員 いやあ、山井さんの後じゃなくてよかったなと思っています。先ほど甘利大臣が、アキラとつくのは大体品のいい人だというお話がありましたけれども、私の親父も西野陽と申しまして、何せ品がいい親に育てられたものですから小心者なので、できるだけ穏やかな雰囲気の中で質疑をさせていただきたいと思っていましたので、このタイミングでよかったなと思っております。

 日本維新の会の西野弘一でございます。

 きょうは、予算委員会の質疑、初めてでございますが、ぜひ誠実な御答弁をいただけたらなというふうに思っております。

 よくいろいろな方のお話を聞く機会がありますけれども、人生は、上り坂、下り坂、もう一個の坂があって、まさかとかいうのがある。大体、こういう話をされるおやっさんというのは話の長い人が多いんですけれども、でも、私にとりまして、三年間ぐらい、本当にまさかの連続でした。

 平成十八年に自由民主党の候補者として府会議員の補欠選挙に臨みまして、当時は、今の安倍総理と二連ポスターを張らせていただいて、初当選させていただいて、活動しておりました。そういう中で、自民党籍を持ちながら今の大阪府知事の松井さんとかと一緒に大阪維新の会を立ち上げて、三年前の参議院選挙は自民党の候補者を応援しました。しかし、何か、秋になると突如として離党勧告をいただきまして、自民党を離れることになりました。

 結果、今思えば、それでよかったのかなと思いますし、あのときに決断させていただいて、これは、いろいろな、ナショナルパーティーに頼れる環境がなくなってしまったので、みずからナショナルパーティーを立ち上げないかぬなということで、昨年の日本維新の会の立ち上げにもつながりましたし、結果として、私がまさか候補者になるとは思っていませんでしたけれども、昨年末の選挙で初当選をさせていただいて、まさかこんなに早く予算委員会で質疑をさせていただく機会をいただけると思っておりませんでしたが、きょう、初めての質疑を迎えました。

 そういう中で、先ほども東国原議員からいろいろと質疑がありました。この解散前後から、アベノミクスという言葉が言われるようになりました。

 大阪の阿倍野という地域があるんですけれども、物すごく盛り上がっていますよ。お好み焼き屋さんへ行ってもアベノミックス焼きとか、ソフトクリームもアベノミックスソフトとか今やっています。それはあれなんですが、一般の皆さんまでそういうアベノミックスという言葉を冠につけるぐらいにもう浸透していますし、これは現に効果も上げてきていることでありますし、先ほどもマクロの金融の話がありましたけれども、日銀と政府が強いコミットメントを発せられたことが一つの要因になっているということは、これは紛れもないです。

 その需要を喚起するための財政出動もしっかりとやっていただいて、また、三本目の矢の成長戦略というところで、ちょっとは攻めどころもあるのかなと思っておりましたが、TPPも早々と参加表明されて、攻めなあかん側の立場としては、なかなか攻めどころがなくなって厳しいなと思っているんです。

 しかし、ここはしっかりとこれからの政策をいろいろと判断させていただきながら、しっかりと議論を進めていく中で、今までの野党は、とにかく何でもかんでも足を引っ張ればいいというような発想だったかもわかりませんが、我々は少なくともそうではなくて、与党の皆さん、大変大きな政党でありますので、与党の中でもいろいろな御議論がこれからあろうかと思いますが、そういう中で、むしろ我々がより先鋭的な成長戦略をお示ししたりする中で、しっかりとこの政策議論を前に進めていきたいなというふうに思っております。

 きょうは、そういう中で、私の成長戦略の考え方とかは、ターゲティングポリシーからの脱却であったり、いろいろとお話をしたいことがあるんですが、それはまた、きょう頑張れば次もう一遍チャンスをやるというふうに党からも言われておりますので、きょうは少しそこはおいておきまして、成長戦略の陰に隠れて今余り議論をされなくなっている部分について、少しお尋ねをしたいなと思っています。

 私は、政治家は票になることばかり言っていたらいかぬと思っています。ですので、きょうは余り票にならないかもわかりませんが、ある意味では、むしろ、だからこそしっかりとこういう場で議論をさせていただきたいと思っておりますので、まず、児童養護の、社会的養護の問題についてお尋ねをしたいと思っています。

 二十三年七月の審議会の答申で「社会的養護の課題と将来像」というものが出されました。そうういう中で、措置の割合ですね、児童に対して何人ぐらいの措置をするかというような目標の水準というのが示されています。ゼロ歳児、一歳児であれば、子供一・三人に対して一人の児童指導員、保育士をつけなきゃいかぬ、二歳児であれば二人に対して一人、三歳以上であれば三人に対して一人、小学生以上であれば四人に一人というふうな目標が示されました。

 また、あわせて、この社会的養護、児童養護施設については、できるだけ小規模化をしていこうということも今方針として決められておりまして、そういう中で、小規模のケアをしていただけるところには加算をしまして、おおむね、三人の子供に対して一人、もしくは二人に対して一人ぐらいを措置するのが妥当であろうということの答申が二十三年になされました。

 それを受けてかどうかはわかりませんが、二十四年度に、当時の政府が、これはやりますよというような感じで大々的に言われまして、僕らもすごく、地方にいながら期待をしていましたけれども、結果、出されたものは、子供、もともとが一・七人に一人のところが一・六人に一人、また、小学生以上のところでいうと、それまでは六人の子供に対して一人の措置が、二十四年度の予算では五・五人に対して一人という案が出されました。現場では物すごく期待があっただけに、ああ、これは裏切られたというような声を本当に聞きました。施設によっては全く変わらないんですよ、これぐらいの改革であれば。

 この点について、政権もかわったことですし、この児童養護の措置に対して、専門家なりの審議会の中で答申がなされた数字と余りにもかけ離れているわけでありますので、そのあたりのことについての御所見を伺いたいと思います。

田村国務大臣 お父様とは同期でございまして、本当にいろいろな仕事をさせていただきまして、年金記録問題に関しましても、実は、どうやって解決するか、お父様からいろいろなお知恵をいただきながら提案をした、そんな覚えがございます。西野弘一議員にも御活躍をいただきますようにお祈り申し上げたいと思います。

 今のお話でございますけれども、児童養護施設、昔と本当に、生活されるお子さん方の環境が激変、さま変わりをいたしております。昔は、親御さんがおられないお子さんだとか、何らかの事情で生活できないお子さん方だったんですが、最近は、児童虐待という中で、一番信頼している親に虐待を受けて、それで心に傷を持って入所されるというようなお子さんがふえてきておりますから、そういう意味からいたしますと、昔から比べても、やはり施設の方々は大変な御苦労をされておられる、そういう実態を我々も理解させていただいております。

 そんな中で、今委員がおっしゃられましたとおり、二十三年に「社会的養護の課題と将来像」というような報告書をいただいて、それに合わせて、前政権で、この人員配置の基準をさらにふやしたといいますか厚みを増した。六対一、お子さん六人に対して施設の方一人というのを、五・五対一と。四対一にはまだまだ足らないじゃないかというようなお話、そのとおりでございます。

 予算全体を見ますと、二十三年度八百三十五億円、二十四年度八百九十三億円、そして二十五年度の予算の中で九百八億円というふうに上がってきておるわけでありますけれども、なかなか財源措置ができないという中において、理想形にまだいっていない。

 一方で、これから小規模化を図っていかなきゃいけない。今、平均大体六十人ぐらいの施設が多いわけでありますけれども、これをユニット化して、大体六人から八人ぐらいのユニットで、家庭的な環境のもとでという意味で、そういうような方向も進めていかなきゃならない。

 グループホーム化というような話もあるわけでありまして、いろいろとこれからお金がかかっていくわけでありますが、しっかりと財源を確保しながら、やはりお子さん方が安心した環境の中で生活ができるような、そんな努力をしてまいりたいというふうに思っております。

西野委員 ぜひしっかりと取り組みをいただきたいと思います。

 今大臣の御答弁にもありましたけれども、当初、恐らく、この社会的養護、児童養護、戦後間もないころには、戦争孤児を対象にして、当時の文書なんか見ますと収容とかいう言葉も使われているぐらいですから、そういう発想でスタートしています。でも、今御答弁のとおりでございまして、そういった事情から大きく変わってきまして、今では、親から虐待を受けた子供さんたちがかなり多くいらっしゃると思います。

 私も児童養護施設の現場で働いておられる方々からいろいろと御意見を頂戴しておりますけれども、中には、七割ぐらいが親からの虐待を受けた子供を預かっているというふうな施設もございました。現に、数字でも、昭和五十二年から比べますと、虐待で入所をされてきているという子供さんたちの数が大体倍ぐらいになっております。

 そういう意味でも、施設の職員さんにとっても、虐待で入ってこられた子供というのは、親の経済的な事情とかで入所してくる子供たちよりも精神的なケアとかにもすごく時間がかかりますので、大変な状況でございますので、ぜひ、この加配をお願いしたいなというふうに思います。

 また、総理も、自民党の児童養護施設、社会的養護の推進議員連盟のかつて会長も務めておられたと記憶いたしておりますが、総理にもぜひ伺いたいんですけれども、この子供たちというのは、当然親からもいろいろな政治的なメッセージを発してもらうこともできませんし、いわばもう我々しかその子供さんたちにかわってメッセージを発していくことができないわけでございまして、特に、総理はよく現場のことも御存じだというふうに思っておりますので、ぜひ総理からも強いメッセージをお願いします。

安倍内閣総理大臣 ただいま田村大臣からお答えをさせていただきましたように、かつてとは大きく事情が変わっておりまして、そのほとんどが虐待、育児放棄と言ってもいいんだろうと思います。数字的には五割、七割という数字が出ているんですが、実際は、なかなか両親が虐待を認めないということの中において、書類上は虐待にはなっていなくても実態としては虐待だろうというケース、極めて多いわけであります。

 そうしますと、大体、虐待されている子の親も虐待をされているというケースが多いんですね。その虐待の連鎖を切るためには、子供たちが、自分は大人たちから愛されているんだという認識を持つことが極めて重要であるというふうに私も伺いました。

 となると、この配置基準において、今の配置基準ですと、かつての児童養護の中において入ってくる子供たちの事情とは随分違っていますから、これは対応が相当難しい対応になっているということ、ケアの仕方もですね、そういうことを我々も勘案しながら、財源をよく勘案しながら、なるべくそうした状況に対応できる体制にしていきたい、このように思います。

西野委員 ぜひお願いします。

 また一方で、虐待を受けた子供たちを一時保護する施設があるんですけれども、大阪の例でいいますと、この施設がとても現状に追いついていなくて、一時保護しなければいけない子供の約四割を民間の施設に委託して預かっていただいているというような現状も、これは現にあります。民間の施設にしますと、一時保護で親と引き離さないといけない状況の子供をお預かりする、またその分の負担もかなりふえてくるわけでありまして、このことはよく御存じのとおりだと思います。

 このまま経済がうまく回り出したときには恐らく消費税も上げていかれるわけでございますが、ぜひ、この消費税の増税のタイミングでもいいと思いますので、もちろん、保育所の予算であったりとか、それ以外の社会保障の予算をしっかりと確保することも当然でございますが、この児童養護の問題、社会的養護の問題についてもしっかりと財源を充てていただきますように、これはお願いをしたいなというふうに思っております。

 次の質問に移りますが、総理が初当選のときにどんな質問をされているのかなといろいろ調べましたら、マグロの保護の質問か何かをされていたのを見ました。それで、だからというわけじゃないんですが、総理のマグロに対抗するわけじゃないんですが、僕は、きょうは、モグラの話をさせていただきたいと思っています。

 先般……(発言する者あり)いや、同じ生き物だということで、まあ、いいじゃないですか。

 尖閣諸島には、センカクモグラを初めとする絶滅危惧種がたくさん生息しているということを聞いておりまして、この保護についてどうされているのかなということを、実は質問主意書で先月出しました。当然、保護したり、どれだけの数がいるのかということを把握するためには、環境省の立ち入りによってモニタリングの予定をされているのかとか、それができないとすれば、生物多様性に関する条約、これを日本は締結しているわけですから、この条約の履行義務の違反に当たらないのかということを質問主意書で質問したんです。

 この回答もまさかの回答でありまして、どういう回答が返ってきたかというと、そのまま読みますと、「尖閣諸島における自然環境について、引き続き、航空写真の解析、既存の文献、専門家からの動植物の生息又は生育状況に」云々ということで、そういう情報収集に努めることで、政府としては、私の指摘した生物多様性に関する条約の義務違反には当たらないものとして考えているという回答がありました。

 でも、幾ら日本の技術が成長戦略によって成長してきたとはいえ、航空写真でモグラの生態はわからないと思うんですね。ですので、ぜひこれは、現場にしっかりと環境省なりの職員さんが出向かれて、どういう状況になっているのかを把握するべきだと思っておりますが、総理の御見解はいかがですか。

石原国務大臣 西野委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 航空写真の話というのは、そこでモグラがどう生きているかを見るという話ではなくて、生態系がどうなっているか。森のあるところにしか動物は生息できませんし、あそこは対のヤギがどんどんふえまして、今、数百頭いるんですけれども、これがやはり土壌を食べたり木を食べたりして地形が変わっている。ですから、生態がどういうふうになっているかということを航空写真をもって確認するという話でございます。

 専門家の話も聞かせていただいております。どの程度生息しているのか、あるいはその生育状況はどうなっているのか、そういういろいろな専門家の話も聞かせていただきながら、情報の収集というものをこれからも進めてまいりたい。それによりまして条約をしっかりと履行しているということを世間に知らしめていきたい、こんなふうに考えております。

西野委員 専門家の意見を収集されているということなんですが、その専門家が、上陸をしてちゃんと調べたいということをいろいろと申し入れもされているというふうに伺っております。

 また、やはりこれは日本の領土の中でありますので、一々そんな外交的なことを考えずに、きちんと、まあ国交省は年に一回ぐらい灯台の電球をかえに行っているみたいですけれども、それと同じようなことで、しっかりと環境省もモニタリングを行えばいいと思うんですけれども、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 センカクモグラや、あとアホウドリも絶滅危惧種であるということだそうでございますが、こうしたいわば環境の観点から、どういう状況になっているかということについて、国際条約の観点からもしっかりと調べるべきだという西野議員の御質問、こうした観点からもさまざまな検討を行っていく必要は私はあるんだろうと思いますが、ただ、御承知のように、まさにここは尖閣諸島であって、もちろん我が国の固有の領土でございます。

 そういう観点から、戦略的な観点からも検討していく必要もあるわけでございますが、そういう、これはちゃんと国として保護しているのか、国際社会におけるその責任を果たしているのかという観点からも、我々も、政府として何をなすべきかということは検討していきたい、このように思っております。

西野委員 ぜひ御検討いただいて、もう一声と言いたいところですけれども、なかなか御答弁も難しいでしょうから、ことしじゅうぐらいには、ああなるほど、何匹モグラがおってんなということを発表いただけるようなことがあればいいなと思っています。ぜひ御検討ください。お願いします。

 次に、成長戦略でなしに、いろいろな政策のあり方でこれからいろいろな改正がなされていくと思いますが、その方向性の中に、いろいろな施策が打たれるときに、今までの施策というのは、比較的、行政サービスを供給していく側に視点を置いたものが多かったと思うんです。これからはできるだけ、例えば経済にしても民間の活力という話もありますけれども、福祉にしても福祉のサービスを受ける側、教育にしても教育サービスを受ける側に立っていろいろな改正がなされるべきだというふうに思っております。

 その観点において、少し、公立の高校と私立の高校のいろいろな施策の格差について質疑をさせていただきたいなと思っています。

 今、いわゆる公立の高校と私立の高校では、その政策の位置づけが違いますので、当然、財源の措置の形も違っております。

 いろいろと計算をしてみました。数字、細かいことをお話ししてもしようがないので、公立の高校と私立の高校のいろいろな施策で財源措置がされていますけれども、これをそれぞれの高校に通っておられる生徒数で頭割りしますと、一人当たりの単価に計算し直しますと、公立の高校と私立の高校では、公立の方が約二・七倍の財政措置がされていると思います。

 この状況について、私はできれば同じような措置をされるべきだというふうに思っておりますが、大臣、御見解をいただきます。

下村国務大臣 お答えいたします。

 公立高校と私立高校では、地方交付税の算定も含め、財政措置においてその取り扱いが異なっている、今の御指摘の数字のとおりでございます。

 御指摘の公私間格差については、その是正を図ることが重要と考えておりまして、平成二十五年度予算案、それ以外に私学助成という形で一千二十二億円を計上し、その格差是正、拡充を図っているところでございます。

 また、高校無償化制度について、限られた財源のもとで、真に公助が必要な方々のための制度設計ということで、政権交代の後、我々の政権としては公私間格差を是正する必要があるというふうに思っておりまして、今後、高校授業料無償化総額が四千億でございますが、所得制限の導入も含め、そこから財源を確保して公私間格差の是正をしていきたい。これは、平成二十六年度以降の新制度において検討をしてまいります。

 また、私立学校は公立学校とともに公教育を担っているということでございますので、この私立学校の学校教育に果たしている役割に鑑みまして、さらに公私間格差の是正に努めてまいります。

西野委員 方向としては、公私間の格差の是正の方向に向かっていただくということで、それはありがたいんですが、実は、大阪で私立の高校の無償化という制度を導入しました。

 もともと、大阪の場合は公私間で協定を結んでいまして、七割が公立に、三割が私立で受け入れをというようなことの協定をやっていました、実際には六、四ぐらいの比率だったんですが。ところが、この私立の無償化を始めた途端に、おおむね一対一になったんです。

 いろいろアンケート調査しましても、親の経済的な状況を考えなければどっちを選びますかという問いを子供たちとかに、また保護者にも、家庭の経済状況を見なければどっちを選びますかというと、ほとんど私学に行きたいというふうにアンケートに答えられているんです。ですから、大阪でもそういう無償化をスタートさせたわけなんです。

 この理念というのは、中学校三年生のときに、家庭のそういう経済的な事情にかかわらず、みずからの進路を決めてもらおう、その先には、いわゆる経済的な格差が世代を超えて、世代をまたがないようにしていこうという理念があって、この私学の無償化というのをやりました。

 ところが、これは大阪府の単費でやったものですから、財政的に厳しい中でかなりの財政措置をしていますので、本当に厳しいんです。むしろ、自民党の大阪府議団なんて、こんなことやるから余計大阪府の財政が厳しいんだなんといって怒っているぐらいですから、本当に厳しい状況なので、むしろ国の考え方として、将来、できれば子供たちにとっての視点に立っていただいて、究極を言えばバウチャーみたいな制度になるのかもわかりませんけれども、子供たちにまず選べるようにバウチャー的なものをやる。

 そういう中で、子供たちが私学にたくさん行けば私学に当然その分のお金が行くし、公立を選べば公立にお金が行くというような形に進めていく方が僕はいいんじゃないかなというふうに思っておりますけれども、将来、少し先の長い話になってしまうかもわかりませんけれども、このような方向性について、大臣の御見解はいかがですか。

下村国務大臣 高校授業料無償化については、公立高校が無償化、私立高校はその相当分だけ軽減されているということで、実際は、授業料の比較でいえば、今まで一対四がゼロ対三になった。それに対して、大阪府が独自に年収六百五十万まで上乗せして、私立学校に対しても無償化をされているというのは、これは積極的な取り組みであると思いますし、評価申し上げたいと思います。

 ただ、都道府県によって格差が出てくるということは、これは財政が厳しい都道府県にとってはなかなか、そこに住んでいる子供にとってはやはりハンディキャップがありますから、できるだけ、そういう意味で、国としても、所得制限を設けることによって私学に対するかさ上げをしていきたいということでございます。

 そういう視点から、できるだけ子供の教育費における負担軽減を図る、そのことによって、できるだけチャンス、可能性を全ての子供たちに提供していくという視点の中で、今御指摘があったバウチャー制度というのは、私も、つまり学校の設置機関に対する補助ではなくて、生徒、子供一人一人に対して同じような教育費を投入するという考え方のバウチャーというのは、今後十二分に検討に値することであるというふうに思います。

 今、教育再生実行会議ではテーマになってはおりませんが、しかし、今後考えるべき重要なテーマの一つであるというふうに私自身は認識しております。

西野委員 ぜひ、恐らく同じような思いを大臣も持っていただいているようでございますので、その方向に向けて少しでも進めばいいなというふうに思っております。

 また、私は、公立の無償化というのは全然間違った方向だったと思っています。間違った方向だと思っています。全生徒に対し無償化したというあの施策は、僕は間違っていたんじゃないかなと思っています。

 実は、高校生に、君らにはすごい、百万円近い税金が投入されているんだよ、それを使って君たちは勉強させてもらっているんだよということの意識があるかと聞いたら、ほとんどないですよ。ないです。ですから、ある一定の所得がある方にはその応分の授業料を払っていただいたらいいと思います。

 ですから、両方ただにしろということではないんですよ。そうではなくて、私立も公立も同じ土俵に乗って、その同じ土俵の中から、生徒が、自分たちの親の経済力にかかわらず、家庭の環境にかかわらず、公立に行きたければ公立に行く、私学に行きたければ私学に行くというような自由な選択肢を、むしろ政策の中で子供たちに渡してあげるということが僕は大事だというふうに思っております。

 ですから、所得の高いところではしっかりと応分の授業料を負担いただければいいと思います。ただ、公立と私立を同じ土俵に乗っけることで、子供たちの側に、教育のサービスを受ける側にしっかりとその選択肢を渡していくということが大事だというふうに思っております。

 最後に、総理、この点について、本当の意味での教育の機会の均等ということが言われておりますが、むしろそういう経済の格差が世代を超えてまたがないという意味も込めて、私が今申し上げた点について御所見があればお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 大都市部、東京とか大阪については、私立という存在が地方の私立とは大分違うんだろうと思うんですね。東京とか大阪は、割と高収入の御家族が自分の子弟を私立に通わせるわけでありまして、ですから、誤解している方々は、いわば慶応とか学習院の高校に行っている家庭に何で税金を入れるのと言う人たちもおられるんでしょうけれども、例えば山口県とか、地方はそうではなくて、むしろ私立に通っている御家庭の方が収入が低いところの方が多いんですね。

 その中において、こちらと公立との関係で格差があるのはおかしいというのはずっとある議論でございまして、やはり子供たちの立場に立って、教育を受けたいという子供たちの立場に立って我々は政策を進めていかなければならない、このように思っております。

西野委員 もう時間が来ましたので最後にしますが、そういった点も含めて、地方によっていろいろな形があります。公立がたくさんある地域もあれば、私学がたくさんある地域もありますので、そういうところでそれぞれがうまく運用できるようにするならば、それこそバウチャーというか頭割りにして、一括交付金にして、それぞれの地域で割合を変えてもらえるようにするという地方分権的な考え方もあります。こういった点に、ぜひまた今度質疑ができるように、見ておられる党の皆さんにもまた御配慮いただけたらなというふうに思っております。

 きょうは質問通告をもっとたくさんさせていただいておりましたけれども、時間の関係で半分ぐらいしか質問できませんでしたが、また次の機会にさせていただけることを信じて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて西野君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、財務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。麻生財務大臣。

麻生国務大臣 本日午前の予算委員会におきまして、平成二十五年度暫定予算の提案理由説明を申し上げたところでございますが、二点訂正をさせていただきたいと存じます。

 一般会計予算の歳入における公債金の部分につきまして、公債事業費等の計上額と申し述べたところでありますが、公共事業費等の計上額へと訂正をさせていただきたく存じます。

 いま一点、今回の一般会計暫定予算の歳出総額につきまして、十兆一千八百八億円と申し述べたところですが、十三兆一千八百八億円へと訂正をさせていただきたく存じます。

 何とぞよろしくお願いを申し上げます。

山本委員長 質疑を続行いたします。岩永裕貴君。

岩永委員 日本維新の会の岩永裕貴でございます。

 本日は、まだ当選して間もない私にこのような場をお与えいただきましたこと、心よりお礼を申し上げます。また、総理初め大臣の皆様方がおそろいのもと、こうしていただく十五分間、この重みを十分にかみしめながら質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、古くは近江商人が栄えた町、滋賀県、近江の国からやってまいりました。三方よしの精神で皆様方御承知のとおりだと思います。世間よし、売り手よし、買い手よし、その精神を今見直そうじゃないかということで、さまざまなビジネスの分野でも幅広く皆様方に知っていただいている理念でございます。そうした滋賀県の最南端の市でございます、これまた忍者で有名な甲賀市、その最南端にある、信楽焼で有名な信楽町で私は生まれ育った三十九歳でございます。どうぞよろしくお願いします。

 それで、きょう午前中からさまざまな皆様方の御質問がございました。TPPの問題、そして社会保障の問題、また景気回復など多くの議論が交わされましたが、私は、そうした施策をどのように成功させていくのか、その根幹にあるのは人そのものだと思います。いかに国民が一致団結をし、政府そして国会が指し示している目指すべき方向性についてどれだけ理解をし、一致団結をした中でそうした思いをともに達成していこうとするのかという、ここの部分がすごく大事なことだと思います。

 そうした観点からも、私は、その人づくり、そしてまた若者の政治参画というような観点できょうは御質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、フェイスブック、総理も年初めからフェイスブックの方を御活用され、国民の皆様方に直接みずからの言葉でいろいろな思いを語りかけていただいております。非常に使いやすいコミュニケーションツールといたしまして私も活用させていただいていますが、あの発信をされている内容というのは、もちろん、御自分でアップされる、されないにはかかわりなく、その内容はしっかりと御確認をされて、総理自身の思いとして発信をしていらっしゃる内容ということでよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 フェイスブックについては、官邸のフェイスブックはことしからスタートさせていただきまして、私個人のフェイスブックは昨年の二月か三月ぐらいから始めさせていただいておりますが、私は今、両方に私の考えをアップさせていただいております。

 官邸の場合は、これはオフィシャルなものでございますから、割とオフィシャルな雰囲気で書かせていただいておりまして、個人の方は、もう少し思い切って私の考えを述べさせていただいているところでございます。

岩永委員 ありがとうございます。

 それで、その官邸の方のフェイスブックで、一昨日、三月の二十六日にアップされた内容、アルジェリアでのテロ事件の慰霊式に参列をされたときにアップされたフェイスブックの中で、少し前後の文章は省かせていただきますが、総理はこのようにおっしゃっております。「日本の発展は、世界を覆う大競争の荒波にためらうことなく漕ぎ出していく、私たちの意志と勇気にかかっています。」という一文を拝見いたしました。

 この文章を拝見いたしますと、単にテロ組織に立ち向かっていくんだということだけではなく、日本のトップリーダーとして日本のかじ取りを行っていく上での大変大きな決意を私は感じ取らせていただいたわけなんですけれども、その文章の真意について、少し、総理の思いがございましたら、お伺いをさせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日本は、新しいフロンティアに挑戦をしていく精神を失ってはこれから立ち行かなくなっていってしまう、このように思います。日本の歴史を振り返ってみても、内向きになっていた時代もありますし、しかし、その中で勇気を奮って海外に飛躍をしていこう、そういうフロンティアスピリッツの中において新しい時代を切り開いていった、そういうときもあるわけでありまして、今こそ、私たちは、この精神を、新しい時代を私たちこそが切り開いていかなければいけない。この精神を取り戻し、そして、いわば日本の繁栄の時代をつくっていきたいと思っております。

岩永委員 今、総理みずからのお言葉で、挑戦という言葉を使っていただきました。私自身も、このチャレンジスピリッツというものこそが、今の日本には必要不可欠な要素であり、国力の源であるというふうに考えさせていただいております。

 日本維新の会の基本理念に、個人の自立、地域の自立、そして国家の自立という、目指すべき方向性を掲げさせていただいております。国家が国家としてあるべき姿を構築するためには、地域、そしてまずは個人の自立が大切なんだというような観点から掲げられている理念でございます。特に、そうした観点から、現役世代をもっと元気にしていこうという思いから、特に社会保障などの分野において、いわゆる支える側と支えられる側、このバランスの再構築が必要だともあわせて言わせていただいておるところでございます。

 私は、十八歳から約六年間、海外での生活を経験させていただきました。各国のさまざまな若い友人たちと、国家観であったりとか愛国心であったりとか、または宗教のこと、人種のこと、大変多くのことを議論を交わさせていただいた六年間を送らせていただいたわけなんですけれども、そうした中で、私がやはり一番大きなインパクトとして世界から受けたカルチャーショックは、先ほども申し上げましたが、一つは愛国心の強さ。自分の国を思い、愛し、そのために行動していくんだという、その確固たる信念の強さというものに、まずは一つ衝撃を受けたところでございます。そうして、もうあと一つは、先ほどから言わせていただいております、リスクを背負うことの楽しさですね。リスクを背負うことの楽しさを知った上でのチャレンジスピリッツ、前向きな精神というものに、私は大変多くの感銘を受けましたし、衝撃を受けました。

 そうした経験から、私自身が日ごろから自分に言い聞かせている言葉がございます。これは、未来は常に不確かなものなんだ。未来は常に不確かなものである、なぜなら、それは次代を担う青年の志次第であるからという言葉を私は自分自身に言い聞かせながら、日々、できるだけ志を高く、自分が与えられた時間について、どうやって国家のために費やしていけるのかということをひたすらに考えて活動させていただいております。

 国家の未来を中長期的な視点で考える上で、先ほど申し上げた現役世代、特に将来に責任ある世代、若者のチャレンジスピリッツが非常に重要であるということは、もうここにいらっしゃる皆様方、御承知のとおりだと思うんですけれども、これまでも、この件に関しましては、若者の政治への参画であったりとかいう部分をどのように促していくのか、若者の無関心であったりとか政治離れというものをどういうふうに取り戻していくのかというような点については、さまざまな課題について各省庁が取り組まれてきたことだとは思います。

 ただ、さきの選挙の投票率を見てもわかるように、やはり、挑戦をしなければならない、そして国家の未来をこれから切り開いていかなければならない若者が、なかなか政治というものに興味を示さないという現状、この現状について総理にお伺いをいたします。

 総理は、この若者の政治離れというものがなぜ起こっているのか、そして、そうした政治離れが国家の繁栄にどのような影響を及ぼすというふうにお考えでしょうか。簡単にで結構ですので、御答弁いただければと思います。

安倍内閣総理大臣 岩永委員が指摘をされたように、まさに、未来は不変なものではなくて、今若い人たちが何をするかにかかっているんだろう、このように思います。その中において、政治に対して関心を持って、そして影響力を行使していこうという思いこそが未来につながっていくと思います。

 そこで、では、なぜ政治に無関心になったのかといえば、やはり、政治家というのは約束を守らないんじゃないかというのが一点ですね。もう一つは、自分たちが何かやったって変わらないんじゃないかということ、誰がやったって同じだ。そうではないんだということを私たちが示していくことによって、若い人たちの政治への信頼を回復させていきたい、このように決意をしております。

岩永委員 ありがとうございます。

 これまでさまざまな問いかけ、投げかけを政治がしてきたにもかかわらず、なかなか若い世代が関心を示さない。ここには、私は、政治が、彼らの生まれ育ってきた環境、今生きている環境というものを、しっかりとまだ、もう一つ理解できていないんじゃないかなというふうに思うんです。地元で多くの若者のそうした生の声を聞いていると、そういうふうなことをすごく思うんです。

 私は三十九歳です。ちょうど海外に拠点を移したのが二十年前でございました。先ほどから申し上げました、私が海外でそうした多くのカルチャーショックを受けている間、日本は一体どういった時代を歩んできたのかなというふうに考えると、私たち二十代、三十代というのは、もう御承知のとおり、いわゆる失われた二十年しか知らない世代なんです。社会に出て、経済成長を全く見たことがないんです。

 そして、挑戦、挑戦という言葉が飛び交うわけですけれども、周りの身近なところで挑戦をしている先輩たちを余り見たことがないんです。そして、挑戦をされても、成功していらっしゃる方々を私たちは知らないんです。身近な部分でですね、全てがそうだとは申し上げませんが。

 そうしたことを全く知らずに我々は育ってきているということを、深く私たち政治は認識をするべきだと思うんです。若者がこれからもっと社会に出ていって挑戦をすることが大事なんだよと申し上げても、挑戦をすることの価値観、挑戦をすることの意義というものを失っているんだというところのスタート地点からいろいろな物事を考え始め、彼らに問いかけていく必要があるんじゃないかなというふうに私は強く思わせていただいておるところでございます。

 それで、先ほどの生の声、例えば、親の世代は大変多くの年金をもらうのに、その財源を我々に押しつけて、我々は年金を受給する額が少ないんじゃないだろうかとか、先の見通しがなかなか立たない、就職もできない、そうした中で家や車を持つことなんて夢にも考えられないんだよとか、また、そうした財政状況、自身の給料がふえないということから、結婚や子育てにも踏み切る余裕がないんですとか、ましてや家を購入するような、そんな余裕もないんですよというようなこと、そういったことの生の声というのを私が伺っている中で、厚生労働大臣に一言だけでお答えいただければと思います。

 世代間格差というものをどのように、現状、認識をされておりますでしょうか。

山本委員長 田村厚生労働大臣。一言お願いします。

田村国務大臣 一言は難しいんですが。

 年金の話が出ました。年金の考え方は、日本は賦課方式、つまり、今の現役世代が今の年金受給者の方々を支えているという制度です。これがなければ、多分、同居するなり、別居しておれば仕送りを払う。もちろん、家庭によって、子供が多くて親が少ない家もあれば、子供が少なくて親が多い家庭もあると思います。そこを平均して、平準化して支えているというような制度でございますから、これを格差というのかどうか。世の中の時代が変わる中で、支える形態が変わったというふうに認識する方がいいのかなと思います。

 ただ一点、夢がないというのは、やはり、給料が上がらないという社会になっちゃったからですよね。ですから、ちゃんと給料が上がっていくような、将来設計が立つような、そんな社会にしようというのが、安倍総理がおっしゃられるところの三本の矢でしっかり実現していこうという話でございますので、そのような国家を実現してまいりたいというふうに思います。

岩永委員 ありがとうございます。

 あえて総理にお伺いをさせていただきたいと思います。

 これは、政治家として、そして総理の立場からは非常に使いづらいお言葉かもしれませんが、世代間格差、これは今の若者にとって不公平だとは思われないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これはいろいろな考え方があるんですが、では、例えば年金をとって、年金の制度が一九六〇年代にできていくわけでありますが、そのときに、年金を受け取る側は、確かに、自分が払った額よりもはるかに大きな額を受け取ります。しかし、彼らが頑張った時代というのは、日本が戦争で全てを失って、ゼロから物をつくっていく、インフラをつくっていくという世代だったんですね。物すごく頑張ったんですよ。

 彼らがいたからこそ私たちがあるわけであって、若い世代も、その営々として築いてきた、インフラは既に整備されている中において生を受けて育ってきたということについては、やはり幸せを感じてもらいたいと思います。

 その中にあって、これは世代間でお互いに助け合っていく、そういう意識を失ってしまっては、日本という国はその麗しさを失ってしまいますから。

 ただ、大切なことは、これは許容できる格差というか差がありますから、そこの中におさめるように我々は努力をしていきたいと思います。

岩永委員 ありがとうございます。

 時間もなくなりましたので、これにて閉じさせていただきたいんですが、きょう、私から何が申し上げたかったのかというと、総理自身がもっともっと若者に対して強烈なメッセージを発信していただきたいと思うんです。もっともっとです。

山本委員長 岩永君、時間が参りましたから。

岩永委員 はい、済みません。終わりますけれども。

 とにかく、若者に対して、彼らの存在意義がどこにあるのか、そして、彼らに対して国家が期待していることというのを強烈なメッセージとしてもっともっと発信していただきますことをお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて岩永君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 まず最初に、安倍総理にお伺いをしたいと思います。

 これまでの議論の中にもありましたが、第一次安倍内閣において積み残しといえば、恐らく年金記録問題だと思います。

 平成十九年六月十四日の厚生労働委員会においても、総理は、年金をずっとこつこつ払っていただいた方が絶対に払い損になったりするようなことのないように、払ってきたのにもらえないということは絶対に起こさない、理不尽なことは絶対にしないということをお約束申し上げたい、そのためには、最後の一人に至るまで徹底的にチェックをし、そして全てお支払いをするということをお約束をしたいと思います、このような発言が多々ありました。

 そこで、年金記録問題、いまだにまだ解決されていないと思いますが、ぜひ総理、第一次内閣の安倍総理のときにこれが発覚をし、そしてまた再チャレンジをして第二次安倍内閣、総理として、この問題について国民にもう一度しっかりとしたメッセージを送っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 年金の記録問題なんですが、まさに、私も、今から六年前に、一人一人が年金の制度の中において、これはお互いの助け合いでもあるわけでありますから、こつこつと年金を払ってきた、その年金の記録が間違っている、あるいは年金を受給できないということはあってはならないわけでありますから、一人一人正確に確かめていくということは国の責任としてやっていくということを申し上げました。

 あれから六年が経過をいたしまして、平成二十四年の十二月現在では二千九百万件の記録が解明されていますが、全体では五千万人でありますから、まだ残っています。

 さらに一人でも多くの方の記録の回復に向けて努力をしていきたいと思いますが、これに向けては、国民の皆様方が自分の年金を再確認していただかないとこれはできないわけでございまして、そういう意味においては、多くの方々、もしかしたら自分の年金の記録は間違っているのではないかという疑問を少しでも持たれた方は、あるいはそうではなくても、一応確認をしておこうという形で、ぜひとも確認をしていただきたい、このように思います。

佐藤(正)委員 今総理がおっしゃられたとおりだと思います。

 そして、なかなかこれは難しいんですね、実は。やはり国民の皆さんにも御協力をしていただいて、一緒に解決をしていかなきゃならない問題だと思いますので、これからも鋭意努力をしていただきたい、このように思います。

 それでは、続きまして、今資料をお手元にお配りしておりますが、今回、公共工事について、エレベーター工事を問題にさせていただきたいと思いまして、過去五年間の国交省並びに文科省が所管をしている工事発注について、一覧表をお配りさせていただきました。

 この一覧表を見ていただくと、赤く塗り潰しているところがあると思いますが、実は、この赤く塗り潰しているところが全部一者応札なんですね。一者しか入札にも参加していない。この問題についてどのようにお考えになっているのか、国交大臣そして文科大臣、それぞれお答えを願いたいと思います。

太田国務大臣 入札というのは、競争ということの中で行われることが大事だというふうに思っています。よくこの資料というものを精査して、私が今申し上げたような体制をとっていくということに努力をするということが国交省としては大事なことだと思っております。

下村国務大臣 平成二十年四月から二十四年十二月までの間に、文部科学省及び国立大学法人においては、四百七十五件のエレベーター工事を契約しております。このうち一者応札となった工事は二百六十六件であり、全体の五六%となっております。

 一者応札となったエレベーター工事において、入札に参加しなかった業者の不参加理由としては、現場に配置する技術者が確保できていないためとか、既設エレベーターの改修工事であり、他の業者では対応できないという声が多いというふうに聞いております。

 文部科学省としては、一者応札の改善に向けて、国立大学法人に対し、入札に際し、競争参加資格の緩和、十分な入札準備期間の確保、現場に配置する技術者の専任を要する期間の明示、これらに努めることなどにより、入札参加を希望する者が広く競争に参加できるよう要請をしているところでございます。

佐藤(正)委員 今の言い分だと、改修工事だから、前のメーカーじゃないとできないから一者しか入らないんだ、冗談じゃない。一者二百六十六件のうち、百六件が新築なんですよ。よく考えてください。

 そして、今回、こういう一覧表をつくりましたが、納税者から見たらあり得ないことがいっぱい出ている。この表を見ただけでもいろいろなことがわかってくるんですよ。

 この一者応札については、以前から問題になっていた。それで、私が今回、この資料を出していただきたいとお願いをしました。ところが、何と、国交省、これは何階建ての何層のエレベーターなんですかね、これを聞いただけで、何と言ったと思いますか。わかりませんと。冗談じゃない。今までいろいろなことをやってきて、改革をやろうとしてきているのに、何でそれすらわからないのか。とんでもない話ですよ。要するに、やる気がない。

 そして、今回、これを見ますと、入札率は何ともう九十数%になっている。その中で、国交省も文科省も一〇〇%応札があるんですよ。例えば、一〇〇%応札で見たときに、国交省の高松サンポート合同庁舎、見ていただければわかると思いますが、これは一〇〇%なんです。

 国交大臣、この一〇〇%応札についてどのように考えられますか。

鈴木政府参考人 今の資料全体で、二十年から二十四年にかけて、エレベーター工事の発注件数は百四十一件でございますが、うち、落札率一〇〇%だったものは一件のみでございます。また、最低の落札率は六七・六%、また、落札率の平均は九二%でございました。

 私ども、予定価を算出するに当たりまして、メーカーの見積額を査定して、直接工事費を算定する等、予定価格を設定しておりますので……(佐藤(正)委員「短くしてくれないかな」と呼ぶ)はい。これが予定価と一致したのは、まさに偶然であるというふうに認識をしております。

佐藤(正)委員 よく考えて、調べてくださいよ。ここは、実は見積もり段階でも一者なんですよ。この工事をとったところからしか見積もりをとっていないんですよ。どうなんですか。

 要するに、予定価格を精査するのに、見積もりはこの一者しかとっていない。そして、一〇〇%の予定価格になっている。本来は、数者の見積もりをとって、そこから最低金額を見て、それに上限率、掛け率を掛けて予定価格を出しているんでしょう。それすらできていないじゃありませんか。

 今の答弁は、例えば、落札率が一〇〇%から六十数%ある。確かにそうでしょう。しかし、この一覧表から精査をしていきますと、もっと不可思議なことがある。

 例えば、普通、エレベーターというのは、階高、階数、何回とまるか、そして何人乗りなのか、それからスピード、これで大体決まるんですよ。官公庁のエレベーターにシャンデリアをつけたりするエレベーターがありますか。石を張っているようなエレベーターがありますか。

 例えば、これを精査してみると、もっとおもしろいのは、九五%以上、九〇%以上、九〇%未満の落札を平均で見ると、例えば十三人乗りで同じスピードのエレベーターを見てみると、何と、九五%では、予定価格が大体一千百八十万円、落札価格が一千百五十万円。九〇%から九五%だと、予定価格は一千二百三十六万、落札価格は一千百四十三万。九〇%未満だと、予定価格は一千三百三十三万、落札価格は一千百三十万。何が言いたいかというと、落札価格はほとんど一緒なんですよ。そして、落札率を上げるために予定価格を上げているようにしか見えないじゃありませんか。あなたたちはこんなことを精査したことがあるのか。このお金は誰が払っているんだよ。

 だから、こういうことをしっかりと精査をして、そして次に向けていかなきゃいけないんじゃありませんか。だから、予定価格自体の信憑性を疑うようになるんですよ。

 それと同時に、今私がずっと申し上げましたけれども、この一覧表を見ても、もっとおもしろいこと、もっと不思議なことが実はある。

 文科省の問題、文科省の件ですけれども、例えば、文科省でもこんな例があるんですよ。一者応札で、例えば三菱系列が、長崎大学、愛媛大学、鳥取大学の全工事を受けている。日立系列が、徳島大学、岡山大学、琉球大学の全工事を受けている。ある意味では、すみ分けが行われているように見えるんですよ、実際。表をずっと精査してみますと。

 このことについて、文部大臣、どう思われますか。

清木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、同系列のメーカーによる一者応札の例があるというのは御指摘のとおりでございます。

 このような現状につきましては、競争性確保という観点から望ましくないと考えておりますので、今後、競争入札資格の緩和など、一層、国立大学法人に徹底するように要請してまいりたいと考えますが、一方で、同系列メーカーによる一者応札であることのみをもちまして直ちに談合であるというふうに判断するのは難しいのではないかと考えております。

 いずれにいたしましても、国立大学法人におきまして、談合情報がありました場合には、権限のあります公正取引委員会に通報するなど、厳正に対処するように指導しているところでございます。

佐藤(正)委員 これを見たら、普通、一般の国民は疑いますよ、実際。今、私がこうやってお知らせをしていますよ。

 税金ですよ。税金を使っているんですよ。公共工事、今年度の予算もたくさんありますよ。しかし、税金を有効的に使うために国民の皆さんにしっかりと説明ができる、そういう公共工事にしなきゃならないじゃありませんか。

 これを見ていますと、どうも、実は、自分のお金じゃないからまあいいや、まあこれぐらい払っておけと。例えば自分のお金を払うとしたら、こういうのがあったら精査しますよ。幾らかでも安くならないかなと考えますよ。そこの視点が足らないんじゃないですかね。だから、こういう、談合と疑われてもおかしくないような数字が並ぶんですよ。

 国交大臣、どう思われますか。

太田国務大臣 エレベーターというのは、普通、一律、それぞれが同じような箱のように思われがちなんですが、実は一番個別性、一品生産という形になって、建物、高さ、さまざまなものが、それ自体ということでつくり上げるというような特殊性があります。

 また、建物の中で、受注した例えば建設会社、全体をやるんですが、それは分離発注という形で、これは一億円以上かかったりするということで、そこの技術というものをゼネコンの例えば下請ということでやらないということは、また一つのこれは技術的なこと、あるいは競争ということで大事な視点だというふうに思っています。

 そういう中で、競争的な入札がしっかり行われるということが非常に大事なので、その辺を私たちとしてはしっかりと監視し、対応していかなくてはならないというのが私たちの姿勢でありまして、これはかなり前から指摘されてきたこともあったようでありますので、改めてしっかりその辺を注意し、また、競争ということがしっかりできるような環境整備をしていくということが大事だというふうに思っております。

佐藤(正)委員 実は私は現場監督をやっておりましたので、いろいろな部分で詳しいんですよね、大臣。

 エレベーターは分離発注するでしょう。先ほど、改修したらどうのこうのと言われますが、実はエレベーターの箱、躯体で枠をつくるんですよ、大きさを。だから、分離発注しなくて、少し枠を広目にとっておけばどこのメーカーでも実は対応できる。実際にできるんですね。

 だから、まさに、エレベーターの業界というのは今十四社足らずですよ、十四社足らずで分離発注をしたらどんなことが起きるかというと、この一覧表のようなことが起き得る可能性が大なんです、実は。普通、例えば談合といったって、今いろいろ、一般競争入札とか指名競争入札が変わってきているんですけれども、それは数多くの指名、多くの方々が参加していただくことによって談合は防げるんですね。数が少なければ談合が起こりやすいんですよ。

 そこは、大臣、今答弁ありましたけれども、今後もしっかりこの問題は注視をしていただいて、今までいろいろなことをやってきましたけれども、実は全然改善になっていないんですね。一者応札が全然減っていないんです。そして、今まで言ったように、メーカーごとの指定枠みたいになっているんですね。これはぜひ、これからしっかりと精査をしていただくことを要請させていただきたいと思います。

 もう時間がなくなりました。総理、通告しておりませんでしたけれども、今のいろいろな議論を聞いて、公共工事の調達について総理の考えを最後に聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。

安倍内閣総理大臣 公共事業の調達につきましては、確かに委員の御指摘のように、国民の税金を、貴重な税金を使うわけでありますから、当然、国民の皆様の公共工事調達に対する信頼を確保するためにも、しっかりと説明できる状況にしていく、こういう責任を果たしていきたいと思います。

佐藤(正)委員 では、終わります。

山本委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、畠中光成君。

畠中委員 みんなの党の畠中光成です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 さて、安倍総理は、一月の所信表明にて危機という言葉を十四回用いられ、私たち国会議員や国民に訴えかけられました。

 確かに、我が国を取り巻く環境は、外交、内政ともに危機的な問題でいっぱいであると思いますが、私は、政権がかわっても何にも変わらない、増税してばらまく政治こそが危機だと考えております。

 いずれにせよ、危機には、予測できる危機、そして予測が難しい危機と分けることができるとすると、その中で最も予測できる危機というのは、我が国人口構造の少子高齢化に伴う社会保障の問題ではないかと考えます。

 我が国の人口構造を予測すれば、団塊の世代が六十歳を超えた今はまだ高齢化の山の麓でありまして、我が国高齢化のピークは、今まさにおぎゃあと産声を上げた赤ん坊が現役を引退して高齢者になった二〇七〇年や八〇年ごろ、ここがピークなわけであります。

 日本人の死亡率は極めて正確でありますから、出生率は微妙であるにしても、もう既に、いつがピークで、七十年、八十年先の人口構造がどのようで、それが社会保障や財政にどのような影響を与えるかということ、これは基本的には人口推計から明らかなはずだと思います。つまり、年金を初めとした社会保障の問題というのは、予測できる危機なわけであります。

 さて、昨年の総選挙で、民主党、自民党、公明党、三党が合意をして、税と社会保障の一体改革という名のもとに消費増税が決められました。私はこれを見て、何て安直なんだということで愕然といたしました。消費税を五%から八%、一〇%と上げ、社会保障の財源に充てる。それでは一体、消費税を何%に上げれば社会保障は安定するというのでしょうか。また、消費税を段階的に引き上げるといった小手先の手法では解決できないのではないかと考えますが、総理と財務大臣の御所見はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 消費税率を何%上げれば社会保障がうまくいくか。経済の成長等に比例しますので、経済成長が伸びれば消費税を上げる比率は少なくて済むということになろうと思っております。

 したがって、我々としては、三本目の矢としての経済成長というものに非常に強い関心があるのであって、これをうまく伸ばす。経済成長が強くなれば、その分だけGDPが大きくなりますから、経済成長が大きくなってGDPが大きくなって、所得がふえる。

 そういった意味では、経済成長を確実なものにさせていくということは、結果として消費税を引き上げる率が少なくて済みますので、今の段階で、何%に上げれば幾らになるかということを安易に申し上げるわけにはまいらぬということだと存じます。

田村国務大臣 いろいろと三党協議を昨年やったわけでありますけれども、子育て等々、これもやっていかなきゃいけないという中において、やはり一定程度、高齢者の方々にも御負担をいただく必要があるであろう。そのためには、消費税というものが一番公平であるであろうという中において、社会保障の増大というものに対して、この消費税というもので対応しようと。

 もちろん、今財務大臣がおっしゃられましたとおり、消費税だけで対応するのは無理であります。しかし、一方で、経済成長だけで対応するのも、これはまたこの高齢化社会の中において難しいということでございますので、一定程度の消費税を国民の皆様方にお願いをさせていただくということでございます。

安倍内閣総理大臣 今後、例えば年金について言えば、これは、まさに給付と負担のバランスの問題の中において、支え手側にも納得をしていただける制度でなければならないわけであります。その中において給付と負担のバランスをとるという、この年金制度の仕組みの改正は累次行ってきているわけでございます。

 そこで、今、両大臣からお答えをしたように、この年金制度を確かなものにするためにも、それを支える財源を確実なものにしていく。そのためには、やはり経済を成長させていく必要もありますし、同時に、新たに財源として消費税を上げていくということをお願いしていくことになるわけでありますが、税と保険料、そしてまた給付と負担のバランスを適切に調整していくことにおいて、大切な年金制度を信頼ある制度として維持していきたいと思います。

畠中委員 さまざまな要因があるのはもちろん理解いたしますけれども、先ほど申し上げましたように、人口推計については明らかなわけでありますから、このまま消費増税をずるずるずるずるやっていきますと、将来三〇%とか四〇%とか、それはもう大変な数字になることだって十分考えられるのではないでしょうか。このことを国民は大変不安に思っていると私は考えます。

 さて、年金の問題について、国民年金法第四条の三には、「政府は、少なくとも五年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通しを作成しなければならない。」とあります。厚生労働省が五年ごとに行っている財政検証であります。次は来年の二十六年ということで、今現在も検証を行っている最中と伺っております。

 この財政検証は、人口に関する前提と経済に関する前提をもって検証するわけでありますが、この推計によっていかようにも年金額を調整することができてしまう。できる限り正確な推計が要求されるということは論をまたないわけでありますし、ましてや、そこに恣意的な推計が入ってしまっては、それは制度そのものの信頼性を大きく揺るがすものになろうかと思います。

 この財政検証が、将来の予測というよりも、現時点で得られるデータの将来への投影であったとしても、前回、平成二十一年の財政検証が現実とどれぐらいずれがあったのか、その幅はどれぐらいであったのか。ずれがあったのであれば、その経験に基づいてそれを今回の財政検証にどのように生かそうとしているのか、厚生労働大臣にお伺いしたい。

田村国務大臣 前回、二十一年に財政検証を行いました。リーマン・ショック等々がございましたので、当然、その後の株価等々の推移を見ながら、いろいろと運用利回り等々、予想利回り等々を計算しながら、賃金の上昇率等々を勘案しながらつくったものであります。

 四・一%の運用利回りとよく言われて、そんなには稼げないだろうという話があるんですが、一方で二・五%というような名目賃金上昇率等々を見ておるわけでありまして、そういう意味からしますと、実質的に一・六%の運用利回りが稼げればいいという話でございます、実質運用利回りという意味では。それは事実上は近いところも運用利回りとしては出てきておるわけでありますので、決して景気が悪いからそれで全てだめだというわけではございません。景気が悪ければ、当然、名目経済成長率も低くなる、名目の運用利回りも下がるということでありますから、その差額ということで実質を考えれば、そこはそれほど大きな問題はない。

 ただ、三兆円ほど積立金に穴があいたじゃないかというお話はございますが、これも実のところ、昨年の年末からの株高等々によりましてかなり予定に近づいてきておるわけでございますから、そのような意味からいたしますと、実態問題として年金に大きな穴があいておるという問題は、経済的な指標からいくとそれほどないんです。

 ただ、一方で、本来やらなきゃいけないマクロ経済スライド、こういうものがデフレ下で使えていないという部分、それから、デフレのたまり部分で、特例水準という形で、本来年金の支給額を下げなきゃいけなかったものを下げていないというたまりがございました。これも昨年末、あの二・五%部分、三党合意の中でこれを実行しようということでありますから、これも解消されてまいると思います。

 いずれにいたしましても、そういうような反省も踏まえて、二十六年の今度の財政検証に向かってしっかりと準備をさせていただくということになろうと思います。

畠中委員 つまり、大きな開きがあったという今の大臣の御答弁であったということで、違いますでしょうか。

 私が今伺った中では、リーマン・ショックがあった、前年に。五年ごとといっても、その前から、随分前から検証もされてきたことだろうと思いますし、つまり、リーマン・ショックをどのように捉えて平成二十一年の数値を設定したかということを私はお伺いしたかったわけなのでありますが、結果として、ここに、厚生年金及び国民年金の財政検証における経済前提と実績との比較等、資料を持っておりますけれども、大きな開きがあったということは、私だけではなくて、各方面からも言われていることであろうかと思います。

 この財政検証をまた次に生かされるということで、大臣おっしゃっていただきましたけれども、今現在、来年、財政検証が行われますけれども、いわゆるアベノミクスと呼んでよいものかどうかはさておきまして、ここのところ、株価も上がって、物価も上昇している傾向が見られますけれども、実体経済の改善にはまだまだでありますでしょうし、中長期的な我が国の経済の再生という観点からは、むしろ疑問点の方が多いように思います。また、東日本大震災の影響もまだまだあるでしょう。

 財政検証の経済前提の内訳として、物価、賃金、利回り、労働力率等があるかと思いますけれども、現在行われている次の財政検証において、どのような議論が行われ、現在の経済情勢をどのように見立て、反映されようとしているのか、教えてください。

田村国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、いろいろと、リーマン・ショック後の経済の落ち込みに合わせて、運用利回りの低迷と同時に、実は、支給する方は、これは賃金でございますから賃金で考えていくわけでありまして、賃金が下がれば、将来の受給額といいますか、支給額は減るわけですよね。そういうものをこの二十六年全体で、今の足元の経済状況、それから、これからの予想、そういうものを、専門家の方々に入っていただいて、これを検証するわけであります。

 そのときに、百年先という言い方をよくしますけれども、そこで均衡できるような形で五年ごとに見直していくというのがこの年金制度の財政計算でございまして、そのような意味からいたしますと、五年ごとに見直しますから、持続可能性というのは十分にある。

 ただ、問題は、約束していることが幾つかございます。保険料を一八・三%、これは厚生年金の保険料でありますが、ここでとめるということ。それからもう一つは、所得代替率が五〇%、現役時の平均の給与の大体五〇%が年金の支給額、これは厚生年金。しかも、一定の条件を、十七万九千円という所得というふうに置いておりますので、そこのラインで所得代替率五〇%がもらえるというような条件を置いております。

 ですから、これを守れなくなったときには制度自体を見直さなきゃいけませんけれども、今のところはまだそのような状況になっておりませんので、次の財政計算においてそこが守れるかどうかということも、合計特殊出生率等々のいろいろな変数を見ながら対応してまいるということであろうと思います。

畠中委員 私が言うまでもなく、この年金というのは、本当に巨額のお金を扱っているものでありますし、国民が非常に関心を寄せているものでありますから、この財政検証について、もっと国民に対しても明らかになってもいいのではないかなというふうに思います。

 そしてもう一つ、人口推計の方についてお伺いをいたします。

 厚生労働省社会保障・人口問題研究所が作成する少子高齢化問題や年金関係の資料、よくあります人口構造のグラフを見ても、二〇六〇年ぐらいで終わっているのが多いんですね。

 確かに、高齢者人口のピークは、団塊ジュニアが高齢者になる二〇六〇年ごろ。しかし、本当の高齢化、別の言い方をしますと、老年人口割合のピークというのは、まだもう少しその後、二〇七〇年ころから二〇八〇年ごろにやってくるのではないでしょうか。このことを正確に国民に伝えておかなくてはいけない。

 日本人の死亡率は極めて正確ですから、平成二十四年の出生数が百六万八千八百七人、ゼロ歳児が誕生して、男で七十九・五九歳、女で八十六・四四歳が平均余命でありますから、出生率は微妙であったとしても、もう既に、いつがピークで、七十年、八十年先の人口構造がどのようになっているかというのはわかっていることだと思います。

 長期にわたる経済の状況は、先ほど大臣がおっしゃられたように、なかなか予測しづらいのはわかりますけれども、しかし、人口推計はわかりやすいのではないでしょうか。

 大臣の御所見をお聞かせください。

田村国務大臣 出生率の関係がありますので、パーセンテージというものは一定の予想のもとでしか出ません。

 人数からいけば、二〇四二年に三千九百万人ということでピークを迎えます。一方で、率は、人口問題研究所等々が出しております推計、予想値、これを使いますと、大体、二〇六〇年に六十五歳以上の方々が三九・九%、このような形でピークを迎え、その後ずっと同じような数字が、四〇%程度で続いていくという状況でございます。

 ちなみに、そのようなことを念頭に置きながら、年金の検証というもの、財政検証というものは均衡するようにつくってあるということでございます。

畠中委員 年金の運用についてお聞かせください。

 運用受託機関はどのような基準で選定しておられますでしょうか。

田村国務大臣 年金は、もう御承知のとおりだと思いますけれども、GPIF、よくジーピフと我々呼んでおりますけれども、年金積立金管理運用独立行政法人、ここが一手に預かりながら運用受託機関等々に委託をしておるというような形になっておるわけでございます。

 基準といたしましては、まず、一定程度のやはり資産を運用していただいているということが最低限の条件である。具体的に言いますと、一千億程度の資産を運用しておるというのが一つの目安になっております。もちろん、金商法等々の認可を受けていただいていなければなりませんし、ここ数年ぐらい、その運用において不適切なことをやっておられるとこれは問題がありますから、こういうところに関しては、委託といいますか、お願いはしないという話になってこようと思います。

 このような基準を一つ設けながら、一方で、定性評価という部分では、どのような運用方針であるか、運用のプロセスがどういうようなものか。それから、定量的な部分というのは、言うなれば、それこそ、どのような運用利回りを出しておられるか。こういうことを総合的に勘案しながら、お願いをさせていただくということになっております。

畠中委員 こちらの手元に、運用機関及び資産管理機関へ支払う手数料の一覧表というのがありますけれども、三菱、住友、三井、みずほから、JPモルガン、ゴールドマン・サックス、見れば、これは全部にばらまいているように見えてしまうんですね。ですから、年金の手数料というのは非常に巨額でありますから、しっかりとこの辺の基準というのを精査していただけますようお願いいたします。

 さて、税と社会保険料を一体的に徴収できるよう、国税庁と日本年金機構の統合、いわゆる歳入庁の創設に向けて、我が党も法案を提出する準備をしておりますけれども、この創設に向けて、年金保険料の徴収体制強化等のための検討チームが設置されたと聞きます。

 二月十四日に第一回、キックオフが開かれ、一カ月ほどあいた三月二十二日に関係省庁ヒアリングが開始されたようでありますけれども、この検討状況及び今後の検討スケジュール、そして結論の時期を、甘利担当大臣、お聞かせいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、内閣官房副長官を座長とする、関係省庁の政務官による検討チームを立ち上げまして、実は、歳入庁に特定しているわけではありませんが、徴収体制の強化、その中にはそういうアイデアも入っているという意味でありますが、その検討を始めさせていただきました。今、幅広い観点から検討をしてもらっているところでありまして、既に二回の会合を開いたというふうに報告を受けております。

 それから、いつを目途にという御質問でありますけれども、検討チームにおける検討の状況にもよるというふうに考えておりますけれども、大体夏ごろを目途に論点整理を行うことを目指して検討を進めていく予定だと承知いたしております。

畠中委員 時間がありませんので、歳入庁の件、よろしくお願いいたします。

 あと一点。日本の年金制度のルーツ、始まりは戦前戦中でありますけれども、その後、戦後復興から経済発展に伴って職域ごとに年金制度が制定されましたが、年金全体の歴史としては約七十年の歳月がたちました。未来へ向けたこれからの七十年ほどで日本が高齢化の山を登っていくとすれば、今ちょうど折り返し地点。

 将来の二〇七〇年、八〇年ごろの年金受給者とこれまでの年金受給者、この長期にわたった世代間格差ということについて、大臣、お答えください。

田村国務大臣 所得代替率という先ほど言った概念からすれば、今の方々と将来年金をもらえる方々と、当然、今の方々の方が代替率は高い代替率でもらえる、こういう制度設計になっております。

 それを世代間の不公平というような見方もありますが、先ほど総理がおっしゃられましたとおり、先輩方に対する敬意を込めた対応であるというような考え方もありますし、一方、年金制度がなければ、それは、今の現役世代が自分の親を面倒見なきゃいけない。何らかの形で、これは仕送りなり同居なりで面倒見なきゃいけない、お金がかかるわけであります。

 そこをどう考えるかというのは、それぞれの考え方の、見方によって、視点によって違ってくるという部分はあろうと思いますが、いずれにいたしましても、若い世代、次の世代の方々が、余りにも格差があるということになると、それは不公平感が出てまいりますので、そのような形にならないように、年金のみならず、社会保障制度、負担感とそれから受益のバランスというものをしっかり考えてまいりたいというふうに思います。

畠中委員 もはや抜本改革というのは待ったなしのように思いますけれども、ぜひ検討のほどをよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて畠中君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 安倍総理のTPP交渉参加表明について、きょうは質問をさせていただきます。

 十八日の当委員会で、我が党の笠井亮委員が、日米共同声明の第三パラグラフの「その他の非関税措置に対処し、」と書いてある内容を質問いたしました。このときの安倍総理の答弁ですけれども、これに対して、まさにこれは、さまざまな非関税分野について今現在交渉を行っていることでございまして、こう御答弁されたわけですね。

 そこで、安倍総理に聞くわけですけれども、ここでさまざまな非関税分野とおっしゃったのは、アメリカ側が懸案事項として示した自動車、保険のほかに一体どのような分野があるのか、これについて、総理、お答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 この第三段落目に書きましたのは、今まで交渉してきたものをそのまま交渉していくということについて確認するために書いたものでございまして、そして、この非関税分野においても、先般答弁をさせていただいたように、交渉をしているわけでございますが、中身については、今まだ交渉中でございまして、この場で申し上げることは、相手国側との関係もあって控えさせていただきたいと思います。

宮本委員 そういたしますと、このときのやりとりというのは、笠井議員が、第三パラグラフについて、自動車、保険以外のその他の非関税措置、ここについて、どういう、なされるべきさらなる作業が残されているのか、こうお尋ねしたわけですよ。そうしたら、安倍総理の答弁は、まずは自動車、保険を挙げた上で、今おっしゃったように、その他の非関税措置についてもさまざまな分野でやっている、こういう御答弁だったわけですね。

 ですから、今その中身についてはいろいろ、これは言えないということでありましたが、少なくとも、自動車や保険以外にも事前交渉を現にやっているという事実は、総理、お認めになりますね。

岸田国務大臣 今、総理から答弁させていただきましたように、米国の関心事は、自動車、保険分野が従来から示されてきています。これを中心に、非関税分野においても議論が行われているということでございます。

 その中身につきましては、今協議中ということでございます。

宮本委員 総理もそれでよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 そのとおりでございます。

宮本委員 なかなか中身が語っていただけませんので、聞き方を変えたいと思います。

 今現在、日米事前交渉で扱う、アメリカ側が提起する関税品、非関税措置の項目でいえば、この項目の個数は何個あるか、お答えいただけますか。

岸田国務大臣 今、協議の最中でありますので、項目、その数え方につきましてはちょっと整理が今できてはおりませんが、いずれにしましても、自動車、保険分野を中心とした議論が今行われている、こういった現状でございます。

宮本委員 牛肉とか自動車とか保険とかというふうに挙げた場合に、では、先ほどの自動車、保険以外にどういう項目、何項目あるかということをお答えいただけますか。

岸田国務大臣 アメリカ側の関心事、日米共同声明における第三段落の内容は、従来からアメリカの関心事について日米は議論をしてきた、これを引き続き議論する、これを確認した部分であります。その内容としては、自動車、保険が挙がってきている。この部分について中心に今議論が行われている、こういった状況です。

宮本委員 先ほど、自動車、保険以外、その他のことについても事前協議をやっていると答弁したじゃないですか。だから、その他にどのような項目、何項目あるかを答えてくれと言っているんですよ。

安倍内閣総理大臣 基本的に、自動車、保険部門について協議をしているところでございまして、その他の、これは第三段落目に書いてあります。これを示すことで、このペーパーにおいて日米が合意したわけでございまして、これ以上の詳細なことについては、今まさに交渉中でございまして、私自身もつまびらかに、今、何と何と何をということについては完全に掌握をしているわけではございませんが、今鋭意交渉をしているところでございます。

宮本委員 僕は、なかなか、こう聞いても、そこは交渉中なのでとおっしゃるけれども、しかし、政府が言えないと言っているその中身こそ、国民が今一番知りたいと思っていることだと思うんですね。少なくとも、そういうことを国民が知りたがっている、これは総理、思いを同じくしていただけますね。

安倍内閣総理大臣 それはまさに宮本委員がおっしゃるように、これは、生活あるいは仕事に、国民の皆様のなりわいに係ることでありますから、もしかしたら自分の分野において何かアメリカは要求していないだろうか、どういう交渉になっているんだろうかという関心はもちろん持たれているんだろうと思います。

 そうした関心に私たちもお答えをしていきたいと思いますが、ただ、交渉中ということもございまして、なかなか全てをつまびらかにここでお答えをできないということは申しわけないとは思います。ただ、これは相手もあることでございまして、その中において、我々は、最大限国益を確保するために、強い交渉力を持って交渉に当たっていきたいと思います。

宮本委員 では、また少し聞き方を変えましょう。

 今、日米間で事前交渉している事項ですけれども、これはアメリカ側が外国貿易障壁報告書、ここにありますけれども、こういうものや、日本との協議に関する米国政府意見書募集の結果、これはUSTRの募集したパブリックコメントでありますけれども、こういう中で指摘をしている事項が少なくとも日米間で事前協議になっている、こう理解してよろしいですか。総理、いかがですか。

岸田国務大臣 先ほど申し上げました自動車、保険分野を中心に議論が行われていますが、その項目につきましては今協議中でありまして、今ここでつまびらかにすることは控えさせていただきたいと存じます。項目数、項目、この場では控えさせていただきたいと思います。

宮本委員 いや、つまびらかにできないのはもう何度も聞いているんですが、この中に挙げられているものが、全部かどうかわかりませんよ、この中にあるものですかと聞いているんですよ、外務大臣。

岸田国務大臣 日米間では従来も協議が行われてきました。その後、この日米共同声明が発出された後、新たな項目、新たな関心が示されたということはないと認識しております。

宮本委員 日米共同声明の先ほどのこの第三パラグラフです。ここには、「その他の非関税措置に対処し、」の次に、いいですか、総理、「及びTPPの高い水準を満たすことについて作業を完了することを含め、なされるべき更なる作業が残されている。」こうありますね。

 そうすると、これは総理にお尋ねするんですけれども、今行われている日米事前協議の場で、共同声明が指すところの非関税措置の対処と、さらなる作業なるものが完了すれば、アメリカ政府がアメリカ議会に日本のTPP参加を通告する条件ができる、こういうふうに理解をしてよろしいでしょうか、総理。

岸田国務大臣 今、日米間で協議を進めております。ですから、協議の結果、あるいは妥結のタイミング等は、これから議論が引き続き行われることになります。できるだけ早くこの日米協議についても結論を出す、そして、アメリカからもできるだけ早く参加の支持を得られるべく努力する、こうした方針でおります。

安倍内閣総理大臣 先般、首脳会談で合意した共同声明、これがその段階において日米が合意した全てでございまして、その他の非関税措置というのは、まさにその他の非関税措置でしかないわけでありまして、そこで米側も具体的に、これ、これ、これということを、その段階でつまびらかにしているわけではないわけですね。しかし、ある程度の、恐らく頭の中には幾つかあるわけでありますが、そこを完全にお互いが合意しているわけでもないので、こういう書きぶりになっているわけであります。それが一点。

 もう一点は、では、これが終了しなければ、九十日ルール上、議会に対して政府はお願いをしていく、日本が参加をしますよということについて議会の許可をとるに至るかどうかということでございますが、その整理についても、まさに今、日米も交渉しているわけでありますし、アメリカの中でもどういう対処にしていこうかということはまだ今の段階では検討中である、こういうことでございます。実際はそういうことでございます。

宮本委員 総理は、十五日のTPP交渉参加の表明の会見でも、記者に問われて、我が国のTPP交渉に対する米国の同意が可能な限り速やかに得られるよう今後さらに取り組んでいく考えであります、こう答えられました。ですから、アメリカ議会の同意が日本の交渉参加の前提であるというのは、問わず語りに語っておられると思わざるを得ないんですね。

 ただ、そういう意味でいえば、では、一体いつ、国民が一番知りたい中身が、総理も恐らくそれを一番知りたいであろうということが知らされないまま行って、一体どの段階で知らされるのか。交渉中でございますので、まだつまびらかには余り申し上げることができないと答弁しているが、その中身は一体どの段階になれば国民に明らかにされるんですか、総理。

安倍内閣総理大臣 今後、今交渉しているわけでありますが、同時に、米国政府は、議会の承認を得るために、議会に対して説明をしなければなりません。その説明する際に公になることもございます。それは、我々に対しても、日本と米国の中において、これは外に出さない、あるいはこれは外に説明しましょうという切り分けは当然するんですが、その際、当然、米国側が公にしよう、我々も公にすべきだという判断をしたところについては、皆様方にしっかりと御説明をさせていただきたい、このように思います。

宮本委員 明らかにできる段階が来れば、明らかにできる内容を明らかにする。ただ、出さないというものもその段階ではあるんですよという話ですね。

 では、もう少し具体的に聞きましょう。

 TPPの条文テキストというものは、TPP交渉参加前には、交渉参加国の申し合わせによって入手できないとされております。これは政府のこれまでの説明であります。

 では、聞きますけれども、日本はTPPの条文テキストと譲許表をどの段階で入手できるんですか。外務大臣でもいいですよ。

岸田国務大臣 我が国は交渉参加を表明しましたが、TPP交渉参加国から交渉参加について支持を取りつけなければなりません。この支持につきましては、今、六カ国からは基本的な支持を得ております。また、他の国々にも関係者を送り、連絡をとり合う、こうした方針でおります。こうした参加国の支持をまず取りつけてから後、こうした情報が具体的に入手可能になると考えています。

宮本委員 当然、それが入手された段階では、国民に全部の条文と譲許表を公開するんですね。

岸田国務大臣 情報につきましては、交渉の内容につきましては、交渉参加国あるいは交渉相手国との信頼関係があります。こうした参加国の合意を得たものについては、できる限り情報を公開していく、こうした方針で臨みたいと思います。

宮本委員 要するに、交渉前も、交渉中も、交渉の後も、国民には本当に知りたいことが知らされないということなんですよ、今のやりとりから明らかなことは。結局、国民置き去りだと言わざるを得ないです。

 ニュージーランドのTPP首席交渉官が、実は、ニュージーランド外務貿易省の公式サイトで、交渉内容を公表しない合意があって、交渉文書は協定発効後四年間秘匿される合意もある、こういうことを公式に公表しております。アメリカのNGOからは、これまでに公表された唯一の文書は、どんな文書も公表されないという説明の文書一枚だけだ、本当にこういう怒りの声が上がっているような交渉の進め方なんですね。これはもう秘密交渉そのものであって、私たちは断じてこの交渉をやめるよう求めたいと思っております。

 時間が参りましたので、私の方から暫定予算に対する態度を表明して、質問を終わりたいと思います。

 日本共産党は、本暫定予算に反対を表明いたします。

 本暫定予算のうち、生活保護費などの社会保障費、災害復旧事業費、地方交付税交付金などは、当然計上するべきであります。

 他方、この暫定予算は、在日米軍駐留経費、米軍再編関係経費等を含んでいます。しかも、消費税増税を前提とした来年度予算と一体をなすものであり、賛成できません。

 以上、表明して、私の質問を終わります。

山本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、待機児童の問題についてお伺いをさせていただきます。

 今月、二月の杉並区を発端といたしまして、足立区、大田区、また渋谷区、さいたま市、そして中野区と、次々とお母さん方の御要望が表面化をいたしております。

 今月五日に本会議で安倍総理に御答弁をいただきまして、母親たちの声に私も全力で応えていきたい、待機児童の解消に向け全力で取り組むと述べられました。

 具体的に、いつまでにどのような形で解決をするのか、ぜひその具体的な対策をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 委員も御承知のとおり、ここ何年か、かなりの数の定員数をふやしてまいってきております。昨年といいますか今年度でございますけれども、約五万四千ふやしてきたわけでありますが、来年度七万という形で、さらに定員をふやす。

 ただ、毎年、若干ずつは待機児童は減ってきているんですが、四月に二万五千ぐらいまで来るんですけれども、十月になるとまた五万弱までふえる。結局、ふやした分だけ、また待機児童が顕在化してくる。

 そこで、問題は、まず、待機児童が本当にどれぐらいいるかということを正確につかまえる必要がある。それともう一つは、保育士がやはり足らないということでございますから、補正予算でも保育士の処遇改善でありますとか確保に予算づけしましたけれども、やはり、潜在保育士の方々も含めて、しっかりと頑張って子育てといいますか保育におつき合いをいただけるような、そういう環境をつくっていく、これが大事だと思います。

 三党合意で子ども・子育て新制度が動き出すのが、まだ若干時間がございます。その間何かできないかということを、今、総理からもいろいろと指示をいただいておりまして、何らかの方策というものを検討してまいりたいというふうに思います。

青木委員 二十七年度実施と伺っておりますが、まさにその間が大事でありまして、早急な対策が必要であります。

 今お話をされました七万人の対応というのは、その中に、今言われている二万五千人ほどの待機児童の対応というのは含まれているんでしょうか。

田村国務大臣 この二万五千が、要するに出てきた数字、四月の数字でございますから、十月の数字がまた出てくると思います。

 いずれにいたしましても、七万人は、もちろんその中に含まれるんですけれども、それ以上にまた潜在待機児童が今度は顕在化をしてまいりますから、七万人をつくっても、それで待機児童が解消できるかというと、そうはならないだろう。また顕在化してくる部分に対して、どう対応していくかということを考えていかなきゃならない。

 もっと言いますと、今、大体、ゼロ、一、二歳の二七%ぐらいが保育所をお使いになられていると思いますが、今、四四%ぐらいまでは保育、待機児童ということで準備をしていかないと、なかなか待機児童解消というものがなし得ないのではないかというような一つの予想、計画を立てております。

青木委員 まだちょっと具体策が見えにくい部分がございます。

 これは厚労省の調査室の方に試算をしていただいたんですが、約二万五千人の待機児童を対象として、認可保育所で対応する場合、初年度の施設整備費が四百五十億ぐらいかかるとして、その後の毎年の運営費が大体三百二十億という試算を出していただいています。一方で、育児休業制度を拡充する場合、今、給与の二分の一でございますので、平均十一万二千円として計算をいたしますと、大体三百三十四億という試算をいただいていて、ほぼ同程度の予算なんですね。

 これは、お母さん方が子供を預けて仕事をするのか、あるいは小さいうちは家庭で育てたいというふうに思うのか、母親が選択できる柔軟な制度がぜひ必要なのではないかなというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

田村国務大臣 育児休業という形で、子供さんのちっちゃい間、しっかりと御自身で子育てをしていただきながら、一定の休業補償をもらうというようなことは、これはあると思うんです。ただ、それを二万五千という数字ではじくこと自体が、そもそも、多分もっとおられるであろう。その隠れておられる潜在的な部分にどう対応していくかということに関しては、まだまだ予算がかかっていくであろうということでございますから、そこを計画的に認可保育所の整備等々で対応していく。

 もちろん、その一方で、育児休業ということも重要でございますから、そちらもとりやすいような環境を整えていくということになろうと思います。

青木委員 確かに、育児休業制度を拡充していく場合に、さまざまな、また、きめ細やかな視点が必要になってくるというふうに思っております。

 本当にお母さん方に安心していただける対策を早く示していただきたいという思いであるんです。

 また、無認可保育所あるいは民間の参入は、どうしても質が落ちるとか、もうけ主義に走るのではないか、そうしたイメージもあるんですね。でも、無認可だからといって保育の質が悪いとは言い切れず、創意工夫で頑張っている無認可保育所もたくさんあるわけなんですね。なので、その辺のイメージの払拭も必要でしょうし、また、現実には、保育料が六万、八万と大変高くなっております。その辺の保育料を下げる支援を、これは無認可保育所の経営者のためにもなりますし、そうしたことも必要ではないかと思います。

 最近、横浜市が大変話題になっております。全国市町村で最も待機児童が多かったにもかかわらず、二年間で九割も激減させたということであります。これは、行政の中に相談窓口を設けて、例えば、無認可保育所でもこういうところがありますよ、幼稚園の預かり保育はここでやっていますよ、そういう丁寧な対応をしているということでございます。また、土地の所有者とそれから事業者とのマッチング、これも積極的に行っているということであります。

 やはり、これはトップに立つ方の熱意で、やればできるというふうに思うんですよね。ですので、ぜひここは、安倍総理の本会議での答弁もいただいておりますが、より具体的な対策を早急に示していただくことがお母さんの何よりの安心感につながるというふうに思うんです。

 また機を捉えて私も質問させていただくんですけれども、その前に、ぜひ、政府としてこういう具体策はできたんだということを示していただくことを本当に御期待申し上げております。安倍総理に一言いただければ。

安倍内閣総理大臣 ただいま田村大臣からも御答弁させていただきましたが、これは、財源を確保しながら、今、青木委員が指摘をされたように、女性の皆さんにとって選択できる、そういうしっかりとした支援体制をつくっていくために全力を挙げていきたいと思います。

青木委員 ぜひ自治体にも頑張っていただいて、そして国としても支援をして、そして、厚労省、文科省、省庁の壁を払って全力で取り組んでいただくことを重ねてお願いしておきます。

 続いて、原発の使用済み核燃料の放射性廃棄物の最終処分に向けた、核変換技術の研究開発の促進についてお伺いをさせていただきたいと思います。私は、科学技術については素人ではございますけれども、大変重要なことだと思いますので、きょうは質問させていただきます。

 今、使用済み核燃料の処分、日本のみならず、世界じゅうの課題であることは御承知のとおりです。現在は、この高レベル放射性廃棄物を、ガラス固化をして地中深く埋めて、数十万年単位で保管するということになっています。この数十万年、この間、誰がこの安全を保証できるか、責任を持てるはずもないというふうに思っています。人類の原型であるクロマニョン人が誕生したのが二十万年前でありますので、もうそれぐらいのスケール感でございます。

 ただ、この核変換技術が確立をされれば、核廃棄物の最終処分に数十万年以上を要するものが、百年、二百年、数百年に短縮できると研究者の方に伺っています。

 この核変換技術には二種類あって、一つは加速器、そして一つは高速増殖炉、いわゆる「もんじゅ」でございますけれども、私は、研究者の方々のお話を伺うと、加速器を使って大量に中性子を発生させて長寿命核種を短寿命核種に変換させるという技術の方が安心だと思います。未臨界状態で核変換を行うために制御しやすいということが高速増殖炉との大きな違いであり、利点だというふうに思っておりまして、この方式の研究を進めるべきだと考えています。

 この加速器は、東海村のJ―PARCに既に設置をされております。実は、平成二十一年に、この施設の共用促進を目的とする法案審議に私も参議院の一員としてかかわりました。大変有意義な現場の視察もさせていただいたことが記憶に残っています。

 その際に、衆参で附帯決議を行っています。適切な評価を行いつつ、核変換実験施設の建設計画の着実な推進に努めることとありますが、全会一致で実は決議されておりました。

 そもそも、このJ―PARCには核変換実験施設も計画にあったんですけれども、第二期計画とされたままで、いまだ進展しておりません。既に中性子を発生させる最先端の加速器があるわけですから、あと、核変換実験施設を併設すれば研究がスタートできるというわけでございます。

 しかしながら、二十五年度予算ではたったの一億、大変小規模な予算しかついておりません。ぜひ予算を組み替える必要があると考えますけれども、安倍総理、いかがでしょうか。

下村国務大臣 きのうも御質問をいただきました。

 高レベル放射性廃棄物の処理処分は、原子力を利用するに当たって大きな課題であり、半減期が長く管理の難しい放射性物質を半減期の短い放射性物質に転換する核変換技術の実用化が可能であれば、これは極めて有意義であるものというふうに認識しております。

 このため、御指摘がございましたが、日本原子力研究開発機構において、「もんじゅ」やJ―PARCの利用を想定した基礎的な研究を実施しているところでございます。

 御指摘の加速器を用いた核変換技術については、今後さらに、科学技術・学術審議会のもとの原子力科学技術委員会等において、技術成立性の評価を行うことも検討しているところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、核変換技術にかかわる研究を着実に進めてまいります。

青木委員 この核変換実験施設というのは、ずっと検討中のまま進んでいないわけでございまして、日本においては、福島の事故を経験して、この重要性が本当に現実のものとなったわけでございますが、一刻も早い取り組みが必要だというふうに思います。ぜひ、安倍総理の御見解をお伺いしたいと存じます。

安倍内閣総理大臣 ただいま文科大臣から答弁させていただきましたが、高レベル放射性廃棄物の処理処分は、原子力を利用するに当たって大きな課題であります。半減期が長く管理が難しい放射性物質を半減期が短い放射性物質に変換する核変換技術の実用化が可能となれば、大変有意義なものであるというふうに認識をしております。

 このため、日本原子力研究開発機構において、「もんじゅ」やJ―PARCの利用を想定した基礎的な研究を実施しておりまして、今後とも、引き続き、核変換技術にかかわる研究を着実に進めていきたいと考えております。

青木委員 この二十五年度予算で一億円でございますが、研究者の方のお話ですと百億かなというふうにおっしゃっていました、実際には正確な数字を計算しなければなりませんが。

 この二十五年度の予算の中で、予算を組み替える必要性を感じておられませんでしょうか。そうした御決断をいただけませんでしょうか。

下村国務大臣 御指摘の核変換実験施設、それだけで予算が、これはJ―PARCの第二期計画の一部でございますが、約二百二十億円かかるという予算でございます。

 先ほど委員から御指摘がございましたが、二〇〇九年四月の原子力委員会が取りまとめた報告書、「分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方」の中で、高速増殖炉サイクルによる技術が所定の性能目標を満足することができないと判断されたとき、あるいは、加速器を用いた核変換技術が技術的成立性や開発に係る費用対効果の点でまさっていると判断されたときには、開発対象として採用が検討される可能性があるという状況でございますが、しかし、それから五年たちましたので、今後、基礎データの充足や研究の進展等、状況を評価して判断すべきものというふうに考えております。

青木委員 もう時間がありませんので。

 昨日、安倍総理は、リニアコライダー招致の研究者の国際組織のトップであるリン・エバンスさんの表敬も受けられたと伺っております。科学技術は、アベノミクスの三本の矢の三本目の成長戦略の柱にもなるでしょうし、日本が世界に貢献できる一番最大の分野であるというふうに思っておりますし、また、後世への責任を果たすことだというふうにも思っております。ぜひ前向きなお取り組みをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 これにて青木君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十五年度暫定予算三案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 平成二十五年度一般会計暫定予算、平成二十五年度特別会計暫定予算、平成二十五年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、平成二十五年度暫定予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十五年度暫定予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、来る四月一日午後一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十三分散会


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