衆議院

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第3号 平成26年2月3日(月曜日)

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平成二十六年二月三日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 上杉 光弘君 理事 金田 勝年君

   理事 塩崎 恭久君 理事 萩生田光一君

   理事 林  幹雄君 理事 森山  裕君

   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君

   理事 石田 祝稔君

      あかま二郎君    秋元  司君

      伊藤 達也君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    うえの賢一郎君

      衛藤征士郎君    越智 隆雄君

      大島 理森君    勝沼 栄明君

      門  博文君    門山 宏哲君

      金子 一義君    木内  均君

      工藤 彰三君    熊田 裕通君

      小池百合子君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    今野 智博君

      佐々木 紀君    佐田玄一郎君

      桜井  宏君    笹川 博義君

      白須賀貴樹君    新開 裕司君

      菅原 一秀君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    田野瀬太道君

      田畑  毅君    高木 宏壽君

      西川 公也君    野田  毅君

      橋本 英教君    原田 義昭君

      藤井比早之君    船田  元君

      三ッ林裕巳君    宮崎 謙介君

      宮路 和明君    保岡 興治君

      山本 幸三君    山本 有二君

      大串 博志君    岡田 克也君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      玉木雄一郎君    古川 元久君

      岩永 裕貴君    坂本祐之輔君

      阪口 直人君    桜内 文城君

      重徳 和彦君    杉田 水脈君

      田沼 隆志君    中田  宏君

      中山 成彬君    西野 弘一君

      村岡 敏英君    伊佐 進一君

      浜地 雅一君    大熊 利昭君

      佐藤 正夫君    柿沢 未途君

      佐々木憲昭君    宮本 岳志君

      畑  浩治君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   法務大臣         谷垣 禎一君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣

   国務大臣

   (東京オリンピック・パラリンピック担当)     下村 博文君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          茂木 敏充君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    石原 伸晃君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       古屋 圭司君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     山本 一太君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   森 まさこ君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (規制改革担当)     稲田 朋美君

   総務副大臣        上川 陽子君

   総務副大臣

   兼内閣府副大臣      関口 昌一君

   財務副大臣        古川 禎久君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    伊藤 忠彦君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   会計検査院長       河戸 光彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            鈴木 英夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            松永  明君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本銀行理事)     木下 信行君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月三日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     宮崎 謙介君

  うえの賢一郎君    熊田 裕通君

  衛藤征士郎君     三ッ林裕巳君

  大島 理森君     工藤 彰三君

  菅原 一秀君     木内  均君

  関  芳弘君     門  博文君

  薗浦健太郎君     白須賀貴樹君

  中山 泰秀君     勝沼 栄明君

  西川 公也君     新開 裕司君

  原田 義昭君     門山 宏哲君

  玉木雄一郎君     田嶋  要君

  坂本祐之輔君     桜内 文城君

  重徳 和彦君     岩永 裕貴君

  中山 成彬君     阪口 直人君

  西野 弘一君     村岡 敏英君

  佐藤 正夫君     大熊 利昭君

  宮本 岳志君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     小島 敏文君

  門  博文君     桜井  宏君

  門山 宏哲君     小林 鷹之君

  木内  均君     菅原 一秀君

  工藤 彰三君     大島 理森君

  熊田 裕通君     藤井比早之君

  白須賀貴樹君     薗浦健太郎君

  新開 裕司君     高木 宏壽君

  三ッ林裕巳君     今野 智博君

  宮崎 謙介君     田畑  毅君

  田嶋  要君     玉木雄一郎君

  岩永 裕貴君     中田  宏君

  阪口 直人君     中山 成彬君

  桜内 文城君     田沼 隆志君

  村岡 敏英君     西野 弘一君

  大熊 利昭君     佐藤 正夫君

  佐々木憲昭君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     笹川 博義君

  小林 鷹之君     原田 義昭君

  今野 智博君     橋本 英教君

  桜井  宏君     関  芳弘君

  田畑  毅君     秋元  司君

  高木 宏壽君     西川 公也君

  藤井比早之君     うえの賢一郎君

  田沼 隆志君     坂本祐之輔君

  中田  宏君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     田野瀬太道君

  橋本 英教君     佐々木 紀君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     衛藤征士郎君

  田野瀬太道君     中山 泰秀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十五年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十五年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 平成二十五年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十五年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官吉川徹志君、総務省情報流通行政局長福岡徹君、経済産業省通商政策局長鈴木英夫君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、中小企業庁事業環境部長松永明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜内文城君。

桜内委員 おはようございます。日本維新の会の桜内文城です。

 本日は、補正予算そして財政健全化目標等についてお聞きをいたします。

 特に、過去、塩川正十郎財務大臣が、一般会計と特別会計の関係について、母屋でおかゆをすすって離れですき焼きを食っているというふうな言い方をされました。

 実は同じようなことが、シーリングの厳しくかかっている当初予算、それと、年度途中でそういった枠がない補正予算との間でもあるのではないか、そういった指摘もなされているところであります。

 昨日の朝日新聞でしたけれども、一面で、政府の行政改革推進会議でもって秋のレビューというのをなさいました。その結果といたしまして、不要不急といいますか非効率な事業として、三十四事業四千五百七十四億円を一般会計ベースで削減したというふうに、麻生財務大臣が一月二十日にその会議で御報告されたと聞いております。

 一方、報道によりますとといいますか、実際に私も、財務省から先週金曜日にようやく電子データで、一般会計、特別会計、これがホームページ上で開示をされまして、それに基づいて分析をしたところそのとおりでありまして、ただし、補正で三千六百億円程度、復活といいますか、ついていた、むしろふえていたというものもあるとお聞きしております。

 ちょっとパネルも用意してまいりました。お手元に配付資料もございますけれども、これは朝日新聞からそのまま抜粋したものですけれども、ビッグデータ活用促進その他もろもろありまして、金額が小さいもの、そして大きいもの等々ございます。

 私はコンクリートから人へというようなやぼなことを言うつもりはございませんけれども、こういった補正と当初の関係についてどのようにお考えになっているのか、まず財務大臣にお尋ねいたします。

麻生国務大臣 今御指摘がありましたように、補正といわゆる本予算の関係ということなんだと思いますけれども、補正予算というものは、その補正を組むときによっていろいろ事情が違っております。

 今回の場合は、補正事業というもの、補正予算というものに関しましては、いわゆる四月に予定されます消費税の増税に伴う景気後退というものに対応して、我々はいかにそのマイナス効果を抑えるか。少なくとも伸び率が下がる分、民間によって一・八とか約二兆円とかいろいろ意見が分かれておりますけれども、まあ平均して二兆円前後と言われておりますので、それをいかに少なくして、景気、経済、そういったものの成長を持続していくか、また、もとのラインまで戻すかというところに我々は集中をして、四月以降、なるべく早く予算の効果が出るというものを対象にしてこの補正予算を組ませていただいたというのが現実であります。

桜内委員 ありがとうございます。

 ただ、配付資料をもう一つ用意してございまして、一枚おめくりいただきたいんですけれども、こちらは、二十五年度補正予算において予算措置が行われる基金の総額を足し上げたものでございます。

 見ていただければおわかりのとおり、五・五兆円の今回の二十五年度補正予算のうち、一・二兆円を超える金額がこのように基金に積み増しをするというふうに計上されておるところです。これは予算書から引っ張ってきた数字なんですけれども。

 特に、横を見ていただければおわかりのとおり、今年度の期首の残高も書いております。どれだけ今年度執行してきたかまだわからないということでしたので期首のものを持ってきたんですが、これが一般会計、特別会計を合わせまして三・四兆円を超えておりまして、いかにもこれは、一・二兆円の基金を積み増しするというのはいかがなものかというふうな指摘もございます。

 というのは、今ほど財務大臣おっしゃいましたように、消費税増税が四月一日に予定されておって、その経済に対する悪影響を緩和する、軽減するということが目的であるとすれば、基金というのは年度を越えて執行が可能ですので、そういった意味で、効果が発現する時期、タイミングという意味でいえば、どんどん遅くなっていく性質のものです。そういった意味で、政府の方でおっしゃっています消費税増税の悪い影響を軽減していくという目的からすれば、このような予算編成の仕方というのはやや問題があると考えますけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘がありましたように、基金につきましては、これは、来年度以降まで事業が継続するということで、各年度の所要見込みというのがなかなか見込みがたいといったようなものがあるうち、少なくとも本年の四月以降、いわゆる早いところ、早期に効果が発揮できることが期待されるものや、その後の経済の成長力といったものの底上げにつながるといったことを考えて、それに重点化をしていわゆる配分をさせていただいておりますので、すまい給付金とかImPACTとか、また、新たな生活困窮者支援のモデル事業等々がその中に含まれていると御理解いただければと存じます。

桜内委員 御説ごもっともとも思うんですが、ここには書いてありませんけれども、具体的にどういった基金にどういった積み方をしているのかというのを子細に見ていきますと、例えば安心こども基金、これは厚生労働省ですけれども、これについては、補正予算で三十九億円積み増しをして、一方で、来年度、二十六年度当初予算で百八十三億積み増しをする。今のは安心こども基金の幼保一体化施設の分ですけれども。それから、同じく安心こども基金で、認可外保育所の場合は、百六十八億円補正で積み増しをして、他方で、二十六年度は一千三百億円積み増しをする。

 この補正と当初との切り分けというのは、どういった考えでなされているんでしょうか。実際のところ、先ほど申しましたように、補正というのは、積みやすいから積んだという感じがしなくもないんです。

 例えば、もっと金額の大きいところを申し上げます。厚生労働省の緊急雇用創出事業臨時特例基金、これは一千五百四十億円積み増しを、補正ですることになっております。大変規模の大きなものですし、今年度の当初といいますか期首の残高ですけれども、これが、今申し上げた雇用の関係ですけれども、二千四百七十九億円もあります。

 こういった、何といいますか、やや無原則に見える補正とそれから当初での切り分け方、これは何か原則を持ってやっていらっしゃるんでしょうか。

麻生国務大臣 細目は厚労大臣にお聞きいただくとして、まず基本的に、二十五年度に限りませんけれども、補正予算の中における基金につきましては、これは二十五年度中にまず事業に着手するということで、それが着手できれば、今年の四月以降、いわゆる早期に事業拡大につながるような効果が期待されることを目指して計上しているというのが基本です。

 それに対して、二十六年度の当初予算に同じ基金への支出が計上されているという御指摘だと思いますが、これは、補正分のように早期事業拡大の効果が期待されているというわけではありませんで、いわゆる二十六年度中に通常の事業を行うための予算でありますので、補正分とは性質がかなり異なっておると思っております。

 したがって、補正予算、当初予算の双方で予算が計上されているということであっても、それ自体が問題になるというわけではないというように考えております。

桜内委員 次は厚生労働大臣にお聞きしたいんです、関連してですけれども。

 これは、厚生労働省の基金、大変金額の大きな、規模の大きなものが、先ほど申しました安心こども基金ですとか緊急雇用創出事業臨時特例基金、そしてまた、今申し上げた雇用の面では、復興特会でも相当な金額が積み増されております。

 今財務大臣から御説明あったように、今年度中にディスバースといいますか支出をすれば、翌年度に繰り越して執行しやすいという面はもちろん認めますけれども、逆に言えば、これは、決算ということを考えると、税金はどこに消えたとよく言われますけれども、決算の中では、基金に拠出をした、歳出として拠出をしました、支出済みだということが計上されるだけで、その後、その基金から具体的にどのタイミングで何にそのお金が使われたのか、全く決算書等には出てきません。

 こういった巨額の基金を積み増して、そしてその後は役人の裁量でもって勝手に使うというのは相当問題が大きいと考えるんですけれども、厚生労働大臣、どうでしょうか。

田村国務大臣 基本的には、必要があって基金に補正予算で積み増させていただいておるわけでありますが、今委員がおっしゃられました緊急雇用創出交付金事業でありますけれども、一つは人づくりということで、未就職で学校を卒業した若者でありますとか、また産後の女性、こういう方々が職場復帰する、また高齢者、こういう方々に対応する、そのような事業でありますし、それから事業復興型雇用創出事業、これは被災地等々で事業の復興に伴って雇用をつくっていく、さらには地域社会のセーフティーネット、これに関しましては、例の生活困窮者自立支援事業、これのモデル事業等々に、法律を施行してスタートするまでの間、そのような形で使わせていただくということであるわけであります。

 それぞれ三月の地方議会にかけなければいけないものでありますから、そのような意味では、補正の方に計上させていただいて、すぐに議会を通していただいて事業執行できるようにというような形で、補正に積み増させていただいておる。

 特に、雇用の拡大、それから所得の増大というものは、これはまさに好循環を実現するための経済対策として、消費税が上がるということもございますから、早急に取り組まなければならないということでございまして、何としても地方議会に間に合わせていただきたいという中において、今般計上させていただいたということであります。

桜内委員 先ほども申しましたが、緊急性とかよく言われますけれども、基金というのは、別に、実際のお金の使い道というのは、一旦積み上げたらば、いつ取り崩そうが構わないというものなんですよ。ですので、緊急だから緊急だからといっても、実際にディスバース、どういったタイミングでお金が出ていくのか、そういうところまでしっかりと見てこういった金額を積み上げられているのか、やや疑問に感じるところであります。

 特に、去年の話ですけれども、これは復興特会なりに関係する部分だと思いますけれども、やはり基金、その使途厳格化ということを財務省が主張されて、その結果、返還を求めた対象額が一兆一千五百七十億円のうち、実際には返還された金額が一千十七億円と発表されております。

 やはりこういった基金というのは、使い勝手はいいのかもしれないけれども、財政健全化とか財政のコントロール、財政の統制という意味では、なるべく国会でしっかりと議論を経て、まさに基金からいつのタイミングでどのようなお金として出ていくのか、そこまで議論すべきだと考えるんですが、これは制度の欠陥だと考えます。財務大臣、どうお考えになりますか。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたとおり、今のは復興財源の話のところだと思いますが、これに限らず、基金は繰越明許の対象になっていないという点を指摘されているんだと思います。

 基金というのは、今の話でいえば厚生労働大臣、その後の御指摘であれば国土交通大臣ということになろうと思いますが、各所管大臣の責任のもとにこれは執行されておりますが、基金の支出先やら執行状況というものは継続的に調査とか公表するとかいうことが、効率的に資金を活用するという観点から、これは極めて重要であろうと考えております。

 こうした考え方を踏まえまして、行政改革推進本部から平成二十五年に指摘を受けまして、平成二十五年度から基金の執行状況を示す基金シートの作成というものが行われております。昨年からの話です。

 財務省といたしましても、行政改革推進会議と協力しつつ、この基金事業というものの適切な執行というものを各省に求めて、今、基金シートというのは一つの取り組みだと思いますので、こういったことは、私どもとしては、きちんと開示をさせていただきたいと思っております。

桜内委員 ぜひ、そういった財務情報をしっかり開示していくということが大事だと考えております。

 私、ずっと公会計という会計を専門に研究者をやってきたんです。やはり、そういった努力をされるのは大変歓迎すべきことだと思うんですけれども、しっかりとした会計処理の基準ですとか、財政運営においてもそういった基準というものを設定した上で、諸外国の場合は、例えば複式簿記で、しっかりと財務諸表を作成して、単に、フローといいますか、一会計期間のお金の流れでしかない基礎的財政収支だけを財政健全化目標とするのではなくて、例えば負債の残高であるとか、あるいは資産と負債の差額である純資産の残高であるとかその推移、こういったものも含めて多面的に、財政再建、健全化の目標を立てて、それを政府がしっかりと遂行しているか否かということをまさに財務諸表でもって検証しながら財政運営を行っていく、こういった仕組みが、世界各国、特に先進国の間では常識となりつつあるわけです。

 そのような観点から、私も財務金融委員会に所属しておるわけですけれども、我が党からは財政健全化責任法案というものを提出させていただいておりまして、これが今、継続審議となっております。ぜひ、こういったものは、後ほどまた触れますけれども、財務省としても、そして政府全体としても、今大変な財政の状況にあるわけですよ。これはみんなわかっているはずです。こういった努力を、与野党問わず、建設的な議論を進めていくべきだ。要は、国会改革の中でしっかり、そういった野党からの議員立法であったとしても審議していくべきだと求めたいんですけれども、財務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 財政の話をフローじゃなくてストックも考えてやらないかぬ、そういうことを言っておられるんだと思いますけれども、この点につきましては、維新の会から提出されております法案というのが会派の間で今検討されていると思っておりますので、この段階で私の方から今の問いに対するコメントを直接するというのは、ちょっと差し控えさせていただきます。

 その上で、財政健全化という点で一言申し上げさせていただければ、政府が現在目指しております、いわゆる基礎的財政収支の黒字化というのは、これはまさに議員が着目をしておられます、いわゆる公債残高の対GDPの比率というものの低下につながるものだとは思っておりますので、その旨は中期財政計画におきまして閣議了解等々を行っているところでもあります。

 こうした取り組みを法定化すべきかどうかにつきましては、それぞれの施策の中身等を検討している中で、その要否を含めまして十分検討する必要があろうとは存じますけれども、いずれにしても、政府としては、現段階で具体的な検討を開始させていただいているわけではありません。

桜内委員 この点については後ほど改めて御質問をさせていただきますが、もう少し、行政改革推進会議での指摘があった点について、少し戻りますけれども、特に文部科学省についてお尋ねをいたします。

 といいますのが、文部科学省、イノベーション創出に向けた産業連携の推進及び地域科学技術の振興に関する事業ということに関して、有効性の見きわめが不十分などと指摘されて、こういったイノベーションという片仮名がつく案件については結構削減の対象とされて、実際、二十六年度当初予算では、要求ベースと比べますと十八億円あるいは九億円削られたということが、この財務省主計局の秋のレビューの反映状況という紙に書かれております。

 ただ、私、科学技術に力を入れるということは全く大賛成なんですけれども、先ほどから申し上げております、補正でやるべきなのかあるいは当初なのかという点ですとか、もう一つ、文部科学省の場合、非常に不思議な予算のつけ方をしているものがあります。何かといいますと、SIPというものですけれども、概算要求当時は文部科学省が概算要求しておいて、実際に当初予算でついてみたら内閣府に計上されている。五百億円ですよ。一体これはどういうことなんでしょうか。

 もう一つ言いますと、文部科学省、こうやって行政改革推進会議で、イノベーションというのは何なんだと。それはイノベーションは起こった方がいいに決まっているんですけれども、お金を費やして、政府がお金を出してイノベーションが起こるわけじゃないんですよ。アップルにせよ、あるいは日本でいえば宅急便という新しい商品を開発したヤマト運輸にせよ、いろいろな規制と戦って、それで新しい需要を持つ商品、魅力ある商品をつくってきたという歴史があるわけですよ。

 お金を五百億円つぎ込んだからといってイノベーションが起こるわけじゃないという行政改革推進会議の委員の皆さんのこともよくわかるんですが、それを、このSIPというのであれば、文部科学省が概算要求では三百五十億円要求していたのが、いつの間にやら、出てきた予算書を見ますと、内閣府に五百億円、むしろ増額してついている。

 もう一つ、指摘します。

 今回、この補正予算の関連法案として出てきております独立行政法人の科学技術振興機構、ImPACTという革新的研究開発推進プログラムも、中身に反対するわけじゃありませんけれども、これは補正でやるんですよ。基金に五百五十億円、また積むというんですね。

 先ほどから、基金に積むことの問題点をるる指摘しております。さらに言えば、これはもう一つ問題が重なってあるんですよ。

 独立行政法人というのは、独法通則法上、中期計画というのがありまして、五年間にわたって計画を立てて、どれだけしっかりとその執行を行ったのか、効果が上がったのかということを示す、その繰り返しをやっていくのが独立行政法人であるにもかかわらず、今回、設置法改正では、わざわざこの独法に基金を設置して、その中期計画期間を乗り越えるようなたてつけになっているんですよ。一体何をやっているんですか、文部科学省。

下村国務大臣 桜内委員も、科学技術の必要性というのは理解されている上でのことだというふうに思います。

 これから、アベノミクス三本目の矢、世界で最高の科学技術イノベーションのための土壌をつくっていくということは、我が国が経済的に発展していくためにも大変重要なことであるというふうに思いますし、そのためには、これは民間企業や大学等だけでなく、特に基礎、基盤的な部分については政府がきちっと産学官の連携の中でバックアップするということが、まさにオール・ジャパン体制で科学技術イノベーションに対して対応していくということがこの国の発展においても大変重要なことであるというふうに思いますし、内閣府とも、山本大臣とも連携しながら、これは文科省だけでなく政府全体として、科学技術のあり方に対して一番いい対応ということで、内閣府の方で連携しているという部分がございます。

 それから、今御指摘の革新的研究開発推進プログラムでありますが、今回の補正予算でなぜ入れたのかという話でありますが、これは好循環実現のための経済対策に即したもので、この対策は、短期間で需要が発現されるだけでなくて、力強い成長軌道に早期に復帰できるよう、経済の成長力底上げや持続的な経済成長の実現に資する、イノベーション誘発効果が高い施策として取り組むということにしたものでございます。

 この革新的研究開発推進プログラムは、実現すれば産業や社会のあり方に大きな変革をもたらす革新的な科学技術イノベーションの創出を目指すものであり、今後の我が国の持続的な経済成長の実現に大きく寄与するものであるというふうに認識しております。

 この研究費を基金化するということについては、今後五年間にわたって弾力的な予算執行が可能となることで研究の進捗状況に応じた使用が可能な制度ということで、より研究がしやすい、弾力化した、そういう意味で基金にしたものでございます。

 独立行政法人科学技術振興機構に基金を設置するということでこの補正予算に組んで、早目に科学技術イノベーションについて我が国が経済的な効果を、より対応していきたいということで、今回の補正予算に入れさせていただいたという経緯でございます。

桜内委員 ありがとうございました。

 非常に丁寧な御答弁で、尊敬する下村文部科学大臣の御答弁なので、余りけちをつけるつもりもないんですけれども。

 ただ、何が言いたいかと申しますと、先ほどから基金の問題点を言っております。本来であれば、本当に大事なものであれば、このタイミングですから、当初予算でしっかりとやるべきだということを申し上げたい。

 なぜならば、先ほどから基礎的財政収支の財政健全化目標も言葉として挙がってきておりますけれども、これは操作可能なんですよ。補正に上げたらば、二十六年度当初予算は基礎的財政収支がその分よく見えるんですね。少なくともこの一・二兆円については、もし当初予算に上げたらばということを考えれば、そういうことになります。

 もう一つ、少しまた戻りますけれども、当初予算の補正へのつけかえというのを冒頭申し上げました。

 特に金額の大きなものでいいますと、防災・安全社会資本整備交付金、これは維持補修とかあるいは耐震化に使われるもので、行政改革推進会議では、二十六年当初予算で削減額が一千三百八十七億円だったにもかかわらず、補正予算で一千八百四十七億円積まれている、当初予算での削減額を超えて補正で積まれているという指摘がなされております。

 一方で、社会資本整備総合交付金については、同じように、当初予算では削減額が一千四百三十五億円、これに対して、補正で同じ項目で一千三百九億円、そこに積んでおるという点が批判されているんです。

 私はこれも、冒頭申しましたように、コンクリートから人へというのは私は間違っていると思っていますので、やみくもに削減するのがいいとは思いません。けれども、補正で手当てするとなると、何が生じてきているのかといいますと、補正というのは、先ほど財務大臣も少しおっしゃられましたけれども、繰越明許、一回しかできません。ですので、ほぼ、今のタイミングで補正予算が通ったとすると、一年ちょっとで全部工事が終わらなくちゃいけないんですよ。

 だから、恐らくは維持補修とか耐震化ぐらいの工事であれば補正に適していると言えるわけですけれども、それはもちろんちゃんとやっていただきたいと思いますけれども、肝心の、例えば高速道路であるとか、そういった大きなネットワーク型のインフラのミッシングリンク、要は視力検査のときの輪のうち一部分が欠けているというところがあると、ネットワークとしての価値が半減するわけですよ。そういった大きな、本当に基盤となるネットワーク型の社会資本の整備がおろそかになるんじゃないかということを指摘したいと思います。

 といいますのも、私の地元、愛媛県の宇和島です。その南に愛南町という町があります。ここは、残念ながらJRも通っていなければ高速道路も通っていないんですよ。それで、今何が起こっているかということを申し上げますと、民主党政権時代に国土交通省が、例えば高速道路の新規採択のためには、まず、BバイCといいますが、費用便益分析をされますよね。これが一を超えなきゃいけない。このBのところの計算の中で、それまでの自民党政権では、五十年後までに全部のネットワークが完成したらどれだけの通行量があるのかということで計算していたのを、民主党政権時代に、もう工事はやらないということを前提に、要は通行量がふえないという形でベネフィット、便益を計算するという方法に改めてしまったわけですよ。

 これはぜひ早急に、ネットワークの価値というものを踏まえて、BバイC、費用便益分析のやり方をもとに戻すなり、あるいは、特に今現在、これまでもそうなんですけれども、ベネフィット、便益の計算の中で、人の命というのが考慮されていないんですよ。

 例えば、愛南町というところで、夜、脳卒中になった、あるいは交通事故に遭ったというときに、宇和島まで運ばなくちゃいけないんですよ、救急車で。一時間かかるんですよ。死んだ人が何人いることか。また、医師不足の八幡浜というところもあります。ここも、救える命が、基本的なインフラがないがゆえに亡くなっていく場合がある。こういったものも、もしあればという便益に私は加えるべきだと思います。

 この辺、国土交通大臣、通告していないんですが、御感想を。

太田国務大臣 通告はいただいておりませんが、極めて大事な指摘をされていると思います。

 私も同様の考え方を持っておりまして、BバイC、ベネフィットというのは一体何であるか。もともと公共事業ということについては、フローということ以上にストックというものを大事にしていかなくてはいけない。その判断としてのベネフィットというのが一体どういうものか。極めてそれが、フローのある部分だけに捉えられているということについては、これは十分検討していかなくてはならない。

 命を守る公共事業ということについて御理解をいただいているというのは、大変ありがたいことだというふうに思っているところです。

桜内委員 非常に力強い御答弁、ありがとうございます。

 もう一つ付言しておきますと、今現場で何が起こっているかというと、そのBバイC、コストの部分ですね、こっちを下げようということで、例えば宇和島―松山間、一昨年にようやく高速道路が開通したんですが、ほぼ全線、片側一車線、対面通行なんですよ。高速道路での対面通行ですので、これは居眠り運転ですとか、ちょっとしたハンドルの操作の誤りで対向車線に入っちゃう場合があるんですね、事故として。実際、私の知り合いの宇和島のお医者さんの奥様が交通事故で亡くなられました。要は、妙に高速道路の建設費をけちって、Cを少なくしましょうなんてやっていると、かえってまた失われる命があるわけですよ。

 ぜひ、これはBの部分でもCの部分でも、要は、便益の部分でも費用の部分でも、人の命を守るということを考えて、このミッシングリンクの解消を安倍政権にお願いしたいというふうに思います。

 うちの田舎は、これでも結構頑張っているんですよ。タイの養殖、ハマチの養殖、日本一です。ミカンだって日本一です。頑張っているんだけれども、基礎的なインフラがないがゆえに力を発揮できない、そういった悩みを抱えているところにぜひ光を当てていただきたいということをお願いしておきます。

 そして、次の質問に参ります。

 これも補正予算に関して、特に復興特会について、もちろん復興はしっかりやっていただかなくちゃいけないんですけれども、先ほどからるる申しておりますように、補正と当初の関係でやや疑問があるという点について質問をさせていただきます。

 お手元に資料で、平成二十五年度東日本大震災復興特別会計補正予算のポイントというのと、もう一つ、二十六年度復興予算の概要というものがあります。

 ぜひごらんになっていただきたいのは、枠で囲っておるところが、二十五年度補正のところの右下にあります。なぜこれは枠で囲ったかといいますと、二行目に東日本大震災復興関係経費五千六百三十八億円、これが補正予算の復興関係経費なんですよ。その枠外にこの八千億円というのが記載されています。

 何なのかといえば、ここに書いてありますとおり、復興財源の補填ということです。来年度から復興特別法人税を前倒し廃止するという御方針でいらっしゃいますので、その分、来年度、八千億円の歳入欠陥が生ずるから、ことしのうちに入れておこうということなんですね。それがそのとおり、もう一つの二十六年度復興特会予算の概要、これも枠で囲っておりますけれども、歳入のところで復興特別税収七千三百八十一億円とありますが、これが八千億円程度目減りした金額であります。

 何が言いたいかというと、もちろん復興はしっかりやっていただく必要はあるんですが、財政法の大きな原則というのがあるんですよね。財政法十二条、会計年度独立の原則というのがあります。これは二枚の紙があって、復興財源の補填、特別法人税の廃止に伴うその財源を補填すると言いながら、こうやって二枚に分かれて政府の文書で記載されているわけですよ。

 どう考えたら会計年度独立の原則を満たしていると言えるのか。その点について、きょうはテレビ入りですので、ぜひ国民の皆さんにわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これはもう桜内先生御存じのように、会計年度独立の原則という話をされましたけれども、昭和二十何年かにできました財政法第十二条でこれはずっと決められて、各会計年度の歳出はその年度の歳入をもって支弁すべきだというのが大原則であります。

 今言われました、今回の八千億円の復興特別会計への繰り入れの件のお話が出ておりますが、これは歳入面を見ますと、いわゆる二十五年度中に確定をしましたものは、二十四年度の決算における一般会計の剰余金の財源ということになります。また歳出面を見ますと、二十五年度において復興債を償還、減額ということになります。

 このように、お尋ねの復興特別会計への繰り入れにつきましては、平成二十五年度の歳入をもって平成二十五年度における歳出を支弁するという形になっておりまして、これは会計年度の原則に決して反するものではないということであろうと思っております。

 今、質問されておるのは、多分、歳入が減る形になるからいかがなものかということを言っておられるんだと思いますが、これはそういうことにしようという意図は、取り扱いは決して不可能なわけではないというのはよく御存じのとおりなんですが、これは、二十五年度の補正予算で八千億円の財源を一般会計から復興会計に受け入れて、そして同じ二十五年度中にその財源を復興会計の償還費に充てるということにしているということであります。

 今回の取り扱いにありましても、会計年度独立の原則に反することがないようということで、問題が生じるようにはなっていないというように御理解いただければと思っています。

 テレビを見ている方にわかりやすくと、これはお役人でも一回聞いたぐらいではなかなかわからぬ、難しい、ごちゃごちゃした話ですので、わかりやすくと言われると長時間いただかにゃいかぬことになりますので、この程度で御勘弁ください。

桜内委員 ありがとうございます。

 感想をおっしゃったように、これは本当にわかりにくいんですよね。私も元同僚にさんざんいろいろ聞いたんですが、なかなか理解しづらい。よほど目くじら立てるような話ではないとは思うんですけれども、なぜこういうことばかり言っておるかというと、先ほども申しましたが、やはり、こういった補正にのっけるか否か、当初なのかというところで、基礎的財政収支の計算に結構影響があるんです。

 先ほど申しましたように、例えば、基金の積み増し一・二兆円を来年度、平成二十六年度当初予算に持っていったとする、あるいは、行政改革推進会議で指摘のあった点について、削減したと言いながら復活しておった部分をもしちゃんと全部来年度予算に持っていったとすれば、三千六百億円向こうに行く、向こうというのは二十六年度予算に行く。

 さらに言うと、私はずっと、予算委員会で毎年指摘し続けているんですけれども、外為特会から一般会計に繰り入れがことしもなされております、一・六兆円程度。これは外為特会から見ると、歳出に計上されていないんですね。それが一般会計の歳入には立つという会計処理がされておりますので、丸々一・六兆円分がプライマリーバランスは改善されて見えるんです。

 こういった点を全て足し合わせると、今私が言った一・二兆円、〇・八兆円、〇・三兆円、それから一・六兆円の外為特会というのを入れると、全部で四兆円程度、実は、基礎的財政収支というのが動いてくるんですね。

 悪意ある操作とは言いませんけれども、今年度一般会計予算で昨年度当初予算と比べて基礎的財政収支が五・二兆円改善したというふうに財務省の方で試算が、先週、後年度影響試算という形でなされておるわけですけれども、これも一言言うとすれば、平成二十五年度の当初予算額と平成二十六年度の当初予算額同士で比較しておるわけですよ。

 今申したように、二十五年度補正でもって四兆円程度ずれが生ずるというのを勘案すれば、こんなふうな五・二兆円みたいな大きな数字になるわけもない話ですので、そこはもうちょっとわかりやすく、かつ、政府の、国の財政状況が国民にも理解できて、そして、健全化したと言いたいのはわかるんですけれども、余りに過度な期待を抱かせるようなやり方は慎むべきだと考えるわけですけれども、この点はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは、前々から桜内先生御関心というか、私の知っている範囲では、昨年度、同趣旨の御質問をいただいたと記憶します。

 この外為特会の通常の一般会計への繰り入れというのは、これはあくまでも前年度の決算において、歳入から歳出を差し引いて剰余金が発生した場合、発生しない場合がありますけれども、発生した場合に剰余金の処理として行われるものであって、これは外為特会の歳出には御存じのように計上されないということになっております。

 ただ、外為特会の決算上の剰余金の処理として一般会計に繰り入れを行うという場合には、予算の一部である予算の総則におきましては、これは繰入金額を定めておりまして、国会による予算統制のいわゆる対象にはいたしております。

 なお、誤解を与えるとの御指摘もあったので言わせていただければ、平成二十六年度の予算参考書類におきましても、当該事案に関する注意書きをつけ加えたりいたしておるところでもあります。

 いずれにいたしましても、こんなことをしていると、外為特会がある日突然に逆になったときはなくなっちゃっているじゃないかとかいろいろな質問を、私どもも、これだけインターナショナルな時代になってくると注意をしておかねばならぬところでありますけれども、きちんと、三〇%は維持せねばならぬということは定められて、そのとおり実行はさせていただいておるところであります。

桜内委員 別に、違法なことをやっていると言うつもりもないんですが、やはり、何でこんなことになるかというと、先ほども申しましたけれども、私は、会計、また特に地方自治体であるとか国あるいは政府の会計基準の設定の仕事をこれまでずっとやってきたんですけれども、そういった意味で、会計のしっかりした基準がないと、その場その場に応じていろいろな処理、表示方法とかが可能になってくるわけです。それが全部だめだと言うつもりはありませんけれども、一定のかちっとした基準もつくって、それに従って政府も情報を開示していくということがないと、なかなか国際比較もできなくなります。

 また、財政再建というときに、企業経営で、財務大臣はもうよく御存じだと思うんですけれども、やはり数字を見ないで会社の経営なんてできないじゃないですか。しっかりと、売り上げは幾らなのか、あるいは費用が幾らかかったのか、そして資産が幾らあるのか、そういったものをどうコントロールするのかという意味での財務情報の重要性というのは、これは政府も変わらないと私は考えております。

 そういった意味で、基準をしっかり設定して、これから財政運営に当たっていただきたいという希望を述べておきます。

 もう時間がないので、もう一点だけ、これは指摘だけにとどめておきますけれども、内閣府で、同じように、中長期試算というものをことしも出されております。

 経済再生ケースがやや楽観的じゃないかとかいろいろな指摘もあるんですが、そこは余り問いません。ただ、これを見ますと、先ほどから何度も出ております国、地方の基礎的財政収支、二〇一五年度においては、経済再生ケースでありますと、GDP比マイナスの三・二%で合格、ところが、残念ながら、二〇二〇年度にはまだマイナスの一・八%で、黒字化達成できず不合格という数字が出されております。

 これも、まさに国際基準の、SNAと言われます国民経済計算という国連の体系に基づいて出されておるんですが、これも先ほどから何度も言っていますけれども、復興特会を抜いたベースと復興特会も入れたベースで二つ計算されています。

 国際的には、もちろん復興特会を入れなくちゃいけないわけですよ。そちらの数字もちゃんと今入れていただいているので、良心はしっかり認めますけれども、本来であれば、復興特会は財源が確定しているから別にしていいんだという言いわけもされますけれども、役人から話を聞きますと。でも、それはやはりおかしいんですよ。企業経営において、いきなり不況が来たからといって、不況の分は抜きにして経営計画を立てるということはあり得ないじゃないですか。

 そういう意味でいえば、リーマン・ショックであれ東日本大震災であれ、いつ何どきどのような経済的なショックが来るかもしれない、それを想定した上でこういった経済予測というのをしっかりつくっていかなくちゃいけないということは指摘しておきます。

 今ほど申し上げましたように、財政健全化目標として基礎的財政収支がいいかどうかは別としましても、二〇二〇年度黒字化の達成には、やはり歳出の削減というのも避けて通れません。という意味で、今、日本国の財政において最大の圧迫要因になっております社会保障関係費について、これからお尋ねをいたします。

 これは資料は用意しておりませんけれども、厚生労働大臣にお尋ねをいたします。

 国民医療費というのが、二〇一二年度で実績見込みで三十九・二兆円。恐らく、ことしあたりはもう四十兆円を超えるんじゃないかと見込まれます。そのうち、いわゆる後期高齢者医療費が十三・七兆円、三分の一ぐらいを占めてきておるわけです。

 後期高齢者医療制度というのも、非常に名称がよくないと、評判のよくない制度ではあるんですが、私は、この自己負担割合について少しお尋ねをしたいと思っております。

 平成二十六年度予算から、七十歳から七十四歳までの方について段階的に自己負担割合を二割に引き上げていくということが来年度の予算にも盛り込まれているところです。

 私、お年寄りを大事にせないかぬという意味でいえば、決して反対したくもないんですけれども、法律には何年も前から二割と書いてあるわけですよ。明記されているわけです。明記されていながら、これまで補正予算で、やるかどうかわからない補正予算でもって手当てをしてきた。

 これはいつからですか。厚生労働省からいただいた資料によれば、平成二十年度から、既に法律の上では、七十歳から七十四歳までの方は自己負担割合二割と明記されているにもかかわらず、毎年二千億円前後の補正予算でもって、これを一割に抑える施策をとられてきました。

 いわば法律違反でもあるわけですよ。もちろん、国会の議決を予算がいただいているわけですから、それでいいとは言えるかもしれないですけれども、幾ら何でもやり過ぎじゃないかというふうに考えるわけです。

 それから、段階的に引き上げるというのも、法律ではそのように書いていないわけですよ。

 これは一体どういう法的根拠でもってやっていかれようとしているのか、この点についてお尋ねをいたします。

田村国務大臣 御指摘いただきました七十歳から七十四歳の高齢者の医療費でありますけれども、これに関しましては、今委員がおっしゃられましたとおり、平成二十年度から法律では二割負担となっておるわけでありますが、円滑な実施を図るために一割に凍結、これは予算措置でしておるわけであります。予算措置で、予算で議決をいただいておりますから、そういう意味では、ある程度理屈は通るのであろうというふうに思います。

 他にどういうものが、こういうような予算措置で軽減措置があるかといいますと、例えば、地方単独事業で、子供たちの医療費助成、それからまた高齢者の一部薬剤費負担、これに関しましても軽減措置等々がなされた。今まで、そういう歴史といいますか経過もあるわけであります。

 今委員がおっしゃられましたとおり、世代間の公平性の上でどうであろうというようなお話でありますとか、それをやるならば低所得者への対応をしっかりやるべきだ、このような御指摘もいただきまして、今般、段階的に、新しく二十六年度から、七十歳になる方から一割負担を二割負担にしていくということと、それから高齢者の医療費の負担の上限、これに関しても今のまま据え置くというようなことで対応する中において、これを実施していくということでございます。

 でありますから、法的にはそうなっておるわけでありますが、今委員がおっしゃられましたとおり、予算措置というような形で議決をいただく中において、このようなことを進めさせていただくということでございます。

桜内委員 これはやはり予算措置だけじゃなくて、国会としての意思を法律という形でしっかり決めていくべきだと私は思います。

 繰り返しになりますが、これは決してお年寄りを粗末にするというつもりはありません。大事にしなくちゃいけないんですよ。でも、やはり子供が、生まれたばかりの赤ん坊から小学生に上がるまでが自己負担割合二割なんですよ、法律上。小学校に上がった日から大人と同じ三割なんですよ。所得がないという意味でいえば、子供だって同じですよ。まして、子供というのは、将来の日本、日本の未来をしょっていく人たちですよ。その人たちを法律でもって、なぜきちんと健康を守るような法律を我々はつくれないのか。国会議員として、私はすごく恥ずかしいと思っております。

 これは、日本全国の七十歳以上の方も、子供が、赤ん坊でさえ二割負担しなくちゃいけないという法律の仕組みをとっていて、恥ずかしくないんですか。私は、やはりそういう国の形というのはよくないと思います。

 これは結構大きな問題と私は思っておりまして、税と社会保障の一体改革という名のもとに消費税を引き上げることになりました。であればこそ、この医療保険制度の改革ももっとしっかり取り組んでいくべきだと思いますけれども、これは総理の御方針をお聞かせいただけませんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘のように、社会保障の分配については、いわば高齢者に厚過ぎるのではないかという御指摘なんだろう、こういうふうに思うわけでありますが、我々も、そのことについては十分に配慮しているところでございます。

 今回も、七十歳から二割負担、本来の本則どおりお願いをするということでございますが、今までこういう措置をとってきたのは、いわば高齢者の方々が制度の変更による不安を抱くことがないように、十分に、この制度がやはり大切だということ、必要だということを御理解していただくという期間としては必要だったんだろう、こう思うわけでございます。

 そして、ある意味の激変緩和措置として、七十歳になる人は、いわば六十九歳までは三割だったわけでありますから、今度は三割から二割という形にさせていただきまして、一割の人が二割ということではなくて、そういう形にさせていただいたところでございます。

 一方、六歳未満の子供たちの医療費は二割ということになっているわけでありますが、ここで、確かに、子供たちの医療費については親が、現役世代が払うことになるわけではございまして、現役世代の過重な負担ということについては我々も配慮していかなければならない、こう思っているところでございまして、今回も、消費税の引き上げによって社会保障の充実に充てる〇・五兆円のうち〇・三兆円は、待機児童解消のための保育の充実など、子ども・子育て支援に充てることにしています。

 一方、医療費については、実態としては、東京なんかは事実上、中学校ぐらいまでは無料になっているんだろうと思いますし、多くの市町村で、これは市町村が出しているということではありますが、小学生は大体基本的には多くのところで無償化されているのではないか、このように思っているところでございます。

桜内委員 こういった子供の医療費については、自治体任せにせず、やはり国がしっかりと法律でもって責任を持ってやっていく必要があると考えております。

 後期高齢者医療制度の導入の際によく、年齢による差別は許さないということを聞きました。私は、子供の自己負担割合が二割なり三割ということこそが年齢による差別だというふうに考えておりますので、ぜひこれは、私は野党にいますけれども、与党の皆さんともしっかりと議論をしていきたいと考えております。

 そして、もう一点つけ加えて言えば、先ほど、うちの地元で救急医療がなかなかないということで、これは住所による差別になっているんですよ。同じように国民健康保険を払っていながら、しっかりとしたクオリティーの、質の高い医療を受けられる人とそうでない人と、今、分かれてしまっているんですよ。

 こういった点も、もちろん、日本医師会が反対するところもあるかと思いますけれども、医者の職業選択の自由、どこで仕事をやるかは自分で選べるんだというふうな主張も聞きますけれども、やはり厚生労働省として、国民の健康を預かる立場として、ぜひ田村大臣には頑張っていただきたいと思いますが、決意のほどをお聞かせください。

田村国務大臣 医者をふやしていくということ、これは今、随時、医学部の定員もふやしてきているわけでありますが、それだけではなかなか対応できません。やはり、救急に進む方々、こういう方々を養成していかなきゃならぬわけであります。そういう意味では、今、専門医制度を見直しいたしておりまして、そういう中において、救急医療を担う方々、これがしっかりと養成されていくように、我々としても頑張ってまいりたいというふうに思います。

桜内委員 余り時間がないので、最後に、これも一つ、要望というかコメントをしておきます。

 厚生労働省の行政の範囲というのは非常に広いんですね。今申した医療のほか、もちろん年金もありますし、そして、よく言われる幼保一体化、幼稚園とそれから保育園の関係もあります。来年度予算についてヒアリングしておりますと、さらにこれに内閣府が加わって補助金の窓口になる。二つを一体化するどころか、三すくみの体制にかえってなっているというのは一体どんなものなのかと。

 行政というのは全て法律の根拠に基づいて行うものなので、国会なり、あるいは、特に内閣総理大臣ですね、小泉さんはよく、総理が決断すれば脱原発できるというふうにおっしゃっていますけれども、幼保一体化こそ、総理が決断すればあすにでもできると私は思うんですけれども、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 幼保一体化についてはずっと議論がなされているところでございまして、自民党としては、認定こども園をしっかりと進めていくという中において、あるべき姿を求めていきたい、こう考えているところでございます。

桜内委員 では、時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

二階委員長 この際、村岡敏英君から関連質疑の申し出があります。桜内君の持ち時間の範囲内でこれを許します。村岡敏英君。

村岡委員 おはようございます。日本維新の会の村岡敏英でございます。

 きょうは、予算の基本的質疑で、安倍総理に農業問題を中心にお聞きしたいと思いますが、本題に入る前に、今の豪雪に関して、一つ御報告と、また政府の対応をお願いしたいと思っております。

 きょうの朝日新聞でも、「雪害 増える死者」ということで、特にことし、秋田県の県南部、横手そして湯沢、大仙、この県南部では、四八豪雪と言われる大変な豪雪と同じぐらい雪が降り、百二十四名もの死傷者が出ておりまして、死者は十三名、本当にお悔やみを申し上げながら、けがの方には一刻も早く治ることを本当に祈っております。

 そういう中で、国も、国交省を初め、除雪の機械を貸していただくなど対応はしておりますが、実は、雪のピークはこれからであります。これ以上降ると大変な被害が増大するという中、国としてしっかりと状況の把握をして対策をとっていただきたい、このように思っております。雪おろしで亡くなる方、そして除雪中に亡くなる方、交通事故、そして救急車やパトカーが通れないような状況、こういう状況を把握していただきたい、このように思っております。

 総理、ぜひとも国として、その把握をお願いしたい、そして対策もお願いしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 御質問にお答えをする前に、まずもって、このたびの豪雪によってお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げたい、このように思います。また、被害に遭われた方々に対しましてお見舞いを申し上げる次第でございます。

 除雪中に多くの高齢者の方々が被害に遭われているという状況があります。政府としては、こうした被害状況の把握を早期に行うとともに、今冬における降雪状況を踏まえて、自治体の除排雪経費について、特別交付税や社会資本整備総合交付金により支援をするなど、自治体の除排雪に支障を来さないよう、適切に支援をしていく考えであります。

 今後とも、国民の生命財産を守るため、災害対策に万全を期してまいります。

古屋国務大臣 お答えいたします。

 委員の御地元秋田県でも、昨年に引き続きまして、大変な災害で多くの方がお亡くなりに、あるいは被災されている、心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 その上で、実は昨年も、私ども政府として、二月の十一日には秋田県、二月の二十七日には青森県に政務三役を派遣しまして、そして地域の、公共団体の、何を要望されているか、その的確な要請を聞きました上で速やかな対応をさせていただきましたけれども、ことしにおいても、維新の党さん、御党はもう既に、二十二日ですか、現地に派遣して調査をしたというふうに承っておりますので、我々も今、地方公共団体と連携をとりながら、早急に政務三役を派遣して、現地の状況の把握とともに、支援策を具体的に取り組んでいきたいというふうに思っています。

 一月二十日には、既に消防庁の方から都道府県に対して雪害対策の万全の指示を出しておりますけれども、今後は、やはり自治体の除雪経費を対象に支援をする。昨年のように、特別交付税を思い切って前倒しで交付するということも含めて対応していきたいと思いますし、また、専門家の派遣とか、あるいはダンプ、トラックを支援していくとか、あるいはロータリー型の除雪車をお貸しするとか、実際、直轄工事が一時中止になりますので、それによる除雪のための人の確保等々、取り組んでいきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、地方の意見を十分に聞きながら、速やかに、適切に対応していきたいというふうに思います。

村岡委員 ぜひ総理、大臣、その点はよろしくお願いしたいと思っています。

 雪は、台風や竜巻と違って、一瞬じゃないものですから、何カ月とあります。何カ月と御苦労しながら除雪をしているということを踏まえて、根本的な対策と今の対策と、二つ、重ねてよろしくお願いしたい、このように思っております。

 それでは、本題に入りますけれども、安倍総理がよく言われている、いわゆる減反政策の廃止ということです。

 この減反政策を振り返りますと、一九七〇年二月二十日、佐藤栄作首相が減反政策を取り入れた、こういうふうになっております。まさに安倍総理の大おじであると思いますけれども、それから四十四年間、減反そして生産調整と行ってまいりました。

 昨年の十二月、安倍総理が、いわゆる減反政策の廃止ということで、これを発表いたしました。

 しかしながら、私は農水委員会に所属しているんですが、これは農業新聞ですけれども、総理の御意見と党の御意見と違っているんです。

 例えば、安倍総理は、先ほど言ったいわゆる減反政策の廃止、しかし、党の農林の担当責任者に聞くと、生産調整の手法の見直しとかいろいろ。これでは、農業者が、どっちが本当なのかと。農林大臣にお聞きしますと、現場ではしっかりと説明をしているということですけれども、やはりこれだけの大転換をするとき、総理と与党の意見が地方の農業者にとって全く違うメッセージで行っているということは、この農政はなかなか大転換がうまくいかない。

 あの減反政策が始まってから今までの間、減反政策をやりながら七百五十万トンも備蓄があって、それに対して一兆、二兆、全部で三兆円もかかって備蓄を解決したというのがあります。その間、飼料米にしたのもあるでしょう。そして、外国に対して輸出したのもあります。昨年の十二月には債権放棄なんかをいたしました。

 やはり農業政策をしっかりと組まなければならない、そして、総理がしっかりと、内閣が一致することはもちろんのこと、与党が一緒になってこの政策をやらなければ、生産現場の人が混乱する。このことに関して、総理はどう思われておりますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まさに、お米の生産というのは、農業は国の基でありますから、そのまさに国の基である農業を支える、瑞穂の国の基本的な産業は、文化であり伝統であり産業、そして地方を守っているのはお米なんだろう、こう思うわけでございます。

 ですから、我々も、お米に対する政策の変化については、政府・与党で十分に議論を進めながら、各地域に対しても、農家に対しても、農業者に対しても、きっちりと説明していくことが極めて重要であるというふうに認識をしています。

 その中で、今回の米の生産調整の見直しにおきましては、これまで、行政が配分するお米の生産数量目標に従って農業者が作物をつくってきたものを、農業者がマーケットを見ながら、みずからの判断、経営判断で作物をつくれるようにするものであります。そして、需要のある麦、大豆、飼料用米の生産振興を図ることによって、農地のフル活用を図っていく、そして、食料自給率と食料自給力の向上をあわせて図っていくこととしております。

 施政方針演説などにおいて、こうした政策の内容を、専門外の人々にも理解しやすいように、いわゆる減反の廃止、このように述べたものであります。

村岡委員 総理、総理と党の農林の幹部の方々と意見が違うということをお聞きしているんです。総理の方針はわかりました。しかしながら、現場で総理と違うことを言っている人がたくさんいるんです。

 私は、農林の委員会でも聞いておりますし、そこをどういうふうに、それを……(発言する者あり)誰と会ったかは、名前は言いませんが、そこのところをぜひ。名前を言ってもいいんですか。

安倍内閣総理大臣 私は、党の農林の人々がどういう発言をしているかというのは、つまびらかに承知をしておりません。

 今私が申し上げたことが、私は内閣総理大臣であり、自民党の総裁でありますから、これが政府・与党の考え方であります。

村岡委員 現場では、例えば選挙中に、前の予算委員会でも質問しましたが、TPP断固阻止の鉢巻きを巻いたり、そして、減反政策の部分は手法の見直しだと言ったり、こういうところが、総理は、前のときには、自民党が幅広いと言いましたけれども、それは幅広さではありません。しっかりとこれだけの大転換をするというときには、一致した意見の中で説明していかなければなりません。

 それで、結局のところ、これが大転換かどうかと調べてみますと、なかなか、現実が違うんです。これは生産調整の手法の見直しの方がやはり強いんです。その方が多分、真実なんです。

 米というのは農業の中で一番大きな、主要な位置を占めます。今まで、農政の中で、全国一律で例えば転作作物で麦や大豆をつくる、全国一律というのが、実際にはなかなかうまくいかなかったんです。例えば飼料米というのを今度からやっていくということになりますと、また全国一律なんです。七百キロ以上やれば十万五千円ということですけれども、今は平均五百六十キロか七十キロで、七百キロまでというのはなかなか大変です。それは品種改良をしながらやっていきます。

 しかし、現実に、その利用可能量の中で、北海道から沖縄までの中で、飼料用米を使うというのは、各都道府県ごと、違うんです。例えば、全国では、全体の配合飼料を使えば、四百五十三万トン使います。しかしながら、実際には、その中で各県ごとを調べると、多いところ、少ないところ、はっきりしています。例えば、九州は大変多いです。

 全国一律に進めると、飼料用米をつくっても、そこで飼料メーカーの工場がない、そして、流通で運ばなきゃいけない、せっかくつくったものが、また倉庫に余ってしまう、畜産農家が高くて買えない、そういういろいろなことが起きるんです。

 やはり、ここを詰めていくためには、全国一律にやるんじゃなくて、しっかりと農業の、四十七都道府県、適地適産ということを考えながら飼料米の対策もやらなきゃいけない、こう思っておりますが、これは農林大臣にお聞きいたします。

林国務大臣 村岡委員は御専門ですから、よくおわかりの上でおっしゃっておられると思いますし、まさにそのとおりでございまして、見直しについて、特に餌米に大きく転換していこうということで、一月上旬からブロック別の説明会、また都道府県別にやっておりまして、昨日までに八カ所のブロック別説明会、それから四十五カ所の都道府県、地域で説明会を実施いたしまして、全ての都道府県で、今週末までに合計六十回やっていきたいと思っておりますし、また、御要望があれば、市町村ベースでもやっていきたいと思っております。

 餌米ですが、一層の生産、利用拡大を進めるために、今お話のあった省力的な栽培技術、それから多収性専用品種の導入、需要先の確保、それから飼料用米の円滑な流通体制の整備、これが大事である、こういうふうに思っておりますし、地域地域で、それぞれの地域の実情に応じた対策というものをやっていかなければいけないと思っております。

 したがって、多収性専用品種や直まき栽培の導入ですとか、それから、飼料用米の栽培の団地化等の実証、普及、それから多収性専用品種の種子の確保に向けた取り組み、種もみを確保しませんといけませんので、種子転用の環境整備をしたり、それから、過不足の全国調整、これが大事になってくると思います。

 それから、耕種側における乾燥調製貯蔵施設の整備、それから、今度は餌米を買う方ですね、畜産側で必要となる加工、保管施設の整備、粉砕機、混合機等の機械導入への支援、それから、生産要望のある耕種農家と利用要望のある畜産農家とのマッチング活動、それから、配合飼料工場での長期的、計画的な供給、活用のための情報提供、これらを一体的に、地域に合った形で推進してまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。

村岡委員 それをやらなければ、なかなか、農政の大転換といっても、やはり一つ一つ過去の失敗を反省しながらやっていかなければ、この大転換はうまくいかない。結局、国費を、税金を使ってしまうということになります。

 農業者に対して、私は総理に、気持ちがそうなのかどうかわかりませんが、総理の所信表明演説、十二月の記者会見、ダボス会議とありました。壁を破りました、こう言っていました。しかしながら、今までの農政を見ると、農業者は国に協力してきたんです、しっかりと。その中で、新しい大転換をするときには、農業者また消費者、いろいろな方に御理解を得て、ともにやろうではありませんかという総理のいつも言う言葉が農業にはないんです。そこがしっかりと、そのメッセージが農業者には伝わっていません。

 そして、農業の中で、先ほども言った飼料米、大豆、麦といった、自給率を上げる方はいいです。しかし、米は大量にできるんです。そして、さらには、非常に技術が進んでいて、世界に誇れる米なんです。やはり、輸出ということを、米自体に、加工も、日本酒も、もう一つの戦略がなければ、国内需要だけを見て農業を進めていくのは、なかなか現実に農業が成長していきません。

 確かに、五千億から一兆という目標は立てております。しかし、中身を見ると、では、農産物をしっかりと海外にやるための低温倉庫をどうするのか、そして、流通の機構をどうするのか、非関税障壁をどうするのか、そういう部分は全くまだ手をつけられていない状況です。

 振り返ってみれば、先進国の中で、日本は、アメリカやドイツやオランダと、一九六九年ぐらいは、輸出はほとんど同じだったんです。しかし、このときに日本は、当然開拓もしたでしょう、そしてさらには農業機械の発達もあるでしょう、いろいろな部分で米が多くとれるようになりました。農産物が多くとれるようになりました。そのとき、国内需要だけ見ちゃったんですね。ほかの国は、しっかりと、自国の作物をほかにやるという方針に転換したんです。そこのところが大きな分かれ目になって、日本のせっかくすばらしい農業者の努力、農業技術というのが行かなかった。

 今回のこの農業の大転換は、国内需要の中でしっかりと農村社会を守るというのは大事です、中山間地も大事です、しかし、輸出に行くという思い切った対策をとらなきゃいけない、そこには相当な政府の覚悟が要る、こう思っております。それは、総理はどのように考えていますか。

安倍内閣総理大臣 私の演説の中で、農家の方々と一緒にやろうという意思が希薄ではないかという御批判がございましたが、私の父が仕えた福田赳夫先生は、農林水産大臣になったときに、誰よりも農民を愛する、こうおっしゃったわけでありますが、私も全く思いは同じでありまして、そして、その中で、まさに農業の分野を、若い皆さんが自分たちの情熱や努力で新しい地平線を切り開いていくことができる分野にしなければならない、こう考えているところでありまして、だからこその大転換であります。

 今、御指摘のように、たしかに、一九六〇年代、イギリスやあるいはドイツ等々と比べても、日本の輸出の比率は大体ちょぼちょぼだったわけでありますが、大きな差が出た。ドイツ、イギリスは二十倍、七十倍と輸出量をふやしたわけでありますが、どうやってふやしたかといえば、まさに得意なものをたくさんつくって、それを売った。我が方は、得意なものに制限を加えたというところがありました。

 そして、今、確かに国際価格から比べれば日本のお米は高いかもしれませんが、その高いお米がしっかりと、世界市場である香港においては大変な人気があるのも事実であります。

 あとは、しっかりと、政府としても、輸出をふやしていく、海外にそれを輸出していく、売っていくという意思を持って、その対策を持ちながら、輸出をふやしながら、農家、農村の所得をふやしていきたい。

 日本のおいしいお米を、そして日本のおいしい農産物を世界に発信していきたいと思っておりますし、私は、海外出張をした際には、必ず日本の農産物を持っていきながら、紹介をしているところでございます。

村岡委員 最後になりますけれども、この大転換は、しっかりと農業者そして消費者の理解を得ながら、日本食をせっかく世界遺産ということの中で進めているわけですから、本当の覚悟を持って、世界各国に売るんだという強い意思を持ってやっていただきたい。その部分を、総理も、そして自民党も一緒じゃなければそのメッセージは届きません。その点は、ぜひよろしくお願いします。

 質問を終わらせていただきます。

二階委員長 この際、山田宏君から関連質疑の申し出があります。桜内君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山田宏君。

山田(宏)委員 おはようございます。日本維新の会の山田宏でございます。

 それでは、まず、私、十月に予算委員会で安倍総理に対して、昨年中にはぜひ靖国神社を参拝してくださいということをお願いいたしました。その結果、昨年の十二月二十六日、総理は参拝されました。本当にありがとうございます。これはもう、一国の首相としては当然の行為といえば当然の行為でありまして、やはりそのことを、きちっと約束を果たされたということを高く評価いたしますし、そしてまた、私も本当にうれしく思いました。

 私も、実は、国会に戻ってきてから、毎週、週の初めに、朝早く靖国神社を参拝いたします。きょうも行ってまいりましたけれども、本当にふえました。普通の日でも、朝、ひっきりなしですね。しかも、若いお母さんに連れられたお子さんとか、そういった方々がふえているということを、日を追ってというか、年を追って感じます。私は、こういった普通の光景というものがいつまでも続くように、心から祈ってやみません。

 実は、私、ことしの一月に、特定秘密保護法に関して、海外を訪問させていただきました。中谷自民党団長のもとに、各党が入って訪問してきましたけれども、その中で、最後の国がアメリカ。ワシントンで、NSC、国家安全保障会議の日本部長さんとお会いする機会がありました。

 そのときに、たまたま総理の靖国参拝の話題になりましたけれども、私は、その方に、アメリカが失望したというコメントを出したことに私はいたく失望した、同盟国に対する言葉遣いではないのではないかというふうに申し上げました。一瞬、何となくしらっといたしましたけれども、やはり私は、日本の政治家が言うべきことをきちっと言ってこなかったという責任も今日の状況にはあるのではないかというふうに思っております。

 そういった中で、本会議で、結いの党の江田代表が、マックス・ウェーバーの心情倫理と責任倫理のお話をされました。自分の思いと、それからそれによって生じるさまざまな結果というものを考えながら政治家は行動しなきゃいかぬということで、まさにそのとおりだというふうに思います。

 今回、総理が靖国を参拝するに当たって、本来はそういうことはあってはならないんですけれども、海外の一部の国が、こういったことを問題視して、いろいろなことをやっておりました。

 そういった中で、総理は今回、昨年参拝されたわけでありますけれども、当然ながら、やはりそれぞれの国の反応というものは想定しているはずであります。そういった中で、あの日、十二月二十六日を選ばれた、また、そこに至る、いわば心情倫理をきちっと実行するに当たって、責任を果たしていくという、さまざまな環境整備もこれまで努力をされてきたと思うんですね。そのことを、やはり、国民の皆さん、まだわかっておられない方もいらっしゃるので、ここでぜひ御説明をいただきたいと思っております。

安倍内閣総理大臣 私は、昨年の十二月二十六日、ちょうど政権が発足して一年目でございます、この一年の節目に当たりまして、私が進めてきた政策、外交・安全保障政策も含めまして、英霊に御報告をしたところでございます。そして、国のために戦い、倒れた御英霊に対して尊崇の念を表し、そして御冥福をお祈りしたところでございます。みたま安かれなれと手を合わせました。

 一国のリーダーとして、国のために戦った方々に対し、手を合わせ、そのみたまに対して安かれなれとの気持ちをささげる、この姿勢というのは、各国、世界のリーダーに共通するものなんだろう、このように思うところでございます。

 同時に、靖国神社の境内にあります鎮霊社にも参拝をいたしまして、これは世界じゅうの戦没者の霊が祭られている社でございますが、二度と人々が戦禍に苦しむことのない時代をつくっていくという決意を込めて、不戦の誓いをしたところでございます。

 ちょうど私が参拝をしたときにも、一般の方々がやはり参拝をしておられまして、八十を過ぎたぐらいの年をとったおばあさんが、静かに手を合わせておられました。恐らく御主人かお子さんを失われたんだろうなと思いますが、戦後の長い期間、六十八年間、ずっと恐らく靖国神社に参られていたんだろうなと思います。

 また、私の姿を見て、静かにこうべを垂れた方もおられました。恐らくその方は、一国のリーダーがしっかりと自分の愛する人のために手を合わせている、その姿を認めることによって、自分の気持ちの中において、ある意味における癒やしがあったのではないか、私はそう推測するわけでございます。それこそが私は一国のリーダーの役割なんだろう、こう思う次第でございます。

 同時に、この問題を政治問題、外交問題化するべきではない、こう考えておりました。そのためにも、諸外国に対してしっかりと説明をしていく努力が求められているんだろうと思います。当然、中国や韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは全くありません。我々は、礼儀正しく、そして誠意を持って説明を続けていきたい、このように思いますし、大切な同盟国である米国にも誤解を与えることのないように、私の総理大臣として示した談話等をしっかりと説明することによって、日米のきずなを揺るぎないものにしていきたい、こう考えているところでございます。

山田(宏)委員 今第二次安倍内閣になって、これまでも、新藤大臣、きょうお休みですけれども、古屋大臣、稲田大臣、そして麻生副総理、皆さん参拝をされてこられました。ほかにいらっしゃいますか。いないですよね。

 これから、本当に、そういう方々も含めて、このことがニュースにならないような、そういう日が来ることを心から祈ってやみません。

 さて、そういった中で、ウォールストリート・ジャーナルの一月二十四日の記事では、「ユーエス シークス アベ アシュアランス ヒー ウオント ビジット ウオー シュライン」、こう出ているんですが、要するに、アメリカの政府関係者が、もうこれ以上靖国神社には行ってくれるな、また、さまざまな、村山談話や河野談話、こういった見直しにも慎重であってほしいというようなことをいろいろと言っているということが記事になっているんですけれども、こんなことを日本の政府は受け取っているのでしょうか。

岸田国務大臣 靖国神社の参拝について米政府当局者が発言したとされるこの内容の記事、ウォールストリート・ジャーナルの記事ですが、この記事については、当然、承知をしております。

 一方、一月二十七日ですが、国務省の報道官が定例記者会見でこの記事につきましてコメントをしておりまして、米国が水面下で確約を求めているというのは不正確であると明確に否定をしております。このように我が政府としては承知をしております。

山田(宏)委員 この靖国参拝につきましては、二〇〇五年六月六日の「筑紫哲也ニュース23」に、息子さんの方のブッシュ大統領のときのアーミテージ国務副長官が出演、靖国神社参拝について質問されまして、そのことについて、主権国家である日本の総理大臣が、中国に限らず、他の国から靖国神社に参拝してはいけないと指図されるようなことがあれば、逆に参拝すべきだと思います、なぜならば内政干渉を許してはいけないからです、もう一つは、全ての国が戦死者を祭りますが、それぞれのやり方でよいと思いますと。

 私は、極めてまともな考え方だ、こう思っておりまして、こういった一部の国、中国、韓国、こういった国々、他の国でもいいんですけれども、靖国神社に首相が参拝するなと言っている限り、絶対に参拝しなければならない。これは、やはり内政干渉なんですよ。だから、内政干渉を一回許せば、次から次へとその干渉を持ち込むことになります。これは、断固として、けんか腰じゃなくていいんです、淡々と、やはりそう言われている限りはやり続けなきゃいけないんです。

 そして、その先は、日本人の国民の中でもまたいろいろな考えはあるでしょうから、いろいろな考えをもとに日本人が主体的に考えていくべきことだと思いますけれども、こういった、外国から言われているからやめるということをやれば、さらなる内政干渉を呼び込むというふうに考えておりまして、ぜひこれは、我々、踏まえてやっていかなければならないというふうに考えております。

 そして、この記事で、靖国神社というのは、英語で言うと、ヤスクニ・シュラインかと思ったら、ウオー・シュラインと書かれるわけですね、ウオー・シュライン。戦争神社になっちゃうんですね。これも、一体誰がつくったのか、こういう造語を。さらに、従軍慰安婦、いわゆる従軍慰安婦についてはセックススレーブじゃないですか。こういったものを放置していると、それが普通用語になってしまうんですね。

 ですから、やはり日本の外務省は、こういう言葉とかいうことに対しても一々目を光らせて、そういったことがないようにきちっと広報的な体制を整えて、何か言われたらちょっと反論するんじゃなくて、やはり徹底的に、コンセプトが違うものについては、言葉については、特に英語ですね、英語についてはこれからしっかり配慮してもらわなきゃいけないと思うんですけれども、どうですか。

岸田国務大臣 こうした歴史認識等につきましての我が国の立場ですとか今日までの経緯につきましては、さまざまな機会を捉えまして、我が国としまして説明を続けてきたところですが、御指摘の点も含めまして、しっかりと今後とも体制を強化し、説明努力を続けていきたいと存じます。

山田(宏)委員 今まで、日本の外交上の広報戦略というんですか、もっと言えば宣伝戦争ですよ、もう非常に弱い。戦前も弱かった。これで徹底的にやられちゃったんです。だから、やはり、ちょっと事実の違うことに対しては、ちょこっとやるんじゃなくて、もう徹底的にいろいろな事実を明らかにして、それを粉砕しなきゃだめですよ。それぐらいの気概がやはり外務省は欠けている。ぜひその点は気概を持ってやってほしいと思います。

 ちょっと時間がないので、今、村岡委員の方から減反政策について幾つか質問がありまして、私もちょっとこのことに触れておきたいと思います。

 総理は、施政方針の演説の中で、「四十年以上続いてきた米の生産調整を見直します。いわゆる減反を廃止します。」というふうにお話しになりました。今も御答弁で、生産調整の見直しというのと減反の廃止というものは、減反廃止と言ったのは、わかりやすく、国民の皆さんにわかってもらうためにお話ししたんだという答弁がありましたけれども、私どもは、生産調整の見直しと減反の廃止とは違うものだというふうに考えております。

 それをこれからちょっとお聞きしていきたいと思います。

 日本維新の会は、日本の価値観を変えて、我が国を賢く強い国に変えていくというのがその使命です。農業も、国際競争力のある成長産業に変えるということを大きな政策目標にしております。これは人もそうだし、産業もそうですけれども、強く賢くしていくためには、やはり自立と競争が必要なんですよ。強く、駆けっこを速くさせようと思えば、競争して、そして何くそと思いながら常に自分で努力していく。産業もそうです。全てですよ。保護の中からは強い産業は生まれないんですね。

 ですから、本当に国際競争力を持った農業、米農業にしていくためには、やはり自立と責任と競争という環境をきちっと米農業においても整えていく必要があるんですよ。これが減反廃止の意味だと我々は思ってきたんです。

 ところが、今回の案を見ておりますと、ちょっと遠いかなという感じがいたしております。

 これまでは、減反というのは、政府が生産数量目標、どれぐらいお米をつくるかということを決めて、各農家にそれを配分して、そしてそれを守ってくださいということ。旧自民党政権ですね、米をつくらせない、需要よりもたくさんの米をつくらないようにしてもらうために、それまでは食管制度があって、米を全部政府が値段を決めて買い上げてきたという制度がなくなって、そして米をどんどんつくり過ぎないように、なぜつくり過ぎないようにと言うかというと、米の価格が下がり過ぎて農家の所得が減らないようにということで、この減反政策が四十年前にできたわけです。

 それは、今までは米の値段を政府が決めていたからよかったけれども、これからは需給関係で決まるから、生産量を調整させようということですね。つまり、つくり過ぎないようにさせようと。それを各農家に、数量目標を決めて、これをちゃんと守れば、罰とそしてあめ、補助金をお渡しします、これがかつての自民党政権ですよ。守れない農家はさらに厳しい生産調整を受けるわけです。そして、さまざまな補助金の支給も受けられない。しかし、ちゃんと守れば、補助金も転作奨励金も受けられる。そして、さらにまたさまざまなメリットも与えられる。まあ、あめ、むち政策をやったわけですよ、言葉は悪いけれども。

 それを民主党政権になって、生産数量目標はあるんです、あるんだけれども、むちはなくしました。やはりこれは、むちというのは、目標を達成できなかった農家に対して、達成できないならばさらに生産をさせませんよ、補助金も出しませんよというのはやめた。そして、あめだけにした。つまり、転作奨励金を出しますよ、さらに、あめにさらに加えてもっと甘いもの、戸別補償制度をつけ加えて、生産数量を達成すれば農家一戸当たりに幾らお金を出しますよ、これをやったんですね。

 そして今回は、この戸別補償はやめるんだ、そして生産数量目標もやめるんだ、これが今回の政策です。

 しかし、民主党時代も、生産数量目標を達成しなければ、何のことはなかったですよ。ペナルティーはなかったし、目標を達成しなくたってよかったんです。

 だから、そういった意味では、それが一つの、今回の……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください、あなたの政策を説明してあげているんだから。それがなくなって、甘過ぎたあめをなくして、そして、それを今度は転作奨励金に上乗せするということで、補助金を充実したわけです。

 これは、余り民主党のやっていたことと変わらないんですよ。つまり、減反目標を達成できなくても、補助金が、転作奨励金も受け取れるし、ただ戸別補償はもらえないということです。ですから、民主党時代も、目標を達成しなくても何らペナルティーはなかったんです。事実上、数量目標はなくなっていたんです、一応あったけれども。

 だから、そういったことで、この表を見ていただければそうなんです。

 総理、ちょっとお聞きをしておきたいんですが、厳密に言うと、生産調整の見直しと減反廃止というのは、同義、同じ意味ではないですよね。

安倍内閣総理大臣 先ほども村岡議員に説明をさせていただいたわけでありますが、今、山田議員からも御説明があったように、まさに数量を決めてやっていく、そしてそこにいわばあめを出していく、こういうことはやめた。つまり、経営判断によって、さまざまな作物、そして生産量を決めていくことができるようにしたということにおいては、これは大きな転換であったんだろう、こう思うわけであります。

 この生産調整をやめるということについては、いわば、わかりやすく説明するために、いわゆる減反をやめた、こういうことでありまして、しかし、このことによって、農業者がマーケットを見ながら、みずから経営判断で作物をつくれるということになるのは事実でありますし、また、麦、大豆、飼料用米の生産振興を図ることによって農地のフル活用を図っていく、こういうことでございます。

 そして、米の生産調整を初めさまざま施策を展開してきましたが、農業生産額の減少と高齢化の進展、耕作放棄地の増加等の構造的な問題は顕在化したままでありまして、我が国の農林水産業の活性化は待ったなしの課題であります。

 今回、輸出の促進、六次産業化による付加価値の向上や多様な担い手の育成、確保、またあるいは、昨年の臨時国会で関連法が成立をした農地集積バンクの取り組みによる生産性の向上などを図った上で、農業者がマーケットを見ながら経営判断を行っていくようにするという、農政の大改革を進めていく考えであります。

山田(宏)委員 ちょっと林農林大臣にお聞きしたいんですけれども、では、マーケットを見て自由に米がつくれるようになるということは、ある農家は、もっと安くていい米をつくろうと思って、どんどん生産しようと。米の生産量はふえて、それで米の価格が下がってもいい、これはその政策ですか。

林国務大臣 総理が今お話しなさっていただいたように、生産数量目標の配分をマクロとして国がやらなくなるということでございますので、そのために、今まさに委員がおっしゃっていただいたように、それぞれの農家が経営的な判断をされてつくるときに、何をどういうふうに情報を参考としてつくっていかれるのか、ここがポイントでございます。

 そのためには、やはりインセンティブをつくって、主食用米を餌米等に誘導することをやるということが一つですが、もう一つは、中食、外食、こういうものが非常に発展、普及をしておりますので、こういうところのニーズに応じた生産と安定取引の推進をする、マッチングをする。それから、国によって、より細かい需給、価格情報、それから、販売がどの程度進捗しているか、在庫がどういうふうになっているか、こういう情報を提供していこう。こういう環境整備をすることによって、それぞれの農家の方が判断をされるときに、きちっとこういうものを活用して、そして判断をしてもらえるようにしていこう。

 しかし、米は毎年一作ずつでございますので、急にやると混乱をしてはいけないということで、五年間の暫定期間を定めて、その中でこういう環境をきちっとつくっていこう。農家と我々と団体と一緒になってそういう環境整備をしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

山田(宏)委員 端的にお答えいただきたいんですが、つまり、米農家がどんどんお米をつくって、自分はもっと安くていい米をつくれるからということでどんどん自由につくって、米が大量に生産されて、それで価格が下がっても、それはそれで一つの結果だ、こういうふうに考えているわけですね。

林国務大臣 まさに、そういうふうに農家の方が自主的に判断をするときに、農家の方は、価格が下がっていいとはお思いにならないと思うんですね。

 ですから、それぞれの農家が自主的に、自分の所得をふやしていこうという方向で経営として判断していく、それがマクロとして価格と……(山田(宏)委員「結果としてそうなったらどうかと聞いているんですよ」と呼ぶ)ですから、それは農家の方がそう望んでおられるとは思えませんので、農家の方がそういうふうに価格を下げたいというふうに思うのであれば、そこまで、それに対してのペナルティーというものはもうありませんということでございます。

山田(宏)委員 政府がどう考えるじゃないです。安くていいものをたくさん生み出すというのは、農家だけじゃなくて、どの生産者だって、工業の生産者だってみんな思いますよ。なるべく安くて売れるものをたくさん生産するというのは、どこの生産者だって考えますよ。安くていいものをたくさん売ればいいんですよ、所得を減らさないためには。

 ですから、そういうことを聞いているんじゃない。政府がどうじゃない。そう判断するはずがないじゃないんです。そんなことは余計なお世話なんです。米農家が、自分のお米は自信があるから、もっと値段を安くしてもっとたくさんの人に食べてもらおうと思って値段が下がることは、これは当然、農家の判断だから、よしとしているんですよね。

 なぜそんなことを聞いているかというと、林農林大臣が去年の十一月八日に記者会見して、そこの中で、生産調整を見直して米が余るようになっても構わないということは政策としてはあり得ないというふうに述べておられるんですよ。

 でも、マーケットを見て農家が決めるのであれば、価格が下がろうがたくさん、普通の工業製品をつくっている人は、競争力の高いというのは、なるべく安くて、そしていいものをつくり出して、たくさん売ろうとするのが当たり前の生産者じゃないですか。下がってもいいんでしょう。

林国務大臣 私が申し上げているのは、環境を整備して、山田委員御案内のように、米の需要が下がっているんですね。これは、トレンドとしてずっと下がっております。したがって、そこで申し上げているのも、余っていいということではないということでございます、つくり過ぎて。

 したがって、価格というのは需要と供給に応じて決まっていきますので、需要に応じて供給を工夫をしながらつくる。先ほど中食、外食と申し上げましたけれども、そういうところのニーズに合ったものをつくっていく。いろいろな需要に合ったものをつくっていく、それを農家の経営の自主判断に委ねていこうというのが今回の改革の主眼であるというふうに考えております。

山田(宏)委員 質問にお答えいただいていないんですけれども、つくり過ぎてはだめだ、余らせたらいけないと。余れば値段が下がるんです、健全なマーケットであれば。

 何を見て農家はつくるかというと、政府の需要予測じゃないんです、本当の生産者というのは。マーケットでの価格なんです。価格というものを通じてマーケットの状況を知るのが本当に、林大臣はよく御案内と思うけれども、普通のマーケットというのは、何をどれぐらいつくっていいかというのは、誰からの指標を見て決めているんじゃないんですよ。価格を見て決めているんです。価格というのがマーケットの一番大事な指標なんです。だから、それがきちっと健全に機能しているのが健全なマーケットというんです。

 今おっしゃったような環境整備というのは、周辺なんです。もっと言えば、余計なことを政府はなるべくしない方がいいのです。その方が強い農家になるんです。今のは、余計なことをいっぱいしていますよ。

 だから、そういうことではなくて、普通のマーケットというのは、価格を見て生産量を決めるのが普通のマーケットなんだ。ちゃんとした価格が反映されるようなマーケットをつくっていくことが先決じゃないですか。

林国務大臣 余り違ったことを言っているつもりはないんですが、米がコモディティーで、単一のブランドで一つしか価格がないということであれば、今、山田委員がおっしゃっていることもあるんですが、先ほどから申し上げている、中食や外食でボリュームゾーンが欲しいとか、お宅で大変なブランド米を食べたいとか、いろいろな需要があって、それぞれの品質やいろいろなものに応じて値段も異なってきますので、マーケットは、一つの、米という単一の価格があるという、単一のコモディティーのマーケットではない。

 要するに、その大きなマーケットの中で、どういうもの、どういう種類のどういう米に対して、どういう需要があるのかということを、環境整備をしてよく判断していただいた上で、今度は農家、生産者の立場としては、自分の持っている水田等の人、物、金をどうやってフルに活用すれば売り上げがマックスになるのか、こういうことを考えていただく、こういうことになってこようかというふうに考えております。

山田(宏)委員 考えていただくというか、そんなこと、言われなくても考えるんです。本当に余計なお世話だと思うんですけれども、そういうことで日本の農家がやはり弱くなってしまっていると思う、農業が。

 私は、ニュージーランドに一九九〇年ぐらいに行きました。そのとき、もうニュージーランドはかなりの改革をやっていたんです。ニュージーランドは酪農国です。かなりの補助金を酪農に費やしていました。それをやめて、全部やめたんですよ、やめて、そして海外に輸出しようと戦略を変えました。

 そのときに、私、酪農家に聞いたんですけれども、昔は、いかに補助金をうまくもらうかというハンドブックがいっぱい売れていたんだそうです。いかに政府から補助金をいっぱい引き出すかというのが大事な酪農家の仕事だったんです。ところが、それがなくなった途端、自分たちが、数年たってみると、やはり世界のマーケット、例えば乳製品が幾らなのか、または肉が幾らなのか、そういうことを、マーケットの指標を見て来年の計画を立てていくということになっていっていると。

 私は、こうなってほしいんです、日本のお米も。すぐは無理だと思う、すぐは無理だけれども、ずっとぬるま湯にいたから。だけれども、本当の減反政策の廃止というのは、やはり農家が、今、林さんおっしゃったように、自分で考えてやれる。そのためには、価格というものがきちっとマーケットで公平公正につくられる。つまり、政府が変な規制をしたり、補助金を出したりしない。そういうことで米農家が自分の生産量を考えていける。そういった体制に変えていくのが本当の意味での減反廃止だと思うんです。

 私は、ぜひそうやってほしいんです。日本の米農業は強いです、やれば。本当にやる気のある農家は、そういう農業を期待していると思うんです。

 どうですかね。今ここまで、総理、議論してきて、いろいろな点で、追及しようとか、おかしいとか言うつもりはないです。だけれども、本当の姿というのは、ぜひそこまで日本の米農業の環境を持っていく、本当の環境整備であれば、健全なマーケットをつくっていくという環境整備をぜひ視野に入れてやっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょう。

安倍内閣総理大臣 基本的には、今、山田さんがおっしゃったような、米については日本には大変なポテンシャルがありますから、これをしっかりと引き出していく。そして、マーケットという、しかもグローバルなマーケットという機能を生かして、日本の農業が成長、発展していくようにしなければいけないというのは、そのとおりなんだろうと思います。

 一方、農業については、基本的に、工業製品と違いまして、気候やあるいは地形にかなり決定的に制約、影響されるという点もございますし、そして長年の慣習が事実あるわけでありますから、日本の場合は特に、まだまだ一町以下の農家もたくさんあるわけでありまして、その中の助け合いで農家が成立をしているという側面も無視できない中において、その中でいかに、今、山田さんがおっしゃったような方向に向けて進んでいくことができるかということでございます。

 今、林農林水産大臣から御説明をさせていただきましたように、大きな改革は緒についたばかりでございまして、しかし、この中において、各地域における農業者の意識は相当変わってきまして、若い人たちも、この分野で自分たちはどんどん新しいことをやっていきたいという人たちがたくさん出てきましたし、先般、福島県のある農家の若い方が来られまして、自分は一人でどれぐらい大きな農場でお米をつくれるかどうかやってみたい、こういうことをおっしゃっていまして、この人は十ヘクタールやっているんですが、二十ヘクタールに挑戦していくということをおっしゃっていました。

 つまり、時代はやっと動き始めたんだろう、この中でしっかりとあるべき方向に向けて進んでいきたい、こう思っているところでございます。

山田(宏)委員 よろしくお願いします。

 それでは、次に、特定秘密保護法に関連した御質問をさせていただきます。

 この法律は昨年通りましたけれども、我々としては修正協議に臨みました。それなりのきちっとした修正案が与党の御努力によってもできたと考えております。

 そういった中で、今後、この特定秘密保護法については、国民の中には、政府の特定秘密指定が恣意的に、つまり、都合の悪い情報も含めてされてしまうのではないかという危惧がいまだにあるわけですね。こういったものを、どう仕組みの中で国民の不安を取り除いていくかということが非常に大事であります。

 そこで、我々維新の会としては、一つは、政府の中に独立して、この秘密指定がきちっと基準どおり行われているかどうかということをチェックする機関をつくる、もう一つは、これこそが本当の意味で第三者機関だと思うんですが、国会の中にきちっと国会議員による委員会をつくって秘密指定についてチェックする、こういった仕組みが必要だということを主張してまいりました。

 それが修正案に盛り込まれて、一応、名前だけは、最後の方で、参議院の中で披露がありました。この幾つかの機関の名前だけではなくて、この内実をきちっとつくっていく必要があると考えております。

 お示ししているこの資料で、内閣総理大臣のもとに内閣官房が保全監視委員会を持っている。これは、ちゃんと秘密が総理大臣のもとで指定されているかどうか、きちっといろいろな意味でまとめていこうということですね。そして、情報保全諮問会議は、外部の有識者によって、主に秘密の指定や解除というものの基準をつくっていくアドバイスを受けるという機関なんです。

 我々の主張していたのは、この皆さんから見て一番右ですね、内閣府の中にある独立公文書管理監、情報保全監察室という、これらはアメリカの機関を意識してこの名前がつくられている、こう思っております。アメリカにある機関を意識してつくられたと思うんですけれども、そこで、この内閣府の中にできる政府内におけるチェック機関、これなんですけれども、一部では、政府内にあるんだから、そんなのは、政府の中で決めたり解除したりするんだから、政府の中にあったって、ちゃんとしたチェックができないんじゃないかというような考え方もあると思うんです。

 しかし、私は杉並区長をやっていましたけれども、それぞれの自治体の中に、いろいろな仕事をやっていますよ、やっていますけれども、監査委員会事務局というのがあって、そして、同じように、区長のもと、知事のもとにそういう機関があるけれども、その監査委員会事務局というのは、その役所の仕事がちゃんと効率的に行われているか、法令どおり行われているかということを監査する機関なんです。これはちゃんとやっていますよ、結構。だから、大事なのは、この監査委員会事務局みたいにこの機関がなるかどうかなんです。

 そこで、私は、そのための要件を五つ挙げました。

 一つは、ここに書いてあるように、これらがちゃんと機能するためには強力な権限が要る、独立性が要る、連携体制が要る、法律により設置する必要がある、そして、公益通報者、内部告発者の保護制度を利用する。保護利用制度となっていますが、保護制度の利用です、間違えました。保護制度を利用するということが必要なんです。

 まず、強力な権限なんですが、アメリカの情報保全監察局は、この間行きましたけれども、やはり実地、各行政機関への強力な調査権、それから報告書を出せという請求権、秘密解除をしろという解除勧告権、大統領に解除勧告をする権限、そして、ここにいる人たちが全ての行政秘密への、全てですよ、アクセスできる、知ることができる、こういった権限があるんですけれども、今のところ、政府の考えているこれらの機関の権限として、これでいいんでしょうか。

森国務大臣 お答え申し上げます。

 山田宏委員初め維新の会には、法案審議の際に、この法の目的である、国民の生命及び国家の安全を守るためにテロやスパイや工作員から情報を守っていくという必要性について認識を共通していただいた上で、建設的な御意見をいただき、今御指摘の附則九条を初めとするさまざまな修正をいただいたことに感謝を申し上げます。

 そして、やはり私も、この機関が有効に機能するように制度設計をすることが何よりも大事だというふうに思っております。

 国民の皆様が御懸念を持っている、行政が恣意的に指定をするのではないか、国民にとって必要な情報が隠されてしまうのではないか、そういった不安を払拭するためにも、この情報保全監察室、仮称がしっかりと動いていくということが大切だというふうに思っております。

 そして、その持っている機能、権能について今お尋ねがございましたけれども、昨年の十二月五日の四党合意に記されておりますとおり、各行政機関の個別の特定秘密の指定及び解除の適否を検証及び監察し、不適切なものについては是正を求めること、その他四項目ございますけれども、こういったものを権能としていくというふうに考えております。

山田(宏)委員 ほぼアメリカの局と同じぐらいの権限を持たせると認識してよろしいですか。

 その上で、この情報保全監察室の上に、それをまとめる独立公文書管理監というのが置かれることになります。

 これはアメリカの公文書管理監と大体同じイメージだと思うんですけれども、これは相当な権限があるんですよ、アメリカでは。だけれども、政府の最初の、去年示していただいた案では、これは審議官級になっているんですよ。だけれども、内閣官房の方の首相のもとにある委員会は、これは事務次官なんです。事務次官はナンバーワンですよね。審議官はナンバーツーです。

 これは、事務次官より下ではだめなんです。各自治体でも、監査委員会事務局の事務局長または委員というのは、これは同等なんですよ。だから、この文書管理監は事務次官級にしてもらわなきゃバランスがとれない。

 さらに、事務次官級である文書管理監、自治体でも監査委員会の委員というのは外部から選任されています。やはり外部性というものが大事なんですね。ですから、この管理監も外から任用して、そして国会の同意人事にすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

森国務大臣 御指摘の公文書管理監でございますけれども、今お示しになった情報保全監察室の上に置くことを予定しております。

 御指摘のとおり、諸外国の制度、特にアメリカの制度を参考にしております。アメリカでは、情報保全監督局というのがありまして、俗にISOOと呼ばれておりますけれども、ISOOの局長はCIA出身の方というふうに承知をしております。

 いずれにせよ、目的である指定の恣意性をチェックできるということが大事でありますが、我が国においては、例えば総務省の方が各省の行政評価や行政監視を行っておりますが、ここは総務省の行政局長が行っておりまして、これはもうしっかりチェックをしているわけでございます。

 御指摘を踏まえまして、また、既にできております有識者会議であります情報保全諮問会議の委員の皆様の御意見も伺いながら、適切な組織にできるように検討してまいりたいと思います。

山田(宏)委員 今は答えられないかもしれませんが、これは我が方の修正によって盛り込まれた項目なんですよ。その中で、これをいかに実現するかという中で、適切にでは弱いですね。

 やはり、統括する文書管理監、これは、もちろん省庁の出身者でも構わないんですよ、国会同意人事にして、やはり国民がこれほどまでこの問題について非常に関心があって、こういう機関を政府の中に置いたって全然意味がないじゃないかと言われているわけです。ですから、それが意味あるものにするためにも、きちっと国会の同意人事で文書管理監は選び、そして局長、今言っている室長なんですが、この室長は、管理監が指名した人を総理が任命する、こういった形にして、なるべく外部性、独立性というものを意識した組織にすべきだと思うんですね。

 そういうことも検討課題に入れてくださいよ。どうですか。

森国務大臣 御指摘のとおり、同室そして管理監が高い独立性を有しつつ、かつ、目的である行政の恣意のチェックについて実効性を確保するということが何よりも大事でありますので、国民の皆様が納得できる形にするように、検討項目に入れてまいりたいと思います。

山田(宏)委員 ありがとうございます。

 それから、三番目の、連携体制というのは何なのかというと、アメリカへ行ったときもそうなんですが、アメリカの情報保全監督局は、人数二十八人なんです。二十八人で膨大な情報や情報機関を管理できるのかということを聞いたら、それはもう到底無理だと。だけれども、自分たちの職務をきちっとやってもらう窓口が各行政機関に設置されているんだと言うんですね。インスペクターゼネラルと言っていました。

 つまり、こういった、日本でいうと、特定秘密の指定というものが基準どおり行われているかどうかを各行政機関の長がやるわけですけれども、その各行政機関の中に、そういうことがちゃんと行われているかどうかをきちっとサーベイする、見守る、そういった機関がちゃんと設置されて、そこと連携しているんだというんですよ。

 これも今後の検討課題だと思うんですけれども、どうでしょう。

森国務大臣 先ほどの表のように、内閣官房と内閣府の方に保全監視委員会、そして情報保全監察室ができるわけでございますが、そこと連携をして、各省庁の中にも、もちろん、その省庁で指定された特定秘密の指定等の状況について把握して監視していく部署があることは必要であるというふうに思っております。

 現在も、法律ではないしルールもないんですけれども、各省庁で、もちろんそういうことを行っている部署がございます。例えば、警察庁ですと、首席監察官という方がいらっしゃって、行政の運用について監察をしているわけでございます。

 ですので、この特定秘密の指定のあり方についても、御指摘のように、部署に連携するようなものを設けていくということが必要になるというふうに考えております。

山田(宏)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 こうやって各省庁との連携をとろうと思うと、やはりこの一番上にある独立公文書管理監というのは、民間で採用して、それを国会が承認していくという人事にしていただくということの方がバランスがとれるというふうに思います。

 そして、四番目、法律による設置。

 なぜこんなことを書いているかというと、政府の御答弁、我が松野幹事長の本会議場での代表質問にもお答えいただきましたが、あくまでも、これらの機関は政令、つまり内閣の意思決定によって決めていくという姿勢なんですけれども、そうではなくて、ここまで国民の強い関心のある組織です。そしてまた、国会でも大変な議論がありました。そういった議論に基づいて置かれる機関ですから、これは、内閣がかわったら変わってしまう可能性のある政令ではなくて、きちっと国会によって審議されて、法律事項に、設置法にすべきだというふうに考えているんです。

 その辺の考えは、相変わらず政令でやるという考えのままなんでしょうか。

森国務大臣 昨年の十二月五日の四党合意の第三項によりますと、この附則第九条の新たな機関、これについては、「政令(または立法措置が必要な場合には立法)により設置する。」というふうに定めたものと承知をしております。

 この情報保全監察室、仮称は、先ほどのように、独立した公正な立場で指定等をチェックしていくということが重要でありますので、その具体的なあり方については、現在検討を行っているところでございます。

山田(宏)委員 これはちょっと総理にもお聞きしておきたいんですが、法律改正ないし新たな法律制定も含めて、ぜひ御検討をお願いしたいんですけれども、いかがでございますか。

安倍内閣総理大臣 ただいま御質問の件については、早期に情報保全監察室を局へ格上げすることをさきの臨時国会でお約束したところでありますが、その方針には変わりがないわけでありまして、その際には、法令の改正によってということでございまして、具体的に、法定でいくのか政令でいくのかということについては、ただいま森大臣から答弁させていただきましたように、検討していきたい、このように思っております。

山田(宏)委員 ぜひぜひ、国民の関心事でありますので、国会を通じて法律制定がなされるということを御要望申し上げます。

 それから、第五番目、公益通報者、内部告発者の保護制度の利用ということなんですけれども、これは何なのかというと、御案内のとおり、二〇〇四年に公益通報者保護法というのが成立しました。これは、それぞれ民間も役所の中も、法令違反になっているというものが見つかれば、職員がそれぞれの窓口にこれを告発していく、通報していくということを通じて、その職員が組織の中で不利益をこうむらないようにするための法律です。

 これが今回の特定秘密保護法には極めて大事だ、こう思っておりまして、特定秘密がきちっと基準どおり指定されたのかどうかということを、守ってほしいということなんですけれども、それが、基準を超えたものが指定されているんじゃないか、また、指定されようとしているんじゃないかということを知り得た職員が、きちっとこれを通報してもらいたいということであります。

 この通報制度なんですけれども、今、秘密とは関係なく、この通報制度ができて、これはうまくいっているんですかね。どれぐらいの通報が政府の中には一年間で来て、そして、それがうまくいっているかどうか。その辺についての評価をお聞きしたいと思います。

森国務大臣 この公益通報者保護法も私は担当しておりますが、最近の数字を申し上げますと、平成二十四年度では、国の行政機関の内部の職員及び外部の労働者からの通報の総受理件数は四千二百六十八件、調査に着手した件数は四千四十五件、是正措置を講じた件数は三千四十一件となっております。

 総受理件数のうち九五%の通報について調査に着手をしておりまして、そのうちの大半、すなわち約七一%において是正措置が講じられておりますので、私は、制度が一定程度機能しているというふうに考えております。

山田(宏)委員 一定程度うまくいっているということなんですが、それでは防衛大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、二〇〇四年に海上自衛隊における「たちかぜ」の乗務員が自殺をされたという事件にかかわりまして、これが裁判になっております。

 このことで、この海上自衛隊の自殺された方に対してのアンケート調査が海上自衛隊で行われていたにもかかわらず、当初、それはない、ない、こういうふうに法廷でも証言をされていたものを、このアンケートがあるんだということをいわば公益通報、内部告発をした三佐が、現在、そういったアンケートを勝手に持ち出したなどという理由で、懲戒も含めて処分対象になっているというふうに聞いているんですけれども、これはどうなんでしょうか。

小野寺国務大臣 御指摘の点ですが、本件は、平成十六年十月、護衛艦「たちかぜ」乗員の一等海士、当時二十一歳でありますが、外出中に自殺をした事案であります。この事案において、艦内の乗員に対しまして艦内生活実態アンケートというのが実施されました。

 このアンケートに対して情報公開請求がなされ、防衛省からは、アンケート原本は既に廃棄されており、不在であるという回答をしておりましたが、最終的には、平成二十四年六月、このアンケートの原本は発見されたということになります。この際に、公益通報という形で内部の職員からあったということは事実であります。

 いずれにしても、防衛省としましては、公益通報者保護法及び防衛省における公益通報の処理及び公益通報者の保護に関する訓令を踏まえまして、公益通報したことを理由として公益通報者に対して不利益な取り扱いを行うことはありません。

山田(宏)委員 では、事実だけお聞きしたいんですが、この三佐に対して、今、懲戒を含めた審査が行われているというのは、ないんですね。

小野寺国務大臣 現在、こうした不在していた文書が発見されたことに関する職員のほか、公益通報を行った者を含む複数の職員に対して、さまざまな角度から調査を実施しておりまして、そのときに判明した事実に基づき適切に対処するという所存であります。

 少なくとも、繰り返しになりますが、公益通報したということを理由として公益通報者に対して不利益な取り扱いを行うことはありません。

山田(宏)委員 確かに、自分の部署以外のところのアンケートを見つけ出して、それを持ち出すということは、内部の規則としてはある程度オーバーしているところはありますよ。だけれども、これは法益なんですよ。どちらの法益を重視するかなんです、ここまで来ると。

 だから、やはり、後から見つかったなんて通らないです、そんなの。もともとあるということを言い続けてきた人なんだから。だから、そうじゃなくて、今、単に持ち出したとかいうことで処分を受けないように。これは、このことの目的、そうじゃなきゃ、この間の尖閣諸島のビデオのあれと同じになっちゃうじゃないですか、これじゃ。

 だから、私は、どっちの法益をここで重視するのかということはやはり考えるべきだと。これは、内部からこういうお話があったから、アンケートが発見されたんじゃないですか。アンケートが発見されたから、自殺された方のいろいろなことの事実が明らかになっていくわけだから、その法益の重さは違いますよ。

 ですから、別の事案でこれをやっているというのは、いつも役所はそんなことを言うんです。だけれども、内部でこういうことを、問題だということをやった人が不利益をこうむらないようにやってください。

小野寺国務大臣 私も、この仕事になりまして、公益通報というのは大変重要な役割を担っていると思っております。

 具体的に、この事案とは別に、また内容についてお達しが上がってくることもたくさんあります。しっかりとした対応が必要だと思っております。今回、この公益通報ということを考えて、しっかり対応していきたいと思います。

山田(宏)委員 この公益通報制度の大きな問題点の一つとしてよく挙げられているのは、通報者が不利益なことをこうむらないということは決められているんですけれども、不利益をこうむらせた事業者、責任者が何の罰もないということが問題になっています。

 これは、これからちゃんと、この辺の法改正はしていくという考えは視野に入っているんでしょうか。

森国務大臣 公益通報者保護法については、不利益取り扱いを禁止しておりますが、罰則については個別法で定められているものがございます。例えば、原子炉等規制法や労働安全衛生法などは、通報者に不利益取り扱いを行った事業者に対する罰則が定められております。

 これを一般的に、公益通報者保護法で全体に罰則を設けるかどうかについては、これまでも検討されてきたところでございまして、この公益通報者保護法が成立したのが平成十六年、そして施行されたのが平成十八年でございますが、五年の見直し規定がついておりまして、見直し時期にこれも検討されておりまして、たしか二十三年に、これについてはさらに立法事実の把握を調査すべきというふうにされました。そこで、二十四年、二十五年と調査をしてきているところでございます。

 御指摘の事項も踏まえまして、この公益通報が有効に機能するように、事実を把握してしっかりと検討してまいりたいと思います。

山田(宏)委員 もう少しやるつもりだったんですけれども、時間がなくなってまいりました。

 ぜひこの法改正をすると同時に、特定秘密保護法の基準どおりやっているかどうかということについても、ぜひこの対象にしていただきたいと思います。

 最後に一言だけ、次の質問につながるために。

 一月一日の産経新聞で、河野談話が作成される段階で、韓国と相談しながらこの談話が作成されていったということが関係者の証言で明らかになったという記事がございました。

 これはずっと外務省が否定してきたことなんですけれども、こういった事実があるのかないのか、そして、本当にないと言い切れるのか、もしこういったことを示すような外電等が出てきたら責任をとるのかということを最後にお聞きしておきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 いわゆる河野談話については、これまで官房長官によってお答えをさせていただいてまいりました。総理である私からこれ以上申し上げることは差し控えたい、このように思うわけでございますが、先般の産経新聞の記事についての政府の見解ということでございます。

 報道一々についてコメントすることは差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、当時、日本政府としては、政府文書の包括的調査や、韓国で実施した聞き取り調査等を行い、河野談話となったものと承知をしております。

山田(宏)委員 終わります。

二階委員長 この際、杉田水脈君から関連質疑の申し出があります。桜内君の持ち時間の範囲内でこれを許します。杉田水脈君。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。

 私は、昨年四月一日の予算委員会において、平成二十五年度予算で五億円計上されました、日本の国益の増進に資するよう、アジアを含め欧米各国における対日理解、好感度を向上させる広報を実施するという内閣府の新規事業について質問をいたしました。

 そのときに、中国、韓国において、同様の広報活動に一体どれだけ予算をつけているのかというのを伺ったところ、菅官房長官より、中国は非公開なので不明であります、そして、韓国は二億四千万円だという御答弁をいただきました。

 額からすると、日本は五億円ということですから、韓国の二倍の予算をとって広報活動を行っているということになりますが、その効果は出ているのでしょうか。または、あったと考えていらっしゃいますか。総理にお聞きいたします。

安倍内閣総理大臣 我が国の立場や考え方について世界に対して発信を強化し、対日理解の促進を図ることは極めて重要であります。

 このため、私の内閣では、官邸が司令塔となった戦略的広報を展開しているところでございまして、私自身、先日のダボス会議で、アベノミクス初め我が国の政策について世界に向けた発信を行ったほか、米国での情報発信の支援や、動画やITの活用など、わかりやすい発信にも取り組んでいるところでございまして、今後とも、広報効果の測定も行いつつ、世界に向けた我が国の立場や考え方の発信の強化に努めてまいりたいと思います。

杉田委員 効果の測定はこれからという御答弁かと思います。

 パネルをごらんいただきたいと思います。

 このような五億円という予算を内閣府が組んで広報活動を強化したんですが、残念ながら、最初は二〇一〇年から次々にアメリカ国内において慰安婦の像や碑が設置されているんですけれども、昨年の七月三十日にはカリフォルニア州グレンデール市で、そして、つい先日、一月二十四日にも、ニューヨーク州ウェストバリーにも新しく慰安婦像が建立されました。

 この慰安婦問題について、先ほど総理がおっしゃっていただいたことと、全くそのとおりなんです、菅官房長官が答弁していただきました。それをそのまま引用させていただきます。「我が国としては、在外公館を通じて、各国における慰安婦問題をめぐる動向について、しかるべく今、情報収集というのを行っておりまして、国際広報についても、官邸で司令塔となって戦略的に行う必要があるんだろう、」とおっしゃいました。先ほど総理も、官邸が司令塔となって戦略的に行うと、同じ答弁をいただきました。

 この件に関しまして、ニューヨークの日本総領事館は、日本政府は、慰安婦問題を政治、外交問題化すべきではないと思っていると述べました。

 官邸が司令塔となって慰安婦問題をめぐる動向について情報収集を行って国際的な広報を戦略的に行う必要があると官房長官が予算委員会で答弁された上で、まだ、政府としての回答は、政治、外交問題化しないだけなのでしょうか。お尋ねします。

岸田国務大臣 米国における慰安婦の碑の設置につきましては、御指摘のように、米国における我が方の大使館あるいは総領事館を通じまして、日本政府の考え方、また、これまでの取り組みについて説明をしてきたところです。

 そのポイントにつきましては、まずは、慰安婦問題について、日本政府としては、筆舌に尽くしがたい思いをされた方々のことを思い、心を痛めるものでありますが、日本と韓国は一九六五年に日韓請求権協定を締結し、両国民の請求権につきましては、法的には完全かつ最終的に解決されたこと、これは両国が確認をしているということ。

 そして、しかしながら、日本政府は、道義的な見地から、元慰安婦の方々への現実的な救済のため、日本国民との協力により、一九九五年に設立したアジア女性基金を通じ、当時の総理のおわびの手紙の発出、あるいは医療、福祉事業や償い金の支給等、最大限の努力を行ってきたということ。

 さらには、そもそも、米国の地方自治体において、民族的少数派が平和と調和の中で共生することを希望しており、出身国間の意見の違いが米国の地方自治体に持ち込まれるべきではないということ。

 こういったこととあわせて、政治問題化、外交問題化させるべきではない、こういった説明を続けています。

 こうした内容とあわせて、こうした説明の対象、世論にどのように効果的にアピールしていくか等、引き続き工夫をし、努力をしていきたい、このように考えております。

杉田委員 まだまだ弱いと言わざるを得ないと思います。

 昨年末に、実は、グレンデールの方に、その像の視察に行ってまいりました。そのときに、在ロサンゼルスの総領事の方とお話しする機会がありました。総領事は、これは個人的な見解ですとしてですが、この慰安婦像の設置の動きは、日本から見れば対岸の火事でしかないかもしれないけれども、在米日本人にとっては生活に直結する問題であるとおっしゃっていらっしゃいました。

 この対岸の火事、これを山火事に例えると、ほっておけば自然鎮火すると思っていたら、そうではないんだ、火を消すための消火活動をすると同時に、山全体に雨を降らせて山火事が起きないようにする消防活動も行わなければいけない、これも総領事の言葉です。

 また、慰安婦像の設置に対して反対運動を行っている在米の日本人の方にもお話をお伺いしました。先ほど、さまざまな取り組みをなさっていらっしゃるという御答弁をいただきましたが、この方々のお話をお伺いしますと、日本政府からは支援は一切なかったとのことでした。

 海外にいる同胞の日本人が被害をこうむっています。こういった像が実際に建ってしまうんですよ。子供たちがいじめに遭ったりとかするような問題も実際に出ております。

 このように、海外に住んでいる日本人が被害をこうむっているこの火事、この火事のどのような消火活動を行うのか。そもそも消火活動を行うつもりがあるのかないのか。もしあるとするならば、今後どのような消火活動、または先ほど申し上げました消防活動をするつもりか。政府としてのスタンスをお聞かせ願いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘の米国における慰安婦の碑の設置の問題ですが、まずこの問題につきまして、政府としましても、これは深刻な問題であり重大な問題であると認識をしております。

 そして、この問題に対する取り組みとしましては、我が国の立場あるいは今日までの経緯の説明において、この説明の対象あるいはその説明の方法についてもしっかりと検証し考えていかなければならないと思っておりますし、御指摘のように、政府自身が具体的にどのような支援を行うことができるのか、こういった点についても今検証し、そして努力を積み重ねております。

 そして、この問題につきましては、現地におきましてさまざまな努力を続けること、これももちろん大切なことです。しかし、そもそも、この問題につきまして、日本と韓国、この両政府がどのような意思疎通を図り、どのように対応していく考えなのか、こういったことについてしっかり米国を初め現地の方々にも見ていただく、この点は重要ではないかと思っています。

 ですから、今、日本と韓国の間において、さまざまなレベルにおいて意思疎通は図られていますが、高い政治のレベル、残念ながら首脳会談が、今の日本と韓国の間においては実現できておりません。こうした高い政治のレベルでの意思疎通を図ることによって、その中でこの問題について両国がしっかり話し合う、こういった姿勢、そして事実をしっかり見ていただく、この点も大変重要なのではないか。

 こういった点から、ぜひ高い政治のレベルでの意思疎通を日本と韓国の間で実現するべく努力をするということ、基本的にこの点、重要ではないかと認識をしております。

杉田委員 その点につきましては、やはり私はその答弁を聞いても弱いと思いますので、後でもう一度お聞きしたいといたしまして、次の質問に移らせていただきます。

 一月二十五日の籾井NHK会長の就任記者会見での発言についてです。

 この発言につきましては、金曜日の質問の中でもございました。賛否両論あるというふうに伺っておりますが、私の質問の中では放送法に関する発言について触れたいと思います。

 籾井会長は会見で、放送法を遵守することを明らかにしました。そして、NHKのボルトとナットを締め直すと発言されたこと、これは国民にとって本当に朗報だと思います。今後、NHKの歴史認識を問う番組の偏向報道が減少していくことが期待されます。

 そもそも、今までの報道が偏向報道が多過ぎたように、皆さん、思いませんか。先日の原口元総務大臣の質問にもありましたが、ちょっとパネルをごらんいただきたいと思います。

 このパネルは放送法の第四条から一部を抜粋したものでございますが、放送番組の制作者が当然守るべき常識的なことがつづられています。この条文の二には政治的に公平であることとございますが、昨年NHKが放送した、昨年の三月八日のこの衆議院予算委員会での慰安婦問題に触れた中山成彬委員とそれから辻元清美委員のインターネットにアップされていた動画が、中山委員の動画だけが著作権違反という申し入れにより削除されました。著作権を問題にするのであれば、公平性を欠いているとしか言えません。

 法治国家の日本でございますから、法律に違反すると罰則というのがあるのが普通なんですけれども、この放送法は違反をしても罰則規定がありません。そもそも、NHKだけではなくて、民放にも偏向報道が多く存在します。これは、放送法に罰則規定がないからではないでしょうか。

 この問題を、放送局の統括をされている新藤大臣にお聞きしたかったのですが、新藤大臣がインフルエンザということで、上川副大臣にお伺いします。

 放送法にも罰則規定が必要だというお考えはございませんか。

上川副大臣 御質問でございますけれども、放送法の第一条、放送の自律を保障するということで、放送法第四条の番組編集準則、これを担保する仕組みとして放送番組の編集の基準を定め、また、放送番組の審議機関を設置し、そして、申し出のあった苦情その他の意見の概要を放送番組審議機関に報告することということで規定しているところでございます。自律的な仕組みによりまして放送番組の適正化を図るということが趣旨でございます。

 この放送法の精神に鑑みれば、御指摘のような政治的な公平、そして論点の多角的な解明、こうしたことに違反した場合には直ちに罰則を科す旨の規定を設けるべきか否かについては、慎重に検討すべきものと考えております。

杉田委員 先ほどの御答弁にございました、慎重に扱わなければいけないというのは、こういうふうな議論になると必ず報道の自由ということが持ち出されると思います。

 私、考えますに、報道の自由はある、これはもう当たり前のことなんですが、うそを報道する自由というのはあるのでしょうか。副大臣は、うそをつく報道の自由というのは認めますか。

上川副大臣 NHKあるいは民放、放送事業者を初めとしまして、放送法という法律のもとで、NHKの場合には社会的使命を持っている公共放送ということでございますので、中立公正な立場で、自主自律で適切な放送番組を制作するという基本のところで、適切に報道していただきたいというふうに期待しております。

杉田委員 適切に報道していただけるという御答弁をいただきました。NHKさん、どうか私のこの質疑の動画は削除しないでください。

 今回の籾井会長の発言の中で特に問題になっているのは、この放送法の部分ではなくて、私的発言とした慰安婦問題についての部分でございます。このように繰り返しこの問題が取り上げられて、そのたびに国際社会でも攻撃されてしまいます。その結果、日本の世論でも真実を確認しづらい状態になっていきます。その元凶となっているのが河野談話であると私は思います。

 アマテラスオオミカミは、スサノオノミコトが目に余る乱暴を働いたときに、相手を責めたりせずに、みずからが岩戸に引きこもることで相手に反省を促すんですよ。そういう意味をもってすれば、今までの日本の外交スタンスというのは非常に日本人的であると言えると思います。が、これは、良識ある日本人同士に通じることだと思うんですね。

 今、私たちが対峙しないといけないのは、うそも百回叫べば真実になると言っている中国や韓国の報道活動、政治宣伝なんですよ。それに対しては全く有効ではないんです。日本は、真実の情報を国際的に叫ばなければ、うそを駆逐することはできないと思います。

 先ほど外務大臣の方からきちっとしたスタンスをお聞かせいただいたんですが、現に、先週開幕した欧州最大級の漫画フェスティバル、アングレーム国際漫画祭において、慰安婦問題をめぐる日本と韓国の作品が出展されましたが、日本側は政治的とされて撤去されました。撤去されなかった韓国のその企画展を見た方々、ヨーロッパの方々ですね、その内容をうのみにしているというような報道が日本の新聞でもなされています。

 これらの問題で最も問題なのは、日本の中に存在する反日の勢力です。発言力の大きなマスコミの中にも存在します。残念ながら、国会議員の中にも存在します。幾ら真実を発信しても、日本の中にいる反日が中国や韓国の言っていることを本当だと言えば、その他の外国から見れば、日本人が自分で言っているんだから正しいだろうということになってしまいます。

 この慰安婦問題に限って言えば、やはりこの河野談話が反日の格好の情報発信源になっています。

 この問題について、感情的にならず、丁寧に検証を重ねていく、そして、真実を積み上げて論理的に対処する姿勢が必要です。エビデンスとエビデンスを闘わせなければならないと思います。

 また、女性の人権問題にすりかわりつつある、こういう事態を踏まえましたら、男性はなかなか指摘しづらい面があると思います。女性が冷静に論理的に取り組むことで解決への糸口を開こうということで、このたびは、国と地方の女性議員が呼びかけ人になって、河野洋平元官房長官の証人喚問を求める国民運動に取り組もうという考えを今考えております。できれば、この問題、再三捏造報道をした報道機関の責任も追及していければと思っております。きょうの午後にはその記者会見も行う予定にしております。

 ここは衆議院の予算委員会の場ですので、証人喚問とかそういうことではなくて、ここではぜひ、河野洋平元官房長官の参考人招致を要求したいと思います。事実に基づく証言をしていただいて、日本の消火活動、消防活動を進めていく、そういう糸口になってもらいたいと思います。

 ぜひ、理事会において、この件に関して議論していただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

二階委員長 ただいまの御発言は、後刻、理事会で協議いたします。

 この際、阪口直人君から関連質疑の申し出があります。桜内君の持ち時間の範囲内でこれを許します。阪口直人君。

阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 政府・与党の方々、特に、総理を初めとする責任のある立場につかれている方々は、本当に、日々一〇〇%以上のエネルギーを、目の前の課題、難題に対処することに注いでいらっしゃると思います。

 一方、我々野党は、政権を担う中ではとても対応し切れないような問題、あくまでも、目前の課題を踏まえて、そして未来に対してどのように責任を果たせるか、こういった視点で考えを提示する、これが私は責任野党のあり方だと思います。

 政府に対して真っ向から対決すること、また、基本的な方向性には賛成するけれども、これでは足りない、もっとやるべきだ、こういった双方があると思いますが、野党としての責任を果たす、そういった視点で質問をさせていただきたいと思います。

 まず、原発問題について質問します。

 今、東京都知事選挙が行われております。私は何度か、候補者の細川元総理、そして小泉元総理の演説を聞きに行きました。小泉さんが言うんです。原発は安全、コストが一番安いと信じていたけれども、これは大うそなんです、総理時代の私の考えは誤りだった、でも、誤りを認めず何もしないのはもっと悪い、だから、やむにやまれぬ気持ちで動き出したんです、こんなことをおっしゃっています。

 核廃棄物は、無害化するには十万年も管理しなければいけない。小泉さん自身は、フィンランドのオンカロ、最終処分場に行って痛感したということであります。

 地下四百メートルの岩盤をくりぬいて、その下に二キロ四方の処理場をつくる、そして、その中でさえも、わずか二基分の使用済み核燃料しか入らない。十万年前というと、これはもうネアンデルタール人の時代なんですね。

 そして、安全に管理される保証も全くありません。今の数十年のエネルギーのために、未来の世代に対して、十万年もの間犠牲を強いてもいいのか、こういった問題提起だと思います。

 こんなふうにも言っていました。原発事故は日本を変えるチャンスである、変えられるんだ、変えることができるのになぜ立ち上がらないんだ、そういう強い憤りの念が私の胸に燃えてきたんです。

 この決意、そして、まさに燃える闘魂、安倍総理はどのようにお感じでしょうか。

茂木国務大臣 十万年処分に必要だ、これは、御案内のとおり、直接処分をした場合でありまして、最終処分をすると八千年、これが放射性廃棄物の処分にかかる期間でありますけれども、今後、技術的に申し上げると、恐らく、八千年そのままに置いておくのではなくて、科学技術の進歩等によりまして、場合によっては、取り出して新しい処分方法を考える、可逆性のある処分方法というものも考えていかなければいけないと思っております。

 その上で、御案内のとおり、今、日本には既に一万七千トンの使用済み核燃料があります。ガラス固化体にしますと二万五千本になるわけであります。これは、再稼働が進もうが、再稼働しなくても、きちんと処分をしなければいけない問題だ、我々の世代において責任を持って、解決策を与野党問わず考えなければいけない問題だ、そんなふうに考えております。

阪口委員 この問題は、本当に与野党問わず、我々が協力して立ち向かっていかなければいけない問題だと思います。

 ただ、私の質問は、安倍総理が元総理の小泉さんがおっしゃっていることに対してどのように感じていらっしゃるか。その一言、ぜひ伺いたいと思います。いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 小泉元総理は、森元総理とともに、政治の場においては私の師匠でございます。

 小泉元総理のお考えは、いわば、最終処分場がない中において原子力発電を続けるのは間違っている、こういうお考え、それと、知恵を集めれば何とかなるだろう、こういうことでございます。

 最終処分場につきましては、今、茂木大臣からお答えをしたように、既に使用済み核燃料は存在するわけでありまして、今すぐ原発をやめたとしてもその問題から私たちは逃れることはできないわけでございまして、これはまさに、世界の英知を集めながら、同時に、国が責任を持って最終処分地を見つけていくということではないか。そして、常に科学の進歩、イノベーションを起こしつつ、半減期の期間を短くしていくということが大切ではないか、こう思っているところでございます。

 そして、あの過酷事故の中において、我々は、原発比率はできるだけ低減していかなければいけないという考え方の中で、ベストミックスを求めていかなければならない、こう考えているところでございます。

阪口委員 確かに、核廃棄物、もう既にたくさん存在をしているわけでありますが、しかし、今の安倍政権の政策は、これをさらにふやしていくことを前提にしているわけであります。

 安倍総理、施政方針演説の中でおっしゃった言葉、やればできる、何度も繰り返しておっしゃっていました。そして、不可能だと諦める心を打ち捨て、わずかでも可能性を信じて行動を起こすことが世の中を変えると、マンデラ元大統領の言葉を引用しておっしゃっていました。

 やればできる。私は、再生可能エネルギーを中心とした経済システムに大きくかじを切る、こういった決意、総理が今決断すればできるんだと思います。どうでしょうか。

 小泉元総理がまさに体を張って訴えていらっしゃること、これは、ドイツなどでは、再生可能エネルギー中心の経済システムを構築することで、昨年度であれば三十八万人の新しい雇用が生まれています。確かに、先日もおっしゃっていました、化石燃料の購入費用が三・六兆、これは大変な負担だと思います。総理としては看過できないこともよくわかります。しかし、ここ数十年の幅で見ると、日本は貿易黒字が大変に多い、このことが問題になっていたわけでもございます。

 野田政権は、大変不人気な消費税増税という政策に踏み切りました。その結果、再び政権交代が起きたわけですが、しかし、私は、未来に必要な政策を実現する、その決意でこういった不人気な政策に踏み切ったこと、これは評価すべきではないかと思います。

 今苦しくても、ここで世界の先頭に立って新たな経済システムをつくる、これこそが、私は、安倍政権、今、衆参両方、大きな議席を持っている、また多くの野党も、この基本的な考えには反対はしないと思います。

 どうでしょうか、こういった決断、不可能なんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 消費税については、野田総理もそういう御決断をされましたが、我が党の谷垣総裁も、野党ではありましたが、野党であるのに与党が進める政策に賛成する方がむしろ大変なんですよ、皆さんも経験しておられると思いますけれども。そういう意味では、私たちはそういう決断をしたということであります。

 やればできる、それはそのとおりなんですが、しかし、だからこそ、私たちは、ベストのエネルギーミックスをつくっていく、原発の比率を低減していくという目標を掲げているわけでありまして、できたわけではない中において、私たちがこの原子力発電という選択肢を捨ててしまうことはできないというふうに申し上げているわけでございます。

 その中において、今まさにおっしゃったように、化石燃料を我々は今たいているわけでありまして、そしてその中において、毎年三・六兆円、国の富が外に出ていってしまうということ、この現実も見なければいけませんし、同時に、中東情勢が大きく変われば、まるで自然に入ってくると思われているような、お金を出せば買えると思われているガスも原油も買えなくなるかもしれない、こういう可能性すらあるわけであります。

 そういうあらゆる可能性に対して私たちは備えていく必要があるんだろう、こういうことでございます。

阪口委員 このエネルギーの問題、これは大変な難題だと思います。私たち日本維新の会も、このエネルギー政策がまだ完全にまとまっているわけではありません。

 しかし、私も役所に対して、例えば、最終処分にどれぐらいの費用がかかるのかということも含めて、さまざまな試算、現在のところのコストの計算を求めてきたわけですが、これは役所によっても違う、また、専門家によっても言うことが違うんですね。

 私は、このテーマについては、全ての国民に対して将来の方向性を問いかける国民投票を実施すべきではないか、このようにずっと考えてまいりました。民主党政権の中でも、このような提案を私はしてまいりました。残念ながら、力不足で、その方向性には及びませんでしたが。

 しかし、一年、二年かけて原発を廃止する、そして再生エネルギー社会システムに移行する中で、どういうメリットがあるのかデメリットがあるのか、あらゆる角度から情報を出し、また、国民的な議論を行った上で方向性を決める。これは、私は政治の大きな挑戦だと思います。

 また、国民投票といっても、諮問型の国民投票であれば、憲法改正を行うことなく、議員立法で行うことが可能なんです。

 私自身は、紛争地域の選挙の支援や、あるいは独立住民投票などの支援活動をこれまで行ってきました。一つの議題に関して全国民が議論をする。学校でも職場でも、あるいは居酒屋でも、私たちがどのような未来を生きるのか、価値観をみずからに問いかける、そういった機会、これは政治の決断でできるんですよ。

 どうでしょうか、安倍総理。今、都知事選挙の争点、これは原発だ、いや、そうじゃない、そういった議論もございますが、まさに全国民に対してこのような問いかけをする。総理、ぜひ考えていただきたいと思います。いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 国民投票については、基本的には、国民投票は、憲法改正に伴う国民投票について、国民投票法について今議論がなされているわけでありまして、その残っている宿題の中において、憲法の条文だけでやるのか、あるいは憲法の条文にかかわりがないことについてもやるかということについても、これはちゃんと議論をしていただきたい、こう思うところでございます。

 同時に、例えば消費税もそうですよ。こういう国民みんなが考えるべきことを、それこそまさに、我々、各選挙区から国民によって選ばれてきた議員が、国会において議論を交わしながら、そしてその中で責任を持って判断をしていくことではないか、こう思うわけでございまして、つまり、みずからの責任をある意味放棄する上において国民投票に付するということも行われる危険性すらあるだろうと私は思うわけでございます。

 エネルギー政策については、これは当然、ある程度専門的な知識も必要でありますし、深い洞察も必要なんだろう、こう思うわけでありまして、我々の政権としては、私たちの政権において責任あるエネルギーミックスを構築していくべく、ベストを尽くしていきたいと考えております。

阪口委員 このテーマについては、引き続きさまざまな提案をしてまいりたいと思います。

 次の質問に移ります。

 今、外国人によって日本の土地が大変な勢いで買われています。北海道などの森林、水源地として大変価値のあるところもそうです。また、沖縄県や鹿児島県のいわゆる離島、国境離島が中国資本などによって買われ、さらに、長崎県の対馬においては、海上自衛隊の基地の周辺さえもが韓国資本によって買われています。そして今は、この取引の状況を事前に把握することさえもできません。また、規制することもできないんですね。

 この状況、特に安全保障上の危機管理ということに照らし合わせて、どのように総理はお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 防衛施設周辺等における外国人や外国資本による土地の取得については、国家安全保障にかかわる重要な問題であると認識をしています。

 昨年十月に、その旨、中田議員にお答えをしたところでありますが、その後、政府としては、昨年十二月に国家安全保障戦略を策定いたしまして、その中において、国家安全保障の観点から、防衛施設周辺等における土地所有の状況把握に努め、土地利用等のあり方について検討すると明記をいたしました。

 現在、これに従い調査検討を行っているところでありまして、具体的には、昨年、離島に所在する自衛隊施設や、陸上自衛隊の方面総監部等、防衛大臣直属の、上司の、司令部機能を有する七十四施設について、隣接する土地約四千八百筆の調査を行いました。

 引き続き、陸上自衛隊の師団等、中間の司令部が所在する施設等九十六施設について調査を行っているところでございまして、また、諸外国における軍事施設周辺の土地取得制限状況についても、関連資料や情報の収集を行っています。

 政府としては、引き続き、国家安全保障戦略に従いまして、関係省庁が連携して所要の調査検討を進めていく考えであります。

阪口委員 前向きに検討してくださっていることについては、感謝を申し上げたいと思います。

 ただ、最初にも申し上げましたように、政府・与党、さまざまな課題、難題に対処する中で、本当に余裕がない部分もあると思うんですね。

 そんなことも考えて、我々は先回りをして、この問題に対処するための法律案をつくり、昨年の十一月二十五日に国会に提出をいたしました。

 簡単に説明すると、自衛隊の基地の周辺、国境離島、また原発の周りなどについて、国家安全保障上重要と思われる場所、これを総理が指定する、そして、そういった場所の土地の売買に関しては必ず事前に通告をしていただく、そして、それが国の安全を損ねるような可能性がある場合、その取引にストップをかける、こういったことが可能になるような法律を提出したわけでございます。

 ぜひ、野党の法律ではございますが、国の安全保障を守る上で必要な法律案だと我々は考えております。自民党の議員の方々の中にも、いや、よく出してくれた、こんなふうにおっしゃってくださる方々もおります。野党法案とはいえども、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。この点、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 自民党内におきましても、現在、安全保障と土地法制に関する特命委員会が佐藤委員長のもとに開かれまして、議論が進められているところでございます。

 御党提出の議員立法については、まさに国会で議論されていくものだろう、このように思いますが、御党とまた我が党の間で建設的な議論が行われることを期待したいと思います。

阪口委員 ありがとうございました。

 ぜひ、国益の追求と、そして平和を希求する、このバランスに立って、このような問題について協議を今後も続けてまいりたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

二階委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、中田宏君から関連質疑の申し出があります。桜内君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中田宏君。

中田委員 日本維新の会の中田宏でございます。

 頑張って、いろいろと日本の国を前に進めるために質問していきたいと思いますから、安倍総理に言わせれば責任野党、これを求めるということでありますが、我々、責任野党のつもりでやっているんですけれども、やはり、おかしいことはおかしいと言いますよ。だけど、前に進めるべきことは与野党関係なく進めていくべきだというふうに、日本維新の会は常にそういうスタンスをとってきましたし、これからもそうです。

 ただ、先ほど安倍総理も、午前の質疑を聞いていたら、野党のときに政府・与党に賛成するのは大変なんですよと午前中おっしゃっていましたけれども、我々もそのジレンマは抱えています。メディアに言わせれば、賛成をするとなると、すぐに補完勢力だとか言われちゃうんですね。しかし、補完勢力になる、そんなつもりでは全くないわけで、本当に国にとって必要なことは一緒になって前に進めよう、これは当然のことでありまして、これから先もそういうスタンスで日本維新の会はやっていきたいと思っています。

 メディアに言わせれば補完勢力だと思われていますから、どうせニュースにならないでしょう、きょうも。そういう意味では、ニュースにならないんじゃないかなと思って、言いたいことを今から言わせていただくようにしますから、心して質問に答えていただければというふうに思います。

 まず、午前、阪口直人議員が、土地の取引規制、これについて質問をさせていただきました。

 実は、御記憶だと思いますが、私も、昨年の十月二十二日、本予算委員会において、安倍総理それから小野寺防衛大臣にもお伺いをして、そしてその際には、総理からも極めて前向きな答弁をいただきました。何らかこれは規制を検討しなきゃだめだということ、このことのお約束をいただきました。

 当時は、パネルも持ってきて、対馬の海上自衛隊の基地の周りがいかに外国資本に買われているかという現状も私はお伝えをしたわけであります。そしてその際、こう予告をしたんです。我々日本維新の会は、これについては法案を出しますとその際予告をしたわけでありますが、お約束どおり、十一月の二十六日、さきの臨時国会において、我々は法案を提出いたしました。

 名称は、国家安全保障上重要な土地等の規制等に関する法律案ということでございまして、簡単に言いますと、防衛施設、これは自衛隊あるいは米軍、それから海上保安庁も含みます。さらには原発、これもやはり重要でありましょう。それから国境離島、こういったところを対象として、我々は、国の重要国土についてはしっかりと定義をして、そして、その定義に基づいて指定をして、その土地については規制をかけていこうと。

 簡単に言いますと、第一種重要国土区域、極めて重要だというこの区域については、土地の取引に関しては事前に届け出をするというふうにしてもらう。これがポイントでありまして、そして、その事前の届け出に基づいて審査をして、これはゆゆしき勢力が買収をしようとしている、別に外国勢力だけじゃないですよ、例えば反社会的な我が国の国内の勢力だってあるわけですから、そういう場合には、その取引内容の変更や中止の勧告、さらには命令を出すというような、こうした措置を講じられるようにしようというのがこの中身であります。

 そして、これに準ずる第二種重要国土区域というものについては、これは事後で届け出を出してもらうということでありますが、ただ、これも、必要とあらば第一種に指定がえをすることができる、こういう法案の中身を既に確定させて、提出をしました。

 総理、感想をお伺いしたいと思いますし、政府の取り組みについても、ひとつ決意をお聞かせいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 まず、昨年からの経緯を少しお話しさせていただきます。

 昨年の十月二十二日、中田委員の方から御質問がありました。私、翌月すぐに、御指摘のありました対馬リゾート、現地の視察をしてまいりまして、その周辺の土地含めてしっかり調査をしてまいりました。

 その後、やはりこのような調査はまず必要だということで、現在、防衛省としましては、七十四施設について調べておりますし、さらにまた、その後、九十六施設について拡大して今調査をさせていただいております。

 いずれにしても、大変重要な御指摘だと思っておりますので、しっかりとした自衛隊の主要施設の周辺のことの把握、そこからまず始めていきたいと思っております。

安倍内閣総理大臣 先ほど答弁させていただきましたように、中田委員の御質問をいただきまして、政府としては、この問題は極めて重要な課題であるということに鑑みまして、国家安全保障戦略、まさにこれは日本の外交・安全保障戦略を透明性を持って内外に示すものでございますが、ここにこの重要性についてしっかりと書き込んだところでございますが、その中において、御党も法案として提出をされておられますこと、敬意を表したいと思います。

 その中におきましては、私権の制限等、なかなかまだ難しい課題があるというふうには承知をしておりますが、我が党においても、佐藤正久小委員会において議論をいたしておりますので、こうした議論を深めながら、与野党での協議の行方を見ながら、政府としても判断をしていきたい、このように考えております。

中田委員 ぜひこれは積極的に取り組みをしていただきたい。

 こうやって水を向けていくのは、まさに責任野党ですから、こうやって政府の取り組みを促していく、そういうことに向けて我々もこうやって議員立法で出しているわけでありますから、これを無にしないようにしていただきたいと思いますし、皆さんがこれから法案を出してくる中においては、いわば一緒になって議論をして、修正したり、やはりそういう建設的な国会というものをもって成案にしていきたいと思います。

 WTOのサービス貿易に関する一般協定、GATS、これに加盟をしているために、日本はいわば外国資本に対してとか、あるいは外国人に対してだけ取引規制をかけるというようなことはできないというのが一般的な解釈になっているわけですが、ただ、このGATSの第十四条の二には安全保障のための例外というのがありまして、これを利用して外国資本の土地取引の規制をできるという意見も、これは実はあります。これは政府の中でもあります。現に、ニカラグアがこの規定を利用して立法したという事例もあります。

 そういう意味では、本来は、土地の取引については相互主義だと思うんですね。すなわち、日本人あるいは日本資本が外国で土地を買えないという国もあるわけです。そういう国に対しては日本側も売らないというような相互主義に本来していくべきだと思うんですが、残念ながら、このGATS協定に日本は何の留保もなしに、すなわち無条件に批准をしてしまいましたから、その意味においては今さらそれはできないというのが一般的なんですが、先ほど申し上げたように、安全保障上の例外措置というのもありますから、外務大臣、これはぜひ研究してください。外務省内でしっかり研究するということを私は答弁としていただきたいわけで、研究するということについて、いかがですか。

岸田国務大臣 まず、先ほど来、総理、防衛大臣からもお答えをさせていただいておりますように、安全保障上の観点から、土地利用あるいは土地の取得のあり方について検討するということ、外務大臣としましても、大変重要な観点だと思っております。

 そして、御指摘のGATS十四条二ですが、こうした規定が設けられており、安全保障上の理由に基づく例外を認める規定が存在するわけです。

 そして、この規定に基づきサービス貿易を制限する措置をとる場合に、このサービス貿易に関する理事会に通報する、こうしたことが義務づけられています。

 その通報によりまして、他の加盟国から疑義が呈される可能性、これは全く排除はできませんが、そもそも、この外国人のみを対象とした措置でない場合、要するに内外無差別の場合、GATSにより制約されているわけではないと認識しておりますし、そして、今の点につきましても、しっかり検討をしていきたいと思います。

    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕

中田委員 そのとおりで、検討していただけるということですから、これは本当に知恵をぜひ絞っていただきたいと思いますから、そこは期待をして、きょうも水を向けておきたいと思います。

 それでは、次の質問といいますか、これから、子育てとか教育とかいう、きょうのメーンの方に話を移していきたいと思うんであります。

 ところで、最近話題のドラマ、御存じですか。「明日、ママがいない」という日本テレビの水曜午後十時からやっているドラマなんでありますけれども、このドラマ、横浜市が舞台なんですね。横浜市における児童養護のグループホームという施設が舞台になっているわけでありますが、何が話題になっているかというと、ちょっとこれは現実とかけ離れているということも含めて、いろいろと物議を醸しております。

 例えば、養護施設で生活する子供への差別、これを助長しているというような声。養護施設の実態とかけ離れている。これは、養護施設のさまざまな個別の施設、それから全国団体も含めて抗議をしているということになっておりますし、結果として、このドラマからは、当初スポンサーをやっていた八社が全ておりるということでありまして、先週、私はドラマを見ましたけれども、スポンサーがないんですね。全くないという状態になっている。そういう意味ではこれがまた話題になってしまっているということで、日本テレビも、内容をもう一回検討しなければいけないということで現在やっているようであります。

 まあ、何でもかんでも文句つけるのは私はよくないと思いますね。去年も、あの宮崎駿監督の「風立ちぬ」があって、あの中でも、何かたばこのシーンがけしからぬ、喫煙を助長するんじゃないかなんという声がありました。

 私は禁煙です。私は禁煙なんです。平成六年六月三十日以来禁煙なんです。なぜ禁煙か。あのとき、私、初当選のときでしたけれども、平成六年六月三十日というのは何の日かおわかりになりますか。安倍総理とか皆さん同期なんですけれども。村山政権ができた日なんです。この国はこれじゃだめだと思いましたね、失礼ながら。もうだめだと。

 私は、首班指名が終わった後、自分の議員会館に戻ってたばこを二、三本立て続けに吸って、もうだめだ、もう俺はたばこやめた、願かけて、この政権が一日でも早く潰れるように、もう俺はたばこ吸わない。本当なんですよ、これ。それ以来、僕はたばこを吸わなくなったんです。

 村山政権はあっけなく潰れましたけれども。だけれども罪は大きいですよ、あのときの罪は。その後の河野談話だって、さっきから出ているのだって、あれが伏線になっているわけですから。

 そういう意味では、ちょっと話はそれましたけれども、私の禁煙の理由も言いましたけれども、そうやって何でもかんでも映画のシーンやドラマに対して文句を言うのは、私はちょっとお門違いだなとは思います。

 ただ、かなりこのドラマ、ちょっとデフォルメに過ぎるというか、実態とかけ離れているということは否めないんですね。

 コガモの家というグループホームでありますが、芦田愛菜ちゃんが演じている子供は、あだ名はポストというあだ名になってしまって、ポスト、ポストと言われてしまう。これは赤ちゃんポストというのが発端になっているんだとは思いますけれども。

 それから、実際にはグループホームの定員というのは、これは六人なんですよ。ほとんどこの六人というのは、私は地方自治の実態を経験していますから言えますけれども、ちゃんと守られていますよ。なぜかというと、守られていなかったら補助金は出ませんから。そういう意味では六人というのはちゃんと守られているけれども、あのグループホームは八人ですよ、たしか、ドラマの中では。

 そういう意味では、これはちゃんと取材しているのかねというふうに言わざるを得ない現実がそこにありますし、ましてや、施設長が、おまえらはペットの犬と同じだ、こういう言い方を子供たちに対してドラマの中でするなどというのは、これはやはり、全国で働いている施設の職員の人たち、民間も公も、こういう人たちからすれば憤りを禁じ得ないと思いますね。

 私は、表現の自由はもちろんあっていいし、ある意味、ドラマだと思って見た方がいいと思います。日テレは、最後まで見てもらいたい、こう言っていますから、そこはぜひこれからに期待もしたい、別に無理やりストーリーを変えろという意味じゃなくて、最後まで見てくれという意味をぜひ私は確かめたいと思います。

 これは、厚労大臣はこの件に関してどんな御感想をお持ちかだけはちょっと聞いておきたいと思います。

田村国務大臣 今委員がおっしゃられましたこのドラマでありますけれども、全国児童養護施設協議会の方が抗議をされておられるということは私の方も理解いたしておるわけでありますけれども、これはドラマで、フィクションでありますから、そういう意味ではデフォルメもあるんだろうと思います。

 ただ、現場でもやはり年間に数十例虐待事案があるわけでございまして、そういうことはなるべくなくしていかなきゃならぬわけでありますから、それはしっかり対応してまいりたいと思います。

 なお、このドラマで、その後、児童養護施設に入所をされておられるお子さんの中で自傷行為等々があるというような、そんな報道もございますから、これは協議会の方に確認をさせていただいて、調査をしてまいりたい、このように思っております。

中田委員 本当に、過ぎたるは困る話でありまして、ただ、ある意味ここまで話題になってきますと、いろいろな方が見るでしょうから、あれはドラマであって、現実には本当に職員の皆さんは一生懸命やっている方々の方が多いわけであって、そこら辺は誤解のないようにしていただかなければいけないと思いますし、ああした施設で暮らしている子供たちがまた多くいることも含めて、私たちは社会の中で育んでいくという、そうした愛情を逆に温めるということも必要だと思いますから、一概に私は乱暴に否定はしませんけれども、今厚労大臣がおっしゃったことも含めて、これから先の国民意識というものを醸成しなければいけないと思っております。

 その上で、田村厚労大臣に引き続き聞きたいのは、保育所の問題なんですね。

 これは、安倍総理が肝いりでこの保育所についての整備というものは進めていくということであります。本補正予算でありますとか来年度の予算、こういったものも含めて、常に、この件に関しては、政府としては優先して取り組んでいく政策だというふうに私も認識をしております。

 総理は昨年、保育所に入れないいわゆる待機児童の解消に向けて、横浜市の保育所を視察しました。そして、それを踏まえて、待機児童解消加速化プランというものを発表したわけであります。

 この内容は、待機児童の解消に向けて、自治体による保育所整備を全面支援するというものでありまして、この補正予算それから二十六年度当初予算で安心こども基金を大幅に積み増すほか、小規模保育施設の整備や保育士の確保にも予算を割いています。

 基金の問題というのは、午前第一番のバッターでありました桜内代議士の質問にもありましたように、やや疑問はありますけれども、しかし、それはともかく、方向性としての政策の中身については、これは私も応援をしたいと思っております。

 さて、そこで、ちょっと見ていただきたいと思います。厚労省が定める認可保育所の基準というものであります。このパネルを見ていただきたいと思いますが、お手元の資料をごらんください。

 二歳未満、乳児室一・六五平米、匍匐室三・三平米。二歳以上、保育室一・九八平米、遊戯室一・九八平米、屋外遊戯場三・三平米。これを読み上げていれば切りがないんですけれども、こういうふうに細かく決まっております。職員は、資格を持った保育士が、ゼロ歳児には三人に一人、一、二歳児には六人に一人、三歳児には二十人に一人、四歳以上は三十人に一人。それ以外にも、医務室、調理室、その他もろもろ、こういうものがありまして、これらの基準を全て満たしたものが認可保育所でありまして、この認可保育所でなければ補助金は国からは出ないというぐあいになっているわけであります。

 ただ、本当に国民の皆さんにも考えていただきたいんですけれども、北海道から沖縄まで全部一律で同じような基準を当てはめなければいけないというのは、これは時代錯誤なんです。この後も私は理由をしっかりと申し述べたいと思いますけれども。

 厚生労働省の役人が日本全国津々浦々の事情を全部知っているなんというのは、全くもって買いかぶり過ぎですよ。田村厚労大臣だって地方の現場一つ一つを知らないですよね、それは、失礼ながら。私が厚労大臣をやったって知らないと思いますよ、全国津々浦々までね。

 それを、全国津々浦々、同じ基準で全部求めて、これを満たさなければ補助金は出しません、こういうことをやってきたから、待機児童の問題なんというのは実はどんどんどんどん大きくなってきたのであります。そして、ある意味では、テンポアップしてこうした問題に対して解決ができない日本をつくっているんです。

 田村大臣、感想をまずお伺いしたいと思いますが、こういう基準、本当に厚労省は必要ですか。恐らく答えは、先に言ってごめんなさいね、子供たちの安全を守るためには、基準を最低限、厚労省としてはと、こういう答えなんだろうと思うけれども、これは弾力化しないとだめだと思うんですけれども、いかがですか。

田村国務大臣 預けやすいという立場からすれば、最低基準といいますか、従うべき基準でありますけれども、これを緩和しろというお声があるというのは私も理解いたしておりますが、一方で、どこで子供が生まれても、子供の立場からしてみれば、一定の面積、それから一定の保育士、これがどこで生まれたとしても必要だということは間違いないんだと思います。

 ちなみに、日本の基準は決して、世界で見て、これが厳しいということはありません。かえって、世界の標準から見ると、日本の方が甘いという部分もあります。とはいいながら、やはり都会と地方とでは違います。

 そこで、今もう既に、条例で決めていただければ、その地域での基準で認可できるというふうになっております。ちなみに横浜もその対象ではあるんですが、しかし、横浜でも、今、条例でこれを緩めるということはされておられません。

 重ねて申し上げれば、今、そのような無認可、横浜には横浜保育室がございますけれども、これも、認可に向かって頑張っていただければステップアップの補助金を出すということを、今般、制度改正の中で入れさせていただいておりますので、こういうものを使っていただきながら、なるべくいい質の保育、これをぜひとも提供いただきたいと思いますし、まさに親御さんもそれを望んでおるお声が大変昨今大きいというふうに理解をいたしております。

中田委員 型どおりの答弁をいただいたという感じなんでありますけれども、私は、別に単純に批判をしたいと思っていないので、建設的にそれこそこれからの保育行政というものを考えていただきたいと思っているんです。

 安倍総理が横浜市の保育というものを視察されて、また検討をいただいた上で、横浜方式を横展開しようじゃないか、こういうふうに昨年おっしゃいました。すなわち、横浜市というのは待機児童で長年悩んできて、しかし、それがゼロになった、すばらしいことだというふうにお褒めをいただいたわけでありまして、これは、前の市長を務めておりました私からしても、大変にうれしいお褒めだったというふうには思っております。

 ただ、横浜方式を横展開しようというこの言い方は、僕はこれは違うと思うんです。すなわち、横浜は横浜のやり方をしてきたからこそ、この問題に対して解決策を見出せたんです。

 例えば、私が就任したのは、もう今から十二年前なんです。二〇〇二年であります。そのときに、私が市長に就任したときの待機児童数というのは一千人を超えておりました。この一千人を超えていたそれまで、では横浜市は無策だったのかといったら、違って、私の前任の高秀秀信市長がまず真っ先に、横浜は何を取り組んだかといったら、国の認可保育所とは異なる、先ほど田村大臣がおっしゃった横浜保育室という独自の基準をつくって展開をしたわけです。

 この基準は、国の基準がゼロ歳児三人に対して一人の保育士が必要だという基準でありますけれども、それに対して、園児四人に対して一人でいいというふうに緩和をしました。逆に、めり張りをつけているところもあります。例えば、一、二歳児は国が六人に一人でいいというところを、横浜は、当時は四人に一人というふうにめり張りをつけているということもあります。

 一方では、保育士は、国は全員が有資格者でなくてはならないということになりますが、横浜では三分の二以上でいいというふうにしようとして、それ以外のいわば資格を持っていない人も職員として入ってもらえるようにしたわけですね。なぜかといったら、都市部ではいわゆる百三万円の壁があって、パートの問題などがあるからなかなか人が集まらない、有資格者が集まらないという問題もあったわけです。

 さらには、お庭、園庭ですね。園庭なんかも、これは、考えてくださいよ。横浜だとか東京のど真ん中で保育園をつくろう、こういうところが一番待機児童が多いところですよ。だけれども、園庭なんかとれないんですよ、今さら。お庭なんかつくれないんですよ。だから、どうするかといったら、それは、既存のビルの中で保育室をやって、そして近くの公園、こういうところを活用してやっていこうというふうにして横浜保育室は誕生したんです。

 だけれども、当然ですけれども、国の基準からは外れます。今はよくなりました。今はよくなったけれども、当時はだめなんです。だから、どうなったか。当然ですけれども、横浜市の市単独の支出によって保育室をふやしてきたんですね。全くもって国の補助金は出ていないわけです、当時はですよ。

 そういう意味では、今は認めるようになった、田村大臣、そのとおりでいいんですが、それは胸を張るところではなくて、地方が自分たちの工夫でやったところを、国が後からそれを認めてきた。認めてきたことが悪いと言っているんじゃないですよ。要は、地方の創意工夫というものが解決のエネルギーなんです。それを、国の基準で一律にしようというところに今まで問題を大きくしてきたという元凶があるんです。

 高秀市長のときにはそういった取り組みをしたということを今御紹介しました。

 私のときは、株式会社の保育園参入というものを、政令市で、私、日本で初めて認めたんですよ。さっきも言いました。都会がこういう待機児童の問題を抱えているんです。だけれども、株式会社を入れると言った瞬間から大反対です、それは。既存園は反対するでしょう。当たり前だけれども、既得権があるわけですよ。子供たちの安全はどうなるんだ、株式会社は営利追求じゃないか、こういうわんわんの合唱ですね。

 ましてや、既存の保育園の中でも公立保育園、これの民営化にも乗り出しました。なぜならば、労働組合が自分たちの労働環境を優先していて、それこそ延長保育なんかやらないで五時半でぴしゃっと閉じる、こういう保育園が横行していたわけです。それは、きょうび、横浜で子供を預けて五時半に子供を迎えに来いなんて無理ですよ。無理でしょう、誰が考えたって。

 これは裏話だけれども、もう今や堂々と言いますけれども、当時、横浜市のある保育園、公立保育園ですよ、市立保育園を調べたら、その保護者の職業の八割が公務員だったんですよ。横浜市の職員、神奈川県の職員、国家公務員。何でだと思いますか。(発言する者あり)そのとおり。閣僚席から次々と答えをいただいて、うれしいですね。公務員は定時で終わるからですよ。定時で終わって迎えに来られる保護者、それが八割ですよ。残りの二割はといったら、地域の商店街の子弟だとかということになるわけですけれども。

 これは、リンカーンの反対、公務員の公務員による公務員のための保育園だと私は当時言っていたんです。そういうサービスの悪さ。これも民営化するということに私は乗り出しましたけれども、これなんかは訴えられましたよ。訴えられた。高裁までやらされましたね、訴えられて。

 こういうふうに、それぞれが工夫をしてきて、そして、私の代はそういうことをやって、今の林市長になって、今度は子育ての保育コンシェルジュというのを設けて、そして、入りたいという親御さんとあきの施設、こういったものをマッチングさせる、さらには、保育園をやろうという事業者と、一方では、目ざとく土地を見つけてきて、保育施設をつくれるような土地物件というものをマッチングさせる、こういうことをやってきた結果が横浜はゼロになったということなのであって、これは、それぞれの解決の仕方というものをそれぞれに競い合うような、そうした保育行政、単に競い合うと言っているんじゃなくて、工夫ができるような保育行政をやらない限りは、結局、国が一律でどんどんどんどん基準を満たしなさいと。国の支出はどんどこどんどこふえるだけ。

 ちなみに、横浜市も支出はどんどんどんどんふえ続けていますよ。今年度、平成二十五年度は二十億円台だったのが、来年度、二十六年度の横浜市の予算、保育所整備費は四十八億円ですからね。二倍ですよ。そうやって、どんどこどんどこふえていくだけになるんですね。

 やはり創意工夫が生きるような、分権をした保育行政というものを求めていきたいと思っておりますが、田村さん、そろそろ総理に答えていただいていいですね。では、短くお願いします。

田村国務大臣 横浜の取り組みは大変進んでおるというふうに我々も認識いたしておりまして、だからこそ、公設民営という制度も入ってきておりますし、あわせて、株式会社も参入できるようになった。もちろん、質も担保してでありますし。

 今般の制度改革の中においては、施設整備の部分、これを減価償却というような形で、この見合い分として委託費の中に入れていこうというようなことも考えておるわけでありますし、先ほど言いました、運動場といいますか、公園を使える、こういうふうな形にしているわけであります。

 今まさに中田委員がおっしゃられましたとおり、コンシェルジュでありますとか、それから不動産会社といかにして保育所の土地をうまく見つけるようなマッチングをするかでありますとか、それから公有地の賃貸でありますとか、こういうことも全部入れさせていただく中において、それが先進的に進んでおられる自治体の取り組みを取り込んでいこうということでの制度改正でございますので、横浜の取り組みというものに我々は本当に感謝をしながら、それをしっかりと横展開してまいりたい、このように思っております。

中田委員 では、総理に御感想、御意見をいただく前に、もう一回だけ私言いますけれども、地方がやったことを国が取り込むということを否定はしませんが、だから、地方にもっと任せなさいということをやらないとだめだと言っているわけです。横浜の解決方法は、では、国が一つのスタンダードにしたからといって、全ての自治体でまねできるわけではありません。逆に、都市部ではないところは、そうではないやり方というのがあるんです。

 先ほども申し上げましたけれども、保育の現場で今一番問題になっているのは保育士不足ですよ。これだけどんどんどんどん施設を充実させていこうとなったら、保育士はどんどんどんどんいなくなっているんです。いなくなっているというか、もう絶対数が足りないんですよ、パートの問題だけではなくて。そうなったら、保育士を全て賄わなければだめなのかといったら、私はそうじゃないと思いますよ。

 例えば、都市部じゃないところで、空きスペース、はっきり言って、空き家だとかシャッター商店街だとか、いっぱいありますよ。こういうところのスペースを使う。これだって、さっき言った設置基準にまず見合うかどうか疑問です。

 さらに、そういうスペースを使って、保育士ではないけれども、地域の中に眠っている人材的な資源はいるわけです。例えば、子育てが終わって、子育てのベテランのおばちゃん、じいちゃん、ばあちゃん、いるんですよ。こういう人たちが保育というものに対して、一緒になって地域の中で子供を育んでいくというような保育、これは、都市部でもできるかもしれないけれども、田舎に行ったらもっとできますよ。

 だけれども、今こういうのは保育園じゃないわけです。なぜならば、資格を持っていないじゃないか、この一言で終わりなんですよ。でも、もちろん資格を取った人は偉いけれども、資格を持っていなくたって子育てのベテランなんですよ。むしろ資格持ちよりも、顔色一つ見て、ああ、この子ちょっと風邪ぎみよなんてわかったりするわけです。

 そういう人たちが入れるようにする。そういったことを地方がそれぞれの工夫でやっていくことが解決策なんです。これが我々の言う地方分権の一つなんですよ。

 そういうことをやはりぜひやってもらいたいわけであって、先ほど、総理の政策的方向性は全面的に賛成だ、こう申し上げたわけでありまして、ぜひ総理、そういった分権の中における考え方としても保育行政はあるということについて、積極的にリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 私の方から、横浜方式を横展開するというのは、横浜方式と全く同じものをいわば国が全部の地方に押しつけるということではなくて、一つの成功例としての事例として、もう一つは、やはり横浜独自の取り組みをしたという、この独自の取り組みについても横展開をしたいという考え方もあったということも、御紹介させていただきたいと思います。

 まさに中田委員の御指摘のとおり、子育てを経験したお母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんが保育士にかわってというか、同様の仕事について、その資格があるかないかということも含めてよく検討していく必要はあるんだろう、このように思います。

 基本的には、割と人口密集地ではない地方においては大体、待機児童の問題というのは余りないんですが、主にそれは、地方都市も含めて都市部の方が基本的には多いんだろうとは思います。

 しかし、その中で、地域地域に合ったそうした対応、もちろん、いわばナショナルミニマムとして最低基準というものは必要であろうとは思いますが、今既に大臣から答弁させていただいておりますように、柔軟に対応できるような仕組みも入れてきておりますので、そうしたものをどんどん活用していただいて、地域独自の対応ができるように、我々も、そういう意味においては、むしろそうしたものが進んでいくようなことを考えていきたい、このように思います。

中田委員 大変失礼ながら、総理に対してじゃないですよ、やはり、霞が関それから国会の多くのメンバーがと言うのも大変生意気な言い方ですけれども、地方の行政の現場を知らない人が非常に多いですね。やはり現場をもっともっと知っている人に任せることが大事だということが言いたいんです。知らないから悪いとか何だとかと言っているんじゃなくて、知っている人に任せようよということを言いたいんです。

 だって、厚労省の役人よりも、地域の子供たちのことを真剣に考えているのはそれぞれの市役所の職員なんですよ。当たり前じゃないですか。失礼ながら、田村大臣よりも、地域の子供たちのことを真剣に考えているのは市長なんですよ。当たり前じゃないですか。

 地域の子供たちをないがしろにした保育園をつくりませんよ、市長も市役所も。それを、厚労省がやっていれば安全だというのは、先ほども申し上げたように、やや買いかぶり過ぎなんであって、本当にそこは、分権という考え方の中で、創意工夫が生きる行政展開をする必要があると思います。

 さて、同じく、現場をちょっと知らないんじゃないかという、もう一つの子育ての話が教育であります。

 私は、横浜市長として教育行政、教育の現場というものをいわば責任を持ってやってきたわけでありますけれども、まず、教育委員会、このことについて余りにも、国民も知らない、それから霞が関、国会の多くの先生方も知らないということを申し上げなければなりません。

 テレビをごらんの国民の皆さんもちょっと、本当に一回頭をリセットしてお考えいただきたいことを今から申し上げます。

 果たして、地方の教育に対して誰が責任を持っているのかということについて、テレビをごらんの国民の皆さん、誰だと思いますか、地方において教育に対して責任を持っているのは。校長ですか。教育委員長ですか。教育長ですか。市長ですか。誰ですか。国民の皆さん、わからないと思うんですね。

 これは、答えは今の四択の中にありません。誰が責任を持っているか。誰も責任を持っていません。人っ子一人、責任者はいないんです。それが今の日本の教育の法体系です。

 では、誰が責任を持っているんだ。これは教育委員会なんですよ。教育委員会という組織が教育行政に責任を持つという形になっちゃっていて、これは、すなわち何というんでしょう。答えは無責任というんです。

 では、教育委員会というのはそんなに立派な組織かということをまずひもといてみますと、私が着任をするまでの横浜市の教育委員会の委員さん、それぞれに見識は立派な人だとまずは前置きは一応しますけれども、だけれども、はっきり言って充て職で決まっておりました。

 充て職というのは何か。横浜市立大学のいわば天下りから一人、横浜市学校校長会、小学校長会、中学校長会から一人、それから横浜市医師会から一人、それから著名人から一人というような、いわば充て職で決まっていたんですね。だから、著名人枠が抜けると誰か著名人枠で入ってくる、医師会から一人任期満了が来るとまた医師会の推薦で一人入ってくる、こういう状態ですよ。

 残念ながら、横浜市の教育委員会、名誉職と堕していて、単なる名誉職としての充て職がぐるぐるぐるぐる次に引き継がれていくだけで、ましてや、そこで教育の議論がけんけんがくがく行われているかといったら、行われていなかったんです。一月に一回定例日があって、その一月に一回の定例日は、十時から始まって一時間、これでよろしいか、はい了解で終わりです。それが教育委員会の実態でありました。

 これは、残念ながら、今も多くの地方自治体の教育委員会はこのレベルであります。うそではありません。一回、教育委員会を傍聴しに行ってみたらどうですか。

 そういう意味においては、この教育委員会というのは形骸化をしていたということはもう明らかに言えるわけであります。

 この教育委員会、さらにもう一つ大きな問題があります。

 例えば、横浜市は、小学校、中学校合わせて五百校を実は抱えています。五百校ですよ。正確には、小学校は三百四十三、中学校は百四十八で、四百九十一の小中学校を横浜市の教育委員会は抱えています。

 安倍総理、林大臣、山口県ですね。山口県の小学校、中学校の数はどのくらいか。別にクイズではないですから出しませんが、小学校は三百三十六、中学校は百六十四で、合計ジャスト五百校なんです、小中学校足して。では、大臣がほかにいるところはないですかね。山本一太大臣、群馬県、小学校は三百二十五、中学校は百六十九ですから、合計で四百九十四で、ほぼ横浜市と同じですよ。山本大臣、全県区ですよね、参議院の。教育委員会は幾つあるか。三十五ありますよ。山口県は教育委員会十九ありますよ。横浜市は一つですよ。

 おわかりいただけるように、文科省はこれまで、こういうことに対して、まともに向き合って制度改変なんというのを考えたことがないんです。

 五百校を一つの教育委員会が見るというのは、こんなのは論外ですよ。だから、私はどうしたかといったら、方面別の教育事務所というのを設けたんです、四カ所、東西南北に。文科省からは文句を言われました。教育委員会は一つじゃなきゃいかぬ、法律ではそうなっている、こう言われたんです。

 そもそも文科省はこういうことに対して不作為だと私は言わざるを得ないと思いますけれども、時間もないんですけれども、ちょっと下村大臣、まず、文科省の教育委員会制度について、御感想をお願いします。

下村国務大臣 今、中田委員が言われた教育委員会の認識は、大方の点ではそのとおりだというふうに思います。

 そもそも、大津の中学生が自殺した問題、それから大阪市においては高校生がやはり自殺した問題、これも、いじめの問題とか教師の体罰、暴力の問題がありましたが、一年前からそれぞれの教育委員会には報告は行っていた、しかし何の対応もできていなかったということが、おっしゃるとおり、形骸化、形式化、あるいは無責任体制そのものであると。

 この中で、教育再生実行会議で教育委員会の抜本改革についての提言をしていただきました。それを受けて、中教審に諮問し、中教審で答申をして、教育委員会の抜本改革案をぜひ今国会に出したいというふうに思っておりまして、今、与党の方でこの抜本改革案について議論していただいておりますので、ぜひ今国会に出したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

中田委員 そこで、まず、我々日本維新の会が出した教育委員会廃止法案、これをちょっと御説明します。パネルをごらんいただきたいと思います。

 教育委員会廃止といいますと、何やらえらい乱暴に思われるかもしれませんが、決してそうではありません。

 日本維新の会の案、これは、首長が教育部局の長というのを指名します。教育長ということでいいんですけれども、これは、教育局と言ったり、それぞれの役所によって呼び方が違うでしょうから、教育部局の長としてありますが、この教育部局の長を首長が任命して、そして教育行政に関してはここが一元化して責任を持ってやっていきましょうと。首長は教育行政に対して責任を持つということなんであって、別に首長が直接指揮をするんじゃなくて、それは教育部局の長、この長は、しっかりと見識があって、教育に対して造詣が深いということを条件にして選ぶ特別職という形にしました。

 そして、教育の中立性というものに対してとやかくいろいろ出ますから、そのことは我々も重視した上においては、教育振興基本計画というものを必ず議会に提案しましょうというふうにいたしました。

 この教育振興計画でありますけれども、これは教育基本法において、今は出すようにというふうに努力義務になっているものでありまして、実態としては、都道府県の九一%、政令市の九〇%、中核市の六六%、全市町村では五二%、過半が既に策定をしているものです。

 こういうものをきちっと議会に出して、そして議会の承認を得ようじゃないかと。だから、今までは努力規定なんだけれども、そうではなくて、これは出さなければいけないという形にしまして、必ずその教育の方針を議会に出して、議会の承認を得て、そして年次の報告も出して、議会がチェックをするようにしよう。すなわち、本来、首長のチェックをするというのは議会の役割ですから、そのことをしっかりと議会にやらせようというものであります。

 そして、先ほど下村文科大臣がおっしゃっていただいた、今度は、政府が今検討している案について、中教審が出してきた案、A案というものを見てみます。

 このA案の方は、首長がやはり教育長を指名して、首長が責任を持つようにしようということでありまして、議会の同意を得た教育長ということで、ここら辺、我々は議会の同意はなしの特別職という形にしております。そして、教育委員会は、これは首長に対してのチェックをするということであって、基本的にはこの首長とその任命を得た教育長がやっていく、こういうあり方になっています。

 ですから、このA案は我々に極めて近い案でありまして、このことは私たちからすれば大いに評価できるものです。

 一方で、実は、中教審が出しているものに対して、B案というものがございます。

 このB案でありますけれども、これはどういうものになっているかといいますと、首長が教育長を任命するわけでありますが、これは議会の同意が必要、もちろん現状どおりでありますが、教育委員会は引き続き今の体裁とほぼ同じ形で残して、そして教育委員会が担当する事務は、ここに書いてあるとおり、大綱的な方針の策定、教職員等の人事異動の基準、教科書採択の基準というような、こういういわば今一番問題になっている肝の部分は引き続き教育委員会がやります。

 そして、教育長が担当する事務というものは何かといったら、教職員の人事だとか学校の管理など、今まで教育委員会の中でも、はい、了解という形で済んでいた、単にスルーしていただけの事務的なものは教育長にやらせましょう、そして引き続き教育委員会が教育に対しての責任を持ちましょう、こういうぐあいになっているんですね。

 このB案では、残念だけれども、さっき私が国民の皆さんにも考えてくださいと申し上げたように、責任の所在、これは一体誰になるんですかが全く解決されないんです。

 下村大臣、これはB案じゃだめですよ。答弁願います。

下村国務大臣 まず、日本維新の会が国会に提出したこの法案、教育委員会制度を廃止して、首長が地方公共団体における教育事務を一元的に管理、執行するという案でございますけれども、地域の民意を代表する首長が教育行政に連帯して責任を果たせるような体制にすること、それは必要であるというふうに我々も考えております。

 ただ、問題なのは、この首長の判断によって教育内容等が大きく左右されることによって、結果的に、政治の中立性が教育の中において担保されるのかどうか、それから継続性の問題、それから安定性、これが損なわれるのではないかというふうに考えております。

 そういう意味では、今回の教育委員会の抜本改革案は、まずは、御指摘のように、教育行政に地域の民意を代表する首長の意向はきちっと反映できるようにする、しかし、一方で、教育における政治的中立性とか継続性とか安定性、これはきちっとやはり担保していく必要があるのではないかというふうに考えております。

 その中で、御指摘の、そのパネルでA案、B案、基本的に中教審ではこのA案をメーンとして議論をしていただいて、A案だけではまとまらないので、さらにB案も案として入れたという経緯がございます。

 ぜひ与党においては、B案ではなくてA案を中心に議論をしていただきたいというふうに思っておりますが、これは閣法で出したいと思っておりますので、政府・与党一体となって、一本化してということですが、できたら、もともとの、中央教育審議会に諮問する前の教育再生実行会議の問題提起というのはこのA案から始まっている部分がございますので、これを基本として、ぜひ与党の中でも議論していただきたいと思っております。

中田委員 政治がどこまで教育に対して責任を持つかという議論と、政治からの教育の中立性なる議論と、ここら辺、非常にごっちゃになって、すごく間違った常識が世の中に広がってしまっているということをちょっと議論したいと思うんです。

 自民党の皆さん、例えば、直近の参議院議員選挙の公約で、幾つか教育について触れています。自民党の参議院公約というのを私は手元に用意してきましたけれども、英語教育の抜本改革、理数教育の刷新、留学生だとか、インターン制度だとか、いろいろ書いてありますけれども、これは公約ですよね。これを実現するために政治をやるんですよね。当然ですけれども、英語教育を充実させましょうというのは政治的中立性を損なうか。そうではないですよね。

 政治的中立性、公平性、この類いの言葉に対して誤った見解というものが広がっている、私はそう思わざるを得ないんですね。

 平成二十三年十二月十六日、教育の中立性ということについての政府の答弁書には、こう書いてあります。

 教育の中立性とは、教育基本法第十四条二項にある「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」ということ。

 つまり、どういうことかというと、教育の現場に特定の政党の主義主張を持ち込んではならないということがその定義です。

 下村大臣、ここが、教育の担保されなければいけない中立性ということで、見解はそのままでよろしいですよね。

下村国務大臣 おっしゃるとおりです。

 ただ、さらに詳細に、政治的中立性の中身についてちょっと申し上げたいと思うんですが、三つあります。

 一つは、教育内容に関する政治的中立性、二つ目には、人事における政治的中立性、三つ目が、日々の教育活動に関する政治的中立性であります。

 一番の、教育内容に関する政治的中立性については、教育内容については学習指導要領が定められておりますが、国旗・国歌とか、ジェンダーフリー教育とか、基地問題あるいは平和教育等、政治的問題となり得る、指導上の取り扱いが問題になる場合には、党派性を前提とした首長が教育行政の責任者になった場合に、首長が偏向した教育の実施を求めるおそれがあるということでの危惧があります。

 それから、二つ目の、人事における政治的中立性ですが、これも、校長を初め教職員の人事について、組合等特定の政治的主張を持った団体の支持を受けた首長が人事を持つと、これらの団体に有利な、偏った採用、異動、昇進等が行われるおそれがある。

 三つ目の、日々の教育活動に関する政治的中立性、これは、首長が例えば偏向した副読本などの教材を作成、配付して教育を行う等、このことによる政治的中立性や公平性に欠ける学校運営が行われるおそれがある。

 これはやはり阻止しなければならないということが必要だと思います。

中田委員 そういう意味では、どうやってチェックするかという、チェックというものをしっかり担保することが重要なのであって、先ほどのA案であるならば、それは新たに組織改編をする教育委員会だということになるわけですし、我々の案だったら、本来それは議会の仕事ですよねと。ですから、議会に対して教育振興計画を必ず出すんだと義務づけをし、そして、それに対する計画の進行ぐあいだとかについての報告も議会にし、議会がチェックするようにする。今までは、議会だって口を出せないんですよ、教育には。教育委員会に口を出せないですよ、議会は。当たり前ですけれどもね。むしろ、議会においてちゃんとチェックできるようにしようというふうに言っているわけです。

 例えば、大阪で不幸な事件が一昨年ありました。桜宮高校の体罰、自殺事件ですね。あれは、皆さん、日本人はすぐ忘れやすいから忘れちゃっているけれども、去年の今ごろは大変だった。なぜかというと、入試を中止したんですよ。覚えておられますね。

 入試を中止して、橋下市長が大英断を下したんだけれども、当時、矢面にめちゃくちゃ立ちましたよね。それは、入試を中止したら今まで勉強してきた子供たちがかわいそうじゃないかと、わあっとやりました。特にメディアはすごかったですね、あのとき。

 だけれども、その後どうなったかといったら、入試を中止して、普通科の方の定員枠を広げて、子供たちの門戸を閉ざさないようにしつつ、橋下市長がやりたかったことは何かといったら、一回その流れを断ち切るということだったんですね。

 すなわち、スポーツ関係の学科というものを、定員を求めない、中止にすることによって、教員を総入れかえしたんですよ、全部。だけれども、あの当時、一番の抵抗勢力は誰だったか。教育委員会ですよ。教育委員会が、そんなことをやったら子供たちがと言っていた。一番の抵抗勢力は教育委員会ですよ。

 では、皆さん、どう思いますか。あのとき、あれだけの事件が起きていながら、教育委員会が問題解決できたと思いますか。

 教育委員会は、さっき申し上げたように、形骸化しているんです。常勤は教育長一人なんです。あとは全部非常勤で、一月に一回、意見を言いに来ているだけの話なんです。意見も言わずに、承認して終わりの人たちなんです。何もやらぬ委員会なんです、教育委員会というのは。

 それに対して、入試を中止するというふうにして、そしてその後、バレーボールの全日本のかつての女子の監督だった柳本晶一さんを招いて、体罰ではない部活、体罰ではないスポーツ指導ということについての改革案を出して、さらには、プロバスケットボールチームの大阪エヴェッサの選手、NBAのかつてのスタープレーヤー、ビル・カートライト、こうした人たちを呼んで、バスケットボールの、当該部活の指導をしたりというようなことをやって初めて、今年度はどうなったかといったら、入試前ですけれども、入試は今、一・八一倍ですか、もうおととし並みの回復になりましたよ、去年は落ち込んだけれども。

 こうやって流れを断ち切って、実際に責任者は誰だ、それは、誰が言われたって、予算をつけている大阪市長である私がやるんだと言って橋下さんがやったからこうなっているんですよ。あのとき教育委員会は何もやらんかったんです。

 こういうことをきちっと踏まえて、先ほどのA案、B案議論、すなわち、B案じゃだめだということを申し上げたわけであります。

 ある意味、政治家が教育に口を挟むことは、何やらそれ自体がもうだめみたいな、こういうのは私は永田町の迷信だと思いますね。もっと言えば、メディアも一緒になってつくっている政治的迷信だと思いますね。

 そうではなくて、冷静に、きちっと責任者を定める。教育委員会が責任者じゃ絶対だめです。それは無責任という状態です。

 その意味では、私たち維新の会は、A案だったら議論できます。A案だったら、一緒になってやろうじゃないか、こういうふうに、これから建設的野党、責任野党としてやっていきますよ。だけれども、B案だったら、全くこれは論外です。

 そこら辺、下村大臣、私たちと議論する気があるかどうか、お答えいただきたい。

下村国務大臣 基本的に、国は議院内閣制、それから、地方においては二元代表制。ヨーロッパは、教育委員会は実際ありませんよね。これは、それぞれの議会の代表者が首長になるというような形で一体的な部分で、日本の地方自治体というのは、首長がある意味では大統領制的な絶対的な権限を持っていますから、その絶対的な権限を持っている首長が、どんな首長が選ばれるかによって、極端な事例に対して阻止できない。その担保をどうするかということで、教育委員会についても、しかし、今のままでいいということではないので、ぜひ中教審の線に沿った与党協議をしていただきたいと思います。

 維新の会においても、積極的な意見をいただきながら、できるだけたくさんの賛同が得られるような取りまとめをしていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

中田委員 先ほど申し上げたように、首長が教育に対して責任を持ったからといって中立性が損なわれるということは、これは非常に短絡的な議論ですから、ここは、文科大臣、よくよく目を光らせて、責任体制というものを首長並びに教育の実務の長が持てるように、しっかりと責任の所在を明らかにしてもらいたい。

 首長が何やらやると教育はひん曲がっていくというのは、これは大きな間違いです。迷信だと申し上げましたけれども、何か昔からいろいろな迷信がありますよ。熊を見たら死んだふりをしろとか。死んだふりをしてもあれはだめなんですよ、逃げなきゃ。お酢を飲むと体が柔らかくなるとか。もうこういうのじゃだめなの。

 何か政治家が責任を持つと言ったら、中立性が損なわれる、こんなおかしな議論はしっかりと排して、そして冷静に、ちゃんとチェックはきくけれども責任者が明確である、こういう体制をつくっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 総理にも感想は伺いたかったですけれども、きょうはもう時間がありませんからこれにて終わりにしますけれども、教育改革、維新の会はもう法案を出したわけですから、一緒になって議論をしていきましょう。そういう意味では、しっかりと我々と議論がかみ合う案を出していただきたいということを最後にいま一度申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

林(幹)委員長代理 これにて桜内君、村岡君、山田君、杉田君、阪口君、中田君の質疑は終了いたしました。

 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日は、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず最初に、総理が、私どもみんなの党との間で、ほかの党もあるかもしれませんが、政策協議を検討していただけるというような御発言があったやに承知をしているところでございますが、そうであれば、私どもの一丁目一番地の政策であります公務員制度改革につきまして、ぜひともいろいろと協議をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

 それはどういうことかと申しますと、これはもう総理あるいは甘利大臣初め皆様方、釈迦に説法ではございますが、この公務員制度が、医療にしろ、農業にしろ、先ほど出ておりました教育にしろ、全ての分野にわたるいわゆる岩盤規制を突破していく非常に強固な土台になるからでございます。これはもう皆様方におかれましては釈迦に説法だと思います。非常に重要な、全ての政策分野にわたる改革、そのもとが公務員制度改革だというふうに承知しております。

 政府案、昨年の秋の臨時国会に出されておられますけれども、政府案よりも私どもの案の方が、総理のお言葉をかりますとドリルで穴をあけていかれるということなんですが、私どもの案の方がより強力なドリルなのではないかというふうに思うわけでございまして、ここの部分について総理のお考えをお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回の国家公務員制度改革法案は、平成二十一年に政府が提出した法案を基本として、国家公務員制度改革基本法の条文に則しまして、近年の公務員をめぐる環境の変化を踏まえて立案したものであります。内閣の重要政策の実現などのため戦略的人材の配置を実現することや、公務員が責任を自覚して誇りを持って職務を遂行できる体制をつくっていくという、改革の目的を適切に具体化したものであるというふうに考えています。

 さきの臨時国会においては、この法案に関して、自民党、公明党、民主党の三党で合意がなされたところでありまして、その内容も踏まえまして、できるだけ早期に成立をさせていただきたい、このように思っております。

大熊委員 私どもと維新の会それから民主党、三党で昨年の秋に出させていただいております幹部公務員法という、公務員改革関連法案のうちの一部なわけですが、これは平成二十二年に野党時代の自民党さんが私どもみんなの党と共同提出した法律でございまして、こちらの自民党の席の中にも、その共同提出者の方がいらっしゃいますよね。

 私どもの案ではなぜだめなのか。もう一回申し上げますと、ドリルが全然強力なんですね、私どもの案として。これはもう霞が関の皆さんからすると困りますよ、こういう強力なドリルで本当に穴をあけられたら。本当に穴があいちゃいますから。大変失礼ながら、政府案では穴がちょっとはあくかもしれませんが、私どもの、より強力なドリルを使っていただきますと、間違いなく貫通できます。

 この貫通できる案では、平成二十二年、自民党さんと私どもと一緒に出した案ではなぜだめなのか。大臣でも結構なので、お答えいただきたいと思います。

稲田国務大臣 昨年の臨時国会において政府の法案を提出して、その上で、委員とは何度もこの問題について、今委員がおっしゃった論点について、国会の委員会で議論をしたところでございます。

 そして、その上で、自民党と民主党と公明党の間で三党合意が成立し、その附帯決議の中で、委員が御指摘になった、例えば、公募の問題、チームで支えられるようにしてほしいというスタッフの問題、天下りの刑事罰の問題、また、幹部候補育成課程の、総理が運用すべきであるというような、そういう委員の御指摘も踏まえて、三党合意が成立しているところでございます。

 委員が最初に述べられたように、規制改革、また行革もそうですけれども、国益の立場から、規制を排し、また事業を廃し、予算を削減した官僚が登用される仕組みをつくるためにも、来春の人事局の設置に向けて、本国会における法案の成立を目指してまいりたいと思っております。

大熊委員 稲田大臣、御用意された答弁はそういうことなんでしょうが、今私が質問したのは幹部公務員法のことなんですね。

 では、幹部を特別職にするという幹部公務員法の肝の部分について、附則に入っていますか。

稲田国務大臣 今、私が答弁いたしましたのは、三党合意に添付をされております附帯決議案の内容について申し上げたところでございます。

 そして、幹部職員を特別職化すべきであるという点についても、これも臨時国会の委員会で随分議論をしたわけですけれども、私たちは、やはり国家公務員法の大原則である能力・実績主義や政治的中立性の堅持というものは幹部公務員についても適用されるべきだという考えから、特別職化することについては今回規定しなかったというわけでございます。

大熊委員 きょうは、テレビを見ている方もいらっしゃって、このややこしい公務員改革の議論は、余りおわかりにならない方が大多数だと思います。

 簡単に申しますと、国家公務員の幹部についてはこれまでどおり一般職とするというのが政府案でございまして、これが、私どもの言葉で言うと、余り力のないドリル。私どもの案は、ここを、幹部ですよ、下の方は違います、幹部については特別職にするんだと。これは強力なドリルでございまして、岩盤規制に穴をあけるどころか貫通をする、こういう案の本質的な違いがあるわけでございます。

 この三党合意、自民党、民主党、公明党さんで昨年末合意された案には、これは入っていない、まさに大臣が答弁されたとおりでございまして、やはりドリルの強度からいうと、全くこれは違う案になっているわけでございます。

 ぜひ、三本目の矢を強力に推進していく、そのためにも公務員制度改革をもう一度見直していただいて、例えば、ちょっと実例を挙げさせていただきますと、これはお答えいただかなくてもちろん結構なんですが、私ども、昨年夏の終わりぐらいに内閣委員会で、自民党の当時の平井委員長のもとで、ヨーロッパへ視察に行ってまいりました。いろいろな目的があったんですが、マイナンバーとか、そのほか。

 その中で、ドイツの内務省へ行ってまいりました。幹部の職員が政権の交代とともに交代するというのは、アメリカだけじゃないんですね。ヨーロッパの多くもそうなっておりまして、ドイツは違うだろう、かたい国だしというイメージを持っておりましたが、ドイツも、丸々交代するような、政治的官吏という仕組みが存在するわけでございまして、現在の首相の前のシュレーダー政権のときに、非常に大きな社会保障改革、労働改革をやったわけでございます。そのときに、ほとんどの幹部は交代、みずからやめた方もいるとおっしゃっておられましたが、ほとんどの幹部が交代して、それで初めて大きな労働改革というものが成立した。

 先ほどの教育改革もそうですし、あるいは医療、あるいはエネルギーもそうでしょう。全ての分野について、やはり局長さん、次長さんを一人、二人かえただけではなかなか進まないというのは、これは皆様方には釈迦に説法だと思います。私なんかに言われるまでもないところだろうと思います。

 であるからこそ、私どもは、幹部公務員法、こういったものを提案して、そしてまた、先ほどの繰り返しでございますが、平成二十二年のときに、自民党さんも部会を通して私どもと一緒に法律を出したわけでございます、野党時代の自民党さんが。それがまた政権に返り咲いたら、これはちょっとドリルが強過ぎるからということでは、ちょっと筋が通らないというふうに、私どもとしては思うわけでございます。

 では、もう一点、稲田大臣にお伺いいたします。

 一般職のまま、シュレーダー政権がやったような大幅な幹部人事の交代をやった場合に、私ども、昨年の内閣委員会での議論では、一人しかできない、いやいやいや、多数できるんだ、こういう神学論争のような法律解釈の議論がありました。それだけ運用、法律解釈が難しい法律なんですけれども、では、仮に、大臣、政府がおっしゃるように、複数できたとして、では、不服申し立てがあって、不利益処分の申し立てがあって、それで人事院が取り消し決定したら、どうされるんですか。お答えください。

稲田国務大臣 特例降任についてのお尋ねだというふうに思います。

 特別職にすることによって、局長をいきなり課長というところまでおろせなくても、一段階、能力が劣っていなくてもおろすことによって、随分柔軟な人事が、人事の入れかえといいますか、内閣主導の人事ができると思います。

 その上で、そういう人事が、人事院によって中立性、公正性という事後チェックにかかる、そしてそれが中立性、公正性に反するということであれば、それは政府のそういった人事が中立公正を欠いていたということになるのではないかというふうに思います。

大熊委員 その場合、人事院の取り消し命令に従うことになるはずなんですけれども、そうすると大変なことになりますよ。政府が決めた、今、稲田大臣がおっしゃられたとおり、中立公正に反する、そういう決定が出た、それに従わざるを得ない、そうすると大変なことになる。

 どういうことかというと、その人事が丸々取り消されるわけですから、そうすると、行政目的、つまり改革ができなくなりますよ。どうするんですか、大臣。

稲田国務大臣 特例降任の制度というのは、能力が劣っていなくても、ほかにいい人を登用したいがために、一つポストを下げる、そういう特例の降任制度でありますから、内閣の意思によって特例降任をした場合、それが中立公正に反するということはほとんど考えられないのではないかというふうに思います。

大熊委員 いや、そんなことないですよ。だからこそ法律まで変えて、一般職のままで降任をさせる、そういうことになったわけでしょう。

 では、そういった不服申し立ては起こらない、あるいは人事院が、そういった判定はないんだ、そういう御答弁ですか。

稲田国務大臣 人事院という制度があって、そして、その人事院が事後的に中立公正に反するというような審査ができるということは、委員おっしゃるとおりでありますけれども、今回、一般職のままで、能力は他に劣っていないにもかかわらず、特例的に降任をさせて、ほかのもっと適性だと思う人を採用するという場合でありますから、それが中立公正に違反するというのは極めて異例ではないかということを言っているわけでございます。

大熊委員 確率的に極めて異例だとしても、私が問題にしているのは、先ほどのシュレーダー政権の例でいうと、多くの幹部を交代させるという事態で、確率が少なくても、その少ない確率がヒットしてしまったら多くの幹部の人事が取り消されるわけですから、危機的な状態になるわけですよ。

 これは大変なことで、一人だけであればまだしも、私の説のように一人だけしかできないなら、その一人の人事が取り消されてもそれほど大きな影響は出ないかもしれませんが、大多数の人事が取り消されてしまうわけですから、確率が小さくても、おっしゃるように確率は小さいかもしれない、だけれども、ある意味では金融危機と同じように、起こったときには大変なことになるんですよ。どうされるんですか。

 そういうことがないように特別職にしていこうじゃないかというのが私どもの案なんです。確かに、めったに起こらないんです。でも、めったに起こっちゃったら大変なことになるよ、これは本当に危機的なことになるよということを申し上げているので、もう一言、御答弁をお願いします。

稲田国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、今回の特例の降任というのは、能力は全く劣っていない、しかし、ほかのいい人を採用するために、そのポストを、無理やりというか、あけて、そして、政府がそこに採用するわけであります。そして、人事院は、事後的に、中立公正という立場から、本当にそれが全く理由のない、えこひいきの全くおかしな判断であった場合には、人事院がそれを取り消すということはあり得るでしょうけれども、今回の制度の趣旨からして、それは極めて例外であるというふうに考えているということでございます。

大熊委員 あと十分しかないので、経済の話に行こうと思いますが、ちょっと今の答弁では全く話がかみ合ってございませんので、ぜひ次にまた続きを内閣委員会の方でさせていただきたいと思いまして、予算関連で、経済の方に行きたいと思います。

 先週末からきょうの午前中、ちょっと戻すと思いましたが、金融市場が大変下落をしております。金曜日の議論では、株は上がっているけれども、それが実体経済あるいは中小企業に波及していないんじゃないか、そういった議論がなされたやに承知しておりますが、そもそも、その前提である、市場が順調に上がってきたという前提そのものがことしに入って大きく崩れております。

 財務大臣もよく御存じだと思いますが、外人投資家は、現物、先物ともに三週続けて売りでございまして、この状況、つまり期待をどうやって実際につなげていくんだという、その期待そのものが剥がれてきているんじゃないかなというふうに市場は見ている。私が見ているというより、市場がそういうふうに判断しているというふうに思わざるを得ないんですが、この点、どのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えをいただきます。

麻生国務大臣 月曜日に四百円下げて、水曜日に四百円上げたんですかな。金曜日に四百円また下げた、大体そんな、私はちょっと正確な記憶じゃないんですけれども、そういった形で、動きが激しいということで、いろいろな分析がなされております。

 お断りしておきますけれども、財務大臣がこれにコメントすることはありませんから。そこのところだけ頭に入れておいていただいて、引き続きこれは注視してまいりたいという以上にお答えのしようは、私の立場としてはございません。

大熊委員 水準だとか変動率については、それは大臣のお立場でお答えになれないだろうと思いますが、私が想定しておったお答えとしては、新興国市場が混乱しているからだ、こういうお答えになられるのかな、後ろの方はそんなようなお答えを準備されるのかなというふうには思ったんですが。

 諸外国、新興国の市場の混乱に対して、日本以外の国は余り下がっていないんですよ。ニューヨーク・ダウは五・二九%、それから、ドイツ、ヨーロッパのユーロ五〇〇という指標がマイナス一・六九%、ナスダックは一・七四%しか下がっていないのに、日経平均は八・四五%、先週の金曜日の終わり値時点ですね。きょうさらに二百円下がっておりますから、もっと下がっている。

 これは、新興国によるという、これでは説明がつかないわけです。つまり、ほかのアメリカやヨーロッパは余り下がっていないのに日本だけ下がっている。つまり、期待が剥がれているというか、期待が持ち上がったので、その重力でもって、剥がれた以上に下へ行っちゃっているんじゃないかという懸念があるわけでございまして、ここを、先ほどの議論のとおり、岩盤規制をどうやって粉砕するかというところにやはりかかっているんだろうというふうに思うからこそ、先ほどしつこく公務員改革の議論をさせていただいていたわけなんですね。

 ついては、こういった岩盤規制を突破できたとしたら、やはり国主導の経済から民間主導の経済に自律的に転換できる、そういう構造にしていかなきゃいけないんだというふうに思うわけですね、これは当たり前だと思うかもしれませんが。

 であれば、今回の補正予算、この中にどういった手当てが政策的になされていらっしゃるのか。どうも、どうしてもこの経済対策、消費税が上がる、それをカバーしなきゃいけない、短期で経済対策できるような、そういうお金をつけなきゃいけない、だから、午前中も出ておりましたが、基金にお金を積もう、あるいは、後で申し上げます官民ファンドにお金を積もう、そういうことになってやしないか。

 例えば、官民ファンドなんというのは、民の自律的な経済成長というよりは、もう官主導の経済そのものではないかなというふうに私ども考えているところでございます。どうやってこの民間主導の経済、自律的な経済に転換できる、そのための施策がこの補正予算に入っているのか、御教示いただければと思います。

甘利国務大臣 日本経済を動かすのに、政府の予算規模だけで回っている経済ではなくて、五百兆のGDPそのものが大きく動いていくということが大事で、これは民間の貯蓄が投資に向かっていく、規模が違うわけであります、政府予算と民間貯蓄が投資に向かう規模は違いますから、その好循環をうまく回すようにするわけであります。

 対策全体では、税制がありますし、予算もあります。税制で民間投資が進んでいくような環境整備をいたします。予算で、雪だるまに例えて私はよく言いますけれども、最初の一転がしを押すような予算をつける。

 というのは、税制で対応できないような中小企業に対しては、設備投資を支援するような補助金を出す。これを量も質も拡大して、今まで使えなかった分野にも使えるようにするとか、あるいは基礎研究、国の基礎研究と民間の実用研究を結びつけさせるために、司令塔機能を強化して、そこに予算をつける等々、あるいは、企業収益が上がった企業はそれを賃金や下請代金に反映させていく。そういうことを通じて、最初の一押しをして、それがやがて好循環となって、自律回転をして、拡大していくようにしていくというふうに考えております。

大熊委員 あと時間が数分しかないもので、御質問というより、私の考えとしては、やはり諸外国に比べて、経営力の強化、構造改革、これをやっていく必要があるんだろう。

 昨年の本会議でも申し上げたわけなんですが、ROEだとかROA、資産収益率が、我が国の企業は非常に低いんですね。これは誰に責任があるかといえば、やはり経営者に責任があるんですね。これが、諸外国、ヨーロッパやアメリカに比べて非常に低い。ここにメスを入れるということは、政府の方から経済団体にはそういうお話というのはなかなかしにくいのかもしれません。まあ私どもは野党なので勝手なことが言えるのかもしれませんが、お伝えしておきたいなというふうに思います。

 ちょっとあとは時間がございませんので飛ばさせていただきまして、今回の補正の規模、五・五兆ぐらい、経済対策としての補正ということになるんでしょうが、これによる経済効果はおよそどのぐらいと見積もっていらっしゃるのか、教えていただければと思います。

麻生国務大臣 今どれくらいの試算が出されているかということですけれども、今お尋ねになっておりますところにつきましては、いわゆる民間のシンクタンク等々で、このマイナスになるところが約一・八兆円ぐらいというような位置づけになっております。

 私どもとしては、そういったものによる反動減というのを抑えて、それをさらにカバーするというところをやっていかないかぬのだと思っておりますので、私どもとしては、それを抑えて、五・五兆やることによって、その分をどれくらいカバーできるかということに関しましては、数字的に今これぐらいということをきっちり申し上げられるわけではありませんけれども、少なくとも、ここのところの成長軌道にいち早く戻していくというところに、物づくり等々の予算等々、四月以降に速やかに予算が動けるようなもの、役所に出向されたので御存じだと思いますが、あらかじめしておかないと、四月以降、はいスタートといったって、そこから公示して業者を決めてなんてやっていたら、とても時間がかかりますし、なかなか決められませんものですから、そういったものを考えますと、緊急にやっていく、四月以降にすぐ事が動いていくということになりますと、補正で組んでおいて、その中で、明細がきっちり今出せるわけではありませんので、基金という形でやらせていただいているというように御理解いただければと存じます。

大熊委員 政府の方で数字は計算していないのか、出せないのか、よくわかりませんでしたが、民間のエコノミスト等の試算によりますと、大体二・五兆とか三兆とか、まあ大体そのぐらいなんですね。つまり、五・五兆の半分ぐらい、〇・五倍です。これは、普通の、乗数効果と言われるもの、これは一倍以上のはずなんですね。ところが、〇・五倍とか〇・六倍ですから、これはあり得ない低さなんです。

 これは、政府の経済対策の中身が悪いというより、政府の問題じゃないんです。先ほどのとおり、日本企業の構造の問題なんです。

 私は新語をこの場で申し上げてしまいますが、除数効果なんです。乗数効果じゃない。割り算の方の除数、〇・五倍。政府のこの五・五兆の中身にいろいろけちをつけるんじゃない、そういう趣旨じゃなくて、除数効果になっているのは、構造が悪いんです。

 つまり、血管が目詰まりしている。そこにどんどんどんどん輸血をしていっても、輸血した分の半分しか効果にならない、こういうことで、これはマクロ経済のケインズ的な常識ではあり得ないんですね。

 なので、まずここのところを何とかしなきゃいけないということで、ちょっと時間が過ぎましたので、一言だけお願いいたします。

麻生国務大臣 内閣府の試算ですので、財務省と言われると困るんですけれども。

 内閣府の試算ですけれども、この経済対策の効果としては、GDPのおおむね一%程度引き上げるということを見込まれております。

 御存じのように、GDPは約五百三、四十兆だと思っておりますので、その一%で約五・四兆円ということになろうかと存じます。

大熊委員 では、その試算の計算方法、どういったモデルを使ったのか等々を、また頂戴したいと思います。

 以上で終わります。

林(幹)委員長代理 この際、佐藤正夫君から関連質疑の申し出があります。大熊君の持ち時間の範囲内でこれを許します。佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 本日、質問の機会をいただきまして、本当に各党の皆さんに感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 まず最初に、我々みんなの党は、増税する前にやるべきことがあるだろうと言い続けてまいりました。先週の金曜日に、安倍総理は、まず、国会議員みずからが身を削る定数削減の問題に対して、国会議員同士で決められないんだったら第三者機関で決める、多くの国民は拍手を送ったと私は思います。その中で、総理は、「あえて自由民主党が一番身を切って、身を切ってこの案を出そうという決意をしたところであります。」と。

 昨年、私が十月の予算委員会で、国会議員の歳費の引き上げストップについての見解を尋ねさせていただきました。そのとき、総理は、歳費削減の期限切れ以降のことについては、国会議員の身分にかかわることなので、自身は行政の長なので、行政をチェックする国会議員の身分について踏み込んで話をするのは控えておいた方がよいと思います、こうお答えになりました。

 しかし、総理、定数削減、あれほどまでにかたい決意を述べられました。すぐできること、それは、四月三十日から国会議員の歳費カットがもとに戻るわけでありますが、どうでしょう、総理、これを延長する、そういうお気持ちはありませんか。

安倍内閣総理大臣 国会議員の歳費につきましては、今委員がおっしゃったように、これはまさに議員の皆さんで決めることであります。私も議員ではありますが、しかし、政府と政府をチェックする院というのは緊張関係にあるものでありますから、国会議員の身分について、私が、例えばそれを半額にしろとか、そういうことは慎まなければならないわけでありまして、まさに院において御議論をいただきたいと思います。

 ちなみに、閣僚の給与は二割カットしております。それはそのままでありまして、私自身は三割カットしているということは申し添えておきたいと思います。

佐藤(正)委員 だからこそ、我々国会議員も身を削るべきであります。

 十月のときにも申し上げましたが、民主党も、公明党も、維新の会も、我々みんなの党も、歳費カットをするという公約を掲げて選挙を戦っております。どうぞ、自民党総裁として決断をしていただければと思います。

 これ以上申し上げても前に進まないとは思いますが、国民の皆さんはそれを期待していることを申し上げまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。(発言する者あり)この話をすると、絶対左側からやじが飛ぶんですね、自分だけ返上しろとかね。まあ、その考えもあるかもしれませんね。

 では、次に移ります。

 きょうは、NHKの会長や経営委員長など、わざわざおいでいただきまして、ありがとうございます。

 そこで、まず官房長官にお尋ねをさせていただきたいんですけれども、平成十九年一月に、当時総務大臣だった菅大臣が、NHK受信料支払い義務化とあわせてNHKの受信料二〇%引き下げを提唱されましたが、その経緯について簡単に御説明願えたらと思います。

菅国務大臣 私が総務大臣に就任する前の年に、政府・与党の中で、NHKの改革を推進する、その上で、受信料の引き下げ、また義務化について検討するということが行われておりました。

 当時の状況というのは、NHKのたび重なる不祥事によって、NHKそのものが国民の皆さんから非常に不信を買っていた。そしてまた、受信料の徴収体制というのが非常に不明朗であったというふうに私は判断をしたんです。

 当時、NHK側の、いわゆる支払う母数というのは五千万世帯ということでありました。しかし、住宅の数は、これは国交省ですぐわかりますから、五千四百万世帯でありました。そして、その五千万世帯の中で四百万が減免されていた。もっと言いますと、四千六百万世帯の中の七割の方がNHKに対して受信料を納めていただいていたという状況でありました。

 しかし、さらに、あるいは事業所もあります、さらにホテルもあります。当時、全国展開をしているあるホテルの業者は一銭も払っていない、そういうことも発覚をしました。

 そして、さらに、その料金を徴収する、当時の職員の方は五千六百人いたんです。そして、その中の平均の給与が六百万を超えている。ある意味では、常識としては考えられない。

 そういう状況の中で、私は、NHK改革を推進することによって、料金二割、これはカットできる、そのことをセットとして、大臣として私は申し上げたところであったんです。

 しかし、残念なことに、当時のNHKの会長は私の提案を拒否いたしました。そしてまた、当時の経営委員会の委員長は、このことについて非常に改革を進めていただいた。その結果として、平成二十四年十月より受信料七%値下げ、これはNHK始まって以来だと思いますけれども、このことが実現した、そのように承知しています。

佐藤(正)委員 今御説明いただいたように、経営委員会とNHKと、かなりけんけんやったそうですね。

 今現在、七%。本来は、一〇%という約束がありました。当時の福地NHK会長は国会答弁で、「我々執行部といたしましては、一〇%の還元は受信料一〇%の値下げだというふうに、私どもは理解をしております。」こう述べられているんです。ところが、今、菅官房長官が言われたように、実は七%であります。

 では、どれだけNHKが努力をされたのか。

 例えば、今パネルでお示ししましたように、NHKの役員報酬等、職員給与等を見ていただければ、会長に至っては、何と安倍総理よりも高い給与をいただいていますし、まだまだ、この数字を見ただけでも、改革の余地はあると私は思います。

 そこで、NHKの会長にお見えになっていただいていますので、会長に、まだまだ改革するところがないのかどうか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。

籾井参考人 まず最初に、NHKの会長としての公式会見の場において個人的な見解を発言したことは、不適切であり、大変申しわけなく思っております。その場で取り消させていただきましたが、誤解を招いてしまったことについて、深く改めておわび申し上げます。

 個人的な意見を放送に反映することは断じてありませんし、放送法に基づいて、不偏不党、公平公正、表現の自由などの原則をしっかり踏まえ、放送を行ってまいる所存でございます。

 先日の会見でも申しましたけれども、次期経営計画については、これから検討していく段階にあります。現在の取り組み状況や技術面の進展などについてしっかり研究した上で、考えさせていただきたいというふうに思っております。

佐藤(正)委員 就任されたばかりでありますからそういう御答弁になるんだろうと思いますが、菅総務大臣が言われたように、実は、NHKというのは、からくりをつくっているんですね、七%しかできないという。

 では、一〇%のお約束をしていながら、その三%はどこに行ったのかというと、このパネルにありますように、いわゆる全額免除、それから、震災における設備投資というふうに書いてあります。これが約三%だ。では、その三%のお金は三年間で幾らになるのかというと、五百八億円が国民とお約束をした一〇%のうちの三%に当たるわけなんです。

 ところが、決算が確定しているのは二十四年度ですから、この二十四年度の決算を見ていただくと、もともとNHKが言っていたのは、予算を組んだときに、二十四年度はプラス・マイナス・ゼロになるという計画案なんですね。ところが、決算をしてみますと、何と百九十五億円黒字になっているんです。

 先ほど申し上げた五百八億円を三年間で割る、まあ、三で割りますと、大体百七十億円あると実は還元できるんです。ということは、実は財源はここにある。これが一つのからくりであろうと思います。

 と同時に、実は、NHKは、経営安定化資金、経営を安定するための資金が要るということで、何と二十三年度末には千四百四十一億円もの積立金を持っているんです。千四百四十一億円ですよ。そして、当初の計画では、二十四年度はプラス・マイナス・ゼロになる、二十五年度はマイナスになるだろう、こういう計画案を出しています。ところが、実態は、あけてみたら、一年間で百八十億円プラスがある、そして千四百四十一億円もの積立金も持っている。そしてまた、今回のからくりはなぜかと申し上げますと、この積立金が建設積立金に、急遽、二十四年度には振りかえられているんです。

 そこで、籾井会長が記者会見で申された、例えば、この記者会見において、記者の方から、新しい放送センター、建設の前倒しを考えているということですけれども、三千四百億円という建設費、この手当てを何となくでも、お考えになっている目算みたいなものがあればお聞かせください、また、三千四百億円の建設費について、民放の建物と比べて若干高いという批判が出ているようですけれども、それに対して何か御反論があれば、こういう質問に対して、私は正しい判断だと思うんですよ、籾井会長は、どこに建てるかも決まっておりません、つまり何も決まっていない、そういう中で三千四百億円ですか、という数字がどうやって出てきたのか、ちょっと私個人は承知していないんですと。そして中略しまして、場所も決まっていないのに、三千四百億円というのは、ただやはりぱっと見積もったものだというふうに言われています。

 そのとおりだと私は思いますよ。こう判断されるのが当たり前だと思います。

 ですから、本来、消費税増税をして、NHKの受信料がまたまた三%賦課されるわけです。しかし、国民の皆さんとお約束をした三%をまず還元することを先に考えるのが当たり前だと思いますが、経営委員長、どうでしょうか。

浜田参考人 お答えいたします。

 経営委員会といたしましては、現在の経営計画を策定する際に受信料の一〇%還元を約束いたしましたことは、重く受けとめて議論を開始いたしました。

 しかし、その後、東日本大震災の発生などNHKを取り巻く環境が大きく変わり、いかなる災害時にも対応するための放送機能の強化などに経費がかかることから、何度も議論した末に、受信料の値下げについては、執行部との議論の到達点は七%でありました。

 放送センターの建てかえや東京オリンピックの放送実施、また国際放送の充実など、公共放送としての使命達成のために行わなければならない業務は拡大しております。また、日本経済がデフレから脱却しつつあり、制作コストの上昇等も考慮すると、消費税率の変更分は現行の受信料額に適切に転嫁すべきものと考えております。

佐藤(正)委員 NHKは、皆様のNHKと胸張って言っているのに、お約束したことを努力もせずに、実行しない。先ほど菅官房長官が言われたように、まだまだNHKは努力するべきことがたくさんあります。

 そしてまた、建設積立金においても、幾らかかるかもわからない。会長が言われたとおりですよ。どこに建てるかもわからないのに、三千四百億円という数字がなぜ突然出てくるのか。

 ましてや、経営安定化のための積立金が実際幾ら要るのか。これも総務委員会でお聞きしましたが、大体、一年間の受信料の総額の約一割、プラスまた一割ですから、一・一ですよね。そうすると、大体七百億円ぐらいなんですよ。

 ところが、先ほど申し上げたように、平成二十三年には一千四百億円を超える安定化の積立金もある。どこにどういう根拠があって積み立てをやっているのか全く見えない。となると、操作をしやすいのは、まさにこの積立金で操作をする。そしてなおかつ、連結決算で見ますと、二十三年度は何と二百億円を超える黒字なんです。

 こういった事実があるにもかかわらず、経営委員会はもう少ししっかりやっていただかないと、前の前の経営委員会はかなり強く議論をして、NHKの方にも聞きましたけれども、かなり際どい議論をやりました。もう一度それぐらいの議論をやったらどうですか、国会でせっかくお約束して、国民に約束をしたことなんですから。

 再度そのことを強く要望したいと思いますが、会長、最後、答弁願いたいと思います。

籾井参考人 この二年間、値下げの影響、減収影響を最小限にとどめようと、全組織を挙げて、営業業績の確保に努めるとともに、支出の抑制を図ってまいりました。黒字確保に努めてきたと聞いております。

 このような経営努力によって確保しました事業収支差金につきましては、経済状況の急変による収支の不足に対応するために備える財政安定のための繰越金に充当するとともに、老朽化が進みます渋谷放送センターの建てかえなどの建設積立金に繰り入れる考えでございます。

 こうした対応は、公共放送の使命を果たす上で必須だと考えております。

佐藤(正)委員 時間が来ましたので、これで終わりますが、会長、この記者会見の発言、これが真実だと思いますので、しっかり、NHKをよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

林(幹)委員長代理 これにて大熊君、佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 柿沢未途でございます。よろしくお願いします。

 安倍総理、先日の本会議の施政方針演説で、安倍総理の演説を聞いて、おおと思ったところがあったんです。それは、安倍総理が永代橋の話をしてくださったことなんです。

 私の地元の江東区深川の町を象徴するのが永代橋という橋でございまして、江戸のころは大川と呼ばれた隅田川、その隅田川にかかる青空のような澄み切ったアーチ形のブルーの永代橋は、国の重要文化財にも指定されております。

 江戸の三大祭りの一つである富岡八幡宮の本祭り、みこし連合渡御、クライマックスがこの永代橋なんですね。各町会みこしの五十三基がワッショイ、ワッショイ言いながらあの永代橋を渡って、隅田川を渡って、門前仲町、富岡八幡宮のお宮に戻ってくる、これがお祭りの最後のクライマックスなんですね。

 永代橋の先には富岡八幡宮があり、その先には木場という町があります。伝統的に木材業の町で、今は材木屋さんというのは新木場というところに大方移転をしてしまっておりますけれども、しかし、江戸から続く木の町としての色彩を色濃く残している町です。

 この江東区に、二〇二〇年、東京オリンピックとパラリンピックがやってくる。オリンピックの二十八競技中十五競技が、私の地元でもありますが、江東区で開催をされるということで、地元の皆さんは大変期待感で胸を膨らませているという状況でございます。

 古来、日本文化は木の文化でした。神社仏閣、おみこしも、また人の住まいも、全て木の文化です。そこで、オリンピック施設も国産材初め木造でつくったらいいじゃないか、こういう利用を進めよう、こういう機運が高まっている状況なんです。

 思い出すのは、一九九八年の長野オリンピックなんですけれども、私は当時、NHKの記者として、先ほど籾井会長お見えでございましたが、別の案件でございましたけれども、しかし、これからソチ・オリンピックがありますけれども、一九九八年の長野オリンピック、私はNHK長野放送局の記者として、現場でオリンピックの取材をさせていただきました。

 オリンピックではスピードスケート会場、パラリンピックでは開会式の式場となったエムウエーブという建物が長野市にあります。これは、写真のパネルで見ていただくとわかりますけれども、信州の山並みを象徴した、非常にユニークな外観、建物です。内装は、ごらんのとおり、信州産材のカラマツの間伐材、これを集成材にして、そして、当時例がなかった大型のつり天井にして利用した、こういうものであります。

 戦後の植林でカラマツというのはふえていったんですけれども、これは、住宅等の材としては、ねじれたり、曲がったり、狂ってしまうので、なかなか使い道がなかったんです。しかし、エムウエーブでの利用を一つのきっかけにして、集成材としての利用が進むようにもなりました。そういう意味では、カラマツの利用という意味でエポックメーキングな建物が、この長野オリンピック会場となったエムウエーブでもございます。

 平成二十二年には、公共建築物における木材の利用の促進に関する法律が制定されておりまして、国や地方自治体が率先をして木材利用の促進を進めていく、こういう方針が示されております。

 オリンピック施設も、国や都が建てるわけですから、これは公共建築物の一つと言っていいんだというふうに思います。法律の趣旨も踏まえて、東京オリンピック・パラリンピック、二〇二〇年の競技施設、また選手村の整備に当たって、こうした木材利用を積極的に進めていくべきだと私は考えます。

 全部が全部木造というわけにもいかないかもしれません。一つぐらい、こういうエムウエーブみたいな木造の施設をつくっていただきたいなとも思うんですけれども、しかし、全部が全部木造とはいかなくとも、例えば、内装に木を使うとか、あるいは欄間のような建具をあしらってみるとか、こういう利用の仕方がいろいろとあって、これはまさに、木の文化の日本文化を生かした、世界じゅうのお客様、アスリートのおもてなしの仕方の一つだ、こういうふうに思います。

 これはまさに、国の方針として、ぜひオリンピック、パラリンピックに当たって進めていただきたいと考えますが、安倍総理、見解をお伺いします。

    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕

安倍内閣総理大臣 大変いい御提案だと思います。

 私は、小さいころ、材木町というところに住んでおりました。しかし、今、木材について言えば、なかなか数字も含めて非常に厳しい状況になっているわけでございまして、森林を維持していく上においても、しっかりと国産材が活用される、そういう状況をつくっていくことによって美しい山を守っていかなければならない、こう思っているわけでありますが、その中におきまして、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの主要施設の整備に木材を利用するということは、国内外の人々に木のよさをアピールする絶好の機会となるのではないか、このように思います。

 木材の利用促進についての理解も効果的に図られるのではないか、こう思うわけでありまして、このことを契機に木材の利用促進が図られていけば、地域経済の活性化や、森林の有する国土保全、水源の涵養等の多面的機能の発揮に貢献し、安倍内閣で掲げております、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村の実現にも資するものと考えております。

 このため、今後整備される各種施設については、農林水産省と文部科学省、東京都等との連携を密にさせまして、木材利用の促進に取り組ませていきたい、このように思いますし、同時に、やはりしっかりと森林を守るためにも努力を重ねていきたい、こう思っているところでございます。

柿沢委員 安倍総理、施政方針演説の永代橋に続いて、地元の皆さんは喜ぶと思いますよ、これは。本当にありがとうございます。大変力強い御答弁をいただきました。

 そういいながらも、実は、二〇二〇年のオリンピック、パラリンピックの関連施設のうち、国が国費を投じて建てるというのは国立競技場だけなんですよね。その他の施設は、基本的に東京都の負担で建設をすることになると思います。

 したがって、施設建設の基本方針やガイドラインをつくるに当たって、下村オリンピック担当大臣・文部科学大臣、組織委員会会長の森元総理、あるいは、今度誰になるかわかりませんけれども、東京新都知事、竹田JOC会長等、例えば四者による調整会議をされると思いますけれども、こういう場において、新都知事に対してオリンピック担当大臣から提起をしていただく必要があると思うんですけれども、大臣の見解をお伺いします。

下村国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 先日も、柿沢委員地元の江東区の山崎区長から、ぜひ木材を使ったオリンピック競技施設をつくってほしいという要望を受けました。

 地元では、既に、オリンピックビレッジプラザ、これは選手村に隣接するところですが、ここは、日本の伝統的な建築様式を取り入れ、木材を使用するということを東京都も決めているようでございますし、また、御指摘のように、国立競技場においても、内装等は木材を積極的に使いたいと思いますが、これから、組織委員会の調整会議等で、きょうの御意見を踏まえて、日本的な木造建築をぜひこの競技施設の中で積極的に活用するように、私の方からも申し入れをしたいと思います。

柿沢委員 ありがとうございました。

 このエムウエーブのようなエポックメーキングな競技施設を、ぜひ実現を期待したい、こういうふうに思います。

 続きまして、では、補正予算案の中身の話に入ります。

 補正予算の分厚い予算書を手元に持っておりますけれども、補正予算を組める場合というのは、言わずもがなですけれども、財政法上に規定があって、これこれの場合に限り補正予算を作成することができると明確に書いてあるわけです。

 財政法二十九条、引用しますが、

  内閣は、次に掲げる場合に限り、予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。

 一 法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合

 二 予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合

こういうことであります。

 さて、今回の補正予算案ですけれども、この財政法二十九条に定められているような、予算作成後に生じた事由に基づいて特に緊要となった経費の支出、このような支出項目のみによって編成されている、こういうものだということでよろしいでしょうか、財務大臣。

麻生国務大臣 財政法上、二十九条は今お読みになったとおりなので、これに伴いまして、平成二十五年度の補正予算というものの内容ですけれども、これは、昨年の十月に、消費税の税率引き上げ判断というのが行われております。それに伴いまして、昨年十二月に閣議決定をされております好循環実現のための経済対策というのを実施に移すために編成したものであります。優先順位の一番はこうです。

 このため、本補正予算案では、消費税の引き上げを本年四月に控えておりますので、まさに緊急に必要となります消費税引き上げに伴います経済の反動減を緩和すること、そして、経済を成長軌道へ早期に復帰させることを目的とした施策を限定して計上していると御理解いただければと思っております。

 本年四月以降、早期に需要拡大を発揮させることができると考えておりまして、内容につきましては、競争力の強化、また安全、安心等々、低所得者の影響緩和、駆け込み需要等々、いろいろ書いてあるのは御存じのとおりです。

柿沢委員 つまりは、財政法二十九条に照らして、いわゆる特に緊要となった経費の支出、こうしたことによってのみ構成されている、こういう御認識ということでよろしいですね。

 では、具体的に聞いてまいりたいと思います。

 補正予算案、総額五・四兆、これは切り下げておりますけれども、とにかく、やはり今回、先ほども質疑者からいろいろ出ておりましたけれども、基金の造成や積み増しが多いことに気づかされます。五・四兆の中に、合わせて四十九件、一・二兆円を超す基金事業が入っております。

 これは、基金というのは、使うときに備えてあらかじめお金を積んでおく、こういう趣旨のものを基金というわけですから、支出時期というのはそもそもはっきり確定をしない。そういうことは、そもそも緊急性というものが余りない、財政法の言う、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出というものには当たらない、補正予算にはなじまないものなんじゃないかということがかねてから言われているものであります。

 今回の補正ですけれども、下に書いてありますとおり、これらの基金が積まれております。森林整備加速化・林業再生整備費の都道府県の基金の積み増しというのが、ことしも補正に五百三十九億積まれているわけであります。

 先ほどのお話を聞いていただければわかるとおり、私は、林業再生あるいは木材の利用、こういうことについては前向きな人間だと思っています。しかし、平成二十四年度当初予算になかったものが、昨年の補正でも九百億ぼんと積まれて、これは何だということで予算委員会で取り上げた、そうした経過があるものです。平成二十五年度も、当初予算では、この基金、計上ゼロが、いきなり五百三十九億円、ことしも補正にあらわれてまいりました。しかも、去年の予算委員会で私、指摘をさせていただきましたけれども、この森林整備加速化・林業再生の基金事業というのは、木造公共施設やバイオマス利活用施設等の整備に補助を出す、こういうものでありますが、最近では、復興予算が千四百億ここに入ってきて、林道の整備に使われた、流用じゃないか、こんなことも言われたりもしました。

 これは、費用対効果の積算が根拠不明な数字に基づいている、こういうふうに会計検査院が平成二十三年度決算検査報告で厳しい指摘を行っているものであります。

 いわく、例えば、木造の保育園をつくりました、そこに来る人が、ああ、木材はいいな、木造はいいな、こういうふうに感じて自分で木造の家を建てる、こういう需要誘発効果というのを、来た人千人当たり一人、〇・一%、こういうふうに算定をしています。しかし、この千人に一人が、来た人が木造の住宅を建てるというこの積算の根拠というのは全く何も示されていない、根拠不明だということを指摘されています。

 しかも、保育所のケースですけれども、子供を毎日送り迎えする親御さんの何と延べ人数を利用者数にカウントしていて、利用者数を、毎日来る人たちですよ、二万人分もこれで膨らませていたというんですね。

 さらに、木造公共施設をつくると、同じような木造の公共施設を建設したいという例えば自治体やあるいは民間事業者があらわれて、木造公共施設の建設を誘発するということで、この誘発割合を一施設当たり〇・七八施設という算定をしていたんですけれども、これも算出根拠は不明である、こういうふうに指摘をされております。

 こういう根拠不明な費用対効果の積算をやっていた事業に計百四十億円近くの補助金が基金から支出されていた、こういう指摘をつい十月に受けたばかりなのに、まるで関係ないかのように、平成二十四年度、昨年度の補正予算に九百億円も基金の積み増しをやっていたわけであります。これはおかしいじゃないかということを、昨年のこの予算委員会の補正予算の審議で御指摘をさせていただきました。

 今回の補正予算、平成二十五年度の補正予算を見たら、この予算書に、またこの基金事業に五百三十九億積んであるわけです。これはどうなっているんでしょうか。どういう見直しを行って、そしてこの五百三十九億円を積んだのでしょうか。農水大臣、お願いします。

林国務大臣 今お話のありました木造公共施設の整備事業ですが、委員から御指摘が今あったように、会計検査院から、事業を実施する際の費用対効果分析、BバイCについて指摘を受けておりました。地域間の交流が図られる効果額等が適切に算定されていない、今ちょっと具体的に御指摘がありましたが。それから、効果額算定に用いられる係数が検証困難となっていると。

 この指摘を受けまして、昨年四月に有識者会議を設置いたしました。費用対効果分析における各種効果、算定方法、係数等のあり方について検討してまいりまして、今回、補正予算で措置する事業については、有識者会議の検討結果を踏まえて見直す算定方法等により実施をするということにしております。

 具体的には、今お話のありました、例えば、千人に一人、住宅を、地域材需要拡大効果を算出する際の因子、建てたくなるというふうに思うというような因子ですとか、それから〇・七八という係数、こういうものはもう使わない、こういうことにしておるところでございます。

柿沢委員 その見直しの通知をされていることは、私も存じております。平成二十五年四月三十日付で通知をされているわけですけれども、しかし、この通知を見ますと、今おっしゃられた、私も指摘をした、〇・一は使うな、〇・七八は使うな、根拠不明だと言われた数字は使うなということがいわば書いてあるだけなんですよ。

 この五百三十九億について、どういう形で実施要領をつくって、そしてガイドラインをつくって、そして費用対効果の算定をチェックしていくのかというのは、これは農林水産省のお答えですよ、補正予算が成立してからそれを示すんだ、こういうことを言っているわけです。

 これが、五百三十九億、算定として、見積もりとして、これだけがこの根拠で必要だということを根拠立てて言えるものではなくなってしまうのではないですか。つまり、費用対効果の算定をして、本当に正当化し得るような支出にこの五百三十九億が充てられるということが、今、この現時点においてはまだ定まっていないということではありませんか。

林国務大臣 今申し上げましたような、御指摘のあった、会計検査院から指摘のあったようなものについて検討した結果、これは使わないというものもございますが、それ以外の具体的な算定方法等については、耐用年数についてとか、それから交流資源の利用効果、延べ人数の算出や費用の算出等々、それから炭素の貯蔵効果、炭素の排出の抑制効果等々については、別途基準をつくって、そういうものを使いながらきちっとBバイCを出してもらうように、こういうふうにしたところでございます。(発言する者あり)

柿沢委員 今、長妻理事がおっしゃっていますけれども、これを示してもらわなければ、妥当な予算として計上されているものかどうか、チェックができないじゃないですか。

 これを出してもらわなければ、予算の中身の精査という意味では全く不十分で、これでは本当に議論にならないというふうに思いますので、その資料をぜひお示しいただきたい。理事会で協議していただきたいと思います。委員長、お願いします。

二階委員長 後刻、理事会で協議します。

柿沢委員 はい、ありがとうございます。

 そもそも、この基金事業、平成二十一年度に始まって以来、この基金積み増しを何でずっと補正予算で計上しているんですか。毎年補正に計上するんだったら、本予算に組み込めばいいのではないですか。結局、経済対策としてのボリュームをつくらなければいけない、そして、編成期間も短くて査定の甘い、こういう補正予算だからどんと積めるんだ、こういうことで毎年毎年補正でやってきたということなのではないですか。今、手が挙がったので、お答えください。

林国務大臣 これは前回、予算委員会であるいはお答えしたかもしれませんが、平成二十一年度の補正予算から二十二年度の予備費、二十三年度の三次補正、二十三年度の四次補正、二十四年度の補正ということで、それぞれその都度、例えば、二十四年度の補正は、円高基調でございました、したがって、輸入木材に対抗し得る強い林業、木材産業を緊急的に構築すること、そういうもので、これは中にいろいろメニューがございまして、その都度いろいろなメニューを、これは使える、これは使えないということでやってまいりました。

 今回は、先ほど財務大臣からお話がありましたように、消費税率引き上げに伴う木材需要の反動減を回避するということで、補正ということで計上させていただいたということでございます。

柿沢委員 要するに、毎年毎年違う名目をつけて、緊急だといって何百億も積んでいる、こういうことをおっしゃっているのかというふうに思います。それが本当に正当化し得る御答弁なのか、これは聞いている方、見ている方が判断をすることだというふうに思いますが、次に行きたいと思います。

 緊急人材育成・就職支援基金、これは臨時特例交付金として、今回、二百三十三億円の基金積み増しが行われているものであります。これも、当初予算はゼロなのが、補正で二百三十三億です。若年失業者等に職業訓練を行う、そのため事業を行う中央職業能力開発協会、ここに基金をつくっているものです。今回の補正では、短期集中特別訓練事業、民間人材ビジネス活用による労働市場機能強化事業、若者育成支援事業、こういうものを行うために、この二百三十三億を積んでいるということなんです。

 しかし、この基金事業、これまでもいろいろな名目で基金の積み増しが行われてきたんですけれども、使い切れずに余しているケースが多々見られるものなんですね。例えば、成長分野等人材育成支援事業というのがこの基金を使ってやられていますけれども、平成二十二年度補正で五百億円、基金に積んでいるんですけれども、平成二十五年度の上半期まで二年半で、五百億の積んだ基金のうち、わずか六十億しか使われていない。

 この緊急人材育成・就職支援基金、これも会計検査院の指摘を受けていて、つい去年の十月です、公表されたばかりの平成二十四年度の決算検査報告、これで、新規受け付けが終了していたのに国庫返納の措置がとられていない金が二十六億円分もあった、早く国庫返納しなさい、こういう指摘をされております。こうした指摘を受けたものなのか、現に、昨年九月、この基金から七十九億円が国庫返納されています。

 こうやって、ずっと、使い切れない基金事業をやって余してきたんですよ。こういう基金に、なぜ、二百三十三億、補正で新規に積むんですか。お尋ねします。

田村国務大臣 お尋ねの緊急人材育成・就職支援臨時特例交付金、基金事業でございますが、今委員がおっしゃられましたとおり、二百三十三億円、三つの事業の方に今回積み増しをさせていただく予定でございます。

 一つは、今言われたとおり、短期集中で特別教育をやる、これは、中身といたしましては、余り、就職経験の少ない方々、そういう方々に対して、事情等々、例えば就職意欲でありますとか今までの経験、能力、こういうものに応じてきめ細かく訓練をしていくもの。それからもう一つは、民間人材ビジネス業、こういうところを利用しながら、それこそ派遣業で紹介予定派遣、こういうものを使って若者や女性、こういう方々のマッチングを行う事業。そしてもう一つは、地域若者サポートステーション、これはニートの方々に対してきめ細かく対応していって、就職につなげていく、こういう事業でございます。

 これは、今、経済の好循環ということで、これを実現するための今回の補正予算であるわけでありますが、やはり、消費税が上がる中において、特に若い方々が、長期にわたって離職をされるとなかなか職業意欲というものも少なくなっていくということもございまして、これは緊急に対応していかなきゃいけない部分があろうということでございます。あわせて、民間のいろいろな方々に力をかりるわけでございまして、その選定等々にも時間がかかるということでございまして、そういう意味で、今般、このような形で補正予算に上げさせていただいた。

 この中において、先ほど言いました地域若者サポートステーション、これに関して、言われるとおり指摘をいただいております。例えば、PDCAサイクル、これをしっかりと検証する必要があるのではないか。それから、生活困窮者自立支援事業、こういうものも今動いてきておるわけでございまして、これとのすみ分けをどうするんだ。さらには、学校との連携、これはニートの方々に関して学校としっかり連携をすべきではないか。

 こういう御指摘をいただいておりますが、必要な事業ではございますので、そこのところをしっかりと我々も見直しながら、この事業を進めさせていただきたい、このように思っております。

柿沢委員 御答弁をいただきましたが、この緊急人材育成・就職支援基金、この基金事業は、先ほど申し上げたように、数十億円、本当はもっと多いと思いますけれども、こうした基金を余して国庫に返納するような、そうしたことになっているようなものだということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 その上で、この基金の執行状況のペーパーというのがあるんですけれども、これを見ると、職業訓練の基金を、使い切れずに余しているだけではなくて、驚くべき使い方をされていることに気づくんですよ。

 基金を管理している中央職業能力開発協会、この事務所の賃料月百万円、職員二十二名の人件費月一千万円、コピー代、旅費、はたまた日経新聞の購読料。これは、中央職業能力開発協会の運営にかかわるありとあらゆる経費がこの基金から支出されているんです。基金の金でこの協会の運営経費を丸抱えで賄っているようなものなんですよ。

 国民の税金から支出されているこの基金です。中央職業能力開発協会の運営経費にその基金が充てられている。余っているからなのか。

 この中央職業能力開発協会、厚生労働省の天下りや現役出向がいると思いますが、その数をお答えください。

田村国務大臣 これは民間の協会でありますけれども、役員としまして、常勤で中央省庁OBが一名、それから、職員については、現役出向者が十六名と承知いたしております。

柿沢委員 今、一名、十六名、こういうお答えがありましたが、これは厚生労働省の関係、OBと現役出向という話ですから、理事長は厚労省の局長のOB。はい、どうぞ。

田村国務大臣 中身の省庁を申し上げますと、理事長は、厚生労働省のOBが一名、それから、現役出向は、厚生労働省が十五名、内閣府が一名で、合わせて十六名でございます。

柿沢委員 それに加えて、常任理事四人、理事四人、計九人、これが厚労省、経産省、国交省から再就職をされている国家公務員OBでいらっしゃいます。

 ありていに言って、これは正真正銘の天下り団体の一つと言っていいと思います。そこに、職業訓練を名目に、場合によっては使われない基金を二百三十三億流し込んで、そこから経常経費を支出する、これは正当化できるんでしょうか。

 そもそも、緊急人材育成・就職支援事業臨時特例交付金、こういう名目がついていますけれども、余って返したりしているのに、これは、どこが緊急で、どこが臨時で、どこが特例なんですか。平成二十一年度以降、補正で毎年毎年積み増しが常態化しておりますけれども、これは、財政法上認められる先ほどの緊急性、緊要性がどこにあるんでしょうか。これは、見えにくいところで天下り団体にお金を流している、こういうことになってしまっているのではないですか。

 田村大臣、いかがですか。

田村国務大臣 平成二十一年度補正予算時には、リーマン・ショックによる、やはりこれの深刻性ということから、このようなことで基金を積んだわけでございます。

 もちろん、その後、雇用は改善しつつはございますが、今申し上げましたとおり、まだまだ若い方々を中心に厳しい状況があるのは事実でございまして、その時々の雇用情勢というものを勘案しながら、年度の途中で必要なものに関して補正予算で計上させていただいておるということであります。

 おっしゃられたような使い方に関しては、一度整理をいたしまして、これからのことにしっかりと参考にさせていただきたいというふうに思います。

柿沢委員 最後に前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 これは本当に、国民の税金を使って基金の造成をし、それを積み増している。しかも、暫定税率といいながら五十年間続けてきたというのを思い出しましたけれども、緊急、臨時、特例と称して、平成二十一年度からここまで、少なくとも五年間もこの形で続けて、補正で積んでいるわけですね。緊急性があるのか、そして、事業の中身の精査、こうしたことをやはりやらなければいけない時期に来ているのではないか、こういうふうに思います。

 そのほか、ここにも書きましたけれども、法改正して、補正で、科学技術振興機構に五百五十億円の革新的研究開発基金、これを積んで、ImPACTの基金をつくるわけです。ImPACTセンターなるものを科学技術振興機構につくるそうですけれども、これは、事業目的は事業目的としてあると思いますし、それを全否定するつもりはありませんけれども、しかし、これも、文部科学省の天下りや現役出向が計四十九人いる独立行政法人にこの五百五十億を流し込むということになるわけですね。

 こういうものを全てひっくるめて、補正に計上されている基金や運営費交付金、補助金等で、中央省庁のOBや現役出向者のいる独立行政法人や公益法人等のいわゆる天下り団体に対して支出されているのは、今回の補正予算、何法人、そして計幾らぐらいあるんでしょうか。財務大臣、お答えいただけますか。

麻生国務大臣 五十八団体、六千五百億になっておると思います。今、団体の数と総額ですね、五十八団体、六千五百億となっております。

柿沢委員 五十八団体、六千五百億ということであります。

 結局、財政法上、正当化できるかできないかというような不要不急な基金の積み増しをしたり、天下り団体へのいわばミルク補給をしているとしか思えないような支出項目が私から見れば多々見受けられるのが、今回の補正予算の中身だと思うんです。

 麻生副総理、この手法というのは、麻生副総理が総理だったころの平成二十一年度の補正予算、これが始まりで、あのときに十四・七兆の超大型補正を組んで、四十六の基金に四・三兆計上し、そして、あのときもいろいろ指摘をされましたが、天下り団体に補正全体の二割に当たる二・八兆、歳出が流し込まれた、こういうことを言われました。

 この補正予算も、基本的にかつてと全く同じパターンで編成をされている、そして、この仕組みのスタートを切った麻生総理が今財務大臣としてこの編成をされておられる、こういうことではありませんか。財務大臣、御答弁ありましたら、どうぞ。

麻生国務大臣 リーマン・ショックのときを御記憶いただきまして、ありがとうございました。すっかり忘れられている事件にもなりつつありますので。あのときも異常事態だったと思っておりますけれども。

 今回の、今言われました五十八団体の話の内訳は、基金のものに対しては十七団体、三千九百、それ以外のもの、四十三団体で二千六百という数字になっております。

 いずれにいたしましても、今私どもがやろうとしておりますのは、この四月以降の景気の回復というものは、いわゆるアベノミクスによって景気がやっと回復のステップに上ってきたという段階で、我々は同時に財政再建も考慮に入れておかねばならぬという立場にありますので、消費税を上げさせていただくことによって、いわゆる財政というものはきちんとしているんだということを、二律背反するような話である、しかし、状況は、御存じのように、この二十年間、金利がゼロでも人は金を借りないという状況で経済学などというものが成り立ったことは過去一回もありませんので、しかし、そういった状態が起きておるわけですから、それに対して我々はしかるべき手をいろいろやって、いずれもこれまで成功したと言えるものは余りないというのが、この二十年間、我々に与えられた条件だったと思います。

 したがいまして、私どもとしては、今回、消費税を上げさせていただくに当たりましては、いわゆる経済成長力というものをきちんと底上げして、成長軌道へもきちんと戻しつつ、税金もきちんとやらねばならぬ、両方やらねばならぬということになっておりますので、私どもとしては、きちんとした経済成長軌道に乗せていくためにこの補正を組ませていただいたということでありまして、今言われておりますように、中央省庁の出向者の数とかいうものでこの補正予算を組んでいるわけではありませんし、私どもとしては、きちんとした対応をやっていくためには、今すぐ対応ができて、四月以降、直ちに対応ができるものというのであれば、四月に予算が成立してからやるのでは、とてもではないけれども間に合いませんという状況のものに主に重点的にやらせていただくという形で、基金というものに目をつけたということでは確かにあろうと存じます。

柿沢委員 今の御答弁を聞くと、やはり、民間の資金需要がゼロ金利、低金利でも伸びない、だから自分たちが、俺たちが使うしかないんだ、こういうお話なのかなというふうに解釈できますけれども。

 今回の補正予算編成の手法は、平成二十一年度の補正で使われて、その後も続けられてきた手法だということを最後に改めて指摘をしておきたいと思います。

 次の話題に移ります。

 時間もなくなってまいりましたけれども、安倍総理、減反廃止のことについて、きょう、予算委員会で数々の質疑者が取り上げられておりました。世界には、アジア初め、米を主食とする三十億人の人々がおります。減反で生産量を減らし、高い米価を維持していくのではなくて、減反廃止で米の生産をふやして、米価を下げて、世界最高品質の日本産の米を海外市場に輸出できる、価格競争力をつけよう、こういうことだと、簡単に言えば、そういうふうに私は理解しています。

 減反廃止を掲げる安倍総理も、成長戦略というからには、まさに自由な作付による主食用米の例えば増産を目指している、こういう方向性と理解してよろしいでしょうか。

林国務大臣 午前中も議論になりましたが、四十年以上続いてまいりました米の生産調整の見直し、これは、農業者が、先ほども議論になりましたように、マーケットを見ながらみずからの経営判断で作物をつくれるようにするとともに、需要のある麦、大豆、これは自給率一〇%前後でございます、また飼料用米の生産振興によって農地のフル活用を図る、これで食料自給率と食料自給力の向上をあわせて図っていくということでございます。

 具体的には、これまで行政が生産数量目標の配分を行ってまいりましたが、五年後を目途に、行政による配分に頼らずとも、国が策定する需給見通しなどを踏まえながら、生産者や集荷団体、団体、これらの皆さんが中心となって、円滑に需要に応じた生産が行えるように環境整備を進めていきたい、こういうふうに考えております。

柿沢委員 今、林大臣、むにゃむにゃっと答えられましたけれども、結局、主食用米の増産を目指すのか目指さないのかということについては明確な御答弁がなかったように思います。

 今回、補正で、攻めの農業、また水田フル活用、こういうものが出ているのですけれども、いろいろ見てみると、そもそも、都道府県の農業再生協議会に基金をつくって、そこから補助金を出すというような事業、農業再生協議会、お尋ねをする予定だったのですけれども、時間がないので申し上げると、これは、例えば地域農業再生協議会のある市のホームページを見ると、需要に応じた米づくり(需給調整)、減反、これを推進するとともに、国が進めている戸別所得補償の活用を通じて、農業者が行う転作作物づくりを生産現場に最も近い立場から支援する機関です、こんなことが書いてある。つまりは、減反推進機関に対してお金を渡して、そして転作を進めていく、こういう事業になってしまっているのではありませんか。

 水田フル活用についても全く同じで、書いてあるのは、飼料用米、先ほど麦、大豆、ありましたけれども、そうしたものへの転作、そしてそれに対しては、皆さん御存じのとおり、さらに上乗せした補助金を払う、こういうことにも飼料米に関してはなっているわけであります。

 こうした方向性で、本当にこれは攻めの農業と言えるのでしょうか。大臣、最後にお答えください。

林国務大臣 その資料はこの改革の前の資料かもしれません、確認はしておきますが。

 繰り返しになりますけれども、農業者の皆さんが自分でマーケットを見ながら判断をする、これが基本であります。そのための条件整備、環境整備としていろいろなことをやろうと。

 例えば、ほっておけば、飼料米は非常に安いですから、こちらに転作すれば非常に収入が減ってしまう。こういうところに、補助金で誘導することによって選択肢をふやそうということが今回の主眼でありまして、農地のフル活用を図る、これが大変に大事なことだというふうに考えております。

柿沢委員 終わります。ありがとうございました。

二階委員長 これにて柿沢君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、総理に確認をしたいんですけれども、税制についてでありますが、憲法第三十条には「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と定めております。国民に負担を求めるわけでありますから、当然、税の負担は公平かつ公正に行わなければならないと思いますが、総理の認識はいかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 税制につきましては、国民の信頼を確保する上においても、公正公平な制度のあり方を検討していく必要がある、このように思います。

 その際には、公平、中立、簡素の三原則のもと、持続的成長と財政健全化を両立させながら、強い日本、強い経済、豊かで安全、安心な生活を実現することを目指して、あるべき税制のあり方を検討していくことが重要であると考えております。

佐々木(憲)委員 信頼の確保ということで、公平公正なものでなければならないということであります。

 具体的にお聞きをいたしますが、政府は、東日本大震災からの復興のため財源を確保するということで、企業には二〇一二年度から復興特別法人税、個人には二〇一三年一月から復興特別所得税を課しております。

 前提として確認をしておきたいんですけれども、復興特別法人税が導入されたときは、まず、実質五%の法人税減税を恒久的に行った上で、三年間に限り同額の復興特別法人税を課すというものでありました。つまり、それ以前と比べて、企業には実質的な負担増はないということであります。そういう仕組みだったと思いますが、財務大臣、そのとおりですね。

麻生国務大臣 平成二十三年度の税制改正におきまして、これはいわゆる企業の国際競争力の向上やら立地環境の改善を図るという目的のために、法人実効税率というものを五%引き下げるということにしておりました。

 他方、平成二十四年度に導入されました復興特別法人税は、東日本大震災からの復旧とか復興のための財源につきまして、今を生きる世代全体で連携し、負担の分かち合いによる確保をするとの観点から創設されたもので、今も御指摘になったとおり、三年間の期限ということになったと存じます。

 この復興特別法人税は、これは実効税率を五%上げるというものではありませんで、法人税額の一〇%相当の付加税とされたということです。導入時における増収の見込み額は約八千億円。これは、平成二十三年度の法人税率引き下げ四・五%などによるネットの税収見込みとほぼ同額というふうにさせていただいたので、これによりまして、復興特別法人税の導入が企業経営に過大な負担にならないように配慮したというのがそのときの背景だと記憶いたします。

佐々木(憲)委員 企業には過大な負担にならないということで、実際上はそれ以前と負担の額は変わらないという御答弁でございました。

 それを、三年後に廃止するということであったものを、二年後、前倒しして、ことしの四月から廃止する、こういう提案がされているわけです。法人税の減税を行うという提案であります。この減税が行われると、法人税の基本税率は二五・五%になります。復興特別法人税は、今お話がありましたように、年八千億円ですね。したがって、企業にとっては年間八千億円の減税、そういうことになるわけです。その水準が恒久的に続くわけですね。

 一方、個人に対しては、復興特別所得税、これが課されておりまして、昨年一月から所得税納税額に二・一%を上乗せする形で増税が行われて、これは二十五年間続くわけです。ことし六月からは、個人住民税、ここに年間千円の上乗せがあります。住民税の方は十年間の増税でございます。

 この個人の増税分は、二十五年のトータルで幾らになるでしょうか。

麻生国務大臣 復興特別所得税の方は、所得税額に対して二・一%付加課税を課すということになっておりまして、その導入時には年間〇・三兆円ということを言われておりますので、二十五年間で約七・三兆円の増収額を見込んでおったということだと存じます。(佐々木(憲)委員「住民税と合わせて」と呼ぶ)住民税と合わせて。地方税〇・一七兆円、そっちの方は〇・一七兆円だと記憶しております。

佐々木(憲)委員 財務省の説明によりますと、今御答弁になりましたけれども、このパネルを見ていただきたいんですが、最初の二年間、これは下の方の企業ですけれども、これが復興特別法人税を課されるわけです。それが二年だけで、なくなって、毎年八千億円の減税が恒久的に実行される、こういうことになりますね。

 増税がされる個人と同じ二十五年、並べてみますと、企業には約二十兆円の大減税であります。復興のためみんなで分かち合う、こういう話でありますけれども、二十五年をとってみますと、企業には約二十兆円の減税であります。その減税を受けるのは主として黒字の大企業で、七割を占めるのは赤字企業ですから、多くは中小企業、赤字であります。そこには減税が届かない。復興のためという名目で国民には八兆円増税、こういう形になるわけです。

 どうも、企業には二十兆の減税、個人には八兆円の増税、おかしいんじゃありませんか。

 政府税調の議論の中で、昨年十二月二日ですけれども、特別委員がこう発言しております。もう復興ができたのならともかく、できていないのに、なぜ法人税だけ廃止するのか、どうしても皆さん納得できない、まだ復興も終わっていないのに、復興特別法人税のみが三年から二年になる、やはり納得できかねます、応援にはならず、かえって逆なでする、私はこれについては反対です、昨年末の税調の中でこういう意見がありました。ところが、安倍内閣は、こういう意見を無視してこれを実行したわけですね。

 最初、総理は、公平公正なもとでなければならない、こう言いましたけれども、これのどこが公正公平なんですか。総理の認識をお伺いします。

安倍内閣総理大臣 もちろん、税制は公平で公正でなければなりません。

 そこで、法人税と、個人に係る所得税、住民税等は全く別の種類の税金でありまして、何か、法人対国民という対立構造が存在するかのような、そういう議論は私はおかしいと思うんですね。それはまるで、資本家対労働者がいて、資本家が労働者から搾取をしている、そういう関係ではなくて、一般の方々も被用者として企業で働いているわけであって、この企業が収益力を失って、もし倒産してしまったら、みんながこれは職を失うわけであります。

 国際競争力を失ってしまって、海外に出ていったら、この下請も含めて仕事がなくなってしまうという中において、今回、復興特別法人税、確かにいろいろな御批判があったのは承知をしておりますが、我々、復興の予算は、十九兆円から二十五兆円にふやしました。これはしっかりと確保しながら、私どもの政策によって上振れた成長の果実でもって、それをいわば復興特別法人税の一年間前倒しという形にしたわけでありますが、同時に、経営者の皆様には、それはしっかりと従業員の賃金に反映させてくださいね、あるいは、下請企業等々に対して転嫁対策にちゃんと応じてくださいということを言いながら、それを行ったところでございます。

佐々木(憲)委員 総理は、私の質問に全然答えないですね。

 結局、税が二つ違うと言うけれども、それは税の種類は違うけれども、目的は復興のためということで始まったわけでしょう。何で国民だけ二十五年間延々と負担するんですか、企業は二年で何でやめるんですかと言っているんですよ。

 それを、何か当たり前のことであるかのように、誰にそんなことを言われたんですか。経団連じゃありませんか。大企業には増税にならないようにとか、その期間をできるだけ短く、三年以内にすべきだと要望したのは日本経団連ですよ。そうでしょう。

 経団連が出した平成二十四年度税制改正に関する提言、これは、復興税について、現行制度をもとに単純に付加税を課したり純増税を行うことは絶対に容認できないと。企業には増税するなと言っているんだ。そして、まずは法人実効税率の五%引き下げを早急に実現すべきであると減税を求めている。その上で、復興財源として法人税についても何らかの負担を負うのであれば、そのネット減税分を限度として付加税を時限的に課す、いずれも三年以内。日本経団連の要望どおりやっているんじゃないですか。実に厚かましい、経団連。

 これをそのまま受け入れたのは民主党政権なんですよ。それを自民党政権、安倍内閣が踏襲して、前倒しして大企業への減税を早めている、これが実態じゃないですか。

安倍内閣総理大臣 私どもは、これは別に経団連に言われてやっているわけではありません。事実、ベースアップ、あるいは賃上げしろ、これは連合の主張じゃないですか。これを私どもは、経営者に賃金を上げるように、そういう要請をしているわけであります。

 いわば、不公平、公正ではないというのは、例えば企業の中で、この会社は法人税を払わなくていいですよ、こっちの会社はたくさん払いなさいというのは不公平でありますが、これは、押しなべて、法人税という税制の中においては公平にやるということがまさに公平公正であろう、こういうことではないかと思います。

佐々木(憲)委員 賃上げにつながるかどうかについては後できっちり議論しますが、一体どちらを向いて政治をやっているのかという問題ですね。

 安倍内閣に対して、昨年、日本経団連が、平成二十六年度税制改正に関する提言というのを出しました。「法人実効税率については、復興特別法人税の課税期間が終了する平成二十七年度以降の検討課題とされているが、遅きに失すると言わざるを得ない。」

 安倍内閣をけしかけて、大企業にもっと減税しろと圧力をかけている。結局、安倍さんはこれを受け入れている。受け入れたのではないと言うけれども、言っていることとやっていることは同じじゃないですか。

 しかも、それだけにとどまらず、一月のダボス会議で、総理は、法人税をことしの四月から二・四%引き下げます、本年さらなる法人税改革に着手いたしますと。これ以上法人税引き下げについて、自民党の中からさえ批判の声が出ている。法人税というのはそんなに高いんですか。

 昨年十二月二日に、財務省が政府税調に提出した資料がありますが、法人税は基本税率三〇%なわけですね。実質負担率、これは何%でしたか。

麻生国務大臣 これは平成二十三年度の利益法人の数字だと思うんですが、繰越欠損金を控除する前の所得に対する税負担から、いわゆる欠損金の繰越控除制度と、それから政策税制としての税額控除制度によって、どの程度税負担が軽減されたかというのを示した数字の話だと思っております。

 同じ資料で申しますけれども、これによれば、全産業につきまして、平成二十三年度当時の法人税率三〇%に対して、実質的な負担率は二一・三%と算定されております。

佐々木(憲)委員 ですから、基本税率が三〇%といいますけれども、実際には三分の二しか負担していないんですよ。

 なぜかといいますと、これはさまざまな減税措置がある。連結納税制度、受け取り益金不算入制度、研究開発減税などの租税特別措置、欠損金の繰越控除制度、こういうのがあるんですね。だから、課税対象がどんどんどんどん小さくなるわけです。そのため、今確認したように、三〇%の場合、実質二一%しか負担をしていない。

 基本税率は、今、三〇%ではなくて二五・五ですよね。そうなりますと、この実質負担は二一%よりもっと下がっていると思うんですが、これは何%になっていますか。

麻生国務大臣 これは一般論として申し上げますけれども、二十六年度に復興特別法人税が廃止をされるということになりますと、復興特別法人税を含みます国の法人税率というものは、現行の二八・〇五%から二五・五%に下がり、国、地方両方の合計の税率ベースで二・四%分低下ということになろうかと存じます。

 このため、御指摘のとおり、企業の実質負担率は一定程度低下するというように考えております。(佐々木(憲)委員「何%」と呼ぶ)どの程度に下がるか、これはちょっと、正直、企業によって欠損金や何やらの部分が違いますので、実質的な負担率が何%に下がるかを二十六年度以降についてお示しすることは、今の段階ではできません。

佐々木(憲)委員 現在、二五・五に下がっているわけですからね。三〇%のときに二一・三%ということですから、今、二五・五になれば、十数%になるんですよ。計算したらすぐわかりますけれどもね。

 ですから、結局、私も以前質問しましたけれども、大企業になればなるほど税負担率は軽くなっておりまして、巨大な企業グループである連結法人の場合はもっと負担が低い。まともにこれは負担していないんですよ。それなのに、さらに下げろ下げろと、とんでもない話であります。経団連は、法人税はもっと下げろ、消費税はもっと上げろと、勝手なことばかり言っている。

 では、先ほどの議論ですけれども、法人税を下げたら賃金が上がるんですか。

 与党の民間投資活性化等のための税制改正大綱、昨年の十月一日に出ていますけれども、こう書いてあるんです。「賃金上昇につなげることを前提に、復興特別法人税の一年前倒しでの廃止について検討する。その検討にあたっては、」「復興特別法人税の廃止を確実に賃金上昇につなげられる方策と見通しを確認すること等を踏まえたうえで、十二月中に結論を得る。」と書かれているんですね。これは、政府・与党内で前倒し廃止はけしからぬ、そういう議論があって、こういう文章を書き込んだ。

 その後、十二月十二日の与党税制改正大綱では、復興特別法人税の課税期間を一年前倒しして終了する、こう書かれております。十二月二十四日に閣議決定された政府の税制大綱でもこれが踏襲されている、こういう状況ですね。

 そこで、確認したいんですが、ここで書かれている賃金上昇につなげられる方策と見通し、これは具体的にどう確認したんですか。

麻生国務大臣 賃金上昇につなげられる方策と見通しということの御質問がありましたけれども、これは、政労使会議の場などにおきまして、政府から、経済団体や業界団体、ほかに連合等々がおられましたけれども、賃上げや取引先企業の支援などを広く働きかけた。

 こうした要請を踏まえて、経団連の方からは、賃金の引き上げを通じて一刻も早い経済の好循環が実現するように貢献していくというお答えと、連合からは、二〇一四年度の賃金決定に当たっては、月例賃金の引き上げと格差是正、底上げにこだわった要求、交渉を行うとの表明が、これは二十二日になされたことなどを総合的に判断いたしまして、復興特別法人税の一年前倒しを決定させていただいたというのが背景であります。

佐々木(憲)委員 政労使会議でそういう言明があったと。

 ところが、昨年九月二十日の記者会見で、麻生大臣はこう言っているんですよ。

 企業は人件費に回してくださいと言われて、はいと素直に言うか言わないか。仮に言ったとしても、それをどうやって担保してくれるのか。法人税を引き下げた場合に、その引き下げた分によって、雇用の拡大、給与の引き上げ等々にきちんと回るという保証を経営者がしますかね。それが確実にできるものでしょうか。ただただ内部留保がたまるということになるのでしたらおよそ意味がない。私から言わせると、企業が約束するといって、本当にするんでしょうか。まずしません。

 麻生大臣、この発言は事実ですよね。この見解は今でも同じですか。

麻生国務大臣 御存じのように、うちは資本主義、市場経済、自由主義でやっていますので、共産主義経済でやっているんじゃありませんから、政府が命令したからきちんと聞く、そんな簡単な話じゃありません。まずそれが大前提で、そこにもう長いこと生きておられますのでよく御存じだと思いますので、それを言う必要はないと存じますが。

 その上で、私どもとしては、景気がいいから給料を上げろという話がよくありますけれども、それは簡単な話ではないのであって、賃金が上がるか上がらないかは労働の需給で決まります。したがって、景気が悪くても、労働人口が減ってきて、求人難がふえてくれば、黙って給料は上がっていく。今回の場合も、パートの時間給は間違いなくこの一年間で上がっておるというのは事実ですから、いわゆる正規社員よりパートの方が給料の上がり目が大きかったというのがこの一年間はっきりしているのは、需給で決まるというのが最たる例だと存じます。

 したがって、今回の場合も、景気がいいからといって双方でお願いをし、紙にまで書いておりますので、そういった形で、従来の話とは違った状況になるまで、去る十二月の二十日の日にサインをしたというのは、昨年一年間でサインをした中では最も私どもとしては画期的なことだったとは思っておりますが、これが実行される担保があるかと言われれば、それはちょっと、今からいろいろ、その手形を落としてもらうことはいろいろ話をさせていただかないかぬということになろうと思います。

佐々木(憲)委員 市場経済を前提というのは当たり前ですよ、今、日本にいるんだから。社会主義にいるわけじゃないんだから。そうでしょう。だから言っているわけですよ、こんな約束が本当に担保になるんですかと。

 麻生さんは、こんな約束したって企業が守るわけないだろうという話をしているんです。何か麻生さんの方が、どうも現実に近いような感じがするかな。

 実際に、通信社のロイターが行った企業調査がありますけれども、復興特別法人税の一年前倒し廃止など法人減税が行われたら、その分の利益、キャッシュフローを何に使いますか、こう問われて、一番多かった回答は何だと思いますか。内部留保積み増し、三〇%ですよ。賃金に回すと回答したのはわずか五%。これが実態じゃありませんか。どうですか。

麻生国務大臣 御存じのように、金利がゼロでも企業が金を借りない、配当はしない、賃金は抑えるというような状況を前提にして経済学というのはでき上がっておりませんので、我々は、いまだかつてない状況にこの十数年、二十年近くそういう状況に突入しております。したがって、これをいかにしてやるかというのが、ゼロ金利下でどうするかという初めてのことをやっておりますので、いろいろなことで私どもは紆余曲折をここまで経てきたんだと思っております。

 したがって、今回の場合も間違いなく、復興税の前倒しになって八千億浮いた分が行くとなると、昨年の九月までで内部留保でたまりました総額、約三百六兆円ぐらい企業で内部留保をしておると思いますので、その総額がさらに積み増すだけではないかというような御指摘もよく言われるところですが、やはり、設備投資をしたくなるというような、企業が銀行からお金を借りて、いわゆるマネタリーボンドからマネタリーサプライに金が動くというようなことをきちんとやっていくところまでやる、そこまで景気刺激策は要るんだ、私どもはそう思っておりましたが、これをずっと続けられるわけないじゃないかというのは当然の御指摘なので、そういったことのないように、早目に企業が出てくるために、即時償却とか、いろいろな形での減税もやらせていただいているというように御理解いただければと存じます。

佐々木(憲)委員 麻生さんの答弁は、何を言っているか、さっぱりわからないですよ。

 ボーナスが上がったとか、総理は本会議で御答弁になりました、三万九千円上がったと。ところが、これは、上がったところだけを取り上げて、それを平均したものなんですよ。連合が言っているわけですね。ボーナスはゼロというところがどのぐらいあるかを御存じですか。三分の一ですよ。それを除いて、上がったところだけ平均したって、だめですよ。経団連の方はもっと低いんですよ、平均は。

 内閣府の「最近の賞与の動向について」という資料がありますが、これには、夏のボーナスの場合、五百人以上の大規模事業所では前年比プラス二・六%と大きく増加したものの、それより規模の小さい事業所ではマイナスか低い伸びにとどまった、経団連調査では年末賞与の伸びが高くなっているが、マクロ的に見た毎月勤労統計の年末賞与の伸びはそれよりも小幅なものにとどまる可能性がある、こう指摘しております。

 内閣府の文書ですけれども、こういう指摘、間違いないですね。

甘利国務大臣 内閣府の毎月勤労統計調査でのことでございます。

 経団連は大企業でありますが、内閣府の調査は大企業と中小企業をまぜておりますから、こういう差が出るということは事実であります。

佐々木(憲)委員 一番大事なことは、ボーナス、一時金よりもベースアップなんですよ。ボーナスがたまたま高くなった、そのときどういう対応をするかということで、前に調査がありましたけれども、貯金に回しますというのが一番多いんですね。だから、ベースアップがあって初めて消費が拡大していく、こういうことなんです。

 NHKが行った百社を対象にしたアンケート調査でも、基本給を上げると答えた企業は九%、前回の調査より一社ふえただけなんです。そのため、賃金全体の底上げを図る動きは限定的なものにとどまっている、こう報道しております。

 このパネルをちょっと見ていただきたいんですけれども、これを見ますと、これまで法人税の基本税率は四三・三%がピークであります。それが、どんどん下がりまして二五・五%。ところが、賃金には回りません。一九九七年をピークに、賃金は下がり続けております。減税の多くは内部留保に回っております。既にこれは二百七十兆円を超えているんですね。

 大体、法人税を下げたら賃上げにつながるという考え方が間違っていると思うんですよ。大企業が利益を上げたら、そのうち下請や労働者におこぼれがあるだろう、これは上から目線のトリクルダウンの発想でありまして、それはもう既に破綻しているわけです。

 今一番、政府がやらなきゃならぬのは、二つあります。

 一つは、低賃金で不安定な非正規雇用をふやしてきた労働法制、これを改正するということです。

 昨年は、雇用者全体に占める非正規労働者の割合は三六・六%、過去最高で、歯どめがかかっておりません。政府の二〇一〇年版の労働経済白書によりますと、非正規雇用の増加は雇用者の平均賃金を引き下げる方向に作用してきた、こう指摘しているわけですね。だから、これを直して、労働者派遣法の抜本改正、そして若者の使い捨てをするブラック企業を規制する、これは当然のことだと思うんです。

 二つ目は、中小企業に対して直接支援を行いながら最低賃金を底上げする、時給千円を目指すということであります。

 どうも安倍内閣は、この二つの課題に消極的あるいは後ろ向きではないか。大企業にこれだけ内部留保がたまりにたまっているわけですから、賃上げと雇用の安定、下請単価の引き上げ、こういうことは十分できると思うんですけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 我々は、もちろん、大企業の内部留保をためるために復興特別法人税を一年前倒しして廃止したわけではないわけですよ。誰も喜ばないんですから、そんなことをしても。

 まず、先ほどの麻生大臣の説明とあわせて、二つのことについて説明をしなければいけないと思うわけであります。

 なぜ内部留保がこれだけたまったかという説明を先ほど麻生大臣がされたわけでありまして、世の中、デフレであれば、設備投資をするよりもキャッシュで持っていた方がいいということなんですね。そして、かつてのバブル崩壊後のあの状況を見て、これはやはり内部留保にどうしてもいかざるを得ないという状況があったわけであります。

 だからこそ、デフレ経済から脱出して、いわばしっかりと物が正常に上がっていくという状況になれば、持っていたら損をするわけですから、早く投資をする、あるいは人材に投資をしなければ、これはもうばかな経営者になってしまうということに、そういう状況を私たちは早くつくろうということであります。これを一日でも早くつくらなければいけません。

 確かに、それは、市場主義経済下において、企業に対して、政府の総理大臣といえども、給料を上げろと言って給料が上がるわけではありません。しかし、デフレから脱却をするのはそう簡単なことではありませんから、それぞれができることをしようと。

 私たちは、確かに評判は悪かったんですが、復興特別法人税の一年前倒しをしました。経営者に対しては、私たちはそこまでやったんだから、あなたたちも賃金に結びつけるように、そしてまた、下請企業等々に対してちゃんと転嫁対策をやるようにということをお願いしたわけであります。

 そこで、麻生大臣のように大変疑い深い人もいますから、これは、政労使で、文書で交わして、ちゃんと書き込んだわけですよ、そういう努力をすると。文書で書いて、墨跡鮮やかにちゃんと名前を書いてもらおう、そういうことになった。

 この両建てでしっかりとやっていきたいと考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 それでは、具体的に聞いてみますけれども、物価上昇がありますね。安倍内閣は、二年間で物価上昇目標を二%にするということでありますが、最近、サラリーマンの賃金が物価上昇に追いつかない、生活が苦しくなった、こういう嘆きが聞こえてまいります。

 日銀に確認したいんですが、来年度の物価上昇の見通し、それから、最近のデータで特に物価上昇率の高い品目、これを示していただきたいと思います。

木下参考人 お答え申し上げます。

 最近の物価上昇につきまして、二〇一三年十二月と同年三月の生鮮食品を除くベースの消費者物価上昇率、その前年比の寄与度が高いものを御指摘させていただきますと、電気代、ガソリン、それからテレビ、傷害保険料、外国パック旅行、ルームエアコンなどとなっております。

 こうした消費者物価上昇率の当面の見通しにつきましては、しばらくの間一%台前半で推移するものと見込まれておりますけれども、先般発表されました私どもの政策委員の物価上昇見通しでございますが、二〇一四年度につきましては、消費税引き上げの影響を除きまして一・三%、二〇一五年度につきましては、一・九%となっているところでございます。

佐々木(憲)委員 こういう物価上昇、今お聞きした限りでは、公共料金が上がっているんですね。物価全体を押し上げているわけです。

 日銀の生活意識に関するアンケート調査では、物価上昇は困ったことだというふうにお答えになっている方が八割。給与総額が、十八カ月連続して対前年比で今マイナスになっております。その上、安倍内閣になって、最初は少しよかったんですが、実質賃金はずっと下がってきているんです。

 これは厚労省に確認しますが、実質賃金は昨年のいつからマイナスになっているか、どの程度低下しているか、確認をしたいと思います。

田村国務大臣 現金給与総額、この十一月の数字はプラスで出ておるわけであります。

 ただ、今おっしゃられましたとおり、物価が上昇しておりますから、実質賃金を出してみますと、これがこの十一月でマイナス一・四ということでありまして、七月からマイナスが続いておるわけであります。

 詳細に分析はできておりませんが、一つは、委員がおっしゃられましたとおり、雇用は拡大しているんですけれども、パート労働を中心とする非正規がふえておりますから、全体を押し下げている。もう一つは、この中に公立学校の先生が一定程度入っておりまして、これは国家公務員に準じて震災の支援ということで賃金は引き下がっておりますから、これも準じて下がっているという部分が影響をしておると予測ができます。

佐々木(憲)委員 実質賃金は六月まで少し上がっていたんですが、物価がずっと上がるものですから、実質賃金はそれにつれて低下して、七月以降マイナスになっておりまして、これは大変な事態なんです。

 しかも、それだけじゃないんです。四月から消費税率を八%に上げるでしょう。ただでさえ賃上げが追いつかないといっているところに消費税増税が上乗せされて、一層大変なことになる。税率が八%になりましたら、物価が約二%上がりますね。来年度、物価上昇と消費税増税、合わせると何%の上昇というふうに想定していますか。内閣府。

甘利国務大臣 来年度の物価上昇率は、消費税込みで三・二%、消費税の分を外しますと一・二%です。

佐々木(憲)委員 三%を超えるわけですね。しかも、その上に社会保険料の負担もふえる。ざっと見ますと、四、五%程度の賃上げがないと、サラリーマンの可処分所得は低下するんですよ。その上、なかなか賃金が上がらないという状況が、実質賃金がずっと低下していくというふうになりますと、消費が停滞する。これが実態なんです。

 しかも、中小企業も大変な事態で、今、原材料が上がって、それが転嫁できないということで、日本商工会議所の調査によりますと、六割が転嫁できないと言っている。この上にさらに消費税が上がったら大変だという声が聞こえるわけです。

 経産大臣にお聞きしますけれども、政府が二〇一一年に中小企業四団体に依頼して行った調査で、売上高三千万以下の業者のうち、消費税を転嫁できないと回答したのは何割ありますか。

茂木国務大臣 消費税の円滑な転嫁は極めて重要な課題だと思っております。

 御指摘の調査、消費税の引き上げの議論が行われておりました平成二十三年の八月に実施をいたしました。全国約一万社の中小企業に実施をしまして、回答率が大体八一・九%でありました。

 そのうち、売上高三千万以下の中小企業、小規模事業者が回答者の六一・三%を占めておりまして、現在の消費税の五%分、全部転嫁できているが三九・六%、一部転嫁できているが二六・二%、ほとんど転嫁できていないと回答された事業者が三四・三%。

 さらに、今後消費税率が引き上げられた場合の転嫁の見込みにつきましては、全て転嫁できる見込みと回答する方が二七・五%、一部転嫁できると回答された方が三一・六%、ほとんど転嫁できないと思うと回答された方が四〇・九%おります。

 御指摘の調査以降も、昨年の消費税の引き上げの決定を受けまして、全国に新たに四百七十四名の転嫁対策調査官を配置いたしまして、転嫁拒否行為等の監視そして取り締まりの実施を行っておりまして、十五万社の調査をやったんです。そこの中で、違法な取引等々のあるものに対しては立入検査を行って、厳正に転嫁が進むように進めてまいりたいと考えております。

佐々木(憲)委員 質問に直接答えていただきたいんですが。

 大体、全部転嫁できる、あるいは一部しか転嫁できない、そして、転嫁できないという、その一部も含めて、大体七割ぐらいあるわけですね。

 安倍総理に聞きたいんですが、転嫁できない場合、当然、消費者から消費税を預かっていないわけです。しかし、業者は納税の義務がありますね。お金は一体どこから出すのか。誰が負担するんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 消費税の納税義務者は事業者でありますが、消費税は、価格への転嫁を通じて、最終的に消費者に負担していただくことが予定されている税であります。

 消費税の円滑かつ適正な転嫁等を確保するため、先ほど経産大臣から御説明をさせていただきましたが、今後も、転嫁拒否等に対する監視や取り締まり、事業者等に対する指導や周知徹底に努め、政府一丸となって万全の転嫁対策を講じていきたいと考えております。

 また、最終的に消費税を御負担いただく国民の皆様に対して、消費税率の引き上げ分は全額社会保障財源として還元されることを御理解いただけるよう、これからも広報を行ってまいりたい、このように思います。

佐々木(憲)委員 私の質問に全然答えていない。

 転嫁できない場合は、消費者から消費税を預かっていないんですから。それで納税義務はあるんです。そのお金はどこから出るのかと聞いているんですよ。

茂木国務大臣 転嫁していただく、そのために万全を期すわけであります。

 先ほども申し上げましたように、十五万社に対して調査を行いました。その結果、業種別にも、建設業であったりとか製造業、卸売業、小売業、五百七十五団体に対して、一月の十七日に私の名前で要請文書も発出をしております。

 今後どうするか。立入検査も今やっているんです。さらには、違法行為の事実が明らかになりましたら、違反によって生じた被害額の返還指導もいたします。公取によります是正措置もとっていきます。さらには、事業者名を公表もいたします。

 できる限り転嫁をする、これが正しいやり方ですから、それに向けて万全を期してまいります。

佐々木(憲)委員 全く質問に答えていない。消費者から税金を預かっていないんだから、納税するのは自分のお金で納税しなきゃならぬでしょうが。身銭を切るんですよ。だから、今、業者の方々は大変だと言っているんです。

 例えば、こういう声がある。

 たび重なる原材料の値上げに苦しんできました。年金生活をしている方が多いお客さんで、財布のひもはかたく、以前はコーヒー一杯三百円から三百三十円に値上げしたときに売り上げが落ちて、以前の状態に戻っていない。だから怖くて値上げできない。円安で原材料、電気代などの値上げに加えて消費税まで増税となったら値上げは必至で、経営が続けていけるかとても不安ですと。

 これが実態なんですよ。身銭を切るから、今、倒産、こういう不安におびえているんですよ。それを、全く質問に答えないで、長々長々と時間潰しの答弁をするなんて、とんでもない。

 まず、これを見ていただきたい。

 高齢者の場合、もっと大変ですよ。今、高齢者は年金が減らされ、しかも天引きばかりふえている。これを見ていただいても、二〇〇〇年から二〇一二年までの間に、二十四万から二十二万に年金が下がりました。負担は二万から二万九千円にふえました。以前は収支とんとんだった。ところが、十二年には四万六千円の赤字になっている。

 年金で暮らしている方は、息子や娘、低賃金にあえぎながらやっとやっている、でも、私は年金で暮らして思うように支えてやれないと。百円でも安くとあちこちの店に、価格を調べ、家計の負担を少なくしています。本当につましく暮らしているのに、消費税が上がったら大変だ、こういうふうに言っているわけです。

 今、こういう形で、消費税の増税に対して大変な事態になっているということであります。

 今、こういう状況の中で、安倍内閣は、大企業には減税をしてあげる。安倍さんにお聞きしますけれども、減税した大企業から政治献金を受け取りますか。

安倍内閣総理大臣 減税した大企業と言われても、どこに……(佐々木(憲)委員「全体ですよ」と呼ぶ)全体。政治資金については、基本的に、法にのっとって適切に処理をしております。

佐々木(憲)委員 庶民から取り上げて大企業に減税を行い、その大企業から献金を受ける。政党助成金まで山分けする。好循環、好循環というけれども、好循環なのは金が回る財界と自民党の間だけで、国民の方は悪循環ですよ。

 消費税増税をやめて家計を応援する内容に変える、こういう政策に転換することを求めて、質問を終わります。

二階委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 本日は、被災地の議員の立場をメーンとして質疑をさせていただきたいと存じます。

 まず、総理は施政方針演説で、「公共の精神や豊かな人間性を培うため、道徳を特別の教科として位置づける」とおっしゃいました。また、自民党の憲法改正草案では、「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、」とか、あるいは、「家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。」「家族は、互いに助け合わなければならない。」といった、愛国心や道徳に係る徳目的な規定があるわけであります。

 総理、まずお伺いしたいんですが、このようなことを国が仰々しくというか、国が主導で言わなきゃいけないというその必要性は何なんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まず、教育基本法が改正されたわけでありまして、新しい教育基本法において教育の目的が書かれているわけでありますが、その中に、郷土愛、そして愛国心を、国を愛する心を涵養するという趣旨のことが書かれているわけでありますし、また、公共の精神についても書き込まれたわけでございます。

 まさに、この改正教育基本法の精神にのっとって教育が行われていかなければならない、このように考えております。

畑委員 愛国心や郷土を愛する心、道徳心というのは当たり前だと思います。これは言われなくてもやらなければいけないことであります。

 しかし、私が違和感を感じるのは、きょう、ちょっと新聞で、コピーで資料をお配りさせていただきましたけれども、被災地は実は違和感を持って見ている部分がございまして、この下線を引いている部分でございます。「今の政権は口を開けば愛国心や道徳と言う。でもね、あれだけの災害で暴動も起きずに整然と行動した。今さらそれ以上のどんな道徳が必要だと言うんだ」、こういうことを言っているわけであります。

 私も被災地の議員でありましたが、あのときは人間の修羅場ですね。修羅場で人間の本性があらわれる場面です。みんな助け合って、そして道徳にかなって、そして郷土心、愛国心を持って行動したと私は思います。

 そして、これは被災地の住民だけではありません。外から助けに来てくれた人も、これは自分には関係ないわけです、関係ないんだけれども、来て、一生懸命助けてくれました。

 これを見ていると、私は、今さらそれ以上のどんな、教育基本法の改正云々、それに基づいているというのはありますけれども、立法事実として今さらどんな道徳心、愛国心、こういうことを鼓舞する必要があるのかなと、これを私は不思議に思っております。

 ここで総理にお伺いしたいんですが、日本人には、鼓舞しなきゃいけない、教育でしっかりと教育しなきゃいけないような道徳心の欠如、道徳心というのはあるんでしょうか。ちょっとそこをもう一度、この被災地の声も踏まえてお聞かせ願いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 確かに、被災地においてお互いに助け合った、これはもう世界の人々から称揚された、本当に驚異の目で見られた事実でございますし、まさに私たち日本人の誇りであった、このように思いますし、あの三・一一の際には、日本じゅうから若者を初めさまざまな人々が被災地に入って、自分のできることをしよう、こういう精神こそ私はすばらしい、こう思う次第でございます。

 しかし、他方、学校でいじめを苦にして子供たちがみずからの命を落としているのも事実でございます。そうした規範意識をしっかりと身につけていくことも大切なことでありまして、そういういじめをする子供たちはもともとそういういじめる子供ではないわけでありますから、こういういじめという行為はひきょうな行為である、いじめなんかしちゃいけないということも規範意識としてしっかりと教えていくことも大切なことではないか、こう思う次第でございます。

 また、日本人としてのアイデンティティーをしっかりと確立していくということも大切なことでありますし、誇りある日本人になるということは、これは居丈高になるということではなくて、海外に出かけていって、困った人たちを助けてあげることができる誇りある日本人になりたい、こういう真の国際人に私は成長していくんだろう、このように思うわけであります。

 繰り返しになりますが、平成十八年の教育基本法の改正によりまして、伝統と文化の尊重、我が国と郷土を愛する態度を養うことを規定しました。また、先般、教育再生実行会議において御検討いただきまして、道徳の教科化等について提言をいただいたところでございまして、こうしたことを踏まえまして、道徳教育を特別の教科として位置づけ、目標、内容の見直しや教員養成の充実などを行う、抜本的な改善充実を図ってまいりたいと思っております。

畑委員 教育についてそのようなことをしっかりやっていく必要性というのは私も否定しないし、認めます。

 そこで、ただ、ここで教育とちょっと切り離して、厳密に言えば通告しておりませんが、憲法との関係でちょっとお伺いしたいんですが、総理、憲法というのはどういう性格のものだとお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 憲法について、考え方の一つとして、いわば国家権力を縛るものだという考え方はありますが、しかし、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方であって、今まさに憲法というのは、日本という国の形、そして理想と未来を語るものではないか、このように思います。

畑委員 そこはちょっと私と認識が違って、もちろん、憲法というものは、立憲主義で、権力を縛る。それはなぜかというと、今総理がおっしゃいましたが、過去の歴史等を踏まえて、基本的人権の尊重を貫徹するということだと思います。そこがメーンでありまして、もちろん、総理がおっしゃるとおり、そのような道徳心、愛国心が入ることは否定しませんが、ちょっとそこは、憲法のバランスの問題で、そこが出過ぎるというのは非常に危険だと思っております。

 憲法というのは、私は、多様な価値観を認めて、その存在を許容するものであって、その調整原理の上に成り立っている、そういう部分が大きいんだと思います。

 私は、なぜ愛国心を鼓舞するのは違和感を感じるかというと、これまでの歴史上、愛国心をもとにいろいろなことが行われてきたわけですね、言うことによって。愛国心というのは、国民から、自然の発露はいい。私は、むしろ愛国心を持たない国民はおかしいと思いますが、ただ、愛国心を国が殊さら言うのはおかしい、そういうふうな気がしております。

 私たちの党も、実は、憲法改正は否定するものじゃなくて、議論に大いに乗りたいと思っております。

 ただ、それはあくまで、憲法の三原則、あるいは国際協調を入れた四原則、この四原則の上に立って、そして、現代的に、確かに、衆議院と参議院の関係とか、統治機構とか、あるいはいろいろな災害等を含めた統治機構の欠如の場合とか、そういうところが空白である問題はあると思いますので、そこはあるとして、あくまでやはり憲法のそういう、郷土を愛する誇りある日本人という、そこが入るのはいかがかなという思いを持っているわけでありますが、これはこれで、今後、しっかりと議論させていただくテーマだと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次の議論に移らせていただきたいと思いますが、ちょっと通告を飛びはねまして、三番の、用地取得の特例の話をさせていただきたいと思います。

 被災地の違和感は、先ほどの話がまず一つなわけですが、もう一つは、これからまちづくりが本格化してくる、こういう中で、実は、予算はたくさんつけていただいておると思います。ただ、予算があっても使い切れない部分があるという理由は、規制なんです、まちづくりの規制、用地の取得の規制も含めてであります。そこを何とかしなければ、まさに総理が施政方針演説でおっしゃっていただきました、ことしは復興を加速して、みんなに、ついの住みか、家に入ってもらう、それができなくなることがあるんじゃないかなと私は危惧しているわけであります。

 これはどういうことかというと、これも資料でつけさせていただきました。ちょっとお開きいただきまして、次のページなんですけれども、これは岩手県のペーパーですが、これまで岩手県が復興庁当局といろいろ調整させていただいて議論させていただいております。国の用地取得の特例の加速化措置、これを講じていただいておりまして、かなり、相当程度早くなった、効果をあらわしているというのは私も聞いておりまして、理解しております。

 ただ、どうしてもそういう運用をしながらも詰め切れない、残った課題があるわけです。

 それはどういうことかといいますと、実は、この表の中にあるわけですが、一万九千四百八十二件が契約件数だと。そして、その中で、「国で一定の措置」と書いてある、行方不明、所有者不明のところは解決しております、するだろうと思います。問題は、その間に挟まれた千八百九十六件でありまして、これは共有、相続の場合なんです。

 共有地と、相続、遺産分割がまだの土地というのは、実は、交渉しようにも、相続人まではわかりますよ、わかりますけれども、補償金を支払う場合に、誰が本当の権利者で、どれぐらい払わなきゃいけないかというのがわからないわけです。それを、では人をふやしてやればいいじゃないかという議論は、それはできないんですよ。だって、行政官が行ったって、民民の話ですから、それを行政は待つしかない。そこが対応できていないと言っているわけです。

 それからもう一つ、この表でいきますと、六千四百三件、一番右ですね。不明、分類困難の土地というのは、「懸案増が懸念」といいますが、これはどういう土地かというと、地籍調査が十分終わっていないところが多いわけですよ、境界も未確定だと。

 これも、人をふやせばいいかもしれないけれども、用地交渉の話ではありません。そこをしっかりと境界確定しなきゃいかぬ。しかし、これは今までほっておいてきましたから、明治以降、田舎で、すごいアバウトですから、大変なんですよね。まあ千年に一回の話ですから、本当にそうなるのも当たり前であります。

 だから、ここをマンパワーで解決します、解決しますというのは、確かに限界に来ているだろうと私は思うんです。

 そういうことを踏まえまして、現行の加速化措置で十分な迅速な対応が可能なのか、ちょっとそこをまず復興大臣にお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 私も委員と全く同じ意識で、この用地取得の加速化に取り組んでまいりました。

 これは、政府を挙げて加速化措置、四弾にわたって講じてまいりました。特に、昨年の十月には、用地取得加速化プログラム、これは、飛躍的に用地取得を短縮する、新しい法律をつくったと言っていいほどの内容を盛り込みました。

 例えば、収用法の適用にならない場合は、財産管理人制度を使います。財産管理人制度は、例えば所有者不明の土地は財産管理人制度でやっていただくんですが、今まで通常であれば半年かかる手続を、書類がそろっていれば三週間で裁判所で手続ができる。一気に短縮しました。

 さらに、土地収用法、これについては、モデル事業でもやりましたけれども、いかにして早くやるか。設計、測量は一体化する。事業認定手続、これは三カ月を二カ月にする。あるいは、委員の提案があった、起業者と収用手続の説明会、これを一回で済むようにする。これで三カ月縮みますから。

 さらに、所有者不明の土地も多いものですから、土地収用手続を、通常の任意買収ですと三年八割ルールがある、八割任意買収しないと土地収用に行かない、あるいはくいを打ってから三年たたないと土地収用手続に入らない、こういう話がありましたから、これは、復興は急ぐので復興地特別ルールで、任意買収と並行して収用手続をやる。

 具体的にはこれらの取り組みをやってきた。その結果、例えば釜石市のモデル事業では、用地取得が平成二十八年度から二十九年度になると思われた、これが平成二十六年度末まで短縮される、こういう効果が上がっております。

 大事なのは、私は、総論でやるんじゃなくて、具体的に何が問題かという、一件一件やった方がいいと思うんですね。

 ですから、今やっているのは、全体の制度は迅速化措置を講じました。しかし、市町村によって抱える問題が違いますから、ですから、委員の御案内のような話についても、用地加速化支援隊、これをつくります。これは、復興庁、国交省、法務省が一緒になって、市町村と具体的に話をしながら一筆一筆の土地について具体的な相談にあずかって、そして裁判所等々の対応もやって、具体的に解決していく。

 今回、その意味では、委員が御指摘のように、実は市町村の実際の体制がさまざまですから、そこは国も市町村と一緒になってこの用地取得促進の体制を固めました。そして、新たな課題が出てくれば、なお加速化措置を講じていきたいと思います。

畑委員 やっていただいたのは非常に、私も認識しておりますが、実は、そのやっていただいていることで解決できない部分があると申し上げておるわけです。

 例えば、先ほど、これは岩手県から私も聞きましたけれども、釜石のモデルケースですね、片岸海岸防潮堤事業だと思うんですが、これは、わかるところはもうかなり手続がとられている。ただし、相続未処理の土地、これは相続人が三十八名いるそうですが、相続人間の遺産分割協議が調わないで、いまだ契約に至っていない、そこをどうするのかということを私は問題意識で申し上げているわけです。

 とともに、防潮堤は収用適格だからいいですよ、ただ、住宅事業、一団地の住宅事業というのは、これは防災集団移転促進事業も含めて、収用適格じゃないんですよ。だから、そこを収用の俎上にのせて迅速化しますということは、今の制度だとできない。そこの二つの大きな問題があるわけです。

 結局、そういう中で、もう一つ、仮に収用適格事業だとしても、収用裁決申請を行うとしても、その前に相続人全員を探知して、遺産分割協議をしてもらって、用地交渉をして、権利者を裁決申請書に記載したことで、そういうことをした上で申請をしなければいけないという運用があるわけです。こんなことをしていたら、収用の俎上にものりませんよね。

 これは収用法に、私も知っていますが、ありますよ、制度は。不明裁決。不明な場合には、そこは後払いにして審理しましょう、そして後で供託しましょうとあるんですが、現行、こういうことをやるには、起業者が過失なくして権利者を探知することができない場合なわけです。これでは現行土地収用制度は使えないということで、新規制度が必要だという声も私はもっともだと思います。

 ただ、これを運用でやる手はもちろんあります。それは、収用裁決申請に当たって、遺産分割とか共有地の分割や持ち分確定を行わなくても裁決申請可能とすればいいわけです。これは恐らく可能だと思うし、それはお考えだと思いますが、これは国交大臣の方から、それは法律上可能か、お伺いしたいと思います。

太田国務大臣 今御指摘のように、結論的には、収用委員会の裁決申請を行うことは可能です。

 申請書の添付資料に土地所有者等の氏名を記載することは基本的には必要になっておりますし、しかし、遺産分割協議が進行中の場合には、土地所有者が確定できない、氏名を記載することができない場合があるわけですから、この土地収用法では、遺産分割協議中のように、起業者が過失なく知ることができない土地所有者等の氏名については記載する必要がないこととされております。

 したがって、先ほど申し上げましたように、遺産分割協議が進行中の場合であっても、土地所有者を不明として収用委員会の裁決申請を行うことは可能ということになっております。

畑委員 それでは、ちょっと配付資料の、これはフリップにもしましたが、最後の三ページ目をごらんいただきたいんです。

 では、そういう前提で、どうすれば今被災地が言っていることを解決できるか、そういうことをちょっと私が、復興特区法の改正案ということで、この三点を改正すればあと疑義がなくなるなという思いでつくってみたのをちょっと披露しながら議論をさせていただきたいと思います。

 このポイントは、先ほど申し上げたように、一つは、住宅事業について収用適格性を付与するということが一つあります。それから、収用適格性を付与して、実際にそういう遺産分割協議がまだな中に裁決申請をしてもらって、そして所有者不明裁決なり供託をする場合に、その実際の収用法の手続でどこに問題があるかというのは、二点解決すればかなり被災地の問題に応えられるんじゃないかなと思ってつくったものであります。

 一番左は、現行都市計画法というのは、五十戸ないと収用適格が付与されないわけです。一定の規模が必要だということですね、公益性のためには。ただ、三陸の沿岸は、とても五十戸ありません。そして、そういう事情がありますので、防災集団移転促進事業を緩和するときは、十戸を五戸に緩和していただきました。今、五戸になっております。とともに、これは、被災者生活再建支援法で、その一つの市町村で何戸が住宅全壊の場合に対象になるかというのは、五戸です。つまり、五戸に合理性があるわけですね。

 だから、これを、五十戸を、復興整備事業に位置づけられた住宅整備事業については、五戸に緩和すればいいわけです、特区の特例として。そうすると、収用適格性が出てくる。

 もちろん、防災集団移転促進事業をそのまま収用適格事業にしてくれという声はありましたし、そういう議論は前の政権の与党のときにやりましたが、これは、それをやると、防災集団移転促進事業の柔軟性を殺しちゃうんですよね。事業認定を得るために、がちがちしなきゃいかぬ。

 今、防集は、柔軟に、その都度その都度、計画を変えながら、変えるところを変えながらやっていく。それはそれで非常に、予算事業ですから、柔軟性のある事業だと思っております。

 だから、防集をきちっとすると防集が使いにくくなる、では、防集みたいな事業に、防集を殺さないで、どうやって収用適格性を与えるかというと、都市計画法の特例の五戸にするということが私の考えなんですけれども、これが一つ。

 それから、土地収用に行った場合に、これは緊急使用というのがあるわけです。今でもあります。つまり、明け渡し裁決が遅延することで事業執行の公共の利益に著しく支障を生じる場合には、緊急使用できますよと、収用委員会の裁決がまだでも。

 ただ、これは使いにくいんですよね。使えという通達は出ておりますが、その要件というのは、一つは、遅延することで、2ですね、災害の防止が困難となり、その他公共の利益に著しく支障を及ぼす。著しく、これを言われると、これが著しいのかどうかという議論を法律解釈しなきゃいかぬのです。それはちょっと、災害の復興で、現実的じゃないですよね。

 だから、私はここを、復興整備事業の住宅事業等については、災害を防止し、この下の「特例」ですね、東日本大震災からの復興を円滑かつ迅速に推進することが困難となり、その他公共の利益に著しく支障を及ぼすおそれがあることとはっきり書いてあげて、解釈の疑義をなくしてあげればいいんですよ。それを書く。

 そうした上で、さらにもう一つ、使いにくい点があります。

 この緊急使用は六カ月なんです、期限が。でも、この千年に一回の大災害で、遺産分割協議やら、いろいろな分割やら、いろいろな調査やら、今の体制で六カ月でできるでしょうか。無理ですよね。だから、この六カ月を延ばしてあげる、更新できるという規定を書いてあげればいいわけです。

 現に、似たような条文で、百二十二条という一つ前の条文で、災害の、これは未然防止ですね、その場合には、市町村長の許可で、六カ月使って、それを更新できるわけです。

 だから、立法上、こっちも六カ月更新すればいいんですよ。そこはちょっとバランスが変な条文だと思っております。

 この三つを手当てしてあげれば、大体、被災地が言うようなことはあらかた片づくんじゃないかと思います。

 今まで、岩手県なり、いろいろな人は、弁護士会もそうですが、抜本的に新法をつくろうとした。事業認定制度があるのに、特例制度があるのに、復興整備事業の告示をもって公益性を認定して、用地機構をつくって、用地機構というところにやらせようと。現行の収用委員会があるわけですよね。であれば、憲法問題が出るのであれば、現行の法律制度のマイナーチェンジで、今言った、大体はできますが、最後できない、遺産分割協議等を待たなきゃいけない部分は対応できるわけです。

 ぜひともそこを政府において御検討願いたいと思うんですが、ちょっとそこに対する所見を復興大臣からお願いしたいと思います。

根本国務大臣 防集については、委員がお話あったように、防災集団移転事業はそもそも収用適格事業ではない。

 ただ、今、例えば、我々、加速化措置をやった結果、昨年の九月と十二月を比べますと、防集の用地取得は四八%から六八%に伸びている。

 防集は、要は、取得困難な土地があったら、そこは避ければいいわけですね。そこに非常に柔軟性があるので、それを、一団地の住宅で五十戸ということになっていますが、この五十戸を下げる必要のある防集事業が出てくるかどうか。今までの例ですと、五十戸を下げて収用適格事業にしてくれという事案は、我々も随分いろいろな事案をやってまいりましたが、そういう事案はない、これが事実だと思います。

 それから、収用法の特例で、いろいろな遺産分割協議、いろいろな問題がありますが、先ほど私の対応でもう一つ言いたかったのは、今回、司法書士、これは法律の専門家ですし、そういう権利調査の専門家ですから。実は最近も、相続人多数の事案がありました。江戸時代からの事案がありました。江戸時代、明治時代からの事案があった。これは、司法書士の方に外注することによってそこの内容は解明される。ですから、司法書士などの専門家に外注するということも私は大事だと思います。

 それから、この百二十三条は、私も、早く工事をしたいということであれば、緊急使用、これを活用してもらいたいと思っております。ですから、これは、収用法上読めるわけですから、緊急使用をぜひ活用してもらいたいと思います。

 そして、その上で、半年間の更新が必要かどうか。これは、やはり実態上、私は、一件一件問題事案というのを取り組む必要はあると思いますが、そういう半年の更新をしなければいけない事案があるか。逆に、半年更新というものをしておけば収用委員会も早くやってくれるという効果もあると思いますので、そこはその辺のバランスの問題ではないかと思います。形としては、法律上はあり得ないわけではないと思いますけれども。

畑委員 人をふやしてやっても、確かに、だから、遺産分割協議というのは行政が、当事者でできない問題なんですよ。そこに人をふやしても無理だということも言っているし、あと、六カ月、いや、六カ月でできればいいですよ。ただ、できないと言われるから苦労しているわけですよ。

 それで、今大臣いろいろおっしゃっていただきましたが、問題なくいろいろ進んでいると。いや、進んでいるところは多いんです。ただし、これは大臣も恐らく知っておられると思いますが、赤浜の文久の土地、明治以前の文久の土地がたくさん散らばって、相続人不明とか、相続人は、確定したんですかね、四十六人中四十五人までが所在不明だと聞いておりますが、これは所在不明になっただけであって、これから遺産分割協議をせないかぬのですよ。

 そして、もう一つ申し上げますと、大体、防集は柔軟で、そこを避けてやればいいと。それはそうだと思います。ただ、それができないところもあると私は聞いております。というのは、大船渡より南の市町村というのは平たんだし、大体できるというんですけれども、釜石より北は山が迫っているわけです。特に大槌から悲鳴を上げて聞いておるんですけれども、平地が少ない上に、被災者はもとの集落近くに住みたい、そういう意向が強い。そういう場合に、丘陵がないところであれば、そこだとなかなか限られてくる。

 だから、そこは、本当は収用適格性があれば、そういうものをもとに交渉できるし、万々が一うまくいかなくても、遺産分割協議等が長引いても、裁決申請できて時間が稼げるわけですよ。そして、最終決定できる前に、場合によっては工事に着手できる。だから、それはいろいろな地域によるんだろうと思います、平地がある地域と迫っている地域。そういうことを踏まえてぜひとも御検討いただきたいと思うんです。

 ちょっと質問をかえさせていただきますが、国交大臣にお聞きします。

 土地収用法を所管している立場として、今からお聞きしますが、この百二十三条の緊急使用、復興大臣が使ってほしいとおっしゃっておりました。私も使えばいいと思いますが、使えない状況があるというのは先ほど来私が申し上げたとおりでありますけれども、用地取得加速化プログラムの一環で通達が出ていますね、確かに、これを使ってくれと。

 この通達の中でこう書かれているわけです。「起業者において適切と判断される場合には、その積極的活用を図ること。」これは何を言っているのかわからないですね。これだと、どういう場合に使っていいかを示していないに等しいんです。起業者に丸投げしているんですよ、その要件の判断を。適切と判断される場合は、どんな場合が適切なんですかね。まずそれが一つあります。

 そもそも、そこからちょっとお伺いしたいんですが、適切と判断される場合とは、具体的にどのような場合でしょうか。そこをちょっと国交大臣にお答え願いたいと思います。

太田国務大臣 先ほど復興大臣がお答えいたしましたが、この土地収用法第百二十三条による緊急使用の活用という、一つは、災害が起こりそうだとかいうような、そこだけでは何ともならない、そしてまた六カ月ということについてのお尋ねがありましたが、今御質問がありましたように、緊急使用の活用が図られるようという通知を昨年の四月に発出をさせていただきました。

 土地収用法に基づく緊急使用制度を適切に活用していただくためには、一般的な一律の考え方を示すよりも、被災地の実情に照らして、個々の事業ごとに具体的な検討を進めていくことが必要だというふうに考えておりまして、それは復興大臣の考えと今同じことを申し上げているわけです。

 国交省としては、他県での緊急使用の活用事例を各被災県に提供して、あるいは事業認定段階から各県の意向の確認を行うなど、具体的な事業における活用の可能性に向けて協議を重ねてきました。今後とも、起業者や収用委員会事務局等の関係機関とも連携をとって、緊急使用の活用についてきめ細かく対応したい。具体例に即してということが必要かというふうに思っているところです。

畑委員 では、国交大臣に続けてお伺いしたいと思いますが、これまで緊急使用の相談を受けた事例はありますでしょうか。そして、緊急使用を実際に使ったのはどういう場合だったんでしょうか。そういうことを国会で明らかにしてもらえれば、もうちょっとわかりやすいんですが、相談に応じてというと、それは要件を示していないに等しいというか、わからないわけです。ちょっとそこをお答え願えますでしょうか。

太田国務大臣 これまで一件あるということを承知しております。そこは、六カ月更新ということも含めて、まさに具体的に緊要性があるということを認知するということでございます。

 したがって、私は本当に、数がいっぱいあるという御指摘がありましたけれども、具体的に相談に乗って、緊急使用ができるというように持っていくということを積み重ねることが大事だというふうに思っているところです。

畑委員 今までの議論でやはり私がすっきりしないのは、行政でできない部分、遺産分割協議に時間がかかる、これは、どんなに尻をたたいたってできないし、行政がやるには限界があることです。

 だから、私は、収用適格にして緊急使用を、現行でも使えるよと、使いやすいような指導をしていただくなり、通達でまた要件の明確化を図っていただいてもいいんですが、その場合に、これは六カ月でできますかね、遺産分割協議が。できるというならいいんですけれども。

 だから、やるべきなんですよ、できるだけ早く家を移っていただくためには。ただ、それができない場合に備えて六カ月を更新できるようにすることがなぜ悪いのかというのは、非常に今までの答弁で私、理解できないところです。

 六カ月の使用期限を更新できるようにすればいいと思うんですが、国交大臣、そこは、現実を踏まえてというのはいいんですが、そういう問題があった場合には、そこは柔軟に対応していただける部分だと思うんですが、いかがでしょうか。

太田国務大臣 全国的ないわゆる法律改正ということで枠を広げた場合に、六カ月ということになりますと、裁決ができなかったとか、さまざまなことができますので。

 ただ、東北の復興ということにつきましては、緊要性というのはあると思います。そうした点では、六カ月ということについてどう扱うかということについて、具体的に相談に応じて行っていくということが大事だということでございます。

畑委員 今の御答弁は、運用で六カ月を延ばせるようにできるのか。条文に更新は不可と書いていますから法律改正せないかぬので、今の答弁を実行するためには、法律改正の必要性が現実にあれば考えていくという答弁なんでしょうか。ちょっとそこを確認させてください。

太田国務大臣 全国的な事例ということを、法改正ですとなりますので、そこは慎重に検討するということでございます。

畑委員 ちょっと、慎重にというのが急に枕言葉がついて、後退したような気がしますが、実は、一件とおっしゃいましたが、一件なのはなぜなんでしょうね。使いにくいからだと私は思います。

 だから、ここは、本来であれば、使え使えと言うならもっと現段階で適用事例が多くてもいいわけですが、それがなされていないというのが、私が言ったような、要件上使いにくいのと、六カ月が使いにくいということだと思います。現に岩手県が言っていますもの、六カ月があるから踏み切れない、六カ月以内にできる自信がなければ使えない制度だというわけです。だから、ちょっと被災者目線に立っていないんだろうなと思うんです。

 私は思うんですが、被災者に寄り添うのであれば、ぜひともこれは改正すべきなんですよ。憲法問題も生じませんよ、この三点の改正であれば。これは私の案をそのままやれとは言いませんが、もちろん、ぱくってもらってもいいですけれども。プレゼントします、何なら。

 しかし、ぜひとも早期に実現していただきたいなと思います。被災地は本当に熱望しております。もし政府がなかなかやれないというのであれば、私は、これは議員立法でも出さなきゃいけない案件だと思って整理したんですよ。条文もつくってあります。

 これは、心ある与党も含めた皆さん、ぜひとも賛同していただいて、うちの党だけでは出せませんものですから、ぜひとも提出させていただいて、議論の俎上にのせて、そして、それをもとに、このとおりじゃなくてもいいですから、政府が検討のきっかけになればいいわけです。そして、本当に被災地が、その残り残り、詰めてできないというこの分割のところとかそういうところを、行政が関与できない部分をやるためには制度改正が必要だと思いますが、どうやってやっていくか、その検討の議論のきっかけになればいいなと私は思いますので、ぜひとも心ある検討をお願いしたいと思います。

 この件について総理に総論的にお伺いしたいんですが、総理、これは施政方針演説で、大変すばらしいことを言っていただきました。「来年三月までに、二百地区に及ぶ高台移転と一万戸を超える住宅の工事が完了する見込みです。」私はそうすべきだし、そうあってほしい、大いに賛同するものであります。「やれば、できる。」そう、足りない部分を措置すれば、やればできるんです。「住まいの復興工程表を着実に実行し、一日も早い住まいの再建を進めてまいります。」

 こういう御決意を私はとうといと思いますが、いろいろ議論した上で、やはり詰めて詰めてできない部分があるというのは私はきょうの議論で申し上げたんですが、ぜひとも検討していただけないでしょうか。そこのお答えを賜りたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今の御議論は、非常に逐条的な御議論で、若干専門的な御議論だったものでありますから、私も十分に理解できていないところもございますので、よく検討させていただきたいと思います。

 しかし、先ほど根本大臣から御説明をさせていただきましたように、我々としては、いわば復興を進めていく上においての用地取得を、極めてその期間を短縮させることをやっております。今後、新たに出てくる課題については、その課題、ステージごとにしっかりと検討していきたい、このように思います。

畑委員 ありがとうございました。

 やはりきょうの議論でかみ合わないと思ったのは、復興の加速化、運用の改善をやっていって進められるというスタンスにどうも政府は立っておられるようで、私はできると思います、八割方。ただ、できないと言ったところは、遺産分割協議とかそういう土地があるという、そこをどうするんだというところなんです。

 ちょっと大臣、そこを、今の加速化措置でどうやってその遺産分割協議のところまで手を出して我々はできるんですか。そこをもう一回教えていただかないと、ちょっと腑に落ちないです。お願いします。

根本国務大臣 我々、被災地に寄り添って復興加速化措置をやってまいりました。

 私も印象で言いますと、土地収用法の緊急使用もそうですけれども、例えば、財産管理制度もそうでした。昨年の今ごろは、この用地取得で財産管理制度を活用する例はほとんどなかったと私は思います。

 要は、今ある制度を、震災で我々は復興を急ぐわけですから、余り使われていない制度も確かにあるんですよ。ですから、緊急使用もぜひやってもらいたいと思いますし、例えば陸前高田では、土地区画整理事業、膨大な整理事業をやらなければいけない、そのために、例えば仮換地の指定という今まで適用したことのないこともやろうと今回決めました。

 大事なのは、遺産分割協議も、委員のお話のあった、要は、相続人がたくさんいる、例えば江戸時代の土地、これについても、先ほど復興加速支援隊の話をしました。中央の我々復興庁、国交省、法務省と実際に市町村と話をしながら整理されて、具体的には、国の機関のメンバーが、例えば法務局や家庭裁判所など関係機関と相談に行って、遺産分割協議や家事調停、審判、時効取得、具体的な手法を今自治体に提案をしております。

 ですから、やれないやれないじゃなくて、復興加速化支援隊をつくったのは、具体的に市町村の一筆一筆ごとの困難事案、これについて専門家が一緒になって解決の方向を見出していく。私は、その意味で、今回、市町村を応援するための復興加速化支援隊というのをつくりましたから、そしてなお、それで新たな課題が出てくれば、そこはまた具体的に検討していきたいと思います。

畑委員 ちょっと法律改正したくないのはなぜかというのは腑に落ちないわけですが、緊急使用をしてほしい、使ってほしいというふうになれば、だから使いにくいということを私は申し上げているわけです、二点。そこを直せば、最低限使えるようになる。

 それから、遺産分割協議について、これは、いろいろな専門家なり司法書士等、復興加速支援隊ですか、こういうのを含めて派遣するというのは、それはそうなんですが、調停するといったって、調停をのむかどうかというのは当事者の協議ですから、そして、遺産分割というのは当事者の協議ですから、そこは、だから、行政が手を出したって、加速させるには限界があると申し上げているんです。

 そこを、なぜかたくなに、そこのところに手をつけないというか、現行の現行のと言うのか、ちょっとわかりません。いや、現行は私も大いに踏まえておりますが、現行でまずいところを直していきたいと思っておりまして、私は、責任野党として、まさに安倍総理がおっしゃる、提案をしているつもりであります。

 今後、柔軟かつ真摯な議論をぜひともお願いしたいと思います。皆様、責任与党としてよろしくお願いいたします。

 それでは、時間もなくなりまして、かなり残したんですが、もう一つ質問をさせていただきたいと思います。

 復興の関係で、ちょっと二番に戻ります。

 これは、きょう、若干、基金とかいろいろなものについて議論がありましたが、私は、ちょっと復興の、被災地の立場から不思議だなと思っているのがありまして、それは、一兆九千億円、経済対策の中の復興特会への繰り入れということで組んでおられます。ただ、これは、復興の加速になるのは、もう御存じのとおり、一兆九千億円全部ではなくて、前倒し償還もありますし、きょう議論になった八千億円の復興特別法人税の一年前倒しの償還の補填があります。

 時間がないので端的にお聞きしますけれども、きょうの議論で、補正予算というのは、景気の下振れを支えて効果的、即効的に効果を発現する、また、経済の活性化につながるものだとおっしゃっておりました。

 この八千億円がちょっと疑問なんですよね。いやいや、廃止するわけだから補填しなきゃいけないのはわかりますが、当たり前の論理で。ただ、それをなぜ補正予算で、そういう性格の補正予算で組むのか。端的に言うと、来年度廃止しますから、来年度のところで補填するのが一番歳入歳出のところでわかりやすいわけですよ。何も今補填する必然性も補正予算の性格からはないわけで。こういうことを、八千億円を加えて、補填の費用も加えて加速、加速と言うと、これまた被災地をミスリードさせると思うんです。

 この八千億円を今回の補正予算で入れている理由をお聞かせ願いたいと思います。

麻生国務大臣 平成二十五年度の補正予算の中におけるいわゆる復興特別会計への財源の補填というのは、まずは、復興特別法人税の前倒し廃止するために必要な施策として、これは被災地の理解を得ねばならぬというのが一つ。それと、この復興特別法人税の前倒し廃止によりまして、足元の企業収益は確実に賃金の上昇につなげる、先ほど議論のあったところですけれども。こういうことをきっかけとして、全体の賃金上昇を経済の好循環に求めていきたいということなんです。

 今回の財源の補填は、まず、賃金上昇を通じた経済の好循環につなげる施策であるということから、経済対策の規模にカウントしても、その点は何ら問題ないと思っておるんですが、もう一点は、昨年十月の消費税引き上げに関する閣議決定及び年末の税制改正での議論において、いわゆる復興特別法人税にかわる復興財源を確保すること、これはもう絶対。それから、国民の理解、中でも被災地の方々の十分な理解を得ることなどを条件として、復興特別法人税を一年前倒し廃止するというのを、平成二十六年度から廃止するということであります。このため、被災地の方々の御理解を得る観点から、復興特別法人税の前倒しに伴う財源補填を八千億円行うということを決めております。

 決めたが、補填を行う年度につきましては、復興財源を確保した姿を一刻も早くきちんと実現をしておくことという点と、復興債の償還、減額というものを早期にやらないけませんので、早期に行う分、利払い費が節約できますので、そういったことを考えまして、平成二十六年度予算を待たず、平成二十五年度補正予算で行うということにさせていただいたという経緯でございます。

畑委員 時間がなくなりましたので質疑は終わりますが、私は、復興債の償還というのは前倒しでやれば来年度の枠になる、それはそうだと思いますが、この税金の方、特別法人税の廃止の前倒し償還に伴う補填措置というのは、この八千億があるのであれば、別に来年返せばいいわけで、そんなに被災地の人も心配しておりませんので、経済的観点から、具体的に真水の支出に回した方がむしろ喜ばれるんじゃないかなという思いがあります。

 そういう問題意識を申し上げまして、時間がありませんので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

二階委員長 これにて畑君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして各会派一巡の基本的質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

二階委員長 この際、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明四日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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