衆議院

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第10号 平成26年2月18日(火曜日)

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平成二十六年二月十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 上杉 光弘君 理事 金田 勝年君

   理事 塩崎 恭久君 理事 萩生田光一君

   理事 林  幹雄君 理事 森山  裕君

   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君

   理事 石田 祝稔君

      あかま二郎君    あべ 俊子君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      秋元  司君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    安藤  裕君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井上 貴博君    伊藤 達也君

      池田 道孝君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      越智 隆雄君    金子 一義君

      工藤 彰三君    熊田 裕通君

      小池百合子君    小松  裕君

      古賀  篤君    佐々木 紀君

      佐田玄一郎君    白石  徹君

      菅原 一秀君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    中谷 真一君

      中山 泰秀君    永岡 桂子君

      長島 忠美君    野田  毅君

      原田 義昭君    船田  元君

      船橋 利実君    細田 健一君

      牧島かれん君    松本  純君

      宮路 和明君    武藤 貴也君

      保岡 興治君    山田 美樹君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 孝一君    大串 博志君

      大西 健介君    階   猛君

      篠原  孝君    玉木雄一郎君

      寺島 義幸君    古川 元久君

      木下 智彦君    坂本祐之輔君

      重徳 和彦君    杉田 水脈君

      中山 成彬君    西野 弘一君

      岡本 三成君    中野 洋昌君

      浜地 雅一君    佐藤 正夫君

      中島 克仁君    青柳陽一郎君

      柿沢 未途君    塩川 鉄也君

      宮本 岳志君    畑  浩治君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (国家戦略特別区域担当) 新藤 義孝君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   国務大臣

   (防災担当)       古屋 圭司君

   国務大臣

   (男女共同参画担当)   森 まさこ君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)  稲田 朋美君

   財務副大臣        古川 禎久君

   財務副大臣

   兼復興副大臣       愛知 治郎君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    伊藤 忠彦君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      原  恒雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 和之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  能化 正樹君

   政府参考人

   (内閣法制局長官事務代理)

   (内閣法制次長)     横畠 裕介君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          井上  利君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (気象庁長官)      羽鳥 光彦君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十八日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     渡辺 孝一君

  伊藤 達也君     井上 貴博君

  岩屋  毅君     工藤 彰三君

  うえの賢一郎君    秋本 真利君

  越智 隆雄君     菅家 一郎君

  大島 理森君     熊田 裕通君

  金子 一義君     佐々木 紀君

  小池百合子君     あべ 俊子君

  佐田玄一郎君     中谷 真一君

  菅原 一秀君     細田 健一君

  関  芳弘君     高橋ひなこ君

  薗浦健太郎君     大岡 敏孝君

  中山 泰秀君     牧島かれん君

  西川 公也君     船橋 利実君

  野田  毅君     松本  純君

  原田 義昭君     白石  徹君

  船田  元君     青山 周平君

  山本 有二君     小松  裕君

  岡田 克也君     階   猛君

  玉木雄一郎君     大西 健介君

  重徳 和彦君     木下 智彦君

  中野 洋昌君     岡本 三成君

  佐藤 正夫君     中島 克仁君

  柿沢 未途君     青柳陽一郎君

  宮本 岳志君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     小池百合子君

  青山 周平君     船田  元君

  秋本 真利君     うえの賢一郎君

  井上 貴博君     永岡 桂子君

  大岡 敏孝君     薗浦健太郎君

  菅家 一郎君     古賀  篤君

  工藤 彰三君     岩屋  毅君

  熊田 裕通君     長島 忠美君

  小松  裕君     井林 辰憲君

  佐々木 紀君     金子 一義君

  白石  徹君     原田 義昭君

  高橋ひなこ君     関  芳弘君

  中谷 真一君     佐田玄一郎君

  船橋 利実君     武藤 貴也君

  細田 健一君     穴見 陽一君

  牧島かれん君     山田 美樹君

  松本  純君     野田  毅君

  渡辺 孝一君     池田 道孝君

  大西 健介君     寺島 義幸君

  階   猛君     岡田 克也君

  木下 智彦君     重徳 和彦君

  岡本 三成君     中野 洋昌君

  中島 克仁君     佐藤 正夫君

  青柳陽一郎君     柿沢 未途君

  塩川 鉄也君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     赤枝 恒雄君

  井林 辰憲君     山本 有二君

  池田 道孝君     秋元  司君

  古賀  篤君     越智 隆雄君

  永岡 桂子君     伊藤 達也君

  長島 忠美君     大島 理森君

  武藤 貴也君     安藤  裕君

  山田 美樹君     井野 俊郎君

  寺島 義幸君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     菅原 一秀君

  安藤  裕君     西川 公也君

  井野 俊郎君     中山 泰秀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公聴会開会承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十六年度一般会計予算

 平成二十六年度特別会計予算

 平成二十六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算、平成二十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山崎和之君、内閣官房内閣審議官能化正樹君、内閣法制局長官事務代理・内閣法制次長横畠裕介君、人事院事務総局職員福祉局長井上利君、人事院事務総局給与局長古屋浩明君、総務省人事・恩給局長笹島誉行君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、気象庁長官羽鳥光彦君、防衛省運用企画局長中島明彦君、防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川元久君。

古川(元)委員 おはようございます。民主党の古川元久です。

 まず、きのう、我が党の山井議員の質問で、民間の派遣社員、非正規職員、派遣労働者の問題が議論になりましたが、きょうは、公務員の中での非正規職員、特に国家公務員の非正規職員についてまず取り上げたいと思います。

 一般職の公務員の中で約二割が非常勤職員でありまして、その多くは、期間業務職員と言われる、フルタイムで日給制の職員です。

 ちょっと資料を見ていただきますと、本省における期間業務職員数という資料をつくらせていただきましたが、全体で、本省だけで二千九百二十六人。そのうち二千五百八十九人は女性で、大体約九割が女性、そういう数字になっています。

 私が政府にいたとき、内閣府で副大臣や大臣をしておったときも、大臣室にこういう女性がいらっしゃいました。しかし、正規の職員とやっていることは全く変わらない仕事をしていたわけであります。

 きょう各大臣の方に出席をいただいたので、全然通告もしていませんけれども、そもそも、きょう御出席の大臣の皆様方のところにこういう期間業務職員の方はいらっしゃるか、そのことを御存じかどうか。

 まず、麻生副総理からお答えいただけますか。

麻生国務大臣 こういう女性が各省にいるかというお話ですか。(古川(元)委員「いや、大臣室にいるか」と呼ぶ)いますよ。

菅国務大臣 官房長官室にはいないということは承知していますけれども、全体については、どのぐらいかは掌握をしておりませんでした。

麻生国務大臣 期間業務職員、これはバイトですか。

古川(元)委員 バイトとはちょっと違う。フルタイムのバイトみたいな。

麻生国務大臣 済みません、バイトの方はいません。(古川(元)委員「バイトとはちょっと違う」と呼ぶ)適当な言葉をちょっと。期間業務職員はおりません。(古川(元)委員「それぞれ大臣にちょっと、いらっしゃるかどうか、自分のところにいるか」と呼ぶ)

二階委員長 ちょっと、挙手をして一つ一つ聞きなさいよ。

新藤国務大臣 私のところには、一人女性がいらっしゃいます。

田村国務大臣 厚生労働省大臣室にはおりません。

下村国務大臣 文科省の大臣室に一人おります。

根本国務大臣 おります。

森国務大臣 大臣室におります。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 かなりの役所で、大臣室、副大臣室あるいは政務官室、厚労省も、大臣室にはいないけれども副大臣室、政務官室にいるということはこちらでちょっと確認をさせていただきましたけれども、いらっしゃるんですね。中枢のところで、ほとんど正規の職員と同じような仕事をしておられます。

 昨年の十二月二十日の政労使合意の合意文書では、こうした非正規雇用労働者について、意欲と能力に応じて処遇の改善を図って、経済の底上げを図ることが必要だとして、「労使は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者という二元的な働き方を固定化させるのではなく、それぞれの職場のニーズに応じ、ステップアップのための多様な形態の正規雇用労働者の実現・普及や人事処遇制度の普及・活用に向けた取組を進めることにより、非正規雇用労働者がその意欲と能力に応じて正規雇用労働者に転換する道筋を積極的に広げる。」。企業に対しても、「意欲と能力のある、契約社員、派遣労働者、パート・アルバイト、」だから、さっき麻生大臣はバイトですかと言われたけれども、ちょっとバイトとこれは少し違うと思うんですが、「嘱託等の非正規雇用労働者についても、必要な人材育成投資を行うとともに、業績と能力を評価し、これを処遇に適切に反映させる。」と。

 こういうことを政労使の合意で約束をして、企業にも求めているわけでありますね。そういった意味では、当然、これはやはり足元の政府のところでもそういう対応をしていくべきではないかなというふうに思うわけであります。

 この点について、官房長官は後で出られると思いますので、まずちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、これは、政労使でこうやって民間にお願いしている以上はやはり政府においても取り組んでいかなきゃいけない、そういう御認識ではおられるというふうに考えてよろしいですか。

菅国務大臣 そこは、当然、そのように考えています。

 ただ、行革との観点からどのように行っていくかということは極めて難しい問題だと思いますけれども、できれば役所内全体としてやりくりして、それができなければという形で今のような現状があるということも事実だと思いますけれども、問題意識は私は持っています。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 それで、まずちょっとお伺いしたいんですが、この期間業務職員の採用や処遇、これがどうなっているか。

 一応、これは人事院とかで規則を決めてあるんですが、また総務省の人事・恩給局とかがそういうのを担当しているようなんですけれども、そうして決めたことがちゃんと守られているかどうか、そういうチェックをする責任というのはどこの役所にあるんでしょうか。

新藤国務大臣 この期間業務職員を含む国家公務員の採用、給与、休暇、人事評価、そして退職手当、それぞれの制度につきましては、総務省と人事院が分担をしているということであります。

 そして、採用、給与、休暇などについては人事院が所掌し、人事評価、退職手当などについては総務省が所掌し、それぞれの制度の管理を行っております。

古川(元)委員 所掌しているのはわかりましたが、では、実際に、ちゃんと指示を出した、決めたことに従ってきちんと各省庁が取り組んでいるかどうか、そのチェックなんかも、それはそれぞれのところでやるということになるんですか。どうなんですか。

新藤国務大臣 一義的には実態を各省が把握し、そして、制度として管理している我々が、最終的には、何か問題があれば、それに対する対応というのはやらせていただく、こういうことでございます。

古川(元)委員 何か問題があればと。後からちょっと指摘しますけれども、かなりいろいろ問題があるんですね。しかし、問題はあるんですけれども、余りチェックをされている気配はないんです。

 ちゃんとチェックは、どこがするんですか。

新藤国務大臣 これは、まず担当省庁が把握をし、その上で、それぞれ、人事院、総務省において、この分担に応じてチェックをする、こういうことでございます。

古川(元)委員 各省庁に基本的に任されているというような御答弁かと思いますが、しかし、その結果、これからちょっと指摘しますけれども、さまざまな問題が起きているんですね。

 ですから、やはりこれは政府全体として、そうなるとこれはやはり最終的には官房長官のところかと思いますけれども、きちんとどこかでこの実態を、どうなのかとチェックするような体制はつくっていかなきゃいけないんじゃないか、今の御答弁を聞くとそんなふうに思うんですが、どうですか、官房長官。

菅国務大臣 先ほど、問題意識は私は持っているという話をさせていただきました。

 基本的に、今、総務大臣のもとで内閣としては対応していただいているわけでありますけれども、そこはしっかり連携をしながら取り組んでいく必要性があるというふうに思っています。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 では、もう少し具体的に見ていきたいと思っています。

 まず、採用についてちょっと申し上げたいと思います。

 期間業務職員の募集要項を見てみますと、経済産業省なんかのように、専門性に応じて給与に一定の差を設けているような役所もあれば、一方で、翻訳できるかとか、そういうかなり専門的な能力を求めながら、そういう専門性を要していない業種と変わらない給与条件で募集している役所もあって、これは各役所によって非常にばらばらなんですね。

 やはりこれは、本来は、職務内容とか専門性、こうしたものに応じてきめ細かく給与の体系なんかも決めるべきではないかと思いますが、いかがですか。

原政府特別補佐人 非常勤の職員の給与でございますけれども、人事院として、一応のガイドラインといった形で、わかりやすく言えば、一定の下限というものを示してございます。

 これにつきましては、常勤職員のいわば初任の給与に相当する部分を基準として示しているわけでございますが、その業務内容あるいは経歴、そういった形を加味して、これは各省においては予算の範囲内ということになりますが、そういった形でできる形になってございますので、必ずしも一律に決めろということではなくて、今委員からもございましたような、専門性のある部分につきましてはそれを加味するということが可能な制度とはなってございます。

 ただ、非常勤職員の中に、専門性の高い職員あるいは常勤職員と似たような形の仕事をしている職員もいるかと思いますが、多くは、やはり常勤職員とは違って事務補助的な仕事をしているということで、実際の運用はかなりガイドラインに近い運用がなされているものというふうに考えてございます。

古川(元)委員 ガイドラインを設けているというんですけれども、お配りしている資料の二枚目を見ていただくと、各省庁における期間業務職員の給与、こちらの方でつくらせていただきましたが、多くのところは、大体、幅があるレンジで日額を定めているんですね。ちなみに、この皆さんは日給制ですから、月給じゃなくて日給なんです。

 大体、先ほど申し上げましたように、どの採用を見ても、中には非常に高い、TOEICだとかそういうものの点数を求めていながら、全くそういうのはなくていいよというのと、ほとんどこの日額は、この範囲内で、枠の中といいますか、同じ、この金額からこの金額ですよと。例えば、一番上の内閣官房であれば、七千二百五十七円から八千六百四十七円ですよという、ほとんどの職種の応募要項が同じになっているんですね。

 やはりこれは、ガイドラインで決めていても、そこの各省庁がきちんとそこは少し専門性とかそういうものに応じて、そういう中では、きょう経産大臣はいらっしゃっていないですけれども、経産省は、意外と言ったら失礼ですけれども、結構きちんとそこは職種に応じて給与のレンジを変えたりしているんですね。やはりそういうことを各省庁ともきめ細かくやるべきではないかと思いますけれども、どうですか。

原政府特別補佐人 先ほど御答弁をさせていただきましたが、そういった形でガイドラインを一応定めまして、その中で、職務内容なり地域、あるいは職務経歴、そういったことを考慮して決めるという形をお示ししてございます。したがいまして、各省庁におきましては、予算の範囲内、あるいは各省の定員、業務実態、そういった中で非常勤職員の雇用をしているかと思います。そういった中で、その基準に基づいて、各省において、この指針を踏まえた形で運用しています。

 ですから、今も御指摘ありましたように、幅があるというのは、そういった中で、その幅が適切かどうかという議論はあろうかと思いますけれども、基本的には、これでなければいけないという形のものは示してございませんので、各省においてその判断をしていただくということになろうかと思います。

古川(元)委員 結局、各省がほとんど、ちゃんとそういうところを余り配慮していないんですね。考えなくて、ほとんど同じものでどんどんどんと出しているんです。私はそこに問題があるんじゃないかと思うんですが、もう少しほかの面から見ていきたいと思うんです。

 では次に、官房の方から、事態対処・危機管理担当付とか、内調とか、国家安全保障局の関係について、この辺のところも、かなりこれは、国家の一番、機密や何かを扱う、非常に大事なところについてもこの期間業務職員を募集しているんですけれども、募集の要項を見ると、応募書類として求めているのは履歴書と志望動機だけなんですが、それでよろしいですか。ほかに何か求めてはいるんですか、このほか、書いていないもの。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘がございました国家安全保障局ないしは内閣情報調査室におきましても、期間業務職員の募集を行っております。この募集に当たりましては、主として履歴書等の書類及び志望動機等を提出してもらって、厳正な審査の上、採用しているという手続でございます。

古川(元)委員 これは、でも、履歴書というのは、書けばどんなふうにも書けるわけですね。そこだけで、それを信じて、それで審査をするということですか。

山崎政府参考人 今御指摘ございましたように、履歴書、志望動機、それから面接等を通じまして、そこに記載されているような内容の確実性等についても踏まえまして、最終的な採用の決定を行っているということでございます。

古川(元)委員 確実性を踏まえるということは、どうやって確実性を確認するんですか。

山崎政府参考人 個別の事例によりますけれども、例えば国家安全保障局につきましては、ただいま申し上げましたようなプロセスをした後、しかるべきセキュリティー上の配慮もしながら最終的な決定をしておりますけれども、その具体的な内容につきましては、セキュリティー上の問題もございますので、つまびらかにはできないのでございますけれども、我々としましては、確実な結果を出していると思っております。

 また、国家安全保障局及び内閣情報調査室とも、期間業務職員につきましては、一般事務及び運転手等の業務をしていただいておりまして、秘密に関するような情報に触れるような職種については、期間業務職員は採用しておりません。

古川(元)委員 もし悪意を持っている人が応募してきたりしたら、そういうことは扱わせていないといっても、同じ仕事場にいるわけですから、それは官房長官、どこかにある書類をばっと見たりとかコピーをとったりとかできないわけじゃないですよね、私も官邸にもいましたからわかるんですけれども。

 やはり、そういった意味では、特に国家の機密にかかわるようなところ、そういうところで採用する、いかにこれが非常勤の職員であるといっても、そこのところは、その採用のときに、そもそも事前の段階、申請の段階で何らかのチェックをするといいますか、そういうものを求める。

 きょうは文科大臣がいらっしゃっていますけれども、実は、期間業務職員について、文科省だけは、健康診断書とか卒業証明書とか在職証明書、そういうものの提出を求めているんですね。やはり最低でもそれくらいのことをやるということが必要じゃないかと思いますけれども、どうですか、官房長官。

菅国務大臣 やはり内閣として統一的なものにすべきだというふうに思いますし、今の委員の御指摘は真摯に受けとめさせていただきたいというふうに思います。

 そしてまた、国家安全保障局、内閣情報調査室等で期間業務職員を多く採用しているわけでありますけれども、今審議官から、そういう意味で保全上の問題はないという答弁がありましたけれども、本来であれば、私は、この部局の業務上、考えたときに、正規職員で対応すべきだというふうに考えております。それは定員があってなかなか難しい面もありますけれども、やりくりしながらも、そうした方向が私は必要だというふうな認識を持っておりますので、今後ここは検討していきたいというふうに考えています。

古川(元)委員 特定秘密を扱う、そういう人たちもいるようなところで仕事をする人というのは、その扱う人だけチェックすればいいというものじゃなくて、そこにアクセスし得る人たちについてもやはりきちんと最低限のチェックは必要だと思うんですね。

 そういうところでないにしても、派遣で働く人たちに、普通、派遣会社は卒業証明書とかそれくらいは求めているのであって、これは、そういう部署ではないところであっても、私は、文科省のように、そういう最低限の証明書類は、単に自分で書いた履歴書というだけじゃなくて、これはやはり求めるようにすべきではないかと思いますが、どうですか。

原政府特別補佐人 遅くなりました。

 現在の採用の指針といたしましては、期間業務職員の採用は面接及び経歴評定その他の適宜な方法によるという定めにしてございまして、今おっしゃいましたような具体的なところまでは取り決めはしてございません。

 どういった運用にするのが適正かにつきましては、それなりにまた検討をさせていただきたいと思います。

古川(元)委員 官房長官、今、この問題について検討すべきじゃないですかと言ったら、総務大臣と人事院総裁との間で、そっちだろうとか、こういう話になるところ、ある種、ここのところで、誰が本当にちゃんと責任を持って、各省庁の状況はどうなのかとか、これをチェックすれば、文科省だけがこういうものを求めているということはすぐわかるわけです。普通に考えたら、ではやはりほかのところもやるべきじゃないかというふうに考えてもいいんだと思うんですよね。そういう意味での、いわば何かガイドラインは決めているけれども、やり方は各省庁に任せちゃっていてばらばら、それをチェックもしない、この体制というのは、私は、かなり問題ではないかと。

 国家公務員として、やっていることはほとんど、私が経験したところでいえば、正規の職員と変わらない。それは、先ほど官房長官もおっしゃったように、いろいろな定員の関係とかそういうこともあって、ある種やむを得ずこういう方々にお願いをしているというのもあるわけですから、そういうことを考えると、もう少し各省庁、各省庁といえば官房が担当ということでしょうけれども、そこを超えて政府としてきちんとどこかが責任を持って、この人たちの採用とか処遇とか、そういうものをチェックしていく、そういうことをやはり決めていかなければいけないんじゃないかと思いますが、どうですか、官房長官。

新藤国務大臣 今委員の方から、総務省と人事院でどっちだと、迷いがあるようなお話をされましたけれども、全く迷いがないわけで、一番最初に申し上げましたように、採用、給与、休暇は人事院、そして、人事評価、退職手当、そういったものは総務省がやるということで、きちんと分けてあるわけでありますので、そこは誤解のないようにお願いしたいと思います。

 それから、これは委員御承知で言っているんだと思いますけれども、まさに、委員が示された期間業務職員の給与の一番下に米印がありますように、一般的な事務補助に従事する期間業務職員の給与ですから、これは同じカテゴリーのものであるから、大体各省同じようになるのは当然なわけであります。

 あわせて、これは、私どもで把握している範囲でも、総務省は例えば一般事務だと日給で七千六百円です。でも、同じ総務省でも、年金記録の確認業務をやるような業務については日額が一万一千円です。もうこの総務省の中で、七千六百円から九千八十円となりますけれども、総務省においても専門的な業務をやる場合には一万一千円を出すわけであります。それから、先ほどお話があった経産省については一万五千円ということですから、それぞれ適切な運営をしている。

 前政権においてもこういった問題が、委員も内閣におられたというのならば、そういうときにどういうふうにされていたのか、これも含めていろいろ検討はしていかなきゃいけない、こういうことは私ども承知をしております。

古川(元)委員 これはもうちょっと、大臣、よく中を見ていただきたい。一般的な事務補助といいながら、中でかなり専門性を求めている部分もあるんです。

 ですから、ここで細かい話をやりとりする話じゃないですし、我々の政権でもそうだったじゃないかと言いますけれども、日々雇いというのはもうずっと昔から続いているわけであって、私も政府に入って、見ていると、同じような仕事をしているのに非常に待遇に違いがある。これは特に、女性の人がほとんどで、給料もそして待遇もかなり違うというのは、民間に対してそうした人たちの待遇をなるたけ同じようにすると言いながら、一番足元の国家公務員の政府のところでそういう問題があるんじゃないか。

 だから、すぐに変えられる問題ではないかもしれませんが、やはりそこは私も政府に入って問題意識を持ったんです。だからこそ、ここで取り上げているわけであって、官房長官はもう出られると思いますので、最後にもう一言だけ御答弁いただきたいんです。

 それぞれの省庁、人事院と総務省が一応担当だと言いますけれども、しかし、では、どうもそこの間のところはどうなのかとか実態がどうなのかとか、やはりそこについてはそんなに自覚を持ってやっているという感じでは今までのところ見えないので、やはりここは官房長官のところで政府全体をもう一回見直しして、そして整合的にするところはするとか、そういうふうに取り組んでいただけませんか。どうですか。

菅国務大臣 当然のことでありますけれども、ガイドラインは人事院でしっかりつくっていただいておるわけでありますから、そうしたものに基づいて、内閣で余りばらばらであるということは、やはりここはいいとは言えないというふうに思います。

 それと同時に、やはり、どういう形でそうした職員の皆さんを採用しているのかということを明らかにするということも、私どもにとって大事なことだというふうに思っています。

 今いろいろ御指摘をいただきました。そうしたことを踏まえまして、総務大臣と連携しながら取り組んでいきたいというふうに思います。

古川(元)委員 ありがとうございました。

 官房長官、お時間だと思いますので、どうぞお席をお立ちください。

 次に、人事評価についてちょっとお伺いしたいと思います。

 期間業務職員の人事評価は、誰がどのように行っているんですか。

新藤国務大臣 期間業務職員を含む非常勤職員につきましては、人事評価の結果を昇任や昇給に反映する余地がないということでありまして、人事評価は実施しないことができる、このようにされているわけであります。そういう状況です。(古川(元)委員「では、していないということですか」と呼ぶ)そうです。

二階委員長 各大臣も、答弁をする場合は、ちゃんと挙手をして、委員長の許可を得てするように。

 古川君。

古川(元)委員 では、人事評価はしていないということですか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、政令におきまして、非常勤職員につきましては実施しないことができるとされているところでございます。

 ですから、もちろん、することは可能でありますけれども、実態として、評価制度を適用して昇任とか昇給とかに使うようなケースがあるかというところからすると、各省としては評価をしていないということが実態だろうと思います。

古川(元)委員 これは、評価がほとんどないんです。一年更新なんですけれども、更新するときに、では、どういう形で更新されるかとか、期間業務職員の皆さんというのは常にそういう不安定な立場に置かれているんですね。

 結局、そういうことがあるから、どうなるか、上司に嫌われると更新されないんじゃないか、やはりそうしたことから言うべきことを過度に遠慮したり、また、上司に気に入られないと雇用が更新されないと思って、一説には、パワハラとかセクハラに類するような、そうしたことが行われている、そういううわさもあるようであります。

 これは、実際はどうなんですか。この辺、調査したことはあるんですか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 セクシュアルハラスメントについて、人事院として、その実態を正確に把握しているわけではございませんけれども、従来から、セクハラ防止週間を毎年設定し、シンポジウム及び講演会を開催すること、パンフレットや意識啓発用電子媒体資料を配付すること、それから職員に対する意識調査を実施すること等を通じまして、セクハラ防止についての職員の意識啓発等に取り組んできているところでございます。

 セクハラは職員の尊厳や人権を侵害する行為であり、その防止を図るためには、引き続き取り組みを進めてまいりたいというふうに思います。

古川(元)委員 これは私、期間業務職員について聞いているんですよ。そんな一般的なセクハラ防止の話じゃないです。これはどうなんですか、総裁。

原政府特別補佐人 セクハラにつきましては、今の説明ではちょっと常勤職員、非常勤職員という御説明はいたしませんでしたけれども、非常勤職員を含めてのことでございます。

 また、余りあってはいかぬことでありますが、現実に人事院の公平審査に上がってくる中身でセクハラに類するもの、これが、常勤職員相互のものもございますれば、あるいは非常勤職員に対してという余り好ましくない形のものもあることも事実でございまして、やはり常勤、非常勤にかかわらず、今のセクハラ教育というのはきちんとしなければいけないということかと思います。

古川(元)委員 非常勤職員の場合には、毎年更新がされる、そこで評価基準がない、だからそういうことが起きる、そういう環境があるんだと思うんですね。そういった意味では、ちゃんとやはり評価基準というものを設けるべきじゃないですか。どうですか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 期間業務職員につきましては、年度の単位で採用していくということでありまして、翌年度になりますと、原則は公募でございますけれども、従前の勤務実績等を勘案して新たに採用するということはあろうかと思います。その際、当然、各省それぞれ勤務実態等を把握した上で採用等を新たに行っているというふうに承知しております。

 人事評価というツールがそこに不可欠かと申し上げますと、年二回の実績評価とか、あるいは年に一回の能力評価という枠組みで、そのためにやることが果たしていいのかどうかといったことは、また別途検討するべき課題だろうと思います。

古川(元)委員 森大臣、女性の立場として、これはぜひ一回、政府の中で、大臣が主導して、働いている女性の期間業務職員の皆さん方の意見を聞いてもらって、やはり実態をちょっと聞いてもらうということが必要なんじゃないかと思うんですね。これはどうですか、大臣、今までの話を聞いていらっしゃって。

森国務大臣 期間業務職員は女性が非常に割合が多いというのは、御指摘のとおりでございます。

 私のところの大臣室にいる期間業務職員は、専門性を持った職務には当たっておりませんで、来客応対とか電話をとったりしておりまして、一般事務の補助ということにはなっておりますけれども、委員御指摘のような専門性を有するような職務をしていただいている場合には、同一労働同一賃金、こういった給与の平等性、これはしなきゃいけません。

 それから、今御指摘のセクハラ、パワハラの問題は、期間が一年ごとに更新をされる、そこでの人事評価がないという中での環境を鑑みますと、きちっと見ていかなければならないというふうに私は今思いましたので、しっかりとそこのところを、まず実態を把握して、省庁横断で見てまいりたいと思います。

古川(元)委員 やはりこれは、女性のお立場だからこそ女性からも率直なお話も聞けるんじゃないかと思います。ぜひ、そこは大臣が先頭に立って調査もしていただきたいというふうに思います。

 次に、今の期間業務職員、これは今、日給なんですね。もともとは日々雇用という形で、毎日、一日単位で任用されて、それが更新されるという形だったわけなんですが、それが、二〇一〇年の十月に期間業務職員制度というのが導入されて、このときに、任期と任期の更新という考え方が入れられたわけであります。

 本来であれば、これは人事院になるんですか、やはりこのときに日給ではなく月給にすべきだったんじゃないですか、どうですか。なぜ日給のままにしたんでしょうか。

原政府特別補佐人 期間業務職員という名前を導入いたしまして、また、再雇用につきましても一定の基準というものを示したわけでございますが、ただ、あくまでも非常勤職員ということで、基本的には、一会計年度内の臨時的な雇用という原則になってございます。

 それをもとにしておりましたので、端的に言いますと、日々雇用という制度ではございませんけれども、職種によっては、非常に限られた期間だけ採用するという職員も非常勤職員として位置づけてございますので、そういった意味で、月給制は必ずしもそぐわない部分もあるということで、日額制を基本にして、支給としては月給の形で毎月支給をするという形にさせていただいているところでございます。

古川(元)委員 支給としては月給といっても、これは日額支給なので、例えばゴールデンウイークがある五月とか、年末年始の十二月、一月とか、今月の二月みたいにもともと少ない、そういう月になると、これは、先ほどお示ししたように、二十日勤務して月額これくらいだというんですけれども、やはり勤務日数が非常に短くなって、それだけ給料が少ないということが起きているのが現実なんですね。

 かなりの期間業務職員の人たちが正規の職員と同じような業務をやっているということを考えると、もちろん、非常に短期の、一週間とか十日、そういうのはあるかもしれませんが、この期間業務職員というのは、ある程度の任期ということで考えると、これは月額、月給というものをやはり原則にすべきだと思いますが、どうですか。

原政府特別補佐人 基本的には、非常勤職員の仕組みというのが時代とともに大分変わってきているんだと思います。

 各省の業務と定員管理等、そういった中で、予算の範囲内で必要に応じて各省庁が非常勤職員を採っているという形で、その中には、勤務時間的に申しますと、ほぼ常勤的な職員がかなりございます。今もお話のございましたように、かなり日限を切った臨時的な職員もございます。そういった者を、一つ、統一的に非常勤職員、期間業務職員という形にしてございますので、制度としては今の形になっているわけでございますが、これを基本的に月給にするか、どうするかという話になりますと、そもそも非常勤の業務というのをどうするかまで立ち返って議論をするという形になるのではないかと思います。

古川(元)委員 これは、総裁、ちゃんと調べてみてくださいよ。例えば、それは一週間や十日もあるかもしれないと言いますけれども、実際に期間業務職員で応募しているもので、そんな、一カ月に満たないのはありませんよ。やはり最低でも月単位ですよ。そうであれば、月給にすることに何ら問題はないと思うんですね。期間業務職員とは別に非常勤で雇うこともできるわけですから。

 なぜ、この期間業務職員を月給にできないのか。そういうことを、私は、実態を調べれば、理由はないと思いますけれども、どうですか。

原政府特別補佐人 恐らく、非常勤の職員がかつてどういう形で雇用されていたか、また現状においてどうかという点につきましては、かなり時間の差があろうかと思います。

 そういったところを今つぶさに私承知しているわけではございませんけれども、非常勤の仕組みというのが、おっしゃるように非常に安定的でない形になっていることは事実でございます。

 ただ、常勤の職員という形になりますと、今の中では定員管理の対象になるということもございまして……(古川(元)委員「そんなことを言っているんじゃないよ、月給にしろということだよ」と呼ぶ)はい。ただ、基本的には、非常勤ということで臨時的ということですから、おっしゃいましたように、例えば、お正月、年末年始の休暇とかゴールデンウイークという話になりますと、もちろん有給で一定の制度はございますけれども、そういった中で、やはり制度としては限界があるのかと思います。

古川(元)委員 そんな、日給でなければいけないという理由は、どう総裁の話を聞いても私は理解できませんね。これは一回、やはりちゃんと検討していただきたいと思います。

 時間も少なくなってきたので、次に、退職金の件についてちょっとお伺いしたいと思います。

 これは、国家公務員退職手当法二条で、退職手当の支給は、常勤勤務に服することを要することを基本とするが、これら以外の職員でも、その勤務形態が常勤の職員に準ずるもの、勤務日が十八日以上ある月が引き続いて六カ月を超えた非常勤職員等については支給されることになっている、こうなっているわけです。

 そういった意味では、基本的に、期間業務職員、ごく短い人を除いては、ちゃんと退職金が支払われる、それは法律が要求している、そういうふうに認識してよろしいですか。

新藤国務大臣 それは、そういう趣旨だと思います。

古川(元)委員 そうしたら、田村大臣、ちょっとお伺いします。

 この配付資料の最後をちょっと見ていただきたいと思います。これは厚生労働省から出していただいたものです。厚生労働省の職業能力開発局。

 これは、期間業務職員を募集しています。期間は一年間ということでありますが、ここの退職金制度を見ると、「なし」になっているんですね。元労働省も、まさにこういう働く人たちの処遇をするところ。

 いろいろ探してみたらこういうのが出てきたんですが、では、この「なし」というのは問題だ、そういう認識でよろしいですか。どうですか、これは。

田村国務大臣 済みません、私、朝から問レクを受けていたんですけれども、通告をいただいていないという判断でございますので、これは確認をさせていただいて、後ほど、また委員の方には御報告させていただきます。

古川(元)委員 これは厚労省から出していただいた資料なんですね。今のお話でいえば、新藤大臣も、これはちゃんと支払わなければ違法だということですから、やはりこういうことがあってはいけないんだと思います。しっかり確認をして、対応していただきたいと思います。

 ちょっと時間がだんだんなくなってきてしまいましたが、森大臣、ここまでの経緯を聞いていただいていて、最初に申し上げたように、やはり女性の職員が多い。昨年、大臣のもとで決められた、我が国の若者・女性の活躍推進のための提言の中で、まず隗より始めよということで、公務員において、そういうふうにおっしゃっているわけですよね。そうであれば、一番足元、お膝元の霞が関でこういう状況があるというのはやはりかなり問題だと思います。

 この点については、これもやはり大臣が先頭に立って、しっかり足元から、働く女性の職場環境の改善に取り組むべきでないかと思いますが、どうでしょうか。

森国務大臣 安倍内閣では、全ての女性が輝く社会を目指しておりまして、経済界、民間に要請をする前提として、まず隗より始めよということで、霞が関の改革に着手いたしました。

 今、期間業務職員の話がありましたけれども、常勤、非常勤にかかわらず、女性が働ける環境を整備していかなければならないと思います。非常勤職員でなくても、常勤職員も、女性は霞が関の中で大変働きにくい状況にございます。残業等が非常に多い環境にございます。

 一つ改革しましたのは、男性職員が海外赴任した場合に、女性は、一緒についていくとなると、やめるしかない、休業する制度がないわけです。これで多くの女性国家公務員がやめていっています。最初の採用の割合から、十年ぐらいたつと非常に少なくなっている。そこは改革をして、前国会で法律を出させていただいて、配偶者帯同休業を実現いたしました。

 御指摘の期間業務職員についても、セクハラ、パワハラ等の実態をしっかりと把握して、女性が輝ける社会づくりに邁進してまいりたいと思います。

古川(元)委員 ぜひそこはしっかりやっていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってきてしまったので、下村大臣と根本大臣には来ていただいたんですけれども、ちょっとそこまでいけないので、最後に田村大臣に、聴覚障害認定の問題について御質問したいと思います。

 今、御存じのように、ゴーストライターに作曲を依頼していたと言われている佐村河内さんの問題が大きな話題になっていますけれども、佐村河内氏は聴覚障害認定二級を受けて、障害者手帳を持っていたということが言われているわけです。しかし、これはもともと聞こえていたんじゃないか、そういう疑惑が持ち上がっているわけであります。本人は、いや、最近になって聞こえるようになったんだというようなことを言っているようでありますけれども、もし、もともと聞こえていたということであると、では、どうしてこの認定を受けられたか、この点、問題になってくるんだと思うんですね。

 いろいろ報道とかそういうものを見ていますと、聴覚障害認定が、オーディオメーター、音が聞こえますかどうかという、誰でもやったことがあると思いますけれども、それで基本的に判断をしていますと。レクで聞いてみますと、怪しいかな、おかしいかなという人についてはABRという脳波をチェックするものをお願いしているけれども、そうでない人についてはオーディオメーターだけでやると。しかも、一回認定をされると、更新とかチェックとか、そういうことは基本的には行っていないというようなんです。

 今回の問題で私が一番心配しているのは、こういう問題があると、本当に聴覚障害である方が、周りから、本当は聞こえているんじゃないかとか、白い目で見られたりとか、そういうことが起きてしまいかねないか、やはり一番そこのところが心配なんですね。

 やはりここのところは、かつては、医者が聞こえているのに聞こえていないという認定をして、そういう医師に悪意があってというような場合はどうしようもない話ですけれども、やはりこの認定の仕方についてもう少し改善とか工夫とかを行って、ちゃんと認定された以上は本当に聴覚障害なんですよと、聴覚障害者の人が変に世の中から白い目で見られたりとか、そういうことが起こらないようにするためにも、今回の問題を受けて、この聴覚障害の認定のあり方については少し検討すべきではないかと思いますが、どうでしょうか。

田村国務大臣 障害者手帳の申請に当たりましては、都道府県が指定する指定医、この指定医が意見書、診断書、これに基づいて認定をする、こういう制度になっておるわけでありまして、そういう意味では、今言われたようなオーディオメーターというやり方、これはまさに、音が鳴ったらぴっとボタンを押すというやり方でありますが、このような聴力の検査、さらには鼓膜の状態、こういうものに対しての所見を添えた意見書や診断書に基づいて認定を行うわけであります。

 今言われたABRという方法がありまして、それは聴性脳幹反応検査といいまして、頭と耳たぶに電極をつけて、音に対して脳波を調査するというやり方でありまして、これはかなりの精度でわかるわけでありますが、今現状は、まずはオーディオメーター方式でやって、問題がある場合にはそれを使う。

 それはなぜかというと、一つには、やはりABRの検査ができる機械が置いてあるところが少ない。それから、余り使われないものでありますから、しょっちゅう使うものではありませんので、採算的にもなかなか合わないということがございます。

 あわせて、使われる方々、つまり検査される方々も、これは自費で診断書を書いてもらわなきゃいけないものでありますから、どうしてもABRを使うと一万円弱ぐらい余計に負担がかかっちゃうということもございます。

 そういう問題点があるということはあるんですが、ただ、今回、今委員が言われたような案件、この事実関係をしっかりと我々も調査した上で検討をさせていただきたいというふうに思います。

古川(元)委員 時間になりましたので終わりたいと思いますが、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 下村大臣と根本大臣には申しわけありませんでした。

 終わります。

二階委員長 これにて古川君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 本日は、この場での質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 最近の国会答弁で安倍首相がよく使う表現、三つあると思っていまして、一つは積極的平和主義、二つ目に好循環実現国会、それから責任野党という三つです。

 私はいずれにも違和感を持っておりまして、海外派兵に積極的な平和主義よりも、近隣諸国と融和を図っていく積極的対話主義の方が私は目指すべきだと思っています。また、好循環は、国会よりも、震災から三年を迎える被災地の復興でこそまず実現すべきだと思っております。それから、真の責任野党、海江田代表も言っておりますけれども、与党にすり寄るのではなく国民に寄り添うべきだと思っております。

 そのような立場から、以下、順次質問させていただきます。

 まず、内閣法制局に来ていただいておりますけれども、憲法解釈の限界についてちょっとお尋ねします。

 先ごろの二月十二日、大串委員の質問の際、内閣法制局から、過去の政府答弁書を引用して、「憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、」中略しますが、「論理的に確定されるべき」という答弁がありました。つまり、憲法解釈には論理的な限界があるということです。

 ところで、安保法制懇の中で、今現在、憲法九条の解釈として我が国が国連の集団安全保障措置に参加したり集団的自衛権を行使したりすることが認められるかが議論されております。

 他方、国連憲章では、第二条において加盟国の国際関係における武力の行使を原則として禁止し、例外的に認められる場合としては、第三十九条において国連の集団安全保障措置を、第五十一条において個別的または集団的自衛権の行使を挙げているわけです。国連憲章は確立された国際法規の一つでありますから、憲法九十八条二項によって、政府はその遵守義務を負っているわけです。

 つまり、九十八条二項によっても我が国の武力の行使に制限が課せられているわけですから、仮に、憲法九条が、もし解釈が変更されて、個別的自衛権のみならず、国連の集団安全保障措置に参加したり集団的自衛権を行使したりすることまで許容するとするならば、国連憲章と同じ範囲で武力の行使が制限されるにすぎなくなるということです。

 何を言いたいかといえば、国連憲章の遵守を定める憲法九十八条二項と憲法九条は、実質的に同じことを言っているにすぎなくなるのではないか。そうなってくると、憲法九十八条二項とは別個に、日本国憲法が、あえて、第二章の戦争の放棄という章で九条を定めている意味がなくなってしまうと私は考えます。

 よって、憲法九条は、我が国の武力の行使について、国連憲章よりも厳しい制約を課していると解釈するのが論理的な帰結ではないかと考えておりますが、この点、いかがでしょうか。

横畠政府参考人 お答えいたします。

 憲法解釈、憲法を初めとする法令の解釈の一般論については、これまで、国会、この委員会の場でもお答え申し上げているとおりでございます。

 御指摘の具体の問題ということになりますと、政府といたしましては、懇談会、安保法制懇からの報告書が提出された後に政府としての対応を検討することとなっていると承知しておりまして、懇談会においては今議論が行われていることでありますので、現段階において具体的な御意見を申し上げることは差し控えたいと思います。

階委員 質問の意味、おわかりですか。九十八条二項と同じ範囲で武力の行使に制限をかけるのであれば、あえて九条を置く意味がなくなってしまうのではないかということです。

 その点について、もう一度答弁を求めます。

横畠政府参考人 憲法を初めとする法令の解釈についての一般的な考え方については、たびたび申し上げていることでございますので、あえて繰り返しはいたしません。

 しかしながら、やはり、憲法の解釈と申しますのは、あくまでも、現行の憲法の規定を前提として、その適用に当たって、当該規定の法規範としての内容を具体的に認識することでありまして、憲法の改正とは異なるものでございます。

階委員 全く答えになっておりません。

 では、再度。

 国連憲章と同じ範囲で武力の行使を認めるのであれば、憲法九十八条二項で国連憲章の遵守義務を定めているわけですから、九条を置く意味がなくなるのではないかということです。

 もう一度、その点についてお考えを聞かせてください。

横畠政府参考人 御指摘の憲法九条は、まさに現行の憲法の規定でございます。もとより、解釈ということでございますれば、現行の憲法九条の規定が存在するということを前提としてその解釈は行うべきものであることは当然であろうと思います。

階委員 ちょっと、全く私には納得できませんが、この点についてはまた同僚議員にフォローをお願いできればと思っております。

 次のテーマに移りますけれども、震災復興について、まずは好循環を実現すべきだと申し上げました。その好循環を実現するために必要なことを二つ取り上げたいと思います。

 一つ目は、入札不調をどう防ぐかということであります。

 お手元に資料を何枚かお配りしておりますが、一枚めくっていただきますと、私の地元であります岩手県の発注工事、土木工事における入札不調の状況、それからもう一枚めくっていただきますと、同じ岩手県ですが、建築一式工事における入札不調の状況。これを見ていただくと、趨勢としては、入札不調がいずれの場合でも高くなりつつある、特に建築の方は顕著であるということが見てとれるかと思います。

 この被災地の入札不調について、国土交通省が行っている対策で改善されているのかどうか、また、その改善状況について随時把握して、さらなる改善策について検討を行っているのかどうか、国交大臣、お願いします。

太田国務大臣 被災地の復興加速化のために事業の円滑な施工、極めて大事だというふうに思っていまして、ずっとこれを注視してきました。これまでも、労務単価を昨年の四月に上げる、二一%、被災地で上げさせていただいて、この二月から、さらに加えて八%引き上げるというような措置もとらせていただきました。

 岩手県をとりますと、昨年の入札不調一四%ぐらいが、これは時期によって、月によって、かなり予算の出る時期が違いますから変化があるんですが、昨年の二十五年度十二月までに二五%に上がっているという状況がございまして、大変心配をしました。

 二月一日に復興加速会議というのを持ちまして、岩手県からも来ていただきましてお話を聞かせていただきましたところ、去年の夏の豪雨があって、そこに仕事がかなりとられていたという要因もかなりあるということを聞きました。

 この入札不調につきましては、再発注時にロットの大型化などを行っていく、あるいはまた、間接工事費をこの二月からまた上げさせていただいたりする、資材の高騰ということが含まれるようにしていく、これをスライドさせていく。いろいろな措置をとらせていただいて、資材の高騰等については、釜石にプラントをつくるというようなこともさせていただいたりして、きめ細かく対応させていただいている状況にございます。

 ことしの、その二月一日に行ったものでは、再発注したところ、ロットを大型化してほとんど契約ができているから積み残しはないということのお答えでございました。(階委員「県の事業ですか」と呼ぶ)そうです。

 そうしたことで、国よりも県の事業、県の事業よりも市町村の事業の方がどうしても小さくなったり手間がかかったりして、入札に入らないというような状況があるということも十分承知をしておりますけれども、さらにきめ細かく対応していきたいというふうに思っておるところでございます。

階委員 今、県の事業について御説明いただきました。私のグラフも県の事業についてなんですが、実は、きのう役所の方と打ち合わせをしたときに、市町村についてこの数字はどうなっているんだと言いましたところ、個々の市町村については把握していないということでございました。

 私が思いますに、今大臣も御答弁でおっしゃられましたけれども、市町村の方が入札不調の割合が高いのではないかという実感を持っていまして、その点についてもやはりちゃんと検証していただいて、必要があれば随時改善措置をとっていただくことをお願いしたいと思います。

 その上で、復興の好循環実現のためのもう一つのポイントですけれども、これは、この委員会あるいは復興特別委員会でも根本大臣にはたびたび伺っていることであります。宅地や防潮堤の敷地など復興事業に必要な用地をいかに早く確保していくかという点であります。

 この点については、その次のページ、資料を見ていただきたいと思います。

 土地収用法、いわゆる緊急使用の条文でございますけれども、これを活用して早期に事業着手する場合のイメージ図ということであります。右側に通常の手続、左側に緊急使用を利用した場合の手続ということでありますが、今、復興庁の方でもいろいろな手を尽くしまして、通常の手続でいうと、上の方の事業認定の申請あるいは告示、それから裁決申請、このあたりまでは随分、以前よりは早くなったというふうに理解しております。

 ただ、その後、収用裁決申請から、通常の場合ですと、収用裁決までに一年から一年半ぐらいかかると言われております。ここをいかにして短縮していくか。

 また、通常の場合でない、緊急使用を利用する場合、これは、利用すれば、裁決の前に工事に着手できるから非常にいいわけですけれども、この緊急使用は六カ月という期間制限があるために、なかなか収用委員会としてもこの決定に踏み切れないということがあるわけです。しかるに、この緊急使用というものも積極的に活用していくことが用地の確保には必要ではないかということで、ここでも国交大臣にまず伺います。

 収用裁決の迅速化、それから緊急使用の利用拡大についてどのように取り組まれるか、済みませんが、時間の関係で、簡潔にお答えください。

太田国務大臣 非常に大事なので、ここが事業の遂行になかなか手間取っているということがございますものですから、各県に昨年九月に迅速化ということについては提示をさせていただきました。

 例えば、収用委員会の委員全員ではなくて、一部の委員による審理進行を可能とするような指名委員制度の活用とか、あるいは、事務局体制を拡大して、調査とか審査が、書類とかいろいろありますから、それがうまくできるようにということで、迅速化を図っているところです。

 百二十三条の緊急使用の面につきましては、国交省としては、まず、活用するようにということで、昨年四月に通知を発出させていただきました。また、他県の事例を提供して、こういうことならできるということをさせていただいたところです。

 モデル事業として、釜石の防潮堤の例を一つのモデルにしようというふうに思っておりますが、現地の状況を踏まえて、緊急使用の具体的な活用の可能性について、岩手県と個別的に協議を重ねているという状況にございます。

 これが速やかにいくように、できるだけ、個別案件ということになるわけでありますけれども、使えるようにしたいというふうに思っているところです。

階委員 通常の手続でやっているとどうしても時間がかかります。権利者を調査して、権利者それぞれにちゃんと補償を行って、それから裁決をして、そういう手続を経て工事着手ということになると時間がかかるわけでして、緊急使用が必要だと思っておりますが、今お話があったとおり、まだ被災地では、震災後、緊急使用という事例はございません。

 そこで、復興大臣にお伺いしますけれども、やはり私どもとしては、今回の東日本大震災の復興という観点からだけでなくて、将来、南海トラフとかさまざまな災害が起きることも予測されています。そのときに、今回のように用地の確保に手間取って復興の事業が進まないということを避ける意味でも、今このタイミングで用地の取得迅速化のための特別法が必要と考えますが、ぜひこの点について前向きな答弁をお願いします。

根本国務大臣 私も、復興事業の迅速化には、用地取得の問題、これは非常に大きな問題だということで、この一年間、次々に、具体的な問題点、隘路、これを乗り越える、この対応をやってまいりました。

 階委員もこの問題に大変熱心に取り組んでいただいてきておりますので、例えば財産管理制度も、通常なら半年間かかるところを三週間でやる。私は画期的だと思います。それから、収用手続についても、三年八割ルールというのがありました。これを、任意買収のときから先にやる。事業認可手続も、三カ月を二カ月でやる。残るのは、おっしゃるとおり、収用委員会、この裁決をぜひ早くやってもらいたいと私も思っております。

 収用委員会の裁決手続も、各県を見ていますと、非常に長いところと早くやっているところがあります。ですから、国交省にも、具体的な事案を整理して、そして提示してくれと。それから、岩手県の収用委員会の事務局を増員するというふうに聞いておりますが、ここのところが最終的に残っている大きな問題だと思います。

 例えば所有者不明ならば、不明裁決というのは、私は多分早いんだろうと思うんですね。ですから、収用委員会での、そこの緊急使用の問題。緊急使用の問題も、恐らくこれは適用されている事案が少なかったのではないかと思いますから、ここのところを具体的に詰めてもらいたいと思います。

 特別法の問題がありましたけれども、いずれにしても、今回、我々は加速化プログラムをつくりましたけれども、これは画期的に手続を短縮する、階委員も熱心に取り組んでいただいた抜本改革だと私も思っていますから、今の、残る新しいテーマとしての緊急使用、これはそういう段階にも来ておりますので、よくこれは詰めていきたいと思います。

階委員 これまでの御努力には敬意を表しつつ、この委員会でも、畑委員もこの問題について熱心に取り組まれて、立法の提言もございますでしょうから、野党でも連携して、引き続き、この問題については国会で議論させていただければと思っております。

 そして次に、復興にも絡みますけれども、今回、復興法人特別税の一年前倒し廃止ということがどうやら政府として行われるようです。震災復興の好循環を実現するためには、国民全体が被災地に思いを寄せ続け、復興のための負担も分かち合うことが必要です。そのために復興関連の特別税を設けたというふうに理解しておりますが、今回の前倒し廃止で、黒字法人だけが負担を免れることになり、その趣旨には反しているのではないか。

 他方、廃止の目的は、足元の経済成長を賃金の上昇につなげるきっかけとするためだというふうに、さきの本会議で麻生大臣も答弁されました。しかし、廃止による減税分約八千億円が賃金上昇に確実に回る保証はないです。仮に回ったとしても、その恩恵は、データを見るところでは、都市部の大企業のサラリーマンに主に集中していくということだと思っています。

 私としては、復興法人特別税を前倒し廃止するよりも、復興特別所得税の方を目先三年間免除した方が、需要押し上げ効果、消費の押し上げ効果が確実かつ広範に生じて、大臣がおっしゃる目的にも沿うのではないかというふうに考えますが、この点、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 復興法人特別税の前倒しの御質問ですけれども、これは、経済の好循環というのを目指すのが最大の目的であります。

 おっしゃるように、復興特別所得税を三年間ということになりましたら、目先、個人の可処分所得がふえるということは間違いないんだと存じますけれども、所得とか消費の持続的な拡大をやっていくということになりますと、これはやはり自律的な好循環というものを実現せねばならぬ。そのためには、企業の積極的な賃上げとか、また企業収益の拡大による個人の所得や消費の拡大につなげていくということが大事なのであって、総合的な取り組みというものの方がより効果的と考えて、その一環として特別法人税の前倒しを決めさせていただいております。

 もう一点だけ言わせていただければ、今回の、今御疑問になっておりました、法人税を払っておるというのは、おっしゃるとおり、法人税を払っている会社というのは少ないんです。事情はいろいろありますので、よく説明はしませんけれども。

 計上法人、約七十万八千社ぐらいあるんですけれども、実は中小企業がそのうち六十八万六千社ぐらいあると思いますので、そういった意味では、中小企業の比率の方が、九七、九八%ぐらいが中小法人なので、大企業よりむしろ中小企業の方に影響が大きい、私どもはそういう計算をしておりますので、ぜひ、そういった意味では、景気がよくなって全体が上がっていくということが大事だと思って、この判断をさせていただきました。

階委員 法人税に関して、もう一つ伺います。

 法人税引き下げについて政府・与党内で議論が始まっていると承知していますが、この資料の三というのをごらんになっていただければと思います。社会保険料事業主負担の国際比較ということで、これは法人税と社会保険料の企業の負担を主要国で比較してみたものでございます。

 日本の場合は、社会保険料が七%、法人所得課税の税収が国民所得に占める割合が四・四%。以下、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、韓国と並んでおりますけれども、この両方を足し合わせてみると、ほぼ真ん中ぐらいではないかというふうに見てとれます。

 今、法人税の方に議論が集中しておりますけれども、なぜ社会保険料についてもあわせて考えないのか。

 といいますのは、仮に法人の負担を減らそうというのであれば、私は、正規雇用を促進していく上で、社会保険料を減らした方がいいのではないか、また、赤字企業の負担軽減という意味でも、先ほど来御答弁がありましたように、黒字企業にだけ恩恵が及ぶ法人税負担の軽減よりも、社会保険料の軽減の方がいいのではないかと思っております。

 これは実は本質的な問題を含んでおりまして、今、経済のデフレだけではなくて人口のデフレも進んでおります。その人口のデフレを解消していく上で、長妻先生も多分この委員会で指摘されたんだろうと思いますけれども、正規雇用をふやせば結婚する比率が高まる、結婚する比率が高まると、結婚すれば、大体、子供が生まれる出生率というのは今でも二近くあるわけですから、出生率も高まっていくということで、これは人口デフレの解消にもつながってくるわけですね。

 そういう今日本が抱える本質的な問題を考えたときにも、やはり社会保険料の方に優先的に論点を挙げて議論していくべきだと私は思っております。厚労大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 委員が社会保険料と、どれをおっしゃっておられるのか、社会保険料はいろいろあるものでありますから、何にターゲットを絞っておられるのかよくわからないわけでありますが。

 そもそも、例えば年金も、今、被用者年金一元化法案が通りましたが、しかし、共済と厚生年金、まだ現状、保険料率は違いますね。医療保険もそれぞれ、協会けんぽ、それから組合健保等々、共済も含めて違う。しかも、全て働いている方々には基本的にかかわるのが社会保険料でありますから、営利法人以外にもかかわるわけであります。それを景気対策で使うというのは、公平性を考えたときにどうなんであろうか。

 そしてまた、例えば年金でありますとかそれから医療保険なんかは、法律で折半となっているんですね、付加給付はありますけれども。しかし、企業側を安くするということはできないわけでありまして、すると、法律改正をかなり広範にやらなきゃならない。これは種々いろいろな問題があります。

 例えば、事業主に減免をかけるという話になれば、当然、保険料率を決めるのには労使でもいろいろ話しているわけでありまして、働く側からしてみれば、保険料、我々働く側の料率も下げろよというような話も出てくるかもわからない。すると、これは景気対策というよりかは、本来、保険料をどう考えるかということでありまして、これは需給と負担のバランスからもちろん成り立っているわけでありますから、かなり大きな議論をしないとできない、しかも財源も含めてでありますけれども、そういう議論でございますから、ちょっとやはり景気対策として使うのはなかなか難しいのではないかというのが認識であります。

    〔委員長退席、上杉委員長代理着席〕

麻生国務大臣 階先生、これは物すごく大事な指摘で、この種の話を正面切って聞かれた方は、余り私らのところにはないんですが。

 会社経営している人から言わせたら、正規採用と政府は言うけれども、給与を正規に払って、正規に社員を雇うということは、社会保険料がついてくるわけです、半分払いますから。それがでかい。だからアルバイト。アルバイトに給料をやった方がまだいいとか、賞与だけふやした方がいいとか、いろいろ御意見があります。

 これは物すごく大きな問題だといって、今、田村大臣の方からお答えがあっておりましたけれども、これは、グローバル競争の中で国際競争をやっていく上におきましても、この資料の中に出ておりますように、ここがやはり一番でかいところだと思っております。

 これは今、政府の税制調査会において、この問題について今後どう考えるかというのは、これはちょっと長期的な話を含めて考えないと、その場で、短期で、予算の都合で一年でとかいう話とは全然違った種類の話だろうがということで、社会保険料のほかにも、電力とか人件費とか規制とか、その他ビジネス関係はいっぱいありますので、そういったものを含めて検討させていかねばならぬと思って、既にその方向で指示をいたしております。

階委員 ありがとうございました。大きな問題だということは認識しておりますが、ぜひその大きなテーマも議論していただければと思っております。

 エネルギー基本計画について伺います。きょうは経産大臣にもお越しいただいておりますので。

 これから、エネルギー基本計画、政府の方で決定される段取りになっていると思いますが、私、昨年、藻谷浩介さんの「里山資本主義」という本を読んで、非常に感銘を受けました。私も岩手の出身でございますので、ここで言われている里山資本主義ということに共鳴したわけです。この本によりますと、「お金の循環がすべてを決するという前提で構築された「マネー資本主義」の経済システムの横に、」「お金に依存しないサブシステムを再構築しておこうという考え方」で、エネルギーの地産地消もこれに沿ったものだというふうに考えております。

 エネルギーの地産地消の適地は、自然に恵まれた、実は過疎地でございまして、そこで地産地消を進めていくためには、行政を初め地域のマンパワーが足りない中で、どのようにしていくんだろうという課題があると認識しております。

 そういった観点から、経産大臣、エネルギーの地産地消にどう取り組もうとしているのか、お答えいただけますか。

茂木国務大臣 藻谷さんと私も、何年になりますかね、数十年のつき合いでありまして、全国をくまなく回る中で、自分の目で見、耳で聞き、さまざまな分野について提言をされている、すばらしい著書も本当に多い、こんなふうに感じております。

 エネルギーの地産地消、先生の方から御指摘をいただいた点の中核をなしますのが、各地域のエネルギー源を有効活用できて、そして地域において取り組みやすい、太陽光であったりとか風力、バイオマスといった再生可能エネルギー、これが中心になってくるんだろうと考えております。

 御案内のとおり、現在、固定価格買い取り制度によりまして、投資回収に見通しがつくようになったことで、地域におきまして再生可能エネルギー分野の投資は活性化しつつある、このように理解をいたしております。

 その上で、委員御指摘の、単にその地域でエネルギーを生産するだけではなくて、そのエネルギーを地域で消費する、こういった地産地消型の再生エネルギーの導入を促進していくためには、この固定価格買い取り制度の対象とならないような、自家消費用途での再生可能エネルギー発電設備であったりとか、発電のみならず、再生可能エネルギーの熱を利用した設備、ボイラーであったりとか冷暖房、こういった設備の導入を図っていくことがあわせて重要だと考えております。

 経済産業省におきましては、平成二十四年度より、自家消費用途の再生可能エネルギー発電設備の導入支援事業、また二十三年度からは、太陽熱それから雪氷熱、これは逆に夏に冷房に使うわけでありますけれども、こういった再生可能エネルギー熱を利用した設備の導入支援事業を通じて、地産地消型の再生エネルギーの導入を後押ししているところであります。

 平成二十六年度の予算におきましても、これらの事業について必要な予算額を計上しておりまして、引き続き、こうした支援を講じることによりまして、各地におけるエネルギーの地産地消を積極的に進めてまいりたいと考えております。

階委員 地産地消に積極的に取り組むというお話がございましたけれども、私が問題意識として持っているのは、地産地消の適地である過疎地はマンパワーが少ないので、その面での支援も必要だということを申し上げておきます。

 それから、国交大臣にもう一問伺う予定でしたが、時間がないので、私の方から説明だけさせていただきます。

 エネルギー基本計画の中で、省エネというのも大きな論点だと思います。省エネを進める上で、住宅の断熱化が私は重要だと。高齢の単身世帯がふえる中で、健康面であるとか防火の面から住宅の断熱化を進めて室内を快適な温度に保っていく、その意味での断熱化です。

 高齢者に低体温症があらわれる室温が十度と言われているそうです。これは冬場の日本の平均的な寝室の気温と同じだそうです。ただ、十度というと、私なんか岩手ですから、岩手だともっと寒くて、朝起きると息が白いということが間々あるわけです。それはやはり健康面、あるいは、寒いとやはり火を使うわけですから、防火の面でも高齢者のひとり暮らしにはふさわしくないだろうと思っておりまして、住宅の断熱化についてもぜひ取り組んでいただければと思っております。

 済みません、時間が迫ってまいりましたが、下村文科大臣に最後、伺いたいと思います。

 私、ある雑誌で、昨年、文科大臣の幼少のときのお話を目にしまして、非常に感銘を受けました。

 済みません、プライベートなことで恐縮ですけれども、九歳のときに交通事故でお父上を亡くされて、その後、兄弟三人で生卵一個を分け合うようなひもじい食生活もされつつ、五年生のときには、担任の先生に裁縫道具を渡されて、先生から、将来文科大臣になるかもしれないねと言われて、きょう、ここに来られているということで、私は、すばらしい文科大臣としての生い立ちだなというふうに思って感銘を受けたんです。

 その中で、中学卒業のときに、やはり御家庭が貧しくて普通高校進学を断念しそうになったんだけれども、ちょうどそのときに、今のあしなが育英会ですか、この奨学金制度ができて、それを使って進学をしましたというお話でした。

 きょうここで取り上げたいのは、まさにその奨学金の話です。

 大学の奨学金に絞って申し上げますけれども、今、日本学生支援機構、この公的な奨学金について、有利子の奨学金については、なかなか、就職しても、今、生活が不安定だということで、返済がままならなくなって、返せなくて延滞金がかさんでいる。それで返せませんと言っても、裁判所から支払い督促が届いたり、いわゆるブラックリストに載ったりということで、せっかく奨学金を受けて、能力を高めて社会で活躍しようと思っていたのが、逆に奨学金が足かせとなって社会で活躍できないというような問題も生じている。

 そこで、最後の資料につけておりますけれども、今申し上げた有利子の奨学金制度だけじゃなくて、国の方では無利子の奨学金制度もあります。この無利子の奨学金制度を使えば、延滞金という問題は生じませんし、また三百万円以下の所得の人については、返還期限をいつまででも猶予できるということでございます。

 この無利子の奨学金については、今現在は、希望者みんなが奨学金を受けられるわけではなくて、大体十六、七万人希望しても十万人ぐらいしか受けられないということでありまして、私はこれをもっとふやすべきではないかと思っております。

 こういった大学の奨学金制度の拡充について、お考えをお聞かせください。

下村国務大臣 私のプロフィールを詳細に御紹介いただきまして、ありがとうございます。

 そういう経緯がありますので、経済的なハンディキャップをしょっていても、意欲、能力、志がある全ての学生に、チャンス、可能性を与えることを、ぜひ文部科学大臣として進めていきたいというふうに思っております。そのために奨学金制度は非常に重要だというふうに考えて、拡充をぜひしたいと思っております。

 ただ、なかなかトータル的な、やはり財源の問題がございまして、とりあえず平成二十六年度の予算案では、御指摘のように、無利子奨学金の新規貸与人員をふやそうということで、一・二万人増員するということと、それから、延滞金の賦課率を一〇%から五%へ引き下げすることによって、真に困窮している奨学金返還者への救済措置の充実など、大学奨学金事業の充実をぜひ図っていきたいというふうに思います。

 ある意味では、金利がある奨学金は学生ローンですから、ローンではなくて真の奨学金制度にするように、ぜひ拡充をしてまいりたいと思いますので、御支援よろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

階委員 これで終わります。ありがとうございました。

上杉委員長代理 これにて階君の質疑は終了いたしました。

 次に、西野弘一君。

西野委員 日本維新の会の西野弘一でございます。

 まず、南海トラフの対策についてお尋ねしたいんですが、平成二十四年に、南海トラフ地震が起きた場合の被害想定を国が出されました。続いて、実は、この国の被害想定には液状化とかそういったことの考慮がされていませんでしたので、大阪府が独自に持っていた液状化のデータを加味しまして国の被害想定をし直したところ、国の想定の約三・六倍の一万一千ヘクタールの浸水被害が想定されまして、大阪の中心地に、よくキタとかミナミとかいうんですが、いわゆるキタ、梅田エリアが二メートルぐらい水につかるというような想定もなされていまして、大変甚大な被害が想定されているなというふうに思っているんです。

 こういった被害が想定される自治体に、国としてどのような施策を講じていかれるのかということをまずお尋ねしたいのと、この前レクを受けて資料を拝見しましたら、津波が来たときに避難をする避難タワーのようなものを整備したりとか、そこの避難タワーに行くまでとか例えば高台に行くまでの通路とか避難路を確保するために整備するための費用については、特例的に国費の充当を三分の二に引き上げて充てるというようなこともお聞きしたんですが、そのあたりのこともちょっと具体的にお聞かせいただきたいんですが。

古屋国務大臣 委員御指摘のように、昨年五月に南海トラフ巨大地震の被害想定をした上で、十二月には特別措置法をつくりまして、高台避難等々に対しては特例的に補助率のかさ上げをするというようなこと、あるいは、特別強化地域として、その前提として指定をするというようなことを決めさせていただいておりますけれども、やはり災害対策全体の考え方からすると、まず地方公共団体がしっかり対応していただく、それに対して国が支援をしていく、こういう役割分担というのがあるというのが基本的な考え方です。

 実は、ちょっとぜひ御認識いただきたいことがありまして、先週だったですか、内閣府で世論調査をしまして、災害に対する国民の皆さんの認識についての世論調査、かなり精緻に行いまして、その結果、平成十四年にもやっているんですね、そのときと今と大きく違うことが一つあるんです。

 要するに、公助をやれ、自助、共助、公助の公助、この部分が実は三分の一になったんです。自助、共助、公助、バランスをとって対策すべきだというのが大きく伸びたんですね。だから、国民の皆さんの認識もそういうふうに変わってきているということですね。

 確かに、全部国でやるというのが一つの考えなんでしょうけれども、それはもう幾ら財源があっても足りません。そうなると、やはり自助、共助の部分というのをいかにしていくか。現実に、自助、共助の部分で命を救えるというケースはたくさんある。これは三・一一の教訓でも出ていますよね。だから、この考え方というのは、やはり地方公共団体、あるいは国との関係においても同じだというふうに思っています。

 ですから、自助、共助、公助をバランスよくとっていくという視点に立って、実は、今度の南海トラフの特措法も条件をつけて、そしてかさ上げをしている。

 実際、大阪府ではそういう取り組みをされて、被害想定を液状化というところも入れてやった。それは、やはり府民の皆様にそういう実情を知っていただくということは大切なことだと思いますけれども、一方では、そういうものがあるから、では、府としては何を取り組んでいくのか。あるいは、それぞれの市はどういう取り組みをしていくのか。そして、国はそれに対してどこまでやれるのか。これをバランスよくやっていくということが極めて大切だ、私たちはそういう認識をしておりますし、これからも災害対策はその考え方にのっとって取り組んでいく必要があるというふうに考えています。

西野委員 そのアンケートの結果というのは初めてお聞きしましたけれども、ある意味、いろいろな天災、災害があって、その中で国民の皆さんも、自分の中で自助、また、地域の皆さん同士で協力し合って、私の地域なんかでも、よく防災訓練というものも活発に行われるようになりました。そういったところも意識の変化なのかなと思いますし、それはそれですばらしいというか、いいことだと思います。

 一方で、自治体の自助といいますか、地方自治体がそれぞれの判断でどういった防災、減災をしていくのかということの取り組みをしていかないけない、各自治体ごとにということもわかるんですが、一方で、こういった減災、防災というのは、近年というか、今までの、例えば地方自治体のそれぞれの財政運営の中で想定は恐らくされていなかった部分だと思うんですね、こういった費用というのは。

 ですから、そういう意味でも、国がある程度、一般的には二分の一の補助になるんでしょうけれども、例えばそれを特例的に三分の二に引き上げるというような範囲をできるだけ広くしていただきたいなと思うのと、漏れ伝わってくるところでは、これは事実かどうかわかりませんが、例えば、和歌山なんかは津波が到達するのが時間が短い、だから、こういうところは早急に堤防なんかをつくらないかぬので、また通路も、高台に行くまでの避難路も確保しないといけないので、ここは三分の二だ、大阪は津波が来るのが少し時間がかかるので二分の一でええやないかというような話も漏れ伝わっているんですが、そういうことにはならないようにぜひ配慮をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

古屋国務大臣 今御指摘のありました和歌山、津波が三分で到達するところ、これは串本町というところなんですね。ここの町長さんも、では、三分で逃げられるのかというようなことを非常に心配しておられまして、相談にも来られています。

 例えば、いろいろなやり方があるんですね、津波タワーをつくるとか、あるいは高台にそっくりそのまま移転してしまうとか。それから、もう一つの考え方として、これは国土強靱化の考え方なんですけれども、平時にも活用できて、いざ有事にはその機能を発揮する。

 こういう視点からも、費用対効果の面で大切だという観点で、実は、今、あるベンチャー企業が津波対策のコンテナをつくったんですね。それは、いざ津波が来たら、そのコンテナの中にシートベルトをつけて全部入る。そうすると、津波の流れにそのコンテナは、ただ起き上がりこぼしみたいに絶対ひっくり返らないようになっているそうでして、丈夫だそうです。レーシングカーのボディーをつくっているメーカーが開発したそうで、レーシングカーというのは御承知のように丈夫で軽くないと勝負に勝てませんので、そういう機能を兼ね備えた、そして、かなり安い、三百万ぐらいです。そうすると、二十人ぐらい入れる。それを、いざ津波が来たときは、本当に地域の皆さんはそこにすぐ逃げ込んでいただく。

 一方では、ふだん使い、平時、例えば、これはちょっと半分お笑いになるかもしれませんけれども、地域の娯楽として、例えばカラオケボックスとして新たなビジネスモデルで運営をしていただいて、いざ津波が来たらそういったところに逃げ込む、これによって確実に命が守れます。国土強靱化の四つの方針、命は守る、致命傷を負わせない、それから、速やかな復旧、被害をできるだけ食いとめるということですが、その命を救うというところにも入るわけです。

 だから、いろいろな知恵を出していく必要があるんですね。ですから、そういう知恵を、それぞれの立場で、それぞれのセクターで考えていただいてやる。国が全て支援をしていくということになると莫大な財源がかかりまして、もう相場観でもおわかりいただけると思う、とてもそういうことは正直言って国としてはやり切れませんので、先ほど申し上げましたように、自助、共助、公助のバランスをしっかりとって対応していくということが大切だというふうに思います。

西野委員 そういった新たな取り組みといいますか、コンテナの話も初めてお聞きしましたけれども、そういったことも含めて、ただ、自助、共助の部分を最大限にこれから広げていったとしても、まだまだ公助の部分にかかるところはやはり大きいと思いますし、それを国が全部面倒を見るということではなくても、地方でやっていくというのも、地方もまた財政的に限界がありますので、できるだけそこは地方の意見も酌み取っていただきながら、自助、共助、公助、そのバランスも考えていただきながら、ぜひ取り組みをいただきたいということをお願いしておきたいと思います。ありがとうございました。

 続いて、総務大臣にお聞きしたいんですが、今の議論をさせていただきましたが、地方でしっかりとこういった災害に備えていくためには大変な財源がかかります。ちなみに、南海トラフの対策費として大阪府が試算したところによると、二千百億円かかるというふうに言われておりました。

 大阪府は全然お金がありませんから、これを捻出していくというのは相当な厳しい状況がありまして、恐らく新藤大臣のところにも大阪府からも要望が上がっているとは思いますが、これは何も大阪のためにということではなくて、同じような状況にある地方自治体もたくさんあると思いますので、南海トラフ初め、こういったものの防災、減災に、限定的にとか特例的に、地方債の償還期限、通常三十年が期限になっていますが、これを六十年、国債並みに引き延ばすということも検討いただけないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 南海トラフの巨大地震、そのほかにも想定されておりますけれども、私たちは、三・一一以来、新たな大自然の脅威、そして、災害は予想を超えていろいろな被害をもたらすということを体で学んでいるわけですから、これを、将来に備えて防災を充実させる。それは、施設や社会資本を整備することとあわせて、防災の教育というもの、これも非常に重要だと思います。住民運動とあわせて、これをいかにこの次に、起きてはならないけれども、もし起きたときには、これまでの経験を踏まえたしっかりとした対応をしなくてはいけない。

 その意味において、自治体の行う対策について総務省としてもしっかりこれは支援をしていきたい、このように思っているわけです。

 しかし、今、御質問いただきました、地方債は三十年をさらに償還期間をふやす。これはもともとが、地方債の原資が、財政融資資金、かつての財投なんですけれども、財政融資資金の償還期間が最長三十年、こういうことがあります。それから、地方債の償還期間をふやすということは、将来にわたって公債費の負担がふえる、逆に地方財政に対して健全化に影響が出る、こういうもろもろの問題があります。

 ですから、財政負担をいかに軽減し、支援をしていくかということを踏まえた上で、やはり慎重な検討をしていかなくてはいけない、しかし、いろいろな可能性は随時検討していってもいい、このように思っています。

西野委員 ぜひこれは検討いただきたいなと思うのは、今、そもそも地方債の償還期限が三十年というふうに決められた根拠は、いわゆる財投の償還が三十年だったというところからきているというふうなこともわかっているんです。

 ただ、かつてのように地方債は財投に今はもう頼っていませんから、ほとんど市場から、市場の割合が今高くなってきていますので、そういう意味でも、私はこれは一度考えていただく価値はあるんじゃないかなと思っています。また、大阪を例に出して恐縮なんですが、仮に大阪の負債が特例的な部分だけを六十年に引き延ばしたからといって、ほかの地域に特段のそんなに大きな影響も、市場に委ねればないというふうに僕は思います。

 そういう意味でも、ある学者さんに言わせれば、国の五分の一ぐらいしか地方債はいまだ発行していないんだから、もっと地方債を自由化した方がいいんじゃないかというぐらいの方もいらっしゃるわけですので、ぜひ大臣、検討をいただきたいなということをお願いしたいと思っております。

 続いて、津波だけではなくて、南海トラフ地震が起こった場合には、建物が倒壊したり、また火災が起こったりして、大変甚大な人的被害が想定もされております。ちなみに、大阪府下では、地震による死者は九千八百人という想定がありまして、そのうちの建物の倒壊とか火災による死者が五千人を超えるというふうに想定されております。これは大阪だけでなくて、ちなみに、愛知県では千八百人、静岡でも千六百人という想定がなされていまして、津波とあわせて、こういった建物の倒壊であったりとか火災に対する対策もやらなければいけないというふうに思っております。

 そういう中で、いわゆる密集市街地の中に、老朽化して、どう見ても誰も住んでいない、だけれども、そのままほったらかしになっているところがあるんです。こういうところがそのまま残されていると、いざそういった災害が起こったときに、延焼をしたりとか、そこが原因になっていろいろな災害を起こすというふうにも言われています。

 今、地方税法第三百四十九条三の二で、こういった住宅がそのまま残されている原因が、その三百四十九条の三の二で、住宅一戸につき二百平米までの部分は六分の一、また、二百平米を超えても家屋の床面積の十倍までは三分の一という固定資産税の減免の特例があるから、建物を誰も使わなくても、その減免を使いたいので、なかなか壊さず、そのままほったらかしになっているというような意見もあります。また、古くなっているからといって取り壊してしまいますと、固定資産税がそのまま、更地になるとまた上がってしまいますので、できないんじゃないかという意見があります。

 そういう中で、私は、ちょっと国交大臣に、これは先に言っていなかったんですけれども、老朽化した住宅というのはどういうものか、この特例を外す、解除するべき老朽化した住宅というのはどういうものかというのを、まず国交省の方で定義していただかないといけないんではないかなと思うんです。

 その上で、総務省の方で、この特例を解除したりとか、また、建物を潰して更地にした後の、いきなり税金が上がるわけですから、そうではなくて、老朽化した住宅を壊して更地にした場合に、しばらく、例えば、税金が上がる部分の猶予を考慮してもらうとか、そういった制度をつくってもらう、こういう段取りになると思うんです。

 国交大臣、ぜひ、これはお願いで、要望にしておきますけれども、こういった問題は特に都市部ではよく言われていることですので、老朽化して全く使われる見込みのない住宅については、その定義をしっかりと早急に定めていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 また、あわせて新藤大臣にお聞きしたいんですが、こういったものがしっかりと定義がなされれば、いろいろな対策が打てるというふうに思うんですけれども、そのあたりのことについて、ちょっと御意見を伺いたいんです。

新藤国務大臣 空き家対策というのは、今、非常に地方自治における重要な課題になっていると思います。

 今、委員が御指摘いただいたように、都市部における空き家、この問題もあります。一方で、過疎地において放置された空き家、こういった問題も同じくやはり課題があるんです。双方から、私もいろいろと地方を視察させていただいておりますけれども、現地に行くたびに、必ずそこの知事さんや首長さんからこの問題は訴えられております。我々も問題意識を持って、いろいろな検討をしているところであります。

 その上で、空き家といっても、住民が一時的に不在にしている場合もある。それから、貸し家であって、その時点で借家人が入居していない、こういうものもあるし、委員が言うように、ずっと長期間放置されている、こういうものもあるわけですね。それも、いずれも固定資産税上は同じ、家屋としての、また小規模宅地の特例、小規模家屋の特例、こういったものが適用されていて、どの時点でどのように現状を認定するかというのはすごく難しい問題になるというふうに思います。

 空き家が老朽化しながら放置される背景としては、解体費用の負担が困難である、そして、相続等によって権利関係の整理がつかない、こういったものもあって、税制のみで、税制の特例があるから空き家として放置しているだけではないということがあるわけです。

 ですから、今、国交省のお話が出ましたけれども、住宅政策としてどのようにこういった問題に対処していくか、こういったことを検討しながら、その上で、税調、税制プロセスの中で、そういう住宅問題として、住宅対策としてどのように措置をしていくかという方針のもとでさまざまな対策を講じていく必要があるだろう、このように私は思っています。

西野委員 まさに、今、新藤大臣の御答弁いただいたところは地方の声そのままでありまして、地方でその判断をするというのがなかなか難しくて、実は、これは地方自治体が独自に判断すればできないこともない話なんですが、なかなかその判断をする勇気がないというか、なかなか判断が難しいので、あえて国交省の方でもう少し基準をつくっていただけると地方も判断をしやすいんじゃないかなというふうに思っておりますし、その上で、どういった税の制度にしていくかということをぜひ政府の中でも検討いただきたい。

 安倍内閣はチームワークが大変すばらしいというふうに思いますので、僕が言うのもおかしいですけれども、ですから、ぜひそのあたりのことは横の連携をとっていただいて、しっかりと取り組んでいただきたいなということをお願いして、総務大臣、ありがとうございました。

 続いて、今、福祉の現場での人材難ということがよく言われておりますが、その点について質問させていただきたいと思います。

 よく、現在百四十九万人の介護人材が、十年後、二〇二五年には二百五十万人、百万人プラスで必要になるということを言われておりますが、そういう中で、今回示された中で僕が少し気になっているのが、介護福祉士の資格取得の方法について、これは本来、平成十九年に制度の改正があって、それまで試験を受けてということだったのが、その試験を受ける受験資格について要件が厳しくなりました。六百時間の研修を受けなければいけないということが追加されたんですが、これは余りにも厳し過ぎだという意見があったかどうかわかりませんが、結局、今日までその要件というのは適用されずに、引き延ばされていました。

 引き延ばされている間に、まだ一回も実施されていない中で、またさらに改正があって、この要件を今度は緩和するような流れになって、四百五十時間に短く短縮されたんですけれども、この経緯を、説明をまずいただきたいんです。

田村国務大臣 介護人材は、景気が悪くなると比較的集まってきていただけるわけでありますけれども、景気がよくなってきますとどうしても他の職種の方に移っていかれるという傾向が比較的ある、そのような分野でございます。

 今委員おっしゃられましたとおり、十九年改正で幾つか、まあ強化したと言っていいのでありましょう。例えば、養成施設ルートでいきますと、養成校を出た後、国家資格、これを取るのに試験を受けていただくというような、そういう要件を課した。それからまた、実務経験ルートでいきますと、実務経験三年、これが国家試験を受ける一つの条件であると同時に、実務者研修を受けていただこうということであるわけでありますが、当然、現場で働いておられて非常にお忙しいわけでありますから、そこにまた研修で座学をやっていただくという話になりますと、これは負担が大変重たいじゃないかという御意見もあるわけであります。

 そこで、実はそのときも、例えば通信教育でもいいですよでありますとか、それから奨学金もありますよだとか、試験科目の除外項目もつくりますよとか、幾つかいろいろなことをやってきたわけでありますが、それでもやはり負担が重いということで、一年間、施行に向けて様子を見るというか検討しましょうというような、今般、法律改正を準備させていただき、一方、施行もその分一年延ばさないとスタートしてしまいますから、それも延ばすというような形で法案の準備をさせていただいておるということでございます。

 やはり、介護人材が非常にタイトになってきておりますので、一度立ちどまって、もう一回足元を見直してみようというような、今、方向性を打ち出させていただいておるという経緯でございます。

西野委員 御答弁を伺いまして、すごく問題意識というのは私と同じだなというふうに、僣越ながら思いました。実際、御答弁にもありましたけれども、今、介護の現場で人は全然足りていないわけです。何も介護福祉士という資格を持たなくても、介護の現場で働けるんですよね。

 そういう中で、六百時間を四百五十時間に減らされたとはいっても、実際それを、例えば雇用側の施設が、四百五十時間、では研修に行ってこいと言えるかというと、なかなか言えないですし、では、受ける側というか従事されている側からしても、受けるだけでも相当、十三万か何か受験料がかかるとかいうのを聞いています。これは、個人で受けよう、受けることによって何かインセンティブがあるかというと、なかなかないというふうにもお聞きします。

 そういう意味でも、これは少し、一歩立ちどまっていただけたということは大変いいのではないかなと思いますし、質を確保しなければいけないということであれば、そもそもの、受験要件を厳しくするのではなくて、試験自体を僕は難しくすればいいと思うんですよ。ですから、そういったことも含めて、ぜひ検討いただきたいなというふうに思っております。この一年があるということは大変大きな意味があるというふうに思っておりますので、ぜひそのあたりも御検討いただきたいと思っております。

 あわせて、これは福祉士に限らず、なぜ介護の現場に人が集まらないかということの一つに、給料がやはり低過ぎると思います。

 ちなみに、全産業の今平均が三十二万五千円というふうに言われていまして、ホームヘルパーでは二十一万円弱、福祉施設介護員が大体二十二万円弱というふうに言われております。十万円以上の開きがある中で、人材難だからということで幾ら経営者が人を集めようと思っても、なかなかこれでは集まらないというふうに思っております。

 ぜひこのあたりのことも検討いただいて、全体の給料を引き上げるというようなこともいろいろ御検討いただいているようですけれども、なかなかやはり、それの財源という問題も出てくるでしょうから、僕は、その中で、例えばですけれども、施設長さんであったりとか、介護の現場の十人の中のリーダー的な方であったりとか、そういった方が世間のほかの産業で従事されている方と比べて同じか、もしくは高い給料をもらえるとか、そういった何かインセンティブがあれば、皆さん、当初スタートするときは幾ら給料が低くても、そこを目指していくというものがあれば人は集まってくるというふうに思いますが、その辺もあわせてお考えいただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

 その前に、最後に私、国交省関係で質問させていただこうと思っていたんですが、多分、どう考えても時間が足りませんので、国交大臣、せっかく来ていただいたんですが、時間がもったいないですね、申しわけないです。

太田国務大臣 せっかくですから。

 待遇がよくなければ、建設関係の労働者もなかなか入ってこないということになってきます。労務単価の引き上げとかさまざまなことをさらにさせていただきたいというふうに思っているところです。

 ありがとうございます。

田村国務大臣 やはり、介護現場でなかなか人が集まらない、幾つか理由はあると思うんですね。

 その中で、やはり処遇の改善、同時に、キャリアアップするいろいろな仕組みもつくっていかなきゃなりませんし、キャリアパス自体も確立して、そこで頑張って技術をつけて能力をつければ処遇も改善されていくというような仕組みをつくっていかなければならないんだと思います。

 そのような意味で、二十一年の介護報酬改定のときに、勤務経験の長い、そういうような経験者を評価するような仕組みで介護報酬が上がるといいますか、人件費分というような形でアップする、こういう仕組みを入れました。あわせて、その後、秋に、これは補正でやったんですけれども、処遇改善交付金というのをつくりまして、基金事業で足した。そして、二十四年度、これは民主党政権であったわけでありますけれども、ここで、さらにその基金を介護報酬の中に取り込みながら処遇改善をしていただいて、大体月額三万円ぐらい処遇が以前と比べてアップしたというふうに我々は推計しております。

 実は保育も一緒でして、保育も非常に福祉職というのは低いんですよ。それで、保育も、昨年の補正予算で民改費の形の中で入れ込んだんですけれども、主任保育士の方が普通の保育士よりも単価が上がるような形で給料アップ、処遇のアップということをやってきたわけでありまして、委員がおっしゃられた、やはり、それぞれの持たれる能力に応じて評価できるような、そういうことも含めて、次の介護報酬改定の中、財源の問題はありますけれども、いろいろと御意見をいただきながら改定を進めてまいりたい、このように考えております。

西野委員 ぜひよろしくお願いします。

 あと、通告でボランティアの活用なんかもお聞きしたいなと思っておりましたけれども、ちょっと時間配分を私間違っておりまして、続いて、同じ福祉の人材確保という観点で、児童養護の関係でお尋ねしたいんです。

 この委員会でも少し話題になりました、中田委員からも少し話がありましたけれども、「明日、ママがいない」ですか、日テレの番組ですけれども、私もちらっと見まして、たまたまつけたらあの番組が流れていまして、もう本当に怒りに震えました。本当に許しがたいと思います。表現の自由とかいいますけれども、そんなものの範囲ではなくて、ほんま許しがたいなと。

 僕は、国会に上がる前に府議をやっておりましたけれども、児童養護施設なんかの現場の方とかにいろいろお話を伺いましたし、うちの近所にも施設がありましてよくお邪魔するんですけれども、もうその現場の実態と全く違います、百八十度違うあのドラマというのは本当に許しがたいなと思っております。

 そういうふうに、ああいうドラマをつくろうかなんというような不届きなやつが出てくるというぐらいですから、もしかしたら、児童養護全般に対して世間の見方というものが実態と少し違っているのかということを思いました。改めて、そういう意味でも、きょうは質疑をさせていただきたいと思います。

 児童養護施設の現場で働いている方というのは、本当に大変な思いをされて働いておられます。もうあれほど、福祉という一くくりにしますけれども、先ほどありました保育園もあれば介護の施設もあります、そういういろいろな施設がありますけれども、僕は、特に児童養護の分野というのは、どちらかといいますと余り政治的にも注目をされませんし、また、そこで働いている方というのは、そういう意味でも大変、待遇面とかいろいろな部分でしんどい中、一生懸命働いておられるというふうに思います。

 そういう中で、今回、できるだけ家庭的な環境の中で子供を、児童を養護した方がいいだろうということで、それはそうだというふうに思いますので、そういう方針が出されました。

 その中で、本体の児童養護施設にあわせて小規模の施設を、グループホーム的なもの、地域の民間住宅とかそういったものを活用して家庭的な養護を行う地域小規模児童養護施設というものの整備を進められているということでありまして、二十六年度までに三百カ所整備することを目標とされているということでございますが、この配置基準に疑問を大変感じております。

 児童が六人に対して職員さんが二人、非常勤が一人、三人のローテーションで基本的には六人の児童の施設を賄っていこうということでございます。これは、一日二十四時間、一週間でいうと百六十八時間ですから、単純な話ですけれども、労基法で言うところの一日八時間、週四十時間ということに合わせて見れば、三人であれば百二十時間しか見られないわけであります。

 宿直の一人分の加算というか配置も設けられているようでありますが、宿直を一人というふうに考えても、四人になるわけですか、四人としても百六十時間ですから、百六十八時間に満たないわけでありまして、そもそもこの配置基準自体にもう無理があるんじゃないかなというふうに私は思っているんです。

 その点について、いかがでしょうか。

田村国務大臣 児童養護施設でありますけれども、以前と比べると、本当に現場の状況は変わってきた。昔は親を亡くされたお子さんが多かったわけでありますが、最近は、もちろん障害をお持ちのお子さんもおられるわけでありますが、親に虐待を受けて、本来一番信頼をしているはずの親から虐待を受けて児童養護施設の方に入られる、そんなお子さんがふえておりますので、状況も大変変わってきておるわけであります。

 今まで大規模な中であったわけでありますが、委員おっしゃられたとおり、例えば、小規模のユニット型、定員六名から八名、もしくは、今進めておるのは、今言われた民家なんかを利用した定員六名のグループホーム、このような形でありますので、そういう意味からすると、人員配置の基準もやはり変えていかなきゃならないということで、六対一であった配置基準を二十四年から五・五対一にしたわけでありますが、それでも全然足らない、定員六名でどうやってやっていくんだというような話でございます。

 そういう意味で、今、子ども・子育て会議の中でその基準を決めるいろいろな議論をしていただいておるわけでありますが、四対一という数字のもとで今試算をさせていただいて、どれぐらい必要か、これは児童養護施設だけではないんですけれども、そういう金額を出させていただいて、その確保に向かってこれから努力をしていくということになります。

 四対一ですが、そこはいろいろな対応の加算がございますから、それを組み合わせていくと、三対一、場合によっては二対一ぐらいになってまいりますので、そうなってくれば、ある程度安心して安定してお子さん方を見られるような環境が整ってくるのではないのかなと。

 いずれにいたしましても、プログラム法の中においても社会的養護の重要性をうたっておるわけでございまして、そのためには、やはり最後は財源でありますから、何とか財源を我々もこれから検討しながら、このような形が実現できるべく頑張ってまいりたい、このように考えております。

西野委員 大臣、ありがとうございます。

 通告とちょっと順番を変えて質問しましたので、今大臣が御答弁いただいたところは、資料一で皆さんにお配りをさせていただいたものでありますけれども、平成二十三年に児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会で示された目標のことについて御答弁いただいたんだというふうに思っております。

 今の小規模児童養護施設の問題についても、四人でローテーションしても時間が足りない、でも、それは本体の施設から人をやりくりして何とか回すんだということを、回さなしゃあないなということを施設の方から伺ったこともあります。でも、もともとその本体の施設自体も、検討委員会で示された目標の数字に向けて、平成二十四年度に、これは三十五年ぶりにやっとこの配置基準が引き上げられたんですけれども、まだまだそれでも足らないわけです。

 ですから、今御答弁にもありましたけれども、税と社会保障の一体改革の名のもとに今改革が進められているんだというふうに私は期待しておりますけれども、そういう中で、ぜひこの社会的養護、児童養護の部分に関して、せめてこの目標水準を本体施設の配置基準においてクリアできないと、それに付随している小規模の施設であったりとか、その先に言う家庭的な環境でできるだけ児童を養護していこうということには絶対につながらないと思いますので、ぜひ大臣には頑張っていただいて、財源を確保いただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。

 残り五分しかありませんが、最後に、今まさにソチのオリンピックが開催されておりまして、連日、日本チームの選手団の活躍が大変うれしい限りでありまして、けさもスキーのジャンプの団体で銅メダルをとったということで大変うれしいなというふうに思っております。

 今年度予算においても、次のリオデジャネイロ、冬季の平昌に向けて、そういったトップアスリートの競技力向上に向けて二十四億の選手強化事業費補助が予算化されておりますけれども、これは、JOC、日本オリンピック委員会の行う事業に対して国がその一部を補助するということでございますが、競技団体によっては、そもそものその規模もまちまちでありますし、スポンサーがたくさんついて資力があるところもあれば、全くないところもあります。

 いろいろな声を聞いていますと、この補助という形、法律で、一部を補助するというふうに書いていますので、現行でいくと仕方ないのかもわかりませんが、補助するということでありますから、当然、自主財源を用意しないといかぬ。三分の一、自主財源を用意しないといかぬということで、この自主財源を用意できないので、せっかく補助がついてもそれを一〇〇%使うことができないということが、よくそういった声を聞くんですけれども、これはできれば補助ではなく交付金的な形に変えるべきだというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

下村国務大臣 海外、国内強化合宿等のさまざまな選手強化活動を実施する日本オリンピック委員会補助について、御指摘のように、今、経費の三分の二を国費が充当し、残りの三分の一を競技団体が負担をするということになっておりまして、この自己負担部分の捻出について苦慮している競技団体が少なくないというふうに聞いております。

 私も、ソチに行ったとき、橋本聖子団長から、特にウインタースポーツは非常に厳しいので、これについての見直しをぜひしてほしいという要望を直接受けました。

 今後、オリンピック競技大会等においても、我が国のトップアスリートが存分に活躍できることができる配慮、工夫というのはやはり必要だというふうに認識をしておりまして、JOCそれから競技団体等と緊密に連携し、現場の実態を十分把握した上で、常に、よりよい方策を目指して検討しながら、効果的な選手強化予算の確保に努めてまいりたいと思います。

西野委員 ぜひ、この補助金から交付金というか、各競技団体ができるだけ使いやすいような応援の仕方というものを考えていただきたいなというふうに思います。

 これは、補助金であるがゆえに、各事業ごとに競技団体が自主財源をつけて報告をせぬといかぬかったり、年度末に、仮に、これは余ってしまうとそれを返さないといけなくなってしまうので、公共事業の年度末の工事みたいな話になって、年度末になると余り有効とは思えないような使い方をしている団体もあるというふうにも聞きますので、ぜひ、そういうことにならないように、できるだけ有効に、本当の意味で頑張っている選手を応援する有効なお金として使ってもらえるように、このあり方を検討いただきたいなというふうに思います。

 あわせて、今回のオリンピックの選手がナショナルトレーニングセンターとか国立スポーツ科学センターを活用したことで、大変好成績につながったというような話もよく聞くんです。

 資料三にありますが、実際、各競技によって稼働率とか利用率というのは違うんですが、おおむね一〇〇%、九〇%の後半の利用率があります。これは、さらに多くの選手とか競技団体に使ってもらおうと思うと、そもそもがもう一〇〇%近い稼働率ですからなかなか厳しい、これ以上広げるのは厳しいと思いますので、私は、ぜひ、この際、東京オリンピックに向けてという意味も込めて、ナショナルトレーニングセンター2でもつくっていただいて、また、国立スポーツ科学センター2でもつくっていただいたらどうかなと思うんです。

 できれば、そういうふうなそれぞれの第二弾ができるのであれば、一つは東京にできていますから、もう一つは西の方に、できれば大阪あたりにつくってもらえたらどうかなというふうに思ったりとか、また、沖縄なんか気候が大変温暖で、トレーニングの環境としては大変いいんじゃないかなと思いますから、沖縄につくっていただいたりとかでもいいと思うんですけれども、ぜひ、場所はともかく、こういった施設をより充実、拡充していくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 御指摘いただきましたが、ロンドン・オリンピックも、史上最高の三十八個のメダルをとったというのは、ナショナルトレセン等の成果、効果が非常にあったということでございます。

 そのために、JOCから、今のトレセンの隣に第二トレセンをぜひつくってもらいたいという要望を受けております。東京都の土地があるということですね。これは、選手の交通の便とか考えると、それから既存のスポーツ科学センター等を生かすということですと、やはり同じ場所がいいというのがJOCからの要望でございます。

 ぜひ、今後もさらに選手強化をして、そしてメダル獲得も目指すということが国民の夢と希望を提供するということにもつながってくるというふうに思いますし、第二トレセン等、財源問題がありますが、しっかりと検討させていただいて、また東京都とも相談しながら、ぜひ取り組んでいきたいと考えております。

上杉委員長代理 西野君、時間が参っております。

西野委員 はい。

 最後に、ぜひ取り組みを強化していただきたいということと、あわせて、トップの選手だけでなくて、裾野を広げればトップもさらに広がっていく、充実していくわけでありますので、そういったことにも目を向けていただくこともあわせてお願いをしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

上杉委員長代理 これにて西野君の質疑は終了いたしました。

 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 本日は、お時間をいただきましてありがとうございます。下村文科大臣につきましては、きのうの集中審議に引き続きで申しわけございませんが、しばらくおつき合いください。

 では、早速、教育制度についてなんですけれども、今話している話とはちょっと毛色が違うんですけれども、ことしから国で私学の高校も無償化するというふうなお話が出てきている。同制度では、私立の高等学校に就学する生徒について、今まで公立高等学校が無償化されていたのと同じような仕組みを使って無償化されるというお話を聞いております。

 ここで、実は、先ほどの西野委員とかぶっていくことでちょっと申しわけないんですが、大阪の話ばかりして申しわけないんですけれども、実は、大阪は、平成二十三年度、三年前から私学の高校無償化をしております。これはどうやってやっているかといいますと、一律の、定額の国の支援金がある、その上に授業料の差額部分を、国の制度に、上に乗っかった形で大阪府が負担をして出している、こういうお話があります。

 たまたまなんですけれども、私が昨年の九月ぐらいに、いつもよく週末にいろいろな地元の方々のところを回ってお話を聞いていたら、一人の支援されている方から、少し困っていることがある、相談があるのでというふうに言われました。

 話を聞いていると、どうやら、もともと大阪なんですけれども、大阪で私学の学校に通っていますと。通っていたら、一年生の間はその制度で国からも支援を受けて、その上に大阪府からも支援を受けて無償化されていた、そうしたら、二年になったところでその支援が受けられなくなってしまったというふうにお話があったんですね。

 よくよく話を聞いてみると、息子さんが一年生のときに、お父さんが海外に単身赴任で仕事に出て行ってしまいました、お母さんが家庭を守って、息子さんが高校に通っている、そうしたら、その次の年度の二年次から、要は無償化というふうな適用が受けられなくなってしまった、これで非常に困っている、もともと、無償化があるから、近いし、私学の学校にも行かせてあげたいというふうに思っていたんだけれども、これでできなくなってしまって非常に困っていると。いろいろと話を聞いていてもなかなか理解ができない話なので、どうにかしてほしいという話があったんです。

 これは、大阪府がお金を出している話なので、これを地元の大阪の府会議員にお話をしまして、大阪の府議会で取り上げてもらいました。そうしたら、大阪の府議会からいろいろ課題化されて、大阪府庁の方で検討することになったんですけれども、どうやら大阪府庁もどうしようもできないという回答だったらしいんですね。

 大阪府庁にこれを聞いてみると、どういうことかというと、もともと、国が行っている、一律で私学に対しても支払われている就学支援金に上乗せして大阪府でやっているので、国の就学支援金制度が受けられなければ、それに準拠した形の大阪府の支援金も受けられないというお話だったんです。

 なぜ受けられないのかという話を聞くと、要は、就学支援金は、市町村の課税割額、これを基準にして所得制限を設けて支援金が受けられるというふうな話になっているので、お父さんが海外に転勤してしまいました、そうなると、その世帯の所得割額を把握することができないので、それで支援金が受けられないというお話になったと。

 これはちょっと問題じゃないかということで、大阪府からも文部科学省の方に、去年の十月ぐらいに、何とかしてもらえないかと。というのは、当然のことながら、今度の春から私学についても大阪府がやっていたのと同じような形のことを、国が評価していただいたと私は思っているんですけれども、同じように私学でも無償化されるという形になりましたので、これをしっかりと基準を決めて明確にしておかなければ、同じようなケースが出たときに、もらえる人ともらえない人の間により不公平感が出てくるんじゃないかということで、大阪府の方から文部科学省に要請を出しました。そうしたら、回答がしばらく返ってこないで、二カ月ほどたったことしの一月に、文部科学省で説明会をされました。この就学支援金についての説明会があった。

 そうしたら、その中で回答があったところは、ざっと読みますけれども、就学支援金の一律支給については、日本国内に在住している保護者などのみの市町村民税所得割額により所得制限を判定、一律支給は原則全員支給が基本的な考え方で、ただ、例外規定に合致する者のみ支給しないというお話。それから、就学支援金の加算支給は、保護者などの全員が市町村民税の賦課期日に日本国内に在住することが必要、保護者などのうち一部でも市町村民税所得割額が確認できない場合は認められない、そういうお話でございました。

 要は、そういうことで、私の方に相談された方は、今は大阪府から支給が受けられない、来年度からは国の制度でやる無償化について受けられない、こういうふうなお話になっております。

 そこでちょっと、まず、この話、もう少し突っ込んでお話しさせていただきたいんですけれども、今の文部科学省の回答で正しいかどうかということで、まず一言、下村大臣からお願いいたします。

下村国務大臣 これは非常に、極めて大阪の特徴的なことでもあります。それだけ、大阪府の取り組みについて、私は率直に評価をさせていただきたいと思うんですね。

 つまり、今まで、民主党政権の中で、公立高校の授業料は無償化だったんですね。私立高校については、公立高校の授業料相当額、十一万八千八百円を無償化する。しかし、残りの差額については、これは授業料が一対四だったのが、今度ゼロ対三ぐらいの割合になるわけですね。それを大阪府は持とうということで今のようなお話になったわけです。

 しかし、これは大阪だけの問題ではありませんので、昨年の秋の臨時国会で、高校授業料の無償化見直し法案を国会の方で認めていただいて、ことしの四月から、新高校一年生から対象にする。しかし、残念ながら、財源が限られていますので、大阪のようにかなりの部分を無償化するということじゃなくて、公私間格差の是正の中で、せいぜい、低所得者層については二倍とか二・五倍、それは生活保護世帯ですが、一部分さらに上乗せした支援金を出そうということでございますので、今のような話は、日本全国津々浦々、同じような悩みということではありませんが、ただ、御指摘の点はそのとおりでございます。

 所得制限を設けるということと、それから家庭の所得によって上乗せ額が違ってきますので、やはり収入状況についてはきちっと捕捉しなければならない。そのために、御指摘がありましたが、保護者の市町村民税所得割の合算額で判定するということでございます。

 その際、通常より経済的負担を軽減する必要が高いかどうかの判断を適切にする必要があるということで、保護者が二人とも日本国内に在住して、課税額が把握できるということが要件ということで、海外での所得を公的に証明することが難しいという事情からそういうことになっているところでございまして、なかなか、御指摘の点については、所得、収入把握ということが難しいというところがやはり課題としてあると思います。

木下委員 ありがとうございます。

 しっかり認識をいただいているのかな。

 あと、もう一つは、大阪でやったということを評価していただいて、今回の制度につながっているんだというお言葉をいただいて、非常に私どもも誇らしい思いでおります。

 ただ、今のお話、相当、所得割は計算するのは難しい、所得を把握するのは難しいというふうなお話だったんですけれども、それは本当に難しい話だなとは思うんですけれども、やはり日本の企業戦士が海外に行って一生懸命頑張っているという中で、お子さんたちを、家族を日本に残して行っていらっしゃるわけです。それなのに、自分が行くことによってそういう制度が受けられないというのは、ちょっとこれは、非常に悲しいお話かな。

 難しい部分は非常にあるとは思うんですけれども、やはり安心して家族を残して単身で海外に行けるような、そういう形に制度を、どうすればいいかというのは難しいところはあるかもしれませんけれども、しっかりと検討を続けていただきたいなと思っているんです。

 そこで、私の方から、こんなやり方はないかなということで思っているのが、所得要件の確認に必要な公的書類というのが必要なんだということだと思うんですけれども、これが文部科学省内で相当議論されたというふうな話も聞いておりますけれども、簡単に言ってしまえば、海外での経済活動による所得証明というものを何らかの形で公的な書類というふうにとれないかなということなんですね。

 例えば、海外でも納税をしますから、それがしっかりと把握されて、国にもよるとは思いますけれども、それを証憑書類として所得計算をするという形のやり方であるとか、海外に会社の事務所であるとか事業所を持っている日本企業、そこを認定して、そこから、要は給与の支払い証明であるとか、しっかり監査した上でですけれども、そういうものを出してもらうというようなことで計算するようなことも、できないことはないんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、その辺についてはいかがお考えでしょうか。

下村国務大臣 まず、ほかの都道府県の名誉のためにも申し上げておきますけれども、大阪府の取り組みだけではなく、京都府とか、ほかのところも実際はかなり同じような取り組みをしている。ただ、大阪は非常に、さらに充実しているということで申し上げたいと思いますが、大阪のみの取り組みではないということについては御承知いただきたいと思います。

 それから、根拠として収入状況の把握は、先ほども申し上げましたが、保護者の市町村民税所得割の合算額ということで、これにかわるような客観的なものということで、非常に、これは文科省だけで解決できることではありませんから、財務省等ともいろいろと相談しなければならないと思います。

 各国で、我が国から見て、どれだけより正確なそういうものが公的なものとして出せるのかどうか。また、国によっても相当な違いがあるというふうに思います。

 しかし、せっかくの御提言ですので、研究させていただきたいと思います。

木下委員 ありがとうございます。

 そういう、御検討いただけることをぜひとも進めていただければなと思います。

 そこで、つけ加えさせていただきますと、今回の制度と並行して、ことしから、同じように、海外に教育施設を持っているところに高校生が行きました、留学ですね。留学といいながら、ある程度日本国が認定したような教育施設に対して留学をした場合、その場合にも、別の形でというふうな話を聞いておりますけれども、授業料の支援が受けられるというふうなお話を聞いております。

 これは非常にすばらしいことだなと思っているんですけれども、やはり、お父さんたちが日本にいて、お子さんが海外に行く、ここはうまいぐあいに支援できるのに、お父さんが働きに海外に行っていて、日本に残っている人は受けられないというのは、やはりちょっと悲しいなと思うことが一つ。

 それからもう一つは、海外に子供が行っているという場合に、お父さんたちが日本にいる場合は支援は受けられるんだけれども、逆に、家族で転勤してしまってお子さんも連れていった場合には、その場合には、当然、所得割額が把握できないので、支援が受けられない、そういう問題がある。

 全てを押さえていくのは難しいかもしれないですけれども、この授業料をちゃんと支援してあげましょうというのは先進的で非常にいいお話だと思うんですけれども、まだまだそこで受けられない人との差が出てしまうということが生じてくるので、引き続き検討していただきたいなと思います。

 私は、実は一昨年まで商社にいたんですけれども、私も含めて海外転勤している人間がたくさんいたんですけれども、ほとんどの場合が、お父さんが転勤が決まりました、でも、お子さんが高校に入学したばかりだからとか、中学に入学したばかりだから、だから、お母さんと一緒に日本に残ってもらって働きに行くという人が結構たくさんいるんですね。

 そういう意味で考えると、自分が感じているところでいうと、レアケースとは言いにくいのかなと。ただ、所得割額の制限があるので、そこも含めてどれぐらいの件数があるかというところも把握ができていないところなんですけれども、引き続き検討いただければなと思います。よろしくお願いします。

 続きまして、英語の教育改革についてお話をさせていただきます。

 これについては、昨日、それから先週も、自民党の馳議員などからいろいろお話がありまして、麻生大臣もいろいろコメントをされておりましたけれども、オリンピック、パラリンピックが今開催されていて、二〇二〇年には日本で行われる。

 それを見据えた形で英語教育の本格展開をしていこうということで、文部科学省では、英語教育の改革実施計画というものを出されて、積極的にこれから取り組みをされようということで、私も中身を見させていただきました。

 非常に、英語教育、今までのやり方と違って、しっかりと、麻生大臣もこの間お話しされていましたけれども、話す、コミュニケーションがちゃんととれる、ただの英語教育というよりも英会話教育ということを重視した形でやっていくんだというお話をされておりました。私もまさしくそのとおりだなと思っております。

 ここでまた大阪のお話をさせていただいて申しわけないんですけれども、実は大阪は、これも他府県でも同じようなことを取り組みされていますけれども、小学校の英語教育、積極的に始め出しておりまして、昨年よりフォニックスという英語指導法を取り入れています。

 フォニックスというのは、イギリスの小学校の七〇%ぐらいが使っている教材を使っていまして、どんなことをするかというと、つづりとそれから音、そういうものを体に刷り込んでいく。頭の中で音とそれから会話、これをしっかりと刷り込んでいって、本当の実力のある英語を身につけよう、こういうお話をしております。

 それと同じような形で、大阪府では、平成二十九年度から、そうやって教育された子供たちが、今度は、例えば大阪の府立高校に入学するときに、入学試験をやります。そのときは、やはり文法であるとか、書いたりとか、読んだりだとか、今までそういうものが中心の試験になっていたところを、そのしっかりとした成果がそういう受験でぶつけられるようにということで、外部機関である英検であるとかTOEFLであるとか、こういうのを活用したような入試についても検討を始めているという形になっています。この考え方は、今回の英語の教育改革実施計画と非常に合致している部分は多いのかなというふうに私は思っております。

 そこで、やはり麻生大臣がお話しされていましたけれども、英語は聞くこと以上にやはり話すことも重要だなと。これはよく言われるパターンで、教育者に言わせますと、インプットだけじゃなくてアウトプットが必要だなということでございます。

 長くなりますけれども、私は、海外に、五カ国ほど住んでいたことがございまして、いろいろと大変なことはありました。例えば、初めて海外に勤務することになったときに、日本では、私が行っていた会社では、TOEICで七百三十点以上とれないと海外出張ができない、当然のことながら赴任もできない、しかも、七百三十点以上ないと給料も据え置きのままずっと一生上がらない、そういうふうな形になっております。

 それで、必死になって勉強しまして、ある程度点数をとりました。点数はとって、その後、それでもやはり会話はできないので、英会話学校に通いまして、もうこれで大丈夫だろうというときに、イギリスに転勤が決まりまして、イギリスに行きました。

 ただ、行ったら、怖いんですね。電話が鳴っただけで、とるのが怖い。向こうから一方的にがあっとしゃべられたら、こっちがしゃべれないという状態で、怖くて、なかなかなれるまで大変だったりとか、あとは、引っ越しして、インターネットを引きたいので、ケーブルテレビインターネットを引こうと思ったら、申し込んでも、会社をその日半休をとって休んでも、来ないんですよ。どうなっているんだと言って電話をかけても、向こうからがあっと、コールセンターというのは割とスコットランドの人が多いので、なまりが強くて何を言っているかわからないし、こっちも言っても全然通じないという状態で、これを考えると、しっかり勉強して、日本でちゃんと、ある程度TOEICの点数もとって、これで大丈夫だと言っても、なかなか難しいんですよね。

 それを考えると、やはり、話していくことも、外にアウトプットするということが重要だというふうに思っているんです。

 ここで、麻生大臣に少しコメントをいただきたいんですけれども、この間も、インプットというよりもアウトプット、話す方が重要だというふうにおっしゃられていましたけれども、それを実現するために、これから先、どんなことをしていったらいいのか。例えば教育でもそうなんだと思うんですけれども、それ以外にも、私は日本の中の環境も重要かなというふうに思っているんです。

 通告をしていないのであれですけれども、この間のお話を聞いていると、麻生大臣、非常に英語に対して思い入れを持っていらっしゃると思いますので、コメントをいただければなと思います。

麻生国務大臣 言葉ができるというのは頭のよしあしに関係ないんだと思っています。その国に生まれて育ったら誰でもしゃべれます。語学というのはそんなものですよ。ところが、日本では突如として語学を途中からやり始めるものだから、そこで差がついたりするわけですよ。おかしいですよ、こんなの。だから、大学から始めるとか中学から始めるのでは全然、幼稚園から普通にしゃべればいいんだ。それだけですよ。

 そのためにはどうすればいいんだと。簡単ですよ、JETプログラムでこれだけ人が来ているんですから。まだ年間四千人いるんでしょう、あれは。四千人ぐらいいるんだから、あれを全部ばらまいて、普通に入れたりすればいいんですよ。入ってくるのに反対するのは日本の英語の先生ですから。だって、自分たちはしゃべれないからですよ。それだけでしょう。

 だから、今教えていない幼稚園と小学校で教えるように変えればいいんだよ。ジス・イズ・ア・ペンなんて、生涯使ったことのないセンテンスでしょう、こんなもの。それを一番最初に教えるんだから、全くおかしいんですよ。しゃべれない人ばかりが教えたからこうなったんだと。

 だって、中学で三年、高校で三年、大学で二年、八年間やって全くできない。何のためにやっておるんだかと、私はそう思いますので、さっさと、物おじしない、子供のときからもういっぱい、普通にしゃべれるような、ハローと言ったらハローと言い返せるようにする教育の方がよっぽど簡単で効果が上がる、私はそう思います。

木下委員 ありがとうございます。期待したお答えをいただいたのかなと思っております。

 やはり、これは環境が大事だと思うんですね。教育も大事だとは思うんですけれども、日本の中の環境が非常に重要だということだと思います。年がいって苦労するような話ではなくて、周りにいる人たちをうまく活用する、もしくは周りにいる環境というのをつくってやることも重要だと思っておりますので、これは、文部科学省中心で教育はやる、それ以外にも、環境については政府を挙げてやっていただきたいなというふうに思っております。

 例えば、国家戦略特区で外資系の企業を誘致しますとか、あとは留学生の受け入れであるとかというのも、今言われているのは、報道を見ていると、単純労働力ばかりが注目されているように言われていますけれども、高い教育レベルの外国人が誘致されるような形に、留学生も、ブランド力を高めたような教育ができる大学を設置していくであるとか、そういうプログラムを設置していくであるとか、そういうことが必要なんじゃないかなというふうに思っております。

 例えば、私はシンガポールに住んでいたことがあるんですけれども、シンガポールはすごいんですよね。要は、何も生まれないところなので、人をやはりとってこなきゃいけない。何も生まれないというのは、資源がないところなので、人の力を外から引っ張ってくる。

 そのために何をしているかというと、留学生を受け入れるときに奨学金を出しているんですね。奨学金というのか、支援金みたいな形で出している。それで、例えば隣のマレーシアとかああいうところから頭のいい子供たちを受け入れるんです。そのかわり、卒業した後に五年間、シンガポールの企業もしくはシンガポールに税金を落とすような企業に就職をして、シンガポールの国に貢献してもらうような形にすれば、そうしたらその奨学金を返さなくていいというような形のことをやられていて、これは非常にすばらしいやり方だなと。そうすると、どんどんどんどんシンガポールに頭のいい人たちが集まってくるんですよね。

 私の友人で、日本人でシンガポールに留学していた人間がいるんですけれども、彼は、そうだったんだろうと聞いたら、いやいや、そんなことはなかった、普通に奨学金をもらって行って、そのまま帰ってきて、日本の企業に勤めたよと。

 何でというふうにして聞くと、どう言っているかというと、いやいや、シンガポールに関係のあるような企業、もしくは日本の企業の中で、シンガポールに必ず何らかの形で、一旦シンガポールの中で勉強したりとかして親和性があれば、必ずシンガポールとのコネクションを使って仕事をしてくれるだろう、日本人だったらと。そういうことで期待されて、奨学金も免除された形で行って帰ってきましたと。

 こういう考え方をもう少し日本も取り入れてみるのもいいんじゃないかなというふうに思っております。

 それからもう一つ、今、麻生大臣がお話しいただきましたけれども、指導者、学校の先生が英語を話せないんだものというふうにおっしゃられていましたけれども、これが一つ問題なんじゃないかなというふうに思っております。

 その中で、さっきの実施計画の中にも書いてあったんですけれども、この指導者は、指導力研修などを通じて、英語教育推進リーダー、それから中核教員、専科教員というふうに組織されるというふうに書いてありました。

 ただ、この育成、養成のためには指導研修を行うというふうに書いているんですけれども、私、思うんですけれども、指導研修だけでいいのかなと。そうじゃなくて、しっかりと、そういう英語を話せる教員については資格をつくるべきなんじゃないかな、国家資格をつくるべきなんじゃないかなというふうに考えているんですけれども、その辺について、下村大臣、御意見いただけますでしょうか。

下村国務大臣 その前に、我が国の英語の問題点というのは、受験英語ですね、これは、書くと読む、これについては力を入れているんですが、聞くについてはちょっと入れていますけれども、話すについては全く評価になっていないんですね。四分野のうちの実際に力を入れているのは二分野です。ですから、何年も学校で勉強をしても話せない。

 ですから、この四分野をバランスよくきちっと教えることによって、学校で習った英語が社会で即戦力で使えるような、そういう、受験英語から使える英語と実務的な英語にぜひ変えていく必要があるというふうに思います。

 そのためには、小学校三年生から英語教育の導入をぜひ図りたいというふうに思っておりますが、ただ、その前の前提条件として、木下委員から御指摘ありましたが、中学校それから高校の英語の先生は、既に麻生大臣からもお話がありましたが、やはり英語力が実際に、話すことを含めて、ないということが言われておりますので、TOEFLとかTOEICとか英検とか、公的な、民間の資格については取らせて、その水準以上をクリアしているということを、ぜひこれはやっていきたいと思います。

 御質問の英語教育改革実行計画についてでありますが、これは昨年十二月に公表したものでございまして、新たな英語教育のための体制整備として、地域における英語研修の指導者、これは英語教育推進リーダーですが、この研修を国で行う。年間約五百人でございます。中学校、高等学校の英語担当教員については、各地域でこの英語教育推進リーダーが研修を行って、そして小学校については、各地域で英語教育推進リーダーが各学校の中核教員に研修を行い、その中核教員が校内の研修の中心を行う。この中核教員というのは、各小学校で一人であります。

 どのような教員が英語教育推進リーダーや中核教員となるかは、国において資格要件を定めるということは今しておりません。これは各教育委員会において判断すべきと考えますが、国が行う英語教育推進リーダーの研修については、あらかじめ、少なくとも英検準一級程度以上の英語力を有する者を対象として、そして、外部専門機関と連携して、二週間にわたる英語指導力の向上に関する高度な研修を行い、研修の修了者については、英語力、指導力を適切に評価するという仕組みをつくっております。

 各教育委員会においては、こうした研修の修了者を活用しつつ、域内全体における英語担当教員の英語力、指導力を高めてもらえるように、文部科学省として強く期待をしております。

    〔上杉委員長代理退席、林(幹)委員長代理着席〕

木下委員 今のお話なんですけれども、各教育委員会にある程度委ねられる。ここは私はポイントだと思っているんです。

 まず最初に、資格の話なんですけれども、資格に充当するような形の、英検であるとかそういうものを取るというのはいいことだと思っているんです。

 私は、ただ、もっとこれは突っ込むべきだと思っていて、例えば、私が言いましたけれども、一般企業で、TOEICで七百三十点以上とれなければ給料も上がらない。それと同じように、外部の試験であったとしても、何点以上とれないと、もしくは何級以上じゃなければ資格はまず持てないし、それがなければ給与も給与評価も変わってくる。ここまで私はやるべきだと思っていて、そういう話になったらどうなるかというと、国はある程度その認定はしたとしても、最終的には各教育委員会に任されている。

 これが私は一つ問題だと思っていて、そうしたら、教育委員会にそれを任せていればどうするかというと、評価なんかしないんですよ。結局、それが問題だったわけですよ。教育委員会に任せていったら、自分たちの中でなれ合いがあって、しかも、いじめの問題であったり体罰の問題であっても隠蔽をしたりとか、そういう問題から今回の教育制度改革につながってきているんだと私は思っています。

 そうなれば、何が問題になるかというと、今回の、A案だ、B案だ、C案だというふうに検討されている部分、ここの部分は、今までの教育委員会制度というのはやはりやめなきゃだめなんじゃないか、私はそういうふうに思っています。

 これはちょっと、余り言いたくはないんですけれども、この間、与党自民党の教育関連の小委員会をやられている方、余り誰とは言えませんけれども、重鎮の方に、何とかA案で決まらないんですかとちょっと廊下で会って話をしたんですよ。そうしたら、いやいや、そんなわけにはいかぬ、こんなもの、だって、橋下みたいなやつが首長になったらえらいことになるやろう、こんなことを言うんですよ。

 これは僕はすごいなと思うんですけれども、政治家って怖いなと思うんですよね。面と向かってそんなことは普通言わないですよ。しかも、教育のことを論じているような人たちがいきなり僕の前に来てそういうことを言って、えっと思ったんですけれども。

 それは置いておいたとしても、さっきの話で、もともと……(発言する者あり)普通は話さないですよね。普通はここで話さないかもしれないけれども、やはりちょっと話させてもらいました。

 英語教育の話であるとか、それから高校無償化の話であるとか、これは大阪で先にやっていますという話で、なかなか難しいけれども、国がやるのには予算が限られているからと言われていました。

 大阪は何でできたか。これは、橋下徹が府知事になったときに、まず最初に、どんどんどんどん無駄を省くために、文化施設であるとかそういうものの予算を削っていったんですね。そこで浮いた金を思い切って教育に突っ込んだ。これができたんです。これをやれるのは誰ができるかといったら、教育委員会はできないわけですよ。やはり、首長が教育に対しての思い入れと責任をしっかり背中に背負って決めていくということが必要なんだろう。

 先日もうちの中田議員が言っていましたけれども、そうなったら暴走する可能性があるじゃないかと。そうなったときにあるのが何かというと選挙なんだということだと私は思っておりますので、ぜひとも、下村大臣はもともといわゆるA案で進めようというふうにおっしゃられていたと私は思っていますので、いろいろな方々の御意見はあるかもしれませんけれども、しっかりと前に進んでいただきたいなと思います。

 教育の話、ほとんどこれで終わってしまいまして、せっかく茂木大臣に来ていただいたのにほとんどお話しするあれがなくて申しわけなかったんですけれども、ここで少しお話をかえさせていただきまして、エネルギー基本計画のお話をさせていただきます。

 このエネルギー基本計画の話も、今、経済産業省で、エネルギー基本計画ということで、基盤となる重要なベース電源という形で原子力発電を位置づけるような形のことを今検討されていて、そうはいいながら、原子力発電によるエネルギー依存度は将来できる限り下げていくというふうに総理もいろいろなところで御答弁されています。

 これは、自民党の中でもいろいろ御議論があったというふうに聞いておりますけれども、もともと公約の中ではエネルギー依存度を下げていくんだというふうに言いながら、重要なベース電源では、これはちょっと国民にはわかりづらいんじゃないか。ましてや、先日のいろいろな報道機関のアンケートを見ていると、再稼働に関して、国の安全基準をクリアしていたとしても再稼働反対というのが何と五〇%以上になっている。

 こういう状態の中で、今回、次に出てくるエネルギー基本計画、ここの中で、ちょっと私は曖昧だと思っているんですね、重要なベース電源というのと原子力発電の依存度を下げていくというのは。ここについて、茂木大臣、今どういうことを検討されているかということを、一言お願いいたします。

茂木国務大臣 大切な問題でありますから、幾つか正確を期したいと思っております。

 一つは、今規制委員会によって行っておりますのは、安全基準ではなくて規制基準であります。

 それから、先ほどおっしゃられた重要なベース電源、そして依存度を低減する等々につきましては、これは政府の案というよりも、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会、昨年の三月から十七回にわたりまして行っていただいた議論の結果、その分科会として取りまとめた意見、そこの中に含まれているということでありまして、それを踏まえて、現在政府原案というものを検討中であります。

 委員も御案内のとおり、エネルギー政策そして全体のエネルギー構成につきましては、エネルギー源ごとに特徴があります。そして、コスト、安全性、安定供給、環境負荷、あらゆる面ですぐれたエネルギーというのは残念ながらない、あればそのエネルギーを全て使えばいいわけですけれども、そうなってくるわけであります。

 そこの中で、そのベース電源、これは量の概念をあらわすものではありません。御案内のとおり、ベース電源、ミドル電源、ピーク電源、こういったものがあります。

 ベース電源というのは、比較的コストが安い。そして、立ち上がるのには時間がかかっても、立ち上がってからは、一定の出力というか、電源としての安定性がある。これに対して、ピーク電源というのは、コストはどうしても高くなる。だからピークに使うわけであります。そのかわり、石油のように立ち上がりは非常に高い。

 ですから、例えば地熱、これはベース電源なんです。〇・〇何%であろうが地熱もベース電源であるということで、ベース電源というからそれが重要だ、そしてそれが依存度を低下させる、こういったことと矛盾するということには全くならない。

 まず、基本的な電力に対する概念をしっかり押さえた上で議論させていただければと思っております。

木下委員 ありがとうございます。まさしく御明快な御答弁だったと思います。

 本当はいろいろお話をしたかったんですけれども、ちょっと時間がなくなりましたので、また突っ込んでお話しさせていただける機会があればなと思っているんですけれども。

 一つは、例えば、余り言うとあれですけれども、この冬に私は、「原発ホワイトアウト」という、経産官僚の方だというふうに言われている誰か名前が出ていない方が書いている本なんかもあったんですけれども、何を言ってもやはりどうしても国民の中でわからないことというのがあって、例えばテレビを見ていたら、国民の人は思うんですね、自民党さんの中にも、原発推進派だ、何が何でも推進だという人もいれば慎重な人もいる。ここの部分がやはり見えなくて、本当に安いコストで原子力発電ができるのかどうかということもわからないという状態がまだ続いていると思うんです。ましてや、今回の東京都知事選で小泉さんがいろいろと叫ばれておりましたけれども、ああいうお話もどんどんどんどん出てくる。

 こういうことがあれば、どうしても、先ほど茂木大臣がお話しされたように、明確に、ベース電源というのはどういうものなのか、それから、どれぐらいの割合がいいのか、ここまで突っ込んでしっかりと国民に示していくというのが必要なんじゃないかなというふうに思っておりますので、前もお話しさせていただいていますけれども、まず最初に、やはりエネルギーのベストミックス、どれぐらいの割合でどういう電源が使われるべきなのかということを、これをしっかりと理屈も整理した上で早期に示していただきたいなと思っております。

 それから、前回、うちの今井委員がお話ししていましたけれども、エネルギー基本計画、これについては、この委員会で集中審議をさせてくださいというふうにお話をしておりましたけれども、ぜひともそういう機会もいただきたいなということが一つ。

 それからもう一つ、先ほど出ました小泉元総理のお話なんですけれども、私、茂木大臣はお話は何度もさせていただいていますけれども、去年の臨時国会でも、あの小泉元総理がどうして原発ゼロだというふうに言っているのか、あれは、賛成か反対かは別としても、経済産業委員会の中では参考人の招致をお願いしますということを提議させていただいていますけれども、集中審議の際、もしもそういう機会があれば、同じように、小泉元総理のこの委員会での参考人招致について御検討いただければと思います。

 以上でございます。

林(幹)委員長代理 後日、理事会で協議いたします。

 これにて木下君の質疑は終了いたしました。

 この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時四分開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 まず冒頭に、先週末からの豪雪被害、犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われました方々に心からお見舞いを申し上げます。

 私は、山梨県が出身、生まれも育ちも山梨県でございます。週末から日曜日にかけて大変な被害、今、甚大な被害が山梨県に降りかかっております。山梨県の選出の国会議員、党派を超えて集まりまして、いろいろな協議をさせていただきました。そういった意味も含めまして、本日は、みんなの党を代表するとともに、山梨県関係の国会議員を代弁する形で、私、御質問をさせていただきたいと思います。

 報道等でも言われておりますように、二月十四日の朝から十五日にかけて降り続いた雪は、甲信地方そして関東、東北と、かなり広域にわたる地域において記録的な大雪となりました。とりわけ、私の地元山梨県、明治の観測以来初めてとなる、想定を超えるような大雪ということに見舞われました。今もなお、停電や孤立世帯、全体的な状況の把握がまだはっきりしない、そのような状況でもあるわけです。昨夜、ようやく中央自動車道が、片側ですが、開通をいたしましたが、まだ、物流が途絶えていたりとか、さまざまな問題を抱えております。

 直近の情報によりますと、現在、山梨県、十三市町村、千八百四十二世帯、二千二百人の方がいまだ孤立状態、もしかしたらもっと多いかもしれない、そのようにも報道されております。帰宅困難者は、朝の時点で千二百人。避難所の数は、今現在三十八カ所。正式な市町村がやっているもの以外にも、車がとまってしまったところで地域の方々が自主的につくった避難所、そういったものは恐らく把握されていないんじゃないか、そのようにも伝わっております。

 現在、先ほどの中央自動車道が開通はいたしましたが、物流は、中央道の近くは少しずつ改善はされてきておりますが、御存じのとおり山梨県、山に囲まれた山間部が多い地域で、それ以外の、そこにつながる道路は全く今除雪がされていない状況で、きょうで四日目、夜も四日目の晩を迎えます。孤立状態の場所に至っては、御病気を抱えた高齢者の方が多い地域ばかりです。そういったことを、まずもって、その孤立状態にある場所に、自衛隊、防災ヘリも含めて、他県からの要請、まず真っ先にとり行っていただきたい、これをまず要請させていただきます。

 経過からいきますと、私も、十四日の晩、本会議の後、地元に帰ろうと思い、その時点で、夕方、もう中央線はとまりかけておりましたので、車で帰ろうといたしました。そして、首都高速を出るあたりでもう大渋滞。その後、中央道も通行どめということで、やむなく引き返してきたわけです。

 その晩、地元の方からたくさんお電話をいただきました。これは大変なことだ、このままいくととんでもないことになってしまうよという情報がたくさん入ってきました。

 そして、翌日の十五日、私、議員会館の方に行きまして、情報収集をしようということで、内閣府、防災担当の方にも連絡をしたりしたわけですが、なかなか情報収集がつきませんでした。そして、私の独自の地元からの情報で、昼過ぎの時点で緊急支援、これは山梨県の情報しかその当時はわかりませんでしたので、山梨県の緊急支援要請というものを私つくらせていただきまして、みんなの党の渡辺喜美代表名で菅官房長官の方に提出をさせていただきました。その後、菅官房長官からは、了解いたしました、しっかり対応いたしますというお返事もいただいて、大変ありがたいなと思っております。

 そして、翌日の十六日には、今度は栃木県の方でも、我が党の柏倉議員も栃木県の緊急支援要請というものを出させていただいた、そういう経緯でございます。

 そして、先ほども申し上げましたように、十六日には、なかなか全体的な情報が把握できないまま、これは独自に要請してもしようがないのではないか、そういうことで、先ほど申し上げた山梨県関係の国会議員、党派を超えて、集まれる方で集まって、地元におられた方もいましたので、電話で情報を収集しながら、昨日、山梨県の国会議員有志ということで緊急の支援要請をさせていただいた。そして、昨日の午後には、みんなの党も災害対策本部を立てさせていただいた。そのような経過であります。

 そんな中で、政府の対応ということでいきますと、十六日の日曜日に災害対策会議が開かれ、そして、きのう、亀岡政務官が山梨の方にヘリで視察に行かれたということを聞いております。

 その経緯の中で、改めて、今回の豪雪災害、政府の対応状況について、経過も含めて、最新の情報も含めてお示しいただきたいと思います。

古屋国務大臣 お答えいたします。

 今、中島委員御指摘のように、百二十年間、観測始まって以来の最悪の豪雪ということで、お亡くなりになった方もいらっしゃいます。多くの方が被災されました。お悔やみとともにお見舞いを申し上げたいと思います。

 その上で、政府はどういう対応をしているんだという御質問でございます。

 まず、十四日の金曜日に、もう雪が、南岸低気圧が来て大雪の可能性がありと気象庁からも情報をつかみましたので、まずその時点で、私を長として関係省庁の災害警戒会議を開会して、各省庁の連携、情報の収集、それから、やはり地方公共団体、特に県ですね、県を中心としてしっかり要望を聞くようにということで、それから交通障害等々への対応の指示の徹底をさせていただきました。

 これを踏まえて、関係省庁では除雪とか救助とか物資の輸送等々を行っていますけれども、御承知のように、もう予想を上回る降雪ということで、技術上、基幹道路である国道二十号線を初め、ほとんどの道路、そして中央高速道路自身も通行不能、通行どめということになりました。

 実はもう既に十五日から、実際に内閣府では実動部隊で調整をしておりました。何か、委員の方からちょっと連絡があって、どうも、休みのときは受付はいわゆる守衛さんがいますけれども、防災担当の部局にはみんな張りついておりまして、対応をしておりまして、全ての情報を都道府県と連携をとりながらやって、そして、十五日の、もう午前中の十一時には、横内知事から自衛隊への出動要請を既に出させていただいておりました。その後も、いわゆる実動部隊が、これは二十四時間体制で内閣府の中で対応しながら、状況の把握と関係省庁の連携に当たらせていただいておりました。

 十六日には関係省庁の対策会議を、日曜日ですが、午後一時からさせていただいて、そのときには横内知事とも電話会談をさせていただいて、それで知事からいろいろな要請をいただきました。

 その上で、我々として取り組めること、そして、あと、何といっても、被災者の皆さんからの情報、あるいは情報を上げるということも必要ですので、SNSですね、フェイスブックも内閣府にすぐ開設をして、私もフェイスブックを開設していますので、私もどんどん載せていきましたら、私のところにもかなりの数の情報が入ってきまして、どこに孤立部落があるとか、どういう状況になっているというようなことがございまして、こういったSNSもしっかり活用をさせていただいた。

 それから、十七日には、もう皆さん、超党派で私のところにお越しをいただいておりまして、実はきょうも、これは総理大臣も出席をしまして、豪雪非常災害対策本部会議ということで開会をさせていただいて、これは全局長に出席をしていただいて、総理大臣からも具体的な指示をもらいました。それは三つなんですけれども、孤立部落等々に対する対策の徹底、それから除雪の徹底、それから電気、ガス、水道のライフライン等々の確保、それから輸送の確保、こういうようなことで、もう既に、ずっとこれは十四日から取り組んでおりますが、その対策をさせていただきました。

 それで、現地の対策本部を、非常災害現地対策本部、これを山梨県に設置しました。きょう、ヘリコプターで、亀岡政務官が長になって、もう飛んでいますかね、すぐ派遣するようにということで指示して、いずれにしても夕方にはそれが立ち上がる。

 それから、私も横内知事とは頻繁に電話連絡をしておりますが、やはり問題は孤立集落への除雪なんですね。これは、道路がまず除雪されないとそこまで行けませんので、現実に、今の機材だけでは不十分だし、そこまで行けないということで、横内知事からも自衛隊への再度の要請をしていただきまして、既に千人規模で自衛隊の派遣を決定した。それから、バケットローダーという、除雪の、自衛隊が持っている、これを十八台体制に倍増、倍以上ですけれども、補強いたしまして、そういった今対応をしております。それから、山梨県だけではなくて、群馬県とか埼玉県あるいは東京の、秩父等々にも要請が出ておりますので、孤立地区に、CH47等々のヘリコプターを十四機体制に増強いたしまして今対応させていただいております。

 一番優先的にやらなきゃいけないことは、やはり孤立集落への支援、そして除雪ということでございますので、それを今徹底してやっているというのが現状でございます。引き続き、皆様からも情報をいただきつつ、現地対策本部、都道府県あるいは市町村、そして内閣府と連携をとって対応していきたいというふうに思っております。

中島委員 古屋大臣、丁寧に御説明していただきました。要は、警戒会議が十四日の午後には行われていたということで、古屋大臣からは、警戒するように、不要な外出を避けたり、週末にも至るのでという指示が出ていたということは承知をしております。それで今の御説明になるわけですが。

 今回、資料にもありますとおり、先ほども言ったように、観測史上類を見ない。そして、この下の方の図ですね、恐らく多くの方々が、雪ということで、東北地区を初め、もともとそういう豪雪地帯の方から、なぜこういうふうになってしまったんだと。このグラフを見ていただきますと、降り始めから急激に積雪量がふえているんですね。しかも夜間にかけてということで、皆さん恐らく、ここまでの雪が降るということは夜中に想定できなかったんだと思います。朝起きたら、もう家から出られない。

 そういうような状況の中で、今、古屋大臣が、警戒をして、迅速なということで、私も、古屋大臣からはそのような、そして、先ほども申し上げましたように、菅官房長官もそういう力強いお言葉をいただいているということもあるんですが、一方で、内閣府の防災のホームページ。これは、私もたくさん、私自身も検索をいたしました。先ほど古屋大臣みずからのSNSということもありましたが、今回、そのSNSの情報、かなりすごかったんですね。現場の実情、ここはこんなになっている、これだけ大変だという中で、全体像が把握できなかった理由なんですね。十五日、十四日に更新をされてから、翌日、日曜日まで全く更新をされなかった。

 そして、私も、土曜日の時点、さっき行き違いと言いましたが、きのう内閣府、防災担当の方に土曜日の体制がどのようになっておったかということを聞きましたら、五人体制だったか、七人だったか、ちょっと定かではないですが、二人の職員と、五人の方に至っては民間の非常勤の職員だと。各省庁の対応を把握していたかどうかということに対しても、ちょっと明確な答えが得られなかったんです。

 私は、古屋大臣がかなりそういった指導をなさっているにもかかわらず、この体制で、私は、防災担当として、今回の、先ほど言った、夜中にかけて本当に想定外の雪が降ってしまった、その中で、今回の大雪、いつから人命にかかわる災害として認識をしたのか。

 古屋大臣から先ほど答弁をしていただきましたので、とにかく、旗振れど体制が十分ではなかった、私は正直そのような印象も受けておりますし、勤務体制も含めて、では、これが、週末、土日ではなくて、平日だったらどうだったんだろうか、そういったことを考えますと、これは災害のたびに言われることですが、災害に対する対応、今回、地震とかそういったものではなく、積雪ということでありまして、危機意識、これは正直、もう少し防災担当の方には持っていただきたい、これは地元からの要請でもございます。

 一言、いかがでしょう。

古屋国務大臣 私も、十四日の午後に、やはりこれは最悪の事態を想定して、そして、空振りすればむしろ幸いだったと思って万全を期すようにということで、私、十四日の会議でも指示をいたしました。それを受けて、各省庁もそれぞれの対応をしていただいていたはずであります。内閣府は調整をする役所で、執行する役所ではありませんので、調整をするに必要な人員の確保はしていたというふうに私も認識をいたしております。

 ただ、問題は、やはり現地の状況、それは、これだけ雪を、対策というのはほとんど山梨県はしたことがない、経験がないところなので、そういう意味では、かなり山梨県の中でもいろいろな情報が錯綜して混乱があったというふうに思います。だからこそ、各省庁にしっかり連携をする。

 それから、もう一つは、やはり、例えば新潟だとか北陸地整、どうしても東北の方は、今、復興とか、実際、雪が降っていますので、このメンバーを山梨に集約させるわけにはちょっと現状いかなかったものですから、そういった地整の専門家なんかも派遣をしてもらってアドバイスをするというようなことで、でき得る対応はウイークデーと同じようにさせていただきました。

 やはり、どうしても、これだけ急な雪が降りますと、確実な情報が入ってこないということがありましたので、私は、日曜日に改めて全員招集をかけて、徹底をするという取り組みをさせていただいたというところでございます。

 今回の、これだけ急に降るというのは、やはり百二十年に一遍のことですけれども、こういうことがあったということは、しっかりそれを教訓として、もし今回で足らない部分があるならば、冷静に分析をして対応していきたいというふうに思っています。常に、やはり危機管理というのは想定外をつくらずに対応していくということが重要な要素であるということは、私も防災担当大臣として十分に心得て取り組んでいきたいというふうに思っています。

中島委員 時間もあれなのですが、どうだったかというよりは、きのうの話になってしまいましたが、今現在、先ほども申し上げたように、孤立状態にある方、まだ二千二百人ぐらい、もっと多くいるかもしれない。きょうで五日目の晩を迎えるということで、検証は今後じっくりとしていただくと同時に、迅速な対応をぜひよろしくお願いいたします。

 そして、今の危機意識というところで、一つ、そこに付随する問題になるんですが、これは地元の方からの、私自身もそう思いましたが、報道のあり方ですね。週末、もちろん、今、ソチ・オリンピックがやられておって、そういう報道が多いということもわかります。ただ、少なくとも地元の方、そして私自身も、地元の現状と報道のあり方が余りにもギャップが多い、そのこと自体が、政府が危機管理を持っていない、そのまま受けとめるわけですね。

 放送法第百八条などに規定されている災害報道、今回、きょうNHKさんに来ていただいているんですが、新聞報道も含めてなんですね。土曜日、日曜日、そして月曜日の一面の記事を見てみますと、もちろん、その後は入ってはおりますが、このように、二千人を超える方々が今孤立状態にあって生命の危険にさらされている、そういう緊迫感が感じられなかったんですね。日曜日の夜になって、ようやく、そのような大変な事態になっているということになっていたわけです。

 そういった全体的なことを含めていきますと、そういう緊迫感が足りないんじゃないかということは、地元の方を含めて多くの方が感じておられました。

 NHKの今回の危機意識、そして情報の伝わり方というか、その辺について、今回どうだったのか、お答え願いたいと思います。

籾井参考人 まず、今回の犠牲者の皆様に心から哀悼の意を表したいと思いますと同時に、多くの被災者の方々に心からお見舞い申し上げたいと思います。

 ただいま委員から申された件ですが、我々としましては、NHKの第一義的な重要さは、国民の皆様の安心と安全を守るということが非常に大事な我々の義務でございます。

 そういう点におきまして、今回の大雪に関する報道では、確かに、ソチのオリンピックがあっておりましたけれども、雪が降り始める前日の十三日から、繰り返し、大雪の警戒を呼びかけてまいりました。

 山梨県の状況につきましては、全国放送で、十四日から翌十五日の二日間、定時ニュースに加えまして、合計八回の特設ニュースを放送いたしました。この中で、甲府市内からの生中継で観測史上最多の積雪ということもお伝えしましたほか、随時、最新の情報を伝えてまいっております。

 さらに、山梨県域の放送では、十四日から十七日月曜日にかけまして、特設ニュースに加えまして、五十時間以上にわたって、常時、文字情報を表示し、大雪による交通渋滞や集落の孤立などの被害状況、停電や避難所の情報などをきめ細かく伝えてまいりました。

 今後も、国民の安全、安心を守るために、正確で迅速な災害報道に最大限努めてまいる所存でございます。

中島委員 私が聞きたかったのは、どういう伝達が来て、どうして、突然そういうふうな状況に変わったニュース自体もあって、恐らく現地の記者も動けなかったという理由でそういうふうになったんだと思いますが、やはり情報収集というのは、全体で動きながら、現在の危機的状況、どういう感じなのかということを把握する必要があるということは感じております。

 ちょっと時間の都合で、とにかく、今後の対応も含めて、災害時の情報体制、しっかりとやっていただきたいと思います。

 そして、翌日十五日も地域の首長さんにいろいろ情報収集をいたしました。何人かの首長さん、市町村長さんを初め、一週間前、二月の八日にも大雪がありまして、その除雪作業で約二千万円ぐらい予算を切り崩した。そして今回、その三倍、多いところでは四倍近くかかってしまう。そのことを、表面的には出しませんが、地域の自治体の財政状況を踏まえて、そんなことを気にしながらおることも、もしかしたら、正直なところ、あるかもしれない。

 県や市町村の積雪対策を十分に実施できるように、今回の雪害、特別地方交付税の配分や補助金など財政措置の確約をいただけると、今、地元でやっていらっしゃる方も安心します。また、このような災害があったときにしっかりと対応を、初動動作としてやっていけるということだと思います。どうか確約していただければと思います。

古屋国務大臣 まず、内閣府関係では、災害救助法が、既に山梨県においては甲府とか富士吉田、都留、大月等々、ずっと、恐らく御存じ、御報告させていただいておりますが、こういったところで適用になっておりますので、この災害救助法が適用されますと、救助に要した費用については国が一部補填をするということになっておりますので、しっかりそのルールに基づいてやっていきたいと思います。

 また一方、今、特別交付税のことについては、ちょうど今総務大臣もお見えでございますので、繰り上げ交付等々について御要請があるようでございますので、それは総務大臣の方にお聞きをしていただきたい。万全を尽くしてまいります。

中島委員 済みません、いっぱい通告してあって、地元からの声を吸い上げて、まずはということをやっておって、古屋大臣も丁寧に答えていただいているので、時間もありますので。

 とにかく、農業被害もそうなんです。写真にもございますように、山梨県はこういう水田や畜産やハウス農業が非常に多い。これは山梨だけではなくて、関東地方は多いと思うんですが、雪害による農業被害も、まだ全体像は把握されておりません。ただ、もう今の段階でも約八割ぐらいが壊滅状態ではないかということも言われておりまして、これも、農業支援に対して、きょう農林水産大臣も来ていただいていますが、ちょっと時間の関係で、ぜひよろしくお願いしたいということをお願いさせていただきたいと思います。

 そして、この時期です、山梨県、実は十六日の日曜日は看護師さんの国家試験がございました。これは厚生労働省さんに御配慮いただいて、山梨県中心に雪害によって受けられない子たちには、また改めて入試をということになっております。そして翌日、十七日は、昨日ですが、早稲田大学や日本大学、私立の高校、大学含めて入試が、今週も行われる予定がたくさんある。全体は把握しておりません。そして、この週末ですね。

 文科省として、そういった最大限の配慮をしていただけるように、ぜひ要請をしていただきたいと思います。文科大臣、どうでしょう。

下村国務大臣 昨日、十七日付で、千八十六の大学・短大に対して、再試験の実施など、配慮について文書で要請を行いました。また、今御指摘ありましたが、十五日、十六日に試験を実施した大学に対しても、電話による配慮要請も個別に行っております。

 各大学において受験生の事情に配慮した適切な対応が行われるように、引き続き要請してまいります。

中島委員 今回の雪害によって、子供たち、学生さんたちの芽が潰されないように、ぜひ御配慮をよろしくお願いいたします。

 それ以外も、きょう、たくさん要望させていただきたいと思って用意はしておったんですが、とにかく、今回、国の政府の対応、古屋大臣が一生懸命やっていたのはよくわかります、ただ、実際に、先ほどの報道のあり方、そして、きょう気象庁にも来ていただいておったんですが、なぜ今回特別警報に至らなかったのか、そういったことも、国民全体、その危機意識、行政のシステムが本当に機能したのかどうかと疑念を皆さんが持たれることになってしまう。

 そういったことも含めますと、先ほども御答弁の中にありました、当たり前ですが、国民の生命財産を守るのは国家の最優先の責務です。とにかく、危機管理システムがこういう災害時に発揮される。これは常に言われていることなんですが、ぜひしっかりとした対応を。

 まだ終わっておりません、そういった検証はこの先だとも思いますが、何度も申し上げますが、今現在、まだ孤立世帯がたくさんあります。除雪に関しても、もともと大雪の地域ではございませんので、県外からどうにか重機も含めて取り入れられるような、そういう指示を出していただいて、一刻も早く復旧できるように、そして、今後被害拡大しないように、とにかく人命の救助を最優先に政府には考えていただいて、全力で取り組んでいただきたいことをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

二階委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、予算委員会で三十分のお時間をいただきました。ありがとうございます。

 これまで議論に出たことも含めまして、重要だと思われる政策について本日は伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。

 まず、消費税増税について伺いたいと思います。

 我々結いの党は、増税より経済の成長で国を元気にしていくということが基本スタンスでありまして、その意味において、アベノミクスについては否定しておりませんし、実際に景気に明るさが見えてきたということも事実であります。

 しかし、まさに明るさが見えてきたこのタイミングで、四月から消費税が増税される、これはアベノミクスとは明らかに相入れない政策でありまして、消費税増税は、本格的なデフレ脱却にはマイナス、暖房と冷房を一緒にかけるようなことであります。もちろん、伸びていく社会保障費に対応することは当然でありますが、要はタイミングの問題だと思っております。このタイミングで四月から消費増税がなされるということを大変心配しております。

 昨年、五%から八%に増税するとした判断は安倍総理が最終決定したと思いますが、先日、我が党の江田代表が質問したことに対して安倍総理は、浜田宏一先生のお考えよりも麻生財務大臣の考えを踏まえて決めましたと答弁されました。

 やはり麻生大臣は増税積極派だということだと思いますが、麻生大臣は、昨年の消費税引き上げ八%時の記者会見で、財政健全化の道筋を示すこと、財政の信認を得ること、そして、無駄な歳出を行ったり予算措置の優先順位を誤ったりしないよう、緊張感を持って予算編成に取り組んでいくということを述べられました。そして同時に、五・五兆円の補正予算の編成にも言及されましたけれども、この補正予算は、残念ながら、麻生大臣がおっしゃられた無駄な歳出の削減や予算措置の優先順位について、緊張感を持って編成したとは言いがたい予算だったのではないかと思われます。

 確かに、景気対策というのは一定の規模感というのが必要だと思いますし、公共事業全てを否定するわけではありませんが、この補正予算は、やはり金額ありきで、既に多くの方が指摘しているとおり、効果が限定的な公共事業が中心、そして不要な基金への積み増しが多い、行政事業レビューで無駄が指摘された事業への再支出など、切り込み不足と規律の緩み、無駄が指摘されてきております。

 これでは、何のための消費税の増税で、何のための緊急経済対策なのか。我々国民の感情からすると、とても納得が得られているとは言えません。むしろ、消費税増税を凍結する、あるいは、麻生大臣が総理大臣時代に行った定額給付金の方がはるかに効果が大きいのではないかなと思います。

 そこで、本年、ことしの末にもう一度判断するとされる消費税一〇%への増税について、まず三点、あわせてお伺いしたいと思います。

 まず一点目は、このアベノミクスと消費税増税という相入れない政策を引き続き進めていくおつもりなのか。

 そして二点目は、甘利大臣は記者会見において、消費税一〇%への引き上げの判断は、八%に上げるとき以上に慎重に判断するとおっしゃられていますが、これは麻生大臣も同じようにお考えになっているのか。

 そして、一〇%に増税するとした際には、また補正予算を組むおつもりなのか。

 まずは、麻生大臣のお考えを伺いたいと思います。よろしくお願いします。

麻生国務大臣 三点御質問をいただいたんだと存じます。

 まず、この消費税の話で補正予算等々の話が出ていて、これは矛盾するのではないか、ごもっともな御意見だと思います。

 基本的に、我々は、千兆円、早い話がGDPの約倍、税収の二十倍になっておりますので、そういったものをきちんと対応していくという意思があるということを世界に示さない限りは、少なくとも我々がやっている債券等々は、今は金利が、きょう〇・六になっていると思いますけれども、株が一万四千八百円ぐらいには上がってきてはいますけれども、少なくともきちんとした対応をしない限りは、債券を売られる、すなわち日本の国の国家としての信用がなくなるということをきちっと守りつつ、傍ら、景気をよくしていくということと、両方をやる。経済成長と財政の再建を両方やる。これは、去年一年間をかけて、四回のG20で、少なくともこの方向でやるということは、世界の二十カ国全員合意した上で、この方法をやらせていただいております。

 したがいまして、私どもとしては、消費税を上げるということは景気を冷やすという効果が大きいという御指摘はまことにそのとおりなんですが、同時に我々はそれもやらねばならぬという、そこの間をどうやってバランスをとるかというのは最も難しいところだと思います。一点。

 それから二つ目は、消費税を上げますと、民間の試算で、四―六で大体一・八兆円ぐらいのマイナス効果があると言われております。これはあくまでも試算ですから、何とも申し上げられませんけれども。我々は、この四―六のマイナス分をいかにしてきちんとおさめるかということをやっておかないと、上がってきた分が四―六で下がって、七―九でまたもとに戻していく、その七―九で戻す分が、四―六で下がったところから上げていくのでは意味がないので、きちんともとのラインまで戻さねばならぬというのには、しかるべき補正予算を組まねばならぬということだと思います。

 補正予算は本予算とは違って、この前のとき、この前というのは昨年ということですけれども、昨年の補正予算は、これは私どもの政権がかわって、新たに予算を編成し直し始めたのが十二月の二十何日かで編成し直しておりますので、基本的に本予算には間に合いませんので、その意味では、まずは補正を通していただいて、四月―六月を対策させていただいて、本予算が通りました六月以降をやらせていただいたということになるんだと思っております。

 したがって、今回は、この四―六の景気の下振れをいかに抑えるかというのを目的にした補正予算ということになろうと思います。

 それに対して、私どもとしては、公共工事等々、今は幾ら日銀がお金をふやしましても、銀行までは行っても銀行から先の市中に金が回らないという、いわゆるマネーサプライにはつながらないということになりますので、そこのところの需要を、銀行から引き出す、金を借りるという需要をつくり出すというのがない限りは、第三の矢と言われる経済成長につながりませんから、そちらの分をきちんとやっていかねばならぬということになりますと、いわゆる公共工事というのが、目先すぐ、簡単な、手っ取り早い、政府でやる仕事としてはということなんですが、土地とかなんとかいうのを買収でやることになりますと、これは土地代に入りますので、土地代に入るということはまた預貯金がふえるというので、私どもとしては、補修とかメンテナンスとか、そういったところを主に集中してやらせていただきたいということで、そちらの方に集中してやらせていただいております。

 それから、今申し上げたのが二番目までのお答えなんですが、三番目、来年以降どうするかというお話ですが、これは法律で決まっておりまして、いわゆる十八条の三項と言われるあの法律で決まっておりますので、それにきちんと見合っていないとできません。これが、ことしの補正予算なり本予算なりの効果がどうなるかというのは、この一年間をかけて見させていただかない限りは、ちょっと十八条三項を満たさないということになりますと、当然引き上げられないということになろうと思います。

 私どもとしては、そういったことになりますと、また法律変更しなきゃいかぬことになりますので、きちんとした答えが申し上げられるように景気対策に全力を挙げたい、そう思っております。

青柳委員 ありがとうございます。

 もう一点お伺いしますが、年末に増税を行うと仮に判断した場合に、そのときに、軽減税率についても同時に判断するのか。あわせて、インボイス制度導入についてもそのときに判断するのか。ぜひお答えいただきたいと思います。

 つまり、事務量の問題もありますので、そういう観点からの質問でございます。

麻生国務大臣 ことしいっぱいと申し上げております最大の理由は、御存じのように、本来は、来年の十月ですので、一年後じゃなくて一年半後なので、本来ですと来年の四月で判断すればいいということになりますが、来年の四月ではもう本予算が三月に上がっておりますから、終わった後それをやると、多分、御党を初め、何だおまえ、話が違うじゃないか、つくり直せと、大体そのようなことをみんな言いますから、全員。言われると、私どもは反論ができませんのでね。そうすると、どうしても、上げる前提でことし中にやっておかないと、予算の対応ができない。極めて予算の技術の話だと思いますので、私どもとしては、三カ月足りない分だけ、少々焦っておることは確かです。

 いずれにしても、そのときの軽減税率の話というのは、これは二十六年度の与党税制改正大綱の時点での考え方が盛り込まれたものがその話で、一〇%時にということになっております。その一〇パーというのが、そのときなのか、一〇%の時代なのか、これは読み方がいろいろあるので、霞が関文学のきわみとか、いろいろ言われておりますけれども。

 そういったところは我々も十分に考えておかねばならぬところなんですけれども、これは確かに手間がかかります。一〇%時のときの手間を考えますと、インボイスとか、中小で今消費税を納めておられない売上高一千万円以下のところも、全部これはインボイスをいただかないとなかなかできにくいとかいう、いろいろな手間暇の話。また、キャビアはだめだけれどもイクラはいいとか、どうしてイクラはいいんだとか、いろいろ区分の整理が物すごく難しい等々、いろいろやらねばならぬことがいっぱいありますので、なかなか時間的な無理があるのではないかというのが率直な私どもの今の感じです。

 いずれにしても、これは税調等々でいろいろ御検討をいただかねばならぬところだと思っております。

青柳委員 余りお答えはよくわからなかったわけですが、お話はおもしろいお話をいただきまして、ありがとうございます。

 次に、法人実効税率引き下げについてお伺いしたいと思います。

 やはり、最大の景気対策、最大の成長戦略は法人税の減税、経済界や学者の間でも多く言われています。実際に私もそう思います。昨年来、企業を対象にしたアンケート調査を見ると、常に、政府に求めるものは、一番は必ず法人税の実効税率の減税というのが来ます。

 そして、総理は、世界で一番ビジネスがしやすい環境をつくるですとか、ダボス会議でも法人税改革について言及した。法人税減税は、いわば国際公約ともとれるわけであります。

 しかし、麻生大臣は安倍総理や甘利大臣とちょっと違いまして、法人税減税には消極的な発言が散見されているわけであります。

 その理由として、代替財源の問題や課税ベースの問題などを挙げておりますが、まさに、それこそ、先ほども申し上げました、無駄な歳出の削減、そして課税ベースを拡大する、あるいは政策減税を改廃する、そして、安倍総理も指示したとされますが、経済の活性化による税収がふえるのではないか、いわゆる法人税のパラドックスと言われている問題、さらには、数え方によっては五兆円になるとも言われる租税特別措置の見直しなどで対応できるのではないかというふうに思います。

 東大の伊藤元重先生は、景気が上向いている今こそ減税を断行すべきだというふうに説いておりますが、麻生大臣のお考えは今でも変わりませんでしょうか。

麻生国務大臣 消極的ではなくて慎重と言っていただくのが正確な単語だと思っておるんですけれども。

 いずれにしても、これはいろいろ、学説が分かれるというとちょっと表現がいかがなものかと思いますけれども、青柳先生、アメリカがそうだったとよく言われますけれども、私、そのころアメリカに住んでいたから言うわけじゃありませんけれども、レーガンのときにばんとやったら、双子の赤字ですよ、結果的にはね。それで、二次のときになって上げてバランスをとって、一番いい思いをしたのはその次のクリントンということになったんですが、最初にきっかけをつくったのは、第一次のときにつくったことは間違いない。しかし、それは結果として双子の赤字と言われる巨大なものになりました。

 こっちは今ですら、もう既に倍の赤字を抱えていますので、ちょっとそこのところはきついし、イギリスも最終的には、直間比率を変えたりいろいろしましたけれども、トータルでバランスさせたような形で、過去、イギリス、ドイツ、アメリカ、やったところが、最終的には皆もとに戻しているというやり方をしておりますので、これはやり方の問題だと思います。

 ただ、私どもとしては、景気の浮揚やら何やらをちょっと真剣に考えなければいかぬところでもあります。

 今、払っておられる方が、全法人の三〇%ありません、二七、八%の会社しか払っておられませんから、下げたって、いい思いをするのはたったそれだけで、あとは税金なんか払っていないじゃないですかと言いたくなるところですけれども。

 ただ、それはいろいろ御意見があるところですし、また、今までのあれでいくと、繰越欠損を九年間も延ばしておられますから、これをやめるとか、課税ベースを広げる方法というのはいろいろ考えないかぬところだとは思います。

 いずれにしても、この法人税の話としては、我々としては今後とも検討していかねばならぬ。避けているわけではないので、慎重に検討しているというふうに御理解いただければと存じます。

青柳委員 ありがとうございます。

 甘利大臣も今と同じような御見解でしょうか。

 そして、麻生大臣は会見等で、ことし法人税を二・四%下げて三五・六%にしたんだぞという話をよくされますが、この方針それ自体は民主党政権が決めた税率だと思います。これで世界で一番ビジネスがしやすい環境と思われているのかどうか、甘利大臣のお考えもお伺いさせてください。

甘利国務大臣 税金が安い方が企業にとって立地しやすいか、高い方が立地しやすいかという単純な話でいえば、それは賦課が低い方が企業にとっては立地しやすいのは事実であります。

 ただ、私は経済財政全体のマクロを見る担当でもありますので、アベノミクスのやっていることは、経済を活性化させると同時に財政を再建する、そして社会保障の安定化を図る、そのためには安定財源を確保するということになります。先ほど来、ブレーキとアクセルの話がありましたけれども、これはうまいハンドリングをして、使い分けをしながら車をうまく動かしていくということになろうかと思います。

 法人税を下げた場合に税収にどうはね返るのか、あるいは、どのくらい長い目で見たら税金を引き下げることが税金を拡大することになるのか、いろいろな論がございます。それを、内外の過去の歴史をきちんと検証しながら、与党税調や政府税調と協議をしながら最終的に判断をする。財政再建にも資するし、経済の発展にも資する道はどういう道なのかということを探っていきたいというふうに考えております。

青柳委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間の関係で、通告したのを飛ばすことになりますが、次に、行政改革についてお伺いしたいと思います。

 行政改革というのはどの政権でも扱ってきている重要なテーマだと思いますが、この行政改革でも、今の安倍政権は少しトーンダウンしているといいますか、切り込み不足を感じているところでございます。

 例えば、独立行政法人に関する基本的な方針というのを拝見すると、特に組織の見直しについて、平成二十七年四月以降、順次進めるとされていますが、これはしっかりスケジュールを切って進められているのか。つまり、組織を統合するのはいつまでに終えるのかというのが見えていないところがあります。

 そして、こういう質問をすると、数が別に重要なんじゃありませんと言われるかもしれませんが、数もやはり重要な要素になっていると思います。その意味では、民主党政権時代に独法が百法人あったのを六十四法人に整理するという案より、今の案は後退しまして、百法人から八十七法人になっている。

 さらに、ここが一つ問題ですが、省庁横断で独法の整理統合を検討したのかというと、そういう形跡は全くありません。相変わらず各省の子会社状態というのが維持されているわけであります。

 こういう切り込み不足というのは否めないと思います。

 こうした今申し上げました点について、稲田大臣はどうお考えになられているのか、御所見を伺いたいと思います。

稲田国務大臣 委員が今質問の中で御自分でも言われたように、数を単純に比較するというのは、全然本質を見ていないのではないかというふうに思います。

 民主党政権の独法改革と今やっております独法改革とは、民主党政権では独法自体を廃止して特殊法人と行政法人にするという、全く違う改革であります。私が今やろうとしている改革は、独法の本来の姿に立ち戻って、そして、独立行政法人制度自体は維持をして、政策実施機能の向上と官のスリム化のため、制度と組織の両面で抜本的な改革を行うということであります。

 ただ、民主党政権で出されていた法案の中で、いいものはもちろん引き継がせていただいているところでございます。そして、それを二十七年以降、計画に従って統合していくということでございます。

 今委員が御指摘になった、省庁横断的な統廃合はどうなのかということですけれども、それも、省庁横断はしないとか省庁縦割りでいくとか、そういうことではなくて、予断を持つことなく、真に法人の政策実施機能を強化する、そういう立場から統廃合の計画を立てているところでございます。

 今通常国会において、独法改革法案、これは、自民政権で一回、民主政権で一回、それぞれ廃案になっているものを、改革の集大成として提出し、成立を目指したいというふうに考えております。

青柳委員 しかし、残念ながら省庁横断で検討されたという形跡は余り見られないので、ぜひそこは今後も検討していただきたいと思います。

 さらに、十六日の読売新聞によると、ある閣僚は、内閣府は出口のない掃除機だと発言があったそうでございまして、内閣府の業務の肥大化を懸念しているとありました。こうしたことに官房長官も危機感を示したとあります。

 こうしたことも問題ですが、私は、もっと言えば、行政機能の改善とか霞が関の再編には省庁の弾力化というのが必要なんじゃないか、省庁の弾力化をもっと検討すべきじゃないか、制度としてもっとつくるべきじゃないかというのを思っております。

 例えば、英国、ドイツ、フランスは、政権が直面して重視する政策に対応するように大臣の任務を分配する、政権の政策に行政機能を合わせるという仕組みがあるそうです。我が国は、府省に合わせて大臣が任命されている。こういうことからも、まさに官僚主導というのが見てとれるわけであります。

 例えば、我々の党は歳入庁の設置に前向きです。仮に政権をとってからそれを検討しても、それだけで数年かかってしまって、政策実現というのが効率的ではないということになります。

 こうした府省庁の再編の弾力化について取り組むべきだと私は思いますけれども、稲田大臣はこうした取り組みについて何か御所見をお持ちでしょうか。お聞かせいただければありがたいと思います。

稲田国務大臣 まず、委員が冒頭御指摘になった、内閣府の肥大化の問題について報道がされているということは承知をいたしております。私自身としても、橋本行革の省庁再編のときの内閣府そして内閣官房、知恵の場としての内閣府、戦略の場としての内閣官房、そういう原点に立ち戻った改革というのはやはり必要であろうというふうに思っております。

 ただ、現在、例えば公務員制度改革、これも、委員が御指摘になっているような省庁の縦割りの弊害を排して、政府全体としての人材戦略を練る、そして実施するという意味では非常に大切な改革だと思っておりまして、これをまずこの国会で成立させたいというふうに思っています。

 また、後半で御指摘になった英独仏、内閣の裁量で行政組織が編成される仕組みについてどうかということでございますけれども、これについては、日本では、やはり国会の法律によって、行政組織、省とか庁ということについての組織をするというふうになっている。それは、国会におけるチェックという意味もあろうかというふうに思います。行政組織の肥大化を防ぐなど、国会による行政の民主的統制も重要であるというふうに考えております。

 この公務員制度改革もそうですし、独法改革、行革、全てそうなんですけれども、国益の立場から、この行革というものを進めていきたいというふうに考えています。

青柳委員 ありがとうございます。

 省庁の再編の弾力化ということで、せっかくの機会なので、本日は、スポーツ議連会長でもあり、みずからもオリンピアンであります麻生大臣に、先日、オリンピックの関係では大変刺激的な御答弁をされておられましたけれども、二〇二〇年の東京オリンピックに向けて、省庁弾力化でスポーツ行政を一元化する、スポーツ庁の設置を進めるというお話が今あります。これについて麻生大臣の御見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 議員立法でスポーツ基本法というのが設立されております。これは、昭和三十何年に、東京オリンピックができる前につくった法律以来、この法律が全然そのままになっておりましたものですから、平成二十三年でしたか、議員立法で改変をやらせていただいた中に、スポーツ庁と。

 スポーツのところは、労働省の中にもあれば、厚生省、今は厚労省か、中にもあれば、いろいろなところにありますものですから、それを全部まとめてやらないとなかなか集中したものもできませんし、何かばらばらになっているのでいかがなものかというのはもう前からあった話なので、きちんとしたものをやりたいと思っております。

 私どもとしては、これは、当時の下村文部科学大臣への当時の安倍総理の指示からも、スポーツ庁の創設も含め、スポーツ立国を実現する諸施策の推進というのが示されておるところでもありまして、主に今文部科学省においてこの点がやられておられるんだと思いますけれども、少なくとも議連としては、プロジェクトチームをつくりまして今進めさせていただいておるところなのです。

 オリンピックができる、することにもなりましたので、これをうまくきちんとして、強化策やら何やら一本化されていかないと、なかなか選手というものはうまく育たないという点もありますので、私どもとしては早急にこれを進めていければと思っております。

青柳委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間の関係で、最後に、TPP交渉について甘利大臣にお伺いしたいと思います。

 訪米、大変お疲れさまでございました。今回のフロマンUSTR代表との会談の目的と成果をお聞かせいただきたいと思いますが、報道によると、重要五品目について、具体的に着地点について結論を得ていないと大臣は述べられていますし、また、日米間でセンシティビティーの扱いに認識のずれがあるということも指摘されておられます。

 大臣がワシントンで受けられたインタビューでは、日本も何もしなくていいわけではない、牛肉、豚肉が攻防戦だ、五項目全部守るのは無理だ、日米協議はまだ五、六合目だと発言されています。

 こういう状態で、今週末から始まる閣僚会合で大筋合意を目指す、交渉の妥結を目指すということはお変わりないんでしょうか。

甘利国務大臣 まず、私が、具体的品目について、これが攻防戦だというふうにインタビューで答えたことはございません。インタビュアーがいろいろな項目を挙げてきますから。五項目については極めて我々にとってセンシティブであり、攻防戦をやっているというのは、全体として申し上げているところであります。

 今回訪米しましたのは、このままでいくと、シンガポールの会合はきちんと、大筋合意というぐあいに到達できないんじゃないかという思いを感じたものであります。先方も、会いたいという申し出も前からありましたし、電話会談するよりは直接乗り込んで、膝を交えてやらないと、この問題は前へ進まないし、日本の主張はちゃんと届かないだろうという判断で行ったわけであります。

 今まで日米間で交渉していた中身については、まだ距離があります。私がアメリカ側に申し上げたのは、全く両者が歩み寄らないと、平行線のままですから、これは決裂ということになります。決着させるためには、歩み寄るんだけれども、それは日米双方が歩み寄ることである、両方向の行為だということを申し上げているわけであります。

 あわせて、こちら側が解決しなければ残りはやらないとか、そんなことをやっていたらもう間に合いませんよ、全部、できるものは同時進行で進めていくべきだと。これも合意をされたわけであります。

 そして、お互いが歩み寄るやり方といいますか、余り詳細にお話しすることはできないんですが、こういう手法でお互いが歩み寄るという枠はあるはずだと。それを共有したつもりでありまして、それから先は、大臣同士の話し合いをそばでみんな聞いていますから、それに従って各論で詰めていく作業をすべきだということで、日米で、では、そういう方法でやるということになったということであります。

 シンガポールに向けて、今、事務折衝が続いているところです。

青柳委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたけれども、もう甘利大臣が交渉する相手は、米国ではなくて自民党であり、農業関係団体だと思います。我々は、責任野党として、甘利大臣のTPP交渉を応援しております。頑張ってください。

 ありがとうございました。

二階委員長 これにて青柳君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、米軍機の低空飛行問題について質問をいたします。

 昨年四月十五日の予算委員会の分科会で、私は、広島・島根、そして群馬、その二カ所において、米軍機の低空飛行について住民から多数の苦情が寄せられ、地元自治体も訓練中止を強く求めていることを取り上げました。

 この間、地元自治体が独自に騒音測定器を設置して、米軍機の飛行実態の把握をしていることを紹介してまいりました。そして、国が実態把握を行うことが必要であり、この飛行実態の調査を行うことを政府に求めました。

 その際、岸田外務大臣は、こうした問題は地元にとって大変大きな問題と認識している、実態把握のために調査すべきという指摘は提案として受けとめたい、防衛省ともよく連携して適切に対応していきたいと答弁をされました。

 そこで、岸田外務大臣にお尋ねをいたします。

 その後、どのような対応をされたのか、お答えください。

岸田国務大臣 昨年四月十五日の予算委員会分科会におきまして、塩川委員の方から御質問いただき、それに対しまして私の方から、「実態把握のために調査をすべきだという御指摘をいただきましたが、この御指摘、ぜひ御提案として受けとめたいと存じます。」「防衛省ともよく連携いたしまして、適切に対応していきたいと考えています。」このように答弁させていただきました。

 実態把握についてですが、実態把握の調査については、その後、防衛省におきまして、島根県浜田市、そして広島県の北広島町、ここに騒音測定器を設置し、そして、この測定結果について公表を行っていると承知をしております。

 このような対応を行っておりますが、外務省としましては、今後とも、防衛省とも連携しながら、適切に対応していきたいと考えております。

塩川委員 今お答えいただきましたように、防衛省として、島根県浜田市と広島県北広島町に騒音測定器を設置し、測定結果を公表しているというお話でした。

 そこで、小野寺防衛大臣にお尋ねいたしますが、広島県と島根県には設置をしたわけですけれども、私、去年の質問では、群馬県の上空もひどいと。特に、群馬県におきましては、防衛省が集計している苦情受付状況表でも飛び抜けて苦情が多い場所となっております。同様に米軍機被害の大きな群馬県には騒音測定器が設置をされておりません。それはなぜなんでしょうか。

小野寺国務大臣 今、岸田外務大臣からもお話がありましたが、広島県及び島根県からは、累次の機会を通じて米軍機の低空飛行に伴う騒音測定器の設置について要望を受けていたほか、両県の関係自治体や住民の方々から米軍機の飛行に伴う苦情が多数寄せられていることから、防衛省としまして、平成二十五年九月から、広島県と島根県に試行的に騒音測定器を設置し、騒音調査を実施しているところであります。

 御指摘の群馬県であります。

 例えば平成二十四年度、全体の苦情件数が四百三十七件あるうち、群馬県は二百六十一件と、半数以上を占めております。今委員が御指摘のような状況で、群馬県の関係自治体や住民の方からも米軍機の飛行に伴う苦情が多数寄せられております。

 群馬県への騒音測定器の設置につきましては、試行的に実施している広島県と島根県における騒音調査の状況を確認しつつ、関係自治体や住民の方々からの御要望や地域の状況等も踏まえながら、対応を検討していきたいと思っております。

塩川委員 そういう点では、広島、島根で設置をしました。この後で聞きますけれども、具体的に騒音被害が出ております。そういう点で、群馬県、自治体の方からもぜひ設置してくれと要望があれば、当然前向きに設置に向けて対応されるということでよろしいですか。

小野寺国務大臣 群馬県の自治体の中で、騒音測定器設置にかかわる要請書、意見書が出ておりますのは、平成二十五年三月二十七日、前橋市議会から出ておりますが、群馬県等からはまだ正式には私ども、要請を受けてはおりません。

 今後、先ほどお話ししておりますように、関係自治体や住民の方からの御要望が出た中で、状況を踏まえて対応を検討していきたいと思っております。

塩川委員 被害そのものは大変ひどい群馬県、前橋、高崎地域でありますから、そういう点でも、地元要望をしっかり、騒音測定器を設置してほしいと強い要望があったら、ぜひ応えていただきたい。

 その上で、群馬の場合には、群馬弁護士会が駐日米国大使館に対して米軍機の飛行取りやめを求める要請書を提出するなど、深刻な被害も出ているものですから、国として、騒音測定器を設置して被害実態の直接把握に努めることを改めて求めておきます。

 広島、島根の地域の件ですけれども、防衛省中国四国防衛局が実施をしている島根県西部地域、浜田市の旭町及び広島県西部地域、北広島町西八幡原における航空機騒音状況についてですけれども、防衛省にお尋ねしますが、測定結果が公表されております昨年九月からことし一月にかけて、それぞれの地点における航空機騒音の最大値が幾つとなっているのか。また、午後七時以降、夜間の騒音発生回数がどのぐらいになっているのか。さらには、土日、祭日、休日における騒音発生日数がどうなっているのかについてお答えください。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省が平成二十五年九月から島根県と広島県で試行的に実施している騒音調査の結果については、本年一月までの成果が得られているところでございます。

 まず、島根県につきましては、騒音の最大値は平成二十五年十一月一日に測定された百二・六デシベル、午後七時以降に七十デシベル以上が測定された回数は合計五十四回、土日や祝日に七十デシベル以上が測定された日数及び回数はともに四回となっております。

 また、広島県におきましては、騒音の最大値は平成二十五年十二月四日に測定された百二・二デシベル、午後七時以降に七十デシベル以上が測定された回数は合計五十回、土日や祝日に七十デシベル以上が測定された日数は十四日で、その回数は二十九回となっております。

塩川委員 防衛省の測定結果にあるとおりですが、資料を配付いたしました。一枚目が、防衛省が記録をしている航空機の騒音状況についてまとめたものであります。騒がしい街頭の音量に相当するのが七十デシベル以上、その数がカウントされております。

 先ほど、最大値百デシベルを超えているという話がありました。これは電車が通るときのガード下と同じような騒音の状況であります。大変大きな音が起こっていたわけですし、また、夜七時以降の騒音が五十回以上に上るということで、家族団らんのそういう時間にも爆音を響かせるような状況が生まれております。

 広島においては、十月二十二日に、午後七時から十時の間に三十二回の騒音を記録となっていますけれども、これは現地の方でお話を伺いましたら、八時二十七分から四十五分の間に三機が旋回飛行をしていた、九十三・九デシベルも記録をされているということが挙げられていたわけであります。加えて、土日、祭日にも飛行を行うなどはとんでもないと言わざるを得ません。

 岸田外務大臣、広島が地元でもありますけれども、広島県内において、もちろん隣接する島根も含めて、こういった大変大きな米軍機による騒音被害が生まれている。こういう現状について、余りにもひどいと思いませんか。

岸田国務大臣 測定された騒音について御指摘をいただきましたが、この騒音につきましては、米軍機によるものかということも含めまして、測定された騒音の原因が全て明らかになってはいないとは承知しておりますが、ただ、継続的な航空機の騒音が指摘をされています。こうした継続的な航空機の騒音自体につきましては、地元住民の方々にとりまして、これは大変大きな問題であるというふうに認識をしなければならないと思いますし、そのように認識をしております。

 米軍機による訓練自体につきましては、日米安全保障条約の目的達成のために不可欠な訓練であるという前提に立ちつつも、やはりまずは安全面におきましてしっかりと考慮を払わなければならないと思っておりますし、こうした騒音等が地元住民の方々に与える影響につきましても、これは最小限にとどめるよう、引き続き最大限配慮していく必要があると考えております。

 こういった点、日米合同委員会を初めさまざまな場でしっかりと申し入れを行っていきたいと考えています。

塩川委員 騒音を響かせているのは米軍機でないかのような言い方というのは、納得いきませんね。自衛隊機だったらなおさら問われる問題ですし、民間機でこんなのを飛ばしているのはありませんよ。

 防衛省に一点聞きますけれども、防衛省が集計している苦情受付状況表の中でも、この空域からの苦情について米軍に問い合わせをして、その問い合わせの回答として、米海兵隊機だ、そういう回答というのは米軍からもらっていますよね。

山内政府参考人 お答えを申し上げます。

 防衛省におきましては、米軍機の飛行に伴う地方自治体や住民の方々からの苦情を受けた場合には、米軍に対してその内容を通知し、飛行の有無等の事実関係を問い合わせるとともに、その結果について地元自治体等に情報提供しているところでございます。

 今回の測定結果の中での符合といいますか、合っているものということでございますと、平成二十五年九月から同年十二月までの間において七十デシベル以上の値が測定された日のうち、同年の九月二十一日、九月二十四日及び十月二十九日について、騒音測定器が設置されております島根県の浜田市を米軍機が飛行していたということを、米側から回答を受け取ったところでございます。

塩川委員 岩国の米海兵隊機が飛んで回っているわけなんですよ。私は、こういった現状を考えても、今紹介してもらったような、防衛省が集計している苦情受付状況表でのひどい被害を裏づけるような苦情が多数寄せられているわけです。

 小野寺大臣にお尋ねしますけれども、防衛省自身が米軍機の騒音被害を把握したわけであります。であれば、この騒音被害の解消をすることは、米軍機の飛行を中止することであります。米軍機の中止を求める、こういう立場で断固対応すべきじゃありませんか。

小野寺国務大臣 防衛省としましては、米軍機の飛行に際しては、安全面に最大限の配慮を行うとともに、地域住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう、米側に働きかけてきております。

 また、先ほど来質問に答えさせていただいておりますが、米軍機の飛行に伴う地方自治体や住民の方々からの苦情を受けた場合には、米軍に対してその内容を通知し、飛行の有無等の事実関係を問い合わせるとともに、その結果を自治体等に提供しております。

 防衛省としましては、今後もこのような取り組みをしっかり対応する中で、地域住民の方の騒音に対する苦情に丁寧に対応していきたいと思っております。

塩川委員 地域住民に与える影響を最小限にする、そういう立場で働きかけるといっても、実際に今設置されている場所がどういうところかといえば、例えば北広島町の西八幡原の地域というのは、出張所なんですよ。中山間地ではあっても、人口が集中している地域ですよね。

 島根県の浜田市の旭町というところは、その設置の場所の隣は、認定こども園という、子供たち、幼児が通う施設なんですよ。その認定こども園に向かうように米軍機が飛んでくるということで、子供たちは大変怖がっているということを保育士の方などが訴えておられる、そういう場所であるわけです。

 だからこそ、昨年、改めて、浜田市を初めとした島根県西部地域の五市町が地元地域において米軍機騒音等対策協議会を設置し、島根県と一緒に、外務、防衛両省に、十月三日、申し入れを行っております。爆音の中で多くの住民がおびえながら生活している状況が続くことは容認できないと訓練中止を強く求めているわけで、この立場でこそ当たるべきだということを強く申し上げておくものであります。

 防衛省が騒音測定器を設置している場所というのは、自衛隊の訓練空域になっております。そこには、高高度の訓練空域のエリアQがあり、低高度の訓練空域であるエリア7が設定をされております。その二つがそれぞれ上下に重なるような形で位置をしているわけです。この自衛隊の訓練空域を米軍機が使用する形をとっております。米軍機がこの訓練空域を使用する場合には、事前に自衛隊と調整することになっております。

 防衛省にお尋ねいたしますが、昨年二月からことし一月にかけての一年間、エリアQ及びエリア7における米軍機使用のための事前調整の実績は何日になるか。また、上下に重なるこの二つの空域を使用する日にちは全部一致していると思うんですけれども、その点、確認でお答えいただけますか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の平成二十五年二月から本年一月までの期間におきまして、航空路誌に基づきまして米軍及び自衛隊の間で調整が行われました御指摘の空域の米軍使用日数の調整実績につきまして、空域ごとに申し上げれば、エリアQが二百六十一日間、エリア7も二百六十一日間となっております。

 また、この期間におけます調整実績の日にちにつきましては、全て一致しているところでございます。

塩川委員 一年三百六十五日のうち、実に七割を超える二百六十一日間も米軍機が使用するという調整が行われているということなんです。しかも、高高度と低高度の二つの訓練空域が一体的に活用されております。

 小野寺大臣にお尋ねしますが、要するに、低い高度の訓練空域も使うために、その米軍機の爆音が住民生活を脅かすようなことになっているんじゃないですか。

小野寺国務大臣 米軍の運用について私ども通知を受けておりますが、今言った、どの高度をどのように使うかということを詳細に通報、通知して、米軍の運航がどのように行われているかということは、これは米軍の運用にかかわる問題だと思っております。

 いずれにしても、私どもとしましては、この地域からさまざまな苦情が来た場合、それに丁寧に応えていきたいと思っておりますし、また、そのような地域の声については、米側にしっかりと今後とも対応するように話をしていきたいと思っております。

塩川委員 住民や地元自治体からやめてくれと強い要望があるにもかかわらず、米軍の運用にかかわるものであり、物も言わない、こんなことでいいのか。日本の空であるにもかかわらず、やめろと言うことも行わないというのでは、余りにもおかしいと言わざるを得ません。

 航空路誌を踏まえたこの事前の調整実績で、自衛隊は米軍機の飛行を把握しているわけです。事前にわかっているわけですよ。爆音をまき散らす米軍機飛行に防衛省・自衛隊が手をかしているということになるんじゃないですか。こんなことでいいんですか。

小野寺国務大臣 今、委員は、米側に何も物を言わないというお話をされておりますが、私どもとしましては、地元からのそういう騒音等の要請があった内容については、その都度、米側に確認をし、そしてまた、そのような内容について米側に申し入れをしているということであります。

 いずれにしても、地域の声をしっかり聞くことが大切だと思っておりますし、先ほど委員がお話しされた騒音の測定器の設置場所というのは、お話がありますように、市街地であり、あるいは保育所等のそばということで、極力やはり、実際にどのような騒音が住民の方に届いているかということをより把握できる場所を選ばせていただいているということだと思っております。

塩川委員 地元はやめてくれと言っているわけですから、そういう立場で対応するのかどうかということが問われているわけで、米軍が好き勝手に飛ぶのに、日本政府がそれに手をかすようなことというのは認められないということを改めて言わざるを得ませんし、アメリカやヨーロッパではこんな無法なやり方というのは通っておりませんから、そういう点での日本のやり方は余りにも異常だと言わざるを得ません。

 それが具体的に示されているのが、この米軍の訓練空域の設定の仕方の問題です。

 資料の二枚目と三枚目に地図を載せました。

 昨年の質問の際に、米軍機の低空飛行が集中している広島・島根の上空と群馬の上空は、どちらも自衛隊訓練空域と米軍の進入管制空域の中にあることを指摘しました。つまり、米軍の進入管制空域と自衛隊の高高度訓練空域、低高度訓練空域が全て重なっているエリアで米軍機の訓練飛行が集中しております。

 太田国交大臣にお尋ねいたします。

 航空機の路線が集中しております首都圏上空やあるいは瀬戸内海の上空は、大変過密状況にあるわけであります。計器飛行の民間航空機の路線が集中しているからであります。

 そこでお尋ねしますが、米軍基地などが所在をする渉外知事会、その渉外知事会が、米軍が管制を行う進入管制空域の返還を要求しております。その内容を御紹介いただきたいと思いますし、国交省としての対応についてお答えいただけますか。

太田国務大臣 資料をお渡ししたというふうに思いますが、自治体からの返還要求に関しましては、東京都からは横田の進入管制業務、愛媛県からは、米軍岩国基地の管理下にある松山空港の進入管制業務、そして、今御指摘のありました渉外関係主要都道県知事連絡協議会からは、横田及び岩国の進入管制業務について返還の要望をいただいております。

 米軍が管制を行う進入管制業務の返還につきましては、従来より、日米合同委員会民間航空分科委員会におきまして米軍及び関係省庁と調整してきたところでありますし、横田空域については、過去八回にわたって削減を実施し、削減した空域の管制業務の返還が行われてきました。また、嘉手納につきましては、平成二十二年三月に管制業務の全面返還が実現をしております。

 残された岩国及び横田の進入管制業務の返還につきましては、引き続き関係省庁と協力しながら調整してまいりたいと考えています。

塩川委員 残されている米軍の進入管制空域の岩国と横田、そのエリアにおいて、今言ったような米軍機が爆音を響かせるような訓練が行われているわけであります。

 岩国の進入管制空域の中の自衛隊訓練空域部分というのは、アッパーが二万三千フィート、約七千メートルの高さまで確保されております。同様に、横田進入管制空域の中の自衛隊の訓練空域のアッパーも、約二万三千フィート、七千メートルで確保されているわけであります。そうなれば、そこよりも低いところを民間のエアラインを通すことを阻むことができる、その高さまでいわば訓練で確保できるということになります。そういう点でも、米軍の訓練の高さを十分確保するというエリアにつながっているというのが実態であります。

 防衛省にお尋ねしますが、米軍の進入管制空域が設定をされることで、米側は、いわば計器飛行方式の民間の航空路線の設定を拒むことができる。また、その進入管制空域の中に自衛隊の高高度及び低高度の訓練空域を設定して一体的な運用を可能とするとともに、有視界飛行方式の民間機に対する訓練空域の通過制限の要請を自衛隊に行わせる仕組みもあわせてつくっているわけであります。

 ですから、計器飛行方式についても民間機が入らないようにしてもらう、有視界飛行方式についても民間機が入らないようにしてもらう、こちらの方は、自衛隊によろしくねと言っているような状況。結果として、この自衛隊の訓練空域全体が、米軍が独占的に使用できる訓練空域をつくった、これが実態じゃありませんか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 米側の運用の状況につきまして、自衛隊の方でその詳細の全てを掌握することは、現在のところ、そういうことは承知をしておらないところでございますけれども、まず、自衛隊の訓練・試験空域の性格についてちょっと述べさせていただければと思います。

 この空域は、航空交通の安全を確保するということで、自衛隊機等が曲技飛行、これは航空法上の用語でございまして、いわゆる通常の水平飛行でない訓練のようなものですけれども、こういう行う空域と航空路などを分離することを目的として、防衛省と国土交通省の協議により設定される空域でございます。

 他方、この空域は、自衛隊が排他的に使用することを認められたものではございませんで、したがいまして、自衛隊は、米軍機による空域の使用を認めたり拒んだりする立場にはないということを御理解いただければというふうに思います。

塩川委員 実際には、自衛隊が、いわばAIPに基づいて事前調整をするのとあわせて、その空域について、訓練をやる場合については、事前に民間機に連絡をする、そういう格好で、いわば自衛隊が米軍の訓練を行うための下準備を行っているという状況にもなっているわけで、こういう空域設定が重なっていることが米軍の排他的な訓練空域を確保することにつながっている。

 そのことは、資料の四枚目を見ていただきたいんですが、これは航空自衛隊の飛行計画要覧に挙げられている訓練・試験空域名称の米軍使用略称比較表です。これで見ていただいてわかるように、右側が自衛隊の訓練・試験空域の名称ですけれども、左側が対応して米軍の略称になっています。

 ここにあるように、全ての自衛隊の訓練・試験空域に対応して米軍の使用略称がつけられている。これはどういうことなんでしょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の飛行計画要覧でございますが、これは飛行計画を作成する際などに必要な参考情報が収録されているものでございます。この飛行計画要覧には、先生の資料にもございますとおり、自衛隊の訓練・試験空域の名称と、それに対して米軍が独自に付与している略称の比較表が掲載されているというところでございます。

 米軍がどのような意図によりまして自衛隊のこういった空域に略称を付与しているかということについては、必ずしもつまびらかにしていないところでありますけれども、他方、その空域を米軍が使用するということにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、問題があるとは考えておりませんで、米軍が略称を付与するといったことにつきましても、特に問題はないものというふうに認識しております。

塩川委員 その自衛隊訓練空域を米軍が使うことによって、多大な被害というのがその地域の住民に与えられているから問題を取り上げているわけで、要するに、ここに示されているというのは、結局、自衛隊の訓練空域といっても、実態は米軍の訓練空域になっているんじゃないのか、こういうことが問われているわけであります。

 それは、先ほど言ったように、エリアQとエリア7、三百六十五日のうち二百六十一日間が米軍が使える、こういう設定になっているところに明らかであるわけで、日本全国が米軍機の訓練場となっている。こういった戦後続く米軍特権をきっぱりとなくすべきだ、訓練飛行の中止を強く求めて、質問を終わります。

二階委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 甘利大臣、訪米してのフロマン通商代表との事前協議、大変お疲れさまでございました。先ほど別の委員から大体の質問があったので、同じような質問ですが、若干ニュアンスを変えてお伺いしたいと思います。

 これは、衆参の農林水産委員会の決議を踏まえて交渉するということは大前提だということの中で、アメリカと日本は越えがたい溝がある、だからこそ、その溝を埋める努力をするために行かれたということであると思います。結局、これは、米国と日本の埋められない溝、米国は、具体的にというか、具体的じゃなくてもいいんですが、何を求めて、どこに溝があるのか。

 そして、これは新聞報道で、何を切るということは私は申し上げませんが、カードを切らなきゃいけないときもあるというか、そういうことはおっしゃって、先ほどの答弁でも、当然ですけれども、交渉である以上、お互いが歩み寄るカードを切らなければいけないと。結局、米国が何を求めるかによって、そのカードの切り方も違うんですが、何を求めてきているのか。そして、それに対してどういう分野のカードを切ろうとしているのか、そこは具体的に答えろとは言いませんが、定性的なところで結構ですが、ちょっとお答えを願いたいと思います。

甘利国務大臣 日本はTPPに参加をするときに、日米で首脳会談を行いました。というのは、TPPは既参加国全ての了解をもらわないと入会ができないという仕組みになっております。やはり最大案件は、TPP参加国のGDPの半分以上を持っているアメリカとの話ということになります。

 その際に、TPPというものが、最初から聖域というものを認めない、聖域を全くなしにすることを前提とする枠組みであれば、日本は入れないわけであります。そこを首脳会談で確認したわけであります。そこでは、最初から聖域をなくして全て関税を撤廃することを前提とした交渉ではありません、それぞれ国ごとにセンシティビティーは持っているんです、しかし、それは交渉の中で獲得していくものですということを確認して、日本は参加したわけであります。

 でありますから、日本側、その交渉の責任者の私としては、この交渉は聖域を獲得するためにやっているんだ、だから、当然日本としては、いろいろな制約がある中で、それを達成するための交渉を続けているということを主張するわけであります。アメリカ側の方は、それはそうだけれども、極めて高いレベルの協定にするんだから、そこの聖域部分はできるだけなくしていく努力をするということも本旨なんだという、そこでぶつかり合っているわけであります。

 日米首脳会談のときに、日本には農産品の一部、アメリカは工業製品の一部、それぞれセンシティビティーを持っているということが確認されているわけでありますから、その両者が主張しますし、こちら側は、工業製品の開放というのは、日本がTPP参加国では少なくとも一番進んでいるわけでありますから、我々と同等にしてもらうことを要求しますし、先方は先方で、それ以外の農産品の部分で自分たちがしている努力並みにしてくれ、そういうせめぎ合いをやっているというところであります。

畑委員 今のお話をお伺いしますと、アメリカと日本、特に日本は農産物の一部ということで、その中で米というものはしっかり守るというか、そこのあれがあって、それ以外の農産物でどうかというニュアンスにも聞こえたわけですが、実は新聞にも、これは今の段階では否定も肯定もされないんでしょうが、「牛・豚肉 関税下げ視野」と書いておりまして、結局どこかでカードを切るとなれば、まあどこかで切るわけですね、この五品目なり、五百八十六品目の。

 これは今後の交渉なわけでしょうが、重要五品目は五百八十六で、牛、豚というのは入っていましたので、ここはどういう形態で妥協するかどうかという部分もありますが、これはしっかり日本の国民は、ここは守るんだというつもりで、ここまでずっと見てきたと思いますので、シンガポールの交渉、大変、本当に御苦労さまでございますが、しっかり、まさにこの微妙な農業五分野も含めた聖域を守るように頑張っていただきたいと思います。

 それで、委員長にお願いですが、甘利大臣が帰ってこられた後、まさにこの分野、集中審議が必要だと思いますので、本委員会でよろしくお取り計らい願います。

二階委員長 後刻、理事会で協議します。

畑委員 それでは、次のテーマに入らせていただきます。

 次は、経済問題について若干議論させていただきたいと思います。

 GDPの実質成長率というのは、きのう速報値が発表されました。十月から十二月、これは一・〇%の伸びだと。一月から三月期は四・八で、四月から六月期が三・九、七から九月期は一・一ということで、これを下回っていると思いますが、一方、底がたいという評価もあると思います。いずれにしても、伸びてはきていますが、伸び率は下がってきているということは事実だろうと思います。

 このような中で、実は、ことし四月、消費税増税を行おうとしている。

 景気が悪くなった中で消費税増税を行うというのは、これはかなり問題がありますが、そういう場合にしっかりと財政出動、景気対策をしなければいけないということもあって補正予算もつくられたわけですが、この十五カ月の、補正と来年度当初予算を合体したもので見てみると、またおもしろいデータが見えてまいりました。

 公共事業がふえた、ふえたとマスコミにはたたかれますけれども、十五カ月予算を見てみると、実は公共事業費は約一兆三千億円減っているんですね。まあ、去年積み過ぎたという議論もありますけれども。

 これは、公需、公の需要で支えなければいけないとした場合、公需を支える分野というのは二大分野だと私は思いますが、まず公共事業、これは減っている。もう一つは、社会保障ですね。これも、来年度予算だとふえているんですが、十五カ月で見ると、やはり社会保障費でさえも約一兆四千億減っている。したがって、私は、これで来年度の経済が立ち行くのかなという心配もしております。

 こういう議論をした場合に、政府の経済見通しは、そういうことで、公需、公の需要を来年の経済見通しでは低く見ている、〇・二でしたかね。だから、そういうことなんだろうと思います。

 民需が高まってくる、そうなるのが一番いいんです、当然のことですが。現実にそうなるかどうかという不安も、ちょっと、きのうの発表を見て、私は一抹の危惧を持ったところであります。

 結局、実質民間設備投資の成長率とか実質輸出の伸びが高くなるということなんだろうと思います、来年度の経済見通しは。

 そこのところをちょっとお伺いしたいんですが、来年度の民間設備投資、輸出について、どのような根拠で、どの程度の数値を見積もっているのか。経済見通しについてお答え願いたいと思います。

甘利国務大臣 設備投資ですか。(畑委員「経済見通し、政府見通し」と呼ぶ)政府見通しですか。

 政府見通しは、民間との最大の違いは消費部分だと思います。民間の平均値、ESPフォーキャストでは、輸出であるとかあるいは設備投資というのはそんなに大きく違わない、消費が違ってくるんですね。消費はGDPの六割を占めておりますから、この違いが民間と政府見通しの大きな違いになってきていると思います。

 そこで、では、この数字の違い……(畑委員「政府見通しの根拠でいいです。別に民間との比較は要りません。そもそもの説明で結構です」と呼ぶ)はい。

 根拠は、政策効果で、まず消費はマイナスには陥らないだろう。そのバックグラウンドというのは、給与総額自身はふえていっておりますから、それをしっかり、落ち込みを支えるだけの環境整備ができてくるだろう。それから、設備投資については、各種施策の政策効果がきいてくるということ。それから、輸出については、なかなか輸入輸出のJカーブ効果というのがあらわれてきておりませんけれども、少しずつ改善をしていくであろうということ等々を根拠に来年度の数字をはじいているところであります。

畑委員 実はそこなんですが、実質民間企業設備投資なんですけれども、これも、一三年一月から三月期までは、三期連続で伸び率が減少を続けて、そして、その後はプラスに転じて、四月から六月期は一・一、七月から九月期は〇・二%、十月から十二月期の直近は一・三%と、低い数値ながら安定している。これがどう伸びていくかということなんだろうと思うんです。

 実は、私が危惧する理由は、その内訳を見ると、実はかなりの大きな部分というか、民間住宅の伸びがめちゃくちゃ大きい。この発表になった資料を見ると、民間住宅、一月から三月期が一・七、四月から六月期は〇・九、その後、七月から九月期が三・三、直近の十月から十二月期が四・二と、どんどんどんどん伸びていったということになります。

 これは、当然、住宅がこんなに伸びた理由は、恐らく消費税増税の駆け込み需要なんだろうと思います。そういう中で、来年度、この住宅の伸びががくんと減るわけで、これは政府のデータでもそうなっております、マイナスになっていますね。そういうことは当然だと思いますが、その場合に、住宅以外の民需が、製造業を中心とした民需が伸びていくかどうかということが課題であると思いますが、実は、それが伸びるかというのを、政策効果が上がって伸びることを期待して、祈りたいんですが、ちょっとそこは、私も性格が楽観的じゃないのかもしれませんが、ちょっと危惧しています。

 なぜかというと、機械等への投資の、民間設備投資のデータがあるんですが、これが先行すると言われていますが、これを見ると、製造部門というのは実は伸び率が減っているんですね。四月から六月期は五・六、七月から九月期は九・八、ここまでは順調だった。その後、直近の十月から十二月期は実は〇・六になっちゃっています。一方、非製造業の方が、十から十二月期が四・六と、どんと大きい。だから非製造業が支えている。この非製造業に当然、不動産業とか建設業が入ってくるわけです。

 となると、来年の政府経済見通し、民需のものは実質四・四%の増、これが実際あり得るのかなというふうな危惧を私はちょっと持つんですが、その点、いかがお考えでしょうか。

甘利国務大臣 確かに、御指摘のとおり、住宅はマイナスの三・二%です。これは、民間もそれより若干大きいマイナスについております。ただし、設備投資については、確かに政府見通しは四・四ですけれども、民間平均も三・九%であります。ですから、民間の予測とそう大幅に離れているわけではないということであります。

 民間と政府見通しが離れているのは、先ほど申し上げましたけれども、消費です。その消費も、政府見通しは〇・四で、民間見通しはマイナス〇・六。零コンマというと小さいようですけれども、申し上げましたように、GDPの六割を占めるから、この差が大きく出てくるというところであります。

 民間設備投資につきましては、その設備投資をするための投資減税はかなり大幅に組んでありますし、それから、三月上旬には国家戦略特区の指定もいたします。そうしますと、投資環境、投資意欲もかなり出てくるのではないかというふうに予測しているところであります。

畑委員 民間の消費需要が伸びることは確かに期待するところなんですが、もう一つ、別の方の論点でちょっと危惧するのが輸出なんですよね。

 これは、新聞も、輸出がどうなるかという部分も心配だと言っていまして、政府見通しも、世界経済が穏やかに、緩やかに回復していくことが前提で、輸出が来年度伸びるという前提で考えられておりますが、やはりそこが、二月三日でしたか、株がどんと下がったときに、官房長官が記者会見で、この急落の原因については、米国経済の不透明感や新興国経済への懸念が背景との認識を示しておられました。

 結局、アメリカの経済の先行きが不安だということと、中国の場合は、高度成長が若干陰りを示して、構造的な要因で中国の輸出の伸びが厳しいんじゃないかと言われる中で、新興国市場も厳しいとなると、輸出が増加に転じるかどうかというのは、国際情勢がちょっと変わってきたというか、厳しいんじゃないかなという思いもあるんですが、輸出は順調に政府見通しのとおり伸びるんでしょうか。

甘利国務大臣 十―十二月のGDPの一次QEでは、輸出は伸びているんですね、一番直近の、きのうですか、発表された数字では。輸出は、二四半期ぶりのプラスになっております。ただ、輸入が大きく伸びているものでありますから、外需ではGDPにマイナス要因になっているわけであります。

 輸入が伸びているというのは、内需が堅調でないと輸入というのは伸びないわけであります。ということは、国内経済はかなり回復の兆しになってきて、外の需要を引き込むだけの力になっているというふうに思っているわけでございます。

 設備投資については、三四半期連続のプラスで、伸び率も高まっているところでありますから、来年度の政府見通しはそう誇張したものではないというふうに思っております。

畑委員 輸出が伸びているとおっしゃいましたが、確かに前期比〇・四%増で、ただ、その前の七月から九月期は〇・七%マイナスだったわけで、これを取り戻せているかというと、エコノミストが言うには、取り戻せていないという説もあるし、本来円安で伸びるはずだった等もありますが、二・九%増だった昨年四月から六月期と比べても伸びが鈍っているということで、結局、このGDPのデータも何でもそうですが、伸びてはいるんですが、伸び率がとんとんとんと下がってきているというところにちょっと危惧を感じるところがありまして、これは、まさに政府の見通しのとおり、しっかりとした経済政策で内需が拡大して、しっかり予定どおりいくことをぜひとも期待したいと思います。

 実は、こう議論しているのは、そうなればいいんですが、若干、公需に頼る割合が、これは少ないにこしたことはないんですが、減らしているかなという思いを、ちょっと危惧を拭えないものですから。私は、支出項目というか、これは精査はもちろん必要ですけれども、このような民需への移行について若干疑義がある中で、一兆以上のいろいろな公的分野の支出を減らしたということで、公需依存度を減らすのはこの段階でどうかなという思いを持っております。

 引き続き、論点を変えまして、公共投資、公共事業のあり方というのをちょっと議論させていただきたいと思うんです。

 結局、公共事業費は毎年大きな変動がある。まあ数年減らしてきたのは、これはこれでありますけれども、一回、前回の補正でどんと積んだ、前々回ですね、今度の補正でまたちょっと落としている。トータルで結局落ちていますが、一兆ぐらいのでこぼこがやはりあるんですね、危惧したとおり。私は、公共投資というのは、投資の平準化という意味から、毎年一定額で持続的に推移することが望ましいという考えを持っております。

 なぜそう言うかというと、最近、公共事業の消化率が下がってきたとか繰り越しが多いというのはかなり本委員会でも議論になって批判されたところですが、なぜそうなるかというと、やはり体制が追いつかないんですよね。公共事業を今の体制の中で積んだ場合に、業者はうれしいでしょうけれども、うれしいけれどもかえって大変だというんですよね、消化し切れなくて。しかも、積んだ分がこのままいくとは限らない。いくわけないですよね、民需に移行すれば公共事業費を減らすのは当たり前ですから。その場合、こういう体制と人員を、では今抱えて充実させるかというと、不安なわけです、その分が要らなくなるわけですから。だから、国土政策、こういうものは平準化してやっていくべきだという議論をよく聞くわけです。

 国土強靱化法の、二階委員長が中心になってまとめられましたが、この議論のときに、私どもは、私は賛成させていただきましたが、修文意見をちょっと申し上げまして、修文していただきました。それは、持続的観点から一定の水準で推移していくべきだという考えのもとで、公共投資の持続性ということを入れてもらいました。

 そういう前提のもとで修正していただいて、共同提案者にも私自身なったところなんですけれども、やはりこの分野は、安定的に事業を行うような環境をつくっていくことが非常に重要だと思います。

 結局、ではどうやってそれをやっていくかというのは、中長期の計画の指標がないなという問題意識を私は持っていまして、かつては、経済計画という投資水準の大枠を示すような計画がありました。公共投資基本計画があった時代もある。あるいは各種五計とか社会資本整備関係の計画があって、そこにはあらあらの五年間の総投資額というのがあったわけですよね。

 これがなくなった中で、結局、その場その場で投資の額を変えているというふうに世間には見られております。そう見られないように持続的にやっていくという見通しが、私は今、必要な時期になってきたんじゃないかなと思います。公共投資がうさん臭いというか悪いんじゃなくて、公共投資、公共事業のやり方が問題なんだろうと思います。

 そこは昔の経済企画庁的な、経済計画的なものでもいいし、投資水準の大枠を示すような中長期の計画が必要だという考えは、絶対私は必要だと思いますが、そういう考えを持っておりますが、いかがでしょうか。

太田国務大臣 全く私もそういうふうに思っています。

 いわゆる公共事業というものが安定的に持続的に平準化されて、そしてその向かう先は、切迫する首都直下地震あるいは南海トラフの地震対策ということであったり、あるいはまた老朽化ということについても、かなり計画的に持続的にやっていかなくてはいけないというふうに思っています。

 ただ、今まで、公共事業は悪玉であるというようなことがよく言われて、そして、その中で五計ということも、簡単に予算を積むということの道具にされるというようなことで、これがなくなったということです。

 私は、今御理解をいただいたお話だったと思いますので、ぜひとも、持続的なことが大事だという上に、この三月に国の、国土のグランドデザインというものを策定しようというふうに思っています。老朽化対策をどういうふうに進めていくのか、まちづくりをどういうふうに進めていくのか、あるいは防災、減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化、こういうものにどういうふうに迫っていくのかということを明確に示していくという作業の中で、真に必要な予算を安定的に確保していくという流れをつくっていくということが大事だと思います。

 現在は、金額ではなくて、いわゆる社会資本整備重点計画で何年までに何%という、これ自体は目標としていいと思いますが、もう一歩、これから何に必要かというような理念というものを明確にしながら、毎年毎年持続的な予算組みができるようにということを努めていきたいと思っているところです。

畑委員 昨年四月十日の予算委員会だったと思いますが、太田大臣とはこの件について質問させていただいて議論したところでありまして、まさに太田大臣、そのときも、さまざまな観点というものを含めて、どれだけ一年間でかかるというのが平準化されるかということが大事なことだと思っておりまして、そういうデータの蓄積、整理をしたいと思いますということをおっしゃっていただきました。

 そこで、いろいろ整理をされたと思うんですが、維持修繕費ということで、恐らく国交省は、事務方から聞いたら、データの整理をしているという部分があったんですが、大体十年後、二十年後、どれぐらいかかるというふうな整理をされましたでしょうか。

太田国務大臣 昨年の十二月に、社会資本整備についての審議会より答申をいただいたところです。答申では、この審議会で検討された推計手法を用いまして、国、地方公共団体等が管理する国土交通省所管施設の維持管理・更新費が示されました。

 具体的には、平成二十五年度に約三・六兆円の維持管理・更新費が、十年後には約四・三から五・一兆円の維持管理・更新費が、二十年後ですと、これが四・六から五・五兆円程度になるというふうに推計をされています。

 私は、ここは、財政制約というのがありますから、そこを踏まえながらも、長寿命化を早いうちから図っていくということや、技術というものの革新の中で、山を低くして長くもっていくという戦略で、これに対して迫りたいというふうに思っているところです。

畑委員 ありがとうございました。十年、二十年後には大体五兆弱かかってくると。

 今、大体、当初予算で五・何兆積んで、補正で一兆から二兆、三兆近く積むということですが、恐らくこの分野は、当初予算と補正予算で合体すると見通しが立たないので、必要であればできるだけ当初予算で、五兆なのか六兆なのか七兆なのかわかりませんが、しっかりと積むようなことが、私は、これはかちっとした基盤をベースにしている、対象にしている分野なので、必要なんだろうと思います。

 そういう中で、先ほど大臣は、こういう数字を示していただいて、しかも、しっかりと長寿命化も含めてやるというのを前提にしながら、しっかりとした財政といったか、財政制約のもとでお金も必要だということをおっしゃいましたが、これをどうやって、どのような手法、計画論で確保していこうとお思いなのか。

 そこに、私が先ほど来申し上げている中長期の計画論というのがかかわってくるんですが、そこを、その投資水準も含めた中長期の計画論の必要性というか、こういうことで確保していくのがいいのだと。単年ごとの要求だと、やはりそこは説得力がない部分があると思いますので、その計画論という部分の必要性を大臣にお答え願いたいと思います。

太田国務大臣 今は、先ほど申し上げましたように、何年までに何%という、それぞれ学校の耐震化なら学校の耐震化をどうするというような、そういう目標にはなっています。

 私、先ほど申し上げましたが、この防災、減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化というような、こういう部門が永続的に必要であるというような御理解を国民の間にいただかなくてはならないというふうに思っているところと、あわせてまた、国において、特に首都直下地震や南海トラフに対する危機意識というものを持っていただかなくちゃならぬというふうに思っておりますが、あわせて、人口減少社会の中の国土づくりということについてのグランドデザインというのを提起する。

 そういうような全体図を大きく見せて、だからこれが持続的に必要なんだと、まず国民に御理解をいただくような理念や方向性を示すということは、私の今考えている課題の大きなものでございます。

畑委員 ぜひともそういう理解を得た上で、やはり理解を得てこういうことをしなきゃいけないということになると、おのずからこれぐらい必要だというのが出てくるはずですから、そういうことの理解を得るような努力もお願いしたいと思いますし、計画論としてもしっかりやるということを今後検討いただきたいと思います。

 内閣府のいろいろな組織の議論が本委員会でも話題になっておりますが、かつて、内閣府というか総理府でよかったのは、経済企画庁というのがありまして、経済企画庁、官庁エコノミストがいたんですよね。官庁の立場でしっかりとこういう中長期の計画を、いろいろなものを、乗数効果も含めて検討してやってこられたというのは、私は、今になってみればよかったなと思っております。これがなくなって、内閣府の経済財政諮問会議事務局みたいになって、何となくそこの官庁のエコノミストの能力が劣化したなと思って、そして、経済財政政策をまさに中長期でしっかり見ていくということがなくなったような気がしております。

 財務省は、それはいいんです。財務省は、基本的には収支と、そして予算を組むところですから、中長期ということではなくて単年度の、あるいは中長期でもいいんですが、収支均衡がどうしても頭に出てきます。収支均衡は必要なんですが、それを言い過ぎると、経済が縮小均衡になって、逆に税収が減ることもある。

 私は、何も財政支出をばんばんふやせと言っているわけじゃないんですが、財政支出をふやして税収を上げるということも含めて、それで足りない場合には増税もあり得る、そのバランスをとるような考え方をする部局が必要だと思って、そこに問題意識を持って、中長期の計画論ということも申し上げた次第であります。

 時間はまだありますね。では、最後に一問、質問させていただきます。何分までか、ちょっと見落としちゃいましたので、済みません。

 経産大臣に来ていただきましたので、もう時間がありませんが、端的にお伺いしたいと思います。

 私、復興特別法人税を廃止した場合に、その廃止が直接的にどうやって賃上げにリンクするか、その検証というのはどうやってできるのかというのを不思議に思っております。

 というのは、リンクした税制じゃない限りは、これは麻生大臣もおっしゃっていましたが、法人税を下げたからといって、それが直接賃上げを指示できないし、リンクというのは難しいわけですよ。全体の経済が上がる中で結果的に賃上げというのはあるんだと思いますが、であれば、そこの部分の、復興特別法人税の廃止と直接リンクはあるかどうか、その効果によって賃上げがどうなされたかという検証というのは、どうやって行うんでしょうか。

茂木国務大臣 直接のリンクはありませんが、企業が賃上げをできるような環境整備にも努めておりますし、我々としても、政府を挙げてそういった要請は企業にも行っております。

 同時に、結果につきましては、企業業績がどうなったか、また賃上げがどうなったか、適正な形で公表することを検討いたしております。

畑委員 時間が参りましたので、最後に、農水大臣に来ていただいたのに、質問しないで済みません。そのことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

二階委員長 これにて畑君の質疑は終了いたしました。

 この際、各大臣は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

二階委員長 この際、公聴会の件についてお諮りいたします。

 平成二十六年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じます。

 公聴会は来る二月二十五日とし、公述人の選定等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

二階委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次回は、明十九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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