衆議院

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第11号 平成26年2月19日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十六年二月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 二階 俊博君

   理事 上杉 光弘君 理事 金田 勝年君

   理事 塩崎 恭久君 理事 萩生田光一君

   理事 林  幹雄君 理事 森山  裕君

   理事 長妻  昭君 理事 山田  宏君

   理事 石田 祝稔君

      あかま二郎君    穴見 陽一君

      今枝宗一郎君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    うえの賢一郎君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      越智 隆雄君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    勝俣 孝明君

      門  博文君    金子 一義君

      金子 恵美君    神田 憲次君

      菅家 一郎君    木内  均君

      工藤 彰三君    熊田 裕通君

      小池百合子君    小林 史明君

      小松  裕君    國場幸之助君

      佐田玄一郎君    斎藤 洋明君

      白石  徹君    白須賀貴樹君

      末吉 光徳君    菅原 一秀君

      関  芳弘君    薗浦健太郎君

      高橋ひなこ君    中山 泰秀君

      西川 公也君    野田  毅君

      原田 義昭君    船田  元君

      船橋 利実君    星野 剛士君

      宮崎 謙介君    宮路 和明君

      保岡 興治君    山本 幸三君

      山本 有二君    泉  健太君

      小川 淳也君    大串 博志君

      岡田 克也君    篠原  孝君

      玉木雄一郎君    古川 元久君

      柚木 道義君    石関 貴史君

      遠藤  敬君    坂本祐之輔君

      重徳 和彦君    杉田 水脈君

      鈴木  望君    中山 成彬君

      西野 弘一君    三木 圭恵君

      岡本 三成君    國重  徹君

      中野 洋昌君    浜地 雅一君

      佐藤 正夫君    山内 康一君

      柿沢 未途君    小池 政就君

      穀田 恵二君    宮本 岳志君

      玉城デニー君    畑  浩治君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)

   (道州制担当)      新藤 義孝君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣

   国務大臣

   (東京オリンピック・パラリンピック担当)     下村 博文君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣         石原 伸晃君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       古屋 圭司君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    森 まさこ君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (行政改革担当)     稲田 朋美君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   総務副大臣

   兼内閣府副大臣      関口 昌一君

   財務副大臣        古川 禎久君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 和之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  谷脇 康彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 持永 秀毅君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  辻  義之君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          前川 喜平君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           古都 賢一君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部長)       安藤よし子君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            宮川  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 武藤  浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         森  昌文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局水資源部長)    越智 繁雄君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 稲葉 一雄君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 平岡 英治君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     白須賀貴樹君

  秋元  司君     小倉 將信君

  伊藤 達也君     穴見 陽一君

  今村 雅弘君     宮崎 謙介君

  岩屋  毅君     船橋 利実君

  うえの賢一郎君    菅家 一郎君

  大島 理森君     熊田 裕通君

  関  芳弘君     大岡 敏孝君

  中山 泰秀君     今枝宗一郎君

  西川 公也君     門  博文君

  船田  元君     大串 正樹君

  大串 博志君     小川 淳也君

  岡田 克也君     泉  健太君

  玉木雄一郎君     柚木 道義君

  坂本祐之輔君     鈴木  望君

  重徳 和彦君     石関 貴史君

  中山 成彬君     三木 圭恵君

  西野 弘一君     遠藤  敬君

  中野 洋昌君     岡本 三成君

  佐藤 正夫君     山内 康一君

  柿沢 未途君     小池 政就君

  宮本 岳志君     穀田 恵二君

  畑  浩治君     玉城デニー君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     星野 剛士君

  今枝宗一郎君     勝俣 孝明君

  小倉 將信君     金子 恵美君

  大岡 敏孝君     関  芳弘君

  大串 正樹君     神田 憲次君

  門  博文君     木内  均君

  菅家 一郎君     小松  裕君

  熊田 裕通君     高橋ひなこ君

  白須賀貴樹君     あかま二郎君

  船橋 利実君     岩屋  毅君

  宮崎 謙介君     今村 雅弘君

  泉  健太君     岡田 克也君

  小川 淳也君     大串 博志君

  柚木 道義君     玉木雄一郎君

  石関 貴史君     重徳 和彦君

  遠藤  敬君     西野 弘一君

  鈴木  望君     坂本祐之輔君

  三木 圭恵君     中山 成彬君

  岡本 三成君     國重  徹君

  山内 康一君     佐藤 正夫君

  小池 政就君     柿沢 未途君

  穀田 恵二君     宮本 岳志君

  玉城デニー君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     斎藤 洋明君

  金子 恵美君     小林 史明君

  神田 憲次君     船田  元君

  木内  均君     國場幸之助君

  小松  裕君     工藤 彰三君

  高橋ひなこ君     大島 理森君

  星野 剛士君     伊藤 達也君

  國重  徹君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     うえの賢一郎君

  小林 史明君     白石  徹君

  國場幸之助君     末吉 光徳君

  斎藤 洋明君     中山 泰秀君

同日

 辞任         補欠選任

  白石  徹君     秋元  司君

  末吉 光徳君     西川 公也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十六年度一般会計予算

 平成二十六年度特別会計予算

 平成二十六年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

二階委員長 これより会議を開きます。

 平成二十六年度一般会計予算、平成二十六年度特別会計予算、平成二十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山崎和之君、内閣官房内閣参事官吉川徹志君、内閣官房内閣審議官谷脇康彦君、内閣府大臣官房審議官持永秀毅君、警察庁生活安全局長辻義之君、文部科学省初等中等教育局長前川喜平君、文部科学省スポーツ・青少年局長久保公人君、厚生労働省大臣官房審議官古都賢一君、厚生労働省労働基準局労災補償部長安藤よし子君、経済産業省製造産業局長宮川正君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、国土交通省大臣官房長武藤浩君、国土交通省大臣官房技術審議官森昌文君、国土交通省水管理・国土保全局水資源部長越智繁雄君、国土交通省国際統括官稲葉一雄君、環境省大臣官房審議官平岡英治君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君、防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

二階委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関芳弘君。

関委員 おはようございます。自由民主党の関芳弘でございます。

 本日の質問のトップバッターを務めさせていただきます。

 まず初めに、このたびの豪雪災害に遭われた多くの方々の地域の一刻も早い復旧を、私も心に強く誓いたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 国家戦略特区についてでございます。この国家戦略特区につきましては、私は、これからの日本の夢をかけたいと思っております。そして、この国家戦略特区、先般法案が通りましたが、特に五つの分野について述べられております。一つは都市再生のまちづくり分野、一つは教育分野、一つは雇用分野、一つは医療分野、そして一つは農業分野でございます。

 このそれぞれの分野に関しまして、今、特区のエリアの選定が進められていることと思います。それに際しまして、この項目、全ての項目を一挙に同時に進めていくということは、規制の緩和を図る上で大事なことではございますが、なかなか重たい作業であるとも思います。その選ばれた地域も荷が重たいのではないかと思います。

 私は、この国家戦略特区を大きく将来育てて、日本の大黒柱として、世界に冠たる国家戦略特区にしていきたいと思いますので、その際には、柔軟な進め方を、そして柔軟な取り組みのスタートを切っていただきたいと思うわけでございますが、この対象エリアの選定につきましては、この項目全てがまず一番初めから網羅されていなければそのエリアが選ばれないのかどうなのか、そういうふうな選定についての政府の考え方を関口内閣府副大臣にお伺いしたいと思います。

関口副大臣 限られた十五分でありますので、短く答弁させていただきます。

 国家戦略特区につきましては、これまで、一月に二度、国家戦略特区の諮問会議で御審議をいただきました。三月に具体的な地域と地域ごとの方針を示すことを目指して、今検討しているところでございます。

 具体的な地域の指定については、国、地方、民間が一体となって取り組む、さらに、日本経済にインパクトのあるプロジェクトについて検討して、その実施にふさわしい区域を選定することにしております。

 御質問がございました、必ずしも、国家戦略特区に盛り込まれた全ての規制の特例措置を、申請をした一つの地域で活用しなければ特区の対象にならないということにはならないと考えております。

関委員 ありがとうございます。

 このような規制緩和というのは、今後の、将来の日本を大きく、また世界に冠たる日本に戻していくようにするために大事な施策でございますので、まずは、スタートはソフトランディングから始まるにしましても、十二分な柔軟性を保ちつつ、将来にはどんどんと、安倍総理がおっしゃいますように、世界で一番ビジネスのしやすい、そして、世界の人たちがどこでビジネスをやりたいかと問われれば、まずこの日本のこの地域だと言われるような、そのような有名な地域に時間をかけて育ててまいりたいと私は思う次第でございます。どうぞ、政府の方々、よろしくお願い申し上げます。

 そして、私が今一番、この日本の政治の中で最も大きな問題、課題と考えていることは、世界の競争が非常に激しくなっており、この日本の状況が、世界の中での地位がどんどんと今低下していっていることだと思っております。

 IMDが発表しました国際競争力におきましても、二十年前は世界の第一位がこの日本でありました。今や二十六位や七位の地位にまで低下してきております。これは、世界の競争が本当に激しくなった、そのあらわれだと思うんです。また、情報の共有化も図られ、世界のライバル国は刻一刻と新しい技術開発に努めておる次第でございます。

 このような中、我々は、この二十年間で日本の富が世界に散ってしまう、そのような状況に陥ってしまっているこの日本を、もう一回、世界の富が日本に黙っていても集まってくる、そのような技術立国を、そして日本の地位を挽回することが私の政治家としての夢であり、また目標であり、志であります。

 その際に、私は先般、非常にうれしい情報を耳にしました。それは医療の分野でございます。再生医療でございます。

 皆様の耳にもしっかりと残っておると思います、ノーベル賞の山中教授のiPS細胞、これを応用した網膜の研究が、今、高橋政代教授によって進められております。さらには、先般は世界じゅうを驚かせました小保方さんの研究、このような我々日本が誇る医療の最先端の技術、これをもって国家戦略特区の柱にしても、非常にいい内容になっていく、育っていくと私は思います。

 医療というのは、これから日本が世界と競争する中におきまして最大のコンピタンスになると思います。私は、この分野を、文部科学省が所管されます技術の分野、また経済産業省が所管されますビジネスの分野、さらには、中心であります厚生労働省が所管されます医療の中心の分野としましても大きなチャンスと考えておりますので、それぞれの、文部科学大臣、経済産業大臣、厚生労働大臣から、医療の分野を生かして日本の再起を図るべく、その志というか目標、そして取り組みにつきまして、熱く語っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

下村国務大臣 これは国家戦略特区にするまでもなく進めることでありますし、関委員の地元の兵庫県、理化学研究所、それから京都大学iPS細胞研究所を中心として、研究機関のネットワークをしっかり構築しながら、iPS細胞等を用いた革新的な再生医療の実現に向けた研究を推進してまいります。

 これまで、加齢黄斑変性に対するiPS細胞を用いた世界初の臨床研究が昨年八月に開始され、ことしの夏ごろには患者さんへの細胞移植が実施予定であるなどの成果を既に上げておりまして、引き続き、より多くの患者に対する、疾患に対する再生医療の実現に向けた研究を推進することとしております。

 また、STAP細胞については、今後の研究の展開によっては、将来、革新的な再生医療の実現につながり得るものと期待しておりまして、研究現場のニーズに合致した効果的な支援を行うことが重要であると認識しております。

 今後とも、関係省庁と十分に連携しながら、これはまさに国家戦略特区というよりは国家戦略として、再生医療、しっかりと研究を進めてまいります。

関委員 ありがとうございます。

 では、続きまして、経済産業大臣からよろしくお願いいたします。

茂木国務大臣 我が国の再生医療、iPSの細胞等の研究を初め、世界でトップレベルでありますが、この実用化、事業化を進めるに当たりましては、技術的、また制度的な課題も大きい。国を挙げてこの問題に戦略的に取り組んでいきたい。

 培養などの細胞加工に関します法改正につきましては、この後、厚生労働大臣の方から答弁もあると思いますので、私の方からは割愛をしたいと思っておりますが、再生医療の実用化、産業化を促進するためには、我が国企業が持つ高度かつ洗練された物づくり力、こういったものを生かすことが必要であります。

 経済産業省としては、安全性等の技術基準の策定や効率的な量産化技術開発支援など、実用化、産業化の取り組みを支援してまいりたいと考えております。

 具体的に申し上げますと、再生医療の事業化に向けて、無菌性等を担保した培養条件の確立など、薬事法におけます承認審査に必要となる評価手法を確立する。それからもう一つ、より高品質なiPS細胞を大量に培養するための装置等の開発が必要であると考えております。

 今年度、経済産業省におきましては、例えば、関委員からもお話のありました高橋政代教授の研究成果であります世界初のiPS細胞を用いた網膜疾病の治療法について、細胞培養工程における安全性評価手法の開発を支援することとしております。また、京都大学と連携をして、iPS細胞の培養装置の開発も実施をしているところであります。

 政府一丸となりまして、再生医療の事業化、産業化、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

田村国務大臣 再生医療についての御質問でございますが、今、自家培養表皮、これはジェイスといいます。それから、自家培養軟骨、ジャックといいますけれども、この二つが日本では承認を得ておるわけでありますが、今ほど来お話が出ました山中教授のiPS細胞、理研の方から、高橋先生、加齢黄斑変性という網膜の加齢に伴う病気でありますけれども、これに対しての申請が出てまいりまして、去年の八月ですか、私の方が認可をして、これに対しての臨床研究が始まったわけであります。

 そういう意味では、iPSを使った再生医療は日本の強みでございますから、しっかりとこの再生医療に対して我々は力を入れていかなきゃならぬわけでありまして、昨年、新法と法律改正をいたしました。

 議員立法でも再生医療の新法ができたわけでありますけれども、閣法として出しましたのは、薬事法の改正。これは、再生医療はその特性がございますので、品質がそれぞれ個人によって違うということがございますから、薬事承認に対してなかなか難しいところがございますので、この特性を生かして、条件つき、期限つきで、安全性が確認されて、その上で、その効果というもの、それが一定程度推定できれば、これは期限つき、条件つきで承認しよう、その後、使用した後に一定の検証をしていこう、こういうような形にさせていただきました。

 それから、再生医療安全確保法という法律で、一つは、新しくつくる再生医療の加工製品、これに対して、今までは医療機関でしかつくれなかったんですが、外部に許可制でこれを出してつくれるようにするということ。それからもう一つは、再生医療等委員会、認定の委員会をつくりまして、その中において安全性等々も確認していくというようなことを法律の中でしっかりと担保したわけであります。

 いずれにいたしましても、再生医療というと、製品だけじゃなくて、それによって、例えば病理細胞をつくってみて、創薬に対していろいろとこれを役立たせていく、こういうような使い方もございます。

 我が国にとっては、非常にこれから期待できる、そういう分野でございますので、しっかりと厚生労働省も支援をしてまいりたい、このように考えております。

関委員 どうもありがとうございました。

 私があと何年議員をできるかわかりませんけれども、私は、この日本がまた、世界に冠たる日本だと全ての国から尊敬され、また敬意を表されるような、そして世界的ないろいろなランクもトップに日本がまた戻ってこられるような、そういうふうな日本に戻すことが私の政治家としての使命であり、私の夢であり、志と思っております。

 ぜひ、この国家戦略特区をしっかりと使いながら、そして、今各大臣から温かい励ましの言葉もいただいたこの医療を中心とした、いろいろなすばらしい産業が日本にはありますが、医療もそのコアコンピタンスとしてしっかりと育てていくように私も頑張ってまいりたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

二階委員長 これにて関君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本三成君。

岡本委員 公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、下村文部科学大臣にお伺いをいたします。

 私、昨年の四月十二日のこの予算委員会で、大臣に対しまして、日本の将来を担う若者に対する奨学金の拡大のお願いをいたしました。

 その際に、私自身が日本、イギリス、そしてアメリカで教育を受けました経験を通しまして、諸外国では、奨学金と呼ばれるもの、つまりスカラーシップと呼ばれるものは、基本的には給付型、差し上げるものか、または貸与するものに関しては金利がゼロですと。

 一方で、日本においては、学生支援機構の奨学金というのは主に金利がついておりますので、こういうものは諸外国では奨学金とは呼びません、学生ローンと呼んでいますというようなことを申し上げまして、今返済に困難されている方もいらっしゃいますので、基本的には金利ゼロの奨学金を大きくふやし、また、日本の場合、奨学金が、その方が職業等につけないような場合に、返済困難になったときの延滞金利が一〇%も当時取られていたんですね。ですから、このような高利貸しみたいなことはやめて、この金利も大きく下げてくださいということをお願いいたしました。

 そのときに大臣から大変前向きな答弁をいただきまして、その結果、来年度の予算案におきましては、無利子で借りられる方々の人数を二万六千人ふやしていただく予定になっておりまして、予算も百五十六億円ふやしていただく予算になっています。

 また、金利も、一〇%を五%、これはまだまだ高いんですけれども、五%にしていただくことを決めていただいていますけれども、このこと自体は本当に感謝申し上げているんですが、あのときの大臣の御答弁は、基本的には金利ゼロを目指してまいりますと。

 ということは、来年度の予算は大きな流れのスタートについたという状況であって、今後さらにこのスピードを加速していくというふうに認識をしておりますけれども、大臣の今後の御決意をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のとおりでございます。

 昨年、お約束といいますか、お話を受けて、高校においては、給付型奨学金を来年度初めて導入するということも決定をさせていただきました。また、御指摘ありましたが、平成二十六年度の予算案におきまして、無利子奨学金の貸与人員を増員する、それから、延滞金の賦課率の引き下げなど、真に困窮している奨学金返還者への救済措置の充実、また、安心して奨学金の貸与等を受け、大学等に進学できる環境を整備するという第一歩を進めてきたというふうに思っております。

 日本学生支援機構の有利子奨学金制度は、発足当初の昭和五十九年度より無利子奨学金の補完措置として導入されたものであり、私としても、無利子の奨学金が基本であるというふうに考えております。

 今後とも、経済的理由により学生等が進学を断念することがないよう、引き続き、さらに、無利子奨学金等の拡充を含めました、また、ぜひ大学における給付型奨学金も目指して、一層の充実に努めてまいりたいと思います。

岡本委員 ありがとうございます。

 続きまして、同じ奨学金でも、今度は外国人の学生の方を国費奨学金で日本にお迎えするという件についてお伺いをしたいと思います。

 外国人留学生三十万人計画というものを、二〇〇八年、福田政権時代に決定いたしまして、二〇二〇年までに現在の留学生数を三十万人にまで持っていくというふうな計画を発表されまして、これは、昨年六月の政府決定の日本再興戦略の中でも目標として言及がされております。しかしながら、実際は、現在の外国人留学生は十三万八千人、これは平成二十二年から実はダウンしているんですね。

 二〇二〇年まで残すところあと六年間で三十万人、倍増強を目指しているわけですけれども、工程表がどのようになっているのか、また、現在の取り組みとして今後どのようなことをされようとしているのか、また、なかなかふえない原因をどのように分析していらっしゃるのか、お伺いできればと思います。

下村国務大臣 二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックがありますし、ぜひこの二〇二〇年をターゲットイヤーとして、留学生も三十万人目標が達成されるように、これから努力をしていきたい。それは、我が国への留学が世界じゅうの学生にとって魅力的なものというふうにしていくことが必要であるというふうに思います。

 このため、文科省では、二十六年度の予算案において、一つには、日本への留学を促進する留学コーディネーターの設置等による日本留学に関する情報発信をさらにもっと強化していく。二つ目には、外国人留学生が安心して勉強に専念できる環境を整えるための奨学金等の経済的支援の充実を図っていく。そして三つ目には、大学の徹底した国際化に向けた体制整備を行う。グローバル30、グローバルユニバーシティー、三十大学を新たに、平成二十六年度、指定したいと思っております。また四番目に、我が国で就職を希望する外国人留学生に対する日本の企業等に就職するための支援の充実等の措置を講じております。

 また、関係省庁とも緊密に連携して、一つには、留学生の受け入れ拡大に伴う審査体制の充実強化、これは法務省との関係であります。二つ目には、企業側の意識改革や受け入れ体制整備の促進、これは厚生労働省。それから三番目には、外国人雇用サービスセンター、これは外国人版のハローワークでありますが、これを中心に行う就職支援の整備、これも厚労省ですね。それから、帰国留学生会への支援の充実、これは外務省関係ですが、今、九十一カ国に二百十二の組織がございます。

 これらの施策に協力しつつ、政府全体として、留学生三十万人計画の実現に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

岡本委員 ありがとうございます。

 諸外国の方で、実際に日本に留学して教育を受けられた方にも何人もお目にかかりましたけれども、最大のハードルの一つは、実は日本語の試験なんですね。日本の国費留学になろうと思うと日本語の試験が義務づけられておりまして、これがなかなか難しいハードルになっています。

 ただ、一方で、今し方大臣、三番目におっしゃったように、グローバル30、英語で教育をできるような機関をふやしていって、日本人の学生との交流もふやしていこうという中で、必ずしも日本語ができないからといって日本の文化が理解できないということは私はないと思っていますし、昨日の予算委員会で麻生財務大臣が、外国人にもっと来てもらって、日本人と交流をふやす中で日本人の英語力もアップしていくんだというようなコメントもいただきましたけれども、この日本語の試験というのをある程度緩和していくというような政策も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のように、今、大学の国際化を図るために、英語による授業のみで学位取得が可能なコースの設定をしている大学も大分ふえております。ですから、留学生が日本語をしゃべれなくても日本で学位が取れる、そういうグローバルユニバーシティーに向けた取り組みを各大学がしていくことは必要だというふうに思います。

 ただ、一方で、国費による外国人の留学生制度、これは、大学等の教育、研究の向上を図るとともに、同時に、外国人留学生が日本の文化や習慣をより深く理解することを通じて、各国において知日派、親日派をふやして、日本のプレゼンスを上げることを目的としているものでございます。そのためには、やはり日本語試験は必要であるというふうに考えております。

 ただ、この日本語試験はあくまでも日本語のコミュニケーション能力を確認するというものでございまして、日本語能力不足の応募者には英語が一定の基準を満たせば足りることとしておりまして、委員から御質問がありましたので私も調べてみましたら、国費外国人留学生希望が、昨年度でも二万六千五百六十八人応募があって、トータル的に、実際採用されたのは一千二百六十四人ですから、競争率は二十倍以上でありますが、必ずしも日本語が高いハードルになっているということではありません。

岡本委員 ありがとうございます。

 同じトピックにつきまして、ぜひ岸田外務大臣にお伺いをしたいんですけれども、外務委員会の中でよく、ODAは外交上最も重要な手段だというふうなコメントをいただいておりまして、私もそのとおりだと思います。加えて、野党の皆さんからも、ODAの予算を倍増すべきだというような御発言もいただいたりしておりまして、今後さらに拡大が必要だと思っているんです。

 主に、ODAと言われたときに、ハードな部分に目が行っていて、インフラ輸出、大切ですけれども、実は、援助を受ける国の方々に伺いますと、日本のODAに対する期待の一つにソフトな部分が非常に大きいということを最近感じます。

 私、一月に、公明党の山口代表とともに、インド政府の御招聘を頂戴いたしまして、同行いたしまして、インドに参りました。

 シン首相にも、クルシード外務大臣にもお目にかかりましたけれども、そのとき外務大臣がおっしゃっていたODAにおける日本への期待というのは、日本でお目にかかった諸外国の要人の方、大使の方と共通していまして、その最大の一つは、インフラの輸出とともに、実は、その諸外国の若者を日本にもっと受け入れてもらって、国費で留学生として呼んでもらって、日本の高いレベルの水準の教育を受けさせてほしい、その人たちが将来、その国の未来のリーダーとなって、その国の発展に尽くしていくんだというふうなお話をよく伺います。

 現在、文科省を通して出ている奨学金、これはODA予算になっておりますので、その意味で外務大臣の御決意も伺いまして、この予算をさらに大きく拡大する中、世界じゅうから、優秀な未来のリーダーに日本で学んでいただいて、日本のファンになってもらって、そして日本の学生とそこで新たな価値を生んで、諸外国に帰って将来リーダーとなったときには、私たちの外交のパートナーとして知日派になっていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、我が国の外交にとりまして、ODAの活用、大変重要な課題であり、来年度の予算におきましても、四年連続、ODAの増額をお願いしているところであります。

 そして、その中において、ソフト面におきますODA予算の活用の重要性、御指摘をいただきました。この点につきましても、外務省としまして、しっかり頭に入れて、ODAの活用を考えていかなければいけないと存じます。

 そして、途上国の青少年あるいは留学生の受け入れということは、先ほども質疑の中で出ておりました、留学生受け入れ三十万人計画を推進する上でも大変重要でありますし、また、途上国の社会ですとか経済開発を担う、将来を担う指導的な人材の育成を支援するという点からも、大変重要な視点だと考えます。

 そして、留学生受け入れのためのODA予算としましては、御指摘のように文部科学省による国費留学生があるわけですが、外務省としましても、平成十一年度より人材育成支援無償として、途上国の社会経済開発にかかわり、将来指導的役割を果たすことが期待される若手行政官等の人材育成を支援するために、我が国の大学院における学位取得のための無償資金協力、こういった協力を行っておりまして、平成二十五年度にはベトナム、カンボジア、ミャンマー等十二カ国から二百三名の留学生を受け入れ、これまで来日した留学生は合わせて二千九百六十七名に上ります。

 こうした無償資金協力も進めているわけですが、あわせて、円借款の活用ということにつきましては、開発途上国政府の人材育成計画を支援するため、これまでインドネシア、タイ、マレーシアに対しましていわゆる留学生借款として総額約七百六十四億円の円借款を供与し、平成二十四年度末までに五千六百六十名の留学生を受け入れております。

 今後とも、ODAを活用した留学生の受け入れに積極的に取り組んでいきたいと考えております。

岡本委員 ありがとうございました。

 ハードな面のODA、円借款は一兆円以上使っておりますけれども、ソフトな面は二百億、三百億の話でございまして、これほど少額の金額で、援助を受ける側の国とすると一兆円以上のインフラ輸出と同様に最も高いプライオリティーとして考えていらっしゃるわけですから、非常に費用対効果のいい援助だと思いますので、今後ますますの拡大をお願いできればと思います。

 時間が参りましたので、以上で終了させていただきます。ありがとうございました。

二階委員長 これにて岡本君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡田克也君。

岡田委員 岡田克也です。

 きょうは、行革の問題を中心に、総務大臣、行革担当大臣と議論したいと思います。基本的には、私が手がけていた、あるいはやり残したことでありまして、しっかりとやっていただきたい、そういう思いを込めて議論したいと思います。

 まず、国家公務員の定員の純減の問題であります。

 国家公務員の人件費を抑制するという観点からは、やはり数を減らさないとその抑制はできない、こういうことになるわけで、もちろん単価の問題もありますが、これは後から申し上げますが、やはり数をいかに重点化していくか、減らしていくかということであります。

 野田政権のときに、国家公務員、自衛隊を除いて三十万人、その一%、三千人の純減を行えば、これを数年間続ければ意味のある数字になる、こういう考え方で、三千人に何とか近づけようということで進めてきたわけですが、十二月に政権交代がありまして、安倍政権のもとで二千三百七十四人の純減ということになりました。

 しかし、今回の補正の中で九百五十七人増ということになりまして、今年度としては差し引き千四百十七人の純減ということであります。

 もちろん、九百五十七人と大幅に補正でふやしたその背景としては、独法から国への業務移管とかあるいは海上保安庁の要員増とか、そういう、補正で対応せざるを得ないものも含まれているということは承知をしておりますが、それにしても補正における千人近い増というのは異例であって、ややうがった見方をすれば、来年度の純減を確保するために補正でふやした、そういうふうに見ることもできるわけですが、この点、いかがでしょう。

新藤国務大臣 ただいまの御指摘についてでありますけれども、まさに委員も今御質問の中で触れていただきましたように、二十五年度の当初予算における定員措置、これは二十五年の一月に決定しておるわけであります。

 しかし、その後、原子力事故災害からの復興の加速化ということで、除染や廃炉の関係の要員が必要になった。それから、尖閣問題等領海警備体制の強化ということで、これは船をふやしましたので、あわせてそれに必要な人員をつけるということが発生いたしました。また、消費税の転嫁対策の強化など、この重要課題に緊急に対処していくための定員の措置をする必要があった、こういうことであります。

 また、これは民主党にも、与野党合意で、自公民で合意を得た上での原子力安全基盤機構の国への移管、これも二十五年度中に実施することになりましたので、それに伴って、補正予算による増員を実施するということになったわけでありまして、いずれにしても、そのときに緊急に対応が必要な増員として補正予算で対応したものでありまして、そのような意図的な、数字を操作するような、そういったつもりはございません。

岡田委員 そこで、現行の定員合理化計画、これは来年度で終了するということであります。したがって、新たな定員合理化計画を政府の中で現在検討されているということでありますが、五年間で一〇%以上の定員を合理化するということで、結果的には三万二千二百六人、一〇・六%の減員を実現したと。しかし、他方で定員増があるということで、純減ベースで見ますと、五年間で約五千人、一・七%しか減っていないわけであります。

 いつも私はこの計画を見て思うわけですが、これだけ減らしたと言ってその数字を誇るわけですが、他方で必要性があってふやす。やはり大事なのは、差し引きどれだけ減ったか。人件費抑制という観点からはやはり純減ベースで物事を考えることが重要で、そういう意味では、新たな定員合理化計画の中にこの純減ということを織り込んだ計画にすべきではないか、こう思うわけですが、そういうお考えはおありでしょうか。

新藤国務大臣 平成二十七年度以降の新たな定員合理化の計画につきましては、昨年の十一月に閣議決定された公務員の給与改定に関する取り扱いに基づいて、今後設置が予定されております内閣人事局において検討されることになる、このように思います。

 そして、現状において国家公務員の定員管理を所管しております総務大臣として申し上げるならば、国の行政機関の職員の定員、これは、定員削減努力によりまして大幅に減少しているということであります。

 岡田委員は、副総理として、また担当大臣としてこの問題に大変携わっておりましたから、よく御承知のところだと思いますけれども、現状では、現業的な部門はもう大幅に減少した。今減らしているのは、企画部門であるとか、警察や税の徴収、いわゆる権力行使部門、こういったところまでも中心としたスリムなものになっているということであります。少なくとも、昭和四十二年度に九十万人おりました国家公務員は二十六年度で二十九万七千人まで減らしているということであります。

 したがって、この限られた体制の中で国の重要課題に適切に対応していく、そのためにはやはり、合理化すべきところはやる、そして、削減をする一方で、必要なところには機動的な、戦略的な定員を配置していくことが重要であるということであります。

 定員の合理化計画、これは、業務の見直し等による合理化を計画的に進め、増員の原資を確保する、そのためのものであると私は考えておりまして、あらかじめ純減規模を計画的に定める場合には、そうした機動的、戦略的な対応が制約されるおそれがあるのではないか、この部分の留意は必要である、このように考えております。

岡田委員 今まで自民党政権においても、純減計画というのを政府で決めてやってきたということはあるわけです。いや、公務員人件費の抑制をしなくていい、行革について人件費の問題を考えなくていいというなら、今の大臣のような御答弁でも結構ですけれども、やはりそういうわけにはいかないんだろうというふうに思うわけであります。

 財政の現状を見たときに、やはり、公務員人件費をいかに減らしていくかということも一方で大事で、そういう意味では、今、現業部門についてはもうほぼやることはやり尽くしたという趣旨の御答弁がありましたが、本当にそうか。

 私は、各大臣が現場に行ってちゃんと見てくるべきだと思うんですね、地方とか、どういう状況になっているか。そういうことまで徹底的にやって、そして、純減の余地が、減らす余地がないのかどうかということを考えるべきだというふうに思っております。

 それから、政府CIOをつくって政府全体のIT化ということを進めているわけですが、そのことによってどういう作業が効率化され、そしてそこで人がどれだけ減らせるかということもこの計画の中にきちんと盛り込んでやっていかないと、何かいつの間にか、それで効率化したはずがどこかに消えてしまっている、ほかでふえてしまって消えてしまっているということにならないように、次回の定員合理化計画の中では、このIT化による成果、見込まれる成果というものをきちんと織り込んだ、そういう計画にすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 これは非常にいい御指摘だと思っています。

 仕事がふえていくのに人を減らすんだということで、今までやっているわけです。無駄は絶対に許せないという意味で、今委員が各省のそれぞれの所管大臣が自分の組織の先端に至るまで承知すべきだと、私も全くそのように思います。

 その上で、これ以上仕事をふやす、ですから、行政から外に出す部分もあると思います、しかし行政需要はやはりどんどんふえていくとなれば、工夫をしなきゃいけない。その意味で、IT化というのは、私は決め手になる。電子政府、電子自治体、これはこれまでも何度も叫ばれておりますけれども、なかなか進まない部分もございました。ここで思い切った、そういったことをやってみようじゃないかと、今、進めております。

 試算でありますけれども、徹底的に頑張ると、IT化を進めることによって、電子政府によって、業務時間が約二五%カットできる、こういう試算を我々出しています。七、八年かかりますけれども、徹底的にやることによって時間が削減できるんです。その分が残業の削減になり、それから人間を減らすことにもなっていくだろう。

 ぜひこれはいろいろ知恵を出していただきたいと思いますけれども、私どもも、ICT化と呼んでいますけれども、これを行政の中にどこまで入れられるか、これは大きな課題だ、このように思っています。

岡田委員 民間であれば、投資を行うに際して、その投資がきちんとペイするためにはどれだけ効率化できるかということははじいた上でIT投資を行うというのは常識だと思うわけですが、そういうことも含めて、あるいは、その作業の手順もやはりITになじむような作業に変えていく、そういう発想も非常に重要だと思うんです。

 そういうことをひっくるめて、政府CIOをつくってあるわけなので、政府CIO、民間から来ていただきましたが、ぜひそこを中心に、政府全体のITを活用した効率化、その結果としての人件費の抑制ということを真剣に考えていただきたいというふうに思います。

 それでは次に、退職公務員の再任用について議論したいと思います。

 六十歳を超えた場合の公務員の雇用について、民主党政権の中でもいろいろ議論がありました。定年延長という話もありました。しかし、定年延長は当面はとらず、一旦退職をしていただき再任用する、こういうふうに決めたところであります。ただし、その再任用については、定員の枠内でフルタイムで再任用するというのが民主党政権のときの考え方であります。

 これは、政権がかわりまして、三月の安倍内閣の閣議決定では、フルタイム官職が原則ではあるものの、職員の年齢別構成の適正化を図る観点から再任用を希望する職員をフルタイム官職に再任用することが困難であると認められる場合には、短時間勤務の官職に再任用することができる、こういうことになったわけであります。

 しかし、この考え方は、フルタイムでないということになりますと定員の外になりますので、結局、定員のたがをはめていることが無意味になりかねない、抜け道になりかねない、そういう危険性をはらんでいるというふうに思うわけです。したがって、我々はフルタイムにしたということであります。

 そういう総人件費抑制の抜け穴的なことが起こるということについて、どういうふうに対応されるおつもりですか。

新藤国務大臣 この再任用短時間職員は、新規採用とのバランスをとりつつ、雇用と年金の接続に対応するために重要な取り組みであって、今後、各府省においても利用が拡大することが見込まれると考えております。

 そして、再任用短時間職員はフルタイムである定員には当たりませんけれども、総務省におきましては、毎年度の定員審査に関して、再任用短時間職員の定数についても、常勤職員である定員とあわせて、その必要性を厳しく審査しております。ですから、全体として組織が膨張することのないように管理を行っているということであります。

 それから、短時間の任用につきましては、実際のニーズがどのぐらいあるか、こういったものもヒアリングをしております。思っている以上にそういったニーズもあるというふうなこともあって、私どもは、双方が、両方できるようにしよう、こういうふうにしたわけでございます。

岡田委員 今大臣も言及されましたが、全体の定員の縛りがある中で、六十歳を超えた再任用をフルタイムで活用していくということになると、やはり若い世代にそのしわ寄せがかかりかねないという問題はあります。

 それを防ぐためには、やはり四十代後半から五十代にかけて早期に退職していただく、そういう機会をつくっていかなければいけないということだと思うんです。スリム化をしていかなければいけないということだと思います。

 我々のときにも、民間の人材あっせん会社を活用した再就職のあっせんとか、国はできませんから民間に、そういう仕組みを利用して、みずから選び取っていただくという仕組みとか、そういった努力はしてきたわけですが、四十代後半以降のスリム化、早期退職のやりやすい仕組みづくりについて、新たな何かアイデアがおありかどうか、お聞きしたいと思います。

新藤国務大臣 早期の退職、インセンティブをどう与えるかということが重要だと思っています。

 その意味において、平成二十四年、これは前政権、民主党政権において、そして自由民主党も公明党も賛成してやりました平成二十四年の国家公務員退職手当法の改正、これによって、早期退職募集制度を導入して、昨年十一月から、この制度に基づく退職が可能になっているわけであります。

 この制度に基づいて退職した者の退職手当額については、自己都合退職よりも有利に算定をされる、そして定年前の年数に応じた割り増し措置が適用されることになっています。しかも、対象者の範囲を、従来の定年前の十年までの者から、定年前十五年前までの者に拡大するということにしました。そして、定年前の一年当たりの割り増し率についても、二%から三%に拡充する措置を講じております。

 この結果、定年六十歳の者の場合は、従来では、最大でも五十歳で二〇%の割り増しでありましたが、拡充後は、四十五歳で最大四五%の割り増しになっている。そして、四十五歳の本府省課長級の例で見ると、従来と比較すると六百四十万円の割り増し、このようになっているわけであります。

 ですから、この早期退職募集の実施については、既に各省庁において今募集を開始して、制度に基づく退職者が出ているという状況であります。これは年度末に調査をして六月ぐらいには公表したいというふうに思っておりますが、いろいろな工夫をしながらこの対策を続けていきたい、このように考えています。

岡田委員 景気もよくなるのではないかという期待感がある中で、そういった第二の人生を早くみずから選び取るということも、今の環境は、順風といいますか、いい環境になりつつあるというふうに思いますので、そういうものを生かして、それから、大臣が説明された今の早期退職勧奨のための制度を活用して、ぜひこれは意味あるスリム化というものを実現していただきたいと思います。

 最後に、再任用職員の給与水準について、人事院に検討を要請中であるというふうに承知しておりますが、これをどの程度にするかというのも非常に大事な話であります。

 現在の検討状況をお教えいただけますか。

新藤国務大臣 これは、官民ともに雇用と年金の接続が課題となるという中で、民間においては、五十歳代の従業員も含めた高齢層の従業員全体の給与見直しの必要性が議論されていると私も承知をしております。

 公務員におきましても、五十五歳超の職員について、本年一月から昇給抑制措置を講じております。

 また、五十歳代後半層の官民の給与差はなお相当程度残っている状況であること、こういったことを踏まえまして、高齢層職員の給与については、五十歳代後半の官民の給与差を念頭に置いた給与構造の見直しなど、給与体系の抜本改革に取り組むこととしております。昨年の十一月の閣議決定で、このことは人事院に要請を行っているところであります。

 そして、六十歳以上の再任用職員の給与のあり方についても、今後の職務や働き方の実情、それから民間の給与実態などを踏まえて検討を行うべきと考えておりまして、私どもとしても、昨年三月の閣議決定で、人事院に必要な検討を行うように要請を行っております。

 御指摘のように、この問題については適切に対応してまいりたい、このように考えています。

岡田委員 給与体系をどうするか、給与カーブをどうするかという話は、要するに、公務員がいかに意欲を持って働くかという意味で、私は非常に重要な問題だと思うんです。民間企業であれば、こういうのは本当にトッププライオリティーの問題じゃないか。そういうことに余り、今まで我が国政府は人事院任せにし過ぎてきたんじゃないかという気がするわけでございます。そういう意味で、人事院に任せるだけじゃなくて、政府としてもぜひ並行して検討する必要があるんじゃないかと思います。

 今の大臣のお話で、五十歳代後半層の検討を人事院に依頼しているということなんですが、私の理解では、民間では、やはり五十歳を超えるとフラットになるとかあるいは下がるとか、そういう企業もかなりあるというふうに認識しているわけですね。

 ですから、五十歳半ばまで上がっていって、そこからフラットにするとか下げるとかいうことじゃなくて、やはり前半も含めて検討する必要があるんじゃないか。人事院に対して五十歳代後半ということで検討を依頼しているのは、私は違うんじゃないかというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 さまざまな観点からの検討というのは、当然必要だと思います。そして、民間がどうなっているか、官民格差というもの、こういったものもよく捉まえなければいけない、このように思っております。

 ですから、まず私たちは、政府で閣議決定をして、この五十歳代後半層について見直しをいたしましょう、こういうことになりました。それをきちんと進めながら、その次の問題についても、これはやはり常に問題意識を持ちながら、頭に置きながら、まずはできることを一つずつ着実に積み重ねていきたい、このように考えます。

岡田委員 私は、多分違うと思うんですよね。

 要するに、五十歳代前半が、今のままだと上がり続けますよね。そこからフラットとか下げるとかいう話と、五十歳からフラットになったり下がったりするという、そのときの五十五歳というのはかなり、上がり続けた公務員の五十五歳とは違う水準になっているわけですから、やはりここは、もう一回人事院に、五十歳後半だけじゃなくて、前半も含めてきちっと検討の指示をした方がいいんじゃないか。あるいは、政府の中でも、人事院以外でも、もちろん、これはいろいろな民間の事例も研究された方がいいんじゃないかというふうに思うわけです。

 もちろん、五十歳代をそういう形で削減するということは、それ以前の世代に厚目に配分するということにもつながるわけで、私は、五十歳後半に限っている理由がよくわからないわけですが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 委員の建設的な御提案というのは、私も頭には入れたい、このように思います。

 その上で、まずできること、我々が方針として定めたことを着実に進めていく。そして、今のような御意見があるということも踏まえて、いろいろな研究をしていく必要がある、このように思います。

岡田委員 ですから、ここは一旦、五十代後半の給与カーブができてしまえば、もう一回五十歳から、根っこから見直すというのは非常に難しくなる。少なくともかなり時間を置かないとできなくなると思うんですね。給与カーブというのはそう簡単に変えられるものではないわけで、ここは、そういう意味で、しっかり英知を絞ってやられた方がいいのではないかというふうに私は思っております。

 それから、六十歳を超えたときの再任用された給与水準についても、民間ではもうそのことも含めて議論が始まっているわけですね。全体の人件費をいかに合理的に配分していくかということで、今まで六十歳で定年だったのが、近い将来、六十五歳になるわけですから。それを踏まえた全体の給与カーブをどう描いていくかというのは非常に重要な話なので、ぶつ切りにして、しかも人事院に投げるのではなくて、やはり政府全体としてしっかりと取り組んでいく問題ではないか、そういうふうに思います。

 もし何かありましたら、おっしゃっていただきたいと思います。

新藤国務大臣 きょうは、とてもいい御質問をいただいていると思っているんです。それは、こういう建設的な議論をしなければいけない、公務員制度をどうするか、それから我々の国の政府の財政再建をどうしていくか、こういったことを私たちはやっていかなきゃいけないわけでありますから、そういった今の委員の意見は貴重な御提案として、それらも含めたいろいろな研究をしていく必要がある。

 再三申し上げますけれども、その中で、具体的な一つ一つ、まず着実な実現をしていかなければいけない。今、委員のお話は、それをするとかえって後が困るのではないかということでありますが、それらも含めてこれは研究する余地があるということです。

 そして、定員の合理化は、これは五年間の計画はもう達成をして、さらにそれを上回る削減をすることになっています。できます。

 ですから、私たちは、しっかりとこの行革に取り組んでまいりたい、このように考えております。

岡田委員 定員の合理化は、ぜひ純減ベースでの発想も計画の中に盛り込んでいただきたい。従来の自民党政権の時代にも、純減ということは意識して議論されてきたということは申し上げておきたいと思います。

 あとは、地方の公務員の人件費、国と地方の公務員給与を比較する際に、ラスパイレス指数ということが問題になるわけです。総務省の方でも地方の自治体のラスパイレス指数の発表などされていますが、地方からは、ちょっと指数の算定の仕方に問題があるんじゃないか、そういう指摘もあるわけであります。例えば、国の指定職がこのラスパイレスの母数に入っていないとか、あるいは地域手当が反映されていないとか、いろいろな議論があります。

 私は、具体的なことは申し上げませんが、やはりこのラスパイレス指数は非常に重要ですので、これこそ国と地方でしっかりとコミュニケーションして、お互いが納得できる指数の計算の仕方というものを合意すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 地方公務員の給与の問題につきましては、今年度、給与の削減の協力要請をいたしました。その際に、何度も地方の皆さんと話し合いをしてきたんです。二十六年度においては、それをもとの水準に戻す、こういうことになりました。

 その際に必ず出てくるのが、このラスパイレスの問題であります。私も委員と全く同じ意識を持っています。

 この際、給与を本来どうすべきなのか、もっときちっと話をしよう、お互いに、おかしなところがあるならば、それを一つのテーブルにのせて議論しようではないか、今そういう実務協議をしてもらっています。

 それで、指定職がラスパイに含まれていない、こういうことであります。

 これは、指定職というのは、そもそもがもう昇給がないんです。それから、扶養手当が支給されておりません。ですから、そういう特殊な給与であって、これを入れることが、果たしてこのラスパイという全体の給与体系の中で望ましいのか、こういう議論をしなければなりません。ラスパイに指定職を入れるなら入れたって、全体の数値としてはそんなに大きく変わるわけじゃありませんから、そんなことで地方が国に対するラスパイの制度の不信感があるならば議論しよう、こういうことを言っています。

 一方で、地方においても、わたりですとか、それから地域手当が適切でない、こういう問題を放置したままでいいのか、きちっとやろう、そしてお互いに納得できる、公務員の給料というのは国民の税金で支払われているものでありますから、これは国、地方といえども、きちんと適正化しようじゃないかということを私ははっきり申し上げて、この機会に、そこを実務的な協議をしようということで進めたいと思っています。

    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕

岡田委員 ぜひ、そこは進めていただきたいと思います。

 ただ、今大臣言われた地方公務員の給与の削減の話は、私は、安倍政権が行ったこのことは、いわばこれは強制ですから、地方分権という歴史から見ると歴史的な敗北だった、そういうふうに思っております。

 もう一つ、地方公務員の数の議論をするときに、今、地方公務員は二百七十七万人、しかし、それ以外に臨時、非常勤で六十万人いるということです。教師などでは、同じような仕事をしながら、非正規と正規の違いが厳然としてあるということで、しかもそれは人件費には計上されていないわけですね、臨時、非常勤の六十万人については。そうすると、いろいろな議論をするにしても、ベースが違う。もちろん、国にもアルバイトとか非正規の公務員はいるわけですけれども、特に地方にそれが非常に多いのではないか。

 だから、こういうことも、まずそういう臨時、非常勤が多いということ自身が私は大きな問題だと思いますけれども、そこの是正と、あわせて、いろいろな人件費を議論するときのベースとして、そういう扱いをどうするのか、全然除いたままで、正規公務員だけで議論していっていいのかということについても、ぜひ問題意識を持っていただきたいと思いますが、いかがですか。

新藤国務大臣 これも、やはり必要な把握は行わなければいけない、このように思っているわけでありまして、我々としても、総務省として、その状況についての把握に努めております。

 実際に、正規の職員が今二百七十六万人であります、公営企業も入れると二百七十六万人。かつての、平成十七年のときの三百四万人が二百七十六万人まで減っているわけでありますが、一方で、臨時、非常勤が、平成十七年の四十五万人から、二十四年四月一日でありますけれども、六十万人までふえてきている。特に、保育士ですとか教員、講師、こういったところの伸び率が高いんですね。

 したがって、本来であれば、任期を限って臨時的、補助的業務に任用されるべきものであります。しかし、臨時、非常勤職員がこれだけふえているという状態の中で、やはり人件費全体を把握するという観点も留意しながら、そして、地方公共団体において、その制度の趣旨にのっとった適切な運営がなされるように、我々としては引き続き助言もしてまいりたい、このように思います。

岡田委員 それでは、次に参りますが、特殊法人の職員の給与水準について、これは行革担当大臣にお聞きしたいと思いますが、野田政権のときに、ラスパイレスが余りにも高い特殊法人、独立行政法人の給与水準の見直しを要請いたしました。

 特に、給与水準の高い五法人、日本中央競馬会、JRAですね、それから、沖縄振興開発金融公庫、沖縄科学技術大学院大学学園、日本政策金融公庫、日本銀行、この五つについては名指しして、主務大臣が各法人に対して給与水準の見直しなどの具体的な措置を着実に講ずるよう要請したところであります。

 その結果を稲田大臣は昨年の四月二十三日に公表されたわけですが、私から見ると、かなり不十分じゃないか。

 例えば、日本政策金融公庫など金融機関は、他のメガバンクと比較して問題ありません、こういうことであります。しかし、本当にメガバンクと比較すべきなのか。国家公務員は、中小企業も含めた給与水準との比較において今の水準が決まっております。それを、なぜメガバンクと比較しなければならないのかというのは、私は非常に理解に苦しむわけであります。

 ですから、四月二十三日に公表されたわけではありますが、もっと切り込んでやるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 今委員御指摘の特殊法人、五法人について、民主党政権下で、委員が行政改革担当大臣のときに、各所管大臣に対して個別の見直しが要請されて、それを私もしっかりと引き継いで、各法人の給与水準の検証、見直しの結果、今御指摘のとおり、昨年の四月に公表をしたところでございます。

 今御指摘のあった日本政策金融公庫等の問題でございますけれども、その給与水準の妥当性、行革担当大臣であった委員からも、その合理性を示せということであったかと思いますが、各主務大臣が当該法人の事務事業の特殊性も踏まえて判断すべきものだというふうには考えております。

 日本政策金融公庫、また日銀の給与水準についても御指摘があったかと思いますが、主務大臣である財務大臣の指導のもとで、同種の民間事業者の給与水準を参照しつつ、その妥当性を検証し、またあわせて、今御指摘になった、その比較する職種の見直し等の合理化策も講じられたというふうに承知をいたしております。

 いずれにせよ、国民の理解が得られるよう、法人の給与水準については、これを不断に見直して、そして必要な場合には適正を図ることが重要でありますし、先ほど御指摘になったJRAについても、農水大臣に昨年の四月に二点要請をいたしました。そして、JRAにおいて、従来存在しなかった給与の支給基準を初めて策定、公表し、役員は国家公務員の処遇を勘案する、職員は役員の給与との均衡を考慮すると明記をしていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、委員の御指摘を踏まえて、しっかりと不断の改革に取り組んでまいりたいと思います。

岡田委員 JRAについては、昨年の九月六日にJRAが公表した資料によりますと、今後の給与水準については、平成三十年末に一二〇台半ばに相当する水準を目指して取り組むということになっているわけです。一二〇台半ばという水準そのものは依然として高いわけで、しかもそれは、目指して取り組むと言っているだけなんですね。

 私は、なぜJRAがこれだけ高い水準なのか、ほかの独法などに比べても高いわけですけれども、よくわからないわけですが、何か合理的な理由、大臣、わかりますか。

稲田国務大臣 JRA、日本競馬会については、国の補助なく独立採算で運営して、その給与も国家公務員に準拠せず、売り上げや利益などをもとに自主的に決定されてきて、そのため、平成十年ごろまでの好調な業績を反映して高水準になったのではないかというふうに理解をしております。

 しかし、委員が御指摘のとおり、私もこの給与水準は極めて高いというふうに認識をしておりまして、平成二十四年の要請に加えて、昨年四月に、給与水準の設定の考え方の抜本的な見直し、そして年限を決めた給与の具体的な見直しをJRAが行うよう、私から農水大臣に書面と口頭で要請をした結果、先ほど御指摘のような回答が返ってきたわけであります。

 しかしながら、平成三十年末に指数を一二〇台半ばにするというのがそれで十分なのかという御指摘でありますが、給与は非常に重要な勤務条件であって、職員の理解を得ながら見直していくことも必要だというふうに思っております。

 しかしながら、今回の取り組みで十分とは私も考えておりません。JRAの給与水準が社会一般の情勢に適合したものになるよう、毎年度の給与の水準の公表の機会を通じて、農水大臣にも要請してまいりたいというふうに思っております。

岡田委員 公営ギャンブル、その上がりというのは公益のために使われるわけで、それが高い給与の中に消えてしまうということは、やはり私は避けなければいけないことだと思います。

 最後に、総務大臣に一つだけ。

 我々、国と地方の協議の場などをつくって、知事会や市長会、町村会の代表の方といろいろ議論する機会は多かったんですが、私、非常に感じるのは、やはり相互不信。相互不信というのは、国に対する不信じゃなくて、県と市町村との間の極めて大きな不信感といいますか、それが感じ取れるわけであります。

 やはりそういうものがあると、道州制とかあるいは分権とかいっても、きちんと進んでいかないということにもなるわけで、これはやはり国にも相当責任があると思うんですね、そういう事態を招いたことは。

 総務大臣として、そういったことの解消にぜひ努めていただきたいと思うんですが、御決意があればお伺いしておきます。

新藤国務大臣 私も、総務大臣になりまして、やはり一番、団体関係でお会いする頻度が高いのは、地方団体の皆さんです。知事会、市長会、町村会、そして議長会ですね。それぞれの皆さんとは、かなりの頻度でお会いをいたします。

 そして、不信があるということもあるかもしれませんが、根底にあるのは、そもそも立場が違う、そして置かれている役割が違うわけですから、当然、そこに意見の相違が出てくると思います。それを調整して、客観的に、総合的、全体的な立場から意見を言っていくのが国の役割だと思います。

 ですから、私は何度も申し上げておりますけれども、国と地方を対立の概念で語ってはならない、そして、地方の中もそういった対立の概念で判断してはならないんだと。それぞれ役割があって自分たちの主張をするんですから、それをいかにしてそれぞれがよくなっていくか、そういうことを私たちが調整する役割を果たしていかなくてはいけないんだ、そして、それは言葉のときもあれば、具体的な制度としてそういったものを国が打ち出していく必要がある、このように日ごろから考えております。

岡田委員 終わります。

林(幹)委員長代理 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。

 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 本日は、予算委員会での質疑の機会を賜りまして、本当にありがとうございます。

 私ごとで恐縮ですが、今回の国会でのこの質問で、国会での発言の機会をいただく通算百回目の節目でもございますし、また、国会在職十周年の節目に当たってのこの予算委員会での質問の機会をいただきまして、重ねて御礼を申し上げたいと思います。

 さて、質問でございますが、通告は事前にさせていただいておりますが、少し順番を、田村大臣、済みません、診療報酬、二十六年度改定ですが、未妥結減算について、ちょっと冒頭、まずこの質問から入らせていただいた上で、通告どおりさせていただきたいと思いますので、よろしく準備をお願い申し上げます。

 未妥結減算という、聞きなれない言葉かもしれませんが、これは、医薬品の価格交渉で妥結率の低い薬局の調剤報酬を減額する未妥結減算ルールというものが、今回、消費税が八%に上がる際の改定の中で、中医協の中で答申がなされたということでございます。

 この減算ルールによって、半年間で妥結率が五〇%に満たない二百床、ベッド以上の病院や保険薬局を対象に、診療報酬の基本料を最大二六%引き下げるルールということで、これは非常に、ちょっと専門的な話ではございますが、まさに消費税が引き上がるタイミングで、医療機関経営であったり、もちろん薬局も含めてですが、さらには、医療の現場で働かれる職員の皆さんの処遇にもかかわる重要なテーマでございますので、こういった前提の中で、ちょっと私の問題意識について質問をさせていただきたいと思います。

 報道ベースで私も承知をしているわけでございますが、この問題につきまして、厚生労働省の赤石大臣政務官の方が、この未妥結減算につきましては、これは政治が介入する話ではないということで、与野党の議員の中でも、自民党さんの部会の中でもさまざまな議論があるテーマだと承知しておりますが、この議論を、読み方によっては、政府側が、非常に言葉がきついですけれども、ともすれば言論、表現の自由を封殺するかのような発言を、政府の政務官というお立場でこういったことを発言されるというのは、私は非常に、今後、例えば診療報酬というのは非常に命を守る予算、そして医療機関の経営にも直結をする、そのことに対して各医療団体等さまざまな、中医協の答申が出たとしても、また、中医協の独立性というものは当然担保された上においても、そのことについていろいろな意見があるのは、当然あってしかるべきだと思うんですね。

 そういう中で、今回、政務官がこのような御発言をされているということであれば、これは私は非常に問題ではないかと思っております。

 当然、各職域代表で構成される中医協でございますから、その中での議論がしっかりと集約をされるということが前提で進んでいくということであれば、きれいな形なんですが、今回は必ずしもそういうことでなかったのであろうということも推察できるわけです。

 いずれにいたしましても、今後の、介護報酬改定というのも来年あるわけですが、医療、介護、非常に重要な協議を行う政府の中での議論と、そしてそのことに対してさまざまな関係団体あるいは与野党議員が自由闊達な議論を、国会での議論も含めて交わすというのは、当然あってしかるべき姿だというふうに考えております。

 田村大臣、今回の赤石大臣政務官の御発言について、これは政務官と同じ御認識でいらっしゃるのかどうなのか、お答えいただけますか。

田村国務大臣 妥結率、わかりづらいと思います。

 薬を流通している卸側の方々と、それから、今保険薬局の話が出ましたけれども、医療機関もそうです。大きな医療機関で、自分のところで薬を扱って、それを窓口で出している医療機関もまだあります、大分、医薬分業が進んでまいりましたけれども。そういうところが、本来、契約を結んで、商行為でありますから、値段を決める。

 ところが、これは慣行なんでしょうね、普通は、大体入れるときには値段が決まっているというのが商慣行なんですが、この分野は、場合によっては一年以上値決めをせずに物だけ入れているというような、ちょっと不思議な商慣行があるわけであります。それを、なるべく早く、妥結率を決めるべきだ、こういうような問題意識が、これは要するに、卸側にもありますし、もちろん買い手側の医療機関にもあったわけでありまして、そういう議論を、懇談会をつくっていろいろと議論をしてきたという経緯がございます。

 そういう中において、中医協というのは、当然、支払い側それから医療機関側、さらには公益委員、この三者で決めておるわけでありまして、そこは公平な、透明なルールのもとに議論をしていこうという話であるわけでありますけれども、一つ問題点は、薬価を決めるときに、なかなか妥結しないとなると、薬価を決められないんですね。薬価差を調整しなきゃいけないという薬価改定ルールの中において、値段が決まらないとなかなか正確なものが出ないというところがありまして、普通の商慣行どおり、なるべく早くやっていただきたいという問題意識の中でこの議論が進んできたわけであります。

 この中においての決め方に対して、赤石政務官が、政治が余りというようなお話だったと思います。

 意識としては、このような三者構成で、それぞれが公平な、公開のもとに議論をして薬価というものを決めていく。もしくは、妥結率もルールのうちの一つでありましょう。それから、診療報酬もそうでありましょう。そういうものでありますから、個々の値決めに関して影響するものに対しては、余り政治が事細かく入っていくよりかは、当事者の方々で議論をいただいた方がいいのではないか。

 それは、政治が一切物を言っちゃいけないという話じゃなくて、そういうような思いの中でおっしゃられたのであろうというふうに私は理解をさせていただいておりまして、まずはやはり、それは当事者の方々が御議論をいただいて、いろいろなルールをお決めいただくということが大前提にあることは確かなのであろうなというふうに思っております。

柚木委員 政治側が一切物を言ってはいけないということではないという御答弁でございます。

 私も、問題の認識は持っております。ただ、やはり、政務官としての御発言というものは、当然、所管の政務官ということもあって、関係団体あるいは与野党議員も注視しておるわけでございます。今大臣からは、そういう発言についてはもちろんあっても構わないんだけれどもという前提でるるおっしゃったと思っていますので、今後、あさってですか、厚生労働委員会で質疑をさせていただける場合には、この問題についてはちょっと委員会の方でも、そもそもこの五〇%の実効性等についてもまた議論させていただきたいと思います。

 それでは、通告に従って参ります。

 きょうは、派遣法の問題であったり、あるいはその派遣法も含めた勤労者の前提となる賃金の動向、これは通告もさせていただいておったわけですが、私も、きのうの朝日新聞の夕刊、あるいはけさの読売新聞、日経の朝刊等を見て非常に驚いているわけですが、こういった報道がなされているわけですね、月々の平均給与、実は三年連続減少、厚生労働省修正と。

 これは、二月十七日に、この予算委員会の社会保障集中審議の際、安倍総理御自身が、名目の賃金は若干ではあるがプラスというふうな御答弁を山井委員との間でなされておられまして、御本人もおられますが、非常に、どう言いますか、前提が変わってくるわけですね。

 二月十七日の集中審議、そして十八日の報道、発表、この一日の差というものも非常に私は重要だと思うんですが、二〇一三年に労働者一人が月々もらった現金給与総額が平均三十一万四千五十四円で、前年を七十三円下回り、過去最低を更新した、これは厚労省が十八日発表した毎月勤労統計調査の確報値でございまして、実は、今月五日発表の速報値では、前年をわずかに二十三円上回り、三年ぶりにふえたとしていたわけですが、一転して、三年連続の下落となったと。

 これは、実際、二月五日の発表の翌日の二月六日の各新聞報道、私も確認しましたけれども、一面で報じられたり、非常に大きく報道されておりまして、そういう中で、二月十七日の時点で、安倍総理も、NHKのテレビ中継入りで国民の皆さんが注視される中で、さらに言えば、山井委員とのやりとりの中でも、通年でしっかり見ることが重要であるというようなことをおっしゃっておられた中で、まさに、二〇一三年を通したこの確報値で、実は三年連続平均給与減少、過去最低記録更新、こういう現実が、ファクト、事実、総理がこだわられるファクト、事実として明らかになったわけでございます。

 田村大臣、この確報値を知っておられたか、おられないか、私は非常にそこもポイントだと思いますが、いつの段階でこの確報値を知られたんですか。

田村国務大臣 私が知ったのはきのうでありますけれども、ファクト、事実をちゃんと申し上げます。

 私は、前回の予算委員会でも、この現金給与総額というものがどういうものかという説明をここでさせていただいたと思うんですが、まだよく御理解いただいていないようなわけでありますので、説明させていただきます。

 現金給与総額というのは技術的にどういうものかといいますと、要は、一人当たりどれぐらい収入があるかという、そういうものです。それで、一つは、一般とパートに分かれています。一般の中には、これは正規も非正規も入っています。つまり、これは長時間で働いている方々なんですね。正規も非正規も入っています。パートは短時間で働いている。この二つに分かれているんです。

 その上で、確報値がなぜ下がったか。これは大体毎年下がる傾向が多いんですが、それは、最後入ってくる確報値で、パート労働者の方々の賃金表が入ってくるんです。つまり、パート労働者の方々が入ってきますから、一人当たりが、当然、パート労働者は賃金が低いわけでありますから、その方々の分が下がる。ちなみに、去年も同じです。去年も同じように、速報値が高くて、確定値が下がっている、こういう形でありますが、それは技術的な、そのような手法の中においてそういう傾向があるものでありますから、これはいかんともしがたい事実であります。

 ただ、一方で、もう一つ申し上げれば、一般の方々、要するに、フルタイム、長時間働いている方々、正規も非正規も合わせて去年の数字はプラス〇・七です。物価上昇率がプラス〇・五ですから、実質〇・二。パート労働者も、時間給で見ますと、同じようにプラス〇・七。物価上昇率が〇・五ですから、実質〇・二。どちらも〇・二、実質で去年は上がっている、そういうような結果が出てきております。

柚木委員 二月十八日に知ったということをおっしゃったわけですが、私も政府の政務官も経験させていただきましたが、大臣、特に大臣ですから、こういった非常に重要な、特にこの予算委員会最大の焦点になっている賃上げにかかわるこの確報を、発表の当日に知るなんということはあり得ないと思うんですね。

 ちなみに、大臣、では、これは事務方はいつ知ったんですか。

田村国務大臣 事務方は作業をやっている人間がいますから、作業をやっている人間は当然数字をいじりながら見ていますから、それは事務方は、最後の確定値、これが確たる確定値だというのは最後の計算が出るまでわかりませんが、その間の中において、ああ、パート労働者が最後やはりふえてきているな、そうすると、パート労働者が入ると一人当たりは下がるなということは推測はしていたかもわかりませんが、事務方はそのような仕事の過程の中において認識はしていたと思いますよ。

柚木委員 ということは、事務方は、二月十七日、山井委員の質問は十一時だったと思いますが、安倍総理がそうやって答弁をされていた時点で、既にこの重要な数値、ファクトを知っていらっしゃったわけですね。

 これは、もちろん非正規含めてのるるの説明は、十七日の予算委員会のやりとりは私も承知していますよ。しかし、全体としての平均賃金が上がっているというのと下がっているというのでは全然違うわけでありまして、この下がっているということを事務方が十七日の集中審議の段階で知っていて、そのことをそもそも大臣あるいは総理にすら報告をしていないというのは、これは事実上隠蔽じゃないですか、大臣。

 では、これは、結果的に、二月十七日の安倍総理の答弁で言及されているわけですよ、勤労者一人当たりの平均賃金、名目で若干のプラスと。この答弁が事実上違っていたということになりますから、これは、あした、テレビ中継入りで質疑がなされるんでしょうかね、安倍総理に、ぜひこの予算委員会の場で、国民の皆さんに伝わる形で、つまりテレビ中継の中で、答弁が間違っていた、このことをぜひ、これは、委員長、ここで答弁をいただきたいと思います。

 予算委員会の非常に重要な、重要というか最大の論点である賃上げの問題に直結をするこの確報値が間違って国民の皆さんに伝わっている今の状況を、これは訂正していただくということが必要だと思いますので、委員長、これはぜひこの場で総理に訂正をいただきたいと思うので、いかがでしょうか。

林(幹)委員長代理 後刻、理事会にて協議いたします。

柚木委員 理事会で協議じゃなくて、これをしっかりとまず言っていただけるかどうかが、この後の派遣法の議論も含めて非常に重要なんですよ。その前提に立つか立たないかによって、今後、質疑が、内容が、そもそも二月十七日のやりとりだって、この確報値がプラスだったかマイナスだったかによって内容も全然変わってくるわけですよね。

 そうでなくとも、派遣労働法改正、これが行われれば、総理は派遣労働者の方がふえるとは考えていない、そういうふうに答弁をされている中で、これは実質的には当然ふえることが想定をされる。しかも、今、田村大臣が御答弁でおっしゃったように、そもそもこの平均賃金減少の要因の一つもパート労働者の増加にあるということは、さらに実質賃金も名目賃金も押し下げる、そういう影響を与える法律改正の議論の前提となるこの賃金調査が、プラス、マイナスというものが違っていたということ。

 これは、大臣、まずここで、所管の大臣として、事務方が十七日の委員会の質疑の段階で既に知っておられたにもかかわらず、そのことを所管の……(発言する者あり)いや、知っていると今大臣が答弁されたわけですから、知っていたにもかかわらず、大臣が十七日の審議の中で、事実上、結果として違っていたことを御答弁、田村大臣もされているんですよ。そのことに対して、ここで訂正なりあるいは謝罪なりされるべきじゃないですか。

田村国務大臣 柚木委員、あなた、ちょっとひどいですよ。私、認めていないですよ。

 作業をしている最中に、パート労働の賃金表が多いなということは、それは見ていれば推測でわかるけれども、確定値が出るまで、作業は一人でやっているんじゃないですよ、いろいろな人数でやっているんですよ、確定値が出るまで、そんな数字を政治家に出せるわけがないじゃないですか。当たり前です。そんな無責任なことを役人がやれますか。できないでしょう、そんなことを。

 ましてや、総理が、そんな数字を私も総理も知っていて、まさか、うその答弁をやって、後からこうやってたたかれるようなことをやりますか。あり得るわけがないじゃないですか、そんなこと。常識で考えてくださいよ。

柚木委員 今、大事な答弁をされたんですね。

 パート労働者が多いということは、当然、二月十七日の総理の御答弁や田村大臣の御答弁もそういったことを前提に、これはまさに通年でしっかり見てくださいよと安倍総理御自身もおっしゃり、そして、平均賃金が名目で若干プラスということを国民の皆さんが注視されている予算委員会のテレビ中継の中でおっしゃる、その前提として、パート労働者がふえているということは、実際に名目上もプラスになるかマイナスになるか、まだこれは確定していないということも含めた答弁をされるのが誠実な答弁だ。違うんですか、大臣。

田村国務大臣 いや、ですから、速報値を答えているのであって、確定値は出ていないんですから。その日にならないと確定値は出てこないんですよ。ですから、そのような意味で総理は今ある数字をおっしゃったわけであって、確定値が出てきたら、それは確定値の数字が今事実としてあるわけであります。

 ただ、先ほど来言っておりますとおり、いいですか、パート労働者も時間給では、〇・二%、実質上がっているんです、今回の数字を入れても上がっているんですよ。ですから、賃金は実質的にはそのような対比の仕方をすれば上がっているということを総理は趣旨としておっしゃられたんだというふうに私は思いますよ。

柚木委員 済みません、もう一遍伺いますけれども、二月十七日の時点で、これは事務方が知っていて、そしてパート労働が多いなというようなことも含めて、これは大臣の耳には、何にもその集計状況は耳に入っていなかったんですか。

田村国務大臣 私も熱くなっている方がちょっと恥ずかしくなりましたけれども、正直申し上げて、事務方の作業を一々大臣が、今どこまでいっているんだなんて、しかも、予算委員会をやっているわけですよね、私も。ここにいたわけじゃないですか。それは、そこまで事細かくは我々やりません。確定値が来るのを待って、それを見た上で、その上でどう対応するかという話でありますから、我々は粛々と、確定値を事務方が出すのを待っておるわけでございます。

柚木委員 ぜひ大臣、私も誠実にお尋ねしているつもりですから、そこは誠実にお答えいただきたいんですね。

 二月の十八日に夕刊に載るということは、もう午後の時間で発表会見されているわけですが、では、その二月十八日に公表する、発表するということはいつ知ったんですか。

田村国務大臣 十八日に発表するというのは既定の話でございますから、そういう流れの中で発表したものだというふうに思いますよ。

柚木委員 その数値がそもそも二月十八日に発表される前段に当然確定しているわけですから、これは、確定値、いつ大臣は知られたんですか。

田村国務大臣 公表の時期は決まっているわけですよね。それ以前に、その数字をいかに総理大臣としても言えば、いろいろな市場にも影響を与えるわけで、そうしたらもうインサイダーみたいな話になっちゃうわけでしょう、それは。大変なことですよ。言えるわけがないじゃないですか。

柚木委員 済みません、質問は、田村大臣が、この二月十八日に発表された、三年連続減少、過去最低記録更新という、この確報値を知ったのはいつなんですかということを質問しているんですよ。

 答えられないんだったらとめてくださいよ。

田村国務大臣 昨日ですね。

柚木委員 これは、昨日、二月十八日に発表することを二月十八日に知ったという今御答弁だったわけですよね。

 これは、何で、私自身が……(発言する者あり)私も質問したいんですけれども、ここは重要なところなんで。十七日に総理がおっしゃったことと十八日に発表されたことが真逆なわけですから……(発言する者あり)たまたまであろうがどうであろうが、これは重大なことなんですよ。

 この違ったということに対しては、あしたの総理御自身の御答弁の中でしっかりと明確に、だって、民主党政権よりも賃金が上がったとあれだけ何度もおっしゃっているわけですから、これが実際には三年連続減少、過去最低を更新ということになっているわけですから、それについては、明確に訂正、あるいはやはり謝罪されるべきじゃないですか。

 委員長、そういうことをここでちゃんとおっしゃっていただけるということをまずちょっと確認していただいた上で、質疑に入らせてください。

林(幹)委員長代理 あした、総理に質問して、それに答えていただければそれでいいんじゃないですか。

 柚木さん、どうぞ。柚木さん、どうぞ。質疑者、どうぞ。時間がなくなりますから、どうぞ質問を続けてください。(柚木委員「とめてくださいよ、ちゃんと」と呼ぶ)だから、総理にまた質問してくださいよ、あした答えますから、そうすれば。それでいいじゃないですか。

 質疑を続行します。どうぞ。(柚木委員「ちょっと今、理事がやりとりしているんですから、やってくださいよ」と呼ぶ)いやいや、どうぞ。私は今、委員長として答えているんですから。(柚木委員「委員長、ちょっと筆頭理事間でちゃんとやってください、それは。あした総理がちゃんとそういうふうにおっしゃっていただくということでなければできませんので」と呼ぶ)ですから、総理に質問していただいて、そして答えていただきましょう。どうぞ質疑してください。柚木さん、どうぞ質疑してください。(発言する者あり)

 では、ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

林(幹)委員長代理 それでは、速記を起こしてください。

 質疑を続行します。柚木君。

柚木委員 私も質問をしっかり用意してきているわけですが、やはりこの前提となる賃金の増減が、減少しているという前提に立って派遣労働法の話をするのと、上がっているという前提に立つのと、また全く変わるわけですから、そこはしっかり……(発言する者あり)統計に怒るじゃなくて、統計を発表される、管理、所管の主体である厚生労働省あるいは大臣に対して、これはしっかり、こういう重要な予算委員会の、もうこれは公聴会を開く開かないの話も出ているわけでしょう。

 そういう中で、このファクトがプラスかマイナスかというのは非常に重要な問題だと思いますよ。(発言する者あり)統計というのは国民生活に直結するわけですから。数字じゃなしに生身の人間の生活なわけですから。これが三年連続減少、安倍総理は、民主党政権時代よりは賃金が上がったとあれだけ何度も繰り返しておっしゃっていましたが、結果として三年連続減少かつ過去最低値を更新しているわけですから。

 こういう中で、これは派遣労働法が……(発言する者あり)説明すればいいという話だけれども、そのファクトに対しての影響に結果責任を持つのが政治だと思いますので。今後、派遣法が改正されて、まさに三分の一が今非正規雇用で、ワーキングプアと言われる方が一千万人という状況がさらに助長されて、それこそ御結婚もできないとか子育てもできないとか、こういう状況が加速していけば、国の経済、財政も本当に危機的な状況になるという危機感のもとで、この質疑をさせていただいているわけですから。前提条件が異なれば議論も変わるのは当たり前ですから、そこは丁寧にやらせていただかなきゃいけないと思うんですね。(発言する者あり)私はあしたはちょっと質疑じゃないもので、この場面に全てをかけているんです。

 それで、私は、安倍総理が、派遣をふやすべきだとは全く考えていないと、ふやすべきとは考えていないということを二度繰り返して言われたわけで、これは非常に重要な御認識だと思うんですよ。実際に、では、結果ふえたらどういう責任をとるんだ、あるいは、ワーキングプアと言われる方が、本当にもう御結婚とか育児とか成り立たないという切実な声、六〇%の方が正社員として働きたい、そう思っているのにもかかわらずそうなっていない、その動向がさらに加速するような、こういう法改正をこれから行おうとしている。

 しかも、十七日に、田村大臣、答弁で、派遣元の労働者への雇用安定措置、こういったものがあるから大丈夫だというようなことをまさに山井委員とのやりとりで言われたわけですが、この安定化措置四項目についても、私は全く実効性が担保されていないと思うんですね。

 これは、私は資料の一にもおつけをしておりますが、この安定化四項目、派遣労働者のまさに直接雇用、派遣元から派遣先への直接雇用の依頼、例えば四項目のうちの一つだけで、依頼をしただけでもこれは措置をしたというふうにもなります、結果的に直接雇用にならなくても。

 あるいは、項目の中に、そういった就業機会を与えるということもありますが、しかし、例えば、いろいろなキャリアプランや就業訓練メニューも、内閣府の取り組みも私も承知していますよ、こういったものをやっても、例えば、エンジニアの方がそういう技能を発揮できるような仕事ではなくて、私も学生時代、本当に勤労学生で、アルバイトをしながら学費、生活費をやりくりしました。こういう仕事も、いろいろな派遣労働もやりました。しかし、エンジニアの方が例えば荷物の運搬とかそういう就業機会を提供されても、それが専門性を発揮することにはならないわけです。

 しかし、そういったことを、機会を提供したということでこれは措置を講じたということにもなりますし、そもそも、この四つのうちの一つをやっただけで措置を講じたということになるのであれば、言えばいいだけの話になりますので、全く雇用安定化の実効性が担保されていないと思うんですね。

 ですから、例えば、この四項目の実効性を担保していく上で、そのいずれも、これができなかったらこれをやる、これができなかったらこれをやる、そしてそのことを法律に明記する、こういうことぐらいやらなければ、これは実効性が担保されないと思うわけですが、大臣、いかがですか。

田村国務大臣 もう時間でございますので、短く申し上げますが、総理がおっしゃられたのは、不本意な派遣、つまり、御本人が本来は正規で働きたいけれども、今現状、派遣で働いておられるという方々がやはり減っていかなきゃならない、そういう意味合いで、まさに……(発言する者あり)いや、これは言っています、議事録読んでください。言うなれば、今回の派遣法は、そういうようなキャリアアップも含めたようなメニューをいろいろ入れさせていただいておるということであります。

 それと、派遣がふえるかふえないか。これは、パートが今ふえているのも、景気がよくなってきたからなんです。雇用がふえてきているからそうなので、ですから、派遣も、単純には比較できません、景気がよくなれば派遣もふえると思います。

 そういうようないろいろな要素がございますから、これから起こってくる現象をしっかりと我々も分析して、やはり派遣じゃなくて正規で働きたいという方々は正規になれるような、そんな政策をこれからも進めてまいりたいと思います。

柚木委員 終わりますが、この委員会で、均等待遇なくして賃金格差の拡大は歯どめがかかりませんから、世界の主要国は、年功制を導入している韓国も含めて、均等待遇を導入しているわけですから、これが均衡のままでは格差が拡大して、それこそ御結婚、出産、育児も成り立たないような貧困社会日本になりかねませんから、この点について、また委員会等を通じてしっかりと議論させていただきたいと思います。

 以上で終わります。

林(幹)委員長代理 これにて柚木君の質疑は終了いたしました。

 次に、小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也でございます。

 田村大臣、今の柚木さんの指摘ですが、速報値と確定値が一日違いで、その前日に重要な節目があるのであれば、少し含みを持たせた答弁、あるいはいろいろな状況があり得るという形での答弁が、国会に対して、国民に対して誠意ある答弁じゃないかという趣旨だと思いますよ。知っていた、知らないじゃなくて、重大な数字の発表の前に。

 いずれにしたって、賃金上昇も、株価も、為替も、成長率も、近隣外交も、ことしはアベノミクス、安倍政権にとって正念場の一年だと思いますよ。ちょっと緩んでいるように感じます。野党に対して向かっているんじゃない、国民に対して向かっているんだ、そういう前提でぜひ答弁をお願いしたい。いや、結構です。

 私は、きょう、せっかくお時間をいただいたので、ちょっと……(発言する者あり)いや、全般的にそういう趣旨。

 それで、この間、ちょっと気になる、もちろん支持率高いですよ、お見事。これは、野党、私どものふがいなさのあらわれでもある。その前提でお聞きしたいと思いますが、まず一つ目の懸念は、当然、歴史観を含めた外交問題であります。

 岸田外務大臣、昨年の閣僚の靖国参拝に関して私はお尋ね申し上げました。その折に、大臣はこう御答弁されました。これは私人としての立場で行っているものだと思う、私としては安倍内閣の外務大臣として適切に対応していきたいというお考えでありました。

 これは、総理大臣についても同様ですか。大臣のお考えをお聞かせください。

岸田国務大臣 済みません、総理大臣としても同じですかという御質問……(小川委員「私人として」と呼ぶ)はい。

 まず、安倍総理の靖国参拝につきましては、総理自身、談話という形で、その真意、考え方、説明をされておられます。国のためにとうとい命を犠牲にされた方々に対しまして、国のリーダーとして尊崇の念を示す、さらには、不戦の誓いを行うために参拝をした、こういった思いを談話という形で表明をされておられます。

 まず、私、外務大臣の立場としましては、総理の参拝の真意、これは国際社会に対してしっかりと説明をしなければならないと思っています。そして、あわせて、外務大臣としましては、我が国の外交政策あるいは歴史認識、これは従来と全く変わっていないということもしっかり強調しなければならないと考えておりますし、あわせて、我が国は、戦後六十九年にわたりまして、自由や民主主義、あるいは法の支配、こういった理念を大切にし、平和国家として歩んできました。この平和国家としての歩み、これも変わらない。こういった点をしっかりと説明するのが外務大臣としての役割だと考えております。

 そういった形でしっかり職責を果たしていきたいと考えております。

小川委員 ありがとうございました。

 これは昨年のことですが、まだ尾を引いているというふうに私は受けとめております。一昨日のワシントン・ポストですか、日本が挑発的な行動をとっているというように報じられているようであります。

 日本の外交、あるいは日本という国の諸外国からの見られ方に対して、相当これは、安倍政権、安倍総理御自身が思っている感覚と乖離がある。その乖離に対して無頓着なんじゃないかと思われている。私は、そこが最大の問題だというふうに感じています。これは、かつては中韓との間でしたが、現在は、アメリカからヨーロッパ、台湾を含めて、世界的な広がりを持つ可能性がある。そういう意味でもことしは正念場だと申し上げたい。

 麻生副総理、経験豊かな大ベテランとして、国内第一級の政治家としての御見識をお聞きしたいわけですが、私は、総理がどう思われようと、それは総理のお考えだから、野党としては対峙しますが、総理のお考えが一方にあるということは、これはこれで理解したいと思います。

 しかし、より危惧をしていますのは、例えば靖国参拝について言っても、世論は二分しているんですよね。国内の世論は二分しています。よく、メディアを通じて、例えば右傾化しているとか、そういうことも言われがちです。

 そして、この間の東京都知事選挙も、田母神候補、特異な主張をしておられた候補だと私はお見受けしましたが、相当数の得票を得、なおかつ、中身を見ますと、二十代が半分近く投票している。この世論の一定の支持があるということを、大変私は不気味に、懸念し、心配しています。

 これは国内の構造問題として私は捉えるべきだと思っているわけですが、副総理は現在のこの状況をどういうふうに受けとめておられるか、少し御見識をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 不気味という言葉を訂正されるつもりはありませんね。そのまま、不気味と思っておられる言葉を訂正されるつもりはありませんね。ああ、そう。

 私は、不気味には感じませんでした。

小川委員 それならそれで結構です。

 私は、これは世界的な傾向だと思うんですよ。例えば、ヨーロッパでの移民排斥のようなことも起きたりします。排外主義的な考え方、対外強硬論。アメリカでも、茶会、ティーパーティーのような運動がある。

 為政者としては、こういう風潮、空気に対しては、これは国内の構造問題であり、そこから出てくる閉塞感、これが外に対してはけ口を求めているというふうに捉えるセンサーといいますか、賢明さといいますか、そういうものがないと非常にこの国の運営を危うくするという立場から私は危惧しているわけであります。できればそういう御見識をお聞きしたかったわけでありますが、お得意の木で鼻をくくったような御答弁をいただいて、大変残念であります。

 きょうはちょっと限られた時間ですので、また追って外務委員会等でこの議論はさせていただきたいと思います。

 岸田大臣、どうぞ、お忙しいでしょうから、御退室いただいて結構です。

 この外交姿勢、また歴史観の問題が大きな一点。

 それから、もう一点。きょうは、大変お忙しい中、日銀総裁、黒田総裁、お越しいただきまして、ありがとうございました。

 アベノミクスの最大の看板であります大胆な金融緩和、念のため申し上げますが、私は賛成の立場であります。むしろ、日銀はこれまで非常に保守的な態度をとり過ぎたという評価でおります。

 しかし、一方で、物事にはいい面もあれば、当然、反作用、副作用もある。その観点からお聞きしたいと思いますが、黒田総裁がおっしゃっている、二年で二倍、二%、マネタリーベースと、それから二年の期限と名目での物価上昇率、これはこれでいいと思います。これは、当然のことながら、国内の金利水準が二%内外になるということを前提としていますね。お答えください。

黒田参考人 御指摘の点は、極めて重要なポイントだと思います。

 一般的に申し上げまして、名目長期金利というのは、やはり先行きの経済、物価動向、具体的に言えば名目成長率、そういうものに関する見通しに、国債を保有することに伴うリスクプレミアムを加えたところで決まってくるというのが理論的に言われているところでございます。

 したがいまして、経済、物価情勢の改善に伴って、名目長期金利も上昇していこうという圧力が加わってくるということは確かでございます。

 ただ、一方で、日本銀行としては、現在の量的・質的金融緩和を強力に進めることによって、このリスクプレミアムを圧縮して、経済、物価情勢の改善に伴って生ずる金利上昇圧力を抑制している。そういう形を通じて、経済の活性化、そして、二年程度を念頭に置いて、できるだけ早期に二%の物価安定の目標を実現したいと考えております。

小川委員 お尋ねに直接お答えいただきたいんですが、過去を見ても、大抵、金利水準と名目の成長率というのは、多少短期的には乱高下があっても、ほぼ符合していますよね。

 名目で二%を目指すということは、金利は二%内外で推移するんですよ。恐らく、貸出金利は、住宅ローンで三から四、事業性の資金は四から五だ、そのあたりを射程に置いて経済、財政、金融運営をしていくという腹がないと、黒田金融緩和は絵に描いた餅ですよ。

 そこで、麻生副総理、ちょっとお聞きしたいんですが、金利が二%上昇すると、日本国の財政負担、利払いはどう変化するんですか。お聞かせください。

麻生国務大臣 現実問題、国家の利払い費は大幅にふえます。

小川委員 そのとおりです。

 これは、麻生副総理御自身が示された、二十六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算です。御自身が示された。この中に、こういう記述があります。この後、もし二%金利が上がったら、利払い費の増は一年で三兆円です。一年でですよ。

 御存じのとおり、七、八百兆から最大で一千兆と言われている債務ですから、十年程度かけて借りかえが終わります。そうすると、二%上がると、一年で三兆、十年で三十兆。現在支払っている利払い費十兆を加えれば、十年後には、アベノミクス、黒田金融緩和によって、日本財政の利払い費は四十兆に至る。これを前提にお考えいただいているのかどうか。

 念のため申し上げますが、プライマリーバランスの計算、将来にわたって推計しています。昨年閣議決定された骨太方針、二〇二〇年度にプライマリーバランスを黒字化するという目標を閣議決定しています。しかし、この後年度への影響試算、どの推計を見ても、全て、基礎的財政収支、プライマリーバランスは二〇年度まで十兆円前後の赤字ですよ。これは、消費税を一〇%に引き上げることを含めてそうだ。そういう状況。

 黒田総裁、最後に御答弁いただきたい。

 申し上げているように、黒田金融緩和は、確かに私は前向きに評価しています。しかし、御就任直後の金利の乱高下で少しあたふたされましたよね。そういうことも含めて、これは相当な腹がないと、絵に描いた餅ですよ。

 その上で、ちょっと御答弁いただきたい。

 前の白川総裁は、ちょっと前任者のことを申し上げるのも気が引けるところがありますが、非常に金融緩和に対しては慎重だった。しかし、一方で、日銀総裁として、政府に対して盛んに構造改革を促すメッセージがあった。

 黒田総裁、例えば、昨年の秋のニューヨークでの講演、議事録を拝見しました。欠けているのは、デフレ下の閉塞感で失われた自分たちは成功できるのだという自信、アニマルスピリッツ、前向きな気持ちですと。それはそうでしょう。しかし、そんな気持ちや気分で日本が抱えている構造問題を解決できるほど状況は甘くないでしょう。

 総裁として、金融緩和と構造改革は車の両輪だ、政府に対して、しっかりやってもらわないと困るということをおっしゃっていただきたい。いかがですか。

黒田参考人 御指摘のとおり、日本経済が再生し、デフレを脱却するためには、さまざまな政策が必要でございます。

 特に、十五年にわたってデフレが続いてきたということの背景には、さまざまな要因があったと思います。金融機関の不良債権の問題がありましたし、新興国からの安い輸入品がふえたということもありますし、円高の進行ということもありましたが、これらはいずれも、デフレの原因がそれぞれのときにあったということであって、物価の安定を確保するという責務は、どこの国でも、やはり中央銀行にあると思います。

 こうした認識のもとに、日本銀行は、量的・質的金融緩和を着実に進め、みずからの責任において、二%の物価安定目標の早期実現に全力を尽くす所存でございます。

 また一方、御指摘のように、構造改革が日本経済の再生にとって極めて重要不可欠ということもそのとおりでございまして、政府において、成長力強化のための政策として、日本再興戦略の実行を加速し、強化する方針ということを示しておられますが、こうした成長戦略によって企業あるいは家計の成長期待を引き上げていくということによって、よりスムーズに物価安定の目標を達成することができるのではないかというふうに考えておりまして、ぜひ、政府において引き続き強力に成長戦略を進めていただきたい、構造改革を進めていただきたいというふうに思います。

小川委員 ありがとうございました。

 引き続き、金融緩和に余りにも着目が集まってきただけに、そういう風潮が一年支配した面があろうかと思いますが、やはり中央銀行と政府の間に一定の協力関係と緊張関係、これをぜひ持っていただきながら、車の両輪としていい仕事をしていただきたい。そのことを重ねて申し上げたいと思います。

 どうぞ、総裁、お忙しいでしょうから、御退室ください。ありがとうございました。

 さて、残りの限られた時間ですが、その構造改革についてお尋ねいたしたいと思います。

 これは、去年の六月に発表された日本再興戦略であります。

 きょうは、あえて経産大臣にはお越しいただいておりません。

 もちろん、ここにありますような法人税の改革や、あるいは企業のイノベーション、民間投資の促進、そして医療を初めとしたさまざまな基盤づくり、これはどれ一つとっても重要でしょう。しかし、この間日本が抱えてきた構造問題に太刀打ちできるほどの深みなり、厚みなり、鋭さがあるとはとても思えない。市場含めて、内外から、安倍政権の第三の矢、成長戦略に対する評価は決して高くない、むしろ低い。そのことは自覚されていると思うんですね。

 それで、きょう、委員長にお許しいただいて資料をお配りさせていただきました。これは、私自身の問題意識でかねてから予算委員会で指摘している点なので、少し問題提起させてください。

 資料の一枚目は、この間、高齢化率が上昇していることは皆様御存じのとおりだと思います。人口構成が変わってきている。おまけに総人口も減少局面に入った。一番上の数字は、社会保障給付費の総額の増大です。これに対して、二番目のグラフは、社会保険料収入の推移です。そうすると、これは当然ですよね、高齢化によって、年金受給世代を初めとした先輩方の数がふえている。一方、現役世代はむしろ減少傾向に入っている。保険料負担で賄えない部分が、ごらんのとおり、その乖離、格差、差額が拡大する一方です。

 そして、興味深いわけですが、上から三番目、その差額をとったグラフと、年々の国債発行額は、極めて近似した、相関した関係にある。これが、私自身がかねてから問題視していたこの国の構造であります。

 なぜここに着目するか、もう少し補足します。

 確かに、企業立地対策あるいは法人税、さまざまな経済刺激策は必要でしょう。しかし、例えば、安倍政権の大きな成果の一つだと思いますが、東京オリンピックの招致、直接投資でいえば、五年で一兆円前後と言われています。久々に日本人にとって夢のプロジェクト、リニアモーターカー、十年で五兆円ですよ。しかし、年金の支給額は一年で五十兆です。医療費は年間四十兆。介護まで含めて百兆というボリュームがあります。

 もう少し申し上げます。

 年金の受給者は、受け取った年金は半分ぐらい貯金に回っていると言われています。金融資産はほとんど高齢者が持っている。今の時代ですから、九十代でその方々がお亡くなりになられ七十代で相続する、老老相続ということも言われている。

 一方、この負担、現役世代と企業。法人減税が議論されていますが、法人税は総額でも八兆円です。企業の社会保険料は三十兆です、これは赤字企業も含めて。事業主負担に耐えられなくなった会社は正規雇用を諦め、大量に非正規雇用という不安定な形態が発生している。そして、それは直ちに、結婚、出産、子供の教育、家族生活、安定的な家庭生活を営むことを妨げている。総じて日本の国力をさらに低下させる悪循環を生み出している。

 そうすると、どうでしょう、日本のこの高齢化率の上昇、そして人口構成の激変は、社会保障構造に大変な激変を迫り、それは直ちに財政構造をいびつなものとし、そして、社会の持続可能性、若い人たちの将来に対する見通し、こうしたものを総じて奪っているというふうに私は見ているわけです。

 もう一枚を見ていただきたい。二ページ。

 ちょっと見にくい表で恐縮なんですが、実は、高齢化率の上昇、現在、二〇一〇年前後で、御存じのとおり二五%と言われています。これがさらに上昇を続け、最終的に、二〇五〇年前後に四〇%に到達します。その後、極めて高位ですが、四〇%で安定する、高位安定するということが想定されている。

 であれば、最大の経済政策、社会改革、二〇五〇年、高齢化率が四〇%に到達するその時点で、どういう社会保障制度、国民負担、経済構造、資金循環を国民はイメージできるのか、それを示すことが一番の特効薬じゃないかというふうに感じています。

 田村大臣にお聞きしますが、この二〇五〇年ごろの人口構成、人口総量を前提とした年金、医療、介護、この社会保障の絵姿、国民負担率はどういう姿になるとお考えですか。

田村国務大臣 二〇五〇年、これは高齢化のピークですね、要するに、比率としては。ですが、我々は、二〇二五年というのを今回一つ目標に据えさせていただきました。

 なぜ二〇二五年かといいますと、もちろん高齢者というのは今六十五歳以上という定義なんですが、やはり七十五歳という一つの、ピリオドといいますか期間の中において、六十五から七十五、七十五以上というのは、明確に、社会保障にかかる、特に医療、介護にかかる費用というのは変わってくるわけですね。

 ましてや、今、平均寿命が延びて、高齢者の方々も比較的お元気でありますから、そういう意味では、今般、生涯現役社会というものを目指して、高齢者の方々にもいろいろなお力をおかしいただこうという中において、二〇二五年という、それでも、七十五歳になれば、かなり加齢の中において、身体的機能も低下してこられる中において、医療費やいろいろなものがかかってくるだろうということで、そこに目途を置かせていただいた。

 それはまさに、団塊の世代が七十五歳になって、非常にそこの比率が多くなる。五人に一人近くが七十五歳になるというところで社会的な大きな構造変化が起こるであろうということで目途を据えさせていただきました。

 今の観点からいえば、年金だけは、これは百年という一つの期間の中において需給のバランスをとっておるものでありますから、そのような形で今も財政検証をしておるわけでありますが、医療と介護は、人口構成のバランス、それからあとは医療の高度化というものはなかなか見据えられないというところもございまして、二〇五〇年、残念ながら、そこに向かっての絵姿までは今回は描かせていただかなかったということでありますが、二〇二五年に行く過程において、おっしゃられるとおり、今度はその先を一つ目途に据えながら、医療と介護の絵姿というものをしっかり考えていかなければならないというふうに思っております。

    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕

小川委員 誠意ある御答弁、ありがとうございます。

 確かにそういう要因があるんですよね。医療なんかは難しいと思います。しかし、過去の伸ばし方を拝見していると、やはり半分ぐらい高齢化要因ですよ。もう半分が高度化要因。ですから、おっしゃることはよくわかります。私も事前のレクチャーの中で事務方からそういう説明を受けました。

 しかし、やはり本気で取り組めば、マクロ分析というのはできると思う。そこから逆算して、どういう合理化が必要か、国民負担はどの水準かという展望を見せないと、日本国民にとって、将来を見通せないという状態は今後何十年も続く、そのことは改めて御指摘し、最後になります。

 ことしは年金財政の再計算の年ですね。過去を見ますと、十六年が二月の十日、二十一年が二月の二十三日に公表しておられます。ことしはいつごろ公表するのか。そして、過去、これは悪評高かったと思います。百年安心年金と言われたが、未納率を実際には四割あるのを二割に割り落とし、運用利回りは四%、賃金の上昇率は三%近い、こんな前提を置くことは今回はあり得ないと思いますが、その二点、御答弁いただいて、終えたいと思います。

田村国務大臣 財政検証の結果どういうような数字が出てくるかというのは、やはり国民会議というものがございまして、今回、その報告を受けた上でのいろいろなシミュレーション、そういうものをオプションで表に出すということもありますので、若干今までよりかは時間がかかっております。データも、アベノミクスの影響で、今まで使っていたデータよりもちょっと遅目のデータを使っているというようなこともございますので。しかし、遅滞なく、これは結果が出たら公表させていただきたいと思います。

 それから、目標でありますが、これも委員はよく御承知ですから、例えば運用目標利回り四・一%というのも、実は名目賃金上昇率とのスプレッドが重要であって、それはこの十年間でもクリアしておりますから、そういう意味では問題ないわけであります。

 それからまた、もちろん、国民年金の未納率、これに関しましても、いろいろと問題がありますが、未納者に関しては、年金がもらえませんから、もちろん生活保護に行っちゃうとそこはコストがかかるんですが、財政的にはそれほど影響がないわけでありますが、しかし、やはり近い数字を出すのは我々の役割でございますから、そこはしっかりとこれからの経済等々の状況を予測しながら、正確に近い、そういう数字を我々としては示してまいりたい、このように思っております。

小川委員 不都合なことも含めて、やはり誠意を持って真摯に国民に御説明いただくという姿勢でぜひ臨んでいただきたい、そのことをお願い申し上げまして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

二階委員長 これにて小川君の質疑は終了いたしました。

 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 質疑の前に、委員長、一言苦言を申さねばなりません。

 やはり予算委員会は、代々、歴代委員長、大変お疲れのお仕事であるとは存じますけれども、本当に短時間の離席のみで御苦労なされてきたというふうに記憶をしているところであります。いろいろと大変なこと、あろうかと思いますし、林理事も大変立派に進行なされておりましたけれども、どうかこれは、誠実な審議という意味では大変重たいお仕事であると思いますので、この委員長席での御執務にぜひ御協力をいただきたいというふうに思います。(発言する者あり)委員長に対しての発言です。

 ぜひ、そのことをお願い申し上げて、私の質疑に入らせていただきたいというふうに思います。

 きょう、私は、子育て支援の関係について、まず冒頭、触れさせていただきたいと思います。

 この子育て支援の分野については、三党における社会保障の合意の中でも、特に早い段階から三党合意が可能だったというふうに記憶をしております。そういった意味では、国難、国家的課題としての少子化対策ということに対して、自公民三党が政党の対立を乗り越えて合意に至ることができたというふうに思っておりますし、だからこそ、消費税引き上げに伴う子育て関連の財源の確保ということも早期に合意ができたというふうに思っております。

 その際には、今大臣をされている田村大臣にも大変お世話になりました。本当にありがとうございました。

 そしてまた、もう一つ申し述べたいのは、この子育て支援の分野については、政権交代がたびたび行われましたけれども、しかしながら、いい意味での切磋琢磨ができているというふうに思っております。

 時々、民主党政権のときの子育て支援についてどうこうとおっしゃられる方がありますけれども、考えてみれば、待機児童対策についても、民主党政権では、子ども・子育てビジョンという形で、一年間に五万人定員をふやしてトータルで二十万人の枠をつくっていくということに努力をしてまいりました。加速をさせていただきました。そこからさらに、現政権では四十万人ということで、私は、こういう倍々ゲームの競争は非常にいいことだというふうに思っております。

 そして、現に、民主党政権における保育所定員数なり入所者数というものについても、実際、その五万人計画に基づいて、過去の時代よりも倍近い実績を残すこともできましたので、一定の成果があったというふうに思っております。

 そういう中で、子ども・子育て会議が今開かれていて、来年度からいよいよ幾つかの基準についても明確になってくるということだと思いますが、私が幾つか懸念をしていることについてきょうは触れたいというふうに思っております。

 まず一つは、田村大臣にお伺いをしたいんですけれども、現在議論されているものの中で、過去は、保育所入所に関しては、保育に欠けるという人たちについて保育所の利用が可能であるということで仕切りをしてまいりました。その保育に欠けるという表現が古いということも含めて、考え方としては、保育の必要性という考え方に変わりまして、その中で幾つも議論をされています。

 例えば、これまでよく待機児童を抱えている家族から言われていたのは、就職しないと保育所に入れない、保育所に入らないと就職できない、こういう鶏と卵を何とか解決してほしいということで今議論がなされていて、これは、求職活動も含めて保育が必要である状態だとみなしていこう、こういう議論に進んでいることは大変前進だと思います。

 また、いわゆる就学ですね。これからは、生涯教育の時代も含めて、学校に行きながら、大学に行きながら、あるいは職業訓練校に行きながら保育所に子供を預けたいという場合には、今までなかなかできなかった、優先順位が後回しになっていたということについて、これも、就学というものが中に入るということで、大変方向性としては努力をされているというふうには思います。

 しかし、一方で、私は二つほどきょう取り上げたいと思うのは、今なお、都市部において都市伝説的にではなく実際に起こっていることとしてお伝えをしたいことは、まず一つ目は、同居の親族その他という言葉が徐々に広がって使われるようになってきていて、いつの間にやら、東京都の特に区内においては、近所に親が住んでいると点数化されて、親が近所なんだから子供の面倒を見られるでしょうということで保育所入所が後回しにされる、こういう事例が出てきている。実際に、それは幾つかの区に確認をしていただければと思いますが、そういう事例は幾つもございます。六十五歳以下の保護者が近所に住んでいる場合であれば後回しになってしまうというケースが運用上出てきているということがあります。

 これは、これまでの国の児童福祉法施行令二十七条というところにおいても、「同居の親族その他の者」と書いてあるものには、同居ではないので該当しないということであろうと思いますが、現にこういった事例が相次いでいて、このことについての懸念も寄せられております。

 改めてなんですが、大臣に確認をしたいのは、児童福祉法施行令二十七条に書いてある「同居の親族その他の者」というものの読み方ですね。同居の、親族やその他の者ということで、あくまで同居に限っての解釈の仕方なのか、それとも、同居の親族、その他の者ということで、同居以外の人たちも保育することができないと認められてきたのか、この解釈を、大臣、御説明ください。

田村国務大臣 泉委員の現実課題としての御認識だというふうに思います。

 今まで、保育に欠ける要件の中には、同居の親族及びその他が当該児童を保育できない場合、つまり、できる場合にはこれは保育に欠けるというふうにはならなかったわけでありますけれども、今般、一月、子ども・子育て会議の中でいろいろと基準を御議論いただく中においては、保育の必要性の認定の中においては、同居の親族その他がおられても、それは、御本人がそういうような申請、御本人自身が働かれておられる場合に関しましては、保育の必要性を認定しているわけであります。

 ただ、優先順位はこの中において置けるようになっておりますから、例えば、そのような形で必要性は認められていても、同居の親族がおる場合に関しては、優先順位としては、各自治体で早急性のある方の方に先に順番を回すということはあるわけであります。

 御指摘の点は、同居の親族、これは同居ですよね。近くに住んでいる親族はその他に入っているのかという部分に関しては、この文面においては、その他というのは、同居していない近くに住んでいる親族という意味ではないわけでございまして、そこだけ捉えて申し上げれば、そういうような形になっておるということでございます。

泉委員 これは、きのう厚労省からレクをいただいたときにも同様の解釈でありました。

 要は、児童福祉法施行令の二十七条においては、「同居の親族その他の者」というのは、あくまで、同居している者がいれば、それは保育に欠けるというような解釈ですよという話がありました。

 大臣、そういう意味では、やはり、これは既に私のところにも声として事実届いている声で、東京都の中の区内においては、近所に親が住んでいる場合では点数として下げられているという事例があります。これはぜひ調査をしていただきたいし、極端に言えば、これは法律違反だ、解釈の誤りだということになるんだと思うんですね。

 あくまで点数で優先順位を判断できるということを今回も、新制度における保育の必要性の事由のところで皆さんが引き続き使われている「同居の親族その他の者」という言葉は、あくまで同居している人がいればということですから、近所に住んでいる親族がいることによって点数が下げられるものではないということは明確にしなきゃいけないわけですね。

 同居している親族がいれば、それは点数上優先度を調整することが可能というのはよくわかります。同居の親族がいれば優先順位を勘案するのはわかる。しかし、同居ではない場合は、それは優先順位を調整するものには入らないということでよろしいですね。

田村国務大臣 これはちょっと実態を東京都の方にも確認をさせていただきたいと思いますが、法律上の内容は、要するに、同居の親族その他、その他は外しておきましょう、同居の親族がいても、本人が働いておられる、保育できないというような形であれば、今までは基本的には保育所に行けなかった、それが、行くことはできるという話の内容です。

 それと優先順位の話とはまた違う話でございまして、優先順位は、また各自治体で許されている範囲の中において優先はつけることはあろうかというふうに思います。

 でありますから、東京都がどういう形で優先順位をつけられておられるのか、区ですね、ちょっとこちらも実態を把握させていただいて、また委員の方に御報告をさせていただきたいと思います。

泉委員 改めてですが、同居の場合については、その同居という環境に配慮して優先順位としてはおくれてしまうというのは、これは私も理解しますし、それでいいと思います。今言ったように、同居ではなくて、近所に住んでいるケースで実際に後回しにされるケースがある。これは市町村の事由という話ではなくて、あくまで、その世帯としては単独で子育て世帯なわけですから、これは優先順位が調整の対象になってはいけないというふうに思いますので、そこをはっきりしていただきたいということがまず一点であります。

 続いて、もう一つですけれども、子供が新しく二人目、三人目生まれたときに、兄弟の年が近い場合だと、一人目の子供だとか二人目の子供が実際に園に、保育所に通っている可能性がありますね。保育所に子供が通っている段階で新しい子供が生まれて、それこそ安倍総理が進める育休三年みたいな話ですね。育休をとると、これまでだと、あなた、育休とっていますね、家にいますね、では、保育所から退所してくださいね、こういう状態が生まれていました。しかし、一人の子供を育てるのは大変、もちろん二人も三人も大変なわけですが、せっかく子供を産んだら、今通わせている子供まで引き揚げて、そして自分の家で育てなければいけない、ここに大きな問題があると言われてきました。

 ということで、今回のこの子ども・子育て会議の中でもそこについてもやはり検討の対象になりまして、これについては、今後の対応方針としては、基本的には、そういった退所については極力避けていく方向になりました。保護者の希望や地域における保育の実情を踏まえた上で、次年度に小学校入学を控えるなど、あるいは、保護者の健康状態などで継続入所を可能とするということになりました。

 この継続入所を可能にするという考え方そのものは、大変、一歩前進というふうに思っているんですが、ここにも、地域の保育の実情を踏まえた上でとか、市町村が継続入所を可能とすることができると書いてあって、やはり、新しく子供を産んだ家の御家庭が今通わせている子供を、保護者が希望しないにもかかわらず、もう一度、退所させなければいけない、こういう要素は残されてしまっているわけですね。これがあると、二人目、三人目を産もうということについてのブレーキはやはりかかってしまうと思うんですね。

 これは、やはりぐっとこらえて頑張って、この子ども・子育て会議の対応方針というのはありますけれども、しかし、現に保育所に子供を通わせていて、先生方とも仲間とも仲よくなってという子供さんを、後に、もう一度希望すれば優先利用の枠組みで対応しますとは確かに書いてあるんです。だけれども、そもそも都市部においては、一遍退所した途端に次の子供が入ってくる、こういう状態であることは明白なわけでして、一遍子供が退所したら、同じ園に戻れるなんというのは実際問題不可能じゃないですか。

 親が希望したのであればわかります。親が希望して、いいですよ、上の子供も家で一緒に育てますから構いませんよと言ったんだったら、それは退所させたらいい。しかし、一度保育所に通わせている子供を、あなた、新しい子供ができたでしょう、育休とったでしょうという理由で保育所を退所させるようなことがあったら、その余地を市町村に残したら、これは、残念ながら、市町村はそれを発動せざるを得ないんです、今の保育環境、待機児童の環境からいけば。そうでしょう。いっぱい並んでいます、ほかにも待っている人がいるんです、入れかわってください、こうなっちゃうわけですよ。

 まさにつらいところなんです、大臣。つらいところだけれども、頑張らないと、これはいつまでたっても、やはり二人目、三人目の大きな障壁、ハードルになりますよ。ここを大臣、どう考えますか。

田村国務大臣 今、泉委員がおっしゃられた、今も実は通知で、例えば、小学校に入る前のお子さん、そのお子さんの環境を考えて、お母さんが仮に新しい子供ができて家で子供の面倒を見ている場合でも、これはそのまま継続して入所ができる。それから、お母さんの健康状態等々で、やはり子供の環境上、保育所に上の子を預けた方がいいであろうと認められる場合は、もちろん保育所のあきの状態をというんですか、あいてなきゃいけないというわけじゃないんだと思うんですが、そこを勘案しながらできるとなっているわけでありますが、今般、これを省令に強化しようと。そこは各自治体に、今回省令にするわけですから、思いというもの、今回の精神というものは伝わるんだろうと思います。

 ただ、一方で、では、本当にぎゅうぎゅうで、待機児童のお子さん方がいっぱいおられる、そこと比べてどちらを自治体が優先するんだとなった場合に、確かに、二人目をつくらないという選択になるんじゃないかという声がある一方、余り待機児童がいっぱいいると一人目もつくらないというような話にもなるわけでありまして、そこはもう自治体の実情をやはり首長さん初め現場の方々がある程度把握しながら、最後はそこは御判断いただくということになるんだろうと思います。

 これはもうどちらもつらい話の中において、何よりも、しっかり保育所をつくってそういうことが起こらないようにするのが一番の解決策でございますので、それに向かって待機児童解消加速化プランを進めてまいりたい、このように思っております。

泉委員 今現在の対応方針において、一応、地域の実情を踏まえた上でということで二つの場合を書いて、その場合は継続入所を可能とすると書いてある。それが今大臣おっしゃったように、「次年度に小学校入学を控えるなど、」ということと、もう一つが「保護者の健康状態」あるいは「発達上環境の変化が好ましくないと考えられる場合」。それは、この文言があれば、誰しもそうだと言いますよ。私、何だったら診断書をとってきましょうかと、お母さんの気持ちだったら言いますよ。みんな、やはりそれは大変だと思うわけですから。

 ここで書いてあることの言葉の苦しさというのは、文字からにじみ出てきているものはありますが、大臣がおっしゃったように、まさにこれから、特に、イタチごっこの面もありますけれども、とにかく保育利用者数をふやせるような施設、さまざまな体系の子育て施設をつくっていかなきゃいけないというところにぜひ力を入れていただきたいというふうに思います。

 ともかく、できれば、私は、この二つ、一つは、同居親族における保育というのは、大臣、調査をしていただけるということでしたので、ぜひとも実態を確かめていただきたいということ、そして、育休をとった際の保育所退所ということについてはぜひ改めていただきたいということ、これをぜひ御努力いただきたいというふうに思います。

 そして、そういった意味で、さまざまな保育施設をふやしていかなきゃいけないという話なんですが、事業所内保育施設、このことについても、改めてですが、触れたいと思います。

 方向性としてはこれも正しくて、徐々に、平成二十七年からの地域型保育の中で、事業所内保育所として立ち上げたとしても、その事業所内保育所に柔軟に地域の子供たちを入所できるようにして、それを地域型保育で運営費給付をしていこう、この流れは我々もやってきたことですし、大変ありがたい、すばらしいというふうに思っております。

 一方で、これは厚生労働省内の行政事業レビューでそうなったと伺っておりますが、今の雇用保険から出ている事業所内保育施設のいわゆる補助金、運営費が五年間で切れるということになっています。その理由というのは、あくまでその事業所さんの福利厚生なんだから、一事業者に対して恩恵をずっと与えるわけにはいきません、こういう理由で、五年間で補助金が切られてしまうということになっております。立ち上げ資金だけは出しますよということになっている。

 ただ、大臣、一般の保育所は運営費を切られたらやっていけると思いますか。やっていけないですね。

 似た制度として、例えば病院内における保育施設というのもあるんです。これはまた制度が別建てでして、病院内保育施設に関しては、国そして都道府県で三分の一ずつ、そして事業者が三分の一ということで、運営費をずっと恒久的に見られるようになっているんですね。これは民間病院でもそうなんです。

 そういった意味では、もし、やはり雇用保険から出す以上はということがずっと事業所内託児所について回る話であれば、私は、これは、場合によっては、雇用保険から出さないで予算本体から出すという形も含めて変えなければいけないんじゃないのかなと。

 というのは、昨年、会計検査院からも厚生労働省は指摘を受けたわけですね。事業所内託児所に補助金を出したけれども、そのうちの約八十施設、八十一施設が休止もしくは廃止になって、補助金がかなり無駄になってしまったということが挙げられています。

 それは、会社の経営がうまくいかなくなったという理由もあれば、あるいは子供たちがいなくなってしまったという理由もありますが、いずれにせよ、制度が柔軟であれば、せっかくつくったその施設を、地域の子供たちを入れるような、入れやすいような形により変えていけばいいし、そして、入れた上で、いわゆる運営費が恒久的に入ってくるようになれば、やはり運営の継続というのはすごく可能になってくるんだと思います。

 国がつくられた加速化プランの中でも子供の割合の要件については緩和したということで、これもまた一歩前進だとは思うわけですけれども、もう一段頑張っていただきたいのは、五年年限で運営費が切られるということについて、私が言ったように、抜本的に雇用保険から別な財源でというのはかなり大きな話ですけれども、それ以外の方法も含めて、運営費が切られる保育所の運営というのは基本的には相当厳しいものだというふうに大臣も御認識だと思うので、ここの改善の検討をお願いできないかということがきょうのお願いであります。

田村国務大臣 以前は十年出ていたわけでありますけれども、今は五年ということであります。

 確かに、要件としては、過半数がその企業のお子さん、働いている方々のお子さんというのを、一人でいい、あとは地域の方々を受け入れていいというような要件緩和をしてきたんですが、なかなか、会計検査院の御指摘もいただきまして、どちらかというと、将来に向かって計画が立たない、つまり、受け入れ人数でありますとか企業の財政的な状況、こういうものを踏まえて、出てきても、支給決定のときに、危ないところは逆に決定しないというような方向で御指摘をいただいたのかなというふうに思います。

 もちろん、まだこの事業所内保育の制度は残るんですが、ただ、今委員おっしゃられたとおり、子ども・子育て新制度がスタートをします。そのときには、地域型給付という形で、給付施設という形で、今のような委員の問題意識がある中で、事業所内保育もこの給付の中に取り込もうじゃないかということでたしか議論させていただいた覚えがありますので、そちらの方を御選択いただいて、安定した運営費をしっかりと確保していただくという選択をとっていただくのも一つかというふうに思いますので、我々、きめ細かいいろいろな情報発信をしてまいりたい、このように思っております。

泉委員 そのほかにも扱いたい問題がありますので、次に移らせていただきます。

 下村大臣に、きょうお越しをいただいております。

 少し私も調べさせていただきました。この保育の関係でいうと、政府の加速化プランの中でも国有地の活用ということが述べられているわけですが、今、私の認識では、国有地の活用といった場合には、遊休地が主に考えられているんだと思うんです。

 しかし、田村大臣にも聞いていただきたいし、森大臣にも聞いていただきたいのは、遊休地の活用だけではなくて、やはり独法ですとかあるいは大学、ここはかなり広大な敷地を持っています。こういうところが、当然、組織としては日常業務は行っていただいたままで結構なんですが、その敷地内に保育施設を建設するということができないだろうかということなんですね。

 これは、現に大学でも幾つか、もう大学内に認可保育所というケースになっている。大学の職員さんの利用が主ですので、最初は認可外からスタートするわけですね。しかし、今の時代に、地域貢献だということも含めて、それを認可に切りかえていくところも出てきているということでいうと、もっと、各大学に対して、あなたの大学の敷地を活用できないか、活用してくれ、こういう要請、提案を下村大臣にはぜひしていただきたいというふうに思うんですね。

 ちょっと調べますと、国立大学八十六大学のうち、保育施設を設置している大学は四十九大学であります。まだ五七%。公立大学八十二大学のうち、保育施設を設置している大学は十大学であります。もちろん、地方の大学もありますから、そこまで必要ないよというところもあるんですが、首都圏、都市部の大学でも、残念ながら、保育施設が設置されていないところもありますし、もっと言えば、地域開放型の保育施設については、まだ少ないという現状があります。

 大学というのは非常に環境もいいところでありますので、恐らく人気も高い場所になるのではないのかなと思いますし、教育大学というのは、附属幼稚園はいっぱい持っているんですが、保育所は持っていないんですね。これは、幼保の最近の流れからいっても、家庭科の教員資格を取ろうと思えば保育実習というものも当然あるわけでありますし、横浜国立大学の例でいくと、学内に保育施設をつくった結果、その実習が学内でできるようになって大変よかったというお話も伺っております。

 ぜひそういうことを進めていっていただきたいということについて、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

下村国務大臣 御指摘がありましたように、国立大学における保育施設の設置状況ですが、八十六大学のうち、文科省の調査では五十大学ということでございます。そのうち、地域住民を受け入れている施設を有する大学が十一大学ということで、さらにこれを拡大するということと同時に、大学の所有地の中の遊休地についてはもっと保育所をつくったらどうかという御提案でございます。

 これは、東京都も、舛添新知事が、東京都の都有遊休地を使って待機児童解消のためにそのようなことを考えているということを表明されておりますし、これは、そういう具体的なニーズがあれば、厚労省と相談しながら、前向きに検討すべきことだと私も思います。

 特に、安倍内閣においては、女性の能力を最大限発揮するという観点から、大学における保育施設を設置する、子育てと学習、研究等が両立できる環境の整備を進めるということでもありますので、大学内におけるこれからの社会人の学び直しとか、それから地域のことも含めまして、今後、各大学の実情に応じてでございますが、積極的な取り組みについては検討していきたいと思います。

泉委員 今お話があったように、学生の受け入れをしている大学もまだ少ない、より少ないわけですから、地域の受け入れと学生の受け入れ。先ほどお話があったように、就学している親についてもこれからは保育が必要とみなされるという時代になっていきますので、ぜひ学生の受け入れも含めてお願いしたいということと、先ほど言ったように、遊休地といっても、それはいわゆる更地のことをいうのではなくて、現に大学を運営している、現に独法を運営しているその敷地の中に、環境も含めて、設置ができないかということについて、ぜひ前向きなお取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 時間も余りなくなってまいりましたので、パラリンピックの質問もしたかったわけですけれども、パラリンピックについては、NTCとあるいはJISSについてはまだオリンピックの方々と同等に利用できないということがございます。ぜひ、改めて、パラリンピックの専用施設の建設、あるいはできる限りの利用の拡大ということについて御努力をいただきたい。これはちょっと答弁の時間がございませんので、それでお願いをしたいと思います。

 森大臣には、最後、一言だけ御答弁いただきたいんですが、子育て予算の三千億円の確保、これがまだめどが見えていないというふうに伺っております。この間も、たばこの株の売却ですとか、復興特別法人税ですとか、あるいはさまざまな、年金納付率の向上の中で財源を確保できないかとか、いろいろありますけれども、ぜひ、その予算の確保ということについて御答弁をいただければと思います。

森国務大臣 この子ども・子育て新システムにつきましては、泉当時政務官の大変な御尽力のもとに、自公民三党合意、そして、法の参議院の附帯決議の中にも、一兆円の確保ということが明記をされております。

 昨年六月に、少子化社会対策会議、これは閣僚級でございますが、こちらで決定をした少子化危機突破のための緊急対策においても、消費税の引き上げにより確保する〇・七兆円を含め一兆円超程度の確保に努める旨、明記をいたしました。

 さらに、先週ですけれども、二月十四日に初めて開かれました社会保障制度改革推進本部、これも閣僚級の会議でございますが、ここで担当大臣の私から、改めて、一兆円超程度の財源確保の必要性について発言し、関係閣僚にも協力を求めたところでございます。

 政府としては、今後とも、必要な財源確保に最大限努力してまいりたいと思います。

泉委員 終わります。

二階委員長 これにて泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、三木圭恵君。

三木委員 私は、日本維新の会の三木圭恵でございます。

 本日は、予算委員会の場で、子育てをしながら働いている母親の立場で、教育、子育て、働く女性への支援策について質問をさせていただきます。

 下村大臣、去年に引き続き、よろしくお願いを申し上げます。

 まず初めに、小学校に子供を行かせている母親というのは、私の実感なんでございますけれども、今の教育内容に少なからず不安を感じているところが実はあると思っております。ゆとり教育から脱したものの、今の学習内容で本当に大丈夫だろうか、自分の子供は学校の勉強についていけているだろうかなどなど、心配になるのが親心というものでございます。

 一九八〇年度、一九九二年度、二〇〇二年度から施行された学習指導要領に沿った教育のことをゆとり教育と言うわけでございますけれども、小学校では一九八〇年度から二〇一〇年度まで、中学校では一九八一年度から二〇一一年度まで、高校では一九八二年度から二〇一四年度まで実施されました。二〇〇二年度からは、全ての土曜日が休みの完全週休二日制となったわけでございます。

 その後、議論が繰り返されまして、結局は、二〇〇八年度の学習指導要領において、授業時間、内容の削減を行ってきたゆとり教育とは逆に、内容をふやして、授業時間も一割増しとなってきたところでございます。

 そこで、質問をいたします。

 ゆとり前の学習指導要領の項目と現在は、おおよそ変わらない項目内容になっているかとは思いますけれども、授業時間数については、土曜日が休みの週休二日をとっているために授業時間が少なく、総合の学習の時間があることや、また英語の時間が導入されることなどによって、読む、書く、計算するという基本的な時間が少なくなっているのではないか、このことに対する心配が実はございますので、下村大臣の見解をまずお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 いつの時代に比べて授業時間、中身がどう変わっているかということでありますが、昔から比べると、つまり私が子供のころに比べると、そのとおりであります。ただ、ゆとり教育のときから比べると、相当これは内容が濃くなってきておりまして、現行の学習指導要領では、確かな学力の育成に向けた教育内容、授業時間数ともに充実をさせました。

 文科省では、増加させた授業時数を、各教科において増加した指導事項への対応のほか、つまずきやすい内容の確実な習得を図るための繰り返し学習、それから、観察、実験や、レポート作成、論述など、知識、技能を活用する学習の時間を確保する、こういうところに適切に充てるように、ゆとり教育から比べると、相当これはふえました。

 現行の学習指導要領を踏まえて編集された教科書については、例えば小学校では、国語、社会、算数、理科、四教科全体で、それ以前の教科書に比べてページ数が二七・六%増加いたしました。また、教科書の練習問題については、例えば小学校六年の算数のある教科書では、それ以前の教科書と比べて、単元の末尾の問題が二十問程度増加しており、同じく中学三年生の数学の教科書では七十問程度増加しているというふうに、ふえております。

 これらを踏まえまして、各学校では、学校行事の精選等によりまして、授業時間数の増加や、計算や漢字の反復学習を例えば朝の十分間程度の短い時間を活用して行う等の工夫を図りながら、児童生徒の基礎的、基本的な知識、技能の習得や、思考力、判断力、表現力の育成、学ぶ意欲の向上に取り組んでいるということが、昨年のPISAの調査でも、OECD諸国では事実上世界で一番になったという成果にあらわれているのではないかと思います。

三木委員 学習指導要領の内容は、確かに下村大臣がおっしゃったとおりだと私も思います。

 でも、土曜日の時間数が削減されていることにはやはり変わりがないわけでございまして、ゆとりのときと比べて一割ほど授業時間数がふえたというふうにはなっているんですけれども、もともと、ゆとりのときに三割ぐらい削減されてきたという事実があるわけでございます。

 ですので、やはり土曜日が丸々抜けているということ自体が、授業時間数が非常に少なくなってきているということが現状だと私は認識をしております。

 そして今、開かれた学校であるとか、授業参観なども、お父さん、お母さんに、なるべく多くの保護者に見てもらうということで、土曜日に授業参観をする学校とかも非常に多くなってきているんですね。そうすると、月曜日が休校になってしまいます。そうすると、土曜日に授業参観があったとしても、給食はございませんので、三時間ぐらいのために月曜日の六時間が丸々なくなってしまうということで、授業時間数が非常に圧迫されてきているという実情もございます。

 それに加えまして、近年の豪雨であるとか台風の接近であるとかで警報が出て学校が休みになるというような、災害による休校というものもふえてきておりますので、学校で聞いている限りでは、非常に時間数が圧迫されて大変なんだ、また子供たちも、一年生、二年生、三年生、四年生と、読む、書く、計算するという反復練習というのがなかなか難しくなってきているというのが実感でございます。

 先ほど下村大臣がおっしゃいました小学校六年生とか中学校三年生では確かに練習問題とかもふえているんですけれども、例えば小学校四年生だと、練習問題の数とかが以前に比べて少なくなっているようでございます。四年生のときにやはりきっちりと勉強というものを、読む、書く、計算するという基本的なリテラシー、そういったものが習得されていないと、五年生に入って、小数、分数、また文章題を解く能力に影響が出てきているというのが実際のところではないかと思っております。

 そして、OECDの、PISAの評価もございますけれども、それだけではかれないというものは、やはり学校教育だけじゃなくて、今多くのお子さんは塾通いをしている、そういう面もございますので、学校教育だけが、学習指導要領がもとに戻ったから、子供の学習能力を底上げしているんだ、底上げは確かにしているんだと思うんですけれども、それだけで今の学校の授業内容が充実してきているんだというふうには言い切れない面も私はあると思うんですね。

 それで、土曜日の授業をもう一度復活させてはどうかというような御意見もあると思うんですけれども、それに対する下村大臣のお考えをお聞かせください。

下村国務大臣 問題意識はおっしゃるとおりだと思います。

 ゆとり教育のときから比べると相当改善されましたが、それ以前のときから比べると、確かに、土曜日が当時ありましたけれども、今はなくなっていますから、その分はトータル的な学習時間が少なくなる。その部分、どうしても、戦後のピークのときから比べると相当レベルもダウンせざるを得ないというところが、歴史的に見るとそのとおりだと思うんですね。

 そのために、ことしの四月から、学校教育法施行規則の改正によって、学校の設置者の判断で土曜日が実施できることを省令改正することにいたしました。せっかくだったら全部もう土曜日必修にしたらどうかということでもあるというふうに思いますが、まずはそれぞれの教育委員会で、今でも約一〇%ぐらいのところが、自治体が土曜日に授業をやっております。

 これは私は、学校の先生が土曜日もやるということも一つの考え方で、それはそれでできるんですけれども、ぜひ土曜日、地域の方々が学校に行ってもらって、我こそ数学を教えられる、英語を教えられるということで、地域ぐるみで子供たちをサポートする。それは、勉強だけじゃなく、スポーツ関係や囲碁、将棋とか、ダンスとかそういうことも含めてです。

 これは大分県の豊後高田で大変成功しているという事例で、このことによって豊後高田は、大分県では、かつては二十三市町村の中でワーストツー。この土曜授業等を取り入れたことによって、今、大分県ではナンバーワンになったそうでありますし、勉強だけでなくスポーツ部分でも、九州一番とか日本で一番になったという事例があります。

 地域で子供たちを育てるという取り組みということでは、これは、かつてのように土曜日をただ復活するというよりは、そういう取り組みでやるという意味で、まず、意欲のある教育委員会については国がサポートする。そのために、ことし、予算を十四億円計上して講師料は出せるようにいたしましたが、まずはそういう取り組みによって地域全体で学校をサポートして、子供たちを育てていくような取り組みをしてまいりたいと思います。

三木委員 地域ぐるみで子供たち、検討チームの答申の中にも、土曜日を有意義に過ごせていない子供たちもいるようだからと。

 子供たちは、スポーツもやらなきゃいけないし、囲碁や将棋、そういった昔ながらの頭を使うようなゲームをやったりとか、地域のおじいちゃんやおばあちゃんたちと接して、そういった時間も大切だとは私は思うんですけれども、やはり子育てをしているお母さん方からしたら、国が、こうだよと。国がやはり頑張って、子供たちの学習面は力を入れてやっていくんだよと。

 子供は国の宝なんだから、外で、例えば地域の力をかりるというのも、それは一つの方法だと思いますし、ただ、学力向上に関しては、やはり国が責任を持って子供のことをやっていくんだよ、そういう強いメッセージが必要なんじゃないかなと思うんですね。でないと、今はやはりいろいろな、人口減少の問題とかがあって、先ほどからいろいろな方が質問をされております。

 やはり女性が子供を産んで育てやすいというのは、何も待機児童を解消することだけじゃないと思うんですよね。子供を学校にちゃんと通わせていたら基礎的な学力はきっちり学校でつくんだよ、塾には通わせなくても大丈夫だよというぐらい強いメッセージをやはり発していかないと、お母さん方は安心して子供を学校に預けられない状況に今、なってきているんですよ。だから、非常に切実な問題で、子供たちを塾に通わせるために働いているというようなお母さん方も実はいらっしゃったりするわけなんですね。

 絶対的授業数が土曜日なしでは不足するという認識がやはり共通で国の場でないと、私はやはりだめだと思うんです、それはちょっと下村大臣のお立場とは違うかもしれませんが。

 学校教育が充実していれば、本当にお母さん方、学習面、それだけでも安心できるんだという環境を整えていくことが、まず一番大事なんじゃないかなと思うんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

下村国務大臣 私、先週の土曜日、名古屋で、トワイライトスクールという、平日は放課後子どもプラン、子ども教室ですね、そういうところで預かっている、あるいは受け入れている、それから土曜日も同じような形でやっている、そういう取り組みをしている名古屋市立辻小学校というところへ、車座ふるさとトークという取り組みで視察に行ってまいりました。

 そのときにも改めて感じたことなんですが、学校に任せれば間違いなく子供が育つかというと、学校ではなかなか対応できていない部分もたくさんあるんですよね。

 それはやはり、家庭力が低下してきたり、それから地域力が低下してきて、子供も、学校から出たら、昔は、ランドセルを置いて外に飛び回っていたような時代から、今は、みんな家に閉じこもってファミコンとかゲームをしていて、コミュニケーション能力も育たないという中で、学校だけで完結して、本当にすくすくと理想的な子供が育つのかというと、私は、やはり地域の方々にもっと学校に参加してもらって、これは土曜日だけではありませんが、地域ぐるみで子育てをしていくという環境づくりをしていくということは非常に重要だというふうに思いました。

 ですから、勉強だけ考えれば、確かに、授業数をふやすということは、それだけ相当の学力の効果になることは間違いありませんが、かつてのような学校に戻しても、では学校がそこまで対応できるかというと、それ以上に世の中が高度化、複雑化してきたので、なかなか学校の先生だけでは対応できない部分をどうカバーするかという取り組みの中で、土曜のあり方について、まずはことし、小中高で、五千校でぜひやってもらいたいというための予算を計上しましたので、こういう推移を見守りながら、より充実した学校教育についてさらに検討していきたいと思います。

三木委員 いろいろな考え方があるので、土曜日だけじゃなくて、土曜日の午後もございますし、日曜日もございますし、土曜日の午前中は学校を再開して、土曜日の午後と日曜日に地域の方とそういうコミュニケーションをとる場をつくっていくということも一つの方策だと思います。

 それと、先ほど私、申し上げましたように、やはりお母さん方は、自分の子供たちの学力というのは非常に気になるんですね。学校の勉強についていけているかどうかというのは非常に気になる。だけれども、お母さん方は勉強を教えるプロじゃないので、どこがどういうふうにつまずいているかとかも、よくわからない。ではやはり塾に行かそうというお母さん方が非常に多いんですね。東京都でも、五〇%以上のお子さんが塾に通っておられます。

 私が一つ提案したいのは、子供たちというのは毎日毎日、刻一刻と成長しているので、私は、土曜日の午前中は授業を再開して、子供たちの学習能力を上げていくのがいいとは思っておりますけれども、それが国の施策としてできないのであれば、塾に通わせるというお母さん方の選択も重視してあげたいなと思うわけでございます。

 そこで、大阪市の取り組みなんでございますが、塾代助成として、中学生に、バウチャー制度で、月一万円を上限として市の方が負担をしております。低所得者世帯の中学生にも学ぶ機会を均等にしたいという思いで実施をされております。

 私は、やはり、小学校の低学年のときに読むとか書くとか計算するという能力をきっちりつけさせることが、その後の学習に大きな影響を与えると思っておりますので、非常にこの制度はいい制度だと思っているんです。

 この制度を国でももし導入されるとしたら、お母さん方には非常に喜ばれると思うんですね。民主党さんがやっていた子ども手当というのは、いろいろな使い方があるから問題なんじゃないかということがいろいろ取り沙汰されておりましたけれども、やはり、働いているお母さん方は、自分たちの子供によりよい環境で学習をさせてやりたいと思っている。

 だから、この塾代助成のバウチャー制度であれば、教育ということに限られるので非常にいい制度だと私は思うんですが、国の方でもぜひこの制度の検討をしていただけないでしょうか。

下村国務大臣 大阪初め幾つかの地方自治体で、低所得者層の子供に対する教育支援のためのバウチャー制度をされているということは、私はすばらしい取り組みだと思いますし、評価したいというふうに思います。

 国で即できるかということについては、これは予算の問題がありますので、越えなければならないハードルがたくさんあって、なかなか厳しい状況でありますが、文部科学省としては、まずは学校教育の中で、多様な教育について子供たちにチャンス、可能性を提供できるような場を提供して、最大限、学力や学習環境がより改善される努力をしていきたいと思います。

 ただ、私は、教育のバウチャーというのは、トータル的に、いろいろな制度設計の中で今後考えていかなければならない大きな取り組みの方法論だというふうに思っております。

三木委員 まさにそのとおりでございまして、本当に、今、子供が少なくなってきているということが日本の国の大きな問題になってきております。

 女性の働き方もいろいろだということを、今、私は、この質問時間で、午後からもいろいろと質問させていただきたいと思っているんです。

 女性の働き方も一律ではないので、例えば、子供のためを思って働きに出ているんだけれども、もう少し家庭で子供と触れ合う時間が欲しいと思っているお母さん方もたくさんいらっしゃるわけですから、そういった塾代の助成の支援であるとか土曜日の午前中の授業の復活であるとか、そういった面で学習面をきっちり国がサポートできるような、地域でサポートできるような体制が整うことが、お母さん方が安心して必要な分だけ働きに行って、あとは子育てを家庭でできるという環境をつくっていくものだというふうに私は感じております。

 午前中の質疑時間が終了いたしましたので、午後からまた私、質疑に立たせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

二階委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

二階委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。三木圭恵君。

三木委員 午前中に引き続き質疑をさせていただきます。少し時間が押し迫っておりますので、ちょっと走って質問させていただきますが、どうぞ答弁よろしくお願いいたします。

 まず、不登校に関して御質問をさせていただきます。

 不登校の中でも、今回は高校生の不登校に対して、ちょっと絞って質問をさせていただきます。

 高校で不登校の生徒が、平成二十四年で五万七千六百四十四人となっております。中途退学者の数は、平成二十三年で五万三千八百六十九人。不登校になれば授業日数が足りないので、そのまま退学になってしまうというのはよくわかることでございます。進級できない、中途退学になるという構図ができ上がってしまっているというふうに考えられます。また、違う学校へ編入していく生徒数は六千二百四十人というふうになっております。

 二〇〇四年の構造改革特区法によって株式会社の広域通信制高校が認められてから、八年間でこの通信制の高校は二十倍に増加しております。また、学校法人による広域通信制も増加傾向にありますけれども、普通制の高校から編入してくる生徒が平成二十四年で四千六百九十三人。普通制から通信制に入学する子供が四千六百九十三人になっております。

 平成二十一年に行われた緊急調査の中で、現在、学校に行っている、仕事をしながら学校に行っていると回答した人の中では、通信制高校が四一・九%と最多になっています。また、仕事をしていると回答した人の仕事の形態を尋ねたところ、パート、アルバイトが四一・二%で最多、派遣社員、契約社員と合わせると半数以上が非正規雇用となっている現状でございます。他方、正社員は三六・三%というふうになっております。

 私としましては、高校で不登校になって、そのまま働く、あるいは通信制高校に通いながら仕事をするという生徒たちが、日本の社会の中できちんと自立して正社員として働いていけるような支援を国がしていかなければならないと思うんですけれども、追跡調査をされているなら、その報告と、見解について、下村大臣にお伺いいたします。

下村国務大臣 おっしゃるとおりに、高校で退学をすると、高校中退、中卒ということですから、就職でも当然不利になりますし、それがさらに正規雇用につながらないということになると思いますので、いろいろなフォローアップをしていく必要があるというふうに思います。

 文部科学省においては、毎年、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査というのを実施しておりまして、その中で、中途退学者数とその理由、再入学者数、編入学者数などの統計調査を行ってきております。

 さらに、平成二十三年、二十四年度には、不登校生徒に関する追跡調査として、平成十八年度に中学校三学年に在籍し不登校であった者を対象に、中学在籍時や二十歳となった現在の心境や支援のニーズなどについてのアンケート調査等も実施して、その結果の取りまとめ、今現在、分析を行っているところでございます。

 今後、これらの調査結果を踏まえて、不登校施策に関する調査研究協力者会議を立ち上げることとしておりまして、不登校経験のある子供たちの社会的、職業的自立の観点も踏まえて、より効果的な不登校施策を検討してまいりたいと思います。

 三木委員が御指摘あったように、高校不登校になったその受け皿として、特区として始まった通信制高校、これが結果的に中退をさせないで高校を卒業させるという受け皿、多様な制度にもなっている部分でありまして、できるだけ多くの子供たちにやはり学校環境の中で学ぶ場を提供するということについて、さらに国は努力すべきだと思います。

三木委員 通信制高校については、添削の問題とかいろいろな問題がやはり今後出てくると思いますので、そちらの方の対応もぜひよろしくお願いを申し上げます。

 とにかく、母親というものは、子供に何かございますと、子供に起こることが全て自分の責任であるかのようにやはり感じてしまうところがすごく多いと思うんですね。自分の育て方が悪かったんじゃないかとか、ほかの子が普通に歩みを進めているのに、どうして自分の子供だけが不登校になって引きこもりになってしまったんだろうとか、そういったことを母親というのは悩んでいくものだと思いますので、そういった母親のフォローも含めながら、なるべく不登校が起こらないような社会を築き上げるために、下村大臣とともに頑張ってまいりたいと思います。

 不登校に関してはこれで質問を終わらせていただきまして、次に、小学校の児童数の人口減についてお伺いをいたします。

 兵庫県の方では、神戸というのは政令指定都市でございまして、県内で一番人口の多い都市でございますけれども、小学生の児童数が、昭和五十六年にピークを迎えたのが十三万三千七十七人でございまして、平成二十五年の児童数は七万七千五百五十四人と、四一・七%も実は減っております。神戸市というような大きなところでさえ、そういうふうに児童数が半分ぐらいに減ってきているという現状がございます。

 また、神戸市の中の一つの区を例にとってお話ししますと、長田区は、兵庫区、北区、須磨区と隣接した標準的な区なんですけれども、児童数のピークが昭和三十三年の二万二千六百四十八人で、平成二十五年には三千七百四十五人と、実は八三・五%も減少をしているところでございます。

 これからどんどんどんどん子供の数というのは減っていくことが予測されていると思うんですけれども、小学校の統廃合について、下村大臣の見解をお伺いいたします。

下村国務大臣 小学校の統廃合については、地域の実情を踏まえ、基本的にはやはり設置者である各市町村が適切に判断すべきものであるというふうに考えますが、御指摘のように、少子化、それから地域間での人口分布の偏在に伴い、学校の小規模化がさらに進むことが予想される中、子供たちの学習環境を充実させていくことは必要であるというふうに思います。

 このため、文部科学省としては、一つには、統合により校舎等を新増築する場合や既存施設を改修して統合校舎等を整備する場合の補助、それから二つ目に、スクールバスの購入等に対する補助、それから三つ目には、平成二十六年度予算案においては、新たに統合を行う学校に対する定数加配措置、百人ですが、これを計上しております。

 今後とも、児童生徒にとってより良好な教育環境を実現する観点から、できるだけ地元の方々はやはり地元にそのまま学校を存続してもらいたいという要望があります。一方で、余りにも人数が少な過ぎると、教育成果、効果が上がらないという教育上の課題が今度は出てまいります。その辺の地域の実情に即した教育が推進されるように、フォローアップをしてまいりたいと思います。

三木委員 今おっしゃっていただいた統廃合に対する国の支援という部分は、たしかヒアリングを行ったときに、昭和三十年とか昭和四十年とかのものであるというふうにお伺いをしているんですけれども、実情が大分変わってきている、そういうふうに思います。

 下村大臣がおっしゃったように、やはり地域に対する愛着が非常に強くて、地域にある小学校がなくなってしまうというのは、非常に、卒業生の親御さんであるとか、おじいちゃん、おばあちゃんに関しては残念なことで、なかなか受け入れがたいものであると私は感じております。

 私の選挙区の中にもそうやって統廃合を行ってきた小学校というのがあるんですけれども、できればインセンティブを与えるような形で、自分たちの小学校がなくなっても子供たちがさらにいい環境で学習することができるんだというような内容のものを、ぜひ考えていただけたらなと思います。

 具体的には、私が思うのは、小学校の耐震化率は千二百四十六億円計上されて八九%が九六%になっていくということで、ほとんど耐震化率、整備されていくことだと思いますので、これが終わった時点で、全国の小学校、いかに効率的にと言うと少し語弊があるんですけれども、効率的に国のお金をどこに投じていくのかということをやはり国の方の施策として考えていって、例えばですけれども、クーラーの設置の補助を三分の一から二分の一にするとか、そういった施策を考えていくことも必要じゃないかなと思います。

 手前みそで申しわけございませんけれども、大阪市ではクーラーの設置、全小学校、中学校で導入しております。そのかわり、夏休みを二日間削るそうでございます。先ほどの授業日数の確保ということとも関連いたしますので、申し添えておきます。

 今回は、このことは要望だけで、大臣の見解だけ少しお願いできたらと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、耐震対策は平成二十七年度までに一〇〇%達成をしたい。これは、いつ大きな災害、地震が起きるかわからない中で、学校が避難所にもなるわけでありまして、これは急がなければならないものであります。

 しかし、それが終わった後も、別にお金が余っているわけではございませんので、できるだけ文部科学省としては、ほかの教育環境の整備促進をしていきたい。

 その中の一つとして、今御指摘がありましたが、かつて我々が子供のころは、もちろん冷暖房なんというのはなかったわけですが、異常気象の中で、特に夏は、とても教室の中で勉強できるような状況でないというような状況が近年さらに出てきているのではないかと思いますし、できるだけそういう、子供が学習できる環境整備に対しても力を入れていきたいというふうに思います。

三木委員 私もいろいろお金がかかることばかり申し上げて申しわけないなと思うんですけれども、これは何も女性のため、子供のためというだけではなくて、日本の国力を考えたときに、日本の高齢化、少子化というのは非常に大きな問題になっている。国全体の大きな問題なので、やはり子供たち、学習面、教育面、そして母親が安心して子育てができるために、やはりお金をそういうところに使っていっていただきたいなと私は思っております。

 今、日本の人口構造を見ますと、突出部に当たります一九七一年から七四年生まれの第二次ベビーブーム世代の最後がもう既に三十九歳に差しかかっております。それよりも下の世代では、女性数というものが急激に減少してくるんですね。

 だから、今後、出生率がたとえ二・一に上がったとしても、女性の絶対数が半分になったら、生まれてくる子供の数というのは少なくなってしまいますので、出生率掛ける絶対数ということで、例えば、今すぐ合計特殊出生率が二・一に回復するとしても、安定するのは何十年か先というふうになっております。ですので、女性が子供を産み育てられる社会、女性が輝く社会に対してたくさん予算をつけていただけたらなと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 総理は、平成二十五年四月の成長戦略に関するスピーチにおいて、女性の活躍はしばしば社会政策の文脈で語られがちです、しかし私は違います、成長戦略の中核をなすものであると考えていますと発言しておられますが、本来的に、女性の就労の目的というのは個人の意思に委ねられるべきものであり、残念ながら、国の経済成長のために働こうとする人はわずかであると私は思っております。国民、女性の生き方というものを、ある意味、ちょっと誘導するような発言であったのではないかなと思っております。

 現在では、雇用者のおおむね三人に一人が非正規雇用でありますし、かつ非正規雇用の七割が女性でございます。

 総理は、スピーチに先立ち、経済三団体に対し、全上場企業において積極的に役員、管理職に女性を登用していただきたい、まずは役員に一人は女性を登用していただきたいと要請されたとのことでございますけれども、政府の女性の活躍推進に関する施策は、上場企業に勤めておられるいわばエリート女性の支援に力点が置かれ過ぎていて、数多くの一般女性が必要としている施策と少し離れているのではないかと思いますが、政府の方では、女性が置かれている状況をどのように分析した上で女性の活躍推進を成長戦略の中核に据えることとしたのか、御説明をお願い申し上げます。

菅国務大臣 総理の基本的な考え方は、やはり働く意欲のある女性の皆さんの環境を整備していくということ、これは極めて大事だという認識の上に立って、そこは政府としてもそうしたものをしっかり対応していきたいということであります。

 例えば、我が国における女性の労働力率、子育てで一旦低下するいわゆるM字カーブ、これで、就職を希望しながら働くことができない人が三百万人いるという調査結果があります。

 そういう中で、これから少子高齢化社会で労働力不足が予測をされる中で、新たな成長分野を支える意味合いにおいても、こうした女性の皆さんの潜在力、こうしたものをやはりしっかりと支えていく必要があるというのが基本的な考え方でありますけれども、さらに、女性の労働参加率が男性並みになりますと、日本のGDPが一六%伸びるという実は試算もあるものでありますから、そういう中で、女性が活躍をするということは成長戦略にもつながっていくという考え方であります。

 いずれにしろ、しっかりと女性の力を生かして、世界で一番女性が輝く社会をつくりたい、総理はそういう思いの中で、内閣、これは全力を挙げてそうした環境をつくっていきたいというのが基本的な考え方であります。

三木委員 今、菅官房長官がおっしゃっていただいたGDP一六%というのは、ゴールドマン・サックスの統計による数字であるというふうに承知をしております。

 その中で、やはり女性が輝いて仕事をする、これはとても大切なことなのでございますけれども、女性の幸せというものがどういうところにあるのか、また子育ても非常に大切な仕事であって、育児休業の方が一年半から三年に延びたということは、私は非常に喜ばしいことであると思っております。ぜひ、上場企業、中小企業も含めて、女性が輝く社会進出を果たしながら、子供を産んで、子供を育てて、そして社会復帰をしたらまたもとのポジションに戻っていける、そういった施策を進めていただきたいと思います。

森国務大臣 御質問ありがとうございます。

 私も働きながら小学校の子供を育てておりまして、専業主婦の経験も二年間あります。二年間限定で専業主婦をしたんじゃなくて、専業主婦をして、一生専業主婦かもしれないと思っておりました。それは、この日本において、女性が一旦育児のために離職すると、もとの場所に戻りにくいというところにあります。

 安倍内閣では、もう今年度から始まっておりますが、子育て等において一旦離職した女性が復職するための支援をしています。復職するためには、離職している期間にやはりレベルが落ちたのではないか、そこのレベルアップ研修をする企業、中小企業にも補助を出す、それから本人にも補助を出すということで、復職を支援しております。

 また、女性が子育て等の経験を生かして新しく会社をつくりたい、起業、創業する場合にも、渡し切りの助成金も始めました。

 そして、育児休業は、男女ともにとることによって、女性も男性も無理なく子育てをしながらキャリアも継続をしていけるだろうということで、男性も育児休業をとりやすくするために、育児休業中の給付を、今まで五〇%だったものを六七・五%にまで上げました。これは本当に今までずっと言われていてできなかったことでございますが、田村厚労大臣と協力してこの引き上げをし、さらに、男性も女性もとった場合にはそれが二倍の期間とれるということで、男性の育児への参加も促しています。

 そういうことで、働く女性が、または子育てに一旦専念した女性も、生き生きと自分の人生を選択して輝いていける世の中にしたいと思っています。

 その中でも、管理職の女性の割合をふやしていくという問題は、そのエリート企業の女性を助けるというだけではなく、管理職に女性がいることによって働く女性全般の施策が進むという面がございますので、そういう意味で、二〇二〇・三〇という目標を掲げて、これも援助しているというところでございます。

三木委員 女性の活躍推進に関する関係各省の予算案を見てみたんですけれども、女性の支援策ということでわかりやすくまとめたものというのが、なかなか見つけることができなかったんですね。やはり各省庁縦割りの制度設計というものが、非常にわかりがたく、複雑となっている原因ではないかなというふうに感じております。

 そこで、女性の活躍を推進するために、例えば、さきに内閣官房に発足した省庁横断の女性が輝く社会づくりチームに、施策の総合調整を担うような機関として、女性の活躍推進に関する司令塔的事務局を担うという位置づけで、情報発信を含めた取り組みの強化を進めるべきだと思いますけれども、その点についていかがでしょうか。

森国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、そのために安倍総理が私の役職を、男女共同参画大臣だけではなく、女性活力担当大臣として、女性が活躍するための施策を取りまとめるという役にしたわけでございます。

 昨年度は、先ほど申し上げましたような予算を省庁ごとにつくりましたけれども、今年度はそれを、省庁に横串を通しまして、しっかりと、女性の輝く社会づくりの目線で、どのように進めていくかということを集中的に検討を行い、年央にも取りまとめる予定の改定成長戦略に盛り込むために、府省横断的な体制を私のもとにつくりました。

 これは、各府省の局長級が集まりまして、各府省でつくっている政策をさらにどのように具体化していくかというところをまとめて、そして政府一丸となって、女性が輝く日本の実現に向けた検討を進めていくものであります。

 今後も、委員の御意見等も取り入れ、情報発信、意見交換の場も全国各地域で開催することを含めまして、取り組みを強化してまいりたいと思います。

三木委員 質疑時間が大変短くなってきております。

 あれも聞きたい、これも聞きたいという思いがたくさんありまして、田村大臣にお伺いをしたいんです。

 病児保育の充実ということで、保育の量の拡充には積極的に取り組む方向にあるというふうに理解をしているんですけれども、お母さん方が働きに行っているときに自分の子供が病気になったとき、病児保育ですね。忙しいほど子供というのは熱を出すな、忙しい、外せない仕事があるときほど子供というのは風邪を引いたり発熱したりインフルエンザにかかったり、大変心配だなということがございますが、この病児保育の充実について、いかがお考えでしょうか。

田村国務大臣 病児・病後児保育でありますけれども、これは大変大きな課題なんですが、御承知のとおり、なかなか常に、あいている枠が埋まるというものではありませんでして、時期によっても、子供が病気になる時期というのは結構重なるわけでありますので、固定費が結構かかるんですね。人も、来たときだけ人を置いておくというわけにはいきませんから。

 そこで、今までも充実をしてきたわけなんですけれども、結果的に、まだ延べ人数五十万人分ぐらいしか利用されていないということがございます。ですから、固定費等々をどうするんだということも含めて、質の改善等々に力を入れていくということで、これから延べ二百万人までこれをふやしていこうということで予算の方の獲得に努力をしてまいる、今このような状況でございます。

三木委員 やはりお母さんは、子供が病気になるとすごく心配で、気もそぞろになってしまうというのが現実だと私は思います。できれば、やはり子供が病気のときは、休んで子供のそばにいてやりたいというのが母親の気持ちだというふうに考えております。

 また、今いろいろと御答弁をいただきました。女性が活躍しやすい、輝ける社会に向けて実現をしていくということで、女性にとっては喜ばしいことが多いというふうに感じております。

 私もそうでしたが、子供を産むまで、子供というものがどういうものなのか、実は女性ははっきりよくわかっていないんですね。子育てがどんなに大変なのか、また、子供がどんなにかわいいのか、子供をいかに手放したくないものなのかというのは、やはり子供を実際に産んでみないと、そういうことというのは実感ができません。

 多くの女性が、調査の中でも、やはり家庭にいて子供のそばにいたいという方が五〇%以上を超えるというような調査結果も出ておりますので、女性が活躍して、仕事をして、ばりばり働くということも大切だとは思うんですけれども、やはり、三歳ぐらいまでは自分の手元で育てられるような環境を整備していく、そして、子育てが終わったらまたばりばり働いていけるような日本の社会というものがあれば私は一番いいなというふうに感じておりますので、ぜひその点を閣僚の皆様方にお願い申し上げまして、持ち時間が終了いたしますので、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

二階委員長 これにて三木君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木望君。

鈴木(望)委員 私は、いじめと体罰の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 言うまでもありませんけれども、いじめと体罰は、現在、大きな国政上の課題となっております教育委員会の改革の直接のきっかけとなったような、これも大きな課題でございます。そういう意味で、いじめと体罰についてきょうは議論をさせていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、いじめの問題であります。

 つい最近まではマスコミもいじめの問題を大きく取り上げておりましたけれども、現在は若干、尖閣列島の問題であるとか防空識別圏の問題であるとか、いろいろな問題が出てきているというようなこともあって、報道は下火になっているというふうに思います。

 けれども、いじめの実態はどうなのかということで、資料一を見ていただければというふうに思います。これは、文部科学省が作成をしました、いじめの認知件数、発生件数の年次的な推移でございます。

 これを見ますと、二十三年度から二十四年度にかけまして、いじめの件数が大きく増加をしている。二十三年度は七万二百三十一件であったものが、二十四年度は、十万件以上増加をして、そして十九万八千百八件、二倍を大きく超える数に増加をしているということであります。

 この原因、また、こういった数字になったことについて、文科大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 文部科学省では、滋賀県の大津市の中学生が自殺した事案を受けまして、平成二十四年八月にいじめ緊急調査を行うとともに、その結果を踏まえて、いじめの早期発見に引き続き努めることや、認知されたいじめに十分な対応を行うことについて、学校や教育委員会に対して改めて指導してきたところでございます。

 平成二十四年度の児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査において、御指摘のように、いじめの認知件数が約十九万八千件に上り、平成二十三年度の同調査における約七万件より約十二万八千件もふえているわけでございます。

 この大幅な増加の要因について、都道府県の教育委員会等に聴取等を行って分析したところ、一つには、ささいなことでもいじめの訴えに積極的に対応したということ、それから二つ目には、教育委員会において、より積極的な対応を学校に指導したということ、それから三つ目は、アンケートの実施回数をふやしたりして様式を工夫したということ、それから四つ目には、社会的な意識の高まりにより子供や保護者から学校への相談がふえた等、これが要因に当たるのではないかというふうに分析をしております。

鈴木(望)委員 ありがとうございます。

 この資料をもう少し詳しく見てまいりますと、同じように増加をした年度、両年度があるわけでありまして、例えば平成十七年度は、いじめの認知件数、発生件数が二万百四十三件でありました。その翌年の十八年度は、何と十二万四千八百九十八件というふうに、またこの年も前年度に比べて十万件も、率にして約六倍ぐらい、いじめの発生件数、認知件数がふえているわけであります。

 もうこれについてお尋ねするところではありませんで、原因としては、十七年度に北海道の小六の女子生徒が自殺をして、そして自殺問題がマスコミの大きなクローズアップになったということで、翌十八年度のいじめの認知件数、発生件数が飛躍的にふえたというふうに思われるわけであります。

 この統計数字ですけれども、平成六年度から出ております。資料一でありますけれども、傾向としては、平成六年度が五万六千六百一、それからだんだんだんだんなだらかに減っていって、十七年度に二万件になっている。それがまた十八年度にはそういった事件があって飛躍的にふえて、まただんだんだんだんなだらかに減少をしていって、二十三年度に七万件に減って、また二十四年度は十九万、約二十万件近くなったというような、増減が極めて甚だしい調査になっているわけであります。果たして、これがいじめの実態をあらわしているのかどうか。

 特に、私は、やはりこういった調査というものは、いろいろないじめ施策の基本になるものだと思うんですね。こういう調査結果に基づいて対策を立てる。だけれども、その対策を立てるべきこの調査というものが、こういうふうに何となく実態とかけ離れているというような、実態との乖離が甚だしいような統計というのはいかがなものかなというふうに思いますが、その点について文科大臣の御所見をお伺いいたします。

下村国務大臣 これは御指摘のとおりだというふうに思います。

 近年のいじめ認知件数の下降傾向と、それから平成二十四年度の調査結果、これを踏まえれば、ここ数年、学校及び教育委員会においていじめの認知に不十分な点があったのではないかというふうに考えております。

 文科省としては、ささいなことでも積極的に対応することや、教育委員会において積極的な対応を学校に指導することが重要であると考え、早期発見、早期対応の前提条件となるいじめの実態把握について、アンケート調査や個別面談の実施等により、定期的に児童生徒から直接状況を聞く機会を確実に設ける必要があることなどを指導しているところでございます。

 また、昨年六月には国会で、いじめ防止対策推進法、これを議員立法で成立をしていただきました。これを踏まえまして、各学校においていじめの防止等のための施策が法律に基づいて組織的、計画的に行われるよう文部科学省としても努力をしてまいりたいと思います。

鈴木(望)委員 ありがとうございます。

 私は、いじめは、どこの国であっても、またどこの地域であっても、またいつの時代であっても起こり得るものというふうに考えて、多分大臣と同じ認識だろうと思います。もちろんいじめは犯罪ではございません。だけれども、犯罪と似ているようなところがあって、犯罪は撲滅しなきゃいけない、だけれども、犯罪はなくならない。いじめも、少しでも減らす努力をしなきゃいけないけれども、いじめは犯罪と同じようになくならないものであるというふうに認識をしているところであります。

 だからこそ、少しでもいじめが少なくなるように周囲の環境を整備したり、また、いじめが自殺といったような深刻な事態にならないように、不断の努力が必要ではないのかなと思いますが、ここで改めて文科大臣にお尋ねをしたいと思います。

 調査ではいじめがふえたり減ったりしている、そういう格好になっておりますが、実態はどのようにお考えなんでしょうか。

 私は、核家族化の傾向がやまない、また、コミュニティーの崩壊がいろいろまだ進行している等々の、現在、社会が抱えている問題点を考えてみますと、子供をめぐる環境は少しもよくなっていないんじゃないだろうかというふうに考えます。むしろ、悪くなっている。

 その意味では、いじめは本当は統計とはちょっと離れていて、統計が減っているときもじわじわとふえているんじゃないだろうか、見えないところで、むしろ現在もいじめの実態は深刻になっているんじゃないのかなというふうに思ったりもするわけでありますけれども、そんな点も含めて、改めて、当然のことですけれども、教育問題に造詣の深い文科大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 昨年、地元の学校の周年行事がありまして、行きまして、校長先生に、いじめはこの学校ではどうですかとお聞きしたとき、いや、全くありません、またそういう報告もないしと、かなり自信を持ってお答えをされていたんですね。

 私は、それを前提で、校長先生に別に恥をかかせるつもりは全くなかったんですが、四年、五年、六年の全校生徒が全部集まっているところで、国会でいじめ防止対策法ができました、皆さんの中でいじめの加害者にも被害者にも傍観者にもならない、これが趣旨ですし、そういう中で、いじめの加害者、被害者、傍観者、いじめはどうですかと聞きましたら、七割の子供が、いじめはあるというふうに手を挙げているんですね。これはやはり、社会の病理現象が子供の心に確実に悪影響として及ぼしているのではないかというふうに思います。

 そのためにも、いじめ防止対策推進法が成立をしたということで、文部科学省も、九月に施行された後、十月にいじめ防止基本方針を策定して、現在、説明会を実施するなどして、法律の周知徹底をさらに図ってまいりたいと思います。

 引き続き、いじめの防止やいじめの早期発見、及び、いじめへの対処のための対策を進めるため、各地域や学校における道徳教育の充実や、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充等による教育相談体制の充実など、総合的ないじめ対策についてもぜひ取り組んで、少しでも数を減らすように、先頭に立って対応してまいりたいと思います。

鈴木(望)委員 ありがとうございます。

 文科大臣が言われるように、不断の努力によっていじめは防止をしていかなければいけない、ちょっと減ったから、また、マスコミが余り騒がなくなったからもう手を抜いていいよねということでは全くないわけでありまして、そういう意味では、今もいじめ対策を一生懸命やらなきゃいけないし、また、やらなければ深刻な状況になってしまうというふうに言っても過言ではないというふうに思います。

 そういう意味では、今、先ほどもちょっと言いましたけれども、あの尖閣列島の問題、防空識別圏の問題、これも非常に重要な、重大な問題である、だけれども、それとは次元の異なるところで、いじめの問題も国を挙げて取り組むべき重大な問題である、そのような観点を持っておりまして、私ども日本維新の会としても、この問題には、子供がすくすく育ってほしいという観点から、大きな関心を持って取り組んでいるところでございます。

 せっかく生まれた子供がいじめによって自殺をしてしまったりとか、また、いじめられた子供についても、いじめた子供についても、その後の人生が曲がってしまうというようなことではどうしようもないわけでありまして、また、お母さん方を初め親御さんに与える悲しみとか衝撃も極めて大きいものがあるわけであります。

 さて、いじめについて国は何をすべきかということにつきましては、当然のことでありますが、個々のいじめについて具体的に対応策を講じるということではなくて、いじめが起こらないような体制の整備、また、いじめが起こっても、それが深刻な事態に至らないようにするような、組織的なフォロー体制をきちんと整えていくということが肝要である。当たり前のことでありますけれども、そのためには改革すべきさまざまな課題があろうかというふうに思います。

 例えば、教育をつかさどる教育委員会の問題、私は今回はその問題は質問いたしませんけれども、当然、教育委員会の改革については、さまざまな角度から、これからさまざまな議論がなされていくだろうというふうに思います。私も重大な関心を持って見詰めていきたいと思います。

 私自身は、きょうはそれ以外の観点から質問をさせていただきたいと思いますが、一つだけ教育委員会の問題点について申し上げますと、実は、私が首長をしておりましたときに、市内のある学校のマルM先生を違う学校にぜひかえてくださいというようなお母さん方の陳情の運動がありまして、それを受けたことがございます。

 このマルM先生というのは、問題のある先生のことをマルM先生というふうに言っているわけでありますけれども、どういう問題かというと、暴力を振るうとかそういうことじゃなくて、その先生が受け持つ学級が崩壊をしてしまいまして、授業中なのに生徒がそこらじゅうを飛び回っている、中には校庭に出て遊んでいる子供までいるというような学級崩壊を起こしている先生だったわけで、これでは子供の教育にならないというので、その先生は違う学校にかえてほしいというような陳情が、私が市長をしていたときにあったわけであります。

 これは、当然のことでありますけれども、公立学校の先生は県職員ですので、県の教育委員会。市の教育委員会でもないし、ましてや配置であるとか配属であるとかということは首長の権限じゃないですよというようなことをるる御説明したんですけれども、若いお母さん方から、だって市立小学校、市立中学校でしょう、学校給食も市がちゃんと整備して出しているじゃない、だから市長も当然、先生の配置に権限があってしかるべきだ、おかしいというふうなことで、また、いろいろと教育委員会のあり方とか説明しても、結局は、あの市長は教育問題に冷淡、私たちの陳情にちっとも取り合ってくれないというふうな、そういう烙印を押されまして、苦い経験をしたことがございます。

 やはり問題は教育委員会のあり方、教育の責任がどこにあるのかというのが不明確なまま戦後ずっと来てしまった、それが問題じゃないのかなということを強く思ったことを一つ述べさせていただきます。

 さて、いじめにつきましては、一つは、いじめの対応は、教師だけではなく、地域社会の多くの人々の知恵、経験を活用すること、例えば制度でいいますと、スクールサポーター制度の活用をもっともっと抜本的にしたらどうだろうかというのが一点。もう一点が、教師の評価基準を変えたらどうか。この二点について質問をさせていただきたいと思います。

 この二点につきましては、先ほど文科大臣、下村大臣が言われました、いじめ防止対策推進法が昨年議員立法で成立をしまして、その中にも対策の柱として盛り込まれているところであります。

 私も、立法作業の超党派のチームに参加をさせていただきまして、文字どおり、けんけんがくがく、本当にへとへとになるまで議論をして、成立してよかったというよりも、本当に疲れたなという思い出がございます。まさに各党の方々の熱意と忍耐のたまものでこの法律ができたというふうに認識をしているわけでありますけれども、それだけに、立法作業に参画した全ての議員の総意としては、この法律で一つでもいじめを未然に防いで、深刻な事態に陥らないように、実質的にこの法律をぜひ機能させたい、これは立法作業に参画した者の、みんなの思いじゃないのかなというふうに思います。

 そういう観点から、第一に、スクールサポーター制度の活用について質問をさせていただきたいと思います。

 資料三をちょっと見ていただきたいと思います。これは、いじめと犯罪の関係につきまして、私ども維新の会のいじめ対策チームで御指導いただいた森田大阪市立大学名誉教授の作成されたものから引用したものでございます。

 典型的ないじめとして、いろいろ書いてありますが、一、二、例を言わせていただきますと、水や泥をかける、こづく、髪の毛を引っ張る、プロレスごっこの強要。これは、戯れからいじめの典型的なものだと思いますが、度がひどくなりますと当然刑法上の犯罪になるわけでありまして、刑法二百八条の暴行罪になる。果たして、この境界というのはどこにあるんだろうか。

 もう一つ例を出しますと、落書きをする、よくあることだと思うんですね。また、教科書を破っちゃう、どこかへ隠したり捨ててしまう。これも、いじめとしてはよくあるわけですけれども、当然のことながら、度が過ぎると刑法上の犯罪になるわけでして、刑法二百六十一条の器物損壊罪。果たして、いじめと犯罪の境界というのはどこにあるんだろうか。

 もうお答えはわかっております、わかっているところがあるんですけれども、あえて、申しわけありませんけれども、いじめと犯罪の間に明確な線を引くということは果たして可能なのかどうか、文科大臣に御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 いじめは、その様態によりまして、人権を侵害したり刑罰法規に抵触する可能性がある行為であると思います。それまで、つまり以前までは、いじめと犯罪というその解釈が、学校現場、教育現場と社会常識と、やはりギャップがあったのではないかということで、改めて、いじめと犯罪の境界線について、昨年、文部科学省の中でも定義をし直して、それで学校現場に連絡するようにいたしました。

 改めて、社会で許されない行為は学校の中でも許されないものである、このようないじめというのは犯罪行為として取り扱われるべきと認められる行為、そうでないと、いじめと区別して対応することができない、そういうことをきちっと分ける必要があると思います。児童生徒の行為が犯罪行為として取り扱われるべきと認められたときは早期に警察に通報、相談するよう指導をするということにいたしました。

 また、いじめと犯罪に境界線を一概に引くことは難しいが、文部科学省として、どのような行為が犯罪行為に該当するかについての理解を促すということから、今申し上げたように、学校において生じる可能性がある犯罪行為等について、いじめの態様別にまとめた通知を発出いたしまして、学校、教育委員会等と、それから警察との早期の連携を推進し、いじめ問題への一層的確な対応を推進するということを決めているところでございます。

鈴木(望)委員 ありがとうございます。

 そのとおりだと思うんですね。非常にいじめと犯罪の境界というのはグレーゾーンで、線を引くことができるのかどうか、また、線を引いて意味のあることかどうか、私も同じように考えているわけであります。

 一方で、学校の対応というのは、どうしても、いじめがある学校は悪い学校というような通念がありますので、いじめは学校の恥だとか、なるべく隠したがるわけであります。責任逃れ、事なかれ主義の方向に行きがちである。それが事態を深刻化させているという側面もあるわけです。

 それではどうしたらいいかというので、もう文科大臣がお答えになりましたように、学校の周りには地域社会があって、その地域社会にはさまざまな専門家がいるわけであります。やはり、その専門家の知恵をかりるというのが私は一番じゃないのかなというふうに思うわけです。

 いじめの密接領域は犯罪であるということで、地域に犯罪捜査のプロがいるわけでありまして、その犯罪捜査のプロの警察官、また、特に地域に住んでおられる警察官のOBの方々、そういった方々の知恵、経験をかりる制度として、スクールサポーター制度というものがあるわけであります。

 スクールサポーター制度の現状がどうなっているのか、また人員配置の目標はどこに置いて整備を図っているのか、現状について、時間がちょっと迫ってまいりましたので、簡単に御説明をお願いできたらと思います。

辻政府参考人 お尋ねのスクールサポーターでございますけれども、地方財政計画におきましては、その導入に要する経費といたしまして、平成二十四年度には一千五百七十人分となります約三十三億円、平成二十五年度には一千六百九十五人分となります約三十三億円、平成二十六年度には一千七百八十九人分となる約三十七億円が盛り込まれたものと承知をいたしております。

 また、全国におきますスクールサポーターの配置人員でございますが、いずれも四月一日現在で、平成二十四年度は六百二十人、平成二十五年度は六百九十五人でございます。

 最後に、目標ということでございますが、警察庁といたしましては、十校の小中高等学校等に一人のスクールサポーターが配置されるということを目標といたしているところでございます。

鈴木(望)委員 ありがとうございます。

 御説明にありましたように、地域社会に住んでおられる警察官OBを活用する。私は、この警察官OBを活用するというのは、非常におもしろい、効果のある制度だというふうに思うわけです。地域に住んでおりますから、地域の実情も知っている。どこの地区でこのごろ万引きが多くなっただとか、授業中にもかかわらずちょっと変な格好をして出歩いている子供がいるとか、そんな情報をちゃんと身につけながら、学校の先生と連携して、いじめ対策に当たる。

 また、OBですので、もう出世しようとかそんなこととは関係なくて、自分の孫ももしかしたら地域の学校に行っているかもわからない、知人の子供さんも学校に行っているかもわからない。だから、酸いも甘いもかみ分けた、温情のある、子供の将来を第一に考えた対応が、私はこの人たちだったら十分できるんじゃないかというふうに思うわけであります。

 そこで、お尋ねをしたいなと思うわけです。

 今年度予算でも、配置人員、私自身は非常に足りないというふうに思っております。予算上の配置人員が実際上配置されていればまだいいんじゃないのかなと思うわけでありますが、実際の配置人員が、今御説明をいただきましたけれども、実は予算での予定人員の三分の一をちょっと超えたぐらいの人員になっているわけですね。具体的には、予算措置では平成二十四年度、千五百七十人分だけれども実際の配置人員は六百二十人、平成二十五年度は、予算上の措置は千六百九十五人なのに実際の配置人員は六百九十五人となっているわけです。

 これは、先ほども御説明がありましたけれども、地方財政計画とも絡む問題でありますので、新藤総務大臣にお答えをいただければというふうに思います。よろしくお願いします。

新藤国務大臣 スクールサポーターの方針については、所要の経費を地方財政計画に計上して、地方交付税措置を講じているわけであります。二十五年度においては、地財計画では千六百九十五人の計上がなされておりますが、実員として六百九十五人、こうなっているわけであります。

 しかし、これは、交付税そのものがあくまで地方の一般財源であって、交付税は、算定の基礎として地財計画というのが算入されております。したがって、この具体的な使途、それは現場において地方自治体が必要性や実情に応じて判断しているもの、このように推量されます。

 先ほどから委員の御質問を聞いていて、余計なことですが、私も子供の親ですし、大臣になる前は幼稚園もずっと経営しておりました。かわいい子供たちがこんな目に遭って、これが犯罪か否かなんという以前に、こんなことは絶対許さない。だから、そういう強い、おまえたちはひきょうなことをやっているんだということを、やはりきちんとメッセージを出していく。

 そして、いろいろな制度等がありますけれども、まずは子供それから教師、何よりも家庭が、そういった、こういうひきょうな振る舞いはやるなということを社会全体で訴えていくことが重要ではないか、このように考えております。

鈴木(望)委員 ありがとうございます。

 新藤大臣の御指摘、ごもっともだというふうに思いますが、今回はスクールサポーター制度について御質問をさせていただいておりますので、御了承いただければというふうに思います。

 つまるところ、今の御答弁を解釈しますと、地方のやる気の問題だというふうに思うわけでありますけれども、要するに、都道府県警察のやる気の問題というふうに思うわけであります。けれども、この実態を見てみますと、実際に予算措置されているんだけれども、配置もしない県もあるというのはどういう理由なのかなというふうに、私、思うわけですね。

 例えば石川県、滋賀県、兵庫県は実際の配置がゼロということで、幾ら都道府県の裁量に任せるといっても、制度の所管大臣としては、せっかく、必要である、よかれと思って、私も非常にいい制度だと思います、予算をつけたのに、配置もしないところもあるというのはいかがなものかなというふうに思いますが、古屋大臣に、どうお考えか、お尋ねをしたいと思います。

古屋国務大臣 今委員も御指摘のように、あるいは総務大臣からもお話しのように、地財計画の人数と比べて、現実に採用されたのは三分の一程度ですよね、スクールサポーター。

 これは我々警察も、都道府県の財政当局には、スクールサポーターというのはすごく大切ですよと説明をした上で、地財計画に、ちゃんと措置内容に沿った予算措置をやってくださいねという折衝をしているんですけれども、結果としては、やはりこれはルール上、都道府県知事の裁量に任されているというところでございますので、引き続き、都道府県知事の理解が得られるように、折に触れて都道府県の警察とそういった話し合いをして、一人でも多く、計画どおりのスクールサポーターが採用してもらえるよう取り組んでいく、これ以外に今はないというふうに考えております。

鈴木(望)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、必要であるということをお認めになって、それで予算もつけていると思うので、これが実効を上げるように、まずはトップのリーダーの姿勢をきちんと示す、予算の都道府県に対する、都道府県警察に対する説明のときに、ぜひ配置するというようなことで、トップとして、その姿勢をぜひお示しいただきますように、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、ちょっと時間が足りなくなってきましたので、教師の評価基準について、話を移していきたいと思います。

 教師も、当然のことですけれども、人の子であります。どう仕事ぶりを評価されているかというのは当然気になりますし、昇進も気になります。その意味では、いじめについても、いじめに関する教師の評価を変えるということが非常に重要ではないのかなというふうに私は思うわけであります。

 従来は、自分が受け持っている教室の中にいじめがない先生がいい先生という評価だったろうと思います。だから、いじめが見つかると、慌てて隠したりとかもみ消そうとしたりという行動に当然出がちでありまして、それがかえって事態を悪化しているという側面があろうかというふうに思います。

 そうじゃなくて、いじめは古今東西どこにでもあるんだという立場に立てば、たとえ、その教室内で家庭の事情でもってちょっと荒れている子供さんがいていじめが起こった、別に驚くことではない、先生の責任じゃないわけですので、それで評価が下がるということもないようにしなきゃいけない。

 それよりも、発生したいじめを、いかに子供の立場に立って健全な方向に、生徒にとってよい方向に指導をしていったのかといったような、いじめの対処の仕方に評価基準を移していくべきでありまして、いじめ防止対策推進法の三十四条は、まさにその点について指摘をした、学校の評価ということで挿入をされた条項でございます。これは、日本維新の会が強く条文化を指摘した点でもございました。

 教師の、先生の評価ということについて、このいじめ防止対策推進法を受けて文科省はどのように対応されたのか、申しわけありません、手短に御説明をお願いいたします。

前川政府参考人 いじめ問題に関します教員の評価の実施に際しましては、受け持ちのクラスでいじめがあるかないか、それが多いか少ないかということだけで評価するのではなく、むしろ、問題を隠さず、適切に実態を把握し、迅速に対応するかどうかということで評価を行うということが必要だと考えております。

 これまで、文部科学省といたしましては、いじめ防止対策推進法の制定を受けまして、いじめ防止対策基本方針を定めましたが、その中で、教員評価の留意点を具体的に示したわけでございます。その上で、教育委員会や教職員を対象とした会議や研修会等におきまして、その趣旨を周知してきておるところでございます。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 あえて私がこの点について聞きましたのは、先生方の評価基準が、重点が変わっているはずだよというようなことを、マスコミの方々も含めて、現場の先生方も、ましてやお母さん方も、全く知らないというような状況にあるんじゃないのかなと思います。そこで、特に現場の先生方も含めて、評価基準の重点は移っているんだよということをあえて明らかにするために、ここで聞かせていただいたわけであります。

 文科大臣に、いじめと教師の評価のあり方について、評価を変えることによって、変な隠蔽であるとか抱え込みはなくなってくるというふうに思いますけれども、その点についての大臣のお考えをお願いいたします。

下村国務大臣 文科省としても、これまで、いじめ問題に関する教員評価等の留意点を示した通知を発出するとともに、教育委員会や教職員を対象とした会議や研修会等において、その趣旨を徹底してきたところでありますが、御指摘のように、必ずしもそれが十分に生かされていない現場、現状があるというふうに思います。

 各学校において、いじめが発生した際の問題を隠さず、迅速かつ適切な対応を評価する取り組みが確実に進むように、文科省として、いじめ防止対策推進法やいじめ対策基本方針の趣旨にのっとって、さまざまな機会を捉えて、教育委員会、教職員、保護者等への周知徹底、さらにこれからしっかり取り組んでまいります。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 もう一つ、体罰について御質問するつもりでありましたけれども、もう時間がなくなりましたので、簡単に御説明して終わりにしたいと思います。

 体罰は、いじめと密接に関係するわけですね。先生が目的を達成するために生徒をぶん殴っちゃうということをしていれば、生徒は同じように下級生や弱い者をぶん殴って従わせる。そういう意味では、体罰を根絶しなくちゃいけないというふうに私は思います。

 その観点から、山下全柔連の副会長、オリンピックの金メダリストが、文科委員会に出席いただいたときに、こんなことを言っていました。

 指導者が体罰に頼ってしまうのは、第一に、自分の感情をコントロールできないから、第二に、暴力以外の言葉による指導とか実技、人間力等の技術指導力が未熟なために暴力に頼ってしまう、三番目が、短絡的な目先の効果を求めてつい暴力による指導に頼ってしまうということの三つの理由を挙げて、暴力による指導はしょせんは指導者の未熟、絶対にだめというふうに言っておられました。

 私は本当にこの言葉に感銘を受けたわけでありますが、ぜひ文科省としても、体罰は絶対にだめ、根絶をするという強い決意を持って臨んでいただくことをお願いしまして、私の質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

二階委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次に、石関貴史君。

石関委員 こんにちは。日本維新の会の石関貴史です。

 まず、大きく分けて二つ、質疑とそして御要望も含めて申し上げたいと思います。

 一つ目は、週末の十四日の大変な降雪被害でございますので、防災大臣それから農水大臣にもお尋ねと御要望も申し上げたいと思います。

 二点目は環境問題ですが、私、地元が群馬県ですので、群馬県の事件を例に挙げて、環境問題についてお尋ねをしたいと思っています。

 まず一点目、大変な雪害ですけれども、まずは、大変な被害を受けた皆さん、亡くなられた方もいらっしゃいますし、私の地元でも、ビニールハウス、農家の被害というのは本当に私の予想をはるかに上回る甚大なものがありました。こういった被害を受けた皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、今、この救助に当たっていらっしゃる皆さんですとか復旧工事に当たっている皆さん、こういった皆さんには、これも心から感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、まず、地元のことを例に挙げながら、皆さんに御理解もいただいて、雪害対策、復旧の対策をお願いしたいと思っています。

 私の地元、申し上げたように群馬県ですが、災害救助法の適用、これも既に受けているところです。ただ、この雪、私はずっと群馬県で生まれ育っておりますが、私自身も一度ももちろん経験のないもので、どれほどすごいかというと、県庁所在地、群馬県は前橋市でございますが、この降雪は今回七十三センチでありました。これは、一八九六年の観測開始以来の最高値を二倍以上上回るというものですので、どれだけすごいかというのは皆さんにも御理解をいただけるかなというふうに思います。

 どんな被害か、具体的なものを写真をお持ちいたしました。皆さんに、お手元に配付の写真の資料もごらんいただきたいと思います。

 私の地元の伊勢崎市の境地区というところのホウレンソウのハウスです。こんな形で倒壊してしまった、雪の重みで。雪が降って、その後また雨に変わったときに、その重みで倒壊したというものが大変多く見られるというのが今の現状です。

 次に、これもビニールハウスですが、もうめちゃくちゃになっているということです。

 政府も、今、被害の状況を把握し切れないところを鋭意努力されて、把握に努めておられるということだと思いますが、これが群馬県の地元の状況ということで御理解をいただきたいと思います。

 これは二つとも農家のビニールハウスというところです。ビニールハウス、ざっとですけれども、八割から九割がこういう形での破損をしているということ、そして、群馬県は野菜農家が大変多いので、いわゆる園芸ですので、これだけの被害を受けたときに、いつ復旧できるかというのは大変困難な状況であり、農家の皆さんは本当にお困りだということです。

 県の推計によると、農畜産の被害が百三十九億七千万円、園芸は百三十七億円。現在のところの推計ですので、いろいろ考えれば、まだ大きくなるのかなというふうに思います。

 地元の皆さんからは、直接に、ぜひ激甚災害の指定をしてもらいたいと。いろいろ私も過去の例を調べました。ただ、今回、これが当てはまるかどうかというのも政府の判断のしどころだというふうに思いますが、大変な被害であるということは防災大臣もよく御承知だと思います。ぜひ、ここで、激甚災害の指定について検討いただきたいということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

古屋国務大臣 今、委員の御指摘は、農水被害の関係についての……(石関委員「全部含めてです」と呼ぶ)全部含めてですね。

 これはもう、激甚災害については、まず被害を詳細に把握した上で、ルールに基づきまして、できるだけ速やかにその判断をさせていただきたいというふうに思っております。

 きょうは農林大臣も来ておりますので、農林関係については恐らく農林大臣の方から御答弁があろうかと思いますけれども、しっかりその調査は進めさせていただきたいというふうに思います。

石関委員 速やかに調査を行って、とにかく激甚災害の指定ということが非常に地元の大きな声であります。これは群馬県だけではないと思います。ぜひ鋭意検討をお願いしたいと思います。

 これはまた、今、農地だけではなくて、いわゆるカーポート、車庫、これも倒壊をしているものが非常に多い。ぽつぽつ倒れているだけではなくて、あっちもこっちも倒れているということであります。これも現状として把握をいただきたいと思います。新車を買って、置いておいたら、屋根ごと全部潰れたという家もたくさんあります。これが群馬県の今の雪害の状況ということでございます。

 これは、雪国の人からしてみれば、これぐらいの雪でというふうに思われることもあるかもしれません。毎年雪で苦しんでいる地域の皆さんから比べれば、これぐらいの雪でということがあるかもしれませんが、農業にとっても、普通の生活にとっても、先ほど申し上げたように、群馬県、スキーや温泉によく行かれる方は、雪が降って当然という地域と思われるかもしれませんが、私の地元は、関東平野の一番北ぐらいまで、ちょうど茂木大臣がいらっしゃいますけれども、同じ関東平野の、ちょうど北の境ぐらいまで平地なんです。そこでもこれだけの被害が出ているということでありますので、よくよく御検討いただいて、ぜひお願いをしたいと思います。

 農業の場合には共済というのがありますが、共済のカバー率、園芸ですとかビニールハウス、これは非常に低くなっています。五割から二割ぐらいというのが現状ですので、とてもこれでは賄えないというのが今回の被害の大変なところでありますし、雪国ではないところでのこれだけの被害ということでございますので、これまでの仕組みではカバーができないというところをどのようにカバーするか、鋭意検討中だと思いますが、ここのところを農水大臣、それからもう一度防災大臣にお尋ねして、この雪害の問題、御要望等を含めてお尋ねしたいと思います。

林国務大臣 お答えを申し上げます。

 先週末の雪害による農業の関係の被害の状況については、今委員から少し数字も暫定的なものを出していただきましたが、各県とも今確認を急いでいるところでございます。

 まさに委員がおっしゃっていただいたように、平年の降雪量が非常に低いところで、前橋の七十三センチは御披露いただきましたが、草津も百四十八センチで歴代一位、それから軽井沢も九十九、歴代一位、秩父が九十八、歴代一位、甲府が百十四、歴代一位、それから熊谷も六十二センチで歴代一位ということで、まさに、ふだん余り雪が降らないところにかなり大きく降雪量があったということと、今も写真を出していただいたように、施設園芸が非常に多いところでございますので、このパイプハウス等の被害がかなり出ているだろうということで、我々も、関係自治体と連携して、被害状況を早く把握したいというふうに思っております。

 今お話があったように、園芸施設共済などの共済に加入している農業者は、迅速な損害評価と共済金の早期支払い、こういうことになるんですが、入っていらっしゃらない方が残念ながらいらっしゃるということでございますので、そういう方に対しては、日本政策金融公庫の農林漁業施設資金等の長期、低利の融資がございます。それからもう一つ、農業用ハウスの再建等に対する国庫補助事業、経営体育成支援事業というのがございまして、これは、過去に例のないような被害が生じている場合、それから、今お話があったように、激甚の指定があった場合等の甚大な被害が発生した場合には、こういうものも発動する、こういうことになっております。

 したがって、まずは早くこの状況を把握するということと、それから、我々としては、一昨日、二月十七日ですが、円滑な融資と農業共済制度の迅速、的確な対応については、既に関係団体に要請をする通知を発出させていただきました。

 また、今までなかったようなことがいろいろと出てくる。きのうも、聞いておりましたら、ハウスがかなり広範囲にやられていますので、一カ所だけやられたのなら、みんなで助け合いながら直す、しかし、皆さん全てやられているので、なかなか手が回らない。しかも、ハウスの後の露地のものがもうだんだん始まってくる。こういうようなことも御要望として承りましたので、こういうこともあって、二月十八日、昨日でございますが、私を本部長とする、大雪被害に関する農林水産省緊急災害対策本部を設置いたしました。

 いろいろなことできちっと対応していって、それからもう一つは、精神論かもしれませんが、我々は最大限のサポートをしますので、ぜひ営農を続けていただきたい。これを機に、もうやめようかなということが頭をよぎるかもしれませんが、我々が最大限のサポートをしますので、ぜひ頑張って続けていただきたいということも申し上げておきたい、こういうふうに思います。

古屋国務大臣 委員の御地元、伊勢崎、群馬県を初め山梨県等々で、本当に、気象台始まって以来最悪の降雪でした。お亡くなりになった方には心から御冥福をお祈りしたいと思いますし、また、被災者の皆様にはお見舞いを申し上げたいと思います。

 私ども内閣府防災でも、十四日には降り始めましたので、関係省庁を集めて対策会議を開かせていただいて、まず情報をとる。そして、こういった雪に余りなれていない地域でございますので、やはりそういったアドバイスは必要だろうということで、東北はなかなか難しいものですから、例えば北陸地整とか新潟とか、そういった地域から雪の専門家も現地に派遣をしていただくというようなことをしました。

 その後にも何度も会議を開いておりますけれども、昨日には総理にも入っていただいて、やはり孤立集落、この対策が、群馬県もありますので、実際、群馬県と埼玉県にも政府の現地対策室をつくって、情報収集と戦略的なアドバイス等々をさせていただいております。

 やはり、自衛隊の皆さんにも、今度は数千人単位で全部入れれば、山梨県だけでもう千人入っていますし、また、各地区でもその御要請に基づいて自衛隊にも入っていただいていますので、徹底的に対策は講じていきたい。

 きょうも、実は一時にも会議をしまして、電話会議あるいはテレビ会議等々で対応しております。私ども、できるだけの対応はして、一日も早くふだんの生活に地域住民の皆様が戻れるように、全力を尽くしてまいりたいと思います。

石関委員 御丁寧な答弁、ありがとうございました。

 まさに、農水大臣がおっしゃったように、これまでにない被害だということをよく御承知されているというふうに思います。

 まさに、おっしゃった、営農を続けたいけれども、しかし、今回のことで、担い手もいないし、やめようという、いいとは言いません、悪い機会になってしまった、こういう声が直接私のところにも届いておりますので、こういう、やる気があるけれどもできないという皆さんをできるだけ減らしていただけるように、まさに、おっしゃったように、これまでの取り組みではなかなかカバーできないもの、創意工夫を使って最大限の御努力をぜひお願いしたいと思います。

 農水大臣、これで結構です。ありがとうございました。

 続いて、環境問題に移りたいと思います。

 まず、経産大臣にお尋ねをしたいと思います。

 報道されたものですが、先月の二十八日、これは一部上場企業ですが、名古屋に本社がある大同特殊鋼株式会社という大きな特殊鋼のメーカーがございます。これは群馬の、私の地元の渋川市に大変大きな工場があるんですが、この関係の報道がなされました。この内容は、鉄鋼スラグというもの、工場から排出されるものですが、これを再生資源として業者に販売をしていました。ただ、これは奇妙なことに、販売額よりも高い費用を大同特殊鋼が負担をして売っていた、このことが報道されました。

 販売額より高い手数料を売る側が負担するというのは普通では考えられないことなんですが、想像するに、これは、本来は産業廃棄物として処理をしなければいけないものを、高いお金を払って、あたかも再生資材であるかのような偽装をして業者に売りつけていたのではないか、こういうことが推定をされるわけです。

 こういった取引だとすれば、これはこの業界では逆有償取引という呼ばれ方をするようなんですが、立入調査をしておりますので、群馬県から報告が上がっているのか、私が説明した報道の内容で間違いがないか、お尋ねいたします。

茂木国務大臣 御指摘の事案につきましては、当省としても、一月の末より大同特殊鋼の方から聞き取りを行っておりまして、平成二十一年の七月から二十四年の六月まで、販売価格より高い費用を引き取り手に支払ういわゆる逆有償取引、これの事案を確認いたしております。

 この件に関しまして、群馬県渋川市の調査では、同社の鉄鋼スラグ製品が使用された土地十一カ所で、環境基準を超える弗素、六価クロムが検出をされておりまして、このような事案が生じたことはまことに遺憾であると考えております。

 同社に対しましては、同様の事案の有無の確認とともに、販売した製品の管理状況の把握など、スラグの管理体制の見直しなどについて、しかるべく対処するよう指導しているところであります。

石関委員 この大同特殊鋼の鉄鋼スラグ、今御説明をいただきました。

 これは、いつから販売して、年間どれぐらいの量を販売しているんですか。

宮川政府参考人 お答え申し上げます。

 このスラグにつきましては、売り出しでございますけれども、九〇年代のところから売り出しているというふうに伺っております。

 なお、年間の販売量でございますけれども、渋川に限って申し上げますと、年によっても非常に上下がございますけれども、おおむね二万五千トンぐらいというふうに伺っておるところでございます。

石関委員 では、今度は環境大臣にお尋ねをします。

 これは、先ほど経産大臣の答弁にもありましたけれども、この鉄鋼スラグの中から、六価クロム、それから弗素、こういうものが検出をされた。それぞれ、これは発がん性が高かったり、歯とか骨とか、弗素なんかはそういうものに大変有害な影響があるというものなんですが、これらは、そもそも環境省を中心に国が基準を持っていて厳しく管理をすべきものというふうに考えますけれども、どういう管理をされているんですか、この物質については。

平岡政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘のございました六価クロム、弗素等は有害物質ということでございます。

 こういう物質につきましては、環境基本法の規定に基づきまして、水質汚濁でありますとか土壌汚染等につきまして、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準ということで、環境基準を設定しております。

 そして、これらの環境基準が満たされるように、水質汚濁防止法に基づくモニタリングでありますとか規制を行っておりますし、また、土壌汚染対策法に基づく汚染の除去等の措置を求めるといったようなことを行っておりまして、適切な環境管理措置が実施されるように努めておるというところでございます。

石関委員 大変な危険なものであるということ、それから、努めているけれども、こういうふうに漏れたというか、スラグの中から検出をされて、そのスラグがあちこちで使われている、この後も御説明しますが、そういうことであります。

 今度は国交大臣にお尋ねをします。

 この報道の中でも、渋川市内、この工場があるところの十一カ所の施設で、基準値を超える六価クロムや弗素が検出をされた、これもこの中で報道されています。

 これは、先ほど経産大臣は把握をされておられましたが、県を通じてこの十一施設からこういった有害物質が検出をされたということの報告がなされているのかどうか、当然されていると思いますが、されているのであれば、この汚染の浄化のために既にどのような対策をとられているのか、教えてください。

太田国務大臣 今回の報道を受けまして、群馬県内の国土交通省所管工事について、大同特殊鋼の鉄鋼スラグの使用状況について調査を行わせていただきました。

 具体的には、工事に使用する材料につきまして、工事を行う施工業者から提出されます品質規格証明書というのがありますが、これの書類を確認しました。その結果、書類が残っているのは平成二十年度以降でありまして、この平成二十年度以降の工事で、道路の路盤など四十五件の工事におきまして、大同特殊鋼の鉄鋼スラグを含む砕石を利用した記録が残っていることを確認しました。したがって、これらの工事においては、御質問の鉄鋼スラグを含む砕石が使用されているというふうに考えます。

 そこで、この二十年度以降の今申し上げました二十四工事で、大同特殊鋼の鉄鋼スラグを含む砕石を下層路盤材等に使用していることを確認したところです。なお、現地では、砕石はアスファルト舗装で覆われているという状況にございます。

 このうち二十の工事につきましては、施工業者から提出されました品質規格証明書によって、六価クロムや弗素について環境基準に適合していることが確認できています。基準内ということです。

 また、品質規格証明書による確認ができていない残る四工事につきましては、土壌汚染の専門家の指導のもとに、現地から試料を採取し、有害物質の含有や溶出の実態について、現在分析を行っているところです。分析調査結果を踏まえて、環境への影響の有無や必要な対策について検討してまいりたいと考えています。

石関委員 この品質証明書というのは、メーカーが証明しているものですね。品質証明書、これはどういうふうに証明されているものですか。

太田国務大臣 これは、大同特殊鋼から建設業者に行きまして、それが、工事を行う施工業者から国土交通省の工事を行った工事事務所に、建設業者から、ここにこういうものを使いましたということを提出しているということでございます。

石関委員 有害物質についての品質というか、これが基準値以内だということは誰が証明しているんですか。

森政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘ございました品質証明書でございますが、私どもの方、さまざまな材料を使っていく上での……(石関委員「手短にやってください、時間ないから」と呼ぶ)はい。試験成績書というのをいただいているところでございます。これに関しましては、大同特殊鋼株式会社の方から、一般的なJISによる試験方法によりまして、その結果が出されているというところでございます。

 以上でございます。

石関委員 では、それは役所は調べていないんじゃないですか。

 だって、こういう逆有償取引みたいなことをしている会社が出してきた紙を品質証明ですと、そんなものをそのまま受け入れていいんですか。怪しげだから報道されているんでしょう。県も立ち入っているんじゃないですか。そんなものが出してきたものを、はい、そうですかと、こういうことですか。こんなの、県民も住民も心配でしようがないですよ。

太田国務大臣 まず、現実に残っている書類というものがございますから、それを調べて、そして、先ほど申し上げましたが、調査するということについて今専門家と協議してやっているということでございますから、声を荒げることはないと思います。

石関委員 だって、住んでいる人とか、私もこの道路を使っていますよ。悠長なことをやっている暇がないから、ここで質問しているんですよ。紙を出してきたから平気だ、こんな問題じゃないと思いますよ。もうちょっと切迫感を持ってやってくださいよ。

 具体的にどこで使っているか。国道十七号とか、それから、いろいろ話題になりました八ツ場ダムの工事の事務所が発注しているもの、こういったところでも使われていますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 私どもの国道事務所あるいは八ツ場等々の事務所で、今御指摘のスラグは使用させていただいておるところでございます。

 以上でございます。

石関委員 国道十七号と、いろいろ話題になった八ツ場ダム、ここの工事で国交省が発注したものに使われているということでございます。

 国道十七号でいうと、私もよく使いますけれども、どこからどこの部分、どれぐらいの距離を使っていますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 今の、延長につきましては、申しわけございません、手元に資料がございません。

 私どもの方が行っております国道十七号等々につきましては、二十四の工事でこのスラグを使わせていただいております。

 以上でございます。

石関委員 皆さんにも、このスラグというのがどういうものか、写真をお手元に用意したので、ぜひごらんをいただきたいと思います。

 下の方の写真を見ると、ただの小石みたいに見えて、スラグといっても石と違いがわからないと思います。私もそうです。

 ただ、国交省の所管である独立行政法人の水資源機構、こういうのがありますよね。この水資源機構が管理している、この写真に載っているのが群馬用水という施設であります。このホームページを見ると、ここにスラグ材が、これは現地で写真を撮ったものですけれども、未舗装の道路の部分にスラグ材と思われるものが敷き詰められている。

 スラグ材というのは、今申し上げたように、普通の砂利とか石とかそういうものと変わらないというので、ここを通る人は普通の砂利だろうと思っているということでありますが、ここに使われているようなんですけれども、国土交通省として、この使用実態というのは把握をされて、調査をされているのか。あるいは、水資源機構から調査の報告というものはもらっているんでしょうか。

太田国務大臣 水資源機構では、群馬県渋川市、前橋市、高崎市等を流れる幹線水路延長六十二キロの群馬用水におきまして、管理用道路の路盤に大同特殊鋼の鉄鋼スラグを使用した実績があります。

 その施工は平成十六年度から平成十八年度にかけて行われておりまして、榛名幹線〇・一キロ、赤城幹線一・五キロの、合計一・六キロの区間において使用したとのことでございます。

石関委員 ごらんいただいた写真のようなところなんですけれども、片側が用水路、片側が畑、こういう写真ですよね。皆さん確認いただけると思いますけれども。

 これは、群馬用水のホームページを見ると、用水路を流れているこの水が、群馬県の八市町村の農業用水や飲み水に使われている。ここを歩けば、スラグ自体、砂利かなと思って手に触れることも可能だ、こういう場所だということなんですが、これは何か至急対策をとる必要があるんじゃないですか。いかがでしょうか。

太田国務大臣 現在、水資源機構におきまして、必要な調査を行うために、群馬県及び前橋市の土壌汚染対策を担当する部局と、調査試料を採取する位置、試料のとり方、分析方法等について協議をしているところでございます。

 調査結果を踏まえ、水資源機構において適切に対処するものと考えています。

石関委員 どんどんやってください。

 それで、今、同僚から五分もらいましたから、もう少しやらせていただきます。

 もう一つ、お手元に配付した資料、平成十六年度の「堀越第三開水路フェンス改修等工事(第一回変更)特記仕様書」というのがあります。これを開いていただいて、「第二章 本工事」のところ、「材料」「スラグ砕石」「路盤工に用いるスラグ砕石は鉄鋼スラグ路盤材とし、」というふうに書いてあります。

 これは、事細かに、鉄鋼スラグのJISの番号まで、規格まで大変細かく指定をされていますが、どうしてここまで細かく指定をする必要があるのか。単にスラグ砕石とか、そういうものでもいいのではないかなというふうに、これは専門家に聞いてもそういうふうに言っていました、ただの砕石でも別に構わないと。

 なぜ、わざわざ鉄鋼スラグというふうに指定をしているのかということ、これは水資源機構の指示で鉄鋼スラグになっているということなんですけれども、これはどういうことなんですか。別に、単なる砕石とかスラグでも構わないんじゃないですか。何でこんなに細かくなっているんですか。教えてください。

越智政府参考人 お答え申し上げます。

 水資源機構からは、当時のJIS規格に沿いまして、強度の確認や粒度分布、それから経済性などを検討、確認した上で使用したものと聞いております。

石関委員 全然答えていない。ちょっと待ってよ、全然答えていないよ、それは。私の質問に答えてくれよ。早く。(発言する者あり)

越智政府参考人 お答え申し上げます。

 施工時期が平成十六年から十八年ということもございまして、当時の工事関係資料が十分に確認できない面もございますけれども、特記仕様書で、当時のJIS規格に準じて対応するとしておりまして、先ほど申し上げましたように、粒度分布とか強度とか、当時のJIS基準に沿って対応しているというところでございます。

石関委員 全然答えていないし、言っていることはわからないし、焦るなよと言ったって、こういう有害物質が出ているものが工事に使われているんだから、焦らなきゃおかしいよ。何か、調べていますとか、会社が持ってきた品質で大丈夫だ、こんなもので納得する人はいないですよ。

 もう一つ、ここ十年間、過去十年間で、国交省と経済産業省から、大同特殊鋼ですとか、この道路を施工した会社、ここに天下っている人はいますか。

宮川政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省では、国家公務員法に基づき、届け出が義務づけられている管理職職員等であった退職者については、離職後二年間以内の再就職の状況の把握をしております。

 それによりますと、大同特殊鋼、世紀東急工業への、二社の再就職の届けはございません。

武藤政府参考人 国土交通省におきましても、経産省と同じような届け出を受理しておりますけれども、それによりますと、大同特殊鋼あるいは舗装会社への再就職の届け出はございません。

石関委員 ないということなら結構なことですが、先ほど申し上げたように、これは、そのうちやりますということじゃ困るんですよ。住民の人も大変不安に思っています。どんどん取り組んでいただきたいというふうに思います。

 あと、汚染とかこういった問題、水質だったら水質汚濁防止法、土壌汚染だったら土壌汚染対策法というのがあります。廃棄物には処理法というのがありますが、再生資源だということであれば、廃棄物だというふうにみなされないと、ここはすき間になっちゃっているんですね。だから、こういった問題、今後もぜひこの問題を一つの契機にいろいろ取り組んでいただきたいと思います。

 何を焦るんだとか言っているけれども、これは予算委員会ですから、時間が限られた中で喫緊の問題を扱っているんで、当たり前ですよ。眠ったような審議にしないで、しっかりやっていただくことを期待しながら、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

二階委員長 これにて石関君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠藤敬君。

遠藤(敬)委員 日本維新の会の遠藤敬でございます。

 きょうは教育委員会制度についてお尋ねをしたいと思っておりましたけれども、先般、中田委員、坂本委員から、かぶってしまうようなお話をするのもどうかと思いますので、まずは、道徳の教科化についてお尋ねをしたいと思っております。

 教育改革を内閣の最重要課題の一つとして位置づける安倍総理は、施政方針演説において、道徳の教科化、公共の精神や豊かな人間性を養う道徳を特別の教科として位置づけることを取り上げておられました。

 まずは単刀直入にお聞きしますが、なぜ道徳の教科化が必要なのか。ここは、教育に対する考え方も私と同じくする下村大臣に、あえてお聞きしたいと思います。

下村国務大臣 道徳教育は、国や民族、時代を超えて、人が人として生きるために必要な規範意識や社会性、思いやりの心など、豊かな人間性を育み、一人一人が、自分に自信を持って、また、社会の責任ある構成者として幸福に生きる基盤をつくる上で不可欠なものであるというふうに思います。

遠藤(敬)委員 ありがとうございます。

 実は、大阪で、中学校の道徳の授業中に、靖国神社へ行く人は悪い人というふうに指導する教師がおられまして、保護者から私どもの方に連絡をいただいて学校に急いで行ったわけなんですけれども、まあまあ、子供たちは、おじさん、本当に靖国神社へ行く人は悪い人なんですか、そのようにおっしゃっておりました。

 本当にあるまじき行為でありますし、許しがたいなというふうにも思っておりますけれども、このような言動を今の教育委員会の中においても制御ができないという状況であります。

 この件について、下村大臣にお聞きしたいと思っておりましたけれども、先ほどから麻生副総理がずっとお座りなので、麻生副総理に一度お伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 あらかじめ質問書を出していただいて、それにお答えするというルールになっていますので。

 青年会議所におられたというので、それぐらいのルールは青年会議所で教えてもらったと思いますので、ちょっといかがなものかと思いながら、靖国に関してのお話ですけれども、先ほど岸田大臣の方からもお答えがあっておりましたけれども、基本としては、総理の言っておられるように、少なくとも、国家のためにとうとい命を投げ出した、そういった人たちに対して国家が最高の敬意を持ってそれを祭るというのは当然のことであって、それを禁じている国は、世界じゅう、二つとありません。私どもはそう思っております。

 したがって、総理がきちんとしたそういう対応をしようというお気持ちに、私は、いささかも反論するつもりはありません。それが当たり前のことなんだ、私どもはそう思っています。

 その上で、私どもとしては、この間も、各国からいろいろ話があるとか、いろいろよく伺っておりますけれども、外務省にそれを聞いて、正式に抗議が来たとかいう話を私どもは聞いたことがありませんので。今、中国、韓国等々いろいろお話があるようで、世界じゅうから言われているような話をさっき言っておられた方もおられましたけれども、寡聞にしてそういった情報を、私の耳に接していることはありません。

 三つ目。もう一点は、それは何といっても、不戦の誓いをということで、これまで総理がたび重ねて述べてこられたこと、これが、少なくとも、一九四五年、昭和二十年この方約六十数年間、いや五十数年間の間の日本のとってきた行動というのが正しく近隣諸国にも評価されているものだ、そう思っております。

遠藤(敬)委員 麻生大先輩に失礼な質問をいたしまして、申しわけございません。

 まさに、私が言いたかったのは、そんな先生がたくさんおるということが、そんなことを教えて、子供は先生の言うことを聞きますので、本当に靖国神社へ行ったら悪いのと質問が返ってくるんですね。恐ろしいなと思いながら、次の質問に行かせていただきたいと思います。

 実は、道徳の教科化のスケジュール感について少しお聞かせいただきたいなと思います。

 道徳の時間を特別の教科、道徳として新たに位置づけること、検定教科書を導入することなどについて、報告書をまとめられたことも承知しております。また、先週十四日には、文部科学省から、心のノートを全面改訂した道徳教育用教材「私たちの道徳」が公表され、さらに今週十七日には、文部科学大臣が中教審に、道徳にかかわる教育課程の改善等について諮問を行ったと聞いております。

 学校における道徳教育の充実は待ったなしで、なるべく早期に進めていくべきだと考えておりますが、下村大臣も道徳の教科化の時期に関して、できるだけ前倒ししたいとの旨を発言されております。

 そこで、今後、学習指導要領が改訂され、特別教科、道徳が何年度から各学校で実施されるのか、その際には、検定教科書の使用と同時であるのか、それとも検定教科書を待たずに前倒しをされるのかについてお伺いをしたいと思います。

下村国務大臣 道徳の位置づけは、先ほど申し上げたとおりであります。

 そのために、教育再生実行会議の第一次提言で、道徳を特別な教科として位置づけるという提言をいただきました。これに沿って、文部科学省の中に道徳の充実を考える懇談会を立ち上げまして、早速、心のノートの全面改訂版、今御指摘いただきました「私たちの道徳」、これは心のノートよりは相当質も量もいい教材になっているのではないかと思いますが、これを四月から全ての小中学生に配付して、指導していただきたいというふうに思っております。

 同時に、今御指摘がありましたが、二月の十七日に、中教審におきまして、道徳に係る教育課程の改善等について、専門的、具体的に検討いただくため、諮問を行いました。文科省としては、おおむね本年秋ごろをめどに答申をいただき、その後、できる限り速やかに必要な制度改正を行いたいと思っております。

 今後の取り組み等について決定するのは、中教審で検討していただき、答申を受けてからということになるため、現時点で具体的なことを申し上げることは難しいですが、しかし、先ほど言いましたように、四月から、より望ましい教材を配付していますから、それをそのとおり指導で学校で使っていただければ、相当、道徳については充実した授業ができるのはないかというふうに思います。

 しかし、仮に、この中教審の後、検定教科書を導入するということになった場合に、それを諮問しているわけでありますけれども、学習指導要領の改訂後、実際に教科書が配付されるまでには、新たに教科書の作成、検定、採択、これは民間会社が参入していただきますので、そのプロセスに通常三年間ぐらいを要することになります。

遠藤(敬)委員 本当に、道徳の時間に、靖国の話もしましたけれども、そんな教える先生もおるという一方で、教材だけでなかなか、長い教育の歴史の中で、すぐさま日本の美徳やら歴史、文化を継承していくというのは、教科書をもってするのも、早期にやらなければ時間がないというふうにも思っておりますし、それだけではなかなか難しいなというふうにも考えています。

 古来から、血を流さず国を滅ぼすということで、教育を変えてしまうという戦争の戦術があるそうでありますけれども、まさに戦後の時期を間もなく六十数年が過ぎて、国家の大計が教育の百年であるならば、厳しい状況にあるなというふうにも考えております。

 一方で、道徳の教材だけではなく、地域のコミュニティーの希薄化というのも十分に認識しなければならないなというふうに思っています。

 私の地元の大阪の泉州でも、だんじり祭りというのが有名であります。委員の皆様も御承知かと思いますが、だんじり祭り一つするにしても、本当に地域のコミュニティーを密にしながら、九月に秋祭りがあるんですが、一年間かけて、若い人からお年寄りまで一緒になって祭りをつくり上げていく。コミュニティーの構築とだんじりというものが密接にかかわっております。

 そこで、余り時間もないので、だんじり祭りのお話はこれまでにしますけれども、子供が最近少なくなってきまして、あれだけの大きな、何トンというだんじりを引き回すわけですから、若い衆がだんじりを引くわけなんですが、引き手が少なくなってきています。地域のコミュニティーを構築するにおいても、お年寄りが本当にふえてきて、高齢化社会になってきている。だんじり祭りの中でもそんな状況になっておるわけであります。

 そこで、これも通告しておりませんでしたけれども、麻生副総理に。

 よくテレビで、おみこしに乗って、ふんどし姿で勇壮な、お祭りに御参加されておりますけれども、実際、祭りを通してのコミュニケーションというのは本当に大事なものだと思っておりまして、私どもの泉州地域では活発に、地域の活性化につながっていると思っております。

 その祭りについて、少し、地域コミュニティーと道徳という兼ね合いを持たせて質問させてもらっておりますけれども、麻生副総理、どうお考えでしょうか。(発言する者あり)

麻生国務大臣 すごく大事だと思いますね。予算委員会だから関係ないという、価値観が違うので、私はすごく大事だと思いました。

 お祭り、さっき言った群馬県なんかは余りないところですよね。いや、本当にないんですよ。関東はみんなないでしょう。(発言する者あり)どこがある。言ってみろよ、有名なところを。ぜひそういう無知な人に聞いてみたいんだけれども。

 お祭りというのは、私は、基本的には関八州というのは皆お代官様でしたから、ここにはお祭りは江戸時代にはできなかったんだと思うんですね。ところが、殿様のいるところには皆お祭りというのはつくってきた。それはやはり、コミュニティーというのを大切にしてきたという殿様が皆いて、福島あたりの相馬野馬追とか、この近辺で有名なところはいっぱいありますけれども、そういったものを大事にしてきておりました。

 私どもも、祭りは戦争が終わってしばらく絶えましたので、あれを復活させないかぬということで、それこそ、一緒にやらせていただいた青年会議所であれを復興させるというときにどっぷりつかりましたので、以来ずっと、一応昔は担いだんですが、最近担げるほどの体力はなくなりましたので、乗せていただいております。

遠藤(敬)委員 この辺で道徳のお話は終わりにさせていただきまして、まさに本題でございます。

 教育委員会制度の改革について、我が党の中田委員、坂本委員が先日の予算委員会でも御質問させていただきました。

 単刀直入に、昨日の報道から、自民党案、いわゆるC案がまとまったという報道が出ておりますけれども、事実でございましょうか。下村大臣にお聞きしたいと思います。

下村国務大臣 まず、遠藤委員の名誉のために申し上げますけれども、これは予算委員会に関係します。これは親子伝統文化取り組み事業の中にことしも十二億円入れて、しっかり伝統文化を教育の部分からフォローアップしていきたいというふうに思っております。

 きょう、自民党の文部科学部会で、新たな教育委員会制度、午前中議論してまとまったというふうに報告を受けております。これから、自公実務者協議を受けて、与党で次のステージで取りまとめに向けて作業されるというふうに承知しております。

遠藤(敬)委員 下村大臣、フォローしていただいてありがとうございます。

 私ども、以前、平成二十四年の二月二十六日ですが、私どもが主催しております教育再生タウンミーティングというのを大阪で行いました。当時は元総理として安倍総理をお招きし、また、松井知事、私どもの八木秀次日本教育再生機構の理事長とのパネルディスカッションに参加をいただきました。

 その際に、安倍総理からは、平成十八年に改正された教育基本法を取り上げ、当時大阪で進めてきました大阪の教育基本条例と方向性は同じである旨の発言をされ、また、教育分野には非常にかたい岩盤があり、それを打ち抜かなければならないという旨の発言もされました。

 そこで、下村大臣にお聞きしますけれども、安倍総理、当時は元総理でありますけれども、安倍内閣の下村大臣であれば、安倍内閣総理大臣が当時おっしゃられたかたい岩盤という意味はどういう意味合いを持たれているかおわかりかと思うので、御質問させていただきます。

下村国務大臣 そのときに安倍元総理がどういう前後関係でその話をされたのかはちょっと承知しておりませんが、文部科学省と、それから都道府県の教育委員会と、市町村の教育委員会と、学校現場というふうに、義務教育は四重構造の中で、かたいというよりは、無責任体制の中で、どこにどういう権限があって、何をするかということが進まない、それが結果的にはかたい岩盤のようになってしまって改革が進んでいない、そういうふうに私は理解しております。

遠藤(敬)委員 私も、当時お話を聞いておりましたけれども、かたい岩盤というのは教育委員会のことも指しているんだろうなというふうにも受けとめておりました。

 そこで、教育委員会改革の方向性について、私どもと同じだと、これまでの発言を振り返ってみましても、改革の方向性、思っておりました。一方、下村大臣自身の改革方針についても、安心して見ることができましたし、まさに同じ方向性だというふうにも思っておりました。

 教育再生実行会議の報告後、そして中教審への諮問後の中教審における教育委員会改革の議論の過程を見ていると、さまざまな議論があり、改革が逆行してしまうのではないかと最近危惧しております。その中教審においても、昨年十二月に何とか答申がまとまりましたが、答申の内容については、さらに詰めるところがあり、疑問に思うところ、教育委員会を残すというところもありましたけれども、それなりに評価をしていたところであります。

 その後、自民党において教育委員会制度に関して再び議論が行われることになり、先日、まだ確定ではないことですが、自民党で検討されている教育委員会の制度改革案というものが一斉に報道されました。

 そこで、あえてお尋ねしますが、下村大臣はこの自民党案の教育委員会制度改革について改めてどう思われているか、率直な御感想をお願いしたいと思います。

下村国務大臣 これまでの形骸化、形式化していた教育委員会制度を、これは抜本的に改革する方向であるというふうに思います。

 中教審で取りまとめられたA案については、首長がより権限を持ち、教育長に対する任命権、罷免権を持つという意味で、責任体制をより明確化するものでありますが、それの危惧として、政治的中立性とか継続性とか安定性についてはやはりありましたから、それに対する危惧の案としてB案が出ていたわけでございます。

 ある意味では、このA案とB案を折衷するような形で、今回、自民党の中できょう取りまとめがされたものであるというふうに思いますが、しかし、方向性については、これは、今までの教育委員会とは相当抜本的な方向性に進んでおります。

 実際に、新たに総合教育施策会議というものを設ける。教育委員会は存続するということですが、旧来の教育委員会がそのまま存続することではなくて、問題は、新たに設置される総合教育施策会議にどんな権限を移譲するのか、それから、新たな教育委員会はどういう分野に限定されるのかということが今後与党の中で協議されることであると思います。

 しかし、方向性としては、私が考えている方向性とも一致する、そういう方向性であるというふうに認識しております。

遠藤(敬)委員 最後になりました。

 本当に、安倍総理、下村大臣に、妥協の産物にならないようにぜひお願いしたいと思っております。それが結果的には日本の将来の子供たちを守るということにつながると思いますので、ぜひともよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

二階委員長 これにて遠藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 きょうは、銀行の休眠口座の活用について、内閣府の西村副大臣に質問させていただきます。

 この案件、本当は甘利大臣が御担当と聞いておりますが、大変公務の出張が多くて、ちょっと前に御病気されていたので遠慮して、副大臣ということで事務方にお願いしましたら、たまたま西村副大臣に来ていただきました。実は、西村副大臣は、かつて自民党のNPO特別委員会の事務局長をやられておりまして、私、そのときその下で次長をやっておりまして、一緒にNPO政策をやっていた当時の仲間というか、上司でもあります西村さんに質問できて、大変ラッキーだと思っております。

 まず最初に、銀行口座の休眠口座の扱いについて、民主党政権のときにはある程度政府内で検討を進めておりましたが、その後、政権交代後、政府内でどのような検討状況にあるのか、質問をさせていただきます。

西村副大臣 御質問いただきまして、ありがとうございます。

 休眠預金口座の活用についての御質問であります。

 御指摘のとおり、民主党政権でも一定の検討がなされたようでありますけれども、その後、結論を得ずに中断されたということでありまして、その後、実は、自民党、公明党、与党内で議論、検討が進んでおります。その検討とも連携をしながら、政府内でも、内閣府に検討チームをつくりまして、どういった形で休眠預金を活用していくのか、あるいはどういったことに使っていくのか、あるいはその仕組みをどんな仕組みにするのか、こういったことの検討を進めておるところでございます。

 政府としても、党のそうした議論をしっかりサポートして、一定の方向、一定の結論を得るように協力をしてまいりたいというふうに思っております。

山内委員 今、仕組みを検討中ということですので、ぜひこういう仕組みにしてほしいという要望を含めて、質問させていただきたいと思います。

 自民党の選挙公約の中でも、休眠口座を有効に活用すると書いてあるんですけれども、どう有効に活用するのか、あるいは有効の具体的な中身というのが書いてありませんが、私は、ぜひ、社会公益に役立つような分野に限定して使えるような、そういう仕組みにしていただきたいと思っております。

 例えば、イギリスの休眠口座のお金は、主に三つの分野に使われるということになっています。教育、雇用、社会起業、この三つの分野に関して休眠口座のお金を活用していくというのがイギリスの制度です。雇用の安定とか、あるいは低所得の子供の教育の投資に休眠口座のお金を使っている、これがイギリスの例です。

 それから、韓国の例では、低所得の高齢者の方の無料看護事業、あるいは低所得の子供の教育事業、社会起業家の育成、こういったことに韓国では休眠口座のお金が使われております。

 やはり、日本でも同じように、イギリスの例のように、教育とか障害者の福祉とか高齢者の福祉、こういったことに休眠口座のお金を使えるような、そういう制度設計が望ましいと思っているんですけれども、現在の政府のお考えをお聞きしたいと思います。

西村副大臣 御案内のとおり、休眠預金は、例えば、一定の年月、十年なら十年にわたって出入金の移動が全くなくて、本人の所在も確認できないような口座のことを、仮に、何となくの今のイメージでいいますと、そんなイメージで休眠口座を思っておりますけれども、そうしたものを、今銀行で、そこから上がる運用益も銀行が持っている、そういう形ではなくて、一定の公益目的のために使えないかということでこの検討がなされてきているわけであります。

 したがって、一般的にそうした預金者、あるいは国民の理解を得ながら、どういった仕組みでどういったことに使うのかというのは検討を進めなきゃいけませんので、現段階でこういった目的に使うということはまだ申し上げられないわけですけれども、御指摘のとおり、各国の例も参考にしながら、私もイギリスのビッグ・ソサエティー・キャピタルという運用の団体も訪問してまいりまして、意見交換をしてきました。そうした中で、一定の方向性を党の方の御議論を得ながら考えたいと思っています。

 私、個人的な思いとしては、どうもアベノミクスが大都市とか大企業のためにだけやっているんじゃないかという誤解もありますので、むしろ、日が当たらないところで地域のために一生懸命頑張っている、ソーシャルビジネスと言われる方とか、あるいはNPOの方々とか、地域の一定のニーズに応えながら活動しておられる、そうしたところに支援が行くような仕組みがいいのかなと思っておりますけれども、このあたりも党での御議論を得ながら、見ながら、我々としても一定のサポートをしていきたいというふうに思っております。

山内委員 西村副大臣が訪問されたイギリスのビッグ・ソサエティー・キャピタル、これは非常にいい制度だと思っていまして、ぜひ日本でも同じようなものをつくってほしいというふうに思っておりますが、質問は、今度は主体についてお聞きしたいと思います。目的ではなくて、主体です。

 やはりこういったお金、もともと税金ではなくて、たまたま休眠口座の所有者の方が権利を放棄したり、あるいは亡くなってしまって相続する人がいない、そういう民間のお金ですから、民間のお金を一旦政府が吸い上げて使うよりは、むしろ民から民にお金が流れるような仕組みをつくっていくことが望ましいんじゃないかと思います。

 そのときに、やはりアカウンタビリティーの面とか、あるいは、NPOといってもあらゆるNPOがいいNPOばかりではありませんで、問題を起こしたNPOもあったりします。そういった意味では、きちんとお金が使われるように監視の仕組みも当然必要なので、ある程度、官が関与したり、あるいは休眠口座を管理している銀行の業界団体が関与したり、そういうことも必要だと思いますが、ただ、使い道を決める最後の判断をする、資金の配分を決めるところは民が主体になるべきではないかなというふうに思っております。

 そういうNPOとか、いろいろな社会福祉法人とかを含めて、民間主導でこの休眠口座のお金を使えるような仕組みをつくっていくことが必要だと思っておりますが、それについてもう一度質問したいと思います。

西村副大臣 御指摘のとおり、この休眠口座の預金は税金ではありませんので、税金と同じように予算を配分していくという仕組みとは違うものであるというふうに理解をしております。したがって、その対象も、もう既に予算で手当てされているような事業にあえてこうした民間のお金を入れる必要もないと思います。

 そういう意味では、こうした民間のお金であるということ、それから、国でなかなか手当てできない、地方公共団体もなかなか手当てできない、公の支援が当たっていないようなところでも、しかし、地域のニーズのために、あるいは社会的な、そして弱い立場にある方のために一定の役割を果たしているところに使うというのは、私は理解できると思いますが、こうしたことについて国民の一定の理解も得なければいけませんし、あわせて、おっしゃったとおり、仕組みについて、税金から賄われる予算とは違いますので、そうした民間の資金であるということの性格を尊重した、そういう仕組みが必要であるというふうに考えております。

 いずれにしましても、与党内でいろいろ議論がなされておりますので、連携をしながら、国民に理解をしていただける制度として一定の方向が出るように、我々としても努力をしてまいりたいというふうに思います。

山内委員 大変前向きな答弁をありがとうございます。

 実際のところ、これは閣法というよりは、もしかしたら議員立法になるかもしれませんが、こういった問題は、自民党と公明党の中で検討されていると聞いていますし、自民党でも公明党でもこういうNPOなどに非常に理解のある方が担当されていると伺っておりますので、ぜひ超党派で、党派を超えて、できれば全会一致で通せるような、そういう法案をつくるためにも、政府も、きょうお越しの自民党、公明党、与党の皆さんも、同じ目的のために進んでいけたらいいなと思っております。

 では、休眠口座の質問は以上ですので、副大臣、お帰りいただいて結構です。

 次に、官房長官に質問させていただきます。大変お忙しいところ、恐縮です。

 次に、外国企業の重要インフラ事業への参入というテーマで質問をさせていただきます。重要な国家のインフラに外国の企業が参入していく、そのことが国の安全保障に及ぼす影響について、そういうテーマで質問させていただきたいと思います。

 アメリカの議会あるいはイギリスの議会は、中国の通信大手企業であるファーウェイという企業がありますが、そのファーウェイという企業がインフラ整備に関与することについて、議会として非常に警戒感を持っているようです。

 イギリスには情報保安委員会という委員会があります。上院と下院の合同の委員会なんですけれども、その議会の委員会がレポートを出しております。昨年の六月に出したレポート、タイトルは、私の直訳で済みませんが、国家の重要インフラへの外国の関与に関する報告書というテーマです。

 この報告書は、タイトルはふわっとした内容なんですけれども、実は、中国のファーウェイというたった一社の企業をターゲットにした報告書です。そのファーウェイという一企業を対象にして、議会が、二十七ページにもなる、結構そこそこの厚みのある報告書を出しております。それぐらい、イギリスの議会というのはこの中国の通信企業に関して警戒感を持っているということが言えると思います。

 それから、同じように、アメリカ議会は、アメリカの下院の情報特別委員会という委員会もやはり同じような報告書を出しています。直訳すると、中国の通信会社ファーウェイとZTEによって引き起こされるアメリカの国家安全保障上の課題に関する調査報告書。これは結構厚みがありまして、八十ページぐらいあります。

 このアメリカ議会の報告書も、ファーウェイとZTEという二社だけをターゲットにした報告書です。実際には、よく読んでいくと、ファーウェイがメーンのターゲットになることは明らかでして、これも、二〇一二年の十月ですから、比較的最近のレポートです。

 アメリカ議会といいイギリス議会といい、中国のファーウェイというたった一社の企業に関してこれだけ警戒感を持って、国家のインフラに対してこういう企業が参加していくことを注視しているということが言えると思います。

 なぜかというと、まず、このファーウェイという大企業、規模でいうと、世界のスマートフォン事業で世界三番目、サムスン、アップルに次ぐ世界三番目の大企業です。二〇一二年の売り上げは三兆八千億円。日本にも日本法人があります。

 この大企業の創業者が、もともと人民解放軍のそこそこの、そこそこと言うと失礼ですけれども、幹部だった方ということが言われております。人民解放軍の情報工学院という、そこの部長さんだった人が創設した会社であるということですね。しかも、その情報工学院という人民解放軍の研究機関のようなところは、そもそも人民解放軍の中でもシグナルインテリジェンスと言われている分野と密接な関係があると言われております。

 ですから、アメリカ議会の報告書を読むと、このファーウェイと今でも人民解放軍のそういうシグナルインテリジェンスの部門は関係があるんじゃないかというようなことが指摘をされております。しかも、その議会の報告書の中には、人民解放軍のサイバー戦の特殊部隊の要員に対してファーウェイが特別なサービスを提供している、そういったことも出てきます。

 さらに、この会社自体、一九八七年に創業した会社なんですけれども、中国政府から戦略分野の重要企業ということで指定を受けて、低利のローン、税の減免措置、あるいは政府としてのバックアップを受けているということが指摘されています。そういう政府やあるいは軍から資金的な支援、いろいろな支援を受けている企業は、どうしてもその政府の、中国政府の言うことを、あるいは軍の言うことを聞かざるを得ないというのは、これは恐らく容易に想像ができることだと思います。

 ですから、イギリスでもアメリカでも、議会の調査報告書の中で、こういうファーウェイの製品を組み込んだインフラが有事の際には危険にさらされる可能性があるというふうに言われております。

 アメリカ議会の報告書のその部分をちょっと直訳すると、中国製の電気通信システムや部品に悪意のあるハードウエア、ソフトウエアを埋め込み、それをアメリカに輸出することにより、危機の最中あるいは戦争中に国家安全保障上の重要なシステムを停止させるあるいは機能低下させることができる、電力網や金融ネットワーク等の重要なインフラに悪意のあるハードウエア、ソフトウエアを埋め込むことは、中国にとって重要な武器になる、兵器になるということを議会の報告書は書いております。結構アメリカの報告書は露骨な表現を使っていると思いました。

 さらに、最近の報道では、アメリカのバイデン副大統領が韓国に行ったときに、ファーウェイが韓国の通信ネットワーク事業を受注したことに懸念を表明しております。在韓米軍あるいは韓国軍の通信システムが中国に対して非常に弱くなってしまうんじゃないかという懸念だと思います。

 ずっと長いこと言ってきましたが、イギリス、アメリカだけではありません。オーストラリア政府は、ブロードバンドネットワークの入札からファーウェイを排除しております。こういう、日本のある意味同盟国、友好国、多くの国が中国のファーウェイというこの一社を非常に警戒しているということがあります。

 こういった、余り特定の企業を政府としては名指しできないと思いますが、外国企業一般が日本の重要な安全保障にかかわるインフラに参入する、その危険性について、政府はどのように認識をして、そして対策をとられているのか、質問したいと思います。

    〔委員長退席、萩生田委員長代理着席〕

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、政府がIT機器等を調達する際には、やはり安全性の確保が大変重要であるというふうに認識をしております。

 昨年の六月、官房長官を議長といたします情報セキュリティ政策会議が決定をいたしましたサイバーセキュリティ戦略におきましても、委員御指摘のいわゆるサプライチェーンリスクへの対応強化を行うという点が盛り込まれているところでございます。

 これまでも、各府省庁の情報セキュリティー対策のもととなります政府機関統一基準群におきましては、ISO、国際標準化機構が定めます国際標準への適合など、安全性の高い調達を行うよう配慮してきたところでございます。

 こうした中、さらなる対策の強化を図る必要があるという観点から、今般のサイバーセキュリティ戦略を踏まえまして、米国を初め諸外国での取り組みなどを参考に、WTOのルールの範囲内で、機器等への不正機能の混入等を防止するため、調達の際に調達先企業の資本関係や従事者の所属、国籍等の情報提供を求めること及び製品製造時の管理体制を確認することなどの追加対策を盛り込むべく、政府機関統一基準群を今年度中に改正することとしております。

 引き続き、政府といたしまして、安全性の確保されたIT機器等の調達が行えるよう、国際動向もよく注視しながら取り組んでまいりたい、かように考えております。

山内委員 諸外国とも調整しながらということだと思うんですけれども、やはり、日本よりも恐らくアメリカとかイギリスの方が対策については相当先を行っているという印象を受けますが、そういった諸外国との国際協力とかあるいは連携のための仕組みというのは、政府として今どのような体制がとられているんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、サイバー攻撃への対応は、国家の安全保障、危機管理上の重要な課題であるというふうに認識をしております。

 サイバー攻撃に迅速かつ的確に対処するためには、諸外国等との効果的な連携が不可欠でございます。

 このため、同盟国であります米国との日米サイバー対話を初め、英国等との二国間での取り組みや国際会議への参画等を通じまして、情報の共有や重要インフラ防護等に関する国際的な連携を進めているところでございます。

 こうした取り組みをさらに強化するために、昨年十月、情報セキュリティ政策会議におきまして、サイバーセキュリティー政策に関して、我が国として重視する国際連携に関する方針を明確化いたしましたサイバーセキュリティ国際連携取組方針を策定したところでございます。

 今後とも、この方針に基づきまして、情報共有体制等に関する各国との連携強化に努めながら、情報セキュリティー対策の向上に向けた取り組みに万全を期してまいりたいというふうに考えております。

山内委員 ありがとうございます。

 それから、サイバー攻撃のときに、狙われて困るのは政府だけではありません。金融ネットワークもそうですし、アメリカの議会の報告書でも電力網と金融というのを特に述べていましたけれども、そういった意味では、民間の電力会社とか、あるいは金融業界とか、そのほかガス会社とか、いろいろなインフラにかかわる企業との連携ということも必要だと思います。

 そういった点で、政府としてはどのような役割を果たすことができるんでしょうか。あるいは、今どのような関係にあるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 政府におきましては、先ほど申し上げましたサイバーセキュリティ戦略等に基づきまして、国民生活や社会経済活動に及ぼす影響の大きさに鑑みまして、電力、金融、情報通信などの十の分野を重要インフラと位置づけまして、情報セキュリティーの観点から、厳重な防護施策を講じているところでございます。

 具体的には、内閣官房情報セキュリティセンター、NISCが中心となりまして、重要インフラ所管省庁等を通じて重要インフラ事業者と密接な連携を図りながら、IT障害の未然防止及び再発防止の双方の観点から、必要な情報セキュリティー対策を盛り込んだ安全基準の整備浸透、官民の情報共有体制の強化、分野横断的演習等の諸施策を推進しているところでございます。

 また、年々深刻化する脅威等に対応するため、本年度中を目途として、重要インフラの情報セキュリティーに関する行動計画の改定を行っているところでございます。

 この新たな行動計画では、安全基準について、中小規模の事業者等が情報セキュリティー対策の水準を段階的に向上させることができるようにしていくとともに、大規模なIT障害が起きたときの情報共有体制の明確化等の各施策を実施することとしております。また、重要インフラの範囲を現行の十分野から十三分野への拡大を図るなど、対策を講じていくこととしております。

 政府として、引き続き、この重要インフラ分野における情報セキュリティーの一層の向上に向けて、官民の連携強化という観点も含めて努めてまいりたい、かように考えております。

山内委員 予算委員会ですので、予算についても聞きたいと思いますが、情報セキュリティーに関する予算というのは、ちょっと予算書を見ると余り詳しく書いてありません。いろいろ言えないこともあるのかもしれませんが、目についたところでいうと、例えば、内閣官房の政府機関情報セキュリティ横断監視即応チーム、六・三億円。六億円というと、そんなに大きいなという、重要性の割には予算が十分に確保されているのか、ちょっと心配になるように思います。

 それから、内閣官房の情報セキュリティセンター、NISCと今おっしゃっていましたけれども、これも、予算も人員も聞いても教えてくれませんが、仄聞するところでは、そんなに多くないというのは聞いていますし、どうも兼務発令で各省の方から来ている人が多い。

 具体的な数字も予算も聞きませんが、ただ、想像するに、余りにも、国家の重要インフラをサイバー攻撃から守るにしては心配だなというような規模だと想像しております。これについて、官房長官の御感想と今後の対応についてお聞きしたいと思います。

菅国務大臣 この内閣官房情報セキュリティセンター、いわゆるNISCは、政府機関や重要インフラ事業の情報セキュリティー水準の向上、サイバー攻撃への対処能力の強化等について、我が国の司令塔として、関係省庁と連携しながら政府全体として取り組んでおります。

 今お尋ねがありました情報セキュリティ横断監視即応チーム、いわゆるGSOCについては、各府省庁の情報システムにセンサーを置き、専門的人材によって、二十四時間、三百六十五日体制で監視を行い、各府省庁の情報セキュリティーの向上に寄与してきているところであります。

 このNISCについては、国家安全保障戦略会議及びサイバーセキュリティ戦略、これに基づいて計画的に検討作業を推進し、平成二十七年度を目途に機能強化を図ることといたしております。

 そのために、私を議長とする情報セキュリティ政策会議等において、関係省庁とも密接に連携しながら、GSOCの機能、セキュリティー監査機能、政府機関、重要インフラのインシデント情報の集約機能、国際連携機能等の強化について検討いたしております。今後は、本年六月ごろを目途に、NISCの機能強化に関する方針を決定する予定であり、これを踏まえて体制強化に取り組んでいきたいというふうに思います。

 人員について申し上げたいと思います。

 現在、NISCの職員数は約八十人であります。

 また、平成二十六年度の政府予算案、GSOC六・三億円、全体としては九・九億円を計上しているところであります。

山内委員 余り期待していなかったんですが、きちんと数字を挙げていただいて、ありがとうございます。事務方に聞くと教えてくれなかったんですが、さすが官房長官だと思います。ちょっと隠し過ぎだなというふうに思いますので、もう少し情報公開していただければと思います。

 三番目の質問に移りたいと思います。

 重要インフラの安全性確保について、それに関するNSCのかかわり方ということを質問したいと思います。

 イギリス議会の報告書の中で、ファーウェイ問題に関する政府への提言の中に、重要な国家レベルのインフラの投資に当たっては、もっとNSCが関与すべきだということをイギリス議会は提案をしておりました。

 日本のNSCはできたばかりで、人員もイギリスよりも大分少ないということは知っておりますが、ただ、軍事だけじゃなくて、もっと広い意味の安全保障という点では、こういうインフラのサイバー攻撃からの防御ということも、やはり今後NSCの中で議論していくテーマではないかと思っております。

 もちろん、官房長官が本部長を務められております情報セキュリティ政策会議もありますが、その上にというかそれと並行してかわかりませんが、何らかの、国家の安全保障政策の重要な一部としてこのサイバー攻撃を捉えることが必要ではないかと思います。

 アメリカのNSCには、サイバーセキュリティーの担当者がNSCの中にいるそうです。それから、アメリカ軍のサイバー司令部というのも、アメリカ軍は今物すごい勢いで予算を減らしておりますが、サイバー部門に関してはかなり増員をする予定と聞いております。今九百人の人員を四千人にする、そういう報道もありました。

 そういった意味では、アメリカのNSCも、イギリスのNSCも、こういう重要インフラのサイバー攻撃の対策、これもNSCとして考えなきゃいけないということになっているようです。

 日本のNSCはどうなんでしょうか。今後、NSCの中でこういった問題についても検討されるという理解でよろしいんでしょうか。

菅国務大臣 いわゆるNSCとしては、既に昨年十二月に国家安全保障戦略を決定し、委員御指摘の、重要インフラの情報セキュリティーを含むサイバーセキュリティーの強化に関し、基本方針を示してきたところであります。

 具体的には、国家安全保障戦略においては、サイバー空間を守って、その自由かつ安全な利用を確保するとともに、サイバー攻撃から我が国の重要な社会システムを防護するために、国全体として、組織、分野横断的な取り組みを総合的に推進して、サイバー空間の防護及びサイバー攻撃への対応能力の一層の強化というものを図ることとしており、そのための施策を掲げております。

 政府としては、国家安全保障会議の司令塔機能のもとに、政治のリーダーシップのもとに、政府全体として、サイバーセキュリティーも含め、このNSCにおいて対応していくということも、委員御指摘のとおり、しっかり行っていきたいというふうに考えています。

山内委員 前向きな答弁をありがとうございました。

 次の、最後の質問に移りたいと思います。余り時間がないんですが、NSCの活動状況についてお聞きしたいと思います。

 みんなの党も日本版のNSCをつくるべきだということを以前から訴えておりましたので、当然、法案にも賛成いたしました。

 新聞報道等を見ていると、早速、局長の谷内さん、大活躍されているような感じですけれども、具体的に、この二カ月というのか三カ月というのかわかりませんが、この短い間にどのような活動とそして実績があるのか、お聞きしたいと思います。

菅国務大臣 まず、NSCでありますけれども、昨年十二月、法案成立をして発足以来、これまで十二回開催をされております。さらに、その中で、国家安全保障戦略の決定を行ったほか、東アジア等の情勢等について戦略的に議論を行ってきております。そうした意味において、目的であります我が国の安全保障政策の司令塔としての役割を発揮しつつあるというふうに思います。

 谷内局長でありますけれども、一月七日の就任以来、国家安全保障会議の事務局長として、まさに国家安全保障政策に関する企画立案、総合調整を着実に行っておるほか、総理の意向を受けまして、一月に米国、欧州、インドを訪問するなど、各国のカウンターパートとの間で情報交換、意見交換を精力的に行っているところでありますし、また、ソチでの日ロ首脳会談には谷内局長が同席をいたしております。

 いずれにしろ、谷内局長は、総理、私、外務大臣、そういう関係の中で積極的にその役割を果たしてくれる、このように考えています。

山内委員 ちょっと時間がなくなりそうなので、最後に言いっ放しで終わりたいと思います。

 この数カ月、報道を見ていると、谷内局長の大活躍ぶりは報道を見ていてもわかるんですが、首相補佐官が余り表に出られないなという気がいたしております。

 もともと法案審議のときから議論がありましたのは、補佐官と局長が二人いると、逆に混乱をするんじゃないか、あるいは、外国から見たときにどっちがカウンターパートなのかわからないんじゃないか、そういう議論もありました。

 私は、やはり運用してみて、二つのポストは一人が占めて、一人の方がスムーズだったんじゃないかなというふうに思いますので、もし、今後、検討課題として、谷内さん一人で局長と補佐官を一緒にやって、その方が……(発言する者あり)塩崎先生もおっしゃいますように十分だと思いますので、そういった形に今後検討していただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

萩生田委員長代理 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。

 きょうは、予算委員会集中審議の間の一般審議ということで、まず予算についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 きょう、皆さんに資料をお配りをさせていただいておりますけれども、一ページ目には、安倍政権の一つの特徴でございます官民ファンドについて、一覧をお配りさせていただきました。主なもので九つ、規模でいいますと、大体、全部合わせて四兆円近くということでございます。

 この中の個別の事例につきましては、例えば農林漁業成長産業支援化機構等でございますと、昨年のこの予算委員会におきまして、民間というところに農林中金が入っていて、これは官民ファンドといいますけれども、農林中金がそもそもやるべきことじゃないかということでありますとか、また天下りの問題でありますとか、そういう議論がされたということを覚えております。

 今回、官民イノベーションプログラムというものもありますが、これは、大学に対して一千億円、大学発のベンチャーを育てるということで導入されております。ただ、これもやはり、中身を見ていくと、大学の中で投資する側とされる側が一緒になっているところで、果たして緊張感が生まれて効果を発揮できるのかということでありますとか、また、今回、文科省は科研費というものを削減しておりますので、若手の研究者に対して競争的な資金ということで提供する科研費を減らしておきながら、このような特定の大学に対する資金を供給して、果たして公平性というものも大丈夫なのかなということを思うわけでございますが、個別の議論ではなくて、全体としてまずお伺いをさせていただきたいと思います。

 これは菅官房長官になると思いますが、このような官民ファンドにつきまして、全体を通して、政府として投資のリターンをどのように考えているかということで伺います。例えば配当でありますとか、もしくは株式の公開でありますとか、また、それらがどのくらいの期間でどの程度戻ってくるということを想定されているんでしょうか。お願いします。

菅国務大臣 まず、全体についてでありますけれども、官民ファンドというのは、いわゆる民間資金の呼び水になる、このことが期待をされる一方、あくまでも公的資金でありますので、効果的な支援が求められる、その基本的な観点に立って、昨年九月に、官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議というのを実は開催をしまして、官民ファンドの運営状況の検証を行うとともに、チェック項目、そういうガイドラインを取りまとめました。

 さらに、このガイドラインには、官民ファンドのガバナンス、この重要性についても盛り込んでおりまして、投資の決定に係る組織を監視、牽制する仕組み、こういうものが明確化された点や、個別案件でのリスクテークとファンド全体での元本確保のバランス、ここが適切にとられているかどうかという点などをチェック項目として示しております。

 官民ファンドの所管省庁においては、本ガイドラインに基づいて、監視、チェックをしっかり行うようにしてもらいたいというふうに考えております。

 その上で、政府が一体となって横串チェックも重要である、そういう考え方から、その閣僚会議の下に設けた幹事会において、ガイドラインに基づく官民ファンドの検証作業を行っているところであります。個別ファンドのヒアリングなどを進めて、検証結果というものを取りまとめて公開したいというふうに考えております。

小池(政)委員 この関係閣僚会議のチェック項目等を拝見させていただきました。

 その中についてでございますけれども、その会議のメンバーでございます大和総研の川村雄介さんがおっしゃっているんですが、例えば、目安として、官民ファンドの評価として、大体五年から十年ぐらいかけて全体の収益が年率一・五%以上あればまずまず成功と言っていいんじゃないかというようなことをおっしゃっております。

 また、今、官房長官は、九つのファンドそれぞれヒアリングをされるということをおっしゃっておりましたが、そのヒアリングは、これからどういう予定で、また、結果というものがどのように公表されるかということについてお伺いさせていただけますでしょうか。

菅国務大臣 官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議の幹事会を昨年の十二月十六日に開催し、第一回目の検証作業を開始いたしました。今後、個別ファンドごとにヒアリングを進めて、検証結果というものを公表していきたいというふうに思います。

 ガイドラインが決定した後初めての検証作業でありますので、丁寧に行っていきたいというふうに思っています。それも、できる限り早期にというふうに思います。

小池(政)委員 今のヒアリングの件ですけれども、公開についてはどのようにお考えでしょうか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 ヒアリングの結果につきましては、取りまとめて公表するということにしております。今申し上げたように、できるだけ早期に公表するように進めているところでございます。

 以上でございます。

小池(政)委員 公表されるということで、ぜひ国民に対して責任をしっかりと果たしていただきたいと思います。

 お手元の資料の二ページ目が、今触れておりました関係閣僚会議で決定されましたガイドラインの抜粋になります。

 その左の方に、例えば、「限られた期間内」でございますとか、下の方には、官房長官もさっきおっしゃっておりました、採算のIRRとか回収期間とか投資倍率とか、そのようなものがここに含まれております。また、右の方の五番の2におきましては、「適切な開示に加え、」「適切な評価、情報開示」、それから「国民に対しての説明責任を果たしているか。」ということもここでしっかりと明記されておりますから、これをしっかり遵守していただきたいと思います。

 また、官民ファンドにつきましては、問題となるのは天下りの問題でございまして、今現状、このファンドにつきまして、天下り、それから現役出向というのがどのくらいいるか教えていただけますでしょうか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の再就職に関しましては、官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議で検討対象としている九つの官民ファンドについて申し上げますと、国家公務員退職者で管理職等であった者のうち、離職後二年間に当該ファンドの役員等に再就職した者はおりません。

 また、現役出向でございますけれども、この九ファンドのうちで申し上げますと、国家公務員からの現役出向は六つのファンドで行っているところでございます。

 以上でございます。

小池(政)委員 現役出向が行われているということで、去年の段階でも、世耕さんの答弁だったと思いますけれども、ファンドによっては大体二割ぐらいいるところもあるということを拝見しております。

 この現役出向に関しましては、私は、政権交代がされて、がっかりしたというよりも、かなり驚いたところが強いわけでございまして、かなり方針を転換されたなということを強く思っているわけでございます。

 野党の際には、民主党が進めておりました現役出向に対してはかなり強い口調で批判されておりましたので、これが、政権がかわってみれば、やはり自分たちも認めるということになっているわけでございます。総理の答弁からもそのような意思というものは確認をしていたわけでございますが、むしろこれから積極的にやっていくというような方針が幾つかかいま見られるわけでございます。

 先ほど皆さんにお配りしましたガイドライン、もう一度ごらんになっていただけますでしょうか。こちらの五番の1でありますけれども、この三行目、「必要に応じ国からの役職員の出向を可能とする措置を講じるなど、」と、あえてここにもファンドに指示するような明記がされているわけでございます。

 ここまで思い切って本当にやるということが、果たして今までの反省というものを踏まえた取り組みなのかなということを非常に疑問に思ってしまいます。

 官民ファンドにつきましても、官と民といっても、官と民、これの関係は決して対等でもなくて、官の方が出資比率が多かったり、後から民を募るということを言っていても、結局、なかなか民が集まってこないで官の方が強いという中で、現役出向で官庁から職員を派遣するというような取り組みをこれから本当に広げていく、続けていくのかなということを疑問に思ってしまうわけでございます。

 これから国家公務員法の改正等もあります。その中でも、人材交流というものを広げるというようなことが明記されておりますが、ぜひ、ここは一度立ちどまっていただいて、原則に立ち返っていただいて、また、もしそれがとめられないにしても、例えば年次を区切るとか、そのような取り組みという形でもう一度見直すべきではないかなと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

菅国務大臣 この官民ファンドというのは、非常に難しい面が一つあるのは、やはり、公的資金である、そして民間の呼び水、そして、これから将来事業を起こそうという企業の目ききというのも物すごく大事であります。そういう中で、公的資金が行っていますから、天下りではなくて何人かの現役出向というのは、私は、ある意味でそこはやむを得ないというふうに思っています。

 いずれにしろ、今委員が言われましたけれども、この官民ファンドというものをこれからもしっかり有効に活用するために、政府としては全力で取り組んでいきたいと思います。

小池(政)委員 やむを得ないという理由がちょっとよくわからないわけでございますが、官房長官、時間があると思いますので、これで結構でございます。ありがとうございます。

 次に、インフラの輸出についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回、インフラの輸出につきましては、予算関連法案も出ているところであります。

 まず、大臣にお伺いさせていただきますが、これから、特に交通等が中心だと思いますけれども、国が前面に出ていきながら民間を引っ張っていくというような形で、どのようにこのようなインフラ輸出を具体的に実行されようとしているのか、その方針をお伺いさせていただけますでしょうか。国交大臣にお願いします。

太田国務大臣 インフラの経協輸出ということにつきまして、政府において、世界のインフラ需要を積極的に取り込むために、日本の強みのある技術、ノウハウを最大限に活用して、官民一体となったインフラの海外展開を推進するという方針で、私がその中の一員として、インフラ、特に交通とか港湾、こういう部門について関係をしているというところでございます。

 私も、昨年、ミャンマー、タイ、ベトナムあるいはインドネシア等を訪問しまして精力的にトップセールスを行うとともに、ベトナムのニャッタン橋であるとかミャンマーのティラワ港であるとか、視察をしてまいりました。

 日本企業の方々のお話も聞きましたが、日本企業の皆さんには、法制度や商慣行が異なっていて、相手国政府の方針も変わる新興国で事業を継続するということについて大変不安に思っているという状況も感じたところです。また、逆に、日本に対する現地の大きな期待というのが相当高まっているという状況にもありまして、相手国は、日本政府がさらに協力を強化してくれることを期待しているというところでございます。また、近年では、機器の売り込みとか、いわゆるインフラの土台づくりというだけでなくて、運営とか維持管理までもというような事業が求められているということが多くなっているという状況にございます。

 私は、交通や都市開発の分野で海外市場に飛び込んでいく事業者を支援していくべきだというふうに思っておりまして、具体的に海外で事業を行う企業に対して出資とか人材の派遣とか相手国との交渉等の支援を行うことは、現在において極めて大事であるという観点に立っております。

小池(政)委員 それでは、事務方の方にお伺いをしますが、その大臣の方針を受けて、今回の予算関連でありますが、会社の出資割合でありますとか、JBIC等どのような機構が関連して、また、プロジェクトに対してどのようなスキームで取り組みが行われるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

稲葉政府参考人 お答え申し上げます。

 官民からの出資についてお尋ねがございました。

 平成二十六年度財政投融資計画におきましては、機構に対する出資五百八十五億円が計上されております。また、前提といたしまして、自己資金等十億円が想定されているところでございます。

 また、もう一つお尋ねがございました。それは、ほかの機関との役割分担ということであったかと存じます。

 いずれにしましても、この法案、これから国会で御審議いただくところでございますので、この法律が成立して後、事業を開始してからということでございますけれども、政府の関係機関と相互に連携しながら、補完して業務をしていくということが基本的な考え方だと承知しております。

小池(政)委員 補足でお聞きしますが、民間の出資額の想定はどのくらいなのかということと、それから、プロジェクトごとにSPC等をつくられるんでしょうか。

稲葉政府参考人 お答え申し上げます。

 民間からの出資についてお尋ねがございました。

 これも、この国会で法案を御審議いただきまして、機構が設立してから後ということでございますけれども、民間から出資を募ることになろうと思います。

 先ほどの繰り返しになりますけれども、平成二十六年度の財政投融資計画におきましては、自己資金等十億円を想定する、こういうことになっておりますけれども、これは民間からの出資を前提としたものでございます。

 それから、これもこの機構が設立した後の業務を行う際の前提でありますけれども、途上国におけるインフラ事業を行う場合には、現地企業と日本企業とが、SPCと申しますか、現地合弁企業を行ってインフラの整備とそれから運営を行うという形態が一般であろうと思います。そういう意味では、そういう形態を前提とした構想である、このように承知してございます。

小池(政)委員 今お話しされたように、今回のこの機構に関しましても、官が五百八十五億、それから民の方は十億程度ということで、かなり対等ではないという関係が明らかになっているわけでございますが、また、これから進める際のスキームについても私は非常に懸念があるわけでございます。

 このインフラ輸出に関しましては、そもそも、非常に民間でも厳しい事業だということが一つございまして、これも皆さんにきょうお配りをさせていただいております三枚目には、インフラ輸出プロジェクトのトラブル事例という形で、新聞報道とかで私たちが見るのは、最初の段階でかなり華々しく始まったというようなことはよく聞くんですが、こういう案件というのは、私も商社にいたからよく体験しているんですが、非常に事業が長くて、国内以上に不規則なことがよく起こって、例えば、現地の政情不安でありますとか、または契約の不履行等におきまして、出口の際には、もうよろよろの状態で民間の企業は出ることになってしまう。

 一つには、ここにもありますけれども、過去、今までずっと黒字だった企業が、この件によって赤字になってしまったということもあるわけでございます。ですから、非常にリスクが高いということを思っていただきたいということ。

 それから、スキームに関しまして言えば、これもやはり経験をしっかりと私たちは踏まえなければいけないわけでございまして、こちら、四枚目の資料になります。

 これは石油公団の事例でございますけれども、麻生大臣はよく御存じだと思いますけれども、石油公団は、今まで海外にSPCという形で小さな会社をいっぱいつくって、公団が出資するんですが、民間は多業種で、小さい割合でどんどん出していく中で、モラルハザードになってしまいまして、かつ、その中の知見とか技術も全く集約されないままに、もともとの目標でありました海外の権益を獲得するということも達成することもできずに、こちらの表にありますように、三百以上の会社をつくって、結果として、出資と融資だけで二兆円以上、返ってきたのは配当と返済というものがわずかでございますから、約二兆円近い大きなお金が国民の負担として計上されてしまったということであります。

 このような中で、今回も、スキームとしても、またリスクとしても非常に懸念があるところでございます。

 そこで、改めて、また大臣にお伺いさせていただきますが、これだけ民間でも非常に難しい中で、どうやってこのモラルハザードを乗り越えて、また知見を集積しながらこのインフラの輸出について取り組んでいかれるのか、もう一度お伺いさせていただけますでしょうか。

    〔萩生田委員長代理退席、委員長着席〕

太田国務大臣 これから国会でやることなので十分お答えできないこと、申しわけないんですが、石油公団の例を出されて、今、千三つというような事業でありますものですから、いろいろな理由があったと思いますが、かなりリスクというものは踏まえていかなくてはならない。きょう御指摘のところを十分受けなくてはいけないというふうに思っております。

 法案審議の際ということになるわけですが、プロジェクトの支援に当たりましては、株式会社である機構の経営陣が専門的、客観的な検討を経て適切な投資判断を行うということは極めて重要だという考えのもとでいきたいというふうに思っています。

小池(政)委員 エネルギーの分野におきましては、もう既に、官が主導ではなくて、民がメジャーという形で大きくなって取り組んでいくべきじゃないかというような議論がされている中で、今回の件は少しちょっと、一周おくれじゃないかなというような気がしたところでございます。

 かつ、この取り組みというのは、期間も、それから金額的な際限というのもない中で、かなりこれから大きなリスクが膨らんでいってしまうんじゃないかなという懸念を感じているところでございます。

 私は、もちろん国際市場の重要性というものは考えるべきだと思いますが、まだ民間のアクセスを広げることということもできるものだと考えております。

 そこで、例えば、官公庁の政府調達というものもこれから市場として広げることができるんじゃないかなと思うんですが、きょうは甘利大臣に来ていただいておりますので、TPPの中で、これから特にWTOに入っていない八カ国の政府調達というものが広がっていくと思いますが、どのくらいのマーケットになるのか、お示しいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 御指摘のように、TPP加盟国十二カ国中、WTOの政府調達協定に加盟している国は四カ国、つまり、日本、米国、カナダ、シンガポールだけであります。残りの八カ国は、そういう意味では政府調達市場が開放されていないということであります。でありますから、そこは、開放のルールをつくって、外資が参加をする道を開く。

 ただ、定量的にここは幾ら、ここは幾らという計算値は、まだしておりません。結局、ルールの方がどういうふうに決まるかによって対象が変わってくるということもあるでしょうし、そこの中で内外無差別ということに基本的にはしていかなきゃならないわけでありますが、中小企業に対する対策等々もいろいろあろうかと思います。

 方向性としては、拡大していくということが今は言えるということで、具体的に量的なことは、まだ、最終的な決着がつかないと試算ができないんじゃないかと思っております。

小池(政)委員 ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 時間が近づいてまいりましたので、最後に、インフラ輸出の中にあります原発の輸出についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 原発輸出も成長産業なんだということを政権はよくおっしゃられるわけでございますが、そのマーケットというのも、私たちに示されるのは、いつも定点で、将来の一点について私たちに示されるわけでございますが、果たしてその見通しのトレンドがどうなっているかということを一つお示しさせていただきたいと思います。

 お配りした最後の資料になります。五枚目でございますが、こちらは、国際機関のIEA、また、経産省がよく使いますIAEAのそれぞれの見通しになります。

 IEAの現状ベース、それから政策転換ベース。それから、経産省はこの右のIAEAの低位と高位、二つをがっちゃんこして、それを割って、真ん中を市場として、将来のマーケットとして見ているわけでございますが、この予測自体も、毎年なされる中で、だんだんと将来予測というものが減っているということも私たちは忘れてはいけないと思います。

 そして、その中で、これから審議されていくわけでございますが、原発輸出につきましては、さきの国会では特に外務委員会を中心として議論がされてまいりましたが、なかなか、やはり契約の中身がまだ不明であるということで、本来私たちが考えるべき国民負担、リスクというものをどう捉えるかということが非常に難しい状態だと思います。

 例えば、トルコにおきましては、発電事業者という形で日本が出資するかもしれない、そのときにリスクを持つかもしれない。また、今回、なぜかトルコに関しては、核物質の濃縮、再処理というものも認めるような記述が入っております。また、安全基準というものが、果たしてほかの国に提供することはできるのか。それから、大臣もよくおっしゃっておりますけれども、原発の事故の補償を相互に補完する、そういう取り組みをどうするのか。

 そういうものがまだまだ決まっていない中で、果たして国会で、今の状態で決めること、私たちがそれに対して判断することができるんでしょうか。大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、福島の原発事故等を経験した我が国としましては、我が国の持つ原子力の安全に関する知見ですとか経験、これを国際社会としっかり共有していく、こうした責務があると考えております。

 基本的には相手国の意向が尊重されるわけですが、それに対して、我が国として、しっかりとした原子力の安全に向けて知見と経験を共有するべく努力をしていく、これはあるべき姿だと思っています。その中にあって、今委員の方から御指摘がありましたように、さまざまな観点から現実をしっかり確認していかなければならないと思っています。

 我々が提供した技術がどのように活用されるのか、さらには、万が一事故が起こった際にどのような責任が我が国の企業等に負わされるのか等々、こういったさまざまな点につきましては、丁寧に見ていかなければならないと思います。こうした点をしっかり確認した上で、先ほど言いました、我が国の国際社会に対しての責任をしっかり果たしていく、こういった姿勢で臨んでいきたいと存じます。

 さまざまな国の案件につきましては、外務委員会等でさまざまな御議論を今続けていただいております。ぜひしっかりと説明責任を果たしていきたいと考えます。

小池(政)委員 終わります。ありがとうございました。

二階委員長 これにて小池君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 私は、社会資本の老朽化の対策について、きょうは質問したいと思います。

 二〇一二年十二月の中央自動車道笹子トンネル事故、二〇一一年五月のJR北海道の石勝線事故と、以後、一連の不祥事など、いずれも施設老朽化放置が共通の重要な要因であります。老朽化放置は、命、安全軽視に直結します。ですから、事前防災、さらには減災対策の中においても、まず既存施設の老朽化対策を優先すべきだと私は考えます。

 そこで、公共インフラの維持管理・更新費用の推計について聞きたいと思います。

 国交省が所管する十分野について、まず一つは、二〇一三年度の推計、十年後、二十年後の推計は一体どうなっているか、端的に数字でお答えください。

太田国務大臣 今後の社会資本の維持管理、更新のあり方につきまして、昨年十二月に、社会資本メンテナンス戦略小委員会、これで答申をいただきました。答申では、この審議会で検討された推計手法を用いまして、国、地方公共団体等が管理する国土交通省所管施設の維持管理・更新費が示されたところでございます。

 具体的には、平成二十五年度には約三・六兆円と推計される維持管理・更新費が、十年後は約四・三から五・一兆円、二十年後は約四・六兆から五・五兆円程度になるものと推計されるというところでございます。

 なお、これらの推計値は、現在の技術や仕組みによる維持管理状況を前提にしたものでありまして、私としては、かなりこれからメンテナンス、維持管理の山が来る、技術革新によってその山を低くし、長寿命化を図るということにしたいと思いますので、今申し上げたよりもっと低くということを目指すということでございます。

穀田委員 目指しているのは何度も聞いているんです。今後五十年間に、今お話があった推計を合計したら、少なくとも二百十兆円を超える維持管理・更新費用が必要ということであります。

 これまで国交省は、一一年から六〇年度までの五十年間で百九十兆円としてきたわけです。今回の推計に当たって、概略で推計した今までとは若干違って、今お話があったように、小委員会の問題を含めた現実の問題を一定反映させたものだと思います。

 そこで、では、今回の推計は社会資本の老朽化の現状、実態を正確に反映しているのか、もっとあるんじゃないかということについては指摘をしておきたいと思うんです。

 皆さんにお配りしている資料が、十分野の推計、今お話あった数値はそこであります。

 そこで、一三年度予算の、実際に予算化された費用は幾らかお答えください。

太田国務大臣 二〇一三年度、平成二十五年度の国土交通省の公共事業関係費のうち、維持管理費につきましては、国直轄事業分で約四千九百億円となっています。更新費用につきましては、既存インフラの補強を行う防災、減災対策の切り分けができませんが、防災、減災、老朽化対策に係る公共事業関係費は約二・一兆円となっております。

 なお、維持管理・更新費用の地方単独事業分については、国土交通省としては把握外でございます。

穀田委員 今お話あったように、四千九百億円、切り分けはできないけれども、何となく、合計すると二兆一千億円だ、こういうことですわな。

 二〇一三年度の必要な額、推計値でいえば合計三兆六千二百二十億円、ここの下に書いていますように、それだけある。

 ところが、今言ったように、多目に、うんと見積もっても、合計しても二兆五千億円。実際はもっと少ないわけなんですけれども、そういう内容になっているということですね。だから、見合っていないということは事実だ。

 地方の分はわからないということで、では、もう一遍、総務省に聞きますけれども、二〇一三年度の地方の維持管理・更新費用はどれほどか、どの程度につかんでいますか。総務省。大臣。

新藤国務大臣 数字を確認されたければ、ぜひそれは御通告いただきたい、このように思います。

 それで、今私どもで手元で急ぎ用意した資料でありますが、決算ベースで、地方公共団体の維持補修費、これは平成二十四年度において一兆一千億ということになっております。

穀田委員 昨年も私はこの問題について指摘をして、きちんと把握せいということを言ったし、ことしも、昨日のところでは、そういうことを聞きたいと言ってはあるんですけれども、それはいいでしょう。

 問題は、実際には、三兆六千二百二十億円かかるといった推計値よりも低い、一四年度の予算案もこの推計に届かない。これは私は、維持管理、更新が必要なのに、それにふさわしい費用が手当てできていないということのあかしだと、現実は。これは本当にゆゆしきことだと思うんです。

 そこで、財務大臣にお聞きしたいんですけれども、笹子トンネルの事故というのは、当時、改修、更新の費用を三割減ということで指示するということで起こっていました。また、JR北海道について言うならば、安全投資が二〇一〇年度までずっと下がってきて、改ざんするまで下がっていて、二〇一一年度でようやく上がった。

 こういう例のように、安全投資という問題が、削減されているとか不十分だという状況を呈しているんじゃないか。だから、私は、本来必要な維持管理、補修の費用が予算化されていないと。

 先ほどもお話あったように、国交大臣もお話ししていますし、何回もお互いに議論しているんですけれども、老朽化対策というのはもう待ったなしだということは共通の認識なんですよね。

 そうなりますと、どれだけ推計値で必要かと言っているものに対してつけないという現実は急ぎ正して、少なくとも推計値にふさわしい予算の増額の手当てをすべきじゃないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは穀田先生おっしゃるように、東京オリンピック、今の五十年前、あのころにできたのがほとんど限度が来ている、基本的にそう思っておかないと、元セメント屋としては、五十年というのは、大体、メンテナンスをよほどきちんとしない限りは、五十年たったらと思わなきゃだめですよ。当たり前の話です。

 したがって、それをきちんとやっていないようにしちゃった一番大きな理由は、公共事業を減らしていったときに、やはりメンテナンスとかそういったところのものを一番削減していったというのが多分現実なんだと思うんですね。

 笹子は直轄道路じゃありませんし、JR九州もちょっと、直轄じゃないわけですけれども……(穀田委員「北海道です」と呼ぶ)北海道もJRですから。ですから、そういった意味では、直轄ではないとはいえ、多分、あのトントントントンとずっとやっていく、最も地味な仕事ですけれども、ああいったものをきちんとやっていくというのにしかるべきお金を払っていない、しかるべき予算をつけていないというところがああいったことになりますので。

 今後とも、私どもとしては、今言われましたように、老朽化しておるであろう、かなりインフラとしては時間がたったものに関してきちんとした予算を配分していくということは、今回の予算でも、新しい公共工事となったら、土地代に行ってまたということになりますので、基本的には、メンテナンスというものに非常に大きな金、予算の配分はもう御存じのとおりですから、きちんとした比率で、メンテナンス、補修、そういったものの方の比率を非常に高くいたしております。

穀田委員 その比率が高いかどうかについて、もう少しこれから検討していきたいと思うんですけれども、問題の本質は、財政制度審議会の建議でも、やはり、新規投資については、これまでのようなやり方で重視する考え方を転換する必要がある、むしろ、既存の社会資本ストックの有効活用やソフト施策との連携強化に軸足を移していくべきである。今財務大臣からありましたけれども、高度成長期以降に蓄積してきた膨大なストックが今後更新時期を迎えることから、その老朽化対策に真剣に取り組む必要があると指摘していたんですね。

 ところが、予算の考え方という方針書には、それが削られる、なくなっているという現実があるんですよね。ですから、そこは指摘しておきたいと思うんです。

 では、今お話のあった関係で、先ほども国交大臣は長寿命化の話をしました。公共のインフラの八割を管理する市町村の現状はどうなっているかということで聞きますと、私は、そこの中身について少しまず聞きたいと思うんですね。

 長寿命化計画の策定状況と、それから、長さ十五メートル以上の道路橋のうち、点検で必要とされた修繕を実施した割合はどのような状況になっているかということを、これは言ってありますので、総務大臣、お答えいただけますか。

太田国務大臣 地方公共団体が管理をいたします十五メーター以上の橋梁は、約十四万四千橋ございます。平成二十五年四月時点で、長寿命化修繕計画の策定率は八七%でございます。

 また、策定されました長寿命化修繕計画の中で修繕が必要とされた橋梁数、これは六万九千橋ありまして、全部の四八%に当たるんですが、これに対しまして、修繕を実施している橋梁数の割合は、同じ時点で一五%というのが現実でございます。

穀田委員 だから、必要なものが実施されたのが一五%という極めて低い現状だということ。これは、本当に今のインフラの状況で、今、私どもが直接見ましても、えらいことになっているなと思うんですよね。

 それで、長寿命化計画は策定しているんだけれども、実施されているのは極めて低い。町村でいくならば、実際は、今あったように、市区町村でいうと四・七%ということで、一桁。そっちの方は余り言うてへんのやけれども、大体そうなっているんですね。だから、驚くべき事態だ。

 では、そういうものをやるべき人たちはどの程度配置されているのか。市町村の老朽化対策関係の技術者というのはそれぞれの段階でどれほどいるのかということについてお聞きしたいと思います。

太田国務大臣 国交省におきまして、二〇一二年に、全国の地方自治体に対しまして、道路、河川、港湾、下水道等の維持管理業務を担当する技術職員数についてアンケート調査をいたしました。

 その結果、道路を例にとりますと、人口三十万以下の市におきましては、一人から五人が最も多くて、つまり五人以内ということになりますが、四一%を占めています。

 一方、これも道路についてでありますけれども、町においては技術職員数は、いない地方自治体はおよそ二三%、一人から五人の職員がいる地方自治体が、または、五人以下しかいない、こう言うかもしれませんが、およそ六九%を占めているという状況で、現実になかなか地方自治体での担当できる職員が少ないということは事実でございます。

穀田委員 今私は何を言いたかったかというと、インフラの現状は地方ではどうなっているか、それについて、計画はあるんだが実施がやられていない、その最大の原因は、予算がないということと、あわせて、実はその原因になっているのは、人がいない、技術者がいない。

 だから、この問題でいうならば、実は、技術系の職員がゼロと今あったけれども、二三・三%というだけじゃなくて、村でいうならば四一・二%を占めている、四割以上のところが実は技術系職員がいないという現実なんですね。

 だから、今のインフラの現状とあわせて、それをやり抜く力がなくなっているというところに大きな問題があるということは、おわかりいただけると思うんですね。

 そういう中で、では、先ほど財務大臣もお話があったけれども、一方、公共事業の中身はどうなっているかというと、新規の建設の公共事業がふえているという現実があります。とりわけ大型開発は、従来からのものが継続され、凍結していたものが次々と復活しています。

 二、三確認しますけれども、高速道路の建設費用は安倍政権になって幾らふえているか。高規格幹線道路と地域高規格道路の建設事業費、これを、一二年度当初予算と一二年補正予算、一三年度当初予算、一三年度補正の合計について、比較して述べてください。

太田国務大臣 全体的に言いますと、大規模なそうしたものがふえているということは現実にはございません。

 その上で、数字をお答えしますと、いわゆる高速道路の事業費は、NEXCO等の有料道路分、国直轄事業及び補助事業の国費分と地方負担分を合計したものとして、二〇一二年度予算、平成二十四年度の予算で約二・二兆円。二十四年度当初と補正と合わせた数です。

 二〇一三年度予算、約二・一兆円。二十五年度の当初と補正を合わせた数で、ほぼ横ばいという状況です。

 また、二〇一二年十二月の政権交代以降の高速道路の事業費は、補正を二つ、そして当初、合わせて二・四兆円ということでございますが、これが比較は意味があるかどうかというふうに思っておりますが、ほぼ横ばいということです。

穀田委員 簡単に言うと、二・二兆円から二・四兆円のオーダーでやっているということだけは確かだということですよ。

 そこで、その資料を出してみたのが二なんですね。二〇一三年度当初予算というのがこういう数字になっている。この点を見ていただければわかる。

 そこで、今あったNEXCO三社、それから首都高、阪神高速、本四高速が、大規模更新や大規模修繕の費用がどれだけかかるか試算していて、十年から十五年かけてその工事を実施する計画を発表しています。これは笹子トンネルの事故後に点検、調査し、計画を練り直したものです。

 どれだけかかると想定しているか、そしてその費用はどこから捻出するのか、端的にお答えください。

太田国務大臣 各高速道路会社が公表しました更新計画によりますと、大規模更新、大規模修繕に係る費用は、首都高速、約六千三百億円、阪神高速、約三千七百億円、NEXCO、約三兆二百億円、本四高速、約二百五十億円となっておりまして、合計約四兆円でございます。

 その財源につきましては、二〇五〇年までの建設債務の償還満了後、十五年間を上限として料金を継続して徴収することによって確保するということを考えておりまして、このたび、必要な法案を国会に提出したというところでございます。

穀田委員 先ほど来、数字を何度も、財務大臣、見ていただいたらわかるんですが、大規模の大型道路というのは、さっき言ったように二兆円オーダーで来ている。ここにありますように、社会資本の戦略的な維持管理費でいうと大体三千百億円程度になっているという事実から見ても、いかにこれがそちらにシフトしているかということがおわかりいただける。

 その上で、しかも、今議論になっているのは、四兆四百五十億円というオーダーで、今度はそのぐらいかかるということで高速道路の大規模更新の費用が出ている。これですよね、一番下に書いています。

 ですから、高速道路建設費は毎年二兆一千億円から二兆四千億円使って、安倍政権になってから、合計しますと大体四兆九千億円投入しているわけです。一方、資料三に、今お見せしましたように、大規模更新、修繕は、十年から十五年かかって四兆円を出さなきゃならぬ。そうしますと、十五年かけるとして年二千六百八十億円。つまり、新規建設の二年分で、大規模更新、修繕ができる。

 だから、私が言っているのは、大規模更新、修繕費用というのは新規建設の十分の一でしかないんだと。この現実が、財務大臣がおっしゃっている認識とちょっと違うぜということを見ていただければありがたい。

 したがって、新規建設を抑制して大規模更新、修繕に回すように、これは、もちろん、民間の会社だといえばそれまでだけれども、そういう形で主導すべき事態じゃないのかということはいかがですか。

麻生国務大臣 先ほど太田大臣からの話もあっておりましたけれども、少なくとも公共工事全体の伸び率というのは、先ほど言われたように一%少々ということになろうかと存じますが、これを、国の直轄道路等々のいわゆる維持管理費の伸び率が三千九百から四千百ですから約五%、それから、国から地方への交付金、これは防災とか安全交付金の伸び率でいきますと三・五%ぐらいと、高い伸び率を確保しておりますので、基本としては、今、穀田先生が言われるように、社会資本の老朽化が本格化しておりますので、そこらのところをきちんとしていかねばならぬということで、その方向でいる。

 その額が少ないとかもっとやれとかいう御意見は、今後、きちんと拝聴しておかねばならぬところだと思っております。

 基本的にそうです。

穀田委員 桁が違うんじゃないかということを見ていただかないとあかんわけですよ。

 そこで、では、もう少し現実の問題についてやりますね。

 例えば、国土強靱化の流れを受けて、〇八年に調査を中止した六大海峡横断道路構想を復活させる動きが出ています。山口県下関市と北九州を結ぶ新たな関門海峡道路や、四国新幹線建設計画とあわせた、和歌山と淡路島を海底トンネルで結ぶ紀淡海峡道路なんですね。

 新たな関門海峡道路については、山口県と福岡県がそれぞれ二〇一三年に調査費を計上しました。紀淡海峡は、四国に新幹線を走らせて四国と九州を結ぶという交通インフラの構想の一部であって、このために、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会というのを一三年九月に周辺府県が参加して設立しています。

 海峡横断道路は、海峡横断プロジェクトとして、国が主導して建設のための調査活動が続けられてきました。しかし、二〇〇八年、道路国会と言われたときに、道路特定財源をめぐる国会審議の中で、当時の冬柴国交大臣が、私がこれはおかしいんじゃないかということに対して質問したときに、今後、調査は行わないと表明したものです。調査活動を続けていた海洋架橋・橋梁調査会も解散したんです。事実上、凍結されたものであります。

 ところが、今回、地方自治体、地方財界を中心に、関門海峡横断道路や四国新幹線の凍結解除、整備路線への格上げの要望が繰り返されています。国土強靱化政策に沿って、大規模災害時の代替性確保の名前で、海峡横断道路の建設を復活させる動きが今顕著になっていると言わざるを得ない。

 これらは、事実上、政府が主導しているんじゃないかということを危惧するわけですが、いかがですか。

太田国務大臣 御指摘のように、海峡横断プロジェクトにつきましては、平成二十年三月に、個別プロジェクトに関する調査を行わないこととしまして、二十年度以降、調査を行っていません。リダンダンシーとかそういうことに合わせて国が主導してということではありませんで、調査を今行っていないということが現状であります。

 地元においては、これが欲しいということについて、私のところにも要望があったりいたします。地元における動向については見守っていきたいというふうに考えておるところです。

穀田委員 では、関門海峡道路について少し聞きます。

 関門海峡は、現在、既存の関門トンネル、大橋もありますし、鉄道トンネルもあります。地元の北九州市や下関市、山口県、福岡県が、新たな関門橋あるいはトンネルの建設を要望するその理由の一つに、災害時に既存のトンネル、橋が利用できなくなるから、その代替通路が必要だというのがあります。

 確認しますけれども、既存のトンネルや大橋や、それから関門鉄道トンネルというのは災害時に通行できなくなる、そうすると別ルートの代替道路が必要だという認識に立っているのかどうか。そして、メンテナンスをしても危ない、使えなくなるという現状なのかどうか。その点について、現状認識についてただしたいと思います。

太田国務大臣 関門橋及び関門トンネルは、西日本高速道路会社が管理する有料道路でありまして、同社が管理するほかのトンネルや橋梁と同様に、定期的な点検結果に基づいて、補修等の必要な措置を実施しているところであります。

 また、耐震性能については、兵庫県南部地震クラスの地震を考慮した基準で調査をしました結果、致命的な損傷や落橋は生じないということが確認をされております。

 今後も引き続き、適切な維持管理を行うことにより、災害時も含めて、安全に御利用いただけるものというふうに考えているところでございます。

 先ほど申し上げましたが、地元からは、ほかの活性化ということかもしれませんが、要望があるということについては見守ってまいりたいというふうに思っておるところです。

穀田委員 この問題は、実は二〇〇八年のときに議論しまして、先ほど言ったように、調査を中止し、その調査する機関が廃止されるというときに、私は、この当時の時点で、優先順位からしてもこういうやり方は間違っている、こういう六長大橋横断道路などというのは。そんな金はないと、今日本に。しかも、老朽化対策に金を使うべきだということを私は主張し、その中止を求めました。

 確かに、その路線のやり方については調査を中止するということで、事実上、中止しました。しかし、いろいろな流れの中で、結局、国土の形成計画というところからは削除されていないんですよ。だから、依然として、政府の根本的な計画の中に残っているという問題があるんですね。だから、これがいつも噴き出てくるということになります。

 今、答弁がありましたように、私は、聞いてみますと、高速自動車道、今、西日本ですけれども、その方々の報告によれば、今あったように、阪神・淡路大震災規模は耐えられる、それから、点検、定期的な補修工事によって大丈夫だと。まして、この橋について言うならば、海外では百年ももったところもある、だから、それを含めて、もたせたいということで、自分たちの、技術者の誇りにかけてそういうことを挑戦するということまで言っているわけですね。だから、そういう立場で物を考える必要がある。

 したがって、当然、私は、メンテナンスはやってもらう必要はあると思うんです。それは当然のことなんです。だから、同時に二つのことを私は言わなくてはならぬ。

 一つは、既存トンネル等が、老朽化が進行して使えなくなる状態にはないということ。二つ目は、今後も別ルートの代替道路が必要だという根拠は存在しないということなんですね。だから、老朽化すれば、その維持管理、更新こそ優先すべきである。

 私は、命と安全にかかわる問題にとって、先ほど述べてきたように、根本は、老朽化対策に重点をシフトする必要がある。そして、今現実に起こっているさまざまな維持補修については徹底してやる必要がある。そういう角度で物をやらないと、先ほど財務大臣が言っていたように、公共事業の中で一定の、六%ふえたなどといっても、ここにありました、私、示しましたけれども、二兆四千億円のオーダーと二、三千億円の差なんです。それを転換することこそ必要だということを主張して、終わります。

二階委員長 これにて穀田君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 私は、本委員会は、政府の責任に基づく対応等について、厚生労働省及び防衛省関係の案件についてただしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、退職駐留軍労働者に対する石綿、アスベスト被害についてお聞きいたします。

 厚生労働省のホームページに、平成二十三年、二〇一一年八月に改正されたアスベスト健康被害救済法に関する内容が掲載されております。その中では、仕事中にアスベストに接触した労働者だけでなく、持ち帰った作業着等についたアスベストを吸い込んだ家族も病気になることがありますと喚起され、中皮腫や肺がんなど、非常に長い期間がたってから発症することや、どのような状況でアスベストを吸い込んだのか明らかにすることが難しいなどの特徴があわせて掲載されています。

 アスベストによる健康被害は、仕事により発症した場合は当然、労災補償の対象となりますが、それ以外の被害者を迅速に救済するためにアスベスト健康被害救済法が制定され、二〇〇六年、平成十八年三月二十七日から施行されています。これによって、労災補償の対象とならない周辺住民などに対する救済給付が支給され、あるいは、労災補償を受けずに亡くなった労働者の御遺族に対しては特別遺族給付金が支給されるということになっております。

 そこで、まずお伺いいたします。

 労働安全衛生法に基づくアスベスト業務従事者に対する沖縄労働局管内における申請件数と、そのうちの駐留軍労働者等の件数、及び一九七二年、復帰前に退職した労働者の件数等についてお伺いいたします。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 確認いたしますが、沖縄労働局での労働安全衛生法に基づく石綿業務従事者に対する健康管理手帳の申請件数ということでよろしゅうございましょうか。

 平成二十五年十二月末現在、沖縄労働局での労働安全衛生法第六十七条に基づく石綿業務従事者に対する健康管理手帳の累計の申請件数は百七十九件でございます。

 このうち、駐留軍労働者に係る申請件数は百三十五件、また、百三十五件のうち、一九七二年の沖縄返還以前の駐留軍で働いていた労働者に係る申請件数は二件となっております。

玉城委員 ありがとうございます。

 駐留軍労働者数百三十五件のうち、一九七二年以前は二件ということで、数字でお答えいただきました。

 アスベストが原因と思われる中皮腫、肺がん等は、実に長い期間、二十年以上もの長い時間を経過して発症することもあるなどの点から、アスベスト被害の救済に関して、退職者及び家族への事後の通知等はどのように行っておりますでしょうか。お伺いいたします。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 石綿の健康被害の救済に関する、沖縄米軍基地労働者であって退職した方やその御家族に対しての制度の周知でございますが、これにつきましては防衛省との協力や自治体などを通じて行っておりまして、防衛省に対して、既に離職した労働者やその御遺族の方に向けて石綿による疾病に関する労災補償制度その他についての周知を依頼する文書をお送りいたしまして、これを受けて、沖縄防衛局から、平成二十四年度までに、退職労働者約八千七百人に対して周知文書の送付などを実施していただいたところでございます。

 また、毎年、県内の各自治体の広報誌への掲載をお願いしたり、リーフレットを窓口で配置していただくというようなこともお願いして、積極的なお知らせを行っております。

 さらに、法務局に提出された死亡届から中皮腫による死亡者を把握いたしまして、労災請求を行っておられない御遺族に対して労災補償制度その他についての周知文書をお送りしたほか、医療機関に対しまして、石綿関連疾患に罹患しておられる患者さんに対する石綿業務歴の確認及び労災保険給付などの請求勧奨をお願いしているところでございます。

玉城委員 アスベスト業務に従事していた方については、やはり健康管理手帳制度、この制度が非常に重要かと思います。

 さて、去る二月十八日付、沖縄県、地元の沖縄タイムスの一面に、基地内従業員、我々は通称として軍雇用員というふうにお呼びもしておりますが、この軍雇用員へのアスベスト被害の救済について、沖縄県が公文書館で管理している軍雇用員カード約二十万人分の利活用がほとんどされていないという記事が掲載されている件に関して質問いたします。

 この軍雇用員カードについては、戦後の一九四六年から六六年までは米軍が発行を始め、五六年からは当時の琉球政府が管理業務を代行しております。そして、一九七二年、施政権がアメリカから日本へ移管するいわゆる本土復帰の際に、このカード約二十万人分が沖縄県に移譲されました。しかし、六六年から七二年までの間のカードは実は作成も管理もされておらず、その理由も明らかではないということもわかっております。

 さて、この軍雇用員カードには、それぞれ軍雇用員一人ごとに、顔写真、氏名、性別、生年月日、本籍地、住所、職種、採用及び離職年月日、その離職理由が個別記載されています。記載事項に変更があるたびに、その事項も更新されています。また、勤務当時の氏名のアルファベット順と本籍地の組み合わせで分類されておりまして、そのいずれかがわかれば、勤務当時のアルファベットで記名された氏名と本籍地のいずれかがわかれば、沖縄県公文書館の職員が手作業でカードを検索できるというふうになっております。

 さて、二〇一二年十一月七日の衆議院厚生労働委員会における社民党の照屋寛徳委員との質疑における、労働安全衛生法に基づく石綿業務、アスベスト業務にかかわる駐留軍退職労働者の健康管理について、中沖政府参考人の答弁で、復帰前の米軍基地労働者の方については、アスベストの健康被害救済法の適用があるということを周知していくということと、そして、こうした軍雇用員カードの活用の可能性についてさらに話を進めてまいりたいという旨の答弁が行われております。

 ところが、この件に関する協議ですが、県と厚生労働省との間で個人情報に関する認識などの隔たりによって、二〇一一年からはずっととまったまま今日に至っているという状況にあります。

 この件に関して厚生労働省は、現在、公文書館を管理する沖縄県とどのような協議と検討を進めているか、あるいは検討を進める方向かを伺いたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 復帰前の沖縄米軍基地労働者に対して石綿健康被害救済法が適用されるということの周知を行うに当たりまして、その対象者を特定するために、沖縄県の公文書館が保管する軍雇用員カードの活用も一つの方策として検討してきたところでございますが、御指摘のとおり、非常に膨大な量のカードである、約二十万というカードであるということと、また、かなり昔の資料でございまして、例えば当時の住所から移転しておられる可能性があるというようなこと、また、個人情報保護などの観点から、情報提供について沖縄県の了解を直ちに得ることが難しいといったような問題がございました。

 そこで、まずは、県の公文書館には、軍雇用員カードの閲覧のために来館される方々に対してリーフレットの配布をお願いするとともに、防衛省との協力や自治体の広報誌などを通じた周知等を実施してきたところでございます。

 厚生労働省といたしましては、軍雇用員カードの効果的な活用方策について、復帰前の沖縄米軍基地労働者に対する周知促進の観点からも、引き続き沖縄県と協議していきたいと考えております。

玉城委員 これは質問で事前通告していないんですが、一点、確認のためにお聞きしたいと思います。

 では、七二年以前の基地で働いていて離職された労働者の方々に対する、石綿救済法ができましたよ、それによって皆さんをお救いすることができるかもしれませんというふうな通知は、現在、国の方から行っているんでしょうか、行っていないんでしょうか。簡潔にお答えください。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 個別に特定をしながらの通知というものは差し上げることができないでおりますが、一般的な広報誌を通じた通知でありますとか、さまざまな窓口でのリーフレットの配布などによりまして、周知、広報に努めているところでございます。

玉城委員 こういう制度ができたということは、例えば広報をじかに手にすることができない方々には、やはり直接お知らせをするというふうなことも必要だと思います。はがきは、一度送れば、引っ越しをしておられるのであれば当該住所に尋ね当たりませんという返事が必ず返ってきますので、そういうことも含めると、二十万件といえども、その足取りをたどるということはそんなに厳しいことではないというふうに思料いたします。

 さて、七二年の本土復帰前に離職した軍雇用員については、米軍に直接雇用されていたということで、復帰特別措置法による政治判断で、日本の労災法が適用されていません。

 そのため、アスベストによる健康被害への取り組みが大幅におくれたんですが、二〇〇六年と二〇一一年にアスベスト健康被害救済に関する法整備とその改正によって大きく前進するものと期待されているはずなんですが、これまでに救済された復帰前雇用者は、先ほどの答弁ですと二名ですが、救済されたのは一名、特別遺族給付金の支給を受けたのはゼロとなっているわけですね。

 つまり、この制度ができたにもかかわらず救済措置がとられていないということは、非常に大きなものがあると思います。

 この問題の解決に当たって、厚生労働省及び防衛省は、主要な関係団体である全駐労、全駐留軍労働者組合中央及び沖縄地区本部などと、どのぐらいの頻度でどのような内容について協議を行っているか伺います。

山内政府参考人 お答えいたします。

 防衛省といたしましては、駐留軍等労働者の雇用主としての立場から、アスベストによる健康被害の防止などは極めて重要な問題であると認識しております。

 こうした認識のもと、駐留軍等労働者で組織する全駐留軍労働組合、いわゆる全駐労との間では、本省及び地方防衛局の担当者が平素から意見交換を行うとともに、団体交渉の場においても、防衛省としての取り組みを御説明しているところでございます。

 具体的には、全駐労からは、アスベストによる健康被害が懸念される全ての職場、駐留軍等労働者の安全確保と特別健康診断を継続するとともに、退職者やその家族への周知を引き続き推進し、関連被害の早期発見などに努めるよう要請を受けております。

 こうした要請も踏まえ、防衛省におきましては、在職者に対する着実な石綿健康診断の実施、石綿問題に関する相談窓口の設置、退職者に対する労災補償制度の周知などに取り組んでいるところであり、今後とも、全駐労と協議を行いつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

 なお、いわゆる全駐労との団体交渉の頻度ということでございますが、これは必ずしもアスベスト被害に議題が限定されるわけではございませんが、平成二十五年度については、これまでに、防衛省本省において五回実施しているほか、沖縄防衛局においても五回実施しているところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。防衛省から、そのようにお答えいただきました。

 もちろん、現職の方々あるいは一九七二年以降に退職なさった方々には労災も適用されるということもありますので、しっかりと通知は行われていると思います。

 他方、復帰前に退職された方々については、保存管理されているカードに記録されている個別具体的で詳細な職歴等の記録情報をもとにしたアスベスト被害の実態を国が探り出し、退職者と御家族、あるいは支給対象となる御遺族についての補償を、人権問題の観点からも、可能な限り行っていくべきではないかというふうに私は思料いたします。

 この件に関する国の責任と義務は大きいものがあるというふうに思いますが、この件に、最後に、厚生労働大臣それから防衛大臣の所見をそれぞれお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 今委員おっしゃられました、復帰前の米軍基地で働いておられた方々、こういう方々でアスベストの被害に遭われた方は、もちろん、今お話がありましたとおり、石綿健康被害救済制度に乗るわけであります。

 今までも、今ほど来お話がありましたとおり、自治体の広報誌等々を通じて、防衛省とも協力しながら周知に努めてきたわけでありますが、今言われました軍雇用員カード、これに関しては、すぐにどのような形で役立てることができるのか、これはこれから検討しなければならぬわけでございますけれども、貴重な資料であることは間違いないわけであります。

 いずれにいたしましても、個人情報保護という観点は確かにあるわけでございまして、そこも配慮しながら、沖縄県といろいろと協議をしてまいりたいというふうに考えております。

小野寺国務大臣 石綿健康被害救済制度につきましては、所管をします厚生労働省の取り組みについて、今、田村厚労大臣の方から説明があったと思いますが、防衛省としましても、現地の防衛局を含め全体で、この広報、周知に、これからも、厚労省と協力をし、進めていきたいと思っております。

玉城委員 ありがとうございます。

 先ほど田村大臣からもありましたとおり、この記録が残っているということ、そして、実は六六年から七二年までは記録すら残っていないというふうなことを考えると、そこで働いていた人たちの存在が何であるかということは、本当に大きな、揺るがしがたい人権問題になってしまうということを鑑みますと、この問題、ぜひしっかり進めていただきたいということをあわせて、厚生労働省、防衛省にお願いをしておきたいというふうに思います。

 さて、続いて、米軍の演習等に関する安全管理についてお伺いいたします。

 今般、仲井真県知事とそれから政府の方でも、オスプレイの県外への訓練移転などなど、まさしく米軍の演習等に関する安全管理はより厳しく、より精緻に行っていく、協議をしていくことが必要であるというふうに思われます。

 去る一月二十三日の午後九時ごろ、那覇市の西側の上空で、オレンジや黄色の複数の光が約十五分間にわたって目撃されています。専門家は天文現象の可能性を否定し、米国空軍及び航空自衛隊も訓練はしていないという新聞報道があり、そのときの画像が動画投稿サイトにアップされて、百四十万件近いアクセスがあります。

 未確認飛行物体ではないかと中央メディアにも紹介されるなど、しばらく話題になった件ですが、防衛大臣、この話題について御存じですか。

小野寺国務大臣 本年一月、沖縄においてUFOの騒動があったということは承知をしております。報道によりますと、一月二十三日午後九時ごろに那覇の夜空に謎の光の目撃情報、これが多数寄せられたということであります。その情報については承知をしております。

玉城委員 大臣も御存じだということですが、実は後日、報道機関の調査によって、この光は、米国第三海兵遠征軍が那覇市の南西方向に位置する射爆撃場で航空機からの照明弾発射を伴う訓練を行っていたものであることを認めたという記事が掲載されています。

 那覇市の南西方向には久米島、鳥島、出砂島などの米軍の射爆撃場があり、そこを使用した演習ということのようですが、沖縄県の基地政策部局に照会したところ、米軍及び防衛省からの事前通知はなく、新聞報道でしか承知していないという回答でした。

 そこで、この所管の、近くであります久米島町の総務課に問い合わせたところ、沖縄防衛局長名による「在日米軍の水面を使用する演習について(通知)」という、A4一枚に場所、日時のみが記された通知があったことがわかり、コピーを送付していただきました。

 そのコピーが手元にあるんですが、水域名、久米島射爆撃場水域、日時、平成二十六年一月六日から一月十一日、時間、〇六〇〇から二三〇〇、一月十三日から一月十八日、〇六〇〇から二三〇〇など、この通知には、訓練の内容も使用する航空機等の機材も記入されておりません。地元自治体が住民の安全確保のために訓練における状況を把握する情報などは全く記されていないわけです。

 今回の通知に、例えば航空機から照明弾を使用する演習等と書かれていれば、不必要な混乱も十分避けられたと認識いたします。地元自治体に対して防衛省から必要最低限の情報が知らされていないことについては、看過できない問題であると言わざるを得ません。

 この件に関して、例えば沖縄県の軍用地転用促進・基地問題協議会、通称軍転協からは平成二十五年十一月十五日付、そして山口県岩国市からは米軍岩国基地に係る安心・安全対策についての要望書の中で、演習、訓練内容については地元自治体の関係機関に速やかに事前通報するとともに、住民からの苦情や問い合わせは国において対応することと求められております。

 文書による回答も、軍転協に対しては、米軍が演習等を行うに当たって公共の安全に妥当な考慮を払うことは当然であると認識するというふうになっています。真摯に着実に実行する、その情報提供こそが住民の安全を守るものであるということは言うまでもありません。

 そこで、情報共有に基づく信頼の置ける運用管理体制は、米軍であろうと自衛隊であろうと、地元住民と地元自治体の理解と協力なくしてはあり得ないと思います。それを再認識すべきではないかと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

小野寺国務大臣 まず、一月二十三日の謎の光ということでありますが、これは、防衛省としましては、この報道によります光というものが米軍のものかどうかを断定するという材料は持っておりませんし、米側もその光が自分のものというふうに断定しているわけではないというふうに承知はしております。

 その中で、今委員の御質問がございましたが、例えば演習についての自治体への情報の通報等ということでございます。

 米軍による演習の詳細につきましては、米側として運用上の理由から公にできないとの立場であるものと承知をしておりますが、例えば不発弾処理、爆破訓練等については、通報を受けて関係自治体に情報提供を行うことにより住民の不安軽減に努めております。また、米側はニュースリリース等により演習等の概要を公表しているところでありまして、地元の要望を踏まえ、さらなる情報の提供及び開示について米側に働きかけていきたいと思っております。

 政府としましては、米軍が演習を通じ部隊の即応態勢を維持することは、日米安全保障条約の目的達成のために必要不可欠なものと認識をしておりますが、米軍が演習を行うに当たって公共の安全に妥当な考慮を払うことは当然であると認識しており、今後とも引き続き、周辺住民の生活環境に与える影響が最小限のものとなるよう、米側に対して求めていくとともに、周辺住民から苦情等があった場合には、米軍に対し、事実の確認の照会や改善の申し入れなどを行ってまいりたいと思っております。

玉城委員 確かに、沖縄県軍転協の回答には、そのように防衛省から回答が寄せられているというふうに私も認識しております。

 しかし、これからオスプレイの訓練が全国の七つのルートを使って行われるかもしれないという事前報道等々が行われている現状を考えると、いつ、どこで、どういうふうに行われているのかということが、地元自治体がその情報がわからないということになると、住民の安全を確保するという、その備えあれば憂いなしという状態がつくれないのではないかということが私は一番懸念されるのではないかと思うんですね。

 東京上空にも広大な横田ラプコンが横たわっています。横たわっているといいますか、広がっております。それを考えると、やはり危機管理のためには、その情報は、少なくとも地方自治体当局とは情報共有していただきたいということを強くお願いをしておきたいものであります。

 時間がありません。最後に、沖縄県における慰霊塔、慰霊碑の管理等に関する件についてお伺いいたします。

 さきの大戦により犠牲となった戦没者のみたまを慰めるため、県内には多くの慰霊塔、慰霊碑が建立されておりますが、関係者の高齢化等に伴い、十分に管理がなされていないなどの課題について協議、検討することを目的とする慰霊塔、慰霊碑のあり方検討協議会が沖縄県に設置され、その第五回目の会合が先般二月十三日に開かれて、本年度の意見集約案が出されています。

 県内には約四百四十基余りの慰霊塔、慰霊碑があり、継続的な管理が可能なもの、管理困難が懸念されるもの、管理が困難などに分類し、早急な対策が必要な項目と、時間をかけて議論を要する項目などを引き続き協議することとし、あわせて、沖縄戦が起こらなければ建立することもなかったということに基づいて、国の責務も明確に位置づけています。

 この検討会議で行われている状況に関して、厚生労働省が現在行っている国内外の慰霊塔などの調査がおありでしょうか。また、それはどのような目的で行われている調査であるかをお伺いいたします。

古都政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省におきましては、民間団体などが建立しました海外の日本人戦没者慰霊碑の実態につきまして、平成十二年度以降、調査を行っております。

 調査の結果、建立者などが維持管理を行うことが困難であるということが判明したものにつきましては、日本遺族会に委託いたしまして、建立者の同意を得た上で整理してきているところでございます。

 これまでに把握できました海外の民間慰霊碑は千二十九基ございまして、本年一月末現在で良好な状態にあるものは四百九十五基ということでございます。

 一方、国内に建立されました戦没者民間慰霊碑につきましては、海外に建立されたものに比べまして巡拝も容易である。これまでのところ、そういう趣旨から、維持管理の状態が悪いものは多くはないと考えられますことから、調査を行うまでには至っていないということでございます。

玉城委員 今、海外における慰霊塔については千二十九基という調査結果が上がっているということですけれども、実は、この沖縄における慰霊塔、慰霊碑の管理に関するあり方検討協議会は、各市町村からその詳しい数値、データが上がってきて、四百四十基あるという事実があるわけですね。

 私が住んでおります沖縄市も、慰霊塔が各字、各集落にあったんですが、それを集めて合同で慰霊祭を行ったり、あるいは今現在でも、各集落ごとに、戦争で亡くなった方々のみたまを慰めるということで、住民の方々が年に一回ないし二回参拝をするということも行われています。

 このあり方協議会で、第五回会合における委員からの意見として、各市町村で知り得る範囲で土地の所有者等を調査しているが、登記簿等の確認は行っていない、所有者が不明な塔、管理者と連絡がつかない塔がある、ほとんどの塔の遺骨は墓苑に移されている、行政として、平和、観光、環境など、今後については国も交えて総合的に検討する必要があるのではないかなど、これまでの経緯と方向性を一致させるためにも県と国の行政機関の連携は欠かせないという認識で、委員の意見は一致しています。

 今後、協議会から個別あるいは具体的な要請などの検討について、慰霊塔、慰霊碑の建立が行われてきた戦後の時系列的な経緯を鑑みるとすれば、厚生労働省を主管として、その他の国の関係部局の、このあり方協議会への参画が課題解決に向けての重要なポイントになるというふうに私は思います。

 この件に関して、厚生労働大臣から所見、見解をお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 沖縄は、一般の住民の方々が巻き込まれた、本当に地上戦が日本において唯一行われた地域であり、そして二十万人のとうとい犠牲者の方々、そういう方々が今もなお多くお眠りになられておられるわけであります。

 そういう意味からいたしまして、国といたしましては、沖縄戦没者墓苑というような形で設立をさせていただいて、慰霊、追悼をさせていただいておるわけでありますけれども、一方で、今言われたとおり、民間団体の方々が慰霊碑、慰霊塔を数多く建立されておられる。

 これに関しては、一義的には、やはり建立をされた民間の団体の方々が維持管理をしていただくことになろうとは思いますが、しかし、今委員がおっしゃられたように、高齢化やいろいろな理由がある中において、今、沖縄県で協議会をつくられて、これからどのようなあり方を考えるか検討をいただいておるということでございますので、沖縄県ともいろいろと議論をさせていただきながら、我々もどのような対応が可能なのか検討させていただきたいというふうに思います。

 今ほど来も話がありましたが、厚生労働省は、海外の慰霊碑、慰霊塔に関しましては、調査、整理等々、こういうことをやってきた実績があるわけでございまして、そのような観点から、沖縄県と相談をさせていただきながら、これからの対応というものをしっかり検討させていただきたい、このように思っております。

玉城委員 ぜひ、それらの遺族の思いを風化させることなく、しっかり取り組んでいただきますよう最後にお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ニフェーデービタン。ありがとうございました。

二階委員長 これにて玉城君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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