衆議院

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第4号 平成26年10月30日(木曜日)

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平成二十六年十月三十日(木曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 上杉 光弘君 理事 金田 勝年君

   理事 菅原 一秀君 理事 萩生田光一君

   理事 原田 義昭君 理事 森山  裕君

   理事 前原 誠司君 理事 今井 雅人君

   理事 上田  勇君

      青山 周平君    秋元  司君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      石崎  徹君    石原 宏高君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      金子 一義君    河村 建夫君

      菅野さちこ君    岸  信夫君

      小池百合子君    佐田玄一郎君

      笹川 博義君    白石  徹君

      田中 英之君    津島  淳君

      寺田  稔君    土井  亨君

      根本  匠君    野田  毅君

      野中  厚君    藤井比早之君

      船田  元君    古屋 圭司君

      星野 剛士君    堀井  学君

      松本 文明君    宮崎 謙介君

      村井 英樹君    保岡 興治君

      山本 幸三君    山本 有二君

      若宮 健嗣君    枝野 幸男君

      小川 淳也君    階   猛君

      辻元 清美君    細野 豪志君

      山井 和則君    井坂 信彦君

      遠藤  敬君    木下 智彦君

      坂本祐之輔君    重徳 和彦君

      松野 頼久君    伊佐 進一君

      中野 洋昌君    樋口 尚也君

      石原慎太郎君    中田  宏君

      西野 弘一君    山田  宏君

      佐藤 正夫君    笠井  亮君

      塩川 鉄也君    畑  浩治君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       西川 公也君

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   国務大臣

   (原子力防災担当)    望月 義夫君

   防衛大臣         江渡 聡徳君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山谷えり子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 山口 俊一君

   国務大臣

   (行政改革担当)     有村 治子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   内閣官房副長官      世耕 弘成君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   財務副大臣        宮下 一郎君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   国土交通大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    大塚 高司君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   会計検査院事務総局第三局長            堀部  貢君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月八日

 辞任         補欠選任

  塩川 鉄也君     志位 和夫君

同月二十三日

 辞任         補欠選任

  清水鴻一郎君     遠藤  敬君

  志位 和夫君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  塩川 鉄也君     志位 和夫君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     宮崎 謙介君

  岸  信夫君     青山 周平君

  熊田 裕通君     田中 英之君

  船田  元君     野中  厚君

  古屋 圭司君     村井 英樹君

  若宮 健嗣君     河村 建夫君

  山井 和則君     枝野 幸男君

  遠藤  敬君     松野 頼久君

  坂本祐之輔君     木下 智彦君

  中野 洋昌君     伊佐 進一君

  西野 弘一君     石原慎太郎君

  山田  宏君     中田  宏君

  志位 和夫君     塩川 鉄也君

  玉城デニー君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     岸  信夫君

  河村 建夫君     若宮 健嗣君

  田中 英之君     津島  淳君

  野中  厚君     堀井  学君

  宮崎 謙介君     秋元  司君

  村井 英樹君     笹川 博義君

  枝野 幸男君     山井 和則君

  木下 智彦君     坂本祐之輔君

  松野 頼久君     遠藤  敬君

  伊佐 進一君     中野 洋昌君

  石原慎太郎君     西野 弘一君

  中田  宏君     山田  宏君

  塩川 鉄也君     笠井  亮君

  畑  浩治君     玉城デニー君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     石崎  徹君

  津島  淳君     藤井比早之君

  堀井  学君     船田  元君

  笠井  亮君     志位 和夫君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     古屋 圭司君

  藤井比早之君     星野 剛士君

同日

 辞任         補欠選任

  星野 剛士君     熊田 裕通君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(経済・財政・TPP・地方創生等)


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、経済・財政・TPP・地方創生等についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、外務省大臣官房審議官山上信吾君、外務省大臣官房審議官下川眞樹太君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、中小企業庁長官北川慎介君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長堀部貢君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河村建夫君。

河村委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の河村建夫でございます。

 安倍総理とは、委員会の場で対峙するのは初めてでございますが、同県人、同じ山口県人ということもありますし、かつては同じ選挙区で相まみえたこともございます。そういうことで、大変身近にこれまで接してきたわけであります。

 若干先輩ということもありまして、こういうことを申し上げるとあれかもしれませんが、総理は、この八年間といいますか、大きく変わられたと思います。

 先週、新しい内閣が出発し、二人の閣僚が交代するというようなことがありました。私ども政権与党にある側としても、総理を先頭に、脇を締めて、この政権、この大事なときに立ち向かっていかなきゃいかぬと思っておるわけでございます。

 ただ、朝日新聞でありますか、世論調査、内閣支持率が上がっておるということも出ました。政権にとってはこれは大打撃だ、一次政権の再来だとマスコミは書いたこともあったのでありますけれども、しかし、国民の皆さんは、安倍さんは今までの安倍さんとは違うぞという思いを抱いておられる結果だというふうに私は思うんです。

 この違いは、前回総理になられたときは、党内、総裁から総理につかれたということもございました。それから病気で退任をされる。あの間、野党時代も含めて、特に政権に戻るまでの六年間、大変な苦労をされた、また努力もされた、そのこともあるわけでありますが、総裁として再出発されて、そして自由民主党を率いてあの総選挙に打ちかって総理の座につかれた、このことが、まさに国民の方に向いて渾身の力を込めて訴えたことに対する評価がなされた、こういうことがやはり大きいのではないかというふうに思うわけでございます。

 国会も、始まりまして一カ月経過せんといたしておるところでございます。今、政治資金のあり方が問われております。私も官房長官時代に事務所費の問題で追及を受けて、十分でなかった点もありながら、しかし、足元を見詰め直しました。我々には政治倫理綱領があるわけでございますし、政治資金規正法もある。政治と金のあり方というのは、やはり国民の信頼を問う大事な問題でありますから、それぞれの政治家が自己責任において説明責任を果たす、これは当然のことだ、こう思うわけでございます。

 しかし、一方、我々立法府に身を置く者としては、やはり国民のために、今大事な、かかっている法案審議、これをしっかり進めて国民の期待に応えていくということが本来の仕事であるべきだ、こう私は思っておるわけでございます。

 総理がよく言われております国家国民のためにということでありますし、また、建設的な議論が欲しい、こうよく言われておるわけでございますが、今この国会を見ると、この点、いかがなものかと思わざるを得ません。よもや、この議場の中に、国民不在の政治的発想で、政権の足を引っ張ればいいと思っておられるような議員は誰一人いない、こう思いますが、しかし、いずれにしても、今の現状をやはり我々としては打破していかなきゃいかぬという思いを強く抱いております。

 そこで、今回、予期せぬ閣僚二人の交代ということもあった。新たな思いで内閣は再出発しなきゃいけないときであります。

 安倍総理に伺いたいと思う。

 今、国民が私どもに求めておるのは一体何なのか。政治に求めているのは、何を求めているのか。どのように総理は考えておられるのか。政権与党としてなすべきことは何だとお考えになっているのか。

 二年前の総選挙で総理は国民に訴えられた。そのことによって政権をかち得られた。その総理・総裁としての決意といいますか、このときに当たっての思いを改めてお聞きしたい、このように思います。

安倍内閣総理大臣 先般、安倍内閣の二人の閣僚が辞任をする、そういう事態を招いたことに対して、国民の皆様に大変申しわけない思いであります。任命責任者であるまさに私の責任である、このように痛感をしております。

 そこで、私の責任とは何かといえば、まさに今、我が国の前には問題が山積しているわけであります。いまだデフレ脱却は道半ばであります。アジアの安全保障状況は厳しさを増しているわけでございます。こうした山積する課題にしっかりと立ち向かっていく、問題を解決していくために全力を尽くしていく、政治に遅滞があってはならない、このように考えているところであります。

 今委員がおっしゃられたように、一昨年の総選挙で私たちは大きな議席を得ることができ、そして政権を奪還しました。そして、昨年の参議院におきましても大きな勝利を得ることができた。それは、まさにこの日本を変えてもらいたい、再び力強く成長できる国にしてもらいたい、その中で、やっと国民は自信を回復しつつあるわけであります。その中でしっかりと仕事を前に進めていけ、私は、この期待に応えていくことこそ私の責任ではないか、このように自覚しているところであります。

 私が初めて当選を果たすことができたのは平成五年の総選挙でございまして、あのときは、やはり政治とお金の問題が大きな議論になっていた。あの選挙で、河村先生の胸をかりまして、河村先生の地元萩、阿武郡にも攻め込んでいくという失礼なこともいたしましたが、しかし、あのときに、やはり政治を変えていこうという大きな情熱がみんなにあった。そのことを我々も忘れてはならない、このように思います。

 政府、閣僚だけではなくて、与党も野党も、議員個人個人が、果たしてしっかりと国民の負託に応え得るかと常に自省しながら、政治の場で国民の負託に応えていくことが大切ではないか、このように確信をしているところでございます。

河村委員 ありがとうございます。

 現時点における山積する課題に果敢に挑戦をしていく、政治責任を果たす、そのことが政権与党、また総理・総裁としての責任であるという強い決意をいただいたところでございます。

 政権与党としては、やはりしっかりと政治、政策を進めていく、そして、国民が選挙で託した思い、これをきちっと実現していく、そうなければならぬと思っておりますし、また、政府としては、国民の生命財産をしっかり守っていく。

 そういう意味では、今、政治資金一色と言われておる、マスコミ等がそういうふうに指摘をする部分もあるのでありますが、やはり安倍政権は、こうした国民の、国土の、あるいはそうしたものの危機管理についてもきちっとした対応をしておられたと思います。

 昨今のあのエボラ出血熱の疑いの問題でございます。対応をきちっとやっていただいて、陰性であったという結果も出ましたが、あの早い措置に国民はほっとしたことと思います。

 今や、このエボラ出血熱の問題は、西アフリカからとは言われながら、アメリカにも飛び火し、ヨーロッパにもということでありまして、二次感染の問題、日本の国民の皆さんも、さはさりながら心配をしておるところであります。

 これに対応する政権の責任といいますか決意といいますか、そういうものをまずお伺いしておきたいと思います。

塩崎国務大臣 河村先生から、エボラ出血熱に対する政府としての対策の決意のほどをお聞きいただいたと思います。

 もともとこのエボラ出血熱は、体液を介して感染が広がるというものでございまして、かつてのSARSとかあるいは新型インフルエンザとかとは少し異なって、きちっとした管理をすれば蔓延のリスクは低いはずのものでございます。

 しかしながら、今お話がありましたように、西アフリカの蔓延がとまらない、そしてまた、アメリカでの二次感染まで発生しているという、言ってみれば公衆衛生上の世界的な危機とも言えるわけでありまして、我が国にとっても重大な課題だというふうに思っております。万全の備えをしていかなければいけないということでございます。

 我が国の対応といたしましては、一つは行政の対応をきちっと強化していく、そして医療機関における対応も適切なものにしていただく、さらに国民の皆様方の御協力をいただく、この三位一体で臨まなければいけないというふうに認識をしているわけでございます。

 まず、行政の対応強化でありますけれども、水際をきちっと守るということで、過去二十一日の流行国の滞在歴を確認することができるように検疫体制の一層の強化を行って、各空港における検疫所と入管局との連携を強化いたしまして、かつてやったことのない、法務省にもお願いをして、この水際を守るということを検疫所はやらせていただいているわけであります。

 それから、過去二十一日以内にギニア、リベリア、そしてシエラレオネ、この三カ国に滞在をしていたことがわかった方については一日二回必ず健康状態を確認するということで、検疫強化を行っております。

 さらに、万が一エボラ出血熱の疑いのある方が発生した場合の対応として、一つは、専門の医療機関に搬送するなどの対策をとれるように体制をきちっと準備しておく。この間はその準備が生かされたというふうに思っておりますけれども、しかし、いつもそれができるようにしておく。

 それから、流行国への渡航歴があって発熱等の症状のある方が、万が一、一般の医療機関に受診をした際の対応についても、対応をできるようにしておりまして、先般は日本医師会の会長にも私のところに来ていただきまして、その連携を強化しているところでございます。

 厚労省においても対策本部を立ち上げて、WHOなどの関係機関とも連携をしながら、体制を省を挙げて強化してまいるつもりでございますので、よろしくまた御指導のほどをお願いいたします。

河村委員 危機管理、あらゆる面で絶えず考えておかなきゃなりません。

 麻生政権のときも新型インフルエンザのことがありました。今東京都知事の舛添厚労大臣が夜を徹して対応されたことを覚えておりますが、早目早目に対応していただく。今回非常によくやられたと思いますし、また、これから抜かりなく頑張っていただかなきゃなりません。

 このように危機管理を初めとして国民の負託に応えていく、政権の責任でありますが、何といっても安倍政権の大きな力を発揮された、経済の再生問題の取り組みであります。

 民主党時代が暗かったとまで言うと、我々のときはよかったかと言われると、そうでもない。失われた二十年というものもあります。自民党政権時代も含めて、やや我々、自信を失っておった時代があったと思います。この打破をしなきゃいかぬと思いつつ、安倍政権に全てそれがかかってきた。毛利三矢の教えではありませんが、三本の矢が矢継ぎ早に放たれて、そしてデフレ脱却への道が開かれた、こういうことであります。

 デフレを脱却するということになると、どうしてもこれは物価が上がっていくわけでありますから、経済全体も拡大していく。雇用、賃金、これも上がっていく。このような数字が現実に見えつつあるということを感じておるわけでありますが、なかなかまだ国民にはその実感がないといいますか、アベノミクスの数字ということ、これは一年十カ月いろいろ言われているのでありますが、やはりこの際、この時点で、安倍総理、一年十カ月に及ぶ、いわゆるアベノミクスと言われるこの成果について、総理の口から直接語っていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日本は、十五年以上デフレ経済の中にあったわけであります。

 デフレとインフレを比べて、インフレというのは物の値段が上がっていくわけでありますから、一見、消費者の立場からすると、そうでない方がいい、こう思いがちでありますが、しかし、物の値段が上がっていかないということは、では、ことしよりも来年に何かを買おうと思っていても、車を買おうと思っていても、待った方が得になっていく、いわば現金を持っていることが一番いいということになります。当然、消費活動も鈍りますし、消費活動が鈍るわけでありますから、企業も投資をしない、設備投資をしない。もちろん、従業員の給料を上げるなんということは全く考えないわけであります。

 デフレ経済においては、物の値段が下がっていくよりも、いわば個々の収入が、給料がもっと下がっていくという大きな問題があるわけであります。いわば市場経済としては非常に不健康な状況、これを変えていかない限り、経済は成長することができません。同時に、当然、成長を計算の中に入れている年金の給付も、これはできなくなっていくということになります。

 だからこそ、何としてもデフレから脱却をしなければならない、こういうことであるわけでありまして、少しずつ安定的に物価が上がっていくという状況になっていけば、経営者は、現金を持っている経営者はだめな経営者になるわけでありまして、そうしたデフレ脱却後の経済に合わせて投資を行っていくということにしなければならない。

 現在のところ、今、雇用においては、有効求人倍率は二十二年ぶりの水準になっているわけであります。そしてまた、例えば正規社員の有効求人倍率でありますが、正規社員においても、有効求人倍率は統計をとって以来最高のレベルに達している。そして給与においても、これは御承知のように、十五年ぶりの高い引き上げ率になっているのは事実であります。

 そこで、我々は、その中においてさらに、我々が進めているこの経済政策、三本の矢の政策を確かなものとしなければならない。そのためには、地方にしっかりとこの温かい風を行き渡らせていくことが大切であろう、このように思うわけであります。

 最低賃金におきましても、最低賃金と生活保護の水準でありますが、給付でありますが、それと比較をいたしますと、我々が政権をとる前は、これが逆転をしている県の方が圧倒的に多かったわけでありまして、そうでない県は数県にとどまったのでありますが、我々の政権の成果として、生活保護給付といわば最低賃金との比較においては、全ての県でこれは逆転をしているという状況になっている……(発言する者あり)済みません、やじをやめていただけますか。汚いやじはやめてください。山井さん、やめてください、やじを続けるのは。(発言する者あり)

大島委員長 お静かに。

安倍内閣総理大臣 済みません、ちょっと静粛にしてください。こういう議論はちゃんとやりましょうよ、今、政策の議論をしているんですから。少しは黙っていられないんですか。よろしいでしょうか。

 その中で、今、我々は、この成果を確かなものにしていきたい。そこで、我々は、さらに女性の活躍を推進し、そしてさらにはしっかりと地方創生を進めていきたい、このように思っているところでございます。

河村委員 今、総理に説明いただきましたように、間違いなく株価も上昇し、経済が上向いている、このことは数字がしっかり示しておるわけであります。私は、自信を持ってこれからもこの政策を進めていただきたい、こう思います。

 また、どうしても、こう上がってくると期待値がまた高まるものでありますから、期待したとおりじゃないという声が聞こえて、アベノミクスは何だ期待どおりじゃないじゃないかという批判をする人もあらわれる。しかし、今これに一々一々応えておるようないとまはない。今この政策を自信を持ってやっていただく必要があると私は思うんですね。

 反対ということで、さらに大胆な政策があるなら、しっかり示してもらえばいい。我々は、取り入れるものはしっかりと取り入れてやらなきゃいかぬ。ただ、期待値を高めて反対するというやり方というのはどうかという思いが私もいたしております。

 しかし一方では、地方、総理から地方創生の話も出ましたが、夏の記録的なこうした豪雨があったり異変があったりして、天候が悪い。経済指標がやや低目に出たりいたしておりますし、離島であるとか中山間等々、総理もそうでありますが、そうした選挙区に我々おるわけでありまして、毎日のように、ガソリンが高いよ、低いと言われるけれどもまだ高いというような話、漁業は燃油が高いというような話、いろいろな声が上がってくる。

 消費税が三%プラスされたということ、さらに一〇%の問題がここにも出てくるわけでございますが、こうしたときに、厳しい状況があります。その中で、しかし、この日本の将来を考えたときに、日本の財政再建の問題については国際公約も求められておる、こうした中で、消費税一〇%への引き上げ、こうしたものも法律には書き込まれておる。この判断はこれから総理が慎重におやりにならなきゃならないことだと私も思いますが、しかし一方では、景気の腰折れという問題もある。

 このような問題にどういうふうに対応していくか。アベノミクスと言われるけれども、地方に景気の好循環がないではないかというこの思いにどういうふうに応えていくか。ここは真摯に耳を傾けながら、これに総理はしっかり応えていただかなきゃならぬと思いますが、これに対するメッセージを一言いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 消費税の引き上げにつきましては、伸びていく社会保障費に対応していくためのものであり、さらに、子育て等の分野において拡充していくためのものであります。

 いわば世界に誇るべき我々のこの社会保障制度、この水準を次の世代に引き渡していく大きな責任がある中において、我々は野党ではございましたが、三党合意の中において、消費税を引き上げていくことを決定したところでございます。

 同時に、消費税をなぜ引き上げていくかといえば、これは税収をふやしていくためのものであって、消費税をふやした結果、経済が腰折れをしてしまっては、税収は減っていくわけでありますから元も子もなくなる、これは当然のことであり、それは財政の健全化にもつながらないということであります。

 そこで、我々は四月から消費税を引き上げました。このマイナスがあった。確かに、マイナス七・一という反動減があったのでございますが、七月、八月、九月に成長軌道に戻ることができるかどうかということであります。

 消費税というのは、いわば消費者の購買力を減少させるという効果があるのも事実でございます。それがデフレ脱却にどのような影響を与えるのかということも含めて、しっかりと我々は見ていきたい。

 つまり、今申し上げましたように、経済の腰が折れてしまうのか。我々が進めているいわゆるアベノミクスは成功しているのは間違いないわけでありますが、これを完全に成功させていくために、果たして消費税を上げるかどうかということについて、我々は冷静に判断をしていきたい、このように思っているところでございます。

河村委員 慎重な上にも慎重に日本の経済の行く末を見詰めてこの御判断をいただきたい、こういうふうに思います。

 そこで、元気な地方を取り戻し、地方創生、これが本格的な我々の課題になってきた。日本の再生に向けて、総理みずから本部長ということで、政権側にはまち・ひと・しごと創生本部をおつくりになった。石破前幹事長を担当大臣として、今まさにこの渦中で努力をされているところであります。総理から私の方にも、党側の責任を看板政策としてとるようにという御指名もいただいたところでございます。

 考えてみれば、私も県議会から国政に臨みまして、ふるさとの声を国政にという思いで出発したことを思いますと、もう一度原点に返ってこれに対応しなきゃいかぬと覚悟を新たにいたしておりますが、これは口で言うはやすしでありますが、なかなか難しい課題でもあると思います。

 さきに増田寛也さんから示されたあの消滅可能性都市の衝撃、あのレポート、日本の千七百余りの町の半分相当がこのままいけば消滅可能性のある町でありますというこの指摘、これはやはり全国に大きなショックを与えたものでございます。このまま放置できない、待ったなしの地方創生であることは間違いありません。これにどう立ち向かっていくかということだと思います。

 それは、二十代、三十代の若い人たち、東京一極集中、その東京の出生率が一番低いというこの現実、これをどういうふうに打破するかという課題でございます。

 まず、安倍総理がこの問題はやはり日本として取り組まなければ日本の再生はないと思われたその原点なるもの、総理はどういう思いでこの問題に取り組もうとされておるのか、その本音のところをまずお聞かせいただきたい、このように思います。

安倍内閣総理大臣 私も河村先生も同じ山口県でございまして、河村先生の生まれ故郷である萩、萩市といっても河村先生はまた外れの方でございまして、三見と言われる地域でありまして、まさに私の地元と接しているところ、大津郡と接しているところでございまして、ですから随分ぶつかり合いは激しかったのでございますが。

 あの山陰の地域というのは、残念ながらだんだんだんだん人口が減少している地域であることは間違いない。しかし、すばらしい、美しい自然があります。田園風景はまさに息をのむようなすばらしさだと思います。こうした地域も含めて日本であり、こうした地域があるからこそ美しい国ではないか、このように私は思います。

 いわば大都市部に人口がどんどん集中をしてくる。これは、国土を保全していく、地域を守っていく、あるいは地域の長年の文化や伝統を守っていくということにおいては明らかにマイナスであるわけでございます。

 そこで、実際この東京で暮らす四割の人々は、チャンスがあれば地方で暮らしたい、こう思っているわけでありますから、こういう方々の思いを実現できるような状況を政治の力あるいはみんなの知恵でつくっていくことによって、まさに地方が生き生きと活力を取り戻すことができる、こう思うところでございます。

 そのためには、安心して子育てができる、あるいは医療施設もある、そして教育の機会も当然ある、そしてもちろん仕事もある。若い人たちが地方に行くことによって、より豊かな人生を送ることができるという状況をつくっていきたいと思います。

 まち・ひと・しごと創生本部を創設しまして、今、石破前幹事長に担当大臣になっていただきました。党の方においては河村議員に本部長を務めていただいております。我々は、今までのアプローチ、国が枠を決めていく、こういうアプローチをやめる、縦割りをやめる、そして地方にこそさまざまな可能性と知恵が眠っているという考え方のもとに、新たな、次元の違う地方創生に取り組んでいく決意であります。

 また、人口減少の克服、一極集中是正という構造的な課題の解決のためには、中長期にわたる継続的な取り組みが必要である、このように思うわけであります。

 予算や税、制度改革などあらゆる政策手段を駆使しまして、そして、あくまでも地方が主役であるという考え方のもとにしっかりと進めていきたい、地方を大きく変えていきたい、若い人たちにとって魅力ある地方をつくっていきたい、このように決意をしているところでございます。

河村委員 ありがとうございました。

 あわせて石破大臣にお聞きしたいと思います。

 さきに石破五原則なるものも出されております。その進捗状況もあろうと思いますが、これは今、政府としては推進法が出ている、しかし、これはまだ理念法でありまして、具体性がないという声、党本部にもいろいろ声が今寄せられております。そういうものをまとめながら、これは内閣とも調整をしながら取りまとめていきたいと今思っておるところでございますが、石破大臣としてはこれからどのように取り組んでいこうとされるのか、お聞きしたいと思います。

石破国務大臣 河村委員には、党におきまして大変お世話になっております。ありがとうございます。

 要は、日本国じゅう同じような景色が展開していないかということです。北海道から九州、沖縄まであちらこちら回るわけですが、どこも駅前は閑散とし、商店街はシャッターをおろし、そして観光客はそれほどふえず、農山漁村は耕作放棄地が続出をし元気を失っているという光景、どこも同じような景色になっているということです。

 それは今お話しになりましたように、それぞれの地域の個性を生かしていかなければなりません。そして、大胆な金融緩和、機動的な財政出動でここまで来ていますが、地方の持っているいろいろな潜在力というものを最大限に引き出すということ、そして、地方に仕事をつくらなければ人は来ません。どんなに美辞麗句を並べてみても、地方に仕事をつくらなきゃいかぬが、今、地方に仕事はあるんだけれども人手不足という不思議な状況が起こっている。それはなぜかといえば、地方にある仕事がまだ収入が低い、雇用が安定しない、仕事にやりがいというものをもっと欲しいということだと思っております。

 地域地域にいかにして仕事をつくっていくかということなんですが、地方創生というのがはやりになったとして、地方創生という名前を冠すれば何でもかんでも予算はつくのか。そういうことをやってはいかぬということだと思っております。地方創生の名に値するからには、それが国のサポートがなくなったらもう終わっちゃうような事業はだめだと。ナショナルミニマム的なものは、それは地方創生とは違うジャンルなのだろう。

 そしてまた、その地域がどうなるかというビジョンを明確に示していかなければいけないし、もう一つ肝要なことは、それぞれの市町村において総合戦略を五年をめどとしたものを立てていただきますが、まずそれがなければいかぬ。その地域がどうなるかという目標は市町村で立てていただくということ、そして、それがどうなったかという検証も地域で行えることが必要だというふうに考えております。

 地方創生とは何なのかというビジョンは、地域に仕事をつくることです。そして、地域の人口がまた再生可能になっていくことだと思います。そういうような明確な目標を定めて、市町村が主役ですから、国が上から目線というようなことはいたしません。いろいろな事業をやるときに、それが地方にとって使いやすいものなのかどうなのかということを重視してまいりたいと存じます。

河村委員 総理の決意、石破大臣の思い、お聞かせをいただきました。

 地方の視線、目線でやる、また、息の長い点も要るでしょうし、日本列島改造論、田園都市構想、あるいはふるさと創生、これまでいろいろな角度でやってきました。しかし、国を挙げて全閣僚参加のもとでの本部でやる。これが最初で最後でなければいかぬ、この決意で臨まなければなりません。

 まだ国民の皆さんにはなかなか具体的でないという思いもあるでしょうが、これから本格的にいろいろなケースを出していきますし、総理が言われる異次元のということでありますから、そういうものが出てこなきゃいかぬ。そこらはまさに、これから英知を絞って、渾身の努力をして、国民の期待に応えることが必要だと思っております。

 安倍政権において、あとは女性の輝く社会をつくっていくという一つの大きな課題がございます。きょうはそれに言及する時間を持ち合わせませんが、もう一つ私ちょっと気になることは、教育再生も安倍政権の重要課題でもございますが、この中で、財政審の方で、財政不如意の今の時点で、文科省がやっているいわゆる三十五人学級の効果がいかがなものかという指摘があったと聞いている。

 この批判を受けるということに対しては、これは文科省も心しなければなりませんが、この取り組みをやめるということによってどういう問題が起きるかということを考えますと、やはり日本の今日、まさに人づくりで今日まで来たわけでありますから、この点については文科大臣もきちっとしたこれに対する対応をし、今進めようとする三十五人学級を堅持する、この思い、ここではっきり明確にしておいていただきたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、学校を取り巻く環境が複雑化、困難化し、教員に求める役割も拡大する中、教員が授業など子供への指導によりさらに専念できる環境をつくるべきときに、四十人学級に戻すとの主張は、文部科学省の考え方や学校現場、保護者の声とは相入れないものでありまして、到底認めることはできないと考えております。

 全国的に定着した小学校一年生の三十五人以下学級につきましては、子供たち一人一人に目が行き届くきめ細やかな指導や、思考を深める授業づくりが一層可能となっている、また、教員と児童との関係が緊密化するとともに、家庭との緊密な連携が可能になる、このような調査結果から、子供たちの学習意欲の向上やきめ細やかな指導による学力の向上にとって効果があるというふうに考えておりまして、少人数学級の推進は望ましい方向であるというふうに思います。

 一方、授業の質向上に対する多様な取り組みや極めて厳しい財政状況等を総合的に考慮し、自治体の創意工夫を踏まえつつ、柔軟で効果的な定数改善を早急に進めていくことも必要であります。

 これら全体を踏まえ、ことし八月に策定した教職員定数改善計画におきまして、課題解決型授業、アクティブラーニング等の推進によりまして、義務標準法の改正による基礎定数の拡充を図ることとしております。

 その実施に当たっては、少人数学級、チームティーチング、習熟度別指導など、学校の実情を踏まえ、自治体の創意工夫により少人数教育を柔軟に行えるものとしております。

 文科省としては、計画的な指導体制の整備を図ることができるよう、各方面の理解を得つつ、財政当局と折衝し、教職員定数改善計画の実現に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

河村委員 安倍政権の教育再生の根幹の一つだと私は考えておりますので、あえてきょうはもう財務大臣に、そのことは御承知のことだと思いますので申し上げませんが、文科大臣、これは先頭に立って頑張ってもらう必要がある、このように思います。

 もうあと残り時間もなくなりまして、本来、安倍総理が今まさに渾身を込めて頑張っておられます、地球儀を俯瞰する外交でございます。

 いよいよ来月には五十カ国目、歴代内閣の最初の五十カ国目を目指しておられるわけであります。中国でAPECだと聞いております。今我々は日中、日韓の行方に大変関心がございますし、また、今北朝鮮で拉致問題も行われております。限られた時間でございますが、総理の今の状況、思いをお述べいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 APECが北京で開催されるわけでございますが、その際、習近平主席と会談が行われればいい、このように考えているところでございます。

 そしてまた、拉致問題につきましては、やっとかたく閉ざされていた扉が開かれたわけでございまして、安倍政権の間に何とかこの問題を解決したい、こう決意をしているところでございます。

 そして、この一両日、北朝鮮側と我々の、政府の代表団が議論を行い、そして協議を行っているところでございますが、日本側からは、拉致問題が最優先なんだ、この拉致問題についてしっかりと誠実に調査をしてもらいたい、同時に、その報告については正直にそのままを、決して虚偽をまぜることなく日本側に伝えるよう、強く要請をしているところでございます。

 今回の訪朝は、まさに特別調査委員会の責任者に我々の考えを明確に伝えることであり、そして、現状の調査状況についての説明を受けるということにしているところでございます。

 判断におきましては、もし今回調査団を出さないという判断をすると、やっとあけた扉がまた閉じてしまう危険性ということも考え、そう判断したところでございます。

 今夕、伊原局長以下が帰国をいたします。伊原局長が帰国次第、報告を伺いまして、どういう報告を受けたかということについては、国民の皆様に私から、これはどういう形になるかわかりませんが、お話をさせていただこう、このように思っているところでございます。

 日韓につきましても、先般、議長がお見えになられたわけでありまして、両国は重要な隣国である、また、戦略的利益を共有する隣国同士であり、関係を改善させていかなければならないという基本的な考え方においては一致することができたのではないかと思います。

 マルチの会議が幾つか予定をされているわけでありますが、そういう場を活用して首脳会談ができればいいと考えております。

 いずれにせよ、日本側は、対話のドアは常にオープンであり、課題があるからこそ首脳会談を行うべきであろう、このように考えております。

大島委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日、予算委員会で初めて質疑のチャンスをいただきました。本当にありがとうございます。二十分という限られた時間でありますので、早速質問させていただきたいと思います。

 まずは、アベノミクス。二年たちまして、果たして今後どういう方向にこのアベノミクスが向かっていくのかということについて、少し議論させていただきたいと思います。

 まず、安倍総理、このアベノミクスについての基本姿勢というところですが、これは、さまざま今指摘されておりますのは、このアベノミクスというのはトリクルダウンを志向しているという指摘があります。つまり、まず重視しているのは大企業で、そして富裕層であって、そこがまず豊かになっていく、潤っていく。そうすると、その富が下にどんどん滴り落ちていく、下請企業であったり孫請であったり、あるいは所得の低いところであったり。そういう、いわゆるトリクルダウンというのがこの趣旨でございます。

 我々公明党は、かねてから申し上げておりますのは、大企業には大企業の支援が必要だと。当然、大企業は世界の中の競争で、グローバルの競争で勝ってもらわないといけませんから、大企業の支援は必要だと。同時に、中小企業には中小企業のための政策が必要だということを主張しておりました。

 今のこの経済構造を見ておりますと、富が勝手に滴り落ちていくという、このトリクルダウンというものが必ずしも機能していない部分もあるのではないか、そう思っております。

 そこで伺いたいのは、アベノミクスというものは、トリクルダウンと指摘される、大企業、富裕層だけに焦点を当てたものではなくて、中小企業には中小企業、そしてまた地方には地方という綿密な戦略で対応していく、これがアベノミクスなんだと私は思っておりますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 いわゆるアベノミクスと言われている我々の経済政策でありますが、この経済政策は三本の矢によって構成されているわけであります。

 まず、一本目の矢によってデフレマインドを払拭する。これは、二年前、日本を覆っていた暗い空気を吹き払うことにつながった、このように思います。そして、機動的な財政出動がございます。この財政出動によって、まさに地方に、そして中小企業にもしっかりと温かい風を届けていくことを目的としているわけであります。そして、継続的な成長のためには、まさに成長戦略をしっかり進めていく、投資が連続的に起こっていく社会をつくりたいと思います。

 その中で、やはり経済政策というのは、マクロ的に経済政策を行っていくと、ややもすると、今委員が御指摘をしたように、いわば競争力の強いところがより強くなっていく。もちろん、強くなってもらわなければ、根っこから雇用が失われる危険性が地方にあってもあるわけでありますから、それがだめだとはもちろん言わないわけでありますが、偏らないようにしていくことが大切ではないかと考えています。

 そこで、各地域の活性化策を推進するに当たっては、東京中心の経済政策とは異なる取り組みが必要であると考えています。すなわち、物や人の流れ、中小企業を初めとした産業構造等の地域特性の客観的な分析を踏まえて、地方みずからが考えていただくことであります。

 これは、ただ地方が考えてくださいというだけではなくて、考えていくためのさまざまな分析、そして情報をしっかりと我々は提供していくということ、これが今までとは大きく違う点であります。

 そしてまた、地域特性を踏まえた、地域主導の提案を国としてもワンストップで支援することであります。例えば、この役所に行くと、いや、その話は農水省へ行ってくださいと。それで農水省へ行くと、それは厚生省ですということがないようにしていく。いわばワンストップで支援していくことが大切ではないか。必要な場合は関連の制度改革を行っていくこと、そして、資金の手当てだけではなく、知恵やスキルを持った人材を中小企業を初めとして地方に確保することとしているわけであります。

 今はまさに地方の中小企業、地方で頑張っている人たちの政策でありますが、それとはもちろんまた別に、中小企業で頑張っている人たちのために、物づくりの助成金を我々は復活させたわけでありまして、しかも、中小企業で働いている人たちの賃金を上げた方々には優先的に給付をしているという工夫もしているところでございます。

伊佐委員 例えばどういう指摘があるかといいますと、よく言われますのが円安。円安にすることによって輸出を伸ばしていく、それで経済を成長させていくという議論がありますが、確かに円安のおかげで、大企業、グローバル企業ですね、この収益というのは大幅に改善した。ところが、では輸出量が伸びているのかというと、決してそうじゃない。今まで、リーマン・ショック以降、ずっと輸出量は下がってきました。やっと今、下げどまったという状況だと認識しています。

 もし今後輸出が伸びてきたということになったときに、その輸出が伸びたことが本当に中小企業の、特に地方の中小企業の収益に結びつくのかどうかというところに少し疑問があります。

 というのは、かねてから言われていますのは、大企業は既に生産拠点を海外に移してしまっている。今、製造業を見たときに、多くの中小企業は、大企業の下請という形では既にない。つまり、経済的な結びつきというものは大分薄くなっているんじゃないか。むしろ、今の中小企業は、ローカルな場所で単独で勝負している、こういう中小企業が多いんじゃないか。つまり、円安になっても中小企業にそのまま収益が結びつくというわけじゃなくて、結びつかないどころか、実際は、円安で燃料が高騰して、資材が高騰して経営を圧迫しているわけですから。

 私の地元は中小企業がたくさんあります。パナソニックとか三洋の城下町でして、ところが、今、地元を回って中小企業の皆さんの声を聞きますと、大企業に依存している中小企業はもうほとんど我々の周りでなくなったといいます。今残っているのは、みずからの技術力で食べているところと、あるいは地域の特徴ある市場経済、こういうものと密接に、うまく獲得したところだと。

 総理は、ことしの四月、私の地元の門真市のばね工場を視察していただきました。そこは、まさしく物づくりの独自の技術で食べているところです。あるいは、地域の特徴ある経済。大阪では、一家に一台、たこ焼き器があります。このたこ焼き器の製造シェアの九〇%をとっている、こういう企業もあります。

 こうして、今の中小企業というのは、トリクルダウンの構造の中で生きているというよりも、どちらかといえば独自の技術あるいはアイデアというもので頑張っているところが多いんじゃないかなと思います。

 質問は、こういう中小企業への支援こそがアベノミクスの重要な柱だと私は確信をしておりますが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まさに委員おっしゃるとおりだと私は思っております。

 いわゆる成長戦略というのは、私は、日本経済のエンジンを積みかえるような作業だと思っておりまして、これまではアメ車のようなエンジンだったわけですが、これをハイブリッド型の、排気量は小さいけれども環境に大変優しい、燃費もいい、そういう日本経済のエンジンに仕立て上げる、こういうことだろうと思っています。

 それは恐らく、富士山のような第二のトヨタをつくることではなくて、小さな山が全国各地にたくさんあって、そして、少量生産だけれども大変付加価値の高いものをつくっていただく、そういう山をたくさんつくって将来の日本を支えていく、こういう姿が我々が目指す成長戦略だと思っております。

 そういう意味で、先ほど総理からお話のありました、ものづくり補助金、二十五年度で手当ていたしましたけれども、もうそろそろ採択が終わってしまうぐらい人気がございまして、中小企業がまさに頑張っていただく、まさに小さな山は中堅企業、中小企業、ベンチャー、第二の創業というところが本当に頑張っていただかなければいけませんので、これから麻生財務大臣に相当お願いをしなければいけないなと思っております。

伊佐委員 中小企業に対してどういう支援の姿があるかという議論はまた後ほどさせていただきたいと思いますが、その前に、足元の景気動向、その態様について伺いたいと思います。

 最新の月例経済報告というものを見せていただきますと、ここにこう書いています。「景気は、このところ弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている。」と。中身を見てみますと、残念ながら、必ずしもこれは安心できるような状況じゃない。例えば、個人消費は足踏み、設備投資は弱い動き、生産は減少している、企業収益は改善に足踏み、雇用については、失業者数が減少して、着実に改善しているというふうに書かれております。

 ただ、今地域で起こっていることは、なかなか人手が足りないという状況ですので、経済成長にとってこの雇用というものも今マイナス要因に動きつつあるんじゃないかな、そういう心配があります。

 そこで、今、足元の経済状況に目を向けたときに、本当にこのままで成長軌道に戻れるかどうか、反動減から脱却できるかどうか。この月例報告を見てみますと、処方箋として書いていますのは、六月に策定しました日本再興戦略を着実に実行するということが書かれております。本当にこれで、再興戦略で勢いが再び増していくのか。もう少し何かあればと思っていらっしゃる方々も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。

 そこで、伺いたいのは、補正予算です。この年末に総理は、消費税を一〇%に上げるかどうかという判断をされます。この消費税を上げる上げないというのは、どちらであったとしても、今の景気動向をごらんになると、デフレ脱却というのを今後確実にしていくという観点からすれば、補正予算を編成すべきじゃないかと思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減もあって、本年四月、五月、六月はマイナス七・一%となりましたが、本年一―六で、一―三、四―六を合わせて、通算で見ますと、前年同期比一・三%のプラス成長となっておりまして、全体的には経済成長は続いているという考えでございます。

 こうした中で、二十五年度補正予算と平成二十六年度予算については、本年度前半に適切に効果を発揮するよう、実施目標を掲げて早期実施に取り組んでおり、六月末の実施目標を着実に達成しているところであります。

 補正予算の必要性につきましては、本年七―九月期のQEなど各種の経済指標が明らかになってまいります。まずはそれらをよく見て考えていきたいと思いますが、その際、各地域の実情を含めて、経済の状況等に慎重に目配りをしていく考えであります。

伊佐委員 これから、データが出そろってから御判断されるということだったと思いますが、では、もし補正予算をやるとなった場合や、あるいは何らかのてこ入れをするということになった場合にどういうところが焦点になってくるのかということですが、私は、その一つはサービス業だと思っております。

 と申しますのは、このサービス業というのは、今、日本のGDP、また雇用の七割を占めております。この割合はどんどんどんどんふえてきています。ちなみに、今、製造業は日本の産業構造の中で二五%という状況です。

 ところが、残念ながら、サービス業というのは労働生産性というのが物すごく低いんです。産業構造の二五%の製造業がたとえ世界で戦えたとしても、サービス業の生産性というのが物すごく低いという問題があります。

 パネルを見ていただくと、右側、例えばアメリカを一〇〇とした場合に、日本は五三・九なんです。アメリカの生産性の半分ぐらいしかないというのが、今の日本の労働生産性の状況。

 何でこんなに低いのかといいますと、まず一つはサービス過剰。つまり、労働生産性というのは、一人当たりでどれぐらい付加価値を生めるかどうか、どれぐらい稼げるかどうか、つまり賃金に直結しているわけです。

 日本のサービス産業で働いていらっしゃる皆さんの今の状況は、とにかく物すごく一生懸命働いている。ところが、その割にはなかなか賃金をもらっていない、こういう状況です。

 では、この賃金を上げるためにどうするか。労働生産性を上げるしかないわけです。それは、例えば、今まで二人でやっていた仕事を一人でできるようにする。これは単純に考えると、給料が倍になりますから。そうすると、二人でやっていた仕事を一人でやることによって一人余るわけです。その人が別の仕事をすることができる。

 今のサービス業というのは、どこも人材不足です。医療もそうです、介護もそうです。飲食だって、人を募集してもなかなか集まらない、こういう状況です。生産性を上げるということが、賃金も上げるし、また人手不足も解消するということだと思っております。

 このサービス業の労働生産性を高める、こういうところに政策的資源を投入すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 おっしゃるとおり、日本の経済構造のかなりの部分、七割と言われますけれども、それがサービス産業で、この労働生産性が低いところに問題があると。

 先般、産業競争力会議におきまして、事務方に私から、業種ごとの、サービス産業について、所管官庁に、生産性向上に向けての検討をするように指示をいたしました。そして、産業競争力会議の分科会の中でそれを取りまとめて、十一月中旬くらいを目途にしたいと思っておるんですが、でき上がってきた成果を、石破大臣のまち・ひと・しごと創生本部の方の政策にインプットしていきたいというふうに思っております。

 業種ごとに取り組むこと、例えば、よく言われることは、IT武装をせよというようなことはよく言われます。委員御指摘のとおり、二人で行ってきた仕事を一人でできれば生産性は上がる、あるいは、同じような仕事でも付加価値を高めるような、サービスにプラスをしていくということで利幅が広がる、いろいろなアプローチがあろうかと思います。これを取りまとめた成果を、具体的に石破本部の方に投入していきたいというふうに考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 最後に、中小企業の議論に戻りますが、もう時間も限られておりますので、総務大臣、財務大臣、それぞれ来ていただけておりますので、最後にまとめて質問させていただきたいと思います。

 一つは、外形標準課税。

 これは現在、大企業にしか適用されていません。中小企業にも拡充しようと。そもそも外形標準課税、中身は何かといいますと、中小企業には適用されていないものを適用させようと。

 この色つきの部分、ここのところが外形標準課税、これは、もうかってももうからなくても、とにかく安定的な税収として払ってくださいというようなものです。これを中小企業にも適用しようというわけですが、中身を実際見てみますと、下の部分、七一%が報酬給与額と書かれています。つまり、これは賃金なんです。

 今の外形標準課税、中小企業、つまり簡単に言えば、賃金に対する課税をしましょうか、これはどうしましょうかという議論です。今、実質賃金が下がっているという批判もあって、この中で賃金をどうやって上げていくかというのが重要なテーマになっている中で、中小企業への、賃金に課税を拡充するというのはどうか、これが一点です。

 もう一点は、軽減税率……(発言する者あり)時間がありませんので、今回、では、外形標準課税だけ、総務大臣、申しわけありません、よろしくお願いいたします。

高市国務大臣 外形標準課税、平成十五年度改正で導入されましたけれども、これはやはり応益性、それから広く薄く負担をしていただくということで、委員がおっしゃったとおり、今は資本金一億円超の企業、該当するのは全法人の一%未満でございます。これをこれから、さらに広く薄くということで、拡充の方向というものが示されておりますけれども、六月の政府税調の取りまとめにおきましても、それから六月の与党税調の取りまとめにおきましても、やはり地方経済を支える中小企業また創業企業に対して配慮をするということになっております。

 賃金に関しましては、これは賃金が上がったとしても税制について影響が出ない、今でもそういう形になっておりますので、賃金を上げた場合に、何かそれを抑制するような形の税制にはならないものと考えます。

 いずれにしても、年末に向けての税制プロセスでしっかりと設計してまいります。

伊佐委員 ありがとうございました。

大島委員長 これにて伊佐君の質疑は終了いたしました。

 次に、枝野幸男君。

枝野委員 民主党の枝野でございます。

 まず、大臣の資質等に関する総理の認識、見解についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 残念ながら、政治と金をめぐるさまざまな報道、あるいは国会での議論が行われております。

 私も、大変お恥ずかしい話でございますけれども、事務所の記載漏れがございまして、昨日、政治資金収支報告書の訂正の手続を行い、同時に、記者の皆さんに事実関係を御説明申し上げるとともに、ホームページなどを通じてその経緯等についての説明をさせていただいているところでございます。

 報道によると、こうした私に関する件を受けて、総理が近い関係の議員の方に、誹謗中傷合戦はやめるべきだ、そして、これで撃ちどめという言い方でしょうか、撃ち方やめになるといいという趣旨のことをおっしゃったと聞いております。報道されております。

 誹謗中傷合戦はもちろん私どもの望むところではございません。今の報道されている発言、まず、事実関係をお答えください。

安倍内閣総理大臣 きょうの朝日新聞ですかね、撃ち方やめと私が言ったと。そういう報道がありました。これは捏造です。

 朝日新聞は安倍政権を倒すことを社是としているとかつて主筆がしゃべったということでございますが、これはブリーフをした萩生田議員に聞いていただければ明らかでありまして、私に確認すればすぐわかることです、私が言ったかどうか、親しい朝日新聞記者がいるんですから。

 一回も残念ながら問い合わせがないまま、私が言ってもいない発言が出ているので、大変驚いたところでございます。

枝野委員 誹謗中傷はやめるべきだという趣旨の部分はどうですか。

安倍内閣総理大臣 いわゆる誹謗中傷はやめるべきではないかということについては、そういう趣旨のことは話をしました、誹謗中傷はですね。

 ですから、枝野議員も、収支報告書のミスについては単純ミスでは許されないという発言をされましたね。でも、その同じ発言を枝野議員もされたのではないかと承知をしておりますが、こういうことを予算委員会で言い合うというのは余り私は生産的ではない、こう考えて述べたものであります。

枝野委員 私は、総理の発言と称される報道について、総理が本当におっしゃったのですかということを今確認しました。

 報道等では、そういう報道のされ方を、私の発言が、されているようですけれども、単純ミスということで理解できるような内容ではない、もうちょっと具体的に説明をいただかないと、少し、単純ミスというだけの説明では足りない、そういう趣旨のことを私は申し上げたことがありますが、政治資金の収支報告書等に単純ミスがあり得る、これは与野党を超えて、ない方がいいし、私も本当にお恥ずかしい話で、大変申しわけないと思っていますけれども、問題は、どういう原因による、事実と異なる記載等が出ているのかということを最大限きちっと説明する、そのことについては、これは総理も御異論はないんだろうというふうに思っております。

 そうしたことの中で、残念ながら、小渕前大臣は、大臣を責任をとっておやめになりましたけれども、国会でしっかりと説明をするということをおっしゃっておられましたが、その後、全く説明をいただいておりません。

 あるいは、朝日新聞のことをおっしゃられましたから、総理には近いと世の中で見られている読売新聞のきょうの社説ですら、宮沢大臣と望月大臣の説明は足りない、もっとしっかりと説明をするべきだという趣旨のことを書いております。

 こうした、総理が任命された大臣が十分な説明をしていないということについて、総理としては、どうお考えになりますか。

安倍内閣総理大臣 もちろん、枝野議員の説明が満足かどうかということについても、これはいろいろな議論があるところだと率直に言って思いますよ。

 その上で申し上げますと、それぞれ、これは閣僚であるかいかんにかかわらず、国会議員は、与党の議員も野党の議員も、国民から負託を受けているわけでありますから、その中において最大限の説明に努力を払うべきだろう、このように思うところでございます。

枝野委員 もし私の説明に足りない部分があれば、私が答弁をする立場では、国会は、ありませんから、党などを通じて、こういう部分をもっと説明しろということがあれば、幾らでも説明させていただきたいと思います。

 今の総理の御発言は、例えば普通の議員について問題が生じたとき、それは、今総理がおっしゃったような姿勢でそれぞれが説明をするということだと思います。しかし、今回問題になっている、少なくとも今名前を挙げた三名の方は、安倍総理が大臣としてふさわしいという御判断をされて任命をされた。そして、小渕大臣については、おやめになったことについて、総理自身が、任命責任を感じているとおっしゃられている。

 もちろん、説明する内容についてはそれぞれの議員や事務所でないとわかることではありませんから、ここで総理に説明しろと言うつもりはありません。しかし、少なくとも、総理が任命をして大臣をされている、あるいはされた三人の方について、総理としてしっかりと、指摘されているようなことについてもっと誠実に、早く、きちっと説明するべきだという指示はされてきたんですか、それともされていませんか、そして、これからされるつもりはありますか。

安倍内閣総理大臣 もちろん、しっかりと説明すべきだと指示をしておりますし、各大臣もそのように説明をしているというふうに承知をしております。その中で、十分に説明が理解できないという御指摘があれば、それに誠実に応えていくのは当然の責務だろう、こう思っているところでございます。

 同時に、こうした予算委員会の場において、さまざまな課題があるわけでありますから、これは、TPPとか、あるいは経済、さまざまな課題がありますね、消費税がどうなっていくか、そういう課題についても真摯に向き合っていくべきではないか、こう思うわけでありまして、今、枝野議員も、ここに座っているのは私だけであって、当該議員はここには座っていないわけでありまして、私に質問をされても、これは限界があるわけでございます。

 まさに、そういう意味におきましては、国民が期待しているのは、しっかりと政策を議論し、前に進めていけということではないか、このように思います。

 同時に、私たちも、しっかりと襟を正しながら、説明を求められれば説明を真摯に行っていく、これは当然のことであろう、このように思っているところでございます。

枝野委員 今、お尋ねに対して答えていません。しっかりと閣僚の皆さんに、特に指摘をされている件についてきちっと説明しろということを指示されたのかどうかということについてはお答えをいただいていません。

 よく安倍総理は、民主党政権の時代はということを答弁の中でおっしゃられますが、私も、そちらの席、総理のすぐ後ろ側の席のところに座っている時期が長くありましたけれども、野党自民党こそ、まさに、政策議論を扱う部分が非常に少なくて、政治と金の問題等について大変長い時間をかけておられたという客観的な事実は指摘をしておきたいというふうに思います。

 私どもも、例えば、経済、アベノミクスの問題、きょうも予定しています、派遣法の問題、さまざまな政策課題をやりたいと思いますし、実際に委員会ではそうしたことをしっかりとやらせていただきながら、同時に、朝日新聞ではなくて読売新聞が宮沢大臣や望月大臣の説明は不十分だと社説できちっと書いているんですよ。それについてはしっかりと、しっかりと説明をしていただければそれで話は終わるんですから、逆に言えば。しっかりと、総理として、それぞれの少なくとも大臣については、本当は自民党総裁としては党内についてと言いたいところですが、少なくとも総理として、閣僚や閣僚であった方について、しっかりと説明責任を果たせと。

 例えば、さらに言えば、江渡大臣については、この予算委員会やあるいは外交、安全保障の委員会などで資料要求されていることについて、資料が提出できない理由について必ずしも十分な説明のないままに、資料提出をいただいておりません。

 こうした問題を早く終わらせるためには、できるだけ早くしっかりと説明し、資料を出していただくことです。総理として、しっかりとそのための指導力を発揮していただきたい。どう思いますか。

安倍内閣総理大臣 自民党が野党時代の姿勢について御批判をされました。確かに、枝野大臣の問題点を随分追及したことがあります。

 それは例えば、殺人や強盗や窃盗や盗聴を行った革マル派活動家がいますね。この革マル派活動家が影響力を行使し得る主導的な立場に浸透していると見られるJR総連、JR東から、これを答弁として、質問主意書によって、これはそういう団体であるということを認めたのは、枝野大臣が大臣をしておられたときの内閣でこれはまさに認められたわけでございます。(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。

安倍内閣総理大臣 そして、その団体から枝野議員は、約八百万円、献金を受けていた。これは殺人を行っている団体でありますから、そういう団体が影響力を行使しているというのは、これはゆゆしき問題ではないですか。だから、それは当然、枝野当時の大臣に答弁を求めたことであります。これは重大な問題であるからこそ申し上げているわけであります。

 今、そういうことを総理大臣が言うのはどうかというやじが辻元さんから飛びましたが、でも、自分たちが言われたら、都合の悪いことは黙ってもらいたい。でも、事の軽重からいえば、何件も殺人を起こしている活動家が浸透している、それを認めたのは、まさに枝野さんが入っている内閣が認めた、つまり枝野さんはそれを認識していたわけでありますから、そういう議論を当時自民党がしていたわけでありまして、これは当然、私は議論をしなければならないことではないか、こう思っております。

 そこで、今、枝野委員から御質問がございました。江渡大臣も、誠意を持って説明をしているところでございまして、私は、江渡大臣の説明でかなり尽きているのではないか、このように理解をしているわけでございます。同時に、宮沢大臣においても、誠意を持ってしているところではないか、このように思っているところでございます。

枝野委員 誹謗中傷合戦はやめた方がいいとおっしゃったのは総理だというふうに思っていますが、私はあのときも明確に答弁をしております。

 私は、総理も政労会見等で公的な存在として、社会的存在として認めておられる連合加盟の産別とはおつき合いをしていますが、そうしたところの中にいろいろな方がいる。それであれば、経済団体の中にも、犯罪行為を犯す企業が経済団体の中に加入しているケースもあるじゃないですか。だからといって、経済団体の幹部の方と会わないんですか。

 私は、まさに、社会的に認められている連合傘下の産別とおつき合いはしました。しかし、その中の構成員にいろいろな方がいらっしゃったとしても、その方と個人的なおつき合いをしたわけではない。まさに連合傘下の産別とおつき合いをしたとそのときに明確に申し上げましたし、まさに私は筋が通った答弁をさせていただいたつもりですから、その後、そのことについてどこかから問題だと指摘をされておりません。

 総理は、事実と異なる、あるいは事実をゆがめていろいろなことをおっしゃるのはやめていただきたいと思うんです。

 今、やじのこともおっしゃいました。先ほど安倍総理は、河村委員の質問の際に、やじをおやめくださいというようなことをおっしゃいましたが、そのときに問題になった総理の発言は何かというと、民主党政権時代はほとんどの都道府県において生活保護水準と最低賃金が逆転していたという趣旨の発言をした。だから、それはうそじゃないか、事実と違うじゃないかというやじが飛ぶのは当たり前じゃないですか。

 民主党政権時代の平成二十三年に改定が行われましたが、生活保護水準が最低賃金の水準を上回っているのは三都道府県、北海道と宮城と神奈川。それ以前の九から三に減って、三つです。ほとんどの都道府県という発言自体が全く事実誤認であるし、このような事実誤認に基づいて社会保障政策を進めていらっしゃるんですね。

安倍内閣総理大臣 三ではなくて六だと思いますが、確かに、ほとんどと言ったのは、言い間違いとしては、ほとんどのところだということについては、これは撤回させていただきますが、民主党政権時代には残っていたのは事実でありまして、自民党政権時代には全てそれは逆転させていただいた、こういうことであります。

 その点の間違いについては申しわけなかった、このように思っているところでございますが、私が申し上げたかったことは、生活水準とこれはまさに大きく違っていたことであろう、このように思うわけでございます。

枝野委員 総理は、三日の予算委員会の質疑の中とか、その後の参議院の総括質疑の折にも、経済は生き物であるというような趣旨のことをおっしゃいました。我々が政権をお預かりする直前にリーマン・ショックがあって、非常に、経済状況は極端に急激に落ちたところでありましたし、震災がありましたので、これによって経済状況は大きく変動しました。

 でも、そうしたことの中から九から三に減らしました。三をゼロにしたことは一定の評価をいたしましょう。しかしながら、九とか六とか三という数字をもってほとんどの都道府県と言うのは、言い間違いのレベルではないと私は思います。これが言いがかりというのではないでしょうか。どうですか。

安倍内閣総理大臣 言いがかりというのは少し品位を欠く発言だと私は思いますよ。こういうことをずっと予算委員会でやるのかと思うと、ちょっと私も驚くわけでありますが。

 私は、先ほど、六であったということで、三ではなくて六ですが、最終的には三ではなくて六でありますが、六だということで訂正をさせていただいた次第でございます。

 いずれにせよ、その段階でもまだ、民主党政権は、マイナス成長であったのは事実であります。直近では二四半期連続のマイナス成長であったのは事実でありますし、いわば国民の総所得におきましても、まさに四十兆円我々は皆さんのときよりもプラスにしているのは事実でありまして、そういうことはしっかりと評価していただきたい、このように思うわけでありまして、いわば経済については全体像をしっかりと見ていくことが大切ではないか、このように申し上げたいと思います。

枝野委員 全体像を見ていただければ、リーマン・ショックの直後は大変日本の経済が落ち込んだところで、我々も苦慮いたしました。我々がやったことが全てよかったと言うつもりはありません。途中に東日本大震災があって、これは間違いなく経済には大きなダメージを与えることもありました。

 でも、そうしたことの中で、基本的に、我々の政権の間に経済は一歩ずつ改善の方向に向かっていた、これも間違いない事実であるということを私は総理に申し上げたいというふうに思っています。

 まさに、お互いに誹謗中傷合戦をやっても、ばかばかしいですし、国民の皆さんは期待していないと思いますので、その政権のときの数字を、数だけを挙げるのであれば、それこそ、自民党席からやじを言っていただいていますが、麻生政権のときはどうだったんですか、麻生副総理と言いたいんですが、そこには行きません。

 経済の具体的な話をお尋ねしたいと思います。(パネルを示す)

 総理は、三日の予算委員会の前原委員の質疑に対する答えで、円安になっているにもかかわらず輸出数量が伸びていない、これに対して、新興国の需要が減速したこと、日本企業が現地の外貨建て販売価格を引き下げずに、輸出数量ではなく収益で稼ぐ傾向が強まったことを挙げておられます。

 輸出数量が伸びなければ、生産も国内投資も伸びない、経済の好循環にはつながりません。であるとすると、問題は、新興国の需要は日本だけでどうにかなる話ではありませんから、日本の国内政策として対応できるとすれば、この現地の外貨建て販売価格を引き下げない傾向、ここが問題になるわけです。

 なぜ、日本企業が現地の外貨建て販売価格を引き下げない傾向になっているのか、その原因についての認識をお答えください。

麻生国務大臣 日本の例えば自動車の例でいけば、日本車の自動車におけるシェアというものは四〇ぐらいになっているところもいっぱいあります。アメリカにおいてこれを引き下げてさらに大きくするということは、新たな経済摩擦を引き出しかねない。当然のこととして、四〇%程度に抑えて、その分、円安で出た分に関しては国内の利益に入れるというようなことになっております。

 その傾向も確かにありますので、結果として、自動車の企業は史上空前の利益を今出しておられるという形になっている面もあろうと存じます。

枝野委員 部分だけ取り上げられても困るので、日本にとってアメリカは大変大きな市場でありますけれども、現地生産がふえているのは、アメリカ合衆国だけではありません。むしろ、アジア等の新興国等においても非常に現地生産が伸びています。

 そして、世界的に見て、アメリカに対する輸出だけではなくて、日本の国内生産した自動車の現地における外貨建て販売価格を引き下げない傾向が強まっているという、その原因についての説明にはなっていませんけれども、今のは。

麻生国務大臣 基本的には、長い間の円高、そしてデフレーションによって、各企業における収益は大幅に落ち込んでおりましたし、利益幅が落ち込んでおりましたから、こういった形で利益を確保するためには、間違いなく、円安になったからといってシェアを急にふやすことに走らず、まずは国内の企業の利益確保に走った。結果として、今、この一年間で見ましても、企業の内部留保は、三百四兆円だったものが、この九月で三百二十八兆まで、約二十兆ふえているというのは、その一端の例だろうと存じます。

枝野委員 その傾向は、では、今後変わるんですか。

安倍内閣総理大臣 海外との関係においてのお話がございましたが、まず、海外への設備投資比率が、我々が政権を取り戻すまでの間、まさにこれはどんどん急増したんですね。ふえてきたわけですよ。我々はまさに、その急増をとめたんですね。急増をとめたんですよ。

 そしてまた、輸出数量でありますが、輸出数量においては、民主党政権時代にどんどん減っていった。そして、最後、これは枝野さんがちょうど経産大臣を務めておられるときだと思いますが、これは急減したんですね。輸出数量は急減しました。それを我々はとめました。とめたんですよ。その流れをとめることができたと思います。

 そして、輸出金額については、これはまさに、横ばいであったものを我々は上昇に転じることができたと思います。

 そしてまた、製造業がまさに海外に投資をする、海外にどんどん逃げ始めていたわけでありますが、大幅増しておりますが、二〇一四年には減少しているわけでございます。

 このように、企業が、もう日本にいてはなかなか利益が上がらない、製造業、企業にとっては日本で製造することは難しいという判断を、まさに民主党政権の間、そういう判断をすることが多かったわけでございますが、その傾向を私たちはとめることはできました。

 その中において、これから日本において生産しようかどうか、これは多くの企業が今、まさにその段階に至っているのは事実でありまして、これはやはり冷静に事実を見る必要があります。

 冷静に事実を見る中において、数字はうそをつかないわけでありますから、皆さんも、その上で一旦反省をしないとまた再生することはないのではないか、こう思うわけでございまして、ですから、我々はまさに、野党の間にどういう経済政策を進めていくかということを考え、また我が党が政権についている間もデフレ経済であったということの反省の上に政策を進めていることによって、今、大きな成果を上げているということは申し上げておきたい、このように思うわけであります。

 いわば、まさに私が申し上げたことは、輸出が思いのほか伸びてはいないではないかという御批判でありますが、かつてはこれは減っていたわけでありますから、申しわけございませんが、皆さんの時代には、輸出は減り、そして海外へどんどん資本は逃げていったのを、我々は今食いとめることができた。その上において、経営者が、これからは、この為替水準が続いていくという中において、しっかりとこの日本において製造を進めていくかどうかということを判断しようかというところまではやってきた、このように思うわけであります。これは何人もの経営者が率直に語っているところでございます。

枝野委員 目の前に輸出数量のグラフがあるんですよ、これ。確かに、私が経産大臣をやっている時期の二〇一二年の後半は若干下がっていますが、これは全体像として、私のときに急減をして、自民党のときに急増しているグラフですか。これは、見ていただく方は一目瞭然だと思いますよ。

 しかも、個別のさまざまな事情があります。ちょうど二〇一二年の半ばから中国との関係が大変に悪化して、中国の、例えば日本系の企業が暴動によって破壊をされるというようなことがあって、中国に対する輸出が急激に落ちた。そのことが、当時経産大臣として大変頭の痛い問題であった。その時期ですよ。

 まさに、先ほどの生活保護についても、ほとんどのというような話と一緒で、こうした一方的な話で悪印象を与えて、自分たちの時代に、輸出数量がふえなければ下請、孫請の仕事はふえないんですから、仕事がふえなければ下請の中小零細企業のところに恩恵が行くはずがないわけですよ。

 その上で、円安になったから、例えば海外進出が少しブレーキがかかっているとか、あるいは、これから国内投資が伸びそうなんだという趣旨のことをおっしゃっているというふうに理解をしますが、きょう、パネルにすることが間に合いませんでした。議員の皆さんには、お手元の資料の三枚目、これは、別に我々が勝手にとった資料ではございません。ジェトロがとった調査であります。海外進出を拡大する理由ということについて、これは古いものから資料が欲しかったんですが、二〇一一年からしかとっていないということでございます。

 圧倒的に高いのは、海外での需要の増加。二〇一一年に七二・四であったものが、二〇一三年には八五・二%の人たちが、海外での需要の増加が海外進出を拡大する理由と言っています。二番目に多い理由は、国内での需要の減少です。一番少ない二〇一一年で四二・六%の企業が、一番多い二〇一二年では五六・八%の皆さんが、つまり、海外での需要を要因としているということを挙げた方が七、八割、国内での需要の減少ということを挙げられた方が約半分ということの中で、為替変動の影響というのを挙げた方は、二〇一一年の中で二四・一%、二〇一三年で九・四%。九・四%に減ったことについては、それは円安の効果として一定の評価をしたいと思いますが、一方で、海外需要の増加というのは、その間に七二・四から八五・二と、約一〇%ポイント上がっている。

 つまり、日本企業が海外進出をして現地生産をふやしている主要因は、海外での需要の増加と国内での需要の減少。為替が影響をもたらさないとは言いません。しかしながら、為替の与える影響というのは実は中心ではないということはこの数字からあらわれていると思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほどのグラフでありますが、これがまさに財務省がつくったものでありまして、(資料を示す)いわば海外設備投資比率の急増を、これは横ばいになった、ここでまさに急増したということでありますし、輸出数量についても、急減しているのは事実でありまして、ここからは横ばいになってきているということについては申し上げておきたい、このように思うわけでございます。

 そこで、今後、海外での生産、そして国内での生産を見ていく中において、先ほど申し上げましたように、海外に置いている生産拠点、海外に生産拠点を置くというのは、海外に置くことによってのリスクは当然あるわけであります。一方、国内に生産拠点を置くことにおける、いわば海外と比べてのリスクはどうかという判断をしていくわけでございます。いわば、途上国に拠点を置けばリスクは生じますが、為替の面あるいは労賃の面等々を勘案しながら企業は行動を判断していくわけでございます。電力料金も大きな要素と言ってもいいんだろう、こう思うわけでございます。

 そこで、例えば東芝は、我々が政権に戻ってから、もう一度三重県に大きな投資をしようという決断をしたのでございます。ただ、急に、海外にある工場を直ちに閉めて国内に戻ってくるということはできないわけでありますから、そうした効果が出てくるのは、しばらく、投資家あるいは経営者が判断をする、そういう時間を経た後に効果は出てくるんだろう、このように思います。

 同時に、中国やインド、ブラジル等の、こういう中進国の現在の状況、ヨーロッパの経済状況等々もあるわけでございまして、そういう中におきまして、どこで生産をするかということが重要ではないか。

 それと、為替状況でありますが、果たして今の為替状況がそのまま続いていくかどうかということについての確信を得ることができるかどうかということも、これは重要な判断基準にはなるのではないか、このように思うわけであります。

 いずれにいたしましても、私たちは、国内で企業が生産をしてしっかりと利益を上げることができる、そういう状況もつくっていきたい、こう思っているところでございます。

枝野委員 最後の方でおっしゃられた、為替状況が今後どうなるのかという見通しが企業の投資を海外にするのか国内にするのかということの大きな要因になるとお認めになったことは、評価をしたいと思います。

 だから、それで決定的な要因にならないわけですよ。これからも円安傾向が続くのかどうかだなんというのは、我が国の政策だけではどうにもならない。率直に言えば、端的に言えば、円安誘導したわけではないと、皆さんは、口が裂けても、そう言わざるを得ないわけですから。今後の各国の経済状況や金融政策の状況によって円・ドルがどうなるのかというのはわからないわけであります。

 したがって、円が今は一時的に安いという状況なら間違いないですが、だからといって、そのことで海外投資が決定的にふえるという要因にはならないと私は思います。

 そして、今グラフを、委員会において示す資料は事前にきちっと理事会に出してくださいという約束を、野党は時々守り切れないことはありますけれども、政府の側がそういうルール違反をやられるのはいかがなものかなと思います。

 まさにこれは、目盛りのとり方でグラフの見え方が全然違います。私の出しているこの輸出数量のグラフは、ゼロからの目盛りできちっととっていて、そして前後二年半をとっていて、このトレンドというのは、国民の皆さんが見ればはっきりしていると思います。あえて、アンフェアにならないように言うと、円・ドルについては、目盛りのとり方で、若干円安が強く見えるようなグラフになっている側面はあるかもしれません。

 この全体としてのトレンドとして、安倍内閣になって輸出数量がふえているとか戻っているとか、こういう数字に見える、もし本当に、本心でそう思っているんだとすれば、その認識自体お考えになった方がいいのではないかと申し上げたいというふうに思っております。

 さて、もう一つ、一枚めくっていただくと、四枚目のグラフがございます。

 安倍総理は、有効求人倍率の改善を述べておられますが、よく分けて見てみる、つまり、世代別とか正規とか非正規とかを見ていただきますと、足元、物すごく高い数字にあるのは、平成二十五年一月を一〇〇としたときの数字で、六十五歳以上の非正規は一三四、三四%増加しています。あるいは、六十五歳以上の正規も一三%増加をいたしております。

 ただ、全年齢層を見ますと、非正規は一〇七、七%増加していますが、正規の雇用者数は九九、全く伸びておりません。特に、二十五歳から四十四歳の層を見たときには、正規雇用は九七、非正規が一〇五。

 つまり、雇用は、確かに安倍総理が言うとおり、景気状況が回復するプロセスではまず非正規の募集がふえて、非正規がふえて、その後雇用がふえていくんだという傾向があることは否定をしませんが、既に安倍内閣が発足してから一年と十カ月です。数字の統計は、今の数字は八月までの数字でありますし、安倍内閣が発足した後、安倍内閣は発足直後にアベノミクスと称するいろいろな効果で、先ほどの輸出数量についてもまずぴんと上がった。その前提のもとで今のような数字を見ても、正規雇用はふえていないんです。

 改善しているのが、非正規が先行しているということについては否定をしませんが、正規雇用は改善をしていない。改善しているとすれば六十五歳以上。つまり、ここは、まさに団塊の世代の皆さんなどが大量退職をして、そういった年齢層に限って言えば人手不足が非常に急激に進んでいる、そういう特殊要因だと思います。

 働き盛りの層では、特に二十五歳から四十四歳の層では、平成二十五年一月を一〇〇とした数字で九七にまで落ち込んでいる、これをどう思いますか。

安倍内閣総理大臣 先ほど枝野委員が円安で海外投資がふえていくというふうにおっしゃったんですが、あれは円高の誤りだと思います。

 その上で申し上げますと、景気の緩やかな回復に伴いまして、平成二十六年八月の有効求人倍率は前月から横ばいの一・一倍と、二十二年ぶりの高い水準を維持しているところであります。求人数を見ますと、正社員以外だけではなくて、正社員も大幅に増加をしているわけであります。

 確かに、今、枝野委員が御指摘になったように、景気回復局面では非正規がふえるのも当然、事実であります。私もそのように述べているところでありますが、同時に正社員も大幅に増加をしているわけでありまして、また、正社員の有効求人倍率に限って見ても、直近の平成二十六年八月で〇・六八倍でございまして、数値を把握している平成十六年十一月以降では最高となっているわけでありますから、非正規だけがいいという状況ではなくて、まさに正規においても過去最高の有効求人倍率を実現しているということも御理解をいただきたいと思います。

 その意味におきまして、今後もしっかりと正社員がふえていくように努力をしていきたいと思うわけでありますが、同時に、非正規雇用労働者が増加基調にあることは、一方、事実であります。

 それは、先ほど申し上げましたように、景気回復局面でありますから、まずここからということになっていくわけでありますが、そして同時に、非正規から正規に移行した雇用者数は、これも非常に大切なんですが、前年比で見ても、非正規から正規に移っていく、我々はそこに今、政策を集中しているわけでありますが、そうした政策の効果も含めまして五四半期連続で増加をしているわけでありまして、これは最近の重要な傾向と言えるのではないか。

 また、直近の本年四―六月期を見ますと、正規への移行が九十九万人と、二〇〇九年、これはリーマン・ショック前でありますが、七―九月期以来の、高い水準となっています。

 また、大切な二十五歳から三十四歳、これは若年層ですね、若年層の皆さん、さまざまな不安を抱えておられたんですが、二〇一三年の第二・四半期以降、これは五四半期連続で正規への移行が非正規への移行を上回っているわけでございまして、ここも重要な点ではないか、このように思います。

 その意味におきまして、さらにキャリアアップ助成金などの支援によって、正社員を希望する方々にはその道を開くとともに、柔軟な働き方として非正規雇用を選ばれる方には待遇改善等を推進していく考えでございます。

枝野委員 政策論争を深めたいんですけれども、本当に総理は聞かれてもいないことをだらだらだらだら、野党の持ち時間を減らそうとしているとしか思えない。そういう答弁は本当にいいかげんにやめていただきたい。

 私は、雇用者数の推移のグラフを配って、雇用者数がふえていないじゃないかと言っているんです。非正規から正規に移っても、トータルとしての正規雇用の数はふえていないんですよ。ふえているのは、団塊の世代で、リタイアをされた世代のところだけなんですよ。そして、安倍内閣でアベノミクスをスタートさせてから、改善の傾向が見られていないんですよ。

 都合のいいところの数字だけ出してくれば、いろいろな数字のとり方がありますよ。だから、トレンドをきちっと示しているんですよ。トレンドとして……(発言する者あり)

 委員長、総理はよく答弁の途中で野党のやじに対していろいろおっしゃいますが、与党の方が激しくありませんか。委員長、御注意していただけませんか。

大島委員長 総理に質問してください。後ろを気にしないで。

枝野委員 この雇用者数、実際に非正規から正規に移った人がいても、その分、正規でなくなる人がいて、非正規がふえている。トータルとしては非正規がふえていて正規がふえていないという、そちらのことこそが大事なんじゃないですか。

 そうした認識の中で、非正規雇用を拡大させることにつながりかねない派遣法の審議がスタートしました。どうも、国会対策委員会などに聞くと、こうしたことの審議を非常に短時間で済ませよう、そういう意図が感じられます。

 まさに、経済の実態について、今のようなだらだらした答弁でなくて、きちっと聞かれたことにお答えをいただきながら議論を深め、当事者の皆さんの声もしっかりと聞かせていただき、しっかりとした充実した審議の中で、非正規雇用だけがふえているという中で、非正規雇用を拡大しかねない派遣労働法の改悪を強行することが本当に許されるのか、我々はしっかりと詰めていきたいと思います。

 残りの時間は同僚議員に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、細野豪志君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。細野豪志君。

細野委員 細野豪志でございます。

 私は、きょうは、福島の問題、原発の問題について宮沢大臣と、当然総理もでありますが、そして、国民の年金の問題について塩崎大臣そして総理と議論してまいりたいというふうに思います。

 まず、宮沢大臣にお尋ねをいたします。

 配付をした資料をごらんください。

 まず、配付をいたしましたこの資料は、小渕経済産業大臣のときに、九州電力の川内原発の再稼働に向けた政府の方針を示したものであります。

 まず、確認をいたしますが、大臣はかわりました。しかし、私は、これは経産省の方針として鹿児島県知事に示されたものというふうに理解をしていますが、この理解でよろしいでしょうか。

宮沢国務大臣 九月十二日に発出した文書でございますけれども、経産大臣の公印の押されたものでありまして、私もそのように理解しております。

細野委員 今確認を宮沢大臣にいただいたペーパーの二段落目にはこういうことが書いてあります。「原子力政策の推進に当たっては、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故を片時も忘れてはなりません。事故を真摯に反省し、被災された方々の心の痛みに誠実に向き合い、廃炉・汚染水対策と福島の復興・再生に全力で取り組んでまいります。」こう書かれています。

 宮沢大臣の閣僚就任の記者会見を見まして、私は正直言いまして目を疑いましたし、もう一回映像で確認をして耳を疑いました。すなわち、三年半以上原発事故からたっているにもかかわらず、国会議員の中に行っていない人がいた、そして、しかも、その方が原発政策の責任者として就任をされたということに大変驚きました。

 改めて大臣にお伺いしたいんですが、なぜ三年半以上にわたって、何度もチャンスはあったと思います、行かれなかったのか。そして、その大臣が、被災された方々の心の痛みに誠実に向き合う。やはりしっかり出会ってお話を伺わないと、これはできないんですよ。これを本当に大臣がおやりになれるのか、お答えをいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 原発事故の発災以来、細野委員が担当大臣等々ということで本当に御苦労されてきたことはよく承知しておりまして、本当にある意味で尊敬をしております。

 今のお話に答えるには、少し長くお話ししなければいけないと思っておりますけれども、ちょうど三月十一日に事故が起こった、大震災が起こった。その直後に、私は当時の石破政調会長に呼ばれまして、ともかく震災からの復興の基本法をまとめてくれ、こういうお話がございました。一週間ほどいただいて基本的なラインを決めて、そして政調会長に御報告した上で、自民党の法案として、四月の半ばぐらいまでにはまとめさせていただきました。

 そして、政府の提案、かなり短いものでございましたけれども、与党協議に私も出席しまして、基本法をつくり、そして、その後、復興庁をつくるという過程にも参加をさせていただきました。

 そして、その後、大島委員長が復興加速化本部の本部長をされておりますけれども、私も少ない幹部の一人として参加をさせていただきまして、その中では、私自身は、福島以外、岩手、また宮城の復興の担当ということでございましたけれども、いろいろな中枢的な意見交換、また情報交換にはきっちり参加をしておりまして、例えば、除染の話などについてどうしていくか、お金をどうするかというようなことはかなり働かせていただきましたし、状況についてはしっかり把握をしていたつもりでございます。

 そういう中で、今回、経産大臣ということを拝命を受けたわけでございますけれども、伺っていなかったことは事実でございますから、今週土曜日には現地を訪れさせていただきたいと思っておりますし、これからしっかりと被災地の声に傾き、またお目にかかって意見交換をさせていただいて、大臣としての職務を全うしたいと思っております。

細野委員 なぜお行きにならなかったのか、東京でそういう法律をつくっていたとか、そういう話をされましたけれども、私は福島の皆さんには理解されないと思います。

 この間、何人か福島の方とお話をしましたが、正直言ってちょっと信じがたいという、全ての方がそういう反応でした。ある方は、こういうことをおっしゃいました。震災後一度も来たことがない宮沢経産大臣という人は、東京電力の株を持っていらっしゃるという意味だと思うんですが、東電は応援するが、福島を応援する気はないらしい、こういう発言も私は直接聞きました。

 大臣、ちょっと確認をしたいんですが、きのうの経産委員会での答弁でこうおっしゃっているんですね。何となく、私の生まれや、父から聞いている話では、それぞれの人はそれぞれの地で役割を果たしていくものである、私はこれが一番大事だと思うと。

 私の生まれや父から聞いている話というのは、これは宮沢家のお家柄ということをおっしゃっているのかもしれません。正直言いまして、私のような生まれの者には想像もつきません。現場を見てきっちりやるという当たり前のことをやらないのがお家柄なんですか。

 初めの時期に、半年ぐらいは現場に行かない方が混乱をもたらさないとか、そういう理解はあると思いますよ。しかし、三年半以上にわたって行かずに、現場の声を本当に大事にしてやれるわけがないじゃないですか。いかがですか。

宮沢国務大臣 私自身は、先ほど申し上げましたように、宮城、また岩手ということで、それなりの仕事をそれまでしてまいりました。

 そして、福島については、また福島の担当の方が党にもおりますし、政府にもいるという中で、私自身が、ある意味で、現場を見るということで現地を訪れることが、現地で働かれている方を若干時間の拘束をする等々ということで、逆に言ったら、現地の復興等々に時間を割くことで、ある意味では少しお手数をかけるということは余りしない方がいいんだろうなという意識でございました。

細野委員 私は、この福島の問題に関しては党派は関係ないと思っているんです。したがって、これまでも、政権の中で福島のために一生懸命やっている方については、ここは個人的にはいろいろな形で協力をしてきました。しかし、残念ながら、少なくとも今の宮沢大臣からはそういう気持ちが伝わってこないし、本当に期待ができるのかということについては私は疑問を持っています。

 そういう意味で、宮沢大臣が経産大臣として職務をやっていく資質を本当にお持ちかどうかということも含めて、原発について議論をしたいというふうに思います。

 先ほどお見せをしたペーパーの中で、二枚目の二番目のところ、川内原発の安全性について具体的に記述をしたところですが、この三行目にこう書いてあります。川内原発については再稼働に求められる安全性が確保されることが確認をされた、こう経産大臣として発信がされているわけですね。

 そこで、大臣にお伺いします。

 東京電力福島第一原発は深刻な事故になりました。一方で、川内原発については再稼働します。この二つの原発の違いは何ですか。

宮沢国務大臣 まず、川内原発につきましては、規制委員会で、新しい規制基準、大変厳しいものでございますけれども、適合しているということが認められたということ。そして、福島第一原発につきましては、そのような厳しい基準でチェックがされていないこと。そういうことだろうと思っております。

細野委員 このペーパーを経産省が出したことというのは非常に意味が大きいんですね。これは、経産省は、安全性を確認するのは原子力安全委員会の仕事ですよ。しかし、再稼働そのものを説明し、住民の理解を得るのは経産大臣の仕事ですから、この福島第一原発と川内原発、当然この事故を受けてやっているわけですから、この違いがしっかりわかっていないようでは話にならないんですね。

 原発、この二つは明確に型が違います。違う原発です。それは御存じですよね。

宮沢国務大臣 再稼働についての御質問だと思っておりましたのでそう答えましたけれども、型が違うことは知っております。

細野委員 川内原発は何という型の原発ですか。

宮沢国務大臣 PWの方でございます。

細野委員 津波のリスクについてはどう見られていますか、川内原発の。

宮沢国務大臣 津波のリスクについても原子力規制委員会でチェックしたと聞いております。

細野委員 大臣、ここが大事なところなんですね。

 東京電力の福島第一原発、あそこは、津波に襲われてああいう事故になりました。川内原発はなぜ津波のリスクがないんですか。

宮沢国務大臣 津波のリスクがないわけではないということだと。しっかりとリスクをカウントしたということだと思います。

細野委員 川内原発の高さは約十三メートルぐらいありまして、高台にありますから、その意味での津波のリスクが比較的小さいんです。これは、この仕事をやっている人間の常識です。

 もう一つ伺います。大臣は吉田調書は読まれましたか。

宮沢国務大臣 まだ就任してわずかでございますが、全体の調書はもちろん読んでおりませんが、吉田調書を含めて概要だけは聞きました。

細野委員 そうしますと、吉田調書のポイントはどこにあるというふうにお考えになりますか。そこから導き出せる教訓は何ですか。

宮沢国務大臣 私自身、それほどまだ頭の整理ができているわけではございませんけれども、吉田調書につきましては、やはり私自身は、現場にしっかりした司令官がいるということが一番大事だということだと思っております。

細野委員 吉田調書を読みますと、本当にいろいろ真剣に考えなきゃならないことがあるんですよ。東日本壊滅も意識をしたという発言。さらには、私がまさに一番恐怖したところですけれども、四号機のプール、このプールがいかに危機的な状況になって、それに対応したか。これはもう本当に大事な教訓なんですね。そういうことをちゃんと読んだ人に、それぐらいはわかっている人に私はやってもらいたいというふうに思います。

 さっき、PWRとおっしゃいましたね。確かに、川内原発はPWR。東京電力の福島第一原発のBWRとは型が違います。

 PWRのプールの位置がどこにあるか御存じですか。

宮沢国務大臣 これから、ともかく私も政策のプロを目指しておりますから、しっかり勉強させていただきまして、お答えできるようにいたします。

細野委員 今の最後の質問は、確かにやや込み入ったところであったかもしれない。

 ただ、総理、ぜひ御理解いただきたいのは、今、原発の本格的な審査に入っているのは全部PWRなんです。つまり、BWRは深刻な事故を起こしてまだ明確な基準ができていませんから、後回しをされていて、PWRなんです。それぐらいは踏まえて、そして津波のリスクはどうなのか、それを吉田調書からどう導き出すのかということぐらいはわかっていないと、説明する担当大臣としては、これは任が果たせないということで申し上げているんです。

 もう一つ、私が気になっていることを申し上げます。

 東電の株を大臣が持っておられる。これに対しては、こうおっしゃっているわけですね、東電を応援するために保有をしていると。さらには、また改めて、二十八日ですから、おとつい、二日前の委員会では、東電がそれなりのしっかりした会社になってくれという思いで政策をこれから続けていくというふうに答弁をされている。

 私、この発言を聞いて、非常に、経産大臣としてはのんきだし、うかつな発言だなというふうに思ったんですね。

 大臣は本当に東電の財務状況を把握されていますか。こんなことを大臣が軽々と言えるような状況だというふうに思われますか。お願いします。

宮沢国務大臣 私自身が東電株を持っているということについて、少し御説明した方がいいと思います。

 私自身、三十年以上前から東電株を保有しておりました。そして、二〇一二年の十二月でございますが、証券会社の方から、端株ですから六百株にしたらどうだという話もあって、十二株ふやして、六百株という数字になっております。そして、そのままずっと持っておりまして、それほど遠くないときに、三月に事故が起こったわけでございます。

 そして、その後、私は、もちろん売るということも考えなかったわけではありませんけれども、東電という会社が国策会社として本当に、これからの福島の復興、まさに廃炉、また汚染水の処理、また除染等々というところで大変重要な役割を果たしていく、ある意味の国策会社になったなと思っておりまして、これはもう、正直言って、一生この会社を応援するという意味で一生持ち続けようと思っておりました。

 そして、そういう状態の中で、今回、経産大臣ということになったわけですが、やはりルールを守るということが一番大事だと思っておりまして、これをもう既に信託をして、取引はしないということにいたしました。

 そして一方、やはり東電という会社、本当にこれから頑張っていただいて、賠償であり、またいろいろな、廃炉であり、やっていただかなければいけない会社。そのためには、株価についても、コストダウン等々で、やはり上がっていっていただかないと、なかなか財政のスキームが回らないということで、ともかくいい会社になっていただかなきゃいけない。ただ一方で、私自身の財産がそれでふえていくということも、正直言って、どこかちょっとおかしいなという気もいたしまして、やはりこの株については、今は売れませんので、大臣をやめた後には、もう直後に処分をいたしまして、そして、それを全て福島復興のために、恐らく財団とか、そういう適当なものをこれから探しまして、全額寄附をしよう、そういうことを申し上げました。

細野委員 大臣、その話もちょっと何人かにしてみたんですね、福島の方に。ある方はこうおっしゃいました。こんなことに福島を利用しないでほしい、寄附をして、いいことをしたというような形で利用しないでほしい、そういう声がありました。(発言する者あり)やじにありましたが、民主党員ではありません。

 大臣、ぜひわかってもらいたいのは、これは真面目な議論なんですけれども、東京電力というのは、それこそ、原子力損害賠償機構から、実際には皆さんの電気料で集めたお金、一部、利子などについては税金が投じられていて、それによって財務が辛うじて黒字になっている状況なんですね。

 福島の知事選挙の結果が出ましたが、知事選挙では、福島第二原発は全員、当選をした内堀知事も含めて、これは廃炉だとおっしゃっている。

 御存じですか。今も、東京電力の会計上は、第二原発も資産に積まれているんですよ。本当は、ちゃんと判断をして負債に回したら、東電の財務状況は大きくまた変わるんですよ。その判断を誰がするんですか。もちろん電力会社もしますけれども、全部あなたがするんですよ、現実的には。

 この東京電力の財務を全部握っている大臣が、東京電力の株主である。そして、安易に、それなりにしっかりした会社になってくれと思うとか、これは他人事みたいな話ですよ。応援するために保有をするとか、こんなことはあり得ない発言なんですよ、その立場を考えれば。

 ですから、大臣、よく考えてください。株は確かに、これは閣議で了解をされなければ売れませんが、今も売ることができます。大事なことは、これは大臣がいろいろな判断をするときに、大臣が公正な判断をしていないのではないかという、職務の公正さが疑われることです。その疑いを排除する方法はただ一つですよ。それは、今すぐ株を売って、そこはしっかり整理をして、そして公正に職務をやることじゃないですか。それは大臣が決めればすぐできますよ。いかがですか。

宮沢国務大臣 恐らく、それは私が決められる話ではないんだろうと思っております。

 そして、先ほど申し上げましたように、私自身、こういうまさに公の場で、やめた後は処分をすると申し上げているということは、正直、私の気持ちとしては、既に株主ではないという気持ちで職務に当たっております。

細野委員 大臣、よく考えてください。総理と相談していただいてもいいと思います。閣議の、確かに大臣規範はありますよ。これはかつて閣議でいろいろ議論された経緯があるでしょうけれども、それはきちっと了解を得れば、この問題について例外にできますから。それがまず大臣として、少なくとも本気でやられるのであれば、やるべき姿勢だと思いますよ。

 総理にお伺いはしません。私の見解だけ申し上げます。

 もちろん、政治資金の問題は重要です。したがって、総理がそれこそ、外国人企業からの献金について、外国人献金については田中大臣に対しては辞任を求めて、そして今度、外国人企業からもらった献金があってもそれは問題ないという発言は、ダブルスタンダード以外の何物でもない。

 さらには、SMバーの、あれはもう論外でしょう。それも深刻。しかし、それ以上に深刻なのは、今の答弁を聞いていただいたらおわかりになったと思いますけれども、東電の今の財務状況がどういう状況にあるのか、そのことを深刻に受けとめて、その立場を全うしようというふうには、私は大臣が見えない。さらには、福島のことについて、今までほとんどかかわってきていない。

 多分、全て総理は知らなかったと思いますけれども、こういう人を任命した安倍総理自身の責任は免れない、このことだけは言っておきます。

 そして、経産大臣が本当に任にあるのはどうか。私は、福島の問題を考えれば、厳しいと思いますよ。厳しいと思いますが、御自身が判断をするのをしっかりと私どもは見てまいりたいというふうに思っております。

 次の質問に行きます。

 年金の問題について、総理とやりとりをしてまいりたいというふうに思います。

 年金積立金管理運用独立法人、これは国民の皆さんが納めていただいている国民年金であるとか厚生年金の基金、これを集めて、そして運用をしている、そういう独立行政法人です。この金額が、今そこにたまっているお金が百二十七兆円という、これは国家予算一年のものをはるかに超える巨額な予算がここにたまっています。

 現在、この年金の運用というのがずっと行われておりまして、ほとんど、六〇%は国内債券に行っていて、そして国内の株式には一二%行っている、こういう計算になっています。

 多分、多くの国民の皆さん、実は御存じないと思うんですが、今、安倍政権が非常に力を入れているのは、この国内債券の割合をできるだけ下げて、国内の株の割合を上げていく。一部出てきている声としては、国内株は三〇%ぐらいがいいんじゃないか、債券を四〇%ぐらいに下げる、そういう議論が出ているというふうに承知しています。

 まず、総理に聞く前に、私の見解を申し上げる意味で、資料を説明させていただきたいと思います。

 今お示しをした資料は、この独立行政法人が年金の運用を始めた平成十八年の四月から八年強の間に、どれぐらい資産を運用することによって実績を上げたかという数字であります。全部で二十二兆円金額を上げている。すなわち、収益を得ているわけですね。その二十二兆円がどこから来たかという数字を分けたのがこのグラフです。稼ぎ頭は一目瞭然、国内債券です。そして、次が外国株式。そして外国債券。唯一マイナスなのが国内の株式なんですね。

 大臣、よろしいですか。これを、また民主党が悪いとか言わないでくださいよ。自民党の過去の政権のときもずっと同じような状況が続いていて、そして最終的に、この八年間を総括すると、こういう数字になっているわけですね。

 今総理がやろうとしていることは、これまで運用成績の極めていい国内債券を下げて、これまで運用成績の一番悪い株を上げようとされているんですが、これは何でこんなことをされようとしているんですか。大臣、お願いします。

安倍内閣総理大臣 今の質問にお答えする前に、先ほど私がダブルスタンダードではないか、外国人献金ですね、それについては説明をさせていただきたい。

 ダブルスタンダードと国民の前で決めつけられましたから、一応説明をさせていただきたいと思いますが……(細野委員「では、簡潔にお願いします」と呼ぶ)簡潔に説明させていただきます。

 田中元法務大臣の件については、寄附を受けた民主党神奈川県第五区総支部の平成二十一年の収支報告書に、寄附をした法人の代表者名が外国籍名で記載されていました。そして、田中法務大臣と寄附をした法人の代表者が日ごろから親しくつき合っていたという点。そして、田中大臣は、記者会見において経営者の国籍はどういう形でお知りになったのですかと聞かれて、去年の三月十一日の震災のときに台湾の方に一時帰っているということでしたので、そう思っているということでありましたので、外国人であるという認識をしていたということであります。そして、それ以後一年半の間、何の調査も返金もしていなかったということであります。

 一方、宮沢大臣は、平成十九年、そして二十年に、大臣が代表を務めていた政党支部が、日本法人であり、そしてかつ法人名からは外国人が過半数の株式を保有することはわからなかった。そしてまた、経営者は日本名であったということでありまして、これはまさに本人がなかなか類推できなかったという状況でありますから、全く違うということであります。

 細野議員が私に対して、これはダブルスタンダードだと総理大臣に向けて決めつけたわけでありますから、これについては御説明を申し上げるのは当然ではないか、このように思うところでございます。(発言する者あり)

 そこで、そこでよろしいでしょうか。(発言する者あり)階さん、何かあるんですか。よろしいですか。

大島委員長 総理、どうぞ答弁を。

 簡明にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 はい。

 そして、年金積立金の運用については、将来の安定的な年金給付に向けて、デフレ脱却後の経済、運用環境に対応して、年金財政上必要な利回りを最低限のリスクで確保するよう、基本ポートフォリオについても機動的に見直すことが必要だ、このように考えています。

 今委員がお示しになった発足後の運用実績ということでございますが、これは二十六年の四月―六月以降で見れば、国内債券がプラス二兆円に対して、国内株式はプラス九・四兆円になっています。外国債はプラス三・五、そして外国株式は九・五兆円になっていて、プラス二十五兆円になっているわけでございます。デフレ下とデフレから脱却をした後のモデルは当然変えていくのは、まさにこれは常識ではないか、こう思うわけでございます。

 今回の基本ポートフォリオの見直しは、こうした観点から行うものであり、株価対策を目的としたものではないが、結果として日本経済にも貢献するものと考えているわけでございます。

 そして、積立金の運用は、年金制度の一部であり、所管大臣である厚生労働大臣の責任で、専ら被保険者のために行われているわけであります。

 政権交代直前の平成二十四年度上半期の運用収益はマイナス一・五兆円であったのに対しまして、平成二十四年秋に政権交代の兆しが見え始めた中での景気回復や株式市場の好転によって、安倍政権ができてから約一年九カ月の運用収益は約プラス二十五・二兆円でありまして、これは大きく改善しているわけであります。

 このようにしっかりと責任を果たすことによって、年金の受給者の皆さんに年金をお届けすることが将来可能になっていくわけでございます。年金財政の安定化に大いに私は貢献をしていると思います。今後とも、年金財政上必要な運用収益を確保するように努めてまいります。

 なお、株と国債はそれぞれ資産としての特性がありまして、単一の資産で運用するよりも、国内債券や株式等を適切に組み合わせた分散投資を行うことによって、リスクを抑えつつ、年金財政上必要な利回りをしっかりと確保していくことが重要であろう、このように思います。

 詳細については、厚生労働大臣から答弁させたいと思います。

細野委員 自分が政権をとってから上がっているという話をされたんですが、そういう話を、どっちの責任とかにしたくないから、あえて八年という長目でとったんです。

 それをおっしゃるなら、総理、麻生財務大臣がおられますけれども、我々が政権をとる前の数年間は、これはマイナス六・一兆円の赤字ですよ。全部で赤字ですよ。穴をあけたんですよ、あなたたちが。そんな話をしたくないから、八年間で、長い目で見ましょうということを言ったんです。

 ですから、お互いに、いい悪いじゃなくて、将来の年金のために何をしなきゃならないかという議論をしましょう。

 そこで、私は、なぜ、今、株に投資をしようとしているのかということについて、動機が総理は年金だとおっしゃいましたけれども、私は正直疑問を持っています。

 まず、この議論の発端は、昨年十一月に取りまとめられた内閣府の有識者会議、このレポートを見ますと、なかなかすごいことが書いてあるんですよね。債券中心のポートフォリオについては見直しが必要である。そして、株については、アクティブ運用の比率を高めることを検討すべき。アクティブ運用という、よりリスクの高い資金ということですね。さらには、こう書かれている。これは、国民の皆さん、よく聞いてくださいよ。皆さんの年金を、不動産、ベンチャーキャピタル投資、プライベートエクイティー投資、これは未公開株ですよ、コモディティー投資、商品先物取引ですよ、一番リスクが高い、これにも追加をする。これはなかなかすさまじい提案ですよね。

 そして、では、それを誰が提案したのかというのを見てみたら、これは皆さんに資料ではお配りをしておりますが、こういうメンバーで提示をされておりまして、全部で七人、メンバーがいらっしゃいますが、二人目にはJPモルガンのチーフエコノミストの方、そして大和と野村のそれぞれ恐らくエコノミストでしょう、それぞれやっておられる。アクティブ運用にして株にしたら、ここの人たちは収益を上げるに決まっているんですよ。それこそ、こういうラインはずっと引かれている。その中で、総理が二月のダボス会議で高らかに宣言をされて、そしてポートフォリオの見直しに今着手しつつあるわけですね。

 塩崎大臣にお伺いします。

 ちょっといろいろ、総理がさんざん長く答弁をされたので、塩崎大臣には、簡潔にこの部分に限って答弁をいただきたい。

 私はこの見直しに反対です。しかし、一つだけ、少なくともくぎを刺しておきたいことがある。立場は違うと思いますよ。少なくとも、今、GPIFのガバナンス改革をやっていますね。ガバナンス改革がやられていて、大臣は何度も、GPIFについては、実際に運用の仕方も含めて統治がなっていないとおっしゃっている。ガバナンス改革をやっている最中に、ポートフォリオだけ先に見直すなんということは絶対ないでしょうね。ここだけは確約してください。ほかの答弁は結構です。

 委員長、さっきも申し上げましたが、総理は五分以上時間を使いました。もっと使ったでしょう。時間は限られています。ですから、このことについては、このポイントのみに大臣に答弁をさせてください。お願いします。

塩崎国務大臣 細野先生も多分よく御存じで言っておられると思うんですけれども、運用改革とガバナンス改革は、全く一体の話であって車の両輪なんですね。もう一つ言わなきゃいけないのは、さっき総理が言ったように、経済のフェーズが変わって、デフレから今度まあ多少のインフレになってきているときの運用のあり方というのは、やはり全然違うということを我々は冷静に受けとめなきゃいけないんです。

 だからこそ、実はこの間の財政検証でもって、どのくらいの利回りでGPIFは運用成績を上げなきゃいけないのかというのが出ているのを御存じだと思うんですね。それは、賃金上昇率プラス一・七というのがGPIFが責任を持たなきゃいけない利回りの最低レベルなんです。

 つまり、賃金上昇率というのは、これからいけば、多分二%とか、そのぐらいは少なくともあると思うんですね。そうすると、約四%の利回りをどうやって、じゃ、国債だけで、国内債券だけでいけるのかというと、それは細野先生でも多分難しいと思うんですね。

 だからこそ、我々は、これはもともと法律には、厚生年金法には、安全かつ効率的な運用をしなければいけない、責任者は厚労大臣です。それをGPIFにお願いしているわけであって、我々は、ですから、一番大事なことは、約束どおりの……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。約束どおりの年金を受け取っていただくようにどうするかということが問題なのであって、株を買うことが大事ではないのであって、今言った賃金上昇率プラス一・七%をどうやって確保していくのかということが長期的に大事なんです。

 今、八年ということでしたけれども、やはり八年だからじゃない、やはり少なくとも年金の資産運用は十年タームで見ていただかなければいけないのであって、そのことを、短い期間の間の評価損とか評価益とか、そういうことだけではできないんだろうと思います。(細野委員「もう大臣、さすがにいいです、もう時間はあと三分だから」と呼ぶ)いや、したがって、だから、大事なことは、分散投資をどうするかというときにガバナンス改革が必要だということを言っているので、分散投資というのは、リスクを分散してリスクを下げて、リターンを上げるということですからね。

 ですから、そういうことで両方を一緒にやらなきゃいけないので、できる範囲のことをやっていくということであります、今。

細野委員 塩崎大臣は個人の資産で株を六千七百万円近く持っておられる、積み上げると。それは個人的にいろいろ引き継がれたものがあるでしょうから、それについていい悪いとは申し上げません。(塩崎国務大臣「何が問題なの」と呼ぶ)いや、問題だとは申し上げません。

 したがって、そういうことも含めて、私は、賢明な大臣がそんなことに影響されるとは思いませんよ。ただ、少なくともガバナンス改革も含めていろいろなことが言われていますから、そこはしっかりやってください。

 あと、大臣、言っておきますけれども、きょうは国民の皆さんが見ています。国民の皆さんが、皆さんの年金、もうなけなしの年金ですよ、それで暮らしている人がたくさんいるんですよ。そういう人たちの年金を、株を買うだけにとどまらず、不動産、未公開株、商品先物までに投資をして、そしてどんどんふえてよくなると思っていらっしゃるかどうかは、国民の信認が大事ですよ。

 最後に、もう時間がなくなりましたが、もう一つだけ指摘をしたい。

 ちょっと一部に誤解がありますが、アメリカは公的年金を全部債券でやっています。この資料を見てください。(塩崎国務大臣「違う、違う、委員長」と呼ぶ)いやいや、もう大臣はあれだけしゃべられましたから。

大島委員長 時間がないから、質問があったら質問を。

細野委員 資料を配っています。(発言する者あり)いや、違います。国民年金、厚生年金に当たる公的年金については全て債券に投資しています。一方で、公務員年金については株に六四%投資しています。これはきちっと私は確認しています。日本は全く逆のことをやろうとしている。

 最後にもう一つだけ指摘をして、私の質問を終わりたいと思います。

 上が国民年金、厚生年金、下が公務員年金です。我が国の年金はどのようになされてきたか。まず、これは自民党政権時代ですが……(塩崎国務大臣「もうちょっと勉強してから言ってくれよ」と呼び、その他発言する者あり)

大島委員長 ちょっと静かに。質問してください。厚労大臣も静かに。質問をしてください。さわらないで。座りなさい。静かにしなさい。

 厚労大臣、ちょっと静かに質問を聞きなさい。そして、短くやって、答弁をしてください。

細野委員 もう私はここは質問しません。委員長、ここは質問しません。最後に指摘したいことは、日本の制度について指摘します。アメリカについていろいろ御見解があるのであれば、それはまた違う場所でお伺いをします。

 私が伺いたいのは、日本の制度、総理、いいですか、総理、よろしいですか。国民年金、厚生年金と共済年金は別の制度になっています。これまで自民党政権時代にあったのが、年金保険料の流用でした。覚えていらっしゃる方は多いと思う。グリーンピア、サンピア、マッサージチェアまで登場して、これは皆さん、七兆円、年金を、皆さんは基金をここで目減りさせたんですよ。使い切ったんですよ。そして、国家公務員共済はそういったものはなかったんですよ。

 そして、もう一つは消えた年金問題ですね。五千万件を超える年金が国民の皆さんから失われた。共済年金は極めて限られていた。

 そして、今やろうとしていることは、今度は、共済年金については株への投資はそのまま抑えておいて、これから議論しましょう、金額の大きい国民年金と厚生年金の方だけ株にどんと投資をしていきましょう、こんな話を国民が認めると思いますか。検討の流れはそうですよ。

 最後は、厚労大臣には聞きません。総理にお伺いします。総理にお答えいただきたいと思います。総理は、何度も発言をされていますから。

大島委員長 塩崎厚労大臣、短くやりなさい、短く。(発言する者あり)静かに。

塩崎国務大臣 多少ちょっと言い過ぎましたので、おわびをいたしますが、国民の皆さん方が誤ったことを受けるといけないので……

大島委員長 短く、短く。

塩崎国務大臣 アメリカは国債で全て運用しているというのは全くの間違いです。これは、ペイ・アズ・ユー・ゴーで、言ってみれば交付国債みたいなもので、ペイロールタックスというので入ってきた税収をそのまま年金に渡しています。いわゆる国債に運用するというような、GPIFがやっているようなことは一切やっていませんから、全く間違っているということを国民の皆様方も知っていただきたいと思うんです。

 その上で、私たちが言っている分散投資をやりましょうというのは、できる限り高い利回りを低いリスクで得るためにどうしたらいいだろうかと。目的は、約束どおりの年金を受け取ってもらうためにやるので、ですから、もし、細野先生が、株式投資以外のいろいろなもので、分散をしないでやれると言うならば、どうしたらいいのかというのを私たちも御指導いただければありがたいなと思っているぐらいでありますので、そういうことで、哲学で、リスクを分散してリターンを上げる、それが私たちの今考えていることであります。

細野委員 最後に、きちっと反論だけはしたいと思います。

 厚生労働大臣、これは、配っている資料の下から二番目の紙は、厚生労働省が私に渡した資料ですよ。一番左の社会保障信託基金は、確かに日本のGPIFとは若干制度は違います。違いますけれども、最終的な基本ポートフォリオは債券一〇〇%になっているじゃないですか、二百九十一兆円、そのことを指摘したんです。

 最後に聞きたかったですが、私が総理にぜひ考えていただきたいのは、この公務員の制度と国民年金の制度、これを、国民年金、厚生年金を先にするということについては私どもは断固認められない、国民の年金は我々がしっかり守る、このことだけ申し上げて、質問を終わります。

大島委員長 この際、小川淳也君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也でございます。

 総理、先ほどから、輸出の件、年金の件、極めて超短期で議論していますが、ちょっと念のため申し上げます。輸出はほとんど横ばいですよ。問題は、輸入がふえているんだ。私たちの政権担当時代は、貿易収支は黒字でした。しかし、政権交代後、ほとんど赤字傾向。経常収支まで、統計をとり始めて初と言われるぐらい赤字基調になっていますよ。こういうのはトータルで議論をしないと全く意味がない、そのことをちょっと冒頭指摘したいと思います。

 それで、アベノミクスと地方創生について、きょう、ぜひ聞きたい。その前に、総理、九月の内閣改造は、結果論でありますが、総理はいつも結果が大事だとおっしゃる、極めてお粗末だったんじゃありませんか。ほぼ全滅ですよ。さまざまな政治と金の問題を含めて、いろいろな不祥事が出ている。

 本来、この九月の改造は、一カ月後の消費税の判断を控えて、極めて襟を正し、身支度を整える、そういうものでなければならなかったと思いますが、二、三お聞きします。

 これで消費税を本当に国民にお願いできますか、この内閣で。新たな改造、そして最近、衆議院の解散なんという文字も躍り始めています。現時点でどうお考えなんですか。

 もう一点、きょう、小渕前大臣のもとには捜査が入ったというような一報もございます。大臣辞任後、一向に御説明もございませんが、これは大臣辞任で済まないと思いますが、このあたり全般について総理の御見識をお聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、小渕大臣、そして松島大臣、二人の閣僚の辞任、こういう事態になったことについて国民の皆様におわびを申し上げたい、任命責任者として深く責任を感じているところでございます。

 そして、小渕大臣の政治資金をめぐる問題につきましては、小渕大臣自体も十分に承知していないところがあったのは事実だろう、このように思います。その中において、告発も行われている中において、司直によって明らかにされていくこともあるかもしれませんが、本人は、でき得る限り説明をしていきたい、第三者で調査していく第三者委員会的なものをつくって、そこにもしっかりと調査をしてもらいたい、その上でしっかりと説明をしていきたい、こういうことでございますので、国民から負託を受けている議員としての責任において説明責任を果たしていただきたい、このように思います。

 また、宮沢経産大臣につきましては……(小川委員「いや、個別には結構です」と呼ぶ)いや、でも、個別にといっても、全体について話をされておられますから。しかも、顔写真を出して、私はどうかと思いますよ。(小川委員「改造全体の評価をお聞きしているんです」と呼ぶ)しかし、これは一人一人名前を出されたんだから、それについては説明をさせていただかなければおかしいじゃないですか。(発言する者あり)

大島委員長 お静かに。

安倍内閣総理大臣 こういう公共の電波を使ってイメージ操作をするのは、私はおかしいと思いますよ。そのことについては、一人一人の、安倍内閣の閣僚の名誉がかかっているんですから、話をさせてくださいよ、一人一人について。よろしいですか。よろしいですね。(発言する者あり)

大島委員長 質問に答えていますから、御静粛に。

安倍内閣総理大臣 例えば……(発言する者あり)いや、違いますよ。こうやってパネルを出して、一人一人の閣僚の名前を出して、これについてどう思うか、こう聞かれたわけでありますから、答えさせていただきたいと思います。よろしいですか。

 そこにおいては、例えば有村大臣は、脱税企業からの献金ということになっています。本人も直ちにこれは献金をお返ししておりますが、ただ、有村大臣が献金を受けたのは、まだ訴追をされて判決が出る前でありますから、何らこれは予測ができないわけでありまして、我々も、献金を受けた、献金を受けた後に、その企業が脱税事件を起こしたこともあります。しかし、その際には直ちに返していく。

 我々が献金を受ける企業に対して、この企業が果たして脱税をするかどうか、そういう予測は基本的にはできないという中において起こってきた問題であり、これが明らかに、あたかも犯罪であるかのように、こういうパネルの中に並べていくのはおかしいと思います。

 一人一人、私は、これ以上時間を費やすことは差し控えさせていただきたい、簡潔にお答えをさせていただきたいと思いますが、大切なことは、これは政府だけではなくて、いわば与党も野党も、それぞれの議員が国民から負託を受けているんですから、この負託に応えて、当然責任が伴っていくわけでありますから、こういう経理上のことについても、自分の事務所員を含めて、しっかりと緊張感を持って対処していくこと。そして、指摘をされた際には、提出をするあるいは説明をすることが求められている、このように思っているところでございます。

小川委員 ぜひ、簡潔な御答弁に御協力をいただきたいと思いますが、それだけ閣僚の選任というのは極めて大きな責任があるわけでしょう。それを私は申し上げたわけです。

 消費税の増税というのは、国民にとってもう大変な影響を及ぼす判断ですよ。そこに当たって、内閣の靴のもとが汚れているような状態では、とてもじゃないけれどもこんな御相談はできないという意識が私は必要だと思います。

 アベノミクスと地方創生についてお聞きしたいんですが、私どもも、いろいろ国民からも言われています。何をやるかが一番大事ですよ、国政の場においては。政策論議が一番大事です。しかし一方で、どんな人たちがそれをやっているかということも極めて大事であります。そこで、この政治と金の問題も出てきます。

 もう一つ。きょうは、本題、政策論議に入る前にどうしてもお聞きしたい。

 安倍政権の思想的な傾向、あるいは世の中から不適切と思われているような団体との近さについて、少し疑念が生じております。

 注意していただきたいんですが、この点は、国内ももちろんでありますが、海外からの目が厳しいんです。そして、総理は、国連の非常任理事国になりたい、目指すということもおっしゃっている。

 こういう意味でいえば、この問題に国際社会から疑念を持たれるような姿勢、態度であっては決してならないと思います。

 その観点から、きょうは山谷大臣にお越しをいただきました。総理も、元在特会の幹部と言われる方と写真におさまっているということは報じられております。高市大臣、きょうは別件でお越しいただきましたが、かつてナチズムを標榜するような団体と写真におさまったということも報じられている。そして山谷大臣も、さまざまな報道で疑念が言われております。

 そこで、二、三、ポイントを絞りたいと思いますが、大臣、現在は自民党にいらっしゃる。山谷大臣、国家公安委員長をお務めであります。かつて、私どもの仲間、民主党でありました。その前は民社党におられた。当時は、家族観に対しても極めてリベラル色の強い主張をしておられますよ。

 どこでどうこういう主張が変わったのか。最近では、配偶者控除の見直し、これは安倍政権も目指していると思いますが、これは家族解体税制ですか、大臣の御発言を引用すれば。非嫡出子の差別を違憲とした最高裁の判決は、根本的な過ちですか、差別と区別を混同しているんですか。報道を通じてでありますが、こういう主張へと急激に右旋回しています。今では、新聞の見出しでありますが、「リベラルから「転向」」「右派から絶大支持」「安倍内閣の筆頭右大臣?」とまで言われている。この変節、変遷はどこから来るんですか。私は、その点、非常に興味深くお聞きしたいと思っています。

 そして二点目。極めて不適切な霊感商法、それから、さまざまな社会的に物議を醸している統一教会であります。

 大臣は、世界日報に登場しておられる。どういう関係ですか。未確認文書でありますが、非常に大臣にシンパシーを感じているというようなことも流布されていますよ。この点もぜひお答えいただきたい。

 そして、ずばり、こういう写真をごらんいただくのは甚だ私も気が引けますが、非常に曖昧な答弁を繰り返しておられますので、ぜひ関係をお聞かせください。週刊誌を初め世上言われているこの写真は、講演先で撮影されたものであるから問題ないという御答弁を繰り返しておられますが、本当にそうですか。しっかりと御説明をいただきたい。

 大臣の変節ぶり、統一教会、そして、この在特会元幹部とおさまったと言われるこの写真、大臣の口から御説明をいただきたいと思います。

山谷国務大臣 私は、一貫いたしまして、民社党時代から、拉致問題の解決、教育の再生、そして安全保障をしっかりしたものにすることを一貫して訴えてまいりました。

 また、在特会の関係者との写真ということでございますが、それも何度も丁寧に説明をしたつもりでございますが、全国区の政治家でございますから、さまざまな場所でさまざまな方から撮影を頼まれれば撮影をすることがあるということは、議員でいらっしゃるならば御理解をいただけるのではないかと思います。

 今後も、疑念を持たれることがないように、丁寧に説明を続けていきたいというふうに思います。

 それから、統一協会に関しましては、私は選挙応援をいただいておりませんし、その記事のことにつきましても、いきなり聞かれましても、質問通告をいただいておりませんので詳しく御答弁できませんけれども、長年ジャーナリストでございますから、いろいろなメディアからインタビューは受けているのかもしれませんが、何を語っているのか、もし必要ならばおっしゃっていただければと思います。

小川委員 簡潔な御答弁ありがとうございました。

 さまざまな場所でさまざまな写真を撮る、それは確かにそうです。しかし、お聞きしているのは、どこで誰と撮ったんですかとお聞きしている。何年も前から関係が議論をされており、再三にわたってこの国会でも議論されている写真です。大臣、御確認になったんじゃないですか、私はそう思ってお聞きしているんですよ。

 世耕官房副長官、きょうはお忙しい中ありがとうございました。

 副長官は先般の記者会見の中で、九月の十八日ですか、この報道について承知をしている、写真については竹島の日の講演会の場で撮られたものである、現在はデジカメやスマホのカメラを持っている方が非常に多い、写真撮影を求められると断れない、その人を一々どういう人かと確認できない、これは講演会の現場なので、そういうことですという趣旨の会見での表明をされておられます。

 大臣からそういう報告を受けたわけですね。竹島の日の講演会の場で撮られたという報告を受けた。それを受けて、副長官としてどう判断してこういった会見表明をされたのか、その点をお聞きいたします。

世耕内閣官房副長官 これは、記者会見で長くいろいろ説明したことを今一部引用いただいているわけですけれども、私が問題ないと判断をしたとこの会見で言っている結論の部分は、何分御本人も在特会の関係者であるということは承知していなかったとおっしゃっていますので、何ら問題ないというふうに思っております、これが私の会見での、一番、趣旨として申し上げたことであります。

小川委員 山谷大臣、講演会の場で撮られたということでございますが、講演会の場所はどこでありますか。

山谷国務大臣 質問通告がないので、いきなり記憶を、どこの会館というのは覚えておりませんけれども、公の会館だったような気がします。

小川委員 大臣、これは繰り返してもそういう答弁を繰り返されるでしょうから、もう私の方から申し上げます。

 二十一年の二月の二十二日、島根県民ホールで行われているようであります。私、週末、何とか時間をやりくりして行ってきましたよ。本当に、大臣の講演が行われた場所が、こういった環境、こういった撮影と必然性があるような空間なのかどうか確認してまいりました。とてもじゃありませんが、こういう場はありません。きょうは資料としては御用意しておりませんけれども、そういうことであります。

 先方の在特会の幹部は、大臣の宿泊先に朝お訪ねをして、そしてともにコーヒーを飲んで歓談したと。約一時間であります。在特会の元幹部は、そういう主張をみずからのホームページでされていますよ。

 これはどっちが本当なんですか。大臣のおっしゃっていることと在特会元幹部がおっしゃっていることと、どっちが正しいんですか。お聞きしたいと思います。

山谷国務大臣 それも質問通告になかったので、一つ一つ記憶がございませんが、宿泊先のホテル、恐らく講演に行く会場に行く前に撮られたのかもしれませんが、私の支援者は、たくさん、そういうところで写真を撮ってくれと皆さんおっしゃっていらっしゃいますし、コーヒーを飲んだ記憶もございませんし、まず、在特会の関係者であったということを、私は全く存じませんでした。

小川委員 この方々は、岡山から広島、広島から島根へと、反日教組運動の街宣活動をしながら入っているんですよ。講演会会場は松江市内の県民ホールです。

 大臣が宿泊されたホテル、御記憶だと思いますが、宍道湖畔、島根県の宍道湖畔に立派なホテルがあります。恐らくそこで間違いないと、私は現地に行って確認をいたしました。

 委員長、今まで非常に曖昧な答弁を繰り返しておられますが、これは大臣が宿泊先で在特会の元幹部とホテルにおいて撮影されたものであるということを断定すべき写真、証拠となるような参考資料がありますので、委員長のお許しをいただいて、ここでぜひお示しをさせていただきたいと思いますが、委員長、お許しをいただけたらと思います。

大島委員長 資料をお示しするというのは、誰に示すんですか。何の資料を。

小川委員 委員会の理事、委員の皆様、そして山谷大臣にであります。そして、もちろん、報道を通じて国民の皆様にもごらんいただきたいと思っております。

大島委員長 それは理事会でちょっと協議させてください。

小川委員 委員会のルールとして、理事会で御承認ということではありますが、これは明らかに松江市内の立派なホテルのロビーで撮られています。

 そして、大臣とこの在特会幹部との関係は、百人の会、九九年の設立以来顧問をお務めであり、〇七年八月には豊中における、この幹部が事務局を務めた講演会で講演をしておられる。そして、〇九年の二月にこの問題の写真です。そして、翌三月には陳情を受けているという情報もあります。そして、一〇年十二月には新しくなった参議院会館に訪問されているじゃありませんか。

 大臣、これは知らなかったとか関係はないとかいう答弁では通らないと思いますよ。いつこの幹部に大臣が泊まっているホテルを連絡したんですか。携帯電話でやりとりする間柄なんじゃありませんか。出張中会うというのはよほどのことですよ、ホテルの宿泊先で。いかがですか。

山谷国務大臣 竹島の会合でございますから、県議会議員、市議会議員の皆さんや、JCの方や、さまざまな方たちとその日お会いをしているところでございます。

 それから、百人の会というのは、教育再生・地方議員百人と市民の会についてのことだと思いますけれども、これは、与野党の多くの国会議員、民主党の国会議員の皆様も御参加でございますが、そのような団体であります。ということでございます。

小川委員 きょうは時間の限りもありますので、改めて。

 いや、よほどのことですよ、ホテルの宿泊先で落ち合うというのは。恐らくですが、携帯電話でやりとりをするような間柄でないと、こういうことはできません。このロビー、当該ホテルのこのロビーであるということを特定する写真については、ぜひ、理事会、委員会に提出をさせていただきたいと思います。

 国会での答弁、言い逃れのような答弁を繰り返すのは、山谷先生、国家公安委員長としてふさわしくないと思いますよ。全国の警察官は、日々、真実の証言を引き出そうと必死で働いているんだ。そのトップですよ、大臣は。改めてその責任を自覚していただきたいと思います。

 もうこれ以上水かけ論をしても実りはありませんので。ホテルで、これは講演会の会場じゃないんだ、ホテルで落ち合ったんだ、そのことの事実を類推させる、推定させるこの写真の存在については、ぜひ、委員会、理事会でも御協議をいただきたいと思います。

 どういう内閣であるかということは、政策論議ももちろん大事でありますが、極めて大事なことであります。

 総理に、アベノミクスについてお聞きをいたしたいと思います。

 先ほど来、輸出についても、あるいは年金の運用についても、極めて短期間で、半年でどうだった、三カ月でどうだったということが言われている。これは、もちろん大事な数値、指標ではありますが、この短期の目線に、我々を含めてであります、あるいは国民も含めて、短期的な成果、果実に目線を集中させたということが、このアベノミクスの一つのトリックであり、マジックではないか、私自身そう感じております。

 少し経済数値をごらんいただきたいと思いますが、まず、上り調子のものでありますけれども、個人消費、これは消費総合指数であります。それから景況感をあらわす景気動向指数、そして有効求人倍率。

 少し中期的な観点で、これは〇八年、やはりリーマン・ショックの影響は極めて大きかったということが言えるんだろうと思います。その後、もちろん、今議論をしている短期変動を見ると、いろいろありますよ、その時々。しかし、基本的に、〇八年のリーマン・ショック以降、一貫して景気動向も個人消費も有効求人倍率も上昇基調にあるんです。これはほとんど民主党の政権期間でありますが、きょうはそんなことは言いません。そして、アベノミクスと言われている期間は、この表、この期間でいえば、最後の五分の一なんです。

 これは本当にアベノミクスの効果ですか、この有効求人倍率、景気動向指数、個人消費指数。頑張っているのは国民じゃありませんか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 お答えする前に、長々と時間をとって山谷大臣の撮った写真についていろいろと言われました、どこで撮ったか。

 当該人物は、何か、ネットで見ると、どうやら私とも撮ったようなんですね。そこには、安倍さんは私のことを覚えてくれていたというコメントがあるんですが、私は全く覚えていないですよ。

 それと、私は、いろいろなところに講演に行きますと、その講演に行った場所のホテルにいろいろな人たちが押しかけてきます。秘書に親しいと言われれば、親しくなくても、私は、その当該のホテルで会って写真を撮るということは幾らでもあるんですよ、政治家は。その程度のことだということは国民の皆さんによく理解をしていただいておきたい、このように思います。

 そして、答弁に入りたいと思います。

 政権交代前に、日本は十五年以上続いたデフレにあえいでいたのは事実であります。まさに国民が頑張ったんですよ。しかし、国民の能力を引き出すかどうか、頑張ったことが収入につながるかどうか、経済が成長するかどうか、これはまさに政府の責任ではないかと思いますよ。

 そして、その上で申し上げますと、十五年以上続いてきたデフレ、長い間続いてきたマインドを変えるのが一番難しいんですよ。しかし、私たちは、そのマインドを変えることができたと思います。

 その結果、四十兆円とも言われる莫大な国民の所得と、そして産業の競争力が失われていた、それを私たちは取り戻すことができつつある、これは間違いないわけであろう、このように思います。

 日本銀行は、二%の物価安定の目標を掲げて、大胆な金融政策を推進し、固定化したデフレ予想を払拭することに成功したのは事実であります。

 そして、第一の矢のスピードを補うために機動的な財政政策を行ったわけでありまして、これによって需要の下支えを行い、そして、第三の矢としては、六十年間地域独占を続けてきた電力小売市場の完全自由化など、できるはずがないと言われていた岩盤規制に切り込んでいるわけであります。

 そして、賃上げについては、まさに二・〇七、過去十五年間で最高の水準でありますし、経常利益は過去最高水準であります。そして、上場企業のROEについては、政権発足時の一・五倍になっているわけであります。

 つまり、そのように大きく成果が出ているわけでありまして、申しわけないのですが、民主党政権の後半においては、二〇一二年四―六月期はマイナス二・二%、七―九月期はマイナス二・七%であったわけでありますが、我々が政権をとった後、二〇一三年の一―三についてはプラス五・一、そして四―六はプラス三・四%であったわけであります。

 これは明らかに大きな変化であって、こういう変化も皆さんは十分に認識をしていただいた方がいいんだろう、このように思うわけでありまして、我々はしっかりと、この道しかないとの思いでこの政策を続けていきたい、こう考えているところでございます。

小川委員 もう一つ、一貫して下がっている指標をごらんいただきたいと思います。

 これは総理もよく成果を強調されるんですが、企業の倒産件数も、それから完全失業率も、これも〇八年、〇九年、リーマン・ショックのときに確かに大きなショックを受けているんですよ、日本経済、雇用市場は。しかし、一貫して下がっているんですよ。今まさに総理が切り張りでおっしゃいました短期的な成果で競い合ったり、あるいはマインドだ、マインドだというかけ声だけで、長続きしませんよ、これは、マインドだけでは。構造改革に切り込まないと。(安倍内閣総理大臣「マインドが大切なんだ」と呼ぶ)いや、マインドだけじゃ無理なんですよ。それは一年、二年はいける。構造改革に踏み込まないといけないんです。

 そのアベノミクスで、総理、今、アメリカの経済会議そのものが、アメリカの低成長も言われているんですね。そのこと自体も、人口動態の影響が大きいという分析があるんです。それは、アメリカというのは、まだ高齢化率は日本の半分です。そして、人口は年間三百万人近くふえています。そういう国ですら、長期的な人口動態によって極めて重大な影響を受けているという分析のもとに、さまざまな政策研究をしている。

 日本はその比じゃないですよ。高齢化率は二五%。人口減少は、今のところ年間恐らく数十万人ペースでしょう。これはやがて百万人に至ります。そういう中で、金融緩和と公共事業で、こんな問題、解決できるはずがないじゃないですか。アベノミクスはまさにかけ声だけだ。頑張っているのは国民、アベノミクスが引っ張ったんじゃない、国民の努力に乗っかっているだけなんじゃありませんか、アベノミクスは。

安倍内閣総理大臣 政権がやっていることは何でも反対したい、けちをつけたい、足を引っ張りたいというのが野党のさがなんだろう、このように思うわけでございますが、そこで、申し上げさせていただきますと、デフレというのは、いわば、物の値段が上がっていかない、この思い込み、このまずマインドがこびりついてしまった、これをどうやって変えるか。そこで、我々は、まさに新たな異次元の政策をしたわけでございます。

 これは十五年間、事実続いてきたわけでありますから。私が第一次安倍政権のときにも、企業は空前の利益を上げましたが、残念ながらデフレから脱却という状況をつくり出すことができなかったわけであります。

 そこで、今回は、やはり大胆な金融政策が大切だ、金融緩和が大切だということで金融緩和を行った。そして、それと同時に、機動的な財政政策も行い、そしてさらには、まさに今取り組んでいる成長戦略を進めているところであります。このデフレマインドを払拭したのは事実であります。もう多くの国民がそれは認めていただけるのではないかと思います。

 ですが、それを政策として行うことができるかどうかなんですよ。残念ながら、皆さんのときにはそれを行えたとは私たちは思っていない。それは議論すればいいことだと思いますよ。皆さんがこの場において、場外からではなくて、そこに立ってちゃんと議論されればいいんだろう、このように思うわけでございます。

 そこで、我々は、デフレマインドを払拭することができた。マインドチェンジというのが実は一番大変なんですよ。残念ながら、まだ経営者の中には、そのマインドが完全に払拭されたとは言えない状況があります。安倍政権のこの最初の大きな変化を支えたのは個人の消費であります、個人の消費。株価においてもこれは大きな資産効果になります。この資産効果において、まず消費が引っ張っていったのは事実であります。

 残念ながら、その中において、設備投資あるいは賃金にもお金が回らないという中において、我々は、政労使の会議を開いて、普通であれば労使で決まることでありますが、デフレ脱却というのは大変な仕事であるから、これはこういう異例の会議を開いて、私たちから企業の皆さんに、お願いします、景気の好循環をつくっていくためには、企業が収益を上げているんだから、内部留保に回さずに、これをしっかりと人材に投資をしてください、賃上げをしてくださいとお願いをした。

 賃上げにいって、賃上げになることによって、そして、それがさらには消費につながり、消費からまさに生産につながり、さらには設備投資に回っていく、これが景気の好循環でありまして、景気の好循環に入りつつあるのは事実であります。その中で、労働市場もさらにタイトになっておりますし、そして、何といっても、賃金が十五年ぶりの水準で上がったのは事実ではないでしょうか。そのことを十分に御理解いただきたい。

 そして、実質においても、ここが大切なところなんですが、四月から消費税を我々は引き上げを行いました。消費税を引き上げた上においては、これは、年金や医療や介護、社会保障制度をまさに次の世代に引き渡していくために、皆さんに御負担をお願いするということであります。

 これは、この政策をやる前から、これについては、残念ながら、これに給与の水準がすぐに追いついていくことはないということを申し上げておきました。同時に、我々は物価安定目標というものを置いております。そこに向かって今進んでいく中において、残念ながら、賃金が後から追いついていく、この期間を私たちはなるべく短くしたいということで政労使の会議を開いたところでございます。

小川委員 総理、本当にいいサイクルが出ているかどうかは、この七―九のGDPの数字が出てきたときにもまた明らかになるんだろうと思いますね。

 よく中長期でごらんいただきたいんですが、住宅も、設備投資も、GDPのデフレーターも、賃金も、消費者物価も、地価も、貸し出しも、資金繰りも、マネーストックも、リーマン・ショック以降、一貫して改善基調にあるんですよ。

 アベノミクスが始まって以降、たった三つ、たった一つと言いたかったんですが、たった三つ、異常値を示しているものがある。いい悪いじゃなくてですね。それは明らかに、株価と為替と、そして日銀がお金を刷っている量、マネタリーベースなんです。これだけは明らかにリーマン・ショック以降の長期的な流れとは外れた桁で数値が出ています。しかし、これは、マネタリーベースも株価も為替も、どこまでいってもマネーゲームの世界ですよ。株価なんて、外国人が七割ですからね、もうけても損しても外国人です。

 こういうことでは、繰り返しになりますが、総理、マインド、マインドとおっしゃいますが、深刻なんですよ、この国の抱えている高齢化と人口減少は。そして、アベノミクスだ、金融緩和だ、公共事業だといって、本当の問題から目をそらしていることが一番問題だと言っている。

 今、この瞬間にも、社会保障の持続可能性は喪失していますよ。財政赤字は発散、拡大に向かっていますよ。何もよくなっていないじゃないですか、構造的には。そして、これは国民の閉塞感、根本的な閉塞感の解消には何らつながっていない、このアベノミクスは。こここそ、まさに議論しなきゃいけないところなんです。

 最後に、地方創生。もうあと二分。

 アベノミクスは、マクロ政策ですよ。そして、地方創生、必死でやっておられる、それはわかります。しかし、この間、石破大臣と地方創生委員会でも議論させていただきましたが、安倍政権の地方創生というのは本当ですか、本気ですか。

 本来、この国会では安全保障法制、集団的自衛権の法制をやる予定だったんでしょう。しかし、七月の滋賀県知事選挙で結果がひっくり返って、ちょっとぶるったんじゃありませんか、総理。そして、突貫工事で地方創生。上からごらんくださいよ。一括交付金、廃止されました。地方創生法案、本部の設置のみですよ、実質的な中身は。農家の戸別所得補償、米価が下がる中で廃止に向けて進んでいます。地方に影響の大きい軽自動車税は引き上げた。国、地方協議の場はほんのわずか数回ですよ。概算要求も、改造前に提出した予算そのままじゃないですか、総理。

 これで、今国会、地方創生国会、統一地方選挙を前にした単なる看板、見かけ倒しじゃありませんか。この看板政策、安倍政権の体質、改めて、これは今国会、そして消費税の増税判断を含めて、しっかり議論をさせていただきたいと思いますよ。

 石破大臣、もう一分しかありませんけれども、どうぞ。

石破国務大臣 これは結果が全てです。そういうようないいかげんなことを考えておりません。統一地方選目当てなどという、そういうことを私どもは考えているわけではありません。

 今までやってきた施策でこういう状況ですから、施策を変える、総理の言葉をかりれば、異次元というものはきちんとごらんに入れます。

 以上です。

小川委員 石破大臣の、結果が全てという言葉の責任は極めて重い、そのことを指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて枝野君、細野君、小川君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松野頼久君。

松野(頼)委員 維新の党の松野頼久でございます。

 けさの新聞、テレビを見ると、どうも国会が政治と金ばかりの話をしているかのような報道もなされていますし、きょう、総理も、午前中の質疑の答弁で、国民が期待しているのは、しっかりと政策を議論し、前に進めることだというふうにおっしゃっています。

 実際、どれぐらい国会で政治と金の話をしているのかというのを、国民に誤解がないように、少し数字を拾ってみました。

 十月の二十八日時点で、常任委員会が四十三回開かれて九十二時間三十六分、特別委員会が二十四回開かれて二十時間四十分、計百十三時間十六分、これが十月の二十八日時点での国会での審議時間です。

 その中で、では、政治と金がどれぐらいやられているのかというと、七時間程度。全体の割合でいうと、九四%がきちっとした政策議論に費やされているということを冒頭申し上げて、質問に入りたいと思います。

 さて、総理、前回、予算委員会の集中審議で、私の質問に、消費税増税に関して、七―九の数字を見て判断するというふうにおっしゃいました。

 これは若干、この十月に入ってからいろいろな数字が上がってきています。

 例えば、十月の一日の日銀短観では、全規模、全産業で最近の業績判断が悪化。十月七日、内閣府が出している景気動向調査では、景気の現状を示す指数が二カ月ぶりに低下。そして、内閣府の基調判断では、「足踏みを示している」から「下方への局面変化を示している」。またさらに、十月の十日に発表されました内閣府の消費動向調査では、今後半年間における消費者の意識を示す指数、消費者態度指数は、八月、九月、二カ月連続マイナスである。またさらに、厚労省の毎月勤労統計調査、これは九月三十日に発表されたものですが、実質賃金は、去年の七月からことし八月まで十四カ月にわたって毎月下がり続けている。このように、数字がどんどん出てきているわけですね。

 そしてまた、内閣参与の本田さんが、七―九の数字を見たいとしながらも、二〇一五年十月に一〇%への引き上げは難しいのではないか、半年か一年程度延期することを検討するべきだというふうに共同通信のインタビューに答えていらっしゃいます。

 今、このような数字を見て、私も、ずっと地元を歩いたり町を歩いてみても、実態の景気がよくなったという声は余り聞かれないんですね。

 こういう状況の中で、総理は消費税の増税に関してどのような判断をされるか、現時点でのお考えを聞かせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 消費税につきましては、年金や医療や介護、社会保障の給付、社会保障制度を次の世代に引き渡していくという責任を果たすためのものであり、かつ、子育ての支援を含め、社会保障の拡充に充てるものでございます。もちろん、同時に、国の信認、財政の健全化、そうしたものを果たしていくために消費税を引き上げていくわけでございます。

 しかし、他方、消費税を引き上げることによって、国民の消費に対する意欲が削減されていく、なえていくということがあっては、これは景気全体に大きくマイナスになってくる。どうしても、消費税を上げれば、消費は一時的には鈍くなってくるわけでございますし、購買力も落ちていく、そこのところをどう読んでいくかということだろうと思います。

 一―三が、当然、これは駆け込み需要がありました。その反動減が四―六であったのでございますが、問題は、七―九でもとの経済軌道、成長軌道に戻ることができるかどうかということも大きなポイントであり、我々は、そうした数値が出てくる中において、経済指標をよく見て、経済が腰折れになってしまっては、当然、税収は落ちていくことになりますし、またデフレに逆戻りしてしまう危険性もありますから、そうした判断をしっかりとしていきたい、このように考えております。

松野(頼)委員 国民の皆さんは、本当に今、決して景気がいいわけでもない。ここのところ連日テレビで報道されているように、いろいろな消費者物価が今どんどん値上がりをしている。電気料金もそうです、ガソリンもそう、いろいろな生活物資もそう。こういう状況の中で、消費税の増税もきいてきていますので、今、大変苦しい状況だと思います。

 そして、もしこの増税をお決めになるならば、私は、やらなければいけないことがあると思う。それは、まず、国会みずからが身を切る改革、そして行政の徹底的な行政改革、税金の無駄を一円でも省いていく、この強い姿勢ではないかと思います。

 私は、私たち維新の党として、これは前回申し上げましたが、まず、議員定数三割削減に関する法律というのを去年の五月十六日に国会に提出をいたしました。また、議員が自分の政治団体並びに政党支部に寄附をしても税金の還付を禁止する、こういう法案も出させていただきました。また、議員歳費三割削減の法案も、ことしの四月二十四日に提出をいたしました。また、文書交通費の公開法というものもこの十月二十二日に提出をし、この法案が通らずとも、我々は、十月一日分から公表するということに踏み切りました。

 これだけの法案を我々は出しているんですが、何せ四十数名という数ですから、国会を通らない。

 ぜひ、これは与党の総裁、自民党の総裁としてお答えをいただきたいんですが、こういう身を切る改革、我々が出した法案に関して、しっかり、前向きに、そしてできれば国会を通過させていただきたい、このことをお願いするところですが、総理の御答弁をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 松野委員、そしてまた御党の身を切る改革に向けての御努力に対しては、敬意を表する次第でございます。

 同時に、自由民主党としても、議員定数の削減について、自民党案としてはあるわけでございますが、これはまさに院で決めていくことでございますので、伊吹議長のもとに、定数削減等々について議論する場を設けていただきました。そこでしっかりと議論が前に進んでいくことを期待したいと思います。

 また、今委員が挙げられました歳費の削減、文書費等々ということにつきましては、まさにこれは議員の身分と直接かかわりがあることでございます。

 私は、もちろん自由民主党の総裁ではありますが、行政府の長でもあるわけでありまして、行政府と国会というのは時には緊張関係にあるわけでございますので、その身分については発言することは差し控えさせていただきますが、会派間でしっかりと議論が進んでいくもの、このように思います。

松野(頼)委員 ぜひ、自民党の総裁として指示をしていただければ、これは国会を通過しますし、自民党案として出していただくことも結構でありますので、まず、消費税増税の前に、きちっと国会が身を切る改革をやろうじゃありませんか。ぜひ、そこの御協力をお願いしたいと思います。

 続いて、行政改革について伺いたいと思います。

 前回の質疑でも指摘をさせていただきました、今年度予算の中で、基金というのをたくさんつくっています。これはずっとここのところ、何年かにわたってやっていることですけれども、特に、補正予算で一兆二千億もことし基金を積んだんですけれども、基金は、何年度かにわたって使い勝手のいい役所の財布という見方があります。

 補正予算というのは、緊急を要するから補正予算を組むんだと思うんですけれども、全く補正予算の趣旨と基金の趣旨が真逆のことをやっている。

 そして、その基金が、平成二十四年度の残高で、今まだ四兆三百六十億六千六百万円という巨額な基金が残っています。二十五年度のレビューシート、これはまだ未発表分があると思いますけれども、内閣府と内閣官房、国土交通省がまだ未発表ですからこれは足し込んでありませんけれども、足し込んでいないだけで三兆三千五百八十一億、莫大な金額がまだ基金として積み上がっているんですね。

 それで、基金は、会計検査院が今まで随分指摘をしています。基金基準の適用対象となる三百十三基金、二兆五千二百五十四億円分の検査を発表されましたけれども、例えば、使用見込みがない基金、厚生労働省の中央職業能力開発協会、ここで七百五十二億、経済産業省の環境パートナーシップ会議、ここで三百四十二億等の巨額の不用が指摘されているわけです。

 まず、行革担当大臣、この基金の問題について、行革の立場からどのような方策をとるべきか。

 また、報道によると、補正予算を組むかもしれないみたいな報道が出ていますけれども、よもや補正予算で基金は積むまいと思いますけれども、その辺の感想はいかがでございましょうか。

有村国務大臣 委員の問題意識は共有いたします。

 本年九月末に各府省において公表された基金シートについては、現在精査を行っておりますけれども、使用見込みが問題となる、国庫補助金などにより造成された基金の残高は、我が方では、約三・一兆円と認識をしております。

 今後の精査の結果、大きく異動する可能性はありますけれども、基金シート上の本年度の使用見込み額を単純に合計すると、約一・四兆と認識をしております。

 基金については、本年六月に参議院の方からも、やはり使用見込みの低い基金については速やかに国庫返納すべしという決議をいただいております。

 行政改革推進会議に今後お諮りして、秋のレビューなどを通じて、使用見込みの低い資金が基金に滞留しているようなところがあるかどうか、そして、あればしっかりと返金をしていただくように行っていきたいと考えております。

松野(頼)委員 ぜひ、しっかりそこはチェックしていただきたいと思います。

 そして、その基金、こういう大きな話をばくっとしていてもわかりづらいので、一つ事例を挙げさせていただきます。

 資料をお配りしました。資料の十ページ、十一ページをぜひごらんください。

 これは、前に民主党の蓮舫議員が指摘をした、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金という基金です。二十五年当初で一千百億、二十五年補正で三百三十億、二十六年当初で三百億、合わせて千七百三十億をここの基金に積んだ。その基金の登録されている事務所が、この資料で見ていただきたい、私も行って写真を撮ってきましたけれども、レンタルオフィス、ポストしかないんですね。

 それを指摘された後に、事務所を借りましたと。では、その事務所はといって、行って見てきましたらば、ちょっと高級なレンタルオフィスですよ。ここに千七百三十億ものお金を管理させているという感覚が私にはちょっと理解できないんですね。

 なぜここに千七百億ものお金を管理させているのか、担当大臣の経産大臣にお答えをいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 御指摘の津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金につきましては、二十五年度から運用をしております。

 まず、なぜここを選んだかということでございますけれども、企画競争型の公募を実施いたしまして、外部の有識者に審査をしていただきました。そして、応募があった三法人の中で、地域デザインオフィスという申請者が最終的に選定をされたと承知しております。

 まず、小さなとおっしゃいますけれども、主宰者といいますか代表は、もう四十年にわたって企業立地事業に携わり、十分な実績を持つ事業責任者というようなことがありまして、恐らくそういう点も評価されて選定されたのだろうと思います。

 事務所がないとかレンタルオフィス、こういう御指摘でございますけれども、実際に、この公募に際しまして、申請をされた中に、事務所を新たに借ります、大きな事務所をこの基金運営のために借ります、こういうことが書いてありまして、たしか、月額賃貸料が十七万五千円ぐらいで、そういうもので事業が進んでいます、こういうお話でございました。

 実際、別に大きな、レンタルオフィスとはいいましても、個別のしっかりとしたオフィスを構えられています。

松野(頼)委員 その月額十七万の事務所を借りますと言った、借りた事務所が、資料十一についているレンタルオフィスですよ。

 それで、資料の八をごらんください。基金の応募要項というのがあります。平成二十五年の四月十日から平成二十五年の四月三十日までに公募、要は、どの団体を基金管理団体に選ぶかという公募のときの公募の要項です。

 その中に、「過去三年程度の事業報告及び決算報告」と書いてあるんですけれども、この団体の過去三年の事業計画、決算報告は出ているんでしょうか。

宮沢国務大臣 応募要項に過去三年程度と書いてございます。しかし、三年なければいけないということではございません。

 この法人は、前年の九月に設立されておりますが、そうした意味で、恐らく外部審査の方たちは、実際の中身を審査されて、過去三年程度ということには余りこだわられなかったんだろうと思います。

松野(頼)委員 資料の二を見てください。

 前の年の九月に設立されているにもかかわらず、事業計画書に、本法人は設立以来、復興支援に取り組んでまいりました、特に福島県のいわき市産業復興計画では、臨海部の産業集積のあり方やスマートシティー構想、企業導入の方策調査を重点的に行いと。去年の四月に応募している団体が、前の年の九月に設立した団体にもかかわらず、こんな事業を過去にやっているんですか、この団体が。あり得ないじゃないですか。

 大臣、もう一回答弁ください。

宮沢国務大臣 代表の方は、都市再生機構のOBの方で、まちづくりに関してはかなり評価を得ている方でございまして、前年の九月に設立しておりますけれども、その年、応募する前に、もう既にその手の事業は実際にやられているようでございます。

松野(頼)委員 「本法人は」と書いてあるんですよ。設立されていない法人がこんなにたくさんの事業をやっているわけがないじゃないですか。個人に基金の管理を頼んでいるわけじゃないんですよ。法人を採択する、法人ですよ。

 こんなあり得ないような、要は、ここに落とすために、もう最初から落とすことが決まっていたとしか思えないんです。

 それは、次のページをめくってください。応募のときに添付された定款に、「地域振興を推進するための基金管理事業」と書いてあるんです。応募のときに、コンペに参加するときに出した定款に、基金管理をやるんだといって定款に書いてある。

 もう応募の前の段階、平成二十五年四月一日から平成二十六年三月三十一日までの平成二十五年度の事業計画の中に、「基金管理事業」といって、「企業立地補助金制度等を活用し、地域産業の発展、雇用の創出等地域経済活性化につながる基金管理事業を実施します。」と、応募のときにもう既に、この基金の目的である基金管理業務が書き込まれた定款を添付して申し込んでいるんですよ。(発言する者あり)

 これを考えれば、まさにできレースですよ。この団体に落とすために、もうこの団体が決まっていたかのような、千七百三十億という大きな巨額の金額を落とすことを決めているかのような定款が添付されている。

 この件について、大臣、どうですか。

宮沢国務大臣 資料のとおり、そういうことが書かれた定款が添付されていることは事実でございますが、正確に申し上げますと、この法人は平成二十四年の九月三日に設立登記をしております。そして、先ほど申し上げましたように、法人として、それ以降、まちづくりに関する仕事はしております。そして、次の年の四月十日に基金設置法人の公募を開始いたしましたけれども、同日付で定款を変更しておりまして、提出したような定款になった。この部分は追加されたと聞いております。

松野(頼)委員 であれば、この基金を管理する適格な団体というのを、まだ受注していない、寸前の段階で定款を書きかえて応募しているわけじゃないですか。もうあたかもここに落とすことを決めたかのような、こういうやり方なんじゃないですか。

 どういう形でこれを選定したのか、もう一回お答えください。

宮沢国務大臣 逆に言いますと、ここは大変、ある意味では真面目な団体だったのではないかと思うんです。

 まさに、応募する資格に基金管理業務ができるという資格がございまして、それを応募する日に追加した、こういうことで、落とす落とさないとにかかわりなく、落とさなくても、その業務を追加して、できなかったということになる、こういう定款変更だと思います。

松野(頼)委員 大臣、千七百三十億ですよ。千七百三十億。これだけ巨額なお金を、申し込みのときにはポストしかないんですよ、ここは。オフィスはないんですよ、私も現地に行ってきましたけれども。ポスト一個ですよ。定款をぎりぎりで書きかえて、まさにこの基金の趣旨と全く同じような文言を定款に入れて応募している。それで、実際ここが受注をしている。できレースですよ、こんなの。

 いずれにしても、このテレビを見ている国民の皆さんは不信感を持っていると思いますよ。

 こればかりやっているわけにいかないので、次に行きたいと思いますが、独立行政法人、相変わらず天下り団体がたくさんひしめいています。

 資料の十八、空港環境整備協会といって、全国の国管理の空港の駐車場を独占して運営している会社があるんです。二十七の国管理空港のうち十七、私が平成十八年に国会で指摘をさせていただいたときは二十三。五つは手放しました。

 それで、国から二十九億三千二百万円で、駐車場の地代で借りて、六十二億九千四百万の駐車場収入がある。要は、黙っていても三十億以上、駐車場管理だけでもうかるんです。

 そして、その後の資料二十に役員名簿をつけてありますけれども、皆さん国土交通省のOBですよ、上みんな、幹部三名。天下りの団体なんですよ。そこが独占的に国管理の空港の駐車場を管理し、運営し、利益を三十億以上上げている。この仕組み、相変わらず残っているんですね。

 そして、大臣に伺いたいんですが、ここに職員の数が百七十七名いらっしゃるそうですけれども、国交省OBの方の数は何人いらっしゃるか、お答えいただけないでしょうか。

太田国務大臣 委員から御指摘ありましたように、平成十七年四月には、この協会は二十二空港で駐車場事業を運営していましたが、現在は十七に規模を縮小した。

 そして、役員の数も縮小しておりまして、国土交通省出身の役員の人数も縮小してきています。

 平成十七年四月一日現在、役員数十一名、うち国交省OB五名、二十六年四月一日現在で、役員数十二名、うち国交省は三名、このように減らしてきてはいます。(松野(頼)委員「職員の数」と呼ぶ)

 職員の数は、平成二十六年四月一日現在では百七十七名、御指摘のとおりでありますが……(松野(頼)委員「OB」と呼ぶ)OBが四十四名ということでございます。

松野(頼)委員 要は、役員の数の中での割合は減っているけれども、上から、幹部はみんな国交省OBなんですよ。職員の方も、百七十七名中四十数名が国交省OB。要は、OBを養うための利益が間違いなく出る団体なんです。

 そして、昭和三十三年に当時の大蔵省が出した通達があります。「国の庁舎等の使用又は収益を許可する場合の取扱いの基準について」、要は、国の財産で収益を上げる場合にこういう基準できちっとやりなさいということですけれども、相手方は「公募により選定するものとする。」ということです。

 この空港のパーキングを、例えば羽田の、一番ドル箱であるパーキングをこの空整協に運営委託するときに、公募はなさいましたか。

太田国務大臣 公募をという先生からの御指摘もあったと思います。

 公募という形で現在やっているところがかなり出てきています。

松野(頼)委員 新しいところではなくて、この空整協が管理している羽田の駐車場に関して、公募をされましたかと聞いているんです。

太田国務大臣 新しいところは公募なんですけれども、旧来のところについては、いまだ公募はできておりません。

松野(頼)委員 要は、この通知に違反をして、公募をしないで、そこが独占的に経営をしているんですよ、今でも。ある意味、通知違反の状態で今も経営しているということですよ。

 こういう団体を私はきっちり整理をしなければいけないのではないかと思います。

 そして、もう一つ。経産省に伺いたい。

 これは、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、いわゆるJOGMECが所有している海洋資源調査船の白嶺という船です。資料でいうと二十四ページに写真がついています。

 この白嶺という船で海底資源の調査をしているんですけれども、この調査支援等に関する業務委託、毎年の業務委託費は大体幾らぐらいですか。

宮沢国務大臣 三十八億から四十億ぐらいでございます。

松野(頼)委員 そして、業務委託をしている会社はどこでしょうか。

宮沢国務大臣 海洋技術開発株式会社でございます。

松野(頼)委員 そこの現社長及び前社長、その前の社長、三代続けて、出身を教えてください。

宮沢国務大臣 経済産業省のOBであります。

松野(頼)委員 こういうことなんですよ。経済産業省の下にあるJOGMECが所有している船、その船の業務委託、毎年三十億から四十億の業務委託費は、経産省OBが歴代社長を務めている会社が受注しているんですよ。相変わらず、こんなことがたくさん起こっている。こういう天下りの問題。

 これは、来年からもここに受注させますか。

宮沢国務大臣 OBが行っているということは事実でございますけれども、実際、この会社の株主は民間企業と個人株主が若干あるという会社でございまして、その人たちが決められたということでありますし、私どもがあっせんをしているかといいますと、あっせんというのはもう禁止されておりますから、一切あっせんはしておりません。ですから、民間の判断ということであります。

 ただし、おっしゃるように、ずっと海洋技術開発株式会社が受注してきているというところを見ますと、若干、公募の条件がきつ過ぎるといいますか、結局、その条件の中に、「国等の公的機関による海洋調査事業への直近五年間の実施実績」という条件が実はございます。

 今後、やはり民間も、かなりほかの会社もいろいろ出てきているようでございますので、この「国等の公的機関」というのを外して、その他の会社も応募しやすいようにしたらどうなんだということを内々JOGMECと話しているところでございます。

松野(頼)委員 少しでも安いところを採用していただいて、税金が少しでも無駄にならないように、これが本来、行政がやるべき仕事ではないかと思います。

 独立行政法人においても、我が党の大熊議員が、独法の公開資料を全部集めて計算をしました。毎年、約一兆五千億円の運営費交付金が国から支出をされ、年金を管理運営するGPIFを除いても、四兆円以上が現金預金や有価証券、金銭信託等の財産として九十八の独法の中に今たまっているんですね。この埋蔵金をちゃんと出してもらって、少しでも増税しなくてもいいように行政改革を徹底的にやる。これは、きれいにやれば、消費税増税をしなくてもいいぐらいの無駄遣いは掘り出すことができるんじゃないかと思いますよ。

 ぜひこの努力をして、まず、国会としては身を切る改革、みずからの身を切る、そして行政に関しては、徹底的な行政改革を行って、税金の無駄遣いを絶対に許さない、増税の幅を少しでも抑える、こういう努力が必要だと思います。

 我々維新の党としては、今のこの現状の中で、来年十月に消費税増税をすることには現段階では反対です。今国会中に同志の政党を募って、消費税凍結法案というものを今国会に提出したいと思いますので、ぜひ御賛同のほどをよろしくお願い申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。

 きのう、実は経済産業委員会で小渕元大臣にいろいろお伺いしたいということで、来ていただけなかったので、きょうもこの話をしようと思っていたんですけれども、どうやら司法の捜査が入ったという話を伺いましたので、こちらはやめておきたいと思います。

 なぜ私はこれを聞きたいかということを一言だけ申し上げておくと、十月十七日の日に経済産業委員会でいろいろ、どういうお金に使われたかということをお伺いしました。先ほど総理もおっしゃっておられましたけれども、御存じないこともたくさんあったと思われるので、調べますということでありましたので、お待ちしていたんです。

 そのときに、調べますけれども、これだけは言っておきます、有権者にこういう金品のようなものは、価値のあるものは配っておりませんと断言されたんです。まあ、そこまで断言されるのならそういうことはないんだろうと思ったすぐ後に、ワインが有権者に配られていたという報道が出ましたので、あれ、ちょっと伺った話と違うなということで伺いたかったんですけれども、あとはもう司法の方にお任せするということで、きょうはやめておきたいと思います。

 きょうは江渡大臣に来ていただいていますので、少し御質問したいと思います。

 これまでの経緯を少し整理したいと思うんですけれども、江渡大臣は、九月三日に防衛大臣に御就任をなさいました。そしてその後、九月の十日、九月十九日に収支報告書を訂正しておられます。

 今までの御答弁の中で、就任の打診が来た時点あたりから調べていたというふうにおっしゃっておられますけれども、私は、一番大事なのは訂正した日だと思っているんですね。ですから、やはり、大臣になってから訂正をされておられるということで、十月の六日の日に予算委員会で質問させていただきました。

 その際に、いろいろなお金の話が出ていますけれども、私は、形式的なミスであれば特に問題はない、実質的なミスなのか形式的なミスなのかを確認していって、では問題ないですね、問題ないですねということをやっていくべきだと思っているんですね。

 それで、江渡大臣とのやりとりの中で、人件費だったということをおっしゃっておられましたので、では、その人件費の領収書を出していただけますかということをお願いしたんですけれども、いまだに出てきていないんですね。

 それで、翌日の参議院の予算委員会で江渡大臣はこういうふうにおっしゃっています。

 職員らに渡す人件費、これ、事務所の者から受け取った際に私が仮の領収書にサインしたけれども、その後、人件費を受け取る職員が領収書を出せば、普通は差しかえになってきちんと処理されると思っていたというふうにおっしゃっておられるわけです。

 その上で、最初の、仮の領収書はお出しいただきました。これを差しかえると思っていたと言っていた、後の領収書も当然出していただくべきだと思うんですね。

 そのことを実は一番最初に私がここで始めたんですけれども、安全保障委員会で民主党そして我が党からも要求をしておりますが、正直言ってゼロ回答なんです。理由は、人件費に係る分に関しては明らかにすることまで法律上求められていない、個人的なことだとおっしゃっていますけれども、私は、これは形式的な間違いであるということを証明するためにも、それを出していただいて、もうこれは問題ありませんねということを、最後、はっきりしたいんですね。

 今、マスコミの人たちが、これは違うところにつくったんじゃないかといろいろ嗅ぎ回っているというのも、多分大臣も御承知だと思いますけれども、こういうあらぬことを手繰られないように、はっきりと証拠を出して、もうこれは終わりということで次に参りたいと思うので、ぜひ領収書を出していただきたいと思います。

江渡国務大臣 まず、今井委員にお答えさせていただく前に、このパネルに間違いがありますので、そこをまず御指摘させていただきたいと思っております。

 私自身が政治資金収支報告書の訂正に至った経緯、これは委員会の方でもお話しさせていただいたわけでありますけれども、八月の下旬に大臣就任等々の報道等もあったものですから、事務所の方で念のためにこの収支報告書を確認させていただいたところ、記載に誤りがあったと。ですからこそ、そのために訂正をさせていただいたということは、これはお答えさせていただいたと思っております。

 そして、収支報告書の確認は日付をさかのぼって行っておりましたので、まず最初に、平成二十四年の収支報告書に誤りがあったものですから、大臣就任前の九月の二日に訂正をさせていただいたわけであります。ですから、私が大臣になってから訂正したというのは、これは違います。まず九月の二日に訂正があったということ、これを御理解いただきたいと思っております。

 その後、ほかの方もどうかということで見ていきましたところ、保存期間は三年なんですけれども、たまたま二十一年の収支報告書のコピーがありました。ですからこそ、その後、平成二十一年の収支報告書及び選挙運動費用の収支報告書の誤りにも気づきまして、そこで九月の十日に訂正させていただいたというところでございます。

 したがって、訂正の日付というものは、このパネルでいう十日、十九日ではなくて、九月の二日と十日であるということを御理解いただきたいと思っております。

 ですから、どうぞパネルをお使いになるときには、できれば正確を期していただければありがたい、そのことをまずお願いしたいと思っております。

 そこで、お答えをさせていただきたいと思います。

 平成二十一年に、事務所でアルバイトとして働いてくれた親族、また、平成二十四年に、通常業務を加え、特に負担をかけた秘書T氏に対しての報酬を支払う際に、私から本人に直接渡すつもりで、事務所の者から一旦お金を受け取らせていただきました。そのときに、仮の領収書ということで私が書かせていただいて、そしてそれを出させていただいたわけです。その後、私からこの親族と秘書にお金を渡してありますけれども、この段階で、あるいはその後でも結構ですけれども、親族と秘書から領収書をきちんととっていただければ、差しかえだという形で、仮の領収書は破棄されるというふうに私自身は思っておりました。

 委員御指摘のこの領収書、本来親族と秘書から徴すべき領収書であるということは私自身も理解しております。その有無につきましては、事務所においても鋭意確認中でありますけれども、今、見つかっておらないということは事実でございます。

 いずれにいたしましても、本件の人件費につきましては、改めて本人たちに受領を確認しておりまして、確実に支払っていることを御理解していただきたいと思っております。

 また、政治資金規正法上は、自身の資金管理団体から選挙期間外で寄附を受けることは禁止されているということは、これは私といたしましても十分に認識しているところでございまして、もし、同法で禁じられている寄附行為を意図的に隠蔽しようとするならば、最初からわざわざ収支報告書に寄附と記載するはずがないと私は思っております。

 このことからも、本件は、寄附ではなくて、人件費ということで取り間違えた、単なる事務的なミスであろうというふうに思っておりまして、私自身意図がないということを御理解いただければありがたいというふうに思っているところでございます。

今井委員 ありがとうございました。

 引き続き、領収書に関してはお願いをしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、きょうは大塚政務官に来ていただいていますが、ちょっと確認したいんですけれども、一部報道で、大塚政務官がパチンコ店経営者から外国人献金百十五万円を受け取っていたという報道がありましたが、これは事実かどうかだけお答えください。

大塚(高)大臣政務官 お答え申し上げます。

 今月二十七日、ある週刊誌から、私が代表を務める自由民主党大阪府第八選挙区支部に寄附をいただいた方の中に外国籍の方がいらっしゃるという指摘がございました。献金をいただいた方は、後援会から紹介を受けた方でございまして、これまでに数回程度しか会ったことがなく、日本名であるということでございます。このことから、これまでその方が外国籍であるということは全く予見できませんでした。今回の取材で指摘を受け、当方で御本人に確認をさせていただいたところ、実は外国人であったということがわかったものであります。

 この方から、平成十九年から平成二十一年までの三年間に、私が代表を務める自由民主党大阪府第八選挙区支部に対し、計百十五万の寄附をいただいております。

 今回、その方が外国人で外国籍であったことが判明したことを受け、これまで受け取った百十五万につきましては直ちに全額を返還した次第でございます。

今井委員 ありがとうございました。

 先ほど経産大臣の件で、前の件とは違うとおっしゃっていましたけれども、このケースは前原大臣が辞任されたケースと同じだと思うんですね。ですから、外国人の、個人の方からいただいていた。

 当時、自民党の皆さんは、大臣を辞任すべきということを要求されておられましたので、総理、基本的には同じ考えということでよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは、よく整理していく必要があるんだろうと思います。

 つまり、まず、外国人であるということを認識していたかどうかということですね。外形的に外国人であるかどうかわかるかとか、また、それが違法であるかどうか知っているということ。またあるいは、外国人と認識をしていて献金を受けたか。外国人として認識をしていて献金を受けたということになれば、これはもう明確に違反するわけでございます。

 そこで、今、政務官も答弁をされました。そして、宮沢大臣も答弁をしておられましたが、田中議員との違いについては、田中議員については、これは、当該人物とおつき合いがあった。そして、法人の代表者名が外国籍名であることから明らかであった。そして、田中大臣自体が、外国人であるということをその後認識した、認識したけれども、その後訂正はしていなかったということであります。

 前原大臣の場合は、外国人であるということは承知をしていたけれども、寄附がなされたということは、少額であるということから認識していなかったということであります。

 そこで、宮沢大臣でございますが、宮沢大臣は、そもそも、その当該人物をほとんど知らないということでございまして、それは、第三者の方が紹介して入会させたということなんだろう。そして、事実、二年で退会をされているわけでございますが、日本法人であり、そして、法人名からは外国人が過半数の株式を保有することはわからない。また、経営者は日本名を使っていたこともあって、そこからは類推することができないということでございまして、問題の本質は随分違うんだろう、このように思います。

 ですから、では、そうしたことを防ぐためにどうすればいいかということでございますが、例えば私の場合は、類推できない方から寄附がある場合もあります、その場合は、入会のしおりを渡しまして、そこに、日本国籍を有する者ということを一応念のために書いているわけであります。その方一人一人に、ある意味、そういうことを問いただすのは失礼にもなり、実際問題としては難しいわけでありますから、それをお渡ししています。

 しかし、もちろん、渡しているにもかかわらず、偽って寄附をされたら、それはわからないわけでございますが、そういうことをしているということでございます。

今井委員 総理がそうやって気をつけてやっていらっしゃるというのは、よくわかりました。

 指摘だけしておきますけれども、私は、宮沢大臣が発言されたことで、これはどうなんだろうと思ったのは、献金の件なんですけれども、業種も知らなかった、面識もなかったというふうにおっしゃっているんです。

 それは、お金をいただいている、私はほとんど献金がありませんけれども、献金していただいたら必ずお電話していますし、誰も知らなかったというのは、やはりちょっと甘いと思うんですね。だから、総理大臣はそこまできちっとやっていらっしゃるのでいいんですけれども、ちょっとそれは、済みません、感想です。

 では、次に、山谷大臣に来ていただいているので、ヘイトスピーチについて少しお伺いしたいと思います。在特会ですね。

 在特会の件は、お知り合いだったかどうだとか、そういうことはいいんですけれども、私は実は、一つ問題だと思っていますのは、大臣は、ヘイトスピーチは許されるべきじゃないというふうにおっしゃっています。私もそう思います。在特会がヘイトスピーチをする集団であるということは決してお認めになっていないわけで、外国人の記者クラブでも、そのことはかたくなに、聞かれてもお答えになっておりません。

 しかし、これはよくよく考えると、ことしの七月の二十四日に、国連人権規約委員会で、日本に対して、ヘイトスピーチなど人種や国籍差別を助長する街宣活動を禁じ、犯罪者を処罰するようにという勧告が出ています。そして、八月の二十九日、今度は、これも国連の下部組織ですけれども、国連人種差別撤廃委員会というところで、ヘイトスピーチと呼ばれる人種差別的な街宣活動に懸念を表明して、差別をあおる行為に関与した個人や団体を捜査し、必要な場合は起訴するようにという勧告が出ております。このときの、これは朝日新聞の報道にもあります。

 私は関係者にも確認してきましたけれども、この勧告が出るもとになったのは、在特会の人たちがやっているデモのビデオを皆さんが見て、これはけしからぬということでこの勧告が出ているんですね。

 ですから、この勧告が出る原因になったのは、実は在特会なんです。その団体を、ヘイトスピーチをやっている団体だというふうにおっしゃらないというのはどういうものなのかなと私は思っているんですね。

 ですから、ここまではっきりしているんですから、在特会というところはヘイトスピーチをするところで、そういう団体であるということをやはりしっかりお答えいただいた方がいいと思うんですが、いかがですか。

山谷国務大臣 在日特権を許さない市民の会、略称在特会については、いわゆる右派系市民グループの一つであり、その一部の過激な言動がいわゆるヘイトスピーチであるというふうに思います。

 また、国連人種差別撤廃委員会で国連の勧告を受けたことを踏まえまして、厳正な対処に配意してまいりたいと思います。違法行為があれば、法と証拠に基づいて厳正に対処してまいります。

今井委員 例えば慰安婦の問題ですけれども、慰安婦の場合は、私は、韓国はけしからぬと思っていますし、同盟国アメリカもけしからぬと思っているんですね。ああいうものを、慰安婦の像をアメリカ国内につくらせるなんということは、本当に同盟国にあってはならないと思いますし、それはもう抗議していただきたいんですが、それをするに当たっては、やはり、日本人が非常に民主的で差別をしない国民であるということを同時にみんなにわかっていただかなきゃいけないと思うんですね。

 だから、そういう意味においては、こういう勧告を出されたというのは本当に憂慮する問題でありまして、今、民主党さんともいろいろ協議をしながら、もちろん言論の自由を余り阻害しちゃいけませんけれども、やはりこういう差別的な発言というものはしっかり規制をしていかなきゃいけないということで、今、法案をつくろうということで検討しておりますので、与党の皆さんにもぜひまた御協力をいただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。

 それでは、次に、少し経済の話をしたいと思います。

 安倍総理、先ほどから、アベノミクスは成功している、成功しているということを声高に言っておられますけれども……(安倍内閣総理大臣「謙虚に」と呼ぶ)謙虚にですか。もちろんいい数字も出ておりますし、懸念するような数字も出ておりますけれども、想定したとおりにアベノミクスがいっているとすれば、私はちょっとそれは疑問符があるんです。

 いっているんだとすれば、そのまま消費税というのは当然引き上げる環境が整うでしょうし、それを引き延ばさなきゃいけないということであれば、やはりどこかに問題があったということになってくるんじゃないかなと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 そもそも、いわゆるアベノミクスと言われているこの三本の矢の政策は、デフレから脱却をして経済を成長軌道に乗せていくという政策であります。長い間続いてきたデフレから脱却するのはそう簡単なことではないわけでありますから、今までとは異次元の政策をとったところでございます。

 その中において、では、なぜアベノミクスが成功しているというか、今のところ進んでいるかといえば、それはまさに、資産効果をしっかりと発揮していくということについては、それはできているわけでございます。それと同時に、日本銀行が設定した物価安定目標に向けて進んでいるのも事実でございます。

 一方、では全てが、これは経済ですから、生き物ですので、例えば反動減がありました。この反動減というのは、一応想定の中ではありますが、想定の中では最も悪い数字に近いと言ってもいいかもしれません。同時にまた、輸出が思うようには伸びていなかったのも事実でございます。そういうところは勘案しなければならないと思っております。

 しかし、消費税については、いわば強制的にこれは物価を上げていくことになるわけでございまして、強制的に上がっていく物価には我々の政策というのはすぐには追いついていかないということは、この委員会でもう去年の段階から申し上げているとおりでございます。

 しかし、物価安定目標に向かって物価が上がっていくスピードに対しては、何とかこれは、もともと二年ぐらいで追いついていくというのが浜田先生たちの、理論家の考え方でありますが、そこまでは待てないわけでありますから、我々は、なるべく早くこの時差をなくしていくために、しっかりと政策を打っていき、そしてまた政労使の会議もスタートさせ、賃上げには成功したところでございますが、しかし、同時に、この消費税の引き上げによっていわば消費あるいは購買力が減殺されるわけでありますから、この計算はしっかりとしていかなければいけない。

 いずれにいたしましても、今進めている我々の政策、いわゆるアベノミクスと言われている政策を成功させて、完全にデフレから脱却をしていく上において、果たして今消費税を上げるべきかどうかという判断は別途行わなければならない、このように考えているところでございます。

今井委員 まだ決めていないということでありますけれども、その際に、私はぜひちょっと確認しておきたいことがあります。

 安倍総理は、サミットやいろいろな場で、財政規律を守るという国際公約をしておられます。一番手前でいいますと、ここに、ことしの六月二十四日に出た経済財政運営と改革の基本方針二〇一四を抜粋してきました。よく出ているものです。国と地方を合わせた基礎的財政収支について、二〇一五年までに二〇一〇年度に比べ赤字のGDP比を半減、二〇二〇年度までに黒字ということでありますが、まさに来年度なんですね、二〇一五年度に赤字を半減する。二〇一〇年度が六・六%ですから、三・三以内にする。

 今は、政府の試算では、消費税を引き上げた上で、現状の自然体でいけば三・二ぐらいになるんですか、大体目標は達成できるというふうな試算が出ていると思いますけれども、消費税を仮に引き上げないとすると、財源の欠陥ができるわけで、そうすると、その部分だけは剥げてしまうわけです。

 どちらにしても、上げるにしても上げないにしても、国際公約をされているわけですから、これだけはやはり守らないと、それこそ、みんなが言っている、国債市場が大崩れするとか、インターナショナルなマーケットからみんな信頼を失いますということをマーケットの人間は皆さんおっしゃっていますけれども、私は、これさえ守っていれば担保できると思っているんですが、これを守らないということになると、全てのものが崩れてしまいます。

 ですから、この二〇一五年のGDP比の半減というのは今までどおりしっかり守っていくということをここでお約束いただきたいんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 そのPB目標でございますが、これはいわゆる国際公約とは違うわけでありまして、経済ですから、何が何でも絶対にという約束というのは果たせないわけでございますが、日本はそのために最大限の努力をしていくというコミットメントはもちろんしているわけでございますから、国際的なコミットメントをしっかりと実現させていくために、我々は最大の努力を払わなければならないと思います。

 現段階において仮定の御質問にお答えするのは差し控えた方がいいと思いますが、いずれにせよ、基礎的財政収支赤字の半減目標達成に向けてしっかりと努力していく必要があるということに尽きるんだろう、このように思っております。

今井委員 明確にお答えいただいていないんですが、本当にこれだけは守っていただかないと、私もマーケット出身ですので、これが一つの担保なんですよ。ここをもう本当に緩めてしまうと、何でもありだなというふうに思われかねませんので、ぜひこれはやっていただきたいということです。

 その上で、先ほど補正予算の話が出ておりましたけれども、税収の上振れ分で補正を組めば問題ありません。しかし、赤字国債を発行して補正を組むということになると、今までの例を言うと、ちょっときょう数字を持ってきませんので正確には、補正が執行し切れないで結局来年度に繰り越しになる分が半分ぐらい出てくるんですね。これは執行ベースですから、補正予算で出た赤字の分は二〇一五年度のプライマリーバランスに反映してしまいますので、そういう意味においては、そういう赤字国債を発行するような補正は組めない、そういう御認識でよろしいですか。

麻生国務大臣 基本的に、補正を組むとか組まないとかいうような話を今の段階でちょっとまだ申し上げる段階にはないと思っております。

 我々としては、PB、プライマリーバランスを二〇一五年までに対二〇一〇年度比で半減するというのをコミットしておりますので、そういった意味では、それを実行する上で、我々としてはきちんとやっていかないかぬという立場にありますので、そのときに今のあれをうかつにやりますと、PBバランスが、逆に予想より赤がふえるということになりますので、うかつなことをやるわけにはいきませんので、重々、景気を判断しながら、上振れ分もいろいろな分も計算して今からよく詰めてみなきゃ、今の段階で確たることを申し上げるわけにはいきません。

 ただ、安易に赤字公債を発行するということはコミットメントに反するということは、はっきりしております。

今井委員 今大臣の方から、安易に赤字国債発行をするとコミットメントに反するという明確な御答弁をいただきましたので安心でありますけれども、来年度の冒頭に出てくるかもしれない補正予算では、くれぐれもこの約束をほごにしてしまうような予算編成だけはしないでいただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 次に、きょうは石破大臣にもいらしていただいておりますので、地方創生について少しお伺いをしたいと思います。

 まず、この法案なんですけれども、よく中身がないと言われますが、今回は本部をつくります、それから、計画をこれからつくりますということですね。御答弁の中で、これから地方からいろいろ出してもらうんだというふうにおっしゃっておりますけれども、もちろん、地方からいろいろな案を出してもらうのは大事なんですよ。しかし、我々は、その中身を議論する前にこの法案を採決しなきゃいけない、恐らくそういう状況ですね。

 しかし、やはり特別委員会までつくったんですから、当然、この中身をどういうものにしていくんだということを、政府の方からもこういうふうに考えというのを出していただかないと、皆さんからもいろいろ出していただきたい、それを参考にというふうに御答弁されていますけれども、やはり閣法ですから、政府はこう考えているというのをまずいただいて、我々はこう考えているということを議論した上で、この法案、賛成しますか、反対しますかという、これが普通の手順だと思うんですけれども、これはもう中身をちゃんと議論する前に法案を通してしまうということなんでしょうか。

石破国務大臣 これは理念法的な法律でございます。ですから、理念を定める、そして創生本部を中心とする仕組みをつくる、国、公共団体の責務を定めるという理念法的なものでございます。プログラムも入っております。

 今までと違いますのは、国にそういう本部をつくるということ。この法案の内容にございますように、それぞれの自治体に総合戦略を立てていただくということにいたしております。

 今までは、国がいろいろな補助金を持っていた、それがその地域にぴったり合うかどうかはわからないが、どれが補助率が高いでしょうね、どれが交付税で見てもらえますかねということで、その地域にぴったり合ったというものではなく、各省ばらばらの補助金をとるという形でした。

 地方には地方において総合戦略を立てていただく。国はその間に補助金の統合も行う、事業の統合も行う。それを並行して進めるためには、この法律の仕組みが必要であったと思っております。

 これは、この法案を出したからといってぱっと地方創生ができるなら誰も苦労しない話であって、国にはそういう仕組みをつくる、地方には総合戦略を立てていただき、同時に検証のシステムも入れていただかなければなりません。それぞれの補助事業をばらばらにやってみたけれども、その地域がよくなったかどうかは誰も検証できないというようなことではだめで、国と地方がそのような連関を持ちながら進めていくための法律であると理解し、御審議をお願いしておるところでございます。

今井委員 理念法であれば、あえて特別委員会をつくる必要は僕はなかったと思いますが、それはちょっとおいておきます。

 我々は、議論の中で、この理念法の中に地方分権という観点がどこにも載っていない、これは、やはり権限と財源を全部いろいろなところに渡すということが、地方に渡すということが一番の地方創生だと。知事会の方だってそういう要望が今出ておりますよね。

 そこで、一つお聞きしたいんですけれども、今、国の出先機関、これは十八万三千八百五十六人がおります。給料をちょっとお伺いしたら、財務省さんからいただけなかったので、国家公務員の平均の給与を掛けてみましたら、人件費で約一兆二千億、大変な金額の人件費がここに使われているわけです。

 例えば、地方環境事務所というのがありますが、これは、国が整備しているところと自治体が整備しているところが二重になっています。もっとひどいのは、県によっては、この環境事務所の事業を都道府県に委託しているんですね。委託するぐらいだったら一緒にしちゃえばいいんですよ。そうすれば、出先機関の人数も減らせますから、行革もできます。そして、地方はこういうものを一遍にできるようになりますから、地方もやりやすくなる。一石二鳥だと思うんですね。

 こういうものをやっていくことが私は地方再生につながると思うんですけれども、どうも、これは報道ベースですけれども、自民党の方の道州制の中で、道州制を一回白紙にして、広域連合にして、出先機関をまた中核に置こうという案も出てきているというふうに伺いました。もう先祖返りというか、それじゃ中央集権に戻っちゃうわけです。

 こういう出先機関とかをやりながら分権をどんどん進めていくということに対して、大臣はどうお考えですか。

石破国務大臣 地域に近ければ近いほどその実情に合った政策ができますので、地方分権というのは基本的に進めていくべきものだということにつきましては、委員と私どもと立場が異なるものではございません。

 ただ、地方にありますそういういろいろな国の出先機関を統合するという形、それが、二〇一二年でしたかしら、民主党政権下におきまして、平成二十四年の十一月に法律が閣議決定された。それは結局、国会には出てきませんでしたが、これをどのように考えるべきなのかということだと思います。

 私どもは、地方分権には賛成です。そして、できるだけ権限は地方に移譲していこうと思っております。ただ、そのときに、災害対応等々にそれで本当に十分なのかという議論があったように記憶をいたしておりまして、町村会と市長会は反対で、知事会は賛成みたいなことでございました。

 これから、地方分権をどういう形で行うか、道州制をどうするかということにつきましては、各党でいろいろな御議論があるだろうと思っております。私も道州制を担当しております大臣でございますので、何が一番地方にとってよいのかという観点から議論を拝聴したいと存じます。

今井委員 我々はとにかく地方分権をすることが一番の、大臣はよく異次元とおっしゃいますけれども、総理も異次元という言葉が好きですが、どんな異次元が出てくるか、これから楽しみでありますけれども、やはりこうやって統治機構を変えるのが一番の異次元だと私は思っておりますので、ぜひこういうことも考えていただきたいと思います。

 最後になりますが、前回の基本的質疑で、私は、アベノミクスは三つの格差を生むということで、最後に、最近の円安の話を少しさせていただきたいと思うんです。

 私も実は、大胆な金融緩和をするべきだとずっと申し上げてきて、円安になって、いろいろな循環も起きて、株価も上がって、よかったと思います。しかし、全て、やはり行き過ぎはまずいというか、逆効果、副作用が出るということで、今また百八円台ぐらいに円相場がなっていますけれども、これ以上円安が進むとますます格差が進むというふうに考えています。

 これはみずほ銀行が出している調査ですけれども、十円円安になるとどうなるかという資料ですが、上場企業は約二兆円利益が上がります。一方で、非上場企業、いわゆる小さい会社の方は、約一兆三千億赤字になる、減収になる。まさに、円安が進むと、大企業はもうかるけれども、中小企業や零細企業にとっては非常に厳しい、こういう試算が出ております。ほかのところでも円安の影響というのはいろいろ出ているわけですね。

 ですから、もうこれ以上、まあ、日銀の総裁は実はもっと円安になった方がいいというふうにおっしゃっておられますけれども、私自身は、もうこれ以上の円安というのは、本当にそろそろ限界に来ている、つまり、これ以上金融緩和とかそういうのに頼って円安を助長すると、日本経済、特に地方が大変な苦しみを味わうというふうに考えておりますけれども、最後に、安倍総理のこの点についての御認識を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 為替の水準についてコメントするのは差し控えさせていただきたいと思います。

 一般論としては、円安方向への動きは、輸出企業や海外展開をしている事業者等にとってはプラスだろうと思います。

 また、例えば、去年、海外からの観光客が一千万人を突破し、ことしも一千二百万人。二百万人ずつふえていく、こういう方向になっています。これは、クール・ジャパンの努力も進めておりますが、円安の効果というのも当然あるんだろうと思います。

 こうした海外からの観光客は、もちろんこれは、一部のトップ企業ではなくて、多くのこうした人々が買い物をしたり、あるいはさまざまな場所で宿泊をするということでありますから、日本人の多くに均てんしていく可能性はあるんだろうと思います。

 他方で、円安方向への動きに伴う輸入価格の高騰は、エネルギー価格の上昇等を通じ、中小・小規模事業者や地方経済、消費者の生活にも影響を及ぼし得るため、その影響をよく注視していく必要はあると思います。

 さらに、今般の原材料の上昇を転嫁できないという中小・小規模事業者の方々の切実な声に対応するために、原材料やエネルギーコストの増加分の転嫁対策パッケージを講じているところでございます。

 例えば、約二十万者の親事業者と七百四十五の業界団体に対し適正な価格転嫁を求めていく。約二百社の代表的な大企業を選定し、年内に集中的に下請代金法の立入検査を実施していきます。約六百名の消費税転嫁Gメンが立入検査を行う際、コスト増加分の価格転嫁状況を厳正に確認をしていきます。また、全国四十八カ所に設置をした下請かけこみ寺に、新たに原材料やエネルギーコスト増に関する相談員を配置するといった措置を講じているところでございまして、我々としては、やるべきことをしっかりとやっていきたいと考えております。

今井委員 時間が過ぎましたのでもう終わりますけれども、最近、いろいろな商工団体の調査で円安倒産というのが急増しておりますので、ぜひこの対応をしっかりやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 経済産業大臣、きょうちょっと、お呼びしておりましたけれども、時間が来ましたので、質問できずに申しわけございませんでした。

 終わらせていただきます。ありがとうございました。

大島委員長 この際、木下智彦君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。木下智彦君。

木下委員 維新の党、木下智彦でございます。

 本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょう、朝からいろいろなお話がありまして、このところ、大臣の、総理の任命責任についていろいろとお話がありました。私の方からきょうお話しさせていただきたいのは、主に政治と金についてということでございます。

 基本的に、今までお話をされてきた中でも、余りにも国会が空転しているというふうに言われてはおりますが、実際、先ほど松野委員からも指摘がありましたけれども、ちゃんとした審議もされているという中でございます。

 ただ、私も法案審議がおろそかになるというのはよくないと思っておりますので、私は、きょうを本当に最後に、これからしっかりとした議論を、あと一カ月ほどしか今国会はございませんので、やっていく。そのためには、もう本当にきょうを最後にしたいなというふうに思って、お話をさせていただきます。

 そうはいいながら、私のところに、前回の、松島前法務大臣の、うちわのようなものというふうなお話があった後、私の事務所であるとか党の本部等々に全国各地から、こんなものを見つけたんだけれども、これってどうなのかとか、あの人はあんなことをしているけれども、あれは違反なんじゃないかとか、物すごくいろいろなお話がありました。恐らく、ここにいらっしゃる皆さんの中でも、同じような話を聞かれている方がいらっしゃると思うんですね。

 きょうは、まず最初に、どんなものがよくて、どんなものが悪いのかということをきっちりと整理してお話を聞かせていただきたいなというふうに思ったので、ちょっと、余りにも初歩的なことなのかもしれませんけれども、そういうことからお話をさせていただきたいと思います。

 まず、きょう、総務省の選挙部長に来ていただいているかと思いますので、基本的なところからお話を聞かせていただきます。

 政治家からの寄附といったところで、いろいろなものが禁止されている。その寄附の内容というものについて、まず少し聞かせていただきたいんですね。

 政治家からの寄附というところでは、選挙の有無にかかわらず、政治家が選挙区内の人に寄附を行うことは、名義のいかんを問わず一切禁止だ、有権者が求めてもだめ、それから、冠婚葬祭における贈答も寄附となるというお話だと思っております。

 では、禁止されている寄附は何かというところで一つ思っているところは、病気のお見舞いなどについて、これは禁止されているかどうかということをお話しいただけますでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 公職選挙法におきましては、公職の候補者等が、先ほどお話がございましたように、「選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。」と規定をされておるところでございます。

 また、この寄附につきましては、公職選挙法百七十九条二項におきまして定義がございます。「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のもの」というふうに規定をされているところでございます。

 今お話のございましたお見舞い等につきましては、この財産上の利益の供与というものに一般的には当たるものと存じます。

木下委員 ありがとうございます。

 一々聞くのもちょっとあれなので、あともう少しあるんですけれども、例えば、結婚祝いであるとか香典、それから葬式の花輪であるとか供花、こういったものも禁止になっているというふうに書いてありました。先ほど御答弁ありましたけれども、有価物と言われたかと思うんですけれども、そういうものの便宜を供与するというふうなものは禁止なんだということだと思うんですね。

 そうはいいながら、私のところに持ち込まれたものだと、よく、うちわ、前の法務大臣はうちわのようなものというふうに言っていて、それの違いがどこにあるのかは私には全くわからなくて、しかも、いっぱいいろいろなものが持ち込まれるわけです。

 だから、これは大丈夫なんですか、これはどうなんですかというふうに聞かれても、物を見るだけではわからない。要は、それがどういう状態のところで配られたのかということで変わってくるということだと思うんですね。

 その有価物というのか、便宜が供与されるというふうな、そこの定義についてもう少し詳しくお話をいただければと思うんですけれども、どういった定義を持っているのかということをお話しいただけますでしょうか。

稲山政府参考人 先ほど御説明いたしました寄附の定義の中には、「物品その他の財産上の利益の供与」というふうに規定をされておりまして、あくまでもその物品と申しますのは、一つの財産上の利益の供与の例示でございます。

 したがいまして、この寄附金支出につきましてはいろいろな経緯がございまして、財産上の利益の供与に当たるといったようなものにつきましては幅広くこれに該当するというふうに考えられております。

木下委員 今の御答弁だとやはりわかりにくいんだと思うんですね。先ほどから後ろでいろいろとつぶやかれていますけれども、わかりやすく言ってというふうに言われているんですけれども、わかりにくいなと。

 というのは、それだと、どうしても、国民がいろいろと聞いてきます。聞いてきたときに、私たちは答えられないんですね、それが一つ。それからもう一つ、これから先、私たちが何か物をつくって有権者の方々に何らかの形で差し上げたりとかするようなときに、これがいいのかどうかということもなかなかわからないというふうに思っていて、ここをやはりもう少し明確にするべきなんじゃないかなというふうに私は感じております。これはちょっと前置きなんですけれども。

 きょう、余りそういう話ばかりずっとしていっても、恐らく、きょうテレビを見ておられる御家庭の方々は、では、どんなのがよくて、どんなのが悪いのか、わからないと思うんですね。そう思ったので、きょうちょっと、私、資料として物をいろいろと持ってきたんです。

 見せたかったんですけれども、きょうの朝の本委員会の理事会で、私がきょうそういったものについてお見せしようと思って、ここのパネルとか、パネルに写真もありましたし、それをどうやってつくられたのかとか、そういったこともわかるような資料を出そうとしていたんですけれども、それを全てきょう提示するのはならないというふうに理事会の決定がされたというふうに聞いております。

 そこで、大変申しわけないんですけれども、委員長に、きょうの理事会で私の資料がなぜだめだったのかというふうなところについて、ひとつ御説明いただければと思うんですけれども。お願いいたします。

大島委員長 与野党で話し合った結果でございまして、具体的な名前を書いたものがあるとすれば、それは、ひょっとしたら個人に対する誹謗中傷になりかねない、そういう場に委員会をしたくない、こういう判断が理事会で出されたものだ、このように思います。

木下委員 ありがとうございます。明快に御答弁いただいたと思うんです。

 ただ、私も正直、何か、今までであれば、例えば大臣の地位を蹴落とすとか、そんな感じのことを思ってやるわけではなくて、例示として出したんですけれども、当然のことながら、その物品に関しては名前が書いてあるわけです。名前が書いてあるので出せないということになってしまうので、なかなかちょっと、具体的な話が非常にしにくい。

 まあ、ここの中に本当はあるんですね。それで、お見せできません。ただ、ちょっとだけ名前の見えないところで見ると、こういうふうにしてうちわの骨がついているようなもの、こういうものがあって、ここの中に、例えば、名前が書いてあるだけではなくて、うちわとか、涼風進呈というお話、そういったことも全部書いてあります。

 こういったものは、恐らく今選挙部長がお話ししていた寄附に当たる可能性が私は高いんじゃないかなと思っていて、こういうものはだめですよということをお見せしたかったんですね。

 しかも、名前があるからどうこうというのはあれなんですけれども、一議員を、私は、何か名誉を傷つけるようなことをしたいと思ったわけではなくて、何がしたかったかといいますと、私が対象にしているこの方、自民党の選挙対策委員会の役職にあられる方、相当上の方です。選挙対策委員会の方なんですよね、役を持たれている方。そういった方がこういうことをしているというのは、いいのかどうか。その個人を言うのではなくて、自民党さん、これで大丈夫ですかということを私は言いたかったんです。

 そういうことで出したかったんですけれども、実はそれだけじゃないんです。ここにはうちわがありますけれども、それ以外に、名前は見せませんけれども、この中には……(発言する者あり)いや、見せません、見せません。当然見せません。タオルであるとか。タオルには、その方のお名前、何々さん後援会というふうなもの。それから、これは見えないのであれですけれども、これなんかは爪切りですね、爪切りに名前が書いてあるもの。それから、その爪切りの箱には、粗品、何々後援会というふうに書いてあるもの。それから、ここには……(発言する者あり)そうなんです。見せられないのは本当に申しわけないんですけれども、靴べら。靴べらにも、何々後援会、こういうふうにして入っているんです。(発言する者あり)

 これは、対価があればというふうにおっしゃられていますけれども、これを持ち込まれた方、私なんか、ここに爪切りが四つぐらい入っているんです。うちわも四つぐらい入っている。これはどういうことかというと、その地域の有権者の方々に無差別に配られているから、私もたくさん手に入れることができた、そういうものなんです。このタオルなんかはどういうふうになっているかというと、ポスターを張っていただいたお宅にお礼として持っていって渡しているというふうな話を私は聞いております。これはちょっと、さすがにひど過ぎるんじゃないかと思ったんですね。

 私がずっと話して大変申しわけないんですけれども、この中の、収支報告書を見てみたんです。収支報告書を見たら、その人の中から出るわ出るわ。何が出てきたかというと、まず最初に、うちわ製作代というふうにして書いてあるんですね。ちゃんと明確にうちわ製作代と書いていて、百七十万円ぐらい計上されている。二年連続で、タオルも八十万円以上、タオル代というふうにして書かれている。それも全部ここへ出そうと思ったんですけれども、出せなかった。

 私はちょっとこれは問題かなと思っているんですけれども、まだ調べ切れていませんけれども、このうちわを製作した企業名、それから住所が記載されているんです。ただ、この住所は、調べてみると、そこにうちわを製作しているような場所というのが私の見る限りにおいては存在しない。近くの人に行ってもらって、見てもらって、しかもそれを聞いてみても、昔からそこにはそういうものじゃなくて社会保険労務士の事務所があるというふうにして書いてあるんですね。これはちょっとさすがに、余りにもひどいんじゃないかなというふうに私は思っているんです。

 そこで、余り長い間話している間に総理がいらっしゃらなくなったので、総理にこの御見解を聞きたかったので、もう少しお話をします。(発言する者あり)聞いていないですね。

 では、そうしたら、申しわけございませんが、総務大臣、お話しいただければと思います。何か御見解がありましたら、お願いいたします。

高市国務大臣 今いろいろ例をお挙げになりました。政治資金規正法そしてまた公職選挙法でございますけれども、これは、公正な選挙もしくは政治活動、これを担保するために、これまで各党各会派によって数次の改正が行われてまいりました。

 また、もしも、とてもわかりにくい、これが違法なのか合法なのかわかりにくいということで、またさらなる改正が必要だということになりましたら、これはまた各党各会派で、民主主義の根幹にかかわるところですから、御議論いただきたいと思います。

 例えばポスターなんかでも、事前ポスターをデザインするようなときでも、選挙管理委員会で、ある程度、印刷前にお持ちいただいたら、それは合法か違法か、そういった判断はあるところです。総務省でも、一般論としてですけれども、問い合わせがあったらできるだけお答えしております。

 ただ、やはり来年に向けて、統一地方選挙もありますし、また年末年始といいますと政治家が招かれる行事も多うございますので、再度、きちっと有権者の皆様にも、こういうのはいいんですよ、悪いんですよということをわかっていただけるような広報啓発をするように既に指示をしたところです。

 もう少し具体的に言っていただいたらと思うんですけれども、それがいつどういう時期に何の名義で配られたかによって、また個々に法的な判断が違ってまいります。

木下委員 まだ総理はお戻りにならないので、あっ、戻っていらっしゃいましたが、先ほどのお話も、実は詳細にこちらの方で調査して、これはちょっと余りにもひどいなというふうなお話をさせていただきたかったんです。

 余りにもちょっと話が長かったので、総理も恐らくこの話に辟易として、一度、席を立たれたと思うんです。(発言する者あり)いや、そう思います。こんな話ばかりしていても、私も本当はしようがないと思っているんです。

 総理、先ほどから、前回の本会議場でもお話しされていましたが、大臣の任命責任というお話をされておりました。ただ、私が思っているのは、大臣の任命責任というのもあるけれども、それ以前に、自民党総裁として、国会議員の代表として、国会議員の資質というものに対する一番の長としての私は責任があるんじゃないかというふうに思っているんですね。

 今いろいろと話をしましたけれども、例えば、大臣としてはだめだというふうにいって、では、国会議員としてはいいんですかといったら、私は、そうではないと思うんです。

 そこを考えたときに、自民党総裁として、自民党さんの今のこういうふうな、私は、これは自民党さんというよりも昔からの政治家の体質だ、これを国民の皆さんは政治家のイメージとして持っていらっしゃると思うんですけれども、これを変えていかないと全く意味がないと思っているんですけれども、そういうことについて総理はどういうふうに思われているのかということをお聞かせいただきたいんです。

安倍内閣総理大臣 今の委員の御説明で、何か袋の中からちょっと出したり引っ込めたりしておられたんですが、一体どういう状況で、どういうオケージョンで、どなたがやったかというのは全然わからないですからね、私も何ともこれは御説明のしようがないわけであります。

 選挙においては、別に自民党だけではなくて全ての党において、これは与党も野党も当然ありませんよね。それぞれが国民の負託を受けるというこの重い責任の中で、みずから襟を正して、政治家として信頼を失っては政治は前に進んでいかないわけでありますから、政治の信頼、これをしっかりと維持するために努力を続けていかなければならない、このように思うわけであります。

木下委員 ありがとうございます。

 時間、もうほとんど私がしゃべってしまったのであれですが、そういう意味で、今もうこの状態になっている中で、総理、先ほど、きょうの午前中も小川委員からもお話が少しありましたけれども、このままいって、この内閣はそのままでいいのかというところなんです。

 私は、もう既に総理の頭の中には、内閣総辞職もしくは解散ということも頭の中で思い描いていらっしゃるのではないか、そういうふうなことも考えるべきだというふうに思っているんですけれども、その辺について、総理、今どう思っていらっしゃるかということをお話しいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 今どう思っているかということでありますが、先般もASEMの会合に行ってまいりました。その前には国連総会に行ってきたわけでありますが、国際社会においては、エボラ出血熱あるいはISILの問題にどう対応していくか、そして世界経済にそれぞれの国がどう協力して対応していくかということが大きな議論であったわけでございますが、残念ながら、当委員会においてはそうした議論が行われていないということは残念でならないわけでございます。

 そういう中におきまして、解散についてどう考えているかということでございますが、現在、解散は全く考えていないということでございます。

木下委員 いろいろな議論を本来するべきだというのは当然だと思います。

 今、考えていらっしゃらないということなので、では、もうあと五分ほどしかないので、最後、もう一個質問させていただきます。

 これも実は、きょうここにパネルを置いてお話ししようと思ったんですけれども、お話しできないんです。これも理事会ではねられました。なぜはねられたかというと、余りにもどぎつい表現がある写真をここへ掲示しようとしたからなんです。

 これは何かというと、経産省が進めている、クールジャパン機構でこれから投資を向こう三年間で十五億円やろうとしている事業があります。それについて、私、そこの会社のホームページを見てみたんです。そうしたら、海外、アメリカの市場に対してオタク文化のフィギュアみたいなものを売っている。それ自体は私は問題ではないと思っているんですけれども、少し、少しというのか相当どぎつい表現のあるようなそういった資料が、資料というのか、商品がたくさん売られていました。その写真を、私がここにパネルをつくろうと思ったら、ちょっと余りにもひどいということで、見せられないというふうな話になりました。

 恐らく、もう経産大臣も見られていると思うんですけれども、ああいった写真を見られてどういうふうに感じられたかということを一言いただければと思います。

宮沢国務大臣 クールジャパンというのは大変大事な、重要な政策だと思っております。

 委員のおっしゃった写真というものは、これまでの委員会でお配りなされたというものは拝見をいたしました。正直言って、余り気持ちのいいものではなかったです。

木下委員 ありがとうございます。

 手元にあったんですが、ちょっと、余りこちらには見せられないんですけれども、こういった写真なんです。こういったものが売られておりました。(発言する者あり)余り見せると、どうも済みません。こういったものなんです。

 これが売られていて、私が実は経産委員会それから内閣委員会でこの質問をさせていただいたら、その翌日にそのサイトから削除されていたということなんです。私は削除を頼んだわけではなくて、というのは、そういうものも市場の中に出回っているのは、法律の範囲内であれば正しいと思っているので、そうじゃなくて、これに、クールジャパン機構、政府が十五億円も入れることがどうなのかというふうな話をしたんですね。こっちの方が私は大きな問題だと。

 文化については、どこまでがよくてどこまでがというのは、なかなかこの線引きは難しいというふうに思っているんですけれども、これはなぜ削除したのかということをお聞かせ願いたい。それから、どなたが削除されたのか。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の商品でございますが、先日来、国会等でも御議論をいただいております。

 私どもといたしましては、表現にかかわる事業というのは、表現の自由とのバランス、それから社会通念上許容される範囲であるということが基本的に重要だと思います。そういう考え方のもとで、先般来の御議論を踏まえまして、クールジャパン機構に対しまして、こういった商品についてはさまざまな御意見があるということを十分踏まえるように申し伝えたところでございます。

 こういったことを受けまして、クールジャパン機構と、それからこの事業会社は東京オタクモードという会社でございますけれども、ここが、具体的に今後、こういった表現にかかわる商品というものをどう事業としてやっていくかということについてのガイドラインを社内できちっと整備する、それから、審査体制も社内的に整備をするということで検討を進めているということでございまして、その上で、あくまで東京オタクモードの自主的な判断として、しばらくの間、こういった検討が進むまでの間、販売を一時停止しようというふうに考えているという報告を受けております。

木下委員 時間がなくなりましたのであれですけれども、とにかく、クールジャパン機構は八百億円ぐらいの中の十五億円を入れるという話なんですよ。国民の皆さんはこれを見たら怒ると思うんですよ。もっと生活に密着したようなことにしっかりとお金を使っていただくようなことを考えなきゃいけないと私は思っているので、こういうことも含めて、政治と金というふうに言いながらも、ほとんどお話、ここへ何も出せなかった時点で具体的な話ができなかったので、大変申しわけなかったですけれども、とにかく、そういうことにしっかりと目をみはらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

大島委員長 これにて松野君、今井君、木下君の質疑は終了いたしました。

 次に、石原慎太郎君。

石原(慎)委員 しばらくぶりに予算委員会に参りまして、後ろで長らく傍聴しておりましたが、大分細々した高級な議論が続いているようでありますけれども、ここで一つ模様がえしまして、大まかな、国家の基本に関する大事な問題についてお尋ねしたいと思います。

 我々、次世代の党は、自主、自前、新保守の理念を踏まえて、次の世代の日本人のために、その成立の歴史的経緯からして正統性を著しく欠く現憲法を改正して、あくまでも自主憲法を制定したいと念願し、それを党是に掲げておりますが、現憲法についての総理の総体的あるいは具体的な所感をぜひお聞きしたいと思います。

 ハーグ条約を含めて、従来の国際協定に違反して、戦勝国として占領軍の絶対権力の所業として一方的につくられて押しつけられた現憲法には、いろいろな問題がありますが、何よりもその前文に非常に多くの間違いがあると思います。

 この絵図をごらんいただきたいんですが、これは、日本が降伏して間もなくの八月十九日に、アメリカの代表的な新聞でありますニューヨーク・タイムズの、日本をこれからいかに解体統治するかという論文の冒頭についた漫画であります。

 この漫画が表示するように、戦勝国アメリカあるいはその他の連合軍にとって、まさにこの漫画が表示するような、醜悪で非常に危険な存在であった日本を、これから、天皇をいかに扱うかという問題も含めて、いかに統治解体するかということで占領が始まったわけですけれども、その統治解体の有効なすべとして、一方的につくられた憲法が私たちに押しつけられたわけであります。

 総理に憲法についてお考えをただす前に、僣越ながら、国語についてのおさらいをしてみたいと思うんですね。

 いかなる国語の文章の構成要素としても、名詞、動詞、副詞、助動詞、形容詞、助詞、間投詞、間投詞というのは助詞の一種ですけれども、俗に、てにをはと言われる助詞があります。これはごく小さな言葉でありますが、実は非常に深く重い意味合いを持つ言葉でありまして、てにをはなる言葉、つまり、これは助詞の総体をあらわす言葉ですけれども、この助詞というものは極めて重要な性格の言葉です。

 特に、助詞の使い方によっては、文章の印象が致命的に左右されますね。助詞の重要性について、日本の大きな辞典の広辞苑の中に、てにをはという条項がありますが、その中に、てにをはの間違いは、その文章の意味を常軌を逸して伝えることになるとありますね。これは非常に暗示的な表示でありまして、助詞一つを間違いますと、文章そのものが非常に大きく誤解される可能性があるわけです。

 まず、助詞の重要性を示す一つの事例として、私は、私の好きな永福門院という人の歌を挙げて、お聞きいただきたいと思います。

 永福門院というのは、伏見天皇の中宮でありました。中宮というのは、よくわかりませんが、皇后に等しい地位のおきさきです。しかし、中宮とはいえ、当時の古い宮中のあり方として、彼女は恐らく天皇の側室の一人だったと思いますね。

 この永福門院という方は、非常に珍しい歌人でありまして、京極派の家元とされる叙景歌人です。つまり、景色を主に歌う、そういう非常に秀抜な歌をたくさん残した歌人でありますけれども、これは、歴代の歌人の中でも、そういう意味で非常に珍しい歌人なんですね。

 彼女の歌は、歌集としては残っておりませんが、主に後拾遺集の中にたくさん集められております。私もそれを通じて彼女の歌を鑑賞しましたが、非常にすばらしい歌がたくさんあります。

 私が非常にその中で好きな歌の一つにこういう歌があります。「真萩散る庭の秋風身にしみて夕日の影ぞ壁に消えゆく」、これは実に美しい歌ですね。「真萩散る庭の秋風身にしみて夕日の影ぞ壁に消えゆく」。これは恐らく、天皇の寵愛を失いつつあった彼女がそのわびしい身の上をかこって歌った歌でしょうけれども、この歌を非常に評価する日本文学を愛好する翻訳家がたくさんいまして、これを訳した人がいるんです。

 私は、それは誰だったか覚えていませんが、多分、ドナルド・キーンさんかあるいはサイデンステッカーさんか、あるいはジョージ・ネイサンさん、その誰かだったと思いますけれども、彼から苦労して訳したこの歌の英訳というものを私はもらいまして、私の拙い英語の能力ですけれども読んでみて、なるほどなと思ったんですね。英文ですけれども、いかにもこの歌の雰囲気が伝わってくるんです。

 しかしそのときに、誰でしたか、翻訳家の、キーンさんでしたか、サイデンステッカーさんでしたか、石原さん、これを一生懸命私は訳したんですけれども、でも、あそこだけがだめなんですよね、あの一つだけがどうもうまくいかないんですよねと言ったんですね。どこですかと私に聞くから、私は、わかりますと。総理、これはどこだと思いますか。「真萩散る庭の秋風身にしみて夕日の影ぞ壁に消えゆく」。私は、あそこでしょうと言ったら、そうなんですよと、意見が一致したんです。

 これは、「ぞ」という間投詞なんですね。「夕日の影ぞ壁に消えゆく」、この「ぞ」という、これは、夕日の影は壁に消えゆくでも夕日の影も壁に消えゆくでも通じるんですよ。ただ、この「ぞ」という、日本人の語感からいって、読むと本当に身がしびれるような、ぞっとするような深い情感を伝えるこの間投詞、助詞というものの意味合いというものは、これはとにかく日本人独特のものですし、なかなか外国人に翻訳し切れにくいものだと思います。

 この間投詞というものは、やはり国によっていろいろ違いますし、その国の感性というものがあらわれているわけですけれども、例えばシェークスピアの芝居の中に、どの芝居でありましたか、自分の大事な友達を失って、それを悼むせりふがあるんです。アラース・ヒー・イズ・ノーモアという、これは、ああ、彼はもういない、そういうせりふなんですけれども。

 このアラース・ヒー・イズ・ノーモア、このアラースというのはイギリス独特の間投詞でして、アー・ヒー・イズ・ノーモアでもオー・ヒー・イズ・ノーモアでも通じるんですけれども、わざわざアラースという言葉が使われている。これも、私はよくわからずに、英和辞典で引きましたら、これは、英語独特の深い感情をあらわす間投詞、助詞という注釈がありました。これまた、さっきの「夕日の影ぞ」の「ぞ」と同じように、やはり我々異邦人、日本人には、いかに英語の堪能の人でも、感覚的に伝わりにくい事例だと思いますね。つまり、これほど、いかなる国語にとって、助詞の意味合いというのは非常に大きいわけです。

 現憲法の前文の中で、こういう間違いがたくさんありますね。

 あの現憲法の前文の冒頭の一部ですけれども、こういう文章がありますね。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し」という文章がある。これから導き出されてきた第九条は、日本人の多くに膾炙した絶対平和という、いわば非常に危険な共同幻想というものを導き出したわけでありまして、九条がそれを如実に反映しているわけですけれども。これは、今日の緊迫した世界情勢の中での、集団的自衛権に関する正当な議論の大きな妨げになっているわけです。これは、私は、やはり憲法の前文としても非常に厄介な、危険な事例だと思いますよ。

 この「公正と信義に信頼し」の「に」という助詞は、使い方として明らかに間違いですね。誰かに借金を頼まれたときに、しようがない、わかった、あなたに信頼して金貸そうと言いますか。あなたを信頼して金貸そうと。これは、一般の社会の中で、例えば口約束にしろ、証文を書くにしろ、あなたを信頼してと書きますけれども、あなたに信頼してということでは、これは、借金の義理に応じる主体者の存在、あるいは客体者の存在が非常に曖昧になると思いますね。

 平和を愛好する諸国民の公正と信義に信頼しという、このおかしな日本語というのは、本当に危険な、非常に日本に厄介な問題をもたらしている九条につながるわけですけれども。これは、あくまでも、要するに、平和を愛好する諸国民の公正と信義を信頼してとなるべきだと私は思います。

 その他の前文の中でも、助詞の間違いはいっぱいあるんですね。つまり、我々の日常の会話の中で慣用されていないような助詞の言葉遣いは、外国人のつくった憲法の前文の中にたくさんありますね。

 例えば、後段の、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、」云々の「から」というのは、これはとてもおかしい助詞だと思います。原文は、フリー・フロム・フィア・アンド・ウオントという言葉ですけれども、フロムという言葉は、まさにフロム・トウキョウ・ツー・オオサカ、東京から大阪のフロムでしょうけれども、これは、日本語の慣用としても、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、」じゃなしに、欠乏を免れというのが正しい日本語です。これは、やはり本当に文章の印象というものを混乱させる間違った助詞の使用だと思います。

 かつて、シェークスピアの翻訳を全部した、翻訳家でもあった英文学者であった、かつての日本の代表的な論客であった福田恆存さんが言っていますけれども、憲法の前文は、英文の翻訳としてはせいぜい七十五点だと。大学生の採点というのは、優、良、可、不可とあって、可は七十五点なんです。これは落第の寸前の。しかし、せいぜい、福田さんに言わせれば、日本の憲法の前文というのは、英文和訳としても可の域を出ない、こんなていたらくでしかないわけですよ。いかに崇高な理念をうたい上げるのも結構ですけれども、それを表現する言葉が、狂うことを言ったのでは、これはどうしようもない。まさに画竜点睛を欠くとしか言いようがないと思いますね。

 総理も私も、日本男児として、あくまでも自主憲法の制定を念願しておりますけれども、その大願成就のために、まずの一里塚として、せめてこの前文の冒頭の助詞の間違いを、「公正と信義に信頼して、」の間違った助詞の「に」、この「に」の一字だけでも変えていただきたい。変えようじゃないですか。

 これを変えるためにはどうしたらいいですか。私は法制局の長官に聞こうと思ったんですが、多分、これはお役人の言葉で、国会の審議にかけて、その後、決まったら国民投票。しかし、間違った言葉の助詞一字を変えるために国会が審議する必要はあるんですか。国会議員だって、ばかの集まりじゃないんだ。そう言われたって仕方ない節がないでもない今日ではあるけれども。それを国民投票にかけるというのも、これはまさにお金と時間の無駄だと思いますよ。

 これは、総理が決断されて、要するに、国語の専門家たちを集めて審議をさせて、その答申を受けて、やはりこの前文の、危険な、九条というものを導き出す、要するに引き出し役になっている前文の、平和を愛好する世界の国民の公正と信義に信頼し云々から結局九条が導き出されてくるわけですから、この「に」の一字だけは変えようじゃありませんか。

 そのための手続というのはいろいろ議論があるかもしれませんけれども、私は、まさにこれがアリの一穴でありまして、この「に」の一字を変えることがアリの一穴となって、敗戦後七十年にして、ようやく私たちは自主憲法の制定につながる。それによって、とにかく日本人の主体性というものを回復することができるんじゃないかと思います。そう信じてやみません。

 ですから、どうか総理、この「に」という助詞の一字を変えるだけで、あなたはまさに後世に名を残す総理になれるはずだと私は思いますよ。この「に」は明らかに間違いです、日本語として。

 誰かに大金を頼まれて、その相手にお金を貸すときに、君を信頼してと言いますよ。君に信頼してとは言いませんよ。要するに、これでは大金を貸し出す主体者の立場の位置が曖昧になってしまいます。世間でも、契約にこんな文章は通用しないはずです。

 ですから、古い文化と伝統を誇るこの日本の憲法の前文に、これほど多くの助詞の誤りがあります。ゆえにも、言語として慣用性に欠けて、日常に通用しない代物でしかない。まさに、この間違った前文で始まる憲法をいただいているのは国辱ですよ。これは本当に文化の破壊であると私は言えると思います。

 何も、問題の多い、絶対平和などという共同幻想を育んだ九条をいきなり変えろとは申しませんが、せめてこの「に」の一字だけでもみずからの手で直すことを、ひとつ総理、決心していただきたい。これはあなたの非常に大きな仕事になると思いますから。「に」の一字だけ変えましょう。これを変えることで憲法の印象というのは変わってくるんですから。ぜひそれをお願いします。お願いして、終わります。

大島委員長 総理の決意のお話をしてから、お帰りいただくように。

安倍内閣総理大臣 文学者である石原慎太郎先生らしい御指摘だと思います。

 私も中学生時代だったですか、国語の授業でこの前文を丸暗記させられました。当時は、先生から、これは美しい文章だ、こう言われたわけでございますが、しかし、子供ながらにも、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」というのは、何となく、すっと入らなかったことを今思い出しているわけでございます。

 しかし、一字であったとしても、これを変えるには憲法改正が伴うわけでございます。そこは、「に」の一字でございますが、どうか石原議員におかれましては、忍の一字で……。

 これは、憲法改正国民投票法を改正いたしまして、十八歳から投票が可能になりました。これは、若い皆さんにも、憲法について身近に考え、自分たちも変える権利があるんだということにもう一度思い至って、今おっしゃった指摘も含めて考えていただく。きょうの議論を契機としていただきたい、このように思うところでございます。

石原(慎)委員 終わります。ありがとうございました。

大島委員長 この際、中田宏君から関連質疑の申し出があります。石原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中田宏君。

中田委員 総理初め関係の大臣の皆さんには、この後の質疑、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず、今国会は、割と、安倍政権、安倍総理としては安全運転というふうに当初は言われて、余りある意味では重要な法案も見当たらない、そう言っては失礼ですけれども、見当たらないと評されていましたし、また補正予算も今回はございませんから、そういう意味では平穏無事なのかなというのが大方の見方でありましたけれども、どうも十月の中旬からは、今に至るまで、本当に、政治と金、その他さまざまな問題で審議がおくれる、こういう状態に相なっています。

 私たち次世代の党は、十月の十六日に当時の小渕優子経産大臣がマスコミで報じられて、政治資金の問題ということでかなりいろいろな疑惑が出たその段階から、我々は、国会審議というものはちゃんと進めながら説明を受けていく必要がある、こういうふうにいち早く言い続けてきました。

 具体的には、どういうふうに言ってきたかというと、やはり、政治家が疑義を呈された場合には、政倫審、こういったところできちっと議論をしていくべきだ、みずから説明責任というものを果たしていくべきである、こういうふうに私たちは言ってきたわけでありまして、そういう意味においては、政倫審というものをもっともっと活用しないと、結局、きょうもかなりの時間、やはりそうした疑惑問題に割かれているわけです。

 総理は、きょうの午前の答弁でも、経済政策を初め、政策議論に時間をもっと割いていくべきだ、TPPなどいろいろあるじゃないか、こうおっしゃっていますし、また、総理は、しっかり説明をしていくべきだ、各当該大臣にも指示をしているというふうにもおっしゃっておられます。きょうの午前中ですね。

 まさに、説明はしっかりしていかなければいけない。だけれども、そのことによって審議がどんどんどんどん延びていくということは、単に国会の機能不全を国民に見せるだけではなくて、国民からしても、やはり内憂外患の我が国のさまざまな問題というものを国会はちゃんと解決してよ、こう思っているわけですから、そういう意味においては、説明責任を果たすという意味において、政倫審の場などをもっと活用していくべきだと思うんですね。

 この点、総理、本会議で私どもの党の宮沢議員が聞かせていただきましたけれども、そのときには、唐突な質問だったかもしれません、なかなか十分な答弁を得られたとは思っておりませんので、改めてお聞きをしたいと思います。やはり政倫審の場などをもっと活用していくべきだというふうに思いますが、いかがでございますか。

安倍内閣総理大臣 議員が国民から疑惑を持たれるということがあってはならないわけでありますし、国民の信頼のない政治は機能しないと思います。もちろん、政府の一員である以上、当然、説明責任がございます。各委員会あるいは記者会見等を通じて、しっかりと説明をしていくことが求められているんだろうと思います。

 一方、各議員という立場において、政倫審においてどう対応していくかということは、これはまさに国会においてお決めになっていくことであろう、このように思います。

中田委員 民主党の枝野幹事長の話も出ました。説明はきょうの午前の予算委員会でも御本人からありましたけれども、これは記載ミスであるということで説明がありました。

 私は、民主党にも言いました。国対委員長でありますから民主党にも申し上げまして、民主党も、ここはケアレス、記載ミスであるということは、それはもう国民にしっかり説明すればいいことなんだから、むしろ説明責任を果たすということの範を示してもらいたい。そうすれば、自民党だって、与党だって、そういったことについてしっかりとやっていけるではないか。そう申し上げて、私は、政治倫理審査会、政倫審を民主党も大いに活用するということをやってはいかがかというふうに早速民主党にも申し上げたところでありまして、そういう意味では、これは本当に総理にも、これから先ぜひ活用していただきたいと思うんですね。

 政倫審、設けられてから過去九回、今まで審査がなされております。ほとんど、九回のうちの八回は、本人からの申し出で行われているわけでありまして、加藤紘一君からの申し出、山崎拓君からの申し出、額賀福志郎君から、田中真紀子君から、松浪健四郎君から、原田義昭君から、橋本龍太郎君から、伊藤公介君からの申し出、この八件、今まで設けられてきた審査会であります。審査されているんですね。

 さらに、もう一回、九回開かれたうちの一回は、鳩山由紀夫君に対する審査の申し立てということでありまして、八回は本人の申し出です。一回は申し立てです。これは誰が申し立てたのかというと、自由民主党であります。平成二十一年の七月十四日、政治倫理審査会に対して、自民党が、衆議院政治倫理審査会規程第二条の規定によって審査の申し立てをいたしますということで、鳩山さんがなかなか説明をしないということに対して、自民党が申し立てをして、そして審査会も立てたんです、当時。

 鳩山さんは出ませんでした。だけれども、出ないというこの意思表示は、当然ですけれども、説明責任を果たしたことにはならないわけであって、国民はこのとき大変に失望をし、そしてまた、そのことに対してはやはり国民の判断はそれなりになされたと思いますね。

 そういう意味では、民主党もこれから先そういうふうに対応していくべきだと私が申し上げたことも含めて、やはり自民党、政府、みずからが起こしたこと、大臣がみずからの振る舞いやこれまでの政治資金の問題で審査をおくらせるなどというのは、これは何のための大臣だかわからないわけですよ。

 確かに、国民はこの種の議論を望んではいません、国会において。だけれども、真相を明らかにすることは国民も望んでいます。ですから、しっかりとそうした議論というものは場をわきまえて行うべきであるということを総理の方から、これは任命責任とおっしゃったことに対して、そうした場を、きちっとみずから申し出なさいよということを指揮、指導していくことは、それこそ総理の責任だというふうに私たちは考えています。

 むしろ審議を促していきたいからこそ、次世代の党はそういうことをずっと言い続けているんですね。ぜひ、総理、ここは、今後の推移の中において政倫審を活用するということについて、ぜひ積極的であってほしい。いかがですか。

    〔委員長退席、萩生田委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 私は、行政府の長、総理大臣としてここに立っているわけでございます。

 いわば、政倫審は、それぞれが、議員が、ある意味においては、名誉を挽回、回復するために、みずから求めて開催をするというケースが多いわけであります。今御紹介をいただいたように、我が党の議員の場合はおおむねそうであった、このように思います。そういう意味において、政倫審が活用される、あるいは、しっかりと疑惑を晴らせと、国民の声に応えていくという義務の中で応じていくということは、当然あるんだろうと思います。

 いずれにいたしましても、これは議員の身分にもかかわる、名誉にもかかわることでありますから、国会においてしっかりとお決めになる、このように理解をしております。

中田委員 私たちは、申し上げたとおり、実は、大臣が辞任をする以前から、そうした問題について政倫審をもっと活用すべきだというふうに、ずっとメディアにも申し上げてきましたし、自民党の皆さんにも国対を通じて申し上げてまいりました。

 メディアにおいて、私たち次世代の党がそうした主張をしてきたということは、なかなか今までのところ報じられていません。やはり、首をとる、とらないというような方がよっぽどメディアはおもしろいわけでありまして、与党と野党が、ある意味では不毛のけんかをさせておいて、そして、最終的にはどっちもどっちだ、こういうふうにやっていくのがメディアですから、そういう意味では、これはある意味ではメディアだけが喜んでいると言ってもいい。国民、見ている側も辟易しているというところもあるわけです。私たち次世代の党は最初から言っているんです、そういうふうに。

 この意味においては、きょうは、ぜひ、これをごらんの皆さん、国民の皆さんには、私たちはそういうことをずっと言い続けてきたわけであって、これから先、総理が、今答弁にありましたように、行政の長だからこそ言っているんですね。行政の長ということであるならば、みずからが任命した大臣には、そうした任命責任において、みずからの指揮、指導というものをして、そして、政倫審に積極的に出て、君、説明しろよということを行政の長としてやってほしい。このことはぜひ申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、幾つか通告に従って質問も続けてまいりたいと思いますが、まず、北朝鮮の拉致問題等の特別調査ということについてお聞きをしてまいりたいと思っております。

 午前の議論で自民党の河村議員からこの質問というのは多少出ましたけれども、まだ詳細、総理も報告を聞いていないという段階でありましょうから、中身については、これは今お聞きをしても恐らく御答弁をいただくことはできないだろうというふうに思っております。しかし、今後の方針等々、総理にぜひ今後の見解というものはお伺いをしていきたいと思っているわけであります。

 まず、今回の政府代表団の訪問の最大の目的、これは、我が国、日本が北朝鮮との関係においては拉致問題が最優先ということをしっかりと伝えていくということ、これは総理もおっしゃっておられますけれども、このことは、総理としては、行くに当たって調査団には明確に指示をされたということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 この再調査に当たって、いわば今まで閉じられていた日朝の交渉の扉を開くに当たりまして、日朝で合意をしているわけでございますが、調査の対象として拉致被害者、あるいはまた日本人妻、そして日本人の遺骨の問題等々があるわけでございます。その中で我々は拉致を最優先しているということを実際にこの調査をする責任者に直接伝えなければいけない、こう考えたところでございます。

 先方は、夏の終わりから秋にかけて報告をするということでありましたが、先般、宋日昊氏と会談をした、局長が会った際には、残念ながら、まだ報告がほとんどなかったと。かつ、宋日昊氏自身はこの調査にかかわっていないので、いわばさまざまな質問をしても当を得た回答を得られないという状況の中で帰国をしてきたわけでございます。

 そこで、そういうことはけしからぬといって打ち切るという考え方もあるわけでありますが、そうなればまた、これは再開まで数年間待たなければいけないということにもなってくるわけでございまして、そこで行かないという選択肢のリスクとの関係の比較をした中において、我々は、今回は行って、残念ながら、そこで、誰々が生存している、この人は帰すという回答を得ることは今回は不可能ということは我々も承知をしているわけでありますが、特別調査委員会の責任者にしっかりと、我々の考え方、つまり、拉致問題が最優先であるということ等を直接伝えていくことに意義が、意味があるだろう、こう考えたところであります。

 同時に、かつて北朝鮮側が日本に伝えてきた八名死亡の方々の資料、先方が出した資料というのは、これはそれぞれ疑問があるということで、たくさんの疑問点を北朝鮮にぶつけてきているところでございます。あのときの立場はもう白紙に戻してということを今までも言ってきたわけでありますが、それを改めてしっかりと向こう側に伝えるとともに、こうした疑問点について直接トップにしっかりと伝えてこようということ等が今回の目的であった、こういうことであります。

 いずれにいたしましても、この問題の解決のためには、北朝鮮側が誠意を持って正直に全てを日本側に伝えてくることが絶対的に必要であるということでございます。

    〔萩生田委員長代理退席、委員長着席〕

中田委員 今お話にもありましたように、五月の二十八日の日朝政府間の協議、この合意の中においては四つあるんですね。邦人遺骨と墓地、墓参、残留日本人について、いわゆる日本人妻について、そして、何よりも我が国において最優先というふうに、これは総理も、また私たち全員が認識をしている拉致被害者及び行方不明者、この皆さんのきちっとした調査結果を求めていく、この四つが、いわば我々の、五月の二十八日に合意をした内容だと承知をしています。

 そうした中において、もう総理も御案内のとおりで、家族会や拉致議連からは、今回の訪朝ヒアリング、このことについてはかなり否定的な意見も出されました。拉致問題はそもそも外交事あるいは交渉事ではない、これはもう誘拐なんであって、拉致なんであって、そういう意味では、これは救出する、奪還であるということを考えれば、外務省が先頭でいいのかという話もありました。警察であるとか、あるいは、もうこれは完全に政治ということであれば、政治の任用によるこちら側の責任者が行くというようなこと、あるいは交渉に当たるというようなこと、こうしたことも話としては出てまいりました。

 ここら辺の、さまざま、今回行くべきではないという意見もあった中で、総理が、行って、中断させてはならないんだというふうにおっしゃったわけでありますけれども、今申し上げたような声を受けとめて、今後どういう報告を期待しているのかということをお聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私は、家族会の皆さんの御心配については痛いほどわかります。

 なぜそういう御心配をされるかといえば、これは二〇〇二年にさかのぼるわけでありますが、当時、外務省が国交正常化をいわば最優先させたのではないかという大きな、私もそういう疑いを副長官ではありながら持っていました。拉致問題を横に置いておいて正常化を行ってしまう、そうなれば、日本から、いわば戦後の補償、大きなお金が流れていくわけであります。そうなってしまっては私は二度と解決はできない、こう思っていたところであります。

 つまり、そういう意味においては、今の外交方針ははっきりしているわけでありまして、まずこの拉致問題を解決していくということが最優先になっている。

 今回も、さまざまな調査対象が、今おっしゃったようにあるわけでありまして、その中で拉致問題が埋没化していくのではないか、ほかの調査はちゃんとやっていますよということを北朝鮮がアピールすることによって、その中で日朝の交渉がどんどん進んでいくんではないかという御懸念も持っておられたんだろうと思いますが、私も、次世代の党の平沼代表を初め、与野党の責任者の方々にもお話をさせていただきました。また、山谷議員が家族会の皆様にも私の考えを説明したところでございますが、最終的には、安倍さんを信頼しているので任せます、しかし、しっかりと最終的に結論を出すべく全力を傾けてもらいたい、こういうことでございました。

中田委員 約束が日朝間で取り交わされてから四カ月が経過をしています。調査をしているといういわば期間がそれだけ経過をしているというわけでありますけれども、今回、既にきのう、伊原さんが、報告とはならないかもしれないというふうに発言をしていますけれども、報告はそもそも夏の終わりから秋というふうに北朝鮮側は言っていたわけであって、報告の時期というものをきちっと日本側から区切るべきではないですか。その点について、いかがでございますか。

安倍内閣総理大臣 我々、基本的には、一年以内ということで合意をしているわけでございます。その中におきまして、第一回目の報告を夏の終わりから秋の初めということで決まったところでございます。

 御承知のように、我々は、今、一部は解除しておりますが、その一部の制裁を行っていたときは各国と比べてもかなりきつい制裁をかけておりまして、という中において、なかなかこれ以上の手段というのがない中において、我々はできる限りの圧力をかけてきたところでございます。そうしたこともございまして、やっと扉が開いた。また、国際環境が変わっているということもあるわけでございます。

 ここで、では、期限を区切ってしまって、いついつまでにということを、この一年からさらに短く切るかどうかということは、これは今ここで申し上げることはできないのでございますが、我々も、交渉を進めていく上においてはさまざまなことを当然考えていかなければならない、このように思っております。

 まずは、伊原局長が今夕帰国をいたします。北朝鮮でございますから、それまでに例えば電話連絡等で報告を受けるということもできないわけでございますから、まず、帰国後、報告を受けたい、このように思うところでございます。

中田委員 この調査開始に伴って、日本側は三つの制裁を解除しました。人的往来、お金の流れ、それから人道目的の北朝鮮船籍の船舶の入港、こういったことについての制裁を解除しました。

 そこでお聞きをしたいんですが、今回、やはり北朝鮮が不誠実な対応であった場合、制裁をいま一度発動すべきだ、こう思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今、交渉の渦中でありますから、明確な答弁は差し控えさせていただきたいとは思いますが、この制裁というのは、かつて、二〇〇二年の状況、二〇〇四年の四月までの段階では日本独自の制裁というのは事実上ほとんどできなかったのでございますが、日本独自の制裁をやるための法律をつくるべきだとずっと主張してきたのは私であります。法案をつくる上においても、各党の協力を呼びかけて、私も主導した一人であるという自負を持っているわけでございまして、その制裁を本格的にかけたのも安倍政権のときでございました。

 そういうことも踏まえながら、当然、北朝鮮側も交渉してくるのではないか、このように考えているところでございます。

中田委員 当然、北朝鮮が不誠実であるという場合には制裁をまたやるということは考えているわけですよね。

安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、明確に我々が今何をやるかということについては、申し上げるのは控えさせていただきますが、我々にはさまざまな、今は選択肢があるということでございます。

中田委員 さまざまな選択肢があるということでありますから、どうにもこうにも北朝鮮が不誠実であるという場合は制裁をまた考えるということも含まれるということですよね。

安倍内閣総理大臣 ここは、まさに交渉をこれからも進めていかなければならないという局面でございますので、我々も慎重に言葉を選んでいるところでございますが、今まで私がとってきた立場等を当然北朝鮮側も考慮に入れながら、今までも、またこれからも対応するのではないか、このように思います。

中田委員 拉致被害者の会の家族の皆さんも含めて、やはりそういう場合は制裁をいま一度するべきであるという論は、これは強いわけであります。

 既に、行動対行動と言っていたのが言葉対行動になりかかっているんじゃないか、向こうは言葉だけだ、こういうふうにも思い始めているわけです、我々も。

 その意味においては、今総理がおっしゃった、私がこれまでとってきた行動、このことをこれからも、こういうふうに今発言があったわけですから、それは制裁をまたやるということもあるという理解をしてよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 理解は委員がされることでございますが、いわばまさに交渉においては、我々がどういう対応、何をするかということが向こう側が明らかでないということも一つの交渉の力になるわけでございますので、そこのところはこれ以上は控えさせていただきたい、こう思うところでございます。

中田委員 理解をいたしました。それはしっかりと、その際には制裁を再び発動することもあり得るんだというふうに、十分に先ほどの答弁でも理解はできましたけれども、御本人からより明確にしていただきたかったとは思います。

 ただ、総理、一つだけ、これも御所見をお伺いしておきたいと思うんですが、私の内閣で全面解決に向けて全力を尽くしてまいります、こういうふうに繰り返し総理はいわば決意を語っているわけでありますが、これはもちろん総理一人の責任ではありません。そして、総理のその決意というものは、ひとしく皆意識をし、家族会の皆さんも含めて信頼をしているわけでありますけれども、余りもうこのことはおっしゃらない方がよろしいかと思うんですね。北朝鮮はやはり足元を見ますよ。総理が、自分の内閣で何とか解決と言えば言うほど、そこはじらしますよ。

 先ほど総理が、国際環境も変化しています、こうおっしゃいましたけれども、総理の環境も変化しますね。総選挙も近くなるとか、毎日毎日それは近くなっているに違いないですよね。そして、こうやって、スキャンダルだ、やれ何だ、支持率がやれ何だ、こういうのもありますね。さまざま、環境の変化というのは必ず出てくるわけです。

 総理の決意はそのとおりでありますけれども、足元を見られて向こうにじりじりじりじりやられてもだめ。これは、誰が内閣を次に引き継ごうが、この問題は普遍的な、我々の優先順位としては最優先ですよ。

 そのことをむしろ私は言っていくべきで、総理が決意としておっしゃっているのは十分理解しますけれども、余りもうこれ以上おっしゃらないで、どんなになったって日本はこの件については絶対に許さない、必ず救い出す、このことをむしろ総理はおっしゃっていくべきだと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 それはまさにおっしゃるとおりでありまして、残念ながら安倍内閣で解決できないということになったとしても、日本の基本的な姿勢、しっかりと圧力に重心を置いた対話と圧力の姿勢は変わらないわけでございます。ここは大切なところなんだろう、こう思うわけであります。

 ただ、私が、安倍内閣の中において解決をしたい、こう申し上げたのは、拉致被害者の御家族の皆さんがだんだん御高齢になる中において、もう時間がないという思いの中で、何とかしてもらいたい、こういうことでございますから、拉致被害者の方々にも、私も長い長いおつき合いでございますから、私の政治生命もかけるとの思いで何とか解決をしていかなければならない、こう強く決意をしているところでございます。

 もちろん、外交交渉でありますから、足元を見られないようにしていくというのは当然大切なことでありますし、困っているのは北朝鮮側なわけでありますから、我々は別に、冬が来ても、国民が飢えるという状況にはなっていない。そこは、制裁がきいているからこそ、北朝鮮は対話を求めていく。

 そして、北朝鮮の未来は、我々が求めていることに対応していく、国際社会の要求に対応していくしか道がないわけでありますが、そこを完全に指導者が理解をするということにならないとこの問題は解決はしないということではないか、このように思います。

中田委員 時間も残りわずかでありますから、もう一つだけお聞きをします。

 日韓議員連盟が、先週でありますか、韓国を訪問しました。朴槿恵大統領と超党派の我が国の議員が面会をしたということでありまして、そこで、議員連盟のカウンターパートである韓国の国会議員と共同声明を出しています。これは十月の二十五日土曜日のことであります。

 その中に、日中韓三国共同教科書の実現ということがあったり、永住外国人に地方参政権を付与する法案の実現に向け、日本側は一層の努力をするという文言があったり、これが日韓の議員同士の間で共同声明として出されているわけでありますけれども、これはとんでもない話じゃないですか。

 これは安倍総理、どのようにお考えになられますか。

安倍内閣総理大臣 これは超党派の議員連盟であると承知をしております。超党派の議員連盟でありますから、その議員連盟の責任において韓国側の議員連盟と対応しているのであろう、このように思います。

 政府として、その議員連盟同士の合意等についてはコメントを控えさせていただきたいと思います。

中田委員 それでは、一般論としてもこれはお聞きをしておきたいと思いますが、参政権であります。

 憲法第十五条に、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」というふうに参政権そのものの定めがあるわけであります。当然ですけれども、参政権というのは、国、地方の選挙、これは選挙における選挙権、被選挙権ということであって、憲法において国民のまさに固有の権利というふうに、先ほどの条項というものはしっかりと明記をしているわけであります。

 そういう意味では、国民ではない者に付与するものであったり、さらには、これを分割して付与するというようなものではないというふうに思います。そのとおりですよね。大臣席で皆さんうなずいていただいているわけであります。

 ですから、一般論として、これは今の議連の話はおいておいて結構でありますけれども、国民固有の権利、それが参政権であって、これを分割したりするなど、こうしたことは考えられない、日本の国籍を有していない国民以外の人が参政権というものを持つことはあり得ないということで総理は当然お考えだと思いますし、これまでもそのように御発言をされてきたと思いますが、改めて確認をしておきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 憲法十五条には、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」このように明文規定があるわけでございます。

 外国人への地方参政権の付与の問題については、民主主義の根幹にかかわる大きな問題でありますので、各党各会派においてしっかりと御議論いただくことが必要であると考えております。

中田委員 この点、間違いのないようにしっかりとして、かじ取りをお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

大島委員長 これにて石原君、中田君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 ちょっと風邪ぎみで、日ごろの美しい声は出ませんが、お許し願いたいと思います。

 まず最初に、総理、昨年の臨時国会でもお尋ねをしたんですが、消費税を増税する前にはしっかり我々も身を削る、その一つに、当時は時限立法で復興財源の当てとして二割のカットを続けている、まずこれは継続してくださいということもお訴えをさせていただきました。しかしながら、残念なことに消費税は増税をされました。

 そこで、総理、お尋ねをしたいんですが、この予算委員会でもいろいろ議論がありますが、我々は、デフレ脱却、総理が言われる気、物すごく大事なことだと思っています。その気に水をかけることはならないと思っています。

 そこで、いわゆる実質賃金と物価上昇率の差がある、このタイムラグをどうするかということだと思いますが、我々は、そのタイムラグの間は増税すべきではない、このように思っておりますが、総理のお考えをお尋ねしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今、佐藤委員がおっしゃったことは、我々の政策において、物価安定目標に向かってじりじりと、物価が安定的にデフレから脱却し、そして安定的なインフレに向かっていくということでありますが、その中において、しっかりと賃金が追いつかなければならない。

 ただ、賃金が追いつくまでには少し時間がかかる。一方、それはやはりなるべくその時間を短くしなければならないということで、政労使の会議を開き、多くの企業もそれに応じてくれたわけでございます。

 一方、消費税の引き上げによって強制的に物価が上がっていくわけでございまして、そこには追いつくことが当然できないのでございますが、これは国民の皆様に、社会保障の経費として、維持するための経費として負担をしていただく。

 ただ、これが消費にどのような影響を与えたか、与え続けるかということも含めてよく慎重に判断をし、消費税を引き上げるか、あるいはそうではないのかということも考えていきたい、このように思います。

佐藤(正)委員 昨日、我が党の浅尾代表が、総理に面会をいただいて、今、消費税の凍結をすべきだという御提案をさせていただきました。ぜひ一考していただきたい、このように思います。

 それでは次に、我々みんなの党は、無駄な税金の使い道を根底から変える、やってはならない、こういうことを訴えて行政改革等を訴えてまいりました。当選して最初にこの予算委員会で、私が、公共工事の入札のあり方ということでエレベーター問題を取り扱わさせていただきました。きょうは、文科大臣、国交大臣がお見えでありますので、早速その質疑に入らせていただきたいと思います。

 まず、パネルを用意しましたので見ていただきたいと思います。

 このパネル一は、いわゆる一者応札ですね。これを前回から取り上げさせていただきました。エレベーター工事が一者応札になっている。この赤い数字が一者応札です。見ていただいたら、ほとんどが赤い。

 これは、全部の工事ではありません。約五年間のデータをそろえたんですけれども、そのうちの上位四十八件ということですが、上位四十八件を見てみますと、国立大学においては、この四十八件の四十八番目でさえ、落札率は何と九九%です。この上を見ていただくとわかりますが、一〇〇%入札が実は実在をしております。一〇〇%ですよ。

 さらに、私が提案をさせていただいて、今、太田大臣のもとでいろいろな提案を取り入れていただいて、公共工事のデータベース化、エレベーターのデータベース化をやるということで、それも取り組んでいただいています。ところが、それで幾らかでもこういう実態が改善できたのかなと思ったら、逆に、この一年間においては、一者応札の一〇〇%がふえているという実態であります。

 さらに、次のパネルを見ていただきますと、これは国土交通省のデータでありますが、五枚目の資料を見ていただければと思いますが、一者応札の推移を年平均でグラフにさせていただきました。

 これを見ますと、二〇〇九年の九月の政権交代から実は一者応札の率が下がってまいりました。ところが、二〇一二年の十二月の政権交代によって、また一者応札が伸びてきているというデータであります。これが何を意味するかはそれぞれ御想像していただければ、このように思います。

 次に、先ほど申し上げました国立大学の二十五年度分だけを取り上げてみました。

 これを見ていただきますと、先ほど言ったいわゆる一者応札の部分と一〇〇%入札がふえているというデータがあります。

 そこで、文部大臣、この状況について文部大臣はどのようにお考えでしょうか。

下村国務大臣 平成二十五年一月から十二月までの間に、国立大学法人におきまして五十八件のエレベーター工事を入札契約しており、平均落札率は九二%となっております。また、一者応札の割合は六五%、三十八件となっております。

 落札率が高い理由としては、特に既設エレベーターの部分改修では、メーカーごとに規格が異なり、既設メーカー以外の施工が難しいことや、安全に対する責任の所在の課題があることから、既設メーカーによる一者応札が多くなり、落札率が高くなっているものと思われます。

 一者応札となったエレベーター工事において、入札に参加しなかった業者の不参加理由としては、現場に配置する必要のある技術者が確保できないためというものが多いというふうに聞いております。

 文科省としては、一者応札の改善に向けて、国立大学法人に対し、入札に当たり、競争参加資格の緩和、十分な入札準備期間の確保、現場に配置する技術者の専任を要する期間の明示に努めるなど、入札参加を希望する者が多く競争に参加できるよう、要請をさらにしてまいりたいと思います。

佐藤(正)委員 簡単に言うと、監理技術者の数が少ないから一者応札が多いんですよということと、エレベーターですから、そのエレベーターを改修する、だから前のエレベーターのメーカーじゃないと困りますよということだと思いますね。

 では、それをまず、このパネル六を見ていただきますと、これはどういうことが書いてあるかといいますと、そうはいいつつ、上の段を見ていただいたら、これは新設ですから、既存のメーカーは関係ないんですね。新設であって、八の入札のうち六件が一者応札です。

 さらに、実は二番目の段、これはエレベーターと枠とレールも、全て解体して持ち出すんです。だから、基本的には全部新設と同じなんです。だから、既存のメーカーがやらなきゃならないという工事ではないんです。ということは、これもほぼ新設に近い。新設よりも、逆に解体する分のお金がかかるということですね。

 そして、三番目は、一部を残すんですが、これも基本的には既存のメーカーではなくてできる改修工事なんです。だから、多分、文部科学省の方々はメーカーの方から言われたことをうのみにされているんだろうと思います。

 それともう一つ、技術者の確保についてでありますが、これは、太田大臣のもとで緩和措置を随分とっています。太田大臣、その緩和措置について。

太田国務大臣 御指摘のように、昨年来御指摘もいただいておりますが、エレベーター工事における競争性の確保というものは極めて重要だという認識をしておりまして、先ほどからありました現場代理人の常駐義務ということについて、昨年の七月、入札への参加をより容易にするために現場代理人の常駐義務を緩和するように、国や地方公共団体に対しまして協力を要請いたしました。今後も引き続きこの働きかけを行ってまいりたい、このように考えております。

 さらにまた、普及型の、同じような形のエレベーターというのが、それぞれのエレベーターが違うというのも、大規模なものはほとんどなんですけれども、同じように三階建てとか四階建てで、同じものだというような、普及型のエレベーターというのもございますので、この普及型エレベーターについては、佐藤委員の御指摘を受けまして、昨年の十月に、建築工事との一括発注を試行するという対応策を取りまとめまして、鋭意、現在取り組んでいるところでございます。

 現在までに六件の試行を行っておりまして、発注済みの四件については複数者の応札が現実に行われているという状況です。

 今後も、エレベーターは危険ということのないように、品質あるいは安全性の状況も含めましてしっかりと検証してまいりたいというふうに思いますし、競争性を確保するということは大事なことですから、それらの措置をとりたい、このように考えております。

佐藤(正)委員 これは、なぜこんなことを言っているかといったら、税金なんですよね。

 文部大臣、この数字を見て、一〇〇%応札が一年間に何度も何度もある。そして平均落札率が先ほど言ったように九六%ぐらいですか。(発言する者あり)九二%ですかね。ここにあるのは、もう九九%がはべりついている。

 こんな入札結果を見て、何も不思議だとは思われないんでしょうか。いかがでしょうか。

下村国務大臣 佐藤委員のおっしゃっていることはそのとおりだと私も思います。

 役所の方で聞きましたら、特にエレベーターというのはメーカーごとに規格が異なっている、だから既設メーカー以外の施工が難しいということを聞きました。

 先ほど御指摘があったように、新規の場合は関係ない、おっしゃるとおりでありまして、改めて文部科学省として、一者応札の改善に向けて、国立大学法人に対し、入札のあり方について、競争参加資格の緩和、十分な入札準備期間の確保、現場に配置する技術者の専任を要する期間の明示に努めると話を申し上げましたが、より入札参加希望が広く競争としてできるような体制をとるようにしっかり指導してまいりたいと思います。

佐藤(正)委員 大臣、それは、去年も同じようなことを言われています。ですから、この場で、国交大臣は明確なお答えを出されなくて、国交委員会でこの問題を再度させていただいたときに、今、文部大臣が言われたような趣旨を踏まえて政策を打っていただいたんですよ。

 だから、技術者が云々とか、メーカーがつけていたらそのメーカーのままじゃないとだめだとかいったのは、このデータを見ていただいたら、違うということが明確にわかるんですね。

 文部省の方にお尋ねをすると、大学の方からどうのこうのという、その大学も、私は九州の大学を一軒ずつ回ったんですよ、全て。全て回って全部見てきましたよ。そもそも仕様が違うのどうのこうのと、最初はそこですよ。ところが、見て、全部写真も撮ってきましたが、皆さん考えていただきたいんですけれども、普通の公立大学でシャンデリアのついたエレベーターをつけたりしますか。しませんよ。仕様は一緒です。

 それからもう一点、ちょっと今回見ていて、非常に不思議な大学がありました。それは名古屋大学です。

 名古屋大学も、これも既存のメーカーがそのまま入札していますが、これも一〇〇%入札です。ここの工事は、実は二つの工事があると思ってください。Aという工事とBという工事、それを一緒にしているわけですけれども、Aという工事は、間違いなく既存のメーカーでなければできない、補強工事だから、当然、これは前につけたメーカーさんで何もおかしいことはないんです。ところが、もう一つの方は、改修で、どこでもできる工事なんですね。要するに、解体をして取りかえるという工事です。

 ところが、そのときに、この入札結果を見ると、なぜか昇降機メーカーではない、ここには株式会社鴻池組と書いてありますけれども、本来なら入札には入ってこないメンバーが入って入札をしている。これは、今までの国交省のエレベーターでも、文科省のエレベーターでも、調べてもこんなところはないんです。初めてのケース。

 私は、あえて言うならば、まさにこれは、ある意味では随契でもよかったと思うんですね。工事を二つに分ければ、一つはちゃんとした入札になるんでしょう。しかし、そのメーカーしかできない工事というのは、実はあるんです。本体を使って、それに補強をするとなると、そのメーカーの部分でなければだめなんです。いわゆる一者応札がまかりならぬといったら、こういう形で二者応札にするというのは、これは恣意的にやらなきゃできないと私は思います。そんな見せかけの入札をして、税金を使ってほしくない。文部大臣、ぜひここは調査をしていただけませんか。

下村国務大臣 御指摘のことについて、名古屋大学に確認したところ、平成二十五年六月に契約された医学部附属病院の既設エレベーターの改修工事の競争参加資格の件であると思いますが、建築一式工事または機械器具設置工事となっており、競争参加資格をそのようにした理由は、機械器具設置工事のみとすると、参加者が限られ、競争性が発揮されないおそれがあると考えたというふうに聞いておりますが、しかし、今委員がおっしゃったとおり、この名古屋大学のやり方は非常に不適切だったというふうに思います。しっかり指導してまいりたいと思います。

佐藤(正)委員 ぜひしっかり指導していただいて、しっかり調査をしていただきたいと思います。

 大学のデータをずっと見ていますと、まあ一〇〇%もあるわ一者応札が多いわ、そしてすみ分けができているという。前につけたメーカーだったら前につけたメーカーのところが同じようにやる。だから、よその企業は入ってこない。逆に言えば、談合の疑いがあると言ってもおかしくないと思うんですね。

 それが、先ほど私が見せた資料で、このパネル六を見ていただくと、真ん中の段に「業者名」と書いています。HとかTとかOとか書いています。これを並べてみますとよくわかると思うんですね。一者応札で、同じ、T、T、O、Oとなっていますよ。これはまさに、同じメーカーが指定席でいるということなんです。こういうケースが多い。

 そしてこれは、実は文科省には以前から指摘をされているんです。民間の方から指摘を受けています。しかし、しっかりとした調査をやっているのかどうなのか。その民間の方というのは、ここにある大手のメーカーのOBです。この方が情報開示を求めて、いろいろなデータを取り上げてきて、何とか税金の無駄遣いをやめてほしいと。

 そして、このエレベーターの価格を決めるに当たって、どうやって価格を決めているのか、御存じでしょうか、文部大臣。要するに、見積もりをとって、そしてその中で最低の見積もりに対して、査定率、掛け率を掛けるんですね、掛け率を。そして予定価格というのを出すんです。

 だから、本当は一〇〇%なんかあり得ないんですよ。わかるはずがない、そんなの。どこが見積もりを出して、どこの見積もりを選んだかなんてわからないんだから。それに、なおかつ掛け率を掛ける。

 その掛け率は、例えば文科省であったらどうやって掛け率を決めるんですかとお尋ねをさせていただきました。そうしたら、自分の大学の実績や近隣の大学から情報をとってやりますよというんですね。ところが、それを、査定率を全部調べていくと、とんでもない事実がわかるんです。

 例えば秋田大学。秋田大学はパネル十一ですね。これは物すごくわかりやすいんですけれども、全く同じ性能のエレベーターでありながら、五層、五停止するエレベーターが、予定価格では一千六百八万円。ところが、九停止、いわゆる九層ですね、九層いくところは一千百六十一万。どっちが安くてどっちが高いのか、皆さん、わかるでしょう。

 五階建てのエレベーターと九階建てのエレベーター。九階建てのエレベーターが安くて、五階建てのエレベーターが高いんです。これは秋田大学。そして、落札価格もこれと同じように連動しています。

 これは、秋田大学が自分の大学の実績を調べてやるとすれば、こんなことはあり得ないでしょう。こんなデータがわかっているんだったら。

 だから、文科省が言われるのは、大学が言われるのは、自分の大学の実績を参考にして予定価格の数値を決めていますというのであれば、先にやった秋田大学の九階、九層の分の方が安くて、五層の分が高いなんていうのはあり得ない話なんです。

 さらにまた、近隣の大学から情報を聞いてやる。近隣の大学も調べてみましたが、そうすると、例えば近隣の大学で、大阪大学と京都大学を比べたら査定率が違う。それから、東京大学と東京農工大学ですか、これも査定率が近場なのに倍違うんですよ。こんなのというのは全て、大学が言っていることがことごとくおかしいということがわかるんです。

 文部大臣、やはりこれは各大学、調査をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 まず、今の秋田大学の例でありますけれども、事務方の調査では、この秋田大学、二つのエレベーターがある。停止階数が九の病棟用エレベーターは十三台を一括で契約をしている。一方、停止階数が五のヘリポート用エレベーターは一台のみの契約であることなどから割高になっているのではないかというふうに、そのエレベーターの詳細な性能と価格との関係を検証しなければ、割高であるかどうかという判断は一概には困難であるということですが、今御指摘されましたので、私自身、改めて検証いたします。

佐藤(正)委員 ああ言えばこう言うで理屈をつけるんですね。今言われた理屈は、商取引で聞いたら絶対あり得ないです、エレベーターの場合は。ないんです、実際は。それはなぜなら、ここでデータをもう一度全部見ていけばいいです。きょうは時間がありませんから、時間があれば今言ったことをきれいにデータで御説明しても構いません。だから、しっかりと大学は調べていただかないといけないと思います。

 そして、エレベーターで、大口でも一億以上のエレベーターだってある。ところが、これは国交省の部分に入るんですけれども、こんなこともあります。

 二十億円で見積もりを出しておいて、落札したのは四億五千万ですよ。しかも、それは同じ、見積もりを出したところが二十億で出して四億五千万で落札するんです。ところが、予定価格に九七%以上ということは、予定価格は五億以内ということです。普通に考えて、二十億で、あなた、ビルを買いませんかと言われて、いや、四億五千万でいいというのは、何かおかしいと思いませんか。これが当たり前の常識だと思います。

 そういったことも踏まえながら、このエレベーター問題、まだまだ奥が深いのでやっていきたいと思いますが、ぜひ、疑わしいものはしっかりと精査をして、データ化をするというふうにこれまでも言われておりますので、しっかりやっていただきたいと思います。

 最後になりますが、国交大臣、私がこれまで提言をさせていただきまして、国交省がどのような取り組みをこれまでされてきたのか、そして、その件について今どの辺まで進捗をしているのか、お尋ねをしたいと思います。

太田国務大臣 先ほどお話をさせていただきましたが、競争性を高めるということが一番大事という上で、現場代理人の常駐義務の緩和ということについて昨年七月からやらせていただいている。それから、普及型エレベーターについての建築工事との一括発注の試行を始めたということがもう一つ。それからもう一つは、いわゆる総合評価ということ等につきましても、あるいはまた、特にエレベーター設備工事等の価格の情報のデータベース化、これについては今精力的にやって、提示をして始まっているところでございます。

佐藤(正)委員 あと、文科大臣に一点だけ要望して、質問を終わります。

 国交省の所管のエレベーターについては、情報開示で、先ほどの入札の予定価格を決めるための見積額、何社かとるんです。その見積額も、国土交通省は情報を開示しています。各大学はノーです。

 なぜそれを隠さなきゃならないのか全くわかりませんが、国土交通省がやっているように各大学もやるべきだと思いますし、ことしの十月一日には、内閣府からその情報開示の答申が出ています。これまでの文部科学省が言っている予定価格はおかしいという答申です。それは、私がこの国会で質問した結果によって、一者応札等々、一〇〇%入札がある、だからおかしい、だから開示すべきだという答申が出ています。ぜひ、それを踏まえて御指導願いたいと思います。

 終わります。

大島委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、宮沢経済産業大臣。経産省が監督する企業である東京電力の株式六百株を保有している問題について、大臣は一昨日の国会答弁でこう答えました。この会社の株をともかく手放すわけにはいかない、ずっと持ち続けようという決断をした、それが東電を応援するような気持ちでということだったと思う、こう言われました。

 この大臣が言われた東電を応援するような気持ちというのは、一体どういう気持ちですか。

宮沢国務大臣 私は東電株六百株を持っておりまして、あの地震の前に六百株となったわけでございますけれども、あの地震が起きました、そして原子力災害が起きた、そういう中で、これからのまさに東電というのは、ある意味で国策会社となって、賠償また廃炉等についてしっかりこれからやっていただかなければいけない会社になったと思いまして、ともかく、売ろうかなという気持ちが当時なかったわけではなかったんですけれども、私はもうこれを、そういった意味の、大変重要な会社の株は政治家として手放すわけにいかないな、ずっと持っていよう、そういうふうに思った次第でございます。

笠井委員 しっかり東電にやってもらうことが必要だというので、それが東電の株を持ち続けることじゃないんですよ、大臣として。

 東電といえば、福島第一原発事故で放射能をばらまいて、そして、いまだに十二万人もの人々が避難生活を余儀なくされている、福島県民にとっては、今は加害企業であります。その社会的責任を追及して、収束、廃炉などで事業者としての責任をしっかり果たさせるというのが監督大臣としての仕事でありまして、それを、東電の株を保有し続けて支援する、そういうことで、それが問題だということを感じないということ、まさにそこに自覚がないというのが大問題だと私は言いたいと思います。

 まさに今、そういう中で安倍政権の原発政策自体が問われている。その最たるものが、全国の原発再稼働の突破口として九州電力川内原発の再稼働を進めようとしていることであります。

 そこで、二つの点をただしたいと思います。

 一つは、火山の巨大噴火への備えの問題なんです。川内原発周辺には、巨大噴火の可能性がある五つのカルデラがあります。九州電力はそれに関連して、みずから巨大噴火を予知して、予知された時点で原子炉をとめて核燃料を運び出すとして、原子力規制委員会はそれで合格だとしているわけであります。

 十月一日の衆議院本会議で我が党の志位委員長が、「巨大噴火が数年単位で予知できるという科学的知見が一体どこにあるのか、具体的に提示していただきたい。」とただしましたが、安倍総理はそれに対して、火山による影響について原子力規制委員会が厳格な審査を行っており、再稼働に求められる安全性は確保されていると考えていると答弁されました。

 そして、答弁しながら、予知についての科学的知見はあるのかという問いに対しては何一つ示されなかったわけですが、そこで、総理の答弁ですので総理に改めて伺いますが、この予知について、どういう科学的知見があるというふうに総理は認識されているんでしょうか。

田中政府特別補佐人 私の方からお答えさせていただきます。

 先生御指摘のようなカルデラ噴火ですが、こういったいわゆる超巨大噴火が発生すると、九州全域に壊滅的な被害をもたらすような噴火になります。こういった場合は、地下のマグマの状況とか過去の噴火履歴等を総合的に検討して、川内原発の運用期間中に影響が及ぶ可能性は十分小さいという判断をして私どもは認可したものでございます。

 その上で、念には念を入れて、現在の状況が特に大きな変化がないことを継続的に確認するために、火山活動のモニタリングを実施することを事業者に求めております。

 一般論になりますけれども、破局的な噴火の際には、地下からのマグマの供給量、大体数百立法キロメートルというからとてつもない量になるわけでございますけれども、こういった供給量が大きく増加すると考えられる場合には、GPSによる火山周辺の地殻変動の観測等を行うことによって、破局的な噴火の兆候を捉えることが可能であろうというふうに考えられております。

 原子力規制委員会としましても、モニタリングによって異常な事象を観測した段階では、結果として噴火に至らなくても、原子炉の停止の措置を速やかに行うなど、今後も厳重に事業者を監視し、そのことを指導していきたいと考えております。

笠井委員 私は国会の本会議答弁で総理が答弁したことに関連して総理に伺ったので、総理、一言どうですか、端的に。

安倍内閣総理大臣 川内原発の火山対策については、原子力規制委員会が、先月の御嶽山で発生したよりもはるかに大きい規模の噴火が周辺の火山で起こることを前提に、それでも火砕流が敷地に到達しないこと、また、火山灰が積もっても原子炉の安全性を損なわないことを確認しています。

 他方、九州全域に壊滅的な被害をもたらすような破局的な噴火については、原子力規制委員会が、地下のマグマの状況や過去の噴火履歴等を総合的に検討した結果、川内原発の運用期間中に起こる可能性は十分小さいと判断をしています。

 その上で、念には念を入れなければなりません。破局的噴火が起こる可能性が十分小さいという現在の状況に変化がないことを継続的に確認するために、火山活動のモニタリングを実施することとしております。

 モニタリングで状況に変化が生じた場合には、早い段階で原子炉の停止を命じるなど、原子力規制委員会において安全サイドの対応がしっかりと行われることになると承知をしております。

笠井委員 この巨大噴火があったとき、対策でどうするかと検討しているわけですよね。

 それで、原子力規制委員会が火山学上の知見を集めて判断に誤りなきようにするためにつくった専門家の検討チームの会合では、二回やっていますけれども、噴火予知は無理という意見であります。

 気象庁の火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣東大名誉教授は、前兆現象を数年前に把握できた例は世界にないとまで断言しているわけです。

 ところが、九州電力が提出して、規制委員会がこれを了とした、今審査している保安規定ですけれども、審査中ですが、これには、九電の原子力土木建築部長が火山活動のモニタリングをして社長に報告する、そして、危ないと判断したら、社長の指示のもとに核燃料等を運び出すなどという手順が書かれているわけであります。

 総理、火山学の専門家たちがこぞって噴火予知の前兆現象の把握もできないと言っているものを、九州電力はできると言っているんですけれども、これは科学的だと思われますか。総理の認識を伺いたいんです、総理。

大島委員長 田中原子力規制委員会委員長。(発言する者あり)

 お静かに。

田中政府特別補佐人 私ども委員会に設けました原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チームでは、有識者の意見を御紹介しますと、現在の火山学上の知見では、モニタリングによって破局的な噴火の時期や規模を正確に予測することは困難であると言っております。モニタリングで異常が認められたとしても、それを破局的な噴火の予兆と判断できるかも懸念があるという意見は伺っております。しかし、一方では、破局的な噴火には何らかの前駆現象が発生する可能性が高いと。

 逆に言いますと、これまでにそういったカルデラ噴火というような破局的な噴火についての研究はまだ十分に進んでいないということになりますけれども、そういうことから、何らかの異常が検知された場合、原子力規制委員会も、仮に空振り、噴火をしないということも覚悟の上で、そういった可能性を考慮した措置を事業者に命ずる、講ずることにしております。

笠井委員 専門家ができないと認めたんですよ、今。それで、研究も進んでいないと言ったんですよ。だったら、それで本当に、九電はできます、私たちがやりますなんて、そんなことは言えないじゃないですか。

 さらに、実際に噴火があった場合どうするか。九州電力の提出した保安規定では、核燃料をどこに、どうやって、いつまでに運び出すか、記載はない。今後具体化するということであります。

 核燃料は、冷却しないまま運び出せるわけではありません。その具体的な方法、タイムスケジュールがなければ、幾らモニタリングで予知したとしても意味がない。まさに肝の問題であります。

 結局、九電がモニタリングして搬出するから大丈夫と言っているものを、原子力規制委員会は、それをオーケー、合格としただけで、そういう方向で全体としてやっているだけで、具体的なものは全てこれからと。未完成そのものじゃないですか。

 総理、これは総理に答えていただきたいんですが、厳格な審査を規制委員会がやったから再稼働に求められる安全性は確保されていると言うけれども、未完成で、ずさんで、どうなるかわからないと言っているのに、どうしてそれで安全性が確保されたと総理は言われるんですか。これは総理。

安倍内閣総理大臣 破局的な噴火というのは、まさに九州全域にマグマが流れるという、まさに破局的な、九州全域が壊滅的な被害を受ける、そういう前提において話をする必要もあるんだろう、こう思うわけでございますが、九電は、過去の火山活動履歴やGPSによる地殻変動観測といった地球物理学的調査等によって、川内原発の運用期間中に発電所に火砕流が到達するような巨大噴火が起こる可能性について十分小さいと評価。この評価を、原子力規制委員会は火山影響評価ガイドに基づいて審査し、妥当であると判断したわけであります。

 その上で、今申し上げた、九電は、御嶽山の噴火よりもはるかにはるかに大きい、はるかに大きい規模の噴火が起きた場合でも火砕流が到達せず、火山灰が積もっても原子炉の安全性を損なわないと評価。この評価を原子力規制委員会は妥当であると判断したわけであります。

 また、九電は、巨大噴火、先ほど申し上げたのが巨大噴火でありますが、巨大噴火の可能性が十分小さいことを継続的に確認することを目的としてモニタリングを行い、噴火の可能性につながるモニタリング結果が観測された場合に、必要な判断、対応を、これは原子炉の運転停止や燃料体等の搬出等でありますが、行うとの方針でありまして、この方針を原子力規制委員会も確認しているということでございます。

笠井委員 専門家ができないということを言っていると規制委員長は認められて、できないと言っているのを、今総理の答弁を伺っていると、専門家よりも九電の方を信頼している、九電はできると言っている、だから規制委員会もオーケーしたと。

 まさにそういう問題で、確率だって、最近でいったら、百年に一%の確率、阪神・淡路大震災の確率とほぼ同じという研究結果も出ているんですよ。それなのに、九電が言っているから大丈夫というのは、まさに安全神話になってくる。

 もう一つは、避難計画です。

 内閣府が九月十二日にまとめた緊急時対応の中では、避難に要する時間は一切示されておりません。

 安倍総理は、衆議院本会議の答弁で、具体的な手順、行政区ごとの避難先の施設、複数の避難経路、必要な輸送バスの確保策が細部まで練られており、全体として、十分に具体的な内容になっている、こう答えられました。しかし、避難にどれぐらいの時間がかかるかについては、全く答えられませんでした。

 総理が原子力防災会議で、具体的かつ合理的なものとなっているということをワーキングチームで確認して、それで了承したという避難計画の中では、一体、何時間で避難が完了するというふうになっているんですか。改めて伺いたいと思います。

望月国務大臣 五キロ圏内のPAZの住民の避難完了に要する時間は、さまざまな条件を設定した鹿児島県の推定によれば、おおむね五時間から十六時間という結果と承知をしております。

 五キロ圏以遠のUPZについては、緊急時モニタリングの結果を踏まえて、毎時二十マイクロシーベルトを超える地域については、一週間程度以内で一時移転をしていただくことになっております。

笠井委員 鹿児島県でそう言っていることについて、それで大丈夫だ、いろいろな条件を加えても大丈夫だというふうに総理は了承されたわけですか。

望月国務大臣 お答えします。

 避難計画を含む川内地域の緊急時対応は、要援護者を含む住民の避難や屋内退避の実施について、人数の把握、それからまた一時集合場所の指定など避難の手順、それから行政区ごとの避難先の施設、複数の避難経路、それから必要な輸送バスの確保が細部にまで練られておりまして、全体として、具体的な内容になっております。

 また、川内原発の規制委員会の調査、審査では、短時間で放射性物質の放出に至る重大事故を想定した上で、その場合でも、新規制基準で求めたさまざまな対策によって、環境への放射性物質の放出量は、福島の原発事故と比べてはるかに低いレベルに抑えることができることを原子力規制委員会が確認しております。

 この結果、川内原発の五キロ圏内では、避難または屋内退去や沃素剤の服用を実施することによって、緊急時の住民の被曝について、IAEAの基準よりも十分に低いレベルに住民の被曝を抑制できると考えられております。

 さらに、五キロから三十キロ圏内については、屋内退避を実施することによって、IAEAの基準よりも十分に低いレベルに住民の被曝を抑制できると考えられます。

 いずれにいたしましても、IAEAの国際基準を踏まえた原子力規制委員会の指針に従って、原発からの距離に応じて、避難を初めとする防護措置を実施する合理的な内容となっております。

笠井委員 望月大臣、現場に行かれて、具体的にちゃんとつぶさに実態を見ましたか。大変なんですよ。自分たちは、そんなことはとてもできないという話なんですよ。五キロ内でおおむね数時間から十何時間とか、本当にできるのか、みんなできないという話になっている。三十キロ圏内だって一週間とかそんな話をしていて、そんな単位でいいのかという問題になってくるんですよ。これで本当に合理的で十分なんて、とんでもない話だ。

 パネルを持ってまいりましたが、私は、二月の予算委員会でもこれに関連した資料でただしましたけれども、川内原発で重大事故が起きたら被曝することなく避難ができるかという問題。

 重大事故が起こったら、メルトダウンが開始するのが、つまり炉心溶融が始まるのが十九分後、格納容器からの放射能漏えいが始まる、原子炉容器が破損するのが九十分後。事故が起きてからですよ。こういうオーダーの話になっているというのは、これは私が言っているんじゃないんです、九州電力自身が、コンピューターによる解析結果によって、事故が起きたらこういうことになるということを言っているわけで、数時間から十数時間とか一週間とか、そんな話じゃないんですよ。時間との争いなんですね。

 そういう限られた時間内に避難ができると約束できるのか。おおむねとか、大体とか、こうやってとか、まあ何とかなりますみたいな話じゃないんですよね。それもはっきり書いて、具体的に、一人一人がどうするか、要援護者はどうするか、時間軸でどうするかという計画もないのに、総理、どうしてそれで具体的かつ合理的と言えるんですか。

安倍内閣総理大臣 まさに、笠井委員の御指摘もございました。しっかりとそういうさまざまな状況におられる方ごとにちゃんと避難計画を策定していくように、このように指示をしているところでございますが、指示というか、そういう方向で避難計画をつくっているところであります。

 避難計画を含む川内地域の緊急時対応は、住民の避難や屋内退避の実施について、要援護者の所在場所とそれぞれの場所での人数の把握、一時集合場所の指定など、避難の手順、そして行政区ごとの避難先の施設、そして複数の避難経路、さらには必要な輸送バスの確保策が細部まで練られています。全体として、これは極めて具体的な内容になってきている、このように思います。

 また、川内原発の審査では、短時間で放射性物質の放出に至る厳しい重大事故を想定した上で、その場合でも、新規制基準で求めたさまざまな対策によって、これは非常に厳しい規制基準をクリアしなければ稼働はできませんから、そうした対策によって、環境への放射性物質の放出量は、福島原発事故と比べてはるかに低いレベルに抑えることができることを原子力規制委員会が確認しているところであります。

 この結果、川内原発の五キロ圏内では、避難または屋内退避や沃素剤の服用を実施することによって、緊急時の住民の被曝について、IAEAの基準よりも十分に低いレベルに住民の被曝を抑制できると考えられます。さらに、五キロから三十キロ圏内については、屋内退避を実施することによって、IAEAの基準よりも十分に低いレベルに住民の被曝を抑制できると考えられます。

 いずれにいたしましても、IAEAの国際基準を踏まえた原子力規制委員会の指針に沿って、原発からの距離に応じて、避難を初めとする防護措置を実施する合理的な内容となっております。

 しかし、同時に、万が一の原発事故の際に住民の方々が安全に退避できるよう、関係自治体とともに、退避計画を含む川内地域の応急時対応について、要援護者の所在場所とそれぞれの場所での人数の把握、行政区ごとの避難先の施設の決定、複数の避難経路の策定等々、先ほど申し上げたとおりでありますが、具体化を図ったところであります。

 もちろん、防災対策において、絶対に安全といった安全神話をつくることがあってはならないのは当然のことでございまして、避難計画などの緊急時の対応に、これで完璧やこれで終わりということはなく、継続的に充実強化に努めていくことが重要である、このように認識をしております。

笠井委員 最後に言われたように、要するに、これで終わりで、完璧じゃないんですよ。未完成ということなんです。それで、今、事故の対応だって、福島よりも大きくならないと言うけれども、どういう事故になるかだってわからないわけですよ。

 そういう形で、十分練られていると言うけれども、では、何時間というのはちゃんとつくっていきますということしか大臣、総理は言われなかったわけで、結局、何日もかかって避難している最中に放射性物質を浴びてしまったらいけない。そうならないうちに完了しないと意味がないわけですよ。計画だってまだ未完成という問題で、これで具体的、合理的なんて到底言えないというふうに言いたいと思います。

 この問題にかかわって、国の職員が鹿児島県に三人、薩摩川内市に二人、合計五人が派遣されていると思いますが、これらの職員は現地で何をやっているか、端的に答えてください。

宮沢国務大臣 当省の職員を五名、九月一日付で原子力防災を所管する内閣府の併任を発令し、鹿児島県に三名、薩摩川内市に二名派遣しております。

 まず……(笠井委員「端的に言ってください、何をやっているのか。目的」と呼ぶ)はい。

 内閣府の職員として、防災・避難計画の充実に向けた取り組みが本格化していることを踏まえて、その支援を強化しております。

 また、経産省の職員としては、立地自治体等関係者とエネルギー政策について意見交換等を行っております。

笠井委員 その一覧がこのパネルです、経産省からの資料で作成をしましたが。

 内閣府の担当者が避難計画支援のため、そしてエネルギー政策について経産省という話で言われましたけれども、いずれも経産省との併任で、原発推進を任務とする担当者ばかりであります。ここにあるように、資源エネルギー庁の原子力発電立地対策・広報室長を初め、そういうメンバーと補佐、鹿児島県ではこの三名でありますけれども、避難計画の専門家という人は入っていないんですか、避難計画をつくるのに。これはみんな経産省の原発推進のメンバーですね。

宮沢国務大臣 このような業務ができる職員が経産省の方にたくさんいるということで、内閣府に併任ということで出ておりますけれども、実際に行っている仕事は、五分五分というような話ではなくて、相当割合は内閣府の職員として、鹿児島県及び薩摩川内市の支援をして、地域防災・避難計画につきまして、自治体の要望を把握して内閣府につなぐ、こういうような仕事が大半でございます。

笠井委員 ごまかしちゃだめですよ。

 ここに、派遣された五人の職員が、どの期間、誰がどこに行って、どんな仕事をしたかという用務の一覧をもらいました。

 経産省が出したものでありますが、これを見ると、大部分が避難計画をつくっていると言われたけれども、ここで、九月三日から十月二十四日までの間に、それぞれ県庁とか関係自治体に行っていますが、その用務、仕事の内容は、ほとんど全部、エネルギー政策についての意見交換。避難計画をつくっているなんてどこにも、一言も書いていないですよ。やっているんですか。そういう問題じゃないですか。

 しかも、五人の筆頭の併任の役職である原子力発電立地対策・広報室長でありますけれども、このポストといえば、二〇〇八年の八月に開かれた北海道電力泊原発に関係するシンポで、やらせの依頼や動員要請を行った理由で、二〇一一年十月に戒告処分を受けたのがまさにこのポストであります。

 そういうポストであることは確認できますね。その確認だけ言ってください。そういうことで処分を受けたポストかどうか。

宮沢国務大臣 エネルギー政策に関することということがこの目的に書かれておりましたのは、実はこれは予算上の理由がございまして、予算、要するに派遣の予算につきましては、これはいろいろな理由があったんだろうと思います。両省庁にのっけるというわけにはいかないわけでございまして、経産省のまさに予算から提出する関係でこういうような、全部が目的になっている、こういうことでございます。

笠井委員 でも、何一つそういう証拠がないんですよ、避難計画づくりをやったという。

 国の支援として派遣されている、そういうことでありますけれども、避難計画の専門家なのかと。当時の処分の内容がありますよ。まさにそのことが書いてあるんです、私が言った中で。これは政府の文書。

 まさに、この避難計画づくりの専門家どころか、やらせ説明会の専門家ではないかと言われても仕方がない。現に、今回、五カ所の説明会では不自然なことがたくさんあったと。参加者の共通した受けとめです。

 九電といえば、玄海原発やらせメール。再稼働への賛成意見が多数になるようにメールを組織した。私がこの場で二〇一一年七月に追及して、問題になって、結局、九電は再稼働をやらなかった、きっかけになりましたけれども、今度も結局、そういうことでやっているんじゃないですか。

 総理、こんなことでいいのか、徹底して調査すべきだと思うんですが、どうですか。

大島委員長 望月防災担当大臣、明確に、きちっと答えなさい。

望月国務大臣 はい。

 派遣されている五名の、委員の御質問でございましたけれども、我々が担当しております内閣府の職員として、現地でしっかりと川内原発における地域防災計画、避難計画の充実支援を行っているところでございます。

 具体的にお話をさせていただきますが、例えば自衛隊で支援体制について確認を、第八師団が全力を挙げてというような形の取り組む姿勢をやらせていただいておりますし、また、さまざま、第十管区保安本部、県警本部、国土交通省地方整備局等、この連絡をしっかりとやっていただいているところでございます。

笠井委員 この五人を併任にする任命権者は、総理、あなたですね。

望月国務大臣 内閣府でございます。

笠井委員 違います。総理です。ここにあります。(資料を示す)五人の併任、任命権者、九月一日、内閣総理大臣安倍晋三と、判こが押してあるんですよ。署名してあるんですよ。

 総理が任命して、併任やって、何をやっているのかが問題になっている。本当に避難計画をつくっているのかが問題になっているんですよ。何とかしますよとかと、そういう話をやったという話まで伝わったりしていますけれども、総理の責任で、実際この五人が何をやっているのか。本当に、さっき言われたみたいな避難計画づくりを一生懸命やっているのか。それともやらせをやっているのか。これはあなたの責任で、ちゃんと調べて報告すべきじゃないですか。総理が任命したんですから、これ。ちゃんとやっているかどうか調べてください。

安倍内閣総理大臣 内閣府の担当大臣としての総理として任命をしているわけでございますが、当然、避難計画、大切でありますから、しっかりと職務に精励するように、それは、常に我々職務に精励するように指示をしているところでございますが、今後もしっかりと対応していくように指示をしていきたい、このように思います。

笠井委員 終わりますが、こんなことで再稼働はとんでもない、絶対にやめるべきだということで、申し上げます。徹底して調べるべきだと。

 終わります。

大島委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 まず議論したいのは、四月の消費税増税後の景気の落ち込みは想定内なのかどうかということであります。

 申すまでもなく、内閣府発表の四半期の数値を見れば、八月十三日は、速報値ですが、これは実質マイナス一・七、年率でマイナス六・八と。それで、九月八日、修正値で、実質成長率がマイナス一・八、これは年率換算でマイナス七・一%ということになっております。

 この数値というのはどういう数値かというと、めちゃくちゃ悪いわけですよね。なぜならば、東日本大震災があった二〇一一年一月から三月期の数値はマイナス六・九%。千年に一回の大災害のこのときがマイナス六・九。これより悪いわけです。私は、とても想定値とは言えないだろうと思います。

 想定内というのであれば、どういう想定をしていたのか、国民に明らかにして増税を行ったのか、想定と実際がどう違ったのか、この辺を検証して明らかにしないと、次の一〇%に上げる議論というのはやはり不十分だと思います。そこはいかがでしょうか。

甘利国務大臣 政府として公式に想定内とか想定外とかいうことを申し上げたのではなくて、民間の予測でいうとこういう話ですということを申し上げました。そのときには、民間は駆け込み需要も想定を超えていたというお話だったと思います。反動減は、当初の数字はもっと小さかったです。その数字の範囲においては、想定の範囲内というような表現がありました。しかし、その後、改定値が出てきまして、今七・一までなってきている。

 これは、駆け込みが多い分だけ反動減が多いというのは経済原則になっていますから、駆け込みが、民間いわく、想定よりも大きかったねということは、反動減も、民間の予測でいえば、想定よりも大きく出てきたということであろうと思います。

畑委員 私は想定外だと思います。というのは、私、平成二十四年一月二十四日、内閣府発表の成長戦略シナリオ等を見ていると、増税ありの場合は、二〇一三年から二〇一六年の四年間で、実質GDP成長率は七・六、増税なしの場合は七・七%ということで、増税してもしなくてもというか、増税しても、しない場合と比べて、四年間でたった〇・一%の違いしかないというふうに出ております。二〇一四年度も、増税があっても一・四パーとか一・八パーとか、経済の見通しがありましたね。

 これを見ると、私はとても想定外だと思いますし、また、昨年、補正予算をつくるときに財務省はこう言っておりました。つまり、反動減が見込まれる、これを上回る五兆円規模を補正でつくるということで、これによって消費税引き上げによる影響を大幅に緩和すると。大幅に緩和されていませんよね。むしろ悪くなっている。だから、私は想定外だと思います。

 それを述べた上で申し上げたいのですが、消費税を増税するかどうかの議論をする場合に、やはり、その増税が経済にどういう悪影響を及ぼしたのか、これは反動減だということも含めていいんですが、そこを数字的に検証しないと、次に一〇パーに上げるべきかどうかという議論は私はできないと思います。

 その場合、端的にお聞きしたいんですが、消費税をこの四月から上げて、その結果、消費税が五パーから八パーに上がったわけですが、これによって税収はふえているんでしょうか、減っているんでしょうか。お答えください。

麻生国務大臣 ふえておりますと言うだけじゃ短過ぎるので。

 一般会計税収の四月―八月の累計で十二・二兆円。二十六年度税収、今年四月よりの消費税率の引き上げに伴います増収が含まれておりますが、単純に昨年同期と比較いたしますと、一・一兆円の増加となっております。このうち消費税分が〇・六兆円ありますので、消費税を全て除いて比較いたしましても、対前年度比〇・六兆円の増加ということになろうと存じます。

畑委員 今、〇・六兆が消費税で、三パー上がって、そういうことをおっしゃいましたが、ちょっと思ったほど上がっていないなと思いました。

 いずれにしましても、今後こういうことも含めて検討されるんでしょうが、消費税増税は、税収をしっかりアップさせることを目的としている。経済がだめになって税収が思ったほど上がらなければ、これはやはり上げた意味がないことになります。

 結局、今後、どのような条件が満たされたら一〇パーに上げるというふうな判断をされるのか。これは、その判断はこれからですが、こういうところをやはり重視して見なければいけないということはお答えいただけるんだろうと思います。

 ちょっとその点を総理に、上げる責任者は総理ですから、お答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 この消費税判断については、マクロ経済の専門家等の皆さんにまたお集まりをいただきまして御議論をいただきたい、こう思っております。

 その中の分析におきましては、当然、一―三、四―六を通じれば、四―六は確かにマイナス七・一%ではありますが、一―六でいけば、前年同期比プラス一・三%になっているわけでございます。

 ただ、七―九に成長軌道に戻っているかどうかということも重要であろう。また、個人消費がどういう状況になっているのか、あるいはまた、経営者のマインドがどうなっているのか、設備投資がどうなっているのか等々についてもよく分析をしていきたい、このように思っておるところでございます。

畑委員 これは、一月から六月期からどれぐらい伸びるかということが、申すまでもなく、おっしゃるとおり、あれなわけですが、やはり七月から九月期がかなりダウンしましたので、一月から六月期の水準から年率二%以上は上がらなければ、とても当初の予想どおりにならないんじゃないかという議論もあります。

 そこのところはやはり注視しなければいけないんですが、とともに、私が思うのは、マインドとか、あるいは、いろいろな、購買力もそうですし、やはり、かなり議論になっていましたが、実質賃金ですね。実質の賃金と可処分所得がどれぐらい戻るか、名目に比べて戻るのかどうか、そこがポイントだろうと思います。

 そこについて、やはり国民が不安な理由、実感ができない理由はそこだと思うんです。マインドはいいかもしれない。しかし、特に地方の人は、実質賃金は上がらないよね、名目は上がっているかもしれないけれども、それを追い越す物価が上がっている、これはいつ追いつくんだろうねというのが不安だと思います。

 きょうはテレビ中継されておりますので、そういう不安をやはりこの機会に晴らさなければいけないという思いを私はしております。

 実質賃金は上がっていませんが、実質賃金がプラスになる見込みというのはいつなんでしょうか。

甘利国務大臣 当初から、単数年では正直言って難しいというお話をしました。できるだけ、複数年でも短い複数年で実施をしていきたいというふうに思っております。

 そのためには、企業業績が賃金改善につながっていくいわゆる好循環を果たしていくことが大事だと思います。一巡目はうまくできました。これは二巡目をしっかりやるということが大事だと思っております。

 賃金の上昇過程というのは、委員も御専門でありますから説明する必要はないのかもしれませんが、総額の名目が上がっていく、そして一人一人に落とし込んだ一人当たりの名目が上がっていく、そして次は実質の総額が上がっていく、そして一人一人に落とし込んだ実質が上がっていくという手順を踏んでいくんだと思います。

 総額の名目はたしか十七カ月連続で上がってきています。それから、一人当たりの名目もことしの四月からずっと上がってきています。ですから、これから今度は実質で上げていくという勝負に入ってくるんだと思います。それには好循環の二巡目を回すことがとても大事だと思っています。

畑委員 ここにフリップを示させていただきます。資料も配付していますが、なぜこういうことを言うかというと、名目が上がって、それに追いつくというトレンドができているのかということを私は指数で調べてみました。二〇一〇年を一〇〇としております。

 そうすると、これはびっくりしましたね。これを見るように、ワニの口というか、名目は上がっているんですが、実質は下がっている。差が開いているんですよ。ということは、これは物価上昇に追いついていないわけですね。物価の上昇の方が大きい。こういうことを見ていると不安なわけです。

 今はっきりお答えにならなかったわけですが、例えば、日銀の物価上昇目標は二年で達成するとおっしゃいました。これは物価は二年とはっきりおっしゃった。しかし、賃金はいつとは言えない。同じ民間のこの数値について、これをはっきり言えないというのは、このトレンドから見ると国民に不安を生じさせるものだと思うんですが、そこはもう一度、もうちょっとめどをお示しいただけないでしょうか。

甘利国務大臣 今申し上げることができるのは、できるだけ短期間の複数年でオーバーライドをできるようにしていきたいというところであります。

 委員がお示しになったこの表について、実は二つのことを言わなければならないと思います。

 一つは、これは定額給与ですから一時金が入っていません。ボーナスがカウントされていないということ。

 それからもう一点は、消費税の引き上げというのは、ワンショットでは実質賃金のマイナス要件に働いていきます、御案内のとおり。

 例えば、物価が毎年毎年二%上がっていくのを目標にする。まだ二%に行きません、例えば一%だとします。それに、消費税が物価上昇分に乗ります。三%消費税を引き上げたのがそっくり乗るわけじゃなくて、カバレッジが七割くらいですから、二%ぐらい乗ると思います。そうすると、消費税引き上げ時には、弱インフレ目標の一%に二パーが乗るから三パー上がるということになります。ですから、その年だけは実質賃金を押し下げる要因が働くんですね。

 それをこれに加味していただきますと解が出てくるわけですけれども、それらを加味していきますと、このマイナス幅が縮んでいるというのが事実だと思います。

畑委員 今、マイナスはマインドだというお話がございました。私もそう思います。

 これは確かに消費税の影響は入っていますが、また後ほどフリップで議論させていただきますが、実質賃金はやはり一・二%弱ずつ減っているんですよ、消費税のあれを除いても。つまり一・数%ですよね。そして、消費者物価は、消費税の影響を除いたって二%弱、これも一・数%ふえているわけですよ。ということは、やはり差は、ここまでワニが開かなくても、開いているんですよね。

 それと、ボーナスがこれは入っていないとおっしゃいましたが、そこも問題でして、ボーナスをもらえる企業というのは、統計に載ってくる大企業です。この定期的なベースアップというのはどれぐらいかを考えていかないと、将来的な見通しが立たないわけです。そこも私は問題だと思います。

 そのことは申し上げた上で、時間もあれですが、次の議論へ行かせていただきます。

 ちょっと日銀総裁に来ていただいていますので、異次元の金融緩和ということで、すごい金融緩和をされておられます。

 この金融緩和の弊害というか副作用が今出てきているんだろうと思います。私は、実需なき金融緩和というのは弊害の方が大きく出るんじゃないかなという持論の持ち主であります。それは後ほど議論するとして、事実として、マネタリーベースの増加に伴ってマネーストックがそれほどふえているかどうかということであります。

 マネタリーベース、ちょっと資料を持ってきていなくて口頭で済みません。二〇一三年三月が百三十五兆円、マネーストックが八百三十四兆円。それで、二〇一四年九月、金融緩和、異次元が始まってからほぼ一年半後、これは最近のデータだと、マネタリーベースが二百四十六兆円、マネーストックが八百七十七兆円。マネタリーベースは百十一兆円伸びて、マネーストックはしかし四十三兆円だ。伸び率は、マネタリーベースが八〇%、マネーストックが五%ということになっております。ほとんどふえていない。

 日銀総裁は、本当に経歴が、そういうのは専門家でありますが、私が言うまでもないんですが、マネタリーベースが増加してこの程度の伸び方がいいのかどうか。つまり、マネタリーベースが増加すると、信用創造のメカニズムが生じてどんどんどんどんと金が回っていく、マネタリーベースの増加の数倍のマネーストック増加が起こるというのが教科書的な経済学の説明であります。そうなっておりません。

 もう一つ申し上げたいのは、異次元じゃないんですが、かつて金融緩和がございました。二〇〇一年から二〇〇六年のデータをちょっと調べてみたんですが、二〇〇一年三月がマネタリーベースが六十五・七兆円、二〇〇六年の三月が百九・二兆円、増加額が四十三・五兆、伸びが六六%です。マネーストックが、このとき二〇〇一年三月が六百三十六・五兆、二〇〇六年の三月が七百六・一兆、増加額が六十九・六兆、これはそれぞれ伸び率が、マネタリーベースが六六%、マネーストックが一一%。マネーストックが伸びないと批判されたこのときでも、今の割合よりは伸びているんですよね。

 今回のデータを比べると、マネタリーベースとマネーストックの伸びというか、マネタリーベース百十兆円の増加に対してマネーストックが四十三兆なので、恐らく〇・三九倍、一倍さえもない。二〇〇一年、二〇〇六年を比べると、マネタリーベースが四十三・五兆伸びて、マネーストックは六十九・六兆ですから、一・五倍近くふえている。このときの方がふえているんですよ、マネーストックは。だから、結局、ふえているんですよ、ただ従来のトレンドの中でしかふえていないということなんです。

 これは私、率直に素朴な疑問を持っているわけです。この差額ですよね。マネタリーベースをふやして、百十一兆円ふえたけれども、マネーストックは四十三兆しかふえていない。この差がどこに消えているのか。

 そのまま、各金融機関の日銀当座預金に積み増しされて眠っているのでしょうか。あるいは、よく物の本によると、学者によると、相当部分が金余りだから、実需じゃなくて、日本のために使われないで海外の投資家の資金として流れている、そういうことも聞くこともあります。今は金利差がなくなっているから、それが正解かどうかはわかりません。

 このいずれかだと私は思っているんですが、そこはいかがお考えでしょうか。

黒田参考人 量的・質的金融緩和のもとで、日本銀行が民間の金融機関から大量の国債等を買い入れておりまして、その代金として、銀行その他民間の金融機関の日銀における当座預金が増加しているわけです。これはマネタリーベースの重要な一部ですので、御指摘のように、マネタリーベースは大幅に増加して、最近時点でいいますと、前年比三割台半ばの伸びになっております。

 他方、これも委員御指摘のとおり、マネーストックの方は、伸びは三%程度でございまして、銀行貸し出しが二%台半ばの伸びということで、マイナスからプラスになって、徐々に伸び率が上がってきてはいるんですが、マネーストックの伸びは極めて緩やかであるということはそのとおりであります。

 ただ、大量のマネタリーベースを供給することによって、金利全体を押し下げる、あるいはリスクプレミアムを圧縮するということで、銀行が貸し出しやすい環境はつくっているわけで、そのもとで銀行の貸し出しもある程度ふえてきている。

 マネーストックの伸びは、こういったことで、銀行の貸し出し姿勢とか、あるいは個人や企業の資金需要にも影響されますので、マネタリーベースの伸びと同じようにマネーストックの伸びが出てくるということは必ずしもないわけですが、最近のマネーストックの伸びとマネタリーベースの伸びの違いのある程度の部分は、確かに、企業が、手元資金がかなり潤沢であるために、設備投資は少しずつふえてきて、設備投資計画もかなりしっかりはしているんですけれども、銀行からの借り入れの増加が二%台半ばということもあって、マネーストックの伸びが前年比三%程度というところであるということだと思います。

畑委員 図らずも、今総裁、金余りの中でということをおっしゃいました。金があるわけですね、企業は。つまり、借りる環境は整えても、金を借りたいという動機があるのかどうか。だから、そこは需要だと思います。

 そもそも、需要がない中でこういうことをやっているからこういうふうになるんだと私は思いますし、経済をわかっている方なら、それはそうだということで納得いただけると思うんですが、結局、金融緩和は否定しないというか、否定しないと言っちゃなんですが、やはり手順が間違っているんだろうと私は思います。

 最近、私、見たニュースで聞くと、バーナンキの、あのアメリカFRB前議長が退任直前に、量的緩和の経済効果は理論的には証明されていないとおっしゃったそうですが、いずれにしても、実需がない中で流して、それが期待につながるということはいいのかもしれないけれども、期待も、これは一様じゃなくて、経営者と消費者ではまた違いますからね、一様の期待というのは私はないと申し上げたいと思いますが、期待をつくるという効果があるぐらいなのかどうか。

 いずれにしても、これぐらいの金融緩和というのは、副作用が生じる割には、無駄なことだと私は思います。

 ちょっと、「アベノミクスは日本で暮らす人々を貧しくしている。」というこの資料を用意させていただきました。

 これは、総理は、名目雇用者報酬は昨年四月以降上昇基調にあるとおっしゃっております。先ほどおっしゃったデータ、消費税が上がると実質賃金はどんと下がってくる。しかし、一・八%ぐらいは下がっていますよ、トレンドで、消費税を上げたって上げなくたって。消費者物価だって、これは一・六%上昇で、消費税を上げたって上げなくたって、一・八ぐらいはやはりいっているわけです。だから、二%弱ずつ差が開いているんですよね、やはり。

 こういうことを見ると、賃上げが物価上昇に追いつかない、実質賃金はマイナスだということですが、これがいつ追いつくかということが非常に国民は不安なわけです。近づいているというトレンドじゃなくて、開いているトレンドじゃないかという思いを国民は持っているわけですよ。

 もう一つ、この下の方のデータを示しました。

 実質賃金は、これはボーナスを含んでもいいですから、こういうふうになっている。どんどんどんどん下がっていますね。消費者物価は上がっている。特にひどいのは、光熱水道費とか、食料はここに書きませんでしたが、食料もひどいですね。平均為替レートは、円安が進んでこうなっている。

 円安についても、ある程度までは否定しないわけですが、やはり、円安は、それは効果があってのことです。円安というのは、輸出を高めて日本の収益力を高めるから善だと思いますが、実は、経済構造が変わっている、海外の直接生産があるわけですから、いかに円安にしたって収益は上がってきませんよね。

 この証拠に、貿易収支、経常収支がこういうことで、貿易収支はどんどんどんどんマイナス、経常収支も初めて一―六でマイナスになりました。

 ということは、アベノミクスは副作用の方が出ているんじゃないか。政策というのは、プラスマイナスあるわけです。あるんだけれども、副作用の方が大きい政策というのはやっちゃいけないんだろうと私は思います。

 この副作用が出ている中で、特に輸入物価の上昇ですよね。なぜこういうことを言うかというと、輸入する食料、エネルギーというのは、価格弾力性がないんですよ。つまり、必需品だから、どんなに高くてもある程度輸入しなきゃいかぬ。だから、こういう中で、結局、副作用の方が大きく出ていると思うんですが、そこの評価、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 ワニの口が開いているのは、ちょうどこれは消費税率を三%引き上げた段階なんだろうと思います。

 当然、これはもう昨年から申し上げているとおり、我々は、物価安定目標、二%という目標をつくりました。そして、その中で、三本の矢の政策を進めていく中において、インフレ期待を起こす、これは、ずっと十五年間起こっていなかったものが、インフレ予測が出てきているのは事実であります。

 そして、その局面の大きな転回をしたところでありますが、同時に給与が上がっていかなければならないわけでありますが、これも、しばらく時差があるということであったのでありますが、なるべくこの時差を短くするために、政労使の懇談会をつくって、そこで多くの企業側にも御協力をいただいて、十五年ぶりの伸びになったところでございます。

 そこで、実質賃金でございますが、実質賃金につきましては、これは、新たに職につく人が、景気が回復していますから、景気回復局面においては、新たに職につく人たちが非正規から始める。また、経営者も、どうしてもまだ慎重な経営判断をしますから、非正規からふやしていく、あるいはパートからふやしていく。また、パートからもとに、だんだん景気がよくなったので、パートから始めてみようかという人が出てきますから、それは短時間でありますから、どうしても、短時間の方々がこの労働者の中に、賃金をもらう人たちの中に入りますと、平均は下がるということになるわけであります。

 そして、それとともに、この物価安定目標と、プラス消費税で上がったということでございますが、あえて実質賃金で見てみますと、消費税引き上げの影響を除けば、一月から五月まではマイナス一・三%からマイナス二・〇%であったものが、六月はマイナス一・二、七月はプラス〇・三、八月は一・一と、マイナス幅はだんだん縮小してきているわけでありまして、要すれば、物価上昇に賃金上昇が追いついてきている状況であります。

 そこで、先ほど申し上げましたように、パートの方たちがふえておりますから、いつも申し上げているんですが、国民全体の所得賃金である総雇用者所得、これは一人当たりの名目賃金掛ける雇用者数で見るわけでありますが、消費税引き上げの影響を除いた実質雇用者所得については、四月、五月はマイナスでありましたが、六月以降、七月、八月とプラスになってきているわけでありまして、明らかに、我々の政策によってだんだんこれが追いついてきている。国民総所得の実質について言えば、消費税引き上げ分を除けば、プラスになってきている。これは、我々が当初目標とした軌道に向かって進んでいるということではないか、このように思います。

畑委員 日銀総裁はもう結構でございます。ありがとうございました。

 しかし、それは、消費税を増税してがくんと下がったということは、やはりそれぐらい体力がなかったということで、病み上がりの日本経済で消費税増税しちゃ私はいかぬというか、そのタイミングがやはりおかしいんだと思うのと、あと、これから、消費税増税が来年十月に仮にあるとした場合に、これからどんどん上げますかね、経営者は賃金を。そこの不安もあると思います。

 あと、いろいろ、雇用はふえてくる、ふえてきている中で、一時的に待遇が下がっているというか、賃金が下がっている部分があるということだと思いましたが、そこもまさに問題なところであって、そこの待遇をしっかり改善して、賃金を上昇する過程に乗せていくことが必要で、ちょっと今の状況だと、まだそこに乗っているのかどうかというのが私は危ういと思っております。

 次の議論をさせていただきたいと思います。

 地方創生の関係ですが、地方創生の鍵というのは、地方に権限と財源をしっかり与えて、地域が自主的に判断できるようにするということでありますとともに、やはりセーフティーネットをしっかり張るということなのだろうと私は思います。なぜこういうことを申し上げるかというと、これは、しっかりと規制緩和なり地方分権をやることは必要なんですが、その場合、光と影がありまして、規制緩和を適切に張っていく、組み合わせるということだと思います。

 特に今、地方で米の概算金の価格下落が問題になっております。これについてセーフティーネット、これについてきょう聞きたいわけじゃないので、セーフティーネットはどういうものですかと本会議で安倍総理にお伺いしたら、農水委員会でもまた農水大臣にお聞きしましたが、結論的にはナラシしかないわけです。短期の収入変動の制度しかない。では、もう一つありますけれども、お答えは。やはり情報をしっかり見ながら、結局、つくる人はつくって、つくらない人はつくらないということで、恐らく、主食米の農家が退出して、需給が引き締まって、そこのところでまた価格も安定していくということもありました、二つのお答えで。

 それを聞くと、私は、これはセーフティーネットではないんだろうと思います。競争政策で、需要と供給を引き締めて、そして退出するところがある。それは締まっていくでしょう。そして、困ったところには短期のナラシ対策がある。しかし、中長期の趨勢的な米価下落というのは、抜けていけばいいですよ、農家が。しかし、ちょっと荒っぽい、かなりハードランディングな施策だと思います。

 そこで、総理に一般論でお聞きしたいんです。

 地方の不安を解消しなければならないし、個々の、セーフティーネットというものはいかにあるべきだと思っていますでしょうか。地方創生でも結構ですし。

 総理。いや、実はこれは国政の根本の、総理の認識を聞きたいわけです。

安倍内閣総理大臣 セーフティーネットということについて言えば、一般にセーフティーネットをどう考えるかということだろう、このように思いますが、いわば、人生あるいは経済においても計画どおりにいかないわけでありまして、一生懸命頑張っている人が、これは自分の努力のらち外で起きたことにおいて、不幸にして生活全般が、あるいは事業が全く成り立たなくなるという事態に陥ることもあるわけでございまして、そのセーフティーネットとして、いわば生活保護という仕組みもございますし、失業保険という仕組みもあるわけでございます。

 また、今、農業において、例として出されたわけでありますが、米の価格の暴落等々に対してはナラシというものも我々はつくっているわけでございますが、いわば、しっかりと思い切って仕事をしていく上においても、セーフティーネットをしっかりと厚くしていくということは、これは当然のことではないか、このように思っているところでございます。

畑委員 時間もなくなってまいりまして、済みません、石破大臣にきょうおいでいただいたんですが、ちょっと時間がなくなってしまって大変恐縮でございます。

 そういうことで、時間がなくなりまして、終わらせていただきます。済みません。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて畑君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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