衆議院

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第3号 平成27年1月30日(金曜日)

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平成二十七年一月三十日(金曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 金田 勝年君 理事 萩生田光一君

   理事 原田 義昭君 理事 平口  洋君

   理事 平沢 勝栄君 理事 森山  裕君

   理事 前原 誠司君 理事 今井 雅人君

   理事 上田  勇君

      秋元  司君    石崎  徹君

      石原 宏高君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      小田原 潔君    金子 一義君

      金子めぐみ君    熊田 裕通君

      小池百合子君    小林 鷹之君

      今野 智博君    鈴木 俊一君

      田所 嘉徳君    土井  亨君

      豊田真由子君    長坂 康正君

      根本  匠君    野田  毅君

      古屋 圭司君    星野 剛士君

      三ッ林裕巳君    宮崎 謙介君

      宮澤 博行君    保岡 興治君

      山下 貴司君    山本 幸三君

      山本 有二君    小川 淳也君

      大西 健介君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    階   猛君

      辻元 清美君    西村智奈美君

      馬淵 澄夫君    山井 和則君

      井坂 信彦君    井上 英孝君

      柿沢 未途君    重徳 和彦君

      篠原  豪君   松木けんこう君

      松浪 健太君    松野 頼久君

      吉田 豊史君    吉村 洋文君

      岡本 三成君    中野 洋昌君

      樋口 尚也君    赤嶺 政賢君

      高橋千鶴子君    畠山 和也君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       西川 公也君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      宮沢 洋一君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    望月 義夫君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       竹下  亘君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       山谷えり子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     山口 俊一君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)

   (規制改革担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   有村 治子君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   外務副大臣        城内  実君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   会計検査院事務総局第二局長            村上 英嗣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  佐々木裕介君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房独立公文書管理監)        佐藤 隆文君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     熊谷  敬君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  橋本 公博君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月三十日

 辞任         補欠選任

  衛藤征士郎君     三ッ林裕巳君

  金子めぐみ君     石崎  徹君

  古屋 圭司君     豊田真由子君

  馬淵 澄夫君     大西 健介君

  山井 和則君     西村智奈美君

  重徳 和彦君     吉田 豊史君

  松木けんこう君    松野 頼久君

  松浪 健太君     柿沢 未途君

  赤嶺 政賢君     畠山 和也君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     金子めぐみ君

  豊田真由子君     古屋 圭司君

  三ッ林裕巳君     今野 智博君

  大西 健介君     馬淵 澄夫君

  西村智奈美君     山井 和則君

  柿沢 未途君     吉村 洋文君

  松野 頼久君     篠原  豪君

  吉田 豊史君     重徳 和彦君

  畠山 和也君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     宮澤 博行君

  篠原  豪君     井上 英孝君

  吉村 洋文君     松浪 健太君

  宮本 岳志君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     衛藤征士郎君

  井上 英孝君     松木けんこう君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十六年度一般会計補正予算(第1号)

 平成二十六年度特別会計補正予算(特第1号)

 平成二十六年度政府関係機関補正予算(機第1号)


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 内閣より、緊急の対応を要するため、岸田外務大臣を退席させたいとの申し入れがありました。やむを得ないものと認め、岸田外務大臣の退席を許可いたします。

     ――――◇―――――

大島委員長 平成二十六年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十六年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十六年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官佐々木裕介君、内閣府大臣官房独立公文書管理監佐藤隆文君、内閣府政策統括官日原洋文君、復興庁統括官熊谷敬君、国土交通省住宅局長橋本公博君、環境省水・大気環境局長三好信俊君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長村上英嗣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 この際、昨日の長妻君の質疑に関連し、昨日に引き続き、後藤祐一君から質疑の申し出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 まず冒頭、イスラム国と称する過激派テロ組織ISILによる日本人拘束事案については、交渉期限は過ぎたようでございますけれども、解放されたといった具体的情報にはどうも接していないようでございますが、総理、現時点で何かお話しいただけることがあれば、お願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 現時点においては、この事案が続行中でございますので、答弁は控えさせていただきたいと思いますが、我々、ヨルダン政府を初め、しっかりと情報収集を行い、また分析も行いながら、協力も要請しながら、後藤健二さんの解放に向けて全力を尽くしているところでございます。

後藤(祐)委員 卑劣な事件を起こした犯行グループ、これを強く非難するとともに、後藤健二さんを含めた全ての人質の方が一刻も早く解放されることをお祈りいたしまして、質疑に入りたいと思いますが、このいわゆるイスラム国に関する事案について、今後、一定の段階で日本国の対応についても検証する必要があると思いますので、ぜひ、NSC、国家安全保障会議における議事録なども含めて、関連の資料、情報を保存しておいていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 それでは、まず、特定秘密の問題、今の話にもかかわりますが、憲法二十一条で保障された国民の知る権利、この大前提となります表現の自由、こういったことについてきょうは触れてまいりたいと思いますが、特定秘密については大変多くの議論がございました。

 昨年末現在、特定秘密の数は三百八十二件という大変少ない数しかないということが公表されました。実際の文書というベースでは四十七万件程度あるようでございますけれども、この三百八十二しか特定秘密がないということに大変な違和感もございます。

 まずお伺いしたいと思います。きょうは佐藤独立公文書管理監にもお越しいただいておりますけれども、昨年末現在の特定秘密の数三百八十二件、この文書の題名というものがわからないと、いろいろチェックができないわけでございますが、独立公文書管理監として、この三百八十二件の特定秘密の題名について説明をいただいているでしょうか。少なくとも、題名の中で、例えば黒塗りをしてでも示されているでしょうか。そこも含めてお答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 その題名ということでございますが、それを含む情報が記載されている帳簿といいますか、特定秘密管理簿の写しは頂戴いたしております。

後藤(祐)委員 私は、それに当たるもの、つまり三百八十二件の特定秘密の題名について示すように、黒塗りでもいいから示すようにとお願いしたにもかかわらず、国会議員である私に対しては示されませんでした。これはなぜでしょうか。

 これについて責任を持つのは、これは官房長官になるのかもしれませんが、事務的なことなので、これは上川大臣に聞きたいと思います。

上川国務大臣 ただいま委員御指摘の特定秘密指定管理簿につきましては、委員が一月二十七日に内閣情報調査室に対しまして、平成二十六年末時点で指定されました三百八十二件の特定秘密の情報について写しを提出するよう御依頼があったということは承知をしているところでございます。

 申し越しの件でございますけれども、特定秘密を指定したそれぞれの行政機関におきまして、この特定秘密指定管理簿の記載内容に情報公開法の第五条各号の不開示情報に該当するものがあるかどうかということを精査した上で、提出することが適当ではないかというふうに考えているところでございます。

 それぞれの行政機関におきまして不開示情報の該当性を精査する必要があるということもございまして、ある程度検討する時間が必要ではないかということで、私の方からはそのように考えているところでございます。

後藤(祐)委員 いつ出していただけるんでしょうか。私が情報公開請求をしなきゃいけないんでしょうか。国会議員に対しては自発的な提供をされるんでしょうか。そして、できれば、情報公開法五条の出せない部分は、黒塗りにしたもので結構ですから、ホームページで自発的に掲示をしていただけるんでしょうか。

上川国務大臣 それぞれの行政機関が責任を持って不開示情報該当性を精査する必要があるということでございますので、先ほど申し上げたとおり、ある程度時間がかかるということでございますので、具体的な時期は、私の方からは今直ちにお答えすることができません。

後藤(祐)委員 きょう、防衛大臣、お越しになられていますが、中谷大臣は、まさにこの特定秘密法、そしてその後の国会法改正も中心になった方でございますから、本件の重要性を一番理解されている方だと思いますが、防衛省におかれましては、この三百八十二件のうち、かなりの部分は防衛省でございますが、これについての情報提供、ホームページへの掲示、いかがでございましょうか。

中谷国務大臣 現在、二百四十七の情報の指定をいたしております。

 防衛省が保有する特定秘密文書の件数については現在集計中でございまして、対象文書を全て確認する必要がございますので、取りまとめには一定の期間を要するものでございます。まとまり次第、また報告をいたしたいと思っております。

後藤(祐)委員 今の答弁はいろいろなことが混在していて、国民の皆さんはわかりにくいと思うんですが、こういうことなんですね。

 今ここに紙ファイルがございます。イメージでございますけれども、一個一個の文書というのは物すごくたくさんあって、これが私の聞いている話では四十七万件ぐらいあって、例えば百枚とか千枚の文書を一つにまとめたファイルに名前がついているわけですけれども、この件数が三百八十二件ある、イメージとしてはそんなイメージだと思うんですが、今、中谷大臣がおっしゃったのは、三百八十二のうち二百四十七というのはもちろんわかっているわけですけれども、その中に何万件の細かい文書があるかということについて、これは取りまとめ中だということだと思います。

 上川大臣、この四十七万件程度あると思われる文書ベースの、特定秘密を個別に指定するのかどうかというわかりにくい点もありますが、いつ、その四十七万件の文書の題名を示した管理簿のようなものは国民に示されるんでしょうか。

上川国務大臣 ただいま後藤委員から御説明いただきましたけれども、この特定秘密保護法におきましては、指定の対象は情報ということでございまして、その情報が記録された個々の文書ではないということでございます。特定秘密はあくまで情報を対象としているということであります。

 今御指摘いただきました特定秘密が記載された文書につきましては、対象文書全てを確認する必要があるということでございまして、各省庁におきましても、取りまとめについては一定の時間がかかるものというふうに考えております。

後藤(祐)委員 今のもわかりにくいんですが、情報と言ったのは、これは特殊用語でございまして、文書、さっき私が文書と言ったのも、どうもかぎつき情報というふうに定義するようでございます。

 三月末ぐらいまでその取りまとめに時間がかかると事務方から聞いておりますが、それは事実ですか。そして、その取りまとめが終わった後には、国民にそれは提供されるのでしょうか。

 また、取りまとめというと非常に聞こえがいいですが、既にある文書のことなんですね。これをこれから二カ月もかけて取りまとめるというのは、何か隠蔽をしようとしているんでしょうか。あるいは、個別の文書を一つ一つやると、題名がわかってしまうと都合が悪いので、複数の文書を一つにして、違うわかりにくい名前をつけるですとか、いろいろなやり方が実はあり得てしまいますが、既にある文書なんです。既にある文書をそのまま、取りまとめという作業の中で、くっつけたり隠蔽したりといったことはなく、そして、いつまでに国民に提供されるのか、お答えください。

上川国務大臣 御指摘いただきました情報を記載した文書ということでございますけれども、これにつきましては、今それをしっかりと各行政機関の中で整理しているところでございますので、一定の時間がかかるということでございます。

 また、件数につきまして、一定のまとめをいたしましてお出ししたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 いつですか。

上川国務大臣 しかるべきときに提案を適宜したいと思います。一定の時間がかかり、しっかりと大事な文書の保管、保存も含めて考えていかなければいけないということなので、それについて十分な時間をしっかりととって、そして正確を期してしっかりと件数を出していきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 官房長官、既にある文書なんです。しかも、その題名が情報公開に適さないようなものであるならば、黒塗りにすることももちろんあると思います。その上で、いつその作業が終わるかも上川大臣から示していただけない。

 これは各大臣に対して、やはり官房長官からきちんと、いつまでに、そして手を加えることなく、この四十七万件に及ぶ文書について管理簿をつくるなり、必要な処理を施した上でいいですよ、黒塗りがあるものはそれでいいです。そういう作業をするように督励していただけませんか。

菅国務大臣 所管の大臣であります上川大臣が今答弁されましたけれども、上川大臣のもとで検討して、これは適切に対応されるんだろうというふうに思います。

後藤(祐)委員 このように何で私はこの問題にこだわっているかというと、特定秘密の内容がどうであるか、適切な指定がなされているかどうかの一番初めの入り口が、どんな種類の資料、情報があるのか、特定秘密があるのか、それはファイルの題名であったり四十七万件の文書の題名であったり、それも教えていただけないということになると、何もわからないんですね。

 どうやってチェックするんですか。佐藤独立公文書管理監、四十七万件、まだ示されてないですよね。先ほど、三百八十二件の方の、大まかな方の名称はいただいているということでございましたけれども、では、今、何かチェックしろと言われて、どうやってチェックするつもりですか。

 鳴り物入りでできて、今ちょっとここに特定秘密のチェック体制がございます、独立公文書管理監、この方がチェックして、さらに内閣保全監視委員会という、これは次官級の方が集まるもの、その上に国会によるチェックがあるわけですが、どうやってチェックするつもりですか。どんな資料があるのかの題名もわからないわけです。

大島委員長 ちょっとお待ちください。

 質疑者の後藤さんにお願い申し上げますが、菅内閣官房長官にはまだ今後御質問を。

後藤(祐)委員 この答弁を聞いていただいた後、退室いただきたいと思います。

大島委員長 そうですか。

佐藤政府参考人 先ほど申し上げたとおり、特定秘密指定管理簿につきましては、各行政機関の御協力も得て、我々として、資料として入手しているところでございまして、このような入手した資料それだけではなく、我々の権限といいますか任務といたしましては、さまざま行政機関の長に対し資料提出を求めたり説明を求めたり、さらに実地調査をしたりといった任務もございますので、そういった任務を適正に果たしてまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 今のところでは何もできないというのが実態なわけです。特定秘密をチェックする三重のチェック、どれもまだ今機能していない。官房長官、ぜひ、先ほどの四十七万件の取りまとめ作業をきちんと急がせるようお願いしたいと思います。

 官房長官、もしお忙しいようでしたら、御退室いただいて結構でございます。

大島委員長 議事の途中ですが、質疑者の後藤君から御了承いただき、各党にも御了解いただきまして、菅内閣官房長官、やむを得ないものとして、退席を許可します。

後藤(祐)委員 引き続きまして、国民の知る権利の観点から、大変重大なもう一つの問題について取り上げたいと思いますが、それは報道の自由と政治の関係でございます。

 昨年の衆議院選挙で、解散直前、十一月二十日、自民党の萩生田光一、ここにも理事でおられますけれども、筆頭副幹事長と福井報道局長名で、選挙時期における報道の公平中立並びに公正の確保のお願いと題する文書が在京テレビキー局各社に対して発出されたと伺っております。

 その中では、一般的に公平な報道を求めるだけではなくて、過去においては、あるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それが事実として認められて大きな社会問題となった事例も現実にあったですとか、あるいは、出演者の発言回数、ゲスト出演者の選定、特定政党出演者の意見の集中などがないよう、街角インタビューや資料映像等で一方的な意見に偏ることのないよう、こういった具体的な番組の編集のあり方についても要請をしているというものでございます。

 残念ながら、きょう、理事会で、これを資料配付、そしてここにフリップで立てさせていただきたいとお願いしたんですが、お断りをされたということも申し上げておきたいと思います。

 これは大変問題な事案でございますが、きょうは余り時間がないので、次回にこの話は詰めたいと思います。

 NHKの籾井会長がお越しになられておりますけれども、籾井会長は、二〇一五年二月号のファクタという雑誌によりますと、十二月十二日、つまり投票日の二日前、NHKの会議室で懇談会が開かれて、今申し上げた自民党の要請文書が話題に上がって、あのとおりと思うというふうに述べたというふうに報道されておりましたが、これは事実でしょうか。

 もしそうであるならば、一体どの部分を指して、あのとおりと思ったんでしょう。一般論としての公平のことなのか、あるいは過去の偏向報道のことなのか、あるいはゲスト出演者の選定、街角インタビュー等、番組の編成の具体的な話についての指摘のことなのか、そこも含めてお答えいただきたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 今御指摘の会は、実はオフレコという約束で、懇談会としてやりました。したがって、その内容について具体的にお答えするわけにはまいりません。

後藤(祐)委員 実際に発言したかしないか、ここの国会の場で事実関係を伺っているので、かつ、御本人は記憶されておられるでしょうから、お答えいただけないでしょうか。

籾井参考人 お答えします。

 私だけではなくて、やはりこの世界においてもいろいろオフレコの会というのはあるんだと思うんです。やはり、それについて私が今ここで内容を云々するわけにはいかないということは御理解いただきたいと思います。

 ただ、私は職員に対して言うときには、常に、放送法の一条から四条というものをレファーして、事実に基づき、公平公正、不偏不党、何人からも規律されないということを申し上げております。これが私のいわゆるNHKを経営するに当たっての心棒となっている部分でございます。御理解ください。

後藤(祐)委員 きちんと答弁いただけないと、これ以上質疑を続けることができません。

 委員長から、答弁いただけるようお願いできないでしょうか。

大島委員長 後藤君、もう一度質問してください。

後藤(祐)委員 ファクタに載っている、十二月十二日、自民党の要請文書が話題に上がった際、籾井会長はあのとおりと思うと述べたとされていますが、事実でしょうか。そして、どの部分を指してあのとおりと思ったのでしょうか。

籾井参考人 何度も申しておりますように、あれはオフレコという約束でしております。いかにNHK会長と新聞記者の間とはいえ、約束は約束でございますので、私は内容について申し上げるわけにはいきません。

 ただ、繰り返しますが、私は、事実に基づき、公平公正、不偏不党、何人からも規律されずということを常々、自分自身も含めて、職員も含めて言っております。これが私の基本的なスタンスでございます。

後藤(祐)委員 委員長、答弁をしていただけるようお願いできないでしょうか。

大島委員長 後藤君、どうぞ御質問してください。答弁をしていると思います。(発言する者あり)

 籾井会長、もう一度御答弁を。

籾井参考人 繰り返しになりますが、懇談会の内容を私の口から言うわけにはまいりません。

 選挙報道に当たりましては、NHKは放送ガイドラインで、「選挙関係のニュースや番組の放送、選挙結果の速報などは、正確な取材と公正な判断によって自主的に行い、公職選挙法の趣旨に従って選挙の公正を損なわないようにする。」ということを掲げております。

 報道に当たりましては、放送法やガイドラインに基づいて、適切な対応をとることにいたしております。

大島委員長 後藤君、時間が参りました。

後藤(祐)委員 会長は、民放は不偏不党を守っていない、放送法に違反している番組があると他局を批判した上で、ある報道番組の具体名を挙げた上で、BPOにかけられてもいい、このようなことも言ったという話も聞いております。今後詰めていきたいと思いますが、最後に総理に一点……

大島委員長 時間が参りました、後藤君。

後藤(祐)委員 NHK経営委員を務める小説家の百田尚樹氏を任命するつもりがあるか、提出するかどうかについてお聞きしたいと思います。この二月二十八日で期限が切れますので、百田尚樹氏の国会同意人事を出すかどうかについてお聞きしたいと思います。

大島委員長 これにて長妻君、山井君、馬淵君、小川君、階君、後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 維新の党の松野頼久でございます。

 総理、まず、ISILによる人質事件、大変な折衝をされていると思いますが、人質の救出に全力を挙げていただきたいと思います。

 私たちは野党という立場ですが、全力で協力をするつもりでございますので、今も官房長官が席をお立ちですが、どうぞ、官房長官なり外務大臣なり、必要なときは席を立っていただいて結構でございますので、頑張っていただきますことを期待しております。

 さて、昨年の選挙、今回が最初の国会論戦です。そういう中で、去年の選挙を振り返って、自民党は二百九十一議席ですか、勝利をされました。ただ、投票率が五二%、こういう数字を見ると、決して自民党が勝ったわけではない、我々野党がだらしなかったんじゃないか、国民の皆さんは自民党以外の選択肢というものがなかったということを私は思っているところでございます。

 その選挙で、私たちは身を切る改革というものを選挙戦で訴えました。

 まず、去年の選挙の前、十月に、この場で私は総理にこういう質問をしました。前回の選挙、二年前の総選挙のときに、今の安倍総理と当時の野田総理が約束をした国会議員定数の大幅削減、よもや、この約束が守られないままに解散することはありませんなと。もちろん、総理はお答えになりませんでしたが、増税をする、国民にこれだけの負担をお願いする、そのためには、大した金額じゃないことはわかっていますけれども、まず国会議員みずからの数を減らす、私は当たり前のことではないかと思いますが、なぜあの約束をほごにして解散をされたのか、総理のお気持ちをお聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、解散については、これは私に与えられている権限であります。どういうタイミングを捉えて解散を行うか、それは私が判断をするわけでございますし、当然、その段階で、我々は既に与党で三分の二を持っていた、あるいは二百九十以上の議席を持っています、ある種、それを大幅に減らすリスクもとって国民の信を問うべきだ、私はそう判断したわけでございます。その結果、再び自民党、公明党、連立与党でしっかりと政策を前に進めていけという御判断をいただいた、このように思っております。

 その上で、定数削減についてお話をしたいと思います。

 この定数削減につきましては、議会政治の根幹にかかわる重要な課題でありまして、各党各会派が真摯に議論を行い早期に結論を得るべきものだ、このように思います。

 その際、これはかつて私と野田前総理との党首会談でもこう申し上げたんですが、その際には、私と野田さん二人で決めるわけにはいきませんね、小さな政党も含めて、これは民主主義の土台を、土俵をつくるんですから、土俵、ルールづくりを勝手に二人で、数があるからといってやってはいけませんねということを申し上げたわけでございます。

 我が党は我が党として既に考え方をお示ししているわけでございまして、自民党にとっては不利になる、比例を三十減するという改革案でございますが、これを提出しているわけでございますが、こうしたルールにかかわるものは、なかなかそれぞれの政党の意見は合わないわけでございます。残念ながら、結局、各党各会派の議論は一つの方向に収束することはなかったわけでございまして、そこで、私が有識者による第三者機関の設置を提案いたしました。これはそれまでなかった提案でございますが、私が自民党の総裁として提案をしたのでございます。

 かつては政府のもとにそうした有識者会議が置かれていたのでありますが、考えてみれば、議会でありますから、行政府に置くのはおかしな話でございますから、議会に置こうということで、議長のもとに諮問機関が置かれまして、衆議院選挙制度に関する調査会、いわゆる有識者会議が設置をされ、現在さまざまな議論が行われているところでございます。

 大切なことは、各党各会派が、ここに任せた以上は、ここから出てきた案に賛成することが大切なことであって、これにまた反対ということになればまた振り出しに戻ってしまうということではないか、このように思います。

 私は、自由民主党の総裁として、自民党の中でいろいろな議論がありますよ、しかし、私は総裁として責任を持って、出てきた案には党として賛成する、このように申し上げておりますので、他の党におきましても、そういう方向を示していただけたら、こう思う次第でございます。

松野(頼)委員 まさに今総理がおっしゃった選挙制度に関する調査会、これは昨年の、そこに座られている石破大臣も、当時幹事長ということでメンバーでいらっしゃいました。私もメンバーでありました。五月の十七日か何かに、各党の幹事長が集まって、国権の最高機関であります議長のもとに、このまま、二十数回、担当者が話しても話がつかないから、第三者による機関をつくって、衆議院の選挙制度に関して、定数や一票の格差に関してしっかりとした答申をつくってもらいたい、こういうお願いを衆議院議長のもとに実はしたんですね。

 第一回目が九月の十一日、第二回が十月の九日、第三回が十月の二十日、第四回が十一月の二十日。内容を聞くと、まだ定数まで行き着かない、一票の格差のところで議論がとまったときに総理は解散されたんですよ。議会の会派代表者が全部集まって、国権の最高機関である議長のもとに定数削減の諮問機関をつくって、その議論がされている最中に総理は解散されたんですね。

 これはやはり、国権の最高機関である議会に、ある意味大変失礼なことをされたのではないか。一言、そこはしっかりとした説明、議会に対して説明があってもしかるべきだと思いますが、解散をするときに議長に対して説明されたでしょうか。答弁ください。

安倍内閣総理大臣 これは、私、従来から申し上げておりますように、ここでの議論が私の解散権を縛るものではないと申し上げておりまして、それしか答弁のしようがないところでございます。

 適宜適切に国民に信を問うべきだという判断をすれば、その判断も含めて国民の審判を受けるわけでありまして、そうした判断も含めて、今回、私どもは二百九十一の議席を得たのではないか、このように思っております。

松野(頼)委員 いや、これはもちろん、総理の解散権を縛るものは何もないことはよくわかっています。

 ただ、国権の最高機関の、各党、それは自民党も入ってですよ、各党の会派代表者がそれだけの思いで議長にお願いをし、国権の最高機関である議長が議長のもとに直接そういう諮問会議をつくって議論が始まったところですから、何か説明があってもしかるべきじゃないか。解散権を縛るわけではありませんが、きちっと説明をまずされてから、こうこうこういう理由で、申しわけないが解散をしますということならばわかるんですけれども、そのことを伺っているんです。

 これは幾らやっても水かけ論ですから、次に入ります。

 私たちは、ちょうどきょうですか、三十日の夕方、文書交通滞在費の公開をします。今回の選挙で八百三十八万票という得票をいただいた。身を切る改革、その一つであります文書交通滞在費の公開を行います。

 ぜひ、これから政府に対しても、まず我々国会が身を切って、そして各行政府に関して無駄遣いをやめてもらいたい。このことをやらなければ、どんどんどんどん予算が膨れ上がるわけですよ。財政再建しなければまた消費税が上がる、また税金が上がる、こういう悪循環に陥っているんじゃないですか。

 最初に伺いますが、昨年の十一月七日、会計検査院が、資料につけてあります、資料の表の新聞記事もありますが、二千八百三十一億円の税金の無駄を指摘いたしました。この指摘を受けて、行政府のトップとして、総理、どのようにお感じになられるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 当然、この会計検査院の御指摘については真摯に受けとめなければいけない、それはその後の支出に反映させなければならない、このように思っております。

松野(頼)委員 まさにそうだと思うんですね。これから国民に増税を、もう一回しました、さらに増税をお願いするわけですから、行政府はしっかりと無駄を省いていただきたい、このように思っています。

 そして、この指摘の中で一番大きな金額を指摘されているのが、中央職業能力開発協会、七百五十二億円の国庫返還というものが指摘をされています。それは、何度かにわたって基金で積まれた緊急人材育成・就職支援基金、これは資料の三枚目をぜひごらんください、お配りをしています。

 これを見ると、最初に七千億積まれて、ずっと毎回、本予算、補正と積まれ続けて、一兆百八十四億、基金で積まれました。驚くことに、今回の七百五十億を含め、国庫返納額が五千八十三億、予算の執行額が四千二百三十五億。執行された予算よりも、国庫に返納している、会計検査院に指摘をされて返納させられた金額の方が大きいんですよ。

 こういう予算の組み方はどうなんでしょうか。ちょっと御答弁いただけないでしょうか。

塩崎国務大臣 御指摘の中央職業能力開発協会によります緊急人材育成・就職支援基金というのがどういうものかは、先生もちろんよく御存じのとおりだと思いますけれども、一般の方にわかるように申し上げますと、職業経験の乏しい、つまり失業保険に入っていらっしゃらないような方々に対して、リーマン・ショックのときに急激な雇用情勢の悪化があって、それに対して、職業経験の乏しい方々、失業者、早期再就職と生活の安定を図ることを目的として、この緊急人材育成支援事業というのはつくられて、今のような経過をたどってきたわけでございます。

 五十六万人が対象で、ただ、効果としてはそれなりに、一般の雇用保険受給者を対象にした離職者訓練での就職率というのは六三%なんですけれども、このケースの場合には七五%ということで、就職率は高いということで、それなりにやはり効果があって、座学と実習を組み合わせた若者に対する職業訓練などをやってきたわけであります。

 ただ、今お話がございましたように、十一事業を実施して、八事業が全体としては終了して、残った残額について国庫返納の措置を講ずるということにしているわけでありまして、リーマン・ショックの際には、やはり今世紀最大の経済危機と言われたものですから、その失業者をどうやって救うか、それも雇用保険の対象じゃない人に対してどうするかということでこういうことになって、結果としては返納することになったということは事実ですけれども、セーフティーネットとしての役割はそれなりに果たしたというふうに思っております。

松野(頼)委員 いや、事業の内容を聞いているわけではなくて、一兆円も基金で積んで半分も執行できずに、半分以上が国庫返納となっている、この積算のやり方を聞いているんですよ。まして会計検査院に指摘をされて返納させられているという状況ですから。こういう基金の積み方、計画の立て方、このことに対して、問題があるんじゃないかということを伺っているんです。

 もう一回御答弁いただけないですか。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、一兆円も積んでこれだけ返納するというのは不自然じゃないかということでございまして、おっしゃるように、今後の基金の設置や造成については、昨年の六月に閣議決定されましたいわゆる骨太の方針の中で、基金の創設は厳に抑制するというふうにされていることや、それから事業の趣旨等も踏まえながら、総合的に、こういう形にならないように判断をしていくべきかなというふうに思っております。

松野(頼)委員 ぜひ気をつけていただきたいと思います。

 そして、今回の補正予算、相変わらず、きのうも若干議論がされていますが、基金事業というのが、十四基金、四千八百五十七億円の基金が積まれているんですね。

 補正予算というのは、そもそも、本当に、四月一日、これから二月の中旬に出てくる本予算に間に合わずに、今緊急的にお金が必要だから補正を組むというのが補正予算の趣旨です。そして、本予算を待てないから今補正予算を組むといっているのに、数年間で使う基金を補正に組むというこの矛盾点、これはおかしいんじゃないかと思うんですね。まして、こうやって使い切れない基金が、お金がある。

 全部基金の内容を見ると、終了年度は三年後だったり五年後だったりさまざまなんですけれども、補正予算で組んだお金を三年後までに使うとか、これはちょっと補正予算の趣旨と違うと思いますが、財務大臣、どうなんでしょう、そこは。

麻生国務大臣 もう御存じのとおりなんですけれども、この種のものには基本的にルールが決められておりますのは御存じのとおりで、基本的には三つです。

 不確実な事故などの発生による資金というものが一つ、それから資金の回収を見込んでの貸付事業が二つ、そして事業の進捗が他の事業の進捗に依存する、例えば除染なんかがそうだということになろうと思いますが、こういったものについてが基本なんですが、これによらず実施しなければならぬようなことが起きるという場合は、例えば緊急経済対策などがその最たる例だと思いますが、今回、緊急経済対策を考えておりますので、その緊急経済対策ということに合わせてやらせていただくということは、経済に波及効果があるということであれば、それは間違いなく出せるということになります。

松野(頼)委員 いや、だから、緊急経済対策で緊急にお金を使う必要があるからということで補正を組まれるんだと思いますが、三年後、五年後までにだらだらと使いやすいように使っていくのは緊急経済対策にならないじゃないですか。だから言っているんです。

 補正予算というのは、ある意味、緊急経済対策、緊急に、四月一日執行の予算に間に合わず、今目の前でお金が必要だから、こうやって補正の審議をして補正予算を通すというのが補正本来の趣旨。そこに三年、五年後までだらだら使う基金にお金を積むことは、すぐにお金が流れないから私は言っているんです。

 もう一回御答弁いただけないでしょうか。

麻生国務大臣 重ねて申し上げますけれども、今般の補正予算というものは、これは経済対策の事業を早期に実施するために必要なんだ、すなわち緊要性があると判断しているからやらせていただいているということであります。

 したがって、経済対策は、個々の事業の実施期間とか基金方式とするか否かといった実施方法に着目をして取りまとめられているわけではないのは御存じのとおりです。

松野(頼)委員 ちょっと議論がかみ合っていないんですけれども。

 私が申し上げているのは、四月一日の予算執行を待たずにすぐにお金が必要だからといってこの補正予算を組んでいる、ある意味、緊急経済対策ですね。でも、基金の要綱を見ると、終了年度が三年後とか、何年かにわたってゆっくり使うのが基金なんですよ。

 では、四月一日までの間にこれを全部使い切るんですか。

麻生国務大臣 四月一日までに間違いなく私ども財務省からは、その基金を管理しておられる役所、厚生省なら厚生省という役所に三月までにこの金が出ていくというのが私どものあれで、そこから先がどうなるかということに関しては、個別の役所に聞いていただく以外に、私どもの管理しているところではございませんというのは御存じのとおりです。

松野(頼)委員 いや、私は、使い切るのか、市場にそのお金が流れるのかということを聞いているんです、四月までに。

麻生国務大臣 私どもとして、三月三十一日までに全部流れ切るということを申し上げているんではなくて、流れ切らない場合もあると思います、これまでも。そういうときは、繰越明許等々いろいろな方法で私どもやらせていただいているのは御存じのとおりなんですが、そういった意味で、私どもとしては、三月三十一日までに全てが使い切るかといえば、間違いなく私どもの役所からはそこに行きますけれども、そこから先、どう出ていくかのことに関して全部知っているわけではございません。

松野(頼)委員 であれば、これは委員長、ちょっと議会の委員長として伺いますが、補正予算の審議なんですよ、ここは。補正は、緊急にお金が必要だから、本予算の執行を待たずにその手前で執行させてもらいたいというのがこの補正予算の審議ですね。

 これだけの金額の基金が積まれて、三年、五年で使う以上は、これは本予算に入れてもらえばいいんじゃないですかね。何ででしょうかね。

安倍内閣総理大臣 既に財務大臣からお答えをしておりますが、いわば、本予算に間に合わない、しかし緊急を要する、例えば事業ですね。その事業については、つまり緊急を要しますから、使い始めなければいけないということになります。しかし同時に、その事業については、足は長くなる可能性はあるんですよ。つまり、早く着手をしなければいけないということになります。

 ですから、例えば二カ月のうちに着手をしてスタートする。ただ、その後、そこでばたっと倒れては、この事業の例えば性格上問題がある場合、継続的なものが保証されなければならないというものだって恐らくあるんだろう、そういうものはしっかりと恐らく財務省で精査をしているんだろう、このように思います。

 つまり、早くこれは着手をする。緊急経済対策的にもそうですし、事柄の性格上も早く対処をした方がいい。それは本予算には間に合わなかった。しかしただ、それは、二カ月間で使えなくても、足は長くなるかもしれないけれども、これはなるべく早く使ってもらうということであります。

 ただ同時に、松野委員がおっしゃったような視点から常に基金を見直しをしなければいけないし、政策的な意図に合わないものについては、それは返納させる、使えていないものについても返納させるという姿勢で臨んでいきたいと考えております。

松野(頼)委員 そうおっしゃるんですが、きょうのこの段階でまだ基金管理法人も決まっていない、公募をするという団体もあるんですね。

 例えば、これは去年も私がレンタルオフィスで二百億ぐらいのお金を積んでいるといって指摘をした団体なんですけれども、廃炉・汚染水対策基金、これを見ると、民間団体公募により決定。その公募期間を見ると、一月の二十三日から二月の十二日まで。この間に公募をして、ようやくその基金管理団体をこれから決めると言っているんですよ。今の段階でまだ決まっていないんです、どこに管理させるか。だけれども、この補正予算だけ通してくれ、この百九十九億だけは認めてくれと言っているんですけれども、これもちょっといかがでしょうかね。これは経産大臣の御答弁になると思いますけれども。

宮沢国務大臣 本基金につきましては、臨時国会でもいろいろ委員から御質問をいただきました。

 本基金につきましては、小さな団体等々という御指摘を前回受けたわけでありますけれども、選定についていえば問題はなかったと答弁をさせていただいたと思っております。

 基金の活用については不断の見直しを行うということでありますので、今回は公募ということを今させていただいております。もちろん、予算成立がなければ採択はできないということでございますので、いわゆる停止条件つきで公募をしている、こういうことでございます。

 一方で、基金設置法人と事務局とございますけれども、事務局はそのままでございますから、基金設置法人について、公募でございますから、同じ法人が出てくるかもしれないし別の法人になるかもしれないということで作業を進めておりますけれども、今御指摘がありましたように、では三月三十一日まで間もないので事業ができないのではないかという御懸念は、恐らく御懸念していただかなくて結構でございまして、しっかり事業ができると思っております。

松野(頼)委員 何か、まるで基金管理法人が決まっているかのような御答弁ですけれども。

 これはちょっと資料につけました。去年もやりましたけれども、資料の八を見てください。これが、前回二百億基金を管理した地球と未来の環境基金というところ。二百億ですよ、二百億。これを見ていただいても、一つの部屋の中に何社か入っているんですね。

 この法人は、通常の活動は三千万ぐらいの事業費、一年でですよ。植樹をしている、その活動は立派な活動なんですけれども、植樹をされている団体です。年間の事業費、三千万ですよ。そこに二百億の基金を、こういうオフィスの状態のところにいきなり国が任せているんですよ。これが前回とったところ。

 よもや、また今回同じところがとらないでしょうなというのが一つの指摘ですけれども、これで本当に二百億というお金をしっかり管理できる状態だというふうに判断されたんでしょうか。御答弁ください。

宮沢国務大臣 前回も同じような御指摘を受けました。申し上げましたのは、この基金の管理、執行については、別のオフィスをしっかり、独立したオフィスを借りて執行している。たしか、私、月額は忘れましたけれども、それなりの金額の家賃も払って執行している、こういうことを申し上げました。

 そして、先ほどの答弁、ちょっと誤解を受けるような答弁があればあれですけれども、この法人が公募に応じる権利はあるということを申し上げただけでありまして、この法人になるということは全く決まっておりません。

松野(頼)委員 これは、事業内容まで全部、実は事務方の皆さんに説明をいただきました。内容は極めて専門的なことをやっています。

 しかし、今回のこの基金管理法人の公募、まず選定されるメンバーがいらっしゃるんですよね。その選定されるメンバーを教えてくださいと言ったら、教えられないと言うんです。どういう方が選定されるんですか、この基金管理法人を選定するに当たって。御答弁いただけないでしょうか。

宮沢国務大臣 基金管理法人の選定に当たりましては、外部委員会に、外部委員にお任せしておりますけれども、事前にいろいろな介入があるかもしれない、また事後にいろいろなクレームがあるかもしれないということもありまして、従来より公表しておりません。

松野(頼)委員 いや、それはどこの選定委員会も同じで、どこもきちんと公開しているんですよ。こういう経緯でここを選んだ。こういう専門性があるからここを選んだ。どういう専門家の人たちがこういうことを選んだ。まさにさっきの、国会において、国権の最高機関につくった選挙制度の調査会だって、全員、お名前と肩書は公開されています。議事録の細かい、誰がどう言ったというところまでは公開はしていませんけれども、議事の内容の概要ぐらいまでは我々にも知ることができます。

 当たり前じゃないですか。なぜそれが公開できないのか、もう一回御答弁いただけないでしょうか。

宮沢国務大臣 審査委員の氏名及び評価の詳細は、情報公開法第五条一号及び六号柱書きに定める不開示情報に該当するため不開示にしている、こういうことでございます。

松野(頼)委員 これは不開示情報に該当するんでしょうかね。

 私たち、国会にも事故調査委員会というのを設置いたしました、両院の中にまたがる。もちろん、細かい議事は相手方の守秘義務との関係で出せないところはあるかもしれない。でも、少なくとも、そのメンバーと肩書、多分日本で最高の専門家の皆さんに参画をしていただいて事故調査委員会というのをつくったつもりですけれども、それでさえ、メンバーと肩書、どういう議事の内容があった、相手の守秘義務だからここは公開できない、そういうルールをきちっとつくってやったつもりですよ。これがなぜ公開できないのか。

 と同時に、このレンタルオフィスに、経験がない、原子力の知見もないと思われるような基金管理団体が受注をして、その受注経緯も公開できない。おかしいじゃないですか、それは。

 また、おもしろいことに、廃炉・汚染水対策事業の基金です。

 福島原発事故の廃炉・汚染水対策、極めて専門性が必要な分野です。平成二十五年度の基金管理法人の選定の公募要項には、当然のことながら、「組織の本事業に関する専門知識・ノウハウ等」、この四番というのが、「審査基準を満たさないものは不合格として、選定対象としない。」と言っていながら、専門性が全く感じられないところを去年は選定しているんですね。ことしの公募要項を見ると、そこの部分が抜け落ちているんですね。専門性がなくても、審査基準に満たなくても、要は、専門性がないところでも不合格としないと言っているんですよ。これもおかしくないですか。

 内容はしっかりやっていますよ。見ました。相当専門的なことです。説明を受けても、一瞬では私もわかりません。極めて専門性のある内容の事業に補助を出している。ロボットを開発したり、汚染水の成分を分析したり、どうやって湾の外に出さないようにするか、極めて専門的なことです。

 でも、この基金管理法人は、「原子力分野に精通しているか。」というチェック項目が当然のことながらあるんですが、そのチェック項目を今回の公募要項では落としているんですよ。なぜ落としたんですか。御説明ください。

宮沢国務大臣 これは委員御承知のことでありますけれども、基金設置法人というのはいわゆる金の出し入れをしっかりするところ、そして、別途、事務局というのがありまして、それぞれ高度な審査をしている、こういうシステムになっておりまして、事務局につきましてはそれなりに有名な研究所がやっているということであります。

 そして、これまで事業をやってまいりまして、一体的に事業を実施することで補完し合いながら適切に執行が可能である、逆に言えば、高度の専門性までは必要ないであろう、基金設置法人についてはということであります。ただ、専門性についてゼロではいけないということで、より細やかに評価するということで、採点制、マルかバツではない、採点制ということにいたしました。

松野(頼)委員 去年の二百億を公募するときには専門性を要求していました。ことしの百九十九億を選定するときには専門性が要らない。この理由を教えてください。

宮沢国務大臣 一年間実績を積んできまして、基金設置法人自体の専門性というのが極めて高いものである必要はない、ある程度の専門性があるということであれば、事務局と連携して事業が進められるということがわかった結果であります。

松野(頼)委員 委員長も顔をしかめていらっしゃいますが、要は、専門性が全くないのに、どこの事務局を選定するのか、どこの事業を採択するのかにかかわっているんですよ、この基金設置法人も。

 では、全く丸投げなんですか。いいんですか、それで。

大島委員長 宮沢大臣、もう少し大きい声で。それで、聞こえないものですから顔をしかめていたんです。

宮沢国務大臣 事務局は、公募によりまして、経産省で公募で決めているということで、この基金設置法人が決めるものではありません。

松野(頼)委員 であれば、基金に積む必要はないんじゃないですかね。これは何で基金に積むんですか、わざわざ。本予算でやればいいじゃないですか、本省がやるなら。違いますか。

 基金に積む理由を教えてください。

宮沢国務大臣 福島の廃炉、汚染水の処理を進めているわけでありますけれども、いろいろ進めると、いろいろな装置とかいろいろな技術が徐々に必要になってまいります。それは、例えば燃料デブリ、溶けた燃料をどう取り出すか、また取り出す方法なんというのも、最近になってある程度見えてきて、どういうものが必要になってくるかということがあって、徐々に徐々にいろいろな必要なものが出てくる。

 そういうものに対しまして、それぞれの技術を開発してくれるところを事務局が公募して選んでいく、こういうことでありますので、長年にわたる作業であるということ、そして、それなりのお金が積んであってそれなりに対応できるということで、基金の事業として大変、これはある意味では基金が本当に必要な事業だと思っておりまして基金にしております。

松野(頼)委員 今御答弁いただいたように、こういう専門的なことをやらなければいけない、こういうことも必要なことだといって選定するのに、全く専門性がなくていいんでしょうか。これはちょっと答弁がおかしいので。

 では、お金だけ管理している団体をわざわざ外につくるということなんですか。お金だけ管理するから、それもレンタルオフィスみたいなところですよ、そこに管理させるだけだから、別にそこは専門性がなくてもいいんだと。でも、いろいろな専門的なことが出てくるから、わからないから、基金に積む必要があるんだと。何を言っているかわからないんですよね、答弁が。

 私は、もっとちゃんと専門性があるところに、そしてある程度基金の保全ができるぐらいの規模のところにきちっとその基金を積んで、きちっと、誰が見てもおかしくないような内容のものをやればいいんじゃないか、管理をすればいいんじゃないかと。

 実際にやっている研究はちゃんとしていますよ、見ましたが。物すごく専門的なことをやっているし、その中から確かにいいものができようとしている。だけれども、管理している団体だけが何かおかしい、うさん臭いんですよね、物すごく。その団体が悪いと言っているんじゃないんですよ。その管理のさせ方が極めて恣意的な感じがするということなんですよ。何でそんなレンタルオフィスのようなところに二百億もの金を渡せるのか、どうしてもこれは理解ができないんですね。

 もう一回御答弁いただけないですか。何か、ここにどうしても落とさなきゃ、管理させなきゃいけない理由があるんですか。もう一回御答弁ください。

大島委員長 宮沢大臣、わかっていただけるように答弁してください。

宮沢国務大臣 基金管理団体、基金設置法人と事務局が分かれておりまして、まず、レンタルオフィスのようなというお話がありましたけれども、これは、しっかりとした個別のオフィスを持って執行をしております。

 それから、基金設置法人と事務局の関係ですけれども、基金設置法人は、お金の管理をする、そしてある意味では信託したものを払ったりするところでありまして、この出し入れについては経産省でも確認をしております。

 一方で、どういうところに、企業にお願いするかということは、事務局というところで、ここは極めて高い識見というか知識のあるところであります。

 そして、では、何でもともとそういう事務局をやっているところに基金を設置しないのかということが恐らく一番おわかりにならない点だと思うんですが、制度上許されるのであればそういうことがあり得るんですけれども、残念ながら、株式会社でありますと、税法上の関係で利益が発生するとか、また、余ったお金を戻させるときにいろいろな問題があるとかということで、実は、株式会社には基金を設置できない、株式会社も受けられないという事情があって、このような制度をとっております。

松野(頼)委員 では、株式会社に受けられないから、トンネル基金みたいなものを、トンネル会社みたいなものをつくるんですか。

 所在地、ほかにオフィスがあるんだとおっしゃいますけれども、少なくとも登記上の所在地はこれなんですよ。またそんなトンネル会社みたいな話をする。

 二百億ですよ、二百億。いや、ここはレンタルオフィスかもしれないけれども、ほかにちゃんとしたオフィスがあるんだ、そんな話が通用しますか、二百億のお金を管理するのに。銀行へ行って、二百億貸してください、実はこれはレンタルオフィスですけれども、ほかにあるんですよみたいな話が通用するんですか。おかしな話ですよね。ちゃんとした事務局に管理をさせるなり、違う形態をとって管理させればいいじゃないですか。

 ほかの基金で、今回も十幾つの基金を積んでいますけれども、本予算にはもう一個またレンタルオフィスのところが出てきていますが、少なくともこの補正予算の基金管理において、ほかを見ても不自然なところはないんですよね。こういうところならちゃんと管理できるだろうなと。株式会社じゃありませんよ。

 物すごく不自然だから、これを去年から取り上げているんですよ。なぜここにどうしても受注させたいのか、なぜここにどうしても管理させたいのかというのがわからないんですよ。だから聞いているんです。どうしてもここだというような意図が見えるんですね。だから聞いているんですよ。

 これだけやっていてもしようがありませんから、次に行きたいと思います。

 きのうも若干議論が出ていましたこの基金管理についてですが、去年の秋のレビューで、きのう麻生大臣がお答えになっていました。先ほどの答弁と同じように、不確実な事故等の発生に応じて資金を交付する事業、資金の回収を見込んで貸し付けを行う事業、事業の進捗がほかの事業の進捗に依存するもの、こういうものは基金でやってもしようがないですねということを、去年の秋のレビューで決定をいただいたというふうに思います。

 今回の補正予算で入っている中で、きのう大臣は、二つの基金はこれに該当しないかもしれないというふうにおっしゃっていましたが、こういう基金方式をとめることは当然であるという御答弁もされていたんですね。本予算ではこういうことはないですよね。

麻生国務大臣 基金方式によらずに実施できないかということを検討することがルールなんですが、その結果が、先ほどお話のあったとおりのものになっております。

 御指摘のありましたこの二つの基金の事業ですが、これは経済対策を事業として実施するものというのは御存じのとおりなんですが、今日、補正に予算を計上しているところですけれども、その実施の方法について、これは基金方式によらずほかの方法で実施ができぬのかということを検討させております。

 その結果、農業構造改革支援基金につきましては、二十六年の三月以来、順次、農地中間管理機構の業務が本格化しております最中でもありますので、当分の間は、過去からの実績等々、年度ごとの所要額を合理的に見積もることは極めて困難ということが一点。

 もう一つの、ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援事業基金につきましては、この事業が小企業のいわゆる設備投資とか試作品開発の期間に左右されますので、執行が複数年度にわたることになりますので、既存の実態、形態を活用するとの判断を行ったということから、今回の補正予算におきましては基金方式で計上しております。

 いずれにしても、この二つの基金については、基金方式によらないで実施できないかということを引き続き検討してもらいたいということを要請しております。

松野(頼)委員 ぜひ、しっかりそこの基金というものは、また引き続きやりたいと思いますが、やはりきちんと一般会計で財務省の査定を受けて予算化するというのが本来の筋だと思いますので、必要ないものは改善をしていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなりました。本当は労働保険特会、いわゆる企業が払っている雇用保険、また各企業が払っている労災保険、これについて実はやりたいなと思っていましたが、さわりだけやらせていただきます。

 これは大体、企業が、雇用保険というのは、給料の千分の十、今法律は千分の十四ですけれども、若干値下げをして千分の十、労使折半ですね。二事業分として、これは事業者だけですが、千分の三・五。これが雇用保険です。

 それ以外に労災保険というのがありまして、労災保険は、業種によって異なりますけれども、千分の八十九から二・五、平均千分の四・五、この負担を中小零細企業なり大企業、人を雇っていれば負担をしています。

 これの収入が莫大にあるんですね。資料の十二ページをごらんください。

 失業給付金の勘定では一・八兆、雇用保険二事業では約〇・六兆ですから、約二・四兆の収入があります。毎年二兆四千億。労災保険では一兆一千億。これを各企業、事業者が負担をしています。

 それの積立金が莫大にあるんですね。まず、雇用保険の勘定の積立金の額、そして労災保険の勘定の積立金の額を両方合わせて教えてください。厚労大臣、お願いします。

塩崎国務大臣 今の二つの労働保険特会の勘定、雇用勘定と労災勘定、それぞれ、六・六兆円と七・八兆円で、合わせて十四兆円の積立金があります。

松野(頼)委員 十四兆円積み立てているんですよ、雇用保険特別会計だけで。莫大な積立金があるんですね。

 いろいろな事業をしているんです。前に、私のしごと館というのをこの特会でつくった。無駄遣いをしてしまった。数百億でつくって、結局、無償で自治体に上げて、自治体も使い切れずに数百億が溶けちゃった。こういうところです。

 時間になりましたので、この雇用保険特会はまた次回しっかりと質問させていただきたいと思うんですが、いずれにしても、今、国民に増税を強いています。もっと国は歳出をしっかり切って、無駄遣いをやめて、その前に我々国会議員が身を切って、こういう姿勢で臨まなければいけないのではないかということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、柿沢未途君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。柿沢未途君。

柿沢委員 維新の党の柿沢未途でございます。

 ISILが人質にとっている後藤さんの解放に向けた交渉の現状についてお伺いをしようと思ったんですけれども、状況が時々刻々と動いており、また重大な局面のようにも思われます。予定した外務大臣への質問はやめることといたしたいと思います。ヨルダン人パイロットのカサスベ氏を含め、一刻も早い救出が実現するよう願ってやまないところであります。

 ただ、一点だけちょっと総理にお伺いをしたいと思うんですが、このISILという呼称についてなんですけれども、欧米諸国の首脳を見ても、ISIL、またはISIL自身が嫌っているとされる呼称であるダーイシュ、こういう呼び名を使っているところがほとんどに今なっているようです。オーストラリアのアボット首相も、ダーイシュという名前でこのISILを呼ぶべきなんじゃないのか、こういうふうな呼びかけをされているようであります。

 イスラム国という呼称は、あたかもこのイスラム国を承認された国家と認めているようであり、また狂信的な暴力集団であるISILと一般のイスラム教徒が同一視されかねない、そういうニュアンスがこもってしまいます。

 外務省にお尋ねをしたところ、やはり日本政府としてもイスラム国という呼称は好ましくないという見解でありました。安倍総理も当初からISILと呼び、今や私たちもISILと呼んでいます。

 にもかかわらず、国民に大きな影響力のあるマスメディアの皆さんが、さまざまな注釈はつけながら、しかし、さまざまな注釈はつけた上でイスラム国という呼称を今も使い続けているわけです。

 私は、報道機関に対して政府が直接の要請をするとかいうことは余りいいことだと思いませんけれども、しかし、この場でなるべくISILの呼称で統一していくのが望ましいという意思表示はできると思います。総理、どうですか。

安倍内閣総理大臣 ただいま委員が御指摘になったように、イスラム国といえば、まるで国として存在しているかのごときの印象を与えますし、いわば国として国際社会から認められている、あるいはまた、イスラムという名前を使っておりますので、イスラムの代表であるかのごとき印象を与えて、イスラムの人々にとっては極めてこれは不快な話になっているわけでございますので、政府としてはISILという呼称を使っているわけでございます。

 そこで、マスメディアも、そういう意味においては大変影響力があるでしょうから、ただいま柿沢委員が御指摘になった点も踏まえて検討もされる可能性もあるのではないか、このように思います。

柿沢委員 御答弁ありがとうございました。

 非常に重大な局面なので、これ以上はもうやめたいと思いますけれども、今回の事件については後々検証すべき事項はいろいろとあるように思います。全て解決をした後にその機会を持たせていただけたら、こういうふうにも思っているところです。

 さて、補正予算です。

 十二月二十七日に閣議決定をされた地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策に基づいて、この補正予算は編成されています。書いてありますとおり、一、現下の経済情勢を踏まえた生活者、事業者への支援一・二兆円、そして、地方が直面する構造的課題等への実効ある取り組みを通じた地方の活性化〇・六兆円、三、災害復旧復興加速化など災害、危機等への対応一・七兆円、以上で三・五兆円の国費ということであります。それによって〇・七%のGDP押し上げということになっております。

 我が国のGDPはおおむね五百兆円というところですから、それに〇・七%を単純に掛けるとちょうど三・五兆円になるわけです。つまり、三・五兆円の公的需要の追加で三・五兆円のGDP押し上げ、これは当たり前なのではないかと思いますけれども、補正予算の経済効果という点について、政府はどのような認識を持たれているんでしょうか。

甘利国務大臣 たまたま数字とGDPを掛けるとそういうことになるんですが、実は、計算は機械的な積み上げです。

 例えば、公共事業でいえば、国が二分の一であるならば、地方分の二分の一を足した効果、あるいは、プレミアム商品券のようなものであれば、民間が足し上げた分を機械的に加算をして出したものです。いわゆる乗数効果と言われるものは計算をしておりません。

柿沢委員 三・五兆円の予算を組んで、三・五兆円の経済効果が出ると。いろいろお話はされましたけれども、最終的に乗数効果は計算しておりませんということですから、どう〇・七%の押し上げ効果をはかったのかもよくわからなくなってしまうんですけれども。

 この中で、復興の加速化ということで一兆円以上の予算を計上しています。これは、災害復旧復興加速化の一・七兆円のうち、一兆円が復興の加速化に充てられている。

 いかにも復興に力を入れていますよ、こういうことになっているわけですけれども、しかし、この内訳を見ると、このパネルの下の方ですけれども、何か変なことが書いてあるんですね。平成二十五年度決算剰余金の一部を活用した東日本大震災復興特別会計への繰り入れ七千二百四十七億円、ちょろっと書いてあるんです。

 これは、財政法六条で、公債または借入金の償還財源に充てなければならないものとされている決算剰余金の二分の一に相当しているものですから、つまり、これは復興債の償還財源に充てられることになるんじゃないですか。財務大臣、それでよろしいですか。

麻生国務大臣 そのとおりです。

柿沢委員 復興債の償還に七千二百四十七億円。借金を返す、それが復興の加速化一兆円の大半を占めているわけです。先ほどのGDP三・五兆円の押し上げ効果にこの七千二百四十七億円がカウントされているわけです。

 借金返済のどこが復興の加速化なんですか。どのような経路でこれがGDP押し上げにつながるんですか。何で緊急経済対策にこれを計上しているんですか。お尋ねします。

甘利国務大臣 経済効果にはカウントしておりません。委員おっしゃるように復興債の償還財源でありますから、先ほど御指摘のあった経済効果には含まれておりません。

 なお、公共事業でいえば、マクロ経済モデルというモデルを使えば乗数効果は一・〇四、一年目ということが出ますけれども、それもあえて使っておりません。というのは、それ以外の民需振興部分につきましては、地方自治体が設計するものによって形が違ってくるわけでありますから、結果が違ってくるわけでありますから、現時点で詳細な設計、詳細な算定はできないし、経済対策で乗数効果を使った経済効果というのは、過去にも算定をしていないと思います。

柿沢委員 改めてお伺いしますけれども、七千二百四十七億円、これは借金の返済です。経済効果には含めておりませんと言っている。これを何で緊急経済対策に計上するんですか、お伺いします。

麻生国務大臣 これは、基本的に、二十七年度までの復興事業費というものが二十五兆円を超えるということが見込まれております中で、今般の補正予算の中において、一般会計の決算の剰余金として二分の一に当たりますいわゆる七千二百四十七億円の、追加の復興財源として確保したということであろうと思います。これを復興特会に繰り入れますので、復興債を償還するということで、二十七年度においていわゆる新たに復興債を発行し、復興事業に充てることができるということになろうと存じます。

 こうした措置によって、基本的には、被災地の復旧復興加速化を通じて被災地における経済の好循環を確かなものにしていくことができるということだろうと思いますので、経済対策の趣旨に沿っているということだと理解しておりますが。

柿沢委員 全く理解できません。借金返済ですよ。

 この額を緊急経済対策に計上して、補正予算に計上して三・五兆円としている。これは、はっきり言えば、経済対策にならない中身を入れて三・五兆円という額をつくり上げている、こういう水増しが行われていることになるのではありませんか。

 話をかえます。

 衆議院選挙のマニフェストで私たち維新の党が訴えたのは、四つあります。身を切る改革、徹底行革、維新の手で行う。そして、失われた第三の矢を維新の手で行う。忘れられた社会保障改革を維新の手で行う。地方創生は地域が決める、これも維新の手で行う。

 このうち、身を切る改革ということと地方創生は地域が決めるということについては、先日の代表質問で、国会議員の定数、歳費の削減、そして道州制と大阪都構想、こういうことでそれぞれ触れさせていただきました。

 第三の矢の、農業改革、農協改革であります。安倍総理はきのうもJA全中の単位農協に対する指導・監査権限をなくす法改正ということに強い意欲を示されました。

 私は、農協が、事実上の地域独占の状態にあって、しかも独占禁止法の適用除外になっていて、競争が阻害されているのが問題の根源だと思っておりますので、その点についてもぜひ踏み込んだ改革を御期待申し上げたいというふうに思っているところです。

 農業改革に関連して、一つ御質問をさせていただきたいと思います。

 この冬、スーパーからバターが消えてなくなりました。きのう、私の選挙区の江東区の大型スーパー、イオンとイトーヨーカドーですけれども、行って見てきましたけれども、売り場にはバター風味のマーガリンとかがどんと積んであって、次回の入荷はバターは未定です、御迷惑をおかけしますとか、お一人様、各商品一パックのみにしてくださいとか、こういう表示が売り場に立てられているんですね。

 これはバターが品薄になっているというのは、随分メディアでも報道されているところでありますが、この品薄の原因というのをどのように考えておられるでしょうか。

西川国務大臣 バターの原料は生乳ですね。それで、平成の二十五年、猛暑であった。猛暑でありますから、お産が二十六年にかけて非常に下がった。お産しなければ、これは牛乳をつくれませんので、そういう状況で、天候の状況と、あと離農者がいた、こういうことがあって生乳の生産が減った、こういうことが原因かと思います。

 私どもは、クラスター事業をやりながら酪農対策をしっかりやっていきます。

 それから、今までの輸入量と国産の割合は、普通は国産が九割、輸入が一割、こういうことでありますが、去年に限っては、国内産が少なくなりましたので、国内産八割、輸入が二割に近づいた、こういうことであります。バターを製造する大手メーカーにも要請をいたしまして、バターの生産に生乳の振りかえを頼みまして、バターの不足は大体落ちついたかなと思います。

 ただ、私どもは、年間一万三千トン輸入します。ことしも夏に三千トン、その後七千トン入れまして、三月までに三千トン入れますから、需給状態としては不足が生じないで済む、こういうことを考えておりまして、消費者の皆さんにも、バターは大丈夫です、こういうことを周知徹底を図っていきたい、こう考えています。

柿沢委員 生乳が不足したということなんですけれども、しかし、お店から牛乳が姿を消したわけではないんですね。なくなったのはあくまでもバターなんですよ。なぜそうなるのか。

 私の認識を申し上げます。

 国内産の生乳をどういうふうにして牛乳か乳製品か、こうやって振り分けるかというと、これによって供給量というのは変わってくるわけですけれども、これは、市場メカニズムであれば、バターが足りなくなれば、加工原料乳の価格が上がって、供給量がふえていくということになるんだと思うんです。

 ところが、生乳の買い取り価格というのは、これはあらかじめ指定団体が乳業メーカーと交渉して決まっているんですね。

 例えば、北海道の新年度の乳価が決まったばかりですけれども、牛乳用はキロ当たり百十七円四十銭、そして、バターを初めとした加工原料乳は七十四円四十六銭ということで決着をしました。この価格で一年間固定されるんですね。

 だから、バターが不足しても加工原料乳の値段というのは上がらない、だから牛乳は余っているのにバターはふえない、こういうことになっているのではありませんか。

 では、今度は、全体として足りないんだったら輸入をすればという話になるわけです。

 実際、輸入はふえているわけですけれども、この輸入も、バターというのは国家貿易品目になっていて、独立行政法人農畜産業振興機構によって輸入が事実上独占をされている。輸入バターは、三五%の関税率で輸入できるのは六百トンだけ、それ以上は、関税二九・八%に、キロ当たり百七十九円の二次税率が課せられる。さらに、この農畜産業振興機構は、価格調整のために、一キロ当たり八百六円の輸入差益、いわゆるマークアップですね、これを取って販売している。

 例えば、国際価格、外国で五百円に相当するバターを一キロ輸入したとすると、これは、関税二九・八%プラス百七十九円、そこにマークアップ八百六円を上乗せすると、一千六百三十四円になってしまう。これは、流通段階、小売段階の利益なんかを乗せていくと、二千円とかいう価格になってしまうんですね。これでは、乳業メーカーだって幾らも買えないということになってしまうわけです。

 このマークアップの収入というのが農畜産業振興機構にどんどんどんどん入ってくるわけですね。平成二十四年のバター輸入量は四千トンでした。この機構に入った輸入差益は二十三億と言われています。一万三千トンになったわけですから、その三倍以上ですね。これは、機構には、恐らく六十億、七十億というお金が入ってくることになるんでしょう。

 何のことはない。この仕組みをとっていることで、消費者は、海外のバターを三倍、四倍の値段で買わされて、しかも品薄で入手できずに、なおかつ農畜産業振興機構には巨額の金が入ってくる。そこには、年収一千五百万の副理事長を初めとして、農水省のOBが役員だけでも七人天下っていて、これは、職員を含めると百人、二百人規模のOBがいると言われています。

 要は、これは天下り団体による輸入独占、こういうことによって消費者が不利益をこうむっている、こういうことになっているんじゃないですか。こういう仕組みをこれからも続けるんですか。お伺いします。

西川国務大臣 確かに、農畜産業振興機構にお金が入る仕組みにはなっております。

 しかし、この趣旨は、需給調整のバランスをとりながら、生産者の方を向けば、それは、多くの輸入が促進されていけば、今度は日本の畜産物の暴落につながる、こういうことにもなりまして、この需給のバランスをしっかりとりながらやっておりますし、そこで入ってくるALICの財源によって、畜産振興のお金に使う、こういうことが方向づけられておりまして、農畜産業振興機構のお金を今でも畜産振興に使っている、こういう仕組みであります。

柿沢委員 御答弁をいただきましたが、まさにそのとおりで、これは同様な仕組みで、牛肉関税収入見込み額が毎年毎年国から農畜産業振興機構に入っていて、生産者対策の金として積み上がっているわけですね。

 砂糖、でん粉、こうしたことについても同様の調整金の収入があって、こうしたお金が積み上がって積み上がって積み上がって、この農畜産業振興機構の財務諸表を見ると、何とバランスシートの流動資産、現預金のところを見ると、平成二十六年三月三十一日現在で三千八百二十二億円も積み上がっているんですよ。こんなにお金を持っているんです。

 なおかつ、私が知る限り、これは昨年国会で指摘を受けて、二十六年度中に積み上がったお金のうち七百億円を返しているんですよ。返した上で、四千億近いお金がこの機構の中に積み上がっているんですね。

 この仕組みというのは、結局、減反によって生産調整をする、高関税七〇〇%で守る、国内価格を高く守って、高い米を買っていただいて、消費者に国際価格との差額分六千億と言われるような消費者負担を強いている米の状況と全く同じなんじゃありませんか。これらの構造を、TPP交渉で関税死守の聖域として今政府は守ろうとしているわけです。

 これは農業の競争力強化ということとは違う話になってしまっているのではありませんか。お伺いします。

西川国務大臣 日本の農業は、御承知のとおり、農業生産国の、大きいアメリカやオーストラリアに比べて土地条件等も不利な状況にある、そういう中で国境措置を持っている、こういうことでありまして、国内農業を守りながら消費者にも迷惑をかけない、こういう農業をやっていこう、これが農政の今の方針でやっています。

 これからTPPの交渉等が大詰めに来ると言われておりますが、その中でも、私どもは農林水産委員会の決議をいただいております。それは、日本農業への影響を最小限にするように、こういう決議でありまして、決議をいただきながら、そして、日本農業を強くするためにはどうするか、所得を上げるにはどうするか、こういうことに果敢に取り組んでいきたい、こう考えています。

柿沢委員 農産物の輸入で国内農業、農家が守れなくなる、こういう論理の経路だったと思うんですけれども、しかし、海外の農業大国と言われるような国々を見ると、特にヨーロッパのケースを見れば、関税をなくした、そうしたところがあるわけですけれども、そういうところは確かに輸入がふえています。しかし一方で、その輸入した原材料を加工して輸出をするという形で、輸入大国イコール輸出大国、こういうことになっているわけですね。

 例えば、イタリアの例がよく出ますけれども、小麦の輸入は非常に多い。しかし、それをパスタに加工して輸出をするということをやっているわけです。イタリアにとっては、恐らく小麦という作物は日本の米以上かもしれません。安い原料の輸入で国内農家が壊滅する、こういう議論というのは、ずっと延々こういうふうに続けていくことはできない話ではないかと思うんです。

 世界の農産物流通のうち、七割はこういう加工食品の輸出入というか、こういうことで成り立っているわけですね。なのに、日本は輸入関税と価格調整で原材料を高くして、結果として加工食品の価格競争力も失わせている結果になっているのではありませんか。農業の成長産業化というのは何を目指すべきなのか。これは道を見誤るべきではないというふうに思います。

 ぜひ、この質問の締めくくりとして、ここまで聞いておられたと思いますので、安倍総理にも御答弁をいただければというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 先ほど西川大臣から答弁させていただいたところでございますが、我々は、農業を守り、かつ、消費者のニーズにもできる限り合致するような政策を進めていきたい、こう思っているところでございます。

 なぜ国境措置をとっているか。日本は、農地、耕作地、非常に狭隘な土地という条件の中において食料自給率を維持していかなければいけない、こういう命題があるわけでございます。

 他方、生産性を上げていくという余地はまだまだあるんだろう、このように思っておりますし、また、ヨーロッパの国々が自給率を回復していく過程においては、得意なものをたくさんつくってそれをたくさん輸出してきたという点にも我々は学ばなければならない、こう思う次第でございます。

 ここのまさにあんばいが大変重要であろうというふうに思うわけでございますが、消費者のニーズということは常に頭に置きながら、他方、食料安全保障の観点から、食料自給率をしっかりと維持向上させていくという中において、まさに日本の農業を将来に向かっての成長分野にしていきたい、こう思っております。

柿沢委員 あんばいが難しいというお話、まさにそのとおりではあると思うんです。

 その中で、私が申し上げたいのは、農林水産省のOBの多数天下っている独立行政法人、天下り団体、こういうところに三千八百億もお金を積み上げてまでこの事業を行っていくということを延々続けているということで、本当に今おっしゃられたような生産性の向上ということにつながっていくのかどうか。私は、最終的には、これはテークオフして、そして、国際価格で日本の農産物が競争できる、そうした力をつけなきゃいけない、そういうときに、この補助金ばらまきみたいなことをやっているということで、本当にそうした方向性が進んでいくんだろうかというふうに思うんです。

 冒頭申し上げたとおり、今回の農協改革を初めとして、安倍総理が第三の矢として目指している農業改革の方向性については、私たちは基本的には大変結構だと思っている部分が多いです。そういう意味で、ぜひ、時間も待ったなし、こういう状況だと思いますので、踏み込んだ改革を行っていただけるように期待をいたしたいというふうに思います。

 さて、次に、衆議院選挙のマニフェストの柱の一つ、忘れ去られた社会保障改革、年金改革について御質問させていただきます。

 安倍総理は、GPIF、年金積立金管理運用独立行政法人の積立金運用のポートフォリオを見直して、株式運用の比率を高めて運用収益を上げる、つまりは年金積立金の投資戦略を変える、こういう改革には御熱心のように見受けられますけれども、年金制度の仕組みそのものの改革については、この間、全くと言っていいほど言及がなかったように思います。

 年金制度の破綻の危機が叫ばれて久しい。私は、この年金制度の危機というのは、制度の仕組みそのものに根差したものであるというふうに思っています。

 パネルをごらんいただきたいと思うんです。

 我が国は賦課方式の年金制度をとっているとされています。これは簡単な概念図ですけれども、つまり、私たちが払った年金保険料というのは、将来、私たちの方に返ってくるわけではないわけですね。今年金を受給している高齢者の皆さんへの年金支給にこの年金保険料というのは充てられて、消えていくわけです。つまり、世代から世代への仕送りのような仕組みになっているわけです。

 この仕組みをとっていると、どういうことが起こるか。昔、今と書いてありますけれども、要するにこういうことです。払う側が少なくなって、もらう側が多くなれば、これは、勘定が合わなくなって、そして、払う側の負担をふやすか、もらう側の給付を減らさなければ、財政的な帳尻が合わなくなるということなわけですね。つまり、そのときそのときの人口ピラミッドの構造の変化によって年金支給額が上下することになる。ですから、世代によって、受益と負担、負担と給付の格差が開いてしまうことになるわけです。

 これは計算のやり方で異なりますけれども、一九四〇年生まれの今のお年寄りの皆さんと、そして二〇〇五年生まれの生まれたばかりの子供を比べると、年金の世代間格差というのが六千万近くになっている、こういうふうにも言われているわけです。

 二十代の二人に一人が国民年金の保険料が未納となっている。これは、若い世代の年金不信が一つの背景にあるものと見られています。

 次のパネルですけれども、この年金不信を払拭し、世代間格差に関する誤解を解いてもらおうと、厚生労働省がわかりやすい漫画をつくってホームページで公開したんです。「いっしょに検証!公的年金」というもので、一千六百万円かけたということですけれども、「世代間格差の正体 若者って本当に損なの?」これは最終回ですけれども、ネットでこの漫画が炎上してしまったんですね。

 これを見てみると、今のお年寄りのおかげで今の若い世代が豊かに暮らしていることを考えると、受け取る年金に差があったとしても若者が損とは言えないと思いませんかと。あげくの果てには、最後のところで地方公務員のお姉さんが女子大生の妹に、あんたが結婚して子供をたくさん産めばいいのよと。じゃ、ばりばり働いてお見合いパーティーで頑張りましょう、こんなことを言って終わっているんですよ。これを見た人から、論理のすりかえがひどい、これで若い人が納得するのかと、さんざんな悪評が書き込まれているんです。

 塩崎大臣、通告していませんけれども、厚生労働省はこんな認識なんですか。少子高齢化で負担がふえて給付は減るけれども、若者は豊かなので、恵まれているんだから、お年寄りを敬って我慢しろ、それより、女性が頑張って子供を産めば問題は解決するんだ、こういうことですか。お伺いします。

塩崎国務大臣 柿沢委員の御質問にお答えしたいと思います。

 私も、通告をいただいていなかったので、きょう、今これを初めて質問として頂戴いたしたわけでありますが、正直、私もこれを見て余り上手じゃないなと思ったわけでありますが、問題意識は決して間違っているわけではないんだろうと思います。

 ただ、根っこの問題意識は、やはり今、先ほどピラミッドの、逆ピラミッドになる、あれが一番の問題で、少子高齢化が賦課方式、つまり助け合いの仕組みというものを維持するのに非常に問題になってきていることは間違いないのであって、それに対してどういう答えを出せば皆さんに安心していただけるのか。

 かつて年金崩壊だということを随分民主党の皆さん方に言われて、しかし、政権交代した後、今の岡田代表も、マクロ経済スライドについて評価をし、決して破綻しているわけではないんだということをおっしゃったわけでありまして、それは、今の先生がおっしゃった、このままではうまくいかないというのとはやはり少し違う考えを私たちは持っていましたし、そういう考えを他党も持っていただいたと思うんですね。

 問題は、だから持続可能性の問題であって、そのために何をするか。

 これは、平成十六年の改正でマクロ経済スライドを導入しました。それによって持続可能性がかなり確保されたというふうになっていますけれども、その前提は、やはり経済の再生、つまり成長と、それから労働市場参加の促進が進んで、所得代替率五〇%を守るということが大事だったわけであって、そうなると、今の働く人たちがふえてくるということは、少子化をやはり解決しなければなかなか社会保障の安定はできないということもこれは事実でありますし、それから、実態として、今の高齢者の皆さんの受け取り年金額が高い、相対的に高いということも事実です。

 しかし、これを、では、どうやったらいいのかということで出てきたのが、今回のマクロ経済スライドによる調整をしながら長続きさせていこうということです。賦課方式でいく限りは、このような形の調整というものでかなりの部分が解決されて、全部が解決されたとは、もちろん気持ちの上で言えるとは、私はまだ言えないんだろうと思いますけれども、まだまだ説得をしないといかぬというふうに思っていますが、今回、きょう、マクロ経済スライドが正式に四月から導入されるということが決定的になりましたけれども、そういうようなことで、どうやって助け合いの仕組みを守っていくかということを私たちはやはり考えていかなきゃいけないと思います。

柿沢委員 御答弁を子細に検討するといろいろ言いたくなるんですけれども、次のパネルに移ります。

 五年に一度の財政検証が去年行われました。六月に発表されています。これは、アベノミクスが成功すれば年金制度はこれからも百年安心だみたいなことが言われているんですけれども、ケースHと書いてあるところがありますが、これが最悪の想定とされています。しかし、このケースHというのはどういう想定を置いているかというと、名目賃金上昇率一・三%、名目運用利回り二・三%、女性のM字カーブも実勢に近い、今の社会の状況に近いシナリオ、これがケースHなんですね。要は、今の経済の状況に一番近い状態でそのまま延ばしていくとどうなるかというのがこのシミュレーションなんです。

 これだと、四十年後には国民年金の積立金は全部枯渇してすっからかんになってしまって、そしてモデル世帯の所得代替率は三〇%台にしかならない、こういう暗たんたる将来像が示されているんですね。日本経済の実勢に従って素直に経済前提を置くと国民年金は事実上破綻してしまうということが描き出されたのが、今回の財政検証なのではないかと思います。

 特に、国民年金、基礎年金の部分を見ていただきたいんですけれども、これは、ケースHはもうスラッシュになっていますけれども、上を見ていただければわかるとおり、このままいくと三万円台になってしまう。こういうことでは、もうこれは基礎年金という名に値するものにはならないというふうに思います。これでは最低生活保障にならないということになろうかと思います。

 国民年金、基礎年金の制度というのは、所得の高い人も所得の低い人も一定の額の基礎年金を受け取る、こういうものになっていますので、そういう意味では、基礎年金だけで生活をする人もこの額になってしまうわけですね。これは非常に危機的な状況だと私は思います。

 今の基礎年金の制度、この年金の制度を含めた所得再分配の社会保障の制度はどうなっているかということなんです。

 高齢層と若年層に分けると、今は、先ほど申し上げたように、高齢者であれば、困っている人も困っていない人も、基礎年金でいえば一定の同じ水準の給付を受ける、こういうことになっている。だけれども、三万円台の基礎年金というのは、もしかしたら、困っていない人にとっては要らないものかもしれない、困っている人にとってはもっと必要なものかもしれない、こういうことだと思うんですね。

 これを、やはり高齢者であろうと若年層であろうと、今、生活の最低水準が保障されるために、給付が必要な人に必要な給付を行う、こういう仕組みに所得再分配のあり方を、世代で分けるのではなくて、困っているか困っていないかで分ける、こういうことにしていく必要があるんだと思うんです。

 塩崎大臣にうなずいていただいていますけれども、このまま飛ばしていきます。

 それをやるとすれば、給付つき税額控除がベストなんじゃないですか。課税最低限を設定し、そして最低生活保障額を設定して、課税最低限を下回るその世帯の皆さん、あるいは税額から引き切れない、それを下回っている世帯の皆さんには一定の給付を行う、そしてそれ以上の方には定額減税、いわゆる税額控除を行う、こういうことですよね。

 これは、あれっと思っていただくと興味深いんですけれども、平成二十一年に公明新聞に、給付つき税額控除をやるべきだといって載っているんですね、この概念図が。一番わかりやすい図だったんですけれども、公明党さんも給付つき税額控除に賛成なんですね。

 これは、マイナンバーも入ったわけですから、もう進めていく必要があるんじゃないですか。今の国民年金、基礎年金の将来的な危機的な状況を考えれば、必要な方に必要な額の給付を行う、高齢者に限らずそうしたことを進めていく必要性が生じていると思いますが、御見解をお伺いいたします。

塩崎国務大臣 基礎年金についてお話がありましたので、まずその点について前提も含めて申し上げます。

 先ほどケースHとかそういうのは本当に失われた二十年の世界の話であって、二〇二〇年から三〇年までの間の平均成長率でも、Hというのはマイナス〇・四、Gでもマイナス〇・二、ケースFでも〇・一ということで、アベノミクスが目指しているのはもっと高い成長を目指しているわけであって、少なくともケースE、一番低いところでも〇・四というのを見ているわけであって、先生の今お出しになった四万円台のものというのは、言ってみれば、成長が全くないケースであるのを前提にした数値でございます。

 経済が成長し、なおかつ一定の賃金上昇があれば、先ほど申し上げたように、マクロ経済スライドによる年金水準の調整の措置を講じても大体六万円台が確保されるというのが私どもの計算の結果であって、四万円台というのは、そうなるということにはなっていないということを改めて申し上げたいというふうに思います。

 ただ一方で、先生御指摘のように、低所得者層にとって、あるいは低年金者層にとっては基礎年金だけでいくというのはなかなか大変であることは私たちもわかっていますし、マクロ経済スライドも、その表にあるように、随分長い期間かかって続くということになることはよくわかっております。

 したがって、医療や介護の面での低所得者層に対しての配慮、あるいは低年金者層に対する配慮、そして、今回、二%引き上げないために少しおくれちゃいますけれども、低所得での、低年金の高齢者に対する福祉的な給付など、社会保障全体でやはりそれは見ていかないといけない。

 今の給付つき税額控除の問題については、これは選択肢の一つとして、複数税率、それから給付つき税額控除というのが一体改革の中で示されているわけでありますから、もちろん、ですから、それを検討することも含めて、今後、低所得者対策としてどうするかということは考えていかなきゃいけないという問題意識は十分持っているところでございます。

柿沢委員 時間になりましたので終わりますけれども、マクロスライドをやったらもっとこの問題は大変になるということだけ申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、井坂信彦君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井坂信彦君。

井坂委員 神戸から参りました、維新の党の井坂信彦です。

 本日は、予算委員会ですから、財政に関して大きく二つお伺いをしたいと思います。

 一つ目は、社会保障費の問題、特に介護報酬のことについてお伺いをいたします。

 昨年の予算委員会では年金の議論をさせていただきました。そのときに、いわゆるワニの口と呼ばれる、社会保障の給付費はどんどん上がるけれども、保険料はなかなかふえない、この広がる差額が国家財政の毎年の赤字そのものに今なりつつある、こういう話をさせていただきました。年金、医療、介護、こうしたふえ続ける社会保障費をどうにかしなければならないと思っております。

 また、二点目は、補正予算による景気対策についてお伺いをいたします。まさに本日議題に上っております補正予算のあり方そのものについてお伺いをいたします。

 私は、これが、最近、日本の財政規律を緩め、そして借金をふやしてきた一つの原因だというふうに考えております。

 本会議でも、先ほどの柿沢政調会長が申し上げましたアレシナの法則、歳出削減を七割、増税三割、こういう割合でやった国が財政の立て直しに成功している、こういう法則であります。我々は、まずはやはり、議員が身を切る改革、議員の定数三割カット、また議員報酬三割カットの法案も提出をいたしました。そして、返す刀で、公務員制度改革、さらには本日の社会保障や補正予算の見直し、こうした形で、子供に、次世代にツケを回さない財政を実現していきたい、こういう観点から大きく二つ御質問をいたします。

 まず冒頭、介護・障害者福祉職員の賃上げについて大臣にお伺いをいたします。

 昨日も激しい議論がありましたが、介護職員の求人倍率とそして離職率は、ほかの産業の二倍であります。つまり、職員の集めにくさも二倍、また、職員がやめる割合もほかの産業の二倍。そして、明らかに人手不足の業界なのに、全体としては今後百万人も介護職員をふやす必要がある、こういう状況であります。

 介護の職員さんがやめる理由の第一は、給料が安過ぎるからと、明快であります。

 市場原理が成り立てば、これだけ人手不足なら賃金も上がっていくわけでありますが、しかし、介護職員の賃金というのは、主に事業所に届く介護報酬で決まってしまう。こういった面で、まさに政治にしかできない役割として、私どもは昨年四月に、介護・障害者福祉職員さんの賃上げ法案を議員立法で出しました。

 しかし、先週、私、地元でヘルパーさんに怒られたんですね。井坂君にはぬか喜びさせられたわ、賃上げ法案が通ったよと喜んでいたら、もう上がらないやないの、二・二七%も介護報酬が下がるから、上がるわけないやないの、ぬか喜びさせられたわというふうに怒られたわけであります。

 議員立法は、ただ出すだけではいけません。そして、通すだけでもいけません。その法律どおりにきちんと役所が動いてくれるのかどうかを確認しなければいけません。

 今回、大臣みずから執行の厳格化を宣言して賃上げが決まったと聞いております。賃上げの実行を、きちんと賃上げされるかどうかまで厳しくチェックをします、こういうことでありますが、これまでチェックがいいかげんだったのか、そしてどこを改善するのか、まずお伺いをいたします。

    〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 きのうも申し上げましたように、この処遇改善は極めて重要であり、今先生御指摘のとおりで、これまでの三万円に加えて一万円と言われていたものを、一万二千円にまで総理の御決断で引き上げをさせていただきました。

 問題は、それが本当に実効あるものとしてなるか、実行されるかどうかということでありまして、それを我々は実効あらしめていこうということを、今回、幾つかの運用強化の策としてやっていきたいと思っております。

 まず、申請段階において事業者が都道府県に対して計画書を出すわけですが、この中身について、まず賃金改善の所要見込み額、一人当たりの賃金改善見込み額、それから賃金改善の方法などの記載を求めているわけでありますけれども、これをちゃんと徴求して、具体的な中身についてもさらに細かく考えていくということをこれからやります。

 それから、実績をきちっと報告させるということで、結果の概要、つまり、給与項目及び金額などを具体的に記載してもらう、それに要した所要額を書いてもらうというのがまず第一。そしてもう一つは、介護職員一人当たりの賃金改善月額などの記載を求めていこうと思っています。

 そして、今般、拡充するに当たっては、この加算分が適切かつ確実に支払われるように、まず第一に、計画や実績に記載する項目を、先ほど申し上げたように、さらに拡充していく、具体的な取り組み、それを詳細に把握できるようなものにしていくということであります。

 それからもう一つは、処遇改善の取り組みを介護職員にもわかりやすく周知していくということで、今、がっかりしたよと言われたお話でありますけれども、そういう方々に、どういうことが行われようとしているのかということを知っていただいた上で、それぞれの施設できちっとした運用がなされることを介護職員の方からもチェックができるようにするということが大事だと思います。

 さらに、現行の加算については、賃金改善以外の処遇改善に向けた取り組みとして、任用の要件とか賃金体系の整備、あるいは研修機会の確保とかの労働環境の整備、この二つ、今の要件、研修機会と賃金体系の整備、このいずれか一方をちゃんと実施すれば受け取れる仕組みでありますけれども、今回はその両方をやらないといけないということに要件を厳しくしていきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、我々は、こういうような形で、今回のこの一万二千円の加算が確実に考慮をされて実行されるということが行われるように、都道府県との連携をきっちりしながら進めてまいりたいというふうに思っております。

井坂委員 事前に計画書を出して、それで介護報酬の一・六五%に当たる処遇改善加算というのをもらって、それを賃上げに充てなければいけない、こういうルールであるというふうに理解をしておりますが、この計画書と報告書も、よくよく見ますと、本当にこれでいいのかなと思うところがあるわけであります。

 計画書の方でも、よく見ると、注のところで、これは法定福利費の増加額も含み、税引き前なので、賃金改善イコール手取り増加ではない、こういう注が書いてあったり、報告書の方でも、処遇改善加算の金額と賃金改善額、両方書くんですが、問題なのは、処遇改善加算として事業所が都道府県からもらったお金と、それから実際賃金改善に使ったお金がイコールでなくてもよさそうな書類になっているわけでありますね。

 ここを、またもう一度計画書をよく見ますと、賃金改善以外の処遇改善策という欄があって、こういうことをやってもいいということになっております。中には、職場環境の改善として、トラブル対応マニュアル、あるいは介護補助器具、分煙スペース、こういうこともいいと。

 でも、これは事業者本来がやるべきことなのではないかな、これをもって処遇改善加算をこっちにばっかり使われてしまったら、肝心の賃金が上がらないのではないかなと思うわけでありますが、報告書でも、処遇改善加算をたくさんもらったのに賃上げ額がそれに比べて低かった場合、これはどうチェックするのか。

 私は、加算額は全て賃上げに使って、そして、加算額イコール賃上げ額でなければ返金してもらうのが筋ではないかな、全額使うべきではないかなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げましたように、賃金そのものの体系の整備とか任用の要件、この処遇改善に向けた取り組みと、それから研修機会などの労働環境の整備という二つを同時にやらなきゃいけないということを申し上げました。

 今、労働環境の整備の方のお話をされたわけであって、今まではどちらか一方でよかったわけですが、これを両方やらないといけないことにするということが今までと違うところなので、それをちゃんと明示しなければいけない。

 もう一つは、きのう申し上げましたけれども、経営が厳しい状況の中で、加算は申請するけれども、必ずしもこれが反映されないという場合について、今まで例外的に認めることがあったわけでありますけれども、これについて、きちっとした中のチェックが十分なされないままに、結果としてそうなっていたということがあったりしたものですから、今回は、そういうものについてもきっちり中を見ていって、例外扱いが恒常化するようなことが決してないようにしていかなければならないということで、中身についても、都道府県と連携しながら、きっちり見ながら、処遇改善が行われるように私たちとしては持っていくという覚悟でいきたいというふうに思っております。

    〔平沢委員長代理退席、委員長着席〕

井坂委員 ちょっといろいろ怪しげな感じがするんですが、時間も問題ありますので、引き続き委員会などで議論させていただきたいと思います。

 くれぐれも、賃上げのために出した補助金が賃上げ以外のことに使われるということがないように、しっかり執行のチェックを徹底していただきたいというふうに思います。

 介護報酬の引き下げについてなんですけれども、今回、介護職員の賃上げは実現しつつ、しかし、介護にかかる費用そのものは抑えなければいけないということなんでしょうか。今回、介護報酬二・二七%の引き下げということで、昨日もさんざん議論がありました。

 本日お配りした資料の、下に一と書いてあるページをごらんいただきたいと思います。

 真ん中の赤い下向きの矢印、実は、今回の本当の引き下げ幅は、二・二七ではなくて四・四八です。マイナス四・四八が報酬適正化ということで引き下げられております。そこに、重度障害者、認知症対策や、先ほどの処遇改善加算が上乗せされて、ようやく左側の数字、二・二七%ということに落ちつく。

 しかし、これらの加算は、先ほどのように賃上げに使ってもらわなければいけませんから、事業者の収入というわけではありません。さらには物価高も加わって、事業者の実質的な収入はこの右端の赤い両矢印のように四・四八%以上減る、これが実態ではないかと思います。

 総理にまず全体としてお伺いをしたいんですが、一度にこれだけ減らされるとさすがに経営が成り立たない事業者が出るのではないか、お伺いをいたします。

安倍内閣総理大臣 介護給付費自体は毎年五%伸びて、全体は伸びているわけでありまして、ですから、各事業者においてもそれぞれ当然伸びていると考えるべきなんだろう、このように思います。その中において、介護保険制度の持続可能性を確保しなければなりません。制度の重点化、効率化が必要であります。

 今回の介護サービス料金改定、いわゆる報酬改定でありますが、例えば特別養護老人ホームの収支差が九%程度といった経営実態を踏まえて適正化を行うものであります。つまり、九%ございますから、これで、適正化、二・二七というのは十分にその中におさまる、我々はこう考えているわけでございます。

 この結果等によって、高齢者の保険料が今後三年間で一五%程度上昇する、こう見込まれていたんですが、それを一〇%台まで抑制することができた、お年寄りの皆さんが払う保険料を抑制することも一方できたということも押さえておいていただきたいと思います。

 低所得者の保険料は現行とおおむね同水準に維持できるわけであります。これを行わなければ低所得者の方々の保険料も上がったということになるわけでありますが、この改正によってそれを抑えることができた。

 さらに、介護サービスの利用者負担を平均で二%程度軽減ができるわけであります。

 また、最重要の課題であります介護職員の確保につきましては、先ほど既に厚労大臣から説明をさせていただきましたが、他の報酬とは別枠で、これまでの取り組み、月額三万円と合わせれば一人当たり月額四万二千円相当の処遇改善を実現するための措置を講じたわけでありますし、中重度の要介護者や認知症高齢者等の介護サービスの充実を図るとともに、全体としては、事業者の安定的な経営に必要な収支差が残るように改定率を設定しているわけであります。

 介護職の人手不足や事業の撤退や縮小を招くものではなく、むしろ、介護職員の処遇改善を図ることによって人手不足を解消の方向に資するものだ、このように思います。

 さらに、これに加えまして、都道府県に設置をした基金に約七百億円を充てまして、介護施設等の整備や介護人材の確保を進めてまいります。

 また、認知症施策の推進など地域支援事業の充実も行うこととしておりまして、今後とも、適切な介護サービスを確保し、介護人材を確保していくために力を尽くしていきたいと考えております。

井坂委員 いろいろおっしゃいましたけれども、要は、一番最初におっしゃった、そもそも収支差、いわゆる民間企業でいうところの、毎年の利益が八%、九%出ているからこれぐらい削っても大丈夫なんだろうというのが、私がお尋ねしたことに対する答弁だというふうに思います。そこは、やはり私は丁寧に議論すべきところだと思っております。

 二年ほど前、社会福祉法人の内部留保ということが問題になりました。一法人当たり平均三億円もお金をため込んでいる、全国で二兆円にそれは上るんだ。私も問題だと思いまして、この二年間、いろいろな角度からその議論をしてまいりました。

 今の私の認識を申し上げたいと思いますが、お配りした資料の、下に二と書いてあるページをごらんいただきたいと思います。

 これは内部留保、もちろん法人によって、たくさんある法人、少ない法人、ばらつきがあります。そして、それだけではなくて、もう一つの軸、内部留保だけでなくて、介護福祉施設の建てかえが近いのか、それともまだないのか、これも実は大事な軸だというふうに思っております。

 この図でいきますと、内部留保、いわゆる貯金は多いけれども、しかし施設建てかえももうすぐやるんだ、こういう法人は、私は問題ない、建てかえのためのお金をただためているだけだというふうに感じます。

 また、この左上にある、建てかえの予定もないのに貯金ばかりある法人、これは私は問題だ。今、会計制度の見直しが行われていますが、余った分は公益事業になどと言わず、これは私は、そんな新しい事業をするよりも、計画的に取り崩して、既存事業あるいは今回の賃上げに使うべきだという考え方であります。

 そして、下を見ていただきたいんですけれども、問題は右下です。もうすぐ施設の建てかえをしなければいけない、施設がぼろぼろなのに、しかし貯金ができていない法人、実はこういう法人もたくさんあるわけであります。このままでは介護福祉事業が続けられません。

 ところが、こういった法人、この内部留保というのは、そもそも貯金はどこから来るのかといえば、これは毎年の利益、収支差から出てくるわけであります。介護事業所は毎年利益が出ているからといって、今回みたいに、がんと四・四八も五%も六%も事実上介護報酬を削ってしまうと、これから貯金が必要な事業所は、これはさすがに貯金ができなくて、困ったことになろうかと思います。

 総理、お伺いいたしますが、こうした積み立てが必要なのにできていない事業所は、先ほどの理屈とは少し違って、介護報酬を削ってしまうと困るのではないでしょうか。このあたりを、きちんと当たり前の切り分けをして、余っている法人は切り下げをする、この財政状況ですから。しかし、積み立てが必要で、利益がもっと一定以上ないと事業の継続ができなくなるような法人は、これは別途考える必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 これから、社会保障審議会の中で具体的なサービスごとのこれからの報酬が決められていくわけでありまして、それは、これまで調べてきた収支差を考慮しながら、それぞれにどういうふうにしていくかということを検討していただくことになっているわけであります。したがって、一律に全部切っていくようなことはするわけではないということをまず申し上げておかないといけないと思います。

 それと、内部留保の問題というのは、きのうも申し上げましたけれども、今までそもそも確立した定義がないままに内部留保の話が言われて、今先生おっしゃったように、積み立てが必要なのにそれを批判されるということがあるのはよくないかもわからない。

 ただ、本当にどういうニーズがあるのかということを誰がどういうふうにチェックするのかというガバナンスの問題は、きっちりやっていかなければいけないというふうに思っているわけでありますので、この見直しの議論の中で、事業の継続に必要な財産と、社会福祉事業等の拡充に再投下可能な財産というものを、ちゃんと説明責任を果たせる仕組みの中で示せるように、今国会の所要の法律提案に向けて中身を今詰めているところでございます。

 それから、報酬と内部留保の問題でありますけれども、骨太二〇一四では、社会福祉法人の内部留保の状況を踏まえた適正化ということになっておりますけれども、これは、内部留保を直接考慮するということではなくて、社会保障審議会介護給付費分科会で、いわゆる内部留保の蓄積の要因の一つと考えられる収支差に着目をして、引き続き高い水準を収支差について維持していると指摘されたことを踏まえた上で、事業の継続性にも十分配慮しながら具体的な報酬設定の検討を行っているところであります。

 このような形で整理をしていただいたことは、大変役に立つ分析で、参考にさせていただきたいというふうに思いますけれども、いずれにしても、ガバナンスと透明性と、そして、必要なものはやはりちゃんと留保してもらわなきゃいけませんけれども、必要じゃないものについてはいろいろな考え方で対処していかなきゃいけないというふうに思います。

井坂委員 事業継続ができない事業所が出るなどとなったら、これは本末転倒ですから、しっかり、丼勘定みたいな、全部一律、平均でというようなことはくれぐれもないようにしていただきたいということだけ申し上げておきます。

 テーマは二つ目に移りまして、補正予算そのもののことを総理にお伺いいたします。

 お配りした資料の、下に三と書いてあるページをごらんください。ここ最近の日本の補正予算の当初予算に占める割合を棒グラフにいたしました。

 左側は諸外国の補正予算規模、そして右の赤いグラフ、これが日本のものであります。七%、一五・七%、四・八%、そして一八・三%、一一・三%。ここ二年は五・九%、三・二%と、補正の規模が徐々に減ってきておりますが、これは単に、来年、単年度赤字幅を半分にするという目標があるから削っているだけであります。いわば、ボクサーが、あした体重計に乗るからきょうは晩御飯を抜いておこう、こういう状態でありますから、ことし、来年、補正予算が小さいのは当たり前だ。

 問題は、これがまた当たり前の姿として日本の財政として定着をするのか、また毎年五兆、十兆の補正予算がありの国に戻していくのか。総理、大まかな方針をお答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 補正予算というのは、まさに法令にのっとって、必要に応じて行うものでございます。

 今回の補正予算を含めて、安倍政権においては三度補正予算が編成されましたが、これらはいずれも経済再生に向けた経済対策を実行するためのものでございます。

 具体的には、二十四年度補正予算においては経済の底割れが懸念されていた。我々が政権をとる前は、マイナス五%、マイナス一%、このままではもう経済が底割れする、こういう状況であって、そして我々はこの補正予算も打って、V字回復、反転させることに成功したわけでございます。

 そして、二十五年度補正予算においては、消費税引き上げに伴う反動減緩和と成長軌道への早期の復帰を図る、そのための補正予算でありました。確かに四―六については残念ながらマイナス成長になったわけでございますが、もしこの補正予算を打たなければ、もっともっとこれは厳しい状況になっていたんだろう、こう思うところでございます。

 そして、二十六年度補正予算においては、経済の脆弱な部分に的を絞って対応を行ったところでございます。

 こうした中、経済対策の国費の規模を、二十四年度補正予算は十・三兆円、二十五年度補正予算は五・五兆円、そして二十六年度補正予算は三・五兆円と年々縮小させているところであります。さらに、平成二十六年度補正予算については、平成二十七年度の財政健全化目標を踏まえて、先ほど申し上げました経済の脆弱な部分に的を絞るとともに、財源の一部を、歳出に充てずに、これは公債金の減額に充てることにしているわけでございます。

 二十七年度の基礎的財政収支への悪影響を最小限に抑えたところでございまして、巨額補正が常態化をしているということではもちろんありませんし、今回は、四・四兆円の国債の減額を行って、過去三番目に大きな削減額になっているわけでございまして、今後とも、財政の健全化、そして経済の成長、この両立を図っていきたい、こう考えております。

井坂委員 ちょっと、時間がありますので飛ばします。

 お配りした資料の、下に四と書いてあるページをごらんいただきたいと思います。

 今回の補正予算でいただいた資料の事業項目のうち、既に、去年八月の概算要求、本予算でやりたいですよという要求にのっていた事業の本数の割合であります。

 法務省、警察庁、消費者庁、内閣官房あたりは、今回補正に載っているのは、実はもともと四月の本予算でやるはずで、八月から準備していた、いわば平常時の予算を持ってきている。ほかの省も、金額ベースでも項目ベースでも、もう大半が、実は本予算でやるはずだったものをただ補正に持ってきている、こういう実態であります。

 景気対策のためだから四月にやるより三月にやった方がお金が早く回っていいだろう、こういう話なんだと思うんですが、しかし、これは財政法からふさわしくないと私は思います。本予算の後で起こった出来事に関して、特に緊急を要するものに限って追加の予算が認められている、この大原則を最近逸脱しているのではないか。

 あわせて、予算執行のスピードについてもお伺いをしたいわけであります。

 プレミアム商品券、今回、目玉のように言われておりますが、これですら、例えば利用期限も設けず、いつ消費に結びつくのかわからない無期限なものでもオーケーと、とても執行、お金が世の中に回るのを急ごうとしているようには見えないようなことがたくさん見受けられるわけであります。

 内閣府の調査では、二十五年度補正で、三月末、要は年度内に契約ができたのは五七%だということであります。これは契約ですから、執行、お金が世の中に回るまではさらに時間がかかる。そして、補正予算の契約が九八%、もう翌年度の九月末になって大方済んだ、こういう実績であります。

 これは昨年春の厚生労働委員会でも問題になったんですけれども、厚労省の天下り団体に入札で不正に仕事を渡したのではないか、こういう疑惑で一カ月、厚労委員会はもめました。これも、結局、年度内の契約を焦る余りの入札の勇み足だったのではないか、こういう話になっております。

 わずか一カ月半早いだけの補正予算で、これで事業の選び方そして契約も雑になりかねない。

 お伺いをいたしますが、実は通常の本予算の公共事業でも、契約率、六月末で五四%、九月末で七〇%ということで、早くやろうと思えばできるわけであります。膨大な本予算の事業でも、早目の執行がやろうと思えばできる。そんな中で、本予算にやるはずだった一部の事業をわずか一カ月半早める補正予算に一体どれほどの意味があるのか、お伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 これは、市会議員をしておられたと伺いましたので、そのときも同じようなことが起きていたと思いますが。

 少なくとも、予算をして本予算でやるか補正でやるかといった場合、一月半、二月というのは、受注する側にしてみれば、その仕事がいつ出てくるのか、補正予算で出てくるのか本予算で出てくるのかによって、事業計画の立て方が、事業年度が始まりますのは、会社は四月会計というのが多いんですが、そのあたりちょっと違いますので。

 したがって、そこのところは、これが出てくるとわかれば早目に準備ができるということだと思いますので、二カ月の差というのは結構大きな差だと存じます。

井坂委員 結構大きいという曖昧な話でありますけれども、私は、やはり補正は、原則、財政法に基づいて最低限まで抑えるべきだ、特に、今、財政規律が一番必要とされる時期でありますから、この基本線を外すべきではないと申し上げたいと思います。

 景気効果も不透明、特に測定も、甘利大臣が先ほど、ほとんどされておられない、こういう状況でありますから、補正予算による景気対策、ここについては本当にしっかり考え直していただきたい、このことを申し上げまして、質疑を終えたいと思います。

 どうも本当にありがとうございました。

大島委員長 この際、重徳和彦君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。重徳和彦君。

重徳委員 維新の党の重徳和彦です。

 昨年の解散・総選挙につきまして、先日、安倍総理は本会議におきましてこのようにおっしゃっていました。野党が批判ばかりをしていて、政権選択の選挙になっていなかった、こういうことから投票率も非常に低かった、民主主義としてもこれは問題だ、このような趣旨の御発言がありました。

 確かに、野党はまだまだ力不足である、これは御指摘のとおりだと思います。ただ一方、私、地元は愛知県の岡崎市、西尾市、幸田町、愛知十二区というところなんですが、有権者の皆さんは、やはり十二月というのは忙しくて、寒くて、そんな中で大義のない選挙、税金の無駄遣いだ、こういう声もたくさん聞こえてまいりました。

 総理は、解散前の会見におきまして、今回の解散は、消費税増税の先送りを是とするか否とするか、それから、経済政策、いわゆるアベノミクスを是とするか否とするか、これが争点である、このようにおっしゃっていましたが、今回の総選挙での与党勝利によりまして、国民から何を信任されたと認識をされていますか。原発の再稼働とか集団的自衛権の行使容認につきましても信任されたというふうに認識をされていらっしゃいますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 総選挙というのは、すべからく政権選択の選挙であります。そして、我々も、野党になった瞬間から、とにかく与党に復帰すべく準備を進め、一日も早く、当時の我々は、民主党政権に取ってかわらなければいけないという危機感の中で、解散・総選挙に追い込まなければならない、こう考え続けてきて、準備をし続けてきたわけでございます。

 つまり、野党の皆さんにとって、選挙が大義がないというのは、自分たちが取ってかわるそのものが大義がないということを言っているのにほぼ等しいのではないかと、私は大変不思議に思い続けてきているわけでございます。

 そこで、申し上げますと……(発言する者あり)これをしっかりと議事録に残していただきたい、このように私はむしろ思うわけであります。

 我々は、野党時代には、民主党政権を一日も早く倒すことが日本のためになる、そのためには解散を一日も早くしなければならない、そして私たちは政権を取り返したわけであります。

 野党の皆さんが解散を欲しないというのは、まだ準備ができていないと考えているのか、あるいは自民党安倍政権がそのまま続くことがいいのか、これしかないのではないか、こう思うところでございます。

 そこで、選挙はすべからく政権選択の選挙であり、我々は、まず、なぜ解散したかということについては、大きな税制上の変更を行ったということでありまして、まさに税は政治の基本であり、民主主義の基本なんだろう、このように思うわけでございます。

 同時に、我々が進めてきた経済政策については、この国会でも議論されているように、我々が進めている三本の矢の政策、アベノミクスに対しましては野党からは御批判があるわけであります。その是非についても選挙で問わなければいけない、こう考えたところであります。

 同時に、総選挙でありますから、これは政権選択の選挙でもある中において、私たちは与党として責任を持って選挙公約をさせていただいたわけでございます。この選挙公約の中には、外交、安全保障にかかわる政策、経済政策にかかわる政策、あるいは原発の再稼働にかかわることについてはしっかりと書き込んでいるわけであります。

 そして、再三申し上げているように、選挙の結果は白紙委任ではなくて、こうした公約について国民から信任を得れば、当然、これは国民との約束でありますから、この公約を果たしていくためにその責任を果たしていくという観点から、しっかりと公約を前に進めていくべく努力していくのは当然のことではないか。

 今申し上げましたように、この選挙期間中を通じて、公約をもとに国民の皆様に各候補者が訴え、あるいはまた、テレビの討論会等についても、原発の再稼働の問題、あるいは集団的自衛権の行使の問題、これも議論したわけでございます。

 こうした議論を経て、我々は二百九十一議席を獲得することができた、与党が三分の二をとることができた、このように思っております。

重徳委員 総理、私の質問をよく聞いていただきたいんですけれども、私は、大義がないというふうに感じておられたのは、我々野党ではなく国民の声だというふうに申し上げたんです。そして、確かに私たちは、野党は、力不足、準備不足、これは否定をいたしません。そういう状況でした、確かに。だけれども、やはり国民にとってどう受けとめられたかということが私は重要なところだと思います。

 消費税の増税先送りについては、各党とも、主要政党はどこも反対をしておりませんでした。ですから、これは争点たり得ないような状況だったと思います。

 また、いわゆるアベノミクス、この政策自体、白か黒か、それを有権者に判断していただきたいといっても、はっきり言ってグレーで、この先どうなるかわからない、こういうのが実際のところだと思います。今、一千兆円を超える借金を抱えながらどんどんと財政出動する、そしてそれを、日銀が次々と国債を購入することによって、際限のない金融緩和になりつつある。このような状況を、本当に大丈夫かと不安視をする国民の皆さんも大勢お見えになります。

 まして、原発の再稼働とか、あるいは集団的自衛権につきましても、去年の七月の閣議決定から国会における議論はほとんど行われておりません。臨時国会がようやく開かれたと思ったらすぐに解散ですから。そういう状況の中で、審議、説明が十分尽くされていない中でどうかと言われても、これは、やはりまず国会における議論をしっかり行った上で信を問うというのが本来の順番ではなかったか、私はそう思います。

 それから、民主主義の原則でございますが、これは、多数決というのは確かに一つあります。ですから、三分の二の議席をとられた与党には多数決原理を行使する一つの権利はあると思いますが、もう一つの民主主義の原則は、少数意見の尊重であります。

 そしてまた、日本は小選挙区でいうと三百の選挙区がありますから、選挙区によっては、与党が勝ったところもあれば、野党が勝ったところもあるんです。したがって、私たち議員一人一人の意見をきちんと尊重していただく、これは当然のことだと思います。

 私自身も、まだまだ、今回二期目の議員でございますけれども、とにかく現場に飛び込んで声なき声を聞くんだという姿勢で地元で活動しておりますが、こういった国民の声に対して、真摯に声を受けとめていただきたいというのが私からのいわばお願いであります。

 それから、今回の解散については、何だかんだ言いながらも、きっかけとなったのは閣僚の政治と金の問題なんです。女性閣僚がお二人、早々に辞任されたということ、もう去年のことなのでお忘れになっている方もいらっしゃるかもしれませんが、これで政権の流れが悪くなってきた、これで解散を決断せざるを得なかった面も大いにあると私は思っております。

 そして、今回の選挙を通じてみそぎは済んだとでも言うのでしょうか。このあたりもはっきりしたところではありませんので、これからもさらに国会におけます説明が必要だと思います。

 さて、定数削減、そして政治家の身を切る改革、そういったことを私たち維新の党としては公約として掲げております。また、月々百万円国会議員に支給されております文書通信費、この使途も明らかにしていこうではないか、こういったことを申し上げているわけですが、こうした政治家の身を切る覚悟、改革ということを行う前に、先ほどから議論があります、社会保障の分野では介護報酬の削減、こういったことが次々と打ち出されているわけであります。

 これからも、消費増税を必ず二年後には行うと総理もおっしゃっておりますし、さまざまな国民の負担の増、こういったもののオンパレードになることが予想される中で、政治家がまず身を切る、こういう姿勢を示さなければ、誰がそんな政府、そんな国会の言うことについていけるでしょうか。

 私は、まず、何といっても、この身を切る改革というものに対して、圧倒的多数を占められている与党の皆さん方にも真剣に向き合っていただく必要があると思いますが、こういった身を切る改革とさまざまな国民の負担増というもの、これの順番がいささか逆になっているんじゃないかと私は思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 お答えする前に、先ほどの、選挙をどう考えているかという御議論なんですが、まさに選挙においてこそ、さまざまな課題を国民の前で政党同士が、候補者同士が議論するんですよ。そして国民の皆さんに決めていただくのではないでしょうか。

 昨年、集団的自衛権について閣議決定したときには、まさにあのとき、閣議決定したんだったら国民に信を問え、そういう野党の皆さんがたくさんおられたじゃないですか。ああいう閣議決定も含めて、まさに国民に我々は信を問うたんですよ。

 そして、聞き捨てならないのは、閣僚の不祥事があったから選挙をやった。私はそれを聞いて驚いたんですが、むしろ、そういうダメージを得たときに選挙をそれでやるというのは、どう考えてもそれはおかしいんじゃないですか。むしろ、それも含めて国民の信を問う、これは明らかに我々にとってはダメージであり、マイナスであったわけですよ。その反省の上に立って我々は選挙に臨んだということでございます。

 そこで、議員定数についてでございます。

 また、議員定数については、これはまさに国民の民主主義の基盤について議論をすることになるわけでございます。民主主義の根幹にかかわる重要な課題でございますので、国会において、国民の代表者たる国会議員が真摯に議論を行い、国民の負託にしっかりと応えていくべきものであろう、このように思います。

 そのためには、まず各党各会派において議論を深め、国会において合意を得る努力を行わなければならないと考えています。

 その中において、議員定数の削減については、各党各会派の協議が進まないことから、私が提案をいたしまして、昨年六月に、衆議院議長の諮問機関として、衆議院選挙制度に関する調査会、いわゆる有識者会議が設置をされたわけでありまして、さまざまな議論が進められているところでございまして、大切なことは、各党各会派がこの調査会の答申に従うことだろう、このように思います。

 答申が出て、その答申に対して従わないということになってしまったら、また議論はもとに戻ってしまう。いわば、こういう堂々めぐりを避けるために国会の議長のもとに置いた有識者会議であります。

 私は、自民党の総裁として、自由民主党としてはこの答申に従うということは申し上げているとおりでございまして、その前提のもとに建設的な議論が進められ、各党各会派も、責任感の中において、ぜひ出てきた結論については受け入れるということを表明していただきたい、このように思うところでございます。

重徳委員 今の定数削減の話については、常に総理は各党各会派での議論をという話をされるわけなんですけれども、その結論を得て定数削減に至って、その上で解散をするというのが本来の約束だったはずです。これも含めて総理自身が国民と約束をされていたはずなのに、それはもう国会の議論が遅いからであって、解散するのは私の専権事項だ、こう別々にしていること自体が、私は問題があると思っております。

 こういったことも含めて、総理には国民との約束を果たしていただきたい。これはもう毎回同じ御答弁なものですから、一言申し上げたいと思います。

 さて、次の質問に入りたいと思います。

 総理は、原発再稼働につきまして、繰り返し、原発が全てとまり、これに伴う燃料輸入増により毎日百億円もの富が海外に流出する、そして電気料金が上昇する、温室効果ガスの排出量が増加をする、こういうことから原発ゼロというわけにはいかないんだということを言い切りまして、原発再稼働を進めていく、こういう御意向のようであります。

 これは一見正しく聞こえるんですが、これをちょっとごらんいただきたいと思います。ここ十年間の貿易収支と原発停止に伴う化石燃料輸入額でございます。

 問題となりました二〇一一年に、当然ながら、原発停止に伴う化石燃料輸入額が、これは経産省の試算ですから、どこまで正しいかどうかはともかくとしまして、二・三兆円の化石燃料の輸入が始まったわけなんですが、ちょうどこの年から、それまで長らく続いていました日本の貿易黒字が赤字に転落しているわけです。

 その赤字幅も二・六兆円という幅であったわけですから、この赤字幅イコール化石燃料の輸入額に近いということで、何となく、この化石燃料の輸入が大幅に貿易赤字の原因になっているんじゃないか、このような感覚でお聞きになっていた方もいらっしゃるような感じがいたします。

 この後、円安の影響もありまして、輸出も実際にはふえているんですが、それ以上に、日本は加工貿易の国ですから、輸入する原材料が高騰、円安の関係で高くなりまして、その関係もありまして、大幅な貿易赤字がその後どんどん広がっているわけです。

 こういう中にあって、確かに、原発の停止に伴う化石燃料の輸入額というのは、一定額、二兆円から三兆円程度ありますけれども、しかしながら、この大幅な貿易赤字の中で、これだけがその原因であるわけではもちろんないわけでありますし、また、御承知のとおり、油の価格はここのところ半減をしているわけであります。

 その意味でも、この原発停止に伴う化石燃料の輸入額、あるいは、富が毎日百億円外に流れていく、これをもって原発再稼働の大きな理由というふうに、イの一番にそれを常に総理はおっしゃいますけれども、そういった、百億円百億円ということであおるようなことをこれ以上言うべきではないんじゃないかと私は思います。現に、原発にかかるコストだって相当なものです、いわゆる電源のベストミックスについて議論もようやくこれから始まるわけでありますから。

 こういう中で、百億円百億円と言って、経済あるいは貿易赤字を何とかするためにも原発再稼働だ、こういうロジックというのは少し控えていただいた方がよろしいんじゃないか、私はそう思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 答弁をする前に、まるで私が約束をたがえたかのようなお話をされたんですが、我々は、まず〇増五減と定数の是正をして違憲状態をなくしたわけでございます。

 定数削減については最大限の努力をするという約束をしました。しかし、その際、少数党も含めて納得する結論を得なければいけない、こう申し上げたわけであります。

 多数を持っていればできるのであれば、我々、前の国会で自由民主党の案というのはあったんですよ。あれで強行採決すればまさにできたわけでありますが、しかしそこは、民主主義の土俵をつくる上においてはそれはやるべきじゃない、こう考えたわけでありまして、そして、それまで全然進んでいなかったわけでありますが、まさに安倍内閣になって、議長のもとにこの有識者会議をつくって今御議論をいただいている。

 大切なことは、皆さんも出た結論に対しては賛成するということを約束していただければ、さらに議論が進む中において前進をしていくということになるのではないかということは申し上げておきたいと思います。

 そこで御質問にお答えをいたしますが、直近の化石燃料の価格は確かに下落をしておりますが、長期的には高騰と下落を繰り返しながら上昇してきたところであります。引き続き注視が必要な状況であります。

 いずれにせよ、原発が全てとまり、これに伴う燃料輸入増が貿易収支の悪化の一因となっているのは事実でありますし、日々国富が流出しているのもこれは事実でございます。

 また、加えて申し上げますと、一日百億円、こう申し上げております。原油の下落における影響がどうかということはもう一度精査をいたしますが、電力においては、多くは御承知のようにガスでございますから、それも含めてよく精査をしていきたい、こう思います。

 また、こうした燃料輸入の増によって、国富の流出のみならず、電力料金が上昇し、国民や中小・小規模企業の方々への影響は大きなものとなっているわけであります。

 また、温室効果ガスの排出量は震災前に比べて大幅に増加をしているわけであります。CO2の排出ということに鑑みれば、原油価格が下落しようとこれは変わらないわけであります。

 こうしたことを考えますと、国民生活や産業活動、中小・小規模事業者を守り、責任あるエネルギー政策を実現するためには原発ゼロというわけにはなかなかいかないわけでありまして、もちろん安全性を大前提とするわけでありますが、地元の御理解をいただきながら我々は再稼働を進めていきたいと考えているところでございます。

重徳委員 今総理は、お言葉を返すようですが、定数削減については国民との約束ではなかったかのようなおっしゃい方をされたと思います、約束をたがえたわけじゃないと。約束をたがえたと言ったら、約束をたがえたような言われ方をするのは心外だということは、約束ではなかったと言わんばかりのことだったと思うんですけれども、野田当時総理と安倍総裁との間で、国民の前で消費税増税とあわせて定数削減も行うとあれだけおっしゃったわけですから、これは真摯に受けとめるべきだと思います。

 その上で、原発につきましても、百億円の富の話も繰り返しされるわけですが、やはり安倍総理、経済最優先ということも繰り返し言われます。この道しかないという言われ方もされます。

 私たち日本人はいろいろな価値観の中で生きているわけでありまして、原発も、経済問題から反対する賛成するだけではないと思うんです。いろいろな意味で原発については賛成する人、反対する人がいるわけですから、そういったことも踏まえた議論をしていこうではありませんかという意味で、百億円百億円ということを余り強調しない方がフェアではないかということを申し上げているわけでございます。

 さて、次に経済の問題であります。

 安倍政権になってから、日経平均株価、これは一万円を切っていたところから一万八千円になろうというぐらいに、この折れ線グラフのとおり伸びているわけでありまして、これは大きな成果だと私は思います。

 一方で、棒グラフで表現しているのは国内での小売販売額の推移でございます。これが、見てわかるとおり、もうほとんど横ばいでありまして、変わっていない。アベノミクスの効果、恩恵を感じていない方々が八割方である、これがその感覚をあらわす端的な数字だと私は思います。

 おととい、トヨタ自動車のトヨタグループも、二〇一四年の生産台数の発表がありました。三年連続過去最高、千二十八万台ということなんですけれども、一・七%増。ただし、これは海外生産が四・二%増でありまして、国内生産は一・八%減、前年割れでございます。自動車はこういう状況。

 それから、住宅につきましても、多分きょう発表だと思うんですが、新規着工の戸数が前年比九%減。これは反動減もあるでしょう。しかし、持ち家の減少率は二〇%減ということで、単なる去年の消費税の反動減だけでは説明できません。十七年ぶりの減少幅でございます。

 これは、大まかに分析をしますと、株価によって所得を得る、もうけること、これはもちろんよいことでありますので、それはそれでいいんですが、恐らく中高年の富裕層の方が、株でもうけておられる方は多いと思うんですが、そこが車を買うとか、持ち家を買うとか、そういう消費行動に移っていない、これが実態なんだと思います。ですから、国内でのいわゆる景気がよくなっているという実感がまだまだないということであります。

 このように、ほとんどの国民が、今までのところ景気回復の実感ができていない状況であります。株価が二倍近くへ上がっても、国内の物の需要が十分伸びていない。この理由をどのように分析され、これからどうしようとしておられるのか、御答弁をお願いします。

安倍内閣総理大臣 質問に答える前に、しつこいようですが、私は、定数削減、これをしっかりやっていきますのは当然。この定数削減にちゃんと取り組んでいくということは、国民との約束です。ただ、定数削減をしなければ選挙はしないと約束したことは一回もないということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。

 そこで、アベノミクスの三本の矢の取り組みによって経済の好循環が生まれ始めたのは事実でございまして……(発言する者あり)

大島委員長 答弁している最中はちょっと静かにしてください。

安倍内閣総理大臣 株価の大幅な上昇によって、資産効果とマインドの改善がある。マインドの改善は、デフレ脱却においては大きな成果だったと思います。消費税引き上げに伴う駆け込み需要などで、二〇一三年に個人消費は実質所得を上回る伸びとなったのは事実でございます。

 大切なのは、これからしっかりと賃金が上昇していく。出だしにおいてはすぐに賃金を上げていくというわけにはいきませんから、その中において、株価が上がっていく、これはマインドを変えていく、資産効果があった、このように思うわけでありますが、大切なことは、これからしっかりと賃金が上昇していくことだろう、このように思います。

 幸い、この四月には経済界側も賃上げに応じていく、あるいは下請企業に対して材料費に対応していくということを約束していただいております。

 足元においては、街角の景況感、内閣府の景気ウオッチャー調査でありますが、全国全ての地域で上昇をしておりまして、中小企業の景況感でもおおむね改善をしてきておりまして、消費者マインドも下げどまりの兆しが見られているわけであります。昨年の消費税引き上げ、これは三%、割と大きな引き上げでありましたから、これによって消費に影響があり、反動減が来て、消費の動向に確かに大きな影響があったと思いますが、今、足元ではこうした状況になっております。

 こうした兆しを景気回復の確かな実感につなげるため、今般、個人消費のてこ入れと地域経済の底上げを図る力強い経済対策を策定したところでございまして、経済の好循環を確かなものとし、地方にしっかりと我々のアベノミクスの好循環の、景気回復の実感をお届けしていきたい、愛知県にも岡崎市にもお届けしていきたい、このように思っているところでございます。

重徳委員 総理、またお言葉を返すようですが、定数削減を選挙に合わせてやると約束していないというのは、では、いつかやります、そういう約束なんですか。やはりこれではいけないと思います。やはり定数を削減して次の選挙を迎えるというのは、これは当然の、常識的な受けとめだと私は思います。そういう取り組みをさらに続けていただきたいと思います。

 さて、今の経済の話で行きますけれども、やはりまだまだ八割方の方々がアベノミクスの効果を実感していないということなのであります。私は、政策的に大きな柱が一本欠けているんじゃないかなと見るべきではないかと思っております。

 そこで、私は一つ提案したいんですけれども、私は、子供を産みたい、育てたい、若い世代の方々がそう思っていただけるような、そんな温かい地域社会づくりを目指していきたいと思っております。これが、少子化というのも寂しい言葉なので、ひっくり返して増子化という政策と言うことができるんじゃないかと思います。

 この増子化政策というのは、別に経済政策では本来ありませんで、社会的な政策だと思っております。そして、何よりも、将来にわたって国民に希望をもたらす政策だと私は思います。子供が減る社会というのは先細りの社会でありまして、国内市場も先行きが見えません。

 そして、今回の予算は、景気対策ということで組んでおられますけれども、これもいわば従来型で、一過性のものもたくさんあります。ですから、何となくこの予算委員会の中では景気のいい議論が行われていますけれども、実態、社会の実情は本当に厳しいものがあります。こういったところをもっと、国民の皆さんが確かに先々が見通せるねというような社会につくりかえていくことが必要だと思います。

 ポイントを一応四つ挙げておりますけれども、子供がふえれば当然子育ての需要はふえます。そして、教育も潜在的な需要がまだまだあるんだと思います。ここに手当てをしていくことが必要だと思うんです。

 今回もプレミアム商品券というようなものも案としてあるわけですが、より教育世代にスポットを当てた、教育クーポンとでもいうんでしょうか、そういったものを行って、教育、最近は本当に子供に教育費がたくさんかかります。かけたいと思う親心が非常に、より熱くなっておりますので、そういうところに手だてを加えることによりまして経済はより回るようになってくると思いますし、子供が一人、二人とふえてくれば、車を買いかえようか、チャイルドシートをつけなきゃいけない、あるいは送り迎えもふえるから、お父さん一人だけじゃなくてお母さんも、一台ずつ車を持とうとか、さらには持ち家を持とうというような需要もふえてくるわけでございますから、こういった大きな、先ほどから問題にしております物の流通というものが大いに始まるのではないかというふうに思っております。

 こうしたいろいろな、親の所得によって教育の格差というものが広がっていると言われる状況の中で、教育世代に対する手当ても必要、子供がふえていくためのさまざまな施策にもっともっと力を入れていくべきだと思います。

 ちょっと時間もありませんので、まとめて話すだけ話しますと、当然、今、安倍総理が言及されました賃金のアップ、中小企業にまで、大企業を中心とした、今景気がちょっとよくなっている、この波及をもたらすということによって、若年労働者の処遇を改善させる必要もあると思います。

 そして、生産拠点ですね。さっき、トヨタ自動車がほとんど海外での生産がふえているというふうに申し上げましたが、それも長らくの円高状況がもたらしたことでもありますが、円安になったからといって、国内にそれが回帰するとは限りません。やはり、将来、車が国内でも売れるんだ、そういう見通しがなければ生産拠点は国内に回帰しないと思います。

 そしてもう一つ、四つ目は、これは少し違う観点ですが、将来世代、今、人口が減り、若い人たちが減るわけですから、ことし発行した国債は六十年後に返し切るわけです。六十年後といったら、恐らく本日いらっしゃる閣僚の皆さんも、生き残っていらっしゃる方もほとんどおみえにならないんじゃないかと思いますが、そのころの借金を返すことのできる人口というのは今よりもぐっと減るわけでありまして、一人当たりの債務負担、これも軽減していく必要が今我々世代としてあるだろう、このように思うわけであります。

 この増子化政策につきまして、政府を挙げて取り組んでいく必要があると思いますが、ここで、少子化担当大臣、有村大臣に御答弁をお願いいたします。

有村国務大臣 昭和四十年代後半に生まれた第二次ベビーブーマー世代、当時、年間二百万人生まれていました。現在、去年生まれた子供たちは百万人。二百万人生まれていた子供たちが百万人、それだけでも、人口は本当に減少をしていくということを実感として持ちます。

 増子化政策というのは、委員の御質問で初めて、造語でしょうか、伺いましたけれども、基本的な概念や姿勢ということを共有いたします。

 やはり、市場の規模あるいは社会の担い手の減少、それから、おっしゃった現役世代あるいは将来世代の負担の増加を食いとめなきゃいけないということで、根本的に社会経済の根幹を揺るがせる問題が少子化だというふうに思っております。

 これからの解決策としては、単に妊娠、出産、子育てということではなくて、結婚段階からも応援していこうということで、新しくやっていきたいというふうに思っています。

 この四月から実際に実行することになります子ども・子育て支援新制度では、お子さんたちを受け入れる、待機児童解消のために、保育の拡充あるいは質の改善ということで、保育園、幼稚園、認定こども園、あるいは小規模保育などの拡充を図ってまいります。

 子供を持ちたいという希望が若い段階でもかなえられるように、安心して子供を育てられる、そういう社会の実現に向けて、多子家庭への積極的な配慮ということも新しくやっていきたい、引き続き先生方とも連携をしていきたいというふうに考えております。

重徳委員 ありがとうございました。終わります。

大島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、井上英孝君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井上英孝君。

井上(英)委員 維新の党の井上英孝です。

 非常に限られた、残り二十六分という時間ですので、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 安倍総理は、昨年十二月に行われました総選挙におきまして、自民党単独で見ても、過半数を大きく超える二百九十一議席という圧倒的多数を得られました。自民党、アベノミクスが信任されたというふうにおっしゃっております。

 確かに、全国的に見ればそのとおりかもしれないんですけれども、しかし、大阪は少しちょっと違うんですね。

 大阪で比例票を見ますと、我が党維新の党の得票率が三二・三七%、総得票数は百十四万票。これに対して、自民党の得票率は二四・七九%、総得票数八十七万票です。全国の都道府県で唯一、自民党以外の党が第一党というふうになっております。

 では、なぜ全国的に自民党が圧倒的な支持を受ける中で、大阪に限ってではありますけれども、我が党がこのような支持を受けることができたのかということを考えますと、それは、大阪で行っている我々維新の改革が、その実績が、一定大阪の皆様方に評価をしていただいているからではないかというふうに我々は思っております。

 そうであれば、ぜひ大阪で実践している改革というのを国でも積極的にやっていただきたい、その観点から、以下質問をさせていただきます。

 まずは、議員報酬についてであります。

 国の財政は、一千兆円を超えるという赤字を抱えております。財政再建というのは急務の状態であります。歳出削減を本気でやるためには、やはり今の国の財政状況というのを正直に国民に説明して、国民の皆様に負担をお願いしなければならない、そういう時代が来ているというふうに我々は思っています。

 では、国民の皆様方に負担をお願いするのであるなら、やはり、まず政治家が身を切る改革というのを断行して、覚悟を示して、そして範を示して初めて国民の皆様、さらには公務員の皆様方にも負担を求めることができるというふうに我々は考えております。維新は、大阪で一定それを実践してまいりました。

 大阪では、府議会議員の報酬三〇%カットというのをやっています。知事も、報酬三〇%をカットしております。退職金は八五%カットしております。市長においては、報酬四二%カット、退職金は八一%カットします。これは定額の金額からきているので、パーセントはちょっと中途半端な数字にはなっているんですけれども。ここのパネルには書いてないですけれども、私が所属していた市会議員でも、報酬の二五%のカットというのをやっております。

 逆に言うと、そういった身を切る改革というのを率先してやってきたので、さまざまな公務員制度においての大改革というのを我々断行してまいりました。さらには、府民、そして市民にも負担を求める改革というのも実行をしてまいりました。そのおかげで、大阪では赤字財政が黒字に転じております。

 我が党は、国会議員の歳費三〇%カットという法案を提出させていただいております。

 我々は、ただ単にカットや削減というような、過度なポピュリズムで申し上げているというのではなくて、与党の先生方もおっしゃっておられますように、日本全国、つまり、大阪を含めた地方にはまだまだ景気回復というのが行き届いていないというのが現状であります。さらには、昨年の四月には消費税も上がりました。非常に厳しい経済状況が続いている中で、まず、やはり国会議員の身を切る改革というのは、一定当然の状況、流れなんじゃないかというふうに我々は考えております。

 歳費カットによる身を切る改革の必要があると思うんですけれども、総理の御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 この国の財政状況でございますから、身を切る改革をどうしていくべきかということを考えていくのは当然のことなんだろうと思います。内閣におきましては、私、総理としての給与は三割カットしておりまして、閣僚は二割カットしているところであります。

 他方、議員の歳費につきましては、民主主義のコストをどう考えるべきかという観点からも議論する必要もあるでしょうし、議員の政治活動の根幹にかかわることでもございます。そういう観点から、これは重要な課題でもございますので、各党各会派において、国会においてしっかりと御議論をしていく必要があるんだろう、こう思う次第でございます。

 そして、歳費について、削減をもとに戻すという措置を行ったところでございますが、これは議院運営委員会で協議された結果でございます。この議員の歳費については、まさに国会において、各会派間で議論をしていただきたい、このように思います。

井上(英)委員 総理のおっしゃるように、総理大臣、また、それぞれ閣僚がカットされておられるというのは、よく承知をしております。

 議会において、国会において歳費をカットするというのは、さまざまな、今総理がおっしゃるように、政治活動にもかかわる問題もありますし、ハードルは決して低くはないというふうに我々も思っていますけれども、先ほど申し上げたような非常に厳しい経済情勢下、まだ今、日本全国、大阪も、もう本当に、一地方都市として、非常に残念ですけれども疲弊した状態で、今それぞれが精いっぱい頑張っているところであります。

 そういった中で、まだまだ経済状況が悪い中で、さらには昨年四月には消費税の増税というのもあり、また、二年後の二〇一七年の四月からは景気条項も撤廃して必ず二%上げるというふうに総理は言われているわけですから、その状況のときに、まずはそれを決めるべき立場であります国会が、そしてまた、その構成員といいますか所属している国会議員が、身を削って国民の皆様方に範を示すという考え方が必要じゃないかなというふうに我々は考えております。

 また、あわせて、この国会議員の歳費、よく返納という議論があるんですけれども、総務大臣にも一応要求させていただいておるんですけれども、改めて、現行法制上、返納というのが一部でも全額でも可能なのかどうか、御答弁いただけますでしょうか。

高市国務大臣 公職選挙法第百九十九条の二の第一項でございますが、公職の候補者等は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならないと規定しております。

 この当該選挙区内にある者とは、当該選挙区内にある全てのものを意味し、自然人や法人のほか、国や地方公共団体も含まれるところでございます。したがって、議員が歳費を受領しそれを国庫に納付するというのであれば、それは国に対する寄附であり、公職選挙法に禁止されているところでございます。

井上(英)委員 総務大臣、ありがとうございます。

 今の歳費は、いただいても、返納することが、原則、ルール上、公職選挙法の百九十九条の二の第一項によってできないということになっておるということでありますので、よく我々も改めて認識したいというふうに思う次第であります。

 次に、身を切る改革、先ほど歳費のお話をさせていただきましたけれども、もう一つ、国会議員の身を切る改革という代表的なものに、議員定数の削減というのがあります。

 午前中、我々の松野議員を初め質疑があったかと思いますし、その質疑の中では、総理も、現在、議長のもとでの有識者会議で答申という議論があり、自民党は、必ず総裁としてその答申に対してまとめる、賛成するということなので、野党に賛成を、ぜひ協力してくださいという趣旨のお話があったかというふうに思っておりますけれども、我々も、当然、まずは有識者会議の皆様方から出される答申というのをしっかりと待ちたいというふうに思っています。

 どういう中身になるのかというのをしっかりと見せていただきたいというのが前提でありますけれども、やはり大幅な削減、どれぐらいの数をもって大幅というのかは定義はありませんけれども、我々は、法案も提出させていただいている。やはり三割というのが一定の、削減の今必要性があるんじゃないか。

 それは、歳費の三割も含め、そしてまた、これから国、地方公務員の皆様方にも総人件費の二割を削減するという協力をもらえば、二〇一七年に上げる予定になっている消費税の、原則、同等額ぐらいの経費を削減できるんじゃないかという根拠のもとで我々は申し上げさせていただいておりますけれども、何度も申し上げるように、現状の財政状況では財政の健全化というのを進めなければならない、大幅な歳出削減が必要であるというふうに思っています。

 大幅な歳出削減をしようと思えば、先ほど申し上げたように、国民の皆様初め公務員の皆様方にも協力をいただいて進めていくわけですから、やはり、それを決める立場にある国会議員がまずは身を削って範を示していくというのが改めて必要じゃないかとお訴えをさせていただきたいと思います。

 現実には、主要五会派の中でも、削減に賛成とおっしゃっている政党もあれば、削減は原則反対だという会派まであり、主要五会派の中でも百八十度違うわけですね。そういう中で、やはり議論だけで解決していくというのは非常に難しい案件じゃないかというふうに我々は思っています。

 次のパネルを見ていただきたいんですけれども、大阪では、府議会議員の定数というのが百九ありまして、前回の統一地方選挙後、我々大阪維新の会が過半数をいただきました。その際に、百九の定数を八十八まで二十一減らしました。約二〇%の大幅な削減というのを断行させていただきました。

 この議決のときには、大阪府議会の野党の一部は本会議場の出入り口に椅子などでバリケードを張って抵抗して、それを突破して議場に入って、議員定数の削減というのを議決したわけでありますけれども、つまり、議員定数の大幅な削減については、納得できない方々は本能むき出しで徹底的に抵抗するぐらいの、やはりそれぐらいの、議員にとって死活問題というぐらいの非常に重たいことではあります。

 ただ、それぐらいに重たいことを率先して我々が進めていくからこそ、初めて国民の皆様方にさまざまな痛みを御理解いただけるんじゃないかというふうにも思っています。また、逆に言えば、そういう抵抗を越える覚悟と実行力というのがやはり我々には求められていますし、それが、難しい案件である大幅な議員定数の削減というのをなし得ていけるんじゃないかというふうに我々は思っております。

 もちろん、有識者会議からどのような答申が出るのかというのはまだわかりませんけれども、我が党としては、議員定数の三割削減の法案というのを提出させていただいております。もちろん、先ほど冒頭に申し上げた、過半数を超える自民党が賛成をしていただければすぐにも成立はするんですけれども、三割、大幅な削減と我々が言っている三割の削減について、総理、どのような御所見がございますか。

安倍内閣総理大臣 議員の定数は果たしてどれぐらいがいいのかということについては、これはさまざまな議論があるわけであります。

 各地域においては、地域から身近な候補者を出して地域の実情を国政に反映してもらいたい、こう思っているわけでありますし、同時に、その地域の代表に対して、いろいろな意見を述べる機会を多く持ちたい、こう思っているわけであります。

 その観点からすれば、ある程度の、例えば百万人に一人ということになっていけば、三十万人、二十万人ぐらいの地域の人たちは、百万人から一人出ているということになれば、なかなかその議員と意見を交換する機会というのは少ないかもしれないということになるわけでございまして、他方、そうではなくて、こういう機会だから思い切って削減するという考え方は考え方であるんだろう、こう思うところでございます。

 自民党としては、我々は、比例の定数から三十人削減をする、かつ、第一党には、いわば我が党には不利になる形でその仕組みも変えていく、そういう案を、我が党にとってはこれは不利になる案を提出させていただいたところでございます。

 小選挙区については、これは削減をしていないということについてはさまざまな議論があったわけであります。しかし、その中で、単純に小選挙区においても削減をしていくと代表を失う地域も出てくるわけでございますので、事実上、代表を失うというか、いわば今までのような身近な形での代表を失っていくということも出てくることになる、そういう議論も経て自民党としての案を出させていただいているわけでございますが、今回は、そういう中においてさまざまな御意見がございますから、議長のもとに有識者会議をつくりまして、そこで御議論をいただく、そして、その結論については我々は賛成をしようということを決めているわけでございます。

 何名削ればいいのか。たくさん削れば削るほどいいのかということでもないんだろうと。果たしてどれぐらいかということは、それぞれの党において事情も違うでしょうし、代表をどう考えるかということについてもいろいろな議論があるわけでございます。

 そういうことも含めて、恐らくしっかりとした議論が有識者の中で行われ、結論が出てくるものと思われます。

井上(英)委員 おっしゃるように、各政党によって思いというのも違いますし、総理のおっしゃっていることも非常によくわかっています。それだけでも複雑な課題といいますか問題ですので、えいやあという、勢いのある大阪のような改革というのがやはり必要なんじゃないかというふうに我々は思っております。

 それでは次に、公務員の関連団体への再就職問題、世に言う天下り問題というふうに一般的には言われておりますけれども、それにおいても、我々、大阪で徹底的な改革というのを進めてまいりました。

 パネルにありますように、大阪市では、まず、天下りの温床と言われるふうになっていた外郭団体数を、七十二団体から十八団体、約七五%削減いたしました。外郭団体への再就職についても、約七〇%減少をさせました。天下り先と大阪市との随意契約額を三年間で、約三百二十一億円かかっていたのを五十億円まで、約八四%、金額にして二百七十一億円カットをしてまいりました。

 そして、さらには、今お手持ちの資料で、一、二とちょっと逆になって大変失礼しちゃうんですけれども、資料二で、さらに、再就職に関しては、勤続二十年以上の職員や職員であった者が外郭団体、派遣団体、その他の関連団体に再就職することを原則禁止とし、例外的に、首長、つまり大阪市長が人事監察委員会の意見を聞いて、公務の公正が保てる場合に限り再就職が認められるという規制を構築しております。

 この大阪での天下りへの厳格な規制、これを仮に国に当てはめた場合、お配りした表があると思うんですけれども、いただいています内閣官房人事局の資料では、平成二十六年七月一日から九月三十日分の三カ月分だけとってみても、公表されている五百五十三人の再就職者のうち、国そして地方自治体、または自営業への再就職を除くと、実に約四百人ぐらいが大阪市の規制では対象になっていく。その対象になるということは、やはりしっかり監視されることとなります。

 国の規制では、再就職先などの情報が公表されているからそれでいいというような風潮でありますけれども、公表だけではやはり足りていないというのは明白で、おまけに、国民から見れば、省庁のOBが関係業界や関係企業、団体に再就職をしているという時点でやはり疑義を生んでいるということを我々は忘れてはならないというふうに思います。

 先ほどの税金の、二百七十一億削減しましたけれども、税金の無駄遣いの一因でもあり、再就職を天下りとやゆされているということ自体を我々は改めていく必要があると言わざるを得ないんです。

 大阪での職員基本条例というのを成立させていただきました。これは、第一次安倍内閣のときに手がけようとした安倍総理の公務員改革の理念を大阪で実践させていただいたというにすぎません。その意味で、ぜひ総理には公務員改革をお願いしたいなというふうに思っておりますけれども、ちょっと時間がなくなってきましたので、答弁はもう求めませんので、くれぐれもよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、四問目は、身を切る改革、財政再建をするということがやはり喫緊の課題であるというのは何度も申し上げております。財政再建の観点からも、それから日本の成長戦略の観点からも、地方が自分の足で自立した運営をするということは大切であるというふうに、総理も同じ考えだというふうに思います。

 資料で、先般行われた衆議院選挙での自民党のマニフェストの十三ページにありますけれども、この政策集の「地方創生・女性活躍推進」の項目で、先ほど言いました十三ページの「個性豊かで魅力ある地域を」という項目がございます。その中の一番下に「空港、水道、下水道、道路のコンセッション事業等、PPP/PFIの積極的な推進を図り、地域における民間事業者の事業機会の創出等地域の活性化を進めます。」というマニフェストが入っています。これは我々も大賛成であります。

 では、大阪ではどうかということであります。この右上にありますように、我々、大阪では、水道事業、水道局がやっている大阪市の水道事業をコンセッションで議会に提案させていただきました。実現すれば、効率経営ができる、さらには技術力を海外に輸出することができる、また年間十億円ほどの削減効果というのも生まれていく、効率的な運営ができるということで提案をさせていただいたんですけれども、大阪の自民党は賛成していただけると思っていたら反対で、否決をされました。

 また、左側の一番上にある地下鉄、バスの、大阪市の交通局がやっている事業があります。その地下鉄、バスの交通局の事業を民営化しようと。これは、また後に国土交通委員会でもJR九州の株式会社化の話も出てまいりますけれども、JR九州に匹敵するぐらいの規模なんですね、収支では。まさしく、地域における民間事業者の事業機会の創出等地域の活性化というのが図れるというふうに思うんですけれども、これも反対をされました。

 これは非常に根深い問題ではないかなというふうに思っています。国の自民党が成長戦略の観点から必要な政策ということでおっしゃっておられても、地方に行けばさまざまな利害関係が生じて、既得権が生じて、本気の改革を国がやろうとしても、そしてまた自治体がやろうとしても、実際、その改革が進まないという実態であります。

 それ以外にも、資料を見ていただいたらおわかりいただけますように、ごみの収集、これを民営化しようじゃないかといったさまざまな改革がありますけれども、ここに書かれている事業は全て反対されてストップしております。

 もちろん、完全に地方の課題というものに関しては、地方分権ですから地方で決めるというのは当たり前なんですけれども、国の成長戦略にも関連するようなこういう課題で、各自治体で改革を進めようと首長が頑張っても議会と対立して改革が進まない場合は、国が一定関与して取りまとめる、そういう制度というのを構築する必要があるかと思いますけれども、総理の御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 高度成長期に一斉に日本全国でインフラの整備を行いましたが、そうしたインフラが今大体一斉に、同時に更新期を迎えているわけでありますし、メンテナンスの時期を迎えておりますので、この厳しい財政状況の中においては、これに対応していくためには民間の資金やノウハウを最大限活用して、コンセッション事業のPPP、PFIの積極的な推進を図っていくことが必要であると認識をしています。

 成長戦略におきましても、コンセッション事業の積極的推進を図るとしているところでございますが、個々の事業については、まさに、どのような事業にコンセッション方式を導入するかということでございますが、これは各地方でお決めいただきたい。地方地方にそれぞれの御事情があるんだろうと思いますが、それは各地方でお決めいただきたい、このように思います。

 また、意欲のある自治体に対しましては、専門家の派遣を含めて、PPP、PFIの推進に向けて取り組んでいく考えであります。

大島委員長 時間です。

井上(英)委員 はい。時間も来ましたので、これで私の質疑を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

大島委員長 これにて松野君、柿沢君、井坂君、重徳君、井上君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、米軍普天間基地問題について質問をいたします。

 安倍内閣は、二〇一二年政権発足以降、沖縄県民の意思を踏みにじって、名護市辺野古への新基地建設を推し進めてきました。

 二年前の二〇一三年一月、沖縄県内の全四十一市町村、議会、県議会、経済社会団体の代表が上京し、オスプレイ配備の撤回、普天間基地の閉鎖、撤去、県内移設断念を求める建白書を政府に提出いたしました。

 ところが、政府は、同年三月、新基地建設に向けた埋立申請書を沖縄県に提出いたしました。その後、政府、自民党本部による圧力のもとで、十一月には、県選出の自民党国会議員五人が石破幹事長とともに記者会見を行い、県外移設の公約を覆し、辺野古移設容認へと立場を変えました。

 年末には、沖縄県の仲井真知事が、県民を裏切り、沖縄振興予算と引きかえに埋め立てを承認いたしました。これでいい正月が迎えられるという仲井真知事の発言に、県民の激しい怒りの声が巻き起こりました。

 こうした公約違反、裏切りに対する県民の意思が、昨年一年間の選挙を通じて明確に示されました。

 一月の名護市長選挙で、辺野古の海にも陸にも基地はつくらせないという立場を貫く稲嶺市長が再選されました。九月の名護市議選でも、稲嶺市長を支える与党が過半数を占めました。十一月の県知事選挙では、新基地建設の是非が正面から問われる選挙となり、翁長候補が十万票の大差で当選をいたしました。同じ日に行われた県議補選でも、名護と那覇で新基地建設反対を掲げるオール沖縄の候補者が当選をいたしました。そして、先月行われた総選挙で、沖縄一区から四区までの全ての小選挙区で、私を含めて、オール沖縄の候補者が当選をいたしました。

 総理に伺いますが、新基地建設反対、普天間基地の閉鎖、撤去を求める県民の意思は疑いようのない形で明確に示されたと思いますが、総理はどう認識しておられますか。

安倍内閣総理大臣 選挙結果につきましては、いずれも真摯に受けとめたい、このように思います。

 しかし、この機会に申し上げれば、最も大切なことは、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間の固定化は絶対に避けなければならないということでありまして、これが大前提であり、かつ、政府と地元の皆様との共通認識であると考えています。

 辺野古への移設は、米軍の抑止力の維持と普天間の危険性除去を考え合わせたときに、唯一の解決策であり、この考え方には変わりはございません。

 これは現在の普天間を単純に辺野古へと移す計画ではないわけでございまして、今まで御説明をしているとおり、現在の普天間飛行場は三つの機能を有しているわけでありますが、第一にオスプレイの運用機能、第二に空中給油機の運用機能、第三に緊急時に外部から多数の航空機を受け入れる機能でありますが、辺野古に移るのはオスプレイなどの運用機能のみでございまして、空中給油機については、これは十八年越しの課題であったのでございますが、昨年八月に、十五機全機、山口県の岩国基地への移駐が完了したところでございまして、オスプレイの県外訓練等も着実に進めているところでございます。

 また、面積について見てみましても、辺野古に埋め立てる面積は全返還面積の三分の一になるわけでありまして、大幅に減少するわけでございます。

 騒音についても大幅に軽減されるわけでありまして、現在は住宅防音が必要となる地域に一万以上の方々が居住をしているわけでございますが、移設後はこのような世帯はゼロになるわけでございまして、騒音の値は居住専用地域に適用される環境基準を満たすことになるわけであります。

 これに加えまして、万一航空機に不測の事態が生じた場合は海上へと回避することで地上の安全性が確保されるわけでございますので、こうした観点から、我々としては、辺野古への移設は沖縄の負担軽減に十分資するものである、こう考えております。

赤嶺委員 今の答弁は総理の決まり切ったこれまでの説明の繰り返しであります。県知事選挙前も同じような答弁をされておりました。

 空中給油機は岩国に移駐したと言いますが、今でも普天間基地に飛来して訓練を継続しております。防音工事の対象世帯がゼロになると言いますが、今もオスプレイは、キャンプ・シュワブ近くの国立高専や、あるいは集落の上空を飛行しています。そういう政府の決まり切った答弁、政府のごまかしの答弁にノーを突きつけたのが、この間の県知事選挙であったわけであります。もう総理の答弁というのは破綻しているんですよ。

 総理は、選挙結果を真摯に受けとめると言いましたが、総選挙翌日の記者会見でも同じことを言いました。真摯に受けとめて、この一カ月半、総理は具体的に何をしたんですか。

安倍内閣総理大臣 ただいま申し上げたのは、事実を申し上げているわけでございます。

 事実、空中給油機については、岩国に全機移駐したわけでございます。確かに沖縄にも飛行しているわけでありますが、今までとは全然これは飛行回数は違うわけでありまして、この実績を見れば一目瞭然であろう、こう思うところでございます。

 そういう意味におきましては、まさに、普天間基地の辺野古への移転というのは、危険性除去にもかなうものでございますし、騒音につきましては、先ほど申し上げましたように、一万世帯が防音の設備をしなければならないという状況がゼロになるわけでございますし、また、緊急回避する場合に海に出ればいいということになれば、これは相当危険性の除去につながっていくわけでございますから、そういう意味においては、一日も早く移設を進めていくことが、いわば普天間の危険性の除去につながっていく。

 そういう観点から、これから地元の皆様にしっかりと丁寧に説明をしていきたい、こう考えているところでございます。

赤嶺委員 総理は今、岩国に移転した、しかし沖縄で訓練はしているということをお認めになりました。訓練の回数は減っているじゃないかというお話でしたけれども、米軍再編ロードマップでは、岩国に移転したら沖縄では訓練することになっていなかったんですよ。なっていなかったのに今訓練し始めている、これ自身が重大であります。

 場周経路についても、米軍自身がこれを守るとは限らない、運用の都合上外れることはあるというのを、政府が沖縄県に出した埋立申請書の中に書かれているんですよ。それを総理は読んでいないんですか。

 総理は同じような答弁を繰り返しながら、結局総理がやってきたのは基地建設の再開でありました。

 一月の十五日に政府は、抗議活動を続ける県民を強制的に排除して、ボーリング調査に向けた海上での作業を再開いたしました。これは、真摯に受けとめているという態度ではありません。民意と関係なく問答無用で基地建設を強行する、それが総理のやっていることではありませんか。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げた、KC130の岩国への移駐によって、周囲に住宅や学校等が密接している普天間飛行場には、少数の連絡機を除いて固定翼の航空機はいなくなったわけでございますし、軍人軍属及び家族合わせて約八百七十名が沖縄県外に転出することになりました。

 また、KC130の普天間飛行場における月平均の発着陸回数は、移駐前の平成二十五年度は百五十四回でございましたが、移駐後の平成二十六年の九月から同年十二月までは三十四回となっておりまして、百五十四回から三十四回、顕著な減少が見られることは明確であろう、このように思うわけでありまして、KC130の普天間から岩国への移駐は確実に沖縄の負担軽減に資するものである、このように思います。

 同時に、今回、この米軍再編に伴いまして、日米間で七年越しの課題でございました嘉手納以南の返還計画についても、日米首脳会談でオバマ大統領に直接問題を提起しまして、日米合意をすることができたのでありますが、これによって、沖縄県の人口の大半が集中する沖縄本島中南部の人口密集地域に所在する米軍基地については、面積にして約七割が返還されることになります。実際に、本年三月には西普天間住宅地区が返還予定でございますので、しっかりとこれを実現していきたい、このように思います。

 また、昨年の十月には、負担軽減に関して日米両国で共同発表を行ったところでございますが、その中で、日米地位協定の環境補足協定の実質合意を達成することができました。

 地位協定については、これは赤嶺議員も御承知のとおりでありますが、なかなかこれは指一本触れられなかったのでございますが、今回、まさに初めて、地位協定にかかわることとしては初めて合意ができたわけでございまして、従来の運用改善とは異なりまして、国際約束の形で得たこの成果は日米地位協定の締結から五十四年を経て初めてのものでもあるわけでありまして、このように、安倍政権としては、言葉ではなくて結果として、しっかりと実績として出していきたい、こう考えているところでございます。

赤嶺委員 総理は質問されていないことにまでわたっていろいろな答弁をしておりますが、丁寧にたっぷりとといっても、時間には限度がありますから、だから、私の聞いたことに答えていただきたい。

 いわゆる辺野古の新基地建設にはノーという審判を選挙で出した。総理は、真摯に受けとめると言った。真摯に受けとめると言いながら、工事を再開している。これは、真摯に受けとめていないということではありませんか。言葉よりも実態が示しているのではありませんか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、なぜ私どもが普天間から普天間基地を辺野古へ移設させるか、その必要性について、そして他に道がないということについて御説明をさせていただいたところでございます。

 同時に、選挙の結果を真摯に受けとめ、こうした私どもの説明が十分に県民の皆様に伝わっていないのは事実でございますので、丁寧に、これから地元におきましても御了解をいただくべく努力を誠実に重ねていきたい、このように思っております。

赤嶺委員 総理は、選挙の結果の意味がまだ十分に御理解できていないようであります。

 住宅地に囲まれた普天間基地を一刻も早く閉鎖、返還すべき、これは当然のことですよ。普天間の返還がいつまでたっても実現しないのは、政府が移設条件つきにしがみついているからにほかなりません。

 戦後七十年間米軍基地に苦しめられてきた沖縄で、なぜ新たな基地をつくらなければならないのでしょうか。辺野古の新しい基地は二百年先まで使えるようにすべきだというのが、アメリカ側の方針です。一体、いつまで沖縄は基地と隣り合わせの生活を続けなければならないのか。普天間は、辺野古に移すのではなく、なくしてほしい、子や孫の代まで基地の苦しみを残したくない、それが選挙で示された県民の思いであります。

 今回の県知事選挙では、普天間基地のある宜野湾市で、翁長候補が仲井真候補を三千票近く上回りました。総選挙では、照屋寛徳さんが六千票以上の差をつけて当選いたしました。宜野湾市民だって、普天間基地の閉鎖、撤去を願っているけれども、辺野古に移してほしい、そういう意見ではないということが、知事選や総選挙の結果でも見事に示されているわけです。

 普天間は閉鎖してほしい、だからといって、その危険を辺野古に移すようなことは沖縄県民は望んでいない、こういうような意味を、総理は重く受けとめるべきであります。

 しかも、総理はこの間、翁長知事に会ってもいません。繰り返し面談を求められても、会おうともしない。菅官房長官は、仲井真知事のときは大事な政治判断が必要だった、必要があればお会いするが、現時点では副長官でお願いしていると述べております。

 新基地建設反対の民意が示されたにもかかわらず、基地建設を再開する、これは大事な政治判断ではありませんか。立場は違ったとしても、有権者の負託を受けて当選した県知事であります。まずは会って話を聞くのが当たり前の対応ではありませんか。総理はなぜ会わないんですか。

安倍内閣総理大臣 まず、普天間飛行場の移設についての経緯でございますが、これは御承知のように、普天間飛行場については、平成八年四月に、沖縄の皆様の強い要請、要望を踏まえて、当時の橋本龍太郎総理がモンデール駐日米国大使と会談を行い、沖縄県内に代替施設を建設することを前提に全面返還することで合意をしたわけでございます。これが日米の合意であります。

 そうして、その中において、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、在沖米海兵隊を含む在日米軍全体のプレゼンスや抑止力を低下させることはできないこと、また、東アジアの各地域に対し距離的に近いといった沖縄の地理的優位性、また陸上部隊、航空部隊、後方支援部隊等を統合した組織構造を有し、すぐれた機動性、即応性を備える米海兵隊の特性を損なうことはできないこと、普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去する必要性などを総合的に満たし得るのは辺野古しかないとの結論に至ったわけでございます。

 そういう意味で先ほど私は辺野古しかないということを申し上げさせていただいたところでもございますし、平成八年に日米合意がなされていて、この合意のもとに米国は普天間の全面返還に応じたという経緯があるということは申し上げさせていただきたい、こう思うところでございます。

 また、翁長知事との面会についてでございますが、総選挙、組閣等々がございましたので、今まで私自身またあるいは官房長官も面会する機会はなかったのでございますが、しかし、政府としてはしっかりと対応してきているところでございます。

 今後また政府としてさまざまな取り組みについて連携を深めていく中において、政府として対話の機会が設けられていくもの、このように考えております。

 いずれにせよ、今後とも、さまざまなレベルで対話を行い、理解を求めていく努力をしていきたい、こう考えているところでございます。

赤嶺委員 沖縄の人たちが去年一年間、必死に自分たちの民意を示してきた。しかも、疑いようのない、民意を示す選挙戦で全部勝利をした。その県民の民意よりも、日米間の合意があるからといって辺野古を押しつけようとする。一体、アメリカや日本というのは民主主義の国なんですか。民主主義であれば民意を尊重するというのは当たり前じゃないですか。そして、その民意によって選ばれた知事と、大きな転換が起こっているわけですから、直ちに会うというのが、これも筋道じゃありませんか。今の対応で足りているということには納得できません。

 翁長知事は、今月の二十六日、前の仲井真知事が行った埋立承認は違法性が疑われている、瑕疵があるということで、これを検証するために第三者委員会の設置を発表しました。政府に対し、検証作業中の工事の中止を要請いたしました。ところが、総理は本会議で、詳細を承知していない、このように述べております。コメントは差し控えたいと答弁なさいました。

 詳細を承知していないと言うのであれば、直接会って説明を聞けばいいのではないですか。面談に応じるべきではありませんか。

安倍内閣総理大臣 防衛省に対しては、第三者委員会で検証を行う旨の連絡があったと報告を受けているところでございまして、その具体的な内容は政府としては承知をしていない、ですからそのように申し上げたわけでございまして、いずれにせよ、これは県内内部の取り組みであることから、詳細については承知をしていない、このように申し上げたところでございます。

赤嶺委員 第三者委員会というのは、四月にも検証結果をまとめる見通しであります。瑕疵があるとの結論になれば、埋立承認の取り消しになります。瑕疵がない場合でも、辺野古の基地はつくらせないという私の政策は変わらないと翁長知事は発言をしております。そうなれば、承認の撤回ということになります。いずれにしても、工事はとまるんです。

 ところが、今、辺野古では、長さ三百メートル、幅二十五メートルとも言われる仮設桟橋まで建設しようとしています。そのために、二万立米以上、ダンプトラックにして五千台分の石材を投入する計画と言われています。沖縄防衛局は、ボーリング調査が終われば撤去すると説明していますが、なぜ調査のためにそのような巨大な構造物が必要なのか、事実上の埋立工事ではないかという声が上がっています。

 防衛大臣に伺いますが、そのような工事を計画しているのではありませんか。

中谷国務大臣 その前に、第三者委員会について、先日二十六日に安慶田副知事が防衛施設局を訪れまして、この間の見合わせの配慮を求めたということでございますが、この埋立申請につきましては、公有水面埋立法に基づく審査を経て沖縄知事から承認をされておりまして、これらの手続は既に関係法令によって適正に行われたものだと考えております。

 また、仮桟橋の建設におきましては、この調査等の工事に必要なものであるということで、それに基づいて実施をいたしているところでございます。

赤嶺委員 ボーリング調査のために巨大な構造物をつくる、これはボーリング調査に名をかりた実際の埋め立ての開始ではないか。

 そして一方では、検証をすれば前の仲井真知事の埋立承認の瑕疵が見つかる、あるいは瑕疵がなくてもあの工事はあらゆる手段を使ってとめたい。いずれ工事はとまるんですよ。いずれ工事はとまるという状況の中で仮設桟橋、巨大な構造物、これをつくるのは絶対におかしいと思いますけれども、いかがですか、防衛大臣。

中谷国務大臣 当該桟橋等は、調査が完了すれば撤去する予定としておりまして、本体工事に使用する計画は有していないことから、当該桟橋の着工をもって埋め立てに当たる、あるいは変更の埋立承認が必要という御指摘は当たりません。

赤嶺委員 御指摘が当たらないということでしたが、余りにも乱暴ですよ、今の巨大な構造物をつくるのは。

 まだ乱暴なことがあるんです。

 きのうの地元紙、きょうの地元紙にも報道をされておりますが、防衛省はボーリング調査を始めました。そのボーリング調査による環境破壊が発生していたことが明らかになりました。

 現場海域ではフロートが設置されておりますが、そのフロートを海底につなぎとめておくための重さ百六十キロのアンカーがサンゴを損傷する被害を出していました。昨年十月の台風十九号のときです。二百四十八個あったアンカーのうち、百二十個はどこにあるかもわかりません。

 ところが、政府は、被害の状況も再発防止策も、何も明らかにしておりません。海上での作業は継続したままです。沖縄防衛局には環境監視等検討委員会が設置され、こういう事態が起きたときにこのような問題も話し合うことになっていますが、そこでどういう議論が行われているかも明らかにされておりません。

 まずは、作業を中止して、被害状況や委員会での議論、再発防止策を明らかにするのが当然ではありませんか。

中谷国務大臣 昨年、台風十九号が参りまして、沖縄県に大変な被害をもたらしたわけでございます。この地域におきましても、調査をした結果、ブイ、フロートのアンカー二百四十八個のうち百二十個の箇所の存在が確認できなくなってしまいました。また、同アンカーのものと思われる三十六本の痕跡が確認をされておりますが、やはり、こういった被災状況を踏まえまして、アンカーが流れないような、その重量をふやすという措置など、今後の台風の接近に備えて、こういった対応、また、事前にブイを上げるなどの措置を行ってまいりたいと思っているわけでございます。

 また、第三回の環境監視委員会でお諮りをしたところでございますが、この内容等につきましては、議事等をまとめている段階でございますので、しかるべき時期に公表はいたしますけれども、現時点においてお答えすることは差し控えさせていただきます。

赤嶺委員 台風十九号の直後に、アンカーがサンゴを傷つけている写真を持って、私は市民団体と一緒に沖縄防衛局長に会いました。沖縄防衛局長は、これがアンカーによる傷であるかどうかはまだわからない、調査の上で、環境監視検討委員会の専門家の意見を聞いて公表するというのが、まだ公表されていないんですよ。

 あなた方は、いや、あのときのアンカーよりも、より大きく重いアンカーを設置すれば今度は大丈夫だと言う。素人考えじゃないですか。こういう判断について、環境監視検討委員会の意見をちゃんと聞きましたか。専門家の意見を得てそういう判断をしたんですか。この間より重いのをつくればサンゴを傷つけないというのは、こんな素人判断でやるのはおかしいじゃないですか。

 だから、今、重たい、大きなアンカーを海底におろしてボーリング調査をするのは中止して、専門家の意見を聞くべきだと言っているんです。どうですか。

中谷国務大臣 台風の結果につきましては、本年の一月六日に開催をしました環境監視委員会で議論をいたしております。

 現在、沖縄防衛局において討議内容の確認を行っている段階でございますので、その指摘に対して調査を行いまして、必要な作業が終わり次第、この調査結果もあわせて公表してまいりたいと思います。

赤嶺委員 ですから、調査結果がまだ出ていないうちに、次は大きなトンブロックをアンカーにすれば大丈夫だというような考え方は安易であります。

 何のために環境監視検討委員会を置いたか。そういう工事の際にも環境の保全をきちんとやっていくんだ、専門家の意見を聞きながらやっていくから大丈夫だとおっしゃっていたじゃないですか。何で今、そういう検討委員会の意見も聞かないで、ああいう大きな、トンブロックのようなアンカーをどんどん海底に投げ込んでいるんですか。

 工事を中止すべきではありませんか、専門家の意見を聞くという手続をとるべきではありませんか、防衛大臣。

中谷国務大臣 一月六日に環境検討委員会でこの点の御指摘がありました。これにつきましては調査をしてまとめているわけでございますが、現時点におきまして、環境等の問題につきましては、定められた基準の範囲内で実施をしているところでございます。

赤嶺委員 強く中止を求めていきたいと思いますが、海の中には、そういう専門家の意見も無視した工事の強行、そして、去年一年間、民意が示されたにもかかわらず、辺野古が唯一の解決策だと言って聞かない総理の態度、これに対して抗議の声が起こるのは当然であります。県民は、絶対に屈しないという立場で新基地建設反対の抗議闘争に立ち上がっています。

 そこで、国土交通大臣に伺いますが、今、海上でも、キャンプ・シュワブのゲート前でも、民意を無視した基地建設の強行に反対して、何百人もの県民が駆けつけ、抗議行動を続けています。バスに乗って普通の市民が駆けつけ、座り込みに参加したり、時にはカチャーシーを踊ったり、粘り強く抗議活動や説得活動を続けております。私のような、ほかの国会議員や、あるいは全県の地方議員も何度も足を運んでおります。

 ところが、今、現地で問題になっていることがあります。海上保安庁による警備のあり方です。

 時には、十五隻もの巡視船が沖合に停泊をしています。なぜこれほどの警備体制が必要なのか。まるで、水平線に巡視船が並んで見張っている、沖縄戦のようだ、こういう感想を漏らすお年寄りも少なくありません。米軍基地の中に海上保安庁は拠点を設けて、米軍基地の中から出てきて抗議活動に圧をかけるというやり方を繰り返しております。海上保安庁はいつから米軍や防衛省の警備員になったのかという声が、現地からも上がっております。

 海上保安庁は何のためにあの海域に出ているのですか。

太田国務大臣 工事が、船あるいは工事のものが入るということの中での、いわゆる現場海域における安全ということを最優先に考えるというのが私たちの姿勢でございます。

 普天間飛行場代替施設関連事業に関して、そうした事故にならないように、これは陸上でもそうですが、工事があったところで事故等が起きやすいということがありますから、それらについて法令の遵守の観点から適切に対応していくという姿勢をとっている。

 そして、私も、過剰警備ということのないようにということで、海上保安庁に対しては平素からしっかりと伝えているところでございます。

赤嶺委員 安全確保と法令の励行が目的だ、こういうことですが、逆に、海上保安庁による警備活動によってけが人が続出しております。

 きょう、資料を一枚配付いたしました。これを見ていただきたいと思いますが、二十三日付の地元紙の新聞記事のコピーです。

 今月の二十日、映画監督の影山あさ子さんが抗議船に乗船し、海上作業の様子を撮影していました。そこに海上保安官が乗り込んできて、影山さんに馬乗りになって、左足で押さえつけて、影山さんのカメラに手を伸ばして執拗に奪おうとしています。海上保安庁は、海中転落のおそれがあり危なかったからだと説明をしていますが、この写真を見て、大臣、どのように思われますか。

太田国務大臣 どう思ったかというよりは、今、女性に馬乗りになって、海上保安官の対応によって市民との衝突が多発してけが人が出ているというような報道があったりいたします。

 海上保安庁におきましては、現場海域の安全確保と法令の遵守の観点から適切に対応しておりまして、そのような事実は確認をされていないという報告を受けています。

 この写真にある件に対しまして、これは、動揺する小型船のへりにいた女性の身体を保持するための行為である、このような報告をいただいております。それは、現実にそういうことのようでございます。

赤嶺委員 国交大臣、この問題では、海上保安庁が認識の過ちを認めて私に謝罪したことなんですよ。

 法令遵守だとかそういうことで間違いなくやっていると言いますが、この写真、最初は一枚だったんです。最初は一枚だったから、いろいろなことを言いました。今の大臣の答弁とは違う答弁をしていたんですよ。つまり、ここでは、女性をまたいで船体後部へ通り抜けようとしただけだと説明をしました。つまりは、船長のところに行こうとしてこういう場面ができていた、一瞬のことだと言いました。

 そうしたら、メディアは連続写真を発表したんです。連続写真を発表したら、女性の前を通って後方部に行こうとしているどころか、女性の後ろから左足を肩にかけて、まさに馬乗り状態で、手はカメラを取り上げようとしているんですね。そして、顔がちょっと横を向いているのは、船長が激しく抗議しているから横を向いているだけの話であって、これは、明らかに馬乗りになって、そして映画監督のカメラを取り上げようとして、やった。

 大体、船に乗り込んでいる人が危ない場合に、第一義的に、これは危ないからやめなさいと言うのは船長の役割であり、海上保安官がやるとしたら、その船長の役割を無視して、船に飛び乗って襲いかかっていくのが海上保安官の役割ですか。これは明らかに乱暴な過剰警備、乱暴な行為じゃないですか。どうですか。

太田国務大臣 当然、そうした危ない行為はしないようにということについても忠告はしながらのそうした現実が起きたということでありますが、写真の見方であろうと私は思います。

 あくまで、動揺する小型船のへりにいた女性の身体を保持するということがこの写真の行為であるという報告を受けております。

赤嶺委員 大臣、船に乗っている人が危ないことをしたときに注意をする役割は、船長が第一義的に持ちますよね。そして、あなたが乗っている船であの人が危ない行為をしているからとめなさいというのも、船長に対して言うべきですよね。これは、突然女性に襲いかかっているんですよ。どうですか。手順が間違っているんじゃないですか。

太田国務大臣 現場のことでありますので、どういう状況で、どういう形でなったかということについては十分承知はしておりませんが、遠くにそうした方たちがいるときでも、入ると危険であるということについて常に警告をしているというのは、まず前段階で当然なされていることだと承知しています。

赤嶺委員 これは、立入禁止区域の中で起こっている行動じゃないんです。立入禁止区域の外で抗議活動をしている人たちに対して、海上保安官がこのような形で襲いかかっているというものであります。大臣に、海上保安官による過剰で暴力的な警備活動をやめさせるよう強く求めたいと思います。

 そもそも、海上保安庁が海難事故での救命活動や離島の急患輸送など大事な役割を果たしていることは、県民の間でもよく知られています。ところが、今回の件で、海上保安庁に対する信頼が失われています。極めて残念だという声も、現場の抗議闘争をしている人たちの間からも上がっております。

 このような乱暴な、しかも抗議運動を抑えるような乱暴なやり方は、警察でも海上保安庁でも絶対にやってはいけない、こういう行為で決して県民は抗議行動を諦めることはないということを申し上げておきたいと思います。

 次に、環境アセスの問題について聞いていきたいと思います。

 防衛大臣も、先ほどは、法令に従って埋立許可をもらったんだという答弁がありました。本当に法令に従ったやり方であったかどうか、これは検証の必要があります。

 総理にまず伺いますが、政府は、前知事から埋立承認を得たのだから法令に基づいて粛々と進めると繰り返し発言をしておりますが、総理は、辺野古の新基地に関して行われた環境アセスは適切なものだったという認識ですか。

安倍内閣総理大臣 政府としては、法令に基づいて、プロセスを踏んで作業を進めていく、これは当然のことであろうと思います。

赤嶺委員 環境アセスの手続というのは、方法書や準備書や評価書という段階を踏みながら、それぞれの段階で自治体や住民の意見を反映させながら進められていきます。

 防衛大臣に伺いますが、そもそもなぜこのような手続を踏むことになっているのか、どういう認識をお持ちですか。

中谷国務大臣 辺野古の方の埋め立てを決定したのは平成十四年でありまして、もう十年近くなってまいりますが、この間、防衛省としましては、時間をかけて丁寧に沖縄県側と接触をし、交渉してまいりました。

 そういった手順の中で、環境影響評価でありますが、平成二十三年の十二月に公有水面の埋め立て、平成二十四年の一月に飛行場及びその施設の設置の環境影響評価書の送付、そして同十二月に補正後の環境影響評価書を送りまして、平成二十五年の三月に公有水面埋立承認願書、認めてもらう書を提出いたしまして、法律に基づいて手続を進めているところでございます。

赤嶺委員 環境アセスが方法書や準備書や評価書という段階を踏んで慎重な手続をとっていく、これは科学的で客観的な調査を行い、適切な環境保全措置をとるために、それぞれの調査の段階で自治体や住民や専門家の意見を聞く制度になっているわけです。

 ところが、辺野古の環境アセスは、この制度の趣旨を無視した大変乱暴なものでした。方法書で調査方法を示して、住民や専門家の意見を受けて調査方法を確定すべきところを、辺野古の場合は、方法書の提出の前に、政府が事前調査と称してアセス手続とは別の環境調査を行いました。

 防衛大臣、その事実は確認できますね。

中谷国務大臣 この問題は、那覇の防衛施設局が沖縄県と随時話し合いをしながら進めておりまして、まず、平成十九年の八月から二十四年の十二月までの環境影響評価に係る手続の中で、県知事から六回の意見をいただきました。適切に評価の内容に反映をしていると考えております。

 そして、二十五年の三月にこの承認願書を知事に送付して十二月に承認を受けるまで、防衛施設局へ四回質問がありましたが、これも適切に、誠実に回答を行ったわけでありまして、十分に時間をかけて沖縄県からの御意見を聴取する手続を踏んでまいりました。

赤嶺委員 中谷大臣、今のお答えは私の聞いたことではないんです。

 私のさっきの質問は、方法書の手続に入る、これは環境アセスの手続の最初の段階です、その最初の段階に入る以前に防衛省は手続を無視して事前の環境調査に入っていた、これは間違いないですねということであります。

中谷国務大臣 もしそうであれば、沖縄県から認めはいただけなかったと思います。きちんとそういった面も含めまして説明をし、手順を踏んで沖縄県から認めていただいたというふうに認識しております。

赤嶺委員 そういう乱暴なやり方があったにもかかわらず埋め立てを承認したということで、仲井真知事はあの知事選挙で県民から不信任を受けたわけであります。

 その事前調査というものについて、防衛省はどういう態度をとったか。これは、海上自衛隊の掃海母艦まで出動させて強行した環境調査でありました。

 専門家が当時厳しく指摘したのは、調査方法がでたらめだということでした。サンゴの産卵状況を調べるための機材が設置されましたが、その機材がサンゴを破壊していたのが発見をされました。ジュゴンの生息状況を記録するためのビデオカメラは、ジュゴンの通り道を塞ぐようにして百十二箇所も設置をされました。ジュゴンを追い払った後でアセス調査を行い、付近にジュゴンは生息していないと結論づけるものでありました。これに対しても厳しい専門家の指摘がありました。乱暴な方法で海域を攪乱してしまったわけです。アセス法違反、史上最悪のアセスという厳しい批判が相次ぎました。

 防衛大臣、重ねて聞きますが、環境アセスの手続を踏まないで事前調査をやり、軍艦まで辺野古の海に派遣してサンゴの調査だとかあるいはジュゴンの調査だとかをやった、追い払った後にジュゴンがいないということをやった、そういうのは余りにも環境アセスの手続を踏み外したものであり、その後の環境保全策にも影響を与えたということになるのではないかと思いますが、いかがですか。

中谷国務大臣 お言葉でございますが、十分丁寧に環境アセス調査を実施いたしました。平成十九年の八月に方法書をまず送付して公告縦覧、そして二十年に現地調査、そして認めてもらうのが、平成二十四年なんですね、公告縦覧、これを承認いただく。十分これは時間をかけました。その間、こういった手続に瑕疵とか不備がありましたら当然沖縄県の方から御指摘があるわけでございますが、そういった審査を経過して認められたというふうに認識しております。

赤嶺委員 方法書以前のことを質問したら方法書から話を始めて、これはもう瑕疵があったことをみずから認めるような答弁のやり方ですよ。私が聞いているのは、方法書以前の話を聞いているわけです。

 中身もひどいんですよね。中身は、二〇〇七年に、言われた方法書が提出されました。沖縄県からは、余りにも不備だということで、二度にわたって追加・修正資料を提出せざるを得ませんでした。評価書の提出は二〇一一年の年末でありましたが、沖縄防衛局の局長と職員が未明に県庁の守衛室にこっそり運び込んでいたというものでありました。

 その中で、配備される機種について、方法書の段階から示さなければならないのに、最初は辺野古に配備される機種はCH46ヘリで行われて、最後の評価書の段階になってオスプレイに変更になりました。住民や専門家から意見を聞く手続は終わった後でありました。

 防衛大臣、後になってオスプレイを示した、その点は間違いないですね。

中谷国務大臣 オスプレイの配備につきましては、平成二十三年の六月のアメリカの国防省による発表に至るまでは、米側から一貫して、沖縄への同機の配備は、可能性としてはあるものの、具体的に決まっていない旨連絡を受けたところでございまして、まず承知をしていなかったということです。

 それから、CHとオスプレイの話が出ましたが、オスプレイの方が騒音は低いです。静かです。したがって、CHとオスプレイの騒音の比較においては、オスプレイの方がその被害は私は低いものだと認識をいたしております。

 それから、この手続につきましては、御指摘のように何度も沖縄県から御指摘がありまして、手続を踏んでやったものでありますので、私どもにおきましては、埋立承認に至るプロセス、そういった法的な問題、瑕疵があったというふうに考えてはおりません。

赤嶺委員 オスプレイが配備されるのを知らされたのはつい最近のことであって、ヘリよりもオスプレイの騒音は静かだという個人的見解を述べられましたが、アメリカのデータなんですね。だって、CHのヘリの場合には、実際に飛ばして見せたんですよ、辺野古の海を。オスプレイはやりましたか。何の実証も検証もやっていない。やっていないのに、私はあれは静かだと思いますと。そんな、検証なしに、それが、騒音被害がどうなるかという意見を封じるのは、これ自身が瑕疵ですよ。

 しかも、オスプレイが知らされたのは最近になってだと言いますが、アメリカは平成八年からオスプレイの配備については日本政府に示しておりますよね。日本政府が、事故ばかり起こしているオスプレイの配備を、今辺野古に配備すると持ち出したら、これは反対運動がさらに大きくなるからそれはやめてくれと言って、SACO合意の草案にはオスプレイの配備とはっきり書かれていたわけですよ。それがSACO合意の発表の平成八年ですよ。ずっと以前のことですよ。それが、オスプレイが消えてなくなった。

 しかし、アメリカの資料によると、もう既に、これは一九九七年の資料ですが、SACO合意の翌年に発表されたアメリカの資料ですが、オスプレイがちゃんと配備されている写真も並んでいるわけですよ。

 環境アセスを徹底して、県民の意見も反映してやるというのであれば、配備される機種についても、きちんとオスプレイであるということを方法書の段階から示すことは可能でありました。これを県民に隠したのではありませんか。

中谷国務大臣 とんでもございません。オスプレイにおきましては、平成二十三年の六月六日の米国防省の発表後に我が国としては承知をしたわけでございまして、オスプレイの我が国における飛行運用に関しまして、地元に十分な配慮がされて最大限の安全対策をとることについては、平成二十四年九月に日米合同委員会で合意をいたしているわけでございまして、その後、政府としては国民に丁寧な説明を行ったということでございます。

赤嶺委員 平成八年のころから既に日米間でオスプレイが話題になって、隠し続けて、いや、わかったのは最近のことだ、隠していたなんてとんでもない、そういう言い分が通りますか。

 私は、中谷さんとずっと安保委員会でやってまいりました。もう十数年前からオスプレイの配備について、時には中谷大臣に答弁を要求し、時には一緒の委員席でやってまいりました。

 もう十年も前からオスプレイの配備についてはアメリカでは決まっていた。決まっていたにもかかわらず、環境アセスは最後の段階になって持ち出してきた。そして、県民が意見を言う機会もなくなった。

 こういうような、一事が万事、乱暴なアセスは法にかなったものではない、辺野古の新基地建設は法律上の手続の面でも大いに問題があり、直ちにやめるべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

大島委員長 この際、高橋千鶴子君から関連質疑の申し出があります。赤嶺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 早速質問させていただきます。

 東京電力福島第一、第二原発で、今月十九、二十日と相次いで死亡事故が起きました。とりわけ、第一原発は、十五日にも、作業事故をなくすための安全総決起大会を開いていたんですけれども、そのさなかに作業員が左手の指を骨折する事故を起こしております。その直後の死亡事故でもあるわけです。第一原発の労災事故は、前年より二倍の六十四件も発生しており、極めて深刻だと言わなければなりません。

 一方、高濃度汚染水については、東電は、年度内の処理完了は断念したと報告しました。収束作業自体が初めての経験であり、作業員は既に三千人規模から七千人もとなっているわけですが、むしろ経験不足の中でトラブルが続くという悪循環に陥っているのではないでしょうか。

 改めて総理に伺います。

 原発事故は到底収束したとは言えません。総理の認識を伺います。

安倍内閣総理大臣 福島第一原発につきましては、汚染水対策を含め、廃炉、賠償、汚染など、課題は山積をしておりまして、今なお厳しい避難生活を強いられている被災者の方々のことを思うと、収束という言葉を使う状況にはないと考えております。

 今般、死亡事故がございました。死亡事故を含む労働災害が東京電力の原発で連続して発生したことは極めて遺憾でありまして、亡くなられた方の御冥福を心よりお祈りいたします。

 政府としても、再発防止策の徹底を図り、安全確保を大前提としつつ、着実かつ迅速に廃炉・汚染水対策を進めるよう、東京電力を指導していく考えでございます。

高橋(千)委員 今なお厳しいとお答えになりましたけれども、しかし、収束に対する認識については、被災者の気持ちを考えればという、これは従前の答弁と同じなんです。今の事態を見れば到底言えない、そのことをきちんと認める、そのことがまず出発点だということを重ねて言わなければならないと思うんです。

 しかも、そうであっても、厳しいとおっしゃいました。また、労災のこともお認めになりました。だからこそ、原発の事故の収束に集中すべきなんです。ほかのこと、再稼働など、今、とても言うべきではないし、あってはならない、このことを言いたいと思います。

 事故は収束をしていません。昨年十月の県知事選挙で与党から推され当選した福島県の内堀知事は、福島県の全基廃炉、十基ですね、これを要請しています。改めて、政府としても全基廃炉を決断すべきではありませんか。

宮沢国務大臣 昨年、内堀知事が当選されまして、すぐに東京に来られて、私もお目にかかりました。そのとき、直接、福島県内の東電の全基廃炉ということを御要望いただきました。

 ただ、第二原発につきましては、これは事業者である東電が廃炉等々についての判断を行うものでありまして、今後、東電が、地元のいろいろな御意見も参考にしつつ、新規制基準への対応等々を考えながら考えられることだと思っております。

高橋(千)委員 もう一度総理に伺いたいと思うんですが、被災者の気持ちを考えたら収束という言葉は使えないと総理はおっしゃったと思うんです。だからこそ、全基廃炉、それはもう福島の声なんですね。今回の知事選挙でも、皆さんが公約をいたしました。そうした中で、自民党さんも推した中で、こうした声が来ているわけではないですか。それに応えるべきなんです。

 そもそも総理は、二〇一三年の八月十九日、東電に視察をされた中で、福島第一原発五号機、六号機の廃炉を事業者に要請しております。そしてその後、東電は十二月十八日に発表しているわけですね。ですから、政府が要請したことに応えて事業者が廃炉をする、なぜその立場が第二原発に対してはとれないのか。おかしくありませんか。

安倍内閣総理大臣 福島県から福島第二原発の廃炉を要望する声があることは、我々も承知をしております。

 今委員が御指摘をされました福島第一原発五号機、六号機は、事故を起こした一号機から四号機の近傍にあって、タンクの増設など、そのスペースを活用することで廃炉の加速化に資するものである、こう考えたわけでありまして、このため、事故処理に集中する現場体制を構築する観点から廃炉の要請を行ったところでございまして、事故を起こした発電所から遠く離れた福島第二原発は、これは状況が違うわけでございます。

 福島第二原発につきましては、ただいま宮沢大臣から答弁をさせていただきましたように、今後のエネルギー政策の状況や新規制基準への対応、地元のさまざまな御意見等も総合的に勘案しながら、事業者が判断を行うものであると考えております。

高橋(千)委員 ですから、要請を行ったと今総理自身がおっしゃったわけです。なので、まず総理がその立場に立てばできるんだということを確認させていただきたいと思います。

 それからもう一つ、事故の収束に集中するために近傍の五、六号機を使っているんだ、廃炉を決定したんだとおっしゃいました。これは確かに、東電のプレスリリース、十二月十八日の中に、非常用電源が利用可能で、冷温停止を達成した、つまり安定している、けれども、事故の収束のために五号機、六号機を廃炉にして使うんだということを説明しているんですね。今総理がおっしゃったこと。同じように、今第二原発だって、作業員がそこに詰めて、また、指導部がそこに詰めて、使っているじゃないですか。そんな、すごく遠い話をしちゃいけませんよ。

 ですから、言っていることは全く答えにはなっていないんだ、可能だということを改めて指摘したいと思います。話を続けたいので、ここは指摘にとどめます。ぜひ声に応えていただきたいと思います。

 間もなく丸四年になります。南相馬から山形県に避難している男性が、今の状況をこのように表現していました。トンネルに入るときは、どんなトンネルでも出口まであと何キロという表示があります、でも、今、自分たちはその表示がないトンネルを走っているようなものだ、こうおっしゃいました。本当に、悔しいですけれども、言い得ていると思います。

 今月十六日、全町民避難の浪江町に行きました。写真は駅前の商店街の様子であります。建物は壊れたままです。信号機は、黄色がずっと点滅している状態です、少し黄色が見えると思いますけれども。つまり、電気は来ているんですが、車が通らないために点滅するという状況になっているんですね。同じ震災でも原発事故でなかったら景色は違っていただろう、そう思わずにはいられませんでした。

 浪江は、沿岸部で津波により壊滅的な被害がありました。避難指示が出たために捜索ができなかった。助けられる命があったはず、そういう思いがあります。また、長引く避難生活で、疲れやストレスから、助かった命も失われている、この現実もあります。

 大震災で亡くなった方はもちろん被災三県だけではありませんが、これはわかりやすく三県の数字をまとめました。

 行方不明者と亡くなった方を合わせますと、被災三県の合計は一万八千五百十人。そして、プラスして、震災関連死、千八百五十一人であります。津波被害があった沿岸部の南相馬、浪江、富岡町、特に多いです。南相馬では、六百三十六人も亡くなって、その上、震災関連死は四百六十七名。浪江町は、死者・行方不明者が百八十二名に対し、関連死は三百四十二名にも上るのです。

 総理、関連死が今なおふえているということを、そしてとりわけ福島では直接死よりも関連死が多い、この現実をどう認識されていらっしゃいますか。

竹下国務大臣 せっかく命が助かりながら、震災の後、震災に関連してお亡くなりになる方が依然としていらっしゃるということは、本当に、まことに心の痛む出来事であると認識をいたしております。

 復興庁ではこれまでも、関連死につきまして、死者の数、原因の把握等、まずその対策の前提を検討してまいりました。

 その分析結果を見ますと、一つは、避難所、避難所といいましても主としてまだ仮設に行く前の避難所のことが多かったんですが、における生活の肉体あるいは精神的疲労、それから、病院からあるいは特老から避難所、緊急に避難所へ移動途中の肉体的あるいは精神的な疲労といったもの、そして三つ目が、病院の機能停止による初期治療のおくれといったようなことが原因であるということがだんだんにわかってまいりました。

 いまだに仮設住宅等で不便な生活を強いられている方が多いといったようなことを踏まえまして、まず第一には恒久住宅を一日も早くつくって、これは自主再建であろうが災害公営住宅であろうが、恒久住宅をつくってしっかりと移動していただくというのがまず第一でありますが、それに至るまで、被災者の孤立の防止や心身のケアに適切に取り組んでいかなければならない、こう考えておりますし、総理からも、きちっとしたそういった健康・生活支援の総合対策をまとめるようにという御指示もいただき、このほど、五十の対策から成る被災者支援総合対策を策定いたしました。

 その総合対策によりまして、見守りを行う相談員や復興支援員の確保、これにもしっかりと予算配分をいたしておりますし、保健師などといった専門的職種の確保もいたしました。さらに、新たに農業や伝統文化の継承等の活動、こうした生きがい対策といいますか、そういったものもやっておりますし、さまざまなコーディネートもやっております。

 被災者に寄り添った支援に引き続き努めてまいりたい、こう思っております。

高橋(千)委員 竹下大臣にはきちんと後で具体の質問をいたしますので、どうかここは総理にお答えいただきたいと思うんですね。

 やはり、あの原発事故がなかったらと言い残してみずからの命を絶った人もいた、そういうことをきちんと認めて、だからこそ、今なおふえ続けているということの認識を伺ったのであります。

 総理は、総選挙のスタートを福島県相馬市で切りました。そのときにこんなことをおっしゃいました。我々は政権に復帰をし、福島の復興なくして日本の再生はなしと改めて強調されたそうです。なのに、なぜ原発については一言も触れなかったのですか。県民はそのことに非常に怒りを持っています。県民の声、今の現実と向き合う姿勢があるんでしょうか。総理の言葉で答えてください。

安倍内閣総理大臣 昨年の総選挙の第一声も、一二年暮れの総選挙のときにも福島から選挙戦をスタートいたしました、また一昨年の夏の参議院選挙のときもそうでしたが、昨年は福島の相馬市の漁港からスタートしたわけでございます。

 駅前ではございませんので、たくさんの方々がというわけではないわけでありますが、それでも、相馬の方、たくさんの方々に、地域の方々に集まっていただいたわけでございますが、皆さんの不安、そしてまた何とかしていきたいという気持ちや思いや希望が伝わってきたところでございます。まさに息遣いを感じることができた、こう思っているところでございますが、そこで、福島の復興なくして日本の再生はない、この思いは不変であるということを伝えたところでございます。

 相馬市には発災直後に支援物資を持って訪問したという縁もあるわけでございますが、総理就任後も、漁港で水産物等を実際に食べさせていただいたところでございます。

 地元の皆様が強く望むのは、漁港は再建が進んでいるわけでございますし、また試験操業等が再開をしているわけでございますが、せっかくとったものが風評被害でなかなか売れない、また値段も思うような値がつかないという状況の中で、風評被害を払拭してもらいたい、こういう思いがあるわけでございまして、我々も、こうした思いに応えていきたい、風評被害を払拭するためにしっかりとやっていきたい。

 そしてまた、なりわいの支援におきましても、物流面で常磐道の開通に対する期待は大変高いものがございますので、こうした期待にもちゃんと応えていく。

 住まいとなりわい、これは復興の基本であろう、そうした思いから、第一声については、こうしたことに重点を置いてお話をさせていただいたところでございます。

 ただ、時間の関係がございますので、長々と、これは選挙の第一声の演説でございますから、全てを説明するというわけにはいきませんから、それは、今御指摘のあった廃炉等々については、これは着実に進めていくということについては選挙公約で明記をしているわけでございますので、やっていくことは当然であります。

 加えまして、今申し上げました常磐道の全面開通等々については、これは新たに決めたことでございますので、特記してお話をさせていただいた、こういうことでございます。

高橋(千)委員 総理、ちょっと今の答弁、衝撃を受けました。長々とって、それは演説は短い方がいいですけれども、このことは避けて通れないでしょう。福島の皆さんは絶えずそのことが頭にあるわけですよ。相馬市は被災地じゃないんですか。相馬の漁協、皆さんが今一番困っているのは、単なる風評被害じゃないですよ。汚染水を放出するから困っているんじゃないですか。

 まして、常磐道が通りました、それは被災者の皆さんは喜ぶと思いますよ。私は南相馬の方たちに聞いています。直接通れる道路が早く開通してほしい、それを喜んでいます。だけれども、それをこれから埋め尽くすのは、中間貯蔵に運ぶ廃棄物のトラックです。一日二千台通るんですよ。そういう現実をみんな知っているんです。それを避けて、長々とって、その枠に入れちゃいけないんですよ。

 だから、福島のことは脇に置いているんじゃないか、それが県民の怒りの源なんです。そのことにちゃんと応えてほしい、そのことを重ねて指摘したいと思います。

 きょうは具体の話を一歩でも前に進めたいのでお話ししますが、後でもう一度総理にお願いをしたいと思います。

 仮設の暮らしも四年目です。無人の浪江町に行った翌日、福島市内と隣の桑折町の仮設住宅で、浪江からの避難者と懇談をいたしました。ある女性が、本当に仮設に住んでみろ、一人だと四畳半一間で、これで四年間、そう訴えた方がいました。それでも、この方たちは、公営住宅に入れるか、まだわからないんです。実は南相馬に希望したそうです。だけれども、受け付けがされていないんですね。

 復興公営住宅は、自分の町ではないところにお願いをするという大変さがありますので、これは市町村も県も本当に苦労されています。二次、三次と拡充してきたことも承知をしております。

 その上で、伺います。

 竹下大臣、原発被災者向け復興公営住宅は、福島県の計画で、二〇一六年度まで四千八百九十戸です。うち入居に至ったのはどれくらいでしょうか。その上で、帰還の見通しが立たない方たちが希望する公営住宅に入れない、そんなことは絶対ないと言っていただけますか。

竹下国務大臣 原発の避難者向けの復興公営住宅でございますが、昨年九月の福島市飯野地区を皮切りに、現在、二百六十一戸が完成をし、順次入居が始まっているところでございます。ただ、残念ながら、先ほどお話しになりました南相馬はまだ完成をいたしておりません。

 この復興住宅の整備計画の策定に当たりましては、福島県や地元市町村と共同で住民意向調査を実施いたしまして、入居の希望先や入居をする家族構成等々、避難者の希望を丁寧に把握した上で、県及び地方自治体の合意のもとに整備を今進めているところでございます。

 できるだけ多くの皆さん方に希望をされるところに入居していただくことが一番大事であるとは思いますが、復興公営住宅の入居に当たりましては、公平性の観点から、全て公募、抽せんにより入居者を確定いたしております。これからもこの方法をとらざるを得ないのではないか、こう思っております。

 住宅の立地場所、入居の時期、そしてそのエリアに対する希望者が多数であるかどうかといったような関係もございまして、全ての避難者が第一希望の住宅へ入居することは難しい面も正直言ってございますが、意向調査のニーズをもとに整備を進めておりますので、おおむね希望する地域への入居は可能になるものと考えております。

 今後とも、安心して暮らしていただけるように、地元の意向に沿った整備を進めていこうと考えております。

高橋(千)委員 おおむねということで、第一とはいかないという、さまざまな事情があるのは承知しています。その上で、ぜひとお願いをしていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 一方で、先週は、郡山市内の仮設住宅に川内村から避難されている方たちと懇談をしました。こちらの方たちは、全く次の住まいが決まっておりません。なぜか。それは、この地図を見ていただければおわかりですけれども、村はもう避難指示が解除されているからです。

 最初は、この点線、半径二十キロ、三十キロで一律に線を引かれて避難されましたよね。その方たちも、昨年、田村市の一部、川内村の一部残っていたところも解除となりました。そうするともう、帰還していようがいまいが、一年で賠償も打ち切られました。しかし、そういう中で、高齢者でもあり、病院もない、通う足もないから村には戻れない、そう言っている方たちなんです。

 その方たちが切実に言われたのは、仮設住宅の入居期間を延長してほしい。もちろん、それは、さっき言ったように、仮設に満足しているわけじゃないんです。でも、今行くところがないという人たちが見通しを持てるまでに、まずそれをつながなきゃいけませんから、延長していただきたい。

 それから、県外に行っている方、例えば米沢だけでも一千人を超す方たちがいらっしゃいます。その方たちは大概民間のところに、みなし仮設という形で入っています。そういう方たちも同じように延長していただきたいと強く要望しています。

 これに答えていただけますか。今度は山谷大臣。

山谷国務大臣 災害救助法に基づく応急仮設住宅の提供期間は原則二年でございますけれども、東日本大震災で設置したものについては、特定非常災害特別措置法に基づき、一年を超えない期間ごとに延長を行うことが可能であります。

 現在、福島県内においては、被災者がいない五町村を除き、平成二十八年三月までの延長を行っているところであります。

 さらなる期間延長については、今後、福島県において、災害公営住宅等の恒久的な住宅の整備状況等、被災自治体における復興状況を総合的に勘案しながら判断していくものと承知しておりますけれども、国としては、福島県からの延長協議を受けた際には、被災自治体の状況等をしっかりと確認し、適切に対応してまいりたいと思います。状況を丁寧に確認しながら、被災者の心、暮らしに寄り添いながら考えていきたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 一年、その先の話はなかなか言いづらいというのがあったかと思いますが、県と協議をして、状況を踏まえてとおっしゃっていただきましたので、ここは本当に、まさかつなぐところがなくなるということはないと信じておりますが、よろしくお願いをしたい、このように思います。

 田村市も川内村も、私は、帰還された方、また帰れない方、両方と会っております。共通しているのは、どちらも、同じ町で賠償に差がある、そのことに非常につらい思いをされています。

 また、帰った人も、やむなく帰ったという事情もあります。つまり、最初から仮設に入っていなかったとか、そういう事情もあって帰ったんだけれども、やはり病院がなくて困っている、そういう方。解除が早かったんじゃないかということもありました。また、田村市ですが、いち早く帰って営農を始めたけれども、後に続く人がいない、しかも、最初だからこそ何の支援もない、そう訴えられたこともありました。

 これは、本当に何か、帰る帰らない、指示、自主避難、そんなことがいろいろありますけれども、しかし共通しているものがあるなということを強く思ったんですね。それは、引き裂かれたのは一つの同じ家族ということです。住民同士が対立しているように見えるときもあります。

 でも、それも、上から線引きしたのも、それを今度は解除して、やむなく避難していた人が今度はまるで勝手に避難しているかのように自主避難者にされてしまった、それも政府の責任ではないか。だって、避難指示されていて避難していたけれども、解除したんだ、だからあなたは自主避難、そういう現状が生まれているんです。だからこそ、生きる土台である住まいの確保については希望がかなえられるようにしていただきたいと思います。

 具体の提案をします。本当にこれは強い要望です。津波被災地からも出ています。四年たったんです。現実に帰ることができないけれども、とりあえずどこかということで借りたアパートが、もう四年たつと、小学生が中学生になったり、進学したり、就職したり、介護が必要になったり、さまざまな事情があります。住みかえをぜひ認めてください。

竹下国務大臣 全部なかなか認めるわけにはいかない。例えば、今、避難していらっしゃる方で、東京へ今から住みかえたいんだ、こういう方の希望も聞けと言われても、これはなかなか聞くわけにいかない。

 むしろ、今は県外に避難しているけれども福島県に帰りたい、そのために、みなし仮設の移動を認めてくれと言われるようなケースは、最大限検討をさせていただき、できる限り対応させていただきたいというふうに考え、特例的に住みかえを可能にしよう、こう思っていることでありますが、仮設住宅からの転居先というのは、原則的というか基本的に恒久住宅というのが災害復旧の原則でございます。仮設住宅から仮設住宅、あるいは、それがみなしであろうが仮設であろうが、それはなかなか難しい。

 しかし、一人一人の事情に応じて、例えば、仮設住宅で隣にあきが出たということで、勉強部屋が欲しいというお子さんがいる場合に特別にというようなケースはないわけではありませんが、これはもう本当に一人一人個別に対応させていただいておることでございまして、できる限りの配慮をしてはまいりますが、住みかえを全て認めるというわけにはなかなかいかないということも御理解をいただきたいと思います。

高橋(千)委員 今、できる限りとおっしゃいましたので、ぜひ地元の事情をよく相談していただいて、何でもかんでもなんて言っているわけじゃないんです。だけれども、これが大きな鍵になるということで提案をしています。

 その上で、一つ提案ですけれども、国土交通大臣に伺いますけれども、みなし仮設住宅が今普通にあるわけですから、当然、みなし復興公営住宅という考え方もあるはずだ。阪神・淡路の大震災を踏まえて、借り上げ復興公営住宅という仕組みがございます。ただ、一棟丸ごとという形ではなくて、民間のアパートに少し、何人かの単位で入っている方たちをみなし借り上げ復興公営住宅扱いにしていくことで、結局、公営住宅並みに家賃を低減化させられる。もともと制度があるわけですから、これは可能ですよね。

太田国務大臣 民間賃貸住宅等を地方公共団体が借り上げる、被災者に災害公営住宅として提供すること、これは制度的に可能です。例えば、現在入居しているみなし仮設住宅について、入居期間の終了後に地方公共団体が再び借り上げて、災害公営住宅として提供することは可能です。

 私も、例えばきのう、先ほど出ました相馬の市長さんとお話を、この件もありまして聞きましたら、四百十戸の災害公営住宅、これを三月までに全部でき上がって、鍵を渡す。第一回目のときに、私、鍵を渡しに行きましたが、そこまで来ている。戸建てのところに住みたいという人がやはり多いという話は聞いておりますが、制度的に、今お話のありましたみなし仮設住宅を、ということについても、これは可能であろうということから、地方公共団体がそれぞれ自分の実情に合わせて判断をしていただければ、このように思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今、可能であるというお答えをいただきました。このことで、県外の方たちもさまざまな可能性が見えてくるのではないか、このように思って、もう一つ質問する予定でしたが、時間の関係で要望にとどめたいと思うんですね。さまざま関係省庁と連携をとり合って、ぜひ竹下大臣、これがうまくいくように、住まいの確保が確実にできるように、地域の皆さんと相談をしてやっていただきたい、このように思います。

 あわせて、今紹介をした阪神・淡路大震災の借り上げ復興公営住宅、先日、山谷大臣にも申し入れをさせていただきましたが、二十年たって、もう期限が切れたから退去ということが起きていて、非常につらい思いをされておりますから、そんなことは、今さらそんなひどい仕打ちはしないということで、ぜひこの点でも御努力をいただきたい。重ねてこれは要望にしたいと思います。

 それで、最後の質問にしたいと思うんですけれども、これは双葉町、大熊町に建設予定の除染土壌などを処理する中間貯蔵施設の地図であります。施設といいながら、極めて広大な範囲であるということがわかるんですね。第一原発、真ん中のところ、ほとんど白いところがそうなんですけれども、第一原発を取り囲むおよそ四キロ四方、ですから十六平方キロメートルの広大な土地であります。処理予定量は二千二百万立方、ですから、先ほど常磐道の話をしましたけれども、十トントラックで、単純に割れば、一日二十四時間、二千台かけて三年間かかる、そういう計算であります。

 ただ、実際には、この敷地の中の方たち、まだ地権者と同意が得られておりませんので、まだ始まっておりません。ですから、本当に仮置き場をちょっと借りて最初の土砂を運ぶのがことしの三月まで、本格搬入は来年の三月ころと言っているわけですね。来年の三月ころから初めての本格搬入が始まるという予定なんです。そうすると、それは来年の三月の集中復興期間がまさに終わる期間と一緒なんです。つまり、これから始まるんです。始まりなんです。そのことはもう本当に重々御存じだと思います。この認識はあるでしょうか。

 総理にもう一度伺います。五年以降も引き続き、しかも集中して取り組むことを、総理、ぜひお約束ください。

安倍内閣総理大臣 これまでも、安倍内閣としては、住宅再建や心のケアなど、福島の再生では国が前面に立って進めてまいりました。これからも復興に全力で取り組んでまいります。

 しかし、原子力災害による避難地域においては、避難指示の解除が一部の地域では進んでいるものの、まだ復旧が始まったばかりの段階であるのも事実であります。

 平成二十六年度補正予算及び平成二十七年度予算においても、復興の加速化を大きな柱の一つと位置づけまして、重点化をしています。

 今回の補正予算では、除染の推進に必要不可欠な中間貯蔵施設の建設による影響の緩和や福島県全域の復興等に取り組めるよう、総額二千五百億円の交付金を計上したところでございます。

 また、今国会において、福島復興再生特別措置法の改正案を提出し、福島再生加速化交付金の支援メニュー拡充などを行う考えであります。

 住民の帰還促進と地域の再生を加速させていく考えでありまして、平成二十八年度以降についても、福島そして東北の一日も早い再生に向けて、しっかりと取り組んでいく考えであります。

高橋(千)委員 よろしくお願いします。

大島委員長 これにて赤嶺君、高橋君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして各会派一巡の基本的質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

大島委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平沢勝栄君。

平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。

 総理初め閣僚の皆さんには本当にお疲れさまでございます。

 とりわけ総理におかれましては、ISILの問題もありまして、不眠不休で解決に当たっていただいているわけでございまして、本当にお疲れさまでございます。警察では、事件があったときに幹部は最後の決断を下さなきゃならないからできるだけ休みをとれということを言うんですけれども、警察とは違った大きな責任を負っておられるわけで、総理も恐らく、夜、真夜中にも電話がかかってきたりしてお疲れだろうと思いますけれども、できるだけお疲れが出ないように、よろしくお願いしたいと思います。

 そこで、質問に入りたいと思いますけれども、まず、ことしは平成二十七年ですけれども、今総理大臣は十八人目なんです。サッチャーさんの回顧録を読んでみますと、日本の総理に同じことを、四人目の総理に同じことを言ったというような話が出てきまして、ちょっと皮肉っぽく出てくるんですけれども、余り総理がかわりますと、要するに、向こうも、またかということで、余り真剣にならないというか、日本のいわばメッセージ力が、発信力がなくなってくる可能性もありまして、日本の国益を大きく損なうんじゃないかなと思います。

 そういう中で、安定政権ができまして、今、安倍総理が何を言われるか、何をしようとしておられるのかということについては、今国際社会が大きく注目しているだろうと思います。

 そこで、総理にお聞きしたいと思いますけれども、ことしは戦後七十年というようなこともありまして、日本としては、国際社会の中でどういうことをしていこうとされておられるのか、どんな役割を果たすべきとお考えなのか。大変申しわけありませんけれども、これは話したら一時間ぐらいかかるだろうと思いますけれども、ちょっと簡単にお話ししていただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 日本は、この十五年間、デフレ経済、デフレ不況の中で経済も低迷しておりました。また同時に、今委員が指摘されましたように、第一次安倍政権も含めて、一年ごとに総理が交代するということもございまして、日本のプレゼンスは低下をしておりました。

 しかし、日本というのは、世界第三位のGDPを誇る国でありまして、本来、高いプレゼンスを持ってしかるべき国でございますし、信頼感も高いわけでございます。本来持っているこの日本のソフトパワーを顕在化させるための、地球儀を俯瞰する外交を展開してきたところでございますが、訪問した国は五十四カ国に上りましたし、首脳会談は二百回以上行ったところでございます。

 その結果、例えば、インフラ輸出につきましても、三兆円から三倍の九兆円へとふやすことができたところでございますし、私ども日本の目指すべき方向性、外交の方針等々についても、かなり世界に対して周知徹底することができたのではないか、このように思います。

 特に、アフリカ、中南米といった地域においては、日本の存在が求められているにもかかわらず、なかなか首相の訪問ができていなかったということもございます。また中東もそうでございますが、しっかりと日本のプレゼンスも示しながら日本の国益を守っていきたい、このように思っております。

平沢委員 ありがとうございました。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 続きまして、甘利大臣にお願いしたいと思いますけれども、アベノミクスですね。

 確かに、アベノミクスによりまして日本の空気がまず大きく変わりました。株も上がりまして、雇用も確かに改善しまして、企業収益も上がりました。

 しかしながら、去年の選挙のとき、まだ自分たちはその実感がないという声も大きく聞きました。これは、東京の下町の私のところでもそうでしたし、応援に行った地方でもそういった声を聞いたわけでございますけれども、今度の補正で中小企業支援とか商店街支援とかが入っていまして、それからまた本予算もありますし、これから規制改革も行われますし、徐々にこれが浸透していくと思いますけれども、アベノミクスが中小企業あるいは地方に浸透していく見通しについてお聞かせいただけませんか。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、アベノミクス、もちろん全体の指標は非常によくなってきております。ただ、まだまだら模様という声をかなり伺うわけであります。そこで、大企業から中小企業、あるいは都市圏から地方に、しっかりとアベノミクスを肌感覚で実感される方に均てんをしていく、これがこれからの作業であるというふうに思っております。

 有効求人倍率は、全ブロック、全地域で上昇をしておりますし、地方でも、一人当たり賃金、いわゆる現金給与総額でありますけれども、前年比プラスとなる、雇用面それから所得面で改善が見られております。ただ、所得面でも、実質賃金をプラスにしていかなければならない等々、課題があるわけでございます。

 そこで、今回の、今議論をお願いしております補正予算に関しましては、問題点にフォーカスを合わせて、そこにピンポイントに対策が行くようにいたしております。キーワードは、消費そして地方であります。地方の消費喚起をするような対策、あるいは地方の課題を解決するような先取り対策、あるいは、公共事業でいえば喫緊の課題にピンポイントで対処していくような対応、そういった問題点をしっかり洗い出して、そこにピンポイントを合わせて、アベノミクスが中小企業に、そして地方に均てんをしていくように対処しているところであります。

平沢委員 ぜひよろしくお願いします。私も二十三区の下町の方なんですけれども、これはもう東京というより地方でございまして、ぜひ私のところにも行き届くようによろしくお願いしたいと思います。

 次に、麻生大臣にお願いしたいと思いますけれども、例の財政再建の問題ですね。

 今度の補正予算では、新規国債発行を補正で一部減額するという形で、財政再建に大変に配慮した、苦労した跡がうかがえるわけでございますけれども、財政再建とそれから景気の浮揚、これを両立させるというのは大変なことだろうと思いますけれども、今後の財政再建の見通しについてお聞かせいただけませんか。

麻生国務大臣 今御指摘がありましたように、この内閣におきましては、経済再生と財政再建の両立を目指しております。

 その方針のもとで、まず財政健全化の方で言わせていただければ、歳入面の方でいきますと、社会保障の充実、安定化というもののために、消費税率を三%、五から八に引き上げるということで、総額で国で約六兆二千億円、地方で一兆九千億円という増税をさせていただいて、それとともに強い経済の実現を目指した取り組みを進めるということで、税収を増加させております。

 結果として、平成二十四年度四十二兆円だった税収が、二十七年度で五十四兆円、十二兆円の税収が増になります。そのうちの半分が今消費税ということになろうと思いますが、その他は、いわゆる自然増といいますか、所得、法人、そういったものの税源がふえているということであります。

 歳出面におきましては、社会保障関係の自然増を含めまして、徹底的な集約化とか、いろいろな表現があるんだとは思いますけれども、重点化、効率化をさせていただいておりまして、よく言われる、年率一兆と言われるものが、概算のときで八千億ぐらいだったと思いますが、現実、今回予算の提出は〇・四、いわゆる四千億円にさせていただいております。

 こうした取り組みもありまして、おかげさまで、二〇一五年度のプライマリーバランスの半減化の目標が見込めるような状況になってきたと思っております。

 続きまして二〇二〇年度の黒字化ということが次の目標に出てまいりますので、この夏までには、財政健全化というか、五年間の中期計画を立てるということにいたしておりまして、その策定に当たりましても、今御指摘のありましたように、やはりデフレの脱却と経済再生というものとを一つ、歳出の改革、歳入の改革、この三つを柱として対応させていただきたいと考えております。

平沢委員 ぜひプライマリーバランスの赤字削減、黒字化を目指して、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、ISILの問題についてお聞きしたいと思いますけれども、まず山谷大臣、お願いできますか。

 ISILで、日本からISILに加わった、ISILの戦闘員として加わった日本人というのは何人くらいいるのか。ネットなんかでは、いる、いると。それから、アメリカなんかでは、八十カ国から一万五千人の戦闘員がいるということが言われていますけれども、その中に日本人はいるのかどうか、あるいは、ISILに加わって、そのまま帰ってきた日本人がいるのかどうか、それについてちょっと、わかる範囲でお答えいただけませんか。

山谷国務大臣 さまざまな情報を収集しているところでありますけれども、情報活動に関することでありますので、個別具体のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

平沢委員 いることは間違いないですし、中には、帰ってきて、みずから戦闘員に加わったということを言っている人もいるみたいなので、言ってもいいんじゃないかなと思いますけれども、わかりました。

 では、次に法務大臣、テロの法制ですけれども、日本もテロの例外ではないんです。かつて、筑波大学の五十嵐先生が殺害されましたけれども、あれはイスラムの過激派のテロによるものじゃないかということが言われていますし、それから、ドイツで捕まったイスラムのテロリストが日本に偽造旅券で出入国を繰り返していたということもありましたし、アメリカで捕まったアルカイダの幹部が日本のアメリカ大使館の攻撃を計画したというようなこともありましたので、日本もアラブのテロの例外ではないんですけれども、法制ですね。

 今、日本の法制は、基本的には、テロであろうと普通の窃盗であろうと同じ法制でやるんです。ただ、テロは起こしちゃいけないんです。これは未然防止が最優先なんです。ですから、その意味では、諸外国はテロについては別な法制を持っているところが多いんですけれども、日本の法制のあり方について、あるいは入国審査のあり方について、法務大臣、いかがお考えでしょうか。

上川国務大臣 テロについての我が国の法制ということでございます。

 いわゆるテロとして敢行されることが多いと考えられる犯罪類型でございますが、刑法におきましては殺人罪そして略取誘拐罪等が規定されているほか、特別法におきまして、例えば爆発物取締罰則、あるいは人質による強要行為等の処罰に関する法律等に所要の罰則が決められているということでございます。

 また、テロを許さない国際環境の醸成に努めていくということも大変大事だということで、この観点から、テロ資金供与に関する処罰範囲の拡大ということについての法律案につきましては、先回、臨時国会で提出をし、昨年に成立をさせていただいたということでございます。

 このように、罰則等の充実につきましては、刑法を基本に特別法を充実する形で進めてきているところでございまして、今後も、ISILの問題を含むテロの脅威を除去し、国民生活を守るために、関係省庁と連携をしながら必要なテロ対策を進めてまいりたいというふうに考えております。

平沢委員 テロ法制は、例えば今の通信傍受法なんかでもテロというのは入っていないんです。ですから、通信傍受なんというのは、予防手段としてはやはり私は通信傍受法の中に入れなきゃいけないと思うんです。そういったことも含めて、私は、今の法制を全般的に見直していいんじゃないかな、特に諸外国の例を参考にしながら見直していいんじゃないかなと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それで、最後に総理。

 今、ISILのテロが起こっていて、まだ現在進行形で、何とか後藤さんが早く助かってほしいと思っていますけれども、テロには絶対屈しない、これは当たり前のことで、ダッカ事件で日本はテロに屈して、身の代金を払って、そして獄中の六人を釈放して、世界から大きな非難を浴びたわけでございます。

 テロには屈してはならない、しかし人命は第一で救出しなきゃならない、大変難しいあれになりますけれども、今回の事件につきまして、総理の解決への決意をちょっとお願いします。

安倍内閣総理大臣 今委員がおっしゃったように、テロには屈しない、これが基本原則であります。

 その中で、何とか日本人を救出したい。そしてまた、そのために、ヨルダンを初め多くの国々に御協力をいただいております、情報の提供等々で御協力をいただいております。

 我々としては、何とか早期解放に向け、協力もいただきながら全力を尽くしていきたい、このように思っているところでございますし、また、協力をいただいているヨルダンを初め多くの国々に感謝を申し上げたいと思います。

平沢委員 全国民が願っていますので、一刻も早い解決をよろしくお願いしたいと思います。

 時間が来たから終わります。ありがとうございました。

大島委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 補正予算の締めくくり総括質疑ということで、同僚議員が行った質問観点をおさらいして、さらに政府に改善を求めるという視点で質問をさせていただきたいと思います。

 今回の補正予算の質疑で、我が党の議員、特に補正予算にかかわって質問した議員は、小川淳也議員、階猛議員、そして後藤祐一議員、この三名であったわけでありますけれども、この三名に共通する問題意識というのは何だったかといいますと、一つは、本来は当初予算に計上すべき予算を補正予算に回しているのではないか、こういう観点がまず一点でありました。つまりは、プライマリーバランス目標の達成のためとか、あるいは補正予算の総額ありきということで、要は本予算から補正に回しているということがまず一点。

 それから、予算要求、査定のプロセスが余りにもずさん過ぎないかということが二つ目であります。特に緊急性が乏しい、何でこれが補正なんだと。そして、後でお話をしますが、効果というのが不明であったり、あるいは類似、重複のものが存在をしているということであります。

 あと、きょうは一月三十日でございますが、年度内というと、あと二カ月ちょっとなんですね。そして、参議院の審議があるということになると、二カ月足らずで本当にこれだけのものが執行できるのかという、実効性の問題から極めて問題が多いということが我々の問題意識であったわけであります。

 二十分という限られた時間での総括質疑でございますので、二つだけ具体的な事例を指摘した上で、全体として少し建設的な提案をさせていただきたいと思います。

 まず一つは、小川淳也議員が指摘をいたしました、各府省のUターン・Iターン事業ということについてお話を聞きたいと思います。

 まず、経済産業省の中小企業・小規模事業者人材対策事業ということであります。

 宮沢大臣、ちょっと簡単にお答えをいただきたいんですが、これは概算要求は二十億ですよね。そして実際に、概算要求ということは平成二十七年度の概算要求が二十億で、補正でついたのが六十・一億円、そして二十七年度の当初予算についているのが十億円。つまりは、概算要求が二十億円で、補正と本予算を合わせると三・五倍になっているわけですよ。

 これについて、まあ、これは財務大臣に伺った方がいいのかもしれませんが、役所が要求したものの三・五倍になっているということで、しかも、これは本予算で二十億円だったものが補正で六十億円余りも要求されているということで、これは要求大臣、査定大臣、両方からこの説明をしてください。

宮沢国務大臣 簡潔に御説明いたします。

 中身が実は違っております。

 補正でついた方は、地域人材コーディネート機関というのを四十七都道府県につくりまして、そこで、大企業のOBのシニアなどを中心に人材を発掘して、地域の中小企業と結びつけるという事業。そして、当初の方は、これは都市部の若手人材を広域的な地域との間で結びつける。対象とやり方が少し違う事業であります。

麻生国務大臣 今、宮沢大臣のお話にありました経産省のいわゆる中小企業・小規模事業者人材対策事業につきましては、これは緊急経済対策ということにおいて、地方創生に向けた総合戦略の先行的実施の一環に位置づけられたものだということを受けまして、他省庁に関係します関係事業との重複を排除しつつ、事業内容を拡充させていただいたということだと理解しております。

 これに伴って、概算要求の対比で、予算措置額が今言われたように増加をいたして、二十、十、それで今言われましたように補正で六十ということになっておるのは事実であります。

 具体的には、各地域ごとに、事業実施機関における人員数をふやし、説明会の開催回数をふやしておりますほか、事業実施機関における人員に対する研修の拡充も図っておると私どもは理解しております。

前原委員 時間が限られていますので、それは話を伺った上で聞いているわけでありますが、宮沢大臣がおっしゃったことは若干違って、事業の内容が違うことはないんですよ。

 つまりは、地域人材バンク拠点というものについては、これは当初の方にやっているんですけれども、概算要求の中にも入っている中小企業・小規模事業者の人材確保支援ということは、補正にも当初にも入っているんですよ。

 つまりは、要求した経済産業省よりも御丁寧に、新たなものも確かに加わっておりますけれども、拡充をしているということで、補正でこれだけとるから、何とか玉がないかということで玉出しをしたということに私はほかならないと思いますね。

 では、この六十・一億円ということは今年度内に使い切れるんですか、二カ月弱で。経済産業大臣。

宮沢国務大臣 もちろん、今年度内に最大限に使う努力はいたしますけれども、繰越明許をつけておりますので、来年度にも使うことがあろうかと思っております。

前原委員 何か、頼りない、弱々しい答弁でありまして、六十・一億円も積んでおいて、留保つきです、使えないかもしれません、もごもごと言う。それが真実だと思うんですよ。無理ですよ、そんなの。だって、当初で十億でしょう。

 しかも、人材をIターン、Uターンさせるという事業は大事なことじゃないですか。だから、この事業自体について我々は必要ないと言っていないんですよ。わざわざ、この二カ月弱のところで六十・一億円。そして、当初で堂々とやるべきところで十億円。余りにもおかしい。私は宮沢大臣というのは正直な方だなと。これは使えないですよ。

 それから、厚生労働省。これは類似のものがありますよね。地域しごと創生プランの推進ということで、六十一億円ということであります。これも、言ってみれば、地域経済に必要な人材を大都市圏から各地方に呼び込むために、大都市圏における地方就職希望者を掘り起こし、そして人材還流を促す。これは全く一緒ですよね。一緒のことをやっているということですね。

 石破大臣、塩崎さんは、答弁するのは嫌だと言っています、創生大臣に答弁してくれと言っていますが、本会議において地方創生のときに渡辺周議員が質疑したときに、まず総理が、各省が概算要求を行った事業については、施策の効果検証を厳格に実施するとともに、重複を排除しますとおっしゃっているんですよ。これは同じ内容じゃないですか。

石破国務大臣 それは、対象とする人材、あるいはそういう人に来てほしいと思っている地方の企業、それが異なっております。対象とする人材も、またそういう方々を欲している企業も違いますので、それは事業としては異なるものだと理解をしていますが、それはこちらの理屈なのであって、実際に使う人にしてみれば、何を使ったらいいのかよくわからぬということは当然生じることでございます。

 それが納税者あるいは国民に対して親切な行政だと私は全く思っておりませんので、ワンストップという形で、仕事を求めている人がいる、そういう人が、東京に一カ所つくります地方移住促進センターというところへ行く、あるいはアクセスすれば、一体どの事業が自分は活用できるのかということがわかる。そうすると、では例えば京都府京都市のこういう事業であるというふうに出ますと、今度は京都府に設けましたそういうものを支援するセンターというものをつくります、そこへアクセスする、あるいは行けば、ここなのだということがわかる。

 ですから、ばらばら事業が重複しているのは、これは事業の性質上やむを得ないことかと思いますが、それが本当にユーザーフレンドリーかといえば、それはそうではない。こっちの理屈じゃなくて、職を求めている方、あるいはそういうのを欲している企業、そういう方々にとって使いやすいものとは何だということをまず第一番に追求しなければいかぬのは当然のことでございます。

前原委員 では、そのために、使い勝手が悪かったら一つにするんですか。

 それともう一つ、そういう答弁があると思っていましたので伺いますが、石破大臣のところは地方創生事業ですから、これだけの予算を使ったら大都市から地方に何人戻ったのか、これを検証してもらいたい、そして国会に報告してもらいたい。その場合に、経済産業省の予算で何人戻ったのか、厚生労働省の予算で何人戻ったのか、ダブルカウントなしでやってもらえますか。答弁してください。

石破国務大臣 それは、重複しているものはなるべく統合したいと思っております。

 ですから、例えて言えば、地方において働くという事業が総務省、農水省別々にございます。一方は補助金で、一方は交付金でという形で、事業の性質そのものは異なっておりますけれども、それは、例えば訓練、トレーニング、そういうものを統合するとか、募集を統合するとか、そういう形でやってまいりたいと思っています。そこは目指していくべきだと思います。

 そして、検証についておっしゃいました。それは、それぞれの地域においてKPIというものを設定する、それに基づいてどのような効果が上がったのかというのを検証する。それは役所の中だけではなくて、可能な限り第三者を交えた形でなければ甘い評価になってしまいます。それを統合した形で、どの事業でどのような効果が上がったのかということは、説明する責任は私どもにあろうかと思います。

前原委員 与党が多数を握っている中で、この予算は通りますね。そうすると、経済産業省のこのIターン・Uターン事業、厚生労働省、ほかにもあるんですよ、ほかの役所にもありますね。しかし、これについては、大都市から地方へもう一度戻ってもらって、職についてもらう。

 さっき石破大臣は、対象の人材が違うから経済産業省とそして厚生労働省の予算が違うんだとおっしゃったけれども、しかし、では、検証したときに、同じかもしれない、同じものは統合するということをおっしゃった。それは、やはり使う者にしては非常に使い勝手の悪いものだということをみずから認めた答弁じゃないですか。

 ですから、これについては通るんでしょう。だから、私はここで石破大臣に前向きな答弁をしてもらいたいのは、運用でしっかりこれをうまく、利用者にとって使い勝手のいいようなものにする、そして、それを検証した結果、例えば経済産業省が検証してこれだけ戻ってきました、あるいは厚生労働省でこれだけ戻ってきました、それがダブりが多いということであれば、次の予算からは、しっかりと地方創生という部署が、石破大臣のところがちゃんと統合して、縦割りの省庁のものにしないということを約束してもらえませんか。

石破国務大臣 それは約束をいたします。ダブルカウントというような、そういう詐欺みたいな、納税者をだますようなことをするつもりは私どもは全くございません。

 そして、使い勝手がいいということは、こっちが勝手に思っていてもしようもないことで、実際にそれを使ってみた人が、何だい、これはと言われることがないように、そういうお声があれば、即刻改善するという姿勢が必要であります。

前原委員 総理、今、石破大臣が前向きな答弁をされたんですが、今はもう本当に一つの事業のことについてお尋ねしました。

 ただ、そういった重複事業が、総理は、渡辺周議員の本会議での代表質問に対して、重複を排除する、その前提として、施策の効果検証を厳格に実施するとおっしゃっているんです。これは、今、石破大臣は、今の事業について責任を持つとおっしゃいましたけれども、全体についてそうじゃなければいけないということで、総理がやはりリーダーシップを発揮していただけませんか。

安倍内閣総理大臣 これは本会議でお答えをさせていただいておりますように、重複を排除していくということでございますし、そもそも、これは国民の皆さんにとって、各事業が別々、重なっていてわかりにくいということがあってはならないわけでありますから、できる限り、今御質問のあった、あるいは御指摘に沿う形でいきたいと思っております。

前原委員 もう一つの事業は、これは我が党の後藤祐一議員が質問されました農水省の農地中間管理機構関連予算、西川大臣、いわゆる農地集積バンクであります。

 これについては、きのうお話がありましたように、二十五年度の補正で四百億円、二十六年度当初で三百五億円、そして今回の補正で二百億円、そして百九十億円ということで、どんどんどんどん二十七年度の当初予算で積み上がっているわけでありますが、お話を伺いますと、これについても、借り受け事業は二十三万ヘクタールで、現在の時点での機構側からの貸し出し面積は、貸せるものが二十三万ヘクタールあるのに対して五百六ヘクタールということで、極めて低い状況になっていながら予算を積んでいっている。

 ただ、これは、農水省の御説明ですと、都道府県にもう執行しているから執行率は一〇〇%なんだ、こういうことでありますけれども、これは恐らく、国民からすると理解は得られないというふうに思います。

 先ほどの話と同じように、これはもう執行されるものになりますから、できるだけ早く都道府県から執行状況をちゃんと報告させる。そして、本当にこれだけの予算が必要だったかどうかということを、やはりまずは中間検証を例えば半年ぐらいかけて、あるいは四十七都道府県で検証された時点で、西川大臣が例えば予算委員会に御報告いただく、こういうようなことをしっかりされるべきだと思いますよ。

 そうじゃないと、我々の手は離れました、都道府県にはお金を出したから執行率は一〇〇%です、そして二十三万ヘクタールのうち五百六ヘクタールしかまだできていない、これは理解されませんよね。

 ですから、ここはしっかりと、やはり各都道府県の進捗状況を報告されるということが必要だと思いますが、される御意思はありますか。

西川国務大臣 今の話ですけれども、ことし初年度、こういうことで、確かに九月末時点では二十三万ヘクタール、こういうことですが、これから貸してくれるという人をしっかり掘り起こしはやっていきます。

 それで、今も各県から状況はとっておりますけれども、まだどこも途上、こういうことでありまして、必ずしも期待どおりには来ていない、こういうことは私も承知しております。

 ですから、これから各県から報告をいただき、適宜、適当な時期にこの報告をさせていただきます。

前原委員 最後に、総理、去年の十月六日、衆議院の予算委員会、当時は恐らくみんなの党だったと思いますけれども、浅尾委員の質問に対して、それはあれですね、二十五年度補正予算の効果は一体どうだったんだという質問に対して、総理はこう御答弁されております。「五兆円の対策を打ったところでございますが、この対策について、どういう効果、成果、あるいはそれほど効果がなかったかということも含めて、当然、検証をしていきたい、」こうおっしゃったんですね。

 今回の補正も、今後、この補正というのはできるだけ私は抑制的であるべきだというふうに思うのでありますけれども、総理はこうやって予算委員会で、ちゃんと成果、効果を上げたか上げなかったかということを検証するとおっしゃっていますし、まず、これについても検証するという御答弁をいただきたいのと、それについて適宜適切な時期に御報告を具体的にいただいて、今、進捗状況、進捗率だけなんですよ、政府でやっているのは。進捗率だけではなくて、効果がどうあったのかという政府の分析も含めて予算委員会に提出していただきたいんですが、いかがですか。総理、最後なので。

安倍内閣総理大臣 浅尾議員に対して答弁をしたわけでございますが、この二十五年度の経済対策については、今は進捗というお話だったんですが、各府省の調査によれば、経済対策は順調に実施をされているというのが我々の検証の結果でございます。

 そこで、今、効果も含めてということでございました。我々といたしましては、検証結果については、先般の補正についての検証結果については、反動減に対する補正についての効果等々についてでございますが、検証結果については内閣府において近く公表することとしております。

前原委員 この補正予算についてもそういった御報告をしていただくということでありますし、それをもとに、本当に、先ほどの重複、あるいは本当に補正で必要だったのか、どういう効果があったのかなかったのかということも含めて、ちゃんとしっかり国会で議論できるような材料を政府から提出をしていただけるということでありますので、真摯に対応していただくことを求め、そして、我々は初めに申し上げた理由からこの補正予算には賛成しかねるということも申し上げまして、質問を終わります。

大島委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。

 補正予算の締めくくりの総括質疑をやらせていただきたいと思います。

 きょうは我が党は五人、バッターに立たせていただきましたけれども、みんな通告の質問の半分ぐらいしかできない状態で、もっといろいろ補正予算の中身を聞きたかったな、そういう意見が大変多うございまして、今回は二日間ということで、しかも最後は二時間少ないということもありまして、ぜひまた次回からはもっと充実した審議をしていただきたいなということをお願い申し上げておきたいと思います。

 議論の中で出ましたところを少し整理して、追加でお聞きをしたいなというふうに思います。

 先ほど前原委員もおっしゃっておられましたけれども、この補正予算の議論、実は毎年同じような議論をしていますけれども、論点は二つありまして、一つは、そもそもの補正予算の必要性とそして時期、本予算と余りに近い時期に出てきているということが、これはどうなのかという問題が一つと、それから、その中身が本当に財政法二十九条に照らして妥当なのであるか、この二点が論点だったんじゃないかなというふうに思います。

 民主党の後藤委員がおっしゃっておられましたが、改めて財政法二十九条を見ますと、補正予算の作成に当たっては、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」、つまり簡単に言えば、前回の本予算をつくった以降に予測しない事態が起きて、緊急性ができたことに関して補正予算を組むということでございました。

 その中で、きょう我が党の松野委員の方から基金についていろいろとお話をさせていただきまして、何年間もかかって消化するような基金のところに入れていくのが果たして本当に緊急性があるのか、そういう質問をさせていただいたというふうに思います。

 その際、麻生大臣からも安倍総理からも御答弁をいただきまして、入り口のところで緊急性があるので、早く始めるということに対しての緊急性は十分あって、何年間にはわたるけれども、それは少しでも早く始めた方がいいんだというようなお話があった。私は、補正で緊急ということであれば集中的にお金を使えるというふうに入れるべきであって、何年間にわたって入れるということは必ずしも補正予算の目的に資しているというふうには思いませんけれども、そういう御答弁があったということなんです。

 そこはちょっと総理にお伺いしたいんですけれども、そのときに総理が、基金に関しても、今申し上げたように、早期に着手することが必要なので入れる場合もあるというふうにおっしゃっていましたが、今回、十四の基金に予算を入れているわけですけれども、これらの中にはそもそも残高がまだ残っているものがあるわけですね。残高があるということは、その残高で事業は既に始められるわけでありまして、新たにこの補正でその予算を積まなければいけない必然性はないんだと思うんです。

 ですから、先ほど松野委員に対して安倍総理が御答弁なさったことは、私は必ずしも答弁として十分じゃないんじゃないかなというふうに思って聞いておったんですが、この点について総理からの御見解をいただきたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 私が申し上げたのは、そもそも基金についてどうなんだという御質問でございましたから、基金全般にわたって、いわば一般論としての基金に対して、なぜ補正でこれは手当てするのかという、これは財務大臣に対する御質問でございましたから、私が答える際には、基金とはいえ、今申し上げましたように、補正の趣旨に合うものであれば、早く始めた方がいい事業もあるわけでありますし、同時に、それがある程度多年度にわたる場合があっても、ある程度この補正の意に沿うものであれば早目にスタートする、それによって経済的な効果を発揮していくこともある、こういう意味で申し上げたところでございます。

今井委員 同じ事業の内容であって、その基金に残高があれば、その事業に緊急性があったら既にスタートできるはずなんです。ですから、その基金にもし必要な額が今後生じるんだとすれば、それは本予算で手当てをすればいいだけであって、補正予算では十分スタートできる。二カ月早いだけですから、二カ月間執行するぐらいの残高が残っている基金はあるわけです。

 そこに補正予算で基金を入れるということは、やはり緊急性というこの財政法二十九条に照らして考えると妥当ではないんじゃないかなというふうに思いますけれども、これは麻生大臣でも結構ですが。

麻生国務大臣 先ほど、どなたかからの御質問に御答弁を申し上げたことと重複することになろうかなと存じますが、たかが二カ月と言われますけれども、この二カ月というのは、仕事を受ける方にとりましては、二カ月が先に来るか来ないかといったら、その後の段取りがざっとずれてきます。物すごくずれてくるというのは、これは仕事をした経験者なら皆そう思っておられる、私はそう思っております。

 したがって、二カ月が大したことないじゃないかというのは、それはいかにもお役人の発想ですな、私はそう思いました。

今井委員 質問と答弁がちょっとかみ合っていないんですけれども。

 同じ事業の基金の中に残高があれば、今は一般論でも結構ですよ、そのお金を使ってスタートできるわけですから、事業者の人たちはその二カ月間待っている必要はないわけですよね。ですから、今の松野委員に対する御答弁に対しての僕のもう一度の質問ですから、それに対して今御回答がありましたけれども……(発言する者あり)ちょっと黙っていてください。その点についてもう一度お伺いさせてください。

麻生国務大臣 個別のことを申し上げることになるんですが、個別ごとに残額を精査していくというのも、つかむということは必要なので、個別にやっていくと、具体的にどうすべきかというのは、ここはきちんと議論していかないかぬところなので、ある程度の残高というのは当然あるので、ゼロなんというのはあり得ませんから、必ずある程度の残高はある。その額の多寡が、大きい、少ないは多少あろうかとは存じますが。

今井委員 時間がないので議論はこれぐらいにしておきますけれども、それは、今のお話であれば本予算で積めばいいだけの話であって、私は財政法二十九条の観点で申し上げていて、本来であればそれは、本来というか、本予算の方で積むのが筋なんじゃないかなということを指摘しておきたいと思います。

 それと、先ほど我が党の井坂委員の方から資料を出させていただきましたけれども、これは質問ができなかったので、私がかわりにちょっと質問させていただきたいと思いますが、今回、各省庁に、今回の補正予算の三百二十一項目について概算要求にのっている項目が幾つありますかということで照会をいたしましたところ、三百二十一中二百十九、三分の二ぐらいですね、二百十九が概算要求にのっている項目であったということが判明をしております。

 これも、補正予算という性格を考えると、本来概算要求、本予算でのるべきものが補正予算にのっているということなんですけれども、これは実は毎年起きている話でありまして、一つは、やはり時期の問題なんだと思うんですね。今、今回の補正もそうなんですけれども、同じ通常国会に出てきて、補正を審議して、そのまま本予算に行くということが常態化をしているわけでありまして、こういう詰まったところで補正と本予算を組めば、当然こういうことが起きがちになってしまうということなんじゃないかなと思うんですね。

 一番最初、安倍政権が最初に始まったときは、政権の皆様自身が十五カ月予算だというふうにおっしゃっておられたわけでありますから、いわば一体の予算になってきているわけでありまして、そういう意味でいくと、もう既に補正予算ということの意味がなくて、本予算の一部ということになってしまっているというふうにしか見えないんですけれども、この点についてのお考えについて、大臣の方から御答弁いただきたいと思います。

麻生国務大臣 お尋ねの趣旨は、二十七年度の当初予算というものの中に概算要求をされていた事業が二十六年度の補正予算に計上されたのは問題じゃないかという御意識なんですか。(今井委員「はい、そうです」と呼ぶ)そういうように理解したいと思います。ちょっと長かったので理解不能だったので、今重ねて質問させていただきました。

 二十七年度……(発言する者あり)頭いいのと違うんだって、あなたみたいに。

大島委員長 やじに答えず。

麻生国務大臣 二十七年度の当初予算の概算要求の中に今回の経済対策の趣旨にかなう事業があるのであれば、二十六年度の補正予算に緊急に計上するということに関しては、これはむしろ当然の対応なんだと思うので、何ら問題はない、そう思っております。

今井委員 その辺は考え方の違いなんだと思うんですけれども。

 これは去年のこの予算委員会でも多分同じ議論を何人もの議員がされていたと思いますけれども、例えば去年の秋とか、そういうときに補正予算が組まれるということであれば全然違う予算になるんじゃないかと思うんですけれども、概算要求が終わって予算編成している中で補正予算と本予算とが組まれるということになれば、役所の人たちは、こちらで落とされたらこちらにのっけようか、そういう気が働いてもおかしくはないわけで、現実にそういうことをおっしゃる官僚の方もいらっしゃるわけでありまして、やはり補正予算が通常国会の本予算のちょっと前に出てくるということ自体がこういうことを招いてしまうんじゃないかなという問題意識をここで御提起させていただきたいというふうに思います。

 それと、では、ちょっともう時間がないので、最後に一つお伺いしたいと思うんです。

 今回、地域住民生活緊急支援のための交付金四千二百億円というのが措置されております。その中には、一つは、いわゆるプレミアム商品券のようなものが二千五百億円あります。かつて同じようなものをやったときに、やはり乗数効果が非常に低かったということがあって、今回は上に乗せて、下の部分を払う、そういうたてつけをしておられるので、これに関しては多少工夫をされたんじゃないかなというふうに思います。

 もう一つの、いわゆる地方創生メニューというものなんですが、これは全部で千七百ぐらいあると思うんですけれども、これは、例えばコミュニティーバスとか結婚の支援とか、こういうのに自由に使える。目標を立てるんですけれども、目標の立て方とか、その高さも自由に立ててください、その目標をもし達成しないとしても、特におとがめはないというか、それはそれでしようがないですというようなたてつけになっているというふうに伺ったんです。

 こういう形でぽんと自治体が急に渡されても、では、何か急にやらなきゃということで、こういう税金を使うに当たって、本当に緊急性があるというものを出してこられるのかな、しかも、こういう条件が緩い中でそういう使い方のチェックというのがどういうふうにされるのか、この辺がちょっと疑問なんですが、お伺いしたいと思います。

石破国務大臣 以前から、自由に使えるお金がたくさんあればということを自治体の方々は主張してこられたと思います。

 その地域がどうすればよくなるかということは、霞が関で考えてもわかりません。その地域で考えなければならぬのであって、国のいろいろなメニューの中から、補助率が高いもの、自己負担が低いもの、そういうものを選んできたという文化を変えなければいけないと思っています。

 その地域地域で本当にぎりぎり考えるということと、民間の方、あるいは大学、高等学校、あるいは言論界の方、働き方にも関しますから連合の方々も、一緒になって考えれば必ず知恵は出る。最初から知恵が出ないということを考える必要はありません。

 おとがめをするつもりは全くありませんし、そんな権限も私どもにはありませんが、地方をよくするのはまさしく地方だということを実践する、それがこの予算だと思っております。

大島委員長 時間です。

今井委員 はい。時間が来ましたので終わりますが、やはり中身についてかなり問題があるというふうに我が党は認識しているということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 麻生大臣は財政演説で、個人消費に弱さ、地域ごとに景気回復にばらつきがあるということをお認めになって、経済の脆弱な部分に的を絞り、かつスピード感を持って対応を行うことで、経済の好循環を確かなものとするとともに、その成果を地方に広く早く行き渡らせることを目指している、こう本補正予算案とその背景にある緊急経済対策の狙いについて述べられました。

 きょうは総理いらっしゃいますから、改めて総理に今般の経済対策の目的について御答弁をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 政権交代以来、三本の矢の政策を進めてまいりました。有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準となり、賃上げも平均二%以上、これは十五年ぶりでございます。十五年で最高。企業の経常利益は過去最高水準となっておりますし、企業の倒産件数も二十四年ぶりに一万件を下回る。確実に経済の好循環が生まれている。これは、ファクトが示しているように、間違いなく好循環は起こっていると言ってもいいと思います。

 しかしながら、昨年、消費税を八%へ引き上げたことによって、その影響も含めて、物価の上昇に家計の所得が追いついていないということもあり、個人消費等に弱さが見られています。このため、景気回復の実感が地方に暮らす方々や、あるいは中小・小規模事業者の方々に届いていないのも事実でございます。

 ただ、足元においては、全国全ての地域で街角の景況感については上昇をしているところでございますし、中小企業におきましても、景況感は、これは日銀の短観でありますが、おおむね改善をしておりまして、消費者マインドも下げどまりの兆しが見られるのも事実でございます。

 こうした兆しを景気回復の確かな実感につなげるために、今般、個人消費のてこ入れと地域経済の底上げを図る力強い経済対策を策定したところでございまして、この経済対策によって経済の好循環を確かなものとしていきたい、このように思うところでございます。

 また、重要な点は、しっかりと収入がふえていく、給料が上がっていくということでございまして、政労使会議において、経済界の方々がこの四月の賃上げについて合意をしていただいている。またあるいは、下請の企業の方たちに対して、材料費が値上がりしている状況に対してその価格をしっかりと転嫁させていくということについても合意をしていただいている、こうしたこともあわせて、しっかりと景気回復を実感していただける状況をつくっていきたい、このように思っております。

宮本(岳)委員 いろいろと答弁されたわけですけれども、少なくとも消費に弱さが見られると。

 この内閣府がまとめたミニ経済白書を読ませていただいても、消費税引き上げや輸入物価の上昇等による物価上昇に所得の上昇が追いついていない、こう述べられて、改めて、個人消費の弱さについて、所得階層や年齢別に違いが見られるということをこのミニ経済白書では述べております。

 これは甘利大臣に改めてお伺いするんですけれども、最も実収入が落ち込んだ所得階層、消費支出が最も落ち込んだ所得階層はどの階層なのか、また年齢階層別に見ればどの年齢でそれぞれ落ち込んでいるのか、お答えいただけますか。

甘利国務大臣 本年一月に公表しました内閣府の日本経済二〇一四―二〇一五では、ただいま御指摘の資料ですが、家計調査を用いて所得階層別、年齢別の収入、支出の分析をしておりますが、所得階層別の分析では、最も収入の少ない層において収入、支出ともマイナス幅が最も大きい。それから、年齢別の分析におきましては、二十代世帯において収入、支出ともにマイナス幅が最も大きく、子育て世代に当たる三十歳代世帯では収入の低下に比べて支出が大きく落ち込んでおります。

 こうした背景について、内閣府の日本経済二〇一四―二〇一五では、非正規比率の高い低所得者層では将来への不安などから支出が抑制をされている可能性があること、それから、三十歳代世帯は、金融資産が少ない一方で住宅ローン残高が多い世代でもあることなどから、他の世代に比べて節約志向が高まっている可能性があることを指摘しております。

宮本(岳)委員 低所得層で、そして二十代、三十代で低いということですね。したがって、本当に消費を下支えしようと思えば、この層にそれこそ迅速でスピード感ある対策が必要だと思うんです。

 今回の補正予算案がそのような内容になっているのか。例えば、防衛省の予算というものがございます。三・五兆円の経済対策のうち、歳出ベースで二千百十億円、契約ベースで二千五百八十二億円計上されております。この中に在沖米海兵隊のグアム移転経費百七十一億円というものが含まれておりますけれども、防衛大臣、これはどういう予算であるのか、内容。

中谷国務大臣 これは、沖縄の海兵隊のグアムの移転で、南アンダーセン訓練場というものの工事費で百七十一億円計上をいたしております。閣議決定の中に、生活者、事業者への支援、地方の活性化のほかに、災害、危機への対応、そして安全、安心な社会の実現がうたわれておりまして、我が国の安全保障環境の変化を加えますと、早期に米軍再編を進める必要がございます。できるだけ早く移転を行いまして、安全、安心な社会の実現を図るために計上したわけでございます。

宮本(岳)委員 グアムに基地を建設する、南アンダーセン訓練場を建設する費用が経済対策の費目に入っているわけですよ。

 私たちは、そもそも国民の税金でグアムに基地をつくること自身に反対ですけれども、しかし、この中身を見たら、地方への好循環の拡大とか、あるいは消費の下支えと言いながら、何でこれがそういう効果を持つものになるのか、補正予算に入っているのか。総理、国民に納得のいく説明をしていただけますか。

安倍内閣総理大臣 二十六年度補正予算案における防衛関係費については、自衛隊の活動に必要な経費に加えて、緊急経済対策として、昨年末の閣議決定に基づいて、多発する自然災害や一層厳しさを増す我が国周辺の安全保障環境を踏まえて、円滑な社会活動、経済活動の基盤となる安全、安心な社会を実現するために、緊急に必要な経費を計上するものでございます。

 そして、グアムへの移転については、今防衛大臣から答弁をさせていただきましたように、厳しさの増すこの安全保障環境の中において、日米同盟を強化していくことは地域や我が国の平和に資するものでございます。そういう観点も含めまして予算を計上させていただいたところでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、その費目が本当にそういう総理がおっしゃるようなことであるならば、本予算で堂々と議論すべきことなんですよ。経済対策、地方への好循環拡大に向けた経済対策という費目の中に、このグアム移転が入っているわけですね。

 これにとどまりませんよ。ほかにもあります。

 例えば、予算の中には、航空機の購入で五百八十三億円というのがありまして、偵察機LR2の発注費用十九億円というものがこの補正予算に入っているんですね。これは一体どこに発注するのかと聞いたら、米国のビーチクラフト社というところに発注することに、輸入することになっている。一体これはどこが消費の下支えで、一体これが地方の好循環に何の関係があるのかと言わなければなりません。

 あなた方自身も、ミニ経済白書では、まさに消費が大事だ、そして地方にそれを広げるんだと言っています。しかし、やっていることは、こういうものを盛り込んでいるわけですから、私は、こういうグアムへの米軍基地建設や米国企業からの偵察機の購入など、軍拡に血税を注ぐような補正予算には反対だということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

大島委員長 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十六年度補正予算三案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大島委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。平口洋君。

平口委員 自由民主党の平口洋でございます。

 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となっております平成二十六年度補正予算三案に対し、賛成の立場から討論を行います。

 政権交代後から、安倍内閣は、経済最優先で、三本の矢から成る力強い経済政策を推進してきました。その結果、有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準、企業の経常利益も過去最高水準となるなど、経済の好循環が生まれています。

 他方、足元では個人消費に弱さが見られ、地域ごとに景気のばらつきが見られるなど、適切な政策対応が求められる状況にあります。

 このような中、経済の脆弱な部分に的を絞り、かつスピード感を持って対応し、アベノミクスの成果を地方に行き渡らせていくという目的のもと、本補正予算が取りまとめられました。

 以下、本補正予算に賛成する主な理由を申し述べます。

 まず、本補正予算では地域住民生活等緊急支援のための交付金が創設されており、各自治体が地域の実情に応じて効果的な政策を進められるものとなっております。

 また、原材料価格の高騰に対応するための低利融資制度や、米価下落対策に対する助成を設けるなど、厳しい状況にある事業者の方に対してもしっかりと目配りがされております。

 さらに、昨年発生した広島の土砂災害や御嶽山の噴火などの自然災害に対応するため、被災地の速やかな復旧を図るとともに、自然災害リスクの高い地域における緊急の防災・減災対策を講じるための予算が措置されております。

 このように、本補正予算は、経済の好循環拡大、その他必要な事業に対して適切に予算を措置しています。さらに、必要な事業に要する財源を超える部分については公債金の減額に充てるなど、財政健全化にも取り組んでおり、早期の成立が望まれます。

 委員各位の賛同を期待し、賛成の討論とさせていただきます。(拍手)

大島委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 岸本周平です。

 民主党・無所属クラブを代表して、政府提出、平成二十六年度補正予算三案に反対する立場で討論を行います。

 まず、これまで経済環境がよくなっているという御説明がありましたけれども、経済環境がよくなっていれば、経済対策を打つ必要はありません。経済対策を打つこと自体がアベノミクスの失敗を象徴していますし、かつ、これからの景気の向上も見込めるという発言もありましたが、まさに経済学上で言う認知のラグでありまして、認知のラグを前提にした愚かな補正予算の経済対策であると考えます。

 トリクルダウンの名のもとに一部の大企業や富裕層が優遇される一方、一般国民の生活は置き去りにされ、実質賃金が十七カ月連続で減少するなど、国民の生活は大変苦しくなるばかりであります。格差の是正を抜本的に直すような経済政策の転換が必要であります。幾ら財政をばらまいても焼け石に水であります。

 以下、本補正予算案に反対する理由を具体的に申し上げます。

 第一に、財政再建目標を達成するための小手先のびほう策として利用されている点であります。

 本来二十七年度予算に計上すべきものを本補正予算に多数計上することで、二十七年度のプライマリーバランス赤字半減目標を何とか見かけ上達成しようとしており、財政再建への本気度が疑われるばかりではなく、財政法上の補正予算の要件に満たないものが多数計上されており、明らかに財政法第二十九条に違反するおそれがあります。

 第二に、緊急経済対策とうたいながら、経済効果が不透明なものが多数計上されている点であります。

 例えば、捜査力、現場執行力の強化は必要なことではありますけれども、経済対策としては首を傾けざるを得ません。地域限定商品券は、地域振興券や定額給付金等のこれまで行ってきた施策の経済効果を真面目に検証した上での施策とは思えません。

 第三に、原油価格が急落する中、緊急性の低いエネルギーコスト対策に三千六百億円もの費用を計上する等、現在の情勢に即していない内容となっている点もあります。

 以上のように問題点の多い本補正予算案には到底賛成できません。

 最後に、民主党は、格差社会を脱却し、公正な社会を構築するため、全党一丸となって尽力していくことを国民の皆様にお約束し、私の反対討論を終わります。(拍手)

大島委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 私は、維新の党を代表して、ただいま議題となりました平成二十六年度補正予算三案について、反対の立場で討論いたします。

 昨年度の五・五兆円規模の補正予算は、昨年の二四半期連続のマイナス成長、さらには今年度通期でのマイナス成長となる見込みなどを見る限り、経済対策として効果を上げているのか、極めて疑問が残ります。今年度補正予算では、あらゆる分野で昨年度補正予算と同様の事業が並んでおり、景気対策としての有効性を疑わせます。

 また、十四の事業で総額五千億円近くの補助金が基金に支出されています。財政法二十九条では、補正予算の作成に当たっては、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」とありますが、基金は複数年度にわたって支出されるということから鑑みると、補正予算としての要件を満たしているとは到底思えません。

 その他、個別の中身を見てみると、例えば、地域住民生活等緊急支援のための交付金二千五百億円が計上されていますが、それよりも、教育・保育クーポンや福祉クーポンなどの対策を打つ方が、より政策の意図も明確になり、かつ、家計が確実に消費を行うと考えます。

 また、今回の補正予算では、エネルギーコスト対策は三千六百億円と、昨年の八百九十億円から大幅に増額となっていますが、昨年夏より原油価格が急落している現状を考えると、なぜ補正予算においてこうした対策が打たれるのかが疑問です。

 以上のように、今年度補正予算は、効果の上がらなかった昨年度補正予算の事業を引き継いだものが多く、家計支援の方法が不適切で、原油価格下落等の環境変化への対応がおくれ、過去に問題となった基金積み増しが全く改まっていないといった問題を多く抱えているものと考え、反対するものです。

 以上です。(拍手)

大島委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 公明党の樋口尚也です。

 公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十六年度補正予算案に対し、賛成の立場から討論を行います。

 賛成する理由の第一は、足元の経済状況に鑑み、個人の消費喚起等をする経済対策となっている点であります。

 経済の好循環を家計へ、地方へと届け、経済再生をなし遂げる、その起爆剤が本補正予算でございます。

 本補正予算では、まず、二千五百億円の地域住民生活等緊急支援のための交付金を創設し、全国の自治体の創意工夫を後押しして、プレミアム商品券の発行など、地方自治体が実施する消費喚起策や生活支援策が盛り込まれています。

 また、自治体における地方創生に向けた総合戦略の策定に向け、補正予算においてその策定を支援し、UIJターンの促進、創業支援など、先行的な取り組みに対しての交付金が創設されたことも高く評価するものであります。

 第二に、厳しい現状にある事業者に対しても目配りをしている点です。

 輸入原材料の高騰に苦しむ中小企業に対するセーフティーネット貸し付けの拡充や、省エネルギー促進融資の創設は、内需型中小企業の安心につながる重要な施策です。

 また、住宅ローン金利の引き下げや、リフォームに対するポイント付与制度については、経済波及効果の大きい分野での消費喚起が期待されます。

 第三に、災害復旧復興の加速化を進めるための施策が盛り込まれている点です。

 昨年、我が国は、御嶽山の噴火や広島県の土砂災害に見舞われました。厳しい経験を踏まえて、農山漁村の防災対策や住民の避難所となる学校施設の耐震化、活火山の監視体制の強化のための施策が盛り込まれています。

 さらに、新たに復興財源を確保するとともに、中間貯蔵施設に係る交付金や原子力災害からの福島復興交付金の創設など、東日本大震災からの復興をさらに加速させるものと期待されています。

 他方、本補正予算案では、税収、税外収入の増収を見込むほか、前年度剰余金の活用をするとともに、必要財源を超える約七千五百億円を新規国債発行額の減額に充て、財政健全化への取り組みを進めている点も指摘をしておきます。

 以上、主な賛成の理由を申し述べました。

 安倍政権の最優先課題である経済再生をなし遂げられるかどうか、今が正念場であります。デフレ脱却もあと一歩であります。

 本補正予算案は、アベノミクスをさらに前進させ、経済の好循環が全国、地方へと広がり、そして日本経済全体を浮上させる上で極めて重要なものであります。その効果をいち早く地方に届けるためにも、速やかな成立と早期の執行を期待し、私の賛成討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

大島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一四年度補正予算三案に反対の討論を行います。

 国民の暮らしは、消費税引き上げに伴う物価上昇が実質所得の減少をもたらしており、消費は冷え込んだままです。

 政府は、本補正予算案は経済の好循環をつくる緊急経済対策だと言いますが、本補正予算案は、消費を冷やした原因には全く手をつけておらず、国民の懐を暖めるものとはなっておりません。

 逆に、国民が懸念する軍事費の増大や原発再稼働経費、TPP推進のための農業政策等、アベノミクスをさらに強めるものでしかありません。

 軍事費の内容を見ると、在沖米海兵隊グアム移転に百七十一億円、普天間飛行場移設百八十五億円、空母艦載機の岩国移転に伴う格納庫に三十一億円等々、こうした兵器購入経費や基地増強経費のどこが、何ゆえに緊急経済対策なのでしょうか。

 これらの経費は、中期防衛力整備計画に基づく兵器の調達であり、基地の増強にほかなりません。本予算で徹底した議論をすべきものであり、補正で先取りするこそくなやり方は許されません。

 こうした補正の軍事費二千百十億円と来年度予算案の軍事費四兆九千八百一億円を合わせると、五兆円を超える規模となります。安倍政権の軍拡姿勢を示すものであり、断じて容認できません。

 原発の再稼働を前提とした過酷事故対応等に九十億円を計上しています。あの未曽有の事故から四年がたつというのに、東京電力福島第一原発事故の原因は究明されておらず、今なお十二万人もの方々が避難生活を強いられています。この深刻な事態のもとで、国民の過半数の反対を押し切って全国で原発の再稼働を推進することは、決して許されません。

 本補正は、米の生産コスト低減予算を計上しています。しかし、消費税増税というコスト増加要因をつくったのは、そもそも安倍内閣ではありませんか。また、農地中間管理機構の本格稼働予算などは、市場原理を前提とするTPP批准対策そのものであり、断じて容認できません。家族経営が持続的に可能となるように、生産費をもとにした最低価格保障の道へ抜本的に切りかえるべきであります。

 ミニ経済白書は、地方経済の景気回復がおくれていると指摘しています。地域再生のためには、地方自治体と住民に困難をもたらした自民党政治の根本的反省と政策の転換こそ求められているのであります。

 国民の懐を直接暖める政策へと転換することもなく、地方への好循環拡大などという看板で大軍拡や原発の再稼働、TPPを推進するなどということは本末転倒も甚だしいということを指摘して、私の反対討論といたします。(拍手)

大島委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大島委員長 これより採決に入ります。

 平成二十六年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十六年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十六年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大島委員長 起立多数。よって、平成二十六年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十六年度補正予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十八分散会


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