衆議院

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第6号 平成27年2月19日(木曜日)

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平成二十七年二月十九日(木曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 金田 勝年君 理事 萩生田光一君

   理事 原田 義昭君 理事 平口  洋君

   理事 平沢 勝栄君 理事 森山  裕君

   理事 前原 誠司君 理事 今井 雅人君

   理事 上田  勇君

      秋元  司君    石原 宏高君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      大岡 敏孝君    大隈 和英君

      金子 一義君    金子めぐみ君

      工藤 彰三君    熊田 裕通君

      小池百合子君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    齋藤  健君

      笹川 博義君    塩谷  立君

      鈴木 俊一君    鈴木 憲和君

      鈴木 隼人君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    土井  亨君

      長坂 康正君    根本  匠君

      野田  毅君    古屋 圭司君

      星野 剛士君    宮崎 謙介君

      保岡 興治君    山下 貴司君

      山本 幸三君    山本 有二君

      小川 淳也君    緒方林太郎君

      岡田 克也君    黄川田 徹君

      岸本 周平君    後藤 祐一君

      階   猛君    玉木雄一郎君

      辻元 清美君    馬淵 澄夫君

      本村賢太郎君    山井 和則君

      井坂 信彦君    重徳 和彦君

      松木けんこう君    松浪 健太君

      岡本 三成君    佐藤 茂樹君

      中野 洋昌君    樋口 尚也君

      赤嶺 政賢君    大平 喜信君

      高橋千鶴子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       西川 公也君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      宮沢 洋一君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    望月 義夫君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       竹下  亘君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       山谷えり子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     山口 俊一君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   有村 治子君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 和之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  能化 正樹君

   参考人

   (年金積立金管理運用独立行政法人理事長)     三谷 隆博君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     塩谷  立君

  岩屋  毅君     大隈 和英君

  熊田 裕通君     小島 敏文君

  田所 嘉徳君     大岡 敏孝君

  土井  亨君     齋藤  健君

  山本 有二君     笹川 博義君

  小川 淳也君     玉木雄一郎君

  岸本 周平君     岡田 克也君

  後藤 祐一君     黄川田 徹君

  馬淵 澄夫君     緒方林太郎君

  山井 和則君     本村賢太郎君

  樋口 尚也君     佐藤 茂樹君

  高橋千鶴子君     大平 喜信君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     鈴木 隼人君

  大隈 和英君     工藤 彰三君

  小島 敏文君     熊田 裕通君

  齋藤  健君     土井  亨君

  笹川 博義君     山本 有二君

  塩谷  立君     石原 宏高君

  緒方林太郎君     馬淵 澄夫君

  岡田 克也君     岸本 周平君

  黄川田 徹君     後藤 祐一君

  玉木雄一郎君     小川 淳也君

  本村賢太郎君     山井 和則君

  佐藤 茂樹君     樋口 尚也君

  大平 喜信君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  鈴木 隼人君     鈴木 憲和君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     田所 嘉徳君

  瀬戸 隆一君     岩屋  毅君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十七年度一般会計予算

 平成二十七年度特別会計予算

 平成二十七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算、平成二十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山崎和之君、内閣官房内閣審議官能化正樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩谷立君。

塩谷委員 おはようございます。自由民主党の塩谷立でございます。

 さきの総選挙で安倍政権が再び国民の絶対的多数の信任をいただいて、第三次安倍内閣がスタートいたしました。その初めての施政方針演説に対して、予算委員会でトップバッターとして質問の機会をいただいたことを、まず心から感謝申し上げます。

 我が国が抱えるさまざまな課題に逃げることなく立ち向かう総理の姿勢に大変感銘を受けました。それだけに、それをどう進めていくかに対しての質問、数を挙げると切りがないわけですが、時間が限られておりますので、安倍政権が掲げる経済最優先の政権運営、そして改革断行国会、さらには経済再生と財政再建について、総理の基本的な考え方を中心に質問をさせていただきます。

 その前に、先般のシリアにおけるイスラム国と称するテロ組織による事件で日本人が犠牲となったことは痛恨のきわみであり、亡くなられた方々に心より哀悼の意を表します。

 国会においても、卑劣きわまりないテロ行為に対する非難決議を行いましたが、日本が決してテロに屈することはあってはなりません。そのためにも、海外の在留邦人の安全確保、及び、昨今は世界じゅうでテロ事件が頻発しておりますが、特に二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを見据えた国内におけるテロ対策、これが重要だと考えますが、政府は今後どのような取り組みを進めていかれるものか、総理にお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 今般の邦人殺害テロ事件を受けまして、在外邦人の安全確保については万全を期していきたいと考えておりますが、在外公館と日本人会などで構成する安全対策連絡協議会の活動を促進するとともに、渡航情報などの迅速な提供、日本人学校の警備強化の要請などの諸対策を一層強力に推進していく考えであります。

 退避勧告地域に渡航、滞在しようとする邦人の情報を入手した場合には、可能な限り個別に渡航の中止を働きかけ、新たな事態が発生しないよう働きかけていくこととしています。

 また、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けまして、政府としては、テロ対策を初めとするセキュリティー対策を政府一丸となって推進するために、内閣危機管理監を座長とする関係省庁セキュリティ幹事会を設置しまして、サイバーセキュリティー、テロ対策など分野別のワーキングチームが既に対策に着手をしています。

 具体的には、国際社会と緊密に連携をし、不穏動向の早期把握に向けた情報収集、分析の強化、テロリストの入国阻止等に向けた関係機関の連携による水際における取り締まりの強化、そして空港、公共交通機関等の重要施設の警戒警備の徹底などの諸対策を一層強力に今推進しているところでございます。

 今後とも、オリンピックの開催に向けまして、情勢の変化に応じて不断の見直しを行い、政府一丸となってオリンピックにおけるテロ対策に万全を期していく考えであります。

塩谷委員 先ごろ大変な任務を終えて帰国した中山副大臣が、テロを超えるテロ、超テロだという表現をしておりました。本当に予想外のことが起きる可能性が十分ありますので、ぜひ万全を期していただきたいと思います。

 さて、振り返って、さきの総選挙で我が党は、アベノミクスの効果を全国津々浦々に届ける、経済再生と財政再建の両立を中心に国民に信を問い、その結果、圧倒的な国民の皆さんの信任を得て、引き続き政権運営の重責を担うことになりました。

 改めて、衆議院の解散に踏み切り民意を問うた意義と、総選挙の結果を踏まえて国民の判断をどう解釈していらっしゃるか、総理の御見解をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 我々は、かつて野党時代に、民主党政権に対しまして当時の谷垣総裁が、税こそ民主主義であり、その税において大きな変更をするのであれば直ちに国民に信を問うべきだ、こう主張して総選挙を要求したわけであります。

 今回、我々は、私たちが進めている経済政策を成功させるために、本年十月に予定されていた消費税八%から一〇%への引き上げを一年半延期するという判断をいたしました。この判断については、これはさきの総選挙においても、また参議院選挙においてもお話をしていたことではございません。同時に、一年半後には、いわば経済条項を取って、今回のような判断はしない、景気判断はしないということも含めての変更をするわけでありますから、当然選挙を行うべきだ、こう判断したところでございます。

 同時に、この選挙に向けて動いていく中にあって、私たちが進めている経済政策、いわゆるアベノミクスについての賛否両論の議論が起こったわけでございますし、野党は私たちの政策が間違っているという議論を展開したのでございますから、当然、選挙においては、私たちが進めている経済政策を問う、アベノミクスを問う選挙、こう位置づけたところでございます。

 結果として、私たちは二百九十一議席を獲得することができました。大変大きな支持をいただいた、これは私たちが進めている政策を力強く前に進めていけという国民の声である、このように思います。選挙でお約束したことを一つ一つ着実に実現していくために全力を尽くしていく決意でございます。

塩谷委員 国民の意思、これは大変期待だと思っております。したがって、我々政府・与党は、しっかりとその成果を出すべく努力してまいらなきゃならぬと思っておるところでございます。

 先週十二日の施政方針演説において、総理は、経済再生、復興、社会保障改革、教育再生、地方創生、女性活躍、そして外交、安全保障の立て直し、いずれも困難な道であり、戦後以来の大改革と表現なさいました。同時に、岩倉具視の言葉を引用され、明治の日本人にできて今の日本人にできないわけはないともおっしゃいました。

 しかしながら、シリアのテロ事件、あるいはウクライナの問題、さらにはEUの経済、金融問題等、世界の政治経済状況は混迷をきわめ、緊張感が高まっています。それに日本がどう対応していくのか。同時に、一層激しくなるグローバル競争、そして人口減少という絶対的なマイナス要因を抱え、その内外の厳しい状況を克服するための戦後以来の大改革であると捉えております。まさに我が国にとって新たな挑戦であり、それに臨む総理の決意を改めて国民の前にお示しいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 さきの大戦からことしは七十年目を迎えるわけでございますが、日本の状況も、あるいは日本をめぐる国際状況も大きく変わったわけでございます。残念ながら、日本は人口が減少していくという状況にあります。財政においては大きな累積債務を抱えているという状況がある。そしてまた、あるいは外交、安全保障の状況においては、どの国も一国のみでいわばその国を守ることができないという状況になっているわけでございます。

 そこで、我々は、まさにこの状況において、二十一世紀、子供たちの世代にすばらしい、美しい日本を引き渡していく上においては思い切った大改革を行わなければならない、こう決断したわけでございます。

 経済においても、さまざまな成長を遂げていくためにも、さまざまな岩盤規制にも取り組んでいかなければなりません。そして、塩谷委員がずっと取り組んでこられた教育においても、今進めている教育再生、大きな改革を進めていく必要があるんだろう、このように思っておりますし、また、女性の活躍を推進していくためにも、意識改革も含めて大きな改革が必要でしょうし、安全保障法制にしてもそうであります。

 そうした中において、我々は、しっかりとこうした大改革をなし遂げ、国民の負託に応えてまいる決意でございます。

塩谷委員 ぜひ、総理、リーダーシップを発揮して、我々も応援していきたいと思っております。

 アベノミクスの二年間で成果は確実に上がっていますが、まだまだ道半ばでありまして、地方や、特に中小企業、小規模事業者の方々へ実感が届く景気回復を加速していかなければなりません。

 今週月曜日に公表された昨年の十―十二月期のGDP速報値は、前期比実質プラス〇・六%、年率換算でプラス二・二%になるなど、プラス成長は三期ぶりであります。景気回復への明るい兆しが少し見えてまいりましたが、しかしながら、GDPの六〇%を占める、特に個人消費についてはまだまだ弱い状況があります。引き続き、経済最優先の政権運営で、この二年間の実績を生かして、地方に実感が届く景気回復を加速させなければなりません。

 消費税率引き上げを再来年四月に確実に実施するためにも、経済状況をどう好転させていくのか、日本再生に向けた御決意を総理にお伺いいたします。

 あわせて、本予算の編成に当たってどこに力点を置いたか、強調したい点も加えて、御説明をお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 昨年四月の消費税の引き上げにより、個人消費には弱さが見られたものの、先日公表されました昨年の十―十二月期のGDP速報では、三四半期ぶりに実質GDPが前期比プラス成長となりました。また、名目においては四%以上の成長になった、GDPデフレーターはプラスになったわけでございまして、その意味におきましては、我々はデフレ脱却に向けて着実に歩みを進めていると思います。

 こういった兆しを景気回復の確かな実感につなげていくため、今般、個人消費のてこ入れと地域経済の底上げを図る力強い経済対策を策定し、これを実行するための平成二十六年度補正予算が成立をしたところであります。

 また、平成二十七年度予算は、地方の創生を全力で応援をしていく、そして子育て支援など社会保障の充実を行っていく、復興の加速化、そして国土強靱化、外交、安全保障の立て直しなど、我が国の諸課題への対応を強力に推進していくとともに、二〇一五年度の財政健全化目標を達成する予算となっています。

 我々は、消費税の引き上げ、八から一〇への引き上げを延期したわけでありますが、我々の経済政策によって税収は伸び、達成することができる見通しがついたわけでございます。この予算と二十六年度補正予算を通じて、景気回復の実感を全国津々浦々に届けていきたいと思っています。

 平成二十九年四月の消費税率一〇%への引き上げについては、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たしていかなければならない。そしてまた、市場や国際社会からの国の信認を確保するため、景気判断条項を付すことなく確実に実施をしていく。そういう経済状況をつくり出すという決意のもとに、三本の矢の政策を前に進め、経済再生と財政の健全化、この二つを同時に達成していく考えでございます。

塩谷委員 それでは、まず社会保障の充実についてお伺いをいたします。

 消費税の引き上げを延期する以上、給付と負担のバランスを考えれば、一〇%に引き上げた場合に想定した充実策を全て実施することは当然難しいわけでございます。

 そこで、政府は、八%段階でもともと予定されていた社会保障充実分の一兆三千五百億円程度という限られた財源の中で、十分に政策を執行する優先順位の位置づけが行われたわけでございます。

 具体的には、子育て支援を最優先して、子ども・子育て支援新制度を予定どおり四月から施行する、医療、介護についてもできる限り充実することとされました。

 そこで、有村少子化担当大臣に伺います。

 子ども・子育て支援新制度の予定どおりの施行により、どのような充実が実現するのか、わかりやすく内容を説明していただきたいと思います。

 また、消費税引き上げを先送りした場合、医療、介護の充実を図っていくのはどのような中身であるのか、塩崎厚生労働大臣にお伺いいたします。

有村国務大臣 お答えいたします。

 消費税率の引き上げが御指摘のとおり延期される、そういう中にありまして、来年度予算案では、安倍総理のかたい御決意のもとで、子ども・子育て世代への支援を優先的に取り組む、そういう施策というふうに位置づけ、取り組ませていただいております。

 来年度に予定している保育、幼児教育の受け入れ児の拡大、いわゆる量的拡充はもちろん、御指摘の消費税一〇%の引き上げで財源を見込んでいたその保育、幼児教育の質の向上を全て実施するためのメニューを、おかげさまで予算を確保することができました。国、地方合わせて五千百二十七億円でございます。

 これによって、具体的には、待機児童の解消に向けて、来年度以降三年で新たに二十万人の保育の受け皿を確保することができます。同時に、例えば病児・病後児保育の拡充や、児童館、空き教室、都市部であればマンションの一室などを借りた親子の交流広場など、市町村が地域の実情に応じて行う事業への支援を拡充することができます。

 また、幼稚園、保育園、認定こども園、児童養護施設などにおける職員の方々の給与を三%引き上げます。三歳児には今まで二十人のお子さんに対して先生、教諭や保育士が一人ということになっていたんですが、それを十五人に一人の加配にして、やはり子供たちの安全や健やかな育ちのために先生の目がきめ細やかになっていく、そういうことを全国で展開してまいります。

 六週間後に迫りました来年度四月からの子ども・子育て支援新制度の円滑な施行に向けて、心して取り組んでまいります。

塩崎国務大臣 先ほど塩谷委員から御指摘のように、二十七年度予算案では、優先順位をしっかりと総理の決断でつけた上で、まず四月からの子ども・子育て支援新制度の施行をすることにしたわけでありますが、このほかに、御指摘の医療、介護などでの充実はどうなっているのか、こういうことでございます。

 まず、国民皆保険を堅持するために、国民健康保険の財政基盤の強化を、将来の都道府県単位の運営ということを展望しながら行う、そして、高齢化が、住みなれた地域で医療や介護を受けられる地域包括ケアシステムの構築に向けたさらなる取り組みや、それから認知症対策、これについても推進をしていくということでございます。

 また、国民健康保険や介護保険などの低所得者の保険料負担についての軽減も行うということにしているわけでございまして、急速に少子化、高齢化が進む中で社会保障費が増大をしていくわけでありますけれども、国民の安心を支える社会保障制度を次の世代にしっかりと手渡していくために、社会保障・税一体改革の推進によりまして、制度の充実と、それから重点化、効率化を同時に進めて、持続可能な社会保障制度にしていきたいというふうに思っております。

塩谷委員 ありがとうございました。

 次に、介護サービス料金の改定について伺います。

 介護保険が導入された当時、介護費用は約三兆六千億程度でありましたが、その後十五年で約三倍弱の十兆円程度まで増加して、足元では毎年五%ずつ増加しているような状況であります。そして、この介護費用につきましては、介護保険料、利用者負担、さらに公費の三種類で賄っておるわけでありますが、そのバランスをいかにとるかということが課題だと思います。

 介護報酬九年ぶりマイナス改定と、見出しだけを見ると介護職員の方々の処遇改善が実施されないとの誤解も生まれてきたわけですが、実際は、介護職員の一人当たり一万二千円相当増額の処遇改善や、訪問介護の事業者に対する加算を行うなど、めり張りのついたバランスがとれていると思っております。

 そこで、総理、今回の介護サービス料金の改定の考え方について、どのような考えでマイナス二・二七%とされたか、もう一度、国民、特に介護現場の皆さん方に不安を抱かせないような丁寧な説明をいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、この介護給付、全体としては毎年五%程度伸びている。介護保険制度の持続可能性を確保するためにも、制度の重点化、効率化が必要であります。まさにこの介護保険給付を支えているのは、税金も入っておりますが、これは保険料と御本人の自己負担もあるわけであります。ですから、この給付全体が膨らんでいくことは、そちらにもはね返っていくということも念頭に考えていかなければならないと思っています。

 今回の介護サービス料金改定、報酬改定でありますが、例えば、特別養護老人ホームの収支差が九%程度といった経営実態を踏まえ、適正化を行う。この結果等によって、高齢者の保険料が今後三年間で一五%程度上昇すると見込まれていたのを、一〇%程度まで抑制できます。低所得者の保険料は現行とおおむね同水準に維持できるのではないか、こう見込んでおります。さらに、介護サービスの利用者負担を平均で二%程度軽減できるということになります。

 サービスごとに見ていきますと、先ほども説明がございましたが、基本的部分は、全体として事業者の安定的な経営に必要な収支差が残るように、介護の事業をやっている方々はまさに必要な介護インフラを提供していただいているわけでありますから、そういう方々の施設維持が困難な状況には陥らないように目配りしていくのは当然のことであろう、このように思います。

 最重要の課題である介護職員の確保を図るためには、他の報酬とはまさに別枠で、月額一万二千円、処遇改善を実現するための加算。訪問介護等のサービスについて、中重度の要介護や認知症高齢者の支援に取り組んだ場合等にきめ細かく加算をしてまいります。

 そういう意味におきましては、認知症の対応をしていただいているところがまだまだ少ない、そういう声がある、その声に応えていく上においても、こういう対応をしていただいたところにはちゃんと加算をしていきますという政策的な誘導も行っていくわけであります。また、小規模な地域密着型サービスなどは、高い報酬を設定しています。

 そうした質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われ、一律の引き下げにはならないようにしています。

 これに加えまして、平成二十七年度からは、都道府県に設置をした基金に七百億円を充てまして、介護施設等の整備や介護人材の確保を一層進めまして、認知症施策の推進など地域支援事業の充実も行うこととしております。

 これらを通じまして、全体として持続可能性を確保する、そしてサービスごとの実態に応じてきめ細かく配慮をしていく、国民の皆様が安心して介護サービスを利用できる体制をしっかりと確保し充実をしていきたい、このように考えております。

塩谷委員 ぜひ、介護の現場、さらには利用者の皆さん方が安心できる体制をしっかりと進めていただきたいと思います。

 次に、教育投資の充実についてお伺いをいたします。

 全ての子供が家庭の経済状況や発達状況等にかかわらず質の高い教育を受けることができる環境整備が必要であります。そのための教育投資の充実を図らなければなりません。

 我が党も、私が座長となって財源PTの議論を進めているところでございますが、昨今、社会保障費の急増に伴って、社会保障の範囲を全世代型に、特に人生前半の社会保障にシフトすることが必要ではないかと考えております。

 具体的には、少子高齢化に直面する我が国において、我が国の将来を担う人材育成が極めて急務でありまして、教育こそ重点的に投資すべきだと考えております。

 しかし、現在、我が国の教育に対する公財政支出の対GDP比は、国際的に極めて低い状況があります。

 そういう状況の中で、我が国が幼児教育について、下村文部大臣もたびたび語られておりますが、特に、ノーベル経済学賞を受賞されたヘックマン教授のペリー就学前計画においても、質の高い幼児教育がその後における教育的、社会経済的効果を有するという結果が示されています。

 下村大臣、今後、教育投資財源についてどのような充実を図っていくのか、とりわけ幼児教育の無償化はぜひとも実現すべきだと考えておりますが、二十七年度予算では一歩前進という総理の表現でございましたが、今後の教育財源及び幼児教育の無償化について、大臣の御見解をお伺いいたします。

下村国務大臣 塩谷委員におかれましては、自民党の中で、教育財源確保のためのPT座長になっていただいて、党の方でも進めていただいていることを感謝申し上げたいと思います。

 教育において、全ての子供たちにチャンス、可能性を提供する。さらに、今御指摘ありました幼児教育、これは特に生涯における人格形成の基礎を培う大変重要なタイミングのときであるというふうに思います。

 近年、海外におきまして、質の高い幼児教育は、進学率の上昇や所得の増大のほか、将来の犯罪率や生活保護率の低下など社会保障費の削減につながる社会経済的効果を有する、先ほど御指摘ありましたペリー就学前教育の中でも四十年近くの研究成果があらわれているところでございまして、そういう意味では、やはり広い意味での社会保障として捉える必要があると思います。

 このような観点から、関係府省と連携しつつ予算編成に取り組んだ結果、平成二十七年度予算におきましては、市町村民税非課税世帯の保護者負担の軽減、それから市町村に対する補助の拡充を行うことによりまして、無償化に向けた取り組みをさらに前進することができたというふうに考えております。

 今後につきましては、財源の確保が課題でありますが、ぜひ与党におかれましても、また、政府において今、教育再生実行会議におきまして財源確保方策を検討していただいているところでございます。その提言を踏まえながら、政府・与党一体となった財源を確保することを目指して、幼児教育の段階的な無償化にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

塩谷委員 教育再生については、党としても教育再生実行本部において精力的な議論を進めておりますが、国づくりの根幹である教育再生は、総理が常日ごろからおっしゃっておりますように内閣の重要課題の一つであり、熱心に取り組んでいただいておりますが、改めて、総理の教育再生にかける御決意をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 子供たちの誰もが自信を持って学び成長できる環境をつくっていくことは、国の責任であると考えております。

 このため、多様な価値に対応できるような複線的な教育制度とし、子供たちが自信を持って学べる環境を整えるとともに、家庭の経済事情に左右されることなく誰もが希望する教育を受けられるようにすることが重要であると考えています。

 政府としては、フリースクールなどでの学びの支援、小中一貫校の設立、高大接続改革、道徳教育の充実、幼児教育、高校、大学での教育費負担の軽減など、引き続き安倍内閣の最重要課題の一つである教育再生に全力で取り組んでいきたいと考えております。

 我々の進めている教育改革は、基本的には、誰もが高い水準の学力とそして規範意識を身につける機会を保障していくことであり、我々の教育再生は誰も後ろに子供たちを置いていかないという考え方で進めていきたい、このように考えております。

塩谷委員 ありがとうございました。

 さて、今回の税制改正の目玉として、法人実効税率を、現行の三四・六二%を数年で二〇%台まで引き下げることを目指して、法人税改革の初年度に着手したわけでございます。

 法人税改革によって、どのような我が国経済の競争力向上や経済の好循環、特に中小企業、小規模事業者を含めた賃上げにつなげていくのか、そして今回の法人税改革の趣旨とあわせて、この点を麻生大臣に御説明をお願いいたします。

麻生国務大臣 今回の法人税の税制に当たりましては、いわゆる法人税改革を、世界的に安くするという方向にあるのは確かな傾向なんですが、私どもとしては、法人税を、下がったものが、下げられてそれだけ利幅が出たら、その利幅が何に使われるかというのが私どもにとって一番大きな問題だと思っております。

 したがいまして、その点に関しましては、コーポレートガバナンス等々いろいろな片仮名が入ってきていますけれども、企業がそれを何に使われるかというのを、企業の中に入って、社外重役等々が発言ができる、また、スチュワードシップ・コード、いろいろな、またそれも片仮名の文字が入ってきていますが、そういった形で、企業がそういったものに使っていただけるのが一つ。それは、賃上げとか配当とかいうのに回っていくというので、内部留保だけがどんどんたまっていくというのではなくてというのが第一点に置いておかなければならぬことだと思っております。

 加えて、税制を改正させていただくに当たって、繰越欠損やら、また外形標準課税等々、いろいろやらせていただいておりますが、課税の対象幅を広げる、それによって、少なくとも赤字企業も、これは黒字にした方がいいというように、無理して税制をして、こっちの方が税金が安いからということではなくて、赤字ではなくて黒字にした方が形として、結果として税制はというような話にもっと気持ちを切りかえていただくということをしていただかないかぬというのが一点。

 また、いわゆる稼いで、今でも稼いでいる企業はよりよく稼ぐ力を上げて、国際競争力、生産性を上げる等々のことをきちんとやっていただくというようなことを頭に置いて税制改正を全体として見直すというようなことを考えて、その端緒をつけさせていただいたと思っております。

塩谷委員 この法人税の引き下げについては、今後いろいろな面で影響が出てくると思います。例えば生産拠点の国内回帰、これは円安の影響もあると思いますが、そういうことであります。

 この点について、さらなるインセンティブ、深掘りを考えたらどうか、特に中小企業に向けたことについて知恵を絞ったらいかがかということをぜひ経済産業大臣にお聞きしたいと思います。

 あわせて、改革の初年度に当たって、今お話があった課税ベースを拡大する、外形標準課税については、特に中小・小規模事業者にとっては、導入検討ということが大変不安に感じているわけでございます。したがって、以後の検討に際しても、ぜひその点は配慮して、軽々に手をつけることのないように、特に党税調幹部であった宮沢経産大臣、その点についてもお答えいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 まず、投資減税についてでありますけれども、投資減税は、二十五年度の改正で導入しまして、二十六年度でかなり深掘りをいたしました。大企業でも最大五%の税額控除、特に中小企業には配慮しておりまして、一般の中小企業で七%、また資本金三千万円以下の企業でありますと一〇%の税額控除ができるということで、ことしの一月までで利用申請が十四万件に上っておりまして、かなり使われている税制であり、そして、設備投資もふえてきているといった意味で、大変効果があったと思っております。

 一方、さらに深掘りをしろというお話でございますが、経済産業省としてはぜひそれをお願いしたいところはやまやまでありますけれども、恐らく今後、表面税率を下げる過程で課税ベースを広げるといったときには、財務省は相当厳しいことを言ってくる可能性がございまして、ぜひとも、党の政調の幹部であります塩谷委員にも応援をしていただきたいと思っております。

 一方、外形標準課税でございますけれども、これは昨年のたしか春だったと思いますが、党の税制改正プロセスより前に、いわゆる政府の税調、政府税調におきまして検討が行われまして、大企業だけではなくて中小企業にも外形標準を導入すべし、こういう報告がまとめられました。そういう報告後、それこそ我々、地元に帰りますと、商工会、商工会議所の関係の方から、あれは問題だということを常々言われてきていたわけでございます。

 地方であり、総務省の立場でありますと、いわゆる法人税収というのは景気の波で大変上下しますので、安定的な財源といった意味で外形標準化したいという気持ちはわからないではないわけでありますけれども、一方で、まさに地方の経済を支える中堅企業、中小企業、小規模事業者からいいますと、大変問題がある。角を矯めて牛を殺すようなことがあってはならないということで、当然のように、昨年末の税制改正では見送られたわけでございますし、今後につきましても、慎重に検討ということになっているわけであります。

 恐らく、総務省的にいいますと、資本金一億以下という単純なベースで中小企業が税法の場合規定されておりますけれども、これを少し手をつけたいという気持ちは持っているかもしれませんが、やはり慎重に対応していかなければいけないと思っております。

塩谷委員 ぜひ、経済産業大臣として、慎重にお願いしたいと思っております。

 アベノミクスの効果は、各種経済指標から見ても、大企業に相当浸透していると思っております。法人税改革も大変歓迎されるわけでございます。そういう中で、経団連は、榊原会長のリーダーシップによって、ことしの元旦に「「豊かで活力ある日本」の再生」と題する新しい二〇三〇年のビジョンも発表するなど、アベノミクスの経済再生への取り組みに大いに協調して行動していただいております。

 一方で、中小企業、小規模事業者向けの政策につきましては、二十六年度の補正、さらには二十七年度の予算、そして税制改正を含めて、あらゆるメニューをそろえておるわけでございますが、地元へ帰ってみますと、なかなかその政策が周知されていないというのが多く見られるわけでして、これについて、やはり各種政策を知ってもらいたい、これは政府の方でつくった資料ですが、こういったものを我々が地元で見せますと、なかなかみんな、ああ、知らないなということでございますので、こういったことをぜひ周知徹底していただきたいと思います。

 我々も、二年前、こういった「日本を元気に!」というパンフレットをつくって、配って努力をしたいと思いますが、やはりこの政策、それを活用していただかなければ意味がないわけでして、地域の窓口である商工会議所や商工会あるいは中小企業団体中央会等をうまく活用することによって、周知徹底を督励していただきたいと思っておりますが、経産大臣の御見解をお伺いいたします。

宮沢国務大臣 やはり、中小企業対策を成果を出すためには、それこそ全国津々浦々にあります商工会議所、商工会の役割というのは大変大事な役割だと思っております。

 例えば、よろず支援拠点というものを昨年六月に各都道府県に整備をいたしまして、商工会議所、商工会、地域金融機関を初めとする全国二万三千の認定支援機関と連携しながら、いろいろな適切な施策の紹介などをやっているわけでありますけれども、今委員の御指摘は、まだまだ周知徹底が足りないぞ、こういうお話だと思います。もう一度指示をし直しまして、しっかりと、こういう支援策がきっちり用意されているということを全国津々浦々の中小企業、小規模事業者が知っていただくような手だてを講じたいと思っております。

塩谷委員 ぜひ周知徹底をお願いしたいと思っております。

 さて、公共事業関係費について一点お伺いしたいと思います。

 維新の党の皆さんより、一つは、例年五兆円だった公共事業費が二倍の十兆円に膨れ上がっている、もう一点は、毎年二兆から四兆円を使い残しているという指摘を、テレビ討論や、一昨日の代表質問でも取り上げられました。

 資料もいただいたわけですが、平成二十一年度当初予算七兆一千億円をピークに、民主党政権では減額されました。そして、平成二十六年度当初予算でも約六兆円でありまして、ここ数年、横ばいだと思っております。

 この五兆が十兆、二倍になったという、どういう数字を比較しているのかちょっと疑問に思うわけでございまして、誤ったこういった数字を運用することについて、大変問題だと思っておりますが、太田大臣、この事実関係について正確に、そして、かつ、繰り越し等の背景についても丁寧に御説明いただけたらと思います。

太田国務大臣 ここ数年、決算ベースで公共事業が例年の二倍に膨れ上がっている、こういう指摘があるということでありますけれども、安倍内閣で、財政制約もありまして、公共事業が急にふえたというような事実はございません。

 第一に申し上げたいのは、例年五兆円だった公共事業が十兆円になっている、これは、この五兆円というのは当初予算、本予算が五兆円であるということだと思います。それに比べまして、十兆円の方は決算ベースの予算現額というもので、そもそも二つを比べるというものではございません。そうしたことではないということだと思います。

 予算現額といいますのは、当初予算、本予算、プラスして補正予算と、そして前年度からの繰り越しということを合計したものでありまして、当初予算の数字と比べますと、それは大きくなるというのは当たり前でありまして、そもそもこの二つを比べるべきものではないということを申し上げたいと思います。

 その決算ベースにおける予算現額ということ自体の数字を正確に申し上げますと、民主党政権の平成二十三年度九・七兆円というふうになっています。そして、二十四年度十・一兆円、安倍内閣の二十五年度は十・二兆円、二十六年度は、これはまだこれから最終ですが、推計九・三兆円となっています。

 つまり、この四年間で、九・七、十・一、十・二、そして九・三という状況でありまして、これは中身については特会を入れるとかいろいろなこともあるんですが、その辺、ほぼ同じようなレベルになっているということで、安倍内閣で急にふえているということではございません。

 第三に、二兆円から四兆円の使い残しがあって、これは無駄ではないかとかいうお話があったりいたします。

 繰り越しの額は、これは年度によって差が当然あるわけですが、補正予算が年度末に成立をするという場合には、かなりの額が翌年度に繰り越されるということになります。また、公共事業は、単年度で全てが決着がつくというものではありませんで、発注から完成までに時間がかかるために年度をまたぐ、こういうことで予算を執行する場合がございます。

 したがって、一番大事なことは、繰り越しということも含めて、肝心なのは、予算がしっかりと執行できているかどうかという一点だと私は思います。

 そういう意味では、この公共事業予算につきまして、予算執行を、去年も特に早く執行ができるようにという特命が下っておりまして、かなり早い執行がされておりまして、ほとんどが現行は執行されているという状況にございます。

 これが現在のところでありますが、公共事業は、雨の降り方がおかしいとか、さまざまな災害が起きるということからいきまして、しっかりした防災、減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化ということが、メーンストリームにそれをしながら、そして、都市間競争や地方の創生ということにも寄与するということを、中身を財政制約の中から吟味してやらせていただいているというのが現状でございます。

塩谷委員 ありがとうございます。

 誤った指摘が時々出てくると思いますが、正確な説明を、ぜひ内閣も、それぞれの立場でお願いしたいと思います。

 さて、今回、予算編成、税制改正における与党の関与についてちょっとお話ししたいと思います。

 今回、選挙の影響で日程的に大変厳しい中で、我が党としても、党の部会等で議論を重ねてまいったわけでございます。その上で税制大綱そして予算大綱を決めてきたわけでございますが、税制については、かなり連日、政府とのやりとりの中で決着をつけた、これはこれで大変民主的な方法であったと思うわけでございます。

 しかしながら、予算については、最終、閣議決定の前に一度やはり政府側としっかり議論する機会が必要ではないか、今回も、税制あるいは予算大綱、大臣折衝まで携わった一人としてそれを感ずるわけでございます。

 もちろん、過去において局長折衝とかあるいは次官折衝とか、第一次内示、第二次内示というような各段階を経るようなことは、最近は、財政的には分捕る予算も余りありませんのでなかなか難しいとは思いますが、やはり、国民からいろいろな要望を受けて、我々それを反映する立場としては、最終段階で一度数字を見てその議論をさせていただきたいと思いましたので、予算についてそういう今後の手続を踏んでいただくことが大事だと思っておりますが、総理、そのことについて御見解を。

安倍内閣総理大臣 今年度の予算編成においては、今、塩谷委員がおっしゃったように、総選挙の後、時間が限られている中で、与党の皆様に御協力をいただき、国民生活に支障を来すことのないように迅速に進めることができたと思います。

 委員には、政調会長代行として、全議員が参加可能な党の政調全体会議で、予算編成大綱について議論する機会を新たに設けていただいたと思います。党内の議論の活性化にもリーダーシップを発揮していただき、御礼を申し上げたいと思います。

 政府としては、引き続き、与党の御議論を尊重していく考えであります。今後とも適切な予算編成にその上で努めてまいりたい、このように考えております。

塩谷委員 ぜひ、今後とも、政府・与党と協力してしっかりとした答えを出していきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 委員長からいろいろと御意見がありましたので、ちょっと時間もなくなりましたので、パネルを早く出せということでございまして、済みません、いわゆる改革断行国会についてはまたいろいろと後の委員の質問に任せるとして、財政再建計画についてちょっとお話を伺いたいと思います。

 アベノミクス、財政健全化、社会保障制度改革の整理をしますと、財政再建のいわゆる位置づけというものが見えてくると思いますが、当然、デフレ脱却、そして経済再生、これが財政の健全化にも寄与する、これがまた一方で経済成長にもつながってくる、また、財政健全化は社会保障制度改革にもつながる、この社会保障制度改革がまた需要につながる、こういう三角形が、大体整理するとこういう状況になると思っております。

 そこで、財政再建について御質問をしたいと思いますが、二〇一五年で赤字半減目標のめどがついたわけで、今後は、二〇二〇年のプライマリーバランスの黒字化目標、これに向けて具体的な計画を進めていくということで、夏までにその策定をされるということでございますが、これは、聖域を設けることなく歳出歳入全般にわたって総合的、具体的な検討を行うべく、我々としても党において特命委員会を立ち上げたところでございます。

 そういう中で、新たな財政健全化計画、いわば二〇二〇年までの予算編成の基本方針ということになると思いますが、この財政健全化計画に対して甘利大臣の御見解、計画の策定への御決意をお願いしたいと思います。

甘利国務大臣 我が国の債務残高の状況が先進国中極めて状況が悪いということは、与野党共通の認識で、一刻も早い改善が必要であると。

 これに対して、安倍政権といたしましては、経済の再生、それから財政の健全化、この両立を図っていく。両立を図るということは、お互いの改革がお互いの改革を加速するという、いわばこの面でも好循環を生み出していくわけであります。財政の健全化が進めば、国債費を除いた枠がたくさんとれるわけでありますから、それによって政策の自由度が上がる。政策の自由度を上げることによって税収をふやして、それがさらに財政の健全化に資するというような好循環を目指していくわけであります。

 そこで、この両面から見て、二〇二〇年度を目指して、PBが黒字化する、残りが三・三%、これを改善していくという目標をつくっていくわけであります。

 まず、デフレからの脱却をして経済成長をしっかり確保する。その中で、歳出の改革をし、さらに歳入の改革をしていく。

 つまり、経済成長で税収をふやす。それから、歳出を聖域なく見直して健全化を図っていく。大きな支出面でいうと、社会保障の支出、それから地方財政というのが二つの大きな柱になると思いますが、そして、それ以外についても、それぞれ知恵を駆使して、単なる機械的に削減していくということではなくて、システムを改革して結果として歳出効率化が図られるというような知恵もいろいろ駆使して、取り組んでいきたいと思っております。

 今、諮問会議の民間議員を中心にそれぞれの分野での方向性の取りまとめを図っていただいているところでありまして、夏をめどに具体的な案を、工程表等を提示していきたいというふうに思っております。

塩谷委員 先般、内閣府から、中期経済財政に関する試算、それから財務省からも、平成二十七年度予算後年度歳出歳入への影響試算ということが発表されたわけでございます。

 内閣府の経済再生ケースでいきますと、これが、二〇二〇年、マイナスで九・四兆円。これは経済再生ケースでありますから、経済が順調に発展していくということ。それが、今の状況の延長でいきますと、ベースラインケースでありますが、最終的には十六・四兆円という数字が出てきます。

 また、財務省の方の試算によりますと、これも経済成長三%ケースで、二〇二〇年には八兆円。さらには、一・五%ケースでは、十一・一兆円ということであります。

 ほぼ同じようなトレンドの内容になっているわけでございますが、これを単純に毎年どう対応していくかということを考えますと、数兆円ずつこれを削減するというのは、この数字を見ると大変困難な状況がうかがえるわけでして、これはやはり歳出の削減、特に、先ほど甘利大臣もおっしゃいましたが、社会保障のこと、これについての聖域なき検討をすることが必要だと思っておりますが、こういった状況を踏まえて、新たな財政計画にも当然反映していかなければならないと考えております。

 麻生財務大臣の御見解をお伺いいたします。

麻生国務大臣 これは、今後、安倍内閣の三カ年の予算編成の中におきまして、平成二十五年度から二十七年度までのあれを見ますと、生活保護の見直し、診療報酬の改定、介護報酬の改定等々を通じて、社会保障の自然増、なぜなら予算全体に占めますうちの社会保障は約三割という形になっておりますので、これは非常に大きな部分を占めております。これの自然増が毎年一兆とよく言われる話のものなんですが、それの重点化、効率化を進めさせてきていただいた結果、おかげさまで、二〇一五年度におきましては、当初の目標でありました三・三、いわゆるプライマリーバランスの二〇一〇年度比を半減ということまで見込めるところになりました。

 そこで、次が、ここに書いてある二〇二〇年の右側の数字なんですが、目的の達成はゼロで、ゼロというのはプライマリーバランスをバランスさせるということでもありますので、今この数字ではさらなる赤字があるということになっておりますので、この点に関しましては、これは財政健全化計画に、この夏までにやらせていただこうと思っております。

 これは、これまでどおり、歳出全般にわたって、社会保障はもちろんのことですけれども、これまでの取り組みをさらに徹底させて、聖域なく徹底的な見直しを行う必要もあろうと思いますし、また、税収増ということで、経済の成長によって税収の増加もあろうと思いますので、いずれも、社会保障の自然増を含めまして歳出の重点化かつ効率化を図っていくと同時に、経済の成長と両方でやっていかないと、なかなかこれは簡単な話ではないのであって、半分行ったから大丈夫じゃないかというような簡単な話ではございませんので、私どもとしては、徹底した効率化等々に目を配ってまいりたいと考えております。

塩谷委員 今大臣のおっしゃったように、経済成長と歳入、歳出、その三つのバランスをとっていくことが大事だと思っております。

 そういう中で、当然、経済を成長させなきゃいけませんし、また歳出についても、社会保障あるいは地方交付税交付金等、具体的にどうするか、あるいは数字として今後計画の中にどう位置づけるか、そういったことも含めてぜひ十分な議論をしていただいて、総理にも、また健全化に向けてリーダーシップをとっていただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので、ちょっと、あとお話し申し上げたいのは、一つは成長戦略。

 これからしっかりと進めていかなきゃならない中で、科学技術について、やはりこれが我が国としては成長の大きな柱であるということで、いろいろなプロジェクトがありますが、今回は、省庁横断的なSIPや革新的研究開発に挑戦するImPACT、こういったものが創成されたことは非常に評価するわけであります。

 そして、科学技術基本計画の第四次の計画が来年で最終年度を迎える。これが、中期防衛計画を除いては唯一、予算の総合目標が明確にされているわけでして、五年間で二十五兆円。これは、最終年度を迎えても、残念ながら二十五兆円は難しい状況にあります。

 ことしの末には第五期の計画が予定されておりますが、これに対して、これから将来に向けての成長の大きな柱となる科学技術の予算について、ぜひ、総額についてしっかりとした目標を立てていただきたいわけでございます。

 特に、ロボット技術等がこれから必要ですし、その他いろいろな技術的な開発が求められることがありますし、また、国際リニアコライダー計画という、大変国際的な問題として、国家事業として積極的に取り組むべきだと思っております。

 ぜひこの点を、これから五期の計画を作成するに当たって、総理の御所見をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 イノベーションは成長戦略の重要な柱であります。

 世界に誇れる日本の技術力、研究開発力を強化し、イノベーションが絶え間なく起こるような国をつくりたいと考えています。また、地方の強みを生かした研究成果を雇用や新産業へとつなげる上で、イノベーションは重要な役割を果たしており、産学官連携や研究環境整備を進めることも必要です。

 こうした点を踏まえながら、将来への投資である科学技術・イノベーション政策を強力に推進できるよう、第五期科学技術基本計画においては、投資総額の目標についても検討を進め、日本を世界で最もイノベーションに適した国とすることを目指していきたいと考えております。

塩谷委員 ありがとうございます。

 最後に、地方創生についてちょっと一言申し上げたいと思いますが、これは当然、我が国にとって非常に大きな課題であり、地方の人口減少あるいは人口流出等に対応していかなければならないと思っております。

 先ごろノーベル賞を受賞した天野浩教授は、我が地元の出身でございまして、ことし県民栄誉賞をいただいたわけですが、ありがたいことに、インタビューで、LEDの仕事をシーズに新しい産業をこの地で育てていきたい、県民がより元気になるように貢献できればとおっしゃっております。さらに、県西部の輸送機産業に対して、電気自動車、燃料電池等の高性能、高効率のパワートランジスタをつくりたい、この地域の産業と一緒に仕事ができればと。大変ありがたいことだと思っております。

 また、我が地方には、スズキ、ヤマハ、ホンダ、輸送機産業があります。また、世界をリードする、機械産業をリードする、浜松ホトニクスという産業があります。他の地域から比べると、大変恵まれている。気候もいいし、住みやすい。

 ところが、一昨年の人口流出がワースト二位で、ことしも続いて二位。かつては三千人、四千人でしたが、七千人という規模になる。この恵まれた静岡県でさえ流出が進んでいるということは、地方創生というのは大変また難しいと思っております。

 そしてもう一点は、私の友人である法政大学院の坂本光司教授が、全国の、人を大切にする企業、これは四千社ぐらい調べているんですが、これに対して、人を大切にするということは、その企業の、子供の数が、平均だと一・四人ぐらいが、二人か三人ぐらい。

 ですから、人を大事にする企業を育てるということも大事だと思っておりますので、そういう点も、まずは第四の矢としてぜひ検討していただきたいと思います。

 時間が来ましたので終わりたいと思いますが、ぜひ、ともに頑張って、政府を支えて、日本の経済再生に頑張ってまいりたいと思います。

 きょうは本当にありがとうございました。

大島委員長 この際、齋藤健君から関連質疑の申し出があります。塩谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健でございます。

 本日は、安倍内閣が改革断行国会と位置づける中で一番手として取り組むことになります六十年ぶりの農協改革と、報道等によりますと正念場を迎えつつありますTPPにつきまして、質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、その前提として申し上げておかなくてはいけないのは、今、日本の農業は大変大きな曲がり角にあるということでございます。

 これから国内の人口はどんどん減少をしていきます。まだ毎年二十数万人ぐらいの減少でありますが、これから加速がついていきまして、毎年八十万とか百万とか、そういう勢いで人口は減少をしていきます。

 人口が減少すれば、我が国の農産物の国内需要も、当然のことながらそれにつられて減少をしていきます。日本農業が今までと同じことをやっていたのでは、国内需要の減少に応じて農家の所得も必然的に減っていく、こうなっていく事態がもう目前に迫っているわけでございます。

 このような事態に直面しても、なお、日本の農家の所得を維持し、そして向上させていくためには、大きく言えば方法は二つしかございません。

 一つは、国内の需要が減少していくのであれば、海外の需要をとりに行く。それが一つの方法であります。そしてもう一つは、生産に偏っておりました農業が、流通ですとか加工ですとか製造ですとか、そういうところに出ることによって、そこで付加価値を高めて農家の取り分をふやしていく。この二つの方法以外に手はありません。

 もちろん、全てに共通することといたしまして、コストを下げていって取り分をふやしましょうとか、自給率を上げていきましょうとか、そういう試みは当然あるわけでありますが、大きな方向としては、今申し上げた二つの方向しかないんです。

 しかも、今の農家の高齢化、平均年齢は六十六歳を超え、稲作に限れば七十歳を超えるという状況で、改革に残された時間は限られております。

 そこで、農協改革でございます。

 これから、本委員会を初めとして、この国会で与野党で活発な議論が行われていくと思いますが、早くも曲解に基づいた議論が横行し始めているように思えてなりません。今後の国会での議論を実りあるものとしていくために、我が党の農協改革についての考え方、方向性について、先日取りまとめられました農協改革等の骨格に基づいて、まずは出発点としてきちんと確認をしていくことが必要だろうと思っております。

 まず、その前にもう一言申し上げたいのは、今回の農協改革は、冒頭述べました、日本の農業をこの曲がり角からどう救っていくかという危機感のもとに講じられつつあります一連の農政改革の一環であるということでございます。

 ここでパネルをごらんいただきたいんですけれども、このパネルをごらんいただくとわかりますように、平成二十五年の十二月、政府・与党が協力をいたしまして、農林水産業・地域の活力創造プランというのを決定いたしました。

 このプランの中には、今の農地をもう少し集積して大規模化していくための、相当知恵を絞った、農地集積バンクというものを創設しようということがうたわれておりまして、これは二十六年の三月に法律を施行するところまで持っていきました。民主党さんにも衆議院で大賛成をいただいております。

 また、米の生産調整、人口がどんどん減っていく中で、国が都道府県に米の生産量を割り当てていくという方法は、いずれどこかで行き詰まるということでありますので、これを四十年ぶりに見直して新しい方法でやっていこうということも、二十五年十二月に決断をいたしました。しかし、水田は維持するにはどうしたらいいか。食べるお米の量が減っていくのであれば、餌米をふやすことによって水田を何とか維持していこうということで、水田フル活用による飼料米等の生産を強化していこうという方針も打ち出しております。

 それから、今までは、農業政策といっても地域政策と混然一体となってよくわからないということがありましたので、できるだけ、農業政策とそれからインフラ整備みたいなものを明確化して分けて、説明をしやすい、透明化を図っていこうということで、そういう制度改革も行っております。

 さらには、生産調整で、これから割り当て量が減っていくにもかかわらず、それを守った人には補助金を出すということは、もはややめなくてはいけないということで、前政権のもとでの旧戸別所得補償の段階的廃止も決定をさせていただいたところであります。

 さらには、収入保険ということで、農家の経営は、ややもすると波があります。その波を抑えて経営を安定化させていくための収入保険の導入もこれから図っていこうという決断もしておりますし、輸出額をふやす目標を設定したり、先ほど申し上げましたように、流通、加工に出ていくときの、六次産業化と言っているわけでありますが、推進するためのファンドを設立したり、これが平成二十五年十二月に決定をされて、順次実行に移されているわけであります。

 そして、そのとき残ったのが農協、農業委員会、農業生産法人の改革でありまして、そのときに、二十六年六月にまとめましょうということになったわけであります。

 そして、通常国会におきましては、地域の農産物のブランド化を進めていこうということで、書いてありますように、地理的表示保護制度の創設もいたしました。また、養豚や花卉の振興も図っていこうということで、議員立法で成立をさせていただいたところであります。

 そして、お約束どおり、昨年の六月に、農協、農業委員会、農業生産法人の改革の具体的な姿が与党と政府で取りまとめられることになりまして、そこでは今国会に法案を提出しようということが決まっておりまして、今回、農協等の改革の法制度等の骨格が決定をされたということであります。

 このように、大事なことは、こういった農政改革のいわば最後に残った改革が今回の農協改革なんだということでございます。にもかかわらず、この我が党が行っている改革が、あたかも農協改革だけで農家の所得を上げようとしているというニュアンスで批判をされる政治勢力がございますが、そういう言い方はフェアではないということをまず申し上げておきたいと思います。

 そこで、農協改革でございますが、時間がありませんので本質だけの紹介にとどまらざるを得ないと思いますが、パネルを見ていただきますと、今までの農協の仕組みというのは、全国団体である全国中央会がございまして、そして都道府県ごとに県の中央会がございまして、現在、地域に七百の地域農協がございます。そして、法律によりまして、全国のJAが、法律に基づく監査、指導を地域農協に行うということになっておりまして、農協法三十七条の二では、地域の農協が全中の監査を受けねばならないというふうにされているところでございます。

 振り返れば、昭和二十九年に現在の中央会制度が導入されたときには、全国で一万以上の農協がございまして、小規模な農協が経営難に陥りまして、その再建、整備等に全中が多大なる努力をされてきて、そして合併を推進してきて、今日、地域農協が自立をできるところまでやってきたのは事実でございまして、その貢献は、私は高く評価をされるんだろうと思います。

 ただ、時代が変わりました。この図を見ていただくとわかりますように、この三角の中でいろいろとやってきた取り組みだけでは、先ほど申し上げましたような、農家の所得を今後維持拡大していくことはなかなか難しいということになっているわけであります。矢印に書いてありますように、流通ですとか加工ですとか海外ですとか、そういうところともっともっとタイアップをしながら所得を上げていかなくてはいけない状況になってきているというわけでありますので、そういうところと組みやすいような自由な選択肢を今度は農協制度のもとに組み立てていかなくてはいけないということになったわけであります。

 したがいまして、全中の社団法人への移行ですとか、あるいは、監査、指導が法律に基づいて行われて、義務づけられておりましたものを、公認会計士監査の義務づけに移行したり、あるいは、法律に基づく指導ではなくて、求めに応じて経営相談に全中、県中が応じていくという仕組み、そして、例えば流通と組むためには流通に詳しい人の指導を受けようということもできるようにしていくということが今回の趣旨でございます。今までおつき合いのなかった分野とおつき合いをしていかなくちゃいけなくなったというのが時代でございます。

 同時に、地域の農協の理事も、こういう新しい時代にふさわしい理事が選ばれるようにならなくてはいけないという問題提起もさせていただいているわけでございます。

 しかし、環境整備をやっても、環境整備だけでは物事は動かないわけでありまして、新しい時代にふさわしい意識改革というものが必要なのは言うまでもありません。意識改革がなければ、やらないのと同じだと私は思います。

 自由度が増した制度のもとで、地域の農協において、自主独立の気概でもって新しい地平線を開いていってほしい。逆に言うと、それができなければ、待ち構えているのは国内需要減によるじり貧だということであります。そうなってほしくない、それが終始今回の改革に携わってきた者の一人の強い願いであります。

 そこで、総理にお伺いをいたします。

 今次の農協改革におきまして、総理が一番重要なことだと考えておられることは一体何なのか。そしてまた、新しく生まれ変わる農協について、全中あるいは地域の農協の使命について、総理はどうお考えになっているかということをお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 齋藤委員には、伝統ある自民党の農林部会に、まさに新たな部会長として、新しいタイプの部会長として新風を吹き込んでいただいたと、敬意を表したいと思います。

 今回の改革で何が一番大切か。それは、やはり若い方々が、自分たちの情熱や意欲や努力で新たな地平を切り開くことができる分野だ、このように思ってもらえる、そういう成長産業に変えていくことであります。

 私の地元も、山村、農林地帯であります。そこで頑張っているおじいちゃんやおばあちゃんも含め、本当に真面目に朝早く起きていいものをつくっているんですよ。いいものをつくっているんだけれども、後継者はいない、あるいは収入が余り上がらない。

 その原因というのは、やはり、戦後七十年たって、農協も生まれて、昭和二十九年ですから、私も昭和二十九年生まれですから中央会とともに生まれたんですが、この六十年で大きく変わった。この変わってきた中において、消費者のニーズを確かめる、そしてしっかりとした営業をやる、付加価値を与える、生産性を上げて、そしてそうしたものの利益がしっかりと生産者に入るようにしていく、また新たな六次産業化等々も進めていく。

 そういう中において、やはり地域の農協が主役になって、今回の農協改革は、地域の農協と担い手が一緒になって、創意工夫を生かしてブランド化をしていく、付加価値を上げていく、あるいは海外展開、日本の農産物、安全でおいしい、少し高くても買いたいという人はたくさんいますから、そういう展開をどんどんしていく。ダイナミックな展開、地域の単協も担い手の皆さんや地域の方々と一緒になってそれを可能とする、そういう改革であります。

 改革したらすぐに収入がふえるわけではなくて、改革することによってそういう環境をつくることが可能となったということではないかと思います。

 我々は、まさに農業が成長分野となり、これは地方においては地域の一番大きな基幹産業でありますから、その基幹産業として、さらに農業に参加する若者がふえる、そういう農村、農業に変えていきたい、このように思っております。

齋藤(健)委員 総理も大きく変わられましたので、全中にも大きくこれから変わっていっていただきたいなと思うところでございます。

 次に、私は、このままでは日本の農業もなかなか厳しい状況になるんだろうと思いますが、しかし、私もいろいろな産業を政府の中で仕事として見させていただいておりますけれども、農業ほどやりようによって伸び代の大きい産業はほかになかなかないのではないかと思われるほど、農業には可能性があると私は思います。

 そこで、総理にお伺いをしたいと思いますが、総理は、海外に行かれるたびに、和食を一緒に持っていかれて、そして現地で大きくPRをしていただいております。総理は日本の農産物の海外での需要拡大の可能性についてどのように認識されておられるか、お伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日本の農産物は、いわば地理的な条件からコストも高いし、海外展開は難しいのではないか、こう言われ続けてきたわけでございますが、昨年オランダに参りました。オランダは面積は大変小さいんですが、農産物の輸出額としては世界第二位であります。あんなに面積は小さいのに、さまざまな創意工夫によってそれを可能とした。日本にはさまざまなすばらしい農産物があって、これを海外に展開するという発想が余りなかったんだろう、こう思います。

 必ず私は、海外に出張する際、日本の農産物を持ってまいりまして、紹介をします。誰もがこれはすばらしいと本当に感激をしてくれますし、特に果物、まさにこれは芸術だ、多少高くてもこんなおいしいものは買いたいという人はたくさんいるわけでありまして、日本酒もそうなんだろうと思いますね。今まで日本酒というのはなかなか海外では売れないという、この先入観を変えていくことが大切だろうと思います。

 農水産物の一兆円という目標に向けて、約五千億から六千億にふえている。これはまさに、国内の市場が縮小していかざるを得ない中において、新たな活路を見出していく。まだ小さな一歩かもしれませんが、これは必ず大きな一歩になっていく。これからもどんどん発信をしていきたい、このように思っております。

 ことしはミラノで食の万博が開催されます。ここにおいても、日本食のすばらしさというのはその食材のすばらしさでもありますから、この農水産物、日本のすばらしい農水産物のよさをどんどん発信していく機会として活用していきたいと思います。

齋藤(健)委員 ぜひ、引き続き、総理におきましては、総理みずから陣頭に立っての日本の農産物のPRに努めていただきたいとお願いを申し上げます。

 今回の農協改革に携わる中で、大変残念な発言をたくさん私は聞いてまいりました。その一つは、今回の改革はアメリカの要求によってこういうことをやらされているんだというような、そういう指摘。それから、さらに言えば、TPPで反対運動を繰り広げた団体に対する意趣返しだとか、そういう報道がなされておりまして、真剣に携わってきた者としては、本当に情けない、一言でございます。

 こういった論調があることについて、総理はどのように認識されているか、お伺いをしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 よくある、アメリカにやらされているという陰謀論、それと意趣返し、全くばかげた話だと思います。

 まさに、我々は、農業は国の基である、これは自民党の基本的な考え方だろう。このままでは大変なことになる。農業の衰退というのは、地方の消滅、美しい景観の消滅、そして日本の伝統と文化の消滅にもつながっていくわけでありまして、この危機感の中で、今、私たちが改革を進めなければならない。まさに我々はそういう思いで、今、この改革を進めている。このことをしっかりと申し上げていきたい、このように思います。

齋藤(健)委員 私も、この改革の中で、一度たりともそういうプレッシャーを感じたことはなかったということを断言しておきたいと思います。

 私には、一つ夢があります。それはどういう夢かといいますと、日本の自動車は今アメリカで売れております。なぜ売れるようになったか。それは、日本の自動車メーカーが、こんなぽんこつ車は売れないよと言われながら、アメリカで売り歩いたからであります。日本のしょうゆは、今アメリカのスーパーで店頭に並んでおります。何でアメリカで売れるようになったのか。しょうゆメーカーの社員がスーパーの店頭に行って、アメリカの肉を焼きまして、日本のしょうゆをかけまして食べさせたから売れているのであります。

 自動車メーカーやしょうゆメーカーは大企業でありますので、社員がそれをやればやれないことはなかったわけでありますが、農家はそうはいきません。家族経営が中心の農家が、どんなにおいしいイチゴをつくっても、それをアメリカのスーパーで売り歩くことはできません。しかし、売り歩くことさえできれば、私は、日本のイチゴというものはアメリカの市場の一定の割合をとるだけの実力が必ずあると思っております。

 農家が売り歩けないならば、誰が売り歩くのか。農協だと思います。私の夢は、日本の農協の職員が、アメリカのスーパーで、アメリカのイチゴと日本のイチゴと並べて、アメリカ人に食べさせて、どうですかと言っている姿を見るのが私の一つの夢でございます。

 そして、そのときに、アメリカの国内の検疫が問題だとか、あるいはアメリカの輸入手続が問題だということがあるのであれば、それこそTPPで取り上げて、攻めてかち取っていくということを政府としてもやっていく。今、それが私の一つの、農協改革がうまくいった暁の夢でございます。

 最後に、TPPについてお伺いをいたしたいと思います。

 TPPについてさまざまな報道がなされるものですから、皆さん大変不安になっているのが今の状況ではないかと私は思います。

 アメリカは、ことしの秋以降は、もう次期大統領選に突入をいたしますので、なかなか大きな政治的決断ができない状況になると言われております。

 そうなりますと、オバマ大統領の立場に立ってみますと、ことしの夏ぐらいまでに、ある一つの決断をしなくてはいけないということになるのではないかと思います。その決断とは、TPPをまとめられなかった大統領というふうに言われるマイナスと、もう一つは、まとめたけれどもすごく妥協しましたねと言われるマイナスと、そのどっちかのマイナスを選択しなくてはいけない局面が、オバマ大統領にとっては夏ぐらいまでに訪れるのではないかと思います。

 一方、議会で優勢であります共和党にとりましても、このままTPPが漂流をして、いつになったら自分たちの利益が上がるような合意ができるのかわからないという状況を続ける方を選択するのか、それよりも、今、十分ではないけれどもとれるものをとっておこうという方をとるのか、議会もその決断を恐らく夏ぐらいまでの間に迫られてくるという状況なんだろうと思います。

 私が申し上げたいのは、そういうアメリカの状況を考えますと、日本の交渉にとって地合いは悪くないというふうに思います。ですから、最後の一瞬まで我慢比べのような状況になるかもしれませんけれども、最後の一瞬までこの我慢比べに耐えて、日本の国益を最大限とった形での決着をぜひともしていただきたいなというふうに思います。

 一点だけ、交渉で奮闘されております甘利大臣にお伺いをしたいわけであります。

 TPP交渉におきましては、衆議院の農水委員会での決議というものがございます。いろいろ書いてあるんですが、そこで大事なところは、「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。」という決議がなされているわけであります。

 きのうも日本養豚協会の方々が来られて、とりわけ、青年部の方が来られて、大変心配をしておりました。自分たちは膨大な借金をして今やっているんだけれども、齋藤さん、続けていっていいんですかということで迫られました。

 そういう皆さんの思いも踏まえて交渉されているとは思いますけれども、正念場を迎えるTPP交渉でありますので、改めて、この国会決議と交渉の取り組みについて、交渉に携わっておられます甘利大臣にお伺いをしたいと思います。

甘利国務大臣 養豚のお話が出ました。養豚の責任者は予算委員長で、議員としての団体の責任者だそうでございまして、委員長からもきつく要請をいただいております。

 TPPのチームは、外務省や通産省や農水省、各省から混成チームで、現場のことがすぐ対応できるような、影響が試算できるようなメンバーで構成をされていまして、私も、農産品の、特にその五品目に関しまして、交渉に当たる交渉官に、農水とすり合わせをしながら、まさに再生産可能になる道が閉ざされないように、きちんと、どこまでがぎりぎりの限界かということを、これは手探りでありますけれども、しながら、極力影響を最小限にする、そして、対策をどう講ずれば再生産が可能になるか等々も含めながら、慎重に協議を進めているところであります。

 衆参農水委員会の決議についてはしっかり踏まえて取り組んでいるつもりでありますし、その最終的な御判断は議会でしていただくということになろうかと思います。

齋藤(健)委員 ありがとうございました。終わります。

大島委員長 この際、衛藤征士郎君から関連質疑の申し出があります。塩谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。衛藤征士郎君。

衛藤委員 冒頭、ISILの犠牲になられた国内外の方々に対して衷心より哀悼の意を表します。また、御家族の方に対して心からお見舞いを申し上げます。

 総理には、連日、日本と世界の平和と安定、繁栄のために献身的に御尽力をされておられます。心から敬意を表し、感謝を申し上げます。

 さて、さきの総裁選におきまして、不肖私が総理に対して二つの注文を申し上げましたのを記憶でしょうか。一つは、国会力を強化するために、国会改革の断行、わかりやすく言うと、衆議院と参議院を対等に統合して一院制の国会を目指すということ、もう一つは、法人税の実効税率を国際標準の二五%にお願いしたい、この二点をお願い申し上げました。

 総理は、わかりました、こういうような御返事をされましたが、総理におかれましては、誠心誠意、この二つのことについてのお取り組みをされておられまして、改めて敬意を表します。

 さて、冒頭、甘利経済再生大臣と宮沢経済産業大臣にお伺いいたします。

 経済再生と財政再建を両立させるための最適な法人実効税率は何%がベストであるとお考えでしょうか、お伺いいたします。そして、法人税率引き下げのデメリット、不利益は何かということについてもお尋ねします。

甘利国務大臣 最適な実効税率というのはなかなか解がないのであります。統計的に、どのくらいの税率をもって国の税収効率がいいかというのはあるのかもしれませんけれども、国によっていろいろ変わると思います。税率が高過ぎてもかえってよくないですし、では、ゼロがいいかといったらそれでは困っちゃうわけでありますから、そこは、ある種、過去のデータ、それからその国の経済成長の状況等々を見ながら手探りで探っていくということになろうかと思います。少なくとも、現状よりは数ポイント下げていくということがベターだというふうには思っております。

 それから、デメリットは、うまく設計すれば、それはデメリットはないと思います。要は設計次第だと思っております。

宮沢国務大臣 最適の法人税率という話ですけれども、例えば酒とかたばこというのは、これは財政物資と言われておりまして、酒税、たばこ税というのは、基本的には、最大の税収を取れるような税率にするのがいいということで基本的に決まってまいりますけれども、法人税の場合は税収が多ければ多いほどいいというわけでもございませんので、なかなか今の御質問にはお答えしにくいなと思います。

 一方で、表面税率を下げるデメリットというお話でありました。

 これはかなり大きな転換を実はしたんだろうと思っておりまして、これまでの法人税に関する考え方というのは、累次、法人税率、表面税率は下げてまいりましたけれども、基本的には、やはり政策誘導といったものをかなり大きく見ておりまして、例えば、設備投資をふやしたいときに設備投資の減税をするとか、また研究開発をふやしてくれというと研究開発の減税をするとかというような、一部の業界、一部の生産についてターゲティングのように政策的に減税してくるというようなことが大きな流れだったわけです。

 今回、ある意味では、中長期的には税収中立において税率を下げるということは、逆に言いますと、そういう政策誘導効果を少なくして、サービス業を含めて、広く民間でいろいろ知恵を出していただいて、それぞれ成長していただきたいというふうに、官主導の部分をかなり薄めたというのが実は今回の税率引き下げだろうと思っております。

 ということは、デメリットということは、これから政策誘導が必要なときに実はそれがしにくくなるということは、デメリットといえば恐らくデメリットだろうというふうに思います。

衛藤委員 私は、メリットについて以下の四点について考えております。

 第一点は、法人税の実効税率の引き下げによって経済の好循環ができ、また経済の持続的成長と財政の健全化に資することになる、また、二次産業、特に製造業の活性化と成長をもたらす、それから、雇用の増大と所得の拡大、さらには家計の安定に資する、そして、企業の海外移転にブレーキがかかる、再び日本に回帰する、カムバックするチャンスをつくる、こういうことだと私は思っています。

 改めて、担当の甘利大臣に、大臣がお考えになっている法人税実効税率引き下げのメリットをお答えいただきたいと思います。

甘利国務大臣 法人税は、上げれば上げるだけ入るわけではない、企業活動が停滞すれば税収は下がってしまう。では、引き下げれば引き下げるほどいいかといえば、これも、法人活動によって入ってくるもの、その税率が低過ぎて実は実額としては少なくなるということもあるわけであります。ですから、そのころ合い、経済活動と税収との効率が一番いいところを求めていくべきだというふうに申し上げました。

 今、実効税率を下げる作業をしておりますけれども、財務大臣にお骨折りいただいて、あるいは党税調にお骨折りいただいて取り組んでいますけれども、少なくとも今の取り組みは、経済活動を活性化させて税収を上げる、あるいは、法人税が国際標準並みになるとすると外へ出るメリットはなくなる、しかも、円が、過去の過度の円高が是正されているから、外にいるメリットはないから製造拠点を国内に回帰させる、雇用に資する、そういう点は間違いなく出てくるだろうというふうに思っております。

 要は、一番効率のいい線を設定する、それをしっかり探ることだというふうに思っております。

衛藤委員 法人税減税、実効税率の引き下げをしてもGDPはさほど伸びないとか、あるいは税収は減るんだ、こういうような声がよくあるわけでありますが、米国のカリフォルニア大学のロジャー・ゴードン教授による一九七〇年から一九九七年の七十カ国のデータの分析によると、法人税率一〇%の税率引き下げは一人当たりのGDP成長率を一・一から一・八%押し上げる、そして、企業の減税は国民に広く恩恵をもたらすという分析結果があります。

 また、先般、経産省が、国内売上高で上位一千社を対象にアンケートを実施しています。このアンケートの結果は、法人税率が一〇%下がれば、国内総生産、GDPが少なくとも七兆円ふえるというアンケート結果であります。また、このアンケートによりますと、三ないし五年程度でGDPは七兆円ふえ、税収は二〇一三年度より一兆六千億円ふえる、こういう結果が報告されています。

 また、このアンケートの中に、上位一千社の中で、海外に拠点を移す理由として、日本の法人実効税率の高さ、現在は三五・六四ですが、これを、非常に考慮する、または多少考慮すると答えた企業が五六%に上っています。

 また、法人税率を一〇%程度下げた場合、海外から事業の一部を日本に戻したり、国内投資の増加を検討したりする企業は四二%、こうなっておるわけであります。

 現行の法人実効税率三五・六四が一〇%下がれば、GDP、国内総生産が少なくとも七兆円ふえて、二〇一三年度より税収が一兆六千億円ふえるというこの経産省のアンケート結果について、経産大臣、お考えがあれば承りたいと思います。

宮沢国務大臣 手元にそのアンケートを持っておりませんものですから正確には申し上げられませんけれども、そういう報告を受けた記憶はございます。まさに、そういうふうにいってもらえれば大変ありがたいなと思っております。

衛藤委員 さて、法人税の実効税率ですが、よくグローバルスタンダードと言われるんですけれども、国際標準ですね、法人税の実効税率を調査してみますと、経済協力開発機構、OECD加盟国三十四カ国の平均の法人実効税率は二五%、二五・三二%ですね。それから、これから間もなく妥結されるだろうTPP加盟国十二カ国の平均法人実効税率は二六・九。このTPP十二カ国の中にあって、日本の法人実効税率は、東京で三五・六四、御案内のとおりです。米国は四〇・七五、こうなっておるわけであります。また、EU加盟国十五カ国の平均は二六・二%、こうなっておりまして、EU加盟国十五カ国は、二〇〇〇年から二〇一四年の間に三五%から二六%に引き下げています。

 さて、経産省のアンケートですが、アンケート調査では、海外に事業展開している二百七十五社にアンケートを求めております。法人税の実効税率がこのまま引き下げられなければ、企業としては、さらに海外に移転する、あるいは国内事業比率を見直すとの回答が、百四十三社、五二%あるということであります。

 また、外資系企業の動向調査によりますと、日本でのビジネスコストの阻害要因は、一つは人件費が高い、もう一つは税負担。人件費は七二・五%、二番手に、六三・六%で、大きな阻害要因に法人税のことについてアンケートが出ております。

 私どもは、この法人税の実効税率の引き下げによって、立地競争力の強化、あるいは経済の好循環の実現、そして企業収益の拡大、賃上げ、設備投資、下請中小企業の取引条件の改善に結びつけることを目的としているわけであります。

 さて、私は冒頭、製造業についても言及しました。

 これは国税庁の統計でありますが、平成二年、法人数は二百二十八万社で、このとき法人税収が十八兆三千八百億ありました。そして、いわゆる黒字法人の数が二百二十八万社中百八万社、つまり、四七%は納税をしているわけであります。平成二十五年、法人数は二百七十七万社、そして法人税収は十兆五千億。平成二年は法人税収が十八兆三千八百億、平成二十五年は十兆五千億。法人数二百七十七万社で黒字法人は八十万五千社、つまり、黒字で納税をしてくださる法人数は二九%。平成二年は四七%、平成二十五年は二九%、こういうことになってございます。

 また、これを裏づけますように、総務省統計によりますと、平成二年、就業者総数は六千二百五十万人、製造業を中心とする第二次産業の従事者は二千百万人で、就業者総数に対して三四%の第二次産業就業者。平成二十五年、就業者総数六千三百十万人、第二次産業に従事する者千五百四十万人、就業者総数に対する第二次産業就業者の割合は二四%。平成二年には三四%、平成二十五年には二四%。実に、二十三年間で五百六十万人の方が製造業を中心とする二次産業から離職をしている、雇用を喪失しているということであります。

 この統計は、製造業を中心とする第二次産業の衰退が我が国経済の低迷、衰退をもたらしたことを如実に示していると思います。我々は、製造業を中心とする第二次産業の復活、成長にこれから注力してまいらなければならない、このように考えておりますが、総務省あるいは経産省、そして国税庁のこの調査、統計を踏まえた総理の御所見をお伺い申し上げたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回の法人税改革でありますが、法人税一般に対する政府の基本的な考え方は先ほど甘利大臣からお答えをさせていただいておりますが、税収との考え方でまいりますと、先ほど甘利大臣が答えたように、いわば税率をどんどん上げていけば果たして税収がふえるかということでございます。しかし、税率をどんどん下げていって、例えば一%、二%にしてしまえば、ほとんど税収は入らないということになりますし、他方、五〇%にすれば、企業がどんどん出ていって、結果として法人税どころか所得税も入らないということになっていくわけでございまして、そこはやはりいいあんばいのところを狙っていくということが大切なんだろう。

 いずれにせよ、グローバルな経済の中においては、グローバルな中における各国の動向をしっかりと注視し、競争力を失わないことが大切なんだろうなと思います。

 その中で、今回の法人税改革は、広く負担を分かち合い、稼ぐ力のある企業等の税負担を軽減することによって法人税を成長志向型の構造に変えていく、そういう狙いであります。

 平成二十七年度改正においては、平成二十七年度に二・五一%、平成二十八年度に三・二九%の税率引き下げを行うこととしています。平成二十八年度税制改正においても、課税ベースの拡大等によって財源を確保して、税率引き下げ幅のさらなる上乗せを図り、その後も引き続き、数年で税率を二〇%台まで引き下げ、国際的に遜色のない水準とすることを目指し、改革を継続していく考えであります。

 こうした取り組みを行っていくことは、企業が積極的に収益力の改善を図っていく、設備投資をしっかりと行っていく、あるいは人材にちゃんと投資をするという意味において、賃上げにつながっていくということもあります。

 また、我々は、ただこうしたことを行うだけではなくて、政労使の場をつくって、そこでいろいろなことをお願いしながら、例えば、下請企業の価格転嫁を、しっかりとそれに対しては対応する、そうした取り組みも進めていく、こうしたことを一体的に行っていきたい、このように考えております。

衛藤委員 総理が、数年以内に法人税の実効税率を二〇%台にする、そういう御発言をされました。この御発言のインパクトとメッセージ力というのは極めて大きいものがあると思います。

 これを受けるかのように、例えばシャープ、ダイキン、パナソニックあるいはキヤノン等々が海外の生産拠点、その一部を国内に戻す、工場をまた戻す、こういうような動きが出てまいりました。

 もちろん、これには円高、為替レートの問題もあります、また、海外における人件費が高騰してきたということもありますけれども、総理が法人税の実効税率を二〇%台にするという、その御発言を受けて、例えばシャープさんは、液晶テレビを栃木県へ、空気清浄機を大阪へ、これは中国で生産しておるものであります。また、ダイキン工業も、中国で生産しているエアコンの一部を滋賀県に移す。また、中国で生産しているパナソニックの洗濯機を静岡県へ、電子レンジを神戸市へ移す。また、キヤノンさんにおきましては、国内の生産四三%を二年ないし三年以内に六〇%台に国内で生産するということを発表されました。本当にうれしいニュースであります。また、ホンダ自動車、これはオートバイ、東南アジアの工場を熊本県に移すという方向を打ち出しました。すばらしいことだと私は思っています。

 これを裏づけるように、実は、ASEAN地域、こういう国々の皆さんの日本に対する期待、これは、アベノミクスに対する期待であると同時に、日本の政治やあるいは経済や文化に対して、大変関心を持ち、期待をしている、こういう数字があります。

 この世論調査は、外務省が香港にありますIpsos香港社に委託した調査でありますが、ASEAN地域七カ国における対日世論調査の結果。インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、ミャンマーの国々の十八歳以上の国民に対して、各国約三百名、計二千百四十四名の方に、オンライン方式で二〇一四年三月に調査をお願いいたしました。

 ASEAN諸国にとって日本との友好関係は重要と考えているかということについて、九六%が重要だと。

 そして、最も信頼できる国を次の中から一カ国挙げてください。日本、米国、ロシア、中国、韓国、豪州、インド、英国、フランス、ドイツ、ニュージーランドの十一カ国の中から一カ国だけ。日本三三%、アメリカ一六%、英国六%、中国五%、韓国二%、豪州五%、ニュージーランド四%、ロシア三%、ドイツ三%、フランス一%、インド一%。日本三三%なんですね。いかに期待が大きいか。

 また、ASEAN諸国にとって現在重要なパートナーは次の国のうちのどれか。日本、中国、米国、韓国と指定されているんですが、日本は六五%、中国は四八%、米国四七、韓国三七%。

 そして、日本の国際貢献について。アジアの発展のために日本は積極的な役割を果たしているか。果たしている、九二%なんですね。

 もう一つ、きわめつけは、日本の安全保障政策はASEAN十カ国を含むアジア地域の平和維持に役立っていると思うかという問いに対して、九〇%が役立っている、こういう回答をしているんです。

 これは何を裏づけているかというと、我が国の経済のみならず、やはり政治や文化等について、ASEAN地域の皆さんが関心とまた期待を寄せている証左であると私は思っています。

 しかるに、このアベノミクスは、日本はもとより、アジアや世界の青年や子供たちの夢もかかっている、そのように受けとめていいのではないか、このように思っておるわけであります。

 さて、オバマ大統領が二月二日、二〇一六米会計年度の予算編成方針として、予算教書を連邦議会に提出しました。御案内のとおりです。その予算教書でオバマ大統領は、米国の連邦法人税の実効税率を現行の三五%から原則二八%に引き下げ、これを提案しました。さらに、法人税率の引き下げで米企業の競争力を高めるために、特に国内製造業は、二八%からさらに三%引き下げて二五%に優遇するということを発表いたしました。

 また、英国のキャメロン首相は、御案内のとおりでありますが、二〇一三年の三月に、英国の法人実効税率二四%を、二年先、二〇一五年の四月には二〇%に引き下げると明言しました。実際、やっています。

 オバマ、三五%の連邦法人税を二八%に引き下げる。キャメロン首相、二〇一五年の四月から二〇%に引き下げる。私は、オバマ大統領の予算教書におけるこの発言というものは、かなり安倍総理の発言に影響を受けたのではないか、こう思っております。

 実は、安倍総理は、二〇一三年の一月の通常国会におきまして、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す。また、二〇一四年一月のスイスのダボス会議で、国際相場に照らして競争的なものにする、企業がためたキャッシュを設備投資、研究開発、賃金引き上げに振り向けるために法人税改革に着手をする。そして、二〇一四年六月二十四日の閣議決定で、立地競争力を強化し、国際的に遜色のない水準に引き下げる、世界に誇れるビジネス環境を整備する、数年で法人実効税率を二〇%台まで引き下げると明言されました。

 改めて、総理の決然とした国内外での御発言を私は高く評価しています。そして、この発言がインパクト、メッセージとなっていることは論をまたないと思います。

 総理にお尋ねいたします。改めて、法人税率引き下げについての総理の覚悟をお伺いいたしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 法人税率の引き下げは、いわば、単に企業のためにやることではなくて、まさに、そこでは日本人が働いている、働いている日本人には家族がいるわけであります、雇用を確保している。国際競争力の中で、競争的な法人税率でなければ国内で生き残ることはできない。そしてまた、そうなれば、そこで働いている人たちの職を守ることができません。

 しっかりと企業が成長志向の法人税制の中で収益力を高めていけば、賃上げにもつながるし、設備投資にもつながる、それは経済の好循環につながる。そうしたことをしっかりと進めていくためにも、この法人税改革に取り組んでまいります。

衛藤委員 重ねて、このアベノミクスにはアジアの子供たちや青年たちの夢がかかっているということもあえて申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

大島委員長 この際、小池百合子君から関連質疑の申し出があります。塩谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小池百合子君。

小池委員 小池でございます。

 冒頭、過激派組織ISによって非業の死を遂げられました湯川遥菜さん、後藤健二さん、心から御冥福をお祈り申し上げます。

 また、このお二人の死を無駄にしないため、また、激変する国際情勢、安全保障環境において我が国そして国民を守るために、あるべきテロ対策、外交政策、安全保障政策、これらを中心に伺わせていただきます。よろしくお願いいたします。

 人質として拘束されている間にも、いろいろな分析が朝から晩までテレビを通じて行われました。カイロでの総理の発言、二億ドル、これに触れたのがよくなかったのではないだろうかとか、英語の訳し方がおかしいといったような、そんな議論が行われましたけれども、私は、余りそれは本質的な話ではない、このように思っております。相手が悪過ぎる、一言申し上げれば、そう。そしてまた、分析の次元を超えたところで物事が進んでいるというのが実態だと思います。

 むしろ、この間随分、日本のメディアもイスラムについて、カリフ制度についていろいろと報道いたしました。多分、それを広告費に換算すると、はるかに二億ドルを超えるのではないだろうかとも思うわけでございます。

 問題は、この事件が、今ほとんどもう取り上げられなくなっているということでございます。中東、アラブでのいろいろな事案、事件が起こりますと、怒濤のような報道が行われるんですが、その後ぱたりととまってしまうので、いつまでたっても日本の皆様の間には、何かイスラムは怖いという印象だけが残って、本質がなかなかわかっていただいていないのではないだろうか、私は経験上も何度かこの思いに駆られたことがございます。ハラールミートの話であるとかそういう経済が絡むと、結構、日本はまた一生懸命勉強したりするんですけれども。

 七十二億人の世界の人口のうち、四人に一人が今イスラムの方々なんですね。そしてまた、イスラム人口の多い国、例えばニジェール、マリ、ソマリア、こういったところは、日本が、人口がピークを打って合計出生率が一・四、少し上がったかなどうかなと言っているわけでございますが、今申し上げたニジェールでは合計出生率七・六、マリ六・九、ソマリア六・七ということで、これは、人口は減ることはなくふえるだけということでございます。

 この後、ODAについても、この点について触れさせていただきたい、このように思います。

 さて、今回の人質事件でございますけれども、アルジェリアでの人質事件が発生した折、ちょうど総理はハノイに御出張中だったということでございます。そして、今回も中東訪問中の出来事でございましたけれども。アルジェリアのイナメナスの事件のとき、日本の方々十名を含む多くの方々が亡くなった、大変大きな悲惨な事件でございました。あのとき、よく言われたのが、早くNSCができていればよかったのにねということでございました。

 NSCは、世界からのいろいろな情報を集積して、そしてその上で、我が国としてどのような態度をとるのかという司令塔となる会議体でございます。そして、昨年の一月七日、ついにこのNSCは創立をされて、既に起動をしている。一年二カ月少々でございます。まだ、できたばかりと言えるかもしれません。

 アルジェリアの事件のときにNSCがなくて残念だったという話があった。一方で、今回はNSCが既にできている、そしてその歩みを始めている。

 私は、NSCがあってよかったと思っておりますけれども、総理として今回NSCはちゃんと機能したとお考えになっているのかどうか。よろしくお願いします。

安倍内閣総理大臣 このNSC設立につきましては、第一次安倍政権の際、NSC法案を担当して、小池委員には御尽力をいただいたと思っております。

 海外における邦人の保護は政府の重要な責務でありまして、今般の事案においても、関係閣僚会議やNSCを開催するなど政府一丸となって取り組んだところであります。

 NSCは、政治による強力なリーダーシップのもと、外交・安全保障政策の司令塔として、関係省庁が収集、分析した種々の情報を一元的に集約し、多角的、総合的な議論を行う場でありますが、今回まさにそういう観点から議論を行いました。具体的には、まず、私の中東訪問に先立ちまして現地情勢等について審議を行いましたが、今回の事件発生後は、二度にわたって事件に関する詳細な審議を行ったところであります。

 また、事務局である国家安全保障局は、省庁による縦割りを排しまして二十四時間体制で対応に当たり、NSCをしっかり補佐したと考えています。

 一昨年のアルジェリア事件の際にはNSCは存在しなかったのでございますが、今回はNSCはその機能を十分に、結果は残念なことになったわけでありますが、機能を発揮して、いわばNSCができたことによって、各国にいる、例えば安全保障局がありますから、既にその横の関係が構築をされている中においては、情報収集力は、人的情報収集力という意味においても格段に上がってきた、このように思います。

 国際テロなどに対峙するためには、関係する国や組織の内部情報を収集することが大変重要でありますが、今後ともNSCが構築をしてきた情報収集力も生かしていきたいと思いますし、基本的には、NSCそのものは、そうした情報収集というよりも、情報収集したものを分析し、そして、その場で政策的な選択肢を示していくということだろう、こう思います。

 セクショナリズムに陥りがちな今までの各府省における情報の収集、分析を、まさに今回はNSCに集め、そしてそこでさまざまな選択肢を用意してもらうことができた、こう思っております。

小池委員 NSCは機能したという評価をいただきました。しかし一方で、残念ながらその情報は十分ではなかったのではないかと私は思います。

 空軍パイロットの方の出身部族の話であるとか、アラブというのは、国を超えて親戚縁者がいっぱいいたりして、結局部族単位で動いている。自民党の派閥の研究のみならず、これからはアラブの国々の部族の研究をしていく。

 例えば、今リビアが二つに分かれています、東西二つだけではないんですけれども。これも結局、部族単位で行って、そこがいろいろな摩擦、あつれきを起こした結果、今リビアは非常に厳しい状況、そこにまたIS絡みが入っているという状況でございます。

 ですから、今、各国の情報機関との連携をとるのは当然でございますけれども、やはり日本の情報収集力というのをもう少し高めていかなければならない。これは平沢先生がおっしゃっているんですけれども、チャーチルは、情報機関を設けることは三個師団に匹敵をするということであります。

 特にテロ対策というのは、未然にその情報を確保することによって防ぐことだってできるわけでありますから、先にしっかりと情報を確保するということがすなわち国民の安全を守るということにつながっていくわけでございますから、ある意味、情報機関を設けるという話、これも以前から言われておりますけれども、総理はどういうお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほどNSCの意義について若干お話をさせていただいたんですが、NSCは、御承知のように、NSC自体が情報を収集するわけではなく、日本においては情報官を中心に情報収集を行っているところでございます。しかし、このNSCをつくったこと、あるいはまた特定秘密保護法をつくったことによって、人的にも、法的な体制においてもはるかに情報収集をしやすくなっているのは事実でありますが、ただ、日本には対外情報機関というのはないわけでございます。

 現在、先ほど少し申し上げましたように、国際テロなどに対峙するためには関係する国や組織の内部情報を収集することが死活的に重要でありますが、そうした国や組織は閉鎖的であるため、内部情報の収集には相当の困難が伴うわけでございます。

 まさに、現地にいて、今おっしゃったように各部族等々との関係を構築しながら情報の収集を行わなければならないわけであります。我々は、今情報を得ているというのは、海外の機関がとったものを信頼関係の中においていただいているということになるわけでありますが、それを我々独自にとっていく必要があるかどうか。

 これはまさに、こういう状況の中においては、情報によって、その情報を持っていなかったがために国益を失う、あるいは人命が危うくなるということは十分にあり得るんだろうな、このように思います。政府の情報機能をさらに強化し、より正確かつ機微な情報を収集して国の戦略的な意思決定に反映していくことが極めて重要であろうと思います。

 今御指摘をいただいた対外情報機関の設置についてはさまざまな議論がありまして、与党においても現在議論が行われているものと承知をしておりますが、政府としても、情報の収集、集約、分析の一層の充実強化に取り組む中において研究をしていきたいと考えております。

小池委員 情報機関を設けるとなると、また予算がかかります。そして、それだけの人を育てていかなければならない。長い道のりがかかりますが、今すぐできることとすれば、例えば駐在武官という方がおられますよね。海外の、例えば天皇誕生日のときなどに立礼で迎えるときに、その人をもう少し大使に近いところにポジショニングしておかないと、何か端っこの方にいると、ああ、そういうランクの人なんだというふうに見られてしまったら、互いのミリタリー・ツー・ミリタリー、警察だったら警察ツー警察で同じ言葉、ジャーゴンというのがあるわけですから、ちゃんとそれは確保しておかなければならない。

 また、まだ問題は、それは外務省の公電を通っていきますから、本当の一番肝の部分というのは意外と公電を通っていない場合があるわけですよね。であるならば、NSCのどこかの部署にそれを集約するということが非常に現実的ではないだろうかというふうに思いますので、この辺を御考慮いただきたい、こう思います。

 それから、安保法制についてちょっと伺わせていただきます。

 国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制を整備するということで、グレーゾーンの対応の明確化であるとか、これまで後手後手に回って対症療法的であった法整備でございますが、これを変えていくということ、まさしく、与党の間でもその議論が再開をされたところでございます。

 具体的に、例えば機雷の掃海という観点でありますけれども、よくホルムズ海峡の話が出てきますが、今、中東のアラビア半島の西の端っこ、紅海に面しているイエメンが、ほとんど国家として崩壊の中にあります。イランのシーア派系のホーシーという派が大統領官邸を占拠したりしているということであります。イランの影響があると言われている。ホルムズもそうですけれども、今度は紅海なんですね。そのちょっと先は、今海賊対処をしているアデン湾があるわけですね。

 さあ、そこで、これはホルムズのみならず、こっちのイエメン側の方での機雷掃海ということは、これだって十分考えられると思うんですね。それはもう大動脈ですよ、世界経済にとって。日本の物品もスエズ運河を通っていっている。これに対しては、どういう対処の仕方が必要だと総理はお考えになりますでしょうか。

中谷国務大臣 御指摘のバブエルマンデブ海峡、こちらはスエズ湾を通ってヨーロッパに行くルートですが、年間、日本船舶は千六百隻通過して、自動車、機械を輸出し、また、原料、食料を輸入しておりますが、このような国民生活に不可欠な資源とか食料を輸送する船舶の安全確保は極めて大事なところでありまして、シーレーンにおける武力行使に当たる機雷掃海であっても憲法上許容されるか否かにおいては、あくまでも新三要件を満たすか否かによります。

 経済は国の存立の基盤でありまして、この基盤自体が脅かされるかどうかについても判断の対象になるものと考えますが、これにおいては、実際に発生した事態、状況において、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなりますが、地理的な制約が憲法上の要件として直接導かれるわけではないと考えております。

小池委員 シーレーンこそ切れ目のない対策をしていかなければならないわけでございまして、最後に、地理的要件という話は、これは外れるといいましょうか、その対象ではないということでございます。そのお言葉をいただきました。

 この件についても、一つずつ与党の方でも協議をして、そして結論を早期に出されるように、私どもも努力をしてまいりたいと思います。

 次に、憲法の方でございますが、これについてもまたこれから議論をしっかりと続けていかなければなりませんので、中身の部分はその方に任せまして、大体のロードマップをどういうふうに描いておられるのか、総理に伺わせていただきたいと思います。

 せんだって、船田憲法改正推進本部長との面会の中でも、来年夏の参院選後が常識だろうというふうにおっしゃったと伺っております。これからのタイムスケジュールと、それから、憲法というのは前文から百三条まであるわけでございますけれども、その中から抽出して何かのグルーピングをするのか、例えば、緊急事態に関して、八十三条、財政に関してといったような形を想定しておられるのか、総理の今のイメージをお聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 先般、私が船田先生とお目にかかったときの後、さまざまな報道がなされておりましたが、基本的には、憲法においては、最終的には国民投票、まさに国民の皆様によって決めていただくわけでございますから、その意味においては、しっかりと議論が成熟していく、そして、国民の中において問題意識、課題意識を広く共有されることが大切なんだろうと思います。

 その中におきまして、今、憲法調査会でまさに議論を行っている、あるいは党においても、この議論を我が党の各都道府県連と共有しようということでさまざまな試みをされるというふうに伺っております。

 その意味においては、私は、こうしたスケジュール等々においても、私の基本的な考え方はさらっとお話はしたわけでありますが、基本的には、党と憲法調査会において議論が進んでいく中において、その時期はおのずと決まってくるものではないか、こう思っております。その意味においては、私は、基本的に、党とあるいは調査会にお任せしたいな、こう思っているんです。そこまで来ることはできた、法整備はすることができた、国民投票にかかわる法整備は一応できたわけでありますから。

 それと、憲法改正の原案につきましては、国会法において、内容において関連する事項ごとに区分して個別に発議する旨、定められております。

 これは、個別の事項ごとに民意を正確に反映させるという要請と、相互に矛盾のない憲法体系を構築するという要請を調和させる趣旨であるというふうに承知をしておりますが、憲法の改正については、一つ一つが大変重い課題であり、丁寧に審議をしていくことが大変大切だろうなと。

 ですから、どの条項、あるいはその条項に関連する条項をまとめてということもあるかもしれませんが、憲法改正の最初の課題はどこにするということも、憲法調査会における議論を見定めながら党においてしっかりと判断をしていきたい、また判断をしていただきたいし、私も総裁でございますから最終的な判断はいたしますが、基本的には、まずしっかりと議論を深め、広めていっていただきたい、このように思っております。

小池委員 私は以前から、八十三条、財政の条項からまずやってみたらどうかと。一度も憲法改正に国民は投票したことも。ようやく整ったわけですから。ですから、いきなり全部のメニューを最初からというよりも、ひとつそのような形で進める、九十六条よりも私は八十三条から始めるべきではないだろうか、このように思っております。

 さて、安全保障の部分の半分、大きな部分は、ソフトパワーである日本のODAでございます。

 今回、ODAが大幅な大綱の改正ということに踏み切るわけでございます。そして、このODAでございますけれども、私は、例えば中国のAIIB、BRICS銀行、いろいろな別のものが出てきています、かなり条件が緩やかになるだろうと思われますので、環境の保全などが大丈夫かなと思ったりもするわけです。

 逆に、今回のODA大綱、基本的には、国際益から国益へと。それから、要請主義、御用聞きじゃないですけれども、聞いて、やりますよということで、だから、それゆえに、日本のODAというのは、サンタクロースとかATMなどというふうにもやゆされてきたわけであります。今回、この大綱を大きく変えるに当たりまして、私は、ぜひ、そこにきっちりと日本のストーリーを含ませるべきである。いきなり国益でなどというのは、かえって相手国から懸念を抱かれることもございます。

 また、一方で、これだけ累次、六十年以上ODAをやりながら、例えば、国連において北朝鮮の人権の決議をする際も、アジアの票がほとんどとれなかった、そのような残念な結果も起きているわけですね。

 ですから、もっとこのODAに意味を持たせるために、また、日本の外交からODAを引いたら何が残るのかというところ、この辺をちょっと岸田外務大臣の方から語っていただきたいと思います。手短にお願いします。

岸田国務大臣 ODA大綱の改定は十二年ぶりになります。

 十二年ぶりにODA大綱を改定し、新しい大綱を決定した次第ですが、今回の改定におきましては、ODA以外の民間部門との連携を通じまして、単なる支援ではなくして、開発途上国とのパートナーシップを重視するという観点、さらには、国民一人当たりの一定の所得が向上していきますとODA卒業国となりますが、卒業国の中にも小島嶼国など特別な脆弱性を持っている国があり、こういった国に対する支援も考えていかなければいけない、こういった観点から、大綱自体、ODA大綱という名称ではなくして、開発協力大綱という名称に改めた、こういった改定を行った次第です。

 そして、この新たな大綱の目的は、国際社会の平和と安定、さらには繁栄に貢献するとさせていただいております。望ましい国際環境をしっかりつくることによって、そのことによって我が国の安定や繁栄という国益につなげていく、こういった考え方を明記した次第です。

 ぜひ、こうした新しい大綱に基づいてしっかりと貢献を行って、開発途上国とのウイン・ウインの関係をつくっていかなければならないと考えています。

 そして、ODA等を通じた貢献以外の我が国の貢献ということでありますが、開発以外においても、我が国としましては、今日までも、国民和解ですとか平和構築、こうした貢献を行ってきたわけでありますし、環境ですとか、さらには軍縮・不拡散、こうしたグローバルな課題についても貢献を行ってきた。こういった貢献に取り組んできました。

 ぜひ、そうした開発協力以外の部門につきましても、今後とも協力をしっかりと続けていきたいと考えております。

小池委員 ありがとうございます。

 先ほど、農業でオランダの例が出ました。ODAで、私はノルウェーを注目しております。

 ノルウェーは、日本の人口と比べましても、GDPから比べましても、非常に小さい。しかしながら、彼らの貢献というのは、みずから血を流しながらも、これまで三十四のミッションに派遣して、四十人が亡くなっている。そして、ODAも、GNIでいきますと一%を超えているわけであります。

 そして、かつ、オスロ合意というのがありますけれども、これは中東和平ですけれども、ホルストというノルウェーの外務大臣が、奥さんは文化人類学者ですけれども、この人がパレスチナとイスラエルとを会わせて、そしてオスロ合意というのをつくるわけです。まだ十分その成果は出ておりませんけれども、しかし、我が国は、中東和平というと、何か全然人ごとみたいなところが残念ながらあります。難しいです。そう簡単ではありません。しかしながら、このノルウェーの例というのをもう少し研究すべきであるということ。

 それから、ストーリーを持たせるということでございますけれども、私は、先ほど、イスラムの人口が六・九毎年ふえるようなところ、やはり日本は教育だと思いますよ。教育に的を当てて、そこをストーリーにしていくべきだと思います。

 シリアの難民の話でも、私たち議員でも何かできることがあるのではないだろうかということで、超党派でシリア難民支援議員連盟というのをつくり、そこでクラウドファンディングでお金を皆様方から頂戴して、そして三カ月間で、トルコ側ですけれども、シリアの難民の子供たち、今三百人が学んでいます。小学校です。先生たちも、みんな難民です。この方々は、することがなかったけれども、教師の経験を生かして今仕事ができたといって大変喜んでいます。

 トルコに逃れた約百五十万人とも言われているシリア難民ですけれども、その子供たちは学校に行っていません。トルコはトルコ語ですから、アラビア語のシリアの子供たちは現地の学校に行けないからこれをつくって、さくら小学校と名づけました。

 三千円、五千円、一万円、五万円、そして一番上は三十万円のコースで皆さんからお金を寄附していただきました。三十万円寄附していただいた方には、私とトルコ料理が一緒に食べられるという権利が生じます。ところが、これが結構人気でありまして、一気にお金が集まりました。パーティー券はなかなか売り切れない状況でありますけれども、シリア難民への一般の国民の皆様方の心がけというのは本当にすばらしいということでございます。毎年運営費がかかりますので、またクラウドファンディングで集めていこうと思っています。

 私は、二億ドルの話が今回ずっと出ておりますけれども、難民の支援というのはこういうストーリーのあることを、どっと国際機関に多額の額をぶち込むだけでなくて、そういうみんながわかるストーリー、これを細かにやっていくという努力をぜひ日本政府としてもしていただきたい、このように思います。

 難民の子供たちは、無教育のまま育ちますと、一生難民を強いられます。スティーブ・ジョブズは半分、お父さんがシリア人で、ひょっとしたら、この三百人の中にスティーブ・ジョブズの次が出てくるかもしれないじゃないですか。その子供たちが、さくら小学校で勉強しましたというのを誇りに思ってくれれば、お金の額よりも、やはりそこの部分のストーリーが訴える、このように思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それからもう一つ、これは文科大臣の方から御答弁を最後にいただきたいんですが、最近、スポーツの方にかかわることが多いんですけれども、スポーツも総合力でいかなければなりません。

 例えば、ここにございますように、スキーのジャンプ、ノルディックというのは、日本が金メダルをとると板が短くされちゃうんですね。それから、いつの間にか柔道着が青に変わっています。そして、柔道というよりも格闘技の世界になりつつあると多くの方がおっしゃっています。鈴木大地選手、バサロ泳法、潜水泳法でずっと潜っていって金メダルをとりました。そうすると、次の瞬間から、今度はバサロ泳法はだめだという話になりました。

 要は、これは何かというと、日本がいじめられているという被害者意識ではなくて、国際連盟の場にちゃんと発言する人を送り込んでいないからルールが変えられるんです。ルールが変えられる結果、何が起こっているかというと、日本のスポーツ選手は、真面目に、けなげに新しいルールに体を合わせて頑張るんですよ。

 日本は現場力の国であります。しかしながら、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックに向けて、こういう国際組織に日本の発言力がある人をきっちりと送り込むということをしていなければ、日本の金メダルで、強化合宿いろいろやってくれていますけれども、その前のパワーゲームで負けていたら、本当のゲームで勝てませんよということ、この点について文科大臣の御答弁をお聞きして、終わりとさせていただきます。

下村国務大臣 これはもう御指摘のとおりだと思います。

 現在、国際オリンピック委員会、IOC委員についても、百二人のうち、日本人は一名しかいない。オリンピック競技を統括する三十五の国際競技連盟、IFのうち、半数以下の十六競技十七名、日本人役員がいない状況でございます。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会も含め国際的な舞台で日本人選手が十分に力を発揮、活躍できるようにするためには、IF等における日本人役員の数をふやし、スポーツ界における我が国の発言力を高めるとともに、御指摘のように、国際的なルールづくりなど、決定過程において日本人が積極的に参加することが必要だと思います。

 このため、二〇二〇年に向けて、IF等における日本人役員を倍増させようと。そのために、三月に、外務省を初めとする関係省庁やJOC等の関係団体が参加するスポーツ国際戦略連絡会議を設置いたしまして、オール・ジャパンの体制でIF等の役員ポスト獲得にしっかり取り組んでまいりたいと思います。

小池委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

大島委員長 これにて塩谷君、齋藤君、衛藤君、小池君の質疑は終了いたしました。

 次に、上田勇君。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 きょうから、この予算委員会におきましても新年度の予算の質疑が始まりまして、総理初め関係大臣の皆様方、大変御苦労さまでございますが、どうかよろしくお願いをいたします。

 先ほど小池百合子委員からもお話があったんですが、さくら小学校の件、私もこの運動に大変賛同いたしておりまして、小池委員初め、この議連に協力をさせていただいております。こうした貢献というのは本当に大変評価できるものであって、ぜひこれからそういった理解が広まることを大いに期待するものでございます。

 それで、時間の限りもありますので、早速質問に入らせていただきますが、最初に、東日本大震災からの復興の加速化についてお伺いしたいというふうに思います。

 この三月十一日で東日本大震災発生から四年が経過をいたします。道路などのインフラの復興というのはかなり進んできておりますけれども、一方で、住宅の再建というのは大変おくれてきています。また、今なお二十三万人もの方々が仮設住宅で避難生活を余儀なくされている。産業の復興や雇用の確保といったことも、まだまだ課題が多いというふうに考えております。

 平成二十七年度で五年間の復興集中期間が終了するということになっております。被災地では、その翌年度以降、この集中期間が終わった後もちゃんと財源が確保されるのか、また、これまでとられてきたさまざまな特例の措置が継続をしてもらえるのか、そのほか、さまざまな国からの支援が行われておりますけれども、それがさらに続けられるのか、そういったことに対する不安の声がございます。

 国として、十分な財政措置も含めて、復興の加速化に対して全面的に取り組むべきだというふうに考えておりますけれども、被災地、被災者の皆様方の心配にお応えしていただくためにも、総理の決意をお伺いしたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 これまで、被災者の方々が一日も早く安心して暮らすことができるように、住宅再建や産業、なりわいの再生などに全力で取り組んでまいりました。

 平成二十七年度予算においても、復興の加速化を最重要課題の一つとして重点化しました。具体的には、住宅再建と復興まちづくり、町のにぎわいを取り戻すための産業、なりわいの再生、被災者の心身のケアなど、復興を進める上でのさまざまな課題に対応しているところであります。まずは、この成立に全力を尽くしたいと思います。

 集中復興期間が終わっても我々は決してとまらないということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。平成二十八年度以降についても、被災者の方々の心に寄り添い、しっかりと対応していく考えでございます。

上田委員 力強い御決意をいただきまして、大変にありがとうございます。復興はまだまだ道半ばでありますので、ぜひ、国を挙げての最善の取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 次に、安倍内閣の経済政策と、それからいわゆる格差問題、貧困問題、これについての懸念が最近高まっておりますけれども、この問題について質問させていただきたいというふうに思います。

 一月末に共同通信が実施した調査があります。日本において貧富の格差が広がっていると思うという答えが七七・二%ありました。政府でも、先日開かれました経済財政諮問会議でもこの問題を取り上げております。問題意識はお持ちだということを承知いたします。

 この会議で提示をされた政府の資料では、この十年程度の間を見てみると、当初所得の格差というのは拡大をしている、しかし、税とか社会保障を含めて所得再分配を行った後の格差というのはほぼ横ばいだというようなデータになっております。しかし、その会議の有識者の方々からも、格差に関するデータというのは余り整っていないし、引き続き幅広く検証していく必要があるというような結びになっております。

 専門家の間でも、さまざまなデータの見方であるとか分析については意見が分かれるものなんだというふうに思いますので、それについてきょうその是非を問うつもりはございませんけれども、しかし、一方で国民の問題意識が高まっているということは、これはもう政府も認識されているとおりなんであろうというふうに思います。

 もちろん、この格差の問題というのは日本だけの問題ではなくて、世界的にも非常に関心が高まっています。

 ただ、日本の場合には、欧米諸国と違う点というのは、欧米においては富が本当に一部の超富裕層に集中をするということなのに対して、日本の場合には、所得の低い生活困窮層が拡大をしているというところに問題があるんじゃないかというふうに受けとめています。

 世帯の所得が中央値の半分未満、これを相対的貧困率という定義をしておりますけれども、これが最近は非常に急上昇して、二〇一二年のデータでは一六・一%になっています。

 こうした問題の対応というのは、まずやらなきゃいけないのは、これはやはり経済のパイを大きくする、そのために成長率を高めていくということが最優先なんだというふうに思います。そして、その成長の果実が賃金上昇あるいは中小企業への契約などを通じて所得の底上げをしていく、これがまず重要なことであります。

 しかし、過去のさまざまなデータを見てみますと、成長率が高いときというのは、国民全体としては豊かになるんだけれども、格差に注目をすると、それは広がるという傾向もあります。したがって、同時に適切な所得再分配、これも行っていかなければならないんであろう。成長力の強化とそれから所得再分配の強化、この経済政策が両輪なんだというふうに感じております。

 そこで甘利大臣にお伺いいたしますけれども、こうした最近関心が高まっております格差問題、貧困問題に対する認識、それから今後の経済政策、それの対応も含めた基本的な考え方についてのお考えを伺いたいと思います。

甘利国務大臣 まず、御指摘がありましたように、統計の問題は、統計のとり方によって数字が随分違ってくる、それから、再分配後ではほとんど変化がないというようなことが指摘をされています。

 ただ、いずれにいたしましても、高齢単身者の世帯とか、あるいは非正規の世帯等々が格差問題とかなり絡んでくるんではないか。

 対策といたしましては、経済全体を底上げしていく、果実の再分配をしっかりしていく。成長と分配が御指摘のように大事なことであります。

 成長戦略については、今までるる申し上げてきましたように、今取り組んでいるところでありますし、具体的な成果も上がってきているところであります。

 そこで、再分配でありますけれども、これは、社会保障の充実部分それから税制、再分配機能をこの二つで図っていくということになろうかと思います。

 弱い立場の方々への目配りとして、申し上げたような社会保障面で、低所得者の保険料の軽減であるとか、あるいは非正規雇用労働者の処遇改善であるとか、あるいは奨学金の拡充や授業料の免除、それから子供の貧困への対応などを講じてきたところであるわけであります。

 税制面では、申し上げましたように、所得税の最高税率を引き上げる、相続税の見直し、これは最高税率の引き上げと基礎控除の引き下げ、こういうことを通じて再分配機能の強化を図っているところであります。

 いずれにいたしましても、格差が固定をするということを避けなければならない、それから、再チャレンジの機会を、人生のライフステージの中で満遍なくチャンスを振りまいていくということが大事かというふうに思っております。

上田委員 今、甘利大臣から所得再分配についてのこれまでの取り組みについて御答弁をいただきました。これはちょっとまた後で言及したいというふうに思っております。

 まず、成長力を高めていくということが第一に来なければなりません。

 先日発表された十月―十二月期の経済成長率も年率換算ではプラスになり、そして、これによって、消費税引き上げ前後の駆け込みや反動減、それによる影響というのがほぼなくなりつつあるのかなというふうに受けとめております。ようやく成長軌道に乗り出してきたのではないか。

 そこで、これから日本経済の本格的な再生を達成していくためには、当然、こうしたこれまでの三本の矢のうちの一本目、二本目、これもさらに進めていかなければなりませんし、これからの鍵を握っているのが、やはり三本目の矢であります成長戦略、すなわち日本再興戦略、これを着実に実施していくことだというふうに考えております。

 先般、内閣の産業競争力会議で議論してきました産業競争力強化のための重点施策に関する報告書や、また、産業競争力の強化に関する実行計画二〇一五年版が閣議で決定をされました。そこに含まれている政策を着実に実行していくことが、この成長戦略、成長を達成していく道だというふうに考えております。

 もちろん、ここに書かれている事項というのは、これまでも提起されてきたものも多い。そして、提起はされてきたんだけれども、なかなか実行されてこなかった。成長戦略には、これさえやれば何とかよくなるんだという特効薬というのはないんだろうというふうに思います。ここに提起をされているさまざまな幅広い分野に及んでいることを一つ一つ着実に前に進めていくことによって、日本の経済の体質が強化されて、経済が再生をしていく、成長力を高めていくことができる、そういうことだろうというふうに受けとめております。

 成長戦略を着実に実行していっていただきたいということをお願いするとともに、その中の政策の柱の一つが法人実効税率、法人税の改革の問題が取り上げられております。先ほどの質問の中で政策の内容についてはもう説明がありましたので省略をさせていただきますけれども、最終的には二〇%台を目指そうという内容と受けとめております。

 一部の企業に負担が偏っている税負担を広く分かち合う構造にしていこう、あるいは企業の収益力を向上することを促していこう、そういった意図は理解するものであります。ただ、今、消費税率の引き上げが行われ、また社会保険料も引き上げられている、そんな中で大企業の負担だけを軽減するということは適切なのかどうか、どうも納得がいかないという声があるのも事実であります。

 もちろん、これは一部正しく理解されていない面があります。今回の法人税改革というのは、一方で課税ベースを拡大いたしますので、負担をする対象の企業が変わるのは事実だけれども、大法人全体で見てみたら、税負担というのは、少なくとも中長期的にはほとんど変わらない。税収中立という言葉が使われますけれども、そういう改正であります。

 最初の二年間は今の経済状況を見た上で減税が先行するという構図をとっていますけれども、これは適切なものだというふうに理解をしております。

 課税ベースの拡大では、過去の赤字をずっと繰り越してきて利益を相殺している欠損金の繰越控除制度、これを縮小しようじゃないかということとか、また、企業が持っている株式の配当金の一部が、今までは利益に算入しなくてもいいという制度でありましたけれども、これも縮小していく。あるいは、研究開発減税についても、目的などをよく吟味してめり張りをつけて、全体としては少し縮小していこうじゃないか。

 また、地方税について言えば、大法人は、利益だけではなくて、付加価値とか資本額を対象に課税する外形標準課税を拡大するというような措置で、税負担がふえるということになっております。もちろん、その中には、地域の雇用を担っている、これは中堅企業が担っているわけでありますけれども、そこの負担増加が余りにも大きくならないようなさまざまな緩和措置もとられているわけであります。

 こう考えてきますと、税負担の総額が基本的に変わらない、いわゆる税収中立ということになると、では、本当に効果があるんだろうかという素朴な疑問もございます。そこで、改めて、法人税改革の意義と期待される効果について、総理の御見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回の法人税改革は、今、上田委員がおっしゃったように、単なる減税ではなくて、課税ベースを広げていく。この改革のポイントは、今までいわばお金を稼いでいた企業に税の負担が集中していたものを、これをみんなで担っていくように変えていく、企業の稼ぐ力を高め、法人税を成長志向型の構造に変えていこうとするものであります。

 例えば、大法人向けの法人事業税について、外形標準課税を拡大して、所得割の税率を引き下げることで、稼ぐ力が高い大法人の負担は減っていく、利益を増加させていこうというインセンティブが高まるものと考えられるわけであります。

 こうした成長志向型の改革に、さらにコーポレートガバナンスの強化、そして政労使の連携といった取り組みが相まって、企業が収益力を高め、より積極的な賃上げを行っていく。あるいはまた、下請に対する価格転嫁も、黙っていればなかなかこれはやってくれないんですが、政労使という仕組みを使ってしっかりとやってもらうことによって、底上げも行われますし、これは雇用の拡大にもつながっていく。投資も起こり、経済の好循環にもつながっていくものとなる、このように思っております。

上田委員 ありがとうございます。

 今回の法人税改革が、単に税負担を軽くするというだけではなくて、日本経済の体質を強化していく、そのことを目的としたものであるというふうに理解をいたします。

 今年度の改正においては、基本的には、資本金一億円超、大法人と言われているところが対象であります。中小企業等は減税も増税もそれほど対象にはなっておりません。

 ただ、今後引き続き法人税改革に取り組んでいくという方針であるというふうに承知をしておりますけれども、その際には、やはり中小企業、小規模事業者の負担がふえることがないよう、また、特にこうした中小企業等は地域の経済や雇用の支え手でありますので、そうした影響には十分配慮していただきたいというふうに考えますけれども、財務大臣、よろしくお願いいたします。

麻生国務大臣 今、総理の方から答弁があっておりましたけれども、地域経済を支えております中小法人、中小零細企業等々、二十七年度の税制改正におきましては、課税ベースの拡大、先ほど言われました欠損金の繰り越しの控除制限の見直しとか、これはいわゆる総務省の所管になりますけれども、法人事業税の外形標準課税の拡大などなど、こういったものは中小法人は対象としない。このときの中小法人の定義は、資本金一億円ということにいたしております。

 同時に、中小法人向けに今まででも軽減税率というのがありまして、今は通常ですと一九%のところが一五%になっていると思いますが、この一五%の分も二年間延長させていただきたいと思っております。

 また、今後、法人税制を改革するに当たっては、与党の税制改正大綱の中におきましても、中小には配慮ということが書かれておりますので、私どもとしては、丁寧にこの実態を検証しつつさせていただかないと、大法人並みの多額の所得を得ている中小法人もあれば、なかなかそうじゃない個人事業の商店もあり、商店というか事業主に近い法人もございますので、そういった意味では、中小法人課税の全般にわたりましていろいろな制度というものを、趣旨や経緯というものを勘案しながら、幅広い観点から検討をさせていただかねばならぬものだと思っております。

上田委員 ぜひ、やはり中小企業は、地域経済、雇用の担い手でありますので、その点については十分な配慮をいただきたいというふうにお願いをいたします。

 次に、先ほど申し上げました、もう一つのテーマであります所得再分配について質問させていただきます。

 先ほど甘利大臣から、政府としてもこれまでさまざまな取り組みを行ってきたという御答弁をいただきましたけれども、主なものをちょっとまとめさせていただきました。

 これらの中には、前の自公政権のときのもの、民主党政権時代のもの、そしてまた、現在の自公政権で検討され実施されたものも含まれておりますが、政権交代をまたいで継続されているものもたくさんございます。これは、政権が交代したとしても、やはり問題意識は共有をしているということでないかというふうに思います。

 そして、もちろん、その中には、私たち公明党が提唱し、長年推進してきた事項も数多く含まれております。

 税について言えば、先ほどもありましたけれども、所得税では、給与所得控除が、従来は全く制限、上限がありませんでしたけれども、それが平成二十五年度から上限額を設定いたしました。そして、平成二十九年度までに上限額を段階的に引き下げて、これによって、給与収入が一千五百万円を超える人たちの、高額所得者の税負担がふえるということになりました。累進性が高まったということであります。さらに、一部、一千万円超の方にも負担をお願いするということになっております。ことしからは、四千万円以上の高額所得者に適用される最高税率、これが四五%に、五%引き上げられることになっています。

 資産課税についても、相続税の基礎控除を引き下げることによりまして、課税される対象や、また課税額も拡大をされる。最高税率も引き上げられることが行われています。

 そして、消費税については、これはどうしても所得の低い世帯ほど負担の割合が高くなる、逆進性があるというふうに指摘をされておりますので、八%引き上げ時には、所得の低い世帯を対象とした臨時福祉給付金や、子育て世帯臨時特例給付金、これを平成二十六年度に実施し、二十七年度も継続をするということが予算に盛り込まれております。

 社会保障においても、平成二十六年度に、国民健康保険、長寿医療制度の保険料軽減措置が実施をされました。二十七年度予算では、介護保険料の軽減措置、あるいは高額療養費の制度の見直しも行われる。これによって所得の低い世帯の方々の負担が軽減をされることになります。また、そのほか、給付の面においてはさまざまな事業が行われております。

 また、教育においては、これは、格差や貧困の固定化を防ぐ上で非常に教育が重要であります。これまで大学、専門学校等の奨学金制度あるいは授業料減免措置、幼児教育の負担軽減措置などが行われてきております。二十七年度予算でもこうした措置がさらに拡充をされるということになっております。

 以上、ここに示したものは主な政策だけでありますが、これ以外にもさまざまなことが行われております。

 このように、政府としてこれまでも取り組みは行ってきたんですけれども、やはり今の認識というのは、まだまだ十分じゃないんじゃないかという認識が強いんじゃないかというふうに思います。特に、これから経済成長を高めていこうというわけでありますから、その際には、やはりどうしても格差が広がることの危険性がある。特に、消費税率が一〇%へ再引き上げということも予定をされているわけでありますので、さらに再分配機能を強化していかなければならないんじゃないかというふうに思っております。

 例えば、所得税では累進性をもうちょっと高める必要があるんじゃないかという議論があるし、また、社会保険料についても、高額所得者にはもう少し負担をお願いするということもあり得るんだろうというふうに思います。

 消費税関連では、我が党も推進をしておりますけれども、食料などの生活必需品には軽減税率を導入するというのも一案だというふうに思います。

 金融資産への課税ということも強化、検討しなければならない。

 また、所得にかかわらず教育を受ける権利を保障するための奨学金制度、この質、量ともに拡充するなどの対策も考えられるわけであります。

 今後の所得再分配機能の強化の必要性、それについての総理の御見解を伺いたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 いわゆる格差でありますが、格差が固定化しない、あるいはまた、許容し得ない格差が生じないということが大切だろう、そういう社会を構築していくことは重要な課題だと思っております。

 安倍内閣においては、御指摘にもあるように、再分配機能の回復を図るために、税制、社会保険制度、奨学金制度などについてさまざまな取り組みを行っております。

 もう既に今御紹介をいただきましたが、所得税の最高税率の引き上げ、給与所得控除の見直し、金融所得課税の見直し、相続税の見直しということでありまして、まさに税制においてそうした対応をしております。

 そしてまた、消費税の軽減税率制度については、平成二十七年度の与党税制大綱において、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率一〇%時に導入する、平成二十九年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について、早急に具体的な検討を進めることとされたことを踏まえて、消費税については、いわば、お金持ちにも所得の低い方々にも同じ税がかかっていくという観点から、どう対応していこうかということの議論も進めていく必要があるんだろう、こう思います。

 社会保障改革プログラム法に基づいて、医療保険の保険料に係る国民の負担に関する公平を確保するという観点から、健康保険料の算定基礎となる標準報酬について、その上限額を引き上げることとしておりまして、今国会に医療保険制度改革法案を提出する考えであります。

 奨学金につきましては、平成二十七年度予算案においても、無利子奨学金の新規貸与人員を増員したところであります。引き続き、有利子から無利子への流れを加速し、できるだけ早期に必要とする全ての学生が無利子奨学金を受けられるようにしていきたいと思います。

 いずれにいたしましても、再配分機能のあり方については、経済社会の構造変化を踏まえながら、引き続きよく考えていきたいと思っております。

上田委員 格差の固定を防ぐためには、やはり教育が重要であるというふうに考えております。この点、ちょっと時間がなくなったので、文部科学大臣にぜひさらに充実をしていただくようにお願いをさせていただいて、最後に、テーマがかわるんですけれども、公共住宅政策の今後のあり方について質問させていただきたいというふうに思います。

 いわゆる公営住宅以外にも、都市再生機構のUR賃貸住宅というのが全国に七十五万戸、また雇用促進住宅というのが全国に十二万戸ございます。これらの住宅というのは、さまざまな目的でこれまでつくられてきたんですが、現在、居住者の方々はかなり高齢化が進んできて、公共性が非常に高くなってきているというのがございます。

 そして、今、さまざまな改革も取り組まれているんですが、特に雇用促進住宅では、二〇〇七年の閣議決定で、二〇二一年まで全住宅の譲渡を完了させるということが決定をされているところであります。これまで、さまざまな取り組みが行われてきた。

 こうした公共性を鑑みて、こうした公共住宅のあり方についての方針を、URを所管しております国土交通大臣に、そして雇用促進住宅の厚生労働大臣にお伺いしますが、特にその際には、やはり居住者の安定、安心、その辺が最大限考慮されるべきであるというふうに考えますけれども、お考え、時間がなくて申しわけありませんけれども、よろしくお願いいたします。

太田国務大臣 URの賃貸住宅は、現在、七十五万戸がありまして、高齢化が大変進んできているということでございます。

 安心して高齢者が住み続けられるということが一番大事だと思っておりまして、あわせてまた、UR自体につきましても医療施設や高齢者向けの施設を設けるという取り組みをしているところですが、私の一貫した信念としまして、居住者の皆様が安心して住み続けられること、そして地域の貴重な財産として地域全体の安心に貢献すること、改革という名のもとで居住者を追い出すようなことは絶対あってはならない、こうした信念のもとで、今後の改革ということについてなし遂げていきたいと思っています。

塩崎国務大臣 雇用促進住宅につきましては、今お話がありましたように、平成十九年六月に閣議決定をされておりまして、平成三十三年度までに譲渡、廃止を完了することとなっております。

 具体的な譲渡、廃止の手続につきましては、閣議決定に基づいて、住宅の所有者であります独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が行っておりますけれども、先生今御指摘のとおり、これに当たりましては、今後も、居住者の方に最大限の配慮をしつつ、丁寧に進めてまいりたいというふうに思います。

上田委員 終わります。

大島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、佐藤茂樹君から関連質疑の申し出があります。上田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、御質問の時間をいただきまして、大変にありがとうございます。

 まず冒頭、過激派組織ISILにより殺害された日本人お二人に対しまして心から哀悼の意を表しますとともに、御家族に対しまして心からお悔やみを申し上げる次第でございます。

 早速、平成二十七年度予算案につきまして御質問をさせていただきたいと思いますが、この来年度予算案につきましては、経済再生と財政健全化の両立を目指すものでございまして、特に、自公政権が重視をしております地方創生に重点的に予算も配分されておりますし、さらには、地域の活性化のために中小・小規模事業者あるいは子育て支援にしっかりと予算が配分されている予算である、そのように我々評価をしているところでございます。

 そして、何よりも、各分野におきまして、与党の一角でございます公明党の主張が数多く反映されているということも我々は評価をさせていただきたいと思います。

 きょうは、まず、その一つの例として、学校の耐震化の促進ということにつきまして紹介し、質問をさせていただきたいと思います。

 公明党がここ数年、長年主張してまいりまして、国会議員と各自治体の地方議員がネットワークで取り組んできたのが、この学校の耐震化でございます。来年度予算で公立小中学校の耐震化率がおおむね一〇〇%を達成するという一つの節目を迎えることになります。一部、廃校舎などを除くとおおむね一〇〇%になる、そういう結果になるわけでございます。

 これは、二〇〇二年当時、公立小中学校の耐震化率というのは全国で四四・五%。五〇%も耐震化はいっておりませんでした。しかし、学校の耐震化というのは、昼間は子供の安全を守り、命を守り、そして災害のときには地域の避難所となるということから、我々は、この安全対策というのは極めて大事だ、そういうことで取り組んできたわけでございます。

 二〇〇八年五月に中国の四川で大地震がございまして、多くの子供たちが学校の倒壊によりまして命を落としました。実は、その二〇〇八年当時、私は衆議院の文部科学委員長をしておりまして、それで、当時の与党、公明党、自民党が中心となりまして、これは何とか学校の耐震化を進めなければいけない、そういうことで、議員立法で地震防災対策特別措置法を改正したわけでございます。

 国庫補助率をかさ上げいたしまして自治体の負担を軽くする、そういうことが一つでございます。もう一つは、自治体の耐震化率を毎年公表していく、そういう内容にさせていただきました。

 そして、私が特にびっくりしたのは、その最初の公表のときに、何と全国の市の中で最下位が大阪の高石市だったんですね。高石市というのは堺市の南側にある市なんですけれども、その当時、耐震化率は七・三%でございました。市長さんもびっくりして、提案者が私の名前になっておりましたので、早速上京されて、何とか知恵をかしてください、そういうことだったんですが、この法改正の内容もしっかりとお伝えして、そこからこの高石市というのは、何と三年間で、公表されてから三年間で、七・三%から、市長さんあるいは市当局、住民の皆さんの協力も得て一〇〇%まで達成した、そういう実は好事例もあるわけでございまして、こういう各自治体の頑張りがあって、いよいよ来年度予算で一〇〇%まで達成することになったわけでございます。

 その上で、残された課題でございますが、このグラフにもございますように、今年度予算で国公立の学校施設というのはおおむね一〇〇%いくんですけれども、私立の学校施設の耐震化率というのは、このグラフで見てもわかりますように、約八七%。予算をつけても、国公立に比べるとおくれているわけでございます。

 子供の命に国公立も私立も差はあってはならないわけでございます。ですから、私立の学校施設、特に、子供の命を守るだけではなくて、約四割が避難所の指定も受けているわけでございまして、これはやはり急ぐ必要があるということ、これが残された課題の一つでございます。

 もう一つは、非構造部材ですね。

 東日本大震災のときにも、体育館の天井が落下するというようなこともございました。こういう天井であるとか、あるいは窓ガラス、照明器具、こういうものの耐震対策というのが、二十六年度では五八・六%という数字でございます。さらに、屋内運動場等の全棟数の三万三千七百三のうち、落下防止対策が未実施のつり天井等が残っているというのは六千二百二十二棟残っているわけでございます。

 こういうことを見ましたときに、やはり、私立の学校施設の耐震化、さらには非構造部材の耐震対策、そして屋内運動場のつり天井の落下防止対策、これについてはさらに計画的に推進されていく必要があるのではないかと思いますが、文部科学大臣の答弁をいただきたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、御党の御提言を最大限反映するように努力をしておりまして、今御指摘ありましたが、公立小中学校の構造体の耐震化については、平成二十七年度予算案の事業実施後には、学校統廃合や震災の影響等、各地方公共団体の個別事情により耐震対策がおくれているものを除き、おおむね完了する見込みでございます。

 また、私立学校施設の耐震化につきましても、公立学校と同様に、耐震化の早期完了が喫緊の課題であるというふうに考えております。

 そのため、平成二十六年度補正予算、そして平成二十七年度予算の耐震関連予算として合計四百八十八億円を計上しておりまして、これによりまして、平成二十七年度予算案の事業実施後の耐震化率は、高校等で八七%、大学等で九〇%となる見込みでありますが、子供の命に公私の差はありませんから、早く一〇〇%にするようにさらに促進をしてまいりたいと思います。

 また、公立小中学校の非構造部材の耐震化対策でありますが、学校設置者に対し、ガイドブックの配付、通知や講習会を通じて速やかに実施するよう促すとともに、財政支援を行っております。

 とりわけ、重大な事故につながりかねない屋内運動場等のつり天井の落下防止対策につきましては、平成二十七年度予算案の事業実施後におきましては、学校統廃合や震災の影響等、各地方公共団体の個別事情により耐震対策がおくれているものを除けば、おおむね完了する見込みでございます。

 文科省としては、非構造部材の耐震対策も含めた早期の耐震化完了を目指しまして、学校設置者からの要望を踏まえつつ、引き続き必要な支援を行ってまいります。

佐藤(茂)委員 引き続き力強く推進をしていただきたいと思います。

 きょう、二点目にお伺いしたいのは、若者の活躍推進、また雇用対策につきまして、総理、また厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。

 特に、社会問題となっております若者の使い捨てが疑われる企業への対策、私も昨年九月まで厚生労働副大臣を務めさせていただきまして、昨年、一昨年と、厚生労働省としても、過重労働重点監督を、昨年は十一月、一昨年は九月に実施いたしました。その結果を資料としてまとめさせていただきました。

 例えば、平成二十五年でいきますと、実施事業場五千百十一事業場のうち、何らかの労働基準関係法令違反があったというのが四千百八十九事業場あります。八二%でございます。さらに、昨年はその率がさらに高まって、四千五百六十一事業場のうち三千八百十一事業場が、八三・六%、労働基準関係法令違反があり、そういう監督結果が出ているわけであります。

 下の三段についてはその内訳でありまして、違法な労働時間があったものというのが、それぞれ数字は違いますけれども、五〇%前後、そして、賃金不払い残業があったものというのがそのうちの二〇%前後、そういう率でございます。これはもう重点監督してもわかるように、現実に労働基準関係法令に違反する企業が、重点監督しただけでも、これだけの比率で存在をしているわけでございます。

 昨年五月に私が田村前厚生労働大臣と一緒に公明党の雇用・労働問題対策本部と青年委員会から提言をいただきました。その中の冒頭に、こういう問題も踏まえて、若者の雇用促進に関する法律の制定というものがその内容の中に盛り込まれていたわけでございます。

 先月の一月二十三日に厚生労働省の労働政策審議会で、若者の雇用に関する初めての法律制定に向けた報告書というものが取りまとめられました。今お伺いしておりますと、若者の正規雇用や育成に積極的な企業を認定する制度の創設であるとか、あるいは、ハローワークでいわゆるブラック企業の求人を受け付けないようにすることなどが柱だと伺っております。

 若者の育成、活躍なしに将来の我が国の経済また社会の発展というのはありませんし、社会で若者の能力を思う存分発揮して、生き生きと働ける、そういう社会を目指すためにも、このような若者を使い捨てにするような疑いのある企業に対してはやはり厳格に対処する必要があるのではないかと思いますが、総理にぜひ、若者の使い捨てが疑われるような企業、いわゆるブラック企業への対策と若者雇用対策法案につきまして、総理の見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まさに、今委員が御指摘になったように、若者は将来を担う人材であります。若者が社会に、仕事に絶望するような日本になってはならないと思います。使い捨てが疑われる企業は社会的に大きな問題であり、こうした企業への対策の強化は大変重要であると考えています。

 このため、昨年十一月には、過労死防止法の施行に合わせて、賃金不払い残業や過重労働等が疑われる企業に対し、重点的な監督指導を行ったところであります。また、本年一月からは、長時間残業に関する監督指導の徹底を図っています。さらに、企業が自主的に労働環境の改善に取り組むよう、その促進を促しております。

 また、若者が社会に出て職につく際、みずからにふさわしい仕事を選べるように、今まで十分な情報が提供されていたかというと、やはり問題もあったわけでありますから、そこで、平均勤続年数や残業実績など、新卒者の選択に役立つ職場情報を、これから仕事をしようという皆さん、会社を選んでいこうという皆さん、その会社の職場状況はどうなっているんだということを、情報を提供していくということ、提供を企業に義務づけるということ、そしてまた、若者の使い捨てが疑われる企業に対してはハローワークでそもそも新卒求人を受け付けないということ、そして、若者の雇用管理が優良な中小企業について認定制度を設けるなど、新たな法案の検討を進めています。

 こうした法案を整備していくことによって、そもそも、今、有効求人倍率等、労働市場がタイトになってきていますから、こういうブラック企業と言われるような企業はそもそも人が採れない。ハローワークでも人が採れなくなってきますし、情報が提供されないということになれば、若い皆さんはそこには行かない。そして、そういう努力をしているところは優良企業に認定されますから、いい人材を採りたいというところはそういう努力をさらにしていくことが私は期待されるのではないかと思います。

 そういう意味で、我が国の将来を担う若者が、生きがいを持ち、安心してチャレンジできる環境をつくっていきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 力強い御答弁ありがとうございます。

 そこで、今総理が、法案の内容、考えておられることを大体おっしゃっていただいたんですが、その中で、職場情報の提供、このあり方について、ぜひ厚生労働大臣にお伺いしておきたいんです。

 この仕組みを位置づけようとされているというのは非常に有意義だと思っているんですが、企業側がやはり新卒者のニーズに応じた情報を積極的に提供していくということが何よりも大事だと思うんですね。

 我々、案の段階で伺ったときには、三類型ごとに一つ以上の情報提供を企業が選んで提供するということになっているんですが、これでは若者の応募者が本当に欲しい情報が得られないのではないか、そういう懸念があるわけであります。

 一月二十三日のこの報告書によれば、法案成立後、法律に基づき事業主が講ずべき措置をまとめた指針を策定する、そういうふうに承知しているんですけれども、これはぜひ厚生労働省でこれからも議論していただいて、積極的な職場情報の提供を進めるためにも、例えば、求めがなくても積極的に各企業の職場情報をホームページ等でしっかりと公表するということであるとか、あるいは、応募者のニーズに沿った項目をしっかりと情報提供するということであるとか、あるいは、応募者が安心して企業に情報提供を求める、要するに、情報提供を求めたことによって不利益な取り扱いがされないというようなことをしっかりと事業主指針に定めるとか、積極的に企業が職場情報を提供するような、そういう仕組みにしていく必要があるのではないかと思いますが、厚労大臣の答弁をいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、職場情報が積極的に若者のニーズに沿った形で出てくるということが大変大事であります。

 一月二十三日のこの労政審の建議を踏まえまして、現在、新卒者の募集を行う企業に対して、一つは、広く職場情報を提供する努力義務、それから、応募者等から求めがあった場合には、企業の選択のもと、一定の項目について情報提供を義務づける方向で法案の検討を進めているわけであります。

 今の三類型で、企業の自主的な情報提供、その促進すべきという今の議員の御指摘は、私としても大変重要な点であって、したがって、ハローワークに求人を出す企業に対しても、職場情報の全ての項目を提供するよう働きかけることを法律に基づく国の施策の基本方針に盛り込むことを検討するとともに、企業が直接募集を行う場合でも、求めがなくともホームページ等で積極的な情報提供が適当である、そして、応募する若者たちのニーズに応じた項目の情報提供が望ましいこと、さらには、職場情報の提供を求めた応募者等に対し不利益な取り扱いをしないことなどを、法律に基づく事業主が講ずべき指針に盛り込み、ハローワークを通じて企業に働きかけを行うこと等を検討していく必要があるというふうに考えてございます。

 いずれにしても、若者が希望する情報を安心して入手できるように、具体的な方策について検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 続いて、社会保障の問題について何点かお聞きしたいと思います。

 一つは、この一月一日から、医療の面で二つ大きく前進したことがございます。

 一つは、資料でお手元にお配りしていますが、高額療養費制度、これが、今まで七十歳未満の所得区分が三段階でございました。それを今回五段階にさせていただいて、変わりました。

 中低所得者に配慮した、年収三百七十万円以下という区分が新たに設けられまして、三百七十万円から約二百二十万円までの方々、対象として四千六十万人の方々の限度額が、八万百円から五万七千六百円に引き下げられた。こういうことは、我々、長年このことも党として主張してきたものでございまして、これが実ったということは高く評価したいと思います。

 もう一つは、パネルを用意したんですが、難病医療法、また、改正児童福祉法の成立によりまして、この一月一日から、医療費助成が受けられる指定難病が、まず、五十六疾病から百十疾病に拡大されました。さらに、ことしの夏には三百疾病へと拡大されることになります。対象の患者数も、現在の七十八万人から約百五十万人へと倍増されます。子供の難病についても、五百十四から七百四疾病へと拡大されるわけであります。対象患者数も、約十一万人から十五万人へとふえるわけであります。

 両方あわせて、大きく前進することになると我々は評価をしているところでございます。

 難病に光を当て、希少疾患の患者を社会で支えていくという、世界でも例のない、よい制度だと言われているわけでございますが、ただ、医療費だけが何とか拡充されたから、対象が拡充されたからいいという問題ではなくて、昨年法律が通って、これからやらないといけないことが多くあるんだと思っているわけでございます。

 一つは、難病研究のさらなる推進というものをしっかりとやっていかなければいけません。

 二つ目には、難病に対する正しい診断や適切な治療が行える医療提供体制を各都道府県、自治体でしっかりと構築をしていく、こういうことが大事だと思っております。

 三つ目に、何よりも大事なのは、難病の方々が地域で暮らしていくときに、都道府県の難病相談・支援センターなどを充実強化して、相談体制の充実、拡充、あるいは患者の生活、就労支援をしっかりとやっていく、そういう総合的な支援体制。要するに、地域の中で、難病の方が理解を得て、尊厳を持って生きていけるような体制をしっかりとつくっていく。

 子供さんの難病、小児慢性特定疾病の場合は、自立支援事業がスタートするんですが、その方々についても、こういう総合的な御理解と支援体制をつくると同時に、小児から成人への切れ目のない支援の充実ということが何よりも大事だと思っております。

 総理はたびたび、難病対策というのは私のライフワークだ、そういうようにいろいろなところで述べられておりますけれども、これからの難病及び小児慢性特定疾病に対する対策について、総理の見解を求めたいと思います。

安倍内閣総理大臣 難病に苦しむ方々の視点に立って政策を進めていくことは、私のライフワークであります。

 難病というのは、まず、なかなか完治しない。ですから、この病気とずっと、いわば、場合によっては一生つき合っていかなければならない、その中で生計も立てていかなければならないという特徴もありますし、症例が少ないですから、なかなか研究が進まない、専門家が少ない、こういう課題もあるわけであります。

 難病対策を充実強化するための新法が本年一月に施行されまして、医療費助成の対象を五十六疾病から百十疾病に、さらに、本年七月を目指して約三百疾病に拡大することとしております。小児慢性特定疾病については、本年一月、新たに百七疾病を助成対象としたところでございます。

 医療費助成に加えまして、患者の方々に対し、生活支援などを含め、多方面からの支援を充実していくことが重要と考えています。

 このため、症例数が少なく、研究が進みにくい疾病について、データを集約し、治療に役立てるよう調査研究を進めていく。この調査研究を進めていくということ自体が、難病に苦しむ人たちにとって大変勇気づけられることではないかと私は思います。

 また、難病に苦しむ方が適切な診断、治療を受けられるよう、拠点病院の整備など、医療体制の確保を図ること。そして、日常生活での不安を解消していくため、難病相談・支援センターなどを通じ、相談支援を充実する。

 そして、小児慢性特定疾病については、療養生活の相談や相互交流などを通じ、子供たちが社会性を身につけ、将来の自立が促進されるよう支援を強化するといったことに取り組んでいます。

 こうした支援を総合的に進めるため、基本方針を策定し、難病の克服に向けて力を尽くしていきたい、このように考えております。

佐藤(茂)委員 ぜひ、総理、政府を挙げて取り組んでいただきたいと思うわけであります。

 続いて、介護報酬の改定は、いろいろな賛否がございますが、一つ何よりも言えるのは、介護職員の処遇改善を今回見直すことができたというのは大変重要なポイントだと思っております。

 これから地域包括ケアシステムをさらに広げて基盤をつくっていくときにも、介護の担い手というのが非常に大事になってくるわけでございますが、二〇二五年には約三十万人不足すると言われておりまして、喫緊の課題でございます。今回、一万二千円が引き上げられることによって、平成二十一年から合計、合わせますと四万二千円のアップ、そういう実現をしたことは一歩前進だと評価をされるわけでございます。

 それで何をするのか。大事なことは、今言いました地域包括ケアシステムをしっかりと基盤を構築していく。そして、その上で、今さらに大事になってきているのが、私は、認知症対策にどう取り組んでいくのか、そのことが非常に大事になってくると思っているわけでございます。

 先月だったと思うんですが、二〇一二年で四百六十万人と言われていた認知症の方々が、新たな推計によりますと、二〇二五年には最大で七百三十万人に達する。今まで六十五歳以上の高齢者の七人に一人だと言われていたのが、五人に一人に上昇する、そういうことになってきているわけでございます。

 これを受けまして、政府は先月、新しい認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランをまとめられたわけでございますけれども、その新しい国家戦略では、基本的な考え方として、認知症の本人の意思が尊重され、できる限り住みなれた環境で自分らしく暮らし続ける社会の実現を目指すということになっているわけでございます。

 そこで、そのための原動力となるのは、できるだけ早い段階からの支援を行うために、認知症の方々の早期診断、早期対応のためのそういう体制整備というものが何よりも大事だと思っているわけでございます。

 パネルを用意しましたけれども、この右上の認知症初期集中支援チームの設置の推進ということが一つ大きなポイントになってくるわけであります。

 これを新オレンジプランでは、今までの実績では、二〇一四年では四十一市町村でこのチームはできているんだけれども、これを二〇一七年度中に全市町村にしっかりとそういうチームをつくって、二〇一八年からは全部実施していくんだということになっておりますが、これは容易なことではなくて、例えば、認知症サポート医である専門医の方をしっかりとつくる。さらに、そのスタッフとなる医療系と介護系職員の育成と確保というものについては、これはもう相当な時間と手間がかかることだと思うんですが、政府はどのようなスケジュールでどのように取り組んでいかれるつもりなのか、厚生労働大臣に答弁をいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、認知症にとって早期診断、早期対応というのは極めて重要だというふうに我々は考えております。

 新オレンジプランでは、かかりつけ医の認知症対応力を高めて地域でしっかりと見ていただくための研修を行う。それから、かかりつけ医の相談役の役割を担う認知症サポート医を養成するなどの数値目標を引き上げて取り組んでいくとともに、消費税増収分を活用いたしまして、医療、介護専門職によります認知症初期集中支援チームを平成三十年度までに全市町村に配置することとしております。

 これを担う人材につきましては、二十七年度からは、消費税財源によりまして都道府県に設置をされる基金、これを活用してその研修等の取り組みを推進することとしておりまして、引き続き積極的な養成をしてまいりたいというふうに思います。

佐藤(茂)委員 高齢化に伴う認知症の人の増加というのは世界的な現象でございますが、その中でも最も速いスピードで高齢化が進んできた日本が社会の中でどういうモデルをつくるのかということが問われているわけであります。

 昨年十一月に、総理が認知症サミットの日本後継イベントに出られて、国家戦略をつくるんだという指示をされました。

 ぜひ、認知症に対して国家戦略としてどのように取り組んでいかれるのか、安倍総理の見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まさに、認知症は、誰もがかかわる可能性のある身近な病気と言ってもいいんだろうと思います。そして、世界で最も速いスピードで高齢化が進む我が国こそ、社会全体で認知症に取り組み、世界のモデルとなる、そういう取り組みを進めていく必要があると思っています。

 そこで、新たに策定した総合戦略では、先ほど厚労大臣から既に中身について説明をさせていただいたわけでございますが、消費税増収分を活用して、初期集中支援チームを平成三十年度までに全市町村に設置するなど、医療、介護等が連携してできる限り早い段階から認知症の方を支援するとともに、根本治療薬については、これは大変開発が待たれるところでありますが、平成三十二年ごろまでの治験開始を目指すなど、予防や治療のための研究開発を推進し、そして、先ほど御指摘の認知症サポーター、平成二十九年度までに八百万人を養成するなど、認知症の方や高齢者に優しい地域づくりを進めることとしています。

 今後とも、認知症の方ができる限り住みなれた地域で暮らすことができるように、本人や家族の方々の意見を十分に聞きながら、政府一丸となって環境を整えていきたい、このように考えております。

佐藤(茂)委員 きょうから審議が始まりました来年度予算案、ことしはやはり景気を全国隅々まで実感していただくということが非常に大事だと思っております。早期成立に我々しっかりと努めてまいることを決意しまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて上田君、佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡田克也君。

岡田委員 民主党の岡田克也です。

 十六日の私の代表質問に対する総理の御答弁を中心に、九十分、意見交換、議論していきたいと思います。

 まず、格差の是正についてであります。

 その十六日の総理の御答弁で、これは二番目なんですが、格差に関する指標はさまざまであり、格差が拡大しているかどうかについては一概には申し上げられませんが、中略ですけれども、税や社会保障による再分配後の所得の格差は、おおむね横ばいで推移していますという御答弁を総理にいただきました。

 ぜひ、使っている統計とかお考えがあってこういう御答弁になっていると思いますので、御説明いただけますか。

安倍内閣総理大臣 私が述べた、社会保障の再配分機能を行った後についてはおおむね横ばいというのは、これはジニ係数について申し上げているわけでありますが、ジニ係数というのは、大体同じ収入であれば、こちらが人だとすると、収入とすると、リニアで上がっていくわけでありますが、差が出ると、この差の分との面積が大きいとジニ係数が拡大していくというものであります。

 そこのジニ係数で見ると、社会保障の所得再配分後で見ると、おおむね横ばいである、このような認識から答弁させていただいたところでございます。

岡田委員 総理の、ジニ係数をお使いになったということなんですが、確かにジニ係数で二〇〇一年以降を見ると、総理のおっしゃることもわかります。ただ、その場合でも、これはもともとは経済財政諮問会議の民間委員の考え方が総理の御発言に反映されていると思うんですけれども、経済財政諮問会議での民間委員も、若年層のジニ係数は若干上昇しているということを経済財政諮問会議の資料の中で主張しているわけであります。

 それからもう一つは、二〇〇九年の経済財政白書、少し前になりますが、この中では、八〇年代以降、所得格差は緩やかに拡大しているというふうに述べているわけですね。

 ですから、統計というのは期間のとり方ですから、確かに総理のおっしゃられたことは間違いではないと私は思いますけれども、もう少し長く見ると、トレンドとしては上がっている、あるいは若年層はやはり厳しくなっているということは言えるんだというふうに思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 若年層について言えば、ジニ係数においても、今、ジニ係数で統計がとれている期間でございますが、これは二〇一〇年までですかね、若年層においてはそういう傾向が見られるということであります。

岡田委員 ちょっと議論の前提として、二〇一〇年ぐらい、あるいは一二年ぐらいまでしか統計がなかったりしますので、私は、アベノミクスで格差が拡大したとかそういう議論をきょうするつもりはないということは申し上げておきたいと思います。もう少し、周期で見たトレンドの話を、格差の問題、議論したいということで、アベノミクスでどうかというのは、これはまた別の機会に議論させていただきたいと思います。

 今、総理からジニ係数というお話が出ましたので、これは私も長々と説明するつもりはありませんが、代表的な格差を示す指標というのは、ジニ係数と相対的貧困率と二つあるわけですね。

 総理が御説明になったのですが、ジニ係数というのは、世帯ごとに所得を累積していく、ですから、全員が同じ所得であれば、均等分布線になるわけですね。格差が大きいほどゆがんでくるということで、総理がおっしゃった再分配所得というのは、当初所得に比べると、そのゆがみが是正されているということなんですが、もう一つの相対的貧困率というのは、全員を所得の順番に並べて、一番真ん中の人、これを所得中央値というふうにして、その半分の所得しかない人、半分以下の人を貧困というふうに呼んで、そこに何割、何%の人が入っているかであらわすものであります。

 この相対的貧困率を見ますと、実はかなり上がっているわけですね。つまり、一二ポイント、一三ポイントから一六ポイントということで、この青い方が相対的貧困率、下が子供の貧困率ということですが、いずれにしても、これはかなり顕著に上がっているということは言えると思います。

 この相対的貧困率について、総理、どうお考えですか。

甘利国務大臣 いずれの数字も、安倍内閣の数字が出ていないから、民主党政権までの数字しかどうしてもないんですね。

 ジニ係数は、再分配後はほぼ横の数字。相対的貧困率、つまり、中央値の半分以下の所得層が何%いるか、これも、厚労省のとるデータと総務省のとるデータで相当乖離がありまして、厚労省のデータによりますと、たしか相対的貧困率は一六・一ぐらいでしたか、OECD平均が一一ぐらいですから、それよりかなり高い、ワーストシックスに入っている。ただ、総務省のデータをとりますと、これが一〇・一なんですね。OECD平均より低いんです。

 それで、厚労省のデータというのは、サンプル数は三万サンプル、総務省のデータは、サンプル数は、世帯数は六万ぐらいなんです。この差は何で出るのかというと、厚労省の調査というのが、福祉事務所を通じた調査がなされる、総務省の調査は、自治体を通じて、市町村を通じて調査がなされるということで、厚労省の調査を見ますと、三百万未満世帯の数が多く出るんです。総務省の調査はそうじゃないんですね。

 これはどっちが正しくてどっちが正しくないと言うつもりはないんですけれども、調査対象とサンプル数が少しずれているんじゃないか。だから、真実は多分真ん中辺にあるんじゃないかというふうに思います。(発言する者あり)いや、そんなことないって、そんなことあるんですよ。ないんだったら、ない証拠を示してください。

大島委員長 やじに答える必要はありません。

甘利国務大臣 はい。

 そういうことですから、答えている対象サンプルがかなり違うということで、ここは少し調査をしたいと思います。

 それから、委員御指摘の、いずれにしても、ジニ係数において数字が上がっていないのに相対的貧困率が上がっているということについては、正直言って、どういうことなんだと私も聞きましたけれども、ジニ係数での変わらないということと相対的貧困率のグラフの変化というのは、正直な話が、まだ解明をできていないんです。

岡田委員 甘利大臣、評論家じゃないんですから、責任ある大臣の立場ですから、わからないということじゃなくて、それはわかるようにしてもらわないと困るわけですね。

 さっきのジニ係数の話も大臣言われましたが、私が言いましたように、もう少し長く見ると、やはりジニ係数も悪化しているんですよ。それから、若年層はやはり悪いんですよ。

 だから、ジニ係数はいいというふうにおっしゃいましたが、そういうことは必ずしもそうは言えないということを私は申し上げているわけです。

 しかも、相対的貧困率が上がっていることについて、よくわからないじゃなくて、そこはきちっと解明すべきだし、日本政府として国際的にはこういう数字を出しているわけですから、やはりそれが解明されることが私は先決だと思いますよ。

 そして、少なくとも、総理がおっしゃったように、補正後には……(甘利国務大臣「何で民主党のときやらないんだ」と呼ぶ)大臣、やじらないでください。やじるのはおかしいでしょう、あなた。

大島委員長 甘利さん、答弁するときは手を挙げておっしゃってください。

岡田委員 私が申し上げたのは、やはり中期的な問題としてこれはちゃんと捉えるべきだということを申し上げているわけで、別に、安倍政権のアベノミクスを批判しているわけでもないし、今大臣は民主党政権どうだと言いましたが、これは過去二十年ぐらいの話なんですね。私は、それは政治家としてやはり真摯に取り組まなきゃいけないんじゃないか、どこの政権の話じゃないんだということを申し上げているわけですよ。

 ぜひ、ジニ係数だから、余り変わっていないからということじゃなくて、統計によってこれだけのことも、相対的貧困率が出てきているわけですから、そこはやはり真剣に捉えていただいて、この格差の拡大の問題、格差が拡大している可能性が非常に高い、そういうことについて、まず事実認識として、総理、ちゃんと受け入れていただきたいんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 甘利大臣が御答弁をさせていただいたのは、事実認識をちゃんと捉えるということでは全くこれは岡田代表と同じなんですよ。事実認識を捉える上においては、この統計がどういう統計であるかということもしっかりと把握しておく必要があるんだろうということであります。

 では、この相対的貧困率は、先ほど甘利大臣が簡単に説明をさせていただいたわけでありますが、まさにこれはフローでやっているわけでありまして、資産等は、資産や負債の保有状況が計算に反映されていないという点があります。

 そしてまた、同時に、我が国においては単身高齢者や母子家庭の増加が影響している。母子家庭が影響している、母子家庭が貧困的な状況になっているということについては、我々も認識をしなければいけないと思っていますよ。しかし、やはりそういう分析をしていく必要があるんだろう、こう思います。

 そして、それがどれぐらい影響を与えているかということの中において、我々は分析をしていかなければならない、こう考えております。

岡田委員 総理、今資産とか負債の話をされましたね。資産と負債というのは関係ないです、所得の話をしているんですから。ジニ係数だって同じでしょう。ジニ係数に資産、負債は関係あるんですか。

 だから、そういう役所のつくった答弁を棒読みするんじゃなくて、所得の問題を今議論しているんですから、ぜひそこはよくお考えいただきたいというふうに思います。

 やはり、きちんとした事実認識をお互い共通に持つことで、初めて政策の必要性というのは出てくるわけですから、ぜひこの問題は引き続き議論していきたい。ぜひ、政府の中でも、見解が、読み方がいろいろあるとかいうことじゃなくて、きちんとした結果を示していただきたいと思います。

 次に、総理のこの格差問題についての発言の中で、総理は過去に、頑張った人が多くの利益を得ていることをただ批判することはやはり間違っていると思う、こういうふうに言われていますね。ここは私もそうだと思いますよ。むしろ、頑張って利益を得た人は称賛されるべきかもしれませんね。

 問題は、下から二番目なんですが、誰にでもチャンスがある、そして頑張れば報われるという社会の実現に向け、尽力してまいりますと。これ自身はもちろん正しい。私も全く同感です。ただ、問題は、アメリカンドリームという言葉もありますけれども、全員がそういうことが、頑張ればそうなるのかということだと思うんですね。

 こういう議論というのは、悪くすると、所得が少ない、あるいは貧困に陥っているのは頑張らなかった結果であるという議論に結びつきかねない、そういう問題がある。そういうふうに思うわけです。

 総理にちょっとお聞きしたいんですが、総理は今内閣総理大臣。今の立場は頑張った結果のみだというふうにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 先ほどの答弁に対してちょっと、所得と資産についての関係でありますが、高齢者の単身がふえたということを先ほど申し上げました。

 ジニ係数においては、私も何も、フローと資産、ストックとの関係については、もちろん言及していなかったわけでありますが、この相対的貧困率、それはジニ係数も同じですが、それは入っていないという中において、ジニ係数が上がっているというときにも、この説明をかつて小泉政権でもしたことがあるんですが、いわば、年をとっていけば、資産は形成されているけれどもフローはなくなっていく。しかし、単身で、これはふえていきますから、世帯が。単身世帯がふえていくから、それがふえた分、影響している可能性がある。

 ジニ係数においてもそういう説明をしたこと、これは、社会保障の分を勘案する前の数字についてそういう説明をさせていただいたということで、私はお話をさせていただいたわけであります。

 同時に、総理大臣に私の努力だけでなったかと。私はそれほど傲慢な人間ではなくて、これはやはり、政治というのはかなり運によって左右されるものがありますし、そもそも、いろいろな方にめぐり会えるかどうかということなんだろうと思います。同時に、私の場合は、私の父親も祖父も政治家でありました。当然、多くの方々に最初からめぐり会えるチャンスをいただいていたという大きなアドバンテージがあったのは事実であります。

 それと、先ほど岡田代表が言ったように、頑張れば報われるというのは、うまくいっていない人は全部頑張らなかったというわけではもちろんなくて、頑張ったら報われる可能性がなければ、社会は活力ある社会にならないという意味で申し上げたわけでありまして、世の中というのはそんな単純なものではそもそもないわけでありまして、それを前提にお話をしているところでございます。

岡田委員 私も随分運がよかったというふうに思うんですね、自分も。野党の代表ではありますけれども。先祖、両親、家族、そして何より、私を支持していただいた支持者の皆さん、本当にいい方々に恵まれて今日まで来れた、総理も同じ思いだろうと思います。

 その気持ちに立ったときに、所得の格差がついている現状に対して、やはり何とかしなければいけない、そういうことだと私は思うんですね。今のこの日本、これは日本だけではなくて先進国共通の現象だと私は思いますが、経済のグローバル化もあって格差がだんだん拡大してきている。そのことに対して、是正していく、そこにやはり政治の大きな役割がある。

 もちろん、経済成長が大事だということを私は本会議でも申し上げました。成長は大事です。しかし、その成長の果実をいかに再分配していくかという視点が政治には欠かせない、そういうふうに思うんですが、総理、そこは御同意いただけますか。

安倍内閣総理大臣 その点については、基本的に同意をさせていただきたいと思います。まさに、再配分機能を行うのは国としての責任であろう、このように思います。

 この格差については、いろいろな意見があるわけでありますが、いわば格差が固定していないということと、これは許容できない、それが一体幾らぐらいかというのは社会的な常識ということになるんでしょうけれども、この格差はやはり許容範囲を超えているというところにしないための、さまざまな税制上、あるいはさまざまな制度、社会保障の仕組み等々を使って国がそうしたゆがみを是正していく必要はあるんだろう、このように思います。

 同時に、そうした再配分機能を生かすためにも、成長してしっかりとそのための果実を得るということも重要であろう、この点については基本的に岡田代表と同じではないかと思っております。

岡田委員 それが許容の範囲かどうかということだと思うんですが、私は本会議でも、格差是正の具体的手段として、所得税、資産課税の強化ということを申し上げました。つまり、一月にまず増税しているわけですね。最高税率、所得税四〇%を四五%にした。そして、相続税も五五%になった。これは、三党合意、民主党政権のときに自民党、公明党の賛成をいただいて三党合意して、それが実際に実施されたのは一月ということなんです。

 私が申し上げたのは、これではまだまだ足らないんじゃないかということで、例えば、四五%に最高税率がなったといっても、これは課税所得四千万円以上の人なんですね。そうすると五万人、増税額五百九十億円ということですから、もう少し底上げすべきじゃないか、税率を上げるべきじゃないかということを私としては主張したわけですが、総理のお答えは、税制における再分配機能のあり方については、経済社会の構造変化も踏まえながら、引き続きよく考えてまいりますというお答えだったんですね。何もお答えいただけなかったんですが。

 もう一回聞きます。

 やはり私は、もう少し、所得課税それから相続税について、格差是正の観点から、もう一段の税率アップ、あるいは課税対象の拡大を考えるべきだ、検討すべきだというふうに思いますが、いかがでしょう。

安倍内閣総理大臣 今もう既に御紹介いただいたんですが、我々は既に、所得税の最高税率あるいは相続税の最高税率を引き上げました。

 そこで、それが不十分だという御指摘でございますが、これは考え方の問題なんですが、四千万円の方々が四〇から四五%に上がったんですが、彼らがこれはやはり当然支払うべき額であろうと思うかどうかということも大切なんだろう、こう思うわけであります。

 頑張って得た収入の例えば半分は国で半分は自分、そうなれば五〇%ということになるわけでありますが、しかし、その中で、今や経済はグローバルな時代ですから、住居を、東京ではなくても、例えばシンガポールや香港でもいい時代になってきているわけでありまして、そういう中において、これはやはり幾ら何でもちょっと高過ぎるなということを思って、そういう所得のある人材が流出してしまえば、いわば金の卵を産む人たちを失っていくことにもなるわけでありまして、そこのところの考え方なんだろう。

 また、相続についても、一生懸命自分は頑張って稼いで、それは子供に残したいと思うのは、これは自然な人間の心なんだろうなと思います。しかし、そこでいわば格差が固定化しないように、相続税という手段を使って再配分を行うところでありますが、そこを果たしてどこまでにするかということについて、これは党によって考え方が違うのかもしれませんが、我々は、十分な議論を行っていく必要もある。もう既に、例えば、今までの税制の中においても、相続税について日本が高過ぎると思った人たちが、いわば住居を移すという人たちもいたわけであります。

 ただ、自分のお金を残すためだけに日本という場所を捨てるのは、私もどうかと思いますけれども、果たしてそれで人生が豊かになっているのか、幸せになっているのかというのは、実は違うんじゃないかとは思うんですが、しかし、そう思う人たちも出てきているということもあります。そういうことや何かを勘案しながら検討していく必要もあるんだろう、このように思います。

岡田委員 かつての所得税の最高税率、八五という時代もあったと思いますが、七五%という時代が長かったですよね。昭和三十二年から五十八年まで、七五%、住民税を含めるとさらにアップするわけですが。これは確かに、かなりやり過ぎだと私も思います。そこまでということを言っているわけじゃありませんが、もう少し、フラット化し過ぎたものを是正すべきじゃないかと。

 自分の努力でここまで来たと同時に、やはり運がよかったということを考えれば、そこまで考え合わせれば、私はもう少し許容されるんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういうことをお考えになる余地は、総理はありませんか。

安倍内閣総理大臣 これは人によって考え方が違うんだと思うんですが、いわば経済の世界で財をなしていくタイプの方々は、本当に俺は頑張ったんだという思いを持っている人たちというのは結構多いんじゃないかと思うんですね。自分はほかの人よりも三倍四倍働いたんだ、それによって積み上げた富を、例えばそれを自分の子供たちに受け継がせようというときに、ほとんどとられてしまう。

 ここで、いわば、それを回避するために物すごい汗を流されるよりは、これだったら払おうということで、結果として払う金額がふえる方向に、プラス方向に、もっと資産のかさを上げていって、結果として額としてはふえていくということも起こるかもしれませんが、ここのところは考え方だろう。それぞれの考え方であって、これはやはりさまざまな観点から考えたいと思います。

 岡田代表が言っておられることも、私も十分理解できますよ。しかし、ここは、どれぐらいかという、国民的なというか、そういう支払いをする人たちのある程度の立場も考えないと、ただ苛斂誅求にやることになってしまうのではないかと思います。

岡田委員 私は別に懲罰的にやれとか、そんなことは全く言っていないんですね。ここは自民党と民主党の立ち位置の違いということなのかもしれませんね。

 総理も、子供の貧困問題というのは極めて大事だということは主張されています。そこはかなり共通点があると思って申し上げるわけですけれども、先ほどの相対的貧困率で、子供がいる現役世帯の貧困率が非常に高い。これは、時系列的に上がっているとかいうことは余りないんですけれども、しかし、五割を超えているというのは、OECD加盟国の中で、韓国だけは数字がないんですが、その韓国を除くと最下位なんですね。これは私は本会議でも申し上げたんですが、国としての恥じゃないか、こういう状況であるということは。これを何とかしなきゃいけないと思うんですが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 子供の貧困率が高いという御指摘でありますが、特にそれは一人親に非常にその傾向が見られるわけでありまして、そういう意味においては、一人親家庭に我々は着目した施策を打ってきているわけでございまして、きめ細かな支援が必要であるというふうに認識をしています。

 このため、市町村等を中心に、子育てや日常生活に関する相談支援や、児童扶養手当の支給、仕事の紹介などを行ってきたわけでありますが、昨年には、一人親家庭の親が就職に有利な資格を取るまでの生活を支える給付金について、恒久化するとともに、非課税にいたしました。

 そして、平成二十七年度予算では、一人親家庭の子供に対する学習支援のためのボランティア派遣について頻度をふやすこととしておりまして、また、親についても、よりよい条件で就職できるように、学び直しの支援を新たに行うこととしております。

 こうした、いわば子供の貧困という状況に陥りやすい一人親の御家庭にしっかりとスポットを当てながら、自立できるように、自立の支援を中心に応援をしていきたい、このように思っております。

岡田委員 子供の貧困問題については、二〇一三年に議員立法で子どもの貧困対策の推進に関する法律ができて、それに基づいて、民主党の主張というのは全部は入らなかったんですけれども、例えば、きちんと数値目標を定めろとか、都道府県に計画を義務づけろとか、そういう民主党の主張というのは残念ながら実現しなかったんですが、しかし、とにかく法律はできて、それに基づいて進んできている。

 今総理も少し言われましたが、私は、文科省の関係の予算は割とよくつけられているな、十分ではありませんけれども、頑張っておられるなというふうに思います。それは文科大臣の御努力も大変あるんだと思いますね。

 問題は、やはり現金給付なんですね。児童扶養手当、これが何とか増額できないかということなんですけれども、現在、四万一千二十円、子供さん一人の、一人親の場合ですね。二人目になると五千円になり、三人目になると三千円になる。総理、月三千円といったら、一日百円ですよね。第三子、三人子供がいる家庭は三千円プラスになる、つまり一日百円プラスになるという、これは何か意味あるんですか。私、余りにもこれはおかしいと思いますが、そう感じられませんか。

塩崎国務大臣 児童扶養手当の支給期間の問題、今御指摘ございました。

 今、十八歳になっておりますけれども、二十歳までという御意見があることももちろん承知はしておりますけれども、まず第一に、その財源をどうするのかということも当然ございます。

 それから、高等学校等進学率が九六%を超える一方で、大学、専門学校等への進学率が七〇%程度で、高校を卒業して就職する方々もいることをどう考えるのか。

 それから、奨学金の支給、授業料の減免等の教育分野での施策や、一人親の家庭の児童を大学等に就学させるための資金の貸し付けなどの、他の施策とのバランスなどもいろいろあって、今、延ばすべきだというお話と、増額をせいということで、第二子、第三子の話がございましたけれども、恒常的なその財源と、それから子育て生活支援や就業支援という、言ってみれば個別の対応などの、一人親支援施策の全体のバランスをどう考えて効果を出していくのかということもやはり考えた上で、慎重に考えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っております。

岡田委員 児童扶養手当の予算は確かにかなり大きい、国と地方を合わせると五千億円ぐらいだと思います。しかし、それによって、母子家庭百万人、それから父子家庭でいうと六・五万人、そういった家庭の所得が底上げされているということなんですね。

 先般、私、あしなが育英資金で生活する六人の学生の意見を聞く機会があったんですけれども、やはり彼らもここを一番何とかしてもらいたいということを言うわけです。

 実は、本会議で総理と意見交換というか議論した後、ですから火曜日の夜に、その意見交換した六人のうちの一人が突然私の議員会館の部屋を訪ねてきまして、私も少しびっくりしたんですけれども、手紙を置いていったんですね。ちょっとそれをポイントだけ読ませていただきたいと思うんですが、その総理の御答弁を聞いてです。

 私は驚きました。私の周りには、お金がなく進学を諦めた子供たちがいます。夢をかなえるために大学に入ったのに、学費が払えず退学し、今も非正規で働いている友がいます。貧困がゆえに家庭が壊れ、死にたいとまで言っている子供たちがいます。格差が許容範囲だなんて、政府はそんな子供たちを見捨てるということなのかと、はらわたが煮えくり返る思いでした。子供たちの未来は日本の未来です。子供たちが貧困から脱し、支えられる側から支える側に回れば、必ず日本にとってプラスになることでしょう。日本各地で貧困に苦しんでいる弟たち、妹たちをどうか救ってください。

 こういう手紙を残していかれたわけですが、やはり、この五〇を超える貧困率、これは何とかしなきゃいけないと総理は思われませんか。

 そして、総理は、実は子どもの貧困対策会議の会長でもあるわけですね。総理大臣であるとともに、子供の貧困対策の責任者でもあるわけです。今申し上げたことで、何とか所得の底上げのために御尽力いただけませんでしょうか。いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 子供の貧困という状況、まさに、子供の貧困によって教育の機会が失われる、将来に希望が持てない、そういう日本にしてはならない、このように思っております。ですから、子供の貧困対策は極めて私は重要だと考えております。

 先ほど塩崎大臣が児童扶養手当について答弁させていただいたわけでありますが、五千億少し予算がかかる中において、我々もそれはふやしていくことができれば、財源が確保できればと思っておりますが、同時に、いわば二人親の家庭と一人親の家庭に注目したのが児童扶養手当でございますから、その関連もあるんだろうと思いますし、あるいは、その中で、児童扶養手当が行っている家庭と行っていない家庭、これは収入においてそうなっていない家庭もあるわけでありますが、そこで頑張っているお母さんや一人親のお父さんもいるわけでありますが、そうしたいわば消費生活水準等の差が出ないように、逆転をしないようにということも勘案する必要もあるんだろうな、このようにも思います。

 いずれにいたしましても、今読まれた手紙のような状況を我々は一日も早くなくしていきたい。そのためにも、無利子の奨学金がしっかりと必要な人の手に渡るように我々も推進をしていきたい、このように思っております。

岡田委員 もちろん、両親が二人そろっておられても貧困な家庭はたくさんあります。ただ、この数字をごらんいただくと、やはり母子家庭ないしは父子家庭の貧困率が非常に高いんですね。これを何とかすべきじゃないかということで私は申し上げているわけです。

 今、財源の話も出ましたけれども、先ほどの最高税率、所得四千万円以上の方、四〇から四五%、五ポイント上げたわけですが、これで五百九十億円なんですね。ですから、全体、所得税を底上げする中で財源を得ることだって私は十分可能だと、もちろんこれだけに使うわけにはいかないということだと思いますが、ということを申し上げて、この格差の問題は引き続きいろいろな観点から、予算委員会の場でもお許しをいただいて、総理と議論をしていきたいというふうに思っております。

 さて、次に移ります。

 ISILによる日本人殺害問題について、検証を政府でもしておられるということですが、やはり私は、十二月三日から一月二十日までの間に、その間何ができたかということの検証が非常に重要だと思います。

 岸田外務大臣にまずお聞きしたいと思うんですけれども、大臣は、十二月三日に後藤健二さんの拘束が奥様のメールで判明したというふうに答弁されていますね。三日の何時ぐらいにお知りになったんでしょうか。

 それからもう一つは、結局、そのメールに政府が直接返事をするということではなくて、いろいろな国とか、関係各国とか、あるいは宗教関係者とか部族長とか、そういうところに働きかけるという道を選んで、政府が直接、そのときはまだISILだということは特定されていなかったと思いますが、そことメールを通じて交渉するということはしなかったんだというふうにおっしゃいましたが、そういうふうに決めたのはいつごろですか。

岸田国務大臣 まず、御指摘のように、十二月三日に犯行グループからのメールについて御家族から連絡を受け、この段階で、後藤氏が何者かに拘束された可能性が高い、これを認知した次第です。

 そして、十二月三日何時にこの報告を受けたかという御質問をいただきました。

 済みません、今ちょっと手元にその三日の記録がありませんので、たちまち何時に具体的に事務的な報告を受けたか、ちょっと今、確たるお答えをすることができませんが、三日、連絡を受けて早々に、私もそういった事態について連絡を受けたものだと承知をしております。

 そして、直接交渉しなかったことについて御質問をいただきました。

 この点につきましては、今申し上げましたように、十二月三日、何者かに拘束された可能性が高いということは認知いたしましたが、その時点で、ISILによって拘束された可能性、これは否定できないものの、確たる情報には接していなかった、こういったことでありました。

 そして、十二月二十日にISILによるものと見られる動画がネットに掲載された時点で……(岡田委員「一月」と呼ぶ)失礼。ことし一月二十日、この動画が掲載された時点で、ISIL関係者による犯行である可能性が高い、このように判断したわけであります。

 そして、それに対する対応でありますが、後藤さんと湯川さん、このお二人を解放する上で何が最も効果的な方法なのか、この観点から、政府として全体で検討をした次第であります。

 そして、その観点で検討した結果、ISILと直接交渉する、接触をするということではなくして、我が国が今日まで外交等において培ってきたさまざまな関係国、情報機関、あるいは宗教関係者、さらには部族長、こういったあらゆるルートを活用して取り組むという対応を決定し、それを実行したということであります。

岡田委員 それをいつ決定されたのかと聞いているんです。

岸田国務大臣 対応につきましては、十二月三日以降、こういった事態をしっかり把握した後、その時点では、現地対策本部はもうそれよりさかのぼって八月からスタートしておりましたし、外務省におきましても対策室、官邸におきましても情報連絡室、警視庁におきましても連絡室を立ち上げていたところであります。

 そうした関係者と協議の上でそういった事態を把握した後、いつの時点か、何日の何時だったか、この点につきましては今把握はしておりませんが、早急に対応を検討し、方針を確定し、それを実行したということであります。

岡田委員 十二月三日に拘束が判明して、恐らくすぐには決められなかったと思うんですね。相手が誰なのか、これは結局一月二十日までわからなかったということですが、そもそも本当にメールの相手が後藤さんなのかということも、これは奥様とのメールのやりとりを何回かする中で確認されたと思うんですね。

 ですから、直後ではないと思うんですけれども、十二月のどこかの時点で、これはやはりメールの相手を、直接政府が出ていってやるのではなくて、違うやり方で、つまり今大臣もおっしゃった、私も申し上げた、関係国や部族長や宗教関係者のルートでやるべきだということを十二月のどこかの段階で決めたという理解でいいですね。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたように、十二月三日以降、関係者で検討し、そして対応を決定した次第であります。

岡田委員 それで、官房長官にちょっと質問したいんですが、官房長官、答弁の中で、これは参議院の予算委員会ですけれども、ISILはまともに交渉できる相手ではない、そういう中で、国家安全保障局、内閣危機管理監、内閣情報室、警察、外務省で協議したと。それから、最終判断は誰が行ったのかと問われて、私のもとで情報集約の会合を開いて、そこで判断した、こうお答えになっていますが、ちょっと私が不思議なのは、これは内閣として総理とか外務大臣が入らない、情報関係者の中で決めたということですか。

 つまり、どういう交渉をするかというのは非常に大事なこと、命にかかわる非常に大事な分岐点、私は間違った判断をしたと言うつもりはないんですけれども、非常に大事な判断を官房長官が情報関係者だけで決めたということなんですか。

菅国務大臣 ちょっとその前に申し上げたいんですけれども、十二月三日の日に何者かに拘束されているというメールが入ったんですよね。その交渉について、後藤夫人が民間の専門家の方に相談をされて、対応をずっとしてきているんです。それに対して政府は、後藤夫人を警察、外務省でサポートして、ずっと支援してきたんです。

 そして、十二月のたしか十九日だったというふうに思いますけれども、夫人と犯人側とのやりとりの中で、後藤さんが確かに拘束されているという心証を持ったのが十二月のたしか十九日であります。そして、そこからまたその民間の専門家の方を通じて後藤夫人がメールを交換している、それについて、もちろん政府はサポートさせていただいてきている。

 そういう中で、しかし、具体的にその犯罪者というのはISILだということの確証を得ることができなかったんです。

 結果として、一月二十日、あのように大きな、動画によって発信をされて、そういう中で、先ほどの岡田委員の話になるわけでありますけれども、私ども、私のもとに三人の官房副長官、そして、これは当初から対応しておりました内閣危機管理監、そして国家安全保障局長、さらに内閣情報官、それと外務省、警察庁、専門家の中でさまざまな対応策について相談をして、その方向性をそこで見出して、当然、総理に御報告をさせていただいて、ISILというのは、先ほど私が申し上げましたけれども、まさにテロリストであって実態が定かでないと。

 そういう中で、十二月三日から、最も影響のある効果的な対応策は何が必要かという中で私どもはさまざま相談してきたわけであります。そういう中で、ヨルダンを初め周辺国、さらには宗教の指導者、部族の長、そうした人たちとの、一番効果的な対応はそこではないかなということをそこの会合で判断をして、総理に当然御報告をさせていただいて、私どもが対応してきたということです。

岡田委員 ですから、十二月十九日、あの映像が出たのは一月二十日ですから、約一カ月あったわけですね。この間、直接コンタクトするんじゃなくて、関係国や部族長あるいは宗教指導者、そういうあらゆるルートを伝って何とか後藤さんを救出できないかという努力を政府としてされたというふうに思うんです。

 一つ私がよくわからないのは、現地の対策本部に十数名増員した、それは一月二十日以降だったというふうに外務大臣は答弁されているんですね、国会で。そういう部族長や宗教関係者とコンタクトをとろうとすれば、やはり土地カンのある専門家を早く現地に投入して、そして、物量作戦じゃありませんが、少しでも多くの人がしっかりとコンタクトすべきだというふうに思いますが、なぜ、二十日になってから十数名の増員、それまでは増員していないということになったんでしょうか。いかがでしょうか。

岸田国務大臣 もともとヨルダンの現地対策本部には、シリアから退避してまいりましたシリア大使館の関係者、そしてもともといたヨルダンの大使館の関係者、このアラビア、イスラムの専門家が常駐しておりました。

 現地対策本部はその体制で対応していたわけですが、一月二十日以前も、外務省本省あるいは周辺の在外公館からは、例えばトルコに対しまして、シリアに国境を接するトルコに出張ベースで数名ずつ何回かに分けて人員を派遣し、情報収集等を行いました。合わせて十数名になりますが、人員を派遣して、情報収集を行う。また、警察庁におきましても、シリア周辺国に人員を派遣して、協力要請とか情報収集を行う。こういった形で、さまざまな働きかけ、そして協力を得ていたということであります。

 ですから、現地対策本部の人員という意味においては、一月二十日以降人数をふやしたということでありますが、それの外側で、外務省あるいは周辺の在外公館、あるいは警察庁、さまざまな関係者が周辺国に出張ベースで出かけていき、働きかけを行い、協力を得てきた、こういった対応で臨んだ次第です。

岡田委員 ヨルダンが最も重要な国である、そう考えたからこそ、そこに現地対策本部を設けたと思うんですね。その現地対策本部の増員ではなくて、トルコや周辺国、それはわかりますよ、だけれども、どうして一番大事だと考えたヨルダンの増員がなされなかったのかというのが、私にはわからないんです。説明してもらえますか。

岸田国務大臣 ヨルダンに現地対策本部を置いた理由ですが、今回のこの事案、シリアにおいて発生した事案でありますが、シリアにおいては、他の主要国も同じでありますが、治安の悪化に伴って大使館が退避しておりました。現実、このシリアには我が国の大使館は存在しないという状況でありました。そして、そのシリア大使館がヨルダンに退避している、こういった状況でありました。

 そうしたことに加えて、やはりヨルダンというのは、中東地域における情報拠点の一つとして評価されている国であり地域であります。こうした諸点を勘案した上で、我が国としましてはヨルダンに現地対策本部を置いた次第であります。

 そして、その人員の増強につきましては、先ほど申し上げましたような対応に基づいて、具体的な増員は一月二十日以降とさせていただいた次第です。

岡田委員 大臣が何を言っているかよくわからないんですが、大事な国だったらもっと早く増員すべきだ、そこはやはり私は、危機感が足らなかったんじゃないかというふうに思いますね。周辺の国にはそれぞれ人を張りつけたかもしれませんが、もっとヨルダンにも集中的に早く人を張りつけるべきだったんじゃないかというふうに思います。

 この点はなお議論させていただきたいと思いますが、官房長官にちょっとお聞きします。

 先ほど、十二月三日に後藤さんの拘束がわかりました。官房長官、何時に官邸に入られましたか。

菅国務大臣 私は当時、解散の選挙中でありました。自民党本部の要請に基づいて私は遊説に出向いておりましたので、私が官邸を留守にする間、内閣法に基づいて、定めによって世耕副長官に、私の職務を代行できるというものがありますので、副長官にお願いをして、私は不在をしておりました。ただ、常に電話連絡はとっていたということであります。

岡田委員 やはり、拘束がはっきりわかって、直ちに官邸を中心に対応をとろうとしたら、官房長官は十二月三日、いた方がよかったんじゃないですか。

 この日の日程を見ますと、朝から、静岡県、愛知県で十カ所街頭演説をされて、最終的には十八時、JR名古屋駅の新幹線口、ビックカメラ前で演説をされていますから、恐らく官邸に入られたのは早くても二十一時前ぐらいじゃないかと私は思うんですね。

 もし官邸に官房長官がおられたら、もっと早く対応できたんじゃありませんか。反省はありませんか。

菅国務大臣 これはぜひ御理解をいただきたいんですけれども、官房長官不在のときは、それは内閣法の定めによって官房副長官はその職務を代行することができるわけでありますから、私はそうさせて、指名をして、当時、参議院の世耕副長官に、在京し、対応をできるよう手当てをしていたということであります。そして、夜間においても連絡はしっかりできるようにしていたところであります。

 それと同時に、十二月三日というのは、後藤さんが拘束された、本当にそうかどうかということはその時点ではわかっていなかった、十二月三日、拘束されているというメールが来たわけですから。先ほど申し上げましたけれども、十二月十九日になって、それは後藤さんだということが判明したんです。このことも理解をいただきたい。

岡田委員 官房長官、えひめ丸事件、御存じですよね。森政権のときに、森さんは横浜でゴルフをしていた。官房長官は、福田さんは群馬県で、離れていた。結局、総理と官房長官がともに総理官邸から離れていたということの反省に立って、官房長官、これは暗黙のルールというのはあったんじゃないですか。つまり、官房長官は基本的に官邸周りにいる、離れるときは総理がかわりにいる、基本的にはそういうことじゃないですか。

 そういう暗黙のルール、私、これは暗黙かもしれませんが、非常に重要なルールだと思う、国家の危機管理として。いざというとき、何か起こったら、地下のオペレーションルームにおりていって指揮をとらなきゃいけないでしょう、官房長官は。その人が遠くに離れていて、総理も遠くに離れていて、それで国家の危機管理ができるんですか、皆さん。どうですか。

菅国務大臣 私は、申し上げましたように、内閣法において、官房長官不在について、あらかじめ官房長官の定めるところによって副長官がその職務を代行する、そういう規定をされているところでありますし、それに基づいて私は世耕副長官を在京、対応できるようにしておいたわけでありますし、その日に後藤さんが、十二月三日にですよ、完全に拘束されているということは、三日の日はわからなかったんですから。事実確認ができたのは十九日ですから。

岡田委員 結局、翌日の十二月四日も官房長官は朝から茨城県に街頭演説に出かけておられますよね。選挙期間中で官邸におられたのは、閣議をやった十二月九日の午前中。記者会見もその日だけは官房長官がやっておられますね。それだけ官邸をずっとあけ続けていた。

 後藤さんが、それは、はっきりしたのは十九日かもしれませんが、あらゆる情報を収集して、どうなっているかということを官邸はまさしく必死の思いでやっていたはずだと私は思うんですよ。それから、先ほど外務大臣も言われていた、部族長や宗教関係者やいろいろな国との関係で情報を集めて、それはいろいろな情報がありますから、正しい情報、間違った情報、そういうものをやはり精査して、何とかして人質の命を助ける。そのために官邸は必死の覚悟でやっていたと私は思うんですが、それにしては、毎日毎日、街頭演説ですか。街頭演説されていたんですか。

 いつそういう作業をやられたんですか。夜ですか。どうして昼間おられないんですか。お答えください。(発言する者あり)

菅国務大臣 ちょっと静粛にしてくださいよ。

 御夫人が、旧知の民間の専門家、その方を通じてやりとりをしていたんです。そして、十二月十九日になって、そのやりとりの中で、後藤さんが拘束されているという心証を持ったのが十二月十九日なんです。

 ですから、それまでの間に政府として、私は当時選挙中ですから選挙応援に行きました。しかし、官邸には、私の職務を代行できるという内閣法の定めに従って、世耕副長官がしっかりと対応した、このように思います。

岡田委員 この間の奥様と相手とのメールのやりとりの、これもいろいろなアドバイスを政府としてはしていたと思うんですね、そういう作業。それから、先ほども言いました、関係国との情報収集や分析、部族長、宗教関係者、もう必死になって日本国政府としては対応していたはずですよ。そのときにその中心になる官房長官が昼間いないということが、私には理解できないんですよ。はっきりまだ固まっていなかったからいいという話では私はないと思いますよ。

 総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 もう一度官房長官からも答弁をさせていただきますが、では、官房長官の仕事は何かということなんだろうと思います。

 そして、こうした事態が起こって、まだISILかどうかわからない段階においては、基本的には危機管理監が対応します。これは当たり前なんですよ。それは、日々いろいろなことが起こっているわけですから、実際に。世界じゅうでいろいろなことが起こっているんですよ。そこで、定かではないという情報、邦人がいなくなったという情報なんというのは結構あるんですよ。でも、その中でどう対応していこうかということは、これは危機管理監のところで対応していきます。

 今回のことについては、これは後藤さんの奥様から御連絡があった。でも、そこは……(発言する者あり)済みません、少し静かにしていただけますか、山井さん。私が一生懸命答弁しているんですから。(発言する者あり)

大島委員長 静かに。

安倍内閣総理大臣 よろしいでしょうか。

 そこで、そういう中において、官房長官のところにももちろん情報は入っておりますが、選挙中ではありますが、私のところにもずっと秘書官がついているんですから、これは情報が入ってきます。それは、メールも電話もあるんですから、常時。ということにおいては、オペレーション自体は全く何の支障もないわけでありますし、そこで次々とオペレーションを進めていくという指示を出さなければいけない状況では、その段階ではないんですよ。残念ながら、その段階ではかなり情報も限られていましたし、その段階ではないわけであります。

 そこで、またISIL側とも、まだISILかどうかというのはわからないわけですから。そもそも、政府としての立場というのは、テロリストとは交渉しない、これが基本的な立場です。しかし、接触等については、これは、その段階ではISILということが明らかになっていないわけでありますから、明らかになっていないのにそこに接触して聞くというのは、こんなばかげたことはもちろんしないわけでありますが、そこで、部族長等々から我々はさまざまな情報収集を展開していたわけでありまして、その中で、まだ、残念ながらなかなか収穫がないという状況が続いていた、こういうことであります。

岡田委員 ですから、相手ははっきりしないけれども、ISILの可能性が高いということは容易に想像できたと思うんですね、後藤さんの行った先から見れば。そういうときに、しかも公務じゃないんですよね、選挙応援ですからね。私は、その感覚がわからないですよ。それでいいと開き直るならいいですよ。だけれども、最終的に、国民の命、そこに責任を持つ、危機管理の責任を持つのは総理であり官房長官じゃないですか。その程度の認識でいいんですか、本当に。

 私は、選挙期間中に記者会見で申し上げたことがあります、残念ながら記事にはなっていませんが。やはり官房長官があれだけ選挙で官邸を離れているのはいかがなものかと。

 例えば、あのときに、エボラ熱の感染が国内に広がる可能性がありましたね。北朝鮮のミサイルの話も、どうなるか、いつ何が起こるかわからない。もちろん、国内外のテロだってわからない。そういうさまざまなリスクがある中で、ずっとのんきに、昼間、連続して官邸をあけている。(発言する者あり)公務でない、選挙をやっていたという意味で言ったんですよ。官邸をあけていた、そういう感覚が私はわからないと申し上げているんです。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 それは、危機管理がちゃんとできているかどうか、民主党がそんなことを言えるんですかと、私は、そういう気持ちにもなりますよ、はっきりと申し上げてね。(発言する者あり)

大島委員長 静かに、静かに。

安倍内閣総理大臣 私は、先ほどえひめ丸の例を挙げましたが、あのとき私は官房副長官で、東京でそれを担当しておりました。ですから、実際、私はそのとき官房副長官としてオペレーションを担当していましたが、これは、官房長官の、私は代理として職務を果たしていたと思いますよ。その中において、あのとき、外務省に対しても、あるいはまた海保に対しても、さまざまな指示を出しておりましたし、アメリカとの連絡において、官房副長官としてその役割は果たしておりました。

 ですから、官房長官が離れていたから官房副長官ではだめだということではなくて、これは法律にそうなっているわけでありますから、だから、官房副長官というのは、そういう覚悟を常に持ち、準備をしながら、そういう体制を整えながら、当然、官房長官や総理と直ちに連絡をとれるようにしていくということであろうと思います。

 また、選挙でありますから、安倍内閣の考え方を国民に、選挙という機会を通じて国民に伝えていくということも、これは政治家としての側面もあるわけでありますから、それは一つの、当然、民主党にとってはそれは、官房長官が選挙で回るということは嫌なことかもしれませんけれども、そこは、仕事との関係においては何ら支障はないということははっきりと申し上げておきたい。

 その段階で官房長官を中心にオペレーションをしなければいけないという状況では全くないわけでありますから、そこについて、そういういわば官房長官がまるでぼうっとしていたかのごとくの御指摘は私は全く当たらないし、それは失礼な指摘ではないか、このように思います。

岡田委員 総理は言いたいことを言われましたけれども、後でよく精査されて、削除された方がいいとは思いますが。

 二年前の選挙のとき、藤村官房長官、みずからの選挙も非常に厳しかったんですが、藤村さんは選挙期間中、一日しか地元に戻っていないですね。そのときには総理がかわりに官邸にいたと。彼は落選しました。もちろん、それが理由で落選したわけではないかもしれませんが、しかし、そのぐらいの責任感はあったということですよ。責任感はあったということなんですよ。それが普通なんです。

 今までの自民党の歴代内閣、選挙期間中どうですか。官房長官が選挙で走り回っているという内閣はありますか。今回初めてじゃないですか、そういうことは。

 集中的なオペレーションをしていたわけではないというふうに総理はおっしゃったので、では聞きますが、もし東日本大震災並みの地震があったときに総理も官房長官もどこか遠くに離れていたら、誰がオペレーションルームに入って各大臣に対して指示するんですか。副長官がやるんですか。それはやはり、官房長官が必要だからこそ、官房長官の存在があるんじゃないですか。副長官で十分できますか。どうですか。

 総理、答えてください。

菅国務大臣 まず、副長官はできます。このことは明言しますよ。先ほど来私が申し上げているじゃないですか。内閣法の中で、官房長官が不在のときはあらかじめ官房長官が定めるところによって副長官がその職務を代行する旨が規定されているわけですから、それに基づいて私はしっかりと対応をしていたわけでありますので、官房副長官が指揮できるということは、これは明言します。

 それと同時に、岡田委員も外務大臣をやられたと思います。邦人保護、これは危機管理監、それと外務省で対応するということが基本ですよね。

 それで、その時点において、先ほど来申し上げていますけれども、十二月三日の時点においては、拘束されたの一報だけで、それが事実かどうかということさえ確認できていなかったわけですから、それで、ありとあらゆるところで情報収集をしていた。それと同時に、メールも、頻繁に交わすということではなくて、これはプライバシーから言えない部分がありますけれども、後藤夫人は旧知の民間の専門家の方にお願いをしていたわけでありますから、そして、最終的に後藤さんが拘束をされているということがわかったのが十二月十九日ですから、そこは私は危機管理に全く問題ないと思います。

岡田委員 私が申し上げたのは、何が起こるかわからない、これから国内のテロだって起こるかもしれない、そういうときに総理も官房長官もいなくて、それで危機管理に万全を尽くしたと言えますかということを聞いているわけですよ。

 総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 そのために、例えば危機管理監が、当面のオペレーションについては、さまざまな邦人保護等については危機管理監がいるわけであります。

 そして、例えば東日本大震災のようなことが急に起こったらどうかと。その段階では、もちろん、例えば私が離れていたら、総理大臣である私が責任者ですから、基本的に。もちろん、官邸において、官房長官は指示を出すことができますよ。でも、それは基本的に総理大臣が指揮をとるわけですよ、どこにいたって。どこにいたってですよ。

 私の場合は、多くの秘書官が大体ともに帯同して行っておりますから、そこで直ちに連絡をとるようにしておりますし、自衛隊等が常に待機、ヘリコプターが待機をして、直ちにヘリコプターで帰京できるような態勢を常に整えながら行動をしているわけでございます。そういう段階においては、まさに総理大臣が直ちに帰って対応する。あるいは、外にいても、官邸にいなければ何の指示も出せないという状況ではないんです。

 ですから、余り形式主義的に陥って、結果として逆に結果を出せないということになり得るわけですから、官邸にいる人しか指示を出せないわけではないんですよ。私が外にいても指示を出せるんですよ、これは。たとえ外国にいたとしても、私は指示を出しますよ。今までも指示を出していました。

 ですから、そういう意味においては、危機管理上全く問題はなかったということははっきりと申し上げておきたいと思います。

岡田委員 まあ、私は、拍手している人の気が知れませんね。私も副総理として官邸におりましたが、ちょっと感覚が違い過ぎます。

 それでは、総理、確認しますが、これからも総理、官房長官がともに官邸を離れるということは普通にあるんだということですね。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 それは、今までの、ずっとこの二年少しの官邸の対応を見ていただければ明らかなわけであります。あれは選挙の期間だからああいうことがあったわけでございますが、それ以外においては、まあ大体。しかし、でも、それが絶対だめかといえば、そうではないわけでありますし。

 基本的に、これは極めて形式主義的におっしゃっているなと。私も、第一次政権と比べれば、三年以上総理大臣をやっておりますし、また、官房長官を一年、官房副長官を三年やっております。これは形式主義に陥るのが一番よくないんです、ある意味、官僚主義的にね。そこは、どこにいても、やはり基本的には総理大臣が指示を出すんですよ、官房長官がいようと副長官がいようとね。

 ですから、大切なことは、総理である私が指示を出す。今回のことについても、基本的には、私のところに情報も入っていましたし、私から最終的な指示を、官房長官が報告した上において指示を出しているわけでありまして、官邸にいなければ何もできないというようなことは、基本的には、もちろん官邸に帰ってきますよ、しかし同時に、官邸にいなくたって連絡ができないわけではありませんし、それはもう当たり前のことなんだろうな、このように思いますよ。

 ですから、例えばアメリカですら、一時、あの九・一一のときには、大統領も副大統領も両方ともワシントンを意図的に離れるわけであります。それは、むしろ意図的に離れている中において、上空から指示を出している。日本はそこまでいかないわけでありますが。これは事実としてそうなわけであります。

 そのように、我々は、あの選挙のときはそうだったわけではもちろんありませんが、ですが、形式主義的に、官邸にいなければ仕事ができない、いわば官邸にいる人がやらなければいけないということではないということと、さまざまな危機対応には危機管理監が対応する、これが基本であるということは知っておいていただきたい、このように思います。

岡田委員 総理、言うに事欠いて、アメリカのテロのときの話はちょっとおかし過ぎますよ。あれは、ワシントンに二人いて狙われる可能性がある、そういうことでばらばらにワシントンを離れたわけですが、きちんとハード的に対応できるというものがあったわけじゃないですか。日本にはそういうものはないわけでしょう。そして、オペレーションルームにいれば、それはいろいろな情報が集まるし、指示も直ちに出せる、そういう仕組みになっていますよ。それにかわるものがほかにありますか。だからこそ、やはり官邸周りに総理か官房長官か、どちらかいなきゃいけないことになっているんじゃないですか。

 その程度の認識ですか、本当に国家の危機管理について。私は全く理解できないですよ。それで大丈夫ですか、これから。いろいろなことが国内で起こるかもしれませんよ。

 総理に、危機管理監なり官邸の中で、やはり官房長官か総理のどっちかは官邸にいるべきだというアドバイスをした人はいませんか。私はそういう人がいなかったらおかしいと思いますよ、それだって。そういうことも含めて、ぜひしっかり検証してください。私、この問題はさらに議論していきたいと思います。

 何かもし一言あればおっしゃってください。

安倍内閣総理大臣 いわば内閣法があるんですから、内閣法にのっとって指示を出せる人がいるわけですよ。

 まさに、官邸にいなければ対応できないというわけではないですよ。今まで私は、いろいろな外国や何かに行っていますが、そこからちゃんと指示を出しているんですから。イナメナスのときだってそうですよ。最終的に指示を出したのは、私が指示を出しているわけで、海外から指示を出して、そのとおり対応しているわけであります。形式的には官房長官が官邸から出すということもあるかもしれませんが、私がちゃんと官房長官に指示をして出しているわけであります。これはそういうものなんですよ。

 ですから、その中において我々はしっかりと対応できていて、瑕疵はなかったということははっきりと申し上げておきたい。形式だけ整えておけばいいということではないわけでありまして、法的にはしっかりと我々は対応できているわけでありますし、実際のオペレーションにおいてもそれは問題なかったということは申し上げておきたいと思います。

岡田委員 私も外務大臣を経験して、海外にいるときにいろいろな情報に接するということは何度もありました。しかし、本省にいてさまざまな情報に接するのと、海外にいるのではやはり違うんですよ、それは。

 私、総理と官房長官の危機管理についての認識をきょう聞いて非常に驚きましたが、国民の皆さんはどう思われたでしょうか。きょうは、この問題はこの辺にしておきたいと思います。

 安全保障法制、時間が非常に限られてしまいましたので、総理、徴兵制について。つまり、集団的自衛権行使をすると自衛隊員のリスクが高まる、だから自衛隊を希望する人が減って徴兵制になるんじゃないかという議論がありますよね。それに対して総理は、徴兵制は憲法上許されるものではない、この解釈に変更の余地はありませんというふうにお答えになっています。きのうもその趣旨の答弁をされていました。

 憲法解釈の余地はないんですか。

安倍内閣総理大臣 憲法解釈上、政府としての立場は定まっておりまして、苦役にこれは匹敵するということであり、これはもちろんさまざまな議論があるところかもしれませんが、政府においては、これはもう議論の余地がないという考え方でございます。徴兵制はいわば憲法違反になるということははっきりと、重ねて申し上げておきたいと思います。

岡田委員 今、政府と言われましたが、安倍内閣においてはと言うべきでしょうね。

 もし、いや、徴兵制は憲法は認めているというふうに主張する総理大臣が出てきたらどうされますか。

安倍内閣総理大臣 いや、これは安倍政権だけではなくて、今までの政権においても、これは憲法上許されないという答弁をしてきているわけであります。

岡田委員 もちろん国会でも、徴兵制は憲法は認めていないという議論は何度もなされています。本人の意に反する苦役を科することはできない、憲法十八条に反するという解釈ですね。だけれども、内閣が憲法解釈を変えたという悪い前例をつくられたんですよ、総理は。集団的自衛権の行使は認められないというのは歴代内閣がはっきり言ってきたこと、それを一内閣でお変えになったわけでしょう。

 では、徴兵制は憲法違反だという解釈を変える内閣が将来出てこないという保証がどこにあるんですか。何を根拠にそんなことを言われているんですか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 今回の我々の憲法解釈の変更については、これは、昭和四十七年の政府のつくった答弁書、これは閣議決定を経ていないものでありますが、との関係においては、基本的な規範、基本的な考え方を変えるものではないということであります。

 それといわば徴兵制との関連でいえば、それはまさに苦役に当たる、そういう明々白々な解釈をしているわけでございます。ここに大きな違いがあるわけでありますし、そもそも、徴兵制が始まるというのは、かなりこれはためにする議論なんですよ。集団的自衛権と徴兵制というのは何の関連もないわけでありまして、世界じゅうの国がほとんどみんな集団的自衛権の行使を認めているわけでありますが、むしろほとんどの国が徴兵制ではないわけでありますし、逆に、国民皆兵のスイスは集団的自衛権は行使をしないわけですよ。ですから、全くそれは関連がないということははっきりと申し上げておきたい、このように思うわけでございます。

岡田委員 私も、徴兵制を憲法が許しているとは思っていないんです。ただ、議論としてはそういう議論はありますね。例えば、良心的兵役拒否というものを入れれば憲法十八条はクリアできる、そういう議論だってありますよ。だから、いろいろな議論があり得る。

 問題は、やはり、今まで国会でも議論を重ね、歴代内閣が主張してきてでき上がっている解釈を、ほとんど国会の議論もなく、そして、あの集団的自衛権はどうですか、七月一日に、与党協議ができたその日のうちに閣議決定した。国会で事前に議論しろということに対して、事後的には若干ありましたけれども、ほとんど議論もない、国民の理解もない、そういう中で一内閣が変えたという、つまり憲法の解釈を一内閣が勝手に変えられるという悪い前例を残したんじゃないかということを私は言っているわけですよ。どうですか。

安倍内閣総理大臣 全くこれは逆ですね。

 はっきりと申し上げておきたいんですが、まず、憲法は自衛権について明記をしていないことから、憲法解釈が重要になってくるわけでありまして、これまでの自衛権をめぐる政府の憲法解釈は、今回のように、何回にもわたる与党協議を経て、そして閣議決定を経たものでは全くありません。多くは国会答弁によってのみ形成されてきたものでありまして、いわば、今までの解釈の根幹をなしてきたと言われる、先ほど例として挙げましたが、昭和四十七年の憲法の解釈についての見解、昭和四十七年の見解についても、参議院の決算委員会において議員の質問に答えて資料として提出したものであり、当然、一回の与党協議も行っていなければ、閣議決定も行っていないわけであります。

 ですから、当然、今回は我々は、自衛隊の武力行使にかかわることでありますから、そして憲法解釈の一部変更にかかわることでありますから、何回にもわたりこれは与党において検討を重ね、また、国会においても、岡田委員とも私は相当の議論をしたと思いますよ。そういう議論を重ねた上において、閣議決定を経て、そしてこの国会において関連の法案を出したいと考えているところであります。

 もちろん、先に閣議決定を行わなければ法案を出すことはできないのは、これはもう自明の理である、このように思います。

岡田委員 総理、今まで閣議決定されていなかったと言いますけれども、質問主意書という形で何度も質問されて、閣議決定されていますよ、何回だって。国会で議論しているだけじゃないんですよ。

 そして、国会の議論と言われましたけれども、私、確かに昨年、予算委員会で六回か七回、この問題を総理と議論していますけれども、総理の答えは、少なくともあの懇談会の結論が出るまでは、今、懇談会で議論しているから、お答えがこれ以上はできませんというお答え。その後、やっと質問したら、いや、今、与党協議していますから、これ以上は今お答えできませんという答えだったんです。だから、ちゃんとした議論、本当のコアのところの議論ができていないんですよ。そして、いきなり与党協議が調って、閣議決定でしょう。

 こういう乱暴なやり方を認めたら、私は本当に心配しているんですよ。それは、安倍総理はいいかもしれませんが、将来的に一内閣がいきなり憲法解釈を変えてしまうということが起こるんじゃないか。そういう悪い前例をつくったという認識がないことが私は信じられないんですよ。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 まず、閣議決定をしていない、四十七年の政府の解釈については、あれは閣議決定していないのは事実ですよ。その後、答弁主意書に対しては閣議決定していますが、たまたま答弁主意書があったからですよ。でも、政府の……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に、御静粛に。

安倍内閣総理大臣 済みません、少し静かにしていただけますか。

 それで、いわば政府の解釈を決定したのは、これは閣議決定をしていないわけですから、これは厳然たる事実じゃないですか。その段階でもう政府の解釈は決まっているんですから。それに対する質問があって、それに対する答弁書は閣議決定という手順は経ますよ。でも、その前に既に政府の意思は決まっているんですよ、閣議決定を経ないで。今回は、閣議決定を経て決まったということ。

 そして、岡田代表とのやりとりの中で、私がそんな、全てを答えずに、これから決めますなんということ、そういう、これからまさに決まりますという答えをしたこともそれはありました。しかし同時に、集団的自衛権について行使はどこまで許容するかということについては、岡田代表との答弁の中で、私は、個別的自衛権においても必要最小限度ということが決まっているし、既に旧三要件というものもある、武力行使の。そういう制限があるわけだから、集団的自衛権においてもそういう制限がかかってくるという、その後の協議の基本となる答弁は、私は岡田代表のときにこの答弁をしているわけであります。

 そういう意味においては、あの国会において重要なやりとりを、残念ながら、あの段階で多くのマスコミはこの答弁の重要性に気づいていませんでしたから、それは記事を書いていなかったんですが、岡田代表は私の答弁に相当程度反応されていたんだろうと思いますが、あれはまさに岡田代表とのやりとりの中において、基本的な、その後の考え方について、形づくるものは、やりとりはさせていただいた、このように思っております。

岡田委員 総理が一般的な集団的自衛権容認から限定容認ということではっきり言われた答弁は、私もよく覚えています。そこは一つ評価しますけれども、全体としては、まだ懇談会で議論しているということでほとんどお答えいただいていないということは申し上げておきたいと思います。

 もう時間も中途半端になりますので、もう一つちょっと確認しておきます。

 総理は最近の答弁の中で、私は五十四カ国を訪問し、二百回の首脳会談を行い、ほぼ全ての首脳に集団的自衛権の行使を含む積極的平和主義について理解と強い支持をいただいたところです、こう言われていますね。これは本当ですか。つまり、二百回の首脳会談で、ほとんど全てについて、集団的自衛権を含む積極的平和主義について理解と強い支持を得られたのでしょうか。

安倍内閣総理大臣 理解と強い支持、必ずしも強い支持という明確な言葉ではない場合もありますが、しかし、理解や、あるいはまた歓迎するという言葉も含めてそういう表現をさせていただいたわけでございますが、これはほとんど全ての国々から理解や、いわば強い支持と言ってもいいんだろうと思いますが、そうした反応をいただいております。

 つまり、それに反対する、日本のそういう方向について反対をするということを明確に言った国はほとんどなかったという、まあ、中国との首脳会談においてはこれについてそういう反応ではもちろんございませんが、基本的には多くの国でそうだったということは間違いないだろう、このように思います。

岡田委員 私は非常に不思議に思うんですけれども、閣議決定されたのが七月一日ですよね。ですから、総理の任期の中で、一年半ぐらいは閣議決定前。その後、閣議決定されて。だから、この二百回の首脳会談のうち、かなりの部分は閣議決定前なんですよ。そのときに集団的自衛権について、さっきの限定か全面的かということは結論が出ていない段階で、どういう説明をされて強い支持を得られたんですか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 これは積極的平和主義の説明でありますから、集団的自衛権そのものの説明ではありません。いわば集団的自衛権の詳しい説明をできる時間もあれば、これは、紙で渡すだけのこともあるわけであります。

 それと、いわば、二百回にわたる首脳会談と申し上げたんですが、これは、その後、同じ国と何回もやっておりますから、そうした意味におきまして、結果として、私が会った首脳のほとんどについては、日本の進むべき道について理解をされている。

 そして、閣議決定等々をする前から、閣議決定をするという方向を目指すということについても説明を既に始めているわけでございまして、そういう意味においては、私が言っていることに間違いはない、このように思います。

岡田委員 先ほどの総理の御答弁で、ですから、私に対して限定的な集団的自衛権行使だというふうに言われる前に、もし首脳会談で、いや日本は実は一般じゃなくて限定的な行使なんですよと説明していたら、それは明らかにおかしいですよね。

 それから、今、紙で渡すとかいろいろ言われましたが、集団的自衛権の行使を含む積極的平和主義について理解と強い支持をいただいたところですと総理は答弁されているんです。紙で渡した話じゃなくて、強い支持をいただいたと。これは、では、言い過ぎです。撤回されますか。

安倍内閣総理大臣 いや、それはもう先ほど申し上げておりますように、それは私が答弁したとおりでございます。それが違うということであれば、違うという証拠を出していただきたい、このように思うわけでございます、ここでそういうことをおっしゃるのであれば。我々は、大体、ほとんど説明をしているわけでありますし。

 それと、集団的自衛権の行使ということについても、今おっしゃったように、これは限定的なものであるという詳しい説明ではなくて、いわば集団的自衛権の行使を今までは日本は一切認めていなかったけれども、いわば、集団的自衛権の行使を認めるという憲法解釈の変更も含めて、我々は、地域の平和と安定のために、抑止力の維持向上のために、貢献できるようにしていきたい。

 それと、積極的平和主義の基本的な考え方についても説明をしているわけでありまして、これは、あくまでも集団的自衛権を含む積極的平和主義の考え方でありまして、日本はもっとしっかりと国際社会の中において地域の平和と安定を維持するために貢献をしていくということを発信していく、あるいは、実際に行動でそれを示していくということも含めて、今まで以上にこういう説明を行っているわけでございまして、その中において、それは、例えばこういうことも行いますよ、こういうことも行いますよ、こういうことも行いますよということの中の一つとして説明をしているわけでございますし、私の答弁も、集団的自衛権の行使を含む積極的平和主義について理解と高い支持をいただいている、このように申し上げたわけであります。

岡田委員 総理、限定的集団的自衛権と限定なしの集団的自衛権というのは本質的に違うはずですよね。それを何か余り違わないような今の御答弁だったので、私はちょっとそこも理解に苦しむんですが、いずれにしても、ちょっときょうは残念ながら中身に入らなくて入り口で終わってしまいましたけれども、ぜひ、大事な話ですから、これからも時間をいただいて議論していただきたいというふうに思います。

 終わります。

    ―――――――――――――

大島委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 この際、玉木雄一郎君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 まず、地方創生についてお伺いいたします。

 石破担当大臣は、累次にわたって、この地方創生、今までと全く違う取り組み、あるいは従来の取り組みの延長線上にはない、次元の異なる大胆な政策を力強く実行していくと何度も発言をされておられます。

 財務省にいただいた資料で、二十七年度、これから審議が始まりますが、この予算の中で、約七千億の地方創生予算があると思いますが、この予算、異次元の地方創生予算になっていますか。

石破国務大臣 御指摘のように、七千二百二十五億というのは、総合戦略等を踏まえた個別施策であります。社会保障の充実に係るものが六千七百六十六億ということになっておるわけでありまして、総額は一・四兆円ということでございます。

 これは、それぞれにおいて数値目標をきちんと設定する、そしてまた、プランを立て、実行をし、点検をし、そういうサイクルも入れておるものでございます。その二つの観点から、今までとは全く、取り組みであるということを申し上げております。

玉木委員 よくわからない説明です。

 資料の一を見てください。これは、皆さんのお手元には細かい資料もつけておりますけれども、行政事業レビューシート、レビューシートというものを使って、今回計上されている事業が全く新規のものかどうか、あるいは前年度もやっているものかどうか、これをチェックいたしました。少し名前が変わっているものがあるので、全てチェックはし切れていないと思いますが、かた目に見積もって、ごらんください、七千二百億の予算のうち約八五%が前年度からの継続事業になっています。

 一つ例を挙げます。

 これは、前年度だけではなくて、民主党政権時代に、随分ばらまきだと批判されましたけれども、就農前二年間、就農してから五年間、年間百五十万円の支援を受けられる、いわゆる青年就農給付金、これも、まさに優先枠としても実はこの中に入っています。前年どころか、もうずっと前のものも含めて、異次元とおっしゃる予算が組まれているわけであります。

 ここでお伺いいたします。

 行政改革担当大臣、事業の重複をチェックしたり、あるいは縦割りをチェックしたりするときに、これは民主党政権でできましたけれども、行政事業レビューシート、これは非常に役立ちます。稲田大臣はこれを高く評価していただいて、政権がかわっても残していただいたんですね。

 私、何でこういうことを言うかというと、今、野党になったので、与党ほどは情報をとれません。でも、事業レビューシートがあれば、こういう突き合わせをして、予算が変化したのか変化していないのか、執行ができているのかできていないのかが、これは国会議員じゃなくても、国民もわかります。この作業は国民でもできます。

 つまり、多くの国民の力を使って行政改革を進めていく、そういう観点からは非常にすぐれたツールだと思いますが、今から審議する二十七年度のこの地方創生予算編成過程において、行政改革担当大臣として、この行政事業レビューシートを使って、行革の観点から何かチェックをされましたか。具体的な例を挙げてください。

有村国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のとおり、省庁間の縦割りや事業の重複を排除して事業を効果的、効率的に実施することは、行政改革の観点からも、行政事業レビューの大事な柱の一つでございます。内閣が強力に進める時の重要施策においても、これを行革の聖域にしないと安倍総理からも厳命されておりまして、省庁横断的な事業が多い中でも、地方創生を担当される石破大臣もこの価値を明確にしていただいております。

 具体的なレビューといたしましては、昨年十一月、私ども行革本部で実施しました秋のレビューにおきまして、地方創生関連の六事業を議論させていただきました。具体的に、農村振興関連の農水省、総務省、国交省の補助金については、やはり同じような施策の目標、手法は統合して、各省の縦割りを排して、窓口も一元化すべきだという指摘をさせていただきました。

 この指摘をまち・ひと・しごと創生本部でも真摯に受けとめていただいて、調整をした後で、縦割り、重複の排除の観点から十分に検討を行った上で予算計上をされた、そういうふうに認識をしております。

玉木委員 今、秋のレビューの話をされましたが、取り上げた事業はたしか五つぐらいですかね、六つですか、少ないと思いますよ。

 私の質問は、行政事業レビューシートは、税金が入っている約五千の事業についてつくられています。ですから、そういうことをしっかりとチェックすれば、もっと行革の観点から効率化はできるはずですから、これは提案です、もっと積極的に事業レビューシートを使ってください。

 例えば、一つ例を挙げておきますけれども、都会から地方に人材を移そうという予算が各省でいろいろつくられています。これを、大臣、必ずチェックしてください。チェック、既にされていますか。

 きょうは時間がないからしませんけれども、かなり重複があると思うんですね。ですから、これから細かい審議は同僚議員も含めてやっていきますけれども、行革の観点で地方創生予算をしっかり見る、このことを強く要請しておきたいと思います。

 それでは次に、農政の話に移りたいと思います。

 きょうは、TPPあるいは農協改革、こういった国民の関心も高い農政についての議論を深めたいと思っておりますが、しかし、残念なことに、最近、担当大臣である西川大臣の献金をめぐるさまざまな報道がなされています。弁明されるのであれば、しっかりとこの場を使って国民に対して説明責任を果たしていただきたいと思いますので、既に幾つか報道されていることではありますけれども、確認をさせていただきたいと思います。

 まず、二〇一二年九月、大臣のお地元の木材加工会社から三百万円の献金を受けられていますね。問題なのは、法律では、政治資金規正法では、国から補助金を受けた会社、法人は、一年間の間は献金ができない。これは税金が還流されるようなことを防ぐという趣旨だと思いますけれども、この木材加工会社、大臣に献金をしたのが二〇一二年九月です。さかのぼること四カ月前、同年五月に国の補助金を受けています。その意味では、この献金は政治資金規正法に違反する、違法な疑いのある献金だと思いますけれども、この献金は、大臣、お受けになりましたね。

西川国務大臣 今お問い合わせ、御質問があった、平成二十四年にテクノウッドワークスという会社から献金をいただいたことは事実でございます。

 私としましては、テクノウッドワークスに対する補助金の交付決定を知らなかったことから、違法性の認識はありません。

 それから、一月七日に林野庁の取材を受けて、その報告により、テクノウッドワークスが補助金を受けていたことが一月八日にわかりました。そのため、寄附をしてくださった会社が違法と言われかねないので、違法かどうかは別として、道義的見地から、補助金を受けていたことがわかった時点で、一月九日に返金を済ませております。

玉木委員 三百万円の寄附であります。私も政治献金はいただきますけれども、選挙区内の企業から三百万円という寄附をいただいたときに、やはり、それがどういう企業であって、どういう背景があるのか、先ほど申し上げたように、補助金を受ける企業やあるいは赤字の企業からは献金を受けられないというのは、我々の世界のある種常識であります。

 その意味では、三百万円という金額を受け取って、知らなかったというのは、大臣、私、説明として、これはテレビをきょうごらんの国民の皆さんも、ちょっとそれはどうなのかなというふうに思っている方も多いと思うんですね。

 大臣、今、返還されたということなんですけれども、違法でなければこれは返還する必要もないんじゃないですか。それはどうですか。違法性の認識がやはり少しあった、あるいは疑義があるということを御認識されているということですか。

西川国務大臣 この報道が出ましてから、あたかも違法性が高いとか違法だとか、こういうマスコミ報道がありました。私は、善意で私に寄附をしてくださった企業に迷惑をかけない、そういう意味から、さらに、私が今農林水産大臣という立場から、道義的なことを考えて返金をいたしました。

玉木委員 大臣、では、逆に言うと、裏から言うと、発覚しなければ返さなかったということですか。

西川国務大臣 まことに申しわけありませんが、気づいておりませんでしたので、そのままいった可能性が高いと思います。

 それで、私は、このたびのこの問題が起きてから、税理士さんに今までお願いしておったんですけれども、なかなかチェックがうまくいかなかった、こういうことで、事務所を挙げてチェックした上に、公認会計士さんに今見てもらっておるところでございます。

玉木委員 三百万という、大臣、大きなお金です。大臣と同じような、例えば、大臣は七十を超えておられると思いますけれども、年金暮らしの方もたくさんいらっしゃいますよね。特に、大臣が所管する農政、農業をやっておられる方、御夫婦で少ない年金の中で生活されている方は、一年の年収がそれこそ三百万にも満たない方もたくさんいらっしゃいます。そういう方が、農業、農政を担当している大臣が、三百万、大きなお金だと思います、こういうことで疑義を持たれているということについては、やはり、大丈夫なのかな、そういう思いを率直に持たれている方もたくさんいらっしゃると思うんですね。

 ですから、ぜひ大臣、とにかく返したということでありますけれども、これは、もともとの補助金が平成二十一年からつくられた林業に関する加速化基金ですね、そういう補助金でありますから、その意味では、今大臣がまさに所管している農林水産省にかかわることであります。しっかりとこれは、もっと説明責任を誠実に果たしていただくことを求めたいと思っています。

 続いて、もう一つ、大臣に伺います。

 パネル三を見てください。

 大臣、二〇一三年七月、精糖業界、砂糖の業界、ここから献金百万円をもらっておられますね。農林水産大臣のまさに所管する業界であります。そして、先ほどの木材加工会社の場合と同様に、この精糖工業会、大臣が献金を受けたところでありますけれども、ここも献金の四カ月前、農水省から約十三億円の補助金を受けています。

 この献金も、先ほど同様、政治資金規正法の、補助金を受けてから一年以内の献金を禁止している法律に触れる献金だと思いますけれども、この違法な献金、大臣、お受けになりましたか。

西川国務大臣 これは、平成二十五年に精糖工業会館から献金をいただきました。それは事実であります。

 取材を受けて改めて確認しましたけれども、任意団体の精糖工業会と株式会社の精糖工業会館は別の組織であります。会計も別であります。その上、そもそも、政治資金規正法の規制は、会社などの法人が補助金を受けた後一年以内に行う寄附を規制するものであり、任意団体であります精糖工業会に適用はないものと私は理解をしております。このため、政治資金規正法上の問題はないと承知しております。

玉木委員 これを見ていただくとわかるんですが、今大臣がちょっとおっしゃられたことをパネルにしてみました。

 農林水産省から十三億円の補助金が出ているのは、この精糖工業会、たしか任意団体と今おっしゃいました。大臣に献金をしたのは、名前がすごく似ていますけれども、精糖工業会館ということですね。別法人。確かに別法人なんでしょう。

 ちょっとパネルの二をごらんいただけますか。

 少し名前が似ていたので、ちょっと現地を訪ねて調べてみましたけれども、まず、精糖会館という建物が確かにありますね。この精糖会館の中に精糖工業会も入っているんです。精糖工業会、精糖工業会館、別な法人だというふうにおっしゃいましたけれども、住所は全く同じです。

 加えて、トップの方ですね。法人格が違うので、会長と言われる者と社長と、名前は違いますけれども、これは同じ人がトップをやっています。役員も全員同じです。しかも、農林水産省から天下りの方が専務で行かれていますけれども、これも同じように兼ねている。

 しかも、もう一つ驚いたのは、精糖工業会ではなくて、会館という建物の会社ですけれども、こちらの定款に、砂糖の売り買いをするとか書いてあるんです。そういうことを全部やれることになっていて、その業務を精糖工業会に委託しています。委託料を払うというような形態をしていて、定款には確かにいろいろなことを書いているんですが、その仕事のほとんどをこの精糖工業会に丸投げしているんですね。

 ここでお伺いしたいのですが、確かに、補助金を受け取った法人と大臣に寄附をした組織は、形式上、別法人かもしれませんが、ただ、これを見ていただくとわかるように、これは実質同じ法人であって、いわばダミー会社を迂回させた脱法的な献金ではないですか。いかがですか。

西川国務大臣 精糖工業会は、昭和二十四年に設立されました。精糖に関する諸問題の意見の取りまとめ、あるいは関連する調査研究を行う任意団体と承知しています。その中で、精糖工業会が有する精糖技術に関する知見を生かし、砂糖供給安定化緊急対策事業を実施したものと承知しております。

 他方、精糖工業会館は、不動産の管理等の営利行為を行う株式会社として昭和三十四年に設立されたものと聞いており、その活動の中から寄附などを行っているものと承知しております。

 それぞれ別会計で別の目的を持って活動しており、これを同一法人とみなして、脱法行為と位置づけるのは当たらないものと考えております。

玉木委員 でも、どうですか、皆さん。これは国民の皆さんも見ていただきたいんですが、住所が同じ、トップも同じ、役員も同じ。そして、やっていることは、お金の流れもある、仕事も事務を委託しているんですね、年間一千六百八十万円の委託料を払っている。これは、実質的には一つの法人ですよ。やはりダミーをかませて迂回させている脱法献金だと私は言わざるを得ないと思いますよ。

 確かに、私も法律を勉強した立場ですから、法律上、疑わしきは罰せずでいくと、ぎりぎり言うと、これは政治資金規正法で打てない可能性が高いと思います。でも、私は、逆に言うと、法の趣旨を考えると、こんなことを許している法律は改正すべきなんですよ。

 これは与党の先生方にも呼びかけをして、だって、こんなことができるんだったら、みんな各業界はやりますよ、これ。こういうことをやはり防いで、政治に対する不信……(安倍内閣総理大臣「日教組はやっているよ」と呼ぶ)総理、やじを飛ばさないでください。今、私が話していますから。やじを飛ばさないでください、総理。これは真面目な話ですよ。政治に対する信頼をどう確保するかの話をしているんですよ。(発言する者あり)

大島委員長 いやいや、総理もちょっと静かに。(安倍内閣総理大臣「日教組はどうするんだよ」と呼ぶ)いや、総理、ちょっと。

玉木委員 日教組のことなんか、私は話していないじゃないですか。

大島委員長 やじ同士のやりとりをしないで。総理もちょっとお静かに。

玉木委員 とにかく私が申し上げたいのは、もう総理、興奮しないでください。(発言する者あり)

大島委員長 ちょっとお静かに。

玉木委員 これは与党の先生にも訴えたいんですが、こういうことが許される法律であれば、これは政治家の責任として、議員立法として改正をしていく、これが政治の責任ではないかということですので、これはしっかりと与野党を超えて訴えていきたいと思います。

 もう一つ、この献金に関して私が問題だと思うのは、この献金が行われた時期についてであります。

 西川大臣がこの精糖業界から献金を受け取った二〇一三年の七月、これはマレーシアで開催をされたTPP交渉会合の直前です。もっと正確に言えば、大臣が献金を受け取った次の週にマレーシアで初めてTPPの交渉会合が開かれています。

 そして、砂糖は、この委員会でも取り上げましたが、いわゆる重要五項目。米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、そして砂糖、この五項目については、関税を撤廃、このことは絶対にやらない、除外または再協議にする。西川TPP対策委員長がまさにあの席に座っておられたときに一つの方針を出されたんじゃないですか。

 そして、マレーシアの交渉会合に、大臣、当時、行かれましたね。TPP対策委員長、自民党の。そして、マレーシアの会合に行かれる前、その前の週に献金を受け取られて、この百万円です、そして現地に行って、首席交渉官を初めとした交渉の担当を担っている政府の公務員に対して、砂糖を守れ、砂糖を含む五項目を守れと働きかけをしましたね。大臣、しましたね。

 では、働きかけを受けた政府側から答えてください。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年の七月の二十三日から二十五日まで、マレーシアのコタキナバルの交渉会合、我々は二十三日の午後から正式に参加したわけでございます。

 当時の自民党の西川TPP対策委員長、議員団として来られておりましたが、西川委員長と我々交渉チームが大勢の形でお会いしたのが、初日二十三日の激励会、それから交渉が終了した二十五日の夕方、自民党の派遣議員団に対する結果報告会ということでございます。

 この結果報告会の場におかれまして、毎回交渉会合のたびに出ているわけですけれども、議員団の方から申し入れがございました。その政府交渉に対する申し入れは、農林水産分野の重要五品目を初めとする聖域の確保のため、自民党及び衆参農林水産委員会の決議を踏まえて交渉するようにという申し入れでございました。

玉木委員 申し入れを行っていますよね。当然です。自民党のTPP対策委員長ですから、五項目を守れと政府に対して要請するのは当たり前でありまして、それに基づいて交渉している。正しい行為であります。

 しかし、私が問題にしたいのは、あっせん利得処罰法、これは、お金をもらって公務員に対して働きかけをする行為、あっせん収賄罪と違って、仮に正しい行為であっても、その正しい行為をすることを働きかけることも罰している法律であります。

 交渉のその場所に行く前の週に百万円の献金を受け取り、そして現地に赴き、自民党のTPP対策委員長として、まさにその献金を受け取った業界である砂糖を守れと。正しい主張ですよ。ただし、お金をもらって、そして政府に働きかけるという行為は、これは厳密に言うとあっせん利得処罰法には当たらないと思いますが、しかし、政治と金の、業界との癒着が疑われる中で、やはり、大臣、こうした行為は問題ではないですか。

西川国務大臣 献金を私がいただいたことと砂糖業界と、そこを分けて考えていただきたいと思いますね。

 そして、私ども、交渉の応援に行って、わざわざ日本の国益を損なうような話をしろと言うことはできません。ですから、農林水産委員会の決議を守って、委員会で理解が得られるようにしっかりやってください、そこまでしか言っていません。

玉木委員 いや、もちろん、五項目を守れと言うことは当たり前ですし、言うべきです。ただ、お金との関係でこれを問題にしているんです。

 例えば、お金をもらって国会で質問することも、ケースによってはこれはあっせん利得の対象になりますね。

 私は、厳密に言うと当たらないかもしれないと言ったのは、法律の解説書、コンメンタールを見ると、国際条約などのような契約についてはこれが当たらないということを書いている本もありますが、しかし、その後、国内法や国内対策につながっていくので、お金をもらって、ある業界の代弁をするような発言をして働きかけをすることは、私は、これはやはり問題がある、あるいは少なくとも疑いを持たれる行為だと思いますよ。

 総理にお伺いします。

 西川大臣、これから農政の大きな改革をしていきます。農協改革、本当に、総理がおっしゃるような六十年ぶり、戦後初の改革。これだけいろいろな疑惑が言われている西川大臣。総理、本当に西川大臣に任せておいて大丈夫ですか。総理の任命責任をお伺いします。

安倍内閣総理大臣 政治資金については、常に国民との信頼を自覚しながら説明責任を果たしていくことが大切であろう、疑いを持たれないことが大切であろう、このように思います。その意味においては、西川大臣は説明責任を果たしておられると思います。

 先ほど、砂糖業界との関係においては、いわば、交渉しているから砂糖業界から献金を受けてはならないのかという議論と、補助金をもらったことで一年以内にもらえないという議論がこれは重なっているわけでありまして、ですから、そこはやはり分けて議論しなければならないだろう。

 一年以内ということであれば、一年以内であるから、これは、いわば砂糖の会館と工業会が似ているから大体一体化しているのではないかということについて、そういう疑いが持たれない方がいいだろうという御指摘があって、それはまた、今後、どう解釈していくかということは、議員間で、自民党だけの問題ではないと思いますから、これは与野党で議論していけばいいんだろう、このように思うわけでございますが、今の西川議員の答弁を聞いていたところによれば、説明責任を果たしている、このように思います。

 それと、一年以内ということについて言えば、これはやはり、これからも、献金していただく方々について一応、一々ちゃんと言っていくということも大切なんですね。例えば、あと八カ月たっていればこれは違法ではないわけでありますから、そういうことについて、相手の業者も、一体、執行されたのか、あるいはこの補助金が決まったかどうかということで、わからない方もおられるわけでありますから、ちゃんと言っておくことが必要であります。

 私は、ちなみに、献金を受ける場合には、日本人であることということも紙で相手に渡します。本人に一々聞くのは失礼でありますから、日本人であるかどうかということをお伺いする、そして、補助金について一年以内に執行されたかどうかということを、紙でお渡しして確認することにしておりますが、これは、国会議員の皆さんもそれをしっかりとやっておらないと、こちら側はわからない場合もあるんですよ。そういう報道をされなければ、わからない場合は当然ありますよ。

 ここで、絶対そんなことはないということを確たる確証を持って言うということは、例えば、日本人か外国人かということはこれはわかりませんから。これは実際にわからない話ですから。わからないこともあり得るんですよ、日本人か外国人であるかということを。ですから、それはやはり、相手方にそれを一々確認するか、あるいはまた、これは失礼になるから確認できないということもあるんだろう、こう思うわけであります。

 一年以内ということについても、これは恐らく、国会議員全員が一年以内かどうかということをやはりちゃんとこれからは確認していくということが大切ではないか、こう思う次第でございます。

 今後は、西川大臣においては、しっかりと農業において、農業、農村の所得をふやしていくために政策を前に進めてもらいたい、このように思っております。

玉木委員 もう終わりますけれども、総理の認識も甘いなということがよくわかりました。

 私は、総理から期待したのは、これは、政治全体に対して、与党、野党を超えてやはり不信が高まってきている。私もそうです、総理もそうだと思いますが、日本の政治をよくしたい、日本をよくしたいと思ってみんな政治家になったんですよ。でも、こういうことがあって、一人がこういうことがあると、みんな政治家は同じことをやっているふうに思われるのが私は残念でならないんです。

 ですから、ぜひ、政治の信頼を回復する、それを総理としてもリーダーシップを発揮していただきたいと思いますし、西川大臣におかれては、ぜひみずから御判断されることを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

大島委員長 この際、岸本周平君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岸本周平君。

岸本委員 民主党の岸本周平でございます。

 きょうは、国民の大切な年金の積立金の運用についてお伺いをしたいと思いますが、その前に、きょうの予算委員会を聞いておりましても、いささか安倍総理の御言動についていかがなものかと思うところがありますので、ひとつ、御自身の政治信条、どういう政治家であられるのかということについて、少し共有したいと思いますので、お話をさせてください。

 多分、安倍総理は、御自分のことは保守政治家の一人であろうと考えておられるのではないかと思います。

 そこで、保守とは何か、保守政治とは何かという御議論をさせていただきたいんですが、これは定義をしないといけません。今、保守とかリベラルとか、まあ革新という言葉はなくなりましたけれども、余りにも言葉が、それぞれ、日本の場合、政治家も定義が違うものですから、なかなか議論が進みません。

 最も古い保守政治家であるイギリスのエドマンド・バークさん、これはもう皆さん御存じのとおりであります。大平正芳元総理も大変尊敬されていた政治家でありますけれども、彼が定義をしています。

 保守政治の前提をどこに置くか。保守とは何か。一言で言うと、人間が不完全であるということを認めるかどうか。人間の理性、人間の知性には限界があるんだということを認めるかどうか。認める立場が保守政治です。

 人間の理性は完全であって、明るい未来が描けるというのは保守政治ではない。それは、例えばソ連の共産主義であったり、ナチスの全体主義であったり、あるいは、戦争前、おじい様の岸元総理を初めとした日本の高級官僚や軍部が満州帝国で実験をした、いわば国家社会主義的な政治というようなもの、これらは人間の知性、理性に全幅の信頼を置く政治であります。

 しかし、保守政治というのは、完全でない人間を前提にしておりますから、過去の、つまり復古主義には絶対陥りません。過去の不完全な人間がやっていた、過去に戻るということはあり得ない。これは保守の姿勢であります。

 では、現在の制度はどうか。今の制度は、不完全な私たちがつくっているわけですから、これは不完全でありますから、反動主義には陥らない。

 では、明るい未来が描けるのか。私たちは不完全ですから、明るい未来は描けません。しかし、社会の事情が変われば、少しずつ変えていかなきゃいけない。その少しずつを、歴史や地域コミュニティーの知恵やそういうことで少しずつ変えていく、だめだったらまた戻してもう一回チャレンジする、これが保守主義であるというのが、エドマンド・バーク氏、そして何より、尊敬する大平正芳元総理が御著書などで書かれている保守主義の定義であります。

 その意味において、安倍総理は御自身が保守政治家だとお考えなのかどうか、お伺いしたいと存じます。

    〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕

安倍内閣総理大臣 いわば保守がイズムであるかどうかということは、さまざまな議論があるところなんだろうなと思います。

 今、例として挙げられたエドマンド・バークが「フランス革命の省察」を書いた。まさに、フランス革命というのは知性万能主義であって、自分たちが正義をつくる。そこで恐怖政治が始まったわけでありますが、あのありようを見て、それに翻って英国のあり方を見たときに、やはり、自分たちの漸進主義的な考え方、過去の積み上げ、今の仕組みはどういう過去の積み上げの中でできてきたのか。

 しかし、それは変えてはいけないということではなくて、常に、それを変えてくるときに、先人たちが積み上げてきたもの、なぜ積み上げてきたか。そこに、理性的なアプローチではなくて、積み上がってきたというものの重みをしっかりと感じるということが大切なんだろう、こう思うわけでありまして、今を生きる私たちだけではなくて、過去から現在、そして未来への視座を常に持っていくという考え方なんだろう、こう思うわけであります。

 しかし、大切なものを守るためには、時には思い切って、勇気を持って変えていく。何を守っていくかということについて、これも常に考えていかなければならないんだろう、こう思うところであります。

岸本委員 私の保守政治家像と安倍総理がお考えの保守政治家像が同じであるということをおっしゃったわけでありますが、本当に謙虚な気持ちで保守政治家をするのであれば、理性とか知性に限界があるわけですから、この道しかないという物言いは保守政治家はしません。

 この道しかない、いや、この道もあるけれどもあの道もある、その道もあるかもしれない。小泉総理が人生いろいろとおっしゃっていましたけれども、いろいろな道があるんですよ。それをトライしてだめなら、もとに戻って謙虚にやり直しますけれども、とりあえずこの道でやらせてください、皆さん、この道でやらせてくださいと。だめだったら、また戻ってチャレンジしますというぐらいのことがやはり大事なのではないかと思うのと、大平総理がよくおっしゃっていたのは、本当に人間は不完全だから権力を使うときには謙虚であろう、恐れるという気持ちを持ちながら権力を行使すべきではないかということを何度もおっしゃっておられましたし、御著書にも書かれておられました。

 例えば、六八年の大平総理のエッセーですけれども、人間というものほど完全でないもの、欠点の多いものはない、人間の歴史には、いつの時代をとってみても、きょうと比べてひどくよかったという時代はなかったようです。いかなる手段にも必ずプラスとマイナスが伴うもので、絶対にプラスである手段などというものはないということです。だからこそ、権力の行使に対しては控え目であれということを常におっしゃっていた。

 そこで、通告しておりませんけれども、岸田外務大臣にお伺いをしたいと思います。

 旧宏池会のプリンスであられる岸田さん、岸田総理、今の御議論を聞いて、失礼しました。次は岸田総理だと思っているものですから。岸田外務大臣、御自分はどういうお立場の政治家であられるか。今の総理と私のやりとりを聞いていて何か御所見があればお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 ただいまの委員と総理のやりとりを聞いておりまして、私も保守という、この大きな枠の中には当てはまる一員であると認識をしております。そして、そのやりとりの中で大変印象的でありましたのは、権力というものは謙虚にこれを行使しなければならないという話。私も、国会議員になりましてから、同じ政策集団の先輩からたびたびこれを聞いた覚えがございます。

 こうした先輩方の伝統に誇りを持ちながら、引き続き、政治家の一人として努力をしていきたいと考えています。

岸本委員 大変いい答弁、ありがとうございます。

    〔平沢委員長代理退席、委員長着席〕

 しかしながら、残念ながら、別に私が野党だから申し上げるわけではありませんが、今の安倍内閣が本当にその謙虚な姿勢で政治をなさっているのか。きょうのこれまでの御答弁を聞いていても、国民の皆さん、テレビで見ていても、どうお感じになられたでしょうか。私は、残念ながら、保守主義というよりも、安倍内閣は、いや、安倍総理は冒険主義者なのではないかというふうに思います。

 再三、今、これまでの補正予算も含めた委員会の中で、アベノミクスのリスクについて、前原理事も含めていろいろな質問が出ました。アベノミクスの政策は、これはかなり冒険主義だと私は思います。リスクが高過ぎるという意味であります。

 円安による輸入物価の上昇から二〇一三年のコストプッシュインフレ、もう二〇一三年からコストプッシュインフレが起きていたわけです。だから、二〇一三年の十―十二月期はGDPは実質マイナスだったんですね、もう既に。消費税は関係ありません。一三年の十―十二月期、既に前期比マイナスだったんです、実質で。だって、物価が上がって賃金は上がらないわけですから。そして、一―三の反動で、反動というか駆け込み需要があって、四―六に反動減があって、七―九も反動減があった。そして、十―十二が今回プラスになった。

 消費増税だけではなくて、やはり、無理やり円安にして、物価が上がったけれども賃金は上がらなかった、そういうリスクがあった。さらに、日銀の今やっている異次元金融緩和、これは財政ファイナンスですよ、出している国債の八割を日銀が買っているわけですから。

 そして、この問題は、今は顕在化していませんけれども、少なくとも、国債市場、国債のマーケットは破壊されています。明らかに価格機能も失い、金利を上昇させることによって政治家に対して財政再建を行いなさいというメッセージもマーケットが送れなくなっている。これは明らかであります。出口戦略が描けていないわけであります。これらはまさに冒険主義と言わざるを得ないわけであります。

 この安倍政権の冒険主義、もう一つきょうは議論をさせていただきたい。

 それは、GPIFの昨年の、基本的な運用のポートフォリオを変えられた。年金積立金管理運用独立行政法人といいます。もとは年金福祉事業団というものでありました。GPIF、マーケットの方はジーピフと言っています。

 GPIFは、私たち、テレビをごらんの国民の皆さんの大切な大切な虎の子の国民年金と厚生年金の積立金を運用する組織であります。約百三十兆円の運用をされています。世界最大の機関投資家と呼ばれています。アメリカの公的年金は約二百兆円ありますけれども、アメリカの公的年金は全額非市場性の国債で運用されておりますので、機関投資家としてはGPIFが世界最大の機関投資家と言われているわけであります。

 ちなみに、なぜアメリカが全て国債で運用しているかといいますと、一つは、国債ですので、満期構成さえきちんとしていればキャッシュマネジメントできますので、満期まで持てます。満期まで持てばリスクがありません。運用手数料もそんなに大きく要りませんので、元本保証があってインカムゲインが得られるという意味で年金基金としては一番ふさわしいという理由と、さらには、国債の価値といいますか、これはその国の経済運営そのものにもかかわりますので、おのずと、それだけの巨額の年金が国民の財産で国債を買っていれば、アメリカ政府もきちんとした政策運営、財政運営をするだろうという意味でそういうことにしているというふうになっております。

 一方で、日本では、紆余曲折を経ましたけれども、現在はGPIFが運用されています。

 去年の十月までの運用の仕方としては、基本ポートフォリオによります。基本ポートフォリオは、国内株式が一二%、外国株式が一二%、国内の債券が六〇%で、外国債券が一一%、あと短期資産というのもありました。そして、もちろん幅を、乖離幅は置いてあります。

 これを、昨年十月三十一日、ハロウイーンの日に、当然、これは独立行政法人ですから、厚生労働大臣の認可を経まして運用の基本方針を変えられています。これはきちんとした手続を踏んでおられますけれども、変えた中身は、何と、国内株式が二五%、海外の株式が二五%、約倍増をしているわけであります。その分は、国内債券が三五%ということになって減らされております。外国債券は一五%であります。

 これは、国民の皆さん、倍ですよ。資産の半分ですよ、皆さん。国民年金、厚生年金の百三十兆円の半分が株に投資をされる。大変なリスクであります。

 当たり前ですけれども、これはもうお釈迦様に説法でありますけれども、例えば、立場、考え方は違いますけれども、金融機関に対して金融庁が示しているリスクウエート、これは、国内通貨建ての、日本円建ての日本国債は、当然ですけれども、リスクウエートはゼロであります、リスクはゼロであります。満期まで持っていれば元本保証はあるわけですから、ゼロであります。

 当然、それ以外の他国の国債は、格付に応じてゼロから一五〇%までのリスクウエートがつけられています。株式も、言うまでもなく、リスクウエートは一〇〇%であります。(発言する者あり)それは当たり前なんです。別におおと言うほどのことはないです。一〇〇%のリスクウエートだ、金融庁としては。

 上がった株は必ず下がるんですよ、皆さん。リーマン・ショックのとき、バブルがはじけたとき、上がった株は必ず下がります。

 二〇一三年、さっき言いました、これはアベノミクスのアナウンスメント効果で株価が上がりました。しかし、二〇一四年、昨年は少し足踏みをしたところで、そこで安倍内閣は、国民の年金のお金を使って株価を上げたい、そのために株を買う、ポートフォリオを変える。そして返す刀で、GPIFが持っている国債をマーケットに出せば、ちょうどまた同じ日に黒田日銀がやった第二バズーカ、国債を買い増す。

 これは同じ日に決まったことでありますけれども、新たに株を大体二、三十兆円ぐらい買い増す、日銀がその分出てきた国債を三十兆円買い増す。非常に美しい一石二鳥の案でありますけれども、このリスク、これはこの後、こういうことが勝手に決められることについても後で御質問しますけれども、この損失、安倍総理、弁償できますか、どうされるんですか。消えた年金ですよ、これこそ。

安倍内閣総理大臣 まず、ポートフォリオの見直しでありますが、デフレ時代から我々は脱却をしていく、そしてデフレではない状況をつくり上げようとして、今はもうデフレではないという状況にはなっています。デフレ脱却もだんだん見えつつあるわけであります。そこで、いわばデフレ期からデフレを脱出した後の運用に変えていくという必要があります。当然、その中において、リスクにおいてはバランスをとらなければいけない。

 さらに同時に、年金をしっかりと、お約束どおりお支払いをしなければいけない。お支払いをするためには、ちゃんとした運用益を上げていく必要があります。それをもし、では株を一切買うなということで、これをほとんど……(発言する者あり)まあ、皆さん、静かに聞いてくださいよ。そこで、専ら国債だけで運用するということになれば、今は金利〇・四%とかそんなものでございますから、当然、年金の受給者に保障することはできない。

 私たちの使命としては、しっかりと年金をお支払いしていく、約束した額をお支払いするように運用するということも当然であろう。そして、局面は変わったわけでありますから、その局面に合わせてポートフォリオを考えていく。デフレ局面であれば、それはデフレ局面に合わせたポートフォリオにしていくということではないか。

 これは別に、私がポートフォリオを決めているわけではなくて、専門家が決めているわけでありまして、私は一切かかわることはできないということは岸本議員も御承知のことではないか。そういう中で、いわば前を向いた形で、フォワードルッキングな形でポートフォリオも新たに見直しをした、このようなことではないか、こう思う次第でございます。

 ちなみに、今は、年金の運用については、安倍政権ができて二十兆円の運用益が基本的には出ているわけでございまして、こうした形でしっかりと、将来の年金の支払いも含めて我々は確保していきたい、こう思っている次第でございます。

岸本委員 大変重要な発言がありましたけれども、まず、GPIFというのは独立しているんですよ、まさに。これに対して政治家がプレッシャーをかけること、外部から圧力をかけることがあっては絶対いけないんです。

 そこにいらっしゃる理事長、きょうは呼んでいただいていますけれども、理事長が、彼が一人で全部判断するというのはおかしい、後で厚生労働大臣にガバナンスの話を聞きますけれども、彼が決めるんですよ。これもおかしいですけれども、一人で全て決めているんです。この理事長に対して政治家が、どういう運用をしろと、外からプレッシャーをかけては絶対いけないんです。

 国民の年金は、年金法に定めるとおり、安全かつ効率的に運用する、長期的な観点から。そのもとで、独立行政法人として、中期的な方針のもとで、彼は五年の計画でやっているんです。

 政治家は絶対に圧力をかけちゃいけないんですが、昨年の一月二十三日のダボス会議で、あろうことか、安倍内閣総理大臣が、GPIFについては、そのポートフォリオの見直しを初め、フォワードルッキングな改革を行いますと。プレッシャーをかけているんですよ、国際会議で。これは、もちろん総理だけじゃありませんよ、自民党の皆さん、政治家がプレッシャーをかけてはいけない。それをかけていた。それはもう、水かけ問答になりますから質問しませんが。

 では、ここで総理、フォワードルッキングというのはどういう意味ですか。今回の基本ポートフォリオの運用の肝でもあるんですよ。実は、今回の基本ポートフォリオを変えるための理屈はただ一つなんですよ。フォワードルッキングな分析なんですよ。フォワードルッキングというのはどういう意味ですか。総理がダボスで言っているんじゃないですか、そういうふうに。総理、フォワードルッキングというのはどういう意味ですか。

大島委員長 厚生労働大臣塩崎君。こういうのは塩崎君。今、専門家ですから。(発言する者あり)指名しました。簡潔に。

塩崎国務大臣 先ほど総理から、経済情勢がデフレからすっかり変わるという話を申し上げました。まさに経済の先行きをちゃんと見通した上でこの見直しをやっていくということを含めてフォワードルッキングということを言っているわけであって、先ほど、国債で一〇〇%のアメリカの話もありましたけれども、例えば、よく……(岸本委員「いや、それは結構です。フォワードルッキングだけでいいから。後で聞きます。後でじっくり聞きますから」と呼ぶ)

 だから、そういうことで、デフレから緩やかなインフレに変わる中で金利も見通しは変わっていくわけで、そういう中でどういう見直しをしていくかということでありますので、まさに時代の経済情勢に合った分析をしていくという中でどういう資産運用をしていくかを決めるということであります。

岸本委員 今、何かもっともらしいことをおっしゃっていましたけれども、まあテレビを見ている方はよくわからないと思いますけれども、フォワードルッキング、片仮名で言えば何かすばらしい分析を、実は新たに入った言葉なんですよ、フォワードルッキングな分析という言葉はね。

 これは何なんだろうと思ってよく調べてみると、別にすばらしい分析手法というわけでもなくて、まさに考え方なんですよ。

 これまで、基本ポートフォリオを考えるときは、全ての経済的なものを前提にするんです。それと、これまでは、金利は一定に置いていたんです。

 今回、金利が上がっていく。この十年間、金利が上がっていく。先を見て金利が上がっていく。それは、実は去年の中期展望のケースを使っています。ことし少し変わっていますけれども、足元が低いのでずれていますけれども、つまり、単に、小学生でもわかることです、金利が十年間、ちょっとずつ上がっていくというふうにしました。それが、今厚生労働大臣が言った片仮名のフォワードルッキングなんですね。

 何かもっともらしいけれども、単に、一定に金利を置くか、徐々に上がっていくように置くかというだけなんですよ。ここがみそなんですよ。

 いや、それは今の政府の立場は、物価も上がっていく、金利も上がっていく。結構でしょう。金利が毎年上がっていくように前提すれば、国債の価格は下がっていくんですよ。債券の価格は下がっていくんですよ。そして、金利が上がっていって景気がよくなるわけですから、どんなモデルを使っても株価は上がっていくんですよ。

 だから、これは、ポートフォリオを五〇%株式にするための結論があって、その前提として計算手法を変えたと言われても仕方がないし、私がGPIFの職員か厚生労働省の課長補佐ならそのようにします。簡単なことです。結論から導き出すわけであります。

 そして何より、総理、さっき私が言ったのは、株は上がるときもある。今、上がっていますよ。きょうも上がっていますよ。でも、上がるときもあれば下がるときもある。そのリスクをどう責任をとるんですかという話。それはガバナンスの問題とも影響します。GPIFのガバナンスの問題とも影響しますけれども、過去に年金は大きな損をしているんですよ。

 国民の皆さんも思い出してくださいよ、グリーンピア。グリーンピアで三千七百億円、そして社会保険庁のサンピアで一兆円を超えていますよ、皆さん。一兆二千億円です。一兆二千億円、サンピアで損をして、しかも、GPIFの前身である年金福祉事業団の自主運用がやった資金運用事業が三兆円の損を出しているんです。

 誰が責任をとったんですか。この金額に対して、時の厚生大臣、社会保険庁の幹部、厚生省の幹部、誰か責任をとりましたか。弁償しましたか。全ては国民の損失となって残っているんですよ。四兆円を超えている損失を出したんですよ。

 今回、このポートフォリオを変えて、今はいいです、足元は。将来大きな損が出たときに、ここに座っている皆さん、そこの理事長は責任がとれないじゃないですかということを申し上げているんです。

大島委員長 質問ですか、岸本さん。総理が手を挙げていますが。

岸本委員 どうぞ、では、簡潔に。余計なことを言わないでください。簡潔に。

安倍内閣総理大臣 いわばフォワードルッキングというのは、今までの見方というのは、基本的に今までの平均値等々に縛られるわけでありますが、基本的に政策を変えたわけですから、いわばデフレの中でずっとどよんとしているのではなくて、デフレ脱却のための政策を打っていく。日本銀行が明確に二%という物価安定目標を掲げている中で大胆な金融政策をやるという中においての、前を見た中においてのいわばポートフォリオを作成していく。私は、まさにこれこそフォワードルッキングだ、こう思うわけであります。

 つまり、これは株価を上げるためではなくて、その中においては、当然、今おっしゃったように、国債をじっと持っているよりも積極的な運用をしていった方が利益が出る、そういう考え方が、私は別に指示をしているわけじゃありませんが、自明の理として恐らく導き出されてくるんだろう、こう思うわけでありますが、その中で、まさにこのフォワードルッキングな形で変えた、こういうことでございます。

 実際、我々が進めている政策において、先ほど冒険主義とかいろいろと批判はされましたが、この年金の運用においても二十八兆円、先ほど二十兆円とちょっと控え目に申し上げましたけれども、さっき調べたら二十八兆円、民主党政権時代三年間で四兆円だったわけでありますが、しっかりと年金の運用においては上がっているわけであります。もちろん、これは四十年、五十年という期間で見る必要もありますよ。ただ、当面の運用においては間違いなく我々はこういう政策を変えたんですから、それに合わせた運用をしていただきたい。

 過去の年金については、全部を有利運用していないんですから。あのグリーンピア等々は、これは全然運用じゃなくて、福利厚生のために使っていた。福利厚生という、確かにあれは反省しなければ、我々自由民主党政権でしたから反省しなければいけない点なんですが、有利運用以外の運用をしていたことに問題があるのであって、今は全額をしっかりと有利運用している中におけるポートフォリオだということは申し上げておきたいと思います。

岸本委員 今、大変、安倍総理からポートフォリオに関して詳しい御説明があったので、聞かせていただきます。総理に聞きます。

 では、今回、私も、もともとの一二%の株式の運用がよくないなんて言っていませんよ。それが倍になったのが、リスクが高過ぎるじゃないですか、今はいいけれども、リスクについて国民に説明してくださいと言っている中で質問します。

 大体、こういうのはいろいろな比べ方があるんですけれども、全額国債で持っている場合のポートフォリオと今回の新しい基本ポートフォリオ、これを比べるんですね。これのリスクを比べるんです。リスクはどうなりましたか。基本ポートフォリオと国債全額を持っている場合のポートフォリオ、リスクはどうなりましたか、総理。

 総理、総理がポートフォリオにお詳しいから聞いているんですよ。

大島委員長 もっと詳しい塩崎厚生労働大臣、簡明に。(岸本委員「簡明に」と呼ぶ)

塩崎国務大臣 とはいいながら、いろいろ誤解を招くことをたくさんおっしゃるものですから、申し上げますけれども、少なくとも今回、三谷さんがおいでになっているから、よく聞いていただければと思いますけれども、今回、実は、全部を国債に運用した場合と、それから今回の新しいものでやった場合にはどういうことになるのかということを、見通しをちゃんとお示しをしております。(岸本委員「だから質問しているんです。簡潔にしてくださいよ。私の質問を繰り返さないでください」と呼ぶ)

大島委員長 質問者、興奮しないで。

塩崎国務大臣 岸本先生がおっしゃっているリスクというのにはいろいろな意味があって、それは、最も大事なのは、我々が国民に対してお支払いを約束している年金の支払い、これをできるかできないかというリスクが一番大事なんです。

 先生が今おっしゃっている、先ほど、銀行の融資や投資の評価の話をおっしゃいましたが、この株は一〇〇%、国債をゼロだというのは、それは銀行の資産評価の場合のリスクの評価であって、我々は、厚生年金法でも……(岸本委員「簡潔に、簡潔に」と呼ぶ)しかし、大事なことを言っていますから、国民の皆さん方にわかっていただかなきゃならない大事な年金の話でありますからね。

 この話は、年金というのは長い運用の中でどれだけのことをやるかということが大事なのであって、そうすると、要するに、必要な年金として利回りを上げてもらわなきゃいけない、GPIFに入ってくるリターンがあります。これを達成できないリスクというのがどれだけあるかということと、株を持っているがゆえにぶれが大きいという、そのぶれの大きさというリスクもあるわけでありますけれども、それを、ぶれを最小化しながらどうやってそのリターンを確実に得るかということをやることが大事なのであって、例えば、新ポートフォリオでリーマン・ショックを含める過去十年間の運用をしたと仮定すると、どういうことになっているかというと、今のポートフォリオでリーマン・ショックを含めて十年やると、四・三%で回るんですね。ところが、従来のポートフォリオでは三・二%です。そして今御指摘の、全部国債でやった場合の利回りはどうなっていたかというと、一・八六であります。

 したがって、国債で全部やった場合と、それから、今回の新しいポートフォリオでやるものは、後で三谷さんから言ってもらえばわかりますけれども、要は、国債で全額運用した場合には、新しいポートフォリオでやった場合には確実にとれる、必要な年金を支払うための十分なリターンというものを全く得られないというのが国債で運用した場合の利回りなんですね。

 ですから、それは国民に一番困ることであって、実は、年金の一年間の支払いの約一五%が、この年金のGPIFからの運用とさっき言った期間が来たものを入れるもので、入っていますから、確実にやはりリターンを上げていかなきゃいけないということで、安全かつ効率的に運用をしなきゃいけないというふうに言っているので、国債でリスクがゼロだというのは、それはリターンを得られないということを無視して考えたぶれのリスクの話であって、それでは年金には使えないということを皆さんにもわかっていただきたいと思います。

岸本委員 いや、そういうことを聞いているんじゃないんです。私の質問を聞いてください、大臣。全額国債で運用した方がいいなんて言っているわけじゃないです。つまり、ポートフォリオを変えるときの考え方として、リスクがどうなるのかということを国民に説明してください、リスクはどうなるのかと。

 ところが、今おっしゃりたかったことで、実は書類が出ているんですよ。もう、ちょっと時間がないですから、今の大臣のおかげで三谷さんに聞く時間がなくなっちゃったんだけれども、私が言いますと、全額国債で持った、これはケースとして、今、国債至上主義がなくなっていますからしようがないけれども、国内債券で持った場合をベースに、リスクがどうなるのか、そして、今おっしゃった運用の利回りの下振れ確率というのがどうなるのかということなんですけれども、今大臣がとうとうとおっしゃったのは下振れ確率のことなんです。下振れ確率は、通常、マーケットというのは、リスクとはいいません。

 下振れ確率は、さっき言ったように、金利が上がっていく前提でいえば、それは新しいポートフォリオの方が下振れ確率はよりよくなるというか、パフォーマンスがよりよくなるんです。それは計算しなくてもわかることです、前提を置くその置き方ですから。

 ただ、標準偏差というのが出ている。標準偏差、まさにぶれですよ。マーケットでは標準偏差のことをリスクというんです、国民の皆さん。標準偏差がリスクなんです。このリスクは、このポートフォリオの変更によって、何と三倍になっているんですよ。三倍にもリスクがなっていることを一切このペーパーは、数字は書いているけれども、文章には書いてないんです。下振れ確率ばかり何度も出てきますけれども、明らかに国民に対してはリスクが三倍になったことを隠し、別の言い方をしている。これは本当におかしい。

 しかも、皆さん、よく聞いてくださいよ。国民年金と厚生年金のお金はこうやって大きなリスクにさらす。一方で、公務員の年金は一切株を買い増ししていないんですよ。どうですか、皆さん、この扱いは。国家公務員共済は、国内株式八%のまま、いまだにポートフォリオは変えていません。片や五割。片や、八と八で一六。

 国家公務員の年金にリスクをとらせず、国民の虎の子の年金だけにリスクをとらせるというのはどういうことなんですか、安倍総理。余りにもひどいじゃありませんか。

大島委員長 塩崎厚労大臣、わかりやすく説明してください。答弁を。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、国債で運用したらぶれが小さい、だから、標準偏差が小さかったらば……(岸本委員「聞いていないことを、委員長」と呼ぶ)いや、聞いていますよ、聞いていますよ。

 まさに標準偏差をもってリスクというというのは、それは年金においては常識ではないということをまず言わないといけないと思います。

 なぜかといえば、それは、これは何度もお示しもしていますし、このGPIFのペーパーにも書いてあるように、運用目標、名目賃金上昇率プラス一・七%を満たし、かつ、最もリスクの小さいポートフォリオを選択しました、こうなっているわけでありますから、それは、先ほど申し上げたように、何しろリターンとしてちゃんと約束した年金を支払えるということが国民にとっては一番大きなことで、国債のぶれが小さい、株のぶれが大きいということでなくて、トータルでリスクが一番小さいというのをとるということを言っているのであって、先生がおっしゃっているのは、ぶれのことだけを言っておられます。(発言する者あり)

大島委員長 大臣、きちんと答えてやってください。短く。

塩崎国務大臣 公務員年金は、それは、私は厚生年金と国民年金の運用であるGPIFのことを言っているので、それは共済の方がお決めになることで、共済は共済でやる。

 これからは、しかし、一体、一元化ですから、モデルポートフォリオのもとで基本的な哲学をそろえていこう、こういう方向になっていることは、もう既に法律で通っているので、御存じのとおりであります。

 もう一つ。もう一つ言わなきゃいけないのは、五年前の財政再検証のもとでの基本ポートフォリオの変更のときには民主党政権でありましたが、そのときには、定性的な基本ポートフォリオは一切示さず、ただ安全かつ効率的に運用しなさいというのが中期目標としてGPIFに示されただけでありますから、あとはGPIFがみずからの判断をされたということであります。

岸本委員 いや、もう、あいた口が塞がらないですよ。私が言っているのは、なぜ国民の年金にリスクをとらせて国家公務員の年金にリスクをとらせないのかという質問に対して、だから総理と申し上げたんだけれども、しかも、厚生労働大臣の認識は全く誤っている。

 ことしの十月に被用者年金は一体化します、合併します。厚生年金と公務員年金が合併します。したがって、運用についても、基本ポートフォリオをつくって、それに従って、各運用者、国家公務員共済はそれに基づいて乖離幅の範囲内で決めていいですよ、しかし、そこには創意工夫があっていいですよ、自主性があってもいいですと書いていますので、厚生年金に合わせる必要はないわけですね。

 だから、そこは株式の運用をぎりぎり少なくしてもいいのと、もう一つ、全くわかっていないのは、国家公務員共済年金は、実は、法律に基づいて、財政投融資に預託しなきゃいけない義務があるんです。三四%以上は預託義務が法律で義務づけられていて、しかも、今、実際は五四%、国家公務員共済は財政融資に預託しているんです。期限前に解約したらペナルティーをとられますから、変えたいとしても変えられないんです。

 国家公務員の年金は逃げ切るんです。株を買うようなリスクをとらないで逃げ切って、国民年金、厚生年金にだけ大きなリスクをとらせる。このやり方は余りにもひどいじゃないですか、皆さん。誰がリスクの責任をとるんですか。

 そして、本当にこの差は何なんですかね。よっぽど安倍総理は国家公務員に頭が上がらないんですか。安倍総理、答えてください。なぜ国民の年金だけリスクにさらすんですか。

安倍内閣総理大臣 今、どうしてかということは、岸本委員みずからがおっしゃったように、私も今知らなかったんですが、そのように決まっているからすぐに変更できないんだろう、こう思います。

 いずれにせよ、厚生年金についてはまさに厚生労働省が担当しておりまして、このGPIFについて、ガバナンスとポートフォリオ、これを、二つを改革していくということを決めておりますが、国家公務員共済の方は財務省なんだろう、こう思います。ですから、まさに今、厚生年金の方がこれからフォワードルッキングでまさに新たなポートフォリオを示したわけでありまして、このポートフォリオを見ながら国家公務員の共済の方も考えていくのかもしれないと今思ったところであります。

 いずれにせよ、別に私が公務員を大切にというか、頭が上がらないから、株、ポートフォリオを変えないということではもちろん全くないわけでありまして、今、岸本委員に言われて、ああ、そういうことになっているんだなということが初めてわかったようなわけでありますから、これはむしろ、厚生年金においては、繰り返しになりますが、我々が進めている政策において二十八兆円の運用益を上げているということは事実でございまして、これからしっかりと経済の好循環を回しながら、いわば年金の運用もしっかりとお約束できる金額を支払うことのできるような経済状況をつくっていきたい、こう思っているところでございます。

岸本委員 済みません、三谷理事長に来ていただいているので、一問だけ簡潔に聞きます。

 今、ガバナンスの議論を、ちょっときょうは厚生労働大臣の不規則答弁でできなかったので、時間が、また今度一般質疑でやりますが、三谷理事長が、まさに三谷理事長が全てを決定することになっているんです。

 三谷理事長、今、三谷理事長は夜も眠れないような責任感を負っていらっしゃる。今回、千七百万円の年収を三千百万円にお上げになりました、お手盛りで。しかし、それで、そのことで何か三谷理事長のお立場が変わられるんですか。一人で全責任を負われる、これはガバナンス上、御自分で問題があると思いませんか。お答えください。

三谷参考人 お答えいたします。

 ガバナンスの件でありますけれども、御承知のとおり、現在は、独立行政法人の通則法におきまして、理事長が全て決定権を持つということになっております。

 ただ、私自身は、これだけの資金を運用するわけでありますから、私がいつ間違うかわからない、やはり、もっといろいろな衆知を集めて議論をしながら決めていくべきだろうというふうに思っています。

 そういったことの延長で、今の法律には書いてございませんけれども、例えば、今回の基本ポートフォリオを決定する際に、私が決めて運用委員会に諮って、特に御意見はないですねと言って決めるのではなくて、事前に運用委員会で十分議論いただいて最終的には採決までしていただいたものに沿って私が決めるというやり方に変えました。

 また、この一月からは、新たなCIOというのを理事に任命したこともありまして、彼だけが決めるのでもない、私だけが決めるのでもない、やはりそれなりの人が何人か集まって、現在、私と理事と上席審議役とか三名のメンバーと、監事その他関連部室長がオブザーバーとして、説明者として入って、そこで合議をしながら運用のあり方を決めていくという形で、私個人としては、そういった方がよりよろしいのかなというふうには考えております。

 今の法律の範囲内でそれに近い運用ができるように幾つか工夫しているところでもございます。

大島委員長 まだやりますか。

岸本委員 やりません。

 厚生労働大臣、この後、一般質疑でガバナンス問題は徹底的にやります。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

大島委員長 この際、黄川田徹君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたい、こう思います。

 一カ月足らずで東日本大震災の発災から丸四年となります。五年目を迎えるわけであります。国の集中復興事業でありますけれども、これは五年間であります。来年度は最終年度となります。

 一昨日は、東日本大震災の余震ですか、東北で大きな地震がありました。そしてまた、津波注意報も発令されました。

 また一方、総理は、二月十二日の施政方針演説の中で、復興にかかわる点にも触れられております。高台移転は九割着手した、それから災害公営住宅八割の着工、本当にしっかりとスタートラインについたということだという演説であります。

 私にとっては、スタートも大事でありますが、やはりゴール、完成がどこにあるのか、その部分を本当に大変心配しておるところでありますので、そこで、まず、被災地の現状と、それから復興の見通しについて総理からお尋ねいたしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 東日本大震災からの復興は、引き続き安倍内閣の最重要課題でございます。

 被災地での住宅再建は、累次の加速化により、黄川田委員が御紹介になったように、高台移転が九割、災害公営住宅が八割で事業が始まっています。

 今後は、住まいの再建に加えまして、産業、なりわいの再生にさらに力を入れていく必要があると思っております。このため、被災企業の施設設備の復旧への補助に加えて、失われた販路の回復や新分野の需要開拓の支援などの課題に適切に対応していきたいと思います。

 また、被災者の方々が四年目の冬を過ごされている中において、孤立しがちな被災者への見守りや新たな住まいでのコミュニティー形成への支援など、心身のケアにもしっかりと取り組んでいきたい、こう思います。

 仮設から災害公営住宅等に移った方々も、また新たな生活が始まる中において戸惑いを感じておられる方も多いだろう、そういうお話もこの前伺いました。そういう方々に対するさまざまなケアもしっかりと行っていきたいと思います。

 このように、復興の進展に伴い、新たに発生するさまざまな課題に対応するために、平成二十七年度予算においても復興の加速化に重点化をしております。まずはこの予算の成立に全力を尽くしていきたいと思いますし、また、今後とも、安倍内閣においては全閣僚が復興大臣であるとの意識を持って対応していきたい、このように思います。

黄川田(徹)委員 復興の状況なんでありますけれども、津波、地震による被災地と、津波、地震に加えて、原発事故、風評被害の地域とでは、復興の進捗の度合いといいますか、ちょっと差が出ているような気がしております。

 大島委員長のところの青森……

大島委員長 八戸ね。

黄川田(徹)委員 青森の中でも、おいらせであるとか、八戸であるとか、階上であるとかも大島さんのところなんでしょうけれども、復興計画に基づいて着実に進んでいる、私はこう思っております。

 では、岩手にあってはどうか。岩手の沿岸地域、北から、種市、久慈、そして野田、普代、田野畑、岩泉、こういうところは計画に基づいて動いておるわけでありますけれども、やはりリアス式海岸のところ、宮古から下っていきますと、山田、大槌、釜石、大船渡、陸前高田、そしてまた、県境を越えて宮城に行きますと、気仙沼、南三陸、女川、石巻、あるいはまた東松島等々、そしてまた、仙台から福島の方に向かいますと、これは砂浜なんでありますけれども、名取とか岩沼とか、あるいはまた山元とか、これまた復興計画に基づいて、閖上の土地区画整理とか、さまざま、名取もありますけれども、まずまず進んでいるのかな。そうすると、やはりリアス式海岸のところをどうするんだ。

 それから、市街化区域が残っているところはまだまだ体力はあるのでありますけれども、正直言って、岩手では、山田、大槌、陸前高田、宮城に行けば、南三陸、あるいはまた女川、ゴールはどこだということで、みんな頑張っておるわけであります。

 もちろん自治体も、全国から職員の派遣を受けて必死で頑張っておるのでありますけれども、それでもゴールはどこかという、本当に大きな課題があると思っております。

 それから、原発事故の課題であります。

 発災直後から、世界の英知を持ってきて何とかしようということで、汚染水の対策ということでALPSをつくり、あるいはまた、凍土壁でもって何とか頑張ろうということで、アメリカの知見もいただいて頑張っておるわけでありますけれども、これも、正直、道半ばであります。

 そしてまた、除染対策であります。

 住宅の除染ということで進んでおるわけでありますけれども、福島でも四つの自治体が終えたということで、今七つの自治体が住宅の除染をやっておるわけでありますけれども、先般、NHKで報道されたとおりであります。楢葉町、除染が終わっているんだけれども、その家屋を解体しなきゃいけない、何軒ぐらいあるんだということであります。実は八百軒を超しています。周辺の町村も見ますと千軒も超えるんじゃないのか。

 やはり、長期にわたる避難でもって、それぞれの家庭の人生設計といいますか、そういうものがどんどん変わってきちゃうということ。福島の場合であれば、帰還を求める人、絶対戻るんだという方々、そしてまた、環境が整えば戻りたいと待っている方々、そして、何としても、もう待てない、新しい人生を歩まなきゃいけない、そういう方々もあるわけですよね。ですから、そういう方々にしっかりと手を差し伸べていかなきゃならない、こう思っております。

 なかなかやじが出ませんが、私は、発災時は与党の方におりまして、そして今野党でありますけれども、発災時のときから復興に与党も野党もないという形でかかわってまいりましたので、いずれ何としても、東北の復興なくして日本の再生はないと思っておりますので、なし遂げなきゃいけないということだと思っております。

 いずれ総理も、たびたび現地調査もしておりますし、そして、各大臣、復興大臣になったつもりで頑張れということでありまして、さまざまなメッセージは発するんでしょうけれども、しかしながら、その実態、厳しいところをやはり政府として語らなきゃいけない、そういうことも必要だと思います。それでないと本当の意味での住民合意はできないと思います。上っ面だけでは前に進まないと思います。よろしくお願いいたします。

 そういうことで、実は、一年おくれで復興庁が立ち上がりまして、ちょうど三年となるわけであります。復興庁は、各省庁を束ねるということで、司令塔の機能を果たさなきゃいけないということでありますが、これまでの復興庁の機能をどのように判断し、思っておりますか。総理からお尋ねします。

安倍内閣総理大臣 復興庁は、東日本大震災からの被災地の復興を政府一体となって遂行するために設置をされたものであります。このため、私から復興大臣に対しまして、被災地に寄り添う形で復興庁の体制の強化に努めること、そして、各省庁の縦割りを排し、現場主義に徹したきめ細かな対応により、さらなる加速化に全力で取り組むことを指示いたしました。

 復興庁では、強力に復興を推し進めるため、住宅再建の加速化、そして産業復興の推進、被災者の健康・生活支援といったテーマごとに、復興大臣がトップとなって、関係省庁から構成されるタスクフォースを設置し、さまざまな課題に対応してまいりました。

 また、被災地のニーズにワンストップで対応するため、被災三県に復興局を設置いたしまして、一元的に要望を吸い上げることで現場の課題にきめ細かく対応してまいりました。復興庁に行けばさまざまな問題についても一応相談に乗る、こういうワンストップ化をしたところであります。

 被災自治体からは司令塔の役割を評価する声もいただいているものと承知をしておりますが、しかし、さらに身を引き締めまして、今後も、復興庁を司令塔として、引き続き、被災地の一日も早い復興を目指して全力で取り組んでいく考えであります。

黄川田(徹)委員 復興庁の役割、司令塔としての役割なんでありますけれども、各省庁の縦割りを打破するということ、ここが一番大事だと思います。そしてまた、体力のない自治体、そこが復興の現場でありますので、上から指示をするという思いではなくて、国の役人、それぞれ県に復興局がありますので、自治体と一体となってということで、そういう中で、私も一カ月間だけ復興副大臣をやりましたけれども、やはり現場に赴くことが大事。そして、各省庁の局長たちを集めて、作業部会といいますか、そういう現場を知ることというところが本当に大事だと思います。

 そこで、さすがに四年も迎えますと、各省庁の職員も全てかわったと思っております。ごく一部、携わっておる方もおりますけれども、復興庁本体、あるいはまた岩手、宮城、福島の復興局なんかも大分かわっておると思います。震災復興の思いというものがやはり一番大事だと思っておりまして、発災直後に瓦れきの山からどうやって復興するんだという、その思いを持った人間が異動になったりしておりますので、その原点は忘れずにしっかりと取り組んでもらいたい、こう思っておるわけであります。

 それで、復興大臣にお尋ねいたしますけれども、三年たった復興庁でありますけれども、五年の集中、その後の五年があるわけなんでありますが、これからの復興庁の役割、どういうふうに考えておるか、お尋ねいたします。

竹下国務大臣 黄川田委員には、被災者であり、そして復興に携わった経験もあり、私よりも何倍も地元のこと、あるいは本当の苦しさをおわかりいただいている方だと思いますし、いろいろ相談をさせていただきながら仕事をしなければならない方だ、こう思っております。

 復興庁、三年がたちまして、実は私は余り意識をしておりません。私どもが意識をしておりますのは、三・一一から何年たったかということ、復興庁が三年たとうが四年たとうが、それは役所の話でありまして、被災者にとっては発災からどれだけたっているかが意味があることである、こう思っております。

 その意味で、発災当時、今残っております復興庁にいる職員に聞くと、もう大体あちこちから叱られてばかりだった、調整はうまくいかないし、現場は混乱しているし、瓦れきの山だし、さあ、どこから手をつけたらという状況だったらしいんですが、幸い、いろいろな体制、情報伝達の体制、あるいは判断する体制、それから市町村との連絡体制、人と人との相談体制みたいなものが徐々に徐々に整ってきておりまして、今はその面ではスムーズに回り始めておるというふうに感じております。

 しかし、一番大事なことは、間もなく五年になりますが、まだふるさとを取り返していない人がたくさんいるという、この厳しい現実に立って私たちは仕事をしなきゃならぬ。先ほど安倍総理もお話しになりましたように、全員が復興大臣のつもりでやれという指令を私どもいただいておりますし、各省庁にハッパをかけて、省庁の縦割りはもう絶対いかぬということもたびたび言われておりますので、復興庁に来れば全ての仕事がそこで前に進む、また進めていかなきゃならぬ、加速化をどんどんどんどんしていかなければならぬという思いで今仕事をしておるところでございます。

黄川田(徹)委員 竹下大臣には、平野大臣、根本大臣と、三代目の大臣として、被災自治体からは、来年度は前期といいますか集中五カ年の最終年度なんだけれども、次の五年をどうするかというところ、そこは明確に打ち出して、できれば五年間、復興大臣をお願いしたいのでありますけれども、さらなる大臣につなげていかなきゃならないと思っておりますので、次の五年をどうするかという、その部分はしっかりと結果を出していただきたい、こう思っておるわけであります。

 それで、復興庁も十年、それから復興方針でも復興期間は十年だということでありますので、先ほど言ったとおり、スタートラインじゃなくて、復興のゴールライン、完成はどこにあるのかということなんであります。

 十年たって、復興庁どうするんだという、この法律ではたてつけは十年でありますので、どうも福島の対策、政策、進捗状況を見ると、ちょっと心配なところもあるわけでありまして、その辺の見通しとか、十年で完成させるんだということで、今答弁してないと、そんな先のことはわからぬという話になりますけれども、いずれ、地震、津波の被災地と原発事故による復興とでは、我々は時が解決してくれます、我々というか、青森、岩手、宮城の人間は。福島の方々の復興は、心の復興も含めたら、そんな十年じゃ終わらないということも感じておりますので、その辺の認識をお願いいたします。

竹下国務大臣 黄川田先生がおっしゃるとおりでございまして、今我々がやっておりますことは、まずは予算を上げて、集中復興期間五年の最終年をきっちり加速化する、そのことに今は全力を挙げておりますが、おっしゃるように、あとの五年についても、しっかりにらみながら仕事をさせていただいております。

 お話しになりましたように、福島のあの原発のエリアを除く被災地は十年で、多少の刃こぼれはあるかもしれませんが、さまざまなものをハード的にはほとんど完成をする、そう考えております。また、そのように急いでやらなければならない。

 ただ、そのことと、産業のなりわいがしっかり回復したか、あるいは、お一人お一人のお帰りになった皆さん方にしっかりとふるさとを取り戻してもらえたかということは、もう一段復興をやっていく上で、非常に大事な要素がそこには残っておるというのが一つであります。

 そしてもう一つは、おっしゃいましたように、福島のエリアは除染もまだかかります。それから、中間貯蔵施設への搬入等々さまざまな問題は残っておりますし、一番根っこは、廃炉に三十年とか四十年とかという時間がかかるという状況の中で、原発の被災地の皆さん方、帰りたいという方は何人もいらっしゃいます。

 その人たちにぜひ帰っていただきたいという思いはあるわけですが、時間の経過というのは非常に残酷なものでございまして、帰れない。家は建っているけれども、帰れない。地震では壊れていないんですよ。だけれども、帰れないから、そこへイノシシが入る、ネズミが入る。雨漏りはする。しかし、手もつけられない。帰ろうと思っていたけれども、やめようかな、こういう方も残念ながらふえておることは事実であります。

 私たちは、そういう人たちの気持ちを、お一人お一人の帰りたいという思いの方、いや、もう新しい生活を選ぶんだという思いの方、どうしようかなと迷っている、その思いを一つ一つ受けとめながら、局面が変わるたびに、気持ちを受けとめながら仕事をしていかなきゃならぬな。しかも、一番急ぐことは加速していくことだ、まず家を確保することだ、こう思っております。

黄川田(徹)委員 確実な復旧復興の達成のためには、やはり長期的な、特例的な財政支援が必要だということは肝に銘じていただきたいと思います。

 そこで、具体的にお尋ねいたしたいと思います。

 この集中復興期間後の財源措置、制度設計、何度も問われていると思いますけれども、過去には、夏の予算要求のあたりまで、あるいはまた、最近では参議院の方で、パッケージで、単年度ごとの制度設計じゃない、残り五年間をどうするかという形で提示したいとかというところも斜めに話を聞いておりますので、きょうは、テレビの視聴者の皆さんも、やはり次の五年、安心して復興を国に任せられる、そういうところがあると思いますので、御答弁いただきます。

竹下国務大臣 次の五年のことを、もちろん、いろいろ、この表現がいいのか、頭の体操をしていることは事実でございます。

 ただ、今は、まず目の前の予算を成立させて、この集中復興期間の最終年度をどれだけ加速できるかということに全力を注いでおりますし、そうしろと復興庁の諸君にも、それから被災市町村との話し合いにも、ともかくこの五年間でできることはみんなやろうと。その上で、以前もお話をいたしましたが、どこかの時点で立ちどまって、何ができたのか、あるいは何がまだ残っているんだという明確な仕分けをしなければならない。

 被災地の皆さん方と話しておりますと、集中復興期間を延長しろ、五年を十年に延長しろという声を伺うんですが、やはり一旦一区切りつけて、何ができていて、これから何をやらなければならないか。特に、健康や心のケアといったような需要は復興が進むにつれてよりたくさん出てくる話でありまして、そういった部分にもしっかりと対応していかなければならない。ですから、どこかの時点で立ちどまって、その次の五年というものも見据えていかなければならないと思っております。

 私、復興大臣個人としては、できれば後半の五年を一くくりにした絵姿を示すことができればそれがいいな、こう思っております。

 一年一年の予算で対応するということは、それはできないことはないと思いますが、被災者の皆さんにとって、やはり将来も見据えた復興ということを考えたら、五年一くくりの絵姿というのはぜひつくっていきたいな、しかし、まだそこまでいっていない、その前段であがいているというのが正直なところでございます。

黄川田(徹)委員 これまでの復興事業を精査するということ、これは徹底的にやらなきゃいけない、こう思っております。

 それでは、さらに具体的に。

 大臣の頭の中には、これまで復興交付金、あるいはまたその裏負担の復興特別交付税、こういう制度をつくったんだけれども、これは継続されるのか、あるいはまた、結果として地方負担は復興に関してはゼロとなるのか、この部分の制度設計を、結論は出ていなくても、考え方だけでもよろしいので、お尋ねいたします。

竹下国務大臣 頭の痛い問題なんです。

 東日本大震災の復旧復興事業につきましては、特別に、御承知のとおり、二十五兆円という枠、結果的には二十六兆三千億になりますが、特別な枠を確保いたしまして、地方負担分を実質ゼロということで、最終年度までは、二十七年度まではやっていこうということが決まっております。これは、正直言って異例中の異例の対応でございます。

 といいますのは、被災のエリアがむちゃくちゃ広い、人数も大きい、さらに、被災した市町村が地方負担なり地域の自力でハードのインフラの復旧ができるかというと、とてもそんなレベルの被災ではない物すごい被災であるということから、特例中の特例という形で、地方負担なしということで今日までやってきたことは事実でございますが、先ほどもお話をしましたように、立ちどまって見直すというのは、徹底的に見直さなければならない、こう思っております。

 復興の本体の事業の方は、私は、引き続き地方負担なしでやって、本体事業はそうだろうと思いますが、さまざまな要望がさまざまな地域から出てきておりまして、これを復興でやるのがいいのかどうかというものも、正直言って、ないわけではありませんので、そういうものも含めて、これは熟慮に熟慮を重ね、あるいは黄川田さんのところに御相談に行くかもしれませんが、いろいろな方と相談しながら、もちろん地元ともしっかり話をしながら判断をしていかなければならぬことだ、こう考えております。

黄川田(徹)委員 復興大臣は、復興に関しては各大臣よりも上位の立ち位置にある。それから勧告権もある。私の目の前には麻生財務大臣がおりますけれども、復興に関しては復興大臣が位置づけは上位にあるということでありますので、しっかりと戦っていただきたいと思います。エールを送ります、竹下大臣には。

 それで、麻生さんのお話をしましたので。

 当時、復興国債を発行しまして、三年所有していれば、利率は低いので、やはり復興を支えてくれたということで、一千万だとたしか金貨一枚、百万だと銀貨一枚、そういうふうな形で、自分も復興に財政としての支援をしているんだという、その形が見えるようにということで、そういうたてつけをしたはずであります。

 そろそろ三年がたって、時期が来たのでありますけれども、当時はマスコミも、たしか四回にわたって、金貨、銀貨、どういう意匠といいますか図柄といいますか、するかということで、相当新聞にも載ったんですね。テレビでも報道したんですけれども、最近はその部分はなかなか出ないので、きょう麻生さんに、いつから金貨が配られますよ、そういう話が出れば震災復興も風化しないのではないか、こう思っておるのでありますけれども、その取り組みについてお尋ねいたします。

麻生国務大臣 これは、黄川田先生初め被災者の方々なり、この国債を買っていただいた方々はよく御存じのところなのかもしれませんけれども、個人向けの復興国債、復興応援国債と正式には呼んでいると思いますが、復興応援国債につきましては、東日本大震災の復興を応援する観点から、当初三年間、金利は〇・〇五%で、復興事業に資金を提供していただく方を募ったのであります、あのとき。

 そして、その資金提供をしていただいた、そんな安い金利でしたので、お礼として、個人向け復興応援国債の発行日から三年目の支払い日に同国債を百万円以上保有していただいている方々には、東日本大震災復興事業記念貨幣を贈呈することとして、百万円の方には千円銀貨が一枚、千万円の方には一万円金貨がということにさせていただいたというのがこれのいきさつでありまして、これの三年目の支払い日の翌月ということにいたしております。

 ちなみに、最初の贈呈は、ことしの四月、この四月の利払い日の翌月であります五月の中旬ごろになろうと思います。

 ちょうどあす、二月二十日になりますけれども、大阪の造幣局でこの記念貨幣の打ち初め式で、あしたから正式に製造、造幣する、何だろう、製造が正しい言葉かね。(黄川田(徹)委員「鋳造」と呼ぶ)ありがとうございました。鋳造を、開催することとしておりますので、私どもここにおりますので、復興庁の大臣補佐官がそこに同席することにいたしております。

黄川田(徹)委員 実は、図柄の、どっちが表でどっちが裏かわかりませんけれども、陸前高田市の一本松が刻んであると思っております。

 それでは、残り時間がちょっと少なくなりましたので、実は与党の方で、東日本大震災の日、そういう法律をつくろうということで動いておるようでありまして、震災の風化をとめるためにもという趣旨も私もわかるのでありますけれども、できれば委員長提案とか、与野党とも取りまとめるということが大事だ、こう思っております。

 ただ、一つ気になるのは、やはり、被災者の方々、被災地からそういう法律をつくってくれという声が上がることが私は一番大事だと思いますし、被災者の方の中には、そういう日を法律でつくると、歴史の中の震災の日だ、もう復興は俺たちから離れていくのかと。被災している方々にすれば、復興はまだ道半ばだ、これからが本番だ、そういう人もおるものですから。それから、これまでお話ししたとおり、福島は大変な状況にあります。その部分もきちっと書き込まないといけないのかな、こう思っておるものですから。

 そこで、そういう声が出ているかどうかということもありまして、実は、通告で、総理もたびたび、月に一度ぐらい現地に行っていますので、その現地に行っている中で、避難住民の方々から、震災の日というようなものを制定してくれないかというふうな、そういう声が上がっているかお尋ねいたします。あわせて、復興大臣にも同じような御質問をいたします。

安倍内閣総理大臣 総理に就任して、今まで二十一回訪問させていただきました。前回は御地元にお邪魔させていただいたところでございます。

 地元からは震災の日を制定してくれという声は伺ったことはないわけでございますが、議員立法として、大島委員長が中心となってやっておられるというふうに私は仄聞をしているところでございますが、動きがある。

 これは、震災の教訓を忘れてはならないということもあるんだろうと思うわけでありますが、同時に、被災者の方々は、今、黄川田委員がおっしゃったような、まだ全く復興については道半ばであり、福島は厳しい状況にあるのは事実でございます。そういう思いもそんたくをする必要があるのかもしれない、このように思うわけであります。

 いずれにいたしましても、議員立法でございますから、議員の皆様にさまざまな要素を議論していただきたいと思いますし、また、復興において、被災地の方々からそういう声が上がり、そして進んでいくということが、おっしゃった意味、御質問の意味としてはそれが一番いいのではないかということではないかと私も思うわけでありますが、いずれにいたしましても、今、議員立法でございますから、この議論の行方を見守っていきたいと思っております。

竹下国務大臣 先ほど総理がお話ししましたように、まだ被災地から文書として上がってきたというようなことは一件もございません。

 ただ、黄川田委員御承知のとおり、祈念をする国営の施設は三カ所つくりたい、各県一カ所を考えておりますが、それぞれの市町村で祈念するものをつくってくれという要望は上がってきております。ただし、反対だという声も上がってきている市町村もありまして、これはなかなか悩ましい問題でございます。

 そういう中で、ことしも三・一一、東京でしっかりと追悼の式を開催することにいたしておることも事実でございますし、これも総理がおっしゃいましたように、議員立法、今与党の中での議論が進んでおるというふうに伺っておりますが、その議論の行方というのを注目して見守っていきたいと思っております。

黄川田(徹)委員 後半五年の道筋が明らかになると、被災地も何とか光が見えてきたなということで、そういう法律もちょうどいい時期かなと私は思っているんですが、ただし、その制度設計が自治体に不満が出るような状況だと、なかなか、震災の日というものを設けても生かされるのかなというところもありますので、あとは復興大臣が一生懸命頑張ってもらえれば、議員立法の中でいろいろと議論しながら、そういう日もつくることもあるのかなと思っております。

 実は、阪神・淡路大震災のとき、復興の関係の防災問題懇談会というんですかね、兵庫県でつくられて、その中の提言で、阪神・淡路大震災関連の日ということで、防災とボランティアの日ということで一月の十七日がそれに当たるということで、誰が決めたというと、閣議了解でこれが決められたわけであります。

 また一方、議員立法ということを考えてみますと、震災の前の年に、昭和三十五年のチリ地震津波が五十年ぶりに来て、そして実は沿岸地域、余り避難しなかったわけですよね、一〇%も避難しなかったとか。これは、津波災害に対して沿岸住民もきちっと緊張感を持たなきゃいけないぞという等々があって、それで津波対策の推進に関する法律というものをつくりまして、そして津波防災の日ということができたわけであります。これも議員立法であります。

 総理、ちなみに、この日はいつだかわかりますか、津波防災の日でありますが。

安倍内閣総理大臣 済みません。寡聞にして存じ上げないわけであります。

竹下国務大臣 十一月五日、「稲むらの火」の逸話にちなんだ日になったというふうに、これは法律で決めていますね。二十三年六月二十四日施行の津波対策の推進に関する法律の中に書かれております。

黄川田(徹)委員 一八五四年の、江戸時代でありますね、安政南海地震津波がありまして、「稲むらの火」、戦前、戦後ちょっと初めまでですか、社会科の副読本に載っておりまして、そして、浜口梧陵といえば、多分和歌山の方々は、防災の神様、津波対策の神様ということになっていると思いますけれども、いずれ議員立法でそういうふうな日も定めたとか、いろいろあるわけであります。

 なかなか議員立法だと、委員長提案で、もちろん全会一致でありますから、すぐ通過するので、意外と頭の中に残らないというところもありますので、そこで、国民的な制定の思いとかそういうものを、やはり出てくることによって定着するのではないか、こう思っておるわけであります。

 岩手にあっては、かつては明治二十九年で被害が大きかったところはその日に津波訓練だ、昭和八年で大きな被害を受けたところは昭和八年のその日だ、それから、私の隣の、先般総理が来られましたけれども、大船渡は、チリ地震津波、昭和三十五年で大変な被害を受けましたので、その日が津波訓練になっているということでありますので、大震災の日ということになれば、当然、おとといの津波注意報でもみんな避難したのでありますけれども、いずれ定着するためには丁寧な手順を踏まなければならないのではないか、こう委員長にも聞こえる声でお話ししております。

大島委員長 承っておきます。

黄川田(徹)委員 では、最後になります。二問あったんですが、最後の一問にさせていただきます。

 十月一日、国勢調査であります。実は、被災地は、津波で流され、あるいはまた行方不明、人口が激減しておるところもあります。やはり、交付税であるとか、あるいはまた過疎の認定要件であるとか、この国勢調査人口は大事な人口でありますので、そのまま調査されると被災地は大変なことになります。特に、福島の大熊とか双葉とか、岩手、宮城の三陸沿岸も大変なことになりますので、その辺の国勢調査と地方交付税に関して、どのような取り扱いになっているのか、お尋ねいたします。

高市国務大臣 国勢調査は五年ごとに行われておりまして、大正九年以来、今回で二十回目になります。

 それで、今回は項目をつけ加えまして、特に、五年前居住地に関する事項というものを追加しました。と申しますのは、前回の、五年前の国勢調査の翌年に東日本大震災が起きておりますので、東日本大震災発生後の人口移動の状況を把握することとしております。

 それから、この人口というのが普通交付税の算定基礎となっているんですけれども、ただ、やはり交付税というのは、全国どこにいても一定の行政サービスを受けられる、そのために必要な財源を確保することを保障するもの、そういう性質がございますので、しっかりと必要な財源を確保できるように心を配ってまいりたいと思っております。

黄川田(徹)委員 阪神・淡路大震災のとき、それから三宅島の噴火のとき、ちょうど国勢調査もさまざまな手だてをしたはずであります。そういうものを参酌しながら、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 あと、結びであります。

 実は、国勢調査というのは、十月一日の午前零時で、どこにいたかで決まるわけであります。

 十月に国会が開かれて、こういう予算委員会が開かれると、その一週間、東京に皆さんおると思います。そうすると、カウントは東京都でカウントすると思います。

 国会が開かれていなければ、みんな日常活動で地元におりますので、東京に来たとしても二日ぐらい、地元が五日だと。今度、逆に、国会が開かれていると、東京が五日で地元が二日だと。そうすると、どういうふうな調査になるかというと、二日と五日であれば、ここの、五日いるところでカウントしますというふうな調査の仕組みになっていると思いますが、どうですか、総務大臣。

高市国務大臣 基本的に、住民票がある場所ではなくて、ふだん住んでいる場所ということですから、おおむね三カ月以上ということが基準で、三カ月以上住んでいるところ、もしくはこれから三カ月以上住みそうな場所ということで、いる場所が国勢調査で決められます。つまり、一週間のうちに五日間、東京にいらっしゃる場合は、東京ということになります。

 先生、恐らく御心配なのは、被災地で今もう全く人口がゼロ、そういう形にならざるを得ない場所があるということで、三宅島などの例を。

 あのときも、全島避難をされました。噴火があって、全島避難の年が国勢調査でしたから、ゼロだったんですね。それでも、やはり、その前の、その五年前の国勢調査の結果を基準にしながら、経過措置をとって配慮した、特例的な措置をした。その後、また帰還したんですけれども、それでも、もともとの人数の島民が戻っておられなかったので、さらにそれから五年間、特例的な措置をいたしました。都合十年間、特例的な措置をいたしましたので、そういった対応も参考にさせていただきます。

黄川田(徹)委員 私も地元でカウントをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

大島委員長 次回は、明二十日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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