衆議院

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第17号 平成27年3月13日(金曜日)

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平成二十七年三月十三日(金曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 金田 勝年君 理事 萩生田光一君

   理事 原田 義昭君 理事 平口  洋君

   理事 平沢 勝栄君 理事 森山  裕君

   理事 前原 誠司君 理事 今井 雅人君

   理事 上田  勇君

      秋元  司君    石崎  徹君

      石原 宏高君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      小田原 潔君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    金子 一義君

      金子めぐみ君    菅家 一郎君

      熊田 裕通君    小池百合子君

      小林 鷹之君    田所 嘉徳君

      長坂 康正君    野田  毅君

      星野 剛士君    牧島かれん君

      宮内 秀樹君    宮崎 謙介君

      保岡 興治君    山下 貴司君

      山田 賢司君    山本 幸三君

      山本 有二君    小川 淳也君

      大西 健介君    菊田真紀子君

      岸本 周平君    後藤 祐一君

      階   猛君    田島 一成君

      玉木雄一郎君    辻元 清美君

      馬淵 澄夫君    山井 和則君

      井坂 信彦君    重徳 和彦君

      松木けんこう君    松浪 健太君

      横山 博幸君    浮島 智子君

      岡本 三成君    中野 洋昌君

      樋口 尚也君    赤嶺 政賢君

      高橋千鶴子君    本村 伸子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      宮沢 洋一君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    望月 義夫君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       竹下  亘君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       山谷えり子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     山口 俊一君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   有村 治子君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 高橋 泰三君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     牧島かれん君

  小倉 將信君     石崎  徹君

  鈴木 俊一君     大串 正樹君

  土井  亨君     菅家 一郎君

  根本  匠君     大隈 和英君

  古屋 圭司君     山田 賢司君

  小川 淳也君     菊田真紀子君

  階   猛君     田島 一成君

  辻元 清美君     玉木雄一郎君

  山井 和則君     大西 健介君

  重徳 和彦君     横山 博幸君

  樋口 尚也君     浮島 智子君

  赤嶺 政賢君     本村 伸子君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     小倉 將信君

  大串 正樹君     鈴木 俊一君

  大隈 和英君     大西 宏幸君

  菅家 一郎君     宮内 秀樹君

  牧島かれん君     岩屋  毅君

  山田 賢司君     大岡 敏孝君

  大西 健介君     山井 和則君

  菊田真紀子君     小川 淳也君

  田島 一成君     階   猛君

  玉木雄一郎君     辻元 清美君

  横山 博幸君     重徳 和彦君

  浮島 智子君     樋口 尚也君

  本村 伸子君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     古屋 圭司君

  大西 宏幸君     根本  匠君

  宮内 秀樹君     土井  亨君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成二十七年度一般会計予算

 平成二十七年度特別会計予算

 平成二十七年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算、平成二十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁次長高橋泰三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 理事会の協議により、昨日からの集中審議をあわせ、これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金田勝年君。

金田委員 おはようございます。自由民主党の金田勝年でございます。

 総理は、施政方針演説におかれまして、知と行は二つにして一つという吉田松陰先生の言葉を用いられました。デフレからの脱却と経済の再生、そして財政健全化との両立、財源の制約のもとで国民の安心のための社会保障改革、加えて地方創生の実現という、我が国が抱える重要政策課題の数々の同時達成、まるで連立方程式の解を解くような、そういう重要政策課題の数々の同時達成に向けて、今こそ我々は全力を挙げて果断に取り組んでいかなければならないのであります。

 経済の好循環の成果は確実にあらわれてきております。倒産件数の劇的な改善や、新卒予定者の内定率が二十二年ぶりの高水準になっているなど、雇用指標などでも大きく改善が見られるのであります。

 また一方で、二十七年度の予算では、新規国債の発行額が六年ぶりに四十兆円を下回り、基礎的財政収支の平成二十七年の赤字半減目標の達成など、財政の健全化も同時に実現をしているのであります。

 まさに、この道しかない、経済の好循環を引き続き強固なものとしながら連立方程式の解を求めていく、多くの内政上の大切な政策課題を同時にあわせて解決していくという、非常に重要な、貴重な努力をしている真っ最中なのであります。

 その決意を総理から改めて教えていただきたい、このように思います。

安倍内閣総理大臣 日本は、この十五年間、長く続いたデフレの中で低迷をしてきたわけでございます。その間、税収も減少していくという中で、果たして社会保障制度の基盤も大丈夫なんだろうかという不安も国民を覆っていたわけでございます。

 そこで、我々は、デフレ脱却を第一に掲げて、そして力強く経済を成長させて国民生活を豊かにしていく、この三本の矢の政策をスタートしたわけでございます。

 昨年の四月に消費税を八%に引き上げたことを背景に、個人消費に弱さが見られ、景気回復の実感が残念ながら全国津々浦々に届いていないという状況になったわけでございますが、ただ、先般公表されましたGDP速報では、三四半期ぶりに実質GDPが前期比プラス成長となったところでありまして、また、足元では、街角の景況感が全国全ての地域で改善するなど、景気回復の兆しも見られるわけであります。

 こうした動きを確かなものとし、そしてデフレ脱却をさらに確実なものとしていきたいと思います。まずは二十六年度補正予算を迅速かつ着実に実行していきたい、こう考えているところでございます。

 我々、成長戦略をしっかりと進めることによって、景気の回復に向かった好循環を回していき、そして、着実に、賃金においても、あるいは地方の皆さんの所得においてもしっかりと実感できる経済をつくっていきたい、このように思っております。

金田委員 そうした中で、申し上げるまでもなく、我が国の最重要課題には、安心できる長寿社会の実現というものがあるわけであります。少子高齢化社会の到来によりまして、まさに社会保障制度の持続可能性が問われているのであります。

 このため、いわゆる団塊の世代が七十五歳以上となる直前の平成三十二年までには、給付と負担のバランスのよい社会保障制度を構築していかなければならないのであります。その際には、子育て世代の支援も含めて、全世代に対応する全世代対応型の社会保障に転換をしていく必要があるんですね。

 こうした中、政府は、デフレ脱却、経済再生を優先するということで消費税率の引き上げ時期を再来年の四月まで延期する一方で、平成二十七年度予算におきましては、財源が制約される中にあって、社会保障については給付と負担のバランスをとる、そういう方針で国民の安心を確保しなければいけない、こういう状況に立たされたわけであります。

 そこで、財務大臣に、平成二十七年度予算におきます社会保障予算の充実面について簡潔に御説明を賜れればと思います。よろしくお願いします。

麻生国務大臣 御指摘がありましたように、消費税の税率一〇%への引き上げの一年半延期ということに伴いまして、消費税の増収分を活用した社会保障の充実の財源は一・八兆円から一・三五兆円に減っておりますので、二十七年度予算はこの範囲内でやらねばならぬという条件になりました。

 具体的には、子ども・子育ての支援制度は二十七年四月から予定どおり実施をさせていただきます。子育て支援の量的拡充と質の拡充の全てを実施させていただくということで約〇・五兆円、これは国と地方の両方です。

 それから、国民皆保険のセーフティーネットであります、いわゆる国保の財政基盤の強化ということで、医療提供体制改革の推進、これに国、地方合わせて約五千億ということであります。

 加えて、難病対策の充実、これに約〇・二兆円等々を行うこととしており、優先順位は、子ども・子育て等の方に、難病などには重点的に充てさせていただき、そのほか、残っておりますお約束の分に関しましては一〇%に上がったときに一緒にやらせていただくということで、優先順位はそのような形でつけさせていただいております。

金田委員 社会保障の給付面を見ますと、平成二十四年の厚生労働省の推計によりますと、十年後の平成三十七年には、医療費は現在の四十兆円から五十四兆円程度に、介護費は十兆円から二十兆円へと増加すると言われているのであります。

 一方で、我が国の社会保障制度は、社会保険方式に加えまして、税財源で賄われる公費にも依存しておりますから、赤字公債を通じて将来世代に負担を先送りしている状況とも言うことができるのであります。

 世界に誇れる国民皆保険制度を初めとする我が国の社会保障制度を子供や孫の世代にしっかりと引き継いでいくことは、私たち政治家一人一人に課された大きな使命でもあるわけであります。

 こうした中、総理は、将来の社会保障制度につきましてどのような絵姿を描いていらっしゃるのか、伺えれば幸いです。

安倍内閣総理大臣 社会保障制度は、国民が安心して暮らしていくために絶対的に必要な制度であろうと思います。

 制度につきましては、自助そして自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べることが重要であると考えております。

 このような基本的な考え方に立って、世界に冠たる国民皆保険、皆年金を初めとする社会保障制度をしっかりと次の世代に引き渡していく責任が私たちにはあると思います。

 具体的には、年金財政を安定させまして、将来にわたって安心できる年金制度を確立させていく。そのために、国庫負担を三分の一から二分の一に、しっかりと引き上げを行っているわけであります。

 また、医療や介護が必要になっても住みなれた地域で暮らしを継続できる仕組みの構築をしていく、地域包括ケアシステムを構築していく。そして、待機児童解消加速化プランの推進を初めとする子ども・子育て支援の充実といった課題について、着実な前進に取り組んでおります。

 同時に、給付と負担のバランスのとれた持続可能な制度としていくためには不断の改革が必要であり、その際には、先ほど指摘されました、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年を展望しつつ、全ての世代が相互に支え合う仕組みとしていくことが重要と考えております。

 繰り返しになりますが、給付を確かなものとしていくためには、給付をしていくためには負担が必要であるという認識を国民とともに共有していくことも大切だろう、このように思っております。社会保障制度改革推進会議で議論をいただきながら、改革を着実に進めていく考えであります。

金田委員 時間が限られておりまして、続きまして、地方創生の課題に入りたいと思います。

 少子高齢化とこれに伴います人口減少の問題は、地方に既に顕在化をしております。まさに待ったなしの状況にあるわけであります。

 二十六年度の補正予算においては、使いやすい地方創生の先行型交付金千七百億円、これを初めとして、二十七年度予算においても、各省庁に計上の総額一・四兆円、これに加えまして、地方財政計画に計上された一兆円、企業の地方拠点強化のための税制などを合わせれば三兆円を超える対応がとられているわけであります。地方に手厚い配慮がなされているのであります。

 石破大臣は、地方創生の主役は市町村と都道府県、来年の三月までに全ての自治体に地方版総合戦略を立ててもらう、やる気とアイデアのある地方を支援すると発言をされていますし、PDCA、プラン・ドゥー・チェック・アクションの徹底も約束されております。

 一方で、小さな市町村では、現場では限られた人材しかいない、あるいは、やる気があるんだけれども山深くて豪雪の地域で資源が乏しい、さまざまな環境の厳しい難しい地域もあるのではないかという声も聞かれるわけであります。

 こうした地方の現場で見られる懸念に対しましては、地方の期待と安心のためにも、地方の自主的な取り組みの尊重も必要ではないかと思うのですが、石破大臣から御説明を賜れればと思います。

石破国務大臣 委員御指摘のとおり、地方によっては、かなりこの取り組み、難しいなと思っておられるところがあります。

 これは、再三この委員会でも答弁申し上げましたが、国としてそういう地域に対して、情報面、財政面、そして人材の面、この三つで全面的に支援をいたしてまいります。霞が関全体を地方の相談役とするコンシェルジュ制度というのもスタートいたしました。あるいは、人口五万人以下の小さな自治体に対して人材の支援も行っております。情報も支援をいたしてまいります。

 まさに委員御指摘のように、そういう厳しい地域こそ手厚い支援をしていかねばならない。しかし、それは、国が何かを差し上げるということではなくて、地域のいろいろな創意工夫を国が全面的に支援をする、その地域でなければわからないわけですから、その課題解決のために国として全力を挙げて支援をする、そういうことだと考えております。

金田委員 今回の地方創生に当たりましては、総理は異次元の取り組みを行うと御発言されております。地方創生に強力に取り組んでいく決意を述べられたものだと思いますが、総理の地方創生に対しますお気持ちと今後のスタンスをお聞かせいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 私たちが進める地方創生は、活力ある日本社会を維持するために、あらゆる施策を総動員して集中的に切れ目なく講じることによって、人口減少の克服と地域活性化を一体として実現していくことを目指すものであります。

 これまでの施策の検証も踏まえまして、国の示す枠組みに一律に当てはめるという手法をやめまして、先ほど石破大臣が答弁をいたしましたように、自立を目指す地方の主体的な取り組みを国が強力に後押ししていくということになっております。

 また、府省ごとの縦割りを排して、ワンストップの施策推進を行うとともに、地方が、国の総合戦略に基づいて、戦略に盛り込んだ支援策を活用しつつ、各地方の自由な発想に基づく地方版総合戦略を策定します。

 そして、二〇二〇年までの累計で地方に三十万人の若い世代の雇用を創出するなど、全ての政策に具体的な政策目標を設定して、国、地方ともに徹底した効果検証を行うといった点で、従来とは大きく異なる取り組みであると考えております。

 また、地方版総合戦略の策定、実施に当たっては、国としては、小規模市町村等に国家公務員等を首長の補佐役として派遣します人材支援制度等の人的支援、そして自由度の高い交付金や地方交付税における地方創生枠の確保などの財政措置、そしてビッグデータ等を活用した情報支援、地方創生特区等を活用した規制改革などあらゆる施策を総動員していく考えであります。

金田委員 時間が参りました。

 同時達成の難しいこうした重要課題に同時に応えるべく作成された平成二十七年度予算、しっかりと、この道しかない予算になっていると思います。この予算の一刻も早い成立が必要であることを最後に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて金田君の質疑は終了いたしました。

 次に、浮島智子君。

浮島委員 おはようございます。公明党の浮島智子でございます。

 本日は、締めくくりの質疑で質問をさせていただけますこと、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 まず冒頭、東日本大震災から四年目を迎えて、改めて、震災で犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお避難生活を余儀なくされている方々、また御遺族の方々に心からのお見舞いを申し上げます。

 一昨日は、政府主催の追悼式が営まれ、安倍総理も参列されて、犠牲者の鎮魂と東北の再生を祈りました。

 一方、阪神・淡路大震災からは、ことしで二十年という節目を迎えました。私は、あの大震災の後、アメリカから帰国し、心の復興を目指し、御家族を亡くされた子供たちとともに歩み続けてまいりました。

 一月十七日は、神戸で行われた追悼式典に出席をさせていただきました。この式典には、天皇皇后両陛下、各界要人の方々も御出席くださいましたが、安倍総理は外交日程のために出席がかないませんでした。

 一昨日は、神戸の被災者の方々も東北の被災地とインターネットで結び、ずっと寄り添い続けるとの思いをあらわしています。

 阪神・淡路大震災の被災者の方々にも総理の思いをお述べいただきたいと思います。また、総理御自身、神戸を訪れて追悼の誠をささげていただけないでしょうか。総理の御答弁をお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 阪神・淡路大震災では、六千四百名を超えるとうとい命が奪われました。また、住宅の全壊だけでも十万棟を超える甚大な被害が生じ、改めて、亡くなられた方々と御遺族に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 阪神・淡路大震災から本年で二十年が経過をしたわけでございますが、その間、目覚ましい復興が図られてまいりました。ここに至るまでには、多くの被災者の方々の御尽力があったわけでありまして、決してそれも容易なことではなかったと思います。

 他方で、被災者の高齢化が進んでおりまして、現在においても心のケアや高齢者の自立支援などの課題が残されております。

 引き続き被災者に寄り添いながら、その生活支援について関係自治体や関係省庁と連携して取り組んでいくことが重要と考えております。

 本年一月十七日に神戸市で行われた阪神・淡路大震災二十年追悼式典については、残念ながら外交日程の関係で出席できませんでした。しかし、私にとっては、社会人としての、入社した会社の研修は神戸で行われたわけでございまして、大変私にとっても青春時代のよき思い出でございますので、その意味におきましても、機会を捉えて、ぜひ被災地を訪れて哀悼の誠をささげたい、このように思っております。

浮島委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 本日は、地方創生と教育再生の観点から、川崎市で起きてしまった悲惨な事件、なぜ救えなかったのか、上村遼太君に心より哀悼の意を表するとともに、御遺族にお悔やみを申し上げます。

 一番大切なのは命です。救えたはずの命、どうすれば防げるのか。社会の仕組みとして考え、実行するのが国会と政府の責任であります。

 そこで、パネルをごらんいただきたいと思います。

 明治以来の日本の学校は、全てを抱え込み、教員が何から何までやってきました。その責任感の強さが、逆に問題を顕在化させず、大過なくを第一に考える学校の閉鎖性にも結びついたと思います。

 地域の大人の方々に学校運営に参加していただく学校運営協議会、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、放課後子供教室、学校支援地域本部へのそれぞれの支援も進められていて成果を上げておりますが、点にとどまっているとともに、児童相談所や警察を含めて、これらの施策や組織が、残念ながら横にはつながっておりません。

 また、課題を抱えているのは、むしろ、スクールカウンセラーのカウンセリングや放課後子供教室に来ない、また来ることのできない子供たちです。被害者はサインを出しています。早くにSOSをキャッチして早期に動けば、救える命がたくさんあります。

 では、どうすればよいか。

 私は先週、これも決して忘れてはならない附属池田小事件のあった大阪教育大学附属池田小学校に行かせていただきました。そこで、地域や保護者、専門家、そして学校と連携をしながら、子供たちとしっかりと向き合うための具体的な仕組みが動き始めているという様子を目の当たりにしてまいりました。

 子供たちの命や安全を守る、このことに悪戦苦闘しているのは日本だけではありません。WHOは、カロリンスカ研究所と連携をいたしまして、セーフコミュニティー運動を進めておりまして、その一環として、二〇〇〇年に入ってから、子供たちの命や安全を守るための仕組みが機能している学校をインターナショナルセーフスクールとして認証しております。日本では、大阪教育大学附属池田小学校が二〇一〇年に初認証されました。

 そこで、今、大阪教育大学は、この国内版のセーフティープロモーションスクールの普及を提唱しております。先週、三月四日ですけれども、その第一号として、台東区立金竜小学校、附属池田小中学校が認定されたところでもございます。

 このセーフティープロモーションスクールのポイントというのは、教職員、そしてスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、個別学習支援ボランティア、学校支援ボランティア、児童相談所、警察、消防、それぞればらばらに子供たちに待ちの姿勢でかかわるのではなくて、生活の安全面、災害の安全面、そして交通の安全面といった分野ごとに計画や情報を分析、そして共有し、目の前の子供たちの実態に応じて、攻めの姿勢でかかわっていくということでございます。

 また、定期的に関係者による研修会を開催しまして、地域における子供たちの命や安全を守る体制の現状と課題を常に見直し、改善につなげている。まさに、関係する機関が、縦割りではなくて、ばらばらだった関係者、機関をしっかりとつなげる仕組みとして機能しているところでもございます。

 攻めの姿勢でかかわっていく、このような取り組みをぜひ全国の学校に広げる必要があると私は思います。そのためには、学校のあり方を根本的に見直すべきでございます。

 具体的には、チーム学校への転換でございます。学校は、校長、教頭、教員に加えて、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーなど、個々の一つ一つが連携と協力で成り立っているという、地域主導の、いわば地域立学校へ向けた改革、これへと発想を転換する必要があると私は考えております。

 特に、個別学習・生活支援ボランティアが大事で、ボランティアの志を持った大人の方に一定の研修を行った上で、マンツーマンで特定の子供に継続的にかかわっていただく。何か問題があると思ったり感じたりしたら、児童相談所や警察に知らせ、早期発見、早期対応を図っていく。このような仕組みがあったら、私は、上村君の変化に多くの大人が早くに気づいていたのではないかと思います。

 団塊の世代の方々には、ぜひ子供たちのためにもう一肌脱いでいただきたい。そして、これらの関係を情報の共有や研修などでつなぐのが、まさしくセーフティープロモーションスクール、これこそが、昨年下村大臣が中央教育審議会に諮問したチーム学校ではないかと私は思っております。

 そこで、総理にお伺いをさせていただきたいと思います。

 総理は、地方創生として若者と女性の活躍を重視されておられますが、子供たちが生き生きとしていない地域にはあすはないと私は思います。次代を担う子供たちが輝いてこその地方創生だと思いますが、そのような観点から、明治以来の閉鎖的な学校からチーム学校への転換が必要だと思いますが、総理の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 子供たちを守っていく、そして子供たちの健やかな成長の環境をしっかりと確保していくことは、私たち大人の責任である、このように思います。

 先般、今委員が引用されました、川崎市において中学生の殺害事件が発生しました。こうした悲しい出来事が二度と繰り返されることがあってはならないと思います。そのためにも、学校を徹底的に開き、そして保護者、地域、警察や児童相談所等の関係機関が連携し、まさに社会総がかりで子供たちを育てる学校へと転換していくことが必要だろうと思います。

 第一次安倍政権のときにも教育再生に取り組んだのでありますが、あのとき、いじめが深刻化して子供たちがみずからの命を絶つという悲しい出来事が連続して起こった。そのときには、これはもう学校だけでは解決できない問題であって、社会総がかりでやっていこうということを決めたわけでございますが、まだそれが十分にできていない状況であろうと思います。

 委員が御指摘のセーフティープロモーションスクールは、平成十三年の附属池田小学校事件を教訓に、大阪教育大学が中心となって、学校、家庭、地域、関係機関が一体となって子供の安全確保を目指すものであり、大変先進的な取り組みである、このように思います。そういう意味においては、まさにチーム学校という形で子供たちの成長を支えていきたい、このように思っております。

浮島委員 ありがとうございます。ぜひとも、総理が先頭に立ち、子供たちを守る体制、促進をしていっていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 では次に、下村大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 このセーフティープロモーションスクールの認定を広げて、チーム学校に取り組む学校、これを支援していくべきだと私は思いますが、まず御所見をお伺いさせていただきたいと同時に、あわせまして、チーム学校は地方創生の中核だと思います。四月から各自治体で動き始めます総合教育会議において、開かれた学校への転換が必要だと思いますけれども、この開かれた学校への転換が重要なこの会議のテーマとなるように働きかけるべきだと私は思いますけれども、大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 浮島委員の、明治以来の学校の固定観念を脱却するというのは、まさにおっしゃるとおりで、そのようなことが本当に求められると思います。

 安倍総理から指示を受けて、川崎の事件、二度と起こさせないようなことをどうしていくかという検証チームをつくりましたが、やはり学校だけで全て自己完結にやれるというのは限界があるわけでありまして、御指摘のようなことにいかに早く転換するかということが、二度とあのような事件を起こさないためにも大変重要なことだというふうに思います。

 特に、今、家族形態が大きく変容している、また社会におけるつながりも希薄化している、そういう現代におきまして、複雑化、困難化している子供たちの課題に的確に対応していくためには、教職員だけでそれらの課題を解決するということは不可能でありますから、スクールソーシャルワーカーそれからスクールカウンセラー等外部の人材の活用だけでなく、教職員と多様な専門スタッフチームが学校の力を向上させていくことが必要であり、今御指摘ありましたが、中教審でチーム学校としての今後の学校のあり方について御議論いただいているところであります。

 また、学校内の職員構造を転換するだけでなく、御指摘のような開かれた学校づくりを徹底する、保護者や地域の方々の協力を得て社会総がかりで子供たちを育てていく、地域とともにある学校へと大きく転換していくことが必要であると思います。

 御指摘のセーフティープロモーションスクール、まさに学校、家庭、地域、関係機関が一体となって子供の安全を確保していく取り組みであるというふうに認識しております。

 文科省としては、こうした取り組みを積極的に普及していくことを初め、コミュニティースクールや学校支援地域本部、それから放課後子供教室など、保護者や地域の方々が学校の運営や教育活動等に協力する取り組みを一層促進していくとともに、これらの取り組みを有機的、一体的に推進することにより、社会総がかりで子供の命を守り安全を確保するための体制整備を促進してまいりたいと思います。

 御指摘の、この四月から総合教育会議がそれぞれの自治体でつくられることになります。この中においても、地域に開かれた学校として、ぜひそれぞれの自治体で、あるいは教育委員会で御議論をしていただくように、我々の方もお願いをしたいと思います。

浮島委員 しっかりとした支援とともに、重要なテーマとして取り上げていただくようにお願い申し上げます。

 アイテムはそろっております。これをしっかりとつなげていく、これが必要であると思っております。

 では、最後に、このセーフティープロモーションスクールなどの実践を通じまして、子供たちの命と安全は大人が守る、そのためにチーム学校へと大きく転換する必要があると私は思いますけれども、最後に総理の御決意をお伺いさせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 子供たちの命はしっかりと守り抜いていく、この決意を持って取り組んでいきたいと思います。

 先ほど申し上げた、川崎市の事件について、文科省にタスクフォースを副大臣のもとにつくりました。そこでしっかりと検証し、対策をつくっていくわけでありますが、そうしたことも参考にしながら、対応策をしっかりとこれから進めていきたい、このように思っております。

浮島委員 ありがとうございました。これで終わります。

大島委員長 これにて浮島君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 きのうに引き続いて、中川政務官にお越しをいただいております。

 中川政務官は、抑うつ状態で入院をされたということでございますけれども、病院でたばこを吸っていたという報道があるんですけれども、このことについて正直にお話をいただけますでしょうか。お願いします。

中川大臣政務官 入院中の病院の中で、ルールに反し喫煙したことにつきましては事実であり、深く反省しております。

 ここしばらくは不眠、不安が続いていたことから、病院のルールに深く思いをいたすことなく喫煙をしてしまいました。病院の皆様に御迷惑をおかけし、まことに申しわけございません。

 今後このようなことのないよう、みずからを厳しく戒め、政務官としての職務に専念したいと考えております。

大西(健)委員 正直にお話をいただきまして、ありがとうございます。

 たばこを病院で吸うこと自体は非常識なことでありますし、また、これだけ世間をある意味騒がせた、そして入院して公務を休んでおられるということを考えると、やはり不謹慎だと言わざるを得ないというふうに思いますし、また、政務官としての、今御本人からもお話がありましたけれども、やはり適格性を欠く問題ではないかなというふうに私は思います。

 きのうも見ていても、これから農協改革法案とかこういう重要な課題が控えている中で、ちょっと公務にもう耐えられないような感じじゃないのかなというふうに思います。どこからかやめるなと言われているのかもしれませんけれども、余りもう無理をなさらない方がいいんじゃないかというふうに思います。

 中川政務官、もう御退室して結構でございますので、お大事にしていただきたいというふうに思います。

 それでは、下村大臣の博友会をめぐる問題について、再び、きのうに引き続いてお聞きをしていきたいというふうに思いますけれども、きのうの答弁をお聞きさせていただいても、幾つか、私、不可解な点がございました。一番気になった答弁というのは、「この中で年会費というのは寄附のことなんです」という答弁なんですね。これは、国語辞典で会費と引いても、寄附と同じという意味は出てこないというふうに思います。寄附ならば寄附と正確に書かれればいいのではないかというふうに思うんですね。

 きょうのお配りした資料の二枚目の表面ですけれども、これはきのう議論になった資料の一部でありますけれども、この年会費納入一覧という紙も、寄附ならば寄附一覧表と書けばいいんじゃないでしょうか。それから、その裏面にも、御協力状況というのがありますけれども、その中には年会費納入状況と書いてあります。これも寄附納入状況と何で書かないんでしょうか。

 そもそも大臣自身が国会の答弁の中で、寄附の領収書のただし書きに会費と書くことは、これは好ましくないからもうやめたんだと。好ましくないとわかっているのに、何で会費という言葉を使って寄附という言葉を使わないのか。

 下村大臣は、会費というのは寄附のことときのうはおっしゃったんですけれども、これはちょっと子供には教えられない、支離滅裂な内容の答弁だと思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 きのうも明確に申し上げましたが、きょうも明確に申し上げたいと思います。これは寄附でございます。

 大西委員が資料で、年会費一覧表という資料を用意していただきましたが、そもそも、では、ここにありますが、東北博友会で十一人しか会員がいないのか、あるいはほかのところも一桁前後、十人ぐらいしかいないのかということがそもそもあると思うんですが、つまりこれは、会員の一部のみが支払っていただいている寄附であります。

 この数字についてはきのうも申し上げましたが、例えば、東北博友会で寄附を十一件いただいておりますが、会員は三十二人。それから、群馬博友会は九件と書いてありますが、会員は三百九十四人。それから、中部博友会は、これは十一件でありますが、会員は二十九人。それから、近畿博友会は十二件ですが、会員は二十六人。中四国博友会は十九件寄附がありますが、会員は三十二件。それから、九州博友会は会員は二十四件、そのうち十四人が寄附をしていただいているわけでございます。

 そして、なぜ寄附かということについては、これは振り込み先及び領収書の名義は東京十一選挙区支部で出しているし、またお願いをしているということであります。それから、多くの地方の博友会、今回の一連のことで私も知ったわけですが、別途、それぞれ事務運営としての会費を徴収しているということであります。

 それにもかかわらず、つまり明確なこれは、もう法律上もそういうふうに処理している寄附でありますが、にもかかわらずなぜ年会費と書いたのかということの御質問でありますが、これは今まで地方の方々が寄附を年会費という、そういう総称で言われていたということがあって、それで、そういうふうに、今までの総称としてわかりやすく、地方の方々にわかりやすい形で書きましたが、法律上は、これは先ほど申し上げましたように、寄附として処理をしている部分であるし、また、そういう方々はそういう前提で協力をしていただいているわけですし、また、選挙区支部としても対処しているということでありまして、全く問題ございません。

大西(健)委員 博友会の中では寄附は会費というふうに総称していると。でも、それは世間の常識ではありませんし、少なくとも、学校の国語でも、寄附は会費であるなんということは教えられないというふうに思いますけれども。

 それから、今の御説明、きのうもお伺いしました。きのうもお伺いしたんですけれども、例えば東北博友会であれば、会員は三十二人いるんだけれども、そのうち十一人が寄附をしているんだ、そういう御説明ですよね。

 ただ、先ほどお示しをした、きのう大臣が、これは榮秘書官がつくられたと言われたこの資料、八枚ありますけれども、こういう、年会費納入実績だとか御協力の内容とかというものについては、三十二人とか、あるいは中部だと二十九人とか、近畿だと二十六人という数字を大臣は言われたんですけれども、その数はどこにも書いてないんですよ。

 ですから、全国の博友会の会員数が今言われた数字なんだという根拠になる資料を、これをぜひ提出していただきたいというふうに思いますが、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

大島委員長 後ほど協議をさせていただきます。

大西(健)委員 はい。

 それから、もう一つお聞きをしたいと思うんですが、きのうの答弁で、大臣は、今申し上げましたように、年会費納入一覧表であったりとか協力状況というこの八枚の文書というのは、これは榮秘書官がつくられたんだというふうに言われました。

 一方で、大臣は、これまでの答弁の中で、寄附の領収書のただし書きに会費と書いたことがあるんだけれども、しかし、これは途中で、会費と書くのは適切でないと気づいて、二〇一四年の九月以降はそれはやっていないというふうに答弁されていますよね。

 榮秘書官がこの文書を作成したのはことしの多分二月だと思うんですね。もう九月に、やはり会費と書くのはまずいと気づいているのに、なぜ、寄附なのに会費と榮秘書官はこの文書でも書いているのか。不適切だとわかっているんだったら、やはり会費と書かずに寄附と書くべきじゃないか。ここは説明が矛盾しているんじゃないですか。

下村国務大臣 説明は全く矛盾していません。具体的に何と何が矛盾しているかということで適切に質問していただきたいと思うんですね。

 それで、まず、これは寄附ですから、御指摘のように、寄附の領収書の中にただし書きの中で年会費と書くのは、それは好ましくないわけです。なぜそんなことが出てしまったのかというのは、書いてしまったという経緯があったのかというのは、今までも申し上げましたが、経理担当者がかわって、実際それは二〇一四年のときだけだったんですけれども、そのときに、ある方から、ただし書きに年会費としてと書いてくれということが一件あった、それから、その年の途中まで、八十一件あったわけですが、新しい経理担当者が気をきかせて、寄附の領収書のところに、ただし書きで年会費としてと書いてしまった。それを、後でわかって、それは好ましくないことでありますから、それ以降は書かないようにしているということであります。

 今の御質問は、ことしになって、なぜこの資料の中に会費と書いたのかということでありますが、先ほど申し上げましたように、法律的にはこれはきちっと寄附として処理しているし、皆さんわかっているはずです。しかし、今まで、全国の任意博友会は、これを会費と皆さんが総称して言われていましたから、皆さんがそういうふうな形で言ったことをそのまま書いただけで、これは別に、事務所として、当然、会費として認識しているわけではなくて寄附ということは明らかだということは、これは法律的にもきちっと処理しているということを申し上げたいと思います。

大西(健)委員 会費と総称しているんじゃなくて、やはり博友会の会員の人たちは会費と思って納めているんですよ。それが寄附になってしまっているということだと思うんです。

 それから、今の御説明の中にも、私、ちょっと疑問に思うところがあるんですね。

 今、会費とただし書きしたことについて大臣は、二〇一四年のみ、経理担当者がかわって、その年だけ年会費と書いてしまった、しかし、それ以前も見当たりませんし、それ以後はありませんと答弁されているんですね。

 もう一度、この年会費納入一覧表というのをごらんいただきたいんですけども、これは二〇一四年の実績なんですけれども、この中には、例えば東京博友会も寄附しているんですね。恐らく、それ以外にも十一区支部には寄附があると思うんです。だから、その全部の寄附の領収書に、ただし書きに会費と書いてあるなら、これはわかります。経理担当者が間違って、全部、会費としてと書いちゃったと。ところが、会費としてと書いてある八十一件というのは、地方博友会のものだけなんですよ、なぜか。

 では、どうやって、この中から東京博友会と地方博友会を区別しているのか、えり分けることができるのか。これは、下村事務所が地方の博友会の会員名簿を持っていて、そして照らし合わせているからえり分けられるんじゃないか。

 一方で、大臣は、三月十日の委員会でもこんなふうに言っているんですよ。地方の博友会が何人会員がいるかどうかということは、我々は承知しておりませんと答弁しているんですよ。

 ところが、ところが、さらにきのうは、先ほども言われておられましたけれども、東北が三十二人だとか中部が二十九人とか、全国の博友会の会員数をぺらぺらしゃべっておられるわけです。前の答弁では、地方の博友会の会員が何人いるかは承知していないと。これは、全くまた答弁が矛盾してしまっているんじゃないですか。(発言する者あり)

大島委員長 ちょっとお静かにしてください。御静粛に。大臣は今きちっとお話をしますので。

下村国務大臣 ためにするような質問をしないでいただきたいと思うんですね。(発言する者あり)いやいや、誤っていません。これは全く誤っていません。

 それは、事前に通告があって、それぞれの任意の博友会の会員が何人ですかという通告があれば、ちゃんと調べておきます。通告なくいきなり聞かれても、それはわかりませんということであります。

 そういう経緯がありましたので、その後ちゃんと調べました。その後調べた結果が、きのう申し上げたような会員の数であります。

 ですから、これは隠しているわけでも何でもなくて、事前に質問通告がないから、そこまで一々私が全部チェックしているわけではありません。でも、通告があれば、ちゃんともちろん調べていました。

 ですから、途中で何か変更したとか隠したとか、暗記しろとか、そういうことを、任意団体ですよ、任意団体に対して会員の数は、通告されれば調べますから、事前からそこまではわかりません。(発言する者あり)

大島委員長 答弁中です。御静粛に。

下村国務大臣 それぞれに対して、一つ一つ誠実にお答えしています。

大西(健)委員 もう一つお答えいただいていないことがあるんですけれども、さっき言ったように、では、東京博友会とかほかの博友会、ほかの寄附と、何でこの地方博友会の八十一件だけをえり分けているのか。これは名簿がないとえり分けられないですよ。

 大臣は、もう任意の団体で各地でやっていただいているものだから、事務所としては、それぞれどこに何人会員があるのか知りませんと言ってきたんです。

 今、例えば、通告があれば調べて聞いて答弁しますとおっしゃっておりますけれども、本来、任意でばらばらでやっているわけですから、会員が何人いるのか知らないと過去答弁していたのにもかかわらず、では、何でえり分けられるのか、地方博友会の分だけが。全部に会費としてとただし書きしているなら、これは、経理担当者がかわって、その人のミスで全部それを出しちゃったというのはわかるんですけれども、そこの部分がわからないんです。

下村国務大臣 大西委員、国会質問ですから正確に質問していただきたいと思います。私は……(発言する者あり)

大島委員長 御静粛に。ちょっと御静粛に。

下村国務大臣 私は、全国の任意の博友会の会員が何人かというのは、突然聞かれたとき、それは承知していませんというふうに言いましたけれども、そこまで管理していないとかチェックしていないということは全然言ったことはありません、そもそも。

 私が、任意の博友会というのは、大西委員、いいですか。博友会というのは、そこの博友会における財政的な問題とか人事の問題とか、そういう内部の問題に対して、私なりうちの事務所がタッチしているわけではないということを申し上げました。しかし、会員が何人いるとかいないとか、そんなことは知らないなんて一言も言っていません。突然の質問の中で、それは……(発言する者あり)いやいや、いいですか。突然の質問の中で、承知していないと言ったことは事実です。それは、名簿は当然あります。任意の博友会であっても、それは私を応援してもらっている会ですから、それはあります。その名簿がないなんていうことを言ったことは一言もありません。だからこそ、きのう、会員としての数も申し上げているわけであります。

大西(健)委員 後で会議録を確認していただきたいんですけれども、三月十日に、地方の博友会が何人会員がいるかどうかということは、我々は承知しておりません、こう答弁されているんです。これは会議録に残っているんですよ。

 今のことに限らず、大臣は答弁をもうどんどん変えていかれているんですよ。それをちょっと私の方で、会議録から拾って整理をしてみました。

 上からちょっと見ていきますけれども、例えば地方の博友会の運営について。最初は、事務所は一切タッチしていない、これら団体に係る具体的な運営に関する事柄は一切知りませんと言っていたんです。ところが、今まさにそう答弁されたんですけれども、途中から、人事とか規則とかについてはタッチしていないと、限定を加えて微妙に言い方を変えているんですよ。

 さらに、きのうの答弁ではこう言っています。毎年全国の代表者に集まってもらって年間スケジュールを決める。具体的な運営に関する事柄は一切知らないということと全く矛盾しているじゃないですか。

 それから、次へ行きます。柚木委員の質問だったと思いますけれども、初めは、大臣室に表敬訪問しただけだと言っていたんです。しかし、後で、いや、実は、この八枚の資料というのを配って、いろいろなことを協議していたと。表敬訪問だけじゃないんです。

 それから、次ですけれども、任意団体だから自分は口を出す立場にないと言ったかと思うと、政治団体に登録した方がすっきりするかもしれないということを申し上げたと言っているんですよ。

 それから、要望はないが、ただし書きに会費と書いた領収書について、調べて理事会に出してくださいということを言ったときに、大臣は答弁の中で、最初は、大した数ではないと思いますがと答弁しているんです。でも、調べたら八十一件もあったと。

 それから、みずからのブログや政党の機関紙には博友会のことを後援会と書いておきながら、答弁の中では、通常言われているような政治団体としての後援会ではない、誤解を招いたとすれば適切な表現ではなかったと、非を認める答弁をされています。

 それから、問題になった、講演料とかお車代ですね。これは、最初は、一切いただいておりませんと言っていたんですけれども、後で、直接はと限定をつけて、ホテル代とか送迎のタクシー代は先方に払ってもらっていたということを認めているんです。

 それから、講演料を渡したと実名証言した鈴木さん、中部博友会の会長だったことはありません、しかし、会長としての資質に問題があり、中部博友会の会長を交代してもらった人と中傷している。

 きわめつけは、柚木委員に対して、名進研の豊川元代表から十万円の寄附をもらったんじゃないかという質問に対して、もらっていない、よく確認してから質問しろと逆切れしておいて、後で訂正答弁をしています。(発言する者あり)いや、よく確認しろと書いてありますから、会議録を読んでください。

 これだけ並ぶと、私は、さすがにひどいと思います。こんなに答弁がころころ変わってしまうのでは、大臣の答弁を信じていいのかわからなくなる。何のためにこの審議を、審議を幾らやったって、大臣がころころころころ答弁を変えていくわけですから、これでは審議する意味がなくなってしまうと思いますが、大臣、何か御答弁があれば、よろしくお願いします。(発言する者あり)

大島委員長 質問者の声が大臣に聞こえない場合は大臣も答弁のしようがないので、静かにしてくださいませ。

下村国務大臣 一方的なレッテル張りの質問としか思えないですね。(大西(健)委員「全部会議録に書いてあるんです。会議録に書いてある」と呼ぶ)ですから、一つ一つ説明します、一つ一つ。

 一番最初に、例えば、事務所は一切タッチしておらず、私は、財政も含め、これら団体に係る具体的な運営に関する事柄は一切知りません。きょうも先ほど申し上げましたよね。そしてその右側に、人事とか、会則とかそういうことについて全くタッチしているわけではない。別に矛盾しているわけじゃないでしょう。同じことを言っている。

 では、いつも同じ言葉を言わなくちゃいけないんですか。そんなことないでしょう。(大西(健)委員「そうですよ。国会答弁ですから当たり前じゃないですか」と呼ぶ)国会答弁だから、いつも同じことを言わなくちゃいけないんですか。言葉尻をとるようなことは言わないでください。基本的に同じです。

 それから、毎年この時期に、つまり二月の時期に全国の代表の方々に集まっていただいています、それで年間スケジュールを決めています。全く矛盾していません。

 先ほどから言いましたように、博友会の内部のことについてチェックしているわけじゃないですよ。ただ年間スケジュールを決めているということが、相矛盾する話では全くないじゃないですか。

 具体的な運営についてもそこで議論するわけではありません。年間スケジュールを決めることが具体的な運営ということにはならないと思うんですね。これは今までも……(発言する者あり)

大島委員長 今大臣が答えているんですから、これを答えた後に、御質疑があればしてください。

下村国務大臣 今までも言っている内容は全く同じですし、全くぶれておりません。

 同じように、例えば、大臣室に表敬訪問に来られました、十五分間です。資料はお渡ししましたが、実際の議論はその後の懇親会でしていますから、これも、全くこれは、今までぶれているような、ころころ変わるというようなお話はしておりません。

 それから、あとは、中部博友会の会長をされていたという方がありましてという話ですね。会長としての資質等いろいろな問題があったということで、関係者の方々がほかの会長に交代してもらった、それは、私はそういうふうにお聞きしました。

 ただし、これは、その方の誹謗中傷で言っているわけではありませんし、その方が非常に私に対して熱心に、教育について共感をしていただき、また、その方もフリースクール等で一生懸命やっていただいているということは認識しております。ただ、私は、関係者の方々からそういうことをお聞きしたということで言っているわけでございまして、これも、ころころ変わったとか、そういうことでは全くないというふうに思うんですね。

 それからあと、後援会のことについても、任意の後援会でも後援会なんです、一般的に。政治資金管理団体に届け出ているのみが後援会じゃなくて、私も地元で任意の後援会なんてありますよ、いろいろと。私は、地元だけでも後援会は六十あります。六十ありますけれども、それは、会費とかそういうのじゃないんです。会費とかそういうのじゃなくて、地域の方々が私のために支えていただいている任意の後援会、それもやはり後援会と言うんですよ。

 ただ、政治資金管理団体の後援会とそういう任意の後援会とは違う部分がありますから、特に博友会というのは、東京の博友会は政治資金管理団体に届け出ている、ほかは届け出ていない。しかし、名前が同じだからそういうふうに誤解される部分があるのであれば、それは今後考えなければいけないですねということについて申し上げているわけであって、何ら問題はありません。

大西(健)委員 本当に少しずつ言い方を変えたりして、これは全部会議録から私は拾わせていただいているので、何の手も加えていないんです。でも、普通の人が見ると、やはりこれが矛盾していると、私は、テレビを見ておられる皆さんに御判断をいただければいいと思うんです。ぜひそうしていただきたいというふうに思います。

 それから、私は、この問題をやっているうちに、この話というのはこういうことじゃないかなと思うようになったんです。

 大臣が言うように、最初は恐らく、地方の博友会というのは、人数も少なくて、任意で大臣のお話を一年に一度聞く、そういう会だったんじゃないかなと私も思います。

 ただ、大臣が偉くなっていかれるにつれてどんどん会も大きくなってきて、そしてパーティーをやったり、あるいは、いろいろな地域ごとに地方博友会が立ち上がって、それが全国ネットワークになって、そして事務所が関与するようになって、大臣の資金集めを初めとする下村代議士を支援する団体になっていった。この時点で、最初の任意の団体だった博友会は、本当は政治団体に私は変質してきたんじゃないかと。

 もう一度このフリップをごらんいただきたいんですけれども、まさに、対策を論じた下村大臣自身が問題点を認識されているわけですよ。ですから、もっと早い時点で、ここに書いてあるように、地方博友会を政治団体の東京博友会の下部組織にするとか、あるいは、それぞれの博友会を政治団体登録するとかすべきだったんです。最初からその非を認めればいいのに、それを正当化しようとしてうそにうそを塗り重ねた結果、いろいろな点で、さっきのようにつじつまが合わなくなってきているというのが今回のこの話じゃないかというふうに私は思うんですね。

 しかし、一連の質疑、まさにここに書いてあるとおりなんですけれども、そして、きのう提出された八枚の文書から、私は、地方の博友会が、下村大臣を支援して、そして組織的、継続的に活動している政治団体にほかならないと思うんです。これは誰が見ても明白だと思うんです。ですから、まさに私は、政治資金規正法上の届け出義務違反だということだというふうに思います。

 最後に、安倍総理、どんどん答弁が変わっていく、そして届け出義務違反だというふうに思われますけれども、これでもまだ下村大臣をおかばいになりますか。

安倍内閣総理大臣 委員が冒頭言われたように、任意団体と政治団体、そしてそれは政治資金規正法上の法的な存在であります。法的な存在と、例えば、それぞれ任意団体であったとしても、自分は下村さんを応援しようという人は当然いるわけですよね。そういう人たちを総称して、私たちは後援者と言ったり後援会と言ったりすることはよくあるわけですよ。

 しかし、そこは、法的にはしっかりとそれを区分している、そういう処理をしているかどうかということが問われているわけでありまして、言い方そのものを一々あげつらうことには若干違和感を感じているわけでありますが、その中において、下村大臣においてはしっかりと法的には分類しながら適切に処理をしている、このように考えております。

大西(健)委員 最後に申し上げます。

 これが任意団体でこのまま許されるんだったら、本当に政治資金の流れはブラックボックス化して、誰もチェックできなくなっちゃうんです。皆さんも、全部、どんどん任意団体をつくって、収支報告書も出さなくて済むようになる。この国会の予算審議で補助金の話がありました。前は外国人献金の話がありました。だから、政治資金の流れを透明化しなきゃいけない。しかし、全部任意団体で、収支報告書も出さなくて済む、登録もしなくて済むということならば、私は、この政治資金の問題、国民の疑念を払拭することはできない、このことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

大島委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申し出があります。大西君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。

前原委員 民主党の前原です。

 第二次安倍政権が誕生してから二年余りがたちました。異次元の金融緩和が始まってから約二年がたちました。果たして国民の生活は本当に改善されているのか、この観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 安倍総理、締めくくり総括でありますので、基本的には総理がお答えください。

 まず、パネルの一番初め、安倍総理とは何度か実質賃金について議論をしてまいりましたけれども、二月四日の予算委員会において、以下のように答弁されています。

 景気は回復局面になりますと、人々は仕事が得やすくなるわけであります。働く人の数はふえていきますが、パートからスタートする。例えば、安倍家において、私がそれまで三十万円の収入を得ていて、女房がどこかで仕事をする、私が三十万円の収入であれば、平均すれば三十万なんですが、では、景気がよくなって、女房がパートで十万円の収入を得たとすると、安倍家としては四十万円なんですが、平均すれば二十万円に減ってしまう現象がまさに今起こっているのがこの実質賃金の説明である。ですから、総雇用者所得で見なければいけない。これはずっと上昇している。

 こうおっしゃっていますが、実質賃金の説明でこれは正しいですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、政権交代以来、三本の矢の政策を進めてきた結果、昨年の賃上げは十五年で最高になっておりますし、倒産件数は二十四年ぶりに一万件を下回ったということでございますし、企業は、経常利益は過去最高水準になっているわけであります。

 そこで、平均賃金が下がっているという現象があるわけでありまして、その中におきまして、我々は、先ほど説明したように、実質において、雇用者の所得の合計につきましては、総雇用者所得については、まさにこれは国民みんなの稼ぎであって、実質で見ましても、消費税率の引き上げ分を除けば、昨年の六月以降八カ月連続でプラスが続いている、こういうことを申し上げているわけでありまして、名目では二十二カ月連続である、このように答えてきたところでございます。

前原委員 簡単に答えてください。

 これが実質賃金の説明ですと言っているのが、実質賃金の説明で合っていますかと聞いているんです。イエスかノーでお答えください。

安倍内閣総理大臣 それは、いわば平均、実質賃金の平均としては、まさに私が答えたとおりであります。

前原委員 総理は、実質賃金、名目賃金すらわかっていないんですよ。これは名目賃金ですよ。名目賃金がこれですよ。

 実質賃金というのは何ですか、今、平均の実質賃金とおっしゃったけれども。実質賃金と名目賃金がわからなくてアベノミクスは成功だと言っているんですか。

安倍内閣総理大臣 名目というのは、まさにこれは実際の、現実に起こっていることでありまして、いただいた給料ということになるわけであります。

 そこで、実質については、いわば物価上昇等をこれは差し引いたものになるわけであります。

前原委員 それだったら、これは名目じゃないですか。名目のことを実質と言っていて……(安倍内閣総理大臣「いやいや、それは違うって」と呼ぶ)いや、違わないですよ。間違っていることをごまかしちゃいけないですよ。さっきの説明は、名目の話をされているんですよ。わかっていない。

 二枚目を見ていただいたらわかりますように、先ほどの平均の話を言うと、名目なんですよね。名目の賃金指数は変わっていないです、ほとんど。これを見ていただいたらわかるように、名目は変わっていないです。

 問題は、物価上昇があって、それを割り引いた実質賃金が下がり続けていることが問題じゃないかということを我々は示しをしているわけですよ。

 そして、なおかつ、総雇用者報酬の話をされましたけれども、いいですか、総理、実質可処分所得というのは一家ごとなんです、一軒ごとなんです。一軒ごとの実質可処分所得は減り続けているんですよ。生活でいうと、一人一人、一軒一軒の家族が大事じゃないですか。全体で見るとふえているといっても、一人一人の人が自分が使えるお金が減っている、一軒一軒の家が使えるお金が減っている、だから問題だと我々は申し上げているんですよ。(発言する者あり)後で申し上げましょう、それでいうと。

 今、いいやじをもらったので、三枚目を出しましょう。

 私は常に言っているのは、数字はうそをつかないんですね。

 安倍政権は、今まで二年間でありますけれども、実質GDP、これはどれだけふえたかというと、一・五%ふえました。しかし、ことしはどれぐらいかというと、二〇一四年はマイナス〇・〇三ですね。ですから、一年目は伸びて、二年目はマイナスだった。

 よく、二年間で景気がよくなったよくなった、株価が上がった、一万九千円だ、二万円に行くんじゃないかというふうに言われているけれども、実質GDPがどうなったかということが、やはりこの二年間の通信簿なんです。

 その中で申し上げると、実質GDPは一・五%ふえておりますけれども、公的資本形成、つまりは公共事業ですね、公共事業は一六・九%ふえた。そして、民間設備投資は三・五%ふえた。しかし、二年間で民間の最終消費はほとんどふえていない。この二年間でむしろマイナスなんですよ。

 先ほど不規則発言がありましたけれども、よく安倍政権が好んで比較をされる民主党政権、我々は、コンクリートから人へということで、公共投資は減らしました。しかし、民間設備投資はふえて、民間最終消費もふえて、実質GDPはこれだけふえているんです。

 つまりは、民間最終消費がこの二年間でふえていないというのは、実質賃金や実質可処分所得が減り続けていることが大きな原因ではないですか、認めませんか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、ちょっとそちらに誤解があったようなんですが……(前原委員「誤解じゃないです、間違っているんだから」と呼ぶ)いやいや、違います。

 私は、実質と名目について、これはそれぞれ分けて答えているわけでありまして、総雇用者所得についても、それは、実質の総雇用者所得もありますし、名目の総雇用者所得がありますよということを答えているわけでありますし、実質賃金と名目賃金がありますねとそれぞれ申し上げているわけでありまして、その名目の中においても減っていたのは、まさに先ほど私が申し上げたようなですね。しかし、その後はプラスになっていますよ。

 名目について言えば、総雇用者所得については、まさに実質で見ても、消費税の引き上げ分を除けば、昨年の六月以降、八カ月連続でプラスがついている、これは何回も申し上げてきているとおりでありまして、総雇用者所得で見なければいけない。総雇用者所得の名目で見れば、これは二十二カ月連続でプラスになっている。

 先ほどの、いわば前原議員が決めつけておられましたから、私がこれを、名目と実質を全く混同しているかのごとくのいわば御指摘でございましたので、今それを訂正させていただきたい、こう思って、今申し上げているところでございます。

 そこで、民主党政権時代とのGDPについての御指摘でございますが、民主党政権の発足前に、リーマン・ショックによって我が国の実質GDPは六%以上落ち込んだわけでございまして、民主党政権は、一挙に落ちたその水準から、四四半期で六%分戻ったわけであります。これは鳩山政権のとき、いわば麻生政権で打ったリーマン・ショックに対する対策の成果が出てきたわけでございまして、残念ながらその後はほとんど、それほど成長がないわけであるということは申し上げておきたい、こう思うわけでございます。

 今申し上げておりますように、私たちの政策の成果によって労働市場がタイトになってきた関係によって、だんだん賃上げは確かなものとなっているわけでありまして、先ほど申し上げましたように、国民全体の稼ぎを見ていくことが必要であります。その国民全体の稼ぎを見ていく中においては、まさに、残念ながら、消費税引き上げ分三%に追いつくことはできなかったのでありますが、物価上昇目標は超えているわけでございます。

 そして、名目総雇用者所得につきましては、これは先ほど申し上げましたように、二十二カ月連続のプラスになっているということは申し上げておきたい、このように思うわけでありますし、そして、実質についてもだんだんマイナス幅は小さくなってきているということは申し上げておきたいと思います。

前原委員 べらべらと苦しい答弁を続けられますね。

 では、幾つか申し上げましょう。

 これは総理が間違っているということを素直に認めた方がいいですよ。この説明は、まず実質賃金の説明ではない。これは名目賃金の説明である。それは率直に、余りじたばたせずに、言いわけせずに認めた方がいいですよ。これは名目賃金の話なんだ。名目賃金の話なのに実質賃金の話をおっしゃっているということがまず一つ。

 麻生政権が種をまいて、そして民主党政権がとおっしゃった。そういうものもあるかもしれませんね。しかし、では、民主党政権で何もやらなかったのか。

 三十五兆円のデフレギャップが十五兆円まで縮小しているんですよ。ここで見ていただくように、有効求人倍率は、麻生さんから引き継いだときは〇・四三だったんですよ。我々のときは〇・八二まで上がったんですよ。これだけ上がっている。そして、デフレ下のときにおいては名目は伸びないですよ。まず実質が伸びていって、デフレギャップが縮まっていくんじゃないですか。当たり前のことじゃないですか。名目が余り変わらなかったけれども、名目も若干横ばいですよ。でも、実質が伸びていく中で、デフレギャップが縮小していったのは民主党政権じゃないですか。

 こういうことを、私、言いたくはないですけれども、でも言いますよ。

 例えば、安倍さんがよく、観光客がふえたふえた、民主党政権のときは幾らだったというふうに言われますけれども、その種をまいたのは民主党政権じゃないですか。中国のビザの発給要件を緩和したのは誰ですか。ビザの発給要件、麻生政権までは……(発言する者あり)静かに聞いてください。麻生政権までは、中国の観光客は団体旅行しか来られなかったんですよ。個人旅行まで来られるようにしたのは民主党政権ですよ。そして、中国のビザの発行は、北京、上海、広東でしか出していなかった。七カ所にふやしたのは民主党政権ですよ。

 そして、これだけたくさんの観光客が来るようになった一つの理由は何ですか。オープンスカイ協定を結んで、地方の空港に自由に飛べるようになったからでしょう。第一次安倍政権でオープンスカイ協定をやろうと思って、できなかったじゃないですか。今二十六のオープンスカイ協定ですけれども、我々民主党政権で二十三のオープンスカイ協定を結んだから、地方の空港に今チャーター便がどんどんどんどん来るようになったんじゃないですか。それで観光客がふえているんじゃないですか。

 そんなことを言い出したら、我々だって、今、安倍さんが刈り取っている果実の、その種をまいたものは、たくさんありますよ。そんなことを言い出したら、幾らでも私は申し上げることができる。

 大事なことは何か。実質賃金が下がっている、実質可処分所得が下がっている、だから、ここに挙げているように、GDPが、民間最終消費が二年間たってマイナスですよ。安倍さん、これは真摯に受けとめた方がいい。いい数字を並べ立てて、そして誇るのはいいけれども、本当に経済をよくしたいのが安倍さんの思いだったら、なぜこの実質GDPがこれほど伸びないのか。

 もう一つだけ言わせてください、さっきおっしゃったことで。

 消費税のことをおっしゃった。(発言する者あり)そのとおり。山井さんのおっしゃるとおり。

 消費増税はここなんですよ。つまりは、消費増税をやる前からずっと実質賃金は下がっているんです。つまり、ここに書いてあるように、輸入物価指数が上がっているんですね。異次元の金融緩和をして円安になって、輸入物価が上がって、そして実質可処分所得、実質賃金が減り続けて、そして国民の生活が苦しくなっているからじゃないですか。消費増税の前から実質賃金、実質可処分所得は減っているんですよ。

 もう一つ申し上げよう、消費増税が原因だということをいつもエクスキューズされるから。

 補正予算を組んだじゃないですか。消費増税を何とかクッションするために補正予算を組んだ。あれは効果がなかったということを認めたらいいですよ、そうしたら。消費増税前にちゃんと補正予算を組んでいるじゃないですか。その効果がなかったということを認めて、消費増税の責任にしたらどうですか。実質賃金が下がっていることが問題なんだ、これを解決することが本当に日本の経済をよくすることなんだということをおっしゃったらどうですか。

安倍内閣総理大臣 まず基本的に、私が説明をしてきたのは、いわば一人当たりの収入をどう考えるかということであります、名目賃金にしろ実質賃金にしろそうなんですが。

 それを私たちは、総雇用者所得、みんなの稼ぎで見た方が正確だねという例において、いわば私が三十万円収入を得ていて、安倍家が三十万円、平均では三十万円なんですが、家内が景気がよくなって働き始めれば十万円で四十万円、そうすると平均では二十万円。だから、それは総雇用者所得で……(前原委員「実質賃金じゃないんだ、それは」と呼ぶ)いや、総雇用者所得で見るという重要性について今申し上げているわけでありまして。

 そこで、そうなれば、いわば安倍家としては四十万円になったわけでありますが、いわば平均でいう、名目所得でもいいですよ、そうすれば二十万円になってしまうということを申し上げたわけであります。

 そして……(前原委員「いや、苦しい苦しい。そんなことは言わない方がいいですよ」と呼ぶ)いや、それは事実ですから。それがわからなければ、基本的にマクロ政策はわからないと思いますよ。

 だって、いわば約百万人、仕事を得て働き始めた人がふえたんですから。その中においては、当然、最初はパートで働き始める、あるいは企業も慎重な態度ですから、最初はパートだったり短時間ということになってくるわけですよ。当然、その段階では、働き始めた人の収入が少ないですから、そういうことになっていく。そして、さらには、六十歳を超えた方々のいわば就業を確保するために、この方々が正規から非正規という形になって、そして収入が落ちていくということもあるわけであろう、このように思うわけであります。

 そして、実質賃金の方につきましては、先ほど申し上げましたように、まず消費税というものがあります。その前には、我々、物価安定目標を定め、それに向けてデフレから脱却しています。私は最初の、この私たちの進めている経済政策をスタートした段階において、こう申し上げたわけであります。つまり、我々が目指している物価安定目標に向かってデフレから脱却をしていく最初の間においては、残念ながら賃金がすぐには追いついていかないから、そこでは、物価がいわば賃金よりも上に行く段階においては、これはおおむね二年になるかもしれない、なるべくそれを早くしたいと。

 だから、政労使の会議を行うことによって、しっかりと私たちは賃金が上がっていくという状況を今つくりつつあるわけであります。

 ですから、消費税を上げる前においてもまだ、残念ながら、おととしの段階では賃上げは確かなものとなっておりませんから、物価安定目標に向かってデフレ脱却し始めていますが、賃金はまだ追いついていかない。当然、実質賃金においては、残念ながらそうした状況になっている。

 昨年の段階においては、消費税分を抜いたら、物価安定目標を上回る状況をつくりつつあったわけです。そして、ことしになれば、ことしは消費税を上げないわけでありますから、昨年と比べれば、もしことし賃上げが成功すれば、まさにこれは、実質においてもプラスになっていく、そういう好循環をつくり出していくことができる、それはまだ数カ月待っていただかなければいけないわけでありますが、そういう状況をつくることができる、私はこのように考えております。

前原委員 苦しい答弁が続きますね。ある意味で、実質賃金と名目賃金がわからない方にマクロ経済をどうのこうのと言ってほしくないですね。

 余りにも往生際が悪いので、ちょっと四枚目のフリップを出しましょう。

 これは左側を見てください。安倍政権の二年間で、今、賃金を上げる上げるとおっしゃったけれども、円安、為替効果で、あるいは公共投資大盤振る舞いで、企業の経常利益は四一%上がった。内部留保は二一%上がった。人件費は横ばいじゃないですか。つまりは、おっしゃるような好循環、人件費にいくまでの好循環は起きていない。(発言する者あり)本当にこれからか。そうしたら、それを見てみましょう。

 それとプラスして、右側、これはもっと問題ですよ。消費税導入がどうのこうのということをおっしゃったけれども、皆さん、右側を見てください。一九八九年以降、賃上げ率から物価上昇率を引いたものを折れ線グラフにしたもので、経団連、それから連合、厚労省、それぞれがほぼ同じ折れ線グラフをつくっている。一九八九年以降、消費税導入、そして消費税増税、二回あって、三回目ですけれども、安倍さんの政権になって初めてですよ、賃上げ率から物価上昇率を引いたものがマイナスになったのは。

 先ほど総雇用者報酬の話をされたけれども、一人一人の生活が大事でしょう。一つ一つの家族が大事ですよ。そこの実質賃金、実質可処分所得が減って、賃上げ率よりも物価上昇率がこれだけ高ければ、それは消費は伸びないですよ。これがアベノミクスの現状じゃないですか。

 そして、株価はGPIFで買う。日銀がETFを買う。外国人投資家が六割入ってきている。それはもうかっているでしょう。資産を持っている人はいいかもしれない。しかしながら、そしてまた、これだけ経常利益、内部留保が上がっているのに法人税減税ですか。そして、国民生活はどんどんどんどん疲弊していっている。

 これで本当に、この道しかないか。私は、この道を行き続けると危ないと思いますよ。この道を行き続けると、どんどんどんどん個人の生活が苦しくなるというふうに私は思います。

 総理、このように、実質賃金、実質可処分所得がマイナスになっている。そして、賃上げ率から物価上昇率が、マイナスになっている。プラスにしなきゃいけないという問題意識は共有されますか。

 締め総ですから、総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 締め総とはいっても、全部閣僚がそろっているんですし、経済財政政策の専門は甘利大臣ですから、甘利大臣にも、せっかくいるんですから答える場を与えていただきたい、このように思いますし、私よりも恐らく精通しているわけでありますから、もし深い審議をしたいのであれば、そうしていただきたいと思います。

 そこで、我々も、実質賃金を上げていくのは、ここは当然のことであります。ですから、その道行きについて、私たちは、私たちの経済政策をスタートした段階でお話をさせていただいているわけであります。

 まず、デフレ状況というのは、だんだん物の値段も下がっていきますし、それ以上に賃金も下がっていくという状況、これは不健全な状況でありますから、そうなれば人材にも、もちろん設備にも投資をしない、どんどん萎縮して、事実そうなってきたわけでありますから、これをまず私たちは変えよう。これを変えることはできたわけであります。つまり、デフレではないという状況をつくったんですよ。

 そして、デフレ脱却に向かっていく中において、そこで初めて企業は行動を変えるわけでありますから。それまではどうしても、現金を持っていれば一番いいという状況から、現金をちゃんと投資する。これは、設備もそうですが、人材にも投資をしなければ、結果として、企業として損をしてしまうという状況になっていく。経営者の判断として、そういう状況を私たちはつくり出すことができた。

 ただ、まだまだやはりデフレ時代のマインドがこびりついていますから、どうしても内部留保に向かってしまうという中において、直ちに、残念ながら、この内部留保がぐっと減っていくという状況にはなっていない。だから、私たちは政労使の会議をつくって、そして昨年はその成果が出て、十五年間で最高の賃上げを実現できたことは事実であります。

 同時に、しかし、消費税を引き上げた中において、消費に少し弱さが見られる中におきまして、十八カ月、消費税の引き上げを延期したわけでございます。しかし、実質賃金においても、あるいはもちろん実質の総雇用者所得で見てもそうなんですが、だんだんいい傾向にはなってきているわけであります。そして、ことし賃上げがさらに実現できれば、ことしは消費税を引き上げていないわけでありますから、この物価上昇の状況を超えて、いわば実質賃金におきましても、昨年と比べて間違いなく、私は、上がっているという状況をつくり出すことができる、このように考えております。

前原委員 実質賃金が大事だということは、聞いたことは最後にちょこっとだけお答えされましたけれども、これから前の部分は要りませんから。もう何度も何度も壊れたレコードのように聞かされていますから。

 実質賃金、実質可処分所得がどうやって上がるかというのが大事だということなんです。

 日本銀行黒田総裁、お越しいただいていますが、ちょっと今、CPIがゼロ近傍まで来ている、総合CPIが。そして、原油価格の下落等もありますけれども、二〇一五年が一%、二〇一六年が二・二%ですか、物価上昇目標。これを達成しようと思ったら、実質賃金が、物価上昇を上げていく内政的な要因で、大きな要因じゃないですか。そのことについてお答えください。

黒田参考人 御指摘のとおり、物価が上がっていく、特に持続的に上がっていく過程においては、賃金が上がっていくということが非常に重要だと思います。

 我々の見通しにつきましても、御指摘のように、二〇一五年度一%、二〇一六年度には二・二%の消費者物価の上昇率を見通しておるわけでございますけれども、その背景には、労働需給が引き締まって賃金が上がっていくということと、それに加えて物価上昇期待というものも徐々に上がっていく、この二つで、今言ったような物価安定目標へ向けての着実な前進があるだろうということですので、御指摘のとおり、賃金が上がっていくということは重要な要素であるというふうに思います。

前原委員 アメリカがことしにも利上げをするのではないかというふうに言われています。そうすると、日米金利差がさらに拡大をして、そして、今若干もうそういう傾向にありますけれども、きょうで百二十一円ぐらいですか、一ドルが。そうすると、円安がさらに進んでいくということになると、輸入物価が上がる。しかも、原油価格が下げどまり始めていますから。そうすると、総理が幾ら賃上げ賃上げというふうなことをおっしゃったとしても、輸入物価が上がっていったら、さっきのように、またどんどんどんどん、賃金上昇を名目にしたって、それ以上に物価上昇すると、国民の生活は疲弊していくわけですよ。

 そういう意味では、先ほどの御答弁で、最後には実質賃金の上昇を図っていくということをコミットメントもされましたから、それを私はこれから見守らせてもらいます。それを本当にこれからやられるかどうかということをしっかりと見させてもらいたいと思います。

 日銀総裁、もうこれで結構でございます。

 次に、年金の話に移らせていただきたいと思います。

 まず、今、年金生活者というのはどれぐらいおられるんだろうということなんですが、三千九百五十万人、約四千万人おられるんですね。総人口の三一%です。うち、この数字は皆さん方にちょっと覚えていただきたいんですけれども、基礎年金のみを受給されている方、つまりは、厚生年金、今度被用者年金が一元化されますから、厚生年金とかほかの保険、あるいはほかの収入、こういうものなく基礎年金のみ受給されている方というのは千二十三万人、一千万人以上おられるんですね。

 それで、年金収入のみ、これは基礎年金だけではなくて年金収入のみで生活されている方が六二%、夫婦世帯が三八%であります。夫婦世帯だと、まだ年金収入その他の収入よりも支出額の方が少ないんですけれども、単身世帯になると、男子が五%、女子が一一%なんですけれども、この方々になると、年金受給その他の収入よりも支出額の方が多くなっているんですね。しかも、男の方は、貯蓄額が三百万未満の方が四四%、うち貯蓄なしは一九%。女性の方は、三百万円未満の貯蓄が四三%、うち貯蓄なしが一七%。

 こういうことでございまして、高齢化に伴って年金生活者はふえているし、そして、基礎年金のみ、基礎年金は、四十年間フルに払っても、今、月額六万四千円ぐらいですね。それ以下の方々もおられる。なおかつ、この単身世帯のところを見ていただくと、年金生活者の方々は大変厳しい状況というものが今生まれてきているわけであります。

 多くの国民の皆さん方は余り御存じないかもしれませんが、二〇〇四年、平成十六年度、百年安心年金プランというもの、百年安心かどうかは別にして、そういうものをつくったわけでありますが、ことし、いよいよそれが、条件が整ってスタートするようになります。

 時間がないので簡単に申し上げますと、保険料収入、積立金、運用ですね、そして二分の一に国庫負担を上げたもの、これに見合う形で年金額を調整する、こういうことになるわけですね。そして、今まで特例の二・五%というものを、一%、一%、そして〇・五%ということで減らしていくと、いわゆる保険料収入、積立金、国庫負担、この額と見合った額だけ年金を調整していくということになるわけでありますが、九のパネルなんですけれども、そうなると、どういうことになっていくか。

 まず、この大きなグラフは、上の方です、労働力人口がどんどんどんどん減っていきます。そして、六十五歳以上の方の人口は、ふえていって減っていきます。そうすると、労働力人口と六十五歳以上の人口がちょうど重なるときだと、今現役世代の方々が払っていただいている年金保険料で、いわゆるパラレルになってくるところまでいけば何とか賦課方式でいけることになるんですけれども、そこまでが問題なんですね。それを何とか先ほどの仕組みの中でやっていこうということで、マクロ経済スライドと言われるものがとられるということなんです。

 それは何かというと、右上に小さな枠で囲ってありますけれども、物価上昇が起きて、そして、本来であれば年金は物価上昇分上がらないと、先ほどの議論じゃありませんけれども、実質の年金額は減額するわけですね。減っていくわけです。しかし、このマクロ経済スライドということをこれからやっていきますので。

 多くの国民の皆さん方は余り御存じないかもしれませんが、安倍さんがおっしゃるように、本当に物価がずっと上昇し続けると、マクロ経済スライドの調整がきいて、名目の年金額は上がるので余り意識されないかもしれませんけれども、いわゆる物価上昇よりも〇・九というマクロ経済スライドがかかりますので、その分、年金はどんどんどんどん目減りをする、こういうことになるわけですね。この理解でよろしいですか、総理。

安倍内閣総理大臣 質問にお答えする前に、先ほどの最後の議論でございますが、総雇用者所得で見れば、昨年の六月以来、八カ月連続、実質においても消費税の三%分を除けばプラスになっているということは申し上げておきたい、このように思います。

 その上でお答えをさせていただきますと、マクロ経済スライドについては、平成十六年の改正において、いわば給付と、受給を安定化させるために、平均寿命と生産人口ですか、そうした数値を組み入れて、いわばインフレ率から特定の率を差し引いてしかスライドさせないということであって、今、大体〇・九ということになっているんだろうと思います。

 つまり、一%本来であれば物価スライドするところを〇・九引きますから、〇・一しか、いわばプラスにならない。しかし、その分、受給を、いわば抑制することによって年金財政上の安定性を得るものとした、このような理解をしております。

前原委員 今総理がお答えいただいたので大体お答えいただいていることになっているんですが、もう一度確認をさせてください。

 私は先ほどアベノミクスの問題点をいろいろ指摘させていただきましたけれども、では、政府、日銀が共同文書をつくられて、それで物価上昇というのが仮にできたとすると、実質の年金額というものはこれからずっと減り続ける、そういうことでよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 いわば物価安定目標において、例えば二%を実現した中においては、〇・九ということであれば〇・九が調整されるということになるわけでございますが、これは、やはり世代間の公平性ということも考えながらいわば給付と負担のバランスをとっていくという観点で必要なものと考えております。

前原委員 正直にお答えをいただいたと思います。

 二%の物価安定目標が仮に達成されたということになれば、本来、先ほどの賃金の話で申し上げると、実質賃金を上げなきゃいけないということですけれども、マクロスライド分、実質年金額は下がり続ける、そういう仕組みになっているということを今総理は御答弁をされたわけであります。

 そして、そのことについては、私も、世代間の公平性ということを考えた場合においては、このマクロ経済スライドというものについての一定の理解をしますけれども、ただ、幾つか問題点があると思うんです。そして、ここは真摯にやはり、総理にも、年金生活、特にお年を召した方々はこれが本当に命の糧なんですから、これについてしっかりと何らかの対策をとらないと大変なことになると私は思います。

 十枚目のパネルは、基礎年金の、言ってみれば、今後皆さん方、例えば六十五歳以上の方はこれからどれだけ受け取れますよ、六十歳の方はどれだけこれから受け取れますよ、こういうことを書かせていただいています。

 ちなみに、この数字はどういう数字を用いさせていただいているかといいますと、各時点での名目額を物価で現在価値に割り戻しています。したがって、簡単に言えば、現在の感覚で見ていただければ結構だ、こういうことであります。

 今、六・四万円、基礎年金で生活されている方、基礎年金のみで生活されている方が一千万人以上おられるということを申し上げました、一千二十三万人の方。またこれからふえていくわけですけれども、その方々は六・四万円でも大変ですよね、生活は。だけれども、実質、マクロ経済スライドが発動されていくことによりまして、どんどんどんどん目減りしていくわけですよ。六・四万円でも生活が大変なのに、マクロ経済スライドが発動されると、どんどんどんどん減っていく。

 今回の、去年行われた五年ごとの年金の財政検証において、八つのケースというものが提示されています。この表は、そのうちの、まあまあうまくいったもの、そこそこうまくいったもの、余りうまくいかなかったもの、八つのうちの三つのケースをとらせていただいて、そして図表にしたものであります。

 見ていただいたらおわかりのように、基礎年金がこれだけ減っていったときに、本当に基礎年金だけしか生活の糧がない、収入がない方が、総理、生活できていけるでしょうか。総理にお願いします、もう締め総なので。

大島委員長 まず、厚生労働大臣。(前原委員「いやいや、塩崎さん長いんですよ、答弁が。短くしてください」と呼ぶ)

 短く、簡潔に。

塩崎国務大臣 まず第一に、基礎年金とは何かということが……(前原委員「いや、もう時間の無駄だから」と呼ぶ)いやいや、これこそが本質でありますから、先生。

 基礎年金だけで生活を全て賄うということを前提に今、前原委員はお話をされているように聞こえるわけでありますけれども、もともと基礎年金は、やはり現役時代に自分で蓄えてきたものとか、あるいは老後の備えというものがあって、それに加えて基礎年金という形で生活ができるようにということで、それをトータルで見るというのが年金の本質であります。厚生年金とは少し違います。

 そういうことでありますから、マクロ経済スライド、今おっしゃったように調整をすることになっていますが、今先生御指摘の、この斜めの方におりていくのは、これは賃金でスライドしていくんですね。既にもらうようになった方は、今度は、こっちは物価だけでスライドをしていきます。

 何でこれをやるかというのは、さっき総理から申し上げたとおりでありまして、将来世代と今の高齢者世代との……(前原委員「質問にだけ答えてください、時間がないので」と呼ぶ)わかっています。ですから、それを調整するということでありますので、したがって、今御心配の、低所得者に対してどうするんだ、これだと思います。

 それは、年金については、今申し上げたような基礎年金の性格でありますから、あとはどうするかといえば、それはやはり、今回、二%の引き上げを延ばしたので、一〇%にしたときにやりますけれども、福祉的給付の年金を低所得者に対しては支払う、あるいは医療とか介護とかそういうところでの負担を軽減する、社会保障全体で低所得者に対しての配慮をしていくんだということを私たちはやり続けていますし、これは三党合意の中でもそういうことを基本にしたというふうに思います。

 財源があるならば幾らでもいろいろなことはできます。そうじゃないですから。ぜひ、そういうことで、御一緒に考えたことでありますので、よろしくお願いします。

前原委員 今、厚生労働大臣は重要な答弁をされたと思います。

 これは予算委員会の中でも一度答弁されているんですけれども、基礎年金だけに生活を頼るなということをおっしゃっているんですよ。つまりは、基礎年金はそういうものじゃないんですよということを答弁されたんです。私は、国民全体はそう思っていないと思いますよ。つまりは、準備をして、基礎年金だけだったら生活できないんだ、基礎年金というのはそういうものじゃないんだ、こういう答弁をされたわけです。私は、多くの国民はそういうふうに思っていないと思いますよ。

 それは、蓄えがある人はいいですよ。だけれども、基礎年金だけで生活をしている人たちが、本当に物価が上がってマクロ経済スライドが発動されたら、どんどんどんどん基礎年金額が目減りをして。それについて、そういう仕組みではなかったんです、つまり、基礎年金というのは、それにプラスしてちゃんと将来の蓄えをしてもらわなきゃいけなかったんだと今答弁をされましたけれども、そうなっていない人はどうするんですか。

 そうしたら、どんどんどんどんその人たちは、言ってみれば生活保護に変わっていかざるを得ない。そうすると、また税金がその部分でかかるという形になるんですね。

 我々は、マクロ経済スライドそのものがどうのこうのと言っているんじゃないんです。そして、世代間の負担の分担をどうするかということも申し上げているわけです。

 それで、先ほど厚生労働大臣が答弁されたことで、ベースは三党合意ですから、民主党政権のときに自公で合意をしたものの中で、例えば社会保障の充実、効率化、一%をその部分に充てるということの中で、八%、一〇%にしたらどうなるかということの説明を先ほどされたわけでありますけれども、では、それだけで本当に足りるかという検証をしてもらいたいんです。

 私は、総理、これは提案なんですけれども、マイナンバー制というのが導入されますよね。マイナンバー制が導入されると、今までは、例えばストックとフローでいうと、フローの部分は把握をされていて、例えば医療保険では、一般の七十五歳以上の方々は窓口負担が一割ですけれども、フローの所得がある一定ある方は現役並みに三割払っていただいているんですね。しかし、今、ストックについては全くもって把握できていないわけですね。したがって、ストックをマイナンバーで把握する。

 そして、先ほど厚生労働大臣が御答弁をされたように、基礎年金だけではなくて、ストックを持っている方もおられるかもしれない。そういうものをマイナンバー制度であわせて、持っている方々は、それはマクロ経済スライドを発動していっても大丈夫でしょう。

 しかし、そういうストックがない方々が、先ほど厚生労働大臣がおっしゃったような、さまざまな医療あるいは介護で給付策をしたとしても、それでもなかなか生活が苦しくなって生活保護なんかに落ちていくと、それはまた国家の財政負担になるわけですね。

 そういう意味においては、やはり低所得者対策として、基礎年金で生活をされている方々、そしてマイナンバーでしっかりと資産を把握する中で、本当に生活に困っておられる人たち、厚生労働大臣がおっしゃったような準備をされていなかったような方々もいると思うんですよ、それは。そういうものなんだと今さら言われても仕方がないという人はたくさんいると思うんですね。そういう方々に対してしっかりと、マイナンバー制というものも含めて導入する中で、例えば、そういうカテゴリーに入るような方々は、生活が苦しいというカテゴリーに入る方々はマクロ経済スライドを発動しない、その人たちについては。

 そういうようなことを考えて、本当の意味での、困っておられる低所得者の高齢者対策というものを考えるべきじゃないでしょうか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど塩崎厚生労働大臣から答弁をさせていただきました基礎年金と厚生年金との違いについて、我々は、基礎年金に対する考え方と厚生年金に対する考え方について、基本的な考え方は、我が党としては今塩崎大臣が答弁したとおりでございますし、私も社会部会長を務めていたときには、基礎年金というのは、いわば豊かさについては、残念ながら、生活の豊かさについては保障するものではないので、しっかりとある程度の、年金をもらうまでにおいての蓄積とあわせてというふうに考えていただきたい。

 それは、当然、基礎年金と厚生年金は払っている保険料が基本的に違うわけでありますし、基礎年金の中は、かつては三分の一で、今半分が国費が入っているという割合の中で考えていただきたいということは従来から申し上げてきた。しかし、それは、必ずしもそのように理解しておられない方々もいらっしゃるのは事実であろう、こう思います。ですから、低年金の方々等に対する対策は打っていくということになっているわけであります。

 そこで、今、前原委員から御指摘になった、では、果たしてストックについてどう考えるべきか。これはずっと課題であったというふうに私も思います。

 ストックがある人がいるじゃないか、しかし、なかなかそれは把握するのが難しいということであったわけでありますが、マイナンバーが導入される中において、ストックを持っておられる方々、あるいはそれがないという方も、わかりやすくフローだけで見る、フローとストックと両方で見られるようになってくるという中においては、これはどういうことが課題として考えられるか、こういう課題に対してそれをどう活用できるかということについては、これはしっかりと検討していくということも必要だろう、このように思っております。

前原委員 今総理が御答弁いただいたように、本当に生活の苦しい方から、それから、ちゃんとストックのある方、老後が安心な方、いろいろおられると思うんですよ、先ほどの三千九百五十万人の方々。それを一律マクロ経済スライドを発動するということでは、私はやはり、この生活の苦しい方々がどんどんどんどん疲弊をしていく、そういうことになると思いますので、今、検討するということをおっしゃっていただきましたので、ぜひそれは具体的な政策として検討する。

 検討して何もしないではだめなんですよ。検討して、やはり何らかの、一律ではだめなんです。本当にこれからどんどんどんどん年をとっていく中で困っていく方々に対してはしっかりそういうものを、マイナンバーも含めて採用しながら、一律マクロ経済スライド発動ではなくて、何らかの対策をとっていくということをもう一度しっかりと御答弁いただけませんか。

安倍内閣総理大臣 マイナンバーによって、今までフローでしか把握できなかったものが、ストックも見ることができる。特に高齢者の方々は、基本的にフローは少ない方々は多いだろう、しかし、ストックがある方はおられるかもしれないという中において、政策的な対応を変えることは今まではできなかったわけでありますが、それがこのマイナンバーによって可能になっていくわけでありますから、それをどう政策的に反映させていくかということについて検討していきたい。

 ただ、マクロ経済スライドとの関係において、今直ちに私が、どのようなことができるかということを申し上げることもできませんし、どのような検討が可能かということについても、これはしっかりと議論をしていくことがまず必要ではないか、このように思っております。

前原委員 締めくくり総括質疑、民主党として最後ですので、この予算案に対してのスタンスを申し上げたいんです。

 先ほど、三枚目のパネルで申し上げました、二年間の経済はよくなっているんだ、よくなっているんだということをおっしゃっている。それは、よくなっている数値もあるでしょう。しかし、私は、先ほどから申し上げているように、総雇用者所得という数値も一つはある、しかし、国民の生活にとっては、一人一人の実質賃金、いわゆる一軒一軒の可処分所得、これは極めて大事なんですね。それが下がり続けていて、結局、賃上げが物価上昇に追いついていなくて、ここにあらわれているように、最終消費がこの二年間で伸びない、こういう状況が続いている。

 しかも、公的資本形成は、こういうふうなことで大盤振る舞い。そして、今回の当初予算も、結局、プライマリーバランスというもののびほう策も含めて、補正予算でうまくその点をすり抜けるというようなことをやっていて、私は、この道しかないというものを前提としている、アベノミクスを前提としている予算案には、到底賛成できない。

 そして、この道しかないではなくて、この道と違う形でいかないと日本の将来はない、そういうことをしっかり申し上げて、民主党としての最後の締めくくり総括にさせていただきます。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて大西君、前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。

 現在、国民の税金を大切にどういうふうに使うかという予算の審議をしているわけでありますが、決めるに当たっては、やはり、政治の信頼というのをしっかり取り戻すということが何よりも大前提だと思いますので、最初に、ちょっとこの問題を取り上げさせていただきたいと思います。

 まず、西川元大臣の件なんでありますが、この予算委員会の最中、総理、聞いておられますか、二月二十三日に辞任をされました。さまざまな不明な点、よくわからない点を残したまま、やめられたわけですね。世論調査をやっても、大半の方が、説明不足だというふうにおっしゃっておられます。

 あの辞任をしてから、もう十八日たちました、十八日。しかし、西川元大臣は、一向に御自分で説明責任を果たそうという姿勢を示しておられません。総理は、こういうものは各議員の見識によって説明責任を果たすべきというふうにおっしゃっていますけれども、もう既に見識を疑われているわけです、十八日間何もお話しなさらないわけですから。

 これは、やはり、元大臣でもありますし、自民党の議員でもありますから、安倍総理の方から、説明責任をしっかり果たせということを御指示なさっていただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 西川前農林大臣に限らず、内閣にいようとも、あるいは与党であろうとも、野党でも、政治家一人一人が、政治資金の取り扱いや透明性について国民に不信を持たれることがないように、常に襟を正すことが求められている。みずから説明責任を果たすということは、これは、政治家として、それぞれの議員がその職責の中で果たしていくことが求められているんだろう、このように考えております。

今井委員 私は、総理の覚悟をお伺いしたいんです。

 この予算委員会でも、随分こういう問題が話題になりました。ですから、やはりこの問題は、我々議員としてもしっかり解決していかなきゃいけない。

 そういうことで、今まで、前も申し上げましたけれども、大臣をやめると、あとはもうそのまま雲隠れという状態ばかりなわけです。だからこそ、政治に信頼が戻ってこないんですよ。(発言する者あり)小渕さんだってそうですけれども。

 ですから、ぜひ、総理のリーダーシップでこういう問題を解決していこう、そういう決意をお伺いしたいんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 西川大臣は、何度も、この委員会において質問を受ける中で説明をしておられた、このように思うわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、現在は一議員でありますが、そうしたことを、一議員として常に襟を正しながら、求められている説明責任について、しっかりとそれを議員として果たしていくことが大切ではないか、このように考えております。

今井委員 なかなかやはり重い腰を上げていただけないので、この委員会でも参考人招致をお願いしておりましたが、どうやら実現しないようでありますけれども、これは、舞台は参議院の方に回っていきますが、そちらの方でも引き続き要求をしていきたいと思います。

 本当に私は、最後までしっかりとけじめをつけるということが大事だと思うんですね。やめたらそれでいいという問題じゃないと思うんです。だから、そういう姿勢をしっかり見せていただきたい。ぜひ総理も、その辺について考えを変えていただきたいなというふうに思います。

 もう一点、きのう、民主党の長妻委員が、企業献金廃止ということをこの場でお話をされておりました。共産党さんも、もう既に以前から企業献金は禁止ということであります。

 我が党もこの国会中にいろいろ議論いたしまして、実は、我が党の議員の中にも企業献金をもらっている人が随分おられました。中で、相当いろいろな議論がありました。禁止してやっていけるのかとか、相当議論しましたけれども、最後は、わかった、やはり、政治を透明化していくために、みんなで我慢して禁止していこうということを決めました。移行期間が必要ですから、来年から全面的に禁止していきます。

 野党がみんな、方向が一緒になったわけですよ。

 きのう、安倍総理は、実は二十年前にこの問題があったんだけれども、この問題は各党間で合意されないまま現在に至っているというふうに御答弁されました。つまり、まだ解決していないんですよ。二十年積み残した課題があるというふうに御答弁なさっているんです。

 そうしたら、いいきっかけですから、ここで解決のためにまたみんなで話し合いましょうよ。野党の皆さんは、我が党も含めて、企業・団体献金禁止でやっていこうというふうにおっしゃっているわけですから、あとは与党ですよ。与党が覚悟を見せれば、できる話なんです。

 ぜひリーダーシップを示していただきたいと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 これは、覚悟とかそういうことではなくて、我が党が企業・団体献金についてどういう考え方を持っているかということでございますが、企業・団体献金については、私ども、この企業・団体献金が即悪いものだということは全く考えていないわけでございまして、企業・団体であろうと、あるいは個人であろうと、お金によって政治を、あるいは政策をねじ曲げてはならないということではないか、このように思います。これは、企業であろうと個人であろうと同じことなんだろう、こう思うわけであります。その中でしっかりと透明性を確保していくことが求められている、こう思うわけでございます。

 二十年前のお話をさせていただきましたのは、その際、政党助成金が入って、いわば税金とそして個人献金と企業・団体、こういうバランスをとっていこうということであったわけであります。ただ、なかなか日本という社会は、いわば法人社会になっているわけでございまして、個人の寄附文化ということがなかなか根づいていないという状況の中において、ある程度、団体・企業の寄附あるいは献金の割合が多くなっているのは事実であろう、こう思っております。

 もちろん、我が党においても、なるべく個人の献金をふやしていこうという努力は、長年積み重ねてきているのは事実でございます。ただ、それが、企業・団体献金をなくすべきかということではないわけでありまして、今申し上げましたように、大切なことは、企業であろうと団体であろうとあるいは個人であろうと、お金によって、あるいは政治献金によって、政治や政策をねじ曲げてはならないし、そういうことがあってはならないということではないかと思います。

今井委員 御党には、自民党には自民党の考えがあると思います。それはわかりますけれども、私が申し上げているのは、せっかくですから、積み残しているという御認識があるのであれば、もう一度協議の場をしっかりつくって、みんなで合意をしていくという話し合いの場をつくったらどうかということなんです。

 それを、自民党の皆さんにも、ぜひやるようにというふうに御指示いただけないかということをお願いしているんです。

安倍内閣総理大臣 いわば、これは民主主義の土台をつくっていくわけでありますから、まさにこれは、場合によっては、院において各党各会派が議論を重ねていく、あるいは、これは衆議院だけに限りませんから、これをまさに各党各会派において議論を重ねていくことが求められているんだろう、このように思っております。

今井委員 ということは、そういう御指示はいただけないということですか。

安倍内閣総理大臣 これについては、今申し上げましたように、そうした土台をつくっていくということでもありますから、そうした土台をつくっていく上においては、しっかりと各党各会派で議論を行っていくということがまず求められていくのではないか、このように思います。

今井委員 各党会派間はどうですか。

安倍内閣総理大臣 今申し上げておりますように、企業・団体献金を廃止するという考え方は、我々自由民主党としては、ないわけでございます。

 そういう中において、まさに国会において、それぞれの会派がどういうお考えを持っているかということで議論を行っていくということがあってもいいんだろうな、このように思っております。

今井委員 もうやめますけれども、この前も申し上げたとおり、過去二回、政治の問題があったときに、各党協議会というのをつくっているんです。過去に例があるじゃないですか。だから、各党じゃなくて、そうやって協議会をつくったらいいというふうに私は申し上げているので、まあそれはお願いに上がりたいというふうに思います。

 それと、実は、この間、公明党のある議員の方とお話ししていましたら、私は当選以来、文書通信交通費のものは一円まで領収書をとって、とってあるんですよという方がおられまして、ああ、なかなか立派な人だなというふうに思ったわけでありますけれども、我々はこれをずっと公開ということも始めたんですけれども、総理、総理は我々と一緒に毎月百万円の文書通信交通滞在費をもらっておられると思いますが、これは毎月、政治活動に全部お使いになっていらっしゃいますか。

安倍内閣総理大臣 当然、適切に、我々、そうした趣旨にのっとって活用しているのは当然のことであります。

今井委員 そうしたら、仮に、そういう毎月税金もなしでいただいている百万円を、全部毎月使い切らないで、ためている人がいるとしたら、これは大変な問題ですか。

安倍内閣総理大臣 これは、今申し上げましたように、適切にそれぞれが、議員の責任において、趣旨にのっとって活用しているものと思っております。

今井委員 この文書通信交通滞在費も予算の中にのっているわけですね。この予算の使い方というのを、例えば基金もそうですし、いろいろなものを、しっかり、どういうものに使われたかということを見ていくのが我々の仕事だと思うんです。予算だけじゃなくて決算も大事ですから。

 その意味において、やはり税金ですから、しかも、これは政治活動にしか使ってはいけないというふうに使途が決まっております。なぜ公開しなくていいかということは、実は、国会議員はそれ以外のものに使うはずがないという極めて性善説の理由で公開をしなくていいという理由になっているんです。しかし……(発言する者あり)いや、そういうふうに書いてあるんです。

 それで、やはり、総理に全部使っていらっしゃいますかというふうにお伺いするのは、公開されていないから、聞かないとわからないんですね。ですから、それを皆さん、公開していきましょうということなんですけれども、何度も質問をさせていただいていますが、総理御自身が公開をすれば、これはすごいインパクトがありますよ。みんな、これはやらなきゃという気分になると思いますから、それをまずやっていただけないでしょうかね。

安倍内閣総理大臣 そうしたルールというのは、議院において、まさに各党各会派がどのように考えていくべきか。それは金額の多寡もあるでしょうし、その用途そのものについてどう考えていくかということもあるんだと思いますね。そして、政治活動の自由を保障するために、どこまでそれは公開すべきかどうかという重要な議論もあるんだろうと思います。

 そうしたことも含めて、これはまさに各党各会派で議論を行っていくべきものだと思います。

今井委員 平行線ですからもうやめますが、我が党は、とにかく今こそ政治改革が必要だというふうに思いますので、しつこいかもしれませんが、参議院へ行っても主張してまいりたいと思いますから、よろしくお願いします。

 次に、このプレートをまず見ていただきたいんですが、これは自民党の政権公約、安倍政権が誕生したときです、平成二十四年度。こう書いてあります、「将来の国家像を見据え、計画性を持って地方公務員等を含む公務員総人件費を国・地方を合わせて二兆円削減します。」というふうに。

 これは公約に載っていますが、これは今もそういうお考えでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 二〇一二年の自民党の公約のことですね。

 その二兆円という数字は、地方公務員給与についても国と同様の給与削減等を実施した場合の公務員人件費の抑制額の総計をお示ししたものでありまして、そして、二十五年度予算編成におきましては、この理念、方向性にのっとって、直ちに地方公務員の給与削減を要請しまして、国、地方を合わせた公務員等の人件費抑制規模は約一・七兆円となりました。

 これは、政権交代がおくれまして、解散と政権交代によって地方自治体の給与条例改正等の時間が足りなくなったために、地方への波及時期を七月におくらせたわけでありますが、この影響が〇・四兆円程度でございますので、これをもし実現していれば二兆円を超えているということでありまして、我々は、その意味におきましては公約を守っている、このように思います。予算ベースでは、実質的には、公約でお示しをした二兆円の水準に達していたものと考えております。

 そして、二十六年度以降につきましての人件費予算につきましては、東日本大震災の復興財源の確保のために二年間に限り講じた特例減額措置が昨年三月末に終了したということ、そして、昨年夏の人事院勧告に沿った、民間給与上昇を反映した給与改定等が増加要因となったということであります。

 一方で、国家公務員の総人件費に関する基本方針に沿って、地域間そして世代間の給与配分を見直す給与制度の総合的見直しを実施し、そして、定員合理化等を行うことなどによって人件費の抑制を図っているということであります。

 なお、地方公務員についても、給与制度の総合的見直しの趣旨に沿った対応が行われているわけでありまして、そういう対応を私たちは現在行っている、こういうことでございます。

今井委員 今のはちょっとおかしいと思いますよ。これは、政治改革として二兆円減らしていくということは、つまり、歳出削減をしていくためにそういうところにも切り込むという意味で書いてあるんだと思うんですね。

 実際、これは衆議院の調査局に調べていただいたんですけれども、ここのところの給与がどうなっているかということなんです。

 平成二十四年度から比べますと、地方公務員の人件費は、二十一兆円が、この二十七年度の予算二十・三兆円ということですから、これは〇・七兆円、七千億円ぐらいは減っています。地方は大変努力をしているんだと思うんですね。ところが、国家公務員の方ですけれども、国家公務員は、二十四年度五兆九百四十四億円ですが、来年度の予算五兆千五百六億円。つまり、二十四年度よりふえているんですね。

 地方は、一生懸命頑張って、人件費を抑えてやってきているわけです。ところが、国家公務員の方は、給料をふやしているじゃないですか。総人件費はふえているんですよ。これはおかしいんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、国家公務員のいわば人件費、給与につきましては、復興財源の確保のために二年間に限り講じてきた特例減額措置が昨年の三月に終了したことであります。これは、我々が上げたということではなくて、それが終了して、もとに戻った分上がったということであります、その前年よりはですよ。

 そしてまた、昨年夏の人事院勧告に沿った、民間給与上昇を反映した給与改定等が行われたわけであります。これは、いわば、人事院勧告によって給与を決めていくということは、労働三権との関係でこういう仕組みになっているということでございます。

 また、そこで、今おっしゃったポイントの一つは、恐らく採用についてもおっしゃったんだろうと思います。これは、民主党政権下で行われた採用抑制によって、業務の現場において必要な定員が充足されていないなどの支障が生じていたことから、政権交代以降、各府省において、定員の範囲内で必要な採用が行われたものであります。

 定員自体については厳しく削減を行っておりまして、平成二十六年度以降も、震災復興等の時限増員を除き、政府全体で千人を超える純減を確保しているわけであります。

今井委員 この公約は、こう書いてあるんですね。将来の国家像を見据え、計画性を持って人件費を減らしていくということは、中期的な計画を立てて人件費をどんどん削っていきましょうという表現なんです。そういう表現なんですよ。ですから、一時的な話じゃないんです。計画的に二兆円減らしていくということですよね。

 総人件費を減らすには二種類ありますね。給料を減らす、これは我々も減らすべきだというふうに言っていますが、それは人勧があって、すぐできないとおっしゃるのであれば、人数を減らすということをやはりやっていかなきゃいけないわけです。

 今おっしゃっていましたけれども、これは以前、民主党の後藤委員もやられていましたが、安倍政権になってから、国家公務員の採用が極端にふえていますね。倍です。今、努力によって千人純減したとおっしゃっていますけれども、国家公務員全体で五十八万人いるんですよ、五十八万人。五十八万人のうち千人削減しましたって、これから中期目標で大変な歳出削減をやっていかなきゃいけないんでしょう、五年間で。千人減らしましたからといって胸を張っている場合じゃないんですよ。

 採用はしておきながら純減が千人、これでは人件費は減っていきませんね。おっしゃっていることと違うんじゃないですか、計画性を持って減らしていくとおっしゃっているんですから。いかがですか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 先ほど総理から御答弁ありましたとおり、純減で、平成二十七年の定員も千九十三人減ということでございますが、念のためですが、この十年、直近の十年は全て千人以上の純減を図っていることも御報告させていただきたいと思います。

 そして、暫定で増員ということでございますが、これは、東日本大震災の復興加速、またオリンピック・パラリンピックへの増員ということで、その現下の課題ということを解決するためにやっているものでございまして、それを入れても減員をしているということを御報告させていただきたいと思います。

 また、民主党政権から自民党政権に戻ったときに、新入の方々の受け入れをふやしたということでございますが、民主党のときに、かなり、六割減、四割減ということで、外務省の外国語の要員も少なくなっていますし、全国の刑務所の要員も二十四時間のシフトが組めなくなったという、かなりいびつなものがありましたので、その反動があることも御報告させていただきたいと思います。

今井委員 もちろん、細かいところでの手当ても大事ですけれども、大なたを振るっていくには、そもそもの考え方を変えなきゃいけないと思うんですね。

 例えば、国の出先機関です。全部で四十一あると思いますけれども、そこに今、十八万三千人の国家公務員の方がおられます。だから、出先機関も全部見直して、二重のことがないか、そういうところまでちゃんと切り込んで、抜本的に国家公務員の人員を減らしていくということをやはりやっていかなきゃいけないんじゃないですか。いかがですか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 もとより、現下の厳しい経済状況に鑑みて、これからも総人件費の抑制ということを図ってまいりたいと存じます。

 ちなみに、委員が御提出いただきました人件費ということの人数をもう少し正確に申し上げますと、平成二十四年は五十七万八千六百人、二十五年は五十七万七千二百人、二十六年度は五十七万六千二百人、二十七年度は五十七万五千七百人ということで、毎年毎年、委員が挙げられたような数値ではなくて、実際に少なくなっていることも御報告させていただきます。

今井委員 私、そんなこと言っていませんよ。委員のおっしゃるのとは違うなんておっしゃいましたけれども、私、人数が減っていっていないなんて言っていませんよ。まあ、いいです。

 今の点は、次の話にもつながっていくんですけれども、これから五年間で、全部で十兆円規模の歳出削減をやっていかなきゃいけないんですね。

 では、ちょっと先にお伺いしますけれども、計画性を持ってというふうに書いてありますが、今度、夏に中期の財政計画というかシナリオをつくっていかれると思いますけれども、このときに、公務員の人員計画あるいは人件費計画、これも当然考えられるということでよろしいですか。

甘利国務大臣 今後五年間でPBを黒字化させると、SNAベースで九・四兆の改善が必要です。国費、当初予算ベースでいうと九・一兆になります。

 これを、歳出削減、それから収入増、構造改革等を通じて削減していくプランを夏までに策定いたします。その中では、もちろん行革努力もしっかり反映したものにしていきたいと思っておりますし、具体的なプランは、今、諮問会議で構想を練って議論をしているところでございます。

今井委員 ちょっとはっきりお答えいただけなかったんですけれども、その中には、こういう行革を含めて、公務員の削減、人数の削減、人員削減、こういう計画もしっかり立てていかれるということでよろしいですか。

甘利国務大臣 当然、担当大臣と連絡をとりながら、財政健全化に向けての、政府を挙げてのあらゆる努力を組み込んでいきます。

今井委員 もう一度確認します。その中には公務員の人員計画も含まれているということでよろしいですか。

甘利国務大臣 それぞれ所管大臣と具体的なプランは詰めていかなければならないと思いますが、先ほど申し上げましたように、政府を挙げてあらゆる努力、あらゆる努力は全ての努力が入っているわけであります。

今井委員 ちょっとはっきり答えていただけないので。

 含まれているか、含まれていないか。含まれているでよろしいですね。

甘利国務大臣 人員を削減していくということは、きちんと所管の大臣がやっていきます。その努力も当然組み込んでいきます。あらゆる努力を組み込んでいくと申し上げたところに全て入っております。

今井委員 では、行革大臣にお伺いしますが、出先機関の抜本的な見直しも、当然、やっていかれるおつもりはありますか。

有村国務大臣 当然ながら、関係省庁、大臣とも御相談しながら、検討の範疇に入ってまいります。

今井委員 新しいものが出たときに、しっかりチェックさせていただきたいと思います。

 なぜこれをまず申し上げているかというと、これは以前もこの委員会で議論になりましたけれども、ことしの夏につくる中期計画、これは極めて厳しいというのはもう皆さん御存じだと思うんですけれども、そもそも、今内閣府が置いている前提、これは経済再生ケースということですけれども、実質成長率は二%以上、名目に至っては三%以上をずっとキープします、消費者物価指数も二%でずっと安定していきます、こういう前提でつくっております。そこから税収をはじいていますけれども、今後五年間で十四兆円、これは消費税のアップも入っていますが、税収が伸びるという前提でつくられている試算です。

 その上で、二〇二〇年に幾ら足らないかというと、一番経済が伸びているという前提で、税収が伸びているという前提にしても九・四兆円足らないということなんですね。あと何で埋めるかといったら、税収の伸びはもうこれ以上期待できませんね、目いっぱいです。そうすると残りは、増税をするか、歳出削減をするか、この二通りしかないわけですよね。

 二〇一七年に消費税が引き上がります。それ以上の消費税の引き上げは到底できませんね。難しいですね、この間に。法人税も引き下げていくという方向ですから、ここで増税もできません。ほかにも多少は増税要因はあるかもしれませんが、ほとんど大きなものはやれないということになれば、もう残りは歳出削減でやるしかないんですね。大体、年間にすると一・八兆円とか一・九兆円減らしていかなきゃいけない。

 総理、この問題を解決するには歳出削減しか方法がないだろうということの御認識でよろしいですか。

甘利国務大臣 成長を見込んで再生シナリオ、そうすると税収増はもういっぱい見込んだじゃないか、残りについてはSNAベースで九・四兆ある、そうすると全部歳出カットかと。

 大事なことは、構造改革を通じてどういうふうに経済成長に絡んでくるのか。歳出カット自身は、では九・四兆歳出カットした、そうすると経済が下振れするリスクも当然ありますから、ですから、公的サービスを民間型に変えていくとか、それによってむしろ、歳出カットした、カットした分だけじゃなくて、それによって税収が伸びるということもあるわけであります。

 でありますから、残りは全部一円残らず歳出カットかというと、単なるカットで終わってしまったら、それは経済の下振れ効果になっちゃうから、余計カットするということになりますから、そこは、公共サービスをどう産業化していくかとか、いろいろな知恵と工夫を取り込んでいくということが考えられるというふうに思います。

今井委員 いや、そういう構造改革で多少のことはできるかもしれませんが、根本的にこれは歳出削減しか方法がないでしょうということをお伺いしているんです。

 だって、これは入りと出を合わせるだけですからね。そうですよね。入りはもう大体これは目いっぱい取っているわけですから、あとは出の方を何とかするしかないということですよね。そうじゃないですか。

甘利国務大臣 残っているのが歳出カットだけ、つまり歳出カットか税収増を見込む、つまり増税論議という単純な議論だけでもないんですよね。構造改革を通じて、そこの公的な部分が産業化すると、それが投資効果にはね返ってくるわけであります。そこは知恵の出しようです。

 今、諮問会議の民間議員を中心に議論をしておりますのは、単に残りは全部歳出カットという単純な議論にすると、では歳出カット自身が経済の下振れ効果を生んでしまうこともあるから、それも見込んでどうやって構造改革をしていくか、どうやって官業部分の民営化をしていくか、いろいろな手法があるわけであります。そして、財政上の貢献とそれから増収効果と、両方の効果も見られるような手法だって当然あるわけですよ。

 そこは、最大、知恵を絞るところでありますから、その、最大、知恵を絞った効果によるプランを夏までに御提示ができればというふうに思っております。

今井委員 なかなかお答えいただけないようなので、夏に出たときにまた議論したいと思いますけれども、いろいろおっしゃっていますけれども、結局、歳出削減がほとんどですよ。そこいらに切り込まないとこれは無理ですから。そのことだけは申し上げておきたいと思います。

 それで、お手元の資料がありますけれども、「財政健全化責任法案の考え方」というペーパーをお渡ししています。実は、昔、自民党が野党だったときに提出された法案です。

 中身を見てみますと、平成三十二年度までにプライマリーバランスを黒字化する、平成二十七年度までに半減する、今の政府の目標と同じものが書いてあります。そこに、中期計画をつくっていきましょうというふうに書いてあります。中期計画というのは、まさに、今度、夏におつくりになられるものですね。

 この法案の中では、この中期計画は国会に報告をして承認を必要とする。大変いい法案だと思います。国会でこういう中期計画をしっかりとチェックをしていく、そういう法案ですね。なかなかいい法案だと私は思いますよ。

 我が党も実は同じような法案を前の国会からずっと出していますけれども、なかなか審議していただけないんですが、ちょうど、今度、夏にこういう計画をつくられるんですから、これは国会承認というのを義務づける、そういうルールにしたらいかがですか、総理。

安倍内閣総理大臣 財政健全化の実効性をどうやって担保していこうかということなんだろうと思いますが、その実効性の確保の手段については、法制化を含めて議論がありますが、来年度予算について、引き続き財政収支の赤字半減目標を達成する予算としたように、政府としては、定めた目標にコミットをして、責任を持って実現していくことこそが重要であろう、私はこのように思っております。

 いずれにせよ、我が国の財政が厳しいことは認識をしておりまして、経済再生と財政健全化の両立に向けた取り組みを着実に進めていきたいと考えています。

今井委員 財政再建というのは、行政府だけではなくて、立法府にとっても、とても重要な問題なんです。重要な問題なんですよ。

 この法案は自民党が出された法案ですよ。(安倍内閣総理大臣「野党時代にね」と呼ぶ)野党時代ですけれども、自民党が出されて、国会の意思というのはやはり必要だねということを承認しようということです。

 野党時代と今言われましたけれども、野党時代に出したものはもういいんですか。こんなのはいいかげんだから、与党になったらやらなくていいという意味ですか。

安倍内閣総理大臣 我々はなぜ野党時代に出したかといえば、残念ながら、当時の政府を、これは信用できませんねということだったんですね。基本的に、我々はしっかりと政府を法制によって縛っていく必要がある、こういうことでございます。

 他方、私どもはしっかりと財政健全化を進めているわけでありまして、二〇一五年において、GDP比の二〇一〇年度と比べての半減は達成することができたわけでございまして、まさにこのような形でコミットしている、こういう形でしっかりと予算を通じて実現をしていきたい、こう考えているところでございます。

今井委員 ちょっと今の答弁はないと私は思いますよ。

 何か、閣僚の方も苦虫をかんだような顔をされている方がいらっしゃいましたけれども、民主党の政権が信用できないからこうやって国会承認を必要として、私たちの政権は信用できるから国会承認を必要としなくていい、そういう答弁ですよ。そういうことですか。

安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、私たちは実行してきているわけでありまして、私たちは、まさに政権与党としての取り組みとしては、しっかりとそれをコミットし、国際的にもコミットし、そして進めてきているということでございます。

 ですから、我々は野党時代に、私たちの考え方として、いわば、我々は政府ではありませんから、野党としての考え方として我々は法制化を目指したところでございますが、まさに私たちは政権をとって実際に実行できるわけでありますから、実際に実行していこう、こういうことでございます。

 皆さんは、まさにそれが信用できないということであろうと思いますから、しっかりと皆さんの考え方を法制化したい、こういうお考え方を持たれるというのは理解できますが、私たちは、しっかりと着実に実行していきたい、こう考えているところでございます。(発言する者あり)

今井委員 ここの立法府におられる方がやじを飛ばすのは、僕はおかしいと思いますよ。今、立法府に対しての軽視ですよ。何党とかそういうものではないんです、今のお話は。

 ですから……(発言する者あり)我々だって対案を出していますから、審議してくださいよ。出していますよ、我々は。何を言っているんですか。

大島委員長 理事にお相手しないで、総理にお相手して。

今井委員 済みません、失礼いたしました。

 今もお話ししたとおり、これからの五年間はとても厳しい計画をしなきゃいけない時期に来ているわけです。我々も、ここに大変な危機感を持っているわけですよ。もちろん、行政府の皆さんもそういう危機感を持っていらっしゃると思いますよ。だって、我々だってそれを共有しているんですから、それを国会に報告していただいて、そこで議論して承認を得るということは、当然、あってもいいと思いませんか。

安倍内閣総理大臣 まさに、こうした形で私たちは予算として提出をさせていただきまして、この提出している予算が財政健全化の方向を向いているかどうかということについて議論を行っているわけでございます。

 いわば、財政健全化ということについては、自民党もずっと取り組んでいたわけでございまして、我々は、その考え方を、野党時代は、政府ではございませんから、まさに法案という形でお示しをさせていただいた。我々は、その考え方にのっとって、今、政権をとった中において、これは政府・与党一体でありますから、その中でしっかりと行わせていただいている、このように理解をいただきたいと思います。

今井委員 私は冷静に議論しているつもりですから、国会を軽視するような言い方はやめていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 この点は、また夏に出てくるでしょうから、そこで議論させていただきたいと思います。

 質問をたくさん用意していたんですけれども、もうあと五分しかなくなってしまったので、ちょっと細かいのだけ少し、予算の内容について質問させていただきたいと思います。

 麻生大臣、よろしいですか、起きていらっしゃいますか。

 基金なんですが、平成二十六年度末に、基金の残高の見込みが一兆七千七百六十三億あります。これを、行革推進本部も頑張っていただいたんだと思うんですが、二千九百七十億円、国庫に返納するということが決定をしました。このこと自体は、そもそも基金なんというのはあるのがいけないと思っているんですけれども、返納したということは一定の評価をしたいと思うんですけれども、これにもう余地がないのかということです。

 私の方で、自分で調べさせていただきまして、残りの基金のところで、毎年の事業費が基金の残高の十分の一以下、基金の残高に対して毎年の事業費が十分の一以下というのを全部調べてみました。全部で二十一ありまして、基金の残高は三千二百十億円あります、三千二百十億円。取り崩し型とかいろいろな形がありますけれども、ここも、事業費がこれだけ少ないんですから、もっと返納する余地があると思うんです。これは、ぜひこの中身を精査していただけないでしょうかね。

麻生国務大臣 今言われましたうちで、二千九百七十億円というものにつきましては、これは、昨年の十一月のレビューにおいて基金を網羅的に再点検させていただいて、余剰資金等々については厳しく精査した結果であります。

 そのほかにもあるではないかという御指摘なんだと思いますが、平成二十六年度の事業費見込みが同年末の基金残高見込みの十分の一未満となっている基金ということだったと、今言われたんだと思いますが、三十二じゃなくて三十六じゃなかったですか。(今井委員「三十二なんて言っていないですよ」と呼ぶ)数字が少し違うんだと……。復興関連基金を除いて三十六基金、残高は三千六百七十億円だと私は思うんですけれども、ちょっとあなたの数字が違っていると、どっちかが違っている、またどっちかこっちかなんて言われると……(今井委員「僕が少し抜けているかもしれませんね」と呼ぶ)抜けているかもしれぬね。それを認めていてもらわぬとちょっと、話が違うから。後でまたいちゃもんをつけられても困るから。三十六基金だったと思いますよ。

 それで、先ほど申し上げました秋のレビューによって返納することになっている額が、そのうち十五基金で、残高一千四百六十七億円のうち一千百九十三億円。このうち国庫返納を行わないこととした二十一基金、残高二千二百億円につきましては、共同で拠出しております民間団体や他の地方公共団体との調整が必要なため、現時点では返納が困難とされたものが十六基金、一千八百七十五億円でありまして、残る五基金につきましても、不確実な事故への対応に備えるなどの観点から、一定の残高が必要なため、返納は行わないと判断されたものと承知をいたしております。

 いずれにしても、政府としては、これはPDCAサイクル等々のもとで、余剰資金が認められる場合は国庫返納を求めるなど、基金の適正化には今後とも不断に取り組んでいかねばならぬ、そう思っております。

今井委員 もう時間が来ましたからやめますけれども、この基金でも、例えば基金に該当していると考えるものというのは今三条件ありますが、最初のが、不確実な事故等の発生に応じて資金を交付する事業、つまりリスク対応の事業なんですけれども、これは、今度、政投銀とか商工中金の民営化を延長して危機管理のために使うわけですよね。そちらでやればいいんですよ。基金なんか、積む必要はないんです。だから、こういうのも、基金は返納させればいいんですよ。

 まだまだこういう無駄なものがたくさんありますから、この予算案は本当に問題があると思っています。行革の切り込みが本当に少ないということで、大変問題がある予算案で、とても我々は賛成できないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて今井君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 東日本大震災と原発事故から丸四年がたちました。

 私も、三月十一日には、宮城県岩沼市で行われた追悼式典に参加をさせていただきました。市長が岩沼市民百八十一名の犠牲者名簿を祭壇におさめたときによみがえってきたのは、被災直後に訪れた被災地の沿岸部の光景でありました。田んぼが海のようになり、上物が全て流された家の土台と瓦れきの中に、赤いきれのついた棒が幾つも立っておりました。そこに御遺体があったという印であります。つい少し前まであった日常と命が一瞬に奪われてしまったことに大変打ちのめされました。

 改めて、犠牲になられた皆さんに心から哀悼の意を表したいと思います。

 今、被災者は風化という言葉と戦っています。

 総理は、東日本大震災四年に当たっての記者会見で、「来年三月で、五年間にわたった集中復興期間は終了いたしますが、次の五年間の新たな復興支援の枠組みをこの夏までに策定いたします。」と発言されました。この趣旨を伺いたいんですね。

 五年間といっても、最初の一年間は復興の基本方針をつくるので精いっぱいで、復興交付金などの具体的なメニューが決まったのは十二月、高台移転などの前提となる危険区域の指定が決まったのも年内もしくは年明けでありました。

 五年間で終わりにならないのは自治体の責任ではありません。復興期間は延長してほしいという声にどう応えていくのか、お答えください。

安倍内閣総理大臣 まずは、復興の加速化に重点化している平成二十七年度予算の成立に全力を尽くしていきたいと思います。

 その上で、平成二十八年度以降も、必要な事業は、引き続きしっかりと実施をしていきます。財源も含めて、今後、そのあり方を検討していきます。二十八年度以降も、私たちはとまることはありません。我々はとまらないというのが基本的な考え方であります。これが基本的な姿勢でありまして、被災地の方々の心に寄り添いながらしっかりと対応してまいります。

 集中復興期間の最終年度を迎えるに当たりまして、被災地の将来への懸念を払拭するためには、財政健全化計画との関係にも留意をし、できる限り早期に二十八年度以降の復興支援の枠組みを示す必要があると考えています。

 このため、三月十日の復興推進会議においては、私から、枠組みの基本的な考え方として、被災地が見通しを持って事業に取り組めるよう、復興期間後期の五年間の枠組みとすること、そして、新たなステージにおいて日本の再生と成長を牽引する役割を担うことを目指してもらうため、被災地の自立につながるものとすること、そして、被災者の方々の心に寄り添い、必要な支援は引き続きしっかり行うものとすること、この三点を示した上で、この考え方に基づきまして、復興大臣が中心となって、早速、これまでの我々の取り組みの総括に取りかかるように指示をしたところでございます。

 その上で、二十八年度予算の概算要求に向けた作業に十分間に合うように、今後の復興支援の枠組みをしっかり策定することとしたいと考えています。

高橋(千)委員 まず、とまらないという言葉を総理は何度も強調されて、当然、とまれる状態ではないわけです。

 問題は、今各自治体が心配されているのは、新たな枠組みで自治体負担が取り沙汰されているということであります。一%という数字も出ているんですけれども、ただ、一%といっても、復興事業自体が大変大きいです。一つの自治体にとって一千億、二千億、そういう額になって、通常自治体が持っている予算の何倍にもなるわけですね。だから、一%ということが非常に大きな意味を持っている。

 資材高と人手不足による入札不調、あるいは土地所有者の権利の了解をとるために全国を飛び回るなど、大変な努力をされてきました。しかし、努力だけではどうにもならない現実があるんです。ここに自治体負担を持ち込むということはあってはならない。この点を伺いたいと思います。

竹下国務大臣 委員御承知のとおり、東日本大震災の復興事業は、これまで、前半の五年間、集中復興期間は、被災地が広いこと、さらには、財政負担ができるような強い市町村がほとんどないという状況、多くの方が被災されている、こういった状況を鑑みまして、異例中の異例の措置として、全て国費、実質全て国費で行うという体制をとってまいりました。

 これから後半に入っていくわけでございますが、まず、ひとつ誤解をしないでいただきたいのは、確かに私は、これからも財源のあり方として全て国費でいいのかという疑問を投げかけたことは事実でございます。ただ、復興の基幹的な事業は全て国費でやります。あるいは、原子力発電所の事故に関連するといったことはこれまでどおり全て国費でやらなければならないことだろう。これは総理も、原発事故に関しては国が前面に立つとおっしゃっているわけでありまして、そうしたほとんどの部分は基幹的事業であり、あるいは原発に関連する事業である。

 一つの町が、百億の通常の年間予算が、今一千億ぐらいになっているんですが、それに一%じゃなくて、そこの全てに掛けるわけでは全くない、大部分は違いますということを前提としてお聞きをいただきたいんですが、地方が自立するんだという気概をしっかり持っていただく。

 ずっと全て、十分の十、国に言えば何でもできるという状況が本当にいいのか、これはこれから議論していきたい。また、負担ができる市町村にも限りがありますので、市町村の意見もしっかりよく聞いて、丁寧に対応していかなければならない課題だ、こう思っております。

高橋(千)委員 自治体が自立するんだとおっしゃいますけれども、そもそも、自治体の皆さんは被災者と本当に直面しているわけです。自立するしないというか、当然やらざるを得ないわけですね。国が一〇〇%面倒を見て、それにおんぶにだっこ、そういうことでは決してないということを重ねて指摘をしたいと思います。

 もちろん、この際だからといって震災に関係ないものを、道路をつくったり、それも関係ない道路とか、そういうものは当然排除するべきですよ。だけれども、基本的にそんなことをやっている余裕がないという実態があるんだ。それは、基幹的な事業に対してはきちんと国費を出していくということをおっしゃいましたので、きょうはそこをきちんと確認をさせていただきたい。次の議論をしたいと思いますので、引き続きお願いしたいと思います。

 そこで、次に、四月からの介護報酬の大幅引き下げが、この間この委員会でも大きな問題となってまいりました。

 昨年の通常国会で、介護従事者の処遇改善を行うことを明記した法律を全会一致で成立させました。私も提案者の一人となり、野党が毎月一万円の賃上げを共同提案し、最後は全会一致の法律に実りました。だからこそ、非常に裏切られた気持ちなんです。

 マイナス二・二七%と言いますが、処遇改善分を除けば実質四・四八%のマイナス。これにより経営が悪化し、結局一万二千円の処遇改善加算も受け取れないのではないか、こういう懸念がありますが、厚労大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 今先生から処遇改善加算のことについてお話をいただきました。

 まず申し上げなきゃいけないのは、これは、今回、一人当たり月額一万二千円相当の処遇改善を実現するということでありますけれども、それに加えて適正化もということで、今先生の御懸念のようなことが指摘もされているわけでありますけれども、しかし、全体としては、改定後も事業者の安定的な経営に必要な収支差が残るように改定率を、改定しているところでございます。

 そこで、今の処遇改善加算を算定する事業者に対して、職位とか職責、職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整備すること、それから資質向上のための計画を策定して研修を実施することの双方、今まではどちらかでよかったんですけれども、双方を求めることとしておりまして、これは、処遇改善に取り組もうという事業者であれば十分対応可能なものであると思っておりまして、各事業者には、今回の加算の充実の趣旨を御理解の上で、積極的に処遇改善に取り組んでいただきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 お手元の資料をごらんになっていただきたいと思うんですが、これは、ある社会福祉法人の、ですからいろいろな種類のものをやっているわけですが、今回の報酬改定の影響を試算してもらったものであります。

 一番上の三十名定員のデイサービス、これを見ていただきたいんですが、右端に、現在、処遇改善加算が、受け取っている百三十一万円、今回、増額分として百三十五万円が見込めると。ところが、八、加算を含めない介護報酬の減額、四百八十九万、マイナス七・一%に上るんですね。つまり、全額もらったとしても、差し引きで三百五十四万の減収、マイナス五・一%。もし、全然加算がつかなければ、六百二十万円、マイナス九%の減収というように、実際のマイナス幅より大きく影響が出てくる。

 実は、先ほど大臣がおっしゃったように、処遇改善をきちんとやる、きちんと届ける、そのために要件が逆に厳しくなって、今までとれたところもとれないのではないかということが心配されているんです。

 そもそも、介護報酬に連動して基本給が下がるんじゃありませんか。一万二千円と言いますけれども、基本給じゃなくてもいいことになっているんですよね。つまり、賞与や手当という形で加算をされても、基本給が下がっちゃったら、結果、マイナスになって、元も子もなくなる、こういうこともあり得ませんか。

塩崎国務大臣 今回の改定におけます加算の充実とあわせて、介護職員の処遇がしっかり改善されるように運用の見直しというものを行うということを、何度かもう既に申し上げているところでございます。

 具体的には、計画とか、あるいは実績の報告に記載する項目を今までと変えて見直しをして、事業者の具体的な取り組みを詳細に把握をする。そして、今のお話にありましたように、基本給とボーナス、双方を合わせての話でありまして、そして、経営悪化等によってやむを得ず賃金水準を低下せざるを得ないような場合の取り扱いは、適切に労使の合意を得るなど、適切な運用がなされているかを確認するために、新たに届け出を求めるということにこれからいたすわけであります。

 それから、処遇改善の取り組みを介護職員にわかりやすく周知するということも今までやっていなかったことでありまして、これを徹底するということが大事でありまして、合理的な理由がないにもかかわらず、基本給をふやすかわりに賞与等を減らして賃金水準を引き下げるということは認めないということを予定しているわけでございます。

 これらの取り組みを講じることによって介護職員の処遇が改善されるように、これは、国だけではなくて、都道府県ともしっかり連携をして運用をしてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 今、賞与だけはやっても基本給が下がって、そういうのは認めないとおっしゃったと思うんですね。でも、それは結局、そのために処遇改善をやるよといってもできないということを認めたことになると思うんです。だって、本体がマイナスなんですから。しかも、十年ぶりの大幅引き下げなんですね。

 これで結局、改善交付金を出したといっても、それが元も子もなくなるというこの指摘は、全くそのとおりだということになると思うんですね。厳しくするだけではだめだ、本体を変えなければだめだということを重ねて指摘をしたいと思います。

 そこで、総理にぜひ伺いたいと思うんですが、もともと、これはどうしてこういう問題が起きてきたのか。

 財政制度審議会が、経営実態調査を見て、収入と支出の差が八%ある、それで、その平均値を見て、では最低でも六%下げられるだろう、こう号令をかけたのが発端なわけであります。そこまでは下げなかったわけですけれども、まだ下げろという議論は実はありますよね。

 例えば、昨年十月八日、つまり、この引き下げの問題が議論された財政制度分科会では、ガード下の空き地を利用したデイサービスを実はやっていますというある委員が、設備投資は一千万程度で安く上がって、七十人も利用者がいれば半年で黒字になりますと話しているんですね。保育所だって、別に駅につくればいいんだ、車庫を保育所にすればもうかるんだということを話しているんですね。どなたかと思ったら、阪急電鉄の社長のせりふであった。だから、土地は自前だという話なんですね。

 このような、規模を拡大すればスケールメリットがあるから、もっとコストを下げられるよ、成長分野なので下げる余地はある、競争できるよ、こういう議論がされているんです。本当にこれでいいんでしょうか。介護保険の外のサービスで、混合介護戦略なんという言葉があるそうですけれども、そういう形でもっともっと利益を上げていくことができるんじゃないかという議論がされているんです。

 総理は、介護を成長分野に置いてきました。こうした規模拡大や、さらなる規制緩和、安上がりの介護、これを認める立場なのでしょうか。

安倍内閣総理大臣 安上がりを認める、安上がりという意味においては、効率化は進めていきたいと思っておりますが、それでサービスの質を低下しようということは全く考えていないわけでありまして、サービスの質を維持しつつ、しっかりと効率化を行っていく。

 何といっても、介護保険につきましては、これは税金も入っておりますが、同時に保険料と本人の負担があるわけでありますから、介護報酬が上がっていけば、本人の負担もあるいは保険料という形でも国民の皆様にはね返っていくわけでありますから、その中で考えていかなければいけないということで先般の改定が行われたわけでございます。

 しかし、それによって、例えば、今後三年間で一五%程度上昇すると見込まれていた高齢者の保険料が、一〇%程度まで、約五%抑制できるわけでございますし、そうしたものをしっかりと行っていく。また、低所得者の保険料は現行とおおむね同水準に維持できる、こう見込んでおります。また、介護サービスの利用者負担を平均で二%程度軽減できる、こう考えているわけであります。

 一方、先ほど厚労大臣から既にお答えをさせていただいておりますように、他の報酬とは別枠で、一人当たり月額一万二千円相当の処遇改善を実現するための加算も行いますし、中重度の要介護者や認知症高齢者を受け入れ、人員増等を行う場合、きめ細かく加算をしていきます。またあるいは、小規模な地域密着型サービスなどは手厚い報酬を設定していくなど、質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われ、一律の引き下げとならないようにしております。

高橋(千)委員 総理が、何度も、介護報酬を上げれば利用者負担にはね返るんだということをおっしゃっていたのを、それを私も何度も聞いておりました。

 ただ、実際には、今回、例えば保険料の負担をどれだけ抑えられますか。二百三十円安くなるのではなくて、値上がりするのを若干抑えることができるんです、低所得者は現状維持なんです、その程度なんです。その程度で、失うものが余りにも大きいのではないか、このことを指摘しなければならない。

 また、めり張りもつけました。例えば夜勤の非常勤の職員を雇うのに加算をするとか。でも、これは、今だって非常勤の人、二人だけでやっている、一人だけでやっている、そういう危険な実態があるんです。そこに、また非常勤を足すことに加算するだけではやはりだめだ、根本的な解決が必要だということを重ねて訴えたいと思います。

 そこで、パネルを見ていただきたいと思うんですが、今、年間十万人も介護のために仕事をやめる人がいる。これは繰り返し指摘をされてきたものであります。

 この五年間の経緯を見ていただきたいんですが、女性が多いのは想像どおりです。だけれども、ごらんのように、男性が二割前後、これだけの方が実際には家族の介護のために離職をされているという実態があるんですね。これは、介護休暇とか育児休暇だと、ほとんど男性の利用がありません。数%です。それと比べても、いかに大きいかがわかるかと思います。

 もう一つ、介護のために離転職する方たちの年齢構成なんですけれども、男性が、この五年間で、二十代が三・一%、三十代が七・三%。これだけ若い人たちがいるんです。若い人たちの問題でもあるということなんです。

 私は、この間、いろいろな地域を回っていて介護の話をしたときに、若年者は問題だよと言ったら、そうだよ、うちは娘がおばあちゃんの介護をしているんだ、嫁に行かれたら困っちゃう、こんな議論がされているんですね。

 介護は高齢者だけの問題ではない。そして、本当に、男性でさえも二割というこの実態。大臣はどのように認識していらっしゃるでしょうか。

塩崎国務大臣 総務省の就業構造基本調査を見ますと、平成二十三年十月から二十四年九月までの一年間に、家族の介護、看護を理由に離職した雇用者数の約九万五千人のうち、年齢別では三十代が九・三%、そして、性別では男性が一九・五%というふうになって、今先生御指摘のとおりであります。

 我が国において、少子高齢化が進む中で、誰もが仕事と介護を両立して、そして継続就業できる環境整備が、当然、これは重要な課題であるわけでありまして、このため、介護休業あるいは介護休暇の周知、そして、企業への介護休業の規定整備や法違反に対する指導等を厚労省として今行っているところでございます。

 さらに、育児・介護休業法につきましては、現在、今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会におきまして、仕事と介護を両立できる環境整備のために、介護期の柔軟な働き方の充実と必要な見直しの検討を進めておりますので、これが二十七年の夏ごろに報告書を取りまとめていただけるのではないかというふうに考えておりまして、今先生御指摘のような問題に対しての対処をしっかりやっていきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 本当は総理にもう一問聞くつもりでしたが、時間が回ってきますので、指摘だけして終わりたいと思うんです。

 一方では、介護従事者の離職者、六人に一人がやめております。特徴は、在職一年未満が三九・二%、三年未満が三四%、合わせると七割以上が三年未満で介護の仕事をやめているんですね。このように、本当に働き盛りの人たちが家族の介護のために仕事をやめる。一方で、働きがいを持って、誇りを持って介護の仕事をやっている従事者が、三年未満で介護の仕事がきつくてやっていけないとやめていく。これは本当に社会の損失ではないか。このことを本当に指摘したいと思う。

 そういう立場で、国がしっかりと介護を支えるんだ、家族の中に閉じ込めるのではなくて、介護を支えるんだという方向に切りかえていくべきだ、このことを指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十七年度予算三案に対する質疑は全て終局いたしました。

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大島委員長 ただいままでに、維新の党今井雅人君外一名から、また日本共産党高橋千鶴子君外一名から、それぞれ、平成二十七年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、両動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。まず、重徳和彦君。

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 平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算及び平成二十七年度政府関係機関予算につき、撤回のうえ編成替えを求める動議

    〔本号末尾に掲載〕

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重徳委員 私は、維新の党を代表して、ただいま議題となりました政府提出の平成二十七年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、その趣旨を説明いたします。

 維新の党は、将来世代に対しても責任ある政治を目指し、厳しい財政状況を乗り越えるため、国民に痛みを強いる前に、まず国会議員と公務員の身を切る改革が必要であると訴えてきました。安倍内閣にその姿勢が見られないことが残念でなりません。みずからに厳しい身を切る改革を断行することで本気の覚悟を示さなければ、抵抗の多いあらゆる改革も、既得権益の壁も打ち破ることはできません。

 来年度予算三案につきましても同様で、身を切る改革が見られません。また、将来世代への投資も、低所得者等対策も、地方への分配も、全て不十分、不適当です。

 具体的には、以下の五つの理由で予算の組み替えが必要です。

 第一に、予算規模がふえ続けていることです。巨額の政府債務を抱えている現状で、これ以上の将来世代へのツケ回しはやめるべきです。

 第二に、身を切る改革を初めとする歳出削減が足りません。議員歳費は手つかず、公務員人件費は増額となっています。公共事業、特別会計、独立行政法人、基金等々、まだまだ切る余地があります。

 第三に、地方創生予算が、異次元といいながら、全く従来型の上から目線のばらまきで、地方に権限、財源を移譲する姿勢がまるで見られません。これで地方創生元年とは到底評価できません。

 第四に、身を切る改革なしに国民に痛みを強いています。特に、低所得者の方のための政策は、さらなる消費税増税によらずとも、身を切る改革で捻出すべきです。

 第五に、消費喚起政策が不適当、不十分です。消費の弱さが日本経済のウイークポイントになっています。来年度予算や今年度補正予算で想定しているような地域おこしのための商品券では効果が見込めません。

 これらの理由から、平成二十七年度予算案三案を撤回し、編成替えを行うことを求めます。

 次に、編成替えの概要について申し上げます。

 歳出面では、身を切る改革として、国会議員歳費の三割カット、国、地方の公務員給与の削減等で約一・六兆円、公共事業二割削減で約一・二兆円、さらに、独立行政法人への運営交付金の削減、使われない金が積み上がった基金の縮減を行います。そして、地方創生予算約七千億円の振りかえを含め、計四・五兆円の財源を生み出します。

 これらの財源のうち二兆円を、保育、教育のクーポン、バウチャーを支給するための我々の考える新たな地方交付金に振り向け、子育て世帯を中心に地域の家計を温めるとともに、消費を喚起します。また、消費税一〇%延期で切られた低年金者への給付金や介護報酬引き下げ分の復元のために八千四百億円を支出します。

 一方、一兆円を歳出総額の減額に充て、赤字国債発行を減らし、将来世代へのツケ回しを軽減します。

 これらの措置により、平成二十七年度予算を、政府案九十六・三兆円から一兆円減額し、九十五・三兆円とします。

 以上が、維新の党の組み替え案の概要です。

 何とぞ我々の動議に委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げ、提案理由の説明といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

大島委員長 次に、本村伸子君。

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 「平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算及び平成二十七年度政府関係機関予算」につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

本村(伸)委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一五年度政府予算三案につき政府がこれを撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案理由及び概要について説明いたします。

 二〇一五年度政府予算案は、昨年の消費税増税による景気悪化で国民生活が深刻な影響を受けているにもかかわらず、社会保障を一層削減し、その一方で、大企業を優遇する減税と軍事費の拡大を推し進め、国民生活を犠牲にする予算になっています。

 消費税一〇%増税は、先送り実施ではなく、きっぱり中止するべきです。国民の暮らしを最優先にする経済政策に根本的に転換する必要があります。

 以上の立場から、二〇一五年度予算案を抜本的に組み替えることを要求いたします。

 次に、編成替えの概要について、その主な点を説明いたします。

 第一に、自然増削減と称して社会保障費を大幅に削減することを中止します。

 介護報酬の削減、年金の実質減額、後期高齢者医療保険料の引き上げ、生活保護の切り下げなど、社会保障の改悪を全面的に見直します。

 第二に、法人実効税率を二年間で三・二九%引き下げ、一・六兆円もの減税を実施するなどの大企業優遇の減税措置は、巨額の内部留保をさらにふやすだけであり、中止します。

 第三に、最低賃金の引き上げ、異常な長時間労働を是正し、雇用を守ります。

 賃上げ実現のため、社会保険料を減免するなどの中小企業への支援を抜本的に拡充します。

 残業代ゼロ制度の導入や労働者派遣法改悪を中止し、ブラック企業規制法を制定して、非正規から正規への流れをつくります。

 第四に、日本農業に壊滅的な打撃を与え、日本の雇用と経済を破壊するTPP交渉から直ちに撤退します。農協改革の押しつけを中止します。

 第五に、教育予算を拡充し、全学年にわたる三十五人学級の早期実現を進めます。

 子供の医療費無料化を国の制度とし、保育料、幼稚園授業料の減免、児童手当の十八歳までの拡大など、子育て支援を強めます。

 第六に、東日本大震災から四年を経てもなお、二十三万人にも及ぶ人々が避難生活を強いられています。住宅となりわい、地域社会の復興を最優先に、国の支援を抜本的に強化します。

 原発事故は、収束どころか、いまだに原因究明されていません。原発再稼働をやめさせ、原発からの撤退を進めます。

 第七に、公共事業は、大型開発中心から、老朽化対策などの暮らし、福祉優先に転換します。

 リニア中央新幹線計画は、自然環境、生活環境を悪化させるものであり、JR東海の工事着工をやめさせます。

 第八に、沖縄・辺野古への新基地建設を撤回し、普天間基地の即時閉鎖、無条件返還を求めます。

 軍事費の拡大は、周辺諸国との軍事緊張を高め、東アジアの平和づくりに逆行するものであり、中止します。

 集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回し、安全保障法制づくりは即刻中止します。

 第九に、政党助成制度を廃止し、政治腐敗の根源である企業・団体献金を全面的に禁止します。

 以上、編成替えの内容は、お手元配付の文書のとおりです。

 委員各位の御賛同をお願いし、趣旨の説明を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

大島委員長 これにて両動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

大島委員長 これより討論に入ります。

 平成二十七年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議二件を一括して討論に付します。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。平沢勝栄君。

平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。

 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となっております平成二十七年度予算三案に対しまして、賛成の討論を行います。

 安倍内閣発足から二年三カ月がたちました。安倍内閣の経済財政政策、アベノミクスは、着実にその成果を上げています。経済指標を見てみますと、有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準、平成二十六年の賃上げ率は過去十五年間で最高となるなど、経済の好循環が確実に生まれています。個人消費等に一部弱さが見られるものの、足元では十―十二月期の実質GDP成長率が三四半期ぶりの前期比プラスとなるなど、景気回復の兆しがしっかりと見えています。

 こうした景気回復の兆しを確かなものとし、地方にアベノミクスを広く早く行き渡らせることを目的とした二十六年度補正予算が先月成立しました。平成二十七年度予算は、この補正予算に引き続き、景気回復の実感を全国津々浦々に届けていくものであります。

 以下、平成二十七年度予算三案に賛成する主な理由を申し述べます。

 賛成する第一の理由は、この予算が、地方創生や子育て支援など、我が国が抱える諸課題への対応を力強く推進する予算となっていることであります。

 まず、地方創生の観点から、魅力あふれるまちづくり、人づくり、仕事づくりを推進しています。具体的には、まち・ひと・しごと総合戦略等を踏まえた個別施策に〇・七兆円を措置するほか、地方創生の取り組みに要する経費につきまして、地方財政計画の歳出に一兆円を計上しています。

 また、女性が輝く社会の実現に向け、子育て支援を充実するとともに、介護職員の処遇改善や認知症対策の充実など、医療、介護分野の充実も可能な限り実施し、暮らしの安心を確保することとしています。

 賛成する第二の理由は、二〇一五年度の国、地方の基礎的財政収支の赤字の対GDP比半減目標を達成する予算となっていることであります。

 安倍内閣では、これまで二カ年の予算編成におきまして、経済再生の取り組みや消費税率の引き上げにより税収を増加させる一方、生活保護の見直しや社会保障の自然増の徹底的な見直しなど、歳出の重点化、効率化を進めてこられました。

 税収、税外収入の増加に加え、歳出の徹底的な重点化、効率化を行ったことにより、二十七年度予算につきましては二〇一五年度の財政健全化目標の達成が見込め、さらに、二〇二〇年度の国、地方の基礎的財政収支の黒字化目標につきましてもしっかりと堅持しています。

 以上、本予算案に賛成する理由を申し述べました。

 経済再生と財政健全化の両立、この道しかありません。来年度予算は、まさにこの道しかない予算であります。議員各位の御賛同を強くお願い申し上げます。

 なお、維新の党提出の編成替え動議及び共産党提出の編成替え動議につきましては、見解を異にするため反対することを申し述べまして、私の賛成討論とさせていただきます。(拍手)

大島委員長 次に、山井和則君。

山井委員 民主党・無所属クラブの山井和則です。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提出の平成二十七年度予算三案について、反対の立場から討論いたします。

 審議の中で、補助金等を差配できる大臣が補助金の交付先から献金を受けていたことが発覚しました。これは本予算案の根幹にかかわる重大な問題です。安倍総理は、当事者に対し、国会で説明責任を果たさせる必要があります。また、問題解決に向け、私たち民主党は新たなルールの提案の準備をいたしております。与党には真摯な対応を求めます。

 安倍政権は、本予算案を経済再生と財政再建の両立を実現する予算と称しています。しかし、実態は、甘い経済見通しのびほう策にすぎず、膨張した公共事業費には手をつけず、二十六年度補正予算に一部予算を押し込んでも一般会計総額は過去最大規模であり、財政再建への道を一層イバラの道にするものです。しかも、日本銀行による事実上の財政ファイナンスにより、日本経済のリスクはかつてないほど高まっております。

 総理は景気回復を強弁していますが、実質賃金は十九カ月連続でマイナスとなり、国民生活は厳しさを増しています。しかも、本予算案には、実質的には過去最大の介護報酬引き下げや、実質的には史上初の障害福祉報酬引き下げ、そして子育て給付金の減額など、特に弱い立場の方々の生活や命を脅かす予算の削減が含まれています。雇用の足を引っ張る外形標準課税の拡大などの税制改正と相まって、消費はますます低迷し、格差が拡大する可能性が高いと言わざるを得ません。

 地方創生関連予算は従来どおり霞が関主導で、地域の自主性、独自性発揮を阻むものになっています。また、戸別所得補償制度の固定支払い部分が昨年度から半減されたことが、昨秋の米価下落とともに農家に打撃を与えています。

 東日本大震災から丸四年がたちましたが、今も仮設住宅で二十三万人もの方が暮らしています。アベノミクスによる人件費と資材の高騰で、住宅再建もままならない状況で、このままでは、地方、とりわけ被災地から人口流出が加速する一方です。

 以上、指摘してきたとおり、本予算案は、経済再生、財政再建、地方創生、震災復興にはほど遠く、羊頭狗肉の予算であり、到底賛成できません。

 なお、維新の党及び日本共産党提出の動議については、見解を異にするものであり、賛成しかねます。

 最後に、民主党は、分配と成長を両立させる経済政策により国民生活を向上させていくことを国民の皆様方にお誓い申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

大島委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 井坂信彦です。

 維新の党を代表して、平成二十七年度一般会計予算、特別会計予算並びに政府関係機関予算につき、反対の立場から討論をいたします。

 安易な増税に頼り、歳出削減を後回しにした国は、ほとんど財政再建に失敗をしております。しかし、政府提出予算案では、歳出が昨年度当初予算から四千五百億円ふえており、三年連続の増加となります。国の借金は全て子供や孫の世代が返済することになります。世代間格差是正のためにも、歳出の増加を食いとめる必要があります。

 しかしながら、震災復興のために減額していた国会議員歳費と公務員給与はもとに戻され、さらに、来年度予算で国家公務員給与は五百億円ふえています。これでは、歳出削減にも増税にも国民の理解は得られません。

 安倍政権がふやし過ぎて毎年何兆円も余っている公共事業費、十三兆六千三百億円に上る積立金を持つ労働保険特別会計、GPIFを除いても、流動資産合計百七兆円、純資産合計三十二兆円となっている独立行政法人、そして基金、これらの無駄の削減も全く不十分であります。

 一方で、年金額の少ない高齢者向け給付金、あるいは低所得者の介護保険料軽減、年金受給資格期間の短縮、これらは実現されずに先送り。

 さらには、消費拡大の経済政策が不十分、不適当であります。

 国民の実質賃金が十九カ月連続で下落している中で、安倍政権は、裕福な祖父母から子や孫への贈与を次々と非課税にして、子育て世代の格差を拡大させています。低所得者と一般の子育て世帯のために、保育、子供向け医療、教育、福祉、いずれかで使用可能なクーポン制度を導入すべきであります。

 以上、身を切る改革も無駄削減も不十分な中で国民に痛みを真っ先に押しつけ、そして家計の消費をふやす政策は不十分、ほかにも、地方政策やエネルギー政策、復興政策が不適当な政府予算案には賛成することができません。

 なお、共産党提出の編成替え動議については、見解が異なるので反対をいたします。

 以上です。(拍手)

大島委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 公明党の樋口尚也です。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成二十七年度予算案三案に対して、賛成の立場から討論を申し上げます。

 安倍内閣発足から二年余り、日本経済はデフレ脱却に向けて大きくかじを切りました。そして、政権が安定をし、安定が希望となり、日本に希望の光が見えていることは紛れもない事実であります。三年目の正念場、切れ目のない経済対策を実行するためにも、本丸の本予算案の一日も早い成立、執行を期していかなければなりません。

 以下、公明党の主張が随所に盛り込まれている本予算案に賛成する理由を申し上げます。

 第一に、税と社会保障の一体改革が遅滞なく実行されている予算になっている点です。

 消費税率の引き上げを一年半延期した一方で、公明党の主張どおり、子ども・子育て支援新制度について、来月、平成二十七年四月から予定どおり開始されることになります。保育の受け皿となる施設、人材の確保に向けて早期執行が期待をされています。

 また、介護のかなめである人材確保は喫緊の課題であります。介護職員の報酬について一万二千円引き上げ、平成二十一年から合わせて四万二千円の処遇改善を実現したことは第一歩であります。

 さらに、消費税増収分を活用し、医療、介護専門職による認知症初期集中支援チームを平成三十年度までに全市町村に配置することとしております。国家課題の一つである認知症対策も着実に進めていかなければなりません。

 第二に、東日本大震災からの復興を加速するために必要な予算である点です。

 次の新たな復興に向けて、復興財源の確保と適切な執行を含め、国として万全の対応を講ずる必要があります。本予算案によって、おくれている住宅再建や、就労、健康、生活、心の復興まで、全ての面でよりきめ細かな支援が行われることが期待をされています。公明党は、これまで以上に被災地と被災者に寄り添い、復興に全力で取り組んでまいります。

 第三に、地域経済の活性化と地方創生を後押しする予算である点です。

 特に、公明党の「活気ある温かな地域づくりをめざして」と題した提言の多くが盛り込まれました。新規就農・就業者への支援、また、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえられるよう約一千億円の個別施策が計上されていることも評価をいたします。

 地方創生では、地域の実情に応じたきめ細やかな政策が講じられるよう、自治体の予算編成の指針、地方財政計画に、地方創生に向けた経費として一兆円を計上しており、地域の創意工夫に応える予算となっております。

 また、本予算案は、財政健全化も着実に進める内容となっています。

 以上、賛成する主な理由を申し上げました。

 維新の党、共産党提出の、撤回のうえ編成替えを求める動議については、見解を異にすることから反対であることを申し上げます。

 公明党は、国民の皆様が景気回復を実感できるように、さらに景気対策等、全力で取り組んでまいることをお約束し、私の賛成討論といたします。

 ありがとうございます。(拍手)

大島委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一五年度総予算三案に反対、維新の党提出の組み替え動議に反対、我が党提出の組み替え動議に賛成の討論を行います。

 第一に、予算案は、消費税増税後の景気悪化で苦しむ国民に、社会保障の負担増と給付削減の追い打ちをかける一方で、円安で史上最高の利益を上げている大企業には、法人実効税率を二年間で三・二九%引き下げ、一兆六千億円もの減税や、研究開発減税等の優遇減税を進めようとしていることです。これでは、大企業の巨額な内部留保をさらにふやすだけです。

 今求められているのは、雇用の七割を支える中小企業への支援とあわせ、最低賃金を抜本的に引き上げるなど、国民の懐を直接暖める政策です。

 第二に、政府は、消費税増税は社会保障の充実のためといいながら、昨年の骨太方針で、社会保障予算の自然増削減方針を打ち出し、年金削減、高齢者医療の窓口負担増、介護報酬大幅削減、生活保護の連続削減など、社会保障の全面改悪に乗り出しています。

 格差が大きく話題になっている中で、その要因である非正規雇用や賃金を上げることこそ求められているのに、生涯派遣の労働者派遣法改悪案や残業代ゼロ法案などの労働法制改悪は、全く逆行しています。

 国民生活に密着する農業や教育予算も極めて不十分です。

 国民の暮らしを犠牲にし、格差を一層拡大する予算は認められません。

 東日本大震災と原発事故から四年がたちました。いまだ二十三万人にも及ぶ人々が避難生活を強いられています。被災者生活再建支援金を五百万円へ引き上げることは急務です。住宅となりわい、地域社会の復興に国が最後まで責任を負うべきです。

 原発事故は、収束どころか、原因究明もされていません。汚染水や労災の増加など、事態はむしろ深刻化し、今なお多くの方々が苦しんでいるもとで、原発再稼働などあり得ません。

 第三に、憲法九条をじゅうりんし、集団的自衛権行使の安保法制と一体で、軍事費は四兆九千八百一億円と史上最高となり、一四年度補正予算を含めると五兆円を超えます。ステルス戦闘機、イージス艦、オスプレイなど、戦争する国づくりを一層強力に推進するものであり、反対です。

 沖縄県民の民意を踏みにじる辺野古新基地建設を撤回し、普天間基地の即時閉鎖、無条件撤去、返還を求めます。

 最後に、政治と金の問題が厳しく問われています。企業・団体献金の全面禁止、政党助成金廃止を強く求めます。

 以上、討論を終わります。(拍手)

大島委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大島委員長 これより採決に入ります。

 まず、今井雅人君外一名提出の平成二十七年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大島委員長 起立少数。よって、今井雅人君外一名提出の動議は否決されました。

 次に、高橋千鶴子君外一名提出の平成二十七年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大島委員長 起立少数。よって、高橋千鶴子君外一名提出の動議は否決されました。

 次に、平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算、平成二十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大島委員長 起立多数。よって、平成二十七年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十七年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大島委員長 この際、一言申し上げます。

 去る二月十八日の審査開始以来、委員各位には終始真剣な議論を重ねていただき、本日ここに審査を終了いたしました。

 また、委員会運営につきましては、理事各位の皆様方は、お互いに信頼を重ねて、運営円満に努力されたことに敬意を表します。

 これもひとえに各党の理事及び委員各位の御理解と御協力のたまものと存じます。ここに深く感謝の意を表する次第であります。ありがとうございました。(拍手)

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十九分散会


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