衆議院

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第18号 平成27年3月30日(月曜日)

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平成二十七年三月三十日(月曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 大島 理森君

   理事 金田 勝年君 理事 熊田 裕通君

   理事 萩生田光一君 理事 原田 義昭君

   理事 平沢 勝栄君 理事 森山  裕君

   理事 前原 誠司君 理事 今井 雅人君

   理事 上田  勇君

      秋元  司君    石原 宏高君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      金子 一義君    金子めぐみ君

      神山 佐市君    小池百合子君

      小林 鷹之君    田所 嘉徳君

      土井  亨君    長坂 康正君

      根本  匠君    野田  毅君

      藤原  崇君    古屋 圭司君

      星野 剛士君    宮崎 謙介君

      保岡 興治君    山下 貴司君

      山本 幸三君    山本 有二君

      小川 淳也君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    階   猛君

      玉木雄一郎君    辻元 清美君

      馬淵 澄夫君    山井 和則君

      井坂 信彦君    重徳 和彦君

      松木けんこう君    松浪 健太君

      岡本 三成君    中野 洋昌君

      吉田 宣弘君    赤嶺 政賢君

      高橋千鶴子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      宮沢 洋一君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    望月 義夫君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       竹下  亘君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       山谷えり子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     山口 俊一君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   有村 治子君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  鈴木 俊一君     藤原  崇君

  平口  洋君     神山 佐市君

  小川 淳也君     玉木雄一郎君

  樋口 尚也君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     平口  洋君

  藤原  崇君     鈴木 俊一君

  玉木雄一郎君     小川 淳也君

  吉田 宣弘君     樋口 尚也君

同日

 理事平口洋君同日理事辞任につき、その補欠として熊田裕通君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

三月二十七日

 平成二十七年度一般会計暫定予算

 平成二十七年度特別会計暫定予算

 平成二十七年度政府関係機関暫定予算

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成二十七年度一般会計暫定予算

 平成二十七年度特別会計暫定予算

 平成二十七年度政府関係機関暫定予算


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     ――――◇―――――

大島委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事平口洋君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に熊田裕通君を指名いたします。

     ――――◇―――――

大島委員長 平成二十七年度一般会計暫定予算、平成二十七年度特別会計暫定予算、平成二十七年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して議題とし、審査に入ります。

 まず、三案の趣旨について政府の説明を聴取いたします。麻生財務大臣。

    ―――――――――――――

 平成二十七年度一般会計暫定予算

 平成二十七年度特別会計暫定予算

 平成二十七年度政府関係機関暫定予算

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 このたび、平成二十七年四月一日から四月十一日までの期間の暫定予算を編成することといたしました。その概要につきまして御説明をさせていただきます。

 まず、一般会計について申し上げます。

 歳出につきましては、暫定予算が本予算成立までの応急的な予算であることに鑑み、暫定予算の期間中における行政運営上必要最小限の金額を計上することといたしております。

 そのうち、社会保障関係費につきましては、必要な年金給付に係る経費等について、所要額を計上することといたしております。

 また、地方財政につきましては、四月に交付する地方交付税交付金等に係る所要額を計上することといたしております。

 なお、新規の施策に係る経費につきましては、期間中に特に必要があるものを除き、原則として計上しないことといたしております。

 歳入につきましては、税収及びその他収入の期間中の収入見込み額を計上することといたしております。

 以上の結果、今回の一般会計暫定予算の歳出総額は五兆七千五百九十三億円、歳入総額は二百六十三億円となります。

 なお、歳出超過となりますが、国庫の資金繰りにつきましては、必要に応じ財務省証券を発行することができることといたしております。

 次に、特別会計及び政府関係機関の暫定予算につきましても、一般会計に準じて編成をいたしております。

 以上、平成二十七年度暫定予算につきまして、その概要を御説明させていただきました。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

大島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

大島委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として日本放送協会会長籾井勝人君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として資源エネルギー庁長官上田隆之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉木雄一郎君。

玉木委員 おはようございます。民主党の玉木雄一郎です。

 まず、通告にないんですけれども、総理、深夜の帰国で、シンガポール、本当にお疲れさまでございました。

 報道によりますと、朴槿恵韓国大統領とお話をされたという報道がありましたけれども、どういうお話をされたのか、特に、今話題になっておりますけれども、アジアインフラ投資銀行、いわゆるAIIB、こういったことももし話が出ているのであれば、あわせて御紹介いただければと思います。

安倍内閣総理大臣 昨日、シンガポール建国の父であるリー・クアンユー元首相の葬儀に参列をしてまいりました。

 その際、これは、葬儀が終わりましてから、車列ができるまでの間でございますので、大体五分ぐらいしかないわけでございますが、その間、多くの、インドネシアのジョコ大統領やインドのモディ首相等、また、オーストラリアの首相もおられましたので、そうした方々と言葉を交わす中において、朴槿恵大統領ともお話をする機会がございました。

 その際は、先般の日中韓の外相会談が朴槿恵大統領の指導力によって開催をされた、今後この日中韓の会議が首脳レベルに引き上げられていくことが期待されますというお話をさせていただきました。

玉木委員 ありがとうございます。

 それでは、本題に移りたいと思います。

 きょうは、年度末ということで、行政改革の観点から、予算の効率的執行という観点で、主に二点質問させていただきたいと思います。一つは内閣府における公用車の運用についてと、もう一つは農業予算についてであります。

 資料の一、二をごらんいただきたいと思うんですけれども、まず、二のところ。少しこれは整理をいたしましたけれども、これまで、内閣府は、御存じのとおり大臣がたくさんいらっしゃいますので、それぞれ大臣車を購入して、それを運用しておるんですけれども、これを見ていただくとわかるんですが、例えば、前山本大臣、森大臣、稲田大臣のところに書いていますけれども、たしか内閣府の運用では、大体十二年使ってから買いかえる、あるいは十万キロになったら買いかえる、どちらか早い方が到達した時点で買いかえるというルールでこれまでも運用してきたと思います。

 そして、今、この右側に書いていますけれども、山口大臣は少しずれますけれども、有村大臣と石破大臣はほぼ同じ時期なんですが、二〇一三年の六月、十一月に、現在使用している車は買っています。アルファードという大きな車は、二〇一二年十一月に購入していますから、それを現在の大臣もお使いになっているということであります。

 ここで質問ですけれども、石破大臣でありますが、一年三カ月前に購入したクラウンを乗りかえて、現在、レクサスという高級な車、加えてレンタカーで今使用しているということなんです。私、レンタカーで大臣車を使っているという例は、これは事務方にも確認しましたけれども、かつてないと思うんですけれども、まず、これが事実なのかどうかということと、なぜまだ一年三カ月しか使用していないクラウンから乗りかえて、レクサスをレンタカーで使用されているのか、その点について御説明いただけますか。

菅国務大臣 内閣府の特命担当大臣の公用車についてでありますけれども、これまでクラウン及びアルファードを配置したということは事実であります。その中で、一定の年数や走行距離を超えた公用車は毎年更新をいたしております。

 今般、石破大臣車をレクサスとしたのは、国務大臣が最高水準の技術を導入した車両を使用することによって日本の技術力の高さというものを発信すると考え、実施したものであります。

 当然、石破大臣が今利用しておりますクラウンですか、これについては省内で使用していくことになっております。

 毎年、一定の走行距離あるいは年数がたったものについては、更新、これは十台ぐらいしていますので、その一環というふうに考えております。

玉木委員 済みません、まず、なぜレンタルなのかということと、もう一つは、今官房長官からもありましたけれども、年数がたてばかえるのは当然だと思います。ただ、私申し上げたように、一年三カ月しかたっていないものをなぜかえたのか、このことについて質問したんですけれども、いかがでしょうか、二点。

菅国務大臣 石破大臣、今利用していますクラウンですか、これはそのままこれからも、一年ちょっとですから、使用していきますけれども、十台ほどかえる車がほかにあるということです。ですから、新しい車を買う必要があるという中で、今申し上げましたけれども、レクサスにさせていただいたということです。

 内閣府として、レンタルですけれども、初めて導入する車種、レクサスは初めてだそうでして、運転手の車両への習熟を高める必要がある、だから、そういうことを事務方で判断してレンタルにしたという報告を受けています。

玉木委員 習熟を図るためにレンタカーをあえて入れなきゃいけないというのは、私はちょっとこれは納得できないんですけれども。

 これは、今、官房長官、レクサスは年度末か何かに購入の予定が既にあるということでしょうか。購入の前までにレンタルで習熟をしておかなければいけないということでしょうか。

菅国務大臣 今年度一台、来年度三台という報告を受けています。

玉木委員 私は、これは申し上げましたけれども、大体十二年使う、あるいは十万キロ走るというのが原則だと思うし、それは守られていると思うんですね。それを、一年三カ月しか乗っていないのに新たに新車を購入するということが私は理解ができませんけれども、新たにこれは大臣、ふやすんでしょうか。今既にあるのに、なぜまだ年数がたっていないのに新たに購入までしなければならないのか、そして習熟を図るために乗らなきゃいけないのか。

 これは実は、細かい話なんですけれども、事務方に聞いたので、ちょっと説明します。

 今乗っているレクサスLS四六〇と三月末に購入予定のLS六〇〇hというのは、微妙に車種が違うんですね。もし習熟を図るんだったら、なぜ同じ車種で習熟を図らないのか。これはわかりません。もう一度答弁いただけますか。理解ができないので、お願いします。

菅国務大臣 今、石破大臣が利用しているクラウンについては、確かに時間はたっていません。しかし、内閣府で所有するほかの車を、一定の走行距離とか経年になったのでかえるということでありますので、そこに回してレクサスをということだけの話だというふうに聞いています。

 さらに、レクサスについて、内閣府として今まで利用したことがないものですから、それは運転手さんの習熟を高める必要があったということでレンタカーにしたという報告を受けておるところであります。

玉木委員 納得できませんね。

 ほかに回す必要があるというんですけれども、誰が使うんですか。クラウンRS、では、これはほかに回して新たに購入するんでしょうけれども、大臣車に相当するものに内閣府でほかに誰か乗られる方がいらっしゃるんでしょうか。

 申し上げたように、山口大臣のも有村大臣のも、甘利さんもそうですけれども、今まだ新しいですよね。買いかえ時期が来ていません。にもかかわらず、新たに、さっき新年度は三台とおっしゃいましたけれども、これは三台も同じレクサスを買われるということですか。合わせて四台になりますね、年度末購入の一台と合わせると。さらに四台、最高級クラスのレクサスを内閣府は御購入されるという今答弁だったんですけれども、それはよろしいんですか。あるいは、四台は誰がどう使われるんですか。

菅国務大臣 来年度に新たに三台を買い求めるということは報告を受けております。

 いずれにしろ、先ほど申し上げましたけれども、一定の時間がたつと公用車は更新をしています。一年間に十台ほど更新をしているということでありますので、それを、例えば一年ぐらいしかたっていないとしても、石破大臣のほかで、内閣府の中で使用するわけでありますから、それは全くおかしくないというふうに思います。

 それと、新しく三台買うということでありますけれども、国務大臣が日本の最高水準の技術を導入した車両を使用することによって日本の技術力の高さを発信するということは、ここは私は必要だというふうに思います。

 ただ、レクサス三台、正直言って、私は、これは今回の委員からの質問で初めて報告を受けました。これについては、レクサスだけでなくて、水素自動車、日本の水素燃料電池車というんですか、こうしたことも含めて、もう一度白紙に戻してここは検討する必要があるだろうというふうに私自身は今考えています。

玉木委員 官房長官、私はちょっとまだわかりません。

 今のクラウンがもう古くなっていれば買いかえたらいいと思うんですけれども、まだ一年三カ月しか使っていないし、では、今の石破大臣だけじゃなくて、ほかの、山口大臣とか有村大臣、皆さんのもかえていくという答弁なんですか、大臣が最高級のものに常に乗り続けるということであれば。

 ちょっとこれは細かい話かもしれませんけれども、我が国が今一千兆円の借金を抱えて、内閣府は、行革担当大臣も抱える、やはり最も範を示していかなければならない役所だと私は思うんです。こういうことからしっかりと足元を見直していかないと、行政改革というもの、財政再建というものは私は進まないと思うんです。

 例えば、クラウンの価格は約五百万円だと聞いています。レクサスにすると一千百万円ぐらいなので、約倍になりますね。ですから、もちろん、最新の自動車に大臣が乗ることによって日本の技術力を見せていく、そういう趣旨もわからぬではないですけれども、現在の厳しい財政事情を考えると、そしてまた一年三カ月しか使っていないことを考えると、私は、やはりもう少しきっちりと節約、冗費の節減といったようなことには、内閣府が率先して範を示すべきだと思います。

 最後に、石破大臣、どうですか、これは。どういう理由で、内閣府から、最高級の車に石破大臣乗ってくれと要請されて乗るようになったんでしょうか。

石破国務大臣 委員が御配付いただきました資料でございますが、「最高級レクサス(LS六〇〇h)」と書いておりますが、たしか四六〇ではなかったかなというふうに覚えております。最高級のものでもございませんし、最高級に乗ってくれというふうに言われたこともございません。今官房長官からの御答弁があったとおりです。

玉木委員 これは、今いろいろやじも飛びましたけれども、大事なことだと思います。

 農林水産省とかだと、伝統ある役所はセンチュリーに乗っていますよね。私は、だから、大臣がセンチュリーに乗るなとは言いませんし、そういうことをずっとやってきた歴史があるんだったら、それは構わないんですが、ある一定のルールのもとにやってきたことを途中で何かねじ曲げることによって、例えば一人の大臣がレクサスにどうしても乗りたいと言うと、では、それに、むしろ上の方に合わせなきゃいけなくて、三台新たに新年度で購入するというようなことになったとしたら、それはまた歳出が膨らむわけで、財政再建についても強い思いのある石破大臣だと思いますので、こういったことは、内閣府から、ぜひ大臣から範を示していっていただきたいということを強くお願いして、次の質問に移りたいと思います。

 資料三をごらんください。農林水産予算についてであります。

 これも何度も本委員会で取り上げましたけれども、いわゆる米価が下落して、それに対する対策として積んだ稲作農業の体質強化緊急対策事業というものがございます。これは、約二百億円を補正で積んで、何とか使ってくださいといって、実は一回やったんだけれども、それでもなかなか使ってもらえなくて、余るので、都合二回にわたって期限を延長してやったんだけれども、結果がこれです。

 執行率でいうと、二百億円のうち七十八億円、三九%だけが使われた。半分以上余っているわけですね。面積ベースでいうと、これは主食用米の全作付面積でいうと、約二三%の面積しか対象になっていないということであります。これはやはり大変問題が多い予算だったというふうに私は思います。

 これは百億円以上余っていますけれども、年度がもうこれで閉まります。国庫返納されますよね。

林国務大臣 未執行額につきましては、不用ということで整理をさせていただきたいと思っております。

玉木委員 これは林大臣、よく御存じだと思いますけれども、コスト低減策としてやっている予算なんですね。これは皆さんも地元でいろいろな不満、希望、陳情、いろいろなことを受けていると思いますけれども、コスト低減の取り組みに新たに取り組んだら、それに対してお金を出しましょうということになっていたんです。

 ただ、実際はどうなっているかというと、新規のコスト削減策にも取り組まなくていいですよ、二%のコスト削減が目標になっているんですが、実際二%削減したという証拠も出さなくていいですよと。実際は、コスト削減策に対する支援でも何でもなくなっているんですよ。実際は、面積に応じて払うような面的払いになっている。

 本当は、戸別所得補償の変動払いのような、米価が下がったらそれに応じて面積で分配する、交付するというのが一番わかりやすかったんですけれども、そういうことではまた戸別所得補償に戻っちゃうというようなことを言われるので、コスト削減策に対する支援だといって無理やり要件をつけて説明したので、私は予算の執行がおくれているんだと思いますよ。

 ですから、やはりこういったものは、使い切れなかったことについての分析、反省をしっかりして、余った予算についてはしっかりと返していただくということをしていただきたいと思います。

 もう一つ、下の四の資料を見てください。

 これも何度もこの委員会で取り上げましたけれども、今、安倍政権、安倍農政の中での一つの大きな柱になっています農地バンクの制度、そして予算であります。

 これも、農閑期になったらもっと農地が出てきて受け手に回ってマッチングするという説明を何度も受けましたけれども、これも、ごらんください、補正を入れたベースで書いています。最新のデータは十二月末、これしか出てきていないのでこれしか入れていませんけれども、どう見ても年度内にこれを全部執行するのは無理だと思いますよ。

 特に、補正で積んだ、これは麻生大臣にも答えていただきました、あるいは主計局長にも答えていただきましたけれども、受け入れ希望が予想より九万ヘクタールふえたので、その分、二百億乗せましたという説明を何度も私も受けました。しかし、年度がもうすぐ終わりますけれども、これは絶対使い切れないですよ。使い切れないと思いますから、これも、使い切れないんだったら、年度を越えたら二百億返還すべきだと思いますけれども、いかがですか。

林国務大臣 当然、予算でございますので、原則そういう形でやっていかなければいけないと思っております。

 一方で、これも委員とも何度か御議論させていただきましたが、借りたいという方が随分たくさんおられます。したがって、しっかりと出したいという方の発掘に努めていって、どちらも少ないという状況ではなくて、借りたいという方は大変想定を上回る地域もあるぐらいたくさんいらっしゃる中で、しっかりと、意義ある事業でございますので、執行に努めていきたいというふうに思っております。

玉木委員 これはなかなか執行は難しいと思いますよ。

 受けたいという人は二十三万ヘクタールありますけれども、出したいという人は、これは最新の資料をいただいていませんけれども、その約十分の一の二万ヘクタールぐらいですよ。幾ら受けたいという人が二十万以上いても、出したいという人がそもそも二万ぐらいしかいなければ、予算の執行なんかできないし、マッチングなんかできないんですよ、これは。そういうところの分析をして、やはり予算をしっかりと計上して、執行状況も見ながら来年度予算につなげていくということが重要だと思います。

 次の資料、五、六を見ていただきたいんですが、私は、民主党時代の戸別所得補償制度を金科玉条というか、これが全て一〇〇%正しいとは思いませんが、ただ、この間やってきた、それは自民党政権になってからも一年間継続していただいた、この四年間の分析はやはりした方がいいと思うんです。

 なぜかというと、これはたしか参議院の予算委員会で、我が党の羽田議員が総理に、なぜ所得補償をやめたんですかというふうに質問をした際に、総理はこのように答えています。旧戸別所得補償制度については、担い手への農地集積のペースをおくらせる面があったと。林大臣からもこういう答弁をいただいていますが、私はこれは事実に反すると思います。

 資料を見てください。

 農水省は、集積が進んでいくということをあらわす数字として、この権利移動面積をいつも挙げますけれども、平成十九年、これは、いわゆる品目横断とか入れて、麦とか菜種に対してきちんとゲタが入った、所得が安定したときに、ここには書いていませんが、十七年、十八年に比べてぐっと農地の権利移動面積がふえます。

 ただ、一旦これが落ちついて、どんどんどんどん下がってきていたんですね。それが、平成二十二年に所得補償制度のモデル事業を入れたことによって、むしろこの権利移動面積のペースが落ちていたのが歯どめがかかって、ふえているんです。

 これが何をあらわしているかというと、戸別所得補償制度がすばらしいということじゃなくて、自民党時代の品目横断も含めて考えてみると、やはり所得を安定させる仕組みを入れたときに初めて面的集積が始まると思うんです。何でかというと、ことしのことをよく見るとわかるんですが、米価が下がったりすると、怖くて面積を拡大できないんです、大規模農家が。

 ですから、安心して面的集積を行えるセーフティーネット、環境整備をすることが実は面的集積を後押しするという面も、これはもう戸別所得補償が憎いとか憎くないとかじゃなくて、この所得補償が果たしてきた意味については、もう一度分析をしていただきたい。

 資料の六です。

 これは所得補償の所得への効果なんですが、これも同じです。二十一年度までずっと下がり続けてきたのが、二十二年にモデル事業を入れたことによって、対前年度一七%、農業所得がふえています。覚えていらっしゃると思いますが、二十二年もことしと同じで、六十キロ二千から三千円下がった年なんですね。米価が下がったのに、対前年度一七%、農業所得、これは統計上の概念です、これがふえて、そしてさらにふえる傾向がある。

 二十三年度は東日本大震災があったのでちょっと減っていますけれども、二十四年度、これは自民党政権になってからも一年間続けていただきましたから、この傾向については、やはりこれはもう一度謙虚に分析していただくことが必要だと思っています。

 そこで質問です。資料七を見てください。

 これは、今般、食料・農業・農村政策審議会でも原案として出されましたけれども、いわゆる政府・与党が掲げている農業・農村所得倍増計画についてであります。これは私がつくったものではありません。審議会が出した資料です。

 ここにあるように、農業所得は二・九から三・五兆円に十年間で二割増し、一・二倍になるということになっています。倍になっていませんね。でも、合計したものは四・一から八兆円に二倍になるとなっています。

 ここを捉えて、これは農業所得倍増ではないことがポイントで、農業・農村所得倍増計画にあえてしていることが問題なんです。

 では、何を入れているかというと、ここです、オレンジ色のところを見てください。農村地域の関連所得が一・二兆円から四・五兆円になって三・八倍にふえるので、これらを足し合わせると二倍になって、農業所得は二割増ししかならないけれども、農業・農村所得は倍増しますという説明をしているんです。

 でも、これは、テレビに出るとき、新聞に出るときは農業所得倍増とか出るんですが、私、これは明らかに誤解を与える表現だし、そうなっていると思うんです。

 質問なんですけれども、関連所得、これは何度聞いてもわからないんですね。統計上の概念じゃないと思います。

 一つ例を挙げます。

 農業所得は、酪農、畜産、それと牛肉、豚肉、乳製品、米、麦、菜種、全て農産物が入っています。しかし、関連所得になった途端、例えば輸出とかが入ってきて、そこには海産物、缶詰、こういうものの増加分も全部ここに入れるんです。私はとてもこれは、学生の論文なら落第ですよ。

 これをもって倍増というのは少しきついと思うので、私、十年で二割、いいじゃないですか、十年で二割農業所得がふえるというのはいい目標だと思うので、このことをもっときちんと語って、余り誇大広告のような倍増目標というのはもう取り下げて、現実的な目標の中で進めていった方がいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 私の方で農業だけと言うつもりはないんですが、確かに、今、玉木委員からお話があったように、農業所得倍増とつづめて、ポツ農村ということを言わずに報道につながっているケースが全くないかというと、我々も気をつけて見ていきたいと思っております。

 この間も、あるBSのテレビに出たときも、最初のフリップが農業所得倍増となっておりましたので、私の方からお願いをして、農業・農村所得倍増なんだということを、フリップも直していただいて御説明をしたところでございます。

 この計算に当たっては、これはまた議論を深めていきたいと思っておりますが、いろいろな、再生可能エネルギーなども含めて農村に帰属する部分の割合というのも掛けて、例えば今おっしゃったサバの缶詰全部の売り上げがそのまま入るということではなくて、農村にどれだけ売り上げとして帰属するか、売り上げのうちでどれぐらいが所得としてなるのかということを掛け合わせて推計をして足し上げていく、こういう手法をとっておりますので、また、きょうは時間もありますから、農林水産委員会でしっかりと御議論させていただきたい、こういうふうに思います。

玉木委員 とにかく、事実をしっかり伝えるということを心がけていただきたいと思います。

 最後に、農協改革について総理にお伺いしたいと思います。

 岩盤規制にドリルで穴をあけるということの一つの典型だったと思いますけれども、これはドリルで穴があいたのかどうか。

 資料八を見ていただくと、中央会の指導とか監査によって現場の地域農業が縛られているということは、私はないと思うんです。一部そういうケースがあると思うんですが、私、こういうケースをよく聞く。皆さんも、与党の先生も今聞かれていると思いますので紹介しますけれども、農協を利用しないと補助金が受けられない、これはあるんです。

 その一つの例は、ナラシ移行のための円滑化対策を今やっていますけれども、これは、私、毎日のように地元の農家の皆さんから、不満の声と、説明してくれと言われるんです。与党の政策なので私が説明するのはどうかと思うんですが、説明しているんですけれども。

 どういうことかというと、ナラシに加入していない人が、ことしに限っては、これまでやってきた国の補助分の半分、三三・七五%をいただけるという制度があって、そのことを受けようと思って申請したら、農協に出荷したお米の分については全部もらえるんですよ。でも、消費者に直接売ったり商系に売ったものについては、検査証明がないと受けられないということになって、事実上もらえない。つまり、農協に出さないと補助金がもらえないということになって、これはまさに、現場の農家の自由な、どこに売るかとかということを妨げているんです。

 ただ、これは中央会が悪いんじゃなくて、そういう制度になっていることが問題なので、本当にやるべき改革、あけるべき岩盤というのは、中央会だけではなくて農政の中そのものにもあると私は思っているんですけれども、総理、ドリルで本当に農政改革、穴はあいていますでしょうか。

林国務大臣 事実関係のこともちょっとございますが、今おっしゃったお話は、農協に出荷しなかったからではなくて、数量確認を、第三者で検査をしなかったからというのが正確な言い方だというふうに思っております。

 このナラシ移行対策の円滑化対策は、米の補填が行われる場合にナラシで国費分相当の五割を交付するんですが、この交付対象となる米は、農産物検査を受けて三等以上のものでなくてはいけないと。これは、農協の検査じゃなくちゃいけないと書いてあるわけじゃなくて、検査を受けなければならないと書いてあるわけでございまして、したがって、JA系統に出荷するか否かにかかわらず、この検査はしていただかなければならない。

 この旨は先生からも、野党ながらも御説明いただいているということでございますが、この要件について、昨年来、個々の農業者にチラシも直送して周知をしてきたところでございます。

安倍内閣総理大臣 私たちが進めている農協改革は、農協改革も含めて農政全般の改革を行っていく必要があると思っております。

 平均年齢は六十六歳を超えているわけでございますから、この農政改革は待ったなしだということについては委員も同じ考えなんだろうと思います。

 そこで、先ほど来御紹介もございましたが、集積バンクを創設していくことによって担い手に集めていく、あるいはまた輸出促進、六次産業化などの推進をしていく、また、今般、意欲のある農業の担い手が活躍しやすい環境としていくために農協、農業委員会、農業生産法人の三つの改革を一体的に行うこととしております。

 特にそこで、農協改革については、地域農協について、農業者のメリットが最優先されるよう、理事の過半数を認定農業者にしていきます。そして、連合会、中央会について、地域農協をサポートする観点から見直しをして、全中監査の義務づけも廃止をする。こうした農協システム全体の見直しを行うことにしております。

 これによって、意欲ある担い手と地域農協が力を合わせて創意工夫を進めていく。企業と連携した加工品の開発や地域ブランドの確立、新たな需要を開拓するための輸出への取り組みなど、自由な経済活動を行うことによって農業者の所得向上に力を入れていきたい、こう思うところでございます。

 まさに、農家自体があるいは地域農協が、しっかりと消費者のニーズをつかみながら、そして販路を拡大し、しっかりと広報宣伝も行い、また輸出にも取り組んでいくことによって、農業、農村全体の所得をふやしていきたい、このように思っております。

玉木委員 総理、今の説明を聞いても、農家に響かないんですよ。本当に農家の所得がふえる、経営が安定する、そういう政策を求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 まず、総理に伺います。

 三月二十七日付のワシントン・ポストに掲載された安倍総理のインタビュー記事によりますと、従軍慰安婦問題について見解を問われ、ヒューマントラフィッキングの犠牲になり、筆舌に尽くしがたい痛みと苦しみを経験した人々を思うとき、私の心は痛むと語ったとされています。

 また、首相が人身売買という言葉を公に使ったのは初めてとする側近の解説も伝えているという記事も掲載されておりますが、このヒューマントラフィッキングとされている部分は、日本語としては何というふうにおっしゃったんでしょうか。

 また、人身売買というふうにおっしゃったんだとすれば、従軍慰安婦問題に関して人身売買があったというふうな御認識でしょうか。

安倍内閣総理大臣 この問題についてはさまざまな議論がなされてきているところでございますが、その中において人身売買についての議論も指摘されてきたのは事実でございまして、その観点から人身売買という言葉を使ったところでございます。

後藤(祐)委員 ことしは、七十年の歴史認識、これが問われる年でもございます。河野談話をどのように捉えていくかを含めて、今後、この話については議論をまた深めてまいりたいと思います。

 今、配付資料を配付させていただいておりますけれども、政治資金規正法違反の問題については、この通常国会でも幾つかの事例の問題がございました。

 これを受けまして、我々民主党では、先週、三月二十六日に、配付資料の一枚目、「国民の信頼を得られる政治資金のあり方について」と題しまして、特に二十二条の三、補助金を受けた会社が一年間は献金できないとする条文があるわけでございますが、政治家側が知らなければこれは適用されない、これがざる法ではないかという指摘がございました。これを受けまして、具体的な提案をさせていただいております。

 まず、少し読み上げさせていただきますけれども、一つ目として、国等は、補助金等を受ける企業、団体に対し、一年間、献金することが禁じられる旨を通知しなければならない。二つ目に、二十二条の三の補助金等の例外規定を削除し、例外とするものについては個別に立法措置をとるものとする。第三に、国以外の団体を経由した補助金等も、間接補助金と定義して資金規正の対象とする。第四に、企業、団体から寄附を受けようとする団体の代表者及び会計責任者は、規正法規定の告知文書を相手方に交付しなければならない。第五に、罰則を、禁錮三年以下、罰金百万円以下に強化。そして第六に、国側が、補助金等を受けた企業、団体に関する情報開示の徹底と、その閲覧性向上のために努力しなければならない。

 こういったことを政治資金規正法の改正案として提案したいと思っております。今後、野党そして与党とも協議してまいりたいと思いますけれども、本件。

 そして、その下に、現在の政務三役についておられる方については、企業、団体寄附の受領を禁止し、また、企業、団体から政治資金パーティーの対価の支払いを受け取ることを禁止するということ、これはすぐできることですから、これもあわせて提案させていただいております。

 これは、総理として、また自民党総裁として、この提案についてどのようにお考えか、そして、これについて真面目に、真摯に協議に対応していただくことを我々としては期待したいと思いますが、総理の御見解をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 政治資金の規制のあり方については、各政党、政治団体の政治活動の自由と密接に関係しているところである、これが基本的な認識でありますが、その中で、国から補助金等の交付の決定を受けた法人による寄附の問題については、我が党においても検討を進めているところでありますが、まず、現行法制のもとでこうした問題が生じないように何ができるのか、その上で、規制そのもののあり方がどうあるべきかについて、各党各会派において御議論をいただくべき問題であると認識をしているところであります。

 そしてまた、政務三役に対する倫理規範の強化、改正についてでございますが、個人であろうと団体であろうと、お金でもって行政をねじ曲げようとする行為は断じて許してはならないと考えておりますが、それは、企業、団体が政党等に献金等をすること自体が不適切なものであるということには結びつかないわけでありまして、それは個人であろうとあるいは企業、団体であろうと同じことであろう、こう思うわけでございます。

 この間、我々は、私も平成五年に初当選をしたのでございますが、その後、累次、政治資金に関する法律は厳しい方向で改正をされてきたのでございますが、ポイントは、まず、多寡の問題と透明性の問題であろうと思います。透明性を高めていく、そして多寡をしっかりと決めていくことによって、いわばお金でもって行政や政策、政治に容喙させない、介入をさせないということであったんだろう、こう思います。そこがあくまでもポイントであるということを押さえておく必要があるんだろうと思います。

 いずれにせよ、この問題は、民主主義の費用をどのように国民が負担していくのかという民主主義の根幹にかかわる問題でありまして、透明性をどのように確保するかという問題も含めて、各党各会派において十分御議論をいただくべきものと考えております。

後藤(祐)委員 今総理の御答弁の中では、規制そのものという御答弁もございましたが、一部与党の中では、運用改善というようなお話も一時期聞こえておりましたけれども、特に例外規定の削除ですとか間接補助金をきちんと対象にするですとかというのは、これは法改正しないと、どうやってもできません。法改正も含めて対応を検討するということでよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 現在、我が党と、また与党の中において議論が進められているわけでございますが、補助金にかかわる政治献金の問題については、現行法制の中においても、それは、こうしたことが起こらないようにしっかりと運用において対応できるのではないかという議論も強くあるわけでございます。

 しかし、先ほど申し上げましたように、今、規制のあり方も含めて、各党各会派でこれは議論をしていこうということではないかと思います。

後藤(祐)委員 運用だけではなく、規制のあり方も含めてというところに少し意欲を感じたというふうに受けとめさせていただきました。ぜひ、総裁として督励していただいて、与党の中でも法改正を含めた対応をしていただくよう、そして野党も協力して、この二十二条の三の改正、これにまず取り組んでいきたいというふうに思っております。

 続きまして、きょう、籾井NHK会長にお越しいただいております。今、参議院で、主に総務委員会で、あしたにでも相当厳しい議論になるというふうに考えておりますけれども、ちょっと新しい話が出てきましたので、確認をさせていただきたいと思います。

 三月十八日に、証券取引等監視委員会が有価証券報告書の虚偽記載の疑いでグローバルアジアホールディングスという会社に強制調査に入ったということが同社から公表されています。

 三月十八日の日経新聞によりますと、警視庁組織犯罪対策三課、いわゆる暴力団を担当する課でございますが、ここと合同でこの会社に強制調査に入り、調達されたという資金が社外に流出したにもかかわらず、上場廃止基準に当たる二期連続の債務超過を避けるため、粉飾決算をしたという疑いがあるとされています。しかも、その不正に引き出されたお金が反社会勢力に流れた疑いもあるというふうな情報もございます。

 籾井会長に伺います。

 この強制調査に入ったグローバルアジアホールディングスの前身である株式会社アイビーダイワという会社がございますが、この会社の社外取締役を二〇〇六年六月ごろからお務めになられたというふうに、これは有価証券報告書上、そのように記述があるわけでございますが、これは事実でしょうか。何年何月から何年何月まで社外取締役でおられましたでしょうか。

籾井参考人 お答えいたします。

 まず、グローバルアジアホールディングスという会社については、私は全く存じ上げませんし、関与もしておりません。私が二〇〇六年の六月から一年間社外取締役を務めておりましたアイビーダイワという会社は、当時は資源、エネルギーの探査を行っていた普通の会社でございます。

 そういう意味において、グローバルアジアホールディングスという名称はもとより、経営者も事業内容も違う別の会社だと認識しております。

後藤(祐)委員 このアイビーダイワ、今、普通の会社というお話がございましたが、配付資料の二ページ目をごらんになっていただけますでしょうか。

 この会社は、もともと繊維の取り扱いなどをしていた会社なんですが、途中から急遽石油開発にある意味手を出しまして、ちょうど籾井会長が社外取締役をされておられた年度、二〇〇七年三月が締めとなっている決算期において、二百三十五億円という大変大きな損失を出しております。

 これは、何をされておられたんでしょうか。社外取締役というのは、まさにこういったことがないように会社をチェックするというのが仕事だと思いますけれども、もともと、この会社は、上場しているにもかかわらず、ほぼ毎年赤字で、よくこれは上場が維持できたなと思いますが、中でもこの二〇〇七年三月期というのは異常な数字でございます。

 この年一年間だけ社外取締役であったということは、巨額な特別損失がこの年にあるんですけれども、これについても事情を御存じじゃないかと思いますが、この中身及びこれをなぜチェックできなかったのか、これについて、当時していた仕事についての御説明をいただきたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 先ほど、アイビーダイワというのは石油、ガスの探査会社、こういうふうに申しました。探査会社ということは、井戸を掘って、石油、ガスを見つける仕事をしているわけでございます。そして、これが当たれば生産に入っていく、こういうことでございますが、この時点におきまして、既に、油兆はあっても生産に行くだけのものではない、こういう決断をしまして、ここで井戸を二本諦めました。そのときの、この二本のいわゆるサンクコスト、御承知のとおり、サンクコストを、井戸を諦めたために、ここで全額損失に計上して、いわゆる減損をしたわけでございます。

 したがって、この二百三十億余りのお金というのは、何もこの単年で出た損失、損失は単年で出ているんですが、過去からの積み重ねでこれだけたまっていたものを一気に償却した。

 取締役としましては、これはやはり執行の方でこういう、もはや見切りをつけたということでございますから、それについては早速に今までかかったものを償却するのが健全であるという判断をしたわけでございます。

後藤(祐)委員 籾井会長は、この社外取締になる前だと思うんですが、同じようなところで石油開発をされておられた三井石油開発株式会社の取締役を二〇〇五年ごろお務めになられていると思います。

 この会社は、三井物産が四四・三%と当時最大株主の会社で、日本国としても石油公団を通じて二〇%程度出資していた、いわゆる日の丸開発会社だと思いますけれども、まず、三井石油開発の取締役を二〇〇五年ごろお務めだったでしょうか。何年何月から何年何月までお務めだったでしょうか。

籾井参考人 三井石油開発の取締役を務めておりましたのは、二〇〇三年の六月から二年間だと思います、私は二〇〇五年の六月に退任しておりますので。エネルギー担当の役員として、ここの取締役を務めておりました。

後藤(祐)委員 つまり、この三井石油開発の取締役をされた後、このアイビーダイワの社外取締役をされたわけですが、この両社の関係について、両方取締役をされているわけですから、御存じなんじゃないかなというふうに思うわけでございますが、これについてはいかがでしょうか。

籾井参考人 この両社の関係は全くございません。

後藤(祐)委員 三井石油開発の第一株主というのは三井物産でありまして、この三井物産に昭和四十年に入ったのは籾井会長であり、そのとき、ほぼ同じ昭和四十年に入った方がこのアイビーダイワの社長を務めておられますね、この損失を出したときに。また、かつ、籾井会長自身がこの両社の取締役をされておられますよね。

 また、テキサス州のパドレ・アイランドというところで三井石油開発は天然ガスの生産をされていますよね。これは籾井会長が取締役をされていたときに生産をされておるんだと思いますけれども、一方で、このアイビーダイワが出資している会社の一つの会社が、同じ島で掘削を行っていらっしゃいますよね。

 いろいろと関係があると思うんですが、全く今ないとおっしゃいましたけれども、少なくとも、人的関係は少しあるわけです、籾井さん自身を通じてあるわけです。直接の取引があるかどうかわかりませんが、あるいは、出資が直接あったとは思いませんけれども、このお仕事を通じての関係、どのようにあったのか、もう少し詳しく御説明いただけないでしょうか。

籾井参考人 私は、物産退任と同時に三井石油開発の役員も退いております。そして、先輩に頼まれたというか、そういうことで、少し手伝ってくれと言われたのでアイビーダイワに入ったわけですが、御承知のとおり、テキサスであるとか、あの辺というのは、油がいっぱいあって、いろいろな人がいろいろな探査を行っているわけで、私が三井石油開発の役員であって、アイビーダイワの役員であったからこの両社が関係するというのは、極めて不自然であると思います。

 テキサスで探査している会社はいっぱいあって、私自身は鉱区の名前までは覚えておりませんが、三井石油開発は優良会社でございまして、そういう中で、探査の一つとしてその地域で探査を行ったのはあったかもしれません。私の記憶では、ありません。

後藤(祐)委員 少なくとも、籾井会長は両社の取締役であったわけですから、情報を疎通することはできたわけでございますし、この三井石油開発は、探査会社の割には非常に安定的な利益を計上し続けておられます。一方で、このアイビーダイワについては、配付資料のとおり、毎年赤字なんですね。

 この両社がどうなのかということについては、もう少し詳しくこれは御説明いただかなきゃいけない部分があるなというふうに思いますが、残念ながら、あしたにも、参議院の総務委員会におけるNHK予算については、不穏な情報も聞いております。ぜひ、本件の真相をきちっと明らかにしていただく、このことをお願い申し上げたいと思います。

 次に、総理の我が軍発言について御質問したいと思います。

 三月二十日の参議院予算委員会で総理が我が軍と発言したことについては、何度か幾つかの委員会で議論になっておりますが、国際法上、軍隊ということについては、質問主意書に対する答弁で、ジュネーブ条約上の軍隊に該当すると解されるということが既に明らかになっております。

 逆に、純粋、国内法上、自衛隊は、必要最小限度を超える実力を保持し得ないなどの制約を課せられた軍隊と言っていいのでしょうか。総理に御見解をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 さきの私の答弁については、共同訓練の意義等についての質問がございました、それに対する私の答えの中において、その中で、共同訓練によりきずなが強化されていくという趣旨のことを申し上げたわけであります。

 その後、私はこのように申し上げました。また、我が軍の透明性を、まさに一緒に訓練するわけでありますから、上げていくということにおいては大きな成果を上げているんだろう、こう思います、自衛隊は規律がしっかりしている、しっかりした責任感と規律のもとに平和に貢献しているということが多くの国民によく理解されているのではないかと思います、こう述べたわけでございまして、このように、さきの私の質問については、自衛隊と外国の軍隊との共同訓練に関する質疑の流れの中でお答えをしたわけでございます。

 共同訓練というのは、まさに自衛隊と外国の軍隊が一緒に訓練をするわけでございまして、その意義、意味についての答えでございましたので、共同訓練の相手である他国の軍とのいわば対比をするイメージで自衛隊を我が軍と述べたわけでございまして、それ以上でもそれ以下でもないわけでございます。

 自衛隊の位置づけに関するこれまでの政府の見解を何ら変更するものではないし、そのような意図はないということでございます。

後藤(祐)委員 長年の見解を変更するものではないということと、長年の質疑の中でというお話がございました。

 佐藤栄作総理、総理のおじい様の弟様に当たるんでしょうか、佐藤栄作総理は、昭和四十二年三月三十一日の参議院予算委員会で、「自衛隊を、今後とも軍隊と呼称することはいたしません。はっきり申しておきます。」と答弁されておられます。このように、自衛隊を軍隊あるいは軍と呼称しないところに憲法九条を擁護する意思というものがあらわれていると思いますが、この佐藤栄作元総理の答弁の重みをどのようにお考えになるでしょうか。

 また、国際法の面は別としまして、国内法の観点から、自衛隊を今後とも軍隊あるいは軍と呼称することはしないとはっきり明言していただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 佐藤栄作当時の総理がこう述べたのは、政府としては、自衛隊を軍隊と呼称すること、すなわち、その名称を軍隊とし、そのように呼ぶことは考えていない、つまり、呼称でありますから、呼び唱えること、名づけることはしない、こういうことでございます。いわば軍と名づけることはしないということでございますが、他方、定義については、これはさまざまな定義があるところでございます。

 昭和二十九年に自衛隊は創設をされたわけでございますが、当時の大村防衛庁長官が、政府見解として、「自衛隊は外国からの侵略に対処するという任務を有するが、こういうものを軍隊というならば、自衛隊も軍隊ということができる。」こう答弁しております。

 また、これは後藤委員も与党であった時代でございますね、民主党政権においても、平成二十三年に当時の一川防衛大臣が、自衛隊の位置づけは軍隊か否かとの質問に答えて、自衛隊というのは、我が国が直接外国から攻められるということであればしっかり戦うという姿勢でございますから、そういう面では軍隊だというふうな位置づけでもいいと思うという趣旨の答弁をしていると承知をしております。

後藤(祐)委員 名づけることをしないということは、自衛隊を軍ないし軍隊とは今後呼ばないということなんでしょうか、呼ぶということなんでしょうか、どちらでしょうか。

安倍内閣総理大臣 つまり、まさに、名づけたり、いわば軍と呼ぶということは基本的にはないということでございますが、しかしそれは、一々説明等の中で言葉尻を取り上げてどうかという、そういう議論をすることについての意味は私は余りない、このように思うわけでございまして、まさにこれは、佐藤総理が言ったように、呼称することはないということが全てであろう、このように思うわけでございます。

後藤(祐)委員 国際法以外の面で、国内法的に軍ないし軍隊と呼ぶことはないということを、もう一度、基本的にではなく、はっきり言っていただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは、国際法的にどうすればいいかということについては既に答弁をしているとおりでございますが、いわば、呼称するということは、正式に政府の位置づけとしてそう定めるということでございます。それと、私が先ほど申し上げましたように、彼我の関係で説明をする際に、わかりやすく説明する上において我が軍と言ったこととは、これは違うわけでございますから、それを一々混同して、こうして一々国会で議論することもどうかと私は思うわけでありまして、それよりも、もう少し防衛政策そのものを議論した方が私は生産的ではないのか、こう思うわけでございます。

後藤(祐)委員 それでは、終わります。

 総理の姿勢が明らかになったと思います。今後も続けてまいりたいと思います。

大島委員長 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井委員 二十五分間、雇用、労働問題について質問をさせていただきます。

 特に、この国会では、生涯派遣を可能にする労働者派遣法の改悪や、また、これから質問をします残業代ゼロ法案、新しい労働時間法制、さらに、規制改革会議では解雇の金銭解決という、この三点セットが審議、議論されようとしております。

 その中でも、私が今質問をさせていただきたいと思っておりますのは、新しい労働時間法制。この法案は、四月三日、今週金曜日に提出されるというふうに予想をされております。

 これは残業代ゼロ法案とも呼ばれているわけですけれども、かつ、その中で一つの問題点は、きょうの配付資料にも、一ページ目につくりましたように、今までは、管理職は残業代がゼロだったわけです。そして、一千万円以上の高度プロフェッショナルという方についても残業代がゼロになる可能性があります。しかし、それだけではなくて、最後になってするっと入ってきたのが、この裁量労働制の拡大、これを営業職に拡大する、このことも過労死をふやしかねないという、非常に不安の声が上がっております。

 裁量労働制というのは、みなし労働時間という概念を使いまして、例えば、みなし労働時間を裁量労働制で九時間としたならば、七時間働いても九時間分の給料が出るし、逆に、みなし労働時間を九時間とすれば、十一時間働いても新たな残業代は出ないということで、事実上の残業代ゼロという問題点もございます。

 そして、ここに一冊の本がございますが、「たっちゃん起きて!九時ですよ」。その息子さん、二十四歳の脇山達さんが、裁量労働制で月百時間の過労死ラインの残業をされて、過労死をされてしまいました。二十四歳という若さでした。本日、傍聴に御両親もお越しになっておられます。朝四時まで残業されて、朝九時に起きるはずであったわけですが、お母さんが起こしに行かれたら、残念ながら冷たくなっておられた。月に百時間の残業、そういう痛ましいケースであります。

 にもかかわらず、最初は、労災を申請したら不支給になってしまったんです。なぜか。どう判定されたか。裁量労働制の職場なので、自分で勤務時間を工夫できたはずだからということなんですね。しかし、裁量労働制というけれども、二十四歳あるいは二十代の若者に本当に、労働時間を管理する、そういう裁量権があるのか。

 実際、配付資料を見ていただきましても、例えば三ページを見ていただきますと、一般の労働法制に比べて、裁量労働制は労働時間が長くなっております。

 長くなっているだけではないんです。次のページを見ていただきますと、何と企画業務型裁量労働制では四二%が労働時間が不明なんですね。不明ですから、残業代は、当然、十時以降働いても、休日出勤しても払われません。

 だから、これも深夜割り増し手当や休日手当が払われることにルールではなっていますけれども、実際、労働時間すら把握されていないんですから、事実上、この達さんのように、深夜残業したって休日出勤したってほとんど払われない。そして、労災を申請したら、裁量労働なんだから工夫できたはずだというふうに言われて、労災申請すら当初おりなかったわけであります。

 そこで問題なのは、実際、裁量労働というのは恐ろしい言葉のわなであるということを御両親もおっしゃっています。実際、そんな二十代の若者に、では、これで仕事をやめて帰りますということがそう簡単に言えるはずはありません。

 今回、残業代ゼロ法案の中に含まれているこの裁量労働制の営業職への拡大は、年収要件がありません。ですから、年収三百万円でもこれは別に違法とはなりませんし、さらに、最初の入社後三年から五年はできるだけ導入しない方がいいというような指針も出るかもしれませんが、実際、二十六歳、二十七歳、二十八歳の若者にも適用されてしまいます。

 質問通告もしておりますので安倍総理にお伺いしたいんですが、このような裁量労働制の営業職への拡大、二十代の若者や年収三百万円、そういう方々にも事実上の残業代ゼロということを導入すると、長時間労働になり過労死がふえてしまうのではないでしょうか。安倍総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まず最初に申し上げておきたいことは、政府が検討を進めている労働時間制度の見直しは、ワーク・ライフ・バランスの観点から、働き過ぎを是正するんです。その上において、多様で柔軟な働き方を進めていくものであります。これはもう時代の変化とともに働き方も随分変わってきたわけでございまして、こういう多様性のある働き方、ニーズにどう対応していくかということでございます。同時に、しっかりと、より豊かな人生となるように、ワーク・ライフ・バランスの観点からも是正をしていくということもポイントとして我々は考えているということをまず申し上げておきたいと思います。

 この中で、裁量労働制についてでありますが、現在、企画立案業務に限られていますが、働く人の満足度が高いことを踏まえて、企画部門で働く人の業務の複合化の進展に合わせまして、課題解決のための企画立案を伴う提案型の営業といった業務を対象とすることを考えているわけであります。

 ちなみに、裁量労働制が適用されている方へのアンケート調査では、七六・四%の方が、適用を受けることについて満足や、やや満足と回答しているわけでございますので、今私はこのように申し上げたところでございます。

 この制度の対象となる人は、こうした業務をみずからの裁量で遂行できる、そういう知識や経験を有する人に限られ、労使同数の委員会の決議によって選定されているという仕組みにもなっています。

 具体的な業務等については、法に基づく指針において、例えば店頭販売やルートセールス等の単純な営業は対象とはなり得ない、全く職務経験がない者は対象労働者となり得ないといったように、範囲や考え方を明確にしていくことを考えているわけでございます。

 そうしたことをぜひ御理解いただきたい、このように思うところでございます。

山井委員 営業職は全国で今三百万人おられます。その中で、下手をすれば百万人、二百万人にもふえかねないわけであります。

 安倍総理、改めてお伺いしますが、二十代の若者や年収三百万円台でもこれは対象になるんですよね。確認です、安倍総理。質問通告もしてありますから。

塩崎国務大臣 今総理から答弁申し上げたとおり、基本的には、みずから能力のある人たちが裁量でもって遂行できるという、企画立案能力を持った方がまず第一であって、そして知識と経験も有している、さらに労使同数の委員会の決議で選定をされるということでありますから。

 結局、最終的に、年齢とか、あるいは、三年から五年というのは、実は今の指針にも既に入っているんです。三年から五年の経験をやはり経た方がいいというふうになっていますが、それは原則としてそういうふうに既に入っていますから、今お話がございました、二十代で、あるいは年収三百万とか、そういう数値で切っているわけではございませんけれども、かなり、今三百何十万の営業職の中からぐっと絞られていくということを御理解いただければというふうに思うわけでございます。

 それから、さっきお話をされましたけれども、管理職の残業代ゼロと書いてありますが、これは深夜は割り増し料金は管理職でも払われるということであり、なおかつ、この裁量労働制は全て規制はかかって、三六協定も、みなし時間ということにはなりますけれども、割り増し賃金も何もかも全部この規制、時間規制はかかるということを外さないでいただければというふうに思います。

山井委員 今、塩崎大臣もお認めになりましたように、年収要件も収入要件もありませんから、二十代の若者でも、年収三百万円台でも二百万円台でも、この対象になり得るわけですね。

 でも、お母さんのこの書類にも書いてありますけれども、こちら、八ページにお母様が書かれておられます。「会社の出退勤の時刻も、記録を見ると二十六時、二十八時、三十時などという、地球上にあり得ない表記がある。」「完全に休める土日などなかった。」「裁量労働というのは恐ろしい言葉のワナです。」と。

 もちろん、本当にその方に裁量があったらいいですよ。でも、二十代の若者に、あるいは年収二百万円台、三百万円台という方々にも、本当の裁量があるとは思えないんです。

 さらに、今割り増し賃金が出るとかおっしゃいましたけれども、繰り返しになりますが、四二%は労働時間も把握されていないんです。把握されていない以上、出ないんです、実際には。

 安倍総理、昨年、過労死防止法が成立をいたしました。安倍総理も当然賛成をされたと思います。私は、この裁量労働制、全て一〇〇%否定はしません。合う人もおられると思います。しかし、今ブラック企業というのがふえておりまして、ブラック企業、きょうの配付資料にも書かせていただきましたが、実際、六ページによると、昨年十一月、大阪の労働局が調査したら、二百八の事業場のうち、何と百七十七、八五%で長時間労働や残業代の未払いなどの違法行為が確認された。八五%で長時間労働や残業代の未払いが確認された。

 こういうブラック企業が、営業マンに、裁量労働制ですと導入したらどうなるんですか。労働時間を把握しなくていいことになってしまって、これだと、過労死がふえるどころか、配付資料の九ページを見ていただきたいんですけれども、過労死問題の第一人者、脇山達さんの過労死裁判も担当された川人弁護士の資料がございますが、川人弁護士はどうおっしゃっておられるか。

 サービス残業、違法残業が、今回の残業代ゼロ法案によって合法化される。労働時間の把握をしなくてもよくなるわけですから、より一層長時間労働になる。おまけに、逆に、過労死が発生しても、労働時間が把握されていないわけだから、労災認定、過労死とも認定されなくなる。特に若者への影響が大きい。

 なぜならば、今までは、どんどん低賃金で働かせたいというブラック企業は、名ばかり管理職、管理監督者ですということを使っていたんです。ところが、若者には管理監督者というのを使うと、名ばかり管理職ということで裁判で負けるんです。しかし、今回の裁量労働制が営業に拡大してしまったら、二十代の若者も、もしですよ、九時間のみなし労働時間だけれども、ノルマを一・五倍にすると言われたら、これは一歩間違うと、ノルマ地獄で、死ぬまで働くことになりかねない。

 ワーク・ライフ・バランスがうまくいく人も、中にはおられるでしょう。しかし、一方では、ブラック企業に悪用されたら、長時間労働がふえて、過労死する方がふえる可能性があるんです。

 安倍総理、どう考えてもこの法改正は危険だと思います。昨年、過労死防止法も成立させられた安倍総理ですから、ぜひとも、このような危険な残業代ゼロ法案というのは今国会での提出というものを断念していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、総理。

安倍内閣総理大臣 今までの裁量労働制について働いていた人がどう感じていたか、先ほど御説明をしたとおりでありまして、裁量労働制が全く間違っているかのごときの印象を今委員は振りまいておられるわけでございますが、それはそうではなくて、まさにこのアンケートの調査の結果によっても、七六・四%の方が、適用を受けることについて満足あるいはやや満足、こう回答しているのは事実でございます。

 そして、その中において、この制度の対象となる人は、こうした業務をみずからの裁量で遂行できる知識や経験を有する人に限定されて、労使同数の委員の決議によって選定される仕組みでもあります。

 そして、裁量労働制度の要件や本旨を踏まえて対象者を選定すれば、入社したての若者や年収が低い方が対象となることは基本的には考えにくい、こう考えているわけでありますが、いずれにせよ、真に裁量を持って働く人だけが制度の対象となっていくように、しっかりと制度設計を行っていきたいと考えています。

山井委員 非常に、私は無責任な答弁だと思います。低所得者や若者が対象になるとは考えにくい、にくいとおっしゃいますが、この法律、今、法案の要綱、残業代ゼロ法案、新しい労働法制の要綱と建議というものが労働政策審議会そして厚生労働省から出ておりますが、年収要件も年齢要件も一切入っていないんです。二十代の若者、低所得者、その営業マンが、あなたは裁量労働制ですと言われても、裁判になって、それは勝てないんです、法律に書いていない以上は。

 安倍総理は性善説に立っておられるのかもしれません。私は、繰り返しますが、裁量労働制、全てが悪いとは言っていません。しかし、ブラック企業に悪用される可能性が極めて高いということを言っているわけです。

 安倍総理、この法案が万が一通れば、来年四月から拡大されます。二十代の若者が、来年四月以降、この裁量労働制でもし過労死されたら、責任はとれますか。絶対に、そういうふうな過労死が新たに、営業マンでノルマをふやされて残業代が出なくなって、ふえないということを、総理大臣として、労働者の命を守るという観点から、安倍総理、確約できますか。いかがですか。これは人の命にかかわる問題ですから、安倍総理、答えてください。

塩崎国務大臣 まず第一に、労使の自治というのがありまして、会社で労使同数の委員会というのがつくられているわけですね、もう既に。ここの五分の四で、一人一人、この人は裁量労働制にふさわしいかどうかということを見ていただいて決めていただくわけです、労使で。五分の四の過半数ですから、やはりかなり、労使の労のうちの過半数も賛成しないと五分の四にはなりません。したがって、そういうクリアランスは経た上でなるということが一つ。

 それから、先ほど、事業場のうち四二・六%が実労働時間の把握が不明だというふうになっておりますが、確かに、裁量労働制のもとでは、現在は労働時間が労使で定めた時間にみなされるというみなし時間になっていますので、使用者に労働時間の把握を求めている通達の適用が除外をされているんですね。ですから、このために、恐らく、実労働時間の把握……(山井委員「責任が持てるんですか」と呼ぶ)まあまあ、これから出ますから聞いてください。把握方法についての質問に対して、不明と回答した方が多かったんですね。そこで、労災が認定されないんじゃないかという御指摘がありました。

 実は、裁量労働制の対象者を含めて全ての働く人の健康確保の前提として、全ての働く人の実労働時間の客観的な把握がやはり必要だということであって、このため、労働時間の把握につきまして、客観的な方法その他適切な方法によらなければならない旨を省令に規定することが適当である旨、労働政策審議会において建議がなされております。ですから、これから、全ての働く、労働時間、つまり、今通達が外れていますけれども、それをやるということであって、それともう一つは、労災認定というのは……(山井委員「もういいです、もういいです」と呼ぶ)聞いてください。(発言する者あり)そうじゃないですよ。

大島委員長 端的に、大臣。

塩崎国務大臣 労災認定の仕組みとして、実労働時間をきちっと、ケース・バイ・ケースで、あらゆるケースでも判定した上で労災認定を考えているわけでありますので、労働政策審議会の建議に基づいて、裁量労働制の対象者を含めた全ての働く方の労働時間の客観的な把握をこれから進めていくということで、今後とも的確な労災認定をしていきたいということで、今御懸念のようなことにならないようにしていくということでございます。

山井委員 全く答えていない。

 安倍総理、私はシンプルなことをお聞きしているんです。

 二十代の所得も低い営業マンの方々に裁量労働制を来年四月から導入する法案を提出する。もちろん、もしかしたら過半数の人が満足されるかもしれません。しかし、一人でも二人でも過労死をされたら、これは法改正が人を殺してしまったということになりかねません。実際、昨年も、少し前まで裁量労働制であった方が一人、過労死をされております。これは人の命にかかわる問題です。

 おまけに、昨年、過労死防止法が成立しました。そのことによって御両親も、やっとたっちゃん、浮かばれたわねとおっしゃっていた。にもかかわらず、過労死防止法が成立した翌年に、よりによって息子さんが過労死された裁量労働制が営業にまで拡大される。それは余りにも、新たな被害者をふやされることで心配で心配でたまらないということで、きょうも御両親がお越しになっています。

 安倍総理、本当にこの裁量労働制の拡大で、来年四月以降、過労死される方、絶対出ないですか。責任持てますか、安倍総理。

安倍内閣総理大臣 まず、この裁量労働制については、先ほども申し上げましたように、七六%の人が、満足、やや満足という答えをされているわけであります。その中においてそれを広げていく、これは政策として私は正しい方向だと思います。

 しかし、この法令の趣旨に沿わないことをする企業が出ているのは、大変残念なことであります。それはしっかりと労働基準局なりなんなりが取り締まっていくのは当然のことであろう、こう思うわけであります。

 そこで……(発言する者あり)済みません、後ろからやじを飛ばさないでもらえますか。

大島委員長 どうぞ、総理、答弁を。

安倍内閣総理大臣 よろしいでしょうか。少し落ちついた雰囲気で議論をしたい、私はこう思っております。

 そして、その上において申し上げますと、今、山井委員が言われた、健康状態がどうなっているのか、過労死というのはまさに健康上の問題が深刻になっていく、あるいは精神的に追い込まれていくということでございます。そこで、裁量労働制におきましては、裁量となる方の労働時間の状況を把握した上で、これに基づき、休暇の付与や特別な健康診断など、健康確保のための措置が講じられています。

 今回の労働時間制度の見直しによって、健康確保のための措置を具体的に列挙し、まさにこれを具体的に挙げていくわけであります、具体的に列挙をし、これらのうちのいずれかが必ず講じられることとしているところでございます。

大島委員長 時間でございます。

山井委員 はい。

 今の健康確保措置も労働時間の把握も、全く不十分で実効性がないんです。

 最後に申し上げますが、一生派遣を可能にする派遣法の改悪、今言った過労死をふやしかねない残業代ゼロ法案、さらに、規制改革会議で議論する解雇の金銭解決、お金さえ払えば解雇が自由にできる、このような労働者を苦しめる悪の三点セットを何としても阻止せねばならない、そういう決意を語って、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

大島委員長 これにて山井君の質疑は終了いたしました。

 次に、井坂信彦君。

井坂委員 維新の党の井坂信彦です。

 本日、二点、総理の我が軍発言と、それからもう一つは、長時間労働の抑制ということについてお伺いをしたいと思います。

 先ほど、民主党の委員との議論の中でも、総理はこのようにおっしゃっております。共同訓練の相手国の軍と対比をイメージして我が軍と呼んだだけだ、それ以上でもそれ以下でもない、瑣末な話だ、こういうお答えでありました。

 私、やはり、これはお茶飲み話であれば、あれも軍といえば軍だよね、こういう話はあるのかもしれませんが、しかし、これはもとは予算委員会における総理の答弁であります。歴代国会でさまざまな議論が積み上げられてきて、相当慎重な物言いが重ねられてきた中で、そのような、それだけの理由で、本当にさっき総理がおっしゃっただけの理由で自衛隊を軍と発言されたのであれば、やはりそれは不適切だというふうに私は思います。

 その後、総理はいろいろ説明もされておられます。参議院での我が党の小野次郎議員に対する答弁でさまざまおっしゃっておりますが、一つは、国際法上も軍という位置づけがあるんだ、まずここからお伺いをしたいというふうに思います。

 自衛隊は国際法上は軍隊として取り扱われることもあるので、我が軍発言は問題ないという御見解のようでもありますが、今回、もともとの議論の場所でされていた話は共同訓練の場面であります。この共同訓練の場面で、自衛隊を軍隊として取り扱う根拠となるような国際法は本当にあるんでしょうか。具体的にあればお示しをいただきたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 なぜ、国際法上、我が国の自衛隊が軍として取り扱われているかということについては、例えば、交戦状況になって、我が軍、我が自衛隊の方は、捕虜となった場合は軍人として扱われなければ、これはまさにテロリストと同じことになってしまうわけでございまして、当然、軍として扱われるというのが建前になっているわけであります。そして、そういう建前になっているのがおかしいじゃないかと言う人もいるわけでありますが、これは国際法上そういうことは確定されている、我々はこう考えているわけでございます。まさにこれは、国際法上の自衛隊員の身分にかかわることであります。

 そこで、私は、もう余りこうした議論の意味がないなと先ほど申し上げました。本日も二回目でございますが、国際法上はそうなっているわけでございますから、国際法上はまさにそう扱われるということが、当然そうなっていくだろうと我々は考えているわけでございます。

 その上において、日本国憲法におきましては、いわば自衛隊の場合は憲法第九条の制約があるわけでございまして、他国の軍隊とはそこが違うということでございます。そこで、呼称につきましては、佐藤総理の、呼称しない、名づけることをしないということは、それはそのとおりでございます。

 一方、今まで、では、定義いかんということでございますが、これは昭和二十九年に自衛隊が発足したときの初代の防衛庁長官も、それを軍隊と呼ぶのであれば軍隊である、こう言っているわけでありますし、民主党の一川大臣も同じ趣旨のことを言っているわけですよ。では、それはおかしいじゃないかということにもなってくるわけでありますが、しかし、それはまさに定義いかんということなんだろう、こう思うわけでございます。

 その中におきましての私の答弁は、先ほど申し上げましたように、まさに大変整理されている答弁だ、このように思いますよ。

 もう一度お話をさせていただきますと、私の答弁については、共同訓練の意義、つまり、外国の軍隊と我が方の自衛隊との共同訓練でありますから、これは、相手方とこちら方ということを、この彼我の関係をわかりやすく説明するのは当然のことなんだろう、こう思います。その中において、私は、共同訓練によりきずなが強化されていくという趣旨のことを申し上げたわけでございます。

 そして、それに続きましてこのように申し上げたんですね。また、我が軍の透明性を、まさに一緒に訓練するわけでありますから、上げていくということにおいては大きな成果を上げているんだろう、こう思います、自衛隊は規律が、まさにここで自衛隊の説明をしているわけでありますから、私は自衛隊という呼称を使っているわけでございます。彼我の関係において、私は、我が軍という言い方をした、他国の軍隊と我が軍という言い方をしました。その上において、こちらの説明をする際には、自衛隊は規律がしっかりしている、しっかりした責任感と規律のもとに平和に貢献していこうということが多くの国民によって理解されているのではないかと思いますと述べたものであります。

 このように今私が御説明したら、多くの皆さんは、それはそのとおりだなと思っていただいたんだろうと思うんですが、私の答弁については、自衛隊と外国の軍隊との共同訓練に関する質疑の流れの中でお答えをしたものでありまして、共同訓練の相手である他国の軍とのいわば対比をするイメージで自衛隊を我が軍と述べたものでありまして、それ以上のものでもないし、それ以下のものでもない、こう思うわけであります。

 自衛隊を議論する場合には、もう少し防衛政策についてしっかりと議論させていただきたいな、大切な予算委員会の時間ですから、こんな言葉の定義云々について延々とこうして議論するのを果たして国民が望んでいるのかどうか。国民の命やあるいは平和な暮らしを、地域の平和と安定をどうやって守っていくのか、どうやって抑止力を維持していくのかという、語るべき政策を私たちは議論しなければならないのではないのか、このように思います。

井坂委員 幾つか分けて議論を詰めていきたいというふうに思います。

 よく国際法上ということで先ほどのこともおっしゃるわけでありますが、もう少し詳しく限定して議論をしていくと、外国にあるときの特権、免除の話ですとか、あるいは戦時における捕虜の人道的取り扱いの場面とか、やはりそういう限られた場面で自衛隊は軍隊としての取り扱いを国際法上受けているというふうに認識をしております。

 これは一くくりにして国際人道法というふうにくくられると思うんですけれども、こういう国際人道法と関係ない場面でも、共同訓練など国際的な活動をしているときは、これは、自衛隊は軍隊としての取り扱いを受ける、軍隊と呼んで差し支えない、こういう御見解かどうか、お伺いします。

安倍内閣総理大臣 今、井坂委員がおっしゃった、ここにいろいろなまさに課題があるわけでありますが、国際法上どう見られるかという中において、これはまず、我々が権利として保持したいものについては、しっかりと我々は当然、軍として国際法上取り扱われるものである、こう考えております。

 しかし、そう言っていながら、日本では絶対、軍ではないのではないかということになれば、これは、まさに国際法上はそれを期待していて、そうではないということを明確に言っていくということが果たしてどういう意味があるのか、どういうことをこれは惹起するのかということもよく考えていく必要があるんだろう、こう思うわけでございます。

 まさにこれは、交戦している相手国がどう対応するかということについて、私は、我々は国際法上はその権利がある、こう考えているわけでございますから、こうずっと述べてきているところでございます。

 一方、まさに国内におきましては、憲法との関係におきまして、佐藤総理が既に述べているように、呼称しない、つまり名づけることはしない。ですから、我々は、自衛軍とは呼ばずに自衛隊、こう申し上げているとおりでございます。そして、それはもうそれ以上のものでもそれ以下のものでもない、こういうことでございます。

井坂委員 もう一点。

 総理が先ほどもおっしゃいましたけれども、昭和二十九年の長官答弁で、我が国を防衛することを主たる任務とする組織を、これを軍隊と呼ぶのであれば、自衛隊も軍隊と呼べる、こういう答弁も過去にしているんだ、こういうことをおっしゃるわけであります。

 しかし、昭和二十九年というのは、本当に、自衛隊ができた一番最初の、まだ定義がはっきり定まっていないころの答弁でもありまして、その後は一貫して、さはさりながら、我が国を防衛する任務を自衛隊が持っていても、自衛のための必要最小限の実力しか持てないという憲法上の制約が課されている自衛隊は、通常の観念で考えられる軍隊とは異なる、これはもう明快なんですね。

 総理に確認をしたいんですが、必要最小限の実力しか持てない現在の自衛隊でも、やはり定義によっては軍隊と呼び得るということなのか、お伺いをしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 これは昭和二十九年の大村答弁だけではありませんよ。それは平成二十三年においても、先ほど答弁いたしましたが、今そうおっしゃったので訂正させていただきたいと思いますが、これは、昭和二十九年の答弁だけではありません、つい最近の答弁であります。

 平成二十三年、これは民主党の防衛大臣でありますが、当時の一川防衛大臣が、自衛隊の位置づけは軍隊か否かとの質問に答えて、自衛隊というのは、我が国が直接外国から攻められるということであればしっかり戦うという姿勢でございますから、そういう面では軍隊だというふうな位置づけでもいいと思う、こう答えているわけでございます。

 そういう意味においては、一川大臣が二十三年に答えておられます、昭和二十九年から随分時を経ているわけでありますから、それは変わらないということでございます。二十三年と今二十七年でございますから、この四年間の中にはまだ大きな変化はそういう意味ではないんだろう、こう思うわけでございます。

 そして、いずれにいたしましても、政府としては、一般に言われているような軍隊の定義について、その可否を申し上げる立場にはないというのは、もうこれもずっと一貫した立場である、こういうことでございます。

井坂委員 この問題、最後にいたしますが、総理は結局、説明のためにわかりやすく、他国の軍隊と対比をする場面で我が軍と呼んだんだ、何が問題があるんだという御答弁でありますが、これは今後も、総理は、国会答弁など公式の発言で、他国の軍隊と比較をする場面においては我が軍と呼ぶということになってしまうのでしょうか。

安倍内閣総理大臣 余り意味のない議論をここでさんざんやり返すのは、もうやめようじゃありませんか。そういうことではなくて、やはり、安全保障なら安全保障の政策について私はもっと議論するべきだろう、このように思います。

 つまり、定義については、その定義がどうこうと言う立場にはないわけでございまして、その説明において、先ほど申し上げましたように、彼我の関係において、他国の軍と我が方、まさにそれを我が軍と呼んだわけであります。その後、自衛隊の規律については、自衛隊という呼称を使っているところでございます。それはしっかりと切り分けてそう御説明をしているわけでございます。

 このように、こうした答弁によって一々大切な予算委員会の時間がこんなに使われるのであれば、それはもう一々そういう言葉は私は使いませんが、ただ、それを使ったからそれがどうこうというものではないということは、私は、今申し上げたとおりでありますよ。

 今まで、定義いかんにかかわるということでございまして、また、国際法上の立場についても説明をさせていただいたとおりでございます。そこのところも十分によく委員にも理解をしていただいた上で御議論をしていただきたい。

 つまり、自衛隊がもし日本を守るために他国と交戦状況になったときに、自衛隊の権利を守るためにも、いわば国際法上は軍隊であるという考え方を我々はとっているわけでございます。ここが揺らいではならないということでございます。

井坂委員 こういった予算委員会の時間をこういう問題で長く費やすのは不本意なので、やはりこういうことを今後、私も余り言葉尻の問題でふだんこういうことを質問する立場ではありませんけれども、ただ、歴代、自衛隊をどう呼ぶか、どう定義づけるかというのは、私は、そんなに軽い問題ではないというふうに思って、今回、国際法上の問題、また歴代の必要最小限度の実力という部分との兼ね合いということで、本日質問をさせていただきました。

 もう一点、本日、長時間労働の抑制についてということでお伺いをしたいと思います。

 私どもは、多様な働き方がふえること自体は悪くない、しかし、これには大事な大前提があるというふうに考えております。それは、どのような働き方であっても、やはり長時間労働が理由でうつになったり、自殺をされたり、あるいは過労死をされたり、こういうことだけは絶対にないようにしなければいけない、これが労働法制の大前提だ、これは与野党共通の認識だというふうに思います。

 また、今国会で議論になります高度プロフェッショナル労働制、これも、一または三カ月の総労働時間の上限か、またはインターバル規制か、または年間百四日の休日、どれか一つを選んで長時間労働を規制する、労働者の健康を確保する、こういうことだというふうに聞いております。

 これは、どれか一つですと、仮にインターバル規制だけを選んで、これがEU並みの十一時間、非常に長いインターバルが仮に確保されたとしても、一日の残業時間は毎日五時間、完全週休二日がさらに守られたとしても月間残業は毎月百時間を超えてしまう。実際、週休二日をやっていればインターバルを入れる必要がなくなってしまうわけでありますから、実際の労働時間というのはこれよりさらにふえるということになろうかというふうに思います。

 そこでお伺いをいたしますが、裁量労働制や、あるいは今後議論される高度プロフェッショナル労働制においては、むしろ、多様な働き方を認める立場の側からいっても、月間総労働時間の上限というものが必要ではないか、こういう自由な働き方になればなるほど最後の最後の総枠が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 答弁する前に、もう一度申し上げておきますが、先ほどの説明の中で、私が我が軍と言ったことは全く問題がないと今でも思っておりますことは、繰り返し申し上げておきたいと思います。

 その上において答弁をさせていただきますと、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度は、働く際の時間配分を本人の裁量に委ねることにより創造性の一層の発揮を促すものであって、労働時間の上限を一律に設定することはなじまないと考えています。

 裁量労働制では、対象となる方の労働時間の状況を把握した上で、これに基づき、休暇の付与、特別な健康診断など、健康確保のための措置が講じられているわけであります。今回の労働時間制度の見直しにより、健康確保のための措置を具体的に列挙し、これらのうちのいずれかが必ず講じられることとしています。

 また、高度プロフェッショナル制度においては、在社時間等を把握した上で、一定の休日を与えるなどの措置を求めることとしております。

 賃金台帳には、労働者ごとに賃金の額と実際の労働時間数を記入する必要があります。労働基準監督署による監督指導の際、記入内容が事実と異なると認められた場合には是正を指導しているところでありまして、適正な記入の必要性について、周知に努めていく考えであります。

井坂委員 今回、労働時間、特に長時間労働をどのような働き方でもきちんと抑制していく必要があるということを突き詰めて考え、また、当局の方とも議論させていただく中で、実は、労働時間とは何かということがそう簡単に定義できないというふうにも考えております。

 現在、労働時間というのは、大きく二つの考え方があります。

 一つは、総理がおっしゃった賃金台帳に記載をされる時間。これまではこれが労働時間というふうに扱われていたわけでありますが、しかし、今後、裁量労働制や高度プロフェッショナル労働制、必ずしも賃金台帳に書く時間が実際に働いている時間と一致しない、こういう働き方がふえてくるに当たり、別の時間が必要だということで、今回、健康管理時間という考え方が出てきているわけであります。

 さらに、裁量労働制では、賃金台帳に記載する時間は、これは残業ゼロ時間であっても四時間であっても、みなしで二時間、いつも二時間残業していることにしよう、こういう数字が書かれるわけであります。

 これは、賃金を払うという立場からはこういう数え方でもこれまで問題がなかったかと思いますが、しかし、労働者の健康を守るという観点を大事にすれば、このような賃金台帳に記載する労働時間だけではとても役割を果たさない。

 この裁量労働制でも、賃金とは別に、やはり実際の労働時間をしっかり雇用者側が把握、そして適正に記録することが大事ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 裁量労働制のもとでは、今お話がございましたけれども、休日、深夜労働分を除いて、この制度上の対象となる方の労働時間を厳密に把握することは求められていないわけでございますけれども、一方で、健康確保という今先生御指摘のこの観点からは重要であって、制度の実施に当たっては、使用者は、その方の在社時間、出退勤時間から労働時間の状況を把握して、これに応じた健康確保措置を労使で定めて実施するということになっています。

 さらに、今回の労働時間制度の見直しにおいて、こうした健康確保のための措置が確実に講じられるようにするために、これまで指針で例示されてきた代償休日とか特別な休暇とか、いろいろ省令でございましたけれども、必ずこのうち一つはやらなきゃいけない。今までは、例示はされておりましたけれども、必ずしも実施をされないということがあった。これを認めないといけないと思っていまして、これを改正しようということになっています。

 それともう一つは、審議会の建議にありますように、みなしであろうとも、確実に働いている時間を把握するということが大事なので、やはり全ての働く人の健康確保の前提として実労働時間の客観的な把握が必要だということで、今回、法律成立後に、省令を建議に基づいて規定することになりますから、その中で、どのようにして把握をしていくのかということをしっかり考えて決め込んでいかなければならないというふうに思っております。

井坂委員 最後に一点だけ。

 労働時間を把握して、しっかりそれで過労死とか、うつ、自殺、こういったものを防いでいくということを考えるときに、いわゆるブラック企業、あるいはそれに近い企業になればなるほど、この労働時間の把握や記載そのものが、虚偽や、あるいはうその数字を上げさせたり、あるいは労働者側がいろいろなプレッシャーでそういうものを上げたりという実態が多くあるわけであります。

 この賃金台帳における労働時間や健康管理時間の虚偽記載や虚偽申告を本当にどう防いでいくのか、これまで防げていなかったというふうに思いますから、それだけ最後にお伺いをして、終わりにしたいと思います。

塩崎国務大臣 使用する者は、労働基準法の第百八条に基づいて、先ほど総理からもお話があった賃金台帳、これを労働者ごとにしっかりとつけていかなきゃいけないということになっておりますけれども、仮に賃金台帳に事実と異なる内容を記入している場合には、当然のことながら、違反をするわけでありますので、そこにはきちっと我々が対処しなきゃいけないということであります。

 労働基準監督署によります監督指導の際の、記入内容が事実と異なると認められた場合には是正指導をするほか、監督官の求めに対して、また、虚偽を記載した賃金台帳を提出した場合、こういうときは、当然、司法処分を厳正に打っていくということになります。

 また、賃金台帳の適正な記入の必要性についても、周知をしなければいけないと思っています。

 健康管理時間につきましては、この高度プロフェッショナル制度の対象となる方について、健康確保措置を講じる前提として使用者に把握することを求めるものでありますけれども、割り増し賃金は、これは関係がないために、賃金台帳への記載は必要がないということになりますが、健康管理時間の確実な把握が図られるように、どうこの具体的な取り組みができるのかということを、この法案成立後に省令等を検討する中で決めていかなければいけないと思います。

 いずれにしても、現行の法体系のもとで、そしてまた新しい法律を御審議し、また、成立をさせていただく中で、厳正な監督指導を実施していかなければならないと思っています。

井坂委員 終わります。

大島委員長 これにて井坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、重徳和彦君。

重徳委員 維新の党の重徳和彦です。

 本日は、日本の最大の課題の一つと言われております少子化対策、私は勝手に、子供がふえると書いて増子化社会を目指そうと申し上げております。増子化社会は、若いカップルが子供を産みたい、育てたいと思えるような温かい地域社会づくりということであります。

 昨年の十二月二十七日には、閣議決定でまち・ひと・しごと創生長期ビジョンが策定をされました。また、去る三月二十日には、少子化社会対策大綱も閣議決定をされました。

 そこで、通告の順序をちょっと変えて、最初に石破大臣にお伺いしたいんですが、この長期ビジョンではこう書かれております。社会保障・人口問題研究所の将来推計人口では、二〇六〇年の総人口は八千六百七十四万人にまで落ち込むと推計されている。これに対して、仮に、二〇三〇から四〇年ごろに出生率が人口置換水準まで回復するならば、二〇六〇年に総人口一億人程度を確保されるというような趣旨のことが書かれております。

 当時、昨年末、新聞にも五十年後に一億人なんという見出しがたくさん並んだわけなんですが、そのために必要な出生率というものをここで改めて御説明いただけますでしょうか。

石破国務大臣 具体的には、委員が今御指摘になりました長期ビジョンにおきまして、若い世代の方々のいろいろな御希望というものが実現した場合に改善が見込まれる出生率の水準として、一・八程度の水準をお示しいたしました。

 各種の対策が出生率の向上に結びつき、成果が上がるまでに一定の時間はかかります。それを考慮いたしまして、二〇二〇年に一・六程度、二〇三〇年に一・八程度、二〇四〇年に御指摘の人口置換水準二・〇七、これが達成されるケースを想定しておるところでございます。

重徳委員 よく言われます二・〇七という数字が人口維持に必要な出生率だと言われますけれども、それは二〇四〇年に達成するということを想定されているということですが、今、石破大臣の答弁の中では、私が特に問題というか重要視したいのは、二〇二〇年、五年後に一・六を想定しつつこのビジョンができているということであります。

 資料二の方にそのグラフのインパクトが載っているわけなんですけれども、この赤いラインの方に移行するためには、五年後には一・六。二〇四〇年に二・〇七というと、何か遠い、ちょっと先なので、もしかしたら達成できるような気すらしますけれども、二〇二〇年、五年後に一・六。今は一・四ですから、そんなに急に伸びるのかという、これは危機的な状況であり、また急務であるという認識になるわけであります。

 その一方で、この少子化対策あるいは増子化政策というものは、財政問題に非常に直結をいたします。

 資料一をごらんいただきますと、社会保障の費用に関する将来推計が出ておりますが、人口問題というのは、やはりどうしても五十年スパンで捉えてじっくりやるということになるんですが、財政の推計というと、政府に聞いても、やはりせいぜい五年後、十年後ぐらいの推計までしか出せないというような形なんです。

 だけれども、それは、例えばことし、一生懸命子供がふえていく施策に取り組んで、ことし生まれた子供は、しかし十年後にはまだ十歳ですから、そんな納税をする戦力にはまだなっていない。ですから、十年後の財政の指数の中にはその推計の中には、盛り込む要素としてはちょっと考えにくい。だけれども、必ずそれは、二十年後、三十年後からは、その推計の中に影響として出てくるものであります。

 したがって、私は、この財政の推計、当然五年後、十年後の方がはっきりした推計がとれるというのは、そこはわかりますが、やはり人口問題と財政推計というものをかなり連動させて考えていかないと、将来の子供の数がふえるための施策を、今それなりの財政規模で施策を打っていく必要があるんだ。こういう意味で、現在の財政出動が将来の投資になる、しかし投資がきいてくるのは二十年以上先のことだ。こういう意味で、財政推計も長期的に見ていく必要があると思うんです。

 例えば、経済については、経済再生ケースとベースラインケースでこれだけ財政に影響が違うんだという推計をちゃんと十年後まで出しておりますから、であれば、子供の数についても、今取り組めばこれだけふえていくんだということを織り込んだ数字を、財政推計としても二十年、三十年後、だんだんちょっとアバウトな推計にはなっていくかもしれませんが、そういったことも含めて財政を考えていく必要があると思うんですが、麻生大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 世の中にいろいろな推計があるのは御存じのとおりですけれども、この人口推計が一番当たる確率が高いと昔からよく言われておりますので、そういった意味では、こういった傾向値というのは非常に大事なところだと思っております。

 政府としても、少子化対策とか、重徳先生の言葉をかりれば増子化対策ということになるんだと思いますが、これは重要な課題だと思って、昨年の六月の骨太方針の中でも、この点は、財源を確保した上で子供への資源配分を大胆に拡充するとされておるところであります。

 今般の社会保障と税の一体改革におきましても、消費税の使途を含めまして、従来のいわゆる高齢者三経費と言われます基礎年金、高齢者医療、介護、三つ合わせて高齢者三経費から、少子化対策を含む社会保障四経費ということに拡大をさせていただいておりますし、子ども・子育て支援制度を本年四月から予定どおりに実施させていただくことにしております。

 これは、消費税を一〇%に上げる前提でありましたけれども、二%はそのまま据え置いて、八%のままではありますけれども、量的拡充と質の向上を全て実施するために必要な予算ということで〇・五兆円、これは国と地方と合わせてですけれども、行うこととしておりまして、今後、消費税率が一〇%に引き上げられるとき、平成二十九年の四月になりますけれども、少子化対策というものは、これまでの充実分を含めて合計〇・七兆円程度にまで今向ける方向としておりまして、今後ともこれをさらに伸ばすには、財源を確保しつつ、きちっと支援を充実していくという姿勢が極めて重要だと思っております。

重徳委員 今手を打っておかなければ、財政に本当に深刻な影響が生じてしまうというふうな思いは恐らくお持ちだと思います。

 ですが、大胆な拡充をしていくと言いつつ、まだまだ我が国の家族関係社会支出というものは足りないと私は思っております。

 資料の三をごらんいただきたいんですが、これはよく見る資料だと思います。日本は、対GDP比で比べますと、欧米、ヨーロッパの特に少子化を克服したと言われるフランス、スウェーデンと比べて、非常に数字として低い支出になっております。

 本当に大胆な拡充をしていくということは、消費税増税の折にできるだけその財源を確保する、御努力はもちろんされているという御答弁でありましたが、ここの支出の表の中には、比較の中には、税制による支援というものは含まれていないんですね。

 ですから、フランスなんかはよくN分N乗税制と言われます。家族の人数が多いほど所得税率を下げるというような施策ですね。そういったことも各国ではやっているわけです。世界で最も深刻な少子化に悩んでいる日本は、各国と比べてももっと充実させるべきだと思うんですが、この程度では水準が低過ぎるんじゃないか、こう思いますが、少子化担当大臣の有村大臣、お願いします。

有村国務大臣 家族関係支出の対GDP比について、出生率の回復を実現したフランス、スウェーデン等の諸外国においては、お示しのとおり三%程度以上である一方、我が国では、二〇一一年度、一・三六になっています。

 ここには書いておりませんけれども、国民負担率にかなりの違いがあります。フランス、スウェーデン等では六割前後、我が方では四一%という負担率の違いがありまして、単純に比較はできませんけれども、やはり、先生おっしゃるように、長期間にわたり継続的、総合的に家族政策を展開してきたこれらの国々の取り組みを参考にすることは極めて大事であり、委員御指摘のように、必要な財源を確保しつつ、政策を抜本的に充実させる必要があるというふうに思っております。

 先ほど財務大臣から御答弁いただきましたとおり、来年度の予算案については、子ども・子育て支援新制度を予定どおり四月から実施するための財源ということを確保するめどがつきました。

 財務当局も含めて格段の思慮をいただいたと認識しておりますが、これから一兆円超の予算がかかるというふうにされている中で、引き続き、この少子化対策ということ、今回出させていただきました少子化対策集中取り組み期間ということを対策の大綱にも掲げまして、やはり少子化対策の充実と、それを実現するための予算の確保ということを、政府挙げてやっていけるような体制を組んでいきたいというふうに考えております。

重徳委員 有村大臣の意気込みも本当にそのとおり実現していければとは思うんですが、今の御答弁にありました、国民負担率がそもそも違うんだというお話でありますけれども、国民負担率そのものも、日本は中福祉なのであればそれなりの負担もちゃんとすべきであろうとか、そういう議論はずっと続いているわけですね。よく言われるのは、中福祉だけれども低負担である、だから赤字国債が本当に巨額、累積しているということなんです。

 そういう中ではありますが、まず一つ、子供の数をふやしていくということについて、より国の意思を明確にしていくべきではないかと私は思うんです。さまざまな施策が少子化社会対策大綱の中で盛り込まれているわけなんですが、その中で、児童手当という部分について余り触れられていないと思います。

 民主党政権時代は子ども手当への取り組みもあったわけなんですが、今、この少子化大綱の中にも、三人目、四人目の子供が本当は欲しいんだという若い夫婦が四五%に上るという数字があります。だけれども、全然その望みがかなえられていないということなんですね。

 児童手当、現行制度は、第三子は少しだけ優遇されています。三歳から小学校修了までだけですね。第一子、第二子は一人一万円なんですが、第三子以降は一万五千円。だけれども、その程度ですよ。だから、三人目、四人目を産み育てるには本当に多くの、お金だけじゃなく時間も労力もかかるわけなんですが、そこに対して、国の意思としてもっともっと、第一子、第二子はもちろん大事なんだけれども、第三子、三人目が生まれなきゃ人口はふえないわけですから、そういうことを国を挙げて支援するんだ、こういう姿勢を明確にするべきだと思っております。

 私の手元での試算においても、仮に今の児童手当を三人目以降の子供たち分だけ倍増させるということをしたとしても、それは国費ベースで二千数百億円です。これは、我々維新の党が、震災復興のために一時期国家公務員の給与を七・八%抑制するという政策、去年の四月にはもとに戻しちゃいましたけれども、これを続けていれば二千九百億円生み出せるわけですから、そういうオーダーの金額で十分に三人目以降への、第三子以降への力強い国としての支援ということもはっきりと打ち出すことができると思います。

 こういったわかりやすい施策、手厚い施策をやっていくべきだと思います。これこそ大胆な施策だと思うんですが、安倍総理、御見解はいかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 我が国においては、約半数の夫婦が理想の子供を三人以上としているのに対して、子育て、教育などの面での経済負担が大きいことが第三子を持てない最大の理由、こうしているわけでございますので、全ての子育て家庭を支援していく中で、三人以上子供を持ちたいとの希望を実現できる環境を整備していくことが、これはまさに、少子化に歯どめをかけ、さらには委員がおっしゃったような増子化に向かって進んでいくことにつながっていくだろうと思います。

 このため、今後五年間に取り組むべき施策の方向性として、三月二十日に閣議決定した少子化社会対策大綱において、多子世帯への一層の配慮を重点課題の一つに挙げているところでございます。

 何をやっているかということについては、今一部御紹介いただきましたが、児童手当は第一子、第二子より第三子以降を増額、そして幼稚園や保育所の保育料について、第二子は半額、第三子は無料とするなど、第二子、第三子の支援を手厚くする取り組みをとっているわけでございまして、幼児教育の無償化に向けて歩みを進めたい、進めていきたいと思っています。

 今後とも、子育て、保育、教育、住居などさまざまな面での負担軽減を進めていきたい、こう思っておりますが、まさに少子化は我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねないとの危機意識のもとに、安倍内閣では、子供への資源配分を大胆に拡充することとしています。

 今般の社会保障と税の一体改革では、消費税率を一〇%に引き上げるとともに、高齢者三経費に加え、子ども・子育て支援にも消費税収を充てることとしました。来年度予算では、消費税率一〇%への引き上げは延期はしましたが、子ども・子育て支援新制度を予定どおり四月から実施することとしておりまして、待機児童の解消等に向けた量の拡充や、保育士の処遇改善等の質の向上のための財源を確実に確保することとしております。

 さらに、出生率の回復を実現した諸外国の経験も参考にしながら、財源を確保した上においてでありますが、子供への資源配分を大胆に拡充することが必要である、このように考えております。

 今後とも、より効果的かつ集中的な少子化対策に取り組んでいく考えでございます。

重徳委員 今、安倍総理、最後に、財源の確保が前提であるが、これから思い切った施策をということをおっしゃいましたが、この財源確保というのが結局一番問題であります。消費税はこれから段階的に引き上げていくということではありますけれども、しかし、先ほどのフランス、スウェーデンの例は、国民負担率が違うから、ちょっと我が国と単純に比較するわけにはいかないんだということで、どうもエクスキューズになってしまうんですね。

 財源確保のためには、我々維新の党が主張しておりますが、やはり政治家もそして公務部門ももっともっと身を切る覚悟を示して、そして財源も、さっき申し上げましたように、七・八%、国家公務員の給与によって二千億円、三千億円が生まれるわけですよ。こういう我々の主張は、決して覚悟というだけじゃなくて、財源の確保にもつながる政策なわけでありまして、そのことによって、今、子育て世代にしっかりと投資を行って、その結果、後でいわばリターンというものが返ってくるんだ、こういったことに真剣に取り組むべきだと私は思います。

 けさもたまたま、読売新聞に、これは地方の議会の話ですが、十四県六政令市が新幹線、特急を利用した場合の領収書の提出を不要としている、それは政務活動費の話ですね、領収書もなしに認めているというようなことなんですが、これはもう地方の話ですから、地方の自治かもしれません。

 しかし、我々は、国を担う国会議員自身の文書通信費の使途もきちんと公開していこうじゃないかということで、我々はみずから法案ももちろん提案していますが、どの党も誰も乗ってこないものですから、やむなく我々自身がまず、これは一人でもできるんです。別にどこの党に所属していても、一人でもできるんです。

 我々と同様に、文書通信費を何に使ったか、領収書をつけてインターネット公開する、こういった取り組みを含めて、我々の覚悟と、そして身を切る改革により財源を生み出す、そういったことに取り組むべきだと私は考えておりますが、総理の答弁も大体想像がつきますので、これは主張するにとどめます。

 最後に、麻生大臣に質問させていただきます。

 赤字国債というのがありますが、赤字国債は今、二十七年度の場合は三十七兆円発行します。建設国債以外は全部、何に使ってもとにかく全部同じ色の赤字国債なんですね。

 だけれども、今まで申し上げておりましたように、いわば、出産、子育て、教育というのは将来に向けた投資である。だから、制度にはないけれども、どちらかというと、ことしだけで終わってしまう、支出に終わってしまうような、社会保障でも例えば医療、年金、介護といった分野に比べれば、将来に向けた投資という意味において、平たく言えば借金になじむんじゃないかという感覚は、恐らく感覚的には共有していただけるんじゃないかと思います。もちろん、だからといって、子育て、教育には幾らでも借金していいんだということを申し上げるわけではありませんが。

 であれば、同じ国債発行額あるいは国債残高の中でも、言ってしまえば、生活費のように、一般の家庭の生活費、飲み食いに使ってしまうようなお金、ことし限りで使ってしまうお金と、教育、子育てという将来に向けた投資に充てるお金と、ちょっと色分けをして、それを例えば指標化するとか、そういった、同じ赤字国債でも、全部赤字国債なんだというんじゃなくて、将来に向けた国債、それから本当の意味で赤字だからしようがない国債、こういった色分けをすることを考えることはできないでしょうか。

麻生国務大臣 これは、重徳先生御存じのように、財政法上、建設公債と赤字公債に分類しているという観点に立ってそう言っておられるんだと思いますけれども、どのような国債であれ、国債である以上は、これは返済せないかぬということになるのは当然のことであります。

 今、もう一点は、考えておかないかぬのは、PBの黒字化目標というのを申しておりますが、これは赤字公債であろうと建設公債であろうと本質的な違いがあるわけではなくて、どちらも、いわゆる基礎的財政収支と言われるPBにおきましては、これは両方とも赤字の要因であるということはもうはっきりしておると思っております。

 したがって、仮に新たな種類の、今言われたようなことを考えたとした場合、それでも借金は借金ですから、将来、返済財源を税金で負担することになるということは変わりはないということになるんだと思いますので、今言われましたように、今後とも借金ではない財源を確保しつつということを子育て支援をやっていくときに考えていくのが重要で、新たに別の形での、建設公債とは言いませんけれども、そういったような形のものをつくっても、やらなければならぬところは全く同じということになるのではないかというように思っております。

重徳委員 今の話はもう少し丁寧に私も説明しなければ趣旨が十分通じなかったかもしれませんが、何にしても、現役世代がそのまま使ってしまうようなことに赤字国債をどんどん出してしまうということに対する国民的な理解、抑制効果というものを出すためにも、そういった色分けということを少し考えていくことはできないかという提案でございますが、これはまた次の機会にさせていただきたいと思います。

 以上で終わります。

大島委員長 これにて重徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今国会では、政府が岩盤規制と呼ぶ雇用の問題について、るる議論をされてきました。労働時間法制や派遣法について、あるいは規制改革会議から既に解雇の金銭解決の問題も俎上に上っております。今、世界で一番企業が活動しやすい国にするために、安定した雇用、労働というのは望めない国になるのかな、こう指摘しなければなりません。

 短い時間ですので、端的にお伺いします。

 日本再興戦略に明記されている失業なき労働移動とは何か、総理は何を目指しているのでしょうか。

安倍内閣総理大臣 安倍内閣においては、成熟産業から成長産業に円滑に人材が移動していく、失業なき労働移動の実現を基本方針としています。これまでの行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換を図り、働く人が能力を発揮し、経済成長の担い手として活躍できるよう取り組んでいるところでございます。

 こうした方針のもとに、平成二十五年度以降、労働者の再就職を支援した事業主に対する労働移動支援助成金を拡充し、出向や移籍による失業なき労働移動を支援するため産業雇用安定センターの機能を強化し、そして、教育訓練給付の拡充により労働者の中長期的なキャリア形成を支援していくなどに取り組んできているところであります。

 今後、マッチング機能の強化や能力開発への支援等を通じ外部労働市場の活性化を進めることによって、成長分野への円滑な労働移動を図り、経済成長へとつなげていきたいと考えています。

高橋(千)委員 例えば、失業しても半年しないで次の転職先を見つけられたり、本人が成長分野に行きたい、再就職したい、そういう転職をみずから希望して、それがかなえられるのであれば悪いことではないと思います。しかし、それを上から言うから意味が大きく違ってくると思うんですね。

 二〇一三年六月の日本再興戦略では、「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換」として、雇用調整助成金と労働移動支援助成金の予算規模を二〇一五年度までに逆転させると言いました。

 そもそも、何が行き過ぎなんでしょうか。二〇一三年度の雇用調整助成金は一千百七十五億円、労働移動支援助成金は五億七千万円でした。来年度予算案、逆転したのですか、大臣。

塩崎国務大臣 数字をお配りいただきましたけれども、御指摘のとおり、日本再興戦略に沿って行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換を行うということで、今総理からその考え方を申し上げたところでございまして、労働移動型に移るという意味で、逆転というか、数字の上でこのような結果になって、労働移動支援助成金の平成二十七年度予算は三百四十九億円で、雇用調整助成金は百九十三億円で計上しているところでございます。

 ですから、そういう形で、方向としては、雇用調整助成金に重きを置いてきたものから労働移動支援型にウエートを高めているということであります。

高橋(千)委員 パネルにしてみたんですけれども、四捨五入して六億円だったものが、見事に逆転をいたしまして三百四十九億円になっているということを今大臣もお認めになったと思います。

 当時、産業競争力会議議員の竹中平蔵氏などが、雇用調整助成金と労働移動への助成金の予算規模が一千対五だが、まさにここを指しておりますけれども、二〇一三年の、これを一気に逆転するようなイメージでやっていただけると信じているとハッパをかけておりました。さすがにこの一千というのは、大震災対応での予算規模だったので、そこまでの極端ではないですけれども、労働移動への支援が一気に数百倍になったということは明らかだと思います。

 これがどういうことを意味するのかということを考えたいと思います。

 今年度の雇用調整助成金は、五百四十五億円余りで、二万五千百五十七件支給決定をされております。対象労働者数にすると、延べ二十四万七千三百九十九人になるということです。

 では、二〇一一年、東日本大震災を契機に要件を緩和したわけですが、この年、被災三県で見ると、何万件支給され、ざくっと言って何万人の雇用が維持されたと言えるでしょうか、数字だけお答えください。

塩崎国務大臣 二〇一一年度の被災三県におきます雇用調整助成金の支給決定件数というのは約三万七千件ございまして、対象労働者数は延べ八十一万人でございました。

 どれだけの雇用が維持されたか、正確な数字を把握するのは大変難しいわけでありますけれども、仮に全ての方が十二カ月分支給されたと仮定をいたしますと、約六万七千人分ということで、少なくともこれ以上の人数の雇用が維持されたということができるのではないかと考えております。

高橋(千)委員 延べだからというので、わざわざ十二カ月で割ってくださって計算をしたわけですが、十二カ月丸々とは限らないので、延べで八十一万人もの方の雇用を維持することができたということだと思っております。

 本当に、震災でラインが壊れた、部品が届かない、あるいは浜自体が壊れた水産加工業など、そうした中で再起を目指して雇用を確保しながら頑張ってきた、その点での大きな支えになったのではないかと思います。

 同時に、このときは社会保険料、労働保険料の免除も取り組みました。時間の関係で社会保険料だけ答えていただきたいと思うんですけれども、免除になった自治体数、事業所数、総額幾らでしょうか。

塩崎国務大臣 社会保障ということで、厚生年金それから健康保険などの社会保険料の免除の実績は、延べ二万三千八百十七事業所、総額約五十八億円というふうになっております。

高橋(千)委員 自治体数も聞いていたんですけれども。

塩崎国務大臣 失礼しました。十三自治体であります。

高橋(千)委員 一都一道十一県なんですね。

 つまり、被災三県と私たちはよく言うんですけれども、たとえ東京に本社があっても、工場が沿岸部にあって丸々破壊をされてしまった、そういったところにも適用になったということで、約五十八億円の免除があったと思います。本当にこれは、他の制度と比べても額自体は決して多くはないかと思うんですが、それが雇用維持に大きな役割を果たしたことは明らかだったと思います。わずか一年間の制度でありましたけれども、大いにこれは今後の考え方として使えるのではないかと思っております。

 同時に、きょう言いたいのは雇用の維持、今話したのは雇用の維持です。労働移動とは全く趣旨が違います。

 労働移動支援助成金は、離職を余儀なくされる労働者の再就職援助のための措置を講じる事業主に対して助成するものであります。

 中小企業のみだった対象が、昨年から大企業にも支給できるようになりました。再就職支援会社などに支援を委託した時点で十万円支給するという制度が加わった。いわば手付金のようなものでありますけれども、幾ら昨年は払われましたか。大企業、中小企業を分けてお答えください。

塩崎国務大臣 労働移動支援助成金につきましては、平成二十六年三月から再就職支援奨励金の支給対象を大企業にも拡充するということといたしまして、平成二十六年度の支給実績は、委託開始時に支払われる分が、平成二十六年四月から、平成二十七年の、ことしの一月までで、大企業は一億四千四百八十一万円、中小企業は一億一千百七十五万円となっております。

高橋(千)委員 件数も聞いたわけですけれども、本当は百一件なわけですね。

 件数自体は、中小企業の方が若干多いんですね。だけれども、今答弁されたように、額は当然大企業の方が多い、一億四千四百八十一万四千円という額でありました。当然、抱えている労働者の数が多いからこういうことになるんだと思うんですね。

 私は、この問題について、再就職支援委託料、派遣会社に委託した時点で、結果はどうあれ手付金を払うのはおかしいんじゃないかと厚労委員会で指摘したことがございました。

 実は、これまでも、追い出し部屋という言葉が随分話題になってきたわけですけれども、再就職支援とかさまざま名前を変えて、大手の電機産業などで横行している実態があります。

 既に電機・情報ユニオンの調べによれば、この間二十五万人リストラがされているわけですけれども、例えば日立グループでは、早期退職や出向命令などをはね返して復職をかち取った社員に転職支援会社パソナで自分たちの出向先を探させるという、いわば追い出し部屋に配属をしたわけであります。パソナといったら、さっき指摘をしましたが、産業競争力会議で労働移動支援を逆転させよと政府にハッパをかけた御本人ではないでしょうか。

 総理は、問題なしとするのか。政府によるリストラ支援にはならないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 労働移動支援助成金については、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換の方針を踏まえて、その内容を見直しをし、平成二十五年度から拡充を行ったところであります。

 この助成金は、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者の方々に対し再就職を支援する企業に助成するものでありまして、送り出し企業については、労働者本人の希望に沿って再就職支援を行うこと、そして受け入れ企業については、再就職をした労働者に当該職場で必要な知識、技能等を習得するための訓練を実施することを要件としています。

 このように、再就職する労働者の方の視点に立った助成金となっておりまして、リストラ支援といった指摘は当たらないと考えています。

 なお、産業競争力会議には、日本の産業競争力強化や国際展開に深い問題意識を持っている経営者等に参加をいただいているところでございます。

高橋(千)委員 当たらないという答弁をしましたけれども、何をもって当たらないというのかわからないんですね。

 さっき紹介したのは東京・立川に本社のある日立超LSIの場合ですけれども、この名称は、日立グループ出向先開拓支援サービスと名乗っているわけです。もちろん、我々が言うところの追い出し部屋などということは表現はしておりません。開拓先です。

 それは、午前中は本社で前日のパソナでの日報の書き込みをさせる、午後はパソナでの出向会社を探す。出向ですよ、再就職支援ではないんです。もちろん、本人が望んだのではありません。望まなかったからここに配属をされているんです。子供に何の仕事をしているのと聞かれて胸を張って答えられないのが悔しい、こういう思いをさせられている。

 ここに事実上、再就職支援会社でありますから、お金を払って国が応援することができるようになるのではありませんか。

塩崎国務大臣 冒頭総理から申し上げたように、産業構造を変えていくためにも、生産性の高い産業や企業に移っていかなきゃいけない、当然労働も一緒に移っていかなきゃいけないということで、今まで以上に移動に力点を置いた支援をやっていこうじゃないか、こういうことで、再就職を支援する送り出し企業とそれから受け入れ企業側のオフJTとかOJTとか、そういうことをやることによって再就職がスムーズにいくようにということでございまして、今先生が御指摘のようなリストラ支援とか、そういうようなことでもございません。

 新しい日本の産業構造に向けて、働く人たちがどういうふうに移っていくべきかというときに、政府が支援をできるバックアップ策の一つということでございまして、離職を余儀なくされる方の円滑な再就職実現というのは非常に大事だというふうに考えて、進めていかなければいけないと思っております。

高橋(千)委員 全く答えになっていないと思うんですね。

 生産性の高いとかいろいろおっしゃいましたけれども、この会社は、最初に社員に命じられたのは、派遣会社への出向なんです。そもそも、派遣会社への出向。当然それでも、余儀なくされて、行きましたよ。行ったけれども、余りにも処遇が変わってしまった。その上で、団交して復職をかち取って、配属された先が結局パソナによる出向先探しという、これが実態なんですね。そのツールになるんじゃないかということを重ねて指摘しておきます。全く答えになっていないけれども、しかし、そうじゃないと言っている以上は、それを担保しなければならないんです。

 そもそも竹中氏が、私が今紹介した話は、二〇一三年の三月十五日の産業競争力会議で指摘をしているんですけれども、どういう文脈の中で出されてきたかといいますと、労働移動型の解雇ルールへのシフトは大変重要だ、判例に委ねているのはルールとして不明確であり、明文化すべきだ、金銭解決を含む手続の明確化をすることが必要だ、この中でこの発言をしているんですね、労働移動と雇用調整を逆転させようと。つまり、解雇をもっともっとしやすくするべきだ、金銭解決すべきだと。そういう中で、まず、その一つのツールとしてこの問題が出された、これは明らかであります。

 この解雇の金銭解決については、国会内外でも強い批判を受けて、すぐには議論はできませんでした。まずは特区という形で、雇用指針を今さまざまやっているわけですよね。福岡でもやられています。次は、労働者が志願をしたらという形で、規制改革会議が今提案をした。そういう流れの中で、失業なき労働移動という名で、結局、リストラ支援に、国が支援をしているということが明らかではないかと思うんですね。

 総理にもう一回伺いたいと思うんですが、そもそも大企業であれば、大量雇用変動届に基づく再就職援助計画などというのは、もともと持っていた制度なわけですよね。政府が支援をしなくても、ルールにのっとって責任を果たせばよいわけです。今までだって再就職支援会社に、残念ですが派遣会社が多いですけれども、お金を払って再就職支援をやってきました。だから、それを、何もお金で国が制度をつくる必要はないわけなんですよ。

 さらに、来年度予算の中でキャリアアップ助成金も拡充されました。派遣先が派遣労働者を直接雇用する場合、派遣先に対する助成金、一人八十万円。有期労働者を正社員にする場合、五十万円。こういう支給が拡充されています。しかし、これらも、本来だったら、正社員と同等に働く社員だったら、最初から正社員として雇用すべきであって、そういうルールをきちんと確立すればいいんです。

 国がお金を出すから正社員にしてくださいね、こんなことをする必要はないんじゃないですか。総理にお伺いします。

安倍内閣総理大臣 非正規雇用で働く方々の中には、仕事と育児や介護の両立のため、勤務時間の自由度が比較的高いパートや契約社員といった雇用形態を選択している方々もいます。また、景気回復局面においては、全く仕事についていなかった方々が、まず非正規という形で仕事を得る場合もあります。こうした方々の処遇改善を図っていく一方で、正社員を希望する方には、キャリアアップ助成金の拡充、計画的な教育訓練を推進する労働者派遣法の改正などにより、正社員への道が開かれるようにしていくことになります。

 こうした取り組みを通じまして、一人一人が、それぞれの希望する働き方の中において、それを実現できる、生きがいを持って働くことができる社会をつくっていきたいと考えております。

 なお、再就職援助計画は、雇用対策法に基づき、事業規模の縮小等に伴い離職者を発生させる企業に対し作成を義務づけているものでございます。労働移動支援助成金は、この計画を作成した企業が実際に再就職支援を行った場合に、その経費の一部を助成するものであり、計画を作成しただけで助成がなされるわけではないということである、このように承知をしております。

高橋(千)委員 ですから、まず今、後の方の答弁ですけれども、計画を策定しただけで払うお金ではないとおっしゃいました。でも、それをおっしゃるんでしたら、再就職支援会社、パソナのような派遣会社に再就職支援を委託しただけで、結果が出なくても手付金を払うんですよ、十万円。それを国がやる必要はないでしょうと言っているんです。制度としてあるんです。もともとやっていることをやる必要はないでしょう。もともと力のある企業にそれをさせる必要はないということを私は指摘しています。

 それから、生きがいでパートや契約社員、そういう働き方を選んでいる人がいるということは、決して否定はしません。そういう方たちが、例えばみずから選んで、短時間だけれども正社員とか、そういう道があるのは、それは今だって開かれているんです。だけれども、正社員の道がありますよ、派遣法だって、それを努力義務とかやっていますよといいながら、そこに何でお金を出すんですか。ちゃんとルールを守れば、きちんと責任を果たせば、やれることなのに、なぜ国がお金を払ってお願いしますと言うのか、そのことが問題だと言っているんです。

 一言ありますか。

塩崎国務大臣 今、計画に基づいてということを総理からも申し上げたとおりでありますけれども、この計画自体が、実は、労働組合の同意を得て、離職を余儀なくされる方の再就職支援のための計画を作成し、民間の再就職支援会社への委託によって、同計画の対象となった離職される方御本人のマッチング支援とかキャリアカウンセリング、それから訓練などの再就職の支援を行うということでありまして、この計画にのっとって行われる今の仕組みで国が支援をしていくということは、次の職場の開発のために重要な役割を果たせるのではないかというふうに思っております。

高橋(千)委員 余りにも大企業支援が過ぎるということを指摘して、次の委員会に譲りたいと思います。

 終わりに、本暫定予算三案に対する日本共産党の態度は反対であります。

 本暫定予算のうち、生活保護費などの社会保障費、災害復旧事業費、地方交付税交付金などは当然計上するべきものであります。

 しかし、暫定予算案は、消費税八兆円増税と社会保障削減、軍事費増を前提とした二〇一五年度予算と一体をなすものであり、賛成できません。

 以上、表明して、質問を終わります。

大島委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして平成二十七年度暫定予算三案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大島委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 平成二十七年度一般会計暫定予算、平成二十七年度特別会計暫定予算、平成二十七年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大島委員長 起立多数。よって、平成二十七年度暫定予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました平成二十七年度暫定予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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