衆議院

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第19号 平成27年6月18日(木曜日)

会議録本文へ
四月二十日

 大島理森君が委員長を辞任した。

同月二十一日

 河村建夫君が議院において、委員長に補欠選任された。

平成二十七年六月十八日(木曜日)

    午前八時五十六分開議

 出席委員

   委員長 河村 建夫君

   理事 金田 勝年君 理事 熊田 裕通君

   理事 萩生田光一君 理事 原田 義昭君

   理事 平口  洋君 理事 平沢 勝栄君

   理事 森山  裕君 理事 前原 誠司君

   理事 今井 雅人君 理事 上田  勇君

      青山 周平君    秋元  司君

      石原 宏高君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      小田原 潔君    小野寺五典君

      大隈 和英君    岡下 昌平君

      金子 一義君    神谷  昇君

      木内  均君    木村 弥生君

      小池百合子君    小林 鷹之君

      今野 智博君    新谷 正義君

      鈴木 俊一君    田所 嘉徳君

      高木 宏壽君    津島  淳君

      土井  亨君    豊田真由子君

      長坂 康正君    根本  匠君

      野田  毅君    藤丸  敏君

      古屋 圭司君    星野 剛士君

      堀内 詔子君    牧島かれん君

      牧原 秀樹君    宮川 典子君

      宮崎 謙介君    村井 英樹君

      保岡 興治君    山下 貴司君

      山田 賢司君    山本 幸三君

      山本 有二君    小川 淳也君

      大西 健介君    岡本 充功君

      奥野総一郎君    金子 恵美君

      神山 洋介君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    階   猛君

      鈴木 貴子君    玉木雄一郎君

      辻元 清美君    中島 克仁君

      馬淵 澄夫君    本村賢太郎君

      山井 和則君    井坂 信彦君

      柿沢 未途君    重徳 和彦君

      篠原  豪君   松木けんこう君

      松浪 健太君    村岡 敏英君

      横山 博幸君    吉田 豊史君

      岡本 三成君    中野 洋昌君

      樋口 尚也君    赤嶺 政賢君

      斉藤 和子君    高橋千鶴子君

      本村 伸子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   外務大臣         岸田 文雄君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       林  芳正君

   防衛大臣

   国務大臣

   (安全保障法制担当)   中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山谷えり子君

   国務大臣

   (情報通信技術(IT)政策担当)         山口 俊一君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  谷脇 康彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  小澤  仁君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  柴田  聡君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 村田  隆君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    三浦 正充君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (特定個人情報保護委員会事務局長)        其田 真理君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  新井  豊君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君

   政府参考人

   (国税庁次長)      佐川 宣寿君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官)  安藤 英作君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   参考人

   (日本年金機構理事長)  水島藤一郎君

   参考人

   (日本年金機構理事)   徳武 康雄君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  大島 理森君     河村 建夫君

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  小川 淳也君     長妻  昭君

六月十八日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     岡下 昌平君

  岩屋  毅君     山田 賢司君

  金子めぐみ君     木内  均君

  小林 鷹之君     高木 宏壽君

  田所 嘉徳君     木村 弥生君

  土井  亨君     新谷 正義君

  長坂 康正君     津島  淳君

  根本  匠君     藤丸  敏君

  宮崎 謙介君     堀内 詔子君

  山下 貴司君     小野寺五典君

  岸本 周平君     岡本 充功君

  後藤 祐一君     小川 淳也君

  階   猛君     玉木雄一郎君

  辻元 清美君     金子 恵美君

  長妻  昭君     鈴木 貴子君

  馬淵 澄夫君     大西 健介君

  井坂 信彦君     篠原  豪君

  松木けんこう君    村岡 敏英君

  松浪 健太君     柿沢 未途君

  赤嶺 政賢君     本村 伸子君

同日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     今野 智博君

  岡下 昌平君     秋元  司君

  木内  均君     青山 周平君

  木村 弥生君     田所 嘉徳君

  新谷 正義君     牧原 秀樹君

  高木 宏壽君     小林 鷹之君

  津島  淳君     長坂 康正君

  藤丸  敏君     根本  匠君

  堀内 詔子君     宮川 典子君

  山田 賢司君     大隈 和英君

  小川 淳也君     後藤 祐一君

  大西 健介君     馬淵 澄夫君

  岡本 充功君     岸本 周平君

  金子 恵美君     辻元 清美君

  鈴木 貴子君     奥野総一郎君

  玉木雄一郎君     階   猛君

  柿沢 未途君     松浪 健太君

  篠原  豪君     横山 博幸君

  村岡 敏英君     松木けんこう君

  本村 伸子君     斉藤 和子君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     神谷  昇君

  大隈 和英君     岩屋  毅君

  今野 智博君     村井 英樹君

  牧原 秀樹君     土井  亨君

  宮川 典子君     宮崎 謙介君

  奥野総一郎君     中島 克仁君

  横山 博幸君     吉田 豊史君

  斉藤 和子君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     牧島かれん君

  村井 英樹君     山下 貴司君

  中島 克仁君     神山 洋介君

  吉田 豊史君     井坂 信彦君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     豊田真由子君

  神山 洋介君     本村賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  豊田真由子君     金子めぐみ君

  本村賢太郎君     長妻  昭君

同日

 理事熊田裕通君同日理事辞任につき、その補欠として平口洋君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(年金情報不正アクセス問題・安全保障等)


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     ――――◇―――――

河村委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 皆様方の御推挙によりまして、このたび予算委員長に選任をされました河村建夫でございます。まことに光栄に存じますとともに、その職責の重大さを痛感いたしております。

 今日、我が国には重要課題が山積をしておりまして、当委員会に課せられた使命はまことに大なるものがあると思っております。

 大変微力ではございますが、委員各位の御協力をいただき、議会制民主主義の理念にのっとりまして、公正かつ円満な委員会運営に努めてまいる所存でございます。

 どうぞよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

河村委員長 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事熊田裕通君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に平口洋君を指名いたします。

     ――――◇―――――

河村委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、年金情報不正アクセス問題・安全保障等についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本年金機構理事長水島藤一郎君、日本年金機構理事徳武康雄君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官槌道明宏君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官末宗徹郎君、内閣官房内閣審議官谷脇康彦君、内閣官房内閣参事官小澤仁君、内閣官房内閣参事官柴田聡君、警察庁長官官房審議官村田隆君、警察庁長官官房審議官塩川実喜夫君、警察庁刑事局長三浦正充君、警察庁警備局長高橋清孝君、特定個人情報保護委員会事務局長其田真理君、総務省行政評価局長新井豊君、総務省自治行政局長佐々木敦朗君、外務省中東アフリカ局長上村司君、国税庁次長佐川宣寿君、厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官安藤英作君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官樽見英樹君、厚生労働省大臣官房審議官谷内繁君、防衛省防衛政策局長黒江哲郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。おはようございます。

 本日は、主に平和安全法制についてお伺いをしておきたいと思います。

 今回の平和安全法制の議論を聞いていますと、この法律の本来の目的、日本人の生命と平和な暮らしを守ること、国際社会の一員として日本の役割を果たすこと、そのことから議論がそれていることを大変残念に思います。この平和安全法制は、あくまでも日本人の生命財産、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くために切れ目のない対応をするため、この目的で法律を制定し、そして今、国会で審議をいただいております。きょうは、そのことを、例を挙げながら質問させていただきたいと思います。

 まず、集団的自衛権、存立危機事態に対する問題であります。

 一つの例として、よく邦人輸送の米輸送艦の護衛についての例が挙げられます。少しこのことについて触れてみたいと思います。

 我が国の近隣で武力紛争が発生し、多くの日本人が救助を求めている事態を想定します。この紛争当事国双方がミサイルや砲撃を繰り返し、危険な状況になれば、当然、民間の航空機は飛行禁止となります。民間船舶も運航を停止することとなります。この場合、相手国の要請があれば、自衛隊の輸送船が日本人の救出に当たることができます。しかし、その隻数には限界があるため、多数の日本人を退避させるために、アメリカ軍の輸送船などを共同でお願いし、輸送することになります。このことは、日米の防衛協力ガイドラインにも規定があります。これにより、米軍の輸送艦が日本人を含めた市民を輸送して、我が国に退避させることになります。

 仮に、この日本人を含めた多数の一般市民を輸送する米軍の輸送艦が公海上で、日本の沿岸から約二十キロ沖はもう既に公海ということになります、その公海上で攻撃国の軍艦から攻撃を受け、多くの日本人が殺されようとしている、そしてその近くに自衛隊の護衛艦があり、十分な攻撃能力を持っていたとします。自衛隊が武力をもってこの日本人を乗せた米軍の輸送艦を守るのは当たり前だと思います。この委員会に出席されている委員も、日本人を守るために自衛隊の船が武力をもって、この攻撃する船を威嚇あるいは抑止し、日本人を守る、このことに反対する人はいないんだと思います。

 しかし、まだ日本が攻撃されていないという時点で、日本人を助けるために自衛隊の船が公海上において武力を行使したら、この行為は国際法上どのように判断をされるか、外務大臣にお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 ただいま委員が示された例、すなわち、我が国への武力攻撃がない場合に、在留邦人を輸送している米艦艇が武力攻撃を受け、そして同艦艇を我が国が防護すること、こうした行為は、国際法上、集団的自衛権の行使に該当すると考えられます。

小野寺委員 国際法上、この事案が集団的自衛権に該当する可能性があるということであります。

 もし集団的自衛権に該当した場合、日本の自衛隊の船は、この攻撃されようとしている、あるいは日本人が攻撃されている米軍の護衛艦を守ることができるでしょうか。防衛大臣にお伺いいたします。

中谷国務大臣 現行法制におきましては、我が国に対する武力攻撃を受けない限り、自衛権を行使することはできません。

小野寺委員 そうなんです。実は、この場合には自衛隊は日本人を守れない。当然、私たちの感覚では、これは個別的自衛権だろう、日本人を守るんだから個別的自衛権だろう、そう考えますが、国際法上は、外務大臣がお話しされたように、集団的自衛権に解釈されてしまう。これが今回の平和安全法制の最も難しいところなんです。

 では、このようなケースに直面したとき、現場の自衛官はどのような対応をするでしょうか。もちろん、日本人を見殺しにはできません。そして、集団的自衛権に解釈されるような行動もとれません。

 私は、実際、防衛大臣当時、このような問題について現場の隊員に聞いてみました。答えは大変悲しいものでありました。攻撃を受けている船の間に自分の船を割り込ませ、まず自分が敵に攻撃を受け、自分が攻撃を受けたことをもって反撃をし、日本人の乗ったこの米軍の船を守る。まず自分の船を危険にさらし、部下を危険にさらし、そして自分が攻撃されたことをもって反撃をする。日本人を守るためにこのことをしなければいけない。こんなことってあるでしょうか。

 今回の存立危機事態を想定した平和安全法制、これが整備されれば、この自衛官が無事に日本人を守るための行動ができるのか、市民を守ることの行動ができるのか、そのことについて改めて防衛大臣に伺いたいと思います。

中谷国務大臣 委員の御指摘のように、我が国自身が攻撃を受けていなければ日本人を助けることはできません。米国の船を守ることはできません。

 しかし、国民の命、平和な暮らし、これを守るということは政府の非常に重要な責務でありまして、現在は十分な法制となっていないのが現状でございますので、この国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、新三要件、これを満たす場合におきまして、自衛の措置といたしまして集団的自衛権を行使できるようにする必要がございます。

 また、こういった法整備をすることによって、世界にこれを発信するということで、紛争を未然に防止する力、すなわち抑止力、これがさらに高まりまして、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていくということでございまして、このような措置を可能とするように今回法律の整備をするものでございます。(発言する者あり)

小野寺委員 これは日本国民も聞いていますし、多くの自衛官の家族も聞いています。ぜひ議論について真摯な国会を、野党の皆さんにもお願いしたいと思います。

 次に、同じような集団的自衛権をめぐる事例についてお伺いをします。

 我が国上空を横切る弾道ミサイルの迎撃の問題であります。

 日本の防衛力は専守防衛を基本としています。しかし、近年の軍事技術の向上により、例えば北朝鮮の弾道ミサイルも長距離化して、正確に目標を狙うことができるようになっています。

 ある国が日本を目標に大量のミサイル攻撃をしてきた場合、日本はミサイル防衛システムを持っており、それで防御いたします。しかし、繰り返し繰り返し大量のミサイルが飛んできた場合、防衛能力には限りがあります。我が国を狙ってくる敵ミサイル基地をたたかなければ、もとをたたかなければ、いつかは我が国の防衛システムも破られてしまいます。

 この日本を攻撃してくる敵ミサイル基地に対して反撃することは、日本の憲法でも自衛の範囲で認められております。しかし、日本は、政策的にこのような敵基地を攻撃する反撃力を持たずにおります。かわりにこの役割を果たすのが、同盟国であるアメリカであります。これを日米の盾と矛の関係といいます。日本の武力はあくまでも日本に向かってくるものを防ぐ、ミサイルを迎撃する。ですが、これが何度も繰り返されたら、これはいつか防御は破られてしまう。だから、そのもとを断つ、撃ってくるミサイルのもとを断つ、その反撃力、これを実はアメリカの防衛力に負っているというのが、これが現在の日米関係であります。ですから、日本の安全保障にとって、米軍の存在は不可欠であります。

 一つの事例を取り上げます。

 日本の近隣で武力紛争が起こり、米国は、日本が位置する東アジアの平和を回復するために、武力攻撃をしかけてきた国と戦っている、このような状況を想定します。

 武力攻撃をしかけた国は、弾道ミサイルを数多く保有し、米軍のグアムやハワイに対してミサイル攻撃をしようとしています。これらのミサイルは我が国上空を横切ることが想定され、このミサイルがグアムやハワイに到達した場合、現地の多くの日本人が多数死傷するだけでなく、実は、米軍基地も攻撃されてしまいます。

 米軍基地には、万が一、日本が攻撃されたとき、そのミサイルのもとを断つ、反撃をする、その能力を有する多数の航空機や多数の装備があります。もしこれが無力化されてしまえば、実は、日本の反撃力、これが失われてしまいます。反撃力が失われた後に日本がミサイル攻撃をされたら、日本は決定的な損害をこうむり、多くの日本人が恐らく被害を受けることになると思います。

 日本のミサイル防衛システムがさらに向上し、この迎撃ができるようなことを前提に、例えば、我が国に対する武力攻撃の前に、米軍の基地を攻撃するために発射された弾道ミサイルを迎撃することは、国際法上、集団的自衛権に当たるかどうか、改めて外務大臣にお伺いします。

岸田国務大臣 今委員が示された例、我が国に武力攻撃がない場合に、米国に対する武力攻撃の一環として発射された弾道ミサイルを迎撃すること、こうした行為は、国際法上、一般に集団的自衛権の行使に該当すると考えられます。

小野寺委員 結局、これも集団的自衛権に国際法上は解されてしまう。そうすると、できないということなんです。

 私どもとして、自分の国を守るため、自分の国の防衛力を、しっかり今後とも日米関係を強くするため、そういうことで防衛力整備を行っていますが、実は、この事例ですら、集団的自衛権に該当すると、日本は何もできないということになる。

 今回、このような例、ほかにも幾つもあると思います。そして、この例が、いずれも、我が国の国民の生命財産、領土、領海、領空を断固として守り抜くため必要な武力の行使であるということ、恐らく、事例を知っていただいた多くの皆さんに理解していただけると思います。

 悩ましいのは、自分たちを守ろうと思ってやっていることが、実は、国際法上、集団的自衛権に解釈されてしまうということなんです。これがいつも直面する課題でありました。歴代の防衛大臣は、恐らくいつもこの課題に直面したと思います。

 今、平和安全保障法制の委員長をされています浜田先生も、筆頭理事をされています江渡先生も、きょうこの会場にいらっしゃいます小池先生も、そして中谷防衛大臣も、私もそうでありますし、民主党政権時代の森本大臣も同じような認識でいらっしゃったと思います。高村副総裁も防衛大臣でいらっしゃいました。

 一度、防衛大臣、長官を経験されれば、このすき間があるということ、我が国を守ろうと思ってやることが、実は集団的自衛権に国際法上解されてしまってできないということ、このすき間を埋めなきゃいけない、これをみんなが感じていたんだと思います。そして、思い悩んでいたんだと思います。

 ですが、この問題を国会の場で正面から議論すると、必ず日本が戦争に巻き込まれるとか、日本が戦争する国になるとか、果ては、徴兵制が行われるとか、おおよそ内容に反したレッテル張りが行われることは火を見るより明らかです。

 今回、安倍総理のイニシアチブで、この長年の問題に正面から議論することができるようになりました。安全保障環境が急激に変化し、こうした事態に備えなければならないこと、これに対応するために、今回、武力行使の新三要件を法制として整備し、国民の命を守るために限定的な集団的自衛権を行使することに関して、総理のお考えを伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま小野寺委員から、まさに、私たちがなぜ今回、平和安全法制を整備しようとしているのか、その核心についてお話があったと思います。

 かつては、自衛権があるかないかという論争すら行われていたわけでございます。

 そして、昭和三十四年の砂川判決、最高裁の判決、まさに法の最終的な番人である最高裁の判決によって、我が国が国の平和と安全を維持し存立を全うするために必要な自衛の措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならない、まさに、自衛権はあるということを最高裁は判断しました。

 この必要な自衛の措置とは何か。この判決においては、個別的自衛権、集団的自衛権については触れていなかった。しかし、その時々の内閣が、その必要な自衛の措置とは何か、これをとことん考えるのは当然のことであろうと思います。昭和四十七年の段階においては、集団的自衛権については、それは必要最小限度を超えると考えられたわけであります。

 しかし、現在はどうか。今、小野寺委員がおっしゃったように、我が国の近隣に、たくさんの弾道ミサイルを持ち、そして、そこに大量破壊兵器、核兵器を載せる能力を今開発しているという中にあって、そしてまた、それを迎撃するミサイル防衛という能力を日本も持った。しかし、この能力を使うには日米の協力が必要であるということであります。

 大きく状況が変わっている中において、私たちは、この国際状況の中において、必要な自衛の措置とは何か、国民の安全を守るために突き詰めて考える、その責任があるんです。国際情勢にも目をつぶって、その責任を放棄して、従来の解釈に固執をするというのは、まさに政治家としての責任の放棄なんですよ。

 私たちは責任政党としては決してそんなことをしてはならないという考え方のもとに、我々は、昨年七月一日に閣議決定を行い、集団的自衛権の行使においても、まさに我が国の存立が脅かされ、これは米国ではありません、我が国です、そして、日本人の国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるときに、まさに国の存立を全うし、国民を守るために行うということ、その部分においては行うという判断をしたわけであります。その結果、今、小野寺元大臣が御紹介をしていただいたそういう例においては、日本人を私たちは守り抜くことができるということであります。

 そもそも、このことを考えないことが、私は、政治家として責任ある態度かどうか、極めて疑問があると言わざるを得ない、このように思う次第でございます。

小野寺委員 やはり、政治家はさまざまな責任を負っています。そして、さまざまな事案を想定して、いざというときの備えをすることが私どもの役割だと思っております。

 それでは、また次の事例を少しお話をしたいと思います。次は、武器使用の問題、海外における武器使用、いわゆる駆けつけ警護の問題について少し触れたいと思います。

 昨年、私は、防衛大臣として、アフリカの南スーダンのPKO部隊を激励し、訪問してまいりました。自衛隊のPKO部隊は約四百人、立派に南スーダンの人々のために活動を行い、現地で大変感謝をされています。

 実は、自衛隊の宿営地の隣には国連の事務所があります。ここには多くの国連職員、NGOの関係者が職務に当たっています。

 部隊を視察したとき、私は隊員に尋ねました。もし、この自衛隊の宿営地に武力集団が仮に武力をもって襲撃してきたら、これにしっかり対抗することができるのか。実は、そのことに関しては、私どもはしっかりとした装備を持っている、そしてしっかり対応できる、そのような答えがありました。

 では、仮に、もし、この自衛隊の宿営地の隣に位置する国連の事務所、NGOの事務所が武力集団に襲われた場合、そして、この国連の職員から、日本の自衛隊、助けてくれ、そのような要請があった場合、これは現実に起こり得ることだと思います。この場合、自衛隊員は武器を使用してこの国連職員を守ることができるのか、現行法制でできるのかどうかを防衛大臣に伺いたいと思います。

中谷国務大臣 PKO活動というのは国連が実施をする平和維持活動でありまして、日本の自衛隊も二十年以上、この活動を実施してまいりました。小野寺大臣も現地の視察をされましたけれども、現行法では、御指摘のように、ともに現場に所在をしない国連の職員、またPKO活動に従事する者などから救援の要請を受けても、自衛隊が武器を使用してこれらの者を守ることができません。

 他方、このような者を対象としたいわゆる駆けつけ警護、これの必要性は、これまでも現実に発生をしてまいりました。現在、自衛隊の活動の現場におきましても、平素よりこのような者と情報交換、交流を初めとする各種の連携協力を行っておりまして、今後、このような者が危険に遭遇した際に、自衛隊が救援の要請を受ける場合もあり得ると考えるのが自然でございます。

 このようなことから、今回、駆けつけ警護、これを法整備の対象に盛り込むことといたしました。これは、現地の治安当局が対応できないときに、施設活動等の業務を行う部隊が、活動関係者からの緊急の要請を受けまして、その侵害や危難から救うものでありまして、実施に当たりましては、受け入れ同意の安定的維持を前提といたしまして、自己保存型を超えた武器使用を可能としておりまして、これによりまして、武力の行使に及ぶことがなく駆けつけ警護を行うことができるようになると考えております。

小野寺委員 私の質問よりも先に随分言っていただきまして、ありがとうございました。

 今、まず前提としましては、現行法規では、実は自衛隊員は、自分の隣の宿営地にいる、例えばPKO職員、そしてNGOの職員、これはもちろん日本人もいます、その日本人ですら実は助けを求められても助けることができないという状況にあります。もし、国連から、この職員を助けてくれと要請があって、すぐ脇に十分能力がある自衛隊員が何もしなかったら、そして、この国連職員の中に被害者が出た場合、あるいはNGOの職員の中、日本人に被害者が出た場合、恐らく国際社会の中で日本に対する評価は大変厳しいものになると思います。

 実は、現場の隊員は、いつもこのような問題に直面をしております。

 現場で、同じくある隊員に私は聞きました。このような状況にあった場合、やはり法規を守って、当然この問題について黙って見過ごす、救援要請があってもそれを黙って聞き流す、そのことしかないのか。そのとき答えた隊員の言葉、これもまた同じく悲しいものでありました。

 恐らく、危険とわかっていても、みずからの判断で、例えば情報収集という名目で、この武装集団がある面では攻撃しているところに状況を見に行き、そして武装集団の攻撃に身をさらすこと、そして我が身が攻撃を受けたことをもって武器を持ってこの武装集団に立ち向かう、そして自分の後ろを振り返ったら、たまたまそこに国連の職員や日本のNGOの人たちがいた、だから、自分の管理下にあるからこの人たちを守れる、恐らくこういうことをとる可能性もあります。

 実際、平成十四年に東ティモールのディリ市において、現地の日本人から自衛隊派遣部隊に救援要請があったときに、自衛隊員は現地視察という名目でそこに赴き、無事この日本人を救出したこともあります。でも、この事例もそうなんですが、隊員がみずからの判断で、まずみずからが危険にさらされる、このようなことが実は現実にあるわけです。

 今回の武器使用の権限の新しい考え方において、現場の自衛官も戸惑うことなく、現場の自衛官もみずからを危険にさらすことなく、無事に日本人や国連職員を守ることができるようになります、今、中谷大臣からそのようなお話がありました。

 自衛隊員のリスクのことについてさまざまな議論がありますが、私は、現場に行ってみて、実際に部隊を視察してみて、隊員から声を聞いて、それを聞けば、何をすべきかということ、そして、私たちが行わなければいけない、政治の責任でこれは決着しなければいけない、現場の隊員にこのような惑わしを与えてはいけない、現場の隊員がみずから危険に身をさらすことがあってはならない、このことはぜひ政治の場で、国会の場で決着をつけていただきたい、そのように思います。

 次に、同じく今回提案があります国際平和支援法について行います。

 国際平和支援法につきましては、これは国際社会の要請に基づいて、私どもとしてさまざまな国際社会に貢献する、後方支援を行う、このような内容だと思います。

 このような活動、過去には、政府が判断を行った中で、必要な場合には、特別措置法としてその都度法律をつくって派遣をいたしました。平成十三年のテロ特措法では、インド洋で給油支援を行いました。平成十五年のイラク特措法では、イラク・サマワにおいて人道復興支援を行いました。いずれも難しい任務ではありましたが、隊員は高い能力で任務を完遂し、国際社会から高い評価を受けました。

 実際、このような任務には十分な準備が必要です。しかし、現実には、法律が国会で成立するまでは、本格的な情報収集や装備の準備、訓練を行うことはできません。もし特措法が成立する前に自衛隊が準備を始めたら、恐らくこの国会は紛糾し、とまると思います。ですから、国会で法律が成立するまでは、隊員は準備ができないんです。そして、いざ法律が成立した後、これはニーズがあるんだから早く現地に行け、恐らくこういう声になると思います。

 実際、テロ特措法では、わずか成立後二週間で自衛隊員はインド洋に派遣されました。イラク特措法では、成立後四カ月で、あのイラクの地に自衛隊員は派遣されたわけです。このような、ある意味でしっかり準備ができているかどうか難しい状況の中で現地で活動すれば、隊員が危険にさらされるリスクは高まり、十分な活動ができないことになるかもしれません。

 今回の国際平和支援法の成立により、事前に派遣のための根拠法ができます。そうすれば、事前に情報収集や教育訓練、必要な装備、これを備えることができる。訓練が十分できる。準備が十分できる。これがむしろ、より安全で、自衛隊の得意な分野の能力を十分発揮した活動ができ、国際社会により一層貢献できる、そう思っております。

 私は、特措法によらず、その都度法律をつくるのではなく、一般法を成立させて自衛隊に十分な準備をさせること、このことの方がよほど安全に任務を遂行できると考えますが、防衛大臣、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 委員が御指摘のように、法律がなければ事前の準備も訓練もできないわけでございます。

 国際平和支援法が成立しましたら、この法律に定められた協力支援活動、捜索救助活動などを効果的に実施するために必要な情報収集、また各国との共同訓練、これをより幅広く実施することができるようになるほか、派遣に際しての現地調査、そして各国との調整、こういうことが迅速に実施できることになりまして、速やかに派遣準備を行うことが可能になるものと考えられます。

 この結果、国際平和支援法に基づく活動を実施するに当たっても、十分な準備が可能になりまして、これが隊員の安全確保に資するものになると考えております。

 やはり、派遣される隊員の安全を確保する上におきましても、この法律に基づく準備、訓練、そういうものが必要だと私は考えております。

小野寺委員 私は、防衛大臣当時、中谷元大臣のアドバイスもあり、なるべく部隊視察を多くさせていただきました。百五十カ所以上の部隊を視察し、現場の隊員からさまざまな声を聞いてまいりました。その中で、特に、やはりこのようなさまざまな任務、これは隊員としてしっかり完遂したいけれども、その準備とそしてさまざまな装備についてはできるだけ配慮をいただきたい、このような現場の声をたくさん聞いてまいりました。

 ぜひ一般法という形で、そして、最終的には国会の承認がなければ自衛隊は外に行けません。言ってみれば、準備は日ごろしっかりし、そして、いざ国会で御承認いただければ、しっかりこの国のために、国際社会のために、国際社会の中で役割を果たす、そのことが自衛隊員の誇りということになります。ぜひ、その誇りを十分に感じて、しっかりとした準備ができる体制をつくっていただきたい、そのように思っております。

 次に、この隊員の誇りについて、私は、少し残念な報道が最近あること、そのことについて話を伺いたいと思います。

 自衛官の自殺の問題、心の病のことについてであります。

 この平和安全法制の議論の中で、自衛官のリスクが高まるのではないかという議論を国会の中でよく聞きます。そして、最近では、平和安全法制の整備において、自衛官の中で自殺者や心の病を抱える隊員が急増することになる、そのような危機感を持つような論調も見受けられます。

 気になるのは、そのような論調の中で、そもそも自衛官の自殺率は世間一般よりも高いんだとか、イラク派遣隊員はさらにその十倍程度にもなるとか、心の病を抱える自衛官は全体の一割以上にも及ぶとか、あたかもこれが事実のように国会で議論され、そしてまた報道されるということ、私は、このような議論自体が、自衛官のみならず、その家族、この大変な不安、そしてまた自衛官の誇り、これにも影響を及ぼすものだと思っております。

 私が、実際、大臣として現場を視察し、さまざまな部隊長、隊員の話を聞く中で、どうもこのような議論や、このような数字というのが腑に落ちない。ぜひ、きょうは改めて防衛大臣にお伺いしたいと思います。

 今ここで出ているような自殺率の問題、あるいは心の病の問題、これが現実にはどのような状況なのか、そして自衛隊として、この問題について、メンタルヘルスケアや自殺防止についてどのような取り組みを行っているのか、中谷防衛大臣にお伺いいたします。

中谷国務大臣 数字についての御質問でございますので、お答えをさせていただきます。

 イラク特措法に基づきまして派遣された自衛官の総数は八千七百九十名でございますが、平成十七年度から二十六年度までの十年間に自殺した自衛官二十九名につきまして、一般的な自殺率の算出方法であります、十万人当たりの人数を一年間の自殺率に換算いたしますと、約三十三人でございます。

 さらに、同時期の、自衛官の約九五%を占める男性自衛官と、一般成人男性、これは二十から五十九歳でございますが、この自殺率は、一般自衛官が平均約三十五・九人であり、また、一般成人男性が平均約四十・八人でございます。心の病につきましては、一般の公務員、また、一般国民と同様に、自衛隊員にも一定数はおるわけでございます。

 防衛省といたしましては、全隊員に対するメンタルヘルスチェックを平成二十五年度から実施しまして、隊員の心の健康状態の把握、また、メンタルヘルスケアにつきまして努めて実施をいたしておりまして、平成二十六年度のチェックの結果、高得点者、これはうつの傾向、これが全体の七・七%となっております。

 この七・七%の隊員全てが心の病であるということではなくて、あくまでも傾向を把握したものでございまして、必要な場合にはカウンセリングなどを実施させていただいておりますが、WHO調査によりますと、一般社会における一定時期に何らかの精神障害と診断された割合は、日本は八・八%となっておりまして、これと比較しても、メンタルヘルスチェックによる七・七%という数字は低く、心の病を抱える隊員というのは、一般社会と比較して、決して高いとは言えないわけでございます。

 以上、数字のことについてお答えさせていただきました。

小野寺委員 数字では、一般社会人と比べて自衛隊員の自殺率が高いわけでもないし、そして、派遣された隊員が高いわけでもない。また、心の病の隊員も、一般の成人男性から比べて高いわけではないということでありました。

 ただ、一人でも自殺者が出ないように、一人でも心の病がある方が出ないように、これは今後とも防衛大臣としてしっかり隊員のために活躍をしていただきたいと思っております。

 最後に、今回の平和安全法制について総理にお伺いをさせていただきます。

 この平和安全法制の今までの歩み、これは、日本が平和国家として歩んできた道そのままでございます。戦争に巻き込まれることになるとか、あるいは日本が戦争をする国になるとか、そのようなことを言う方がおられますが、私は、防衛大臣として、さまざまな安全保障の実際に起こり得るケースを常々想定してまいりました。その中に、日本人の生命財産、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、そのことでケースを想定すると、残念ながら法制度のすき間がありました。特に、私たちの立場から見れば、日本人を守る、日本を守る、そのために必要な武力を行使する、これが、たまたま国際法上、結果として集団的自衛権に解釈されてしまうものがある。先ほど事例で幾つかお示しさせていただきました。

 今回の法整備は、そのことに限定をした上で、必要な、すきのない法整備を行い、そして米国を初めとする同盟国、友好国との関係を強化する、そのことをもって日本の抑止力が高まり、結果として、日本が戦争に巻き込まれたり、日本が攻撃を受ける危険性はなくなると考えております。平和国家として、これからもその歩みを前に進め、国際的にもその立場を高めること、これができることになると私は間違いなく確信をしております。

 今回の平和安全法制に関して、私がこの議論を一連ずっと委員会で聞いて感じますのは、やはり、現場を預かる責任者を経験した一人として、ぜひ、この法案については、隊員の安全のことも十分考えながら進めていただきたい、そして、一刻も早く国会の御了承を得て、隊員に十分な準備をさせていただきたい、そのような思いでございます。

 今回の平和安全法制の整備についての総理のお考えを改めてお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私たちは、七十年前、二度と戦争の惨禍に苦しむことがない、そういう世界を、国をつくっていこう、こう決意をしたわけであります。そして、七十年、ひたすら平和国家としての道を歩んできた。同時に、日本人の命と平和な暮らしは断固として守り抜くという決意の中で、自衛隊を創設し、そして日米安保条約を締結したわけでございます。

 そして、その中において、今までこの質問を通じて小野寺委員が指摘をされた、法律のいわば切れ目がある、課題がある、これについてはずっと我々は議論をしてきました。この法制そのものについても、第一次安倍政権において、問題提起をし、懇談会をつくって議論を始め、そして、政権ができてから昨年の五月十五日までも議論を行い、そして報告書を受け、さらに、七月一日の閣議決定に向けて議論も重ねてきたわけでございます。

 そして、我々は、政権を担いながら、自衛隊の諸君がどんな思いでPKO活動に当たっているか、そして、あるいはまた、万が一を想定しながら、自分たちは国民の命を守るために何をすべきか。しかしそれは、まさに自衛隊員に、彼らに必要以上の負荷をかけてはならない、必要以上の判断をさせてはならないわけであります。本来、立法府そして行政が考えなければいけない責任、それを放棄してはいないか、そういう疑問を小野寺委員もずっと持ち続けてこられたんだろう、こう思うわけであります。その中において、当時防衛大臣であった小野寺大臣とともに、あの閣議決定を行ったわけでございます。

 実際にPKOに出た方々、もしNGO、日本人に危ない、助けてくれと言われたらどうするか。これは、本当に多くの真面目な自衛隊員は考えていたことであります。我々は、今回の法案において、その一つの答え、責任を果たす上においての一つの答えを出したわけでございます。ぜひこれからも、そうした本質について議論をしていかなければいけません。

 また、自衛隊員のリスクについて、前もって恒久法ができていたら、しっかりと準備ができて、しっかりと訓練もできるということについて御説明もいただきました。そしてまた、今まで法律がなかったがために、みずから身を危険にさらさなければ日本人を守ることができなかったという状況を解消していくことにもつながっていくわけであります。

 そうしたことを、全体を見ながら、そして日本人を守るという根本、日本のリスクを減らしていくという根本を見ながら議論していくことこそ、私たちに課せられた使命ではないか、このように思います。

小野寺委員 ありがとうございます。

 この国会の議論は、委員会の議論は、多くの自衛隊員、その家族が見ております。そして、私どもはここでさまざまな議論をしていますが、結果的に、日本を守るために、日本の国際社会の立場のために、海外で、あるいはさまざまな厳しい任務地で活動するのは自衛隊員でございます。

 その隊員の日ごろの活動、そしてその家族のこと、それを思って、ぜひ、委員各位には真摯な御意見、議論をこの国会で闘わせていただいて、そして一定の方向を出していただき、隊員が迷うことなく日本人と国を守れるようにお願いし、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河村委員長 この際、牧原秀樹君から関連質疑の申し出があります。小野寺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。牧原秀樹君。

牧原委員 おはようございます。自由民主党の牧原秀樹でございます。

 私の方からは、年金情報の不正アクセス問題についてお聞きをします。

 その前に、まず冒頭、きょうは私、歴史的な予算委員会だというふうに実は思っております。

 昨日、十八歳の選挙権が成立をいたしました。自由民主党では、もう既に、この選挙権の年齢を見越して、民法あるいは少年法、こうしたことについても大人の定義を下げるべきかどうか、下げた場合どうするか、こういう議論をもう十回にわたって今津寛委員長を中心に積み重ねて、私も事務局長を拝命してやっております。

 その際、いきなり十八歳に下げたとしても果たして大人になり切れるだろうかということで、十八歳に向けての教育をどうするんだ、こういう話があります。当然、選挙権を持つわけですから、政治教育もしっかりしていかなきゃいけない、こういうことがございます。

 その際、果たして国会ではどういう議論がされているのか、国会ってどういうところなんだろうか、高校生がみんなこの国会により注目するようになるし、我々国会議員は、その子供たちあるいは高校生たちに、これが日本最高の言論の府だということを見せなきゃいけないというふうに思います。

 いろいろやじの問題等がありますけれども、やはり、みんな、学生の皆さんが来て、すばらしいな国会はというような国会、きょうから私はやっていきたいし、予算委員会はその第一歩だと思っております。きょう一日の審議、心より期待申し上げるところでございます。

 さて、私は、十年前の初当選以来、落選中も含め、毎日のように地元の埼玉の大宮駅を初め各駅で駅立ちをしております。ここでたくさんの御意見を毎日毎日お聞きしますけれども、最近はやはり、年金の情報流出について、心配だな、こういう不安の声をお聞きします。

 戦後の日本の奇跡的な発展を支えてこられた偉大な先輩たちが現在年金の世代となっているわけですが、この先輩たちに幸せな老後を送っていただくというのは、私たち次の世代の責務だというふうに私は考えております。その土台となる年金について不安を生じさせた今回の年金情報不正アクセス問題については、まず事実関係から、きょう確認をさせていただきたいと思います。

 六月一日付の日本年金機構のプレスリリースを委員各位の皆様にはお配りをさせていただいておりますけれども、約百二十五万件の情報が流出した。この数字や流出したという事実はよく知られているんですが、この中身については、改めて確認をしますけれども、基礎年金番号と氏名の二つの情報が流れたものが約三・一万件、そして、この二つに加えて生年月日も入っていた情報が約百十六・七万件で、これが一番多いことになります。つまり、基礎年金番号、氏名、生年月日。さらに、住所まで入っていたというのが約五・二万件、こう発表されております。

 この数自体は今後の捜査の行方によってはふえるかもしれないと厚生労働委員会の審議でも明らかにされておりますけれども、今後とも、例えば電話番号や年金の支給額、家族構成、あるいは年金をどこに振り込むかという振り込み先の口座等の情報は入っていないということでよろしいでしょうか。

塩崎国務大臣 まず、今回、不正アクセスから起きた問題といえども、あるいはまた、いわゆる標的型メール攻撃ということであったということがあったにせよ、年金の個人情報が流出したという事実に関しまして、年金機構がこのようなことになったということは大変遺憾であり、また、監督をする厚生労働省としてもまことに申しわけなく、二次被害をまずは防ぐ、年金を守る、これを基本に頑張っていかなきゃいけないというふうに思っております。

 今の御指摘でございますけれども、現時点までに、年金受給者、被保険者の方の氏名、基礎年金番号、住所、年齢を含む百二十五万件の情報が外部に流出したことが確認をされているわけでありますが、今回の流出は機構の内部事務処理のためのネットワークで起きたものであるため、このネットワーク上の共有フォルダに保存をされていた情報が出たわけでございまして、現在、その内容については日本年金機構において分析を進めているところでございます。

牧原委員 ぜひ確認してほしいですが、重要な情報が今のところは漏れていないということでございまして、今後ともそこはしっかりとしていただきたいと思います。

 さらに、今回の御不安の声を多くお聞きしていますと、漏れたことによってさらにどういう被害があるんだろうかということがよくわからないとおっしゃっている方が多いです。

 この事件が起きてから、今週の月曜日、六月十五日には年金の支払いが行われましたけれども、今のところ、不正な受給があったり、あるいは損害があったという報道はなされておりません。しかし、年金を頼りに生活をされている皆様からは、まだまだ不安だという声をお聞きします。

 今回の事件を原因として考えられる年金受給者の方を中心とした不都合や損害というものは、どのようなものがあるでしょうか。そして、個々具体的なケースについては、ケース・バイ・ケースで個別具体的に考えざるを得ないと思いますけれども、万が一、政府の検討の結果、今回の事件を原因とする損害であって、補償すべきだというような結論が出た場合、そういう場合についてちゃんと補償をされるということでよろしいんでしょうか。

塩崎国務大臣 今回の事案によりまして起こり得る損害としては、第三者によって住所、口座番号が変更されて、本来受給権を有する方以外の方が年金を受給してしまういわゆる成り済ましによる被害や、それから、今回の事案に便乗して、既に神奈川で起きたわけでございますけれども、例えば日本年金機構をかたった詐欺による被害、こういうことが考えられるわけであります。

 年金制度においては、正しい年金記録に基づいて御本人に確実に年金をお支払いするということが基本でありまして、今回の情報流出の対象である方への年金の支払いは、正しい年金記録に基づいて確実に行っていくということでございます。

 年金の支払いを確実に行うためにも、いわゆる成り済まし被害の防止など、今回の不正アクセス事案による影響を最小のものとすることが極めて重要でありまして、いずれにしても、今お話がございましたように、今回の流出事案に起因をする被害を受けた方の補償については、捜査当局の捜査結果を踏まえつつ、個々の事例に応じて、法律の専門家等の意見も聞いて適切に対応していきたいというふうに考えております。

牧原委員 ここはやはりすごく大事なところでございまして、先ほど最初に申し上げたような情報だけでは、例えば銀行口座と暗証番号が盗まれてしまったケースのように、いきなり銀行口座からお金が消えているとか、あるいは年金が突然入ってこないとか、そういうケースは考えにくいということでございますけれども、我々の想定を超えて、やはりケース・バイ・ケースでは、政府としては、これが原因で、そして、ちゃんと検討の結果、補償をすべきだという判断を速やかにやって、補償すべきというときには補償していただきたい、このようにお願いを申し上げるところでございます。

 そして、今回の事件、起こってしまったことについては、今、第三者検証委員会等でいろいろ検討されているということがございますけれども、大切なのはやはり、なぜこういう事件が起こったのかという原因、このことをしっかり考えた上、二度とこういうことが起きないようにするということが大切だというふうに思います。

 そもそも、やはり、いろいろな人に聞いても、今回の事件を聞いてびっくりしているのは、職員の方がウイルスのメールを開いてしまったということは個人のミスとして、これ自体が何をやっているんだということでございますけれども、それを開いたことによって年金の情報が流出したということが、みんな、どうしたんだということでございます。

 普通ならば、メーンのサーバーと、その外の個々のインターネットにつながるようなところは遮断されているというのが一般常識だというふうに思います。現実に民間の会社に私も何社か聞きましたけれども、私の会社ではあり得ないと。普通は、例えば携帯電話会社であれば、その情報が入っているところと個々の職員がインターネットを見られるようなところとはつながっていないので、そういう外部の標的型攻撃があってもそれは攻撃されないということでございました。

 実は、昭和三十年代から始まった年金制度でございますけれども、そのシステムの古さというのは、旧社会保険庁のころから認識をされております。そして、このシステムの刷新が近年行われたところでございます。そのうち、今回の漏えいのもととなった、今言った、職員が外部のインターネットを見られるようなLANシステムについては、ここに出しましたけれども、百億円近い巨額の費用を費やして、日本年金機構発足後、調達をされております。

 しかし、二つの大問題があったと指摘をさせていただきます。

 一つは、いわゆる、膨大な年金関連個人情報が入った基幹システム、社会保険オンラインシステムといいますけれども、これは極めて堅牢につくられております。ここから情報が漏れるようなことは基本的にはないというようにつくられておりますけれども、わざわざ、そこからコピーをしてきた個人情報を扱う前提で、インターネットと接続されるLANシステムをつくったということでございます。

 二つ目は、LANシステム発注当時は、既に独立行政法人情報処理推進機構から警告等、問題視がされていた今回のいわゆる標的型攻撃、これを防ぐためのセキュリティー対策が、仕様書をお配りしていますけれども、仕様書を含めて全く対策がないということでございます。

 お聞きしたいのは、特に後者、標的型攻撃の対策を、この仕様書に入れる等のことをして、とらなかったというのはなぜなんでしょうか。

塩崎国務大臣 今の機構LANシステムというのは、平成十五年にスタートした旧社会保険庁LANシステムを引き継いだ格好になっているわけでありまして、現在の仕組みは、日本年金機構になってから使用を始めております。これは平成二十三年の十一月に株式会社NTTデータと契約を締結いたしまして、平成二十五年一月から稼働しているものでございます。

 この契約の際に、政府機関の情報セキュリティ対策のための統一技術基準の平成二十三年度版に準拠をしておりまして、その範囲でファイアウオールとかあるいはウイルスチェックなどのセキュリティー対策を講じているわけでございますが、今御指摘の標的型の攻撃に対するセキュリティーの問題、これについては、今回の事案が発生したことを踏まえると、結果的には、この二十三年度版の統一技術基準にのっとってやったということだけでは十分な対策ではなかったというふうに考えているところでございます。

牧原委員 今のお話を伺うと、国民にとって極めて大切な、生活の基盤ともなる大切な情報を扱うということに鑑みると、やはり落ち度があったのではないかというふうに言わざるを得ないと思います。

 私は、これが別に民主党政権下だからとか、そういうことを申し上げているつもりはありません。年金というのは本当に国民生活に直結をした大切なものだから、党派でこういうことを一々一々争う、党利党略に基づいて政争の具にするのではなくて、やはり党派を超えて取り組むべき課題だというふうに思うんです。

 総理、やはり、今回の事件につきましては、直接的な不正アクセスを許してしまい、それを防ぐ手だてを行っていた日本年金機構に一義的な責任があるとはいえ、その監督責任がある厚生労働省を含めて、政府全体の責任もあると思いますけれども、この点についての総理のお考えと、そして再発防止への御決意をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日本年金機構で、今般、個人情報が流出をし、国民の皆様に不安そして御迷惑を与えていることについて、大変申しわけない思いでございます。

 現在、年金受給者の方々のことを第一に考え、万が一にも大切な年金の支払いに影響が出ないよう、実態把握と二次被害の防止を徹底的に行い、対応に万全を期しているところでございます。

 具体的には、機構において、情報流出の対象となった方に対し、順次、個別におわびの文書を送付するとともに、基礎年金番号の変更を行うこととしています。また、電話相談窓口を設け、不安をお持ちの方々からの問い合わせに丁寧に対応することにより不安の払拭に努めています。

 この間、住所等の変更手続を行った方もおられますが、万が一にも他の人によってその手続が行われるようなことがあってはなりません。窓口での本人確認を徹底する、同時に、念のため御本人確認のため戸別訪問を行い、詐欺、成り済まし被害に遭わないようにするなど、二次被害の防止に全力を挙げています。

 あわせて、日本年金機構をかたった詐欺のおそれなどについて、政府広報を初め政府を挙げて国民の皆様への周知、広報に取り組んでおります。特に、日本年金機構から直接、電話やメールで連絡することはないということを国民の皆様にお伝えをしたいと思います。

 さらに、厚生労働大臣のもとに設置された第三者の専門家による検証委員会において、責任の所在も含め、発生原因の究明、再発防止について徹底的な議論を始めたところでありますが、その結果も踏まえ、サイバーセキュリティー対策なども含め政府としてしっかりとした対応をしていきたい。二度とこうしたことが生じないように、厚生労働省によって、年金機構の業務全般に対する監督指導体制の一層の強化を図ってまいりたいと思います。

牧原委員 ぜひ、総理の強いリーダーシップのもと、今のことをいち早く実現していただきたく存じます。

 これに関連しまして、マイナンバーの問題も実は大変指摘をされるところでございます。私も、今週の月曜日に、さいたま市の医師会の皆さんとマイナンバーの勉強会をしたら、そのことの質問がやはりいっぱい出ました。

 マイナンバーの情報流出、ことしの十月一日からマイナンバーが国民の皆様全員に付される、通知されるというスケジュールで進んでおりますので、マイナンバーは大丈夫かという国民の皆様の不安の声に、ぜひ明快にお答えをいただきたいと思います。甘利大臣、よろしくお願いします。

甘利国務大臣 マイナンバー制度は、より公平公正な社会保障制度や税制の基盤として、また、いわゆる情報社会のインフラとして、国民の利便性の向上、行政の効率化に資するものであります。やがては、マイナンバーカード一枚で行政手続がワンストップでできる時代がやってくるわけであります。

 マイナンバー制度の導入に当たりましては、従来どおり、各行政機関の個人情報は各行政機関、例えば国税庁だとか市町村等で分散して管理をすることとしておりまして、同じところで一元的な管理は行いません。

 それから、各行政機関間で情報のやりとりをする際には、マイナンバーではなくて暗号化された符号を利用しまして、一カ所でマイナンバーの漏えいがあっても、個人情報をいわゆる芋づる式に抜き出すことはできないという仕組みになっております。等々、個人情報の保護に万全を尽くしているところであります。

 いずれにいたしましても、マイナンバー制度の導入に向けた全体のスケジュール、つまり、本年十月の番号通知、来年一月の番号利用開始、この全体スケジュールに影響のないように、必要に応じ、各種ガイドライン等の見直しであるとか、これに基づく職員への教育研修、これらを適切に行うなど、関係機関を挙げたセキュリティー対策のさらなる強化、徹底を図りつつ、着実に準備を進めてまいりたいと考えています。

牧原委員 今お聞きしますと、マイナンバーは今回の事件の反省も既に踏まえた形になっているということでございますので、万全の対策をとっていただきたいと思います。

 最後に、言うまでもなく、今回の事件で一番悪いのは、このウイルスをつくって、そして不正アクセスして情報を盗み取った者でございます。もちろん警察が捜査中であるということで、ぜひ捕まえていただきたいと思いますけれども、この事件を契機として、刑法や特別法のあり方も含めて、政府として、世界で最もサイバー犯罪に厳しい、その対策も進んでいるということを目指すべきだと思いますが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 現在、社会のサイバー空間への依存度が高まっているわけでありまして、国家の関与が疑われるような組織的で極めて高度な攻撃の登場によって、サイバー空間における脅威は、経済社会活動のみならず、安全保障や危機管理の面からも深刻化している状況にあると認識をしています。

 政府としては、昨年十一月に制定されたサイバーセキュリティ基本法に基づいて、サイバーセキュリティ戦略本部を司令塔に対策の強化を進めてきたところでありますが、現在、こうした脅威に対処するための新たな戦略を策定しているところであります。

 サイバー犯罪に対しては、捜査員のサイバー犯罪、サイバー攻撃の捜査能力の向上、そして警察とアンチウイルスベンダー等との情報共有の促進、最先端の情報通信技術の研究の推進など、官民を挙げた取り組みを強化しているところでございまして、今後とも、世界最高水準の安全なサイバー空間の構築に努めていきたいと思います。

牧原委員 ありがとうございました。

河村委員長 これにて小野寺君、牧原君の質疑は終了いたしました。

 次に、樋口尚也君。

樋口委員 おはようございます。公明党の樋口尚也でございます。

 初めに、年金情報不正アクセス問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 国民の皆様の大きな不安は二つあるというふうに思っております。一つは、自分の個人情報は大丈夫かということ、流出した個人情報が悪用される可能性がないかという点。もう一つは、自分に支給される年金は間違いなく自分の口座に振り込まれるのかという、この二点だというふうに思います。

 まず、総理にお伺いをいたします。

 流出した個人情報が悪用される心配がないのか、また、二次被害防止のための対策は万全か、そして何よりも、自分の年金は今後も滞りなく確実に受給できるのかという国民の皆様の声に、総理、お答えをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 日本年金機構で個人情報が流出したことに対しまして、まずは国民の皆様におわびをしたい。申しわけないと思っているところでございます。

 現在、年金受給者の方々のことを第一に考え、万が一にも大切な年金の支払いに影響が出ないように、実態把握と二次被害防止を徹底的に行い、対応に万全を期しているところであります。

 また、六月十五日の年金の支払いの日において、滞りなく支給が行われております。今後とも、確実に年金をお支払いしていく考えであります。

 さらに、厚生労働大臣のもとに設置された第三者の専門家による検証委員会において、発生原因の究明、再発防止について徹底的な議論を始めたところでありますが、その結果も踏まえて、サイバーセキュリティー対策なども含め、政府としてしっかりと対応していきます。

 二度とこうしたことが生じないように、厚生労働省による年金機構の業務全般に対する監督指導体制の一層の強化を図ってまいりたいと考えております。

 今回の情報流出のような出来事が二度と起こらないように、今後とも万全を期していきたい、こう考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 次に、日本年金機構の情報セキュリティーについて伺いたいと思います。

 今回、日本年金機構の問題点はさまざまありますけれども、まずは、情報セキュリティーポリシーやルールが余りにも低過ぎるという問題点であります。

 例えば、個人情報の入ったパソコンがインターネットにつながっていたこと、また、いまだに業務のためにCD―ROMを使って本来の保管場所から個人情報を移すことが許されていたこと等が指摘をされている次第であります。

 次に、その低過ぎた情報セキュリティーポリシーやルールでさえも守られていなかったというのも大問題であります。

 例えば、流出した個人情報ファイルの九九%以上が、ルールで決められていたパスワードが未設定だったこと、職員が作業をして使用した後には当然消去されるべき個人情報を消去していなかったこと等も指摘をされています。

 そこで、理事長にお伺いをしたいと思います。

 そもそも機構には、パスワードの設定がなされていることや使用した個人情報の消去が確実に行われていること、これをダブルチェックする仕組み自体がなかったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 一方で、機構では、年二回このようなことを管理者がチェックするルールがあったと言われておりますが、実際には行われていなかったんだと思いますけれども、あわせてお答えをお願いします。

水島参考人 まず、かかる事態を招きましたことに関しまして、心からおわびを申し上げる次第でございます。大変申しわけございませんでした。

 御質問でございますが、私どもは、拠点内あるいは拠点間で情報を共有して仕事をする場合に、共有フォルダというものを利用して仕事をいたしております。この共有フォルダにおける個人情報の保管ルールでございますが、日本年金機構共有フォルダ運用要領によりまして、個人情報など情報漏えい対策を必要とする情報は保管しないことを原則といたしております。万一、業務上必要なデータについて、これを保管する場合でございますが、アクセス制限やパスワード設定など厳重なセキュリティー対策を講ずること、これがルールということになっております。そして、仕事が終わったという場合には、共有フォルダから速やかに削除することというルールになっております。

 御指摘のとおり、この取り扱いの適正を確保するために、情報セキュリティー責任者、これは各拠点長でございますが、年二回、定期的な整理を行って、その内容についてブロック本部に報告をするというルールになっております。

 このようにルールに定められているわけでございますが、今回起きてまいりました事案では、パスワードが設定されていない情報が御指摘のとおりたくさんあったということでございまして、これはルール違反でございます。

 また、年二回の報告ルールにつきまして、担当部より状況について聴取をいたしておりますが、やはり一部形骸化していることは否めないというふうに思っております。

 このような事態になっておりますことについては、まことに遺憾でございます。個人情報のインターネット環境からの切り離しをこれから行っていく所存でございますが、この過程で、情報保存のあり方についても徹底的な見直しを行っていく方針でございます。

樋口委員 ダブルチェックもされていなかったんじゃないかと思うわけです。一般の社会では常識な、誰かがやって、それを誰かが確認するということもなかった、そして年に二回の決められた監査も行っていなかったというずさんな結果であります。理事長には、ぜひ御健康に御留意の上、原因究明を徹底してお願いしたいというふうに思います。

 五月八日の初動についてお伺いをいたします。

 今回のような標的型攻撃を受けた場合には、第一報を受けた時点で外部との通信を遮断することが第一動作であります。今回のようにパソコンの線を抜いただけの対応では、適切な処理ではなかったということが明らかだというふうに思うわけであります。

 大臣にお伺いをいたします。

 このような機構が設定をしている現行のセキュリティーポリシーやルールには重大な欠陥があったと思いますけれども、大臣の御認識を教えてください。

塩崎国務大臣 今回、不審な通信が発生をしたり不審メールが発見されたりしたそれぞれの時点で、現在のセキュリティーポリシーで定められた行動は一応はとってきているわけであります。もちろん、きちっと上司に報告をしていない、こういう反省すべき点があることはそのとおりでございます。

 しかしながら、結果的にこうした事態が発生したことを今考えてみれば、やはりこの標的型メール攻撃への対策を含めて、より専門的な、あるいはレベルの高いセキュリティー体制を整備する、あるいは対処手順の見直しなど、格段にセキュリティー体制を改善強化しなければならないというふうに考えているわけであります。

 当然、機構の中でも、そしてまた監督する我々厚生労働省の立場でも検証するとともに、今回、日本年金機構不正アクセス事案検証委員会を第三者委員会として立ち上げました。ここにおいても徹底した原因究明と再発防止を検討していただいて、この中で、今御指摘をいただいたような、今後あるべき適切な情報セキュリティー体制、これについて議論を重ねていただいて、そして我々も検証を重ねて、機構に対してもしっかりと指導してまいりたいというふうに思っております。

樋口委員 一番悪いのは、当然犯人であります。そして、漏れたのは、年金ではなくて個人情報でございます。だけれども、厚生労働省の対応や監督も余りにも問題があるというふうに言わざるを得ません。

 今大臣からお話がありましたとおり、これは、NISC、内閣サイバーセキュリティセンターの通報により五月の八日に事件が発覚をして以来、五月の二十五日まで十七日もの間、情報が担当の係長のもとでとまり、大臣や年金局長はおろか、直属の上司である課長にさえも報告がなされなかったという、全く信じがたい事実であります。

 私は、民間のサラリーマン出身ですが、上司から口を酸っぱく言われてきたことは、いいか、いい報告はいつでもいい、だけれども、悪い報告は電光石火だ、このように言われてきました。これが社会の常識であります。一人の係長さんの問題ではなくて、組織の体質と言わざるを得ない問題だと思って御指摘をしてまいります。

 まず、五月八日に、内閣のNISCから、日本年金機構で不審な通信を検知との第一報が厚労省のセキュリティーを担当する政策統括官付情報政策担当参事官室に入り、その情報が年金局を通じ日本年金機構にもたらされたわけであります。

 年金局の担当係長から上司に報告がなかったということが問題になっておりますが、実は、この情報政策担当参事官室でも、上司への迅速な報告は行われておりませんでした。

 厚労省情報セキュリティ委員会は、官房長をトップに、主に、情報政策担当参事官、各部局の筆頭課長というラインで構成をされているというふうに聞きます。内閣から通報を受けた情報政策担当参事官室の担当者からその上司の参事官に報告をされたのも、五月八日の事件発覚から十七日後の五月二十五日であった。また、セキュリティーの最高責任者で、参事官の上司に当たる官房長に報告されたのは、その三日後、五月二十八日と聞きます。五月二十五日まで、参事官室の課長補佐でとまっていたようであります。

 今申し上げたような事実関係に相違がないかどうか、またあわせて、厚労省の情報セキュリティーラインが機能していないと言わざるを得ない実態について、大臣の答弁を求めます。

塩崎国務大臣 今、樋口先生から御指摘のとおり、数々のとるべき手続がとられていなかったということは率直に認めなければいけないというふうに思って、私も深く反省をしているところでございます。

 今回、NISCとの連絡調整、あるいは応急措置の指示とか不正プログラムの登録などのセキュリティーポリシーに基づく手順書に基づいた必要な措置は、先ほど申し上げたように、一応はとられていましたが、責任者への報告は、御指摘のとおりなされていなかったというふうに認めざるを得ないと思っております。

 十六日に、参議院の厚生労働委員会で専門家の参考人が、今回の事案は、標的型メール攻撃により我が国で初めて大規模な被害が明らかになった事例であるというふうに語っておられました。世界じゅうで今、より巧妙で高度化した攻撃の危険性が増大していることも、先ほど総理からも述べたとおりでございます。

 こうしたことから、NISCからの注意喚起とその後の対応状況というのは、私としては、すぐにこれからは大臣まで上げろ、そしてその後どういうてんまつでおさめたのかというところまでしっかりと私の方に毎回上げてくるようにということを指示しているわけであります。

 上司への報告、あるいは専門機関との連携、手順書の運用の徹底をまずは図るということでありますけれども、昨今の高度化した攻撃に対応できるように、より専門性の高いセキュリティー体制の整備やあるいは対処手順の見直し、これが必要ではないかということで、改善強化を図っていきたいというふうに思っております。

 さらに、インシデント事例が発生した際の報告体制の確保を含めて、先ほど申し上げた検証委員会を立ち上げておりますので、ここでも厳しく第三者の目で今回の原因究明と再発防止策を検討していただきたいと思っております。

樋口委員 ぜひ、報告は電光石火でという御指示を今出されているということでございますので、そのとおりやっていただくことがいいと思います。

 新たな問題点を一点指摘させていただきたいと思います。

 実は、杉並区の高井戸にある日本年金機構本部には、厚生労働省年金局の担当官が常駐をしています。常駐をしているのは、十数名から成る厚労省年金局事業管理課システム室の職員で、システム室の所在地は、何と日本年金機構本部内であります。今回の事案発生時にも、厚労省年金局システム室の職員は、機構の本部内で業務に携わっていらっしゃいました。

 このシステム室の皆さんが今回の重要事案の発生を知ったのはいつのことなのか、また、誰から聞いたのか、大臣、御答弁をお願いします。

塩崎国務大臣 この点につきましても、反省すべきところが多々ございます。

 今御指摘の年金局事業管理課システム室は、本省に五名おりますが、お話がありましたように、日本年金機構の高井戸の本部に十六名常駐をしておりまして、合計二十一名体制でございます。

 このシステム室においては、五月二十五日に機構から年金局に対して同日までの状況報告があった際に今回の事案を承知したものでありまして、知ったのが五月二十五日ということでございます。

 システム室は、基幹システムの予算やあるいは開発の調達等に係る業務を担当しておりまして、今回問題となった機構のLANシステム、いわゆる情報系システム、ここに係る業務については直接は担当はしていないわけでありますけれども、やはり情報共有が不十分であったことは否めないと言わざるを得ないわけであって、報告のタイミングがどうだったかということについても厳しく検証していきたいというふうに思っております。

樋口委員 この皆さん、高井戸にいた皆さんさえも、事件発生から十七日後の五月二十五日ということが今明らかになりました。

 パネルをごらんいただきたいと思います。これは厚労省さんからいただいたパネルでありますけれども、皆様、お手元に資料があります。

 この年金機構、左の上の高井戸本部というところにそのシステム室の皆さんはいらっしゃったわけであります。年金機構内に所在するこのシステム室は、機構LANシステム、また情報系ネットワーク、また業務系ネットワーク、先ほどの社会保険オンラインシステムですね、こういうものなど、機構内の端末機器の設置状況などを把握できる立場にあります。

 厚生労働省が公表している年金局事業管理課システム室の所掌事務を見ますと、政府管掌年金事業等の実施に関する事務の処理に関する電子計算組織の整備及び管理に関することというふうにあるわけであります。

 今回の情報流出は、この年金機構本部にある機構LANシステムを通じて起きたもの、赤いところでありますが、こうやって情報が出ていったわけであります。そこには、現に管理をしていらっしゃる方がいた。このシステムやネットワークを管理していらっしゃる方が、年金局の事業管理課システム室の皆さんであります。この方々が今回の事案を知らなかった、知ったのが十七日後の五月二十五日ということは、大変大きな問題だと思うわけであります。

 常駐をしている年金局システム室と機構側の連携がどうだったのか。また、担当の係長が所属をしていた年金局の事業企画課とシステム室が所属する年金局事業管理課の、この同じ年金局内での連携がどうだったのか。万一、これが縦割り行政の弊害ということで情報の共有化ができなかったとすれば、ゆゆしき問題だというふうに思います。徹底した検証を求めてまいりたいと思います。

 私が申し上げたいのは、今回の情報が上がるルートは三つあったのではないかと思うわけであります。一つは、厚労省全体の情報セキュリティーを担う情報政策担当参事官室のルート、二つ目には、年金局の情報セキュリティーを担う事業企画課、さらに三つ目は、年金機構内でLANシステムの管理を行っている年金局事業管理課システム室、この三つのルートがあったわけであります。この三つからいずれも、大臣にも、官房長にも、年金局長にも、報告が上がらなかったということでございます。組織はあっても、現実に事象が起きたときに厚労省には対応能力がなかったに等しい、こういうふうに言わざるを得ないというふうに思います。

 厚労省及び日本年金機構のセキュリティーポリシー、これを根本的に見直すべきだということを御提言申し上げたいと思いますし、もちろん、でも、大臣、その際に、徹底的な原因究明もそうですし、再発防止策もしなければなりませんが、職員の皆様が萎縮をしてしまったり心を閉ざしてはいけないとも思うわけであります。

 私、サラリーマン時代に尊敬する先輩から言われたのは、とにかく、カチカチよりも、わいがやだと。パソコンをカチカチカチカチたたいても正しい情報は得られない、わいわいがやがやと真剣に議論をする中で正しい情報が醸成されていくということを教えてもらいました。

 職員の皆さん一丸となってやらなければいけない、大臣の真摯な御決意をお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 何度も申し上げますように、標的型攻撃メールという新手の、今世界ではかなり頻繁に起きるようになったものに、初めてこのような形で守りができなかったということについては、本当に、機構ももちろん、私も遺憾に思いますが、監督する立場としても大変申しわけなく思い、これをどうやって二度と起きない体制を再構築するのかということが最も大事なことだというふうに思っております。

 まずは、この二次被害を起こさないということ、つまり、年金をきちっと払うということがまず第一でありますけれども、二度と同じような事態が起きないようにするためには、先ほど申し上げたように、まずは、厚労省としては、監督する立場でありますから、機構の業務全般に対する監督、監視の機能を強化しないといけない、格段に強化をしないといけないということで、既に、六月の八日、先週の月曜日から、審議官級をヘッドに監督強化チームを送り込んでおりまして、さまざまの報告を今上げさせているところでございまして、これはとりあえずの監督、監視の強化ということであります。

 しかし、先ほど申し上げたように、そもそも、システム自体がどうなのか、守りがですね、ということを考えてみれば、やはり、セキュリティー体制そのものの高度化を格段に図らなきゃいかぬだろうということもありますし、先ほど来お話がありましたように、連絡体制、縦割りの体質、そして、機構の方の変わらぬ社保庁時代からの体質についても、これは徹底的にガバナンスも強化をし、直していかなければいけない組織の見直しだということでもあります。

 しかし、一方の厚労省においても、先ほど来御指摘をいただいているような報告のタイミングのおくれが顕著であったわけでありますから、これについてもしっかりと見直した上で、今後、二度とこういうことが起きないようにしていきたいというふうに思っております。

樋口委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、内閣サイバーセキュリティセンター、NISCについてお伺いをいたします。

 今回、このNISCが運営するGSOCセンサーで厚生労働省のシステムを監視する中で、不審な通信を検知することができました。国民の情報を管理する各行政機関の情報システムに対する不正な活動を監視する、このGSOCの重要性を強く認識したところでございます。

 このGSOCの機能の強化、また、監視対象の拡大をさらに進めていくべきではないかと思います。特に、私は、年金機構についてはNISCが直接管理をするようにするべきだ、このように思いますが、政府の御見解を伺います。

菅国務大臣 NISCに設置されているGSOC、その機能でありますけれども、具体的には、各府省の情報システムのインターネットの接続口にセンサーを設置して不正な通信等を監視しておるわけでありまして、NISCでは、二十四時間体制で監視そして分析を行っています。

 今回の事案につきましても、このGSOCで、五月八日及び二十二日に不審な通信を感知しました。そして、厚労省に対してその旨を通知し、また、被害拡大の防止あるいは早期復旧のための措置についても必要な助言を行ってきました。さらに、同省が講じた措置についても報告を求めてきました。

 いずれにしろ、こうした通知をし助言をしてきたわけですけれども、第一義的には、厚生労働省、年金機構でこれはしっかり対応するというのは当然のことでありますけれども、また一方で、結果的には百二十五万件の個人情報が流出したわけでありますので、GSOCとしても、監視、検知能力を向上させる、あるいは不正プログラムの分析、脅威情報収集の一層の向上、こうしたことを全力でやらなきゃまずいと思いますし、また、今御指摘がありました年金機構、これは、特殊法人は対象外になっていますけれども、そうしたことも含めて、国にとって極めて重要な情報については拡大をする方向で行うのは当然のことだろうというふうに思っています。

樋口委員 拡大する方向だといういい答弁をいただいたと思います。ありがとうございます。

 年金機構情報流出の問題は、サイバーセキュリティ基本法制定後初めての特定重大事象となった事例でございます。

 今後ますます増大する可能性の高いサイバー攻撃に備えるために、NISCの人員を強化し、予算を拡充するほか、政府の司令塔たるNISCの取り組みに各省の協力もさせるべきだというふうに思います。

 政府におけるサイバーセキュリティーへの取り組み体制を大胆に今強化するべきだと思いますが、総理、いかがでございましょうか。

安倍内閣総理大臣 サイバーセキュリティーの確保は、さまざまな分野でのITの利活用を進め、成長戦略を実現するために必要不可欠な基盤であると認識をしております。さらには、国民生活の安全確保、国家の安全保障、危機管理にとって極めて重要な課題と認識をしています。

 こうした中、昨年十一月にサイバーセキュリティ基本法が制定をされまして、政府において、内閣にサイバーセキュリティ戦略本部を設置し、政策の企画立案とサイバー攻撃への対処の両面において政府全体の司令塔機能を果たす役割を明確にしたところであります。

 今般の日本年金機構における個人情報の漏えい事案を重く受けとめ、このようなことが二度と起こらないよう、サイバーセキュリティー対策を強化する必要があると認識をしています。

 そのため、内閣官房内閣セキュリティセンター、NISCの体制の充実を初め、各府省がNISCの取り組みに協力をして政府一体となった対応を行うことが極めて重要でありまして、今後の検証作業の結果なども踏まえて、政府全体として最適な予算や人員を確保するなど、サイバーセキュリティー対策の強化を遅滞なく図っていく考えであります。

樋口委員 ありがとうございます。

 時間の関係で飛ばさせていただきまして、最後に総理に二問伺いたいというふうに思います。

 私は党の青年局長も務めさせていただいておりますけれども、先ほど来お話がありました十八歳選挙権、きのうは歴史的な日でございました。公明党も一九七〇年からこの主張をしておりましたので、悲願でもあったわけであります。

 日本とそして世界の未来を考えるときに、やはり青年が大事だというように思うわけであります。若者や青年が活躍できる環境をつくるその重大なポイントが二つあると思っておりまして、一つは財政の健全化、もう一つは経済成長にほかならないと思います。

 でき得る限り早く財政を健全化し、若者たちの抱える制約を小さくしていくことが必要であります。財政改革には強いリーダーシップが必要だというふうに私は思いますけれども、総理は、経済成長と財政健全化の二兎を追うと常々おっしゃっており、まさにそのとおりだと思います。

 経済成長に関しては、御就任以来、アベノミクスとして非常に強いメッセージと成果を残していらっしゃいました。二兎のもう片方、財政の健全化も重要でございます。これ以上若者世代にツケを回さないために、政治の強い意思が必要だというふうに考えます。

 総理は、現状の日本の財政、歳出と歳入のアンバランスや歳出が膨らみ続けている現状についてどうお考えか、また、どう対処すべきと思っていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 経済の再生なくして財政の健全化なし、これが安倍内閣の経済財政運営に関する基本的な哲学であります。

 経済再生と財政健全化の両立を目指し、本年六月末ごろまでに取りまとめる骨太方針二〇一五の中で、二〇二〇年度の財政健全化目標を達成するための計画を策定することとしています。

 先日の経済財政諮問会議で議論した骨太方針二〇一五の骨子案においては、デフレ脱却・経済再生、歳出改革、歳入改革を三本柱として推進、特に歳出改革については、公的サービスの産業化などの取り組みを通じて、公共サービスの質や水準を低下させることなく公的支出を抑制していく、それとともに、歳出全般にわたり、安倍内閣のこれまでの取り組みを強化し、聖域なく徹底した見直しを進めていきます、地方においても国の取り組みと基調を合わせた取り組みを進める、こうしたことが示されたところでありまして、引き続き、骨太方針の取りまとめに向けた検討を進めてまいりたいと思います。

樋口委員 時間がございませんので、成長戦略について。

 公明党も、六月の四日に、確かな経済の好循環へと題した成長戦略を提案いたしました。若者に光を当てて、若者にぜひ投資をしていただいて、そのこと自体により日本が成長をし、そして高齢化社会も守られていく、こういうシナリオしかないというふうに思っておりますので、公明党の成長戦略をぜひ取り入れていただきまして、若者人材への投資も行っていただきたいことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて樋口君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 社会保障と安全保障について質問いたします。

 まず、安全保障について。

 安全保障環境の変化については、私も認識を同じくしております。動的防衛力、ダイナミックディフェンスという概念を入れたいわゆる二二大綱、二十二年大綱は、我々民主党のもとで策定をし、その多くを今も引き継いでいただいていると思っています。また、四月には、安全保障法制についての党の考えを我々としてもまとめました。その基本理念は、近くは現実的に、ただ、遠くについては慎重にというのが基本的な我々の方針であります。

 よって、喫緊の課題である島嶼防衛、これに対応するために、領域警備法、これは、法案をまとめて、昨年は提出し、今回もさらにそれをバージョンアップしたものをまとめております。

 また、周辺事態法についても、技術の革新、こういったことに合わせた新たなニーズに対する対応、こういったことについても、我々としての対案を考えています。

 また、PKO法についても、いわゆる武装解除、DDR、またセキュリティー部門の改革であるSSR、こういったことも含む我々としての案をまとめております。

 ただ、我々がどうしても政府案を見ていて納得できないのは、やはり昨年の七月一日のいわゆる閣議決定、つまり、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認、これに基づく現在審議されている法案についての疑問であります。

 総理は昨日、この合法性については完全に確信を持っているとおっしゃいました。ただ、国民の多くはまだ確信を持てないでいるというのが現実だと思います。きょうは、この点を中心に質問をしたいと思います。

 まず、先般六月四日、憲法調査会で参考人としてお越しをいただいた三人の憲法学者全員が、この中には与党自民党の推薦の先生も入っておりますけれども、今回の安保法制は違憲だということを明確におっしゃいました。特に、自民党が推薦した長谷部教授は、今回の法案は数多くの重大な欠陥があるので直ちに撤回すべきだとも述べておられます。これに対して、御党の高村副総裁は次のようにおっしゃっています。学者の言うとおりにしたら平和が保たれたか、こうおっしゃっています。これを受けて、侮蔑するかのような言葉をおっしゃっていると教授は言っておられますけれども、この点、総理も同じ認識でしょうか。

安倍内閣総理大臣 高村先生が述べられたのは、政治家の責任とは何かということについて述べられたんだろう、このように思います。

 先ほども御紹介をさせていただいたのでございますが、憲法九条との関係で、我が国に自衛権は果たしてあるのか、それを行使できるのか、議論があったわけでございますが、まさに憲法の最終的な番人である最高裁の判決、昭和三十四年の砂川判決によって、我が国が、国の平和と安全を維持し国の存立を全うするために必要な自衛の措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことと言わなければならないという判断があったわけでございます。

 しかし、この中においては、個別的自衛権、集団的自衛権についての言及はございません。しかし、それは、国連憲章については言及がございますから、その認識を持ちながらも、それをあえて言及をしていなかったのかもしれません。

 しかし、その上において、では、必要な自衛の措置とは何か、これはまさに国民の命を守る内閣や国会に課せられた使命、それを考えることは私たちの使命であります。

 そこで、昭和四十七年に、この集団的自衛権あるいは個別的自衛権についての解釈をお示ししました。その状況におきましては、国際状況等に鑑み、必要な自衛の措置、必要最小限度を集団的自衛権は超えるもの、こう解釈をしたわけでございます。その時々必要な措置とは何か、必要な自衛の措置とは何かを考えなければいけない、我々にはその責任があるわけであります。

 高村さんも、こうもおっしゃったわけでありますが、では、あの最高裁の判決が出たときに、しかし、多くの憲法学界の主流は、やはり違憲だったんです。自衛隊は違憲ということを言われていた。あるいはまたPKO、PKO法案が審議をされ始めた平成三年、朝日新聞がとったアンケートですかね、憲法学界にとったアンケートでは、八割がPKOによる自衛隊の派遣は違憲だという判断が出た。

 しかし、私たち政治家はその時々何をすべきかを真剣に考えなければいけない責任があるという考え方からあのようなことを述べられたのではないかと私は思います。

玉木委員 憲法に違反しているのではないか、それなりに憲法を、私も学生のときに憲法を勉強しましたけれども、それなりに長いこと研究されてこられた方が三人そろって違憲だとおっしゃっている。加えて、今、総理はいろいろと、砂川判決、四十七年、いろいろなことをおっしゃいましたが、国民の理解は私は深まっていないと思うんです。

 政治家の責任として我が国をしっかりと守っていく、その時々に合わせて体制を、法制でも装備でもしっかりやっていくのは、それは当然必要です。ただ、同時に、我が国の最高法規たる憲法に合致した形でその法律や仕組みをつくっていくこともまた政治家の責任ではないかと思っています。

 その意味で、高村先生の話が出ましたけれども、資料をお手元にお配りしているので、一、二をちょっとごらんいただきたいんです。

 まず、一、これは今から十六年前です。当時、外務大臣だった高村外務大臣はこのようにおっしゃっています。日本の平和主義の原則というのは、きっちり守っていかなければならない、憲法九条からの制約で、日本は集団的自衛権の行使になるようなことはできないという原則はきっちりあるわけであります。これは、私が言うまでもなく、歴代の自民党政権で長く受け継がれた考えでありました。

 しかし、これを昨年変えたということでありまして、限定的な新三要件を満たした場合においては、従来の憲法の解釈の枠内、はみ出ていないという説明なんですが、この二番の方を見てください。

 今から十三年前の話であります。同じく高村副総裁でありますが、このようにおっしゃっています。今までずっとそういう、これは集団的自衛権のことですけれども、集団的自衛権を認めないという解釈をとってきたのに、必要だからといってぱっと変えてしまうというのは、やはり問題があると言わざるを得ない、本筋からいえば、憲法改正をしていく、集団的自衛権を認めるような形で。こういうふうにおっしゃっています。

 高村さんは最近は違うことをおっしゃっていると思うんですが、総理、このかつての高村副総裁の発言について、どう思われますか。

安倍内閣総理大臣 今ここにおられない高村先生の発言を、一部を取り出してこれがどうだということを私に聞かれても、不正確になるおそれもありますし、ある意味、高村先生にも失礼なんだろう、このように思います。

 高村先生も、ずっと外務大臣、防衛大臣を務める中において、国民の命、そして我が国の領土、領海、国益を守るために何をすべきか、その中で必要な自衛の措置とは何か、必要最小限度の中に何がおさまるのか、その中でどうすべきかを真剣に考えてきているわけでございます。その中における時々の御発言でございますが、この全体の発言を、これだけでは判断をすることは難しいと私は思うわけでございます。

 このときに議論になっているのは、フルに集団的自衛権を認めるということを議論しているかもしれない。それはなかなか難しいでしょうと、憲法九条との関係で難しいということだったのかもしれない。

 しかし、時代が変化する中で、先ほど小野寺元大臣が質問をいたしましたように、まさにミサイル防衛というものがあって、そして日本を射程に入れているたくさんの弾道ミサイルを持った国があって、しかも大量破壊兵器をそれに載せられる、技術を上げているという状況が今出てきていて、日米がしっかりと強い協力、きずなのもとで、そこから日本人を守らなければいけないという状況が今出てきている中において、しかも、日本の迎撃能力あるいはイージス艦の能力も高くなっている中において、何が可能か、あるいは、攻撃された米国の艦船を守らなくてもいいのかどうかという、この問いかけに私たちは答えていく必要があるんです。

 そんなことは万一だから、起こらなくて、いいということはあってはならないわけでありますから、これは、それをしなければいけないということではなくて、そういうときにはそれができる、そういう解釈であり、そういう法律をつくっているわけでございます。そこで、まさにそういう中から、高村さんが今回も中心的に与党の協議を進めてこられたわけでございます。

 こういう高村先生の御発言については、まさにこれは高村先生と御議論していただかなければ、ここで私が推測で申し上げるのは失礼ではないか、このように思うところでございます。

玉木委員 総理は今いろいろおっしゃいました。私も、もちろん一部だけを取り上げてこの問題を資料にしているわけではありません。

 二つの問題があります。時代の変化、技術の変化。ミサイル防衛の必要性、イージス艦が新たに出てきた、いろいろなことがあります。新たな時代の変化。そして、フルスペックの集団的自衛権ではなくて、限定されたものになるのでいいんだと。多分、二つの説明で、昔はだめでも今はいいんだろうということだと思うんですが、今の総理の、私なりに解釈したら。

 ただ、今から十三年前の二〇〇二年の高村さんは何をおっしゃっているかというと、こうおっしゃっています。集団的自衛権、今一国だけで国が守れる時代ではなくなってきている。つまり、そういった時代認識は持った上でこの発言をされています。

 加えて、こう言っています。必要最小限というのは、集団的自衛権の範囲の中でも必要最小限はあってしかるべきではないか。つまり、限定的な集団的自衛権の話を前提にされています。

 でも、そういう中において、では、困るから、解釈改憲でいきましょうかと御自身で問いかけるように提案された上で、こうおっしゃっています。日本が本当の意味の法治国家にならなければならない、法に従ってやらなければならない、法というのは権力の側も拘束するわけですから、今までずっとそういう解釈をとってきたのに、必要だからぱっと変えてしまうことは、私はやはり問題があると言わざるを得ないと。

 つまり、一国だけでは守れないという安全保障環境の厳しさ、あるいは、フルスペックの集団的自衛権ではない、限定された集団的自衛権がやはり必要なのではないのか。そういう中で、なお、解釈改憲は、法的安定性、あるいは権力を拘束するという、その原則の観点からやはり問題があるのではないかと当時はおっしゃっていて、これは極めて正論だと思います。

 このことが、なぜ今、昨年の七月から変わったのか、その点について理解できないんです。何かこれまでの、解釈改憲ということを軽々にやるべきではなくて、やはり憲法改正ということをしっかりやろう、限定的な集団的自衛権であってもですよ、こういうことをこの当時おっしゃっておられると思いますが、さらなる何か安全保障環境の変化があったんでしょうか。

 総理は、高村副総裁の発言なので、御自身では責任ある発言はできないと言いますけれども、私、なぜ冒頭に憲法学者三人の話を出したかというと、今も多分この考えがオーソドックスなんだと思うんです。そのことについてやはり説明し切らないと、国民の、今総理がおっしゃったような方向性での議論がなかなか理解されないと私は思うんですね。

 総理、では、具体的に少し聞きます。

 やはり、現在の安全保障法制が憲法にひょっとしたら反しているんじゃないのか。憲法学者の皆さんは明確に反していると明言されましたけれども、私は個人的には、いろいろなことを私も考えてきました。いろいろなことは、個別的自衛権だろうが、集団的自衛権だろうが、憲法の範囲の中で我が国を守るために必要なものは何なんだ、これは政治家として最後の最後まで求め続ける課題だと思います。その中で、憲法と現在審議している法案が本当に整合的なのかどうか、このことについてまず一つ聞きます。

 海外派兵の禁止についてであります。

 資料の三を見てください。総理は、海外派兵は一般に憲法上許されない、幾つかの場面でこういうふうにおっしゃっていますね。五月二十六日の当衆議院予算委員会のものを書きました。これは、新三要件を満たしてもなお、海外の領土、領空、領海に対して我が国の自衛隊を出していくことは、一般に憲法上許されないという理解だと思います。中谷大臣はもうちょっと広いような答弁をされたことを記憶していますが、総理はこうおっしゃった。

 ホルムズ海峡の機雷の掃海だけは、受動的、限定的なので、国際法上は武力行使と位置づけられるけれども、それはまあ例外だ、原則は、海外の領土、領空、領海に対して我々の自衛隊を出していくということは基本的にはない、許されないということをおっしゃいましたね。それは、総理、正しいですか。

安倍内閣総理大臣 まさに海外派兵は必要最小限度を一般に超える、その意味において、一般に海外派兵は許されないという考えであります。そして、その例外として、機雷封鎖された際の機雷を排除していくということについて述べたわけでございます。

玉木委員 極めて限定的といいますか、一般に、原則、新しい法制になっても、我が国の自衛隊を海外の領土、領空、領海に出すということは、いわゆる海外派兵は許されないということだと思います。

 そこで、中谷大臣に質問です。

 改正法の自衛隊法第百二十二条の二をごらんください。資料の三に書いています。

 ここに、第百十九条の一項七号、八号並びに前条一項の罪は、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。よくわかりにくいので具体的に説明しますが、百十九条あるいは百二十二条というのは、いわゆる敵前逃亡とか、あるいは上官の命令に従わないということは懲役七年とか三年とかという厳しい懲役刑が科せられているんですね、現行法上。今回の法律改正は、この適用範囲を、日本国外においてもこれらの罪を犯した者にも適用するとなっているんです。

 ということは、これはもっと正確に言うと、防衛出動を前提にした規定になっているのは大臣も御存じのとおりなんですが、一般に憲法上海外派兵は許されないと総理はお答えになりましたが、一般的に海外において派兵することを前提とした改正法案になっているんじゃないですか。

中谷国務大臣 委員が御質問されました規定は、防衛出動における職務離脱だと我々は規定しておりますが、これにつきましては、今般の安全保障法制の整備におきまして、従来の事態に加えまして、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生をし、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態、これは存立事態ですね、においても防衛出動、これが発令されることになります。

 これに伴いまして、外国領域における自衛隊の活動、具体的には、存立危機事態において、補給等のために他国の領域を経由、寄港、上陸するケースなどが想定されることから、防衛出動命令下における国外犯処罰規定、これを設けることにしたものでございます。

玉木委員 いや、大臣、もう一度確認します。

 ということは、まず大前提として、海外において、先ほど総理が出されたような、公海上あるいは我が国の領海上で存立危機事態になって防衛出動ということは、それはあり得るでしょう。

 ただ、今、中谷大臣がおっしゃったのは、海外の領域、つまり、領土、領空、領海において防衛出動することが、これは原則としてあり得るという前提だと思うんですけれども、海外において防衛出動するということは一般論としてあり得るということでよろしいですね。海外における防衛出動を前提にした規定だということを、改めて確認です。お答えください。

中谷国務大臣 従来から、政府は、いわゆる海外派兵は、一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないといたしておりますが、政府といたしましては、海外の領域における武力行使につきましては、ホルムズ海峡での機雷掃海のほかに、現時点で個別具体的な活動を念頭に置いていないということでございます。

玉木委員 ホルムズ海峡だけですと今おっしゃいましたね。機雷掃海しているときの敵前逃亡というのはどういうイメージですか。

安倍内閣総理大臣 これは、つまり、今、中谷大臣がお答えをいたしましたように、例えばホルムズ海峡における機雷掃海ということが例外的にあり得る。そのときには、いわば武力の行使と国際法上これを解されるわけでありますから、防衛出動をしていく、機雷掃海に行くわけであります。そして、今、中谷大臣が答弁いたしましたが、その途中、寄港することがあり得るわけです。補給等で寄港する場合があります。寄港した際は上陸する場合がありますが、これは武力の行使を伴いません。

 しかし、そこで、今、中谷大臣が例として挙げられましたようなことが起こり得るわけであります。つまり、武力の行使をしている過程において起こり得るのではなくて、いわば寄港目的等々において、補給等で上陸をした際に起こり得る状況に対して、この法律を改正したわけであります。

 このようにお話をさせていただければ、御理解をいただけるのではないかと思います。

玉木委員 大臣、ホルムズ海峡の機雷の掃海時の敵前逃亡とか、そういったことをイメージしているのではないということですか。つまり、今ロジスティクスの話をされたと思うんですね。補給とか寄港とか、そういういわゆる後方支援的なものにおけるもののみを限定的に対象とした条文ということですか、大臣。

中谷国務大臣 先ほど総理が申し上げたとおりでございまして、現時点におきましては、ホルムズ海峡での機雷掃海のほかに具体的な活動を念頭に置いていないわけでございますが、具体的には、公海上で活動している自衛隊の部隊、これが補給等を行うために他国の領域を経由して、寄港して、上陸をする場合もあり得るところでございますので、そのような場合における争議行為また職務離脱など、第百二十二条第一項各号に当たる行為を処罰の対象にしたということでございます。

玉木委員 よくわかりませんね、大臣。

 もしそうであれば、そう書くべきじゃないですか、限定的に。

 私は、冒頭、国民の多くの皆さんが、現行の安保法制が憲法に違反しているのかどうか、そのことを心配されている方が世論調査でも多いわけですよね。こういうことを見ると、総理が海外派兵は一般に憲法上許されないとおっしゃっているのは、これも、法理上の範囲と総理がおっしゃるところが一致しているのかすき間があるのかも、よくわからないところがあります。

 少なくとも、百二十二条の二、資料の三ですけれども、これを見ると、フルスペックという言葉がどうかわかりませんけれども、一般論として、海外における防衛出動、あるいは、そういった我が国自衛隊の海外での領土、領空、領海における武力行使を伴う活動を前提にした規定になっていると読まざるを得ないと思うんですね。もし限定するんだったら限定するような書きぶりにしておかないと、憲法違反の疑義が生じるんじゃないですか、大臣。

中谷国務大臣 法律によりまして、新三要件に該当するかどうかにつきましては慎重に判断をしていくことになるわけでございますが、最初に前提としてお話ししたとおり、我が国におきましては、海外派兵、これは、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上許されないという前提がございます。現在念頭に置いているのはホルムズ海峡での機雷の掃海でありまして、この法改正におきましては、それを念頭に置きまして、公海上で活動している自衛隊の部隊が補給等を行うために他国の領域を経由して寄港、上陸するような場合におきまして、職務離脱などの行為を処罰の対象にしたということでございます。

玉木委員 そう書くべきじゃないですか。

 いつもそうなんですけれども、法理上読める範囲と、実際ここまでできますよというところ、総理なり大臣がおっしゃるところが、しゃべるときは限定的に安全にしゃべって、でも、法律上はもう少し広く読めるところがやはりありますよ、それは。ここはやはり、総理、首をかしげておられますけれども、いや、だって、それはそうですよ。今、限定的に、では、ホルムズ海峡の機雷掃海しかできないならできないと書けばいいじゃないですか。

 では、もう一つ聞きます。

 もう一つ具体的な例を聞きますけれども、一番の国民の皆さんの不安は、去年の七月一日で、これまで認められてこなかった集団的自衛権が認められることによって、我が国による武力行使の要件が緩くなった、あるいは下がっている、言葉はいろいろありますけれども、今まで以上に武力行使がしやすくなっているのではないのかという一般的な懸念はあると私は思うんですね。

 そこで、お伺いしたいんです。

 今まで憲法が許してきた限定された自衛権、これは、個別的自衛権だってフルスペックに認められるわけではなくて、いわゆる旧三要件を満たすときに初めて我が国は武力行使をできる、これはそうですね。

 そこで、中谷大臣、これは以前、安全保障委員会で議論させてもらいました、一時間ぐらい。伺いたいんですが、集団的自衛権のことじゃないです。個別的自衛権のことを聞きたいんです。

 いわゆる予測事態、切迫事態、武力攻撃が発生する事態とありまして、防衛出動できるのは、このうち切迫事態と発生事態ということですね。いわゆる準備ができる。しかし、実際に武力行使ができるのは、武力攻撃が発生した事態に限定されますよね。裏から言うと、切迫事態においては、いまだ憲法上武力行使が認められない。これは新しい法制になっても変わりませんか。

中谷国務大臣 おっしゃるように、武力攻撃事態というのは我が国に対する武力攻撃でございまして、予測事態は、そのための準備をし、また、切迫事態になったら防衛出動を伴い、そして、実際に武力行使が可能になるということは、発生をした、着手をした事態ということで、全く変わっておりません。

玉木委員 武力攻撃が切迫しているんですね、皆さん。まさに我が国への武力攻撃が切迫しています、このときでも、現行憲法下あるいは新しい法制のもとでも、日本は、自衛隊は武力の行使ができないんですよ。これが憲法九条の縛りなんです。

 もう一度聞きます。

 新しい法制のもとでも、もし間違って何かの拍子に切迫事態で武力行使をした場合には憲法違反に当たりますか。

中谷国務大臣 はい、そのとおりでございます。我が国が武力行使が可能になるというのは、武力行使が発生した事態でございます。

玉木委員 安倍総理にお伺いしたいんですが、いらっしゃらないので、中谷大臣、お答えいただけますか。

 皆さん、個別的自衛権、総理が戻られたので、ちょっとおさらいしますけれども、切迫事態においても、新しい法制下では武力行使をしたら憲法違反なんですよ。それぐらい日本の憲法九条というのは、武力の行使に対して厳しい縛りをかけているんです。これがいいか悪いかの価値はおきます。

 ただ、これがこれまで憲法が求めてきた一つの基準ですよね。実際に武力攻撃が発生したら、それはまさに急迫不正の侵害、我々に対して、国家と国民に対して重大、深刻な影響が生じるから、そのときは初めて武力の行使ができる、こういうことだと思います。この基準が我々の頭の中にはあるわけですね。

 そこで、集団的自衛権の話に移りたいと思いますが、新三要件を満たした前提で聞きます。

 ホルムズ海峡の例を出されたので、一つお伺いしたいのは、切迫事態でも、個別的自衛権の行使として我が国は、新しい法制化のもとでも武力の行使ができない、これが厳しい縛りですよ、平和国家としての、専守防衛の。そのときに、密接な他国、アメリカに対して攻撃がある、あるいはよく出されるホルムズ海峡のケース、特に、経済的な理由であっても武力攻撃が可能になるわけですね、新三要件を満たしたら。凍死者が出るとかいろいろな話がありましたが、新三要件を満たしたときには、我が国に対する直接の攻撃がないけれども、経済的な理由も含めて武力攻撃ができる場合が今度あり得るんですよ。

 切迫事態でさえ武力行使ができない憲法の縛りと、直接に攻撃を受けていないけれども、何か経済的事案も含めて密接な他国に対する攻撃があって、三要件を満たしたら攻撃ができる。明らかに武力行使の基準が緩くなっていませんか。

安倍内閣総理大臣 三要件について正しく解説をさせていただきますと、まず、「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、」ここで一旦切れるんです。「又は」で以下がつながっていくわけでありますから、「又は」の後は一つのパラグラフだと考えていただいた方がいいんだ、いただくべきなんですが、「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」というときに、そしてまたさらには、「これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと」の中において、「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」、これがまさに三要件であります。

 これは非常に厳しい三要件と言わざるを得ないわけでありまして、先ほどの、切迫事態との関係について述べておられますが、これは、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況にあるのがまさに存立事態と言えるわけであります。そのときには、当然我々は、国民を守るために、この三要件にあるように、他に手段がないわけでありますから、そのときには国民を守るために必要な実力を使う、こういうことでございます。

玉木委員 これは、聞いていても国民の皆さんはわかりませんよ、総理。

 私があえて個別的自衛権の話と対比で出したのは、今、我が国が、我が国の憲法を変えれば別ですよ、でも、これからも九条を維持するんですよね。九条の伝統的な解釈の範囲の中で今回の限定された集団的自衛権を認めるという法理をとられます。百歩譲って、それに乗ります。乗ったときに、今の個別的自衛権で認められている武力の行使と同じぐらいの厳しさがないと、それは多分、はみ出る部分は憲法違反なんでしょう。

 ここが明確に、つまり、三要件をそのまま法律に書いてあって、さらにそこをブレークダウンしていないので、その外延がよくわからなくて、本当に……(安倍内閣総理大臣「ちょっと説明します」と呼ぶ)いや、総理、ちょっと時間がないので、お願いします。これは中谷大臣に聞きます。(安倍内閣総理大臣「説明させて」と呼ぶ)

 では、わかりやすい事例で総理に聞くので答えてくださいね。

 五月の十四日に、安全保障委員会で、私は中谷大臣とやりとりをしました。そのときに、前田政府参考人からこういう答弁があります。武力攻撃切迫事態と存立危機事態というものは併存する可能性があると。

 ある事態、これをX事態としましょう。X事態という状態が併存するわけですから、例えば、アメリカが攻撃を受けている、日本はまだ攻撃を受けていない、あるこういう状態があったときに、併存しますよね。だから、全然離れた、地理的、時間的に離れているけれども、この同じことです、ある併存する事態が発生したときに、切迫事態だから個別的自衛権としては武力行使はできないですね、現行法を変えないんだから。存立事態が併存しているから、集団的自衛権の眼鏡で見ると、我が国は武力行使ができるようになる。

 総理は今、最初におっしゃった、資料の四を出していただきたいんですけれども、この三要件の第一要件の読み方なんですが、A、B、Cと分けましたけれども、AとBかつCのことを定めていると多分総理は今おっしゃった。

 でも、この前の法制局長官の答弁を聞いていると、Aは当然Cを満たすから、AかつCも当然入っている。つまり、我が国に対する攻撃や他国に対する攻撃は一つのきっかけであって、九条に基づいて本当に我が国が武力行使できるのは、自国及び自国民に対する影響が深刻、重大、つまり、存立を脅かし、国民の生命、自由、幸福の追求の権利が根底から覆される明白な危険があると、我が国と国民に対する影響に引き直して判断したときに、個別だろうが集団的自衛権だろうが行使できるという法理だと思うんです。これが憲法の枠をぎりぎり超えない考えだと思うんですよ。

 そうすると、両者が併存している事態というのは、それで切迫事態だというふうに、こっちから見たら、武力行使ができないんですから、つまり、このCの要件が満たされていないんじゃないですか。でも、集団的自衛権になると急にCが満たされて、行ける、併存することが前提ですからね。だから、個別でいくと撃てないんだけれども、集団的自衛権でいくと撃てるようになるという、もし、そのすき間があったら、そのすき間の部分は憲法違反に当たりませんか。

安倍内閣総理大臣 今の玉木委員の説明も、一般国民からは確かにわかりにくいんだと思いますよ。それは、いわば法理的な話をしておられますから。

 ですから、少し具体的にお話をいたしましょう。

 まず、切迫事態とは何かということで、一度私はここでお話をしたことがございます。基本的には、まさにどういう状況で防衛出動をし、どういう状況で武力行使をするかということは、議論としては確かにする必要がありますが、これを相手国もみんな見ているわけでありますから、全部手のうちをさらすということは避けなければいけませんから、これは限定的にお話をしなければいけない。

 その中でお話をさせていただきますと、では、切迫事態とは何か。これは防衛出動ができる事態でございますが、ある国が、日本に対して敵意を示す、例えば東京を壊滅的な状況に追い込むという発言をしておいて、これはしかし具体的に説明しないとわかりませんから、という発言をしておいて、さらに動員令をかける、そして艦隊を集結させるということになれば、これはやはりもう切迫事態と言えます。ただ、この段階では、どこの国に対する、我が国ももちろんでありますが、武力攻撃は発生していません。切迫事態ではありますが、これは当然武力攻撃はできない。

 では、存立事態とは何か。切迫事態の中において、海上において米艦船が警戒に当たっている、そういう状況ですからね。米艦船が警戒に当たっていて、この米艦船に対するいわば攻撃がある。このときは、まさにこれを助けるかどうかということについては、これは存立事態。

 いわば日本を攻撃すると言っている国が、日本の近海で警備に当たっている米艦船に対する攻撃を行う、そしてこの艦船に対する、これを助けないでいいのかどうかということが、ずっと先ほど来議論になったわけでありますが、我々は、これは助けなければ国民の命を守ることができないという意味において、これを助ける。まさにこれは存立事態になるわけでありまして、その後、我が国に対する攻撃があれば、これはまさに我が国事態になっていく。そうすれば個別的自衛権になっていく。

 いわば、切迫事態から集団的自衛権の行使に至り、そしてその後はまさに個別的自衛権に至る、こういうことになる可能性があるということでございます。

玉木委員 違うんですよ。私は、助けなくていいと言っているわけじゃないんです。その行使の要件の基準がずれているんじゃないのか。

 もちろん、違う観点で見るということを言うんですが、前も一時間ぐらい大臣と議論させていただきました。これは、実は皆さん、大事な論点です。私は、むしろ個別的自衛権の方にすき間がある。

 もし、行使の要件が、本当に我が国に引き直してきたときに、それが非常に厳しい深刻な事態だというふうに考えるようなときには、本当に最初の攻撃を受けるまで待たなきゃいけないのか。

 広く一般的に、本当に我が国に対する攻撃がない段階で、それはアメリカに対する攻撃があった場合もあります、ただ、そこは私は、やはり自国に対する影響として一つの基準の中で見ないと、個別的自衛権だから行けません、集団的自衛権になったら突然行けますというんじゃなくて、それは、つまり、先ほど総理がおっしゃったように、アメリカに対する攻撃があっても、だからといって全部行けるわけじゃないですよね。(安倍内閣総理大臣「違います」と呼ぶ)ですよね。新三要件を満たすとき。

 その新三要件というのは、まさに我が国の存立が脅かされて、国民の権利が根底から覆される、そういった状況ですよ。もしそれが集団的自衛権の行使の要件として認定されている状態なら、それは個別的自衛権も行使できる状態になっているべきなのではないんですか。

中谷国務大臣 これは大原則でございますから申し上げますけれども、個別的自衛権というのは我が国に対する武力攻撃が発生しない限り武力行使はできないという、これは原則でございます。

 しかし、委員も言われましたように、相当、安全保障環境というのが変化をしてきておりまして、以前は米ソの冷戦でしたから秩序というものはあったんですけれども、こういったパワーバランスも変化をし、そして長射程のミサイルがあり、また周辺国の軍事力も変化をしましたし、テロの発生もしたということで、脅威というのは国家を超えてやってくるし、もはや一国のみで自国の安全保障を守り切るということはできないわけでありまして、申し上げたいことは、他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、態様等によっては我が国の存立を脅かす、こういうことも現実に起こり得るということでございます。

 委員のように、個別的自衛権で見ればいいのではないかと言われますけれども、これは、大原則として、個別的自衛権というのは我が国に対する攻撃がないと発動できないわけでありまして、その我が国に対する攻撃が発生する前の段階で、我が国の存立を脅かすような事態になって、それが他国に対する武力攻撃が発生した場合、これを今回存立事態といたしまして、我が国の安全を確保するという規定でございます。

玉木委員 大臣、前もこれ、よくわからないんですよ。憲法違反の疑いがあると憲法学者が明確におっしゃっていて、国民の中にも議論が深まらない。

 私はあえて、ちょっと総理から国民がわかりにくいということで御批判いただきましたけれども、総理が話していることもわかりにくいんですよ、総理。こっちが言うときはわかりにくいと言われて。だから、私は誠実に、これはどういうことが本当に認められるのか、認められないのか、これは真剣に議論をしています、総理はおわかりだと思いますが。

 それで、もう一回言います。

 切迫事態で我が国に対する攻撃が差し迫っているのに、やはり攻撃できないのが現行憲法です。でも、他国に対する攻撃があって、新三要件を満たしたら行ける。しかも、ホルムズ海峡の封鎖で油が入ってこなくなる。どう考えても、武力行使の要件が今回の法改正によって緩んでしまっている。その緩んだ分は、個別的自衛権の行使要件を変えるのなら別ですよ、こっちがかちっと変わらないのに、これだけ厳しい要件を個別的自衛権は引き続きかけているのに、他国に対する攻撃があったら、それで武力行使ができるようになるというのは、私はやはり憲法違反の疑いが拭い切れないと思うんですよ。

 ですから、ここについては、わかりやすくしっかりと説明をしないと国民の理解は得られないし、そのことが理解が進まないのであれば、やはり一度、これは憲法学者の皆さんもおっしゃっているように、出し直す。一回撤回して出し直すようなことをした方が本当に国民の理解が得られた安全保障法制になると思っておりますので、そのことを申し上げて質問を終わりたいと思います。

河村委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申し出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 私の方は、漏れた年金情報問題、これを中心に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先日、年金個人情報が漏れたということが公表されて、ちょうどその週の週末、今月の五日から七日にかけてNHKで世論調査が行われました。この世論調査の結果、年金情報流出に不安を感じている、そういう方が七六%にも上るということであります。そして、今、年金情報の流出に関して相談ダイヤルというのが設けられていますけれども、十六日の夕方までに全国から寄せられた相談の電話は四十六万六千五十一件、こんなにも多くの電話がかかっているということであります。

 これだけ多くの皆さんが年金に不安を感じておられる、まず総理がこのことをどう受けとめておられるのか。そして、我々がまずやるべきは、この国民の皆さんの不安を払拭するために徹底究明をする、そのことに最優先で取り組む、これが我々がやらなきゃいけないことではないかと私は思いますけれども、総理はどうお思いになりますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 日本年金機構で、今般、個人情報が流出をし、国民の皆様に不安を与えていることについて、大変申しわけなく思っております。

 御指摘のとおり、国民の不安の払拭は最優先であります。現在、年金受給者の方々のことを第一に考え、万が一にも大切な年金に影響が出ないよう、実態把握と二次被害の防止を徹底的に行い、対応に万全を期しております。

 具体的には、機構において、情報流出の対象となった方に対し、順次、個別におわびの文書を送付するとともに、基礎年金番号の変更を行うこととしております。また、電話相談窓口を設け、不安をお持ちの方々からの問い合わせに丁寧に対応することによって不安の払拭に努めております。

 この間、住所等の変更手続を行った方もおられますが、窓口での本人確認を徹底するとともに、念のため御本人確認のための戸別訪問を行うなど、二次被害防止に全力を挙げております。

 あわせて、詐欺のおそれなどについて、政府広報を初め政府を挙げて国民の皆様への周知、広報に取り組んでいます。

 さらに、厚生労働大臣のもとに設置された第三者の専門家による検証委員会において、発生原因の究明、再発防止について徹底的な議論を始めたところであり、その結果も踏まえ、サイバーセキュリティー対策なども含め政府としてしっかり対応してまいりたいと思います。二度とこうしたことが生じないように、厚生労働省による年金機構の業務全般に対する監督指導体制の一層の強化を図っていく考えでございます。

大西(健)委員 総理は今、最後にも、第三者の検証委員会でということをお話しされましたけれども、総理も早急にやれというふうに指示をされていますけれども、まだ第二回の日程もよく決まっていない。それから、ではいつまでにその検証結果が出るのかということも、聞いてもわからないんですよ。ですから、本当に徹底究明する気がおありなのか、私は疑問に思わざるを得ないというふうに思っております。

 そして、もちろん労働者派遣法も重要です。あるいは、先ほど議論があった安保関連法案、これも重要です。ただ、今一番緊急性が高いのはこの年金情報流出の問題なんですよ。ですから、これを棚上げにして、あるいはこの問題に幕引きをして、例えば、厚労委員会でもこの問題をずっとやってきましたけれども、あしたにも派遣法の採決をまた強行するなんという話がありますけれども、私はそういうことは許されないんじゃないか、この問題を徹底究明する、やはりこのことを最優先にすべきではないかというふうにまず申し上げておきたいと思います。

 私は、そもそも、幕引きしようと思っても、できないと思っているんですよ。というのはなぜかといえば、現時点では、原因や責任はおろか、被害の全容さえ明らかではないのではないかというふうに思っているんです。確定できないというふうに思っています。

 また、先ほど総理が御答弁された、例えば電話相談にしろ、あるいはおわびの文書の通知にしろ、これは情報流出が百二十五万件という前提に立って行われているんです。でも、百二十五万件でなければその前提自体が崩れてしまう。私はそういう可能性があるのではないかというふうに思っておりますので、きょうはそのことを中心にお話をさせていただきたいと思います。

 パネルの方をごらんいただきたいんですけれども、今回の事案というのをこのパネルにまとめてみました。まず、攻撃者からウイルスメールが日本年金機構の職員に対して送りつけられた。そして、日本年金機構の職員が添付ファイルを開封してしまった、そのことによって職員のパソコン端末がウイルスに感染をしてしまったんです。

 通常、今回流出をした個人情報、例えば四情報と呼ばれるような年金の基礎年金番号であったり、あるいは氏名、住所、生年月日というのは基幹システムの中に入っていて、これは例えばインターネットとかとは遮断をされているんです。

 ただし、この基幹システムにあるデータの一部を業務の必要に応じて抽出して、そしてCD―ROMやDVDに落として、ここにあるファイル共有サーバーに置いて、そして職員の情報系の業務端末でそのデータを取り扱うということが日本年金機構では認められていた。これ自体大きな問題だというふうに思いますけれども、この共有サーバーに基幹システムにある個人情報が移されていたんですね。

 私がここで問題としたいのは、この共有サーバーから、感染した情報端末を通じて情報が盗み取られた。つまり、この共有サーバーには実は、今回問題になっている百二十五万件以外にも、それ以上の個人データが入っていた可能性が高いんじゃないか、このことをしっかり明らかにしなきゃいけないというふうに思っております。

 百二十五万件というのは、こちらの方に書いてありますけれども、港区の海運会社のサーバーの中から警視庁の公安部が捜査の過程で発見をした、これが百二十五万件ということであって、今も申し上げましたけれども、この共有サーバーの中にほかにも個人情報が入っていたとしたら、百二十五万件以外にも個人情報が盗まれている可能性が私は否定できないというふうに思いますよ。

 そこで、まず日本年金機構にお尋ねをしたいのは、この共有サーバーの中にはどんな個人情報が何件入っていたのか、このことをまずお答えいただきたいと思います。

水島参考人 機構LANの共有フォルダに保存されております個人情報については、現在調査中でございます。

 全国に、機構LANサーバーと申しますのは四百台余りございます。この中には多種多様なファイルが保存をされているという状況でございますけれども、人の手でやるといたしますと、一つ一つファイルをあけて中身を確認していく必要がございます。そのために時間を要しているという状況でございますが、現状でございますと、仮に個人情報が中にあるとすれば、やはり全体を正確に把握する必要があるというふうに考えております。したがいまして、人の目視と申しますか、でやることの不完全性ということもございますので、きちんとやるためにどうすればいいかということを、手法も含めて現在準備を進めているという状況にございます。

大西(健)委員 この問題が発覚をして、厚生労働委員会でも集中審議がありました。私が六月三日の時点で、今の話、まさにこの百二十五万件でとどまらないんじゃないかということをお聞きしたときに、既にその時点で水島理事長は、さらに流出が拡大する懸念はあると答弁をされました。それからもう二週間以上たっているんです。

 今の話、例えて言うならば、泥棒が入って金庫を破られました、そして金庫の中に保管してあったはずの銀行の通帳がどこかから警察によって発見された。そういうことになると、では、金庫の中からほかにも盗まれていないか、当時金庫の中に何が入っていたか確認するのは、これは真っ先にやることじゃないですか。ですから、これをやはり真っ先にやってもらって、そして確定してもらわないとこれはだめなんだと思うんです。

 では、水島理事長、いつまでにこれは明らかにしていただけるんでしょうか。

水島参考人 私どもも、御指摘のとおり、早くやらなければならないというふうに強く思っております。そのために、システムの対応も含めて現在早急に行っているところでございまして、大変申しわけございませんが、もうしばらくお時間をいただきたいというふうに思っています。

大西(健)委員 さっきも言いましたけれども、私はもう既に六月三日の時点でこのことを指摘して、水島理事長もそのことをお認めになっている。でも、いまだ、いつまでにとも言えないということであります。

 先ほど言ったとおりですよ。銀行の通帳がどこかから見つかって、その金庫に入っていたものがわからなければ、何を盗まれたかもわからないじゃないですか。ですから、そこをはっきりさせていただきたいというふうに思います。

 安倍総理、今私が申し上げたように、共有サーバーには少なくとも、まだ数はわかりませんけれども、百二十五万件以上の情報が入っていたことは、これは私は間違いないというふうに思います。そうすると、流出した年金個人情報は百二十五万件だとは断言できないと、総理、お思いになりませんか。そして、そうだとしたら、そのことを総理はどう受けとめられますか。総理、お願いします。

 総理、総理に聞いているんです。総理がどう思うか。あるいは、総理は私の話を聞いて、これは百二十五万件とは言い切れないと思いませんかと今私が聞いたことを、総理はどう私の説明を聞かれたかということをお聞きしているんです。

河村委員長 先に厚労大臣。

塩崎国務大臣 この百二十五万件は、もう先生もよく御案内のように、また我々も繰り返し御説明申し上げたように、警察から通報を受けて確認をできた件数が百二十五万件ということであって、何よりも大事なのは、さらなる流出が生じないようにすること、これが国民にとって一番大事なことでございますので、安全性が確認されるまでの間のパソコンのインターネット接続を、遮断をもちろんするということや、あるいは個人情報を扱うパソコンを将来にわたってインターネットに接続しない等の対応を検討しているわけでありまして、仮に、今先生御指摘のように百二十五万件以外にも流出が明らかになったということになれば、それは公表をしっかりとしていかなければならないと考えているところでございます。

安倍内閣総理大臣 まず、先ほど委員がおっしゃった、我々が幕引きを図っている、これはとんでもない発言だと私は思いますよ、そんなこと考えていないんですから。それを前提にいろいろな質問を組み立てられても、私たちは答えようがないわけでありますが、今、厚生労働大臣、所管する大臣から答弁させていただいたように、この百二十五万件以外にも流出が明らかになった場合には、これは当然直ちに公表、対処しなければならない。しかし、現時点で確認できた件数は百二十五万件であるということでございます。

大西(健)委員 今の御答弁というのは当たり前のことなんですよ。百二十五万件以上出てきたら、それは公表するのは当たり前なんです。

 ただ、先ほど来言っているように、今の対応策というのは百二十五万件を前提にされているんですよ。例えば、相談ダイヤルに電話をしたら、あなたは百二十五万件の中には入っていませんから大丈夫です、そういう話なんです。でも、百二十五万件以外に流出していたら、その対応策というのは、そもそも前提が崩れるんですよ。だからこそ、この問題をしっかり明らかにしないといけないんじゃないですかということを私は申し上げているわけですよ。あるいは、その被害の全容を解明しないと、この問題というのは区切りがつけられないじゃないですかということを申し上げているんです。

 もう一つ、さらにちょっと聞いていきたいんですけれども、先ほど来お話があるように、サイバー攻撃というのが行われる場合には、攻撃者が特定をされないように、大体国内外のいろいろなサーバーを乗っ取って、そして、それを踏み台、経由にして攻撃が行われるというのが一般的だというふうに言われています。では、今回の日本年金機構の年金個人情報の流出事案ではそういうことが行われたんでしょうか。これは日本年金機構からお答えをいただきたいと思います。

水島参考人 今御指摘のような事案がどのような手法で行われているかということにつきましては、私自身、大変申しわけございませんが、承知をいたしておりません。

 私どもの流出の状況につきましては、現在まさに捜査当局、警察当局がお調べいただいているという状況にあるというふうに理解をいたしております。

大西(健)委員 先ほど言ったように、第三者の検証委員会というのはまだ一回しか開かれていないんですよ。でも、我々、我が党の対策本部は毎日会議をやっています。そこでも、何でも調査中、捜査中といって、何にも情報は出てこないんですよ。でも、新聞にはぽろぽろぽろぽろいろいろな情報が出ている。国会に説明ができないことが新聞に出ている。これは、与党の皆さんも、国会がばかにされている話ですよ。だから、しっかりこれは、話せるところは話していただかなきゃいけないと思うんです。

 資料として新聞の記事を一枚配らせていただいていますけれども、これは読売新聞の六月十一日の夕刊の記事です。

 ここにもありますように、今お答えはいただけませんでしたけれども、今回、捜査の過程で、少なくとも国内外の約二十のサーバーに強制接続がされている、そういうことがわかっている。この百二十五万件という港区の海運業者のサーバーから警察が発見した以外に、その港区の海運会社のサーバー以外に、別に海外のサーバー一カ所に大量のデータが送信をされている、こういうことが判明をしているということがこの記事にも書かれています。

 もしこれが事実であれば、先ほど来申し上げているように、海運会社のサーバーの中にあった百二十五万件以外の個人情報が海外のサーバーの中から出てくる可能性があるというふうに思いますけれども、実際、海外のサーバー一個に大量のデータが送信されている、こういうことが言われているわけですけれども、塩崎大臣、そういう理解でよろしいでしょうか。

塩崎国務大臣 まず第一に、これは今捜査中である事案だということを申し上げなければいけないというふうに思います。

 今、報道を取り上げ、また、いろいろ、部門会議で資料がなかなか出てこないということで御不満をいただいていることは私どももよくわかっておりますし、我々としては、できる限り、情報は開示できるものは開示するというのが基本であることは何度も申し上げているわけであります。

 しかし、例えば、今のように、報道された内容であっても、その内容を日本年金機構とか厚生労働省が認めることあるいは認めないことで年金機構の対応能力などを明らかにすることとなってしまうわけであって、これはセキュリティー上の問題があるということが考えられます。

 そしてまた、具体的な犯行の状況とか捜査の進捗状況などを明らかにすることとなることでもありますから、今後の捜査に支障を及ぼすということで、特にセキュリティー上の問題も含めて、報道を私どもの方で認める認めないと言うことはなかなか難しいわけであって、さらに、調査中で確定していない段階で報道についてコメントすることによって公表するようなことは、かえって混乱を招くということになるわけでありまして、そのようなものについては、テレビや新聞に出ている情報であっても答弁を差し控えさせていただいているわけでございますので、御理解を賜りたいというふうに思います。

大西(健)委員 私の質問に答えていただいていないんですけれども、要は、海外のサーバー一カ所に大量のデータ送信がある、これは二十以上のサーバーと接続している可能性がある、そうすると、海外のサーバーから、今回、港区の海運会社のサーバーから出てきたのと同じような形で個人情報が出てくる可能性、これは否定できないということでよろしいですか。そこだけ確認させてください。

塩崎国務大臣 これは捜査をしている案件でございますので、私どもは仮定の話にはお答えをできないということでございまして、先ほど申し上げたように、百二十五万件が今わかっている件数であって、それ以外に仮に出てきたとしたら、それは公表するということが基本であるということを、申し上げたとおりであります。

大西(健)委員 被害がどこまでなのかという基本的なところが全然確定できないのでは、何の話もできないじゃないですか。

 私は、もう一つ確認しておきたいのは、では、それが発見されるかどうか。これについて、港区の海運業者のサーバーは、警視庁の公安部が捜査で発見をしました。では、海外のサーバー、この通信記録を調べるには、国際刑事警察機構、ICPOを通じて管轄の捜査当局に照会する必要がある、相手国の対応によっては、回答を得るのには半年以上かかるケースもあるというふうに言われています。

 そこで警察庁に確認いたしたいんですけれども、では、今回の事案でも、海外サーバーにほかの個人情報が流出していたかどうか、このことが最終確認できるためには海外のサーバーをチェックしなきゃいけない、調べなきゃいけないわけですけれども、それには、結論が出るまでに相当な時間がかかる、こういう理解でいいかどうか、端的にお答えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 現在、警視庁では、日本年金機構からの情報流出の状況を具体的に把握するため、所要の捜査を推進しているところでございます。

 一般論として申し上げますと、この種の事案では、国内外の複数のサーバーが踏み台として使用されることが少なくなく、特に海外のサーバーに対しては、委員御指摘のとおり国際捜査が必要となりますことから、全容の解明には相当程度の期間を要するものというふうに承知しております。

 いずれにしましても、警察としましては、本事案について捜査を早急に進めてまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 今お答えがあったように、これは結論が出るには相当な時間がかかる。

 また、例えば二〇一一年の八月に発覚した三菱重工業に対する標的型メール攻撃、今回と同じですよね。この場合も、警視庁は、関与したサーバーの一つが中国籍の女性名義で借りられていたことを突きとめて、中国政府に情報提供を要請したが回答はなく、容疑者の検挙に至らなかったということなんですね。ですから、相当な時間がかかる、しかも、最終的に犯人検挙は非常に難しい、困難だということなんです。

 総理、今のやりとりを聞いていただいて、改めてなんですけれども、年金情報が海外のサーバーに流出している可能性が私はあるというふうに思います。被害が拡大するおそれがあるんです。これは、おそれがあることは間違いないんです。そして、その捜査は、今お答えいただいたように長期化をする可能性がある。現時点では、何度も申し上げますけれども、被害の全容さえ明らかになっていない、これが現実なんです。

 また、仮にほかにも流出した年金情報があるとしたら、これも先ほど申し上げましたけれども、おわび状の送付にしろ、電話相談にしろ、百二十五万件を前提にして行われている現在の対応策というのは不十分ということになってしまうんです。

 今後、被害がさらに拡大するおそれがある以上、ここで年金情報流出問題、先ほど、幕引きはしていないとおっしゃいますけれども、これは徹底究明しないと一区切りつけられないと私は思うんですけれども、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 徹底的にやるのは当然のことでございます。

大西(健)委員 ただ、本当に徹底究明する気があるのか。先ほども言いました、第三者委員会でやっていますからと。だけれども、その委員会だって、いつまでに結論を出すかも、これさえわからないんですよ。そして、情報も出てこない。何度も言いますけれども、これはちゃんと全容を解明しないと、その先の責任あるいは再発防止、そういう話にも行かないというふうに私は思いますので、そのことは強く申し上げておきたいと思います。

 まさに、二〇〇七年の二月、この予算委員会の場で、当時の安倍総理に長妻議員が、宙に浮いた年金記録の問題を質問したときにも、総理は、年金は消えていない、不安をあおるなということを言われました。私たちも不安をあおっているんじゃないんです。この可能性がある以上、徹底的にやらないと。当時の長妻さんも、緊急事態宣言をして緊急点検をしたらどうですかと言ったんですけれども、そのとき安倍総理は何と言ったか。不安をあおるな、そして、そんなことをやる必要はないといって蹴ったんですよ。でも、結果として、最終的には十四万件の年金記録が回復して、二・一兆円の年金が戻ってきたんです。

 ですから、もし後で百二十五万件以外個人情報が出てきたら発表すると言っていますけれども、そのときどう責任をとるんですか。私は、この全容解明をやはり徹底して最優先で取り組んでいただきたい、このことをまず申し上げておきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 さて、現在、年金情報流出の対応策として、先ほど来出ているように、おわび状の送付、あるいは相談ダイヤルが設置をされています。こうした対応策にかかる費用、これがどの程度のお金がかかるのか、これは大体で結構ですので、日本年金機構からお答えをいただきたいと思います。

水島参考人 今回の不正アクセス事案への対応はまさに進行中でございまして、例えばコールセンターの拡充をいつまでやるべきなのか、あるいは、土日営業も現在行っております、この期間等についてまだ見通せないという状況にございます。

 御指摘のとおり、基礎年金番号の変更に関しまして、今、システムで急ぎ対応中でございまして、この費用、あるいはさらに追加的な費用がかかるかどうかということもございまして、現時点でこれらを見積もることは困難だと申し上げざるを得ないと御理解をいただきたいと思います。

大西(健)委員 現在、確かに、進行形の話なので、正確なところというのはわからないと思いますけれども、私の方でも一応整理をしてみました。

 今少しお答えがありましたけれども、おわび文書の郵送代、これは、いわゆる四情報と呼ばれる情報が流出した一万五千人の方には既に郵送が行われています。これが百二十万円かかったということでありますけれども、では、百二十五万件、この個人情報が一体何人分に相当するのか、実はそのことさえまだ明らかにされていないんです。来週には明らかになるというふうに聞いていますけれども、これも一部報道では五十万人以上、こういう数字が出ています。では、仮に五十万人だとしたら、一万五千人で百二十万円ですから、五十万人だったら四千万円以上かかるという計算になります。

 それから、電話相談コールセンター、こちらの方ですけれども、平時もコールセンターというのがあるんですけれども、平時のコールセンターの業務委託経費、これは一日平均百三十人体制で年契約約十三億円なんです。ですから、ざっとですけれども、これは年で十三億円ですから一月一億円だと考えても、現在は百三十人じゃなくて千人体制ですから、その十倍だと考えたら十億円。今は土日も対応しているから、もっと多いかもしれない。確かに、理事長がおっしゃるように、この千人体制をどこまで継続するかわかりませんけれども、少なく見積もっても十億円以上はかかるということですよ。

 さらに、基礎年金番号の変更。今回流出したものについては基礎年金番号を変更するということですけれども、これを新たに通知するためにまた郵送するとしたら同じだけかかるんです、四千万。

 それから、一遍にこれだけの人の基礎年金番号を変更するということになるとシステムの改修が必要だと、今、理事長の答弁でもそのような答弁があったと思います。このシステム改修、私もにわかには額はわかりませんけれども、これもやはり一億、二億の話じゃないというふうに思います。

 ですから、ざっとですよ、ざっとこういうふうに見積もっても、この年金情報流出の後始末には相当な費用がかかる。これは間違いないことだというふうに思います。

 そこで、今テレビを見ておられる国民の皆さんの素朴な疑問というのは、では、この後始末の費用はどこから支出されるのかと。塩崎大臣、まさか年金保険料から出されるということはないですよね。いかがですか。

塩崎国務大臣 現在、例えば年金相談事業とか、あるいは定期便に係る費用などの保険事業運営に直接かかわる費用というのは、これは保険料財源から充てるというのが原則でございます。一方で、職員人件費とか、あるいは職員宿舎に係る経費などの内部管理事務に関する経費というのは、これは税財源で賄われているということでございまして、現在、国民の年金を守ることを最優先に、実態把握と二次被害の防止に努めて、全力で取り組んでいるわけでございます。

 一方、先ほど検証委員会の話が出まして、一回しかやっていないじゃないかという話がありましたが、第二回目は二十五日に開催をする予定でございますし、それから、フォーマルな会合としては来週の二十五日でございますけれども、インフォーマルには集まりを持っております。

 いつまでということは、私たちは可及的速やかに、できるだけ早くお願いしたい、それは国民に対する説明責任があるから。しかし一方で、やはりこれだけの事案でありますので、これをしっかりと検証してもらいたい、徹底的な検証をしてもらいたいということも同時に言っているわけでございますので、そこのところは甲斐中委員長ともよく相談をしてまいらなければならないというふうに思っているわけで、こういったような責任の所在を含めて、発生原因の究明と再発防止についても検証することとしているわけであって。

 この対策に必要な経費、今は後始末とおっしゃいましたが、それ以外にも、当然、先ほど来私が申し上げているように、システム、セキュリティーの体制を格段に強化しないといけない、それでなければ個人個人の年金情報を守れないということを申し上げているわけでありますので、必要なものはしっかりとやっていかなきゃいけませんが、しかし、それにしても、発生原因、何が起きたのか、なぜ起きたのか、そしてどうやったら再発防止ができるのか、そういったことをさまざま検証した結果を踏まえて、やはり私たちは今後の経費のあり方については考えていかなければならないと考えているところでございます。

大西(健)委員 長々と答弁されましたけれども、テレビの前で国民が一番知りたがっている、この金はどこから出るんだ、保険料なのか税金なのか、そのことについて結局は答えていないんですよ。

 今の説明の中にもありましたけれども、国民年金法上は、内部管理事務の執行に要する経費、例えば、今大臣も言われましたけれども、典型的には職員の人件費、これは国庫で負担をする。ただ、保険事業の運営に直接かかわる適用、徴収、給付に至る事務にかかわる経費は、受益と負担の関係から保険料を充てる。こういう整理になっていると思うんですね。この区分でいくと、残念ながら私は、保険料から出てしまう可能性が高いんじゃないかというふうに思っています。

 それから、仮に税財源としたら、補正予算を組むわけでもないので、巨額の費用がもしかかるとしたら、年度の途中に新たな財源投入というのは期待できませんから、そういう意味でも、税ではなくて保険料から出てしまうんじゃないかと思うんですけれども、再度、保険料からは絶対出さないと言えますか。大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、なぜこの問題が起きたのか、そして今後どういうふうにしていくべきなのか、何をすべきなのか、そういったことをさまざま徹底検証した上で財源のあり方については考えていこうということを、先ほど申し上げたとおりでございます。

大西(健)委員 国民の皆さんも年金加入者も何も悪いことはしていないんですよ。なのに、保険料から本当に出すんですか。保険料で出せるんですかね。それから、消えた年金、このときも税金から出しているんです、実は。

 保険料が使われる可能性、これは今大臣は否定をされなかったということだというふうに私は思いますが、ここにも書きましたけれども、日本年金機構というのは、予算の構成を見ると、自己収入というのは本当にわずか一%程度です。あと、保険料と税金が大体半分ずつ入っている。そういうことで成り立っている。

 保険料にしろ、税金にしろ、結局のところは国民が負担するんですよ。国民も年金加入者も何も悪いことはしていないのに、その後始末の費用を何で俺たちが負担しなきゃいけないんだ、これがテレビの前の皆さんの素直な感想なんじゃないでしょうか。総理、その国民の声にどうお答えになりますか。

安倍内閣総理大臣 ただいま塩崎大臣がお答えをさせていただいたように、まずしっかりと検証を進めながら、どのような原因においてこの事案が発生した、どういう問題があった、それを当然究明しなければいけません。そしてまた、どういう対応をしていくか、あるいは、今後、再発防止のためにどういう備えをしていくか、そしてまた、そのための財源はどうしていくかということについて議論をしなければならないわけであります。

 そこで、保険料、保険料はまさに年金に加入をしておられる皆様の、いわば大切な保険料であります。一方、税金も、これは国民の皆様からお預かりをしている税金であるということも申し上げておきたいと思います。

 しかし、このどちらかから出さなければならないのは当然のことで、これしかないわけでありますからそういうことになるわけでありますが、その中においてどう財源を充てていくかということについては、厚労大臣から答弁したとおりでございます。

大西(健)委員 保険料は、将来老後のために皆さんがある種積み立て、厳密に言うと積み立てじゃありませんけれども、皆さんが老後のために払っているものなんです。それを、何で何にも悪くない皆さんがそのことによってこの後始末を負担させられるのかということだと思います。

 それから、保険料と税金しかない、確かにここだけで見るとそうですけれども、例えば、私が地元を回っていたら、やはり、実際にそういうことをやった責任者、責任のある人たちにある程度負担をさせないと結局は同じことが起こるんじゃないの、自分のものだという意識がないからそういうことになっちゃうんじゃないのという声を、週末、地元を回っていると結局いただきますよ。ですから、本当に保険料ありき、あるいは税金ありきでいいのか、このことは考えていただかなければならないのではないか、そのことは、恐らく今テレビをごらんになっている皆さんも同じ思いなのではないかというふうに私は思っております。

 次に移りたいというふうに思うんですけれども、年金情報流出問題を受けて、もう一つ国民の皆さんの中にある声は、今回、年金情報はこういう流出が起きてしまったけれども、今度マイナンバーというのが入るんでしょう、マイナンバーは大丈夫なの、こういう声を私も地元を回っているといただきます。

 折しも、国会ではマイナンバー法案の参議院での審議が始まったところでありましたけれども、参議院の内閣委員会では、今回のことを受けて、九日の理事懇で、マイナンバー法と個人情報保護法の改正の審議は当面見送るということを決めたというふうに伺っております。

 そこで確認をしたいんですけれども、このマイナンバー法案、そして個人情報保護法案、この担当でもあり、そしてIT担当大臣である山口大臣がこのことについて報告を受けたのはいつだったのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。

山口国務大臣 ただいまの御質問は、今回の年金情報の漏えい、この事案に関して、いつ報告があったのかということなんだろうと思いますが、私の方に報告がありましたのが、五月三十日土曜日というふうなことでございます。

大西(健)委員 私の方でも伺っているのは、山口大臣がお知りになったのは、五月三十日に一応連絡が入って、そして六月一日に直接報告を受けたというふうに聞いております。

 ただ、大臣はマイナンバーの法案担当ですよね。それでIT担当ですよね。塩崎大臣がこのことを知ったのは、一報は二十八日の夕方に受けられた。それから、二十九日の昼間に説明を受けられた。総理には二十九日の夕刻に上がっている。しかし、山口大臣が知ったのは三十日ということですから、それより遅いんです。

 IT担当大臣、しかも、実際に今マイナンバーの法案に影響が出てしまっている、こういうことを考えたときに、山口大臣、自分に報告があったのは遅かったとお思いになりませんか。

山口国務大臣 まず、法案は私の方で担当させていただいておりますが、マイナンバー自体は実は甘利大臣の方が担当でございますし、同時に、IT担当大臣としてというふうな御質問でありましたが、これはもう御承知と思うんですが、昨年の十一月にサイバーセキュリティーの基本法が制定をされて、実はサイバーセキュリティーに対しては新たな体制がスタートをしたところでございます。

 そういう中で、今お話がありましたが、遅かったのではないかというふうなお話でございます。これは、五月の二十九日に厚生労働省からはNISC、いわゆるサイバーセキュリティセンターですね、この方に対して報告があって、秘書官を通じてサイバーセキュリティーの戦略本部長であります官房長官の方に報告をされたわけで、私への報告というのは翌日になりましたが、今回、この事案は極めて緊急性が高い重要な事案であるというふうなことで、まず本部長である官房長官の方に報告が行く事案であろうと思っております。それから、副本部長であります私の方に報告があったというふうなことであります。

 ただ、今回の事案が、新たな体制でこういう重要事案が発生をしたというのは初めての経験でありまして、本当にスムーズにうまくやれたのかどうか、これも今検証させていただいております。当然、見直すべき点があればしっかり見直していきたい、そして、サイバーセキュリティーに関しては万全を期すようにやっていきたいと考えております。

大西(健)委員 今の答弁だと、私は、遅かったかもしれないけれども、まあしようがないみたいな答弁に聞こえたんですけれども。

 内閣サイバーセキュリティセンター、NISCは、五月八日以来ずっとこの案件にかかわってきているんです。五月の二十五日には、官邸でサイバーセキュリティ戦略本部の第二回会合が行われている。でも、この場でも一切この話は出ていないんですね。

 IT担当大臣であり、また、直接の法案担当ではないという話ですけれども、私が先日、衆議院内閣委員会でマイナンバー、個人情報保護法案の質疑をさせていただいたときも山口大臣に御答弁いただきましたけれども、やはり私は、これは少なくとも二十九日に山口大臣に同時に伝わってよかったんじゃないかなというふうに思っております。

 こうした、そもそも塩崎大臣に二十八日に伝わったのも、あるいは総理に二十九日に伝わったのも、そして山口大臣はさらにおくれて三十日に伝わったのも、私は、やはり伝わるのが遅過ぎたんじゃないか、そして、それは内閣としての危機意識の希薄さをあらわしているんじゃないかと思いますが、改めて、総理、総理や大臣、そして山口大臣に伝わった、それが遅過ぎたんじゃないか、このことについてはどう思われますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 山口大臣との関係におきましては、先ほど山口大臣が答弁したとおりでございまして、本部長である官房長官に報告がなされ、そしてその後、副本部長であった山口大臣に報告がなされた。この二人への報告の時差によって特別、今回の対応に差が出たということについては報告は受けておりませんが、いずれにせよ、こうした新しい事態に対してどのような報告体制をしくべきかということについては、常に見詰め直しながらいかなければいけないわけでありまして、そうしたことも含めてしっかりと検証していきたいと思います。

大西(健)委員 最後に、時間がもうありませんので、日本年金機構の組織体質について触れたいというふうに思います。

 資料の最後にちょっと記事をつけておきましたけれども、日本年金機構は、実に定員の半数以上が有期雇用の准職員を初めとする、特定業務契約職員、アシスタント契約職員と呼ばれる非正規職員になっています。そして、非正規は年度単位の一年契約が原則で、更新回数は業務規則で四回を上限とする。そして、勤務の期間も最長五年。その結果、大量の雇いどめと大量の採用を繰り返している。例えば昨年度は、千八百人を雇いどめして、新たに千九百人を採用している。そして、内部の職員からは、旧社会保険庁から雇用継続された正社員、正規職員を上に置いて、非正規はその下に置かれる、こういうヒエラルキーがあるんだということが指摘をされています。

 そんな状態では、仕事の熟練度、あるいは組織への帰属意識や忠誠心、また仕事への意欲というのも高まるはずもないのではないかというふうに私は思いますが、総理、そんな組織に、私たちの大事なこの年金記録を取り扱わせていて大丈夫なのか。

 そしてまた、政府は、今、労働者派遣法の審議でも盛んに、正社員への道が開かれる、こういうことを強調していますけれども、では、日本年金機構で働いているこの半数以上の非正規の皆さん、こういう皆さんは正社員、正規職員への道が開かれるんでしょうか。あわせてお答えいただきたいと思います。

河村委員長 厚労大臣、時間が来ておりますので、簡略にお答えください。

塩崎国務大臣 機構では、平成二十年に閣議決定をいたしました基本計画に基づいて必要人員数が定められておりまして、その計画的な人事管理を行っているわけであります。業務の合理化、効率化に応じて長期的に職員数を減らしていくこととしておりまして、今の御指摘の有期の雇用職員については、計画に定められた人員のほかに、毎年の臨時的な業務の増加に対応するため、予算によって臨時的に雇用している職員がいるものと承知をしているわけであります。

 この機構の有期雇用職員の雇用契約については、機構と御本人との間で契約期間や契約更新等の諸条件を締結するなど、労働関係法令にのっとって対応してきたものだというふうに承知をしているわけでありまして、また、有期雇用職員の正規職員への積極的な登用とか、あるいは無期雇用への転換を行うなど、雇用の安定にも配慮した人事管理を行っているもの、こう承知しているわけであります。

 今後とも、業務を適正かつ効率的に行うという観点に立って、労働関係法令にのっとって人事管理がなされるよう対応していきたいと思っております。

河村委員長 もう時間が来ておりますから。

大西(健)委員 はい。時間ですので終わりますが、民間企業に正社員をふやせと言うなら、まず足元からやるべきじゃないですか。

 それから、何度も申し上げましたけれども、百二十五万件に被害がとどまらない、こういうことである以上、あした厚労委員会で派遣法の採決をする、こんなことでは、私はないということを重ねて申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

河村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

河村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、岡本充功君から関連質疑の申し出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡本充功君。

岡本(充)委員 午前に引き続きまして、年金記録漏えいについて質疑をさせていただきます。

 この間の経緯をフリップにまとめてまいりました。午前の玉木議員の質問で使われる予定でありましたけれども、私の方から、このフリップをもとに、皆さんのお手元には資料としてお届けをしています。

 五月八日以降、どういう経緯だったか。

 特に、五月八日、感染を疑う中、たった一台のPCのLANケーブルを抜いてこれで対応ができたと考えた、まず初期対応に問題があった、こういう話もあります。その次に重い話は、やはり、警察に捜査依頼をしたこの十九日、前日にウイルスメールを大量受信する中で、五月十九日に警察に相談をしているけれども、このときも幹部職員が知らなかった。そして、五月二十二日、さらにNISCから検知を知らされて、そして一方で、二十三日の土曜日には、後ほどお話をしますけれども、大量の情報が抜けていくわけであります。

 ここまでの間、これまでの委員会の説明ですと、厚生労働省の一係長がこの情報を抱えていた、そして、それをほかの誰にも相談しなかったという、ある意味、個人の問題とすりかえられるような話がされていること、私は大変残念でならないと思っています。これだけ大きな案件がなぜ政務を含む幹部に報告されなかったのか。

 五月二十三日以降、大量の情報が送信されていることが判明をします。二十五日になって、審議官、課長がようやっと事態を把握する。この同じ二十五日には、官邸で総理出席のもと、二〇二〇年東京五輪を成功させるためにも我が国のサイバーセキュリティーに万全を期す必要がある、こんな会議をしておきながら、この裏で粛々と情報が抜き取られていた。もう本当に、この状況が、ある意味……(発言する者あり)お笑いじゃないんですよ、この会議をやっている裏でこういう情報が抜かれていることを知らなかった。

 ようやっとこれが報告があるのが、警察から流出したと思われるデータを発見という、二十八日になって、その夕方になって厚労大臣に一報が入った。そして、総理官邸に入ったのは二十九日の夕方。

 この一連の流れ、これで正しいですね、厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 今御指摘のこのクロノロジーは、私どもが提出をいたしました日本年金機構不正アクセス事案の経緯にのっとっておつくりになられたものだというふうに思います。

岡本(充)委員 そこで、総理に御質問します。

 総理には、いつ、誰から、どういった報告が上がり、どのような指示をされましたか。

安倍内閣総理大臣 私に対しては、五月二十九日の夕方に、秘書官を通じて今回の情報流出問題の概要の報告がございました。私からは、早急に事案の徹底的な解明に当たること、そしてしっかりとした対策をとることを指示いたしました。

 六月の一日、厚生労働省において、流出した情報の具体的内容や件数等を確認し、厚生労働大臣に報告された後、秘書官を通じて報告がありました。その際には、国民にとって大切な年金であり、年金受給者のことを第一に考え、万全を期すようにという指示を出しました。

 その後は、秘書官を通じ、おわびの文書の送付、電話相談窓口の設置、コールセンターなど国民の皆様への対応、検証委員会の設置など、今般の事案への対応の進捗状況等について随時報告を受けています。

 現在、実態把握と二次被害防止に全力を挙げて取り組むとともに、厚生労働大臣のもとに設置された検証委員会において、発生原因の究明、そして再発防止策について徹底的な議論を始めたところであります。

 その結果も踏まえまして、サイバーセキュリティー対策なども含め、政府としてしっかりと対応していく考えでございます。

岡本(充)委員 この対応の中でまずかった点が私は幾つかあると思っています。先ほどの、警察に連絡をするときに幹部に報告が行かなかった話もそうです。もちろん第一報も必要だったでしょう。

 さらにまずかったのは、二十九日深夜になってやっとネットを切断した、こう国会で答弁をしておりましたけれども、これは後日になって、実は、右下にあるように、六月四日になって初めてメール用のネット回線を遮断した。ここからも情報が漏れる可能性があったということを委員会でもお認めになられています。

 こうしたさまざまな手順、手続に大きな問題があった、総理はそうお考えになられますか。

安倍内閣総理大臣 この問題については、そもそも、こうしたシステムを発注し、こうしたシステムを構築したときにさかのぼりまして、これはしっかりと現在の対応も含めて検証していく必要があるんだろう、こう考えているわけでございます。

 この問題、システムに起因する問題もあります。そしてまた、さらには今回の対応そのものの問題、人的な問題等も含めまして検証していく必要があるんだろう、こう考えております。

 大切なことは、まずはしっかりと国民の皆様の大切な年金に影響が出ないようにしていくということ、そして二次被害を防いでいくということ、そして再発防止に全力を傾けていくということではないか、このように思います。

岡本(充)委員 検証委員会の話もされました。第三者検証委員会、厚労大臣のもとに置いている。

 厚労大臣、これは第一回が開催されたけれども、第二回、これまでのところの答弁では開催予定をまだお話しされておりませんが、一体いつまでにこれは結論を出すのか。来年でいいんですか。それはだめでしょう。やはり一定程度のめど、もちろん期限ありきじゃないけれども、これまでには一定程度の結論を出して、国民の皆さんに、再発防止を含め、責任のありかもはっきりさせて報告する。この場で明言してください。

塩崎国務大臣 このことは午前の答弁の中で申し上げましたけれども、第一回、先週の月曜日に開催をされた後、来週、第二回目の正式な会合は二十五日に開催をされます。それ以外にも、インフォーマルに打ち合わせの会議は持たれているわけでございます。

 したがって、一回目をやってそのまま何もしないということでは全くないということをまず申し上げておきたいと思いますし、資料要求などもたくさん出てきておりまして、今、原局や機構の方で対応をしているところでございます。

 いつまでにというのは、大変気になるところで、よく聞かれるわけでありますが、私の方も、今回のような年金の個人情報が出るというのはやはり異例のことでありますから、これに対して、国民にきちっとした説明責任を果たすためにはやはりスピード感が大事だということを甲斐中委員長にも明確にお伝えをいたしました。

 しかしながら、これだけの事案で、初めての標的型のメール攻撃ということで、実害が出てきているということでありますので、やはり相当な作業が必要だろうとは思います。

 思いますので、徹底的にやってもらいたいということを同時に言っているわけでありますので、そこのところは、私どもとしては、甲斐中委員長ともよく御相談申し上げながら、できる限り早期に出していただくようにお願いをしているということでございます。

岡本(充)委員 大体のめどでもいいので、やはりこういうスピード感でということを、もちろん、それがずれたからといって責めるという話ではないんです。やはり国民の皆さんも知りたい。後ほどお話をしますけれども、一体自分の記録が漏れたのか、自分は成り済まされていないのか、やはりこれは関心事なんですよ。それを明らかにしなければ、これは再発策もできない。

 責任問題の話にも行きたいと思います。

 総理、そしてきょうは厚労大臣、それぞれの責任はどのようにお感じになられていますか。

塩崎国務大臣 まず第一に、今回、こうした不正アクセスで初めての標的型メール攻撃といえども、年金機構が個人年金情報を守れなかったということは大変遺憾であり、また、それを監督している私ども厚生労働省そして厚生労働大臣、これは、日本年金機構法第一条に、機構は、厚生労働大臣の監督のもとで、厚生労働省と緊密な連携のもとで事業を行うことになっていますから、私どもの責任も大きいと思っております。

 朝からいろいろ御指摘もいただいておりますけれども、手順としては、やるべきことはやっているというのがほとんどだと私は思っておりますが、残念ながら、その中の大事な、上司に上げる、報告をする、そういうようなところが抜けているということで、手だてとしては手順書どおりをとっていたとしても、それをきちっと上に上げて判断を求めることをしなかったということにおいて、私どもの監督としても体制を改めないといけないというふうに責任を感じているところでございます。

安倍内閣総理大臣 監督官庁としての厚生労働大臣は、当然、今答弁させていただいたとおりでございますが、内閣において最終的に行政全般の責任をとるのは私でありますから、責任を感じております。

 その上において、こうした事態になったことについて、国民に心配をおかけしている、大変申しわけない思いでございます。だからこそ、この事態において、国民の皆様の大切な年金を守るために全力を尽くしていかなければいけない。

 そして、大切なことは、まずは全力で対処していくということと同時に、原因の究明をしていくことも大切であろうというふうに思います。

 その原因の究明については、やはり冷静に原因を究明していく。思惑を持って、誰を攻撃しようということではなくて、なぜこういうことが起きたかということにおいて、何が起きたかということについて説明をしていくことが大切、究明をしていくことが大切であろう、こう思うわけであります。その際、システムにも当然問題があったということについては見詰め直していく必要があるんだろうと思います。

 そして同時に、さまざまなレベルにおける対応というものも、これは見直しをしていく、いわばもう一度しっかりと見ていくということも大切であろうと。

 そういうことをしっかりと行わなければ、これは再発の防止ができないわけでありますから、現在、厚労大臣が第三者委員会というものを立ち上げて、そこで今議論がなされているわけでありますから、先ほども申し上げましたような、そういう意味において、絶対に再発をさせないという中においての検証をしっかりとやっていくことが大切ではないか、このように思っております。

岡本(充)委員 今お話しになりましたように、再発防止の観点で大変重要なのは、厚労大臣は手順に問題がなかったと言われますが、やはり、インターネットの世界から抜くというこの対応が遅かったというのはこれは間違いないんです。それから、上司への報告が遅かったというのは間違いない。ここの二点は間違いないわけです。

 その中でもやはり肝になっている、一人で抱えていたと今役所から説明されているその職員からは、厚労大臣、当然事情を聞かれるんですね、これから。

塩崎国務大臣 これは、これまでも何度かお尋ねがございましたけれども、私どもはこれを組織で対応してきていることでございますので、この係長の上司たる審議官、局長から、私はつぶさに話を聞いているところでございますので、そのようなことで、しっかりとした対応をしてまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 結局、情報が上に上がってこなかったのがこの問題だと言っておきながら、その本人からは聞かずに、組織だから、その上司から聞くんだ、私は直接係長から話は聞かない、これでは、組織の問題として問題があったのであれば、その本人から、どうして上げなかったのか、どういう事情があったのか、そういうところをやはり聞くべきじゃないかと思います。そこを聞かずして結果を出そうとしたら、やはり隠蔽だと言われても仕方がないと思います。

 その上で、今度は次の話に行きたいと思います。

 これも、先ほど大西委員が使ったボードでありますけれども、こちらをもとにお話をしたいと思います。

 先ほど質問がありました。私もかねがね思っているんですけれども、本当に百二十五万件だけなのか。

 これは、海運会社のサーバーから見つかったのは百二十五万件。しかし、大量のデータをさまざまなサーバーと通信をしていた。報道によると、海外を含む二十台とも言われています。これだけのサーバーにどういう情報が行っていたかわからないわけですね。したがって、最大限どれだけ情報が抜かれた可能性があるのかということをやはりお示しをする必要があるんじゃないか。百二十五万件の方だけに、あなたが情報を抜かれた方です、それ以外の方はどうぞ御安心くださいという話ではなくて、これは、場合によっては、今回の百二十五万件以外の方も情報がとられている可能性がある、この情報系のサーバーと言われているところ、ここからとられている可能性があるわけであります。

 今回、この百二十五万件より何件あったのか、いまだ調査中とされていますが、水島理事長、これは調査が終われば、当然、この情報系のサーバーに何件あったか、個人情報の件数は御報告をしていただけるんでしょうか。

水島参考人 先ほども申し上げましたが、現在、共有フォルダに保存されております個人情報は調査中でございますが、全国に約四百台余りございますサーバーに多種多様なファイルが保存されております。先ほども申し上げましたが、これを人の目で見ていくということになりますと、極めて時間がかかりますので、かつ、その全容を正確に全体を把握する必要があるというふうに考えておりまして、システムも含めて現在調査を行っております。

 その結果に関しましては、その結果の内容を見てから適切に公表も考えていきたいと思っております。

岡本(充)委員 重要な話をされた。適切に公表も考えていきたい。つまり、公表するかどうかをはっきりさせない、そういうことですか。端的にそこだけ答えてください。公表させない可能性がある。

水島参考人 公表に関しましては、適切に検討してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 繰り返しになりますけれども、誰が自分の情報を抜かれたかわからないと心配しているんですよ。その中で、公表しないことがあり得るなんという話があるんですか。

 これはやはり大問題ですよ。こんな考え方では原因究明にならない。厚労大臣。

塩崎国務大臣 これは、当然公表しないといけないと思っております。

岡本(充)委員 これは本当に、機構の理事長と大臣の意思疎通のなさ、これはきのう通告していますからね。通告しておきながら、二人の答弁がそごを来すというのは、私はあり得ないと思いますよ。連絡体制が緊密になっていなかったというのが、まさに国民の皆さんのもとに、白日のもとに明らかになったと思います。

 やはりきちっと、これは対応策、打ち合わせをやってもらわなきゃ困るし、もっと言えば、国民の皆さんからすれば、誰のものが抜かれたかわからないなんということを公表しないことはあり得ないと思います。

 もう一つ、きょうのニュースでも、全く同じような構図で、サーバーから抜かれた個人情報があるかもしれないというニュースが流れていました。

 これは、全国健康保険協会、いわゆる協会けんぽの被保険者番号、名前、住所、そして場合によっては、生年月日や会社名が抜かれた可能性があるということが報道されています。これも、何件抜かれたかということについてはまだ調査中ということでありますが、当然これも、何件抜かれたか、原因究明を含めて徹底的にやる、こういうことですか。

塩崎国務大臣 これは昨日、協会けんぽの方から発表した事案でございまして、今回、調査を協会けんぽがした結果を私どもももちろん聞いているわけでありますが、四台の職員の端末が不審な通信を行っていたということが六月十六日に判明をしたわけでございます。

 協会けんぽがみずから調査をしたところによりますと、既に被保険者資格を喪失している方が受診をした場合に生じる医療費の返還金を請求するなどの非定型的な業務を行うために被保険者の方のお名前、住所などの個人情報が保存をされていたということが判明をしておるわけでございまして、現在調査中でございまして、これ以上の詳細については、セキュリティー上の観点からお答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、この端末に保有されていた個人情報の件数についても、今現在調査中であると聞いておりますので、判明次第明らかにさせたいというふうに思います。

岡本(充)委員 当然、この百二十五万件の方、年金機構の問題と同様に、年金機構の方のサーバーに残っていた、該当する方におわびの手紙を出す、そしてまた、今の協会けんぽの方についても、判明した方についてはおわびの手紙を出す。少なくとも、そこまではやられるんだろうと思いますが、あわせて、こうした皆様方に、情報が漏えいしたことについての補償をするお考えはおありですか。

塩崎国務大臣 今回、不審な通信を行っていた端末というのは、先ほど申し上げたように、四台あったということでありまして、パスワードやそれから暗号化というのが未設定であったファイルが含まれているというふうに聞いておりまして、これは協会けんぽの内規に照らしてみても不適切な取り扱いであって、私どもとしては大変遺憾であるわけであります。

 今回、協会けんぽの加入者の方に御不安を与えたことについて、これは本当に反省をしてもらわなきゃいかぬと思っていますが、現時点で個人情報が漏れていたかを確認はできないわけでございますので、仮定に基づく話となるわけでありますけれども、仮に、個人情報の流出が確認された場合には、対象の方におわびをするとともに、被保険者番号を変更するなど、悪用されないための措置を講じて、加入者の方に御迷惑がかからないように最善を尽くすことを協会けんぽに求めていきたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 これは全く同じ話なんですね。大きな基幹サーバーにさまざまな情報があった。今回のこの話も同じです。

 業務系のサーバーの中にはほとんどの国民の皆さん、二十以上の方で、除かれるのは二十未満から。地方、国家公務員、そのいずれかに就職して、現在も現職にある方、この方を除く全ての国民の皆さん方の個人情報がこのサーバーに入っています。このサーバーの中からそれぞれの皆さん方の情報をDVD―ROMなどで抜いて、こちらの情報系に持ってきて、そして、本来パスワードを設定してファイルをつくらなきゃいけないものを、パスワードをつくらなかった。そして、なおかつ、ここで処理が終わった後に消さなきゃいけなかったんだけれども、消さなかった。全く同じことが協会けんぽでも行われている。

 そういう意味では、これはある意味、厚生労働省としてこれまで取り組んできた体質とも言える問題じゃないか、そう私は断ぜざるを得ないと思っているわけであります。

 そういう意味で、こうした国民の皆様方、自分の情報が漏れたんじゃないかと不安を持っている皆さん方に、あなたの情報がもしかしたら漏れた可能性がある、これはお伝えをしておく必要があるんじゃないか。私は、サーバーの中から見つかったら、見つかった人にはおわびをしますではなくて、あなたの情報もパスワードをかけずにこの侵入されたサーバーの中にありました、この方にもおわびをするのかどうか。ここを明らかにしていただきたいと思います。

塩崎国務大臣 これは、先ほどの百二十五万件と同様に、現在、個人情報として流出したという件数がわかっているわけでありますので、今、その方々に対して、できる限りということで対応をさせていただいているわけでございまして、今回の協会けんぽの問題についても、今、調査中で、個人情報が流出したかどうかもまだ明らかではないわけでありますので、まずは、実態を究明するということが大事であり、これは年金機構の問題でも同様だと思います。

 ただ、先ほどお話がございましたように、百二十五万件以外にサーバーにあった、これについては、今鋭意調べて、わかり次第それは公表をしようということにしておりますので、先ほど申し上げたとおり、このような形でまずは調査をするということで、何がどういう形で流出したのか、実は協会けんぽの方はまだまだこれからでございますので、まずは徹底的な調査をするということをやらせていただきたいと思っております。

岡本(充)委員 私の質問は、その百二十五万件の外の方、件数が出てきたときに、その方、それはあなたですよ、それはお伝えをするんですか、その方におわびをするんですかと聞いているんです。

 その件数だけ言ったら、ますます自分のが漏れたと思うだけじゃないですか。漏れた可能性がある方のところに、あなたがその可能性がありました、ただ、漏れたという証拠はないけれども、これをお送りするのかどうか、お伝えをするのかどうか、はっきり御答弁いただきたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、百二十五万件の中も、今順次おわびのお手紙をお送りしているわけでありまして、これについてもまだはっきりしないということで、そこにまず私どもとしては最大のエネルギーを注ぐ、もちろん二次被害が起きないようにというのは当然のことでありますけれども、それと同じように、協会けんぽに関しても、まずは、今、どこまでの情報が出たのか出ていないのか、これを解明するということが大事なことだというふうに思って、そこにエネルギーを、協会けんぽにおいても注がせているところでございます。

岡本(充)委員 話がかみ合っていない。年金機構の問題ですよ、今聞いているのは。年金機構の百二十五万件の外に出てきたとき、この方々にお知らせをするのか。もうこれだけ。もう時間がないから。私は総理に聞きたいことがいっぱいある。厚労大臣、端的にそこだけ答えてください。

塩崎国務大臣 正直言って私も、この百二十五万件以外に何がサーバーに入っていたのかということを随分聞きました。それが最初なかなか要を得なかったものですから、そこで、先ほど申し上げた、審議官をヘッドとするチームを送り込んで、そこで今作業に当たらせております。

 それによって、どういうものがあるのかということを今やって、さっきお話があったように、ファイルが物すごくたくさんあって、全国に四百ぐらいサーバーがあるわけでありますけれども、その中にそれぞれファイルがあるんですね。その中に何が入っているかを一個一個あけて見ている。それを全部、どういう人たちのものなのかということをわかるために、実は今システム開発をしているということを、さっき御説明申し上げたと思います。

 そういうことでありますから、まずは、今、明らかに流出をした百二十五万件について、どういう方が中におられるのかということを特定していくということが大事であって、そちらにまず専念をしているということを申し上げているわけであります。

岡本(充)委員 これは、総理、今聞いていただいておわかりだと思いますけれども、例えば、一千万件がこのサーバーの中にありました、そのサーバーには侵入した形跡があります、そういう状況の中、漏れた可能性のある年金記録が一千万件あるかもしれない、もしこのような状況になったとしたときに、わかりませんよ、少ししかないかもしれない。ただ、そのときに、その方にお知らせをしなければ、これは国民に疑心暗鬼を招くだけですよ。

 総理のリーダーシップで、この皆さん方にもきちっとお伝えをする、そう御答弁いただけませんか。

安倍内閣総理大臣 ですから、ただいま厚生労働大臣が答弁をいたしましたように、まずは百二十五万件の中において、しっかりと皆様にお知らせをしていくということに全力を尽くしているところでございます。現在においては、それ以外については確認されていないわけでありますから、当然まずはそちらに集中をしていく、人的支援も集中していくのは当然のことであろうと思います。

 その上において、それ以外にもそういう流出があれば当然公表をしなければならない、そして同じような対応をしなければならない、こう考えているところでございます。

岡本(充)委員 聞いていて、国民の皆さんもうおわかりだと思いますけれども、自分の情報が抜かれたかもしれない、しかし、さりとて、それがあなたかどうかお伝えしない、こういう話ですから、本当にひどい話だと思いますね。

 この年金の問題は一体どこから来ているのか。

 皆さんのお手元にはさまざまな委員会、これまで年金に関してつくってきました。とりわけその中でも、私は、年金記録問題があって、消えた年金の問題があって、総務省に年金業務監視委員会というものをつくりました、二〇一〇年の二月。そして、これがさまざまな年金業務の問題点を指摘してきたことは事実であります。

 業務を監視する、そういう組織が今総務省のもとからなくなっていること、これは事実ですね。

高市国務大臣 年金業務の監視に特化した組織は、現在総務省にはございません。

岡本(充)委員 年金の業務で問題があったときに監視をする組織をなくしたんですよ。これをなくしたのは総理の判断ですか。

高市国務大臣 年金業務監視委員会は、平成二十二年四月に、民主党政権時代、当時の原口総務大臣のもとで設置されました。このとき、総務省組織令を改正しまして、平成二十六年三月三十一日までという時限を付して設置されております。

 この設置期限を民主党政権のもとで設定されたその事情については、年金記録問題について、平成二十二年度及び二十三年度の二年間に集中的に予算、人員を投入して取り組み、二十五年度までの間に多角的に取り組むという当時の政府方針があったものと承知しておりますので、この年金業務監視委員会が廃止されたのは、総理の御判断ということではなく、民主党政権のもとで定められた二十六年三月末の設置期限の到来をもって活動を終了し、現在は、厚生労働省の社会保障審議会に外部有識者による年金業務管理のための部会設置、これがあるということでございます。

岡本(充)委員 これは国民の皆さんにもぜひ知っていただきたい。それは、確かに永続的な組織としなかった、しかし、組織令ですから、簡単にある意味変えることができるんですね。法律ではありません。したがって、年金業務に問題がある、まだ廃止をするのが早いと判断をすれば、これは政省令の改正ですぐに継続することができた。

 現に、そのときの委員長は、まだ廃止をするのは早いんだ、当然延長されるべきである、ほとんど相談や意見聴取もなく、閣議決定をもって廃止となる、こう言っている。この閣議決定をしているのは、まさに主宰をしているのは、安倍総理じゃないですか。そういう意味では、安倍総理の判断のもと、まだまださまざまな問題があると言っている委員長がいるもとで、この委員会を廃止した、これは事実であり、こうした業務の問題、それは確かに一日では解決できないような課題があるでしょう、こういう課題をやはり一つ一つ解決をしていかなきゃいけなかった。したがって、最後に書いている、消えたか、もしくは今の内閣によって消された年金業務監視体制だと私は断ぜざるを得ないと思っています。

 そういう意味で、その下段にもあります、年金記録問題に関する特別委員会、これは自民党が政権に戻ってからつくった委員会です。ここでも、ここに書いてある、オペレーションリスクと人事リスクがある、また、機構内部はもとより、厚生労働省も含め問題意識を共有しておくことが重要だ、こういう指摘を昨年受けながら、こういったいわゆる連絡の不備だと言われていますけれども、これはもう指摘をされて一年以上たっている、この状況が放置をされてきたわけであります。

 したがって、先ほどのシステムの問題といいますけれども、こうした年金に対する危機意識は、自民党政権になってから薄くなったんじゃないか、結果として、こういうかかる事態を発生させたんじゃないか。総理、どう思われますか。

安倍内閣総理大臣 それは全く違いますね。

 これはまさに、いわばサイバー攻撃があったのは我が政権のときにあって、こういう事態になったことは申しわけないと思っています。では、これは四年前、五年前にあればそうではなかったのかとは言い切れないと思います。同じシステムの中でやっていて、そして同じ組織でやっているわけでございます。その中において、今回は、いわば上司にしっかりと報告がなされなかったということは、今おっしゃっているこの委員会とはかかわりのない、組織の問題としてはあるわけでございます。そういうことを冷静に分析していくことが大切なんだろう、このように思うわけでありまして、我々も謙虚にもちろん受けとめなければいけないし、こうしたことが二度と起こらないようにしなければならないのは当然のことでございます。

 先ほど高市大臣が答弁をさせていただいたように、平成二十五年に年金記録回復委員会を廃止し、これは法定でそうなっておりましたから、法的根拠のある社会保障審議会に特別委員会、これは年金記録の問題に関する特別委員会を設置したこと、そして、平成二十六年、この特別委員会が報告書を取りまとめた後、年金記録問題だけでなく、年金事業全体とあわせて意見をいただくことができるように年金事業管理部を設置したことについては、厚生労働省において事前に官房長官に相談をし、そして私に報告をした上で判断が行われたものでございます。これは、そういう経緯でございます。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、皆様の大切な年金に影響が出ないように、そして二次被害を防止するために全力を尽くしていきたい、そして、再発防止に向けて、しっかりと検証をする中において、そういう体制をつくり上げていきたい、こう考えております。

岡本(充)委員 業務監視をされている中での年金の行政をつかさどるのと、その業務監視がもはやなくなってしまい、ある意味緩んでいた、こうした業務運営があったのと、私はここにやはり監視があるかないか、非常に大きいと思いますよ。

 その中で、私は、今回の事案、やはり未然に防げたところがいっぱいあったと思う。サイバー攻撃をした人が悪い、それはそうですよ。しかし、そこに原因を押しつけてしまっては、これは再発防止にならないわけですから。したがって、私は、この体制の問題、業務監視を、外部から見る組織が必要だと言っているんですよ。外部からしっかりその業務を見る、そういう組織をつくらなければ、これはまた同じような話が起こる、私はそう指摘をさせておいていただきたいと思います。

 きょうは、もう一つ、最後に重要なテーマがあります。同じように、安倍政権の危機管理、大変重要だと思っていまして、心配をしているのが、MERSコロナウイルス対策であります。

 これも同じように、ある意味、事態が起こってからというのでは私は遅いと思う。それは確かに、今、日本で流行しているわけではないでしょうが、さりとて、そもそも今どういう状況になっているのか政府として把握をしているのか。

 まず、韓国において、今日現在、監視対象となっている邦人は何人いらっしゃいますか。

岸田国務大臣 韓国当局とは在韓国大使館を通じまして意思疎通を図り、情報収集をしておりますが、現時点において、韓国国内で隔離措置を受けて、そして出国禁止になっている在留邦人はいないと承知をしております。

岡本(充)委員 この間、いないと言っておきながら、報道でもありましたように、実は監視対象の邦人が帰国していた、こういう事態があったわけであります。

 現時点において、韓国の保健当局からは、日本に向かったということが明らかであれば、その方の情報を伝えるという話だと私は聞いていますが、日本人の場合には日本に向かった可能性が高いと判断されましょうけれども、例えば韓国人の方が出国してしまった場合、感染者と接触をし、そして自宅隔離、出国禁止といったこうした制限がとられるまでの間、この間にタイムラグがあって、結果として出国をしてしまった韓国人の方が日本に向かってくる、もしくは、ほかの、それ以外の国籍の方が日本に来られる、こういう可能性があると思います。

 これは二日ほど前から問い合わせをしておりますが、こうした日本人以外の方で日本国内に韓国で監視対象となる方で滞在をしている方は現時点で何人いらっしゃいますか。

岸田国務大臣 まず、両国の保健当局間で緊密に連携が行われると承知をしておりますが、外交ルートを通じまして、御指摘のような点、要は、国籍を問わず隔離措置対象者となっている方の出国等につきましての情報については、在韓国日本大使館を通じて、外交部に対しても情報提供の申し入れは行いました。しかし、先方からは、個人情報であることも含め、事柄の性質上、外交ルートでの対応は困難である、こういった反応を得ております。

 要は、日本国籍以外の方の隔離措置等の情報については、外交ルートを通じて情報提供をすることは困難である、このように外交ルートからは反応を得ております。

岡本(充)委員 これは大きな問題をはらんでいて、結局、感染をしている人で日本国籍の人だけは情報が来るけれども、それ以外の国籍の人は日本政府として情報把握することができない。これだけ短時間、ここにも書いているように、非常に近いところですから、発熱をする前に日本に入ってきてしまう可能性がある。

 水際対策としては極めて困難である、これは厚生労働大臣、認められますね。

塩崎国務大臣 今、岸田外務大臣からもお話がありましたように、韓国の保健当局とは緊密な連絡をとりながら、このMERSの問題については扱っておりまして、韓国において監視対象となっている人が日本に入国した事案として韓国政府から通告があったのは、これまでのところ三事案五名でございます。それで、六名を健康監視下に置いておったわけでありまして、現時点では二名が健康監視下に置かれておりまして、いずれの事例も発症には至っていないというところでございます。

岡本(充)委員 これは日本国籍の方だけでしょう。それはちゃんと大臣、正確に言ってください。

塩崎国務大臣 先ほどの三事案五名という中には、日本人以外も入っております。

岡本(充)委員 そうすると、日本人以外の情報も厚生労働省として把握をしっかりできる、こう断言できますか。私は無理だと思いますよ。ここで認めた方がいい。検疫でつかまえるのは困難だ、これは認めるべきですよ。

塩崎国務大臣 これはもちろん通報がなければわからないわけでありますが、通報があった分について、今申し上げたとおりで、それはちゃんと保健所による監視をしているところでございまして、それ以外については通報を待たないといけないということでございます。

岡本(充)委員 こんな受け身の態勢で、これだけ流行しているウイルス感染症に対して対策ができるのかということを本当に心配するわけですが、やはり、検疫で見つけることが困難であれば、当然その次の対策として、国内で、そういう危機感を持って、医療機関に指導、そして医療機関に対して説明を、厚生労働省は今していますか。

塩崎国務大臣 まず第一に、先生、もともとこのMERSは、先生はお医者さんだからよくわかってのとおり、中東から来ることが多かったわけですね。ですから、もともと我々は中東と、今回韓国がこういうことになったので、その両方を見るということに今しているわけでございまして、そういう意味で、先生もお医者さんとしてよくわかるように、水際で全部を抑え切るということができるかどうかということについてはよく御存じのとおりでありまして、それをすり抜けたときにどうするんだということで、今お話がございました。

 これに関しては、韓国で広がってはおりますけれども、隣国の方で本当に関心を我々はもうずっと前から持って、万全の対策を講じる必要があるということで、当然のことながら、韓国それから中東からの入国者に対しては、水際対策として、サーモグラフィーあるいは体温測定、そして機内アナウンス、リーフレット等々やって、接触歴がある人に対しての健康監視というのを実施してきているわけであります。

 一方で、MERSの感染者の入国を完全に防ぐことはできないわけでありまして、万一国内で患者が発生した場合を想定して、患者発生時の対応手順を明確にして、これは、六月一日と四日に分けて、地方自治体に対して手順を周知したわけでございます。

 それから、個人個人の医師に対しては日本医師会の方から通知を出しておりまして、既にそのような対応をとっているところでございまして、国内での対策というのは、仮に通知がなかったとしても、何があってもいいように万全の体制を今組んでいるところでございます。

岡本(充)委員 万全じゃないんです。やはり医療機関において、呼吸器感染症、発熱があってせきがある人が、MERSの可能性があるということをきちっと医療機関に伝えなきゃいけない。現場の医者にそれが伝わっていない。

 これは、MERSの患者も、見つかったらそのときに対応します、年金記録も、出てきたら、見つかったら対応します、先ほどから議論になっている安全保障もそうですけれども、ある意味、相手によってその対応を変えるから、まさに出たとこ勝負ですよ。

 出たとこ勝負じゃ困る、出たとこ勝負内閣では困るということを最後に述べて、質問を終わります。

河村委員長 この際、小川淳也君から関連質疑の申し出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也です。よろしくお願いいたします。

 まず、年金記録の漏えいについてでありますが、総理、私、この一報に触れたとき、またかと思いました。非常に残念であると同時に、私は今、野党ですけれども、国民の皆様に対して本当に申しわけない、生活の根幹にかかわる、老後の安心、また加入者の方々にとっても大変大きな心の支えである年金制度が、たび重なるこういう不祥事で傷んでいくということは本当に申しわけないことだ、その思いを胸にしながらお尋ねをしていきたいと思います。

 既に、年金機構それから厚生労働省内で極めてずさんな管理が繰り返されてきたことは、本日もそうでありますが、各委員会等の審議を通じても明らかになってきたところであります。

 先ほどの岡本委員の質問に関連して、まず総理自身の危機管理についてお聞きしたいと思いますが、秘書官から一報を受けられた後、幹部をしっかり呼んで直接お話を聞くというようなことの必要性とか、あるいはそうした迅速な対応を総理はとられるべきではなかったかと私は思いますが、その点いかがですか。

安倍内閣総理大臣 当然、この一報を受けた後、秘書官を通じて指示を出しております。また、官房長官ともしっかりと対策について議論をしながら、また厚生労働大臣にも指示をしているところでございます。

小川委員 今回は年金情報の漏えい、年金記録の漏えいということでありますが、さかのぼること八年前、いわゆる宙に浮いた、消えた年金問題、これは第一次安倍政権の存亡を揺るがしたわけでございまして、当時の記憶なり、また総理なりのいろいろな教訓なり反省なりということが少し頭をよぎられた可能性は、私は今回あったのではないかと想像いたしております。

 もう既に大分議論が出ておりますので、先ほど、同じく岡本委員の指摘に対して、責任についてそれぞれ言及をされました、塩崎大臣含めて。

 年金機構の理事長、そして塩崎厚生労働大臣、そして内閣総理大臣、この責任に伴う処分のあり方について、みずからその処分の具体的可能性について、ここで言及してください。

水島参考人 もちろん、今回の本事案に関しまして、私自身、重い責任を感じております。

 これから検証委員会で、この間の経緯について厳しい検証が行われると思います。それを踏まえまして検討をしてまいりたいというふうに思っております。

塩崎国務大臣 当然、まずやるべき二次被害の防止、そしてまた原因究明、そして二度とこういうことが起きないようにということをやることが私のまずは最初の責任だというふうに思っています。

 先ほど来申し上げているように、今回のは今までとはかなりレベルの違うサイバー攻撃であったということがだんだんわかってきているわけでございまして、それも、ひとり年金機構だけではなくて、その他のところにも先ほど出てまいりましたようなケースが、そうかどうかは調べてみないとわかりませんが、そういう可能性もあり得るというふうに思っていかなきゃいけないぐらいさまざま起きて、もちろん海外では起きているわけでありますから、そういうことを踏まえると、本当にセキュリティー体制そのもののあり方も考えなきゃいけないと思っております。

 一方で、今回、年金機構が個人情報の流出を起こした、サイバーテロに言ってみれば負けたということに関して、監督責任として、私は、厚生労働大臣としても責任があることはよくわかっております。

 もちろん、何が本当に問題だったのかということは、第三者委員会で徹底的に、厚労省の役人は事務局には入れずに、ロジ以外は入れずに、徹底的な検証を第三者の専門の方々にお願いしているわけでありますが、その中でも恐らくどこに問題があったかが出てくると思います。それに応じて、やはりけじめはつけていかなきゃいけないというふうに思っております。

安倍内閣総理大臣 私は行政府の長でありますから、当然、行政上のさまざまな課題、問題については、最終的に責任を負うのは私であります。

 今までも、各部門、行政府においていろいろな出来事、事件もございました。もちろん、私が最終的に責任を負うわけでありますが、私の責務とは、そうした出来事を二度と起こさないようにしていくことでありますし、徹底的な原因究明をしていく、体制をしっかりと整えていくということであります。

小川委員 それはそのとおりですが、やはりけじめのつけ方の一つの表現の仕方は処分しかありません。

 中でも、理事長におかれましては、大変重い処分の可能性を含めて、みずからに課しておられるという雰囲気を感じ取りました。もちろん、当面責任を果たしていただくということは別のことだと思いますが、今の大変重々しい表情なり御答弁ぶりについては、きちんと受けとめたいというふうに思います。

 その上でなんですが、総理、やはりいま一度、宙に浮いた年金問題を少し振り返っていただきたいと思うんですが、先ほど来、午前中の質疑からありましたように、総理は、最初、この問題はあおるなというお立場でいらっしゃいました。しかし、事の深刻さが次第に明らかとなるにつれて、ちょうど今からもう八年前になります、平成十九年の六月、国会で総理はこのようにおっしゃっておられます。

 この年金記録の問題については、多くの国民の皆様に不安を与えましたこと、行政の長として大変申しわけなく思っているところでございます、今と似たような表現ぶりです。私の責任は極めて重いと思っております、最後の一人に至るまで徹底的にチェックをし、そして全てお支払いをするということはお約束をしたいと思います、このように明言されております。そして、記録の突き合わせのチェックをこの一年以内に行います、八年前であります。そして、間違いなく年金に加入してよかった、そう思っていただけるような対応をしてまいることをお約束を申し上げる次第でございます。

 これが一連、一部抜粋ではございますが、総理が国会の場で御発言になった概要であります。

 私、今回ちょっと共通していると思うのは、当初、事態をそれほど重く見ないという油断が見られるのではないかということ、そして、途中、安受け合いをして、できるかできないかわからないことを勇ましく国民に対して約束を言葉の上でされるということ、そして、最後に、きちんとお尻が拭けたかどうかわからないままに事がうやむやになり、その責任の所在、処分のあり方を含めて問題がたなざらしになるということ。今回も、場合によってはより重大な事態が背後に控えている可能性はないとは言えません。

 その前提で確認したいと思いますが、年金記録問題、当時、五千万件が宙に浮いたと言われました。八年かかって解決した記録、件数は何件ですか。

 そして、こういうさなかにあって、先ほど岡本委員も指摘されましたが、今月末で総務省に設置した第三者委員会を廃止するという判断は正しい判断ですか。

 そして、昨年三月、郷原委員長が指導されました総務省の年金業務監視委員会、まさに、運用上のさまざまな不条理、不合理を正すに当たって極めて有効な役割を果たしてきた。そして、今回の情報の漏えい問題。

 郷原委員長はこうおっしゃっているんですよ。この調査委員会は、厚生労働省から情報が上がってくることはないと言うんですよね。むしろ、社会保険労務士や、あるいは機構内部の職員の告発や、正規のルートでは上がってこない情報をしっかりとつかまえて外部からチェック機能を果たせる、これが非常に有効な機能を果たしてきた、だからこそ存続させなければならない、これが郷原委員長の主張でありました。

 年金記録は、八年たって何件解決したか。そして、この時期に、今月末で第三者委員会を廃止することは本当に正しい判断か。さらに、業務監視委員会を廃止したことは、今回の一連の不祥事に少なからず影響を与えているのではないか。この点について御答弁いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 年金記録問題については、これまで、全ての加入者等にねんきん特別便を送付いたしまして、紙台帳とコンピューター記録の突き合わせを行うなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。システムによってできる突き合わせ作業は、平成二十五年度末までに終了しております。さまざまな取り組みを行ってまいりました。

 その結果、五千万件の未統合記録のうち、約三千万件が回復をしておりますが、なお約二千万件が残っているものと承知をしております。さらに、一人でも多くの方の記録の回復につなげるため、記録統合の可能性が高いと考えられる方に対し、文書や電話、訪問により、個別に直接接触する方法などに取り組んでいます。

 引き続き、国民の皆様の御理解と御協力を得られるように、政府として年金記録問題にしっかりと取り組んでいく考えでございます。

塩崎国務大臣 今、小川先生の方から、年金記録の訂正手続の問題について、第三者委員会がなくなるということをおっしゃりました。年金記録確認第三者委員会の廃止、この問題が御指摘がございました。

 厚労省による年金記録の訂正手続の実施に当たっては、今まであった総務省年金記録確認第三者委員会による手続と比較して国民に不利益が及ぶことがないようにするという方針のもとで、これは参議院の厚生労働委員会の附帯決議にその旨が記されておりまして、それを引き継いで厚生労働省の中に、社会保障審議会の年金記録訂正分科会の方で引き取るということになっているわけでございます。

 先ほどの年金業務監視委員会の廃止については、先ほど総務大臣からもお話があったように、社会保障審議会の年金事業管理部会が、この監視委員会と、それから年金記録問題に関する特別委員会、これも去年の一月に終わったわけでありますけれども、その機能も引き継ぐ形でやるということで、先生御案内のように、年金機構は厚生労働大臣の監督のもとで事業が行われるということになっているわけでありますので、監督者としてこのような八条委員会でチェックを入れていくというのは当然のことであって、その際のニュースソースがどこから出てくるかというのは、これは運営の問題であって、今お話があったように、社労士さんとか、あるいは内部告発の問題とか、そういうお話がありました、それも一つの情報源だと思います。

 しかし、今回のこの委員も、委員長には増田さんになっていただいていますし、中には長年、社保庁時代から年金の事業の問題について厳しく問題点を指摘されている方々にも入っていただいておりますので、これはむしろ、厚生労働大臣としてどういう責任を果たしてチェックをしていくのかということであって、これが機能しないということになれば、厚生労働大臣のチェックの機能が十分ではないということになりますから、そこは私どもが真剣に取り組むということに尽きるというふうに思うわけであります。

小川委員 ざっと、その五千万件のうち、解決したのは八年たって三千万件なんですね。二千万件は未解決のまま残っているんです。

 厚生労働大臣、厚生労働大臣として責任を果たせなかったからこういう問題が起きてきたんですよ。だから総務省に第三者委員会をつくった。その経過というのは私は重いと思いますよ。この局面でそれを廃止するというのは、私は判断が間違っていると思います。

 その上で、機構の体質、私、これは本当に、国民の皆様にも、迷いましたが、改めて見ていただきたい。総理も、これはお耳には入っていると思いますが、あえて改めてごらんください。資料の二枚目です。

 私は、五月の八日から六月の一日まで、機構なり厚生労働大臣の公表、公開がおくれたということは非常に問題だと思いますが、一方で、未確認とはいえ、恐らく機構の職員が公表前にインターネットの掲示板にこうした書き込みを行うというのは、ちょっと考えられない、余りにもみっともなく情けなく恥ずかしいことであります。

 「皆さん、やっぱり、本当にヤバいことは書かないね。」本当にやばいことって何ですか。「パスワード強制変更&フォルダー閲覧禁止のこと?個人情報が流出したわけじゃあるまいに。」「うわあ、ほんとうにやんなった もうムリ 辞めるしかない!」「あそこまで必死ってことは 個人情報でも流出したのかなと 実際どうだったの?」「その話はやめなさい マスコミの格好のネタになるよ もう一度解体になるよ おい、ここにいる職員よ、絶対に垂れ込むなよ? いいな、絶対だぞ?」「買いたいの解隊でまた公務員になったりして」「個人情報流出したのなら 月曜日に会見とかやるの 現場のしたっぱは何も聞いてないけど」「仕事が進まないよ 休日出勤して月曜日から正常になるんだろう 元々不備だらけだけど」。

 理事長、これは本当に理事長もショックを受けておられると思いますが……(発言する者あり)もちろん、確認は必要ですよ、確認は必要ですが、確認作業しているんじゃないですか。

 この機構の体質、監督責任について、ちょっとここで答弁してください。

水島参考人 今回の個人情報の流出に関しまして、機構職員のみが知り得る機構の内部情報が2ちゃんねるに書き込まれていた旨の報道がなされております。事実でございますれば、職員として絶対にあってはならないことだというふうに考えております。

 仮に、職員の関与が明らかになった場合には、日本年金機構法第二十五条及び第三十一条の第二項に違反する可能性がございます。

 現在、告発に向けまして、警察当局と協議を進めているところでございます。

小川委員 しっかりこれは確認、今の時代ですから、できる可能性はあると思いますし、とにかく、およそ考えられない書き込みが行われているということであります。その可能性がある。

 外部からの、やはり第三者の目で厳しいチェックというのを機構に対して私は改めて行っていく必要があると思いますし、今般、追ってちょっと議論したいと思いますが、本当に解体的出直しが機構にはいま一度求められているのではないかと思います。

 もう一点。今回の情報漏えいした総件数が今のところ百二十五万件ということでありますが、先ほど来、岡本委員の指摘、また大西委員の指摘の中で、今、目で確認していると。ファイルが、その他、サーバーの中にどのぐらいあったのかですね。それを目で確認するのに時間がかかるというのは一定理解できるんですよ。

 私、昨夜、では、これはどうですか、サーバーに入っていたデータの総量はどのぐらいですか、不審な通信をしたと思われるデータの総量はどのぐらいですか、それをお聞きしたんですね。これはワンクリックで済む話だと思うんです。

 サーバーの中にあるデータの総量、そして、不審な通信をしたと思われるデータの総量、これはなかなか事務的にお答えいただけなかったんですが、理事長、御報告上がっていますか。どのぐらいのデータ量がサーバーの中にあったんですか、そして、どのぐらいのデータ量が流出したんですか、定性的に。

水島参考人 全国にございます共有サーバーが四百を超えているということは、先ほど申し上げたとおりでございます。

 それで、その中に個人情報がどの程度入っているかということに関しまして、極めて大量のファイルを人の目で見ていくことによるその作業の正確性とか、そういう面も含めましてやはり問題があるというふうに認識をいたしておりまして、そのために、現在、システムでそれを一挙に調べていくという準備を進めております。

 現在、システムの開発に入った段階でございまして、いつごろできるかということに関しましては、大変申しわけございませんが、ここでお約束することはできかねるのでございますけれども、極力早期に全容をつかんでまいりたいというふうに考えております。

小川委員 理事長、今お聞きしたのはデータの総量なんですね。普通、パソコンの中あるいはサーバーでも、ワンクリック、ツークリックでぱっと出てくる数字なんですよ。それぐらいはすぐわかるでしょうと私はお尋ねしたんですが、事務的には、なかなかそれはお答えできないということだったんです。だからこの場で改めてお聞きしているわけですけれども、これは出せないのではなくて、出さないんだと思いますよ。(発言する者あり)隠蔽ですよ。

 これは本当にすぐわかることだと私は思いますので、目で見る検証の前に、ぜひ、委員長、委員会に、どのぐらいのデータ総量が扱われていたのか、どのぐらいが不審な通信に使われたのか、そのぐらいのことはすぐわかるはずですから、理事会において御協議をいただきたいと思います。

河村委員長 理事会において協議をさせていただきます。

小川委員 それに関連して、ちょっと総理、ここはよくお聞きをいただきたいところなんですが、今回、私は最初は、百二十五万件の個人情報の流出事案だと思ったんです。でも、いろいろとよく聞けば聞くほど、これはそうじゃないと。

 この間、さまざまなサイバー攻撃に政府機関はさらされ続けています。そして、どれだけの情報が流出したのか、していないのかがわからない。たまたま今回、警察が百二十五万件分のファイルを発見した、これが実はこの事態の真相ではないか。私は、いろいろと話を聞けば聞くほどそういう感覚になっているんですね。

 内閣官房のサイバーセキュリティセンターにお越しいただいていると思いますが、昨年一年間、どのぐらいのサイバー攻撃を受け、そしてどのぐらいの不審通信を認知して、警報を発したか。そしてそこから、どのぐらいのデータが、個人情報が含まれている、含まれていない、いろいろあると思いますが、流出したのかしていないのか。そもそも確認ができるのかできないのか。ちょっと事実関係をお答えいただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 NISCにおきましては、各府省等にセンサーを設置しておりまして、サイバー攻撃あるいはその準備動作を検知する業務を行っております。平成二十五年度のデータでございますけれども、政府機関への脅威と認知された件数は約五百八万件、対前年度比で約五倍という数字でございます。

 また、この監視活動によりましていわゆる不正アクセス等を検知した際には、当該政府機関への通報を行っております。この数が平成二十五年度におきましては百三十九件でございます。

 さらに、私どもの活動におきまして、政府機関が受信をいたします不審なメールにつきまして、情報の集約と注意喚起を行っております。この数字でございますけれども、平成二十五年度におきましては三百八十一件の注意喚起文書を各府省に発出しているところでございます。

小川委員 今お聞きのとおりでありまして、一年間に五百万件の攻撃を受けているわけです。そして、不審な通信を察知して警報を発したのが百三十件余り、今回はそのうちの一件なんですね。

 塩崎大臣にもお聞きいただきたいんですが、なぜこの情報のやりとりが係長レベルで三週間もとどめられていたのか。大臣の耳に入ることはなかったわけですね。

 私、これは想像ですが、もし警察がファイルを発見しなければ、この件は未来永劫公表されることはなかったと思います。そのぐらい頻繁に起きている事態なんです。そして、その被害の全容はわからない。ひょっとしたら、今回明らかになったのはほんの氷山の一角かもしれないというのが今回の事態の真相だと思うんです。そういう問題意識のもとで、これからさまざまなサイバー対策なり、いろいろ講じていくということが求められているわけです。

 そこで、塩崎大臣、先ほど、今回は過去にない攻撃を受けているのでいろいろ研究も必要なんだという答弁をされました。それはそうなのかもしれませんが、要は、迷惑メールをあけなければよかっただけのことなんですね。あけたら線を抜けばよかっただけのことなんです。

 そこで、余りにもずさんな年金機構と、そして割とガードのかたい国税庁、ちょっときょうは対比させてください。これからどうあるべきか、極めてシンプルな話です。

 このデータをごらんいただきたいと思いますが、年金機構は全国で三百カ所余りの事務所があります、国税庁は五百カ所。職員は二万人、これは影響しているかどうかはわかりませんが、とにかく、先ほどの指摘にもあったように、年金機構の職員の約半数は非正規の方々、極めて不安定、さまざまな思いを抱えながら仕事をしておられる方が多いと思います。国税庁は五万人余り。

 ここにありませんが、参考までに。年金機構には三万六千台のパソコンがあります。そのうち外部接続がなされているものが約八千台。国税庁のパソコンは六万五千台、そのうち外部接続分が五千台。

 ここで、極めてシンプルなことなんですが、国民の皆様にも誤解なきようお伝えしたいのは、今回、年金機構の抱えている基幹システムが荒らされたわけじゃないんです。システムの性質なりに不備があったわけではないんです。そこから職員が、外部接続されている自分のコンピューターにデータを持ち出した、そこにウイルスメールが来たことで情報が漏えいした。つまり、運用の問題なんですね、運用のずさんさなんです。

 それでいきますと、基幹システムへのアクセス、年金機構は誰でもできるんですよ。しかし、国税庁はセキュリティーをしっかりかけて、誰が見たか、いつ何を見たかをしっかりチェックしている。データの持ち出し、部長の決裁といいますが、下にもあります、もし持ち出す場合はパスワードをしっかりつけてデータを管理しなさいよとあるわけですけれども、このあたりの業務の取り扱いが、恐らく全体として極めてずさんで、緊張感に欠けたものだったはずなんです。

 国税庁、ここにありますが、データの持ち出しは、基幹システムから、つまり納税情報、家族の情報、収入、就労状況を管理している基幹システムから、個人の職員の端末に情報を持ち出すということは原則ないということでいいですよね。これは確認させてください。それから、外部接続をした、約一割の端末は外部接続しているわけですが、そこにこの個人情報を持ち込んでそこで仕事をするということはないと。国税庁、この点、ちょっと確認させてください。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 国税庁におきましては、納税者情報を管理します基幹システムに接続する職員の業務用パソコン、それとインターネット用のパソコンを物理的に分離しておりまして、インターネットを通じて外部から納税者情報に不正アクセスを受けることがないようにしております。

 さらに、今先生おっしゃいましたように、インターネット用パソコンにおきましては、納税者情報を取り扱うことを禁止しているところでございます。

小川委員 安倍総理、そして塩崎大臣、そういうことなんですよね。もう極めてシンプルで簡単なこと。これからそれを徹底していくべきではありませんか、政府機関を含めて。

 どうぞ、大臣。

塩崎国務大臣 少なくとも、これをお配りいただいておりますけれども、基幹システムへのアクセスがあたかも日本年金機構は誰でもできるかのようにお書きになっていますが、これは必ずしもそうではなくて、やはりセキュリティーポリシーに基づいてアクセス制限がかかっています。ですから、必ずアクセスするときには確認されるというふうに私は聞いています。間違っていたら、理事長から説明してもらわないかぬというふうに思いますが。

 そしてまた、誰が何を見たかもチェックできるというふうに私は聞いておりますので、もし違ったら、理事長の方から説明してもらおうと……(小川委員「大臣、そこはいいです」と呼ぶ)いや、こういうものをお配りになって、テレビでお映しになられたら、国民の皆さんは、誰でもまたのぞき見をしていると思っちゃうじゃないですか。これは必ずしも正しく、必ずしもというか、全く正しくないということを私としてはまず申し上げなきゃいけないということなんです。

 ただ、今回は、サーバーに一時期だけしか置けない、そして、そこにはアクセス制限をかけ、そしてパスワードをかけなきゃいけないものをかけていなかったという機構の職員のこの意識の低さ、これは大問題だということを私たちは言っているわけでありまして、それは先生御指摘のとおりだというふうに思います。

小川委員 そこは改めてちょっと確認したいと思います。

 ここで大事なことは、基幹となっているシステムから個人情報を個人の端末に、ましてや外部接続されている端末に持ち出すことを国税庁はやっていないわけです。年金機構はやっているわけです。しかも、パスワードも含めて甘い。

 甘利大臣にきょうお越しいただいているんですが、これからマイナンバー制度が始まりますよね。今は、年金情報に関連した年金機構、住基カードに関連した地方自治体、数えるほどの主体が、量は多いですけれども、番号に関連した個人情報を管理しているわけです。

 しかし、マイナンバーが始まりますと、これはもうライフステージ全てにかかわってくるんですよね。出生した瞬間、そして奨学金、そしてアルバイトを含めた就職、原稿料や報酬の支払い調書、不動産取引、株式の口座、ありとあらゆる生活の場面に、この番号を付された個人情報が管理され、出回るんです。

 もう一回確認しますが、システムそのものの安全性が実は今回問われたわけじゃないんですね。それを持ち出した人たちの管理のずさんさが問われたわけです。

 お聞きしますが、来年一月以降、マイナンバー制度が施行されると、どれぐらいの主体が、何百万主体ですか、中小企業まで入れると。どれぐらいの主体が、何千万件ですか、何億件ですか、どのぐらいの番号にひもづけされた個人情報を扱う時代がやってくるんですか、甘利大臣。

甘利国務大臣 お尋ねのマイナンバーを取り扱う主な主体としては、行政事務においてマイナンバーを利用することができる個人番号利用事務実施者と、これに協力するためにマイナンバーを扱う個人番号関係事務実施者があります。

 主な個人番号利用事務実施者といたしましては、都道府県や市町村、健康保険組合などがありまして、これらを合わせますと三千団体以上になります。

 一方で、個人番号関係事務実施者の主なものは、例えば、従業員に給与を支払う際に所得税の源泉徴収を行う企業等でありまして、その数は約三百五十六万であります。

 また、個人番号利用事務実施者が取り扱うマイナンバーについては、社会保障関係では、例えば、医療保険者が取り扱う医療保険被保険者数は約九千二百八十一万人、これは平成二十三年度ベースですが。税関係でいいますと、例えば、国税庁が取り扱う所得税の確定申告者数は約二千百四十三万人であります。

 一方で、個人番号関係事務実施者の取り扱うマイナンバーにつきましては、例えば、企業においては、その従業者総数である約五千五百八十三万人のマイナンバーを取り扱うということになります。

小川委員 それは足し込まなきゃいけないんでしょうけれども、ざっと何百万主体が何千万、何億件の個人情報を番号つきであちこちで預かっている状態が一月以降やってくるということですよね。

 この事業者の方ですが、それは大企業もあれば個人事業所もあるでしょう。規模も管理能力も、あるいはモチベーションもシステムも、千差万別、さまざまだと思いますよ。

 そして、今回のように、悪意を持った人たちがそこにアクセスをしようとする意欲は極めて高まると思います。果ては預金情報から何から全部つながるわけですから。

 ですから、私は、今回用意されているガイドラインを見ましたよ。ウイルスソフトを新しくしましょうとか書いてある。しかし、今回の事案でとにかく明らかなことは、年金機構もそれはやっていたわけですから、個人情報を外部接続された端末では管理しない、そのことだけ全国民、全事業所、そして全政府機関に徹底することがマイナンバー導入の大前提になるんじゃないですか。甘利大臣、いかがですか。

甘利国務大臣 御指摘のように、今回の事案については、別管理されているものを、ネットワークとつながって、いわゆるインターネットでつながっているパソコンの中に持ち込んで使っていた。これはやっちゃいけないことで、しかも、パスワードもかけないということであります。

 基本的に、行政が取り扱うマイナンバーというのは、機関ごとに別管理されている、一元管理、いわゆる芋づるができないように管理されています。それから、アクセスする人が限定されている。それから、その情報間のやりとりは専用回線で、インターネットの回線とは違うもので、しかも暗号でやりとりされる。

 問題は企業等ですね。従業員情報を取り扱うところについてどういう指導をしていくかということで、ヒューマンエラーが事実上起きないようなシステムの分断をするということを御指摘だと思います。

 まず、ガイドラインをつくりまして、これは、もちろんヒューマンエラーにきちっと対処しなければなりませんから、やるべきことをきちっと例を挙げて、わかりやすいガイドラインをつくっております。ただ、三万人の会社と三人の零細企業と同じことをやれといってもこれは無理ですから、その規模によって、それに準ずる指導をしっかりしていきたいと思います。

 それから、インターネットで取り扱うことがゼロにできるかどうかということは、実は私が同じような疑問を持って今調査をさせております。

 ただ、いずれにいたしましても、暗号化して取り扱うということになりますので、システム上のリスク対応はしっかりやっていく。最終的には、それを取り扱う人に対してどこまできちんとルールを徹底できるかということも極めて大事になってくると思います。

小川委員 行政側のシステム対応というのは、大臣が言うとおり、しっかりやっていると私も思うんですよ。でも、その議論が、今、事の本質をかえって見えなくするので申し上げているんです。

 民間事業者はそうじゃないんです。全て番号にひもづけられた、恐らく何億件という情報が飛び交っている。だから、一番シンプルで一番確実なのは、外部接続された端末ではそれは扱わないというのが一番シンプルなんですよ。

 それで、塩崎大臣、検証委員会の結論の時期ですが、ちょっといいですか、甘利大臣。この間、会見でこうおっしゃいましたよね。今回の事案をしっかり検証して、年金にマイナンバーを使用するということについてはその上で対処したいと。つまり、検証委員会の結論が出なければ、マイナンバーへの年金接続は考え直すという趣旨だと受けとめましたが、そういうことでいいんですよね。

甘利国務大臣 まず、ことしの十月にマイナンバーを通知いたします。そして、マイナンバーカードは年明けから交付できるような体制がとられます。この全体の日程は、支障がないように進めていきたいと思います。

 それから、御指摘の点につきましては、この事案の検証をしっかりやってもらいます。原因を究明し、再発防止策をきちっととっていただく。その進捗を見ながら、予定どおりやっていいものか、あるいは、時間を置かなければならないものか、その判断をしたいと思います。

小川委員 ということは、塩崎大臣、マイナンバーの接続、業務が始まるのは一月ですから、年内がお尻ということでしょう、検証委員会の結論を出すのは。明言してください。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありますが、いろいろ検証を、いろいろなケースでこれまであったと思います。例えば、同様の、教育関係の大きな企業で大々的に個人情報が出たときには約三カ月と、この間、参議院の厚労委員会で参考人で来られた方は、メンバーの一人として、約三カ月かかったということを言っておられました。

 いろいろなものがあって、何とも言えないところではございますけれども、私どもは、先ほど申し上げたとおり、事は年金の個人情報でありますから、もうこれはスピード感が大事だ、皆さんの年金に対する信頼感を戻すためにはやはりスピード感が大事だ、しかし、徹底的な解明もしてくれ、こういうことを甲斐中委員長にお願いをしているわけであります。

 今、時期がいつかということは申し上げませんけれども、やはり常識的に考えて、この問題に国民の皆さん方が納得できるタイミングというものを考えていただくということで、私どもは話し合いをしていこうというふうに思っております。

小川委員 塩崎大臣、ここは力強い答弁が欲しいところでした、ぜひリーダーシップを発揮していただいて。

 総理、最後に、ちょっとごらんいただきたい資料がありますので、これをごらんいただいて終わりたいと思います。

 私は、ずっと注目している数字がありまして、国民の国に対する期待です。

 一枚目の資料なんですが、安倍政権発足直後、景気対策を望む人が一番多かったんですね。でも、それから二年半、景気対策を望むという方々の割合は減る一方です。これは、ある種、アベノミクスに対する限界、あるいは、自分自身はそのターゲットじゃないなと感じている人もふえてきているんじゃないでしょうか。

 一方で、社会保障改革に対する期待感はどんどん上がってきていますよ。この二五%、社会保障改革に期待するというのは、民主党政権発足直後に近い数字です。そのぐらい、国民の願いはそこにあるんです。

 一方、外交、安全保障をごらんください。これだけ連日報道されて一割ですよ、国民の望むというのは。

 総理は、第一次政権の失敗を踏まえられて、こうおっしゃったと仄聞しています。第一次政権の失敗は、自分のやりたいことと国民がやってほしいこととが乖離していた。私は、そこを上手にコントロールされた二年半だったのではないかと拝見しています。しかし、ここへ来て、再び、総理のやりたいことと国民の願いとは大きく乖離してきているのではありませんか。それは、大きく傾向を変えてきているのではありませんか。

 そして最後に、この間の民放の調査結果ですけれども、憲法審査会に加えて、憲法違反の疑いがないと言い切った人は、百九十八人の憲法学者のうち三人という状態です。

 ここはひとつ、私は、撤回されて、無理やり数の力で、国会を無理やり延長して、何としても成立させるという強硬な姿勢ではなく、一度、これらの国民の声に謙虚に耳を傾けられ、仕切り直しをされる方が賢明だと思いますが、最後にその点、総理の御答弁をいただいて終えたいと思います。

安倍内閣総理大臣 国が取り組むべき課題、最初は景気対策だったと思います。私も、アベノミクスを進めていくというお約束をしました。三本の矢の政策。これが成果を上げて、この二年半、GDP、名目においてはプラス五・四。ですから、大きな成果を上げています。企業は最高の収益を上げ、そして、賃金は昨年、十五年間で最高。そして、ことしはそれを上回っておりますし、有効求人倍率は二十三年ぶりのいい数字になっている。雇用も賃金も上がっている中において、満足をしてきていただいたのかな、この数字を見ながらそう思ったわけでございますが、しかし、我々は、満足することなく、しっかりとさらに成長戦略を進めていきたい、完全にデフレ脱却をし、経済成長を確かなものとしていきたい、こう思っております。

 その中で、社会保障については、人口構造が大きく変わる中で、果たして、年金、大丈夫なのか、あるいは、医療や介護、大丈夫なのか、そういう御心配があるんだろう。それに応えていくことについて、我々はしっかりと責任を果たしていきたい。

 そういう中におきましても、我々は、先般、消費税を引き上げまして、次の世代にこの世界に冠たる社会保障制度を引き渡していきたい、と同時に、サービスを低下させることなく、効率化を図ることによってこの社会保障制度を守っていきたい、こう思っております。

 そして、安全保障については、これは常に、それほど高いパーセンテージにはならないわけでありますが、常に我々は、国民の安全は守らなければいけないという責任感のもとに、その責任を果たしていくことはまさに政治家の責務であろう、このように思っております。

 さらに、憲法学者については……。

 もういいですか、答えなくて。もう次の方があそこに待っておられますね。それでは、答弁はこれで打ち切らせていただきます。

小川委員 国民が満足しているというのは違うと思います。それはまた次回にしたいと思います。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて玉木君、大西君、岡本君、小川君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 維新の党の柿沢未途でございます。

 冒頭、安保法制について一言申し上げたいと思います。

 私たちは、近年の安保環境の変化に応じて、日本が我が国近隣のアジアや世界において新たに担わなければいけない、そういう役割はあると思っています。そのための法制度も一定程度整備が必要だと思っています。ただし、政府提出の法案の安保法制の憲法適合性には、権威ある憲法学者から疑義が投げかけられているのも、これまた事実です。それについて説明責任を全うしないまま押し切るようなやり方では、私は、国民の理解は得られないと思います。

 先日、六月九日、取ってつけたように、合憲性に関する政府見解のペーパーが示されましたけれども、これを読むと、「我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得る。」「我が国を防衛するためのやむを得ない必要最小限」、読めば読むほど、ではなぜこれを集団的自衛権とわざわざ言わなければならないのか、首をかしげたくなるような文言が書かれています。

 あくまで我が国防衛だからということで合憲とする政府の説明と、燃料不足でも武力行使、サイバー攻撃でも武力行使、こういう拡大解釈の余地がどんどん広がっている新三要件の歯どめのなさとの間で、説明があちこちで自己矛盾を起こしているように思います。それがまた国民の不安にもつながっていると思います。

 今後、私たちも私たちの考え方を示す予定でありますので、また各党の皆さんともいろいろと議論をしていきたいというふうに思っています。

 ところで、もう来週、六月二十四日の会期末を迎えます。延長するんですか、しないんですかという話は、きのうの党首討論でお話をさせていただきましたので省きますけれども、私は、安保法制成立のために大幅な会期延長をするということになると、いわゆる戦後七十年の談話を国会の会期中に発表することになる、こういう運びになるんではないかというふうに思います。

 この戦後七十年談話について一点お伺いをしたいんですけれども、そもそも、この戦後七十年談話というものについては、もとをただせば、昨年三月なんですが、私が質問主意書を出しまして、それに対する答弁書で、「二十一世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したい」、こういうふうに答弁書が返ってきたことが一つの、公にはきっかけになっています。

 その後、安倍総理及び安倍内閣の歴史認識を明らかにするものとしてこの戦後七十年談話というのがどういうものになるのかということについて、予想以上の内外の注目を集めてきたと思います。

 今、総理の私的諮問機関として、西室座長、そして北岡座長代理で有識者懇談会が設置をされて、多角的な論点から議論が進められています。北岡座長代理からは、安倍総理に日本は侵略したというふうにぜひ言わせたいと思っているとか、行き過ぎた謝罪の追及は日本国内の反韓、反中意識を高め和解を難しくするとか、いろいろな、この談話の内容について北岡座長代理のコメントが語られているのが報道されています。

 私は、我が国が間違った戦争に出て、そして軍事的冒険を行って、それによってアジアや世界の国々に多大な被害と惨禍を及ぼしたのは、これは事実だと思います。しかし、日本は悪かった、侵略国家だったということを謝らなければいけない、これを繰り返し繰り返し聞かされていたら、やはり日本国民としては、そんな自虐史観みたいな話はたくさんだという気持ちになるのも、これまたわからない話ではないというふうに思うんです。平和国家として日本は七十年やってきたじゃないか、こういうふうに日本国民としても言いたくなる、こういうやむを得ない部分もあるというふうに思うんです。

 一方、反省や謝罪を言わなければ言わないで、内外に向けて誤解を与えるメッセージ、シグナルを日本がかえって発信することにもなりかねないというふうにも思います。

 考えてみれば、戦後五十年でいわゆる村山談話が出て、それに続くいわゆる小泉談話は戦後六十年で出たわけですけれども、戦後七十年で安倍談話を出すとすると、八十年、九十年と十年刻みに過去の戦争を振り返って談話を出し続ける、そういうことになるのかという話にもなります。過去の戦争についてどれだけ反省するのか、どれだけ謝罪するのか、逆に、どれだけそこから脱却するのか、議論百出で、内外からあれこれ言われる状況をみずからつくり出すことにもなります。

 安倍総理、戦後七十年談話を強いて出してくださいと言っている国がどこかにあるわけではありません。どこかの国の首脳が強くそう求めているわけでもない。国内のどこかの党がこれを強く求めているわけでもありません。これは安倍総理の御判断一つにかかっている問題だというふうに思うんです。過去の談話を全体として引き継ぐ、こういうことを言われているわけですから、この際、そうであるとするならば、戦後七十年談話というのは、どっちにしたっていろいろな形で内外で取り上げられることになるわけですけれども、過去の談話を総体として引き継ぐということであれば、これは、私は出さないというのも一つの手なのではないかと考えます。

 ぜひ、戦後七十年談話、八月十五日が想定されていると思いますけれども、まだ時間もありますので、戦後七十年談話を、この際出すのかどうかということについてお考えをいただけませんでしょうか。御質問します。

安倍内閣総理大臣 質問の冒頭部分で、我々の平和安全法制について、油がないから武力行使、サイバー攻撃だから武力行使という可能性を含むかのごとく、見識ある柿沢委員とは思えないレッテル張りをされましたから、そういうことではないということも我々も御説明をしたいと考えておりますので、ぜひこれは徹底的に、委員会を開催しながら、これは委員会に皆さん出てきていただいて質問をしていただかなければ議論ができないわけでありますから、委員会を強硬阻止とかそういうことではなくて、もちろん皆さんがということではございませんよ、ということではなくて、それは柿沢委員はしっかりと議論していきたいということでありますから、我々はしっかりと委員会を開いてちゃんと議論をしていきたい、こう考えております。

 その上において七十年談話についてでございますが、この談話は、もちろん、どこかの国に出せと言われて出すものではありませんし、どこかの党から、自民党あるいは安倍政権出せと言われて出すものではない。本来、談話はそういうものではなくて、私は、日本は、この七十年間を振り返りながら、来し方をもう一度見詰め直しながら、我々はどういう道を歩んできたのか、そしてこの歩みについては、七十年前、この戦争の惨禍を二度と繰り返してはならないという深刻な反省、その誓いの中からスタートして、平和国家として歩んできた、こういうものであります。また、今後、日本としてアジア太平洋地域や世界のためにさらにどのような貢献を果たしていくべきか、どういう国になっていくかということを、八十年、九十年、百年に向けて発信していきたい、こう思っているわけであります。

 その中において、日本がそういう役割をますます果たしていくということについては、多くの国々から期待も受けているわけであります。そういう考え方を示していくということについては、私たちがどういう外交を展開していこうとしているのか、どういう貢献をしていこうとしているのかということについて、より透明性を上げていくことにもなるのではないか、このように考えております。

柿沢委員 そういう意味では非常に論争的な一石を国内外に投じることになる、このことは残念ながら間違いないと思いますし、そのことが本当に日本の国益を増進する結果につながるのかどうか、私は、そこは、その観点からこれからも御検討をいただきたいというふうに思っています。私自身が、ある種、去年の三月の質問主意書で出す出さないについてお伺いをした経過もありますので、これからも引き続き総理の御判断を注視してまいりたいと思います。

 もう一点、戦後七十年に当たって、一つ、安倍総理にお伺いをしたいことがあります。

 かつて、この予算委員会で、日本の木の文化についてお尋ねをしたことがありました。私の地元の江東区の深川の町について、江戸時代から続く材木屋さんの町だと。ちなみに、私の後援会長さんも材木屋さんなわけですけれども。東京オリンピック・パラリンピックの際に、木造の競技施設をつくって、そして世界に木の文化を発信しよう、こういうことをこの予算委員会で申し上げたことを覚えておられると思います。

 七十年前に、この木の町深川が、それゆえに狙われて、言葉にならない地獄絵図の舞台となったことがありました。昭和二十年三月十日、東京大空襲です。

 寝静まった町をB29の編隊が襲って、何の罪もない民間人を焼夷弾の雨で焼き払った。火炎地獄の中で逃げ惑って、炎の中で、吹き荒れる嵐のような風に吹き飛ばされて、みずからの兄弟が、肉親が、大切な人が焼かれていった。翌朝、黒焦げになった子供の遺体に覆いかぶさるように黒焦げになっている、母親なんでしょう、その折り重なった遺体を見た。町の古老にこういう話を私は町の中で聞くことがあります。結果として、一夜で十万人という人が命を落としています。

 今、国会では安保法制の議論をしておりますけれども、東京大空襲を知る深川のお年寄りからは、いいか、あなたも安倍総理も戦後生まれで戦争は知らないんだ、戦争は絶対に二度としてはいけないんだと、強いまなざしで言われることがあります。

 東京大空襲だけではなくて、戦争末期には、全国の都市が無差別の空襲を受けて、多くの民間人の人命が失われております。そして、親兄弟を失い、ひとりぼっちになって、戦後の焼け野原で生き抜いてきた被害者や遺族には、軍人軍属と違って、国はいまだ、その筆舌に尽くしがたい苦しみに対する国としての補償措置を何ら講じておりません。

 全国空襲被害者連絡協議会の星野さんという方のお話が、私は耳から離れない。

 柿沢さん、空襲で死んだ私の身内は、お墓は空っぽなんです。遺体はそのまま埋められて、そこは公園になっているんです。私は、公園に手を合わせて、そして空っぽのお墓に手を合わせているんです。遺骨のない空っぽのお墓に、せめて遺骨のかわりに入れられるような何かがいただきたい、それだけなんですよ。

 こういうお話をお聞きしました。その星野さんも、もう八十四歳になられています。

 シベリア抑留者への補償の問題も立法措置により解決をし、今や、この空襲被害者の問題が最後に残された戦後補償とも言えるものになっています。裁判所からも、立法措置による解決というものを判決で示唆されている。

 安倍総理は、ことしの三月十日、東京大空襲の犠牲者を追悼する慰霊法要に歴代総理として初めて御出席をされ、両国の慰霊堂で手を合わせていただきました。この問題に深い思いをいたしておられる、そういう総理だと思っています。だからこそ、この戦後七十年、お願いをしたいというふうに思っています。空襲被害者の遺族、子供や兄弟姉妹、こういう皆さんに対して、希望者に、弔意やお見舞いに当たる金品、品物で私はいいと思いますが、そうしたものを国から贈呈する、過大な予算措置が生じないように留意をしながら、法的措置による何らかの決着を講ずべきではないかと私は思います。私は、安倍総理だからこそこのことを決断できるのではないかと期待しています。

 最後の戦後補償の解決をどうお考えになるか、安倍総理に御答弁いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今委員に御紹介をいただいたように、ことしの三月十日に、総理大臣としては初めて東京大空襲の慰霊法要に参列をいたしたところでございます。随分お年を召した方々もたくさんの方々が参列をされていたわけでございますが、東京大空襲だけではなくて、全国において空襲が行われ、多くの方々が命を失われたわけであります。さきの大戦においては、何らかの形で、日本人総じてさまざまな被害を受けたのであります。その中で、空襲によって命を失った方々、あるいは、兵役の義務の中において国の命令によって命を落とした方々等、たくさんおられます。シベリアの抑留者の方々もおられた。そういう方々について、順次補償をしてきたわけでございます。

 その中で、空襲によって命を落とされた方々に対してどのような対応をすべきかということについては、超党派の議連における熱心な御議論があることは私も承知をしております。皆様からもお話もいただきました。そういう皆様からの御要望も承りながら、ことし三月、慰霊祭にも参加したところでございます。

 ここは、さきの大戦におけるいわば被害、あるいは国民の命が失われたことに対してそれぞれどのように対応していくかということについては、まさにこれは国会においても十分な御議論をいただきたい、こう思う次第でございまして、これは立法府において、もちろん行政ということもあるかもしれませんが、まさにみんなで考えていく問題ではないか、このように思っております。

柿沢委員 思いは感じましたが、しかし、結論部分はちょっと歯切れの悪い、そういう御答弁で、立法府、我々の側にお答えを返されたという形になりました。

 実は、超党派の議連があるというふうにおっしゃられましたが、残念ながら十分な形で組織できておりません。それは、ちょっとここで言うのはなんですが、与党の先生方の間でなかなかこの問題に関する賛同が広がらない、こういう状況があるからです。ぜひ、安倍総理、自民党総裁として、この問題を立法によって解決する。戦後七十年、皆さんやはり八十代になっています。そういう意味では、時間がありません。お気持ちを持ってくださっているということであれば、ぜひ、この前進に向けて少しでも後押しをいただきたい、こういうふうにお願いをしたいと思います。

 あえて、委員長にもお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。

 では、年金個人情報のデータ流出問題に移ります。

 まず、この問題ですけれども、いろいろなことがこの間、時系列で起きてきました。年金機構の対応も、また事前のセキュリティー対策も全く不十分だったと言わざるを得ない、こういうものではないかと思います。

 きょうは、特にお願いをして、年金機構のCIO、チーフ・インフォメーション・オフィサーであるシステム部門担当理事にお見えをお願いしておりますけれども、まず、このシステム部門の担当、CIOですから、そのお立場として、この問題に関する現時点での総括をお尋ねしたいと思います。

水島参考人 事態処理の途中でございますので、私からお答えを申し上げたいというふうに思います。

 まず、個人情報の流出というかかる事態を引き起こしましたことに関しまして、深くおわびを申し上げる次第でございます。悪意のあるメールの攻撃ではありますが、ウイルスに感染し、個人情報を大量に流出させることになりました。これにつきましては、CIOである徳武理事も深く反省しているところでございます。

 これまでの経緯を振り返ってみまして、徳武理事からも、システムサイドとして、どうこの過程で意見具申すべきであったかということについて、反省すべき点があるという報告を受けております。

 今後、検証委員会等で厳しく検証されるということになると思いますが、徳武理事におかれましては、二度と今回のような事態を起こさないために、今後のルールづくり、セキュリティーポリシーのあり方など、体制の再構築に向けて力を発揮していただきたいというふうに考えております。

柿沢委員 おかしいですね。今、徳武さんという名前が出ましたけれども、システム部門の担当理事の、CIOに当たる方の御出席をお願いして、答弁のお願いをしているはずです。

 そして、六月五日に行われた厚生労働委員会の集中審議では、現に徳武理事にお出ましをいただいて、お話をいただいているんですよ。

 きょうはどうしてこういう形になったのか、後でちょっと確認をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。よろしいですか。

河村委員長 はい。

柿沢委員 六月五日の厚生労働委員会の集中審議で、これは私の質問に対して、このCIOのシステム部門担当理事の徳武さんは、本件は、悪意のあるメールを受信後、ウイルスに感染させ、結果的に皆さんの個人情報を流出させる結果となりました、ウイルスへの対策は近年非常に困難になってきている面がございますけれども、当然のことながらそれに適切に対応していくことが求められております、たとえ感染しても、今回のような事態にまで状況を悪化させることなく被害を防止するか、最小限にとどめることが要求されているものというふうに考えております、こういうふうに答弁されています。

 悪意だ、結果的にだ、そして、ウイルス対策は困難だ、最小限にとどめることが要求されているというふうに考えております、これは非常に他人事のような答弁に感じられました。

 CIOのシステム部門担当理事さんもお見えのようでありますから、改めて御答弁をお願いしたいと思います。

徳武参考人 ただいま理事長がおっしゃられたとおりというふうに認識をしております。

柿沢委員 いいですか、総理まで首をかしげていますよ、今の答弁は。何ですか、これは。

 徳武理事、あなたの役職は何ですか。答えてください。

徳武参考人 日本年金機構のシステム担当理事でございます。

柿沢委員 その上で、今起きている一連の問題、そして事前のセキュリティー対策の甘さ、この問題に関するCIOとしての総括を御答弁をお願いしました。理事長が手を挙げて御答弁をされました。いないのかと思ったら、いるじゃないですか。いて答弁してくださったら、何と、理事長の言っているとおりでございます。

 いいですか、私が追及しているんじゃないんですよ。日本国民が、現に年金の個人情報が流出したその該当者である国民の皆さんも、またさらに自分もそうなんじゃないかと不安に思っている皆さんも、皆さんがこれを見ているんですよ。もう一度、答弁してください。

徳武参考人 近年セキュリティー対策が非常に難しくなってきているということを前回申し上げましたが、そのとおりだというふうに思っておりますけれども、前回申し上げましたように、それにきちんと対応していくということがシステム部門の責務でありまして、責任者として、結果的にこれだけ大きな問題を引き起こしたということは、できていなかった点が多々あることだというふうに思っております。

 具体的には、標的型メールへの対応訓練ですとか、外部機関との一層緊密な連携、あるいはセキュリティー監視チームの要員の能力向上、こういったところが不足していた点があるというふうに思っております。

 また、前回も申し上げましたが、システム的な問題であるだけではなく、メールを開いてウイルスに感染する、こういった人的な要素もあったということで、こういったことも極力減らしていくという多層的な対応をとっていくことが必要だというふうに思っております。

 検証委員会での評価を踏まえまして、今後の対策については着実に行ってまいりたいというふうに考えております。

柿沢委員 今、様子を見ていましたが、安倍総理ですらと言うとあれですけれども、安倍総理も、本当に首をひねって御答弁の様子を見ておられましたよ。

 何か高度な不正アクセスにひっかかったような話をされておられますけれども、皆さんが今、世の中で、インターネットの専門家と言われる人たちからどういうふうに言われているか、御存じなんですか。

 要は、怪しいメールに添付されていたエグゼファイルをたたいたのが原因だ、ユーザーのPCでエグゼファイルがたたけるようになっていた時点でセキュリティー対策をしていないのに等しいのは、およそICTにかかわっている人間であれば、アウトなのは誰でも認める話だと。また、これはITジャーナリストの方ですけれども、今や小中学生でも、添付されているエグゼファイルをクリックすることは余りないと。

 こういうふうに、小中学生でもやらない、こういうことにひっかかっているんですよ。それで本当に今のような御答弁で説明責任を果たしたと言えますか。

 結局、民間御出身だと聞いていますけれども、民間出身のポストで、多分何も起こらないと思って安閑とCIO、理事の座に座っていて、問題が起きても自分の責任じゃないと思っておられるんじゃないですか。

 ちなみにお伺いしますが、システム部門担当理事というのは年収、幾らもらっているんですか。お伺いします。

水島参考人 平成二十六年度で一千四百万円でございます。

柿沢委員 まさにそれだけに値するお仕事をされているというふうに理事長は思われますか。お答えください。

水島参考人 この間、五月の八日にNISCから、異常な通信を検知したという連絡をいただいてから、徳武理事とは一緒に対応してまいりました。したがいまして、本件に関しまして最終的に判断をいたしましたのは私でございまして、全ての責任は私にございます。

柿沢委員 そんな美しい身内のかばい合いの話なんか聞いていませんよ。システム部門担当理事として職責を果たしているのかどうか聞いているんですよ。

水島参考人 この間の経緯はもちろん検証委員会で詳しく検証されることになると思いますが、現在、私がやはり一番の問題であるというふうに考えておりますのは、セキュリティーポリシーのあり方だというふうに思っております。

 やはり、攻撃型と申しますか、こういうようなウイルスの攻撃に対して、果たしてきちんとした対応のルールがあったかどうかということについては反省をするべき点でございまして、そういう意味では、事前の対応が十分ではなかったという意味で、今回の事態を招いた責任について、システム担当理事にも当然その責任はある、こう思っております。

柿沢委員 自民党の尾辻秀久元厚生労働大臣はこう言ったと報じられています。年金機構は年金記録問題を起こした旧社保庁そのものだ、そこを議論しないと根本的な解決にならない。

 要するに、旧社保庁から変わらない、年金機構の組織の体質がもう根っこから腐って緩んでいるんじゃないですか。トップも、今みたいな、他人事みたいな話をして、それで通ると思っている。そして、民間の常識でいえば大変高給な年間報酬を受け取って仕事をしている。この組織のあり方を根本から正さなければ、また同じことが起こると私は思いますよ。

 そもそも、社保庁の解体だって、消えた年金と言われる問題、職員によるデータの不正閲覧、こういうまさに個人情報の管理、取り扱いの甘さというか、意識の低さによって起きたものではありませんか。これによって、職員の懲戒処分を八百六十七人出して、非公務員型の年金機構への移行が決まって、例を見ない五百人以上の分限免職、整理退職により雇用継続されない人を出した。これは荒療治だったと思います。しかし、荒療治でうみを出し切って、もう解体的な出直しをするのかと思ったら、全くそういうふうになっていない、こういう状況ではありませんか。

 パネルを見ていただきたいと思いますが、年金機構の正規職員、一万八百八十人いますけれども、旧社保庁組が平均五百八十八万円、年金機構組が四百四十万円、正規職員の中でも、旧社保庁組と年金機構で採用された人と百五十万円もの年収格差がある、こういう格差社会の組織になっていますよ。ましてや、正規職員以上に非正規の職員がいて、見てください、正規は五百六十万、非正規は二百九十万、二倍の年収格差ですよ。横に描いておきましたけれども、こういうピラミッド形の組織になっている。

 正規と非正規の仕事の状況はどうかといえば、就職関係の情報インターネットサイトで私は見つけたんですけれども、内部に勤めていた人の評価はこう書かれていますよ。人員配置がめちゃくちゃで、例えば経験の浅いあるいは在籍年数が長い正規職員に、何年も時給の変わらない、九百円そこそこのアルバイトが手とり足とり仕事を教えている、こういうことが書かれています。

 荒療治を経て、消えた年金のときにレッドカードを受けたはずの旧社保庁の正規職員が、最も恵まれた、突出して待遇のよい、こういう立場に君臨している組織の構造になっているんです。そして、同一労働同一賃金どころか、正規職員は、安定した身分に安住して、面倒な仕事は立場の弱い非正規職員に押しつけている。これでは、ピラミッドの下の年金機構組の正規職員も、ましてやその下の非正規職員も、やる気を失うのは当たり前ですよ。だから、さっきのような、個人情報が流出したと思ったらそのままインターネットの掲示板に書いちゃうようなモラルの低下が起きるんです。

 先ほど、年金業務監視委員会の郷原弁護士の話がありましたが、私も郷原弁護士に話を聞きましたけれども、旧社保庁時代よりも組織の体質は悪くなっているんじゃないかと言われていました。

 まさに、この年金機構へ社保庁が解体されたその経過の中で、大変大きな影響をこうむったのも安倍総理だというふうに思います。ここまでのやりとりを聞かれていて、そして先ほどの御答弁も聞かれていて、この年金機構の組織の体質、そして組織のあり方を抜本的に見直していく、そのことについて御見解があれば御答弁をお願いします。

安倍内閣総理大臣 今回の出来事について、年金機構のシステムやその運用に基本的な問題があったのは事実であろうと思います。厚生労働省の対応も含めて、大切な年金に関し不安が生じていることについて、大変申しわけなく思っております。

 旧社会保険庁については、年金記録問題や職員の不祥事など多くの問題が生じ、国民の信頼を失いました。その組織体質を一掃し、真に国民の信頼を回復するため、日本年金機構を創設したわけでございます。以来、どの内閣でも重要課題であり、職員の意識改革など努力が重ねられてきたところでありますが、その途上において、今回、基本的な対応がおろそかになったことは大変残念でございます。

 今委員が御指摘になったように、そもそもの体質論として、そうした体質論も含めまして、検証委員会においてしっかりとこの検証を行っていくことも必要だろう、こう思うわけであります。

 二度とこうしたことが起こらないようにしていく上においては、システムにおいても、運用においても、それは体質においてもしっかりと検証していき、国民の皆様の期待に応えていかなければならない、このように思っております。

柿沢委員 非常に型どおりの御答弁をいただいたなという感じで、今の答弁のやりとりを聞かれていて、今の年金機構のトップの皆さん、理事の皆さんの意識の低さということについてどう思われているのかなというのはちょっと読み取れない印象でした。

 厚生労働省も、ずっとこの年金機構の中期目標を評価しておられます。評価の中でいえば、個人情報の管理等々については大変低い評価になっている。大変低い評価になっているんですけれども、しかし、なぜだか、旧社保庁の総務部長だった人を、結果的に理事長代理となる副理事長に再任しておられます。これでは、今の年金機構の組織の体質や、結果的に今回のデータ流出に至った業務遂行のあり方について、厚生労働省もそれでいいんだとお墨つきを与えていることになってしまっているのではないかというふうに思います。

 年金機構の副理事長の方は、まさに、先ほど申し上げたような、厚生労働省から社会保険庁の総務部長を経て年金機構の副理事長、理事長代理を務めておられるという、まさにプロパーの方ですよ。その方を再任する。そして、これも、副理事長ですから、恐らく千何百万という報酬をお支払いしているんだと思いますけれども、結果的に、天下りに高給を与えて安閑と、安穏と業務をさせている、こういうことになってしまっているのではありませんか。大臣、どうですか。

塩崎国務大臣 日本年金機構ができたのが平成二十二年一月でございました。そこから五年余りたって、今いろいろ問題が出てきて、変わっていない部分が多々あるということは、私も、厚生労働大臣という立場で本当に複雑な思いで、特に、社保庁から日本年金機構に変えるときの法律は第一次安倍内閣でつくったものでございます、そういう意味で大変じくじたるものがあるわけであります。

 今の、副理事長の薄井さんの話でありました。この機構をどうスタートさせるのか、そのとき我々は野党でありましたが、やはり厚労省からかつてはかなり人が入ってやっていたということでありますが、これはもうノーリターンルールで送り込むということで、薄井さんには行っていただいたわけでありまして、そのまま、やはり、年金制度もわかり、年金の事業もわかって、年金制度を守る最前線でやっていただく方ということで、薄井さんには引き続き頑張っていただかないといけないということで再任をしたわけであって、それが日本年金機構の体質が変わっていないということを是認する話では全くないわけであって、私たちは、今度は薄井さんが先頭になって、我々も連絡を密にしながら、年金機構の本来の、変わるべき姿にもう一回立ち向かっていってもらわないといけないということであります。

 これから検証委員会がさまざま厳しいことを言っていただけるんだろうというふうに期待をしておりますけれども、そんな中で、どういう陣容でいくかということはまた考えていきたいというふうに思います。

柿沢委員 今まで業務遂行にいわばお墨つきを与えてきたわけですよね。そういう中で、この問題が起きたからといって、副理事長に改革に頑張ってもらいたいといっても、これはなかなか説得力がないのではないかと思います。私たちは、今いろいろ聞いていて、やはりこれは組織の根っこから変えないとだめだと思いますよ。

 そして、我々は、この年金機構、そして国税庁、厚労省にあるいわゆる税と社会保険料の徴収部門を一元化して、歳入庁という新たな役所を設置するという法案を近々提出させていただきます。これは、かねてからいろいろな形で検討されてきたものでもあり、また、安倍政権の中でも、この歳入庁の実現可能性についても検討されてきたものと承知をいたしております。

 これは、年金機構の、もう二度目のレッドカードを食らっている状態ですから、もちろん、組織の改廃につながることはもとよりですが、結果的に、国税のデータといわゆる年金機構のデータとが事業所データとして統合されることによって社会保険の未加入事業所を捕捉して、そして、それによって保険料の徴収率の向上にもつながる、こういうことも副次的な効果としてあると思います。

 このことについて、ぜひ、この際、こうした問題も出てきて組織の体質、問題もあるわけですから前に進めたいと思いますが、歳入庁設置についてお伺いをしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、歳入庁設置については、柿沢委員、従来からの御主張でございますが、今回の問題につきましては、年金機構における情報セキュリティーや情報管理のあり方の問題であり、また、年金機構職員の質向上をいかに図るかということではないかと考えています。

 いわゆる歳入庁については、一昨年の論点整理におきまして、組織を統合して歳入庁を創設すれば年金保険料の納付率等の課題が解決するものではないと整理したところであります。また、これによって情報管理のリスクが解決するものではない。さらに、非公務員とした年金機構の職員一万四千人の取り扱いをどうするかなどの問題があるのも事実でございまして、今後、マイナンバー制度の導入によって関係省庁間の情報連携が強化されることを受けまして、現在、政府において、年金保険料の徴収強化や年金、税に係る申請、納付手続の利便性向上等を図るための具体的施策、例えば、国税、地方税、年金等の手続に関するオンライン上でのワンストップサービスの提供について検討を進めているところでございます。

柿沢委員 組織は変えない、人事もいじらない、そして、具体的な改革は第三者の有識者委員会に丸投げ。一体何を変えるんですか。全くわからない。それを申し上げまして、私の質問は終わります。

 ありがとうございました。

河村委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申し出があります。柿沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。

 本日は、口永良部島でまた噴火があったそうですので、幸い皆さん避難しておられたということでございますが、十分対策を政府も講じていただきたいということを最初にお願い申し上げておきたいと思います。

 きょうは、年金情報が流出した問題を取り上げてやりたいと思いますけれども、これまでいろいろなところでこの議論がされてきましたけれども、この問題は二つに分けて考えなきゃいけないと思うんですね。一つは、今回の個別事案に対して対応がどうであったか、そして、今の対応がどうであるか、これからどうしなきゃいけないか。もう一つは、そもそも論、通常の体制の整備とかルールとか、そういうものがきっちりと整備をされていたのかどうかという問題ですね。やはり二つに分けて考える必要があると思いますので、それをちょっと分けてきょうは議論したいというふうに思います。

 最初に、今起きていることの話なんですが、少し細かいところから入りたいと思うんですが、これは私が本当に気になっている点でありますので、ちょっと二点お伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 最初に塩崎大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、先ほど、午前中の討議で警察庁の方から、今ほかにないかというのを捜査しているということで御答弁がありました。きょうは、御答弁していただこうと思いましたけれども、先ほど答弁がありましたので、そちらはちょっと省略させていただきまして、なかなか、捜査中ということで詳しい情報は出していただけないんですが、報道ベースでは、二十台ぐらいのサーバーに、まだいろいろなところに情報が出ていって、そのうち一つ、海外にあるところのサーバーには大量に個人情報が流れているという報道があります。

 これが外に出ている可能性は、私は非常に高いと思いますけれども、なかなかそうは答弁いただけないでしょうから、今、百二十五万件以外に個人情報が外に流れている可能性は排除できないということは、この認識でよろしいでしょうか。

    〔委員長退席、金田委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 これは何度も申し上げているように、私どもが警察からいただいた情報として百二十五万件が見つかって、これを機構の方で分析しているというところでございまして、それが、私どもが今知り得ている情報だということでございます。

今井委員 ちょっと、それぐらいは答えていただきたいんですけれども。

 詳しいことを言っているんじゃないんです。そういう可能性は、今の段階では排除できませんよね。ないかもしれませんけれども、今調べているわけですから。多分、私より情報をつかんでいるはずですので、そういう可能性は排除できないぐらい言えると思うんですが、もう一度お願いします。

塩崎国務大臣 残念ながら、捜査情報というのは我々は全く聞かされておりませんので、その可能性についてはわかりませんが、はっきりしていることは、サーバーにあったものの中で流出したことが今回見つかったものとしてあったということであって、では、そのサーバーに何が入っているんだということについて、先ほど来繰り返し御説明しているように、さまざまなものがあるということで、今鋭意スピードを上げてそれを解明して、わかったところで公表すべしということを指示しているわけでありまして、それをまずやっていただかないと、この中身がどうなっているのかというのがわからないということでございます。

今井委員 お答えいただきたいんですが、時間がないのでこれ以上聞きませんけれども、私、実は心配していることがあるのは、年金の、自分のところから流れていないかというので、機構に照会をされた方に直接お伺いしました。どういうふうにお答えを受けたかといいますと、情報が流出していることは確認できませんでした、御安心ください、こういうふうに言われているんですね。

 これは、ある意味間違っていないんです。現在のところ、情報が流出していることは確認できません、御安心くださいということですけれども、これは聞いている側はどう思うと思いますか。ああ、私の分は流出はしていないんだ、完全にそう思っていますよ、こう言われたら。仮に、今、百二十五万件以外のところから出てきて、その方の情報が実は外に出ていましたということになったら、大変な社会問題になりますよ。

 だから、機構の方にお伺いしたいんですが、私はやはり、こういう言い方をするのは非常に不誠実だと思うんです。まだわからないという部分があるわけじゃないですか。それを御安心くださいと言い切るというのは、やはりちょっと言い過ぎじゃないですか。

水島参考人 まことに配慮がなかったと思っておりまして、現在は、御連絡ありがとうございます、お客様は該当しておりませんが、今後御不審な点等ございますれば、専用コールセンターまたは年金事務所へ御連絡いただきますようお願い申し上げますというふうにお答えするようにいたしております。

今井委員 今の言い方でも、私はちょっと不誠実だと思いますね。

 ここで、こうしろというふうに言うつもりはありませんけれども、ぜひもう一度答弁いただきたいんですが、大変言い方が難しいのはわかっています。しかし、まだ確定していない部分がたくさんあるのにもかかわらず、大丈夫なんだという印象を与え過ぎるというのは、もし何かあったら本当にこれは大変なことになりますよ。だから、そこを、言い方をもう一度考えていただきたいと思うんです。

 大臣、ありますか。

塩崎国務大臣 今の理事長の答弁で、私どもが申し上げていることが必ずしも伝わっていないということがわかりました。

 私どもは、今のような御指摘があることはわかっておりまして、私の方から指示をしているのは、現段階では該当をしていないということにとどめてくれということを明確に申し上げております。

 ですから、これから理事長も帰って、直ちにその言い方を私の指示に従って変えてもらわなきゃいけないというふうに思います。

今井委員 理事長、今のような御指示を受けているんですか。それで、安心してくださいというような言い方は、機構で自分で考えて、ちょっと言い過ぎましたということでよろしいんですか。

水島参考人 御指示に従いまして、即座に改めるようにいたします。

今井委員 ぜひお願いしたいと思います。

 私は、何をやっているんだと追及しているんじゃなくて、本当に、これから、こういうことをやっていると後で混乱を招きますよ、だから、そうならないように丁寧にやっていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 もう一個なんですが、実は、実際に情報が漏れた方に対して早い対応策を発表しておられまして、そのうちの一つが基礎年金番号を変更しますということの今対応をされておられますね。これは実は、電話でかけると大変紛らわしいというか詐欺の疑いもあるので、封書で送られているというふうに伺っていますけれども、これも実はちょっと私は心配しております。

 これは、御年配の方、封書を送りましたね。送るというのは、こちら側からは送れますけれども、向こうが受け取ったかどうかわからないんです。届いてはいるでしょうけれども、でも、何かにまじってぽっと捨てちゃったりするかもしれませんし、必ず向こうに伝わっているかどうかわからないと思うんです。私は、機構の方から送っても、相当な数の方、自分が御認識なさらない方が出てくると思いますよ。この点は御認識ありますか。

水島参考人 基礎年金番号の変更に関しましては、おおむね九月ごろからスタートをする予定にいたしております。現在、システム開発中でございまして、鋭意、早くするように努力をいたしておりますが、現在の予定は九月だということでございます。

 それから、御指摘の点に関しましてはそのとおりだというふうに思っておりまして、まず転送不要にすること、それから、きちっとお受け取りいただいたことをどう確認するかということ、それから、戻ってくる場合もあるかもわかりませんので、戻ってきたケースについてはどのように対応するかということについてきちっとしたルールをつくって、お客様に御心配をおかけしないように対応してまいりたいというふうに考えております。

今井委員 ちょっと今確認したいんですが、九月からということは、その間は変更のないままこの状態が続くということですか。

水島参考人 さようでございますが、現在、流出の対象になったお客様に関しましては、全て、その対象者であるということの印を、アラートをつけておりまして、その方々が事務所にいらっしゃる、あるいは郵送でお手続をなさる場合には、御本人であることを確認することを特段に厳しく確認をする。それから、改めまして、御本人であることが若干でも論理的に違う可能性があるという場合には、全て、お手紙ないし訪問によって御本人であることを確認させていただく手続をとっております。

今井委員 厚労大臣、今の対応でよろしいんですか。三カ月間ですよ、今から。今、三カ月間変わらない状態だとおっしゃいました。

 そこで、照会が来たら、そこにマークがついているので、そのマークがついている方には注意、御報告されると言いましたけれども、全員がかかわってくるかわからないじゃないですか。全員なんか、かかわってきませんよ。それでどうやって周知するんですか。今の対応で本当に番号の変更を、三カ月間は変更のないままいくんだと今おっしゃっていましたけれども、こんな対応でいいんですか、本当に。

塩崎国務大臣 今答弁したとおり、九月ということでありますが、これは、番号を変えるのにシステムを変えなきゃいけないということでいろいろあって、そういうタイミングになってしまうということでございます。

 今回も、一番最初にやったことは、二十九日にわかっているのに何で一日に発表したんだ、こういうことでよく御批判を頂戴しましたが、それは、今話があった、スクリーン上で必ず本人だということがわかるようにするということなんですが、それは、今先生が御心配になっているのは、手紙で基礎年金番号が変わるぞということが書いてあるけれども、読まなければわからないじゃないかということだと思うんです。

 それはそのとおりでありますが、問題は、年金が正しく御本人に記録どおり払われるということが大事であって、それを、成り済ましなどで口座変更とか住所変更とかそういうことをされないように、アラートをつけて、そういう手続がないように本人確認は今まで以上に厳しくするということでやっているということでございます。

 これは、タイミングとして最も早くやるということを私の方からも指示をして、そのタイミングが九月ということなので、全くこれは初めてのことで、このようなことになって申しわけない限りでありますが、その間に不正が起きないように、二次被害が起きないようにするということを徹底していかなければならないというふうに思っています。

今井委員 私は、今のここのシーンは全ての体質をあらわしていると今思いましたね。

 大臣、この変更通知が九月から始まるということを御存じなかったですか。今答弁されましたよね。九月から始まるということをこの場で今初めて知りましたか。機構から既に報告を受けていますか。どちらですか。

塩崎国務大臣 三カ月ぐらいと聞いておりましたので、今から三カ月であれば九月ということだということでございます。

今井委員 それならそれで結構なんですけれども、私は先ほど三カ月とちゃんと言いましたからね。それで、三カ月後ですと言ったら、理事長も来られて、後ろの方も何か説明に来られて、本当に御存じだったのかと疑いますよ、それは。今見た方はみんなそうだと思いますよ。

 だから、そういうコミュニケーションをきちっととるということがやはり一番大事で、先ほどおっしゃったじゃないですか、厚労省の中だって、係長がずっと握っていて上にやらなかった、コミュニケーションが悪いんだとおっしゃっていたでしょう。同じ話ですよ、これは。ですから、私は、年金機構も確かにそういう体質があるかと思いますけれども、厚労省も一緒ですよ、同根。だから、ちょっと後半話をしようと思いますけれども、いろいろな監視機関をその同根の厚労省の中に置くというのはやはりおかしいと思うんです。まあ、それはちょっと後でやりますけれども。

 もう一点お伺いしたいんです。

 今までずっと委員会の質疑を聞いておりまして、大臣は、五月二十八日の夕方にこの件はお知りになったとおっしゃっていましたね。先ほどの総理の答弁で、五月二十九日の夕方、秘書官を通じて知ったというふうに御答弁がありました。この間、一日あるんです。これはあれですか、総理に報告するほどのことはないなと。大変重大なことであれば、恐らくすぐ総理のところに報告が上がったんじゃないかと思うんですけれども、一日かかってしまっているのはどうしてなんでしょう。

    〔金田委員長代理退席、委員長着席〕

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 二十八日に情報流出の一報というものを大臣に御報告いたしまして、その上で、二十九日になって、個人情報が流出しているということでより詳しい報告ができましたので、二十九日になって、昼ですけれども、大臣に御報告をし、午後から、その他関係の省庁に御説明に回った。そういうことの結果として、官邸の方へ参りましたのが二十九日の夕方になったということでございます。

今井委員 今御答弁がありましたけれども、十二時にはわかったんです、個人情報だということが。総理に報告が入っているのは夕方です。半日ぐらいかかっているんですよ。総理は、あの消えた年金で随分苦しめられたじゃないですか。個人情報が流れたという問題は、わかっても半日も総理に報告しなくていい、そんな程度の危機感なんでしょうか。お伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 決してそんな問題意識ではないわけでありますが、恐らく、私はちょうどそのときは衆議院の厚生労働委員会で派遣法についての審議をやっておりました。それで、十二時の昼休みに五分ぐらいで聞いた話で、指示は出しましたが、その際に当然、順番として、いきなり総理のところに上がるのではなくて、官邸の方に行くときは官房長官に上げるということで、多分そちらの方でさまざまな議論が行われたのではないかというふうに思います。

今井委員 ちょっと組織の話をやりたいのでこれぐらいで終わりたいと思いますけれども、これはさまざまなところで時間がかかり過ぎているんです。厚労省の中でもそういうことが起きていますし、大臣の、閣僚の中でも時間が随分かかって、あいているんですね。これはもう紛れもない事実でありまして、この問題に対する危機感が余りにも関係者になさ過ぎる、もうそう言わざるを得ないですよ。

 総理、御感想をよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 今、今井委員が御指摘になられたように、私も八年前にいわゆる五千万件の件で経験をしております。あのときも十分に、残念ながら状況を把握できていなかったとの反省から、この年金の問題については細心の注意を払うようにしていたところでございます。

 その上におきまして、私のもとにこの情報が入った段階においては、直ちに正確な情報を把握していくということと対策に万全を期していくという指示等を出したところでございますが、塩崎厚労大臣も当時は官房長官としてともに五千万件の案件に対応したわけでございますから、かつての社保庁にさまざまな課題があったことも十分に承知をしております。いわば、確かに御指摘のように、十分にスムーズに情報が課長のところから上がってこなかったという課題が再び発生をしているということでございますから、我々もしっかりとこうした事態を謙虚に受けとめながら、まずは皆様の年金に被害が及ばないようにしていくということについて、二次被害が出ないように、そうしたことに万全を期していきたいと思います。

今井委員 ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 これは指摘だけですけれども、先ほど総理は、この報告を受けられてからどうされましたということで、原因究明を早くしろということと対策を早く講じろということを指示したということでしたが、その中に、願わくは、早く国民に伝えてくれという一言がもう一つ加わっていたらすばらしかったのになというふうに感じました。

 次に、先ほど民主党の委員がもう取り上げられましたので詳しくはやりませんけれども、今まさにお話しされた八年前の件ですね。「最後の一人に至るまで徹底的にチェックをし、そしてすべてお支払をするということはお約束をしたいと思います。」ということで、まだ現在、五千九十五万件のうち四割ぐらいは残っておりますので、これはオンゴーイングです。これは、この言葉どおり、最後の一人まで徹底的にやるということを、まずここで御宣言いただきたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 そのときもそうでありますが、大切な年金でありますから、いわばこれをギブアップするということは絶対にあってはならないわけでありますから、当然最後のお一人に至るまでしっかりとお支払いをしていくという考え方のもとに、この五千万件、まだ残念ながら随分、時を経て約二千万件近くが残っているわけでございますが、果たしてこの二千万件がどうなっているかということについても、今詳しく調査をさらに進めているわけでございますが、このお約束をした言葉どおりに今後とも全力を尽くしていきたいと思っております。

今井委員 いつまでにと聞きたいところですが、なかなか、いろいろな事情がありますから時限は切れませんので、それは理解しておりますが、本当にこれは大事な問題で、残っていますから、安全保障も大事ですけれども、本当にこれは重要なテーマですので、しっかり取り組んでいただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 先ほどから、年金業務監視委員会が昨年の三月に廃止されたという件が取り上げられておりますけれども、郷原委員長は、実は美濃加茂市長の裁判で大変お世話になりまして、私は懇意にさせていただいておりますけれども、いろいろな話を伺っております。

 まず一つお伺いしたいのは、実は、なくなるときの三月三十一日に、この郷原さんは総務大臣に、当時は新藤総務大臣ですけれども、意見書を出しておられます。そこは何を書いているかといいますと、総務省にあって厚労省になかったということが大変よかった、外部有識者によるこういう監視機関をこれからもぜひつくってほしいということの要望が大臣に上がっておりますが、総理はこの件は御存じですか。

安倍内閣総理大臣 当時、新藤総務大臣から概要については説明をいただいておりますが、最終的には、先ほどお話をさせていただいたような経緯で判断をさせていただいたところでございます。

今井委員 先ほど、消えた年金に関しては、平成二十五年だったと思いますが、年金記録問題に関する特別委員会というのをつくったと。これも実は厚生労働省の下にあるんです。もう一個、この年金業務監視委員会の引き継ぎというか、業務を引き継ぐという形で、厚生労働省の中に年金事業管理部会というものが新たに、もともと二つあったのを一つに統合してできているんです。

 まず、ちょっと事務的にお伺いしたいんですが、この年金事業管理部会のメンバーは外部の方ですけれども、事務局はどちらがやっていらっしゃいますか。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 事務局は、私ども年金局の事業企画課がやっております。

今井委員 大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、郷原さんから私が伺っているのは、実は運用三号の問題があって、あとは時効の問題とかいろいろな問題がありまして、この問題にこの委員会は取り組んできております。

 覚えておられるかわかりませんけれども、課長通知という形で出して、これが大問題になって、当時、この委員会でがんがんやっているのを世耕議員がずっと全部見ておられて、それをもとに国会でがんがんがんがん追及をして、細川大臣がめろめろになったということを覚えておられると思います。

 郷原さんはおっしゃっています。別に党が何かという問題ではなくて、要するに、厚労省と日本年金機構は体質が一緒だから、外からがんがんがんがん言わないとちっとも変わらない。あのときも厚労省はずっと、我々が正しい正しい正しいと言い続けていて、それで最後になって、やはりこれはいけませんというように変更していったわけです。それも、やはり外からがんがん言ったのでそれが改まった、これが厚生労働省の中にあったらできなかったというふうにおっしゃっています。

 今、引き継いだその部会は、年金機構のいろいろな業務に関しての、いわゆる指導とか評価とかいろいろなことをしなきゃいけないこの部会なんですけれども、これが厚生労働省の中にあって、しかも事務局は厚労省がやっている。こんなことで抜本的な改革はできると思われますか、大臣。

塩崎国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、日本年金機構の法律がございまして、その第一条に、厚生労働大臣の監督のもとで年金事業をやるということを書いてございまして、まさに、厚生労働大臣、私が監督をするということであります。

 その際に、この社会保障審議会の年金管理部会が、言ってみれば八条委員会としてアドバイスをする。それが、例えば、今お話があったように、事務局が、事務方がやっているというような御指摘もあったり、さまざまな問題があり得ると思います。私も、八条委員会が、独立性がどこまであるのかということは随分指摘をしてきた人間でありますから、それはよくわかっております。

 したがって、厚生労働省としては、この社会保障審議会の年金部会で徹底的に見てくださいということで、増田寛也さんが部会長でやっていただいて、さまざまな人が入ってやっている。

 これは、どこまで監督を厚生労働大臣が履行できるのかということが厚労大臣として問われることでありますから、この部会が外でないからだめだということで、では、監督を、うまくいくかいかないかを決められるのかというと、それはやはり違うんだろうと思うんです。

 ですから、それは、最終的に監督がなっていないということになるということは、それは厚生労働大臣の問題であって、では、年金管理部会が外にあったら全部うまくいくか。私は必ずしもそうじゃないと思うんです。ですから、厚労省でやること自体は別に、これはこれでいいと思います。

 もう一つは、総務省はもともと行政評価をやるところでありますから、そういう局があるわけですから、そこがどれだけのことをやるのかということでもあります。

 そういう中で、年金機構が、今回改めて浮き彫りになった組織のガバナンスの欠如とか、あるいは職員の体質の問題とか、長い間引きずってきたものがまだどうもありそうだとか、そういう問題が今クローズアップされてきたわけでありますから、こういうことを踏まえた上で徹底検証した上で、この管理部会についても、どうするのか、こういう形でいいのか、あるいはそれ以外のところでやるのがいいのかという意見がどういうふうに出てくるのか。それはこれからの検証に、我々はまないたの上にのって切られる側の立場にならなければいけないというふうに思っております。

今井委員 今、厚生労働省がちゃんと監督をして、それができないとなれば厚生労働省の責任だというふうにおっしゃいました。

 では、お伺いしますけれども、厚生労働省の下にある審議会部会、ここで、日本年金機構についていろいろな評価をしています、いろいろな部門に関して。その中で、個人情報保護部門のところの評価もしていますけれども、これは、SからA、B、C、D、五段階です。五年連続Cなんですね。下から二番目、五年連続です。五年連続Cということは、ずっとこれが放置されているということですね、ほとんど。Cですから。

 ということは、監督をしていたこの部会の厚労省がちゃんと指導できなかった、私たちの責任だ、そういうことになりますね。それでよろしいですか。

塩崎国務大臣 これは既に集中審議などで何度も御答弁申し上げてきたんですけれども、個人情報の保護が不十分だということで五年連続C。つまり、これはスタートしたときから、五年連続ということですから。

 その評価は、主に、通知書の誤送付というのが行われていて、違う人のところに書面が行ってしまうという郵送の問題が毎年変わらず起きてきたということが問題で、実は情報セキュリティーの問題も評価項目の一つに入っているんですけれども、その御指摘は特になかったということなのでありますが、しかし、今回のことでまた浮き彫りになってきたことは、実は、情報、ネットの問題等々で、セキュリティー対策上の問題をもっと見なきゃいけないということが浮き上がってきたということだというふうに思っております。

今井委員 時間が来ましたので終わりますけれども、割れ窓理論というのを御存じですか、ニューヨークでやった。一つのちっちゃな犯罪を、あるいは落書き一つを、こうやってしっかり対策を打っていくと全体がきれいになっていくという理論です。今、郵送の誤送付というふうにおっしゃいましたけれども、これは一事が万事なんです。体質の問題なんですよ。だから、今は案件が違うからいいんだと答弁されましたが、認識が甘いですよ。全体的にきちっと見直すということをぜひやっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

河村委員長 この際、村岡敏英君から関連質疑の申し出があります。柿沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。村岡敏英君。

村岡委員 維新の党、村岡敏英でございます。

 きょうは、年金の不正アクセス、それから安全保障ということですけれども、私は、食料の安全保障、そして、今地方が存立の危機にある、やはり守るべきものが衰退してはこの国の豊かさがなくなってしまう、そういう意味での観点でお聞きしたい、このように思っております。

 まず初めに、国会の審議でいろいろ荒れていることがあります。昔を振り返れば、資料につけましたけれども、この中で、PKO法案のときは、私は秘書をやっていましたが、五泊六日、十三時間採決にかかった。そういう中では、議場の中に閉じ込められて、なるべく、トイレに行く人がいなくなれば、賛成派が少なくなるというような抵抗もしました。そしてさらには、住専問題では、二階の階段のところに立てこもって、この予算委員会といいますか、第一委員室に入らせないようにしてピケを張ったということもありました。

 しかし、そういう国会の状況というのは、これでは国民に対して責任が持てない、そういう中で、しっかりそれを直していこうということで、今ではある程度の審議は進められている、こう思っております。

 しかしながら、安倍総理の平和安全委員会での安保法に関しては、まだまだ国民に説明不足だと言われている。大変低い数字で、八割近くの人がよくわからないと言われている。

 この状況というのは、やはり国民に対して、国民の生活、安全の存立の危機をしっかりと、法案の審議をするということですから、我々の党は、抵抗ではなくて、しっかり独自案を出して、その独自案を出すことによって、与党の出した法案と我々の出す独自法案、何が違って、そして何が国民のためになるのか、やはりそういうことで、しっかりと国民に関心を持ってもらい、そして国民への説明に責任を果たすべきだ、こう思っております。

 そして、そのためには、我々野党だけじゃなく、やはり政府の方もしっかりと、審議を慎重かつ、そして決して急いではいけない、しっかりと議論したい、こう思っていますが、総理のお考えをお聞きいたします。

安倍内閣総理大臣 御党において、国民の命と幸せな暮らしを守るために、切れ目のない対応をするための法案について、独自の法案を今検討されているということについては敬意を表したいと思います。

 御党の法案と我々の法案が並んで審議されるとすれば、それは、ある意味で、国民の皆様に選択肢を見ていただきながら、審議が深まっていくことも十分考え得る、このように思っております。

 いずれにいたしましても、安全保障の法制というのは、なかなか、憲法との関係の整合性、あるいは国際法との関係、そしてまた政策論、これが入りまじるものでございますから、大変わかりにくい面もあるわけでございますが、私ども政府としては、この法制について、できる限りわかりやすく丁寧に議論を進めていきたい、このように思います。

 大切なことは、まずは委員会でしっかりと議論を行い、進めていくことではないかということでございまして、御党からそうした建設的な御提案があることを期待したいと思います。

村岡委員 我々は、是々非々の党で、しっかりと、是というものは是としていきます、非というものは非と。しっかりとそこにまた独自の案を出していく。

 やはり、国会の活性化というのは、野党がしっかりと案を出していく、これが国会の活性化であり、国民がしっかりと国会を見ていただける、こう思っておりますので、引き続きその考え方でいきたい、このように思っております。

 そこで、農業にかかわること、また日本の自由貿易にかかわることという中で、今、アメリカでTPAの法案が審議され、上院では可決されました。上院では六十二対三十七ということで可決され、下院に来て、TPAは可決されましたが、TAAは否決されました。差が百二十六対三百二、とても大きな差で、簡単に埋まるとは思えない。そして、七月にもう一回採決をするということです。

 まあ、アメリカの状況ですから、これは甘利大臣に聞いてもアメリカの状況だということになるでしょうけれども、しかし、TPPの交渉というのは、アメリカのTPA、TAAが可決されなければ全く進まないわけですけれども、この状況はどう感じていらっしゃいますでしょうか。

甘利国務大臣 TPPを合意するためには、貿易促進法、つまり、議会はパッケージでイエスかノーだけ言える、細かいことに注文をつけるとまた蒸し返しになるということで、TPA法案がどうしても必要。TPAをとるためには、自由貿易によって影響を受ける失業対策法案、TAAが必要。ですから、TPPのためにはTPAが必要、そのためにはTAAが必要という関係になっているんですが、TPAは通ったんですが、TAAは否決をされてしまった。

 直ちに委員長のやり直し動議というんですか、出て、やり直しが、テークツーになるわけですね、日本の議会じゃちょっと考えられないんですが。テークツーは二日以内に採決しなきゃいけない。そうすると、またその採決を一カ月半以内にすればいいという提案が出されて、一カ月半、七月いっぱいまでに採決すればいいということになったんですが、直近で、また今度は、通ったはずのTPAをまた別の法案と組み合わせして通して、それをまた上院に持っていってそれでというような、また聞いているうちにだんだんわからなくなっちゃう、複雑な議事進行手法があるんだそうでございまして、上下両院の良識ある議員は、やはりここまで来たものをアメリカの国内事情で壊すわけにはいかないという思いは強いようであります。

 ですから、彼らがいろいろな手法を駆使して成立に持っていくという努力を見守っているというところであります。

村岡委員 ちょっと、TPAやTAAって何のことか国民はわからないという感じですけれども、TPAは、大統領に貿易の条約に関して一括して任せる、TAAは、TPPが結ばれたことによっていろいろ雇用関係で被害に遭った方々にしっかりと助成をするという制度ですけれども、この中を考えると、日本の議会と違って、オバマ大統領は民主党なのに、共和党の方が数が多い。これは党議拘束はないわけですけれども。

 ただ、私は、アメリカというのは、やはりそこのところの救済措置というのはしっかりしていると思うのは、貿易交渉で雇用を失ったり、そういう人たちに対してしっかりと対策をとっている、大体年間十九万とか二十万人とか。

 そういう意味では、日本は、貿易交渉でTPPを進めていくときに、被害を受けられる、また救済しなければいけない人というのを余り考えていないんじゃないか。まあ、アメリカともシステムは違います。政策的にやっているということもあります。しかしながら、そこのところはしっかりやっていただきたい、こう思っております。

 もう次の話題に、時間がないので移りますけれども、農業の改革を今進めております。

 我が党も、農業は改革していかなければならない。例えば我が党が言っている農業委員会での、首長にしっかりと責任を持たせて、公選ではなく、農村地帯、地域の土地の利用に関してやっていくということも賛成であります。そしてまた、競争力ということで、第二、第三の農協をしっかり、これは認可ができるということで、いろいろな面で農業改革は我々の党も進めていきたい、こう思っております。しかし、実際の中身を見たときに、運用のところで少し問題がある、こう思っております。

 私が前に、米の体質強化で二百億のことをお話ししました。結果的に七十八億。百三十億ぐらいが返還された。

 それとまた、安倍総理の改革の中で、農地中間管理機構というのができ、大規模農家を目指すということで今進められていますけれども、その方々にアンケート調査をとりました。

 そのアンケート調査だと、例えばアンケート調査の中で、指導農業士だったり農業法人の協会会員、実際に借りる人ですね、この指導農業士の方々や農業法人協会の人たちが、中間管理機構はしっかりとその働きをしていますかというと、はいという人は二二%、いいえという人が七八%。やはりなかなかうまくいっていない。ところが、逆に、中間管理機構にいる人たちにアンケート調査で聞くと、よくやっているというのが八〇%とか九〇%なんです。自己評価が高過ぎるんです。

 やはり、こういう改革を進めるときには、現場の声をしっかり受けとめなきゃいけない。自分たちが一生懸命やっていると思っても、実はそう思っていない。せっかくの改革が、これは何のための改革だということが今まだ出てきております。

 そして、農協の改革やさまざまな改革に関して地方公聴会をやったときにも、ほとんどの人が、わからない、そして反対だということを言っています。しかし、ここは、農業をしっかり再生していくためには、この改革を進めなきゃいけない。そのためには、農林省なり、また改革の農地中間管理機構なり、そういう人たちが真剣にならなきゃいけない。そこの部分が足りない、こういうふうに思っております。

 その中で、私は、本会議場の登壇で、秋田県出身の石川理紀之助さんの例を出しました。この方は県庁の役人だったんですけれども、貧農のところ、貧農の農村に行って、農業の技術開発、そして所得が上がるようにということで、プロフェッショナルの農業者をつくって、そしてその農村を豊かにしました。まさに今の改革は、農業者一人一人のプロフェッショナルをつくるためにやる改革だと思っております。

 そして、この人の残した有名な言葉の中に、寝ていて人を起こすなかれというのがあります。この改革を進めようとしている人たちが、自分では頑張っていると思っていても、まだまだ寝ているような状況じゃないか。やはりしっかりと改革を進めていくために、その改革の中心となる人がもう少し現場と一緒に頑張らなきゃいけない、こう思っております。

 先ほど年金機構の話を聞いていても、自分たちは頑張っている、こう言っていますけれども、寝ていて人を起こすなかれ、まさにしっかりと、自分たちが責任者なんだ、自分たちがやらなきゃ解決できないんだ、こういう意識が足らない、こう思っております。

 やはりそこのところをしっかりと、官僚機構であったり、またそれぞれのこの改革に参加する人たちに、総理から一言言っていただければと思います。

安倍内閣総理大臣 まさに今、村岡委員がおっしゃったように、農協改革を進めていく上においても、農水省がしっかりと改革意識を持って、また、我々も、改革のための改革ではなくて、何のための改革なんだ、それはやはり農業者の皆さんがしっかりと収入をふやしていく、日本の農業をしっかりと未来のある分野にしていく、同時に、消費者の皆さんにとっても、おいしい、安全な、安心できる食材が提供される、こういう農業にしていくという意識を持ってやっていくことが大切だろうと思います。

 中間機構におきましても、今までさまざまな御指摘もいただきながら、その指摘も踏まえて、さらなるこの改革、あるいは、より農業者の皆さんに御理解をいただく、あるいは参加していただくものに変えていくために、林大臣も努力をしてきたところでございますが、今後も努力を重ねていきたい、こう思っております。

村岡委員 時間がないので話題をかえますけれども、本当は余り政治とお金の問題に触れたくないんですが、私も地元に帰ると、農業者から言われます。今、改革、そして米価が下がって大変な時期、いろいろな意味で、農家の方々が今、これから苦労しながら努力していこうとしています。

 そのときに、新聞記事に、JAの組織候補者である参議院議員の山田先生、私もお会いして、すばらしい先生だとは思います。しかしながら、五億円のパーティー券ということで、この新聞のとおりということは、それは全く本人じゃないので私もわかりませんし、また、総理にお聞きしてもわからないとは思います。

 しかし、いろいろ調べてみると、やはりちょっと疑問点はあります。例えば、本当に開催していたのかというのがあります。一年間に七十回とか八十回。六年間で三百九十五回。一、二例ですけれども、二〇一〇年の十一月十日、第十一回分権フォーラムというのが開かれているんですけれども、この日は、日比谷公園で、TPP交渉の参加に反対する緊急集会、三千人が集まっているんです。こういうときにJAのビルでパーティーをやっているのかなという感じがあります。これは一つの疑問点で、二、三個例があります。

 それとまた、資金の提供者と金額ということで、パーティーは全部守られています。一件百五十万円以内、そして二十万円以上は公表するということは、全て守られています。しかし、七十回。通常で考えると、私は秘書を十六年やっていましたが、七十回やるといったら、全ての事務作業をパーティーに注がなきゃとても無理です。やはり通常ではありません。

 そうなると、これもただの疑問点ですけれども、最初に一千万ぐらいもらうということになって、二十万円以下にするために、それは七十回という計算になる、こういう疑いが持たれます。決してそれも違法ではありません。しかしながら、そういう献金に近いような形ではないか。

 そしてまた、告知義務。この七十回を一年間にやるのに、しっかりと法の中で、これは政治資金パーティーの、何条にわたる資金パーティーですということを書き込まなきゃなりません。それもなかなか大変なんじゃないかな、こう思っております。

 また、この政治資金パーティーというのは選挙活動の一つですから、選挙中はできません。しかし、千代田区でパーティーをやっているんですが、選挙中に十回ほど開いております。当然、七十回も開けば、それは選挙中にもなります。

 この農業改革を進めるというときに、こういうお金の問題が出てくるというのは、やはりしっかりと本人が説明しなければならない。その疑問点に関しては、しっかりと総理も自民党総裁として、これを説明するように求めていただきたい、こう思うんですが、総理からお答えをいただきたい。

安倍内閣総理大臣 国会議員であれば、パーティー券の取り扱いについては法律にのっとって適正に処理すべきことは当然だと考えておりますし、また、山田議員もそのように、その旨説明をしているというふうに承知をしておりますが、同時に、国民の信頼を私たちはしっかりと得ていかなければ政策は推進できないわけでございます。その上においては、説明責任を一人一人の政治家が果たしていくことが求められている。みずから襟を正し、説明責任を果たしていくべきと考えております。

村岡委員 林大臣にもお聞きしますけれども、中身を見ると、各県のJAから、献金でも百万円というのがずらっと二十件ぐらい並んでおります。そうすると、なかなかやはり目立つということの中でパーティー券に振りかえる。

 それも別に違法ではないんですが、今の農業の状況でいくと、例えば全中の改革というので、賦課金で八十億集めておりました。補助金で百六十億、全中がもらっています。そうすると、お金には色はないわけです。やはりこれは、農業者のために頑張ろうという資金です。そういう意味の中で、やはりちょっと異常なところで、これは一人一人の農業者が汗水流して、手数料を農協に払って、その中で賦課金もあり、また、補助金もその中でカントリーエレベーターからいろいろなものに使っている。

 そういう意味ではちょっと、この改革のときに、特に参議院で農水委員長をやっています。そういう意味では、林大臣、この件に関して、やはり農水委員長にも、総理と同じ質問ですが、しっかりと本人の説明責任を果たしていただきたいということをアドバイスしていただきたいと思うんですが。

林国務大臣 今総理から御答弁があったことに尽きると思いますが、それぞれの政治家が襟を正すということは大変大事なことだと思っておりますし、委員長という職責にあられるわけですから、疑念を招かないようにしっかりと説明をしていただきたいと私からも機会があれば申し上げたいと思っております。

村岡委員 ここはやはり、農協の改革を進めていく上で、まだ衆議院は採決をしておりませんけれども、いずれ、延長がなければそれも終わりますが、延長があった場合には、参議院に行ったときに、審議するときに、やはりそういう点はしっかりと御説明をしていただきたい、こういうふうに思っております。

 そしてもう一つ、先ほどの地方の存立の危機という中で、農業の部分なんですけれども、地方創生という中で農業も取り入れているんですけれども、私が地方に行って、実際の現場で皆さんに聞くと、一つの地方創生の中で、本社の機能や研究施設が移ったら、税制のいろいろな特典というかメリットというか、そういうのがあります。しかしながら、農業というのは、やはり地方に行ったときに相当な位置を占めていきます。このときに、本社工場とか研究施設だけじゃなくて、東京にいる大企業、それが、例えば加工工場であったり農業に投資した場合に、そういう形のときの税制を考えるということを、ちょっと農林大臣、ぜひ地方創生の中に取り入れていただきたいんです。

 例えば、加工工場なんかつくっても、今じゃ税制のものが何もないんです。それはほかの農業の補助金はありますよ。地方創生ではない。それからさらには、東京の企業が農業に生産委託する、そういうときの、例えば拠点の物流施設を建てる、そういうものに対して。

 やはり地方創生というのは、ただ単に大企業が本社を移したり研究施設を移すというだけじゃなく、東京にいる企業が農業に参入して施設を建てる、そして東京の企業が投資をする、そういうことに対してもしっかり地方創生の中で税制のメリットというのを与えることによって、農業が、東京と地方と一緒になって、連携して日本の大切な農地を守っていく、そして成長させていく、そういうことをぜひ考えていただきたいんですが、農林大臣、ちょっとお答え願えればと思います。

林国務大臣 財務大臣もおられますが、食料産業というのは、実は農産物の七割以上をお買い上げいただいている大変ありがたい業界でございます。

 加工業、それから外食産業というのがございますが、実はこれは製造業の大きなところと違いまして、地域にあまねく存在をしておられますので、しっかりとそういうところの振興を図っていくということは、我々も、地方創生の中で大変大事だ、こういうふうに認識しておりますので、しっかりといろいろな方策を検討していきたいと思っております。

村岡委員 財務大臣がおられますので、ふるさと納税というのは総務省ですけれども、ふるさと納税の納を農業の農に変えるぐらいの思い切った農業対策を財務省の方でも考えていただけますでしょうか。

麻生国務大臣 八時間座って何もないと気を使っていただきまして、まことにありがとうございました。

 全然予定には入っておりませんでしたけれども、村岡さん、やはり東京で考える話というのと現場で考える話というのはよほど詰めないと、役人が考えてそのまま商売になるのと同じぐらいピントがずれているんですよ。僕はやっていてそう思いますね。

 自分でやっていたり、やらされたりしたからよくわかりますけれども、今のように、基本的に、地元の話とうまくかみ合わせる、マッチングさせるところを、ここの人が仲人をやるもの、これが大事なんですよ。僕はそう思いますので、今の話を村岡さんがなさるのか、どなたがなさるのか知りませんけれども、見合いをさせる、この人が勝負。

 私は、それは非常にいいアイデアと思っておりますので、うまく話が伸びれば、決して悪い話じゃありませんよ。

村岡委員 通告もしなかったのに、大変ありがたい答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 本当に、霞が関で考えただけでは地方創生というのはなかなか進んでいかないという現実を持っています。やはり現場でアイデアがあったのをしっかりと取り入れていくということを考えていただきたい。

 例えば県境をまたいで、例えば秋田県と山形県、お互いに出資する、市町村が出資する、そこのところに対して国からの支援も行って、そして観光や農業やいろいろな面をやる。司令塔の団体を一つつくる、それは公共的な団体と民間と組み合わせ。そういう中でやはりやっていかないと、なかなか中央集権からで全ての地方創生をやっていこうというのは難しいと思っています。

 我々の党は、中央集権から地方分権、地方がしっかりと立ち直ることによって日本が再生すると思っている党ですので、これからもよろしくお願いしたいと思います。

 質問時間が来ましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。

河村委員長 これにて柿沢君、今井君、村岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今月十五日は、年金情報流出問題が起きて最初の年金支給日でありました。皆さん、大変心配をされて、いつも以上に金融機関に詰めかけたと思います。ちゃんと年金が入金されていることを確かめてほっとした方たちの表情が報道で映し出されました。当然のことであります。老後の支えである年金を守ることは最優先の課題です。

 そこで、最初に伺いますが、心配されていた成り済まし被害についてです。

 もともと、年金受取口座を変更するということは、年金受給者本人の名義の口座であることが確認できる書類が必要なために、従来のルールでいっても、流出した情報を持っていったからといって簡単に、変更して、その人の口座に入るということは普通考えられないわけでありますが、とはいえ、実際に、最初の感染の五月八日から、インターネットを遮断したと言われている五月二十九日までの間に、流出した情報該当者のうち四百三十六件が住所変更や口座変更を行っているということで、支給日までには戸別訪問して念のために確認をすると答弁をされています。

 それが、もう支給日を過ぎちゃったわけですから、どうなったのか、お答えください。

塩崎国務大臣 十五日に年金の支払いが行われたわけでありますけれども、この支払いは本人の名義の口座に振り込むこととなっていることはもう御案内のとおりでありますけれども、仮に、年金の振込先の金融機関を変更する場合には、金融機関の証明印などで本人の口座であることを確認するため、流出した情報だけで、四情報だとしても、年金の振込口座を変更されて年金が横取りされるようなことはないということでございます。

 また、万が一に備えて、百二十五万件の対象となった方のうちで、今お話をいただきましたけれども、金融機関の口座変更等の手続をされた四百三十六人につきましては、戸別訪問を鋭意実施してまいりました。

 定期支払いの六月十五日までに、大部分の方については成り済ましでないということが確認できたところでございまして、いずれにしても、今回の情報流出の対象である方への年金の支払いは正しい年金記録に基づき確実に行っていくつもりでございます。

高橋(千)委員 ちょっと今のお答え、途中の経過では二百二十三件という数字が出ている。数字で答えているんですね。

 十五日までにともかく訪問すると言っているわけでしょう。だから、私が聞きたいのは、まず、その訪問が終わったのか、その上で被害は、まさかあったのではないと思いますが、それを聞いているわけです。だけれども、大部分はと言われたら、あったのということになっちゃうじゃないですか。どういうことですか。

塩崎国務大臣 より正確に申し上げると、十回行ってもおられない方とか、そういう方がやはり、我々、選挙をやっているとみんなわかっていると思いますが、なかなか会えないという方がおられて、やはり御本人に会って確認をせないかぬということで、結局、四百三十六人のうち十一人、どうしてもまだお目にかかれないで、それこそ、十回、九回、何度も行ったけれども会えない、こういう方がおられるので、まだ努力を続けているんです。続けて、何とか、今御指摘のように、十五日の支払い日の朝までには終わっておけというので、夜も何とか、こういうぐらい頑張ってもらっておりましたけれども、そういうことになっておりまして、十一人残すだけというところまで来たわけでございます。

高橋(千)委員 では、会えた方、その十一人残す人たちは、全部本人確認されたということでよろしいんですね。

塩崎国務大臣 当然そういうことでございます。

高橋(千)委員 最初からそう言っていただきたいんですね。大部分と言われると、本当に、そうじゃないところが残るのかとテレビで見ている皆さんが要らぬ心配をすることになりますので、そこは注意していただきたいと思うんです。何度行っても会えない、それはよくわかります。ただ、そういう方がひょっとしたらということもあり得るということで、引き続き注意をしていただきたいなと思っています。

 あと、振り込め詐欺の問題も心配されているわけですよね。実際には流出はしていない、だけれども、あなたのは流出していますよと言われると、つい心配になってわざわざ暗証番号を教えてしまうということが実際に起きました。非常に残念なことであります。

 ただ、その方はテレビを見ていたというわけですよね。つまり、テレビでニュースを見なければ、もしかしてそこまで危機感を持っていなかったかもしれない。そう思うと、やはり、流出したけれども、した方にはきちんと後で文書で連絡をしますから、電話なんということは絶対ないということを、今一生懸命やっているとお答えになると思うから質問しませんけれども、そのことを徹底する、テレビの場で徹底すること。また、関係機関、年金受給者の方たちが立ち寄るようなところを、本当に関係機関連携をして、目につくように、声がかかるようにしていただきたい、このことは要望しておきたい、このように思います。

 そこで、十六日の参議院の厚生労働委員会でサイバーセキュリティーの専門家として出席された西本逸郎参考人が、やはりさっきも話題になっておったんですけれども、いわゆる標的型攻撃の中で今回の例は日本で初めての実害だというふうにおっしゃいました。過去、多くの報道がされているけれども、百二十五万件の個人情報が出され、誰々だということが確認されたのも初めてだということであります。

 一方で、今回の事案との関係性はわからないんですけれども、昨日は、中小企業三千六百万人が加入する医療保険、協会けんぽのパソコンがウイルス感染の疑いと報じられました。十三日は、健保連とか国立医薬品食品衛生研究所など、いずれも厚労省所管の三機関のウイルス感染が確認された。そして、けさは、環境省所管の外郭団体JESCO、中間貯蔵会社ですね、ここのウイルス感染が疑われている。こう続いているわけですね。

 ということで、総理に改めて伺いますが、こうした一連の攻撃は、もう年金資産を狙ったという規模ではなくて、国の統治機構そのものへの攻撃あるいはセキュリティー能力をテストされたのではないか、こういう指摘もございます。この問題をどのように受けとめ、今後どう生かそうと考えているのか、伺います。

安倍内閣総理大臣 先ほども議論であったわけでございますが、政府に対するいわばサイバー攻撃は恒常的に相当の件数行われているわけでございまして、そのために、内閣官房に内閣サイバーセキュリティセンター、いわゆるNISCを体制として整えたところでございます。今後、体制の充実を初め、各府省がNISCの取り組みに協力して、政府一体となった対応を行うことが極めて重要であると思っております。

 今後の検証作業の結果なども踏まえまして、政府全体として最適な予算や人員を確保するなど、サイバーセキュリティー対策の強化を遅滞なく図っていく考えでございます。

高橋(千)委員 先ほど一部小川委員の質問の中で紹介をされておりましたけれども、政府横断的な情報収集、監視機能を持つGSOCによれば、ウエブサイトへの改ざんなどは、二〇一一年は六十八件、それが二〇一三年には百三十九件になっていると。通報は、二〇一二年百七十五件だったわけですが、二〇一三年は百三十九件。ただ、不正アクセスなどの脅威とされた件数が先ほど紹介されたように五百八万件、これは二〇一一年は六十万件だったわけですから、著しくふえているわけです。何度も攻撃を試みる中で、昨年来、情報流出やホームページ改ざんなどの成功例が出始めてきたという点で、極めて危機的な問題だと思います。

 私がここで訴えておきたいのは、年金機構のずさんな管理についてはもう言うまでもありません。これは厚労省、政府としてもきちんと総括するのはもちろんのことです。しかし、問題をそこに矮小化しないことが重要だと思うんです。

 年金機構のセキュリティーがよそから比べてもひどいということは残念ながら指摘しなければならない。だけれども、絶対ほかにはあり得ないなんてことはやはり情報の世界ではまたないことであって、そうすると、実際の問題点を非常に狭く見てしまうことになるので、あえてここを指摘させていただきました。

 次に、本事案の経過について具体的に伺いたいと思います。

 日々情報が飛び交っている、また、前の方の質問とのダブりなどもありますから、細かいことは委員会でやっていくこととして、私なりにポイントをまとめてみたわけであります。

 それで、第三のウイルスまで、実はウイルスは三種類あったということであります。そして、五月八日の、最初の不審な通信があるという、内閣サイバーセキュリティセンター、NISCから通報を受けて、そのパソコンを特定し、LANケーブルを抜線しました。しかし、そのほかはネット環境をそのままにして、機構の全職員には注意喚起のメールを発送しただけでありました。この日に遮断しておけばよかったというのは、るるこれまでも語られたことであります、五月八日。

 ただ、きょう私があえて指摘したいのは、その後もチャンスがあったということなんですね。

 というのは、不審メールはこの間百通以上来ているということが言われています。ですが、メールを本当に開封したのは二通のみです、八日から二十二日まで。また、それ以降、NISCからの通報はありません、見ていただければわかるように。そしてこれは、外には出ていなかった。それは、外に出ていないタイプのウイルスだからいいんだという話では本当はなかったので、それは、情報を出すための準備期間だった。だから、この間に全てを遮断する、つまり出口を封じれば今回の流出は防げたというふうに思いますが、これらの事実関係について確認をしたいと思います、水島理事長。

水島参考人 一連の経過について若干御説明いたしたいというふうに思います。

 最初にNISCから不審な通信が確認されたという御連絡をいただいたのは、御指摘のとおり五月八日でございました。

 五月八日に関しましては、そのときに当該パソコンを特定いたしまして、抜線をして対応した。その結果、不審な通信はとまったという状況にございました。

 翌日、ウイルスを検知いたしまして、ワクチンをつくりましてそれを装填するというステップをとりまして、一応、その時点では、五月八日のウイルスに関しましては一定の収束を見たというふうに、私どもとしてはその時点では判断をしたということでございます。

 その後、五月十八日に複数の不審メールが参りまして、これに伴いまして、その事象も含めまして警察にお届け申し上げたということでございます。

 その後でございますが、御指摘のとおり、五月二十二日に、やはりまたNISCから不審な通信があるという御連絡を厚生労働省経由で頂戴をいたしました。

 その時点では、特定の地域のブロックでございましたが、実は二台でございました。実は、ウイルスメールの開封を、確認しない状態で、二台が感染する。メールの開封を、確認されない状態でですね、そういうことでございまして、その特定地域ブロックに関しまして、全て、統合ネットワークとの接続を遮断したと。翌日、二十三日でございますが、人事・会計部門がございました。その後、二十八日に警察から御連絡がございまして情報流出がわかったということで、二十九日に全てをとめた、統合ネットワークについてはとめた、六月四日にメールのネットワークもとめたという経緯にございます。

 私どもといたしましては、その時々判断をしてまいりましたが、かかる事態が発生したということに関しましては、やはり、それぞれの判断について今、その責任を受けとめなければならないというふうに思っております。

 これから検証委員会も始まりますので、この間の経緯については詳しく御説明した上で、厳しく御検証いただきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 理事長、申しわけないんですが、この間何度も委員会でやりとりしているわけですよね。その中で、私があえてポイントを絞って、だってこれは、これ以上字を書いたら見えないじゃないですか。絞ってやっているのに、何で全部言うんですか。それで、肝心のことに全然答えていません。

 開封したのは二通のみである、そして、NISCからの最初の通報と二回目の通報二十二日、この間がチャンスであった、本当はこのときに遮断をすればまだ被害は防げた、この二点、そのとおりとお答えください。

水島参考人 流出の時点がいつであったかということについては、まだ最終的に確認をされておりません。

 その意味で、どの時点であるべきであったかということについては、そのようなことも踏まえながら最終的に判断をされるということになると思います。

高橋(千)委員 では、NISCに伺いますけれども、これは、理事長のお答え方次第では、そうしたら、通知が二回しか来なかったのは間違いだった、NISCの感知は全然できなかったということになりかねないわけです。そうではないんです。これはきちんと冷静にやらなければいけない。

 つまり、ウイルスというのは、必ずしも外に出すのだけがウイルスじゃないわけですよね。だから第三と言っているわけで。特に十八日のは、見ていただきたいんですが、未開封なんですよね。職員が百人以上メールを受け取ったといっても、みんなが次から次へと開封したんじゃないんです。開封する前にきちんと届け出をして、それを解析した中で第二のウイルスを発見しているんですよ。そういうことを指摘しているのに対して、何か、全部しゃべった上で、結局わからない、こういう答弁だったわけで、これは余りにも不誠実であります。

 そこで、NISCに確認をいたしますが、通知は二回。一回目は開封した当日に検知をした。そして十八日、第二のウイルスは、開封せず、検体を解析してわかったと聞いております。そのために、開封しなかったから、不審な通信を感知していないというふうに考えられるのかなと思うんですね。

 第三のウイルスは、開封したのが二十日なのにもかかわらず、二十五日なんです、これがわかったのは。二十日に開封したにもかかわらず、二十五日に判明している。この日は、いろいろな人が私のところにも変なメールが来たと言っているにもかかわらず、一番肝心の開封した人が二十五日に届け出をしたというか、わかったということ、ここが非常に致命的なんですね。

 そうすると、何でこうなっちゃったのかということなんですが、それで、不思議なことがあります。二十日に開封した、でも通知をしたのは二十二日、間が二日あります。八日の場合は、開封したその日に通知をしております。この間ウイルスはどこにいたんでしょうか。つまり、LANの中で悪さをいっぱいしていたというふうに考えたらいいのか、古い、社保庁時代から引き継いできたシステムの中にいたのでそもそもNISCの管理の外だった、なので、ずっと出てきて初めて感知できた、そういうことなんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事案におきまして、NISCは、今委員御指摘の五月の八日それから五月の二十二日に、厚生労働省に設置をしましたセンサーによって不審な通信を検知し、厚生労働省に対してその旨を通知したところでございます。

 年金機構における標的型メールの開封のタイミングとNISCにおける検知のタイミングの因果関係、それから年金情報の流出のタイミングにつきましては、厚生労働省及び年金機構におけます情報システムについてのログの解析、あるいは、端末に残っております痕跡を解析いたしますいわゆるフォレンジック調査などが必要になってまいります。

 現在、NISCにおきましては、原因究明調査チームを設置し、調査を続けているところでございますけれども、今後さらに、厚生労働省あるいは機構から必要な資料等の提供を受けて、可能な限り速やかに究明できるよう努めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 今結論づけることはできないということを前提に伺っています。どのようなことが考えられるかということを聞いているんです。

 それから、二十三日、十九台のパソコンから大量発信ということ、これが情報が流出した瞬間なのかなというふうに考えるんですけれども、そうでなければ大量発信というのは何だろう、しかも、NISCが通知してもいないということを思うわけですよね。その点は、想像しても、あり得るなという程度でよろしいんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、ログの解析あるいは端末のフォレンジック調査が必要でございます。現時点で確たることは申し上げられませんけれども、攻撃者が情報システムの中に入った後どのような振る舞いをし、例えば他のパソコンにまで侵入をしていった、こうした経緯も十分に解析をした上で、その原因究明を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 実は、厚労委員会の理事会には、何度も何度もペーパーを私たちが要求して、改正をしていただいて、きのうの夜、一定の追加もして、このウイルスの日にちなどは確認をして書いたものであります。

 ですから、いろいろ捜査の状況で出せないものがあるということはわかっているんですが、しかし、その中でも、やはり全体の、政府にかかわる状況であるからこそ、我々自身も検証していかなければならないという中で、いろいろなことが出てきたということは非常に大事なことではないかなと思っているんですね。

 そこで、塩崎大臣に一言伺いたいんですが、この間も、委員会の中で理事長が発言する、例えば、二十九日にネットを遮断したとみんなには説明していたけれども、インターネットのメールは残っておりました、こういうことを一々、隣で聞いていて、初めて聞きましたということを大臣はおっしゃるんですね。本当にそれでいいんだろうかと。

 きょう整理している話なんかも、大臣はやはり同じ理解でよろしいんだろうかと。そこができないと、本当に、責任のとり方も、検証が終わってからコミットしますよという話ではまずいわけで、どのようにお考えですか。実際、認識は一致しているんでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほどのNISCの方からの御説明の中でも、どの時点でどうだというような御判断はまだできていないというふうに今感じるわけであります。

 私ども、先ほど理事長から説明したように、十五日で一旦、最初のウイルスについての対策はできたというふうに一応判断をした、その次にまたいろいろなことが起きてきているということなので、そうして見れば、先ほど先生からも、どの時点で大量に情報が流出したものだということを判断すべきかというようなこともお話がありましたけれども、我々としては、やはりなかなか特定はできませんし、警察が一番調べてくれているんだろうと思います。

 しかし、結果としてこれは個人情報が流出しているわけでありますから、やはり備えが十分ではなかったということは率直に認めなければいけないというふうに思うわけです。それぞれのときにそれぞれの手順書に沿った行動を、一部、上司に上げていないという決定的な問題があるにせよ、いろいろやってきたわけですけれども、それでは十分ではなかったということが今回わかったという認識でございます。

高橋(千)委員 チャンスは一回ではなかったということ、五月八日に遮断していれば一番よかった、それはもうわかり切ったことです。みんなが言っていることです。だけれども、大臣にお知らせが行くのは二十八日、三週間たっています。その間に何度でもチャンスは本当はあったんだということがきちんと明らかにならなければだめだと思うし、そういうことで反省をしていただきたいと思いますが、改めて確認をいたします。

塩崎国務大臣 やはり認識が、今までのいわゆるウイルスメール、単発のウイルスメールのような意識がまだまだ蔓延をしていて、今回のように標的型メールによる攻撃というような認識が欠けていたということについて、私たちは反省をせないかぬのではないかというふうに思うわけでありまして、そういうアタックはまだ続いているということも同時に心の中に入れながら、原因究明と今後の二度と同じようなことが起きない再発防止策を考えていかなければいけないというふうに思います。

高橋(千)委員 そこで、年金情報が漏れた中で、例えば、四情報が漏れた五万二千人のうち、なぜ栃木県が多いんだろうか、こういう議論がありました。そのときに、水島理事長は、これは参議院ですけれども、全体として応援する体制をとっていて、仕事がはかどったところに、応援する形なんだというふうに答弁をされていたわけです。

 それで、私は思い出したことがあるんですね。二〇〇七年の五月二十五日、厚労委員会で総理に対して行った質問、これは社保庁を解体して新しい機構をつくるときの議論ですけれども、私、こんなことを紹介しました。業務委託の関係で、年金記録データを神奈川から熊本まで空輸している、こういうことが実際にあると。

 つまり、今もそうですよね。別に栃木のデータを栃木でやっているわけじゃなくて、重要なデータがあちこちに持ち出されているのは実は日常茶飯事なんだと。今だって、社会保険オンラインシステムは閉鎖されているから大丈夫と言いますけれども、さっきから議論されているように、DVDでダウンロードして作業しているわけです。

 千人のコールセンターを始めました。派遣社員を急募しております。委託会社は、例えばもしもしダイヤル、これは電話した人が、あなた、年金機構の職員ですかと聞いたら、違います、もしもしダイヤルですと答えたそうです。この方たちは、年金機構発足時から受託している会社なんです。それは知っています。だけれども、中身は、今急募しているわけですから、新しい人がどんどんどんどん入ってやっている。

 その方たちがやっている作業が何かというと、基礎年金番号を言うと、パソコンにそれを入れて、すぐ画面にアラートが出て、あなたのは流出しているので後できちんと御連絡します、あなたのは大丈夫です、こういうことを言っているわけです。

 この体制が大丈夫と言っている根拠は、オンラインは閉鎖しているから、ダウンロードした記録は復元できないから大丈夫だ、守秘義務をかけているから大丈夫だと。

 塩崎大臣、本当にこれは大丈夫だと思っていますか。国民の信頼に応えるための機構だったはずなのに、セキュリティーという点で、ほとんど外部委託、再委託、こんな実態で、本当にまた新しい流出問題が起きないか、そういうことも含めて、大丈夫だと思っていますか。

水島参考人 いわゆる基幹業務に関しましては、コンピューターは外に対して閉じております。したがいまして、ここに対する、基幹システムに対するウイルスの攻撃というのはございませんし、基本的にはあり得ないというふうに考えております。

 いわゆる記録の確認に関しましては、そこでホストコンピューターを使ってやっておりますので、基本的には正しい情報によって行われているというふうに思っております。

高橋(千)委員 多分、それだけのことでは、見ている方は全く理解できないと思います。

 私が二〇〇七年に質問したのは、まさに記録を、最初、住基ネットの情報と年金番号あるいは国民健康保険の番号などを扱っているところもあったんですが、自治体がデータを委託した会社が派遣社員に再委託をして、そのデータを自宅に持ち帰ってパソコンで作業して、当時はウイルスで随分話題になったウィニーですね、これに感染をして流出しちゃった、そういう事件なんです。

 そういう事件があって、最初は愛媛ですよ、それから北秋田、その後もずっと続いたんです。こういうことがあって、やはり扱う情報の大事さからいっても再委託は許せないんじゃないかということを指摘して、当時の柳沢大臣が、それは絶対認めない、そういう経過があった問題なんです。

 結局同じことをやっているじゃないかということ、その反省がなければ、システムが閉じているから大丈夫ですと、だったらこんなに、さっき言ったように五百八万件もの不正なアクセスとかは絶対にありませんよ。今わかっていないだけかもしれないじゃないですか。そんなことはやはり言ってはいけないと思います。

 資料の最後を見ていただきたいんですが、これは、まさしく塩崎大臣が官房長官だったときに閣議決定をされた、当時、平成二十年七月二十九日の閣議決定ですが、新しい年金機構の基本計画であります。

 業務の外部委託推進についての基本的考え方と内容というのが書いてあるんですけれども、まず内容の方を見ていただきたいんですが、これはほとんど全部です、各種届け出、適用・徴収・給付、電話照会、事業所の方の適用業務、それから徴収業務、そしてコールセンターの相談業務、ありとあらゆるもの。それはなぜかというと、できるだけそれが望ましいというのが基本計画の中身だったと思います。

 その中で、どうしても職員でなければだめだという部分がありました。それは、差し押さえのような行政処分、それから年金裁定、初めて年金をもらうときの手続ですね、これはやはり職員がやるべきだということを言っていたんですが、この考え方のところにアンダーラインを引いています。行政処分である、権力性が高い業務であるなどとして、一律に外部委託を不可とするのではなく、検討しようと。つまり、全部民間でも構わないというところからスタートしたんです。

 消えた年金問題があって、国民の信頼をかち取ろうとしてスタートさせたはずなのに、今信頼が全然ないじゃないですか。やはり、とにかく効率化を図ればいい、外部委託をやればいい、今の職員の首を切ればいい、そういう発想から始まったことが今につながっていると言えませんか。

塩崎国務大臣 機構は、日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画、先ほどお話がありました平成二十年七月の閣議決定に基づいて、業務の効率化、コスト削減の見地というのが当時は大変重要であって、極めて非効率なことをやっている、コスト観念も薄いということから業務の外部委託を進めているものだというふうに思います。

 その事業所が個人情報の適正な管理ができる事業所として認められているかを必ず把握する、その上で委託先を選定しているものというふうに理解をしております。

 さらに、委託した業務については、その全てを一括して再委託することは禁止をしておって、また、再委託を行う場合にも、委託先事業者が負う義務と同様の義務を再委託の相手方に負わせるとともに、機構の事前承認というのを得るようにしていたというふうに理解をしております。

高橋(千)委員 それが完全に空文になっていないのか、そのことをきちんと調査して、ひとり、社保庁と同じだということで、真面目にやってきた人たちがただ責任を負わされるということがないように、もちろん、ずさんな対応をしたことは事実ですから、それと、もう機構を変えればいい、ただ解体すればいいという議論には絶対ならないはずだ、このことを指摘しておきたいと思います。

 そして、総理に伺いたいんですが、消えた年金問題のことがきょう随分話題になりました。最後の一人までとおっしゃったことや、一年でとおっしゃったこと、それを今言うのはなかなか厳しいと思います。ただ、そうではなくて、一番最初の初動において、やはり真摯な受けとめがなかったのではないか、こう思うんですね。

 二〇〇七年五月八日の衆議院本会議で、長妻議員が五千万件の未統合記録を指摘して、そして、全ての年金受給者、被保険者の方にお知らせをして突き合わせていただくべきではないか、こういう質問をいたしました。正直、私は、五千万件という数字に大変驚いて、そのような実態があったのかということで衝撃を受けました。その後の委員会、大変な混乱の中で頑張ってきたと思っているんですけれども。

 そのときの総理の答弁は、基本的な問題は解決している、全ての被保険者、年金受給者に対して納付記録を送付し点検をお願いすべきだという提案に対しては、大部分の記録が真正なものであるから非効率だ、そう否定しているんですね。そのときの議事録は資料の二枚目につけておきました。

 やはり、そこは真摯に受けとめて、初動から大変な危機感を持って取り組む、これがそのときの教訓だったのではないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 確かに、今、高橋委員が御指摘のように、初動について、しっかりと現状把握をしていくということにおいては、二〇〇七年の反省の上に立って、今回も謙虚に対応していかなければならない、こう考えているところでございます。

 二〇〇七年二月以降、さまざまな問題が明らかになり、年金記録問題検証委員会の設置、政府・与党における一連の措置の取りまとめなど、対応を重ねてきたところでございます。国民の皆様に御迷惑をおかけいたしましたが、一人でも多くの回復につながるように努めてきたところでございまして、そうした途上にあるにもかかわらず、国民の年金を守る立場にある機構で今回のような事態が起きたことは、極めて残念であるわけでございます。

 今回の事態は悪意のある不正アクセスが原因であり、年金の記録問題とは性質が異なるわけでございますが、初動対応の妥当性についても検証委員会においてしっかりと検証されるべきものである、このように思うわけでございまして、いずれにいたしましても、国民の年金を守るために、実態把握と二次被害の防止に全力で取り組んでいく考えでございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 次に、菅官房長官に伺いたいんですが、資料の三枚目、これは、当時、今度は総務大臣でいらっしゃいました。役者がそろっているわけですけれども、二〇〇七年の七月二十七日、年金業務・社会保険庁監視委員会から意見をいただいています。

 これは、この中身を見ますと、厚労省がひどいという話になるわけですけれども、五月の本会議があり、そして総理の今のような答弁があり、七月のこの監視委員会から言われたことは、五千万件の内容について精査が行われていない、厚労大臣に早急に行うよう要請せよということが求められていました。まさに第三者機関を持つ総務省としての対応が迫られたということだったと思うんですね。今回も似たようなことが今指摘をされております。

 そうした中で、官房長官は十一日の記者会見で、漏れた年金という表現はよくない、不安をあおるというふうなことをおっしゃっています。確かに漏れた年金という言葉は正確ではないかもしれません。だけれども、今言うべきことは、不安をあおるというか、大変な事態であることは間違いないんですから、政府を挙げてとにかく全容解明と再発防止策に取り組むということでやっていくのが、まさにここの出発点に、初動に立った官房長官の仕事ではないかなと思っておりますが、どうぞ一言お願いします。

菅国務大臣 今の発言は、大きな誤解に基づいての発言だというふうに思います。

 私は、この事案が発生をしてから、まさに、現状の把握と同時に、二次被害を絶対に防がなきゃならないということで対応してまいりました。

 その記者会見の内容は、私が参議院の内閣委員会で、国会答弁で、年金は漏れていないという発言をしたことは事実であります。それは、今回の不正アクセス事案について、民主党の蓮舫議員から、漏れた年金という発言があったんです。今回の事案は、年金そのものは漏れておらずに、漏れたのは、情報が漏れておるわけでありますので、国民に無用な不安や誤解を与えないように、委員会の場で、年金は漏れていませんという指摘をさせていただきました。そして、私の指摘に対して蓮舫議員は、失礼しましたと。その上で、年金は漏れていません、年金情報が漏れていますと発言されて、私の懸念を御理解いただいたものというふうに思っています。

 今回の不正事案については、さまざまな問題があって、このために第三者の検証委員会が今行われておりますので、ここで徹底をして事案発生から今日に至るまでのことを検証すべきものだというふうに思います。

高橋(千)委員 ということで、きょうのパネルを出した方たちは、漏れた年金情報ということを、訂正をして出していられた。そのことは承知をしています。

 ですから、言葉は確かに正確ではないかもしれないけれども、肝心なのは、不安をあおるとか、そういうことではない、それだけの事態を受けとめてくれということを言いたかっただけであります。

 総務大臣が所管をしていた第三者機関、それは今なくなったわけでありますから、徹底した調査と今おっしゃいましたけれども、本当にそれが、残念ながら厚労省の中ということに対して我々は意見がありますが、そうしたことも、全体の、官房長官として役割を果たしていただきたいということを、期待を込めて訴えたいと思います。

 次に、マイナンバーが十月五日から施行されると聞いています。これは来年一月から運用開始されるわけですが、十月には通知カードが、十二桁の番号が来るわけですね。多分、そのこと自体に驚く人もいるのではないのかなと思っているんですけれども。

 私が思ったのは、「社会保障、税、災害対策の行政手続でマイナンバーが必要になります。」手続で必要になります。今までは住基カードというものがございました。これは、有効発行枚数はまだ七百十万枚だそうです。必ず使わなくてもいいものですので、まだ五・五%しか使われていなくて、認知度も低いんです。それでも、免許証の成り済まし被害など、不正事案は、二〇一〇年は九十七件、二〇一一年は五十四件という形で、少し減ってはいるけれども発生している。普及率が低いにもかかわらず発生している状態。その中で、このマイナンバーを本当に今、黙って始めちゃっていいのかなということなんですね。

 先ほど小川委員が紹介したものとたまたま、これ一枚が同じものなんですけれども、非常に広い範囲である。これは、手続にマイナンバーが必要、最初から使うので、本人同意が要らない、その中で、使われる範囲がこれほど大きいわけです。奨学金を申請するにもマイナンバーを使います。児童手当を申請するにも使います。そういう形で、さまざまな分野に使われるということになるわけですね。

 そこで、さっき、データがどのくらいあるのかとか、どのくらいの主体があるのかということで質問があって、お答えがありましたので、ダブるので、資料を先に見ていただきたい。

 資料の六枚目。書いておきました。今、一旦保留をしている年金分野、公的年金加入者数は六千三百四十六万人です。雇用保険被保険者数は三千九百五十万人、医療保険被保険者数は九千二百八十三万人、そして税金、確定申告の数は二千百四十三万人。これだけの大きなデータとそれぞれ結びつけることになるわけですね。

 これが本当に始まって、年金だけは一旦待つけれども、十月には来ちゃう。これは本当に一旦待たなくていいんでしょうか、甘利大臣。

甘利国務大臣 日本は、マイナンバーを導入するということに関して言えば、先進国の中では後発部隊です。ほとんどの国ではもう既に実行しているわけです。後発部隊ですと、先発部隊がどういう問題に悩んでいたかということが検証できるわけです。大きく分けると、芋づる検索をされてしまう、それから成り済ましが発生した。

 ですから、芋づるにならないように、それぞれの情報を扱う機関ごとに分離管理をしていて、そしてその情報機関間のやりとりというのは専用回線で暗号化して行うということで、先発部隊の問題を克服して導入していく。

 それから、成り済ましに関しましては、番号あるいは紙だけで本人確認をする。これは、マイナンバーカード、個人番号カードには写真が入っているし、ICチップが入っていて、そこには電子キーが入っていて、それに自分自身が知っているパスワードと合わせないとキーが動かないわけです。そうやって成り済ましを防止していくということをとっております。

 世界のほとんどの国が導入している、その中で何が問題かを検証しながらしっかり対処してきたつもりでありますし、これからもセキュリティーには万全を期したいと思います。

 それから、今の年金の御指摘でありますけれども、これは原因究明と対策、防止策ということを今厚労大臣を中心に取り組んでいっていただいています。その経過を見ながら、予定どおり導入するのか、若干ずらした方がいいのか、それはその検証結果によるものと思っております。

高橋(千)委員 ということは、検証結果を見ながらということなので、そのままやるということも含まれるという意味ですよね。そういうことですよね。検証結果を見ながらということは、マイナンバーと全く同じく年金も始めることもあり得るとおっしゃったんですか、今。

甘利国務大臣 原因を究明して対策をしっかり打つということが確認されれば、それは予定どおりに導入ができるんだというふうに思っております。

高橋(千)委員 やはり、極めて重大な問題だと思うんですよね。予定に合わせちゃだめなんですよ。検証に時間がかかるとさっき一生懸命答弁していたじゃないですか。だけれども、マイナンバーと同時スタートしたいから、無理やりやって、本当に具体的に中身はわかるんでしょうか。それは本当に待った方がいいと思います。

 甘利大臣には、私、二〇一三年の四月に内閣委員会との連合審査で質問させていただきました。そのとき私が指摘したのは、法案の原案のときは五年後の見直しと書いてあったものが、三年後の見直しと出されたんですよね。そのときの大臣の答弁は、三年たったらやりますということではないんですね、三年の間に積み上げた知見をもとに議論してください、その結果、この分野は拡大すべきというところは拡大すると答えていらっしゃるんです。

 今言ったように、マイナンバーとしては世界にちょっとおくれているよ、でもそれを検証しながらやっていくんだと言っておきながら、三年間で知見を積み重ねていきますと言っておきながら、三年間どころか、まだ施行もされていないのに、今、対象を拡大する法案を審議している、採決の一歩手前まで行っている。これはどういうことなんでしょうか。

甘利国務大臣 誤解ないように御理解いただきたいんですが、最初は行政の枠内、つまり、税、社会保障、災害対策、その枠内に関連しているところでの追加をやっているわけであります。

 あくまでも、民間利用については、行政分野でやりとりをしていって、その中から得られた知見をしっかり習得して、それで、私は、個人的にはこれは民間に対応していった方が、まさにデジタル社会、IT社会の中での重要なインフラですからね。高速道路はつくりました、誰も使わない方がいいですといったらつくるだけ無駄でありますから、大いに活用してもらいたいと思います。

 ただ、しっかり安全を確保できるような検証をしつつ、民間のどこに対象を広げられるか、それは行政の枠内で得られた知見をもとに、よりよい手法を検討するということだと思います。

高橋(千)委員 しかし、施行前にもう法案を改正しているということには答えていないと思うんです。今の民間の分野は、二〇一九年にはこのカードのICチップの空き領域の中でどれだけ拡大できるかを検討を始めると、もう工程表が書いてあります。

 総理に伺いますが、消えた年金問題を契機に、この社会保障統一番号制度をつくりたいということを総理がおっしゃったんですね。簡単で便利な仕組み、確かな仕組みをつくっていくことをお約束申し上げる、こういうふうに七月の記者会見で言っていました。本当にそうでしょうか。簡単で便利、だけれども大変にリスクが大きい、これは一つ一つ見ていかなければならないのではないでしょうか。そういう総理のお考えを伺いたい。

 二つ目の質問もあわせて伺います。

 医療との関係について、安倍内閣は、医療は成長分野、健康産業としても重視されてきました。最も機微な情報を大量に抱えています。どこまで活用を考えていらっしゃるんですか。

河村委員長 時間が来ております。簡潔に。

安倍内閣総理大臣 あわせてお答えをいたします。

 御指摘の会見においては、年金手帳や健康保険証、介護保険証の役割を社会保障カードに一元化し、簡単で便利な仕組み、確かな仕組みをつくっていくということを申し上げたものでありまして、偽造や不正使用が難しく安全性の高いICカードを用いることによって、個人情報保護に万全を期すことを想定しておりました。

 そして、マイナンバー制度の個人番号カードについては、健康保険証も含め官民さまざまな用途で活用できる利便性を秘めており、国民生活の重要な基盤になるものでありまして、この個人番号カードについても、ICカードであり、社会保障などに関するみずからの情報の閲覧に利用されるものであることから、個人情報の保護に万全を期すこととしております。

 そして、両者は国民生活にとって便利な仕組み、そして重要な基盤となるものであり、また他方、個人情報の保護に万全を期すべきものという点において、基本的には同じ考えによるものであります。

 そこで、医療につきましては、医療分野は成長分野として期待をしており、ICTを利用して医療連携や研究開発を推進することは、いわば国民の健康の増進の上においても重要であると思っております。

 一方で、診療や投薬の履歴などの診療情報は本人にとって人に知られたくないという情報であることも事実でありまして、これらを踏まえて、今後、個人番号カードに健康保険証の機能を持たせることや、あるいは医療連携や医学研究に利用可能な番号を導入することについて、マイナンバー制度のインフラも活用しつつ、医療情報の機微性に配慮してセキュリティーを確保し、安全性と効率性、利便性の両面が確保された仕組みとなるように検討していく考えであります。

高橋(千)委員 時間なので終わります。

河村委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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