衆議院

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第22号 平成27年11月10日(火曜日)

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平成二十七年十一月十日(火曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 河村 建夫君

   理事 越智 隆雄君 理事 金田 勝年君

   理事 薗浦健太郎君 理事 原田 義昭君

   理事 平沢 勝栄君 理事 御法川信英君

   理事 前原 誠司君 理事 今井 雅人君

   理事 上田  勇君

      あかま二郎君    秋元  司君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      池田 佳隆君    石崎  徹君

      石原 宏高君    稲田 朋美君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      大塚 高司君    大西 英男君

      岡下 昌平君    金子 一義君

      金子めぐみ君    神田 憲次君

      小池百合子君    小林 鷹之君

      斎藤 洋明君    鈴木 俊一君

      長坂 康正君    根本  匠君

      野田  毅君    古屋 圭司君

      宮崎 謙介君    村井 英樹君

      保岡 興治君    山下 貴司君

      山本 幸三君    山本 有二君

      小川 淳也君    緒方林太郎君

      岡田 克也君    奥野総一郎君

      岸本 周平君    後藤 祐一君

      階   猛君    鈴木 貴子君

      玉木雄一郎君    辻元 清美君

      宮崎 岳志君    本村賢太郎君

      山井 和則君    柚木 道義君

      井坂 信彦君    落合 貴之君

      篠原  豪君   松木けんこう君

      松野 頼久君    横山 博幸君

      石田 祝稔君    岡本 三成君

      中野 洋昌君    樋口 尚也君

      赤嶺 政賢君    高橋千鶴子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   外務大臣         岸田 文雄君

   文部科学大臣       馳   浩君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       森山  裕君

   経済産業大臣       林  幹雄君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       高木  毅君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 島尻安伊子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (一億総活躍担当)

   (少子化対策担当)    加藤 勝信君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       遠藤 利明君

   財務副大臣        坂井  学君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   森本 浩一君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    金杉 憲治君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下部 聡君

   政府参考人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月七日

 辞任         補欠選任

  萩生田光一君     大塚 高司君

  森山  裕君     御法川信英君

同月九日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     越智 隆雄君

  田所 嘉徳君     小此木八郎君

  土井  亨君     松野 博一君

  平口  洋君     薗浦健太郎君

  星野 剛士君     佐藤  勉君

同月二十三日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     あかま二郎君

  佐藤  勉君     伊藤 忠彦君

  松野 博一君     井上 貴博君

十一月十日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     石崎  徹君

  井上 貴博君     稲田 朋美君

  岩屋  毅君     斎藤 洋明君

  衛藤征士郎君     大西 英男君

  小倉 將信君     岡下 昌平君

  小田原 潔君     池田 佳隆君

  山下 貴司君     村井 英樹君

  山本 幸三君     神田 憲次君

  小川 淳也君     岡田 克也君

  岸本 周平君     柚木 道義君

  後藤 祐一君     緒方林太郎君

  階   猛君     玉木雄一郎君

  馬淵 澄夫君     奥野総一郎君

  重徳 和彦君     篠原  豪君

  松木けんこう君    松野 頼久君

  松浪 健太君     落合 貴之君

  中野 洋昌君     石田 祝稔君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     小田原 潔君

  石崎  徹君     秋元  司君

  稲田 朋美君     井上 貴博君

  大西 英男君     衛藤征士郎君

  岡下 昌平君     小倉 將信君

  神田 憲次君     山本 幸三君

  斎藤 洋明君     岩屋  毅君

  村井 英樹君     山下 貴司君

  緒方林太郎君     後藤 祐一君

  岡田 克也君     小川 淳也君

  奥野総一郎君     本村賢太郎君

  玉木雄一郎君     階   猛君

  柚木 道義君     岸本 周平君

  落合 貴之君     高井 崇志君

  松野 頼久君     横山 博幸君

  石田 祝稔君     中野 洋昌君

同日

 辞任         補欠選任

  本村賢太郎君     鈴木 貴子君

  横山 博幸君     松木けんこう君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     宮崎 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  宮崎 岳志君     馬淵 澄夫君

同日

 理事萩生田光一君及び森山裕君十月七日委員辞任につき、その補欠として越智隆雄君及び御法川信英君が理事に当選した。

同日

 理事平口洋君十月九日委員辞任につき、その補欠として薗浦健太郎君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

九月二十五日

 一、予算の実施状況に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(TPP等)


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     ――――◇―――――

河村委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が三名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に

      越智 隆雄君    薗浦健太郎君

   及び 御法川信英君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

河村委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、TPP等についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣法制局長官横畠裕介君、内閣府政策統括官森本浩一君、外務省経済局長金杉憲治君、資源エネルギー庁長官日下部聡君、原子力規制委員会委員長田中俊一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲田朋美君。

稲田委員 おはようございます。自由民主党の稲田朋美です。

 さきの国会から内閣改造も経ました。総理及び各大臣におかれましては、国民の皆様方にしっかりと説明責任を果たしていただきたいと存じます。きょう、あすの審議を真に充実したものにすることによって、国権の最高機関たる国会の責務を果たしてまいりたいと思います。

 冒頭、総理にお伺いいたします。

 三年半ぶりに日中韓首脳会談が実現をいたしました。その意義と成果、さらには総理が考えておられる中国、韓国との今後の関係、そしてアジア太平洋地域における日本の役割についてお尋ねいたします。

安倍内閣総理大臣 日中韓三カ国、そして特に首脳は、地域の平和と繁栄に大きな責任を共有しているわけであります。だからこそ、三首脳が顔を合わせて、地域のさまざまな課題について国民の前で、地域の方々の前で、国際社会の前でしっかりと議論していくこと自体が大変意義あることであります。その観点から日本は早期開催をずっと重視してきたところでございますが、今般、三年半ぶりに開催できたことを本当によかったと思っております。

 このサミットにおいては、日中韓の三カ国による協力がまず完全に回復をされたということであります。そして、日中韓サミットの定期開催を確認できた、さらには来年日本が議長を引き継ぐことに合意をしたということなど、大きな成果があったと考えています。

 朴槿恵大統領そして李克強首相とは、経済、環境、防災、文化、人的交流など、さまざまな幅広い分野における三カ国の協力について議論を行いました。同時に、北朝鮮を初めとする地域や国際社会が直面する重要な課題について率直に意見を交換することができたわけでございまして、大変有意義であったと思っております。

 今後についてでございますが、私は、かねてから、中国、韓国、それぞれ隣国でございます。しかし同時に、隣国であるがゆえにさまざまな困難な問題がある。しかし、困難な問題があるからこそ、首脳間において、首脳同士が胸襟を開いて話し合っていくことが必要であり、話し合わなければお互いの考え方を理解できないわけであります。

 前提条件をつけずに話し合いを行うべき、それぞれの首脳会談を行うべきであり、またこのサミットを行うべきだというかねてからの私の主張が今回認められた、このように思っている次第でございまして、今後とも率直な意見交換を通じて関係を改善させていきたい、このように思っておりますし、来年日本が主催するサミットを実り多いものとしていきたい、そしてアジア太平洋地域の平和と繁栄に一層貢献していきたいと考えております。

稲田委員 前提なくこの首脳会談が成立をしたことは、大変意義のあることだと思います。また、アジアの平和と安定が世界の平和と安定へ、アジアの経済の繁栄が世界の経済の繁栄につながる、その意味で、日中韓の役割は非常に責任の重いものだと思っております。

 今後も、安倍総理のもとで日本の役割をしっかりと果たしていただきたいと思います。

 さて、TPPですが、私は、このTPPも国家戦略そしてまた外交戦略の中で位置づけられるべきものだと思っております。

 先日、北海道の長沼でTPPに関する意見交換会を行いましたが、その中でも、TPPの意義をもっと発信すべきであるという意見がありました。

 そもそも、TPPが初めて出てきたのは、二〇一〇年、時の政権は民主党、総理は菅総理。横浜のAPECの首脳会談で、菅総理が突如このTPP参加表明に前向きの発言をされたのです。しかしながら、その後、民主党政権は、交渉の決断も準備もできないまま時間を費やすこととなりました。

 我が党では、反対意見が多く出ました。私もその一人でした。それは、TPPという、多岐にわたる、国益にかかわる論点を多く含む交渉において、何を基準に国益を守るのか、守るべきものは何なのかが一切示されない状態だったからであります。

 私は、国家戦略にかかわる大事な話が無責任に放置され、何が国益であるかという基準もなしに大変難しい交渉に前のめりに入っていくということは大変危険だという観点から、当時の民主党政権のTPP参加前のめりの姿勢に反対の論陣を張ったわけです。

 そして、野党自民党において、TPPで守るべき基準を示し、政権奪還の政権公約で、聖域なき関税撤廃を前提とするTPP交渉には反対を掲げて政権を取り戻したところです。

 二〇一二年末に自公が政権復帰し、安倍政権がスタートして以来、米国との事前調整、そして国内の体制整備を粘り強く積み重ね、聖域なき関税撤廃を前提としないということを確認した上、二〇一三年七月に正式に交渉が開始されることとなりました。

 交渉開始以降、TPPに関する極端な誤解が消え行くにつれて参加支持する世論は強くなり、現在では六割の国民が参加支持すると言われています。

 総理にお伺いをいたします。平和安全法制の成立による日米安保の強化とTPPの合意による経済連携が相乗効果を持ってアジア太平洋地域の安定と繁栄につながると思います。いかなる国家戦略、そして国家ビジョンに基づいてTPPを進めてこられたのか、お尋ねいたします。

安倍内閣総理大臣 まず、このTPPの意義でありますが、TPP協定は、アジア太平洋地域に自由や民主主義や基本的人権そして法の支配、こうした価値を共有する国々とともに二十一世紀にふさわしい新たな経済のルールをつくって、人口八億人、世界経済の四割近くを占める広大な経済圏を生み出し、その中で私たちもしっかりと経済的な利益を享受していく、新たな価値がしっかりと評価されていく、そういう経済圏をつくっていきたい、こう考えています。

 新たなルールは、恣意的で不透明な政府の介入を排除し、透明性の高い秩序のもとで自由で公正な競争を促進する、そして、サービスから知的財産に至るまで幅広い分野でオリジナリティーがしっかりと守られ、品質の高さが正しく評価されることを確保していきます。まさに日本は品質の高さで勝負をしているわけでありますから、それがしっかりと守られ、正しく評価されるという大きな経済圏をつくっていくことになります。そして、イノベーションを活発にし、高い経済価値を生み出す力を発揮させるわけであります。これは、日本のみならず、アジア太平洋地域全体にとって成長戦略そのものであろうと思います。

 そしてまた、TPPは、ルールに従うコミットメントがあれば後からでも参加することはできます。TPPが大筋合意されて以来、各国が参加に関心を示しています。TPPは、各国の経済改革の目標となり、法の支配が及ぶ領域を拡大させる力を持っている、このように思います。

 基本的価値を共有する国々と経済的相互依存関係を深めて、その輪をさらに広げていくことが我が国の安全保障にとっても極めて重要であろう、このように思います。先般、平和安全法制も整備されたわけであります。安全保障における、まさに日本と地域の安全を確保すると同時に、経済圏においてもルールが守られる経済圏をつくることによって、これは、安全保障上においても、そして経済においても大きな枠組みをつくることができた、このように思っております。

稲田委員 TPPに対する賛否は、今総理がおっしゃったような基本的な国家戦略と深くかかわっていると思います。TPPに反対する多くの人々の考え方の根っこには、日米同盟維持への反対や、日米中の等距離関係へのシフトやグローバリゼーションという大きな流れからの孤立志向があります。国民の皆様には、その根っこの部分をよく見きわめていただきたいと思います。

 一方で、TPPに懸念や不安を抱いておられるのが農家の方々です。

 農業は国の基です。お米は日本人の主食、稲作は日本の文化の原点、そして水田は日本の美の象徴です。日本の農業を守ることが国を守ること、そして日本の農業を強くすることが安全保障であると信じて、農業政策に携わってきました。

 重要なことは、食料自給力を向上させることです。なぜなら、自国民を飢えさせてまで他国に食料を輸出する国はないからです。と同時に、TPPをてこに、日本が誇るおいしい、そして安全な農作物を世界に輸出していく戦略が必要だと思います。

 今回の大筋合意では、お米を初めとする重要品目について、関税撤廃の例外をしっかりと確保しています。TPPに関する国会決議があったからこそ、ここまで例外をかち取ることができたのだと思います。

 一方で、TPPは日本の農業にとってどのような影響があるのかわからないと農家の方々は不安に思っておられます。地元福井でも、また先ほどの北海道での意見交換でも、農家の将来が見えない、先がどうなるのかという不安を訴えておられました。

 農業人口は現在二百万人、その平均年齢は六十六歳を迎えています。攻めの農業に転換するため、改革を進めて日本の農業を強くする必要があります。さきの国会で成立した農協改革、これは六十年ぶりの農協改革ですが、それにより農業者や地域農協に強くなっていただいて、農業所得の増大に向けて取り組むことができるように制度を改正いたしました。

 守るために改革は必要だと思っています。総理は、TPPはピンチではなくチャンスに変えるとおっしゃっておられます。TPPと農協改革、まさに外からの改革と内からの改革、これらはどのように日本の農業の将来を示すものなのか。総理の考えておられるTPPが発効した後の農業の姿についてお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 今、稲田委員が言われたように、まさに農業は国の基であろうと思っております。委員の地元の福井県も私の地元の山口県も、日本海側の美しい田園風景を持っているわけであります。大体農地は山間にあるわけでありまして、そこで美しい田園風景を守り、地域の社会を、そして文化や伝統を守ってきたわけでありまして、こうした日本の美しい田園風景やそこで培われてきた日本の国柄はしっかりと守っていかなければならない。

 しかし、同時に、農業人口の平均年齢は既に六十六歳を超えています。このままでは大切な国柄、そして田園風景も守っていくことができないわけでありまして、このTPPを大きなチャンスにしなければならない、こう思っているところであります。

 農業の活性化は待ったなしの課題でありまして、安倍内閣では、農地集積バンクの創設、輸出促進や六次産業化の推進、そしてさきの通常国会における六十年ぶりの農協改革など、農政全般にわたる抜本的な改革を進めてまいりました。これによって、意欲ある担い手が地域農協とともに力を合わせて創意工夫を発揮して、地域ブランドの確立や海外展開など自由な経済活動を行うことによって、農業者の所得向上に全力投球できるようにしていくことを目指しています。

 そして、今般のTPPでありますが、TPPの発効においては、多くの農産物にかけられていた関税がなくなるわけであります。これは、こちら側もそうでありますが、相手国もそうであるということを忘れてはならない、これも大きなポイントであります。

 日本が世界に誇るおいしくて安全な農作物をこしらえる農家の皆さんの手間暇も真っ当に評価をされることになります。世界のマーケットは広がっていくわけであり、先ほど申し上げました日本の質の高い農産物がしっかりと評価される、自由で、かつしっかりとルールのあるマーケットができますから、そこに日本の農家の皆さんが一生懸命精魂込めてつくった農作物をしっかりとした価格で、我々政府も支援しながら、輸出を進めていきたい、このように思います。

 一方で、TPPについては大きな不安を感じておられる農業者もおられることと思います。私たちは、不安に寄り添いながら、政府全体で万全の対策を取りまとめ、実行してまいります。これによって、農業を成長産業化させ、若者がみずからの情熱で新たな地平を切り開いていける、そういう夢のある分野にしていきたい、こう考えております。

稲田委員 日本の農業を強くする、攻めの農業に転じていく、待ったなしだと思います。

 一方で、総理もおっしゃった、不安を抱えている農家の方々に情報提供し、支援策を講じていくということは必要だろうと思います。

 森山農水大臣にお伺いをいたしますが、農林水産業に係る対策について、どのようにして農業の再生産を確保し、自給力向上につなげていくのか、その対策についてお伺いいたします。

森山国務大臣 ただいま総理からもお答えがありましたように、現場に不安があることはよく承知をしております。その不安に寄り添って、しっかりとした国内対策を立てさせていただいて、再生産ができるようにさせていただきたいというふうに思っております。

 先生御承知のとおり、TPP総合対策本部で、強くて豊かな農林水産業、美しく活力ある農山漁村づくりに向けた体質強化策と重要品目対策等を講じることとされておりますので、この線に沿いまして、農林水産省のTPP対策本部においても、政府の対策本部と連携しながら、国内の対策を検討しているところであります。

 具体的な基本方針に沿いまして、一つは、担い手の育成をどうしていくのか、確保をどう図っていくのかということが再生産には大変大事なことだと思っております。

 また、農地の集積、集約化というのも大事なことでございまして、中間管理機構を含めて、さらに充実をさせていくということが大事な視点であろうと思います。

 また、六次産業化など、農林水産物をどう付加価値化していくかということも大事な視点でございますので、そのことも具体的な対策を立てさせていただくということが大事だと思います。

 また、TPPを生かしまして、国産の農林水産物、食品の輸出促進といった農林水産業の体質強化をさらに強めていくということが大事なことだと思っておりますし、ミラノの万博を含めて、かなりいい傾向にありますので、さらにその努力をさせていただきたいと思っております。

 また、重要五品目等につきましては、品目ごとの合意内容に応じた適切な措置を検討していくということが大事ではないかなというふうに思っておりまして、今後、交渉で獲得した措置とあわせて、政府と一体となって万全の措置を講ずることにより、TPPによる新たな国際環境のもとでも強くて豊かな農林水産業、美しく活力ある農山漁村をつくり上げ、これを通じて食料の自給力の維持向上にもつなげていくことができるのではないかというふうに考えておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

稲田委員 我が党においても、現地のキャラバン隊を含め、現地の意見、農業者の方々の意見をよく聞いて対策をまとめているところですが、金額ありきではなくて、真に日本の農業が強くなる対策をお願いいたします。

 次に、TPPの通商戦略上の意味合いについてお伺いをいたします。

 TPPの大筋合意ができたことで、他の経済連携協定の実現も加速させつつあります。先日の日中韓首脳会談で、総理は、日中韓三カ国のFTA交渉について、加速に向け一層努力することを確認されました。ASEANに日中韓、オーストラリア、ニュージーランド、インドが参加するRCEP、東アジア地域包括的経済連携協定も交渉の加速化が期待されます。

 TPPは、アジア太平洋地域での複数のメガFTAの共通基盤をつくっていくアンカー役を果たすのではないかと思います。TPPがメガFTAの先頭を切って合意されたことがいかなる意味を持つのか、また、アジア太平洋の安定的な発展のためにTPPがどのような役割を果たすのか、岸田大臣にお伺いいたします。

岸田国務大臣 まず、TPPがメガFTAの先頭を切って合意されたことの意味について御質問いただきました。

 メガFTAと称される経済連携ですが、TPP以外にも、日本とEUの間で協議が進んでいます日・EU・EPA、そして米国とEUの間で協議が進んでおりますTTIPという経済連携、これとTPPを合わせて三大メガFTAと言われています。あわせて、御指摘のRCEP、東アジアのRCEPもメガFTAと言われています。

 こうしたメガFTAの先陣を切ってTPPが大筋合意されたこと、このことは、他のメガFTA交渉を刺激し加速化する、こうした効果がありますし、また、我が国としましても、現在、TPPそして日中韓FTAを初め八つの経済連携を同時並行的に交渉を進めています。こうした交渉にも刺激を与え、ダイナミズムを与え、そして交渉を加速化させる、こうした効果があると思います。

 そして、TPPの先には、FTAAP、アジア太平洋自由貿易圏構想というものがあります。このFTAAP構想におけるたたき台、基礎となるのもTPPであると考えています。

 こうしたTPPの意味を申し上げた上で、TPPは、アジア太平洋地域の安定的な発展ということに対しましても、新たな自由な公正な国際経済システムをつくるという意味において、経済における法の支配をこの地域に徹底させる、こういった意味があります。こういった意味合いからも、この地域の持続的な、そして安定的な発展にも資する、こういった意味合いもあるのではないかと考えております。

稲田委員 今大臣がおっしゃったように、TPPは、二十一世紀の世界経済の市場ルールをつくっていく歴史的な一手になり得るものだと思います。その意味で、新たな国際ルールをつくっていく、知的財産をどう守るか、コンビニなどの非製造業に対する市場開放、ビジネスマンのビザ発給の簡素化、ネットを通じた商取引に対する規制の統一化、海外投資の権益の保護のあり方、労働規制、環境規制の調和など、さまざまな課題があります。TPPは、そういった幅広い課題についてのルールが盛り込まれております。

 甘利大臣にお伺いいたします。

 政府はTPPは成長戦略の切り札であるとおっしゃっておられますが、いかなる意味で成長の切り札なのか、我が国の貿易や経済にもたらすマクロのインパクトについてどのように把握されているのか、お伺いいたします。

甘利国務大臣 TPPは、御案内のとおり、世界最大規模の経済連携です。NAFTAやEUを超えて、世界経済の約四割が参加をします。三千百兆円であります。

 規模が非常に大きいということと、それから、質が全く違うということがあります。物品の市場アクセスだけではなくて、お話しのように、サービス、投資の自由化、知財、電子商取引、新しい商取引形態にも対応する。そして、途上国も入っていますけれども、国有企業の規律のあり方に踏み込んでおります。それから、労働、環境の規律など。つまり、TPPがつくっていくルールというのが世界基準になる。少なくともそのたたき台になっていくわけですね。

 ですから、TPPは、拡大するTPPであるということと質が違うという点で、今までと違います。もう既にウエーティングサークルには数カ国の地域や国が、自分たちも入れてほしいと強い関心を示しています。拡大をしています。質が違う。

 新しいルールができる。例えばある国に投資をした際に技術移転を迫られたり、あるいはソースコードを開示せよとか、虎の子を開放しなきゃならないみたいな事態、あるいはローカルコンテンツを強要されたり、何割は輸出しろ、でないとあなたに与えた特典は剥奪するみたいなパフォーマンス要求があって非常に困っている企業があります。

 しかし、TPPでは投資のルールで、そういうパフォーマンス要求はしてはいけない、しないということにサインしない限り入ってこられないというようなルールになっています。ですから、投資の予見性も高まる。価値観を共有する国々が透明性の高いルールをつくって、それを共有していくわけなんですね。

 そういう意味で、まさに今までにないくらいの画期的な量と質があります。

 それから、先ほど来言われていますけれども、チェーンリアクションという話があります。チェーンリアクションというのは連鎖反応です。TPPが、世界最大規模のものが大筋合意できた、質の高いものができた、そうすると、ほかの経済連携がうかうかしていられないという思いになるんですね。日中韓が急に進み出したというのも、そういう影響がゼロではないと思います。

 そして、日・EUは、今までEU側は、ああ、自分たちには余り得はないなというところはあるんですよ。あるんですけれども、物品の市場アクセスだけを見ていてそういう感覚を持っている。

 しかし、もっと幅広いルールになる。しかも、アジア太平洋というのはこれからの成長センターです。中間層が分厚くなっていく。中間層が分厚くなる成長センターにアクセスしないといけないという焦りが当然出てきますから、ほかの経済連携を動かすというチェーンリアクションの役割も果たしている。

 そういう意味で、極めて大きな、日本のみならず、アジア太平洋、ひいては世界の成長の切り札になっていくと思います。

稲田委員 TPPがグローバル経済の中にある大企業にとって非常に大きな利益であるということはよくわかります。ただ、九九%の地方の中小企業に、まだ輸出をしている企業が多いとは言えない地方の中小企業にとってどうメリットがあるかということです。

 しかし、地方の中小企業でも多くの新しいチャレンジが生まれています。例えば、党の政調で視察をした山形のスパイバー社では、合成クモの糸繊維を製造している。また、「下町ロケット2」のモデルになっている福井経編という会社では、糸から心臓の修復パッチをつくっております。さらには、総理が御視察いただいた鯖江の眼鏡のチタンの製造技術をほかの刃物の技術と組むことによって、医療分野進出という内発型のイノベーションが芽生えつつあるわけです。

 TPPは、こうした新たな挑戦をしている地方の中核企業、中小企業を後押しするものでなければならないと思います。

 林大臣にお伺いをいたしますが、TPPのメリットを最大限に地方の中小企業、中核企業に及ぼしていく支援策について、どのようなことを考えておられるでしょうか。

林国務大臣 総理並びに甘利大臣からいろいろ答弁がございましたけれども、TPPは、世界のGDPの四割、そして日本からの輸出の三割を占める経済圏におきまして、日本から輸出する工業製品の九九・九%の関税が撤廃されるだけではありませんで、先ほどからお話ししているように、投資、サービスの自由化云々、加えまして原産地規則における累積ルールが導入されるなど、幅広い分野で二十一世紀のルールを構築するというものでございます。

 我が国の中堅・中小企業は製造業全体の七五%を担っておるわけでございますが、これら自体の輸出拡大のみならず、大企業の輸出拡大を通じても、中堅・中小企業の事業に大きなメリットがあるものと考えております。

 御指摘の、中堅・中小企業がTPPのメリットを最大限活用し事業が発展できるよう、まずはその活用策を含めて幅広く丁寧に説明を行うことが大事だと思っておりまして、経産省といたしましても、地方産業局、ジェトロ、中小機構の各拠点を合わせて六十五カ所において相談窓口を設置したところでございます。さらに、TPPを活用して事業を発展させようとする中堅・中小企業に対しましては、製造業のみならず、サービス業あるいは農商工連携なども含めて、企業の実態に応じてきめ細かく、そして総合的な支援を行うことが重要であるというふうに考えているところでございます。

 政府としては、TPP総合対策本部のもとで政策大綱を策定することとしておりますけれども、経産省としても、TPP対策推進本部を設置しまして、こうした支援策についてしっかりと対策を取りまとめてまいります。

稲田委員 物づくりやすばらしい技術を持った地方の中小企業の再生なくして日本の経済の再生はありません。しっかりと支援策をお願いいたします。

 次に、甘利大臣に再協議の規定についてお伺いをいたします。

 米国、オーストラリアなど五カ国から要請があれば、TPPの発効から七年後に、幅広い品目の関税撤廃や引き下げ、セーフガード措置について再協議を行うことを認める規定が設けられたと報じられています。このような再協議により、今回合意された農産品関税の交渉結果をさらに深掘りされるのではないか、せっかく関税撤廃から守られた品目について見直しが認められるのではないかとの不安もあります。事実関係はいかがでしょう。

 また、米国議会ではTPPに対する不満の声が出ていると言われています。アメリカから不満の声が出るということは、それほど日本が交渉で国益を守ったということだと思いますけれども、その懸念についてどうお答えになるでしょうか。甘利大臣にお伺いをいたします。

甘利国務大臣 七年たったら、それぞれの国から申し出があって、相手と協議が調えば仕切り直しができるという項目、これはどの通商協定にも定番で入ってくるものなんです。

 直近の日豪のEPAでも、何年かたった後にお互いの国どちらかが言い出したら協議をすると。協議が調わなければ仕切り直しは成らないんですけれどもね。

 ここで大事なことは、成立をして発効してからそういう規定があるというのは契約の定番みたいな話です。必ずこういう項目が入ってくる。ところが、発効する前に仕切り直しということは、またこれは全然別の話なんですね。

 発効の後の規定の中に七年というのは、関税が撤廃をされる、あるいはセーフガードをどう設定するということについて規定として盛り込まれているんです。そうすると、じゃ、日本は関税を撤廃しないとこれに該当しないじゃないかと。重要五品目で日本だけ発効後見直し規定がなくて、関税を撤廃しないというところでなくて、ほかは全部やられるのかという不満が出るわけです。だから、本文では定番で書いてあって、関税を撤廃しないということについていろいろな話し合いができるようにということを別建てで書いたということなんです。日本だけが得をしないようにということなんだと思います。

 それから、アメリカのハッチ議員が見直しに言及をしています。これは、アメリカ側もUSTRも、そんなことはできない、非常にガラス細工でつくってあるからということを言っていますけれども、そのとおりなんであります。このハッチ議員の主張に対して、ホワイトハウスのアーネスト大統領報道官は六日の記者会見で、再交渉は行わないという考えを表明しています。そのほかに、USTRのフロマン代表も、TPPの合意は各分野、各国のバランスの上に成り立っており、一部を取り上げて再交渉することは困難であると発言をしています。

 日本としても、このTPPの合意というのは、例えば、ステージングとセーフガードの関係であるとか、あるいは物品とサービスの関係であるとか、さらには二国間の合意と他国との関係等、一つの合意が他の合意と複雑に絡み合っているわけです。いわば、言ってみれば多次元連立方程式でありまして、一つの案件だけを取り出して再交渉すれば全体が崩れるという危険性を伴っているわけです。

 ですから、しっかりと合意が成り立って、各国がきちんと国会手続を終わってスタートする、それ以降に、やってみたらこういう点はもうちょっと早くできないかというような話し合いはあると思いますけれども、もう一回再交渉して協定をつくり直すということについては、これは不可能であります。再交渉には日本はもちろん応じません。

稲田委員 今大臣がおっしゃったことをしっかりと農家の方々や国民の皆さんにも御説明をしてまいりたいと思います。

 TPPの意義と、TPPの成長の切り札として国全体で生かしていくための具体策について質疑をしてまいりました。

 自民党は、流動化し激変する世界の中で日本の安定と繁栄を守るためには、日本全体が世界の変化に適応し、そして改革をしていく必要があると考えています。保守するために、いいものを守るために改革をするのが我が自民党であります。まさしく伝統と創造でありますが、TPPのメリットを最大限に生かしつつ、影響を受けられる方々にもしっかりと支援策、対策を講じていただきたいと思います。

 次に、アベノミクス第二ステージ、一億総活躍社会についてお伺いをいたします。

 総理は、少子高齢化を克服し、日本の未来に向かって挑戦することを安倍政権の最優先課題とすると明確に示されました。人口減に歯どめをかけ、世界で最も急速に進んでいる少子高齢化社会を持続可能なものにしていく、これは、明治維新、戦後復興に次ぐ、日本民族の歴史的な挑戦だと思います。

 他方で、一億総活躍社会の実現は、最初から設計図があるような簡単な課題ではないということです。時代は、いまだかつてないほど速いスピードで変化を遂げています。新技術、すなわち人工知能、ビッグデータ、IoTといった技術は爆発的に普及をしております。この大変動の中で先手を打って対応していかなければ、日本の成長はおろか、持続することすら困難だと思います。

 企業も生き残りをかけて新たなビジネスに果敢に挑戦をしております。例えば、繊維の生地をつくっていた物づくりの企業がITを使って顧客にオーダーメードの洋服を提案するサービスを始めるなど、製造業とサービス業との融合も進みつつあります。

 こうした時代にあって、戦後最大の経済であるGDP六百兆円の実現に向けて政府としてどのように対応されるのか、総理にお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 我々は、政権を奪還して以来、約三年間の間、三本の矢の政策によってデフレ脱却という大きな目標を掲げましたが、デフレ脱却まであと一息のところまで参りました。就業者の数は百万人ふえ、そしてまた賃金も増加を続けています。ことしは十七年ぶりの高い伸びになっています。間違いなく、雇用も所得環境も改善をしているわけであります。そして、この流れをさらに加速し、日本の経済を上昇気流に乗せていくために、これまでの三本の矢をしっかりと束ねて、さらに強化をして、希望を生み出す経済という第一の矢を放っていきます。

 そして、具体的には、賃上げの流れを続け、雇用や所得の拡大を通じた経済の好循環を回していくとともに、企業は過去最高の企業収益を上げていますが、この過去最高の企業収益を設備や人材、技術に対する積極果敢な投資に向かわせなければならないわけでありまして、そのための例えば規制や制度の改革を断行し、制度上の壁を我々は取り払ってまいります。

 同時に、もちろん、企業家の皆さんには、デフレ脱却をしていきつつあるわけでありますから、今までのデフレマインドから脱却をして、思い切った、今こそ投資をすべきだという判断をしていただきたい、こう思っているところであります。

 もちろん、今申し上げましたように、政府としては、政府の役割はちゃんと果たしていく。今委員が挙げられた、例えばIoT、そしてビッグデータといった新たな分野への投資も喚起をしていく。それによって生産性は飛躍的に高まっていくわけであります。そうしたイノベーションを起こしていく考えであります。

 さらには、ことし四月から二・五%引き下げ、来年さらに〇・八%引き下げることを決めている法人実効税率について、来年度税制大綱において、これに確実に上乗せを行い、来年四月からさらなる引き下げを実現してまいります。この分はしっかりと企業は投資に回してもらいたいと思います。

 同時に、TPPにとどまることなく、日本と欧州のEPA、RCEPなど自由な経済圏をさらに広げ、世界の成長を取り込んでいく。働き方改革によって女性や高齢者のチャンスを広げていく。北海道から沖縄まで、地方創生を本格化させていきます。

 あらゆる政策を総動員することによって、潜在成長率を押し上げ、GDP六百兆円を実現していきたい、こう考えています。

 それはできないのではないかと言う人がいるんですが、それこそまさにデフレマインドがこびりついている証左であろうと思います。

 かつて、名目GDPについては五百二十三兆円になりました。これがリーマン・ショック後、四百七十兆円まで下がった。我々は、足元ではこれを五百兆円まで戻したんです。それはそう簡単にはできるはずがないと言われておりましたが、デフレから脱却しつつあることによって、名目GDPでありますから、名目GDPにおいてはデフレ下では伸びるわけがないんです、我々は、これから脱却して経済を成長させていけば、間違いなくそのターゲットに到着することはできる、このように確信をしているところでございます。

稲田委員 総理おっしゃったように、経済の指標はかなり、そして特に雇用、有効求人倍率は一・二四、四十七都道府県全てで安倍政権になってからこの有効求人倍率は上がっております。

 しかし一方で、労働力の不足によって成長を逃してしまうことがないのかということも懸念をされております。雇用の流動化に向けた規制改革など、人材対策、雇用対策についても先手を打った対応が必要です。

 また、先ほど総理おっしゃったように、賃上げを行っていくことが重要です。二年連続で賃上げ率は二%を超えておりますが、企業の収益状況を見ると、まだまだ賃上げの余地があるのではないでしょうか。

 また、女性は安倍政権になってから百万人が労働市場に出ております。しかし、中身は非正規が多いんです。非正規を正規にする、なかんずく、不本意の非正規を正規に転換していく対策は急務だと思います。

 塩崎大臣にお伺いいたしますが、こうした人材対策や最低賃金問題、非正規対策についてどのように対策を講じていかれるつもりでしょうか、お伺いいたします。

塩崎国務大臣 今総理からお話がございましたように、第一の矢の、希望を生み出す強い経済、一番大事なのは生産性革命を起こすことだということでありまして、生産性の高い産業をつくり出す。そしてまた、それに伴って、やはり円滑な労働移動というものが行われなければならないわけで、労働力がまず確保されるということを行うと同時に労働移動にもやはりサポートをきっちりやっていくということが大事だというふうに思っています。

 今お話がございましたように、女性を含めて労働力をどう確保するかという際に、私どもとしては、若者、女性、高齢者、障害者、全ての方々に就労促進を行うような支援をしていく。

 それから、非正規の雇用労働者の正社員転換、待遇改善につきましては、もう既に私ども厚生労働省において本部を設けて、各県の労働局も同時に、この正社員転換、待遇改善についてのそれぞれの都道府県での計画も立てながら、これを推し進めていきたいと思っております。

 それと、もう一つは、今回、特にやらなきゃいけないことは、生産性の高い産業に移っていくということが大事であって、そのためにも、実は、最低賃金の引き上げというものは大変重要ではないかと思っておりまして、さらに、キャリアコンサルティングなどを通じた、労働者がみずからのキャリア開発を行うセルフ・キャリアドックという新たな職能開発の制度を導入し、さらに、労働者の自発的なITスキルを上げる、そういうことによって、ICTの投資をさらにふやしていくことによって生産性を上げていくというようなことについても、しっかり個人に対しても支援をしていこうということで、生産性の高い産業へ、意欲のある働く人たちが円滑に移動していくことを推し進めていきたいというふうに思っております。

稲田委員 鍵になるのは、女性と高齢者の労働参加と賃金上昇を持続的に実現させていくことだと思います。

 そのためには、百三十万円の壁、三号被保険者、被扶養配偶者でいられるかという百三十万円の壁と、あと、三十時間の壁、事業者にとって、雇っている人の社会保険適用の境界線の問題を解決する必要があると思います。働く側にとっても、また雇う側にとっても、賃金を低く抑える方向での政策は是正する必要があると思います。

 と同時に、安倍政権がずっと進めてきた農協改革や医療改革や、困難だけれども果敢にその改革を進めていく、これを雇用の分野でもやっていく、困難だけれども本質的な改革に取り組むのが安倍政権の真骨頂だと思いますので、その点も、我が党においてもしっかりと議論をしてまいりたいと思います。

 次に、財政再建ですが、経済成長なくして財政再建なし、そのとおりだと思います。財政再建については、二〇二〇年に基礎的財政収支の赤字を解消することが六月の骨太の方針で示されて、そのために、社会保障費の伸びについては平均〇・五兆円に抑え、その他の歳出は実質横ばいにするという数値目標も書き込んでいるところです。

 これからオリンピックまで、二〇二〇年まであと五年、少子高齢化も進んでいく中で、プライマリーバランスを黒字化していくことはなかなか困難なことだろうと思います。財政再建には確固たる政治の覚悟が求められます。

 欧州委員会のユンカー委員長は、我々は今断行しなければならないことはわかっている、しかし、それを実行した後にどうすれば国民に選んでもらえるか誰にもわからないと述べておられます。ずっと、今じゃない、やるべきことはわかっているけれども今じゃないと先送りにしてきたのがこの借金の山だと思います。

 先ほど総理もおっしゃったように、四半世紀ぶりに経済の指標はいいのです。今、財政再建をやらなければ、いつやるのか。今こそやるべきだと思いますが、財政再建に対する総理の御決意をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 我々は、政権を奪取後、稲田委員が言われたように、経済の再生なくして財政の健全化はない、このように申し上げた。それはなぜかといえば、デフレ経済のままでは残念ながら税収は上がらない、税収が上がらなければ、それは財政の健全化もできないということであります。

 そして、あれから三年が経過をしたわけでありますが、名目GDPは、先ほど申し上げましたように二十八兆円ふえました。税収は三割、十二兆円以上税収がふえたことによって、政権交代前、二十五兆円あった基礎的財政収支の赤字は、三年で約半分、十一兆円改善をいたしました。

 昨年末、このアベノミクスの成功を確かなものとするため、消費税率の一〇%への引き上げを十八カ月延長したところでございます。これはまさに、経済を再生し、デフレから脱却をしなければ財政再建はできないという考え方のもとに、これはしばらく、一年半延期をしたところであります。

 同時に、世界に冠たる社会保障制度を次の世代に引き渡していくという大きな責任があります。そしてまた、市場や国際社会からの信認を確保するために、二十九年四月には確実に上げていくということをお約束しています。もちろん、これはリーマン・ショック級の大きな経済的な出来事があれば別でありますが、そのことも含めて信を問い、我々は勝利を得ることができました。

 その後も財政再建の旗をおろすことはなく、今年度は、基礎的財政収支赤字の半減目標を達成する予算を組むことができました。そして、さらには、アベノミクス第二ステージにおいて、これまでの三本の矢の政策を一層強化して、希望を生み出す強い経済という第一の矢として、戦後最大のGDP六百兆円という的を狙うことにしました。

 経済再生なくして財政健全化なし、この基本哲学は、より強化した経済政策のもとにおいても変わることはないということであります。今後も、しっかりと我々は、デフレ脱却を確かなものとし、税収をふやし、そして無駄な歳出を見直しをしていくことによって財政の健全化もしっかりと行っていきたい、このように考えているところでございます。

稲田委員 単純に金額を切っていくということではなくて、しっかりとめり張りをつけて、真に困っている人には手厚く、負担できる人には負担していただく社会保障改革、これも安倍政権が取り組むべき大きな改革だというふうに思います。

 一億総活躍担当大臣になられた加藤大臣にお伺いいたします。この一億総活躍社会とはどういった社会でしょうか、大臣にお伺いをいたします。

加藤国務大臣 今御質問いただきました一億総活躍社会とは、国民一人一人、高齢者の方、若い方、また女性、男性、さらには障害や難病を抱えている方、また一度失敗をされたような方、それぞれの方々が、家庭、職場あるいは地域社会において、それぞれの方の希望や夢を、実現に向けて今よりももう一歩前へ踏み出すことができる社会、そういう社会を実現していきたいと考えております。

 そのためにも、今御議論がありましたGDPの六百兆円、あるいは希望出生率一・八、介護離職ゼロ、こういった具体的な目標も掲げられておりますし、また、そうした希望を阻むような制約があればそれをしっかり取り除いていくんだという強い決意も示されているところでありまして、その実現に向けて、これから、具体的には十一月末を目途に緊急的な対策、来年の春ごろにはロードマップを含めた日本一億総活躍プラン、こういったものの取りまとめに向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。

稲田委員 私が考える一億総活躍社会というのは、自立した参加型の社会だと思います。

 行革担当大臣のときに日本が目指すべき道は何かということを徹底的に議論して、それぞれの国民が、国と行政と民間と個人、そういう垣根を取っ払って、そして政府は小さくても大きな社会をつくっていく、国、行政のあり方を、垣根を越えてそれぞれができることをして社会に貢献をしていって、日本が抱えているさまざまな課題、社会保障の問題、財政の問題、さまざまな課題を自立した個人が参加することによって解決し、世界から尊敬される国、そして、それぞれの課題を他人事ではなくて自分事として捉えていて、それに参加する社会が一億総活躍社会ではないか、このように思っております。

 最後に、馳大臣にお見えいただいております。

 先日、ユネスコの総会に参加をされて、事務局長にもお会いになりました。中国の南京事件に関する資料が記憶遺産になったことは非常に遺憾であります。まず、何が登録されるか全く明らかにされていません。いまだに明らかにされていません。その資料が真実かどうかも明らかにされず、またそれを審査する過程が不透明であった、これもユネスコのあり方にも問題があると思います。

 馳大臣にお伺いいたしますが、中国に働きかけるのみならず、ユネスコのルールの透明化と制度の改善に全力を尽くすべきだと思いますが、会談の内容も含め、戦略についてお伺いをいたします。

馳国務大臣 私は二つあると思っています。

 一つは、ユネスコ加盟国が問題意識を共有し合うという一点であります。二つ目は、制度改善に向けての、どこをどういうふうに改善していけばよいのか、この具体的な実施に向けてのプロセスに働きかけていく、それを実現していく、この二つだと思っています。

 そもそも、ユネスコの記憶遺産事業を通じて関係国の対立あるいは政治的な対立を生まない、むしろ相互理解を深めるという本来の事業の趣旨を加盟国の皆さんに理解をいただくということが一つ。そのための問題意識としては、申請された案件についてのプロセスがより透明化をされ、関係国が資料を閲覧することができて、その上でやはり透明性のある中で審査がなされるということ、このプロセスについて、そういう方向性に改善をしていく必要があるという我が国の主張の仲間をふやしていく、そのことが重要でありますし、そのための戦略性を持って働きかけを進めていくことが必要だ、そういうふうに考えております。

稲田委員 中国の南京事件に関する記憶遺産と並べて、シベリア抑留の記憶遺産登録について話をされるんですけれども、私も舞鶴のシベリア抑留の記念館に行ってまいりましたが、シラカバの木の皮に墨で書いた日記、非常に貴重なものなどが登録申請されました。しかも、登録申請するに当たって、舞鶴の姉妹都市であるナホトカ市の理解と協力も得、さらにはロシアの総領事館にも報告をしつつ申請し、そして登録をされたということであります。

 私は、やはり、ユネスコが政治的に利用されることがないよう、そしてその手続の透明性、公平性ということをきちんと我が国として主張していく必要があるというふうに思います。

 最後に総理にお伺いをいたしますが、南シナ海の問題、中国の、法を無視したそういった行動について、総理として国連やG7の場でどのように訴えていかれるつもりか、お伺いをいたします。

安倍内閣総理大臣 南シナ海をめぐる問題は、地域の平和と繁栄に直結をする、我が国を含む国際社会共通の関心事項であり、法の支配が尊重されることが非常に重要であります。

 私は、国際社会における法の支配を重視する立場から、主張するときは国際法にのっとって主張すべきである、そして武力の威嚇や力による現状変更は行ってはならない、問題を解決する際には国際的に国際法にのっとって解決すべきであるとの三原則をシャングリラ会議で提唱し、多くの国々から賛同を得てまいりました。

 今までも、国連やG7といった国際会議の場において、我が国として法の支配の重要性を訴えてきているところでございますが、今後も、来週開催される東アジア・サミットなど、国際会議やその機会に行われる二国間会議においても、法の支配の重要性を強く訴えていく考えであります。

稲田委員 ことしは、戦後七十年、そして我が党自民党にとっては立党六十年でございます。歴史を外交カード、政治カードに使うことはどの国にとっても利益にならない、歴史を外交カードに使うことはやめるべきだということはしっかりと発信をすべきであると同時に、どの国からであれ、歴史を外交カードとして使われたとしても、我が国はたじろぐことはないと思います。

 重要なのは、客観的事実なんです。お互いの立場を尊重しながらも客観的事実に基づいて専門家が率直に議論し合い、そして、それを言うべきことは言うということが必要だというふうに思います。

 政治家も、きちんと歴史的事実について認識を深め、歴史を直視し、言うべきことは言い、反省すべきことは反省し、今に生かすための総括をする必要があると思います。そのための議論を、立党六十年を機に我が党でも始めたいと思います。

 本日はどうもありがとうございます。

河村委員長 これにて稲田君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

河村委員長 議事の途中ではございますが、ただいま後方の傍聴席にラオス・日本友好議員連盟会長のソンプー・ドゥアンサバン国民議会議員御一行がお見えになっております。この際、御紹介申し上げます。

    〔起立、拍手〕

    ―――――――――――――

河村委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 おはようございます。公明党の石田祝稔です。

 きょうは、お時間をいただきましたので、特にTPPと一億総活躍、この二点についてお伺いをいたしたいと思います。

 まず、TPPについてでありますけれども、我が国は若干おくれて交渉に参加をして、大筋合意をした。

 私から見たら、ある意味では漂流寸前、こういうふうにまで言われた交渉でありますけれども、私は、率直に言って、甘利大臣初め政府の鶴岡さん、さまざまな御関係の方の御努力も大変なものがあったんじゃないかと。TPPについての評価はさまざま与党、野党にあるかもしれませんけれども、私は、交渉を大筋まとめた、その途中経過までの御努力は大変なものだったと率直に評価をしたいと思っております。

 その意味で、私も、TPPについては、国内対策はさまざまこれからやっていかなきゃなりませんけれども、おおむね評価できるのではないか、このように思っております。

 それで、交渉に具体的に携わってこられた甘利大臣に、この協定の意義について、国民にわかりやすくお話をまずいただきたいと思います。

甘利国務大臣 TPP協定の意義については既に総理からもお話がありましたけれども、とにかくWTO協議がスタックしています。私はWTO協議の少数国会合にまで参加しましたけれども、やはり百何十カ国が全部合意するというのは相当大変なことで、野心レベルも相当低く下げないと、ハードルをもっと下げないとみんなが入ってこられないんですね。ということは、余り魅力的なものにならないというようなことで、ハードルを上げようとするとスタックしてしまっている。そこで、各国は、それならばということで地域間協定に動き出したわけです。

 そういう中でも、TPPというのは最大規模になります。経済規模が最大規模であるということ、人口が最大規模であるということ、それから内容が最大規模であるということですね。

 物品のアクセスについて自由度を上げるというのは当然のことなのでありますけれども、ルールについて、透明なルールをつくっていくということで、それにきちんと誓約をしない限りは参加できないという仕組みになっております。TPPの十二カ国の中だけで、その恩恵は参加した国だけが得られるということでありますから、その外側の人はその恩恵に浴することができないという仕組みです。

 しかも、その地域が世界の成長センターに現在なっているし、これからはもっとなっていく。東アジアの国々がどんどん参加をしてくる。私の知る限り、一つの地域と四つの国が相当な関心を示して、私にもかなりアクセスがあります。ですから、雪崩現象でこれが拡大していきますね。そこのルールメーカーであったということは、大変なアドバンテージになってくると思います。

 中小企業にとっても、いながらにして、新しい電子商取引のルールができます。従来は、サーバーをその国に置かなきゃいけないという相当な設備投資を要請されましたけれども、そういうものがなしになりましたから、過大な設備投資なしに世界の四割の経済圏を相手にできるというようなメリットが出てくるわけであります。

 もちろん、農産品について、センシティビティーの部門について心配もありますけれども、しかし、野心の高さ、工業製品と農業製品を全部含めて自由化率が、全体でいえば、ほかの国は九九から一〇〇、日本は九五。その中身は、農産品については、ほかの国は九八・五%の自由化率だけれども、日本は八一%。つまり、国会決議があるという事情でそこのセンシティビティーは最大限守ったという交渉になっているわけでありますから、日本としては、いわゆる守るべきは守り、攻めるべきは攻めるという思想に沿って最大限の努力ができたのではないかというふうに思っております。

石田(祝)委員 続いて、総理に、交渉結果の評価について。総理もさまざま御評価をなさっておりますけれども、このことについてどのように総理として御評価しているか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 TPPに向けて、基本的な考え方でありますが、日本は残念ながらしばらくは人口減少が続いていくわけであります。人口が減少していくということは、生産人口も減っていますし、消費人口も減っていくということであります。

 生産人口が減っていくことをカバーしていくためには、しっかりとイノベーションを起こして、そして多くの人たちがその能力を生かせるような社会をつくって、生産力、生産性を上げていく。同時に、消費者が減っていきますが、まさにアジア太平洋地域は成長センターであります。世界の消費者を相手にすることによって、日本の企業、日本の人々はもっともっと活躍していく。この範囲が広がっていくわけであります。

 そして、GDPの四割を視野に入れたTPPの自由な経済圏ができる。そこで大切なことは、やはりルールができますから、ルールができるということは、イノベーションを起こして新しい技術をつくればそれはちゃんと守られるということでありますし、中小企業においても、外へ出ていくときに大丈夫かという不安がありますが、それはきっちりとしたルールの中でそうした展開もできるようになっていくということではないかと思います。

 新たなルールとして、恣意的で不透明な政府の介入を排除する、透明性の高い秩序のもとで自由で公正な協議を促進する、サービスから知的財産に至るまで幅広い分野でオリジナリティーが守られ、品質の高さが正しく評価されることを確保していくということになりますし、そしてイノベーションを活発にして、高い経済価値を生み出す力を発揮させることができるようになります。

 そして、関税については、撤廃が原則という交渉の中にありまして、関税撤廃率は、我が国以外の十一カ国からは九九%ないし一〇〇%の関税撤廃を獲得しました。一方、我が国は九五%にとどめることができたということであります。

 特に、農林水産品につきましては、国会決議を後ろ盾として各国と粘り強く交渉した結果、重要五品目を中心に国家貿易制度を堅持した、そして、既存の関税割り当て品目の枠外税率の維持、関税割り当てやセーフガードの創設、関税削減期間を長期とするなどの有効な措置を認めさせることができました。この結果、他の国が農林水産品の九八・五%を関税撤廃とする中において、我が国は八一%と約二割の関税撤廃の例外を獲得することができたわけでございまして、我々は、交渉参加の際にお約束をしたこと、そのお約束については守ることができたのではないかと考えているところであります。

 今後、どのような影響が生じ得るかを十分精査の上、意欲ある農林漁業者が希望を持って経営に取り組み、確実に再生産可能となるよう、十一月下旬を目途に政府全体で国内対策を取りまとめ、交渉で獲得した措置とあわせて万全の措置を講じていく考えでありますが、間違いなく、このTPPによって中小企業も含めて多くの方々に新たな地平が広がった、チャンスが生まれた、そのチャンスを我々は生かしていくために政府としても万全を尽くしていきたい、このように考えております。

石田(祝)委員 先日、TPPの総合対策本部が十月九日でありますけれども開かれて、そのときに、三点を基本目標とすると。一つが、TPPの活用促進による新たな市場開拓等、そして、TPPを契機としたイノベーションの促進・産業活性化、そして三点目に、TPPの影響に関する国民の不安の払拭、こういうことを決定いたしました。特に農林水産業の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう、強い農林水産業をつくり上げるため万全の施策を講ずる、こういうことが決定をされました。

 それで、総理は確かにそういうお言葉で、総理の御評価はそうだろうと思いますけれども、やはり片や農林水産業の方から見ると、なかなか総理のおっしゃるとおりの考えではないんですね。ですから、私も、今回のこの交渉については甘利大臣初め大変な御努力をいただいたということはもちろんお認めをいたしますが、これと同時に国内対策をどうやっていくか、その二つが合わさって初めて、何とか安心をしてもらえる、何とかぎりぎり合格点をもらえるところに行くんじゃないかと。

 ですから、これからは、まず精査をして、影響を評価して、そして国内対策をどうするか、この三段階で進めていかなければいけない、こういうふうに私は思います。

 そういう意味で、まず現場の方のお声を聞かなくちゃならない、こういうことで、自由民主党も全国七県に行かれたようでありますけれども、我が党も、井上幹事長そして私も、また北海道では稲津衆議院議員、横山参議院議員、そして九州では江田衆議院議員また秋野参議院議員、きょうは九州で吉田衆議院議員も現地でお声を聞いている、こういう状況で取り組みをいたしております。

 そういう中で、やはり重要五項目の中でさまざま、それぞれ影響があるだろうと私は思います。しかし、その中では特に畜産に影響が非常に大きいのではないか。

 きょうは時間の関係で全てお聞きすることはできませんので、特に私は農林水産大臣にお伺いをしたいんですが、いわゆる畜産の経営安定対策、これについてはどうしても、今は予算措置でやっておりますから、これを法制化してもらいたい。そして、今、補填の割合が牛も豚も八割でありますが、これを上げてもらいたい。そして、畜産の方と国のいわゆる負担の割合、それが牛は一対三、豚は一対一、ここのところの割合も見直してほしい。こういう率直なお声がありますけれども、これらについて農林水産大臣の御見解をお伺いいたします。

森山国務大臣 石田委員にお答えをいたします。

 経営安定対策について、法制化を求める声が多いということは私も承知をいたしております。

 今般、外国産との競合に備えて、畜産経営の体質強化を図ることがまず必要であろうというふうに思いますし、このため、畜産農家が新たな取り組みを開始することができるようにするためにも、経営リスクへの備えとして、中長期的な、安定的な経営対策の構築というのは重要な政策課題であろうというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、経営安定対策の充実を含めた経営の継続、発展のための環境整備を検討する中で、経営安定対策の法制化についても視野に入れて検討させていただきたいというふうに思っております。

 あと、補填割合の拡充のことでございますが、新マルキン、豚マルキンにおける国の補填割合について、現行の八割から引き上げを求める声があることはよく承知をしております。他方、補填割合の拡充につきましては、生産コストの削減や収益向上に対するインセンティブを失わせることがあってはなりませんので、そのような点も含めて今後検討させていただきたいというふうに思っているところであります。

 もう一点、拠出割合のことでございますが、拠出割合の引き上げについては、生産者がみずからも応分の負担をして経営リスクに備えるということが重要なことでありますので、このようなことにも十分留意をしながら、よく検討していく必要があるのではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

石田(祝)委員 先ほど申し上げました法制化の問題、そして補填割合、また負担の割合の問題、これは現場の率直なお声だというふうに私は思っています。

 私も、高知県の四万十町というところで、養豚農家へ日曜日に調査に、またお話を聞きにお伺いしましたけれども、もう高知県全体で十戸の経営体しか残っていない、こういう状況なんですね。そうすると、豚肉の消費そのものを本当に賄っていけるのか、そういう規模になる心配もある、こういうことも実際言われております。

 ですから、私が行ったところはほとんどもう後継者もおりまして、経営者も、後継者はいるんだけれども将来を見通して投資ができるか、投資するといってもなかなか大変な額を投資しなきゃならない、そういうことでありますので、ぜひ、森山大臣は一番そのあたりをよくおわかりだと思っておりますので、検討が前向きに進むようにお願いをしたいと思います。

 続いて、林大臣にお伺いをしたいんです。

 今回、我が国も関税撤廃をいたしました。九五%。しかし、ほかの国も相当、ほぼ一〇〇%に近い関税を撤廃している。

 そういう中で、中小・小規模企業また地場産業、そういうところにもチャンスが出てきた、こういうお声も実はあるんですが、大筋合意をしてほかの国にも輸出できるようになったから皆さん頑張ってね、これじゃどうしようもないんですよ。これはやはり、ノウハウも含めて、そういうところが輸出ができる、いい品物をつくって勝負ができる、そのためにどのような応援ができるか、これをやらないと、条件を整えましたから頑張ってやってください、これでは私は進まないと思います。

 例えば、今回、こちらから輸出するものとして、四国の今治のタオル、また鯖江を中心とした眼鏡のフレーム、そして南部鉄器、陶磁器、こういうものもありますけれども、具体的に経済産業省としてこういうものをどういうふうに応援していくか、このことについて林大臣からお答えをいただきたいと思います。

林国務大臣 我が国の中堅・中小企業は、製造業全体の比較が先ほど申し上げましたように七五%になっておるわけでございまして、そのもの自体の輸出拡大を通じて広げることができますし、また、大企業の輸出拡大を通じても各事業に大きなメリットがあるのではないかと思っております。

 今ほど御指摘がありました陶磁器やら、あるいはタオルやら眼鏡やらございましたけれども、この関税引き下げを通じて地場産業にも及ぶものというふうに考えておりまして、こうしたTPP協定のメリットを最大限に活用いたしまして、中堅・中小企業が事業を発展できるよう、活用策を含めて幅広く丁寧に説明を行ってまいります。

 先ほど申し上げました六十五カ所の窓口を質、量ともに強化していきますし、また、製造業に限らず、サービス業や農商工の取り組みを含めましてきめ細かな総合的な支援を行うことが重要でありまして、例えば、海外展開に詳しい専門家を個別対策に招いたり、あるいは企業間のマッチング支援の強化など、方策を検討しているところでございます。

 いずれにしても、経産省に設置しましたTPP対策推進本部におきましてしっかりと取りまとめてまいりたいと思います。

 以上です。

石田(祝)委員 今、眼鏡のことで若干話があったんですが、ベトナムは一〇%が即時撤廃になっていますね。今治タオルについては、例えばカナダは一七%が即時撤廃。こういうふうにさまざま、国によっていろいろ違いますけれども、条件がよくなっていることは間違いない。しかし、その条件を生かせる環境整備をぜひやっていただかなきゃいけないなと思っております。

 それでは、引き続いて、一億総活躍についてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 この一億総活躍社会というのはなかなかわかりにくいという声もございます。今、加藤大臣からもお話がございましたけれども、私たちは、この一億総活躍ということについては、これは一人一人が輝き活躍できる社会、そしてそれぞれが生きがいを持てる社会、またある意味では自己実現ができる社会。この自己実現というのは、人間の欲求の六段階説という学説がありまして、それの最高のところが自己実現という欲求だ、こういうことも言われております。

 こういうふうに私は思っておりますけれども、総理の我々の考えに対してのお考えと、また総理御自身のお考え、一億総活躍はこうだ、こういうものをぜひお示しいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まさに石田委員が言われたように、一億総活躍とは、それぞれの人たちが自分の行きたい方向に向かって進んでいくことができる、自己実現をしていく上でのチャンスをしっかりとつかんでいくことができる社会をつくっていこう。それは、例えば若者もあるいはお年寄りも、女性、男性、そして障害がある人も難病がある人も、あるいは一回仕事を失敗した人、そういう人たちにとってもやはりチャンスがあって、さらにチャレンジできる、一歩前に進んでいくことができる社会をつくっていくということであります。

 それぞれのよさがあるわけでありまして、それぞれの人生、経験があるわけでありますが、そういう中において自分が進んでいきたい方向に、まさに一億人みんながそういうチャンスを持ち得る社会をつくっていこう。型にはめてみんなが一億総何とかということではないわけでございまして、しっかりとそういう方々がそれぞれ自分の行きたい方向に向かって一歩前に出ていくことができれば、日本もしっかりと成長していくことができるだろう、こういうことでございます。

 我々は、今まで進めてきた経済政策において果実を得ることができました。この経済政策をさらに強力に進めていくことによって果実を大きくしていく、同時に、そこで生み出す果実を新たな的であります希望出生率一・八の実現あるいは介護離職ゼロというところに回していく、その安心感の中でまたさらに経済において活性化していくということであります。

 この新たな明確な的、GDP六百兆円、希望出生率一・八の実現、そして介護離職ゼロというこの的に向かって、希望を生み出す強力な経済、そして夢を育む子育て支援、安心の社会保障政策、この三本の矢をきっちりと打っていくことによって、この的に的中させることによって、我々は活力ある日本を、そして多くの日本人が生き生きと自分の道を進んでいける、そういう日本をつくっていきたい、こういうことでございます。

石田(祝)委員 ちょっと具体的なことをお伺いしたいんですが、きょうは一・八とゼロについてお伺いをいたしたいと思います。

 まず、介護離職ゼロについてお伺いしますけれども、介護休業制度というのがあるわけですね。しかし、非常に使い勝手が悪い、また認知もされていない。これはなぜかというと、九十三日間あるんですけれども、途中で一度会社に戻って仕事を、たまっているものをやろうかとか、そうなって中断してしまうともうとれない、こういうことになっています。

 ですから、これを複数回とれるようにすべきではないのかということと、今、介護給付が約四〇%ということになっておりますが、これももうちょっと上げた方がいいんじゃないのか。この二点について、厚生労働大臣から御答弁いただきたいと思います。

塩崎国務大臣 今、石田先生からお話がございましたように、平成十一年にスタートいたしました義務化された介護休業制度でありますが、実際のところ、今お話があったとおり、一回で最長九十三日。使っていらっしゃる方の人数を見ますと、平成二十六年、去年を見ますと九千六百人という数でありますし、給付でいきますと二十億円程度ということであります。

 御指摘が今ございましたように、介護休業の分割取得、それから介護休業給付の給付率の引き上げについて、今、安倍内閣として唱えております介護離職ゼロを目指す観点からは、審議会での議論も踏まえながらしっかりと検討しなければならない課題だというふうに、先生の御指摘のとおりだというふうに思っております。

石田(祝)委員 これは、大臣も今おっしゃったんですけれども、三%しかとっていないんですね。なぜ三%か。これは政策としては周知徹底不足なのか、制度そのものが非常に使いにくいのか。さまざま理由があると思いますけれども、一つの政策をやって三%しか利用がないというのは非常にまずい、私はこう言わざるを得ません。

 続いて、子育てのところで、きょうはパネルを用意しました。比較的大きな字で書きました。テレビの方にもわかりやすいようにということであります。

 大臣、児童扶養手当、これが、第一子が所得制限以下の方は四万二千円、しかし、第二子が五千円のプラス、第三子が三千円ということで、これはちょっと一子と二子の間が余りにもあき過ぎているんじゃないか。特に一・八ということを考えたら少なくとも二子まではカバーをするようなことでないと、これだと第一子はまあまあということで、第二子、第三子はちょっとがくんと落ちる、こういうことであります。

 これについて、大臣、ぜひ私は見直しをしていただきたいというふうに思いますけれども、特に見直しということは額を上げるという意味での見直しですから、御答弁をお願いします。

塩崎国務大臣 一人親の家庭に対する支援というのは、当然のことながら、子育て生活支援、就業支援あるいは子供の学習支援とか、総合的にやらなきゃいけないことはそのとおりだと私どもは思っていまして、きめ細かな支援を心がけてまいりたいと思っております。

 その中で、今御指摘のとおり、児童扶養手当については、生活の安定と自立の促進という意味において、その効果などの課題によく留意をしながら、私どもとしては年末までに御指摘の第二子それから第三子以降の加算額の拡充も含めてしっかりと検討してまいりたいというふうに考えているところでございまして、先生の問題意識を共有するところでございます。

石田(祝)委員 続いて、一億総活躍の中で、これはやはり、さまざまな方がいらっしゃるわけですけれども、そういう方々全てに活躍していただかなきゃならない。そういう中で、ちょっと悲しい出来事もございました。

 実は、先月、徳島県で、障害者の方が盲導犬を連れて歩行中に、バックしてきたダンプにはねられてしまった。御本人も盲導犬も亡くなってしまった。また、視覚障害の姉妹が徒歩通勤中、対向してきた軽乗用車にはねられて妹さんが死亡した。

 ですから、目の悪い方にとっては音というのは非常に大事なんですが、トラックのバックで、我々は音を聞いたりしなくても目で見ればバックしてきているとわかるんですが、視覚障害者の方はどうしてもこれは音で判断しなきゃならない。こういう点について、国土交通大臣、今後こういう悲惨なことを二度と起こさないためにどうするか、このことについてお考えをお聞きいたします。

石井国務大臣 十月三日、徳島県におきまして、盲導犬を連れた視覚障害者の方が後退中のトラックにはねられ亡くなる事故が発生をいたしました。亡くなられた方とその御遺族に対して深くお悔やみを申し上げます。

 この事故の状況については現在警察が調査中ですが、後退時に注意を促すブザーが鳴らなかったというふうに聞いております。

 このブザーについては、法令で義務づけられたものではありませんが、現在、全てのトラックに標準装備されております。その一方、この音の発生を手動で停止する機能がついているところでございます。

 このため、国土交通省では、十月十五日に、トラック協会など関係団体に対しまして、車両の後退、進路変更等の際にはバックミラー等により周囲の安全を十分に確認すること、やむを得ない場合を除き後退時に注意を促すブザーのスイッチを切らないことなどを求める通達を出させていただきました。

 今後は、全国各地で開催されるトラック事業者を対象とした講習会の場など、あらゆる機会を捉えてこの旨の周知徹底を図ってまいりたいと存じます。

 また、平成二十八年度から始まります第十次交通安全基本計画、今、案をパブリックコメント中でございますが、車の安全対策として、大型車の後退時対策、高齢者や視覚障害者にも配慮した安全対策を新たに盛り込ませていただいております。その上で、障害者に対する具体的な安全対策を総合的に検討してまいりたいと存じます。

 以上でございます。

石田(祝)委員 最後に総理にお聞きしたかったんですが、時間になりましたので、終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡田克也君。

岡田委員 民主党の岡田克也です。

 きょうは、まず憲法についてお尋ねしたいと思います。

 お示ししたのは、自民党の憲法改正草案であります。第九条の第二項、「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。」と端的に書かれています。ここの意味するところは、少なくとも自民党がお考えなのは、憲法上は集団的自衛権について限定なく認められるようにしたい、こういうことだと理解しますが、よろしいですね。

安倍内閣総理大臣 今お示しをいただいているのは、平成二十四年四月、当時の谷垣総裁のもとに制定された自民党の憲法改正草案でございまして、九条において、当時、自民党としての考え方を示したものでございまして、集団的自衛権におきましても、それは国際社会における標準の集団的自衛権の行使を認めるものである、こういうことでございます。

岡田委員 今のお答えは、国連憲章上認められた集団的自衛権の行使を限定なく認める、そういう憲法にするというのが自民党の憲法改正草案である、そういうお答えだったと思います。

 二〇一四年の衆議院選挙に当たって、自民党のマニフェストの中で、憲法改正原案を国会に提出し、憲法改正を目指します、こういうふうに書いてあります。もちろん、国民の理解を得つつとは言っておられますが。したがって、チャンスがあれば国会にこの九条も含めて憲法改正原案を提出して、このような憲法改正、今の九条を、限定なく集団的自衛権を認める憲法に変える、これが総理のお考えですね。

安倍内閣総理大臣 今回の平和安全法制の整備によって切れ目のない対応が可能となったわけでございまして、喫緊の課題としての集団的自衛権の一部解釈容認を行うことによって、日米同盟を強化し、そして切れ目のない対応を行うことは、私は可能になった、こう考えているわけであります。

 同時に、平成二十四年にお示しをしましたように、今後、二十一世紀において、しっかりと国民の命とそして平和な暮らしを守っていく上においては、九条の改正を行うことが必要であろう、こう自民党の総意としてその草案を取りまとめたわけでございます。

 その考え方には変わりはないわけでございますが、いずれにせよ、憲法改正においては、これは衆参両院でそれぞれ三分の二以上の賛同が必要でございますし、発議が必要でありますし、さらには国民の過半の支持が必要であろう。そのために、現段階においては、まずは国民的な議論を深めていくことが大切ではないか。

 そして、我々は、憲法改正草案については前文から含めて全体をお示ししておりますので、どの条文を議論していくべきか、あるいは、改正すべき条文として、まずはどの条文にしていくかということを議論していく、そういう段階にあるんだろう、こう思っているところでございます。

岡田委員 しかし、憲法改正草案という形でこういうふうに出された。私は、総理の持論は限定なき集団的自衛権の行使ということだというふうに考えているんですけれども、三分の二衆参で得られれば、これを国会で成立させ、そして国民投票にかける、こういうお考えですね。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、これをやみくもに国民投票にかけても賛同を得られるかどうかということはわからないわけでございますし、我々は、憲法草案については、先ほど申し上げましたように、憲法の前文から改正条項等々に至るまで全て我々の考え方をお示ししている中において、どこから議論するかということについても、今、党においても御議論をいただいているところでございますし、国会における憲法調査会においても議論が深まっていくことを期待したい。

 その中において国民的な議論が深まり、広がり、高まっていくことが絶対的に必要でありますから、まずそこに我々は重点を置いていきたい、こう考えているところでございます。

岡田委員 国民的理解と総理は言われるんですが、例えば二〇一二年の衆議院選挙において、マニフェストの中に、「集団的自衛権の行使を可能とし、「国家安全保障基本法」を制定します。」と小さく書かれておりました。これをもって根拠にして、国民の八割が政府の説明は不十分だと言うにもかかわらず、集団的自衛権の解釈を変えてしまったわけですね。

 ですから、そういう総理を見ていると、今そういうふうに言われていますけれども、数がそろえばそれをやってくるというふうに私は思うんですが、総理、もし反論がありましたら言ってください。

安倍内閣総理大臣 数がそろえばということは、これはしかし民主主義のルールでありますから、数がそろうために我々は国政選挙で衆参ともに、国民のいわば支持を受けて大勝しなければならないわけであります。

 そして、その上において、国民の支持を受けて、過半の国民の理解と支持のもとに成立をさせる、そういうプロセスがあるわけでありますから、私が勝手にこうすればいくということでは全くないわけでありまして、憲法にのっとって、そして法にのっとって、それはそういう理解が深まっていけば進めていくべきものとして我々はお示しをしているわけでございますが、党においても、この憲法の我々の草案の中において、どこから始めるべきか、緊急事態という条項からやるべきだという議論もかなり有力でありますし、さまざまな議論を、民主党というのは極めて民主的な党でありますから、そこでしっかりと今議論を深めているところでございます。

岡田委員 過去二回の総選挙を、アベノミクス、この道しかない、それから、消費税の引き上げ延期を問う、そういう名目で選挙されながら、そして、マニフェストには小さく書いただけの集団的自衛権の行使の解釈変更を、これは選挙で国民に問うたんだということで総理は強行されたわけであります。

 そういうことを見ていると、やはり、次の参議院選挙で三分の二自民党がとるということにもしなると、これは憲法九条がこのように変わる、その提案がなされるということを我々はしっかりと踏まえておかなければいけない、そういう重要な参議院選挙になるということを認識しなければならないというふうに思います。

 先ほど言いましたように、国民の八割が政府の説明不十分という中で、集団的自衛権の限定的な行使についての解釈が変わりました。そして、場合によっては、憲法そのものも、九条そのものも変えられかねないという状況にある。そのことをしっかり踏まえて我々は戦っていかなければならないというふうに思います。

 まずは、次の通常国会で、憲法違反の法律、時間がたてば憲法違反の法律が憲法違反でなくなるわけではありませんから、少なくとも憲法違反の部分について、これを白紙に戻す、そのための法案をしっかり国会に提出して、そしてそういった白紙撤回を実現していきたいということをまず申し上げておきたいと思います。

 さて、次の課題に移りますが、日中韓首脳会談、これについて、私は、できたことはよかったというふうに評価します。

 ただ、総理は、日中韓首脳会談の開催について、これは画期的なことだというふうに自画自賛されました。私は非常に違和感を覚えるわけであります。なぜ、安倍総理になって日中韓首脳会談が三年間開かれなかったのか、あるいは日韓首脳会談が開かれなかったのかということを考えたときに、もちろんそれは双方に問題がある、中国側、韓国側にも問題があるということは、私もそう考えておりますが、しかし、総理にも反省すべき点があったんじゃないか、そういうふうに思いますが、どういう反省をしておられますか。

安倍内閣総理大臣 私の主張は一貫しております。

 どういう主張かということについて申し上げますと、日中韓はお互いに隣国同士であります。隣国同士であるがゆえに難しい課題もあります。しかし、そうした難しい課題があるからこそ、首脳間において胸襟を開いて話をすることが求められているわけでございますし、同時に、三カ国の首脳は地域の平和や繁栄にも責任を共有しているわけであります。この責任感のもとに、まずはお互いに会う機会をつくるべきだ、こう申し上げてきたわけであります。こうした課題をあなたのところでまず解決しなければ会いませんよという外交は間違っていますよということであります。私は、政権を預かって以来、そういう主張をしてまいりました。

 このたび、前提条件をなしに我々は首脳会談を行うことができた。そして、今回、李克強首相も朴槿恵大統領も、三首脳がこうして一堂に会したことは極めて有意義であったということを表明しているわけでありますし、それぞれ三カ国の国民に対して我々は責任を果たしている、こういう実感も共有することができたことは、私は画期的なことではなかったか、こう申し上げているところでございます。

    〔委員長退席、金田委員長代理着席〕

岡田委員 私も、首脳会談は無条件に、しかも定期的に行うべきだという主張でありますし、朴槿恵大統領にお目にかかったときにもそのことを申し上げてまいりました。そこは総理の言うとおりなんです。しかし、その前提として、やはり私は、首脳間の信頼関係というものがなければなかなかそこに至らないということもあるのではないかというふうに思います。

 総理は、こういった中国や韓国の首脳との間の信頼関係が今あるというふうに思われますか、あるいは今まであったというふうに思われますか。

安倍内閣総理大臣 信頼関係というものはお互いに培っていくものであります、お互いにですね。そのためにも、まずお互いが会わなければ、何を考えているかがわからないわけでありますから。果たして日本や中国や韓国の世論はどうなのか、それぞれの国がそれぞれの国をどのように考えているかということをしっかりとまずは忌憚なく率直な話をすることから信頼関係というものは始まっていくわけでありまして、その上において、これからさらに一つ一つ信頼関係を積み上げていきたい、こう思う次第でございます。

 中国においては、習近平主席と二回にわたって首脳会談を行うことができた。先般、李克強首相とは初めてお目にかかることができたわけでございますが、そういう中で間違いなく信頼関係は培われていくもの、こう考えているところでございます。

岡田委員 私は、もちろん信頼関係は会うことで深まる部分もありますが、やはり、会わなくても相互の言動を見て判断される部分もあるというふうに思うわけですね。私は、総理が、まあ総理になられてかなり自制はされているものの、総理になる前のさまざまな発言というものが、やはり韓国や中国から見て非常に総理の信頼を失わせる、そういう要因になっているのではないかというように考えているわけですね。

 余り言いたくありませんが、総理が総理になる前に、例えば総裁選などでどういうふうに語っていたか。例えば村山談話について、まさに踏み絵である、村山さんの個人的な歴史観に日本がいつまでも縛られることはない。今は、継承しているというふうに言われているわけですね。河野談話について、第一次安倍政権のときに河野談話を修正したことをもう一度確定する必要がある。今は、河野談話は継承しているというふうに言われているわけです。

 尖閣については、これは民主党政権のときに国有化をしたわけでありますが、それに加えて、船だまりの設置や公務員の常駐を検討する、こういうふうに発言されているわけです。

 もちろん、総裁選挙の中で、あるいはその前の段階での発言ではありますが、私は、こういう不用意な発言が両国関係を非常に難しくした、結果として三年間首脳会談が開かれない事態を招いた、そのことについてやはり日本国総理大臣として反省すべきだというふうに思っていますが、いかがですか。

    〔金田委員長代理退席、委員長着席〕

安倍内閣総理大臣 私は全くそうは考えていません。まず、そのことをはっきりと申し上げておきたいと思います。

 国と国、国が違うわけでありますから、当然、お互いが求める国益がぶつかる場合もあります。隣国であるがゆえに歴史的な課題が存在するわけでありますが、その国からの見方はそれぞれ変わっていくわけであります。そこで、私は、あくまでも日本の国益を考えた上において発言をしているわけであります。それが相手国側から必ずしもよく思われない場合もあるかもしれない。それは、お互いにそういうことがあり得るわけであります。しかし、だからこそ私は、首脳同士がしっかりと膝を交えて話をすべきだ、こう申し上げているわけであります。世界じゅうの国境を接する国々は、そうした課題を持つ中において、話し合いをする中においてさまざまなことを解決しているわけであります。

 これはまさに、首脳同士がお互いを好き嫌いということではありません。責任感です。その地域や国際社会に対してどういう責任を負っているか。その責任の一つが、ちゃんと首脳同士が会って話をしていくことによって信頼関係を醸成していくという努力をしていく、これも我々首脳に課せられた大きな責任ではないか、このように思っております。

岡田委員 総理、議論をすりかえないでもらいたいんです。

 総理は先ほど、国益を考えて発言をしているというふうに言われました。先ほどの、総理になる前とはいえ、発言、村山さんの個人的な歴史観に日本がいつまでも縛られることはないとか、あるいは河野談話を修正したことをもう一度確定する必要があるとか、そういう発言は国益にとってどうだったんでしょうか。私は大いに国益を損なったと思いますが、国益に沿った発言なんですか。もしそうだと言うなら、総理になってからどうして方向転換するんですか。同じ発言をどうして繰り返さないんですか。全く矛盾しているじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 まず、村山談話がありました。しかし、先般、八月十四日に安倍内閣としての談話を発表いたしました。まさに閣議決定を行いましたから、これが今まさに我が国における一番新しい、いわば七十年の談話である。我が国の歴史を振り返り、何を教訓とするか、そしてその教訓をどう生かしていくかということであります。我が国が国策を誤った、曖昧なこういう表現ではなくて、歴史から、どこでどういう問題があったかということを私たちは認識している、それからどういう教訓を酌み取り、何をしていくべきかという観点から、まさに新たな談話を発表したところでございます。

 河野談話におきまして私が申し上げたことは、第一次安倍政権において、質問主意書に対する回答の中で強制性について申し上げているわけでございまして、そのことを意味しているわけでございます。

 また、船だまり等については、当然、これは日本がさまざまな選択肢や検討を持つということについて、さまざまな検討をするということでございます。実際にどうするかどうかというのは、それは政策判断であるわけでございます。

 そうしたことも含めて、我々、そうした今までの発言してきた経緯も含めて、今回は、まずは首脳会談を行うことができたわけであります。

 首脳同士が、あのときあなたがこんなことを言ったから、もうあなたとは会いませんよと言ったら、国と国との関係はおしまいなんですよ。そうではなくて、やはり、先ほど申し上げましたように、しっかりと地域の平和と安全に責任を共有しているという認識を持ち合うということが大切であろうと思うわけであります。

 常に相手の国に気に入られたいということによって国益を削っていったのではどうしようもないわけでありまして、しっかりと国益は確保しつつ、当然、言うべきことは言いながら、でも、国と国との関係においては現実的な、政治的な判断をしていくということが求められているんだろう、このように思うところでございます。

岡田委員 国益を本当に考えるのであれば、総理になる前からきちんと発言されるべきだったということをもう一度繰り返して申し上げておきたいと思います。

 その日中韓首脳会談の共同宣言の中で、歴史を直視し未来に向かうとの精神が強調されました。総理にとって、この日中関係、日韓関係において、歴史を直視するというのは具体的にどういうことだというふうにお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 歴史を直視する、これはもちろん、日本だけではなくて、日中韓それぞれが歴史を直視していくということであります。それはまさに正しい歴史を見ていくということであって、同時に、特定の歴史に焦点を当て過ぎることは、過度に当てていくことは生産的ではないわけであります。

 例えば、日中関係におきましても、戦後の友好の歴史があります。そして、韓国との間においても、六五年の基本条約以来、ともに発展してきたという歴史があるわけでございます。そうしたことも含めて未来への教訓としていく必要があるんだろう。もちろん、日本には反省すべき点はあります。それは、首脳会談でも申し上げたように、七十年談話、安倍内閣としての談話で申し上げているとおりであります。そうしたことも含めて歴史を直視するということではないか、こう考えているところでございます。

岡田委員 私は、国の指導者は、特に日中関係、日韓関係を考えたときに、確かに我々は過去に誤ったこともあった。もちろん、いいこともありました。しかし、一時期誤ったこともあった。そのことの事実をきちんと正面から受けとめて認めて、そして和解のための努力をしていく。和解はお互いが歩み寄ることが必要です。和解のための努力をしていくということが私は日本の指導者に求められるというふうに思うんですが、総理は同じ考えですか。

安倍内閣総理大臣 先般、メルケル首相が来日されたときにも言っておられましたが、独仏の和解というのは、これはお互いが歩み寄ったから、まさにフランスも寛容な姿勢を示したからであるということを述べられておられました。もちろん、ヨーロッパと東アジアとはさまざまな状況は違うわけでございますが、やはり和解をしていくためにはお互いの努力が必要であろうと思います。

 もちろん、我々にとって何を反省すべきか、まさにこれは、戦後七十年の日本の歴史というのは、さきの大戦の反省を酌み取りながら、だからこそアジアの発展のため、平和のために努力をしていかなければならないという歴史ではなかったか、私はこう思うわけであります。

 我々の先輩方は、日韓の歴史においても日中の歴史においてもそうですが、そして、日本の国民は、中国や韓国の発展のために私たちもやはり尽くしていこう、そういう努力を重ねてきたわけであります。そういう努力においても、やはり理解し合うことが大切であろうと思います。

 そうした努力もある中において、我々はさらに、戦後七十年を迎えるに当たって、何を考えているかということにつきましては戦後七十年の談話でお示しをさせていただいているわけでありまして、我々は常に胸に刻まなければならない反省がありますが、同時に、これまで平和国家として歩んできた道のり、アジアの国々の発展のために努力してきた道のりということについても我々は静かな誇りを持っているわけでございまして、そういう点においても理解を進めていくべく努力をしていきたい、このように思っているところでございます。

岡田委員 今総理は、八月の安倍談話について言及されました。その中にこういうくだりがありますね。私たちの子や孫に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない。ここの意味するところ、総理はどういうふうにお考えか。これでもう、これ以上謝罪する必要はないんだ、こういう議論も中にはあるわけですけれども、ここのくだり、私たちの子や孫に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない、そのために日本国総理大臣として何をすべきだというふうにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 この全体の中から私が言わんとしているところを酌み取っていただきたいと思いますが、「日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。」ということでありまして、謝罪をし続けるという運命を背負わせるということは、これはまさに、次の世代に、他の国々の人々とともに夢を紡いで、希望を紡いでいくということにはならないわけでありまして、そのことを申し上げたかったわけでございます。

岡田委員 先ほど言いましたように、ここのくだりについて、私たちの子や孫に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないということをもって、いや、もう謝る必要はないんだ、こういうふうに議論している人たちが一部にいます。それは、私は明らかに間違いであると。総理も今言及されていましたように、同じ段落の中に、「世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。」というふうに書かれているわけであります。ここは非常に大事なところだと思います。

 そして、次の世代に謝罪の宿命を背負わせないためにはしっかりとした和解が必要で、その和解をなすためには、まず指導者が過去の歴史に真正面から向き合わなければならない。そして、和解は一方通行では、もちろんありません。相手の歩み寄りも必要ですけれども、しかし、この日中、日韓を考えたときに、まず私たちが、日本側がしっかりと過去の事実に正面から向き合って、そして和解を請うていくということでなければならないというふうに思いますが、総理、基本的に同じ考えですか。

安倍内閣総理大臣 今申し上げたことが全てでございます。

 先般この発表を行った際、記者の質問にもあったわけでございますが、ドイツのワイツゼッカー大統領の荒れ野の四十年の中においても、今や、さきの戦争にかかわりのない人たちが非常にふえている、子供であったか、かかわりのない人たちがふえている中において、まさに、彼らにこれからも粗布をまとい続ける、そういう宿命を負わせるわけにはいかないという趣旨のことを述べているわけでございますが、ここで大切なことは、やはり、しっかりと和解をしていくということは極めて重要であろうということでございます。そのための努力は続けていかなければならない、このように思っております。

岡田委員 日韓首脳会談の中で、従軍慰安婦問題の早期妥結を目指して協議を加速化するということも確認されました。総理のこの問題についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 慰安婦問題については、政府としては、一九六五年の日韓請求権協定で法的に解決済みとの立場には変わりはありません。その上で、本年八月十四日の内閣総理大臣談話では、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去をこの胸に刻み続け、二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしていくとの決意を示しました。

 今回の日韓首脳会談では、慰安婦問題が日韓関係の発展に影響を与えているとの認識のもとに、両国が未来志向の関係を築いていくため、将来の世代の障害にならないようにすることが重要との認識で一致をいたしました。本年が日韓国交正常化五十周年という節目の年であることを念頭に、できるだけ早期に妥結するため、協議を加速化させることで一致したことでありまして、このことを踏まえて、韓国側と引き続き局長級協議を行っていく考えであります。

岡田委員 この従軍慰安婦の問題、非常に難しい複雑な問題であります。私も、法的には決着済みという立場、考え方であります。しかし、法的には決着していることが全て決着しているという意味ではもちろんないわけでありまして、和解のための相互の努力、これは一方的ではなく相互の努力が求められる。非常に複雑で難しい問題ですが、日韓関係の大局を見て、しっかりと双方の首脳が、朴大統領と安倍首相が政治決断をしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 さて、経済にちょっと話題を移したいと思います。アベノミクスについて、雇用の問題。

 総理は、アベノミクスの成果として、雇用は百万人以上ふえたということをよく言われます。先ほど来話がありますように、失業率の低下とか、有効求人倍率が上がっているとか、いろいろな数字はあります。ただ、そういう中で、私はやはり、全体で百万人以上ふえているものの、それは非正規の働き方がふえているのであって、正規労働者はむしろかなり減っているというところが非常に重要だというふうに考えております。

 この数字は、きょう、二〇一五年七―九が発表になるという話もありますが、現時点での最新の値が二〇一五年四―六月、その三年前、これは民主党政権ですが、二〇一二年四―六月、三年前と比べた数字であります。

 全体の雇用者数ですけれども、確かに百二十一万人ふえている。総理は百万人以上ふえているとおっしゃっているのはそのとおりであります。

 ただ、非正規が百七十八万人ふえて、正規は五十六万人減っている。景気が次第に回復基調にある、デフレから脱却しつつあると総理は説明されていますが、そういう中にあって正規が減っている、現状維持ならともかく、減っているということは、やはりこれは非常に重大ではないかというふうに思うわけですね。

 特に、二十五歳から三十四歳で五十八万人減、三十五歳から四十四歳で五十一万人減、合わせて、これは働き盛りといいますか、二十五歳から四十四歳というところが百万人以上減っているということは、私は非常に重大だというふうに思いますが、総理はこのことについてどう考えておられるんですか。

安倍内閣総理大臣 まず、正規において、これは今委員が示された、安倍政権で五十六万人減っているではないかということであります。

 しかし、民主党政権においても、その前の二〇〇九年から比べれば六十五万人減っているわけでございまして、これは民主党政権のときの方が減っているではないかということが言いたいわけではなくて、ここは人口が減少しているということでありまして、人口の中に対する正規の比率を見れば、これは実は横ばいでございます。その中において、非正規はふえているのは事実でございます。

 では、なぜ非正規はふえているかといえば、これは景気回復に伴ってパートなどで働き始めた方が増加をしているということが一点。と同時にまた、六十五歳までの雇用確保措置が実施をされて、高齢層で非正規が増加をしているということでありまして、不本意ながら非正規の職についている方も前年に比べてみれば減少してきているわけであります。

 そこで、正規雇用の状況を見なければならないわけでありますが、働き盛りの五十五歳未満では、平成二十五年から十四半期連続で非正規から正規に移動する方が正規から非正規になる方を上回っております。そして、正社員の有効求人倍率は調査開始以来の最高水準になってきているわけでございますから、間違いなく正規をめぐる雇用状況はよくなっているわけでございます。足元では正規の方が前年に比べて増加しているなど、これも着実に改善をしていると思います。

 そして、正規、非正規間に見られる賃金格差でありますが、我々もこれは注意深く対応してきたわけでございますが、平成二十四年から平成二十六年にかけて縮小してきています。パートで働く方の時給はここ二十二年間で最高水準になっています。

 非正規雇用の方の待遇改善も着実に進んでいるということでありまして、私たちが進めている政策は、しっかりと雇用環境をよくしていく、雇用環境全体をよくしていく、それは、景気をよくしていくことによって雇用環境をよくし、さらにその中でも正規に行きたい人が行けるような状況をつくっていくということであると同時に、正規と非正規の格差を是正していく。我々はそれを成功しつつある、このように考えております。

岡田委員 非正規から正規への動きがふえている、これはいろいろな統計のとり方の問題です。

 ただ、私が言いたいのは、景気回復局面の中で正規の絶対数が減っている。それは全体の働く人の数が減っているからだとおっしゃるかもしれませんが、非正規も含めればふえているわけですから。そういう中で正規が減っているというのは、やはり私は深刻に捉えるべきだというふうに考えます。

 特に、二十五歳から四十四歳という、まさしくこれから結婚し、家庭を持ち、子供をつくり、そういう働き盛りの人たちが不安定な雇用がふえてしまっているということについては、やはり何らかの政策的対応が私は絶対必要だというふうに思うわけであります。

 さらなる正規雇用への転換や、あるいは職業資格の取得などを後押しする制度、そういったことにさらに政府として私は力を入れるべきだというふうに思いますが、総理、そういうお考えはありませんか。

安倍内閣総理大臣 それは当然、我々も、それぞれの年齢層ごとにしっかりときめ細かく分析をしながら、正社員になりたい人がその目的を実現することができるように、そうした雇用に向けてのいわばキャリア形成等も含めて支援をしていきたい、このように思っております。

岡田委員 ぜひ具体的政策をお願いしたいと思います。

 次に賃金ですが、賃金がふえたということを総理はよく言われます。ただ、問題は実質賃金なんですね。それで見ると、民主党政権の時代には平均して九九・八、これは二〇一〇年を一〇〇とした数字です。ところが、安倍政権になると九六・五ということで、むしろ実質賃金はマイナスだ。だから、物価が上がっている中で、賃金はそれに追いついていない。実質賃金が下がっていれば消費がふえるはずがない、それが現在の消費低迷の大きな原因になっている、これは誰が考えてもそうだと思うんですが、こういうことについてどうお考えですか。

安倍内閣総理大臣 まず、この実質賃金を見れば、実質賃金指数が安倍政権になって下がっているということは、これは、いわば働き始める人が多いわけですから、安倍政権になって百万人新たに働き始めました。しかし、それは最初はどうしても慎重にいきますから、パートで働き始める方が当然多いんです。企業側もそうですし、働き始める方もそうであります。それを平均しますから、当然これは、景気回復局面では常にこういう現象が起こります。つまり、景気回復をしているということであります。

 そして、そこで大切なことは……(発言する者あり)済みません、ちょっと少し静かに、こういう議論をしているんですから、おとなしく聞いてくださいよ、たまには。

河村委員長 御静粛に願います。

安倍内閣総理大臣 そして、実質総雇用者所得については、稼ぐ額、総額ですね、それは、民主党政権下の二〇一〇年から二〇一二年までの平均値と、安倍政権下での二〇一三年から二〇一四年までの平均値を比較すると、これはほぼ同じ水準でありました。我々が、デフレ脱却に向かいながら、かつ、消費税を引き上げをして、その影響を加味して同水準ということであります。我々は三%引き上げたんですから。

 これは、消費税を三%引き上げて、いわば実質賃金を三%押し下げるという効果を入れ、そしてかつ、デフレから脱却するために今徐々に物価が上がっていくということを加味しても、民主党政権、デフレ下でやっているときと実は同じ水準だった。これは総雇用者所得ではそうなるということは申し上げておきたい、このように思います。

岡田委員 総理、二年前なら、最初はまずパートからだとかそういう説明は通じると思いますが、もう三年たっているわけですね。それで傾向は変わらないわけですから、やはりここは大きな問題があるというふうに思います。

 もちろん、賃金交渉というのは労使交渉に委ねるべきだと思いますが、しかし、もっと思い切って上げる、経営者側にはそういったことも求めなければならないと思いますし、やはり、日本的経営、人を大事にするというのであれば、総理からもたびたび言われているとは思いますが、もっと強く経営者側に賃金を上げるということを言うべきだというふうに私は思っております。

 さて、労使交渉で決まるというふうに申し上げましたが、政府がある程度決められるものがあります。それは、最低賃金。

 最低賃金については、総理は、民主党時代よりも今の方が上がっている、こういうふうに言っておられるわけですが、私はもっと最低賃金は上げるべきだというふうに思います。

 我々のときには、平均千円を目指すということで絵を描いておりました。残念ながら、東日本大震災があって、その年は低い増加にせざるを得なかったんですが、しかし、かなり頑張って最低賃金は引き上げてきたつもりであります。安倍総理も、ぜひ最低賃金の引き上げについてさらなる努力を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほどの答弁につけ加えてちょっと言わせていただきますと、一人当たりの実質賃金も七月以降プラスでありまして、実質総雇用者所得もプラス基調が続いておりますし、冬のボーナスについては昨年、プラス五・二六%の上げでありまして、これは二十四年ぶりの出来事であります。そして、夏も三年連続プラスになっていますが、我々が政権をとった民主党政権時代の二十四年、冬も夏もマイナスであります。それを我々はプラスに変え、三年連続それが続いているということをまず申し上げておく上において、最低賃金について申し上げますと、安倍政権においては三年連続でこれを大幅に引き上げているわけであります。十五円、十六円、次は十七ではなくて十八。十五、十六、十八、こう上がっているわけでありまして、合わせて五十円の大幅な引き上げとなっているわけであります。

 我々も、最低賃金の引き上げが経済の好循環を回していく上において大変重要である、このように考えております。

岡田委員 総理はたびたび、最低賃金は民主党のときよりも上げているというふうに言われるので、ちょっとパネルを用意してまいりました。これをぜひよくごらんいただきたいと思います。

 残念ながら、我々のときには消費者物価が下がっておりました。消費者物価が下がる中で最低賃金を引き上げてきたんです。今は消費者物価が多少上がってきた。その伸びに最低賃金が追いついていないというのが現状なんです。だから、私は、もっと上げられるし、上げなきゃいけないと。物価よりも下がっていたら実質所得は目減りしてしまいますから。そこの認識はきちんと改められるべきじゃありませんか。

安倍内閣総理大臣 示されたこの図についてはよくまた精査させていただきたい、こう思っておりますが、我々はまさに過去最高の水準で上げているのも事実であります。

 そして同時に、ただ紙に書けば実現するというものではなくて、これはやはり地方の零細企業等も含めて雇用も確保しなければいけない、そういう中小零細企業が成り立っていくという水準も大切であろう、このように思う中において、地方のそうした中小零細企業の生産性も上がっていくお手伝いもさせていただきながら、そうした小さな企業もこうした最低賃金がかかってくるわけでありますから、これが上げられる能力を我々は支援をしながら上げていきたい、こう考えているわけでございます。

岡田委員 我々、消費者物価が下がっていく中で最低賃金を上げるというのは大変なことでした。したがって、それは、総理がおっしゃる中小零細企業への対応、予算措置もやりながらこれをやってきたわけです。ですから、今、状況が変わって少し消費者物価が上がっていくということであれば、当然、最低賃金は上げなければいけないし、そして、将来消費税がさらに上がるというときには、それに先立つ形でやはりこういうものは上げていかないと、後追いではまた影響が大きく出てきてしまうんだというふうに私は思うわけであります。

 さて、新三本の矢について少し議論したいと思います。

 新三本の矢って、私は最初に聞いたときよくわからなかったんですね、一体何が矢で、何が的なのか。たしか最初の記者会見では、ここに書いてあるGDP六百兆円、出生率一・八、介護離職ゼロ、それからここに書いてある希望を生み出す強い経済等々、これは全部矢になっていたようにも思うんですが、最近、総理の講演などで、実はGDP六百兆円などは矢ではなくて的であるということを言われていると思います。

 最初の三本の矢というのは非常にわかりやすかったと思うんですね。中身はいろいろ議論はあるんですけれども、デフレ脱却のために、一本目の矢、大胆な金融政策、二本目、機動的な財政政策、三本目に民間投資を喚起する成長戦略。ところが今回は、一億総活躍社会の実現という大きな的、目標があって、そのために三つの具体的な目標がある、それを生み出す一本、二本、三本の矢だということですが、非常にわかりにくい。国民の皆さんも戸惑っておられるんじゃないかと思います。

 総理、例えば、介護離職ゼロという目標を達成するために安心につながる社会保障をやりますと。これは矢になっているんですか。安心につながる社会保障をやれば介護離職ゼロになるということですよね。ちょっとよくわからないので説明してくれますか。

安倍内閣総理大臣 まず、政府に求められているのは、どういう問題意識を持っているのかということであります。

 我々は、三本の矢の政策によって、デフレから脱却しつつあるという状況まで来ました。名目GDPもふえて、税収もふえてきた。こうした果実をしっかりとこれからも生かしていく。どういう方向を目指すのかということであります。我々は、一億人という人口を維持していきたい。そして、この一億人がしっかりと活躍をしていくことによって、先ほど質疑の中でもあった、それぞれが自己を実現する社会をつくる。ここで大きな課題としては、今の我々が持っている人口動態にしっかりと真正面から向き合いながら対応していくことが大切であろうと思うわけでございます。

 そこで、いわば的と矢の関係において説明をさせていただきたいと思いますが、まず、三本の矢をまとめて一本の矢として、最初の強い経済をつくり、GDP六百兆円を目指していくということであります。

 そして、二本目の矢として、この人口動態にしっかりと向き合いながら、希望出生率一・八を我々は実現しなければいけない、そのために子育て支援を行っていくということであります。

 具体的には、待機児童をゼロにしていくため、二十万人、四十万人と目標を掲げておりましたが、女性が約九十万人新たに仕事をし始めましたからこの需要がふえてきたという中において、四十万人を五十万人に引き上げていくということも決めさせていただいておるところではございます。

 そして、三本目の矢としての、介護離職をゼロにしていく。

 なぜ介護離職をゼロにしていくということが重要であるかということでございますが、今でも介護離職される方が多く、仕事をやめることによって共倒れになる方々も出てきているわけでございます。そこで、団塊の世代の皆さんがいよいよ七十五歳以上になっていくというときに、団塊ジュニアというのは二つ目の人口の大きな固まりでありますから、この皆さんが介護離職をしていくということになれば、これは日本の経済に大きな打撃があるわけでありまして、今からそれには備えていなければならないということでございまして、そのために、我々は、安心の社会保障という政策を打っていくことによって介護離職ゼロを実現していく考えであります。

 それはもちろん、例えば都市部において施設が足りないという大きな課題もありますが、それだけではなくて、予防に力を入れていくことによって要支援の方がその支援が必要でなくなったという例も出てきているわけでありますから、そうしたいい事例をしっかりと横展開していく中において、老後でも元気な状況をつくっていけば介護離職も減っていく、こういうことも含めながらしっかりと政策を打っていきたい、こう考えているところでございます。

岡田委員 例えば、介護離職ゼロのところの説明、最初、介護施設の整備ということに重点を置かれたようにも私は理解しておりましたが、この前の講演の中では、在宅介護の負担の軽減、介護施設の整備、介護に携わられる人材の増加や処遇の改善、介護休業給付水準の引き上げなどなど、こういったことをやっていくんだというふうに言われました。

 総理、これはもちろんそれぞれ大事なことだし、やっていかなければいけないことなんですが、どのぐらいの予算をこれに充てるつもりですか。

 例えば、今、介護給付の総額は十・一兆円、二〇一五年ですね、一般会計ベースでは二・八兆円、非常に伸びが厳しいということで、今回、その水準を落とした、予算を削減するということもやられましたよね。ですから、今総理が言われた、あるいは私が言ったいろいろなことをやっていく中で、どのぐらいの予算を例えば一般会計ベースで投入するというお覚悟があって言っておられるのか、お示しください。

安倍内閣総理大臣 どの程度の金額が必要かということは、まさにこれから議論を深めていくのは当たり前のことでありまして、我々は、まずは、問題意識と、国としての目標と、どういう手段をもってそれに到達をするかということを発表させていただいたわけでありまして、そこで全てができているわけではないわけでありまして、まさにこれを私は総理大臣としてお示しをして、そして政府・与党でちゃんとその中身を詰めていく。先般、そのための国民会議もつくり、与党においてもそのための本部が設立をされ、来年度の予算編成に向けてしっかりと議論を進めていきたい、こう考えているところでございます。

岡田委員 希望出生率一・八のところも、夢を紡ぐ子育て支援ということで、先ほども総理も言われました、五十万人分の保育の受け皿を整備しますと。それから、幼児教育の無償化、一人親家庭への支援拡大、三世代同居への補助、それぞれ今までも議論されてきたし、いいことだと私も思います。ぜひやりたい。

 だけれども、我々民主党政権のときには、消費税を上げさせていただく中で、七千億円をこのために使おうということを決めました。不十分だと思いましたけれども、もっとふやしたいと思いましたけれども、全体の枠組みの中でそれ以上を充てることは残念ながらできない、ほかにも年金や医療もある、そういう中で決めさせていただきました。

 だから、総理、いろいろなことを、夢を語るのはいいんですよ。だけれども、現実に、日本国総理大臣として、一体、この夢を紡ぐ子育て支援と、安心につながる社会保障、実は介護の話ですが、介護と子供、子育てにどれだけの予算を充てるのかということの全体の目安がなければ、それを全部党に丸投げするわけにはいかないじゃないですか。そこはどういうお覚悟ですかと聞いているんです。

安倍内閣総理大臣 それはどんな政策もそうなんですが、政府として、まず、総理大臣として大きな方向性を示す中において、当然、夢を語るだけではありません、私は総理大臣ですから、実現可能性がなければならないわけであります。そのための予算の裏づけ、これは当然のことであります。

 まさに、その中において議論をしていく、政府と党が議論をしていくわけでありまして、これは勝手に議論するのではなくて、我々が議論する上においては、その予算の裏づけもあわせて議論していく、これは当然のことであろう。そういう議論をしっかりと深めていきながら効果的な政策を打ち出していきたい、こう考えております。

岡田委員 総理、方向性だけでもちょっと教えていただきたいんですが。

 ことし六月に骨太の方針が閣議決定されました。経済財政運営と改革の基本方針二〇一五であります。二〇二〇年にプライマリーバランスを黒字化するという目標は変えないということを宣言されました。しかし、そのために、まずは当面三年間、社会保障費の伸び、まあ高齢化に伴ってふえるわけですね。一兆円程度ふえるかもしれない。しかし、それを毎年五千億円の増に抑えるということをその中で決められました。これはかなり大変なことだというふうに思うんですね。それだけでもかなり大変なのに、さらに新しいことをやると言われる。

 そうすると、残された医療やあるいは年金、そういったところをさらに重点化していく、切り込むことになるのではないか、そういうふうにも考えられるわけですね。いや、そうじゃなくて、五千億円の増に抑えると言ったのは、実は、それ自身変えるんだ、もっと社会保障費をふやすんだ、そういうことなのか。基本的な方向はどっちなのかということだけでもお示しいただけますか。

安倍内閣総理大臣 基本的な考え方は、既に私たちが示している考え方の中において、我々が新たな三本の矢を打っていくということでございます。子育ての支援においてもそうですが、また同時に、特に介護離職ゼロについては、これはさまざまなアイデアを持ち出していくことによって効率的な対応も十分に可能になるわけであります。

 例えば施設においては、専ら、施設の介護の不足が生じているのは都市部に集中をしているわけであります。そして、土地がなかなかない、手当てができないという問題があるわけでありまして、そういう点に着目をしながら、いわば効率的に、財政負担が少ない方法というのもないわけではございませんから、そういうことも考えながら、我々はどういう対応が可能であるかということを考えていきたい。

 また、例えば、効率的な、先ほど申し上げました、リハビリによって要支援が、支援が必要でなくなる人たちも出てきている。また、要支援だった人がサポートする側に回っているという事例も和光市で拝見をさせていただいた。こうしたことを横展開していくということは、これは新たな財政措置が必ずしも大きく要るということでは全くないわけでありまして、むしろ効果が逆に出てくる。財政上、これは節減の効果も出てくるわけでございます。こうしたことも含めて考えていきたいと思います。

 同時に、今、岡田委員がおっしゃった五千億円ということでございますが、骨太の方針二〇一五においては、「これまで三年間の経済再生や改革の成果と合わせ、社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸びとなっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を二〇一八年度まで継続していくことを目安とし、効率化、予防等や制度改革に取り組む。」という枠組みが定められています。

 その取り組みに当たっては、単なる負担増と給付削減による現行制度の維持を目的とするのではなくて、質が高く効率的な医療・介護提供体制に向けた改革を行っていく、あるいは個人や保険者に対する予防インセンティブの強化をしていく、そして薬価や調剤等の診療報酬の改革もしていく、負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化の検討などを進めることが必要であると認識をしておりまして、今後とも、必要な予算の確保に努め、国民が信頼できる社会保障制度を構築していきたい、こう考えております。

岡田委員 それは骨太の方針にそう書いてあるわけですが、私が言っているのは、五千億の伸びに抑えるだけでも今言ったさまざまなことに取り組まなければならない、大変なことである、それに加えて新たに二本目の矢、三本目の矢というのが出てきて、いろいろなことをやりたいと。それは私もやりたいです。だけれども、それをやるための財源の手当てをどうするのかということもあわせて議論していかないと、それは絵に描いた餅に終わるのではないかということを申し上げているわけです。

 この二〇二〇年プライマリー黒字化というのは、これだけで終わらないわけですね。内閣府の試算によりますと、このままいくと二〇二〇年度に六・二兆円の赤字になる。そこの手当てはまだこれから。これはどうやって、二〇二〇年、この赤字を埋める具体策、もうそろそろ、私、お示しする責任が政府にあると思うんですけれども、いつお示しになるんでしょうか。もう一つ言うと、名目三、実質二という非常に高い成長で税収が上がるという、ここもかなり私は難しいと思います。しかし、まあ、そこは譲りましょう。しかし、それ以外になお六・二兆の赤字、これについてどう手当てするかということについて、いつきちんとしたお答えを国民に対してお示しされますか。

安倍内閣総理大臣 我々は、まず経済再生を進めていく。経済再生を進めなければ財政の健全化ができないというのは、これは岡田代表も同意をしていただけるのではないかと思いますが、その中で、デフレ脱却までもう一息というところまで来たわけであります。

 税収は約三割、十二兆円以上ふえています。今年度は基礎的財政収支の赤字の半減目標を達成する予算を組むことができました。経済、財政両面で着実に成果を上げていると考えております。そして、引き続き、経済・財政再生計画に基づいて、プライマリーバランス黒字化目標の達成に向けて取り組みをさらに進めていきます。

 今お示しになったような一億総活躍国民会議において、財源とあわせてよく検討していくことに、新三本の矢においてはなっていくわけでありますが、いずれにせよ、しっかりとそうした施策もあわせて進めていく考えでありますが、計画の中間地点である二〇一八年度において、PB赤字対GDP比一%程度及び国の一般歳出の水準の目安に照らし、改革の進捗状況を評価することとしておりまして、必要な場合は、デフレ脱却、経済再生を堅持する中で、歳出歳入の追加措置等を検討し、二〇二〇年の財政健全化目標を実現することとしているわけでございます。

岡田委員 非常に歯切れが悪いというふうに思うんですね。

 今申し上げたことに加えて、一月には補正予算、これはかなり大型のものが出てくるんじゃないかという議論もありますね。それから、今議論をされている消費税の軽減税率の話、これも場合によっては、どこから財源が出てくるのか、社会保障をさらに削るということになるのか、こういう話であります。

 私は、アベノミクスというか安倍総理の経済政策を見ていて、もちろん私も経済再生は重要だという考え方に立ちます。しかし同時に、財政の健全化も重要である、これは両立していかなければいけないというふうに私は思うんですね。総理を見ていると、経済再生なくんば財政健全化なしということで、財政健全化がどんどん後送りになってしまっているんじゃないか。この一年間で三つの格付機関が日本国債の格付を下げました。

 先ほど稲田政調会長のお話を聞いていて、私は全く考え方が近いと思ったんですが、今財政健全化をしなくていつやるんでしょうか。こういう少し経済が落ちついてきたときに取り組まざるをしていつやるのか。経済は循環ですから、また悪くなるときがありますよ。だから、やはりいいときに取りかからなければならないというふうに、自民党の中にもそういう御意見があることを私は知って非常に評価するわけですが、ぜひ、総理もここのところはしっかりと考えてもらいたいと思います。

 そして、最後に申し上げておきますが、まだまだ議論したいことがたくさんある。我々は、憲法五十三条に基づいて、国会議員四分の一の署名を添えて臨時国会の召集を求めています。憲法は、通常国会をもって臨時国会の開催にかえることができるなんてどこにも書いてないんです。臨時国会の召集をしなければならないというのが憲法の考え方であります。総理ですから憲法を守る義務があると思うんです。ぜひ、この十二月までに臨時国会をきちんと開いて、そしてこの議論の続きをしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 終わります。

河村委員長 この際、玉木雄一郎君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 まず、きょうはTPPについてお伺いいたします。

 まず、交渉に当たられた甘利大臣、そして事務方の皆さんに心から敬意を表したいと思います。私は、アトランタ、その前のハワイ、またシンガポール等々、交渉の現場にも行きましたけれども、皆さんよく頑張っておられました。このことは率直に評価をしたいと思います。

 ただ、合意内容そのものの評価はまた別であります。きょうは、守るべきものをがちっと守れたのか、攻めるべきものをがんがんと攻めているのか、このことについて検証させていただきたいと思います。

 まず、攻めるべきものを攻めているのか、このことについてお伺いします。

 最初に、お茶について伺います。

 というのも、十月六日の記者会見で、総理が、これでどんどんチャンスが広がる、そういう話をしたときに、三つのことを具体的に出されました。眼鏡のフレーム、有田焼、伊万里焼、そしてお茶でありました。ですから、随分このTPPによって輸出増が見込まれる一つだと考えますけれども、資料の二をごらんください。

 確かに、近年、お茶の輸出がふえています。これを見ていただくとわかるんですが、最大の輸出先はアメリカです。二番目がドイツ、三番目がシンガポール。カナダもあります。この中のTPPの交渉参加国は、TPPとマークをつけています。

 私が伺いたいのは、総理はこのようにおっしゃいました、日本茶にかかる二〇%もの関税がゼロになる、静岡や鹿児島が世界有数の茶どころと呼ばれる日も近いかもしれません。ぜひそうなってほしいと思います。しかし、ごらんください。米国、シンガポール、カナダ、これらの今もなお有力な輸出先は既にお茶の関税はゼロです。

 総理に伺います。

 二〇%もの関税がゼロ、この二〇%の関税は一体いかなる国の関税ですか。

安倍内閣総理大臣 茶の関税については、ベトナムについては現行で二二・五%の関税が四年目に撤廃されます。メキシコについては五百トンの枠内で一〇%、そして枠外では二〇%の税率が即時撤廃されます。また、ペルーについても関税が即時撤廃となります。こうした機会を捉えて、これらの国々に対する茶の輸出拡大を期待する声もあると承知をしております。

 このようにTPPにチャンスを見出して、地方の特産品やすぐれた技術をもって果敢に海外市場に挑戦する人たちを政府としてはしっかりと後押ししていきたいと思います。今後、TPPのメリットが全国津々浦々で十分に生かされるよう、今般措置されたTPP総合対策本部において必要な施策について検討を進めていく考えでございます。

玉木委員 ありがとうございます。

 総理、メキシコにも輸出がふえたらいいと思うんですね。でも、今現在、お茶のメキシコに対する輸出は、日本茶の輸出の総額のうち〇・〇三%です。額にして百七十四万円。自動車一台分ぐらいですね。二〇%の削減でふえればいいですけれども、私が申し上げたいのは、日本茶にかかる二〇%もの関税がゼロになる、それで静岡や鹿児島が世界有数の茶どころと呼ばれる日も近いかもしれません、これはちょっと因果関係も含めて飛躍し過ぎじゃないですかね。

 私、午前中の与党の先生方の審議を聞いていて、メリットは膨らし粉で膨らますように大きく言って、デメリットはできるだけないようにないように説明しているんですけれども、大事なことは、客観的に経済や輸出に対してどういう影響があるのかないのか、このことを冷静に分析することが、私はこの通商交渉の分析においては重要だと思います。

 それで、今、輸出する人を応援すると言いましたが、総理、これはお茶もそうなんですけれども、一番大事なのは何だと思いますか。関税はもちろんそうです。ところが、もうアメリカなんかはゼロになっていますから、大事なのは農薬の残留基準の統一ですよ。つまり、総理がいつもおっしゃるルールの統一化。では、このルールの統一が今回TPPでできているかというと、できていないんです。

 私、一つ地元のことを申し上げると、盆栽、うちの地元が、国分寺とか鬼無町とか、非常に盆栽の輸出を頑張っているんですけれども、クロマツの輸出ができない。何でかというと、植物検疫の問題でひっかかって、みんな買いたいのに買えないんです、輸出できないんです。そういうところを直してもらいたいのに、今回のTPPはまさに頑張る中小企業を応援する内容になっていないんです。こういうことをしっかりと私は冷静に分析してほしいと思います。

 次に、自動車について伺います。

 何といっても、日本の最大の強力な輸出工業製品は自動車ですね。私、ちょっと驚いたのは、大筋合意ができたその後の記者会見で、総理は眼鏡とかお茶とか伊万里焼、有田焼は言及されましたけれども、我々が最大に攻めなきゃいけない自動車について全く言及がなかったんですよ。これは何でなのかなと不思議でした。でも、だんだん交渉内容が明らかになってくるにつれて、私はわかりました。何でかというと、自動車はアメリカに対して完敗しているからです。

 資料の三を見てください。

 ここに書いていますけれども、自動車は日本がアメリカに攻めるもの。牛肉は、一部和牛はありますけれども、どちらかというとアメリカから日本に対して攻めてくるもの。それぞれ関税があって国内措置をするということなので、ここに、日本が輸入牛肉にかけている関税と、アメリカが日本車にかけている、この場合はピックアップトラック、ライトトラックを描いていますが、この二つの、両国にとって大事な、いわゆるセンシティビティーがあるという品目の関税削減の計画を同じ表の中に描いてみました。

 これを見ていただくとわかるんですが、まず赤い線の牛肉、今の三八・五%が初年度にどんと二七・五。まず初年度に下がります。そこから段階的に引き下げていって、十六年目には九%。

 私、まず言いたいのは、昨年、日豪EPAがありました。オーストラリア和牛、和牛をつくっていますからどんどん入ってくるので、これは大変だといって決議もしたけれども、それは守らなかった。でも、何とか冷蔵肉と冷凍肉で守ったこのラインが、特に自民党の先生方はレッドラインだと言って、これ以上下がったら再生産できないという最低ラインとして当時言っていたんですよ。なのに、簡単にそれを割り込んでいます。まず一点目。

 二つ目。自動車については、いわゆるパッセンジャーカーという乗用車については二十五年かけて撤廃します。十五年目からやっと削減していく。この図に描いているトラックについては、三十年間ずっと関税が維持され維持され、三十年目に初めてゼロになるんですよ。今から発効するのにまず二年ぐらいかかりますから、ゼロ%の関税のメリットが出てくるのは三十二年後ですよ。総理はたしか今六十一歳なので、総理が九十三歳のころ、そのときに初めてトラックについては関税が今より変わるんです。

 申し上げたいのは、こういう状況は、アメリカ側は早目にメリットを受けられます、今回のTPP。それに対して、日本側はずっと関税は変わらないわけですから、アメリカに対して輸出するその関税は変わらないので、メリットを受けるのは随分先になりますね。

 これだけではないんです。ここから質問します。事務方に答えていただきたいんですが、ただでさえ長い二十五年、三十年なんですけれども、さらに延びる可能性があるという合意を結んでいませんか。

金杉政府参考人 お答えいたします。

 先生が恐らく御指摘されているのは、日米並行交渉の結果として、日米自動車貿易に関する特別な加速された紛争解決手続を定めております。その中では、米国による自動車関税削減開始前の我が国による協定違反に対して、パネルが協定違反と認定することを前提として、米国は関税削減開始を延期、後ろ倒しできるということが定められております。

 以上であります。

玉木委員 今、皆さん、国民の皆さんもお聞きになりましたか。ただでさえ、例えば牛肉に比べて自動車の関税撤廃は長いんですけれども、今外務省から話があったように、実はこの期間はさらに後ろ倒しされる、つまり関税が残り続ける可能性があるということを日米の並行協議で決めているんですよ。

 加えて申し上げると、さらに、これはちょっと難しい言葉なんですが、セーフガードというのがあって、実は、三十年か、これはさらに延びる可能性がありますよ、四十年になるかもしれない、その関税がなくなった後も輸入量が一定程度日本からアメリカにふえたら、関税を復活させて輸入を抑えるというのが撤廃後も十年間できるということを決めているんです。どれだけ長いんだという感じですよ。

 これは総理に質問です。

 きょう月刊誌を読んだんですけれども、TPPとか、これが大きな生産性の革命とか輸出の増加につながって、総理がおっしゃるGDP六百兆、二〇二〇年ぐらいには視野に入ってくると言うんですけれども、今から二年たって発効して、そうすると、二〇二〇年前後というのは発効三年目ですよね。これは何も変わらないじゃないですか、トラックもパッセンジャーカー、乗用車も。その意味では、私、これは譲り過ぎなんじゃないかなと。

 国家百年の計と言うんですけれども、半世紀もこういうルールが固定するんだったら、これはやめた方がいいんじゃないですか。少なくとももうちょっと、牛肉ぐらい撤廃期間を短くしてもらうように再度、これは再協議できませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 交渉内容について深い議論をするのであれば、甘利大臣を呼んでいただければよかったと思うんですが、甘利大臣に反論されたら困るのかもしれませんが。

 そこで、この二五%、これはライトトラックでありますが、確かにこの図のままでありますが、現状は、御承知のように、今、ほとんどは米国で生産をしているわけでございます。そこで、ここについてそういうことも鑑みながら、いわば粘り強い交渉の結果、我々がとったのは、乗用車の関税は発効後十五年目から削減が開始をされ、これは最長撤廃期間より五年早い二十五年目で撤廃をされるわけでございまして、それはここには書かれていないわけでございます。

 つまり、このTPP交渉については、米国とだけではなくて全体の国々と交渉している中において、午前中にもお話をさせていただいたように、その中で、さまざまな交渉、駆け引きが行われる中において今回の大枠の合意ができたわけでございます。やはりこうした機会を我々は生かしていくことが大切であろう、このように思います。

玉木委員 総理、具体的な話をしましょう。

 次の資料を見ていただきたいんですが、資料の四です。

 日本側からも随分いろいろなもので勝ったと言いますが、これはアメリカのUSTRのホームページなんですが、こう書いています。「ゲッティング ザ ベスト ディール フォー ザ US オート インダストリー」日本語に訳すと、アメリカの自動車産業界にとって最高の結果を得ましたというのがUSTRのホームページに書いてあるんですね。だから、総理が本来なら……(発言する者あり)いや、みんな言いますよ、言いますけれども、自動車はアメリカにとってのセンシティビティーだったじゃないですか。だから、こっちが攻めるもの、攻めるべきもので攻められているんじゃないのかという疑問ですね。

 もう一つは、これだけ指摘しておきたいのは、TPPをやるときに、米韓FTAを結んだ韓国との競争条件が悪くなるんじゃないか、こういう議論がありましたね。

 実は、米韓FTAの中で乗用車は、家電も関税撤廃しますけれども、五年間でやります。つまり、韓国とアメリカとの間の五倍の長さ、日本は関税が残ります。ライトトラックでいくと韓国とアメリカは十年で撤廃しますから、韓国との関係でいうと日本は三倍長い期間残るんですよ。日本と韓国の競争条件を同じくしていく、あるいはより強いものにしていくという観点からしても、私は今回の内容は非常に問題だと思いますよ。

 とにかく、攻めるべきところで攻められていないどころか、攻めるべきところで攻め込まれているということは、国益を大きく損ねているのではないかと思います。

 次に、守るべきものが守れていないのか、このことを質問したいと思います。

 まず、資料五のポスターをちょっと見てください。

 これは何度も出ましたけれども、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。 自民党」、北海道やあるいは東北の一部の農村地域に大量に張られたポスターであります。(発言する者あり)新潟もですか、うちはなかったんですけれども。こういうポスターがありました。

 私が先ほど来取り上げている十月六日の記者会見で、総理はこのようにおっしゃっています。自由民主党は、国民の皆様とのお約束はしっかりと守ることができた、そのことは明確に申し上げたい、こうおっしゃっていますね。ただ、私は守られていると思えないんですけれどもね。

 もう一つ、隣のはアンケートなんですが、一般紙のいろいろな新聞、テレビがありますけれども、そのアンケートだと総理の支持率は堅調ですよね。我々としては非常に悔しい思いですけれども。ただ、これは実は日本農業新聞がTPPの大筋合意の後に発表したアンケート調査なんですけれども、決議に違反しているという人が約七割を占めています。内閣支持率も、これは私もびっくりしたんですが、一八%。従来、自民党支持層としてかたい農村の方々が多いんだと思いますけれども、こういうある種の失望をあらわしているんだと私は思うんですね。

 総理にお伺いします。

 この「ウソつかない。」というふうなポスターもありますけれども、結局、うそつくことになってしまったのではないでしょうか。公約違反あるいは国会決議違反ということをやはりお認めになられた方がよろしいのではないでしょうか。いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、韓国との米韓FTAに劣後するのではないかという話があったので、一言だけ反論させていただきますと、韓国で販売する車においては、韓国は七割は輸出でありますが、日本は二割、日本車については二割にすぎないわけでありまして、日本で大切なのは自動車部品、部品についての関税撤廃を獲得することであって、それはしっかりと獲得している、こういうことであります。

 そこで、公約との関係におきましては、先ほども御説明をさせていただいておりますように、農産物におきましては関税撤廃率は八一%になっておりまして、二割の関税を例外なき関税撤廃の外に置くことはできた、このように思っております。

 国会決議との関係におきましては、まさにこれは国会で御判断をいただくことでございますが、我々としては、国会決議を生かしながら、国会決議の趣旨に沿う合意を達成できたのではないか、このように思っております。

玉木委員 十分な、きちんとした、守られたということなんですけれども、私はやはりそうじゃないと思いますね。

 私、実は、農林水産省が地元で開催する説明会に二回ほど一般観客として参加したんです。そうしたら、余り質問が出ないんですよ。だから、納得しているというようなことで報告が上がっているかもしれませんけれども、後ろの席に座って聞いていると、何を言っていると思いますか。また国にだまされた、また自民党にだまされたということをささやいているんですよ。でも、その声は、一々手を挙げて言うほどでもないし、がっくりきていると。多くの農家、特に担い手と言われる大規模な農家ほどがっくりきているというのが実は先ほどのアンケートにも出ています。

 それで、そもそも、決議がしっかり守られているんだったら、しっかりとした国境措置が確保できているのなら、対策は要らないじゃないですか。

 次に、対策についてお伺いします。

 対策を講じるのはいいですよ。でも、その前に、先ほどお茶の話もしましたけれども、具体的に本当にどういう影響があるのかをもっと定量的にしっかり分析して、総理、それから対策なんじゃないですか。補正予算に合わせて、一生懸命それに間に合わすんじゃなくて。

 だって、協定発効まで二年あって、総理がおっしゃったように長い期間かけて関税撤廃をするんだったら、少なくとも今年度の補正で急ぐという事由はないですよ。これは麻生大臣とも何度もやりましたけれども、また玉木が補正のことを言っていると思うかもしれませんが、補正予算を編成するのは、やはり緊要性、一定の財政法上の要件があります。アメリカもこれを承認するかどうかわからないし、まだ発効が未定なのに、今年度の補正でTPP対策費を計上する法的根拠に乏しいと私は思いますよ、そもそも。

 それで、総理にお伺いしたいのは、対策をする前にはやはりきちんとしたデータをそろえるべきだと思います。例えばGDPへの影響、これはぜひやってもらいたい。二年前に、三・二兆円、十年間で出ますということになったんですが、そもそも十年以内に自動車の関税は撤廃されませんから、十年以内に出るメリットは多分ゼロで計算しなきゃいけませんし、その意味でも、農産物の生産への影響、GDPへの影響、そして何よりも食料自給率への影響というのをやはりきちんと検証すべきだと思います。

 これはやはり、安全保障は大事です、私は食料安全保障も大事だと思います。安定的なエネルギーと食料の確保ができなくて、我が国はさきの大戦で、戦争という道を歩まざるを得なかった。そういうことの反省から、自国の国土において一定程度我が国国民を食べさせる食料を国家戦略として一体どこまでやるのかを、きちんと影響を見ながら、どこまでのしっかりとした自給率を確保するのか、その上で対策を私は打つべきだと思います。

 総理、少なくとも、今、幾つかの数字、私はこれは基本的な数字だと思いますが、もう既に政府の中でそういう数字があって今検討しているのか。例えば食料自給率、これが今回、このTPPの合意内容でどれぐらいになるかということはもうわかっていますか。

安倍内閣総理大臣 食料自給率への影響については、今回のTPPの大筋合意に加えて、これに対する対策も踏まえて考える必要がもちろんあるわけでございますが、同時に、自給率への影響等につきまして、農林水産物全般の影響については、各品目ごとに異なっておりますので、農林水産省において品目ごとの定性的な影響分析を行ったところでございますが、TPPの経済効果分析については、こうしたさまざまな側面を含め総合的な観点から現在検討しているところでありまして、年内には国民の皆様にわかりやすく提示したいと考えているところでございます。

玉木委員 総理、年内では遅いんです。対策、政府も二十五日、与党は十七日と言っていますけれども、きちんとした分析がないのにきちんとした対策は打てないですよ。それは単なるばらまきになってしまいますし、それでやった対策は、農家対策じゃなくて、それこそ選挙対策になってしまいますよ。

 ですから、ぜひこの予算委員会にも、今私が申し上げたような数字、例えば関税撤廃によって関税収入がどれだけ落ちるのか、こういったことも含めてぜひ数字を出していただくことをお願いしたいと思いますし、委員長にもお取り計らいをいただきたいと思います。

河村委員長 理事会で協議をいたします。

玉木委員 次に、残りの時間、「もんじゅ」についてお伺いしたいと思います。

 高速増殖炉「もんじゅ」です。夢の仕組みと言われてつくられていますけれども、これまで約一兆円ぐらいお金を投じて一ワットも発電していないし、これからさらに何兆円も入れても動く見込みがないということでありますが、先般、原子力規制委員会が、原子力研究開発機構、JAEAが「もんじゅ」の運営主体としては極めて不適切だということで、JAEAにかわる主体を明示するよう文科大臣に勧告することにしました。これは厳しい決定だと思いますね。

 総理に伺います。

 もう「もんじゅ」は廃炉にすべきだと思いますけれども、総理はどうお考えになりますか。

安倍内閣総理大臣 「もんじゅ」については、エネルギー基本計画において、廃棄物の減容そして有害度の低減等の国際的な研究拠点と位置づけておりまして、あらゆる面で徹底的な改革を行い、研究の成果を取りまとめることを目指し、克服しなければならない課題について、国の責任のもと、十分な対応を進めるとしております。

 この方針を踏まえつつ、「もんじゅ」について、文部科学省を中心に可能な限り速やかに課題の解決に向けて対応すべきである、こう考えております。

玉木委員 ぜひこれは、総理のリーダーシップで考えていただきたいと思います。高速増殖炉、高速炉の研究自体は、やるなら私はやったらいいと思います。ただ、あの古い「もんじゅ」を使ってJAEAという主体がやる研究はもう限界に来ています。ここは政治的リーダーシップで、まずは文科大臣が判断するとは思いますけれども、ぜひ総理のリーダーシップを期待したいと思います。

 それでは、この「もんじゅ」のある敦賀市は高木大臣の選挙区だと思いますが、一部報道によりますと、高木大臣は「もんじゅ」の事業を行っている幾つかの関連会社からパーティー券の購入など財政的な支援を受けているというふうに報じられていますけれども、この事実関係を教えてください。

高木国務大臣 委員御指摘の企業につきまして、どの企業であるかということは明らかではございませんけれども、地元の企業の一つとしていわゆるパーティー券を購入いただいているということは事実でございます。

 ただ、委員も多分同じだというふうに思いますけれども、パーティー券を買っていただく、あるいは献金をしていただく、そうしたことがあっても、私の政治信条あるいは政治姿勢、そしてまた復興大臣としての職務に何ら影響するものではない、そうした思いで今仕事をさせていただいております。

玉木委員 報道によりますと、二〇〇六年までが最新のものとして報道されていますけれども、二〇〇六年以降でも、パーティー券に限らず、何らかの財政的な支援、三社が報道されていましたけれども、それに限らず、「もんじゅ」から、あるいはJAEAから仕事を受けているところからの何らかの支援というのはございますか。

高木国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、地元の企業の一つとしていわゆるパーティー券を買っていただいているところでございます。

玉木委員 それはパーティー券のみという理解でよろしいですね。

高木国務大臣 そのように認識いたしております。

玉木委員 大臣は今、復興大臣をお務めになられています。その意味では、やはり福島に本当に真摯に寄り添っていくことが大切だというふうに思いますので、この復興大臣という重責を担っておられる間は、そうした「もんじゅ」の関連、原子力の関連のそういった企業からのパーティー券やあるいは財政的な支援というのは差し控える、そういうことをされてはどうかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

高木国務大臣 先ほども申し上げましたが、多分、委員も同じ思いだと思いますけれども、こうした企業にパーティー券を買っていただいたとしても、それが私の政治信条だとか政治姿勢だとか、あるいは今御指摘の復興大臣の仕事に影響を与えるということは一切ございません。

玉木委員 それでは、お伺いしますけれども、これまで「もんじゅ」に関連して、所管である文科大臣やあるいは関連の役人、役所、こういったところに何らかの陳情をされた、あるいは要望をされた、こういうことはかつてございますか。

高木国務大臣 「もんじゅ」は、御指摘のとおり、地元にあるものでございますので、例えば地元の首長さんだとか地元の政治家さんだとか、そういった方をお連れして文科省に行ったこともあるかなというふうに思います。ただ、記憶は定かではありません。

 多分、委員もそうだと思いますが、地元にあるそうしたものに対して役所等に陳情だとか要請だとかをすることは一般的にあるものだというふうに認識をいたしております。

玉木委員 今回、先ほど総理からもありましたけれども、「もんじゅ」は私は廃炉になる可能性が出てきたと思うんですね。もちろん、地元に対して一定の経済的な利益、効果はあることも認めます。そうなると、やはり「もんじゅ」を残してくれという話にもなるし、大臣に対する期待も高まってくると思うんですが、先ほど繰り返し申し上げましたけれども、復興大臣という重責を担っておられるので、この点においてはぜひ、おかしな指摘を受けないように、襟を正して大臣の職責に当たっていただくこと、このことを強く申し上げまして、私からの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

河村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

河村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、柚木道義君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義でございます。

 きょうは、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 二十分間の基本的に持ち時間でございますので、具体的かつ端的にお伺いをいたしますので、高木復興大臣並びに、場合によっては安倍総理にも御答弁をお願い申し上げたいと思っております。

 通告に従って、まず、既に昨日のフジテレビでの報道、そしてけさ、昼ですかね、テレビ朝日での報道でも御指摘はされておられますが、高木大臣が、これは報道が事実であれば、公職選挙法に違反する香典を、しかも、これまでのコメントとは実際には異なる形で渡されていたという問題について、私も、この間、何度か大臣の御地元にお伺いをし、関係者の方からお話を伺っておりますので、大臣のけさの閣議後の会見のコメントとも全く食い違っておりますので、それについて、ぜひこの委員会の場で、安倍総理やあるいは公明党の山口代表も説明責任を果たすべしとおっしゃっておられます、ぜひ明確な御説明をお願いしたいと思います。

 まず、資料の三をごらんください。一、二は公選法違反の話、もうここにおられる方はよく御存じ、かつ、大臣はもっと御存じでなければいけない内容です。

 資料三に、今回、公職選挙法違反だという報道、あるいは、私自身の調査も含めて、これは収支報告書に記載をされているもの、高木大臣が代表を務められる自民党福井県第三選挙区支部、それから代表を務められる二十一世紀政策研究会の収支報告書を、これはもう表に出ているものです、記載をしております。これに従って、大臣、具体的に伺いますので、確認できたと会見でもおっしゃっていますから、確認できたとおりにお答えをいただければ結構です。

 まず、私は、昨日のフジテレビ、それから昼のテレビ朝日、それぞれの報道を確認しました。私が実際に、実は、大臣の御地元でいうと、香典については八件、それから枕花については三件、それぞれ、会えなかった方もおられますが、個別に当たらせていただきました。

 それで、まず、具体的に伺う前に、フジテレビとテレビ朝日の報道を私拝見しましたが、私、具体的に、これとひょっとしたら違う形で三件、違法かつ虚偽の御発言ではないかという可能性が強くなってきているという認識の中で伺いたいと思っております。

 フジテレビでは、葬儀までに本人は来ず、そして、香典は通夜で代理の方が持参をされた、高木毅衆議院議員名で二万円。それからテレビ朝日は、これは本人は葬儀までに来ていない、そして代理の方が香典を持参されたと。これは、それぞれ大臣の御発言と異なることに加えて、より問題なのは、この報道が事実であれば公職選挙法違反に当たるということでございます。

 私の場合は、このお手持ちの資料三に従って個別に伺いますので、それぞれ確認をできているということですから、通告もしておりますので、御答弁をお願いします。

 まず、平成二十四年四月四日の香典、Tさん。名前も住所も全部わかっています、伺っていますから。Tさんとしておきますが、二万円、政党支部で拠出をされております。

 これは、私がその喪主の方の奥様から直接伺いましたが、御本人が葬儀より後に、大臣がおっしゃっている前じゃありませんよ、葬儀より後に直接香典をお持ちになられた、そういうことです。これは平日ですから、場合によっては週末にお伺いされたのかもしれません。これが事実であれば、これは違法かつ虚偽の御発言になります。

 それから二番目。平成二十五年十一月二十七日、このリストでいえば一番下のYさんでございます、敦賀市。この方は、通夜に代理の方が持参をされ、高木毅というお名前で香典を持参された、そして、記録も残っていて、なおかつ御本人は後日いらっしゃったと。いらっしゃっているんですよ。しかしそれは、大臣がこの間、再三、けさの閣議後会見も含めて言われている、亡くなられてから葬儀、通夜までにではなくて、後に来られています。これも、事実であれば違法であると同時に虚偽の状況になります。

 それからもう一点。Yさん。平成二十四年十二月二十六日、敦賀市でございます。この方は、確かに大臣本人が来られましたと。二十六日の葬儀の二日前、二十四日です。そして、二十六日の葬儀の日に息子さんが高木毅衆議院議員のお名前で香典を持参されたということでございます。

 私は、その他にも伺っておりますが、会えなかった方もおられまして、直接お会いできたりあるいは電話確認できた方全てが、これが事実であれば公職選挙法違反、かつ、このうち、三件のうちの二件は虚偽の御発言を大臣がされていることになってしまいます。

 さらに、フジテレビ、テレビ朝日のこの調査が、可能性としては、この三件と別ではないかという可能性もあるという認識を私は持っていますから、仮にそうであるならば、最低八件中三件は私は確認していますが、プラス二件、つまり、過半数が違法あるいは虚偽の御発言ということになります。

 大臣、これまでの、そしてけさの閣議後の会見、葬儀までに本人が直接持参をした、全く食い違っておりますが、一つ一つ明確に御答弁をお願いします。

高木国務大臣 今、個別具体に御指摘いただきましたけれども、まずその前に、事実関係だけ答えさせていただきます。

 今御指摘の香典八件ございました。計八件記載がありますけれども、それこそ、いずれも私がそれぞれ亡くなられた方へ葬儀の日までに弔問に行き、私個人の私費で出したものであることは間違いありません。私が弔問をし、香典を出したものを、収支報告書では担当者が政治団体の香典として誤って記載したことが確認できましたので、十一月六日に、その旨、収支報告書の訂正をしたということでございます。

 そこで、ただいま委員の資料に基づいて御指摘いただいたわけでございますが、まず、二十四年の四月四日でございますTさんでございますが、これは、Tさんと書いてあるのに私がこういったことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、実は現職の県会議員さんでございます。これは、もちろん私は葬儀に行って、多くのほかの同僚の県会議員さんもいらっしゃいましたし、実は、余計なことかもしれませんが、いわゆる弔辞も頼まれたのでありますけれども、ちょっと私は控えさせていただいたというようないきさつがあります。

 それから、二十四年の十二月二十六日、Yさんでございますが、この方につきましても、二十三日にお亡くなりになられて、二十六日がお葬式でございます。二十三日だったか二十四日だったか、ちょっと記憶は曖昧でありますけれども、弔問に訪問させていただいて、香典をお渡しさせていただいております。

 それから、二十五年の十一月二十七日ですか、これにつきましても、二十三日にお亡くなりになられておりまして、二十七日が御葬儀ということでございますので、二十二から二十四日、金曜日から日曜日でありますけれども、この間に弔問させていただいたということで間違いございません。

柚木委員 今の大臣の御答弁ですと、私がお伺いしたお話とこれは本当に明確に食い違うということになってしまいます。

 委員長、大変恐縮ですが、私もそれぞれ取材をさせていただいて伺っているお話でもございます。そして、大臣は、今そういった形で、何らかの御自分のこれまでの行動記録の中で御答弁をされたと思うんですね。それが食い違うということでございます。

 私、その他まだお会いできていない方もおられますし、この報道、それぞれございます。これは、それぞれの件について、それぞれやはり食い違いが本当にあるのかないのか、それはやはり突き合わせをしなければわかりませんから、私どももきっちりお調べしたものをもう一度精査した形で提出をしますから、ぜひ、大臣の方からも、それぞれの方に、本当に今おっしゃられた答弁も含めて整理をして、この委員会に資料提出をお願いしたいと思います。

河村委員長 理事会で協議の上で確定したいと思います。

柚木委員 この問題、多分、これ以上質問しても同じことをおっしゃると思うんですね。これは、私だけが現地に伺って調査して申し上げていることではありません。それぞれ、報道機関も取材の上で報道されているものと認識をしておりますから、その部分と明確に食い違いますので、本当に真実がどこにあるのか、それぞれの資料を突き合わせていただく中で確定をさせていただきたいと思います。

 そして……(高木国務大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっとよろしいですか、二十分しかないので。それぞれ、また、必要なところは必要なところでおっしゃってください。

 実は、私は、この香典の問題も、これは本当に公職選挙法違反、かつ、私どもの調査では、大臣の御発言、今の御答弁とも食い違っていると認識をしているんですが、実は、もう一つ重要な、公職選挙法違反の可能性があるのが枕代でございます。

 この資料にはK社とN社と書かせていただいておりますが、これはそれぞれ花屋さんでございます。それぞれ、二十一世紀政策研究会、資金管理団体においては二件、一万二千円の枕花、そしてN社、これは別で、一万五百円の枕花でございます。

 資料四をごらんください。

 この枕花は、実際に私が、大臣あるいは大臣の後援会あるいは自民党福井県第三総支部から注文をされたお店で、同じ値段で同じ方に注文をお願いして、実物でございます。私、福井から、ちょっと大きかったんですけれども持ち帰りまして、この委員会に資料提出はさすがに大き過ぎるので、大臣に見ていただければ、大臣が、覚えていない、後援会の方が自発的にされたということを述べておられますが、本当にそうなのか。後援会長の奥様の枕花としても贈られています。そういうことを本当に議員本人が全く知らず、関与せず、贈ることが起こり得るのかどうなのか、私は、正直疑問に思うところもございます。

 それで、このお花を見ていただければ。私は、枕花を調べました。供花の中に含まれ、そして、現地では、花屋さん、それぞれ伺いましたが、まずは御遺族の御遺体のもとに、まさに枕元にお届けをし、その後、葬儀場によってはその葬儀のひつぎのそばにも添えられると。名前をつけるということでございますが、これは、実は公職選挙法上は、二百四十九条の二、五十万円以下の罰金刑で、先ほどの香典は、唯一の除外規定が、本人が私費で持参した場合に限りますが、枕花の場合には一切の除外規定はなく、全て例外なく処罰されます。

 ですから、この件については、実は、大臣が明確にこういう事実があったことを認めておられます。したがいまして、ごらんになっていますか、枕花。この枕花を、仮に大臣が、見解のとおり、御自分が知らずに贈られたとしても、それぞれこの三件については、明確に公選法違反で処罰されます。

 実際に私がそれぞれ確認をしましたらば、K社の方は、後援会の方がいらっしゃって、注文されてつくってということでございました。そして、N社については、これは高木大臣の当時の秘書さんが電話で発注をされて、そして記録も後援会名で残っている。後援会名で記録が残って総支部で上げられているのは、ちょっとよくわかりませんが、いずれにしても、当時の秘書さんが発注をされて、そして、ここにお供えと書いていますが、ここにパソコンで印字をするそうです、その店では。高木毅衆議院議員なのか、頭なのか後ろなのかわかりませんが、そういうパソコンで印字をして、実際に私が伺った中ではそれを届けられたということでございます。

 大臣、この行為はそれぞれ三件とも明確に公選法違反になります。その場合に、大臣として、今、そういうことがないように、事務所関係者、後援会に注意をしたというふうにコメントされていますが、それは余りにも人任せなんじゃないですか。

 こういう違法行為が現実に起こっているわけですから、謝罪なりされて、そして、議員はもとより、その中でも範たる大臣が、まさに規範を守るべきところがそうでなかったわけですから、それなりにしっかりとここで説明と謝罪をされるべきだと思いますが、それぞれ、説明あるいは必要であれば謝罪もされたらいかがでしょうか。

高木国務大臣 先ほどの、実は香典の話でございますが、Tさんとおっしゃいましたので、谷出さんかと思いましたが、これは別の方だったようであります。ちょっとこの資料を見せていただいたときにそう思い込んでしまいましたが、この方については、三月三十一日に亡くなられて、四月四日が葬儀でございまして、三十日から一日まで地元に滞在をしておりますので、弔問に行っているというふうに訂正をさせていただきたいと思います。

 今の供花についてでございますけれども、これも事実関係を問うていただけないわけでありますけれども、ちょっと補足させていただきますと、御指摘の枕花につきましては、平成二十三年と二十四年に二十一世紀政策研究会で支出した二件、これは、選挙区内に在住の後援会幹部やその奥様がお亡くなりになったので、後援会事務局が御葬儀に際し出させていただいたとのことでございます。名義につきましては、いずれも古い話なのでそれに関する資料はないのですが、事務所関係者によれば、名義は後援会事務局であり、私個人の名義ではないということでございます。

 三件とおっしゃいました。二十四年につきましては、これは選挙区外ということでございます。

 今、私の責任というようなお話でございましたけれども、繰り返し、先ほども申し上げたとおりではございますが、今回、マスコミから御指摘を受けて、私も後援会から供花を出していたことを初めて知りました。今後は、後援会関係者らに、後援団体が供花などを寄附することが公職選挙法で禁じられているという意識を徹底するよう、事務所を通じて指示をしたところでございます。

 また、何よりも、私自身につきましても、このようなことが二度と起こらないように、今後はこれまで以上にしっかりと襟を正して政治活動に取り組んでまいりたいというふうに思います。御理解いただきたいと思います。

柚木委員 大臣、この写真はごらんになっていただけていますね。これは、実際に同じ値段で同じ店で同じ方につくっていただいた。もちろん、寸分たがわないとは申し上げません。御自分が……(発言する者あり)現物はあります。私の部屋にありますから、ごらんいただいても結構です。

 ぜひ、大臣、私が言っているのは、そのものでなくても、思い出していただきたいんです。

 私ども、それぞれ議員はみんな一緒です。枕元に、例えば、葬儀や通夜の前であれ弔問に伺う、そこに花が手向けてある。私ども、当然故人を悼むべく焼香等をさせていただく。しかし、そのところにこういう花がお供えであった場合、当然目が参ります。ましてや、お亡くなりになって直後であれば、そこにそんなにたくさんのものが、葬儀場と違って、ないわけでございますから。私は、ひょっとしたら大臣は、御自分は今御存じでないとおっしゃいましたが、こういったお花をごらんになった御記憶もあるんじゃないのかなと。これは推察ですよ。

 私どもも葬儀に伺う機会がございます。ですから、どういった方が花輪なり供花なり、あるいは枕花なり、ああ、こういう御縁で贈られているんだなとやはり拝見します、特に葬儀の時間の間に。そういうことも含めて、あるいは御自分が御焼香されるときも含めて、全くこの花を見た御記憶はございませんか。

高木国務大臣 先ほど申し上げたとおり、後援会の方が人情を持って贈ったものでございまして、私は知りませんでした。

 ただ、こういった寄附を行ってはいけないという違法性の認識というものは、私は承知はいたしているところでございます。

柚木委員 違法性については御認識をされているということでございます。

 そうすると、この供花三件につきましては、これは、大臣、一件は選挙区外とおっしゃいましたが、敦賀市なんですけれども。いずれにしても、少なくともあとの二件、これは選挙区内。

 これは、公職選挙法上、二百四十九条の二、例外なく五十万円以下の罰金刑ということでございますが、もし私がお調べさせていただいた部分が、そしてこれは大臣の説明、半分とは合致するんですが、後援会事務局の方、あるいは、一件はこれは当時の秘書さんです、名前もわかっています。その方が発注者、あるいはその方御自身の御判断で発注をされたということであれば、それぞれ、当時の秘書さん、あるいは場合によってはほかに事務局の方がおられるのであれば、その方々が五十万円以下の罰金刑を受けるわけです。

 大臣、コメントの中で、そういう後援会の奥様がお亡くなりになって、組織が人情を示して違法な花を贈ったというふうなコメントもされているんですが、私、むしろそういう人情を持ってこういうことを考えたときに、まさにこれは大臣のために秘書さんや後援会の方が贈っているんですよ。そういう方にだけ罪を結果的に押しつけることになって、大臣は知らなかった、こういうことで済まされて本当によろしいんですか。

河村委員長 時間が来ておりますので、簡潔に。

 高木大臣。

高木国務大臣 私は、後援会から供花を出すことは公職選挙法で禁じられている選挙寄附に該当していると思っております。今回、マスコミから御指摘を受けまして、私も後援会から供花を出していたことを初めて知ったわけでございますが、今後はこのようなことのないように厳重に注意する、そしてまた、何におきましても、先ほども申し上げましたけれども、私自身についても、このようなことが二度と起こらないように、今後はこれまで以上にしっかりと襟を正して政治活動に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 また、先ほども申し上げましたけれども、この行為が公職選挙法で禁じられている意識を徹底するように事務所を通じて関係者に注意をさせていただいたところでございます。そして、私自身も、繰り返しになりますけれども、しっかり襟を正して今後政治活動に取り組んでまいりたい、そのように考えているところでございます。

河村委員長 質疑が終わっておりますので。

柚木委員 時間が来ておりますので、最後、もう一つだけ。

 週刊誌報道で、通告もしておりますが、どういう言葉の使い方をしたらいいのか、私も本当に戸惑うわけですが、女性宅への、報道どおりだとすれば不法侵入かつ下着の窃盗ということになるんだと思いますが、これについても、私は現地に泊まり込みで参りまして、被害者の……(発言する者あり)私が時間をいただいていますから。しかも直接行っている話ですから。時間はこちらでちゃんと整理できていますから。よろしいですか。自民党の議員さん、よろしいですか。大事なことですから。

 私が、被害者の御家族並びに御近所、そして関係者の方々に直接取材なり、あるいはその証言の記録を確認して、よろしいですか、質問をいたしますよ。

 大臣は、この一連の報道を全て事実無根ということで会見でおっしゃっておられますが、私が、御近所の方、重い口を本当に開いていただくんですね、余り人に知れると村八分になるような感じのニュアンスのこともおっしゃるわけです。それでも、本当に複数の方が口を開いていただいて、実際にそういう目撃者の方も含めて直接お話を伺いました。

 私、本当にこれは不思議なのは、そういった方々がうその証言をする必要があるのかなというふうに思うんですね。大臣は事実無根だとおっしゃっている。そのことに対して、証言をいただいた方は本当にお怒りです、私たちがうそを言っているのかと。

 大臣、ぜひ、私は真実が知りたいんです。報道ベースの話です。どうか、それぞれ、御家族、そしてまた関係者、御近所の方、目撃者の方、あるいはさらなるいろいろな証言を、私は、これはある意味では警察関係のOBの方々の証言等も含めていろいろお聞きをしていますが、この報道は一切事実無根なのかどうなのか。ここで、本当に私はそういうことを聞いていますから、それなのに事実無根と言い切れる根拠をお示しいただけませんか。

高木国務大臣 たびたび申しておりますが、そうした事実はございません。(柚木委員「根拠は」と呼ぶ)それはわかりません。

 委員も多分お聞きかと思いますけれども、選挙のたびにそういううわさというんでしょうか、そういったようなものが出ているのは承知しておりますが、そういったものがなぜ出るかということは、私は存じ上げません。

柚木委員 私は、これは実は、大臣は、二十日の日に事実無根だという会見をされた同じときに、しかし、週刊誌の具体的な記述がここまであって、それで本当に事実無根と言えるのかということに対して、よくわかりませんというコメントなんですね。これは、事実無根だと大臣が本当に断定されるのであれば、その週刊誌なりを告訴されるべきではないですか、名誉毀損で。それを発言されている方も含めて。そうはされない。

 委員長、これは明確に食い違います。私は、本当にそれぞれいろいろな方に証言、御協力をいただいています。これは調べればわかることです。ぜひ資料請求をお願いしたいんです。

 当時、私が調べた限りでは、その被害に遭われた方は銀行の行員さんです。そして、これもいろいろな、私が調べた中ですが、大臣はその方と、青年会議所時代のミスコンというのがあるんですか、それを通じて認識を持たれて、大体そういうことが起こったのが八七年から八八年ごろではないかと私自身は推察をされます。

 ですから、当時もしそういうことが起こったのであれば、当然、今の敦賀署にあるかどうかは別として、県警あるいは警察庁、公安等に一定の資料が必ず残っております。ぜひ資料を調査いただいて、調査をいただけば、調書が全くそこから出てこなければ、そういう事実がなければ大臣の潔白も証明できます。告訴をすればその調査もされます。

 ですから、ぜひ、この委員会で、調書等、類するもの、調査をいただきたいと思いますが、お願いできますか。

河村委員長 理事会において協議をさせていただきます。(高木国務大臣「委員長、一点だけお願いします」と呼ぶ)

柚木委員 私の質問の後にお願いします。

 安倍総理、今、一連のやりとりをお聞きになられていたと思います。

 私は、最後に地元の記事をつけておきました、資料ですね。安倍政権またスキャンダル、揺れる地元、閣僚身体検査に穴か、臨時国会開かずに鎮火を狙う、こういう見出しなわけですが、当然いろいろなチェックをされたと思いますし、この間もいろいろな報告を閣議後も含めて受けておられます。しかし、この質疑の中で、総理やあるいは山口代表がおっしゃっているような十分な説明責任が尽くされたどころか、むしろ私は疑念は深まったと言わざるを得ないと思っているんですね。

 安倍総理、なぜこういう方を任命されたのか。まさに安倍総理御自身が、こういう状況の中で、私は、正直、不十分な大臣の説明だと思いますよ。これは、友党の公明党の代表さんだけじゃない、幹事長さんにおいては、早く決着をつけてほしいと。それは、ともすれば、これは総理のまさに任命責任、例えばそれは、辞任をさせるとか、あるいは大臣御自身が出処進退を判断されるとか、そういうことまで危機感を持っていらっしゃると思うんですよ。

 安倍総理、今こういう状態で、被災地は本当に、軽い人を任命されたんじゃないかという当時の就任のときの声がありましたが、この状況を聞けばますます、本当の意味で復興を進めていく上で、高木大臣の今のこういう状況自体が私は足かせになるのではないかと思うんですね。

 安倍総理、今のやりとりを聞いて、復興大臣を更迭されるお考えはありませんか。(高木国務大臣「委員長、先にお願いします」と呼ぶ)いや、私は安倍総理に聞いておりますので。

河村委員長 先に。

高木国務大臣 先ほど委員が、出版社に訂正を求めたりあるいは訴えたりという話がございましたので、そのことだけ申し上げたいと思いますが、出版社に訂正を求めたり名誉毀損で提訴することについて、今、弁護士とよく相談して今後の対応を考えているところでございます。

安倍内閣総理大臣 当然、政治資金にかかわることについては、これは、内閣の一員であろうと、また与党であろうと野党であろうと、政治家である限り、しっかりと襟を正して説明責任を果たしていくことが大切であろうと思います。当然、高木大臣は、このような委員会におきましても、求めに応じてしっかりと説明を果たしていくことが大切だろう、このように思います。

 また、週刊誌等の報道につきましては、私自身も全く根拠のない報道を最近よくされているところでございますが、一々告訴をするということについて、告訴したこともございますし、告訴しないこともあるわけでありますが、全て政治家はそういう立場に立ったら告訴しなければならないということではもちろんないんだろう、その時々の判断ではないか、このように思うところでございます。

柚木委員 終わります。

 私は到底納得できません。私が聞いた方々の本当に真摯な証言、しゃべれない、しゃべりにくい中でお話をいただいた方々に対して……。

 私、最後に委員長にお求めをします。

 大臣の御発言、私には到底真実とは残念ながら認識できません。したがいまして、これは私は、議院証言法に基づく偽証罪が適用される証人喚問を求めて、私の質問を終わります。委員長、お願いいたします。

河村委員長 理事会で協議をさせていただきます。

柚木委員 以上で終わります。ありがとうございました。

河村委員長 この際、山井和則君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山井和則君。

山井委員 今のやりとりも聞いておりまして、私、安倍総理、おっしゃっていることとやっていることが真逆なんじゃないかと思うんです。高木大臣に対して説明責任を果たすべきだと言いながら、まさにその説明責任を果たすべき臨時国会を開こうとしないのは、安倍総理、あなたじゃないですか。説明しなさいと言いながら、説明する場をみずからが遮断している。疑惑隠しの中心は安倍総理じゃないですか。きょうのこの私の質疑の中で、安倍総理がおっしゃっていることとやっていることが真逆じゃないか、言行不一致じゃないか、そのことをお聞きしたいと思います。

 まず、きょうの報道でもありましたが、就活前倒しということになりました、八月から六月までに。これは朝令暮改、本当に多くの学生さん、大学生そして大学関係者、企業の方々は、この一年間、大混乱に陥って、学生さんたちも授業に出られない、卒論や修論にも支障が出ると言って、大変な迷惑をされました。

 アンケート調査によれば、大学生の八割が反対、企業の九割も反対。そして、何よりも、これは企業も学生も反対していたのに、官邸主導で一年前に押し切って、安倍総理、あなたが決めたことであります。

 ついては、今回、一年間やってみて大失敗で、特に多くの学生さんたちに迷惑をかけたということで、安倍総理、一言、全国の大学生の皆さんに謝罪すべきじゃないですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今、山井委員の質問を聞いておりますと、今までのままでいいのかということなんですね。

 やはり学生の本分は、大学の場合は、大学でしっかりと勉強していくことであります。その中において、企業側がどんどん就活をすることを早めるような、そういう採用活動を行ってきた結果、かなり早い段階から就活を行わなければならなくなったということから、我々は後ろ倒しについて要請をしたわけであります。そのこと自体が問題であるかのような山井議員の御質問に、私は到底納得できないということをまず申し上げておきたいと思います。

 そして、今申し上げましたように、若者が学業に専念をし、多様な経験ができる環境を整えていくことは、次世代を担う人材育成の観点から極めて重要であります。

 このため、かねてより大学側から強い要望が寄せられ、経済界からも提言があったことから、平成二十五年四月の経済三団体との意見交換、これは経団連、日商そして経済同友会でありますが、において、政府から、広報活動を三年生の三月から、採用選考活動を四年生の八月からに後ろ倒しすることを要請したわけでございます。経団連において指針を改定していただくなど、取り組みが進められたわけでございます。

 ことしから後ろ倒しが実施をされまして、三年生が落ちついて勉強ができた、安心して留学に行きやすくなった等のよい点があった一方、採用選考活動を八月より早く行う企業も多かったことから、就職活動の期間が長くなった等の声も出ているわけであります。

 このため、経済界からは、広報活動の三月開始により三年生の学修時間を確保するという基本的な枠組みは維持をしながら、大学の学業や留学等にも十分配慮しつつ、採用選考活動を六月開始として、就職活動が長期間にならないようにする改善案が提案をされました。そして、大学等の関係者との間で協議が今なされているところでございます。

 いずれにいたしましても、当事者である大学側、企業側も学生のことを十分に考えながら議論を行い、そして、後ろ倒しの趣旨を十分に踏まえながら必要な改善を図っていくことが重要であろうと考えております。

山井委員 結局、一年でもとに戻すということは、失敗だったということです。その反省もなく、若者の人生がかかっている問題です、思いつきでやらないでいただきたい。そのことを申し上げます。

 そして、今回、また一億総活躍実現社会。これも意味がよくわかりません。これも思いつきじゃないかという疑念を持たざるを得ません。

 けさの加藤担当大臣の発言の中でも、例えば障害者の方々も活躍できる社会ということをおっしゃいました。私はその趣旨にはもちろん賛同はいたしますが、しかし、この三年間、安倍総理がやってこられた政治と違うんじゃないんですか。

 今回の一億総活躍国民会議でも、菊池桃子議員が、一億総活躍というよりソーシャルインクルージョン、社会的包摂、障害者の方々が社会のど真ん中で暮らせる、活躍できる社会という呼び名の方がいいんじゃないかということをおっしゃいました。私もそのとおりだと思います。

 そこで、私はお聞きしたいんですが、この四月、消費税の増税分を差し引けば、介護そして障害者の報酬、障害者に対する報酬が、史上初めて実質マイナスに切り下げられました。障害者の方々や御家族の方々、施設の方々、本当にショックを受けておられます。初めて実質マイナスになった。グループホームをつくろうと思っていたけれども、財政的に厳しくなった。また、保護者の方々も、何で安倍さんはそんなに障害者福祉をカットするんだということまで、本当に心配しておられます。

 一億総活躍社会と言いながら、では、なぜこの四月に、実質上初めて、史上初めて障害者の報酬を切り下げたんですか。言っていることとやっていることが真逆じゃないですか。

安倍内閣総理大臣 障害者報酬について、質問通告がありませんので、すぐに定かにお答えはできませんが、それは実質について御質問されているわけですか。(山井委員「そうです」と呼ぶ)障害者報酬が。(山井委員「はい。四月から下げたじゃないですか、あなたが」と呼ぶ)

 いやいや、あなたがと言われても、きょうは厚生労働大臣も呼ばれていません。厚生労働大臣は担当大臣だから出席をさせていただきたいと申し上げた。しかも、質問通告もないですから、私は答えようがないですよ。質問通告があれば、事前にちゃんと調べておきますよ。それによって初めて深まる議論ができるんじゃないですか。

 あと、つけ加えさせていただきますと、先ほど、菊池桃子さんの発言は、一億総活躍でなくてソーシャルインクルージョンということではなくて、一億総活躍という言葉はわかりにくいと言われる、自分なりにそしゃくすると、これはソーシャルエクスクルージョンではなくてソーシャルインクルージョンですねという話があって、私は、まさにそのとおりですねと。

 ですから、まさにみんなが、それぞれの立場の人が自分の能力を発揮できる社会、みんなを包摂しながらみんなが活躍できる社会がそうですよといって、まさに意気投合を私はしたと思っていますから、その言い方は間違いであってこういう言い方ですよという発言では全くなかった。その点は山井さんが大いなる誤解をされているということを申し上げつつ、今の御質問については、それは前もってちゃんと御質問いただかなければ答えようがないということでございます。

山井委員 報酬の引き下げについては、質問通告をしておりますし、御記憶かと思いますが、本年の一月、この場で、障害者の報酬の引き下げ、介護報酬の引き下げ、こんなことをするのはおかしいじゃないかとこの場で、テレビの前で質問したじゃないですか。そういうことも、障害者の報酬を実質上初めて下げたこと自体忘れておられるんですか。そんな軽いものですか。

 だから、私は、一億総活躍と言って障害者の方々が活躍できる社会というのはうそがあるんじゃないかと言っているんですよ。

 さらに、介護報酬のことに関しても、過去最大、二・二七%、ここにありますように引き下げられました。このことについても一年前から議論をしている。

 今回、介護離職ゼロと言いながら、過去最大の介護報酬を引き下げて、ただでさえ介護職員や保育士さんの賃金は一般よりも十万円安い。介護報酬を引き下げた結果、介護事業の倒産は史上最多、何よりも、介護福祉士養成学校の定員は減っているじゃないですか。これからますます介護の職員さんが必要なときに、介護専門学校が潰れていっているわけです。そして、その結果、人手不足が一番深刻になっている。

 安倍総理、ここでも言行不一致じゃないですか。介護離職ゼロと言いながら、人手不足はますます進行し、介護事業は倒産し、介護離職倍増の政策をやっているじゃないですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 まず、先ほどの障害者の報酬については、これは質問通告はありませんよ。もう一度はっきりと申し上げておきます。こういう議論を深めたいんだったら、そういうことをちゃんとやってください。

 と同時に、障害者施設についての報酬等については、これはマイナスではなくて、プラマイ・ゼロであります。それはまず誤解がないように申し上げておきたいと思います。

 その上で、今、介護報酬の改定の影響についてお話をさせていただきたいと思いますが、基本部分は、全体として事業者の安定的な経営に必要な収支差が残るようにしつつ適正化を行う一方、賃金が相対的に低い状況にある介護職員について、最重要の課題としてその確保を図るため、他の報酬とは別枠で、一人当たり月額一万二千円相当の処遇改善を実現するための加算を設けたわけであります。

 同時に、中重度の要介護者等を受け入れる場合に加算をしたり、あるいは小規模な地域密着型サービスに手厚い報酬を設定するなど、きめ細かく配慮をすることによって、質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われ、一律の引き下げとはならないようにしているわけでございます。

 また、介護報酬改定によって事業所が倒産をしている、そういう指摘をする人もいるわけでありますが、実際に、介護報酬改定後も介護報酬の請求事業所数は増加をしているということは申し上げておきたいと思いますし、現在のところ、安定的に介護サービスが提供されているものと考えております。

山井委員 いや、全く現状認識が違うじゃないですか。有効求人倍率が過去最大になって、人手不足で、特別養護老人ホームを建てるとおっしゃっていますが、建てても人が集まらない、そういう状況が深刻化しているんです。さらに、うまくいっていると言うけれども、介護事業の倒産は九月の時点までで過去最悪ですよ。おまけに、介護職員や保育士さんの月給も、平均よりも十万円低い。

 つまり、介護離職ゼロと言いながら、過去最大に報酬カットしたことは正しかったんだと言われたら、結局は、財源もつけずに介護離職ゼロと言っても実現はできません。

 さらにお伺いします。

 少子化問題に関しても、今回、九年ぶりに合計特殊出生率が低下しました。昨年度、九年ぶりに。そして、保育所の待機児童も五年ぶりに増加をしました。つまり、安倍政権の子供、子育ての支援策というのは失敗しているんじゃないんですか。

 私たち民主党政権では、ここにありますように、児童手当を小学校六年生から中学三年生までに拡大しました。今、中学生が児童手当をもらっておられるのは、民主党政権からです。年間二千億円の財源を苦労して捻出しました。さらに、高校授業料無償化も民主党政権でやり、年間四千億円の予算を苦労して捻出しました。こういうふうに、財源とセットで子育て支援を私たちは進めてきました。そういうことをやってこなかったから待機児童がふえ、実際、保育所を建てようと思っても保育士さんがなかなか集まらないという問題も出てきます。

 何が言いたいのかといいますと、希望出生率一・八と言う前に、こういう子供、子育てに十分な予算をかけてこなかった、こういう問題点があります。

 安倍総理、けさの岡田代表の質問でもありましたが、希望出生率一・八あるいは介護離職ゼロとおっしゃるということは、それに対して、介護職員の賃金増加の予算、保育士さんの処遇改善の予算、また先ほど申し上げた障害者の職員の方々の処遇改善の予算、こういう予算をしっかりつけられるということでいいですね。

 先ほども申し上げましたが、消費税増税分を差し引けば、史上初の障害者報酬の切り下げにこの四月からなっていますから、このような処遇改善に財源をしっかりつける、そういうことでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 先ほどの介護報酬については、これはもちろん、私たちだって介護報酬をふやしたいですよ。しかし、どんどんふやしていけば、これは介護保険料にはねていくわけでありますから、介護保険料が上がっていくんだということも当然頭に入れる必要があるわけでありまして、その中で私たちはきめ細かくやっていくということと同時に、介護報酬とは別枠に、そこで働いている方々に対して月額一万二千円分を新たに予算措置をしたところでございます。

 重ねて申し上げておきたいと思いますが、それと、また障害者の施設の報酬については、これはマイナスにはしていないということは申し上げて……(山井委員「実質マイナスじゃないですか」と呼ぶ)これはプラマイ・ゼロですから。プラマイ・ゼロということは申し上げておきたいと……(山井委員「消費税増税を入れたらマイナスです」と呼ぶ)それは消費税分ですから。それはまた、消費税はみんなでひとしく、これはいわば、まさにそうした社会保障のための財源として、これはみんなでひとしく背負っているものであります。マイナスというのは、まさにそれをカットした、まさに介護報酬についてはこれはマイナスでありますが、障害者の方についてはプラマイ・ゼロだということは重ねて申し上げておきたいと思います。

 そして、待機児童がふえた。これは私たちがそうした保育所等の受け入れの施設をまるでつくっていないかのごとくのお話でございますが、それは全く違うわけでありまして、我々は、まず二十万人、そして五年間で四十万人という目標に向けて今進めているわけでありますが、この最初の二十万人を上回る二十二万人というスピードで進めているわけでありまして、受け皿づくりについては、従来よりかなり速いスピードで受け皿づくりを進めている。

 しかし、なぜ待機児童がふえたかといえば、これは女性が、景気がよくなって、あるいは私たちの政策によって多くの女性が働くようになったんです。九十万人、私たちが政権をとる前よりも九十万人多くの女性が仕事をするようになった結果、当然、保育所で預かっていただこうという方がふえたからそういうことになったわけでございます。

 そこで、私たちは、二十万人、四十万人、五年で四十万人という目標に、さらに十万人、その分を乗せて、しっかりと財源の裏づけをつけながら進めていこう、こういうことにしているわけでございます。各自治体の本気度も高まっているわけでありまして、既に計画を上回る見込みでございまして、この勢いにさらに弾みをつけて、合計で少なくとも五十万人分の保育の受け皿を整備したい、そのことによって待機児童ゼロの達成を確実なものとしていきたいと考えております。

山井委員 政治は結果責任です。言いわけをいろいろ言ってもらってもしようがないんです。

 実際、今まで出生率もふえていた、待機児童も減っていたのに、安倍政権になってそれがマイナスになっているということです。障害者の報酬に関しても、今までずっとプラスだったのがプラマイ・ゼロ、そして消費税増税分を入れたら実質マイナス、史上初のことです。

 そういうことをやりながら、選挙の前だけ一億総活躍と言うのは私は違うんじゃないかと。つまり、私が一番心配しているのは、今までやってきたことと違うんじゃないですかということです。選挙の前だけ高齢者に優しい、子供に優しい、障害者に優しい、しかし、今まではその予算を一番切り込んできた、そういう言行不一致が私は問題だと思うんです。

 このことについて、私たちは、きょうあすだけじゃなくて、しっかり安倍総理とも議論したい。ところが、安倍総理は、臨時国会を開かないとおっしゃっています。

 調べましたが、安倍総理、今後の外交の日程ですが、日本におられる日も多いじゃないですか。

 憲法五十三条では、四分の一以上の議員の要求で開かねばならないとなっていますし、自民党憲法草案では、二十日以内に臨時国会を開かないとだめだとなっています。

 安倍総理、外交をやってもらって結構ですよ。毎日おられなくても結構です。きょうみたいな議論をしっかりやって、本当に国民のためになる政治をするために、臨時国会、ぜひ開いてください。

安倍内閣総理大臣 一般的な考え方を申し上げれば、臨時国会の召集要求について定める憲法第五十三条後段は、「内閣は、その召集を決定しなければならない。」と規定することにとどまっておりまして、召集時期については何ら触れられていないわけでありまして、当該時期の決定を内閣に委ねているわけであります。

 現在、この憲法の趣旨を念頭に、国会で審議すべき事項、そしてまた、今丁寧に御紹介をいただいたわけでありますが、私の外交日程もございます。そしてまた、予算の作成もございます。この予算の作成に当たっては、税制についての議論も行っていかなければならないわけでございまして、そうしたことを勘案しつつ、召集について今さまざまな検討を行っているところでございます。

山井委員 過去、国会で通常国会しか一年の間に開かれなかった例は一回もないんですよ。それに、憲法の五十三条にも違反しています。さらに、自民党の憲法草案では、「二十日以内に臨時国会が召集されなければならない。」と、四分の一以上の要求があったということで。私たちが要求してからもう二十日になるんです。みずからは二十日以内に開かないとだめだとおっしゃっておられる。

 どうして逃げるんですか、議論を。疑惑隠しですか。安保であれだけ暴力的な強行採決をして、その後国会は開かない。そしてTPPも、丁寧な説明をすると言いながら、いざ合意したら国会を開かない。

 どうして安倍総理、逃げるんですか。憲法を守ってください。国民に説明責任を果たしてください。安保で憲法違反をした上に、今回の国会に関しても、憲法五十三条を無視して国会を開かないんですか。安倍総理が国会を開くとこの場で言えばいいんじゃないですか。何で逃げるんですか。安倍総理、国会を開くと明言してください。

安倍内閣総理大臣 私が逃げているのであれば、通常国会、過去最高の延長幅なんかとりませんよ。そこでしっかりと議論をしたわけでありまして、暴力的な採決とおっしゃったけれども、私どもから言わせれば、いわばちゃんと議論をせずに暴力的な反対ではなかったのかなと思いますよ。そのことは申し上げておきたい、こう思うところでございます。いずれにいたしましても、議論すべきはしっかりと私は議論をしていきたい、こう考えております。

 そういう中におきまして、外交日程やまた予算、また税制も含めたそうした編成の手続もございます。そうしたことも勘案しながら検討していきたい、こう考えているところでございます。

山井委員 一億総活躍と言いながら、臨時国会から逃げて、一番活躍していないのは、安倍総理、あなたじゃないですか。

 以上で質問を終わります。

河村委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申し出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 まず、きょうは消費増税についてお話をしていきたいというふうに思っております。

 安倍総理に二つほどまず確認をさせていただきたいと思います。

 午前中の稲田さんの質問にも御答弁をされていましたが、私の質問にもお答えをいただきたいと思います。

 二〇一七年四月の八%から一〇%への消費税の引き上げということは、これは、百年に一度と言われるリーマン・ショック、ああいうようなことがない限りは必ずやるということ、そのことでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 いわばリーマン・ショック級の国際的な大きな経済的なダメージがある出来事があるということを、これは百年に一度かどうかはわかりませんけれども、そういう事態になったと我々が判断するとき以外は、基本的には引き上げを行っていくというのが我々の考え方でございます。

前原委員 ちょっと気になったんですが、基本的にはというのは、基本的というのがつくと例外になっちゃうんですけれども、今の基本的にということは、リーマン・ショック級のものがない限りは上げるという意味で基本的とおっしゃったのならそれはそれで結構ですが。

安倍内閣総理大臣 まさにそういう意味で申し上げたところでございます。

前原委員 そして、では、軽減税率というものが今与党の中で議論をされていると伺っておりますけれども、二〇一七年四月に、よっぽどのことがない限りは消費税を一〇%に上げる、そして軽減税率はそのときに一緒に導入するということが与党の方針として固まっているということでよろしいですか。

麻生国務大臣 今御質問のありました軽減税率の制度を導入するということにつきましては、平成二十七年度の与党税制改正の大綱におきまして、「関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率一〇%時に導入する。」と書いてあります。また、「平成二十九年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について、早急に具体的な検討を進める。」という二点が一番きちんと書いてあるところなんですが、目下、今、結論を得るべく検討が進められていると承知しておりますので、私どもといたしましても、与党の検討が円滑に進むよう適切に対応して、引き続き与党のなさる議論を見守ってまいりたいというところであります。

前原委員 総理にお答えをいただきたいんですね。

 自民党総裁として、自民党の税調会長をかえられました。野田毅先生という方は立派な方だと私は思いますけれども、その方をかえて、宮沢税調会長になったわけですね。専ら言われているのは、公明党との議論を加速化させるということだというふうに言われておりますが、総理の口から私は聞きたいんです。

 二〇一七年四月に消費税を上げるときには軽減税率は同時に導入するという前提で宮沢税調会長に指示をされているのかどうなのか、自民党総裁としてお答えをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 消費税の軽減税率制度については、昨年末の自民党の税制改正大綱、そしてまた選挙公約及び連立政権合意がございまして、その中において、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率一〇%時に導入する、そして、平成二十九年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について早急に具体的な検討を進めるとされているわけでございまして、これにのっとって作業を進めるように指示をしているところでございます。

前原委員 ということは、総理、先ほど山井さんが臨時国会をということでありましたが、来年の通常国会においては、これは後で財務大臣に質問させていただきますけれども、仮に軽減税率を導入するということになりましたら、かなり作業が要りますよね。そうなるということは、来年の通常国会に、これは秋の臨時国会では間に合いませんから、四月に導入するということになれば。ということは、通常国会に関連の法案を出すということで指示をし、進めているということでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 現在、まだ税調において、そしてまた与党において議論の過程にございますから、国会での審議日程についてまでここで申し上げるのはまだ少し早いのではないかと思いますが、あらゆる可能性について検討をしているところでございます。

前原委員 なぜこの質問をしたかというと、きょうの本題の一つなんですね。

 三党合意というのがありました。我が党が政権のときに、自民党、公明党との間で三党合意を行って、そして社会保障・税の一体改革を行ったわけです。それについては、国交大臣になられた石井大臣が政調会長として真摯に御対応いただいたということで、私もそのとき政調会長、カウンターパートでありましたので、改めて心から御礼を申し上げたいと思っております。

 そのときに、法律には、税制抜本改革法第七条の一項に、低所得者対策、配慮という項目がありますね。これについては、幾つかのいわゆる、言ってみれば選択肢を設けていたわけです。総合合算制度、給付つき税額控除、そして軽減税率、これを言ってみれば低所得者対策ということにしたわけであります。

 総理にお答えいただきたいんです。では、なぜこの中から軽減税率を選んだのか、その理由を教えていただけませんか。

安倍内閣総理大臣 現在の議論の状況としては、これまでも、自民党、公明党において低所得者対策として軽減税率の議論が続けられてきたところでありまして、平成二十九年四月の一〇%への引き上げ時に軽減税率の導入が間に合うよう、中小事業者の負担にも配慮しつつ、両党間でしっかりと検討し、具体案を取りまとめてもらいたいというふうに考えております。

 なお、その中で、今、選択肢の一つ、これもあるではないかということで挙げられた給付つき税額控除については、所得の把握、資産の把握の問題や執行面での対応の可能性等の課題もあるものと承知をしておりますが、いずれにせよ、政府としても、与党における軽減税率制度の導入に向けた検討が円滑に進むように適切に対応してまいりたい、こう考えているところでございます。

前原委員 私の質問は、なぜ軽減税率を選んだのかという質問で、確認です。

 今総理は、いわゆる給付つき税額控除については、執行面での所得の把握等に問題があり、こういうことで軽減税率を選ばれたという御答弁と解してよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 課題としてそういう課題があるということを申し上げたわけであります。

 この選択肢の中からどれを選ぶかは、これはまさに与党における協議でもあるわけでございまして、その与党における協議の中におきましては、先ほど申し上げました連立与党の合意あるいは選挙における公約等もあるわけでございます。そうしたことも鑑みながら、先ほど申し上げたような指示をしたところでございます。

前原委員 今の御答弁は、若干、天に唾する話なんです。

 なぜかというと、所得の把握に問題ありということになれば、今から導入しようとしているマイナンバーに、みずから政府が問題を抱えている、つまりは、これの実施について問題を認識しているということの裏返しにほかならないんですね。

 つまりは、マイナンバーというのは皆さん心配していますよ、国民のみんなが。その中で、給付つき税額控除をやるということになればマイナンバーの活用が必要でありましょう。そうすると、その所得の把握にマイナンバーが問題あるということを総理みずからおっしゃったことになりますよ。

安倍内閣総理大臣 今私が申し上げたのは、問題があるということではなくて課題があるということを申し上げたわけでありまして、課題があると私の言ったことは、まさに課題があると申し上げたわけでありまして、給付つき税額控除については、軽減税率よりも低所得層に絞った効率的な支援が可能となるとの議論がある一方で、先ほど申し上げましたのは、まさに所得の把握や資産の把握といったそうした執行面での可能性の課題があるわけでございまして、そうしたまさに課題として申し上げているわけでありまして、これがあるからできないということではなくて、そういう検討が必要であるということを申し上げているわけでございます。

前原委員 課題と問題の言葉の違いというのはあるかもしれませんが、では、もう一点から指摘しましょう。

 財務省が、日本型軽減税率制度、還付ポイント制度というのを出されましたね。何かこれはいつかお蔵入りをしてしまって、国会が開催されていませんでしたけれども、それを議論するすべもなく、何かお蔵入りになりましたけれども。

 これはマイナンバー制度を前提とした制度設計ではなかったんですか。つまりは、財務省の日本型軽減税率の制度、還付ポイント制度はマイナンバーを前提としたものじゃなかったんですか、財務大臣。

麻生国務大臣 マイナンバーが法律的に通るであろうという前提で検討させていただいたというのは事実であります。

前原委員 そうなんですよ。

 整理いたしましょう。つまりは、マイナンバー制度に問題があると言っていない、課題だとおっしゃった。では、課題は克服すればいい。マイナンバー制度をしっかりと国民が理解をし、安心をして、そしてまさに正確な資産と所得の把握をできる、そして社会保障や税についての信頼ができる国家をつくるための礎ですから、これは課題を克服しなきゃいけないんです。そして同時に、財務省が出した日本型軽減税率制度、還付ポイント制度というのはマイナンバー制度を前提としたものだったんですね。

 さて、であれば、先ほどの質問に戻ると、軽減税率とそしていわゆる給付つき税額控除のどちらが有効なのかということを考えたときに、まさに総理が先ほど御答弁されたように、給付つき税額控除の方が、所得の低い方々に限って行うものであるので、より効率的であるということは総理みずからおっしゃいましたよね。

 であれば、もし低所得者対策をするんだったら、何で、課題を克服して給付つき税額控除にしないんですか、軽減税率の導入なんですか。御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおり、それは同じ認識だと思いますが、まさに所得の把握や資産の把握、これについては、先ほどおっしゃったように問題と言ってもいいんですが、そうした問題を、執行面においては課題として存在をするわけでありまして、そうした課題をどのように対処していくかということはあります。

 その中において、先ほど申し上げましたように、給付つき税額控除については、これは私の認識として申し上げているわけでございますが、あとは、党において、党の税調において、方法論として、今どうしていくべきかということについて議論をしているところであって、その中において軽減税率制度の検討が進められているところであるということでございます。

前原委員 まず左上をごらんいただきますと、軽減税率というもの、これは、緑の折れ線グラフが消費税一〇%、そして青の線が五%ということであります。八%にもうなっているんですけれども、一応五%で表はつくらせていただいたんですが、例えば、酒とか外食を除く食料や書籍、出版物というものを軽減税率にした場合、緑の線から青い線に下がるだけなんですね。つまりは、右に行けば行くほど所得の多い方々でありますけれども、多い方々も一緒に下がるんです、軽減税率は。

 それに対して、オレンジ、赤く見えている線は、これは給付つき税額控除、あるいはその前提のいわゆる総合合算制度と言ってもいいでしょう。所得を限って、それ以下の方々に対して集中的にやるので、総理がおっしゃったように、これの方が効率的なんです。

 つまりは、逆進性対策とか低所得者対策については、軽減税率よりもこの給付つき税額控除、あるいはその前提の総合合算制度の方が効率がいいんですよ。

 右を見ていただきましょう。

 右は、これは「OECD二十か国における軽減税率の再分配効果」ということなんですが、これは青い線がいわゆる軽減税率によってどのぐらいのお金が返ってくるかということを示したもので、上は全体です。つまり、全体が軽減税率になった場合。下は食料品がなった場合でありますけれども、どちらも、なだらかか急かの差はありますけれども、右に行けば行くほど所得が多いという意味ですね。つまりは、軽減税率は所得の多い人ほど減税になるんです、絶対額として。

 全く逆進性対策にならないとは言いませんよ。この右の折れ線グラフに書いてあるように、右肩下がりになっているということは、ある程度の逆進性対策になっているわけですね。しかし、左側に書いてあるような、所得を限って給付つき税額控除をするというよりは、明らかに軽減税率というのは効果が薄い、あるいはお金をかける割合として極めて非効率だということでありますけれども、先ほど、課題は克服したらいいと。だって、マイナンバー制度を導入されることですから、課題は克服すべきですよ。

 であれば、なぜ、もう一度同じ質問をします。何で軽減税率なんですか。給付つき税額控除じゃ何でないんですか。何で軽減税率なんですか。その理由がわからない。

安倍内閣総理大臣 これは、まさに、それぞれ一長一短が私はあるんだろうと思います。

 しかし、確かに、給付つき税額控除については、低所得者に対して効率的に給付が行くということにはなるわけでございます。低所得者対応にはなる。他方、課題があるということも申し上げたわけでございます。

 そしてまた、複数税率について、これは、いわば所得が多い人ほど軽減の恩恵をこうむる。これは、どういう品目にするかということにもよってくるんだろう、どれぐらいのものに限っていくかということについてもこれは影響を受けるんだろうと思うわけでございますが、そうしたことも含めて、今与党の方において御議論をいただいているところでございます。

前原委員 給付つき税額控除は一長一短があるとおっしゃいました。

 百歩譲って、私は、マイナンバー制度を導入したら所得の把握、資産の把握ができるからデメリットはない、絶対に低所得者対策、むしろ軽減税率よりもよっぽど給付つき税額控除の方がいいということは改めて申し上げたいと思いますが、むしろ軽減税率のデメリットというのも多いんですね。

 それは、国民からすると、軽減税率にしてもらう方が買うとき安いからそれはいいわというのは、それはそうですけれども、日本の財政状況と、あと、お話をするように、先ほど山井さんや岡田代表がおっしゃった話をまた私も同じようにさせていただきますけれども、日本が抱えている課題を考えたときに、デメリットが多いんじゃないか。

 つまりは、軽減税率を導入した場合には、まず一つは、財源に穴があきますよね、財務大臣。全ての飲食料品でやった場合、二%で一・四兆円ですよ。酒類を除いた場合では一・三兆円。そして、生鮮食品だけだったら三千四百億、お米だけだったら四百億、こういうことですよね。穴があくということが一つ。

 二つ目。これは事業者がすごく大変ですよね、中小企業事業者は特に。

 財務大臣、一言でお答えいただきたいんですが、軽減税率を導入すると、税額票、インボイスというのは必要になりますよね。

麻生国務大臣 一言は難しいんですが。

 インボイス、いろいろなものがありますが、ユーロ、欧州みたいな形のインボイスということを考えておられるんだったら、手間がかかることは確かです。

前原委員 どういうものを導入されるかということはまさに麻生財務大臣がお決めになることだというふうに思いますが、いずれにしても、中小企業者からすると煩瑣になるということですね。

 穴があく、手続的に難しい、そして、申し上げたように、非効率的なんです、軽減税率というのは。

 さて、違う観点からお話をしたいというふうに思うんですが、これは実は前々回の予算委員会で質問をさせていただいたときに使ったパネルなんです。総理、ちょっとこれをごらんいただけますか。五です。左上に五と書いてあるもの。

 年金生活者というのは、今、三千九百五十万人おられるんですね。そのうち、年金収入のみで暮らしている方は六二%です。その方々で、世帯で見ると、夫婦世帯の方とか、あるいは単身世帯の方々とか、同居世帯の方々がおられるんですが、夫婦世帯の方々は、かつかつ黒字。しかし、貯蓄額は、三百万円未満の方が三二%。単身世帯でいうと、男子の方も女子の方も月々赤字ですよ。つまり、年金では生活できない。そして、三百万円未満の貯蓄の方が四四%、四三%、それぞれおられる。

 左上をもう一度見ていただくと、約四千万人のうち一千万人以上の方が基礎年金だけで生活しているということですね。

 総理、基礎年金というのは満額四十年間払ってどのぐらいかは御存じですよね。大体六万五千円ぐらい。二十五年からもらえるということになったら、二十五年しか払っていない人は、八分の五ですから、四万円ですよね、大体。そういうかつかつの生活をしている人がまさにこれだけおられるわけです。

 これが、年金生活者の将来の推計なんですね。左上、六ページです。今、約四千万人の年金生活者がおられますけれども、この先、年金生活者はどんどんどんどんふえていきます。そして他方で、賃金生活者はどんどんどんどん減っていくんですね。減っていく。

 安倍総理は、私からすると、賃金を上げろということについて賛否両論ありますけれども、デフレから脱却する、内部留保がたまった、円安で株は上がっているし、であれば賃金を企業に上げさせるということについて、わからないでもありません。それは総理がやることかどうかということについては私は意見が異なりますが、それはわからないでもない。

 でも、総理、年金生活者が賃金生活者と二〇三〇年ごろには一緒になるんですね。となると、経済でデフレ脱却をするんだ、そして賃金を上げろ、賃金を上げろということを言っていても、経済活動をする半分ぐらいの方が年金生活者になってくるわけですよ、これから。

 となると、全体で六二%の方が年金だけで生活をされている、一千万人以上の方々がまさに基礎年金だけで生活されている、そして、これからマクロ経済スライドがフルで発動されて〇・九ポイントずつ、どんどんどんどん年金は目減りしていきますよね。これで本当にこれから高齢者の方々は生活できていくと思われますか。そして、この年金制度はこのままでいいと思われますか。その点についてお答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 マクロ経済スライドについて、〇・九%、これはフルに効力を発揮するというふうにおっしゃった意味は、まさに、デフレ下においてはデフレスライドは長い間させてきませんでしたから、このマクロ経済スライドは機能していなかったのでありますが、インフレ期になって〇・九というものがだんだんきいてくるわけでございますが、しかし、それによって年金財政は均衡するというのがこの仕組みでございますから、このマクロ経済スライドがきく経済状況をつくっていかないと年金財政自体がこれは危うくなっていくということではないか。ですから、それは、そういう状況をつくりつつあるわけであります。

 他方、今、前原委員がおっしゃったように、デフレから脱却していけば、ある程度物価が上がっていくわけであります。しかし、同時に、それには〇・九まではついていかないというのは、実際そういう仕組みにすることによって年金財政を持続可能なものにしたわけでございまして、これは御理解をいただきたいと思います。

 他方、年金の支給額で全て賄えるかということでございますが、国民年金につきましては、やはり全て賄う額を国民年金で確保していくということは今でも難しいわけでありまして、それまで、やはりある程度の蓄えはお願いをしますよということでございます。

 他方、厚生年金の方は、これはいわば、それまでに負担している額も大きいという中において、厚生年金の中において、被用者年金の中においてそこは賄っていくことができる額を確保していきたい、こう思っているところでございます。

前原委員 一億総活躍、私はそれができればいい社会だと思いますよ。そういう方向性、的か矢か、的とおっしゃいましたけれども、それについて、私は、その方向性について文句を言うつもりはありません。合計特殊出生率一・八、それはやるべきだと私も思いますよ。ちなみに、一・八でも人口は減り続けますからね。二・〇七ぐらいないと人口はある程度のところで横ばいになりませんから。一・八でも難しいけれども、それでも人口は減り続けるということで、まずはそれをやるということは大事であります。

 もう一遍ちょっと五ページをごらんいただきますと、こういう状況で下流老人ということが今社会問題になっているわけですね。それは、総理がおっしゃって、またこの間、塩崎厚生労働大臣が答弁されました。つまりは、年金だけで生活をする前提になっていないと。そうかもしれないけれども、今もう既にこうなって、貯蓄もない人がたくさんいるわけですよ。今さら働けと言われても働きようがない。年金はそういう話じゃなかったんですよと言われたって、もう前提として、こういうまさに大変な状況に置かれている人たち、基礎年金のみで生活している人が一千万人以上いるわけですね。こういう方々をしっかりと支えていこうと思ったら、ある程度の財源というのは必要になるんじゃないですか。

 そして、きょう岡田代表や山井さんがおっしゃったように、一・八という出生率というものをちゃんと担保していこうと思ったら、これは、中身は日本なりのものにしたらいいけれども、家族向けの支出、現金給付、現物給付を組み合わせて出している国の方が、それは実際問題は出生率は高くなっているわけですよ。

 だから、きょう我々がこの予算委員会の中で申し上げているのは、ある程度の負担を国民にお願いして、そして日本の構造問題を解決するんだということを国民に説明さえすれば、国民は理解してくれると私は思うんですね。

 それに対して、解せないのが、先ほど申し上げたいわゆる軽減税率と給付つき税額控除の対比でいえば、何で軽減税率を選ぶのかということになるわけです。

 一つの大事な答えとして私が言えるとすれば、それは公明党が言うからでしょう。公明党が軽減税率と言うから、仕方なくおつき合いをするんでしょう。来年の参議院選挙で公明党の支援もいただきたい、公明党の支持母体であるところにも応援をもらいたい、それで、日本の将来像とか、一億総活躍とか、合計特殊出生率一・八にするというふうなことが、そんな、言ってみれば、そういう非効率な、低所得対策だけではなくて、高所得者に対しても給付をされてしまうようなものに対して、それが実際に行われるということが、本当に安倍政権が新三本の矢で求められるものなんですか。

 国民に対して本当に説明ができますか、総理。選挙対策だったら選挙対策だということをはっきりおっしゃった方が、国民は納得しますよ、それは。この軽減税率は、なぜこれをやろうとしているのか。

 そして、本来であれば、安倍政権が今出された新三本の矢をやろうとすれば、ある程度の負担はこれから必要なんです。必要な中で、しかし皆さん方が本当に安心していただける、日本の構造問題を解決する、そのためには財源が必要なんだということを堂々とおっしゃったらいいじゃないですか。国民はそんなにばかじゃないですよ。私も公明党の支持者の方々とお話をすることがありますけれども、軽減税率が低所得者対策と皆さん思っておられないですよ。ちゃんと皆さん方はわかっておられますよ。

 そういう意味においては、国民に対して負担を求めるときは堂々と負担を求めるということをやりながら、そして新三本の矢をしっかりと達成するんだとおっしゃった方が、本来の政策目的に合致するんじゃないですか、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 我々、八%から一〇%に引き上げる際について、先ほど申し上げましたように、与党の連立政権の合意もございますし、その前の選挙公約もあるわけでございます。そして、自民党の税制大綱においても、昨年末の税制大綱においても、軽減税率について、先ほど申し上げたように、国民や事業者の理解を得て二十九年度からの導入を目指してということでお約束をしているところでございまして、その中におきまして、この約束の上に立ってただいま議論を行っているところでございます。

前原委員 合理的な説明はありません。連立与党の合意の約束に基づいてということは、公明党さんに配慮してということだということで理解をさせていただきました。これから、もっと説得力のある、中身ですよ、政策の中身、手続だけじゃなくて、それをしっかり求めていきたいと思います。

 最後に、マンションのいわゆる傾きの問題について、少し国交大臣に質問していきたいというふうに思います。

 今回、横浜市の分譲マンションで、基礎ぐいが支持層に未達であったこと、施工データが流用されていたこと等が明らかになりましたけれども、これは旭化成建材の事案でありますけれども、石井大臣、これは、今回は旭化成建材のみの特別な事案だと考えられますか。それとも、そうではない、これは業界にかかわる構造的な問題だという懸念を持っているか。どちらですか。

石井国務大臣 旭化成建材が施工いたしましたくい工事でたくさんの流用の事例が出ているということで、国民の皆様に非常に不安が広がっているということは承知をしているところでございます。私どもも、非常にそれは重く受けとめているところでございます。

 ただ、これがどこまで広がっているかということについては、いまだ、まだはっきりしたことが言えておりませんので、その点については、今、予断を持って何か断定的なことを言えるような状況ではない、そのことは御理解をいただきたいと存じます。

前原委員 ちょっとパネルをごらんいただきたいんですが、今回この問題が起きたのは、三井不動産レジデンシャル、ここがいわゆる販売元ですね、そして元請が三井住友建設、そしてくい打ち工事を担当したのが日立ハイテクノロジーズ、そしてくい打ち工事を施工したのが旭化成建材、こういうことだったわけですが、私もいろいろな業界団体の方に話を聞きました。石井大臣もいろいろヒアリングをされているというふうに思いますけれども、要は、業者の方々がおっしゃるのは、ほかにもいろいろこういった問題はあり得る、こういうことでありました。

 そこは何が問題かというと、一つは工期、これをしっかりと、販売元である、今回であれば三井不動産レジデンシャルが、つまり青田売りといって、しっかりとそのマンションをいついつまでに引き渡しますよという工期を設定しているわけですね。そして契約をして買っている人たちがたくさんおられるわけでありますけれども。

 その工期というものを守るために、例えばくい打ちのくいが、今回の場合がそれに当たるかどうかわかりませんよ、私がヒアリングをしたもので一般的にあるんじゃないかとおっしゃる方々が余りにも多かったものですから。そうなると、くいが足りなかった場合に、新たなくいを用意できるかというと、できないというわけですよ。

 つまりは、それは工期がおくれるから。くいの値段はそれほど大変な問題ではない。つまりは、新たなくいを用意するということになると、それだけ工期がずれる。工期がずれるとその分コストがかかるということの中で、工期と予算というものの縛りをかけられて、販売元、元請からぎりぎり言われて、そして、下請はそういうものにならざるを得ないような業界全体の問題があるんではないかと考える方が多かったんですけれども、その問題意識は共有されますか。

石井国務大臣 今回の問題につきまして、いろいろ構造的な要因があるんではないかという指摘があることは承知をしてございます。今委員御指摘の工期の問題、あるいは多層下請という問題もあるんではないかといろいろ御指摘をいただいているところなのですが、今、私どもといたしましては、旭化成建材の事案について、しっかりとその実態を調査し、その原因をまず究明することが第一だというふうに思っております。その中においてどういう問題があるかということが明らかになってくるというふうに思っております。

前原委員 私も、一年間国交省で仕事をさせていただきましたので、大臣の立場であれば同じことを言うと思います。徹底的にまずはこれを調べる。徹底的に調べて、この全体の構造問題にまで思いをめぐらせて、そして再発防止策をとる、こういうことが大事だと私も思います。

 その上で、パネルにはございませんけれども、資料の八をごらんいただきたいんですね。

 これは、旭化成建材がやたら批判を浴びています。批判を浴びるべきだと思いますよ。それは徹底的に調べたらいい問題だというふうに思います。しかし、建築基準法、それから建設業法、宅建業法ということで、それぞれの、三井不動産、三井住友建設、日立、そして旭化成建材、全てに、いわゆる建築基準法、建設業法、宅建業法という縛りがかかっているわけですね。そして、しっかりと徹底的に調べていけば、業務監督命令とか、規定に反した場合においては懲役とか罰金刑とか、あるいは、いわゆる免許取り消し、営業停止、こういったものがしっかりなされるということですね。これは法律で決まっているわけですよ。

 こういう法律も踏まえてしっかりと、今大臣が答弁された、今回の事例を徹底的にやる。そして、今ある法律の中で、その問題について予断を持たずに、しっかりとこういう法律があるという前提で調べる。そして、問題があれば、この法律に基づいてしっかりと処分する、こういう姿勢で臨まれますか。

石井国務大臣 今、前原委員御指摘いただいたとおり、売り主につきましては、宅建業法におきまして、瑕疵のない安全な物件を提供する責任がございます。また、建設会社、元請、下請におきましては、それぞれその立場で適切に施工及び管理をする責任がございます。

 今、国土交通省といたしましては、それぞれ関係する事業者に、どういう施工の実態であったのか、あるいは管理の実態であったのか等々、詳しく調査をさせていただいているところでございます。その上で、原因究明等もしっかりやらせていただきますが、その結果、必要であれば、法律に基づく処置も考えなければいけないというふうに思っております。

前原委員 時間が来ましたので終わりますが、公共事業には品質確保法というのがあるんですね。ただ、民間工事にはないんです、品質確保法というのは。麻生大臣、今、そのとおりだとおっしゃっておりましたけれども、これは、今の業法でしっかりとできていなかったら、こういう法律も検討されるべきじゃないですか。その一言答えて、それで、御答弁で終わりますので。

石井国務大臣 先ほど申し上げましたように、今、実態を解明した上で、再発防止策をしっかりと検討していきたいと思っております。その中で、必要とあれば、法律の見直しも含めて検討していきたいと思っております。

前原委員 終わります。

河村委員長 これにて岡田君、玉木君、柚木君、山井君、前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、松野頼久君。

松野(頼)委員 維新の党の松野頼久でございます。

 まず冒頭、国民の皆さんに、党内が混乱していることに対しまして、心からおわびを申し上げますとともに、できるだけ早く皆さんの御期待に応えられるように体制を立て直してまいりたい、このように申し上げさせていただきたいと思います。

 さて、きょうはTPP等ということでありますので幾つかお伺いしたいと思いますが、今回、大筋合意ということでありました。先ほど、民主党の山井さんも随分総理に迫っていましたが、やはり臨時国会を開いて、しっかりこのTPPの問題を議論する場所というのをつくるべきだと思いますよ。

 といいますのは、まだ自民党、公明党の皆さんが野党の時代、私、議会運営をやっていましたけれども、そのときにもう、TPPの交渉に参加するならば、大筋合意とか合意をする前に、交渉の中で出た情報をしっかり開示しろ、一体どういう国がどういう要求をしているのか、日本としてはどういうことを攻めていくのかということを、交渉だけに任せるのではなくて国会の意見も聞け、さんざん自民党、公明党の皆さんは特別委員会の設置を求め、そういう要求をされていたわけです。

 これは我々、与党、野党どっちの立場ということではなくて、やはり国会に対して出せるものはなるべく出す。農水委員会の決議でも、交渉によって仕入れた情報は速やかに国会に説明することという決議もしているわけですから、やはりそういうもっと丁寧なやり方が必要だったのではないかというふうに思いますが、これは総理というより総裁として、また、臨時国会は総理としてお答えいただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 TPPについては、当然これはいずれ国会の承認をいただかなければならないわけでありますから、その際に、しっかりと我々も情報を提供しつつ、これは当たり前でございますが、御議論をいただきたい、こう思っているところでございます。

 そしてまた、臨時国会につきましては、外交日程や予算編成等の日程も勘案しながら検討していきたい、このように思っております。

松野(頼)委員 このTPPというのは、やはり、いかに日本の農業で打撃を少なくするか、そして、いかに日本の工業製品を海外に売っていくか、これが目的だというふうに思います。

 そして、総理は最初に、重要五品目は絶対守るというようなことをおっしゃっていました。重要五品目、随分やられたのではないかという印象があります。特に牛肉、豚肉、この辺はやはり当初の関税も随分下げられることになりましたし、相当な痛手があるのではないかと思いますけれども、逆に、本来攻めの部分の日本の自動車、トラック、この辺は余りいい成果が出ていないのではないかと思いますが、その辺の御感想をちょっと聞かせていただけないでしょうか。

甘利国務大臣 TPPは、御案内のとおり、新規加盟国は既存国全ての了解をとらないと入れないということになっています。日本が入ることに関して、主に途上国は、特にアジアは、日本が入ってくれれば、自分たちの側に立って悩みを聞いてくれる、アメリカにも主張してくれるということで大歓迎でした。ほとんどの国は了解でした。

 アメリカはもちろんいいのでありますけれども、アメリカとは特に事前協議をしなければなりませんでした。その中で自動車については、他の最長の期間と同じにする、そして、そのステージングを始めるのは最大限後ろ倒しをするということをのまざるを得なかったです。そのかわり、それがアメリカのセンシティビティーならば、日本のセンシティビティーもこうあるよという交換条件になったわけです。

 それで入っていきましたから、自動車は、農産物で三十年というのをとられました。ですから、トラックは三十年でありますけれども、しかし、トラックの輸出実績はほとんどありません。大事なところは乗用車と特に部品であります。

 乗用車については二十五年に縮めることができました。そして、最大のバックローディング、言ってみれば、二十五年まで何もやらぬで二十五年目にどんとやれというやり方を十五年目からということに相当押し返しました。十五年目から削減していって二十年目には相当な削減をしていくということをやりました。

 特に日本の場合は、アメリカで動いている車の輸出によるものは二四%なんです。韓国は七〇%です。日本が大事なのは部品です。部品は相当、即時撤廃も含めていい成績をとったと思います。

 自動車についてはそういう縛りが最初からあったということは御存じだったと思います。

松野(頼)委員 今、大臣、非常に気になる御発言をされました。

 自動車のかわりに日本の守るべきものを守ったというふうにおっしゃったんですけれども、守るべきものを守ったというふうにおっしゃった部分の、では何を守ったのかということをお聞かせいただきたいと思います。

甘利国務大臣 それぞれ、アメリカと話し合ったときに、日本は、農産品の特に五品目を中心に、これは日本にとっての最大のセンシティビティーであるということを主張しました。そうしましたらアメリカは、アメリカにだって同じようなところがあるんだ、それは自動車だと。自動車というのはちょっと意外でしたけれどもね、自動車王国アメリカがそう言ってくるのは。しかし、その両方について、お互いがセンシティビティーがあるということを認めよ、それが入会条件だったわけです。これにサインしなければ入会ができません。

 そこで、農産品については、五品目のコア品目は、まず関税を撤廃しない、そして、最終着地点に持っていく場合には相当な時間をかけてステージングをする、あるいは、強力なセーフガードをかける。それ以外については、例えば関割りをつくって、その枠外の税率は従来と同じもので変えない。そういうコアの部分はしっかりとったと思います。

 現実に、先ほども説明しましたけれども、農産品に関して各国との関税の撤廃率の比較をしますと、各国は、日本以外は、撤廃率というのは九八・五%です。ほとんど、一・五パー残しただけで、全て撤廃です。日本の場合は八一%ですから、相当な差があります。ですから、これだけを見ると、日本だけどうしてこうなんだという批判は出ると思います。

 ただ、我々は、どうしてそれをかわしたかというと、物品だけじゃなくて、二十一世紀型ですから、ルールの透明化もあるんだ、ルールについては日本は十二カ国中一番の成績を持っているはずだ、このバランスからいって、農産物の八一%、二割近くを関税撤廃しないということは、ちゃんとこちら側でそれだけのことをやっているんだから理解をしてもらえるはずだ、こういう説得をずっと続けてきたわけでありまして、そういう日本の主張を通した結果だというふうに思っております。

松野(頼)委員 きょうは二十五分という持ち時間ですから、細かくいろいろ聞きたいことはたくさんあるんですけれども、本当は、今みたいな交渉の中での話とか、一体何をこうやって、どうやってこれから守っていくのかとか、どういう対策をしていくのかという部分を、やはりこれは本来であれば国会を開いて、もうとにかく何万品目というところに及ぶわけですから、そこはしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 そして、伺いますが、昔のガット・ウルグアイ・ラウンドのときに対策費というのを投げましたよね。今回、さっき民主党の玉木さんが補正予算でみたいな話もしていましたけれども、このTPPによってまた農業の補助金を出していくのではないか。

 我々は、TPP、どちらかというと推進に賛成の立場をとっています。ただ、それは、きちっと日本の国益が守れて、そして日本の工業製品がきちっと世界で売れて外貨が稼げる体制を組む。また、農家に対しても、なるべくその影響が少ないようにというよりも、逆に、今、日本の農業はすごいですよ。つくっている野菜にしても、果物にしても、肉にしても、これはすごいものがあります。海外に行って牛肉なんかはもう和牛というブランドがブランディングできていて、ただ、その和牛がオーストラリア産の和牛とか日本産の和牛とか仕分けをされるぐらい和牛というブランディングができている。逆に、きちっとやれば攻めの農業につながるものはたくさんあるわけですから、そういう方向でしっかりやっていくべきだという立場をとっています。

 ただ、昔のウルグアイ・ラウンドのときのような対策で、これからTPPに関していろいろな予算が組まれるのではないかという逆に心配をしているんですね。TPPに関連して、また対策費みたいなものをつくる御予定は、総理、あるんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今回も、TPPが合意に至り、そしてまた国会で御議論をいただき、批准に進んでいくわけでございますが、当然、対策はしなければならないと考えております。

 ただ、ウルグアイ・ラウンドと今回の大きな違いは、ウルグアイ・ラウンドのときは、もう守りしか考えなかったわけであります、特に農業においては。今回は、まさに、これで日本のおいしい、質の高い農産品に対する関税が、障壁がなくなる、これをチャンスとして生かしていかなければいけないということに対してもしっかりと予算をつけていきたい、こう思っておりますが、そこが大きく違うんだろう、こう思います。

 今回のTPPの大筋合意を受けまして、強くて豊かな農林水産業、そして美しく活力ある農山漁村をつくり上げていくために政府全体として万全の対策を取りまとめていきたいと思いますが、過去のガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策については、例えば温泉施設の整備といった、農業の生産性向上や成長産業化に直接関係のない事業も多数実施をされたなどの指摘があることも事実でございまして、今般の対策の検討に当たっては、これを踏まえて、ばらまきとの批判を受けることのないよう、TPP総合対策本部の基本方針に沿って、農業の生産性向上などの体質強化対策等を講じて、意欲ある生産者が安心して再生産に取り組めるようにしていく考えでありまして、農業の成長産業化に真に必要な対策を取りまとめていく考えでございます。

松野(頼)委員 大体幾らぐらいの規模を考えていらっしゃるんですかね。

安倍内閣総理大臣 これは、大まかに幾らの規模ということではなくて、しっかりとまずは分析をしていかなければなりません。農産品についても、品目ごとに分析をしていく必要があるんだろう。そうした分析の中でどういう対策をするかということを今検討している最中でありますから、今幾らかということになれば、逆に額ありきになってしまうわけでありますから、しっかりと中身について議論をしていきたいと思っております。

松野(頼)委員 これは、来年の通常国会に補正予算でもう出てくるんですかね、さっき玉木さんが質問していましたけれども。もしお考えがあるなら、ある程度の数字をお聞かせいただければありがたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今の段階では、ここで幾らとか補正予算ということを申し上げることはできませんが、まずは、先ほど申し上げましたように、中身について政府・与党において議論を進めていきたいと考えております。

松野(頼)委員 やはり消費者の皆さんは、このTPPで、確かに農家の皆さんはいろいろ心配はあると思いますけれども、関税が引き下がったりいろいろなものが入ってくることによって値段が少し下がっていくのではないか、いろいろな生活必需品等が安く買えるんじゃないかというメリットも期待をされていると思います。

 例えば、一つ例に挙げさせていただくと、今回、バター、ちょっと前に随分バター不足だといって社会問題になっていましたので、一体バターが何でこういうことになっているのかな、バターが不足をしているのかな。世界に行ってバター不足なんというのはほとんど聞いたことがないんですね。日本だけなぜそういうことが起こっているのかというのを少し聞いてみたいと思うんです。

 バターに関しては、今までのWTO枠約二千八百トン、これは今まで義務で買い入れるということでありました。今回、TPPは、大体三千トンぐらい買うということで、関税に関しては何もいじりませんでした。

 バターの関税というのは三五%なんですけれども、この三五%にプラスして、マークアップというのがあるんですね。要は、関税じゃないけれども、国が取っているお金というのがあるんです。

 非常にバターは複雑で、要は、バターは国内生産量が大体年間六・二万トン、去年の例でいうと、輸入しているのが一・三万トンなんですね。この一・三万トンの輸入に関して、畜産振興機構、ALICというところがほとんど扱っている。要は、バターを買って売るということをこの外郭団体がやっているんですね。これがマークアップです。

 どういうお金で買っているかというと、海外の取引相場、去年でいうと、大体、国際価格四百六十四円でこのALICが買います。もちろん、関税三五%は払います。それで、国内のいろいろな商社とかに入札をかける。去年の国内平均単価というのがキロ当たり千二百八円。ALICは、四百六十四円プラス関税で仕入れたものを千二百八円で売るんですよ。差額の七百四十四円から関税を引いた分がALICに丸ごと入るんですね、利益として。これがいわゆるマークアップです。

 今回は、TPPでは、この関税の部分やマークアップの部分をいじりませんでしたので、バターの値下げというのはないでしょう。ただ、日本の買い入れ額が若干ふえたというだけで、絶対に、市場に需要がなくても、大体三千トンは今回のTPPでバターの輸入をしなければならない。だからバターの価格というのは下がらないし、この買い入れの量の調節を間違えるとバターが品不足になるというようなメカニズムになっているということが今回わかりました。

 それで、これは何でALICがこのお金を入れているかというと、国内の酪農家に対して補助をしている。それを目的として、ALICは完全にもうかる差益を入れているわけですね。それで、酪農生産者に大体一キロ当たり十二・九円の補助を行っているということなんですけれども、要は、では、これによって酪農はよくなっているのかというのが問題なんですよ。そして、消費者のバター不足が解消されているのかというのが問題なんです。安いバターが供給されるのかということが、やはり目的だと思うんですね。

 実は、こういうALIC、いわゆる外郭団体が支援をしているにもかかわらず、平成六年には四万七千六百戸が酪農をやっていました。平成二十六年には一万八千六百戸なんですね。飼養頭数は二百一万頭から百三十九万頭に下がっているんです。結局、これだけの支援をして、消費者が高いバターを買うような価格調整をしたとしても、酪農家の支援になっていないんですね。酪農が発展していないんですよ。

 これは、制度、どうですか。まだこの制度を続けていくんですか、マークアップ。もし、農林大臣なり、お答えいただける方がいたら、お答えいただきたいと思います。

森山国務大臣 マークアップの考え方でありますが、平成二十六年度のマークアップの使途の内訳につきましては、加工原料乳の生産者に交付する補給金への充当額として十六億円ぐらいしております。また、業務に要する事務、人件費として十二億円ぐらい支出をしております。(松野(頼)委員「要は、制度を続けていくのかということです」と呼ぶ)

 酪農の現状を考えますと、この制度はやはり大事にしていかなければいけないと思っています。

松野(頼)委員 さっき数字で申し上げたように、酪農も衰退していっているんですよ、この制度があるにもかかわらず。消費者は高いバターを買い続けているんですよ。だから、この制度を見直した方がいいんじゃないですかということを申し上げているんです。

 もう時間がありませんから、ちょっと次に行きたいと思います。

 これは、さっき総理もおっしゃったウルグアイ・ラウンド対策、あのときに六兆百億円お金を使いました。その六兆百億円の中で、国費は二兆六千七百億ですけれども、公共事業に三兆一千七百五十億円使いました。その中の一つの施設です。これは山梨県の明野村につくった施設です。これはウルグアイ・ラウンド対策費としてお金を投入しました。都市農村交流施設事業というものですね。こういう施設を約六十九、もっと言うと四百七つくっています。

 農水省にきのう、このときの資料はないかと言ったら、県と町の名前しかない資料しかないと言うんですよ。こういう細かい資料はないんだと言うんですよ。税金を使っているんですよ、税金。

 要は、これは十五億でつくりました。ウルグアイ・ラウンド対策費、いわゆる国費が半分、残りの八割は起債をして、後で交付税で面倒を見る。町は一億五千万でこの施設をつくったんですね。

 当時の県の担当者は、雑誌のインタビューに、この施設を拠点として村の振興の起爆剤にしたい。約二十年たちましたけれども、この施設がどうなったかというと、結局、今、県や町が運営しているのではなくて、指定管理者に委託をしてやっているんです。これはウルグアイ・ラウンドの対策とどう関係があるんですかね、大臣。

森山国務大臣 今御指摘のありました施設につきましては、ウルグアイ・ラウンドの事業で行ってきたことはそのとおりだと思っております。ただ、そのときのウルグアイ・ラウンドの対策実施要綱に基づいて行われております。

 ただ、そのことが農業の発展につながったかというと、そこは少し反省をしなければならないことがありますので、今回の対応につきましては、そういうことの批判を受けることのない対策というものをしっかりやっていくべきであると考えております。

松野(頼)委員 これはどう見ても、ウルグアイ・ラウンド、農家の発展には関係ないと思うんですよ。これ一個じゃないんですよ。こんなのがぞろぞろぞろぞろ、山のようにあるんですよ。だから農業が発展しないんじゃないですか。違いますか。(安倍内閣総理大臣「いや、やらないよ」と呼ぶ)今総理が、やらないよと。本当にやらないんですね、これ、今度のTPP対策では。本当にやらないんですね。こういうことをやっているから農業自体が、農家の皆さんが苦労しているんですよ。

 例えば、ウルグアイ・ラウンド対策費は六兆百億円使いましたけれども、農業生産、一九九五年、ウルグアイ・ラウンドが始まってから、十兆四千億から、二〇一三年、八兆五千億に下がっているんです。生産農業所得も、四兆六千億から二兆九千億に下がっているんですよ。

 本当に、農林大臣、農家がどうやったら所得が上がるか。結局、農家の支援に言葉をかりて、これはただの箱物じゃないですか。いいですよ、これは確かに。だけれども、農業の、農家の補助としてこのお金を使うのは絶対にやめていただきたい。

 総理、ぜひ最後に、今回のTPP対策、来年組むというふうにおっしゃっていますし、多分組むんでしょう、相当なお金を。ただ、そのお金の使い道をしっかりやっていただきたい。こういうものに二度と使わないでもらいたい。答弁いただけますか。

安倍内閣総理大臣 安倍政権における三年間の農政の改革というのは、かつての、長い間の、これは自民党政権ではありますが、その農政も、農業政策も含めて白紙から見直しをしていく、まず反省の上に立っているということを申し上げておきたいと思います。

 その上に立って、例えば農協の改革も行ったのでございますが、UR対策も、松野委員が御指摘になったように、あのとき巨額の投資をしていくということになったのでございますが、その結果、果たして農家の収入がどうなったかといえば、効果が上がっていない。一部効果があったところはもちろんありますよ。全否定するつもりはありませんが、効果が上がっていないものも多々あったのは事実だという前提の上に立って、今回の対策においては、今お示しになられたようなことは絶対ないようにしていきたい、このように思っております。

河村委員長 時間が来ました。

松野(頼)委員 今、時間が来ました。本当は、日本スポーツ振興センター、JSCをやりたかったんですが、時間が来ましたので終わらせていただきます。ぜひしっかりとした対策をやっていただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

河村委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。

 本日は、原発問題を中心に質問をさせていただきたいと思いますけれども、その前に何点かお伺いをしたいというふうに思います。

 先週の金曜日、十一月六日ですけれども、「NHK総合テレビ「クローズアップ現代」“出家詐欺”報道に関する意見」ということで、放送倫理・番組向上機構、いわゆるBPOから意見書が出されています。番組の内容については大変厳しい意見が羅列されているわけでありますけれども、NHKの体質に対しても大変批判が強いということですから、NHKもぜひ反省をしていただきたいと思うんです。

 意見書の一番最後に、第六章、「おわりに」という章があります。この「おわりに」というところは、これはNHKに対してではなくて政府そして与党に対しての意見が書いてあるわけでありますけれども、まず総務省に関しては、「総務大臣による厳重注意が行われたことは極めて遺憾である。」と。そして自民党に対しては、「今回の事態は、」これは自民党の情報通信戦略調査会がNHKの幹部を呼んでヒアリングをした件でありますけれども、「放送の自由とこれを支える自律に対する政権党による圧力そのものであるから、厳しく非難されるべきである。」という見解を述べております。

 このことに対して、まず、総務大臣、どうお考えでしょうか。

高市国務大臣 まず、表現の自由というのは、日本国憲法第二十一条で保障された基本的人権の一つでございます。また、放送法の第一条の目的規定においても「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」とされておりますので、これを尊重するのは当然のことだと思っております。

 しかしながら、放送事業者は、放送法第四条に定める番組準則を遵守するということも求められています。つまり、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」の四点です。

 BPOの意見書、拝読しましたけれども、この番組準則について、法的規範ではなく、単なる倫理規定、こうされているんですね。これは私は間違いだと思います。民主党政権時代の平成二十二年十一月二十六日にも国会で答弁されたとおり、正しくは法規範性を有するものでございます。つまり、放送事業者が仮に放送法に違反した場合、総務大臣は放送法第百七十四条に基づき三カ月以内の業務停止命令、さらに電波法第七十六条に基づき三カ月以内の無線局の運用停止命令を行うことができる旨定められていますから、これは放送法の規定というのが法規範性を有することによるものだと思っております。

 私は、その上で、NHKの番組については明らかに放送法に違反する点があったと認められたことから、放送法を所管する総務大臣としての責務を果たすために必要な対応を行いました。

今井委員 放送法の三条に、法の権限がある者はというふうにありますから、百歩譲って、総務省にはそれを聞き取る権限があるのかもしれませんが、問題は、この意見書を読まれたということで、書いてありますけれども、与党ですね。

 ここにいう「法律に定める権限」が自民党にないことは自明であり、自民党が、放送局を呼び説明を求める根拠として放送法の規定をあげていることは、法の解釈を誤ったものと言うほかない。

というふうにこの意見書には書いてあります。

 それで、実は、こういうことを書いてある背景には、「おわりに」の初めのところに書いてあるのをちょっと読みますけれども、この件のことだけを問題視しているわけじゃないんです、このBPOは。ちょっと読ませていただきますけれども、

 多くの人々が憲法と民主主義について深く考え、放送もまた、自らのありようを考えさせられる多くの経験をした。

  六月には、自民党に所属する国会議員らの会合で、マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番、自分の経験からマスコミにはスポンサーにならないことが一番こたえることが分かった、などという趣旨の発言が相次いだ。メディアをコントロールしようという意図を公然と述べる議員が多数いることも、放送が経済的圧力に容易に屈すると思われていることも衝撃であった。今回の「クロ現」を対象に行われた総務大臣の厳重注意や、自民党情報通信戦略調査会による事情聴取もまた、このような時代の雰囲気のなかで放送の自律性を考えるきっかけとするべき出来事だったと言えよう。

というのがこのBPOの意見であります。

 つまり、ここに、安倍政権になってから国会でもさまざまに、これはマスコミに政治的圧力をかけているんじゃないかということの質疑がありましたけれども、そういう一連の流れを受けて、BPOは、この「クローズアップ現代」の問題を重ね合わせて、今のそういう自民党の体質に大変問題があるんじゃないかということの問題提起をしているということなんですね。

 ですから、第三者機関です、ここは。特殊な機関じゃありません。第三者がつくっている機関がこういう意見を言っているということを、総理にお伺いしますけれども、やはり政権与党としては真摯に受けとめるべきじゃないかなというふうに私は思います。総理のお考えをお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 この放送倫理・番組向上機構は、これはまさに、放送局が集まってお金を出して、そして謝礼等を出して、つくっている組織でございます。こうした組織において、放送の倫理あるいはいわば番組の向上がなされることは望ましいことであろう、こう思っておりますが、この最後のところについては、納得できないのは、さまざまな議論をごった煮にしていて、非常にイメージをつくろうとしていると言わざるを得ないわけであります。

 まず、そもそも、高市大臣がお答えをさせていただいたように、これは単なる倫理規定ではなくて法規であって、その法規に違反をしているのであるから、これは担当の官庁としては法にのっとって対応するのは当然のことであろうと思うわけでありまして、それはBPOだけではなくて、いわば法にのっとって決められた、BPOというのは法定の機関ではないわけでありますから、まさに法的に責任を持つ総務省が対応するのは当然のことであろう、こう思うところでございます。

 そしてまた、自民党のさまざまないわば議連においての議論と、この番組についてどうかという議論をしたものを混同するのは、意図的な混同ではないかと言う人もいるわけでありますが、これはおかしいと思いますよ。これはこの番組を議論する話であって、果たして何が問題かということをきっちりとフォーカスを当てて議論するべきであろう、こう思うわけでございまして、その中において自民党が放送事業者に対して行ったヒアリングは、放送法第四条が求める事実を曲げない報道であったかを確認したものであろう、こう思うわけでございます。

 同時に、NHK会長以下を民主党初め野党の方々も呼んでおられるわけでありますから、それは、皆さん、なぜかといえば、国会においてNHKの予算を我々は、果たして正しく使われているかどうかということを責任を持って執行においても議論して、予算を国会において承認していくというわけであります。その承認をしなければいけないという責任があるわけでありまして、その責任がある国会議員が果たして事実を曲げているかどうかについて議論するということは、至極当然のことなんだろうと思います。

 とにかく、今井さんは自民党を攻撃しようということかもしれませんが、今申し上げたようなことで全く問題がない、このように思います。

今井委員 BPOが放送局がつくった第三者の機関だから偏っているというような印象の話をされましたけれども、であれば、例えば政府がつくっている第三者の委員会も政府に寄っているということになってしまいます。

 きょう私は本当はこの話は時間がないのでやめようと思いましたけれども、小渕優子さんがみずから第三者委員会をつくって報告を出されました。あれだって小渕さんが勝手につくったんじゃないですか。その人たちが全然問題ないと言っているものを自民党は信用するんですか。(発言する者あり)いや、同じじゃないですか、第三者というものが偏っているんだということであれば。(安倍内閣総理大臣「言っていないよ」と呼ぶ)いやいや、今そういうお話をされたので、私は今申し上げているんです。小渕さんの問題だって、あれは御自分でつくった、御自分で頼んだ第三者の機関ですよ。同じです。

 だから、そこの言うことを信じるということであれば、それは中立性を保っているということなんですから、都合のいいふうにそういうふうにおっしゃるのは間違っているというふうに私は言わせていただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、次に行きたいと思います。

 菅官房長官、済みません、お忙しい時間。ありがとうございます。九月の話なので随分時間がたっているんですけれども、もう国会が終わってしまっておりましたので、これをお伺いしたかったんですが、ちょっとお伺いできなかったので、真意をお伺いしたいと思うんです。

 福山雅治さんと吹石一恵さんが結婚されたことの質問で、どう思われますかということで、この結婚を機に、ママさんたちが一緒に子供を産みたいという形で国家に貢献してくれればいいなと思っているという御発言をされたということなんですけれども、これは御党の野田聖子さんも厳しく批判されておって、ちょっと前ならこれはもう首ものだということなんですけれども。

 この言葉だけを読みますと、要するに、ママさんたちは子供を産むことが国家に貢献することというふうに読めますよね。(発言する者あり)いやいや、そうじゃないですか、これは。この結婚を機に、ママさんたちが一緒に子供を産みたいという形で国家に貢献する。そのままです。そのまま読んでいるだけなんですけれども、この真意をお伺いしたかったんです。

    〔委員長退席、金田委員長代理着席〕

菅国務大臣 私の発言につきましては、記者会見でもたびたび御説明させていただきました。

 実は、事前にテレビ局の方から、今回の結婚報道をきっかけにママ友の間で子供を産みたいという話が結構出ていて盛り上がっていますと。そういう中で私に質問をされたということがまず事前にあります。

 その中で、私自身は、これをきっかけに世の中が明るくなって、結婚や出産への希望がふえてくれれば、結果としてですよ、人口減少や少子高齢化社会に悩む我が国の将来にとって喜ばしい、そういう趣旨で発言をしたのが私の本意であります。

 それと同時に、やはり結婚、出産というのは個人の自由であることは当然のことであります。私たち政府の役割は、結婚、出産、子育て、それに伴うさまざまな負担や障害をなくし、誰もが結婚や出産に関する個人の希望というものをきちんとかなえることのできる環境を整備するのが私たちの役割だというふうに考えています。

今井委員 少子化の問題を対策するのは当然大事だと思いますけれども、やはり言葉というのは使い方というのがとても大事だと思いますから、誤解を招きかねないような表現をされて辞任をされた大臣もかつておられましたから、表現だけはぜひ気をつけていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 それでは、本題に入りたいと思います。

 きょうは田中委員長に来ていただいておりますが、十一月四日に会見で発言をされておられます「もんじゅ」に関してであります。ここでちょっと改めてもう一度お伺いしたいんですが、今週に勧告を出されるかどうかはわからないんですけれども、今度「もんじゅ」に関して勧告を出すということを会見でおっしゃっておられましたが、かいつまんで、その勧告はどういう内容の勧告で、どういう背景で勧告をすることになったかということを簡潔に御説明いただきたいと思います。

    〔金田委員長代理退席、委員長着席〕

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 「もんじゅ」については、平成七年十二月に発生したナトリウム漏えい事故、ちょうど二十年になりますけれども、その後の安全総点検において、品質保証あるいは保守管理の課題が一つの課題として指摘され、その都度、その後も何度となく改善への取り組みがなされてきております。

 平成二十四年九月の原子力規制委員会発足後も、同年十二月に約九千の機器の点検時期の超過が発覚したことから、保安措置命令等を発出し、対応を求めてまいりました。しかしながら、その後も、四半期ごとの保安検査で繰り返し保安規定違反を確認するなど、いまだに原子力機構において十分な対応が図られていないのが現状であります。

 また、文部科学省に対しても、規制庁から原子力機構を指導し監督するよう、これまで二度にわたり要請文書を発出していますが、おおむね三年経過しましたが、この問題の解消が見通せない状況にあります。

 原子力規制委員会としては、こうした状況を踏まえ、原子力機構には「もんじゅ」の保安上の措置を適切に遂行する技術的能力がないと考えるに至りました。この上で、実施主体の適格性について議論し、その判断として、これは所管の文部科学大臣に勧告を出すべきというふうに考えるに至りました。

 その勧告の骨子でありますが、まだ正式にまとまったものではありませんけれども、「もんじゅ」の実施主体は運転を適確に遂行する技術的能力等を有する者であるべきであり、原子力機構にかわりどのような者が適当か明示していただきたいということ、それを明示することができない場合には「もんじゅ」という施設のあり方を抜本的に見直していただきたい、これらのことについてはおおむね半年を目途に結論を出していただきたいといった内容を盛り込んだ案を整理するよう、規制庁事務方に指示したところでございます。

 本勧告案につきましては、次回の原子力規制委員会の会合において議論することとしております。

今井委員 ありがとうございました。

 委員長の今の御発言にもありましたけれども、文部科学省に対しても二度にわたって改善の要望をして、三年たって今の状況だということなんですが、この間、文部科学省さんは一体何をしていらっしゃったんでしょうか。どういう指導をこの機構にしていらっしゃったんでしょうか。

馳国務大臣 これまでいただいた要請を受けて、改善の取り組みといったことについて現場に対して指導する、こういうことを今までしておった、こういうふうに認識をしております。

今井委員 ちょっと質問を聞いておられなかったかもしれませんが。

 これは実は年金のあの機構と同じで、前の予算委員会のときも、厚労省はほとんどしっかりとした指導ができていなかったということが露呈をしましたけれども、今回も同じなんです。所管である文部科学省は、やはりこの原子力機構というのをしっかりと指導ができないからこういう事態になったというふうに言わざるを得ませんけれども、こういう点においての文部科学省の責任をどう考えておられるか、もう一度お伺いさせてください。

馳国務大臣 これまでのたび重なる要請にもかかわらずこういう事態に至ったということは極めて重大に受けとめなければいけない、こういうふうに認識を持っております。

今井委員 委員長にもう一度お伺いしたいんですけれども、新たな運営主体ということでありますけれども、実はこの機構は、動燃からサイクル機構、そして原子力機構というふうに看板を二回すげかえてきているわけであります。こういう看板のすげかえで運営主体をかえるということはあり得ないということでよろしいですか。

田中政府参考人 私どもとしては、「もんじゅ」という施設を安全に運転できるということを求めておりますので、看板のすげかえというのはどういう意味かということもありますけれども、実質的にその安全を担保できるかどうかということでもって判断させていただくことにしております。

今井委員 午前中、玉木委員も少し指摘しましたけれども、「もんじゅ」に今までどれぐらいお金がかかったかということをこのパネルにしました。税金の食い虫というようなイメージでつくっているんですけれども。建設費、五千八百八十六億円かかっています。それから、運転をしていますので、運転費が四千三百三十九億円。両方合わせて、これまで一兆二百二十五億円かかっています。

 これだけではありません。来年度の概算要求を見ても、年間で約二百億円の予算が要求されています。これは動いていないんですよ、「もんじゅ」は動いていないにもかかわらず、それに対して毎年二百億円もお金をかけているんです。

 さらに、これだけではありません。御存じのとおり、電源三法によって電源立地のところには交付金が配られていますが、敦賀市、福井県を合わせると大体毎年平均二十七億円ぐらいの交付金が払われて、これは毎年毎年使われています。

 こういうものが全て、電源立地のものは「もんじゅ」だけではありませんけれども、ほかのも含んでいますが、こういうふうにされがちになっているわけですね。

 しかも、半年以内に新しい運営主体を探せということでありましたが、委員長が会見でおっしゃっているのは、高速増殖炉に対しての知見があることが条件だということをおっしゃっています。果たして国内にそういう運営主体が原子力機構以外に存在するんですか、大臣。存在する可能性はあるんでしょうか。

馳国務大臣 実際にまだ勧告の文書を具体的にいただいておりませんので、いただいた上で、速やかにその趣旨にのっとって対応しなければいけない、今こういうふうに考えております。

今井委員 半年間という時間は物すごく短いですからね。短い時間に高速増殖炉の知見を持ったほかの運営主体を探すというのは、私はほとんど不可能に近いと思いますよ。ですから、もうこれだけお金を食っているんですから、やはり早くこれを廃止するという決定をすべきだと思います。

 先ほど総理は、それを玉木さんから聞かれたときに、エネルギー基本計画に書いてあることをほとんど棒読みしておられましたけれども、そういうことじゃなくて、やはりこれは、これだけの税金がかかっているんです、今こういう勧告も出ようとしています。国として、このままことしだってまた二百億かかっちゃうんですよ、こういうものを早く諦めて、その分を社会福祉とか何かに回したらいいじゃないですか、一億総活躍の方に回したらいいんですよ。そういう決断を早くしていただきたい。

 まだ概算要求の段階ですから、来年度の予算は組み替えられます。そういうところに回すということをぜひ検討していただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 「もんじゅ」につきましては、先ほど答弁したとおりでございまして、これは政府の一貫した立場でございまして、その中において我々はさまざまな検討をしていくということになるわけでございます。

 それと、先ほど委員が、BPOについて私が、偏向していると。第三者機関だから偏向しているということは一言も言っておりません。一言も言っていないことを言ったかのごとく、何回もその言葉を使用されるということはやめていただきたい。そのことによって議論は深まっていかないわけでありますから、そこはぜひ、委員、気をつけていただきたいと思います。

今井委員 私は、そういうイメージにとられるというふうに表現しておりますので、偏向したと断言はしておりませんので、誤解をなさらないでいただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、皆さんもお聞きになっておわかりになると思いますけれども、非常にこれは、「もんじゅ」をこの先やっていくのは現実的じゃないですよ。ですから、来年の通常国会が始まったときに、平成二十八年度の予算にどういうふうに載っているかということはとても私は興味深く見たいと思いますけれども、その段階でまだ予算を計上しているようであればここはまた追及していかなきゃいけないというふうに思っておりますので、また来年この問題はやらせていただきたいと思います。本当は臨時国会を開いていただいて続きをやりたいんですけれども、どうしてもなければまた来年やりたいと思います。

 きょう、高木大臣に来ていただいていますので、福島の第二原発についてお伺いしたいんですが、ちょうど今、福島県で県会議員の選挙を行っています。もう四年たったんだなというふうに思っておりますけれども。

 就任会見のところで、高木大臣は、女川も含めて福島第二原発もどうされますかということで、事業者の判断で原子力規制委員会の厳しい基準をパスすれば再稼働するということになるというような御趣旨の発言をされておりましたけれども、福島はある意味復興の本当に一番のシンボルみたいなところで、しかも、二〇一一年には福島の県議会が、第二原発を廃炉にしてくれという請願を採択していますね。

 こういう地元の声も受けて、やはり復興大臣としては福島第二原発に対してもう少し踏み込んだ発言をされるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 原子力発電につきましては、いかなる事情よりも安全性が最優先されるべきだと考えております。

 御質問のございました福島第二原発につきましては、地元のさまざまな御意見なども総合的に勘案しながら事業者が判断を行うものと承知をいたしております。福島県民の心情を考えると、他の原発と同列に扱うのは困難と私は認識をいたしております。

 いずれにいたしましても、事業者や地元の方々の声を尊重していくことが重要だと考えております。

今井委員 先ほど玉木さんがちょっと指摘しておりましたけれども、今も原発関係にパーティー券を買っていただいているということで、これは本当に私は即刻やめるべきだと思いますし、二〇一〇年の毎日新聞では、高速炉技術サービス、TAS、NESI、こういうところから献金を二百九十四万、自民党敦賀市支部は二百六十三万もらっている、こういう指摘も前にありましたね。

 高木さんのお父上が、敦賀の市長でありましたけれども、一九八三年ですから今から三十年ぐらい前ですかね、こういうふうに発言されています。原発は電源三法交付金や原発企業からの協力金があり、棚ぼた式の金だ、原発は金になる、放射能の汚染で五十年、百年後に生まれる子供がみんな障害者でも心配する時代ではない。お父上がこういう発言をされております。

 まさか息子さんは考え方が違うと思いますけれども、やはり、復興大臣をお受けになったんですから、福島の方の気持ちに本当に寄り添って判断をしていただきたいということを思いますので、もう一度お答えください。

高木国務大臣 まさに、原子力に限らず、被災地の方々に寄り添って、復興大臣としての務めを果たしていきたいというふうに思っております。

 また、先ほど、いわゆるパーティー券の話もございました。先ほども申し上げましたけれども、そうしたものを買っていただいているからといって、自分の政治信条、姿勢が変わるわけでもありませんし、もちろん復興大臣の仕事に影響するということではございません。

 また、父のこの発言が出ております。私も、このような発言をしたということはネット等で認識をいたしておりましたが、今回初めてこうした話を聞かせていただきました。

 ただ、講演全てではございませんし、私は、講演の中の前後などを聞けば、必ずしもこの趣旨で話をしたかどうかということはわからないというふうに思います。

 ただ、私もそうでありますし、父もそうだったと思います。やはり、原子力行政というものは、まず何よりも安全というものを最優先に原子力行政を行ってきたということは、私は確信を持って申し上げることができるというふうに思います。

 なお、この発言については、本当に不適切、あるいはまた一部暴言と申し上げてもいたし方ない表現ぶりだと、ここだけを捉えるならば、私はそのように認識もさせていただきます。

今井委員 ぜひ、そういう気持ちでやっていただきたいと思います。

 あと五分しかありませんので、ちょっと手短に。

 総理、伊方原発の再稼働に関して、十月六日の原子力防災会議で、事故が起きた場合、国民を守るのは政府の重要な責務と。国が責任を持つということを御発言なさっていますが、我々はとにかく、原発の再稼働をするに当たっては国の関与というのを法制化すべきだということで常に主張してまいりましたけれども、総理がおっしゃる国の責任というのは具体的にはどういうことをおっしゃっておられますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 原発については、いかなる事情よりも安全性を最優先していく、これが基本であります。

 そして、原子力委員会が科学的、技術的に審査をし、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発について、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが一貫した政府の方針であり、そうでないものについては再稼働しない、これが基本的な考え方であります。

 伊方原発三号機については、原子力規制委員会によって新規制基準に適合していることが確認されたため、政府の方針に基づいて再稼働を進めることとしております。

 その上で、万が一、原子力発電所の事故が起きてしまい、災害になってしまうような事態が生じた場合、国民の生命、身体や財産を守ることは政府の重大な責務であり、責任を持って対処する旨、先日の原子力防災会議、十月六日の防災会議においても述べたものであります。

 具体的には、万が一事故が起きた場合、原子力災害への迅速な対応、すなわち、事故の拡大防止と早急な事態の収束や、自衛隊、警察、消防、海上保安庁といった実動組織による各種支援を含め、住民避難の支援、物資の円滑な供給、医師の派遣などが円滑に行われるよう、関係法令に基づいて責任を持って対処をしていく、こういうことでございます。

今井委員 きのうのレクでも、例えば、地元の同意をどうする、どういうふうに国は関与するんですかということで、丁寧に説明していきますとか、どういう権限でそこに関与するんですかということは答えられないわけですね。曖昧なまま、実はこういうところに関与しています。

 さらには、恐らく今度、高浜は、今は滋賀県、京都府、ここが要するに安全協定を結んで同意に関与させてほしいということを言っていますけれども、ここの部分でも恐らく問題が出ると思います。

 さらに申し上げれば、今、核の最終処分地の選定の作業等をしていますが、期限が全く切られないまま、それは整った段階でやると。原賠法の見直しも今されていますけれども、これも期限が全く切られていません。一体いつやるのかわからないまま進んでいるという状況ですから、ちょっときょうは時間がありませんのでまたお伺いしますけれども、これもぜひ明確にしていただきたいというふうに思います。

 最後に、岸田大臣にお伺いしたいんです。

 先日の国連におきまして、核廃絶の決議案というのが、毎年日本が出しているものでありますけれども、戦後七十年の節目でありましたけれども、我が国が出している決議案は共同提案国が去年の百十六カ国から百七カ国に減っています。間違っていたら済みません。きのうのレクでいただいた数字ですから、間違っていたら訂正してください。賛成国は百六十三から百五十六に減った。反対国が一から三にふえました。ふえたのは中国とロシア。それから、棄権国が十四から十七カ国に増加。棄権したところは、アメリカ、フランス、イギリスということであります。

 承知している限り、菅官房長官が、百五十六の国も賛成して七十年の節目が無事迎えられたというようなお話をされていましたけれども、現実は、賛成国は減っていますし、共同提案をした国も一年前よりは減っていますし、もっと深刻なのは、今回、今まで賛成に回ってくれて、しかも共同提案もしていた米国が棄権に回ってしまいました。

 これまで、安全保障でもずっとアメリカと協議しながら、これらに日本は協力してきたんですね。こんなところでアメリカにはしごを外されるというのは、一体、外務省は、これに当たっての根回しというか、そういう交渉は何をしていらっしゃったんでしょうか。

岸田国務大臣 時間が限られていますので、簡潔に申し上げますと、我が国の核軍縮・不拡散に対する態度、これは、核兵器国と非核兵器国が協力しなければ結果を出すことができない、この協力をしっかり引っ張り出す、これが基本的な立場であります。そのことから、核兵器の非人道性に対する認識、そして被爆地の訪問、これをことし被爆七十年の年の決議に新たに盛り込んだ、これが我が国の立場でした。

 そして、米国を初めとする他国の態度は、ことしの五月、NPT運用検討会議以降顕著になってきました核兵器国と非核兵器国の対立の影響を受けたと受けとめています。

 ただ、その中にありましても、米国、英国、フランス、こうした核兵器国は、他の非核兵器国の人道決議には反対をしておりますが、我が国の決議だけ棄権という態度をとりました。

 一方、多くの非核兵器国の出してきた非人道決議については、賛成は百二十程度となっていますが、我が国は百七十六カ国中百五十六カ国の賛成を得ているということであります。

 こういったことは強調させていただいた上で、我が国の核兵器国と非核兵器国の協力なくして結果を出せないという立場、これは国際社会の中でしっかり存在感を示していると思っています。

 ぜひ、今後とも、我が国のこうした立場をしっかり貫くことによって、唯一の被爆国として国際世論をしっかりリードしていきたいと考えています。

今井委員 いろいろおっしゃっていますけれども、昨年より後退していることは間違いありませんので、数という意味では。いやいや、済みません、もう時間なので終わります。

 済みません。ほかの大臣もきょうはお願いしていたんですけれども、ちょっと時間が参りまして、大変申しわけありません。

 聞きたいことがたくさんあって、やはり一日では足りません。ぜひ臨時国会を開いていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

河村委員長 この際、井坂信彦君から関連質疑の申し出があります。松野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井坂信彦君。

井坂委員 神戸から参りました維新の党の井坂信彦です。

 松野代表、今井幹事長に続きまして、きょうは、アベノミクス新三本の矢、それから沖縄の基地問題について、総理初め各大臣に質問を申し上げます。

 まず、出生率一・八という目標設定について総理に伺います。

 アベノミクス新三本の矢は、ありきたりだとか、目標が非現実的だとか、旧三本の矢はどうなったのかとか、非常に評判が悪い。しかし、本日、私はあえて、この出生率一・八あるいは介護離職ゼロの目標設定にまず乗って、これを本気で実現するにはどうするかという議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、資料の一をごらんいただきたいと思います。

 目標の出生率一・八の根拠。これは、結婚希望率、大体ずっと横ばいで来ております、約九〇%、これに予定子供数、実際はもうちょっと細かい式があるんですけれども、大体、結婚をしたら予定で平均二・〇七人欲しいと思っておられる人数、これを掛けて一・八という目標が導き出されているという御説明であります。

 そして、現状はどうなっているかといいましたら、出生率は一・四二、女性の三十五歳結婚経験率が七割ちょっと、そして完結出生児数一・九六人というのは夫婦が一生で産む最終的な子供の数。現状はこういう数字になっております。

 この数字を見比べますと、結婚率の方が右側の子供数よりも目標と現実の差がはるかに大きい。結婚率は二七%ふやさなければいけませんが、子供数は六%ふやせば予定子供数に達する、こういうことかと思います。

 ここで、総理にお伺いをいたします。

 出生率一・八という目標を達成するためには、この数字を素直に見れば、出産よりもむしろ結婚をふやす施策に力を入れる、こういうことになるのかどうか、御見解をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 結婚したい、あるいは子供が欲しいという一人一人の願いが全てかなえられればそれだけで出生率一・八へと上昇していくわけでありますが、これが希望出生率一・八の目標であります。二〇二〇年代半ばまでに実現しなければならないと考えています。

 特に、御指摘の結婚については、国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によれば、若い世代は、いずれ結婚しようと考える未婚者の割合が高い水準にあるなど、結婚の希望が高いにもかかわらず、適当な相手にめぐり会わない、結婚資金が足りないなどの理由で希望が実現できていないという実情がございます。

 この希望出生率一・八の実現には、これは最初から設計図があるような簡単な課題ではありませんが、その実現に向けて、結婚や出産の希望の実現を阻んでいる制約を一つ一つ外していきたいと考えておりまして、例えば、適切な出会いの機会の創出、後押しの取り組み支援をしていく必要があるんだろう。かつてはお見合いという仕組みがあったのでございますが、これが今すぽんとなくなってきているわけでございまして、それにかわる機能を、今でも紹介する機能があるわけでありますが、そうした機能をより強化していく必要があるんだろう、信用あるものにして強化していく必要があるんだろうと思います。

 同時に、経済的な事情で結婚や出産をちゅうちょしている若者たちへの支援や、待機児童ゼロ等々がございます。また、幼児教育の無償化もありますし、三世代同居や近居の促進、こうしたことを進めていくことによって、結婚をちゅうちょしている皆さんにも前に進んでいただける、さらには子供を持とうという希望に向かって、そうした希望がかなえられるという状況をつくっていきたい、このように思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 ちょっと最後の方、総花的におっしゃいましたが、本日、分けて議論をしたいと思います。

 まず、結婚希望率九割、これを目指すに当たってどうするか。資料二をごらんいただきたいというふうに思います。

 総理が最初におっしゃったように、結婚できない理由、一年以内に結婚するとなったときの結婚の障害、こういう聞き方をした場合には、この左のグラフですが、結婚資金というのが圧倒的に大きな理由になっている。また、右側、二十五歳から三十四歳の方を対象に、独身でいる理由は何ですかとお聞きをしたときは、トップは、適当な相手にめぐり会わない。また、結婚資金が足りない。こういうものが上位に来るわけであります。

 もちろん、右側のグラフで、独身でいる理由の中には、自由や気楽さとか、趣味や娯楽あるいは仕事に打ち込みたい、こういう理由もありますので、本人が希望して結婚を先送りしているようにも思うかもしれません。

 しかし、ほかのいろいろなデータも見ますと、女性が若いころに希望する結婚年齢というのは、実はこの二十年間でわずか一歳しか上昇をしておりません。結婚は相変わらず早くしたいのに、実際は出会いがなかったり、また、交際期間がかつては二・五年だったのが四・二年まで長期化をして、その結果、平均初婚年齢はこの二十年で三歳も上昇をしている、この初婚年齢が三年遅くなると出生率が年代によっては〇・三下がってしまう、こういう関連がございます。

 先ほど総理もおっしゃいましたが、少子化大臣にお伺いしたいのは、結婚したいのにすぐできない理由、これをどう分析し、また総花ではなくどこに重点を置いて対策をされるのか、お伺いをいたします。

加藤国務大臣 今、井坂委員が御質問の中で随分分析もされていたように伺いましたけれども、国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査、まさに若い世代は、いずれ結婚しようと考える未婚者の割合が高い水準にある、一方で、結婚の希望が高いにもかかわらず、適当な相手にめぐり会わない、結婚資金が足りないなどの理由で希望が実現できていないという数字がそこから読み取れるわけであります。したがって、一つは、適切な出会いの機会の創出をしていくというのが大事な取り組みの一つだと思います。

 それから、やはり経済的なということがありますから、経済的な事情で結婚や出産をちゅうちょしている若い方々、雇用ということもあります、あるいは結婚のスタートアップに対して支援をしていくということもあるんだろうと思います。そういったことの対策が必要ではないか、このように考えております。

井坂委員 次に、予定子供数二・〇七を目指してどうするかという議論をしたいと思います。

 資料の三をごらんください。妻の年齢別に見た、予定子供数を実現できない可能性がある場合の理由ということで、今回のことに関してどんぴしゃの設問だというふうに思って持ってまいりました。

 これを見ますと、年齢ごとに理由は大きく違いまして、三十歳未満の奥さんが予定子供数を実現できそうにないなという理由のトップは、収入が不安定なこと。一方、三十五歳以上の奥さんが予定子供数の実現が難しそうだなと思う理由は、六五%が年齢や健康上の理由ということで、実は、子供の問題に関しては、若いころは収入の不安定、そして年を重ねた段階ではむしろ年齢上の問題、大きくこういうことになろうかというふうに思います。

 ちょっと時間がないので端的にお伺いしますが、この問題に関しても、少子化大臣、どう分析し、どこに重点を置くべきと考えておられますでしょうか。

加藤国務大臣 今お示しをしていただいたように、特に若いころは収入が不安定だということでありまして、収入の確保ができるような非正規から正規化等と同時に、やはり子育て負担というものをどう軽減していくかということ。それから、家事、育児の協力者がいない、保育所などの預け先がない、今いる子供に手がかかるという、いろいろな意味でサポートが欲しいという部分においては保育所整備等々が必要になってくるんだろうと思いますし、最後に、年齢や健康上の理由で子供ができない、まさに不妊治療にいろいろな方が御苦労されております。そういった対策もしっかり講じていくことで、全体として子供をより持ちやすい環境をつくっていきたい、こう思います。

井坂委員 少し総花的におっしゃいましたが、例えば、家事、育児協力が理由というのはわずか一一%であったり、保育所など預け先がないことが一二%であるのに対して、経済的理由は三〇%、また年齢、健康上の理由は四一%ということで、ここにある理由を全部並べて対策すればそれは総合的対策ということになるのかもしれませんが、恐らく、午前中から議論があるように、ここにあることを全部同時に、しかもフルスペックで実行する財源上の余裕はないという観点で御質問をさせていただいております。

 次に、介護離職ゼロについてお伺いをいたします。

 今度は、資料の四番をごらんいただきたいと思います。こちらの方は、正社員として親の介護をしている方に聞いた、仕事と介護を両立するのに望ましい働き方はどんなですかというのに対する答えであります。

 一位から五位まで読み上げますと、まず三九・七%で断トツトップは、必要なときに一日単位の休暇がとれる職場、これが望ましい。二位は、必要なときに半日単位の休暇。三位は、必要なときに時間単位の休暇。四位に、必要なときに仕事の中抜けができる。五位が、始業時間の繰り下げや終業時間の繰り上げができる。

 要は、この間の施策であるような九十三日の長期休暇とか、そういうのとは随分かけ離れて、一日、半日、数時間、中抜け、あるいはちょっと早く帰る、こういったことに柔軟に対応していただける職場が望ましい、こういう結果であります。

 もちろん、介護離職ゼロに関しては、そもそもハード面が足りないのではないかという根本的な欠陥が指摘をされているわけでありますが、まず、職場の問題に限って、これは厚労大臣に、望まない介護離職の理由をどう分析し、どこに重点を置いて対策をされるのか、お伺いをしたいと思います。

塩崎国務大臣 今、井坂議員からお配りをいただいたデータでありますけれども、今御説明いただいたとおりであります。

 私ども厚労省で、平成二十四年に委託調査で、あなたが介護などを機に仕事をやめた理由についてお伺いしますというのをやっております。これを見ますと、約六割、これは複数回答ですけれども、圧倒的に多くの方々が職場環境を理由にした回答でございました。

 もちろん、施設へ入所できない、あるいは在宅介護サービスが利用できない、これが理由でという方々も、先ほどの職場環境が六〇%台であるのに対して一六%とか一〇%ぐらい、そんな感じで、やはり理由には挙がっておりますけれども、今先生御指摘のように、職場環境がどうかということが大変大きな要素であるというふうに理解をしております。

 そして、今お話がありましたが、介護休業の分割取得については、先ほども御質問がございましたが、やはり介護休業をとりやすい環境をどうつくるかということは大変重要であり、また、今申し上げたように、介護負担の軽減に資する在宅とかあるいは施設のサービスの充実というものももちろん図っていくということで、これは加藤大臣のもとで一億総活躍国民会議がございますので、ここでまた具体的な案につきましてはお示しをしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 次に、先ほどは少子化担当大臣でしたけれども、今度は一億総活躍担当大臣としての加藤大臣にお伺いをいたします。

 今回、非現実的とも批判される目標、よく言えば異次元の目標を掲げておられます。従来の子育て政策やあるいは介護政策の延長線上ではなく、この対策も異次元の対策が必要だ、そうでなければとても無理だというふうにも考えます。したがって、いつもみたいに、原因が複合的だから当然対策も総合的にやるんだ、こういういつもの発想で、しかも効果があるのかないのか検証もできない、こういう政策をいわばこれまでのイメージだけでだらだら複合的に続けている時間的、予算的余裕は私はないのではないかというふうに考えています。

 そこで、お伺いをいたします。各省庁に政策を任せて、それをただ大臣が取りまとめるだけ、これだと必ず総花的になりますが、優先順位をつけながら、しかも個別に効果測定もしながら進める、こういう取りまとめとしての責任をどう果たされるのか、お伺いをいたします。

加藤国務大臣 今回の新三本の矢においても、今議論させていただきましたように、希望出生率一・八あるいは介護離職ゼロという具体的な目標が設定されておりますので、その目標を達成するのに本当に直接的に効果があるかどうかという観点からしっかり議論をしていきたい、各省の今まで行われている施策も含めて横串で見させていただきたい。

 具体的には、国民会議がスタートしておりますから、そこでの議論あるいは国民会議と有識者の間の意見交換などを通じて、個々の政策について今お話がありましたように検証しながら、そして本当に効果がある施策をしっかり前へと進めていきたい、こういうふうに思っております。

井坂委員 次に、総理に労働規制についてお伺いをいたします。

 資料の五をごらんいただきたいというふうに思います。

 これは、内閣府の地域少子化・働き方指標というところから引っ張ってきたグラフであります。各都道府県ごとに二つのデータをクロス分析してあります。週六十時間以上働く雇用者の割合が多いのか少ないのか、そしてその県が合計特殊出生率がどうなのか、こういう二つの要素で点を打っております。週六十時間ということは、残業が週二十時間、月八十時間残業ですから、これはもう過労死ラインの残業だ、要は相当な長時間労働だということであります。

 グラフを見ていただきたいんですけれども、この緑の矢印が大体平均値を通る線、右肩下がりの線。どういう意味かといいますと、例えば、週六十時間以上働く雇用者の割合が一一%の都道府県、これは合計特殊出生率は大体一・三ぐらいが平均です。一方で、左の方へ行って、週六十時間以上働く雇用者の割合が七%にとどまっている、こういう都道府県は平均的に合計特殊出生率は一・六ぐらいまで上がります。こういう非常に強い相関関係があるというグラフであります。

 ほかにも実はこの資料の中で強い相関関係があるのが、女性が子育て中でも仕事を持てている県は特殊出生率が非常に高い。それから、通勤時間が短い県も特殊出生率が高い。

 逆に、思ったほど相関関係がないグラフは、保育所の数でありますとか、あるいは三世代同居が進んでいるかいないか、その割合。これは実は多くても少なくても余り特殊出生率が変わらない、こういう関係になっております。

 そこで、総理にお伺いをいたします。

 いずれにしても、先ほど、介護では職場環境が大事と大臣がおっしゃいました。また、出生率の問題に関しても、介護そして出生率双方で、柔軟で早く帰れる働き方、そして労働時間を柔軟にしても経済的な不利益を受けない、さきの国会で同一労働同一賃金法なども出させていただきましたが、こういう仕組みとあわせて、もう一つは、長時間労働を正面から規制する、やはりこういう制度が必須ではないかな。この二つの目的を真面目に達成しようと思えば、これまでのようにただ残業代を高くして、逆に裏を返せば、残業代さえ払えば事実上青天井で残業させられるという形ではもう不十分ではないかな、こういうふうに思うわけでありますが、総理の御見解をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 我々は、希望出生率一・八の実現や介護離職ゼロを目指す上においても働き方が極めて重要であろうと思うわけでございまして、働き過ぎという状況がある中において介護と一緒にあるいは子育てとともにということは無理でございますから、その中でいかに働き過ぎを是正させていくか、そして多様で柔軟な働き方を進めることが必要であろう、こう考えています。

 まず、全ての働く人の働き過ぎを防止するため、長時間残業に関する監督指導を徹底するとともに、社会的に影響力の大きい企業が違法な長時間労働を繰り返している場合には、是正を指導した段階で公表することとするなど、対応を今強化しているところであります。

 先般の国会に提出している労働基準法改正案では、企業に対して、働く人の意見を聞いて休暇を指定することの義務づけ、そして中小企業における時間外労働への割り増し賃金率の引き上げ等を行うこととしております。お金を出せば、そうはいったってどんどん残業させられるのではないかというお話でございましたが、しかし、これはまさに中小企業も含めているわけでありまして、なるべく効率的な働き方を考えるという方向に基本的に企業としては向いていくんだろう、こう期待をしているところでございます。また、フレックスタイム制を見直し、例えば、子育て中の親が子供の夏休みに合わせ働く時間を調整したり、介護を行う働き手がさまざまな事情に合わせて働く時間を調整できるようにするといった、より柔軟な働き方を可能とすることとしているところであります。

 こうした形で働き過ぎを是正しつつ、柔軟な働き方を可能としていきたいと考えております。

井坂委員 残業代の割り増しですとか、あるいはよほどひどい大企業の企業名公表、これが全く効果なしとは申しません。ただ、やはり、そろそろ正面から労働時間、長時間労働の時間そのものを規制する制度が必要ではないか、そのことを申し上げたいというふうに思います。

 なお、今回、働き方が大事、さらには介護の問題、そして子育ての問題ということで、厚生労働省が実質的には新三本の矢のうち二番目と三番目に非常に深くかかわってくる役所になります。

 ところが、残念なことに、この厚労省で不祥事が続いているわけであります。いわゆるマイナンバー汚職と呼ばれている事件であります。

 厚生労働省情報政策担当参事官室の室長補佐が先月逮捕された、平成二十三年十一月に千代田区のIT関連会社が受注した二つのシステム開発事業において、この厚労省幹部が仕様書の作成にかかわる立場にありながら、コンペが公募される数カ月前からIT関連会社に接触して、その仕様書をIT関連会社に作成させ、提案書の書き方も助言をしていた、こういう報道がされております。そして、その結果、顧問料や指導料などとして三百数十万円を受け取って、このIT関連会社は厚労省から七事業、計十五億円超を受注した、この容疑者はIT分野担当を八年続けて発注に影響力があったとか、週の半分ほどしか霞が関の職場には出勤していなかったことなどが判明をしている、こういうふうに書かれてしまっているわけであります。

 ここで私がやはりすぐに思い出すのが、昨年春の同様の事件、厚労省のJEEDと呼ばれる独立行政法人、こちらも入札公示前に仕様書を示すなどして便宜を図ったということで、警視庁が厚労省のキャリア官僚二名を書類送検ということに当時なりました。一者応札になっても問題ないんだとJEEDに伝えて入札公示前に委託額などを記した仕様書を示したり、本当にそっくりなことであります。さらには、公示した当初の参加要件をJEEDが参加できる要件に変えてまた公示し直していた、当時こういうことを私も厚生労働委員会で随分追及させていただきました。

 ほかにも、この夏は例の百二十五万件の年金情報漏れなどがありました。これも、職員の労務管理、法令遵守、さらには組織全体の体質、私は厚労大臣の責任を問わざるを得ないと思いますが、大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。

塩崎国務大臣 平成二十三年十一月に起きたとされております、今から四年前でございますが、収賄事案でございまして、企画競争に関する事案、厚生労働省の職員が収賄容疑で逮捕、起訴されたということは当然のことながらあってはならないことであり、極めて私としても遺憾であるわけでございますし、これに当たっては、事実関係が明らかになった段階で厳正な対処をしなければならないというふうに思っています。

 なお、今、マイナンバーというお言葉が出ましたが、容疑の対象となっております二十三年度の事業につきましては、医療機関などが情報連携を行うに当たっての仕組みの検討ということでありますので、これはマイナンバーの制度とは関係がないということは申し添えておきたいと思います。

 そこで、厚労省としては、私を本部長とする厚生労働省監察本部を開いておりまして、徹底した事案の検証と再発防止の検討を進めるということで、今、私個人の責任ということで、JEEDの話もあり、それから日本年金機構の話もありました。日本年金機構の話については、機構にも私ども厚労省としての考え方の整理と今後についての考え方については既に報告書としてまとめ、そしてその改革に向けて、機構も私ども年金局を含めた厚労省としてもこの改革に向かっているわけでございます。

 今般の事案につきましては、やはり徹底的な検証と、実態が何だったのかということについて徹底的に解明をして、再発防止策の検討を進めるということが私の務めであるというふうに考えております。

井坂委員 新三本の矢の三つのうち二つに非常に深くかかわる省庁でありますから、厳しい対応と、二度とないようにということで、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、沖縄の基地について、ちょっと一問は時間がないので、防衛大臣は飛ばさせていただきまして、総理にお伺いをいたします。

 日本の基地の七四%が沖縄に集中をしている。空軍はやはりあの場所にあるのが地理的によいし、海兵隊はチームで動くので余り分散するとよくない、こういうことで集中をしてきたわけでありますが、その後、中国のミサイル技術が進歩して、逆に、海兵隊も安全のため、グアムあるいはハワイ、オーストラリアなどに一部分散、こういうロードマップが描かれて、今進んでいる最中かというふうに思います。

 今でも沖縄では、むしろ辺野古移転に反対をする強い民意が各種選挙で立て続けに示されているところであります。この強い民意の裏には、なぜいつも沖縄だけが基地負担を引き受けるのか、不公平ではないか、こういう声、私も沖縄にいろいろつながりがありますので、この間、聞いてまいりました。

 今回の普天間からの移設は辺野古しかないとしても、さらに先に現状のロードマップを超えたさらなる本土引き受けができないのか、沖縄の痛みを本土もさらに分かち合う姿勢がありますよと今示すことがこの問題の一つの解決につながる道ではないかというふうにも考えるものでありますが、沖縄の基地をさらに本土で引き受ける検討を始める、こういうことに関して総理のお考えを伺います。

安倍内閣総理大臣 日米のロードマップについては、我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえ、抑止力の維持と沖縄を初めとする地元の負担軽減を両立させるための基本的な考え方でありまして、まず普天間飛行場の辺野古への移設、そして海兵隊のグアムへの移転、嘉手納以南の土地の返還といった在日米軍の再編に係る重要な施策について日米で合意したものであります。

 その後、さまざまな事情によってこれはなかなか実行されなかったのが事実であります。

 大切なことは、こうしたロードマップを着実に進めながら沖縄の負担を現実に軽減していくことではないか、こう思うわけでございますが、安倍政権においては、全国民がさまざまな形でこうした負担を分かち合うことが必要であるとの考え方のもとで、米国との強固な信頼関係に基づいて一つ一つ解決をしております。

 具体的には、昨年八月に、普天間配備の空中給油機十五機全機の山口県の岩国への移駐を完了しました。これは十八年ぶり。十八年間ずっと言っていたんですが、できなかったものを我々は実行いたしました。そして、それはまさに負担の軽減、今普天間が持っている三つの機能のうちの一つを岩国に移したわけであります。

 そして、嘉手納以南の返還計画も日米間で七年越しの課題でありましたが、これは一昨年、日米首脳会談でオバマ大統領に直接問題を提議して、日米合意をすることができました。これはずっと七年間できなかったわけでありますが、この計画に基づいて、本年三月には西普天間住宅地区が現実に返還されました。東京ドーム十一個分に相当する大きな面積であり、これはまさに地元でしっかりと活用していただきたい、こう思っています。

 さらには、米海兵隊のグアム移転についてでありますが、米議会への粘り強い働きかけを行った結果、これは予算が実は凍結をされていたんですが、移転事業が本格的に進み始めました。

 そしてまた、ロードマップ以外の施策でございますが、日米ロードマップの合意事項にとどまらず、できることは全てやるということをお約束しているわけでありますが、その方針のもとに負担軽減に取り組んできておりまして、例えば本年九月に日米地位協定の環境補足協定を締結いたしました。これは日米地位協定の締結から五十五年経ているわけでありますが、こうしたことは初めて行われたわけでありまして、環境基準や立ち入りについて、法的拘束力を有する国際約束によって規定を設けたものであります。

 また、オスプレイの沖縄県外における訓練等も着実に進めているところでありまして、先月にはオスプレイの定期整備は千葉県の陸上自衛隊木更津駐屯地で行うことが決定されたわけでございまして、今後とも、できることは全て行うという考え方のもとにしっかりと軽減を進めていきたい、こう考えております。

井坂委員 普天間に関して、もう二点お伺いをしたいと思います。

 まず、辺野古移設環境監視等委員会の問題。

 普天間飛行場の移設事業を監視、指導する側の環境監視等委員会、これの運営業務を、監視される側の受注業者、「いであ」社というところが一者入札で請け負っていた。十月二十八日に防衛省は、この業者は問題ありということで運営業務から外すと発表されたわけであります。これは、どのような問題があるから外すということになったのか、お伺いをいたします。

中谷国務大臣 御指摘の受注業者が行う委員会の運営業務につきましては、委員会の事務局である沖縄防衛局が行う委員会の運営を補助するものでありまして、具体的には、委員との連絡調整、資料作成、会場準備、議事要旨の作成の事務を行うもので、沖縄防衛局の担当の指示のもと実施をいたしております。

 このように、当該受注業者はいわば環境保全措置や事後調査等に関しまして環境監視等委員会から助言をいただく沖縄防衛局を事務作業面で補助する立場にありまして、報道にあったように、チェックをする側にかかわっていたという御指摘は当たりません。

 防衛省としては、一連の報道を受けまして、代替施設建設事業を環境に十分配慮しながら進めていくことにつきましていささかも疑惑を抱かれることがないように、委員会の事務局である沖縄防衛局の運営に代替施設建設事業の受注業者が関与できないように措置をするようにしたわけでございます。

井坂委員 監視される側が監視する委員会の事務局をやるということで、やはり明らかに問題があるということで外したんだというふうに思います。

 もう一点、この「いであ」社、実は環境監視等委員会の委員に寄附をしていた。これまでは年百万円だったのが、ある教授が委員に就任してからは八百万円に増額をして寄附、また別の会社も、それまでは年五十万円だったのが、委員に就任したら倍増して年百万円の寄附、こういうあからさまな寄附の増額をしているわけであります。これはもう明らかに、環境監視において何らかの便宜を図ってもらいたい、こういう意図としか思えないわけでありますが、大臣の御所見を伺います。

中谷国務大臣 環境監視等委員会の委員に対する寄附金等につきましては、一連の報道がなされまして、この委員会の公平中立性に疑義が呈せられたことから、防衛省は、十三名の委員全員に事実確認をするとともに、「いであ」を含む関係の受注者にも事実確認をいたしました。

 事実確認の結果、寄附金につきましては、通常の産学連携活動の一環でありまして、寄附行為も、大学の規程に基づいて大学の事務局を通じてなされたもの、また報酬についても、NPO理事として環境関係の講習会等の活動実態もありまして、正当なものという結論に至りました。

 また、中立性、公平性、公正性につきましては、委員会終了後、委員長によるマスコミ等へのブリーフィング、また公表されている議事要旨などによりまして過去の審議状況を具体的に検証した結果、同委員会の指導助言機能は果たされていたということでございますので、今後とも、こういった点につきまして、関係の受注業者から委員に対する寄附金につきましては、次回委員会の場で新たなルールづくりを検討することといたしました。

 いずれにしましても、今後、公正性、中立性をしっかり維持されるように、今後の運営等については対応してまいりたいと思っております。

井坂委員 厚労省も、それから防衛省も、政策が金でゆがむことは決してないようにお願いを申し上げまして、質疑を終えます。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて松野君、今井君、井坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 米軍普天間基地問題について質問をいたします。

 沖縄県の翁長知事は、昨年十一月の県知事選挙における選挙公約に沿って、ことし一月、仲井真前知事による埋立承認に関し、法的な瑕疵の有無を検証するための第三者委員会を設置いたしました。同委員会は、七月、国の埋立承認申請は公有水面埋立法の要件を満たしておらず、埋立承認手続には法的な瑕疵が認められるとする検証結果報告書を提出いたしました。こうした手続と検証結果を踏まえ、翁長知事は、十月十三日、埋立承認を取り消しました。

 ところが、沖縄防衛局は、その直後に、公有水面埋立法を所管する国土交通大臣に対し、行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止の申し立てを行いました。その後、十月二十七日、政府は、閣議口頭了解で、知事の承認取り消しを取り消すため、地方自治法に基づく代執行等の手続に着手することを確認しております。同時に、国土交通大臣が承認取り消しの執行停止を決定し、工事は再開をされました。警視庁の機動隊員百人以上を現地に投入して、強権的に基地建設を推し進めようとしております。

 こうした政府の対応を受けて、翁長知事は、十一月二日、地方自治法に基づく国地方係争処理委員会に審査の申し出を行いました。

 政府が昨年の一連の選挙結果を無視するもとで、政府と沖縄県の対立が激化しております。

 そこで、今回、国が行政不服審査制度を使って承認取り消しを停止した、この点について質問をしていきたいと思います。

 まず、総務大臣に伺いますが、そもそも行政不服審査制度とはどのような制度か、御説明いただけますか。

高市国務大臣 行政不服審査法は、国民に対して広く行政庁に対する不服申し立ての道を開くことによって、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的としています。

 具体的には、処分に不服がある者は、行政庁に対し審査請求または異議申し立てをすることができるとされており、審査請求の場合、審査請求を受けた行政庁は、審査請求人及び処分を行った行政庁の主張を聞くなどの審理を行った上で裁決をする、そういうことになっております。

赤嶺委員 今御説明がありましたが、行政不服審査制度というのは、国や地方公共団体による違法不当な処分によって国民の権利利益が侵害されたときに、お金や時間のかかる裁判に訴えなくても簡易迅速に救済を図ることを目的とした制度であります。不当に課税されたり、あるいは飲食店の営業許可を取り消される、あるいは公害病の認定を受けられないなど、さまざまなケースで不利益を受けた国民が行政機関に不服を申し立て、権利利益の救済を図るためのものであります。さまざまな問題を抱えた制度とはいえ、あくまで制度の趣旨は、国民の権利利益を守るということです。

 ところが、今回、国の行政機関である防衛省、沖縄防衛局が、この制度を使って、同じ国の機関である国土交通省に対して不服審査請求や執行停止の申し立てを行いました。防衛大臣、なぜそういうことができるんですか。

中谷国務大臣 行政不服審査法第四条一項におきまして、行政庁の処分に不服がある者は、審査請求または異議申し立てをすることができるとしておりまして、この不服申し立てができる対象を国民に限定せずに、処分に不服がある者に広く不服申し立てを認めていると承知しております。このようなことから、一般に、国や地方公共機関が一般の事業者等と同様の立場におきまして処分を受ける場合には、不服申し立ての資格を有すると解されております。

 他方、公有水面埋立法におきましては、国に対する埋め立ての承認について、国以外の者に対する埋め立ての免許と同様の手続や基準によるとされておりまして、国にあっても、一般私人と同じく、埋立免許と同様の手続を経なければ適法に埋め立てができないことには変わりがないということでございますので、沖縄防衛局は、前知事から本件の承認を受けるに当たり、一私人が立ち得ないような固有の資格ではなくて、一般私人と同様の立場で本件承認の名宛て人となったものであることから、この承認の取り消し処分に対しまして不服申し立ての主体たる資格を有すると考えておりまして、国土交通大臣にお認めをいただくような手続をとったわけでございます。

赤嶺委員 国民の権利利益を守る、それを防衛省が、今の説明だと、一般の事業者と同様の立場で処分を受けた、こうおっしゃっておりますが、今問題になっているのは、名護市辺野古への新基地建設であります。日米両政府の合意に基づいて、キャンプ・シュワブという米軍基地内に、普天間飛行場にかわる新たなアメリカ海兵隊の飛行場を建設するというのが防衛省の主張であります。米軍基地の提供にかかわる事業であり、一般の事業者、私人と同様の立場でこういうことができるはずがありません。国としての立場で埋立承認の申請を行ったことは明らかではありませんか。

中谷国務大臣 先般、執行申し立てにおきまして、やはり、普天間飛行場の移設工事、これは、大幅な遅延によりまして、普天間飛行場の周辺におられる住民の皆様方の危険性の除去、また騒音等の被害の除去が遅滞をいたします。また、この事業がおくれれば、米国との信頼関係に悪影響を及ぼし、外交上、防衛上重大な不利益が生じるということでございまして、このような損害を避けるために、緊急の必要性があるということを主張しております。

 手続におきましては、先ほど御説明をさせていただきましたように、行政不服審査によって申し出をしたということでございます。

赤嶺委員 大臣、私の今の質問は、執行停止についてではないですよ。何で、明らかに国の事業である基地建設事業でそういう行政不服審査法を使うことができるのか、こういうことを再度聞いたわけであります。

 防衛大臣のこれまでの説明も、今までの国の姿勢と全く矛盾しております。

 防衛大臣は、先ほどの答弁を私がしんしゃくいたしますと、いわゆる固有の資格、国のみが持ち得る資格かどうかの判断は、審査基準が同じかどうかで判断されるとおっしゃいましたが、これはそうではありません。国が行っている行為が、一般私人では立ち得ないような立場、つまり、国でなければ行い得ないような立場に基づくものかどうかで判断されるものであります。

 埋立申請書の中に、防衛省は、沖縄防衛局は、埋め立ての動機や必要性に関して、安全保障環境の厳しさや米軍のプレゼンスの重要性を挙げています。その上で、我が国の平和と安全を保つための安全保障体制の確保は、政府の最も重要な施策の一つであり、政府が責任を持って取り組む必要がある、こう述べているわけです。つまり、この埋立申請自体は国としての立場で行ったということは明らかではありませんか。

中谷国務大臣 委員がおっしゃったように、この普天間の移転というのは、国の安全保障や、沖縄県の普天間周辺の住民の皆様方の被害をなくすということで、これは国の責任において実施をいたしております。

 そこで、この移設先におきまして、公有水面埋立法によって埋め立ての承認をいただかなければなりませんが、この承認をいただく場合に、免許と同様の手続、基準によるとされておりまして、国にあっても、一私人と同じく、埋立免許と同様の手続を経なければ適法に埋め立てができないということでございまして、沖縄防衛局は、沖縄県知事から承認を受けるに当たり、一般の私人が立ち得ないような固有の資格ではなくて、一般私人と同様の立場でこの承認の名宛て人となったものでございます。したがいまして、この取り消し処分に関しましては、不服申し立ての主体たる資格を有すると考えておりますので、このような立場で不服審査を申し立てたということです。

赤嶺委員 申請は国の立場で行いましたと。つまり、国でなければできないような資格を持って埋立申請をやったのが今度の辺野古の埋め立てであるわけですね。ところが、審査を受ける段階になったら突然私人の立場に変わる。こんなの納得できないじゃないですか。おかしいじゃないですか。国の立場で国でしかなし得ない事業をやっておきながら、審査の段階になったら私人になりました、そんな話は絶対に通用しないと思います。

 私は、防衛局も防衛局ですが、防衛省も防衛省ですが、中谷大臣の答弁も全く納得がいくものではありませんけれども、国土交通省は、今度の執行停止の決定書で、やはり、同じ審査基準なのだから国の固有の資格とは言えないということを述べているわけですね。

 しかし、国土交通省はこれまで、公有水面埋立法上、民間事業者が受ける免許と国が受ける承認とでは法的な性格が違う、このように説明してきたのではありませんか。民間事業者は免許によって初めて埋め立てを行う権利を得るが、国は公有水面に対する支配権を持っているのだから、もともと埋め立てる権利を持っているのだ、こういう高飛車な見解を示してまいりました。この見解は変えたんですか。

石井国務大臣 お答えをさせていただきます。

 一般私人が埋め立てを行う場合には、もとより一般私人は公有水面を埋め立てることはできませんけれども、国が埋め立てを行う場合には、国が所有する公有水面をみずから埋め立てるというものでございまして、本来的には、この所有権に基づき埋め立てを行うことができるというふうに解されております。

 このように、国が行う埋め立てはみずからが所有する公有水面を埋め立てるものであることから、埋立法は、承認、免許という文言を区別して、適用される条文も異なっているにすぎません。

 いずれにしましても、一般私人であろうが国であろうが、ともに知事の免許または承認を得なければ適法に埋め立てをすることができない、また、知事が免許または承認の審査を行うに当たっての基準も同じ基準であるということから、国、この場合沖縄防衛局長が、一般私人が立ち得ない特別の立場、固有の立場において承認を受けているものとは解されないというふうに考えております。

赤嶺委員 同じ答弁の繰り返しでありますが、これを聞いていて、政府というのはその時々で都合よく立場を変えていくものだと怒りを禁じ得ません。

 この問題をめぐっては、昨年から埋立承認の取り消し訴訟が行われてまいりました。その取り消し訴訟の中に、国が派遣した訟務検事、この訟務検事は、国がやる場合はそもそも埋立承認は処分に当たらない、行政機関相互の内部行為だ、このように説明しておりました。ところが、今政府は、処分に当たる、だからその執行停止ができる、こういうことを平気で説明しているわけですね。訟務検事が法廷で主張してきたことと、そして今あなた方が説明していることと、全く正反対なんですよ。むちゃくちゃですよ、これは。

 大体、政府は閣議了解で、国としての立場でこの問題に関与していくということを決めているわけです。国土交通大臣が地方自治法に基づく代執行の手続に着手すると明記し、それが今進められております。この代執行の手続が、地方自治法に基づいて、まさに国の立場で沖縄県との紛争処理に当たっていくことを示すものにほかなりません。ところが、その一方で、閣議了解のあったその日に、行政不服審査制度を使って取り消し処分を停止いたしました。

 国の立場で関与していくことを決めながら、私人と同じ立場だという防衛局の主張を認めるというのは、これは、国土交通大臣、一体どういうことですか。矛盾も甚だしいのではありませんか。

石井国務大臣 今の御質問は、執行停止と代執行を同時に行っているということですね。

 執行停止をするか否かにつきましては、行政不服審査法におきまして、速やかに決定しなければならない、このように定められております。この規定を踏まえまして、国土交通省といたしましては、審査庁という立場で、十月十四日に沖縄防衛局長から行われた執行停止の申し立て、十月二十二日に沖縄県知事から提出された意見書につきまして、法令の規定に基づき審査をしてまいりました。この結果、普天間飛行場が抱える危険性の継続などの重大な損害を避けるため緊急の必要があると認め、十月二十七日に執行停止の決定を行ったところでございます。

 一方、この審査請求の審査の過程におきまして、本件取り消し処分は、公有水面埋立法に照らし、違法であると判断するに至りました。

 このような審査状況も踏まえつつ、政府として、普天間の返還を一日も早く進めなければならないという認識に立って、改めて本件取り消し処分について検討した結果、十月二十七日の閣議において、最終的に司法の判断を得ることができる地方自治法に基づく代執行等の手続に着手することが、政府の一致した方針として了解されたものでございます。

 このように、審査庁として、重大な損害を避けるため緊急の必要があるとして行った執行停止の決定と、また、埋立承認という法定受託事務の適正な執行を図るための代執行等の手続の判断、これは、それぞれの法律にのっとりまして可能な限り速やかな対応を行った結果でございます。

赤嶺委員 あるときには我が国は私人となり、ある局面では国という立場になる、都合よく立場を立ち振る舞って、そして、行政不服審査法というのは国民の権利利益を守るための行政処分に対する不服の審査機関であるにもかかわらず、行政が行政に訴えて、これでは行政不服審査法にならないですよ。

 そこで、総理に聞きますが、何でこんな二つの立場をとっているのか。

 辺野古の新基地建設が国の事業であることは明らかであります。だから、国も地方自治法に基づく手続をとらざるを得なかったはずです。ところが、地方自治法には、実は執行停止の制度はありません。いつ工事を再開できるかわからない。翁長知事が埋立承認を取り消して工事がとまった。それを、地方自治法を使っては、工事を再開するには司法の判断が出るまで待たなきゃいけない。

 ところが、行政不服審査法を使えば、執行停止という制度があるから知事の執行停止を停止することができる。つまり、工事を始めることができる。だから、とにかくとまった工事を一日も早く再開するために、ここだけは国ではなくて私人に成り済まして承認取り消しを停止した、そして工事を再開したということではありませんか。

安倍内閣総理大臣 防衛大臣からも答弁をいたしましたように、普天間の返還は一日も早く実現しなければならない、まず、この基本的な考え方の上に立って、このため、移設作業の事業者である沖縄防衛局長は、一刻も早く移設事業を再開するため、迅速な手続である審査請求を行うとともに、執行停止の申し立てを行ったものであります。これを受けて国土交通大臣は、沖縄県の意見を聴取した上で、重大な損害を避けるために緊急の必要性がある等の判断のもとに、行政不服審査法にのっとり執行停止の決定を行ったものであります。

 一方、このようなプロセスの中で政府として改めて検討した結果、翁長知事による埋立承認の取り消しは違法であり、著しく公益を害するものであることから、この問題の解決を図るためには、最終的に司法の判断を得ることができる代執行等の手続に着手することがより適切な手段であると判断され、閣議において政府の一致した方針として了解されたものであります。

赤嶺委員 やはり、司法の判断だけになっていたら工事を始められない、そのために、工事を再開するために行政不服審査法という制度を使った、時には国の立場、時には私人の立場、それは工事を早く始めるためであったということであります。

 ただ、行政不服審査法で言う執行停止にいっても、同じ政府の中で申し立てを行い、決定をされたものです。辺野古の基地建設の推進は、繰り返し閣議決定が行われてきた政府の統一的な方針です。国交大臣もそれに拘束されているのではありませんか。

石井国務大臣 執行停止の決定自体は、行政不服審査法の規定に基づき、国土交通省といたしましては、審査庁として、沖縄防衛局長及び沖縄県知事の双方から提出された書面の内容を十分公平に検討した上で行ったものでございます。

赤嶺委員 今度は、国や私人の立場に加えて、防衛省の訴え、翁長知事が埋立承認を取り消してお手上げ状態だ、これは不当だから取り消してほしい、公正中立な審査をして執行停止にしてほしいということを国土交通省に申し立てた。ところが、政府全体としては、辺野古が唯一だという方針は国土交通大臣も変わらないわけですね。こんな公正中立があるかというのが翁長知事が批判していることであるわけですよ。

 このことは、当然各界から批判を浴びております。十月の二十三日、行政法研究者九十三人が名を連ねて声明を出しました。そこでは、私人と同じ立場だという政府の主張を否定し、審査請求、執行停止申し立てを、不適法だ、このように断じています。その上で、「政府がとっている手法は、国民の権利救済制度である行政不服審査制度を濫用するものであって、じつに不公正であり、法治国家に悖るものといわざるを得ない。」これが行政法の専門家の声明ですよ。厳しく批判をしております。

 国民の権利を守るための制度を国家権力が基地を押しつけるために使うなど、制度の趣旨を百八十度たがえるものであります。政府は、承認取り消しの停止決定、これを直ちに撤回すべきであると思います。そして、翁長知事の埋立承認取り消しに従って工事を中止すべきであります。このことを強く申し上げておきたいと思います。

 大体、法治主義にもとる行為は、今度の行政不服審査法だけにとどまりません。先ほども取り上げられましたけれども、環境監視等委員会、この委員が受注業者から寄附や報酬を受けていた問題がありました。

 この委員会は、昨年の四月、辺野古の建設工事にかかわって、政府に対し環境保全対策などの指導助言を行う目的で沖縄防衛局に設置されたものです。

 もともと仲井真前知事は、環境アセスの段階では、環境保全は不可能だ、このように言っておりました。それを、専門家にげたを預けることによって、専門家がいるから、専門家に検討してもらうからということで埋立承認を合理化したわけです。そして、埋立承認の留意事項に盛り込まれ、事実上の条件として設置されたのがこの委員会であります。

 そういう意味で、非常に大事な、決定的な役割を持った委員会だと思いますが、防衛大臣はどういう認識ですか。

中谷国務大臣 環境監視委員会につきましては、赤嶺議員がお述べになったような経緯でできたものだと認識をいたしております。

 この環境監視委員会につきましては、環境保全の措置及び事後調査等に関する検討内容の合理性、客観性を確保するために科学的、専門的助言を行うということを目的に設置をいたしまして、この実施に当たりまして、科学的、専門的な有識者からの指導助言をいただいて運営をされております。

 いろいろ報道がございまして、公平性、中立性、これにつきまして防衛省で改めて検討、検証いたしました。防衛省といたしましては、委員会の終了後、委員長によるマスコミ等へのブリーフィング、また公表されている議事内容の要旨などによりまして過去の審議状況を具体的に検証いたしまして、この環境監視委員会の指導助言機能、これは果たされていたものだと認識をしております。

赤嶺委員 防衛省、防衛局が行った環境アセスでは、環境の保全は不可能だとまで言われたわけですね。それで、防衛局も、今とり得る最大限の措置をとっていて、これ以上やれと言っても、もうできないと言っているときに、結局、環境監視等委員会に頼ったわけですよね。環境の保全は環境監視等委員会があるから大丈夫だというのが、埋立申請のたてつけになっているわけですよ。だから、埋立承認の正当性がかかっている、このように言えるわけです。

 ところが、この委員会ですが、委員三名が、委員就任決定後の一年間に、事もあろうに、辺野古の埋め立ての受注業者から計一千百万円の寄附金を受け取っていたと報じられました。別の委員一名は、受注企業の関連法人の理事を務め、年間二百万円以上の報酬を受けておりました。これに加えて、委員会の運営業務を「いであ」という受注業者に請け負わせていたということも明らかになりました。

 防衛省は、報道を受けて、委員に対する聞き取り調査を行っています。調査結果を明らかにしていただけますか。

中谷国務大臣 環境監視委員会の委員につきます寄附行為、寄附金について一連の報道がなされましたので、この委員会の中立性、公平性につきまして十三名の委員全員に事実確認をするとともに、「いであ」を含む関係の受注者にも事実確認をいたしました。

 事実確認の結果、寄附金につきましては、通常の産学連携活動の一環であり、寄附行為も、大学の規程に基づき大学事務局を通じてなされたもの、また報酬につきましても、NPO法人の理事として環境関係の講習会等の活動実態もありまして、正当なものという結論に至った次第でございます。

 また、この「いであ」の事業につきまして、これは事務的な対応をいたしたということで先ほど御説明をさせていただきましたけれども、チェックをする側にかかわっているというのではなくて、環境保全措置また事後調査等に関しましてこの環境監視等委員会から助言をいただく沖縄防衛局を事務作業の面で補助する立場でございまして、委員との連絡調整、資料の作成、会場準備、議事要旨の作成の事務を行うということで、これは沖縄防衛局の担当者の指示のもとで実施をしているというようなことでございます。

 ただし、御指摘のように、疑義を抱かれることがないようにということで、委員会の事務局である沖縄防衛局の運営に代替施設建設事業の受注者が関与できないように措置をするようにいたしました。

赤嶺委員 寄附の問題でいえば、通常の産学連携の一環だ、こうおっしゃるわけですが、例えば、「いであ」から寄附を受け取っていた荒井委員は、就任前は年間百万から二百万円だったのが、就任後は合計八百万円受け取っております。茅根委員も、就任前は五洋建設から年間五十万円を受け取っていましたが、就任後は百万円になっております。中村委員長は、就任前は受け取っていませんでしたが、就任後は東洋建設から五十万円受け取っています。

 委員に就任した後に、しかも環境監視という埋立申請のかなめになる役割に立っている人々が受注業者からお金を、受け取っていた寄附金が軒並みふえていて、それでも通常の産学連携の一環だ、こんなふうな説明が通りますか。いかがですか。

中谷国務大臣 寄附につきましては、調査の結果、産学連携の一環でありまして、この資金等も大学の事務局を通じて手続がされたということでございます。

 また、こういった活動の中立性等につきましても、委員会を終了した後、委員長がマスコミ等にブリーフィングをしたり、また議事要旨を公表いたしておりまして、これについての内容は開示しておりますので、その内容も検証した結果、この委員会の指導助言機能は果たされていたと判断をいたしております。

 ただ、今後、この委員会審議の公正性、中立性を担保する必要がございますので、この事業関連の受注業者から委員に対する寄附金につきましては、次回委員会で新たなルールづくりについて検討することといたしておりまして、この委員会の公正中立性について疑念を抱かれることがないように、さらに透明性のある委員会運営に努めて、引き続き、同委員会の指導助言を踏まえて環境保全に万全を期して取り組んでまいりたいと考えております。

赤嶺委員 今、大変重大な答弁だったと思いますけれども、受注業者から委員への寄附金についてはやめるんですか、それともやめないんですか。どういうことですか。

中谷国務大臣 受注業者から委員に対する寄附金について、これは、委員会の場で新たなルールづくりについて検討していただくことといたしております。

 防衛省としては、この委員会の公平中立性について疑念を抱かれることがないように、そして透明性のある委員会運営にしていただけるように、この委員会の中でルールづくりを検討していただくように依頼をしておるところでございます。

赤嶺委員 防衛省としては、疑念を抱くような事態が起こっていることは認めているけれども、受注業者から環境監視という立場に立つ、いわば研究者の皆さんへの寄附についてやめるかどうかは、これは環境監視等委員会の会議に任せる。こんなことでいいんですか。これでは絶対に公正中立は保てない。ということで、防衛局自身が、防衛省自身がやめるべきだと考えますが、いかがですか。

中谷国務大臣 この委員会におきましても、公平性、中立性、これが必要でございます。したがいまして、代替施設建設事業関連の受注者から委員に対する寄附金について、他の事業者による同様の環境監視等委員会の事例、また他の分野における審議等において定められている利益相反行為を禁ずるルール等も参考にしながら、次回委員会の場で新たなルールづくりについて検討をしていただくということにいたしております。

赤嶺委員 全然納得できません。

 環境監視委員会というのは、他の委員会とは違って、環境保全は不可能だと環境アセスの段階で言われた議論をまとめるために、専門家の委員会を設置するから大丈夫なんだといって埋立承認を仲井真知事からいただいた、いわば埋立承認の条件ですよ、これは。こういう条件、核心部分の委員会が埋め立てをしている受注業者から寄附金をもらっていた、それだけでもう公正中立というのは疑われる。県民が、こんな環境監視なんか信じられないと出てくるのは当たり前じゃないですか。私は、これも決断できないほど埋立業者と環境監視が癒着している、これはもう科学者の検討とは言えない、このように思います。

 まだあります。

 委員会の指導助言機能は果たされていたと言いますが、これまで公表されているのは議事要旨と配付資料だけであります。議事要旨の発言者名は委員長または委員と記載されているだけで、誰の発言かは確認できません。要旨に盛り込まれなかった発言があったかどうかも確認できません。公表されている議事要旨とは別に、議事録か録音テープが残っているということですか。それがない限り、指導助言機能が果たされていたかどうかは確認できないと思います。翁長知事も、それほど中立公正と言うならば、議事要旨ではなくて議事録全部を公開してほしい、このように求めております。当然の、常識的な要求ではありませんか、公開すべきだと。

 そして、中立性、公平性、透明性は保たれていると言うけれども、本当に、発表されている議事要旨、これだけで保てるのか、このことについても答弁をお願いします。

中谷国務大臣 監視委員会の内容につきましては、その委員会の終了後、委員長がマスコミ等へのブリーフィング、また議事要旨の公表で透明性は私は確保されていると認識しております。

 一方で、この一連の報道で、やはり公平性、中立性、これにつきましては重要だと認識をしておりまして、これまで一応、議事というのは全て完全に公表しない、なぜなら委員が自由に発言できるということでございましたけれども、今後、こういった過去の審議状況を具体的に検証しまして、環境監視委員会の指導助言、これにつきましても、より公平性、中立性を部外に示すことができるような議事内容の公表の方法について次回の委員会の場で検討していくということにいたしております。

赤嶺委員 環境監視委員会の審議で一番大事にされるべきは科学なんですね。科学的根拠があるかどうかですよ。しかし、環境監視委員が、ジュゴンの専門家、サンゴの専門家、いろいろいても、その全て、全体を科学的な根拠を持って審議できるというものじゃないわけですね。どういう科学者がどの問題についてどんな意見を言ったか、これは審議に科学的根拠があるかどうかを知る上でも大事なんですよ。やはり、そんな自由な討議が妨げられるからといって、受注業者から寄附金をもらうのは自由で、これは自由でないというのは、もう本当に情けないですよ。こんなことをやって基地をつくることに納得できないですよ。

 まだあります。

 埋立承認がこういうむちゃくちゃなやり方をとっているわけですが、きょう、今官房長官がおいでですが、政府が今持ち出しているのが、名護市久辺三区への補助金の交付であります。代替施設あるいは辺野古新基地建設の周辺にある久志、豊原、辺野古、三つの集落です。

 しかし、基地の影響を受けるのはこの三つの集落だけではないということも申し上げておきたいと思います。滑走路の先にも瀬嵩、汀間とかいろいろな集落があります。その中でわざわざ、十月の二十六日に建設予定地隣接の辺野古、豊原、久志の三つの区長を首相官邸に呼び出して、官房長官から地域振興の補助金を直接交付する考えを伝えたと報じられております。官房長官は具体的に何を伝えたんですか。

菅国務大臣 まず、わざわざ呼び出したということですけれども、一回目は私どもが防衛局を中心に地元に出向いています。そして、今回は地元から官邸にということでありましたので、官邸で話をさせていただきました。

 政府としては、普天間の辺野古移設を進めていく上で直接最も大きな影響を受けることのあるこの久辺三区の皆さんに対して、生活環境の保全や生活の向上を図るためにできる限り配慮していく、このことはある意味で当然なことじゃないでしょうか。

 例えば、地元の皆さんからこういう要望を受けています。昼夜問わずに連日、反対運動が辺野古、キャンプ・シュワブゲート前において開催されており、地域住民、民家に聞こえる拡声機の反対抗議は連日行われており、特に夜間の拡声機の抗議は区民の安眠の妨害です。こういう要望も来ています。さらに、区内あらゆる道路には違法駐車が見られ、国道や歩道は今や無料駐車場化しています。何とか地域のために配慮してほしい。

 そういう意味では、ある意味で地域住民の皆さんにとって当然のことじゃないでしょうか。ですから、政府としてこの一番直接影響のあるところに配慮するというのは、何らおかしいことはないのじゃないでしょうか。

赤嶺委員 基地建設に反対する抗議集会が行われていて、そこでいろいろな地域周辺への影響がある、こういうことは、官房長官が呼び出して、お困り事はありませんかと聞く類いのものですか。

 既にこういうことは名護の市議会で、そういう迷惑行為というのと、いや、これは正当な表現の自由、憲法上認められた権利だという二つの陳情書が議会で問題になって、二つともそれぞれもっと言い分を聞くべきだということで、名護市長も聞こうということで、継続審査になっている案件ですよ。

 どこで聞いてきたかわかりませんけれども、区長が騒がしいと言っている。騒がしいというのであれば、政府が名護市の岸本市長時代に約束した廃弾処理施設、大変な爆発音ですよ、大変な騒音ですよ。何度も、これで犠牲者も出ていますよ。こんなのには手をつけないで、県民が抗議行動したら、これが騒がしい。こんなのが官房長官の言うことですか。そして、そういうことがあれば直接の補助金が出せる、その法的根拠があるんですか。言ってください。

菅国務大臣 一般論で申し上げて、法律によらない予算措置による補助金の交付や、地方公共団体以外のものを対象とする補助金の交付、これは認められているものというふうに考えています。

赤嶺委員 抗議やデモがうるさいから補助金をくれと言うなら補助金を出すよというのが法的根拠がなくてもできるということですか、今の官房長官の答弁は。

菅国務大臣 現実的に、先ほど申し上げたように、そこで生活をしている三区の皆さんにとっては、まさにひどいときは、ことしの一月十日は夜間から深夜二時、三時までそうした騒音でいっぱいだったということです。そして、三区の皆さんから具体的に、さまざまな生活基盤の整備だとかそうしたことを私どもは受けておるわけですから、それに基づいて最も影響を受ける方に配慮するというのは、ある意味でこれは当然のことじゃないでしょうか。どこでもやられていることです。

赤嶺委員 大変な答弁であります。これではもう法治国家ではありません。憲法上認められた権利。

 夜間騒がしいと。夜間騒いでいるのは、皆さんが夜間資材を運ぶからじゃないですか。夜間工事をやって、早朝の工事まで。早朝はやらないという話でしたよ。それもやっているじゃないですか、あなた方は。しかも、米軍基地の中の廃弾処理場一つ、十七年にわたって指一本、解決の手も触れ切れていないのに、何で県民にこんな悪態をつくような答弁をやるんですか。

 そして、久辺三区が求めているのは何かといいますと、防災備蓄倉庫あるいはあずまやの整備、あるいは芝刈り機の購入、公民館の音源の改善、こんなものが、芝刈り機が基地建設の代償として、そしてその直接補助金として対象になる、これは本当に恥ずかしい話じゃありませんか。

 こういう法治国家にもとるような行為は直ちにやめるべきだ、官房長官の答弁は撤回すべきだということを求めて、質問を終わります。

河村委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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