衆議院

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第31号 平成21年4月27日(月曜日)

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平成二十一年四月二十七日(月曜日)

    午後零時二分開議

 出席委員

   委員長 小坂 憲次君

   理事 小此木八郎君 理事 今井  宏君

   理事 平沢 勝栄君 理事 渡辺 博道君

   理事 高木  毅君 理事 小野寺五典君

   理事 玄葉光一郎君 理事 渡辺  周君

   理事 遠藤 乙彦君

      井脇ノブ子君    浮島 敏男君

      大塚 高司君    清水清一朗君

      谷  公一君    藤井 勇治君

      松本 文明君    武藤 容治君

      若宮 健嗣君    近藤 洋介君

      高山 智司君    伊藤  渉君

      佐々木憲昭君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   議長           河野 洋平君

   副議長          横路 孝弘君

   議員           中山 太郎君

   事務総長         駒崎 義弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     武藤 容治君

  奥野 信亮君     浮島 敏男君

  亀岡 偉民君     松本 文明君

  保坂 展人君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     奥野 信亮君

  松本 文明君     亀岡 偉民君

  武藤 容治君     あかま二郎君

  日森 文尋君     保坂 展人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国務大臣の演説に関する件

 国務大臣の演説に対する質疑の件

 衆議院憲法審査会規程制定の件

 本日の本会議の議事等に関する件


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     ――――◇―――――

小坂委員長 これより会議を開きます。

 まず、国務大臣の演説に関する件についてでありますが、本日の本会議において、財務大臣の財政についての演説を行うことに賛成の諸君の挙手を求めます。

    〔賛成者挙手〕

小坂委員長 挙手多数。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

小坂委員長 次に、国務大臣の演説に対する質疑の件についてでありますが、国務大臣の演説に対する質疑は、明二十八日に行うこととし、質疑者の数は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合、国民新党・大地・無所属の会おのおの一人とし、発言時間は、自由民主党、公明党の質疑者についてはおのおの十五分以内、民主党・無所属クラブの質疑者については二十分以内、日本共産党の質疑者については十分以内、社会民主党・市民連合、国民新党・大地・無所属の会の質疑者についてはおのおの七分以内とし、発言順位は、まず民主党・無所属クラブ、次に自由民主党、次に公明党、次に日本共産党、次に社会民主党・市民連合、次いで国民新党・大地・無所属の会の順序で行うこととするに賛成の諸君の挙手を求めます。

    〔賛成者挙手〕

小坂委員長 挙手多数。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

小坂委員長 次に、衆議院憲法審査会規程制定の件についてでありますが、本件について、本日、議員中山太郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の挙手を求めます。

    〔賛成者挙手〕

小坂委員長 挙手多数。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

小坂委員長 それでは、衆議院憲法調査会等における調査審議の経緯等につきまして、御意見を伺いたいと存じます。

 それでは、中山太郎先生、よろしくお願いいたします。御着席のままで結構でございます。

中山(太)議員 中山でございます。

 このたびは、小坂委員長初め議院運営委員会委員の先生方の御要請を受ける形で、本院の憲法調査会及び日本国憲法に関する調査特別委員会における調査審議の経緯につきまして、憲法調査会長及び特別委員長を務めさせていただいた立場から、御報告と若干の所感を申し述べさせていただくことになりました。

 お手元のレジュメに沿って、早速、内容に入らせていただきます。

 まず最初に、憲法調査会の調査の概要について御報告申し上げます。

 平成十二年一月二十日に、日本国憲法下で初めて、国会に憲法調査会が設置されました。昭和三十年代に内閣に設置されました憲法調査会とは異なり、この衆参の憲法調査会にはすべての会派が参加し、改憲、護憲、論憲、それぞれの立場を尊重しつつ、前文を含む日本国憲法百三カ条について、広範かつ総合的な調査を行ってまいりました。

 その総調査時間は四百五十一時間に及びました。また、招致した参考人は延べ百九十四人を数えております。さらに、五回に及ぶ海外調査も実施し、超党派議員で構成された調査団により、合計二十五カ国及びヨーロッパ連合の一機関の憲法事情について実地に調査をいたしました。

 そして、平成十七年四月十五日、その成果をまとめた最終報告書を河野議長に提出して、その役割を無事果たしてまいりました。

 調査の特徴といたしまして、この調査を通じて、与野党の幹事、オブザーバーの御理解を得ながら、終始私が心がけましたのは、次の二点でございます。

 一つは、会長が会長代理を指名する、野党第一党の幹事の中から会長代理を選定する、この議院運営委員会理事会での申合せ事項に基づきまして、鹿野道彦、中野寛成、仙谷由人、枝野幸男の四人の歴代会長代理を指名しましたが、これらの先生方とも、まさに二人三脚であらゆる事項を相談しつつ、これを幹事会に諮って進めてまいったところであります。

 もう一つは、御承知のように、議会運営において、質疑時間の割り当て等についてすべての局面で数が基本となるのでございますが、マイノリティーの人権保障という一つの中核とする考え方で、憲法論議の特質にかんがみまして、少数会派に可能な限りの配慮をすることが望ましいとの観点から、幹事会への出席や幹事と同待遇の発言権、自由討議の中での複数回の発言の保障なども行ってまいりました。

 このように、みんなで考え、みんなで議論し、みんなでつくるという姿勢は、憲政記念館の特別会議室で幾日にもわたって開催されました幹事懇談会の場で、最終報告書の一行一行を取りまとめてまいった議論の過程にすべてが凝縮をしていると存じます。

 思えば、四年前の四月上旬、憲政の庭に咲き誇る桜の花を時折眺めながら、一同、憲法漬けの時間を過ごしたことが極めて印象的に残っております。

 次に、日本国憲法に関する調査特別委員会について、概要を御報告させていただきます。

 以上のような調査審議の進め方は、郵政解散・総選挙を挟んで、平成十七年九月二十二日に設置されました日本国憲法に関する調査特別委員会におきましても、そのまま踏襲されてまいりました。

 この憲法調査特別委員会では、いきなり法案審議に入るのではなく、まず与野党共通の認識を醸成するべく、二回合計八カ国の海外調査を含めた、国民投票法制の調査を徹底的に行いました。その結果、幾つかの政策的相違点を残しつつも、その骨格においてはほとんど同一内容の与党案と民主党案とが翌年の五月に提出されることになったのであります。

 両案の提出後も徹底した審議を行い、法制調査を含めた総時間数、百九時間に及び、招致した参考人も延べ五十九人を数えました。

 調査審議の特徴といたしましては、憲法調査特別委員会での議事運営も憲法調査会と同様で、そのほか、法案審議に当たっての与党案、民主党案の相違点を埋めるための修正協議は、枝野筆頭の御提言をそのまま受け入れて、基本的に小委員懇談会の形式で、参考人を交えた自由討議の中で行うなどの工夫もいたしてまいりました。

 憲法調査特別委員会と議院運営委員会との関係について御報告をさせていただきます。

 ところで、憲法調査特別委員会での議論におきましては、議院運営委員会との関係も論点の一つとなりました。すなわち、投票権者の範囲や国民投票運動の規制などのような国民投票制度固有の問題のほかに、個別の改正項目ごとの投票か、それとも改正案全体を一括した投票かといった投票の方式の問題や、国民への周知広報機関を国会に設けるなど、国会法改正に絡む問題も出てきたからであります。

 そこで、議運理事会への報告につきまして御報告いたしますと、当時の佐田議運委員長からの御要請を受ける形で、与野党筆頭理事であった保岡、枝野両先生とともに三人で議運の理事会に二度ほど出席をさせていただき、これら国会法の改正を要する事項につきましても、憲法調査特別委員会での調査審議をすることの御了承をちょうだいしたところでございました。

 なお、憲法審査会規程の事項に関して申し上げるならば、国会法改正に関する議論は、これと不可分一体となっている憲法審査会規程で措置すべき事項の議論にも当然に及ぶこととなりますから、例えば、審査会の原則公開や公聴会開催の義務づけ、定足数や議決要件、事務局の設置などについても議論が行われ、実際の衆参における法案審査の中でも、そのうち幾つかの事項については質疑がなされ、提出者からの答弁もなされております。

 さらに申し添えますと、以上の国会法改正部分に関する与党案及び民主党案の規定内容は一字一句同じものでしたし、また、憲法審査会規程で規定すべき事項の内容につきましても、法案提出会派である自民、公明、民主、三党の間では完全な合意が形成されていたことを申し添えておきます。

 以上、憲法調査会の五年間及び憲法調査特別委員会の二年間の調査審議の経緯についてその概要を述べてまいりましたが、最後に、この七年間を含めまして、憲法調査委員会設置推進議員連盟を立ち上げた平成九年、これは日本国憲法施行五十周年に当たる年でございましたが、そのときから今日までの十二年間、一貫して本院における憲法論議に関与してきた立場から、若干の所感を申し上げさせていただきたいと存じます。

 まず、憲法論議のあるべき姿でございますが、私は、この間、一貫して考えてきましたことは、憲法論議は内閣ではなく国会の責務、権限であるべきこと、それは、政権を争う与野党対峙の論戦とは一線を画した、全国民代表としての論議であるべきこと、そして、憲法論議は、自己の理想の憲法像の主張にとどまるのではなく、最終的に三分の二以上の多数派形成に向けた超党派的論議、いわば偉大なる妥協を目指した論議であるべきということでございます。

 意見陳述を終えるに当たりまして、あえて申し上げさせていただくならば、一刻も早く、改正国会法の定めるところに従って国会に憲法論議の場を発足させていただきたいこと、そして、そのような場である憲法審査会の発足に当たっては、できるだけ広範な会派の御賛同のもとにスタートするように御配慮をいただきたいと念じております。

 この点に関連して、憲法調査特別委員会の大阪地方公聴会で、中野寛成元副議長が意見陳述者として次のような趣旨の御発言をされました。憲法論議は国権の最高機関である国会の場で行うべきであり、その議論に当たっては拙速や党利党略は避けるべきである、そのときに必要なのは与党の度量と野党の良識であると、こう述べられております。

 いずれにいたしましても、私は一議員として、議院運営委員各位の御見識に期待をいたしておりますし、御判断を全面的に受け入れる所存でございます。

 御清聴、まことにありがとうございました。

小坂委員長 ありがとうございました。

 それでは、中山太郎先生、御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

小坂委員長 この際、委員長から一言申し上げたいと存じます。

 今般、中山太郎元会長からお話を聞くことは、委員長において取り計らいをさせていただきましたが、当時のお話をお伺いしたことによりまして、経緯が明らかになったことと存じます。

 本日のお話を踏まえまして、今後の委員会の進め方等につきましても、与野党筆頭を通じて御協議をいただきたいと考えております。

 また、野党の皆様の御推薦する方があれば、そういった方の御意見もお聞きしたいと考えております。

 そのような形の中で、この委員会における決定をしてまいりたいと存じますので、両筆頭におかれましては、よろしくお願いを申し上げます。

    ―――――――――――――

小坂委員長 次に、本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。玄葉光一郎君。

玄葉委員 先般、規程案の動議が出されたときにも申し上げましたけれども、本日とても残念なのは、中山元会長がせっかくおいでをいただくというときに、与野党の合意が得られなかったことでございます。それは、委員長の進め方も含めて問題がある、こういう認識だからでございます。

 今回、中山元会長もおっしゃっておられたとおり、この憲法論議は、まさに政権を相争う与野党対峙の論議とは一線を画した、全国民的な論議であるべきである、さらには超党派的論議であるべきであるということを、いみじくもこの場で元会長もおっしゃっておられたわけでございます。

 先般、理事会で、私は、規程がないということは遺憾であるという認識に立って、何とか環境整備ができるように努力したいということを申し上げ、現にその環境が少しずつ整うのではないかというような状況をつくり上げつつある中で、強引に、合意がないまま、このような形で、委員会で会長をお招きするというのは、結果として、憲法を新しく制定する、あるいは憲法を改正するということを与党はあきらめたのかなというふうに思わざるを得ない行為であるというふうに思っております。あえて政争の具とする行為だというふうに我々は考えざるを得ないということでございます。

 先ほど、中山元会長も、中野寛成元副議長さんのお話を引いて、野党にももちろん良識が必要だけれども与党にも度量が必要である、こういうことをおっしゃったわけで、私たちも良識を発揮できるように少しずつ努力をしている、そして確かな前進を少しずつしていたにもかかわらず、こういう進め方をされていくと、せっかくの環境整備の努力が水泡に帰してしまうのではないかということを、むしろ憲法の論議を質の高い、充実した国民的な議論にしたい私としては、大変残念に思うというふうにあえてこの場で申し上げたいと思います。

 以上です。

小坂委員長 佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 本日、委員長と与党が野党との合意なしに一方的に参考人を呼ぶことを強行したということに、厳しく抗議をしたいと思います。こういうやり方は、今後に禍根を残すものであり、認めるわけにはいきません。

 今、国民が求めているのは、改憲手続を整備することではありません。国民は、今の暮らしを何とかしてほしいと願っているのであります。深刻化する経済危機のもとで、貧困と格差が拡大し、憲法二十五条の生存権が脅かされている、この現実をどうするか、これが当面の最大の課題であります。

 改憲手続法が成立して二年たつのに憲法審査会が発足していないことが問題だと言いますけれども、そもそも、改憲手続法は、安倍政権のもとで自民党などの九条改憲の政治スケジュールに沿って強行成立させられたものです。慎重審議を求める圧倒的多数の国民の声を無視し、審議も不十分なまま、与野党の合意のないまま数の力で強行し、憲政史上に重大な汚点を残したものであります。このときの会長が中山太郎氏であったことは、記憶にとどめておかなければなりません。

 改憲手続法の内容は、投票率が低くても国民投票が成立し、有権者の二割台の賛成でも改憲案が通るなど、徹頭徹尾、改憲推進勢力に都合よくできております。このような法律に定められた審査会規程が未整備であるということを問題にするのなら、むしろ手続法そのものを見直し、廃止すべきであります。

 いずれにしても、今のどの世論調査を見ても、憲法を変えるべきだという声は少数であります。とりわけ憲法九条を変えよという声は少数であり、九条を守れという声が圧倒的多数です。

 この議運委員会でも、憲法審査会の規程を今つくれという点での与野党合意はありません。合意がないまま、また数の力で強行することを繰り返すことになれば、日本の憲政史上、さらに汚点を繰り返すということになると思います。

 今求められているのは、九条、二十五条を初め、平和と人権の保障を目指す日本国憲法を生かすことであります。その道を進むことを我々としては改めて決意をしているところであります。

 以上です。

小坂委員長 日森文尋君。

日森委員 私も、最初に、与野党合意のないまま、中山太郎先生を参考人としてこの場にお呼びをしてお話を聞くということが強行されたことに、厳しく抗議をしたいと思います。

 私どもは、憲法調査会それから国民投票の関係についても一貫して反対してまいりました。今、なぜ憲法改正なのかということが明確にならないまま、前のめりで憲法改正の具体的な審議をする憲法審査会を設置していくということにも当然反対をしてまいりました。

 と申しますのは、この間の議論を見ていて、憲法改正の焦点が、現憲法のいわば肝といいますか、基幹であるところの平和主義、これを否定する方向や、あるいは基本的な人権を制約するということで改正論議が進められていく危険性を極めて強く感じております。そういう意味で、今、憲法改正論議に踏み込むべきではないというふうに思っております。

 同時に、今私どもが重要視しなければいけないのは、現憲法の第三章にある十条から四十条まで、国民の権利義務ですが、とりわけ権利について、この部分では大変国民の権利を重視した条文が並んでいるわけですが、残念ながら、現在の状況は、こうした権利が次々と侵害されているような状態にあるということですから、むしろ、この第三章に示された国民の権利を、先ほど佐々木先生もおっしゃいましたけれども、とりわけ第二十五条の生存権の問題等々を含めて、これをしっかりと政治の力で実現していくことこそが求められているんだという意味で、拙速に規程をつくり憲法審査会を動かすということには断固として反対したいと思います。

小坂委員長 遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 先ほど中山元調査会長から、大変高い見識に立った中立公正な御苦労の経験を述べられまして、大変感銘を受けた次第でございまして、私は、中山会長の発言、大変中立公正、すばらしい内容だというふうに感じているところであります。

 今、野党側の皆様から、この憲法審査会の審議の進め方につきまして、強引とか問題といった発言がありましたが、私は、全くそれは当たらないというふうに考えております。

 そもそも、先ほどの中山会長の話にもありましたように、長い経緯があり、この憲法審査会規程につきましても大筋合意をされたわけであり、そして、二年前の、国民投票法が長時間の議論の末、これが設定され、それを受けて国会法が改正されまして、それを受けての憲法審査会の設置ということでありまして、これはあくまで憲法の問題を審議する中立公正な場をつくるといういわゆる手続法でございまして、それを今審議するわけであります。

 しかも、経緯につきましても、この議運の場におきましても、私の知る限り、昨年の秋から、少なくとも私が議運に来て昨年の秋以降も、委員長また与党側からもたびたび、この問題を検討していただきたいと、審議を始めていただきたいことを重ねてお願いをしたわけでありまして、それに対して何ら回答がなかったということであります。

 そして、国民投票法もいよいよ三年後、すなわち来年の五月にこれが施行されるわけでありまして、一年前の憲法記念日を前にして、今やはりこの時期に議論し、成立をさせることが極めて時宜を得たものというふうに考えるわけでありまして、強引という指摘は全く当たらないというふうに考えております。

 また、今検討をお願いしている憲法審査会規程そのものにつきましては、まさに、憲法九十六条の改正規定を踏まえ、その要請に基づき、さらに国会法の要請に基づいて審議をするものであり、あくまでも、この国会の場に憲法審査会という中立公正な審議の場を設けるという手続規定を整備するわけでありまして、これはやはり民主主義の根幹をなす考え方だと思っております。

 ぜひともそういったことにつきまして、この憲法審査会規程を議論することが、特定の立場に立った憲法改正論を有利にしたりあるいは不利にしたりということは全くないわけでありまして、そういった意味で、こういった民主主義の根幹たる話し合いの場を設けるという、そういう手続規定の設置につきましては、ぜひ良識を発揮して議論に参加をしていただきたいということを強く期待するものでございます。

 また、今、憲法を見直すべきかどうかという議論も何人かの方から表明がありました。日本国憲法制定以来六十二歳になるわけでありまして、今の日本の状況を見ると、憲法制定時からは想定していなかったさまざまな問題が発生してきていることは間違いないわけでありまして、それをどう今後これからの世代が議論し取り込んでいくかということは大事なことであります。

 そのために、日本国憲法の中にも、九十六条、改正規定が置かれているわけであり、また改正規定の中には、衆参の三分の二以上で発議し、国民投票で二分の一以上で決するということで、その手続的な規定から見ても、憲法改正がいわゆる強行採決はとり得ないことは明白でありまして、あくまでも幅広い国民的論議とコンセンサスの形成を待ってのみ行われるものであるということは明確でございます。そういった精神に立って、ぜひともこの憲法審査会規程も、この手続規定をしっかりと議論していただきたいと思っております。

 また、中身的には、六十二年たって、日本の社会はさまざまな問題が出ております。

 前回も御指摘をしましたが、例えば今の日本国憲法は、地球環境とか、環境は一言も入っていないわけでありまして、こういった環境問題、持続可能性という考え方をどうやって日本の社会、世界に取り込むかということは大変重大な問題であると考えております。

 また、憲法九条のこういった平和主義はむしろ堅持すべきと私たちは思っておりますし、基本的人権あるいはまた国民主権また平和主義は堅持する、その上で、新たな想定していなかった問題に対してどういう基本態度をとるかということを、憲法の中に組み込むことをむしろ憲法九十六条は想定しているものと考えます。

 また、憲法二十五条、生存権につきましても、共産党、社民党さんから御指摘ありました。私も、この問題は大変重大であることは同感でありまして、今の日本の社会を見ますと、本当に、人間が人間として生きる条件、環境が脅かされている。少子高齢化の進行、経済の停滞、家族の崩壊、コミュニティーの崩壊等があって、まさに人間の尊厳が問われていることであって、どうやって憲法二十五条を単にプログラム規定と解せず、これを人間の安全保障という視点から深めて、より実態的な行動指針にしていくかということは大変重大な問題であると私は考えておりまして、ぜひそういった問題も含めて議論すべきではないかと思っております。

 以上、憲法の改正の問題につきましても、ぜひ必要なことでありますので、この憲法記念日を前に、また施行の一年前というちょうどいいタイミングを一つの時期として、この憲法審査会規程の早期成立に皆様参加をされることをぜひ期待いたします。

 以上です。

小坂委員長 小此木八郎君。

小此木委員 本日は、中山太郎憲法に関する前調査会長をお招きいたしまして、非常に公平公正な話を聞くことができたというふうに思います。また、各党の皆様からも今お話をお聞きした上で、与党の筆頭理事の立場で意見を申し述べさせていただきたいと思います。

 第百六十六回通常国会で成立した憲法改正手続法において、次の国会の召集日に憲法審査会を設置することは法律に明記されており、その次の国会、第百六十七回臨時国会の冒頭に審査会は既に設置されています。

 しかしながら、この審査会を運用すべき規程が二年間も定められておらず、これは明らかな立法府の不作為であるというふうに私どもは思ってまいりました。与党としては、一日も早く審査会規程について協議を始めたいと考えておりますし、これまでも、速やかに規程制定されるよう、主張をしてまいりました。

 本日の中山先生のお話は、審議の経緯等についてのお話でございましたけれども、二年間も協議されずにいた規程の制定に対し、議論をこれから促進していくための第一歩でもあるというふうに思っております。中山先生からも、できるだけ広範な会派の賛同のもとに憲法審査会を発足させるべきというお話もありましたように、私たちも努力したいというふうに思っております。

 この後の協議につきましては、玄葉野党筆頭理事と私、小此木にゆだねていただきたいと存じます。

 よろしくお願いします。

小坂委員長 本件につきましては、後日の委員会において、引き続き御協議願います。

    ―――――――――――――

小坂委員長 次に、本日の本会議の議事の順序について、事務総長の説明を求めます。

駒崎事務総長 まず最初に、日程第一につき、東経済産業委員長の報告がございまして、共産党及び社民党が反対でございます。

 次に、与謝野財務大臣から財政についての演説がございます。

 演説が終わりましたところで、動議により、国務大臣の演説に対する質疑は延期し、明二十八日にこれを行うことを決定していただきます。

 本日の議事は、以上でございます。

    ―――――――――――――

 議事日程 第十八号

  平成二十一年四月二十七日

    午後一時開議

 第一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

  一 国務大臣の演説

    ―――――――――――――

小坂委員長 それでは、本日の本会議は、午後零時五十分予鈴、午後一時から開会いたします。

    ―――――――――――――

小坂委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、明二十八日火曜日午後一時から開会することといたします。

 また、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十二分散会


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