衆議院

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第14号 平成25年3月19日(火曜日)

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平成二十五年三月十九日(火曜日)

    午後三時三十分開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 高木  毅君 理事 古川 禎久君

   理事 御法川信英君 理事 秋元  司君

   理事 平沢 勝栄君 理事 櫻田 義孝君

   理事 渡辺  周君 理事 石関 貴史君

   理事 大口 善徳君

      越智 隆雄君    鈴木 憲和君

      田野瀬太道君    根本 幸典君

      藤丸  敏君    星野 剛士君

      牧島かれん君    菊田真紀子君

      郡  和子君    古本伸一郎君

      今村 洋史君    木下 智彦君

      中野 洋昌君    椎名  毅君

      山内 康一君    佐々木憲昭君

      小宮山泰子君

    …………………………………

   議長           伊吹 文明君

   副議長          赤松 広隆君

   事務総長         鬼塚  誠君

   参考人

   (人事官候補者(法政大学社会学部教授))     上林千惠子君

   参考人

   (検査官候補者(立教大学法学部教授))      武田紀代惠君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  郡  和子君     古本伸一郎君

  山内 康一君     椎名  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  古本伸一郎君     郡  和子君

  椎名  毅君     山内 康一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 人事官及び検査官任命につき同意を求めるの件

 次回の本会議等に関する件


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 まず、人事官及び検査官任命につき同意を求めるの件についてでありますが、去る十五日の理事会において、加藤内閣官房副長官から、内閣として、人事官に法政大学社会学部教授上林千惠子君、検査官に立教大学法学部教授武田紀代惠君を任命いたしたい旨の内示がありました。

 つきましては、理事会申し合わせに基づき、人事官候補者及び検査官候補者から、所信を聴取することといたしたいと存じます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本日、参考人として人事官候補者・法政大学社会学部教授上林千惠子君、検査官候補者・立教大学法学部教授武田紀代惠君の出席を求め、所信を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 まず、議事の順序について申し上げます。

 最初に、上林参考人、武田参考人の順で所信をお述べいただき、その後、それぞれの参考人の所信に対する質疑を順次行いますので、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 それでは、上林参考人、お願いいたします。

上林参考人 上林千惠子でございます。

 本日は、このような機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 公務員制度は、我が国の行政を円滑に運営していく上で基盤となる制度でございます。公務員に適用される国家公務員法では、公務員の根本基準を確立することにより、国民に対して公務を民主的かつ能率的に運営することを保障すると基本理念にうたっております。

 この基本理念を受けて、人事院は、中立・専門機関として、第一に、人事行政における公正を確保すること、第二に、労働基本権制約の代償機能を持つこと、第三に、人事行政の専門機関としての役割を果たすこと、この三つの役割を担っているものと認識しております。

 そのため、人事官の職務につく者には、国民全体の奉仕者たるべき国家公務員として、強い責任感と揺るぎない倫理観が求められます。それとともに、広く国民各層や関係各方面からの御意見を伺いつつ、誠実かつ公正に職務の執行に当たることが必要とされていると考えております。

 特に近年は、公務員に対する国民からのまなざしは極めて厳しいものがあると感じております。そのため、公務員一人一人がこのような現実があることを十分に認識した上で、各人がそれぞれの持ち場において信頼の回復と信頼の確保に努めてまいることが肝要と存じます。

 現在、行政を取り巻く環境が大きく変化する中で、公務員制度改革が重要な課題となってまいりました。国民本位の行政運営を実現することは、従来以上に強く求められるようになってきています。したがいまして、職員自身も、公務に対する高い使命感を前提に、自分自身の能力を高めながら、誇りを持って職務を遂行していく必要があります。

 人事院も、今般の公務員制度改革が、時代の要請に的確に対応した実効性のある改革となるよう、適切にその役割を果たしていく必要があると考えております。

 例えば、少子高齢化への対応もその一つとみなせます。

 少子高齢化の問題は、社会全体の課題であると同時に、公務員の人事管理を行う人事院においても重要な課題です。若年層人口が減少する中、どのように多様で有為な人材を公務員として確保し、育成していくのか、職場の活力を維持しつつ、どのように高年齢者層を活用するのか、このような課題を解決していかなければなりません。

 私は、これまで、社会学を専攻分野とし、高齢者や女性の雇用について教育、研究を重ねてまいりました。公務員制度が直面している課題の解決に対して、これまで私が携わりました経験を少しでも生かすことができれば幸いでございます。

 仮に私が人事官に任ぜられた場合には、長年大学で調査研究に携わってきた経験を生かし、国民の視点と社会学者として得た知識経験をもって職務に取り組んでまいりたいと存じます。その際には、国民の代表である国会での御議論を初め、いろいろな御意見に耳を傾けながら、他の人事官と協力し、人事院の使命達成のために努力をしてまいりたいと存じます。

 以上、簡単ではございますが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

佐田委員長 ありがとうございました。

 次に、武田参考人、お願いいたします。

武田参考人 武田紀代惠でございます。

 本日は、このような機会を与えていただき、厚く御礼を申し上げます。

 まず、会計検査院については、内閣から独立した憲法上の機関として、国の会計検査を実施し、検査の結果に基づき、検査報告を作成して、内閣を通じて国会に御報告するという重要な使命を課されていると認識しております。

 また、検査官は、三人で構成される検査官会議のメンバーとして会計検査院の意思決定にかかわり、事務総局を指揮監督することを任務としていると承知しております。

 近年、我が国の社会経済は、本格的な人口減少社会の到来、少子高齢化に伴う社会保障費の増大や内外経済の構造的な変化、地球環境問題等の課題に直面しております。また、東日本大震災からの復興が我が国の大きな課題となっており、行政等にはこうした課題への適切な対応が求められております。

 会計検査院としては、このような社会経済の動向を踏まえながら、一、不正不当な事案に対して、正確性、合規性の観点から厳正な検査を行い、二、厳しい国の財政状況にも鑑みて、経済性、効率性及び有効性の観点からの検査を重視し、三、そして、行財政の透明性と説明責任の向上等に資するために、財務状況等について分析、評価を行うなどの検査を充実していくことが重要と考えております。

 私は、昭和五十三年に大学を卒業後、東京大学、富山大学、筑波大学、成城大学で研究、教育の経験を積んだ後、平成七年から立教大学法学部教授として、民法、特に担保及び債権について教育、研究を行ってまいりました。また、この間、財政制度等審議会を初めとする政府の審議会等の委員を歴任させていただくなど、政府の施策や財政、独立行政法人の評価等についても知見を深める機会を得ました。

 仮に検査官に任ぜられるとするならば、私は、立教大学法学部教授や政府の審議会等の委員として培った知識経験を生かし、民間出身の検査官として、国民の目線を大切にしてまいりたいと思います。そして、国民の皆様の関心の所在や、国会における御審議の状況に常に注意を払うなど、いろいろな御意見に耳を傾けながら、検査官会議における公平かつ均衡のとれた意思決定に貢献することによって、検査官としての職責を担ってまいりたいと考えています。

 以上、簡単ではございますが、私の所信を述べさせていただきました。

 本日は、このような機会を与えていただき、厚く御礼を申し上げます。

佐田委員長 ありがとうございました。

 これにて参考人からの所信の聴取は終了いたしました。

 武田参考人は、お呼びいたしますまで別室にてお待ちいただきますようお願いいたします。

 議長、副議長、ありがとうございました。どうぞ御退室ください。

 また、理事会の申し合わせに基づき、報道関係の方々は御退室をお願いいたします。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより上林参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 それでは、越智隆雄君。

越智委員 自由民主党の越智隆雄でございます。

 上林候補者におかれましては、本日はありがとうございます。先ほどは所信を伺わせていただいた次第でございます。

 早速でございますが、二点、お話を伺いたいと思います。

 一点目は、国家公務員に求められる人材像について、どんなお考えなのか、お伺いしてみたいと思います。

 時代の大きな変化の中にありまして、先ほども候補者の方から、少子高齢化、そういう中で、高齢者の人材の活用についてどうすればいいか等々のお話もございましたし、加えて、世界にあってはグローバル化が進んでいく、そういう中で、企業も行政も、私たちはみんな、それぞれの立場で時代に適応していこうと奮闘しているわけでございます。今までに経験したことのない局面でありまして、これまでの延長線上では対応できない、あるいはこれまでとは次元の違う発想だ、そんな思いで政策づくりの現場でも皆さん奮闘しているわけであります。

 そんな中で、国家公務員も、求められる人材像が変化しているんじゃないかというふうに考えるわけでありますが、候補者は、働く人の問題を幅広く扱う産業社会学の専門家として、高齢者雇用とか女性就労について研究されて、また、防衛省の人事審議会の委員も務められているというふうに伺っておりますので、そのような幅広い御経験や御見識に照らして、公務員に求められる人材像をどのように考えているのか、また、加えて、公務員制度自体をこうした方がいいというお考えがあれば、お話を伺いたいというふうに思います。これが一点目でございます。

 二つ目は、上林候補者の役回りについてであります。

 人事官は三名で構成されるわけで、これまで長年、一人は技術畑、一人は官僚出身者、もう一人がマスコミあるいは研究者ということで、それぞれ異なったバックグラウンドの方が就任されていたというふうに聞いております。

 原総裁は、JR東海の元副社長でありますけれども、技術畑。そして、吉田人事官が、元人事院の事務総長ということであります。今回御退任予定の篠塚人事官が研究者で、上林候補者は、その後継になるということだというふうに思います。

 そういう中で、上林候補者におかれましては、先ほど所信の中で、人事官について、国民の各方面から意見を聞く役割があるというようなお話もございましたけれども、特にそのような部分で活躍を期待されているのではないかというふうに思いますが、三人の中で上林候補者はどのような役割を果たされるおつもりなのか、抱負をお伺いしたいというふうに思います。

 以上でございます。

上林参考人 御質問、ありがとうございました。

 公務員に求められる人材像ということでございます。

 一つは、普通の勤労者、労働者と違いまして、公務員になる方あるいはなっておられる方に私が期待いたしますのは、やはり、公的な仕事をしていること、公務員として仕事をしていること、広く社会あるいは国家のために働いているというところに仕事のやりがいを見出す、そこに喜びを見出してくれる、そういう人物をまず欲しいなと思っております。

 そして、二つ目ですが、しかし、公務員というのは規則に従って仕事をする。国家公務員法には、この国家公務員法に基づいて仕事をしなさいというふうに書いてあります。ですが、先生がおっしゃったように、時代が動いておりますので、規則を守りつつ、この社会の変化を規則の中にどうやって反映していくのかという柔軟な姿勢も欲しい。

 ちょっと違う要求なんですが、言いかえてみれば、公的なものに対する献身の姿勢と、かつ、社会の変化を柔軟に取り入れていくだけの柔軟性を一人の中に兼ね備えてくれたらいいなというのが、私の理想とする公務員の人材像でございます。

 それから、公務員制度改革は、候補者になりましてから公務員制度改革について大分勉強させていただきましたが、何度も法案が変わったりして、非常に難しい。しかしながら、ほぼ十年以上も公務員制度改革が必要とされているということはずっと共通認識としてありますので、どういうところから手をつけたら最も改革が進んでいくのか、これこそ人事院に現在求められている役割と思いますので、所信にありましたように、他の人事官と御相談をしながら、人事改革に協力してまいりたいと思います。

 それから、三人の人事官の役割でございます。

 お一方が、JRで、長い間、具体的な物事を実行し、決めていくという、貴重な経験をなさっていらっしゃる方。もうお一方は、人事院にずっと勤められていて、人事院の仕事の難しさ、それから、非常に規則が細かく、法律の知識についても知らなければなりませんので、こうしたことについても精通していらっしゃる方と思います。

 そこに今まで教員としてしか経験がない私が参りましたわけですから、一体何ができるのか、何を期待されて候補者になったのか、大変光栄でございますが、考えました。

 一つは、国民の目線で物事を判断するというふうにありましたが、普通に、常識のある人間として、公務員改革あるいは人事制度について批判なり意見が言えればいいか。あと、多少なりとも人事管理について、基本的には民間ですけれども、勉強してまいりましたので、そうした勉強の知識が、人事官についた後、役に立てられればいいなと。この二点でございます。

 以上でございます。

越智委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

佐田委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 早速伺います。

 上林候補は、防衛省の防衛人事審議会の委員をなさっている。

 どのようなお仕事をされているんですか。

上林参考人 防衛省の人事審議会、私は給与部会に属しておりまして、自衛隊員の給与に関する提案について御意見を申し上げる、そういう役割でございました。

 そのほかは、それに伴って、自衛隊の状態について知っていただきたいという防衛省側の意向がありまして、呉や幾つかの駐屯地を見学し、そこで隊員の方のお話、隊長の方のお話、それから、船の見学などを行ってまいりました。

 以上でございます。

渡辺(周)委員 給与の部会で御発言をされていたと。

 どのような御発言をされたんでしょうか。

上林参考人 給与の体系は私が委員になる前に決まっておりまして、基本的には、御報告を承るということでございました。

 ちょうど私が委員のときに三・一一の東日本大震災がございまして、その間、自衛隊の方々もそこに出動していらっしゃいましたので、それに関して大変御苦労があったものですから、手当、どのような手当で幾らなのか、そしてまた、東北地方に出動した結果、残された部隊の人たちはどのようなサポートをしたのか、そういったことについて一番お話を伺った点でございます。

 以上です。

渡辺(周)委員 公職としてこれまでつかれたのがこの審議会の委員かと思いますが、それまでは大学の先生として、研究をされ、また教鞭をとられていたということで、実際、御自身が研究されていたことが、この公の機関の公職につかれて、どのような形でその御自身の御経験が生かされたとお考えですか。

上林参考人 私は、産業社会学というふうに申し上げましたが、経歴でごらんになれますように、最初に仕事をいたしましたのが、今はなくなりました都立労働研究所でございます。これは、主に都内の中小企業の労働者を対象として、その労働条件の向上を図るために設けられた研究所でございます。

 その後、女性の雇用、高齢者の雇用というのをやってまいりました。成年男性の人事管理については男性研究者がやっておりますので、私は、それからちょっと外れたというか取り残された、中小企業の労働者や高齢者、女性を研究対象としてまいりました。

 公務員というのは、どちらかというと、労働条件のよいという点では、よいというか、相対的なものでございますが、そうしたところと、あと、私が調査対象としてきましたマージナルな階層との間についての差、あるいは違いなどについて、何か私なりの意見を申し上げることができるかなと思っております。

 以上です。

渡辺(周)委員 二十三年の一月から就任されていると把握しておりますけれども、二十三年の十二月に、私は、当時、防衛省の副大臣をしておりました。そのとき、沖縄の防衛局長が、大変デリカシーに欠ける発言を酒の席でして、更迭されるということになりました。

 御自身は、例えば、女性の活用ということも論文の中で書かれておりますけれども、こういう経験を踏まえて、職場はどうあるべきか、公務員の、酒の席とはいえこういうことがあった、かなり社会問題にもなったわけですが、そのとき、いらっしゃいまして、どのような思いでいらっしゃいましたか。

上林参考人 政治の問題で難しいなと思っておりまして、どなたがこの立場に立たれても難しいんだなという非常に何か素人っぽい印象しかなくて、私が委員としてどう思ったかということは、余り印象に残っておりません。申しわけございません。

渡辺(周)委員 大変残念なお答えなんですね。人事官ですから。人事院の三人の人事官のお一人になる。今までの公職の御経験からするとどうであったということを、やはり、何らかの形で明確におっしゃっていただきたかったというふうに思います。

 それから、自衛官の定年退職というのは五十四歳ですね。これは、若年定年制がございます。そういう特別な現状ではありますけれども、御自身は高齢者の雇用ということをおっしゃっていますけれども、例えば、そうした審議会の委員をなさっていて、高齢者雇用という問題は非常に難しいということについて、御自身が人事官として選ばれた場合に、どのような御自身の専門分野を生かされるか。

 高齢者雇用を専門としていらっしゃいます。私も、調べて、残念ながら時間がなかったものですから行き届かなかったんですけれども、例えば、官僚制度や公務員制度のあり方についての論文は余り見つけることができませんでした。

 この御自身の専門分野で、高齢者雇用ということに関して、御自身が就任されたら、どういう形で御経験を発揮できるとお考えでしょうか。

上林参考人 今、高齢者雇用で重要なテーマになっておりますのは、年金の支給開始年齢と定年年齢との間の乖離でございます。

 民間の方では、高年齢者雇用安定法ができまして、六十五歳までの雇用確保措置というのができました。六十五歳定年というのがなかなか実現できない中、一応、定年ではないけれども、六十五歳まで雇用確保をしたいという法律が成立しております。

 国家公務員に関しましても、やはり、年金の支給開始年齢が繰り延べになるわけですから、この年金の支給開始年齢と定年年齢とを長期的に接合して無年金期間をなくしていきたいという、それをできるだけ、まだ実現しておりませんので、実現する方向で努力したいと思っております。

渡辺(周)委員 もう結びになりますけれども、技術革新とデジタルデバイド、高齢社会の中において、御自身も非常にそれが高年齢者にとってはハンディになる部分があるということでございます。

 その部分について、簡素化、効率化していく上でそうしたスキルを取り込まなければいけませんけれども、公務員の定年が延長される中でその分野をどのようにして解消していくか、最後にお考えをお聞かせいただきたいと思います。

佐田委員長 時間になっていますから、簡略にお願いします。

上林参考人 はい。

 高年齢者に対しての技術革新に対する再訓練は、長い間、私のテーマでございまして、なかなか企業主が、その後の雇用する期間が短いものですから、雇用主負担での再訓練を実施しないわけです。ですから、その分については、国全体、あるいは高齢者自身も主体となって、雇用主に頼らないで勉強し続けていくほかないかなというのが私の印象でございます。

渡辺(周)委員 終わります。

佐田委員長 次に、今村洋史君。

今村(洋)委員 日本維新の会の今村でございます。

 先生、きょうは、どうもありがとうございます。

 では、早速、一番目の質問からいたします。

 国家公務員制度改革基本法にある自律的労使関係制度について、基本法では、「協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置する」というふうに定められています。

 文言の上では、必ずしも協約締結権の付与が確定していたわけではないと、人事院でお出しになっている国家公務員制度改革等に関する報告でもレポートされております。

 民主党政権時に提出された国家公務員制度改革関連四法案、これは廃案になりましたが、その中で、団体交渉、団体協約等、つまり、非現業の国家公務員に協約締結権を付与することまで言及していることについて、候補者はいかがお考えになりますか。お答えをお願いいたします。

上林参考人 協約締結権の付与については、人事院の報告では、公務の労使交渉において給与決定に市場の抑制力が働かないこと、また、国会の民主的コントロールのもとでの使用者側の当事者能力には限界があるということを報告書で指摘するなど、非常に難しい論点があると思っております。

 人事院でも、各国の労使交渉について調べて報告書を出しておりますので、これから、必要な資料をさらに提供していく所存でございます。

 以上です。

今村(洋)委員 では、二番目の質問に行きます。

 平成二十四年十一月十六日付、人事院原総裁談話において、高齢者職員の給与水準の見直しが、平成二十六年四月から実施する方向で平成二十五年中に結論を得るものとすると閣議でされたことに関して、平成二十五年一月一日から昇給制度を改定するとの人事院勧告を実施せず、結論を翌年に持ち越したことについて、極めて遺憾と原総裁はおっしゃっています。

 これは、五十歳代後半層における給与水準の上昇を抑制するため、昇給、昇格制度を見直しする、昇給停止や俸給月額の増加額を縮減などすることを先送りしたことに遺憾とされていたわけですが、このたび、安倍内閣になって、給与改正法案を提出しました。

 候補者におかれましては、かつて、雑誌「労働調査」二〇〇八年九月号で、高齢者従業員の賃金について、御本人がおっしゃっていることですが、賃金とは、生活保障のためにあると同時に、その人の、会社への貢献を示す、プライドの源泉でもある、これまでと同じ仕事をしていながら年齢を理由に支給額を減らされたら、やめたくなるというのが正直な高齢者の気持ちであろうというふうに述べておられます。

 候補者は、二十四年度のこの人事院勧告、給与改正法案に関して、どのようにお考えになっておられますか。お答えをお願いいたします。

上林参考人 私の書いたものを読んでいただき、ありがとうございます。

 全体を考えず、働く立場の一人一人の考えからいえば、やはり、賃金が下がってしまっては、なかなかやる気が出ないわけでございます。

 しかし、特に公務員に関しましては、予算措置、それから人数の制限というのがありまして、その中で選択をしなければいけないという、非常に厳しい、手足を縛られた状況にあると思います。

 ですから、中に置かれた高齢者にとっては、下がってやる気を失うかもしれないけれども雇用機会があった方がいいのか、それとも、それなら嫌だというので一時金をもらってやめていくのか、こういうような形の選択として迫られるのではないかと思います。

 その気持ちは私が書いたとおりで、私も、今もそう思います。

 賃金を下げておきながら意欲を高めよというのは、これはどだい無理な話でございますが、雇用がなくなるよりかはいいというふうに全体で判断し、個々人の方も、ある意味では、残念ながらですが、それを受け入れて、働くことを選ぶのではないかと思います。

 以上です。

今村(洋)委員 どうもありがとうございました。

佐田委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 上林候補には、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、一連の国家公務員の改革で、四法案というのがございました。今、候補は、よく勉強されているということでございました。

 その中で、協約締結権の付与については、慎重なお考えだと思います。

 これによって人件費が減少する、こういうことでこれは導入すべきだという考えに対して、どうお考えなのか、お伺いしたいと思います。

 それから、人事行政の公正の確保ということも、人事院では述べられているわけであります。

 公務員は全体の奉仕者であり、また、職業公務員の政治的中立性ということが大事だと思うんですが、公務員改革の中では、公務員庁が、採用あるいは研修ということを担っているわけです。これについてどう考えるのか、お伺いしたいと思います。

上林参考人 最初の御質問、協約締結権のことでございます。

 労働組合というのは、労働者が、自主的に集まって、自分たちの労働条件を上げていく、生活を守るというのが目的だと思いますから、なぜ賃金を下げるような交渉をするのか、私は、ちょっと理解できかねます。

 私、労使交渉の現場にいるわけではありません。ただ、授業で労働組合の話をするときに、それは自分たちが自分たちを守るための権利であるので、自分たちの首を絞めるようなことをなぜするのかというのが、まだ具体的な話はよくわかりませんので、すごく素朴な感想でございます。

 次の御質問ですが、もう一度、済みません。

大口委員 人事行政の中立性、全体の奉仕者について、公務員庁に移すということについてどうお考えなのか。

上林参考人 人事行政の中立性というのは、国家公務員の基本でございます。

 ですから、その基本が守られれば、それを守るための組織は人事院という名前ではなくてもよいと思いますが、きちっとした、透明性のある採用管理、そして登用につきましても、そこに能力主義を導入し、全体に登用の合理性を知ってもらう、そうした人事管理の基本について、やはり、全体の奉仕者としての国家公務員という役割を誰が担保していくのか、その担保の役割は、組織の名称なり組織が変わりましても、今後とも重要なものと考えております。

 以上です。

大口委員 今、国家公務員の雇用と年金の接続という御発言がありました。

 これから、六十五歳にだんだん上がっていくわけですね。そうするとそこに空白ができるので、今、再任用ということを考えておるんですね。

 再任用でいくのか、定年の引き上げでいくのか、あるいは定年の廃止か、三通りありますが、どう考えておられるのか。

 そして、再任用の場合は、フルタイムを考えておられるのか。フルタイムの場合は、これは定員というのがありますので、私は、新規採用を抑制しちゃいけないと思うんですね。平成二十五年度で、平成二十一年度と比べて五六%削減するというようなことがありました。若い人たちに対して、これは非常に夢を潰すことになります。

 こういうこととの兼ね合いで、この再任用というもののフルタイムをどう考えておられますか。

上林参考人 先生の御指摘のとおりでございます。

 先ほどの所信で、組織の活性化を維持しつつ高年齢者の確保をしなければいけないというふうに申し上げましたのも、高年齢者の確保が若い人の採用を抑制してはいけないということで、わざわざその前に、組織の活性化という言葉を入れたわけでございます。

 ですから、再任用というものの中には、例えば、短時間勤務で再任用される、あるいは、再任用されなくても、積極的に、従来のキャリアを生かして新しい雇用機会を探す、それから、少し案が出ておりますが、役職定年制というものを入れるなど、やはり幾つかの方法を併用していきませんと、いずれは定年延長が望ましいとは思いますが、現在の時点でも、なかなか再任用が進みにくいかなと思っております。

 以上です。

大口委員 女性の採用あるいは登用の拡大について、どうお考えなのか。

 それと、TOEFLというのを試験に導入していくということを総裁も述べられました。

 この二点、お伺いしたいと思います。

上林参考人 女性の採用については、私は、積極的に進めていくべきだと思います。

 国家公務員の受験者のうち、ほぼ三割弱、まだ三〇%に達してはおりませんが、三割弱を女性が占めるようになりましたので、こうした傾向が今後も続いていけばよいなと思っております。

 それから、もう一つ、TOEFLのことでございます。

 英語は、グローバル化時代を迎えて、当然のことでございます。英語が、単に技術的なものではなくて、英語を習得することによって世界の動きをまた知ることができますので、英語だけに偏ってはなりませんが、試験科目としてTOEFLが入ってくるのは、今後の採用についても、非常によい人材が得られるのではないかと思います。

 以上でございます。

大口委員 以上で終わります。

佐田委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 みんなの党の椎名毅でございます。

 私、幾つかお伺いさせていただければと思います。

 早速ですけれども、端的に、今、上林先生がお考えになっている公務員制度につきまして、どのような問題点、一番何が問題だと考えていて、そして、人事院の人事官として先生がどのように対策をとっていかれようとしているか、お聞かせください。

上林参考人 公務員の人事制度について何が問題かということでございますが、公務員というのは、公正性、中立性を守るために、非常に身分が保障されておりました。そのマイナス面といえば、硬直化したとか、あるいは、働きに関係なく賃金が決まるとか昇進が決まるとかというマイナスがございます。

 ですから、現在の方向は、これを少し柔軟化し、成果、働いた形を賃金や昇進に反映させていこうというのが現在の国家公務員制度の改革の一つの方向でございます。

 よろしいでしょうか。

椎名委員 私が伺いたかったのは、先生自身が一番の課題だと思っていることなんです。

上林参考人 私は、一番の課題と申しますのは、どれだけ国家公務員に有為な人材、若い人をリクルートすることができるか、これに尽きるのではないかと思っております。

 先ほども申し上げましたように、どちらかといえば、国家公務員に対する国民の目が厳しく、しかも労働条件が相対的に下がっている中で、公務員の使命を自覚した若い人をどうやって採用し育成していくか、若い人に期待したい分だけ、この部分が私個人としては重要だと思っております。

 以上です。

椎名委員 先生が今おっしゃられた課題について、先生は、人事官としてどのようなことを提案していかれたいと思っていらっしゃるでしょうか。

上林参考人 賃金については人事院勧告で決められておりますので、国家公務員としての魅力を高めるためには、もう一つ、研修制度、あるいは能力を高める機会、例えば、海外へ行ったり、短期間勉強したり、あるいは発展途上国へ派遣されたりという、仕事以外でも得られる経験をふやすことによって公務員としての魅力を高めていきたいと思っております。

椎名委員 そうしたら、民間からの中途採用、それから官民の人事交流、それから任期つき公務員の数をふやすこと、そういった形のことは、どのように考えていらっしゃるでしょうか。

上林参考人 国家公務員の仕事がどちらかというと硬直化しているということを申し上げましたので、民間との人材交流、あるいは中途採用、そういった人事制度に柔軟性を与えるような施策については、積極的に進めていくべきものと考えております。

椎名委員 定年間際の公務員の現役出向について、我々みんなの党としては、天下りの潜脱につながるだろうということで、規制すべきという話をよく申し上げているわけですけれども、こういった定年間際の公務員の現役出向について、どのようにお考えでしょうか。

上林参考人 公務員の天下りについては、かねてから問題になっておりまして、国家公務員法の中に「退職管理」という一項目がございます。普通、民間ですと、退職管理というのは、もうやめていく人ですから、重要ではないんですが、国家公務員に関しましては、退職管理、再就職あっせんについて非常に厳しく問うように人事制度を変えてまいりました。そして、この方向は、今後も必要だと思います。

 以上です。

椎名委員 さきの江利川総裁のときに、人事院勧告と政府の公務員の給与の削減の方針が矛盾して、対立したことがあったかと思いますけれども、こういうような場合が今後発生する可能性もあるかと思いますが、そういったときに先生はどのような御対応をされるイメージを持っていらっしゃるでしょうか。

上林参考人 人事院では、人事院勧告を発するために総力を挙げて努力してまいりますので、できますならば勧告を尊重していただきたいというのが、基本的な姿勢でございます。

 ただ、先ほども申し上げましたように、人事官は国会の意見を聞いて判断するというのでありますから、人事院勧告だから全て一〇〇%通るというふうに申し上げているわけではございません。

 以上です。

椎名委員 この政府の公務員の給与削減の方針について、違憲だというふうに論陣を張られるみたいなこともあったやに仄聞しておりますけれども、そういったことについてどのようにお考えでしょうか。

上林参考人 私は法律家ではないので、どこまでが憲法の範囲かとかいうことはわかりませんが、憲法で全て物事が決まるわけではなく、解釈の余地もあると思いますので、ちょっと申しわけございませんが、私がこの候補者になる前のことについては、そういう一般論でしかお答えできないです。

椎名委員 恐らく、ILOの勧告によって、日本の公務員の労働基本権が制約されているということについては、問題視されている部分もあるかと思います。そういったところについて、我々の日本国については、人事院勧告という制度が代償措置として存在しているからこそ憲法上問題とならないという立場を多分とっているんだと思います。

 そういう意味でいうと、この人事院勧告というものの存在は結構重要なんだというのは、御認識いただいた方がよろしいのかなというふうに思います。

 最後ですけれども、今、人事院におきまして、各省庁からどのぐらいの出向者がいるか御存じでしょうか。そして、各省庁と独立した立場にあるべき人事院において、他の省庁からの出向者がいるとするならば、それについて、どのようにお考えでしょうか。

上林参考人 まだ人事官に就任しておりませんので具体的な数字や話はわかりませんが、人事院に各省から入ってくる、そのときの人事院の特殊性を先生はおっしゃっていらっしゃるのですか。

 先ほど、省庁間の交流については、お互いに仕事の幅を広げるという意味で大いに進めた方がいいけれども、人事院に関しては、第三者機関なので、他の省庁からは余りその交流がない方がいいというお考えでしょうか。

 済みません、質問して申しわけございませんが。

佐田委員長 参考人、彼の言っているのは、要するに、人事院の独立性について、御本人がいかが考えているかということなんですね。

上林参考人 はい。

 やはり人事院の独立性は大事ですが、私が伺ったところでは、他の省庁から受け入れなければならないような職務が幾つかある。例えば、試験の専門官、それから人事給与システムのためのIT室、こういった職務に関しては、ユーザーである各省庁の仕事はわかりませんので、受け入れるのは理にかなっているのではないかと思います。これは、必ずしも第三者機関としての独立性を侵すものではないと考えております。

 以上です。

椎名委員 ちなみに、私の調べたところによりますと、人事院の事務方の方々、六百三十九人中七十八名が各府省からの人事院への出向者ということです。

 私自身は、利便性を重視して人事院の独立性に反しないと考えるのは、基本的には本末転倒じゃないかなというふうに感じるところでございます。

 以上でございます。

佐田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 人事院の位置づけについて、最初に、認識をお聞きしたいと思います。

 人事院の最も重要な役割は、公務員の労働基本権制約の代償機能としての役割であります。

 憲法二十八条が保障する労働基本権、すなわち、団結権、団体交渉権、争議権は、本来、公務員にも保障されるべきであります。ところが、現在の国家公務員法は、公務員の地位の特殊性を理由に、公務員の労働基本権を制約している。そのことから、人事院が代償機能を求められているわけです。

 人事院は、政府から独立して、中立の立場で、国家公務員の身分、任免、服務、さらに、賃金や労働時間など労働条件を定める役割を担っているわけですね。同時に、人事院は、中央人事についての準司法的権限もあわせ持ち、公務員の中立、公正、公平を確保する役割を担っているわけです。

 したがって、三人の人事官というのは、こうした任務の重要性を自覚して、政府から独立し、中立の立場で職務を遂行する、こういうものでなければならないと思いますが、まず、その認識を伺いたいと思います。

上林参考人 人事院は政府から独立した機関として、そもそも、人事官も独立したものとして存在しております。

 そして、仕事としては、国家公務員法のもとに置かれた国家公務員の職員の方々の政治的な中立性、そして人事の透明性を担う役割を持っていると認識しております。

佐々木(憲)委員 これまで、経緯を見ますと、公務員の定員一律削減ですとか、総人件費削減政策とか、あるいは公務員給与の引き下げということが、政府の側からの意向によって行われてきたことがたびたびあります。

 中立公平な機関であるはずの人事院がその役割を果たせない状況が続いていると思うんですけれども、これは、どのように評価されていますか。

上林参考人 人事院の立場といたしましては、公務員の給与は、民間準拠で、人事院勧告で決まるものと考えております。

 したがって、民間全体の給与が下がっているときに、私たちの公平なあるいは公平を確保しようとずっと努めております賃金の調査で低く出た場合には、勧告が低いものになるのもいたし方がないかなというのが私の認識でございます。

佐々木(憲)委員 私は、中立、独立の独自の判断というものが必要であって、政府が何かをやったり、そういうことによって左右されるべきではないというふうに考えておりますので、そのことを申し上げておきたいと思います。

 次に、公務員制度改革で一番大事なのは、労働基本権の回復問題でございます。

 ILOは、日本が進めている公務員制度改革にかかわって、監獄職員の団結権、一般の公務員についての争議権、労働協約締結権を保障するなど、国際労働基準に従った改革を進めることを求める勧告を、これまで繰り返し行っております。

 これをどのように受けとめていますか。

上林参考人 基本的に、ILOの勧告については、その昔の八十七号条約から、日本政府はそれに従うようにしてまいりました。

 今回の公務員制度改革におきまして、ILOの定義している公務員が、日本の私たちの使っている国家公務員法の公務員とは必ずしも一致しないというふうに認識しております。したがいまして、ILOの勧告については、ILO自体は、私、尊敬している機関でございますが、その公務員の定義について、きちっと分けて考えなければいけないのではないかと思っております。

 以上です。

佐々木(憲)委員 最後に、天下りの問題についてお聞きしたいと思います。

 天下りは、民間企業との癒着を生み出すということで、これまでもかなり批判が強かったわけですが、どのようにお考えでしょうか。

上林参考人 天下りは、やはり、在職中において、その権限をもって関連企業に行くわけですから、望ましいどころではなく、禁止されるべきでございます。そして、現に、退職管理という形で、在職中の職務に関連したところへは天下ってはいけないというふうに規定しておりますので、こうした規定が今後ともきちっと守られるように努めてまいりたいと思います。

佐々木(憲)委員 終わります。

佐田委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 上林候補にお伺いさせていただきます。

 今まで、独立性という問題がございましたけれども、同様でございますが、前政権下での震災復興の原資とするということもあって、国家公務員について、二年間、平均七・八%の削減を決定しております。

 公務員給与は、民間給与の調査に基づく人事院勧告においてその水準が定められるという大原則ですが、昨今、政治的状況によってこれも影響を受けているということで、人事院の果たすべき役割と国会主導での給与削減の動きに対してどのような考えをお持ちなのか、簡潔にお聞かせください。

上林参考人 私が記録を拝見いたしましたところ、その削減について、前総裁が反対意見を申し出たそうでございます。それは、人事院としては当然のことでございまして、人事院勧告が守られるという立場で出しておりますので、そこで削減されるということは、私たちとしては不本意でございました。

 しかしながら、千年に一度というような未曽有の震災でございまして、国難に対処するということが必要であったので、国会においてその特例法が通りましたから、私たちは、二年間に限った臨時特例として判断されたと承知しております。

小宮山委員 承知しているのではなく、これから、採用された場合ですけれども、どう御自身が考えるかを伺いたかったんです。ちょっとそのあたりは、まだお考えではないのか、それとも前の役職で物をおっしゃったのかなという感じもいたします。

 さて、そうなってきますと、当然、民間の給与に基づいて人事院勧告はしていくわけですけれども、二%のインフレ目標を掲げる中で、給料の削減と、民間に対しては給料の増額を言っている。これから上がっていくことを前提としていく、そういう意味では時間的なギャップ等も出てくるかと思います。

 そういった現状をどういうふうに捉えているのか、お聞かせください。

上林参考人 人事院の給与勧告は、あくまでも、主体ではなく、民間準拠でございますから、もしも民間の賃金が上がれば、私どもは、それに応じて、調査結果に基づいて賃金を増額する勧告を出せるかと思います。

小宮山委員 民間準拠ということであれば、民間の方は、本当に、つらいときにも頭を下げたり、さまざまなことで努力をされて稼ぎ出している給料だと思います。

 それに準拠されるということであれば、例えば、人事院、当然、ほかの公務員たちにも勧告を出す側としては、御自身が今後任命されましたら受け取る二千九十九万という年額、これにふさわしい働きというのはどういうふうにお考えなのか、お聞かせいただけますか。

上林参考人 正直にお答えいたしまして、候補者に指名されたときにその額を聞かされまして、非常に驚きました。驚いた理由は、その額が多い。その額に見合うだけ職務が重いのだということで、非常に責任を感じた次第でございます。

 では、私がその額を決めるかというと、そういうものではありませんが、ただ、私は、それで非常に、何か、任務の重さというか大変さを感じさせられました。

 以上です。

小宮山委員 大変驚かれたということで、素直な、率直な感想をありがとうございます。ぜひ、この点に関しては、人事院も当然、皆さん、税金から払われるということにおいては、これに対しても意見が言えるような人事官であっていただきたいというふうに思う点が一つ。

 また、人事院のホームページを拝見いたしますと、ほかのところにもありますが、報道資料という中で、別組織ではありますが、国家公務員倫理審査会、これの、指定職以上の職員に係る贈与等報告書というものが、規定等が載せてあります。

 これによりますと、各省庁さまざまな報告が、例えば、飲食の提供、金銭、物品等の供与関係、報酬等、こんなものが全部、ちゃんと報告が、規定にのっとって挙げられております。

 こうやって見ますと、贈与等報告書を提出した指定職以上の職員は六百四十六名、中には百万円を超えるものが十件あるということもございます。

 やはり、こういった稼げる公務員と稼げない公務員も中には出てくるかと思います。こういった格差というんでしょうか、そういったものに対して、人事官になられましたらどういうふうに対応していくか、そんなお考えがあるか、お聞かせください。

佐田委員長 時間になっていますので、簡略にお願いします。

上林参考人 まだその職務についておりませんので具体的な話はわかりませんが、ただ、公務員の信頼を確保するためには、倫理の点について、透明性を持ち、きちっと公開していくことが、今後、公務員全体にとって必要なことと思います。

小宮山委員 以上で終わります。

 ありがとうございます。

佐田委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 上林候補者、本日は所信を聞かせていただきまして、ありがとうございました。

 お話の途中で、女性の登用、女性の採用をどんどん進めていこうというお話がございましたけれども、私も公務員で働いておりましたけれども、役所によってそれはまちまちでございますし、まだまだ女性が働きやすい職場にはなっていないのかなという思いもございます。

 具体的に、もし人事官になられたとして、この女性の登用や採用というものを人事官というお立場でどのようなやり方で進めていかれるのか、もし、具体的なアイデア、お知恵があれば、聞かせていただきたいと思います。

上林参考人 女性の登用は、採用は男女とも割合に差がないんですけれども、その後、出産し育児をしていく過程で、なかなか女性のキャリアを続けていくことが困難になります。

 幾つかの案を重ねていかなければいけませんが、一つは、例えば、転勤をしなければキャリアが終わってしまうような硬直的なものではなく、ある一定の年齢になったらもう一度そうしたキャリアコースに戻れるような、非常に柔軟なキャリアコース、いわゆるキャリアコースの多様化というのも一つの方法ではないかと思います。

 短期的には、例えば、育児休業をとりやすくするなどの方法もありますが、長期的なキャリアを考えた場合には、キャリアの複線化、あるいは、一定の時期には転勤範囲を狭めるといったようなものが実効性があるかなと思います。

 以上です。

佐田委員長 他に御質疑のある方はいらっしゃいますか。

 それでは、これにて上林参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 それでは、上林参考人、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより武田参考人の所信に対する質疑を行います。

 質疑は、まず、各会派を代表する委員が順次三分以内で質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 それでは、越智隆雄君。

越智委員 自由民主党の越智隆雄でございます。

 武田候補者におかれましては、本日はありがとうございます。先ほど所信を伺わせていただきましたので、それに関連して何点かお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、一点目ですけれども、御経歴を拝見しておりますと、大学を出られて、そのまま助手として残られて、一時期、弁護士事務所に勤められた後、その後は、一貫して大学でお仕事をされてきたということでございます。

 会計検査院も三人の検査官がいるわけでありまして、その中で、残りのお二人は、先日、三月の初めに就任された河戸検査官は検査院の出身で、もう一人、森田検査官が公認会計士ということで、武田候補者は、山浦検査官の後継ということで、研究者としての役割を期待されているんじゃないかというふうに思いますが、今までの御経歴をこれからどうやって生かされていくのか。

 先ほど、所信の中でも、債権法、担保法、この辺が御自身の専門だという話でございましたけれども、これをどうやって生かしていくのか、まずお伺いしたいというふうに思います。

 二点目でございますが、二点目は、会計検査というのは、これからますます複雑化していく世の中の中で、人材も、優秀な人材が必要になってくるんだというふうに思います。

 御経歴を見ておりますと、武田候補者におかれては、大学で研究や教鞭をとられるだけでなくて、経営にも携わられたということでございまして、そういう意味では教育のエキスパートだというふうに思いますが、検査院の中における今後の人材の育成について、お考えがあれば、御披瀝をいただきたいというふうに思います。

 三つ目は、河戸検査官の所信聴取というのが二月にあったんですけれども、そのときに特に議論が多かったのが、有効性の観点からの検査に力を入れるべきだというお話であったんですが、その後、大変気になるニュースがありまして、三月の頭なんですけれども、政府の決算書の関係資料に誤記があったということでございまして、正確性自体がままならないという事態が散見されるということであります。

 具体的には、昨年十一月に国会に提出された二〇一一年度の決算書に添付された国の債務に関する計算書、これに多く間違いがあった。このことは、二〇一一年度だけじゃなくて、二〇〇九年度も二〇一〇年度にも同様の間違いがあって、それが頻発しているということでございますが、決算の厳正な審査を旨とする検査院として、今後どのような対策が必要だと考えられているのか、これは基本的なところでございますので、お考えがあれば、聞かせていただきたいというふうに思います。

 以上、三点でございます。

武田参考人 御質問、ありがとうございました。

 三点、御質問を受けました。

 まず、一点目でございますけれども、私の今までの経歴を検査官としてどのように生かすかという御質問でございます。

 私は、先生がおっしゃいましたように、かつ、所信でも申し上げましたように、民法、特に担保と債権を研究してまいりまして、国の審議会等に携わる機会でいろいろ痛感をいたしましたのは、官がマーケットに出ていって、まさに、契約という、対等な関係で契約を結ぶという事態というのが、あるところから非常にふえてきたのではないかというふうに思っております。

 見ておりますと、やはり、そういう契約を、交渉して契約条項をつくるということについて、なかなかまだ官の方でなれないというところがあって、そのために、無駄な出費とか、向こうにつけ込まれてしまって、何か不正な請求があった場合なんかでも、向こうが、こんなことをしたら絶対損だというふうな契約条項のつくり方等々もあると思いますので、具体的には、そういうところでお役に立てるのではないかと思います。

 それから、もう一点でございますけれども、法律学というのは、なぜということ、例えば、この制度はなぜこの制度になっているのかとかということを問う学問でございまして、かつ、今ある制度でも、それは複数の制度が絡まって制度ができているということで、何か、より根源的に、できるかどうかはわかりませんが、今はまだ外におりますので、若干大言壮語かもしれませんけれども、そういう問題の分析ということについては、新たな視点というものが、私がもしも任ぜられました場合には、加わるのではないかというふうに考えております。

 それから、人材確保、育成でございますけれども、やはり、育成ということについては、国の予算も大変厳しゅうございますけれども、専門的な知識をよりつけるために、有能な職員は、例えば会計大学院とかいろいろなところに内地留学させるとか、それからあと、研修会という機会もたくさん持ちたいというふうに今の私個人としては思っております。

 それから、人材を確保するためには、まず最初に、よい人材、それから、たくさんの学生さんなりなんなりに手を挙げてもらうことが必要ですので、そのあたりも。これは、PR活動とか。しかし、たくさん手を挙げてもらうためには、一番大切なことは、会計検査院はしっかりやっている、国民の負託に応えている役所であるということです。ですから、仕事をまずしっかりやるということが人材の確保のかなめではないかと思います。

 それから、民間登用で、専門的な知識を持った人というのも登用することが必要かと存じます。

 それから、今先生がおっしゃいましたように、これから、有効性の観点というのを会計検査院としては重視していく。

 さはさりながら、非常に基本的な、正確性、合規性というところでミスを犯したということ。非常に、私はまだ外の者でございますけれども、やはり、基本のキというものはきちんとやっていかなければならないと思います。

 その点につきましては、まだ私は外におりますので、何でこういう誤記が起きたかというのはわかりませんが、中に入りましたら、まず、そういうミスが起きた原因究明というところから、検査官会議でお話をして、取り組みたいというふうに思っております。

越智委員 ありがとうございました。

 以上でございます。

佐田委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 きょうは、お疲れさまでございます。

 早速ではありますが、平成十五年より国としても財務書類を作成しているんですが、私ども民主党としては、これを法的に担保するために、公会計法案の提出を検討しております。国の財務情報を整備し、開示を進めていくことは、国民への説明責任の徹底や適正な予算執行にもつながると考えております。

 会計検査を担われることになるかもしれないお立場から、この会計制度改革に向けて、御所見をお尋ねします。

武田参考人 公会計法案については、私は会計は素人でございまして、かつ、どのように国の会計をするかというのは、これは立法政策の問題でございますので、私の立場から何かということではございませんけれども、やはり、今先生がおっしゃいましたように、国の財務状況が、より透明に、国民の皆様にわかりやすくなるようなことは望んでおります。

古本委員 今、会計について素人という話がありましたが、経歴を拝見いたしますと、私の秘書が若手弁護士の秘書なものですから、民法の世界では御著名だということだそうなんですけれども、検査院は国から独立した機関であって、天皇陛下の認証を受ける大変重たいポジションであって、素人と言われると、大丈夫かなと思うわけであります。

 そこで、少し国民目線でお尋ねしたいんですが、これで同意したら、月給百十万円で二千万を超える給与が、七年間身分保障されるわけですよ。違いますか。そうですよね。それを御存じですか。

武田参考人 私が今、腑に落ちない顔をいたしましたのは、私は、前の山浦検査官の残任期間ということでお話を受けておりますので、また再任されれば七年間ということになろうかと思いますが、今の時点では、二年ぐらいというふうに理解をしております。

古本委員 一回を限りとして再任ができるわけでありますので、そう遠慮なさらずに、しっかりとやっていただければいいと思うんですけれども。

 要は、能力、成果が発揮されたかどうか。会計検査院法の六条によれば、心身の故障あるいは業務上の規律違反などがない限りは退官はないわけでありますよ。ということは、また再任される可能性も高いということであって、素人だということは余りおっしゃらない方がいいんじゃないかなというのを少し感想として述べた上で、ちょっとお尋ねしたい。

 検査院は、最終的に意思決定を行うに当たり、検査官会議を行っています。この検査官会議が行われる頻度が、実は、直近のところをお調べしますと、端境期に当たる、検査が終わった十一月とか、あるいは年明けの一月、二月というのは、月に一回しか開かれていません。

 こういう大変暇なことが想定されるときに、先生は何をして過ごされますか。会計のお勉強をされますか。

武田参考人 それは、もちろんでございます。

 ただいま、素人と言ってしまい、正直なところを申し上げたわけですけれども、検査官に就任した暁には、素人であるというわけにはまいりませんので、それは、会計だけではなく、さまざまな国の事象について勉強をしてまいりたいと思います。

古本委員 終わります。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。

 早速質問をさせていただきます。

 ここに、平成二十三年度の決算検査報告書という、会計検査院、こんな分厚いものがあります。これの中身を見させていただいていますと、非常に中身が細かく、すばらしい成果だなというふうに思っております。

 ここに、もう一つ、その前の年、二十二年度の決算報告書がありますけれども、これも分厚いんですけれども、非常に多岐にわたって細かくやられています。

 これは、成果としてはすごくすばらしいものだというふうに私は思っているんですけれども、それにかかわるところで、職員千二百人から千三百人程度、今年度の予算が百六十億円程度というふうな形で、その成果がこれだというふうに私は考えております。

 ただ、一般的に考えると、一昨年、この分厚さ、次もさらに分厚くなっているというふうに考えると、普通の一般の会社で考えると、これが薄くなっていくのが一番望ましい形ではあると思うんですね。これが薄くならないというのは、一番大きな問題だと思っています。

 これは、会計検査院のせいだというのではなくて、今の霞が関、省庁の、ここで指摘を受けたものがしっかりと反映されていないから、また同じような指摘をしているということにつながっていると思うんですね。

 これは、先生のお立場、今の候補者としてのお立場ではなかなかどうこうというふうな話にはならないのかもしれないですけれども、今まで研究者というふうな形で見られていた中で、これについてどういうふうに思われるかというところをお聞きしたいと思います。

武田参考人 先生の御質問は、なぜ薄くならないのかということを御質問かと思います。

 検査をして報告をいたします。何で検査をして報告をするかというのは、検査が自己目的ではございませんで、まさにPDCAサイクルを回すため。

 ですから、会計検査院は、確かに、C、チェックをいたしますけれども、その後、それを受けて各役所がアクションを起こす、それから先生方も、この検査報告を受けて、ちょっと僣越な言い方で失礼でございますけれども、今まで以上に政策に反映していただきたいなというふうに今私は思っております。

 それから、もう一点は、若干、薄くならないということと関係しているのかどうかちょっとわからないんですけれども、やはり、これだけ大部なものを、ある種、もっとコンパクトにして、ホームページ等で国民の皆様にもっと発信をして、国民の皆さんから先生方に、こうしてほしいというような、そういう意見が出るようにというのも大切なのかなというふうに考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 私が思っているのは、一般企業であれば、懲罰であったりとか、降格、それから減給みたいなものがあるかと思うんですね。ただ、今の省庁は、そういう評価制度にこれが反映されていないからだというふうに思っております。

 一般企業並みにというふうにはならないかと思うんですけれども、そういうことを、先生が御指摘いただいたように、私どもも頑張っていかなきゃいけないとは思っているんですけれども、その辺、今のお立場として、今まだ候補者という立場で、今までの立場として、それが正しいと思われるのか、ちゃんとした評価制度に組み入れられていくべきなんじゃないかと思われているかどうかというところをお聞きしたいので、お願いします。

武田参考人 先生の御質問というのは、評価制度というのは、そういうことをしてしまった公務員に対する評価制度ということというふうに理解してお答えいたしますけれども、公務員の評価制度というのは、これは会計検査院の所管ではございませんので私としては何とも申し上げられませんけれども、やはり、公務員が一人一人高い倫理観を持って行うということが大切ではないかと思います。

 それで、評価制度については、関係のところ、それから、国会の先生方に頑張っていただきたいというふうに思います。

木下委員 ありがとうございます。

 以上です。

佐田委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 武田候補者におかれましては、所信を本日は聞かせていただきまして、ありがとうございます。

 早速質問させていただきたいんですけれども、一点目は、会計検査のあり方でございます。

 私も公務員として十年間働いておりまして、会計検査も受けたことがございますけれども、非常に正確性の検査が大事でございます。書類を準備する側もチェックする側も、大変に手間のかかる検査ではございます。

 ただ、他方で、この限られた人員で、国民の思いとしては、できるだけ多くの無駄を会計検査院にはしっかりと指摘をしていってほしい、こういう思いを皆さんお持ちのことかと思います。

 そういう意味では、最近は、指摘の金額や件数も増加しておりますし、また、有効性の検査というものもされておりますけれども、こうした点も踏まえて、今、会計検査院の行っている会計検査の抱えている課題や、また、これから進んでいくべき方向性、もし御意見がございましたら、聞かせていただければと思います。

武田参考人 先ほど越智先生の御質問にもありましたように、有効性というのは、内閣から独立した第三者として審査をするというのが非常に大切かと思います。

 それに対して、合規性、正確性というのは、ある意味では、各役所なりなんなりが自分でできていないからなんですけれども、内部統制の問題として、まず、各役所がきちんとやってもらうような体制に何とか持っていけないかなと思います。

 では、どういう工夫があるかというのは、私もまだ外部の人間でございますので何とも言えませんけれども、そういう、すみ分けと言ったら変ですけれども、より有効性というところ、第三者がやってより効果が出るというところにシフトをしなければならないと思います。

 さはさりながら、やはり、正確性とか合規性というのも、会計検査院は、ある種の牽制効果ということで、しっかりやっていかなければならないと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 その上で、例えば政策の有効性の検査、こういうものにもっと踏み込んでいくとしまして、政策の中身に踏み込んでいくというのは、大変に難しい課題になってくるかと思います。

 武田候補者はさまざまな御経歴をお持ちでございますけれども、実際は、会計検査の職員が多数おりまして、この職員の方たちが検査をしていくということでございますけれども、これから会計検査院の職員にどのような資質を望んでいくのか、また、例えば、どういう研修などで、どういう知見や技能などを備えていっていただきたいのか、御意見があれば、いただければと思います。

武田参考人 具体的な能力と言われますと、即座にはお答えできないです。

 しかし、先生がおっしゃいましたように、各政策に踏み込むためには、国はもうさまざまなことをやっておりますので、やはり、多様な人材、それから多面的な能力というものを涵養しなければならないのではないかというふうに考えております。

 それから、もう一点でございますけれども、政策に踏み込む、まあ、どこまで踏み込むかは、ちょっと私も中の人間ではないのでわかりませんけれども、現場の職員の士気が高まるように、検査官といたしましては、現場の声にも真剣に耳を傾けて、モチベーションを上げるように何とか頑張りたいと思います。

中野委員 三点目、これで最後でございます。

 先ほどもちょっと御質問に出ましたが、公会計制度、素人だという御発言もありましたけれども、私も、企業会計に準じた会計制度があった方が、さまざまな意味でわかりやすくなるんじゃないかと。例えば、将来どういう債務が発生をするか、だから今積み立てているこの金は、必要だ、必要じゃないとか、いろいろなことがわかってくるとは思うんです。

 こうした公会計制度が、もし仮に見直されて企業会計に準じたような制度になって費用が見える化した場合に、どのような点がわかりやすくなるか、どのような無駄が指摘しやすくなるか、そのメリットについて、もしお考えがあれば、御意見をいただければと思います。

武田参考人 公会計制度がそういう企業会計に準じたものになりますと、例えば、ストックが見える化するのではないかというふうに考えております。ここまでは割と自信を持って言えるんですけれども、あと、多分、コストというものがもっと見える化するのではないかと思います。

 それで、逆に、公会計制度を新しく何のためにするかということをきちんと議論する、公会計制度をどうするかというふうなことが大切なのではないかと思います。

 ただ、どのような制度をお入れになるかというのは、これは立法政策の問題でございますので、国会の方でそういうふうにお決めになれば、もちろん検査院としては、それにちゃんと適応できるように体制を整備していきたいと思っております。

中野委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 本日は、どうもありがとうございます。先生の御高名はよく存じております。私も法律家でございます。証券化等をやっておりましたので、本当に御高名はよく知っております。

 法律家が割り算と数字に弱いというのはよくある話だと思いますけれども、世界的な潮流として、会計検査院みたいなこういう最高会計検査の制度について、スリーEと言われる、経済性、効率性、そして有効性、この三つの検査の観点が重要視されているというのが、多分今の現状なんじゃないかなというふうに思っています。

 私自身が割り算と数字に弱いと言っているだけなんですけれども、先生は、国交省の独法評価委員会とか、それから、多分、事業仕分けとか、いろいろなことをやっていらっしゃると思うんです。先生がそういった経験をやられてきたことを踏まえて、どういった形で生かしていけるか、伺えればと思います。

武田参考人 私も、事業仕分けにかかわったり、独法の評価委員をしておりますけれども、そういう経験を踏ませていただいてまず思うのは、やはり、何でそういうことになったかという原因を究明するということが大切。

 だから、そういう発想で、例えば、下から上がってきた検査結果を見るということは非常に重要ではないかというように、数字が自己目的ではない、数字の奥に、その数字が何を意味しているのかというところを究明するというのが大切かと思います。

 それから、もう一つは、先ほど申し上げたことと重なるかもしれませんけれども、やはりPDCAサイクルを回す。これは各役所の権限等々がございますので会計検査院だけでどうこうできるわけではございませんけれども、少しでもアクションというものをたくさん起こせるように、例えば、フォローアップをきちんとするとか、それから、そのフォローアップの状況を国民の皆様にきちんと情報を発信するとかいうことが大切ではないかと、ちょっとまだ個人的な意見でございますけれども、考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 もし就任されますと、恐らく、本年の九月前後ぐらいから、平成二十五年次の会計検査の基本方針をつくることになっていくんだと思いますけれども、限られたマンパワーと予算の中で、どこかに重点を置いていかなきゃいけないと思いますが、どういったところに先生としては重点を置いていきたいというふうに考えていらっしゃるでしょうか。

武田参考人 先生の御質問は、さっきのスリーE云々ということではなく、分野ということで、これも、どこに力点を置くかというのは、検査官会議という合議で決めることでございますので、今申し上げられるのは、私の個人的な見解でございますけれども、IT化というのは、いろいろな意味でメリットがございますので進めなければなりませんけれども、やはり、民間企業と比べまして、国がシステム化とかをするとき非常に無駄が多いように感じておりますので、そこに力を、個人的には非常にこれから大事なのではないかというふうに感じております。

 それから、震災復興、多額の予算が入れられておりますけれども、やはり、被災者の皆さんのために使えるように、特に、それで変な利益をむさぼるというようなことも新聞報道などで拝見しておりますので、そういうことに対しては厳正に対処することが必要ではないかというふうに今考えております。

椎名委員 ぜひお願いできればというふうに思います。

 あと、今般の補正予算において、官民ファンドというものに多額の予算がつけられております。産業革新機構みたいなものだというふうに思っておりますけれども、こういった官民ファンドというのは、潰れかけのゾンビ企業の延命のためにお金を使われるということが、よくある話でございます。

 典型的に、産業革新機構は、ルネサスという会社に多額のお金を投入したわけでございます。これは本当に、ゾンビ企業を救うために使われたとしか思えません。

 検査対象を広げて、こういったところも見ていくという御意思はございますでしょうか。

武田参考人 ちょっと、それに関しましては、権限等、そもそもの法律のたてつけとして広げられるのかどうかというのが、まことに申しわけないんですけれども、私、わかりません。

 もしも今のたてつけの権限の中にあるといたしますと、個人的には、やはり、せっかく多額のお金ですから、より有効に使うようにということで見ていければというふうに思っておりますが、これも中に入って勉強させていただきたいということで、ちょっと今はそれだけのお答えで御勘弁いただきたいと思います。

椎名委員 みんなの党は、会計検査院に強制調査権や強制執行権を認めるなどして、より強力な検査権限を認めていき、それで検査を充実させていきたいというようなことを考えておりますけれども、何か御意見、御見解等あれば、教えてください。

武田参考人 それに関しましては、立法政策の問題でございますから、国会がどのようにお決めになるかということで、私が何か言えることではないと存じます。

 ただ、もしもそういう権限が付与された場合には、当然、より検査の実効性を確保するために、体制を整備して、努めていきたいというふうに考えております。

椎名委員 あと、各省庁それから独法の会計原則、基準などを定めていくという形で、各省庁の内部統制、内部監査を充実させるために会計検査院がリーダーシップを発揮していくべきではないかと私は個人的に思っているんですけれども、会計検査院としてそういったことをやっていけるかどうかも含めて、御見解を伺えればと思います。

武田参考人 今の先生の御意見、私も同感でございます。

 ただ、私もまだ外の人間でございますので、中に入って、役所のそれぞれの権限というものがございますので、それは法律で決まっておりますので、どこまでできるのかはちょっと今申し上げられませんけれども、ただ、例えば、研修会とかいうようなことで、それぞれの役所の意識を高めるということは考えてもいいのではないかと思います。

 これは、マンパワーをどういうふうに割くかという問題でもございますので、もしも任命された場合には、検査官会議で他の検査官の皆様とお話し合いをして決めることになろうかと思います。

椎名委員 どうもありがとうございました。

佐田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 まず、会計検査院の役割についてでありますが、憲法第九十条と会計検査院法でも明らかなように、会計検査院というのは、何よりも内閣からの独立性を保持し、国の決算を初め全ての行政機関に対してタブーなく検査のメスを入れる権限があります。

 国民は行政に対する厳しいチェックを求めていると思うんですが、この役割についてどういう認識をお持ちか、お考えをお聞かせください。

武田参考人 今先生がおっしゃいましたように、会計検査院が内閣から独立した組織であるというのは、まさに、他のところに遠慮をせずに検査を切り込んでいける、そういう役割を期待されてのことだと思います。

 まさに、そういう独立した立場ですから、会計検査院に対する国民の期待というのも、年を追って大きくなっているというふうに理解をしております。

佐々木(憲)委員 会計検査院の権限について、先ほども議論がありましたが、会計検査院法によりますと、「検査を受けるものに帳簿、書類その他の資料若しくは報告の提出を求め、又は関係者に質問し若しくは出頭を求めることができる」、「求めを受けたものは、これに応じなければならない」と、大変大きな権限があります。また、「会計検査院は、検査の結果国の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならない」と規定しているわけですね。大変大きな権限を持っているわけです。

 この権限が存在するにもかかわらず、これまで、官製談合ですとか、天下りで企業との癒着の問題とか、いろいろ指摘がありました。しかし、会計検査院として摘発したものはなかったんですね、今まで。それから、ダムや港など大型公共事業の無駄の究明もほとんどなかったんじゃないか、かなり細かいことはありましたけれども。

 それは一体どこに問題があると考えておられるか、お聞かせください。

武田参考人 今、どこに問題があるかという先生の御質問でございますけれども、私自身まだ外におりますものですから、何とも的確なお答えができないんですけれども、やはり、従来の会計検査院というのは、正確性、合規性、これはもちろん基本のキでございますけれども、そちらに重点というか、そちらに主にフォーカスを当てた検査をしていたということで、そんなに昔のことではなく、検査というものの観点というのが三Eということで入ったということでございますので、今はその意味では過渡期ではないかと思います。

 それから、あと、人員的にも、どういうふうに資源を配分するかということも多分まだまだ確立はされていないと思いますので、私はまだ外の人間でございますけれども、行政とかいろいろ、国は遅いとか言われますけれども、あとしばらく見守っていただければと。

 何か私が言うのも僣越ですけれども、よろしくお願いいたします。

佐々木(憲)委員 最後に、公会計の問題について、先ほどから議論がありますが、私は、公会計と言われているものは、企業会計方式を国家運営、財政運営に適用するというような内容があると思っておりまして、そうすると、企業というものと国や自治体とは、違うと思うんですね。

 企業は、利益を追求する組織であります。国や自治体の場合は、国民の福祉の増進というものが基本だと思うんですね。これは本質に違いがあるわけでありますが、その違いをどういうふうに認識されているかが一つ。

 それから、財政の健全化とよく言われますけれども、例えば医療、福祉、こういう公的なサービスの場合は、よく受益と負担の問題が、このバランスが言われるんですが、私は、それだけではかることはできないと思うんです、これは、健全化が必要だから福祉や医療はもっと抑える、切り捨てるというような話になっていきますので。

 そうではなくて、やはり逆の発想が必要だ。つまり、主権者である国民の利益をまず優先させるという運営が基本であるというふうに思います。

 その点、どのようにお考えでしょう。

佐田委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

武田参考人 はい。

 二点、御質問を受けました。

 まず、公会計につきましては、先生がおっしゃるとおりでございまして、私もこれから勉強いたしますが、やはり、何のために公会計制度をつくるかというその目的に沿ってつくっていただければというふうに思います。

 それから、二点目でございますけれども、まさに官の役割というのは国民の福祉の向上で、だから、そのためにこそ、福祉の向上により予算を振り向けられるように、会計検査院は無駄の撲滅に努めているのだというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 終わります。

佐田委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 武田候補、よろしくお願いいたします。

 近年、特別会計の廃止、整理統合の方針、方向がございます。本来本会計に入れればいいものが特別会計に行っていたり、また、これが、わかりづらい、不透明であるということもよく言われますし、また、逆に、震災対応であって、今回の本予算もそうですが、年度を越えて基金を立てるということが多々ございます。

 柔軟に対応ができるという意味においては、複数年度にわたっての事業に対応しやすいとか、さまざまな理由で利点もあるというのはわかるんですが、なかなか、お金の使い方がわかりづらくなる、そこが見づらくなってしまっているのも事実だと思います。

 政府関係法人や事業の独立行政法人化、これによっても透明化というものは離れていってしまっているというのは、年金の機構のときに痛感をしたところでもございます。

 特別会計、また基金の増加とか、また独立行政法人になるということによって、これらのお金の流れに関して、今後、どのように捉え、調査していかれるのか、お聞かせいただければと思います。

武田参考人 現在、外からだけでございますけれども、特別会計というのはお金の流れがよくわからないというのは伺っておりますので、やはり、この点についても、私、今、個人的な見解でございますけれども、きちんと切り込んでいかなければならないと思います。

 それから、それに関連いたしまして、随分とストックが積み上がっているところも、そもそもストックがどれだけあるかももしかしたら明らかになっていないというような現状ではないかと思いますので、そのあたりもこれから勉強していかなければなりませんけれども、今の私の個人的見解といたしましては、やはり、こういうところにもきちんとメスを入れていかなければならないというふうに考えております。

小宮山委員 ぜひ、検査官であるならば、勉強ではなく、検査をしていただきたいと思います。

 ちょっと別ですけれども、経歴の中に、法律事務所でリサーチャーという経歴があります。

 リサーチャーというのは、どんなことをされていたんですか。

武田参考人 下世話な言葉で申しますと、弁護士の先生の下働きでございまして、いろいろな法律問題について調査をしておりました。

小宮山委員 下働きと言いますけれども、そういった下準備というものは、どの業界でも、また、当然、こういった会計の、決算の調査、検査という意味では重要だと思いますので、その経験は生かしていただければと思います。

 言い方は、下世話な言い方と言われるかもしれませんけれども、会計検査院は、自分たちの事業規模、予算規模以上の調査はしないと言われたころもございます。そこのあたりに関しては、国交省の独立行政法人評価委員会委員もされていらっしゃいますけれども、いつも聞くんですが、人事院国家公務員倫理審査会の指定職以上の職員に係る贈与等報告書を調べますと、国交省は、飲食の提供だったりとか、相当数いただいていらっしゃいます。その中では、結構、主催者は、国交省の場合は財団、社団法人等が多いという報告もいただいております。

 私自身も予備的調査などでこういう独法のことに関しては随分調べたんですけれども、評価委員会の方でこういったものに対しての問題点というのは携わらなかったんでしょうか。

武田参考人 これは、評価委員会としては、そういう問題には携わっていない。そもそも、評価をするための資料には出てこなかった。それを見逃したというか、そこに思いが至らなかった評価委員。今、先生から伺って、ああ、うかつだったなというふうに思っております。

小宮山委員 何と言っていいんだかわからないようなお答えで、素直に心情と評価委員会の実態を今お聞かせいただいたんだと思います。

 これから、この分野に関しては、さらに調査研究をしっかりしていきたいと思います。

 以上です。

佐田委員長 これにて各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 質疑される方は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。

 また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただき、一人一問一分以内としていただきますようお願いいたします。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

石関委員 日本維新の会の石関貴史です。

 我々がいただいている任命理由には、何々委員等を歴任しており、国民の視点に立った行政運営にも精通している、これは二番目の理由で挙がっています。三番目の理由には、検査官会議における幅広い視点に立った的確な意思決定を確保するため、民事法学全般を熟知し、現実の経済活動、取引を支える基本的な分野である債権法、担保法の研究を通じて培われた高い識見を有している同氏ということが理由になっています。

 先ほどありましたが、報酬についても、額がこれだけのものということがありますし、何より、天皇の認証になる人事官というものであります。

 こういう理由を我々は与えられているんですが、今のお話を伺っていると、外の人間だから、中に入ってから勉強します、わからないということを連発されておりました。謙虚ということもあるのかもしれませんが、この理由とちょっと余りにも開きが大きいものですから、この理由と、これまでの発言、御本人のお気持ち、もう一度お尋ねしたいと思います。

武田参考人 今まで、勉強していくと申しましたのは、自分で言うのもなんですけれども、当然勉強はしていかなければなりませんが、では、今私はゼロの段階かと言われれば、そんなことはございません。ただ、やはり、より高次の知識というか判断力を得るためには勉強していかなければならない、そういう意味でございます。

 それから、もう一つは、いろいろ審議会の委員をいたしておりますと、官の常識と、私も一応、最初は国立大学におりましたけれども、今は私立大学にいて、やはり民との発想の乖離というものも感じておりますので、そこはお役に立てるのではないかというふうに考えております。

佐田委員長 他に質疑のある方はいらっしゃいますか。

 それでは、これにて武田参考人の所信に対する質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして人事官及び検査官の候補者からの所信聴取及び所信に対する質疑は終了いたしました。

 武田参考人、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

    ―――――――――――――

佐田委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、来る二十二日金曜日午後一時から開会することといたします。

 また、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。

 なお、来る二十一日木曜日午前十一時から理事会を開会いたします。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十九分散会


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