衆議院

メインへスキップ



第3号 平成13年3月8日(木曜日)

会議録本文へ
平成十三年三月八日(木曜日)

    午前八時四十二分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 小野 晋也君 理事 田中 和徳君

   理事 萩山 教嚴君 理事 宮本 一三君

   理事 奥田  建君 理事 古川 元久君

   理事 西  博義君 理事 山田 正彦君

      大木  浩君    大島 理森君

      岸田 文雄君    後藤田正純君

      左藤  章君    阪上 善秀君

      高木  毅君    武部  勤君

      谷畑  孝君    西川 京子君

      林田  彪君    原田昇左右君

      堀之内久男君    松下 忠洋君

      三ッ林隆志君    山本 幸三君

      吉田 幸弘君    後藤  斎君

      武正 公一君    津川 祥吾君

      中津川博郷君    中村 哲治君

      藤村  修君    前田 雄吉君

      牧  義夫君    松原  仁君

      三村 申吾君    河合 正智君

      黄川田 徹君    塩川 鉄也君

      藤木 洋子君    菅野 哲雄君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当大臣)     伊吹 文明君

   内閣府副大臣       坂井 隆憲君

   内閣府大臣政務官     山崎  力君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   吉井 一弥君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (消防庁次長)      片木  淳君

   政府参考人

   (財務省理財局計画官)  浜田 敏彰君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教

   施設部長)        早野  浩君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長

   )            今村  努君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議

   官)           三沢  孝君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊藤 雅治君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議

   官)           梅津 準士君

   政府参考人

   (林野庁長官)      中須 勇雄君

   政府参考人

   (水産庁長官)      渡辺 好明君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    中村 利雄君

   政府参考人   

   (国土交通省都市・地域整

   備局長)         板倉 英則君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  川島  毅君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 林  延泰君

   政府参考人

   (気象庁長官)      山本 孝二君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  浜中 裕徳君

   衆議院調査局第三特別調査 

   室長           柴田 寛治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  岩倉 博文君     後藤田正純君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     左藤  章君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     岩倉 博文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 皆さん、おはようございます。

 本日は、大変朝早い時間からの委員会開会になりましたこと、その中での御参集、本当にありがとうございます。また、参議院の予算委員会質疑、大変お忙しい中、伊吹大臣、坂井副大臣、また山崎大臣政務官、御出席ありがとうございます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官吉井一弥君、防衛庁運用局長北原巖男君、総務省自治財政局長香山充弘君、消防庁次長片木淳君、財務省理財局計画官浜田敏彰君、文部科学省大臣官房文教施設部長早野浩君、文部科学省研究開発局長今村努君、厚生労働省大臣官房審議官三沢孝君、厚生労働省医政局長伊藤雅治君、農林水産省大臣官房審議官梅津準士君、林野庁長官中須勇雄君、水産庁長官渡辺好明君、中小企業庁長官中村利雄君、国土交通省都市・地域整備局長板倉英則君、国土交通省河川局長竹村公太郎君、国土交通省住宅局長三沢真君、国土交通省港湾局長川島毅君、国土交通省北海道局長林延泰君、気象庁長官山本孝二君及び環境省地球環境局長浜中裕徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。

田中(和)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の田中和徳でございます。

 伊吹大臣、坂井副大臣、山崎大臣政務官初め御関係の皆さん、早朝より御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。

 私の住まいは、京浜工業地帯の中心をなす川崎市臨海部の産業道路、そしてその上を走る首都高速の羽横線の沿線にありまして、しかも近隣には地盤の脆弱な埋立地に立地する石油化学コンビナートなどの工場群が大きく広がっております。

 また、南関東地震と呼ばれる大規模な震災が将来予想されている地域でもございます。南関東地震については、川崎市でも先般、被害などのシミュレーションを行いましたが、マグニチュード七・〇という阪神・淡路大震災よりも小規模の想定でも、川崎市内だけで死者数が三千二百四十人もカウントされるなど、甚大な被害が予想されております。

 私は、市議、県議の時代より、また一政治家として、大変な被害が想定される地域に住む住民の一人としても、正直に言って身の危険を感じ、従来より震災時の安全策には強い関心を寄せ、その対策に長年にわたり取り組んできたところであります。そうした立場から、大臣の所信並びに災害対策について、我が党を代表して、数点質問をいたします。

 さて、本年一月六日の一府十二省への再編とともに、防災機能の強化を図るために、防災部門が国土庁から内閣府に移され、各省庁の施策の統一を図るための企画立案や総合調整の役目を内閣府が担うことになりました。そして、防災を担当する特命担当大臣も置かれたのでございます。

 我が国の国土面積は世界の陸地面積のわずか〇・三%に対しまして、活火山の約一〇%が分布しておりますし、大地震の約二〇%が日本で発生すると言われておるのでございます。さらには、地形や気象条件などの自然的条件も加わりまして、世界で一番被害をこうむりやすい国と言っても過言ではないと思います。

 さきの本委員会においても、伊吹大臣が所信表明の中で、「災害から国民の生命及び財産を守ることは、政府の最も重要な責務の一つ」と発言をされておられますが、一連の行政改革は、政府の防災対策の充実に資する上からも、私は大変評価をしておるのでございます。

 そこで、初めに伊吹大臣にお伺いしますが、重大な使命を帯びておられる初代防災担当大臣として、特にどの施策に力点を置いて取り組んでおられるのか、大臣の強い決意を改めてお聞かせをいただきたいと思います。

伊吹国務大臣 おはようございます。

 今先生御指摘のように、日本は、その地理的な条件から、極めて地震を初めとする台風その他の自然災害の多い国でございますし、また、先生のお地元のお話をなさいましたけれども、その自然災害が特に人口密集地域に発生した場合の災害は、単に災害にとどまらず、内閣法十五条に言います大規模な日本国民の生命財産の危機に結びつく国家危機の可能性を含んでいる国と言っていいと思います。

 そこで、従来、防災行政は、御承知のように国土庁で所管をしておりました。阪神・淡路大震災のときのとうとい犠牲を対価とした大変な教訓を私たちは得たわけでありまして、まず内閣官房に災害以外のあらゆる緊急事態の情報を集中する体制をとっております。これは情報管理センターというか情報集中センターというところなんですが、それとあわせて、今御指摘がございましたように、今般の省庁再編で、内閣府に防災関係のすべての機構を持ってまいりました。内閣官房に集中しております情報と内閣府にございます防災関係の情報及び諸施策の調整部門、これを一体的に運用することによって、従来、国土庁という一般省庁と同じ立場で各省にお願いをしていた各般の防災対策及びその後の災害復旧対策を一元的に処理できる体制ができたわけでございます。

 問題は、情報をできるだけ早くとって、そしてその情報をまず的確に判断をして、そして災害関係の各省庁と自治体と協力をしながら、まず初動体制をとる。そして、その後、復旧対策に取りかかる。このために、課長レベル、局長レベルの会合を既に各省庁間で何度も重ねておりまして、緊急事態が起こったときに遺漏のないように、果断に措置ができるように、今事務部門においても訓練を重ねているというところでございます。

 一生懸命やりたいと思っております。

田中(和)委員 ただいま伊吹大臣より御答弁がありました。大変真剣に必死で取り組んでおられるお姿を承りまして、大変ありがたく思い、安心もしておるわけでございますけれども、しかし、どんな災害もいつ起こるかわからないということがまさしく原則でありまして、危機管理上、国民の期待にこたえて、ひとつ、スタートしたばかりでありますけれども、本当に大きな国民の期待がかかっておるわけでございますから、さらに一層のお力添えをお願いしたいと存じます。

 さて、今までに起こった我が国の主たる激甚災害への政府の対応についてお伺いをいたしますが、昨年は、有珠山の噴火、三宅島噴火とその近海での地震、東海地方での大雨、鳥取西部地震など、大変な災害が多発をした年でもありました。また、明日九日の閣議では、全国百二市町村が激甚災害の指定を受けるようであります。当然、有珠山の噴火災害については激甚災の指定を受けると私も思いますけれども、大臣に伺っておきたいと思います。

 またさらに、最近では、東北、北陸、関東を中心に豪雪による被害も深刻なものになっております。各被災地の皆さんに対して心からのお見舞いを申し上げる次第でございますが、これら最近発生した災害に関しては、大臣の所信表明にもありましたように、政府でも鋭意対策が実行され、また新たな対策が着実に実施されつつあるものと承知しております。

 去る三日には、森総理が三宅島を視察され、三宅島復興に向けた特別立法を制定するとの方針が示されました。そこでお伺いしますが、三宅島復興に向けた特別立法について、政府ではどのような具体的検討をしているのか、立法化に向けてのスケジュールを大臣にあわせてお聞きをいたしたいと存じます。

 また、有珠山の噴火については、地元の市町村より、これまでの対策に加えて、指定買い取り地域の拡大や地元企業への融資制度の改善、観光振興策などの幾つかの具体的な陳情が寄せられているようです。私自身も確認をさせていただきました。対応状況についてお伺いをしておきたいと思います。

 さらに、阪神・淡路大震災については、今後も被災住民の皆様に対して十分な配慮と対応が必要だと思います。そして、その教訓を生かすためにも、被災地である兵庫県から強い要望があり、与党三党のプロジェクトチームでも法制化を目指して検討がなされている住宅再建支援制度について、ぜひ実現を図ってほしいと私は思っております。同制度について、政府では現在どのように検討をしているのか、いかなる評価をしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

 以上であります。

伊吹国務大臣 お答えを申し上げます。

 四点お尋ねがあったと思いますが、まず有珠山関係の激甚災の指定については、あすの閣議に御了承を得なければいけませんけれども、これは災害の査定が終わっておりますので、当然、先生御指摘のように、そのような措置がなされるものと考えております。

 それから、二番目の豪雪の被害に対する対応でございますが、ことしは異例に雪が多うございまして、各自治体から除雪等の費用が大変かさむというお話がございました。したがって、必要であれば参考人からまた御答弁をいたしますけれども、特別交付税の配付、それから国土交通省による除雪費の補助その他については十分のお願いをして、現在その方策が実行中でございます。

 それから、三宅島につきましては、これは大変頭の痛い問題で、私も三宅島に行ってまいりまして、先般、総理も三宅島へ御視察に行かれました。率直なところ、まだ有毒ガスが噴出しておりまして、実は復旧のための人を入れるということが非常に難しい状況です。しかし、風向き等を考えて、海上保安庁の船を停泊させて、万一の場合はすぐに避難ができる状況で、とりあえず道路とそれから電力の確保、これはつまり有毒ガスがとまった場合にはすぐに復旧作業に入れる状況を常に維持しておくという意味ですが、これを今完全な状態で維持してきております。

 ただ、そういう状況でございますので、まだ住民の方がお帰りになれるという状況ではありません。避難をしておられる方も、長期にわたって大変精神的にもおつらいお立場でございますから、私は先般、避難をしておられる方の団地へ行って、いろいろなお話も伺ってまいりました。

 ここへ特別立法をするということは必要な方向だろうと思いますが、さて、具体的にどの程度の被害のものに対してどの程度のことをやるべきかという実態が、まだ率直なところ、毒ガスがどんどん出ておる状況ですから、完全に把握ができておりません。したがって、阪神・淡路のことも参考にしながら、実態把握ができる状態になればしかるべき措置を講じていけるように、勉強を始めておこうよということを今事務局に指示してございます。

 有珠山等については、先ほど申し上げたように激甚災の指定をするとともに、率直に言って、各お住まいになっているところから国勢調査のときにみんな避難をしておられて、基準財政需要の計算や何かが非常に難しくなっておりますので、避難をしておられる方も実はそこに本来住んでおられるという形になるように、人口の激変緩和措置等を十分講じております。

 阪神・淡路大震災の教訓から、住宅再建の方策については、与党三党においてもいろいろ議論がなされておるのは私も承知いたしております。

 ただ、これは財源の要ることでございますので、不時、突然起こってきた災害に対しては、例えば民間でも損害保険とかあるいは共済制度というものがあるわけでございますので、これを共済制度で立ち上げていく場合の財源をどうするのか。その場合に、国の負担は要するに国民の方の税金ということでございますから、これをどの程度まで入れるのか。そして、小規模な場合はこれで対応できるわけですけれども、大地震が起こっちゃった場合に、大地震であれば住宅支援はしない、小規模であれば住宅支援をするというわけにはいきませんので、そのあたりを含めて、今、都道府県とまた市町村の御意見が違うようでございますから、その辺の調整もしながら、与党三党での御議論も参考にさせていただきたい。

 今、実はそんな状況で、率直に言って、ちょっと悩んでおるというところでございます。

田中(和)委員 時間の関係で、質問というよりもちょっとこの部分については要望しておきたいと思うのです。

 まず、有珠山の激甚災の指定についてですが、大臣から御答弁あったように、当然指定は受けて対応されると思いますけれども、地元からの率直な声として申し上げておきたいと思うのです。

 実は、ゾーニングの問題なんですけれども、八物件ほど買い上げの地域から外れたのがあるんだそうです。これはどうしても、諸般の事情から考えて、地元では何とか買い上げてほしい、このように言っておられるようでございまして、御検討願いたいと思っております。

 もう一点は、実は保証協会の審査等、厳正にやっておられるようでございまして、いろいろと特別な融資制度を考えて対応していただいているんですけれども、なかなか融資に至らない、何とか工夫ができないものだろうか、こういう話がございます。

 それから、観光の振興については、北海道内の方々あるいは台湾などからもお客さんは見えていただくんだけれども、本州のお客さん、特に修学旅行の子供さんたちの来客が非常に少なくて、何とか方策がないものか、こういうようなお話もあったわけでございまして、ぜひひとつ関係の皆様方に御指導いただいて、期待にこたえてあげることができれば、このようにお願いをしておきたいと思っております。

 それから、住宅再建支援制度については、確かにまだまだ議論の渦中にあるわけでございますけれども、大きいものは大きいなりに、小さいものは小さいなりに一つの基準を設けながらも、やはり国民が安心して過ごすことができるということは極めて重要でございまして、私は、民間の損保保険の制度なんかももっとうまく活用すればいろいろいい知恵が出るんじゃないか、このように思っておるわけでございまして、ぜひ前向きにお願いをしたいと思っております。

 それからもう一点、実は、これは私はお役人のOBの方から聞いたんですけれども、災害の査定官がいろいろと役所から行っておやりになるのでございますが、どこまでどのような指定をすればいいのかということで悩むし、陳情も大変な量だそうでございまして、できれば、国が直接査定をするよりも、基準をきちっと設けて、ある程度地方にやらせた方がいいんじゃないかという話もあったんです。私は、やはり国ももちろん責任を持つべきであると思っている者の一人なんですが、そういう面の工夫も少しあっていいのかな、細かく聞きましたときにこう思いましたので、あわせて御検討をしておいていただければと思っております。

 続きまして、災害における国際貢献やその経験を生かしての国内災害への対応についてお尋ねをしてまいりたいと思います。

 三宅島の亜硫酸ガスの排出量は、世界的に前例のない大規模なものだそうでございます。一般の活火山の十倍の量だということを聞きまして、私もびっくりいたしております。

 このように、我が国では、事災害に関しては世界じゅうでも大変厳しい国土条件ですが、だからこそどの国よりも災害対策に熱心に取り組み、そのノウハウを蓄積しているはずであります。したがって、我が国の自国内の災害のみならず、世界じゅうでいざ災害が発生したときには一刻も早く対応できるようにすることが、災害対策先進国日本の国際貢献の視点からも肝要ではないかと私は思うのでございます。

 特に、去る一月二十六日に発生したインド西部大地震の場合、我が国のその対応をめぐって各方面より批判が寄せられ、災害時の国際貢献については抜本的な対策の見直しを迫られているとの見方もございます。

 そこで、お伺いしますが、今般のインドの事例に触れながら、諸外国で災害が発生した場合に、迅速かつ的確な支援を行っていくためにどのような施策やシステムを準備しているのか。改善の余地を含めて、わかりやすくお聞かせをいただきたいと思います。

 また、逆に、政府としては、世界じゅうの主要な災害について事後の調査や情報収集を行っていると思います。その成果を各省庁や自治体間で共有し活用することが大切でありますけれども、外国の情報の整理やその活用についてどうしているのか、我が国の防災施策への反映について伺っておきます。

 特に、世界のどこでも、災害時の主役は軍隊であります。我が国では、阪神・淡路大震災が、極めて残念ですが、自衛隊の出動がおくれ、反省すべき代表的な事例となりました。我が国の災害時の自衛隊の活用上、二度と失敗が許されないと思いますけれども、さらに改善すべき余地はないか、伺っておきたいと思います。

山崎大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、インドの地震のケースでございますけれども、我が政府といたしましては、外務省を中心として対応に当たりまして、災害発生後直ちに国際緊急援助隊医療チームを派遣いたしました。その後、物資の供与、緊急無償資金援助、そういったものでやっておりまして、内閣府としても、調査団の一員として職員を派遣しております。これは一応、災害の内情を調べるといいますか伺う専門家ということでございます。さらに、復旧に必要な物資の購入等のために資金協力を今後実施するとともに、復興プロジェクトのための調査団を派遣し、あるいはNGOによる人道支援に対する資金援助を行うことといたしております。

 さらに、内閣府として、国際防災の十年、これは一九九〇年代が国際防災の十年というふうになっておりますが、その際に設立されたアジア防災センター、これは兵庫県に設置されておりますが、そこを通じて、災害情報の収集、資金提供を行うことによって復旧復興が適切に行われるようにというふうに支援しているところでございます。

 そのほか、インドだけではなくて、最近では、モンゴルの雪害であるとか、エルサルバドルの地震であるとかいうところでいろいろなことをさせていただいております。

 そのほか、今のところでございますけれども、自衛隊に関しましては、やはり大きな教訓として、これから軍隊の活用というものが重要なものであるということは認識しておりまして、その辺のところの調整をどのようにするかというのも、今後の私たちの課題になっておると思います。どうしても、御案内のとおりの事情がございますので、そこまで行くかどうかというところが、国というふうに言えるのかどうか。と申しますのは、御承知のとおり、自衛隊の出動要請というのは、地元の地方公共団体の首長、知事の一応お願いする事例というふうになっていることもございますので、その辺をお含みおき願えればと思います。

 それから、諸外国の災害について、今度は我々が参考にする番ということでございますけれども、そのいろいろな情報を得て、それをまた共有することによって、災害防止あるいは復興の役に立てるということが非常に重要であるとの認識はしておりまして、まず国連の人道問題調整事務所というところが国際的な、世界の災害情報を集めるところでございますので、そういったところから報告を受けて、我が国の方からは調査チームを派遣して、その状況を把握し、またそれに応じた必要な援助を行うことの活動を行っております。

 そのことに関してみれば、インドの西部地震については、二月二十六日から三月六日にかけて政府調査団を派遣いたしました。内閣府、国土交通省の職員が主な構成員でございます。それで、この支援策を決定するとともに、教訓を今後、地震国である私どもも含めて活動していきたいと思っております。

 各国のそういった災害を通じて得られた情報については、報告書の形で取りまとめまして、関係機関に送付したり、あるいは広報活動を通じて、インターネット等、そういった形で情報の共有化に努めているところでございます。

 その点に関しまして、防災アジアフォーラム、世界防災会議二〇〇一という場、せんだって淡路島で開かれた会議でございますが、そういう場でも十分そういった情報の共有化というもので、各国から集まった専門家の方々のいろいろな討議といいますか、話し合いの場を持ちまして、広めているところでございます。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいま山崎内閣府政務官から御答弁いただきましたが、若干敷衍して御説明をさせていただきたいと思っております。

 私ども防衛庁、自衛隊に対します災害派遣の国民の期待というものが非常に高まっております。また、先ほど先生おっしゃいましたように、阪神・淡路の教訓、経験等も踏まえまして、私どもといたしましては、より迅速かつ適切に対処していくということが何よりも大事だということで、いろいろな形で災害派遣体制の充実強化に努めております。

 とりわけ災害対処につきましては、第一義的な責任は先生御承知のように地方公共団体が有しているわけではございますが、こうした地方公共団体との間で、いわば災害対処についての共通の頭づくりと申しますか、そういったことを実施いたしまして、連携強化を一層進めていくことが重要と考えております。

 こうしたことから、私ども防衛庁といたしましては、何よりも常日ごろから各自治体それから防災関係機関とのコミュニケーションを密にいたしますとともに、毎年、都道府県等が実施しております防災訓練にも積極的に参加しているところでございまして、阪神・淡路以降、都道府県が実施します防災訓練、四十七でございますが、すべてに参加をしてきているところでございます。

 ただ、こうしたいわゆる実動訓練というのは、それなりに極めて有用ではございますけれども、やはりできることが限られておりますので、私どもといたしましては、これに加えまして、いわゆる図上の防災訓練、これも極めて重要であるということで、各都道府県等に対しまして、その実施というものを積極的に働きかけていきたいと思っております。

 そして、こうした訓練を通じまして、何よりも大事だと思っておりますのは、私ども、また各自治体が持っております防災にかかわる計画、これを策定しただけではなくて、常にそれを検証して、チェックして、改善していくといったことに努めております。

 それから、私どもは、こうした訓練あるいは過去の体験等を踏まえまして、昨年の十一月でございますが、都市部それから山間部また島嶼部での災害、さらには原子力災害等の特殊災害といったものに係ります災害派遣活動ごとの留意すべき事項につきましてマニュアルも作成をいたしまして、これを部内、陸海空自衛隊に徹底することはもちろんでございますが、各部隊を通じまして、各都道府県にも周知をさせていただいております。

 その際、あわせまして、これもまた大事なことでございますが、都道府県の自衛隊に対します災害派遣要請の一層の便宜を図るといった観点から、都道府県別の災害派遣の連絡窓口、こういうものをつくりまして、これも各部隊から各都道府県に周知をしたところでございます。

 そして、先ほど先生も御指摘いただきました、有珠山あるいは三宅島、さらには愛知県の豪雨、鳥取県の地震等、いずれも該当するわけでございますが、災害が発生した場合に、都道府県等が必要とするニーズというものを的確かつ速やかに酌み取りまして、ニーズに沿った対応を迅速かつ十分にやっていくことが何よりも大事といった観点から、私ども防衛庁といたしましては、災害が発生した場合には、自衛隊に対します災害派遣要請がなされる以前におきましても、都道府県の災害対策本部等に連絡員を積極的に派遣いたしまして、十分な情報あるいは意思疎通を図るといった努力もしているところでございます。

 それから、先ほど先生、失敗は許されないという御指摘をいただきました。阪神・淡路のときの教訓からは、例えば、自衛隊が効率的な災害派遣活動をする上では、出動いたしましたヘリコプターの場外離着陸場の確保あるいは部隊の集結地の確保といったものが何よりも大切になってまいります。したがいまして、こういった観点から、私どもは、警察あるいは消防等との連携ともあわせまして、今積極的に各地方自治体との間で鋭意確認等の作業をやっているところであります。

 なお、これにあわせまして、自衛隊の装備等につきまして充実強化、あるいは即応体制の強化といったことを図っていることはもちろんでございます。

 いずれにいたしましても、国民の自衛隊として、国民の皆様の信頼にこたえるように努力してまいりたい、そのように考えております。

田中(和)委員 時間が参りましたので、終わります。もう少し質問項目がありましたが、またの機会に譲らせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党・無所属クラブの武正公一でございます。

 政治家がどういう言葉を自分の旨として活動しているかということで、私はよく先憂後楽という言葉を書かせていただいておりまして、まさにこの災害対策特別委員会はその任に当たる委員会ということで、その委員会での初めての質問の機会をいただいたことに、委員長初め同僚委員に心から感謝を申し上げます。

 また、先ほど、内閣府に今回この災害対策が置かれた意義と、そしてまた防災担当大臣としての御決意を伊吹大臣から承りましたが、大臣、そしてまた副大臣、政務官の積極的な御答弁をお願いするところでございます。

 さて、昨年三月三十一日に噴火した有珠山噴火災害については、七月十日に火山噴火予知連の終息方向を示す統一見解が出され、国、道、関係機関の御協力のもと、地元自治体そして地元の皆さんの懸命な復興に向けた活動が続けられております。それぞれの御活動に心からの敬意を表するものであります。

 民主党も、党有珠山周辺災害対策本部長鳩山由紀夫名で、昨年四月七日、森首相に有珠山噴火災害に関する緊急申し入れを行って以来、復旧そして復興に向け取り組んでまいりました。

 一方、党青年局では、災害ボランティア制度を始めたところであります。私がその担当者として提案をしたきっかけは、後ほど質問する前田雄吉君が西枇杷島町で東海豪雨災害の復旧に当たっていた中、具体的な応援ができなかったということがございます。昨年十月十三日、鳥取西部地震の被災地である現地にも伺いまして、地震当日現地に入り、町役場の会議に参加していた神戸元気村の吉村副代表から、初動体制の重要性とともに、時間の経過とともにマスメディアがだんだん取り上げなくなった後のサポート体制がボランティアにとって大事だということを教わりました。

 間もなく噴火から一年を迎える今、私も、去る二月上旬、現地に伺う機会を得ました。今後の復興に向けた取り組みという点から、そのときの皆さんの声を交えて質問をさせていただきます。

 先ほど、もう大臣からは、あした激甚災害指定という御答弁がありましたので、地元自治体並びに地元の皆さんの安心感はいかばかりかと拝察をいたします。

 そこで、一般論として、この激甚災害指定についてお伺いをしたいのですが、昨年の災害対策特別委員会でも同僚委員から指摘があったように、激甚災害の指定を年度末まで待つことなく、早目に出せないかということでございます。

 すなわち、中央防災会議決定の局地激甚災害指定基準にある、当該災害に係る公共施設災害復旧事業などの査定事業費の額が当該市町村の標準税収入の五〇%を超える市町村が一以上ある災害、合計額が一億円以上を満たすことが判明した、確定できた時点で激甚災害指定を明示できないかということについて、御所見を伺います。

吉井政府参考人 やや実務的な問題もありますので、私の方から御答弁させていただきます。

 ただいま先生御指摘もございましたとおり、激甚災害の指定の判断は、被害状況や財政状況あるいは農業所得等の客観的な基準により判断されるところでございます。

 したがって、例えば公共土木施設等の災害復旧事業等に係る国庫補助率のかさ上げの措置を受ける場合には、局地激甚災害の場合でありますと、市町村が実施することとなる復旧事業費の査定額がその市町村の標準税収入の五割を超える必要というふうなことになってございまして、査定額が確定していない段階で、指定あるいは指定の見通しを判断するということは困難な状況にございます。

 しかしながら、被害額の査定が行われまして、それが指定基準を大きく上回ることがほぼ判明いたしました場合には、従来からも、指定の見通しをなるべく明らかにするように努めてきたところでございます。例えば、有珠山災害による虻田町につきましても、五月二十四日の参議院の災害対策特別委員会で、国土庁長官からほぼ確実であるというふうなお話をさせていただきましたし、また神津島や新島等の災害についても同じようなことをやってきているわけでございます。

 今後も、被災した自治体が安心して災害対策を行われますよう、適切に対応してまいりたいと思います。

伊吹国務大臣 参考人というかお役人が答弁すると今のようなことになると思うのですが、先ほども、自民党の方からもお話がございまして、自治体にこれを任せた方がいいんじゃないかというようなお話もございました。

 先生も内容をよく御存じのように、被害の状況とその被害を受けた自治体の財政力、それからそれ以外の方からお預かりしている国民の税金、これを災害の度合いによってかさ上げするというのが激甚災の指定でございますから、国民の税金を預かっているという意味では、かなりきちっとしたことをやはりしなければならないと私は思うのです。

 しかし、そのことを前提に次年度以降の復旧計画を自治体は立てているわけですから、大体の計算ができたところで、まあいけるよとか、どうだということは、これは今まで以上にやはり被災地のことを考えてやっていくというのがいいんじゃないかと思います。

武正委員 大臣から前向きな御答弁をいただきまして、私も選挙区が浦和市、蕨市でございますが、平成十年九月十五日から十六日にかけまして、台風五号に伴う連続百八十九ミリの豪雨で、大宮市、与野市を中心として、はんらん面積百八十九ヘクタール、床上浸水千八百二十六棟、床下浸水千九百四十九棟の被害が発生したときに、これは鴻沼川という川だったのですが、県議会の改修促進議連として随分陳情に伺わせていただいて、十一月九日には激甚災害の、河川ですけれども、緊急事業の採択をいただいたのですね。

 やはり地元住民の方にとっては、この激甚の指定を受けたということは非常に安心感につながるものでありまして、そういった意味で、今の大臣の前向きな御答弁は、これからやはり全国で激甚の指定を待つ可能性がある、そういったことがないに限るのですが、もし万が一そういった場合には、一日でも早い指定を、あるいは、なかなか完全指定が難しければ、例えば何かそういう確定というか仮決定とかできないものかなというふうにお願いを申し上げる次第でございます。

 次に、この虻田町の復興計画第一次案に盛り込まれました本町地区の海岸道路の整備、避難港である大磯新漁港の整備について、国土交通省、農水省に伺います。

林政府参考人 お答えいたします。

 昨年の有珠山の噴火によりまして、道南と道央を結ぶ高速道路また国道、さらにはJRが寸断され、極めて大きなダメージを受けたところでございます。そのように、一たび噴火が起きたときに、迂回路でございますとか、あるいは緊急避難道路の交通確保の問題というのは、極めて重要な課題でございます。そういった意味で、先生御質問のように、そういう火砕流等から避難される道路の整備のあり方について御質問があったと思います。

 特に北海道は、いわゆる広域分散というような地域特性もございまして、道路の密度そのものも全国に比べて半分以下ぐらいでございます。したがいまして、まずは代替ルート等について整備する必要があるということで、私どもといたしましては、北海道あるいは地元市町村等と調整をしながら、関係機関と協議して、こういった意味での迂回路、代替ルートについて検討させていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

渡辺政府参考人 虻田漁港の問題であります。

 虻田漁港は、もともと手狭といいますか過密な状況でもございますし、またハザードマップの上からいきましても支障があるということで、大磯地区にこの機能を拡張するという強い御要望がある、また必要性があるということは認識をいたしております。

 地元で今その方向で議論をさせていただいておりますので、関係機関との協議が調えば、そういったことにつきましてきちんと受けとめて対応いたしたいというふうに思います。

武正委員 これまた前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほどの委員からお話は出ておりましたが、虻田町が昨年の国調時点で千四百三十三人町外避難者がいるということで、先ほど大臣からは激変緩和措置を講じるんだというお話がございました。ただ、私が総務委員会の方でも同様の質問をしたときには、いわゆる人口急減補正という補正を持っているので、これによって対応するんだという答弁だったのですね。

 地元虻田町からは、この千四百三十三人を国調人口としてしっかり加えてくれという要望が出ているのですが、先ほど大臣はそちらの方も触れておられますけれども、これはまた総務省のいろいろ所管になりますけれども、これについて再度、この避難人口も加えるということについて御答弁をお願いいたします。

伊吹国務大臣 三宅島については全く人口が今おられませんので、これは特別の法律をつくらないと難しいと思います。

 虻田町については、先般、私も現地に参りまして町長さん等からいろいろお話を伺ってまいりました。そのことを今の総務省にお伝えをして、そして今先生がおっしゃった措置によって、結果的に交付税が従来、人口が避難していなかったときと変わらない状況になるような措置が講じられるということを、私たちの方は総務省から伺っているということです。

武正委員 次に、有珠山周辺の土地利用のゾーニングについて伺わせていただきます。

 北海道庁は、二〇〇〇年有珠山噴火災害復興方針に基づきまして、将来の噴火の被害をできるだけ少なくするよう、有珠山周辺地域における防災マップに基づく危険度に応じた土地利用区分を地元自治体に提示しています。その区分には、今回の噴火などに対し防災対策を講じる地域としてのA、B、Xゾーンに加え、将来の噴火などに対し防災対策を講じる区域としてのCゾーンを設定しようとしています。

 このCゾーンの設定については、他の三ゾーンの整備と異なり、誘導ということで、移転等事業がございません。地元の方々にすれば、方向性は理解できるものの中途半端な感が否めず、さまざまな意見が出ているようでございます。しかしながら、全国で初の取り組みとされるこのCゾーンの設定について、国のさらに一歩踏み込んだ対応が期待されております。

 これについて大臣の御所見をお願いいたします。

吉井政府参考人 やや詳細にわたる話でございますので、私の方から御答弁をさせていただきます。

 ただいま先生御指摘のとおり、有珠山周辺の土地利用のゾーニングにつきまして、ただいま北海道が案を示しまして地元市町と協議中と承知してございます。

 お尋ねのCゾーンにつきましては、先生も御指摘のとおり、将来の噴火に備えまして被害をできるだけ少なくする必要がある地域といたしまして、災害弱者施設や住宅の移転を誘導する区域とされているところでございますが、この北海道からの案につきまして、地元市町から、そのゾーンの設定自体は理解するものの、住宅の移転誘導の具体策がない中で合意は得られないのではないかというふうな意見が寄せられていることを私どもも承知しております。

 この取り扱いにつきましては、今後、北海道及び地元市町が具体的な支援方策につきまして協議、検討を進めるというふうに伺っておりまして、政府といたしましても、地元からの御意見、御要望を十分踏まえながら、できるだけの支援をしていきたい、このように考えております。

武正委員 やはりこのCゾーンの指定を受けると、ある面、地価が下がるとか、あるいは移転の誘導といいながら、大体市街化調整区域だそうですので、移転先は大体市街化区域ということで、地価が下がって売却しなければいけない、移転先は地価の高いところ、市街化区域を買わなければいけないということもありますので、このCゾーンの設定は、全国初の試みでありますので、さらに一歩踏み込んだ国の取り組みをお願いするものでございます。

 さて、洞爺湖温泉における宿泊施設は、三十二のうち休業三軒、そのうち二軒も今月十日の再開に向け準備中ということでありまして、今年度の入り込み観光客数は、昨年四、五、六月がゼロ、七月の対前年度比一〇%から始まりまして、月を追うごとに約一〇%ずつ回復、ことし一月には対前年比九三・七%までに回復しています。

 しかし、修学旅行の利用状況は、十一年度約八万六千人、今年度がゼロ、十三年度が予約二万人弱ということであります。昨年五月には、各都道府県の教育委員会と私学担当窓口に、洞爺湖温泉の修学旅行をもし見直すとすれば北海道内にしてくださいよという依頼を、これは国土交通省さんの方から行ったようですが、修学旅行シーズンを控えて、例えば火山活動が鎮静化していますよとか、あるいは町立火山科学館、町立洞爺湖森林博物館が四月からもう営業を再開しますよなどの情報を、先ほどの教育委員会や私学担当窓口に伝えることについて、御所見をお伺いいたします。

早野政府参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃられましたように、洞爺湖周辺の修学旅行でございますけれども、これにつきましては、十二年度ゼロであったのが十三年度は二万人弱というようなことで、徐々にではありますけれども、伸びてきているというようなことを現地の観光協会の方からは聞いております。

 ことしの春ですか、今先生がおっしゃられましたような形で、国土交通省からの要請も受けて、私ども、各地方公共団体の方に、教育委員会の方に通知は出しておりますけれども、先生御案内のように、修学旅行は各学校における教育活動の一環として行われているものであり、具体的な計画は各学校の判断によっておりますが、今後、私どもとしては、地元の状況や要望を見きわめつつ、関係省庁と十分協議しながら、どのようなことができるかということを検討していきたいというふうに思っております。

武正委員 先ほど大臣から、内閣府に置かれる防災担当の意義並びに決意が申し述べられております。今のような、文部科学省としては限界があるのだというようなお話なのですが、一度この修学旅行は場所を変更してしまうと、なかなかまたもとに戻すのが大変だというのが、私も学校に通った者として何となくわかるわけでありまして、そういった意味では、今のこの時期を逃すと、なかなか洞爺湖温泉に修学旅行生が戻ってこないのではないかなという危惧が地元にあるわけですね。

 そういった意味では、今の文部科学省さんの答弁については、それで、はい、わかりましたとはとても言えないわけでありまして、大所高所からの大臣としての御所見をお伺いしたいと思います。

伊吹国務大臣 お気持ちは先生がおっしゃったのと全く同じだと思いますが、同時に、日本という自由な国において、場所の選択を強制するということもまた非常に難しいと思いますから、今のような気持ちを地元の人が持っているので、そういうことを踏まえて、なろうことなら、できるだけおっしゃっているようなことをしてもらえないのかということは、私からも文部科学大臣に伝えたいと思います。

武正委員 私の質問では、火山活動の鎮静化とか町立火山科学館等の営業再開の情報を流してみてはどうかということでありまして、決して強制とかあっせんを目的とした連絡ではございません。ですから、そういう地元の情報を流すということであれば、先ほどのような危惧はないのではないかということで、これについては再度お願いをするわけでございます。

 さて、ホタテの養殖業者の対応について伺いますが、養殖作業は、三月二十九日の避難指示から航行規制による作業中断その他の時間規制が続き、板谷川を中心とする半径八百メートルの避難指示区域が解除されたのは五月二十四日でございます。約二カ月間という形での何らかの規制が続いたわけでございまして、このためか、昨年の、親貝というのですか、成貝の出荷状況は、虻田漁協で対前年比八九%、有珠漁協で同九〇%、それも平成十一年が極端な不漁でございまして、平成十一年は対前年比それぞれ七五%、七〇%の出荷額でございました。それに対して八九%、九〇%というのが平成十二年のホタテの出荷額でございます。

 これに対して、虻田、有珠ともに特定養殖共済、いわゆる漁業共済に加入していないわけであります。また一方、二月二十八日現在、被害漁業者などに対する既貸付金の償還猶予及び特別融資については一件も申し込みがないということなんですね。その理由を漁協の組合長さんに聞きましたら、なかなかその対象要件が厳しくて、ある漁協では対象者は一人しかいないのだと。では、その一人がみんなを差しおいて申し込めるかというと、なかなか申し込めないということがありまして、やはりこの条件の緩和というのがホタテ養殖業者に対しては必要なんではないかな。

 ちょうど年度末の三月を前にして、いま一層の取り組みが求められると思いますが、御所見をまず伺うとともに、また、ホタテの養殖技術はカナダの人工授精技術など日本に入ってきている中で、各都道府県は試験場の再編成を進めている中で、この養殖の研究について、他の水産関係の養殖研究開発同様、取り組みの強化が必要ではないかなと考えますが、以上、農水省の御所見を伺います。

渡辺政府参考人 二点御指摘がございました。

 第一点目の資金の問題でありますが、御承知のとおり、無利子にする、そして限度額を二倍にするというふうな思い切った手をとったわけでございます。

 先生から、要件が厳しいのではないかという御指摘があったのですが、私どもはそう考えておりません。確かに、一定の時期、出荷が非常におくれたという事態がありましたけれども、その後、それは取り戻して、出荷の時期におくれはありましたけれども、前年の漁期に比べれば相当出荷額の点で前進をするというふうなこともございまして、これは減収の補てんであるとか、それから経営の再建に要する資金でありますので、そういう点において御要望がなかったというふうに承知をしているところでございます。

 それから、養殖技術の問題でありますが、御案内のとおり、国と県との分担というのは、国が基礎的もしくは先導的なところを行って、それが一定のレベルに達すれば、地域の実情に合わせて県なり道の試験場でそれを定着させるという分担を行っております。

 技術の面では、この養殖の技術は、稚貝の採取も含めて、もう既に安定した技術でございます。全国的に見ますと、これらは既に需要を満たしておりますので、国が改めて相当コスト高の人工種苗の養成というふうなことをする必要性は薄いのではないかなと思います。

 ただ、この地域において不足をしているという事態は認識をいたしておりますので、そこの点につきましては補助事業、委託調査などで、そういう助成の措置もありますから、そういったことを御活用いただくように、道の方にもお勧めをしたいというふうに思います。

武正委員 先ほど言いましたように、去年に比べて九割で、一月、二月、今出荷量がちょっとふえているんですけれども、要はおととしが大変減っていたわけでありまして、比較にならないわけなんです。

 それと、さっき言ったように、三月、年度末を控えても一件も申請がない。条件は決して厳しくないと言われますけれども、地元漁協では条件は厳しいというふうに言われるわけなんですが、これについて、先ほどと同様なんですが、伊吹大臣、御所見をお伺いできませんでしょうか。

 こういうように、各省庁ですと、いや、それはできませんとか、いや、なかなか難しいですというお話になってしまうんですが、それをやはり統括するのが防災担当大臣としてのお役目かなというふうに思うんです。三月末を控えて、やはり漁業関係者は大変厳しいということを漁協の組合長さんは言っております。お金を借りられないんだということも言っておりますので、この条件の緩和について再度お伺いしたいと思います。

伊吹国務大臣 防災担当大臣というのは、各省にまたがっている各種の施策をできるだけ機能的に動かしていく、各省の縦割りの弊害をできるだけ排除していくということだろうと思うんです。

 したがって、今の共済の話については、共済そのものの運営の健全性その他いろいろなことがあろうかと思います。防災であるからルールをすべて外せというのが実は防災担当大臣の仕事ではないと私は思っておりますけれども、お困りの方がおられて、そしてその方々が災害の結果そういうことにおなりになっているということについて、運用上そういう考えでできないのかどうなのかということを私から担当大臣にお話ししてみることはやぶさかじゃございません。

武正委員 ありがとうございます、前向きな御答弁をいただきまして。

 時間も差し迫っておりますので次に移らせていただきますが、学校施設の電気容量について伺います。

 平成七年、阪神・淡路大震災のときに、私もボランティアとして二月頭に参加した折、尼崎の電気工事業の方と一日神戸市内の避難場所を回る機会を得ました。主に小さな公園や自治会館などを回り、不足しているものを聞いて回ったんですが、三千人が避難していた県立兵庫高校で、その電気工事業の方いわく、教室の電気容量が足りなくて電気コンロも満足に使えないということでした。確かに、二、三十人が避難している教室にはコンセントが二、三カ所しかありませんし、人のあふれている廊下や体育館にはコンセントは非常に少ないのであります。

 建設後の教室の電気容量を増加するには、例えば分電盤や配線の改修、電気室、配電盤や幹線の改修、受変電設備改修など、段階に応じての対応が考えられますが、一方、電気会社と契約する電気容量を上げると、いわゆる基本料金が高くなるということが言われておりますので、やはりとっさのときの自家発電機あるいは太陽光発電などを使うことも考えられます。

 ちょうど、文部科学省さんでは学校施設整備指針策定に関する調査研究が行われております。三月末に取りまとめというふうに伺っております。そういった意味では、この調査研究がちょうど行われている時期でございますので、この学校施設整備指針に学校を災害拠点としてより強く位置づけること、あわせて教室や体育館の電気容量を増加することについて、そういった改善の意見が出ているのか、これについての御所見を文部科学省に伺います。

早野政府参考人 お答えいたします。

 私どもも、学校施設というのは児童生徒の学習及び生活の場ということとともに、非常災害時における地域住民の避難所としても重要な役割を担っているというふうな認識を持っておりまして、今話が出ました学校施設整備指針においても、必要に応じ地域の防災拠点としての役割を果たすよう整備することをうたっております。

 市町村地域防災計画において避難所として位置づけられた学校施設については、必要に応じ電気設備等防災機能の整備充実を図ることが必要であるというふうに考えております。

 今先生お話に出ました学校施設整備指針の改定等、今作業を進めておりまして、新年度からその指針を各教育委員会等にお示しできるんではないかなと思いますけれども、その中に、いわゆる防災拠点としての利用に配慮した計画をするようにというようなことをうたっております。

 なお、今出ました自家発電設備あるいは太陽光発電設備等に関する計画をする場合については、必要に応じて財政措置を講じることとなっております。

武正委員 もう時間でございますが、学校が災害の避難所としてもうあちこちに看板が出ているわけでありまして、学校の意義というのは大変大きなものがあるわけであります。文部科学省さんにとっては、ある面、そこはやはり学びの場ということが主体であろうかと思いますが、日本において、特に学校の持つ地域における公共施設としての意義と、また災害拠点としての位置づけということを考えますと、今は電気容量を例にとりましたが、また昨年の当委員会では、同僚委員から体育館をもっと位置づけるべきだという質問も出ております。そういったことを考えますと、学校を、今回設備指針が見直されるこの時期に、より具体的にその意義づけを強く求めていく必要があるのではないかと思いますが、これは最後に、防災担当大臣、御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

伊吹国務大臣 学校には学校の目的があると思いますが、国民の税金を使ってつくる公共施設でございますから、新しくお建てになるような場合には、いろいろな視点を含めてつくっていただけるということは、私は結構なことだと思います。

 ただ、それによって財源がどういうふうにふえるかという問題が当然ございます。そのことは、それだけの状況のもとで生活をしていくという国民がまた負担していただくということも、政治家として先生も申し上げていただきたいと思います。

武正委員 もう時間になりましたのでこれにて終わらせていただきますが、残余の質問はまたの機会ということにさせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、中津川博郷君。

中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。

 昨年の八月三十、三十一日に三宅島へ、党を代表して、現地に行ってまいりました。大変悲惨な状況で、いまだに脳裏に焼きついているわけでありますが、海産物はとれず、農作物も全滅、観光客も来ないというような状況の中で、学校等に一時避難をしている方たちの顔が今も思い出されるわけであります。折しも翌日に石原都知事が全島避難を指示しまして、それからもう既に半年がたっているわけであります。亜硫酸ガスが発生して、さらに危険な状況になっているというふうに聞いております。三千八百人の三宅島島民の方は、都内の各地で先行きの見えない不安な毎日を送っておられるわけでありまして、当初は、これほど三宅島噴火災害が長期化するとはだれも予想しなかったと思います。島民の方たちの気持ちを思いますと、毎日、心から一日も早く鎮静化することを祈らずにはおられないわけであります。

 そこで、私の地元であります東京江戸川の南篠崎町の都民住宅にも五世帯のお年寄りが入居されておりまして、この間、私の自宅にお越しになりまして、いろいろ親しくお話をする機会を得ました。大変心細い、島に帰れるかどうかわからないけれども、一度は島に足を踏み入れて見てみたいと切実に言っておられました。お見舞金と国から支援金をいただいて、大変感謝されておりました。

 そこで、今後のこういう被災者の方たちの基本的な対策について、大臣にまず冒頭お伺いしたいと思います。

伊吹国務大臣 私も、現地にも参りまして、先月二十七日に、大勢の方がいらっしゃる北区の都営住宅へ行きまして、先生と同じように、五、六十人いらっしゃいましたが、お話を伺ってまいりました。だれの責任というわけではない自然のガスの噴出であるだけに、やきもきをしながら、しかし精神的にかなり参ってきておられるというのは、先生と私は同じ認識を持ちました。

 特に、全国から寄せられた義援金や国の支援金、それから失業保険がそろそろ切れてくる時期でもありますので、一番強い要望は、年金をもらっておられる方においても、少しやはり何か額に汗して生きているという自覚を持ちたい、しかし、自分たちがシルバー人材センターで仕事をしてしまうと、お世話になっている地域のお年寄りの仕事をとるのじゃないかという気持ちもあるのだと、大変遠慮がちな、謙虚なお話もされていました。それから、年金を受給しておられない方々は、できるだけ早く働く場所をともかく見つけてほしいということがございましたので、私からも、厚生労働省やハローワークの窓口に、帰ってまいりまして、お願いをいたしました。

 そして、先生が行かれたとき、私が行きました後、さらに降雨等によって火山灰がどんどんやはりふもとへおりてまいります。特に梅雨の時期が参りますので、さらに被害が大きくならないように、土どめの工事を今始めようとしております、東京都と話をしながら。その工事、それから道路の確保のための工事、電力の維持のための工事、そのような工事に、東京都ともお話をしながら、できるだけ避難をしておられる島民の方を現地で使っていただきたいということもお願いをしてあります。

 そういう形で、石原知事の御判断もあると思いますが、帰島という形は私はなかなか難しいと思います、万一の事故があったときにだれが責任をとるかという問題がありますから。したがって、事業の作業員という形で島民の方が島へお戻りになり、そして作業員という形であるから、ガスの風向きによってはすぐに海上保安庁の船で、作業しておられる方がみんな乗り移って避難できるという態勢の中で、少しでも自分たちが生活をし、生まれた島の大地をもう一度踏み締められるようなことをできるだけ講じてさしあげたいというので、今東京都といろいろな話をしているところです。

中津川委員 高齢の方が大変多いわけでありまして、知らないところに来て心寂しい毎日を送っていられるわけでありまして、お見舞金それから支援金、これは返すお金ですか、返さなくてもいいのですか、わからないので使えませんなどと言われまして、早速問い合わせてみたら、支援金は国からのものですので、どうぞ使ってくださいと言ったら喜んでおられました。とにかく、地元の今いる行政とのコミュニケーション、これをしっかりとひとつ図ってもらうように、また何らかの指導をお願いしたいと思います。

 実は、当然三宅島の人たちも東京都民でありまして、今東京もいつ大きな地震が起きるのか、どこに起きるのか、起きたときどう対応したらいいのか、マスコミ等でも盛んに報道されておりますが、関東大震災が一九二三年に起きて、もう八十年に今なろうとしております。統計的な推測からいいますと、同規模の東京直下型の地震がもう起きてもおかしくないと言われているわけであります。

 そこで、今、南関東直下型の地震の切迫性はどうなのか、そしてこの南関東直下型の地震はどの程度予知できるのか、国の地震に対する予知能力は今どの程度のものなのか、これ二つを気象庁にお伺いして、そしてこの予知研究に対する予算とか、それから国の体制というものが今どうなっているのか、これは文部科学省ですか、別々に御質問したいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 南関東地域におきます地震発生の切迫性でございますが、これは中央防災会議が平成四年に決定いたしました南関東地域直下の地震対策に関する大綱において、南関東地域直下におけるマグニチュード七程度の地震の発生は、ある程度の切迫性を有しており、今後その切迫性が高まってくることは疑いないという指摘がなされております。

 これは、プレートの沈み込みによりまして蓄積されましたひずみのエネルギーの一部がマグニチュード七程度の地震として放出される可能性が高いと推定されたためでございます。現在も、この推定に修正を迫るような新しい地震学的な知見は得られてございませんし、私ども気象庁としても、平成四年度に行ったその評価と変わらないという認識でございます。

 南関東地域の地震予知の可能性についてのお尋ねでございますが、現在、我が国における地震予知の現状で申しますと、東海地震のようにマグニチュード八で海溝型の地震予知についてはその可能性が技術的にはございますが、残念ながら、南関東地域の地震の発生の短期直前予知の技術は現在有していないのが実情でございます。

 私ども気象庁といたしましては、将来的な地震の直前予知の実用化を目標としまして、調査研究を鋭意進めているところでございます。私どもの所轄の気象研究所におきまして、南関東地域における地震活動予測に関する研究等を行います。それで監視、解析手法の高度化を図っているところでございます。

 なお、関係機関のさまざまなデータが気象庁に集中してございますので、今後とも、南関東地域の地震、地殻活動の監視体制については一層注意深く見てまいりたいということでございます。

今村政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、地震調査研究推進本部の活動といたしまして、地震調査研究の総合的推進を図っているところでございますが、今お尋ねの地震予知、特に発生の時期を警報が出せる程度に予測するという地震予知につきましては、ただいま気象庁長官からお話もございましたように、東海地震の場合を除いて、現在の科学技術の水準では、一般的に直前の予知は困難であるという認識がございます。

 しかしながら、これが可能となった場合、地震の被害の軽減効果が大きいと考えられるところから、地震の予知に資する調査研究につきましても、重要な課題として、着実にこれを継続することが必要であるというふうに考えておりまして、ただいまお話のありました気象研究所なども含めまして、私どもは大学を中心として関係機関で取り組んでおります。

 特に、大学におきましては、地震予知の手法、理論の確立のための基礎的な観測研究を実施いたしておりまして、平成十三年度、来年度予算案でございますが、地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究などに必要な経費として十七億円を計上いたしております。

 大学における研究の体制といたしましては、北海道大学の地震火山研究観測センター、東京大学地震研究所、京都大学防災研究所等、十一大学の九研究科、二研究所、九施設によりまして、今申し上げました地震予知に資する基礎的な調査研究を推進いたしているところでございます。

中津川委員 これほど科学が進んでいるのになかなか地震の予知ができないというのは、大変残念なことだと思うのですね。今、大学を中心にいろいろ、予算の方も十七億ですか、やっているということであります。

 それはそれで結構なのですが、大臣、国が主体性を持って、予算もとにかくたっぷり使って、この予知能力を高める研究体制を国主導で進めていく必要があるのじゃないか、こんなふうに思っているのですが、御所見を賜りたいと思います。

伊吹国務大臣 そのとおりだと思います。予算と、それからもう一つは、予算をつぎ込んだときに、それにたえ得る知見というか、予知の科学的能力のレベルがどこまでかということがあると思いますから、その両々相まって国が今先生がおっしゃったような姿勢で取り組むということだと思います。

中津川委員 この南関東直下の地震対策というものなんですが、都民の人も非常に心配しているのです。その普及とか啓蒙ということは大事だと思うのですが、具体的に、政府はどのように今までやってきて、またこれからどういう対策をしていくのか、お聞きしたいと思います。

伊吹国務大臣 本当にこれは、忘れたころにやってくる、しかし、備えあれば憂いなしと言われているわけですから、平成十年六月に中央防災会議で、今先生がお話しになっている南関東地域直下の地震対策に関する大綱というのを改正いたしまして、先ほどもお話がありましたが、道路などの公共施設、そういうものについては耐震性を高めるようなつくり方でつくっていくということをまず一つやっております。

 それから、先般、これはいろいろな意味で取り上げられたわけですが、石原知事もそういうことを非常に強く認識をしておられまして、総合防災訓練をなさいました。防災週間等を利用して、あるいは総合防災訓練等を利用して、啓発あるいは普及ということをやっていかねばならないし、また今やっている。

 それから、今年一月、新省庁発足以来初の中央防災会議において、内閣総理大臣から、この点については、特に中央防災会議に専門部会を設けて予知その他の広域体制の確立をしっかりとするようにという御指示がございましたので、今中央防災会議ではその方向で各般の措置が準備されているところでございます。

中津川委員 と申しますのは、防災というのは、確かに緊急時の対応、これが大切なのはもちろんでありますが、それ以上に平時の体制というのが大事だ、それが何よりも大切だと思っているのです。

 ですから、地域のいわゆる防災力を高めると申しますか、例えば緊急病院の体制が常日ごろからどういうふうになっているのか、圏域を越えてどんなふうになっているのか。あるいは、今大臣からもお話がありました耐震、たしか私の知る限りでは、四十六年と五十六年に変えたのですか、ところが、公共的な建物は大分新基準になったと言われておりますが、まだかなりの建物が古い基準である。民間に至ってはほとんどその辺のところが、都民も知らないし、また手をつけていないというようなことを聞いておるのですが、御答弁をお願いします。

三沢(真)政府参考人 今先生御指摘のとおり、五十六年に新しい建築基準法の耐震基準ができたわけでございます。当然、それ以降に建てられました建築物についてはその耐震基準を満たしているわけでございますが、それ以前の建築物については必ずしも満たしていない。それがどのぐらいあるかということでございますけれども、建築物の棟数で見ますと、大体七割ぐらいが五十六年以前でございます。ただ、その中で、五十六年以前ではありますけれども新しい基準に照らしても一応耐震性能はそれなりに持っているというのもございまして、そこはちょっと推計の部分になりますが、そういう推計も含めていろいろやってみますと、恐らく全体の建築物の棟数の約四割程度がそういう新しい基準に基づく耐震性能を満たしていないというような推計がございます。

 これにつきましては、私どももいろいろな形で、耐震診断の実施とか、耐震改修のための補助制度あるいは融資制度等々用意して、公共団体と一緒に、その推進に努めている次第でございます。

 ただ、やはり先生御指摘のとおり、必ずしもお金の問題ばかりでなくて、住民意識、理解度の不足というところがございまして、この点につきましては、私ども、具体的に地区ごとにどうしていったらいいかということを公共団体とも御相談しながら、そういう方策、一層のこういう耐震診断、耐震改修についての必要性について理解を深めていくようなことを進めてまいりたいというふうに考えております。

 ただいま建築物全体のことを申し上げましたが、その中で、特に、建築物の耐震改修の促進に関する法律というのがございまして、それは多数の者が利用する用途でかつ一千平米以上の建築物という切り方でございますが、それから特定建築物に当たらないけれども公共建築物、それを含めましてどのくらい耐震診断それから耐震改修が進んでいるかという現状でございますけれども、耐震診断そのものは全体の約二割くらいの建築物について行われている、これは公共団体所有のものでございます。そのうち、それに基づいて耐震改修なりあるいは建てかえとか除却まで進んだもの、それが耐震診断を行ったものの約三分の一くらいという状況でございます。

中津川委員 ぜひそういう形で進めていただきたいと思います。

 次に、初動体制についてお聞きしたいと思います。

 一九九五年一月十七日ですか、阪神大震災のとき、有名な話ですが、秘書官が時の村山総理に連絡したのが一時間四十分後である、それから非常災害対策本部ができたのは五時間三十分後である、この初動体制のおくれが大災害をもたらしたと言われておりますが、それ以降、政府の方も危機管理対策に本腰を入れていらっしゃる。三十人の、内閣危機管理監ですか、専門家の方、警視総監とか消防とか、いろいろそういう人で体制をつくっておる、あるいは二十人の体制の内閣情報集約センターですか、先ほど話もありましたが、こういうようなものを設置して、二十四時間体制で取り組むというような形が一応できたことは評価したいと思うんです。これが二〇〇〇年十月に起きた鳥取の西部地震ではかなり生かされたと聞いております。

 さて、未曾有の東京の直下型地震が起きた場合、東京は国の中枢機関であり人口も密集しておりますが、この被害は大変なものになるというふうに予想されるわけですね。そして、ここで東京直下型地震が発生した場合、政府の初動体制が本当に万全であるのか、法的整備はどうなのか、大臣の御所見を賜りたいと思います。

伊吹国務大臣 今御指摘がございましたように、阪神・淡路大震災のときにいろいろ不十分なことがあって、結果的には六千人を超える方のとうとい命が失われたわけですが、そのとうとい命に報いるためにも、まず、当時各省に分散してしまっておった情報を内閣官房に集中するという措置をとっております。

 そして、その内閣官房において、災害がすべて国家危機に結びつくわけではございませんけれども、南関東直下型の地震の場合は、これだけ人口密集地帯ですから、これは災害が即国家危機、つまり大規模な日本国民の生命財産が危険にさらされる事態ということに結びつくことはもう言をまたないわけです。その場合に、各省と直ちに連絡をとり、各自治体と直ちに連絡をとれるように、あらゆる準備が今進んでおります。

 官邸が被災をした場合には、第二順位としてどこに集まるか、二十三区内、都心部が被災をした場合には立川市の広域防災基地センターに関係閣僚が集まる、集まる場合の交通手段もどうだ、こういうこともすべて準備はできております。それから、NTT回線がだめな場合に、中央の防災無線、あるいはヘリコプターから被災地の状況をリアルタイムで送ってくるようなもの、警察の通信網その他あらゆるものを今センターに集中をし、そして、私はこの前見学に伺ったんですが、都庁において東京都の防災指令室、これも同じような体制をとっておられますので、私は、初動体制においては阪神・淡路大震災のときのような失敗はまずないだろうと思います。

 そのできている仕組みをきちっと動かせるように、常に緊張感を持って政治家が先頭に立たねばいけないわけですが、心を引き締めてやっていくということだろうと思います。

中津川委員 今、法的整備についてお答えがなかったんですが、実は、災害対策基本法では市町村が中心になっているということで、消防組織法とか自衛隊法ですか、そういうのがありまして、結局知事が要請しないとなかなか自衛隊とか消防とかそういうのが動かないというのですが、聞くところによると、その辺の運用のところで総理がリーダーシップを持ってやっていくというようなことを聞いておるんですが、それだけで果たして大丈夫なのかどうか。

 と申しますのは、何か大島のときは、今と同じ法律だけれども、非常にうまくいった。だけれども、村山さんのときはうまくいかなかった。だから、時の総理がリーダーシップがあるかないかによって災害が大きくなるか、あるいはうまく最大の処理ができるかというようなことがあってはいけないと思うんですね。

 だから、法的な問題、これは大変大事な問題だとは思うんですが、議論のあるところだと思うんですが、大臣の御所見を賜りたいと思います。

伊吹国務大臣 先ほど来申し上げたように、事態がどうなっているかということを最終的な決断をする者がまず完全に把握していなければいけないと思います。したがって、今、情報管理センター、情報集約センターにすべての情報が入ってくる、そしてそれを見て、地方自治体からの要請がない場合も、大変だから、これは地方自治体、知事さんあるいは市町村長さん、すぐに自衛隊の出動を要請してくださいとお話ができる状態の情報を常にこちらにいる者が持っているということです。

 したがって、これは法律によって、法律改正をして、自衛隊が要請がなくとも出動できるとか、いろいろなことをやるということも一つの考え方ですが、これは今先生がおっしゃったようにいろいろ議論のあるところだと思います。したがって、運用の妙を得て、実質的には、地元で被害が拡散しないようにやれる情報の集中と、その集中した情報を最終的にそしゃくして決断をする人の居場所と決断を伝えるルートを、今完全にしているということを先ほどの答弁で申し上げたわけです。

中津川委員 時間が来ましたが、私は、消防庁、警察庁、自衛隊がいざというとき即出動できるように、こういう非常事態のときは内閣の権限がもっと必要だなというふうに個人的には思っております。

 今、マスコミ等でも盛んにいろいろ、特に東京の直下型の地震ということが取り上げられておりますが、政府もぜひ、先ほど私の質問にもありましたが、マスコミ等あるいは独自にもひとつ広報施策をやってもらいたい。というのは、行政というのはやはり限界があると思うんですよ。というのは、最終的には国民の防災意識が柱だと思いますので、その意味でも、ぜひ都民に、多少深刻な事態が予測される内容でも、しっかりとやはり伝えるべきだというふうに思います。

 これで質問を終わります。

赤羽委員長 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉でございます。

 私は、きょう、東海豪雨における水災防止の問題及びフロンの回収の問題について御質問いたします。

 去る平成十二年九月十一日に起こりました東海豪雨、私の地元が最大の被害地でありましたが、そこの生の声を十月五日の災害特別委員会で扇大臣にお伝えしまして、激甚災害指定をおろしていただくことになりまして、本当にありがとうございます。また、せんだっては、予算の分科会におきまして、未就園児と未就園児を抱えるお母さん方の心のケアの問題を含めた公園の復旧の問題についてお伺いいたしまして、これもまたよいお答えをいただきまして、ありがとうございました。地元を代表しまして感謝申し上げております。

 被災地の現状は、今焦点は災害復旧より水災防止へと移ってきております。地元の声といたしましては、何とか六月の梅雨の時期の前に少しでも治水の事業が進むようにと願っている次第でございます。

 本当にありがたいことですけれども、本年度から五年で、総額六百十億円を集中投下していただけますところの庄内川、新川河川激甚災害対策特別緊急事業への取り組みについて、少し御説明いただきたいと思います。

竹村政府参考人 昨年九月十一日から十二日にかけましての東海豪雨におきます名古屋の大被害、都市機能の麻痺等の被害が生じました。その後の庄内川、新川におきます河川激甚災害対策特別緊急事業について御質問がございましたので、お答えいたします。

 まず、国が行います庄内川での事業でございますが、新川の洗い堰を約一メーターかさ上げしまして、庄内川から新川への最大洪水流入量を二百七十立方メートル毎秒から七十立方メートル毎秒に低減いたします。そのことによって新川の洪水負荷を低減させます。その他、約十四キロの築堤、堤防強化、河道掘削、小田井遊水地の越流堤の改築等、また五つの橋梁の補強、改築等を平成十二年度から五カ年で、庄内川では総額三百二十億円を集中的に投資していくこととしております。

 また、愛知県によって行われます新川につきましての事業でございますが、約十七キロの堤防強化、河床掘削、新川の治水緑地の掘削、三つの排水機場の増強、二十一の橋梁の補強、改築等を平成十二年度から五カ年、総額二百九十億円によりまして、同じく河川激甚災害対策特別緊急事業で実施してまいります。

 このことにより、庄内川、新川におきましては、洪水の流下能力が大幅にふえ、治水に対する安全が極めて劇的に高まるものと考えてございます。

前田委員 ありがとうございます。

 次に、水災防止という観点から、国として今回の東海豪雨を教訓にいかなる方策をこれまでとってこられたのか、御説明ください。

竹村政府参考人 東海豪雨の大災害を受けまして、私ども前から都市型水害の潜在的な脅威ということは訴えていましたが、これがまさに顕在化したということでございます。

 私ども、九月十二日の災害の直後、直ちに東京大学の玉井先生を委員長とします学識経験者七名による都市型水害緊急検討委員会を設置しまして、現地に直ちに入っていただき、各種の調査を実施していただきました。そして、その二カ月後の十一月九日には、都市型水害対策に関する緊急提言をいただいたところでございます。

 主にこの内容で注目すべき点は、河川と都市部における下水の連携強化などを図るような提言がされてございます。具体的に申しますと、あの災害時に、河川が下流で決壊していても、上流の下水道の排水機場はその川に水を流し続けておりました。そのことにより下流が大変な被害を受けたということがもう既に報道されてございます。そのようなことから、都市全体の安全を守るために、河川と都市下水が一体となって安全性を最大限保つにはどうしたらいいかというようなことを、これから私どもの大きなテーマとして与えられたところでございます。

 さらに、河川審議会におきましても、平成十二年十二月十九日に、今後の水災防止のあり方についてという答申がなされまして、洪水ハザードマップの拡充など水災防止対策の充実強化について提言をいただいたところでございます。

前田委員 緊急提言及び水災防止のあり方についての答申等をいただきまして、急ピッチに水災防止の施策が進んでいるということがわかりました。

 そこで、私どもとしましては、まず水災時の情報提供について御質問いたしたいと思います。

 まず第一に、これは事前の情報提供が非常に重要である。第二に、情報収集の体制の整備が重要である。第三に、住民そして防災の関係機関の情報の共有化、こういうことが大切になってくると私は思います。

 まず、事前情報の周知という点で、先ほども御答弁いただいた中にハザードマップを挙げていただきましたけれども、私が調べましたところ、作成している自治体が非常に少ない。もう既に東海豪雨から五カ月を経過しておりますが、全国自治体三千市町村の中で洪水の危険性のある市町村が千二百、その千二百の中でわずか九十の自治体しか、つまりわずか七・五%の自治体しかハザードマップをまだ用意していないわけでございます。

 ハザードマップについて、実際に水災時の避難誘導訓練とかが行われるわけですけれども、本当に重要なものでありますので、何とかハザードマップの作成及び公表を推進する施策を国土交通省としておとりいただけないでしょうか、御答弁をお願いいたします。

竹村政府参考人 委員御指摘の洪水ハザードマップ、いわゆる洪水の災害情報地図と申しますか、このハザードマップは非常に重要でございまして、今回の名古屋水害におきましても、多くの方々が自分のパソコンまたはフロッピー、そういうものが水につかってしまいました。二階がある方でも、そういうものを二階に上げるという、ただそれだけのことの情報が、そこに住んでいる新しい方々は、自分の知恵がなかったというか情報がなかったというか、ちょっとした工夫により大きな災害が防止されるという伝統、文化がなくなっていたということが明らかになりました。

 私ども、住んでいる方々が、最悪の場合、自分の土地がどのような水害に襲われる可能性があるのかということを事前に知っておくことは極めて重要なことでございますので、このハザードマップの作成、市町村ともどもやってきたわけでございますが、今御指摘のように、九十六の市町村しか作成されてございません。ある市町村では、市長さんがそれをつくろうとしても、議会の方々から、なぜそんな住民をおどかすようなことをするんだというような意見が出たり、なかなか思い切った行政が展開できないという実態がございます。

 なお一方、平成十年八月に阿武隈川の大出水がございました。そのとき郡山市は事前にハザードマップをつくっておりまして、住民にそれを配布しておりました。そこで、大出水の後、群馬大学の先生が現地に入って調べたところ、ハザードマップを事前に見ていた人と見ていなかった人の避難の時間帯を見てみますと、一時間の差が出てまいりました。

 災害時における一時間というのは決定的な意味を持っておりまして、事前にハザードマップを見ておくということは、生命財産を救う上で極めて重要なことだと認識しておりますので、私ども行政としましては、河川管理者がみずから、浸水想定区域を公表する義務を負い、そしてそれに基づきまして各市町村がいわゆるハザードマップをつくるという施策のための水防法の一部を改正する法律案を今国会に提出している次第でございます。

前田委員 まず、水防法の一部改正に至るということですけれども、ぜひこれを強力に推し進めていただいて、事前に危険情報を住民に知らせ、少しでも水災が低減するように御努力いただきたいと思います。

 次に、情報の収集体制及び住民防災機関によります情報の共有化ということについて御質問したいと思います。

 枇杷島の皆さんの不安は、実際にどこに避難をすればいいのか、また災害が起これば水がどこでもらえるのか、食料がどこでもらえるのか、あるいは薬はどこか、そういう情報が一切入らないということでございました。もちろん、この問題は地方自治体が主となってなすべき分野ではありますが、大規模な水災時には地方自治体の行政管理能力は低下するわけでございます。

 確かに、河川に関する水災という面におきまして、ハードは非常に整備されてきておりますが、しかし、どういうふうに情報を流したらいいのか、あるいはそれを共有したらいいのか。また、枇杷島のように備蓄してあった食料が水につかってしまう、これがだめになる等々、また名古屋の西区におきましては避難所の一階も水についてしまう、こうした問題が発生しているわけでございまして、各自治体に、今あるものをいかに使うか、あるいはどのようにこうした情報を速やかに流したらいいのかという、国からの御指導をどのようにされるのか、この点について伺いたいと思います。

竹村政府参考人 災害対策基本法により市町村がつくります市町村の防災計画は、私が地元のさまざまな事例を見る限り、大地震に対する災害対策または避難所の設置、避難ルートの提示というのが中心になっておるように見受けられます。

 大地震と大水害は、実はかなり事情が異なります。今御指摘のように、大地震で使える学校の一階が実は水につかったり、備蓄してあった倉庫が実はくぼ地にあったり、大震災では使えるところが大水害では使えない。避難ルートも、私ども、大地震のように、ある学校へ逃げていくことが本当に大水害のときにいいのか。逆に、逃げていくルートによっては非常に危険な場所があるということで、隣の三階建ての民間のビルがあるなら、そこに一晩だけでもいるのが一番安全ではないかとか、水害と地震では状況が非常に異なるということが指摘されてございます。

 私ども、そのようなことに注目しまして、今後、水防法の一部改正におきまして、市町村がつくる防災計画については水害時にも対応できるような細かい配慮ができるようなためにも、浸水想定区域をきちんと提示しまして、市町村のお役に立ちたい、このように考えてございます。

前田委員 消防の関係ではいかがでございますか。情報の共有化等ですね。

片木政府参考人 お答え申し上げます。

 消防庁といたしましては、これまでも、地方公共団体におきます総合的な災害対策の基本となります地域防災計画の策定、修正に当たりましては、地域の災害危険性等を十分に把握し、情報の収集、伝達体制、被災者の収容、物資の調達、応援体制などに留意しながら、具体的かつ実践的な計画とするように要請をしてきたところでございます。

 しかしながら、今回の災害時におきまして、今御指摘のありましたような問題点が生じておりますことから、消防庁といたしましても、早速、今回の水害の教訓を踏まえまして、昨年の十一月に都道府県・政令指定都市の防災担当課長会議を開催いたしまして、地域防災計画の実効性の確保、避難勧告、指示の基準の明確化、それからその伝達体制の整備、庁舎、避難所などの防災施設の安全性の確保、住民に対する情報提供の充実など、風水害対策について点検を加えるように要請をいたしております。

 今後とも、地域の防災体制の充実に向けまして積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

前田委員 ありがとうございます。

 先ほど水防法の一部改正に触れられましたが、現在、国が管理されております水系が百九ございます。この大部分が洪水予報指定河川ということでございまして、気象庁の情報が災害時にリアルタイムに入ってくるということでございます。私は、ぜひこの洪水予報指定河川の拡充を図っていただきたい。

 つまり、この新川、枇杷島の大きな水害被害というのは、この新川が都道府県管理の河川で、こうした気象庁の情報がリアルタイムに入らなかったということがあったと思います。そこで、こうした都道府県管理の河川にまで気象庁の情報がリアルタイムに入るような洪水予報指定河川の拡充にぜひ努めていただきたいのですけれども、この点についてお伺いいたします。

竹村政府参考人 ただいま御指摘のように、水防法におきましては、国土交通大臣と気象庁長官が協力しまして、全国の一級水系、百七水系のうち百八十九河川を指定しまして、この指定河川につきましては洪水予報をすることになってございます。

 洪水予報というと具体的にどうかと申しますと、現在降っている雨、そして将来降るであろう雨を気象庁の方がすべての技術を駆使して予想または観測し、その結果を受けて、国土交通大臣としての河川管理者が、例えば四時間後に大きな洪水の波が来るぞというようなことを予想しまして、コンピューターで直ちに計算して予想し、それを国が県へ伝える、そして県は流域の市町村長たちにそれを責任を持って伝えるというのが洪水予報河川の指定とその内容でございます。

 私ども、今回の東海豪雨を見まして、従来の国が管理する重要な河川は当然でございますが、実は、都道府県が管理する河川におきましても、その後の急激な都市化、資産の集中がございまして、都道府県管理の河川であってもそのような洪水予報をすべきではないだろうかという認識に至りました。これは前提としましては、気象庁の雨量観測、または水文観測等が充実したという機械的な問題、機械の発展という問題もございます。私どものさまざまな水文観測の機器の充実がございます。このようなことを受けまして、県が管理する比較的小さな河川におきましても洪水予報をしようという内容の水防法の改正を今回提案してございます。

 これは技術的にはある意味では大変難しいことでございまして、大きな河川ですと五時間後の予想でございましたが、小さな河川ですと一時間または二時間という極めて短時間の間に予報し伝達しなければいけません。技術的に大変困難がございますが、私どもこれを乗り越えていきたいと考えてございます。

前田委員 ハードの面での水災防止も大切ですけれども、こうしたソフトの面での水災防止もぜひ行っていただきたいと思います。

 あと、私の残余の問題ですけれども、フロンの回収の問題でございます。

 十月五日のこの災害特別委員会で私は質問いたしましたけれども、枇杷島、新川そして名古屋市内で三万台の冷蔵庫が水につかった。そのうち三百八十台しかフロンの回収がなされていなかった。しかも、これはボランティアの手によってであったということを申し上げました。まことに環境省、当時の環境庁としては何もしなかったということで、私は、これは間違ったことではないかという指摘をさせていただきました。

 その委員会で、私はこのフロンの回収についての報告書を要求いたしましたところ、私の手元に届いたのは、皆さん見てください、愛知県庁が持ってきた写真のコピーであります。そして、きのう、環境省が私のところに届けた資料は、読み上げますが、愛知県環境部の平成十三年三月七日付の資料でございます。ということは、環境省は何もしていない。私が前委員会で報告書を要求しているにもかかわらず、持ってきたものはこうした愛知県庁が出したものばかりである。これは委員会軽視であり、国会軽視であります。愛知県に押しつけるのだったならば、環境省は要らないわけであります。こうした環境行政をしっかりとやっていただきたい。

 報告書の提出、そしてこの五カ月間何もされてこなかったということについて、御答弁いただきたいと思います。

浜中政府参考人 お答え申し上げます。

 前回の委員会からの環境省としての取り組みでございますけれども、昨年の十月十日に私どもの職員を現地に派遣いたしまして、状況を把握いたしますとともに、愛知県などと連絡をとりながら、その後の取り組みを進めてまいりました。

 具体的には、県等に対しまして、冷蔵庫などの被災した機器からのフロン回収を可能な限り実施いたしまして、適切に破壊を進めるように働きかけをしてきたということでございます。その結果といたしまして、先ほど先生から御紹介がございましたように、冷蔵庫やルームエアコン等につきましては、台数が確認できた範囲で約千三十台からフロンを回収したということでございますし、また、名古屋港の南五区に保管をされております災害ごみからも可能な限りフロンの回収を行ったというふうに聞いているところでございます。

 私どもといたしましても、今回の東海豪雨災害を教訓にいたしまして、愛知県等と協力をし、水害時における被災機器からのフロン回収処理についてさらに検討を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

前田委員 今、私が聞いているのは、確かに職員の方は派遣されたかもしれないけれども、環境省としての報告書はこちらに上がってきていないわけであります、何も仕事をしていないわけであります。しっかりとやっていただきたいと思います。

 この点についていかがですか。

浜中政府参考人 お答えを申し上げます。

 私ども、ただいま申し上げましたとおり、単に職員を派遣しただけではなくて、頻繁に県とも連絡をとりながら、このフロンの回収、そして適切な破壊ということが進みますように、さまざまな取り組みを行ってきたところでございまして、この結果につきまして、昨日、私どもの職員が先生のところに伺いまして、確かに県のつくりました最新の資料をお届けしたところでございますが、私どもとしてももちろんこういった取り組みを進めておりますので、環境省としての御報告が必要でございましたら、私どもからも御提出を申し上げたいと思います。

前田委員 次回、災害特別委員会におきましては、環境担当大臣のこの五カ月間何もしてこなかったことについての責任をどうされるのか、そして報告書を必ず提出いただく旨、御答弁願いたいと思います。

 私の質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 我が国の災害対策の基本的な枠組みは災害対策基本法に定められております。阪神・淡路大震災は、従来の災害対策のあり方についてさまざまな課題をあらわにしたと思います。そうした教訓から、災害対策においては、まず政府の初動体制、続きまして防災の問題、それから災害の復興の問題、この三つの点についてますます重要性が増してきた、こう思うわけでございます。

 まず初めに、実習船えひめ丸の事故に関して、つい先日、政府の初動体制が問題となりました。総理大臣も事故報告後もゴルフを続行していたというような点も大きな問題になったわけでございますが、私は、中央省庁再編後に生じた構造的な問題について若干議論をしてみたい、こう思っております。

 以前、一九九九年三月ですから二年前、同じ災害対策特別委員会において、中央省庁が再編された後に生ずる構造的な問題について、私が質問をさせていただきました。というのは、政府の緊急事態の対応及び危機管理に関しては災害対策基本法という法律が根拠法として挙がっておりますが、一つは、非常災害が発生した場合には非常災害対策本部、著しく異常かつ激甚な災害が発生した場合には緊急災害対策本部、こういう仕組みになっております。

 ところで、中央省庁が再編された後は、これまで国土庁がおやりになっておりました自然災害については内閣府が現在もう既に担当されております。そうなりますと、非常災害対策本部のレベルの災害でも基本的には総理大臣、こういうことになるわけでございます。実際には、伊吹大臣が防災担当ということで、今回の場合にはきちっと明確になっておるわけでございますが、それぞれ内閣がかわるたびに担当大臣を任命していくのか、または他の大臣が兼任をされるのか、総理ということももちろん可能性としてはあるのでしょうが、そういう形になります。

 いずれにしても、自然災害に関しては内閣が発足のたびにどうするかということを決めながら進んでいく、こういうことが第一点の問題としてあるのではないか、こう前回にも指摘をさせていただきました。

 また、内閣府が防災について総合調整を行っていく、こういうことでございますが、実際には自然災害部門だけでございまして、海上、航空関係、また原子力事故など、それぞれ国土交通省、経済産業省ということになってくると思います。今回の実習船えひめ丸事故のような、それぞれにかかわりがあるような事故が生じました場合には、どこが対応すべきかということが問題になってくるわけですが、実際、今回も若干、政府部内でも迷った形跡があったように見受けられます。

 私は、これらの問題を踏まえて、内閣府が一元的に大規模な災害、事故、それから緊急事態も含めまして、迅速かつ効果的に対応できるように、いわゆるアメリカのFEMAのような、緊急事態管理庁といいますか緊急事態管理局といいますか、そんなものを内閣府につくるべきだということを元来主張してまいりました。FEMAのような巨大なというか大きな規模のもので必ずしもなくてもいいと思うのですが、一般の行政官の組織という性格ではなくて、少なくとも現場でそれぞれの省庁が協力して事に当たるわけですから、消防、警察、自衛隊、自治体、それぞれの関係組織を実際に調整していける専門家集団、これを内閣府の中に、また防災担当の大臣のもとに組織すべきであるというふうに考えております。

 政府として、今回の経験を踏まえて、これらの点に関してどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

伊吹国務大臣 西先生がおっしゃったのは、私は、今回、原子力潜水艦の事故、これは災害ではありませんけれども、これを重大な事故として処理するのか、言われているような危機管理として処理するのかの際にも、いろいろ率直に言って考えさせられました。

 今おっしゃっているような恒久的な組織をつくるというのも、私は一つの考え方というか筋論だろうと思います。一番最初にお話がございましたように、情報の収集、初動体制、それから防災、復旧ということになりますと、これを一元的に取り込むということは、各省の組織をほとんど根こそぎ持ってくるということになっちゃうんですね。ですから、政策統括官のもとで、つまり旧国土庁の防災局のもとで、実施の権限は各省に持たせながら、従来と違って内閣府という一つ大きな立場で、言うならばアドホックに対策本部を立ち上げていくというやり方を今我々はとっているわけですね。どちらも一長一短だと思います。

 今回のえひめ丸の事故を考えて、私も、この職を去るときには、私が少し考えていたことを、やはり先生と同じようなことを申し上げなければいかぬことがあるんじゃないかと思って、実は今メモをつくっているところなんです。一つの御見識ある私は御提言だと思いますし、将来的にどちらの方向で行くか、これは定員の問題、行政改革を含めての問題がございますから、非常に考えさせられる御提言だと真摯に私は理解しております。

西委員 実務に即して各地を回られながら、仕組みを、今後のことを考えながらという大臣のお話がありました。新しい省庁のもとでの初の担当大臣でいらっしゃいますので、今後またさらに、緊急事態に対して即応できるような体制をぜひおつくり願いたい、こう思います。

 先日の予算委員会の質問で、私、このえひめ丸関連のことで少し御質問を申し上げたんですが、森総理はそのときの状況を、首相官邸の危機管理センターの直通番号を知らなくて代表電話でというようなお話が急に出たものですから、私も若干びっくりしたんですが、緊急事態、危機管理体制の問題が図らずも露呈されたというふうな気がいたしました。

 私は、従来から、災害、緊急事態などの初動体制で一番問題となるのは、どういう状況であろうが、まず一番に、連絡をとる方法、これを確保すべきだというふうに考えております。総理やまた防災担当大臣など、危機管理センターに直通の緊急事態電話、もちろん普通の電話でも一向に構わないわけですが、その意識で、いついかなるときでもきちっと対応できるような、そんなラインを必ずつくるべきだ、今回の教訓をもとにお願いをしたい。もちろん政府の場合もありましょうし、内閣府はもちろんのこととして、そのほかの省庁の中にも緊急事態に対応する部署があり得るんではないか。そのことについてのラインをきちっと総理、担当大臣には確保していただきたい。

 このことについてお伺い申し上げたいと思います。

伊吹国務大臣 ここは災害特別委員会でございますので、防災担当大臣を私はいたしておりますが、今先生の御質問のことは、この前の御質問にも関係してくるんですが、大規模な災害から生ずる国家危機をも含めて、危機管理大臣という立場からすると、私は実は内閣官房の大臣になっちゃうんですね。ですから、本来なら副長官か何かが来てここの場はお答えするのが適当だと思うんですけれども、委員長のお許しをいただいて、危機管理大臣としてお答えをさせていただきたいと思います。

 情報集約センターからは、連絡のやり方としては、私は三カ所勤務場所があります、国家公安委員長と防災担当大臣と危機管理大臣。それから私の自宅、それから選挙区へ帰りました場合の自宅、これにすべて警察電話、防災電話その他の連絡がとれるものが設置してあるわけですが、問題は、先生も御理解いただけるように、みんな政治家でございますから、事務所に座っているわけではないんで、常に動きます。そういう場合の連絡が一番大切でございますので、私が携帯を持つと同時に、例えば自動車電話の登録をする、そしてもう一つ秘書官が持っている電話がある、それから警護官、SPさんが持っている電話がある、これだけのもので実は身を固めて私たち動いておりますので、国家危機の場合にはそういうことはほとんど生じない、新幹線や車に乗っておってトンネルとか地域の関係はあると思いますが、それ以外では連絡がとれないということはございませんのです。

 ですから、常にそういうものが入ってくるぞという気構えを持って、ガセネタが非常に多うございますけれども、私の場合も一週間に二度ぐらいは真夜中にたたき起こされるというような今状況になっておりますので、むしろ持っている者の心構えということに私はあるんじゃないかと思います。

西委員 実態も踏まえて御答弁いただきました。まさしく心構え、ゴルフをなさるのも結構でしょうが、常に心構えということを忘れずに事態に備えていただきたい、こう思っております。

 次に、災害が出てから対処するより、まず被害を出さないという点では、災害対策としてはまず防災事業が最重要課題である、こう位置づけられております。政府は大地震に備えてふだんから防災都市づくりを進めていく、これが肝要ではなかろうかと思います。とりわけ、木造密集市街地の改善を進めていくためには、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律が制定されておりますし、財政的な支援としては、地震防災対策特別措置法が制定されて、地震防災緊急事業五カ年計画を策定して、国庫補助率のかさ上げなど、地震防災施設等の整備が推進をされております。

 一方、災害の復興に関しては、被災市街地復興特別措置法が制定されて、被災した市街地が緊急に復興されるよう法制度が整備されました。また、非常災害時における市街地再開発事業や土地区画整理事業などの予算補助率がかさ上げされることになっております。

 これまでの災害復旧事業は個々の公共施設などの原状回復を原則としてやってまいりましたけれども、災害復興事業では、復旧ではなくて復興事業では、被災した町を復興させる、そのための基盤整備ということに、いわば町づくりに力点が置かれている、こうなっております。

 阪神大震災では、阪神・淡路大震災復興の基本方針及び組織に関する法律、または阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律、こういう特別立法がなされておりまして、より安全に配慮した、地域振興のための基礎的な条件づくりがなされました。もちろん、まだ途中の部分もあると思います。そして、被災地復興の計画的な実施、それから地域経済の復興対策、三つ目に、被災者の自立した生活再建対策などに配慮して、法律、税制、予算などさまざまな措置が講じられてまいりました。

 私は、防災とともに災害復興を災害対策基本法の重要な柱として今こそ位置づけて、そして関連する法制度の整備を図っていくべきではないか、こう思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。

山崎大臣政務官 お答え申し上げたいと思います。

 災害対策基本法の中では、第二条第二号におきまして、先生おっしゃられたように、災害予防措置、それから応急対策、緊急対策、それと並んで災害からの復旧というものも、この防災という観点からの重要な柱、三つの柱というふうに位置づけているわけでございます。まず、幹の部分で三つの方針が出ている、その中の一つに含まれているというふうにお受け取り願えればと思います。

 それから、同じ第八条第三項において、「国及び地方公共団体は、災害が発生したときは、すみやかに、施設の復旧と被災者の援護を図り、災害からの復興に努めなければならない。」これは努力規定でございますが、一応精神的な気持ちの部分も、こういったところに法律的にはなされているということでございます。

 その点で、それに絡んで申しますと、九十七条でのいわゆる激甚災ということから激甚災害法も、この中の幹から出た枝として出ているというふうにお考え願えればと思います。

 ただ、先生御指摘のように、それでは、ほかに必要な法律、まとまった形のものがあってもよいのではないかという御趣旨だと思いますが、その辺のところは、一つ一つの復興の事態がそれぞれ違いますものですから、それに合わせて特別法をつくっていいのではないかという考え方と、ある程度基本的なところは法的なもので事前に整備しておいた方がよいのではないかという、その辺の御議論がこれからあるのではないかと承知しております。

西委員 次に、財政支援の特別措置法を恒久化したらどうかという議論をさせていただきたいと思います。

 復興計画、復興対策マニュアルをまず策定する、このことについては、ちょっと議論は時間の関係で省かせていただきますが、このマニュアルを策定するということがまずできますと、あと取り組む問題としては、財源をどうするかということが、復興の問題として大きな問題が残ってくると思います。

 復興計画を策定して、そして被災者の生活再建、地域の復興を迅速かつ円滑に推進していく、そのためには、地方自治体がいかに対応しようとも、裏づけとなる財源がなければ、これは絵にかいたもちということになってしまいます。それぞれのシミュレーションを行うにも、どのくらいの財源が見込めるのか、これからいろいろなところで災害復興のマニュアルがつくられていくというふうに思いますが、その根拠になるものがやはり要るのではないか、こう思います。それなくして、復興の計画というのもなかなか将来の問題として立ち行かないのではないか、こう思うわけでございます。

 ちなみに、東京都が復興対策マニュアルをつくりましたが、そのときの算定は、阪神大震災のときの財源措置を想定して、こういう復興ができるのではないかというマニュアルになっているというふうにお聞きをしております。

 去る日曜日に、森総理が三宅島を視察されました。三宅島の復旧復興に関して、総理は、阪神大震災の際の特別立法を視野に入れて支援措置を検討していきたいというような旨のお話をされたというふうにお伺いをしております。

 そんな意味で、私は、災害が起こるたびに、その都度、特例的な財政支援のフレームを法制化して、そして立ち上げていくということではなくて、阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律、このフレームを東京も基準にされたようですが、これを基本にして、一般的な大災害の援助のための法律という形に一般法化していくということが、今後、防災マニュアル等各自治体がスキームをつくっていく際にはぜひ必要ではないか、こういう考えを持っております。

 この法律をつくることによって、災害規模の程度に応じて、小規模は通常の災害復旧、それから中程度の規模のものは激甚災害の対処特別財政援助等措置法、こういう法律で財政援助ができる仕組みができます。そして、大規模の災害は、先ほど申し上げました阪神・淡路大震災のときの特別財政援助及び助成に関する法律を一般化したような法律、これはもちろん、面的に町づくりまで含めた、復興のマニュアルに即した財政支援をできるようにという意味でございますが、いずれの事態に対してもきちっと財政的な措置があらかじめ予想できる、こういうことになるのではないか、こう思っておりますが、ぜひとも前向きに御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

坂井副大臣 災害に対する財政的な措置については、委員御案内のとおり、激甚災害の制度などがあるわけであります。著しく大規模な災害の場合は、これらの制度では対応が不十分な場合も想定されますので、阪神・淡路大震災のときの特別立法みたいなこともあったわけであります。

 ただ、昨年の有珠山の噴火あるいは三宅島の噴火、鳥取県西部地震などを考えますと、被害の態様や求められる措置も、個々の災害によって極めて特徴的なところがあるし、またその時々の被害の規模もいろいろ違います。

 阪神・淡路大震災のときの法律も、例えば埠頭公社の岸壁に国庫補助と無利子融資を行うとか、いろいろな制度をつくったりしていますが、やはり個々の被害の規模とか特色がそれぞれあるわけであります。

 ですから、災害が発生した場合の対応措置はできるだけ早急に講じられることは言うまでもありませんが、一律にあらかじめ定めておくということは、一般法化するということは難しいのではないかなというふうに認識しているところであります。

 ただ、現行法体系を踏まえて、それぞれの災害の状況などを見て適時適切に対応するということが一番急務かと思っておりますし、今後ともそういう姿勢でやっていきたいと思っております。よろしくお願いします。

西委員 例えば、激甚災害等に対応することに関しましても、かなり一般化しているわけですので、もちろん、大災害それぞれ、水害の場合もありましょうし、火山の場合もありましょうし、地震の場合もある、大きな区分けだけでもいろいろあるので、一般化しにくいという事情はよくわかるのですが、復興に対して少しでもめどが立つような、そういう方向性はぜひともあわせてお願いをしたい、こう思っております。

 時間が若干押しておりますので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 昨年は、有珠山、三宅島の噴火、東海地方の大雨、鳥取県西部地震など、大規模な災害が相次ぎました。これらの災害によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、全島避難され、半年にも及ぶ不自由な生活を余儀なくされている三宅島の方々に、心からお見舞い申し上げる次第であります。

 さて、今般の省庁再編及び政治主導の強化の観点から、他省庁より一段高い位置づけで内閣府が設置されました。今まで旧国土庁を中心に各省庁にまたがっていた防災機能を内閣府の重要課題の一つとして集約し、強化されたところであります。

 去る一月二十六日に開催されました中央防災会議において、冒頭、森総理は、我が国は自然的、地理的に災害を受けやすい国土であり、昨年も火山噴火、地震、豪雨などの災害が頻発しており、災害から国民の生命及び財産を守ることは国政の最重要課題の一つである。これまでも政府として、阪神・淡路大震災等の教訓を踏まえ、災害対策の充実に努めてきたところであるが、不断の努力により一層の充実が必要であるとあいさつされています。

 しかし、そう言いながら、そのわずか二週間後の二月十日に発生した今般のハワイ沖でのえひめ丸の沈没事件に対する政府の危機管理体制はどうであったのでしょうか。

 既に多くの場でいろいろ議論されてきましたので、私はこの場では多くは申し上げませんが、事故当初は犠牲者やあるいは救出者の正確な人数などわからないのが当たり前でありまして、日本の青年が乗っている実習船とアメリカの原子炉を搭載した潜水艦という、両極端な目的を持つ二隻の船の接触、沈没事故の発生事実だけをとらえてみても、政府は事の重大性を認識し、森総理のゴルフの継続などは論外でありまして、内閣府の危機管理センター設置に向けての初動の対処に万全を期すべきであったと私は大きな疑問を感じざるを得ないのであります。

 また、すべての重要政策にかかわる立場にある内閣府に設置された中央防災会議の開催は、一体何であったのでしょうか。単なるセレモニーにすぎなかったのではないかと思わざるを得ないのであります。

 これらのことは、国及び国民の生命と財産を守る立場にある政治家として、理屈以前の本能的な政治センスの問題であると思いますが、伊吹大臣の御見解はいかがでしょうか。

伊吹国務大臣 大変難しいというか、答えにくい御質問でございますが、先生十分御理解いただいて御質問があると思うのですが、まず、内閣法十五条に言う国家危機というものは、国民の生命財産が大規模に侵される、あるいは国の秩序が侵される、主権が侵されるという場合です。ですから、海外から侵略があった場合、これは防衛庁が対応いたしますが、それ以外に、例えば阪神・淡路大震災のような極めて大きな自然災害、そしてサリン事件のような大きな事件、そして飛行機が墜落するというようなケース、こういうものが本来、危機管理の対象であろうと思います。

 ちょうどあのハワイ沖の事件がございました前の日に、福島沖で実は日本の漁船が遭難して、一人がお亡くなりになって、六人の方が依然行方不明でございました。国民の生命財産ということからすると、これは総理がおっしゃっているとおり事故であったと私は思いますけれども、日本の主権外で起こった事故であり、アメリカの原子力潜水艦が絡んでいるということですから、国民感情を刺激して必ず安全保障それから外交上の大問題になるという認識は私は持っておったわけです。

 したがって、いずれにしろ、官房長官の政府各省に対する調整機能を発揮して対応すべき重大事故と考えて実は連絡室を設置したわけでして、総理にはその時点で全く同じような御連絡が行って、私が指示をした、つまり、防衛機密ということでアメリカに囲い込まれるなよ、それから生命を第一にやれよということを太平洋司令部とそれからアメリカの国務省に連絡をしてくれというのと、ほとんど同時期に、総理からそのような御連絡が情報集約センターへ入ってきておったということは確かなのです。

 ですから、総理が生命を守っていくという日本の最高責任者としてのやるべきことをなさらなかったということはないと私は思います。

 しかし、総理も再三おっしゃっておるように、オーディオビジュアルの時代でございますから、その最終的な責任者がまず姿を見せることが大切であったなということについては、総理も予算委員会で再三遺憾の意をあらわしておられますので、どうぞ先生にも、その間の事情は御理解をお願いしたいと思います。

黄川田委員 幾ら立派な危機管理体制をつくっても、そこに魂を入れなければ何にもならないと思っておりますので、その点を力説しておきたいと思います。

 次に、防災機能の強化についてお伺いいたします。

 大臣の所信表明に述べられているとおり、内閣府で防災機能が大幅に強化されたとしておりますが、これまでの取り組み体制と比べてどう強化されたのでしょうか。一昨年の秋に、国内事故とはいえ、東海村のウラン加工施設の事故にかかわる小渕内閣の政府対策本部の設置及び官房長官の国民への説明など、それなりに対処されていたと思いますが、私からも改めてお尋ねいたしたいと思います。

伊吹国務大臣 私の所信でも申し上げましたように、従来、防災機能といいますか、災害の中でも、先生御指摘のように、大きなものは国家危機になります。しかし、そうではないもの、災害もたくさんあるわけでして、これらの行政は、基本的には、国土庁という横並び省庁の一部局、防災局という局で対応されておりました。

 今回、これを新たに内閣府へ移しまして、そして一元的に企画立案、総合調整を行う、そして私が命を受けてその担当をいただいた。それから同時に、総理府にございました中央防災会議というものを内閣府に置かれた四つの重要会議の一つと位置づけて、単にお役人、各省の集まりだけではなくて、部外の学識経験者を含めた会議に格上げをした、先ほど先生おっしゃっていた総理の訓示というのは実はそこであったわけなのですけれども。先ほど来いろいろ御質疑がございますように、従来とは違って、大臣が直接持っている政策統括官組織ということで、各省に積極的に物を言えるという体制をつくった。

 それと同時に、そういう体制をつくるだけではなくて、不断に、常に情報が行き交って、事態が発生したときにお互いの名刺を交換しているというようなことではとてもいけませんから、局長レベル、課長レベル、担当者レベルの会議をほとんど毎週のように開いているわけです。私も、一番最初のときはそこへ行って、今回の組織の改革の目的をお話しさせていただいております。

 先生おっしゃったように、そういう組織をつくりましても、そこに携わる者の気持ち、それからやる気、こういうものがやはりきちっとできていないといけませんので、これを常に緊張感を持って維持していくというのが私の役目だろうと思っております。

黄川田委員 次に、災害現場で陣頭指揮をとるのは一切首長に任されております。首長は少ない情報のもとでリーダーシップを発揮しなければならないのであります。

 そこで、官邸と地方自治体との連携は、具体的にどうとられておるのでしょうか。

伊吹国務大臣 そこのところが実は一番大切なところだと思います。それを官邸ができるためには、官邸に十分な情報が入っていなければならないわけです。それから、自治体との連絡網がつくられていなければなりません。

 阪神・淡路大震災のときは、先ほど西先生からもお話があったように、まことに寂しい状態であって、阪神・淡路地域の人たちに大変な被害を与えてしまったという反省から、あらゆる情報は今、情報集約センターに入ってくることになっております。

 ただ、情報が余りにもたくさん入り過ぎて、その中の情報から、必要なものはどれで不必要なものはどれでという振り分けをどうするかというのは、これは私が着任してみて一番大きな問題だなという印象を受けたんですが、その振り分けをして、そしてそれを各省に連絡をするとともに、地方自治体の知事さんあるいは市町村長さんと連絡をとっていく。したがって、先ほど来先生からお話がございました東海村のウラン加工施設の事故だとか有珠山噴火の対応についても、私も現地へ行ってみましたけれども、随分早くなったということを自治体の方々がおっしゃっております。

 例えば、鳥取県西部地震のときは、知事さんはまだわからない情報もこちらに実は入ってきているわけです。総理と知事が電話で直接連絡をして、自衛隊をどうする、自衛隊を出すか、どうだというような打ち合わせをしながらやっておりますので、サポート体制をこれからもより細かくつくっていかねばならないと思っておりますので、御指摘は非常に大切なポイントだと受けとめさせていただきたいと思います。

黄川田委員 災害対策はうまくいって当たり前ということでありますので、地方公共団体との連携をひとつよろしくお願いいたします。

 また、危機管理センターの事務方で、初動で対処すべきマニュアル類ができていると思いますけれども、それは概略どのようなものでしょうか。具体的にどのような緊急事態を想定しておるのでしょうか。

伊吹国務大臣 これも、先ほどお許しをいただいたように、災害特別委員会ではございますけれども、危機管理大臣として答弁させていただきたいと思います。

 情報集約センターに入ってまいりましたいろいろな情報に対してどのように対応するかという、初動対処マニュアルというものを実はつくっております。

 これは極めて事務的な対応のマニュアルでございまして、緊急事態情報の対象としては、地震、津波、風水害、火山災害、雪害等の自然災害。船舶、航空機、鉄道等の大規模な事故、それから爆発事故、核・原子力施設の事故、危険物流出事故、油の被害、その他多数の日本人が被害者となる海外の事故。それから、騒乱、暴動、ハイジャック、人質立てこもり、原子力施設への攻撃、我が国周辺諸国における重大な緊急事態への発展が予想される軍事衝突、外国の軍用機、艦船による我が国の領空、領海の侵犯。その他、悪性の伝染病の蔓延、日本国籍である船が日本の近海で拿捕されたような場合。こういう場合の情報がすべて入ってまいります。

 その情報を安全保障危機管理室の審議官が、これは各省で対応すべき事案だ、あるいは内閣官房の、具体的に言えば、内閣官房長官の各省に対する総合調整機能を発揮して、連絡室を置きながら、今回のえひめ丸の事故でいえば外務省が中心になって対応していくというようなもの、それから、いよいよこれは官邸に対策室を置いて、非常災害対策本部とか対策本部とか、こういうものを置いて対応しなければならないいわゆる国家危機に分ける。

 そして、分ける前に当然、総理、危機管理大臣、官房長官、副長官に連絡がとられる。その判断を仰ぎながらこれを動かしていく、そういうマニュアルがつくられているということです。

黄川田委員 危機管理計画やマニュアルの策定は、危機管理の終わりではなくて危機管理の始まりだと思っております。具体的な事態を経験する中で内容の見直し等をして、事態に的確に対応していただきたいと思います。

 それでは、時間が半分ぐらい過ぎましたので、まとめて最近の火山活動の動向についてお尋ねいたします。

 日本列島は火山列島であります。地球上にある約八百の活火山のうち、ほぼ一割に当たる八十六もの火山が日本に集中しております。気象庁がまとめられた火山概況によりますと、昨年一年間に噴火した火山は有珠山や三宅島など六火山、噴火しなかったが火山性地震などの異常が観測されたのが二十二火山に上っております。

 富士山は、江戸時代の宝永の大噴火から、ほぼ三百年沈黙を守っております。しかしながら、最近、地下のマグマの動きの兆候を示す低周波地震と呼ばれている特異な微小地震の発生が急増しております。地殻変動は観測されておらず、噴火に直結するおそれはなさそうでありますけれども、低周波地震とはどのようなものなのでしょうか。また、最近開催された火山噴火予知連絡会の評価結果を受けて、気象庁はどのような対策を当面とるべきとしているのでしょうか。

 実は、私の地元の岩手県でも、岩手山に臨時火山情報が初めて出されてから、ほぼ三年になります。岩手山は、平成十年三月から火山性地震が頻発し、当時は一日最大二百八十五回にも及びました。その後火山性地震は、増減を繰り返しながら、最近は小康状態を保っておりますが、予知連絡会も、今後も注意が必要との見解を示しております。

 この二月、雪深い周辺の玉山村で噴火対策防災訓練が行われました。これで盛岡市を含む周辺六市町村主催の防災訓練は一巡したところであります。

 災害弱者への手助けに、地域住民の協力は欠かせません。自分の身は自分で守る防災意識は大切でありますが、非常時には住民がともに助け合う気持ちとその体制を強化する必要性が、防災訓練の結果、改めて認識されたところであります。このような周辺自治体の自発的な防災訓練の実施は評価に値すると思いますが、他の都道府県の実施例などを勘案し、さらにどう改善を図っていけばよいか、伺いたいと思います。

 加えて、平成十三年度予算で気象庁に火山監視・情報センターの整備費が認められており、岩手山も観測対象に含まれていると聞いております。そこで、このセンター構想はどのようなものでしょうか。また、県及び関係市町村とどのような連携が図れるのか、あわせてお尋ねをいたします。

山本政府参考人 私の方から、富士山の問題、それから火山監視センターについてお答えいたします。

 先生お尋ねの低周波地震と申しますのは、普通の地震波に比べまして数倍から十倍程度の長い周期を持つ地震波であります。これは、一般的にはマグマや火山ガスが関与した場合に発生すると考えられておりまして、火山帯では比較的多く観測されるものでございます。

 富士山では、平成十二年十二月にこの低周波の地震が急増し、十一月から十二月にかけまして月百回から二百回の多い状態が続きましたが、一月以降はやや鈍化してございます。

 富士山のこの低周波地震でございますが、山頂の北東側の深さ約十五キロ程度のところで発生しておりますこと、また周辺にございます地殻変動観測で特に変化はないということから、私ども、直ちに噴火等の活発な火山活動に結びつくものではないと考えております。

 しかしながら、気象庁といたしましては、富士山の活動については注意深く監視を続ける必要があると考えてございまして、今後の火山活動の診断を的確に行うために、診断に必要な観測体制について関係機関と現在協議を進めているところでございます。

 もう一つの火山監視・情報センターでございますが、これは平成十三年度に全国四カ所に設置する計画でございます。この火山監視センターでは、私ども気象庁のほかに、関係機関の観測データを二十四時間体制で監視、解析し、火山活動の平常時の段階から的確な診断を行いまして、火山活動の異常を早期に把握し、迅速かつ的確に火山活動に関する情報を地方自治体等関係機関に伝達するとともに、防災対策に必要な助言を行うというものでございます。

 現在、火山学の進歩、これは科学技術の進歩に裏づけられておるわけでございますが、観測については、地震計、傾斜計、GPSなど大変膨大な観測システムを活用した観測が行われておりまして、これらのデータを私どもが整備しますセンターに一元的に集約し、総合的に迅速かつ的確に処理することがマグマの挙動等の火山活動の推移を監視することにつながるものと考えてございます。

 岩手県の例で申しますと、このセンターの解析結果、活動の推移の情報については、私ども、同時に、火山情報の情報共有化システムというものを整備いたしまして、仙台管区気象台、岩手県盛岡気象台が、IT技術を活用しました、例えばテレビ電話等で平常時から情報を共有いたしまして、適切な防災対策に必要な情報を交換し合う、こういうことでございますので、これまで以上に的確な防災対策が行えるのではないかというふうに考えているところでございます。

黄川田委員 時間がありませんので、ちょっと通告の順序を変えまして、次に、津波対策についてお尋ねいたします。

 昨年八月のこの災害対策特別委員会においては、津波対策のハード面を主体にお伺いいたしました。津波問題は、地震と違い、たびたび遭遇するものではなく、世代交代とともにその恐ろしさが風化されていくのが現状であります。

 そこで、今回は、津波対策のソフト面を主体にお伺いしたいと思います。

 まず、沿岸住民へ津波被害の意識高揚と周知徹底のため、防災上のハザードマップ、いわゆる津波浸漬予測図が極めて有益であります。しかしながら、この予測図には防波堤、防潮堤等の新しい漁港、港湾構造物が反映されていないため、現実性に欠ける面があると思っておりますが、その修正等、今後の改定見通しはいかがでありましょうか。

吉井政府参考人 先生御指摘の津波浸水予測図は、平成十年度に当時の国土庁防災局で作成いたしまして、海岸を持つ全三十九の都道府県へ提供したものでございます。

 この予測図は、最大限どこまで津波が及ぶ可能性があるかを示すために作成したものでございますが、先生御指摘のとおり、防波堤等の構造物を考慮しない形で作成されてございまして、地方自治体が津波防災計画を作成したり、あるいは防波堤、防潮堤等の構造物の個別の効果を検討する際の基本図として活用されているところでございます。

 内閣府といたしましては、平成十三年度に、従来作成しておりませんでした十メートルを超えるような津波が来襲した場合の浸水予測図を作成するとともに、防波堤、防潮堤等の構造物を加味した予測図についても検討してまいる予定にしております。

黄川田委員 災害の中でも津波は忘れたころにやってくるものでありまして、不断の災害に対する住民の意識の高揚が最も重要でありますので、特段の取り組みをお願いしたいと思います。

 次に、まとめて、私の地元の岩手県の沿岸部の海岸線は、総延長七百キロにも及びます。新幹線のほぼ東京―岡山間に近いわけであります。また、御案内のように、沿岸部であるがゆえに山間地域が多く、電波の受信状況もよくない地点が多いわけであります。そこで、このような防災行政無線の難聴地区に対し、どのように今後対処していく計画か、お伺いいたします。

 そしてまた、地震、津波災害に的確かつ迅速に対処するため、光ファイバー等を駆使した津波防災ステーションが北海道の浜中町など全国六カ所で実施中と耳にしております。それはどのようなシステムであるのでしょうか。

 また、岩手県では、種市は既に平成十年度に完成し、今後さらに広域化の課題が残されておるわけでありますが、大船渡の場合は、他事業との関係もあり、平成九年度から開始はされておりますけれども、その完成は平成十七年と伺っております。そこで、この事業の短縮の可能性はあるのでしょうか、あわせてお伺いいたします。

片木政府参考人 お答えいたします。

 まず、津波対策の連絡体制の情報伝達の関係でございますが、災害時に迅速な応急対策を講じますとともに、短時間に避難を行うことは重要であるということでございます。

 先生御指摘のような電波の受信状況のよくない地域におきましては、防災行政無線の設計時に、電波調査を行った上で、必要に応じまして中継局を設けまして、基地局から送信される電波を中継いたしまして、難聴地域を解消するべく工夫はさせていただいているところでございます。

 さらに、防災行政無線に加えまして、広報車の出動による災害情報の伝達を行いますほか、有線放送等他に情報伝達手段を保有している団体では、それらを併用して災害情報の伝達を行っているところでございます。

 消防庁といたしましては、引き続き津波対策に係ります情報伝達の徹底に努めてまいりたいと考えております。

川島政府参考人 引き続きまして、津波防災ステーションについてお答え申し上げます。

 地震発生後、短時間で来襲する津波災害の被害を軽減するためには、水門などの海岸保全施設の操作を迅速に行う必要があります。このため、平成九年度より、津波防災ステーションの整備を実施中でございます。

 この津波防災ステーションは、適時的確に地震、津波情報等を収集、処理するということと、水門や陸閘、陸上のゲートでございますが、これを迅速に閉じるという観点から、光ファイバー等を駆使して、海岸保全施設の一元的な管理制御を実施するためのシステムでございます。

 御指摘の大船渡市津波防災ステーションにつきましては、平成九年度以降事業化しておりますが、今年度までで水門の新設一基、既存の水門一基と陸閘三基の電動化を終えておりまして、災害時の操作が迅速に行えるようになっております。

 来年度からは、水産庁と国土交通省港湾局が連携をしまして、両省庁が所管する水門等の一元的な管理制御装置の新設に着手する予定でございます。平成十七年度を一つの目標として整備を進めておりますが、それまでに整備を終えた施設につきましては、順次一元的な管理制御を行うということで進めていきたいというふうに考えております。

黄川田委員 質問項目が大分残りましたけれども、時間の関係上これでやめたいと思いますけれども、災害は忘れずに必ずやってきますので、大臣、本当に取り組み、特段の配慮をお願いいたします。

 以上であります。

赤羽委員長 次に、藤木洋子さん。

藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。よろしくお願いをいたします。

 自然災害から国民の生命と財産を守ることは国の最も重要な責務の一つと大臣が所信で表明をされたとおりでございます。防災は事前の備えが重要なことは言うまでもありません。しかし、同時に、毎年、自然災害による被害が相次ぎ、特に昨年一年間だけを見ても、有珠山噴火災害、三宅島噴火災害及び新島・神津島近海地震、東海地方を中心とした豪雨、鳥取県西部地震など、大規模な災害で多くの方たちがその生活に甚大な被害をこうむっております。その現在、被災者の生活支援、生活の再建に国がどのように責任を果たすのか、改めて厳しく問われていると思います。

 そこで、私は、この被災者の立場に立って、きょうはそこに光を当てて質問をさせていただきたいと思います。

 昨年九月の全島避難以来、長年住みなれた島から離れて、この先一体どうなるのか、行き先の見えない不安と、収入の道を断たれ、不自由な生活を余儀なくされている三宅島の被災者の方々への生活支援について伺いたいと思います。

 さまざまな問題が山積していますけれども、特に仕事の確保とそれから融資の返済の問題は、毎日生活していけるのかどうかという緊急の課題だと思いますので、政府としてどういう対策をおとりになるのか、大臣にお答えをいただきたいと思います。

伊吹国務大臣 私も、この前、大勢の方が集団的に避難生活を送っておられる団地へ行って、五、六十人の方と話してまいりました。異口同音におっしゃっているのは、やはり今先生が御指摘になっていることでございまして、特に、全島避難から六カ月がたちましたから、義援金や国からのお金やあるいは失業保険、これが大体切れる時期になってきているので、働きたいという方が随分多いです。それから、年金はもらっているけれども、やはり何か生きているあかしに少し仕事をしたいという方もおられました。

 早速、私、いろいろ状況も調べてみましたけれども、相談申込件数というのは約八百ほどございまして、一方、求職の申し込み、被災者の方から仕事をしたいとおっしゃっているのが大体四百四十ぐらい、そして紹介をいたしましたのがそのうちの百二十六で、就職された方がまだ六十八件という状況ですから、私はお目にかかった後、厚生労働大臣にも、ハローワークの窓口等、十分な対応を御親切にしてあげてもらいたいということを実はお願いいたしました。

 それから同時に、緊急地域雇用特別交付金の活用だとかそういうことをやっておりますが、借りられたお金については、政府関係機関については返済の猶予の手続をしております。ただ、民間の金融機関との関係というのは、計画経済、統制経済の国ではございませんので、なかなか難しゅうございますが、東京都が仲立ちをいたしましていろいろなお話をしていただいているというふうに伺っておりますので、今後とも東京都とよく話をして、幸い都庁の中に三宅村の役場も入っておりますから、できる限りのことは私たちとしていたしたいと思っております。

藤木委員 大臣は、被災者にも直接お会いになって、生々しい声もお聞きになって、何か打つ手だてをということで今御努力をしていらっしゃる、その姿はよくわかりました。

 今のおっしゃったデータも、恐らく東京の労働局がなさった分だろうというふうに私は思うのですけれども、しかし、今でも、お話しされましたように、実際に仕事につける人は、相談者の中のごく一部分しかいないわけですね。そういう事態がなぜ起こっているのか。

 一つは、年齢の関係があるわけですね。三宅島は三〇%の高齢化率というふうに言われておりますけれども、この方たちは、七十歳であろうと八十歳であろうと、島にいたときは、漁業をやったり農業をやったり、現役だったんですね。ところが、こちらへ参りましたら、わずかな年金だけで、必要な経費は島にいるときよりもはるかにお金が要るわけですから、わずかでも働きたい。しかし、六十歳以上はもう働かなくてもいいということになっていますから、実際には優先権が全然ないわけで、外されてしまうという状況があります。

 もう一つは、年齢はクリアしているという方たちが、こんな実情を私は聞いたのです、島に帰るんだろう、いつやめるかわからないような人は雇えない。結局、求人事業者から敬遠をされる、こういうケースがあって、本当に働かなきゃならない人たちが働けない事態があるということなんですね。

 ですから、こうした苦しい条件のもとで仕事を求めている三宅島の人たちが、今のような状態が続けば、一体何人仕事にありつくことができるのだろうかという疑問を持つわけですけれども、厚生労働省の方から、その見込みがあれば、お答えをいただきたいと思います。

三沢(孝)政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、三宅島からの被災者の方々で私どもハローワークに仕事を求めて求職登録されている方は、二月末現在の数字で申し上げますと、百六十名でございます。私ども、この関係でいろいろ事業主の方にお願い申し上げまして確保した求人総数、累計で千九百九十一、約二千件弱の求人を確保しているという状況でございます。そのうち就職された方、これは先ほど伊吹大臣の方からも御答弁ございましたように、六十八人でございます。ただ、この百六十人のうち百十七人の方々が雇用保険、いわゆる失業給付を受給中でございます。

 そういう状況でございますけれども、大変いろいろ先生お尋ねのような問題がございます。そういう問題もあるものですから、私ども、先般二月十四日から二月二十日にかけまして、東京都と連携いたしまして、三宅島の避難の方々がたくさんおられますところで巡回職業相談をいたしました。この相談会には百四十三名の方が参加されました。

 その状況は把握したわけでございますけれども、それによりますと、三宅島の方々の状況は、地理が不案内で非常に不安な状況にあるというふうなこと、あるいは三宅島で仕事をされていた方々は、建設とか農林とかそういうことで、電車で通勤することがなかったということで、都心への通勤を避けて避難先で就業したいというふうな希望の方が多い、あるいは先生御指摘のような高齢者が多いとか、あるいは就業形態が非常に多岐にわたっている、こういう状況でございます。

 こういう状況も踏まえまして、先ほど申し上げましたけれども、現在、求職申し込みをしている百六十名の方々のうち百十七名がまだ保険受給中だということもあって、この方々については、保険をもらい終わってから就職したい、こういう希望も非常に強うございます。

 そういう状況にあるものですから、私どもとしては、このようないろいろな状況の変化も踏まえながら、安定所に求職申し込みをされた方全員が就職できるよう、きめ細かな職業相談なり紹介に努めていきたい、こう考えている次第でございます。

藤木委員 ですから、今も特徴をいろいろおっしゃいましたけれども、そこまでつかんでいらっしゃるんだったら、一般的な施策だけではだめだというふうに思うんですね。特別の手だてを考えることがぜひとも必要ではなかろうかというふうに私は思います。

 ですから、いろいろなメニューがあるんだけれども、それに当てはまらなかったらもう仕方がないよといって切り捨てることがあってはならないということを私は強く申し上げたいというふうに思うわけです。ですから、一人残らずの人たちがきちんと就職できるというような施策をぜひとっていただくことを強く求めておきたいと思います。

 また、融資の返済の問題も非常に深刻でございます。低利融資と既存の融資の返済猶予の話がございまして、大臣の方から、公的な融資については猶予しているということなんですけれども、その利息だけでも今返すのがとても難しくなってきている、取り崩すお金もなくなっているというような状態になっています。

 ですから、二月五日時点、島内商工業者意向調査結果というのを私は拝見してみますと、島を離れて避難先で苦しい生活にかかわる切実な要望があふれているわけですけれども、その中でも、既存借り入れの金利返済だけでも苦しい、利息はやめてほしい、これが圧倒的多数を占めているのには私は本当に驚きました。そんな思いをしていらっしゃるのだなと思ったわけですね。

 民宿だとか観光だとか釣りだとか、島を離れてはとてもできないような事業をしていた人がほとんどなわけですから、今置かれているそういう状況で、利息だけとはいっても払えるわけがない。借り入れについては、事業を再開できて返済のめどが立つまで、元利ともに返済を猶予するというような特別の施策を最低限とるべきではないかというふうに思うのですけれども、中小企業庁にそれはちょっとお答えをいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 三宅島の被災中小企業に対する融資の返済につきましては、政府系の金融機関に対しまして、返済猶予など既往債務の条件変更について、個別企業の実情に応じて十分適切に対応するように、このような指示をいたしております。

 この結果、三月二日までに、政府系金融機関におきまして八十三件、信用保証協会におきまして二十四件の債務の返済条件の変更等が行われております。

 具体的に申し上げますと、返済条件の変更等の内容につきましては、個別企業等の実情に応じて異なるわけでございますが、元本及び利息を一括して返済猶予とするもの、あるいは元本のみの返済を一年程度据え置くというような例が多くなっているわけでございます。

 今後とも、個々の被災者の方々の状況の把握に努めまして、適切に弾力的に対応するように指導してまいりたいと考えております。

藤木委員 それではやはり追いつかないというふうに思いますよ。もうかつてなかったような事態でしょう。全島が避難するという今まで経験したことがないようなことですから、今までのメニューではだめだと私は思うのです。一年間の猶予だとかそういった期限を切るのであれば、返済が可能なめどがつくまで猶予するというような思い切った施策をとっていただきたいというふうに思います。

 大臣は所信表明で、被災者の方々が今何を必要としているかを的確に把握し、対策を講じたい、このようにお述べになりました。これは現場を本当に手のひらに乗せなければ、こういう要求はわかりませんね。ですから、そういう意味では、大臣が実態を本当につぶさに知ろうという態度で臨んでいらっしゃるわけですから、そこから出発をして、今既にある制度や施策の枠の中では対処できないといったものは思い切ってその枠組みを外していくような、そういう努力をぜひやっていただかなければならないのじゃないかというふうに思うわけです。

 ですから、働きたい人が全員働けるように、融資については災害に起因して商売や事業をやめる人が一人も出ないようにする、そのために、これまである制度の施策の枠に縛られずに、必要な手だてをとり尽くす、これが政治の責任ではなかろうかというふうに思うわけですね。

 そこで、私は、三日に森首相が現地へ行って帰ってこられて、これは特別法といいますか特別な施策が必要だ、このように述べられて、特別法を検討するような意向を示されたというふうに報じられているわけですけれども、これも、防災の面もありましょうけれども、生活支援のことに限って、その方の枠組みをも変えよう、特別な施策を進めよう、そういう見直しが行われるのでしょうか。これは大臣にお答えをいただきたいと思うのです。

伊吹国務大臣 総理は、三宅島に行かれまして、その後の二次災害といいますか、また道路が埋まっているとか、橋がまた崩れているという状況を見てこられておっしゃったのだと思います。したがって、状況がかなりひどいので、これはなかなか従来の激甚災害ではだめだという感覚で私にはおっしゃったと思います。

 ただ、先生がおっしゃっているようなことも含めて、これは特別法をつくらないと率直に言ってできないと思います。

 というのは、政府機関で貸しているお金は国のお金ではございません。これはみんな国民のお金でございます。したがって、最終的にこれが返せない、あるいは返済猶予をするということについては、やはり特別法をもって、国民の代表である国会の御了承を得ながら進めていく、これが法治国家のあり方だと思いますから、東京都や三宅村とよく相談をして、率直に言うと、いつ帰れるかわからないのですね、場合によるとすぐ帰れるかもわからないのです。その辺のことも含めて、同時にまた、阪神・淡路大震災のようなときにどういうことをしたかという横の公平も考えながら、少し検討したいと思います。

 それから、ちょっと蛇足になりますが、先ほどおっしゃっていた就業の問題につきまして、いよいよ梅雨になってきますと、火山灰がさらに落ちてきます。それで、土どめの工事を東京都がしようとしております。それから一部、早目に砂防ダム的なものをつくろうとしておりますので、その際には、仕事を請け負う企業に、三宅島の被災者の方をぜひ採用してくれるようにということを義務づけてもらいたい。義務づけるというわけには契約法上なかなかいかないのかもわかりませんけれども、頼んでもらいたい。そうすると、自分たちが生まれ育った土地にお仕事をしに行かれるという形で、仕事もある程度確保されるし、自分の生まれ育った土地も自分の足で踏める、うちも見てこられる、忘れてきたお仏壇の仏さんも持って帰れるというような話を、実はこの前、東京都庁でしてきたところでございます。

藤木委員 大臣の今のお話、就労の問題については、それは本当によいアイデアだというふうに思うわけです。それが本当に実行できたら大変いいなと思うのですが、実は、兵庫の場合もそういうことを試みたのですね。しかし、実際は何%も雇われなかったのです。本当に二けたに上る人がいたかどうかというぐらいしか雇ってもらえなかったのです。義務づけができないというのは非常に難しいわけですから、もしそういうことを本当に進めるとしたら、奨励金が出るぐらいのことをやってでも、島の人を最優先に幾ら以上雇ったかというようなことがはっきりなる、実効あるような措置をぜひとっていただきたい、もう兵庫の二の舞は踏まないでいただきたい、そのことを強く御要望させていただきたいというふうに思います。

 ですから、これが帰れるかもわからないけれども帰れないかもわからないという、本当に先行きが見えないような状況ですね。兵庫の場合は、震災で命は助かったんだけれども、その後の生活苦のために孤独死が相次いで、今もまだ続いているわけですね。そういうことを二度とこの三宅で繰り返してはならないというふうに思うわけです。ですから、三宅の人たちの一人一人の命にもかかわる重大な問題ですので、ぜひその点のところはくれぐれも気をつけていただきたい。

 その仕事も、危険を伴う問題もありますね。そこも十分な危険に対する対応、先ほど船がちゃんと待機しているような状況をつくると言われましたけれども、その危機管理こそ率先して進めていただきたいということも申し添えておきたいと思います。

 次に、被災者生活再建支援法の問題で伺いたいのですが、三宅島の被災者やこの間の災害の被災者への支給実態を見てみますと、その矛盾はどんどん明らかになってきているわけですね。そういう被災者生活再建支援法について伺いたいと思うわけです。

 この法律は、施行直後から、実は自然災害が起こるたびに、被災者や被災自治体などからその問題点が指摘され続けてきております。特に、昨年一年間の災害被害を通して、その不十分さはいよいよ明らかになってきているわけですけれども、今なお数多くの災害被災者が苦しんでいるわけで、法の見直しは待ったなしの課題ではないか、私たちはこう思っているわけです。

 大臣、この法律はいつ改正をするというか、見直すおつもりなのか、予定があれば、お答えいただきたいと思います。

吉井政府参考人 ただいま先生御指摘ございましたように、被災者生活再建支援法は平成十年五月に成立いたしまして、平成十一年四月から運用を開始したところでございます。

 その後の運用を踏まえまして、いつ見直すかというお尋ねでございますが、支援法には、附帯決議におきまして、法の施行後五年を目途として総合的な検討を行うという旨が記されてございまして、これを踏まえて検討してまいりたいと思っております。

藤木委員 私はいつ見直すのかというふうにお聞きしたわけで、五年を目途、つまり五年をめどにしてということは五年以内にできるわけですよ。今までは、法を施行しているんだから、それがどのような実績を上げるかをよく見て検討するというお答えだったのですけれども、もうこれだけ見たら十分だと私は思うのですね。今本当に即座に見直すことが必要ではないかというふうに考えております。これは議員立法ではありますけれども、施行していらっしゃるのは政府自身なんですから、政府の認識がこれを見直さなければならないということであれば、直ちに見直すことができる。

 これは大臣に申し上げておきたいんですが、これまでのこの委員会で歴代大臣がそれぞれ答えてこられましたけれども、前任の大臣もその前の大臣も、これが不十分で見直さなければならないということは言及をしていらっしゃるわけですから、政府の見解の到達がそこまで来ているんじゃないかということを私は申し上げておきたいと思うわけです。

 それでは、どこが矛盾しているかといいますと、施行以来、今年の一月末までの実績で、全壊世帯で五六・二%、全半壊世帯では一八・二%にしか支給されていない。法の適用対象となる被災世帯を住宅が全壊した世帯に限定した上に、世帯収入や世帯主年齢などの要件を非常に厳しく設定しておりまして、ごく限られた世帯しか適用されない、そういう状況でございます。

 ですから、神戸新聞が阪神・淡路大震災から六周年のことしの一月十七日に向けて、全国の都道府県と政令指定都市を対象に行った防災アンケートがあるんですけれども、ここで半数を超える自治体が支援法は拡充すべきと答えております。その理由として最も多くの自治体が指摘しているのは、適用範囲の限界ということです。これは直接私がお聞きしてきたんですけれども、ある被災自治体の助役さんは、支援法は所得制限でひっかかって、ほとんど何もできないというふうに述べておられました。

 こうした多くの被災者、自治体の苦しみの声を無視し続けるわけにはいかないんじゃないかと思うんですが、これは大臣に、政治的な御判断をぜひ決意として述べていただきたいと思います。

伊吹国務大臣 今先生からお話がございましたように、この被災者生活再建支援法による枠組みについて自治体からいろいろな御要望があることは、私もよく伺っております。

 ただ、これは率直に私は申し上げたいんですが、お金は天から降ってこないわけですね。だれかが出さねばならない。今、この生活支援金のお金というのは、支給する半分は国がお預かりしている国民の税金から出しているわけですね。残り半分は地方自治体がお出しになったお金の運用益から出して、その合計で支給をしている。ですから、拡大をするということにはどなたも反対されないと私は思います。しかし、反対をされないのであるならば、その財源についても賛成してもらわないとできないですね。

 だから、この辺のことは、各都道府県の知事さんと、まず十分私は、今先生のおっしゃったようなことを踏まえて話をしているんですが、これはなかなか話がまとまらないんですよ、率直なところ。ですから、さらに、今おっしゃっているようなことも踏まえて、話を続けさせてください。

藤木委員 確かに、今言われるように、財源のことがいつも話題になります。だからこそ私は大臣に質問をさせていただいているわけでして、国の財源という問題でいうならば、今国民の間ではいろいろな疑問が出ているわけですよ。

 例えば、公共事業でも、諫早の問題を見ましても、あれは間違いだったんじゃなかったかという意見も噴き出しています。それからまた、アメリカの原潜問題が起こって、アメリカ軍に思いやり予算をあんなにやる必要があるのかという声も出ていますし、機密費の問題でも、そんなことに使われているのか、こういった声も出ているわけですから、私は、本当に納税者である国民がここには税金を使ってほしくないという部分を削れば、それをここへ回すんだということになれば、みんな賛成するんじゃなかろうか、こんなふうに思っているわけです。

伊吹国務大臣 その点は待ってください。先ほど来、先生のこの拡充についての御議論については、私も防災担当大臣としては同じ考えで努力をしたいと思いますが、まことに失礼でございますが、防衛費であるとか公共事業等については、これは日本共産党の御主張ということでは承りますけれども、その点について必要かどうかということは、やはりこれは最終的に国会の御判断、国民の御判断にゆだねることでございますから、今おっしゃったことを削減してということだけは、ちょっとこの場ではお約束しかねます。

藤木委員 これは国民の意向で決まることであるということは、私ももちろん承知の上です。そのために、住民投票の方法だとかいろいろなことが今地方でも試みられておりますので、そういったこともひとつ胸に置いていただいて、十分に検討していただきたいというふうに思います。

 それで、これまで支給要件が非常に限定されているという問題も先ほどちょっと述べたんですけれども、その額も極めて小さいというのも問題になっておりまして、これも大きく押し広げていっていただきたいということがございます。

 私は、最後に一つお聞きしておきたいというふうに思いますのは、住まいの再建の問題なんです。

 これも非常に重要な問題で、住まいは暮らしの土台であり、鳥取県は、今回の災害で被災した人たちに、住宅支援に手をつけなければ、道路やがけを直してもそこを通る人間がいなくなる、こういって、住宅再建に所得制限なしで最高三百万円の支援金を一律に支給することを決めました。さらに、溝口町では、県の支援策に町が独自に百万円上乗せを行いました。

 私は、県と町が支援をされて住宅を再建できたという方にお会いをしてまいりました。小ぎれいな二DKぐらいの住宅が建っておりましたけれども、この高齢の御夫妻は、四、五代前から私たちはこの土地に住んでいる、その土地を離れずに住み続けることができて本当にうれしい、とても喜んでおられたんですね。私は、全国各地の被災地をいろいろ回っておりますけれども、こんなに被災者が晴れ晴れした顔をしていらっしゃるのを見たのは初めてでございます。本当に感動的でございました。阪神・淡路大震災で被災し、必死の思いで努力しても住まいの再建ができない人、いまだに帰りたくても避難先から戻れない、無念な思いをしている人とは、まさに対照的な光景でした。

 ですから、私は、さきの自治体の防災アンケートの中でも、住宅再建について国レベルの新たな支援が必要と声が上がっていますけれども、実際に被災自治体の助役さんからも、国で最低限のところを出してもらったら町でも対応できるのだけれどもという声も聞いてまいりました。

 そこで、住宅は公共性があるということは国土庁の検討委員会の最終報告書の中にも明記されているわけで、個人の財産の範疇じゃないんです。一戸だったら確かに私有ですけれども、それが幾つか固まったら地域という社会を構成するわけですから、それはやはり公共だという立場に立って、ぜひ住まいの再建についても国が責任を持って支援する仕組みをつくっていただきたいというふうに思います。後でこれはちょっと時間があったらお答えをいただきたいと思うんです。

 そこで、私は、鳥取県の日野町だとか溝口町では、今回の災害で、住宅再建や生活支援などのために、一般会計の当初予算とほぼ同額を組んでいるんですよ。本当に、財政規模が小さくても、財政状況が苦しくても、住民を第一に考えてのことだということに、これも私は感動したんですけれども、こういう立場に国が立つということが今大事ではないか。それが阪神・淡路大震災の教訓を生かす道ではなかろうか。災害後に展望を持って暮らしの再建、復興に取り組めるようにする、それが国の果たす役割ではないか。阪神・淡路大震災からの最大の教訓を生かす道ではないかというふうに思います。

 もしその施策があればお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思うんですが、いかがですか。

赤羽委員長 質疑時間が過ぎておりますので、端的に御答弁をお願いいたします。

伊吹国務大臣 先生のおっしゃっていることはよく理解できます。

 鳥取の地方自治体、市町村がそういうことができて、兵庫県や神戸市というところでなぜそれができなかったかというのは、やはり被災をされた方が非常に多かったということだと思うんですね。ですから、今、超党派の議連で、共済制度を基本としてそれに対応できる仕組みを考えていただいておりますが、ここもまた都道府県と市町村の御意見が微妙に違ってくる。もちろん国が、国といったって国は一銭のお金もありませんから、国民からお預かりする税金を何らかの形でそこへ投入したような仕組みを、超党派の皆さんの今進めておられるスキームとあわせて、将来的な課題として準備をしていかねばならないなとは私は思っております。

藤木委員 終わります。

赤羽委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 災害対策特別委員会の最後の質問者となりました。伊吹大臣、若干のおつき合いをよろしくお願いしたいと思います。

 先ほど大臣もおっしゃっていましたが、災害対策という部分は、防災それから復旧、そういうふうなものが含まれていると思っています。それで、私は、この防災機能の強化のために、国土庁にあった防災部門を内閣府に移して伊吹特命大臣を置かれた、こういう施策に対しては非常に評価するものであります。そして、省庁再編成の大きな目玉の一つであるというふうに思っています。

 そういう意味では、これから防災特命大臣としての手腕が遺憾なく発揮されていって、地域地域における防災体制が整備されていくことを願うものでありますが、大臣の所信表明の中で、防災対策に当たって、各省庁の施策の統一を図るため、企画立案、総合調整を行うことになったというふうに言われております。このことは、省庁再編の大きな目玉ですから、先ほどからも答弁いただいているとおり、その方向だと思うのですが、それでは具体的にどのように各省庁の施策の統一を図っていかれるのか、このことに対する大臣の考え方をお聞きしておきたいというふうに思います。

 それと同時に、今は縦割り行政の中で予算が組まれているという実情があると思うのです。後の私の質問とも絡むものですから、この辺、防災特命大臣として予算のあり方についてどのように考えておられるのか。これは、従来どおり予算は各省庁の縦割りの中で行っていくんだという形であれば、私は不十分な部分があるのではないのかなと思えてならないのですけれども、この点に対する大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。

伊吹国務大臣 先生の二番目の御質問にお答えするということは、一番目の御質問に対する答えにもなるのではないかと思うのですが、例えば、東北地方を中心にことしは大変な豪雪がございました。道路予算で除雪費をどういうふうに措置するか。例えば、特別交付税をどこへ総務省が持っていかれるのかについて、豪雪があるからこういう配慮をしてほしいとか、除雪関係の費用を道路予算の中で措置をしてもらいたいとか、こういうことを私たちは積極的に言わなければならない。それを言うことによって、激甚災の指定をあすするということを申し上げておりますが、そういうことも実は措置されていくわけなんです。

 この防災関係の予算を内閣府に別建てで計上するかどうかということは、実際の執行は、これは道路予算であり農業予算なんです、防災という観点からいえば。そして、砂防工事の、治山治水の予算なんです。ですから、やはり予算は執行権を持っているところに計上してもらって結構だと私は思いますけれども、防災という観点から申し上げたことについては、予算を持っている省庁は最大限その要望に沿って配分をしてもらわねばならない、こんなふうに思っているのです。

菅野委員 私の後での論理展開にも絡まる部分ですが、各省庁において本当に防災という立場に立って予算を獲得しているかどうかという部分が、私は非常に疑問視するわけです。

 というのは、災害が起こったときは、災害復旧という立場から多くの予算を各省庁が、東海豪雨災害でいえば、建設省が復旧復興事業ということで多くの予算を伴って河川改修をやっていく。そういう立場からの予算計上というものはなされていくのですが、防災という立場から本気になって各省庁が予算要求している、あるいは予算をとっているのかという視点から見れば、私は不十分であるというふうに指摘をしておきたいと思います。

 先ほど言ったように、そういう立場に立って、防災対策に当たって施策の統一を図りながら、これは防災という立場で企画立案、そして総合調整を果たすわけですから、執行は各省庁でいいと思います。執行は各省庁でいいと思いますけれども、防災をつかさどる大臣として、ぜひ意欲を持って防災の予算を獲得するように努めていただきたいというふうに思うのです。意図するところはわかっていただいたと思いますから、要望にかえさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、次の問題に入っていきますが、実は、東北、北陸、関東、甲信越、この地方は本当にことし豪雪災害に見舞われました。私も宮城の北側で、選挙区に戻りますと、本当に大きな被害を受けております。それから、隣の山形県においても大きな被害を受けておられて、そして私にもぜひ調査に入ってほしいと言われていましたけれども、なかなか行く機会がつくり得ないでいるというのが現状なんです。

 まず初めに、農業や林業災害の実態把握をどのようにとらまえているのか、このことを質問させていただきたいと思います。先日のマスコミ報道においては、七十二億円という数字で農林業被害の状況は報道されていますけれども、これはあくまでもマスコミ報道ですから、具体的な詳細の中身について、この場で報告いただきたいというふうに思います。

梅津政府参考人 御説明申し上げます。

 まず、農業関係被害でございますけれども、一月上旬からの降雪によりまして、東北、関東、北陸を中心に三月七日現在で、ビニールハウス等を中心に約三十三億、農作物それから果樹の樹体、こういったものを中心に約三十五億、合計で約六十八億の被害が発生しております。これは都道府県、農政局等からの報告で承知しております。

 それから、森林の折損、倒伏の被害といたしましては、まだ積雪で現場調査に入れないところもございますけれども、三月七日現在で、栃木県ほか八県で約十三億円の被害が発生しているというふうに承知しております。

菅野委員 農業被害額でいうと六十八億円にも上る被害ですね。それから、森林被害においては三月七日時点で、繰り返しますけれども今十三億。ただ、山にはかなり雪が積もっておりますから、被害状況を調べようにも調べられないという状況があるということも今つけ加えられましたけれども、私も現場に行ったときにその声は聞いています。春になれば雪が解けて、山に入ってみれば、相当な被害が広がっている状況がこれから出てくるんだろうというふうに思います。

 これらを受けて、一つは農業災害について、これからどういう対策を政府として講じていかれるつもりなのか、その辺についてお聞きしておきたいというふうに思います。

梅津政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、農業被害の対策でございますけれども、ビニールハウス等につきましては、農業共済金の迅速な支払いが行われますよう、県の共済連を初め関係団体を指導いたしております。現在、二十四県中約五県で国からの再保険金の支払いが行われ、ほかの県につきましても審査中あるいは取りまとめ中でございます。

 それから、被災農家に対しましては、自作農維持資金や農林漁業施設資金等のいわゆる低利の制度資金の融通と、それから個別の経営事情に応じました既に貸し付けてあるお金の償還猶予等が図られますよう、関係の金融機関を指導しているところでございます。

 それから、森林被害につきましては、これは今先生御指摘のとおり、雪が解けてからの対応になりますけれども、民有林につきましては、被害木の搬出を含めた林内の整備、あるいは被害跡地への造林による復旧事業が図られますよう都道府県を指導するとともに、被災の森林所有者に対しては、森林国営保険あるいは森林災害共済による円滑な対応が図られるよう関係団体を指導しております。それから、国有林の被災地につきましても、早期に復旧が図られるようやっていくつもりでございます。

菅野委員 実は、資料があるんですが、六十八億円の被害のうち、農林被害でいうと四十三億円が山形県に集中しているんですね。約六割が山形県が被害を受けています。

 これはどうしてなのか、私なりに地元に入って意見交換したんですが、山形県の平野部に雪がこんなに大量に降ったというのは、ことしが異常な状況だったんですね。そういう意味で、農業被害が甚大になったという状況です。山間部に降るということは、それらの対応が十分とられていましたから被害はそんなにふえないんですが、山形の場合は、そういう特殊事情があったというふうに思います。そういう意味では、四十三億円の被害が生じたときに、農業共済、ビニールでいえば約十億円ですし、樹体被害、サクランボとか木が折れて、そして収穫が不可能な状態になっているのが約二十八億円ぐらいの被害になっているというのは、資料で見させていただきました。

 これらに対して、今言った制度資金の緊急融資とかそういう部分だけでは、私は不十分ではないのかなというふうに思うんです。こういう実態を踏まえて、これからの状況を十分検討する、補助金の融資というものも含めて課題ではないのかなと思うんですけれども、これからの取り組みについて、再度答弁をお願いします。

梅津政府参考人 今御指摘のとおり、樹体共済につきましては、雪が解けた後、正確な被害の実態を把握した上での対応ということになります。それから、既に御案内のとおり、樹体共済は、一年間の契約の責任期間が終わってから、被害が一割を超えているかどうか、そういうことを踏まえて判断していただくことになります。

 それで、そういった共済による対応以上のことを検討することがないのかという御指摘でございますけれども、植樹事業等で改植事業等はございます。ただ、これはそれぞれ要件がございまして、また現場で県等とよく、被害の実態を踏まえて、御相談して対応していただくということになろうかと思います。

菅野委員 農業被害はそういう状況ですが、森林被害の状況も約十三億という状況になっていますけれども、これは私は雪害ではないというふうにとらえているんです。

 雪が降るというのは、東北地方も含めて毎年雪が降るわけです。本当に豪雪に耐えて木は埋まっていくわけですけれども、山に手入れがなされていないんですね。そして、山に手入れがなされていませんから、枝打ちも間伐もなかなか進まない状況の中で、こういう雪害、雪が降ったときに被害を受けるというのが私は実態だと思っています。そういう意味では、人災であるというふうに言うんです。そして、これから雪解けになって梅雨どき、それから秋の台風時期になったときに、東海のあの豪雨災害と同じように、各地域で豪雨災害に見舞われるというのが今日の日本の姿ではないでしょうか。

 そういう意味では、先ほど大臣の方に話したんですが、防災とか環境という立場から山というものをしっかりとらえていく、国策としてとらえていく必要があるのではないのかなというふうに思うんですね。国有林野と民有林と二つの山が存在するわけです。民有林の方は、本当に山に手入れしても山では収入が上がらないからということで放置しておく。このことがひいては膨大な、東海豪雨によって、先ほどの答弁でも出てきましたけれども、河川改修工事に六百億も、七百億もつぎ込まざるを得ない状況に陥っているわけです。そういう立場に立って、防災という立場から山を見直していく、このことが今求められているんではないのかなというふうに思っています。

 そして、そういう意味では、もう一つ言いたいんですが、山で今働いている人たちは高齢者なんです。そして、森林・林業技術が後継者に、その人たちがやめれば引き継がれていかないんじゃないのかなという危惧さえ持っているわけです。そういう状況になったときに、防災という立場からどうしていくのだろうなという危機感を私は持っているというふうに思います。

 それで、ぜひ林野庁に聞きたいんですが、国有林野事業も含めて、若い林業技術者を、防災あるいは環境保全という立場から、どう育成していくのか。この視点をぜひ今この場で明確に打ち出していただきたいというふうに思いますし、この議論を聞いていて、大臣、先ほど言った予算との兼ね合い等含めて、どういう御所見を持っているのか、この点についてお聞きしておきたいと思います。

中須政府参考人 お答え申し上げます。

 第一点目の、今回の雪害もそうでありますが、豪雪あるいは豪雨等による災害を防止するという意味から、まず健全な森林をつくっていく、これが重要だという御指摘はそのとおりでありまして、我々も全く同感でありますし、そのように対応していかなければならないものというふうに受けとめております。

 このため、実際に私どもも、一つは、山地災害の防止機能の確保という意味で、一番要請の高い森林につきましては、御承知のとおり、保安林に指定するという形を通じまして、治山事業による森林の整備を進める、これがまず第一点でございます。

 それから二点目は、今先生から御指摘ありましたように、今我が国の森林、大変手入れがおくれております。中でも、間伐が大変状況としてはおくれている。間伐してもなかなかその材の値段が十分でないものですから、そういう意欲が出ない、こういう厳しい状況に置かれております。

 しかし、そういう中で、立派な森林をつくっていくということのために、今年度からでございますが、全国で間伐のおくれております面積、五年間で約百五十万ヘクタール、これを対象にいたしまして、緊急間伐五カ年計画ということで取り組みをいたしております。今年度につきましても、本予算それから補正予算を通じまして、約三十万ヘクタールにおいて間伐を実施いたしました。

 やはりこういった森林の整備と申しましょうか、森林の手入れ、これを国が強力に推し進めていくということを通じて、それが災害を防ぐことにつながる、こういう気持ちで取り組んでいるところであります。

 それから、お話しのとおり、今我が国の林業従事者、約七万人というふうに統計で出ておりますけれども、このうちの三割が六十五歳以上の方でございます。そういう意味において、急速に数も減少しておりますし、高齢化が進んでいるということであります。

 そういう中で、御承知のとおり、国有林野事業あるいは林野庁というのは、ある意味では森林の技術、林業技術の技術者集団である、こういうことでございます。そういう我々の役所なり国有林事業においてしっかりした技術というものを伝承していく、あるいは民間にそういう技術を伝えていく役割を果たさなければならない、そういう位置づけもあろうかと思います。

 そういう意味で、今、国有林野事業、抜本改革ということで大変厳しい中にございますけれども、若い森林官というクラスを中心にいたしまして、いわゆるオンジョブトレーニング、それから研修制度の充実等によりまして、今先生から御指摘のありましたような観点も含めて、内部における若手への技術の普及というか、そういうことに努力をしているところでございます。

伊吹国務大臣 先生おっしゃっていることはよくわかります。私は実は町のど真ん中の選挙区なんですけれども、私たちの選挙区に洪水が起こらないとか、清らかな水が流れているというのは、何に原因があるのかということは私よくわかっておりますので、今林野庁長官が参考人としてお話をしましたような農業とか林業というのは、残念ながら、率直に言って市場原理に乗らないですね。市場原理のままに置いておけば、これはすべてだめになると思います。

 しかし、市場原理の方向に今、国の動きをほとんど切りかえようとして、大きく構造改革、規制緩和という流れが進んでいます。それはそれで大きな、大切な流れだと私は思うけれども、市場原理の結果と、市場が決めた結果と、国や社会をうまく動かしていくために最もいい状態というのは必ずしも一致しないということは、政治家は常に考えてやらねばならないと思います。

 私、実は昔、緑の交付金をつくる議員連盟というのがありまして、都会の人は消費税一%ずつぐらい出そうじゃないかという話になるんだけれども、総論は結構なんだけれども、出す話になるとみんな反対されるんですね。これはやはり日本は大きな問題として、超党派で考えていかねばいけない、私は今のお話を伺ってつくづくそう思いました。

菅野委員 わかりました。

 特に、林野庁長官が言っていますけれども、三割の人は六十五歳以上だって、三割というと聞こえがいいんですが、六十一歳以上というともう本当に五割、六割を占めていくという状況なんです。そういう意味では、若い林業技術者をどうつくっていくのか、大きな課題だと思います。私も非常にそういう危機感を持って林野庁や総務省や大蔵省と話し合いを持ったんですが、林野庁でことしの新規採用職員、林野庁でですよ、六十三人という実態ですから、どうして林業技術者が継承していくんだろうかという状況を私はここで指摘しておきたいというふうに思います。

 ぜひそういう立場に立った、今後の防災という立場から山というものを見詰めていただきたい、このことを強くお願いしておきたいと思います。

 最後になりますが、先ほど大臣は、地方自治体の除雪対策費については特別交付税やあるいは建設省の補助で対応してまいりますということなんですが、一部新聞報道では、県段階での助成資金が三百億円を超えたなんという報道がなされたときに、私は正直大変だなと思いました。

 除雪対策費の全国的な集計がなされておると思うんですが、その状況と今後への対応という部分を説明していただきたいというふうに思います。

香山政府参考人 地方団体の除排雪経費につきましてお答えさせていただきます。

 私どもの方は、地方団体の除排雪経費につきましては、平年の積雪量に基づき見込まれる額というのを普通交付税で措置いたしておりまして、これは大体千五百億程度財源措置をいたしておるわけでございますけれども、この普通交付税算入額を上回るような地方団体につきましては特別交付税で措置をするという仕組みをとらせていただいております。

 今年度の特別交付税につきましても、現在、地方団体の除排雪経費の実態を調査させていただきまして、算定の作業をさせていただいておりますけれども、ことしは、御指摘のように各地の豪雪によりまして除排雪経費が大変多額に上っております。特別交付税、総枠が決まっておる予算ではありますけれども、優先的に除排雪経費を算入いたしまして、地方団体の財政運営に支障が生じないよう措置したいと考えております。

菅野委員 それでは、各都道府県から、市町村分も含めて、除排雪対策費、これはまだ集計になっていないということなんでしょうか。

 そして、私が申し上げたいのは、特別交付税といっても限りがあるということなんですね、枠があるわけですから。そこを充足し得ない部分をどうしていくのか。これも総務省として、さっき大臣が答弁したんですが、建設省の補助金も考慮に入れてという大臣の答弁があったわけですから、そのことをこれからどう検討していくのか、この件について答弁願いたいと思います。

香山政府参考人 私どもの方では、御指摘がありましたように、各地方団体の除排雪経費を調査させていただきまして、その場合には、国庫補助がつきました分はその分を除きまして、一般財源としてどれだけ要るかというのを計算させていただきまして、それから普通交付税で措置している額というのを差し引きまして、その部分につきまして特別交付税措置をするという形をとっております。

 各地方団体にとりまして、これで十分であるというふうに思っていただけるかどうかは別にいたしまして、私どものできる限り内で地方団体に支障が生じないよう措置をさせていただいていくということでございます。

菅野委員 わかりました。

 これから各都道府県と話し合いに入ると思うんですけれども、詰めの段階にあるというふうに思っていますけれども、地方財政危機の中で、各市町村は非常に苦しい財政運営を強いられている中で、この除雪対策費を、これは待ったなしですから、補正を組んでまでも支出している実態というのがあるわけです。その地方の痛みを十分わかった上で十分な配慮をしていただきたい、このことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 以上で本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.