衆議院

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第8号 平成13年5月24日(木曜日)

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平成十三年五月二十四日(木曜日)

    午後二時五十一分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 小野 晋也君 理事 宮本 一三君

   理事 吉田六左エ門君 理事 渡辺 具能君

   理事 奥田  建君 理事 古川 元久君

   理事 西  博義君 理事 山田 正彦君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      大木  浩君    大野 松茂君

      後藤田正純君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    砂田 圭佑君

      高木  毅君    西川 京子君

      堀之内久男君    谷津 義男君

      山本 幸三君    吉田 幸弘君

      吉野 正芳君    後藤  斎君

      武正 公一君    津川 祥吾君

      中津川博郷君    中村 哲治君

      藤村  修君    前田 雄吉君

      牧  義夫君    牧野 聖修君

      松原  仁君    河合 正智君

      黄川田 徹君    塩川 鉄也君

      藤木 洋子君    菅野 哲雄君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当大臣)     村井  仁君

   内閣府副大臣       松下 忠洋君

   環境副大臣        風間  昶君

   内閣府大臣政務官     阪上 善秀君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   吉井 一弥君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議

   官)           素川 富司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教

   施設部長)        小田島 章君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議

   官)           三沢  孝君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議

   官)           梅津 準士君

   政府参考人

   (林野庁次長)      加藤 鐵夫君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    羽山 正孝君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 石川 裕己君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 上子 道雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空事故調査

   委員会事務局長)     中島 憲司君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    浅井 廣志君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  西尾 哲茂君

   衆議院調査局第三特別調査

   室長           柴田 寛治君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  岩倉 博文君     後藤田正純君

  三ッ林隆志君     吉野 正芳君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     岩倉 博文君

  吉野 正芳君     三ッ林隆志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件

 派遣委員からの報告聴取




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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 去る四月十八日から十九日の二日間、有珠山の噴火活動及び被害状況並びに復興状況の調査のため、北海道に委員派遣を行いましたので、この際、私が派遣委員を代表いたしまして、この席から調査の概要について御報告申し上げます。

 今回の派遣委員は、自由民主党の萩山教嚴議員、同じく小野晋也議員、同じく田中和徳議員、同じく岩倉博文議員、民主党・無所属クラブの津川祥吾議員、同じく中村哲治議員、公明党の河合正智議員、自由党の黄川田徹議員、日本共産党の塩川鉄也議員、社会民主党・市民連合の山内惠子議員、そして私、赤羽一嘉の十一名であります。

 まず、御承知のように、有珠山は、昨年三月三十一日、有珠山の西山西麓で噴火が発生し、さらに四月一日には、有珠山の北西側にある金比羅山西側でも新たに噴火いたしました。

 この有珠山の噴火により、有珠山周辺の伊達市、虻田町、壮瞥町及び洞爺村においては、多大な物的被害が発生しましたが、幸いにして人的被害はありませんでした。

 しかしながら、噴火発生後一年余り経過した今なお、危険性が大きい区域と指定され、以前住んでいた場所に戻れないという前代未聞の状況を余儀なくされている被災者の方々が二百二世帯、そして、仮設住宅の不自由な生活を余儀なくされている方々が五百七十九世帯という深刻な状況でございます。

 ここで、こうした苦難の状況にあるすべての被災者の皆様方に対し衷心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。

 今回の主な被害状況は、北海道の直近の調査によりますと、伊達市、虻田町、壮瞥町及び洞爺村の四市町村で、住家被害、全壊五十九棟、半壊二百十一棟、一部破損五百一棟、道路被害五十九カ所、下水道被害四十五カ所、文教施設被害七カ所等であります。

 また、農作物、水産物、農林水産施設、公共土木施設、洞爺湖温泉等の観光施設等にも甚大な被害が発生しており、被害額は、伊達市、虻田町、壮瞥町及び洞爺村の四市町村で約百七十億円とされております。

 特に、観光客、修学旅行生徒数の落ち込みが地域経済に大きな影響を及ぼしました。

 なお、災害救助法が伊達市、虻田町及び壮瞥町の一市二町に、被災者生活再建支援法が虻田町に適用され、この災害で虻田町の区域に係るものにつきましては、本年三月、局地激甚災害に指定されております。

 有珠山は、噴火以来一年が経過し、現在マグマ活動は低下しておりますが、いまだに噴煙を上げており、一方、地元では復興への取り組みが進められているところでございます。

 今回の委員派遣は、こうした状況にある有珠山の噴火活動及び復旧復興対策状況について、特に被災者住民の方々と直接要望を聞く機会を設けるなどの調査を行ったところでございます。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、虻田町内の概況説明会場において、山口北海道副知事から被害概況の説明を聴取いたしました。

 引き続き、菊谷伊達市長、長崎虻田町長及び山中壮瞥町長から、復興計画に係る土地利用区分の問題、一般国道二百三十号の早期復旧、砂防事業の早期施行及びエコミュージアム整備事業の推進等について要望がございました。

 また、派遣委員から、北海道の二〇〇〇年有珠山噴火災害復興計画基本方針の具体的内容、修学旅行生徒数の激減及び雇用対策の実情等についての発言がありました。

 次に、火山科学館より、金比羅山火口群及び西山川泥流対策事業を視察いたしました。

 引き続き、隣接する洞爺湖文化センターにおいて、被災住民及び地元商店主等の方々と懇談の場を設けまして、意見交換を行いました。被災住民、地元商店主の方々からは、雇用問題、観光振興、防災集団移転促進事業及び道道の拡幅工事の早期完成等の要望がございました。

 また、派遣委員からは、住民主体による復興の必要性及び各要望について行政を督励する旨の発言がございました。

 次に、同町の月浦地区仮設住宅に向かいました。

 ここでは、洞爺湖温泉小学校仮設校舎において、仮設住宅の方々と懇談の場を設けまして、意見交換を行いました。住民の方々から、洞爺湖温泉病院の早期再建、私有観光施設の修繕に対する補助及び緊急地域雇用特別交付金の延長等の要望があり、一年近くにわたり仮設住宅での生活を余儀なくされておられる被災者の方々からの切実な訴えがなされました。

 また、派遣委員からは、災害時における私有財産の補償についての検討、私有観光施設の公営化による再建の方策等の発言がありました。

 次いで、翌十九日早朝より、洞爺湖温泉協会及び壮瞥町観光協会の方々と懇談の場を設けまして、意見交換を行いました。観光協会の方々からは、住宅及び観光施設等の再建に対する支援制度の創設、修学旅行の誘致及び道外観光客の誘致等の要望が、また、地元伊達信用金庫の方より、特別融資制度における返済方法の変更等の要望がございました。

 また、派遣委員からは、物理的被害の程度、再建及び経営等の支援制度の創設について原資の負担割合、洞爺湖を訪れる観光客の地域別の内訳等の発言がありました。

 最後に、車中より、泉地区の一般国道二百三十号の道路陥没箇所を視察しました。この道路陥没箇所は、火山活動によって地盤が陥没し、地下水の湧出によって沼地となったものであります。

 以上が調査の概要でありますが、自然の猛威とそれに対する人間の無力を改めて認識するとともに、災害から立ち上がる被災者の方々の底力に深い感銘を受けたところでございます。

 私どもは、火山活動の一日も早い終息を祈るとともに、現地の一日も早い復旧復興がなされるよう、本委員会としても審査に力を尽くすとともに、政府を督励してまいる所存でございます。

 報告を終えるに当たり、改めまして被災された多くの方々に心からお見舞いを申し上げ、復旧復興対策に尽力されておられます関係者各位に対し深甚なる感謝を申し上げる次第でございます。

 また、今回の調査に御協力をいただきました北海道、伊達市、虻田町、壮瞥町及び地元観光協会などの関係者各位に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

 以上でございます。

 この際、お諮りいたします。

 伊達市、虻田町及び壮瞥町からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔要望事項は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官吉井一弥君、総務省自治財政局長香山充弘君、文部科学省大臣官房審議官素川富司君、文部科学省大臣官房文教施設部長小田島章君、厚生労働省大臣官房審議官三沢孝君、農林水産省大臣官房審議官梅津準士君、林野庁次長加藤鐵夫君、中小企業庁次長羽山正孝君、国土交通省河川局長竹村公太郎君、国土交通省鉄道局次長石川裕己君、国土交通省航空局次長上子道雄君、航空事故調査委員会事務局長中島憲司君、海上保安庁次長浅井廣志君及び環境省自然環境局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君。

小野委員 きょうはちょうど、去る三月二十四日芸予地震が起こったわけでございますけれども、その日から数えて丸二カ月ということになります。その関係で、きょうも朝のテレビニュースを見ておりますと、この特集を組んでおられて、呉市の崩れかかった石垣の下で生活されているお年寄りの方の不安の声が伝えられておりました。災害というのは、起こった瞬間も大変でございますけれども、その後、長い期間にわたっていろいろな影響を及ぼすものだなということを改めて感じた次第でございます。いろいろな被災地の皆さん方が今もなおいろいろな御苦労をしておられるお姿に、まず心よりお見舞いを申し上げたいと思う次第でございます。

 そして、このたび、村井大臣、松下副大臣、阪上政務官、この体制で防災対策ないし災害対策に取り組まれるわけでございますけれども、政治の要諦は国民の安心、安全を確保することにありということでございます。皆さん方の力強いお仕事を心から御期待申し上げたいと思う次第でございます。

 ところで、災害と申しますと、よく言われますように、予期して起こる災害というのは非常にまれであります。いつ何どき、どのような災害が起こるかわからないというのが災害だろうと思います。私自身も、人生の中でいろいろな節目節目があるわけでございますが、先輩からこんな言葉をいただいて、これが災害に対する座右の銘としてちょうどいい言葉だなと思った言葉があります。

 それはどういう言葉かと申しますと、変至らざるなく応当たらざるなしという言葉なんですね。変というのは変化の変でありますから、世の中は常に動いているものであって何が起こってくるかわからないということだろうと思います。それに対して、応という字は対応の応でありますから、何が世の中に起こったとしても、それに対して的確にこたえ得るような気持ち、またそれだけの力をしっかりと持って人生を生きていきなさい、こんな言葉だろうと思います。

 災害というのは、先ほど言いましたとおり、何が起こるかわからない。しかし、何が起こったとしても、起こった災害に対して的確な対応がいつもとられねばならない。この言葉を銘記しながらやっていかねばならないと思っているわけでございますが、新任となられました松下副大臣また阪上政務官、それぞれこの問題に対して座右の銘と言われるものをお持ちでございましたら、御紹介をまずいただきたいと思います。

松下副大臣 二つのことをいつも自分に言い聞かせております。一つは、悲観的に準備して楽観的に対応せよ、これを自分に言い聞かせております。もう一つは、天は乗り越えられない試練は決して自分に与えていないということであります。

 一つ目の方は、常日ごろから、想定される最悪の事態を初めとして、考えられる幾つかの事態を想定して、綿密に準備、訓練をしておくことが大事だ。それに対する、ハードも含めた、ソフトも含めた対応をしっかりとつくり上げていくことが必要だという意味でございます。そして、いざ発生した際には楽観的に対応せよという意味は、慌てずにたじろがずに、心を落ちつけて、集中力を持って対応しろということであります。そして、予想されたこと以外のことも起こることが十分あり得ますので、そのときには、国益や国民の生命財産、そういうものをしっかりと保全していくということを基本に据えて、臨機応変に的確に対応していく、そういうふうに自分に言い聞かせております。

 もう一つは、どんな困難があっても、どんな試練があっても、必ず乗り越えることはできると自分に言い聞かせて対応していくことが大事だ、へそに力を入れてやっていくということであります。

 以上です。

阪上大臣政務官 私は、平成七年に阪神大震災を経験いたしました。当時は飽食の時代と言われたときでございますが、私は、平和ぼけをしておる日本人に、あの阪神大震災は足る心、知足というものを教えてくれたのではないかな。米一粒に対する感謝の心、水一滴に対する感謝の心、これを教わりました。

 それで、私は、淡路島と神戸の復旧の現場を見ましたときに、備えあれば憂いなし、いかに日ごろのコミュニティーが大事か。淡路島の方は、おばあちゃんがどこの部屋に寝ておるかわかりますので、すぐ救出できましたが、コミュニティーに欠けた神戸市等々は非常に手間取った。私は、日ごろのコミュニティーの大切さというのを認識いたしました。兵庫県では、ことしからPTAという言葉にPTCAとCを加えました。これはコミュニティーです。先生と親、先生とコミュニティー、それのつながりということで県民運動を展開いたしておるところでございます。

 もう一つ教わりましたのは、私は、火事は初動の三分、選挙は最後の三分が大切だということであります。

 以上です。

小野委員 それぞれに心の中に持っておられるものを御披露いただいたわけでありますが、これからの災害対策、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

 ところで、前回、四月十二日に災害対策特別委員会が開催をされまして、芸予地震視察後の質疑をやらせていただきました。そのときに、今も少し触れました石垣の問題に関して、このような問題には既成の対応ではなかなか応じられるものがないというような問題があったものでございますから、私の方から問題提起をさせていただいたのは、災害というのは、先ほど申しましたとおりに、いろいろな可能性があるわけですね。どういう災害がどんな形で起こってくるかというのは、実は、かなり大きな地域性を持った問題であることを考えた場合に、国の側が決めた事業だけでそれを予防するのには非常に大きな問題があるのではないだろうかという問題指摘をさせていただいたわけでございます。

 すなわち、地方自治体自身が、ふだん生活する中で、この場所がどうもこういう災害を引き起こす可能性がありそうだというようなことが予見されるとするならば、それを防止するための対策事業を行おうとするときに、何らかのきちんとした手続を踏みさえすれば、それに対して国がちゃんと補助措置をとることができるというような意味で、現地現場の人がみずからの問題意識で防災対策ができるような仕掛けにしたらどうだということを申しますと、当時の坂井隆憲副大臣からは、「自治体の独自の判断で行う施策に対して当然に補助をする仕組みを設けるといったことについては、そういう意味では、いろいろとやはり検討すべき課題がある」というようなことで、勉強していきたいというふうな御答弁をいただいていたわけであります。

 その後、一カ月余りの月日がたっているわけでございますが、どのような御検討をしてこられたのか、お答えをいただきたいと思います。

松下副大臣 私も、三十年ほど防災の仕事をしてまいりました専門家でございます。

 災害対策には二つあると考えているのです。一つは、災害が発生する前に、事前にきちっとやっておくべき対応があります。ハード、ソフトを含めてですね。それでもう一つは、発生した後にやはり対応していくべきことがあると思っているのです。その中で、発生する以前に対応すべきことに、今の国の事業のかなりの部分が集中的に行われていると考えておりますし、そうしてやってまいりました。

 発生すべきところの箇所を事前に予知予測するという、大変難しいことですけれども、山崩れや地すべりとか、あるいは地震なんかもそうでしょうけれども、火山爆発もそうでしょうけれども、そういうものをできるだけ予知予測して、事前に必要な施策をしていくということがあって、そういうことについては一定の技術レベルを国で研究しながら、各都道府県、市町村に提示して、そういう箇所をちゃんと点検するように指示をしてあるわけです。そういうものについて、必要なものはそこの中でちゃんと議論をして、都道府県で、現地も見た上で、そしてここが必要だということを毎年の予算要求の中できちっと要求してくるという、通常事業の中での要求の仕組み、事業を実施できる仕組みになっております。

 ですから、小野先生のおっしゃる意味では、通常の事業の、治山事業も治水事業もあるいは砂防事業なんかも、そういう一つの形の中に出てきていると思います。必要なところとか危険なところをきちっと提示した上で、ここを判断して持ってくる、優先順位をつけてやっていく、こういうふうになっているわけです。

 災害が起こった後の問題については、これはまた災害復旧ですから、改良復旧とか激特事業等を含めて、再度災害が起こらないような仕組みをつくっていくというふうになっておりますから、その中で十分対応はできると思うんです。それ以外にさらに何かをしていくとなれば、県の単独事業等がありますし、その中で国の事業等をよく勘案しながら対応していくのが私はいいんじゃないかなと思っているんです。

 以上です。

小野委員 今の松下副大臣の御答弁でございますけれども、実は、こういう問題提起を差し上げますのは、具体的な例で言えば、先ほど言いました呉市の民間のがけの問題ですね。こういうところは、具体的に打つべき国の施策というのは何もなかったわけなんですね。一方、がけのような形になっている斜面であれば、危険斜面についてはいろいろな対応の仕方があるというような形で、では、その危険斜面だと言われているようながけ崩れが起こりそうなところと石垣とどちらが危険かというと、呉市の皆さんにとってみると、石垣の方がどうも危険そうだというような考え方もあり得ると思うんです。

 そんなときに、県単事業があるではないかと言われるけれども、これもある一定の規模までのものなら県単で対応できるかもしれませんが、かなり大規模な対応が必要だというような事業になりますと、やはりどうしても国の補助が欲しいというような事業が出てくると思うんですね。

 ですから、国が決めているところの防災事業は、これはこれで非常に大事なことで、評価させていただくわけですが、それから外れるような形だけれども、実は危険だと言われるような問題があらわれた場合にどう対応されるのですかというのがこの質問の趣旨でございます。

松下副大臣 おっしゃる意味はよくわかりました。

 神戸の阪神・淡路の地震のときにそういうことがございました。がけとか石垣が大変傷んで非常に危ない、今崩れていないけれども崩れるおそれがある、あるいは崩れているところもある、しかも民間の人たちがつくったところだということは、自由民主党の中でも議論になって、それは国がきちっと補助の中で対応していこうということで、がけ崩れ事業なんかで対応することになりました。また、人工がけ等についても、自然斜面だけではない人工のそういった斜面についても、やはり必要なところはきちっとやっていこうというふうに今度取り組むことになりましたから、逐一そういうことは実行されていっていると思っております。

 なお、公共性の問題とか、県によって公平に行われていかなきゃいけないということを考えたときに、もう少し検討する余地はあるなとは思っておりますが、実態的にできるようには、それぞれ関係省とも相談しながらやっていくことが望ましい、こう考えております。

小野委員 冒頭、私の方から、災害に臨む座右の銘として、変至らざるなしということを御紹介いたしました。本当に何が起こるかわからないのが災害ということでございまして、一つの枠組みだけにとらわれないで、ぜひ、松下副大臣には専門家のお立場から、各地の状況を勘案され、非常に柔軟に対応できる政策の展開の方向について、また今後の御検討をお願い申し上げたいと思う次第でございます。

 なお、応当たらざるなしに関連いたしましては、いろいろな災害に対応が求められるという意味で、防災訓練等の充実、ないしはいろいろな機材等をうまく国土の中で応用するために広域的な連携のあり方等、さまざまな課題があるだろうと思いますが、この点は、時間の関係もありますので御要望にとどめさせていただいて、今後、その対応についても柔軟性のある取り組みをお進めいただきたいとお願い申し上げておきたいと思います。

 続きましての質問でございますけれども、実は、先日、日本のロケットのH2Aの製造現場に私は行かせていただきました。そこで見学をしながら、その組み立てないしチェックをしておられる様子を見ておりまして、ふと気づいたのは、ロケットというのは、一つの打ち上げを行うのに必要な部品数が三十数万点に及ぶというんですね。しかも、それらが非常に複雑に組み合わされながら一つのロケットシステムが生み出されている。その使用条件というのは、御存じのとおり、非常に高温、高圧になるような場面もありますし、普通の使用条件でない、限界状況で使われるようなものをつくり上げているという、いろいろなことを考えてまいりました場合に、この技術は非常に高度なシステムだなということを痛感いたしました。

 その三十数万点に及ぶものがトラブルなく見事に運用されてこそ衛星を打ち上げることができるということは、我々の国土にそれを当てはめてみました場合に、非常にいろいろな要素が絡まり合いながらいろいろな災害が起こってくるということを想定しながら対応していかなければいけないわけでありますが、まさにこの宇宙ロケットのシステムが災害対策にも応用できるのではないかなという、非常に直観的な話ではございますけれども、アイデアがひらめいたわけでございます。

 考えてみれば、ロケット技術の場合でしたら、一つのトラブルがあったとしてもほかのものでトラブルを防ぐフェールセーフの考え方というようなものもありますし、それから、どこでどんなトラブルが起こってくるかということも自動的に調べ上げて、危ないぞとなると自動的に警告するようなトラブルシューティング機能というようなものも自動的に組み込まれて運用されているわけですね。

 こういう新しい技術を災害対策にこれから取り込んでいくというようなことも、これからの国土防災対策上に大きな意味があるのではないだろうか。だから、ロケット技術者の皆さん方と防災関係の人たちとが、もっと交流していきながら、お互いに知恵を生かし合っていくというようなことを含めて、考えていくべき問題があるのではないかという気持ちがしたのでございます。

 副大臣、いかがでございましょうか。

松下副大臣 大変示唆に富んだ御提言だと考えております。

 小野先生はまさに宇宙工学の専門家でございますので、十分お話を伺いながら、そういう思想を入れていかなきゃいかぬと思っておるんです。私もさっき申しましたけれども、やはり発生する前にきちっとしたいろいろな対応をしていくことが大変大事でありまして、その中での大事な部門として、これはしっかり取り組まなきゃいかぬ、こう思っております。

 現実にも、そこまできちっとIT等も組み込まれたことでなくても、考え方の中には、不測の事態が発生することも十分あり得るので、それへの対応をいろいろな場面を想定して組み上げていくということは、災害対応の基本でありますので、これはしっかりと勉強していきたい、こう思っております。

小野委員 この点は、これからの取り組みということでございましょうから、各分野と協調していただきながら、日本の国がロケットをこれから先端的な技術としてさらに育てていこうという意味は、単に宇宙に物を持っていくだけではなくて、国民生活そのものにも生かせるものだというような視点も大事にしていただいて、お取り組みをお願いできればと思う次第でございます。

 引き続きまして、ロボットの問題も、せっかくですから、ここで取り上げさせていただきたいと思います。

 大臣の所信の中にもございましたけれども、日本という国は、地理的な条件から申しましても、地形的な条件からいいましても、また気候的な条件からいいましても、世界各国の中でこれほど多種多様な災害が予想されるような国というのは非常に少ないのではないだろうか。言ってみるならば、災害のデパートともいうべき国がこの日本の国のような気持ちがしてなりません。

 それら災害に対して、これまで先祖の皆さん方が長い年月の間、いろいろな知恵を出しながらいろいろな防災に取り組んできたわけでございますけれども、これに加えて、現代の新しい技術として、ロボット技術というのが注目され始めているわけでございます。人が近づくのに非常に危険であるとか、環境がとても人が作業するのに不適当であるとか、こういうところでも、ロボットであれば自由にそこで活動していくことができる。このロボット技術を活用して、防災対策ないしは災害が起こった後の対策に使っていこうというのは、非常に建設的な方向なのではないだろうかというような気持ちがいたしております。

 総理の所信表明の中におきましても、これからの日本経済のあり方を考える中で、潜在的な力を引き出してこれから発展していく方向を考えるんだというような問題提起がありました。今まで活用されていなかったものをうまく活用して、その力で日本経済を引き上げていきたいということを考えましたときに、まさに災害対策のロボットというものも、その一つの貢献を行う場所になるのではなかろうか、こんな気持ちがする次第でございまして、この御所見をお伺いしたいというのが一つでございます。

 それと同時に、阪神の研究者の皆さんが、今ロボカップレスキューというプロジェクトを動かしているんですね。ロボットを使って、災害が起こったときにどう救助したらいいかをコンテスト形式で競い合っていきながら、よりよい技術を生み出していこうというのがロボカップレスキューでございますけれども、このプロジェクトに対して政府として何らかの助成をお考えになられることはできないかという点についても、あわせてお尋ねしたいと思います。

松下副大臣 ロボットのことは、これは大変大事だ、そのとおりであります。

 現実に、八年前、九年前の雲仙・普賢岳、これはもうロボットでほとんどの作業を実行いたしました。それから、雲仙・普賢岳でもそれをやっておりますし、今回は三宅島も含めてそういう研究をしていかなければいかぬと考えているところでありまして、これはしっかりと応用していく課題だ、こう考えております。

小野委員 それでは、この問題もこれからの課題という部分が大きいと思いますから、各部門でそれぞれお取り組みに検討をいただきたいとお願いを申し上げておきたいと思います。

 ここから先は、有珠山の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思うわけでございますが、村井大臣の所信表明の中で、この有珠山の問題等も含めて、中央防災会議の機能を十分に活用しながら防災施策の総合的推進を行うというふうなことを述べておられますけれども、その点について、現状いかがな状況でございましょうか。

松下副大臣 その前に、さっき雲仙・普賢岳を二回言っておりまして、有珠山もロボットを使っておりますので、そのことだけつけ加えておきます。

 中央防災会議の機能を十分に活用せよということでございますけれども、これは防災施策の総合的な推進を行うということで、大変大事なことだと考えております。

 今回も、中央省庁再編に伴いまして、新たに四名の学識経験者を追加して、総理等への提言がその機能に加えられて、機能の強化が図られたところであります。地震関係とかそういう形の人たちをしっかりと入れてあります。また、一月二十六日に第一回の会議が開催されましたけれども、その中で、官邸との情報体制を充実させていく、あそこが全体的な危機管理をしますので、そこでしっかり密接な関係をつくりながらやっていくことが一番大事だというふうに考えておりまして、一層の機能強化をしていかなければいかぬというふうに考えております。私も、既に両方しっかりチェックして見せてもらいました。

小野委員 それから、大臣政務官にお尋ねしたいと思うのですが、五月十二日、村井大臣と一緒に有珠山周辺地域に御視察に行かれた、こういうふうにお伺いしているわけでございますけれども、現状、あの地域の問題に関して、政務官の率直な御感想いかがでございますでしょうか。

阪上大臣政務官 噴火後一年余りが経過いたしております有珠山の火山活動は低下をいたしておりますけれども、周辺の五百メートルの区域で二百二世帯、三百七十八人の方々を除いた避難指示は解除されておるにもかかわらず、いまだ千三百七名の方が仮設住宅に避難をされておりました。また、洞爺湖温泉街の旅館や温泉も営業を再開いたしておりますが、地元経済はなかなか厳しいと感じました。

 それと、地元の道市町では復興に向けた検討が進められており、ことし三月末に北海道が策定いたしました復興計画基本方針をもとに地元の各市町が復興計画を策定する予定であり、国としてもできる限りの支援をいたしてまいります。

 また、私も、阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、現地での要望に迅速に対応することが肝要であると考え、バブル当時、銀行は元気なときに点滴をしたり酸素マスクをいたしますが、病気になったときにはそれを外すということをよく言われたのですが、今回の視察では、特に金融に対する強い要望がありました。きのう早速、関係省庁、国民金融公庫、中小企業金融公庫等の関係機関とともに、地元の市長、町長さんとともどもに意見交換を行ったところでございます。

 主な地元の要望といたしまして、既に北海道が講じております既往債務の借りかえ措置の拡充をしてほしい、そして新規事業に対する融資枠の確保を図っていただきたい。地域の中小企業への融資残高の七割を伊達信用金庫が占めておる状況であり、金融検査もあるために新規融資になかなか応じられない状況でありますので、新規枠の拡充について弾力的に運用してほしいという市長、町長からの御要望がございましたので、地元の要望に基づき、実態調査を踏まえ整理するとともに、北海道とも連携をとりつつ、政府系金融機関とともに対応いたしてまいりたいと考えております。

小野委員 政務官から既にいろいろと御答弁をちょうだいしたわけでございますけれども、私どもも視察に参りますと、有珠山周辺地域の皆さんの経済的な活動の面でいろいろな問題が生まれていることを痛切に感じました。特に、洞爺湖温泉街におきます観光客の減少問題、またその地域の商店街がお客さんが減ってしまって経営状態が非常に厳しくなる、しかもそれに加えて、今御指摘のありました金融面における貸し渋りに近いような状況が生まれていまして、それらをどう解決していったらいいのかという悩みを私どもに投げかけられた次第でございます。

 きょうは中小企業庁もたしかお見えいただいているのですが、今の政務官の答弁に加えて、中小企業庁側から御答弁いただける点がありましたら、御答弁をお願いできたらと思うのでございますが、いかがでございましょうか。

羽山政府参考人 御説明申し上げます。

 有珠山噴火災害による被災中小企業の融資の返済につきましては、政府系金融機関などに対しまして、災害発生後直ちに、既往債務の条件変更について、個別企業の実情に応じて返済猶予などにより十分対応するよう指示したところでございます。この結果、本年五月二十一日までに、政府系金融機関において二百八十四件、信用保証協会において三十六件の既往債務の返済条件の変更が行われております。

 変更の内容といたしましては、例えば、元本、利息とも一年間棚上げをいたしまして二年目以降も返済額を軽減するケースですとか、元本だけ一年間据え置くといったようなケースなど、借り手の状況に応じまして対応をしているところでございます。

 今後とも、有珠山噴火災害による被災中小企業者の復旧状況を注視しながら、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

小野委員 洞爺湖周辺の皆さん方の御要望を聞いておりますと、かなりの窮状に陥っているようでございまして、今の条件変更というレベルをさらに超えた要望も出しておられるようでございます。この場所では、もうこれ以上議論する余裕がありませんので控えさせていただきますが、今後とも、いろいろなバランスの問題ですとかさまざまな条件の問題はあるんだろうと思いますけれども、できる限りの対応を御検討いただいて、皆さんが勇気と希望を持ってこれから復興に立ち向かっていけるように、御配慮をお願い申し上げたいと思う次第でございます。

 いよいよもう最後の質問になろうかと思いますけれども、今後、小泉総理大臣初め閣僚の皆さん方が全国各地でタウンミーティングを開いていこうというようなことが言われておりますけれども、先日の発表によりますと、その第一号の場所がこの洞爺湖温泉であるというようなことをお伺いいたしました。この開催は、私も先日視察をやりまして、私たちが関心を持っている姿を見せるだけでその地域の皆さん方が非常に元気になっていただけるという姿を見ておりますと、大変有意義なことだと私は思います。

 そこで、このタウンミーティングをどの時期に、またどういうような規模で開催されることを予定されておられるのか、現状でおわかりのことがございましたら、お教えをいただければ幸いでございます。

松下副大臣 今の件につきましては、村井大臣が直接小泉総理とお話をして、いろいろ進めるようにお話をされたというふうに伺っております。

 これは官邸で、今官房長官を中心に、そこも含めて議論をしていると聞いておりまして、何らかの結果が出てくると考えておりますけれども、どういう形であるにしろ、やはりそういう地域とのきちっとした対話ができるような仕組みは大事だと思っていますので、応援してまいりたい、そのように考えております。

小野委員 それでは、最後になりますけれども、私は、地方自治体に対する財源確保の点について、お願いだけ申し上げておきたいと思います。

 災害というのは、もう皆さん御存じのとおり、ある特定地域に集中的に、予期しないときに起こるわけでございますから、地方自治体にとりましては、当初想定されていない出費が、しかも集中的にその場所にかかってくるというのが災害対策の特徴なのだろうと思います。

 現に、先日の芸予地震の話を冒頭に申し上げましたけれども、その後、私の地元であります愛媛県におきましても、災害対策ということでいろいろな取り組みをやっているわけでございますが、市町村や県の出費がかなり大きなものになってしまうというようなことで、災害対策はなかなか大変だというような声が私どものところへも届いております。

 ですから、災害に対する対応というのは、満遍なく日本全国に行う政策とは別に、もちろん、そういう意味での災害対策の特別事業というものを皆さんお持ちになっておられるわけでございますけれども、加えて、財源面で十分に対応ができるような配慮を、今後の取り組みの中で、またさらなる検討をいただきますことを心からお願い申し上げて、私の質問を閉じさせていただきたいと思います。

 どうか、今後ともよろしくお願い申し上げます。

赤羽委員長 次に、河合正智君。

河合委員 私も、四月十八日に、闘う災害対策特別委員長赤羽委員長のもとに有珠山に行ってまいりましたので、最初に、その有珠山の件に関しまして御質問申し上げたいと思います。

 洞爺湖温泉の仮設校舎で私たちはこういう陳情を受けました。一年も仮設住宅に住んでいます、孫はもう帰りたいと言っております。何百万もかけて倒壊した家屋を修理して、その後また住んでいいのか、こういうお訴えでございました。ちなみに、この方はCゾーンにお住まいの方のようでございました。

 そこでまず、温泉を所管し、国立公園を所管し、しかも地元北海道選出であります風間副大臣にお伺いさせていただきたいと存じます。

 有珠山は、二十世紀だけでも今回で四回の噴火を繰り返しております。二十年から三十年周期で噴火が起こると言われております。地域では、火山資源、すぐれた景観を生かした災害に強い活力ある町づくりを目指しております。しかし、将来噴火した場合には、ここは火口となるおそれがあるところでございます。そういう中で進めます町づくりにつきまして、環境省としての見解もぜひお示しいただきたいと存じます。

 ちなみに、風間副大臣御案内のように、この復興計画を検討していく段階におきまして、洞爺湖温泉では土地の利用区分が焦点となりました。道では、ホテルなどの営業区域を働く場として、人々が暮らす生活の場を他地域に誘導しようといたしました。しかし、地元では、住民の住まない温泉地に観光客が安心して泊まってくれるかと強く反発したところでございます。現在は、将来に向けて移転の支援策を検討するということで双方が合意に向かったいきさつがございます。

 ちなみに、日本は地震列島、火山列島でございますけれども、その象徴的な有珠山の例もございますが、また逆に、阿蘇のような地域の例もございます。ぜひとも副大臣の御見解を賜りたいと存じます。

風間副大臣 なお一年を経まして、仮設住宅に避難されていらっしゃる方がまだ二百人近くございます。そういう意味で、今河合先生がお話しされましたように、大体四分の一世紀ごとの噴火を繰り返し、そのタームといいましょうかスパンがだんだん短くなってきている状況の中で、地域に温泉を抱えていらっしゃると同時に、そこで生計を立てていらっしゃる方々を含めた虻田町、そして壮瞥町、伊達市も当然その商業供給市としての位置づけになっているわけでありますけれども、この噴火後の町づくりにつきましては、町を挙げて、お一人お一人の住民の方々が、今なお二カ所噴煙を上げているところがございまして、そこの地域は一切住めない、戻れない状態になっているわけでございますから、まことにお気の毒というしかないわけでありますけれども、しかし、前向きに考えて、地域の方々が国立公園にふさわしい利用を推進していく。そして、自分たちの住んでいる地域を、噴火と観光と結びつけた状況の中で、従来の団体周遊旅行客を呼び込んでいた体系から、それプラス、個人個人が自然体験をしていっていただけるような町をつくっていこうということで、意欲的に取り組みをされていらっしゃるわけでございます。

 河合先生御指摘のように、北海道が考えているこの地域の町づくりと地元の住民の方々の町づくり、やや相違がございまして、今そこの状況を鋭意すり合わせて、連携を強化して、話し合いに応じているということも、私ども環境省としても承知をいたしております。

 いずれにしましても、そういう意味で、環境省においては、北海道と一市二町の皆様方と相談の上、具体的な支援の方法を検討していきたいというふうに思っております。

 御承知のように、有珠山の噴火は、普通は噴火口の中央が限られて、そこが噴火するのですけれども、今回の場合は、中央の噴火口ではなくて、時計回りにすそ野のところで噴火をしているところが、ある意味では学術的にも極めて価値があるというふうに聞いておりますし、そういう意味で貴重な自然資源とも言えるわけでありますから、適切な保護、そしてその利用が必要というふうに認識しているわけでございます。

 ただいま噴煙を出しておる西山火口地域は、国立公園の区域外であるわけでありますけれども、非常にパノラマが違う形の特異な景観が形成されつつあることから、国立公園区域に含めて保護、活用していくことも考えていかなければならないかなというふうに思っているわけでございます。

 いずれにしても、今先生御指摘の土地の国有化及び周辺施設の整備の可能性についても、道ともあるいは市町村とも連携して検討してまいる所存でございます。

河合委員 伊達市、虻田町、壮瞥町から私ども要望をお受けしました中に、ただいま副大臣がやや触れられましたことについても、具体的に要望をされております。それはエコミュージアムなどを整備してほしいという要望でございます。それからもう一つは、噴火口周辺土地の国有地化及び周辺施設整備についてでございます。

 エコミュージアムの整備の要望についてどのように環境省は取り組まれるのか、具体的にお願いいたしたいと思います。

 あわせて、この周辺一帯を火山自然観察公園として整備していただけないか、そしてその前提として、周辺土地の国有地化を検討願えないかという要望につきまして、お答えいただける部分がございましたら、お願いしたいと思います。

西尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今、基本的には副大臣のお考えに沿って支援策を検討していくということでございます。

 したがいまして、この地域におきまして、現在の状況を踏まえまして、地元からエコミュージアムという名のもとに、この地域全体を新しい自然体験型の観光、そういうことで地域の復興にも役立てていきたいという要望でございます。恐らく、この内容につきましては、地元からもう少し、それぞれ個別の施設でありますとか使い方につきましては、これからさらに地元で詰められて、いろいろな案が出てくるのであろうというふうに思っておりますが、全体の考え方につきましては、非常に意欲的な取り組みと評価をさせていただいている次第でございます。

 ただ、この辺の自然の環境とか利用施設の状況とかをきちんと踏まえていかなければいけないということでございまして、環境省におきましては平成十二年度に緊急調査をやっております。この取りまとめを急いでおりますので、その取りまとめができますれば、また検討していくための素材もでき上がります。そういうものをもちまして、北海道、地元市町村とも御相談をしてまいりたいということに相なります。

 同時に、土地の買い上げの問題につきましても、恐らくはこの地域、西山火口の学問的な価値というのは非常に高いものではないかと思いますが、これも調査の結果を踏まえまして専門家の意見を聞く中で、国立公園の区域にするというような問題が出てまいります。国立公園になりますれば、その中で非常に大事なところにつきましては買い上げということもございます。あるいは、それを保護したり利用する施設ということも出てまいります。

 そういったことで、この調査を踏まえまして、全体を一体的に、地元ともよく相談をいたしまして、できるものの可能性について十分に検討してまいりたいというふうに存じております。

河合委員 大変意欲的な御答弁をいただきまして、地元の皆さんも、これを聞きましたらお喜びになると思います。

 さて、私は、後ほどさらに有珠山の問題につきまして質問を続行させていただきますが、環境副大臣がせっかくおいでになっておりますので、この際、お聞きしておきたいことがございます。それは東海集中豪雨による災害、このときに私は、現地に行きまして、痛烈な印象を受けました。このことにつきまして若干お伺いさせていただきたいと思います。

 東海豪雨災害というのは昨年九月十二日に起きたわけでございますが、庄内川、西枇杷島町、これはテレビカメラが入っているところの惨状につきましては全国にネットで放映されました。しかし、実は同じ災害で、これは自衛隊が、孤立した岐阜県の上矢作町というところでございましたけれども、救出に参りました。テレビカメラは入っておりません。したがいまして、余り知られていないわけでございます。しかし、これと同じような惨状が実はその前の年に、同じく九月に台風十六号による災害として、岐阜県の郡上郡白鳥町、高鷲村、河合村といったところで起きております。

 それはどういう災害かと申しますと、予想もつかないような豪雨が集中的に降りまして、それに伴いまして山自体が崩壊しました。そしてその際、土砂と流木が一緒になって、道路を河川のように濁流が走って、それが民家を横なぎにしていったという惨事でございまして、これは甚大な被害が発生いたしました。

 まず、この問題につきまして、林野庁からお越しいただいておりますので、こういう災害につきましてはどのように対応されるのか、またされてこられたのか、お伺いさせていただきたいと思います。

加藤政府参考人 今お話にございましたとおり、集中豪雨によりまして、岐阜県におきましても例えば三百ミリを超えるような日雨量が降っておりまして、大変な集中豪雨の中で災害が起こり、さらに流れ木等を伴ったものが起こったわけでございます。

 そういったものに対しましては、林野庁といたしましては、山腹崩壊地等につきまして災害関連緊急治山事業等によって早急に整備を進めると同時に、流れ木の除去等を実施する、さらには流れ木を捕捉するスリットダムの設置というようなことも行いまして、再度災害が起きないようにしてまいりたいと考えております。

 また、森林の公益的機能をきっちり発揮していくためには、健全な森林の整備を図っていくということが必要でございますので、そういう点で、自然災害に強い健全な森林資源の維持培養を図るという観点から、複層林施業でありますとか、広葉樹の育成等天然林施業の推進、あるいは間伐の推進というようなことを図ってまいりたいと考えております。

 今後とも、災害防止に果たす森林の役割の重要性にかんがみまして、自然災害に強い森林の整備に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

河合委員 実は、ただいま加藤次長もおっしゃいましたように、一日の降雨量が岐阜の場合は三百ミリ、東海集中豪雨の場合は四百二十八ミリ降っております。これは実に年間降雨量の、一年間に降る雨の量の三分の一が一日に降ってしまったわけでございます。これは松下副大臣、御専門でございますけれども、日本の河川は時間雨量五十ミリ対応でございますけれども、実にこのときは時間雨量九十ミリ降っておるわけでございまして、加藤次長が完璧に林野行政をされましても、これは防げない災害だったわけでございます。

 このことにつきまして、一九八八年、アメリカの上院におきましてジェームス・ハンセン博士がこのような証言を行っております。それは、地球の平均気温は上昇しつつある、これは自然現象ではない、人間の活動によるもので、特に化石燃料の大量消費によってもたらされたものであります。二十一世紀の中ごろには、地球の平均気温は三度上昇する。これは今年、IPCCによりまして五・八度と修正されているところでございます。それに伴いまして、間違いなく気候が大きく変動する。そして、ある場所は異常渇水が起き、ある場所は異常な集中豪雨が起きるという気候変動が起きる、このように予言しております。

 この予言に符合するかのように、一九八八年にはアメリカの中西部で大干ばつがありました。九〇年にはフロリダのハリケーンによる被害。それから、九三年にはミシシッピ川の大はんらん。八八年にはバングラデシュは三分の一水没して、九一年には同じくバングラデシュでは二十万人が死亡し、揚子江は武漢周辺で決壊という状況が起きておりますが、間違いなく日本にもこの現象が起きているのではないかと私は思います。

 しかし、これは報道されておりませんので、余り目にとまっておりません。したがいまして、こういう問題に対しまして、従来の林野行政、従来の環境行政、これは個別に行われておりましたので、私は一つの提案をさせていただきたいと思うのでございます。こういう環境破壊による災害といった新しい事態に対しまして、私は、むしろ林野庁と環境省との間で、こういう環境破壊による災害に対する対策を検討するためのスキームをぜひともつくっていただきたいと痛切に感じたわけでございますけれども、まず風間副大臣の方から、いかがでございましょうか。

風間副大臣 先生おっしゃるように、森林というのは、国土の保全だけではなくて、水源涵養、そしてまた地球温暖化の防止を含めて、多面的な機能を有することはもう常識でありますけれども、しかし、実際上それが本当に機能を発揮しているかいないかということについて、まだまだ国民的な御理解が得られていないのも事実でございます。

 我が国の国土の六七%を占める森林、何げなく山のところにある木を見ながら私どもは道路を通っているわけでありますけれども、あの持っている、大きな包容力のあるさまざまな機能を何としても環境省としても守っていかなきゃならないというふうに思っているところでございます。

 従来から、環境庁時代から林野庁と緊密な連携をさせていただいて、森林の保全についてもやってきたところでございますが、環境省になって、より一層、温暖化防止の観点からも森林の保全をきちっとやっていかなきゃならないというふうに思っております。

 したがいまして、両省庁間のより一層緊密な連携を軸にしまして、森林機能の保全、そしてまた国土の保全に努めてまいりたいというふうに思いますし、何といっても、今先生おっしゃったように、平場よりもむしろ山間地における森林の保全が大きな国の財産にもなるわけでありますし、次代へ引き継いでいく日本の資産として活用を図っていかなきゃならないというふうに思っているところでございまして、より一層また先生の御支援をお願い申し上げる次第でございます。

河合委員 林野庁、いかがでございますか。

加藤政府参考人 今お話が出ておりますように、森林の持っている多面的機能については、一層持続的に発揮をしていくということで取り組んでいく必要があると考えているところでございます。

 環境省との関係につきましても、お話がありましたとおり、今までも環境省との意見交換の場を設定してきたわけでございまして、それらを活用しながら、さらに連携を図ってまいりたいというふうに考えております。

河合委員 私は、環境破壊による災害対策と同時に、地球温暖化対策のシンクの議論の場合でも非常にこれは重要な課題だと思いますので、ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、有珠山の方に戻らせていただきますが、先ほど委員長報告にもございました、十九日の朝食懇談会の席上で要望されました事項につきましては、小野先生の質問でかなり触れられておりますので、私は、地元要望の最後の部分でございますけれども、有珠山噴火災害中小企業返済対策特別資金の要件大幅緩和による制度の継続をお願いしたいという要望の次に、二としまして、もしくは以上の要件を満たした公的資金による新しい金融救済制度を創設していただきたいという要望がございます。

 私は、この問題につきましては、ある特定のところでこういう地震災害、火山災害、風水害による災害が起きまして、その後追いで個別に対応してきているわけでございますけれども、本来であれば、常設の災害復興銀行というようなものがあってもむしろおかしくないのではないかと思っているくらいでございます。仮に新しいそういう銀行を創設するのははるか先のことだといたしましても、現在ある政府系金融機関の中で、ある意味で常設の災害復興のプログラムを、現在ありますけれども、それはまことにささやかなものでございますので、こういう要望にこたえられるような、公的資金を投入する新しい金融救済制度を創設していただきたいというような要望に対しまして、どのようにお考えでしょうか。

松下副大臣 有珠山噴火災害からの復興に関しましてはさまざまな要望がこれまでも出てきておりまして、今までも、被災した中小企業者に対する災害復旧貸し付けの金利の引き下げでありますとか、実質的な無利子融資とする利子補給措置といったものをやってまいりました。貸付金の償還期限の延長なんかも含めていろいろな要請もございましたし、そういうものは我々も、きのうも阪上大臣政務官が関係者とも相当密な議論をしておりまして、そういうふうな検討をしていきたいと考えているわけであります。

 それに加えて、公的資金の活用というものについても、これまた実態をよく調べていきながら、その必要性というものについては十分慎重に議論しなきゃいかぬかなとも考えているところでございまして、さらにちょっと時間をいただきたいというふうにも思っております。

河合委員 委員長報告にございました懇談会の席でお聞きしたことをもう少し私なりに詳しく調べてみましたら、北海道新聞に四月七日付で掲載されていた囲み記事がございます。

 観光は建物など初期投資が必要な装置産業の代表的なものです。一九七七年の噴火の傷はいえましたけれども、それなりの負債もまだ残っております。資金の返済期間を延ばして、毎月の返済額を減らして、負担がないようにしなければいけません。道が設けました借入金返済の融資制度の条件を緩和して、今の借入金の三〇%までは延長できるようにお願いしております。そういう仕組みができましたら、これは三分の一でございますから、残りは金融機関もそれぞれこういった制度枠を新たに創設して応じていきたい。例えば、借入金が三億円あって七年間の返済が残っているとした場合には、一億円は道の制度で二十年に返済期間を延ばす。残った二億円も私どもの方で二十年に延ばします。そうやって負担を薄める仕組みがつくれれば、経済的にも地元は何とかやっていけるのではないかという、非常に具体的な提案と同時に要望が出されておりますので、何とぞ阪上政務官におかれましても、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さてさらに、阪神・淡路大震災の、これは赤羽委員長の地元でございますけれども、住宅用建築物の再建資金の問題がまだ未解決になっております。そして、従来、我が国におきましては、資本主義社会だから個人補償はできない、これが一貫した政府答弁でございます。私は、本当にそうかなと思って調べてみました。

 ところが、資本主義社会におきましても、例えば一九八〇年十一月二十三日のイタリアの地震災害に対しましては、地震により破壊されたあるいは解体されるべき住居用建築物の所有権者のために、その再建資金に対する給付金を、例えば所定の基準に基づいて計算される経費の三〇%は給付金として支給する法律をつくっております。さらに、一九九八年一月二十三日の同じくイタリアの暫定政令でございますけれども、これは大地震によって破壊されあるいは被害をこうむった個人不動産の再建または回復の助成としまして、最高六千万リラを限度とします。ただし、これは観光客を受け入れる、そういう業を目的とする私的な不動産につきましては一億二千万リラを限度とするという、増額までして特別立法を行っております。

 やろうと思えばできないことはない。この事例を踏まえまして、これは通告外でございますけれども、専門家の副大臣にぜひとも御所見を賜りたいと存じます。

松下副大臣 大変具体的な事例で御説明いただきまして、ありがとうございました。

 阪神・淡路大震災のときのいろいろな経験から含めて、自然災害対応というのは個人の自助努力による回復が基本だ、こういうふうにありますけれども、赤羽委員長や河合先生なんかも大変お力をいただきましたけれども、被災者生活再建支援金の支給という思い切った制度に踏み切ったこともございますから、やはりそういうことで一歩踏み出したとは思っております。

 さらに、今のようなお話もございますし、こういった国民の税金である公的資金をどういうふうにもう少し踏み込んでつぎ込めるか、少し勉強して、またいろいろ意見交換しながら進めていきたいと思っております。

 勉強させてください。ありがとうございました。

河合委員 非常に力強い御答弁をいただきまして、ぜひとも御検討いただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終えさせていただきます。

 大変にありがとうございました。

赤羽委員長 大臣、大変お疲れのところでございますが、御到着されましたので、引き続き、津川祥吾君。

津川委員 民主党の津川祥吾でございます。

 私も先日の四月十八日の有珠山の被災地視察に参加させていただきました。大臣も、あの有珠山の被災地、現場をごらんになっていただいたというお話を伺っております。

 そこで、有珠山周辺の災害状況について、大臣御自身の御感想も含めて、現在の現地の状況についての御認識をまず冒頭お伺いいたしたいと思います。

村井国務大臣 本日の委員会でございました赤羽委員長を初めとする有珠山の現地視察の御報告等をぜひ拝聴したいと存じたわけでございますが、ほかの委員会と重なりましてお伺いできませんでしたことをおわび申し上げたいと存じます。

 ただいま津川委員御指摘の点でございますが、私も、現場主義というのは大切だと思っておるものでございますから、早速有珠山に行ってまいりました。率直に申しまして、参りまして私も実際感じましたことは、ちょうどお天気も大変よかったこともございますけれども、洞爺湖から羊蹄山がずっと見晴らせまして、後ろの方で有珠山には噴煙が上がっている、何とも絶景というべきところでございました。現実には、もちろんまだ二百二世帯、三百七十八人については避難指示が解除されていないというような状況ではございますけれども、実際は、ふもとの方はほぼ安全であるということでございました。

 地元で一番気にしていらっしゃいましたことは、有珠山の噴火によりまして、洞爺湖温泉などを初めとして、あのあたりの観光業が非常に影響を受けておるという御指摘でございました。のみならず、北海道の観光が周遊観光というような傾向もあるために、これは副知事から伺ったことでありますけれども、不景気ということもありましょうが、北海道観光全体にも影響しているというような指摘さえありました。

 私は、さような意味で、できるだけ早く復興計画をきちんと決めていただき、安全性を全国に知っていただく、こういうことが何よりも大切なことなのではないだろうかということを率直に申しまして実感した次第でございます。

 なお、その他の復興事業につきましては、既にこれも先生方ごらんいただいたことではございますけれども、いろいろ手当てはされているということを大変心強く感じた次第でございます。

津川委員 ありがとうございます。

 実は私、静岡県に今住んでおりまして、東海ブロックで比例で当選をさせていただきましたが、出身は札幌市であります。二十二年前の噴火も札幌で体験をしました。夏なのに雪が降ったという記憶が残っております。

 それで、実は小学生のころに、大臣も多分行かれたと思いますが、火山科学館、あそこに、宿泊学習というのでしょうか、修学旅行で見学に行った記憶もございます。何でこんなことを申し上げるかと申しますと、初めてあの地に入られると、やはり洞爺湖の絶景、ああいったものに目を奪われるという方が恐らく多いかと思うのですが、私も久しぶりに参って、確かに本当にきれいなところだなという感想も持ちましたが、一方で、小学校のときに見学に行った場所、そこが非常にさま変わりをしている。

 阪神・淡路大震災のときもそうでした。非常にショッキングな映像が放送を通して流れましたが、実際に、例えば神戸の町をもともと知っていらっしゃった方が、その情報を聞いて、そこの地に帰って、その変わり果てた姿を見たときの衝撃というのは非常に大きなものがございます。もともとの状況がどうだったかというものを知っている人間と、それを知らなかった方とは、おのずと大きな感想の差が出てくるのかなというのが正直ございます。

 実は、現地の被災者とお話をさせていただいたときに、不平かもしれないがということでコメントをいただいたのが、自分たちは失業するほど非常に苦しい状況にある、しかし、役人は、いろいろやってくれるけれども、本当に私たちのつらさを理解しているのだろうかということを訴えていらっしゃいました。確かに、その役人、例えば北海道庁の方ですとか、そういった方は現地に入っていろいろと被災者の話は聞くけれども、この人たちはどうせこれが終わったら札幌に帰って自宅があるではないか、自分たちはずっとここに住んでいるのだ、そういうようなつらさを訴えていらっしゃいました。

 もちろん、それは被災された方でなければわからないところかもしれません。しかし、そういった方に対応する大臣を含め皆様方も、ぜひそういった被災者の感情をできるだけ詳しくお知りいただきたいと思うものですから、災害が起こった場所の現地視察もさることながら、例えば静岡のようにこれから起こるかもしれないと言われているようなところ、そういったところがたくさんございますから、その辺のところの防災の体制等々もぜひ現場に入ってごらんになっていただきたいな、それをまずお願い申し上げます。

 次に、先ほど河合先生からもお話がございましたが、副大臣にお答えをいただきましたが、被災者の住宅再建の話であります。

 これは私有財産でありますから、これまでは個人補償はしないというのが基本的なスタンスであったかと思いますが、果たしてそれでいいものかどうかというところが、特に国会の中でいろいろと議論が出てきたところでございますが、この件に関して大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

村井国務大臣 この問題につきましては、当委員会でもいろいろ御議論があったことを私も承知しております。原田昇左右先生を会長とする超党派の自然災害議連でも、大変積極的な御議論があったこともよく承知しております。時間の関係もございますので余り長々しい答弁は避けさせていただきますが、例えば共済的なと言ったらよろしいのでございましょうか、そんなような形での住宅再建支援という御議論もあるやに伺っております。

 ただ、いずれにしましても、つまるところは、個人の住宅再建支援のために一体どれだけ公費あるいは財政的な支援をしていいのかという、国民的なコンセンサスをどうやってつくることができるのか。このあたりは、本当のことを申しまして、なかなか難しい点ではないかと思います。

 自然的災害に遭うといいましても、いろいろな形がございます。確かに、住宅をなくされるというのもありますが、私の地元で実際経験したことですけれども、土砂崩れによりまして家が建っていた地面ががけ下へずっと落ちてしまったというようなケースがあります。そのときに、ある被災者が、火事は家しか持っていかないけれども、地すべりはべとまで持っていってしまうからな、べとというのは方言で土でありますが、そう言って嘆いておられたのを私は非常に印象深く感じております。ただ、これはその村で二軒だけだったのですね。こういうのはどうするのかというあたり、大変難しい問題だと思うのです。

 そんな意味で、これから当委員会におきましてもさらなる御検討を、いろいろ御意見もちょうだいし、私どももまたいろいろ議論を重ねてやってまいりたい。いろいろ御教示を賜れればありがたいと思っております。

 私自身は、確かに一つの御議論だと思いますけれども、税とかいろいろなことに今までかかわってまいりました経験から申しまして、本当に国民的コンセンサスができるか、うまく制度を仕組めるか、そのあたりはやはり少し慎重に考えなければならない問題ではないか、そういう感じを持っております。

津川委員 確かに、大臣御指摘のとおり非常に難しい、ケース・バイ・ケースのものもございますし、また、国が補償するといっても、結局はその財源はすべて国民ですから、国民のコンセンサスをどうやってとるのかという非常に難しい問題もございますが、実際、被災された方々の現状を見ると、やはり何とかする方法が必要ではないか。また、時間をかけた議論ももちろん必要でありますが、いつ結論を出せばよいというものでもありません。また、いつ災害が起こるかわからないわけでありますから、なるべく早急に結論を出すことで、大臣もぜひ前向きな意思をさらに強くお持ちいただければなというふうに思います。

 それに関連するところがございますが、今回の有珠山の噴火があった後で、この復興計画基本方針の中で、大臣も御存じだと思いますが、土地の利用についてゾーン分けというものがなされました。先ほどもお話がございました。

 Aゾーン、Xゾーン、Bゾーン、Cゾーンというふうに四つに分けられました。若干読ませていただきますが、Aゾーンというのが今回の噴火で直接的な被害が著しい区域、Xゾーンというのが今回の噴火で直接の被害は受けなかったけれども危険性が高い区域、Bゾーンが噴石が及んだ区域というふうに、Aゾーン、Xゾーン、Bゾーンというのが今回の噴火に対しての防災対策を講じる区域。

 問題は、もう一つのCゾーンというところでございますが、今回は特に何もなかったけれども、将来の噴火に対して防災対策を講じなければならない区域というふうに言われているところでございます。これは北海道がつくったものでありますが、一応ここで書かれているものとしては、短期的、中期的には、病院、学校、社会福祉施設等は他の地域への移転を進める区域というような書き方がされております。実際、この地域に住まわれていらっしゃった方々、これが本当に洞爺湖温泉をほとんどカバーしてしまうものですから、非常に深刻な状況であります。

 このCゾーンというものの取り扱いについて、この地域に住んでいらっしゃった方々、この地域に家を持っていらっしゃった方々に対する支援は、どういったものを考えていらっしゃるでしょうか。

阪上大臣政務官 北海道の札幌で生まれ、そして北海道大学の経済学部で学ばれて、日本国土開発に入社されたということで、北海道の隅まで御存じの津川先生、私は阪神大震災を経験した一人として、先生の庶民、大衆と目線を合わせるというのは共通点です。それと、現場の声を生かすということも共通点であります。まず紹介をしておきたいと思います。

 さっきのCゾーンについてでございますが、将来の噴火に備えて被災者をできるだけ少なくする必要があるエリアとして、災害弱者や住宅の安全な地域への移転を視野に入れて検討を行うという区域でございます。そして、地元市町からは、Cゾーン設定の必要性は理解できるけれども、住宅の移転誘導の具体策がない中では合意が得られないという声があるのも確かであります。

 今後、具体的な方策について、北海道と地元市町の間で協議、検討を進めていかれると聞いております。政府といたしましても、この検討結果を踏まえて対応を検討してまいりたいと思っております。

津川委員 対応を検討されるということですが、恐らくその答えしかないだろうとは思いますが、一方で、Cゾーンに実際にかかっていらっしゃる方々は、今の答えではなかなか安心はしていただけないと思いますので、これも早急な対応を心からお願いするところでございます。

 また、ちょうど洞爺湖温泉というのが非常に大きな観光地でありまして、観光地としていかに復興するか。先ほど来お話がありましたとおり、この有珠山の噴火そのものも一つの観光資源でありますし、また、この地域の温泉そのものが、火山があるからこそ出てくる良質な温泉でもありますから、この地域の観光の復興というものを考えたときに、例えばこの地域、洞爺湖温泉をそっくりそのまま別のところに移すことは事実上不可能なわけでありますから、この地域で観光の復興を行わなければならないというふうに考えますが、観光地としての復興にどのような支援を準備されていらっしゃるか、そこのところをお伺いいたします。

阪上大臣政務官 五月十二日、村井防災担当大臣と御一緒いたしまして、現地を訪れ、現地の生の声を聞かせていただきました。そして、月曜日、予算委員会のお昼の時間を割きまして、担当大臣と私が小泉総理・総裁とお会いをいたしまして、安全宣言、温泉街の安全宣言はいろいろな学者から出ておるのですけれども、修学旅行等々の生徒がなかなか来られないということでありますので、ぜひともタウンミーティングをやって、たくさんの閣僚があそこで一泊をしていただくことによって、内なる温泉街の安全宣言と外に向かっての国民に対する安全宣言、これがアピールできるので、ぜひとも実行していただきたいということを直訴いたしたわけでございます。

 そして、私も阪神大震災の経験者の一人といたしまして、一年目は国も県も一生懸命駆け込み寺のように支援をしてくれるのですが、二年目ぐらいからだんだんと熱が冷めてくるのですね。ですから、かれかけたポンプ、それに注ぎ水をして、井戸の水がまだ潤沢にあるのに中小企業を倒産させてはだめだという認識は、私は経験をいたしました。

 先ほども言いましたように、民間の銀行は、元気なときに酸素マスクをしたり点滴を打ちますけれども、病気になると外してしまいますですので、そのようなことのないように、政府系の金融機関を活用して、きのうも地元の方と懇談をさせていただきました。その席に関係省庁、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫等の関係機関の方にも御同行いただきまして、地元から要望の出ております有珠山の災害に伴う中小企業金融対策に対する意見交換を行いました。

 具体的な例といたしましては、地元の公共団体から、既に北海道が講じている既往債務の借りかえの措置の拡充をしてほしい。そして、新規事業に対する融資枠の確保をぜひともやってほしい。地域の中小企業等への融資残高の約七割を伊達信用金庫が占めておる状況でありますし、金融検査もあるために新たな融資に応じられる状況ではないということで、新規枠の弾力的な運用をしていただきたいという要請を受けましたので、これをぜひとも前向きに、そして地元の方が夢と希望を持てるように頑張ってまいりたいと思っておるところでございます。

津川委員 有珠山の問題に関連してですが、ほかの地域の話に移らせていただきます。

 こういった災害が予想される地域は、活火山の周辺等々も含めてたくさんございます。そこで、各地方自治体でハザードマップというものがよく作成をされているようでありますが、実際には、このハザードマップが活用されていないというような部分が見受けられます。

 例えば、土砂崩れの危険性が高いところなんだけれどもそこに宅地造成をしてしまった、そこでハザードマップを公表されてしまうと土地が売れなくなってしまうから、出すなとは言わないけれども、目につかないところに置いていてほしいというような話が実際あって、その土地を買われた方は、ハザードマップがあること、そこが危険であることを知らないで購入してしまったというようなことがございます。そこまでやって、もし仮にそこで土砂崩れが起こって住宅に非常に大きな被害があったといっても、それが個人資産だからだということはやはりとても言えないことであろうかと思います。

 もちろん、ハザードマップの信用性といいましょうか、そこで危険と言われていなかったところだって当然何が起こるかわからないことがありますから、一〇〇%それのとおりというわけではないでしょうけれども、例えば少なくとも危険性が予見される部分に関しては、やはり公表を積極的に進めていく必要があるのではないかというふうに思います。

 ちょっとハザードマップについては、時間がなくなりましたので、御要望だけにさせていただきます。

 最後に、冒頭申し上げましたが、私、今静岡に住んでおりまして、先日地震がありました。私の住んでいる藤枝でも大変大きな揺れがございましたが、つい二日前ですか、五月二十二日、地元の静岡新聞の夕刊になるんですが、静岡県が策定を進めている東海地震の第三次被害想定、今回で三回目ということでありますが、第二次が平成五年に出されております。これの次に、阪神・淡路大震災のときに木造建築物に大きな損壊が出たということで見直し、それから地震の震源地が多少ずれたということも含めて見直しをして、その結果が、まだ公表されておりませんが、三十日に公表されるそうでありますが、新聞報道によりますと、人的被害は阪神・淡路大震災と同程度になる。もちろんケースはいろいろありますから、これは予見なし、つまり突発型で、いきなり起こった場合で、冬の早朝に地震が発生した場合は阪神・淡路大震災と同程度というようなものが出されました。

 非常に大きなニュースでありますが、実は、静岡県は地震対策に対してこういうものを出すぐらいかなり積極的に取り組んでいただいております。静岡県だけが危険なわけではなくて、これは東海地震がたまたま予測可能な範囲にあるからこそこういったことをやっているだけであって、それ以外の地域は地震がないと言っているわけではないわけでありますから、他の都道府県においてもこういった、最悪の場合を想定した地震災害に対する想定も出すべきではないかというふうに思うわけでありますが、大臣としての御見解をお伺いいたしたいと思います。

村井国務大臣 昭和五十四年でございましたか、いわゆる東海地震に関連いたしまして六県百六十七市町村を地震防災対策強化地域ということで指定しておりまして、静岡県はそういうことで大変御熱心にお取り組みになっておられますが、そのほか、たしか神奈川なども何かやっておられるようにも聞いております。私の地元の長野県も、やはり一部かんでおりますが、それなりの関心は持っておる。

 確かに、委員御指摘のような配慮が必要な部分だと存じますが、同時に、余りにもアラーミングな話になるといけないというような問題もかたがたございまして、どんなふうに扱ってまいりますか。ただ、いずれにしましても、情報をきちんと出していくのがこれからの基本的なスタイルだというふうに私も思っております。

津川委員 ありがとうございました。終わります。

赤羽委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。よろしくお願いします。

 五月十七日に、大臣から所信が出されました。その中で、従来からの話でありますが、災害から国民の生命財産を守ることは国政の最も重要な責務の一つですという強い決意のもとに、今後災害対策の総合調整を行うということで、具体的に幾つかの話をされております。中央防災会議の充実、そして地震防災対策の再点検、先ほど津川議員からもお話がありました東海地震対策の再検討という三事項を重点的に今後対応し、早急に具体化してまいりたいというふうな御指摘がございます。

 しかしながら、私たちが常日ごろ思っていることは、前伊吹大臣がそうであったように、伊吹大臣は五カ月という中での対応でございました。もう六年前になります阪神・淡路大震災のときに、日本の安全神話が崩れたということが言われて久しいわけでございますし、その前年だったアメリカのカリフォルニアの地震のときに、いち早くFEMAが対応した、この初動の対応とそれ以降の復旧対策に、当時の長官自身が陣頭指揮をとって極力被害の減少に努めたことをとってみても、私は、防災担当大臣ということで村井大臣が御就任されてそろそろ一カ月になるわけなんですが、危機管理のリーダーシップが大変重要だというふうに思っています。

 そんな中で、まだ内閣府の防災担当者は四十九人と、極めて少ない担当であります。前伊吹大臣は、私が三月にお話をしたときに、FEMA的な発想も結構だが、人的そしてコスト的なものを考えると、現行の、縦割りと言うと大変語弊があるかもしれませんが、それをうまくまとめ上げて、大臣のリーダーシップのもとに対応していくというお話でございました。

 私は、FEMAがアメリカで二十数年間、ややもすれば大変悪い評価であったものが、人的なリーダーシップをとって以降、大変すばらしい組織に生まれ変わった。そして、二千五百人という常勤の体制で十の地域ブロックをまとめ上げ、十二の主な項目では関係省庁の大変な協力の中で対応しているということを考えますと、果たして今の体制がそうなっているかというと、先ほど大臣も話されたように、まだまだこれからの面がたくさんあるというふうに思っています。

 私は、災害というものが私たちの国に大変起こりやすいことを前提で考えるのであれば、もっときちっとした組織体制に、小泉総理が挑戦している大きな改革の中で、むしろ重点的に対応すべき災害対策、防災対策ということだと思いますが、FEMA的な地域組織も持ったそういうふうなものに対応していくべきだと私は考えておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

村井国務大臣 いずれにいたしましても、大規模の災害等が起こりました場合には、警察ですとか消防、自衛隊等も含めまして、国、自治体一体となって対応していく、これはもう何よりも大事なことだと私も思っております。

 後藤委員と伊吹前防災担当大臣との当委員会における御議論は、私も読ませていただきました。確かに、FEMA、フェデラル・エマージェンシー・マネジメント・エージェンシーでございますか、このようなアプローチの仕方も非常に有効な一つのスタイルであり、ノースリッジでございましたか、あの震災のときに大変見事なパフォーマンスを得た、このように私も承知しておりますが、アメリカのような連邦制のところでは、私はやはりこういうようなアプローチも要るのかなという気も一方ではいたしております。

 それからもう一つ、数千という規模の人間が災害対策というところで張りつくような状態が、本当に日本の場合、一方で行政改革ということも求められている場で、可能なのだろうかというあたりも、もう一つの問題点として感じます。

 私は、ある意味では、伊吹前大臣のスタンスを継続するような形におとりになるかも存じませんが、日本のようなところでは、例えば土石流災害というような形で起こり得るものに対しましては国土交通省においてきちんと対応していただくとか、あるいはピンチのときに食料をきちんと提供するというようなところは農林水産省にお願いするとか、それぞれにきちんと対応していただく中で、内閣総理大臣の分身として防災担当大臣が総合調整をやるというのも一つのスタイルではあるまいか、こんなふうに思っております。

 とりわけて、この一月二十六日にこのような新しい体制ができたばかりでございますから、伊吹大臣がこれまでやってこられましたことに、さらに私なりに事務方を十分指導し、また、副大臣、大臣政務官は大変経験豊かで有能な方々でいらっしゃいますから、そういう意味でお助けをちょうだいしながら、いわゆる政治主導をいい意味でやりまして、せっかくできました制度を生かしてまいりたい。とりあえずはそのようにお答えをさせていただきたいと存じます。

後藤(斎)委員 村井大臣は、国家公安委員長も兼任をされています。警察庁というか各県警が総合的に広域緊急援助隊を、全国で四千人の隊員から成るものも創設をしております。平成七年の阪神・淡路大震災のときにもきちっとした対応をしたということになっておりますが、国民の災害に対する不安、防災に対する不安から、そういうものをもっときちっと、防災担当大臣が対応しているんだということをもっと積極的にPRしないと、先ほどお話しした四十九人の内閣府の方々がどんなに優秀で、大臣、副大臣、政務官がどんなにリーダーシップをとっても、なかなか対応できないところが出てくると私は思っています。

 そして、FEMAが毎年対応している緊急事態支援機能といろいろな行政機関との調整は、きちっとしたプログラムをつくって対応しています。私は、まだ我が国ではそのプログラムが、国土交通省であるとか、農水省であるとか、情報であれば総務省であるとか、そういうところとの本当にきちっとした連携ができているとは決して思いません。

 そして、私は、何よりも大切なものは、先ほど来お話がありますように、被災者の立場に立った活動をどうしていくかということだと思っています。私は、内閣府防災担当大臣がこれから、人、資金的なもの、そしてリーダーシップを持って、心の問題も含めて、被災者の立場に立ったものをどう実践していくかということが大変重要だと思っています。

 そんな中で、私たち民主党は、現在、私たちは不十分だと思っておりますが、被災者生活再建支援法の改正を昨年の一月に提出しております。これは災害世帯の範囲の拡大を含めて、現行の再建支援法は、全壊した世帯、そしてその同等の被害を受けたと認められる世帯について対応していくというものであります。私たちが今提出している法案では、半壊も含めて、先ほどもお話しした被災者に支給額の増額も含めて対応しています。

 その点につきまして、大臣は、私たちが今提出している再建支援法の改正についてどのような御認識を持って、私は、先ほど大臣がおっしゃられた被災者のためということであれば、積極的にできるだけ早期に議論をきちっとしていただきたいと思っているのですが、その点いかがでしょうか。

村井国務大臣 先ほど私、一月二十六日と日付を申しました。一月六日の誤りでございますから、おわびを申し上げます。

 私は、御党の御提案になっておられます被災者支援の法律案につきまして申し上げます前に、ちょっと今、後藤委員仰せの中で非常に大事なことだと思っておりますのは、確かに私どもは五十数人という比較的少ない人数で内閣府の中では防災関係に対応することになっておりますけれども、非常に大事なのはマニュアルではないかという気がしているのですね。

 日本は、どちらかというとマニュアルを余りきちんとつくっておかない悪いくせがある。そういう意味では、そのマニュアルが本当にきちんとしておると、私は、少ない人数であろうともかなりのことができるのではないかという問題意識を実は持っておりまして、このあたり、私の個人的な問題意識でございますから、これはこれなりにいろいろ中で議論をさせていただきまして、また御報告申し上げたいと思います。

 民主党案についてでございますが、支給対象を広げる、あるいは上限を拡大する、これは被災者にとっては結構な話だということになると思いますので、私の立場では、防災担当大臣としては、それは大変結構でございますなと申し上げたいところではございますけれども、拡大しますとなりますと、多大な国庫負担を当然伴うことになりますので、財源をどう確保するかとか、あるいは給付の妥当性を他のさまざまなニーズとのバランスを見ながらどういうふうに判断していくかというような問題がどうしても出てまいりますので、私は、やはり少し慎重な検討が要るのではないか、そういう感想を持っております。

後藤(斎)委員 大変何度も繰り返して、最近の地震災害よりも六年前の話を持ち出して恐縮なんですが、阪神・淡路大震災では、亡くなられた方が五千人を超し、そして負傷した方が三万五千人にも達するという、関東大震災以降の大きな災害でございました。それはとりもなおさず、先ほどお話ししましたように、大臣の私見という中で、マニュアル化ということは、大変初動の中ではこれから効果を発揮すると思いますので、ぜひその検討も含めてお願いをしたいのですが、当時の大震災の被害が九兆六千億というふうに概算でまとまっております。そして、その阪神・淡路大震災に国がそれ以降、経費として税金投入をした部分が五兆二百億であります。大体半分です。

 私は、初動のおくれが仮になければもっと被害額は減ったでありましょうし、税金投入も、五兆円という数字が、半額がいいのかどうかということは別としても、先ほどの生活支援法につきましても、仮にそういう基金をきちっと積んでおいて、初動部分でこれから対応していくという、まさに総合調整機能をきちっとして、それを各省庁と連携してやっていく意思があれば、その基金というのは、大臣がおっしゃられるように、国民から見て有効な税金の使い方だと思いますし、市町村や、例えば個人の方々は税金になりますが、いろいろなところからファンドを積んでおく安心感というのは、これから起こるであろう東海地震についても有効であると認識しております。

 なぜ私が初動部分にこだわるかというのは、現行では、確かに四十九人よりもたくさんの方がマニュアル化によって同じ意識で対応していくことは必要だと思うのですが、六年前の被害額とそれに投入をした税金の五兆円を超す部分と、基金を積んで再建支援をきちっと国がバックアップしていくのだという意思を示していかなければ、また国は、自治体はという、他力本願ではもちろんいけないんですが、みずからの身はみずから守るということでありますが、災害の部分で、それを守り切れない部分で国や自治体がサポートをするわけですから、それは明確に私は、これから御議論をする際に、ぜひ中心のテーマとして対応していただければというふうに思います。

 先ほどお話をしましたように、大臣が所信で述べられた東海地震対策の再検討というものがございます。東海地震が仮に起こった場合、想定される部分は、先ほど同僚議員からも話がありましたように、大変甚大な被害になります。想定は、静岡新聞では、静岡県で阪神・淡路大地震と同じ被害ということだったんです。

 私は、今一方でいろいろな議論をされている東海道新幹線、一日に三十六万人の方が利用をし、年間では一億三千万人を超えている。そして、そのうちの二百二十キロが地震防災対策強化地域というふうな指定を受けております。これが仮に地震等でとまることがあれば、経済や産業に大変に大きな影響を与える。私は、従来であれば、公共事業というのはややもすれば、災害に対応しているんだ、防災に対応しているんだといっても、そうじゃない部分の対応が私は非常に強かったというふうに認識をしています。

 私は、大臣の所信にありましたように、東海地震対策の再検討という意味も含めて、現在、中央リニア、東海道新幹線のバイパス機能として対応していくと言われているところが、この防災、災害対策という観点から、もっときちっとした対応をしていただきたいと思います。経済効果を含めたスキームは平成十四年度で、そして技術評価についてまだ五年近くを経過しないと、本当につくるのかどうかわからない。その前に仮に東海大地震が起きたらどうするかということを、コストはもちろんありますし、技術評価もあると思うんですが、その点を私は、大臣がお話をなされた、所信で述べられた東海地震対策の再検討という中でも含めて考えていただきたいと思うんですが、その点につきまして御見解をお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 今お話がありましたような中央新幹線の問題でございますけれども、御案内のとおり、中央新幹線というのは、全国新幹線鉄道整備法という法律に基づきました基本計画路線でございます。起点が東京都、終点が大阪府、主な経過地が甲府市付近、名古屋市付近及び奈良市付近という形でございます。この中央新幹線でございますが、現在、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、地質でありますとか地形、こういうものについての調査をやっているところでございます。

 この中央新幹線を整備することについてどう考えるかということでございますが、先ほどお話がございましたように、東海道新幹線の輸送状況、これが年間約一億三千万人を運んでございますが、現在の東海道新幹線でとりあえず今運べているという状況がございます。それからもう一つは、今後の経済あるいは社会の動向をどう考えていくかということもございます。さらには、既に整備計画がつくられている整備新幹線、ほかの整備新幹線をどうやってつくっていくかというふうな問題等々ございまして、中央新幹線についてどうするかということについては、私どもとしては、長期的にさまざまな問題について検討しなければいけないというふうに考えております。

    〔委員長退席、西委員長代理着席〕

村井国務大臣 私も実は後藤委員のお隣の県でございまして、リニアとも言われますが、中央新幹線の問題につきましてはまさに関心を持っている一人でございます。

 委員ただいま御指摘のような側面もありましょうが、私は、それをさらに広げて、災害に強い町づくり、国土づくりというものもやはり考えていかなければならないことではないか、このように思う次第でございまして、例えば阪神・淡路大震災の場合でも、耐震構造をある程度きちんとクリアした、五十五年の基準でございましたか、それをクリアした住宅の損傷度は非常に低かったというような話も聞いております。

 そんなようなことも含めまして、今委員はたまたま東海道新幹線に対する中央新幹線というお話をなさいました。それにちょっと乗せていただきまして、そういう配慮ももう一つ大きな防災の手段ではないか、そんなふうに思っているところでございます。

後藤(斎)委員 以上で質問を終わりますが、ぜひ今大臣お話しになられたような観点を積極的に進めていただき、できるだけ長く政治的なリーダーシップの中で防災担当大臣として形をつくっていただければというふうに思います。よろしくお願いを申し上げます。

西委員長代理 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉でございます。

 去る五月十九日午前十一時三十三分、名古屋空港管制内で、三重県の桑名市播磨上空でヘリコプターと軽飛行機が衝突いたしました。乗員が六名死亡しました。これは人災ではございますけれども、緊急事態への対応ということで、当委員会で質問させていただきます。

 今回の事故は、非常に視界がいい、晴天のもとで発生して、しかも地上の民家を延焼させるという被害の甚大さから、過去例を見ないものでありました。そこで、本日は、この衝突事故を取り扱わせていただきまして、国土交通省に今後の防止策等を伺いたいと思います。

 ちょうど類似しました事故が、九七年八月二十一日午後四時四十五分ごろ、茨城県竜ケ崎市、竜ケ崎ニュータウン上空で陸上自衛隊のヘリと小型機パイパーが衝突して、ヘリの方が民家のわきの山林に、小型機が住宅街を挟むようにして、約五百メートル離れた公園内に墜落したという事故がございました。ここでもやはりヘリの自衛隊員二名と小型機の乗員一名、計三名全員が死亡した事故でございました。

 この二つの事故の共通点といいますのは、非常に視界が確保できるときであった、そして両方とも、これは免許取得のための飛行であったということでございます。この事故自体、こうした小型機やヘリは、航空管制に従って動くのではなくて、有視界飛行方式、VFRで飛行して、空中衝突の防止警報装置、TCAS、これがなく飛んでいたわけでございます。そうしますと、これは旧運輸省、国土交通省さんが、操縦士の見張り不十分が原因であり、外部の監視を徹底しろという通達を何度も出されてきたことと思います。

 今回の五月十九日の事故が発生しました訓練空域は、二〇〇五年の中部国際空港開港、それに伴います名古屋空港のGA空港化に合わせて、空域削減が検討されておりました。扇大臣も、二十二日、閣議の後の記者会見で、全国に四十七あります訓練空域を変更すると述べられておられました。

 そこで、この訓練空域の見直しは、現在、具体的にどのような方針で進められているのか、あるいはその見直しがいつまでに実現するのか。これは地域の住民の皆さんの不安をかんがみまして御質問いたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。例えば、この空域を海上に持ってくるとか、こういうことはできないものでございましょうか。

上子政府参考人 お答えをいたします。

 今回の事故によりまして、六人の搭乗者の死亡、そして地上の人の負傷、そして人家の損壊、そういったものがございます。まずもって、今回の事故で亡くなられました方々への御冥福を心からお祈り申しますとともに、墜落した航空機により負傷された方、それから人家の損壊に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。

 今回の事故原因につきましては、現在、航空事故調査委員会の方で検討中であります。訓練飛行につきましては、一般の訓練飛行の操縦でございまして、通常の上昇とかあるいは旋回、そういったような飛行でございまして、特に他の飛行より危険であるという認識は持っておりませんが、一般の空域と分離するという意味で、航空路の空域でありますとか、着陸侵入の空域でありますとか、分離するということでございまして、そのような措置をとっているところでございます。

 今回の事故につきましては、事故の重大性にかんがみまして、現在、中日本航空につきましては、私どもの方から要請をいたしまして、空域での訓練飛行の自粛を行って、訓練飛行を行っていないという状態にございます。

 私どもといたしましては、この再発を防止するために、訓練・試験空域の運用の実態を早急に把握いたしまして、訓練空域の中で訓練飛行を行う航空機が一定の時期に一定の場所に集中する、こういうようなことをできるだけ避け得る空域の管理でありますとか、運用方法でありますとか、そういったものにつきまして現在、鋭意検討を行っております。

 いつまでというお話がございましたけれども、現在一生懸命やっておりますので、早い機会に成案を得て、速やかに実効ある対策をとれればということで取り組んでいるところでございます。

前田委員 ありがとうございます。ぜひ実現していただきたいと思います。

 あと、当事故で言えるのは、桑名市の水谷市長が言っておりますように、住宅の密集地域の上空が訓練空域に使われているという、狭い日本の空の特殊事情が遠因になっていると思います。

 この訓練空域の一の一という今回のエリアは、大半がその下が宅地であり、一たん墜落事故が起きれば、地上で二次災害が発生して大惨事につながる危険性が高い地域であります。また、ヘリが墜落した現場から北二百メートルのところには桑名市立大和小学校、ちょうどこの十九日十一時半といいますと土曜日のお昼でございまして、小学生が校庭で掃除をしておりました。そうしましたら、その校庭に墜落時に破片が飛んでくる。それからまた、近くには大和幼稚園も同じようにあるという地域でございました。

 訓練空域の設定を伺いたいと思うんですけれども、どういう基準でこの訓練空域が設定されているのか、そして自治体の皆さんはこれを認知されているのかどうか、自治体との調整を今後どのように行われていくつもりなのか、政府に伺いたいと思います。

上子政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、訓練空域につきましては、昭和四十六年七月三十日に発生いたしました全日空機と自衛隊機の空中衝突事故、私どもは雫石事故と呼んでおりますが、それをきっかけにいたしまして、航空の安全を確保する、こういう観点から、訓練機と定期航空機が飛行する空域を分離するということで訓練空域を設けたものでございます。

 その趣旨につきましては、訓練・試験空域というものは他の一般の飛行とは異なる形態の飛行ということでございますので、航空機の操縦練習のために設定しているものでございます。したがいまして、他の航空機との安全確保を図るという意味から、侵入、出発の空域、あるいは航空路の空域、こういったことから分離するということで、その範囲をあらかじめ決め、そして関係者に対して公示をして知らしめているところでございます。

 それから、先ほど申し上げましたけれども、一般の訓練飛行で行う操縦操作についてでございますが、通常の離発着とか上昇降下、こういったような訓練がメーンでございまして、他の飛行より特に危険であるという認識は持っておりません。したがいまして、そのような飛行が行われる訓練空域を設定する際に、現在まで関係自治体との調整は行っていないということでございます。

 今後は、先ほど申し上げましたように、訓練空域内で行われます訓練につきまして、航空機が一定時期に一定の場所にできるだけ集中を避け得る、そういったような方策について現在、鋭意検討を行っておりますので、その成案をできるだけ早く得て、実効ある対策に努めていきたいと思っております。

前田委員 それでは、事故が十九日に発生しまして、すぐに国土交通省の航空事故調査委員会が現地に入られたわけでございます。この調査委員会の進捗状況というのはいかがなものでございましょうか。

 ちょうど、九七年八月二十一日の陸上自衛隊のヘリと小型機の衝突事故の折は、調査結果として、可能性があるのがいわゆるコリジョンコース、同一運動体が同じ運動線で運動している場合、相手が静止しているように見えるということがあったのではないか、あるいは訓練に集中していて相手を見逃した可能性があるのではないかということが指摘されておりました。こういう点につきましても、今の調査委員会の判断というのはどのようなものでございましょうか。

中島政府参考人 調査の進捗状況につきまして御説明を申し上げます。

 当委員会におきましては、五月十九日、航空局の方から事故通報を受けまして、直ちに航空事故調査官六名を指名し、初期情報を収集するとともに、調査方針を打ち合わせた後、現地に派遣して調査を開始いたしました。

 これまで、現地におきましては、事故機の残骸の回収及び破損状況の調査、地上痕跡の調査、事故を目撃された方からの口述聴取等を実施いたしております。今後、残骸の詳細調査でありますとか気象情報に関する調査、関係機関からの情報収集など、いろいろな角度から調査を進めていくわけでございます。

 今申し上げましたように、今後とも、あらゆる角度から調査を進めまして、本件事故の重大性にかんがみて、全力でこの原因究明に取り組んでまいりたいと考えております。

前田委員 コリジョンコースに入っていたとか、そういう判断はまだできないということでございますね。それはまだ数日しかたっていませんので、これからしっかりとした調査をお願いいたします。

 一般に航空業界で、こうした事故の防止戦略にはコスメティックコンプライアンス、つまりやったふりのチェックが重大である、こう言われております。九七年八月二十一日の衝突事故を教訓として生かせなかったのではないかという懸念が私、どうもいたします。

 本当に、今回の事故の重大性を見ますと、今後の政府の防止策を伺いたく思います。特に、セスナにはフライトプランに記載のない二名の搭乗があり、また、先般来指摘をしておりますように、国土交通省が管轄する当訓練空域が住宅密集地の上であったということでありますので、今後の大惨事につながらないような防止策を伺いたいと思います。

 航空法の規定でも、目視で周辺の安全確認を行う有視界飛行方式、先ほど申しましたけれども、VFRをとる際に、航空機の高度などにより視程、目視できる最大の距離の確保を義務づけております。こうした法令もございますので、今後の事故の防止策について伺いたいと思います。

上子政府参考人 今後の事故の防止策についてのお尋ねにお答え申し上げたいと思います。

 今回起こりました事故の原因につきまして、先ほどありましたように、今事故調査委員会で精力的に調査をしていただいているところでございますが、まず、私ども国土交通省の方では、この事故の重大性にかんがみまして、十九日、事故の発生後速やかに、大臣の指示によりまして対策本部を設置いたしております。そして、あわせて中日本航空株式会社に対しまして厳重注意ということをやっておりますし、あわせてその際に、飛行訓練の全面自粛を要請し、同社も現在受け入れているところでございます。

 また、先ほどフライトプランの二名のお話がございましたけれども、そういうことも含めまして、同社に対しまして航空法に基づきます立入検査を二十日及び二十一日の両日にわたって行って、現在、その結果を取りまとめているところでございます。この立入検査の内容につきましては、訓練飛行のときの安全対策、運航管理面、整備面、それから先ほど申しましたように二名のフライトプランになかった人の同乗の面、そういったものも含めまして、総合的に現在、立入検査を行った結果を取りまとめているところでございます。

 さらに、発生当日には、同種事故がほかのところでも起こらないようにということでございまして、運航会社でありますとか操縦士、そういった関係のところに対しまして、運航の安全確保につきまして事例を示して万全を期するよう、文書で要請を行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、今後、先ほど申しましたような立入検査の結果、あるいはこれからの事故調査の経過、あるいは原因究明、そういった場面場面に応じまして、調査の過程で明らかになりました事実を踏まえまして、適時適切に安全対策を講じていきたいと思っております。先ほどの訓練空域の運用のあり方につきましても、その中で適時適切に対策を講じていきたい、こういうふうに思っております。

前田委員 時間が来ましたのでこれでやめますけれども、とにかく、地域の市町村の皆さんあるいは住民の皆さんの生活の安全を守るためにも、今後よろしくお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

西委員長代理 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 私も、去る四月十八日、十九日の二日間、有珠山の火山活動及び対策状況等調査のため、災害対策特別委員会の委員派遣の一員として参加いたしました。

 御案内のとおり、有珠山は、今回を含めて二十世紀に四回の噴火を繰り返し、有珠山山ろくに広がる伊達市、虻田町及び壮瞥町は、その都度大きな被害を受け、多数の住民が避難生活を強いられ、時にはとうとい人命も失われたのであります。

 この地域は、たび重なる噴火で大きな被害を受けながらも、たくましく復興し、農林水産業を主とする地域産業を展開するとともに、全国有数の温泉観光地として力強く発展してきたところであります。これもひとえに、住民の皆さんそして関係の方々の多大な御尽力のたまものであり、深く敬意を表する次第であります。

 しかしながら、既に火口周囲を除き避難指示が全面解除されているにもかかわらず、安全宣言が広く行き届いておりません。行政からも安全性をもっと広く訴えるべきであります。特に、修学旅行等の観光関係者へPRを強化すべきであります。

 翌日、洞爺湖温泉の観光協会の方々との懇談会に出席し、復興への思いに感銘を深めるとともに、観光産業の復興の難しさを痛感いたしました。

 温泉旅館の経営者の皆さんは、噴火後観光客が六割も減少し、それがもとに戻らないと視察時は嘆いておられましたけれども、現在は大分もとの状態に回復しつつあると聞いております。受け身の姿勢で客の回復を待つのではなく、安全上支障のない範囲で火口付近まで見学通路を設けるとか、火山科学館を改修して修学旅行生の理科の学習に役立てるなど、先ほど河合先生も触れられましたが、エコミュージアム構想を推進され、火山活動をうまく逆手にとって、そして積極的に観光客を獲得されることを大いに期待したいと思っております。

 そこで、有珠山の噴火災害の復興については道の計画に基づいて実施されるわけでありますが、地域振興と観光産業についてお尋ねいたしたいと思います。

 被災地域にとって真に必要な公共施設、公共事業は何であるか。すなわち、市町村は地方の特色を生かして何をやりたいのか。地方分権の流れに沿って、地方でできることは地方に任せるべきであります。伊達市を初め被災地から、多省庁にかかわる多くの災害対策、復興の要望が出されておりますけれども、災害復旧対策は急を要し、かつ効率的に総合的に対処されなければなりません。個別案件は後ほどお伺いいたしますけれども、各省庁は、自分たちの細かい法令、規則で縛ることなく、仕組みを変えて、省庁の枠を超えた国の補助のあり方を検討すべきではないでしょうか。

 構造改革を唱える新内閣のもと、防災担当大臣の御見解はいかがでしょうか。

村井国務大臣 災害対策につきましては、第一義的に市町村が実施するものでございまして、それに対しまして、いろいろな形で国が財政面での負担をし、支援をするというような形になっているところでございます。

 それで、省庁の仕切りといいましょうか、それぞれの担当省庁がその分野でやるということではありますが、それなりにある程度の協調というものは、都道府県、この場合は特に道でございますが、道が当然その決定プロセスにかむこともございますので、私は、特に有珠山の場合などを例にとりますと、比較的適切に進められているのではないかという印象を持っております。

 とりわけて、非常に大規模な砂防事業を緊急にやるような対応をしておることは、委員もごらんいただきまして御存じのとおりでございますけれども、あのようなレベルのものになりますと、とても地方自治体だけではできることではございません。ある意味では、国の直轄みたいな形でやらざるを得ないような面も出てくるんだろうと思っております。

 いずれにいたしましても、私は、いわゆる災害対策の補助というのは、一本でぽんと渡して地方で自由に使うというようなやり方は、なかなかなじみにくいところも基本的にはあるんじゃないかという感じがいたします。要するに、地方自治体が決定して何かやったらそれを国が全部追認していくというようなやり方になりますと、これはいろいろ問題も出てくるんじゃないか、地域によって非常に区々になってくる可能性があるんじゃないか。

 ただ、そうはいいながら、例えば阪神・淡路大震災のときもそうでございましたし、それからことしの芸予地震がございましたときに、特に呉の急傾斜のところの修復の事業でございますけれども、これなんかはかなり思い切った、今までのやり方ですと無理だったものを踏み込んでやっているようなケースというのはありまして、私どもも非常に柔軟に対応をさせているつもりでございますので、御理解をいただければと存じます。

黄川田委員 さまざまなお話をいただきましたけれども、これまでの原状復旧ということではなく、市町村もそれに伴って新しい町づくりをしたい、そういう気持ちもありますので、災害対策一括補助金というものはなかなか難しいかもしれませんけれども、地方分権の流れがありますので、よろしく御検討をお願いいたしたいと思います。

 次に、伊達市のほか二町から災害対策に関する要望が幾つか提出されております。

 その中には、ヘリポートを備えた防災拠点センターの整備や小学校の移転改築などの項目があります。これらは、おのおの個別に実施せず、公共施設として有機的に連携をとって広域的に整備されることが望まれるわけでありますけれども、例えば移転先の小学校にも防災拠点センターを併設するなど、いろいろ工夫してみるべきであると思うのであります。

 そこで、市町のみならず、国としても、単なる原状復旧を行うのではなく、災害は将来また来ることはわかっているとの認識のもと、学校設置基準に加えて、防災対策センター機能を加味した新しい前向きな復興事業を検討すべきではないかと思うわけでありますけれども、地元でそう考える方もおられますので、いかがでしょうか。

小田島政府参考人 文部科学省でございます。お答えをいたします。

 現在、虻田町におきましては、被災した洞爺湖温泉小学校につきましては、児童の通学なども考慮しまして、現在仮設校舎があります町内の月浦地区で復旧することとしておるそうでございます。また、同町の防災センターにつきましては、災害時の迅速な対応などを考慮し、町の中心部の町役場の近くに整備する予定をしていると聞いております。それぞれ適切な場所だと、計画になっておると聞いております。

 一方、洞爺湖温泉小学校の校舎の実施設計が今進められているところでありますが、その中には防災のための備蓄倉庫なども計画されておりまして、学区内の防災を考慮した施設計画となっておりますので、文部科学省としましても、災害に強い学校づくりというような観点からも積極的に支援してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

黄川田委員 さまざま御検討をお願いいたしたいと思います。

 そしてまた、噴火災害による人口の激減に対する交付税の特例措置に関する要望もなされております。

 御案内のとおり、地方交付税については、国勢調査人口が基礎数値として用いられております。したがって、三宅島の場合と全く同じではありませんけれども、地域外への避難等による人口激減に対する激変緩和による補正などの強い要望があるわけであります。

 そこで、虻田町の実態はどうであるのか、どう対処されるのか、総務省にお伺いいたしたいと思います。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生の御指摘にもございましたように、地方交付税の算定は国調人口だとか面積等を用いて行うわけでありますけれども、私ども、交付税の算定上、国調人口が急減した団体につきましては、人口急減補正を適用いたしまして交付税額への影響を緩和する措置を講じております。

 虻田町の場合でいいますと、千三百人強の方が町外に避難をしておられて、そういう意味で国調人口は減っておるという実態にあるようでございますけれども、この人口急減補正、虻田町等についても当然に適用されることになるのでございまして、このような措置をとりたいと考えております。

 また、災害対策事業に係る経費等につきまして、これはまた別途地方債、交付税等の財政措置を講ずることにいたしておりまして、そういうことで関係団体の財政運営には支障が生ずることがないよう、適切に対処してまいることといたしております。

黄川田委員 決して豊かな財政力ではないようでありますので、特段の御配慮を求めておきたいと思います。

 次に、観光白書によりますと、少子高齢化、価値観の多様化等により、独身女性や子育てが終わった中高年女性層が消費をリードしていると言われております。電話からインターネットで旅行を予約するなど、IT化の進展と相まって、観光産業の消費構造がここ数年大きく変わってきております。

 中学、高校の修学旅行を例にとりますと、東京シフト、海外シフトがふえております。風光明媚で歴史遺産豊かな温泉観光型から、テーマパークやゴルフ、スキーなどのスポーツ志向型に変化してきているのであります。したがって、地方の観光協会等も多彩なメニューを携えて都心の旅行業者に売り込みを図り、また逆に、旅行業者を地元に招いてPRするなど、それなりの努力は行っておるのであります。

 そこで、以上の状況を踏まえまして、地域振興上から、国の観光行政は前向きにどのような施策を展開しようとしているのか、国土交通省にお尋ねいたしたいと思います。

木村(隆)大臣政務官 国土交通省の観光行政についての御質問でございますけれども、先生、被災地を御視察なされまして、大変北海道の観光についての御心配をお持ちだと伺っております。

 まず初めに、北海道の観光行政について御報告を申し上げたいと思います。

 昨年三月の有珠山の噴火から、道南を中心に一時的に観光客が大幅に減った、その後、月日がたつにつれて客足も戻りつつあるという認識は先生と一緒でございます。この間、国土交通省といたしましても、北海道及び地元と力を合わせ、「ガンバル、フンバル、北海道」キャンペーンを実施し、旅行会社、交通機関等に対し、北海道関連商品の重点的企画販売を要請する一方で、洞爺などを主会場として開催をされた感動市場二〇〇〇を支援するなど、北海道観光の振興のための対策を推進してきているところでございます。

 そして、本年に入りまして、旅行会社に対して、夏シーズンの送客の増加を強く要請をしたところでございます。最近のヒアリングによりますと、北海道への送客目標を例年より平均で約三割増加をする、そんなことも伺っているわけでございます。

 また、修学旅行につきましても、先生の御指摘のとおりでございまして、北海道は全国の一五%のシェアを占めているわけでございますけれども、その落ち込みというのは大変な大きな問題だと同じく認識をしているところでございます。国土交通省といたしましても、昨年の噴火直後に都道府県教育委員会等に働きかけを行いますとともに、文部科学省に対しましても逐次現地の状況を報告しているところでございます。

 特に、当委員会で、先生も御視察をいただきましたけれども、御要望を受けまして、有珠山、洞爺湖地区を修学旅行先としてPRしてもらうよう、文部科学省に対し再度要請をしたところでございます。これを受けまして、今月十八日、全国の教育委員会関係者を招集した会議の場でしっかりとした説明が行われたということを伺っております。

 さて、国土交通省でございますけれども、昨年十二月、二十一世紀初頭における観光振興方策の答申を踏まえまして、ハード、ソフト一体となった国内観光振興施策を今推進しているところでございます。

 具体的には、国内需要を盛り上げるため祝日の増加を図る一方、この三月より、国内旅行の振興キャンペーン、リアル・ジャパン・キャンペーンをスタートさせるとともに、観光地のトイレ、休憩施設等のバリアフリー化、そして観光地の情報をリアルタイムに提供するシステムの構築等を実施しているところでございます。

 今後とも、先生おっしゃるとおり、地域振興を図る観点から、観光行政を積極的に展開してまいりたいと思っております。どうぞ御指導のほど、よろしくお願いを申し上げます。

黄川田委員 観光は本当にすそ野の広い産業でありますので、国の後押しをよろしくお願いいたします。

 次に、漁船の海難事故と船員の海中転落についてお伺いいたします。

 私の住む三陸沿岸は、豊かな漁業資源に恵まれ、沿岸漁業が古くから発達しておるところであります。また一方、遠洋漁業の従事者も多く、広く世界の海で活躍しております。

 そこで、海難事故もたびたび耳にしているわけでありますが、漁船の海難事故に関する最近の傾向、事故件数の推移及び海中転落と海難事故の死亡・行方不明者数の推移はどのようになっているでしょうか。またあわせて、最近目立つプレジャーボート類の事故の特徴と件数の推移についても、海上保安庁にお尋ねいたしたいと思います。

浅井政府参考人 お答えをいたします。

 漁船の海難の発生状況でございますが、最近の十年間を見てみますと、平成三年には一千二百六十五隻でございました。この隻数が平成九年には八百四隻まで減少してきております。しかしながら、残念でございますが、最近やや増加傾向にございまして、平成十二年、昨年では九百九十三隻、こういうことになっております。

 また、この海難の態様でございますけれども、平成十二年におきましては、最も発生件数が多いのは、衝突海難四百四十四隻、約四五%でございます。それから続いて、乗り上げが百二十五隻、約一三%、こういうふうになっております。

 それから、この海難あるいは漁船からの海中転落に伴う死亡・行方不明者数でございますけれども、最近十年、平成三年では二百六十五名でございましたが、平成十年には百八十二名まで減少してきております。しかしながら、平成十二年におきましては、先ほどの海難の件数も増加したということなどから増加をいたしておりまして、十二年においては二百三十七名の方が死亡・行方不明ということになっております。

 それから、もう一点お尋ねのありましたプレジャーボートの海難でございます。この海難につきましても、最近の十年間を見てみますと、平成三年には七百三十六隻でございました。その後、大変プレジャーボートを御利用になる方がふえておるというようなことから、残念ながらその事故隻数が増加してきておりまして、平成十二年には千百四十二隻ということで、ただいま御説明いたしました漁船の海難九百九十三隻を上回る、船種別では最も多くなっているという状況でございます。

 その事故の態様でございますが、やはり衝突が二百四十六隻と最も多くなっておりますが、次いで機関故障といったようなことでございます。プレジャーボートの海難につきましては、やはりアマチュアの方でございますので、十分な知識がない、あるいはふなれであるといったようなことで、海難が発生してきているというような状況でございます。

黄川田委員 漁業従事者が何らかの原因で海中転落し、捜索のかいもなく不幸にして行方不明になるケースがありますけれども、このような場合、多くの人は一家の生計を支えており、残された遺族は急に路頭に迷うことになります。死亡認定まで長期間を要し、その間、保険金も支払われず、遺族は不安な生活を強いられるわけであります。

 そこで、死亡認定は、一般にどのような手続で行われるのでしょうか。また、認定期間は、個々別々の案件とは思いますけれども、平均どの程度を要しておるのでしょうか。引き続き、海上保安庁にお尋ねをいたします。

浅井政府参考人 お答えいたします。

 海中転落あるいは海難などで行方不明になった方々の死亡認定でございますけれども、戸籍法に定めがございまして、戸籍法の第八十九条によりまして、水難、火災その他の事変によって死亡した者がある場合には、その取り調べを行った官庁が死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をすると定められております。海上保安庁では、この戸籍法の規定に基づきまして、海上保安庁が取り扱いました海難等につきまして死亡認定の事務を実施しているところでございます。

 具体的には、行方不明者の親族から、海難を取り扱っております、私どもの事務所でございます海上保安部署の方に死亡認定願というのを提出していただきます。この提出を受けまして、事件を担当しております海上保安部署が、物的証拠の収集あるいは関係者からの事情聴取などの調査をいたします。それで、資料を取りまとめた上、管区の海上保安本部というところでこの認定の事務をいたしますので、管区の海上保安本部に提出し、最終的には、管区海上保安本部長が審査の上、死亡の認定を行うという手続になっております。その結果につきましては、先ほどの戸籍法の規定に基づきまして、死亡地または死亡者の本籍地の市町村長に報告をするとともに、死亡認定願の提出されました御親族にも通知をするということになっております。

 ただいまのような手続でこの死亡認定の事務を行っておりますが、死亡認定につきましては、行方不明者の身分及び財産関係を確定する大変重要なものであることから、慎重な対応が求められております。また、多くの場合、海上の事故でございますので、物証とかあるいは目撃者もほとんどいないというようなことから、調査にも時間を要するということでございます。

 最近の認定の状況でございますが、早いものでは半年以内に認定できるというケースもございますが、死亡認定願を出していただきまして認定までに要する期間ですが、おおむね平均いたしますと約一年程度ということになっております。

 私ども海上保安庁としては、行方不明者の御親族の御心情なども十分配慮して、今後とも可能な限り迅速かつ的確にこの事務を進めていきたい、このように考えております。

黄川田委員 遺族の不安な毎日の生活を配慮されまして、最終的に認定結果が得られるまで、例えば三カ月ごとでもいいですので、途中経過といいますか、調査経過を遺族に知らせていただけるような仕組みもあればと思います。これは要望であります。

 次に、洪水対策についてお伺いいたします。

 地震災害と異なり、河川の洪水災害は、昨年九月の東海豪雨の災害に見られるように、完全に天災とは言いがたく、人為的ミスの要因もかなり含まれているのではないかと思っております。すなわち、防災工事の計画のおくれや関連施設の操作ミス等、単に水量増大以外の要因も大きいのではないでしょうか。

 これは地域課題になりますけれども、私の地元の北上川流域の一関市は、昭和二十二年のカザリン台風、同二十三年のアイオン台風で壊滅的被害を受けました。死者・行方不明者五百七十三人、罹災者約四万人、流失家屋約六百戸にも及びました。そのため、一関遊水地は、このような水害を契機に計画された北上川の治水の根幹をなす一大プロジェクトであります。北上川上流の五カ所のダムとこの一関遊水地とで総水量の約三五%を一時保持して、流域の水害を防止するだけでなく、下流の宮城県の治水にも大いに貢献するものであります。また一方、一関に隣接する平泉町では、文化遺産がユネスコの世界遺産暫定リストに追加指定され、また国道のバイパス工事に際し柳之御所遺跡が発見されるなど、平安、藤原文化の薫り高いところでもあります。したがって、地域住民と密接な対話を図りつつ、文化財を保護するとともに、北上川の治水事業を円滑かつ迅速に遂行することは、最近の公共事業の存在意義が問われる中、大変意義深いものと思っております。

 そこで、まとめてお伺いいたします。

 遊水地の最終的な完成はいつごろと期待できるのでしょうか。長期にわたると聞いておりますが、完成までの洪水対策には十分配慮されておるのでしょうか。そしてまた関連して、川崎村及び一部東山町で実施されている北上川に注ぐ砂鉄川の治水事業は五カ年計画と聞いておりますが、これの前倒しの可能性はいかがでしょうか。さらに、北上川の水辺プラザ事業は八カ所で実施中と耳にしておりますけれども、それらは概略どのようなものでしょうか。あわせてお伺いいたします。

竹村政府参考人 北上川の洪水対策について御質問がございました。

 今委員御指摘のように、二十二年、二十三年の大水害で壊滅的な被害を受けまして、上流ダム群と遊水地で水害を防御しようということでございまして、四十七年よりこの遊水地事業が始まっております。移転戸数が四百五十戸に上りますので、この移転戸数の方々の御了解を得るのに大変時間がかかりましたが、五十八年からいよいよ工事にかかりまして、現在、工事を鋭意実施中でございます。

 洪水が来たとき、その洪水を一時的に貯留させるための堤防工事をやっておりますが、平成五年までにアイオン台風に対応する安全な堤防ができました。そして、平成六年からは、次のキャサリン台風クラスの洪水にも対応しようということで、堤防の工事を進めているわけでございます。

 現在は、柳之御所の保存等のことで若干計画を変更したりしてございますが、私ども、この遊水地事業は抜本的な事業だと考えてございまして、治水事業を段階的に発揮させながら、今世紀初頭の事業完成に向けて、今世紀初頭と申しましても、予算のつき方がはっきりしておりません。ことしの予算がもしずっとつくとすると、私どもはもっと欲しいわけでございますけれども、単純に割りかえしてみますと二〇二〇年ごろになります。ただし、二〇二〇年にならないと効果を発揮しないかというと、遊水地はもう既に効果を発揮しておりまして、六十一年、六十三年、平成二年、七年、十年と、大洪水をこの遊水地の中に引き寄せて下流の洪水防御をしてございます。

 次のお尋ねの北上川支川の砂鉄川でございますが、これは平成十一年度から直轄床上浸水対策特別緊急事業として、七・五キロの堤防の建設と四万三千立米の掘削、三橋のかけかえという大工事を十五年まで五カ年で実施することにしております。これは平成十年八月の出水がございましたので、大変これもダメージを受けましたので、このことがきっかけになっております。本来の改修ですと二十年から三十年かかってしまいますが、ここは平成十年八月の大被害から見て五カ年で集中的に投資しようということで、ほかの事業を我慢しても、集中的に大災害があったところを現在実施しているという段階でございます。

 最後の御質問の水辺プラザでございますが、私ども、安全をつくると同時に潤いのある河川空間をつくろうということでございまして、水辺プラザという地域の方々がこの地域で交流できる拠点をつくりながら堤防工事をやってございます。

 具体的に申しますと、従来ですと非常にきつい傾斜の堤防でございましたが、そういう空間におきましては緩やかな堤防をつくりまして、子供またはお年寄りの方々が安心して遊べる場所というような形でつくりながら、水辺プラザということを公園事業とタイアップして現在やってございます。

 現在、四地区で工事を終わり、約八億円の事業費をもって完成させております。あと二地区については、現在、登録を行って計画を策定中でございます。残りの一関柳之御所の地区についても、地元の方々の御意見を反映しながら計画を進めてまいりたいと考えてございます。

黄川田委員 水辺プラザは、治水関連の通常の公共事業を超えて、地域住民と自然との親しむ機会をふやしていく、そしてまた地域の歴史、文化等の特色を生かした交流の核となるものでありますので、できるだけ早期の完成を期待いたしまして、時間でありますので終わります。

西委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 私は、まず最初に、芸予地震の呉市の急傾斜地対策についてお尋ねしたいと思います。

 芸予地震で急傾斜地の民有地のがけ崩れが相次いだ呉市の復旧工事に、国の緊急急傾斜地崩壊対策事業の特例措置の適用が決まりました。呉市には、がけ崩れの対象になるような危険区域が大変多数ある。がけ地危険区域として指定される場所が八百五十九カ所、約一万四千世帯の方が暮らしているそうであります。今回の地震でがけ崩れのあった箇所は千七百八十八カ所と聞いております。

 現在、呉市内では、二十ミリ以上の雨が予想される場合には危険ながけ地の残る二十五地区、百三十四世帯二百八十四人の方のところが避難勧告の対象地域となっております。復旧がおくれれば、住民は避難を繰り返す生活が強いられます。昨日も雨で避難勧告が出されたそうです。一昨日は土砂崩れが二カ所であったそうであります。いつ住宅のあるところで崩壊するかもわからない。

 もうすぐ梅雨にも入ります。いつからこれは実際に実施をされるのか、また対象となる箇所はどのくらいが予想されるのか、この点について、河川局長にお尋ねいたします。

竹村政府参考人 芸予地震に関しまして二点御質問がございましたので、お答えさせていただきます。

 まず、特例措置に関します事業の実施でございますが、現在私ども、財政当局と協議の上、急傾斜地崩壊による災害防止に関する法律の運用の中で災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業に特例を設けまして、自然のがけではなくて人工擁壁等の対策事業を事業の対象とする方針を決定いたしまして、四月二十四日の閣僚懇談会におきまして私どもの大臣から閣僚に御報告され、同日付で記者発表したところでございます。

 なお、事務手続につきましては、本日、広島県知事にあてまして、私ども、芸予地震に関する特例措置の細かい運用について通知をしたところでございます。現在、私どもの正式な決定を受けて、広島県が調査に基づきまして申請をし、事業実施箇所の確定、復旧工法の決定、そして私ども、財政当局との協議を行いまして、二次災害を防止するための工事を迅速に行いたいと考えてございます。

 そのような状況でございますので、現在の段階では、何カ所ぐらいこの対象の事業になるのだろうかということは把握できておりません。早急に把握したら、また国会に御報告させていただきたいと考えてございます。

塩川(鉄)委員 呉市によれば、雨などで民有地のがけが崩れた場合に、下にある建物に二次被害を与える可能性のあるのが約四十カ所だというふうにお聞きをしております。国の特例措置と、これにあわせて県の支援制度もできたそうですが、これで対応できるのはこの四十カ所に限られる。現地の被災者の悩みは大変大きいのではないかというふうに思うわけです。

 現地の方の声をお聞きしましたけれども、自分の家の石垣が崩れて、近所の人に迷惑はかけられないと無理をして早く直した。ところが、自分の裏の家の擁壁が膨らんできており、自分の家に崩れ落ちそうだ。直してほしいと頼んでもなかなか直してもらえない。まくら元に避難用品をいつも置いて、できるだけ裏のがけから離れたところで寝起きをしているが、不安で寝られない。雨が降ったらホテル住まいをしている。自分の責任でないのに、土地を放棄して出ないといけない。しかし、市は特例が適用できないと言っている。このような方。

 また、家が高台にあり擁壁の上に家を建てており、いわば三方ががけで、崩壊をしている。東側の壁の石が下の道に崩れ落ちそうで危険だ。この道の下には民家もある。南側は崩れて下の家のドアを直撃した。西側も崩れかけ家を直撃しそうだ。年金生活なので直せない。大変高齢者の方が多い地域ということも伺っております。このような被災者の実態に合わせて特例措置の適用をもっと拡大すべきではないかと思います。

 事業費の規模が一千五百万以上というふうに聞いておりますが、例えば阪神・淡路大震災のときは六百万以上という適用になっております。また、特に今回の措置は、住宅地として復旧されない箇所が対象となるということで、住宅地として今後使用しない、立ち退くことが前提となっています。しかし、前例となった阪神・淡路大震災のときはこのような条件はありませんでした。移転適地がない、このようなことで対象となる、移転しなくても適用できるようにすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

竹村政府参考人 委員の御指摘のように、現在、被災箇所は四十カ所あるのではないかということで、避難勧告を出されている方々の数も、私ども最大限努力をして把握しているわけでございます。

 この特例措置が適用される対象箇所でございますが、もう既に個人的に自分で融資を受けて復旧された方々もいらっしゃいます。そのようなことで、これからどういう方々がどういう事情になっているのかということは私ども把握しなきゃいけませんが、基本的には、今御指摘のように、移転等で住宅宅地として復旧されない箇所、そしてその後の土地利用について呉市と地権者が合意された箇所に税金を投入して復旧に当たっていこうというような特例措置になってございます。

 今回、阪神・淡路のときの六百万円が千五百万ということ、今お話がありましたけれども、これはがけの事業そのものの採択基準が、その当時は全部が六百万でございましたけれども、現時点では、災害ということではなくて、すべての事業採択が千五百万に上がってしまいましたので、呉だけを特例に扱っているわけではなくて、いわゆるがけ対策事業の基準が上がったということで御理解願いたいと考えてございます。

 私ども、この阪神・淡路の特例措置を呉市に使いまして、非常に特異な例でございますが、個人の方々の所有している人工擁壁についても復旧に当たっていこうというような内容の特例をこれから呉市において実施していきたいと考えてございます。

    〔西委員長代理退席、委員長着席〕

塩川(鉄)委員 そもそも、特例措置として自然のがけを人工のがけまで拡大しようという話なわけですね。であれば、事業規模についても、さらに適用を拡大する、特例を設けるということは当然可能であるわけです。

 しかも、特例が設けられている災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業、この要件には、急傾斜地の高さが十メートルとか人家おおむね五戸以上とか、こういうのとあわせて、移転適地がないことというふうに書かれています。ほかに移る条件がない。これに合わせて、阪神・淡路の震災のときにも同様に、この事業と同じ基準で移転適地がないことというふうに書かれているんです。それが今回の呉市の場合には、まるで百八十度覆って、逆さまに、住宅地として復旧されない箇所、住み続けられませんよと言っている。これは現地の実情に合わないのは当然じゃないですか。何でこんなことになっているのか。こういう事態についてきちんと対応すべきじゃありませんか。

 村井大臣、いかがでしょうか。

竹村政府参考人 阪神・淡路との比較の御質問でございました。

 阪神・淡路のときは、極めて大規模な地震でございまして、兵庫県の行政、神戸市の行政、芦屋市の行政が一時的にほぼ壊滅的な被害を受けました。そういう状況におきまして、政府としましては、阪神・淡路大震災復興の基本方針及び組織に関する法律という法律を設定しまして、各分野で最大限協力していこうというようなスキームになったわけでございます。

 今回、この芸予地震でございますが、大変大きな地震で被害があったわけでございますが、少なくとも広島県行政、呉市の行政も十分機能しておりまして、私どもの国と広島県と呉市が連携をして役割分担をしていこう、そして、役割分担をしつつ、呉で被害に遭った方々を何らかの形でお手伝いしていこうというような、国、県、市の話し合いも持たれながら、この特例措置を私ども設定したわけでございます。

 ぜひ、これが民間の、個人の所有のところに私どもが復旧工事をする特例措置だということを御理解の上、今後私どもの事業を実施していくことを御了解願いたいと考えてございます。

塩川(鉄)委員 災害対策というのは被災者の実情に応じてやるものだ。もともと、今回の特例措置の適用に当たっても、呉市が明治時代より軍港として発展し、急な斜面までもが密集した住宅地となっている、その地域に被害が集中した、局地的に見れば大変大きな被害の状況だった、この実情に合わせた対策をとるのは当然じゃないか。阪神・淡路のように事業の採択基準を六百万に引き下げるとか、またあわせて、要件とされている住宅地として復旧されない箇所、こういう要件も取り払う。住み続けられるのを条件にする、こういう立場で臨むべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

村井国務大臣 委員御指摘のように、呉は軍港として発達した町でございまして、非常に狭いところに人家が密集している。これは私も以前一度参ったことがございまして、実感よくわかります。

 そもそも、急傾斜地崩壊対策事業は、擁壁等の人工構造物はたしか対象になっていなかったものだと私も記憶しておりますが、今度の場合、そういうものではありますが特に対応をしたということは、私はやはり評価をするべきことだろうと思っております。

 ただ、私は、防災を担当させていただきまして、これからの町づくりを考えますと、やはり災害に強い町をつくっていくのは大切なことなんだろうと思うのです。呉の生い立ち、今の状況、そして被災者のいろいろなお気持ちというのはありましょうけれども、しかし、復旧のプロセスで、また災害が起きる危険があるような町をつくっていただくのでは困る。私は、そういう意味では、災害に強い町づくりをこの機会に、呉市も広島県もあわせて御協力をいただいて、私どももお手伝いをさせていただいてつくっていくことができればよろしいのではないだろうか、こんなふうに思っているところでございます。

塩川(鉄)委員 町は人が住んでこそ町であるわけで、住み続けられる町にする、その基本からこのことの対策に当たるべきだというふうに思います。この点でも改めて適用要件をさらに拡大するということを求めたいと思います。

 次に、私も視察をさせていただきました有珠山の噴火災害対策についてお聞きします。

 まず、雇用対策であります。

 従来、温泉街では、観光事業に従事するパートの女性労働者は、一日に数カ所の仕事をつないで何とか生計を立ててきたという状況でした。朝だけですとか、夜だけですとか、あるいは週末だけ、これを組み合わせて何とか暮らしを成り立たせてきた。このような短時間での単発的な仕事だけでは暮らせないために、温泉街に戻れずに避難先で仕事を探している方も大変多くいらっしゃいます。近隣の白老町の発掘調査の作業員の募集に、四十人の採用に対して百七十人の求職もあった、そういうところまでも出かけて仕事を求めていきたい、これが現地の実情でもあります。何よりも恒常的な仕事が欲しいというのは強い願いでありますが、同時に、当面のつなぎの仕事でもあれば本当に助かる、こういう声をいただきました。

 虻田町など被災市町からの要望の中でも、「雇用対策として、地域の実情にあわせた雇用対策ができるよう改善を図り「緊急地域雇用特別交付金」制度の継続と見直し及び被災者に対する支援制度の創設」が盛り込まれています。

 この緊急地域雇用特別対策事業について、就労を希望する方全員の雇用が可能となるように、また雇用期間の延長など、生活の実態に合った対策がとれないでしょうか。また、既存の制度の寄せ集めではなく、災害時の緊急雇用対策をつくるなどの新たな取り組みが必要ではないかと思いますが、この点をお尋ねいたします。

三沢政府参考人 お答え申し上げます。

 二点御質問があったと思います。その第一点の有珠山の緊急地域雇用特別交付金事業に関連する御指摘でございます。

 私どもとしては、有珠山の噴火災害に伴います雇用問題の悪化を防止するという意味で、先生御指摘のように、緊急地域雇用特別交付金の活用を図ったところでございます。

 ただ、私どもとしては、この事業以外にも、噴火直後に、地元の北海道労働局の局長を本部長とする災害対策本部を設けまして、各般のいろいろな対策を講じてきております。例えば、地元において巡回の雇用労働相談を実施する、そのことを通じたきめ細かな職業相談なり職業紹介に努める、あるいは雇用調整助成金の助成率のかさ上げをするというような特例適用をやる、こういうことを通じて災害地域の雇用の安定に一定の効果を上げたのではないか、こう思っている次第でございます。

 お尋ねの緊急地域雇用特別交付金の事業でございますけれども、これは御案内のとおりでありますけれども、平成十一年度の補正予算で設けられたものでございます。全国的な雇用失業情勢の悪化を踏まえ、臨時的な雇用就業機会の創出を図る、こういう目的で平成十三年度末、本年度末までの臨時応急の措置として創設したものでございますので、私どもとしては、本年度においてもその有効な事業の活用が図られるよう努めていきたいというのが第一点でございます。

 第二点目の自然災害に伴う雇用対策の充実の観点でございます。

 これも先ほど来申し上げた点とオーバーラップすることが多々あるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、都道府県にございます関係の私どもの労働局を中心に、地元の自治体とも協力しながら、いろいろな対策を講じていきたい。先ほど申しましたような、私どもの公共職業安定所、ハローワークに特別の相談窓口を設ける、それを通じた職業紹介を行う、あるいは事業所の休業に伴いまして関係労働者の生活を保障する、こういう意味で、その申請に基づきまして対象労働者を離職したものとみなすことによって雇用保険の給付を支給するというような特例措置を講じるとか、あるいは先ほど申しました雇用調整助成金の適用を行う、こういうふうな対策を総合的に実施していきたい、こう思っている次第でございます。

塩川(鉄)委員 この緊急地域雇用特別交付金制度は今年度までですから、来年度以降も継続していただきたいというのが要望なのですが、その一点、いかがでしょうか。

三沢政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど緊急地域雇用特別交付金制度の趣旨を申し上げましたとおり、臨時的な雇用就業機会の創出を図るために平成十三年度末までの臨時応急の措置として創設したということでございますので、平成十四年度以降、これは対象になっておりません。

塩川(鉄)委員 やはり被災地で一番使い勝手のいい仕組みというのを大いに活用する必要があるのではないか、この点が強い要望であります。

 この雇用とのかかわりでも、地元の観光業などの中小企業の支援策が大変大きいと思います。観光業が地域経済の大きな柱となっておりますが、観光客が戻ってきたといっても、売り上げについて見れば二割とか五割減っている業者さんも大変多いというふうに聞いております。業者間のばらつきも大きい。というのも、低料金で集客を図っていることで、利益率が低いというのが実態だ。お金を回しているだけなのだというのが実際の声であります。これらのホテルの皆さんは、一九七七年の噴火の借金も引きずっております。

 前回との違いは、不況の真っただ中にあっての災害でありまして、噴火前に戻るのはなかなか考えられないような状況にある。借金を重ねて食いつないでいる。土産物店の方などは営業していないようなところもある。これは一番のお客さんだった修学旅行生がゼロになっている、こういうところにもあらわれているわけであります。

 ですから、今回、三宅島の被災中小企業者への支援策として、東京都などとも協力しながら、民間金融機関の分も含めて、噴火前の債務についても無利子となる措置がとられました。有珠山の噴火の被災中小企業者に対しても、北海道などにも働きかけて、この三宅と同様の措置がとれるように対応すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

羽山政府参考人 御説明申し上げます。

 既往債務についてのお尋ねでございますが、三宅島の噴火災害におきましては、全島民への避難指示が半年以上続いた後においても解除の見通しが立たず、また避難中の中小企業者の約九割はなお事業を行えていないという特殊な状況でございました。このような特殊な状況に対する臨時異例の措置といたしまして、全島民への避難指示が出された昨年九月二日から半年以上経過をしたことしの三月三十日に、被災中小企業者の既往債務につきまして、地方自治体と協力して、利子補給措置をとることを決定いたした次第でございます。

 有珠山の噴火災害につきましては、政府系金融機関などに対しまして、既往債務の条件変更について、個別企業の実情に応じて返済猶予などにより十分対応するよう、災害発生後直ちに指示したところでございまして、この結果、本年五月二十一日までに、政府系金融機関において二百八十四件、信用保証協会において三十六件の既往債務の返済条件の変更が行われているところでございます。

 なお、有珠山噴火災害につきましては、災害発生後四カ月で避難指示はおおむね解除をされているところでございまして、被災中小企業者の大半の方々は既に営業を再開しているところであるというふうに承知をしているところでございます。

塩川(鉄)委員 営業を再開している中身が問題で、そこが深刻だということがあるわけです。もともと、今のお話は従来ある枠の中のメニューのお話だけで、災害というのは従来の政策の延長では対応できないような事態、予期せぬ事態に対して被災者の実態にかみ合った対策をとるべきでありまして、その意味で三宅の前例などは大いに学ぶべき点だ。この点についても、ぜひとも有珠に対応しても実現を改めて求めたいと思います。

 その上で、被災者の暮らしを再建する上の施策として、被災者生活再建支援金の支給のあり方についてお尋ねしたいと思います。

 私も、昨年の災害の現地にそれぞれ足を運んでみて、被災者の生活再建のためには大変大きな負担がかかるということを実感いたしました。被災者生活再建支援金の一番の上限の百万円というのが、被災者の必要とする金額を根拠に設定されたものではなくて、実際には、都道府県の財政事情などを理由に現実的な実施可能な金額として設定された、このようないきさつがあります。

 施行されて既に二年であります。対象災害も八件に上り、既に支給された世帯数も二千百四十六世帯となっております。法自体の検証についてはよく五年というお話がありますけれども、この支援金の支給のあり方そのものは、いわば役所の対応で十分考え得る中身でありますから、これについての検証もそろそろきちっと行う時期ではないか。長期避難という有珠や三宅のような事態も生まれている中で、この支援金の支給の現状についてどのような検討をされているのか。

 その点で、通常経費に七十万円、特別経費三十万円という内訳の金額がありますが、このそれぞれについて、限度額に対してどのくらいが支給をされているのか、この点について教えていただきたいと思います。

吉井政府参考人 先生御指摘のとおり、被災者生活再建支援法の施行から約二年たったわけでございますが、かなり多くの災害に適用されてございます。

 これまでの支給の実態につきましては、私ども、事業主体でございます都道府県会館等と協力しながら実態の把握をやっておるところでございまして、それによりますと、全体といたしまして、先生がおっしゃいましたこれまでの八の災害につきまして、限度額いっぱいということではございませんが、それぞれかなりの率で支給額が支給されております。

塩川(鉄)委員 事前にお聞きしても具体的な数字が出なかったものですから、私の方で計算をさせていただきました。

 お手元に配付した資料をごらんいただきたいのですが、支給が確定している平成十一年度分と、大変大きな被害のあった有珠山、三宅島ということでくくった支援金の支給状況の一覧表であります。

 真ん中のところに、通常経費支給額、世帯平均ということで出されている部分と、その右側の特別経費支給額、ここにある世帯平均、これがいわば七十万、三十万に対応する支給額になります。もちろん、いろいろな条件で、通常経費七十万についても、実際には五十五万あるいは三十五万、二十七・五万という上限が別にあります。特別経費三十万円についても、二十万、十五万、十万という、それぞれの事情による上限が設定をされております。

 そういう中身を見ても、通常経費については、多くの方がこの上限のところでの支給を受け取っていらっしゃるのかな。こういう細かい数字まで出していただけなかったものですから、おおよその傾向として見ていただきたいと思うのです。これに対して、特別経費の方は、三十万という上限と比較をしても、通常経費に比べても大変低い支給額になっております。

 なぜ、このようになるのか。それは、この資料の後ろにつけてありますところに、実際の通常経費と特別経費について、被災者に出していただく支給申請内訳書というのがあります。二枚目には、通常経費の内訳書で、生活必需品としてこういう品目がずらっと並んでいます。四枚目、特別経費支給申請内訳書には、同様に、冷暖房器具とか、あるいは生活必需品の乳幼児用とか、就学、医療福祉用とかというのが出されています。

 この中身を見ても、特別経費支給申請内訳書を見れば明らかなように、通常経費にはない項目が設定をされております。その一つが「一点当たりの支給限度額」ということであり、また、一番最後のところの「記入上の注意」の四番目を見ると、領収書の提出を求めるというのがあります。通常経費は領収書の提出はありません。

 そうしますと、このような支給限度額ですとか領収書の提出というのが大変大きな制約となっていて、こういう枠は取り払っていただきたいという被災者の声を、有珠山や三宅島の方からも、たくさんお聞きしました。このような使い勝手の悪い特別経費にかかわる制約を取り払うべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

村井国務大臣 七十万あるいは三十万というそれぞれの限度額の満額まで行かない理由はいろいろ区々でございまして、塩川委員も今御指摘になられましたような別途の限度額、これは世帯員の構成による限度というのがございますので、そういうことで支給限度額いっぱいにならない場合があるわけでございまして、その点はまず御理解をいただきたい。それから、収入がどれだけあるかというような問題ももちろん影響してまいります。

 特別経費についてでございますけれども、いわゆる生活に通常必要な物品の購入費、修理費それから住居の移転費、こういったものは御存じのとおり通常経費で見ている。それ以外のものにつきまして、例えば住居の移転のための交通費、あるいは住宅を賃借する場合の礼金、それから自然災害により負傷しまたは疾病にかかった場合の医療費、その他被災世帯の居住地域または被災世帯に属する者の特別の事情により生活に必要な物品の購入、修理費というようなものについては特別経費で認めるということで、これにつきましては領収書を求めることになっている。そこのところはちょっと性質が違うのだろうと思っております。それからもう一つ、私ども見ておりますと、必要に応じて何度かに分けて申請されるというようなこともございます。

 そういう特殊な事情がありますけれども、御指摘のような点は、もちろんこれからも十分よく注意をして実態に合うようにしてはまいりますけれども、現状ではそのような状況にあるものだということを御理解いただきたいと思います。

塩川(鉄)委員 私は、少なくともエアコンやストーブなど生活必需品の耐久消費財については、地域性や世帯の条件の違いなどと言わずに、通常経費に組み込んだらどうかというふうに思います。

 テレビ、冷蔵庫、洗濯機が通常経費でエアコンが特別経費などという区分にどれだけの意味があるのか。沖縄でこたつを買わないのは当たり前で、北海道でエアコンを買わないのは常識であります。赤ちゃんがいない家庭でベビーベッドは買わないわけです。

 領収書を添付させるなど、被災者の手を煩わせないためにも、役所の手間を省くためにも、特別経費で掲げた耐久消費財は通常経費に回して、この通常経費の上限額を引き上げるべきじゃないですか。七十万、三十万というのを、通常経費八十万、九十万にする。これは今の省令の、施行規則の範囲内で十分できることでありますから、その点ぜひ実現のために力を尽くしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

吉井政府参考人 法律の運用について若干御説明させていただきます。

 先生からただいまいろいろ御指摘ございましたが、どのようなものが一般的なものとして認められるかということにつきましては、被災者のニーズでございますとか物品の普及状況等を私ども調査しておりまして、それに基づきまして、支援金の支給メニューとしてふさわしいものがあれば適宜見直していくことにしておるところでございます。

塩川(鉄)委員 その点については、ぜひとも実態に応じての対応をお願いしたいと思います。被災者の実態にかみ合った制度にしていくことこそ求められる仕事だ、このことを強調して、質問を終わります。

赤羽委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 最後の質疑になりましたけれども、若干の間おつき合い願いたいというふうに思います。

 私は、前回も質問いたしましたが、この一月の豪雪被害について、その後の状況について、まず冒頭お伺いしたいというふうに思っています。農業被害の実態、それから林業被害の実態。

 これは前回、農業被害、林業被害についてお伺いいたしましたけれども、林業被害については、まだ山にいっぱい雪が残っていて調査活動ができなかったという状況のもとで、概略的な報告をいただきましたが、その後、雪解けが進んで調査が行われたと思うのですが、一部マスコミ報道等によれば、多くの被害が出ているという状況の報道もされております。

 林野庁として、この実態をどのようにとらえているのか、御報告をお願いしたいというふうに思います。

梅津政府参考人 お答え申し上げます。

 一月上旬からの降雪による農業関係の被害につきましては、先般委員から御質問ございましたときは約六十八億ということでお答えしましたが、その後、雪解けによる被害の判明あるいは追加がございまして、現時点で、ハウス等で約四十二億、農作物、果樹等に約四十八億、合計約八十九億の被害が発生しております。

 それから、森林の折損、倒伏の被害が、栃木県ほか八県において一千三百三十一ヘクタール、約十六億円発生しております。

 以上でございます。

菅野委員 私は、前回も申し上げたのですが、林業被害は、単に豪雪、雪が多かったからこういう十六億円もの被害が出たということじゃないと思うんですね。今日の林野行政全体を取り巻く状況の中で起こった被害であるというふうに私自身は思っているんですが、林野庁として、この林業被害の原因をどのようにとらえているのか、そしてあわせて、この原因に対して、今後の雪害への対応、どのような対応を行っていこうとなされているのか、この二点について答弁願いたいと思います。

加藤政府参考人 雪害の原因につきましては、今お話がございましたけれども、積雪量であるとか積雪の時期でありますとか、例えば厳寒期に降りますとさらさら雪で意外と被害がないんですけれども、これが春でありますと湿雪になりまして被害が大きくなるというようなこともあるわけでございますけれども、いずれにしても、やはり林業被害を防止するためには健全な森林をつくっていくことが大変大事ではないかというふうに思っているわけでございます。

 そういう点で、災害に強い森林の整備を図っていかなければいけないというふうに考えておりまして、保安林につきましては治山事業によって森林整備を図っていくということも考えておりますし、また十二年度からは、百五十万ヘクタールの間伐を緊急に行う緊急間伐五カ年対策ということを今実施しているところでございます。さらに、長期育成循環施業というようなことも考えまして、一定の要件を満たした場合には、最長九十年生までの人工林の抜き切りに対しても助成を行うというようなことも、今回、十三年度から新たに取り入れたところでございます。

 いずれにしましても、そういうような施策を行いながら、健全な森林整備を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

菅野委員 今、積雪の状況という答弁をいただきましたけれども、それと同時に、山を健全に育成していくための私なりの見解なんですけれども、植えてから三十年、今は補助事業として四十年までなんですが、補助事業で徹底して育林していかない限り、私は、雪害というものは毎年繰り返すことだと思うんですね。

 この雪害の状況を私なりに分析したときに、二十年生、三十年生、こういう杉とかが被害を受けているんですね。そして、一千三百三十一ヘクタールということを言われましたけれども、これは民有林だと思うんですが、これを取り除いていくための労力が今、里山、山林にはない。この間のマスコミ報道によっては、これを片づけるのに何年かかるかわからないと、入ってみてびっくりしているわけですね。雪害を受けた木を片づけるのに何年かかるかわからない、それでもやっていかなければ山を守れない、そういう意気込みで今やっているわけです。

 そういうところにどういう手をこれから差し伸べていこうとしているのか。今の、これからの森林の雪害への対応ということで、目標値はわかりました。緊急間伐事業ということを展開していく、百五十万ヘクタールという目標値をつくりながらやっていこうという、目標値はわかりましたけれども、現実に一千三百町歩もこういう被害に遭っているところに、あるいは、まとまってじゃないですが、私は全国を歩いていると、汽車の車窓から雪害で木のてっぺんが折れている姿というのを目にするわけですね。放置されたままなんです。

 山村においては被害を受けてもそれを片づける手がない、こういう状況に今なっているんだということ、その延長線上で雪害が起こっているんだというふうに私は認識しているんですけれども、被害を受けた地域に対してどういう支援を行っていくのか、それも含めて、今後の対応をお聞かせ願いたいというふうに思います。

加藤政府参考人 今先生が言われましたように、林業が大変厳しい状況の中にございますので、被害を受けましても、すぐそれを回復する、被害をきちっと整備していくというようなことについての森林所有者の意欲がかなり減退をしてきているという実態にあるわけでございます。

 我々としましては、そういうことに対しましても、造林関係補助事業等を駆使いたしまして、被害木の搬出を含めた林内整理であるとか、被害跡地への植林とかというようなことについても補助の手だてをとっているわけでございますが、申し上げましたように、若干そういう事情にあるということは我々としても認識をしているところでございます。そういう点で、被害対策については、やはり県等にも指導をいたしまして、なお森林所有者の理解を得ながら、きちっと進めていくことが必要ではないかなというふうに思っているところでございます。

 それからさらに、被災森林所有者に対しまして森林国営保険という制度もございます。そういったものを円滑に使っていただくことも必要ではないかなというふうに思っているところでございます。

菅野委員 私は、なぜこのことを取り上げているのかということなんですけれども、村井大臣、これまでの質疑を聞いていて、例えば森林の保全はやっていかなきゃならないという決意を申し述べられました。しかし、山村地域においては、山に手をかけるだけの余裕というか、なくなってきている。そして、被害を受けても放置せざるを得ない山村の実態になっている。そうしたときに、これをこのままずっと放置しておいたならば、私は、治山治水という観点から森林の果たす役割は村井大臣も御承知だと思うんですが、この治山治水という部分が非常に危険にさらされる状況に今日なっているということだと思うんですね。今民有林の話をいたしましたけれども、国有林野事業においても、村井大臣は長野出身ですから国有林野事業の実態についても造詣が深いと思うんですけれども、今本当に山に手をかける人が国も民間もいなくなっている状況です。

 災害が起こって、何百億、何千億、災害復旧にかけていく今の姿ですけれども、その災害復旧にかけるお金を前倒しして山に投資していく、治山治水に投資していく。この国の施策の転換がなければ私はイタチごっこじゃないのかなというふうに思うんですけれども、森林の治山治水に果たす役割と、これからどうしていったらいいのか、大臣の決意をお聞きしておきたいというふうに思うんです。

村井国務大臣 ただいま菅野委員のお地元で起きた雪害による山林の傷み方ということを踏まえての御見解を拝聴しておりまして、私も全く人ごとでないなと感じたところでございます。実際、私の地元でも、いろいろな形で木が倒れましても結局放置されるというのが実態でございまして、非常に私も心を痛めているわけでございます。

 やはりここでどうしても考えなければならない問題は、率直に申しまして、日本の場合、文字どおり山林でございまして、傾斜しているところに木が生えているわけでございますから、そう簡単に機械で処理ができない、そのあたりが一つの問題点。それからまた、働く方々が現実問題としてかなり高齢化している、そして山を現実に扱った経験者がどんどん少なくなっているというような問題もございます。

 結局のところ、これは私の若干持論なんでございますけれども、日本の山に適応した機械化された造林ができるような条件整備をどうやって整えていくのか、林野庁次長がおいででございますけれども、これは林野庁も本格的に考えてもらわなければならない一つのポイントではないか。

 例えば、土木事業にしましても、農業にしましても、現実にはかなり機械化されているわけでございまして、実際にもっこを担いで何とかという作業ではない。ところが、木の、材木の世界は、文字どおり人の力を使わざるを得ないのが日本の地形等からして一つの実情でございまして、それはネックになっている問題があるということを感じております。

 非常に重要な問題でございます。ありがとうございます。

菅野委員 治山治水の観点から森林を守り育てるというのは、だれに言っても重要な課題であるというのは、前回、伊吹大臣にも同じように聞いたら、重要な課題であるというふうに返ってくるわけですね。それでは、具体的に次の段階になって、どうやったらいいのかの解決策をだれも見出していないのが今日の実情だということだと思います。

 それで、今も大臣言うように、日本に適応した機械化、省力化の方策はという課題を投げかけられました。これに対して、明確な回答を今私自身も含めて出し得ないでいるというのが実情だと思います。

 山から収益が上がらないというのが今日の実情だ。そうするならば、国家的に、国として、国策として山にお金をかけていく、こういう政策転換を図らなければならないのではないでしょうか。それが国有林野事業においては、林野事業が赤字だということで人手を山から切り離してしまっている現状、それで国有林野も悲惨な状況になっています。ましてや、国有林野事業がそういう状況ですから、民有林もそれに輪をかけて悲惨な状況になっている。この現実をしっかり見据えていただきたいと思うのです。

 そういう中から、雪害、その次に今度は秋の台風シーズンになれば、台風の風によって倒される。一時、九州の大分で、台風の風によって倒されて、それを後始末するために二年くらいかかったのですか、自衛隊の人たちが後始末に行ったのですが、役に立たなかった、技術がなかったから。それで、全国の国有林野事業に携わっている人たちが駆り出されて、私の地元からも行きましたけれども、それで後片づけをした。こういう実態になっているこの林野事業というものを、防災の観点から、大臣、ぜひ見直していただきたい。

 そして、新たな国家的な投資をしていく体制を、私は、この意見は、これから森林・林業基本法が農水委員会で議論されますから、農林大臣にもお話し申し上げます。みんな共通ですから、内閣一体となって今の実情を打開する方向を形づくっていく、このことが今求められていると思いますけれども、再度の決意をお願い申し上げたいと思います。

村井国務大臣 全く私も共感を覚えながら菅野委員のお話を拝聴しておりました。

 国土の約七割を占める山林、これがどのくらいいわゆる安全な国土、国土の保全に大切な要素であるか。それを今まで私ども、ともしますと、山林というのは、とりわけて国有林は、一種の収益事業のような感覚でずっと運営してきた面がないとは言えない。現実に、四十年代には、一般会計が比較的豊かな国有林野会計から金を借りたというような現実もあるわけでありまして、そういう意味では、私は、今委員御指摘のような、国土保全、災害防止、そういう観点から林野というものを見直すのは本当に大事な視点だと存じますし、私も防災担当といたしましてできるだけのお手伝いをさせていただきたいと存じます。

菅野委員 私もこれから大いに議論していきたいというふうに思っていますので、ぜひ内閣として、全体として取り組んでいただきたいことをお願い申し上げたいと思います。

 次に、有珠山の火山被害から立ち直るための施策ということで通告申し上げていましたけれども、かなりの議論になりましたし、私からそれ以上また改めて聞くということはいたしません。

 その地域地域で生活している人たちが今何を望んでいるのか、そして基本の考え方は、そこに、生まれたところに住み続けたいという気持ちが根本だと思います。そういう立場に立って、防災行政を今後ともしっかりと進めていただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

赤羽委員長 本日は、遅くまで大変お疲れさまでございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十六分散会




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