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第5号 平成15年4月3日(木曜日)

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平成十五年四月三日(木曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 上田 清司君
   理事 小野 晋也君 理事 実川 幸夫君
   理事 松岡 利勝君 理事 島   聡君
   理事 松原  仁君 理事 江田 康幸君
   理事 一川 保夫君
      荒井 広幸君    今村 雅弘君
      岩崎 忠夫君    梶山 弘志君
      北村 誠吾君    河野 太郎君
      左藤  章君    砂田 圭佑君
      高木  毅君    谷本 龍哉君
      中本 太衛君    福井  照君
      星野 行男君    堀之内久男君
      増原 義剛君    山本 明彦君
      小泉 俊明君    津川 祥吾君
      土肥 隆一君    永田 寿康君
      葉山  峻君    伴野  豊君
      細野 豪志君    前田 雄吉君
      赤羽 一嘉君    丸谷 佳織君
      黄川田 徹君    塩川 鉄也君
      藤木 洋子君    中川 智子君
      江崎洋一郎君    松浪健四郎君
    …………………………………
   国務大臣
   (防災担当大臣)     鴻池 祥肇君
   内閣府副大臣       米田 建三君
   内閣府大臣政務官     阿南 一成君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   山本繁太郎君
   政府参考人
   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君
   政府参考人
   (総務省大臣官房審議官) 岡本  保君
   政府参考人
   (消防庁長官)      石井 隆一君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   牧野 治郎君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           河村 博江君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  鈴木藤一郎君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  金澤  寛君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  洞   駿君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 鷲頭  誠君
   政府参考人
   (気象庁長官)      北出 武夫君
   衆議院調査局第三特別調査
   室長           石田 俊彦君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月三日
 辞任         補欠選任
  岩屋  毅君     河野 太郎君
  北村 誠吾君     福井  照君
  細野 豪志君     永田 寿康君
  松浪健四郎君     江崎洋一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  河野 太郎君     岩屋  毅君
  福井  照君     北村 誠吾君
  永田 寿康君     細野 豪志君
  江崎洋一郎君     松浪健四郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――
上田委員長 これより会議を開きます。
 災害対策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官山本繁太郎君、防衛庁運用局長西川徹矢君、総務省大臣官房審議官岡本保君、消防庁長官石井隆一君、財務省主計局次長牧野治郎君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、厚生労働省社会・援護局長河村博江君、国土交通省河川局長鈴木藤一郎君、国土交通省住宅局長松野仁君、国土交通省港湾局長金澤寛君、国土交通省航空局長洞駿君、国土交通省政策統括官鷲頭誠君及び気象庁長官北出武夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
上田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君。
小野委員 皆さん、おはようございます。
 きょう、この委員会に臨みまして、また先ほど理事会があったわけでありますが、一つの短歌を思い浮かべておりました。
  朝起きて夕べに顔は変わらねどいつの間にやら年はとりけり
だれの歌だか知らないのでありますが、気づいてみますと、二年余りこの委員会に所属いたしまして、理事も務めてまいったわけでありますが、周りの顔を拝見いたしますと、もう私が一番古手になってしまったというような感じでございます。赤羽委員長のもとで、まず最初にこの委員会で理事職をやらせていただいたわけでありますが、この二年余りの間の取り組みを振り返ってみながら、私はこの間、有珠山の噴火災害地域も訪問させていただきました。三宅島も参りました。また、芸予地震もこの間に起こりましたものですから、その被災地も視察をいたしました。
 そんな中で感じてまいりましたことは、相田みつをさんの詩の中に、本当に大事なものというのは目に見えないんだよなという言葉があるわけでありますが、被災地の中で決して目立つことはないけれども、地域の再興を目指して、また住民の安全を目指して営々と働いておられる災害対策の皆さん方のとうといお姿でありました。
 今、世の中は、表に見える華々しいものばかりを求めるような気風に満ちあふれているわけでありますけれども、この日本の国を支えている一番大事な部分、根っこの部分を担っておられるのはまさに、災害に対応しようとして日夜訓練を怠らず、また緊急のことが起こったときにはそれに対して一刻の猶予もないままに、その災害地に駆けつけようというふうな思いを持ってやっておられる皆さん方だと、質問に先立ちまして、改めまして皆さんに敬意と感謝をささげておきたいと思う次第でございます。
 ところで、いろいろな災害がありますけれども、きょうは時間が限られますから、地震問題だけに絞っての御質問をさせていただきたいと思うわけであります。
 先刻、地震調査研究推進本部地震調査委員会から、いろいろな発表がなされてきておるわけでございます。例えば、南海、東南海地震の問題もその一つの重要な問題として取り上げられてきているわけでありますけれども、今後三十年内にこの南海地震、東南海地震というのが起こる確率はどうなんだろうかというと、南海地震については四〇%の発生確率であり、東南海におきましては五〇%の発生確率である。
 しかも、問題なのは、その地震が一たび起こったときのマグニチュード予測というのを出しているわけでありますが、それぞれ八を超える数字でありますし、もしもこの両者が同時に起こる、地殻が一気に動くような状況が発生した場合のマグニチュードは、何と八・五という巨大地震になる可能性がある。ですから、当然、こういう地震が起これば甚大な被害が予想されるわけであります。
 私どもも阪神・淡路大震災というのを、大臣のお地元でもあろうかと思いますけれども、八年前に経験をいたしておりますし、また芸予地震や鳥取西部地域の地震等々、ここしばらくもあったわけでありますが、これらを見ておりますと、この地震災害の特徴は、あえて申し上げるまでもないわけでありますけれども、極めて広域で、同時に大きな被害が生ずる災害であるということ。
 しかも、この災害というのは、火災であれば延焼してくるわけでありますから、どのぐらい時間がたてばここまで至りそうだということがわかるし、水害の場合も雨の降り方を見ながら、準備を整えながら対応できるのに対して、地震災害というのは、全く予知ができないというと研究者の方のおしかりを受けるかもしれません。現状では、予知はできないという結論になっているようでございます。ですから、それに対する予防措置というのは、とにかく平素から地道なことを積み上げる以外の予防措置はとれないという問題もあります。しかも、阪神・淡路の場合に顕著でありましたのは、火災延焼に伴うところの人的な被害が大きかったというふうなものもあるわけでありまして、関連する災害が発生しつつ被害を拡大する傾向があるというふうなこともあるわけであります。
 私自身は、地震災害が、日本における災害対策の中で最もその取り組みを行わねばならない災害対策でありましょうし、また、それに対して緊急の対応が最も求められる災害であると認識をしているわけでございます。
 その意識のもとに、大臣にお尋ねしたいと思いますのは、先ほど申しましたとおり、地震災害は非常に広域で、しかも、甚大な被害が予想されるものでありますだけに、緊急の対応と同時に、非常に広域的なものが求められる、柔軟に多様な組織を動かしながら災害対応をしていかねばならないというような特徴を持つわけであります。政府においても、いろいろな御検討をここしばらくお進めになってこられて、こういう地震災害等に対応する、広域対応の問題についての指針を打ち出しておられるということでございますが、これはいかなる対応になっておられるのか、大臣の所信をお伺いしたいと思う次第であります。
鴻池国務大臣 おはようございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 今、小野委員がお話の中でお触れになりましたように、阪神・淡路大震災、ことし一月で八年目の朝を迎えました。九年目に入りました。あのとき皆さん方にも御心配をちょうだいしましたし、お互い苦労した、今、砂田先生が出られました、藤木先生や中川先生も走り回っていた記憶がよみがえってまいります。
 あの折、家が倒壊して、瓦れきの下で救出を待つ、もう既に息絶えられた方あるいは大けがをされた方、大変な状況下、恐らく三千人、四千人が、もうそういう状況下にあったと思いますが、そのときには官邸で、時に村山総理だったと思いますけれども、そこまでの緊迫した情報が入っておりませんでした。お昼に昼食会を行おうというような話もあったやに聞いております。
 また、兵庫県知事、時に貝原俊民という知事でございましたけれども、この方が初動体制というものの指揮命令ができないで、八年たった今、あのときはどうにもならなかったという嘆きがございます。というのは、御存じのとおり、消防、警察、自衛隊あるいは海上保安庁等々、実力部隊はそれぞれ指揮命令系統が全然違いますから、知事から直結して指揮をとることが当時できなかったという反省があります。
 直下型の予期できない大地震、災害に備えて、その後八年間、いろいろな反省を踏まえての政府としての対応も相当進んでまいりました。それのお尋ねだろうと存じますけれども、大規模な地震が発生しました場合には、まずはどういう被害の状況であるかということをウオッチングしなきゃいかぬということで、すぐ近くにあります、今申し上げた実動部隊のヘリコプターがその地点に飛んでまいりまして、カメラですべてを映し出すということのシステムができ上がりました。そして、官邸の地下二階と防災担当大臣室の横にありますテレビに全部が映りまして、日本じゅう、どこで起きましても、一キロ四方のメッシュで災害被害状況が映し出されて、シミュレーションでけが人、倒壊家屋、死者というのが出てまいるように相なっています。そこへピンポイントで実動部隊を派遣する。これは何よりもやはり図上訓練あるいは実動訓練に頼らざるを得ない状況でありますが、ただいままでそういう情報の把握と情報の共有化ということに力を入れてまいっておるところでございます。
 いずれにいたしましても、災害が来ないことを祈るのみでございますけれども、政府といたしましても、その時点で最大限の努力をするという覚悟を新たにいたしているところであります。
小野委員 状況把握、それに対していかなる体制を整えて状況を動かしていくかというようなことが、こういう場合の肝要なポイントだろうと思います。今後ともいろいろと御検討いただきまして、先ほどお話し申し上げましたとおりの、非常に甚大な被害が予想される地震が起こり得るわけでございますので、そんな点についてのさらなる御検討をお願い申し上げておきたいと思います。
 第二点目の質問といたしましては、赤羽委員長のもとで芸予地震の視察に行きました折に、向こうの皆さん方といろいろとお話しする中で感じた点でございますが、広域地震が起こりました場合には、二つの大きい問題点が、防災対策の組織の方にもあるでありましょうし、一般住民の間にもあるということでございます。
 一つは何かというと、交通渋滞の問題でございますね。けが人等もいるだろうし、火災が起これば消防車もそこへ走らせなきゃいけないわけでありますが、道路の数が限られた場合、そこに一般の住民の方々も、その地震に対して何らかの対策をとらねばということで車で繰り出してくる結果、交通がままならなくなって、緊急車両がその用をなかなか果たせなかったという問題があるわけでございます。ですから、これに対しては何らかの交通規制が必要だということが当時言われたわけでありますが、それについて、その後の検討がいかが行われているのかということについてお尋ねしたいと思います。
山本政府参考人 御指摘のように、大規模地震などが発生いたしまして災害応急対策をきちんとやるためには交通規制が必要でありますので、災害対策基本法上、都道府県公安委員会が、道路の区間あるいは面的に区域を定めまして、緊急通行車両以外の車両の通行を禁止するという措置を講じることができることになっております。
 こういう措置がとられますと、車はすべて、道路の外に出るとか、あるいは路側に駐車するということが求められます。それから、現場の警察官も、そこに車が残されたりしていますと、それを排除することができることになるわけでございます。こういった措置を講じることで大規模災害発生時に交通の確保が行われるということなんですが、それが現実の災害のときにきちんとできるかどうかということが一番肝心なことでございますので、あらかじめ交通管理者が道路管理者その他の防災関係者ときちんと連携をいたしまして、どういう時点でどういうことをするかということを定めていくことが大事だということで、指導しているところでございます。
小野委員 もう一点は、問題として指摘されましたのは、やはり情報通信の問題でございますね。
 私自身も、あのときは愛媛県でございましたけれども、芸予地震のエリア内にいたわけでありますが、携帯電話は半日以上つながらない状態が現実に起こっておりました。一般回線もかなり混雑しておりまして、なかなかつながりにくいというふうな状況でございまして、この問題を私たちの周りで聞いてみますと、地震が起こったということの驚きと、その報告で皆さんが遠くの知り合いだとかに電話をかけているんですね。また、遠くの土地から安否を確認しようと電話をかけてくる。安否確認は大事なことなんですが、そのときに、一回回線がつながると二十分も三十分も話しまして、うちのペットがびっくりたまげてしまってこんなことをしたのよだとか、いろいろなものが落っこちてこんなふうなものが壊れたのよなんて、こういう話をするということで、大事な情報のやりとりが阻害されてしまった傾向があるというようなことを見ました場合に、私は、これは規制ばかりというふうなことでもなかなか難しいところがあるから、その後提案したのは、通信料を、災害地域を指定すればふだんの通話料の十倍だとか二十倍だとか、こういうふうにセットして、料金が高いから長電話はだめよというふうなことを、それぞれが判断できる仕掛けをつくることが一番大事なことなんじゃないのかという提案だったわけですね。御検討しましょうというふうなことで答弁は終わったわけでございますが、その後、どうされたのか。
 あわせまして、ワールドカップのときに、会場内に施設を増設して携帯電話の回線数をふやしたという話がありますが、災害地域に、ヘリコプターにそういう装置を積み込んでおいて、そこへ行って回線数をふやして対応するような工夫だとか、携帯電話一人一人に一気にメールを送り、安否をそれぞれが返せるようにして、それを閲覧できる形で外部の人が、安全か、けがしているか、これがすぐにわかる、こういうふうなシステムをつくるような検討ですとか、携帯電話を一人一人が持っているという特質をもっと生かせば、災害時の対応についていろいろな工夫ができる気持ちがするわけでございますが、そんな点についての御所見、いかがでございましょうか。
 それともう一点、地域防災組織の消防組織の問題でございますが、消防団の組織率が非常に減ってきて、団員数が減ってきている、これに対してどういう対応をされるのか。
 簡単で結構でございますが、以上よろしくお願い申し上げます。
山本政府参考人 発災時の通信の問題でございますけれども、要するに、安否確認のために通信がふくそうするということが一番でございまして、NTTが用意しております災害用伝言ダイヤル、これは実際に活用されております、それがふくそうを排除するということに役立っております。
 もう一つ申し上げますと、災害発生時に一般の電話からの通信を規制しまして、本当に大事な電話を優先的に確保するという制度があります。災害時優先電話。これを防災機関も使っておりますし、生かしていくことが大事だと考えております。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、最近、消防団員の数がちょっと減少傾向にある、あるいは高齢化が進んでいるということもあるのでございますが、消防庁といたしましては、まず、消防団の施設とか装備につきましては、従来からこの補助金を確保するということで、ことしも、例えば、消防団活性化総合整備事業といったようなものは三割近く伸ばすといったようなこともやっております。それから、消防の団員の報酬、出動手当等の地方交付税上の算定額の引き上げといったようなこともやっているわけでございます。それから、例えば消防設備士とか危険物取扱者といった資格がありますが、団員で何年か一生懸命やっていただいた方には、その試験の科目を一部免除するといったようなこともやっております。
 ただ、おっしゃるような傾向になかなか歯どめがかからないものですから、本年度から、特に消防の場合、功成り名を遂げた方の表彰制度はいろいろ従来からあったんですが、もっと若い方、中堅の団員の方、あるいは女性の団員の方の意欲を喚起する必要があるということで、そういった方々の研修を実施するとか、全国的な意見発表会をやりまして、ついこの間やりましたけれども、大変いい意見を出していただいた方を表彰するとか、あるいは事業所、どうしてもサラリーマン化が進んでいますので、事業所の協力がなかなか得られないということがあるんですが、やはり中には大変御熱心に応援してくださる事業所もございます。そういったところは表彰制度を設けるとか、いろいろなことをやっております。
 今後とも、しっかりやっていきたいと思っております。
小野委員 質問を終わります。
上田委員長 小野晋也君の質疑を終わります。
 次に、梶山弘志君。
梶山委員 自由民主党の梶山弘志でございます。
 現在、自然環境の変化、国際情勢の変化、そして科学技術や大量輸送手段の進展に伴い、これまでに例のないような規模や種類の事故や災害が起こり得る時代となっております。そして、そのたびに国の危機管理のあり方というものが問われているわけであります。九七年一月に発生した、日本海のロシアのタンカー、ナホトカ号重油流出事故や、九九年九月の茨城県東海村のジェー・シー・オー臨界事故を教訓に、防災基本計画が修正をされ、自然災害だけでなく人為的な事故災害も重視した防災体制になったことは評価するところであります。
 しかし、事が起きても、その地域では災害としか考えられないような事例であっても、災害対策法上の認定がなければその処理が長い間宙に浮いてしまうようなケースもあり、それらについてスピーディーな判断、対応ができるような新たな制度を考えなければ、体系的な危機管理ができないのではないかと思っております。最近起こりました事例に即しまして質問をしながら、今の制度のはざまにある問題点を指摘させていただきたいと思います。
 委員各位の記憶に新しいことであると思いますが、昨年十二月五日、茨城県の日立港で北朝鮮船籍のチルソン号が座礁をいたしました。そして、燃料用C重油が流出し、いまだに傾いた船体は放置されたままであり、亀裂が入り崩壊寸前となっております。県、市を中心とした関係各方面、そしてボランティアの方々延べ四千二百人の協力のもと、流出重油の回収、船内の積み荷、残った燃料抜き取りを速やかに行い、被害を最小限に食いとめましたが、茨城県、日立市、ひたちなか市、漁業関係者に約五億六千万に上る膨大な費用がかかり、さらに撤去までには二億円近くがかかるという状況であります。特に、茨城県の対応は港湾管理者としての役割を超えるものであり、災害と同じ状況にあるものと判断をしております。
 日本海におけるナホトカ号の場合は、災害と認定をされて、それに基づき、国から予備費で処理費用が支出されたと聞いております。日立港の場合は、現状では国からの支出は特別交付税措置での対応のみになると思っております。新しい財政支援制度につきましては後ほど質問いたしますが、先般、茨城県に座礁船対応ということで特別交付税一億円が交付されました。これは当面の措置であり、事の成り行き次第では追加措置もあると考えてよろしいのでしょうか。総務省の御見解をお伺いいたします。
岡本政府参考人 お答えをいたします。
 ただいま御指摘のように、今回の座礁事故に関しまして、茨城県で多額の経費の支出を余儀なくされております。この経費に係ります特別交付税措置につきましては、交付税が地方の共有財源であるという性格を踏まえまして、事案の経緯に応じた国と地方の適切な役割分担に応じて検討すべきものでございますが、当該年度の資金需要、具体の必要性というものも踏まえまして、いわば当面の措置として、十四年度の特別交付税において今御指摘のような措置を講じたところでございます。
 現在、関係省庁で国としての財政措置についても検討が進められているというふうに承知をいたしておりますので、その措置の内容等が固まりました段階で、地方負担の動向に応じて特別交付税についても最終的な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
 いずれにしても、茨城県を中心としました関係地方団体の財政運営に支障が生じないような、そういう措置をきちんと適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
梶山委員 岡本審議官、退席していただいて結構でございます。
 今回のような港湾内の放置座礁船、二次災害の可能性もありまして、その後の港湾の管理に与える影響は大変に大きいものがあります。座礁船の責任は原則船主にあるということはわかりますが、原理原則でその責任の所在を論じているだけでたらい回しするのではなくて、港湾整備の観点から、公共事業にこの撤去というものを組み込むようなことが可能なことかどうか、国交省にお伺いしたいと思います。
金澤政府参考人 お答え申し上げます。
 船舶の座礁などが発生した場合に、船舶の撤去というのは、先生御指摘のとおり、船主の責任によって行われるというのが原則になっております。しかしながら、何らかの事情がございまして船主がその撤去をしないという場合に、港湾の管理ということにつきましては港湾管理者が行うことになっておりまして、この管理上支障がある場合に、船舶の撤去につきましても港湾管理者が実施しているという例もございます。
 ただ、今回のチルソン号のような場合につきましては、所有者が明らかになっているということもございまして、現行の今までの港湾整備事業の制度では対応が困難でございます。
 しかしながら、国土交通省といたしましては、現在、放置・座礁船舶などに関します検討会というものを設置しておりまして、放置座礁船の撤去等に関しまして、地方公共団体、港湾管理者も含みますが、そういう者が負担しました費用の一部を国が支援する新たな制度、こういうものを平成十六年度に立ち上げるべく、現在、鋭意検討を進めている最中でございます。
梶山委員 災害の認定がなければ、今の制度ではやはりこういった事故は宙に浮いたままになってしまうのが現状であります。今回の日立港における北朝鮮籍の貨物船に限らず、タンカー以外の船は保険に入っていても少額であり、その責任能力がなきに等しい状況ということができます。交渉がうまくいった場合でも、撤去まで約二年かかるというのが現状であります。
 そして、全国に今十数カ所放置座礁船があり、大島で座礁船が火災を起こし炎上したという例を引くまでもなく、四方を海に囲まれた海洋国日本としては、放置船による二次災害、海洋汚染を防ぐためにも、責任論とは別に、スピーディーな処理、撤去ができるよう、国において補助金や基金制度の創設など新たな財政支援措置を講ずるべきではなかろうかと考えております。
 今、港湾局長から御答弁がありましたように、国交省内に放置・座礁船等に関する検討会を設置し検討していると聞いておりますが、具体的に、どういう形でいつごろ実施できるのかをお聞きしたいと思います。
 加えて、来年度以降の予算ということになりますが、全国に十数カ所放置座礁船があるという現状を踏まえて、来年度以降この制度ができた場合に、その遡及的な措置はあるのかどうかということを含めてお伺いしたいと思います。
鷲頭政府参考人 今、先生から御指摘ございましたとおり、我が国には十二隻放置された座礁船がございます。その船主の責任により処理されるというのが原則ではございますが、無責任な船主がいるとかいうようなことで、やむを得ず自治体が処理をしたり、そのままおいてあるということでございまして、原理原則はともかく、スピーディーな処理が必要であるということは先生のおっしゃるとおりでございます。
 先ほど港湾局長の方から御答弁申し上げましたとおり、国土交通省の中では、いわゆるエアポケットになっておりますそういう部分を国として対応するために、放置・座礁船舶等に関する検討会というものを設置いたしまして、放置座礁外国船の撤去などに関して地方公共団体が負担する費用の一部を国が支援するという新たな制度を来年度、平成十六年度の予算で立ち上げるべく、準備を進めております。
 それからまた、チルソン号に関しましては、遡及的な措置を講じるということも含めて、前向きに関係省庁間で検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
梶山委員 今御答弁がありましたが、チルソン号に限らずに、十数隻ある放置船、これまでの遡及というものが可能かどうかということまで検討しているのかどうか、御答弁いただきたいと思います。
鷲頭政府参考人 放置座礁船と言われるものの中には随分昔から放置されているものがあって、物によりましては、必ずしも航行の支障になっていない、漁業にも影響がないというものもございますので、そういうものを個別に検討しながら必要なものは撤去をするというようなことを考えていきたい、こう思っております。
 したがいまして、チルソン号に関しましては、遡及的な措置を講じることも含めて前向きに検討していきたい、こう思っておりますが、全体についてはどうするかという点については、今申し上げたような事情もございますので、個別に検討していきたいと思っております。
梶山委員 今回の件を受けまして、茨城県では、予防措置として、先月の県議会で、全国に先駆けて、港湾施設の管理上著しい支障が生じると認めるときは入港を許可しない旨、茨城県港湾施設管理条例の一部を改正いたしました。国際法上との関係、SOLAS条約等々との関係もあると思いますが、国としても危険船舶の入港制限に関する法整備を早急に進めるべきであると私は思っております。
 その取り組みの状況についてお伺いしたいと思います。
鷲頭政府参考人 先生から今御指摘がございましたとおり、茨城県では、港湾施設管理条例において、港湾管理者の立場から、事故による損害賠償等の能力を有さないなど、港湾施設の管理に著しい支障が生じるおそれのある船舶の入港を制限しようという条例をつくられたというふうに承知しております。
 国土交通省では、先ほど申し上げました省内の検討会で、放置座礁外国船や無保険船舶については大変強い問題意識を持っておりまして、放置座礁外国船等による損害に船主が対応しない場合とか、無保険船舶等の入港に対しましては、国としてどういう対策をとったらいいかという点について、入港規制も含めて幅広く検討しております。
 それで、入港規制というような規制と同様に、撤去にかかわる問題というのもセットであると思いますので、それら両方をあわせまして、できる限り早期に結論を得たいということで作業を進めているところでございます。
梶山委員 検討の状況はわかりました。
 先般、茨城県議会の定例会が行われたわけでありますが、その中で、座礁船の撤去等に関する関係地方団体への財政的支援を行うこと、二つ目として、危険船舶の入港規制等に関する国としての法整備を早急に確立することということで議決をいたしまして、意見書として国の関係各所に提出をしております。
 これは、事茨城県の事例に限らずに、海洋国日本として、やはり、国としてあるべき責任と、そして行うべきことということを明確にしてほしいという地方自治体からの投げかけであると思っております。
 そういったことに関しまして、これはちょっと質問で入っていなかったんですけれども、もう一度、港湾局長、その辺の対応について決意をお聞かせいただきたいと思います。
金澤政府参考人 先生御承知のように、港湾というのは我が国のまさに基幹的な施設でございまして、座礁船等によりまして港湾の運営に大きな支障が出てくるということは非常に大きな問題でございます。
 私ども、先ほど申し上げましたように、省内に検討会をつくりまして、あらゆる側面から、どうすればいいか、可及的速やかに対処するように、今一生懸命検討しております。決意を申し上げます。
梶山委員 ありがとうございました。終わります。
上田委員長 梶山弘志君の質疑を終わります。
 次に、島聡君。
島委員 民主党の島聡でございます。
 鴻池大臣とはどうも御縁があるようで、今回は災害対策特別委員会の筆頭理事に就任いたしました。きょうは、特区じゃなくて、防災担当の特命担当大臣に御質問をさせていただくことになります。
 今、国際情勢が極めて緊迫をしている。いろいろな意味で、特定の国を指定するというのは問題があるかもしれませんが、あえてきょうは仮定の議論としまして北朝鮮という言葉を多用します。
 例えば、北朝鮮からの、仮にという意味で、弾道ミサイルというのが今現実のものになっている。ノドンで、テポドンももちろんですが、ノドンでも日本に十分届くという状況の中で、今なかなかいろいろな法整備が進んでいないという状況であります。
 ミサイルが日本に着弾する、後で防衛庁に聞きますけれども、最初は、それが果たしてミサイル発射されたものが、例えばミサイルが、人工衛星、載せていて落ちたものなのか、ある意味で侵略の意図があって、そして撃たれたのかわかりませんから、防衛出動か災害派遣かということはかなり議論がある。そうなってくると、これは後で聞きますが、初動態勢とすると、災害としてすぐに対処するのがポイントだろう。なぜかというと、現実にそこには、人命が危ないわけだからであります。
 一九九五年一月十七日五時四十六分に、阪神・淡路大震災が起きた。そのときに首相公邸にいた村山首相は、一度、官邸に来たそうであります。ところが、そのとき、だれもいなかった。だから、もう一回公邸に戻ったということだそうでありました。
 その後、恐らく危機管理ということは随分進んだんでしょう。マニュアルの整備とか連絡調整網とか、いろいろな機材は進んだと思います。しかし、いわゆる被害管理というんですか、人命救助という問題については、余り、今本当にどこまできちんとされているかということは、私は危ういものだと思っています。
 事前に聞きました。防災担当特命大臣鴻池大臣なんだから、着弾したら、最初に防災大臣は何をやるんだと聞いたら、何か、それは官房がやりますとか危機管理監がやりますとか、そういう仕事ですと。では、防災担当大臣とは何をやるんだとさらに聞いたら、いや、ちょっと調べますみたいな話になっていました。そういう場合には、防災担当大臣は一体、何をなさるんですか。
鴻池国務大臣 防災担当といたしましては、いわゆる戦争にはかかわらない、だから気をつけて発言しなきゃいかぬと思っておりますけれども、
参議院の決算委員会におきまして、御党の江本先生から、たまたま私、目が合ったものですから、同じような質問をされまして、もし東京が火の海になれば防災担当大臣としてどうするか、こういう御質問でした。私の担当は、地震、津波、火山噴火、大規模な火災等々でありまして、いわゆる戦争、戦闘とは無関係の仕事であります、ただし、国民の命、財産を守るという政治の基本的な要諦に関しては、そういう思いは人後に落ちるものではありませんと御答弁申し上げたところであります。火の海になる前に先にたたいたらどうかということを言って、それはできないと石破長官が言うものですから、できぬそうですなと申し上げておきました。
 ただ、不思議な国と申しますか、解釈、撃ってきたものが落ちたときに、これはいわゆる戦争なのか、いわゆる侵略をされようとしているのか、あるいは、宇宙開発のために、間違って落ちてきたのか。それをどうこう考える、それからの対処だ。それによって、防衛出動なのか、いわゆる消火作業なのか、そういったことを考えるというのは、私はまさに時代おくれの話だと思います。
 今、島委員が、仮にとおっしゃって、特定の国を名指されました。私も仮にということを前提とすれば、間違いなくこれに、いわゆる日本の安全と防衛の問題として対処しなきゃいかぬ、このように思っておるところでございます。
 しかし、私、防災担当といたしましては、いかなる事態になりましても、総理を補佐いたしまして対処をしていく、こういう考えでございます。
島委員 大臣、こういうことがあるんですよ。災害対策基本法第二条というのがありまして、それは、おっしゃるとおり、「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発」というのがあります。
 もちろん、私も民主党の安全保障部会長もやっていましたから、安全保障政策についてはかなり研究しています。残念ながら、今の日本の法体系では整備されていないことが多いです。今おっしゃったように、ミサイルが飛んできて、それが宇宙開発かどうかということは、確かに議論のための議論という点もないことはない。ただ、現実に落ちた場合どうするかということが果たして対処されているかということなんです。
 被害危機管理というのは、要するに、いかにどれだけ人命を救うかなんですよね。そのときに、例えば今進んでいるのは、SRMというのがありまして、サーチ、被災者を見つける、レスキュー、被災者の救出、メディスン、救急医療というのがありますよね。もっと大変なのが、本当にたくさんの方がお亡くなりになる可能性があるときに、これは非常に厳しいことですが、トリアージというのがあるんですよ。トリアージというのは何かといいますと、救命をする可能性のある方から治療するというものなんです。
 それを今、どこで判断するか。サリン事件のときには、聖路加病院の副院長たちが判断しました。聖路加病院、大したものなので、私もそれから人間ドックは聖路加病院に行っています。今の問題では、今、それを救急隊員が決めたりしているんですよ。本当にそんなことでいいのかと私は思いますね。
 大臣の権限としまして、内閣府設置法でいきますと、第四条八号に、「大規模な災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における当該災害への対処その他の防災に関する事項」というのが大臣の権限ですね。これは、そういう不備な点、今、大臣がおっしゃったことで、もちろん補佐するのは当然でありますが、私は、まず具体的に、例えば、多分厚生省か何かかもしれませんが、そういうときに、人命救助の被害危機管理、どうしてやっているんだとか、本当に救急隊員にトリアージを任せていいのかとか、どういう対応をしているか、かつ、どのように今状況が進んでいるかというのは、そういうことを特命担当大臣は資料の提出及び説明を求めることができるんです。
 だから、ぜひとも鴻池大臣が、こういうことが起きたときにどうするか。現実に何か起きたときに、もちろん、わかります、総理がいて官房長官が対処するでしょう。総理は何をやっているか。そこに確かにいろいろな優先順位があるけれども、総理がやっていることは、多分、国際的に各リーダーに連絡をとることでしょう。官房長官がやることはどんなことか。国民に対してまずスポークスマンとしてきちんとどう発信するか、決めなくちゃいけないでしょう。そうしたら、防災関係の担当大臣とすれば、今申し上げたように、危機管理じゃなくて被害管理をどうするか、そういうことをきちんと準備することだと思うんですが、いかがですか。
鴻池国務大臣 大変いい御意見を聞かせていただいたと思います。まさに、防災という、大きくひっくるめてのことだけでは済まないという想定をしなければならないというふうに思いを新たにいたしました。島委員御指摘のような細部にわたるところ、私も担当大臣といたしまして詰めていきたいと思っております。
 アメリカにFEMAという組織がございまして、日本でこれはできるかなということで、石原都知事ともいろいろな話を雑談の中でしたことがございますけれども、やはり、このシステムというのは、日本の縦割り行政と申しますか、こういうものが余りにもきつくございまして、この部分だけがちょっと難しい状況でありまして、しかし、首都圏を中心とした中で柔軟に対応していかなければならない。
 私も、その意見に賛成をしながら、今の島委員の御指摘とあわせて、人命をまずどうするかということを念頭に置いて対処をしていきたい、このように覚悟を決めております。
島委員 よろしくお願いします。これは本当にネバーセイネバーで、あり得るかもしれないことなので、よろしくお願いしたいと思います。
 きょうは、防衛庁に来てもらっています。
 実は、このミサイルの話は、私が平成十一年三月三日に安全保障委員会で質問しておりまして、その当時は野呂田防衛庁長官だったかな、野呂田防衛庁長官は、ミサイルが着弾したときには、自衛隊法八十三条に基づき災害派遣を実施するだろうという話をしました。
 私は、そのときは、自衛隊法七十六条で、「特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。」もちろん、後の事後承認がありますけれども、それでやった方がいいんじゃないかという話をして、その後に、そうですね、防衛出動もありますねというような話が、三月三日の後、三月八日に行われているようでありますが、現実に、今、このようなミサイルの着弾時には自衛隊はどのように運用をされていくのか、運用局長に来てもらっていると思いますので、答弁をお願いします。
西川政府参考人 お答え申し上げます。
 その前に、先ほど、先生、仮にある国をというお話でございましたけれども、我々、このお話をすると、仮にもそういう特定の国を指しているということ、ありますので、そういう意味では、一般論という格好でよろしく御容赦、願います。
 一般論として申し上げますと、我が国に対します弾道ミサイルが発射された際におきます我が国の対応ということで先生お尋ねでございますが、要は、その状況、先ほど大臣の方からもお話がございましたが、発射試験なのか、あるいは人工衛星の打ち上げに伴って、推力がなくて落ちたのか、そういう失敗なのか、あるいは我が国に対する組織的、計画的な武力の行使の意図があったのかどうか、こういうふうな状況に応じまして、そのケース、ケースで個別に判断されるべきものであると我々、考えております。ですから、あらかじめ、こういうふうな弾道ミサイルがあれば災害派遣だとか、あるいは弾道ミサイルがあれば防衛出動だとか、そういう形での判断というのは、対処はできない、そういう性格のものでない、こういうふうに我々、今考えております。
 そこで、弾道ミサイルの発射が我が国に対する組織的、計画的な武力の行使である、このように判断されましたときは、我々、自衛隊法の七十六条、先生から先ほどお話がございましたが、この規定に基づきます防衛出動で対処することになります。
 それから、他方、我が国に対する組織的あるいは計画的な武力の行使なのかどうか判断できないという場合もあろうかと思いますが、こういう場合にありましては、自衛隊といたしましては、現時点において最大とり得る対応を考えた場合、弾道ミサイルの着弾または落下により生じました被害を、実際に起こっている被害を最小限にとどめるといった観点から、自衛隊法の八十三条の規定に基づき災害派遣を実施するということとともに、あわせて、さらに、判断できない場合でございますが、判断ができるようにいろいろとまた情報収集体制をさらに強化して、その情報収集あるいは情報収集の結果としての事態の把握に努める、こういうふうなことを考えていこう。
 それから、これはもう基本の基本でございますが、いずれにいたしましても、御指摘の問題につきましては、事態に応じ、警戒監視体制、あるいは、同盟国あるいは友好国との連携の強化を含む各種の情報の収集機能、こういうものを強化したりしまして、極力早期に兆候をまず把握する、そして、さまざまな外交努力等によりまして、このような事態が発生しないように、回避するように努めるという努力が大事だ、このように考えておるところでございます。
島委員 もちろん、外交、情報収集をして早く把握をして、かつ、なるべく起こさないようにする、それは当然の話ですよね。
 ちょっと聞きますけれども、例えば、落ちた、着弾した。着弾した後、それが侵略かどうかということを判断するのは、どこで判断するんですか。
西川政府参考人 お答えいたします。
 今、弾道ミサイルが組織的、計画的な武力の行使に該当するか否かということについての判断でございますが、これは、申し上げましたように、その時々の状況に基づいて個別に判断する、こういうふうに言っておりますが、一般論として申し上げますと、弾道ミサイルの発射が我が国に対する組織的、計画的な武力の行使に該当するか否かは、常日ごろからやっているそういう情報とか、あるいは、先ほど申しましたような、情報交換の結果により得られた情報に基づき、いろいろ相手の意図等も勘案し、そして総合的に判断するということでございますので、これは最終的には、防衛出動についての判断権限は内閣総理大臣にございますので、政府の方で決定していただくという格好でまいると思います。
島委員 安全保障会議を開催して、それからそこで、安全保障会議に基づいて閣議決定してと、そういう手順になりますか。
西川政府参考人 失礼いたしました。
 そういう手続のあれでございますれば、先生がおっしゃいましたように、安全保障会議だとか閣議を経由して、政府として決定していただく、こういうことでございます。
島委員 安全保障会議を招集して閣議決定をする、いいんだけれども、タイムラグが生じますよね。タイムラグが生じますから、実質的には、最初は、ともかくぱっと派遣できるのは、防衛庁長官の判断で派遣できるのは、災害派遣じゃないですか。
西川政府参考人 我々といたしましては、やはりまず国の安全云々ということでございますので、まずそこを、先生がおっしゃるお話もさることながら、防衛出動に当たるかどうかの判断をきちっと定めるとともに、タイムラグというお話もございますが、やはり迅速に決定をして、防衛出動という形であるものであればやるという格好で、そこを決定していくという形で対応していく、こういうふうに考えておりますけれども。
島委員 安保委員会じゃないので余りこれを詰めませんが、意見だけ言っておきますと、災害派遣の第八十三条二項が、「長官又はその指定する者は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等を救援のため派遣することができる。ただし、天災地変その他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。」というのがあります。恐らくこれを使ってやるしかないんだろうなというふうに私は今は思っています。これはまた後で、別のところで議論します。
 それで、今度は首都、首都でもどこでもいいですが、直下型大規模地震発生時の内閣の初動体制についてお尋ねをします。
 初動体制については、これも随分いろいろな議論がされて、準備をされていると思いますが、災害対策基本法で、災害の規模により必要があるときは非常災害対策本部を設置する、さらに、著しく異常かつ激甚な災害の際は緊急災害対策本部を設置すると。
 緊急災害対策本部というのは、いまだ設置されたことがありません。これは、明確に、どういうときに設置して、どのような方法でやるかということについてお答えをいただきたいと思います。
鴻池国務大臣 ただいまの御質問ですが、それは明確なものがないんです。それで、なぜないかということも、私、この百八十日間ずっと疑問に思っておったんですけれども、いわゆるどこの場所でやるか、どの規模でやるか、それを前段にしんしゃくして判断する基準をちょっとつくりがたいという、そういえばそうだなという気もいたします。
 そこで、発災をした時点で、その規模、もっと具体的に言えば犠牲者がどれぐらいか、どれぐらいの建物崩壊があるかとか、そういったことを勘案して非常災害対策本部あるいは緊急対策本部、今までは緊急対策本部がなかったんですけれども、そういうことを決めていこうということの判断の基準というのは、その時点でしかできがたいことであるということしか、今お答えできません。そういうことを聞けば、まさにそのとおりだなというふうに思うんですけれども、何かいい御意見があったら教えてください。
島委員 恐らくそういう、どうするかという判断をするときには、やはり基準を決めておきませんとまずいと思いますので、また今度までに私も考えてみますけれども、ぜひやってください。
鴻池国務大臣 関連して、御質問ではございませんが、阪神・淡路大震災のときには、特例と申しますか、そこでもって閣議で総理を本部長とする対策本部を定めた、こういうことの歴史を聞いております。
島委員 その閣議というので、今おっしゃった、総理大臣は閣議の決定に基づいて指揮監督するわけですから、もちろん閣議が極めて重要なんですけれども、何で、例えば首都に起きた場合に本当に閣議を開けるのかどうか、そういうこともありますよね。
 では、具体的に聞きます。平成十二年四月に閣議了解された首都直下型地震発生時における内閣の初動体制についてというのがあります。私も読みました。そして、閣僚の参集場所を官邸、内閣府、防衛庁、立川広域防災基地の順に四つ定めています。官邸か内閣府か防衛庁か立川広域防災基地にそろえ、それはわかりました。参集場所の連絡に当たっては、原則としてテレビ、ラジオ放送の協力を要請するものとし、あわせて通常の伝達手段も用いるんだと。参集方法について、一、各閣僚は、首都直下型大規模地震の発生をテレビ、ラジオ放送等により了知したときはそこに集まれなんです。
 つまりこれは、テレビ、ラジオを見て来いという話なんですが、すごく危ういと思いませんか。
鴻池国務大臣 実は私、防災担当だからかもしれませんけれども、めったに神戸へ帰りませんが、例えば、神戸へ帰省をいたしました折には、神戸市の東灘区に海上自衛隊がございまして、そこにヘリコプターが待機されておるそうです。そして、私には必ず東京警視庁の護衛官、それから秘書官が四六時中一緒でございまして、テレビ、ラジオ以外で緊急連絡が入るシステムがあるようでございます、他の閣僚はちょっと私はわかりませんけれども。
 そういう状況の中で、震度六以上が日本列島の中のどこかで起きれば、その連絡によりまして、東灘区の待機しておるヘリコプターで、どうやら徳島の自衛隊の方に参りまして、東京にすぐさま戻る、こういうシステムができ上がっているというふうに聞いておるところでございますので、各閣僚に関しましても、やはりそのような、似たような状況をおつくりいただいているものだと思っております。
島委員 今、ヘリコプターで来られることは、私も事前に聞いておりました。
 何が言いたいかといいますと、阪神・淡路大震災のときに、当然、NTT回線、先ほど小野委員も言われましたように、パンクします。私も警察もちょっとやっていましたので、警察は、そういうときには自分のところの即直、警察独自の連絡を持っているそうであります。各閣僚が持っている、あるいは秘書官が持っている携帯電話がまず通じなくなるというふうに考えた方がいいでしょう。そういうときに一体どうするんだ。閣議決定、閣議を参集するというけれども、本当に集まるのかどうか。きのうも安全保障会議の定足数は何人だと聞いたら、すぐ後で教えてもらったのでわかっていますが、全員がいるともわからないわけですね、これは。
 そういうことも含めて、ぜひとも整備をしていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
米田副大臣 各閣僚との連絡体制はさまざまな手段を想定しておりまして、例えば、NTT回線とは別の中央防災無線、これは各閣僚の自宅に配置をされておる。あるいはまた、秘書官経由の連絡方法、あるいは閣僚御自身が携帯されている電話等々、さまざまな手段が連絡手段としてすべて登録をされております。
島委員 本当にプリペア・フォー・ザ・ワーストの世界ですから、特に今のこの地震は。ぜひとももう一度、果たしてどのような連絡体制になっているかということは、防災担当大臣、確認していただいて、本当に即座に閣議が開ける状態なのかどうかを確認していっていただきたいと思います。
 防衛庁にもう一問だけ聞きます。
 一般論として、弾着をする、弾着をした中に、今のイラクの問題については、国連の査察によって、例えばVXガス、サリンなどが八百四十トンあったのが今二・四トンまでなくなったとかいう話もありますが、生物兵器、化学兵器、そういうものが入っているという場合があります。
 化学兵器ですと、簡単に言えば、落ちた、大変だと、みんな阪神・淡路のときのようにボランティアがばあっと行く。非常に、ある意味で、自分たちのとうとい崇高な思いで行く。化学兵器ガスの場合には、即座に即効性でわかることがあります。しかし、生物兵器の場合、具体的に言うと天然痘のようなものの場合、すぐにわからないわけです、果たしてそれがどうなっているかとか。それに対処する方法論は、自衛隊はどのように考えていますか。
西川政府参考人 お答え申し上げます。
 今、先生、特に生物兵器のお話をされておられましたので、これにつきましては、単に防衛庁だけではなくして、内閣官房がメーンになりまして、関係省庁が集まり、これまでもいろいろ議論をしてまいりまして、その中で、防衛庁はこういうデマケ、いわゆる担当というふうな格好で、ある程度大まかな担当ができております。
 我々防衛庁といたしましては、化学兵器あるいは生物兵器に対してのいろいろな知見もございますので、これを公表して、こういう事態に対応するという形で、まずその情報収集という形で、事態がどういうふうに起こっておるのか、大体どこに落ちたのか、なかなか予測する範囲も非常に幅が広いですので、どこどこ地方と言われたってわからないわけですね、具体的に一つのものを探すのは、人がたくさんおられるところに落ちればすぐわかりますけれども。
 ですから、そういう場合には、とにかく近傍におります、そういう部隊の偵察等を専門にしておる担当者がおりますので、そういうのがまず出ていって、どのあたりでそういうものが落ちているかという、地方公共団体あるいは警察、消防等とも情報交換いたしまして、おおむねの場所を狭めていく。
 それで、一般の方が入って二次災害にならないような手を考えて、警察等と協力して、そういう地域の規制等をしながらやっていかなきゃならないというふうなことを、今、具体的な手法という格好で、議論をしていこうという格好で、中では検討しております。
島委員 端的に答えてください。確かに化学兵器に関しての対処法は警察庁は少し持っているけれども、自衛隊はどれぐらい持っていますか。化学兵器に対する探知機能、どれぐらい。警察庁が持っていることは私、前に聞いたことがあるけれども、防衛庁はどれだけ持っていますか。それから、生物兵器に対してはどういう機能がありますか、多分ないと思うんだけれども。
西川政府参考人 お答えいたします。
 突然のお尋ねでございますので、今体制といたしましては、十五の部隊が全国におりまして、六百七十名の隊員が専門的なものとして化学防護部隊としております。それから、その部隊には必ずそういういろいろな機械がございます。それから、ちょっとうろ覚えでございますが、各中隊ないしは連隊単位で、そういう検知できる、簡易な検知できる装置等はもうみんな、ほぼ持っております。
 それから、生物兵器につきましても、いろいろ、今購入しまして、さらにどこまで使えるかという形での検討をするための、装置、失礼しました、それを見分け得るような装置を既に買って、現在その運用をどうするかという実質研究も今始めております。
 そういうことで、おかげさまで大分装備はそろっておると思っております。
島委員 終わります。
上田委員長 以上で島聡君の質疑を終わります。
 次に、松原仁君。
松原委員 日本の災害史上類を見ない三宅島の災害がもう丸二年を経過し、本当に長期戦に入っているわけであります。従来なかったこの長期の災害の中で、いろいろな議論が災害対策特別委員会でも行われてきたわけであります。
 結果としては、大変に火山ガスが、まあ当初よりは噴火口から出る火山ガスは減ってきているわけでありますが、なかなかその前の状況には戻らないという中で、どういうふうにして三宅島民の将来を考えていくかということが大きな課題になったわけであります。議論の中では、さまざまな議論がありましたが、一言で言うならば、火山ガスとの共生というものを我々は目指していかなければいけない、どの段階で火山ガスとの共生ができるのかというふうな議論がありました。
 先般はこの火山ガスに関する検討会最終報告が行われたわけでありまして、ここに書いてあるとおり、三宅島の火山ガスについては長期的減少傾向にある、現在は一日三千トンから一万トンの放出が続いており、島民の全島避難が続いている。しかしながら、実際には土木作業をしている五百人前後の方が島内にいるわけでございますので、全島避難というのは、もちろん一般の方における全島避難ということになるわけであります。
 また、火山ガスの減少に伴い、この委員会でも提言をされ、さまざまな経緯の中でついにできたクリーンハウス、これがいよいよ完成をする。そして、四月中旬から、四泊五日、船中泊一泊ということでありますが、滞在型の一時帰島が始まる。これは大変に画期的なことだろうというふうに私は思っております。そういう中で、実際にその後のアクションプログラムを見据えながらも、今新しいステージというか新しい段階に三宅の災害は入ってきているというふうに私は認識をいたしております。
 まずお伺いいたしますが、この火山ガスの問題であります。ずっと長期低落でありますが、最後のところがなかなか減っていかない、見通しはなかなか立てられないという中だろうと思いますが、その中で、今後どうなるのか、やはりこの火山との共生というのはもう半世紀近い時間がかかるようなテーマになるのかどうか、そういった見通しについて、一つの見通しがあるならば、まずお伺いしたいと思います。
山本政府参考人 火山ガスの状況につきましては、先ほど先生が引用されたとおりでございまして、最盛期には五万トン、日量八万トンというようなものが出ていたんですが、最近では、多くて一万トン、あるいは三千トン、五千トンというようなレベルで推移しているわけです。
 ただ、最初のうちは下がってきたんですが、ずっと横になっているというような状況ですので、今、先生の御質問に対しまして、直接どういうタイミングになればどういうふうになるだろうかということはここでは定かに申し上げられない、なかなか見通しが立たない状態だというふうに認識しております。
松原委員 これはうちの方で通告の中に入れていなかったら大変申しわけないんですが、地震についてはどうなっているかということをお答えいただけますか。
北出政府参考人 お答えいたします。
 三宅島における地震活動につきましては、人が揺れを感ずるような地震は、一カ月間に数回程度発生する程度でありまして、低いレベルで推移しております。
 以上でございます。
松原委員 そういうふうなことで、こういった一時滞在型帰島も現実的なものになってきたというふうに思うわけであります。私は、この滞在型帰島がこの段階で早かったのか、遅かったのか、適切だったのかというのは、これは後世の判断もあろうかと思います。
 ただ、一つ言えることは、今まで三宅島でたくさんの土木作業員の方々が仕事に従事をしてこられたということは紛れもない事実でありまして、その方々の健康状態、その方々がこういった避難をした中で何か問題があったかとか、そういったことがひとつ大きな例証になるというふうに思っております。
 そうした中で、今まで長期にわたっての島の復興における土木作業をしてきた方々の健康状態は、現状に至るまでどんな状況だったのか。
 今回の最終報告の中では、例えば、長期的影響、慢性影響というものであるとか、短期的影響、急性影響というものがここに書かれているわけであります。長期の、土木作業員においては、今までの一年を超える仕事の中で、ここに書かれているような短期的影響というのがあったのか、もしくは長期的な慢性影響というものがあったのか。今までのそういった経過について、それがあったならあった、なかったならなかった、そういったものについてお伺いしたいと思います。
山本政府参考人 復旧事業のための作業員の島内居住でございますけれども、実は、最初のうちは通いで仕事をしていただいておりまして、島内に居住して仕事に従事するというふうになりましたのは、およそ二年前、十三年度の頭から作業員用のクリーンハウスが順次供用されまして、居住して仕事をするということが始まりまして、二年間これを進めているわけでございます。
 まず、短期的な、濃い濃度のガスが出たために作業を休止せざるを得なかったとか、あるいはガスマスクをつけて避難せざるを得なかったというような状況がどのぐらいあったかというのを現場にも確認しているわけですけれども、平成十三年度の場合、全体で大きく分けて八つの現場があるわけですが、そのうち六現場は、ガスが出たので危ないので作業をやめたという実績がございます。このうち、厳しい現場では、一年間に六回作業休止に至ったというようなケースがございました。十四年度は大分減ってきているわけですけれども、島の東部の濃度の厳しいところで作業休止の実績がございます。
 それから、そのほか、ガス検知器のアラームが鳴る、これは二ppm以上の濃度になりますと鳴るわけでございますけれども、ガスマスクをつけろということでつけて、一時別の地域に、低い濃度の地域に避難したという例は多数ございます。これが短期的な問題でございますが、長期的に作業員に健康被害が出たという例はございません。
松原委員 実際に二年近い、土木作業員が現地で働いていての事故ゼロということで、事故というか、いわゆる火山性のガス等による問題は起こらなかったということは、帰島する上での一つの大きな材料になるのではないかというふうに思っているわけであります。
 その場合に、今、平成十三年度では六現場で、多いところは六回というふうなことがありました。それは、今回のこのデータにある赤いラベルがついている地域に近い部分ということで理解してよろしいんでしょうか。
山本政府参考人 基本的に、詳細に問いただしているわけではございませんけれども、お手元にある地図で赤い部分で多かったというふうに理解しております。
松原委員 その場合、もちろん、先に、結果としては殊重大なことがなく終わっているということを考えれば、ガスが出るという段階でどこかで検知をし、それを知った段階で通報され、そして仕事をしている人間が退去する。まあ、退去するといったって、一分や二分で退去をするわけではないので、駆け足でしたのかどうか、その辺はわかりませんが、その辺の、実際は火山ガスがそれなりの濃度の高いのが出てきて、仕事を中断して帰るというケースの場合、それはどれぐらいの、結果として、危ないということが実際あったのか、それとも余裕を持って退去できたのか。その辺について、現場の状況がわかっていればお伺いしたいと思います。
山本政府参考人 お答えしますけれども、まことに恐縮ですけれども、細かく状況を聴取しているわけではないんです。どのようなケースがあったかということを確認しているわけですけれども、その過程で聞いているところによりますと、二ppmで鳴ります。鳴って、マスクをつけて退避しますけれども、例えば、沢の下で砂防ダムをつくっているところは濃度が濃い、しかし、ちょっとよけて丘の方に行けば濃度が薄いというようなこともあると聞いておりますので、直ちに退避宿舎に帰って、クリーンハウスに入ったということではなくて、現場から離れて作業を休止したというようなこともあるわけでございます。
松原委員 これは一つのシミュレーションになるわけですが、実際に、もう一時帰島でなくて、将来的に火山ガスとの共生、火山ガスとの共生といったって、年がら年じゅう共生しているわけじゃなくて、今おっしゃったように、火山ガスが出てきたときに、短期的影響、急性影響というものを避けるためにちょっと場所をどくというふうなことでそれはある程度クリアできるというふうなことが、実際この二年間の土木作業員の方々の現場作業でできる、つまり理解できると。
 つまり、農業をやっている人は、農業をやっていて、将来、まあこれは一つの推測で議論をしているわけですが、帰島したという場合に、そこに高濃度のガスが出てきても、それは避けることができるというふうに仮定することができるということですよね。ちょっと答弁を。
山本政府参考人 いろいろなことを仮定して、断定的なことを申し上げることは難しいんですけれども、高濃度ということになりますと、なかなか厳しいとは思いますけれども、作業員の今までのいろいろな経験からすれば、短期の問題については、避難体制をいろいろ整備してやるということは必要だと思います。
 ですけれども、あくまでもこれは土木作業のための作業員、非常に頑丈な、しっかりした大人の人間が六百人、ここで仕事をしているわけでございます。しかし、三千人余りの島民の中にはさまざまな方々がおられます。高齢者の方々もおられますし、子供もおりますので、この作業員のケースを直ちに島民の方々にそのまま引き写して、短期的な問題は大丈夫かということは、直ちには難しいと思います。
 それから、ガス検討会の報告書で整理しておりますように、どういう状態になったら島民が帰れるだろうかということを考える際の非常に大きなメルクマールは、何といっても、長時間そこに住み続けて火山ガスに暴露された場合に大丈夫かという部分が非常に大きな指標だというふうに考えております。
松原委員 後で質問しようと思うんですが、帰島も、段階的というんですか、すべてが帰島できるのか。今、この土木作業もそうですが、恐らく屈強な方々ということですよね。ですから、場合によっては、土木作業をする場合に、当然、呼吸器系の慢性疾患を持っているかどうかとか、そういうチェックはなされていたんではないかと思うんですよ。そういうふうなことを考えたときに、だれでもではないというふうなことも一つの考え方かもしれません。どちらにしても、火山ガスとの共生をどうするかということがテーマになるわけであります。
 次に、現在の家屋の状況というものについてお伺いをしたいと思います。
 大変に長期にわたってそれぞれが自分の家を離れて生活をしているわけであります。もちろん、内地に来ての生活でさまざまな精神的なストレス、中には、いわゆる現地にいては全然かからなかったぜんそくであるとか、例えば、花粉症も、内地の場合は交通のガスなんかがありますから、そういったものとの複合でなってきている場合もあるそうでありまして、現地ではないそういったものもあって、大変厳しい中で皆さん戻りたいと。戻る場合には、当然、自分の家に戻りたいというのが根本的な意思だと思うんです。しかし、現実には大変にさまざまな被害が報告をされているわけであります。具体的に、今家屋の現状についてどんな被害があるか、お伺いしたいと思います。
山本政府参考人 三宅島における家屋被害の現状についてのお尋ねであります。
 主な被害としましては、シロアリ、ネズミ、火山ガスによる屋根の被害等があるわけでございますが、まずシロアリでございます。
 シロアリは、人がそこに住んでいるということがシロアリの繁殖を防ぐ一番の大きな要因になるわけでございまして、住民が長期不在だということで非常に繁殖しております。また、火山ガスで木が枯れる、これがシロアリの繁殖原因になるというようなこともありまして、非常に大きな被害が出てきております。
 実は、昨年の前半までの七月と九月に実施した資料があるわけですけれども、調査しました百三十二世帯のうちで九十四世帯でシロアリが確認されたと聞いております。この九十四世帯のうち八十三世帯につきましては既に、三宅村が秋から冬にかけて行いました一時帰宅の際に、世帯主に立ち会っていただいた上でシロアリの駆除を実施したと聞いております。これからも、滞在型一時帰宅等もありますので、引き続き三宅村ではシロアリの駆除の事業をするというふうに聞いております。
 それから、ネズミでございますけれども、これは具体的な数字は掌握しておりませんが、住民の方々の一時帰宅の際に、きちんと駆除できるようにいろいろなマニュアルを配付してやっている、これで効果が上がっているというふうに聞いております。
 最後に、火山ガスによる屋根の腐食等による被害でございますが、十四年度末、この三月末現在で、三宅島の職工組合が調査をしておりますけれども、調査した七百八十三世帯中六百一世帯で被害が発生している。このうち、五百六十は修繕をしてくれということなので修繕に取りかかりまして、現在、五百十件が修繕を完了していると伺っております。
    〔委員長退席、島委員長代理着席〕
松原委員 今お答えにあったように、大変に厳しい被害で、東京新聞のきのうの朝刊に載っている記事でも、「室内にネズミが入った」、「畳や壁などのかび」、「シロアリ」、こういうふうなことがあって、この新聞の記事ですと、住宅修繕費は平均で三百三万円かかるというふうなことが書かれているわけです。実際には、三百三万円というお金が今の三宅避難民の方にとっては極めて難しい数字であるというふうなことも、この記事に載っているわけであります。これは後でまた質問をしていきたいと思います。
 次に、今回、三百人規模のクリーンハウスが完成するわけであります。とにかく、三宅の方々にとってのストレスは、一体いつ帰れるのか、一体いつ帰島できるのかと。希望があれば今の厳しい生活、厳しい精神的な環境も乗り越えられる。帰れるかどうかというところが一番大きな問題になっているわけでありますが、そのためにはクリーンハウスというのは一つの起爆剤になると思っております。
 お伺いしたいんですが、今回のクリーンハウス、そういった意味で当然大事なんですが、特にそのねらいというか、クリーンハウスでこういったことをぜひ目指していきたいんだということがあれば、お伺いしたいと思います。
山本政府参考人 この施設自体は避難施設としてつくったものでございますけれども、現実には御指摘いただきましたような効用を非常に重視しておりまして、まず、今年度から住民の方々の滞在型の一時帰島に使う。滞在型で、各集落ごとにグループで帰られます。集落の自分のおうちはもちろんですけれども、集落全体、居住するためにどういう被害があるのか、どういう手当てをしなきゃいかぬのかということを居住者御自身が自分の目で見た上で、いろいろ考え方を整理して、村御当局とどういう手当てをしていかなきゃいかぬかということを整理していく基盤になる、そういうふうに使うことで非常に意義があるというふうに受けとめておるわけでございます。
松原委員 このクリーンハウスというのはとにかく画期的で大事なのでありますが、クリーンハウスで生活をし、その次の展望というところまで今語れるのかどうかというのは、火山ガスとの共生というテーマを含めて議論になってくるわけですが、次の段階では、私はこの災害対策委員会で前にも御質問いたしましたが、クリーンハウスというのは現実的なものとしてできているわけでありますが、火山ガスが減らない場合、各戸にクリーンルームをつくるというところまで考えていかなければ実際の帰島後の生活というのは難しいのかもしれないし、もしくは、当面クリーンハウスは今一棟三百人ということでありますが、これの数をふやして、そこに集団で住むような方向性もクリーンハウス後の展望としてあり得るのかどうか。これも一つの推測の議論になってくるわけでありますが、お伺いしたいと思います。
    〔島委員長代理退席、委員長着席〕
山本政府参考人 まず、クリーンハウスは避難施設として整備しますので、そこでずっと居住するということはなかなか想定されないだろうと思います。
 実は、三百人のクリーンハウスのほかに、作業員用のクリーンハウスが全島に六百五十人分いろいろな集落に配置されておりまして、そこに人が住む場合に六百五十人ですが、いざというときには避難施設として一千人近く人を収容できるというふうに聞いております。
 ですから、今度住民の方々が実際に現場を見て、それを避難施設として使う、しかし、そういう避難施設だけじゃなくて、御指摘がありましたように、自分が住んでいるところに一室クリーンルームがある、そういうふうな手当てをしなきゃいかぬという判断になるのか。それは、これから村御当局がいろいろ検討されて方針を定めていくべき事柄じゃないかと思います。
松原委員 そうしたときに、どちらにしても大変に問題になってくるのは、経済的な部分の議論になってくるわけであります。経済的部分の議論というのは二つありまして、実際に三宅に戻ってから収入があるのかというのは、これも大変大きな議論でありまして、戻ったはいいけれども、なかなか生計が立てられないということもあり得ると思います。そこはある程度また国がどう援助するかということも含めての議論があろうかと思いますが、それ以前に、先ほど申し上げたように、シロアリやネズミ、イタチ、それから火山性ガスによる雨によって屋根に穴があいて下がだめになってしまったとか、そういう家屋の修繕自体に三百万円平均でかかるというふうに今言われている。
 こういう中で、こういった部分の費用に関してどこまで個人がリスクを負うべきなのか、どこまで公がそれをお手伝いするのかという議論が、実は大変に大所高所からの議論で必要になってこようかと思います。言葉でいうところのいわゆる自助、みずから助ける自助、そしてともに助ける共助、これは保険制度とかそういうのがあるわけでありますが、公助というのは公が助ける、自助、共助、公助というのがどういうふうにバランスするのかということは、実は超党派の地震議連でもずっと議論としてされてきたわけであります。
 例えば、道路に積もっているさまざまな火山灰を除去するのは公がやる。しかし、個人の家の庭のものは個人の私有財産の範疇だから個人がやるというふうな判断が従来の一つの判断であったわけでありますが、私は、この部分が非常にこれから問われていくのではないかというふうに思っております。
 特に、三宅の場合は全島避難ということでございまして、おれの命はリスクにさらしていい、おれは戻って家の修繕をするんだという人間が戻ることは、物理的にできなかったわけであります。途中で彼が戻っていれば、三百三万円の修繕費は五十万で済んだかもしれない。しかし、何といっても物理的にも、島という環境でありますから、その辺が他の場所と若干違う要素かなと。災害自体が継続をしているということがあったわけであります。
 そこで、自助、公助、共助という観点から、私は、三宅島の今回の災害については、隔絶した離島という悪条件の中で、家屋等の修繕についても、それを予防することすら現実にできなかったというふうに理解をしております。そういう意味で、私は、これは限りなく公助で復興させるべきではないかというふうに考えているわけでありますが、この点を大臣にお伺いいたします。
鴻池国務大臣 私も就任をいたしまして、十月になりましたけれども、三宅を視察いたしました。ただいまの住宅の話でございますが、大変な状況でありました。神社の鳥居も首が出ないような状況下でありました。それから、相当、冬もありましたし、風雨もあったでしょうから、よりひどい状況になっておると心を痛めておるところでございます。
 今、委員の、自助、共助、公助、これは非常に大事な言葉だと私はとらえております。阪神・淡路大震災の後九年を経た今も、この議論が続いておるところでございます。
 国といたしましては、やはり私は、公助の範囲というものは従前どおりの考え方、いわゆる個人資産というものは、やはり個人が管理、あるいはみずから自助をもって立ち上がらなければならないという考え方でありますし、私、個人的にもそのように思っておるところでございます。しかし、ただいまの委員の御発言も、まさに感情的にはその部分を大切にしなきゃいかぬなというふうにも思っております。
 これはやはり、村そして都がその範囲の中でどのように御配慮されるか十分お話をされ、御結論を得て、国がそれにどう連携をしていくかということを考える。順番とすれば、そういうことになろうかと思っております。
松原委員 国が何を国民に対してするかという問題があります。国が国民の生命財産を守るというのは、基本中の基本であるというふうなことでありまして、非常に難しい議論であることは事実です。基本的には、それぞれの個人の財産は個人が守るということは、極めて当たり前の考え方であろうと思います。
 しかし一方において、ちょっと事例がいいかどうかは別でありますが、昔は、北海道の開拓には屯田兵というのが行って、さまざまな援助の中でやった。つまり、日本の国の全体の均衡ある発展、今は海洋資源の時代とも言われている中で、そういう中で、やはり隅々まで人が住んでいることの国益上の意味というのはあると私は思うんですよ。もちろん、それぞれの国民は貴賤の別はないわけですから、国からのそういったものはどこにいても同じようにあってしかるべきですが、やはり国益上ここの、例えば離島についても、必ず人がいるということの意味というのは、私はないがしろにできないというふうに思っているわけでございます。
 もう一方において、申し上げたように、三宅の場合は今家屋の修繕費が三百万かかる、これは新聞の情報でありますが。途中で、全島避難ですから、おれはいたいよと言って、いられる状況ではないわけでありまして、強制的に自分の財産から、もちろんそれは、いれば、さっきの濃度の濃いガスで死んでしまうかもしれない、中には、おれは濃いガスと闘うんだ、自分で防毒マスクを買ってやるんだというのがいたかもしれない、非常に難しい議論ですが。
 そういった意味では、ここの三宅の、例えば三百万という家屋修繕費がかかるとするならば、これは自助ということではなくて、公助でやるべきじゃないかと私は思っているんですよ。
 そういった意味では、国が強制退去をしたケースとか全島避難しなさいというケースとか、一定のケースで、どこまでは公助でやるべきなのか。財務省は私有財産は全部自助だと言うかもしれない、しかし、そういう単純なものではなくて、日本が全体の中で、これも日本の国の名誉とプライドと繁栄を誇っていることを考えるならば、そこの議論はする必要があると私は思うんですが、大臣にお伺いしたいと思います。
鴻池国務大臣 鳥取で地震が起きましたときに、知事の判断で家屋の再建の資金の一部でしょうか、いわばお配りになりました。地方公共団体の裁量範囲でできるものはできるというふうに判断いたしておりますが、国として小切手を切るということはできない相談である。
 しかし、その中にいろいろな工夫というものがございますので、阪神・淡路大震災のときにおきましても、また新たに知事会で御検討をちょうだいしているようなものを今後どのように扱っていくかという、まさに議論をしてはならないという話ではないと私も考えております。
 ただ、もう一つ申し上げますと、国が退避命令を出したわけじゃございません。村長が退避命令を出しました。
松原委員 それは現実に村長ですが、当然、国のその意向があったわけであって、確かに名目上は村長かもしれないけれども、やはりそれは一体の中での議論だというふうに私は理解しているわけです。
 ですから、私が申し上げたいのは、今、例えば、教育基本法もひとつ考え直そうじゃないか、私は大事なことだと思うんですが、そういうふうな時期でありますから、従来の財務省の判断ではなく、公助はどうあるべきか、自助はどうあるべきかということをやはりここで一回議論して、個人個人が、アトム化された個人ではないという中の、国というものに誇りを持つような社会をつくるなら、やはり国はそういうふうなものでこたえなければいけないところもあるだろうし、一体の中で私はぜひとも、もう時間がないからやめますが、一体の中でこの部分の議論をぜひとも展開していただきたいというふうに思うわけであります。
 時間が参りましたので、これで終わります。以上でございます。
上田委員長 松原仁君の質疑を終わります。
 次に、前田雄吉君。
前田委員 民主党の前田雄吉でございます。私は、きょうは基幹的広域防災拠点の整備について伺いたいと思います。
 私の地元は、東海豪雨の最大の被害地でありました。その折にいろいろなことに問題点としてぶち当たりました。私、二週間、ヘルメットをかぶって復旧作業をやらせていただきました。自衛隊のボートを水の中で押し、おばあさんを二階から運び出し、さまざまなことをやっておりました。
 その折に問題点として挙げられましたことを一、二例挙げますと、荷さばき場がない。援助物資を全国から受け入れる中で、その荷をさばく場所がなかった。また、ボランティアの皆さんがあの小さな枇杷島町に一日千八百人入られる、その折に皆さんがお泊まりいただけるようなベースキャンプもなかった。公共施設を何とか、公民館をお借りしようとしても、九時以降はそんな宿泊させるような場所じゃないと言って断られたりしまして、結局、私が営んでおりました学習塾の二階に、机をどかしてボランティアの皆さんに泊まっていただいたりしました。
 荷さばき場の話ですけれども、例えば、東京のゴム長靴協同組合から、一千八百足、長靴をいただきました。四トン車で三杯、私の事務所の前にうずたかく積まれましたけれども、なかなかそれをさばくスペースもなかった。
 あと、善意のテレビを全国からいただきましたけれども、そのテレビ一台一台に、寄附をしていただいた、送っていただいた方の住所、名前を張ってある。そこに一通だけお礼のお手紙を出してくださいということで、集まってきたテレビを配らせていただきましたが、何と七百五十台集まってきましたら、これを保管する場所もなく非常に困ったわけであります。こうした災害時におけるさまざまな問題を解決する一つの大きな秘策がこの基幹的広域防災拠点だと思っております。
 今、皆さんにお配りさせていただきました「基幹的広域防災拠点整備のイメージ」という図がございます。これは内閣府さんがおつくりになった図でありますが、平時におきましては陸上競技場であり駐車場であった場所が、災害時におきましては、そこが援助物資の荷さばき場になる、あるいは、いろいろな広域支援部隊のベースキャンプであり、医療部隊のベースキャンプになるといった、災害時に災害を減災する、いかにいち早く復旧をさせるかといった場所として非常に整備が望まれるところであります。
 私は、防災ヘリの飛行距離がちょうど二百キロぐらいだと聞いておりますので、これでこの基幹的広域防災拠点を全国土に、我が災害列島に七、八カ所で整備できれば、いかなる災害をも収束し得るところではないかというふうに思っております。ひとつ、この基幹的広域防災拠点整備ということで、我が名古屋の事例を挙げてきょうは質問させていただきたいと思っております。
 名古屋空港に関して言えば、中部国際空港との一元化が今進んでおるわけでありますけれども、その一元化後の名古屋空港の用地利用策として、地元は基幹的広域防災拠点の整備を考える方が多くおります。首都圏は実際に整備に入っているわけであります。また、京阪神圏はこれも調査が進んでいるというふうに伺っております。
 それでは、名古屋圏における基幹的広域防災拠点の整備をこれからどういうように進めるのかという検討状況について、内閣府に御説明いただきたいと思います。
山本政府参考人 首都圏における基幹的広域防災拠点につきましては、一昨年の六月十四日に都市再生本部が都市再生プロジェクトの第一次決定の中で整備するという方針を決めました。これは、今まさに御指摘がありましたように、阪神の教訓を踏まえまして、陸側に立川の防災基地がございますけれども、海から的確に防災活動ができるための広域的な拠点として、国が前に出る形で基幹的防災拠点をつくれという方針が決められたわけでございます。その後、公共団体も含めまして関係機関の調整を踏まえた上で、有明の丘地区、それから東扇島地区において整備するということで、平成十四年度補正予算で着手しているところでございます。
 それから、近畿圏につきましては、やはり同じ一昨年の都市再生プロジェクト第一次決定の中で、東京については国が前に出る形で基幹的広域防災拠点をつくるけれども、近畿圏においてそういう必要があるのかどうかということも含めて関係者で議論しろということが決まりました。直ちに十三年度からこの協議を始めておりまして、今、最終的に報告をまとめようとしているところでございます。
 お尋ねの名古屋圏についてでございますけれども、非常に稠密な市街地が都道府県の範囲を超えて広がる大都市圏の一つでございます。広域防災拠点の必要性、重要性もありますので、内閣府において所要の予算を確保しまして、近畿圏と同じような検討委員会を設置して、まず広域防災拠点は都道府県にもつくっていただきますので、都道府県がつくっていただく拠点のネットワークで十分なのか、それとも国が出ていく基幹的防災拠点が名古屋圏に必要なのかというその必要性の問題も含めまして、防災拠点の配置計画等を検討して、十五年度中に報告をまとめていきたいと考えております。
前田委員 広域防災ネットワークの専門家の検討委員会が名古屋も開かれているわけでございます。災害はいつ起こるかわからぬわけでありますので、特に、東海地区は、東海大地震、百五十年の周期で百四十八年起きていない。東南海・南海地震を加えれば、トリプルでもし発生したら非常に甚大な被害をこうむることになるわけでありますので、いち早い検討状況を願いたいと思っております。
 名古屋空港の話について言えば、これは民間と航空自衛隊の共用地でありますので、名古屋空港においてもし基幹的広域防災拠点を整備するということになった場合、どのような形で防衛庁は御協力いただけるのか。ちょうど、名古屋空港において空港の着陸帯を県の方が購入の意思を固めた、そして、県が設置管理者になるというわけでありますので、こうした点を踏まえて、防衛庁として将来、基幹的広域防災拠点整備を考える場合どのような御協力をいただけるのか、お答えいただきたいと思います。
西川政府参考人 お答え申し上げます。
 防災拠点の整備が大変重要であるというふうに我々防衛庁・自衛隊としても考えておりまして、これまでも、首都圏あるいは京阪神都市圏のこれらの整備の検討に際しましては、参加しまして積極的な取り組みをしてまいりまして、必要な協力を行ってきたところでございます。
 とりわけ、今回、三大都市圏の一つでございます名古屋圏にありましては、先生御指摘のように、東海地震あるいは東南海・南海地震などの発生が懸念されているということでもございまして、広域防災拠点の必要性あるいは適正配置等を含む広域防災ネットワークの整備、連携につきましては、内閣府を中心に検討委員会を開催されて、今後検討されるものと承知しております。これに対して、防衛庁も同委員会に委員を参加させよう、現在こういうように思っております。
 なお、先生お尋ねの、どういうふうに活用するのかというお話でございますが、名古屋空港が広域防災拠点として担うべき機能等については、名古屋空港を広域防災拠点として整備を進めていくか否かも含めまして、今後、内閣府を中心に、さらに先ほど申しました検討会等で検討される課題であろうかとは思っておりますが、その際に、防衛庁としては、同空港が先生御指摘のように自衛隊と共用する民間空港である、こういうことの特性を踏まえた特色のある形での検討を進めていただくべく、いろいろ我々の知見なりもどんどん出していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、防衛庁・自衛隊といたしまして、これらの検討を通じ名古屋圏の防災体制の構築に寄与するほか、名古屋圏において広域防災拠点が整備された以降は、かかる場を活用させていただいて、地方公共団体あるいは関係省庁と連携した防災訓練をやっていきたい。そして、これにより、さらなる防災対処能力の向上に努めてまいりたい、こういうように考えているところでございます。
 以上でございます。
前田委員 災害時における自衛隊の緊急出動等ありますので、これは防衛庁の方もこれから真摯に御検討いただきたいと思っております。
 また、発生時に災害医療の主管は厚生労働省であるわけでありますので、私は、空港ターミナル、これが名古屋におきましては使われなくなるわけでありますので、この空港ターミナルに救急救命病院もしくは救急救命センターを設置することができないかというふうに考えております。被災地では、重篤患者の救急救命率を高めるためには、やはり初めの七十二時間、もっと言えば、最初の四十八時間が勝負となるわけでありますので、防災ヘリで、基幹的広域防災拠点をつくった空港にこうした救急救命病院、あるいは救急救命センターがあれば非常に救命率が上がるのではないかというふうに私は考えております。
 空港とセットで、空港内にこうした病院をつくる、あるいはセンターをつくることに関して、厚生労働省はどうお答えをいただけますでしょうか。
篠崎政府参考人 先生の御指摘のように、救命率の向上には、対応が早ければ早いほどいいわけでございます。
 御指摘のように、地域における救急医療体制の確立は大変重要な課題の一つと考えておりまして、医療計画に盛り込みまして、地域の実情に応じた災害救急医療体制を組んでいただけるように、都道府県に対して求めてきたところでございます。
 御指摘の、今申されました救命救急センターにつきましては、重篤な救急患者を二十四時間体制で三百六十五日受け入れるという第三次救急医療施設でございます。各都道府県におきましては地域における整備の必要性を審査していただいて、私どもと協議の上承認する、こういう形になってございます。
 先生先ほどから申されておりますように、愛知県の問題でございますので、その件につきましては、愛知県においてまず御検討いただいて、私どもといたしましては、愛知県から具体的なお話があればその実情に応じて対応していきたいと考えております。
前田委員 今御答弁いただきましたように、県の方の要請があり、申請があれば国でも御検討いただけるということだと思います。空港ターミナルが使われなくなる、何とか救命率を上げるためにそこに救命センターをつくりたいという一つの提案でございます。
 今は、中部国際空港への一元化後の名古屋空港の用地利用策として、そこに基幹的広域防災拠点をつくったらどうだという提案をさせていただいておりますけれども、元来、空港そのものに防災機能を備えるべきではないかというふうに私は考えております。さまざまな公共施設が災害時のことを考えて建設されているわけであります。例えば、道路について言えば、もちろん耐震も考えられておりますし、そしてサービスエリアを利用した災害時における物流も考慮しておられるわけであります。河川について言えば、河川敷に緊急の河川敷道路も敷設されております。港湾について言えば、緊急時の耐震シーバースも考えられているわけでありますので、私は、ぜひ空港そのものにこの防災機能を持たせるべきではないかというふうに思っております。
 航空法には、災害時にどうするのかという規定がありません。こうした点も踏まえ、空港が防災機能を持つということに関してお答えいただきたいと思います。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 一般論で申し上げまして、空港は、災害時においては災害時の緊急輸送基地として重要な防災機能を担ってございます。さきの阪神・淡路の大震災のときにおきましても、大阪の伊丹空港あるいは関西国際空港というものが、国内あるいは国際の輸送基地として機能をしたところでございます。
 県におかれて、名古屋空港の跡地利用の方策として、いわゆるゼネラルアビエーション空港として活用する、かてて加えて、これを防災の拠点として位置づけたいという考え方があることは私ども、承知してございまして、そういう意味で、県の方から具体的な御相談があれば、航空行政の立場からも可能な範囲での協力をさせていただきたいと思っております。
 なお、全国の空港施設、空港の持つそういう防災機能に着目して、阪神・淡路の震災の後、全面的にチェックを行いまして、空港の構造物、無線施設等も加えまして、防災措置がちゃんととられているかどうかということをチェックして、必要な措置をとっているところでございます。
前田委員 ただいま空港の防災機能の整備に積極的な御答弁をいただきました。とにかく、空港は重要な防災機能を担うわけでありますので、その点ひとつよろしくお願いしたいと思っております。
 我が東海地域について言えば、冒頭に申し上げたように、東海大地震、東南海地震そして南海地震、その発生を考えますと、発災時に、災害が発生した場合に、名古屋圏で、被災地の上空が、空域が混乱することが考えられると思いますね。そこで、私は、名古屋空港に防災拠点を置いて、例えば、東海地域に三つの地震がトリプルで発生した、そうした場合に、被災地上空の空域統制をすべきであると思います。
 実際、阪神・淡路の大震災のときも、上空に百八十から二百機のヘリが狭いエリアで飛行して、非常に危険でありました。もともと航空法にも災害を想定していないために、阪神・淡路の震災のときは自衛隊が空域統制をしたというふうに伺っております。また、ワールドカップのときも、テロ対策ということでスタジアムの上空を空域統制して、ヘリを入れないようにしたということもありました。
 被災地上空の空域統制についてどのように考えるのか。それにつけても、空港に広域防災拠点をつくり、より迅速に空港の防災機能を考えるべきではないかというふうに私は思いますけれども、この点について、いかがでしょうか。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 被災地上空におきます航空機の安全対策につきましては、阪神・淡路大震災が発生しましたときに、報道とか取材、そして救援、被害状況把握などのために、被災地上空において航空交通が非常にふくそうしたということを踏まえまして、このような大規模な自然災害等に際しまして、被災地上空におきます救援航空機の円滑な活動を支援する、そして飛行の安全確保を図ることを目的といたしまして、平成八年に、当時の運輸省、郵政省、警察庁、防衛庁、消防庁、日本新聞協会、そして事業者の団体でありますところの全日本航空事業連合会等の相互協力のもとにおきまして、災害時における緊急航空機等の安全対策マニュアルというのを作成いたしました。
 このマニュアルによりまして、具体的に、一定空域での飛行の注意喚起であるとか、救援機以外の航空機に対する飛行自粛協力要請等の措置とか、航空機が多数飛来する臨時の離着陸場の周辺空域において、地上からパイロットに離着陸の順番等の航空交通情報を提供する場合に、その情報を聞き、そしてそれに従うことを推奨するとか、あるいは、救援物資の支障となる飛行または危険な飛行を行う運航者に対する個別の協力要請等々、いろいろな対策を整理して決めたところでございます。
 このマニュアルに従いまして、これまで日本海沿岸の重油流出でありますとか、有珠山、三宅島の火山噴火などの際に、周辺空域での飛行の注意喚起等を行ってきたところでございますけれども、このマニュアルが被災地上空におきます効率的かつ安全で秩序ある飛行の確保に有効なものであると考えております。
前田委員 これは大事なことですので、ぜひこれからも進めていただきたいと思います。
 次に、基幹的広域防災拠点の整備の財源ついて伺いたいと思います。
 私は、公共事業そのものが、高速道路等の社会資本整備に重点を置く部分から、環境、防災に特化した、そうした公共事業のあり方に変わっていくべきではないかというふうに思っております。
 首都圏における防災拠点の整備は、これは首都圏だから認めるということで、全国で基幹的広域防災拠点は一カ所でいいんじゃないかというように、何か財務省はお考えのように私はちょっと聞いておりますけれども、三大地震に備えている中で、ぜひ私は各地域に広域防災拠点の整備が必要ではないかというふうに思っておりますので、私は、この基幹的広域防災拠点の整備にやはり手厚く予算を振り分けるべきではないかというふうに考えております。
 また、財源の話を考えますと、もともとその事業手法は、こうした広域防災拠点、四十ヘクタールから六十ヘクタール必要だと言われておりますし、オープンスペースの確保の事業手法が現在は公園か港湾緑地であるというふうに伺っております。これは、公園とか港湾緑地なんというふうに考えるんじゃなくて、もともと防災拠点ということで事業手法をとるべきじゃないんでしょうか。そうした考え方に事業手法自体を変える必要があると私は思いますけれども、どのようにお考えなのか、伺いたいと思っております。
牧野政府参考人 お答えをさせていただきます。
 幾つか御質問いただいたと思いますので、まとめて答えさせていただきますが、まず、基幹的防災拠点を全国一カ所ではなくもっとふやすべきではないかというお話でございます。
 先ほど内閣府から御答弁がございましたが、平成十三年六月の都市再生プロジェクトで、東京、首都圏については基幹的広域防災拠点を整備するということが決められたわけでございます。大阪については基幹的広域防災拠点の必要性も含めて検討、そして名古屋につきましては、今地元で、内閣府、国土交通省などと一緒に協議をされているという段階だと考えております。
 東京地域、首都圏は、単に関東地域の中心というだけではなくて、国の行政、立法、司法、その中枢機能がすべて集まっているということで、私どもの考え方では、大阪あるいは中部圏とやはり性格が異なるだろう。ですから、広域防災拠点が必要ないと申し上げているわけではなくて、基幹的広域防災拠点として国がどこまで積極的に関与していくかということは、おのずとそれぞれの地域の特性によって差が出てくることはあり得るんではないかというように考えております。
 ただ、今の段階で、東京一カ所でいい、先生がおっしゃいましたが、そう決めているわけではございません。これから大阪での御議論あるいは名古屋での御議論などを伺いながら、その上で、国と地方の役割分担ということも踏まえて、どういう整備が適当なのかということを考えていきたいと考えております。
 それから、公共事業の配分を、従来の高速道路とかそういったものからこういう防災的なものに重点化すべきではないかというお話でございます。我々、そういう考え方は当然、防災だけというわけではないんですが、御指摘の防災や環境分野というのが重要だということは認識しておりまして、それにはそれなりに力を入れてきているつもりでございます。
 ただ、同時に、例えば、公共空間のバリアフリー化でございますとか、大都市圏の拠点空港の整備もやはり日本の国際競争力を保つためには重要でございますし、それから、先生おっしゃいました有料道路に代表されるような交通基盤につきましても、そういった整備や地域活性化とかの諸課題にこたえる上で極めて重要なものだと考えておりますので、やはり私どもはいろいろなニーズを踏まえながら、適正な社会資本、バランスのとれた社会資本整備をやってまいりたいと考えております。
 それからもう一点、従来は公園それから港湾緑地が中心だった、それをもう少し変えられないのかというお話がございました。これは、一番問題になりますのは、防災のための拠点でオープンスペースを確保するわけでございますが、では、それを平時はどうするんだということで、やはり平時の利用ということを考えますと、従来は、公園あるいは公園的なものがベストであろう、そうして、災害時にはそこにいろいろな物資を集積するとかそういう使い方ができるということで、今回の東京の基幹的防災拠点も、それから、今、補助事業でやっております広域防災拠点整備緊急事業、これは十ヘクタール以上の、そういう拠点を整備できる事業でございますが、こういったものはやはり公園事業でやらせていただいているということで、我々は、そういうオープンスペースの平時の活用ということを考えますと、今のやり方で特段問題はないんではないかというように考えております。
前田委員 平時の場合のあり方を考えて公園とか港湾緑地という話もありましたけれども、私は、平時の場合においても、こうした基幹的広域防災拠点は、例えば、その中に災害体験館、今実際にあるところもありますけれども、そうしたものをつくり、子供たちのいわゆる防災教育に与えられる部分もあったらいいなというふうに考えております。
 ですから、公園とか港湾緑地だけに手法を限るのは私自身はまだ納得がいかないところでありますけれども、時間が大分迫っておりますので、最後の質問です。
 この基幹的広域防災拠点の整備について、京阪神の場合は土地がない、京都、大阪、神戸の地域間格差の調整も必要であるというわけでありますけれども、一方、名古屋圏においては、名古屋に人口が集中して、明確に大都市近郊に広大な土地がある、それが今の名古屋空港用地であるわけでありますので、候補地として名古屋空港が最適であると私は思いますが、防災大臣、いかにお考えでございましょうか。
鴻池国務大臣 委員の御質問や役所側の答弁を聞いておりまして、大変結構な御答弁が役所からもあったと思います。洞局長なんかは、いいじゃないのというような感じではなかったかと思いますが、やはり一つの、検討委員会の検討段階というのは非常に必要でございますし、地元、関係諸団体との検討を重ねていただきまして、委員の情熱をぜひとも高めていっていただいて、私は、東京だけに必要だと、財務省もそういう意味では言っていないと思いますけれども、人の命、人のこれからの災害救助というものに関しては、これは日本国じゅう、あらゆるところで当然、必要なことだと私は思います。特に名古屋圏という大変な人口を抱えておるところについても、積極的にお取り組みをいただかなきゃいかぬというふうに思っておるところでございます。
前田委員 ありがとうございました。失礼いたします。
上田委員長 次に、一川保夫君。
一川委員 自由党の一川保夫でございます。
 これは大臣にお答えいただくのか、どなたかわかりませんが、私は、衆議院本会議で社会資本整備重点計画法案の質疑の折に防災担当大臣にもちょっとお聞きしたことがあると思いますけれども、今日のいろいろな自然現象なり、いろいろな社会的な現象、経済的な現象を見たときに、非常事態に対処するための体制の整備なり法制の整備というのは非常に緊急を要するというような問題意識のもとで、社会資本の整備にあってもそういうことを意識しながら整備すべきだということを質問させてもらったことがあるわけです。
 災害対策基本法という非常に伝統的な法律があるわけですけれども、この法律の中で、災害というものに対する定義ということも書かれております。基本的には、異常な自然災害というものを想定した法律であっただろうというふうに思いますけれども、その後のいろいろな経済発展、いろいろな世の中の状況変化等に合わせまして、最近では、これは政令段階で書かれているわけでございますけれども、大量な放射性物質ですか、そういったものによる事故だとか、船舶の沈没等による事故等も、被災の程度によっては災害の範囲に含めるんだというような解釈もあるように聞いております。
 では、最近話題になっております、先ほども島委員から冒頭ちょっとそれに関連したような質問がありましたけれども、大規模なテロが発生した折、海外から急迫不正の侵略があった場合、それはこの法律で本来は想定していないケースかもしれませんけれども、しかし、被災を受けた程度ということであれば、初期的な行動につきましては、防災担当大臣は災害対策基本法に基づいて対応した方が対応しやすいというようなケースも場合によってはあるかもしれませんけれども、大臣は、この災害対策基本法の災害の定義というものについて、最近の、特に大規模テロというようなものも含めて、どういう認識を持っておられますか。御説明をお願いしたいと思います。
鴻池国務大臣 委員御認識のように、災害の定義というものにつきましては、暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、津波、噴火等の異常な自然現象による被害に加えまして、大規模な火事、爆発その他大規模な事故による被害を含む、こういうふうにされておるところでございまして、それ以外のものは政令で定める、こういうことであります。そして、ただいまもお話しのように、放射性物質の大量放出と多数の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故、こうなっております。
 ただ、その中に、ただいま御指摘の外国からの侵略や大規模なテロを原因とする被害については、この適用は想定をしていないということでありますし、ただいまのところ、私もこれに従ってそういう施行を続けておるところでございます。
一川委員 そういうことだろうと思うんですけれども、ただ、この対策基本法の災害に適用しないんだというふうに言い切ってしまうのもちょっとおかしいなという感じも私はするわけです。
 ニューヨーク等での同時多発テロが一昨年発生した後、これは消防庁の通達ですか、何かそういうふうに対処するようなことを含めた、そういうたぐいの、テロの発生に対する対応ということで何か通達めいたものを出されたというふうにも聞きましたけれども、そういうことからすると、今よりどころにするような基本的な法律というものがほかになければ、この基本法に基づいての応急対策というんですか、そういうものの行動があってもいいように思いますけれども、いかがでしょうか。
鴻池国務大臣 先ほども議論の中で私も発言しました、今は昇格をしたそうですが、アメリカのFEMAという組織、これは日本には当然、今ございません。しかし、少なくとも首都圏で連携をとりながら似たようなものをつくっておく必要があるのではないかという気持ちは、私は変わらないものを持っておるところでございます。
 ただ、防衛論議に発展してしまいそうなので、これは避けなきゃなりませんけれども、事態事態を考えて、考えてというよりも、その事態が生じたときにどう行動するかということも考えておかなきゃいかぬことだろうと思います。それは、あくまでも、極めて建前的なことでございますけれども、総理の極めて近いところで防災担当大臣として補佐をする、こういうことに尽きると思います。
一川委員 先ほど大臣もちょっと触れたかと思いますけれども、国民の皆さん方が、何か大きな出来事が自分の住まいの周辺で発生した折に、それはどういうことが原因で起こったかというのは即座に判断できないようなケースというのはあるような気がしますよね。それをずっとたどっていけば、外国からの侵略だったかもしれない、それはわかりませんけれども。
 そういうことを考えますと、やはり我が国、基本的には、冒頭言いましたように、それがどういう原因であろうと、非常事態に対する対処の仕方、体制づくりなり、法案、法制度の整備、そういったものがある面では急がれるなというふうに思いますので、それまでの間といいますか、そういうものが国民的なコンセンサスが得られるまでの間、防災担当大臣としては責任のある行動をぜひお願い申し上げたい、そのように思っております。
 さて、その次に、ちょっと事務的な確認をさせていただきますけれども、防災基本計画というものが策定されております。中央防災会議がこれを策定するということになっております。昨年の四月だと思いますけれども、風水害に対するいろいろな対応、それから原子力災害に対する対応ですか、そういうプロジェクトチームをつくって防災基本計画の修正をされたというふうにお聞きしております。
 これについての修正は一応されたわけですけれども、これから残された何か課題めいたものはあるというふうに認識されているのか、いや、大体これで終わりだというふうに認識されているのか、そのあたりの見解をお聞かせ願いたいと思います。
山本政府参考人 防災基本計画、災害対策基本法に基づきまして中央防災会議が作成します、我が国の防災に関する基本となる計画でございます。
 この計画に基づきまして、指定行政機関が防災業務計画を、地方公共団体は地域防災計画をつくって事に備えていくわけでございます。御指摘がありましたように、しばらく前の、都市における地下街とか地下室の災害、あるいは原子力災害を教訓として、この基本の部分を変える必要があるんじゃないかということで、二年前に中央防災会議に防災基本計画専門調査会を設けまして、論議をしました上で、御指摘のように、昨年の四月に、風水害対策、原子力災害対策について修正を行いました。
 今後の問題でございますけれども、現在、中央防災会議では、防災に関する人材の育成・活用についての専門調査会、防災情報の共有化についての専門調査会、それから東海、東南海・南海地震の広域地震対策について専門調査会を設置しまして、非常に稠密な検討を進めております。その検討結果が直ちに防災基本計画の見直しにつながるのか、あるいは中央防災会議で広域的な防災対策要領を決めていただくのか、いろいろな対応があると思いますけれども、必要に応じて、抽出された問題を受けとめる形で、実践的な防災基本計画の見直しを常時やっていく、そういう考え方でおります。
一川委員 それで、中央防災会議が策定されます防災基本計画を受けまして、各都道府県なり市町村が地域防災計画というものを定めているわけですね。
 これは都道府県知事なり市町村長さんの判断によるんだろうと思いますけれども、必要があると認める場合には、中央防災会議で防災基本計画なるものが修正された折に地域の防災計画についても修正するということが、普通、連動してあるべきだというふうに思います。それは、直接関係する地域と関係ない地域も当然あるわけですから、みんな一斉にやるわけじゃないと思いますけれども、中央防災会議の修正しました防災基本計画の修正を受けて、各地方公共団体の地域防災計画なるものの修正状況といいますか、そういったところをちょっと御説明願いたいと思います。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年四月、今お話のございました国の防災基本計画の見直しがございまして、風水害対策でございますとか、原子力災害対策等の点で修正がありましたので、私どもとしても、おっしゃいますように、直接関係するところとそうでないところとございますが、地方にもその旨通知しまして、必要に応じて見直しをしてほしいとお願いしているところであります。
 十四年度ですと、地域防災計画の見直しをした都道府県は十九団体ございますが、そのうち十団体余りにつきましては、土砂災害への対応として土砂災害警戒区域の指定をするとか、大都市なんかの短時間の集中豪雨が問題になったわけですけれども、こうしたことに備えて、地下空間からの避難体制の確立を図るようなこと、こういったことについても修正している県もございますし、それから、原子力艦なんかによります原子力災害のときの住民の避難体制についても、例えば、長崎県など幾つかの県ではそういう修正をしていただいております。また、緊急被曝医療体制なんかについても、例えば、茨城県なんかで修正をいたしております。
 なお、地域防災に大変重要なことでありますので、団体によりましては、むしろ国の防災基本計画より先んじてその点を対応して直しているというところもあるわけでございます。それ以外のところも、例えば、緊急被曝医療の問題なんというのはかなり専門性も高うございますので、今恐らく見直しの検討をやっているところもかなりあるんじゃないか、こういうふうに考えております。
一川委員 それぞれの地域での災害の発生の可能性というのは、いろいろと特色もあるでしょうから、当然ながら、今御答弁がありましたように、中央防災会議の修正に先んじて地方が取り組むということも、問題意識の旺盛な地域にとってはそういうことも大いにあり得ることだろうというふうに思いますし、また、こういう修正の必要のあるような都道府県等に対しては、その作業がもしおくれているとすれば、そういったところをできるだけ早く修正するような指示をぜひお願いしたいな、そのようにも思っております。
 そこで、これから以降私が質問する課題といいますか、私自身の問題意識としましては、前回の国会からも引き続き質問させていただいておりますけれども、一つは、災害が発生した後の災害復旧制度というものにつきまして、それぞれの省庁で対応している制度そのものは割と古い制度、日本は当然ながら、自然災害の発生しやすい国ですから、相当歴史のある制度を持っているわけですけれども、この災害復旧制度というものを、今日のいろいろな経済、社会、行政の動きを見てきたときに、場合によってはもうちょっと見直しをしながら、今で言う地方分権、あるいは行政改革も含めた流れだと思いますが、特に、地方がいろいろな面で自立をしていかなければならない、地方に対する権限なり財源を移譲した方がいいというような意見がだんだん強くなってくる中で、この災害復旧制度そのもの、災害が発生した折には、突発的な現象ですから、そこの地方公共団体ですべてが対応できるわけでもありませんし、国サイドがいろいろな面で支援をする、あるいは財源的にも支援するというのは当然でございます。
 いろいろな作業の段階、業務の段階で、国にいろいろな災害査定官的な方がいらっしゃったりして、その対応として各地方公共団体も大変忙しい思いをしなきゃならないケースがたくさんあるわけです。こういったところを、業務そのものをもっと地方にお任せすることができないのかなということとか、災害復旧に必要な財源の配分等の優先、どこに優先するかというような考え方も含めて、もう少し地方に判断を任せたらどうかなというようなことを、ちょっと抽象的ですけれども、思います。
 災害復旧制度そのものを今日のニーズに合わせて見直すことについては、どのようにお考えなのか。前国会でも若干その問題に触れたときには、勉強させてもらいたいというような趣旨の答弁があったと思いますけれども、それについてのお答えをいただきたい、そのように思います。
山本政府参考人 災害対策基本法の基本的な考え方について、前回も御説明させていただいたと思うんですけれども、災害列島と言われる日本列島で、いろいろな自然災害あるいは事故災害に遭うわけですが、災害の態様というのは非常に幅があります。日常的な災害であります火災とか、交通事故から、いろいろな列車災害、航空機事故、風水害、それから洪水、それで最後は大地震というところまで行き着くわけでございます。そういう災害の態様に応じていろいろな防災機関が対応するということになっているんですが、そうであってみれば、原則は、日常的な災害も含めて、市町村が第一次的に出ていくという考え方で基本法が構成されております。市町村が手に負えないようなものについては都道府県がバックアップし、さらにそれで対応が困難なものについて総理を先頭に国が出ていく、そういう構成になっております。この構成自体は、先人たちがもう何回も災害を経験して、最終的には伊勢湾台風を契機にこの法律がつくられた、この思想はこれでいいんじゃないかと思っております。
 ところで、例えば、例に出されました災害復旧事業の制度の運用でございます。これも先輩たちが用意されたものなんですけれども、ポイントは、そういうふうにして起こる災害が、特にある程度規模が大きくなりますと、特定の市町村に非常に多額の財政負担を伴う。市町村とか公共団体にやっていただくわけですけれども、特定のところに大変な負担が短期にかかってくる。これを国全体で支えていく。そのために災害復旧事業があって、査定した上で高率補助をやるという仕組みになっていますので、先ほどの災害対策基本法の基本的な理念、実際に被害が起きたときの災害復旧事業についての制度の運用、問題意識はありますけれども、その骨格を転換する、例えば、あらかじめ財源を公共団体に渡しておくというようなことがどういうふうな仕組みで可能になるかということはなかなか難しいことを含んでおりますので、そういう意味では、非常に慎重に検討しなきゃいかぬのではないかと思いますということを申し上げたような次第でございます。
 ただ、そうは申し上げましても、実際に災害があれば現場は大変混乱するわけでありまして、災害復旧事業のための事務で人手がとられて、にっちもさっちもいかなくなるというのもおかしな話でございますので、できるだけ事務の簡素化に努力していく、そういう方向で各省と今やりとりをしているような次第なんです。
一川委員 今、各地方公共団体等にも災害復旧の技術的な判断ができるようなスタッフとか、そういうものは中央に劣らないぐらいのスタッフがもうそろっている時代でもございますし、また、いろいろな民間のコンサル等を使いながら、いろいろな業務を遂行しているのが今日の状況でございます。
 だから、もうちょっと工夫をしていただければ、中央の行政の中でもそういうことにタッチする方々の数をもっと減らすことが可能かもしれませんし、地方にお任せすることによって、地方は地方なりのまた創意工夫を凝らす可能性も十分出てくるわけですから、そういうところをぜひまた留意していただきたい、そのように思っております。
 そこで、こういった災害が発生したことを一つの反省にもしながら、既存の一般事業については、いろいろな新たな制度を見直ししたり、整備水準を向上させるということに当然、努力をしてきているわけですね。それで、前にもちょっとお伺いしたわけでございますけれども、特に我が国の最近の火山噴火等に伴う災害の現地、私もたまたま国土交通委員会にいたということもありまして、有珠山の現地を見させていただきましたけれども、割と、火山の噴火等につきましては事前の予知的なものもだんだん正確度を増してきているというふうにも聞いております。
 そういった地域のいろいろな公共事業、特に砂防事業とか河川事業とかというようなもの、あるいは道路事業もそうですけれども、過去のいろいろな災害の経験を踏まえて、ちゃんとした対応をよりやっていただければ、被災の範囲なりそういうものが相当減少する可能性があるんではないか。災害の発生していない通常の年なりその時期に見れば、何だ、こんなもったいないものをつくって、こんな莫大な金をかけてというような批判が出てくる可能性は確かにあるかもしれませんけれども、しかし、過去の災害の経験を踏まえて、社会資本の整備にしっかり対応すべきだというふうに私は思っております。
 そこで、きょうは河川局長さんにもお越しいただいておりますけれども、当然そういうことを念頭に入れていろいろな事業を考えておられるというふうに思います。まず、そのあたりの河川局の取り組み状況をお聞かせ願いたい、そのように思います。
鈴木政府参考人 火山の周辺域における砂防対策についての最近の状況についてのお尋ねでございました。
 火山噴火等に起因して発生する土石流、火山泥流等の土砂災害を防止するために、全国で九十六の火山砂防地域におきまして、火山砂防事業によって各種砂防設備の整備を実施してきているところでございます。
 その中で、特に著しい被害を受けるおそれがあって工事が技術的に極めて難しいというような地域、例えば、雲仙・普賢岳、富士山、十勝岳、立山など全国十九水系におきましては、直轄火山砂防事業を実施しております。
 また、補助事業におきましても、当然、火山砂防事業を鋭意進めているところでございますが、最近の火山噴火災害の状況を踏まえまして、平成十三年度には、一定結果に基づいて、おおむね五年という短期間の中で、火山泥流や土石流等の広域的かつ大規模な土砂災害に対処するために、火山砂防激甚災害対策特別緊急事業、こういったものも創設していただいたところでございます。具体的には、現在、この事業によって、有珠山、三宅島、そういったところで補助事業を実施しているところでございます。
 また、平成三年に雲仙の普賢岳で大きな災害があったわけでございますが、こういったことを踏まえまして、平成四年度からは火山噴火警戒避難対策事業の創設をしております。これは、もう少し具体的に申し上げますと、全国で直接その噴火活動によって被害が想定される火山というのは二十九火山ございます。この二十九火山の火山活動の状況を監視して情報を伝達するということで、必要な機器を整備してきているところでございまして、こういったことを通じて、火山地域の住民の警戒避難体制の整備の支援を図ってきたところでございます。
 特に最近の状況を踏まえてということで申し上げますと、平成十五年度からはこの事業をさらに拡充いたしまして、今までは、県とか直轄の事務所でそういった情報を入手して、それを市町村にお伝えするということでやってきておりましたが、それだけではなくて、市町村の防災機関においても火山活動の状況を直接把握できるようにするというようなことで、この制度の拡充強化を図ってきているところでございます。
 また、有珠山の例を見るまでもなく、ハード対策の実施だけではなくて、住民の警戒避難に役立てるという点では、情報の提供というソフト対策が大変重要だと認識しておりまして、先ほど申し上げました全国二十九の活火山のうち既に二十六火山におきまして火山のハザードマップを公表して、もちろん、これに対して各種支援を行っているところでございます。さらに、残る三火山についても、鋭意公表に向け準備中ということでございます。
 総じて、国土交通省といたしましては、ハード、ソフト対策の充実を図ることによって、火山地域における火山災害に対する安全確保の向上に努めてまいりたいと考えているところでございます。
一川委員 では、最後になりますけれども、大臣に、決意のほどといいますか、お聞きしたいわけです。
 この問題も前にちょっと触れたことがあるんですけれども、我が国は、もう間もなく人口がピークになって、だんだん減ってまいります。もう既に少子高齢化社会に突入してしまっているわけです。この大都会では余り気がつきませんけれども、我々、地方にいますと、非常に過疎化現象が進んでおる地域が目立ってきておりますし、また、過疎化現象を来しているところというのは、著しく高齢化が進んでいるわけです。
 では、そういうところをほっておいていいかということになると、それがまた、下流域にはそれぞれの地方都市がありますから、上流域の国土管理がおろそかになると非常に災害を起こしやすくなる可能性というのが十分あるわけでございます。
 鴻池大臣の所信表明の中でもいつも強調されていますように、各関係省庁と連携を密にして、災害に強い国づくりをやりたいということを力強くおっしゃっているわけでございますので、やはり各省庁のあらゆる分野の施策というものを防災という観点からチェックしていただく、そして、もし御意見があるんであれば、しっかりと関係省庁にそれを進言していただくということは、防災担当大臣としての大きな責任ではないか、私はそのように思います。
 そういう面で、私は、過疎化あるいは高齢化現象、それで最近の市町村合併の動きということをにらんだ場合には、ますますそういう地域が、国土保全あるいは国土を災害から守るという観点からすると、非常に脆弱さを秘めているというふうに思いますので、そういうところに対する大臣としての御所見をお伺いしたい、そのように思います。
鴻池国務大臣 災害が起きた、また、起きた後の手当てをどうするかということにつきましては、先ほど山本統括官が御答弁を申し上げました。
 防災担当大臣といたしましても、中央から地方へという哲学に沿って、それが可能かどうかということも検討しなきゃいかぬと思っておりますし、少なくとも事務手続簡素化ということについては、委員の御発案というものが非常に重要なところではなかろうかと思いますので、先ほど島委員からも宿題をちょうだいしておりましたけれども、あわせて私の宿題とさせていただきたいと思います。
 ただいまの過疎化、高齢化、川上の方でというお話でございまして、まさにそのとおりでございます。そこには情報も非常に少のうございますし、いわゆる危機管理と申しますか、防災抑止力も働いていないだろうというふうに思います。
 そこで、ただいま河川局長の答弁がありましたように、そういったところにも目配りをしているというふうに私は受けとめておりますので、委員御指摘のように、防災担当大臣といたしまして、いかように国土保全というものを考えていくかということも、関係省庁を含めて検討させていただきたい、そして前向きに取り組んでいきたい、このように決意を持っているところであります。
一川委員 終わります。どうもありがとうございました。
上田委員長 次に、江田康幸君。
江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。私、本委員会は今国会から初めてでございまして、初の質問になりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 最初に、三宅島災害対策についてでございます。
 きょうは、主に被災者の生活支援を中心にお伺いをしたいと思っております。
 昨年五月十六日に本委員会で決議が行われました。避難生活が長期化している三宅島、その方々の生活の安定と島の復旧復興に、政府に最大限の対応を求めた内容でございましたが、この決議を受けて、政府におかれましては、三宅島また三宅村民の方々へどのような支援が行われたのか、この件について大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
鴻池国務大臣 三宅島の島民の方々には、長期の避難生活を強いられておられて、このような状況を見て、それについて当委員会で真摯な御議論をいただいております結果、この決議がなされたものと承知をいたしておるところであります。
 政府としても同様の認識に立っておりまして、東京都、三宅村と連携して三宅島についての復旧事業の推進、火山ガスの観測体制の強化、あるいは先ほど来お話が出ておりますように、滞在型クリーンハウスの整備などに取り組んできたところでございます。
 具体的には、平成十四年度において生活福祉資金貸し付けの特例を実施、次に三宅村災害保護特別事業により島民の避難生活を支援、次に緊急地域雇用創出特別交付金事業による島民の就労機会の確保、帰島に向けての安全確保対策の検討に資する三宅島火山ガスに関する検討会の報告の取りまとめ、今お話をいたしました滞在型一時帰島を可能とする滞在型クリーンハウスの整備、これは今月の十八日から供用開始ということになろうかと思います。また、ここ二、三日前に経産省からの三宅村の中小企業対策につきまして無利子融資の一年延長を決めさせていただいたところであります。
 今後につきましても、昨年十二月に策定されました第四次三宅村総合計画も踏まえて、東京都、三宅村等と密接な連携を図り、必要な施策を国としても講じてまいりたい、このように思っております。
江田(康)委員 それでは、生活再建支援の件について、ここに焦点を当てながら御質問をさせていただきたいと思っております。
 東京都並びに三宅村では、本年二月から独自に五百万円までの預貯金を認めた災害保護特別事業を行っております。帰島後の住宅の再建、事業の復旧復興、生活の再建を考えれば、一定の預貯金は当然必要であります。この災害保護特別事業が制度化された経緯については私も重々に存じている次第でございますが、いま一度ここで確認したいと思います。
 国においては、現行の生活保護ではどのような弾力的運用が行われているのか、さらに、もっと弾力的な運用はできないのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
河村政府参考人 生活保護制度は、先生御案内のように、生活に困窮する者が、その資産あるいは稼働能力、その他あらゆるものを活用してもなお最低限度の生活が維持できない場合に適用されるということでございます。
 しかしながら、三宅島避難島民に対する生活保護の適用に当たりましては、三宅島噴火災害の特殊性にかんがみまして、一つは、土地家屋等の財産については、現実に処分することは困難なわけでございますから、保有を認めるという扱いをいたしております。
 それから、原則として預貯金の保有というものは認められないわけでございますけれども、義援金等は国民の善意のあらわれであるということを踏まえまして、世帯の自立、更生のために保有する場合に限って同様に保有を認める、こうした、資産面とそれから預貯金の両面にわたりまして、現行制度上認められます最大限の弾力的な運用を行っておるところでございます。
 三宅島の避難島民の方々が大変な状況に置かれているということはもちろん承知をいたしておりますが、生活保護は貧困に陥った原因のいかんを問わずに無差別、平等に適用されるという制度でありますから、一般施策であります生活保護制度の弾力的な運用については現在の運用、資産面、預貯金、両面での運用がぎりぎりの線であるというふうに思っておるわけでございます。
江田(康)委員 この件に関しましては、昨年の臨時国会でも公明党の赤羽議員の方からも質問しておるかと思いますが、「避難島民の生活支援を継続するとともに、特に高齢者及び生活困窮者に対し、就労の機会を確保するとともに、生活保護法の弾力的運用等の避難生活の支援措置を講ずること。」という決議を行ったわけでございます。
 今おっしゃられた土地家屋等の財産はその保有を認める、また、義援金等については、国民の善意のあらわれであるから、預貯金という中には入れない、こういう資産面それから預貯金、両面にわたっての弾力的な運用がなされているということでございますが、私がきょう申し上げたいのは、やはり避難が三年近くにも及んでいて、高齢者並びに生活に困窮している方々はいらっしゃるわけでございます。生活困窮者三百世帯ぐらいがおられるという予測の中で、特に二百万から五百万の貯蓄世帯というのは五十六世帯とかそういうふうに言われるわけでございます。こういう方々に対して、平時のルールは平時のルールとして、「特殊性にかんがみ、」というのは、災害時におけるこういう異常な事態の中で、国民の生活と生命を守るという趣旨でさらなる弾力的な運用がなされてはどうかということを、立法府として、議院として強く要望しているわけでございます。
 これに関しては、前回の臨時国会の質疑の中でも、厚生労働大臣とともに検討するということで答弁がなされております。また、鴻池国務大臣におかれましても、厚生労働大臣と話して検討をするとおっしゃっておられますが、その後を含めて、どういう御決意なのか、いま一度お聞かせいただきたいと思います。
河村政府参考人 私ども、当然、厚生労働大臣にも上げて、今申し上げたような、現在の弾力運用がぎりぎりの線だということでございます。
 生活保護につきましては、このような運用をさせていただいておりますし、それ以外に、三宅島避難島民の避難生活の長期化にかんがみまして、離職者支援資金貸付制度を活用する際の貸し付け要件あるいは貸し付け方法、連帯保証人等について特例措置を講じておるところでございます。
江田(康)委員 わかりました。さまざまな弾力的運用はしていただいている、私もそれは承知しております。
 今ぎりぎりのところまでやっているというお答えでございましたので、きょうはこの件はこれまでにいたしまして、さらに質問を続けさせていただきますが、次は、家屋の問題でございます。
 家屋は住民が生活を営む上で基盤となるものであることは、もうだれもが認識するところでございます。しかし、噴火被害とか、それから先ほどもありましたが、シロアリ被害なんかが非常に大変で、あるところでは家屋はもうぼろぼろになっているということをお聞きしております。長期避難による家屋の傷みというのは激しいものがございまして、この家屋の補修、またシロアリ駆除とか、住民はそういうものに多額の修復費用を払う必要が出てきている、こういうふうに思うわけです。
 このような家屋の保全に対して国の支援が必要と思うわけでございますが、どのように考えているのか、御説明願います。
山本政府参考人 平成十二年九月の全島避難以降、三宅島において火山ガスとか小動物などによる家屋の被害が発生しております。
 この家屋の補修につきましては、まず、火山ガスでやられた屋根の修繕作業、これは三宅島の職工組合により行われておりまして、この場合に、修繕にかかる費用の契約額の二分の一を超えない範囲で三宅村が無利子貸し付けを行って手当てをしております。
 また、だれも住んでいない三宅村で作業を行うわけでございますので、職工組合がそこに渡航したり、そのいわゆる事務的な経費、必要な賃金等につきまして補助を行いまして、修繕価格が高くならないように村において措置しておられるというふうに認識しております。
 先ほど来御説明の中にありますように、今月後半から滞在型で一時帰宅されます。自分の住宅を島民の方々は自分の目で見て、被害状況を掌握されるわけでございます。村といろいろ御相談されて、本格帰島後、生活を成り立たせるためにどういうことが必要なのか、特に居住確保の観点からどういうことをしなければいかぬのかという整理がなされてまいります。
 東京都それから三宅村における生活再建のためのいろいろな支援策の御検討を踏まえまして、全体の中で、国としても、都、村と密接に連携しまして、必要な支援について検討してまいる考えでございます。
江田(康)委員 今申されましたように、村の職工組合、二分の一を超えない範囲で屋根の修復等においては支援をしている、そういうことを中心にお話をされましたが、国として、本当に家屋等に対して、被災者生活再建支援法では当然、生活の支援が主でございまして、将来必要になるような家屋等の修復等に関しては対象となっていないわけでございますので、現行法ではなかなか無理なところがあるように、この委員会の議事録等を見ても私、認識するわけでございます。
 そういうような意味から、もう一つ質問をさせていただきますけれども、三年に近いような非常に長期にわたっているわけですね。これはもう前例がないわけです。三宅島の復興というのは、住民にとりまして、これはマイナスからの、ゼロではなくマイナスからの出発でございまして、島民が安心して三宅島に帰島できるように、また帰島後の生活ができるように特別の支援措置をする必要がある。これまでの委員会の質疑、答弁を見ましても、特に強く感じるわけでございます。
 そこで、政府として、島民の避難生活、帰島後の生活、それから復旧復興、これらを支援することを目的とするような新たな特別立法というものを講じる必要があるんじゃないのか。現行法では、これまでも御説明されて、無理なところがあるように強く思いますので、この点について政府に御見解をまずはお聞きしたいと思います。どうでしょうか。
鴻池国務大臣 すべてが順調に復興の仕事が進んでいるとは思っておりません。絶えず絶えず日々、島も都も国も努力をしなければならないことだと存じております。
 先ほど来の御議論のように、四月の十八日から供用開始で、クリーンハウスができ、そして島民の皆さんが、長期とはいかないかもしれませんけれどもお帰りになって、島の様子をつぶさにごらんいただき、また我が家の状況もごらんいただくことになります。ある意味で季節もよくなってきておりますし、願わくばガスの量も少なくなってほしいというふうに思っておるところでございますが、一つの空気が、島民の皆さん方のお考え方も相当変化を、いい意味でしてくるのではないかというふうに期待をしているところでございます。
 そういった中で、今後どのような、国として、東京都また三宅村との連携を図りながら進めていくかということを積極的に考えていかなければならない一つの区切りのときが来ようかと思います。そういうことから、ただいまのところ、支援のための立法措置ということは国としては考えていないということも、とりあえず申し上げておきたいと思います。
江田(康)委員 今、大臣からお答えいただきましたが、確かにこれまで、大臣から最初に御答弁いただきましたように、国として、さまざまな生活支援から帰島後の復旧復興支援までなされてきておることは、私も十分承知をしております。また、それをスムーズにすべてを進めていっていただきたいと思うんですが、大臣がおっしゃられましたように、一時帰島のクリーン施設が整って、大規模施設でございますが、これを拠点に島の復興が始まる、そういう変化の中で、これからの島民の生活がよくなっていく方向を期待していくのは、私も同感でございます。
 そういう中で、私として、また我が党としても、避難が長期にわたるような災害というものが今回起こった、将来においてまた起こる可能性がある、そういう中で、このような状況に対して特別な立法措置が我が立法府としてできないものかということについては、もっと慎重に、詳細に検討していく必要があると私は思っております。
 時間がもう来ておるんですが、最後の質問だけさせていただきます。
 もう一つは、生活支援の方からはちょっと離れますが、耐震対策についてでございます。
 耐震時に地域の拠点となります学校施設が主に、避難施設というのは学校が中心だとは思いますけれども、その学校の耐震診断及び耐震補強の現状についてどういうふうになっているのか、これは文科省にお聞きしたいと思います。
 特に、我が公明党では、学校施設の耐震化につきましては、以前より強く要望をしてきておりまして、それで今回の本予算におきましても大幅にその耐震化対策予算が増額されたということで、各地方の皆さん、非常に喜ばれております。
 こういうようなことも含めまして、政府としての支援並びに計画、今後におきましてもありますればお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
矢野政府参考人 学校施設の耐震診断、耐震補強の現状でございますけれども、平成十四年の五月に実施いたしました調査の結果によりますれば、昭和五十六年以前の古い耐震基準によって建設されました建物の約七割につきまして、耐震診断が行われていないという状況がございます。
 また、公立小中学校の約四三%の建物に耐震上問題があるというふうに推定をされておりまして、これらの耐震化を進めることは、私ども、喫緊の課題であるというふうに考えているところでございます。
 我が省といたしましては、これまでも公立学校施設の耐震化に積極的に取り組んでまいったところでございまして、平成十四年度補正予算におきまして、耐震化のための予算として五百十五億円を計上し、さらに、先ほどお話がございましたけれども、平成十五年度当初予算におきましては、対前年度比百五十一億円増の一千百四十九億円を計上いたしたところでございまして、今後とも、市町村が公立学校施設の耐震化を円滑に実施できるよう、私どもとして必要な予算を確保してまいりたいと考えているところでございます。
江田(康)委員 時間が参りました。
 以上、申し上げましたけれども、生活支援を中心にきょうは御質問させていただきました。今後の政府の対応をよろしくお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
上田委員長 江田康幸君の質疑は終わりました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十七分開議
上田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。藤木洋子君。
藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。
 きょうは、災害発生から丸八年の歳月を重ねた阪神・淡路大震災の被災者が直面している深刻な問題について伺います。
 鴻池大臣は所信表明で、被災地の復興は着実に進展してきたとお述べになりましたが、その被災地に住む被災者の実際の生活がどうなっているかということです。
 震災後クローズアップされた孤独死、当然減っていると予測されていると思うのですが、実際は、災害公営復興住宅の神戸市営だけを見ても、九八年度は十六人、九九年度で三十六人、二〇〇〇年度には四十七人、二〇〇一年度は五十人、二〇〇二年度は、まだ一月から三月末までの数は出ておりませんでしたけれども、四十九人となっており、年々増加しているというのが実態です。
 また、自営業者の生活がどうかという問題ですが、兵庫県商工団体連合会のアンケート調査では、借入金の返済状況について、順調と回答しているのはわずか七・二%、滞納状況は一三・九%、窮状を訴えている業者は八〇・九%にも上っております。返済のために子供の進路を変更したとか、サラ金など高利金融業者から借りざるを得なかったとした人もいます。四年前も同じ調査を行っておりますけれども、状況はさらに悪化、深刻化しております。
 兵庫県の保証協会によりますと、その代位弁済率というのは六・六%でして、これは県の平均より二・五%も高くなっています。被災業者の営業状況が全体より厳しいということを裏づけております。
 また、自宅を再建した被災者は、二重ローンに苦しめられて、やっとの思いで再建した自宅を手放す方もふえております。住宅金融公庫大阪支店で災害融資の代位弁済に至った件数は、九六年度は十一件でしたが、年々ふえ続けていまして、二〇〇一年度は二百五十三件にも上っております。
 今、長引く不況のもとで、全国どこでも大変な生活の実態はありますけれども、しかし、被災者は、大震災さえなければ受けなくて済んだ甚大なダメージの上に、不況の影響を受けているわけですから、その深刻さは明らかです。
 鴻池大臣はもちろん、被災地出身の大臣ですから、当然こうした事例は御存じのことと思いますけれども、今私が挙げました幾つかの分野の実態をお聞きになって、被災者の生活は再建できているとお考えかどうか、その御認識を伺いたいと思います。
鴻池国務大臣 藤木委員が今お述べになりましたように、被災地全体としては、人口が戻りましたり、いろいろなところでの水準まで復興をいたしているところでございます。
 現在、特に、被災者の生活再建に関しましては、兵庫県の復興十カ年計画に沿いまして、被災高齢者の見守り体制の整備、被災高齢者の健康づくり、生きがいづくり、心のケアの推進、住み続けたいまちづくり、住まいづくりなどへの取り組みが重要であると、継続して認識をいたしているところでございます。
 今後とも、政府は、地元地方公共団体、地元住民と一体となりまして、被災地の本格復興に向けてさらに努力を続けてまいる所存であります。
藤木委員 被災者は、本当に歯を食いしばって、みずからの再建のために頑張ってきましたし、今だって頑張っております。しかし、今でも努力を続けていても再建できないというのは、決して個人の責任ではありません。私は、被災者が一人残らず生活再建できてこそ、復興したと言えるというふうに思います。
 もう少し、被災者の実態について述べますと、災害復興公営住宅の入居者で、県営の高齢世帯率は五六・六%にもなります。兵庫県営住宅全体は三四・九%、全国公営住宅の平均は二七・六%ですから、高齢世帯がいかに多いかということがおわかりいただけると思います。
 生活保護受給者を見ますと、兵庫県の県営住宅全体の比率は八・五%ですが、尼崎の災害公営住宅では二八・四%、災害県営では一八・五%、災害神戸市営で二二%にも上り、その生活の深刻さがうかがえます。
 その災害公営復興住宅で今どういうことが起こっているか。被災者の実態を踏まえ特段に低減をしたという家賃でさえ払えなくて滞納している人がふえております。退去せざるを得ない被災者もふえております。
 神戸市営全体で滞納を経験したことのある世帯は、二〇〇〇年度で二三・三%にも上っております。全国平均は一二・八%です。明け渡し執行の件数は、九七年度から数年間は約九十件前後でした。しかし、二〇〇一年度には百四十二件、二〇〇二年度は、年度途中ですけれども、さらにこれを上回る見込みです。その中で、災害公営住宅からの退去は、九七年度で四件だったものが、二〇〇一年度では五十五件と急増しております。被災者が占める割合、初めは四、五%だったものが、今では四〇%前後になっております。
 そこで、神戸市営住宅の場合、減免家賃の滞納が一カ月分でも残っておりますと、次の年度からは特別減免が打ち切られるわけです。一般家賃に変わるわけですね。また、分納も認められておりません。
 被災者からは、他のローンの返済もあって一回でもつまずくと、なかなかもとには戻れない、滞納すると家賃減免ができないのがつらいという訴えが来ておりますが、ここでもわかるように、病気やリストラなど、やむを得ない事情で滞納してしまった人が、特別減免家賃でも払えないのに、さらに追い打ちをかけるように一般家賃にしたり分納を認められないということでは、どうして払えるのでしょうか。国はこのようなやり方を放置しておいてよいというふうにお考えでしょうか。
松野政府参考人 お答えいたします。
 公営住宅の家賃は入居者の収入に応じて決定されるものでございますが、病気その他の特別の事情があり、決定された家賃を徴収することが入居者の負担能力から見て著しく不適当な場合には、事業主体の判断により、条例に定めるところによって、減免することができるということとなっております。
 神戸市におきましては、災害復興公営住宅で家賃減免中の入居者が家賃滞納した場合に、家賃を適正に支払っている多くの入居者との公平性の確保、あるいは被災された入居者の個々の実情も踏まえまして、次のような措置を講じていると聞いております。
 まず第一に、減免家賃に滞納が生じた場合でも、即座に通常家賃を適用すること等はしておりません。当初設定をしておりました減免期間中、これは通常一年以内ということでございますが、その期間中は減免家賃を適用するということをしております。
 それから、次に、減免の制度を満期になって更新するというときには、減免家賃についてお支払いいただくわけでございますが、滞納家賃の支払いの意思が全く認められないというような、信頼関係を損ねるような場合を除きまして、直ちに退去を求めるということはしておりません。
 いずれにしましても、家賃減免の運用につきまして、事業主体であります地方公共団体が、地域の実情等を総合的に踏まえ判断されるものというふうに認識しているところでございます。
藤木委員 今の御答弁は正確ではないというふうに思いますね。
 そもそも、公営住宅法、ここで減免制度を決めている精神は何かという問題です。低廉な家賃であっても、その支払い能力が失われ、または著しく低下した入居者に対しては、家賃の減額または免除を行うことができると。今御自身もおっしゃったとおりですよ。さらに加えて、災害公営復興住宅の場合は、阪神・淡路復興委員会が、被災者の根本的な不安を緩和するために、最も緊急を要する住宅の復興について提言する、こういって建設、確保された住宅なんですよ。しかも、家賃の特別減免措置を決めたときも、補助金の交付の目的として、被災者の居住の安定に資するとしているわけです。
 大臣、これは御答弁を参議院の方でしてくださっていますので、大臣に伺いたいと思うんです。神戸市で行われていることは、その趣旨と真っ向から反しているというふうに私は思うのですけれども、こういう重大な問題は自治体の問題だからといってほうっておけることではないと私は思うんですね。ですから、国はそもそも、趣旨に照らして、神戸市がとっている被災者への対応は適切な措置だとお考えなのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
鴻池国務大臣 ただいまの住宅局長の答弁、そのとおりであると私は思いますので、それで結構かと思います。
藤木委員 神戸市では、被災者について一般の入居者と同じ対応を行っております。全市営管理戸数約五万六千戸ございますけれども、これについて、臨戸徴収の必要な世帯に対し、わずか十二人の方で当たっているわけです。先ほど御答弁がありましたような、細かい聞き取りなんかとてもできておりません。兵庫県の場合は、県営住宅全体で四十七人の地区管理人を置いております。さらに、災害復興住宅に対しては、独自にプラス二十八人という加配をしているわけですね。そういう対応を行っているんです。私は、この体制が十分かというと、そうとばかりは言えないと思いますけれども、しかし、少なくとも、被災入居者については一般より手厚く対応する、そういう姿勢がうかがえると思います。
 安定した居住の確保という点からいうならば、もちろん一般入居者にも血の通った対応をしないといけません。それはそのとおりですけれども、しかし、少なくとも、災害で生活の基盤を失った被災者に対しては、やはりより手厚い、生活実態に基づいた、支払いを猶予するということであるとか、払える方法について相談できる体制をとるべきではないのでしょうか。住み続けることを支援することこそ、私は必要だと考えております。
 鴻池大臣は、参議院の決算委員会で我が党の大沢議員の質問に対して、高齢者、弱者への対策について非常に問題意識をお持ちになっているような御答弁をされております。ですから、そういう大臣の御認識からすれば、公営住宅に入居している被災者への対応については、一般入居者よりやはり手厚い対応が必要だというふうにお考えになっていらっしゃるのではないかと思いますけれども、いかがですか。
鴻池国務大臣 委員が今、住み続けたいまちづくりという引用をされました。先ほど私も答弁を申し上げましたように、兵庫県の復興十カ年計画の中にきちっと基本的なものが書かれておるわけでありまして、それにつきましては、国といたしましても支援を惜しまない状況で本日まで来ているところであります。
 また、弱者に対する思いやりというものは、これ、何党にかかわらず持たなければならないものだと存じておるところでございますけれども、私の認識というか承知をいたしているところでは、実情に応じて神戸市も対応しているものと、先ほどの住宅局長答弁と同じように承知をいたしているところであります。
藤木委員 私も、実際、神戸市へ行って伺ってまいりました。伺ってきたんですけれども、払えないという申告があったら相談に乗ると言われましたよ。しかし、払えないといって相談に来れるような状況じゃないんですね、被災者は。払っていないことが負い目になって、来てもらっても会うのさえちゅうちょする、そういう状況になっているんですよ。ですから、もうふだんから、家賃のことだけではなくて、常日ごろからそういう話し合いができるような体制がとれていなければ、本当の実情を腹を割って話すというような状況にないのも事実です。こうした人たちに対面で親身に相談に乗る手厚い体制が必要であろうと私は思うんですね。
 そこで、これは大臣にお答えいただきたいと思うんですけれども、災害援護資金の返済につきましては、国から臨戸訪問体制への補助金が出ているんですよ。神戸市の担当者から伺った話では、直接被災者と会って話をして生活実態もよくわかる、払える方法についても相談ができるということで、被災者にとっても自治体にとってもこれは有効だというふうに言っておられました。
 そこで、家賃の徴収についても、国は災害公営住宅入居者に対してこうした対応ができるように、被災自治体に対して人を配置するための支援をしていただくことができないものかと思うのですが、いかがでしょうか。
松野政府参考人 家賃の支払いが滞っている例も含めまして、神戸市に対応を聞いてみますと、生活の相談も含めてそういう対応をしているというふうに聞いております。例えば、かなり減免の家賃も払えなくなるというような状況のときには、生活保護を受けるというようなことも可能ではないかというような、そういうことも含めて対応しているというふうに聞いております。
藤木委員 そもそも、国の家賃特別補助の期限がもう切れまして、現在、激変緩和措置に移行しているわけですね。ですけれども、一般的な減免制度に移行すると、各自治体によって減免される家賃額が違います。先ほどこれはたしか大臣もおっしゃったと思うんですが、二年前にこの問題について当委員会で取り上げたときには、担当者はこう述べておられました、自治体によって家賃減免対策を継続できない可能性があると承知していると。ですから、毎日の生活に不安を持ちながら必死になって生きている被災者の実態を見るならば、特別減免制度の打ち切りをするということは被災者に致命的な打撃を与える大問題であります。
 我が党の神戸市会議員団が実施をいたしました八年目の生活実態調査によりますと、家賃が上がると生活できない、国民年金も六万で首をくくるしかないなど、実に切々とした訴えが届いております。長田区内の調査では、八二%の世帯が減免期間の延長を求めております。
 特別減免家賃でも払えなくて退去した被災者が一体それではどこに住んでいるのか、どういう生活を送っているのかという問題です。被災者の生活相談に乗っているボランティアの方からも、退去後はなかなか連絡がとれないということでした。市も県も把握していませんから、全体像はわかりません。しかし、ある新聞では、ホームレスになっている被災者のことが報じられておりました。災害で住むところを失った被災者から、再び住むところを奪うようなことは絶対にあってはならないことです。
 参議院の決算委員会での鴻池大臣の御答弁では、高齢者、弱者の生活再建に努力を傾注していきたい、こうお述べになりました。今もその趣旨の御答弁をされました。私は、その御答弁に、やはり責任を果たしてもらうためには、被災者の生活実態をきちんとたなごころに乗せていただいて、家賃の特別減免制度の延長や充実について再度検討していただきたい、このように思いますけれども、大臣の御答弁ですので、大臣、いかがですか。
鴻池国務大臣 大変恐縮ではありますけれども、細かい数字につきましては、今、藤木委員の御発言しか承知ができておりません。
 ただ、全体のお話の中で、大変な人は、特に共産党支持者の方だけではなく、自民党支持者にも民主党支持者にもおられるわけであります。その数字について私は疑わしいと言っているわけじゃございませんけれども、参考にはさせていただきますけれども、今の国の方針あるいは兵庫県の方針、神戸市の方針というものは、決して間違っていない、このように私自身承知をいたしているところでございます。
藤木委員 私は何も支持政党によって調査をしたわけではございませんので。
 私が申し上げているのは、大臣御自身がやはり被災者にお会いになってお調べをいただくのが一番よかろう、こう申し上げているわけです。実態を御自分のたなごころに乗せていただきたい、そういうことを申し上げているわけです。
 家賃の分布だとか各種の調査、アンケート、これは共産党の神戸市会議員団だけの調査ではございませんで、各種アンケートがございます。それを見てもわかりますけれども、生活保護基準以下で暮らしている方というのは非常に多いんですよ。生活保護受給は、実際には条件などクリアするのがとても大変でございます。現に、八十歳の男性が生活保護の手続は難しいと言われた、この先どうなるのか毎日が不安、何とかならないかと悩んでいるというふうに訴えておられます。また同時に、生活保護受給をちゅうちょする人も多いというのも確かでございます。ですから、私は、生活保護基準以下の生活をしている人たちについては、本来は家賃を免除するというぐらいの措置が必要であろうというふうに考えております。
 いずれにしても、国は被災者の生活実態が全くわかっていないと、今のお話を聞いていて私、本当に残念に思います。実態をリアルにつかんで対応していただきたいと思います。
 次に、災害援護資金の返済問題について伺います。
 本格返済が始まる三年前にも当委員会で取り上げて、地元議員団や被災者、支援団体が何度も要請や相談を行って、小口返済という返済方法も選択できるように柔軟な対応がとられました。この措置は、被災者にとってはもちろんですけれども、地元自治体にとっても随分助かるものであったわけです。
 しかし、その後の状況は予想以上に深刻になっておりまして、阪神・淡路大震災救援・復興県民会議が昨年六月、被災十市十町を対象に行った調査によりますと、貸付件数五万六千四百七十二件のうち、借り受け人死亡二千四十三件、行方不明七百三十九件、自己破産一千二百五十九件。神戸市で借り受け人の自己破産は、去年十二月末現在で九百五十人、額にして二十億六千六百七十万円、実に三年前の四倍以上になっております。
 最近、連帯保証人も自己破産をするというケースがふえてきておりまして、神戸市では九十三人で、二億九千九百万円がダブル破産ということになっております。保証人である父親も心筋梗塞ですとか、母親の死亡で保証人の私に請求が来ているが、自分の生活もぎりぎりですなどということが言われておりますけれども、そういう実態を踏まえるならば、借り受け人が支払い困難なときに保証人にまで請求すべきではない、免除すべきだと考えます。
 このほかにも深刻な問題はありますけれども、その一つとして、返済猶予の問題があります。去年六月時点で、返済猶予の措置がとられている人を見ますと、わずか百七十一人でした。どうしてこんなに少ないのか。実際には生活保護世帯への適用を基本にしているからなんです。
 現在、八千七百三人が苦しい生活の中から少額返済を続けております。こういう方たちからは、どうにも仕事がない、貯金もなくなり、今は借金がふえるばかり、一日二食にしているけれども、毎月の少額返済もこれから先払えるかどうかわからないなど、実に悲痛な訴えが多数寄せられております。援護資金担当で被災者を訪問している自治体職員の方たちにいろいろとお話を伺いますと、その感触では、今まできちんと納めていた人でも、リストラや給料カット、病気などで返済が困難になっているとのことでした。
 参議院の決算委員会で、これは坂口大臣がお答えになったのですけれども、災害援護資金について、柔軟な対応が大事、こう述べられました。柔軟な対応が大事だというのであれば、返済猶予について、失業中あるいは収入ダウン、病気など、被災者の生活実態に応じて適用すべきではないでしょうか。
河村政府参考人 借り受け人の災害援護資金の償還金の支払い猶予につきましては、政令等の定めによりまして、市町村の判断で、原則一年以内で実施をする。おっしゃいますように、借り受け人が病気であるとか、けがを負った、あるいは災害、盗難に遭った、その他やむを得ない理由によりまして償還が不能になった場合には、市町村の個々の判断に基づきまして必要な対応がとられておるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、県や市町村の意見も十分聞きながら、円滑に償還が可能となるように、制度の適切な運用に努めてまいりたいというふうに思います。
藤木委員 市町村の意見を聞く場合に、本当に腹を割ったところまで聞いてほしいと思いますね、上っ面だけではなくて。もう本当に実態は深刻でございます。
 免除の話ともかかわりますけれども、被災自治体である県は国に免除してもらうことはできませんね。返済期限の猶予をしてもらえないわけですから、立てかえ払いをしてでも返済をしなければなりません。ですから、被災者に対しても厳しい対応になっているというのが実態です。そこのところをきちんと踏まえて聞き取りをしていただきたいと思います。
 また、参議院の決算委員会で、坂口大臣の答弁、県や市の意見も聞きながら、可能なようにしなければならないと。今のお話ともかかわりますけれども、可能なようにしなければならないと言われたわけですから、この立場を貫いていただいて、国は、具体的に被災者への対応が改善されるところまで責任を持っていただきたいと思います。
 九十歳の方から、自分の生活は死ぬまで返済を続けなくてはならない、被災者にもう少し温かい心を見せてほしいという手紙が届いております。こうした訴えに真摯に耳を傾けていただきたいと思います。
 きょう取り上げることができたのは、家賃の滞納、それから災害援護資金の返済問題だけでしたけれども、先日、北海道の奥尻町長のお話を伺う機会がございました。町長は、災害の被災程度が大きければ大きいほど自助、共助には限界がある、公助の比率を高くすることが求められるとおっしゃいました。私もそのとおりだと思います。
 国は、震災後五年で対策本部を廃止しました。県も市も、十年間を一つの区切りとしています。しかし、現在とられている返済猶予などの特例措置や返済期限など、被災者の実態に基づいた対応は不可欠です。国として被災者のリアルな実態をきちんとつかんで対応をとるように、重ねて求めます。
 あわせて、三宅島の被災者の対応について、当委員会でも再三取り上げてまいりました。いまだに、日々の生活への直接支援を初め、実態に基づいた十分な対応はとられておりません。このままでは阪神大震災被災者と同じ苦しみを強いることになると、懸念を強めております。大臣みずからが、これもやはり直接被災者からお話を聞いていただいて、必要な対策をおとりいただきたいと思います。
 最後になりますけれども、兵庫県議会、宝塚市議会など被災自治体の議会から、相次いで、被災者生活再建支援法の見直しと住宅再建支援制度の確立を求める意見書が上がってきております、もうごらんいただいていると思いますが。
 阪神・淡路大震災には適用されませんでしたけれども、しかし、同等の措置がとられたわけですね。同等の措置がとられた阪神・淡路大震災の被災者の八年後の実態を見ますと、被災者生活再建支援法の一刻も早い、しかも抜本的な改正と住宅再建支援制度の確立は不可欠だと思います。そのことを強く求めて、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
上田委員長 藤木洋子君の質疑を終わり、次に、中川智子君。
中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
 きょうは、初めて鴻池大臣に質問をさせていただきますので緊張しておりますが、何とぞよい答弁を期待して、質問に入らせていただきます。
 ちょうど私は、阪神・淡路大震災の一年半後に議員になりました。当時与党でございまして、鴻池大臣とも、与党の災害プロジェクトのチームの中でいろいろなアドバイスをちょうだいしたことを、本当についこの間のことのように思い出します。
 まず、あのとき党の垣根を越えて一生懸命頑張って、被災者の、いわゆる人を助けるための法律というのがこの国にはありませんでした。さまざまな抵抗やいろいろな困難がございましたけれども、結局、本当の意味の復興というのは、そこに暮らす人々がその場所で再び生き生きと生きていけることを国がどこまで支援できるのかというところの、国の、今までは自助努力、そしていわゆる私有財産の問題、さまざまございましたけれども、あの被災者生活再建支援法が壁に穴をあけたということで、非常に、法律そのものは小さかったわけですが、小さく産んで大きく育てようという思いは一つだったと思います。
 早いもので、あの一九九八年五月に成立いたしました被災者生活再建支援法、五年がたちました。あの法律の最後の附帯決議のところには、五年後の見直しというものが入ってございます。そしてまた、附則の二条のところに関しましては、住宅再建の支援に対しての立法もあわせて支援策を講じるというのは附則の中で盛り込まれました。そのリミットが、ことしの秋くらいまでには、生活再建支援法の見直しというのが、さまざまな災害の起こり得る可能性のあるこの日本列島で、被災者の暮らしを助ける唯一の法律として、小さく産んで大きく育てる、その大きく育てる第一歩がことしになってきているわけです。
 ぜひとも大臣の、生活再建支援法をより充実した中身につくり育てていく御決意を冒頭お伺いいたしまして、具体的な問題に入っていきたいと思います。よろしくお願いします。
鴻池国務大臣 中川委員も、宝塚でどろどろになって走って回られた姿、私もかいま拝見をいたしておりますし、今のお話のように、被災地をどうするか、そういうチームでともに頑張ったという思い出も少し前のことに相なりました。
 この件、そういう意味から、五年をめどに総合的な検討を行うということの附帯決議があるということも当然よく承知をいたしておりますし、その件につきまして各方面からさまざまな御意見が出ておりますことも謙虚に耳を傾けさせていただいているところでありますが、財源確保の問題がありますので、ただいま、知事会、各県の知事が、どうしていくか、どういうふうに財源をつくっていくかというふうなお話をされております。それが、六月でありますか七月でありますか、そのめどが立つようでございますので、それを受けて国としても対応を考えていきたい、このように考えております。
中川(智)委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 私は、生活再建支援法、あの当時は、被災地出身の議員ということもございまして、本当にあの中身に関しては、阪神・淡路の方々を助けたいという思いは非常に強うございました。ですので、割と、地震災害というものをみずから経験した中で、いつもいつも被災地のことを思いながら立法作業に携わったわけですが、今回、三宅島のことを見ますと、あのような噴火災害で長期にわたる避難ということは、生活再建支援法の中では想定外だったように思われます。
 ぜひとも、支援法の見直しの中では、そのようないわゆる長期災害の方々の生活をいかに助けていくか、そして、復興というか、帰島のめどがついた折には、安心して戻っていただけるためにどうバックアップできるかということがとても大事だと思います。
 これは、ことしの一月の朝日新聞の報道で、やはり生活再建支援法の見直しは、「被災実態に即した改正を」という見出しで記事がございました。そこに、社会安全研究所の木村拓郎所長のコメントに、私は本当にそのとおりだなと思ったのですが、やはりこのような長期災害の問題の場合は、避難中の継続的な生活支援のための方策、二つ目の柱としては、避難が解除された後の生活再建のための支援という二つの柱がございます。
 三宅の方々とは、私も被災地の出身ということで、いろいろな場面で、今避難生活を続けていらっしゃる方々のお話を聞く機会が結構たくさんございました。もう二年半、ことしの七月で三年という長きにわたる避難生活を続けていらっしゃいます。
 皆さん口々におっしゃるのは、今までは、ある意味では、火山と共存して生きていらした。それで、大体二、三十年に一回ぐらいはこういう噴火というのはあるんだけれども、短期的な避難。それに対しては、ともに生きていく中で知恵も出し合いながら三宅の中で生活してきたわけですが、今回のあの噴火というのは、伺ってみると、二千五百年ぶりなんですね。二千五百年に一度という噴火で、そしてすごく長期の避難生活を余儀なくされているわけで、考えてみれば、もうそこに暮らしてはいけませんよと言われたわけですね。ある意味では、島から強制的に避難生活をさせられているわけですから、避難生活の支援というのも私は当然だと思います。
 生活支援法に基づいて一時金が避難された後にお渡しされましたけれども、あれは生活再建のためのお金ですから、帰るときに対しては、やはり法律をきっちりつくって、支援法の見直しの中にぜひともそれを入れていただいて、その後、帰られた後の生活の支援をしていくということはとても大事です。そのように、非常に特異な二千五百年ぶりの噴火災害であるということを、改めてお話を伺う中で、そうなんだなと思って、本当にかなり深刻なことだと思いました。
 私は、今回、質問をするに際しまして、本当に光になるような、立法府として、また行政府として、今は特に三宅のことですが、ともに支援するために決議というのがあったはずだなと思いましたら、さすがにやはりございまして、昨年の五月十六日、この災害特別委員会として決議がなされていました。特に三宅島のことですが、私は、この一つ一つをしっかり実現していけば、きっと帰島されることに対して希望が見えますし、これは非常に重い決議であろうと思いますので、一つ一つこの決議に基づきまして質問をさせていただきます。
 今、火山ガスの最終報告も出まして、やはりこれがある程度おさまれば、皆さん、本当に帰ることを一日千秋の思いで待っていらっしゃいますので、その支援ということに対してこの決議が実行されているかどうかということで、また、実行するために今どのような作業をされているかということを伺っていきたいと思います。
 今、私も阪神・淡路のことを思い出したり、三宅の方々の表情、お顔を思い出しながら、ついつい前振りが長くなりましたが、大臣、この決議に対して大臣の御認識をまず伺ってから、具体的な質問に入っていきたいと思います。
鴻池国務大臣 委員がおっしゃいましたように、長期にわたる避難生活、大変お気の毒なことだと思いますし、いろいろな施策の中で、当委員会で決議をされた、真摯に受けとめなければならないと思っておるところであります。
 これを受けまして、なお、政府といたしましても同様の認識であるわけでございますけれども、既に委員御承知のように、帰島を前提としてインフラ整備に全力を傾け、また、その途中の段階として、クリーンハウスなどを設けまして、島民の方々が、みずからの島をあるいはみずからの住宅を、みずからの仕事を、現在どのようになっているか、そして今後どのようにしていくかというためのクリーンハウスが既にでき上がっております。また、火山ガスの観測体制というものも強化をいたしております。
 それぞれのところで、この決議をまさに真摯に受けとめながら、東京都、また三宅村と強い連携を保って、島民の皆様方が心待ちにしていらっしゃる帰島に向けて邁進の努力をいたしているところであります。
中川(智)委員 ありがとうございます。
 そこで、アンケート調査では、今、島民の方々に、避難解除になったら島に帰りたいかどうかというアンケートをとられたそうなんですね、東京都の方も。そうしたら、九割の方々が、一日も早く帰って三宅で暮らしたいというアンケート結果だったそうです。しかし、その九割の方々の内訳を見ますと、約半数の方が、帰島して生活ができていけるならばということです。それは当たり前だと思うんですね。
 特に観光、観光なんて、二、三年は三宅は非常に難しいと思う。そして、農業をしたくとも、降灰、灰が降って、二、三年は農地がもとの状態に回復できないということもございます。また、商店もそうですね。人々が帰ってこないと、商店は商売が成り立ちません。
 ですから、帰るためには生活をどのようにバックアップするかということですが、まずその大前提として、今、大臣がおっしゃったように、クリーンハウスをつくった。そして、クリーンハウスを利用して、まずは帰って住むところの確保ですね。これは阪神・淡路でもそうでした。家がそこになくなってしまったならば、その住宅を再建するということで多くの苦労があって、もうそこでは家が建てられないということで、阪神・淡路の場合は泣く泣く全国に散らばっていったという現実がございます。いまだにあのときに更地になった三割は家が建っていないという現実があります。
 三宅の場合でも、クリーンハウスはできました。しかし、大臣、御存じでしょうか、クリーンハウスに行くためには船に乗って、そして東京から三宅に、主に東京に暮らしていらっしゃる方が多いんですが、帰らなきゃいけないわけなんです。でも、今回、さまざまな施策の中で、渡航費に関しては住民票が三宅村にある人は全部出してもらうということで、渡航費に関しては心配ないんですね。
 ここで一つ問題なのは、三宅の場合は高齢化率が三〇%なんですね。本当に、年をとられて、そしてまた避難生活で疲れて病気になったり、環境が激変して寝たきりになったりというような方、足腰が弱っちゃったという方が多いんです。その場合、住民票は三宅にないけれども、息子や親戚が、元気な若い人たちが東京にいて、いや、ばあちゃん、かわりに行って家の修理をしてあげようかとなりますと、住民票はその人にないものですから、委任状なんか出して別の人にかわりに行ってもらって修理してもらうということができないんです。本人しか渡航費は無料にならないわけなんですね。
 ぜひとも柔軟な施策によって、もしも本人が自分の家屋の修理などで帰りたいけれども帰れないというのは、ひとつここは、代理人であってもそのような柔軟な対応策をとっていただきたいというのが一点。
 もう一点は、クリーンハウスは使用料を取られるんですよ。自分の家を直したり農地の点検なんかに行くのに、会社を休んだりして三宅に行かなきゃいけないんですね。そのときに、会社を休まなきゃいけないし、パートの方なんかは、日給月給だったら、その日は働かないから収入はない。そして、家屋の修繕のためにお金もかかる。シーツ代とか食事代とか、クリーンハウスを利用するのに利用料が取られる。そんなことまで、かつかつの生活で頑張っていらっしゃる避難民に対して冷たいのではないかと私は思います。
 これは細かい質問になりますので、統括官の方にぜひとも前向きな形で、もしも前向きの答弁がなければ、大臣にお答えいただきたいと思います。
山本政府参考人 御指摘になりました決議の中でも、「一時帰島の費用の軽減のため、さらなる支援措置を講ずること。」という項目がございます。これは政府に対する決議でございますけれども、三宅島の災害に対する応急対策、復興対策、国と東京都と三宅村と連携して取り組んでおります。
 あえて、この一時帰島の費用軽減のために国家としてどんなことをやっているのかということを入り口に、非常に限られておりますけれども御紹介いたしますと、まず、御指摘になりました離島の航路、船の航路を確保するために、離島航路を確保するという観点から補助金を交付しております。毎年次交付して、東京と三宅島を結ぶ航路が維持できるようにということをやっているわけです。あわせまして、今回の滞在型の一時帰島に使いますクリーンハウスにつきましても特別な割合で国庫の補助を行うということで、このクリーンハウス自体を実現しているわけでございます。
 その上で、具体的に御指摘になりました、宿泊を兼ねた、これから四月の後半から始まります滞在型の一時帰宅の費用負担についてでございますけれども、これは基本的に三宅村が三宅村の事業としてやっております。したがいまして、今回、御質問いただきましたので、三宅村の方にどういう考え方でこの帰島の事業を運営しようとしているのかということを伺いましたところ、今の御質問に関連するポイントだけをちょっと申し上げます。
 三宅村の方は、先ほど観光の話をされましたけれども、島民が本格復帰をしてそこで生活をしていくからには、島の生活全体としてどういうふうになるだろうか、それに関心を持っている人たちをこの宿泊型の一時帰島の参加対象者にするという考え方から、対象者を四つの類型に分けております。
 まず第一が、ほとんどもう三年近く前になりますけれども、今回の災害が始まりました平成十二年六月二十六日現在に三宅村に住民登録があった世帯、世帯主、世帯員ですね、これがまず第一の類型でございます。これは今回の滞在型の帰宅の対象となります。
 第二が、住民ではないけれども、三宅島に別荘を持っておられる方があります。さっきのまさに観光とも関係するわけですが、別荘を持っておられる方、それから別荘を借りて使用しておられる方、そういった方も滞在型の帰島の対象でございます。
 それから三つ目が、実は住所もなかったんだけれども、しかし、この災害が起きたときに現実に住んでいた、こういう方々は自治会の証明で生活再建資金の交付を受けております。それを受けた方は、世帯主、世帯、対象になります。
 四番目が、世帯主とか別荘の所有者、そういう方から依頼を受けた方は今回の帰島の対象になります。
 対象になりますと、四月から九月まで、前期と後期に分けてやりますけれども、前期に一応十八便、十八クルー、四千五百人を対象に、一世帯二人ということでやりますけれども、その対象になって、一泊は船中ですけれども、四泊五日の滞在型をやります。
 その際、費用の負担ですけれども、三宅村の考えは、基本的に、先ほど宿泊費とおっしゃいましたけれども、クリーンハウスの利用料は取りません。ただ、お食事とかシーツ代とかは、たしか千円と聞いていますけれども、いただくというふうに村は言っております。そういったものも含めて、往復の船賃も含めて、参加経費は個人負担というのが原則です。その原則のもとで、ただし、今現在三宅村の住民登録をしているという方については村が往復の船賃を負担します。ただし二度の料金ですけれども、二度の料金を負担してやる。
 今御指摘になったようないろいろな問題があると思います。あると思いますけれども、村のことを一番よく知っている三宅村当局がこういう実施要領をつくって今回進めると言っておりますので、私どもとしてはこれを見守っていきたいという考え方でおります。
中川(智)委員 私は、ある意味では、三宅村の足りないところを補うのがこの決議としてあるのではないかと思うんですね。やはり村が主体ではありますが、避難生活をして、どんどん生活保護に移行せざるを得ないほど、今本当に生活が困窮している、そして、年金をよりどころに、なれないところで一生懸命三宅村に帰れる日を待ちわびて暮らしていらっしゃる方々が、帰るために、家屋の修繕ということが主な目的でクリーンハウスを利用していくわけですね。
 できれば私は、その使用料というのは、食事代とか、自分で食べるものだから自分で賄うとかと、それはふだんの何もないときは当たり前かもわかりません。でも、目的は、三宅に帰ったときに暮らす家がもうぼろぼろになって帰れなければ、帰島に対する支援というのをやらないも同然なわけですね。ですから、これは決してけちな話ではないし、そういうところのきめ細かな支援策ということが非常に大事なのではないか。だから、三宅村が、せめて食事代、使用料とかシーツ代とかと言うのだったならば、それがこういう決議の中で、「一時帰島の費用の軽減」というところで「さらなる支援措置」の中に入るだろうと思います。
 それに伴って、修理をするにも、やはり修理のプロの人にお願いして家屋を修繕してもらっていて、それに対するお金だってかかるわけです。それができる人とできない人にこれからは明らかに分かれていって、できない人は、いずれ村にはもう、帰島ができるようになっても帰れないという状態を生み出すわけです。
 こんなところでこんな時間をとるとは思いませんで、あと五分しか残らなくなってしまったんですが、何しろ、この決議がいまだに生きていません。この三の、ただいまおっしゃったように、「一時帰島の費用の軽減のため、さらなる支援措置を講ずること。」ということが、具体的な、きめ細かなものになっていない。少なくとも、今の被災者の人たちの声というものをもうちょっときっちり聞いていただきたいと思います。
 そして、八番目、ここが大事だと思いますが、「帰島後の生活及び事業が速やかに再開できるよう、関係機関は連携を強め、各般にわたる支援措置を早期に明らかにするとともに、必要な立法措置のための調査研究等を含め、適切な対応を行うこと。」この「必要な立法措置」というのは、この災害特別委員会で議論になったと思うんです。被災者の人たちが村に帰れるように、帰るめどがつくようなしっかりした法律が今ない。このような長期災害というのは、今までの日本の歴史の中では極めて希有なことであるので、その人たちを支援する法律がないので、立法措置も含めた適切な対応を行うことというのが決議の八でございます。
 大臣、ここがとても大事で、人が暮らせる、人が戻らなければ幾ら三宅島に、公務員の方々は何か仕事があるから、公務員と、あとは、家が住めて、年金生活で、生活基盤をそこによる人は帰れますけれども、今、帰りたいとおっしゃっている九割の人たちの三、四割しか三宅に帰れなければ、三宅村の復興というのはないわけです。そのために絶対法律が必要なわけなんですね、立法が。
 これは決議の八にきっちりとうたわれているのですが、どのようなスケジュールでこの取りまとめを考えていらっしゃるか、大臣のお答えをちょうだいしたいと思います。
鴻池国務大臣 私は、今、中川委員のいろいろな御発言を聞いておりまして、また、三宅村の避難をされている方々に思いをはせておられる気持ちというのは、私自身も防災担当大臣として十分理解をいたしておるところでございます。
 大事なところは、三宅村の話、三宅村の避難民だけの話ではありません、あるいは阪神・淡路の被災者の話だけではありません、日本全国にいろいろな災害がございましたし、もっとさかのぼれば、戦争の、第二次世界大戦の話もありました。その中において政治はどのようにしていったらいいかというのは非常に難しいところだと思います。大変大事な部分、弱者をどうするか、これも政治の大変大事なところであります。しかし、全体を考えて公平に、いろいろなところを、公平なところを見詰めるのも政治の大事なところだと私は考えておるところであります。
 このあたり、議論し出すと随分時間がかかりますから、またの機会にいたしますけれども、やはり、弱者も大事だけれども、公平な視点で政策を遂行するということも非常に大事だと思います。
 しかし、三宅村に関して申し上げれば、今一番大事なことは、何をするかということが大事なことで、例えば、今議論になっておりますように、クリーンハウスができた、泥流をとめるためのダムを今一生懸命つくっておる、あるいはインフラ、お帰りになったときに電気がつくようにする、電話が通じるようにする、そういったことが大事なことであって、今、立法、法律をどうするかという段階ではまだないと私は思っております。
 ですから、まず、今何をするかということで運んでいる状況でありますから、クリーンハウス等で、それぞれ島にお帰りになって、いろいろなお考え方がまた出てくる、このように思っております。それを見詰めておきたいと思いますし、先ほど山本統括官が答弁申し上げましたように、三宅村自身が、三宅村村長があるいは議会が、島民が、いろいろなところでお決めになった問題につきましては、国として差し挟んでいく必要もないところはやはりしっかりと見詰めさせていただいて、都、村と連携を保っていかなければならない、このように考えております。
中川(智)委員 大臣、本当に議論をしないといけないということを今痛感いたしました。
 決議がどれほど重いものであるか。この委員会で決議を出したことです。立法措置というのはその中にうたわれていることです。不公平とか公平ではないんです。目の前に被災者がいるんです。その人たちが帰れなければ、国民を救うのがこの国の政府の役目でしょう、その担当の大臣でしょう。立法というのは立法府がきっちりやって、目の前の国民を救うというよりは、当たり前の施策を講じるということなんですね。
 ですから、そのようなことで、決議はそんな軽いものだったら、決議なんて要らないじゃないですか。
鴻池国務大臣 大変大きな声を出されておりますが、立法府というのはあなた方のことですよ。こちらは行政府です。(中川(智)委員「そうですよ、行政府と立法府が」と呼ぶ)
上田委員長 質問は許可を得てください。
 中川さん。
中川(智)委員 わかりました。
 私は、きょうは鴻池大臣に対して、公平とかそういうことじゃないんです。法律議論じゃない。これは、決議に対して政府は責任があるということを言っているんですよ。そうですよ。行政府に対する、政府に対する決議です。最初おっしゃったとおりですよ。それに対して極めて無責任です。では、被災者を見殺しにするのかという問題です。
 もっと続けて議論を望みます。委員長、お願いします。
上田委員長 はい。
 次に、松浪健四郎君。
松浪(健四郎)委員 保守新党の松浪健四郎でございます。
 私の質問は極めて穏やかでございますので御安心いただきたい、こういうふうに思います。
 先月、消防庁と林野庁は、林野火災対策に係る調査研究報告書を出されました。この報告書の目的は、林野火災、我が国は、何やかんや言いましても山のたくさんある国でありますから、この火災について十分調査研究しておくことは必要不可欠であります。この報告書をまとめられました熊谷良雄委員長初め、多くの委員の方々にまず敬意を表しておきたい、こういうふうに思います。
 昨年の一月の六日、私の地元であります大阪府泉南郡岬町というところで山火事が起こりました。なかなか風が強いものですから消えない。そこで、自衛隊のヘリコプターを要請して消火するという状況に陥ったわけであります。この消防庁と林野庁の調査研究報告書の目的というのは、やはりこれからの山林火事、災害等に対してはヘリコプターをいかに活用するか、これに尽きているような気もいたしますけれども、私は、ヘリコプターの威力をまざまざと見せつけられたものであります。
 わからないのは、だれが指揮をとるのか。自衛隊が出てくれて消火作業を担当してくれるということはありがたいわけですけれども、命令指揮系統がはっきりしないんですね。報告書を見ますと、災害対策本部が設置される、そして現地指揮本部、自衛隊が出動した場合は自衛隊の指揮所というのが災害対策本部の下に置かれるようになっております。
 私は、現地でずっと観察しておりますと、本部長の町長よりも、どうも自衛隊の派遣されてきたトップが指揮をとり、権限を有している、そういうような印象を受けたわけですね。これらは指揮系統をはっきりしておかなければ、なかなか消火作業が難しいのではないのかということを実感いたしました。これは一体、どういうふうになっておるのか、お尋ねしたいと思います。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 大規模な林野火災が発生いたしました場合は、県なり市町村に災害対策本部が設置されまして、こちらは知事なり市町村長が本部長になられるわけです。あわせて、火災現場には、今、先生のお話にも出ましたように、現地の指揮本部というものを通常つくりまして、この現地指揮本部長には、通常は現地の消防長さんがなるというふうなことを想定しているわけであります。
 林野火災で、今お話に出ましたように、ヘリコプターによります空中消火は大変有効でありますので、消防防災ヘリのほか、しばしば自衛隊にもお願いをして、災害の派遣要請をする。この場合、自衛隊の活動についても、現地の指揮本部において現場レベルで連携をとりながら対応をするというふうにしておりまして、通常は、撤収する場合も現地指揮本部で自衛隊とも調整の上で判断される。それから、自衛隊の方でも中でひとつ取り決めされているようでして、基本的には、地元の撤収要請を受けたところで撤収するというふうにされている、そういうふうに伺っております。
 今、先生も引いていただきましたが、昨年から林野庁とも御相談をしまして研究会を設けたんですが、ここにも自衛隊の担当の課長さん、お二人入っていただいて、相当熱心に議論をしました。私も現地調査に行ったりしました。まだまだ課題はあると思いますけれども、今おっしゃいましたように、自衛隊との連絡をできるだけ緊密にする、意思疎通を欠かさないようにする、それから、おっしゃいますように、地元の市町村長さんなり消防長さんなり、そういう御意見をなるべく尊重するという気持ちで対処していきたいと思っておる次第でございます。
松浪(健四郎)委員 いずれにいたしましても、自衛隊が出動するには手続を経なきゃなりません。そこへもってきて山林火災の場合、資機材の調達にも時間が必要であります。ですから、こういうときには自衛隊の出動を要請しなさいというようなことは、地方自治体に消防庁の方からできるだけわかりやすいような要領で指導、伝達しておいていただければありがたい、こういうふうに思います。
 次に、原子力の災害対策についてお尋ねしたいと思います。
 原子力災害対策における防護資機材等について、消防庁にお尋ねしたいんです。私の地元であります泉南郡熊取町にも京都大学の研究用の原子炉施設がございますが、平成十一年九月三十日に発生しました東海村ウラン加工施設での臨界事故は、周辺住民の避難や作業員が重篤な放射線被曝により死亡する等、我が国で初めての原子力災害対策が実施されるという痛ましい事故でありました。
 原子力災害は五感で直接感じることなく被害を受ける可能性がございます。適切な対応を行うためには、専門的知識や特別な装備が求められるという特殊性があります。このことから、国の果たすべき役割と責任につきましては、自然災害と比較して大きいと考えます。
 そのようなことから、原子力災害特別措置法が制定され、国を挙げて防護対策に取り組んでいるところでありますけれども、放射線測定器、防護服等の防護資機材の整備、オフサイトセンターの整備、放射線モニタリング強化のためのモニタリングポストの整備等、いろいろな対策を実施しているところだと思います。また、特別な消防車を整備している消防機関もあると聞いております。その中でも、東海村ウラン加工施設の臨界事故で救急隊員の方が被曝しておられますが、原子力災害が発生した場合、地元で活動する防災業務従事者の防護対策が非常に重要であると考えます。
 そこで、二つのことをお尋ねしたいと思います。
 東海村ウラン加工施設の臨界事故が発生して以来、放射線測定器、防護服等の防護資機材の整備が進められていると思いますが、原子力施設が所在する消防本部の防護資機材の現在の整備状況はどうなっているのか、お尋ねします。
 そして二つ目に、原子力災害が発生したときは、国と地方公共団体とが連絡して対応することが必要であると思います。その際、即座に対応するためには、常日ごろからの訓練が重要であると思います。原子力災害に関しても防災訓練が実施されていると思いますが、その実施状況についてお尋ねしたいと思います。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 最初に、消防活動を行います職員等のための放射線防護資機材等の整備状況でございますけれども、これは、先ほどもお話にありました東海村のウラン加工施設の臨界事故もございましたので、平成十三年五月に、都道府県なり市町村に私どもの方で原子力施設等における消防活動対策マニュアルというものを示しまして、原則、所在の消防本部には、消防隊二隊、それから救急隊一隊、救助隊一隊の構成としまして、今お話に出ました、例えば簡易型の防護服十八着、個人警報線量計十八個、それから空間線量計四台といったようなものを整備するように示しております。
 これと並行しまして、こういった資機材について、経済産業省と文部科学省で原子力発電施設等緊急時安全対策交付金といったような交付金を設けておりまして、今の防護服でありますとか、それから測定器、線量計等の資機材の整備を行っております。また、消防庁としましても、原子力発電施設立地地域の特別措置法というのがございますが、これで消防ポンプ自動車なり、装備資機材の整備の補助もしておるわけであります。
 先生御質問の、今どのぐらい整備されているかという点ですけれども、昨年の四月現在で申し上げますと、原子力施設が所在する二十一消防本部で、防護服が八千三百六十六、放射線測定器が二百二十四、それから個人用線量計が二千六百九十九というふうになっている次第でございます。今後とも、できるだけ整備をしてまいりたいと思っております。
 それから、防災訓練がとにかく大事ではないか、全くおっしゃるとおりでございまして、私どもとしても、これは関係省庁と協力してそういう体制をとっております。現在は、原子力の防災訓練につきましては、原子力災害特別措置法に基づきまして、まず国が計画した原子力防災訓練、こういうものと、それから所在の道府県で災害対策基本法に基づいて計画しました原子力防災訓練と、二通りございます。
 それで、手短に申しますと、例えば十四年度でいいますと、国の原子力防災訓練は、福井県の大飯町のオフサイトセンターにおきまして、国なり地方団体、それから原子力事業者等の関係機関が参加して開催いたしておりますし、また、私どもの承知している範囲では、所在十三道府県で独自に訓練をやっております。
 以上でございます。
松浪(健四郎)委員 長官にはさらなる充実をお願いいたしまして、時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
上田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時散会


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