衆議院

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第2号 平成17年10月21日(金曜日)

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平成十七年十月二十一日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 大野 松茂君

   理事 大村 秀章君 理事 斉藤斗志二君

   理事 原田 令嗣君 理事 福井  照君

   理事 宮下 一郎君 理事 奥村 展三君

   理事 下条 みつ君 理事 石田 祝稔君

      小川 友一君    金子 恭之君

      小坂 憲次君    木挽  司君

      後藤田正純君    佐藤  錬君

      薗浦健太郎君    高鳥 修一君

      谷  公一君    冨岡  勉君

      中森ふくよ君    長島 忠美君

      西村 明宏君    深谷 隆司君

      三ッ矢憲生君    望月 義夫君

      盛山 正仁君    森  英介君

      山本  拓君    石関 貴史君

      岡本 充功君    黄川田 徹君

      小平 忠正君    田村 謙治君

      松本  龍君    森本 哲生君

      鷲尾英一郎君    赤羽 一嘉君

      谷口 和史君    高橋千鶴子君

      菅野 哲雄君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       村田 吉隆君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中村 吉夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  正剛君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           井田 久雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         金子 順一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   衆議院調査局第三特別調査室長           佐藤 廣平君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十一日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     冨岡  勉君

  坂井  学君     木挽  司君

  林   潤君     中森ふくよ君

  三ッ矢憲生君     佐藤  錬君

  森  英介君     薗浦健太郎君

  鷲尾英一郎君     石関 貴史君

同日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     坂井  学君

  佐藤  錬君     三ッ矢憲生君

  薗浦健太郎君     森  英介君

  冨岡  勉君     伊藤信太郎君

  中森ふくよ君     林   潤君

  石関 貴史君     鷲尾英一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――

大野委員長 これより会議を開きます。

 この際、村田防災担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村田防災担当大臣。

村田国務大臣 防災担当大臣として、一言ごあいさつ申し上げます。

 近年、各地で災害が多発しておりますが、本年も、福岡県西方沖地震や台風十四号、ハリケーン・カトリーナ、パキスタン北部の地震など、国内外で大きな被害が発生しました。お亡くなりになられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心からお見舞い申し上げます。

 また、発生からほぼ一年が経過した新潟県中越地震については、今後とも、被災者への支援、被災地の速やかな復旧復興に努めてまいります。

 さて、昨年来の災害を振り返ってみますと、まず、高齢者などの避難や支援の問題が明らかになりました。避難勧告などの判断・伝達マニュアル及び高齢者などの避難支援のためのガイドラインを三月に取りまとめましたが、これを市町村などに周知徹底し、避難誘導体制の充実強化を図ってまいります。

 また、中越地震において中山間地域特有の課題が明らかになったことから、検討会を設置し、八月に提言が取りまとめられました。今後、これに基づき必要な対策を促進してまいります。

 七月に発生した首都圏の地震などにおいて、エレベーターへの閉じ込めなど、いわゆる都市型震災の課題が明らかになりました。このため、関係省庁局長会議を開催し、その検討状況を踏まえ、必要な対策を講じてまいります。

 また、首都直下地震など大規模地震対策については、建築物の耐震化を強力に全国展開するなど、今後とも必要な対策の推進に全力で取り組んでまいります。

 一方、国際防災協力の面では、本年一月の国連防災世界会議で、私自身議長を務め、世界の防災行動の指針となる兵庫行動枠組を採択しました。この実施に向け、ODAの活用に向けた働きかけや、アジア防災センターを通じた地域協力などを積極的に推進してまいります。

 最後に、国民一人一人の防災意識の醸成や地域防災力の向上など災害への備えを実践していただく国民運動を推進するため、中央防災会議に設置した専門調査会での検討を踏まえ、広範な取り組みを推進することとしております。

 今後とも、災害対策に全力を尽くしてまいりますので、林田副大臣、江渡政務官ともども、大野委員長を初め理事、委員各位の格別の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

大野委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中村吉夫君、内閣府政策統括官榊正剛君、文部科学省大臣官房審議官井田久雄君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長大島寛君、厚生労働省大臣官房総括審議官金子順一君、国土交通省道路局長谷口博昭君及び国土交通省住宅局長山本繁太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島忠美君。

長島(忠)委員 おはようございます。自由民主党の長島忠美でございます。

 今回の総選挙で議席を得させていただき、きょう早速質問の機会を与えていただきました。心から感謝を申し上げ、二、三点ほど、被害の状況を説明しながら質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 昨年、日本の国は、台風、水害、地震といったあらゆる災害が多発し、多くの犠牲者を出してしまいました。昨年、主な災害で亡くなられた二百八十二名の皆さん、そして、負傷者は八千四百五十七名、全壊家屋四千七百六十四棟、半壊家屋二万九千八百八十二棟、床上浸水四万四千九十四棟という甚大な被害を我が国土は受けてしまいました。この場をおかりし、犠牲となられた皆さんに心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災を受けられた皆さんに心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 自然災害はそもそもだれのせいでもなく、そしてだれかが被害を受ける、そして、自然は自然の営みの中でみずから立ち直ってくれるわけでもなく、だれかの力をかりなければ直していけないというところに大きな問題があるんだろうと思います。特に今回、私たち中越地方を襲った中越大震災、いわゆる過疎の中山間地に起こった災害として、人が人としてのありようまで問われる災害であったことを皆さんにまずお訴えを申し上げたいと思います。

 特に今回の災害は、建物の倒壊だけではなく、地盤そのものが崩壊をし、すべてのインフラが失われてしまったというような災害でございました。皆さんのお手元に若干の写真の資料をお配りをさせていただきましたので、特に代表的な事例に関して、私の方から御説明を申し上げたいと思います。

 まず、こちらの写真をぜひごらんいただきたいと思います。ここは旧山古志村竹沢の油夫地域でございます。二十数戸の集落が斜面にへばりつくように生活を営んでおりましたけれども、すべての家屋がごらんのように土砂崩れの中に流れて、生活を営むことさえ困難、そして周辺の道路からは孤立をしたという状況になっております。そして、この上方に見える山古志中学校という建物でありますけれども、これは耐震補強を九月に完了させただけの建物でありますけれども、今回すべての地盤が動いてしまった、山が動いてしまったということのために、建物が二つに折れ、その機能すら失ってしまうような災害であったということを、ぜひ皆さんから御理解をいただきたいと思います。

 そして、皆さんに一番おわかりをいただきたいと思いますけれども、これは、芋川という一級河川をふさいだ、いわゆる震災ダムが発生した現場の写真でございます。この山すべてがこちらから百五十メートル平行移動をした。この山には田んぼも畑もへばりついている状況がおわかりいただけると思いますけれども、今回の災害、地盤災害とはいいながら、崩れた災害ではなく、山そのものが移動をしてしまったために、河道を閉塞してしまい、今はまだ十月二十四日の写真ですので川に水が湛水をしておりませんが、この後湛水をし、十四戸の住宅が水の中に埋もれてしまい、現在もまだ土砂と水の中にいるというような状況でございます。

 私は、こんな状況を受けたときに住民は、やはりできるだけ早く、できるだけもとの生活を取り戻したい、そんなふうに思うんだろうと思います。今回の災害を受け、すべての住民、私も含めて悲嘆に暮れている中、いち早く政府そして関係省庁が駆けつけていただき住民の前に立っていただいたことは、私たちにとって大きな勇気と希望につながったということを、まず、心からの感謝の念を込めながら皆さんにお伝えを申し上げたい、そんなふうに思います。人間が人間の生活を思うとき、あくまで人道的に、そしてあくまで迅速に生活を取り戻してあげたい、そんな意識がひしひしと感じられる災害対策であったと、私はそんなふうに信じております。

 私たちが全村避難を決定してから二十六時間という短い時間ですべての住民の避難を完了させていただいたこと、そして、避難をさせていただいた後も、自衛隊を初めとする関係省庁の皆さんから常に周りにいていただいて住民を励ましていただいたこと、そして、私たち行政のはるか能力を超える災害でもあったにもかかわらず、国の関係機関は関係省庁連絡会議をいち早く立ち上げていただき、私たちに対する災害復旧あるいは災害対策の手だてを示してくれたこと、このことが私たちにとって大きな希望につながったということを、感謝を込めながら皆さんにお伝えを申し上げたいと思います。

 それでもまだ問題は残る。それは、住民というのはあくまで、避難に遭った翌日から、あしたにでも、あさってでも自宅に帰って生活を再建したい、そして一日も早く、スコップ一丁、くわ一丁持ってでも自分の地域を取り戻したい、そういう大きな気持ちを持っているものだと思います。

 私は、この災害を受け、自分たちの被災の体験を全国に発信することは、これから恐らくなくならないであろう自然災害の中で、少しでも迅速に、あるいは安全、安心というキーワードにつながってくれることができれば、私たちが全国の皆さんから御支援をいただいた感謝の気持ちにかえられるのではないか、そんなふうに思っているところでございます。

 まず、全国の日本の国土を考えたときに、被害を受けたときにいち早く駆けつけていただいて、いち早く生活を取り戻すために、何といっても道路、仮でもいいから道路網を構築してほしいという強い思いの中から、一点質問をさせていただきます。

 先ほども申し上げたとおり、災害にとって一日も早い復旧、これこそが住民にとって大きな希望であります。もとの生活を取り戻すためには、仮でも、そして工事用道路でもいい、自分のうちまでたどり着ける道路網が欲しい、これが住民の強い願いであります。応急対策の中で、市町村の手に負えない仮設道路について国、県の枠を超えた対応策を検討し、ぜひ、そのことを実現する施策を示してほしい。昨年の台風災害、地震災害を考えると、道路あるいは情報からの孤立が避難を余儀なくさせ、住民の不安を増大させたような気がすることを考えると、日本の国土を、災害に強い国づくりのため、基幹道路のネットワークはもちろんでありますけれども、いち早い災害復旧仮設道路の構築をできるための制度をつくってほしい。そんな考え方をぜひお聞かせを願いたいと思います。

 また、日本の国土全体を考えたときに、今、国では、県庁所在地あるいは重要区間を結ぶネットワーク道路の耐震化を進めているようでありますけれども、さらに、孤立をする集落あるいは孤立をする住民がいないように、道路の耐震化、あるいは液状化による地盤流失を未然に防ぐ、そんな道路網の構築を喫緊の課題として取り組んでほしい、そのことのためには、財源もぜひ確保しながら取り組んでほしいという強い願いを持っております。ぜひ国交省の考え方をお伺いさせていただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 二つ御質問をいただいたかと思います。まず、安全、安心ということでございますが、これは国土交通省の重要な使命、ミッションであると認識しております。道路災害による交通の寸断は、災害時における救助救援活動はもとより、国民の生活や経済活動に重大な影響を与えるということから、災害に強い道路づくりということは重要であると考えております。全国には、高速道路から市町村、百二十万キロメートルの道路があるわけでございますが、国土の約七割が山地である、また、最近の局地集中的な豪雨また頻発する地震等により、道路ののり面崩壊や路面の陥没等の道路災害が毎年多く発生しているということでございます。暦年でございますが、平成十六年度で被災を受けた箇所は全国で二万五千カ所を超えるというような箇所になっております。

 そうしたことからいろいろな対策をさせていただいておるわけでございますが、耐震対策としましては、災害時に救援活動や物資輸送を担う緊急輸送道路の橋梁の耐震補強というようなことを重点的にさせていただいておりまして、平成十七年度から十九年度を対象とする三カ年プログラムというようなものに基づきまして、国と都道府県等が連携して、重点的に実施をさせていただいているところでございます。

 また、豪雨や地震等による道路ののり面崩壊等に対する対策としましては、道路のり面を保護するためののり枠工や吹きつけ工、危険なのり面を回避するためには、場合によってはバイパスといったような整備を行っておるところでございます。

 また、新潟県中越地震では関越道がいっとき通行どめになったということでございまして、その際に、磐越道と上信越道が新潟県と首都圏を結ぶ代替路として活用されたというようなことから、代替路としての広域的な道路ネットワークの整備というようなものにも力を入れていきたいと思っておるわけでございます。

 いずれにしましても、災害に強い道路ネットワークの構築というようなことに鋭意努力をしていきたいと思っております。

 もう一つ、迅速な復旧のための国、県の枠を超えた対応策ということでございます。大規模な災害時において、被災地域の早期復旧のためには、県や市町村が管理する道路の災害に対しても国として適切に支援をしていくという基本方針でございます。

 例えば、昨年の新潟県中越地震におきましては、県の管理道路で約一千百カ所、市町村道では約二千四百カ所という多くの被災を受けられたということでございまして、国土交通省としましては、国土技術政策総合研究所の専門家を派遣するというようなことで技術的な支援もさせていただきましたが、また、新潟県からの支援要請に基づきまして、地方整備局の職員を派遣し、被災状況の調査等を応援させていただいたということでございます。

 また、旧山古志村におきましては、斜面崩壊等により大規模に被災した、県の管理の国道二百九十一号でございますが、県知事からの要請を受けまして、国土交通省が直轄事業として災害復旧というようなことで事業を実施させていただいているところでございます。

 今後とも、要請等も受けてということになろうかと思いますが、地方公共団体と連携しながら、的確な災害復旧、迅速な災害復旧に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。

長島(忠)委員 お取り組みには非常に感謝をしております。

 私が皆さんにお配りをした資料の中に、県がつくった資料と同時に、湯沢砂防事務所がつくった資料を添付してございます。これはまさに、道路工事だけではなくて、住民にやはりきちんと知らせるということを国がやってくださっているという姿だということで、ぜひこれは、全国の災害地あるいはこれから国の事業についても実施をしていただきたい、このことがやはり住民にわかりやすくなっているという思いでつけさせていただきましたので、ぜひごらんをいただきたいというふうに思います。

 道路の構築その他についてはやはり大きな財源が必要になるでしょうから、国土交通委員会等で私もまた質問をさせていただきたいと思いますので、道路の件についてはとりあえず置いておきますけれども、やはり私どもは、今まで御説明をいただいたように、国、県から大きな御理解と御支援をいただきました、そして、災害復旧に向けては大きな前進をしておりますけれども、住民が一日も早く帰りたいという思いの中には、やはり多少のすれ違いがあることも事実でございます。そこのところを末端の行政あるいは我々がクリアをしていくことがやはり課題だ、そんなふうに受けとめているところでございます。

 特に、全国の災害地、それぞれ被害が甚大なところでは、やはり、早く復旧するために三年という目標を立てながらやっておられるところが多いんだろうと思います。新潟県の中越地震でも、やはり三年ということの中でやり遂げたい、そして、旧山古志村を中心とした中山間地では、十八年九月をやはりある意味インフラの復旧めどに立てたいということでやっております。

 でも、被害が特に甚大であるがゆえと、そして雪国であるがゆえ、五カ月間という工事不能期間が生じてまいります。国で言う災害三年という年度の中では、やはりやり遂げられない事業が多数出てくるおそれも今は心配をしているところです。もちろん、国も県も三年間でやり上げるという使命の中で、そして市町村もその使命の中で一生懸命やっていただいているところでありますけれども、やはり雪国の特性、五カ月間の工事不能期間、この間、災害が雪のため広がることも考えると、すべてやり遂げられない、そして、そのことが置き去りにされてしまうんではないかということが、末端行政あるいは住民にとって大きな不安となっているところも事実でございます。

 ぜひ、災害復旧期間、場合によっては延長、財政支援も含めて繰り越し事務がスムーズに行われるように配慮を願いたい、そのことに関して内閣府の御見解をお伺いしたいと思います。

村田国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 長島旧山古志村の前村長さんには、このたびの衆議院選挙によりましてこの衆議院に議席を得られまして、特にこの災害対策特別委員会のメンバーになられましたことに対して、心から担当大臣として歓迎の意をあらわしたいというふうに思います。今後、長島さんの、不幸ではありましたけれども、被災体験を通じまして、この国会で、できるだけ防災のため、あるいは、災害が起こってしまった後の復旧復興のために国がやるべきことについて貴重な御助言を賜ればと私ども期待をしておりますので、どうか御活躍を賜りますようお願いを申し上げたいと思います。

 本当に、考えてみますと、もう既に一年間たったのかなというそういう感懐を持ちます。今週末の二十三日にも一周年の追悼式が小千谷市で開催されますので、私も参りまして、政府の一員として、不幸にして亡くなられた皆さん方に、あるいは遺家族の皆さん方に哀悼の意をあらわしてまいりたいというふうに考えております。

 今、委員が御指摘なさいました被災地の御心配、特に中越地帯は、私も四度参りまして、一番積雪がひどい中にも行きましたけれども、積雪で工事ができない期間が大変長い期間あるということでもございますし、災害があった年を含めて三年間で復旧をしていただく、これは、一刻も早く被災地の立ち直りを支援するという観点から、できるだけ復旧工事は急いでいただくというのがその本来の趣旨でございますけれども、当然いろいろな個別の事情もございますので、もしこの三年以内に復旧事業が完成をしないという事態があれば、我々は適当な対応をしていかなければいけない。

 我々の趣旨は被災地が立派に復旧復興をなし遂げるということにあるわけでございますので、被災地の御事情あるいは御要望を受けまして、必ずそうした対応をとってまいりたいというふうに考えておりますので、どうか地元の皆さん方にはそのようにお伝えをいただければというふうに思っております。

長島(忠)委員 力強い答弁をいただきまして、大変ありがとうございます。早速地元に伝えながら、希望をつないでまいりたい、そんなふうに思うところでございます。

 最後に一点だけ。被災地から経験したことの中で、中山間地災害、やはり被害を甚大にさせて孤立をさせるという問題は残りましたけれども、比較的集落あるいはコミュニティーが残っていたということで、行政の立ち行かない部分をコミュニティーあるいはコミュニティーの長がきちんと把握をして、避難あるいはその後の住民対策をスムーズにしてくれたという性格があります。

 ただ、私が被災を受けた立場で全国を歩かせていただいて、特に大都市あるいは海岸部、いろいろな形で被災を受けたことを想定すると、災害を受けてから私どもは四十四時間で避難をさせていただきました。どんなに考えても、三日間ぐらいで避難を完了しないと住民の命に甚大なやはり後遺症あるいは危険が残ることを考えると、特に都市型災害において情報収集のあり方あるいは初期災害対策の立て方について、やはり迅速を主に考えながら、今のうちから検討を考え国民に知らしめるべき必要があるんではないかな、そんなふうに考えるところでございますので、この件について、ぜひ内閣府統括官からの御見解をお伺いしたいと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 首都直下地震で私ども推計をいたしますと、死者で一万一千人、建物全壊もしくは焼失棟数八十五万棟、帰宅困難者六百五十万人と想定されるほど都市型震災では被害規模が非常に膨大になっておりまして、被災状況の把握が困難となることが懸念されているところでございます。

 まず被災状況につきましては、私ども、地震防災情報システムというのを持っておりまして、そこで震源情報や震度分布から被害規模を推計するとともに、ヘリコプターの画像情報等を活用いたしまして概括的な状況を把握するというふうにしたいと思っております。これにより、被害が大きいと判明いたしました場所には、人的資源を投入して情報収集を行うということが適切ではないかというふうに考えているところでございます。

 また、先ほど、帰宅困難者が六百五十万人と想定されると申し上げましたが、帰宅困難者の数が膨大であるため、まずはむやみに移動しないということを基本原則にいたしまして、それの周知徹底を図るということが必要ではないかと。それと同時に、家族の安否確認が速やかにできない場合には、災害伝言ダイヤル一七一といったようなものを活用いたしまして、災害時の安否確認のためのシステムが十分に活用されるように、その認知度の向上を図っていくことが必要ではないかというふうに思っております。

 先ほど、中山間地域の場合に地域コミュニティーがしっかりしていたというお話でございますが、都市部でも実はこういったことが必要ではないかということで、先月、中央防災会議で決定いたしました首都直下型地震対策でも、地域コミュニティーの再構築など地域防災力の向上を図ることが必要だというふうに私ども考えているところでございます。

 いずれにしろ、都市型震災におきましても的確な状況把握が行えるように、地方公共団体初め、関係機関とともに対策の充実を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

長島(忠)委員 時間が参りましたので、最後にお礼と要望を申し上げたいと思います。

 被災者の立場からいくと、今、中越地震を受けた被災者、約二千八百世帯、九千三百人が仮設で、来年こそは帰ろうという気持ちの中でおります。先ほど、大臣からも力強いお答えをいただき、また、大臣がこの災害を受けてから何回も足を運んでいただき、そして、関係機関の皆さんが何回も私どもの住民に直接向かい合っていただいたということは大きな希望につながっています。必ず私たちも、私たちだけではなくて全国の被災地は、支援を受けて立ち直る以上は、きっと国のために、そして国民のためにお返しをできるところを約束しながら災害復旧に努めてまいりたい、そんなことを思いながらいるところでございます。

 ぜひ、住民に最後に向き合うところだけは国の方から最後までやっていただきたいということを要望申し上げ、質問を終わります。

 大変ありがとうございました。

大野委員長 次に、高鳥修一君。

高鳥委員 おはようございます。自民党の高鳥修一でございます。

 私も、新潟県選出の新人でございまして、きょう、発言の機会をいただきましたことを大変ありがたく存じております。

 さきに質問に立たれました長島先生でございますが、まさに中越地震復興のシンボルというふうに言われている方でございます。大変心強く感じているところでございます。私の地元は、山古志あるいは長岡、そして小千谷、川口町、こういうところと隣接をいたしております十日町市、そして旧川西町、こういうところが非常に大きな被害を受けているのでございます。長島先生と共通の質問は割愛をさせていただきますが、一点だけ、震災の復旧期間、この三年を弾力的に考えていただきたいということは、地元からも強い要望がございますので、一点だけ申し上げさせていただきます。

 私は、別の観点から、大きく二つの問題に関しまして御質問をさせていただきます。

 まず第一が、公立学校の耐震化ということでございます。公立学校の耐震化の進捗状況についてお聞きをしたいと思いますが、中越地震の避難状況からいたしますと、最も地域住民の身近な避難先ということになりますと、やはり、地域の学校、そしてその体育館ということになるわけであります。体育館の中には、実際私もそちらに何度も参りましたので感じておるんですが、耐震化の進んでいないところがたくさんございます。そしてまた、例えば天井に大きな水銀灯がつけられておりまして、中越地震の場合、大変何度も大きな余震が来たということが特徴でございますが、余震のたびに天井の水銀灯が物すごく揺れるわけでございます。避難所の中にいすが並べてあって、そこにテープが張りめぐらせてあって、この中は危険だから入らないでください、避難所でありながら危険な避難所というのが実際に存在したわけでございます。

 こういう点を考えますと、ぜひとも公立学校の耐震化を一層促進すべきであると私は思いますが、その点についてお伺いいたしたいと思います。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、学校施設の耐震性、極めて重要でございまして、基本的には、児童生徒が一日の大半を過ごす場という認識がまずございますし、今御指摘ございましたように、地域住民の避難場所としての役割、これも極めて重要な役割だというふうなことから、全国どこでもその安全性を確保するということは大変重要なことだろうとまず認識しております。

 しかしながら、その耐震化についての現状ということでございますが、現在、耐震性が確認されているというものは全体の五一・八%ということで、ようやく半数程度という状況にあるわけでございます。また、地域間においても格差があるということがございまして、いまだ十分進められているとは必ずしも言えない状況にございます。このため、国の財政が厳しいという状況にありますが、耐震化の予算の確保に最優先で取り組んできている、こういう状況であります。

 それから、先生御指摘ございました、いわゆる照明といったようなもの、こういったものはいわゆる非構造部材と称するものでございますけれども、これについての耐震性というものもやはり大変な問題だろうと認識しているわけでございまして、こういったことにつきましても、これまで、いわゆるこういった非構造部材についての耐震性向上ということについての取り組みも必要ということから、それに関連する通知といったものも発出しておりまして、これで耐震性の推進について各自治体等の設置者の取り組みを促しているという状況にございます。

高鳥委員 今ほどお話がございましたが、全国どこでもということでこれから取り組んでいただくということであります。

 ところが、耐震化に関する補助率というのが、これは地域によって違いがあるようでございます。このことが、地域間の格差が出ているということの一つの原因になっているのではないかというふうに思うわけであります。それにはいろいろ事情が今まではあったと思いますけれども、新潟県中越地震あるいは福岡県西方沖地震など、まさに今まで予期しなかったようなところでも大規模な地震が起きているわけでございます。そういうことを考えますと、今後、この耐震化のおくれている地域において一層早く進めるべきであるというふうに思いますが、補助率の是正をすべきであるというふうに考えております。むしろ補助率のかさ上げといいますか、おくれている地域に対してやはり配慮をして、早く進めてもらいたいというふうに思います。

 ちょっと数字を申し上げますと、これは公立の高校の施設の数字でありますが、最も進んでいるところが耐震化率九九・五%ということでありますから、ほとんどもう終わっているということでありますが、最もおくれているところが二〇・五%で、全くおくれてしまっている。こういう状況をぜひとも早く是正をしていただきたいと思います。

 そのことについてのお考えはいかがでございましょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘ございましたように、耐震化の補助の率というのは必ずしも一律ではないということでございますが、基本的に、いわゆる地震特措法において対象としているもの、それから地震財特法、略称で恐縮でございますが、これによって措置しているもの、それぞれ手厚くなっているという状況がございまして、そういったことから、私どもの方で全国の公立の小中学校の耐震化に関する調査結果を見ますと、確かに、全国的に耐震化の進捗度にばらつき、格差が見られるという状況でございます。実際に、いわゆる地震財特法における地震防災対策強化地域においては、比較的やはり耐震化が進んでいるという状況がございます。これはやはり、そういった特別な財政措置があるということが一つの要因だろうと考えられているところでございます。

 文部科学省といたしましては、こういった地域以外にも、補助率のかさ上げでありますとか特別な財政措置の必要性、これは必要であると認識しているところでございまして、今後引き続き、内閣府を初めとする関係省庁と協議しながら取り組んでまいりたい、かように存じます。

高鳥委員 前向きに考えていただけるということで、大変心強く思っております。

 次に、学校が、基本的にはこれは教育のための施設ということでありますが、繰り返しになりますけれども、やはり、地域の避難所としての機能をこれから果たしていくであろう。その役割が非常に重要になってくるわけであります。

 そこで御質問いたしますが、特に災害時にも使える施設、例えば防災用のトイレですとかシャワー、更衣室、あるいは、大変高齢者の方あるいは障害者の方から要望がありましたけれども、やはり段差をなくしてもらいたい、こういう教育の施設ではあるんですけれども、避難所としての機能をこれからますます強化充実する必要があると思いますが、その点に関してのお考えはいかがでしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ありましたように、今、学校施設は、災害時における地域住民の応急避難場所ということで重要な役割を担っております。そういうことから、安全性を高め防災機能を強化するということは大変重要なことであろうと認識しております。

 このため、文部科学省におきましては、その耐震化推進そのものはもとより、避難場所として位置づけられた学校施設につきまして、必要に応じて、例えば貯水槽ですとか、あるいは避難住民の使用に配慮したトイレなど、こういったことを初めとした防災機能の整備充実、こういったことを図ることについて、学校施設整備指針、この指針の中に盛り込み、指導しております。

 また、公立学校施設におきましては、こういった貯水槽ですとか屋外トイレ等の設置などに係る経費につきましても国庫補助の対象としているところでございまして、そういった支援に努めているというところでございます。

 また、昨年の新潟県中越地震の被害状況を踏まえまして、各都道府県教育委員会等に発出した通知においても、地域の防災拠点としての機能の整備について指導しているところでございます。

 以上でございます。

高鳥委員 次に、大きな項目の二点目に移りたいと思います。災害時における障害者あるいは要援護者の救援体制の整備についてお伺いをしたいというふうに思います。

 私自身が、震災発生の当夜から約一カ月間、毎日現場でお手伝いをしてまいりました。そういう経験から若干申し上げたいと思いますが、まず、私が見た限りにおきまして、やはり大規模災害が発生したときというのは、行政の皆さん、市役所の皆さん、本当に私は御苦労さまだというふうに思っております。これは、もう予期しない出来事が急にそこの地域で起きるわけですから、正直言っててんてこ舞いということであります。そんな中で、大変住民からいろいろな要望あるいは苦情、それから、全国からボランティアの方々も大勢来てくださいます、その方々に対する受け入れの対応、あるいは物資も、大変ありがたいことに、全国から大勢の温かい御支援をいただくわけでありますが、三日目ぐらいになりますと、大量の、簡単にさばき切れないほどの物資が届く、そういう状況の中で行政の皆さんも不眠不休で働いていただいておりました。そのことに対して何ら文句を言うつもりはないんでありますけれども、だからといって、地域における障害者あるいは要援護者が取り残される、あるいは孤立する、こういうことがあるようでは、私は、日本の政府の対応としては情けないんではないかなというふうに思っております。

 例えば視覚障害の方、こういう方々は、地震が起こったときに、家の中が家具が倒れたりしてめちゃくちゃになるわけでございます。そんな中でどうやって逃げていいか、それ自体もわからない。あるいは聴覚障害の方は、助けてと言ってもその声が聞こえない。一般の方も大変ですけれども、障害のある方はより大きな不安あるいは恐怖を抱えておられるというふうに思うわけであります。

 そこで御質問を申し上げますが、大規模災害時に障害者が避難できず取り残されるということのないように、必ずだれかが連絡をとる、あるいは安否を確認する、そういう体制をしっかりとつくっていただきたいと思うわけであります。そこで、障害者あるいは要援護者に関する情報を日ごろから福祉の担当者とそして防災の担当者が共有することはできないものだろうか。これは、何か起こったときに緊急避難的にあるいは特例的に情報を開示するという考え方もあるかもしれません。しかし、本当に大規模な地震あるいは災害が起こったときは、もうてんてこ舞いでとても実際は対応がし切れないということが心配なわけであります。最終的に一人も取り残される障害者が出ないように、ぜひとも御検討いただきたいというふうに思います。

 お考えをお聞きいたします。お願いします。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年来の風水害における対応というのを検証してまいりました。災害時の要援護者の避難支援対策につきまして、どういった方をどうやって集めて、情報を収集して共有していくかということでございますけれども、そういった情報の収集、共有体制が進んでおらず、避難支援計画・体制が具体化されていないということが大きな課題というふうに明らかになったところでございます。その一因としては、防災関係部局と福祉関係部局の連携が不十分であるということが指摘されようかというふうに思っております。

 それで、昨年来、私どもの方では、有識者から成る検討会を立ち上げまして、これらの課題に対する取り組み指針となるガイドラインを本年の三月に取りまとめたところでございます。この中で、要援護者の情報の共有についてどうしようかということでございますけれども、そういう中身は、同意方式とか手上げ方式とか共有情報方式といったような形で、三つの方式を組み合わせながら、防災部局と福祉部局、救援機関、避難支援者の間で日ごろから情報を収集、共有していただいて、避難支援体制の整備に取り組むことが必要だということでございます。

 この内容につきまして、本年三月に、消防庁と一緒になって、公共団体の方にガイドラインという形で通知をいたしました。本検討会の検討成果も防災基本計画に盛り込みまして、その取り組みを始めたところでございます。市町村を中心とした災害時の要援護者の避難体制の整備促進を引き続き図ってまいりたいというふうに思っておるところでございます。

高鳥委員 今、本年の三月にガイドラインを作成していただいたということでありますが、これが実際に各自治体においてどれだけ反映されたか、達成されたか、そういうことをぜひとも検証していただきたいというふうに思います。それをつくったから終わりということではなくて、ぜひとも実効あるものにしていただきたいというふうにお願いをいたします。

 そしてもう一点、私が現場で見ておりますと、避難物資というのはかなりの量を送っていただきまして大変ありがたいわけでありますけれども、実際にその避難所に行かないと物資の配給にありつけないといいますか、そういう状況なんです。それは障害者も健常者も同じなんですが、ところが実際、障害者の場合は、実は私も障害者団体の一員であるわけでありまして、これは多くの声をお聞きしておるわけですが、避難所に行って、では自分がどういう対応をしてもらえるのかということに対する大きな不安があるわけです。

 そんな中で、例えば自閉症児を抱える家庭では、御案内のとおり、自閉症児というのはいろいろとコミュニケーションに障害がございますので、そういう体育館の中で他人に迷惑をかけてはいけない、そういう思いから、むしろ障害者あるいはその家族の方で自己抑制的に避難所に行けない、そして、大変狭い車の中で家族で何とか身を寄せている、そういう状況があるわけでございます。この状況が、私は決して文明国の状況としてふさわしいとは思っておりません。ぜひとも改善をしていただきたいというふうに強く思っておるわけであります。

 そして、体育館の中は、これは不思議なことなんですけれども、そこの体育館の敷地がだれかのものというわけではもともとないんですね。ところが、避難生活というのはある種の特殊な状況でありまして、一種の既得権というか縄張り意識みたいなのが出てまいります。先に来た人が荷物を置いて、いい場所をとってしまう。そして、要は後から来た人、力の弱い人、発言力の弱い人はどうしても片隅に追いやられてしまうということがございます。障害者の避難に対してぜひとも格段の配慮をいただきたいというふうに思います。

 そのことに対して国はどういうふうにこれから改善をされていくのか、最後にお伺いしたいと思います。お願いします。

林田副大臣 委員が現地の生のお声をこうやってお伝えいただくのが、大変これからのいろいろな我々の施策に反映できるように、我々はまず基本的にうれしく思っております。

 私も現場に対策本部長として行きまして、災害が起きた時点、それからこういう避難された時点、それぞれ時を経ていくとともにいろいろな要望が出てまいります。そういう中で、健常者でも大変なことでございますので、ましてや要介護者をどうするかというのは、先ほど政府委員が答弁いたしましたように、この災害を契機にいたしまして、これ以外にも昨年は非常にいろいろな災害が突出した年でございます。ある面では、そういう災害後の対応についていろいろな知恵と申しますか、これは苦情も含めましての知恵ですけれども、これが蓄積されたというふうに思っております。

 そういうことで、先ほど政府委員が答弁しましたように、九月に有識者から成る災害時要援護者の避難対策に関する検討会を立ち上げておりますし、先ほど委員の御指摘のとおり、防災と福祉の関係、これをただただつくっただけでは何にもならないというのは我々も身にしみて思っておりますので、そのフォローアップも含めまして、遺漏なきよう努めていきたいというふうに思っております。

高鳥委員 御答弁ありがとうございました。私も、災害時の障害者のあるいは要援護者の立場を守るという問題につきましては非常に強い関心を持っておりますので、これからも注意深くまた対応を見させていただきたいと思います。

 最後になりますが、政府のこの障害者あるいは社会的弱者に対する温かい対応を切に希望申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

大野委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 山古志元村長長島委員と高鳥委員のお話を承りながら、やはり、日本のみならず世界各地で起きているいろいろな災害について、いろいろな角度で日本も対応していかなきゃいけないという感じがいたしております。

 そういう中で、私としては、きょうはお時間をいただきましたので、災害の予知の部分と、それから、その後の救助、海外と比べてみて救助の面、大きく言うと、その方を含めてちょっと御質問をさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 まず、地震発生の予知、これは大変難しいのでありますが、昨今のいろいろな発展によって非常に精度が上がってきているというふうに思います。釈迦に説法になりますけれども、地震については、タイプは、海の方にある海溝型と活断層型の地震と二つに分けられる。この二つについて、別々にちょっと御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、海溝型の地震についての発生の予測は、過去をさかのぼって随分昔に行かないとなかなか出てこない。簡単に言えば、古文書などを引き出してきて、数百年に一度の程度の間隔で起こるところもある。そういうのを引き出してきて、後戻りして、このときはこのぐらいだったんだろうな、ついてはこの地域はこのぐらいというような間隔で見ていく。ただ、海溝型の地震発生間隔というのは活断層型と比べればやや短いということもあるので、発生確率については非常に精度が高くなってきているというふうにお聞きしております。

 例えば、文科省がお出しになっている小冊子の中にありますのは、抜粋すると、宮城県沖の地震の発生確率、これは宮城の太平洋岸でございますけれども、三十年以内はマグニチュード七・五から八の規模が九九%発生する。九九%、三十年以内に発生するわけであります。それから東海地震、マグニチュード八は八六%、東南海地震については八・一から八・五のマグニチュードの規模で六〇%、南海地震は八・四の規模で五〇%とされています。それぞれ、おおよその数字がもう出ております。

 その中で、被害額を中央防災会議が試算した中では、南海トラフ、つまり南海と東南海と東海地震が同時に起きた場合、これは、過去における古文書でいくと、ある時期、ほとんど三十二時間間隔で起きている時期もあるわけです。ということは、被害額というのは、最小に見るのか最大に見るのかという場合は、最大に見ておいて、それに対してどうしていくかというのが私は行政の責任であるというふうに思います。

 その場合、今申し上げました東海、東南海、南海地震が同時に発生した場合の経済被害は、中央防災会議の試算でいくと金額的に八十一兆円であります。死者が二万五千人に至る。たまたま数字が似ていますが、我が国の一般会計に匹敵するほどの被害が想定できる。つまり、簡単に言えば、国の根幹を揺るがす程度のことが三十年以内に起き得る可能性が非常にあるということであります。それを考えた場合、発生時期や場所をより一層明確にするのは、もう早急の課題ではないかと私は思っております。今までも、非常に限られた予算の中でいろいろな担当の省庁が頑張ってこられ、また精度を上げてこられたことには敬意を表したいと私は思っておりますが、果たしてそれだけでいいのかなというクエスチョンであります。

 例えば、今後の対策として、もう既にレクでお聞きしておりますけれども、海底のケーブルネットワークのシステムを進めていって地殻調査を進めていく、これは、十八年度の予算で海溝型巨大地震・津波対応海底ネットワークシステムの構築に向けた技術開発、二十一億三千九百万、これは予算で十八年度に載っておりますけれども、また、宮城沖の地震については九九%起きるわけですよ、皆さん。九九%起きる、起きるというふうに言われているわけですから、それをそのままやっておいていいのかなというか、これは、そのとき私がこう言ったことは永久に残るわけですから、そのままでいいのかな。進めているけれども、それに対して対策を練っていくのは、もっとブラッシュアップ、スピードアップしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

 また、今のは太平洋岸だけですが、日本海の方の日本海東縁部地区についても調査はまだし切れていない、一部残ってしまっているというところもあります。それも、今度の新潟についても日本海が近いですし、そういう意味ではどこに何が起きるかわからぬと。

 例えば、つい二日前に、大臣は御存じないですけれども、私も「楊貴妃」に行っておりました。ちょうど大臣と二十メーターか三十メーターの隣の席におりまして、私は大臣に会ってごあいさつするのはちょっとあれしましたけれども、大臣、あのとき地震がありましたよね、がたがたがたと。そのぐらいででして、本当に何が起きるかわからないんです。まあ、ちょっと暴露しました。これは日中友好でございます。どこかの方は日中友好はちょっとあれなので、大臣がお力を出している、汗を流されていると思いますが、そういう意味では、何がいつ起きるかわからない。

 それで、私は、今ここにある予算の二十数億、それから、七億が六億になったり八億が九億、そのレベルで本当にいいんでしょうか。今これだけ私どもが言って、精度が上がってきて、九九%になるんだよ、東南海は八十一兆円になるんだよという中で、もっともっとスピードアップと予算配分をしていってはどうかなという意見が多く私の周りにも出ております。

 その辺を踏まえて、今後の進め方とお考えをまずお聞きしたいというふうに思います。

井田政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省としての進め方という御質問かと思いますけれども、文部科学省といたしましては、地震調査研究推進本部、そこが地震防災対策特別措置法に基づいて設置されている機関でございますけれども、ここが地震調査研究というものを推進しているところでございます。

 具体的にどのようなことを行っているかといいますと、一つは、特に今後の重点調査観測ということにつきましては、ことし八月に地震調査研究推進本部から提言をいただいておりまして、一番目としまして、特に、強い揺れに見舞われる可能性が相対的に高いと判定された地域においてその地震を重点的に調査観測をしていくこと、それから、基盤的な調査観測の対象となりました断層、これが主要九十八断層ございますけれども、それの選定基準を満たしながらさらに追加にすべきもの、そういうものがございますので、そういったものの追加調査、こういったことに取り組んでいくことにしております。

 また、今お話がありました、大都市圏における大地震が発生した場合の人的、物的被害を軽減させるための研究開発、こういったものについては十四年度から取り組んでおりますし、また、海溝型地震、それにつきましては、東南海・南海地震さらに日本海溝・千島海溝周辺の地震、これに対する調査研究を平成十六年あるいは平成十五年から取り組んでいるところでございます。さらに、昨年のスマトラ沖の地震、こういったものも踏まえまして、平成十八年度から、今先生からお話がございましたとおりの、海溝型巨大地震・津波対応海底ネットワークシステムの構築に向けた世界最先端の技術開発などに取り組むこととしているところでございます。

 このように、文部科学省といたしましては、地震調査研究の推進、これに積極的に取り組んでいるところでありまして、今後とも、これら施策を着実に進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

下条委員 ありがとうございます。

 大変御努力なさっていること、そして過去における調査研究については、私、先ほど申し上げたように、敬意を表したいと思っております。

 ただ、私が申し上げたいのは、本当にそれでいいのかな、それだけでいいのかな、もうちょっとスピードアップ、そして予算配分をつけていく必要があるということではないかと思います。これは海溝型についてでありますね。よろしくお願いしたいと思います。

 続いて、まさにこの間あった活断層地震の部分なんですが、これは本当に被害が直結します。そういう意味で、現在のところは、いろいろな調査手法によって、日本国の活断層は約千八百あって、地震の規模が大きい主要なものは百十のグループに分かれている、全体の二割が大きい活断層になっているというふうに言われております。調査は、ボーリングがあったり、空中写真があったり、反射法があったり、トレンチがあったりいろいろありますけれども、そんな中で、お伺いしているところによると、大きいものでいくと、糸魚川―静岡断層帯では三十年以内の発生確率が一四%になる。被害想定は、マグニチュード八では、北部では、死者が約三千四、五百名、全壊の木造家屋が九万二千棟等。中部では、マグニチュード八で、死者が約二千八百人、木造家屋の全壊が九万二千。また、神縄・国府津―松田断層帯の発生確率というのは〇・二から一六%の発生確率がある。規模はマグニチュード七・五で、死者五千六百人、家屋の倒壊二十二万棟と言われております。これは、今までの、今文科省さんからあったいろいろな、トレンチとかそれから空中写真を含めた調査によってこういう想定が出てきているというふうに思っています。

 そこで私が注目したいのは、これはまさに阪神大震災のときもそうだったんですが、この神縄・国府津という部分の発生確率が〇・二から一六%と非常に枠が広いですね。要するに、〇・二というのは百分の〇・二ですから、もうほとんどないよと。一方で、百分の十六となると約二割あるわけですよね。これは、ではどうやって順番を組み立てればいいんだろうかというふうになってきちゃうと思うんですよ。一方で、実を言うと、阪神大震災の発生確率も〇・〇二から八%と言われておりました。

 したがって、今のやり方の精度、もしくは、簡単な話になれば最終的には予算では、こういうふうに低い確率の部分も非常に多々出てきている。ただ、低い確率の部分の阪神大震災がああいう大きな災害になっているというのをかんがみた場合、もう少しちょっと、先ほどの海溝型にも通じるんですが、直下型ですからね、自分の住んでいる地面の下、かつ、私もロスで自分がこうむった方の口でございます。ノースリッジの地震の震源地から車で十五分ぐらいのところに住んでおりまして、まともに食らっていますので、まさに自分が寝起きしているところの地面が揺れるというのは、もうすごいショック、パニック、そして災害になるというふうに思いますので、私としては、この部分をもうちょっと精度を上げないと、えらいことにこれがつながっていくんじゃないかというふうに考えます。

 そこで、簡単に言えば、今言った活断層の調査手法というのは、いただいた資料で、空中写真判読、ボーリング調査、トレンチ調査、反射法地震探査とかありますけれども、これのボーリングの調査の、例えば、今は四本やっているところを十本にするとかというレベルで果たしてその〇・二がかなり精度が上がってくるのかというと、今は副大臣も首を揺すられておりますけれども、そんなレベルじゃないんじゃないかと僕は思うんですよ。

 そこで私からの御提案ですが、今までの皆さんのことを非難しているわけじゃなくて、今までも一生懸命予算の中でやっているんです。一五〇%やっていると僕は思います。しかし、これからの話として、〇・二でいろいろな地区で起きているわけですよ。ということは、これは極端な話、日本だけじゃなくて海外からも、共同で研究したり、また、いろいろな新しい機械、技術、研究者を導入して国際的に組み合わせていく時期がそろそろ来たんじゃないか。例えば、私どもがやっている日本のやり方をほかの諸外国の後進国、言いにくいけれども、発展途上国でも、地震でいえばパキスタンを含めてあるわけですよね。そこに持ち込めるということになりますし、いろいろな意味でそれこそすばらしいODAというふうになると僕は思います。

 そういう意味では、今のやり方で、予算を多少ふやす程度で、果たして今言ったあちこちの地震が、言いにくいけれども、政治家というのは自分の選挙区で起きたら一生懸命やるんだけれども、ほかだとちょっとというところが、まあ、ないこともない。ないこともないということもありますので、その辺を踏まえて、どうですか、共同研究そして新しい機械の導入、そして予算を飛躍的にちょっと伸ばして、国連の常任理事国の金を削るんだったら、これをやったら、これはもうえらい国際貢献になると僕は思いますよ。私はもともと国連の金を削れという口の方ですから、僕はすばらしい決断だと思っていますけれども。アメリカが二二でこっちは何で一九なんだ、冗談じゃない。これはちょっと余計な話かもしれませんが、そう思っておりますので、その辺を、大臣、副大臣、所見をいただきたいというふうに思います。

村田国務大臣 日本の体制では、防災全般につきまして中央防災会議で不断に防災対策を進めておって、そこでいろいろな報告がなされ、決定もなされていくわけでございまして、今、下条委員が御指摘なさいますように、地震対策で一番最大の対策は耐震化でございますので、今回のケースも、国土交通省で耐震改修促進法の改正をお願いして、それから後、税制とかいろいろな補助制度をめぐりまして、さらに我が国の耐震化をミクロのベースでもマクロのベースでも進めていかなければいけないというふうに考えております。

 国際的な話でも、この前、インドネシアのスマトラ沖地震に続いてパキスタンでも起きました。せんだって、国連のナンバーツーのエグランドさんがおいでになりました。私どもも、インドネシアに対して我々の経験を提供するというそういう取り決めを結んだほか、私が冒頭ごあいさつで申し上げたように、兵庫行動枠組、これをさらに一層世界に進めていってもらいたいと。私もエグランドさんに、防災文化というものを世界に広めていただきたいということを会談のときに申し上げたわけでございまして、国内はもとより、国際的にも我が国の経験というものを提供できるわけなので、本当に自然災害は、起こらないようにすることはできないんですけれども、やはり、起きた場合の被害を最小限にするということ、それはできるわけでございます。耐震化がそのかなめでございますので、政府を挙げてそうした防災に努めてまいりたいというふうに考えております。

下条委員 ありがとうございます。

 私も国交省の委員をしておりまして、このたびの耐震改修法については賛成した口でございますので、それも一つのワンステップ、ツーステップス、スリーステップスというふうに思います。

 ただ、あのときも申し上げさせていただいたのは、やはり何でもそうですけれども、徐々にだと思うんですよね。今回の場合は、耐震改修法改正については、確かに不適切な部分の建築物については指導する、やらなかったら公表する、そこまでなんですよね。建築基準法でこの六月から施行された部分を含めて、それについて少し罰則を規定していく、これは非常にいい組み合わせになってきてはいると思います。おっしゃっているとおりだと私は思います。

 ただ、私の今言っている質問の趣旨は、起きたときの物については非常にいい方向で走っているけれども、起きる部分についての予測についてもうちょっと、簡単に言えば、民主党が反対しても、私は後押しして予算づけについて動きたいと思うぐらいの話でありまして、東南海・南海地区については、私の家内の実家もございますし、だからというわけじゃないですが、いろいろな意味で非常に確率も高くなってきているし、それから、活断層型については、直下型ですから、下からもういきなりどかんと来てこれはもう落ちてくるわけですから、そういう意味では、そのパーセンテージを上げるために、もう一押しお力と意見が欲しいということでございます。

 その辺、いかがでございますか。

村田国務大臣 いろいろな、東海あるいは東南海、あるいは千島の方も含めまして、専門家が起こり得る地震の特性などを判断して、それに基づいて大綱を定めて、政府としての活動要領なんかも定めて、それで対策を講じていくということでございまして、首都直下ももちろんそうでございます。そういう中で我々は、まさに今後具体的な対策にさらに一層努めていきたいということでございまして、委員のおっしゃるとおりでございますので、どうか、今後とも後押しをよろしくお願いいたしたいと思っております。

下条委員 大臣、ありがとうございます。

 もう本当に国際的を踏まえて、防災文化とさっきおっしゃったように、お勧めしていただいておりますし、恐らく急にはなかなか、いろいろな問題がありますし、財政問題がありますので無理でしょうけれども、今おっしゃったように、一歩一歩進めていることに対しては敬意を表したいと思いますけれども、さらに歩幅を進めていただいて、速めていただいて、ブラッシュアップ、スピードアップをしていただきたい。また、それについては私の方でもできる限り応援していきたいというふうに思っております。よろしくお願いしたいと思います。

 次に、今までが予知という部分であれば、今度は、先ほども長島委員とか高鳥委員の方からお話がありましたけれども、災害が起きた後に一体どういうふうにフォローアップ、ヘルプしていくかという部分の質問をさせていただきたいというふうに思います。

 そこで私が思いますのは、この日本というのは、災害についてはまず自衛隊がいる。これは、都道府県の要請によって災害派遣を行って、被災者救助の主要な役割を、今回の中越についても阪神についてもいろいろやられたと思います。また一方で、近年において、防災や災害救援を目的としたNPO、これは第六号になりますけれども、NPO法人がどんどんできてきている。これはもうすばらしいことだと思うんですよね。

 二〇〇五年、ことしの六月現在で、第六号、つまり災害救助活動を記載されているNPOというのは、全体のNPOのうち千四百四十五法人、都道府県別に見ますと、東京都が約三百、続いて大阪が八十、少ないところは、富山が四で沖縄が二。私は何を言いたいかというと、要するに、ちりばめ方が東京に集中しちゃっていて、北海道から九州、沖縄までいろいろな地区でいろいろな災害は起きると僕は思うんですが、すごく東京に寄っちゃっている感じがします。割と言いにくい部分を言いますと、諸外国、特にアメリカ等々と比べて、災害NPOというのは非常に歴史も浅い、財政難の問題もある、そして経験も少ないということであります。自衛隊と災害NPOの連携の機会も、今まで見た感じでは非常に少なくなっているというふうに思います。

 そこで、アメリカと比べた場合、私は何でアメリカの話をするかというと、自分がアメリカで、まさに長島委員のように、御自身で災害をこうむったと同じ災害を自分もこうむっておりますので、それと比べた場合、アメリカの代表的な災害NPOというのは、全米災害救援ボランティア機構というのがあります。このNPOは、国内三十四団体で、五十二の州・地域レベルの支部でできている。全米災害ボランティア機構の委員長は、連邦緊急事態管理庁、FEMAの諮問委員会のメンバーなんです。FEMAのメンバーに任命されます。また、FEMAの代表者、つまり連邦緊急事態管理庁の代表者は、全米災害救援ボランティア機構の定期会議には常に出席しているんです。つまり、お互いがよく連絡をとり合っている。と同時に、国防省の代表者もそのFEMAの会議に参加している。つまり、日ごろから、ボランティア機構、NPOと国防省と、そして、まあ防災省のお役人さんが出ているのと同じですね、大臣とか副大臣がそういう会議で日ごろからよく意見交換をしている。こうなったらこうだ、この地域のこの州ではこうだというのをやっております。私もちょっと一部入っておりましたけれども、非常に意見交換をする機会を常日ごろから持っているということであります。

 こういう日常の交流によって、救助活動時に、連邦軍と災害NPOの両者が非常に緊密な連携をとって自然災害とか災害について動けるというふうになります。そういう意味では、平素の交流によって相互の顔の見える関係をつくってきている、お互いの長所、短所を補っていくということではないかというふうに思っております。

 一方で、先ほどから申し上げているとおり、日本の場合はどうかというと、物すごく言いにくいんですが、日ごろの連携がほとんどないんです。自衛隊とNPOの災害ボランティアというのはほとんどないに等しい。自衛隊は自衛隊の、例えば大がかりな機材とか人材派遣とか物資の緊急輸送は自衛隊が動く。災害NPOについては、自衛隊の来るまでは、NPOのいるところは動きますけれども、先ほど言いましたように、NPOの散らばりが東京に集中していて、沖縄、富山に三つか四つ、あとほとんどないよという、ぱらぱらになっています。

 そういう状態ですと、結局このNPOとの連携、つまり私に言わせてもらうと、自衛隊の人は例えば富山県とか石川県に住んでいるわけじゃないんですね。どこかからすっ飛んでくるわけです、ヘリコプターでバッバッバッバッバッと。ですから、その地の利とかその地形とかというのは余り知らない。そしてまた、大規模なものしか全く対応できないです、救援隊ですから。でも、NPOであれば、逆に言えば、そこに住んでいるし、そこの人たちと親しいし、日ごろの交流がある、地形もよくわかっているということで、私としては、アメリカにすべて学べというわけではないですが、私自身が、アメリカで明け方を含めてノースリッジの地震を食らったときに何かといったら、もう電気は消えますよ、水もない、ドアもなかなかあかなくなっちゃって、町が騒乱しています。だから、自衛隊とか警察とかというレベルじゃないんですよ。そのときに僕が一番助かったのは、その地域に住んでいるボランティアの災害NPOの人たちは、私はふだんから通行があったんですが、すぐ助けに飛んできてくれて、避難場所を指示してくれたんです。私は、子供と家内を連れて真っ暗な中をそこに歩いていって、公園の方に歩いていくんです。懐中電灯なんかはもうどこに行ったかわからないぐらいに屋根も落ちてきちゃっていますから、それで運んでくれて、これがウオーターだと言って水をくれたわけですよ。私はこれは本当に感謝していますね。

 本当に起きたときというのは何かといったら、目先でそばにいる人たちがどうやって動く体制が整っているかです。大統領は、クリントンは次の日に来ましたけれども、連邦軍が来るのはもうよっぽど後になってからでありまして、そういう意味で、実際どかんと来たときの後というのは、やはり地場にそういうNPO法人がある程度装備されているのが必要でないか、そしてその連携が必要でないかというふうに私は思います。

 そこで、これは私の提案です。今までが悪いと言っているんじゃないんです。提案でございます。

 日ごろ、やはり自衛隊と第六号に登録されている千四百四十五法人の災害救援NPOとの連携や意見交換、防災訓練を、ある程度、登録されているわけですから、政府主導で相互理解を含めた交流をこれからしていく必要が私はあるんじゃないかなと。じゃないと、例えば、大臣、副大臣含めて、皆さんが東京にいるときに地元で地震があった、自衛隊は行けないんだ、自分の家族がそこに打ち沈んでいるんですよ。それを助けるのは近所の人たちとNPOですよ。自衛隊は来ませんよ。警察もずっと後だ。自衛隊なんて本当にヘリコプター以外来られません、全部地面がだめになっちゃっているから、道路も。だから、そういうことを考えたときに、やはり、すぐには難しいけれども、また、今までが悪いと言っているわけじゃないですが、このNPOはせっかく登録されてあるわけですから、このNPOと災害部分について自衛隊との連携を、これからの提案として、意見交換を含めてアメリカのように組んでいったらどうでしょうかという私の提案でございます。いかがでございますか。

村田国務大臣 ボランティアと我々内閣府の担当部署との意見交換というのは割合頻繁に行われているわけでございまして、私も、昨年の場合、何回か防災ボランティアの活動検討会というものを開催して、そこに出て、いろいろな代表的なボランティア団体が出てくれて、有益な御意見を賜っているということでございます。我が国の場合は、ボランティアの歴史というのは大体ここ十年ですよね。そういうボランティアの意見を吸い上げるという活動は平成七年ぐらいから政府もやっているわけなんですが、委員のおっしゃるように、自衛隊とボランティアとの交流というのは、我が国の場合にはまだないような感じがします。

 ただ、地域のいろいろな事情を知っている組織的部隊というのは、日本の場合、消防団とか警察も、中越地震のときも、警察がゆきつばき隊とか、何だかいろいろな名前をつけまして大活躍をしていただいたんでございますが、それは、自衛隊は全国各地から来るわけですから、必ずしも地元になじみのない隊員がたくさん来るわけでございますけれども、そういうような日本の場合には、警察とか消防団というのがそれを補っているというところがたしかあるのではないかなと私も思います。

 それに加えて最近は、地域の防災ボランティア団体というのもコミュニティーの中で生まれてきてもおりまして、そういうものがみんなで助け合って防災のための救援活動をやっていくという体制が一応はできているんじゃないかなというふうに思いますが、なお、自衛隊とか警察とか消防団とNPOの連携が望ましいのかどうかということについては、また検討課題として考えさせていただきたいというふうに思っております。

 我々がボランティアと全く接触がないということではなくて、我々は、もう災害救助についてはボランティアの活動がなくてはならないという認識、彼らの存在を離れてはあり得ないというふうに思っているわけでございますから、災害被災者の支援のために有効なことであれば、我々はもちろん何でもやりたいという考えでおることをお伝えをいたしたいと思っております。

下条委員 非常に温かいお答えをありがとうございます。

 おっしゃっているとおりで、消防団が地元でお働きになったり、警察がお働きになっているというふうに思いますが、私が申し上げているのは、まさにそれプラス非営利法人のNPOが、災害活動で登録されているのが、もう日本ではまさにこの五年、十年の間に千四百以上出てきている、これを生かさない手はないなという意味でありまして、さらに、今おっしゃったように検討課題にのせていただいて、やはり日ごろの意見交換と、そして逆に言えば、自衛隊の御苦労がいろいろまた一般の市民なんかにわかるといろいろな誤解も解けてくると思いますし、そういう意味で、これは一つの僕はプレゼンでございます。ぜひ、日ごろからの意見交換の機会を設けるような形を今後検討していっていただければというふうに再度お願い申し上げたいと思います。

 それから、もう一つこれはまた、ちょっと時間が押し迫ってきているんですが、NPOなんですが、私が今申し上げた第六号に登録されている災害救援活動NPOが約千四百四十五法人あります。一方で、先ほども申し上げましたけれども、そのNPOの地域の集中が非常にばらけている。東京は三百ある。東京で起きた場合は、その救援活動、災害についての方々はがっと動くし、自衛隊はそばにいますし、警察も多いし人もたくさんいる、ただ、東京で何かが起きれば、一方で被害も多くなると思いますけれども、ですから、そういう意味ではもう一歩踏み込んで、災害救援活動登録していないNPOも実を言うと日本にたくさんありまして、ちょっとこれはマニアックですが、いただいた御資料でいきますと、第一号登録の保健、医療または福祉の増進を図る活動という保健や医療のNPO登録を例えば数えると、一万二千七百二十四もあるんですよ。これは、非常に全国的に全部広がって登録されています。つまり、簡単に言うと、災害救援活動NPOの八倍から九倍ぐらいの数が日本全国に散っているわけですね。

 ですから、私は何を言いたいかというと、せっかくそういう方々もいるわけですから、相互の連携をとる必要があるんじゃないか。そして、きのうもレクでちょっと言われたのは、NPOは、あくまでも御自身がこうしたいというのを判こを押す、それがストーリーである、これも僕はわかります。私もNPOやっておりましたから、わかります。ただ、せっかくあるし、これだけ災害がふえて、きょう、前段階で私の前の委員の高鳥さんとか長島委員がおっしゃったように、いろいろな災害が起きています。そして海外でも起きています。パキスタンは五万人とかなっている。そんな中で、この日本でもいつ起きるかわからないというんであれば、従前では確かにそうだったかもしれませんし、お国の方でも、余りどんどんどんどんNPOをやってくれと勧めるようなスタイルもとっていなかったように思います。

 そういうときに、せっかく保健、医療等々の、第一号ですね、例えばの話ですけれども、これが一万幾らあるわけですから、そういうところに、強制ではなく今後の課題として、災害のことがあったら少し協力してくれるようなことはお願いできないかねというのを、余り重立った言い方ではなくて、勧めていくことによって、いざとなると、その認定された中に入っているからぜひ頼むわなということで、わかりましたというふうになり得るのではないかというふうに思います。そうすれば、簡単に言えば、今千四百しかない災害救援NPOが、一万二千のNPOの何割かは使うことができるわけですよ。

 そうすると、皆さんのお地元がいろいろあるでしょう。災害は、富山は四つしかないです。沖縄は二つしかないんですから。その他、北海道からはもうぱらぱらですよ。そういうときに、いや、消防団があるからいいじゃないかだけでは、ちょっとこれからの、先ほど言った災害の確率の中でいかがかなと。これはあくまでプレゼンです、今までが悪いと言っているんじゃない、あくまでプレゼンです、私はすべて。

 そういう意味でその辺を、今後の、非常にある意味で、強制力を持てないかもしれないけれどもどうだいねという通達を、もしくは協力してくんないかという協力依頼をするのは、強制じゃありませんでしょう。

 だから、きょうも相当私も言われました。NPOの規約については、それはもう各省庁の方々はそれぞれの省庁の枠の中でおやりになっている。その領域も私も理解しております。だけれども、これはどうだいというのがせっかくあるんですから、それと、もう一度言いますけれども、これだけ災害がふえて、いつ起きるかわからない中で、仲間をふやしておく必要が私はあるんじゃないかという親心を持ってちょっと御要請と質問をしたいと思います。いかがでございますか。

榊政府参考人 先ほど、私どもの大臣の方からお答え申し上げましたように、私ども、ボランティアというのは非常に重要な役割を果たしていただいていると思っております。ことしの台風十四号でも、全国で十カ所以上の災害ボランティアセンターが速やかに開設されまして、被災地の地域の内外から多くのボランティアの方が駆けつけていただきまして、目覚ましい活躍をしていただきました。本当にありがたいと思っておるところでございます。

 先ほど申し上げましたように、私どもの防災ボランティア活動検討会というのは、ことしの三月から実は始めたんです。そこで、全国の防災ボランティアの重立ったような人に来ていただいて、いろいろな意見を言っていただいております。防災ボランティアに行ったときにどんな作法でやったらいいんだろうかとか、こんなことをやったらうまくいったよとか、災害対応時の活動資金の支援なんかどうやったらいいんだろうかとか、そんなお話まで実はフランクに私どもと一緒にお話ができるように今はなってきております。

 したがいまして、そういったような機会を通じていろいろな方々とやるということと同時に、御指摘のように、防災ボランティアではなくて、福祉関係の方が実は防災もやっておられまして、そこが代表者みたいな形で出てきて、それで、いろいろな話をまた教えていただいております。

 こういったような機会をずっと通じまして、私どもとしては、せっかくの機能を果たしていただいているのをさらにいい機能を果たしていただけるように、環境整備を今後とも進めていきたいというふうに思っておるところでございます。

下条委員 ありがとうございます。

 三月からスタートしたのは本当にすばらしいことだと思いますし、まさに今私も、ちょっと時間が来てしまってこれで終わりにしますが、その環境整備とともに、あなたたちもやってもらえる、登録をしてくださいという方向もこれから環境整備の中に入れていっていただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。

 いつ起きるかわからない災害について、本当に日ごろの御努力は敬意を表しますけれども、さらにブラッシュアップしてスピードアップしていっていただきたいことをお願い申し上げて、質問を終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

大野委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 あの阪神・淡路大震災から丸十年、そして新潟中越地震、あと、台風二十三号という大変大きな災害からも丸一年ということで、大きな節目の中で、今残されたそれぞれの課題について、きょうは十五分という限られた時間でございますが、質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、災害援護資金の貸し付けの償還問題についてでございますが、これは厚生労働省の所管でありますが、私、きょうの質問の最終的な一つのテーマとして、厚生労働省の所管の法律については、厚生労働大臣という仕切りの中で本当にいいのかということを最終的に申し上げたいということもありまして、答弁は厚生労働省で結構でございますけれども、内閣府の担当大臣、副大臣としてそれぞれぜひお聞きをしていただきたいというのが、まず申し上げておきたいことでございます。

 阪神・淡路大震災から十年たった。震災直後、当時は被災者生活再建支援法というものがございませんでした。そういったことで、当時あった災害弔慰金、正式な名前で言いますと、災害弔慰金の支給等に関する法律に組み込まれている災害援護資金の貸し付けというのが実は大変な勢いで借りられた。五万六千四百二十二件、その貸出額は千三百十億円、一人当たり約二百三十万円の貸し付けが行われたわけでございます。

 その十年間のうち六年目からその償還が開始をされまして、兵庫県を初め、神戸市、それぞれの市の職員の皆様、大変な勢いで償還するべく、督促で大変な労力をかけられておるんですが、いよいよ来年の十八年四月から、兵庫県や神戸市は国に対する償還が開始をしなければいけない。現在、延滞中なのは三百十億円。このうち、猶予というか少額償還をしているというのは実は一万三千七十二件、二百二十億円残っている。徴収困難と思われるのが五千五百七十件、七十七億円、徴収はもう不可能だということが六百六十六件で十三億円。

 結局、今申し上げましたように、三百十億円の延滞についてどう処理をするかということが大変大きな問題になっておりまして、実は、自由民主党と公明党の地元関係議員が先日も集まりまして、これを、議員のレベルでも地元の大きな問題ということでしっかりと政府とともにお願いをし、解決していこうということを立ち上げたところでございます。

 また、本年の二月二十五日、予算委員会の分科会で自由民主党の谷議員もこの問題を取り上げられた。実は、今のこの法律の中に国に対する償還の猶予規定というのが盛り込まれていないんですね。また、徴収困難な条件というその書きぶりも、わかりやすく言うと、当事者が死亡または重度障害者になった場合というような、大変ある意味では限定的な書きぶりであって、現実には、倒産をしたりとか夜逃げしたとか、役所の人間が行っても全くコンタクトできないというようなケースは、残念ながら、今のこの災害弔慰金の法律、議員立法だったということもあるかとは思いますが、償還免除の対象には入っていない。そういう意味では、さまざまな実態としては非常に困難な問題がある。

 これを谷議員が取り上げたときに、尾辻厚生労働大臣は、役所の局長の答弁を受けてそのことについて、

 局長が理屈は申し上げました。理屈はあのとおりであります。しかし、また一方、先生がおっしゃったような御事情がございます。その神戸市や兵庫県の御事情を踏まえまして、現在、どのような対応が可能であるかについて、関係省庁との間で協議を行っておるところでございます。

また、それに続けて、

 平成十八年春には神戸市から国への償還期限を迎えます。このことを踏まえまして、関係自治体の事務執行に支障が出ませんように、神戸市や兵庫県とも十分相談をしながら、年内を目標としてできる限り早く結論を出したいと考えております。

こう極めて前向きな御答弁をいただき、具体的な作業が行われているものというふうに、私はそう認識をしているところでございますけれども、法律があって、国に対する猶予規定がないとか、先ほど申し上げました徴収困難者というか免除対象者についての書きぶり等々があるものですから、なかなかそこの作業というのも簡単ではないのではないかと思います。

 一方では、これまでの他の事例に比べると全体的にボリュームが圧倒的に多い。千三百十億円の貸し付けなんというのは、この災害援護資金の貸し付けの中ではこれまでは全くなかった話でありまして、そういう意味では、十年たった今、この地元の兵庫県や神戸市、また関係市町の地方自治体としては大変大きな問題としてあるということをぜひ内閣府の防災担当の大臣、副大臣にも御理解いただきながら、このことについて、厚生労働省にも今お聞きをいたしますが、その御努力をしていると思いますが、ぜひ、この阪神大震災からの十年の、ある意味では一つの一番の大きな課題ということを御認識いただきたいという思いできょうは質問に取り上げさせていただきました。

 厚生労働省から現状を御報告いただきたいと思います。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま議員から御指摘がございました災害援護資金の償還の問題でございますが、まさに今議員から御指摘をいただいたとおりの状況でございまして、現在、私どもといたしましては、兵庫県、神戸市から非常に切なる御要望ということでいただいているところでございますので、厚生労働大臣も御答弁申し上げているとおり、現在、御指摘のような、償還期限の延長でありますとか、免除の問題でありますとか、徴収猶予といったようなことについてどういう対応が可能なのかということで、関係省庁間で協議を行っているところでございます。

 改めて申すまでもないわけでございますが、過去にこの災害援助資金の貸し付けを行った自治体におきましては、一応、未回収額も含めて国に対して貸付金全額を返還していただいているという過去のこういった実績とのバランスといったような問題もございますが、御指摘をいただいたことを踏まえまして、現在、関係省庁間で協議を行っているところでございます。

 関係自治体の事務執行に支障が生じないよう、十八年三月以降も償還の問題が出てまいりますので、時期を失せず、できるだけ早く結論を出すよう厚生労働省としても努力をしてまいりたいと思っております。

赤羽委員 地元の実態としては、僕は、これは厚生労働省に少額償還というものを認めていただいて、それによって毎月一万円でも払っているという極めてまじめな被災者が多かったというふうにも認識をしておりますし、そういった少額償還にあわせて国への対応も、今の御答弁に含まれているものと理解をしますが、少額償還に対する償還期限の延長というものも柔軟に考えていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、被災者生活再建支援法についてこの国会でもいろいろ議論がございました。阪神大震災の直後、いろいろな議論の中ででき上がった法律であり、この法律ができ上がってから、最初は、家財道具に対しての領収書だとかなんとか細かい規定ぶりがあったんですが、これは、現場の実態から、ある意味では大変柔軟に、概算払いをしていこうというようなことももう実施をされました。また、昨年の台風被害の中で、水害についても、この認定に対しても弾力的な運用をしていただく。そういう意味では、私は、生んだときは小さな法律だったかもしれませんが、この数年間で、国会の中また現場の声を反映して、かなりそれぞれいい形で変換してきたのではないかと。

 まず、昨年の台風災害が続いたということで、我々公明党としても、水害に対しても弾力的な運用でこの法律をぜひ適用してもらいたいということを申し上げて、そういったことが実現したわけでございますけれども、本年に入っても、台風十四号、宮崎県等々でも大変大きな被害があったわけでありますが、その弾力的な運用ぶりというのはどのような実績になっているのか、御報告をいただきたいと思います。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、昨年の十月の台風災害がありました後、浸水被害の認定について弾力的な運用を行うように通知をいたしました。

 本年九月の台風十四号の災害でございますけれども、この浸水被害の認定に係る弾力的運用につきまして、床上浸水をしました各県各市に電話で御連絡をして、実は、中身はこんな感じですよということまでファクスでお送りするとか、宮崎県からは、県内全域なのでぜひ係員を派遣してくれ、こういう御要請もございましたので、係員も派遣をいたしまして、その内容の周知徹底を図ったところでございます。

 その結果、実は、床上浸水などの住宅で全壊と認定されたところが全国で千八十棟ございました。うち、宮崎県が全県適用されましたので、宮崎県は千二十八というふうに多数に上っております。この被害の実情に沿った認定が周知徹底の結果行われたものだというふうに私ども考えておりまして、この弾力的運用を図りまして生活再建支援法の積極的活用を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。

赤羽委員 私も、阪神大震災から十年間この法律にかかわってきた議員の一人として、やはり被災者の立場に立って、その趣旨というのは、大変な中なんだから、国としてもしっかり応援していこうというようなそういった背景が強い、色彩の強い支援金だというふうに思っておりますので、実態に即してこれからもぜひ検討していただきたいということで、今から一、二点申し上げたいと思うんです。

 どうしても、全壊世帯というと、家が住めないから建て直す、半壊世帯というと、修繕で再建する、こういう前提でつくられた法律ではあるんですが、実態として、阪神大震災のときに全壊の世帯でではすべて家が建てかえをしたかどうかというと、これは、実態は多分六割ぐらいしか建てかえしていないんです。四割ぐらいは修繕で住み続けているんです。半壊世帯ででは建てかえをした家がなかったかというと、実はそれは、建てかえをしているところもあるわけです。これは、建てかえというのは、その世帯主の経済的な余力ということも大いに反映もしますし、全壊といっても相当幅のある話であって、それは、経済的にできなければ、やむを得ず修繕で住んでいこう、これが実態だというふうに思うんです。

 そういったことをやはりぜひ勘案していただくということが大事だというのは、きょうの新聞で、中越地震から一年と読売も朝日も結構大きく取り上げられて、一万二千人がなお避難生活だ、住宅再建が見えない、台風二十三号のことも踏まえて書いてあるんですが、これは、やはり何とかしなければいけないなというふうに思うんです。

 被災者生活再建支援法の昨年の大きな改正の中で、居住関係経費といってプラス二百万円出せるようになった。これは、僕は大変大きなことだと。住宅の本体に出していない、出していないとこう言われるかもしれないけれども、これはしかし、住宅ローンの利子補給に出るということは、ある意味ではもう相当踏み込んでいる話なんです、二百万円出すということは。しかし、これはよく見ますと、やはりローンが組めない人にはローンの利子補給というのはできない、当たり前の話なんです。だけれども、新潟中越の実態なんかを見ますと、やはり高齢者が多い。ローンを組んで再建できるような状況じゃないということなんですよ。そこをどうカバーしていくのかということをやはり考えなければいけないと思います。

 居住関係経費の中に、半壊世帯に対して修繕のための費用として出せるんですけれども、全壊世帯では修繕というのは出せないんですね。これはやはり矛盾が出てくるんですよ。半壊では修繕、全壊では建てかえということだから、多分法律としてはつくっていないんだと思うんだけれども、現実にはやはり修繕でも住もうという人が出てくるわけであって、それを半壊じゃないと修繕としての経費は出せないというのは、これは私は、一つの現場としての矛盾だというふうに思います。

 事実、兵庫県はこういった居住関係経費の矛盾と思われることについて補足するような県独自の制度をつくられているんですね。これは、大規模修繕を全壊世帯でも出せるようにしています、兵庫県は。加えて、家を再建する場合、ローンを組まない人でも二百万円出せるようにしております。これは、兵庫県の思いというのは、被災者の間に差別を生んではいけない、同じだけの被害を受けている人なんだから、当然、国や県として同じだけの支援をするということがやはり大事だという、私は現場の知恵だというふうに思っております。私も、この兵庫県の制度というのは正しいものだというふうに思っております。

 ですから、今お答えを求めるわけではありませんが、こういった被災者生活再建支援法というのは、法施行以来、いろいろな現場の状況を見ながら変えてきて、いい制度になってきているわけでありますから、住宅再建が進まないという今の実態を見ながら、どうこのスキームをつくり上げられるかということをぜひ大臣に御検討いただきたい。

 加えて、防災関係の法律は厚生労働省との所管というのが複雑なんですね。災害救助法、さっきの弔慰金法は厚生労働省、災害対策基本法、被災者生活再建支援法は内閣府と。これは、やはりどこかで一本化していくような形の方が私は望ましいのではないかというふうに思いますので、ぜひ、防災担当大臣、多分再任をされるんだと思いますので、大きな仕事としてだれかが手をつけなきゃいけない。災害救助法みたいに物すごい細かい法律が別の省庁にあるというのは、私はやはり大きな課題だというふうに思いますが、その点も踏まえて、今、そうしますというような無責任な答弁はできないと言われるかもしれないけれども、大臣としてこの一年間、大変災害の大きかった時期に所管され、そして、今はこういう現実を踏まえながら私のこの提案について御所見をいただいて、質問を終わりとしたいと思います。

 よろしくお願いします。

村田国務大臣 いろいろな支援の法律体系が、所管が、災害対策基本法が内閣府で災害救助法が厚労省とか、いろいろまちまちになっているのは事実でございまして、私も就任当時、なぜこれが一緒に内閣府になっていないかということを指摘したことがありますが、法律ができてきた経緯もこれあり、あるいは、内閣府の防災部門が国土庁から今の内閣府に省庁再編で移ってきたというようなこともこれあり、いろいろな経緯をたどってきた中でありますので、まだまだ、赤羽先生が御指摘なさるような目で今の法律体系とかあるいはいろいろな支援の体制というものも見直していかなきゃいけないというところがあるかなというのは、私も実際問題として感じているところでございます。

 ただ、それによって非常に不都合が大きく生じているかということも、また、そうではなくて、私どもも、総理の意向も受けて、災害救助法によります応急修理が五十何万円という半端な数字になっているのを地震に関して六十万円というところに引き上げたりなんかして、内閣府としても担当省庁に対していろいろな意見を言ってきたということも事実だろうと思うし、我々の生活再建支援法についても、ちょっと会計検査院から文句を言われないかなと言われるほど、いろいろな手続等も簡素化しているわけでありまして、内閣府の我々担当部署としても、いろいろな意見を言いながら、不断に改善をしているのではないかというふうに思っております。今後とも、皆さん方の御指摘も踏まえながら、我々も不断に改善はしたいというふうに考えておりますので、その点は御理解を賜りたいというふうに思っております。

 それから、居住の場所の再建がこれは一番かぎになるわけでございまして、私ども、自助と共助と公助のバランスのとれた復旧復興ということについて、生活の立て直しということについて考えていかなきゃいけないというふうに思っているわけなんですね。新潟の場合も、まずは自助の方でも、損害保険とかあるいは農協の建更とか、特に新潟は建更を非常に掛けておられる方が多くて、そういう意味でも、そうした自助がかなり力を出したという地域であったかなという印象を持っておりますが、そういうバランス。

 かつまた、お年寄りに全額御支援を公助の中からお出しできるということならばともかくとして、これから収入も年金ぐらいしかないようなお年寄りに、お気持ちは非常によくわかるんだけれども、もと住んでいた家を、何とかしてそのままそこについの住みかとしてあったらいいというそういう気持ちもよくわかるんでございますけれども、それを全額国や県から、あるいは市から出せれば、そんなに願ったりかなったりなことはないんですが、それも国全体の施策を考えたときに、無理と考えるときに、施策全体として、やはり集団移転をしたり、あるいは災害公営住宅の仕組みで御支援をする、しかもその災害公営住宅なんかも、限りなく一戸建てみたいなところまで弾力化していくというような、私もかつて縄延びの部分と言ったことがありますが、あらゆる施策を凝らしてやっている最中だと思うので、そういうことを、かえって不幸にならないようなことも考えつつ、施策全体として考えてさしあげるというのが私どもの施策ではないかなと。体系全体として考えていく、しかし、なかなか一〇〇%いかないということはおわかりをいただきたいというふうに思っております。

赤羽委員 終わります。

大野委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 この間、米国南部を襲ったハリケーン・カトリーナやパキスタン北部地方の大地震、そして九州地方を中心に襲った台風十四号など、国内外で災害が相次ぎ、甚大な被害がもたらされました。この場をおかりいたしまして、これらの災害の犠牲者の皆さんに心から哀悼の意を表明するとともに、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。また、負傷者の皆様の一日も早い御回復と被災地の復興を祈念するとともに、私たちが国会として果たせることを全力で取り組みたいと思っております。

 さて、本当に限られた時間でございますので、質問も端的に行いますから、答弁も簡潔にお願いいたします。

 台風十四号でありますが、土砂崩れなどで亡くなった方二十六名、負傷者百七十四名、床上浸水一万一千六百十九棟など、被害も大きく、仮設住宅などもこれからという段階であります。

 そこで、災害救助法の特別基準、いわゆる期限の延長や応急修理などを行うために国に協議をしている自治体やその中身について具体的に伺います。また、災害救助法には本来たくさんのメニューがあります。よく知られている避難所や食事の給与、医療、救出活動のほかに、応急修理、学用品の給与。本来、災害救助法は災害直後の混乱のもとでの応急救助でありますので、その際、被災者の所得は要件としない、こういうふうになっていることと思います。この解釈に変わりがないかについて確認をいたします。

金子政府参考人 お尋ねのございました台風十四号の被害に関します災害救助法の適用の関係でございますが、御案内のとおり、一般基準ということに加えまして、それぞれ、厚生労働省と協議をいたしまして特別基準が設定できるということになっているわけでございます。

 今回の台風十四号災害によります災害救助法を適用した山口県、高知県、宮崎県、鹿児島県におきましては、避難所の開設期間の延長、あるいは住宅の応急修理の実施期間の延長など、特別基準を設定して、適切なる応急救助の実施に努めているところでございます。この点につきましては、今後とも、関係都道府県からの相談に応じ、十分な連携を図りながら進めてまいりたいと思っております。

 それからもう一点でございますが、災害救助に当たりましての所得要件といいますか、資力の問題でございますけれども、これにつきましては、災害救助法そのものは、災害に際しまして応急的に必要な救助を行って、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図るということを目的にしているわけでございます。こういったことで、災害の種類のうち、避難所の設置や炊き出しによる食品の給与など、被災者の生存そのものにすぐにかかわる緊急なものにつきましては、資力の有無に別なく応急救助を平等に実施するということとしているところでございます。

 ただ、住宅の応急修理などにつきましては、応急救助ではございますけれども、今申し上げましたような救助との比較で申し上げますれば、被災者の方の生存に関し直ちに緊急を要さないというふうにも見てとれるわけでございまして、こういった観点から、みずからの資力では住宅を確保することができない者を対象として実施をするということとされているところでございます。

高橋委員 ありがとうございます。

 あえて当たり前のことを聞かせていただきました。やはり災害直後はだれも力がないわけで、その局面でその人に金があるかないかなどと言っている場合ではないということでのやはり災害救助法というものがあると思っております。

 昨年、三位一体関連で、大臣も出席をされて、国と地方の協議の場などが繰り返し持たれたわけですが、その中での発言の中でも、例えば香川の知事さんだとか、災害救助法で応急救助の種類について、障害物の除去とか住宅の修繕とか、被災の状況下において実務上みずから資力で対応できる人は対応しなさいと言うんだが、混乱しているところではなかなか判定が難しい、そういう指摘がされております。初動が肝心だという点では、自治体がやはり本当に現場で一番よくわかっている。そのところに足かせにならないように、できるだけ裁量を持たせるということが必要ではないかと思っております。

 同時に、今お話しされた応急修理の問題では、新潟で取り組まれた、一定の所得要件を設けて、実施要綱を出して応急修理をやるという方向が今宮崎などでも検討されていると聞いておりますが、そうした方向が一定前進してきた、要するに、応急修理というものがもっと使えるということがこの間実証されてきたということは、私は貴重なことだと思っております。この点を大いに総括されて、ふさわしい形にさらに整理をしていただきたいということを要望しておきます。

 次に、国土交通省に伺いたいんですが、一周年を迎える新潟では、いまだ仮設住宅生活者の一割、三百世帯がその後の居住先が決まっておりません。宅地が崩壊し再建場所が決まらないという、非常に地理的な特徴もございますが、同時に指摘をされているのは、何といっても住宅再建のための資金がないということが大きいと思います。この間、公営住宅については、災害公営住宅が三百二戸、そのほか、栃尾市や魚沼市では、地域住宅交付金を活用して一般よりは補助率の高い公営住宅を建設する計画もあると聞いております。

 同じように、この地域住宅交付金を活用し自治体が計画の中に組み込めば、被災した個人の住宅の建てかえにも使えると思いますが、この点について伺います。

山本政府参考人 地域住宅交付金は、さきの通常会で定めていただきました地域住宅特別措置法に基づきまして、従来の公営住宅等建設費補助金が、公営住宅の建てかえでありますとかその住戸改善に厳密にそれにのみ使われるという制度でありましたものを、公共団体が地域住宅計画というものを立てることによりまして、従来の補助対象であったものは基幹事業として、従来、補助対象でなかったために地方単独事業でやらざるを得なくなったものについては提案事業として地域住宅計画に位置づけていただければ、全体を丸ごと地域住宅交付金で応援するという制度でございます。今も三位一体改革の議論の最中でございますが、従来の補助金と交付金は名前が違うだけじゃないか、どこが違うんだという御議論よくありますけれども、事公営住宅建設費補助金と地域住宅交付金はここが明確に違うわけでございます。

 したがいまして、御質問のケースでございますと、公共団体の首長さんが復旧公営住宅を一生懸命やって、これに自力再建が不可能な方々にきちんと入っていただくということに努める傍ら、自力再建の方々に対して、豪雪地帯でもあるから特別助成したいという意思決定をされて地域住宅計画の中に提案事業として位置づけられた場合は、地域住宅交付金でこれを支援することができるものでございます。

高橋委員 ありがとうございます。

 実は、八月の委員会では、この同じ交付金の中に個人の住宅の耐震改修も含まれますねということを確認させていただいたんですけれども、同じ理屈で、被災した住宅の再建にも交付金というのは使えるんだ、それは、自治体として全体を再建するという計画をしっかり盛り込めばできるんだということがわかったわけであります。全体の枠は小さいかもしれないけれども、非常に貴重な制度だと思いますので、大いにこれを周知させていただいて、なかなか今、再建の気持ちはあるけれども救えない、そういう方たちに使っていただけるようにぜひPRもしていただきたい、そのように要望したいと思います。

 そこで、最後に大臣に伺いたいと思うんですけれども、大変毎度失礼いたしますが、大臣が固執している、個人の私有財産形成に税金は使わないという考え方は、まず、自治体が独自に補助するのは地方自治だから構わないということを前の国会で大臣はおっしゃいました。今回は、自治体を通してという形ではありますが、国費を直接投入し、個人の住宅再建にも使えるんだ、もっと一歩進んでそういうことはもうやられてきたわけです。ですから、時代の要請という中で大きく変わってきたということが言えるのではないかと思います。

 被災者生活再建支援法だけが、名前のイメージとは逆にハードルが高いのではないか。四年以内の見直しを附帯決議で決めて一年半たちました。あと二年半です。大臣の問題意識を伺いたいと思います。

村田国務大臣 自力では住宅の再建が困難だ、そういう法律の基準でもって被災者生活再建支援法というのは住宅本体以外の対象事業に対して支援をする、そういう仕組みでございますが、今、住宅局長からお答えしたような新しいメカニズムというのは、その施策の目的に従って新たにできた施策でございまして、そうした観点から大いに使われるということが私は望ましいというふうに考えておりまして、施策はそれぞれでございますので、そういう意味では、私ども内閣府が担当している被災者生活再建支援法というのは、累次の改善を経ながら今のような状況になっておりますけれども、あくまで住宅本体には広げない、そういう形で私どもやるのが本筋ではないかというふうに、委員の御指摘にもかかわらず、今のところは考えているわけでございます。

高橋委員 国民が大変注目をしておりますので、いろいろな官庁が知恵を絞るけれども、やはり防災担当統括大臣は村田大臣でございますので、ぜひ前向きな検討をお願いして、終わります。

 ありがとうございました。

大野委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社民党の菅野哲雄でございます。

 時間は経過しておりますけれども、持ち時間の範囲内で質問させていただきますので、おつき合いのほど、お願い申し上げたいと思います。

 地震防災、災害対策の法体系というのは、災害対策基本法をもとにして三つの法体系が今整備なされたと思っております。大規模地震対策特別措置法、それと、地域を限定した東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法、そして、この九月一日から施行になりました日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策特別措置法ということで整備されてきました。私は、東南海それから日本海溝、この特別措置法にかかわって、一日でも早い法体系の整備ということでかつて議論したという経験を持っているわけですけれども、この東南海・南海地震対策においては、専門調査会がずっと開催されて、十九回にも及ぶ調査会が開催されて、その中身については内閣府のホームページの中に表示されておりますけれども、理解できるんですが、今後のこの専門調査会の進め方、持っていき方というのをどのように考えているのか、これについて一点お聞きしておきたいと思います。

 それからもう一つ、やはり宮城県沖地震、先ほど下条委員の方からも、三十年以内に九九%の確率で宮城県沖地震が起こるんだと。その宮城県沖地震という限定した形での特別措置法をつくるわけにはいかないから、日本海溝・千島海溝特別措置法、こういう広げた形での特別措置法というのがつくられたと理解しておるわけですが、今、九月一日から施行になって、この特別措置法に基づく具体的な動きが出てきているわけです。地域指定に対して中央防災会議に諮問したという状況があるわけですけれども、今後のこの取り組み、この地震対策特別措置法に基づく取り組みをどのように考えているのか、これを明らかにしていただきたいというふうに思っています。

 そのことは、地元の人たちは、法施行になったんだけれども、これから具体的にどう進んでいくのか、そのことが理解できないために、今か今かという待望論を持って待ち望んでいるというのが実態でありますから、そこをしっかりと明らかにしていただきたいというふうに思っています。

榊政府参考人 お答え申し上げます。

 東南海・南海地震の専門調査会の関係でございますが、これは、東南海・南海地震と、中部圏、近畿圏におきます都市直下の地震につきまして検討するということでできました調査会でございます。東南海・南海につきましては、委員御指摘のとおり、私どもの方でそれに関する大綱、基本計画及び地震防災戦略を既に策定済みでございまして、現在、関係機関で各種防災対策が進められているところでございます。

 現在、この専門調査会では、中部圏と近畿圏の大都市に影響を及ぼす活断層によります地震動の検討を進めているところでございまして、今後、本年度内を目途に、震度分布の推計を行いまして、この結果をもとに、被害想定なり地震防災対策について取りまとめたいというふうに考えております。

 次に、日本海溝・千島海溝でございますけれども、御指摘のように、この九月一日にこの法律が施行されました。九月の二十七日に、推進地域の指定に関しまして、内閣総理大臣から中央防災会議へ諮問がなされたところでございます。

 今後、この専門調査会では、地震動とか津波の高さ等を勘案いたしまして、推進地域の指定基準というのを決めます。その基準をもとに速やかに推進地域の指定をやっていこうということで、関係都道県への意見聴取を行いたいというふうに思っておりまして、年明けを目途に推進地域の指定をしたい、それで、できれば年度内に基本計画をつくってまいりたいというふうに思っております。この基本計画ができますれば、公共団体、民間事業者、関係機関におきまして、推進計画を初めとする各種計画が策定されるのではないかというふうに考えております。

 以上が今後の予定でございます。

菅野委員 平成十七年度内に基本計画の策定まで持っていきたいというふうな今お話がございました。

 地震はいつ起こるかわからない。現実に私も、この八月において、街頭に立っているときに震度六弱という地震に見舞われて、どう対応したらいいのか戸惑ったという状況も身近に経験しているわけです。そのときに、地元の報道では、この地震は宮城県沖地震と関連するものではございません、だから三十年以内に九九%の確率で起こる地震というのはこれとは別個ですという解説がなされるわけですから、そういう意味では、基本計画から策定して、次に、この財政措置も含めて地元が対応できるような措置を早急に講じていただきたいというふうに思うんですが、大臣、そのときに防災担当大臣の権限でもってどう体制を図っていくのかというのが、今、この国の、災害対策基本法を含めて三つの法律が地震防災のために整備になったときに、防災担当大臣としてそのことをしっかり行う、省庁間の連絡調整機能じゃなくて、権限を大臣のところに集中させていく、そして、災害が起こったときの体制も防災担当大臣のところに集中させていくということがなくては進んでいかないという問題意識を私は常に持っているわけなんですが、村田防災担当大臣としての考え方をお聞きしておきたいというふうに思っています。

村田国務大臣 私が防災担当大臣なんでございますが、平時の場合、中央防災会議、これは総理が委員長なんでございますが、そのもとで防災対策から応急対策のやり方まで、その基本的な事項について企画立案、総合調整をする、そういう形になっておりまして、ふだんから、私が防災から有事の体制のあり方についてまで各省庁と連絡しながらよりよいシステムの構築に努めている、こういうことでございますし、激甚な災害が起こった有事の場合におきましても、緊急災害対策本部長は総理でございますが、昨年の中越地震のようなあのケースでは、非常災害対策本部長として、私が各省庁を陣頭指揮しまして応急対策の任に当たるということでございます。

 したがいまして、連絡調整だけではなくて、実質的に、防災の体制の企画立案から、あるいは、有事の場合についても私が各省を指示する責任を持っているという理解で私は動いているわけでございます。

菅野委員 今の、防災担当大臣としてそこまでの権限だと思っているんですが、せっかく、大規模地震災害対策、それから東南海・南海、それから日本海溝・千島という法律があって、その部分に災害対策基本法があって、そしてそれぞれに大綱が定められて、基本計画が定められて、そして防災体制の整備という形で法体系のところでは成り立っているんです。ただし、基本計画に基づく実施計画というところにいったときにそれぞれの各省庁に全部分かれてしまうというこういう問題点があるわけですよね。そこが問題なのであって、基本計画は中央防災会議を含めて専門委員会がつくります、つくった後の体制は各省庁への連絡調整でしかあり得ないという体制が私は問題じゃないかというとらえ方をしているわけですから、というのは、実施計画に伴う財政措置というのは各省庁で行うという体制ですから、それを防災担当大臣として統括していく、そういう役割をぜひ担っていただきたいし、私がこのことを追及したときに前の鴻池防災担当大臣は、そのとおりですと言って一向に進まないという体制は私はじれったい思いをしているわけでございますから、ぜひ検討していただきたいということをお願いしておきます。

村田国務大臣 誤解があるところもございますから、御答弁させていただきたいと思います。

 我が国の防災体制というのは、あるいは応急の場合もそうでございますが、それぞれの役所、国土交通省なり総務省なり、それぞれがつかさつかさで自分たちの不断にやっている実力を発揮する、地方は地方で地方公共団体がやっていくというのが、これが行政組織の体制としては大変スリムになっているわけでございまして、そこが特色なんですね。

 だからそういう意味では、私ども、そうした体制が我が国の体制として一番ふさわしい、うまくできている、そういう判断のもとにやっているわけでございまして、そうした計画の具体的な実際の実施状況についても、私も見ておるわけでございますし、それから、担当の役所もそれぞれの担当の防災についていろいろな計画の実施状況について把握しているということで、これが一番いい体制であると私は認識をしているわけでございます。

菅野委員 これからもこの点に対しては大いに議論していきたいというふうに思っております。

 以上で終わります。

大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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