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第3号 平成18年2月10日(金曜日)

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平成十八年二月十日(金曜日)

    正午開議

 出席委員

   委員長 大野 松茂君

   理事 秋葉 賢也君 理事 斉藤斗志二君

   理事 原田 令嗣君 理事 福井  照君

   理事 宮下 一郎君 理事 奥村 展三君

   理事 下条 みつ君 理事 谷口 隆義君

      小川 友一君    岡本 芳郎君

      木村  勉君    近藤 基彦君

      坂井  学君    平  将明君

      高鳥 修一君    谷  公一君

      長島 忠美君    丹羽 秀樹君

      西村 明宏君    林   潤君

      林田  彪君    平口  洋君

      三ッ矢憲生君    望月 義夫君

      盛山 正仁君    森  英介君

      山本  拓君    岡本 充功君

      小平 忠正君    佐々木隆博君

      田村 謙治君    松本  龍君

      横山 北斗君    鷲尾英一郎君

      石井 啓一君    谷口 和史君

      高橋千鶴子君    菅野 哲雄君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       沓掛 哲男君

   内閣府副大臣       嘉数 知賢君

   内閣府大臣政務官     平井たくや君

   衆議院調査局第三特別調査室長           佐藤 廣平君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十日

 辞任         補欠選任

  黄川田 徹君     横山 北斗君

  森本 哲生君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木隆博君     森本 哲生君

  横山 北斗君     黄川田 徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 災害対策に関する件(平成十八年度における災害対策の施策等)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

大野委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 平成十八年度における災害対策の施策について、防災担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。沓掛防災担当大臣。

沓掛国務大臣 第百六十四回国会における御審議に当たりまして、災害対策に関する私の所信を申し上げます。

 昨年は福岡県西方沖地震や台風第十四号、ハリケーン・カトリーナ、パキスタン北部の地震など国内外で大きな災害が発生しました。また、昨年十二月以来の記録的な大雪のために全国で大きな被害が発生しております。これらの災害により、お亡くなりになられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、不安で不自由な生活を余儀なくされておられる被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 この冬の大雪被害に対して、政府といたしましては、これまで災害救助法の適用や自衛隊の災害派遣などによる雪おろしへの支援、特別交付税の一部繰り上げ交付、道府県道、市町村道の除雪費補助の緊急措置など種々の対策を講じてまいりました。今後とも関係省庁と連携しつつ、政府一丸となって対応してまいります。

 また、新潟県中越地震の復旧、復興については、激甚災害法に基づく中小企業の事業再建に要する経費への貸付制度の特例期間を延長するとともに、被災者生活再建支援制度に基づく生活関係経費の申請期間を延長するなど、被災地の復興状況に応じた措置を適切に講じているところであります。今後とも引き続き被災地の復興のために必要な支援を行ってまいります。

 続きまして、最近の防災対策について御説明申し上げます。

 一たび起きれば甚大な被害が想定される首都直下地震については、昨年九月に対策大綱を中央防災会議において決定し、首都中枢機能の継続性確保と膨大な被害への対応を柱として、各般の対策のマスタープランをお示しいたしました。

 今後は、定量的な減災目標と具体的な実現方策を定める地震防災戦略、地震発生時の各省庁の具体の役割等を定める応急対策活動要領を策定することとしております。さらに、経済活動の維持、回復等のため被災後に実施すべき具体的な経済対策を定める地震時経済対策要領を策定するなど、大綱の具体化を図ってまいります。

 日本海溝、千島海溝周辺の地震については、本年一月に中央防災会議専門調査会において、被害想定及び防災対策が取りまとめられました。これを踏まえ、津波避難体制の整備などを柱とした対策大綱を中央防災会議において決定することとしております。今後、地震防災戦略や応急対策活動要領を策定するなど、大綱の具体化を図ってまいります。

 東海、東南海・南海地震については、昨年三月に中央防災会議で決定した地震防災戦略に基づき、住宅等の耐震化や海岸保全施設の整備等を強力に推進するとともに、応急対策活動要領の見直し、策定を進めてまいります。

 特に、建築物の耐震化については、地震防災上最も有効な対策であり、昨年九月の中央防災会議でも国家的緊急課題として建築物の耐震化緊急対策方針を策定し、これを受けて前国会において耐震改修促進法が改正され、さらに耐震改修促進税制や助成制度の拡充、創設について今国会に提案されているところであります。今後とも建築物の耐震化促進に強力に取り組んでまいります。

 また、昨年七月の千葉県北西部を震源とする地震など都市型震災については、関係省庁局長会議を開催して、震度情報の迅速な送信の確保、エレベーターの閉じ込め防止などの課題、対策を整理し、関係機関において取り組みを進めております。また、近畿圏、中部圏の直下地震について、地震の特徴や揺れの強さ等の地震像を明らかにするとともに、被害想定、とるべき防災対策について検討を行ってまいります。

 昨年九月一日の防災の日に、首都直下地震を想定した全閣僚出席の政府本部運営訓練を実施するなど、各種総合防災訓練を実施しました。訓練の成果は今後の応急対策に反映させるとともに、来年度も引き続き、地方公共団体との連携のもと、政府一丸となってより実践的な訓練に取り組んでまいります。

 また、一連の風水害の教訓を踏まえて、災害時要援護者の避難支援ガイドラインを昨年三月に取りまとめ、市町村を中心とした取り組みの促進に努めているところであります。さらに、今年度は関係機関等の連携方策や避難所での支援等について検討を進めてまいります。今後とも要援護者情報の収集、共有、そして避難支援対策の促進をさらに図ってまいります。

 被災者生活再建支援法につきましては、一昨年、支給限度額を三百万円に引き上げ、全壊世帯に加え大規模半壊世帯も対象世帯とするとともに、住宅の解体撤去費やローン利子等、居住安定に係る経費を対象とするなど、制度の拡充を図りました。また、浸水家屋の被害認定に係る弾力的な運用や、政令等の改正による生活関係経費の細かな区分等の廃止、概算払いの限度額拡大等の運用改善を行っております。今後とも適切な運用に努め、被災者支援を行ってまいります。

 さて、世界でも災害が頻発しており、防災は持続可能な開発の重要な課題であります。昨年一月に神戸市で開催された国連防災世界会議では、国際社会における防災活動の指針となる兵庫行動枠組が採択されましたが、まさにその実施が求められております。このため、私が共同議長であるインドネシアとの防災に関する共同委員会を通じた二国間協力を初め、アジア防災センターを通じた地域協力やインド洋津波早期警戒体制の構築支援など、幾多の災害経験に基づく我が国の知識や技術を活用した国際防災協力を積極的に推進してまいります。

 最後に、災害への備えを実践する国民運動の推進に向けた取り組みについて申し上げます。

 私は常々、災害時の人間の生死というものは紙一重の差で決まるものであり、日ごろからのちょっとした備えで命が助かるものと確信しております。災害による被害を減らすためには、これまで申し上げてきたような行政による災害対策を強化し、公助を充実させていくことはもとより、各個人や地域コミュニティーによる自助や共助の取り組みを一層推進していただくことが不可欠であります。

 このため、政府としては、国民の防災意識の啓発、ボランティア活動の環境整備や防災まちづくりを引き続き推進するとともに、昨年八月に策定した災害時における企業の事業継続を図るためのガイドラインを活用するなどして、企業の防災活動を促進してまいります。さらに、中央防災会議に設置した専門調査会において速やかに国民運動を推進するための基本方針を取りまとめ、関係省庁、地方公共団体等と連携のもと、備えを実践する国民運動の具体的な取り組みを推進してまいります。

 以上、所管行政について申し述べましたが、今後とも災害対策に全力を尽くしてまいる所存でありますので、大野委員長を初め、理事、委員各位の格別の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

大野委員長 次に、平成十八年度における防災関係予算の概要について、政府から説明を聴取いたします。嘉数内閣府副大臣。

嘉数副大臣 防災担当副大臣の嘉数知賢でございます。よろしくお願いいたします。

 今冬の記録的な大雪や昨年の台風第十四号などの災害により、お亡くなりになられた方々と御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 副大臣として、沓掛大臣を補佐し、災害対策に全力を尽くしてまいる所存であります。大野委員長を初め、理事、委員各位の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。

 では、平成十八年度の防災関係予算案の概要につきまして、お手元の資料により御説明いたします。

 一ページ目が総括表、二ページ目以降が分野ごとの具体的な内容になっております。

 一ページ目の総括表について御説明申し上げます。この表は、関係省庁の防災関係予算を内閣府において取りまとめたものであります。

 科学技術の研究関係が二百九十億円、災害予防関係が六千三百六十億円、国土保全関係が約一兆四千七百十四億円、災害復旧等関係が約二千五百四十八億円となっております。これらを合計しますと、約二兆三千九百十二億円となります。

 次に、主要なものを簡単に御説明申し上げます。

 二ページからの科学技術の研究につきましては、文部科学省や国土交通省、気象庁などにより、地震や津波、気象などに関する研究調査を推進してまいります。

 四ページからの災害予防につきましては、建築物の耐震化が緊急課題であります。国土交通省において住宅、建築物の耐震改修費用の一部に対して助成を行う予算制度を拡充するとともに、文部科学省では公立学校の耐震化、厚生労働省では災害拠点病院の耐震化をそれぞれ推進してまいります。また、消防庁では特別高度救助隊の創設、気象庁では緊急地震速報の実用化に要する経費を新たに計上しております。

 十ページにあります国土保全につきましては、農林水産省において治山事業、国土交通省では河川事業、砂防事業などに要する経費を計上してあります。

 最後に、十一ページの災害復旧等につきまして、内閣府において被災者生活再建支援金の支給、農林水産省及び国土交通省においてそれぞれ所管施設の災害復旧事業に要する経費を計上してあります。

 以上、予算案に基づき、政府一体となって総合的な災害対策を推進することにより、国民の安全、安心の確保に努める所存であります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

 以上、説明を終わらせていただきます。(拍手)

大野委員長 以上で説明は終わりました。

 この際、平井内閣府大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。平井内閣府大臣政務官。

平井大臣政務官 防災担当の大臣政務官の平井たくやでございます。

 まず、この冬の大雪などの被害によりお亡くなりになられた皆様方に、また御遺族の皆様に、深く哀悼の意を表したいと思います。また、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 委員会の委員の皆様方におかれましては、去る二月一日、新潟県及び長野県の大雪による被害状況等を調査していただきまして、ありがとうございました。どうも御苦労さまでございました。

 私といたしましても、これから沓掛大臣、嘉数副大臣を補佐して災害対策に全力を尽くしてまいる所存でございますので、どうぞ委員各位の御指導のほどをよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

大野委員長 次に、去る二月一日、大雪による被害状況等調査のため、新潟県及び長野県に委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告申し上げます。

 派遣委員は、自由民主党の斉藤斗志二君、福井照君、宮下一郎君、高鳥修一君、谷公一君、民主党・無所属クラブの奥村展三君、下条みつ君、公明党の谷口隆義君、日本共産党の高橋千鶴子君、社会民主党・市民連合の菅野哲雄君、そして私、大野松茂の十一名であります。

 また、自由民主党の稲葉大和君、吉田六左エ門君、民主党・無所属クラブの菊田真紀子君が現地参加されました。

 まず、今冬の大雪による被害の概要についてでありますが、昨年十二月上旬以降、北極からの寒気が数回にわたって南下したため、日本各地で低温となり、日本海側の各地は暴風を伴った大雪に見舞われ、記録的な積雪となりました。

 この大雪によって、除雪作業、落雪等により、百名を超える死者が発生したほか、住家の損壊、道路の通行どめによる孤立集落の発生等、甚大な被害が発生いたしました。

 新潟県内の被害状況は、一月三十一日現在、人的被害が、死者二十一名、重軽傷者二百五十一名、住家被害が、全半壊二棟、一部損壊二十六棟、床上、床下浸水十八棟であります。

 また、長野県内の被害状況は、一月三十一日現在、人的被害が、死者八名、重軽傷者百八名、住家被害が、全半壊二棟、一部損壊十九棟、床上、床下浸水十一棟であります。

 この災害により、とうとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し衷心よりお見舞いを申し上げる次第であります。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、新潟県津南町津南原地区において、小林津南町町長から、豪雪状況、除雪状況等について説明を聴取いたしました。同町の積雪量は、一月三十一日現在、三メートル九センチとのことでありました。道路は除雪が行われておりましたが、その両端には人の背丈を超える雪の壁が続いておりました。

 次に、津南町役場において、泉田新潟県知事、小林津南町町長等関係者から被害状況の説明等を聴取した後、除排雪経費に対する特別交付税及び国庫補助金の確保、観光業の風評被害対策、自衛隊の除排雪装備の整備充実、灯油の安定供給の確保及び価格の安定、国道四百五号の抜本的改良等について要望を受けました。

 次に、派遣委員から、除排雪費用、災害発生時の地方公共団体の役割、ボランティアの受け入れ態勢等について発言があり、意見交換を行いました。

 その後、津南町見玉地区の豪雪状況、除雪状況等を視察いたしました。ここは、雪崩等の危険があるため国道四百五号が一時通行どめとなり、新潟県津南町及び長野県栄村の一部集落の住民約五百人が孤立したところでありました。その後、自衛隊等による除雪作業により、二月一日現在、午前午後の合わせて五時間、集落関係者の車両の通行が可能とのことでした。

 次に、長野県栄村役場において、澤田長野県副知事、高橋栄村村長から被害状況の説明等を聴取した後、除排雪経費に対する特別交付税及び国庫補助金の確保、農業被害に対する経費の助成、孤立集落解消のためのバイパス道路の改良促進等について要望を受けました。

 その後、栄村青倉地区において、雪崩防護さくの設置状況を視察いたしました。この雪崩防護さくは、昭和三十六年二月に発生した雪崩により死者十一名、住家全壊四戸等の被害が発生したことを踏まえて、平成九年に完成したとのことです。全長約二百四十メートル、高さ約十メートルの構造物で、これにより、雪崩が発生しても集落まで到達せずに被害がなくなるとのことでありました。

 それぞれの地域においては、道路の至るところで交通規制により除雪作業が行われていました。道路は地域の生活、産業活動の基盤であります。効率的、効果的に除雪が行われるよう国としても積極的な支援が必要であることを痛感いたしました。

 以上が調査の概要でありますが、私どもはこの調査を通じまして、高齢化、過疎化の進んだ中山間地域において冬期の生活の安全を確保するための対策の充実強化が必要であると感じました。そして、今後も落雪、雪崩の発生が懸念される中で、迅速的確な被害防止対策、復旧対策がなされるよう力を尽くす決意を新たにしたところでございます。

 報告を終えるに当たり、応急復旧対策に御尽力をされておられます関係者各位に対し、深甚なる敬意を表し、感謝を申し上げる次第であります。

 また、今回の調査に御協力をいただきました新潟県、津南町、長野県及び栄村の皆様に心からお礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

 この際、お諮りいたします。

 各派遣地からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔要望事項は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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