衆議院

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第3号 平成19年11月1日(木曜日)

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平成十九年十一月一日(木曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 恒夫君

   理事 江藤  拓君 理事 佐田玄一郎君

   理事 土屋 品子君 理事 早川 忠孝君

   理事 望月 義夫君 理事 松原  仁君

   理事 松本 剛明君 理事 高木美智代君

      赤澤 亮正君    新井 悦二君

      小川 友一君    大前 繁雄君

      岡下 信子君    梶山 弘志君

      坂井  学君    篠田 陽介君

      平  将明君    高鳥 修一君

      徳田  毅君    長島 忠美君

      丹羽 秀樹君    林   潤君

      林  幹雄君    林田  彪君

      原田 憲治君    平口  洋君

      馬渡 龍治君    三ッ矢憲生君

      御法川信英君    村田 吉隆君

      盛山 正仁君    岡本 充功君

      小平 忠正君    近藤 洋介君

      田村 謙治君    筒井 信隆君

      寺田  学君    西村智奈美君

      村井 宗明君    石田 祝稔君

      桝屋 敬悟君    高橋千鶴子君

      日森 文尋君    糸川 正晃君

    …………………………………

   議員           柴山 昌彦君

   議員           西村 康稔君

   議員           萩生田光一君

   議員           赤羽 一嘉君

   議員           大口 善徳君

   国務大臣

   (防災担当)       泉  信也君

   内閣府副大臣       木村  勉君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   内閣府大臣政務官     加藤 勝信君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   加藤 利男君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           岡山  淳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木倉 敬之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     薦田 康久君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   佐藤  均君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            高原 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  門松  武君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  中尾 成邦君

   政府参考人

   (気象庁長官)      平木  哲君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 尾澤 克之君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            鈴木 篤之君

   衆議院調査局第三特別調査室長           吉宮 孝治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月一日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     馬渡 龍治君

  林   潤君     篠田 陽介君

  林田  彪君     赤澤 亮正君

  近藤 洋介君     寺田  学君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     岡下 信子君

  篠田 陽介君     林   潤君

  馬渡 龍治君     丹羽 秀樹君

  寺田  学君     近藤 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 信子君     林田  彪君

    ―――――――――――――

十月二十九日

 被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(萩生田光一君外四名提出、衆法第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(萩生田光一君外四名提出、衆法第二号)

 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長鈴木篤之君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣府政策統括官加藤利男君、消防庁国民保護・防災部長岡山淳君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君、厚生労働省大臣官房審議官木倉敬之君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長薦田康久君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官佐藤均君、中小企業庁事業環境部長高原一郎君、国土交通省都市・地域整備局長増田優一君、国土交通省河川局長門松武君、国土交通省道路局長宮田年耕君、国土交通省住宅局長和泉洋人君、国土交通省港湾局長中尾成邦君、気象庁長官平木哲君、防衛省大臣官房審議官尾澤克之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。早川忠孝君。

早川委員 自民党の早川忠孝でございます。

 まず、泉大臣、木村副大臣、加藤政務官には、御就任おめでとうございます。

 さて、泉大臣のごあいさつにありますとおり、本年は、能登半島地震、新潟中越沖地震、また、大型の台風などで、全国各地で被害が発生いたしました。これらの災害で亡くなりました方々、その御遺族に対して深く哀悼の意を表しますとともに、被災に遭われました皆さんに心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 日本は、災害列島と言われておりますとおり、毎年、地震や台風によって多くの国民が大きな被害を受けてまいっております。新潟県などは、平成十六年に新潟県中越地震、大変大きな被害を受けたばかりなのに、本年の七月、柏崎を中心に、今度は新潟県中越沖地震に直撃をされました。いつどこで大きな被害に遭うかもしれない大規模な自然災害に対して、その被害の発生を防止し、万一災害が発生した場合はその被害を最小にすることは、まさに、国、地方のみならず、国民総がかりで取り組まなければならない国民的な課題だと考えております。

 私は、十二年前の平成七年一月十七日に発生をいたしました阪神・淡路大地震を今でも忘れることができないのであります。当時、私は、日本弁護士連合会の自然災害に対する国民的保障制度委員会の副委員長を務めており、雲仙・普賢岳の噴火による火砕流災害や北海道奥尻島の津波被害等を目の当たりにして、自然災害に対する国民的な保障制度をどう構築すべきであるか、検討をしてまいっておりました。

 そのときの結論が、自助、共助、公助の原則に基づく新たな共済制度や基金制度の創設でありました。自然災害の発生をあらかじめ予知し防ぐことはほとんどできない。しかし、災害による被害の発生はこれを最小限にとどめることができるし、自然災害が発生した後の適切な対応によってその被害の拡大を防ぐことができる。そのような確信を持つに至りました。

 当時、全労済協会が自然災害に対する国民的保障制度のための調査委員会を立ち上げ、慶応大学の島田晴雄教授が顧問、私が座長に就任して、アメリカに赴いて、日本と同様に大きな地震の被害に遭っているカリフォルニア州等の取り組み等を勉強してまいりました。平成八年元旦の新聞各紙にその調査委員会の提言が掲載をされたところであります。その後、阪神・淡路大地震によって大きな被害を受けた兵庫県や、あるいは全労済協会を初めさまざまな市民団体が先頭に立って、自然災害に対する国民的保障制度の構築に向けての国民的運動が展開をされました。

 こういう状況の中で、平成九年七月の全国知事会の地震等自然災害による被災者の自立再建を支援する災害相互支援基金の創設に関する決議などが新たな保障制度構想の中核となって、平成十年の五月、当時の自民党、さきがけ、民主、公明、自由、社民の六党の共同提案で成立に至ったのが、現在の被災者生活再建支援法であります。この被災者生活再建支援法は、平成十六年の三月に改正されて、いわゆる居住安定支援制度が導入をされるに至りました。

 このような経過の中で、この臨時国会に、住宅本体の再建費用を支給対象とし、年齢要件や年収要件を大幅に緩和し、国民のニーズに合った、使い勝手がよく、しかも、支援に当たる自治体や被災者に過大な事務負担をかけないように工夫された、新たな被災者生活再建支援法の改正案が提案されるに至りました。小さく産んで大きく育てるという言葉がありますけれども、まさにその言葉が当てはまるんじゃないかと思います。

 衆議院に自民党、公明党の与党の改正案、参議院に民主党の野党改正案が提案されるという、ねじれた状態の中でこの大事な法案の審議をしなければならないというのはまことに残念なことであります。しかし、国民にとって少しでもよい制度を構築していくために長年共同の作業を続けてこられました諸先輩や、あるいは、現実に被害に遭われ、一日も早い救済を求めておられる被災者の皆さん、あるいは、被災地においてさまざまな支援活動に当たられている自治体やボランティアの皆さん、全国で被災者住宅再建支援制度の創設のための運動を展開されている市民団体の皆さんなどの願いをしっかり受けとめて、限られた会期でありますけれども、この臨時国会で、超党派で、よりよい制度の構築に向けて全力を尽くしていかなければならないと考えているところであります。

 そこで、防災担当の泉大臣にお伺いをいたします。

 まず、能登半島地震及び新潟県中越沖地震の被災地の現状がどうなっているかをお尋ねしたいと思います。また、被災地の復興に政府として今後どのように取り組んでいくのであるか、防災担当大臣の所感をお伺いしたいと思います。

泉国務大臣 先生には、以前からこの防災問題に熱心にお取り組みをいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 お話にございましたように、自助、共助、公助というこうした仕組みが重なり合って、それが機能するときに、被災を抑えることもできますし、復興復旧も順調に進むものと思っております。

 お尋ねをいただきました能登半島地震の被災地では、道路を初め、インフラの応急復旧も夏ごろまでにはほぼ概成をいたしまして、本格復旧への取り組みが鋭意進められているところでございます。また、生活を中心とする復興基金五百億、そしてまた中小企業復興支援基金三百億という二つの基金による生活、生業の支援も本格的に始まっているところでございます。

 一方で、高齢化の進んだ集落等で、被災者の住まいの確保と地域のコミュニティーの維持、こうしたことが大きな課題となっている。これが能登半島の一つの現状であり、課題だと思っております。

 一方、新潟の中越沖地震の被災地でも、ライフラインの復旧、そして応急の仮設住宅の設置など、当面の対応はとりあえず一つめどがついたというところであると思っております。

 政府におきましても、激甚災害の指定を行うなど、本格的な復興に向けた動きを加速しているところでございますが、観光に対する風評被害という、こうした地域経済の一つの柱であります被害がまだ払拭されていない。あるいは、生活者の再建のための手助けがもう少し必要かなと思っておるところでございます。

 新潟県も、復興基金につきましては、十月に設置されたと承知をいたしておりますが、能登、新潟両地域とも、被災者の方々が一日も早くもとの暮らしに戻っていただけますように、実はこれまでも、復興に関する関係省庁の局長会議を開いてまいりました。能登は四月と六月、そして中越沖につきましては八月に開催をいたしまして、さまざまな問題をフォローアップしながら、また、地域の方々の御要望をお聞きしながら、懸命に取り組んでおるところでございます。

 これからも、復興復旧に向けまして全力で取り組んでまいりたいと思っております。

早川委員 どうぞ、よろしくお願いをいたします。

 そこで、自民党と公明党は、制度がわかりにくく使いづらいという被災者の声を受けまして、使途を限定しない定額支給の支援金を支給するということを柱とする被災者生活再建支援法の改正案を提案しているところでございます。一方、民主党も改正案を提案されておりますけれども、基本的には現行制度と同様の実費積み上げ方式であり、現状の最大の問題点をそのままに放置したのではないかというふうに評価をされております。

 こういった問題点もありますけれども、しかし、被災者が安心して生活の再建に取り組めるような制度にしたいという気持ちは与党も民主党も同じであると考えております。私は、三党が協議して一日も早い法改正の実現を目指すべきであると考えておりますけれども、防災担当大臣の御所見をお伺いいたします。

泉国務大臣 被災者再建支援法の制度につきましては、平成十年のスタートの時点、それから十六年の一部改正の時点、そして今日に至るまで衆議院の附帯決議もございまして、四年以内に見直すようにという御指示をいただいてまいりました。

 内閣府としては、検討会を三月に立ち上げまして、今日まで議論をちょうだいしてまいりました。七月に中間報告をいただき、そしてまた、先ほど、パブリックコメントの御意見もちょうだいしたところでございます。

 その検討の中間報告、あるいは、これまで知事会等いろいろな方々からの御意見を総括いたしますと、とにかくわかりやすい、そして元気が出るようなそうした支援制度にしてほしい、いろいろな御要望の中で、年齢制限でありますとか所得制限とかそういう問題もございましたが、とにかくわかりやすく、そして使いやすいものにしてほしいということでございました。そうした観点から検討会でも御意見をちょうだいしてまいったところでございます。

 被災者の生活を一日も早くもとに戻すという観点からしますと、与党あるいは民主党それぞれ、被災者の支援の充実を図るべくこの国会に法案を提出いただいたというふうに私ども理解をいたしておりまして、ぜひ与野党間で論議を尽くしていただきまして、この国会で成立をし、充実した法案になりますように私どももお願いを申し上げたいと存じます。

早川委員 きょうは、テロ特措法が失効して、我が国の国際的な公約となっていたインド洋における海上給油活動を一たん中断し、海上自衛隊に撤収を命じなければならない日であります。自然災害との闘いと同様に、私は、国際社会のテロとの闘いも極めて重要であると考えております。防衛事務次官であった守屋氏の異常なまでの防衛商社との癒着問題やさまざまな情報漏えい問題等で防衛省や自衛隊に対する国民の信頼が大きく揺らぎ、また、テロとの闘いの戦列から我が国がひとまずは撤退をしなければならないということは、まことに残念な状況であります。

 しかし、私は、新潟県中越沖地震に直撃された柏崎などを何度か視察させていただき、被災地において自衛隊の隊員の皆さんが、余震が続き、新たな災害が起きるかもしれないという不安な状況の中で黙々と任務を果たされて、被災者の皆さんや、あるいは被災地の自治体等の関係者の皆さんから大変感謝をされているということも知っております。

 そこで防衛省にお伺いをいたします。災害時における自衛隊の活動の状況について教えていただきたいと思います。

尾澤政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に災害が発生した場合の自衛隊の対応をまず申し上げたいと思いますけれども、まず、被災地の被害状況の把握のため、飛行航空機等により情報収集を行うこととしております。引き続き、都道府県庁等に連絡要員を派遣いたしまして、地方公共団体との情報交換や、部隊の派遣等に関する連絡調整を実施いたします。その後、都道府県知事等から災害派遣要請が発せられますれば、引き続き情報収集活動を行いつつ、都道府県等と調整を行いながら、人命救助活動等の必要な救援活動を行うこととしております。

 具体的に少しお話しさせていただきますと、平成十九年三月に発生いたしました能登半島地震の際には、給水、給食支援、入浴支援、及び、半壊家屋の応急保存のためのブルーシートの展張等を行いました。また、本年七月の新潟県中越沖地震の際にも、被災者の救出、救助活動、人員、物資の輸送、給水、給食支援、入浴支援、及び、がけ崩れ箇所の道路開通作業等を行ったところでございます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、今後とも、地方公共団体等の関係機関と協力いたしまして、国民の安全、安心を確保すべく、被災者のニーズに合った活動を行ってまいりたい、そういう所存でございます。

早川委員 私は、東京に隣接しております埼玉県の朝霞市に住んでいるところであります。私が現在最も危惧をしておりますのは、首都直下地震の発生であります。

 中央防災会議は、マグニチュード七・三クラスの直下型地震が発生する可能性が、十年以内では三〇%、三十年以内では七〇%と想定されておるというふうに聞いております。地震列島である我が国においては、いつ巨大な地震が起きても不思議はないと私は思っているところであります。中央防災会議の専門家会議の首都直下地震による被害想定結果によりますと、東京二十三区内、特に環状八号線以内の地域は、住宅倒壊や火災で大きな被害に見舞われるのではないかというふうに聞いております。

 私の選挙区であります朝霞市や和光市、新座市、あるいは志木市というのは、東京都の練馬区あるいは板橋区に隣接をして、かつ、陸上自衛隊の朝霞駐屯地が所在をしております。朝霞駐屯地は首都防衛のかなめの役割を担っておりますけれども、万一首都直下地震が発生した場合に、自衛隊が十分にその機能を果たすことができるか、実は心配をしているところであります。

 大きな被害を受けると予想される東京都区部に最も隣接し、交通の要衝となっている外郭環状道路が走っている和光市、あるいは朝霞市、新座市、さらには志木市は、自衛隊の駐屯地を抱えていることも相まって、首都直下地震が発生した場合には、被災者の救助や支援のセンター的な役割を担わなければならない地域だと考えております。自衛隊が最も機能しなければならないのに、東京都や埼玉間にまたがっている、あるいは、板橋区や練馬区、あるいは和光市、朝霞市、新座市、さらには志木市、こういった自治体との連携が十分とれるだろうか、あるいは医療等の体制は十分なんだろうか、心配をしているところであります。

 災害時におけます防衛省・自衛隊と関係機関との連携のあり方についての検討状況について、まず防衛省にお伺いをいたします。

尾澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生がおっしゃいましたように、防衛省・自衛隊といたしましては、災害の発生時におきまして効果的な災害派遣活動を行うためには、日ごろから地方自治体等関係機関との連携を深めておくことが極めて重要であると考えております。

 このため、平素より、国や地方公共団体が実施する防災訓練等への自衛隊の積極的な参加、それから、災害派遣要請先の自衛隊部隊の周知徹底、各種災害への対応マニュアルの作成、配付、自衛隊員の都道府県防災会議委員としての参加などを推進しているところでございます。さらに、地方公共団体での連絡調整をより一層円滑にするため、自衛隊地方協力本部に国民保護・災害対策連絡調整官を設置したところでございます。

 また、実際に災害が発生した場合には、近隣の自衛隊の部隊等から速やかに連絡要員を都道府県庁等に派遣いたしまして、都道府県の災害対策本部等において、地方公共団体や警察、消防などの関係機関と密接に連絡調整を行うことにより、効果的、効率的な災害派遣を実施したいとしているところでございます。

早川委員 内閣府に同じ質問をいたします。

 首都直下型地震に備えて政府が行うべき具体的な活動について現在どのような検討が行われているのか、お伺いいたします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 首都直下地震に対しましては、マスタープランといたしまして、首都直下地震対策大綱、これを平成十七年に策定してございます。この大綱に基づきまして、今後十年間で減災目標を掲げまして、これは数値目標でございます、その減災目標と、それを達成する上でどういう実現手段といいますか方策をとっていくかを定めました、地震防災戦略と言っておりますが、これを定めております。また同時に、発災時に各機関が行うべき行動内容等を定めました首都直下地震応急対策活動要領というようなものも平成十八年に策定をさせていただいております。

 また、被害想定に基づきまして、あらかじめ地域ごとの部隊派遣内容ですとか物資等の必要量等を定めます、応急対策活動要領に基づく具体的な活動内容に係る計画、これについても現在策定作業を行っているところでございます。

 さらに、中央省庁の災害発生時の業務継続力の向上等を図るために、本年六月に、中央省庁業務継続ガイドラインというものを作成いたしました。現在、これに基づいて、各省庁において中央省庁業務継続計画の策定作業を行っているところでございます。

 今後とも、首都直下地震に際して政府が行うべき具体活動の内容等に関する検討を深めていきまして、災害対応能力の向上に努めていきたいと考えております。

早川委員 今、有明や川崎の東京湾臨海部に大規模な防災活動の拠点を整備するという事業が進められております。しかし、私は、これだけでは足りないと考えております。

 最も大きな被害を受けることが予想されるこの東京都区部に最も隣接し、かつ広大な空き地を現在でも抱えている、そしてまた、いざというときには、舟運を利用した資材の運搬や、あるいは大量の瓦れきの処理等に利用できる荒川の周辺部に、内陸型の大規模な防災活動拠点を整備することが重要ではないかというふうに考えているわけであります。

 この点について内閣府においてはどのように考えておられるか、お伺いいたします。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 首都直下地震に備えまして内陸部に防災活動のための拠点を確保するということは、大変重要だというふうに認識をしております。

 具体的には、首都圏広域防災拠点整備基本構想というのがございますけれども、そこで、「東京外かく環状道路、関越自動車道等の主要道路に近接し、荒川による水上輸送・緊急河川敷道路が活用できる首都北部」が内陸部の基幹的広域防災拠点の候補地とされておりまして、今後、中期的に検討を行うというふうにされているところでございます。

 内閣府では、現在、先ほど申し上げました首都直下地震の応急対策活動要領に基づきます具体的な活動内容に関する計画でございますが、これの策定作業を進めているところでございますが、その中では、現存する公共施設等の拠点を活用した計画の検討を進めております。

 それで、その検討の中で、ただいま御指摘いただきました内陸部における新たな防災拠点の必要性等についても、関係機関や関係都県とも御相談しながら検討を進めていきたい、このように考えております。

早川委員 よろしくお願いをいたします。

 次に、国土交通省にお伺いをいたします。

 首都直下型地震における被害想定においては、多くの建物が倒壊して、東京都を中心に甚大な被害が出ることが予想されるところであります。東京都における建築物の耐震化の現状とその目標についてまずお伺いをいたします。

 目標の達成のためには、住民に対する広報啓発が重要と考えておりますけれども、東京都の取り組み、そしてまたこれに対する国の支援の状況、これもあわせてお答えを願いたいと思います。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、東京都の耐震改修計画の中身でございますが、平成十七年度末の耐震化の現状は、住宅で七六%、民間の特定建築物で七七%、防災上重要な公共建築物で約七八%でございまして、これを平成二十七年度までに、住宅及び民間の特定建築物で九〇%、防災上重要な公共建築物で一〇〇%とその目標を設定しております。

 東京都は、この目標を達成するために、公共建築物の耐震化を計画的に進めるに加えまして、今委員御指摘のように、木造住宅密集地域の住宅の耐震化の重点的実施、安価で信頼できる耐震改修工法の普及、信頼できる耐震診断技術者等の情報提供、相談窓口の設置、パンフレットや講習会等を活用した普及啓発等について一生懸命取り組んでおります。

 国土交通省もこういった取り組みを、さまざまな事業制度を通じ積極的に支援してまいりたいと考えております。

早川委員 よろしくお願いいたします。

 また国土交通省にお伺いいたしますけれども、この被害想定においては、都心部を囲むように分布する密集市街地において、老朽木造建築物倒壊はもとより、建物の滅失等により甚大な被害が想定をされているところであります。このような被害を防いでいくためには、密集市街地における抜本的な対策を講じていくことが不可欠であると私は考えております。

 東京における密集市街地の現状とその解消に向けての取り組みについてお伺いをいたします。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、東京都におきましては、都心部を囲むように、環七と環八の間ですね、そういった場所で密集市街地が分布してございまして、こういった場所は、大地震時に老朽木造建築物の倒壊、焼失等により甚大な被害が想定されております。

 これを踏まえまして、地震時に特に危険な市街地、これは全国で八千ヘクタールでございますが、東京で約二千ヘクタール、こういったものにつきまして、平成二十三年度末までに最低限の安全性を確保する、そういったことを決めております。具体的には、住生活基本法に基づく住生活基本計画等において決定しておるわけでございます。

 この実現に向けまして、密集市街地において、道路、公園等の空地を確保する、あるいは、老朽化した建築物について耐火性のある建築材での建てかえを促進する、こういった事業を今一生懸命やっておるわけでございますが、このままでいくと、目標年次では約七五%ぐらいしか達成できないだろう、こういった見通しもございまして、この早期改修に向けた取り組みを一層強化するために、さきの通常国会におきまして密集市街地整備法を改正しまして、容積移転等を活用した建てかえの促進、収用型の市街地再開発事業の適用範囲の拡大、危険な老朽住宅の除却のための受け皿住宅の整備の強化等を進めることとしておりまして、この九月二十八日に施行したところでございます。

 こういった改正法並びに予算の拡充等により、目標を実現できるように私どもも努力してまいりたいと考えております。

早川委員 ありがとうございます。

 改めて申し上げます。自然災害の発生は、これは防ぐことは極めて困難である。しかし、その被害を最小限にすることはできる。自分のことは自分でしなければならないけれども、しかし、個人の努力には限界がある。自立と共生の理念のもとに、自助、共助、公助の枠組みで、自然災害に対する国民的な保障制度、安心の国民的ネットワークをつくり上げていかなければならない。これが私の基本的な考え方であります。

 この大事な時期に当たりまして、災害対策特別委員会の理事に選任をしていただきました。そしてまた質問の機会を与えていただきましたことに対して、関係者にお礼を申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。きょうは、災害対策特別委員会におきまして質問の機会をいただきました。

 まずもって、被災者生活再建支援法の改正案、与党側からも十月になって出てまいりまして、民主党の九月に出しております案と同様に、そのお金の使い道を、いわゆる個人の財産には投入できないというこれまでの硬直的な考えを一歩乗り越えた案になったということは大変喜ばしいことだと思いますし、また支援金額も、与党案が三百万、我が党案が五百万と差がありますが、ここもひとつ英知を絞って、成案を得て、ことしの幾つかありました厳しい自然災害、ことしの一月からさかのぼって適用させてもらえればありがたいと思いますし、そこも皆さんの大所高所からの御決断をお願いしたい、委員各位にお願いを申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、当初皆様にお話をしておりました話とちょっと順番が変わりますけれども、地元の話をさせていただきたいと思います。

 私の選挙区は、愛知県の西部、尾張地方でありますが、この地域におきましては何が一番災害の課題かといえば、ゼロメートル地帯、むしろ、ゼロというよりもマイナスの地区に多くの皆さん方が住んでいます。二階の屋根より上を川が流れているという状況でありまして、堤防が一たん決壊をすることがありましたら、大きな団地が丸ごと水の中に沈むという地域でありまして、東京の荒川の河口、そして大阪の淀川の河口流域も国の重点地域となっているようでありますが、木曽三川、そして日光川流域、そして庄内川流域という、我が地域、我が選挙区のいわゆる水害対策というのは、国としても喫緊の課題としていただいているところであります。

 この中でも、きょうは日光川における流域の治水対策について、国土交通省の河川局長もお越しでありますから、お答えをいただきたいと思っています。

 日光川の河川流域における対策、基本的には県が一義的に管理をすることになっておるかとは思いますけれども、国としても支援のメニューをいろいろ用意しているとは聞いています。

 しかし、残念ながら、今でも、日光川の現況流下能力の状況というのは、整備率一〇〇%になっている地域はまだ少なく、二〇%以下の地区もたくさんあります。例えば、私の地元稲沢市の中心を流れております三宅川は、この整備率が二〇%に満たない地域が市内を流れておりまして、実際に東海豪雨の折には大変な思いをされたわけでありますし、それを受けて整備が進んでいるのかと思ってお伺いをしたんですが、この点についてまず概況をお話しいただきたいと思います。

門松政府参考人 日光川の流域におきます治水対策の概況ということで御質問がありました。

 御承知のように、日光川流域は市街化が非常に進んだところでございます。それに加えて、今先生御指摘のように、ゼロメーター地帯が広がっていまして、洪水時に雨が降りますとポンプで強制しなきゃいけない流域の面積が流域全体の三分の二、強制排水区域と称しているんですが、それが流域全体の三分の二もあるという、まことに治水上難しいといいますか、脆弱な地帯でございまして、昭和三十四年の伊勢湾台風を初めとしまして、幾つもの台風、前線によりまして水害が生じておるところでございます。極めて水害の危険性の高い流域だというふうに認識しております。

 このために、地域の洪水あるいは高潮対策は極めて重要であるというふうに認識しております。

 この認識においては愛知県においても同様でございまして、河道の改修、あるいは遊水地の整備、日光川放水路の建設、あるいは海岸堤防の強化等々を進めてきておるところでございまして、今後も鋭意推進していくと聞いております。

 国土交通省といたしましても、こういった愛知県の御認識と姿勢を支援していくために、例えばでございますが、高潮時に高潮堤防として機能いたします日光川の水門の改築でございますが、大規模構造物の改築につきましては今まで補助制度がなかったんですが、平成十九年度、今年度から新たに補助制度をつくりまして、その適用第一号として日光川水閘門の改築を採択したところでございまして、これからも、愛知県のそういった取り組みに積極的に支援してまいりたいと思います。

 さらに、最近では、先生も御承知だと思いますが、地球温暖化でどんなに大きな洪水が来てもおかしくない状態が続いております。洪水だけじゃなくて海面の上昇も言われておりますので、引き続き、流域の安全、安心を確保するために、愛知県と一体となって治水対策の万全を期してまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 概況のところで早速局長に、愛知県日光川の河川の整備についてお力をいただけると、ありがたいお言葉をいただいたわけでありますけれども、日光川の流域の対策としては、確かに堤防の問題もあります、しゅんせつの工事もありましょう、さまざま図っていかなきゃいけないんですが、今局長が言われましたように、排水ポンプ場についても我々は非常に関心を持っています。

 排水ポンプ場は、日光川の場合は国というものはないようでありますが、国の管理のもの、国や県といった河川管理者、または土地改良区や下水道事業者などさまざまな管理者がおりまして、私の記憶をしているところ、東海豪雨のときには、名古屋市内の天白区におけるポンプ場の始動の時期、タイミングのトラブルで大きな浸水被害を受けたと記憶をしております。系統立てて排水ポンプを動かしていくという必要がありますし、所有者、管理者がだれだということでその連絡にそごがあってはいけない。地元の管理者の間でネットワーク、連絡を築くなり、何か対策をきちっととっていただきたい。

 今のままでは、それぞれがそれぞれ管理者がばらばらだ。ところが、地域の皆さんから見ればわからないわけですね。ここに排水ポンプがあるけれども、これは、いや、県じゃありませんから私は動かせません、こういう話じゃ困るんですね。系統立てて動かしていくために、ひとつ国土交通省に音頭をとってもらうなり省庁が地元で連絡をとる。東京でとっていてもあれですから、地元でも連絡がとれるように、そういう体制を構築していただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 この地域は、先ほど申し上げましたとおり、強制排水しなきゃいけない地域が三分の二ほどございますが、排水ポンプ場が、御指摘のようにそれぞれ設置目的によりまして管理者がまちまちでございます。管理者がまちまちでございますが、それぞれ管理者が新しいポンプを設置する際、河川法に基づきまして、我々河川管理者に対し、その排水量あるいは運用の方法などを申請することになっておりまして、それに対して、河川管理者が十分に審査した上で許可するという仕組みになっております。

 また、出水期前になりますと、排水ポンプが適切に機能するかどうか、管理者に点検等を行うよう指導しているところでございます。

 さらに、堤防が決壊するような緊急な事態になりましたときには、排水ポンプ場を管理する者に対して、運転停止をしてくださいというような措置を講じられるような指導も行うこととなっておりまして、こういった平常時、異常時を通じてそれぞれの排水ポンプ管理者が連携して行えるようになっておりますが、今先生御指摘のように、連携は非常に大事でございますから、これからも連携の充実を図ってまいりたいと思っております。

 以上でございます。

岡本(充)委員 同様に管理についても、ぜひ国土交通省、ひとつ音頭をとってもらえるものであれば、管理についても音頭をとっていただきたいと思うわけであります。

 これとあわせて、排水ポンプ場ではなくて、移動式の排水ポンプの車についてもきのうお尋ねをしましたら、木曽川水系でいえば、木曽川上流工事事務所に二台、下流事務所に二台、それから庄内川の工事事務所に一台、それから、名古屋市内、ナゴヤドームの周辺にあります技術研究所に数台あるというふうに聞いております。

 この地域でいざ移動ポンプ車が必要になっても、一時的に多量の雨が降った場合には、なかなか名古屋市内のこの地区からたどり着くというのは大変ではないか。局長もたしか勤務経験がおありですから地理的にはおわかりだと思いますけれども、非常に厳しい。そういう意味で言うと、この排水ポンプ車、予想されるときには、特にこのゼロメートル地帯である愛知県西部、尾張地方に重点的に配置をされるような運用をしてもらいたいし、地元自治体などからは、自治体として数日間借りるというようなことが事前にできないものかという相談も受けております。

 こういった弾力的な運用をお願いをしたいわけでありますが、それについて、局長からぜひ前向きな答弁をいただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 ポンプ車は、機動性があって効率よく運用できるということで地元の首長さん方に非常に人気がありまして、お金がいっぱいあったら、要望を全部かなえてあげたいなというふうに思っているわけでございますが。

 この低平地、木曽川と庄内川に囲まれた地域でございますが、東海豪雨の時点では、全体で、五台で毎分百五十立方メートルの能力しかございませんでしたが、東海豪雨を経験いたしまして、その後、三百二十トン、毎分でございますが、倍の増強をいたしたところでございます。さらに、将来に向けて六百二十トン、毎分でございますが、まず能力自体を増強していきたいというふうに思っております。

 それに加えて、きちっと連携をして、効率よく水害に対応できるようにしていきたいと考えております。

岡本(充)委員 ぜひ、先ほど私の要望しました、事前にお貸しをいただけるような制度も含めて御検討をいただきたいということをつけ加えておきます。

 その上でもう一点、地元の話で恐縮でございますが、私の地元の木曽川には国道一号線が橋をかけています。この地域は、木曽川の最下流といわゆる下流流域とのちょうど堤防の切りかえ点でもあるという関係もあり、また国道が、またJRや近鉄の橋梁があるということもあって、ちょうど堤防が全体的に低くなってきております。地域の人から見ると、うちの家の目の前だけ堤防が低いというのは大変不安になるわけでありますけれども、かねがね、地元の自治体から要請が国土交通省に出ていると私は承知をしております。

 この堤防を今すぐつけかえてくれとまでは私は言いませんが、地元の皆さん方に、今後の推移、どういうふうにしていくのか、なぜここが進捗をしないのか、そういう説明はやはりしてもらいたいし、もっと言えば、一体幾らぐらいこの予算がかかるのかということを例えば明示するとか、このぐらいかかるんですよ、こういう話をするとかしないと、地元の首長さんが、どこの地区でもそうでしょうけれども、毎年要望に来て、結局ナシのつぶてという話であっては、私は地域の皆さんが安心しないと思う。

 この点についてお返事がいただけるかどうかを含めてちょっと御検討いただけないものか、ここについてお答えをいただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の木曽川でございますが、河口から大体八キロ付近に国道一号の橋梁と鉄道の橋梁がございまして、そのけたの高さが前後の堤防よりも低い、高潮堤よりもちょっと低く切り込まれておるという状態になっております。

 ただ、現在策定中でございましてなかなか確定的なことは申し上げられませんが、木曽川水系の整備計画、大体これから三十年ぐらいの間にどういう施設整備をやっていくんだという計画を今策定中でございますが、その中において、当面の整備目標として戦後最大の洪水を対象にしようではないかというふうに考えておるんですが、それでいきますと、その流量が流下する際にそのけた下が支障になるかというと、支障になってございませんで、とりあえず、これから策定します整備計画期間中は支障がないということで、橋梁の改築は考えていないというのが実態でございます。

 しかしながら、先生御指摘のように、背後に住む住民の方々の不安、ごもっともでございますので、洪水時には越水する危険性もあるわけでございますので、平時から、土のう積みなど応急対策の訓練を実施するなどして、沿川地域と一体となって安全の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 局長の今の答弁は、そうしますと、堤防の切り込みがある箇所はあるけれども、戦後最大の洪水が起こってもあそこから水があふれることはない、破堤をすることはない、それをこの場で保証する、こういうふうなことでよろしいでしょうか。もしそうであれば、私が地元でそういう話をするという話でありますけれども、その担保はいただけるんですか。

門松政府参考人 冒頭申し上げましたように、整備計画の策定中でございまして、戦後最大洪水が整備目標になるかどうか、ちょっとまだ不確定なところがございます。もしなった場合には、おっしゃるとおりでございます。

岡本(充)委員 そうしましたら、その整備計画の策定を楽しみに待っております。(発言する者あり)まだほかにも聞きたいことがございまして。

 実は、我が地域は本当に災害と無縁ではおれませんで、東海地震、東南海地震も危険性があると言われている地域であります。

 大規模地震が起こった際に、そもそも、先ほどもお話ししましたけれども、地盤の問題を含めて大変危惧をされている方が多いわけであります。また、東海地震も、その震源域の推定地域の移動によりまして我が地元も強化地域になったわけでありますけれども、中でも、東海地震、東南海地震、大臣、大綱をこれまで決定していただいておるのはありがたいことでありますが、これに基づいていろいろ実は応急対策活動要領だとか具体計画だとか出していただいています。

 例えば東海地震ですと、平成十五年五月に地震対策大綱決定、十五年十二月に応急対策活動要領、十六年六月に具体計画、十七年三月に地震防災戦略を策定、十八年四月に応急対策活動要領と具体計画を修正しています。

 こういった計画、いろいろなプラン、見直していく必要があると思いますので、このプランについて、例えば東海地震についても、必要なタイミングで、大綱がもう十五年五月でありますから、状況の変化に応じて見直していただきたいというのが御要望でございます。

 その一方で、東南海地震、南海地震については、平成十五年十二月に大綱が決定し、その後、十七年三月に地震防災戦略ができ、そして十八年四月に応急対策活動要領が完成をしておりますが、具体計画ができるのが十九年三月だったんですね。正直に申し上げて大変時間がかかったなと。大綱が十五年十二月にできて、具体計画ができるのに十九年三月だった。大臣、これはちょっと時間がかかり過ぎたなという御印象はお持ちじゃありませんか。

泉国務大臣 御指摘のように、地元の方々にとっては、どうなるかということで大変気がかりなお気持ちを持っていらっしゃると思います。

 首都直下型地震につきましても、今先生が御指摘のような形で一つずつ問題点を明らかにしながら、そして対応策をとらせていただいておるわけでございまして、例えば荒川とか、そうした洪水の影響等も先日発表させていただきました。

 そしてこれからは、木曽三川を対象にする、あるいは淀川も検討するというふうに、少し時間をかしていただき、より充実した防災計画等をつくらせていただきたい、このように思います。

岡本(充)委員 いや、三年半かかったわけですね。大綱ができてから具体計画ができるまで三年半かかるというのは、普通に考えれば、三年半、具体計画ができるまで時間がかかるというのはどうかと思いますし、正直申し上げて、これをもとに地域も対策を練るわけですから、どういう事情があったか、多分事務方は言いたいところがあるんだろうとは思いますが、こういった問題は、速やかにそれぞれの計画を策定していただきたいですし、古くなったものは随時バージョンアップをしていっていただかなきゃいけないということを大臣にお願いしたいと思いますので、御答弁をいただきたいと思います。

泉国務大臣 先ほど御指摘もございました応急対策活動要領に基づく具体的な活動内容に係る計画、いわゆる具体計画を今定めているわけでございまして、その中には、被害想定に基づいて、あらかじめ地域ごとに部隊派遣あるいは物資等の必要量を算定する、こういうことを今検討しておるわけでございます。

 大綱策定後、こうした地震防災戦略、応急対策活動要領、具体計画等を作成してきたところでございまして、これらの計画の作成のために、データや情報の収集、現状の把握、課題の抽出、分析と対応方策の検討、ちょっと並べ過ぎますが、こうしたことを踏まえて、関係省庁あるいは府、県等との調整などに少し時間を要するわけでございます。

 しかし、三年余り、長いと言われれば長いわけですが、先ほど申し上げましたように、より具体的なものにして住民の皆様方に安心をしていただく、あるいはまた御協力いただくところは御協力いただく、こうしたことにつくり上げていきたいと思いますので、もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。

岡本(充)委員 いや、もうしばらくと言われましたけれども、大臣、一応、具体計画をおつくりいただいてもう三月にできているようですので、これをまた見直していくのを不断の努力をしていただきたいと思いますし、本当に長い答弁をお話しいただいたんですけれども、地震が待ってくれるわけではありません。やはり我々としては、被害を最小限にしたいと思うわけですから、早急な、随時のバージョンアップをお願いしたいということであります。

 それでは、政府がいろいろ具体計画等をつくっておりますけれども、一つ、同じくバージョンアップという意味で見直していかなきゃいけないんじゃないかというのは、いわゆる帰宅困難者対策です。

 東海地震の警戒警報が発令されて、歩いて帰ってくださいと名古屋駅周辺から言われる方々がおよそ九十万人ですか、見えるという話でありましたけれども、この皆さん方が、例えばトイレの確保、とりわけ女性の方にとっては真剣に考えなきゃいけない問題だと思いますが、こういう問題、また、帰り道におけるさまざまなトラブルも考えられます。

 例えば私の地域でいえば、橋は限られておりますから、こういったさまざまなトラブルに対して、今のいわゆる帰宅困難者対策のマップ、それぞれ、例えば名古屋市などが作成しておりますが、コンビニエンスストアでの協力などももらっているようであります。今後さらにこれもバージョンアップをしていただきたいと思うわけでありますが、これについてお答えをいただけますでしょうか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 現在、中央防災会議の首都直下地震避難対策等専門調査会、ここにおきまして、特に首都地域で膨大に発生すると想定される帰宅困難者等の対策について検討を行っているところでございます。

 実際、大きな地震が起きますと、例えば一斉に帰宅者が出てくる、しかも重立った道路は人でいっぱいになる。先ほど先生がおっしゃられたようないろいろな問題が出るわけでございます。今検討の最中ですが、例えば、一斉に出る帰宅者数を低減させる、あるいは、帰宅輸送をスムーズにやるためにどういう経路を通って帰っていただくか、それをあらかじめケースに応じて用意しておく、あるいは、駅でいろいろな混乱が出る、それを防止するための対策をやる等々、いろいろな検討を行っているところでございます。

 今後、このような検討を進めまして、具体的な帰宅困難者対策の取りまとめを行うこととしております。

 なお、先生今お話にありましたように、愛知県や名古屋市では、帰宅支援マップの作成ですとか、コンビニ等と協定を結んで支援ステーションの設置に取り組んでいるというふうに承知をいたしております。

 私どもとしても、必要に応じて、県や市とも連携を図りながら、先ほど申し上げました専門調査会での場でいろいろ検討しますが、その検討成果をより実効性のある帰宅困難者対策につなげていきたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 今、統括官からのお話にありましたけれども、地震発生前と発生後はまた状況が全然違います。私が先ほど指摘をしましたが、東海地震の場合は、地震発生前にもこういう状況が起こる、本当に発生するかどうかよくわからない、こういう状況で、ある日、歩いて帰ってくださいと言われるわけですね。こういう状況と、実際に地震が発生して、瓦れきで覆われていたりトイレが使えない状況の中で帰らなければいけないという状況、また違ってくると思いますよ。首都直下型だけでなく、東海地震についてもぜひ御検討いただきたいと思います。

 そしてまた、災害時の要援護者の避難支援プランというのが策定率が大変低いと私は伺いました。この策定、いわゆる、高齢者の方だとか病気をお持ちの方で災害時に援護を必要とする方の避難支援プランが、千八百自治体の中で平成十八年三月末現在まだ十五自治体、しかも、それが全部できているわけではないと聞いております。

 大変に低いこの率でありますが、これを上げていく必要があるとお考えなんだと思いますけれども、今の現状、これからの見通し、お答えをいただけますでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるとおりでございまして、なかなか進んでおりません。それで、私どもその原因は何だろうかというふうに考えておるんですが、これは大変残念なことなんですけれども、市町村の中には、取り組みの前提となる災害時要援護者対策の必要性についての問題意識が十分でなかったり、あるいは関係者間でも認識の共有というのが進んでいない、そういった団体も見受けられるということではないかと考えております。

 また加えまして、その避難支援プランの策定に向けて実際に取り組みを始めた市町村、こういう市町村にあっても、個人情報保護との関係での戸惑いがあって、自主防災組織等の実際に避難支援活動に携わる関係者との間での情報の共有作業が円滑に進まない、そういうことで手間取っている、プランの策定に戸惑っておるという声も聞いております。

 これを進めるためには、そういう背景があると考えておりまして、私どもとしては、いろいろガイドラインをつくっておりますが、そのガイドラインの内容についての周知徹底ですとか、あるいは場といたしましては、シンポジウムの開催ですとかあるいはキャンペーンですとか、いろいろな機会をとらえてその必要性を訴えかけている、個人情報保護との関係についても、具体的な進め方ですとか先進的な事例を示すことなどによりまして現場での戸惑いの払拭に努めているということでございます。

 確かに、今、避難支援プランは策定は少のうございますが、例えば、昨年、全国の市町村を対象に消防庁さんが行った調査結果によりますと、今後二年以内に作成を検討するという団体が大半であるということでございますので、できるだけ多くの市町村ができるだけ早期にプランの策定に至るよう、内閣府としても、消防庁や厚生労働省と連携しながらこれを促進してまいりたい、このように考えております。

岡本(充)委員 シンポジウムを開かれるのも結構ですし、ビデオをつくられるのも結構ですが、お金をかければ進むというものではないというのは事実で、千八百ある自治体の中ではまだ十五しか策定をしていない。

 国としては、プランをつくってもうそれこそ二年、平成十七年の三月につくったんですか、だから、十七年の三月からつくって二年半たっているんだ。これも同じですね。二年半たってまだ十五しかできていないって、これは幾ら何でも少な過ぎる。何がおかしいかって、その政策自体がおかしいか、それとも内閣府からのインフォメーションが悪いのか、自分たちもやはり反省をしてもらわなきゃいけない。何か、あたかも自治体が戸惑うから戸惑いをなくすことがと言ってみえますけれども、そこは厳しく指摘をしておきたい、反省をしていただきたいと思います。

 そこで、さらにちょっと別の角度から地震の話をしたいと思いますが、緊急地震速報について少し取り上げたいと思います。

 この十月一日から大変いろいろなところでインフォメーションされていましたけれども、地震を少しでも早く、いわゆるお住まいの皆さん方、そこに見える皆さん方に発生をお知らせする、大きな揺れが来ていますよというお知らせをする、そういうシステムを気象庁さんが頑張って導入をされまして、平成七年から十一億五千万円かけておつくりいただいたということでありまして、それはそれで画期的な話だと思います。

 しかし、この情報が一体どこにどういうふうに届いているのかということは大変重要でありまして、きょうは文部科学省、厚生労働省等にも来ていただいておりますが、それぞれ、学校や病院等にはその情報が今どのくらい伝わる状況が整備されているのか、まずお答えをいただけますでしょうか。

岡政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省としては、これまで、内閣府、気象庁の協力も得て、児童生徒等にリーフレットを配付するなど、緊急地震速報の学校等における普及啓発に積極的に取り組んできたところでございます。

 緊急地震速報システムにつきましては、一部の小中学校等で先行的に導入を行っているというふうに伺っておりますけれども、現時点において、導入状況は文部科学省として把握しておりません。

 文部科学省では、本年七月、教育委員会等に対しまして緊急地震速報の利活用について検討を進めるよう依頼したところであり、今後とも、関係省庁と連携しながら、緊急地震速報が学校において有効に利活用できるよう適切に情報提供してまいりたいと考えているところでございます。

木倉政府参考人 御説明申し上げます。

 医療の関係でございますけれども、緊急地震速報につきましては、厚生労働省といたしましても、本年六月になりますが、医療関係団体を通じまして、この周知、利活用につきまして要請をいたしております。これも、先行的にもう導入されておられるところもあるように伺っておるんですけれども、サービスの実施自体は十月一日からということでありまして、現時点におけます導入状況は把握ができておりません。

 なお、実際に有効な使い方をしなきゃいけないということで、現在、東京の立川市にございます独立行政法人の国立病院機構災害医療センターにおきまして、この医療センターは、全国の広域災害医療の基幹施設になるところで、研修等の機能も有しておるところでございますけれども、こちらの方で、地震発生時におきますこのシステムの利活用についての実証的な研究を気象庁等とも協力させていただきまして行っておりまして、この成果を踏まえまして、具体的な活用方法、対応のマニュアルというようなことを周知し、その利活用をさらに促進してまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 それぞれどういう普及状況かというのを早急に把握をしていただきたいと思うし、先ほどの話じゃないですけれども、三年半かかって、いやまだちょっとという話では困るということをここで重ねて指摘をしておきます。また機会を見つけて伺いますから、それまでにしっかり調べておいていただきたいと思います。

 それではもう一つ、この緊急地震速報の仕組みですけれども、大臣、聞いてください、緊急地震速報を聞きます。

 各地の気象庁の観測所で地震のS波を観測する、情報を気象庁からそれぞれの緊急地震速報の利用者にお知らせするかと思いきや、その間にどうも一つ財団法人が入っているんですね。

 この財団法人は、どうやら気象庁からの情報をただでいただいて、これをおよそ二億五千万円の価格で売って、そこで報酬を得ている。そこには三十一人の職員がいて、そのうち十二人が公務員のいわゆる天下り。三人の常勤理事は三人ともが気象庁のOB。もらっている年収は、一千五百万が平均といいますから、二千万に近い人もいるんじゃないかと思われる。こういう仕組みではどうなのか。

 そこはただで気象庁からデータをもらうんですよ。そしてそれを、一般利用者、NHKなり民間の放送局なり携帯電話会社、もちろんさまざまあると思います、多く売っている。そこでお金をもらっている、高い報酬が発生する。これは仕組みとして必要なのか、何で気象庁から情報をいただくことができないのか、一つ財団法人をかませている必要があるのかということに大変私としては疑問を感じるわけです。

 大臣、率直に、どのようにお感じになられますか。

泉国務大臣 私の方からお答えするのが適当かどうかは問題であると思いますが、今の御質問は、気象業務法で示された気象庁の役割、そして、気象庁として全体の流れの中でできるだけスリム化する、限られた業務を行うように、こういう今の行政に対する国民の考え方、これを受けたときに、第三セクター、財団法人によって情報を国民の皆さん方にお知らせするという仕組みは、一つの考え方として私は避けられないのではないかというふうに思います。

 給与の点等はちょっと言及を差し控えさせていただきます、私よくわかりませんので。

 ただ、気象庁自身がこうした仕組みを自分でやるということになりますと、またそこに大きな投資を伴うというようなことも考えられるわけでございまして、ここは、比較考量、そして全体の行政のスリム化、細やかなサービスの配信というか配布、こうした考え方の中で今日の仕組みが立ち上げられておるものと私は理解をいたしております。

岡本(充)委員 一つつけ加えておきますけれども、決してこれは国でできないわけじゃないし、場合によっては、利益が出るのなら、国庫に入れてもらえばもうかるわけですよ。国の収入になる。印紙で買ってもらってもいいんです。いろいろな方法がある。それから、例えばコンピューターを含む投資も必要になると言うけれども、これは、利用者からお金をもらえるわけですから、決して国のマイナスになる話ではない。

 なおかつ、税金であれば我々の監視の目が届きますが、先ほどの給与の面を含めて費用がどうなのか、適正なものになっているのかどうかも含めてチェックが入らない。財団法人という形がいいのかどうか、私はまた場を改めてこの問題を追及させていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 泉大臣におかれましては、新潟県の中越沖地震、現地を視察していただいて、ありがとうございました。また、木村副大臣におかれましては、先日、中越地震の三年目に当たります合同追悼式、ありがとうございました。

 きょうは、被災者生活再建支援法について、そしてまた宅地造成地の問題、そしてまた原子力防災について伺いたいと考えております。

 まず、被災者生活再建支援法でありますけれども、民主党は、住宅本体への適用と、そして中越沖地震、そして能登半島での地震、これらにさかのぼって適用可能である、こういう法律を参議院に既に提出いたしております。与党の方からは、ようやく、きょうですか、この後趣旨説明があるやに伺っておりますけれども、いずれの案におきましても、住宅本体にこの被災者生活再建支援金を適用するということが中身としては盛り込まれております。

 政府の方ではことしの三月から検討が始まっていたということでありますけれども、大臣、この両法案において住宅本体への適用拡大が含まれているということについて、大臣はどういう御感想をお持ちでしょうか。

泉国務大臣 平成十年の最初の議論のとき、そして十六年の改正のときも、この議論は多くの先生方から御指摘をいただいたことでございます。しかし、いずれの場合も、本体への公的資金の投入については、私的財産の最たるものである住宅にという御意見が多くて、実現をいたしませんでした。

 与党と民主党からそれぞれ提出されていますこの支援法の改正案について、与党案に関して申し上げますと、住宅本体の再建費用を直接支給対象にしているわけではないと認識しておりまして、支援金を定額化して使途を限定しないとすることで、この改正案を、本当に被災者の立場に立った、使いやすい、使い勝手のよいものにするという案であると私は理解をいたしております。

 民主党の提案された案は、まさに先生御指摘のように、本体に一つずつ積み上げた上で支給をするという仕組みになっておるようでありますが、いずれにしましても、具体的な方法はともかくとして、被災者の立場に立った支援法の実現にこの国会で御議論をいただければ、このように思っておるところでございます。

西村(智)委員 与党の方の案は、直接そのようには書かれておりませんけれども、実質的にはこれは住宅本体への適用拡大だと言って差し支えないんだろうと思います。大臣がそのように丁寧な答弁をしていただいたことには感謝をいたしますけれども、私は、もう少し率直な大臣のお考えが伺いたかったなと思っているんです。

 次に、民主党案とそれから与党の提案、きょう、山積みされておりましたので拝見をいたしました。見ますと、大きな違いは一つ。それは何かと申しますと、ことし発生をした能登の地震と新潟の中越沖地震、ここにさかのぼるかどうかということであります。

 私たち民主党の案では、とにかく被災から間もない人たちが実際に住宅復旧のまだ途上である、途上であるどころか、まだスタートラインに立てない人たちが大変多くて、地元の自治体などでは、こうした人たちにどうしたら呼び水をやれるかということで義援金を、新潟でいえば、住宅の倒壊の度合い、そしてまた二重にローンを組んでいる方も大変多くいらっしゃいますので、そうした人たちへの重点的な配分ということで、自治体はそうやって一生懸命やっているんです。

 しかし、与党の方にはそうしたことというのはない、これから起きる地震のみが対象であるということになっておるんですけれども、この点について、民主党の案では遡及ということが含まれておるんですけれども、これについて大臣はどうお考えでしょうか。

泉国務大臣 この遡及の問題も、十年の当初のときから、阪神・淡路に遡及するかどうか大変議論があったことを私は承知いたしております。

 したがって、民主党が、この一月以降、能登あるいは中越沖、こうしたところに適用すべきではないか、そういうお考えで法案を出していただいていることも私は承知をいたしております。

 しかし、そもそもこの制度というのができ上がりますときに、将来の災害に備えて都道府県が相互に扶助をするという観点から積み立てた基金を原資として被災者に支援金を支給する、これがこの法案の基本的な枠組みであったと私は理解をしておるわけでありまして、既に起きてしまった能登地震等の災害について、この基金の原資を使った支援金、いわゆる遡及適用は、本来のこの制度の考え方、趣旨になじまないのではないかという考え方を私は持っております。

 しかし、先ほど申し上げましたように、いずれにいたしましても、国会での議論をいただきまして早く成案を得るということが、私どもの、私自身の願いでございます。これから再建制度について本委員会で御議論をちょうだいするということを承知いたしておりますが、議論を尽くしていただきたい、この思いでございます。

西村(智)委員 そもそもの制度の趣旨というのは、大臣が今おっしゃったとおりであろう。しかし、ここは、今私たちは、立法者の意思としてこの制度をどう変えていくかということで提出をいたしておりますので、その点についての御意見を伺いたかったのですが、同じことなんでしょう、きっと。国会の中で議論を尽くしていただきたいということなのかもしれません。

 では、ここで私は、地元の皆さんの思いを大臣にお伝えしたいと思っております。

 国会の議論を今非常に地元では注目しております。国会議員がこの法律の改正に向けてどういう働きをしているかということについて特に注目をしております。

 先ほども申し上げましたけれども、中越地震で被災した皆さんが二重ローンを組んでいるケースというのも大変多くあります。また、地盤が、滑落といいますか、ずるっと落ちてきてしまったところもかなりありまして、町中などでは、非常に狭い宅地だったものですから、家が本当に屋根から押しつぶされるようにつぶれている。もう大臣もごらんになったので、おわかりだと思います。

 高齢者の方が多い、ローンが組めない、中には、もといた場所にもう住めないからということで、住みなれた土地を離れてお暮らしになる選択をされた方も少なくありません。そうした方々が、この被災者生活再建支援法を通して、何とか生活を再建しようという、その気持ちを持つということが私は大切なんだろうというふうに考えておるんですね。

 今回の民主党の提案については、本当に多くの皆さんから実は期待を寄せていただいております。ぜひこの提案で通してもらいたい、そういう声が非常に強いんです。ところが、与党の案が先般まとまったその際には、かなり多くの落胆の声が、これは地元住民からだけではなくて、行政の中からも実は上がっているんです。

 ここから先は少しはしょりたいと思いますけれども、復興支援基金、今回、総務省と今度は経産省も加わっていただいて、合計で一千六百億円規模で設定をされました。これについては、本当にいろいろなメニューがここから実現できることになりますので、大変に効果が上がることを期待しておるんですけれども、どうも、一部漏れ聞こえてくるところによりますと、新潟、能登での地震で被災した皆さんに、この法律、改正法が、仮に改正されたときに、仮に与党案が通って遡及がないということになったとしても、その基金で何とか、例えば住宅本体へ適用できるようにするから、そこは大丈夫だ、心配しないでくれ、こういう声がどうも政府内部の方かららしいんですけれども出ている、こういう声が聞かれるんです。

 これは、大臣、確認させていただきたいんです。そういう声は本当にあるんでしょうか、本当でしょうか。

泉国務大臣 今御指摘の、基金を活用して支援法と同程度のことがお手伝いできないかという議論が与党の中で行われておるやには私も承知をいたしております。

 これは、阪神・淡路あるいは石川という過去の幾つかの、兵庫県と石川県ですか、そうした例を参考にしながら、遡及が難しければ、被災者の方々に何か実質的にお手伝いできるように、あるいはまた再建へ向けて背中を押してさしあげられるような仕組みが考えられないかということで議論があっておるやには承知をしておりますが、私自身は確認をいたしておりません。

西村(智)委員 大臣は承知していない、この被災者生活再建支援法を行政府の長として執行する、その責任者として大臣は御存じないというお話でした。

 ですので、その大臣におかれて、では、仮に与党案が通って遡及がされないというときに、本当に基金で対応できるようにするということと、それから、住宅本体への適用ということになれば、新たなメニューを自治体の方ではつくらなければなりませんので、今まで計画しているメニューを削っていかなければならないわけです。そうすると、その分の大幅な基金の上乗せというのが必要になる。だけれども、今、大臣の御答弁では、これは約束できないというふうに言うしかないんだと思います。ですので、約束されない空手形を見せられて私たちは与党案でよしと言うわけには決していきません。そこのところは強く申し上げておきたいと思います。

 ですので、今後の議論になろうかと思いますけれども、参議院で今民主党案が審議されております、衆議院の方でも与党案が審議をされる、ここは、被災者の皆さんの立場に立った議論、気持ちを酌み取った議論ができるように、ぜひ大臣からも政治的なリーダーシップを発揮していただけますようにお願いをいたします。

 ちょっと事務的な話になりますけれども、もう一点、この生活再建支援法について伺いたいことがあります。罹災証明です。

 この再建支援法の適用に向けて罹災証明が必要になるわけでありますけれども、実は、この発行手続が非常に煩雑で、住民の皆さんは、この認定、判定に至るまでに何度も何度も手続を踏まなければならない、そういう御苦労をされておられます。仮設住宅に暮らしている方が、一次判定、二次判定、三次判定、このたびに役所に行ってかけ合ったり日程調整をしたりというのは大変な苦労が必要になるわけですが、これはもうちょっと簡略できないものかどうか。

 これは総務省の消防センターの室崎さんもずっと御提案をされておりますけれども、例えば、応急危険度判定から罹災証明書の発行までを一連の流れとして建築のプロの方が一度にできるような、そういう仕組みをつくれないものか、こういうふうに提案をされております。

 この提案を踏まえて、大臣、この罹災証明の発行、もう少し改善できませんでしょうか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 被害認定に関して今先生おっしゃられたような声があったということは、よく承知をいたしております。ただ、この被害認定は、各種の被災者支援策に密接に関連する罹災証明の発行のために必要とされているものでもございますので、被害認定には迅速性が求められるということがあろうと思います。一方で、的確性も要求されるということがございまして、いわば相反する要素を持ってこの被害認定に当たらないといけないという難しさがあろうと思っております。

 今のお話ですが、例えば一回で認定結果を出そうということになりますと、例えば地震でいいますと、余震がいろいろある中で、しかも多数の物件を処理しないといけない。その中で、一回でやろうといたしますと、外形的な判断といいますか、外形的に目視で判断できるということではなくて、実際、建物の内部に立ち入っていろいろ調査をするということが必要になってこようかと思うんですが、そうなりますと、今申し上げましたように、片っ方で余震のおそれがある、そして多数の物件を処理しないといけないということになると、どうしても時間がかかってしまう。そういうことからすれば、先ほど申し上げたような迅速性の要請にはこたえられない、こういうような悩ましい問題があるというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。

 ただ、私ども、そういうことでもございますけれども、その被害認定にまつわる課題についてはいろいろお伺いしておりまして、そういう声を一つ一つ点検して、さまざまな観点から検討を加えて、できることからではありますが、一つずつ運用の改善に努力をしていきたいというふうに考えております。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 次に、国土交通省の方からもお越しをいただいておりますので、質問をしたいと思います。

 制度というのは、やはり事態に応じて運用の幅が生じてくるものであるというふうに思いますし、必要とあらば、そうした制度の対象ですとか考え方も変えていくということの証明のようなものを、実は今回、国土交通省から見せていただきました。

 といいますのは、柏崎の山本団地でございます。おそらく団地の皆さんが国土交通省に直訴に行かれましたよね。宅地が盛り土がされていて、そこがずるっと動いた。ところが、現在の仕組みでは個人の宅地に対して公共的な支援をするということができなかったわけなんですけれども、昨年の法改正で、大規模盛土造成地滑動崩落防止事業というのが創設をされて、これは本来、この造成地の滑動それから崩落を防止するためのいわゆる予防的な事業であったはずなんですけれども、今回、その山本団地の皆さんが、国土交通省の方にも、あるいは地元自治体とも話をして、この既にずれてしまった土地に対して適用ができるようにということで、今相談は進んでいるというふうに聞いております。

 本来、この事業は、申し上げたとおり、予防的な事業であったはずです、制度のそもそもの趣旨は。ですけれども、山本団地は既にもうこうなっている。ここのところ、どういう論理的な根拠で適用ができるようになるのか、この適用の見込み、この山本団地に対するこの事業の適用の見込みについて伺いたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の大規模盛土造成地滑動崩落防止事業、ちょっと難しいんですが、盛り土した造成地が崩れ落ちることを防止する事業ということでございますが、これは、先生御指摘ありましたように、十八年に宅地造成等規制法を一部改正いたしまして、既存の危険な盛り土造成地の耐震化を進めようということで、法改正と同時に事業制度としてつくった制度でございます。

 基本形は、まず、既存の盛り土造成地を調査いたしまして、いわゆるハザードマップ、宅地ハザードマップをつくります。その中で特に危険な盛り土造成地の一定のものにつきまして御指摘の滑動崩落防止事業を行うという流れが基本形ではございます。

 ただ、既存の危険な盛り土造成地を選択する過程は、当然、調査してももちろんわかりますし、今度の山本団地のように、もう地震で一部崩れているわけですから、そういうところにつきましては調査を抜きにしてそういった造成宅地防災区域という区域指定ができるという、もともと制度がそういうふうになっておりますので、もちろん主目的は事前予防の事業でございますけれども、当然、発災後にも適用できる事業ということでございまして、決して山本団地を特例的に扱っているわけではございません。

 現在、地元の県、市とも協議を進めておりまして、御指摘の山本団地は、かなり大規模な盛り土造成地でございまして被災を受けておりまして、かつ、二次災害のおそれが非常に強いということでございますので、もちろん発災後でございましても本事業の適用は十分、要件がございますけれども、可能ということでございますので、今、そういったところを地元と協議を進めているというところでございます。

西村(智)委員 適用の見込みについてはどうですか。まだ協議を続けているという段階なんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、私ども、新潟県それから柏崎市と協議を続けておりますが、当然、適用の方向で私どもは考えています。ただ、一部、地元の皆様の負担がございますので、そういうところを今現地で詰めていただいておりまして、地元の皆様の大方の合意が得られ次第、多分、補助申請いただけるものというふうに考えております。

西村(智)委員 政府の方では申請があれば適用のつもりである、そういうお話を伺うことができました。

 私の質問の最後は、原子力防災について伺いたいと思います。原子力保安院長、お越しいただいておりますでしょうか。どうもありがとうございます。

 今回、中越沖地震の特徴、幾つかある中の一つは、この柏崎刈羽、大変最大規模の原子力発電所での被災にあるだろうと私は考えております。

 もう改めて申し上げるまでもありませんけれども、十時十三分にあの地震が発生いたしまして、あそこの、建屋と申し上げたらいいんですか、要するに、一号機から順に並んでいるところの脇に、言ってみればオペレーションをするセンターのようなところもありますけれども、そこも見せていただいたんですけれども、非常に大規模にやられておりまして、あそこで働いている方々もかなり恐怖を覚えたのではないかなと思っております。

 とめる、冷やす、閉じ込める、これはうまくいった。うまくいったというのは本当によかった。ですけれども、これは、今後の原発震災の防災を考える上で必ず教訓にしていかなければいけないことだというふうに考えています。

 原子力保安院の方でもいろいろ対策調査委員会ですか、設置をして議論が進んでいるというふうに聞いているんですけれども、どうも私の目からいたしますと、地元の人たちとやはり乖離をしているんです。その保安院の方から実際に現地にどのくらいの回数赴かれて、保安院長が実際にその地域の皆さんとどのくらいお話をされているのかわかりませんけれども、今回の地震のときに、地域からは、原子力保安院の顔がほとんど見えなかったと。ほとんどというのは言い過ぎかもしれません。全く見えなかったと言われておるんです。

 何でこういうことになるのか。本来、安全を規制するための規制機関である院が本当にこういうことでよかったのかどうかということなんですけれども、ちょっと時間もなくなってきましたので、事務的なところから確認をさせていただきたいと思います。

 今までに原子力災害の防災訓練を行われていると思います。いわゆる原災法の十五条で言うところの事象が発生してから避難指示が出るまでに大体どのくらい時間がかかっているのでしょうか。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 この十五条、住民避難までの指示というのは、基本的には、訓練において事象を想定して、どういうシナリオという形の中で決まっていくものでございまして、そういうようなことで、シナリオ上設定した時間でございますけれども、参考までに今お話をいたしますと、平成十三年度の訓練、これは泊発電所でやったものでございますが、これにつきましては、十五条、発生から住民避難の指示まで一時間四十五分、平成十四年度の訓練では二時間五分、平成十五年度の訓練では二時間十五分、十七年度につきましては二時間九分、平成十八年度、一時間四十二分、平成十九年度、一時間十分となっております。

西村(智)委員 原発での震災、原発震災が起きたときの訓練というのはなさっておられますか。

 原災法十五条というのは、いわゆる時間的な経過、余裕のあるケースのもとで行われているのではないかと想定するんですけれども、原発震災が起きたときの、そういうケースを想定しての訓練というのは行われているんでしょうか。

薦田政府参考人 今、年に一回この原災法に基づいて訓練をしているところでございますけれども、このときには、各原子力発電所でどのような事象を前提としてやるかということにつきましては、地元の方と相談をさせていただきまして、こういう中で事象を設定し、訓練をしているというものでございます。また、設備につきましても、原子力発電所だけではなくて、再処理施設等も含めてやっている。

 また、そのときの想定の仕方でございますけれども、例えば、ことしでございますと、これは必ずしも地震を想定したわけではありませんけれども、柏崎刈羽で火災が起きたというようなこともございましたものですから、今回は、原子力災害とあわせて火災の発生ということも想定をして行うというようなことで、地元と御相談をしながら、いろいろなケースを想定しながら訓練をしている、こういうところでございます。

西村(智)委員 そうしますと、原発震災を想定しての防災訓練というのは行われてこなかったということだと理解をいたします。

 今回の地震で、結局、地震が発生したのが十時十三分、そして、東電の方がいわゆる緊急時対策室へ入室できたのがそれから三十分以上たってからのこと、原子力保安院長が避難の必要はありませんというふうに県に回答されたのは、地震発生から一時間二十分経過してからの後。でも、それから、大変微量であって、これは微量であったというのは結果論だと私は思いますけれども、実は放射能汚染水が海に流れていたということがわかって、本当に微量だったのでよかったんですけれども、そういうような経過をずっと追ってきていろいろ考えますと、原災法が想定している範囲がどうも狭いのではないか、こういうふうに考えてしまうんです。

 つまり、原災法の今の枠組みというのは、事象が発生してから放射能が放出されるまで時間的な余裕のあるいわゆる自損事故を中心に想定されていて、今回のように、火災が起きたりとか何が起きているのかわからない事態に対しては、そうしたことについて、避難の必要性の有無ですとか、事態がどうなっているのかということを判断する、そういう具体的なシステムがないんですよ。実際には、事業者からの例えば基準以上の放射能漏れが起きていたり停止機能が喪失されているなどの通報がない限り、対応は想定されていないということになっております。

 例えば、今回は第三号機の変圧器が火災を起こしておりました。あれは一体どうなっているのかということで、多くの皆さんが情報を欲しかったわけなんです。ところが、この間、原災法の枠組みの中でいうところのいろいろな要件にはひっかからなかったので、原子力保安院の方から適切な情報提供がなかった。

 ということからいたしますと、これは二つお伺いをいたしたいと思います。

 一つは、住民の避難の必要性を判断する責任の所在というのはどこにあったらよろしいというふうにお考えなのか。これがまず一つ。

 もう一つは、この原災法、やはり原発震災といったものを想定したものに改正していく、これは大変重要なことだと思いますけれども、それを検討すべきではないかというふうに考えるんですが、この点についてはいかがでしょうか。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 まず、原子力災害時におけます住民避難の必要性を判断する際の責任はどこにあるかということでございますけれども、まず、放射性物質が大量に環境中に放出されるようなおそれのある原子力緊急事態におきましては、先生御指摘のように、まず、原子力災害特別措置法に基づきまして、内閣総理大臣が地方公共団体の長に対して住民避難等の指示をすることとされているということでございます。

 また、政府の原子力災害対策本部が設置された段階におきましては、本部長であります内閣総理大臣の権限を委任することによりまして、今度は、現地に派遣をしております現地対策本部長が地方公共団体等と調整しつつ現地で住民避難等の指示をすることができることとされているということでございます。

 他方、今ございましたように、では、原子力災害であるかわからないような場合については、こういう住民避難の必要性をどのように判断するのかということでございますけれども、地震等の自然災害におきまして原子力緊急事態に至っていない場合につきましては、これは災害対策基本法に基づきまして地方公共団体の長が住民避難等の指示を行うものとなっておるところでございます。

 ただ、当然、いろいろな情報が必要でございまして、原子力安全・保安院といたしましては、こういった原子力災害に至らないような場合におきましても、今後は、原子力施設の状況につきまして、地元に対して迅速かつ的確に情報連絡、提供することが重要であるというふうに考えておるところでございます。

 現在、先ほど先生からございましたように、この調査委員会におきまして、ここで、どのような情報をどのように伝えていくべきなのかということにつきまして検討していただいているところでございまして、こういうことで適切に対応していきたいと考えておるところでございます。

 それから、もう一つのお尋ねでございますけれども、原災法の改正の必要性の有無ということでございますけれども、先ほどこれも先生御指摘のように、今回の中越沖地震の際の発電所につきましては、まさに原子炉が設計どおり自動的に停止をいたしまして、最も重要な安全機能であります、とめる、冷やす、閉じ込めるという機能を適切に維持されたところでございます。

 しかしながら、他方、ございましたように、所内変圧器の火災といったものに事業者みずからが消火活動に迅速さを欠いた、あるいは、こういう放射性物質の漏えいに対します報告のおくれがあったということで、幾つかの問題があったということは事実でございます。

 こういうことから、既に経済産業大臣から原子力事業者に対しまして、化学消防車の配置を初めとします自衛消防隊の強化や、あるいは迅速かつ的確な事故報告体制の構築について指示をするとともに、国や原子力事業者におきましてもより的確に対策が講じられるよう、現在、先ほど申し上げました委員会を設置しまして、情報提供のあり方を検討しているということでございます。

 保安院といたしましては、こういった検討を踏まえまして、今回のような大地震等におきます原子力施設の安全、それから周辺住民の、国民の安心が確保できるように事業者を指導するということとともに、国といたしましても、先ほどございましたような、情報を的確に出していくというような遺漏のない対応がとれるよう体制の構築に努めていきたいと考えているところでございまして、現時点で原子力災害対策特別措置法の改正が必要であるとの認識は持っていないということでございます。

西村(智)委員 時間になりましたけれども、保安院長、国民の安全、安心、安全のところは、これはやはり専門的なところになってくると思いますので、対策調査会やあるいは原子力安全委員会などの議論になってくるんだろうとは思いつつも、それが地域の皆さんの安心につながっていないというところをぜひ認識してください。

 伝わっていないんですよ。わからないんですよ。議論の経過もわからない。議論されたことをおろされて、それでよしとされる。本当にそこのところはぜひ認識していただきたいと思います。

薦田政府参考人 実は、国といたしましても、今申し上げました、やはり安心ということにつきましては極めて大事であろうと思っております。

 そういうことから、今回の国におけます委員会におきましては、まず一つは、今回は県の代表、市の代表、そして刈羽村の代表にも入っていただくということで、地元の御意見が的確に伝わるようにしております。それから、この委員会は、すべて公開でやっておりまして、資料も全部出しております。

 こういう中で、我々の意図、あるいは中でどういうディスカッションがされたのか、そして、その地元の皆さんが、まさに自治体の代表の方がどういうような御意見を持っていて、それがどのように最終的に報告書としてまとまっていくのか、こういう過程をすべて出した上で報告書をまとめていただきたいと思っておりまして、今先生がおっしゃいましたようなものにつきましては、可能な限り地元の声あるいは安心というものを反映していきたい、かように考えているところでございます。

西村(智)委員 保安院長がぜひ地元の皆さんと直接意見交換をされることも含めて、対応を強く要望して、終わります。

 済みません、時間が延びました。

鈴木委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。

 大臣初め関係各位の皆様、よろしくお願いいたします。

 きょうは、今まさしく与党とそして私たち民主党も含めて議論しております被災者生活再建支援法に関しまして質疑をさせていただきたいと思います。

 今回、この改正の議論の中において、支援金の使途の制限をかなり柔軟に緩和したり、年齢制限を撤廃したり、支給額も上げていこうという話もあったり、また地割れ、今まで余り言及されていませんでしたけれども、宅地の下の地割れに関してもしっかりと配慮するようになったり、我が党としては遡及して給付したいという発想を持ったりと、さまざまな議論がされており、今の支援法に比べるとはるかに使いやすい法律になるのではないかなと私自身も期待しておりますし、私自身もできる限りの御意見というのは述べさせていただきたいと思っております。

 しかし、この法律というものが、実際に地震なり水害なり竜巻被害なりが起きたときに本当に役に立つかどうか、もっと具体的に言うと、この法律にのっとって本当にお金をもらえるかどうかというものの最大の肝というのは、法律の枠組みのみならず、内閣府を初めとする各省がつくられる府令、省令、そのたぐいで決められる具体的な指標にあると私は思っています。

 今、資料を配らせていただいております。写真を四枚と、あとはその指標に係る表です。

 大臣にまず、ちょっと冒頭お伺いしたいんですが、今お渡ししている写真、これは、一昨月、九月に我が県の北の方を中心に起きた大雨被害です。全県的にすべてが浸水したどうこうではないんですが、局地的に激しい浸水被害がありまして、農作物のみならず、住居という意味でも非常に甚大な被害が出ました。

 川と山のあるきれいな集落ではあったんですが、その川が増水をして、写真の一枚目にあるとおり、流木やら何やらが、この写真というのは阿仁前田というところなんですが、大体百世帯ぐらいあるところの大方の家を一階部分ぐらいまでのみ込みまして、木が通り、泥が通り、ヘドロがたまりという形の被害をこうむりました。

 まず、大臣、どうですか。この写真を見て、どのような御感想をお持ちになるか。いかがでしょうか。

泉国務大臣 いずれの自然災害も同じ思いをするわけでございます。阪神・淡路大震災のときも私も現場に立たせていただきました。大変な被害で、どこから手をつけていいのかわからないような状況でございましたし、中越沖地震は若干時間を置いてのお訪ねをさせていただきましたが、それでも、本当に状況は惨たんたるものでございました。

 この写真を見せていただきますと、本当に、住宅地の中にこうした木々が横たわっておるということは、ここまで水が流れてきた、相当強い洪水であったということが想定されるわけでございます。

寺田(学)委員 単純に、床上浸水という話を聞くと、ぴちゃぴちゃと畳の上に水がたまってというところを想像しがちですが、実際、台風などを伴った床上浸水となると、やはりこのようなひどい災害が起きてしまうということだと思います。

 これも予測で結構です。この集落自体が約百軒弱ぐらい床上浸水等したんですけれども、この中で、この法律によって支給をされた住居は何軒あると思いますか。御想像だけで結構です。ほとんどの家庭が、今のこの写真であるとおり、一階部分をほぼ大きくのみ込まれて災害を受けましたけれども、この支援法によって、あなたのところに支援金をというふうな運びになった住居は何軒あると思いますか。

泉国務大臣 正確ではないかもしれませんが、全壊が五戸でしたから、多分、この五戸は間違いなく対象になっておると思います。

寺田(学)委員 そこは間違いでして、北秋田市で全体的にいきますと五軒あるんですが、この集落は百軒弱ですけれども、たった一軒です。このようなさんざんたるような状態になろうとも、この法律はたった一軒しか救えなかったんです。

 救うといっても、全壊認定でどれぐらい最大お金が出たかわかりませんけれども、正直なところ、この法律によって期待はしましたけれども、みんな、何だ、お金は出ないのか、私のところは半壊なのかということで、大きな失望をこの法律に対して抱いたのが先々月です。

 大臣は、きのう参議院の方で、同じく秋田県出身の鈴木議員から質疑を受けられて、この法律自体は一人一人を勇気づけるための法律でありたいんだというお話ですが、事この集落のことに関して言うと、全員が失望した法律でもあります。

 その一番の原因というのは、水害に関して内閣府で定めている指針自体が著しく水害に対して厳しい判定をする仕組みになっているのが原因の一つだと私は思っています。

 この秋田の件だけじゃないんです。きょう、大臣を含め委員の皆さんの御地元にどういう水害があったか調べたんですが、やはり皆さん、多くの水害被害というのを御地元で受けられています。

 まさしく大臣も、平成十五年、御地元は福岡でよろしいですよね、福岡で梅雨前線豪雨災害というのが起きました。床上浸水が三千二百六十六件、福岡県の全体の中で出たんです。この中で、この支援法の適用を受けてまさしくお金が支給される全壊認定というのは、三千二百六十六件の中でたった十七件なんです。だから、三千何件もの床上浸水、このような形であったかどうかは別として、甚大な被害をこうむった床上浸水を受けていながら十七つしか支給額が認められず、また、改正前ですから、非常に使い勝手の悪い支給金だった、そういうことになっているんだと思います。

 ですので、すごく言い方は悪いんですが、水害や洪水にとってこの法律というのはほとんど役に立たないんです。ですが、水害というものも、地震というものも注目されますけれども、やはり頻度としては地震よりも多いですし、被害という意味でも、地震にも匹敵するぐらいの被害が起きるということをまずは前提として御承知いただきたいと思うんです。

 その上でお伺いしたいんですが、この法律自体、大きく分けて、地震による被害と浸水による被害というような二つを大きな柱として掲げていますけれども、地震による被害というのはどういう特質があるのか、また、水害による被害というのはどのような特質があるのか、ここら辺の差も含めて御答弁いただけたらと思います。

泉国務大臣 地震による住宅被害が生じた場合は、住宅全体が外力によって被害を受ける、物理的に破壊される被害が生じる。したがって、地震による被害というのは、強い場合は住宅全体に及ぶという特色が一つあると思います。

 一方で、浸水による住宅被害が生じた場合は、吸水等により部材等の機能の劣化が生じることが多いわけでありまして、浸水による被害は、一般的には機能劣化によって生じる部材等に限られておるということが言えると思います。

 しかし、浸水被害をもたらす場合、先生も御指摘ございましたように、台風と一緒に来るというような、外圧を伴って、外の圧力を伴ってくる場合もあるわけでありまして、強風やあるいは堤防の決壊による、先ほどの、木が流されてくるような非常に強い水圧を伴ってくる水の流れもありますし、土石や泥流の流入によって物理的に被害を受ける場合もあるということでございます。

 大まかに申しますと、地震は物理的、そして浸水は機能劣化。しかし、時と場合によっては、両方あわせて生じる被害が水害被害であると思っております。

寺田(学)委員 視点を変えますけれども、地震被害にはなくて水害被害にはある、そのような被害、具体的な被害というのもあると御認識されておるのでしょうか。いかがですか。

泉国務大臣 もう一度、恐縮でございますが、お願いします。

寺田(学)委員 私が申し上げたいのは、この写真の二枚目をごらんになっていただきたいんですけれども、二枚目の下の部分、これは浸水に遭った御家庭の内壁です。これは水害に遭った直後ではなくて、つい先日、水害から四十日後の写真です。何が起きているかといえば、もう四十日たって、ヘドロをかき出して一生懸命乾かしてもカビが生えるんです。四十日たっても、晴天の日でも下から水がじわじわ壁を伝わってしみてくる。これはまさしく地震にはない、特筆すべき、浸水だけの、その二つを比べるとすれば、浸水だけの被害だというふうに私は思うんです。

 このような形で、地震にはない、水害だけの、浸水だけの被害というものも起こり得るという認識でよろしいですか。

泉国務大臣 先ほど申し上げましたように、機能劣化という意味では、浸水だけでこういうお示しいただきました被害が生じることは考え得ると思います。こうやって写真があるわけですから、現実にこういう被害が起きておるということでございます。

寺田(学)委員 地震にはなくて水害、浸水系にはあるというのは、私はたくさんあると思うんです。地震にもあるんでしょうけれども、まさしく住居の一階部分がすべて泥流によって流されれば、その一階にあるものは、たとえ防水専用の時計であっても壊れます。テレビは当然壊れますし、そこにあった衣服はもう使えませんし、もうすべてのものが使えなくなります。

 地震は、その程度によりますけれども、たんすの部分が、中身だけは何とか取り残せたというところもあると聞いていますし、もちろん、すべてが崩れて使えなくなったというのもあるのかもしれませんが、水には浸っていませんので、多少災害が起きたとしても使える部分というのは残っている。ただし、水害においてはほとんどすべて持っていかれる。そして、四十日たってもカビが生える、腐る、においがひどい。トイレ等も、一度水に流されますともうほとんど衛生的には使えなくなります、中身が全部出てきますから。

 そういう意味において浸水の被害というものは、地震とは非常に違うんだ、具体的には、結構違う被害が出てくるものだし、時間差をかけてじわじわと被害が迫ってくる、そういう災害であるということを前提に置いていただきたいと思うんです。

 そういう意味でいうと、御省が出されている災害に係る家屋の被害認定基準運用指針であるとか、さまざまそれに関する参考資料等あります。これ自体が、以前、平成十三年かいつかにつくられた協議会の中で、ある程度の骨格を決められて、政府の方で一つの指針として出されているんだと思いますが、まず、水害の悲惨さをしっかりと認識していないという点が一点。

 その中で、被害を認定する際には、地震の被害認定項目を基礎としながら、そこから一個、二個項目を抜粋する形で水害、浸水系に準用しているという点。そしてまた、地震の方には事細かにいろいろな、細部にわたるような指標があるにもかかわらず、浸水系になりますと大ざっぱな枠組みしかないというようなことが、大臣の御地元でも、三千件を超えても十何件、こちらの被害においても、百件以上このような形でもたった一件という結果につながっているんだと私は思います。

 お渡しした資料の、表がついている方をぜひともごらんになっていただきたいんですけれども、この表の右側の上の部分、これがまさしく、あなたの災害というのはどれぐらいですか、半壊ですね、大規模半壊ですね、全壊ですねということをはかる指標です。

 細々としていて私自身も理解するのに時間がかかったんですが、この右の部分の、地震による被害(第三次判定)と浸水による被害(第二次判定)をごらんになっていただければわかるんですが、屋根であるとか柱であるとか床であるとか外壁、内壁、だあっと設備まであります。これが各パーセンテージごとに積み上げられて地震の場合は一〇〇%になります。しかし、浸水の場合は、柱と基礎の部分を抜かれるので七〇%になるんです。

 この一〇〇%、七〇%の中で、五〇%を超えれば全壊でお金が出ます。四〇%を超えると大規模半壊で多少お金が出ます。それ以下は全く出ません。ですので、この仕組み自体を考えてみても、一〇〇%のうちに五〇を超えるのか、七〇%満額のうちに五〇を超えるのかでは、全くそこの数字が変わってくるんだと私は思うんです。

 そしてまた、さっき大臣にも述べていただきましたけれども、水害、浸水と地震は被害の体質が違う部分が多々あるにもかかわらず同じようなパーセンテージ。恐らく、水害の方でいけば、床の方なんてもっとひどく壊れるはずなんです。ですが、床も地震と浸水は同じ。さまざまで、屋根自身も、浸水に関していえば、一階自体が水に流されるとすれば屋根自体はそのままになる可能性だってあるわけですよね、屋根は残っていたり。そういう意味で、浸水による被害の実態をまさしくとらえていないような項目立てになっていると私は思うんです。

 なぜこういう項目立てにしたのかということを今からお伺いしたいと思っています。

 まず、浸水による被害というものを、満額一〇〇ではなくて上限七〇にした理由というのはどこにあるんですか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも御答弁がございましたが、地震等と水害の場合の被害の差を反映しているというふうに考えていただければと思います。

 地震等による被害では、部材等が外力によって物理的に破壊される被害が発生するということでございますが、浸水被害の場合には、損害割合の算定については、外力によるものではなく、吸水等により部材等の機能劣化が生じるなどの被害が発生する住家を想定しているということでございます。

 したがって、そういう考え方で構成しているものですから、浸水等によって家屋の基礎、建物の基礎とか柱については被害が生じないという考え方で成り立っておりまして、反対に、いわば対象として、屋根の一部ですとか床の一部、外壁等七項目をその被害対象項目としているということで、全体としては一〇〇%までに至らない、今お話しのようなパーセントが全体を構成するものだというようなとらえ方をしているということでございます。

 ただ、これも大臣がおっしゃいましたけれども、浸水の被害だけじゃなくて、一緒に外力が発生する、例えば土石流等々、あるいは風なんかもそうです、いろいろな被害があわせて発生する場合がございます。そういう場合には、浸水被害だけじゃなくて、同時に外力によって柱や基礎等にも被害が生じているという場合が当然ございます。そういう場合には損害割合は一〇〇%に近づいていく、こういう考え方でございます。

寺田(学)委員 いろいろと理由を述べていただきましたけれども、端的に、一〇〇%でやって、本当に実態的にそれは四〇なのか、三〇なのか、七〇なのかはかればいいものを、最初から七〇を上限にする必要はないと私は思うんです。もっと言えば、本当はこれは浸水の実態に合わせた形で、いろいろ地震とは違った組みかえをすべきだと思うんですが、まさしく、上限が七〇になっている、これがまず一つ、浸水がほとんど全壊認定されない、そういう理由になると思っています。

 写真の二枚目の中の床の部分も見てほしいんですが、住宅の床の損傷というのは相当ひどいんです。こんなのでこれから使い続けろというのは、だれしもが思わない話です。下のカビが生えている壁に関しても、これは床もひどいんですが、床は二回取りかえたそうです。一回新しいものに取りかえてもまたカビが生えたので、もう一回取りかえた、それでもだめだ、今度は壁だという話だそうです。ですので、さっき統括官が言われていましたけれども、地震に比べてどうこうという話ではないぐらい実質的には被害が出ているんです。

 では、算定がどうなるかということなんですが、いろいろ資料を見ていただいて恐縮なんですけれども、お渡しした表の右上の部分、浸水による被害というのは、床(階段を含む)は一〇%なんです。七〇%のうちのたった一〇%しか床はカウントされないんですが、その一〇%がどれほど壊れているかというのが下の表なんです。下の表の左側、地震と浸水、床(階段を含む。)(構成比一〇%)、浸水も同じように書かれていますが、損傷程度というのは、右側にパーセンテージであります。

 この損傷程度、地震の方は五段階あるんです、一〇%、二五%、五〇%、七五%、一〇〇%。浸水の方は二五%と五〇%しかないんです。これは何を意味しているかというと、幾ら壊れていても、浸水によって受けた床の被害は五〇%までだ、全部壊れたとは言わないというのがこの指標だと思うんです。

 試しに、統括官、参考人にお伺いしたいんですが、添付した写真、このぼろぼろになっている床、これは一見したところでわからないとは思いますけれども、浸水による損傷程度、二五%、五〇%とあるんですけれども、これは何%になるんですか。

加藤政府参考人 失礼します。

 この写真で見て直ちにわかりませんが、例えば床について申し上げると、床は、床の土台と載っている床で構成されていますので、これでいうと、土台の部分については恐らく、例えば、上の部分は確かにだめなのかもわかりませんが、土台がしっかりしているという前提であれば二五%ぐらい、その下位の方にひょっとしたら当たっているのかなと。ここは私ははっきりわかりませんけれども、全部がだめですと当然五〇%になる、こういうことになると考えています。

寺田(学)委員 では、この写真ではなくて、この写真よりもっとひどく、床の板が全部なくなり、土台もぼろぼろになったときに、何%になりますか。

加藤政府参考人 それは、今の段階で言えば、最大の五〇%の方になろうと思います。

寺田(学)委員 大臣、おかしくないですか。全部なくなったって浸水の場合は五〇%しかカウントされないんです。ここで五〇%しかカウントされない場合は、さかのぼって言うと、七〇%、全壊であれば五〇%以上。その分母の七〇%、浸水の七〇%の中の一〇%が床を含めています。その中の最大でも五〇%しかないですから、全体の積み上げでいくと五%にしかならないんです。床がどれだけぶっ壊れていても、たった五%ですよ。

 そういうものを積み上げていって、全体としてあなたの家は全壊ですねと言われるに至るまで、五〇%まで積み上げていくのはほぼ不可能ですよ。床を二回も取りかえている。取りかえるということは、機能がほとんどないからですよ。さっき言われたとおり、機能がほとんど滅失しているんですよ。けれども、今の指標は五〇%しか壊れていないという認定になっている。地震になれば一〇〇%まであるんです。上の表を見てみれば、七五%の程度四、程度五、いずれの項目を見てみても、この写真には当てはまるはずです。

 大臣、おかしくないですか。いかがですか、御感想をお願いします。

泉国務大臣 今個々具体的なお話を承って、確かに御指摘の点は、うなずける点もございます。

 しかし、一つのルールを決めて被害の算定をしていかなければならないという現実の中で、恐らく多くの例の中から、こういう比率が適当である、適切であるという今日までの経験則、実績に基づいてこの比率が決まっておるというふうに私は思うわけです。しかし、これからまた、先ほどのカビなどについて、現実に使いづらいというようなものについては、これは全壊というか、そういう扱いも考え得る余地がある。

 カビ等の被害によるものについても、この支援法の中では、いずれ解体をしなければならない、現実には全壊と同様に取り扱って差し支えないというような通達を出したりいたしておりまして、実態に即して、これからの基準を変えていかなければならない部分があるとすれば、柔軟な対応は必要だということを申し上げられると思います。

寺田(学)委員 残り五分ですので、大臣にお伺いしますけれども、やはり一目しておかしいんですよ。大臣自身も御専門が土木をされているという意味で、非常に御見識が高いとは思いますけれども、被災者にしてみれば、やはりこれは壊れているんですよね。壊れていて、地震にはないいろいろな、これからカビだ何だという被害を長期間にわたってこうむらなきゃいけない中で、今の指標というのは、私は再考の余地が必ずあると思っています。

 この指標をつくるときに、ちょっと年度は忘れましたけれども、災害に係る住宅等の被害認定基準検討委員会というのを開いて検討を行った結果、さまざまこういうものが出てきたという話を私は承知しているんですけれども、どうでしょう、この委員会、今回改正されますから、新たにこの指針を改めていく、そういうような会をまず開こう、その中で検討していこうという大臣の御指示を今この委員会でいただきたいんですけれども、大臣、いかがですか。

泉国務大臣 先ほど統括官からも御説明いたしましたし、被害認定に迅速性と的確性という両方が要求されている中で、運用は実態に即してと、こういうことがございます。

 ですから、委員会をつくって直ちに再検討するということは申し上げかねますが、いろいろな被災の実態を踏まえて、より現実に、現場に合うような物事に変えていくという方向性は申し上げておきたいと思います。

寺田(学)委員 そこは大臣なんですから、はっきり検討会ぐらい開きましょうと言ったって、それは別に、どういう内容になるかはまたそれからの話なんですから、大臣にはそこ自身まず言っていただきたいのが一点。

 今回、与党案の部分も拝見していますけれども、全壊認定を受けた後も、補修をするのであれば何百万、再建築するのであれば何百万と差をつけております。ここは、全壊というものが、修理をしてもいいような建物であるということを浮き彫りにしているんですよね。今までは、全壊というのは、基本的にすべて壊れていて、建て直す以外だめなんだという発想に立たれていたんだと私は思うんです。

 きのうも統括官の方が参議院の委員会の方で、半壊のことを言うとき、我が党が半壊を含めろという話を主張しているときに、半壊は直せば住めるじゃないかという話をしていたんですが、今回、与党案の中においても、全壊認定をしても、直しても住めるような状態であるということを前提にした仕組みづくりをしているんですね。そういう意味においても、私自身、個人としては全壊とか大規模半壊とか半壊とか、ネーミング自体変わるべきだと思いますけれども、そもそものその定義自体がかなり変わってきているんです。

 そういう意味も含めて、再度お聞きします。検討会を開きましょう。よろしくお願いします。どうですか、大臣。

泉国務大臣 この支援法自体も、いろいろな御意見の中で随分と使いやすくなる方向に動いておるわけでありまして、先ほど来申し上げておりますように、被災の実態に対応できるような認定ができる仕組みをこれからつくっていきたい。そのことを、直ちに委員会を開くかどうか、検討をさせてください。

寺田(学)委員 望んでいたところよりはちょっと一歩後退の、検討会を開くかどうかを検討するというところで……(発言する者あり)十分だろうという話が今出ましたけれども、皆さんの御地元でも必ず水害は、委員長のところでも起きているんです。僕は全部調べました。本当に多くのところで起きていて、この支援法が頼りになって、今回、大きな形で使途制限がなくなりそうだということで期待を抱いている。それで、いざ被害を受けて、それを頼みに行ったところ、私にとってみると実態を全く踏まえていないような指針が妨害をして一円もおりなかったということになることだけは、私はどうしても避けたいと思っております。

 大臣、検討会を検討する、その段階では私は満足しませんけれども、大臣も言われたとおり、おかしいんですよ、今の指針は。なので、それを御記憶にとどめて、必ず大臣が御在任中に、検討会を開け、その検討会の中で、今のおかしい水害の部分、もう少し実態を踏まえた形にしろという御指示をいただけることを切にお願いします。

 多分一分ぐらいあると思いますので、最後に御答弁だけお願いします。

泉国務大臣 先ほど来いろいろな御指摘をいただき、実態と離れている部分があることはよく承知をいたしました。それを踏まえて対処させていただきます。

寺田(学)委員 よろしくお願いします。

 質問を終わります。

鈴木委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 大臣には初めて質問をさせていただきます。また、木村副大臣におかれましては、同じゼロメートル地帯の江東区在住ということで、きょうはそのことも含めまして、後ほどまた所感等いただければと思っております。

 まず、先ほど来論議がございました被災者生活再建支援法でございますが、我が党も、党災害対策法制検討チームを立ち上げまして、赤羽座長を中心に議論し、改正案を取りまとめてまいりました。赤羽座長は、阪神大震災当事者でございますので、まさに執念を持って、長い間、この議員生活、ずっとリードしてきた座長でございます。それをもとにまた与党案として提出をさせていただいた次第でございます。

 中身につきましては、先ほど来お話ございましたが、積み上げ方式から使途を限定しない渡し切り方式にさせていただく、また、住宅再建を促して地域を復興させる、こういう観点が大事であるということから、住宅購入、補修、また、賃貸の移転にも使えるように、さらに、年収要件も緩和するという、大変使い勝手のいい、今までの欠点をカバーした内容にさせていただいていると思っております。

 そういう中で、今政府でも検討会において検討が進められていると聞いております。課題が明らかになってまいりました。例えば、居住関係費二百万限度額に対しまして、実際の支給額は、二八・三%、約五十六万円しか出ていないという話でございます。使い勝手が悪いというお話が今まで数多くございました。

 居住関係経費の支給率が低い、使い勝手が悪い、こういうことに、原因につきまして、内閣府としてどのようにお考えか、お願いをいたします。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 居住関係経費につきましては、申請期間は最大で三十七カ月ございます。したがって、申請期間が必ずしもすべて終わってはいませんが、先生御指摘のとおり、居住関係経費の支給率は、十八年十二月末現在で二八・三%、こういうことになってございます。

 その原因でございますが、大きく二つあると考えております。

 一つは、居住関係経費の使途が、先ほども御指摘いただきましたが、解体撤去費や住宅ローン利子などに限定されておって、実際に要する費用を積み上げた額が支給される、こういう仕組みになっている。この仕組みに起因することが一つ。もう一つが、その仕組み自体が非常に複雑で、被災者にとってなかなか理解することが難しい、そういうことから、住まいの再建意欲を十分に高めるものになっていない。大きく二つ、そういうことが原因として背景にあるのではないかと考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、今までの積み上げ方式を渡し切り方式に変えていくというのは、まさに一番大きな原因を取り除く近道であると思っております。

 また、先ほど来、民主党案にもございますけれども、遡及をどこまでするかという問題でございます。

 今の寺田議員の質問も伺わせていただきながら、私どもは、地域の多くの方たちに何か災害があれば真っ先に飛んでいく、国民のために尽くすというのが政治家の本来でございますので、そういう窮状を目の当たりにすると、何かできないか、もっと制度を変えてもこの方たちのために尽くせないか、この強い思いがございます。そのことをまた今、改めて感じ取らせていただいたわけでございます。

 ただ、いかんせん、ほかの法律、また制度との公平性、整合性というものも考えていかなければならない。これはまた、長い目で、この国をどうしていくか、国民に対して、また、これまでの被害に遭われた方たちに対してどのように弁明をしていくか、当然、またそのことも考えていかなければならない点であるとも思っております。

 そうしたことをまた含めて、これから、いよいよあしたからこの法案の審議に入るというふうに承っておりますけれども、大臣が何度も御答弁いただいておりますとおり、わかりやすい、そして元気が出るという制度に変えていくということが、これが私どもの何よりの責任であると思っております。

 恐らく、被災された方たち、また国民の方たちから見ますと、今国会ですら成立させられない、もうそんな政治家は私たちには要らない、こういう思いに、当然、政治不信を強めるということになりかねないと私は思っております。国民の視点に立ちまして、また、自助、共助、公助という幅広い視野も私たちはしっかり持ちながら、何としても今国会での成立を目指すべきと思っておりますが、大臣の御所感を伺わせていただきたいと思います。

泉国務大臣 今、先生からるるお述べいただきましたように、この法律の生い立ちのときから、赤羽先生には本当に議論を尽くしていただいてまいりました。私も敬意を表しておるわけで、多くの先生方に御尽力をいただいてここまで参りました。

 そして、今、与党そして民主党からそれぞれ案を出していただいておるわけでありまして、本当に使いやすい、そして、被災された方々に元気を出していただけるような、そういう法案にしていただきたいと私も思っておりまして、この国会で、ぜひとも先生方の御議論の中で法案を成立させていただきたい、このような思いでございます。

高木(美)委員 それでは、続きまして、高潮対策につきまして伺わせていただきます。

 先ほど申し上げましたように、私、東京江東区に在住をしております。地球温暖化による海面上昇であるとか、また、豪雨が頻発しておりまして、こうした高潮、そしてまた水害の懸念が指摘をされているところでございます。治水対策がさらに必要であると認識をしている一人でございます。

 直下型地震といいますのも、内閣府におきましてその予測を発表されまして、この対応は、行政、全力を挙げて、まだまだ継続中ですけれども、既に認識をし、スタートをしております。火災も、地元の消防団等も懸命にやっているところでございますが、いかんせん、水害、また高潮につきましての危険性とか被害に対する認識というのは、少し薄まっているのではないかという懸念もあります。

 実は、江東区では、大変身近な話でございますが、よく地元の方から言われるのは、三十年前ぐらいまでは家族一人一人が長靴を持っていたんだ、それが家族の常備品だった、今は長靴を見なくなってしまったと。恐らく、長靴が家になくなったと同時に、そういう危機意識が、特に水害に対する意識が薄れているのではないかと、こういうようなお声もちょうだいをいたしました。

 我が国の人口の半分、そしてまた資産の四分の一は浸水被害を受けやすい沖積平野に集中しております。特に、東京湾を初め、伊勢湾また大阪湾など、三大湾ゼロメートル地帯、どこもゼロメートル地帯でございまして、そこに我が国の物流、産業機能等の中枢機能が高密度に集積をしているわけでございます。一たんそこで海岸災害が発生したときの影響というのは、これは大変甚大なものがあると思っております。

 こうしたことに対して、いたずらに不安をあおるのではなくて、むしろ、私どもが安全を最優先して国民の命と財産を守るという、そのために私も全力を挙げさせていただく決意でございます。

 そこで、今お配りさせていただきました資料をごらんいただければと思います。皆様、議員会館、そしてまた東京に住居をお持ちの方もいらっしゃいますので、それぞれ、どこに位置するかと、ごらんいただければと思います。

 まず、資料一でございます。この二メートルと書いてあります枠内、中央区、千代田区、ここは少し外れておりますけれども、実は、この二メートルといいますのは、満潮だけで既に堤防がなければ浸水しているというゼロメートルでございます。真ん中の黒い地域、ここがまさにゼロメートル、干潮のときにも既に低い、そういう地域でございます。したがいまして、この二メートルの範囲を見ますと、墨田、江東、江戸川、荒川はもとより、こうした広範に足立、葛飾まで入るわけでございます。

 また、もう一重広い五メートル、これは最後の等高線の一番端のところでございますが、ここまでいきますと千代田区の半分が入ってしまう。この五メートルといいますのは、昭和三十四年の伊勢湾台風級の、あのときは五メートル十センチまで浸水をしたそうです、恐らくカトリーナと同様の規模と考えられますけれども。ほぼ京浜東北線に沿いまして、こうした五メートルの地域が広がっております。穏やかなときはウオーターフロント、しかしながら、一たんきばをむけば大変な水害という状況でございます。

 そこで、このような東京湾を中心としましたゼロメートル地帯の高潮対策につきまして緊急に行うべきではないかと思っておりますが、このことにつきまして所感をお伺いいたします。

    〔委員長退席、望月委員長代理着席〕

中尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、日本は三大湾に大きな人口とか資産が集中しております。さらにまた、その中でも、三大湾のゼロメートル地帯には四百万人の人が住んでいるということでございます。

 さらに、地球温暖化の進行によりまして、二十一世紀末、今世紀末までに、地球の平均気温が一・八度Cから四度C上昇する。さらに、それによりまして、平均海面水位も十八センチから五十九センチ上昇すると予測されております。これにより、ゼロメートル地帯の浸水の危険性はさらに増すものと思っております。

 このようなことから、従来より、三大湾のゼロメートル地帯におきましては、防災、減災のバランスのとれた高潮対策の推進の観点から、堤防や水門、排水機場など、施設の耐震化等の整備とか改良を緊急的に進めております。さらに、高潮ハザードマップの作成の支援とか避難用通路の整備、水門の自動化あるいは遠隔化操作などを重点的に行ってまいりました。

 今後とも、関係機関と連携しつつ、三大湾のゼロメートル地帯におけるソフト、ハード一体となった高潮対策に一層取り組んでまいる所存でございます。

高木(美)委員 今のことに関連しまして、東京都と江東区が取り組んでおりますが、堤防の高さはほぼ確保できたとしております。ただ、堤防が老朽化していたり、また、一たん地震が発生をいたしますと、地震のためにひびでそこから水が抜けてしまったり、水位も、資料三をごらんいただきたいと思いますが、どの川よりも住んでいる方たちの家が低いというのが特に東京の特徴でございます。そして、一たんそういうところのどこかが決壊すれば、もうこの一帯が浸水をしてしまう。一度入ると、もう何日間も水が引かない。

 そう考えますと、先ほど申し上げましたように、ましてや二メートルのところは、満潮だけでも、ふだんから堤防がなければ浸水しているという、そのことを勘案しますと、当然、水が入りますと、その壊れた堤防を補修してポンプでくみ出さない限りは復旧も困難である、そういう気が遠くなるような状況でございます。

 今、水門につきましても自動化というお話がございましたが、水門も昭和四十年代に建築されたものが多いと認識をしております。こうした事業もまだまだ半ばである。

 そういう点からも、東京湾周辺におけます堤防等の耐震性とかまた築造年数、一点はこのことにつきましてお伺いしたいことと、あともう一つは、緊急に海岸保全施設の耐震対策や老朽化対策を行うべきではないかと思います。このことにつきまして答弁を求めます。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、東京湾の堤防の実態でございます。

 平成十七年九月に調査を実施いたしました。その結果、東京湾の海岸堤防につきましては、耐震性が確保されている施設は六二%という数字になっております。また、東京湾における海岸堤防の築造の経過年数でございますけれども、築造後三十年以上経過した古い施設が四七%、さらに、さらに古い築造後四十年以上経過した施設が全体の二〇%、そういうふうになっております。

 このような状況でございますので、まず、十九年度予算におきまして、海岸耐震対策緊急事業というものを創設いたしました。これを活用した海岸堤防の耐震性の強化を行いますとともに、来年度、二十年度予算の重点といたしましても、老朽化対策を実施するということをやりまして、取り組みを精力的に進めていく所存でございます。

    〔望月委員長代理退席、委員長着席〕

高木(美)委員 それでは、ちょっと視点を変えまして、中央防災会議で大規模水害対策に関する調査会が開かれておりました。その中間報告といいますか、その内容が公表されたわけでございますが、近年、一時間に五十ミリ以上の降雨が増加するとともに、各地で水害が発生をしております。さらに、今お話ありましたとおり、災害の激甚化も予測されているところでございます。荒川が決壊した場合というのがこの調査会での発表であったかと思います。

 政府の大規模水害対策の取り組みにつきまして、大臣にお伺いをさせていただきます。

泉国務大臣 一昨年の米国のカトリーナが高潮災害の一つの大きな警鐘を鳴らしたということで、国民の皆さん方にも、高潮災害の恐ろしさをある意味では改めて認識いただいたかと思う次第です。

 お話にございましたように、一時間五十ミリ以上の雨の降る確率が、五十二年から六十一年は二百回、六十二年から平成八年までは二百三十四回、そして平成九年から十八年までは三百十三回というふうに、集中豪雨が大変増加をしておるわけでございます。

 こうしたことで、今日まで治水関係の施設は整備はしてまいりましたけれども、自然の変化が従来の整備水準をはるかに超える、目標とした整備水準を超えるというような事態もあちこちに見られるようになってまいったわけでございまして、御指摘の中央防災会議の専門調査会を改めて設けさせていただきまして、利根川や荒川の大規模はんらんが発生した場合にどのような状況になるか、先生の資料三を見せていただいても、これは大変な事態が想定されるということがこの一枚の図面でわかるわけでございますけれども、こうしたことを今具体的に、被害の想定を行い、避難対策あるいは孤立者の救助、救援、そうした災害時に政府として取り組むべき応急対策について検討を進めているところでございます。

 これらの検討結果をまとめまして、政府、地元、そして地域の方々と一体になった水害に対する防災体制を構築してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 それでは、図をごらんいただきたいと思います。

 先ほどの資料三の下のところが、ニューオリンズ、ハリケーン・カトリーナの災害を受けたところでございます。ここも、まさに日本の都市の東京と同じような状況でございます。

 そこで、大きな資料二の方の四ページをあけていただきまして、これは荒川の左岸がはんらんをした場合でございます。このときは、この右上の図にありますとおり、東京の足立、葛飾区が浸水をいたします。

 そしてもう一つ、六ページをあけていただきまして、これは右岸がはんらんをした場合でございます。このときは、入間川の合流点から江東デルタまでの区間、これは板橋、北、荒川、台東、中央区、このときが中央区まで、また銀座まで水につかると報道された内容でございます。

 そしてまた、さらに、最後の七ページでございますが、ここが江東デルタ貯留型はんらんの場合、江東、墨田、荒川等々ゼロメートル地帯が浸水し、ポンプによる排水が必要、しかしそれも困難という、このような図でございます。

 これが実際に発生したときの人的、経済的被害でございますが、恐らくこの内容といいますのは、ハリケーン・カトリーナ、これを踏まえて、荒川がはんらんした場合の浸水想定をされたものと認識をしております。これがもしこの地域で発生したときの人的、経済的被害は、その比ではないと思っております。そのことにつきまして見解を伺わせていただきます。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 今回公表されております資料は、荒川の堤防が決壊して洪水、はんらんした場合の浸水の範囲、浸水の深さ、それと浸水世帯数等を示したものでございます。

 荒川がはんらんした場合には、その地域特性から、先生がおっしゃりますように、人口とか資産が集積している地域が浸水するとともに、東京の都心部が浸水する可能性もあるということで、甚大な被害の発生が想定されるところでございます。

 このために、中央防災会議専門調査会におきまして、今回の浸水想定を踏まえて、今後、荒川がはんらんした場合の避難者数ですとか孤立者数、あるいはライフラインの被害の想定等を行って、さらに経済被害の想定を行う。こういうことを、今回は、今申し上げた前段をお示ししたものでございまして、順次検討を深めてまいりたい、このように考えております。

高木(美)委員 これは質疑通告にはないのですが、それは、いつごろまでをめどに取りまとめるおつもりでしょうか、重ねて伺います。

加藤政府参考人 先ほども他の先生の質疑でございましたが、被害想定を出してから具体的な計画までかかるのにえらく時間がかかっているというような御指摘をちょうだいいたしております。

 したがって、できるだけ急いでいろいろ検討を深めていきたいと思いますが、ただ、これは順番にやるものですから、今直ちに、いついつまでにと申し上げるのは非常に困難でございますが、できるだけ頑張って順次詰めを行っていきたい、こういうふうに考えておりますので、御理解をお願いいたしたいと思います。

高木(美)委員 その際にぜひお願いしたいのは、さまざまなポイントがあると思います、首都圏はさまざまな機能が集積しておりますので。

 ただ、やはり人命を最優先すべきではないかと思っております。特に避難路の確保ですね。例えば、江東区民、四十四万人いらっしゃいますが、豪雨の悪天候の中、しかも交通もストップしている、道路もとまっている、もう既に水がどんどんあふれている、そういう中で、どのようにして安全に、しかも江東デルタ地帯、約百万人単位の方たちが住んでいらっしゃるわけで、その方たちを安全にどこに避難させるのか、この手だてがないんじゃないかというのが地元の行政の方たちの悲痛なお声でございます。それにこたえる早急の検討をお願いしたいと思います。

 また、これは少し問いを先に進ませていただきますが、その際の救援物資ですね。救援物資につきましては、ほとんど地下の備蓄倉庫等に保管してあるのが常でございます。江東にもそうしたものが何カ所かあります。果たしてそれが大規模水害に耐えられるものになっているのかどうか、そうしたこともぜひ優先して検討をお願いしたいと思っております。現状と取り組みにつきまして、教えていただければと思います。

岡山政府参考人 お答えいたします。

 備蓄倉庫は、大規模でかつ広域的な地震災害の発生に備えまして、応急救護に必要な物資を備蓄するための施設でございまして、具体的には、毛布、非常用食料、飲料水等の生活必需品、医薬品、医療器具及び防災用資機材等を備蓄するためのものでございます。

 各地方公共団体におきましては、各種の防災施設を、従来からそれぞれの地域の実情に即して整備を図ってきているところでございますが、特に阪神・淡路大震災などの大規模地震災害の教訓を踏まえまして、備蓄倉庫などの地震防災施設の整備を重要な課題として取り組んできております。

 平成十八年四月一日現在の調査では、都道府県の所有または借り上げに係ります備蓄倉庫が千三百十七棟、市町村の所有または借り上げに係るものが二万九百四十五棟となっております。

 消防庁といたしましては、引き続き、各地方公共団体が、第三次の地震防災緊急事業五カ年計画などに基づきまして、備蓄倉庫などの地震防災施設などを計画的かつ積極的に整備していくよう促進してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 そのほかにも、排水ポンプの施設であるとか、ここが水につかってしまったら使えなくなりますし、携帯電話の基地、また非常用発電装置も、病院等におきましては、ほとんど一階もしくは地下にあるのが常と思います。また、生活するための必要な電気、ガス、通信などのライフラインの体制整備などを含めまして、こうした大規模水害発生時の対策を早急に、先ほど、三年半ということでいろいろ論議ございましたけれども、できましたら、早急にお願いをしたいと思います。

 こうした予算におきます大規模災害への対応でございますが、何といいましても、やはり予防のための予算が必要であると思っております。あのニューオーリンズのハリケーン・カトリーナの被害総額は十四兆円と言われておりますが、これをもし事前に予防策をとっていたら、その金額は二千二百億を投入すれば済んだ、こういうアメリカの発表もございます。恐らく日本では、さらに大きな経済損失が生ずることが考えられます。そういう減災の対策を着実に進めるべきと思いますし、また、そのための補助事業も、予算を確保しながら着実に進めるべきと思っております。

 そうした意味では、今、東京の法人二税、さまざま、地方格差を埋めるために等々言われておりますが、やはり、こうした東京の面積に対する密集度を考えますと、一人当たりの防災にかける金額、当然こういうところを勘案されながら、その配慮もいただきながら、ぜひとも御協力をお願いしたいことを申し上げさせていただきたいと思います。

 このことにつきまして、予算の確保を含めて、見解をお伺いいたします。

平井副大臣 先生御指摘のとおり、最近、集中豪雨や台風による大規模な被害が起きています。首都圏も当然大変気になるところですが、実は私の地元の香川県も、台風による集中豪雨で、今、激甚災害で河川の改修等々やらせていただいています。

 本当は、先ほど御指摘になりましたとおり、カトリーナのケースでも明らかなように、事前にそういう、ちゃんと予防的な治水の対策の予算を執行していれば防げたものは大変あるわけです。しかし現実は、なかなかその予算というのは、今、減ることはあってもふえることがないということであります。

 そういうことがあって、大規模災害に対する予算というのはふえています。これから我々がやはり考えていかなきゃいけないことは、予防対策、治水対策を実施するということで、そのために、災害復旧という中で一層の工夫を重ねて、そのような予防とか、そういうものに対応できるような事業をやっていきたいということを現在検討させていただいております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 それでは、このゼロメートル地帯、東京の被害を防ぐための御決意を木村副大臣に一言お伺いしたいと思います。

木村(勉)副大臣 日ごろから高木委員には御指導いただいておりまして、感謝しております。

 私も東京のゼロメートル地帯に生まれてこの方ずっと生活しておりまして、高校生ぐらいまでは、台風が来ると水が出て水害でございまして、亀戸の駅前の国道や都道、車が通るんじゃなくて船が、モーターボートが通る、そういう低地帯で生活をしてきたわけでございます。しかし、先人の努力によって、この三十年ぐらいは、それも外郭堤防の完成によってなくなったんですけれども。

 先生が先ほど御指摘いただきました、台風時の高潮のときに直下型地震が起きたら大変なことになるなと。それを守っている外郭堤防とか水門が、軟弱地盤で、まだ耐震化されておりません水門がありますから、そこから洪水になる可能性もあって、水攻め、火攻めの大変な大災害になるおそれがあるので、国の方としても、外郭堤防そして水門の耐震強化をしっかりと図っていかなくちゃならないし、そのために、やはり東京の災害対策への予算の重点的な配分はとても大事な御指摘だ、こう感じております。

高木(美)委員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 最後に、桜島の火山活動対策につきまして簡潔にお伺いさせていただきます。

 先日、桜島の、鹿児島の県市議会の代表の方が上京されまして、要請をお受けいたしました。昨年六月、五十八年ぶりに噴火を繰り返しまして、今は静穏化しておりますが、五月以降、再び噴火活動を再開しております。経済活動への懸念、また、住民の生活に対する不安を抱えていらっしゃいます。

 一つは、避難路になります周辺地域の道路整備の促進、そしてまた、もう一つは、降灰除去事業のための降灰除去車両が老朽化をしている、買いかえの支援をぜひともお願いしたい、一台約一千万だそうでございますが、この二つの大変強い要望がございました。

 これらの要望に対します、それぞれの担当部局の答弁を求めさせていただきます。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 避難路の確保でございますが、桜島周辺地域、三つ広域避難ネットワークがございます。直轄の二百二十号、二百二十四号、それから県道の桜島港黒神線でございますが、今まで一生懸命やってまいりました。特に二百二十号では、ことし、早崎防災事業、ここが完成する予定でございます。

 引き続き、周辺地域道路整備については、鹿児島県と協力して一生懸命やってまいりたいと考えております。

門松政府参考人 お答えいたします。

 降灰除去のための車両の老朽化に伴う買いかえに対する補助の考え方ということでございますが、市町村道に対します降灰除去に関します補助採択必要条件でございますけれども、年間通して二回以上の降灰があって、その降灰量が面積一平米当たり千グラム以上であることが補助対象になっているようでございます。

 車両の買いかえも補助対象になるようでございますが、近年の桜島の降灰量は極めて少ないということで、補助対象にならないということでございます。余り期待はしたくないんですけれども、もし降灰が多くなった場合には、この補助制度を適用してきちっと対応してまいりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 もう時間も来ておりますので、この桜島の地元の方たちの不安を考えまして、今後の活動状況につきまして引き続き注視していただきますことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 最初に、大臣に伺いたいと思います。

 被災者生活再建支援法の四年後の見直しの期限を迎えるに当たって、政府も、これまで検討会を重ね、七月に中間報告もまとめられました。この四年間は列島全体がたび重なる災害に見舞われ、そのたびに、被災地では支援法の限界が指摘されたと思います。中間報告の冒頭には、現行制度の施行状況について、被災者生活再建支援金の支給世帯で見ても、生活関係経費の支給限度額に対する支給率が九二・九%なのに対し、居住関係経費は二八・三%にすぎない、こういう指摘をしております。生活再建支援という名前とは裏腹の実態だったということが言えるのではないかと思います。

 大臣に率直に伺いたいのは、現行支援法の最大のネックは、個人の住宅再建への直接支援がなかったことと言えるのではないでしょうか。大臣の認識を伺います。

泉国務大臣 個人財産の最たるものと言われます住宅に公のお金を入れるということについては、いろいろな議論が当初から今日まで続いてまいりました。

 そうした中で、今回、与野党を含めて御議論をいただいておりますのは、まさに使いやすい、そして、被災者の方に力をかしてさしあげられるようなそうした事柄を考えてほしいというのが私どもの検討会でもなされましたし、知事会からのお申し越し、あるいは被災者の方々の御意見、先生も、党の方々がおいでいただいて要望書を出していただきましたけれども、そういう強い要望がございました。

 私は、必ずしも住宅そのものに支援をすることができなかったからうまくいかなかったということではなくて、やはり一つには、手続的な面で煩瑣であった、被災を受けた方々はもちろんですが、当該自治体も、救助とか支援のために大変お忙しい中で被災者のそういう個々の御要望にこたえることができなかった、そうしたことが、先ほど先生がおっしゃいました二八・三%というような低率のお力添えしかできなかった原因ではないか、このように思っております。

高橋委員 今、必ずしも住宅ではというお話だったんですけれども、私自身ももちろんそれだけだとは思っていないんです。手続の問題、所得要件の問題、対象世帯の問題、たくさんございます。ただ、いずれの被災地においても、担当する知事さん、市長さんその他、重ねてこの問題を要求された。そういうことを踏まえて、今回与党さんが出された法案にも民主党さんが出された法案にも、いろいろあるけれども、この点は共通点だったということが言えるんだと思うんですね。私は、それを本当に踏まえて今国会何としても成立をさせたいと思っております。

 大臣、その点では一緒だと、よろしいでしょうか。

泉国務大臣 そもそものこの法案に対するいろいろな方々の御要望は、先ほど申し上げましたように、住宅本体に入れてほしい、あるいは、入れることによって当初の枠組みが変わってくる、そうした意見も正直言ってございます。

 それで、民主党から出していただいた案は本体に直接お金を入れる積み上げ方式でございますが、そういうものだと承知をいたしておりますが、与党に関して言えば、住宅本体の再建費用を直接支給対象にしているわけではなくて、支援金を定額化している、あるいは使途を限定しないとすることで制度を被災者の方々に活用していただける、先ほど申し上げましたように、被災者の立場に立った、使い勝手のよいものに考えていただいておるものと承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、当委員会で十二分に御議論をいただき、一日も早く成立をさせていただきますように、私の立場からもお願いを申し上げたいと思います。

高橋委員 これまで主張してきたことをなかなか曲げるわけにはいかないんだという大臣の思いがあるのかなというふうに、率直に指摘をさせていただきます。

 しかし、使い勝手のよいということはここなんだと両党が提案され、また、我々も含めて一致をして成立させたい、そこを先ほど来大臣も、何としても成立させたいとおっしゃっておりますので、やはりここはお認めになった方がよろしいのではないかと私は指摘をさせていただきます。

 その上で、少し考えていきたい問題に入りたいと思うんですけれども、三年前の中越地震、そしてことしの中越沖地震、高齢化が進む中で、中山間地での災害という大きな命題を突きつけました。中でも重要なのが、地盤災害であります。地盤が崩れ、住宅そのものは損傷が少なくても、実質住めない状況になっている。地盤災害をきちんと評価し、支援の対象にしてほしいという現地の強い要望が出ております。

 住宅の被害認定に当たっては、実質住めないという実態を踏まえ、地盤災害も含めれば全壊というように被害認定に考慮するべきと考えますが、見解を伺います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 被災者生活再建支援制度は、居住する住家の被害程度に着目して支援を行うということにしておりまして、例えば宅地の流失がありまして、その結果、住宅の基礎が被害を受けたり、あるいは住宅に傾きが生ずる、そういった場合には、住宅がまさに被害を受けているわけでございますから、その被害の程度に応じまして、全壊あるいは大規模半壊として適用される場合があるということでございます。

 一方、地盤被害が甚大でありましても住宅の被害は軽微である、こういった場合には、現行制度においては支援の対象とはなっておりません。

 この点については、本年三月、内閣府に設置されました検討会においても、被災自治体ですとか全国知事会などから意見や要望をいただいておりまして、中間報告において、制度改正の一つの選択として挙げられているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府としては、先ほど大臣から御答弁がございましたように、国会での御議論を踏まえ、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

高橋委員 今のお答えは、やはり、地盤の災害が甚大だけれども軽微で対象にならないと言ったそばから矛盾していると思うんですね。だから検討会でこれだけの要望が出ているわけですよ。それは、もう十分今後の認定基準の見直しの検討に入れてほしいということを再度確認させていただきます。

 それから、なお認定に当たっては、基本的に自治事務であり市町村の判断であるということを確認させてください。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 この地盤被害をどう見るかということについてですが、これをどう取り扱うかは、今回の支援法をどう改正していくかということと密接にかかわりがあるものと考えております。

 それで、先ほど御答弁を申し上げましたのは、現行制度では、住宅の被害に着目している関係がございまして、住宅の被害を着目しているので、地盤被害が仮にあったとしても、住宅の被害にそれほど影響がないというものは対象にならないということを答弁させていただいたものでございます。ですから、制度改正がどうなるかによって私たちとしてはその対応を適切に対応していく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。

 それと、もう一つは被害認定のことでございますが、これは地元の市町村が行っていただくということはこれまでと変わらない、こういうことでございます。

高橋委員 同じ答弁を繰り返さないでいいです。私が言ったのは、制度を見直せと言ったのではなくて、基準を見直せと言ったんです。それを踏まえて検討会をやられたとおっしゃったじゃないですか。この間だって、そういう形でいろいろ運用してきたことがあったわけでしょう。それをやりなさいと言ったんです。検討してくださいということを指摘したんです。同じ答弁が来ると困りますので、これは指摘をさせていただきます。

 それで、この間やはり残されてきた大きな課題というのは、中小企業、個人事業主の救済問題であります。これまで、中小企業、個人事業主の被災支援については融資制度しかありませんでした。私たちは、支援法に個人事業所や商店を加えるべきだと訴えてきました。

 先ほど紹介された北秋田のお話ですけれども、実は私、生まれ育った地域、まさにお隣の能代市でございます。私も九月に行ってまいりましたけれども、阿仁前田の駅前商店街を歩いたときに、店舗の中が一切合財泥まみれになって、かき出しに必死だったわけです。例えば学生服のお店、三百万の損害である、まさか洗って売るというわけにはいかないでしょう、三十五年前に同様の水害があって、二重のローンには耐えられないんだと泣きながら訴えられたわけですね。あるいは、リフォームしたばかりだという床屋さんもいらっしゃいました。

 私が思うのは、商店主というのは、生活と生業の場が一遍に奪われたわけですよね。暮らしが取り戻せたとしても、外に働く場所があればいいんですが、一体になっている、だから二重の被害で、暮らしが再建できないんだ。ここを支援しなければならないということなんです。

 そこで、資料の一をごらんになってください。これは一つのヒントです。昨年七月の鹿児島県北部の豪雨災害で県が独自につくった被災者支援金制度です。これは一世帯わずか二十万ですけれども、床上浸水以上の世帯と小規模事業者を対象にしております。二百十六件対象になっております。

 このように、思い切って被災者生活再建支援法の対象に小規模事業者を含める考えはないか、伺います。

加藤政府参考人 この被災者生活再建支援法は、「自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者であって」「自立して生活を再建することが困難なもの」、これに対して支援するということにしておりますが、その趣旨は、まさに生活の本拠たる住まいが全壊等をいたしまして、自力では生活再建できないものを特別に支援の対象とするということだと考えております。

 したがって、店舗等生業的な施設については、事業用資産であって、既存の融資制度や保険制度を利用して、自助により対応すべきものと考えております。

高橋委員 これは一遍にはいい答えが出ないのは当然でありますが、今、私が指摘したのは、営業といっても、暮らしと生業が一体なんだ、それが一遍に壊れたんだという立場に立って、検討会でもそういう意見が出されておりますし、これを検討してほしいということなんです。

 例えば、少なくとも北秋田あるいは能登、どこでもそうなんですけれども、一階が店舗で二階が住居という商店が非常に多いです。私は、この問題を二〇〇四年の十一月十一日の本委員会で質問しております。事業所と自宅が一体となっている場合も支援法のスキームが適用できますねと質問した際に、当時の村田防災担当大臣から、適用になるとの答弁がされております。ところが、いまだに現場ではこのことが周知をされておりません。

 大臣答弁に変わりがないことを確認させていただきたいのと、周知徹底をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 今、先生おっしゃられたとおりでございます。前の村田大臣が答弁されたとおりでございます。

 私どもとしては、その取り扱いについては、いろいろQアンドAみたいなものをつくりまして各都道府県あてに周知をしております。また、支援金の支給に関する事務を行っております財団法人都道府県会館においても事務の手引きというのをつくっておりまして、これの中でも明示をいたしまして周知を図っているところでございます。

 今後も、今御指摘いただいたような点で運用に抜かりのないように、円滑な運用のための周知に努めていきたい、このように考えております。

高橋委員 少なくとも、現行法でできるものは徹底してやっていただきたいと思います。

 それで、ちょっと支援法を離れて、中小企業業者に直接支援ができないか、このことについて考えてみたいと思います。

 柏崎市のえんま通り商店街は、その名のとおり真ん中に閻魔堂がありまして、毎年六月のえんま市には、人口約九万人の都市でありますが、二十万人以上が集まるという、非常に貴重な商店街であります。この商店街が、発災直後に炊き出しを商店街の皆さんが自力で始めたということが報道されたと思います。この現場でお話を伺いましたら、例えば、ラーメン屋さんが仕込みをやっていた野菜を全部持ってきてくれるとか、ケーキ屋さんがフルーツを全部持ってきてくれるとか、そうやって売り物をみんなで供出し合って助け合ったんだと。まさに、ここにコミュニティーの力があるなということを改めて教えられたと思うんです。

 さっきのいろいろな議論がありましたけれども、商店は単に個人の利益のためだけではないんだ、全体として地域が成り立つ、その大事な役割を担っている、このことをぜひ考えていただきたいなと思います。

 そのヒントになるのが資料の二であります。

 中小企業庁においでいただいています。〇四年の七月に豪雨災害に遭った福井県での地場産業支援策です。ニットなどの地場産業支援のために、個人事業所に限度額五十万円の直接補助を行いました。この福井市の制度についてどう評価されますか。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成十六年、いわゆる福井県の豪雨で被害を受けられた地場産業に対しまして、委員御指摘のとおり、福井市、そして福井県もでございますけれども、支援策、制度をおつくりになられたということはよく承知をいたしております。

 福井県につきましては、越前漆器ですとか越前和紙といった伝統的工芸品の産業の生産設備の復旧でございますとか、あるいは、販売促進あるいはニーズ調査事業といったようなものについて支援が行われましたし、福井市でも今委員御指摘のような制度をおつくりになったわけでございます。

 中小企業庁といたしましては、被災の中小企業者の方々に対しまして、政府系の中小企業の金融機関などを通じまして、特別相談窓口の設置あるいは金融支援などを行ってきておりますけれども、自治体は特にその地元の御要望をよく御存じですし、そしてまたきめ細やかな支援制度もおつくりになれるということで、そういう意味で評価をさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

高橋委員 中小企業庁的に評価をしていただきたかったのは、わずかな額ではあるんですけれども、市や県が支援をすることによって、また立ち直って頑張ろうというメッセージを出すことができた。そして、百八十一事業所が支援されていますが、廃業したところは一つもないということを聞いております。やはり、そういう立場で支援策をやる必要があるのではないか。

 同じように今、能登や中越で、中小企業基盤整備機構が八割出資をして、県と合わせて三百億のファンドをつくる、そして、中小企業復興支援のスキームをつくったということで、資料の三枚目に紹介をしておきました。

 この制度がこれまでの中小企業に対する被災者支援策と比べて違うところ、私は、これは直接支援になるので大きく前進したと思っておりますが、それは何か、そしてこのスキームを今後の災害にも活用する考えはあるか、伺いたいと思います。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆる被災中小企業の復興支援ファンドでございますけれども、これは、いわゆる独立行政法人中小企業基盤整備機構法というのがございまして、そこの十五条に基づいて実施をしている制度でございます。同機構が、大規模な火災、震災その他の災害により被害を受けられた中小企業者を支援する事業を行う者、これはすなわち、ここの場合でいうとファンドなんでございますけれども、そのファンドに対して必要な資金の貸し付けを行う都道府県、これまた都道府県の御判断ですけれども、それに対しましてその資金の一部を貸し出しをさせていただくという制度でございます。

 具体的には、今御指摘のありましたとおり、実質的には独立行政法人中小企業基盤整備機構が八割、それでまた県が二割をそれぞれ貸し付けを行って、そして基金を組成し、その運用益を活用する、そういう方法をつくったところでございます。

 本年の七月三日でございますけれども、能登半島地震の被災におきます中小企業復興支援ファンド、これが第一号でございますけれども、組成が行われたところでございます。

 それで、これは、都道府県の御判断でございますとかあるいは震災の規模だとかということを総合的に勘案させていただいて、この制度というのを活用していきたいというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

高橋委員 時間が来ましたので終わりますが、やはり、この間できないと言っていたことを、今紹介した中小企業の問題もそうですが、一定程度乗り越えてきた経緯がございます。そういうことを踏まえて、今、支援法の改正もまた一歩前進ということになるのではないか。そういう点で、大臣もぜひ、今後の運営に当たってもまだまだたくさんの課題がございます、また、改正しても救えない自治体もございます。そうしたところにも財政支援をすることも含めて大いに御尽力をいただきたいということを要望して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 再建支援法をめぐって内閣府も検討委員会を設置されて、中間報告をまとめました。それからまた、民主党も与党もそれぞれ改正案をまとめて提出をした。大変問題になっていた、使い勝手の悪い現行法がその改正に向けて大きく動き出した。そういう意味で私たちも全面的に評価をしたいと思います。その意味で、先月七日でしたでしょうか、泉大臣に私どもも支援法改正についての申し入れというのを行わせていただきました。

 これはもう皆さん共通しておっしゃっていることですが、大変ハードルの高かった住宅本体の再建への支援ということが盛り込まれる等々、特に民主党案、与党案ともに共通点があるということですし、そういう意味では、まず十分な審議と、あるいは必要があれば協議を行って、今国会の中でぜひ改正を実現するべきだというふうに私どもも思っています。

 そのことを前提でお聞きをしたいんですが、両案の意見の相違点の重要な一つとして、改正された法の遡及適用の問題、これは先ほど大臣から御答弁いただきました。なかなか難しいよというお話も伺ったんですが、しかし、これは大変重要な問題で、特に、実際にことしに入って被災された能登、あるいは中越沖もそうですが、そういう被災者からは本当に切実な願いとして出されている。そういう意味も含めて私どもも民主党案も、遡及して対応すべきだということを申し上げてきたところなんです。

 これについては、公平な支援ではなくなるじゃないかという話や、それから、一体どこまで遡及したらいいんだ、阪神・淡路まで遡及するのかという話も出てくるぐらいで、大変いろいろ議論があることも承知をしております。

 しかし、この内閣府の検討委員会が発足をしたのが三月で、これはもう明確に改正を目的として発足をしたわけであって、実は、私たちが対象にして遡及してほしい、こう思っている災害はそれ以後それぞれ起きている。能登半島の地震が三月の二十五日、台風四号による被害、これは七月の中旬、新潟中越沖地震が七月の十六日、さらには、先ほどお話もございましたが、九月十六、十七日の秋田県の豪雨災害、こういうのは発足した後発生をしているということだと思うんです。

 実は先日、自民党の先生もそうですし、それから民主党、共産党、私ですか、四党で被災者の団体のシンポジウムに参加をさせていただきました。実際に能登やそれから中越沖地震で被災された方々の本当に切実な声を聞いてまいりました。そういうものを含めて、今度の改正で私たちがその蚊帳の外に置かれるのではないかという心配をされているんですよ。温かみを持った政治の中身として、これは法的に問題があるわけじゃないですから、実はその遡及ということについても今真剣に考えるべきではないのか。これが仮に受けられないということになると、復興や復旧への意欲、これがそがれることになるのではないかというふうに私たちは思っているんです。

 ぜひこれについて、答弁しづらいんでしょうけれども、改めて政府の御見解をお聞きをしたいと思います。

泉国務大臣 石川県それから新潟県知事からも遡及に対する強い要望がございました。これは被災者の方々の声を代表してお伝えをいただいたと承知をいたしておりますし、既に、民主党を中心としていろいろな会派の方々からも、遡及についてのお話を承っておるところでございます。

 繰り返すことになりますけれども、そもそもこの仕組みが立ち上がったとき、都道府県が基金を出して、将来の災害に備えて積み立てた基金を原資として支援者への支給をしようというのが基本的な枠組みであったわけでございます。したがって、この基金を原資としている以上、さかのぼって御支援申し上げるというのは、この制度の仕組みになじまないんではないかというのが私どもの考え方でございます。

 平成十年のときも阪神・淡路にどうするかという議論がございましたし、十六年の改正の場合にも遡及の議論が大きな議論としてあったわけでございます。しかし、現実の法律では、そういう遡及については認めていただけない状態で今日まで参りました。

 先日、総務大臣が、もしも再建支援制度が改正された場合には、地方公共団体の判断により、復興基金を通じて、改正後の再建支援制度とおおむね同じような、相当するものも場合によっては交付税措置の対象とすることも考えていかなければならないのではないかというようなことまで御発言をいただいておりまして、そうした事柄を踏まえて、ぜひ今国会で御協議をいただき、支援法を成立させていただきたい、これが私の思いでございます。

日森委員 これについては、あすからの議論もありますので、こういう立場で議論を続けていきたいと思います。

 時間がないので、二つ目の問題をちょっと省かせていただきます。

 原発の問題についてちょっと私どもこだわりがあるものですから、改めてお伺いをしたいと思います。

 刈羽原発の問題ですが、設計値を大幅に上回る揺れがあって甚大な被害を受けたということは、もう御承知のとおりです。原子力安全委員会は、七八年、最初に耐震設計審査指針というのをまとめて、八一年にこれは改訂をして、さらに昨年、二十五年ぶりに三度目の改訂を行ったということになっていますが、しかし実際には、昨年の改訂は行われたけれども、現在立地をしている原発は、旧指針で求められている耐震性しか持っていないということであると思っています。

 私どもの近藤参議院議員が質問主意書を出しまして、そうであるならば、現在の原発を停止してきちんとした安全点検をすべきではないかという質問主意書を出された。もちろん近藤議員だけではなくて、参議院の今は議長をやっていますが、江田議員などもそういうことを主張されておりました。しかし、直ちにその必要はないんだという御回答をいただきました。

 現在の耐震設計基準は、その前に、しかし実際には放射能漏れがあった。人体に影響はないということですが、微量ではあるけれども放射能漏れがあった。このことは、現在の耐震設計基準でいっても、どんな大地震が来ても放射性物質を外部に一切出さないということを基本にして設定されたはずではないのか。これは日経新聞がそういう主張をしておりました。それから、放射能が外部に漏れ出たり火災が発生したりするということでは困るじゃないか、十分な備えがあると言うけれども、しかし、実際にそうなっていなかったじゃないかということを、これは朝日新聞なども主張しておりました。

 このことを考えると、実際、どんなに強い揺れがあっても一切放射性物質が外部には出ないんだということが基本的な目的としてこれは設定されなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんです。であるから、そのすべての原発を停止して安全性を改めて確認しなければならないんではないかというふうに思うんですが、お答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所の安全確保の基本は、万一の事故時にも原子力発電所周辺の住民に放射線による影響を及ぼさないことであるということでございまして、放射性物質を外部に一切出さないことを求めているわけではございません。

 原子力発電所につきましては、さまざまな活断層調査などを踏まえ基準地震動を設定し、さらに、安全に余裕を持って建設されております。また、一定以上の地震が発生すれば自動的に停止する仕組みにもなっておるわけでございます。

 柏崎刈羽原子力発電所については、今回の地震に対して設計どおり自動停止するなど、原子力発電の最も重要な安全機能のための、とめる、冷やす、閉じ込める、この機能は維持されており、また、現在までの点検の結果、安全上重要な施設について耐震安全性に問題がある異常は確認されておりません。

 したがいまして、原子力発電所の耐震安全性に直ちに問題があるとは考えておらず、発電所を停止する必要があるとは考えておりませんけれども、個々の原子力発電所の耐震安全性の確保に万全を期するため、昨年九月に原子力安全委員会によって改訂されました新耐震設計審査指針に基づき、耐震安全性の再評価を電気事業者に指示しているところでありまして、原子力安全・保安院といたしましては、これを厳正に確認してまいります。

日森委員 時間がないので最後に一つだけお聞きしたいと思いますが、今、事業者の責任で断層問題の調査を行っておりますよね。今度の中越沖地震の発生のメカニズムがそれで明らかになってくると思いますが、それが明らかになった段階では、場合によっては、昨年度改正した新指針、これを見直すということも当然出てくると思うんですが、その辺の見解についてお伺いをしたいと思います。

鈴木参考人 安全委員会の鈴木でございます。お答え申し上げます。

 昨年の九月に改訂いたしました新しい指針は、いろいろな意味で旧指針に比べると厳しくなっておりまして、今先生お尋ねの断層等の調査の方法につきましても、最先端の技術、方法を駆使して行うことということになっておりまして、したがって、新しい指針というのは、そういう意味では、まず、現在考えられる一番進んだものになっているのではないかと思っております。

 あわせまして、指針においては、指針の適合性は、その審査に当たって、その審査の時点でわかっている新しい知見を常に反映させることということまで求めておりますので、したがって、原子力安全委員会といたしましては、今回の中越沖地震に伴いますいろいろな科学的な事実につきましては、指針でいうところの新知見の中でこれを理解することができるのではないかと今のところ考えております。

 しかしながら、耐震安全につきましては、予断を持つことなく原子力の安全に取り組んでいくというのが原子力安全委員会の考え方でございまして、したがいまして、中越沖地震に係る調査の結果をよく勉強いたしまして、またさらに安全に万全を期していきたい、このように考えております。

日森委員 見直しもあり得るという意味なんでしょうか。

鈴木参考人 調査の結果を踏まえまして、指針が現在の指針のままでいいのか、あるいは、それをさらに見直す必要があるのかにつきましては検討させていただきたい、そのように思っております。

日森委員 時間になりました。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、防災担当大臣に耐震化について主にお伺いをしていきたいと思います。

 今回の中越沖地震におきましても、私も被災地を見て回りました。

 そういう中で、防災拠点となるような公共施設、例えば避難をされていらっしゃる方々がいらっしゃるわけですね。災害時の防災拠点、これは地方公共団体が所有していたり管理をしていたりということになるわけでございますが、避難所になる公共施設の耐震化率、これが平成十八年度末までで五九・六%である。つまり、避難所が耐震化されていないというような現状があるわけです。つまり、一層の耐震化を進めなければならないというふうに考えております。

 ちなみに、平成十三年度末では四八・九%、平成十五年度末で五一・三%、平成十七年度末で五六・四%の進捗率だということでございます。さらに、この調査では、耐震化が非常に進んでいるところと進んでいない県、こういう開きがあるというようなことでございます。

 そこで、大臣、なかなか耐震化が進まない、こういう拠点に関しては耐震化を進めないといけないんだろうと思いますけれども、耐震化が進まない理由、これはいかがなものなのか、また、耐震化を進めるために国として積極的な対策を講じていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

泉国務大臣 学校や病院、こういう場所というのは、災害時において災害対策を立てる庁舎などがそうですが、多くの場所が防災拠点となる。したがって、そこは耐震化することが極めて重要であるというふうにまず認識をいたしております。

 先生、先ほど数値を挙げられました。遅々として進んでいないではないかというお気持ちで、十三年が四八・九で、十八年に至っても五九・六だ、こういうお話をなさったと思います。進まない理由は、平成十七年に文部科学省が公共団体にアンケートをした結果によりますと、財政上の理由が最も大きい、お金がないということであるようでございます。

 そこで、公共施設の耐震化を進めますために、地震防災対策特別措置法、この法律に基づきまして五カ年計画をつくり、事業を計画的に推進するということにいたしました。

 十八年三月の改正によりまして、公立学校施設の耐震化などに係る補助率のかさ上げをしました、三分の一から二分の一。さらに、よく避難のときに使われます体育館につきましても、補強のかさ上げをさせていただいたところでございます。

 十九年度からは、地震防災対策特別措置法によりまして、国庫補助のかさ上げがされている施設に充てられる地方債を対象にしまして、交付税措置をやっていただくという手当てをしていただきました。

 これから建物の耐震化を一層促進してまいらなければなりません。我々としては、政府、自治体一体となりまして、強力に取り組んでまいりたいと思います。

糸川委員 大臣、私は、持ち時間がきょうは非常に短いものですからあれですが、本来であれば、いつまでに耐震化率を一〇〇%にするのかということまで本当はお聞きしたいんです。ただ、五カ年計画で今計画中だとおっしゃられますので、それはまた、後日、しっかりと議論させていただきたい。

 小学校に関してもまだ耐震化が進んでいない。ここも財政上の理由だということでございますが、子供たちであったり避難拠点であったりというところの耐震化というのをまずやらなければならない、非常に公共性が高いところですから。体育館が耐震化をこれから進めるんだというのは、それは非常にお金がかかりますが、これも命にかかわることですから、どうか取り組んでいただきたいと思います。

 次に、ライフラインの防災対策ということ、これも非常に重要なところでございます。

 ことし七月に発生いたしました新潟中越沖地震においては死者が十四名と、非常に痛ましい地震災害が発生してしまいました。住宅の全半壊が約六千五百棟にも及ぶということでございました。また、ライフラインである電気、水道、ガス、こういうものにも非常に大きな被害が起きたわけでございます。特に、都市ガスそれから水道、これは全国から数多くの応援部隊が入っておられました。私も被災地に行きましたら、数多くの災害の派遣団が来て、復旧に一生懸命努力をされておりました。ただ、これは復旧までにかなりの時間がかかったというふうに感じております。

 電気、ガス、水道等の日々の生活に直結するライフラインに関しましては早急に耐震化を進める必要があるというふうに考えておりますが、これらについての耐震化の現状、それから、今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。

泉国務大臣 耐震化の必要性は先生御指摘のとおりでございまして、例えば中越沖地震でも、電力は被災から二日半ぐらいで復旧をいたしましたけれども、水道は十九日、そしてガスは四十二日、これは完全復旧の日にちでございますが、大変長くかかって、生活に御不便を与えたということでございます。

 水道につきましては、基幹管路の耐震化率が平成十七年度で一〇・八%、平成二十五年度までには一〇〇%にするという目標を厚生労働省では置いておられると承知しております。

 また、ガスにつきましては、ポリエチレン管等の高い耐震性を有する誘導管の割合が平成十七年で七五%でありますが、二十七年度末までに八五%にする、これを経済産業省では目標にしていただいておると承知をいたしております。

 電気につきましては、送電系統が非常に多重化いたしますので、電力供給システムの総合的な機能を確保していると聞いておりまして、先ほど例示いたしましたように、決して万全とは申し上げませんが、比較的早く復旧をしたという事実がございます。

 これからも、関係省庁と連携をとりまして、インフラの耐震化を一層推進してまいりたいと思います。

糸川委員 今、大臣は水道の耐震化率を一〇・八%と申されました。これは全国平均ですね。全国での平均で一〇・八%だというふうに認識をしております。

 この七月の新潟県中越沖地震においては、柏崎市で基幹となる配水本管、これが損傷しまして、今大臣がおっしゃられましたように、復旧が八月までということで、大幅にずれ込むことになったわけでございます。そのため、柏崎市の病院では、要は水がないからという状態で、手術を見合わせる、また大量の水を必要とする人口透析の患者さんも、長岡市それから小千谷市の病院にバスで運んだというような報道もあるわけです。

 兵庫県によりますと、阪神・淡路大震災のときに、病院の診療機能を低下させた原因として、七割以上が上水道の供給不能というようなことを回答しているという調査もあるわけですよ。災害時における生命それから生活の維持をするため、水の確保ということはもとより、基幹病院、病院を幾ら耐震化しても、そこに水が来なければ手術はできませんとお断りするわけですよね。こういうことの優先度の高いところというのは、やはり配水の施設、管路の耐震化を早急に進めるということが必要だ。

 そこで、私は、平成十八年の二月の十六日に、当時の川崎厚生労働大臣に耐震化を進めるべきじゃないかということを言いましたら、大臣は、「国庫補助制度での支援ということから、耐震対策が不十分な老朽管の更新、基幹病院など災害時において給水優先度の高い施設への配水を確保するための耐震性配水管の整備等の国庫補助というような施策を進めながら、委員が御指摘のように、一〇〇%を目指して努力してまいりたい」というふうに考えていると。

 今、平成二十五年までに一〇〇%にするというようなお答えがありました、これは水道ビジョンに基づいてのお答えでしょうけれども。では、これは政策統括官でも構いません。現在の達成率から目標の達成が可能だというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。これは、予算委員会で川崎厚生労働大臣が一〇〇%にしたいということをお答えになっている。ところが、今は一〇・八%だというような大臣のお答えです。

 これは、本当に平成二十五年度までにこのような優先度の高いところを一〇〇%にすることができるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘いただきましたとおりですが、現在の水道の耐震化率は必ずしも高い状況ではございません。したがって、一般的に考えれば、平成二十五年度における耐震化率一〇〇%の目標、その達成というのはなかなか容易ではないんじゃないかなというふうに思います。

糸川委員 これを聞いて、泉大臣はこれにどのように対処されるおつもりなんでしょうか。

 例えば、予算委員会の川崎大臣の発言で、一〇〇%にしたいということを言っているわけですよ。直に今回防災担当大臣ということですから、今、政策統括官は平成二十五年までにというのは難しいとおっしゃられているわけですね。ということは、予算委員会で大臣が言ったのは誤りであるということを防災担当大臣として御指摘になるのか。それとも、そこに向けて泉大臣が、これから内閣の中で、こういうことは必要だからしっかりと予算をつけるようにということをおっしゃられるのか。いかがでしょうか。

泉国務大臣 先生が御指摘になりました、病院における大切な手術ができない、水がないからできないというような事態は、本当にこれは大変な問題だと思います。

 川崎大臣が当時お約束をなさいましたペースからまいりますと、なかなか達成が難しい、これはそのとおりだろうと思います。しかし、重要なインフラでございますので、これから、委員の御指摘をも踏まえまして、厚生労働大臣の方に実現を一日でも早く進めていただくように私の方からもお願いを申し上げたいと思います。

糸川委員 大臣、もうほとんど時間がございません。

 最後に、特に東海地震に係る対策強化地域、東南海・南海地震対策推進地域においては、要は水道管の基幹路、こういうものの、例えば避難所であったり病院であったりというところの施策目標をできるだけ早期に達成するということにされておりますけれども、これらの地域の、例えばそういう基幹路であったりそういうものの現在の整備状況、それから、いつごろまでに特にそういう最重要拠点というのは耐震化を進めるんだということ、これはいつごろまでにできる見込みなのか、お答えいただきたいと思います。

泉国務大臣 私自身がこの分野を所管していない中で、防災担当大臣としてお答えを申し上げるということは大変難しいところがございます。

 しかし、先ほど来申し上げましたように、非常に進捗率が低いということは事実でございますので、いつまでにできるかということを今ここで明確にお答えすることはできませんが、厚生労働省としてさらに御努力をいただき、そして我々も防災という観点から応援をさせていただく、一日も早く安全な状態が醸し出されますように努力をさせていただきます。

糸川委員 大臣、予算委員会で川崎厚生労働大臣が発言されたことが、約束がほごにならないように、ぜひ閣内でしっかりと、災害のことですから、国民の命に直結する問題です、どうか、しっかりと予算も確保して、早く一〇〇%にできるように努力していただきたいと思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、萩生田光一君外四名提出、被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。赤羽一嘉君。

    ―――――――――――――

 被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽議員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 ただいま議題となりました被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党及び公明党の提出者を代表し、その提案理由及び概要を御説明申し上げさせていただきます。

 現行の被災者生活再建支援法は、平成七年に発生した阪神・淡路大震災の教訓から、平成十年に議員立法により生活関係経費の支給が制定され、その後、平成十六年に、被災者の居住の安定の確保による自立した生活の開始を支援するため、居住関係経費の支給等の措置を講ずる改正が行われたものであります。

 その際、衆参の災害対策特別委員会における附帯決議において、「居住安定支援制度等の充実を図るため、本法の施行後四年を目途として、制度の施行状況等を勘案し、制度の見直しを行うなどの総合的な検討を加えること。」とされたものであります。

 これを踏まえ、政府においても、検討会を設置し、法改正の検討を行っているものと承知をしておりますが、本制度の使い勝手の悪さ、支給要件の複雑さ等々が指摘され、その結果、居住関係経費の支給率が三割に満たないという状況にかんがみ、立法府として、早急に、かつ、思い切った制度改善をする必要があるとの判断から、議員立法で改正することがふさわしいと考え、提案に至ったものでございます。

 次に、本法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、本法律案は、真に被災者の速やかな生活再建に資するための改正を目指すこととし、目的規定に「住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資すること」を追加することとしております。

 第二に、その目的を実現するために、現行制度の煩雑な手続、複雑な支給要件を大胆に緩和し、だれにでも容易に理解できる制度、だれにでも簡単な手続で迅速に支援金を受給できる制度、そして、被災者の生活再建の実態に即した、被災者間の不公平感を是正した制度設計となっております。

 具体的には、まず、支援金の支給方法について、現行制度では使途を限定した上で領収書等を取りつけ、実費額を精算支給する、いわゆる実費積み上げ支給方式を改め、使途の限定をしない定額渡し切り方式といたします。

 この定額渡し切り方式に改めることによって、これまでの生活関係経費について、その対象経費として三十品目だけ認められ、その上にその物品や医療費等の項目ごとに申請並びに実績報告が必要とされていた手続が一切不要となり、全壊世帯に百万円、また、これまで支給対象外でありました大規模半壊世帯に五十万円を罹災証明書ベースで一括支給されることになります。

 また、これまでの居住関係経費については、対象経費ごとに実費支給する、これを改めまして、居住する住宅の再建の方法に応じて定額を支給することとし、居住する住宅を建設または購入する世帯については二百万円、補修する世帯については百万円、民間住宅を賃借する世帯については五十万円を支給することとしております。

 この改正によって、現行制度では支給対象外となっている、全壊で補修による再建を選択した世帯に対しても支援金が支給されることになり、被災者の生活再建の実態に即したものに改善されることになります。

 次に、支援金の支給対象要件については、被災世帯の世帯主の年齢要件は撤廃することとし、収入要件については、収入合計額が八百万円以下である被災世帯の世帯主とすることとし、被災者間の不公平感を是正するものとしております。

 第三に、現行法で対象外となっている、住宅の敷地に被害が生じ、やむを得ない事由により住宅の解体に至った世帯を支援の対象として追加することとしております。

 その他、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 私は、十二年前の阪神・淡路大震災で住む場所を失った被災者の一人であります。また、この十二年間、被災者の生活再建を身近で見守ってきた一人でもあります。せっかく九年前に難産の末に成立したこの被災者生活再建支援法が、被災自治体や被災者にとって、理解すること、運用することが困難な制度となっていたり、被災実態に合っていない制度となっていることは、まことに不幸なことであります。本改正案は、そうした多くの問題点を解消し、かつ、当然のことながら、財政負担にも配慮しつつ、真に被災者の側に立った、被災者の迅速な生活再建に資する内容となっていることを確信しております。

 自然災害は、いつ、どこで発生するか、予知することはできません。いつ起こるかわからない災害に対応することを可能ならしめるべく、どうか皆様、党派の垣根を越え、国民の側に立っての慎重審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明二日金曜日午後一時二十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十二分散会


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