衆議院

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第3号 平成21年4月1日(水曜日)

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平成二十一年四月一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 林田  彪君

   理事 佐田玄一郎君 理事 土屋 品子君

   理事 萩山 教嚴君 理事 原田 令嗣君

   理事 三ッ林隆志君 理事 西村智奈美君

   理事 松原  仁君 理事 高木美智代君

      新井 悦二君    稲葉 大和君

      小川 友一君    近江屋信広君

      大前 繁雄君    梶山 弘志君

      北川 知克君    坂井  学君

      平  将明君    高鳥 修一君

      長島 忠美君    林   潤君

      平口  洋君    藤井 勇治君

      馬渡 龍治君    武藤 容治君

      盛山 正仁君    森山  裕君

      岡本 充功君    黄川田 徹君

      小平 忠正君    近藤 洋介君

      田村 謙治君    筒井 信隆君

      村井 宗明君    遠藤 乙彦君

      坂口  力君    高橋千鶴子君

      菅野 哲雄君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国務大臣        

   (防災担当)       佐藤  勉君

   内閣府副大臣       宮澤 洋一君

   内閣府大臣政務官     並木 正芳君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   大森 雅夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐村 知子君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     武内 信博君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           幸田 雅治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中 正朗君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂本 森男君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            高井 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大槻 勝啓君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         齊藤 政満君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         原田 保夫君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長)     松井 正樹君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 井手 憲文君

   政府参考人

   (気象庁長官)      櫻井 邦雄君

   衆議院調査局第三特別調査室長           生駒  守君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  原田 憲治君     馬渡 龍治君

  松本 剛明君     黄川田 徹君

  日森 文尋君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  馬渡 龍治君     原田 憲治君

  黄川田 徹君     松本 剛明君

  菅野 哲雄君     日森 文尋君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件


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     ――――◇―――――

林田委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官大森雅夫君、総務省大臣官房審議官佐村知子君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長武内信博君、消防庁国民保護・防災部長幸田雅治君、文部科学省大臣官房審議官田中正朗君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、厚生労働省大臣官房審議官坂本森男君、厚生労働省医薬食品局長高井康行君、厚生労働省職業安定局次長大槻勝啓君、農林水産省農村振興局整備部長齊藤政満君、国土交通省大臣官房総括審議官原田保夫君、国土交通省都市・地域整備局長加藤利男君、国土交通省都市・地域整備局下水道部長松井正樹君、国土交通省河川局長甲村謙友君、国土交通省住宅局長和泉洋人君、国土交通省政策統括官井手憲文君及び気象庁長官櫻井邦雄君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川友一君。

小川(友)委員 おはようございます。自由民主党の小川友一でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 先般、三月の十九日だったと思いますけれども、大臣所信をいただきました。この中において、最近の防災体制についていろいろと説明がございました。特にこの中で私が興味を持たせていただきましたのは、私が住む首都直下地震についていろいろと触れられておりました。

 御案内のとおり、首都直下の地震は三十年以内に七〇%の確率で発生するという予想がされていて、なおかつ、帰宅困難者、避難者、そしてまた経済的にも百十二兆円の損害をこうむるであろうというふうな想定がされている中で、まさに切迫性が求められているような事案であることはもう言うまでもないというふうに思います。このような状況の中で、政府としても、今後十年間の減災目標を立てた中で、住宅とか建築物、そしてまた高速道路の耐震化等も含め、いろいろと地震に備えていることは報告され、私もよく理解をしているところであります。

 しかしながら、当然、こういうふうな災害に見舞われた場合には、建築物、そしてまた道路とかインフラの被害を受けるだけではなくて、まさに首都は、政治や行政、経済、金融等あらゆる分野で中枢的な役割を担っているものにも被害をこうむることは、もう言うまでもないというふうに思います。

 そのような意味で、これらの機能が仮に麻痺をするようなことになれば、私たち日本の国内だけではなくて世界的にもいろいろと、経済的にも金融的にも影響が出るということが予想されているところであります。さきの大臣所信におきまして、中央省庁業務継続のガイドラインが示された中で、これを踏まえて中央省庁においてBCP、いわゆる業務継続計画が策定されたというふうに述べられました。

 そこで、二点ほどお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 一点目は、BCPに関し、業界を所管する関係省庁や業界団体に対し、国がどのように指導とか取り組みを行っているのか。二点目は、災害時においては、当然、地方自治体が災害対策の第一線を担うわけでありますけれども、いわゆる都道府県ではいまだに業務の継続計画は六・四%、市町村に関しては二・三%ぐらいにとどまっているというふうにお伺いをしているところでありますけれども、今後どのように地方自治体に対し、働きかけ、指導、方策等をしていくのか、お伺いをさせていただきたいというふうに思います。

大森政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどの中央省庁の業務継続計画でございますが、まず、先生御指摘のように、内閣府で平成十九年に中央省庁業務継続計画、ガイドラインを策定いたしまして、これを受け、平成二十年までに中央省庁はすべて業務継続計画を策定したところでございます。

 一方、自治体の方でございますけれども、現在策定済みのところにつきましては、埼玉県であるとか徳島県であるとか、一部の県ではBCP策定を終えております。また、策定継続中のものも幾つかのところはございますけれども、まだまだ十分というわけにはいかないのは先生の御指摘のとおりでございます。

 我々といたしましては、関係省庁とも相談しながら、各自治体の業務継続計画の策定に向け、その促進方を図ってまいりたいと考えております。

小川(友)委員 ただいま説明いただいたところなんですけれども、基本的に、災害に対する予防的な備えというものも必要であることは論をまたないわけでありますが、先ほども述べさせていただいたとおり、首都はまさに日本の経済の中枢であって、その経済が、復旧復興も含めながら、民間企業も含めていち早く稼働していく、そういうふうな方向性を見出していかなくてはいけないわけでありまして、予防とあわせて、以後の事業の継続というものは早急にしなければ、いろいろと災害で被害を受け、そしてまた復興で稼働がおくれることによっての被害等を含めますと非常に大きな問題だということでとらえています。

 あわせまして、国の方としても、こういうふうな継続計画を策定して中央省庁は一定の方向が出ているわけでありますが、先ほどもお話しさせていただきましたとおり、民間団体も含めながら、これから業界団体にどういうふうに指導していくのか、お伺いをしたいというふうに思います。

 現実的には、中小企業も含め、この策定に必要なノウハウとか人材の育成とか、そういうものがまだまだというふうにお伺いをしているんですが、その辺をどのようにとらえているのか、再度御説明をお願いします。

大森政府参考人 お答えをいたします。

 災害時における企業の事業活動の継続を図り、社会や経済の安定に貢献することは、大変重要な課題だというように思っております。

 このため、内閣府としては、民間企業のBCP策定作業の指針となります事業継続ガイドラインの策定を行った結果、事業者団体においても業種別のガイドラインの策定が進むなど、一定の成果は上げたものだと考えております。しかしながら、先生御指摘のように、企業のBCPの策定率というのは、全国では大企業でも一九%、また中堅企業では約一二%ということになっており、まだまだ低い状況にあると思っております。

 今後、企業の経営者等に対する意識啓発を関係団体とも連携して進めるとともに、昨年十二月から開催しております事業継続計画策定促進方策に関する検討会の議論を踏まえ、企業の策定事例の紹介とか、今先生御指摘なさいました人材育成のための環境整備など、取り組みのさらなる展開を図ってまいりたいというように考えております。

小川(友)委員 ぜひ全力で取り組んでいただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 あわせまして、この質問に際してちょっと資料を見ておりましたら、平成十六年から平成二十年までの間に震度七以上の地震が七回発生しています。その七回の発生の中で、たまたまでしょうけれども、土曜、日曜、祝日に発生した件数が五回です。いわゆる七割近くが土日に発生しているのが見られたわけでありますけれども、中央省庁等は土曜、日曜、祭日は休日ということでありますので、祭日とかそういうふうなときに発生した場合、中央省庁も含めて事業の継続計画をどういうふうに今度は実行に移していくのか。土日はだれもいないわけでありまして、いないことによっての減災ということもあるかと思いますけれども、その辺をどういうふうに省庁として対応しているのか、お伺いをさせていただきたいというふうに思います。

大森政府参考人 お答えをいたしたいと思います。

 まず、先生御指摘のように、平成十六年以降、震度六弱以上の地震は七回発生しております。五回が休日で、一回が午前零時二十六分という深夜でございますので、通常の勤務時間中のものはほとんどないという状態でございます。

 まず、具体的な災害が起こった場合の応急対応の問題について申し上げたいと思いますが、政府としては、休日等においても大規模な地震が発生した場合には的確に対応できるような体制を整備しているところでございます。具体的には、内閣危機管理監の指揮のもと、発災後、直ちに危機管理センターに関係省庁の局長級職員から成る緊急参集チームが参集し、ヘリコプター等の航空機による情報収集や、自衛隊を初めとする部隊の派遣等を実施することとしております。

 少し具体的な例を申し上げたいと思いますが、昨年の六月の岩手・宮城内陸地震、七月の岩手県沿岸北部を震源とする地震も休日等に発生しているわけでございますが、地震発生数分後には緊急参集チームを招集し、対応に当たるとともに、直ちに防災担当大臣を団長とする関係省庁の職員から成る政府調査団を現地に派遣し、被災者の救出、救助活動を初めとする災害応急対策活動に取り組んでいるところでございます。

小川(友)委員 地震というのはいつ来るかわからないわけで、そういうふうなことも想定した中で対応していただきたいというふうなこともお願いをさせていただきたいと思います。

 さて、皆さんのお手元に資料を配付させていただきました。この資料は私の選挙区の立川の広域防災基地を拠点とした図面なんですけれども、基本的には、官邸や内閣府等で災害対策本部が設置できないような被害が発生したときに、この立川の広域防災基地が第四の候補地に挙げられているわけであります。

 御案内のとおり、この図面を見ていただいたときに、基本的には、これは国有地でありましたので、広域の防災基地とあわせて、国立の災害医療センター、そしてまた農水省の食料の備蓄倉庫、警察とか自衛隊、消防、いろいろな関連施設、そしてまた文科省の自治大学等、国の施設が密集しているところであります。しかしながら、真ん中のグリーンの道路が今整備がされているわけで、南北にはほとんど整備がされてなく、実際、ここに広域の防災の基地を稼働するに当たって道路交通網の整備はほとんどできていないのが実態であります。言いかえれば、国は国有地の中にこういうふうな施設をつくるだけで、これがどういうふうに運用され、実行されていくのかという想定の中でこれができていないというふうに私は思います。

 ちょうど二年半ぐらい前になりますでしょうか、この問題について災対の中で御質問させていただいたんですけれども、基本的には、北の方に〇・五キロ、南には一・二キロに対して、国は主導的に一定の協力をし、整備を進めていくというふうな御答弁をいただいている中ではありますけれども、いまだに一定の方向も出ないわけでありますが、その辺、国交省としてその後どのように対応しているのか、経過等も含めて御説明をいただければと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘いただきましたように、この立川三・一・三十四号線ということでございますが、これは立川の広域防災基地と周辺地域を結ぶアクセスルートとして重要な路線であるということで、東京都の地域防災計画にもその整備が位置づけられております。

 今御指摘いただきましたように、先生御質問いただきました平成十八年三月以降どういう状況になっているかということについて御説明を申し上げたいと思いますが、これは平成十八年四月でございますが、東京都が、今申し上げました立川三・一・三十四号線を平成二十七年度までに優先的に整備すべき計画に位置づけまして、事業化に向けまして、鉄道との交差方式についての構造検討でございますとか、実現性の検討などを行ってきているところと聞いております。

 そういう意味では一歩進んでいるわけでございますが、いずれにいたしましても、国といたしましては、事業主体でございます東京都からの相談があれば、事業化前の計画検討段階からでも、道路構造に関する技術的な助言を行うなどの積極的な支援に努めてまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。

小川(友)委員 平成二十七年までにということですが、基本的に、今言われているとおり、三十年以内に七割の確率で発生するといっているわけでありまして、災害が発生したときに、備蓄倉庫があって道路がなかったら、どういうふうに搬出、搬入していくのか、ちょっと理解ができない。国は基本的に、自分の国有地の中だけの道路を整備している。これはもう道路ではなくて入り口ですよ。では、それをどういうふうに実際災害時に実行していくのかということになれば、広域的に道路網を整備するのは国の責務ではないかというふうに私は思います。

 今のお話ですが、東京都の道路、都道でありますから、東京都が主体的に進めることを国がバックアップしていくというふうな御説明だと思いますが、基本的に、もっと国が前へ出て、国が主導的な役割を担いながら、地方自治体だって財政が厳しい中ですから、なかなかこういうふうな整備を進めていくというのは難しい状況だと思います。国がもう少し前へ出て、国が主導的にこの道路網を整備していくというふうなお考えがないのかどうか、再度お伺いします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 これは先生も御案内のとおりでございまして、事業主体はあくまでも東京都でございます。先ほども御答弁申し上げましたが、これまではいろいろ検討という段階にとどまっておりましたが、さらに一歩進めまして、道路とJR青梅線等との交差形式でありますとか、沿道との接続形態などの技術的な課題について、東京都と鉄道事業者等との間で共通の認識が持てたということもございます。それを踏まえて東京都では、今後課題解決に向けて調整を行って、できるだけ早くその整備を進めたいというふうに伺っております。

 国といたしましても、先ほども申し上げましたが、事業主体でございます東京都からの相談があれば、事業化前の計画検討段階からでも、道路構造に関する技術的な助言を行うなどを通じまして積極的に支援をして、先生の御指摘のように一日も早いその整備の促進方に努めてまいりたいというふうに考えております。よろしくお願い申し上げます。

小川(友)委員 よろしくお願いいたしますと申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

林田委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 大変時間が限られておりますので、スピード感を持って質問をさせていただきたいと思います。

 まず、私は、東京湾北部地震における帰宅困難者対策につきまして質問をさせていただきます。

 中央防災会議では、平成十五年に設置された首都直下地震対策専門調査会におきまして被害想定が発表されました。平成十七年九月には、地震防災対策の首都直下地震対策大綱を決定されました。

 またさらに、その中で、東京湾北部地震では、最大で避難者約七百万人、避難生活者約四百六十万人と、最大規模の発生が予測をされているわけでございます。

 東京湾北部地震では、最大で約六百五十万人の帰宅困難者の発生が推定されております。当然、一斉に帰宅行動をとった場合、路上では、混乱による死傷者、応急活動の妨げなど、重大な問題を引き起こすことになると言われております。

 そこで、平成十八年に専門調査会が設置されまして、昨年十月、避難対策につきまして報告がまとまったところでございます。耐震化等の予防が最優先であることはもとよりですが、この対策につきましても重要な課題であると思っております。

 帰宅までの距離が二十キロ以上の方を帰宅困難者、帰宅断念者とか遠距離徒歩帰宅者とか、そういう方たちをいうようでございますが、当初、動き出しますと、一平方メートルに六人、満員電車状態でとても歩けず、道が広がったり狭まったり、また、橋に至ったりしますとボトルネックになって、恐らくそこで大きな混乱が予想されております。

 こうしたことから、私は地元が東京でございますが、例えば渋谷区では、企業に協力を求め、帰宅困難者対策を行うことを義務化するために条例改正を検討しているとか、また、文京区では既に条例を制定して、企業に従業員を一斉に帰宅させないことを要請したとか、また、事業所に待機した従業員が地域の救助活動に協力するということも求めていると聞いております。

 こうした調査会の報告をもとに、具体策の策定に向けまして、今後どのようにお取り組みになられるのか。当然、一都三県の連携もありますし、また、今通勤圏は拡大しておりますので、近県も含めまして、その取り組みにつきまして、佐藤大臣の御所見を伺います。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 先生から今御指摘のございました点につきまして、中央防災会議の専門調査会におきまして検討が行われまして、おっしゃられるように、昨年の十月に報告書が取りまとめられました。

 御指摘の帰宅困難者については、先ほどもお話にございましたように、首都直下地震時に約六百五十万人の発生が予想されておりまして、専門調査会の報告では、その対策といたしまして、翌日帰宅、時差帰宅の促進、帰宅経路の混雑状況等に関する情報の提供などの混乱の回避策が示されております。

 翌日帰宅、時差帰宅等々についても、例えば、携帯電話が自宅と通じるという条件等々があれば落ちついた対応がとれるだろうとか、いろいろな検討をさせていただいておりまして、今後、専門調査会報告等を踏まえて、関係地方公共団体、関係機関と連携をいたしまして、先生が御心配の点等々をしっかりと踏まえて対策をしてまいりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 例えば、東京都におきましても懸命に予防、そしてまた、こうした発生時の対策等につきまして各自治体も取り組んでいるところでございますが、特に、東京区域外から通勤等をされていらっしゃる帰宅困難者、こうした方たちにつきましては、もちろん地元も取り組ませていただくと考えてはおりますけれども、やはり国がここはしっかりと主導権を発揮していただきまして、一都三県の連携、取りまとめ、ここをしっかりとやっていただきたいということをまず要望させていただきたいと思いますが、大臣の御所見を重ねてお伺いいたします。

佐藤国務大臣 おっしゃられますように、パニックになっては困るということでございますでしょうし、その周知徹底を図ることによって心の構えみたいなものが徹底をされれば、混乱等々も少し和らぐのではないかなというふうに思っておりまして、先生がおっしゃられたような首都圏の県ともよく連携をしつつ、関係省庁としっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 主導権を発揮していただきまして、よろしくお願いいたします。

 今大臣の御答弁にもございました、やはりそれぞれ、御自宅がどうなっていらっしゃるのか、また、御家族がどうなっていらっしゃるのか、この安否情報がしっかりと入手できれば、そこから、帰宅も翌日にする、もう少し延ばす、地元のために貢献する等々、判断もできるのだと思います。

 こうした帰宅困難者の問題は、あくまでもこれは個人への対策、個人が最後はどういうふうに判断をするか、そのために企業の協力また地元の協力等々が必要であると思っております。

 そこで、まず安否情報の確認体制を万全にすべきであるということから、災害用伝言ダイヤル、携帯電話災害用伝言板、またウエブ一七一等、今さまざまツールが用意されておりますけれども、この六百五十万人という困難者に対して対応できないのではないか。いざこういう事態になりましたときに、サーバーにアクセスできないとかダウンしてしまったとか、そうしますと、まさにパニックに至ってしまうと思っております。

 これが今現状どうなっているのか、またさらに、その拡充策はどのようになっているのか、これは総務省にお伺いをさせていただきます。

武内政府参考人 お答え申し上げます。

 災害時には、ふくそうといいますか、通信の混雑の発生によりまして、電話等がつながりにくい状況になります。

 電気通信事業者の方では、安否確認などを行う手段といたしまして、固定電話を利用した災害用伝言ダイヤル、携帯電話、PHSを利用いたしました災害用伝言板、それからインターネットを利用いたしましたウエブ一七一などを提供しているところでございます。

 登録できる件数でございますが、それぞれ最大で、災害用伝言ダイヤルにつきましては八百万件、災害用伝言板につきましては八千万件、それからウエブ一七一につきましては五億件ということになってございまして、これらを活用することで、容量の面では、約六百五十万人と見積もられております帰宅困難者の方が支障なく利用できるのではないかというふうに考えているところではございますが、今後、事業者におきましても、さらに件数の増加を検討しているところと聞いてございます。

高木(美)委員 かなり拡充をしていただいているようで、また今後とも、基地局等の整備につきましても、耐震にできますように、さらに強固にできますよう要請をさせていただきます。

 こうした伝言板、伝言ダイヤル等、例えば、防災の日がございますけれども、そういうときに家族で使ってみるというような、試用してみるという、こちらの方の呼びかけもぜひお願いをしたいと思っております。いざそのときになって、どういうふうに使っていいかわからない、恐らくこういうことも多いかと思いますので、重ねて総務省に要望をさせていただきます。

 先ほど、企業の取り組みが重要であると申し上げさせていただきました。当然、備蓄の問題、水、食料、軍手、そしてまた携帯用トイレ、今トイレの不足も言われておりますので、こうした対策も必要であると思っております。

 企業別に独自の防災計画を策定していただきまして、その上で個人の行動を明確にしていただくこと、そしてまた、地震発生の際の留意点など、事前の周知がやはり大事であると思っております。どのように推進、徹底をされるのか、内閣府にお伺いいたします。

大森政府参考人 お答えいたします。

 膨大な数の帰宅困難者による混乱を回避するためには、先生おっしゃるように、行政だけではなくて、企業、住民の取り組みというのが重要になるというように思っております。

 特に企業についてでございますが、専門調査会の報告では、飲料水、食料、災害用トイレの備蓄等、従業員の一時収容対策の促進、また、災害の発生時における従業員の行動ルールをあらかじめ企業等の防災計画や事業継続計画等において明確にしておくことなどの対策の重要性は指摘されているところでございます。現にもう経団連もこれらに関しての提言を出しているところでございまして、着々と進んでいるところでございます。

 我々としても、地方公共団体や関係機関と連携をしながら、このような対策をさらに促進してまいりたいと思っております。

高木(美)委員 また、いいときを選んでいただきまして、サンプリングで構いませんので、どの程度の企業が準備をされているのか、そうした現実のデータも収集していただきますように、重ねてお願いを申し上げます。

 また、帰宅困難者が移動する際のトイレ、水等の支給を、どこが責任を持つのかということなんですが、私は住まいが江東区ですので、当然、霞が関の皆様、そしてまた千代田区等の皆様の、千葉へ帰られる移動拠点になると思っております。そういうときの避難所に、地元は地元の区のための避難所を用意している、そこに立ち寄られた場合の対応をどういうふうにしていくのか。

 また、東京都は、都立高校を帰宅支援ステーションとか宿泊できるような設備として考えているという話もありますが、とても足りるものではないと思っております。

 こうした在住者以外のための備蓄につきまして、地方自治体に対しまして予算補助もすべきではないかと考えます。そのことにつきまして、内閣府の答弁を求めます。

大森政府参考人 お答えをいたします。

 徒歩帰宅者に対するトイレ、水等の提供については、地方公共団体や事業者、また沿道の自治会などが連携して取り組んでいくことが必要であると考えております。

 また、避難所の問題でございます。徒歩帰宅者が避難所に来訪した場合の対応については、内閣府が一都三県及び茨城県南部の市区町村を対象にアンケートを実施しました。そのアンケートによりますと、帰宅困難者について、避難所に入ることを認めないとされる市区町村はございませんでした。ただ、これらがより円滑になるように、我々としても対応をこれから考えていきたいというように思っております。

 また、多数の徒歩帰宅者に対して、帰宅途上において、沿道で休憩する場所を提供するためには、沿道の公的施設やまた民間施設を活用して、一時滞在施設を確保することも必要だと思っております。

 また、最後の御質問でございますけれども、徒歩帰宅者など在住者以外の者のための物資の備蓄に係る費用負担の問題でございます。このあり方については重要な検討課題であると考えておりまして、今後またいろいろと考えてまいりたいというように思っております。

高木(美)委員 また、帰宅支援ステーション、コンビニとかガソリンスタンド等協力をしてくださるようですが、ステッカーがあります。これがそれぞれ、事業所また連盟等によりましてばらばらの状況がございます。今後ステッカーも全国統一のものに、早い段階でしていただくこともわかりやすいのではないかと思います。

 最後に、国土交通省にきょうお越しいただきました。避難所への避難者数を減らすために、応急危険度判定士の登録推進をすべきではないかと思います。今、一級、二級を合わせまして約百万人の建築士の方がいらっしゃいますが、登録していらっしゃるのは十万人と聞いております。この方たちをさらに進めて登録していただくべきと思います。

 またさらに、緊急時に活躍しやすい環境整備も必要であると思います。例えば、仕事を、それぞれ納期がある中で、それを中断して、応急危険度判定のために駆けつけてくださるわけですので、こうした環境整備、そしてまた宿泊場所等々の確保も必要かと思います。

 この応急危険度判定士の拡大のための方策につきまして、国交省にお伺いいたします。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、応急危険度判定士、大変重要でございます。今も御紹介ございましたように、現時点で十万八百十九名が登録されておりまして、全体としてはそれなりの数があるわけでございますが、首都圏直下型地震等を念頭に置けば、まだまだ足りない。加えて、都道府県ごとに見ると随分差がございますので、今言った環境整備の問題も含めまして、内閣府等とも連携して、しっかりと対応してまいりたい、こう考えております。

高木(美)委員 それでは、この帰宅困難者の問題につきまして、さらなる具体化に向けてのスピードアップを要請いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

林田委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 きょうは、災害対策について、昨年四月二十二日の災害対策特別委員会での私の質問を受けて、どのように対応をとっていただいたかをまずお伺いしていきたいと思います。

 昨年も、帰宅困難者、地震発生時の帰宅支援マップについて質問をさせていただきました。以来、幾つか私も指摘をしてまいったわけでありますけれども、今回は、この帰宅支援マップ、ホームページで紹介をされているということでありますが、それだけでは不十分ではないか。要するに、私の地元であれば名古屋市内、東京であれば都内、帰宅をする従業員の方がみえる企業に配布をしておく、また、帰宅ルートに当たる住民の皆さんにも周知をして協力を求める、こういったことが必要ではないかと考えておりますが、それについてどのようにお答えいただけますか。

大森政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のように、まず、愛知県及びその県下の市町村では、地震発生時における円滑な徒歩帰宅を支援するため、帰宅支援マップを作成されており、ホームページに掲載されております。また、それだけではなくて、地震発生時には、支援施設となっているコンビニエンスストア等において配布される予定と聞いております。また、震災時の帰宅支援マップが民間の地図会社からも出版され、書店等で広く入手されるというような状況になっております。

 このように、さまざまな方法で帰宅経路に関する情報というのは入手できるようになっておりますが、先生御指摘のように、さらに幅広い人々に的確に認識されることが重要であるというように考えております。

 そのための具体的な方法として、例えば地図案内板等への徒歩帰宅支援情報の記載であるとか、また、防災訓練などを通じまして繰り返し行う情報周知の取り組みであるとか、こういったことが効果的ではないかと考えておりまして、我々としてはそのような取り組みを促進してまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 せっかくの御答弁でありますけれども、地震発生時にコンビニで配るといっても、事前にコンビニに置いていなければ、そのときにコンビニに持っていくわけにはいかないわけでありまして、コンビニに常時それを置いておくということが本当に徹底なされているのかどうかも含め、さらなる検証を求めたいと思います。

 大臣、帰宅困難に際して重要な課題は、やはりトイレじゃないかと私は思っております。季節にもよると思いますが、季節によってはより頻回にトイレを必要とする方が出てこられることも想定されます。簡易型トイレの備蓄を少し国として支援されてみてはいかがかなと思うんですが、いかがでしょうか。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のように、帰宅困難者等のトイレの確保が重要な課題となることは言うまでもないことだろうというふうに思います。

 避難者に対するトイレの確保対策については、地方公共団体においても進められているところでございますけれども、国においても、例えば東海地震等の発生時に供給が不足すると見込まれる地方公共団体に対しまして、簡易トイレ等の具体的な調達計画を策定させていただいているところでございまして、帰宅困難者に対するトイレについても、地方公共団体等において、先生御指摘の点も踏まえて、計画的に確保をしていくことが重要であるというふうに考えておりますし、その方向で検討させていただきたいというふうに思っております。

 また、首都直下地震避難対策専門調査会の報告では、大量の徒歩帰宅者や滞留者によるトイレ需要に対しまして、水がとまる可能性がございますので、なかなか水洗のトイレは使えないということを想定いたしますと、避難所に指定されていない公共施設の活用とか、マンホールトイレ等の整備の促進とか、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド等における支援、これはトイレをお借りしてそこに簡易トイレを置かせていただくとか等々の対策が示されておりまして、帰宅困難者のためのトイレの確保対策について、国としても、専門調査会報告、地方公共団体の状況を踏まえて、必要な助言、対策をしてまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 自治体としては、やはり費用のかかるものでありますから、国としての支援を求めているところがあります。ぜひ対策をお願いしたいと思います。

 昨年の委員会で私が指摘をしました「利根川の洪水氾濫時の死者数・孤立者数等の公表について」の資料、その中で、いわゆる利根川のはんらんについての想定を内閣府の方でおまとめいただいた。そのとき、平成二十年の四月二十二日の委員会で、政府参考人の方から、「この検討成果は、首都圏のみならず他の大都市圏の大規模水害対策においても活用できるものと考えております。当面は首都圏を対象とした検討を急ぐ必要があると考えておりますが、他の大都市圏の大規模水害対策をどのように行うかについては、今後の首都圏における検討成果ですとか、あるいは他の大都市圏における関係機関の動向等も踏まえ、検討していきたいというふうに考えております。」こういう話をされました。

 洪水や東京湾の高潮対策を総合的に勘案して他の都市にも適用していく、こういう御答弁をいただいたんですが、これについては、木曽川、それから淀川の河口部についてその後どのような検討をしていただいているのか、お答えをいただきたいと思います。

大森政府参考人 お答えいたします。

 基本的な考え方は、今先生がお示しになられたとおりでございます。

 ただ、現在のところ、我々、利根川、荒川についての被害想定等を出しまして、その対策について検討会で議論をしているところでございます。そういう結論を待って、また他の都市圏でどのような対応になっていくのかということを考えてまいりたいというように思っております。

岡本(充)委員 人口が集中するゼロメートル地帯というのは、東京、そして私の地元の愛知、三重を中心とする木曽川流域、またさらには淀川流域とあるわけでありまして、それについても早期につくっていただかないといけないということを昨年もお願いしているわけでありまして、ぜひその点をお願いしておきたいと思います。

 そして、ほかのさまざまな水に関する検討と整合性を持たせる必要があるのではないかと私は考えています。

 皆様にお配りをしましたこの一ページ目が、いわゆる下水道における、雨水を中心とする内水ハザードマップの作成状況。全国でまだ八十四市町村にとどまっております。二ページ目が、先ほどもお話をしました河川、これは淀川水系でありますけれども、淀川水系におけるいわゆる洪水ハザードマップ公表の進捗状況をお示ししております。こういったものは、それぞれ想定される降雨の状況が違っております。

 例えば、先ほど私が指摘をしました内閣府のデータは二百年に一度。そして、千年に一度も検討をされています。それに対して、例えば内水の、下水の雨水の話ですと、五年から十年の雨量に対してどうなのかという検討。そして、河川は五十年に一度。そして、農林水産省がやってみえる湛水防除事業は二十年に一度の雨を想定しているということで、その基準としている降雨の激しさがそれぞれまちまちであります。

 これでは、整合性のある、もっと言えば、いただいた方としては、果たしてどれをどう信じるのか、なかなか難しいところがあります。

 例えば、先ほどもお話ししました一ページと二ページ目、内水ハザードマップも、そして洪水ハザードマップも両方つくっている京都の宇治市、八幡市、それから大阪の東大阪市、門真市、大阪市においては、こういった二つのマップが住民にお配りされているわけでありまして、そういう意味では非常にわかりにくい。それに、先ほどお話をした、内閣府から来るいわゆる二百年に一度の洪水の想定図、これも出てくる。非常にわかりにくいのではないかと私は考えているわけでありまして、こういったデータを一つにまとめていく。

 きょうは気象庁にお越しをいただいておりますけれども、気象庁は洪水警報等を出しているわけでありますから、そういう意味では、例えば気象庁でそういう取り組みができないか。それから、もちろん内閣府で大臣にお考えをいただいても結構でありますが、住んでいる皆さんからすればどこから水が来ても同じ話でありまして、これは川が切れたからですとか、これは雨水が溢水したからですとか、そういう理由を後から聞いたところで、水が来ないようにしてもらわなきゃいけないという点については同じでありますから、こういうさまざまな行政の縦割りではなくて、気象庁なり内閣府なりで少し音頭をとってもらって、もう少し総合的なものにしていっていただけないか。

 それは、去年私が質問させていただいた高潮対策と洪水対策、これについてもまだ一括になっていないということもあわせて指摘をしたいと私は思いますが、大臣と気象庁の方から御答弁をいただければ幸いであります。

佐藤国務大臣 今先生から御指摘があった点、大事なことだろうというふうに認識をさせていただきました。

 したがいまして、例えば、気象庁が出す予報等々で大体の降雨量がわかるとすれば、この地域はどのくらいの想定ができるなんということを、非常にわかりやすい説明ができるようなこと等々も含めて、内閣府としても、防災担当としても考えてみたいと思いますし、住民が常にそれを把握できるようなシステム等々を考えていきたいというふうに思っております。

櫻井政府参考人 気象庁におきましては、大雨洪水警報等を発表いたします基準といったようなものにつきましては、災害の発生と気象要素の関係を調査した上で決めてございます。

 一方、ハザードマップという切り口におきましては、災害の発生実績に加えて、詳細な地形情報に基づく浸水のシミュレーションですとか避難場所や避難手法に関する情報といった、大雨洪水警報の基準作成に用いる以外にもさまざまな技術が必要になると理解してございます。

 そういうことで、私ども気象庁といたしましては、関係機関と連携いたしまして、市町村が行うハザードマップの作成ですとか、あるいは避難勧告の判断基準の検討といったようなものにつきまして、過去の気象資料を提供するだけではなく、気象の特性や過去の災害と気象との関係といったことにつきましても解説や助言を行うなど、必要な協力を行ってきておるところでございます。

 これからも引き続き、こういった市町村が行われる防災対応に対して協力するとともに、住民の防災意識の高揚、そして災害への備えといったことに結びつく取り組みを進めてまいりたいと思っておるところでございます。

岡本(充)委員 それで、大臣、二枚目のページにハザードマップの公表の時期が書いてあるんです。今後、内閣府で検討されるか気象庁で検討されるかわかりません。国土交通省が現時点では補助金を出してみえるようでありますけれども、このハザードマップの作成には、いわゆる調査費について国から三分の一のお金が出ている。しかし、印刷代は出ていない。また、先ほど指摘をしましたように、新しくいろいろなデータを加えて修正をするというときには、その費用が出ません。

 私の地元では、古いものではこれより前、つまり平成十五年より前につくって、そろそろ見直しをしようという自治体もあるわけです。そういう自治体に対しても、これは国土交通省でありますけれども、ぜひ補助をしていただきたいというお願い。それから、新しくつくるときには、大臣、印刷代も含めてその補助をしていくような方向で地方への配慮もぜひお願いをしたいと思うわけですが、大臣と国土交通省からお答えをいただきたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 洪水ハザードマップについての予算支援でございますけれども、平成十七年の水防法改正を受けまして、市町村に対する支援措置として、平成十七年度から平成二十一年度までの五カ年の暫定措置として補助制度をやっております。現在まで延べ七百六十市町村に対して約四十五億円が予算措置されております。

 それで、既にでき上がった洪水ハザードマップの修正等についてでございますけれども、気象の状況あるいは現地の状況等を踏まえて、修正が必要な場合は補助の対象とすることにしております。

 それともう一つ、先ほどの質問にかかわりますけれども、あらかじめ定められた洪水ハザードマップ以外に、国土交通省といたしましても、気象庁と連携しまして、オンラインで河川の水位あるいは浸水の状況等を住民の皆様方に伝えられるような方法を検討してまいりたいと思っております。

佐藤国務大臣 今御指摘の点につきましては、各省庁とよく連携を図らせていただいて、考えさせていただきたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 また、皆様の三ページ目、四ページ目、これは私の地元の愛西市の排水機台帳を皆様にお渡しさせていただきました。

 これは、農林水産省の補助事業として、恐らく湛水防除事業を含め補助金が出て行った排水機が多いのではないかと思うわけでありますけれども、右の方にあります設置年月日を見ますと、昭和三十年代の排水機もあります。

 まあ使い方にもよるんでしょうけれども、ポンプのいわゆる寿命が二十年から三十年としても、十分耐用年数が過ぎてしまって、そろそろこれはさまざまなメンテナンスやオーバーホールを行っていかなきゃいけない、もしくは新設をしなきゃいけないということになっておるわけでありますが、実際、私の地元などは既に農地がかなり少なくなってきておりまして、五ページ目に書いております湛水防除事業の採択要件であるいわゆる受益面積、そして総事業費はクリアをしたとしても、四番の「その他」にあります「農業以外の事業効果が見込まれる場合には、当該効果が全体の事業効果の五〇%未満のものに限る。」というこの項目が大変厳しい要件になるんじゃないかと思っております。

 こういった、昭和三十年代は農地だったけれども宅地になってきてしまって、結果としていわゆる市街地への浸水防止のために使わなければいけないという排水機であっても、今後、国として補助をしていただけるという確認をいただきたいと思います。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 県営湛水防除事業につきましては、農地の湛水被害を未然に防止することを目的とした事業でございまして、先生御指摘のように、受益面積三十ヘクタール以上などの採択要件がございます。同事業で整備した排水機場を更新するに当たって、市街化によりまして補助事業の採択要件を満たさなくなったような場合におきましては、同事業による排水機場の更新は困難であるというふうに考えております。

 しかし、こうした施設でありましても、農業振興地域の農用地区域内の農地を対象とする排水機場であって、かつ県営造成施設であることなどの要件を満たせば、基幹水利施設ストックマネジメント事業などを活用した対応が可能でございますので、県の要望をお聞きしまして、排水機場の適切な更新が図られるよう支援してまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 皆様にカラーの資料もお渡しをしております。別紙の一です。

 私の地元で恐縮ですけれども、川が大変たくさんあります。緑のポイントが排水機場で、既にあるもの。また、平成二十年に継続してさまざまな事業を行っているのが赤い点になっています。かなりの排水機場が必要だということがおわかりだろうと思います。この日光川と言われる川は、愛知県の管理する二級河川でありますが、総受益面積が一万四千九百七十一ヘクタールということでありまして、このポンプの総排水量が三百四十五立方メートル毎秒だということで聞いております。

 この河川が流れ着く一番伊勢湾寄りのところ、この資料でいう右下のところには、国交省、農水省が設置をしております合わせて二百トン毎秒の排水ができるポンプがあり、高潮時、潮位の高いときにはこれで水をくみ出さなければこの川が流れないような状況の中、降雨があった場合に本当にこのポンプの数で十分なのかということを私はきょうは指摘をしておきたいと思います。

 まず、いわゆる湛水防除事業で考えた場合のおよそ一万五千ヘクタール、これは、ここに一時間に十ミリの雨が降るとすると、およそ一千五百万トンの水となります。そして、この三百四十五トン毎秒の排水能力は一時間当たりおよそ百二十万トンの排水能力となるわけでありまして、一千五百万トンの水が降る中で、百二十万トンのこの排水能力で本当にいいのか。トータルで考えた場合、確かにすべてが川に来るわけではありませんが、しかし、木曽川に排水ができない、庄内川に排水ができない水が多うございまして、結果としてこの二級河川に頼っている。そして、その排水能力がこのような状況。

 また、国土交通省からお聞きをしました日光川流域は、およそ三百平方キロだ、こういう話でありますが、ここでも同じように一時間に十ミリの雨が降ったとしても、ここに降る雨の総量は、計算をしますと一時間当たり三千万トンということになりますが、この日光川の一番下流にある日光川水閘門の排水能力は二百トン毎秒。これで出せる水の量では到底足りないのは、もう明らかであります。

 そういう意味では、十分の一オーダー足りないわけでありまして、これを今、ここの地域、ゼロメートル地域です、木曽川や庄内川に排水ができなければこの日光川に、農業用水を含め、また排水路を含め、そして下水もまた雨水もすべて流れていくわけでありますから、その排水能力はこれで十分なのかという疑念に対して私はお答えをいただきたいと思いますし、ぜひその能力を、確かに古いポンプもある、その改修も必要ではありますけれども、能力をこの雨水と比較をしてどのようにお考えいただくか、御答弁をいただきたいと思います。

甲村政府参考人 まず、河川関係についてお答え申し上げます。

 日光川でございますが、委員御指摘のとおり、流域の約半分が海抜ゼロメーター地帯、それから、主に新幹線から下流あたりでございますけれども、雨が降ったときにはポンプ等で排水しないと水がはけない、いわゆる強制排水区域というふうになっております。それが流域の約三分の二ございます。このために、昭和三十四年の伊勢湾台風を初め、昭和四十九年、昭和五十一年、平成十二年の東海豪雨等として非常に浸水被害が頻発しております。

 こういう中で、河川の対策といたしましては、まず、新幹線より上流の、自然に雨が降ったときに流入してくる水を下流のゼロメーター地帯の方に多く流さないということで、途中で木曽川への放水路を建設して、下流の水位を下げるということをやっております。それから、河口部におきましては、現在の日光川水閘門は非常に老朽化しているとともに、地盤沈下等で洪水の流れる能力が不足しておりますので、それの改築の調査、設計を今やっております。

 それから、日光川の排水機場でございますけれども、これはふだんの洪水時には全部あいていて自然に流れるわけでございますが、委員おっしゃるとおり、海面の水位が高い高潮時につきましては水閘門を閉めまして排水機場で運転する。その際に、事前に排水機場を運転させまして、日光川の水位をあらかじめ下げまして周りからの排水ポンプを受けられるというような計画になっております。

 しかしながら、委員御指摘のように、この地域はゼロメーター地帯、かつ強制排水をやらなきゃならない地域ということでございますので、そういう内水排除等につきまして、関係機関と連携しつつ、総合的な内水排除を県として検討していくと聞いております。

岡本(充)委員 きのうお伺いしたら、日光川水閘門も、開門して、つまり潮位の方が低いというか高潮時でないときでも八百トン毎秒だと。八百トン毎秒の水ということは、一時間当たりでおよそ三百万トンぐらいになるわけですね。

 そうすると、先ほど言いました一時間に十ミリの雨でも三千万トンの水になるわけでして、これがすべて川に来るというわけではありませんが、先ほど局長が御指摘になられました日光川からの放水路、これはほぼ新幹線と同じところにありますから、それより南の方というのは先ほど言いましたゼロメーター地域、そこが一番の問題であって、その地域の水の排水として本当に十分かどうかということを御検討いただきたいと言っているわけでありまして、お願いをしておきたいと思います。

 最後に、国土交通省が会計検査院から指摘をされました事務費の問題について指摘をしておきたいと思います。

 非常に多額の補助金の不正流用があった。先ほどもお話をしました、ポンプもかえてもらいたい、またいろいろ必要な事業もあるという中で、不適正使用、これは十二道府県だけでも、六ページにお示しをさせていただいたような二億九千六十九万円、こういうことになります。河川局の所管だけでも、ここに書いてありますように四千六百十四万六千円ですね。そして全体で二億九千六十九万四千円です。こういった金額になるわけでありまして、これはぜひ、ほかの都府県についてもしっかり国土交通省で調べる必要があると思います。

 必要な事業がこれでできていないということであってはけしからぬと思いますので、ぜひ調査をお願いしたいと思いますし、国土交通省からいただきました資料によりますと、実際の国土交通省全体のいわゆる事務費、そしてまた平成十八年の不用額、それぞれお示しをいただきましたけれども、こういった推移を含め、今後とも資料の要求をさせていただきたいと思いますので、それについて誠実に御対応いただきたいということもあわせて御答弁をいただきたいと思います。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 国庫補助金は、厳しい財政状況のもとで、当然のことでありますけれども、国民の皆様方からいただいた税金で賄われているものでございまして、今回の不適正な経理処理が行われていたということはまことに遺憾であるというふうに思っております。この旨、我々は指摘を受けて公共団体に発出をいたしました文書においても強い遺憾の意を表明しているところでございます。

 その上ででございますけれども、今回検査院から指摘をされていない都府県についての話でございますが、会計検査院の方で残るすべての都府県に対して順次検査を実施するというふうに聞いておりますし、既に具体の日程もほとんどのところは決まっておるようでございますので、我々としては、検査院の検査結果を踏まえながら、事務費の執行のより一層の適正化に努めてまいりたいというふうに思っております。

 資料要求につきましては、我々としてできるものは誠実に対応させていただきたいと思います。

岡本(充)委員 会計検査院にゆだねるのではなくて、こういう使用はけしからぬという思いが本当にあれば、国土交通省みずからが調べるべきだということを私は言っているわけです。

 最後に、皆様にちょっと毛色の違う質問を聞いていただきたいと思います。

 最後のページでありますが、きょうは厚生労働省にも来ていただいております。大変危惧をされております、鳥インフルエンザから発生する新型インフルエンザについてのいわゆるウイルス薬の備蓄についてであります。

 どういう備蓄方法をとっているかと質問しましたら、備蓄場所も含めてないしょだ、秘密だ、こういうことでありましたが、せめて、全国何カ所ぐらいで備蓄をし、そして国の分については、いざインフルエンザが起こった場合、どのようにその薬をその流行地域に届けるのか、そういったことについてぐらいはお知らせをいただいてもいいんじゃないかと思っております。

 とりわけ都市部に近い地域で流行した場合の対応というのが重要になるわけでありまして、その地域にどのように届けるのか、そういった観点も含め、全国に何カ所ぐらい備蓄をしているのかも含め、お答えをいただきたいと思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 国が備蓄しております抗インフルエンザウイルス薬につきましては、新型インフルエンザ発生地域への速やかな配送体制の確保及びリスク分散の観点から、国内の複数箇所に備蓄をしております。具体的な備蓄場所なりその箇所数につきましては、危機管理の観点から非公開としております。また、新型インフルエンザウイルス薬の備蓄は、各都道府県に全備蓄量の半分を備蓄することとしておりまして、人口に応じた備蓄が行われていると承知をしております。

 本年二月に政府がまとめました抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドラインにおきましては、都道府県は、備蓄量が一定以下になった時点で国へ補充の要請を行うということになっておりまして、この場合には、国から当該都道府県に国備蓄分の抗インフルエンザ薬を輸送する、こういう形になるわけでございます。これらの措置によりまして、人口集中地域におきましても抗インフルエンザ薬が確保されるということになっております。

 新型インフルエンザが発生した場合、ガイドラインに沿った適切な供給が図られるよう、都道府県との連携体制を整えてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 時間になりましたから終わりますけれども、これはぜひ理事と委員長にも理事会で諮っていただきたいと思いますが、こういった備蓄体制で本当にいいのかどうかがこの委員会で審議できないわけです。

 どこにあるかということが、それはセキュリティー上言えないのはわかるとしても、せめて、全国何カ所に備蓄されていて、例えば大都市部に近いところにこういうふうに配備していますというようなことをやはり先に示していただかないことには、厚生労働省の中だけでシミュレーションをしてそれが結局審議に付されない、こういうことではやはりまずいのではないかと私は思いますから、この資料について、厚生労働省からせめて備蓄箇所数ぐらいは公表してもらえないかどうか、理事会で御協議をいただきたいと思います。

林田委員長 理事会で協議いたします。

岡本(充)委員 よろしくお願いします。

 終わります。

林田委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。

 きょうは、私も、岡本さんに引き続き、新型インフルエンザの対策の話をしたいんですが、我々災害対策委員には使命があります。それは何かというと、一つは、起こった災害に対して的確に対応すること、そしてもう一つは予防することです。

 新型インフルエンザ対策の中で、今、国の方でもこういった形で行動計画やガイドラインをつくっています。ただ、私はこれで本当に大丈夫かなと思った点があるんです。やらなければならない、そして本当にパンデミックを防ぐためには、国民の行動をかなりの部分で制限しなければならないことがあるんです。法的な拘束力のない行動計画やガイドラインで本当に大丈夫なのかどうかをもう一回考え直す必要があると思っています。

 具体的に言いますと、まず一つ目にお話をしたいのがスペイン・インフルエンザのときの話なんです。アメリカで一九一八年、スペイン・インフルエンザのときに、セントルイスとフィラデルフィアの二つの都市で大きく死亡率が変わりました。何でその二つの都市で変わったかというと、セントルイスの方は、劇場それから学校、そして娯楽施設というのを一時閉鎖して、たくさんの人が不特定多数で会うのを一気に制限したからです。それをやらなかったところは一気に蔓延してしまうわけです。

 では、まず私たちの方でそこまでやっていいのかどうかです。行動計画のままであれば、一応、学校設置者は学校を臨時休業させることができるというふうには書いてあるんですが、みんなそこまでは知らないし、それまでやっていいのかどうかの決断もなかなかつかないんじゃないかというふうに思うんです。

 そんな中で、特に国内で発生したとき、今すぐではなく、海外発生の時点ではなく国内で発生した時点で、例えば公立学校、どういう意思決定の仕方で一時閉鎖をするんでしょうか。どうでしょうか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 学校などは感染が広がりやすく、地域における感染源となるおそれがございますので、新型インフルエンザ対策行動計画及びガイドラインにおきましては、文部科学省及び厚生労働省が都道府県に対して、原則として、都道府県において第一例目の患者が確認された時点で、生活圏等を勘案しつつ、学校、通所施設等の設置者に対し臨時休業等を要請するよう求めることとしております。

 新型インフルエンザが発生した場合に、行動計画及びガイドラインに沿った迅速な対策が図られるよう、引き続き関係機関との連携を深めてまいりたいと考えております。

村井委員 つまり、今おっしゃられたように、要請なんです。例えば、さっきのセントルイスの例だと、一気に全部ばさっと閉鎖してしまえば極端な蔓延を防ぐことができるし、爆発的な感染を防ぐことができるのに、一個一個の学校に要請して、それぞれの判断になってしまう。法律であれば一気にできるんですが、残念ながら、今行動計画でお願いをするという段階になっていて、公立学校だったら言うことを聞いてくれるところもあるかもしれませんが、では私立の学校まで本当にそれでいけるのかどうか。ここは大きな問題になると思うんです。

 もっと極端な例を質問してみたいと思うんです。例えば、映画館それからコンサート会場、こういったところの場合はどうなるでしょうか。

中尾政府参考人 新型インフルエンザの行動計画とガイドラインにおきましては、感染拡大を防止するためには、社会的活動における人と人との接触の機会を少なくすることが重要と考えております。ガイドラインにおきましては、患者が確認された都道府県におきましては、地域における集会や催し物、コンサート、御指摘の映画上映、スポーツイベントなど不特定多数の者が集まる活動の自粛、外出の自粛や公共交通機関の利用自粛を呼びかけることとしております。

村井委員 そうです。今おられる皆さんは聞いてわかったと思うんですが、自粛を呼びかけることしかできないんです。行動計画なんです。あくまでこれは行動計画であって法律ではないですから、強制的に閉じ込めることは、そしてお願いをすることはできない。

 では、例えばコンサートを皆さん想像してみてください。みんなチケットを二千円、三千円払って買ってきて、歌手も呼んでやろうとしているところに、今これが蔓延しつつある。では、思い切ってその事業者はやめることができるかどうか。普通はリスクがあってもやってしまうと思うんです。そうしなければ、幾ら返金しなければならないかを考えたらぞっとして、今こうやって広がり出したけれどもやってしまおう、ほとんどのところはそうなってしまうんじゃないでしょうか。

 やはり今これが法律ではなく行動計画の部分でとまってしまっているということで、強制力を発揮できない。だから、きっと、海外発生の時点はまだいいとしても、そのうち国内で発生して広がり始めたときに強制的にとめることができない。それで本当に大丈夫かどうかを私たちは考えなければなりません。

 超党派で、何とかやはりこの行動計画を法律にまでして、そして強制的にある程度、いざどうしても必要だというときに、学校や娯楽施設やコンサートなどを中止していかなければならないと思うんです。そうしなければ、賠償などの民事の問題がある。

 例えば、もっと極端な例をさらに質問したいと思うんですが、満員電車などが非常に感染の爆発的な経路になってしまいます。公共交通機関では今どのようになっておりますでしょうか。この行動計画でどこまで公共交通機関を抑制できるでしょうか。質問します。

井手政府参考人 公共交通機関についてのお尋ねをちょうだいいたしました。

 まず、新型インフルエンザ国内発生のときの対応でございますけれども、全般的には、公共交通機関はとめるということではございませんで、まず行動計画全体の考え方が、感染を国内で徹底的に防止していく、感染を防いでいくということがもちろんあるわけでございますが、社会生活を破綻させてはいけない、こういう思想がもう一方でございます。

 仮定の議論でございますが、完全に公共交通機関がとまってしまいますと、これはまた、必要ないろいろな救援活動だとかそういったものに従事する方々の足も確保できないということでございますので、公共交通機関を完全にシャットアウトするという選択肢はないのではないかというふうに思っております。

 その上で、もちろん、先生御心配いただいております満員電車の問題、こういう問題意識は当然持ってございます。

 そういう前提で、この行動計画あるいは関連のガイドラインでございますけれども、そういった思想に立ちまして、この行動計画あるいはガイドラインの中では、国内発生の場合の流行が大体八週間程度続くというふうに書かれてございますが、その間、公共交通機関につきましては、これは社会機能の維持にかかわる事業者ということで、事業の継続ということをしっかり検討しなければいけないというふうに言われております。

 したがいまして、まず一つは、政府全体の取り組みといたしまして、先ほど先生の方から実効性がどうなんだろうかという御指摘はいただいておりますけれども、やはり、学校の休校でございますとか、あるいはオフィスの関係であれば働く方々の出勤もなるべく最小限のものに抑制していくというふうなことでございますとか、そういった社会全体として徹底した需要の低減、つまりお客様を、公共交通機関に乗る人数をなるべく減らしていくということをまず政府全体として取り組んでいくということだろうと思っております。

 その中の一つが、先ほども御指摘いただいておりますいろいろな、コンサートのような集会をなるべくやらないということは大変大事なことだと思っております。ここについては国土交通省としてちょっとお答えできませんけれども、そういった社会全体としての取り組みで公共交通機関の車内の混雑をなるべく減らしていくということをやはり政府全体として取り組んでいくということがまず大前提でございます。

 その上で、それでも公共交通機関を動かしていかなければいけませんので、国土交通省といたしましては、厚生労働省とも連携をいたしまして、公共交通機関について、利用する方々自体を減らしていただくことが大前提でございますが、減らしていただいた上で、利用する方々にはやはりマスクの着用を最小限しっかりやっていただくというふうな対応をすることによって、感染の拡大を防いでいきたいというふうに考えております。

村井委員 公共交通機関そのものをとめるというつもりじゃなかったんです。疑わしい人の乗車拒否をする権利、権限、こういったものを付与していくこと。それから、例えば、本当にいざという、爆発的な感染が広がったときには全員のマスク着用を義務づけるとか、そういった権限が今のところ公共交通機関には与えられていないんです。やはり法律できちんと整備しておいて、行動計画でこういうのを予想して呼びかけますというのではなくて、権利、権限、そういったものをしっかり持たせた方が、私はいざというときに助かるんじゃないのかなというふうに思っているんです。

 さらにもう一つお聞きしたいんですが、今度は病院の方です。

 病院では、今のところのガイドラインでは、発熱外来をつくるというふうになっています。いざというときには発熱外来という別のものをばっとつくる。これはいいんですが、死者が十七万人から六十四万人、外来患者が千三百万人から二千五百万人というふうに言われています。第三段階になって発熱外来をつくるときに、どこがどう発熱外来になって、だれがどうそれに取り組むかというところまで、細かいところまで事前のうちに決めておかないと、では、いざ、なりました、すぐやりましょうといって取り組めるのかどうか。今その辺の準備状況はどうでしょうか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、医療体制に関するガイドラインにおきましては、発熱外来において新型インフルエンザの外来患者を診療するということにしております。

 このガイドラインにおきましては、発熱外来につきまして、地域の特性に応じて二次医療圏ごとに整備を推進する、それから、既存の医療機関に専用外来を設置する形態が望ましい、患者数の増大に応じて発熱外来を増設するというような内容を示しております。

 それで、地域における医療体制につきましては、都道府県等が地域医師会と連携しながら地域の実情に応じて整備を進めていただくということとしておりまして、その取り組みが進む中で、国としても課題を把握し必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

村井委員 今後進めてもらうとか、課題に応じて検討するとかじゃなくて、できるだけ今のうちに、どこがどう発熱外来になるんだ。二千万人を受け入れるということは本当に大変なことです。そして、そういう二千万人を新たに受け入れようと思えば、今までやっていたところ、今まで受け入れていた外来をある程度制限しながらも、発熱外来優先にばっとやっていかないと、爆発的な感染が広がったときに対応できないんじゃないか。

 あと、映画その他でもやっていたのでわかるように、一番大きな深刻な問題になるだろうというのは、入院患者の問題です。

 入院患者が新たに五十三万人から二百万人出るだろうという計画になっていますが、それだけ新たに入院患者として受け入れるときに、当然、既存の入院患者を何人か追い出すことになってしまうんじゃないかと思うんです。また、今入院患者がいるところとのすみ分け、つまり、新型インフルエンザで新しく入院してくる大量の人たちと今までの既存の病気の人たちを同じ病床に入れるわけにはいかない。その人たちは別の形で、別のフロアで少なくとも隔離をしなければならないときに、こういった既存入院患者とのすみ分けができるのかどうか。今の行動計画で病院がそこまでできるのかどうかについて、教えていただいていいでしょうか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 医療体制に関するガイドラインにおきましては、新型インフルエンザの蔓延期以降につきましては、原則として、すべての入院医療機関が新型インフルエンザの診療を担うということ、それから、新型インフルエンザの患者の中でも軽症の方々につきましては自宅での療養を勧め、重症者のみを入院の対象とする、それから、医療機関は、自宅での療養が可能な入院中の患者さんにつきましては、病状を説明した上で退院を促す、これらのことを定めておりまして、新型インフルエンザの重症患者のための病床を確保することとしております。

 また、このガイドラインにおきましては、一つの病棟を新型インフルエンザ専用にするというような形などで、院内感染に配慮した病室の利用を検討することとしております。さらに、新型インフルエンザ以外の疾患の患者に対する医療も可能な限り維持できるよう、医療機関が診療体制を工夫するよう求めております。

 厚生労働省といたしましては、新型インフルエンザ発生時における入院患者に対する適切な医療提供体制の確保のため、このガイドラインの周知徹底を図るほか、地方自治体等の関係機関と連携を進めてまいりたいと考えております。

村井委員 二百万人の人を新たに病院に受け入れて入院させなければならない、それを絶対的にやらないと、本当に爆発的な感染をより抑制するためには、入院患者を一気に集めて二百万人入れなきゃならないと思うんです。

 ただ、今言われたように、そのためには、今既存で入院している人たちに残念ながら出ていってもらわなきゃならないことがあるわけです。今のこのガイドラインや行動計画では、病院はそこまでの、この人は出ていってもらう、この人は出ていってもらわないという判断をするのは非常に難しいと思うんです。そして、出ていってもらった人たちが万一、亡くなる人が何人か必ず出るでしょうから、そのときに民事訴訟になってしまう可能性もある。

 やはり法律できちんと定めておいて、こういう権限があるということが、そして免責されることになって初めてこの新型インフルエンザ対策が、爆発的に広がったときに対応策が打てるわけです。私たちは、そのために今のうちから準備しておかなければならない。

 病院の方は、多分、新しく新型インフルエンザの患者がわっと来て入院が必要だとなっても、今いる患者を追い出すということにちゅうちょして、うちはここまでしか受け入れられませんとなってしまうと思うんです。民事訴訟、後のものが怖いからそこをある程度抑制してしまう。こういう人は入れる、こういう人は入れないという明確な基準と、そして、万が一のときでも、法的な、後での訴訟が避けられるようなシステムというものをきちんとつくっておく必要があるんじゃないかというふうに私は思うんです。

 先ほど岡本代議士の方からもワクチンや抗インフルエンザ薬の話が出ていたので、ちょっとそこもお聞きしたいと思うんですが、例えばプレパンデミックワクチンの備蓄量、実際は、今のところ原液で保管しているというふうに聞いています。原液になっているということは、そこから製剤するのにある程度期間がかかると思うんです。備蓄量は一体どれだけで、そして原液から製剤へ加工する生産能力がどのぐらいのものなのか、そしてどのぐらいの期間がかかるのかについて教えていただいていいでしょうか。

高井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、プレパンデミックワクチンでございますけれども、医療従事者や社会機能維持者への緊急的な接種が可能となるよう備蓄を進めておりまして、平成十八年度にはベトナム株とインドネシア株の両ウイルス株によるワクチン原液約一千万人分、十九年度には中国安徽株によるワクチン原液約一千万人分、それから平成二十年度には中国青海株によるワクチン原液を一千万人分、それぞれ備蓄しております。さらに、二十一年度におきまして、引き続き、新型インフルエンザ対策行動計画に基づきまして、ワクチン原液約一千万人分の備蓄を行うことといたしております。

 また、先生御指摘の、原液でございますので、これを製剤化する必要がございます。今、約二カ月ぐらいかかるのかなというふうに考えております。

村井委員 今、皆さん聞いて、わかられたでしょうか。今保管しているのは原液なんです。つまり、原液を製剤化するのに二カ月かかるとして、では、国内で発生しました、もしくは海外で発生した時点で製剤化するかもしれませんが、つまり、今の備蓄されている原液から製剤にするのに二カ月かかって、我々の対応策が本当に間に合うかどうかです。

 確かに、製剤化したら使用期限が短くなって無駄になってしまう可能性があるからということでやっておられるんだろうというのはよくわかった上で、本当に私たちは危機感を持っていかないと、プレパンデミックワクチンが今あるんだと言ったとしても、この原液を製剤化するのに二カ月かかって、ようやく二カ月後に我々の手元にプレパンデミックワクチンが行くということのリスクと怖さというものをもう一回しっかりと認識し、ある程度お金が無駄になったとしても、常にある程度を製剤化していかなきゃならないんじゃないのか。

 もちろん、製剤化してしまうと、しばらくしたら使用期限が切れて無駄になるのはわかった上で、リスク管理のために、私は、常に製剤としてある程度保管をしていかなきゃならないと思うんですが、皆さんはどう思うかどうか。

 そしてさらに、プレパンデミックワクチンじゃなくて本当のパンデミックワクチン、つまり、爆発的な発生をしたときのその菌をもとにつくるワクチンの方なんですが、これの生産量、それから生産能力、体制。もちろん、どういったものが広がるのかを見ないとパンデミックワクチンはつくれないんです。それはおっしゃるとおりなんですが、その生産能力や生産体制は十分にいっているんでしょうか、どうでしょうか。

高井政府参考人 先生御指摘のパンデミックワクチンでございますけれども、御指摘のように、新型インフルエンザウイルスを特定した後に、鶏卵を確保してパンデミックワクチンの生産を開始するように製造会社に要請するということにいたしております。

 この生産能力でございますけれども、新型インフルエンザワクチンの性状によって期間等の違いが生じるわけでございますけれども、全国民分のパンデミックワクチンを確保するための必要な期間といたしまして、鶏卵確保も含めて一年半から二年弱を要するということが想定されているところでございます。

 厚生労働省としましては、平成二十年度の補正予算において、パンデミックワクチンの生産能力の強化を図るということにしておるほかに、さらに効率的に生産できるように細胞培養ワクチンの研究開発を進めておる、こういうところでございます。

村井委員 大臣もお聞きになってわかると思うんです。一年半から二年かかるんです。もちろん、今それでもっと進めるという技術開発をやっているというのは、これはこれでいいことなんですが、本当に万全か、おられる災害対策委員の皆さんも、多分、今の話を聞いて不安を持ったんじゃないでしょうか。

 プレパンデミックワクチンですら二カ月間かかる。本当のパンデミックワクチンになると一年半から二年かかる。全世界が爆発的なパニックになったときに、我々日本はこれで対応策が追いつくのかどうかをちょっと真剣に見直して考えて、そして、今さまざまなことを言った対応策というのを見直していただきたいと思うんです。

 さらに、今、タミフル耐性の鳥インフルエンザが出てきた。H5N1型の中でもタミフル耐性のものも出てきたという話が出ている。リレンザも確かにあるわけなんですが、例えば、今それ以外の抗ウイルス剤は何個か開発されているわけです。私の地元の富山化学でもそうですし、また、ほか二社、民間でも新型の抗ウイルス剤があるんですが、それの開発状況、それから、実際に大量生産できる状態になるまでどのぐらいかかるんでしょうか、そしてまた、その効き目もよろしくお願いします。

高井政府参考人 先生御指摘の新規の抗インフルエンザ薬でございますけれども、現在、三種類の薬物を対象として治験、臨床試験が実施されているところでございます。最も早いもので本年中に承認申請を行うものが一つあるという予定であると聞いておるところでございます。

 期間でありますとか効き目とかいうことでございますけれども、現在治験が進められている状況でございますので、承認申請がされた際には速やかに我々としては審査をしていきたいと考えております。

村井委員 その承認申請がされた場合、通常は大体何カ月、ことしじゅうに承認申請を出して、申請から認可まである程度期間がかかると思いますが、大体平均でどのぐらいなものなんでしょうか。

高井政府参考人 まことに申しわけございませんけれども、先ほど申しましたように申請内容について速やかに審査をする構えでございますけれども、なかなか期間については申し上げられない状況でございます。

村井委員 今の話でもやはり少し不安があると思うんです。承認申請した後、認可されるまでの期間がある程度かかるだろう。大体平均的に二十二カ月ぐらいだと言われているんですが、そのままかかってしまったとして、その間にパンデミックが起こって、間に合うか間に合わないか。そのパンデミックが起こったものが本当にタミフルに耐性があるのかそれともないのかは私らもだれもわかりませんが、では、万一、タミフル耐性、つまりタミフルが効かないものだった場合、大変なことになってしまうんじゃないのか。

 ようやくそういった形でアメリカなど海外からもこの新しい抗ウイルス剤に注目が集まっている中で、この承認をいかに早く進めておくのか。そして、万が一のときに、緊急的な措置や対応、この決断も必要じゃないかと思うんです。無理やりどんとやって副作用があったら後で大変だというのはわかる上で、ちょっとその辺はリスクと実際に起こる被害とのバランスというものを考えながらやるべきだと私は思うんです。

 さて、そういった形で、最後にもう一つお聞きしたいんですが、この間通販でこの専門用の気密性の高いマスクを買ったんです。びっくりしたのが、二十個で六千円もしたのです。普通にドラッグフジイとかマツモトキヨシで売っているんじゃなくて、気密性の高いマスクというのが出たときに、いや、そんな値段がするのかと。しかも、これはインターネットじゃないと注文できぬのかというのが驚きました。これは別に質問じゃなくて、意見だけちょっと言ったんですが。そういったものを、今のうちから気密性の高いマスクというのを生産体制とかでもきちんと上げていく必要があると思うんです。

 さて、最後の最後で大臣にお聞きしたいと思うんです。

 今私が言ったことをちょっとまとめさせていただきますと、では、例えば爆発的な感染が一気に広がりそうになったときに、セントルイスがやったような学校や劇場や娯楽施設などを一気に閉鎖するということは、今、法律じゃないただの行動計画のままだと、これは至難ですよ。だって、法的拘束力がないものを勝手にがあっとやって後で民事訴訟で訴えられる可能性もあるとしたら、それはなかなか皆さん決断できないだろう。きちんと法律をつくって、今行動計画を法律へ上げて、強制力を発揮してパンデミックを抑えなければならないんじゃないかというのが一点。

 それから、入院の患者なんかも考えて、本当にばっとみんなが受け入れられる体制にして、入院患者を優先的に受け入れて隔離しても、追い出された既存の患者の訴訟などを避けるための法整備が一点。

 それからまた、さっき言ったマスクの話。

 さらに、プレパンデミックワクチンが二カ月かかり、パンデミックワクチンで一年半から二年たたないと我々の手元に入らない。ここも直さなきゃならないと思うんです。

 さらに、新型抗インフルエンザ薬が注目されているにもかかわらず、ことしようやく申請を出して、そこからある程度かからないと承認されないというこのリスク。

 こういったものを含めて、大臣自身に、防災大臣としての心意気、特に関係当局が連携して取り組む必要があると思うんですが、防災大臣の心構えをお聞きしたいと思います。

佐藤国務大臣 先ほど来るるいろいろなお話を聞かせていただきまして、大変勉強させていただきました。

 新型インフルエンザの対策につきましては、災害の対応とは異なるスキームで対応すべき事項であると考えておりますけれども、政府全体として取り組むべき重要な問題であるということは認識をさせていただきました。

 防災担当大臣としては、政府の一員といたしまして必要な協力をしてまいる所存でございます。

村井委員 以上です。ありがとうございました。

林田委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 昨年の六月十四日に、岩手県の内陸南部を震源とするマグニチュード七・二、そして深さが約八キロの地震が発生いたしました。それを受けて災特が開かれ、私も質問させていただきました。今回も、この災害復旧等を含めまして、関係府省にお尋ねいたしたいと思っております。

 まず、この岩手・宮城内陸地震では、震央から離れたところで緊急地震速報が少なからず効果を発揮したとされておるわけでありますけれども、震源から半径十五キロほどの地域には間に合わなかった、これは現実であります。その原因は、現在の緊急地震速報は、全国を網羅するよう約一千の観測点があるのでありますけれども、間隔は約二十キロから三十キロと粗く、地震発生から地震波の感知まで約五秒かかるためであります。

 最近、文部科学省は、活断層による地下直下型地震の震源近くでも大きな揺れが届く前に地震発生を伝えられる瞬時速報システムの開発を今春から開始すると聞いております。そこで、この瞬時速報システムの開発スケジュールと、その期待と効果がどのようなものであるか、文科省にお尋ねいたします。

田中政府参考人 先生御指摘ございましたように、今回の平成二十年岩手・宮城内陸地震では、震央から離れたところで緊急地震速報が効果を発揮いたしましたけれども、震央からおよそ三十キロメートル以内では速報が間に合わないということで、技術的な課題が顕在化したというふうに認識してございます。

 お尋ねがございましたように、平成二十一年度より開始する予定のリアルタイム地震情報システムの高度化に関する研究開発、特定活断層型地震瞬時速報についてでございますけれども、この事業は、平成十九年六月一日に閣議決定されましたイノベーション25の社会還元加速プロジェクト、「きめ細かい災害情報を国民一人ひとりに届けるとともに災害対応に役立つ情報通信システムの構築」に位置づけられてございまして、緊急地震速報を気象庁とともに開発した独立行政法人防災科学技術研究所において研究開発に着手するものでございます。

 特定活断層型地震瞬時速報は、これまでの緊急地震速報とは異なりまして、一つは、個々の活断層を直接の監視対象とし、震源や地震規模、それらに基づく震度予測の推定を、地震発生後に計算することなく、あらかじめ想定した震度分布を活用するということで、地震検知から速報発表までの時間の短縮を図るということでございます。

 平成二十一年度から、活断層直近の強い揺れにも耐え得る強震計の開発や、想定した活断層地震であるかどうかを単独観測点で的確に判断する手法の開発、それから地震発生を想定した地震の震度予測の高精度化といった研究開発を進めておりまして、平成二十四年度末には実用化レベルを達成するということを目標として進めてございます。

 このシステムの開発によりまして、例えば深さ十キロメートルで地震が発生しました場合、発生後三秒程度で活断層の地震を察知することができまして、二つの観測点のデータを必要といたしますこれまでの緊急地震速報よりも三から四秒程度早く、一般住民の方に対して精度のよい情報を提供できるというふうに考えてございます。

 このように、強い揺れが襲うまでの猶予時間がふえることによりまして、例えばエレベーターの閉じ込めの解消、工場プラントにおける機器の制御や停止、交通機関の運行制御などにより、人的、経済的被害が軽減されることを期待しているところでございます。

 以上でございます。

黄川田委員 お話のとおり、情報の発信側の体制、これは本当に強化されておるところでありますけれども、一方、情報を受信する側はどうなっているかちょっと見てみますと、全国瞬時警報システムでありますけれども、これは、ことしの四月中には大分を除く四十六の都道府県と、全国の一八%に当たる三百二十の市区町村が導入を終える見通しだということであります。整備に熱心な自治体がある一方で、逆に八割強の市区町村は導入していない、こういう状況になっております。

 大きな要因は、地方財政が厳しいということにあるかもしれません。受信に必要なモデムは総務省が無償で提供しているけれども、防災行政無線につなげ自動放送できるようにするには、数百万円ぐらいのお金がかかるということであります。

 私は岩手の人間で、三陸でありますので、明治そして昭和の大地震、それに伴う津波で犠牲者が大勢出たということで、やはり津波情報ということも含めて、この情報発信が大いに役立てばいいのでありますけれども、本当に明治、昭和で痛めつけられた沿岸の、具体的には山田町であるとか岩手の岩泉町であるとか、モデムはあるが活用するめどはない、そういうふうなことが役場の声として発信されるのでは、これはとても、送る側はしっかりしているけれども、受ける側がしっかりする中で、住民の避難、そして生命財産が守られるということでありますので、この辺もしっかりと総務省、財政措置などよろしくお願いいたしたい、こう思っております。

 関連して、宮城県沖地震でありますが、これは、これまで二十五年から四十年という比較的短い間隔で周期的に発生しておりまして、これまた文科省の地震調査研究推進本部の長期評価によれば、ことしの一月一日からですか、十年以内の発生確率は七〇%程度、三十年以内では九九%とされておるわけであります。評価対象の地震の中では最も高い発生確率ではないか、こう思っております。

 そこで、推進本部は、全国の活断層で起きる地震発生確率や調査手法を見直した上で、自治体ごとに地震発生確率を公表する方針を固めていると耳にしております。

 そこで、この地域区分のあり方など、どのような方法で地域の活断層による地震発生確率の長期評価結果を公表する方針であるか、重ねてお尋ねいたします。

田中政府参考人 政府の地震調査研究推進本部では、これまで、大きな被害をもたらしますマグニチュード七以上の地震を起こす可能性の高い、長さが二十キロメートル以上の全国百十の主要活断層帯を対象として、統一された基準のもとで、発生する地震の規模や発生確率などの長期評価を実施してまいりました。

 しかしながら、本年度で評価を一通り完了するという予定でございますので、今後は、短い活断層で発生する地震の規模などに関する評価手法を改良するための検討を行ってきているところでございます。

 この際、従来の活断層ごとの公表だけでは、住民の方に地域内の地震発生の危険性というのがわかりにくいということもございますので、評価そのものの実施方法に加えまして、評価の公表方法についても検討を行っているところでございます。

 地域ごとの地震の発生確率を公表いたしますと、従来に比べまして、国民が自分の周辺の活断層の存在を認識することが容易になりまして、防災意識の向上に資するということが考えられますことから、適切に区切られた地域ごとに今後評価を公表していくということを、地域区分のあり方も含めて現在検討しているところでございます。

 いずれにしましても、今後とも、活断層で起きる地震の評価手法の高度化を図る一方、先生御指摘のありましたように、よりわかりやすい公表方法についても検討を行って、活断層の情報提供の充実に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

黄川田委員 加えて、文科省では、大規模な地震が発生する可能性が高くて周辺人口が約五十万以上の七つの活断層について、今年度から十年計画で重点調査をするということを決めておるようであります。それからまた、これまで手つかずであった沿岸の海底活断層約六十カ所の調査にも乗り出すということであります。

 そこで、この調査概要はどのようなものかお尋ねいたしますし、また、私が住む三陸沿岸でありますけれども、その三陸沿岸にも調査計画が立っているのか、お尋ねいたします。

田中政府参考人 政府の地震調査研究推進本部では、平成二十一年度からの十年程度の地震調査研究の基本となります計画、「新たな地震調査研究の推進について」を本年三月六日に取りまとめまして、地震防災対策特別措置法に基づき、今後、中央防災会議に諮った上で決定する予定でございます。

 この中で、当面十年間に取り組むべき地震調査研究に関する基本目標の柱に、活断層等に関連する調査研究による情報の体系的収集、整備及び評価の高度化が掲げられておりまして、具体的な目標といたしましては、一つは、発生確率が高い、あるいは発生した際の社会的影響が大きい活断層などが分布する地域を対象とした評価の高度化、もう一つは、沿岸海域活断層等の未調査活断層の評価の高度化などが掲げられてございます。

 さらに、これらの基本目標実現のために新たに必要となります活断層調査に関する基本方針や実施方法などを取りまとめた活断層の新たな計画におきましては、重点的調査観測の対象候補の追加や、沿岸海域活断層調査の基本方針などが掲げられてございます。

 この中で、重点的調査観測につきましては、人口が集中する地域に存在する活断層で地震が発生した場合、社会経済活動に与える被害が甚大となるということが予想されますので、第一に、断層が通過する市町村の総人口がおおむね五十万人以上を超えるなど地震が発生した際の社会的影響が大きく、第二に、いつ地震が発生してもおかしくない状態にあると考えられます地震後経過率の最大値が一・〇を超えているという二つの基準を満たす七つの断層帯を、重点的調査観測の対象に新たに追加したところでございます。

 重点的調査観測の対象の活断層におきましては、地震の規模、地震発生時期、強震動の予測手法などの高度化を目的としまして、地形学的調査、地球物理学的調査、地質学的調査などを総合的に実施するということにしておりまして、平成十七年に策定されました「今後の重点的調査観測について」で選定されました六断層帯と合わせて、全部で十三の断層帯について今後十年程度で調査観測を実施していくということにしてございます。

 また、先生御指摘のございましたように、これまで手つかずでございました沿岸海域の活断層調査につきましては、陸域での震度が六弱以上となる全長二十キロメートル以上、かつ陸域から三十キロメートル以内の沿岸海域にある活断層を対象として、今後十年程度をかけまして、活断層の位置、形状や活動履歴を明らかにするために、海底地形調査及び海底堆積物調査などを実施することとしてございます。

 また、先生御指摘のございました三陸沖、三陸沿岸につきましては、今回、主要活断層帯の海域延長部に相当する活断層ということで、重点的に二十五の活断層を指定してございますが、その中には含まれてございませんけれども、いずれにしましても、三陸沿岸についても、今後さらに沿岸海域の主要活断層帯の調査を、三年程度をかけて調査してまいりますので、その中で、もし幾つかその対象になるものがあれば、また具体的な調査方法を検討した上で、鋭意調査を実施していきたいということでございます。

 以上でございます。

黄川田委員 後段の方の、三陸沿岸の調査は今現在ではないということでありますけれども、いずれ、日本列島で起きる地震の半分ぐらいは三陸沖で起きていると思いますので、その辺も含めて調査していただきたい、こう思っております。これは要望であります。

 次は、気象庁の方に、地震計についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。

 地震計でありますけれども、一月現在で、自治体が二千八百四十二地点、防災科学研究所が七百八十一地点、気象庁が六百二十二地点、全国で四千二百強に及ぶ、このうち自治体が設置しているものもありますけれども、老朽化しているものや、設置方法が不適切なものもあるようであります。四千二百強に及ぶ設置でありますから、そういうものもあるんでしょうけれども。

 去年の七月に、一カ月ちょっとでまた岩手に大きな地震が起きまして、岩手県沿岸北部地震でありますけれども、このとき、設置した洋野町の最大震度六強ということで、この震度が後で取り消されたわけであります。発表の震度と実際の被害がずれているんじゃないのか等々言われるところがありまして、地震観測体制を見直すために検討会はどのような方針を立てているのか、それから震度計に関してどのような対策を講じようとしているのか、気象庁にお尋ねいたします。

櫻井政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月の岩手・宮城内陸地震や七月の岩手県沿岸北部の地震におきまして、震度の大きさに比べ建物の被害が少ないのではないかという御指摘がございました。こうした御指摘を踏まえて、気象庁では、消防庁と共同で震度に関する検討会を設置して、昨年末より検討を進め、三月の二十三日に取りまとめを行いました。この取りまとめでは、現行の計測震度は罹災証明などによる被害状況との相関は比較的よく、計測震度を防災の初動対応として用いることに大きな問題はないことが示されたところでございます。

 また、震度別に発生する現象や被害などをまとめました震度階級関連解説表の改定案が示されたところでございます。気象庁におきましては、この改定案をもとに、三月の三十一日、解説表の改定を行ったところでございます。この新しい解説表では、建物被害を耐震性の高い低いに応じて記載するとともに、建物被害の様相をより具体的に記載するといったように、近年の大きな震度の事例も踏まえた改定を行ったところでございます。

黄川田委員 残り時間がなくなってまいりましたので、それでは次に、砂防対策事業についてまとめて質問させていただきたいと思います。

 岩手・宮城内陸地震における災害復旧でありますけれども、特に緊急的な対策の必要性が生じた九カ所の天然ダムについては直轄砂防災害関連緊急事業が実施されたわけであります。

 そこで、本年度は、栗駒山系の直轄特定緊急砂防事業として、国交省は五カ年計画で迅速な対応を図る見通しでありますけれども、今年度の事業費、事業内容、概略をお尋ねいたしますともに、やはり国の事業、県の事業といいますか、岩手、宮城両県と砂防対策関連の復旧対策を急ぐ中で、国と両県との業務分担、これはどのような考え方で整理して方向づけたのか。そしてまた、岩手、宮城両県の実施分の進捗状況、この概要はどうか、重ねてお尋ねいたします。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 岩手・宮城内陸地震で被害を受けた地域でございますが、この地域は基本的には岩手県、宮城県が砂防工事を実施することとされている地域でございます。しかしながら、委員御指摘のように、今回の地震の甚大な土砂災害の発生に伴いまして、今年度は直轄砂防災害関連緊急事業で、総額六十一億円の事業で、排水ポンプの設置、応急的な仮排水路の開削など緊急的な決壊防止対策を行ってきたところでございます。

 引き続きまして、抜本的な対策工事でございますけれども、岩手、宮城両県の要望を受けまして、新たに直轄特定緊急砂防事業という制度を創設いたしまして、栗駒山系で、おおむね五カ年で抜本的な対策を実施しようと計画しております。平成二十一年度は、約三十四億円の事業費によりまして、砂防堰堤工八カ所、渓流保全工一カ所、計九カ所で対策を進める予定でございます。

 さらに、県との役割分担でございますけれども、先ほども申しましたように、基本的には岩手県、宮城県が砂防工事を実施することとされている地域でございますけれども、今回の激甚な災害にかんがみまして、岩手、宮城両県と協議いたしまして、基本的な方針といたしまして、直轄事業については河道閉塞の決壊防止対策など高度な技術を要する大規模な工事を行い、両県におきましてそれ以外の人家、集落近くでの砂防工事を受け持つこととしたものでございます。

 岩手、宮城両県によって実施される状況でございますが、平成二十年度に災害関連緊急砂防事業を合計九カ所で採択し、すべての箇所において工事を進めているところでございますし、また平成二十一年度からは、これらの緊急対策に引き続いて、地域の集落等の安全を確保するため、砂防激甚災害対策特別緊急事業により、おおむね三カ年の予定で砂防堰堤七カ所の整備を行う予定でございます。

黄川田委員 国交省お話しのとおり、本来であれば宮城、岩手の県の仕事だということ、しかしながら大規模災害だという認識は大いにある、そういうことで、被災の翌日から国交省はチームをつくって、土砂災害危険箇所の緊急点検ですか、本当にしっかりやっていただきましたし、それから、なかなかしゃべりにくいあれですけれども、直轄特定緊急砂防事業、これを新たに創設したということで、県の方も本当に助かるという思いだと思っております。さらなる支援体制をしっかりとやっていただきたい、こう思っております。

 それでは次に、被災林地の激甚災害指定についてお尋ねいたしたいと思います。

 これは前回も聞いたわけでありますけれども、これまで激甚災害指定の対象は、一度形あるものとしてつくられていたものが自然災害で損傷をこうむった場合の復旧事業、これを主体に対象として考えられてきたということであります。昨今の地球温暖化対策などを踏まえまして、国の補助金が入っている間伐あるいは造林などの緑の社会資本の造成、形成といいますか、あるいはまた森林の有する公益的機能、こういうものを考えれば、激甚災害法の基本的な考え方を抜本的に見直す時期に来ていると考えるのでありますけれども、前回の質問に対して内閣府も検討してみたいというふうな話をされましたが、いかがでしょうか。

 そしてまた、地震発生を契機に、昨年の十一月六日に北海道東北地方知事会は総合的な地震対策の強化に関する緊急提言を行っておりまして、とりわけ大規模な土石流など二次災害を引き起こしかねない河道閉塞の原因となった林地崩壊対策に要する経費をぜひとも算定対象に含めるなど、具体的な激甚災害指定基準の見直し、これを強く要請しておるわけでありますけれども、改めて内閣府の見解をお尋ねいたします。

大森政府参考人 お答えいたします。

 まず、先生御指摘になられましたように、激甚災害制度は、地方公共団体の災害復旧等を支援するため、施設の災害復旧に要する事業費等が一定の基準を超える場合に、災害復旧事業費の国庫補助率のかさ上げの特例措置などを講ずるものでございます。

 今、知事会の方のお話もございましたけれども、例えば林地崩壊につきましては、再崩落を防止するための堰堤の施設等を、通常の事業よりも補助率の高い災害関連緊急事業等により、そういった大規模の林地崩壊等については対応しているところでございます。これは、施設の復旧というよりは、いわば再度災害の防止という観点から行うものでございます。

 委員御指摘のように、こういった林地崩壊また造林、そういったものを激甚災害制度の対象に追加することについては、昨年の六月、委員から御指摘をいただいて、我々も関係省庁とも検討をしてきたところでございますけれども、施設の復旧事業を中心とする激甚災害制度の基本的な考え方に関係するということ、また事業の所管省庁における既存の制度や補助事業のあり方とも密接に関連する問題というようなことでございまして、今後も十分な検討が必要ではないかというように考えているところでございます。

 ただ、政府といたしましては、関係諸制度を積極的に活用して、林地崩壊に係る被害等々についても一体となって適切に対応していきたいというように考えております。

黄川田委員 内閣府の方から、役所としての答弁ということです。しかしながら、山林は緑の社会資本といいますか、公共施設が壊れたら直すというふうな激甚災とはまた別な見方もこれからしていってほしいと思うわけであります。

 大臣には通告しておりませんでしたけれども、佐藤防災大臣もたしかこの現場には行かれたと思っております。祭畤大橋という大きな橋が落下して、その後、早速仮橋はできましたけれども、それから、岩手側よりも宮城県側の林地の崩壊をまざまざと見てこられた、こう思っております。そういう見てきた現場を踏まえて、大臣のこの激甚災に対する、今のやりとりの感想でも、ちょっとお尋ねいたします。

佐藤国務大臣 昨年現地を見させていただいて、自然の力というのはこんなにもすごいものだなというものをまざまざと見させていただきました。

 今先生御指摘の点等々、よく役所とも相談をいたしまして、御趣旨に沿えるようなことができるかできないか、ちょっと検討させていただきたいというふうに思いますし、完全なる復旧というのはなかなか難しいかもしれませんけれども、何らかの形でやれることがあったら検討してみたいというふうに思っております。

黄川田委員 残り時間がもう少なくなりましたので、最後に、宮城県沖地震に関係する津波対策についてお尋ねいたしたいと思います。

 国交省は、港湾局と国土地理院の従来型の百五十五カ所の陸上型の検潮所の波浪情報に加えまして、ブイ式のGPS波浪計の観測情報を、既に公表している二基のほか、この四月から新たにたしか六基追加し、観測体制を強化し、観測情報を公表する、こういうことになっているはずであります。

 そこで、波の高さといいますか、波浪といっても、それが高潮などの気象現象に由来するものなのか、あるいはまた地震による津波に由来するものなのか、その判別は難しいものがあると思うわけでありますが、短時間に的確に判断して津波情報として発信しておるわけでありますけれども、これはどのようにして発信するんでしょうか。区分けは簡単にできるんでしょうか。

櫻井政府参考人 お答えいたします。

 気象庁では、地震の発生を常時監視しておりまして、地震が発生した場合には、震源のデータなどをもとに直ちに津波の発生の可能性を評価するとともに、波浪計や潮位計により観測された潮位のデータの変化を監視いたします。

 先生お尋ねの津波に関しましては、ごく小さなものを除きまして、潮位の変化の周期や振幅などといったものが高潮や波浪とは明瞭に異なる特徴があること、そして、津波の到達予想時刻をも参考にしつつこれらの変化を読み取ることによって、津波の観測を行っておるところでございます。

黄川田委員 気象庁はしっかりやっているということでしょうか。

 それでは、最後に消防庁の方にお尋ねいたします。

 いずれこのように、文科省あるいはまた気象庁、どんどん技術革新のもとにいろいろな情報を、発信側は整備されてくるわけなのでありますけれども、この情報を受けて、どうやって地域住民の生命財産を守るかというところがまた一番大事なところであります。何度も言いますけれども、地震によって津波が来て、それで犠牲者が多く出たという場所でありますので。

 それで、この気象庁の情報と市町村の防災行政無線との連携、この辺はしっかりなっているか、消防庁にお尋ねして、質問を終わりたいと思います。

幸田政府参考人 お答えいたします。

 一般的には、波浪観測情報につきましては、気象庁から都道府県、市町村に伝達されまして、その伝達を受けた市町村において、市町村の判断で、防災行政無線、広報車等の手段を用いて地域住民に伝達するということになるものでございます。

 今お話ございました、三陸沖に展開をしているGPSの波浪計による波浪観測情報につきましては、平成十九年以降順次設置が進んできておりまして、その試験期間の後、観測を開始し、気象庁で津波情報として昨年から発表しているということでございますが、この情報をどのように避難判断等に活用できるかにつきましては、現在、国交省東北地方整備局を中心に検討が進められているというふうに承知しているところでございます。

黄川田委員 これまでの答弁を聞いておりますと、やはり、浜に住む人間は、初期動作として、大きな地震があったら高台に即逃げろ、これしかないようですね。

 以上で終わります。

林田委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美です。

 一昨年の臨時国会で被災者生活再建支援法が改正をされ、かなり支援対象の幅も広がって、使い勝手もよくなった。加えて言えば、その年に発災をした地震についても遡及をするということで、大変効果のあった改正だというふうに感じております。

 しかし一方で、被災者生活再建支援法の運用については、被害認定基準運用指針というものにのっとって被災自治体などが被害認定を行っているわけでありまして、被災者生活再建支援法の見直しとあわせて、この被害認定基準運用指針、これをもあわせて見直していかなければならないのではないかということは、この委員会の中でも多くの委員から指摘があったことだと思います。

 その後、約一年半過ぎました。私も昨年の四月の二十二日にこの災害特で質問をさせていただきましたときに、実は、前回の法改正のときに附帯決議がついておりまして、その第二番目の項目でこういうふうに書かれています。浸水被害及び地震被害の特性にかんがみ、適切な運用が確保されるよう検討を加えるというふうに記載をされておりまして、当時の泉防災担当大臣は、より実態に近くすべきだという認識を述べてくださった上で、本格的な運用指針の見直しについてはもう少し時間をいただきたいというふうに答弁をいただいておりました。その後、検討会が設置されたようでありまして、この運用指針の見直しについては検討が進んでいる、これは大変結構なことだと歓迎をいたします。

 さてそこで、その中身といいますか、その方向性についてきょうは幾つかお伺いをしたいと思っておりますけれども、まずその前提といたしまして、今回のこの検討会のスケジュール、これはどんなふうになっているのか、今後どういうスケジュールでこの見直しがまとめられていこうとしているのか、その点からまず伺いたいと思います。

大森政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど先生御指摘になりました附帯決議の内容であるとか、また、さまざまな委員会等で御指摘をいただいております。これらの御指摘を踏まえまして、昨年の十月に学識経験者等により構成する検討会を設置し、検討を進めてまいりました。本年の三月には第二回の検討会を開催し、被害認定の調査、また判定方法の見直しについて御議論をいただいたところでございます。

 現在、引き続き検討を進めているところでございますが、検討結果についてパブリックコメントも実施した上で、本年の六月ごろに第三回の検討会を開催し、議論の取りまとめを行いたいというように考えているところでございます。

西村(智)委員 そこで、具体的な内容といいますか方向について伺いたいと思います。

 私も、何度か地元の県で災害がありまして、現場を見るたびに、被災された皆さんの混乱、そして、それに対応しなければならない窓口の方の混乱を見てまいりました。この罹災証明を発行するための手続が、もう少し簡略化といいますか、応急危険度判定から罹災証明の発行までが一連の流れとして行われる、しかしそのときには、迅速性はもちろんなんだけれども的確性もきちんと考慮しなければならない、そういう仕組みを検討すべきではないかという質問をしたことがありますけれども、この点についてはこの検討会でどういうふうに検討されておられるのでしょうか。この点を伺います。

大森政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたように、まだこれは検討中の事項でございまして、今後、最終的な六月までにはいろいろな紆余曲折があるのではないかと思いますけれども、現在の検討している状況を申し上げますと、先ほど先生御指摘の応急危険度判定との連携でございます。これも一つの項目に挙げさせていただいておりまして、我々の被害認定調査の方針を決める際に応急危険度判定の判定結果を参考にすることができる旨を明記するなど、そういった連携についてより明確にあらわしていければというように考えているところでございます。

西村(智)委員 続いてもう二点、今度はちょっと時間の関係もありますので、ぱっぱと伺っていきたいと思いますけれども、やはり、一度認定を受けた後で新たな被害の実態が明らかになる場合というのがあります。そこで、住民の方からは再調査を希望する声があったかと思いますけれども、今回の検討会では、この再調査の実施については、検討項目として盛り込まれているのでしょうか。また、再調査が行われるというときには、その必要、不必要を判断する基準というようなものを明確にすべきだというふうに考えますけれども、この点、いかがでしょうか。

大森政府参考人 まず、再調査の実施についても、検討会の中では検討対象とさせていただいております。具体的な調査の実施の後、被災者から判定結果に不服があった場合には、市町村は、当該被災者の不服の内容を精査し、再調査が必要と認められる点があれば、その点について再調査を行い、これに基づく結果を理由とともに被災者に示すというような形で、今考えさせていただいているところでございます。

西村(智)委員 次に、個人の宅地が被害を受けたときなんですけれども、個人の宅地に公共的な支援を行うということについては、中越沖地震のときにもかなり、問題は生じている、被害は生じているんだけれども、なかなか被災者生活再建支援法の枠の中では難しいということで、これはたしか国土交通省の基盤整備事業の一種を使って支援を行っていただいたと記憶をしておるんです。今回の検討会では、こうした個人の宅地における地盤被害への対応、これも可能になる方向で検討されているのでしょうか。

大森政府参考人 お答えいたします。

 さまざまな指摘の中に地盤被害に対する指摘が多く見られたのは事実でございます。したがいまして、我々、公共団体のアンケートなどにもそういう地盤被害の問題点もまたあわせて出てきているというようなこともあって、この地盤被害についてどのように対応するかというのは大きな課題の一つとして検討会で取り上げてまいりました。

 そういう意味では、全壊と判定できるような場合、今までは一定の制約をもって、一定の条件でもってやっておりましたけれども、それ以外にも一見して全壊と認められるような例があるのではないか、そのような基準がつくれないだろうかというようなことを今考えておりますし、また、その他の地盤の損傷について、適宜この基準の中に盛り込めないであろうかというようなことで議論をさせていただいているところでございます。

西村(智)委員 そこはぜひ期待したい点の一つでございます。

 もう一つ、今回の運用指針の見直しに当たってぜひ盛り込んでいただきたいと申しますか、泉大臣も当時、本当に認識を深めていただいていたと思いますけれども、水害についての被害認定の件です。

 これは、我が党の寺田学議員が災害特、この委員会でも指摘をしておりましたけれども、水害についての被害認定は、各部位ごとの構成割合を全部足し合わせても七〇%にしかなっておらず、しかも、損傷程度の数字も地震と比べると非常に低いということで、この点についても実態に合わせた見直しが必要ではないかというふうに主張がありました。私たちもしてまいりました。今回の検討会では、この水害の被害認定についてはどういう見直し方向になっておりますか。

大森政府参考人 お答えをいたします。

 従来、水害の場合には、今御指摘のように浸水で七〇%、そして、水圧がかかった場合は、そちらを地震の方で見ていただいてトータル一〇〇%まであり得るというようなことでございましたけれども、そこは非常にわかりづらいというようなこともありまして、地震に対して非常に厳しくこの基準ができているのではないかというようなことが多く議論をされました。

 我々も、そういう御指摘を踏まえまして、現在のところ、水害によって柱また基礎についても損傷が生じた場合、部位別構成比の合計は地震と同じ一〇〇%とするというような形で、水害という項目を設け、部位別構成比を合わせるとトータル一〇〇%になるように、そういったカテゴリーを設けて整理をするというような方向で議論させていただいているところでございます。

西村(智)委員 水圧と浸水と今まで分かれていて、水圧の方は地震と同じ基準を適用していたので、言ってみれば、今のカテゴリーでいうところの水害でも、例えば全壊というようなこともあり得たという今の御説明だったと思います。

 実際に私も、また地元の県の話で恐縮ですけれども、二〇〇四年に三条市というところで水害が発生して、川が決壊して、本当に多くの世帯が水浸しになったときに、あのとき、たしか全壊世帯という認定を受けたところはなかったんです。しかし、私が聞いているところでは、もうとても住めない、泥が床にまで入ってきて、床を全部はがしてしまった、壁も柱も損傷が大変ひどくて建て直した、結果としてそういうことになっているお宅が大変多いというふうに承知をしています。

 そうしますと、今回の検討会の結果によって、今参考人から答弁いただいた方向で進んでいくとすれば、今まででいうと水圧と浸水とあったわけですけれども、浸水被害しか受けなかったところも今後は全壊となる可能性が高まる、全壊とか大規模半壊とかありますけれども、要するに、被災者生活再建支援法の適用対象となる可能性は今までと比べると高まる、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。

大森政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げたものにつきましては、従来から水害に関しても、浸水で七〇%、そして水圧で崩壊した場合には三〇%見られるということで、トータル一〇〇%というのは変わらない。それをわかりやすく、地震、水害という形でカテゴリーを分けたということでございます。

 しかしながら、もう一つ申し上げたいと思いますが、水害の場合、よくある被災内容の一つとして、先ほどおっしゃられました悪臭であるとかカビであるとか、そういう問題がございます。その悪臭であるとかカビであるというのが今まで必ずしも明確ではなかったということがございまして、今回、この悪臭、カビの点についても検討項目の中に入れております。浸水した住家の悪臭、カビの原因となるような被害を損害割合として算定するということで、例えば、申し上げますと、基礎に汚泥が堆積する被害が生じた場合には基礎及び床の損傷として取り扱う。基礎に汚泥が堆積するとそれが悪臭の原因になったりしますから、そういう意味で、基礎、床の損傷として取り扱うというのが一つございます。

 それから、壁の内部に浸水する被害が生じた場合、これも悪臭、カビの要因となるわけですが、そういった被害が生じた場合には内壁及び耐力壁の損傷として取り扱うというようなことで、悪臭、カビの大きな要因を損傷割合として見ることによって、より適切な被害認定ができるのではないかというように考えているところでございます。

西村(智)委員 悪臭なども検討項目に入っているということでしたら、ぜひその検討会のスムーズな議論を期待したいと思っております。

 大臣にお伺いをいたします。

 先日お伺いした所信の中でも、この運用指針の適切な見直しと申しますか、取り組んでいきたい、そういう所信がありましたけれども、大臣としては、この検討会での議論を含めて、被災者生活再建支援法の運用についてどういう方向で取り組んでいこうと決意されておられるのか、そこを伺いたいと思います。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 被害者認定を実施したことのある市町村を対象としたアンケート等を実施いたしまして、住宅被害認定に関する課題を抽出したり、水害等の被害実態を適切に反映でき、より的確な調査が可能となるような被害認定の調査、判定方法の検討を行っているところでございまして、被害の実態に即した適切な認定が可能になるよう、検討会の議論を踏まえまして、先ほど統括官がいろいろ細かいお話をしたところ等々も、よく先生方の御意見を反映できるような、住宅被害認定に関する課題をできるだけ改善していきたいというふうに考えております。

西村(智)委員 ぜひよろしくお願いをいたします。ありがとうございます。

 それでは続きまして、先ほど黄川田委員からも少し触れられました防災行政無線のことについて、少しばかり伺いたいと思います。

 今の住民に対する災害についての情報の伝達というのは、国で設置している仕組みでいうと中央防災無線があって、そして都道府県の防災行政無線があって、市町村の防災行政無線がある、こういう仕組みというかつくりになっているというふうに承知をいたしますけれども、この防災行政無線について、実は、市町村防災行政無線ですが、この間、整備が余り進んでいないという実態があるようでございます。あるようでございますと申し上げるのは、その実態が、実はかなり市町村任せになっているといいますか、市町村で独自に判断していただくということなどもあったりして、実態が非常にわかりにくいということもあるんです。

 まず一点伺いたいのは、この市町村防災行政無線は、平成二十年三月三十一日現在で、各都道府県別で見たとき、全国の整備率が七五・五%というふうに防災白書にあります。この整備率なんですけれども、まず、そもそものところから伺いたいんですが、この整備率というものの定義は何でしょうか。もっと細かく言いますと、整備率は全市町村数分の整備市町村数ということになっております。整備市町村というものの定義は何なのか、まずそこから教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、佐田委員長代理着席〕

幸田政府参考人 お答えいたします。

 整備率は市町村の数ではかっております。全国の市町村の数の中で、防災行政無線を整備している市町村の割合が七五・五%ということでございます。

西村(智)委員 いや、整備市町村というのはどういう市町村のことを言うんですか。

幸田政府参考人 市町村が防災行政無線を整備する場合には、全域に整備している場合と、場合によっては一部の地域だけ整備している場合がございます。

 整備している市町村というのは、その市町村の中で一部のみ整備している場合も、整備の市町村としてカウントをしているところでございます。

西村(智)委員 つまり、例えば同報系のスピーカーが一本立っている、それも大きな町の中で一本立っているというのも、町として設置していますということであれば、それは整備市町村に含まれるということでよろしいですね。うなずいていらっしゃいますので、そういうことです。

 それが本当に整備市町村と言えるのかどうか。そして、それをベースにして全国の整備率が七五・五%ですとおっしゃっておられるわけでありますけれども、これは非常にアバウトなデータのとり方だなと思います。こちらの委員席の方からは失笑が漏れておりましたけれども。

 そこで、次に伺いたいのは、新潟県中越地震のときに、電源が入っていないということで防災行政無線が使えなかったということがありました。そのときに私も質問しましたが、当時、二〇〇四年の十一月でしたけれども、そのときに市町村防災行政無線の整備率、この整備率の整備が、先ほどお聞きいただいたように大変怪しいものなんですけれども、いずれにしても、その整備率があるとすれば、それは六七・八%であった。現在は七五・五%ということなんですけれども、これはなぜふえていかないんですか。この間、いろいろな災害がありましたね。もう本当に、地震に、台風に、水害に、竜巻にといろいろありましたけれども、この整備率がふえていない理由について伺います。

幸田政府参考人 防災行政無線につきましては、総務省消防庁といたしましても、防災基盤整備事業と位置づけて財政支援措置を講じているところでございますけれども、市町村におきましては、防災行政無線を整備するに際して財政的な費用がかかるということ等から、その整備がおくれているところがあるということでございます。

 今委員御指摘のように、現在七五・五%、これは先ほどお話ございましたように市町村単位でございますけれども、市町村の方で現在そういう数字になっておりますが、一層その整備が進みますよう、取り組んでまいりたいと考えております。

    〔佐田委員長代理退席、委員長着席〕

西村(智)委員 ちょっと確認したいんですけれども、二〇〇四年に質問したときに、市町村の防災行政無線の整備については補助金対象だという答弁をいただいておりますけれども、これは現在もそうですか。補助金制度は続いているか、それとも、もう交付税措置だけになってしまっているのか、伺います。

幸田政府参考人 現在は、防災行政無線につきましては、先ほど申し上げましたように、地方債と普通交付税措置を組み合わせました防災基盤整備事業による財政支援措置を行っているところでございまして、補助金の対象とはなっておりません。

西村(智)委員 市町村防災行政無線ですけれども、広がっていかない、なかなか整備率、「整備」とかぎ括弧をつけたいくらいなんですけれども、整備率がふえていかないことの理由は、市町村にとってかなりこれが高額なのではないかという指摘があります。システムの整備とその運営に割と高額がかかるということで進んでいかないのではないかというふうにとらえられているんです。

 私は、自治体の住民に対する情報の伝達というのは、先ほども議論で出てまいりましたけれども、やはり市町村が独自の、例えば地形の状況ですとか、住民の密集度の状況ですとか、そういったものを判断して、それぞれに適切な、合ったやり方で進めていくのがやり方であろうと。国が、一律これでいきなさいというふうにはなかなか言えないわけであります。しかし、こうやって、助成対象として市町村の防災行政無線の整備を促進してくださいというふうに制度を設けていながら、この災害が多かった数年間においても整備率がほとんど上昇していないということは、やはり情報伝達手段についてはここで見直しをすべきではないかというふうに考えているんです。

 ほかの制度で代替してやられているというのであれば、それはそれで大変結構なことだと思いますけれども、きのうも伺いましたが、役所の方ではそれは把握をしていないというようなことでありましたし、国としては市町村防災行政無線の設置をただ一生懸命市町村に働きかけをしていくという答弁があっただけでして、しかし、進んでいないという現状をどうとらえて、今後どう進めていこうとしているのか、その点について、やはりここはしっかりと考え直すべき時期ではないかというふうに思うんですけれども、この点についての見解を伺います。

幸田政府参考人 今委員お話ございましたように、いろいろ活用できる方法、手段があるのではないかということで、財政的な理由により防災行政無線の早期な整備が困難な場合につきまして、自治体の方が、安価な代替手段として、MCAの陸上移動通信システムを活用するということもできるわけでございまして、こちらを活用する場合につきましても、防災基盤整備事業の対象として財政支援措置を講じているところでございます。

 また、インターネットあるいはケーブルテレビ等についても、地域住民に伝達する手段の一つとして活用できるものだというふうに考えております。この点につきましては、総務省として、地方公共団体が行いますインターネットあるいはケーブルテレビ等の整備について、地域情報通信基盤整備推進交付金という形で支援を行っているところでございます。

西村(智)委員 直接的な答弁はいただけなかったかと思いますけれども、私は、やはり市町村がもっと選択の幅を持って、より確実で、より双方向な情報の収集と伝達ができる、そういう仕組みに、国としても少し頭の中を切りかえていくべきではないかというふうに考えます。

 そのことを指摘して、時間になりましたので、質問を終わります。

林田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 二月の初めに、昨年六月の岩手・宮城内陸地震で被災した栗原市に行ってまいりました。いまだ避難指示も勧告も解除されず、花山地区では七十世帯百八十人、耕英地区では四十一世帯百人が仮設住宅で年を越しました。

 くりこま耕英震災復興の会の会長さんからお話がありました。地震があった当初、イチゴが赤くなっている、イワナもいる、温泉もあるのだ、ここで生業がある、そういう気持ちで二日間、山にとどまったといいます。畑に肥料をまいて、収穫できないまま借金だけが残る、いわゆる生活の場と生業を奪われた、そういう声を聞いてきました。ですからこそ、地域の復興と個人の復興の両方が必要なのです。これが被災地の声であります。

 私は、生業の道を断たれ、長期避難生活の中、新しく生活を始めなければならない被災者の皆さんに何か支援ができないのか、長期避難世帯として認定をされ、みなし全壊という方法もあるのではないか、このことについて考えていきたいと思っております。

 そこで、まず資料の一を見ていただきたいんですけれども、これは「旧制度」「現行制度」というふうに上と下に書いてありますけれども、一昨年の本委員会で全会一致のもとに成立をした被災者生活再建支援法の改正によって見直しがされたという意味の現行制度であります。

 旧制度は、(2)にあるんですけれども、「令」という言葉で、新制度は「法」ですから、法律に書かれているということです。「令第二条第二号に定める世帯とは、」ということで、「火砕流等の発生により、住宅に直接被害が及んでいるか、又は被害を受ける恐れがあるなど世帯に属する者の生命又は身体に、著しい危険が切迫していると認められることから当該住宅への居住が不可能な状態が既に継続しており、かつ、その状態が引き続き長期にわたり継続する可能性がある当該世帯等をいうものとすること。」この規定は全く同じであります。

 そこで、アンダーラインのところなんですね。旧制度は「概ね六月程度以上の居住不能状態が継続することが見込まれるとともに、世帯の生活及び住宅の実情等から新たな生活を開始する必要性が生じていると判断される場合」、現行制度が「認定時点において、避難状態が解消する見通しがなく、世帯の生活及び住宅の実情等から新たな生活を開始する必要性が生じていると判断される場合」ということで、「概ね六月程度」というものが取られております。

 これはどういうことなのか、趣旨は基本的に同じだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

大森政府参考人 お答えをいたします。

 先生御提出の資料にございますように、従前の被災者生活再建支援法の施行通知におきましては、長期避難世帯として認定する場合は、「概ね六月程度以上の居住不能状態が継続することが見込まれるとともに、世帯の生活及び住宅の実情等から新たな生活を開始する必要性が生じていると判断される場合」を規定したところでございます。

 この考え方でございますけれども、この法律につきましては、制定当初から、長期避難世帯を全壊世帯と同等の被害を受けたと認められる世帯と位置づけてきたわけでございます。こういったところからわかりますように、避難状態が解消する見込みがないことから、新たな生活を開始する必要性が生じていると判断される世帯を従前から同法の支援対象としていたものでございます。

 しかしながら、御指摘のように、従前の通知では、六月以上の居住不能状態の継続という文言が入っております。この文言があるために、長期避難世帯の認定対象が六月以上であればなるのではないかというような誤解を与えていた面もございます。したがいまして、今回といいますか、十九年の法改正の施行通知の際にこの文言を見合わせたものでございます。先生御指摘のように、この改正の前後において長期避難世帯の認定についての考え方が変わったわけではございません。

高橋委員 考え方は変わっていないという御答弁だったと思います。

 二枚目に、この間の長期避難世帯適用事例というのをつけておきました。噴火災害だけではなく、皆さんの記憶に新しい中越地震なども含め、このように適用になっていると。

 そこで、私は、今の考え方をむしろ非常に前向きにとらえて、結果としては避難は、何年かあるいは十数カ月とか、そういう形で解除をされているわけですが、しかし、その間の、やはり非常に長期に続き、新しい生活が必要だということで適用になっている。そのことは、逆に言うと、六カ月たつのを待つという発想よりも、もう当面、六カ月どころかまだまだかかりそうだよ、見通しはまだないよというときに、もっと早い段階で、こだわらずに適用ということもこれありなのか。それで、これは基本は知事が認定をするものである、ここはよろしいでしょうか。

大森政府参考人 お答えいたします。

 この認定については、御指摘のように都道府県知事が行います。したがいまして、この五件のケースでございますが、五件のケースとも知事が、それぞれの世帯について、避難状態が解消する見通しがなく、世帯の生活及び住宅の実情等から新たな生活を開始する必要性が生じていると判断されたと理解しております。

高橋委員 栗原のように既に十カ月になっている地域がございます。みなし全壊ということで、少なくとも基礎支援金の発動などがもう既にあってもよいのではないかと思いますけれども、これらも考慮できるでしょうかということを再度伺います。

大森政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって非常に恐縮でございますが、この岩手・宮城の内陸地震のケースにおいても、宮城県知事が個別の認定を今の基準に基づいてされるものだというように理解をしております。

高橋委員 ありがとうございます。知事が認定をすれば、国は基本的には認めていただくのだろうということで受けとめたいと思います。

 二番目の問題は、これは一昨年の法改正のときにも私がお願いをし、かつその後も何度も取り上げてきた災害救助法に基づく住宅の応急修理についての問題であります。

 この住宅の応急修理の基準について、一昨年、被災者生活再建支援法が所得要件を取り払った。当然それに準じて応急修理においても、今まで支援法に準じていたものがあったわけですので、これも取り払っていいのではないかということを指摘したわけです。

 それが資料の三枚目ですけれども、ことしの三月二日、社会・援護局関係主管課長会議、この中で、災害救助基準について、アンダーラインが引いてあります。これは私が引いたのではなくて、局の方でもう既に強調して引いてある。「平成二十一年度より、大規模半壊以上の被害世帯については、住宅の応急修理に係る資力要件の見直しを行い、従来の所得要件を撤廃することとしたので、実施にあたっては留意されたい。」こういうふうにある。

 そうすると、私が前から言っていた支援法の見直し、所得要件の撤廃、これに準じたものである、このように受けとめてよろしいでしょうか。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 通常、発災直後には、被災者の多くは避難所等に避難をすることとなりまして、不自由な生活を余儀なくされることとなります。災害救助法に基づく住宅の応急修理として、そのまま住みなれた自宅で生活が送れる被災者につきましては、この制度を活用してもらうことで、被災後の避難所等で生活することに比べて物心両面においてよりよい生活環境の確保が図れるものと考えております。

 このような考え方に基づきまして、今般、さらなる応急修理の活用を促進するため、大規模な補修を行わなければ当該住家に居住することが困難である程度に半壊したもの、すなわち大規模半壊世帯については、応急修理制度を活用し、当該住家での生活を希望する人には所得要件を課さないこととしたところでございます。

 なお、被災者生活再建支援法は、生活再建を支援するものとしまして、資力要件等を撤廃し、支援金の給付をすることに改正されたところでありますが、一方、災害救助法の応急修理は、被災地域の当面の住まいをどのように確保するのかという観点からの応急対策としての性格を有しているところでありまして、その内容を異にしているものと考えております。

 厚生労働省としましては、今後とも、実態に即しまして、応急修理の適切な実施に努めてまいる所存でございます。

高橋委員 今のお答えは、支援法とは内容を異にしているという答弁でありました。内容のことを聞いているのではございません。

 そもそも、住宅の応急修理というものには、いわゆる所得要件ですとかあるいは年齢要件ですとかというものは本来なかったはずであります。これが、二〇〇四年のあの中越地震のときに、県単事業とともに応急修理を活用するということで、新潟県が、半壊以上であって、年収要件、五百万以下の世帯云々ということの要件をつけ、それが全国バージョンになったというのが経緯だったと思います。

 そのときの経緯は、何らかの基準があった方が早期に、また必要な人に対応できるのだということで、支援法の所得要件に合わせてこうなったという経緯があった、それは事実ですよね。そうであれば、その合わせた先の支援法が見直しをしたのだから、当然これも見直していいのではないかということが言いたいんです。

 ですから、内容ではなくて、基準の考え方は支援法に準じたということは事実ですね、それが一つ。それと、ではなぜ半壊の方は取り残されたのでしょうか。

坂本政府参考人 御指摘のとおり、平成十六年の新潟中越地震を契機といたしましてその基準の明確を図ったことによりまして、応急対策をとることができる対象物件がはっきりいたしまして、応急修理がスピードアップするとともに、その実績も上がってきているところでございます。それは御指摘のとおりでございます。ただ、そういったものの制度の改善というものにつきましては、そういった実績も踏まえながら見直していくことが必要だと考えております。

 この応急修理制度につきましては、何度も申し上げますが、被災者生活再建支援法とは内容、性格を異にいたしておりますので、今後とも、さらなる応急修理の活用を促進するためにいろいろと検討いたしていきたいと考えております。

高橋委員 だから、内容じゃなくて、所得要件などの基準は支援法に合わせたんですよね、ただそれだけを聞いているんですよ。

坂本政府参考人 御承知のとおり、被災者生活再建支援法は、生活再建を支援するということで、使途の要件をなくすとともに、資力要件を撤廃し、支援金の給付をすることに改正いたされました。

 一方、災害救助法の応急修理は、資力のない本人にかわって行政が行うものという前提で現在構成されておりまして、被災地域の当面の住まいをどのように確保するかという観点から、応急対策としての性格を有しているものでございます。そういうことで対応いたしておるところでございます。

高橋委員 おかしいじゃないですか、何で聞いていることに答えないんですか。これは何回も私は聞いていますよ。質問したときに答弁もしていますよ。単純なことを聞いているんです。内容じゃないです。

 所得要件を設ける際に、単純にその基準、では、なぜ六百万じゃなく五百万なのか。ただ単にそのことですよ。それは支援法に準じた、それだけじゃないですか。

坂本政府参考人 そういった基準がそこにあるということを前提といたしまして、予算要求の段階でいろいろと検討したところでございます。

高橋委員 何でそれっぽっちのことをちゃんと言わないのか。要するに、その先のことを気にしているからそういう答弁になるんだと思うんですね。

 まず、理屈は、スタートはとにかく所得要件、何らかの基準を設けようと思ったと。思ったときに、支援法に準ずるのがいいよねということでやったわけですよ。これは、幾らお認めにならなくても事実ははっきりしております。これは、資料も手元にあります。

 その中で、さっきから言っているように、半壊であってといったところのうち、大規模半壊だけは所得要件は取り払った、残る半壊のところは残ったのだということなわけですね。それで、先ほど、実績が上がってきているので云々というお話があって、これは多分、財政上のさまざまな圧力というか障害があってそれができなかったのであろうということだと思うんです。

 そこで、支援法の見直しの議論などを積み重ねてきた私たちの、本院の意思として、本当にこれがよろしいのであろうかと。当面の住まいの確保である、スピードアップを、急ぐのである、そういうことであった場合に、そうすると、半壊という、本来は応急修理の趣旨に一番沿っていて、修理さえすれば住める人、あくまでも、わずか五十万ですよ、五十万使い切らなくてもいいわけです、三十万で済んだらそれでいいわけなんです。最もスピードアップに適した方法ではないか。ここを取り払うというのが、当然やるべきだ、次の課題として検討するということでよろしいのではないでしょうか。もう一度。

坂本政府参考人 そのことも踏まえまして、十分検討してまいりたいと考えております。

高橋委員 よろしくお願いします。また、本委員会の委員各位にもぜひ御協力をお願いしたいと思います。

 最後に、局地激甚災害のことでお伺いをいたします。

 三月十三日の閣議決定で、岩手・宮城内陸地震の局地激甚災害の追加指定が決まりました。これだけ間があって、しかし、査定額が積み上がっていって事実上追加になったんだよということで、この中には秋田県の東成瀬村が公共土木で新たに指定をされたということで、非常に喜んでいるところであります。

 昨年、ちょうど、私、六月の末に現地に伺って、東成瀬村、またその隣の湯沢市などに視察に参りました。資料の四枚目、4を見ていただきたいと思うんですが、この太い線が県境でございます。

 秋田、岩手、宮城、その真ん中が栗駒山であります。震源地が星印で、話題の胆沢ダムがございますけれども、祭畤大橋、荒砥沢ダム、花山ダムという形で、被害が大きかったところが見事に一直線になっているというのがよくわかるかと思うんですね。

 今回指定があったのが東成瀬村、ちょうど県境でありますが、わかるように湯沢市もこれは国道でつながっておりまして、栗原にも一関市にも相互乗り入れということで、栗駒山を中心として観光産業が、大きくこれまで取り組んできたんだけれども、痛手を受けたということであります。

 現地に行ったときに、私が、名前が岩手・宮城内陸地震である、その名前からして秋田県が外されているということで、ほとんどニュースにもならないし、余り秋田県の被害というのが認識されていないんですねと、私自身も一番最後に行ってしまったということもあって、そういうことをおわびかたがたお話ししましたら、それは、村長さんも市長さんもそういう大変悔しい思いをしているということだったわけなんです。そういう中で東成瀬が今回適用になったわけです。

 そこで、これからの激甚災害の指定について、新たな考え方があってもいいのではないかということなんです。この地図を見ていただいて、今は行政区、市町村単位の指定であります。しかし、被災地は県境であり、震源地周辺が一様に被災しているわけです。一本の国道をつないで、一つの栗駒山山系という形で、いわゆる一体化したものである、そういうふうな単位。例えば栗駒山、国定公園でございますが、そういう一定の意味がある行政区のまとまり、県境とは別にそういう単位で局地激甚災害指定をしていく、こういう考え方があってもいいのではないか。検討する余地があるのではないか。このことを大臣に伺いたいと思います。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 局地激甚災害制度は、これまで、いわゆる本激が全国に被害を及ぼす大規模な災害を対象としたものに加えまして、局地的に甚大な被害をもたらした災害を対象として、昭和四十三年に創設されたものというふうに承知をしております。

 局地激甚災害が市町村の区域を単位として指定される理由、大変恐縮でございますけれども、災害対策基本法では、市町村が基礎的な地方公共団体として住民の生命、身体、財産を災害から保護する旨が規定をされておりまして、特に応急対応、対策につきましては、まず一義的に災害に対応する市町村の役割を重視しております。また、市町村長に広範な権限を付与していること、激甚災害指定で国庫補助のかさ上げの対象となるのは一般の災害復旧事業法に基づき地方公共団体が行う災害復旧事業等であることを踏まえまして、市町村の区域を単位として指定することが合理的であるとされたものというふうに考えます。

 こうしたことから、委員御指摘の市町村の区域外の線引きによる局地激甚災害の指定につきましては、公平で合理的な方法を新たに見出すことができるかどうかといった問題がございまして、慎重な対応が必要と考えておりますが、とはいえ、やはり現場に合ったものということに関しましては考える余地があるのではないかなというふうに思います。

高橋委員 ありがとうございます。

 今、基礎的な地方公共団体とおっしゃいましたけれども、合併をして五年間は特例ということで、旧町の単位で今指定をしていますよね。でも、これからはその五年がとれちゃった自治体ばかりになっていくわけですよね。そうしたときに幅広い市町村という見方ではそぐわない見方が当然出てくるという点では、まさに考えるときに来ているのではないかということで提起をさせていただきました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

林田委員長 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄です。

 昨年六月に発生した岩手・宮城内陸地震に関連して質問いたします。

 最初に、三月十三日の閣議で、最も大きな被害を受けた宮城県栗原市全域が局地激甚災害に追加指定を受けました。関係者の方々に厚く御礼申し上げます。

 この局地激甚災害ですが、今も議論がありましたけれども、市町村合併特例法の十九条は、合併後五年間は不利益を防止する観点から旧市町村単位で指定を受けられるとしています。実際、栗原市でも、農地、農林水産業施設は当初は全域ではなく、旧鶯沢町あるいは旧花山村だけが対象でした。

 ところで、この十年間の市町村合併の年度別件数を見ると、九割近くが平成十六年、十七年の両年度に集中しているわけです。したがって、合併から五年という不利益防止措置からすると、この二年間で期限切れを迎えることになります。しかしながら、面積は拡大しても地方の財政状況は一向に改善しない合併後の自治体の現状からすると、旧市町村単位での局地激甚災害の指定を受けられるようにすべきではないのかなというのが、この前も私も主張しましたけれども、大きな検討課題だというふうに思うんですが、この件に対して答弁を願いたいと思います。

佐藤国務大臣 御指摘のとおり、激甚災害の指定につきましては、市町村合併により国の財政支援に関して不利益が生じないよう、市町村合併特例法の規定によりまして、合併が行われた日の属する年及びそれに続く五年以内は合併前の旧市町村単位で指定を行っているところでございます。先ほどの高橋先生の御趣旨もその辺にあるのではないかなというふうに思います。

 そこで、御指摘の五年を超えた後の扱いにつきましては、合併市町村における激変緩和措置全体の問題として認識をしておりまして、所管省庁においてこの点について検討が行われる際に、その他の特別措置とのバランスをも勘案しつつ、激甚災害担当部局としてしっかりと意見を言ってまいりたいというふうに思っております。

菅野委員 この間の経過を見ますと、災害復旧は国がしっかりとして責任を持ってやっていかなけりゃならないという姿勢は私は見受けられるし、例えば平成二十一年度の予算についても、先ほどの質疑でもあったように、農林水産予算では林野庁を中心として治山等激甚災害対策特別緊急事業というものを設けて治山事業に当たられているという姿も現地で見ております。それから、特定緊急砂防事業として国土交通省が、本来は県がやる事業に対しても国交省が大型災害だということで直轄でやっているという姿も見ています。

 ただ、この間の経過を見ますと、今日まで一年たとうとしているんですが、その経過の中で、いろいろなやりとりの中でこういう状況が出てきているというふうに思うんですが、災害が発生したときに一番心配するのは、住んでいる人あるいは地方自治体の人たちも、本当に国がどういうかかわりを持ってくれるんだろうかということを心配するわけです。それで、私も現地に入ったときに一番最初に聞かれたときは、合併後の市町村がどういう形で激甚災害を受けられるんですか、本当に適用になるんですかというのが聞かれた最初の言葉なんですね。それで、いや、まだ五年間の特例措置があるから旧町単位で指定は受けられるんですよと言って、みんなほっとしたというのが姿なんです。

 そういうふうに考えたときに、災害が起こったときに一番最初に国が全面的にこれは支援するんだというメッセージを発することがやはり大事なことだというふうに思うんです。そういう意味からして、局地激甚災害、大規模な被害が起こったんじゃなくて局地的に被害が集中したという場合のあり方についても、大臣、国を挙げてしっかりと検討していただきたいというふうに私は思うんです。今までの経過からしてそのことは行っているというふうにわかるんですけれども、それを法体系上しっかりとした形で整備しておくことが災害を受けた地域の人たちが安心できる第一歩だというふうに思いますので、ぜひこのことは強く強く要望しておきたいというふうに思います。

 それから次に、仮設住宅について伺います。

 宮城県内では、二月末の数字で六十世帯百五十四名の被災者が応急仮設住宅で暮らしております。この仮設住宅については、災害救助法に従い、二年間というのが設置期間になるものと承知しておりますが、被災された方の中には、高齢で年金生活を送り、お金を借りることもできず、二年後に新たな居住地を確保するめどの立たない方もいらっしゃいます。阪神・淡路大震災や中越地震でも期限の二年を超えて仮設住宅が提供されていたケースがあったと思うんですが、期限の弾力的な運用は可能なのかどうか、その場合どの程度の期間まで延長が許されるのか、お答え願いたいというふうに思います。

坂本政府参考人 応急の仮設住宅の入居期限につきましては、建築基準法の仮設建築物についての規定によりまして、その建築工事が完了した日から二年以内となっているところでございます。特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律によりまして、特定非常災害として指定された場合には建築基準法の存続期間の特例が講じられまして、都道府県知事の判断で一年を超えない範囲内において仮設建築物の存続期間を延長することができることとされております。これは繰り返し再延長することもできるわけでございます。この場合におきましての入居期限につきましては、都道府県から厚生労働省に対しまして協議をした上で、建築基準法における仮設建築物の存続期間と合わせまして一年を超えない範囲で延長することといたしております。

 以上でございます。

菅野委員 わかりました。

 本当にこの問題もしっかりとした弾力的運用を協議して図っていただきたいというふうに思います。入居者はやはり二年で出ていかなきゃならないという追い詰められた気持ちの中からいろいろな不安を抱えているわけですから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 それからもう一つ、避難生活終了後の生活支援策についてお聞きしたいと思うんです。

 大規模災害からの復旧は、避難生活が解除され、必要なライフラインが回復されれば終わりというわけではありません。むしろ、そこから以前の生活に戻るために大きな努力が必要になるわけです。その意味で、内陸地震からの復興はこれからがスタートと言っても過言ではないというふうに思います。

 地震発生から二百三十五日後の二月二十三日に、避難所生活を送られた方の退去が終了しました。しかし、避難所生活が終わると、今度は減税措置や国民健康保険料などの支払い猶予措置も切られてしまうような場合が多いというふうに伺っています。

 栗原市の被災地区で実施されたアンケート結果によると、半数の世帯が生活がかなり苦しくなったと答え、避難生活終了後の不安として、建物の補修費用、当面の生活費を挙げた人が大変に多く、それに続いて、一時猶予されている税金の支払いという回答が寄せられています。要するに、避難生活が終わってから不安が拡大していくということなんですね。

 そこで、避難生活が終了した後でも国として実施できる有効な生活支援策はないのかどうか、あるいは、自治体だけに任せるのではなくて、国からの生活支援のための財政措置はできないのかどうか、お答え願いたいと思います。

佐藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 被災地の復興に際しましては、被災者が一日も早く生活の再建を果たせるよう、国、地方公共団体が連携して被災者への支援を行っていくことが必要であるというふうに考えております。

 国といたしましては、今後とも、引き続き、経済、生活、住宅等のあらゆる分野の支援制度を駆使して、十分に活用いたしまして、地元地方公共団体と一致協力して被災者の生活支援に取り組んでまいりたいと思います。

 したがいまして、一日も早く生活の再建を果たせるという基本理念で頑張っていきたいというふうに思っております。

菅野委員 現地でも、復旧というのは一定のめどがついた、これからはやはり復興と。復興という意味はその地域に住んでいる人たちが安心して生活できる条件をどうつくっていくのかということだというふうに思いながら、復興に向けて頑張っていこうと。そして、平成二十一年は栗原市としては復興元年にしていこうという形で取り組んでいっていますので、弾力的な運用というか、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 ただ、雇用の問題ですね。本当に、内陸地震で一瞬にして生活の糧を失ってしまった人が多いのも特徴だというふうに私は思います。栗駒山周辺の宿泊施設十五軒は地震で営業停止に追い込まれて、栗原市の第三セクターが運営する温泉施設でも百三十五人を一時解雇して、再雇用は四十七人にとどまったという状況であります。他方、現下の厳しい経済情勢では、被災地周辺で新たな職を見つけ出すのが大変に厳しいわけです。

 このダブルショックに対して何らかの雇用対策が必要だと思いますが、これまで行ってきた対策がどうであるのか、また、今後検討している対策があればお聞かせ願いたいというふうに思います。よろしくお願いします。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 被災によりまして離職を余儀なくされた方々に対しまして適切な雇用対策を講じることは、大変重要でございます。

 このために、厚生労働省といたしましては、岩手・宮城内陸地震に係る雇用対策といたしまして、これに対して総合的また迅速に対応するために、現地岩手労働局及び宮城労働局におきまして労働局長をトップとする対策本部を設置し、また、両労働局の局内、労働基準監督署、公共職業安定所、出張所におきまして労働者あるいは事業主からの相談に対応するための特別労働相談窓口を設置する、そういった体制の整備を行いますとともに、雇用対策上の特別措置といたしまして、例えば、雇用保険の基本手当の受給者の方が地震のために安定所に来所できない場合に、受給者からの申し出によりまして所定の失業認定日を変更するような取り扱いを実施する、また、事業所が災害を受けられまして一時的に休業される、こういった場合に一時的に離職を余儀なくされる方が発生するわけでございますけれども、こういった方に雇用保険法の特例といたしまして基本手当を支給する、こういった特別措置も講じてまいったところでございます。

 現状でございますけれども、岩手・宮城内陸地震によりまして離職を余儀なくされた方々のうち、現在も求職活動をされているという方がおられますので、こういった方々ができるだけ早期に再就職ができますように、引き続きさまざまな対策を駆使しながら支援をしていきたい、かように考えているところでございます。

菅野委員 現地を見ますと、観光施設あるいは温泉施設が今すぐ再開できるという状況にはない、本当に大変な状況だなというふうには率直に思います。それで、私は、復興というふうに言っていますけれども、かなりの時間がかかっていくんじゃないのかなというふうに思ったときに、やはり雇用というものをしっかりと確保するように連携を図って取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 次に、被災者生活再建支援法の被害認定について、先ほど西村委員の質疑を聞いていて、これからの方向性というものは理解しました。

 ただ、要望だけつけ加えておくとすれば、やはりいろいろなケースが存在します。私も現地に入って、例えば、家だけが若干の被害で、そして宅地が完全に住めなくなって、移転しなければ生活できないという条件があって、その家庭からも、罹災証明を受けても移転費用は本当に国から出てこないんだというふうに言われたときに、おかしいなというふうに思いました。

 そういうところが随所にあるわけですから、運用指針の見直しに当たっては、十分これまでの実績というのが、いろいろな意見があるわけですから、それを念頭に置いて、しっかりと議論して、見直していただきたいということを申し添えておきたいというふうに思います。

 そして、最後になりますが、先ほども黄川田委員からの質問がありましたが、私の方からも緊急地震速報についてお伺いいたします。

 気象庁のアンケート結果では、内陸地震の際、東北の学校や工場、病院で速報を活用できたという回答は、全体のわずか一八%にとどまりました。速報が地震とほぼ同時あるいは間に合わなかったという回答が相当数に上っていることは、技術的な改善が必要とされているように思います。また、そもそも、導入費用が高額であるとか効果が不明確だとして、必要な装置が未整備な事業所も多数あります。

 これらの点について今後どのような改善を行っていくのか、これについて答弁を願いたいと思います。

櫻井政府参考人 お答えいたします。

 緊急地震速報というものは、情報を発表いたしましてから主要動と言われる強い揺れが到達するまでの時間が長くても数十秒と極めて短く、震源に近いところでは情報が間に合わないということがございます。また、ごく短い時間のデータだけを使って解析する情報でございますことから、予測された震度に誤差を伴うというような限界もございます。

 気象庁では、このような課題を検討いたしますために、平成二十一年二月、学識者等から成る緊急地震速報評価・改善検討会を開催いたしまして、検討を進めておるところでございます。

 また、島嶼部の緊急地震速報の精度向上を図るために、南西諸島を中心に合計十二カ所の地震観測点の増設を進めたりしておるところでございます。

 気象庁といたしましては、引き続き、このような技術的限界があることを皆様に周知するとともに、精度向上への技術的な検討を進めてまいりたいと思っております。

菅野委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

林田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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