衆議院

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第10号 平成23年4月30日(土曜日)

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平成二十三年四月三十日(土曜日)

    午前十一時三分開議

 出席委員   

   委員長 吉田おさむ君

   理事 糸川 正晃君 理事 梶原 康弘君

   理事 古賀 敬章君 理事 中根 康浩君

   理事 橋本 清仁君 理事 長島 忠美君

   理事 古川 禎久君 理事 石田 祝稔君

      磯谷香代子君    打越あかし君

      大西 健介君    川越 孝洋君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      斎藤やすのり君    阪口 直人君

      空本 誠喜君    高橋 昭一君

      高邑  勉君    富岡 芳忠君

      中島 政希君    長尾  敬君

      畑  浩治君    樋口 俊一君

      平山 泰朗君    向山 好一君

      森本 和義君    山本 剛正君

      吉川 政重君    渡辺 義彦君

      秋葉 賢也君    伊東 良孝君

      江藤  拓君    小里 泰弘君

      梶山 弘志君    竹下  亘君

      谷  公一君    林  幹雄君

      森山  裕君    江田 康幸君

      高橋千鶴子君    服部 良一君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 保夫君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            遠藤 俊英君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            磯田 文雄君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       平野 良雄君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       小栗 邦夫君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           藤本 一郎君

   政府参考人

   (林野庁次長)      沼田 正俊君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  成子 隆英君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           長尾 正彦君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          厚木  進君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           中田  徹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   衆議院調査局第三特別調査室長           阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三十日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     向山 好一君

  石山 敬貴君     川越 孝洋君

  今井 雅人君     長尾  敬君

  大西 孝典君     樋口 俊一君

  岸本 周平君     阪口 直人君

  小山 展弘君     中島 政希君

  皆吉 稲生君     平山 泰朗君

  若泉 征三君     磯谷香代子君

  森山  裕君     伊東 良孝君

  重野 安正君     服部 良一君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     若泉 征三君

  川越 孝洋君     石山 敬貴君

  阪口 直人君     渡辺 義彦君

  中島 政希君     小山 展弘君

  長尾  敬君     今井 雅人君

  樋口 俊一君     大西 孝典君

  平山 泰朗君     皆吉 稲生君

  向山 好一君     網屋 信介君

  伊東 良孝君     森山  裕君

  服部 良一君     重野 安正君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺 義彦君     岸本 周平君

    ―――――――――――――

四月二十九日 

 東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案(内閣提出第六三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案(内閣提出第六三号)


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。松本防災担当大臣。

    ―――――――――――――

 東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本(龍)国務大臣 ただいま議題となりました東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 平成二十三年三月十一日に発生いたしました東日本大震災は、マグニチュード九・〇という巨大地震と大津波、またこれに伴う原子力発電所事故により、東日本の広範な地域に未曾有の災害をもたらしました。

 本法案は、東日本大震災による甚大かつ深刻な被害に緊急に対処することにより、被災者、被災地の一日も早い平穏な生活を取り戻すため、地方公共団体等に対する特別の財政援助、及び社会保険の加入者等についての負担の軽減、農林漁業者、中小企業者等に対する金融上の支援等の特別の助成措置を行うものであります。

 次に、本法案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、東日本大震災により甚大な被害をこうむった地方公共団体等に対し、公共土木施設や社会福祉施設等の復旧、災害廃棄物処理等に対する補助等の財政援助を行います。

 被災地方公共団体の財政力と被害の状況に踏まえ補助率をかさ上げすることとしており、特に公共土木施設については対象となる事業の負担額を合算し、標準税収入と比較することによって段階的に補助率を決定する、いわゆる総合負担軽減方式を採用しております。補助率の水準は、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律において対象とされている施設の補助率との均衡を踏まえて定めております。

 第二に、社会保険の加入者等についての負担の軽減について、被災者、事業主に対する社会保険料の免除、被災者の医療費窓口負担等の免除、行方不明者の死亡推定による遺族年金等の速やかな支給等の措置を講じます。

 第三に、農林漁業者、中小企業者等に対する金融上の支援等について、被災した農業、漁業者及び中小企業者に対する信用保険の保険てん補率の拡充、政策金融の償還期間の延長等を行います。

 そのほかにも、地方債の発行の特例措置など幅広い特別の措置を講ずることとしております。

 以上が、本法案の提案理由及び内容の概要でありますが、東日本大震災は、その被害の全容が把握されておらず、現時点でも多くの避難者がおり、原子力発電所事故も予断を許さない状況が続いております。

 これに対し、政府一体となって対策に取り組んできたところでありますが、被災地の実情をかんがみれば、本法案の内容については、政府として早急に措置を講じる必要があると考えております。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官原田保夫君、金融庁総務企画局参事官遠藤俊英君、文部科学省高等教育局長磯田文雄君、文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長平野良雄君、農林水産省大臣官房技術総括審議官小栗邦夫君、農林水産省大臣官房参事官藤本一郎君、林野庁次長沼田正俊君、水産庁増殖推進部長成子隆英君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、経済産業省大臣官房審議官長尾正彦君、経済産業省貿易経済協力局長厚木進君、国土交通省自動車交通局長中田徹君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君及び環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高橋昭一君。

高橋(昭)委員 おはようございます。高橋昭一でございます。

 発災後、初めて質問に立たせていただきますので、東日本大震災でお亡くなりになられた皆様の御冥福を心よりお祈り申し上げまして、被災された皆様に、復興に向けて全力で努力を続けてまいりたい、活動を続けていくというお誓いを申し上げまして、質問に入らせていただきたいと存じます。

 三月十一日の十四時四十六分であります。私は、四十六分という数字をもう一つ忘れることができず、忘れてはならない数字だと思っておりますが、一月十七日午前五時四十六分であります。阪神・淡路大震災の発災当時、私は被災地にあって、御遺体を運ばせていただくところから始まって、被災の活動、復興活動を続けてまいりました。松本大臣も、当時、現場の本部の方でもしっかりと活動いただきまして、本当に感謝を申し上げたい思いであります。

 実際に、私が今思い起こすに、阪神・淡路大震災の現場を踏んでまいりましたので、今回、三月十一日の発災当時、私自身が、阪神大震災の経験が今回絶対に生きるんだという思いで活動を開始しました。

 しかしながら、私の中で一番大きかったのは、阪神・淡路大震災と今回の東日本大震災では大きく違うところがあるということでありました。

 直下型の地震で都市が一つ壊滅した阪神・淡路大震災と今回の津波の災害というのが全く違うんだということに関しては、当時、阪神大震災のときは、私は被災地におりましたので、東京はるかなりということで、思いが届かないという方の被災地におりました。今回、発災当時、私は東京にいまして、被災地を実際に俯瞰することができたと思いますので、その意味において、被災地の中での活動と東京での活動、二つわかりました。なので、阪神大震災当時、私自身は、東京はなぜ動いてくれないんだろうと思っておったんですが、私は今、そのときのことに関して考えが一つ改まったことがあって、俯瞰で見ることの意義というのも今回非常に感じました。

 俯瞰で見たところに思ったのは、阪神大震災と全く違うのは津波でありまして、阪神大震災の直下型の場合は七十二時間で救援が可能なんだ。しかし、私の友人で阪口直人衆議院議員がアチェに行ったときの話をされましたが、津波の場合は、もう一気に、手が出たように持っていかれてしまうので、何もなくなってしまう、この状況のスタートラインからして全く違うんだということ、これに関しては自分の中でも整理をつけなくてはいけないということで、三日間、いろいろなことを情報収集に当たりました。

 その後、震災ボランティア室というのが党の方でもできましたので、私はそちらの方の担当で、被災地に延べ六百名を超える皆さんに、第六次派遣に今度はなりますが、中に入り、ただボランティアをするだけではなくて、その情報をまたフィードバックする形で党や政府の方にさまざまな現地の情報をやりとりする、それを続けていく毎日を続けてまいりました。

 その中で、今回法案としてかかっておりますところの東日本の財特法でありますが、これに関して、私が初めての質問でありますので、まずもって政府に対しまして、阪神・淡路大震災のときと今回の違いというもの、そして、当然のことながら、状況も違いますし範囲も違いますから、明確にかさ上げがプラスになっているところ、より支援が厚くなっているところがあろうかと思いますので、その御説明を政府からお願いしたいと思います。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回お願いしております法案と同様の措置は阪神・淡路大震災でも法律として制定されておりますけれども、今回につきましては、被害が広範で甚大であること、また被災市町村の中には財政力の弱い市町村も多いこと、そういうことも含めまして、措置の内容につきましては阪神・淡路大震災よりもかなり拡充がされているということでございます。

 具体的に、二つに分けて御説明させていただきたいと思います。

 地方公共団体に対する特別の財政援助でございますけれども、特例措置の項目数で比較をいたしますと、阪神・淡路のときは十九項目でございましたけれども、今回は二十四項目になっております。

 それから、内容で申し上げますと、今回、災害廃棄物の処理でありますとか、あるいは被災市町村の臨時庁舎に係る経費等を新たに追加しております。それから、国の負担率でございますけれども、阪神・淡路のときは最大で十分の八でございましたけれども、今回は、ケースにもよりますけれども、最大で十分の九というような手厚い内容にしているところでございます。

 それから、二番目でございますけれども、被災者に対する特別の助成措置ということで、これも相当数項目を盛り込んでおりまして、阪神のときは六十項目でございましたけれども、今回は百十六項目ということでございます。

 多少内容を申し上げますと、今回、津波でかなりの方がお亡くなりになった、あるいは行方不明の方がおられるということで、それに関連をいたしまして、行方不明者の死亡推定による遺族年金等の早期支払い、そういった措置、あるいは、農林漁業も相当な被害を受けておりますけれども、農林漁業者等への政策金融資金の償還期間の延長等々の措置も、新たに盛り込んでいるところでございます。

高橋(昭)委員 ありがとうございます。

 今お話がございましたように、今回の場合、地方自治体が被災をされておりますし、財政力が弱い上に自治体自体が本当に壊滅するという状況でありますから、そういうことから考えましても、さらなる充実した支援というのが必要であろうと思います。

 実際に、今回ボランティアの派遣の関係で、まず一番、陸前高田、気仙沼、南三陸、そして石巻、松島、また相馬、南相馬と入らせていただいたときに、余りにも場所によって全く違う状況があるということを私は認識しました。

 どうしても、国というのは当然全体としてのことを考えますが、やはり各自治体に対して細やかな配慮が必要であろうというふうなことがありますし、その情報のフィードバックの機能というのが十分になされないといけないと思います。特に、もちろん間に県というのがございますが、各地域の市町村の情報を、今後、地域主権ということを考えても、十分に国として情報交流をしていかなくてはいけないというふうな認識を持ちましたので、引き続きよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 被災者の生活を考えまして、私が進捗の間隔を見ていますと、阪神・淡路大震災の速度より何倍も遅いというイメージを持っております。避難所で置かれている状況も、阪神大震災から一カ月半とかいうことになりますと、例えば食料の安定的な供給が、当然今もかなりなされているんでしょうが、私が思うには、当時から比べると、まだ充実していないような認識があります。被災者の生活が立ち上がっていくことが必要になっていくときの、そのための支援も充実していかなくてはいけないと思います。

 もう一つ、私がお伺いしたかったのは、被災者生活再建支援法のことであります。

 地域を回って、また多くの国会議員の皆さん、今回もこのゴールデンウイーク中に、地域の情報をフィードバックするために入っていただきたいと思っていますが、地域ではなかなか情報が届かないですね。ですから、不安の方が先走ってしまっていて、私が指摘を受けたのは、財源の問題を考えますと、被災者生活再建支援法の満額支給というのができるんだろうかとか、余りにも規模が大きいので、実際に計画どおりに進んでいくんだろうかというふうな不安がありました。

 これに関しましても御質問したいと思いますが、被災者全員に行き渡るんだろうかという不安が私のところにも聞こえてまいりますので、そのあたりについて、政府としてお答えをいただきたいと思います。

原田政府参考人 お答えを申し上げます。

 被災者生活再建支援金につきましては、今回の第一次補正予算で五百二十億円を計上したところでございます。この五百二十億円と都道府県が既に拠出しております基金からの支出と合わせまして一千億程度の資金を確保しておりまして、基礎支援金、通常百万でございますが、基礎支援金につきまして、十万世帯への支払いを見込んでいるということになってございます。

 ただ、これは、住宅被害の全容がまだ十分明らかでない中で、被災者の方にできるだけ早く基礎支援金を払うということで予算措置をしておりますので、住宅被害の全容が明らかになれば追加の措置が必要となるということもあろうかと思います。その場合、予備費あるいは補正予算によって、きっちりと措置をしていくという考え方でございます。

 あともう一点、基礎支援金のお話を申し上げましたけれども、もう一つ、住宅再建の方法に応じて支払われる加算支援金がございます。

 今回、被害の状況を見ますと、当面、住宅の再建方法まで決まっているという方はそう多くないということでございまして、十万世帯のうち一万世帯分の加算支援金しか積算として見ておりませんけれども、当然、これから住宅再建方法が決まれば、加算支援金の申請もございます。そういった申請があれば、必要な予算措置を今後行って、これについても全額をきっちりと支給するようにやっていきたいというふうに思っております。

高橋(昭)委員 ありがとうございます。

 私が一番思いますのは、先ほども同じことを申しましたけれども、被災地の中では情報過疎のような状態になってしまっているところもあろうかと思います。今まで、ボランティアの場合、支援物資を持っていったり、マンパワーを持っていくわけでありますが、これから一番必要になってくるのは、やはり情報をお持ちすることではないだろうか。

 今、政府は壁新聞を発行いただいておりますし、もちろん届いているところもあります。しかし、避難所に来ていない方々のところや、さまざまなところに情報が届いていない。やはり広報の活動というのは、私は、災害と広報というこの二つが自分の専門だと思ってきたんですが、この二つが極めてリンクしていることを今回しみじみと思っています。

 災害が発生すると情報が伝わらなくなり、風評があったり、もしくは情報のやりとりができなくなるので、広報のリレーションズの活動というのは非常に重要になってくると思いますから、被災地の方々が不安にならないような情報交流をしていかなくてはいけないんだということを思います。

 衣食住とよく言うんですが、私は食衣住の順番だと思っていて、衣よりも先にまず食、命の安全、マズローの欲求五段階ではありませんが、一番初めに、命が安全だったら次は食べたくなり、そして服、おふろに入りたくなり、最後、自分の家はどうなるんだろうということにつながってくると考えると、これから、今御指摘があったように、よりニーズが高まってくるであろうと思います。そういう意味におきましては、これからまた段階的な対応が必要になってこようかと思うんです。

 最後に、私の方からは、そういう意味でも、先ほど大臣もお話ございましたが、全体像がまだ把握できない状況で、より状況が深刻化してくるということを考えたときに、また新たな追加措置や、さまざまな立法措置が必要になってくるのではないかと思います。私は、何度も、せんだっても長島先生からもお話がございましたけれども、国民が安心するようなメッセージを常に発信し続けることが政府としての責務であろうと思いますし、私たちも全力でそのお手伝いをしたいと思いますので、最後に、大臣よりその思いをお聞かせいただきたいと思います。

松本(龍)国務大臣 さまざまな御指摘、ありがとうございます。

 先ほど阪神・淡路との比較をされましたけれども、六千四百三十四名が亡くなられて、行方不明者三名という地震でありました。十六年前であります。今回の津波そして地震がどれだけ大きな規模かということは、皆さんも御承知のとおりだと思います。先ほども長島委員が予算委員会の中で御指摘をされましたけれども、ともかく避難所での二次関連死があってはならない、このことだけはしっかりケアをしていきながら、そして、家におられる方々の医療の見回りをしていきながら、努力をしていきたいと思います。

 まずは、この法案に盛り込まれたあらゆる施策を講じてやってまいりたいし、これからの復旧復興に向けて、いろいろなことがあれば新たな立法措置もあろうかと思いますけれども、今委員御指摘のとおり、これからも最大限努力をしていきたいというふうに思っております。

高橋(昭)委員 ありがとうございました。

 大臣一人に負担をかけるのではなくて、我々は、もちろん超党派でありますし、すべての国会議員も現地を回り、そしてまた、そこからの情報をしっかりとフィードバックし、政府の活動に役立てるように頑張りたいと思います。

 きょうはありがとうございました。質問を終わります。

吉田委員長 次に、長島忠美君。

長島(忠)委員 おはようございます。自由民主党の長島忠美でございます。

 法案に対する質疑をさせていただきたいと思いますが、冒頭、あしたから五月でございます。もう初夏の季節を迎えて、被災をした人たちにどうやって少しずつ少しずつ希望を伝えていくかという時期に来ているんだろう、そんなふうに思いながら質問をさせていただきたいと思います。

 きのう予算委員会で我が党の谷議員から質問があったように、できるだけ早く防災大臣専任ということで、この一次補正予算が通ることを受けて、この予算の執行とさらなる対策に取り組んでほしい。私からも心からお願いをさせていただきたいな、そんなふうに思うところでございます。

 この補正予算について若干質問をさせていただきながら、また、気づいたことをお聞かせをいただきたい、私なりに心配していることもございますのでお聞かせをいただきたいという思いで質問しますので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 確かに、この補正予算の中で市町村に対する財政措置、かさ上げ措置がなされるということについては、市町村にとっては随分ありがたいことだし、また、裏負担も含めて限りなく十分の十にしていただけるということでしょうから、その部分は安心をしているんですが、一点、例えば、市町村が独自に現地において臨時雇用をふやしていったり、軽微な災害について、市町村が独自にみずからの財政をもって簡単に災害復旧することによって農地だったら早く作付ができたりということに対する配慮が少し感じられないようなんですが、その辺はこの補正予算の中でどの辺で読み取ったらいいのか、大臣から少しお聞かせをいただきたいと思います。

松本(龍)国務大臣 お答えいたします。

 冒頭に、いろいろお話をしたいという話、本当にそのお気持ちはありがたく受けとめたいというふうに思います。

 中越地震、中越沖地震等々の教訓を私も学びたいと思いますし、今までにない未曾有の災害でございますので、自民党の皆さん、公明党の皆さん、さまざま野党の皆さんの御意見や知恵をいただきながら、この困難に一緒に立ち向かっていきたい、その思いを共有していただいていることに敬意を表したいと思います。

 被災した地域は、それぞれの歴史や文化があり、産業があり、そして、先ほどの発言にもありましたように、今度の被災の仕方がそれぞれ違います。北の方から南の方まで、私も十数カ所、十数市町村を見てまいりましたけれども、本当にこれからの町の復興のありようが、これから町の人たちの思いやそういうものがそんたくをされて復興に至らなければならないという意味で、権限やさまざまなものが移譲されなければならないということは承知をしているところであります。

 国としては、災害復旧事業等の国庫負担や、地方財政措置において被災自治体への財政的な支援を行っております。また、被災自治体等の復旧復興の妨げとならないよう各種の弾力的運用や規制緩和措置を行っており、おっしゃいましたように、国、県、市町村の適切な役割分担のもと、被災地の復旧復興に今後とも取り組んでまいりたいというふうに思っております。

長島(忠)委員 具体的に少しお聞かせをいただきたいんですが、例えば、今回の災害を受けると、多分消防団員というのはもう出動しっ放しの状況だと思うんです。通常でいったら、消防団員の出動手当というのは多分二千円から二千六百円ぐらいの間で、ばらつきがあるんでしょうけれども市町村によって設定をしていると思うんです。

 私は、すべてお金が解決をするということではなくて、消防団員の精神はやはりみずからの地域をみずからの手で守るという崇高な精神ですから、そのことを踏まえて感謝を申し上げたいと思うんですけれども、それにしても、これだけ長期間にわたると、二千円から二千六百円の出動手当で連日出動してくれというのも本当に適切なのかどうかということを考えたら、雇用調整助成金では多分これはクリアできない問題だと思うんです。

 例えば、時間もないので端的に言うと、私のところは、雪が降って、全村、空になっていました。雪が降ります。全村、空の状況で、雪が降りました。傷んだ家に雪が積もるものですから、倒壊の危険性が増してまいります。そのときに、それぞれ自分の家を守れという観点だとなかなか通えない人も出てくるということで、消防団員を中心にいわゆる雪おろし隊というのを結成して、雪おろし隊に対してお金を払えるような制度を実はつくらせていただいたんです。

 だから、市町村によって、例えば、今回の被災地は見回り隊でもいいですから、そういった形で、やはり消防団員に対して、職も失い、家族も失いながら頑張っていることを見ると、お金がすべてではないと思いますけれども、そういった配慮ができるような予算立てというのは私は必要だと思うんです。

 もう一点、今回、津波災害、非常に深刻で、すべてをなくしてしまったということと、津波には遭わないけれども、地震によって農地において軽微な災害を受けたところがあって、そこはいち早く災害復旧をしたい。だが、国の災害査定や災害復旧を待っているとやはり一年二年かかってしまう。だとしたら、重機の借り上げ等によって軽微に災害復旧をできる手だて、本当は市町村がそのノウハウを使っているんですけれども、お金がないために多分できないでいるんだろうと思うんです。

 そういったところに対する配慮の予算というのはこの中でどう読み取ったらいいのかなという気がしたので、ないんだとしたらやはり早急にそういう配慮をしていただきたいなと思うんですが、どんなふうにお考えになりますでしょうか。

松本(龍)国務大臣 今、消防団員の手当ということがありました。私も、発災から、午後三時前に危機管理センターに入りましたけれども、自衛隊、警察、消防、海上保安庁それぞれしっかり努力をされて、警察、消防それぞれに、仲間が亡くなっておられる中で、黙って涙をこらえて捜索活動等々に従事されたことを今思い出しております。

 消防団は本当に地域のかなめで、恐らく二千円から二千五、六百円と、私のところも今、消防団員が少なくて苦労しております。そして、地域で避難をさせる中で消防団の方が命を落とされたということもあります。

 今お話をいただきました、そういうところで見回り隊というところの話もしっかり受けとめながら、個別の話でありますのでこれから検討してまいりたいと思いますし、地震の住居の借り上げ等々の話がありましたけれども、これも、今度は仮設住宅に入るまでなかなか時間がかかるというところで、厚生労働省等々も借り上げの問題等々踏み込んで今議論しておるところでございます。さまざまなお知恵や御議論をいただきながら、私どももしっかりそしゃくをしてまいりたいというふうに思っております。

長島(忠)委員 後で議論になってくることなのかもわかりませんけれども、きょう経済産業省から来てもらっていまして、これは原発被災地ということで来てもらっているのでお答えができるかどうかわかりませんけれども、多分、仮設住宅に移った段階で、今まであった企業がどうやって仕事を再生していくかということがやはり大きな問題になってくると思うんですね。

 そのときに、今、金融、いわゆるゼロ金利だとか金融ジャンプとかいう法案で対処をしてもらっているんですが、どうしてもそれだけではクリアできない問題が実はあって、再開をするところが今までのところに再開ができない。仮にどこかに借りて、雇用を守るためあるいは企業を守るために、災害から立ち上がって、とりあえず営業開始をしなければいけないというところに対しては、やはり金融支援だけではどうしても足りない部分が出てくると思うんですね。復興基金のところで多分議論になってくるのかどうかわかりませんけれども、その辺の考え方について、おありでしたら少しお聞かせください。

中山大臣政務官 今のお話のとおりでございまして、金融だけではちょっと難しい。

 そこで、私ども職員を派遣しまして、仮店舗、それを仮設でやる、それから仮設工場、こういうものも全部約十億円かけてやっていく。それ以外に百五十億円ぐらい、そのための立ち上がる費用とかそういうものを考えております。

 それから、保証協会の保証を、実は今まで二億八千万円だったのを、この八千万円というのは無担保ですね、枠を八千万円さらに追加したんです。これは金融界ではすごくでかいことでございまして、今まで八十二業種と業種はどんどん伸ばしてやってあげても、結局枠で借りられないんですよ、もう八千万。だから、今回はその八千万を、さらに保証を一〇〇%保証したということは画期的なことで、これをやるかやらないか省内でも大分議論をしました。でも、これをやらない限りお金は借りられないじゃないかと。

 それから、五年ぐらい据え置きますから、しかもゼロ金利でやりますから、五年間は本当に安心して商売に専念できるというようなことをとりまして、今委員の御指摘のとおり、しっかりとしたバックアップをしていきたいと思っております。ここで何かあったら言ってください。

松本(龍)国務大臣 今答えられた仮店舗、仮工場でありますけれども、これもやはり委員御指摘のとおり周知がまだできていない。これは三週間前に中小企業庁が汗をかいてスキームをつくったわけですけれども、陸前高田では横に仮店舗ができておりました。床屋さんがあるとか、マーケットがあるとか、八百屋さんがあるとか、そういう町をやはりつくっていかなければならない。

 私どもも周知に向けて努力をしますけれども、皆さん方も、よろしくその周知に向けていろいろ宣伝をしていただきたい。これは無償でありますから。

長島(忠)委員 大臣にぜひお願いをしたいのは、今避難所に届いている情報というのは、やはり政府が仕切ったものしか情報として届いていないんですよ。

 この先、例えば復興基金を計画して、それはもちろん政府が使い方を制限するわけではありませんから、県が市町村と相談をしながら、被災者と相談をしながら使っていくことになるんだと思うんですけれども、そんなことのメニューの中に、例えば町を再生する、コミュニティーを再生するときに必要なもの、それは今おっしゃったクリーニング屋さんであったり、床屋さんであったり、ガソリンスタンドであったり、そういったものも含めて、やはり再生のために復興基金というところで議論をしていく準備もありますよみたいなことを情報として伝えることは、被災地にとって一つ安心につながるんじゃないかなと思うんです。

 さっき高橋委員からもありましたけれども、情報は一方向だけだと安心できないんですよ。やはり情報というのは双方向で共有をしていかないとなかなか安心できないんだろうと思うので、ぜひ大臣から、そんなことを含めてお取り組みをいただきたいなと思うんです。

 原発の被災地のことが心配になっておりますので、それぞれの立場で少しお聞かせをいただきたいと思うんです。

 経済産業省さんにお聞きしたいんですが、何でこれだけ数値が日々目まぐるしく変わって、そのことによって被災地は混乱をしなきゃいけないんですか。どこかでやはり、エリアで仕切れないんだったら、数値できちんと、日々変わるようなことがあるから信頼性を失っていくんだと思うんですが、その辺の見解を経済産業省は持っていらっしゃるんでしょうか。

中山大臣政務官 これは二つのことがありまして、一つは、プラントに何かあったとき、どうしても二十キロの距離で逃げる、避難が必要なので二十キロの円周を描いたので、これは実は余り線量に関係ないんです。二十キロないと、いざというときに逃げられない。その間のところ、二十キロを超えたところで、線量が少し薄い、南相馬なんかはそこにもう住居がありますから、そこに生活が始まっている。意外にそこは低い。しかし、外に、あるところはかなり線量の高いところもある、ここについては計画的な避難をしてもらうというようなことなんです。

 これは、本当に今委員の言われたとおり、私も現場でやったときには、常に官邸に電話して、官邸から先に意見を言っちゃだめだよ、絶対官邸からメッセージは出してもらっちゃ困る。地元と話を必ず合わせて、地元がまとまった時点でやってくれということは常に、私は連絡役をやっていたつもりなんですが、どうしても、個々にマスコミに流れてみたり、おかしなことがあったことは事実です。

 ですけれども、本当にその管理はしっかりやって、地元も相当わかってくれた上で政府が発表するという形をとらないと、混乱を招くことはそのとおりです。これは絶対にこれからちゃんと地元と官邸と協力してやるように、一生懸命やります。

長島(忠)委員 専門家の意見を受けた上で、数値というのは、やはり一回発表したら、そんなに安易に変えては不安をあおるだけだと思うんですね。それは、多少風の向きで範囲が広がることについては了解いただけるかわからないけれども、数値が二十とか百とかひとり歩きすることによって、かなり不安をあおるんだと思うんです。その調査方法についてもきちんと周知をしないと不安をあおることになると思うので、そこだけはきちっとしていただきたいなと思います。

 それで、新聞報道ですから一〇〇%本当かどうかわかりません、飯舘が計画的避難区域に指定をされて、早いところは連休から避難が始まるというような記事が実は出ておりました。ただし、その時点で、まだ半数の受け入れ先が見つからないという話、新聞報道ですよ。

 だから、この前、内閣委員会で枝野官房長官にお聞きをしたとき、政府がきちんと原発の避難については責任を持ってやるんだ、避難地についてもきちんと示してやっていくんだということを言われたんですけれども、その残りをきちんと誘導する準備はもうできているんでしょうか。

 そして、何か報道によると、一、二年避難をすることになるかもわからないみたいな話をしているんですが、それはどういう情報として、どれぐらいの期間ということは政府から実際には伝わっているんですか。

中山大臣政務官 まず、モニタリングの件については本当にそのとおりで、やはり情報が変わるようではいけないというふうに思います。

 そこはまず押さえた上で、計画的避難もやはり時間がかかると思うんですね、その先がはっきりしませんので。ですから、私たちは、経済産業省だけではなくて厚生省やそれから文科省や、横ぐしを入れて、今対応を向こうに行って相談させています。とにかく毎日のように市の方と、または市町村の方とはいつも地域では相談しながらやっていくようにと。

 確かに、線量が上がってきていますから早ければ早いほどいいんですが、そこで混乱を招いちゃいけないと思うんですね。ですから、じっくり相談をしながらやっていくということが基本なので、若干おくれているのかもしれません。それは、相談をしたりいろいろ配慮をしているところでおくれているということで御理解をいただきたいというふうに思います。

長島(忠)委員 ここの避難所とか避難対策はどこで仕切るようになりますか。経済産業省ですか、厚生労働省ですか。ちょっとお聞かせください。

中山大臣政務官 基本的には、法的根拠があるのは本部ですね。原災の本部です。

 ただし、さっきから、やはり地元の意見を聞いてやらないと大変なことが起きるので、現場の仕切りというのは本部に報告するわけですが、どのセクションがというよりも、横ぐしを入れてみんなで協力していく体制をつくっているということでございます。

 一義的には、原発の関係のことですから経済産業省が一生懸命汗をかいてやっていかなきゃいけないとは思いますけれども、いろいろな観点がありますので、モニタリングのこともあります。これは御存じのように文科省がやっておりますし、厚生省と一緒になって、みんなでやっていこうということでございます。(長島(忠)委員「避難所はどこでやっているんですか」と呼ぶ)

 避難所については、やはり市町村が基本的には考えてやっていることでございまして、本当はそこに役場機能もあれば最高でございますけれども、そこの市町村がやっているということでございます。

長島(忠)委員 この前、内閣委員会で質問したときと答えが違うんですよ。自然災害のものは市町村、県が避難所を開設して、一義的には市町村がやっていくということなんですけれども、原発の避難者については政府が一〇〇%責任を持ってやるというのが枝野官房長官の回答なんですよ。

 だから、どこでやっているんですかと聞いているんですよ。

岡本大臣政務官 今御指摘ありました避難所、それから避難される方もいろいろおみえだと思います。課題を抱えてみえる方、例えば医療や福祉サービスが必要な方などの避難については厚生労働省の方で見ますが、先ほど経済産業省から御答弁ありましたように、原子力災害対策本部というのが一義的に今回の事態についての責任と権限を持って取り組んでいる、こういうことであります。

長島(忠)委員 では、遠距離、早い時期に圏外に、原子力、いわゆる十キロ、二十キロですか、場合によっては三十キロの人もいる、その遠距離に避難をされているところの把握と対策はどこでやっていらっしゃいますか。

岡本大臣政務官 委員の御指摘がどういう把握か対策かというのはちょっとあれですけれども、基本的に、どちらに避難をされているかということについても、当然のこととして市町村で把握をするということもありますけれども、我々としてもいろいろな避難所のあっせん等をしています。

 ただ、個々別々に、例えば御自身でセカンドハウスをお持ちで、別の家に行ってそちらで暮らしをもう一度再建している、こういうような話であったりするとだれも把握ができないということはあり得ると思います。

 すべての方をすべて把握するということではなくて、いわゆる自分では避難する先を確保できない方の避難所をまさに災害救助法で見ているということでありまして、自力で避難ができて、なおかつ、そこで自分の私財で生活再建できるような方についてはなかなかどこも把握ができないということになろうかと思います。

長島(忠)委員 私の言っていることがわかりませんか。遠距離に避難をしているところは、一義的にどこが情報を伝えたり情報をいただいたりしていますか。

岡本大臣政務官 それは市町村で把握をしていると思います。

長島(忠)委員 指摘をさせてもらいます。多分そこが抜け落ちなんだと思います。原子力のところは国がやるというメッセージが出ているので、多分市町村でも一〇〇%把握できていないと思うんです。そこが抜け落ちているんだと思うんです。

 だとしたら、やはり積極的に遠距離の避難者に対して、原子力の災害によって避難をした人たちの情報把握に努めて対策をきっちり早急に示してあげないと、遠距離の避難者は情報が何にもないと言っているんです、長岡にも来ているから。そこをちょっと。

松本(龍)国務大臣 発災から一週間で南相馬に参りました。自主的な避難があって、長岡に行かれたり、燕三条に行かれたり、山形県の長井市に行かれたり、本当にさまざまな状況がありました。

 私は、原子力災害の方は切り分けて、地震、津波の被災者支援ということで分けておりましたけれども、私どもも、総務省を初めとして、双葉のコールセンターというものを立ち上げて、福島県を通じて、今離れている方々が、私は双葉町のどこそこから来ましたということをそこの市町村で言っていただければつながる。今、大変重要な御指摘なのは、今度の災害は緊急な避難ということで、つながりやきずながどんどん離れていくということの御指摘だと思います。これは、政府においても大きな責任がございますので、いろいろな手だてを講じて、このつながりやきずなを結びつけるような作業を、これからも原子力災害対策チームもしっかり鼓舞しながらやっていきたいというふうに思っております。

長島(忠)委員 指摘だけさせてもらいますね。

 遠距離避難に行くと、福島県の原子力当該地域から来た人と、別なところから津波災害で避難された人と、一緒の避難所にいることが多いんです。だから、そこのところを多分把握していらっしゃらないんじゃないかなと思います。その辺をやはりきちっと把握する必要があるんだろうと思うので、ぜひ、ここから先はきめ細やかにやっていかないと大変なことになるんだろうと思うんです。

 農水省から来てもらったのは、私、知らないので教えてもらいたいんです。二十キロ圏内の牛や豚は何で出せないのか。何で避難をさせられないのか。ちょっと、私、わからないので教えてもらいたいんです。

田名部大臣政務官 二十キロ圏内につきましては、人も出入りができないという状況の中で、その圏内にいる家畜を外に出すことができない、そういった状況になっています。

長島(忠)委員 理由はそれですか。被曝をして危険だから出せないとかいう理由じゃなくて、人が入れないから出せないという理由ですか、確認します。

田名部大臣政務官 当然、二十キロ圏内は大変原発の近くでありまして、放射性物質を受ける量も高いわけですけれども、まずは、二十キロ圏内については人が入ることができないという危険な区域として指定をされておりますので、その中に立ち入って動物を連れ出すことができないということであります。

長島(忠)委員 牛を外に出して危険だということではないんですか。牛を外に出しても大丈夫なんですね、出せれば。

田名部大臣政務官 牛を連れ出すためには、人が入らなければ……(長島(忠)委員「いやいや、牛を外に出しても人に危害とか何かはないんですね」と呼ぶ)

 牛を外に出しても、いや、牛を外に出すために、人が中に入らなければなりません。(長島(忠)委員「いや、それじゃなくて」と呼ぶ)牛がどうかというよりも……

吉田委員長 政務官、ちょっととめてください。

 もう一度質問をお願いします。

長島(忠)委員 いいですか、放射性物質の強いところにいた牛を外に出すことによって、その牛は何らかの影響があって危険なんですかということを聞いているんです。

田名部大臣政務官 先生の御質問は、牛自体が大丈夫かということですか。(長島(忠)委員「そうですよ」と呼ぶ)

 ですから、牛自体の前に、牛を連れ出すために、その中に……(長島(忠)委員「それはいいんです。だから、それは外へ出しても大丈夫なのかどうかと聞いているんです」と呼ぶ)

吉田委員長 政務官、ちゃんと質問を聞いてください。

田名部大臣政務官 その牛を外に出す作業のことですか。(長島(忠)委員「違います」と呼ぶ)ごめんなさい、もう一回お願いします。

長島(忠)委員 いいですか、放射性物質の強い地域にいた牛を外に出して、それは例えば放射性物質ということで人に危害を加えたりすることになるんですかということです。

中山大臣政務官 ペットとか、それから車なんかもあるんですね。もし出るときには、それはやはり検査をしてみないとわからないということも随分あると思うんです。可能性としては被曝をしていますよね。

 ですから、当然、今は人が入れませんから、いろいろそういうことは、お世話はできない。だけれども、出るときには、当然スクリーニングをしない限りは出られないですね。だから、車もそう。そうでしょう。だって、車もそう、ペットだってそうしてあげないと。

長島(忠)委員 では、スクリーニングしたら大丈夫なんですか。

中山大臣政務官 結果が、放射線が高ければ当然、これはどうするかというのは、そのときにまたいろいろな話になる。特にペットだって、ペットの場合は特に、人間がそれを食料とするわけじゃありませんので、スクリーニングしてきれいになれば当然大丈夫です。車だって同じと思います。

 ただ、食用というのはいろいろな影響があるので、その科学的な見地はそのときにもう一度判断しなきゃならないというふうに、どのくらい被曝しているかもわからないんです。

長島(忠)委員 では、そのことはされたんですか。被曝量がどれぐらいだかというのを、どこかの部署で、文科省がやったのか経産省がやったのか農水省がやったのか知らないけれども、それはやったんですか。

岡本大臣政務官 人への影響という観点でいいますと、人も生物も同じですけれども、結局、内部被曝して、先ほどちょっと中山政務官からの話もありましたけれども、外へ出る放射能だけではなくて、排せつ物にどのぐらい放射線が含まれているかとか、もちろん、それが何らかの食用に供される場合には当然、乳とか肉とかというのはまた調べなきゃいけませんが、先ほど田名部政務官からの御答弁もありましたけれども、現実的に今出るという状況になっていませんから、スクリーニングもされていませんし、出るという段になったら、当然そういったさまざまな外部への影響というのは評価をしなければいけない。

 要するに、委員が御指摘のように、勝手に牛が歩いて出てきてしまったらどうなのかとか、野生生物が出てきてしまったらどうなのかというようなことまで言われれば、そこまではスクリーニングできませんけれども、実際人為的に出すというのであれば、当然その時点で調べるということになろうと思います。

長島(忠)委員 私は、最初の災害特か何かで、やはり牛や馬の命を助けなきゃいけないだろう、それを家族だと思っている人たちが暮らしているよ、だって、家族の命を守れないほどつらいことはないですよという話をしたんですよ。

 家族の命を守れない人は希望をなくしますよ。二度と牛や豚を飼う気にならない、だから、聞いたんですよ。そのことを最善の努力をして、それでも危険だからだめだというんだったら、それはあきらめがつくけれども、いや、それは人間が入るから、危険だから、いや、出す段階にならなければ検査しないから、本当にこれでいいんですか。私はそう思いますよ。

 だって、田名部政務官がおっしゃったように、中に入れないから出せないと言うけれども、行方不明者の捜索は着て入っているじゃないですか。これから一時帰宅もしなきゃいけないということもやっているじゃないですか。それは言いわけになりませんよ。

 飯舘村、あそこの牛と馬はどうするんですか。

田名部大臣政務官 先生がいろいろ御指摘のとおり、私たちも、何とか助けられないだろうかということが大前提でさまざまな議論をしてきました。そして、各市町村また県ともいろいろな打ち合わせをしてまいりました。

 そういった中で、飯舘村については、計画的避難区域でありまして、計画的と緊急時の区域に関しては福島県の方で何とか移動、出荷をしたいという方針を出しておられますので、私たちといたしましても、そのマッチングであるとか、今の段階で全国で二十三県受け入れの施設があるということですけれども、受け入れ先に移動するときの検査であるとか除染、こういったことの体制もしっかりと整備をして、県ともよく話をしながら、できるだけそういった地域の家畜が受け入れていただけるように努力をしてまいりたいと考えています。

長島(忠)委員 問題意識は、私だけじゃなくて、御党のどなたでしたか、国会議員が中へ入ってビデオ撮影したのをどこか報道で流したじゃないですか。ああいう問題意識を持ったときに、入ってちゃんと、おたくの政党の議員だって撮っているじゃないですか。やろうと思えばできるんじゃなかったんですか。

 厚生労働省にお聞きしたいんですが、仮設住宅はペットをどうしますか。

岡本大臣政務官 まずその前に、避難所においてのペットですけれども、明示的に禁止をしているわけではないんですが、現実的にたくさんの人が集まっていると、先ほどの家畜も同じだと思いますけれども、委員御指摘のように家畜を家族だと思ってみえる方もいれば、必ずしもそういう、アレルギー等があって一緒に暮らせないという方もいるわけで、なかなか避難所に連れていくというのも難しいところがあります。

 これからできる仮設住宅も同様に課題があると思います。例えば、小さなペット、愛玩動物の本当に小さなものから、ペットの大きさにもよると思うんですね。したがって、一概にはなかなか言いづらいというところがありますけれども、それぞれそのコミュニティーの中での取り扱いということになろうかと思います。例えば、小さなペット、本当に自宅の中で飼えるようなカメみたいなものであれば、これは自宅で飼えるんでしょうけれども、それがだんだん大きくなってくるとどうなってくるかということには、それぞれのケースでちょっと想定が変わってくると思います。

長島(忠)委員 震災から七週間。七週間たって、避難所と仮設住宅のペットの状況が決まらないというのはどういうことですか。もともと住んでいた人というのは、コミュニティーの中で犬や猫をお互いに飼って、お互いに認め合っていたんですよ。そのコミュニティーを取り戻してあげれば、お互いに犬や猫を飼うのなんか認め合うじゃないですか。そういう発想じゃないですか。

 だから、新たにいろいろな人をごちゃまぜにして、アレルギーがあるとかじゃなくて、もとあったコミュニティーを仮設住宅で取り戻してあげれば、もともと犬や猫を飼っていたわけじゃないですか。だって、七週間たって、そのことすら議論していなかったんだったら問題じゃないですか。

岡本大臣政務官 もとあった町、同じものができればいいんですが、仮設住宅は、御存じのように、一軒一軒隣が近いわけですし、ありていに言えば壁も薄いわけでありまして、隣で犬が鳴いているのがすぐ聞こえるわけです。飯舘と同じ町が同じものでできれば、当然、そこはペットが住める、家畜が飼えるわけでありますけれども、そうじゃないということはもう御承知おきのとおりでありまして、そこにおいてペットをどうするかというのは、我々が禁止するとかではなくて、まさにそのコミュニティーで決めていっていただく問題だということを先ほどお話をしているだけで、政府としてだめだと言っているわけでもありませんし、それぞれのコミュニティーで決めていっていただくということだと思います。

長島(忠)委員 私は、できたら避難所とか仮設住宅は性善説に立っていただきたいんです。それは、認めるといっても、それぞれ飼う人が、うちの犬は音がうるさいからといえば、ちゃんと親戚に預けたりしますよ。うちの猫はよそに入る癖があるからといったら、それはモラルの問題で、できるだけ人に迷惑をかけないように被災者だってやりますよ。そこをだめだと言ったら希望がつながらなくなってしまうんじゃないかと私は言っているのです。

 被災者にとって一番大切なのは自立をさせることでしょう。政府の最終的な災害復旧復興の姿というのは自立をさせることじゃないんですか。自立を目指すんだとしたら、自立ができるだけの要素を、モラルハザードを起こさないようにしてあげるのが政府の仕事じゃないかと私は思うんですよ。その辺、大臣、どうですか。

松本(龍)国務大臣 大変重要な御指摘だというふうに思います。

 そして、この間も長島委員が言われましたように、避難所は解消するのが目的なんだということもやはり自立を促せるその一歩だろうというふうに思いますけれども、何しろ、この災害、私も、発災から一週間ぐらいで二次避難で、公営住宅、国の施設等々で最初四万人分集めました。そして、今では十数万人分の二次避難場所を用意しております。

 そういう意味では、そういうフェーズをずっとつくりましたけれども、まだ行方不明者が一万人以上おられるという中でなかなか避難所から動かれない人たちも多いという中で、そこのところも長島委員とこれからもいろいろなところで御相談をいただきたいけれども、やはり自立というところに至る、この法案はそこに至るまでの一つの大きな財政措置ということでありますから、これからどんどん、今おっしゃったようなことも含めて、私自身は、阪神・淡路のときは、仮設住宅は二カ月でできましたけれども、仮設住宅から子供たちを早く出してやるというのが最後までのモチベーションでありました。そういう意味で、同様に努力していきたいと思います。

長島(忠)委員 ぜひ、しばらくは、八月、お盆までですか、仮設住宅が完成するまで、避難所に対する、被災者に対する対策というのがやはり一番地域の希望をつなぐ上で大切なことなんだろう。もちろん、将来に向かった希望を伝えることも大事だと思うんです。

 だから、後手後手ではなくて、先々で打つ対策が必要だと思うんです。もう今の時点で、避難所の暑さ対策をどうするのか、避難所にずっと八月まで置いておけないと私は思うんですよ。だから、その間、仮設住宅の見込みを立てて、少しリフレッシュに行ってもらう。うちは沖縄から招待してもらって、沖縄に行ったことも実はあるんです。

 避難所で、私は、今、被災者の皆さんというのは、家族を亡くし、地域をなくしながらも、とても踏ん張っていらっしゃると思うんです。頑張っていらっしゃると思うんです。その気持ちは私はとても大切だと思うんです。だから、そこをめげさせないようにしてあげるのも我々の務めだ、そう思っています。

 避難所、暗くなる。うちは、うちの例ばかり言って申しわけないんだけれども、お母さん方に口紅を塗ってくれと言ったんですよ。口紅をお母さん方に引いてもらっただけで避難所の雰囲気というのはがらっと変わるんですよ。それぐらい微妙なんですよ。

 それを、皆さんが最前線に立つわけにいかないから市町村が立つ、市町村の職員や役割を担う人たちにきっちりできるような体制を支援してやってほしいなと。だから、お金もそうです、人もそうです、そうしてやってほしいなと思うんです。

松本(龍)国務大臣 私も発災から避難所の生活改善ということでずっと、復興とかいろいろ言われますけれども、そこだけで取り組んでおります。悉皆調査もしていきながら、劣悪なところは改善をするようにということだけをずっと言い続けております。

 行き届かない点は多々あると思いますけれども、そこの避難所におられる方々の医療や福祉、あるいはさまざまな問題に対する対応、そして、私も発災の日から言いましたけれども、破傷風とか感染症とか伝染病が津波由来では非常に多いということで、その日に厚生労働省に言いましたけれども、そういうことも含めて厚くしていかなければならない。夏は雨、そして暑さがありますから、そこに向かっても努力をしていきたいというふうに思っております。

長島(忠)委員 時間がなくなってきたので、最後にお願いだけしておきます。

 田名部政務官、本当に二十キロ圏内の牛や豚を救えないのか、そのことだけ、ちょっと後で教えてください。私は、今でも助けたいと思っている人間なんです。それは、肉として出荷できなくたって、命をみすみすあそこでなくすようなことがあってはいけないと思う一人なので、ぜひお願いをしたいと思います。

 それと経済産業省に、数値がひとり歩きして、毎日毎日変わるようなことだけはやめてほしいんです。きっちりとやはり安心できる情報として伝えてほしいんです。そうでないと信頼はできなくなってくるんだと思いますから、そこだけはぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 最後に一言だけ、時間がなくなりましたけれども、大臣、私は、この前も言いました、ひるんだら批判しますよ。憶したら批判をしますよ。被災者のために超法規的にやることがあれば、私は支援をしますよ。それぐらい微妙なものだと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 そのことを踏まえて、新たにいい対策が出てくることを前提に、法案については賛成を申し上げたいと思います。

 ありがとうございます。

吉田委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日、東日本大震災並びに法案について質問をさせていただきます。

 質問に入ります前に、このたびの大震災によって亡くなられた多くの方々に哀悼の意を心から表しますとともに、また、今なお避難生活をなされている多くの方々、被災された方々にお見舞いを申し上げるものでございます。

 それでは、質問に早速入らせていただきます。早急に取り組むべき問題に焦点を当てて質問をさせていただきます。

 まず、災害廃棄物処理についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今最も急がなくてはならないのが、膨大な瓦れき処理でございます。公明党は、災害廃棄物処理事業の自治体負担に対して、自治体負担をゼロにせよと早くから政府に申し上げてまいりました。今回、国庫補助率を引き上げて、そして残りの地方負担分については、これを特別交付税で措置するということで、実質的な負担はゼロになった。実現したわけでございます。

 本事業の対象範囲につきましても、自治体が既に着手しているもの、もしくは終了した分についても補助金の対象になること、さらには、これから個人が自主撤去した場合、またこれから撤去する場合においても補助金の対象になる、こういうことをこれまでの審議の中で確認させていただきました。

 まず、早急に取り組むべき課題として、撤去自動車の処理について質問をさせていただきます。

 各地で撤去自動車が復旧の妨げになっております。被災自動車は三県で三十万台に及ぶと言われておりますが、撤去処理の方針では、自動車や船舶は、効用をなさないと認められるものは撤去処分できるわけですが、それ以外の判断できない自動車の処理については追って指針を出すとされております。どのぐらい保管すればいいのかは全く不明で、これは市町村に丸投げされているのが現状ではないですか。国がすべての責任を持って保管期間の根拠を早急に示すべきだと私は思っております。追加の指針がいつ出るのか。早急にこれに対応してもらいたい。

 また、自動車を失った被災者には新たな車が必要となっているわけです。それで、中古車購入が急増しているわけですけれども、中古車の供給が需要に間に合っていないという状況があります。しかも高騰している。こういうような状況に対して、政府はどのように対応しているのか、あわせてお伺いをいたします。

樋高大臣政務官 江田先生におかれましては、元環境副大臣として、瓦れき処理にとどまらず、さまざまな環境省所管の今回の震災対策に大変御熱心にお取り組みをいただいております。心からの敬意と感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 お尋ねでございますけれども、いわゆる効用をなさないものについては撤去処分できますけれども、それ以外の判断できない自動車の処理についての指針のお尋ねであったと思います。

 いわゆる冠水などによりましてその効用をなさない状態にあると認められる自動車の処理が、先生おっしゃいましたとおり、優先すべき緊急の課題であると認識をしております。こちら、都会の方におきましては、一家に一台か二台というような状況でありますけれども、公共交通機関が大変少ない東北地方におきましては、一人に一台というぐらいの状況でありまして、大変車が多うございました。

 その効用をなさないと考えられる自動車の処理の状況をしっかりと見ながら、被災地における自動車の処理に支障を生じないように、追加の指針を必要な時点でしっかりと示してまいりたい、このように考えております。

長尾政府参考人 自動車の取得の容易化のお尋ねでございます。

 自動車を失われました被災者の方々が一刻も早く新たな車の取得を容易にされたい、これを支援するために、今回、被災地復興のための税制措置の中で、まず、被災した自動車に関する自動車重量税の還付の措置がございます。それからもう一つは、被災自動車にかわるものとして新たに取得する自動車に関しまして、自動車取得税を非課税とする、あるいは自動車重量税につきまして、最初の車検のときに免税とするなどの車体課税の免税措置を講じることといたしております。

 こうした税制措置を講じることによりまして、自動車を取得しやすい環境を整えまして、生活の利便性の回復を支援してまいりたいと思っております。

江田(康)委員 撤去自動車についてお伺いいたしましたけれども、遅いですよ。遺失物法の問題がある、そういうのは全部わかっています。しかし、今一番復旧の妨げになっているのは自動車ですよ。政府がこれを一元化して決めていかなければ、市町村は復旧に向けて取り組めない。

 これがあるわけですから、三カ月をめどにその検討に入ったということをお聞きしておりますけれども、いつこの指針を出されていくんですか。大臣、どうですか。

松本(龍)国務大臣 追って指針を示すということが、三月二十五日の損壊家屋等の撤去に関する指針で示しております。今、遅いという御指摘でありますので、チーム初め、また関係省庁としっかり連絡をとり合いながら、早急に進めるよう督励をしてまいりたいというふうに思っております。

江田(康)委員 続けて、学校の瓦れき処理についてお聞きいたします。

 阪神・淡路大震災のときには、私立学校の瓦れき処理というのは対象外だったわけですね。今回は、公立も私立もすき間なく補助の対象にするということを決めたわけでございますが、そのことを市町村に周知徹底していただきたい。

 さらに、放射能が検出される地域においては、子供の健康被害への対応が課題になっております。これに対する政府の対応について、見解をお聞きしたいと思います。

樋高大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 まず、前段のことについて私の方からお答えさせていただきますけれども、今回、私自身も現地調査を八回行って、現地のニーズあるいは状況をリアルタイムで的確に把握を行ってきたところでありますけれども、先生御認識のとおり、本当に大量の瓦れき、災害廃棄物が発生をしておりまして、これを円滑かつ迅速に処理するということが最も重要な課題であろう。そして、被災地の生活を一刻も早く取り戻すということで取り組まさせていただいているところでございます。

 私立学校などのように、災害復旧制度を有している法人につきましては、瓦れきの撤去と施設の建てかえを一体で、一緒に行うことが可能なものにつきましては、その災害復旧制度によることが適当であると考えるところであります。

 しかしながら、私立学校の敷地内の災害廃棄物につきましても、市町村が特に必要と認め、処理を行う場合につきましては、災害廃棄物処理事業で対処することも可能であると考えておりまして、先生の御指摘をしっかりと今また改めて重たく受けとめさせていただいて、周知徹底を図り、すき間のないようにしっかりと対処してまいりたい、このように考えています。

笠大臣政務官 今委員の方から御指摘がありましたように、今回、私立の学校についてもしっかりと、瓦れき等の処理あるいは半全壊した校舎の解体撤去工事についても公立と何とか遜色のない形で支援をしていくということで、今御審議いただいております補正予算の中でも、教育研究活動の復旧のための補助、経常費の助成等々も盛り込んでおりますので、これも使うことによって遜色なく対応していきたいというふうに考えております。

 また、学校における子供たちの安全を守っていくために、御案内のとおり、四月十九日に、原子力安全委員会の助言を踏まえた原子力災害対策本部の見解を受けまして、今、学校施設等の利用判断に関する暫定的な考え方を示しております。具体的には、安全の目安である毎時三・八マイクロシーベルトの空間線量率を示し、校庭の空間線量率がこれ以上の場合には屋外での活動を控える等の措置をとったところでございます。

 四月十四日に文部科学省が行った調査では、この毎時三・八マイクロシーベルトを上回る学校等が十三校ございました。そして、二十二日の調査では、四校減りまして九校になっております。そしてさらに、四月二十八日の調査では、七校減って二校になっており、昨日二十九日の調査結果が間もなくまとまるところでございますけれども、二十九日の調査結果で同様の数値が確認された場合には、校庭使用の制限は二校を除き解除される見通しとなっております。

 引き続き、モニタリング等々をしっかりと継続的に行う中で、児童生徒が安心して学校教育を受けられるように十分に対応していきたいというふうに考えております。

江田(康)委員 しっかりと対応していただきたいと申し上げておきます。

 次に、放射性廃棄物の処理について、松本大臣にお伺いをいたします。

 福島原発から二十キロ圏内の避難区域、また今回新たに設定される計画的避難区域、さらには緊急時避難準備区域、これらにおいては、放射性物質による汚染が想定されるために、廃棄物対策処理事業の外ということで、今全く手がついていないという状況であると思っております。

 早急に対応をしていかなくてはならない問題ですが、今後の復興や帰宅に向けて、いつから対応をしていくのか。それには、恐らく一般廃棄物と放射性廃棄物をどのような基準で分けるのかということがございます。これらの基準を早急に示していかなければならないと思いますが、いかがですか。

 また、これらの処理は国による一〇〇%負担ということでしなければならないと思っておりますが、これらについて、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

 そして、将来的には、瓦れき処理一つとっても、原子力の問題については、環境省、経済産業省それから文部科学省と三省、複数にまたがる非常にややこしい対応が今図られているわけでありますが、廃棄物処理においては一元化していくとかいうようなところもしっかりと検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

松本(龍)国務大臣 御懸念の点はよく理解をできます。

 福島県内の災害廃棄物の当面の取り扱いにつきましては、放射性物質による汚染のおそれを考慮に入れながら、政府部内において整理を行っております。福島県に対して、早急にその内容について説明をいたしたい旨を申し入れをしているところであります。

 政府部内での主な内容等を申し上げますと、避難区域及び計画的避難区域の災害廃棄物については、当面の間、移動及び処分は行わない、それ以外の地域の災害廃棄物については、必要性が認められる地域において、当面の間、仮置き場に集積をしておき、今先生言われました、仮置き場周辺でのモニタリング結果を踏まえて処分方法を検討するという内容でございます。

江田(康)委員 しっかりとリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 時間が大変なくなってまいりましたので、用意した質問を省かせていただきますけれども、原子力損害の賠償に関連して、今回、第一次指針が発表されましたので、これについてお伺いをさせていただきます。

 公明党は、原子力損害の賠償については、仮払いも含めた迅速で幅広い救済ということを主張してきたわけであります。今回、原子力損害賠償紛争審査会が第一次指針を示されました。この損害賠償に該当する可能性が高いものから順次救済する方針を示したわけであります。

 そこでお伺いをいたしますが、農業、漁業被害への迅速な仮払いについて、再度質問をさせていただきます。

 いわき市を私も訪問いたしました。露地物、ハウス物、農畜産物の出荷停止、風評被害で農家の現金収入が途絶えているという悲痛な声を我々はお聞きしてきたわけであります。また、水産業においても、操業自粛ということで全く現金が入ってきておりません。

 第一次指針では、政府による出荷制限を受けた区域、品目の損害に加えて、自治体から要請を受けて出荷を自粛したケースをその対象といたしました。また、出荷できなくなった農産物の廃棄処理費用、さらには出荷制限品目を仕入れた流通業者がこうむった被害、こういうことも損害賠償の対象範囲に入れたわけであります。これは評価できます。また、水産業、出荷停止になったそういう品目に加えて、漁業者の操業自粛もこの対象としたわけであります。

 今後、紛争審査会は七月をめどに賠償の全体範囲をまとめる方針で、それを踏まえて、東電は被災者に対する本格的な賠償交渉に入るとされております。これが始まるのは、原子炉が安定的な冷温停止状態となることし十月から来年の一月ごろの見込みということをお聞きしておりますが、現金収入が途絶えている農漁業者にとっては、損害賠償が確定する十月までは待てません。これをどうするのか。早急に仮払いを実施すべきだと申し上げたいわけです。

 これについて、これまで、第一次指針が出る前の段階でございますけれども、予算委員会等で、農水大臣や官房長官は早急に仮払いをする、しかし一方では、経産大臣は第一次指針を見て対応する、そういうような温度差があったわけでありますけれども、今回、第一次指針が出たわけであります。そういうことで、この第一次指針で先ほど言った対象範囲としたものについては、最大公約的に費用額を算出して、早急に支給するべきであると思いますが、いつまでに実施できるのか、政府の見解をお伺いいたします。

中山大臣政務官 経済産業大臣は、消極的な発言をしたわけではなくて、できる限りということで言ったと思うんです。本当に早急に、地元のお気持ちもよくわかりますので、とにかく仮払金でも何でもいいからというような話で、紛争審査会に従って、できる限り早くやるようにいたします。

江田(康)委員 できる限り早くということをずっと申し上げられてきたわけですけれども、第一次指針が出たら、そこで検討する、判断するということをおっしゃってこられているわけですから。第一次指針が出たわけですよ。そこで、やはり政府は明確にすべきです。そして、これは損害賠償ですから、請求権があるわけです。訴えることもできるわけですけれども、それに対して、生活ができない方々をどうするかというのは、これは政治判断ですよ。

 それについて、詳細な算出をするということはできないかもしれない。だからこそ、最大公約数的にできるところをしていく、この迅速さが大事なんですよ。それを忘れずに、早急に東電にそういう指示をしていただきたい、そのように思いますが、いかがですか。

中山大臣政務官 今のお話をすぐ、きょうじゅうに大臣に伝えて、できる限り早く対応しようということを申し上げます。

江田(康)委員 最後になるかもしれませんけれども、医療提供体制の危機についてお伺いをさせていただきたいと思っております。

 これは、事故発生当時から、南相馬市の医療関係者の皆様から届いてくるその声を常に察知しながら、私は質問に上げてまいりましたが、今回もまた大変大きな問題が生じております。

 福島県南相馬市というのは、もう皆さんも御存じのように、二十キロ圏内の避難区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域、三十キロ圏外と四つに分かれたんです。政府の自主避難などで多くの方が自主避難されましたから、一たんは一万人ぐらいに激減しました。ところが、解除されて、今四万人近くまで戻っている。

 この中で、緊急時避難準備区域に入っておられる区域は、四つの総合病院があるんですけれども、政府が入院の受け入れを規制しているんですね。それは、入院患者は緊急時の避難が困難という理由であるようでございます。三十キロ圏外に相馬市があります。相馬市の二つの総合病院がありますが、これは入院機能を持っているけれども満床だということで、そこも受け入れは困難になっている。

 そこで、脳梗塞とか心筋梗塞とか救急医療が必要な患者さんは、時間を争っているのに、わざわざ福島市とか仙台市まで搬送しなければならない。極めてこれは危険な綱渡りをしているわけであります。さらに、入院規制があるために、南相馬市の病院は外来のみということですから、入院はできませんから、収入は激減ですね。それで、病院経営自体も危うくなっている。

 果たして、緊急時避難準備区域といっても、住民はそこに普通に暮らせるようになっているわけです。ロードマップが示されましたけれども、原発の対応が長期にわたることが公表された今、その長期間にわたってこのような危険な綱渡りを厚生労働省はさせていくんですか。病院間の連携で対応するといっても、それはできていないのが現状だと聞いております。

 本当に入院規制が必要なのかどうか、この点を明らかにしないといけないと思いますが、このままにしておけば、せっかく震災で助かった命が助からない、救えないというようなことにもなりかねないわけであります。一体何を政府はしているのか。政府というより、政権は何をされているのか。市民の政権に対する信頼はもう地に落ちております。

 政府は、政治というのは、新たな発表をしたときには、それがどんな影響があるのか、入院を規制すれば救急医療は崩壊するということを想定しているのか、それに対応できるようにしていくというのが政治であり、政府ではないですか。このような失敗を一度ならず何度も繰り返されているから、私は何度も取り上げているわけであります。

 厚生労働大臣はこの南相馬市の問題を本当にわかっているか。現場に入って現場の声を聞いているか。私は、今の政権には現場の声が届いていないということを言わざるを得ないと思っております。このような状況をどうするのか、政府の見解を問います。いかがですか。

岡本大臣政務官 今御指摘がありました緊急時避難準備区域における入院医療体制については、現時点においては、今委員が御指摘がありました南相馬市における四つの病院の中で、大町病院というところが五床、入院受け入れが可能ということになっているというふうに承知をしておりますし、南相馬市立総合病院につきましては、現在、段階的に再開ができるように、今調整をしております。いきなり、提供体制が整わない中、オープンしましたというわけにもいきませんし、もちろん、県や地元市町村との連携が必要になってくるわけでありますが、こういった状況にあります。

 ちなみに、三十キロ圏からやや離れる、三十三キロほど離れていると聞きましたが、JA鹿島厚生病院についても、入院医療の正常化を前提に今具体的な協議を進めているところでありまして、それが整い次第、順次入院受け入れを可能としていく、こういう形になろうかと思います。

江田(康)委員 岡本政務官は現場に入られましたか。現場に入って、今のことをもう一度しっかりと取り組むことを検討していただきたいと思います。

 入院規制を解いていくという方向で検討ということでございますので、しっかりと責任を持って、助かった命を救えるような体制を、環境を厚生労働省がつくる、責任を持ってつくる、丸投げしないということをお約束していただきたいと思います。

 以上でございます。

吉田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今議題となっている東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案、いわゆる財特法ですが、一つ一つが重要な項目であり、何が足りないかを大いに吟味していく必要が本当はあると思うんですけれども、急がれる課題でもあるということで、非常に短い審議ではありますが、協力をし、賛成をしたいと思っております。

 そこで、最初に中山政務官に伺うわけですけれども、時間の関係で二つの問いを一つにしますので、答弁も簡潔にお願いいたしたいと思います。

 財特法第百三十条、中小企業基盤整備機構の行う工場整備事業等について、これが先ほど来も話題になっている貸し工場、貸し店舗などを無償提供する、こういう制度になるかと思うんですけれども、その具体的な内容を伺いたいと思うんです。

 その際、工場、店舗の中にどのようなものが含まれるのか。例えば診療所、水産加工場、あるいは学童保育などもこれありと思うんですが、いかがかと思います。仮設住宅が建ったとしても、商店がなければ買い物に行けない。コミュニティーを維持する上でも重要だと思います。そういう趣旨でよいのかどうか、伺います。

中山大臣政務官 仮設の貸し店舗、仮店舗、工場、いろいろなものがあると思いますけれども、これは柔軟に対応しなければいけないということで、委員の今お話しのとおり、できる限りいろいろな業種にわたっていきたいと思っています。特に、商店街というのは一軒じゃできないんですね。だから、何店舗かそろわなきゃならないという御指摘もそのとおりでございまして、生活者がいるということが前提でございます。

 それから、これについて保証協会の保証とか、これも大事なことで、商売を始めるに当たりまして、八千万円というのを別枠で無担保でつくりましたので、これも活用しながら出発をしていただきたいというふうに思います。

 それから、今までの工場とか中小企業が持っているいろいろな店舗なんかも、始動する際にはちゃんと予算をつけてございますので、みんなで、生活から今度は仕事をして収入を得るという段階になったときに有効に働いてくると思いますし、個々にいろいろな御相談があれば受けたいと思っております。各商工会議所も、全部相談室を、四十人ばかり送りましてやっておりますので、ぜひ御相談をいただきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 今、大変前向きな答弁をされたかと思うんですね。町には業種というのがたくさんいろいろな種類があって、それがみんな並び立ってこそ本当の町である、生活者であるというので、柔軟に対応したいという決意は大変多としたいと思います。

 ただ、実際には、十億円の枠でございますので、工場でいいますと三千万、そして店舗でいいますと五百万と聞いております。これを、五百万だけにしても二百戸、そして三千万の工場だと三十戸プラスちょっとということで、なかなかイメージしているものとは、苦しむことになるのではないか、つまり一生懸命周知をすればするほど、しかし枠は少ないよということになりかねないわけです。

 そうすると、柔軟の意味なんですよ。さっき議論があったように、もう既に仮店舗をつくっちゃった、大臣もおっしゃっていましたよね。大槌町なんかでもそうなんです。そういうところにも、満額でなくても援助してあげるということがあったっていいじゃないか、あるいは空き工場だっていいじゃないか、あるいは工場を修理すればできる、そういうところをやって初めて、全体の、何種類もある生活者を支えるということにつながっていくと思いますが、いかがですか。

中山大臣政務官 私たち、向こうへ調査員を送って仮店舗のことで行ったときに、漁業へ行きましたら、皆さん漁業の方が集まって、組合をちゃんと仮店舗でつくってくれないかと。そこでは、いろいろな意味で加工からそういうことまで一緒にやりたいと。つまり、今までは個人でやっていたものが、大規模になって会社でやるというような発想まで生まれてきているわけですね。

 ですから、本当に今回の場合は柔軟性が必要で、融資も、先ほどから言っているように、担保つきで二億だったものが今度は四億になって、これは大きいです。八千万円の保証が別枠でさらに八千万円になる。これはすごく大きいことで、こういうことを組み合わせてやっていかないと、仮店舗だけのことでやっているとなかなかちっちゃいような感じがしますが、そういうものを組み合わせてやっていきたい。

 それと、工場なんかも、復旧してスタートするために百五十億ぐらいの予算も組んでございます。新たに町工場や何かがさらに復活する場合にもちゃんと助成をしていきたいと思っていますので、こういうものを全部組み合わせて、何でも御相談できるというようなナビダイヤルなんかもつくりましたので、ぜひ頑張ってやっていきたい。我々も、これは本当に命をかけてやっていきます。

高橋(千)委員 水産の皆さんは、やはり漁業と同時に加工場と関連産業がみんなあるんだという中で、例えば船でいいますと、施設も全部合わせると四億、そういう大変な損害になるわけで、それを本当に復興させるためには協同もあるかな、そういう発想なんだと思うんですよ。

 ですから、今の貸し店舗、貸し工場というのは、そういう中で無償というスキームが出てきた、だけれども一方では、残りの店舗については融資だ、幅は広げたけれども融資だということを私は指摘しているわけなんです。だから、個人に対してもきちっと支援ができるように、五百万でなくていいから、少しでも補助できるようなスキームを考えてくれと言ったわけです。

 そこで、きのうの質問の続きです。

 松本大臣、仮設住宅がいずれ撤去されて本物の住宅が再建されるときに、商店だけはやはり建たないのかということになっちゃうわけですよね。住宅があり商店があり事業所があり、そういうことを考えたら、やはり被災者生活再建支援法の中で、家族経営の商店、事業所なども対象にするということを考えるべきではないでしょうか。

松本(龍)国務大臣 再三御指摘をいただいております。

 非常に、個人事業主とか家族経営の零細企業、大変な御指摘だと思いますけれども、少なくとも、平成十年にできました被災者生活再建支援制度につきましては、都道府県の相互扶助という観点で基金を積み上げていきながら、それぞれ被災地の速やかな復興に資することを目的とした制度であります。また、全壊や大規模半壊など、住宅に重大な被害を受けた世帯を対象としているところであります。

 したがって、仮店舗、仮工場ということを先ほど中山大臣政務官が言われましたけれども、そういう手だてもありますし、足りなくなったらどんどん私はハッパをかけていきますので、そういうところでしっかりフォローしていきたい。しかしながら、残念ながら、事業用資産を被災者生活再建支援制度の支給対象とすることは、今の制度の中では困難であるということであります。

高橋(千)委員 それを乗り越える必要があるのだということなんです。

 貸し店舗までは建つ、仮設住宅と貸し店舗が並び立つ、なのに、再建のときになるとそこができないというのはどうなのかということを指摘しています。

 今度の補正では基礎支援金百万円で打ちどめになるのではないか、そういうことをきのうの予算委員会の質疑で非常に不安を持ったわけであります。しかし、今度の財特法も、阪神・淡路大震災と同じ、あるいはそれを乗り越えた支援をやろうということで、阪神のときは百二十一項目の特例が、それが倍近い二百三十六項目に拡充しているわけなんです。それなのに、支援法だけがまだ百万円でとまっているんですよ。

 そういうことを考えると、やはりここでこそ乗り越えるべきなんだ。公的なものはいいんだけれども、個人保障というのは全く後退してしまう。乗り越えてきたものが後退してしまうということがあってはならないのだ。実は、それが阪神大震災の最大の教訓であるということを指摘したいと思います。

 きょうは次の質問をしたいので、ここは指摘にとどめて、また引き続いて大臣にお願いをしたいと思います。

 きょうは国土交通省にお願いをしておるんですけれども、被災地は、もともと地域的に、車がなければ仕事も買い物も行けない地域であります。津波で、三県だけで二十七万台の車が流失して、生活の足が奪われました。当面、路線バスやディマンドタクシーなどのコミュニティーバスが重要な役割を果たすと思いますけれども、その認識、また国土交通省として、被災状況、復旧をどのように把握しているのか伺います。

中田政府参考人 今回の震災では、バスでも甚大な被害が発生してございます。

 東北三県の事業者の被災状況について見ますと、死亡、行方不明になった方が七名、営業所、車庫等の社屋につきましても、三県で計三十三棟が損壊をいたしました。それから、車両につきましても、路線バスにつきまして、この三県で計五十両の車両が滅失または行方不明になっておるというように、非常に大きな被害を受けた状況でございます。

 一方、バス路線の復旧の状況でございますが、関係者の御努力によりまして順次かなり復旧をしておりますけれども、太平洋沿岸部ではまだ完全復旧に至ってございません。

 四月二十八日現在でございますが、岩手県沿岸地域では七十七路線中五十七路線、宮城県では三十二路線中二十六路線、福島県では百八十三路線中百三十五路線ということで路線バスが再開しておりまして、約七、八割の再開の状況でございますが、まだまだ完全には復旧してございません。

 さらに、コミュニティーバスでございますが、これにつきましては、市町村独自で運行されている関係で、私ども、まだ完全に把握できておりませんが、宮城県の七ケ浜町の六路線、山元町での二路線等、順次運行が再開されているというふうに聞いてございます。

 今後、道路の復旧状況や地域の復興状況を踏まえて、地域のニーズに対応して、順次運行が再開されていくものと考えてございます。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 実は、詳細な資料をいただきましたので、皆さんのところにも配付をさせていただきました。被災の状況、復旧の状況、また鉄道との関係、今の岩手県でいいますと運行再開が七四%ということなど、詳細に出していただいたと思っております。

 今回、私がこのことを取り上げる動機は、今年度、国土交通省が新規にコミュニティーバスに対する事業を立ち上げてくれた。これは本当に運動の反映であり、歓迎したいと思うんですね。各地の我が党議員団も積極的に提唱して、住民運動に取り組んでまいりました。

 高齢化や乗客の減少によって廃止に追い込まれた路線バスとかローカル線の代替措置として始まったものが多いわけですが、ディマンドタクシーとかコミュニティーバス、百円バスとかさまざまに取り組まれておりまして、二年前の数字で、タクシー会社などへの委託方式が全国千九十九、市町村運営が四百十二、このように広がっているわけです。

 それで、私が大事だと思うのは、被災地は今まさに足が必要なわけです。仕事に行くにも、あるいは仮設や避難所から自分のうちへ行くにも、ありとあらゆる形で足が必要なわけです。しかし、さっき言ったように、車がなくなっている。鉄道はそう簡単に復旧できない。それは、都市計画との関係で、線路をどこに敷くかということなんかもややこしくなってきます。だけれども、バスというのは瓦れきの中も走れます。避難所と避難所、仮設住宅をつなぐこともできるんです。だから、これを一気に走らせるということはすごく大事なんですね。

 それで、この補助事業は、計画を市町村がつくらなくちゃいけない。そうすると、今、三年を見越した計画をつくるのはとてもできません。ですから、それは今後に置いておいて、当面被災地の中で生かすということでの補助をぜひ検討されたいと思いますが、いかがでしょうか。

中田政府参考人 今、先生御指摘いただきましたように、被災地域の移動手段として、バスあるいはコミュニティーバスが果たす役割というのは非常に重要だというふうに私どもも考えてございます。

 先生御指摘のように、今年度から私どもは、地域の生活交通を国が支援する制度として、地域公共交通確保維持改善事業というものを行ってございます。昨年度までは幹線だけだったのを、今、先生御指摘のように、地域の路線につきましても補助対象にするとしたところでございますが、その補助をする前提として、地元の関係者から構成される協議会での議論を経るということを条件としてまいりました。

 実は、こういう条件としましたのは、地域にとってより効率的あるいは効果的な生活交通ネットワークを確保するためには、こういう枠組みが重要であるということで設けられた要件でございますが、今御指摘のように、被災地におきましては、被災自治体、事務処理が非常に困難である、あるいは応急的な対応が必要である、そういう事情が生じていることも十分理解できるところでございます。

 そういうことを踏まえまして、被災地域でのニーズをよく伺いながら、できるだけ実態に即した弾力的な制度の運用ということ、あるいはそれ以外にどんな支援ができるかということも含めまして、関係当局とも調整して検討してまいりたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 終わります。よろしくお願いいたします。

吉田委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社会民主党の服部良一です。

 質問時間が十分ということですので、放射能に汚染をされた瓦れき及び土壌の処理について絞って御質問をさせていただきたいと思います。

 きのうの予算委員会でも、松本大臣、この処理についてスピードアップするという答弁をされているわけなんですが、防災大臣は環境大臣でもあるわけですが、この放射能に汚染された瓦れきの処理のいわゆる責任所管省といいますか、これは環境省ということでいいんでしょうか。

松本(龍)国務大臣 環境省、いわゆる廃棄物処理法上、放射性物質及びこれに汚染された廃棄物は法律の対象から除外をされておりますけれども、環境省が中心となってこの問題に当たる必要があるというふうに考えております。

服部委員 そうしますと、根拠法はいろいろあると思うんですね。

 これは法の空白にあるというふうにちょっと指摘されておりまして、原子炉等規制法においては、これは発電所の中の処理だと。それから、廃棄物の処理法については、放射性物質については除外されている、こういうことになっているんですけれども、そのほか、原子力災害対策特措法、あるいはいわゆる原賠法、いろいろあるわけですが、これはどうされるんですか。

 例えば、産廃の法律を変えられるのか、あるいは新しく立法化されるのか、その辺の根拠法に対する考え方というのはどういう議論になっているでしょうか。

伊藤政府参考人 現行法令におきましては、原子力施設外に放射性物質が飛散し災害廃棄物に沈着する、こういった事態は想定してこなかった、こういうことでございます。

 そのため、このようなものの処理方法についてもまだ決められていないということで、現在、関係府省間で、どうやって処理していくかということについて検討しているところでございます。

服部委員 だから、法の空白にあるというのはもう理解しているので、具体的にどういう検討の状況ですかということをお聞きしているんですよ。

 検討している、検討しているといったって、スピード感からいって、もう五十日たっているわけで、その辺どうなんですか。

伊藤政府参考人 これは環境省が中心になりまして、先ほど大臣からの答弁にもございましたけれども、福島県内における災害廃棄物の処理の方向については、放射性物質により汚染されている可能性があるということも考慮に入れた上で、当面の方針につきまして政府部内で取りまとめまして、今、福島県に対して、説明をしたいということで申し入れているところでございます。

服部委員 福島県に説明したいといっても、どういうふうに方向づけをして説明されるということなのかがさっぱりわかりません。

 では、もう一つ、一緒に答えてほしいんですけれども、土壌については土壌汚染対策法というのがあって、これからも放射能の汚染の処理は除かれているわけですね。これも同様の検討が必要だと思うんですけれども、検討しているのはわかっているので、その方向がどうなっているのか、それをお答えいただけませんか。

伊藤政府参考人 まず、廃棄物の方でございますが、福島県内においての処理の進め方については、これは先ほど大臣からも答弁されましたけれども、避難区域及び計画的避難区域の災害廃棄物については、当面の間、移動及び処分は行わない、それ以外の地域の災害廃棄物については、必要性が認められる地域において、当面の間、仮置き場に集積しておき、仮置き場周辺でのモニタリング結果を踏まえて処分方法を検討する、こういう方向でございます。

服部委員 郡山市長が、小学校で集めた土壌を東京電力に引き取れと言っているわけですよ。

 ですから、瓦れきについても、津波については確かに、いわゆる一般廃棄物とすれば国と自治体が負担をして、今回は国が持つよ、こうなっている。そこに放射能がかぶっているわけですね。そうすると、東京電力はどういう責任を持つんだ、あるいは原賠法でどうするんだということが当然議論されているわけでしょう。

 私、あした、この前ちょっと御一緒させていただきましたけれども、南相馬の市長とか飯舘の村長にもお会いするわけですね。これはいつまでに方向づけされるんですか。

伊藤政府参考人 放射性物質に汚染された廃棄物の処理の当面のあり方について、まずはどういうふうに処理するのかということを決めた上で、それを担保していくにはどうしていったらいいか、こういった手順を踏んでいくんだろうと思います。

 私どもとして、まずは当面どうしていくのかということの方針をきちっと出していきたいというふうに考えている次第でございます。

服部委員 ちょっと全然、お答えがなかなかいただけないんですが、汚染した瓦れきを燃やしたらどういう問題が発生しますか。

伊藤政府参考人 放射性物質によって汚染された可能性のある廃棄物、いろいろなレベルがあると思いますけれども、通常の廃棄物と同じように運ぶということが可能なものであっても、仮に放射性物質により何らかの汚染があるとすると、燃やした場合に、煙の中に放射性物質が入って拡散するとか、あるいは逆に焼却灰の中に濃縮するんじゃないか、こういった可能性があるというふうに考えております。

服部委員 そうしますと、もし、燃やすことによって拡散あるいは濃縮するということでなかなか処分が難しいということになれば、それ以外にはどういう方法があるんですか。

伊藤政府参考人 これは、いろいろ専門家の方々の意見を十分聞いていかなければならないというふうに思いますけれども、もちろん、外に漏れないような格好で、非常に厳重な処分場の中に入れるとかそういう方法もあり得るというふうには考えております。

服部委員 瓦れきを保管するといいますか、ないしは埋めるとか、そういった処分場をつくらないといけないという今の御答弁なんですか。

伊藤政府参考人 まだ、十分専門家と議論を詰めた段階ではございませんので、断定的なことは言えませんけれども、もちろん、そういった方法も当然あり得るだろうなということは想定しております。

服部委員 大臣、瓦れきを一時どこかに保管という話が出ていましたけれども、この保管の場所というのは東京電力の中なんですか。それとも、どこか一般の地域なんですか。

松本(龍)国務大臣 先ほどの郡山の話でございますけれども、掘削した土が校庭の隅にシートで覆われているという状況があるということ、その現実を踏まえれば、学校に通う子供たちのことあるいは保護者のことを第一に考えますと、地元福島県とよく相談をして、政府として早急に検討して、学校の外への運搬等を含め検討していかなければならないというふうに思っております。

伊藤政府参考人 放射性物質によって汚染されたおそれのある廃棄物につきましては、当面の措置としましては、通常の一時保管場所、ここにまず置いて、モニタリングをしっかりやって、その上で処理方法を考えていく、こういう手順になろうかというふうに考えております。

服部委員 今、いろいろやりとりさせていただいたんですけれども、どうももう一つはっきりしないんですね。

 焼いたらどういう影響があるかということについても、いろいろ検討はされていると思うんですけれども、もう一つはっきりしないし、では、それをどこの場所に、しかも汚染されているということになりますと、そこらに置いておくというわけにいかぬわけですから、それは当然、地元住民にしてみたら、そんなもの東京電力の敷地内に置いておけ、こう言いたくなる気持ちもわかるわけですね。

 それで、国会として立法措置をしないといけないのかどうか。これは国会で議論をしないといけないわけで、最後に、大臣、このことについて、環境省が責任を持つのかどうかよくわからないんですけれども、文科省とか保安院とも相談されるんだと思うんですが、政府としてどういうスキームでこれを検討されるのか、そして、どこをどう法律をさわって、しかもそれをいつまでに結論を出そうとされているのか、南相馬の市長とか関係自治体の長にその気持ちがわかるように、ちょっとまとめて答弁していただけませんか。

松本(龍)国務大臣 服部委員と南相馬でお会いしてもう六週間たちまして、六週間の間にやはりさまざまな問題が起きて、今確かに、放射性物質の瓦れきの処理等々につきましては、私もずっと廃リ部を含めて督励をしておりますけれども、しっかり今のお話を受けて、本当にこの六週間、七週間になります、先生とお会いして六週間ですけれども、そういう意味では、これから督励をして仕分けをしていきながら、いろいろな意味で関係府省庁がたくさんございますので、環境省もリーダーシップをとりながら、この問題、立法措置も必要なのかどうかも含めて検討してまいりたいというふうに思っております。

服部委員 どうもありがとうございました。質問を終わります。

吉田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

吉田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時散会


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