衆議院

メインへスキップ



第4号 平成25年11月7日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十五年十一月七日(木曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 坂本 剛二君

   理事 うえの賢一郎君 理事 北村 茂男君

   理事 原田 憲治君 理事 福井  照君

   理事 盛山 正仁君 理事 三日月大造君

   理事 山之内 毅君 理事 石田 祝稔君

      青山 周平君    秋本 真利君

      井林 辰憲君    井上 貴博君

      伊東 良孝君    泉原 保二君

      大見  正君    神山 佐市君

      木内  均君    北村 誠吾君

      工藤 彰三君    小林 鷹之君

      笹川 博義君    清水 誠一君

      新谷 正義君    竹下  亘君

      長島 忠美君    林  幹雄君

      藤丸  敏君    松野 博一君

      務台 俊介君    湯川 一行君

      吉川  赳君    黄川田 徹君

      寺島 義幸君    中川 正春君

      吉田  泉君    今井 雅人君

      上野ひろし君    宮沢 隆仁君

      中野 洋昌君    濱村  進君

      樋口 尚也君    椎名  毅君

      高橋千鶴子君    小宮山泰子君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       古屋 圭司君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤山 雄治君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 青木 信之君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           室田 哲男君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        森北 佳昭君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局砂防部長)     大野 宏之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  徳山日出男君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   参考人

   (京都大学防災研究所巨大災害研究センター センター長・教授)       林  春男君

   参考人

   (特別区長会会長・荒川区長)           西川太一郎君

   参考人

   (黒潮町長)       大西 勝也君

   衆議院調査局第三特別調査室長           清水  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  林  幹雄君     小林 鷹之君

  松野 博一君     青山 周平君

  務台 俊介君     新谷 正義君

  樋口 尚也君     中野 洋昌君

  佐藤 正夫君     椎名  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     松野 博一君

  小林 鷹之君     林  幹雄君

  新谷 正義君     秋本 真利君

  中野 洋昌君     樋口 尚也君

  椎名  毅君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     務台 俊介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策に関する件(南海トラフ地震及び首都直下地震に係る地震防災対策)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 災害対策に関する件、特に南海トラフ地震及び首都直下地震に係る地震防災対策について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官北崎秀一君、内閣官房内閣審議官藤山雄治君、内閣府政策統括官日原洋文君、総務省大臣官房審議官青木信之君、消防庁国民保護・防災部長室田哲男君、文部科学省研究振興局長吉田大輔君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、国土交通省水管理・国土保全局長森北佳昭君、国土交通省水管理・国土保全局砂防部長大野宏之君、国土交通省道路局長徳山日出男君及び国土交通省住宅局長井上俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田憲治君。

原田(憲)委員 おはようございます。自由民主党の原田憲治でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速、南海トラフ巨大地震対策に関する自治体への支援について質問させていただきたいと思います。

 まず、本年五月、中央防災会議の南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループにおいて、南海トラフ巨大地震対策についての最終報告が取りまとめられました。

 報告の冒頭に明記されておりますとおり、南海トラフ巨大地震による被害については、西日本を中心に、東日本大震災を超える甚大な人的、物的被害が発生し、我が国全体の国民生活、経済活動に極めて深刻な影響が生じる、まさに国難とも言える巨大災害になることが想定されております。つまり、南海トラフ巨大地震は、国家的な観点からの対策が不可欠な大災害であると言っても過言ではないと思います。

 政府では、本報告を踏まえて、南海トラフ巨大地震対策の取り組み指針となる大綱等の作成に取り組んでおられますけれども、各自治体においても、独自に被害想定の検討を行うなど、具体的対策に向けた取り組みを進めております。本日は、こうした自治体の取り組みに対する政府の姿勢、支援のあり方についてお伺いをいたします。

 まず、私の地元大阪では、先週、河田恵昭先生を部会長とする大阪府防災会議南海トラフ巨大地震災害対策等検討部会が大阪府域における人的被害、建物被害の想定結果を取りまとめ、公表いたしました。その内容に驚いた方々も多かったと思います。人的被害は国の想定の約十四倍に当たる十三万四千人に上るなど、国の想定を大幅に上回る結果となっておったからであります。

 被害の多くは津波によるもの。大阪では、高潮対策で整備した防潮堤により津波に対しても高さは確保しているものの、国が考慮をしていなかった、地震発生による防潮堤の沈下等を勘案して津波浸水シミュレーションを実施した結果、大阪府域の浸水面積は、国が公表した浸水面積の約三・六倍に広がり、人口が集積する大阪市内中心部等、いわゆる海抜ゼロメートル地帯にまで及ぶことが明らかになりました。これが主な原因ではないかと伺っております。

 こうした国の被害想定よりも被害が拡大する傾向は、大阪府のみならず、既に独自の被害想定を明らかにしている他の自治体でも見られております。地域の特性を考慮した被害想定の設定やその対策の検討など、自治体の取り組みについて、政府としてどのように考えておられるのか、まずお伺いをいたします。

日原政府参考人 お答えいたします。

 国の被害想定につきましては、被害の全体像を理解しやすくすることによりまして対策の検討につなげていくために行っているものでございます。そのため、一定の前提のもとで推計を行っております。したがいまして、前提の置き方次第によってはその被害の想定の結果というものも変わってくるのは当然のことでございますけれども、一応公表はさせていただいています。数値では出しておりませんけれども、中では、過酷事象について、生じるということも文言では言及させていただいているところでございます。

 大阪府の推計におきましては、委員御指摘のとおり、堤防の沈下でありますとか、あるいは水門の開閉等に関しまして、非常に厳しい、いわば過酷事象を前提として行ったものでございます。これらの対策をどのように講じていくかということを検討する上において、そういった過酷事象を前提とした検討も大変意味のあるものというふうに考えております。

 ただ、各地方公共団体が個別の対策の検討を行うにおきましては、費用や効果、実現性等を勘案して進められるものというふうに理解しております。

原田(憲)委員 わかりました。

 今私が申し上げました大阪府の被害想定では、国の想定と異なって、水門や防潮鉄扉が開放された状態ということを前提に被害想定をしたということでありまして、実際に鉄扉等を閉めるのは、大阪市の場合には地元の水防団、この人たちが防潮鉄扉を閉鎖することとなっておるんですが、この水防団員は、消防団と同じで、団ごとの平均団員が三百五十名ということで、減少傾向にあります。そして、全体の二五%が六十歳以上、高齢化が進んでいる状況。

 こういった現場の実情について、政府としてどのようにお考えでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

森北政府参考人 お答えをいたします。

 全国の水防団員は、平成二十四年四月現在で約八十八万人でございますが、その数は年々減少をしております。平成元年当時と比較いたしましても一割以上減少いたしております。大阪府においても同様の傾向でございます。

 また、全国の水防団員の年齢構成を見てみますと、六十歳以上の方は四・七%でございますが、その割合は年々増加をしております。平成元年当時と比較いたしまして約三倍ということになっておりまして、その中でも大阪府は、委員御指摘のとおり、六十歳以上の方が全体の約二六%を占めておりまして、特に高齢化が進んでいるところでございます。

 このような状況を踏まえまして、国土交通省では、水門や陸閘等の自動化、遠隔操作化を進めているところでございます。さらに、東日本大震災の教訓を踏まえまして、水門、陸閘等の自動化、遠隔操作化をより確実にするため、平成二十五年四月でございますが、津波・高潮対策における水門・陸閘等管理システムガイドラインの改定を行ったところでございます。

 また、さきの通常国会におきまして、水防法の改正を行いました。地下街等の民間事業者による自衛水防の強化、水防協力団体の指定要件の拡大等、水防団だけでなく、多様な主体が水防へ参画するための施策の充実を図ったところでございます。

 今後とも、水防団員の減少、高齢化という現場の実情を踏まえまして、地域の防災力の維持向上を図るための施策の実施に努めてまいりたいというふうに考えております。

原田(憲)委員 次に、各自治体においても、それぞれの被害想定の結果等を踏まえて具体的対策を検討して積極的に講じていくことが求められておりますけれども、国家的な観点から、政府としてもしっかりと技術的、財政的に各自治体を支援していくことが極めて重要であると思います。

 とりわけ、大阪のような経済中枢機能が高度に集積した大都市に対する打撃は、大阪だけの問題にとどまらず、日本全国、ひいては我が国の国際競争力を低下させ、国家としても大きな損失となるおそれがあります。

 政府においては、現在作成している大綱等に大都市大阪の重要性、被害の甚大性を十分に反映した上で、早急に取りまとめられるべきだと考えますが、いかがでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

古屋国務大臣 お答えいたします。

 委員は、御地元、大阪ということで、大変この点を懸念されておる、よく承知をいたしております。

 大阪を含む南海トラフ地震の地震対策は、既に平成十五年に決定をさせていただいた東南海・南海地震対策大綱において対策は示されていますけれども、今回、いわゆる河田委員会、検討委員会の中で最終報告が出て、新たな想定が示されました。したがって、その対象となる地域の地震とか津波の規模が大きく変わってきたんですね。だから、必要となる対策も当然変わっていくというふうになると思います。

 そこで、今回、議員立法として南海トラフ地震対策特別措置法案が国会に提出をされ、私どもとしても早期の成立を望んでおりますけれども、これが成立をした暁には、南海トラフ地震防災対策推進基本計画をつくることになっております。

 したがって、現在ある大綱の取り扱いも含めて、委員御指摘いただいたような大都市の重要性等々を十分に勘案して、それに適応できるような、そういった中身にしっかりブラッシュアップしていく必要があろうと思いますので、委員の御指摘をしっかり踏まえて検討していきたいと思っています。

原田(憲)委員 大臣、ありがとうございます。ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 次に、大阪府の被害想定でも明らかになりましたけれども、火災や地下施設を有する大規模駅周辺ビル群の浸水等、新たな知見に基づく対策が必要とされております。

 大都市特有の課題についても、政府として引き続き検討を行い、早急に実施方法等を自治体に示していただくべきと考えておりますけれども、この点はいかがでしょうか。お答えをいただきます。

日原政府参考人 お答えいたします。

 内閣府では、本年五月に取りまとめられた南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの最終報告をもとにいたしまして、現在、南海トラフ地震対策の大綱に相当するものの作成作業を進めているところでございます。

 最終報告の中では、大都市の中心市街地に分布する大規模な地下街、高層ビル、ターミナル駅等における地震時の停電や火災、津波の浸水等からの安全確保の重要性について示されているところでございますので、これらを踏まえて作業を進めてまいりたいと考えております。

原田(憲)委員 中央防災会議の最終報告では、東京湾、伊勢湾、大阪湾の港湾の防潮堤においては、地域の実情及び費用対効果を勘案しつつ、マグニチュード八クラスの地震、レベル1の津波を超える津波を想定した防護水準の確保を検討する必要があるとされております。

 大阪府では、この最終報告や大阪府防災会議の意見等を踏まえ、先般の被害想定の結果、明らかとなりました、液状化による防潮堤や河川護岸の沈下対策、密集市街地対策等、急務の課題について直ちに取り組む姿勢を明らかにしております。

 しかし、大都市には、我が国の成長に寄与する戦略的な投資を遅滞なく進めていくことや、高度成長期に大量に整備した既存インフラの老朽化対策が求められております。大阪府においては、液状化による沈下対策を行うべき防潮堤そのものの老朽化が進んでおります。海抜ゼロメートル地帯を抱える中、老朽化対策は待ったなしの状態、厳しい財政状況の中で、こうした老朽化対策に加え、新たに沈下対策を講じていかなければなりません。実際、映像等で見ますと、護岸が水漏れを起こしておる状況のところもあるようであります。

 このような地方財政を取り巻く厳しい環境のもと、新たに出現した課題に対する巨額の財源確保は、通常ベースの社会資本整備とは別次元で対応を考えなければ、自治体だけでの対処は極めて困難であると私は思います。

 大都市における迅速、確実な防災、減災対策を進めることができるよう、政府として、国家的な観点から、国費率のかさ上げや重点配分、地方債の特別措置、老朽空き家の除去に関する税制活用等の必要な措置を実施するなど、直ちに取り組むべきであると考えますが、いかがでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 南海トラフ地震など大規模地震に備える防災、減災対策は極めて重要でございます。特に、大都市における地震防災対策を推進し、災害から国民の生命財産を守ることは、政府の最重要課題の一つとなってございます。早くから社会資本整備の進められた大都市におきます老朽化対策、今、関係省庁におきましても、重要課題として取り組んでいるところでございます。

 また、地震防災対策事業に対する地方公共団体への支援につきましては、地震防災対策特別措置法に基づきまして、社会福祉施設や公立の幼稚園、小中学校の耐震化等の事業につきまして国庫補助のかさ上げを行うなど、地震防災対策の推進を図っているところでございます。

 また、現在御審議いただいています、いわゆる南海トラフ地震対策特別措置法案においては、避難路や避難施設に係る国費率のかさ上げ、あるいは公共施設等の除却に係る地方債の特例措置等が盛り込まれているものでございますので、政府としても早急な成立を期待しているところでございます。

 今後とも、迅速、確実な防災、減災対策を進めることができるよう、関係省庁と連携しつつ、必要な施策の実施に努めてまいりたいと考えております。

原田(憲)委員 ありがとうございます。

 南海トラフ地震に係る地震防災対策、これは我が党も法案として特別措置法を提案させていただいたりしております。この法案の成立を一日も早くしていただいて、各自治体からの要望にもしっかりと応えていくことが必要である、このように思います。

 私、古屋大臣にお越しをいただいていますので、時間が少しありますので、この際、お尋ねをしたいんですが、今、水防団の話をさせていただきました。この水防団も大変高齢化が進んで、なり手が少ない。特に、水防団といいますと、地元に必ずいる人をということが大前提になっておりますので、その人員の確保も難しいということであります。

 その一方、東日本大震災でも大きな問題となりました。改めて御冥福をお祈り申し上げたいと思うんですが、消防団の皆さんも同じような問題を抱えております。

 私は実は消防団の団員だったことがありまして、私の時代には、四十歳で定年ということで、私の地元の大阪府の箕面市の消防団はそういうような対応をしていただいておったのですが、今現在は、四十歳定年にしてしまいますと、団員が全く集まらないというような状況にもなろうかと思います。

 そんな中で、古屋大臣、消防団の人員の減少それから高齢化、あるいはその対応というのでしょうか、この皆さんに対する支援を改めてお願いしたいと思うんです。消防団出身の議員として、ぜひこの際、大臣から一言いただけたらと思いますが、よろしくお願いいたします。

古屋国務大臣 実は私、初当選以来、消防議員連盟に入っていまして、今、消防議員連盟の会長でございまして、消防力の充実、一生懸命やっております。

 むしろ、防災担当大臣という立場よりは議員連盟の会長という立場でお話ししたいんですが、やはり日本の消防というのは世界一なんですよ。全市町村にあります。こんな国はないです。地域の住民の安心、安全のために本当に献身的な取り組みをしていただいております。ただ、高齢化と団員の減少は深刻な問題です。しっかり数を確保する、そして使命感をしっかり持っていただく、キーポイントはやはり自分たちの郷土愛ですね。こういった取り組みをしていくことが大切だというふうに思います。

 そのために、実は、私もずっと何年か前から議員立法にかかわっておりまして、今般、正式名称は消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律、これは総務委員会の方で恐らく近々に取り扱いについて議論をいただけるというふうに承知をいたしております。これは、消防団の確保、そして充実強化、地域には欠くことのできない存在であるというようなことで、消防団の皆様への支援をしていこう、こういった趣旨の法案だということでございます。

 立法府に身を置く委員におかれましても、ぜひこの法案の成立に御協力をいただきたいと思いますし、また同時に、日本消防協会あるいは消防庁が、適切に消防団の活動がしやすくなるための対応をしていくことを期待いたしております。

原田(憲)委員 ありがとうございました。私も、消防議員連盟の一員としてしっかりと頑張っていきたいと思います。

 古屋大臣におかれましては、今御答弁いただきましたように、全国の消防の希望の星となっていただきますように、よろしくお願いを申し上げまして、質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 おはようございます。きょうは、時間をいただきましたので、少々質問をさせていただきたいと思います。

 古屋大臣には、十一月二日、三日、高知県に来ていただきまして、精力的に五市町を視察していただいた、こういうことでございまして、心から御礼を申し上げたいと思います。その件も含めまして質問をさせていただきたいんですが、きょう、この午前中の委員会が終わりますと、本会議を挟んで、午後、参考人にも意見陳述をしていただきますが、地元高知県の黒潮町長、大西町長も陳述をなさる、こういうことでございます。

 この黒潮町が、実は、昨年の三月に津波高が発表された、そのときに、三十四メートルという津波が来る、これで一躍日本一有名になりまして、地元としては、その津波の高さを聞いて、逆に、お年寄りが諦めた、逃げても無理という気持ちになった、こういうお話もございました。

 そして、四国の各地をそのときに回りますと、国は津波の高さだけ発表して対策は全然発表できていないじゃないか、こういうお声がやはりあちらこちらでありました。現実に、仕事をなさっている方で、海辺に近いところで住宅地の販売をしている人なんかも、大打撃だ、何の対策もないまま、ぽんと発表されたということで、大変なお怒りの声も私はいただきました。

 遅まきながら、南海トラフの地震、津波対策、私たち、自民党と公明党で議員立法で今提出をさせていただいておりますので、これも各政党の御協力をいただいて一日も早く成立をさせる、そして、それを予算をつけて実行する、こういうことで私たちも取り組んでまいりたいと思っております。

 いろいろと国会の中では対立することもあるんですが、防災対策については与党、野党関係ない、これはもう共通の認識だと思いますので、ぜひ、私たちも努力をいたしたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 それで、まず、きょうは大臣に冒頭お伺いしたいのですが、先ほど申し上げたように、十一月の二、三の両日にわたりまして県内の五市町を視察していただきましたけれども、現地を訪れて、地元の方との意見交換もあっただろうと思いますが、率直な御感想をお伺いいたしたいと思います。

古屋国務大臣 委員御地元の高知県を私、視察してまいりました。

 今御指摘のように、三十四・四メーターショックと言われるように、黒潮町が一躍クローズアップされました。ただ、これは、実は報告書の中に、そういったのはあるけれども、事前対策を講じることによって十分その被害というものは減少させることができるということも同時に記述をされております。ただ、残念ながら、ちょっとそこの部分が大きくクローズアップされてしまった。

 私は、例えばこの南海トラフの最終報告を出すときにも、冷静に正しく恐れてもらう、だから想定外をなくす、そういう意味であえて発表させていただいたという経緯もございます。

 この二日間、私、視察しまして、高知市、南国市、香南市、中土佐町それから黒潮町、五つ回りましたけれども、共通して言えることは、首長さんや関係者の皆さんが危機意識が非常に高い、そして、対策を前向きに講じていこうという意欲をひしひしと感じました。特に、津波の被害から命を守るためにいろいろな選択肢を講じている。例えば津波タワーにするとか、あるいは高台に避難をするための方策を具体的に講じていく等々、多様な手段を講じてやっていこうということがよくわかりました。

 それからもう一つ、私は感心したことがございまして、高知市と高知県、これがお互いに災害の際の役割分担をするマトリックスをつくりましてやっている。それで、ほかの市町村もそれをやる。特に高知市と高知県というのは、私、びっくりしました。余りこれは大きな声で言える話じゃないんですが、都道府県知事と県庁所在地の市長というのは余り仲よくないところが多いんですよね。それが、お互いに連携をとる。これこそ、県民、市民のことを第一義的に考えて取り組んでいる立派な取り組みだなと思って、私は大変感心をいたしました。

 それから、黒潮町でシンポジウムに参加しましたけれども、きょうも午後、大西町長がお見えになるんですよね。彼の方から、避難放棄者は一人もつくらないと。要するに、お年寄りで足も悪いから、もう来たら諦めるというような人は一人もつくらないということで、一人一人の避難計画を、例えばお年寄りの方がいたら、こういう形でこの人をつけて、二階にいるから、二階からどうやって下げて、そして高台に避難させるとか、そういう細かい計画までつくろうという意欲でありました。

 この津波対策を徹底すれば、人の命は間違いなく守れると思います。東日本大震災のときも、約九三%が津波による被害者であるということを考えれば、津波対策を徹底していくことは大切だと思います。

 私どもも、この特措法が成立をされた暁には、あらゆる支援を積極的に講じていきたい、こんな気持ちを持った二日間の視察でございました。

石田(祝)委員 率直な思いを語っていただきまして、ありがとうございました。

 それで、今、特措法を一日も早く成立させていただいて、こういうお話もございました。これは議員立法ということで出させていただいておりますので、直接、内閣が答弁とか、そういう形ではないかもしれませんが、せっかくですから、この特措法について、大臣、どのようにお感じになっていらっしゃるか、お答えをお願いしたいと思います。

古屋国務大臣 まず冒頭に、先ほど申し上げましたけれども、ぜひ速やかな成立を立法府の皆さんにお願い申し上げたいというふうに思います。

 今回のこの特措法は、津波からの避難施設だとか避難路の整備に係る補助率のかさ上げ、病院とか福祉施設とか幼稚園とか学校の、津波避難に係る要配慮者施設の高台移転に関する財政上の支援等々を盛り込んでおりまして、やはり津波対策、特に高知県でいうなら、そういったものが中心になっていくというふうに思っております。

 我々は、こういう南海トラフ巨大地震の対応をしっかり事前にしておくということによって、結果として、致命傷を避けることができるし、人の命も守れるし、そして被害を最小限に食いとめることができる。これはソフト、ハード両面でしっかり対策を講じていく、その一環として、今度はこの特措法が提出をされているというふうに承知をいたしております。

 ぜひとも早急な成立を心から期待いたしております。

石田(祝)委員 これは新聞記事になりますが、地元紙でも、大臣がお見えになって視察をされているところ、そしてシンポジウムに出られたところ、これが二日間にわたって地元紙にも大きく載りました。

 その中で、私、一つだけお聞きをしたいと思っているのは、医療機関の移転、高層化。社会福祉施設についての高台移転というのは、今回、支援対象者というんですか、そういう方々の施設については、防災集団移転の仕組みも利用しつつ、まず先んじて高台移転、こういうことも可能な仕組みにしたわけですが、医療機関についても、尾崎高知県知事から大臣にも直接お話があったというふうにお聞きをしております。医療機関の現地高層化、浸水予想区域外への移転の後押しの仕組みをつくってほしいと。

 この新聞記事によりますと、大臣は、現地高層化は、場所の選定や、通常の地域医療計画を大幅に変える必要がなくていいと理解を示した、こういう記事になっておりますけれども、この点については新聞記事を引いて私は申し上げておりますけれども、この医療機関の高層化とか地域外への移転、これについて大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

古屋国務大臣 尾崎知事には、検討ワーキンググループのメンバーにもなっていただいておりますし、また国土強靱化の有識者会議の地方公共団体代表にもなっていただいて、いつも大変貴重なアドバイスをいただいておりまして、今回の医療機関の高層化あるいは浸水地域以外への移転ということに対する提言についても、私は、災害地の医療供給という視点からも極めて貴重な提言だというふうに思っております。

 医療機関の高台移転については、現在御審議をいただくことになっております特措法において、集団移転促進事業の中で用地造成の支援を行う、施設移転についても財政上の配慮を行う、こういうふうになっておりまして、内閣府としても、関係省庁と連携して、しっかり支援をしてまいりたいというふうに思っております。

 また、そのほか、いざ災害が起きたときには、医療の具体的な支援ということがございますので、これは私も尾崎知事にも御提案をさせていただいているんですが、コンテナ内、これは国際規格がありますので、八フィート、八フィート、二十フィート、あるいは八フィート、八フィート、四十フィートというのが世界共通規格でございますので、この中に医療資材を備えて弾力的に対応できる医療モジュールを整備して、発災時には船とかトレーラーで現地に赴いて医療提供を行うことができるし、平時には、その訓練であるとか、あるいは僻地医療等々、無医村への医療、こういったものにも活用できると思いますので、ぜひこういった視点からもこの医療モジュールについては検討をしてまいりたい。

 御党におかれましても、この医療モジュールについては大変推進をされているというふうに承っておりますので、どうか御協力をよろしくお願いします。

石田(祝)委員 きょうは厚生労働省大臣政務官、赤石政務官にも来ていただいておりますが、この医療施設の高台移転ということと、知事が言うその場所での高層化、高層化ということですから、高いところに医療機器をしっかり置いて、津波が来たら、当然、浸水高まではつかるということですから、それを避けるために、その場所での高層化というのは今回の仕組みの中に入っていないんです。東日本大震災の現場を見ても、やはり医療拠点が浸水でやられているところを私は見てまいりましたけれども、そういう点について、厚生労働省としてどうお考えなのか、御答弁をお願いします。

    〔委員長退席、福井委員長代理着席〕

赤石大臣政務官 おはようございます。石田委員にお答えしたいと思います。

 先日、尾崎知事が私のところに参りまして、実は、大臣、副大臣が対応するべきだったんですけれども、ちょうど公務がありまして、私が対応させていただきました。

 防災に対する考え方を非常にしっかり持っておられて、ほかの被災地もしっかり注視をしていまして、私も、青森県の出身で、沿岸部でありまして、実は、高知市内で水害があったときに見に行きました。こんなに狭いところにこんなに多くの住宅が密集しているんだなとつくづく感じまして、あの川の洪水でさえあれだけの被害が起こる、医療機関がその中にまた百数十でしたか、存在しているということで、これは災害、南海トラフ地震が起こったら大変なことだなということで、まさに真剣に考えなきゃいけない。

 厚生労働省としましては、高台移転については、集団で移転する場合にはそれを補助してあげましょうということで、これについては今後とも補助をしていきたいというふうに考えております。

 また、高層にするということについては、これもかなり要望が多くて、実は、予算が今四十億に対して八十億ぐらいの要望が来ておりまして、これから財政当局と必死になって交渉していきたいと思っておりますけれども、何とか少しでも多くの予算をつけて、この高層化の支援もしていきたい、このように考えております。

石田(祝)委員 これは大変大事な御答弁をいただいたと思います。予算の問題でありましたら、我々もしっかりと協力をしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 今、政務官が高知の水害を見に行ったというのは、多分平成十年だと思うんですよ。そのころの話になりますけれども、あのときは、大体二日ぐらいで一千ミリの雨が降って、あの地域が、高潮と、一千ミリ降ったのと、上流で降った雨が流れてきたという大変な状況でして、高知市の東半分ぐらいが、土佐弁で言うと、ぼったりつかった、こういう状況でした。私たちも水害の恐ろしさというのをよく見ておりますので、その後始末の大変だったことを今でも覚えております。

 そういう命を救うという点での高台移転、高層化、これはぜひ取り組まなければいけないと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 それで、ちょっと角度を変えまして、これも地元紙の記事でありますけれども、スーパーコンピューターの「京」というのがありまして、この処理能力が世界一だったのが、残念ながら、今四位ぐらいに後退しているようでありますけれども、これでやりますと、非常にさまざまなシミュレーションが短時間でできる。そして、海洋研究開発機構、ここが、「京」を使って、高知市をモデルにした津波発生時の避難シミュレーションの立体地図、こういうものをつくっているという記事が大々的に出ておりました。

 しかし、そのときに、非常に大きな課題があるのは、電力をたくさん使う。大体三万世帯分ぐらいの電力を使っていく、こういうことが書かれておりました。そうすると、最近電気代が上がってきて、予算が足りなくなった。そして、夏はこの「京」をとめなきゃいけないんじゃないのかというのが頭をよぎったというふうに理化学研究所の方がおっしゃっている。

 せっかくすばらしいスーパーコンピューターがあって、災害のシミュレーションもできるということでありますから、これは、文科省さん、きょう来ていただいておりますけれども、予算がなくて途中でとめなきゃいけないかなどと研究者が心配するようでは困るわけです。

 二〇一四年度の予算の概算要求について、文科省は、これは新聞記事ですけれども、予想だけでは予算要求できない、こういうことを言っているというんですけれども、概算要求というのは、こういうことをしましょうとか、こうなるだろうという前提で予算を組むんじゃないかと思うんですけれども、これはしっかり予算を組んでいただけるいと思いますが、どうですか。

吉田政府参考人 御指摘のスーパーコンピューター「京」でございますけれども、すぐれた計算性能を生かしまして、今先生御指摘の南海トラフ巨大地震の被害予測ということにつきまして、海洋研究開発機構等々の津波被害シミュレーションに活用されております。その過程では、高知県高知市との研究協力によりまして、地震発生時の最適な避難計画の策定といったものにも貢献をしてきているところでございます。また、内閣府の防災担当部局におきましても、「京」を用いた南海トラフ巨大地震等の精緻な被害予測を実施されているということでございます。

 今御指摘の電気代の関係でございますけれども、これにつきましては、どうしてもこれは「京」を稼働するために必要となる予算でございますので、これまでも所要額を確保してきております。今年度も、先ほど新聞報道のことをお触れになりましたけれども、これは理研の中でもいろいろと創意工夫をいたしまして、今年度も着実に運転ができる見通しが立っているところでございます。決して「京」をとめるような事態には至らないものというふうに考えております。

 来年度の運転につきましても、今般の電気料金の値上げを踏まえました予算要求を行っているところでございまして、今後、またさまざまな事情の変化といったものもございましょうけれども、そういった事態にも的確に対応して、この「京」が着実に運用され、多くの成果が創出されますように、予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そして、その後、二〇二〇年ごろを目指してエクサ級のスパコンの開発も考えているということですから、これはやはり一番じゃなきゃいけないんですよ。ひとつよろしく頑張っていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、国交省にお聞きします。

 津波が発生したときに、川を遡上して波が行きますね。そのときに無堤地区があると、そこから被害が広がる可能性があるんですが、そういうところの対策というのはしっかり考えていただいておりますか。

森北政府参考人 お答えをいたします。

 河川における津波遡上につきましては、海岸の防御と整合を図りつつ、一体となった対策が重要というふうに考えておるところでございます。

 河川の津波遡上対策につきましては、比較的発生頻度が高く、津波高が低いものの大きな被害をもたらす津波、いわゆるL1でございますけれども、それを施設計画上の津波というふうに設定いたしまして、津波遡上区間におきまして、委員御指摘の無堤地区や堤防が低い地区の堤防断面が確保されていない箇所につきまして、順次堤防のかさ上げ等の対策を実施しているところでございます。

 今後とも、河川の津波遡上対策につきまして、引き続きしっかりと推進してまいりたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 終わります。ありがとうございました。

福井委員長代理 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきまして、どうもありがとうございます。

 最初に、台風二十六号でお亡くなりになられた皆さん、被害に遭われた皆さんに、心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 きょうは、選挙区の隣であります、岐阜県から唯一出ておられます古屋大臣に質問させていただく機会をいただきまして、大変ありがとうございました。御活躍を期待しておりますし、ぜひ歯切れのいい答弁をよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 きょうは、災害全般に関して、特に南海トラフ、首都圏直下ということでありますので、最初に、亜炭鉱の話をちょっとさせていただきたいと思うんです。

 私は経済産業委員会の理事でありまして、経済産業委員会の方でこれを何度か取り上げさせていただいて、茂木大臣からもいろいろと御答弁をいただいておりますが、ぜひ災害特の皆さんにも、こういうことがあるんだということを知っていただきたい部分もありまして、少しだけ経緯をお話しさせていただきたいと思います。

 明治時代から昭和にかけまして、全国で国策として亜炭をいろいろなところで掘るという事業がありまして、一番多いところは九州でありますし、東北もたくさんそういうところがありまして、実は、東日本の大震災のときも、その亜炭鉱の跡のところが陥没するということが至るところで起きたということであります。

 昭和に入って、エネルギーが転換をしていきまして、亜炭はもう使われなくなって、自然消滅をしていったわけでありますけれども、国は、どこかで幕引きをしなきゃいけないというところで、今から十二、三年前ですけれども、現在の資源エネルギー庁でそれぞれの自治体に基金をつくりまして、その基金でこれから亜炭の穴のところを修繕してください、そういう制度をつくって、一度幕引きをしたということです。つまり、ある意味、手切れ金を渡して、あとはもう国は知りませんよとでもいうような制度にしたわけであります。

 岐阜県の場合は、四億九千万の基金をいただきまして、この運用は、いわゆるお金の運用益を利用して、亜炭の穴のところが陥没をした場合に限り、原状復旧をするためにそのお金を使ってくださいということで進んでおりました。実は、この制度は、原状復旧をするということではうまく回ってきていたんですけれども、岐阜県の場合も、ここに来て、一気に基金が半分ぐらいになっているんです。

 その最も大きな原因と私が思っているのは、私、選挙区があります御嵩の亜炭鉱の中に入りましたけれども、この亜炭鉱は、それぞれのところに土の柱を残しながら穴を掘っていくということで、この土の柱で支えていることでもっているわけです。ところが、これが経年劣化していっていまして、年を追うごとにだんだんこの柱が細くなっていっているんですね。この状態がずっと続きますと、最後、どすんと一気に落ちかねないという状況が今もう本当に迫ってきているわけであります。

 大臣の選挙区にもこういう地区があるというふうに承知をしておりますけれども、まさしく、南海トラフ、東海大地震が来た場合に、この地区は大規模な陥没が起きるんじゃないかということで、今大変心配をしているところでありますけれども、残念ながら、経済産業省は、あくまでも、基金を使ってここを幕引きしました、あとはこの基金で何とかやってください、基金がなくなった場合は、そのことはまた検討しますということで、大臣も答弁をいただいております。

 それで、住民の皆さんからもいろいろな御意見がありまして、せめて避難する場所とか公共のところは何とかならないかということで、いろいろ政府にも御配慮をいただきまして、例えば文科省の予算を使って、避難所にもなっている中学校の下を補強するとか、こういうことをやってきておりますけれども、まだまだ十分じゃないんですね。先日の経済産業委員会の中でこのことを茂木大臣にお話ししまして、もう根本的な対策が必要なんじゃないでしょうかと。

 実は、御嵩町というのは、ある意味非常に勇気のある町長さんがおられまして、大体、こういう地域というのは、下にそういうのがあるのは自治体の皆さんは隠すんですね。それは、それを発表してしまうと、土地の値段ががくんと下がりますし、みんな、そんなところだったのと大変不安が広がるということで、なかなか踏み込めないんです。

 ところが、御嵩町の町長は、ここに踏み込んで、聞き取りですから、ちゃんとはつくれませんが、ハザードマップをきちっとつくって、住民の皆さんに見せて、皆さんの地区はこういう地区の可能性がありますよということを勇気を持ってやっておられるわけです。私は、大変すばらしいというか、勇気のある行動だということで、敬意を持っておるわけであります。

 ぜひ、大地震が来る前に抜本的な解決をしていただきたいということで、経済産業委員会で茂木大臣にお尋ねをしましたところ、これは各省庁にわたっていることなので、今後、各省庁と連携をとりながら検討をしてまいります、こういう御答弁をいただきました。

 災害全般、国交省もかかわっていますし、いろいろかかわっております。これを取りまとめられるのは、私は内閣府の古屋担当大臣だというふうに考えておりますので、この茂木大臣の所見も含めまして、個別の話だけではないんです、全国にそういうところがありますから、そういうところも含めまして、今後そういう対策をしっかりとっていただきたいということをお願いしたいと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。

古屋国務大臣 委員御指摘の御嵩町の亜炭鉱、私も、かつて中選挙区のときは選挙区でございましたので、よく承知しております。まだ、御嵩以外にも、東北にも、あるいは九州にも、各地区にありますね。ただ、御嵩の非常に特徴的なところは、町中がその対象地区になっている。

 御承知のように、亜炭鉱の対応スキームは、陥没したら対処しましょう、こういうことですね。ただ、それは、国土強靱化の視点からすると、国土強靱化は平時からしなやかな強い国土をつくっていくという発想でございますので、ある意味では、これは国土の脆弱性の一つだと思うんです。地域の脆弱性と申し上げた方がいいかもしれません。その地域の脆弱性を評価して、そして優先順位をつけて、この対策を講じていこうというのがむしろ私たちの考えている国土強靱化でございます。

 今回のこの亜炭鉱につきましても、茂木大臣からもそういう答弁があったということはよく承知をいたしております。私どもとしても、いろいろ知恵を出しながら対応できないかということで今考えさせていただいておりまして、こういった穴を塞ぐというスキームはたくさんあるんですね。例えば、かつては、特殊地下ごう対策事業、要するに防空ごうなんかもあったんですね。だから、こういったものも含めて、対応できるかどうかというようなことをしっかり考えていきたいと思います。

 いずれにしても、知事からも強い要望もいただいておりますので、この亜炭鉱対策については、できるだけ事前の対策も含めてやれるようなことを考えていきたいというふうに思っています。

今井委員 力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 御案内だと思いますが、岐阜県の方でも対策本部をつくって抜本的な対策をやろうということでありますし、何よりも私が申し上げたいのは、これは国が国策でやったものであって、その下にそういうものが掘られているということを知らない住民の方もいらっしゃったということであって、それをあるところで区切りをして、あとは私たちは知りませんと、これはやはり国としては、私はあるべき姿ではないというふうに思っております。

 そういう点も踏まえて対応をお願いしたいと思いますし、大臣念願のリニアも来ましたので、リニアの残土をあそこに入れてくれという声もありますし、いろいろな方法があると思いますので、御検討をいただきたいということで、次の機会にでもまたいろいろ御質問させていただきたいというふうに思います。

 次に、先ほどもお話がありましたけれども、最近、雨量が非常に多くなっているということで、雨の対策について少しお伺いをしたいと思うんです。

 大臣御案内のとおり、私のところは、実は二〇一〇年に八百津町と可児市で大変な被害が出まして、山が崩れる、それから川が氾濫するということで、亡くなられた方もいらっしゃいました。翌年は台風十二号、それから十五号が直撃をいたしまして、また大変な被害が出たわけであります。

 私のところには雨量規制がある道がたくさんあるんですけれども、きょう国交省の方にちょっと来ていただいていますので、国道、それから県道、市道、町道、村道、いろいろな道があると思いますけれども、それぞれの雨量規制の基準、あるいは運用、これは今どういうふうにやっていらっしゃるか、ちょっと御答弁をいただきたいというふうに思います。

    〔福井委員長代理退席、委員長着席〕

徳山政府参考人 お答え申し上げます。

 道路の雨量によります通行規制につきましては、道路法の第四十六条に基づいて行っております。第四十六条には、「道路管理者は、」「道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、区間を定めて、道路の通行を禁止し、又は制限することができる。」と定めております。

 特に、以前は事前にとめるということはなかなかしておらなかった時代もあったわけでございますけれども、昭和四十三年八月の飛騨川バス転落事故、大変痛ましい、死傷者を多数出した事故でございまして、それ以降、安全性により配慮するということに方向を変えまして、異常気象時に被害の発生するおそれの高い区間を通行規制区間に指定し、あらかじめ通行を規制しているところでございます。

 やり方といたしましては、これは実際の経験値に基づくものが多うございます。実際の地形、地質、あるいは道路の状況、年代もいろいろ違うものでございますから、それぞれの道路管理者が、今までの経験と多くのデータで、ある程度の雨量に達すれば、ちょっと水が下から出ていた場所があるとか落石があったとかいうようないろいろなデータを積み重ねた上で、この箇所は例えば連続百五十ミリになったら通行規制をしようというようなことを、これは、安全と通行の確保という二律背反の部分を悩みながら決めさせていただいておるわけでございます。

 このような通行規制区間は、平成二十四年度末現在、全国の一般国道及び都道府県道分を把握しておりますけれども、三千九百区間、約二万三千キロに及んでおります。

今井委員 今ちょうど話が出ました飛騨川のバスの転落は、私の選挙区でありまして、国道四十一号線という道路でありまして、ここは急な山のところにつくっているので、なかなか、雨量規制を解除しようと思っても、改良が非常に難しい、そういう悩ましい地区なのであります。

 今、それぞれの道路管理者がそれぞれの経験を踏まえてということをおっしゃられましたけれども、それぞれの管理者というのは、国、県、各自治体なんですね。

 私、ふだん見ていて非常におかしいなと思うことがありまして、それをぜひきょうは大臣にお願いをしたかったんです。

 実は、台風十二号のときもそうです、十五号のときもそうですけれども、国道四十一号線は雨量規制でとまりました。ところが、ほかの周りの県道とか町道とか、雨量規制がないところはそのまま走れるところがいっぱいあったんですね。結果として何が起きたかといいますと、雨量規制をした国道四十一号線はびくともしませんでした。ところが、雨量規制をしていない県道や町道は、物すごく崩れて、大変な被害が出たわけです。

 これは普通に考えておかしいですよね。雨量規制しているところは被害は何ともないのに、規制していないところは物すごく被害が出る。どうしてこんなことが起きるかというと、それぞれの道路管理者がそれぞればらばらにやっているからこういうことが起きるんじゃないかなと思うんです。

 これは僕は縦割りの弊害だと思っていまして、国とか県道とか町道とか市道なんというのは市民にとっては全く関係のない話で、その地域の道路であることには変わりはないわけですね。

 ですから、やはりこれは防災の観点で、全体、道路網をどうつくっていくかも含めて、迂回路も含めてですけれども、それぞれの道路管理者が勝手にやるのではなくて、一つの地域の中で集合体をつくって、ここはこういうふうにしていったらいいという統一の考え方をこれからつくっていかないと、恐らくこういうことが全国でたくさん起きているんじゃないかなというふうに思うんですね。

 ですから、これから防災計画、いろいろなものをつくるときには、どこの管轄ということではなくて、その地域という単位でそういうものを考えていく、そういう考え方をぜひ取り入れていただきたいというふうに思っているんですけれども、こういう考えについての大臣の御所見をいただきたいと思います。

古屋国務大臣 雨量規制のことについては、今、徳山道路局長が御答弁を申し上げたとおりです。これは、道路法によってそういうルールが決まっております。

 経験則というのもすごく大切で、やはり、この地域はこれぐらい、それから実際に土砂災害の危険区域はこれぐらいあるとか、いろいろなことを総合的に判断しながら、一つ一つ、そういった経験則と、また気象庁等の情報を総合的に勘案して、国並びに地方の道路管理者がそういう規制をしているということです。だから、今委員御指摘のあった、確かに県道と国道と違うという実態はあろうかと思います。

 ただ、道路法の問題にもかかわりますので、私が直接これに答弁するというのは、管轄外でございますので、余り適切ではない。しかし、私が申し上げたいのは、やはりそういった過去の経験等々に基づいて、これから道路管理者、それぞれの立場の方々がよく連携をしてやっていくという必要はあろうかというふうに思います。そして、適切な規制というのがなされていくということが大切だというふうに思います。

 確かに、情報の共有というのは、さらに緻密にしていく必要はあるんだろうなという印象を持っておりますが、関係省庁ともよく相談をして、適切な対応ができるように我々も検討していきたいというふうに思います。

今井委員 ありがとうございます。

 法制の必要はなくて、今大臣がまさしくおっしゃったように、いろいろな連携をどうとっていくかというソフトの対応だと思いますから、十分、今の現行法のもとでもやれると思いますので、ぜひまたこういう御検討をいただきたいというふうに思います。

 時間が迫っていますので、最後にちょっと一点だけお伺いしたいんです。

 今、土砂災害防止法に基づきまして、土砂災害警戒区域、それと土砂災害特別警戒区域というのが指定をされていますけれども、土砂災害特別警戒区域の場合ですと、ほかのところに移転をしたいというような方々にはいろいろな支援策があって、いわゆるがけ近を特例で使えるようにしますというのが一つと、それからもう一つ、移転をしたい場合は住宅金融支援機構の融資を受けられます、こういう二つの制度を併用できるというふうにお伺いしました。

 まず、後に言っていた低利融資の件ですけれども、これは伺ったら、実績はないんだそうです。なぜかというと、勧告を受けないと受けられないんですね。でも、実はがけ近の方は勧告がなくても受けられるわけです。こちらは勧告がなければ受けられない。同じものに対してやるのに、片方は勧告が必要、片方は勧告が必要じゃない、これはやはりおかしいと思います。

 それからもう一つ、がけ近の使い方ですけれども、これも、借り入れをしたときに利子補給という形で支援をするというたてつけに、建てる場合はなっていると思いますけれども、実は、こういうところに住んでおられる方は御年配の人で、借り入れできないんですよ。だから、この制度は使えないんです、借り入れですと。現金で移る、そういうケースが多いわけで、そうすると、現金での支援じゃないとこの制度があっても使えないんですね。

 だから、ぜひこういうところの改善をしていただきたいというふうに思いますけれども、御答弁をお願いします。

大野政府参考人 お答えいたします。

 住民の方々には、今委員御指摘のとおり、さまざまな課題をお持ちの方もおられると思います。

 ただ、個人の資産に対します国の支援につきましては、ある程度限定的とならざるを得ない面もございまして、まずは現行制度の有効活用を検討することとあわせまして、土砂災害対策としましては、住宅の移転のみならず、ハード対策、それから警戒避難対策の整備などソフト対策、こういったものを総合的に検討していくことが重要でありまして、地域のさまざまな課題を踏まえまして、地域の安全、安心のための対策を講じてまいりたい、このように考えております。

今井委員 委員会ではその程度の答弁しかできないのはわかっていますけれども、実際に住まれている方の声を聞いて、困っておられるわけですから、そういうことはしっかり解決する方法を見つけていく、それが行政ですので、ぜひそういう対応をしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、上野ひろし君。

上野委員 上野ひろしでございます。

 本日は、首都直下地震対策ということで質問をさせていただきます。

 まず冒頭、大臣にお伺いをしたいと思います。

 首都直下地震、これは定期的に大きな災害が起きる可能性があるということで、しっかり対策をやっていかなければいけないということで御議論いただいているところだと思います。そういった意味では、これまで、特にこの首都地域においてどのような防災対策が行われてきたのか、それをしっかり把握して、評価をしていく。現状、何が足りないのか、今後何をやっていくべきなのか、これをしっかり評価をしていくということが大事なのではないかなというふうに思います。

 例えば予算面でありますけれども、国全体では防災予算というのが公表されているわけでありますけれども、首都地域において、防災予算というのはどれだけ投じられているのか、必要な額が投じられているのかどうか、これはしっかり評価をして、少なければふやしていくという議論もあるというふうに思いますし、仮に多ければ減らすということもあるかもしれないというふうに思います。

 もちろん、首都圏の防災対策というのは国だけでやるものではなくて、地域、都県、市町村含めてだと思うんですけれども、とはいえ、首都圏は、大変大きな問題でもあるし、国全体にかかわる問題でありますので、国がしっかり把握をするというのは大事なんじゃないかなというふうに思っています。

 今申し上げた防災対策予算について言うと、国全体の額、これは白書なんかでも公表されていますけれども、恐らく、大災害が起きていない年ということであれば、ピーク時は平成十年度かなというふうに思うんですけれども、防災関係の予算は五・五兆円投じられていた。それが、直近、平成二十四年度は、三・九兆円まで減少しているということであります。

 その中で、分野が分かれておりますけれども、災害予防ということでいうと、ピーク時一・二兆円から、〇・五兆円までこれも減少してきているということであります。

 これは国全体の予算の推移であります。では、例えば首都圏ではどういう形で予算が投じられてきたのか。国全体と同じように減少しているのかどうか、それはどういう意図を持って減少させてきたのか、または、これが足りているのか足りていないのか、こういったことをしっかり踏まえないと、今後の首都地域の防災対策というのは、そもそも議論ができないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、大臣のこれまでの首都圏、首都地域における防災対策についての認識、評価、それから、それを踏まえて、では今後どうやっていくのか、お考えをお伺いしたいと思います。

古屋国務大臣 委員の御指摘は、首都地域において、これまでどんな防災対策が講じられてきたのかということと、その予算的なものはどうなのかという趣旨だと思います。

 まず、今までに講じてきた対策は、平成十七年の九月に中央防災会議でまとめました首都直下地震対策大綱がございますので、ここのところで、いわゆる膨大な人的、物的被害の軽減や首都機能の継続性の確保、こういった視点から取り組みをさせていただいております。

 具体例としては、住宅の耐震化の促進、あるいは家屋の延焼等を減らすために、いわゆる木密地域、木造住宅が密集している市街地の解消、こういったものに取り組んでいる。また、交通インフラの耐震化、こういったものについても取り組んできているということであります。

 一方、今御指摘の、全体の予算の把握、集計というのはどうかということ。これはちょっと、一律に集約することはなかなか難しいんですが、東京都だけでいいますと、一例ですが、いわゆる社会資本整備総合交付金がございますね。これが平成二十五年度で千八百億円ですので、この内数、これは事業費ベースでございますので、ここをどれだけ東京都がこういった防災体制に使っているかということは、これは東京都が詳しいデータを持っているというふうに思います。

 いずれにしても、やはり東日本大震災の教訓がございますので、これを踏まえまして、首都直下地震対策全般にわたる見直し作業を今進めているところでございまして、今後は、首都直下地震対策検討ワーキンググループの最終報告書が出ますので、そういったものにもしっかり対応して、必要な取り組みを着実に図ってまいりたいというふうに思っております。

上野委員 ありがとうございます。

 いずれにしろ、これから首都地域の防災対策を議論していくに当たって、これまでの経緯でありますとか予算の把握も含めてしっかりやっていただくことが必要なんじゃないかなというふうに思います。

 今、東京都という話がありました。一方で、国も、防災対策という意味では大変大きな額の予算をつけているわけでありまして、特に首都圏、首都地域ということでいうと、これは国全体の話でありますので、しっかりと、これまでの対策はどうだったのかというのを、予算面も含めて評価をされて、それを踏まえた御議論をいただければありがたいと思います。

 次に、首都機能のバックアップ拠点の整備ということについてお伺いをしたいと思います。

 私、地元が群馬県でありまして、群馬県も大変災害が少ない、恐らく、日本で一番災害が少ないところじゃないかなというふうに思っております。また、首都圏、東京からでありますと、電車でも一時間ということで、大変交通の便もいいということもありまして、今、県を挙げて、官民の首都機能、中枢機能の移転誘致というのをやっているところであります。我々国会議員もともに活動しているところであります。

 これは、たまたま私は群馬ですので一例を挙げましたけれども、恐らく各地域いろいろなところでやられているんだというふうに思いますし、いずれにしろ、首都圏、首都地域、この東京に今、行政、政治、それから経済の大変大きな機能が集中をしている、そして、ここで一定の期間ごとに大きな災害が起きる可能性があるということであれば、しっかりとリスクを踏まえて対策をしていかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。

 首都機能の移転、バックアップ機能ということについては、これまでも政府で検討をされてきているんじゃないかなというふうに思います。私どもについて言えば、例えば群馬県に移転をしてくれということも含めて思いがあるわけでありますけれども、まずは、政府でこれまでどういう検討をされてきたのか、また、今後どういう方向性でやっていくのか、考えをお伺いしたいと思います。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 非常に大事な御指摘でありまして、首都機能、仮に首都直下地震が発生した場合に、そうした機能が麻痺することなく継続性を維持するために、我々としても、今、各省ごとにまず業務継続計画を策定しておりまして、そしてまた、政府全体で年内を目途に業務継続計画、いわゆるBCPを策定しているところでありますけれども、まさにバックアップを行う代替拠点を確保することが大事だというふうに考えております。

 これまでの議論の中では、中央省庁、首都機能が被災した場合のことを想定して、例えば立川に広域防災拠点がありますので、そこを代替拠点として位置づけたらどうかというようなところも想定しながら議論をしているところでありますけれども、さらに、東京周辺部からの代替拠点については、委員御指摘があった災害の少ないところ、あるいは、他方で、一定のインフラがやはりないといけませんので、そうしたことも念頭に置きながら、代替拠点への移転に係るさまざまな具体的なオペレーションも今後検討してまいりたいというふうに考えております。

 他方、民間の事業者もBCPをそれぞれつくって代替拠点の確保に努めていると思いますので、まさに群馬県は災害が少ないということで、誘致をしながらやられたらいいと思いますし、私も、石川県庁に出向した経験があります。そのとき、石川県も非常に災害の少ないところでありまして、さまざまなコンピューターセンターとかバックアップセンター、バックアップ機能を誘致したことがあります。

 これは民間の事業者の判断によるところですけれども、各自治体のBCPとか、あるいは政府全体のBCPを参考にしながら定めていくと思いますので、ぜひ、政府としてはまずどうするかということをしっかり考えて、できるだけ早い段階でそうしたことを策定していきたいというふうに考えております。

上野委員 ありがとうございます。できるだけ早い段階でしっかりと検討いただくということでありました。

 本当に各地域、石川県もそうだと思いますし、群馬県も含めて、先ほどのデータセンターのバックアップということも含めて、いろいろな可能性があるんだと思います。ぜひしっかりと御検討いただきたいと思います。

 次に、避難所の話についてお伺いをしたいというふうに思います。

 東日本大震災の発生直後、多くの被災者の方々が自宅には住めなくなって避難所に避難をされたということがありました。東日本大震災でも大変な問題、混乱があったわけでありますけれども、首都地域で仮に大きな地震が起きるということになれば、これは東日本大震災のとき以上の大変な大混乱が起きる可能性があるのではないかなというふうに思います。

 例えば、どれだけの数の方々が避難所に入ることになる可能性があるのか、これは被害想定ということだと思いますけれども、どれぐらいの人数が想定をされているのか。そして、首都地域で、避難所がどれだけ、どの地域に確保されているのか。そして、そのマッチングといいますか、どの地域の人たちにどの避難所に入ってもらうのか。そして、では、移動手段はどうするのか。

 これは、混乱なくマネジメントするというのは大変難しいことであるし、一方で、当然これは住居、生活にかかわることですので大事なことだと思うんですけれども、東日本大震災での教訓を踏まえて、仮に首都地域で大きな災害、地震が起きた場合にはどう対応されるのか、どう政府で検討されているのか、お伺いをいたします。

亀岡大臣政務官 まず最初に、避難者の想定数ということのお話がありました。

 これは、平成十七年二月に公表された内閣府の被害想定結果の数字しかまだ今のところありませんので、東京湾北部地震ということで、一日後に最大七百万人の避難者が発生し、そのうち、避難所での生活者は最大約四百六十万人に上ると想定されています。

 実は、今現在、東京直下地震の検討会をやっておりまして、一番最新の、検討は年内に取りまとめて、しっかりとした数字を出したいというふうに考えております。

 避難所に関しては、各市区町村の区域内に避難所が置いてあります。これは、当該の市町村が被災者全員を収容することが普通なんですけれども、それができない場合においては、近隣市町村、他の市町村とも連携をとりながら、しっかりと全員が収容できるように日ごろから連携をとっていただいているという現状があります。

 もし、想定される以外の避難者が出た場合においては、他地区、近くでなくてもそれぞれ防災協定を結んだところで受け入れてもらうということもできておりますので、大体全員が収容できるというふうに考えております。

 それから、移動手段についても、自力で避難所に移動できない被災者が発生することも想定しておりまして、これは市町村だけでは対応できない。ですから、これは運送業者も含めて民間の業者と日ごろから話し合いをして条件を締結しておいていただく、そして、円滑な移動が可能なようにしっかりと対応する、訓練もできればしてもらいたいということで今やっております。

 もし、市町村が広域にわたってだめな場合においては、都や県がしっかりと対応するという体制もできておりまして、これは全て、市区町村間と都と県と国が連携をしながらやっていくということで今やっておりますので、もしまた皆さんからいい案があったら出していただきたいと思います。

上野委員 ありがとうございます。

 今、防災協定という話があったので、ちょっとそれに関連をして西村副大臣にお伺いをしたいんですけれども、これは、場合によっては、まさに首都地域を越えて避難をするということが随分想定されるんじゃないかなというふうに思います。

 私の地元は群馬県でありますけれども、群馬に今でも、例えば南相馬の方々もいらっしゃっている、まだまだなかなか帰宅ができない人、地元に戻れない方々もたくさんいらっしゃるという状況であります。

 これは、個別に随分防災協定というのが結ばれていて、これも地元の話でいうと、例えば片品村と南相馬が結ばれている。あと、川場村と世田谷区が結ばれている。個別の防災協定が結ばれていて、仮に震災が起きたら、そこで受け入れをするというような話があったりするわけであります。

 また、東日本大震災のときのことを思い起こすと、たまたま被災地、たまたまと言うとあれですけれども、被災地の首長さんが強く関係がある首長さんのところと交渉して被災者を受け入れてもらったケースもあったんじゃないかなというふうに思います。

 こういったことを踏まえてでありますけれども、自分が住んでいるところが防災協定を結んでいるかどうか、または自分が住んでいる自治体の首長さんがどこかの自治体と密接な関係があるかどうか、そういったことで避難できるかどうかというのが決まっていくのは、これはちょっといびつな状況なのかなというふうに思っております。

 これはやはり、特に首都地域ということで申し上げると、しっかり国が全体をマネジメントして、どの地域の人たちであっても、都県を越えて、または首都地域という地域を越えて、日本全体で受け入れられるところをしっかりと調整して、需要と供給といいますか、ニーズをマッチングさせてやっていく。個別の自治体任せではなくて、これこそ、しっかり国がやっていくべきことなんじゃないかなと思うんですけれども、このあたり、どう対策を考えておられるのか、お伺いいたします。

西村副大臣 これもまた、大事な御指摘をいただいたと思います。

 それぞれの市町村だけで対応できない、あるいは都道府県だけで対応できない場合に、区域を越えて、広域的な支援体制、特に避難者の受け入れも含めて、そういうことが必要になる場合が想定されますので、まさに広域的な連携が必要となるわけであります。

 御案内のとおり、全国で、都道府県で広域応援に関する協定を結んでおりまして、その協定の運用に当たっては、知事会が中心となって、昨年度末には応援を行う都道府県の標準的な役割あるいは機能等を例示した具体的な活動モデルを作成したわけでありますけれども、本年度は、内閣府、我々と、それから消防庁も参加をして、さらにこれを具体化するための検討を行っておりまして、どういう手順でいざというとき進めていくのかという標準的なやり方、マニュアル化も進めているところであります。

 先ほど来御議論があります災対法の改正によりまして、県が市町村間のやりとりの代行を行ったり、あるいは国が都道府県間の代行を行ったり、助言をするという仕組みも規定を設けているところでありますので、こうした規定を円滑に運用するために、各自治体の締結している防災協定がどんなものがあるのか、どういうふうになっているのかというデータベース化も進めているところであります。

 いずれにしても、こうした取り組みを通じて、一義的には市町村ですけれども、それをカバーする都道府県、さらにそれをカバーする国がそれぞれの役割分担のもとで、首都直下地震などの大規模災害が起こった場合に、迅速かつ円滑に広域的な受け入れが行われるようにぜひ実施してまいりたいと思います。

 まずは近いところということになるんだと思いますけれども、それでカバーできない場合に、ブロック内あるいはブロックを越えての個別の一対一での協定を結んでいる。そうした協定を円滑に運用できるように、国としてもしっかりサポートしていきたいというふうに思います。

上野委員 ありがとうございます。

 東日本大震災を我々は大きな教訓として、しっかりやっていかなければいけない、そういう思いであります。

 もう一点、避難所の件についてお伺いをしたいと思います。

 避難所に避難されている方々は、大変ストレスもたまり、できるのであれば早期に自宅に戻ってもらう、そういったことが大事なんじゃないかなというふうに思うわけでありますけれども、一方で、特に地震による災害の場合には、戻る住宅、自宅が安全かどうか、これはしっかり確認をしていかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。

 これは東日本大震災のときにもそうでしたけれども、特に首都地域における地震ということになると、チェックをしなければいけない住宅の数も恐らく膨大になりますし、また、とはいえ、ある種手を抜いてチェックをすると人命にかかわる大変危険な問題でもあるということで、質を確保しつつ、かつ、数をしっかりこなしていかなければいけない、住宅の安全性の確認をしていかなければいけないということだと思うんですけれども、そのあたり、仮に首都地域で地震が起きた場合にはどのように対応されるのか、お伺いをいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 地震発生後、余震等もございます。こうした余震等による人命の二次災害を防止するために、国、公共団体、それから民間の建築士会、あるいは公的機関としてUR、こうしたところが協力をしまして、被災建築物応急危険度判定というのを実施しております。

 具体的には、建築士さんで、あるいは公共団体の職員の方で専門の講習を受けていただいた方、これは登録をしているわけでございますけれども、現地へ行っていただいて、倒壊の危険性、あるいは外壁とかガラスの落下の危険性等を見て、危険な場合には赤、注意が必要な場合には黄色、これは大丈夫ですよという場合には緑のステッカーを張るというようなことをこれまでもやってまいりました。

 ちなみに、東日本大震災では、延べ八千五百四十一名派遣しまして、これは全国から集まっていただくわけでございますけれども、九万五千三百八十一件の判定をいたしたところでございます。

 登録して、いつもスタンバイをしていただいているわけでございますけれども、こうした判定士の登録をされている方が昨年度末現在で十万四千百九十名ということでございまして、それから、いざというときに機能しないといけないものですから、毎年一回でございますけれども、招集する連絡のための訓練を実施しているところでございます。

 現在の十七年の首都直下地震の想定であれば、今の人員で一応足りると思いますけれども、これからまた新たな数字も出る、あるいは南海トラフ等もあるということで、体制の強化に今後も努めていきたいというふうに思っています。

上野委員 ありがとうございます。

 先ほどお話もありました。被害想定も今検討されているということであります。いざ地震が起きたときに混乱が生じないように、しっかりと人員の養成、それからまた、必要な、活動しやすいような体制のサポートといったことも政府の大事な役割ではないかなと思います。

 いずれにしても、我々は本当に大変な大災害、東日本大震災を経験いたしました。それを踏まえて、首都地域での震災を想定しながら十分な対応をしていくということが必要なんだと思います。引き続き、政府におかれては、しっかりと検討をお願いしたいと思います。

 質問を以上で終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 おはようございます。民主党の中川正春です。

 これは事前に通告していなかったので恐縮なんですけれども、大島のことについてちょっと触れておきたいというふうに思うんです。

 大臣も、視察といいますか、救援体制ということで中に入られたというふうに聞いているんですけれども、どのような対策といいますか、欠けていたところ、あるいは、あれを見てどういうふうにこれからの体制というものを考えていったらいいかということを、これは恐らく気持ちの中でまとめておられると思うので、お話をいただきたいと思います。

古屋国務大臣 私も十月の十九日、政府調査団代表として行ってまいりました。現地を視察しまして、それは大変な土石流の災害だなということを身をもって実感いたしました。

 ただ、いろいろ検証していく中で、当日の十五日ですか、朝六時四十五分と多分九時前だったと思いますが、気象庁から十年に一遍の大変大きな台風が来る、こういう通知を役場にしていた。しかし、残念ながら町長は、十時十分の大島空港発の飛行機で隠岐の島へ出張に行かれた。ちょうど台風はその直後に来るということはわかっていて、出張を取りやめる選択肢はなかったのかなという気はします。

 一方で、当日の夕方六時過ぎに土砂災害警報が発令をされております。実際に土砂災害が起きたのはそれから約九時間後でございますので、この間に避難勧告、避難指示が出せなかったのかなと残念でならないですね。

 ただ、やはりこういったことが起きた以上は、まず、お亡くなりになった方に対する御冥福と、それから被災者に対するお見舞いを申し上げた上で、やはりこれは教訓にしていく必要がありますね。

 では、実際にこれからどういう形で伝達をして、避難勧告、指示を出していくか。これは非常に重要だというふうに思っておりまして、今、そのガイドラインの見直しをして対応していこうということで、全国に千七百十九市町村ありますが、非常に災害が多い地域、あるいは首長を初めしっかりそういう防災意識を持っている、あるいは大きな役場でしたら人材もしっかりありますけれども、差がありますね、これはぴしっとチェックをして、やはり住民の視点に立った安全な避難確保ができるようにすることが必要だと思う。

 十月の二十四日だったと思いますけれども、予算委員会の総括質疑の合間だったんですが、十二時過ぎにちょっと異例のことだったんですけれども、私、防災担当大臣として緊急会見をさせていただいて、全国の国民に、台風二十七号が来るので、もし土砂災害警報とかが出たら、仮に避難勧告とか指示が出ていなくても、みずからの判断でぜひ避難してほしい、そしてそれが結果的に空振りに終わったとしても、それは幸いだったと思ってほしい、こういうことを申し上げました。

 やはり、今度の一連の梅雨からの豪雨を含めて、ことし五十八人、もう六十人近くなりますか、お亡くなりになっているんですね。もう、お一人も、これ以上の犠牲者を出したくないという思いから、ちょっと異例ではございましたけれども、やらせていただきました。

 今後は、やはり住民の皆さんも避難するということをちゅうちょしないでいただきたいということと、それから、首長さん等々が避難勧告、避難指示を出したときには、やはり住民の皆さんは、結果的に空振りに終わっても、それは幸いだった、こう思っていただく、町長さんを責めたりしない、こういうような危機管理意識、これは全ての関係者が持つということが非常に重要だなということをひしひしと感じました。

中川(正)委員 私も、党の代表として現地に入りました。

 先ほどお話があったように、町長さんも、あの前日の六時段階で避難勧告、避難命令の判断をするべきだった、痛恨のきわみだということを言われておりました。そういう意味で、ガイドラインをこれからつくるという体制、評価をしたいと思いますし、大事だと思うんです。

 その中にしっかり入れておいていただきたいんですが、土砂災害についての危険区域の指定というのが非常におくれている、これは指定すれば地価が下がるとか、あるいは、その地域が危険区域だというふうに指定されるわけですから、そうした影響が出るということの中で、構造的に指定がおくれているということ、これに対する対策をどうするかということが一つ。

 それからもう一つは、私が担当していたときに、阿蘇の外輪山の周辺でも集中豪雨がありまして、あのときも、時間雨量が二百ミリに近いすごい雨が降って、それぞれ甚大な被害になっていったんです。そのときの町長さんのお話もそうだったんですが、仮に避難勧告を出すとして、この山が崩れたということは後づけでわかるんだけれども、その時点でどの山が崩れてくるかというのがわからない。

 例えば、大島のあの状況の中であるとすれば、恐らく、島全体にあれだけの雨が降った中で、島外へ向いて、全部避難誘導するというような決断までしなければならないのか、それとも、この山とこの谷とここが基本的には事前に知見があって、そこに対してまず優先的に誘導していくという判断ができるのかということになると、大島の場合はそれができる状況ではなかったということがあると思います。

 だから恐らく、町長さんの身になったら、あれは全島避難を勧告しなきゃいけないぐらいの逼迫感というか危機感がおありだったんだろうというふうに思うんです。そこまで一気にぼんといってしまうということが、判断する人たちに非常に負荷がかかるといいますか、そういうことがある。その構造をどうしていくかということなんです。

 実はあそこの対策としては、三原山の噴火について、危険区域が指定されて、砂防ダムによってこうした形で防ぐというような対策は、非常にしっかりと、予算も入れて、ダムも構築されていたんですね。そのときに恐らく、地質調査から始まって、非常に詳しい、あの地域の特質というのは理解しているはずなんです、担当部局は。それを生かしていない。防災のメール、アラートシステムの中に生かしていないということが、もう一つ構造的にあったんじゃないのかということですね。

 それは、これからの土砂災害の中で各地域言えることだと思います。国土交通省はデータを持っているけれども、防災ということになって、町長さんや市長さんの判断の中にそれが生かされているかというと、そういうことではないということ。

 土砂災害というのは、これから一つの大きなポイントになってくると思うんですが、そういう部分が構造的に大島でもあったというふうに私は理解をしました。

 ですから、そこのところの観点をしっかりポイントとして入れ込んでいただいて、土砂災害のガイドラインをつくっていくということで、頑張っていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

古屋国務大臣 防災担当大臣として被災の現場を見たり、あるいはその経験則からの御提案、御意見だと思います。

 しっかり私どもも受けとめさせていただいて、やはり地域の皆さんが適切に避難できる、そしてみずからの命をしっかり守ってもらうということが何よりも大切でございますので、これは内閣府だけではなくて、今、国交省を初め関係省庁がしっかり連携する。

 それともう一つ、県と市町村の連携、これも非常に大切だと思いますので、そういったきめ細かい対応を心がけていきたい、そして、必要ならば、ガイドラインの見直しも含めて対応していきたいというふうに思っております。

中川(正)委員 今回は、南海トラフあるいは首都直下、この二つの法案を中心に議論ということでありますが、まず冒頭、お聞きをしたいと思うんです。

 南海トラフそれから首都直下というのは、それなりの大規模災害を前提にして、国自体が危機に瀕するといいますか、そうしたレベルの災害として、特別に、これまでも法律があったし、今回もこうした形で法律の中で特定していこうということだと思うんです。

 実は、それ以外にも非常に逼迫性のあるというか、長期評価の中で出ている資料で、例えば、三陸沖から房総沖にかけての地震として、ほぼ、南海トラフ以上の緊迫性といいますか、五十年で九〇%以上、十年で、南海トラフでいくと二〇%程度なんですけれども、この三陸沖北部になると五〇%以上というような数字が出ていたり、あるいは、千島海溝沿いの地震、これは十勝沖あるいは色丹等々なんですけれども、これも三十年程度のところで四〇%が出ていたり、あるいは、日向灘や南西諸島海溝周辺なんですが、これもこの長期予測の中では南海トラフを上回った緊急度というか逼迫度というのが数字で出ているんですね。

 これは、恐らく、南海トラフや首都直下の被害と比べると、規模的にそんなに大きくないということが言えるのかもしれないけれども、逼迫性といいますか緊急度というのは、こうした形でほかの地域も専門家の中では指摘されている、あるいは長期予測の中でこうして政府も発表しているということなんですね。

 これをどう考えるか。恐らく、それぞれの地域では、何でうちの方はもっと研究費をかけてしっかりやってくれないのか、あるいは、ここに対しての対策というのは、レベルはマグニチュード七をみんな超えていますから、起こったとしたら非常に甚大な被害になるという地域なんですね、そういうところに対して対応をどうしてくれるんだというのは、その地域の問題意識でもあるんだと思うんです。

 これをどういうふうに整合性をつけていこうとしているのかということ、ここを一つ整理しておかないといけないんだろうと思うんですが、大臣どうですか。

古屋国務大臣 委員御指摘のとおり、残念ながら、我が国、日本列島は、地震列島ですね。過去三十年間の地震だけ見ても、一九八三年、日本海中部地震がありました。一九八四年、長野県西部地震。それから、一九九三年には北海道南西沖地震。九五年は、御承知のとおり、阪神・淡路。そして、二〇〇四年には新潟県中越地震。そして、三・一一の前、二〇〇八年には岩手・宮城内陸地震ということで、この三十年間で七つの大きな地震が発生をしております。

 したがって、今、我々、喫緊の課題として取り組んでいるのは南海トラフ巨大地震あるいは首都直下地震でございますけれども、一方では、今委員御指摘のように、それ以外の地域でも大規模地震が発生する可能性がございますので、こういった地域においてもしっかり対策を講じていく、極めて重要な政府としての任務というふうに考えております。

 具体的には、地震防災対策特別措置法に基づきまして、例えば、社会福祉施設とか公立の幼稚園、学校の耐震化国庫補助率のかさ上げ、あるいは、今後、今御指摘があった日本海溝とか千島海溝周辺の海溝型地震とか中部圏・近畿圏直下地震に係る被害想定についても見直しを行って、それに基づいた適切な地震防災対策を講じていかなくてはいけない、そういう姿勢でおります。

 今後とも、これは関係省庁あるいは関係地方公共団体の情報の共有と連携が必要でございますので、そういった連携を通じて、地震防災対策の徹底をさらにしっかり図っていきたいというふうに思っています。

中川(正)委員 私がなぜこの問題を出したかというと、これから与党の方が出されようとしている強靱化の話に関連があるんですよ。あれの前提というのは、それぞれの脆弱性というのを評価していこうということで、その評価に基づいてとりあえず予算配分の基準として使っていこう、そういう前提だと思うんですね。

 ところが、もう一つそれに欠けているのは、防災の観点の中で、逼迫性なんです。その災害がどれぐらいの緊急性を持って起ころうとしているのかということ。起こったときの規模もあるんだろうと思いますが、あるいは甚大性ということもあるんでしょうが、そこのところを先に持ってこないと、それは脆弱性といったらみんな、なべて脆弱だと思うんですよ。その脆弱性を評価した上でどこから先にやっていくのかということの判断基準というのは、この逼迫性だと思うんですよ。災害がいつ起こる可能性があるのかということ。

 これは予知の世界に入っていくわけだけれども、何月何日何時にこれが起こる、そんなことは我々は必要ないというふうに思うんです。ただ、それぞれの地域を比べて、どこに最初に予算を持っていくことが正しいのかという判断基準は、その中で、やはり逼迫性として、私がよく言う、ここはアラートは一ですよ、ここは二ですよ、ここは三ですよというような区分けはやはり必要だと思うんです、我々の予算配分を判断していく中で。

 今回、南海トラフと首都直下、そういう意味で、まずやりましょうということでさまざまな、いわゆる事前防災の高台移転、あるいはそれぞれ公共施設等々で予算をかさ上げしますよというふうな体制をとって、そこへ向いて集中的にまず予算を持っていきましょうという判断があるわけですけれども、しかし、それだけじゃないということですね、さっきの逼迫性からいくと。地域は狭いかもしれないけれども、ここもやはりやっておく方がいいよというところは専門家によって指摘をされて、それに対して我々が制度を仕組むということが必要なんだというふうに思うんです。

 という意味で、一度、これは専門家の皆さんに、そうした観点でアラート基準をつくってくれないかというような投げかけを私はしていいと思うんですよ。私もしたんだ、実は。そうしたら、いや、予知はできないできない、これだけなので、それでは困るので、そんな、何月何日に起こるというような予知ではなくて、それぞれ我々が判断できる範疇で優先順位を示唆してもらえるような科学的な知見というものをしっかり出してほしい、そのために予算を出しているんだというぐらいの働きかけをして体制をつくってもらいたいというふうに思っているんですけれども、どうですか。

亀岡大臣政務官 ちょっとリスクの話をさせていただきますけれども、先ほど中川先生から短期的な見解は非常に難しいというお話がありました。まさに短期的にすぐにこれを見抜くというのは非常に難しいと思います。

 ですから、今の場合は、南海トラフや日本海溝沿いにはこれまでにない稠密な海底地震津波観測網の整備を進めて、これらの情報に加え、GPS等の観測によるプレートの間のひずみ、蓄積状況、地震発生のリスクの高まりに関する情報の発信、可能性について、本当に長期的な予測の中で、どれぐらい、どこが早く可能性があるのかという研究を今しっかり重ねております。

 それを今政府の組織、これは地震発生長期評価を行う文部科学省の地震調査研究推進本部、東海地震に関する観測の評価を行う気象庁の地震防災対策強化地域判定会……(中川(正)委員「そんなことは聞いていない」と呼ぶ)いや、それも含めて、そういう長期的なリスク、高まりを、優先順位をつけられるかどうかというのは非常に難しいと思いますが、その高まりの中で早く予測ができる環境をいかにつくれるかということで、学者の皆さんの知見をしっかりと今会議の中で出していただいているところでありまして、それを踏まえて、早くできる環境はどうやってつくっていくかということを、その危険、リスクに対してとっているところであります。

中川(正)委員 まだちょっとこれは続けたいんだけれども、加藤さん、帰られるようなので、ちょっと一つだけ、しっかり確認をしておきたいんです。

 FEMAなんですけれども、私は防災についても、中央で情報がしっかり制御できて、大臣をしておられて、歯がゆい思いをしておられるんだと思うんです。その辺、集まってこない、あるいはそれぞれの省庁に第一次の情報があって、それを束ねるようなことだけで本当に危機対応ができるのかどうか等々、いろいろあるんですね。

 そんな中で、せっかく今NSCの議論があり、あるいは安危などを危機対応としてどういうふうに持っていくかという議論がなされているわけなので、その中に防災というものを、危機管理を束ねていくような考え方、それを統合化していくというか、テロや何かでやられたものと災害でやられたものと、国内対応というのは非常に密接に関連しているんですね。

 NSCの議論の中に防災のFEMAを合体化していくというか、統合化していくというか、そういう流れをぜひ私はつくっていくべきだというふうに思っているんですけれども、それについてどんな議論をされているか、そんな思想があの法案の中にあったのかどうか、それを確認したいんです。

加藤内閣官房副長官 今、中川委員からお話がありましたFEMAというのは日本版内閣危機管理監という形で対応させていただいているわけでありますけれども、この内閣危機管理監、あるいは担当部局、今回のNSCの関係の事務局、これをどうするか、御党からもいろいろと議論の中でもお話がございました。

 一応、政府としては、事態対処、何か起きたときの対処の機能はこれまでもいろいろと充実し対応してきたわけでありますけれども、そうした緊急事態に対する事態対処そのものは危機管理に専従する危機管理監で対応していただく。一方で、外交、安全保障の司令塔として、今回、NSC、国家安全保障会議をつくり、支えるために国家安全保障局というようなものもつくってきている。一応、二本立てを考えて、これまでの日本の行政、あるいは対応の仕方を踏まえて、これが今の時点ではふさわしいものじゃないかということで提案をさせていただいたところであります。

 先日も、国会決議がございまして、今後の国家安全保障と危機管理に関する内閣官房のあり方について、国家安全保障及び危機管理に係る政策決定の機動性及び実効性の観点から不断の見直しを行う、こういう決議もしっかり受けとめながら、まずはこの危機管理監と国家安全保障局長が平素からしっかり連携をとって、今おっしゃった事態も含めて、我が国の安全のためにしっかり対応していきたい、かように考えております。

中川(正)委員 NSCと安危を一緒にしていったらどうだというのは、これはうちの党の主張でもあって、私はそうあるべきだと思うんですが、今言っているのは、そこを一緒にするということだけじゃなくて、防災大臣も中へ入れ込んだらどうだ、そこでしっかりとしたFEMA体制をつくっていくということが、具体的には運用、実動部隊につながっていくということなので、そういう考え方も一つこれからの対応として入れていくべきだということなんです。

西村副大臣 まず、FEMA。

 私もFEMAは行ってきまして、いろいろ意見交換をしてまいりました。まさに委員おっしゃるとおり、全ての災害に対して、テロであろうが電車の事故であろうが自然災害であろうが対応するという意味で、ここは日本と組織的な体制が違いますので、一義的にその仕組みを日本に入れられるかというのは課題があると思うんですけれども、ただ、あらゆる災害に対して標準化をして対応していこうとか、こういった面は、我々も勉強しなきゃいけない面があります。

 さらに、消防なんかも全て指揮をするような体制になっています。ここも日本と違いますけれども、より連携が強く図られているという点では、我々も参考にしなきゃいけないというふうに思っています。

 ただ、御案内のとおり、アメリカもFEMAとNSCとは別にありまして、この関係がどうなっているのかもさらに詳細に我々も検討したいと思いますけれども、一律に、一緒にして何とかということは、日本の今の仕組みからいうと難しいと思いますけれども、参考になる点はたくさんあると思いますので、我々もしっかりその対応を勉強していきたいと思います。

中川(正)委員 これは全て今の時点で一つの組織にということでなくとも、少なくとももっと連携があってしかるべきだというふうに思いますし、安危の持っている情報のキャパシティーというものも、こっちの方でも生かせるし、あるいは逆の場合もあるんですよ。だから、そこの連携軸というのをこちらのサイドから練って、具体的にこうしたいんだということをやはり官邸に持っていくべきだというふうに思うんです。

 その問題意識なんですけれども、どうですか。

古屋国務大臣 たしか、前の国会でFEMAのことについて委員が言及をされた、私も答弁をした記憶がございます。今、ちょっと手元に答弁書がないのではっきりは覚えていないんですが。

 ただ、やはりFEMAのいいところというのもたくさんありますね。ただ、アメリカと日本では統治機構が違うということもあるので、やはりそういったことを踏まえながら連携していく必要があるでしょう。

 今後はNSCができますけれども、しかし一方では、アメリカもFEMAは別にある。そして、実はアメリカはもう一つ、DHS、国土安全保障省ですか、これは要するに、データベースだとかいろいろなものを一元的に管理していますね。やはりこういった組織も場合によっては必要かもしれませんね。

 そういった災害情報だけではなくて、いろいろな情報を一元的に管理することによって、いざ有事が起きた際にも、その情報を活用しながら適切な対応を速やかにとることができる、こういったこともあります。

 実はこのことは、私、総合科学技術会議の中で、いわゆるインフラストラクチャー・データ・ウエアハウス、こういったものを日本でもつくるべきじゃないか、一元化をすることによってデータの共有ができますよ、やはりその共有をするということ自身が、何か起きたときに確実な対応ができる、そういった提案もさせていただいております。

 委員の御指摘も、経験則からの御提案だと思いますので、しっかり私どもも受けとめながら、では日本ではどういった形で対応していくのが一番ふさわしいのかということも、しっかり政府の中でも議論をしていきたいなと思っております。

中川(正)委員 御指摘のように、防災の基本というのは、災害が起こったときに、国の役割としては、どこにどういうニーズがあるのか、いわゆる支援ニーズというのがどこにあるのかという情報をいち早く一つつかむということと、それと同時に、ではそれを支援するための材料というか資材というか、それがどこにあるのか、食料備蓄がどこに今あるのか、運輸体系というのはどこから引っ張れるのか、そういうものがしっかりマッチングできて、そこにその司令塔があって、システム的に対応できるという体制をどうつくっていくかということに尽きるんだというふうに私は思うんですね。

 事前にそうしたシステムがつくられていないと、非常に今回の場合も混乱して、時間がかかって、そのために多くの人命が失われたということでもあるし、そして、生き残った人たちの状況も非常に厳しいものになったということがあったんだと思うので、そのシステムだと思うんです。

 そのときに、やはり、情報をとりに行くにしても何にしても、内閣府自体は手足がないんですよ。何もない。私は、これではだめだというふうにつくづく思いました。各省庁の手足、あるいは市町村、地方自治体の手足でみんな動いているんですね。だから、そういう意味で、内閣府として、もし采配をする組織なんだとすれば、どうしていくのかということは考えていかなきゃいけないねということだと思うんです。

 そこで、私が前回も提案したのは、消防組織をその手足に使ったらどうだと。市町村経由で来るよりも、市町村も消防組織に頼っているんです、どこで何が起こっているかという第一次情報は。大臣はあのときの答弁では、消防組織は地方自治体組織だから、それを統合するというのは消防に大変革を起こすことなので怖いからできないというような返事だったんですけれども、組織をどこが運営していくかということじゃないんですよ。情報なんですよ。

 とりあえず、消防組織と警察と自衛隊、この組織を誰が統合的に動かすかということなんです。誰が動かすんですか。今、ないんですよ。それぞれ勝手に動いているんですよ。それぞれの要求ベースで、それぞれに要望があって、それぞれが勝手に動いている。

 だから、こういう状況ではなくて、内閣府が情報の軸を通して、消防というものをもっと広い形で、救急救命と消防、いわゆる火を消すということだけじゃなくて、防災企画も含めて幅広く任務をしっかり与えて、その中で内閣府が統合していく。あるいは、そこで人材を育てていく。研修を兼ねて何人かを地方自治体から内閣府に集めてきてチームをつくる、そこで専門家をつくるというふうな機能を果たしながらFEMAをつくっていったらどうかというのが私の提案なんです。そのために地方自治体から人を集めて研修をやりましょうよ、こういう話になった。

 だから、大規模でないものであれば、災害があったらそのチームを送って現場で鍛えるというふうなこともできる、そういう設定になっているので、一度考えてみていただきたいというふうに思います。

 そういう意味で、消防をもう一回見直していったらどうかという提案をしているんです。どうですか、大臣。

古屋国務大臣 委員の提案は、消防ということを御指摘されましたけれども、先ほども御指摘をされました、それぞれが、警察は警察、自衛隊は自衛隊、あるいは消防は消防、国土交通省は国土交通省、それぞれの情報は持っているんですね。でも、現実には、それが横串で連携できているか。あるいは、民間の団体、セクターもいろいろな貴重な情報を持っていますね。でも、全部が横串になっているかというと、現実は、今なっていないんですよ。やはり、速やかに、瞬時に、適切な判断ができるような情報の統合化、これは極めて重要だと思っています。

 だからこそ、先ほども私、答弁で申し上げましたように、総合科学技術会議でインフラストラクチャー・データ・ウエアハウスのようなものをつくって、一元管理をして、それで、民間もその情報を使える、あるいは地方公共団体もその情報を使える、そして速やかに情報が集約される、こういうシステムをぜひつくりましょうということで、実は私、その総合科学技術会議で、五月だったか六月だったか、具体的に提案していますので、しっかりそういったフォローもさせていただきたいと思います。

 一方では、FEMAをつくるというのは、最初に家をつくるかどうかということだと思いますけれども、やはり日本の制度に合致するために、対応するために、今不十分なところを一つ一つ取り組んでいくことがまず現実的だというふうに思います。

 それをした上で、では本当に、今後、抜本的な見直しということになりますと、これはもう一内閣府の問題ではなくなって、政府全体の組織のあり方、国家行政組織のあり方そのものになっていきますので、そういった議論もしっかりしていかなきゃいけないのかなというふうに思っております。

中川(正)委員 そんなに謙虚な物の言い方をせずに、前へ向いて進んでください。恐らく、仕事をしていく中で、歯がゆさというのは本当に出てくると思いますよ。だから、そのことを踏まえて頑張っていただきたいというふうに思います。

 それから、情報については、もう一つ、DIS、地震防災情報システムが今内閣府の中でも進んでいます。これはGISをベースにしてやっておりますが、これにさっきの、あらゆる情報を加味していきながら、事前にその中に落とし込んでいって、みんなが共有して使えるということでいいんだと思うんです。

 実は、内閣府のこの開発というのは本当におくれているんですよ。私は改めてハッパをかけたんですけれども、それぞれ専門家の体制もまだまだおくれていますし、対応を一遍検証してみてください。このDIS、これがポイントになっていくというふうに思います。

 以上、終わります。

坂本委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 おはようございます。みんなの党の椎名毅でございます。

 中川元防災担当大臣の後で、いささか緊張するんですけれども、格調高い質疑をされていて、どうしようかなと、僕自身も頑張ってまいりたいと思います。

 本日、南海トラフ地震それから首都直下地震に関する一般質疑ということで、二十分質疑時間をいただきました。感謝を申し上げたいというふうに思います。

 私自身は、神奈川県川崎市を地元としますので、首都直下地震は、被害予測を見ると、百十二兆というような結構大きな被害が予測されている部分もありますので、こういった首都直下地震に対する政府の対策を中心に、時間の許す限り質問してまいりたいというふうに思います。

 まず、首都直下地震について、今般、議員立法という形で特措法案が提出されています。議員立法ということなので、直接政府に聞くところではないとは思いますけれども、可能な限りお答えいただければというふうに思います。

 まず一点目なんですけれども、これらの法案が成立したときに、今までの災害対応等の組織体系との関係性ということを伺っていきたいというふうに思います。

 従来ですと、中央防災会議が防災基本計画をつくって、国の各機関それから公共機関等が防災業務計画、それから自治体が地域防災計画をつくっていく、こういう体系があったかというふうに思います。特定の地震等については、特出しで幾つかの地震が取り上げられた上で、中央防災会議が同じく地震対策大綱というものをつくって、予防のために地震防災戦略、それから応急等のために応急対策活動要領というものをつくって、これが下に落ちていく、こういう体系になっていたかなというふうに思います。

 仮に今般提出されている法案が成立すると、どういう位置づけになるのかということがまず気になるわけです。防災のための会議が幾つもあって、会議のための会議だったり、計画のための計画だったりということができてしまうと、結局、予防だったり、応急対応、応急復旧、こういったところについて、誰が主導的な責任を負って対策の計画をつくるのか、そして誰が実際に主導して行っていくのかというところをきちんと明確化していくことが危機対応という観点から必要だというふうに思う次第でございます。

 そういった観点から、ぜひお答えいただければというふうに思います。

古屋国務大臣 まず、今回議員立法で提出をされています南海トラフあるいは首都直下措置法、両法案ともできるだけ速やかな成立を図っていただきますように、改めて立法府のメンバーである委員にもお願いを申し上げたいというふうに思います。

 その上で、従来、東南海とか南海地震、こう言っていましたけれども、これに関する地震防災対策の推進に関する特別措置法がございますね。これに基づいて、中央防災会議において基本計画をつくって、地方防災会議において推進計画をつくって、中央防災会議において地震対策大綱、地震防災戦略を策定してその対策を進める、こういう形ですね。

 今度は、この特措法が成立をしますと、南海トラフで著しい損害があるだろうということを対象とした地域に対して、新たな基本計画及び推進計画を策定することになるというふうに思います。そうなりますと、地震対策大綱とか地震防災戦略を改めて作成するかどうか、これは基本計画にどのような内容を盛り込むべきかということを精査した上で判断していく。ですから、場合によってはそういう修正とかもあり得るのかな、こういうふうに思っております。

 一方、首都直下地震対策は、中央防災会議において地震対策大綱、地震防災戦略を策定して対策を進めているところでございまして、首都直下の特措法案では、政府が基本計画、緊急対策実施計画を閣議決定する、そして、関係都県知事が地方緊急対策実施計画を策定する、こういう流れになっております。

 だから、これらの計画と地震対策大綱の関係を整理して、法案に基づく基本計画に盛り込むべき内容を精査したい。どういう対応をするかということは、しっかり判断してまいりたいというふうに思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 やはり、計画のための計画ではないのかもしれませんけれども、たくさん計画があってわかりづらいというのが正直なところだと思います。きちんと整理をして、すっきりしたわかりやすいものをつくっていくというのも一つ重要なことかなというふうに思います。

 災害対応に関する法制度体系、それから総合的な防災対策に関する計画、こういったところについては、どうしてもいささかわかりづらい部分もあるので、ぜひともその辺は、政府の方で、これを見て、参考にして対策を立てていくというものをきっちりすっきりわかりやすくつくっていただければなというふうに思います。

 引き続き、この議員立法について、もう一点関連して伺いたいんです。

 先ほど大臣がおっしゃったように、首都直下地震については、閣議決定で緊急対策推進基本計画と実施計画、これをつくっていく、これに基づいて自治体が基盤整備等計画をつくっていくということになっています。

 しかし、我々が懸念しているのは、この計画で、ハードを中心とした災害抑止、それから被害軽減策等を非常にたくさんつくっていく、こういうことを盛り込んでいくと、閣議決定事項ですので、これに基づいて政府提出法案が内閣から出されてきて、予算がついてということで、結局、個別の法案等について審議をするという段階では、要は、巨大防潮堤とか公共事業とかもたくさん出てくることをなかなかチェックしづらいということがあるのではないかというふうに思っています。

 何が言いたいかというと、要するに、閣議決定される際の基本計画等についても国会で審議する、それで国会の中でチェックをしていくことが必要ではなかろうかというふうに思う次第ですけれども、こういった場というのを設けることはできるんですか。

西村副大臣 今回提出されている南海トラフ特別措置法案の基本計画、あるいは首都直下の特別措置法案の緊急対策推進基本計画、こうしたものの計画の策定に当たっては、特に国会からの規定は、御案内のとおり、定められていないというふうに認識をしておりますけれども、まさにきょう、こうして御議論いただいていることが、我々も、もし法案が成立した後に計画をつくるときには、こうした国会の審議を踏まえてつくっていくことになると思いますので、随時、そうした国会の審議を通じてチェックをしていただく。我々も、計画を政府が仮につくった場合には、その検討状況、あるいはその内容をしっかり御説明するということだと思います。

 御懸念の、特にハード偏重になるんじゃないかという点ですけれども、今回の東日本の教訓も含めて、もちろんハードの整備も必要な面があると思いますが、釜石の奇跡も含めて、教育や訓練、こうしたことの重要性も我々も十分認識をしておりますし、特にハード面の予算については、予算は国会で審議して通らないといけませんので、その際にもしっかりチェックしていただけるということだと思いますし、我々も一定の財政制約は認識をしておりますので、ハード、ソフト、バランスよく、本当に必要なものをしっかり組み合わせた、そうした計画をつくっていくということが大事だと思っております。

 委員御懸念の点も含めて、ハード、ソフトのバランスのとれた、本当に適切な計画策定に努めてまいりたいというふうに考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 特に南海トラフ地震なんかで申し上げますと、それこそ最大津波予測高三十三メートルというようなものになってしまうので、これは本当に、津波防潮堤で防止するということを考えることがほぼ不可能な高さになってしまうわけで、結局、ソフトというものの重要性も非常に考えていかなければならないというところですので、計画の策定等を行う際には、ぜひともそういったところも御留意いただければというふうに思います。

 そして、三点目ですけれども、先ほどの上野先生の質問と若干重なるところもありますが、首都直下地震に対する対策として、政府のバックアップ機能について伺いたいというふうに思います。

 今現在、先ほど副大臣が御答弁されたように、業務継続計画については、年内を目途として整備しているというふうに伺っております。しかし、結局、最終的に政府機能が、緊急時対応機能と一般業務機能、恐らく、大きく分けて二つの機能があるかと思いますけれども、それぞれ、どちらも継続させていくに当たって、代替地に移転をしていくということも検討していかなければならないというふうに思います。

 その際に、例えば、首都直下地震に南海トラフの地震が連動して起きるとか、首都直下の地震に今回の東日本大震災のような東北沖の地震が連動して起きるというようなことまでも含めて、代替地というものを検討していかなければならないというふうに思いますけれども、首都機能をバックアップする場所というか、そういったところについてどういった御検討がされているのか、教えていただければと思います。

西村副大臣 まさに、バックアップを行う代替拠点というのは非常に大事な視点でありまして、先ほども御答弁申し上げましたけれども、仮に、官邸を含めて、このあたりが被災をした場合を想定して、立川にある広域防災拠点を代替拠点として想定しながら、今、計画をつくろうとしているところであります。

 それ以外の東京圏外の代替拠点についても、御指摘のとおり、同時に被災する可能性が低いということも大事な視点ですし、それから、やはり一定のインフラが必要になってきますので、そうしたことも頭に置きながら、具体的なオペレーションをぜひ考えていきたいというふうに思っております。

 また、あわせて、立法府それから司法府、これについても代替地の検討をしてもらわなきゃいけないわけでありますけれども、これは、政府、行政がどういうふうにいくのかということも関連しますので、連携をしながら、ぜひ御検討を進めていただければというふうに考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 立川というのは、私も多摩地区に住んでいますし、生まれも八王子なので、どんな場所かよく知っていますけれども、東京郊外、三十キロぐらいなので、首都直下地震が起きたときに本当に機能するのかというのはちょっと懸念をするところでございます。引き続き、いろいろ御検討をいただければなというふうに思います。

 次に参りたいと思います。

 首都直下地震が発災することを想定したときに、昼間発災するということを考えると、企業の方々が働きに来ていて東京都内に人がいっぱいいるということ、それから、ショッピングモール等々にお買い物に来ている方々という意味でいうと、企業とは何の関係もないお客さんという方々が企業の敷地内にいるということも想定されるかというふうに思います。

 同じように、鉄道や空港というところですと、企業に雇用されている人とは関係ない、お客さんという立場の人たちがそういった敷地の中にいるということが想定されると思います。

 そういう意味でいうと、首都直下地震が起きたときに、特に会社、企業というところ、特に民間企業が、主導的な役割で、第一次的な緊急対応をしていかなければならない場面というのを想定しなければならないんだというふうに思います。

 そういった中で、この民間企業が、例えば、お客さんの避難誘導をするとか、従業員に対してどのように対応するとかいうところについて、被害を抑止、軽減するためにさまざまな準備をしていかなければならないと思います。こういった準備を促すために、政府が今現状、施策として行っているものについて伺えればと思います。

亀岡大臣政務官 今お話しになったように、企業もかなり損害をこうむるということは間違いありませんし、企業が中心的役割を果たすということも間違いありません。

 このため、内閣府では、東日本大震災の教訓、国際的な標準化、これはISOの22301ですけれども、その動向を踏まえ、本年八月に事業継続ガイドラインを改定し、BCP、ビジネス・コンティニュイティー・プランを経営戦略上の位置づけを明確化、訓練等を通じたPDCAサイクルの徹底等の見直しを行ったところであります。

 今後、このガイドラインの改定を踏まえ、企業等が取引先、業界団体、地域関係者と共同してBCPの策定や教育訓練等に取り組み、その実効性を高めることができるように、企業の垣根を越えた連携訓練を推進しているところであります。

 また、帰宅困難者対策として、内閣府が東京都なんかと連携をしながら、むやみに移動を開始しない、これはもうこの間の東日本大震災で大変な混迷を招きましたので、一斉帰宅抑制の周知徹底を図るとともに、経団連や東京商工会議所などを通じて、企業等の施設内待機のための備蓄の促進、これを進めてきました。

 特に、一時滞在施設を所有する事業者には、協定を結ばせていただいて、水や食料、簡易トイレ及び毛布の購入費の一部の助成、これは国が三分の一、都が三分の一ということでありますけれども、助成を行って、今準備をしているところであります。

椎名委員 ありがとうございます。

 まさに、帰宅困難者という表現でおっしゃっていただきましたけれども、そういった災害時に自分の所属している企業、また自分の住んでいる家等にいない方々、こういった方々を企業が守っていく立場に置かれるようなこともあるということで、この備蓄促進、それから一斉帰宅抑制等、そういった政府と企業との連携というものも必要になってくるかと思いますので、引き続きこういった対応というのは必要になってくるかというふうに思います。

 BCPという点についても御指摘いただきましたが、BCPというのは、企業が自分たちの事業を継続していくためのものでございますので、そこと今おっしゃっていただいた帰宅困難者対策というのは、直接的に余り関係するところではないような気がしますけれども、そのBCPを整備していくということも別途もちろん進めていかなければならないのかなというふうに思いますので、引き続き、政府側の方でも御支援いただけるよう、よろしくお願いいただければと思います。

 恐らく最後になるかと思いますけれども、五点目ですが、首都直下地震が起きたときに、当然、夜なんかに起きるとすると、恐らく、住宅地等々で被害を受ける方々を、自主防災組織それから消防団等の方々が第一義的に救済等に当たることになろうかというふうに思います。

 しかし、御承知だと思いますけれども、日本全国、消防団の加入率が少ないと言われている中で、特に東京近郊を含めて、そういったコミュニティーの中での防災対応というのが難しい時期になっているかと思います。

 今現在、特に都市圏の中で、自主防災組織それから消防団等の取り組みを活性化させていくためにどういったことが行われているかを教えていただければと思います。

室田政府参考人 委員御指摘のように、首都直下地震などの大規模地震や災害が発生した場合には、常備消防、自衛隊、警察などによる救助活動のほか、消防団や自主防災組織などによる共助や自助の取り組みが不可欠なものと考えております。

 具体的には、消防団には消火、倒壊家屋等からの救助、あるいは避難誘導の役割が期待されておりますし、また、自主防災組織におきましては、消防機関による初動対応が行われるまでの間の初期消火や要支援者の避難誘導等が期待されているところでございます。

 このため、消防団におきましては、委員御指摘のように、まず団員の確保をしまして体制を充実していく、あるいは救助資機材、車両等の整備を充実していく、そして訓練を充実していく、そういった柱のもとで今施策を進めているところでございます。

 また、自主防災組織につきましては、初期消火のための資機材を活用した訓練を促進いたしましたり、来年度からは、新たに消防団員を活用いたしまして、自主防災組織のリーダーの育成強化に取り組んでまいりたいと考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 うちの地元でもそうなんですけれども、消防団というのは本当に入る人が少なくて、かつ、都心近郊ですと、訓練する場所も本当にないんですね。ぜひとも、そういった対応を、私自身も立法府の一員として取り組んでまいりたいと思うとともに、政府の側でもぜひ御対応いただければというふうに思います。よろしくお願いします。

 時間も来ましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

坂本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先ほど来議論されている、南海トラフ地震防災対策特別措置法案について伺いたいと思うんですが、その前段となっているのが、ことし五月、中央防災会議防災対策推進検討会議南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループが、南海トラフ巨大地震対策についてと題する報告書を発表しました。

 マグニチュード九クラスで、死者数三十二万三千人、全壊焼失建物数二百四十万棟、九百五十万人の避難者、二百二十兆円の経済被害などが想定されるということで、非常に衝撃を受けたわけですが、報告書の「はじめに」では、二〇一一年三月の東日本大震災が、「一度の災害で戦後最大の人命が失われるなど、甚大な被害をもたらした。」として「「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波」を想定することが必要となった。」このように書いているところであります。

 そこで、伺いますけれども、「あらゆる可能性を考慮した最大クラス」というふうに指摘をしているわけなんですけれども、南海トラフの区域には静岡の浜岡原発あるいは四国の伊方原発などがあるわけですけれども、地震と原発との複合災害というんですか被害について、この南海トラフの被害想定の中で想定がなかったのはなぜなのでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今回の南海トラフ巨大地震の被害想定におきましては、原子力災害に限らず、自然災害とその他の事故災害との複合災害については被害の想定は行っておりません。事故災害につきましては、一義的にはそれぞれの所管省庁によって、専門的見地から検討がなされるべきものと考えております。

 ちなみに、電力供給という観点では、原子力発電所は地震発生と同時に運転を停止するという前提で被害の想定を行ったところでございます。

高橋(千)委員 一義的には各省庁、担当のところ、それでいいのかということなんだと思うんですね。先ほど来議論されているのも、例えば情報の共有ですとか、やはり縦割りではない体制が本当に必要なんだという問題意識が、この間、さまざまな対策を求められているし、議論されているということなんだと思うんですね。

 中部電力浜岡原発のある静岡県御前崎市周辺では、南海トラフの巨大地震によると、震度七、最大津波高が十九メートルと予想されています。浜岡原発で建設中の防潮堤は十八メートルだった。ですから、足りないじゃないかということで見直しが迫られたということが報道されておりますし、六月二十八日の静岡新聞によれば、これまでは、単独発生が前提だった二〇〇一年の第三次判定までは、最大震度六強を想定していたということなんですね。それから見ても、もっとレベルを上げなければならないわけです。

 それで、中電は、浜岡原発三号機から五号機に対して、加速度千ガルの耐震補強を行った。だけれども、五号機は、地下に低速度層があるために、千九百ガルの最大地震動に見舞われると推計されたとしています。そうすると、中電が何と説明しているかというと、五号機だけがそうなので、五号機が停止中だったら千九百ガルでも耐震性はあるよと説明しているんだそうです。

 そうすると、動かさなければ一番安心だという話になっちゃうわけですよね。ここは、五号機が動いていなければ最大の地震動が来ても大丈夫だと説明している。そういう中での対策であるのだとすれば、原発は動かさないのが一番いいと私は言いたいわけです。

 だけれども、きょうはその議論をする場ではないですので、そこを質問するわけではありません。

 大臣は、被害想定二百二十兆円の想定を発表した三月十八日のテレビ、報道ステーションでインタビューに答えて、今審議官がおっしゃったようなこと、同じようなことをおっしゃっているんです。原子力発電所は地震が発生と同時に運転停止するという前提で予想を作成していると答えている。

 そうすると、そういう認識なのか、つまり、原発は地震が発生してもとまるから、災害は想定しなくていいんだということなんでしょうか。大臣に伺います。

古屋国務大臣 今、日原統括官から答弁をさせていただいたとおりでございます。

 電力の供給の観点では、原子力発電所は地震発生と同時に運転を停止するという前提で被害予想を作成しております。そして、原子力の事故災害については、それぞれの所管省庁によって、専門的な見地からしっかりと対応がなされております。

高橋(千)委員 正直驚いているんですけれども、多分、これでは三・一一の教訓は生かされないと思うんです。いろいろな計画を、三・一一を踏まえて、改めて評価、見直しを迫られてきたわけですよね。そういう点で、その認識でよいのかということを重ねて指摘しなければならないと思っています。

 私は、大臣ももちろんいろいろな形で被災地に入っていらっしゃると思うんですが、ことしの連休に、福島県の富岡町、第一原発と第二原発の真ん中辺にあるところですね、防護服を着て警戒区域の中にも入りました。その際、地震が起きた直後に当然町の災害対策本部が開かれていました。その部屋に入ったんですね。

 要するに、そのままなんですよ。会議の途中で地震が来た。それも、地震の対策をするんだけれども、余りにも大きいということでそのまま逃げた。なので、ホワイトボードにはその日のことがいろいろ書いてあります。避難の状況がどうなっているかとか、物資はどんなふうに配備をされているかとか、そういうのが書かれていましたし、机の上にはかじりかけのパンやおにぎりがありまして、もう炭化しておりました。それがそのまま、片づける間もないし、戻ってきてもいないという状態だったんです。

 そのときに、机の上に地域防災計画原子力編の分厚いファイルが置かれていました。案内してくれた補佐は、これが何にも役に立たなかった防災計画ですと指さしたんですね。当然、防災計画を持っていますよ、原発の地域なんですからね。だけれども、実際、そのとおりにいかなかった。

 私、課長さんに聞いたんです。原発が被害を受けるというか、事故を起こすということは考えませんでしたかと聞きました。そうしたら、考えもしなかったとおっしゃいました。原発は停止したと聞いたので、冷却されて安定していると思ったと答えたんです。ずっとそういうものだと聞かされていたからです。

 大臣がおっしゃったように、揺れたらとまる、ほんのわずかな振動でもとまります、原発はそういうつくりですから。だけれども、とまっただけじゃ済まないのが原発なんですよね。冷やさなくちゃいけない。ですから、今回は福島第一原発もとまったわけです。それで安心した。しかし、それでは済まない。結果として、メルトダウンという本当に深刻な事態になったわけです。

 そういうことを一切、とまるんだから想定する必要がないというふうにはやはりいかないと思うんです。第一義的な官庁は別だとしても、当然、連携する必要があるじゃないですか。違いますか。大臣にもう一回聞きます。

古屋国務大臣 先ほど申し上げましたように、やはり福島の教訓を生かして、それぞれの省庁、この場合は経済産業省になりますが、専門的見地から関係者とともに検討いたしております。

 したがって、今の御質問は、私は所管官庁の大臣ではございませんので、もうこれ以上のことは私からは答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。

高橋(千)委員 大臣、私、今、何回も言っているんですけれども、原発の是非とかを言っているわけではないんです。それから、安全基準がありますね。それに対しては規制委員会がチェックをします。そのことをどうかということを議論しているつもりもありません、別な場所でやりますから。

 そういうことではなくて、所管官庁ということを言ってしまえば、全部あるんですよ。環境省があったり、国土交通省があったり。だけれども、防災対策という一つの軸で大臣は全てを網羅している、連携をする、調整とか、そういう役割を果たしているわけじゃないですか。そういう点で、南海トラフが来たときにどういう被害があるのかという想定がされているのかということとか、それに伴う避難計画がされているのかということをやはり掌握する必要があるんではないかと思うんですね。

 例えば、原子力規制委員会は、原発の三十キロ圏内の市町村に対しては避難計画を義務づけました。義務づけたので、それはもうやっていることになっている。だけれども、実際にできたかどうか。地域によっては、避難計画をつくるすべがないところもあるんですね。陸の孤島になってしまうとか、さまざまな理由がある。だけれども、それはチェックする必要がないんだと言っているんですよ。本当にそれでいいのか。だって、避難する向きだって変わってくるじゃないですか。

 そういう点で、やはり複合的な場合はどっちに避難をするんですかということは、どこかで検討をする、すり合わせをする必要があるんではないか。それから、さっき、中川委員の質問に対して、大臣が非常に積極的に答えていらっしゃった情報の共有、この点について、やはり必要なんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

亀岡大臣政務官 今委員が指摘されたことは大事なことであります。私も被災地にいて、実は、第一原発と第二原発、同じ地震でも、事故が起きたものと起きないものがあります。第二原発は事故が起きておりません。

 そういう意味では、各電力会社が、東日本大震災の経験をしっかりと生かそうといって、今、それぞれきちんと防災対策、減災対策をやっております。

 それとは別に、全体計画を今つくっておりまして、後々それを全部共有させる必要があると考えておりますので、そこは、最初から事故を想定するということじゃなくて、まずきちんとやれることをやっていくという順番で今行っているところであります。

高橋(千)委員 ここは強く要望したいかなと思っています。

 原発がどうして想定から外されたんですかということを聞いたんですが、ワーキンググループで少し議論になったというんですけれども、では、その議事録をホームページにアップしていますかと言ったら、一年たたないと公開できませんと言うんですね。何か、あれは特定秘密なのかとつい思ったわけですけれども。

 実際に、いつやったのかもはっきりしないんですね。それで、第十一回のワーキンググループの議論だったということがようやくわかって、記者発表された議事概要をいただきました。そうしたら、議事概要の中には、原発のゲの字も出てこないんですよ。

 本当にそれでいいのかということを言わないと、一番大事な情報の共有というときに、そういうことは一切なしというのであれば、やはりあのことを繰り返すことになるんじゃないか。これは重ねて御指摘をしたいと思うんです。

 きょう、ここの部分は質問しませんけれども、大臣は、三月の被害想定の発表の際に、エネルギーのバックアップ問題も国土強靱化計画に入れたいと発言をされました。それが、さっきの発言でもあると思うんですよ。つまり、原発の被害は想定していないんだけれども、しかし、電気がとまったら困るので、そのバックアップは重要だという議論をされている。

 東日本大震災のときも、同じ東電だけれども、その瞬間は刈羽が動いていた。動いていて助かったという議論があって、やはり原発の電力を活用しようじゃないかという議論が出てくるのかいとなるわけですよ。

 それで、関西大学の河田教授は、政府内からは、原発の安全管理をし過ぎると南海トラフ対策に影響を与えると述べたということも報道されているんですね。

 そうすると、何か、原発の被害とか、それに対する対策については想定しないんだけれども、電源としての再稼働というんですか、原発は大事だというふうな議論になってくると、私は、これは逆立ちした議論だというふうに指摘をしたいと思います。重ねて、今後、優先順位とかおっしゃいましたけれども、最も優先的に議論する必要があるんだということで指摘をしたいというふうに思います。

 そこで、もう一つ。質問がきょうはいっぱいあったんですけれども、時間の関係で一つに絞りたいと思うんです。

 現在、地震発生直前の予知の可能性があるとされて、監視体制が整備されている東海地震を念頭にした大規模地震対策特別措置法というのがあるわけですけれども、東南海・南海地震特措法、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震特措法は、地震予知体制が確立した場合に、この大規模地震対策特別措置法へ移行することを想定するとされています。

 阪神・淡路大震災を機に、直前予知に対する信頼性に疑問が持たれるようになる中、本年五月に公表された中央防災会議の、さっき私が読み上げた南海トラフ巨大地震対策についての最終報告は、地震予測の研究の必要性を認めつつも、「現在の科学的知見からは、確度の高い地震の予測は難しい。」という見解を明らかにしました。

 なので、翌日の新聞各紙は、「地震予知が「困難である」と指摘した内閣府の有識者会議の最終報告書は、予知を前提とする現在の東海地震対策に無理があることをはっきりさせた。」というふうに報道された、これは朝日ですけれども。あるいは、「南海トラフ地震に備え、自治体の対策を後押しする特別法をつくる動きがある。新法制定に合わせ、東海「予知」を定めた大規模地震対策特別措置法を廃止すべき」ではないか、つまり、予知を前提にするべきじゃないんじゃないかというのが日経新聞には報じられているんです。だから、今回の法律がそのチャンスではなかったのかなと思うんですよ。

 五月二十三日の本委員会で、私、一度質問しています。直前予知が可能な巨大地震に個別に対応するという形で対策法が今林立している、だけれども、直前予知を前提としない、もうどこだってあり得る、そういう法律の一元化を検討すべきではないか、こう質問したわけです。

 改めて、検討すべきではないかなと思うんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。

古屋国務大臣 お答えいたします。

 大規模地震対策特別措置法、これについては、確かに、確度の高い地震予測は困難でありますけれども、東海地震地域における地震観測網が、前駆すべり等の東海地震の前兆現象を捉える可能性がありますということで、地震予測を前提として、警戒宣言後から発災までの地震応急対策についての特別の措置を定めておりますこの法律は、私は引き続き必要であるというふうに考えています。

高橋(千)委員 最終報告書の大臣がおっしゃった部分、私も読みました。なので、私は、予知の研究をやるべきじゃないと言っているわけじゃないんです。

 この間、委員会でいろいろな研究者の方の御意見も聞きましたし、それが非常に進化をしていて、可能性はすごく高まっているということも実感いたしました。ですから、予知の研究をすごく充実させるということは大事だと思うんですね。だけれども、予知ができるというそこだけに絞って、そことリンクした特措法でなくてもいいんじゃないかということを言っているのであって、その特措法に、もっと起こり得る全体の対策ということで一元化をすればいいのではないかと言っているわけで、そういう考え方はできないのでしょうかということを言っているだけなんですね。どうですか。

坂本委員長 時間が経過していますので、答弁は簡単にお願いいたします。

古屋国務大臣 今答弁申し上げたとおり、私たちは、委員御指摘のような考え方ではなくて、可能性がある以上は、この特措法は必要であるという考えです。

高橋(千)委員 終わります。引き続いてお願いします。

坂本委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 本日は、災害対策に関する件で質問させていただきます。その中でも、主に首都直下地震対策関係、また、障害者、難病の方など、本当に多くの手をかしていただき、救える命を救える、そういった方向になっているのか確認をさせていただきたく、質問させていただきたいと思います。

 まず、平成二十四年三月七日の中央防災会議防災対策推進検討会議にて設置の決まりました首都直下地震対策検討ワーキンググループ、今までに十六回ほどの会合が開催されているかと思います。現在のこの進捗状況、また、最終取りまとめがどのぐらいになるのか、スケジュールも含めまして、教えていただければと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 首都直下地震対策検討ワーキンググループは、昨年四月に設置されまして、東日本大震災の教訓を踏まえて、これまで、首都直下地震対策の対象とされてこなかった相模トラフ沿いの大規模地震についても検討対象に加えた上で、東日本大震災によって顕在化した課題、新たな視点等を踏まえながら、今後の首都直下地震対策のあり方について検討を行っているところでございます。

 対策の対象とする地震につきまして、別途設置しているモデル検討会、これはかなり理学的な検討会でございますけれども、それを置きまして、対策の対象となる地震に関する検討を重ねておるところでございますけれども、相模トラフの形状でありますとか、過去の地震をどのようにモデル的に再現できるかとか、過去の地震がどれぐらいの規模で、どれぐらいの発生間隔があるかとか、さまざまなタイプの地震想定、それが前提になりますので、その想定にちょっと検討の時間を要したところでございます。

 現時点では、おおむねその多様な地震の整理ができたということで、対象とする地震の震度分布等について精査を行った上で、被害想定あるいは対策の方向性につきまして、年内には取りまとめてまいりたいというふうに思っております。

小宮山委員 年内に大体取りまとめられるということでありますが、平成十七年に前回のものが出ていたかと思います。

 その中では、大体、首都直下の地震については十八タイプの地震動を想定していたり、また四つのシーンであったり、最も大きな被害となるパターンとして、東京湾北部地震がマグニチュード七・三、冬、夕方十八時という設定がされておりました。経済被害額も約百十二兆円ということで、直接被害、間接被害というような形で試算をされておりました。経済被害については、同様に、東海では三十七兆円、東南海・南海は五十七兆円といった想定もされております。

 この被害の想定というものは、今後、さまざまな自治体また企業におきましても、これが出たことによって、どういった対策をとるかというものを決めていく、大変重要なことだと思っております。

 まず、確認をさせていただきたいんですけれども、経済被害のうち、直接被害として積算されている額のあり方であります。建物や構造物などを建設する、あるいは購入する場合に必要な額とされているものと聞いております。どのような形で積算されたのか、確認をしたいと思います。

日原政府参考人 首都直下地震における直接被害の想定につきましては、平成十七年の際には、全壊棟数あるいは被害箇所数等の被害量に、建物の新築に要する費用あるいは施設の復旧に要する費用のいわゆる原単位をかけて積算したところでございます。今回も同様の手法をとるものと思われます。

小宮山委員 新築したときというんですが、今、首都を見れば、見渡す限り建物が建っている。道路や電柱など、さまざまなものがある。しかも、下水道であったり、地下埋設物、さまざまな管渠も地下に走っている。東日本大震災のときには、これは津波などでも相当の被害を受けました。また、新築をしたときの被害想定額というと、さらのところから上げる形になりますので、非常に単純な試算なんだけれども、実際にはそれでは済まないのではないかという思いがしております。

 また、もし被害が起きても、建設する前には、解体、撤去、分別、廃棄処分といったことをしなければできない。これは、今も、東日本大震災でも大きな問題でもございますし、先般、当委員会で視察に行きました大島でも、瓦れき、そういった災害のものというものは大変重要かと思っております。

 南海トラフでは考慮しているかと思いますが、その点の見直し作業の中において、この瓦れき撤去など、こういったものはやはりつくり直すということなのか、何とも、表現をこの場でするのが難しいところはありますけれども、このような費用を見越した上の想定をすることも必要かと思いますが、この点はどのような対応をされるのか、改めて聞きたいと思います。

日原政府参考人 委員御指摘のとおり、平成十七年に行った首都直下地震の被害額想定におきましては、災害廃棄物処理に要する費用は含まれておりませんけれども、先般の南海トラフ巨大地震対策では、解体撤去費用を含む災害廃棄物処理費用を見込んだところでございます。今回の想定でも同様に見込んでまいりたいというふうに思っております。

小宮山委員 ぜひ見込んでいただきたいというふうに思いますし、また、そうはいいましても、これによって過大な要求というか請求が出てしまっては、会計検査院からの指摘を受けるようなことになるかと思います。

 見込みというのはなかなか難しいかと思います。また、特に試算をするのが難しいのは、老朽化管渠、もう四十年たった下水道も含めまして、百万戸とも言われる老朽化マンション、これは民間のものもございます。そして、緊急避難道路沿いに建っているものには早急に補強もしなければならない。そういった方向で、国交省の大臣が特に老朽化の建築物に関しては大変熱心に取り組んでいらっしゃると私自身認識しております。

 今後計画等をする中において、大臣は、この瓦れきの処理など、こういった発生する新たな災害の中での対応についてどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせいただければ幸いです。

古屋国務大臣 今御指摘いただいたその瓦れきの撤去とか費用についても、これは十七年には含まれていなかったけれども、今回の想定では解体撤去費用を含む廃棄物処理に要する費用を被害額に含める、この趣旨のことを今統括官からおっしゃっていただきました。

 やはり、常に最新の知見とか想定をして対応していくということが必要だと思っておりますので、今回の改正に当たってはそういう形で反映をしていきたいと思っています。

小宮山委員 起こる前にこのことを考えるのもつらいんですけれども、今、実際には、建築廃材とか、建物を取り壊したときのその廃棄というものはそもそも大変な状態になっております。また、不法投棄の問題、そういったことを考えますと、大量の瓦れきを遠くに出すといっても限りがあるものでもございます。東南海もしかり、また首都圏しかりであります。

 そういう意味においては、森をつくるなど、またそこを利用して、その土地で、やはり忘れない、また新しい土地となって次を育むというような瓦れきの処理の方法等もあるかと思います。ぜひ、そういったさまざまな処理方法、日本全国に散らばることではなくということも含めて御検討いただければということを要望させていただきます。

 それでは、帰宅困難者対策、避難困難者について伺わせていただきたいと思います。

 きょう私、久しぶりではないんですが、最近またイエローリボンというのをつけさせていただいています。これは障害者自立支援法のときに、障害者のこと、自分たちのことは自分たち抜きで決めないでくれと、本当に悲痛な声を上げられ、そして、そこからまた新たな一歩を踏み出された、またその応援をする人たちでつけていたイエローリボンであります。

 首都直下地震が発生した場合、その震源位置にかかわらず、多数の帰宅困難者が生じるということは想定されておりますし、三・一一のときにも多くの方が本当に御苦労されていました。私自身、家に帰るのはその日には諦めたぐらいでございまして、各地の滞留者のうち、帰宅までの距離が遠く、また徒歩で帰宅困難な方ということが帰宅困難者とされております。

 昼十二時に発生と想定した場合、一都三県で六百五十万人の帰宅困難者が出るというのが前回の試算かと思います。東京では三百九十万人と当時されていました。最新の数字はまた別になるのかもしれません。

 想定されている六百五十万人の帰宅困難者には、観光客、出張などで一時的に訪れている者などは含まれていますか。実際に被災をされる数字というものを試算されているのであればお聞かせください。

日原政府参考人 お答えいたします。

 平成十七年に想定いたしました六百五十万人の帰宅困難者の中には、これは居住人口をもとに推計しておりました関係上、首都圏以外からの観光客、外国人、出張者は含まれておりません。

 一方、東京都が昨年四月に帰宅困難者数を想定しておりますけれども、そこでは、東京都市圏外からの流入者が約四十四万人、海外からの流入者は約一万人と想定しているところでございます。

 今回の帰宅困難者数の想定におきましては、今言ったような、首都圏以外からの流入者も含めて検討を行ってまいりたいと考えております。

小宮山委員 恐らく、二〇二〇年のオリンピックに向け、また、ビジット・ジャパンなど、さまざまなことで日本を訪れる、また、観光等、当時から見れば、観光的な名物のスポットが大変ふえております。そういう意味においては、これらの数の想定というのは難しいかと思いますけれども、きちんとしていただくことが対策につながるんだとも考えております。

 さて、障害者の方、入院患者、寝たきりの方、ひとり暮らしの老人など、みずから避難することが困難な方々の数はどのように把握をされているのか、その想定をお聞かせください。

日原政府参考人 お答えいたします。

 平成十七年に想定いたしました帰宅困難者あるいは避難者につきましては、先ほど申しましたように、人口データから一定の推計を行っておりますので、人数としては障害者、高齢者等も含まれておりますけれども、具体的に何人かということは出しておりません。

 今回、そういったこともきちんと検討してまいりたいというふうに思っております。

小宮山委員 今回きちんと検討してまいりたいと言っていただいたんですけれども、それは、年内に発表される中で検討されるということでよろしいですか。確認をさせてください。

日原政府参考人 おっしゃるとおり、今回の公表の中では、災害時に特別な配慮が必要となる避難者等の推計を行ってまいりたいというふうに思っております。

小宮山委員 この問題を扱わせていただこうというふうに思ったのは、東日本大震災のときに、障害者の施設、さまざまなことで、なかなか安否が確認できない、施設ごと安否の確認ができない、そして通っている方の確認もとれない。耳の聞こえない方でいらっしゃると、やはり情報が入手できない。それは避難所での困難であった。また、透析をされている方においても、難病の方とかも、一般的な薬ではない、しかし、命からがら、ともかく命を守ることを優先して逃げられても、避難所などへ行かれると、自分の必要な薬がなかなか入手できないという御苦労も伺いました。一人でも多くの方の命を救っていきたい、そのための備えをしていただけるような国であってほしいというふうに思っております。

 難病患者や透析患者の、移動は可能でも、薬や透析治療を一定期間必要とする方々、どのように想定をされているのか。また、こういった方々の中には、首都圏や大都市であれば、近県から入ってこられる方、私の地元からも、東京に治療や病院に通っていらっしゃる方が多数おります。そういった数も含まれてくるのか。そのような対策等はどのようにとられていくのか。お聞かせください。

日原政府参考人 お答えいたします。

 今検討中の被害想定におきましては、入院患者数などのデータ等を用いながら、発災後も継続的に医療措置が必要となる人々の数というものの推計を検討してまいりたいというふうに思っております。

小宮山委員 それでは、帰宅困難者の対策というもの、きょうはたびたび出ているかとは思いますけれども、どのような取り組みをしていくのか。

 本当に、被災をしたときに、ともかく帰ろうとするのではなく、やはりしっかりと安全を確認してから自宅に戻る、移動するということを推奨されております。そういう意味においては、随分と方向性が変わってきたということなのかと思います。

 また、実際私も、三・一一のときに見ていて、本当に多くの方が戻ろうとする、また、御自宅が都内にある議員さんからも、帰るのに物すごく時間がかかったという話も聞いております。総理が御自宅にいるときに万が一そういったことになったとき、あそこはヘリはとまれないと思いますが、渋滞に巻き込まれたら、今のようにさっと来られるような状況ではなくなるんだと思っております。

 そういう意味において、多くの方が、ではどうするのかという意味において、帰宅困難者対策にどのような取り組み、また進捗というものがありましたら、教えていただければと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 首都直下地震の際の帰宅困難者対策につきましては、国と東京都、民間団体等から成る首都直下地震帰宅困難者等対策協議会というものをつくっておりまして、平成二十四年九月に最終報告と五つのガイドラインを取りまとめたところでございます。現在、これに基づきまして、具体的な対策を各機関において進めているところでございます。

 特に、この中で、高齢者、障害者、外国人などの災害時要配慮者につきましては、先ほど委員からも御指摘がありましたように、今、すぐに帰らないようにというお願いをしているところでございますけれども、大規模な集客施設や駅などにおきまして、車椅子の配備とか外国語の対応等の備えをあらかじめ行った上で安全な場所へ誘導すること、あるいは一時滞在施設において待機スペースの一部を優先的に用いること、あるいは自力での徒歩帰宅が困難な要配慮者を対象としてバス等による搬送を検討することということで、例えば特別搬送につきましては、障害者、高齢者、妊婦または乳児連れの人、遠距離通学の小学生などを対象とするということを基本とするようなオペレーションについての検討を行っているところでございます。

小宮山委員 本当に、今までの経験を生かし、さまざまな技術や方法等、大変研究をされ、そして進捗状況というのは大変わかりました。

 また、障害者、難病の方々、ふだん接しないところが大変出てくる、数は少ないかもしれないけれども。そういった場合、やはりお互いがしっかりと防災のときに備えをする。精神的にもそうかもしれません、防災訓練というものも大変重要かと思います。

 これは、障害をお持ちの方とか、高齢者の方々、おみ足の悪い方々、自主防災で地域では訓練をされることもあるかもしれません。しかし、現実にそういった方々が自主的に出てきているのかというとまた違う。また、都心などでやった場合は、自分の住んでいるところで防災訓練をしていても、それとは違う状況で被災をされた、そういった方を見かけたといったときに手助けをするという意味では、両方の意味で重要かと思います。

 この点に関しまして、どのような、啓蒙活動を含めまして、されているのか、お聞かせください。

日原政府参考人 お答えいたします。

 災害時に住民の方々に適切な避難行動をとっていただくためには、避難訓練を定期的に実施することは大変有効でございます。その中で、障害者等の災害時要援護者の方々に訓練に参加していただき、避難支援対策の整備を図ることは極めて重要でございます。

 このため、平成二十五年度の総合防災訓練大綱では、避難所への避難誘導、避難所での支援など、障害者等の災害時要援護者の方々の参加を得ながら行う訓練を、地方公共団体等における防災訓練として位置づけております。

 具体的な取り組み事例として、例えば、北海道札幌市の町内会、あるいは山形県上山市の社会福祉法人等で災害時要援護者避難訓練が実施されているというふうに伺っております。

 今後とも、そういった災害時要援護者の方々の参加を得て行う訓練の実施について、ぜひ働きかけてまいりたいというふうに思っております。

小宮山委員 最後の質問になってまいりました。

 災害地では、本当に、ことしも多く出動していただいております消防団や消防職員、自衛隊派遣、また国土交通省からTEC―FORCE、また災害派遣医療チーム、DMATによる医療活動も大きな助けになっているかと思います。この点に関しましては、これからさらに頑張っていただきたいと思います。

 ただ、初動で、DMATに関しましては、四十八時間以降では対応し切れないといった声も聞いておりました。これに改善された点があれば聞かせていただきたいのと、大臣には、ぜひ最後、やはり医療的な支援や特別にさらなる知識が必要な、対応が必要な障害者や難病の方々、今後どのように、本当に、命を救えるものをどうやってふやしていくのか、発災後にどうするべきなのか、その点、御見解があれば、あわせて聞かせていただきたいと思います。

古屋国務大臣 今委員御指摘の、災害時の要援護者等の皆様に対する支援、これはもう、災対法の改正、あるいは今度の見直しの中でも、きめ細かに対応していこうということでございます。

 要するに、起こり得る現象というものの全てを想定して、それに対して、今まで設定をしていなかった項目に対しても、できるだけそういったものを想定して対応していく、これに尽きると思います。いわゆる社会的弱者、要援護者という方々に対する支援策も徹底してまいりたい、こういうふうに思っております。

神田政府参考人 済みません、大臣の前にお答えすべきだったと思いますけれども、DMAT等の改善についてだけ御説明させていただきます。

 確かに、東日本大震災では、従来想定されていたような外傷等が少ない一方で、慢性疾患への対応が必要になった、あるいは活動時間が四十八時間を超えたというような問題がございましたので、活動要領を改正いたしまして、現地の医療ニーズに対応して、慢性疾患にも柔軟に対応することができるように改正をいたしております。

 それから、活動期間が一週間など長期に及ぶ場合には、第二次隊、第三次隊を派遣する。それからまた、日本医師会の災害医療チーム、JMATなどの医療チームや地域の医療機関に、被災住民に対する医療を引き継げるようになるまでは活動を行うというような、その終了の時期も明確にしたところでございます。

 それから、難病や人工透析の患者さんについてでございますけれども、人工透析の患者さんについては、厚生労働省の防災業務計画の中におきまして、日本透析医会の災害時情報ネットワークシステムを活用しまして、どこの医療機関が受け入れられるかということを確認していただいて人工透析の確保を図るということにしております。

 また、人工呼吸器をつけている難病の患者さん等につきましては、こうした患者さんを抱えている医療機関において、災害時にこれらの患者の搬送先等について計画をあらかじめ策定しておきまして、県の方でこの計画の策定状況も確認していただくというようなことを指導しているところでございます。

小宮山委員 丁寧に回答をありがとうございます。

 都道府県の方から情報提供を求められたらできるというように基本法はなっていたかと思いますが、ぜひ、さらなる連携をしていただいて、多くの方が早急に居場所が確認できて、そして対応ができるような計画をこれからもつくり続けていただければと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三十一分開議

坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、災害対策に関する件、特に南海トラフ地震及び首都直下地震に係る地震防災対策について調査を進めます。

 本日は、本件調査のため、参考人として、京都大学防災研究所巨大災害研究センターセンター長・教授林春男君、特別区長会会長・荒川区長西川太一郎君、黒潮町長大西勝也君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、まず林参考人にお願いいたします。

林参考人 京都大学防災研究所におります林と申します。

 南海トラフ地震、首都直下地震の地震防災対策ということでお話をさせていただければと思います。

 「お話ししたいこと」というので一枚目に十個のポイントにしてございますので、十五分の間でどこまで具体例でこれをお話しできるかというようなつもりでまいりたいと思います。

 まず第一ですけれども、南海トラフ地震は必ず起きるということを前提にお話をしたいと思います。

 三ページ目を見ていただきますと、東日本大震災が始まるちょうど一年前ですが、二年に一度ずつ、地震調査研究推進本部という文科省が所管をしておりますところが今後の地震の予想をお出しになります。そのときに、見ていただきますと、一番確率が高かったのが宮城県沖でございまして、そのとおりの場所で地震が発生をいたしました。ただ、想定以上の規模がございまして、それに連動するような形で両脇の断層も一緒に動いて、あれだけの規模の震災になったということになります。

 ほとんどの地震がやはりプレートの境目で起こっているということを考えますと、この図は、次はどこかということを教えてくれるかと思います。

 確率の高さを見ていただきますと、ナンバーワンは、いわゆる東海・東南海・南海地震と言われるものになろうかと思いますし、ナンバーツーは、実は択捉、国後の沖合になろうかと思います。これについては、まだ国がどういう形での対応をするのか、計画ができていないようなところもございまして、大変微妙な地域でもあるということで、ぜひ国会の皆さんにはここも御検討いただければと思います。それから、三番目としては、やはり影響の大きさからいえば首都直下地震というふうになろうかと思います。

 なぜ南海トラフを一番と申し上げるかというと、もちろん確率が高いわけですが、この地震は、歴史上、一番数多く記録が残っている地震でございます。七世紀から二十世紀まで、ほぼ毎世紀、いろいろな資料を総合いたしますと、確実に起こってまいりました。ですから、二十一世紀に起きないわけがないというふうに御理解をいただいていいんじゃないか。

 では、いつ起きるのかというのが問題になるわけですが、五ページ目を見ていただきますと、地震のたびに、実は地盤が隆起をいたします。その隆起量と地震の規模というのは比例するということが言われておりまして、過去三回の隆起量と地震間隔を見ていきますと、こういったような階段状のグラフができます。その下の角がきれいに一直線上に並んでいますので、小学生の数学をやると、実は二〇三五年ぐらいが次のものになろうかというふうに思います。

 さすがにこういう言い方は不穏当ということで、地震調査推進本部は、その下にございます、六ページのような形で、今後三十年で何%という計算をしてございます。これが二〇〇〇年から始まっておりますので、もう十年過ぎました。ということは、あの当時は四〇%でしたが、一番左の棒がありませんので、四番目の棒を足していただいて、全体の面積で割ると、今、六〇%ということになろうかと思います。

 これを見ていただきますと、臨戦態勢に入るべきは、二〇二〇年を越えた段階から二〇四〇年までというふうに言えるかと思います。それに向けての礎をつくる十年というのが、この二〇一一年から二〇年までではないかというので、この十年が正念場であるというふうな認識をしているところでございます。

 国も、それに対して非常に関心を払っておりまして、二〇〇三年には、中央防災会議が、マグニチュード八・七という想定で被害の予測をしてございます。この時点で、既に死者が二万五千人、被害額で八十一兆円、当時の国家予算に匹敵するぐらいの規模が出ておりました。

 東日本大震災の発生を受けまして、さらに、昨年、今度は最大クラスの地震ということで、今の科学で考え得る最大規模、想定外をなくしたいというお気持ちだと思いますが、想定をされまして、今度は、マグニチュードが九・〇、死者が三十二万人、被害額が二百二十兆円というとてつもない規模の被害が想定されている現状がございます。これが起こるんだというふうに、ある意味では申し上げている。

 では、このとおりのものが起こるのかというと、次の九ページを見ていただくと、大きな規模の地震というのは、やはり発生確率が低くなります。多分一桁低くなるだろうと言われておりますので、この次の南海地震あるいは東南海地震、東海地震が九になるかどうかは、正直わかりません。

 そういう意味では、八・七の想定でも既に被害がたくさん出ることが予想されていますので、それを改善できていない現状がある限り、もっと大きな被害も出ることを予想し、当面八・七の被害をできるだけ予防するという努力が必要かというふうに思っています。

 では、首都直下地震はどういうふうになるのかというと、実は、想定の仕方が違います。

 十ページを見ていただくと、地震調査推進本部とは違うベースでお話をいたしますが、東京都内に被害が出た地震というのを理科年表で見ますと、過去に、ここにある丸の数、十三ございます。これを、四百年で十三回ですから、三十年ごとに区切ったら、一体どのくらいの頻度で起きるのかというのを計算いたしますと、十一ページのようになります。一回も起きない確率がおよそ三八%なんですが、一回以上起きる確率を足し合わせますと、六一%。

 こういう数字をもとに、今後三十年、七割というような言い方になるというふうに御理解ください。ですから、これは起こるか起こらないかはまだわからない。ただ、起こる確率の方が高い。先ほどの南海地震は、これまでも確実に起こってきて、もうあとはいつ起こるかという推定をしているというような違いがあると思っていただいたらと思います。

 首都直下地震の場合には、起こるか起こらないかはまだ確定しないわけですけれども、起こった場合の影響は非常に甚大でございまして、二〇〇五年、中央防災会議は、一番ひどいシナリオということで、マグニチュード七・三の東京湾北部地震というものの想定をいたしまして、死者は一万一千人ですが、経済被害が百十二兆円に上るという、当時から見れば信じられない規模の被害が出るという予測をいたしました。

 今、中央防災会議は新たに首都直下地震の見直しをしておりまして、これは、実は非公開資料なので、見たことがないことにしておいていただけたらと思いますが、少し予想される規模が小さくなろうかというような思いがございます。

 では、それに対して私たちは何をしていくのか。これは一言で言えば、レジリエンスを高めていく必要があるのではないか。いろいろと時代時代で呼び名が変わっておりまして、昔は強くしなやかと呼んでみたり、最近は国家強靱化と呼んでみたりなんですが、言いたいことは同じでして、レジリエントな社会にしたい。言い方は何かというと、たとえ被害が出たとしても、立ち直れる力まで含めて防災、減災の力としたいという考え方であります。

 今までは、どちらかというと、十五ページを見ていただいたらあれなんですが、被害を出さないところに日本の防災は精力を注いでまいりました。ですけれども、これだけ大きな被害が想定される以上、被害ゼロというのはやはり幻想ではないか。むしろ、大きな被害が出る、それを前提にして、どう立ち直っていくのかということを真剣に考え、その立ち直りのスピードをいかに早くするかを合理的に整えていく必要があるだろうというふうに思います。

 求められるものは、予防と回復のせめぎ合いではなくて、その両者の補い合いでありますし、総合化であるというふうに理解をしています。

 では、具体的に何をすればいいかというのが十八ページに書いてございまして、三つのことをすべきだと思っております。

 一つは、やはりきちっとしたリスク評価をしていく必要があるだろう。恐れるべきものをちゃんと恐れるという必要がございますので、リスク評価をしなきゃいけない。もちろん、海溝型の地震というのは大きなリスクではございますけれども、実は、それ以外にもさまざまなリスクもございますので、ここは地震のお話をいたしますが、地震以外のリスクも含めて、総合的に判断をしていただきたい。それから、大事だというものについてはぜひ予防していただきたい。それで、全部は予防し切れないわけですから、いざ被害が出ることを想定した回復力も整えていただきたいというこの三つのバランスが必要だというふうに理解をしております。

 具体的にはというので、まず、リスク評価については、二十ページを見ていただいたらと思いますが、さまざまなリスクがございます。

 自然災害というのは、どちらかといえば、発生確率が低くて影響の大きいものの典型だというふうに思います。合理的に言えば、リスクは転嫁をして、いざ被害が出たら、あと、財政的に補填をするというようなやり方を進めるところもございますけれども、南海地震に関して言えば、発生の確率も非常に高まっているということであって、予防と回復のバランスをぜひとっていただきたいというのを再度強調させていただきたいと思います。

 それから、二十二ページを見ていただきますと、今度は予防についてのポイントがございます。

 予防というのは大変有力な対策なのでございますが、実は幅が狭い。ここではハザードという言葉を使わせていただいていますが、狙ったものにだけきくというのがございます。一生懸命地震対策をしても、実は新型インフルエンザの対策にはならないわけですね。そういう意味では、何を相手にどう予防するのかということをしっかり考えていく必要がある。

 そう考えると、予防できるものにおのずと上限があると考えていただいて、二十三ページにございますけれども、大事なものはとめてはいけない、大事なものは壊してはいけない。

 もしかすると、浜岡は、稼働は終わっているかもしれませんが、まだ廃炉のプロセスの途中だと思います。伊方にも原発がございます。二度とああいう事故は起こしてはいけないと思いますし、それ以外にも、特に静岡には、日本の産業基盤、社会基盤の集積が非常に大きゅうございますので、それも守らなきゃいけないというような意味で、何を守っていくべきかということの優先づけというのも明確にしていく必要があるのではないか。

 一生懸命やったとしても、二十四ページにございますが、物を設計するときには上限値というものを考えてやりますので、それを上回る力が及べば必ず被害になるということも認識をしておかなければいけない。

 そのためには、二十六ページに書いてございますけれども、災害が起きたということを前提にして、一体何をやるべきなのか。命を守り、社会のさまざまな流れを回復させ、社会のストックを再建するという活動を連携して速やかに実施していただく必要があると思っています。

 そのさまざまな、三つの種類の活動を推進するためには、実は、その後ろで計画と資源配分ということをしっかりする必要があるというふうに思っています。そのためには、災害対応を標準化して、少ない力でも効果的な対応ができるような基本が必要だと思っております。

 最後のポイントですけれども、何か一つで対策が万全というものはないだろうと思っています。リスクを完全にゼロにすることもできないだろうと思います。だけれども、みんなで力を合わせて、いろいろなやり方を組み合わせることで少しでもリスクを減らせるという多重防御の考え方というのが、三十一ページに書かせていただきましたが、必要なのではないか。その意味でも、ぜひ予防力と回復力を組み合わせていくような施策を国会でも御推進いただければというお願いをさせていただいて、冒頭の意見陳述とさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

坂本委員長 ありがとうございました。

 次に、西川参考人にお願いいたします。

西川参考人 ただいま御紹介をいただきました、荒川区長を務めております、そして二十三区特別区長会の会長を務めております西川でございます。

 本日は、このような貴重な機会をいただきまして、まことに感謝にたえない次第でございます。

 このたび、議員の皆様が、防災・減災等に資する国土強靱化基本法案、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び私どもが大変心配をいたしております首都直下地震対策特別措置法案を議員立法によって上程していただきましたことに、心から敬意を表する次第でございます。

 私は、特に首都直下地震対策特別措置法案につきまして、基礎自治体の長の立場から幾つか発言をさせていただきたいと存じます。

 東日本大震災の発生後、関東地方でも地震活動が活発化いたしております。三十年以内に七〇%の確率で起きると言われている、ただいま林教授からお話がありました、首都直下地震の発生の可能性が一層高まっているように感じられ、また、いつ発生してもおかしくない、待ったなしの状況にございます。

 このたび東京都が発表いたしました被害想定で、ワースト百の中に私の区は十七カ所も含まれておりまして、しかも、一番、二番が本区でありまして、マスコミの集中的な取材があり、また、自由民主党の議員の先生方に、二階先生を先頭に直接御視察をいただき、ここが東京かというようなお声も聞けるような細街路を見ていただいたりいたしました。

 私たち、今心配しておりますのは、この首都直下地震が発生した場合の被害の特徴は、他地域とは比較にならない膨大な人的、物的被害が発生する、東京の、政治、行政、経済の枢要を担っている首都中枢機能に障害が生じ、我が国全体の国民生活、経済活動に支障が生じるほか、海外へもその影響が波及することが想定できるということを大変心配いたしております。

 一都四県が同時に被災し、被災者は二千五百万人以上、日本の人口の五分の一にも当たるわけであります。中央防災会議が平成十七年に示した、死者一万一千人、避難者七百万人、帰宅困難者六百五十万人、建物の全壊棟数が八十五万棟、災害廃棄物が九千六百万トン、経済被害額は百十二兆円という膨大な被害が発生をいたしますことは、決して大げさではなく、我が国の存亡にかかわるものだと存じております。

 特に、東京湾には、石油コンビナートを中心とした、エネルギー産業や素材産業等が集積しております。

 地震、津波、地盤の液状化等により、被災し、爆発、火災等が発生すれば、日本経済に与える影響ははかり知れません。石油コンビナートの地震対策は全国共通の課題でございまして、喫緊の対策が必要であると私どもも考えております。

 本件につきましては、既に十四の道府県の知事の皆様で構成されております全国石油コンビナート立地道府県協議会から問題提起がなされておりますが、同会の副会長であります広瀬大分県知事から、本日、委員会の前に直接お話がございましたので、東京とは若干離れますが、この問題の重要性に鑑みて、貴重なお時間を賜りましたので触れさせていただいた次第であります。東京も、近接の首都圏の各県も、この問題について、他人事とは思えない重要なことだと存じております。

 さて、東京に絞って被害を考えてみましても、平成二十四年に都が示しました東京の被害想定は、最大で死者九千七百人、負傷者十四万七千人、避難者数三百三十九万人、帰宅困難者五百十七万人、建物被害は三十万四千棟となっております。

 これらに耐震化という有効な対策を講じ、首都東京をまさに強靱化することが喫緊の課題であると考えているところでございます。

 次に、基礎自治体の視点に立った対策についてのお願いを申し上げたいと存じます。

 本日、せっかくの機会をいただきましたので、特別区長会会長といたしまして、基礎自治体の視点から、大きく三点をお願い申し上げたいと考えてまいりました。

 第一に、木造住宅密集地域への対策でございます。

 本日、お手元にお配りしてございます「迫り来る東京直下地震に備えて」という、簡単な印刷物で恐縮でございますが、ここに記載をいたしましたので、後ほどごらんいただければと存じます。

 東京の特別区には、山手線外周部から環状七号線沿いを中心に、約一万六千ヘクタールに及ぶ木造住宅密集地域が広域に分布いたしております。

 首都直下地震が発生した場合には、東日本大震災を超える大きな被害が予想されまして、都市機能を失うおそれが十分ございます。

 東京都の防災性の向上を図るためには、この木造住宅密集地域の解消を国家事業として取り組んでいただく必要があると考えております。

 お配りしました印刷物にもございますとおり、「防災都市・東京の街づくり」展開イメージ図がございます。

 木造住宅密集地域の整備のためには、まず、危険な空き家等の除却を進めることができるように、法律により私ども基礎自治体に必要な権限を付与していただきたいというお願いであります。

 未耐震かつ耐火性に乏しい木造家屋、老朽化した空き家、空きビル等は、火災発生時に倒壊し、火災延焼拡大を招くおそれがございますし、また、消防自動車の通行を阻害したり、いろいろな意味で大きな災害につながる要因がございます。

 こうした危険家屋が多い私ども下町の特徴で申し上げますと、まず、都内全体のことで、空き家の総数は七十五万戸も実はございます。そのうち賃貸用が四十九万二千戸もございまして、その中の八万五千戸が既に腐り、朽ち、そして破損が甚大となっております。

 そして、このような危険を未然に防ぐための仕組みが必要でございますが、例えば、私が区長をさせていただいております荒川区では、危険な老朽建物を区が除却する仕組みづくりを進めております。

 現状は、法律の枠外で区独自の努力をいたしておりますが、広域的な視点で考えますと、ぜひ、先生方のお力で法律を制定していただきまして、私どもを御信頼いただき、除却等についての権限を規定していただき、付与していただければというふうに考えております。

 そして、この特徴は、危険家屋にお住まいの方、所有していらっしゃる方は、さまざまなインセンティブを付与しても除却に応じてもらえない場合が多うございます。さらに強いアプローチが必要であると考えております。

 憲法上の問題もあろうかとは存じますが、一定期間除却に応じていただけない場合には収用が行えるようにする必要性を、私ども強く感じておりますので、衆議院議員の先生方にもこのことについてぜひお考えを願えればというふうにお願いを申し上げる次第であります。

 また、木造住宅密集地域の整備に当たっては、法による強制だけではなくて、人、心を動かす仕掛けが必要であると日常の経験から感じております。

 家屋の除却、再建に関して思い切ったインセンティブを設けたらどうかということでございますが、特に税制面での負担の軽減拡大は、ぜひ必要な手だてというふうに存じております。

 例えば、住宅用地における固定資産税、都市計画税の優遇措置は、家屋等を取り壊して更地にした場合にも適用できるように改正をしていただければと思います。建てかえ工事時に生ずる消費税等についても同じように御考慮いただければと存じます。

 建物を取り壊しますと固定資産税や都市計画税は六倍や三倍になるのでございまして、これでは、私どもが幾らお願いしても地主や建物の持ち主が除却に応じてくれないことになっております。

 既に東京都では、木造住宅密集地域不燃化十年プロジェクトというものを特区制度におきまして実施いたしております。固定資産税や都市計画税の税制の優遇といった支援策が実施されてはおります。

 また、あわせて、こうしたところにお住まいの方は御高齢者が多く、また小規模権利者も多く、こういう方々に従前の生活を担保できるような共同住宅の供給など、保障制度を創設することも必要だと考えております。そのために必要な財源措置も御検討願えればありがたいというふうに存じます。

 第二に、学校を中心として、地域防災力の一層の向上を図る必要があると存じます。

 子供さんたち、特に中学生の諸君は、地域防災の大きな担い手になってもらえます。私ども、十校の中学を持っておりますが、そこで防災についてのいろいろな努力を、子供さんたちにも協力をしてもらっております。特に避難所は学校を当てにしてございますので、こういう点につきましても、ぜひそのように努力をいたしますが、法律のバックアップをお願いしたいと存じます。

 行政、学校、住民が一体となりまして避難所の運営ができますように、本法案の地域防災組織の認定等につきましても、区市町村の意思をしっかり聞いていただいて、そのようにできますようにお願いしたいと思います。

 委員長、もう時間でしょうか。

坂本委員長 そろそろ時間でございます。

西川参考人 済みません。欲張っていろいろ用意してきまして、あとまた御質問の中で御答弁を申し上げるようにいたしますが、いずれにしましても、東京の首都直下地震に対しましてぜひ先生方のお力を拝借できるように、二十三区を代表してお願いを申し上げました。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

坂本委員長 ありがとうございました。

 次に、大西参考人にお願いいたします。

大西参考人 高知県の黒潮町というところから参りました大西と申します。

 黒潮町は、人口一万二千五百人、標準財政規模でいいますと五十億程度の小さい町でございます。

 御案内のとおり、昨年、内閣府の南海トラフの巨大地震モデル検討会から新想定が公表されました。当町におきましては、資料の表にございますように、最大震度は七、そして最大津波高三十四・四メートルと、非常に衝撃的な数字が示されたところでございます。

 そうなりますと、当然のことながら、次ページにありますような新聞記事になるわけでございまして、住民の皆さんは、大変御不安と混乱、そして我々が何よりも危惧をいたしました諦め、こういったことが蔓延したということでございます。

 以降、当町がとってまいりました防災対策の推進につきまして、特徴を少し御紹介させていただいた後に意見を申し上げたいと思います。

 当町の防災に三つの特性があると自覚をしております。一つはまず推進体制でございます。それからもう一つは細分化というキーワード。そして最後に圧倒的ボリュームのコミュニケーションでございます。

 新聞記事の下段に、「町を地域に細分化(地域担当制)」と書いておりますが、次ページに組織体制を載せさせていただいております。

 黒潮町には二百名の行政職員がおりますけれども、その二百名の職員は一義的に町内全土を管轄します十四の消防分団に配置されます。そして、その消防分団は、一地区並びに複数地区を管轄している関係から、さらにその地区へ割り当てられるということになってございます。つまり、保母さんから学校校務員さん、そして一般行政職に至るまで、全ての職員がどこかの地域で防災担当を行っているという組織図になってございまして、業務フローにつきましては下の図に掲載をさせていただいております。

 こういった組織体制の中で昨年一年間取り組んでまいりまして、上がってきた成果物の一つが、七ページの上段にありますマップでございます。

 主にハード的な課題がどこにあるのか、地域ごとのハードの課題はどこにあるのかというものをプロットした地図でございまして、これは住民の皆さんと行政職員、そういった方々で共同で取り組んで出してきた成果物でございます。これは一地区分でございますので、町内六十一地区ございますから、黒潮町にはこのマップが現在六十一枚あるということになってございます。

 この中に、実は、「道路を新設できないか。」という項目がございます。そして、その項目に沿って地域で話し合いを続けてきた結果、整備計画を組み、実際に整備をするということになりますと、ここに道路ができるということになります。

 しかしながら、私どもが大変危惧をいたしましたのは、マップ上で判断いたしますと、新設された避難道のすぐそばのお宅、こちらのお宅の方は全員助かる、このような判断をせざるを得ない、これは津波のお話でございます。そういった判断が本当に適切であるのかどうなのか、そのためには一軒一軒の調査に入るべきであろう。

 そういったことから、町内、一つの黒潮町を十四の消防分団にまず細分化し、その十四の消防分団を六十一地区まで細分化いたしましたが、さらに現在、ことしになって取り組んでおりますのは、この町を地域に細分化した後の細分化、地域をさらに班に細分化した対策をとっているところでございます。

 次ページに、さらに右側に少し余分なものがついた資料があろうかと思います。

 六十一地区まで細分化いたしました。その後に細分化したのは、地区地区ごとに十軒から十五軒の単位の、自治会の中では最小単位であろうかと認識しておりますが、四百六十三の班がございます。この四百六十三の班のうち二百八十三班、約四千六百世帯が浸水区域にございます。そして、この一世帯一世帯の避難カルテ、私どもは避難カルテと申しておりますけれども、さまざまな聞き取り調査を行っているところでございまして、この四千六百世帯分が来年の一月をもって全て完了するということになってございます。

 その下に、記入シートの様式を紹介させていただいております。実際に住民の皆様にこの記入シートに事前に御記入をいただき、それを持参していただいて、ワークショップでカルテという様式でまとめて、町はこれを更新。情報管理、更新をこれから行っていくというフェーズに入ってまいります。

 この細分化、班まで細分化した結果、得られた果実が相当高いものである、そのように認識してございますが、それは十二ページの下段に、戸別カルテづくりの効果として紹介させていただいております。

 まず、課題の細分化ができたということでございます。黒潮町も大変長い海岸線を有してございまして、西の端と東の端でやはり課題が違うわけでございますが、黒潮町の防災というような、町にとってのマクロな発言をしている限りは、きっと具体的な防災対策は進まないであろう、これが根幹思想でございます。つまり、地区の課題がしっかりと顕在化、明確化されることがまず重要であって、その顕在化、明確化をもって課題への対応の単純化、具体化を図っていく、こういったことでございます。

 それからもう一つは、先ほども申し上げましたように、四千六百世帯、二百八十三の班に細分化をし、現在、班単位、つまり十軒から十五軒単位でワークショップを開催しておりまして、こうなりますと、非常に近所の出席状況が明確でございまして、実は欠席しづらいといったような効果も出ております。

 これは大変重要でございまして、対象世帯の参加率は六一%、カルテの回収率が九六%となってございます。行政が開く懇談会、ワークショップでこのような数字が出ることはまずあり得ないと思ってございまして、非常に高位に位置していると思ってございます。

 それからまた、社会的手抜きの排除、これは、要は、複数で取り組むと、どこか一人が手抜きになっていくということでございまして、私どもの防災の根幹思想であります。よく自助、共助、公助と言われますけれども、私どもは自助、近助、共助でございます。つまり、近所、声の届く範囲で防災体制をしっかりつくっていかなければならないといったことから、この社会的手抜きの排除にも効果が非常に高い取り組みである、そのように認識をしております。

 それから、当然のことながら、この記入シートに御自身が御記入をいただくわけでございますから、御自身の住まいのリスク、これを事前に御理解いただける、認識いただける、こういった効果がございます。

 それから、記入シートの中に少し特徴的な聞き取り項目もございまして、「防災となり組」という聞き取り項目がございます。これは何を意味しているかと申しますと、隣の地区に住む御親戚、例えば息子さんであったり、隣の地区までの物理的な距離は有事の際には機能しないといったような認識を持ってございまして、有事の際は、声の届く範囲、この最小単位で防災機能の向上を図っていくべきであろう、そのように思ってございます。

 実は、この防災となり組の取り組み、大きな根幹思想の変化、変更にもなってございます。つまり、これまでの防災、誰がやるべきなのかから、誰ならできるのか、こういった哲学の変更、こういったものの性格もあわせ持っていると自負をしております。

 それからもう一つは、このカルテに記入いただく物理的な作業、この作業によって記憶の定着が起こり、そしてこの記憶の定着はそのときの行動に作用する、つまり、対処行動をしっかりととっていただける人間をつくり上げていくことができる、そのような心理的な効果もある。これは、実際に、現在、ナショナル・レジリエンス懇談会の座長をお務めの藤井先生から心理的プロセスの御説明をいただき、こういった効果があると。

 さらに申し上げますと、この効果の検証のために実際にプログラムをつくり、実際に地域に入って検証した結果もございまして、当町が進めておりますこの戸別避難カルテ、この作業は対処行動の誘発につながる、こういった効果もあるというふうに申していただいたところでございます。

 次ページの上段のグラフを少しごらんいただければと思います。

 これまで、三つの特徴の御説明のうち二つを申し上げました。一つは、全職員による防災の取り組み、これが推進体制でございます。そして、一つの町を十四の分団に、そして十四の分団を六十一地区に、そして六十一の地区を四百六十三の班に、これが細分化の取り組みでございます。この上段のグラフは、圧倒的ボリュームのコミュニケーションをあらわしてございます。

 昨年の三月三十一日に新想定が公表されて以降、現在までの約一年半で当町で住民の皆様と積み上げたワークショップは五百三十回にも上りました。そして、そこに御参加いただきました延べ人数は二万五百人。これは、当町の総人口の約一・七倍弱に当たります。

 このぐらいの圧倒的ボリュームをもってしなければならなかった、こういった理由が実はございます。それにつきまして、それと絡めて意見を申し上げます。

 これまで申し上げました当町の三つの防災の特徴、推進体制、細分化、そして圧倒的ボリュームのコミュニケーション、これらを包括して、私はある種のプロセスイノベーションであると認識をしてございます。そして、重要なのは、なぜこの圧倒的な活動量を要するイノベーションの必要があったのか、こういうことでございます。

 それは当然のことながら新想定によるものであって、対応しなければならない事態の想定が大きく変更されたからであり、それは、基礎自治体のみならず、国においても同様でございます。

 今回の想定に対応するためにも、国にも強くイノベーションを求める次第でございます。それは、私どもと若干相違がございますが、今回の想定に対応するために、既存の法律の見直しを図り、そして制度設計をし、そして、何より、想定される大規模災害に真正面から取り組むんだ、こういった強い姿勢を広く国民にお示ししていただくことでございます。

 そういった中、御審議をいただいております南海トラフ地震に係る法案につきましては、その意思を明確にお示しいただいたものであると高く評価並びに敬意を表するところでございます。今後は、基礎自治体が円滑に運用できるような制度設計を期待するものであります。

 最後になりますが、現在想定されている最悪のケースが起こってしまった場合、当町では二千三百人が犠牲になるとされており、この二千三百人という数字は、当町の総人口の約二割に該当いたします。ここで委員の皆様に深く御理解いただきたいのは、私たちが向き合わなければならないのは、資料の中の二千三百という大枠の数字ではなく、日々、地域でお暮らしの、顔が見える一つ一つの命であるということでございます。

 災害列島で暮らす以上、そのリスクは避けることができないことは言うまでもございません。大切なのは、それらに対し、手抜きをせず、いかに真剣に考え、そして全力で対策を講じ、その日に備えるかでございます。

 国におかれましては、何よりも人命を確保し、そして、しっかりと次の世代にふるさとを引き継げるよう、取り組みを強化していただきますことを御期待申し上げます。

 以上でございます。(拍手)

坂本委員長 ありがとうございました。

 以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大見正君。

大見委員 それぞれ参考人の皆さん方、短い時間の中でコンパクトに発言の御要旨をまとめていただきまして、ありがとうございました。

 与えられた時間が十分ということでございますので、お一人一項目ぐらいずつしか御質問ができませんけれども、お許しをいただきたいというふうに思います。

 まず、林先生におかれましては、南海トラフの地震あるいは首都直下型の地震、本当に南海トラフの地震につきましては臨戦態勢になってきておって、この十年が準備のための正念場だというお話をいただき、レジリエンスを高めることの重要性というのをいただきました。

 その中で、きょう直接のお話ではなくて、この資料の後半にかかわる部分だというふうに思いますけれども、先生はかねてから、危機管理に当たっては、危機対応に当たっては、一元的な体制をつくることの重要性ということをおっしゃられております。特に、米国の九・一一テロで有効性が証明をされたとされております、ICS、インシデントコマンドシステムの採用というのをとられております。

 これは、先進国の中ではどうも我が国だけがこのICSを採用していないそうでありますけれども、それぞれの機関では、例えば防衛省などでも標準化の研究を行っているということで、徐々に進んでいるというところではあろうかと思いますけれども、省庁の枠を超えたところでの取り組みというのはまだまだだというところだというふうに思います。

 そこで、先生には、この日本版ICSの必要性、設置に向けた障害というのが今どこら辺にあるのかというところを中心にお話をいただければというふうに思います。

 次に、西川区長さん、自民党の衆議院の大先輩でありますので、質問させていただくことを本当に光栄に思っております。

 荒川区というのは、東京都の地震の判定調査では、総合的に一番危険が高いところである、木造住宅密集地であり、また液状化のリスクも非常に高いところであるということで、区長として、住民を取り込んださまざまな取り組みをやっておられる中、一番の障害というのが、この木造住宅の除去であったり空き家対策だということで、今お訴えをしていただきました。

 確かに、権利関係とかが非常に複雑に絡んでおって、一つ一つの案件に対して時間がかかる中、やはり強力な推進体制の中でこうしたことを進めていかなければいけない、時間もないということの中で、立法化を求めたお考えというのがかねてより出されておるわけでありますけれども、この件に関して、もう少し具体の話で、もっと強力にというところがあればまたお話をいただければというふうに思います。少し漠然としておって恐縮ですけれども、よろしくお願いをしたいと思います。

 また、黒潮町の大西町長さん、午前中も、実は高知県出身の公明党の石田祝稔議員の方からつぶさに御町のこともお話をいただいたわけであります。町民を挙げて、また町長さんが中心となって、この対策を、今お話をいただいたとおり、大きな推進体制、細分化、圧倒的なボリュームのコミュニケーション、そしてそれを総括したイノベーションの形の中で、強い意思を持って進めておられるということでありますけれども、町の皆さん方がこれだけ頻繁にワークショップを繰り広げられたり、あるいはまた町民の皆さん方の気持ちというのを動かすには、それぞれの職員の皆さん方の相当の力量というのがあるのかなというふうに思っております。

 国の方は被害想定を出すけれども、後の対応というのはそれぞれの自治体任せだというようなこともよく言われるわけでありますけれども、そうした職員の皆さん方の防災の能力、技能、あるいは町の方向性、こうしたものが、どの辺のところが、指導に当たってここまでのことができるのか。これが本当に町職員の中から出てきておられる話なのか、あるいはまた、学術関係等のバックアップもあって、指針を示されながらそうした形で進んでおられるのか。

 そうした展開がもしあるならば、ぜひこうしたものを各地域で、国としても取り組んで、それぞれの地域で指導体制を構築する中で、災害対策、地域に合ったものを進めていかなければいけないかなというふうに思っておりますので、その辺を含めて御発言をいただければというふうに思います。

 以上であります。

林参考人 最初に御質問いただきましたICSに関してお答えをさせていただきたいと思います。

 米国は、インシデントコマンドシステムというのを官民で共有して災害対応に当たる体制をしいております。それがスタートしましたのは七〇年代からということで、やはり四十年の時間がかかっていて、実績があって有効性が認められているというのをまずぜひ御理解いただけたらと思います。

 では、日本はなぜそれを使ってこなかったのかというと、それほど大きな規模の相互応援を必要とする事態を幸いなことに経験してこずに済んだというところもあろうかと思います。

 ですけれども、さきの東日本大震災の中で、やはり相互応援というのは非常に不可欠なものであるということがよくわかりましたし、また、今、行政のスリム化が進んでいく中でなかなか、災害が発生した後、地元だけで対応することも不可能になってきておりますので、確実な相互応援を実現するという必要性があって、日本でも今、災害対応の標準化が進みつつあると思っております。

 資料の二十九ページに書かせていただきましたけれども、そういうニーズに対応するべくということで、実はISOでも危機対応の標準化というのを進めてまいりまして、二〇一一年にそれが発行されまして、この十月にそれがJIS化もされております。

 こういったことを踏まえてですが、ことしの政府の骨太の方針の中には、災害対応の標準化に向けて議論を進めるという文言も入れていただきましたし、それを受けまして内閣府の中にも標準化の検討会がスタートをしているということで、日本も災害対応の標準化に向けて進み始めているという認識をしております。

 課題は何かといいますと、つい、災害対応の標準化というと、制服組の皆さんの対応のより一層の標準化というような観点に行きがちなんですけれども、災害対応というのは、先ほども申し上げた、命を守る、社会のフローを戻す、ストックを再建するという非常に長期にわたる幅広い業務でございますので、むしろ背広組の皆さんの仕事の仕方ですね。どうしてもやはり応援が必要になりますので、知らない人同士がなれない仕事をする、そういうことを円滑に進められるような意味での災害対応の標準化という方向へぜひ進んでいければというふうに考えていると申し上げて、課題の御報告にしたいと思います。

 ありがとうございます。

西川参考人 御質問ありがとうございます。簡単にお答え申し上げます。

 先ほど時間の関係で触れられなかったんですが、私どもの区は、直下地震が起こった場合には五八%の断水率が想定されています。飲み水は過去の経験で何とかなるとしても、消火用水をどうするか。

 幸い、私ども、八キロにわたって隅田川が走っております地域でございますので、永久水利と名づけて、隅田川から水をとって、これで消火水を満タンにして使おうということなんですが、これを許可いただくのに、国交省の御許可、東京都の御許可、河川局の何々というので、大変時間がかかります。一カ所一億七千万ぐらいかかるんですが、私どもそれを今、一カ所目を、やっと許可をいただいてやるところでございまして、こういうような努力に対して、もう少し基礎自治体の融通がきくような、そういう法改正でバックアップしていただきたいと思います。

大西参考人 ワークショップについての御指摘をいただきました。

 職員の力量についてでございます。

 現在、二百名の職員が、実は今晩も、町内各地、どこかではワークショップが開かれているわけでございまして、そういったワークショップを繰り返し行っているところでございます。このプログラムにつきましては、有識者の皆さんあるいは学者の皆さんから与えられたプログラムではなくて、我が町で独自に組み上げたプログラムでございます。

 そして、職員の力量については、実は同じ御指摘を群馬大学の片田先生にもいただきました。つまり、地域に入って及第点がいただけるような力量を二百人の職員全員が有しているとは到底思えないということでございます。

 しかしながら、その御指摘をいただいた後もこのプログラムを続けさせていただいておりますのには、しっかりとした明確な理由もございます。

 一つは、先ほど御紹介させていただきました、マップ上にハードの課題をプロットした地図。あれは、このプログラムのファーストミッションと呼べるフェーズの、段階の仕事でございます。これは、ミッションが非常に明確で、かつ比較的容易なもの、つまりハード的なものでございまして、これはトレーニングプログラムとしての性格も有してございます。

 そして、このプログラムをずっと継続していく最大の理由は、我が町は自分たちで守る、この矜持でございます。つまり、今は及第点がいただける力量はないかもしれませんけれども、こういったことを五年、十年あるいは二十年、三十年と続けていくことで、自分たちの町をしっかり自分たちで守っていく、こういったことからこのプログラムを続けさせていただいているところでございます。

 それからもう一つ、大事なのはこれからの悉皆性の問題でございます。

 黒潮町の先ほど御紹介いたしました数字、五百三十回に及ぶワークショップ、そして二万五百人の御参加、これは総人口で割りますと、赤ちゃんからお年寄りまで一・六回ということになります。これはあくまでも行政側から見た数字でございます。これを一個人側から見た場合、一年半で平均一・六回の参加ということになりまして、年に一回ということになります。

 もちろん参加率は偏在をしておりますので、押しなべたお話をさせていただきますけれども、そのボリュームが適当であるのかどうなのか、十分なのか不足なのか、こういった悉皆性をどのように担保していくのか、これがこれからの当町の最大の課題である、そのような認識を持っておりますが、その認識の持っている課題、これらもこのプログラムの中で住民の皆さんと一緒に解決の手法を模索してまいりたい、そのように考えております。

大見委員 あっという間に時間が経過しました。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 公明党の樋口尚也でございます。

 お忙しい時間に貴重な御講演を賜りまして、本当にありがとうございました。

 まず、林先生にお伺いをしたいと思います。

 最後におっしゃった、さまざまな予防力と回復力、組み合わせをして、しっかりやっていかなければいけない。待ったなしの課題でございますけれども、いろいろな記事を読ませていただいた中から、きょうは二問質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、先生が推奨されていますシェークアウト、この行事ですけれども、科学的根拠を踏まえた災害シナリオに基づく個々の自主性を重視する防災訓練という、この訓練を首都直下や南海トラフに合わせて大規模で行うことができないかどうかということについての先生の御意見をいただきたい、これが一つ目です。

 二つ目は、先生の記事の中で、大事なことは自己自身の防災計画だと。この自助に関して、一人一人、私たちが自覚をして、どういうふうに動いていかなければいけないのかということを、ぜひ国民の皆様にわかりやすくメッセージとして教えていただきたいと思います。お願いします。

林参考人 今御質問いただいたこと二つは関連しているというふうに思います。

 先ほど申し上げたように、圧倒的な被害が予想される中に、公助でできるものは当然限界があると思うんですね。逆に、公助に頼る気持ちがあれば、非常に厳しいと思っています。もちろん、共助というもの、あるいは互助というものは大切ですが、それを成立させる大前提にも自助があるというふうに思っています。

 ですから、先ほど申し上げた、リスクを正しく評価し、自分にとって大事なものは予防し、でも被害が起きることを覚悟するというのは、僕は一人一人がやるべきことだというふうに理解をしております。そこに、やはり、サイエンスが関与できることがあれば最大限お助けしたいと思っているところです。

 そういうものの発露として最近取り組んでおりますのが、シェークアウトと呼ばれている新しい形の防災訓練です。これは大変単純なことをいたしまして、地震が起きましたということで、まず最初にやるべきことというのは、けがをしないようにと。室内にいることが多うございますので、安全なものの下に入って、落下物から身を守ることをまずやろう。体を低くして、じっとして、揺れが終わるのを待つという、その行動だけをみんなが共同してやることを提案しています。

 今までの訓練がどちらかというと受け身的で、ある日あるところに参加をすればいいというような形だったわけですが、これは御自分が参加を意図していただいて、アクションをとって、半年ぐらい前から準備をしていただいて、いざその日に臨むというふうなことで、これも自主性を大事にしたいというふうに考えているところでございます。

 そういう意味でいえば、自分自身の防災計画というふうに申し上げましたが、先ほどの、自分に置きかえてリスクを考え、何を守らなきゃいけないか。例えば家族であったり健康であったり職場であったりすると思うんですが、その中で自分がとるべきアクションをやはり考えていただいて、かつ、被害が起きることもありますから、シェークアウトも含めて、どういった対応をしていくのかについても具体的なイメージを持っていただきたい。そういうことを提供できるような情報発信をこれからもしていきたいというふうな考えでおります。

樋口委員 ありがとうございます。

 続いて、西川区長さんにお伺いをいたします。

 「幸福実感都市あらかわ」ということで、荒川に住んでいる私の友達も、非常に区長には敬意を表しておりました。きのう電話で話をして、いろいろ町の実情も聞かせていただきました。地域の安心、安全に力を注がれていらっしゃって、随分と毎日の御奮闘を聞かせていただいているところでございます。きょうは、お忙しいのにありがとうございます。

 お伺いしたい点は、お話しになりました木密解消、この点につきまして、今、我が党でも、週に何度も、空き家対策の推進に関する特別措置法の議員立法を目指して勉強会を進めているところでございます。

 御承知のとおり、現状でやらなければいけないこと、例えば、指導ができるように、助言ができるように、勧告ができるように、また、命令ができるように、強制執行ができるようにと、こういったことを立法化するに当たって、現場で一番お感じになっていて、まずスピード感を持ってやらなければならないということはよく認識をしておりますが、それ以外に、こういうところに留意をして、また、こういうところに力を入れてやるべきだという点がありましたら教えていただきたいと思います。

西川参考人 もちろん国家的規模の財政の支援は大変ありがたいし、いずれ必要だと思います。いずれと申し上げましたのは、そこに幾らお金を積んでも、賃貸借の関係や所有権の関係や、憲法、民法、財産法上のいろいろな制約があって、なかなか行政が入っていけないというところを、何とかお知恵を国会議員の先生方から、また、私どもも、日弁連の土地・住宅部会がバックアップしてくれたり、いろいろしているんですが、やはり国会で根拠法をつくっていただかなければできないという限界を感じております。

 時間の関係で一点だけ申し上げますと、とんでもない古い家が町内にございましたが、除却が、所有権が登記されたり、いろいろしていてできないわけですね。ところが、それを全国調査した結果、やっと、佐賀県に地主がいて、神奈川に借地人がいて、それを又貸しした人間が広島かどこかにいて、それを探し出して処理するのにえらい時間がかかった。これは明らかに人が住めない状況で、風が吹くと近所に瓦は飛ぶし、どうしようもないんですね。明らかに、言葉はあれでございますが、お化け屋敷なんです。

 これを、区の首長及び専門家の権限を御理解いただいて、裁判所に申請すれば許可をいただけるぐらいの制約をつけていただいて結構でございますが、ぜひそんな形にしていただければ。お金も必要ですが、その前にどんどん手持ちの予算でやれると思いますので、ぜひ御理解を賜りたいと思っております。

樋口委員 まずは立法化をという御趣旨のお話だと思いますので、全力で取り組んでまいりたいと思います。

 最後に、大西町長さんにもお伺いをいたします。

 今、諦めないというすばらしい御示唆をいただいて、非常に感動いたしました。

 伺いたいのは二点ございまして、町長がおっしゃっておりました、自助、近助、共助という哲学は、公助よりも近助の方が確かにわかりやすいなというイメージを私も今持ちました。近所でやるんだというのは、非常に国民の皆様にとってはわかりやすい指標かというふうに思います。それを全国に広げていくためにはどうしていったらいいのかという点。

 もう一点は、画期的な、世帯別津波避難行動記入シート、そしてそれに基づく避難カルテと呼ばれるもの、こういったものを本当に苦心されて展開なさっていらっしゃることを先ほど伺って、よくわかりました。そのことをぜひ広く全国に展開していくときに、今町長がお思いになる留意点、教えていただけましたらと思います。よろしくお願いします。

大西参考人 二点の御質問をいただきました。

 当町が目指しておりますフレーム、自助、近助、共助でございます。公の資料から公助が抜けている、大変突っ込みどころ満載のフレーズになってございます。

 しかしながら、これは冒頭申し上げましたように、有事の際に、果たして共助、物理的なエリアをどこまで設定できるのか。特に、黒潮町、最悪の想定の場合は津波が押し寄せる、つまり、津波浸水までの時間が非常に短い。これは、津波高とあわせて非常に危機的意識を持っている案件でございます。

 そういった際に、例えば、隣の地区にお住まいの息子さんがしっかりと迎えに来られて避難行動を完了させていただけるのか、そういったことを考えるのは少し現実的ではないであろう。つまり、有事の際に声の届く範囲、その体制の中でしっかりと防災体制をしいていかなければならないということでございます。

 御指摘いただきました、これが全国に波及ということになりますと、残念ながら、お答えする立場にあるのかどうなのか、疑義もございますし、また、その明確な手法を現在持ち合わせているわけではございません。

 それからまた、カルテについてもそうでございますが、このカルテという取り組み、現在、行政主導で進めておりますけれども、なぜ黒潮町の防災が行政主導になったのか、現在は行政主導でございます、これからはしっかりと住民主導にスライドしていかなければなりませんが、なぜ行政主導で防災の取り組みを進めてこなければならなかったのか、大きく申し上げまして二つの理由がございます。

 一つは、大変特異な環境下で黒潮町の本格的な防災がスタートした。つまり、大変な数字が示され、住民の皆様の中に混乱と諦め、そして不安、こういったことが蔓延した中でのスタートを切らざるを得なかった、その際に初動で動ける組織が行政であった、これがまず第一でございます。

 それからもう一つは、先ほども申し上げましたが、悉皆性の問題でございます。

 黒潮町は、ほとんどが一次産業、あるいは三次産業従事者は主に福祉、そしてお勤めに出られている方は実は隣町とか、そういったことになってございまして、産業構造上で横串を刺せる、そういった構造になってございません。つまり、企業ごとの防災では非常に悉皆性が低位に位置するということでございます。その悉皆性を担保するためには、どうしても行政主導である必要があった、これが二点目の理由でございます。

 また、同様に、これを全国的に波及ということになりますと、まず、この取り組み自体、そしてこの取り組みの中の様式、これが全国的に適切なものであるのかどうなのか、この判断もしかねますし、また、一問目と同様に、その波及の手法について現在明確なものを持ち合わせているわけではございません。大変申しわけございません。

樋口委員 ありがとうございました。

 私どもも真っ正面から課題に取り組んでまいりたいと思います。

 大変ありがとうございました。

坂本委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造と申します。

 きょうは、お忙しいところを本当にありがとうございます。大体、せっかく来ていただいて、お三方に十分で質問せいというむちゃな時間配分でございまして、お答えいただく方にも御負担をおかけしていることをおわび申し上げたいと思います。

 お三方に全てお伺いするのが筋なんでしょうけれども、貴重な機会ですし、できればゆっくりとお答えいただいた方がいいだろうと思いまして、大西町長には、また別の機会にお話を伺えればと存じます。大変ありがとうございます。

 西川区長、滋賀県御出身で、東京荒川区で御活躍のことを、私も誇りに思います。先ほど、もう少しお話しなさりたいとおっしゃった、その最後の部分を後ほどお聞かせいただければというのが私のお願いでございます。

 そして、林先生、私、三月に先生が地盤工学会誌に書かれた論文を拝見いたしまして、大変勉強になりました。

 それで、先生がおっしゃったように、まずリスクの評価をすること、そして予防すべき重大なリスクと放置してもいいリスクとの選別をすること、そして、そのリスクに、どれを優先して対処するのかという、これまた選別をすること、このことに、これは行政だけではなくて、広い意味での市民がしっかりと参画することが大事なんだという御指摘をされているのに感銘を受けました。

 その点に関連して、今、政府においても脆弱性評価というものを行っています。新しくやり始めたことですから、一年目はしようがないのかもしれませんが、行政による、何となく行政のための脆弱性評価になっているという御指摘もございます。

 この脆弱性評価及び評価に基づく計画づくりには、これは、広い意味での市民、官民共同の、こういう参画を促すべきだ、また、そのことが黒潮町長の取り組み、また荒川区での取り組みをさらに前に進めていくための大きな要素ではないかと私は考えるんですけれども、この点についてのコメントを賜れればと思います。

西川参考人 ありがとうございます。限られた時間でございますので、これまた早口で恐縮でございますが。

 三・一一で、日本で初めて災害瓦れきと災害ごみを処理させていただきましたのは、唯一、東京都と二十三区でございます。私ども、十二年の自治法の実施によりまして、東京都の内部組織ではなくなっておりまして、一般市並みの特別区で、財布が一緒でございますのでちょっとわかりにくいところがあるんですが、東京都が瓦れきを処理して、私どもはいわゆるごみを処理しました。

 二十三区と二十六市で一緒になりまして、三万二千トンの処理をさせていただきましたが、これはもう大変な苦労をいたしました。放射能を現地で二回はかって、品川の駅でもう一回はかって、それからオゾン水で塩水を洗い落として、それで焼却をして、ダイオキシンが出ないようにしたりしております。

 今度、東京でもしこういうことになれば、それは、若い町長さんが頑張っておられる東北の、私どもがお手伝いした地域なんかの十倍、二十倍、五十倍ぐらい出るだろうと想定できるわけで、これをどういうふうに二十カ所の清掃工場で、電気の供給がどう確保できて、どういうふうに処理できるか、一時保管場所をどうするか、置き場所をどうするか。

 この稠密な東京の中で、そういうものを一時的に預かっていただけるような、近隣の国有林を開放していただくとか、放射能の心配はないと思いますから、そういうようなことで、これは法律的にも、また国会のリーダーシップでそのようなことをしていただければということを想定して発言をする予定でございました。

 そんなことでございます。

林参考人 市民参画のことについてお答えをさせていただきたいと思います。

 先ほどお答えしたこととも関連をするんですけれども、やはり私、一人一人の国民が、自分の、我が事として災害のことを考えない限り立ち行かないというふうに思っております。

 個人にとっては、健康であり、家族であり、社会的な活動というのを維持することは大変大事なことだと思いますが、それを脅かす非常に大きな原因の一つとして災害があるんだというふうに認識をしておりますので、そういう意味で、市民が我が事意識を持って災害、防災のことに取り組んでもらうということで、市民参画ということが必須だというふうに思っております。

 そういう意味では、今度の、脆弱性評価をしながら次に向かうということは非常に論理的にも正しいことだと思いますので、その中で市民参画を担保するためには、やはり行政の求めるスピードよりは、多分、市民が参画すると遅くなるとは思うんですけれども、そのペースに少し行政の側の皆さんにも耐えていただく必要があるのではないか。

 そうすることが、阪神・淡路大震災以来、被災地の中では新しい公という概念がたくさん語られました、市民も公的機能を担っていけるんだという議論でございました、そういう方向性に持っていかないと、今後、人口も減少いたしますし、より大きな被害が予想される中、一人一人の担うべき役割というのはもっと大きくなるものですから、今のうちからそういう市民参画の能力と意識を高めることにエネルギーを割くべきだというふうに考えているところでございます。

 それから、一つだけ申し添えたいのは、確かに、予防、それから対策についても選別が必要というふうに申し上げました。それは、予防幻想というものをやはり捨てなければいけないという意味で申し上げておりまして、だからといって、放置してもいいという意味ではなくて、放置せざるを得ない、逆に言えば、被害が出ざるを得ないという認識を、非常に厳しいものとして持つべきだという意味で申し上げておりまして、できれば予防したいという気持ちは僕にもございますということを申し添えて回答とさせていただければと思います。

 ありがとうございました。

三日月委員 ありがとうございます。

 林先生がおっしゃった新しい公、私たちは、新しい公共という概念でこの防災対策も進めていくべきだという観点に立っていますし、西川区長、災害瓦れきの問題もそうですし、木密対策もそうです、さらには液状化対策、そして帰宅困難者対策、こういったものにまだまだ法整備が必要だと思います。我々立法府としてしっかり頑張ってまいりたいと思いますので、ぜひ現地、現場から貴重な御意見、大西町長を含め、賜れればというふうに思います。

 最後に、委員長に御提案申し上げたいと思うんですが、きょうお三方がお示しいただいた資料は、大変貴重な、私どもがこの委員会の場だけで見るにはもったいない資料でございます。

 議事録とともに、お三方が示していただいた資料、もちろん出せるクレジットをしっかりととった上でという前提で、広く国民の皆様方にも共有をすべきだというふうに思いますので、委員長の御権限でお取り計らい賜りますことをお願い申し上げて、また、重ねてではありますけれども、このお時間、お三方に賜ったことに感謝申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

坂本委員長 次に、山之内毅君。

山之内委員 日本維新の会の山之内毅です。

 参考人各位には、お忙しい中ありがとうございます。

 先ほども各委員おっしゃられたとおり、時間が短い中で、先ほどは大西町長が三日月先生の際にコメントできませんでしたので、その点からお聞きしたいと思います。

 私も先ほど資料を拝見させていただきました。まず、津波の到着が二分という想定もある。それから三十四メートルの津波、そして震度が七、こういった状況である。極めて厳しい想定が出ている。先ほど町長が最後に言われた、このことに関しては二千三百という死者の想定も出ている、これに関して、数字ではなくて、実際にそこにいる町民一人一人の方々の顔が浮かぶ、これが極めて重要なことだと思っております。

 その観点から、改めまして、今説明いただきました、ソフト面はすごく充実をしていただいている、その中で、高台移転も含めてハードの面の国への要望等がありましたら、町長の方からよろしくお願いいたします。

大西参考人 ハードの御質問をいただきました。ハードの御質問にお答えさせていただければと思います。

 これまでの御紹介は主にソフトの部分でございました。防災を語られるときに、ハードだけでは命は守れない、よってソフトの充実の必要がある、そういうことがよく言われます。これは大きな事実の一つであろうと思います。

 しかしながら、他方、ソフトだけでは守れない命がある、これもまさしく重要なファクターでございます。私どもが一年半進めてまいりましたソフト対策、これを進めていけば進めていくほど、ハードの重要性を身にしみて痛感する毎日でございます。

 高台移転について申し上げます。

 現在、全国に先駆けまして、町内のある一地区がこの高台移転の勉強会を始めました。今、四回目ぐらいになっていると思います。県の御指導を賜りながら順次勉強会を開催しているところでございますが、最も自分たちが期待しております集団移転促進事業、こちらにつきましては、御案内のとおり、被災前の適用事例がない。こういったことからもわかりますように、被災前に適用することが非常に困難であるような、そういった現行法のスキームになってございます。

 特に、私どもが思いますのは、今回御審議いただいております法案の中では、弾力的運用あるいは農地法の特例、こういった項目もございまして、非常に期待をするところでございます。そして、その上に、かつ、もし申し上げることができましたら、被災地特例、つまり促進区域設定の前の三十九条指定、これをもう少し柔軟にお考えいただけること、これが非常に自分たちにとりましては効果が高いのではないか、そのように思っているところでございます。

 それから、町内にはハード整備計画も当然のことながら持ってございまして、平成二十八年度までに、町内二百九十五本の避難道路並びに百六十カ所の避難場所、そして避難タワー五基は本年度中に完成をする予定でございます。

 しかしながら、私どもは、特に災害時要援護者の方たちの避難行動の完了に資するためのハード整備、これは実は、一番効果が高いのは防潮堤、防波堤、こういったハードであろうかと思ってございます。

 しかしながら、残念なことに、黒潮町にはまだそういった整備が非常におくれている、あるいは無堤地区、そういった状況にございまして、それらも含めまして、ぜひ活発な御議論をいただき、そういったハードでも守れる命がある、ハードでしか守れない命があるということも御議論いただければと思います。

山之内委員 町長に重ねて御質問なんですが、今、タワーを百六十ほどつくられたと。まず、こちらのタワーの高さが、先ほど津波が三十四メートルと、この想定に耐え得る高さなのか。それから、そうなると防潮堤になる、防潮堤もどのぐらい現実的に可能なのかというところと、避難タワーではなくて避難ビルのようなもの、例えば六階建て、七階建て、そういったものを構想されているのか。そういった点、現時点でお考えはありますでしょうか。お願いいたします。

大西参考人 済みません、答弁違いがあったかもしれません。本年度中に整備させていただきます避難タワーは、町内五基でございます。

 それから、その避難タワーの設計思想、これにつきましては、東日本大震災以降、国の方が見直しをかけまして、その強度に基づいた設計を行っているところでございます。

 それから、一番関心の高いところ、つまり津波高との関係だと思いますけれども、現在、御提供いただいておりますMAGISというシステムでは、一筆ごとの浸水高が出るようになってございます。三十四・四メートル、八月二十九日に補正されまして三十四メートルという数字でございますけれども、これは黒潮町の長い海岸線全域にそういった数字ということにはなってございませんで、よって、町内の浸水区域内の一筆一筆を当たりまして、その一筆ごとの浸水高、最大浸水高プラス四メートルのクリアランスをとってスラブの設定をしている。設計思想についてはそういうことになってございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 次は、西川区長にお尋ねしたいと思います。

 先ほど、空き家、また老朽化した建物、こちらの方は、もちろん東京都の方でも、荒川区でも深刻な状況だと思うんですけれども。私も地元が鹿児島でございます。そもそも鹿児島も、こういった過疎地、地方もこういった空き家の問題を抱えている。私も地元でそういった仕事をしていたものですから、やはり、集団就職されたりして空き家があって、ただ、その所有者が、時に何代も、明治のころになって、子孫もたくさんいて、とても相続登記ができない、また、その相続人も全国に散らばっている、こういった問題がある。

 その中で、当然、憲法の財産権から、それから今はやはり借地借家法でしょうか、その制限がある中で、区長の方におかれましても、例えば、具体的に、こういった法律の改正が欲しいだとか、これを変えていただきたい、そういったものがもし今ございましたら教えていただきたいと思います。

西川参考人 私ども、例えば、資力が細っている御老人世帯にはリバースモーゲージを提案したり、または、十分ローンが払えるけれどもちゅうちょしておられるところには利子補給をお手伝いするとか、いろいろインセンティブを用意してお願いしてございますが、やはり何といっても根本的には憲法、民法上の規定があります。それに対して、もう少し、地域指定をされて、お国が、国交省さんなりどこかが認定をしていただいて、それで東京都と私どもが一緒に追認ができた地域に限っては、時限立法で、いつまでにそういう措置をすると。

 それをやりませんと、心ならずも、災害の加害者といった言葉はちょっと語弊がありますが、そこがなければ助かったのになんということにならないように、これはもう本当に純粋な気持ちで、空き地になった、しかしすぐまた細分化されて狭小の住宅になるというようなことがないように、大変恐縮でございますが、そういうような御研究もぜひ当委員会でしていただいて、お力をおかしいただければと思っております。

山之内委員 まさにその点は、日本全国でも喫緊の課題になってくると思っておりますので、勉強させていただきたいと思います。

 それから、最後に、林教授にお伺いしたいと思います。

 先ほど、優先順位、何を守るのかの優先順位がやはり重要になってくると。私もそうだと思います。全てカバーできるのであれば、やりたい。その中で、どうしても今、財政の問題が出てくる。これは極めて重要な問題だと思うんですね。

 その中で、国も今借金が一千兆、そして地方も今臨財債も含めて二百兆。この中で、やはり財政健全化との両立という観点で、今何か知見をお持ちでしたら教えていただきたいと思います。

林参考人 基本的には、予防力を上げるというのは、正直申し上げて、やはり重要社会基盤を中心に整備をしていくべきものではないかなというふうに個人的には考えています。

 予防力を上げていくときに、今の状態を維持するような形で予防力を上げようとすると、非常に多くの財政的な出動が必要になるのではないか。

 実は、南海トラフの地震を例にして考えれば、百年に一遍でございます。二十一世紀は、二十二世紀あるいは二十世紀に比べれば、国として見れば、比較的静穏な時期に当たります。なぜかというと、二十世紀も二十二世紀も、次の関東あるいは前の関東大震災を同時に経験しなきゃいけないという、南海トラフの地震と関東地震という二つのものを経験しなきゃいけない。

 そういう意味でいえば、二十一世紀というのは、二十二世紀にどう私たちの国をつなげていくのかという意味での試練だというふうに御理解をいただいて、本当の意味での予防力の強化というのは、抜本的にこの国のあり方を変えるようなものへの投資というのをどういうふうにするのか。

 町というのはやはり常に変化していきまして、なかなか思うようにコントロールできるものではありませんけれども、関東大震災の後に、後藤新平が一週間の中で復興計画を書いた。あれは実は、もともと東京の構想がありまして、それが実現できないまま筐底に沈んでいたというような背景がございます。

 その意味では、今の形を維持する上での予防と、それから、今の町のあり方あるいは社会のあり方を大きく変えるような、新しいブループリントの上での投資、その二つをぜひ予防の側には持っていていただけたらというふうに個人的には思っているところです。

山之内委員 時間も終了いたしました。やはり国の形、国のそういった根本的なことから検討しなければいけないと私個人も思っております。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 こんばんは。みんなの党の椎名毅でございます。

 本日、夕方からという遅い時間帯ですけれども、三名の参考人の方々から、御経験を踏まえた上での非常に貴重なお話をいただきまして、本当に感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 早速ですが、質問に入ります。

 まず一点目ですけれども、大西参考人と林参考人に伺えればというふうに思います。

 先ほど大西参考人の方からいただきましたお話、非常に私自身も勉強になりましたし、感動いたしました。地域を細分化して、そのリスクを明確化した上で、圧倒的な量のコミュニケーションをとることによって災害対応というものを根づかせていく、そういうソフト面での対応ということについて、非常に勉強になるなというふうに思います。五百回を超えるワークショップ、避難カルテというのは、黒潮町という場所において、一つの解決方法としてあるんだなというふうに思います。

 こういった解決方法が必ずしも、多分、東京圏の首都直下地震等には妥当しないんだろうというふうには思います。人口規模や、コミュニティーの濃度だったり、生活態度だったり、リスク要因だったりも違うと思いますので、必ずしもこれを応用して東京ではということをコメントすることは、恐らくできないだろうというふうに思います。

 しかし、リスクコミュニケーションという意味で、いろいろ学ぶべき点は非常に多いなというふうに思いましたので、幾つか質問させていただきたいと思います。

 私の地元は川崎市北部で、新興住宅地で住宅密集地なんですけれども、新住民が多いんですね。人口が非常に多いんですけれども、こういったコミュニティーの濃度もそんなに高くないようなところで、コミュニティーをどうやって濃度を高くしていくのかな、どうやって行政とのコミュニケーション、やる気を起こさせていくのかというのは、やはりコツか何かがあるような気がしていて、黒潮町で行われていたリスクコミュニケーションという意味において、住民をやる気に巻き込んでいく方法、コツみたいなものを教えていただければと思います。

 これに関連して、林先生にも、先ほど御答弁の中で、災害を我が事のように理解していくというような話、それが重要だという話をしていただきました。これはまさにおっしゃるとおりなんですけれども、人間というのは、大体、リスクの発生確率とリスクの影響度というもので物事を判断するということをおっしゃいましたが、自分に起きるかもしれないという災害については、大体、発生確率は低いものだと思いますし、影響は自分には起きないと考えるような、そういうものだと思うんですけれども、そういった人たちをどのように巻き込んでいったらいいか、リスクコミュニケーションのあり方という意味で教えていただければと思います。

大西参考人 コミュニティーの活性濃度という御質問をいただきました。

 多分に浅学な分野でございまして、御答弁として御満足いただけるかどうかわかりませんけれども、リスクコミュニケーションからリスクを除き、コミュニティー濃度ということになったときに、社会参画のチャンネルを幾つ設けるかということが一義的な要因ではないのかなと思います。

 そして、黒潮町の場合、幸いと言いますと語弊がございますけれども、どうしても参加せざるを得ないようなチャンネルが昨年の三月三十一日の新想定で用意されたということではないか、そのように認識をしております。

 そして、今後でございますけれども、実は、この御紹介させていただきました避難カルテ、これは、現在、行政主導で進めておりますけれども、来年度からは、管理、更新のフェーズに入ってまいります。この更新は地域で行っていただくように、自分たちは、今、プログラムを組み上げているところでございます。

 そういったことを、地域内で地域のことを解決する力をつけていく、それが社会参画のチャンネルにつながり、ひいてはコミュニティーの活性化の一つのファクターになるのかな、そのようにも思ってございます。

林参考人 黒潮町の試み、大変、僕もすごいというふうに思いました。

 一人一人が細分化されますので、どういうことが起きるかがクリアになる。それから、何度も何度も繰り返しそういうことをやりますので、仲間がいるということがわかる。町は、ある意味ではファシリテーターというような役割をすることでその場を維持するということが多分成功の要因だというふうに思います。

 先ほどおっしゃられたように、それが全部の地域に使えるかどうかというのは問題ですが、コミュニティーという言葉にむしろ置きかえて考えますと、地縁を中心にするコミュニティーというのが伝統的な意味でコミュニティーで、黒潮町はその地縁をうまく活用されておられる。

 ただ、大都市部になりますと、そういう地縁は当然薄うございますけれども、逆に言えば、同志のつながり、関心のつながりというのを人は持ちます。ある意味では、地域的にはかなり広域の中で人が集まって、同じような関心でいろいろな活動をともにする、そこにもやはり仲間が成立をするわけでして、それが大都市部では利用できるのではないか。

 リスクの評価を曲げるのではないかという御指摘、確かにそうだと思いますが、その中で私たちが特に考えなきゃいけないのが、災害のときに人が大きく感じますのは、先が見えないということと、無力である、打つ手がない、その二つが非常に大きな障害になると思います。そうであるとどうしても、リスクを小さいものに評価する方が楽ですので、そういう方向になる。

 逆に言えば、ファシリテーションをしていく方向性としては、先をしっかり見えるようにすることと、その中でもどういう打つ手があるのかということをしっかり考える。それは、先ほどの黒潮町の事例で非常によく御説明いただけたのではないかと思いまして、その部分は大都市部でも使えるのではないかというふうに思っている次第であります。

椎名委員 ありがとうございます。

 まさにおっしゃるとおりでして、お化けというものが怖いと思うのは、やはり実体がわからないからだというのはそのとおりだと思いまして、だからこそ、細分化してリスクを明確化していくことの必要性というのは本当に勉強になるなというふうに思いました。私自身も、これは自分の地元でも、それから自分自身の生き方として、少し参考にさせていただきたいなと思った次第でございます。

 次に、西川区長にお伺いしたいと思います。

 首都直下地震が起きることに向けてというか、起きた場合に問題があるということで、木密解消というお話をしていただきました。やはり首都圏の、東京の郊外というのは大体同じような問題を抱えているということで、私自身も非常に勉強させていただきました。

 あと、もう一つ区長にお伺いしたいのは、地震が起きたときに、特に木密地域とかですと火事なんかの災害が併発することになると思いますし、特に都心部ですと液状化というものも併発するかと思いますけれども、そういったときに、どうしても避難を行わなければならないことになるかと思います。

 そういったときに、お年寄りだったり、病院に入院されている患者さんだったり、老健施設だったり、こういったところにいる、いわゆる災害弱者と呼ばれる方々、こういった方々をどのように避難させるかというのは一つのテーマだというふうに思います。

 こういったところについて、もしお取り組み等があれば、ぜひ教えていただければと思います。

西川参考人 きょうは二十三区の代表で来ておりますが、具体例として本区の取り組みを先生に御承知願えればと思います。

 介護度が非常に高い、四、五の方々をどういうふうに守るか。そういう施設を本区は七つ持っておりますが、こことの連携、避難訓練、マンパワーの育成、これを一生懸命やっていくしかないと思ってやっておりますし、幸い、首都大学東京、昔の都立大でございますが、ここの医療関係のキャンパスが本区にございますので、そことの提携を強化したりしてございます。

 それから、病院協会初め開業医の先生方、近隣に、これも東京のメリットでございまして恐縮でございますが、お隣の文京区とか本区で九つも大学病院がございますので、そういうところとの一部提携も結んでおります。

 それからもう一点、先ほど来黒潮町長さん御答弁でありましたが、私ども、東京の下町で、町会組織が百二十ありまして、加盟率が六五%でございます。ただし、台東区、北区、荒川区、葛飾区、足立区というのは、町会加盟率は非常に高いんですが、同時に、裏腹に、笑えない話で、役員が、青年部が六十歳定年なんという高齢者で、町会長さんで百歳の方がいらっしゃったりするんですね。地域加盟率は高いのですが、こういうところが裏腹になっています。しかし、ここは本当に、近助、文字どおりやっておりまして、訓練などには率先して参加していただいています。

 最後になりますが、私、阪神・淡路のとき、衆議院の末席を汚していたんですが、そのときに、当時の貝原兵庫県知事が、後に引かれた後、一カ所十億円かけて、円谷プロと一緒にすごい装置をおつくりになった。立っていれば揺れるんですね。映像が合成の映像で、三宮のビルが崩れる姿とか、ああいうのは、見ていても、ああ、怖い、恐ろしい。これをやはり国会のお力で、今、東京でさえ二カ所しかないんですね。これは消防庁がやっているだけなんですが、消防庁等に予算をつけていただいて、そういう体験をする。我が事にするというのは、やはり、そういうもの、実際にあったものをシミュレートしていただいて、自分のこととして考えるということが大事なんじゃないかと愚考いたしておりますので、ぜひ当院のお力をおかりしたいと思っております。

 ありがとうございました。

椎名委員 貴重なお話、どうもありがとうございます。私自身も、引き続き、立法府にいる人間として頑張ってまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

坂本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、本当に遅い時間になりましたけれども、お忙しい中、三名の皆さん、こうして委員会においでをいただきまして、いずれも貴重な御意見をいただきましたこと、心からお礼を申し上げたいと思います。

 早速質問に入ります。

 最初に、林先生に、大変わがままですが、簡潔に一言でお答えいただければ大変ありがたいなと思うんですが、先ほど最初のプレゼンの中で一言おっしゃっていました、首都直下地震の被害想定を今見直ししているということで、そのポイントをぜひ教えていただきたい。

林参考人 最近の研究が進んでまいりまして、実は、大きな地震を引き起こす原因のフィリピン海プレートの潜り込みというのが想像以上に浅いということもわかりましたが、その根拠になりますのが、東京で、今、三百ほど地震計を面的に配置してございます。ちょうど今、関東平野がCTスキャンにずっとかかっているように見ていただけたらと思います。

 その中で、やはり地震というのは百年かけて起こるようなところがございますので、微小地震が今固まって起こっているところに将来大きな地震が起こる可能性が高いというようなことを考え合わせますと、今までのような東京湾北部に地震が起こるというのはなかなか考えにくくなった。もうちょっと浅いところで起こるかもしれませんけれども、規模は小さいのではないかというようなことで、先ほどちょっとお示ししたような新しい想定に変わっていくだろうと。

 それから、また関東大震災が今世紀にも起こるのではないかというような懸念もございましたが、それもいろいろ調べてまいりますと、やはり二十二世紀ではないかというような答えになりまして、前ほどに、お化けなどと言ったら怒られますね、大きな被害というよりは、もうちょっと現実的なものになるのではないかというような方向性が出ようかというふうに思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございました。さっき一言、浅いという表現をされたので、どういうことかなと思いまして、ちょっと聞かせていただきました。

 確かに、最初にあの被害想定を出されたときに、それを実際私たちがどう受けとめたらいいんだということが非常にあったわけですよね。ですから、浅くていいんだという話とかではなくて、やはり現実的な対応を積み重ねていこうという提起だと思いますので、ぜひ今後にも生かしていきたいなと思っております。

 そこで、次に、西川区長に伺いたいと思うんです。

 私も、木密の対策について大変興味を持って聞いておりました。空き家対策については、やはり法改正を求められていると思います。これは東北の被災地でも本当に権利問題が重大な問題になっていますし、また、秋田などの、要するに豪雪地帯の空き家問題というのは非常に大きな問題になっていますので、これは本当に委員会としても取り組んでいきたいなと思っています。住宅ローンですとか公営住宅ですとか、いろいろな選択肢を出されているということも非常に参考になりました。

 そこで、中央防災会議で、多分これから見直しがあるんだと思うんですが、二〇〇六年に発表されたときに、死者数を十年間で半減するんだとか、十年間で耐震化を九〇%、あるいは不燃地域を四割にしていくんだ、そういう目標を持って提起したわけです。

 荒川地区というのは木密地域が六割ということで、東京の中でも特別高い。そういう中で、このテンポ感というのはどうなのか。それに対して、やるべきことはどんなことなのか、具体的にハードも含めて少し伺いたいと思います。

西川参考人 ありがとうございます。

 東京都が、木造密集地域を解消する十年プロジェクトというのを石原慎太郎知事時代に起こしましたが、予算がたったの十億円しかつかなかったんです。このたびの新知事、猪瀬直樹知事になられてから百八十七億にそれはふえたのでございますが、手を挙げた区が十区ぐらいしかございませんで、そのうち、本区が一番先に認定を受けてやっておるんですが、やはり、率直に申しまして、権利関係が非常に複雑であるということがその足かせになっておりまして、これを解消して火が出ないようにする、これが命を救う大もとである。御老人の皆さんに、共同住宅に越してもらえないかと言っても、のんきで今二人で暮らしているのがいいとか、いろいろあるんです。

 今我々は、火事を出さない暮らし方というのを、僣越でありますが、そういう戸別訪問を各戸させていただいて、てんぷらは油で揚げないで、何とか既製のものをレンジで温めたり、または、最近、何かオランダの会社の売れ筋商品があるということを聞いたり、そういうものをたくさん買って貸し出せないかとか、そんなことをやっていますし、さっきも申しましたが、区の財政調整基金というのが、本区二十万七千人の人口でございまして、二百八十億ぐらいしかありませんけれども、それを貯金するかわりに、住宅ローンをリージョナルバンクである信金から少しでも安くしてもらえないかとか、いろいろな工夫をやっています。

 長くなってごめんなさい、もうこれでやめますが、本当にぜひ法律で御援助いただきたいと真剣に思っています。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 非常にきめ細かい対策をされているということで、大変感心させられました。法律の中で、財政については援助としか書いていないんですけれども、少し生かしていきたいなというふうに伺いました。

 それで、やはり、東日本大震災で、私、東北ですので、震災が起こってから今取り組んでいる問題、つまり高台移転ですとかいろいろな問題に、起こる前から取り組んでいく、いろいろなことを今提起されているのかなというふうに思って、皆さんの御意見を伺いました。

 それで、大西町長に最後に伺いますけれども、大変感銘を受けました。ありがとうございます。

 想定が余りにも大きかったという大変なショックから立ち直って、一人も死なさないんだという決意がやはり町を動かしているのかなと思っています。

 発表からたった五十日間で隣町に人口流出が非常にあった、震災前過疎という表現を町長さんはされていますけれども、そういうことの中から、避難カルテとか、さっきお話しされた圧倒的なコミュニケーションという形で今町づくりをされているんだなと思って聞いていたんですけれども、まさに住民の意識というのはどのように変化をしているんでしょうか。やはりこの町で一緒に頑張って、それこそ近助力を発揮して頑張っていこうとしているとか、そういうことをぜひ教えていただければと。

大西参考人 住民の意識の変化について申し上げたいと思います。

 多分に肌感覚のところもございまして、住民の意識の変化を適切に捉えられているのかどうなのか、少しまだ検証が必要かとも思ってございます。

 まず、冒頭、意見陳述でも申し上げましたように、非常に蔓延しておりましたのは諦めの声、これは圧倒的に減少いたしました。これは、一つは、圧倒的なボリュームのコミュニケーションの中で、みんなが一つの目標に向かって、つまり犠牲にならない、こういった課題を共有しながら、全町挙げて取り組んできた結果、意識の変化が起こったのであろう、そのように考えるところでもございます。

 それからもう一つは、自分たちにとりましても大変心強いニュースもございまして、黒潮町には六十一地区ございまして、そのうちの四十地区が浸水するという想定になってございます。この四十地区の中に、今回の想定で、津波が到達するまでの時間内に津波区域外に逃げられる、つまり、近所に高台があって避難場所が確保できている、そういった地区は三十九。

 実は、一地区、まだ計画にも避難場所の確定ができていない、そういった地区がございます。こういった地区は何をされているか。夜間の避難訓練をやっていただいたり、行政主導でない住民主導の避難訓練をやっていただいたり、こういったことになってございます。つまり、諦めなかったのは実は行政だけではなくて、もともと住民の皆さんも潜在意識の中ではしっかりと意思をお持ちであった、今振り返るとそのようなことかなと自分では思っています。

 また、現在、意識の変化ということを、実はいろいろな切り口から検証していく必要があろうかと思っています。どういう施策がどこにきいているのか、そういった、PDCAを回すためにはどうしてもこの意識の変化というのが大変重要なファクターになってまいります。

 そういった中で、例えば今後のワークショップの参加率でありますとか年齢層でありますとか、こういった細かいデータは全てカルテの方で抽出できるようになってございますので、一巡回りまして四千六百世帯分が上がってきたときに、まずその検証を行い、そして次年度、更新の段階でさらにその検証を行い、そういったことで意識の変化はしっかりと捉えていきたいと思います。

高橋(千)委員 大変貴重な御意見、ありがとうございました。参考になりました。

 終わります。

坂本委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 本日は、参考人の皆様には本当に、遅い時間、貴重な時間をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。

 私で最後の質問者でございますので、思いっ切りお話を聞かせていただければというふうに思います。

 まず、林参考人ですけれども、本当に示唆に富んだ、またわかりやすい分類をされているなという思いがいたしますし、災害は来るものである、起こるものであるという前提の上に立ち、防災の限界があるということ、だからこそ東北ではてんでんこというようなことに、まず自力をつけなければならないんだということ、それを実践されているのが大西町長さんのお話なのではないかなというふうにも思っております。

 また、業務の優先づけというのは大変重要な観点だと思います。きょうは本当にさわりだけだったと思うんですけれども、地域の防災力、どのようなリスクにも立ち向かえる地域の防災力ということでは、実は、これの前に本会議がございまして、本日から特定秘密保護法案の審議に入るわけです。原発の立地であったり、基地があったりと、なかなか地域とのつながりで情報が出づらくなるのではないかという危惧もしております。しかし、そこに、場合によってはいろいろな、産業スパイ等もありますので、情報というもの、地域の住民を守るという意味においては、そういった連携というものが大変重要であり、その情報をしっかりと把握した上でなければ、地域の防災力、何を優先するべきか、その計画は、みずから治めると書くこの地方自治体の本来の役割というのを発揮し切れないのではないかというふうに、お聞きしながら考えておりました。

 この点をぜひお聞かせいただきたいのと、本当は、きょういただきました最後のページ、「西日本大震災に備えて」で終わってしまっているタイトルなものですから、ここも聞きたかったんですが、多分時間の関係もあると思います。

 実は、衆議院調査局第三特別調査室の方から先生の資料としましていただいた中に、ことしの一月、読売新聞の朝刊に寄稿されました「これからの防災教育 状況適応力高めよう」というのがございました。「「シェイクアウト」には、従来の防災訓練にない四つの特徴が挙げられる。」ということ、「地震の発生は時と場所を選ばない。その時とるべき行動は、当然のことながら状況によって異なる。大切なのは、自分が置かれた状況でどう行動すれば安全を確保できるかを察知し、速やかに実行できる力を育てることだ。」とありました。

 私の地元の川越市の消防団、第一から第三分団は、本当に援助等なく、自主的に防災訓練、そして防災フェアをやって、地域の防災力を高めるということで頑張っています。その姿からも、この防災教育について大変重要かと思います。

 以上、二点について、簡潔にお聞かせいただければと思います。

林参考人 どっちも難しいのであれなんですが、まず、最初の方の御質問ですけれども、やはり、どっちにも共通しているのは、自助力をちゃんと高めることが大事だということだと思っております。そのためには、まず、何が起きるのかということのリスクの分析をしっかりしていただくことが優先づけにも最終的にはつながるということになろうかと思います。

 いろいろな種類のリスクがございますので、必ずしも全ての情報が開示されるとは限らないわけですけれども、今は非常にグローバルな時代にもなっておりますので、注意深く情報を探っていくと、かなりのものは実は公の部分に既にあるというふうに思います。

 そういう意味でいえば、情報源をどこかに固定することなく、できるだけ幅広くアンテナを上げていただいて、自分での情報収集能力を高めていただくというのも自助の一つではないかというのを最初のお答えにさせていただきたいと思います。

 それから二つ目の、実は、これもシェークアウトの宣伝をしようということで書かせていただいた記事だったわけですけれども、今までの避難訓練あるいは防災訓練というのが非常に受け身的に参加者に提供されてきているというところを、やはり改定しないといけないのではないか。

 災害というのは、ある意味では応用問題だというふうに僕は思っておりまして、実力試験だというふうに言っても構わないと思うんです。ですから、一番実力を高めるためには、どんな状況にも対応できるようにしておいてほしいということで、状況適応力を高めることを訓練の主眼に置けということで書かせていただきました。

 その基本は、先ほどから繰り返し申し上げているような、リスクの正しい評価と、大事なものを守ることと、いざというときに備える覚悟をし、能力を高めておくことだということを、改めてこのシェークアウトでも強調したいと思っている次第です。

小宮山委員 ありがとうございます。

 引き続きまして、西川区長さんにおきましては、父もお世話になりましたし、うちの小沢代表もお世話になりまして、ありがとうございます。

 さて、私自身、老朽化管渠を初め、老朽化したマンション等の建てかえ等、そういったものを推進するべきであるというふうなことをテーマにずっと活動させていただいております。本日伺いました荒川区の現状、また、密集する地域であるその不安感、また、そこに責任を持たれている立場におきまして大変な御苦労があると思います。

 特に、借地権に関しましては、この問題を取り扱いますと、なかなか法務省がかたくなな状態でございまして、このたび被災地の方では少し緩めるようではありますが、やはりこの問題を解決することによって、新しい町並み、次の世代に向けての本当に安心して暮らし続けられる地域づくりというのにつながっていくんだと思います。

 また、その一方で、多くの方が移り住み、そしてつくられた雰囲気というもの、町並みという。密集地域、特に、法善寺横丁が燃えたときには、道幅を広くしないとできないと言ったんですが、やはり肩と肩が触れ合うようなそういった町だからこそ人情味があふれるんだということで、また別のところに面積をとり、町並みを復元したなんという話もございます。

 そういう意味では、歴史的な、また、今までの生活が積み重ねられてきた町並み保存という、町並みの維持と、密集する地域を安全に変えていくという意味においては、大変難しい課題があるんだと思っております。

 時間もだんだん限られてまいりましたので、この点まず、いま一度、思いのたけと、早く改正をしたい法律等がありましたらお聞かせください。

西川参考人 ありがとうございます。

 もう、本日、最後の発言の機会かと存じますので、子供だましに思われるかもしれませんが、こういう笛を二十万個区民に配りました。中に既往症や連絡先の紙が入る、警視庁推薦のものでございますが、これは、助けてくれと言って実験しても、こういう部屋で衛視さんがあそこのドアを閉めたら、外に聞こえないんですね。ところが、この笛は少し先まで聞こえるんです。こんないじましい努力をしてやっているゆえんのものは、権限が余りにも、基礎自治体、私どもにはないということであります。

 バケツも、神戸の震災の例に従って、二万個、初期消火用に配って、これも、関西学院大学に移られました元神戸大学の室崎先生の御指導でやっています。

 最後に、私が先ほどから法改正をお願いしておりますのは、二十年前に、まさに初当選した衆議院議員でありました私はこの委員会の理事にしていただきまして、その年は奥尻島の地震があり、鹿児島のシラス台地の崩れがあり、また、大冷害でお米がゴマ粒ぐらいになったり、桑が福島では育たなかったり、大変なときに、この委員会は視察に視察に視察を重ね、そして、先ほど先生から御質問がありましたが、鹿児島の天文館通りの地下に全部水が入って、一億円の保険を掛けていても五百万しか出なかったり、そういうことをこの委員会で、ほかの委員会とも連携して、奥尻の借金を商店街が延べ払いができるようにしてあげたり、または、保険会社と話をつけてその補償額をふやしたり、いろいろな意味で当委員会が存在感があって、実際に国民の生活を助けていただいたことを実感しておりますので、きょうは、その衆議院のお力におすがりいたしたいと思って参りました。

 先生の御質問に直接答えられない。川越のような由緒ある町並みなんか、我々のところはないんです。もう本当に早く壊して、早くきれいにしてあげたいと思っています。どうぞ御理解を賜りますようお願い申し上げます。

小宮山委員 川越に触れていただきまして、ありがとうございます。川越も大火があったからこそ、今の町並みになってそれを維持しているということがあります。できることならば、そういった大火が起こる前に防災をしていただけるような、そういった制度をこの災害対策委員会でやれという、これは先輩議員としての言葉だと思います。しっかり受けとめさせていただきたいと思います。

 もう最後でございますので、時間はちょっと超しておりますけれども、最後に大西町長さん、私も二〇一一年にスマトラ沖地震の後のバンダアチェに行かせていただき、ランブンコミュニティービルの視察をさせていただきました。一つの棟で千人が収容できる、これは日本の無償資金援助でつくられたものでもございました。

 本当に、諦めない、避難放棄者ゼロということ、また、そうはいいましても、先ほどホームページを見させていただきますと、町の方は、自然体験のサーフィン教室やカツオのわら焼きたたきづくり、ホエールウオッチングと、海とともにある町だとも思います。

 最後に、何か言いたいことがありましたらお聞かせいただき、それを参考にさせていただきたいと思います。

大西参考人 防災のお話をさせていただくときに、犠牲者ゼロの防災町づくりというお話をさせていただきます。しかしながら、それはある一つの手法でございまして、私どもがやっているのはやはり町づくりでございます。冒頭、意見でも申し上げましたように、次の世代にしっかりと引き継ぐことのできるふるさとを私たちの手でしっかりとつくり上げていく、それが私どもの責務だと考えてございます。

 そしてもう一つは、黒潮町の南海地震に向き合う基本的な考え方にも載せておりますけれども、日本一うまく災害とつき合う町、こういったフレーズでございます。黒潮町、海の恵みで発展してきた町でございます。本当に恵み多い海を嫌いにならないように、しっかりとその裏では防災対策が進んでいく、そういったことにしてまいりたいと思います。

 多分に国のお力添えを賜らなければならない分野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

小宮山委員 本当に、三人の皆様、貴重な御意見、またアドバイスをありがとうございました。防災の活動を通じ人間力をつける、そういった国でありたいと改めて思いました。

 本当にありがとうございました。

坂本委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、明八日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.