衆議院

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第6号 平成25年11月12日(火曜日)

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平成二十五年十一月十二日(火曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 坂本 剛二君

   理事 うえの賢一郎君 理事 北村 茂男君

   理事 原田 憲治君 理事 福井  照君

   理事 盛山 正仁君 理事 三日月大造君

   理事 山之内 毅君 理事 石田 祝稔君

      井林 辰憲君    井上 貴博君

      伊東 良孝君    泉原 保二君

      大見  正君    神山 佐市君

      木内  均君    北村 誠吾君

      工藤 彰三君    笹川 博義君

      清水 誠一君    竹下  亘君

      長島 忠美君    林  幹雄君

      藤丸  敏君    松野 博一君

      務台 俊介君    湯川 一行君

      吉川  赳君    黄川田 徹君

      寺島 義幸君    中川 正春君

      松原  仁君    吉田  泉君

      上野ひろし君    高橋 みほ君

      宮沢 隆仁君    濱村  進君

      樋口 尚也君    椎名  毅君

      高橋千鶴子君    小宮山泰子君

    …………………………………

   議員           小林 鷹之君

   議員           土屋 正忠君

   議員           二階 俊博君

   議員           林  幹雄君

   議員           福井  照君

   議員           高木 陽介君

   国務大臣

   (防災担当)       古屋 圭司君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            坪内  浩君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           室田 哲男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           村上 博之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  徳山日出男君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   衆議院調査局第三特別調査室長           清水  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  寺島 義幸君     松原  仁君

  今井 雅人君     高橋 みほ君

  佐藤 正夫君     椎名  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  松原  仁君     寺島 義幸君

  高橋 みほ君     今井 雅人君

  椎名  毅君     佐藤 正夫君

    ―――――――――――――

十一月十二日

 首都直下地震対策特別措置法案(二階俊博君外十六名提出、第百八十三回国会衆法第四三号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 首都直下地震対策特別措置法案(二階俊博君外十六名提出、第百八十三回国会衆法第四三号)

 首都直下地震対策特別措置法案(二階俊博君外十六名提出、第百八十三回国会衆法第四三号)の撤回許可に関する件

 災害対策に関する件

 首都直下地震対策特別措置法案起草の件


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 第百八十三回国会、二階俊博君外十六名提出、首都直下地震対策特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案につきましては、第百八十三回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 首都直下地震対策特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官日原洋文君、金融庁総務企画局参事官坪内浩君、消防庁国民保護・防災部長室田哲男君、経済産業省大臣官房審議官村上博之君、国土交通省道路局長徳山日出男君及び国土交通省住宅局長井上俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松原仁君。

松原委員 おはようございます。

 首都直下地震の問題というのは、かねてから大きなテーマでありました。私も東京に住んでいる者として、大変にこの首都直下地震というものに対して危惧している者の一人であります。

 二〇二〇年に東京オリンピックが開催されるということになりました。私は、この東京オリンピックの開催というのは、東京がアジア最大のハブ都市を目指す上での大きなエポックメーキングになるだろうと思っております。

 ただ、その東京は、一方において、米国のサンフランシスコ等と並んで最も災害が多い都市であるということも世界の中で認識をされているわけでありまして、やはり、東京が世界の、特にアジアにおける最大のハブ都市を目指す上での必須の条件の一つが、こういった東京における被災対策、災害対策、減災、防災対策であるということは言をまたないわけであります。

 そういった大変重い、重要な意味を持つ法案でありまして、そういった観点から御質問させていただきます。

 まず最初に、緊急対策推進基本計画の記載事項に、緊急輸送を確保する等のために必要な港湾、空港等の機能の維持に係る施策に関する基本的な事項が掲げられておりますが、当該事項として挙げられる政策に、特に港湾管理者、港湾事業者に関する事項としてどのような事項があるか、お伺いいたします。

二階議員 委員御指摘のとおり、緊急対策推進基本計画には、その記載事項として、首都直下地震が発生した場合における首都中枢機能の維持に関して、緊急輸送を確保する等のために必要な港湾、空港等の機能の維持に係る施策に関する基本的な事項を定めるものとしております。

 これは、首都直下地震が発生した場合における緊急輸送の確保のために港湾、空港の機能の維持が重要であることから、緊急対策推進基本計画に記載することを義務づけているものであります。

 緊急輸送を確保する等のために必要な港湾、空港等の機能の維持に係る施策に関する基本的な事項の中で、委員御指摘の港湾管理者、港湾事業者に関する事項が具体的にどのように定められるかについては、当該規定の趣旨も踏まえて、政府において、今後適切に判断されるべきものと考えております。

松原委員 今後その辺の取り決めが行われるということでありますが、それぞれの港湾事業者等が、こういったいわゆる緊急対策において有効に機能するように、さまざまな助言や支援を心よりお願い申し上げる次第であります。

 二問目に入ります。

 先ほど申し上げましたオリンピック誘致を含めて、東京を外国人により売り込んでいかなければいけない。このための外国人滞在者に対する災害時の対応をしっかりと進めることが大切であると考えますが、この法律に係る対策の中で、外国人滞在者に対する災害時の対応に、どういうものが具体的に資するものとしてあるのか、お伺いいたします。

二階議員 このような重大な問題について、松原先生と思いを共有しながら対策を今後考えていく、大変大事なことであると思いますので、私どもも努力をしますから、松原議員におかれましても、東京都御出身ですから、どうぞよろしくお願いしておきたいと思います。

 本法案では、首都中枢機能維持基盤整備等計画において滞在者等の安全の確保を図るために必要な事項を、地方緊急対策実施計画において地震災害時における滞在者等に対する支援に関する事項。この滞在者等には外国人も当然に含まれているものであります。

 特に、今後、外国人のことに関して大変力を注いでいかなきゃいけない、外国の滞在者が東京にとどまっておるとは限りません、地方にお出かけになる場合もある、そんなときに外人の人たちをどう安全なところに誘導するか、こうした問題について、国を挙げてやはり対策を考えていかなきゃいけない、私はこのように思っております。

 国及び地方公共団体においては、東京オリンピックをにらんで、これらの外国人滞在者に対する災害時の対応をきっちりやっていくことが、東京オリンピックに観光客や旅行客を含めて多くの皆さんを世界じゅうから呼び込むためにも大事なことでありますし、東京都が当然果たすべき役割でありますから、私どもも積極的に協力して、ただ文言に書いてあるとか書いてないとかという程度のものじゃなくて、本当に、外国から日本に来られた皆さんが安全に、この大会期間中、生活が送れるように、これはしっかりした協力をしていかなくてはならないと思っております。

 いい御指摘をいただきました。

松原委員 具体的な内容については今後詰めるということでありますが、これは超党派でやるべきテーマでありますので、我々もさまざま意見を申し上げていきたいと思います。

 さて、ちょっと一問、後でやるということにしまして、首都中枢機能維持基盤整備等協議会というものが中で想定されておりますが、この中身について、どういう中身なのか、そしてそのメンバーというのはどのように決まるのか、どのように運営されるのか、こういったことを御質問いたします。

土屋(正)議員 御答弁申し上げます。

 この首都中枢機能維持基盤整備等協議会のメンバーは、まず第一に、行政でございます。

 二点目は、これは第八条の二項の一のロに掲げているわけでございますが、まず、ガス、水道、電気の、いわゆる命綱にかかわる事業者でございます。それから情報通信にかかわる事業者、さらにまた、緊急避難の問題がありますので、公園とか広場にかかわる、これは主として行政が担うことになると思います。

 それ以外のものが考えられるわけでありますが、鉄道事業者等を想定しながら、その第八条二項の一のロのところで、その他のものも含める、こういうことになっております。

 したがって、行政とこれらの事業者が中心になって協議会をつくるもの、このように想定をいたしております。

松原委員 その他のものというところに、やはり幅広にさまざまな民間事業者なりが入ってくるということになろうかと思いますが、その選定というものは基本的にどういうふうに行われるか、もし今この場で御答弁いただけるなら、御答弁をお願いいたします。

土屋(正)議員 その他という読み方をして、さまざまな事情に対処できるような法律構成になっておりますが、主要なメンバーは、先ほど申し上げた、法律上明示してある、あるいはそれに準じている鉄道事業者等になろうかと思います。

 これらにつきましては、具体の計画に従って執行していく段階で、さまざまなケースを想定し、その他ということを規定いたしているところでございます。

松原委員 その他というところがやはり非常に重要な味つけになってくると思うので、こういったところは、一方において公正に、一方において現実的に、そして、地域の声を聞いていただきながらぜひ進めていただきたい。きょうはここまでで質問はとめておきます。

 次に、地方緊急対策実施計画の第二十一条三項第五号に防災訓練というのが書かれております。今も各地域における防災訓練というのは、私の地元の品川においても、各町会ごとに四十人ぐらい集まって、七百人ぐらいのものとか既にやっているわけでありますが、この防災訓練はそれと同じものなのか、違うのか。どう違うのか。

 さらに、私は、東京に住んでいる人たちに対して義務づけをするのはかなり困難性が高いと思いますが、一年間に最低一回は防災訓練に出ましょうとか、何らかの義務づけをしないと、一方において、どれほど地域の自治会が中心になってやっても、参加しない人はずっと永続的に参加しない。こういったことに対しての危機感というのは非常にあるわけでして、この大規模な防災訓練の中身についてお伺いいたしたい思います。

林(幹)議員 首都直下地震に備えるためには、先生御指摘のように、関係機関が住民とともにさまざまな防災訓練を行うことが極めて重要なことであります。したがって、本法案においては、地方緊急対策実施計画の記載事項としているところでもございます。

 訓練の規模や内容については、防災訓練の重要性を踏まえて、関係機関において、効果的、実践的なものを適切に実施していただきたいというふうに考えております。

 また、本法案においては住民参加を義務づけてはいませんけれども、災害対策基本法に定めている住民の防災訓練への参加の責務も踏まえて、訓練の実施主体において、住民参加が適切になされる工夫を行うことを期待しているところでございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

松原委員 恐らく新しいものが生まれるんだろうと思うんですが、やはり従来の防災訓練と、こういう規模において違う、こういった質において違う、こういった連携性において違う、義務づけと言うと言葉が強烈ですが、違うというところを、従来から防災訓練を東京はそれなりにやっております、あえてこの中でそういうふうに防災訓練と特出ししたところを、実は少し意図をお伺いしたかったわけでありますが、もしつけ加えることがあれば、お伺いいたします。

林(幹)議員 つけ加えるところは特段ございませんけれども、やはり、住民参加が適切に行われるよう、そういった訓練がされるような工夫をいろいろなところでしてもらいたい。そしてまた、これからまだ時間も若干ありますので、そういったものを積極的に進めていきたい。やはり、官民一体となって進めていくということが大事だろうというふうに考えております。

松原委員 要するに、今までは、例えば地域であれば品川区が主体でやっていたりしますが、これに対して、国がある程度前面に出る、こういう認識でよろしゅうございますか。

林(幹)議員 もちろん今先生御指摘のとおりでありますけれども、国も、あるいは東京都も、あるいは市町村に関しても、一体となって取り組むということが大事だろうと思っておりますし、国がやはりリーダーシップをとるということが必要だろうと思っています。

松原委員 この防災訓練と同時に、住民防災組織を認定する、こう書いてあります。これも、私、極めて興味深いし、必要だと思っておりますが、従来から消防団もあるわけであります。私の地域でも消防団はありますし、個人的なことを言えば、私の長男も消防団で活動しているわけでありますが、こういった消防団活動や地域の市民消火隊とか、こういうふうな地域防災リーダーが今ある中で、屋上屋を架することになるのか、どういうイメージで住民防災組織が生まれるのか、このイメージ。この法律だけ見ると、防災訓練もそうだし、この住民防災組織も、どういうことか、もうちょっとお伺いしたい。

福井議員 ありがとうございます。

 この条項は、本当に、昨年の野党時代からこだわったところでございます。

 ちょっと迂遠になりますけれども、昭和二十二年にGHQが日本をして廃止せしめたものが三つございまして、財閥と内務省、そして町内会。町内会をわざわざ日本政府をして廃止せしめたというぐらい、まさに隣保協同の精神に基づくコミュニティーというのが日本の紐帯、ガバナンスの本質だったということに鑑みて、霞が関が今まで数十年間やってきた中で一番不得意だった国民運動すらできる組織というものをイメージして、東京都で防災隣組がございますけれども、消防団とは違って、そして自主的な、住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織として自主防災組織のことを想定し、そしてさまざまな活動をしていただこうという思いがこもっているわけでございます。

松原委員 援助ということも書かれておりますが、もう時間がないので簡潔にお伺いします。

福井議員 具体的には、この法案の趣旨を踏まえて、政府及び特定地方公共団体におきまして適切に判断されるものと考えておりますし、この法律の上では金銭的な資金援助が除外されるわけではありませんので、その辺を含めて、また全党で御指示、御鞭撻賜りたいと存じます。

松原委員 金銭的援助がある、こういうふうな話でありました。やはり、そういったものも含め、きちっと担保する必要があると思っております。

 一問飛ばしまして、第三十四条の補助金等交付財産の処分の制限に係る承認の手続の特例、具体的にはどのような措置か。譲渡し、交換し、貸し付け、または担保に供するということで、使用目的を変えるということもありますが、場合によっては、その補助金でつくられた財産を売却して、そのお金を活動費に回すというようなこともケースとして想定されるかどうか、お伺いします。

福井議員 結論から言いますと、想定はしておりませんで、その目的外使用を許す条文でございますので、御理解賜れればと思います。

松原委員 次に、第三十二条の建築基準法の用途制限の緩和。これは私は非常に重要なものであると思っておりますが、この具体的なイメージを少し語ってほしいと思うんですが、いかがですか。

小林(鷹)議員 先生御指摘のとおり、本法案の三十二条そして三十三条には、建築基準法における用途制限の緩和の特例措置が設けられております。

 具体的な措置といたしましては、例えば第三十二条について申し上げれば、建築基準法上の第一種、第二種の低層住居専用地域などでは、非常時に必要な灯油や軽油、こうした燃料を備蓄しておくことが現在できません。こうした場合に、内閣総理大臣の認定を受けた計画に定められました基本方針に適合するものとして自治体が許可した場合には、特例を設けて当該事業の推進を図れるようにしております。

松原委員 要するに、今言ったそういった部分だけなのか、もしくは、例えば、ある場所が大変に密集していて、木造住宅が多い、そういったところを建て直すときに何らかの緩和をするとか、そういったことはこのイメージに入っているのかどうか、お伺いいたします。

小林(鷹)議員 そうしたイメージは現在入っておりませんが、いずれにいたしましても、地方公共団体がこの法案の趣旨にのっとりまして、今後定めていくものとされております。

松原委員 三十一条第二項第二号にある地震防災対策推進協議会、この中身について、どういうものか、簡潔にお答えいただきたい。

林(幹)議員 御指摘の協議会は、特定地方公共団体によって組織されるものでございまして、実施すると見込まれる者とは、近い将来において特定緊急対策事業を実施することが決定する者であって、協議会に参加する時点で事業を実施することが決定している者とはちょっと異なるわけであります。

 なお、特定地方公共団体は、協議会の構成員として必要と認める者を加えることができることとしておりまして、その設置当初の構成員で固定されるわけではありませんで、柔軟に構成員を追加することも想定しているところでございます。

松原委員 時間が参りましたが、今お話をいろいろと承っておりまして、一つの箱はできた、どういうメニューにするか、具体的にどういうふうにするかというのは今後の課題だろうと思っております。

 地域特性というのは、同じ東京でも、いろいろな地域で全く違う。私の品川、大田においても地域によって全く異なるわけでありまして、地域の特性にそれぞれ合った形で、本当の意味での防災、減災、ハード、ソフトの多重防御という言葉もありますが、やはり人間のハードパワーというのは極めて重要であります。そういったことを考慮しながら、我々も防災というのは超党派だと思いますので、提言をさせてもらいながら、ぜひともいい形で東京の首都直下型対策ができるよう、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。

坂本委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 日本維新の会、宮沢隆仁であります。

 南海トラフに続き、首都直下についても私が質問させていただきます。

 資料を隅から隅まで読むというわけにいかなかったんですが、ある程度ピックアップして読んでみて、やはり、正直よくできているなと思いました。

 本日は二十分しかないんですが、きょうの私の質問の一貫したテーマは、まず一つは、政治家の先生方及び官僚の皆様が最悪の事態を想定しておられるというのはよくわかったんですが、さらにもっと最悪はないかなという視点で、ちょっといろいろ質問事項を考えてみました。

 それからもう一つは、国民への災害教育という観点で、先ほど松原先生が義務づけはどうだろうというお話があったんですが、私も全く同じことを考えまして、せっかく防災訓練をやっても、行きたい人は行くし、行きたくない人は行かない、ほかのことをやっているというのでは、ちょっと徹底し切れないんじゃないかということですね。

 それからもう一つは、一般庶民、国民は、言葉を含めてどこまで理解しているんだろうかという、私自身が普通の国民として見た観点での疑問を質問の中に入れていきたいと思います。

 それから、松原先生が先ほど御指摘されましたが、本当にいざというときの防災のイメージというのが物すごく大事だと思うんですが、そこが私自身もちょっといま一つイメージできていないというところもありますので、きょうは、質問それぞれは、結構、重箱の隅をつっつくような質問なんですが、いわゆるシミュレーションという形で答弁していただければと思います。

 まずは、首都に特徴的な構造物といいますと、沿岸部にあるタワー型マンションだろうと思うんですね。タワー型マンションに住んでいる方は物すごくたくさんおられるんですが、例えば、地震で、まず橋が、内陸とつながっているのが全て落ちた。落ちて、なおかつ津波も例えば十メーター前後のが来るといった想定の中で、恐らく電源等も落ちるだろうと思うんですね。そのような状況下でのタワー型マンションに住んでいる方々の避難対策というのをちょっと具体的にイメージさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

亀岡大臣政務官 まさに今委員が指摘されたように、特に都心部はこの十年間で三十階以上の建物が三倍にふえています。そういう意味では、もし地震が来た場合においては、エレベーターが動かなくなったり、または、まさに避難インフラが途絶してしまうという可能性があります。

 そのときに高層難民というのは必ず出てくるというのは想定しておりまして、今、地方自治体ともいろいろ協議をしておりますけれども、地方自治体の中には、江東区のように、マンションをつくるときには各階に必ず避難物資を蓄えておく、集合住宅防災ガイドブックなるものをつくって、何かあったときにはしばらくそこで生活できるような環境を整えようというような啓蒙活動もしっかりしていただいております。

 ただ、それでも、長期化した場合においては、集会所に集まったり避難所に集まったりというのが高層住宅ではなかなかできない可能性がある。そのときには、どうしても、ある程度個人で蓄えていただいておいて、しばらく生活ができるような環境は何とかしておかなければいけないということがあります。

 今、内閣府では、高層マンションにいろいろアンケート調査をしておりまして、その中身をしっかりと踏まえた上で、これは地方自治体としっかり協議をしながら、もし災害に遭ったとき、橋なんかが壊れたときはすぐに自衛隊や国交省に直してもらうんですけれども、自分を守る啓蒙活動というのをしっかりすべく、協議をして進めていこうと今、段取っているところであります。

宮沢(隆)委員 どうもありがとうございました。

 ちなみに、私は議員宿舎の二十六階に住んでいるんですが、特に高齢者なんかは、上がったりおりたり、考えただけでも気が遠くなる。だから、今の、ところどころに避難場所、食料を備蓄するというのは、物すごくいいアイデアだと思います。ただ、恐らく我々が想像し得ないようなことが起こる可能性もあると思いますので、その辺の対策はさらに練っていただければと思います。

 それから今度は家屋密集地域、墨田区、江東区等ですね、その辺のエリアのお話になるんですが、資料等を読ませていただきますと、東京都の地図はたくさん出てくるんです。ところが、東京都に隣接した埼玉、神奈川、千葉等のいわゆる首都圏全体図というのは、余り詳しいものは私には見えていなかったように思うんですが、例えば南埼玉あたりは、ほとんど東京都と言ってもいいぐらい隣接しておりますし、住民もたくさんいる。それで、隣接する県のそういう防災対策なり解析、これは東京都とほぼ同じ程度にできていると考えてよろしいのでしょうか。お願いします。

日原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、首都直下地震が発生した場合は、東京都のみならず、神奈川県や埼玉県などの木造密集市街地におきましても、家屋の倒壊や市街地火災が発生するおそれがございます。

 例えば、平成十六年に内閣府が行った被害想定におきましては、東京湾北部地震の震度分布を想定した場合、出火件数が多いと見込まれる冬の午後六時に風が大変強い場合の試算といたしまして、全壊及び火災焼失棟数が、一都三県を中心として、最大で約八十五万棟、死者は一万一千人に及ぶものと試算されております。

 現在、首都直下地震対策検討ワーキンググループで被害想定を見直しているところでございますけれども、こうした見直しに当たっては、同じような広域的な被害想定を検討していこうと思っておりますし、また、各県におきましても、それぞれの県におきまして被害想定を行っているところでございます。

宮沢(隆)委員 わかりました。

 その場合に、例えば東京都と埼玉県、東京都と神奈川県、その辺の連携のあり方というのも、もう既に決まっていると考えてよろしいでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 首都圏におきましては、都県、それから政令市を含めました九都県市におきまして、広域的な防災についての訓練等も行いながら、連携をそれぞれ行っているところでございます。

宮沢(隆)委員 了解いたしました。

 それにちょっと関連するんですが、そういう家屋密集地域で火災が起こったときに、住民は避難をいたしますね。それで、避難場所にとりあえず集まっても、そこに火がさらに及んでくるというようなお話もどこかに記載されていたと思うんです。

 きのうレクを受けたときにちょっと気づいたんですが、避難場所の定義について、あるいは名称ですね、どうも何かわかりにくいなというのが私の正直な印象で、緊急何とか避難場所とか避難広域何とか地域とか、そういう名称をつけられていたと思うんですが、それが果たして国民の中に言葉として浸透しているのだろうかという疑問を持ったんですね。そこをちょっとお答えいただきたいと思うんです。

日原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、なかなかわかりにくいのかなと思うんですけれども、広域避難場所というのがございまして、東京都であれば、道路上に、緑の大きな看板で広域避難場所はこっちと書いてあるのがありますけれども、そういうところは、火災が起きても、かなり面積が広いものですから、その中に逃げていただければ火災が及ぶおそれがないという場所を指定しております。

 そのほかに、例えば小中学校のようなところに通常避難される場合が多くて、そこは避難所と呼んでいまして、ちょっとわかりにくいんですけれども、ございます。避難所に集まった場合には、確かに小中学校ですので一万平米ぐらいしかありませんから、周りが延焼しますと火災のおそれがあるということで、その場合には広域避難場所の方に、二段階避難と呼んでいますけれども、避難していただく場合もございます。

 同じような考え方で、災害対策基本法を今回改正させていただいた中で、そういう一定期間滞在する学校のようなところを避難所と呼んでいるんですけれども、安全の観点から災害の及ぶおそれのない一定の基準を満たす施設を避難場所と呼んでいます。先ほどは火災の話をいたしましたけれども、例えば津波でしたら、津波に対して、その及ぶおそれがない場所を避難場所というふうに呼んでおるということでございます。

 その辺は、なかなか周知されていないというのはおっしゃるとおりでございますので、周知に努めてまいりたいというふうに思っております。

宮沢(隆)委員 私、きのうそのお話を聞いて、結局、火災のときの避難する場所、行く方向、それから、津波のときの避難の場所、方向、地震だけのときの場合、それぞれいろいろなシチュエーションがあるだろうと思うんですけれども、もうちょっと整理して、例えば色分けで、大きな赤丸だとか緑の丸だとか、例えば火災のときは赤丸のところへ行きなさいとか、何かそんなような物すごくシンプルな方法で、おじいちゃん、おばあちゃんが見てもぱっと認識できるような方法をちょっと考えていただければなと思いました。

 あとは、避難という言葉が必ず、広域避難場所にしても避難所にしても入っていますけれども、これも、パニックになっているときに瞬間的にその違いを頭に想起するというのは恐らく無理じゃないかと思いますので、その辺もちょっと考慮していただければなと思いました。

 次は、今度の質問は、本当に最悪の最悪という観点からの質問なんですが、食料、水の備蓄は三日間を一応一週間にされたということで、私は非常に結構なことだと思うんですが、例えば、首都直下が起こって数日して南海トラフが誘発されてダブルで直撃されたというようなときは、ほとんど、ある意味戦争状態のような状況になると思うんですね。そういうときに、一週間以上、二週間とか三週間とかということを考えたときは、多分、その場所でサバイバルするしかない。そうなれば、サバイバルする手段のようなものも教育の中に取り込んで、国民に周知徹底したらいかがかなと思ったんですが、いかがでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 首都直下地震が発生した場合におきましては、東日本大震災において都心部で見られた以上の深刻な交通渋滞の発生が予想されます。避難所への物資の輸送だけじゃなくて、一般の在住者、御自宅で生活される方への生活物資の輸送も円滑にできなくなるおそれがございますので、そういった意味におきまして、三日間程度と言っておりました備蓄を一週間にというふうなことを最近言わせていただいているということでございます。

 そういった意味で、さらに長くなっていくことも確かにございますので、備蓄量は多ければ多いにこしたことはないわけでございますし、そういった点も含めまして周知に努めてまいりたいと思います。また、場合によりましては、被災地を離れるということもあり得るのかなというふうに思っております。

宮沢(隆)委員 最悪を想定し始めたら切りがないだろうと思うんですが、例えば、人間がぽんと一人で無人島に置かれたときにどうやって生きるかとか、国民の一人一人がそのぐらいのことまで考えておいていいんじゃないかと僕は思うんですね。要するに、結局自助ということに結びつくんですけれども、そのぐらいの厳しさがあるんだよということは、今回の法案を通して伝えていただいてもいいんじゃないかと思います。

 それから、これも最悪シリーズなんですが、例えば、今我々が使っている卓上電話、ファクス、携帯電話、メール等、全ての通信網が使用不能となったとき、そういうシチュエーションで、多分陸の孤島があっちこっちに生まれてくると思うんですけれども、どのような方法で連絡をし合うのかということについてはいかがでしょうか。

室田政府参考人 大災害時におきまして、住民への災害情報等を着実に、確実に伝達するためには、第一に、一つの手段に頼らず複数の情報伝達手段を組み合わせること、また第二に、一つ一つの情報伝達手段を強靱化することが重要だと考えております。

 第一の情報伝達手段の多重化につきましては、市町村は、それぞれの実情に合わせまして、同報系の防災行政無線のほか、緊急速報メール、コミュニティーFM等の複数の手段を組み合わせて整備をしております。

 また、第二の強靱化につきましては、市町村におきまして、同報系の防災行政無線の非常電源の強化、あるいはラジオ、IP告知端末等の電池で作動する機器の配備等の取り組みが行われておりますし、また、通信事業者におきまして、東日本大震災を教訓といたしまして、ネットワークの強靱化が図られているところでございます。

 消防庁といたしましては、こうした市町村の取り組みに対しまして、ガイドラインの作成、専門家の派遣、整備に係る必要な財政措置等により支援を行っているところでございます。

 こういった取り組みをしておるわけでございますが、仮に、万が一使えなくなった場合どうするかということでございますが、現在でもほかの情報伝達手段とあわせて行われておりますけれども、消防団あるいは市町村職員の方が、広報車等により、直接住民に対して情報伝達するということになろうかと考えております。

宮沢(隆)委員 今の答弁の後半を聞きたかったんですね。まず、メール、無線、電池云々は使えないという想定。それこそ、そこで人間の生きる力というのが生きてくるだろうと思うんです。例えば、のろしという方法が昔ありましたね。あとは、例えばたこを揚げて、まず存在を示すだとか、そういう極めて原始的な方法ではあるんですが、まさにサバイバルのために、そこまで頭の隅に置いておいてもいいんじゃないかなということですね。

 もう時間がないんですが、最後、三・一一のときに、私が聞き及んだところでは、本当に災害直後、もうほとんどみんな隔離されちゃいますので、そこで、人間模様として何が起こったかといいますと、そこにいる人たちの中でチームができて、それぞれ、私は何ができる、何ができるというのを宣言して、その中で自然にリーダーができてきた、日本人だけかどうかはわかりませんが、すごいなと私は思ったんですね。

 それは自然にできてきたんですが、災害直後というのは、恐らくその場にいる人間が何とかしなきゃいけないということであろうと思うんですが、それを、ふだんから教育の中でシステマチックに、リーダーシップ論みたいな形で教育することはできないかということがきのうちょっと浮かんだんですけれども、その辺は、これは消防関係の方になるんですか、ちょっとお願いします。

古屋国務大臣 今の委員の御指摘は、災害が起きたときにいかに行動するかということで、リーダーを決めるなり、あるいは防災教育をするなり、こういったことによって命が救えるという指摘だと思います。

 確かに、釜石の奇跡なんというのがありますよね。あれは、学校が全部津波につかったんですけれども、その学校は一人も犠牲者を出していません。それだけにとどまらず、近隣のお年寄りも全部助けたんです。それは、その学校の先生がかつての津波の教訓をずっと伝えて、速やかな行動をしたからなんですね。先ほど、のろしの話が出ましたけれども、「稲むらの火」という和歌山の、二階先生の御地元、そういった教訓もあるんですよ。

 だから、現実に今やっていることは、例えば、内閣府ではDVD教材を作成して配付をするとか、あるいは学習指導要領で防災教育について具体的に触れろということで、実際、そういうことを学校も始めています。今度の災害対策基本法においても、例えば、七条には教育訓練あるいは教訓の責務、八条が配慮規定、それから四十七条の二で、そういった教育を実施しましょうという規定がなされたんですよ。

 でも、現実には、こういう規定がなされるだけでは意味がないので、やはりそれをいかに実行させていくかということが大切だ。それは、国だけではなくて、地方公共団体、教育関係団体、民間セクターを初め、あらゆるセクターが連携をして、そういう教育をしっかりしていく。そういう中において、自然に、今御指摘のリーダーシップ論とかそういったものも出てくると思うんですね。

 だから、これを徹底することによって、恐らく、大規模災害が発生したときに人の命を十分に救えるという手だては、こういったソフトの充実で可能だというふうに考えております。それを督励していきたいと思います。

宮沢(隆)委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 時間になりましたので、これで終わります。

坂本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨日来、フィリピンでの台風被害、本当に甚大な被害が伝えられています。一万人以上の死者ということで、心からお見舞いを申し上げたいと思うとともに、日本でも必ず来ると言われる大災害に備えるために、本当に、あらゆる知恵を尽くし、また協力をし合っていきたい、このように思っております。

 首都直下の対策法について伺いますけれども、まず、本法案の第三条では、内閣総理大臣が、首都直下地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、緊急に地震防災対策を推進する必要がある地域として、首都直下地震緊急対策区域を指定するとしています。また、その首都直下地震とはということでは、東京圏、東京、埼玉、千葉及び神奈川県の区域及び茨城県の区域のうち政令で定める区域、また、その周辺の地域で発生する大規模地震と定められております。

 それで、首都直下地震については、これまでも、二〇〇四年、二〇〇五年ということで被害想定が出されてきましたけれども、東日本大震災を踏まえて、現在、最新の被害想定や対策が見直し作業中であります。

 そういう中で、この区域の指定の仕方、どのようにやっていくのか、また、今進行形の被害想定の見直しとの関係がどうなるのか、提案者に伺います。

土屋(正)議員 ただいまの高橋委員の御質問にお答え申し上げます。

 本案の第三条において、今御指摘のように、首都直下地震、東京圏という表現を使っているわけであります。この東京圏という表現については、文言にありますように、東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県及び茨城県の区域のうち政令で定めるもの、こういうことになっているわけであります。

 茨城県を除いては、皆行政区単位に自治体全体を対象にしているわけでございますが、茨城県の区域を政令で指定して、内閣総理大臣が指定するということの意味は、最新の地震研究によって、恐らく茨城県の一部の区域も相当な範囲に影響が及ぶとされておることと、もう一つは、東京圏として一体の、さまざまな経済活動あるいは国民生活が連なっている、こういうことを前提にしてこのような規定にいたしたものでございます。

 では、一体、茨城県のどこを指定するかについては、これはいわゆるこれからの科学的知見を踏まえながら慎重に政府で対応するもの、このように考えているところでございます。

高橋(千)委員 済みません、事前にちょっと聞いていたときと理解が違っていたなと思ったんですが、首都直下地震緊急対策区域というのは、茨城県の中はどこを指定するかがこれから絞られるけれども、それ以外の東京圏については全部入るという意味でしょうか。

土屋(正)議員 この法律のたてつけは、基本的には地方自治体が実行部隊となるわけでございますので、したがってこのような指定の仕方をしているわけでありますから、将来どういうふうな運用をするかは別にして、このような規定の仕方をしているわけであります。

 なお、先ほど統括官がお答えいたしましたように、茨城を除く一都三県におきましては、東京、神奈川、千葉、埼玉の四都県に、さらに、その中における政令市、五つの政令市がございますが、横浜、川崎、千葉、さいたま、そして相模原という五つの政令市が連携して、九都県市会議というものを持っております。この九都県市会議の主たるテーマの一つが防災対策でありますので、これらの機能を生かしつつ、全体として意思統一をしていくということになるだろう、このように想定をいたしております。

高橋(千)委員 東京圏の中からさらに、指定するのはもっと絞られるというふうに聞いていたものですから、私はそうじゃない方がいいと思うので、別にこれはこれで、そうだというんだったらそれでよろしいです。

 それで、提出者に続けて聞きますが、法案の第五条では、国の行政に関する機能のうち中枢的なものの維持に係る緊急対策の実施に関する計画をつくるということになっていますが、どのようなものでしょうか。簡潔にお願いします。

土屋(正)議員 簡潔にお答えを申し上げます。

 お尋ねの緊急対策実施計画は、政府として首都直下地震が発生した場合に優先して継続すべき業務の内容など、いわゆる政府の業務の継続に関する事項、それから、そのためには人が要るわけですから、必要な職員の確保、非常用食料等の備蓄に関すること、そしてまた、仮に機能できなくなったときの代替に関すること、この三つを想定いたしております。

高橋(千)委員 そこで、大臣に伺いますけれども、二〇一二年七月の首都直下地震対策検討ワーキンググループの中間報告では、首都直下地震発生時に優先して実施すべき業務が必ずしも明確ではないと指摘をして、各府省が首都直下地震発生時に継続すべき必須の機能を明らかにし、非常時優先業務を選定するための政府業務継続方針や政府業務継続計画の策定など、具体的にこうすべきだということを示しております。また、被害想定を待たずとも取り組むべき対策という表現をされていますね。

 そこで、政府全体としてのいわゆる業務継続の取り組みがどのようになっているのかということと、また、これは他の大規模地震を想定した法案とは違って、首都中枢機能維持を前提とした法案という性格上、閣法で提出すべきではなかったのかなとも思うんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。

古屋国務大臣 委員御指摘の政府全体のBCPですね、業務継続計画。BCPはビジネスですから、むしろ、ACP、アドミニストレーティブ・コンティニュアス・プランという方が正しいのかもしれません。

 委員御指摘のように、二〇一二年七月に中間報告が出ておりますけれども、今そのフォローアップをしておりまして、大体、めどとしては、年内をめどに取りまとめをしていきたいというふうに思っておりまして、大規模災害のときに行政の中枢機能が麻痺することなく、その継続性が確保できるように、業務継続計画に取り組んでいきたいと思っております。

 なお、議員立法じゃなくて政府提案にすべきだということでございますが、こういった種類の法案でも、例えば、いつも委員が御指摘をされている被災者生活再建支援法も議員立法でございますし、また、地震防災対策特措法も議員立法でやっておりますので、必ずしも、議員立法でやるのがおかしいのではないかという委員の御指摘は当たらないというふうに思います。速やかに法律をつくるという視点から議員立法で提案をされた。我々は、その議員立法にしっかり従って対応していくというのが政府の役割だと思っています。

高橋(千)委員 当たらないとまで言う必要はないと思うんですよ。さっき言ったように、これまでの地震に関する立法というのは、確かに議員立法でやってきました。でも、最初にお話をしたように、これは政府の業務継続計画をつくるわけですよね。本当は、待たずともやれと中間報告で言っているわけですから、逆に言うと、法案がなくてもやるべきことだし、やっていること、各市町では既に進めていることなんですよね。でも、それを政府としてやれということをあえて書いて、そのために必要な、いろいろな規制緩和ですとか特例をやるということを言っているわけですから、中央防災会議でこれだけの被害想定を行って、それに基づいてやるときに、政府としての法案でよかったのではないかと言っているだけでありますので、当たらないとまで言う必要はないと思います、済みませんが。そこで論争するつもりはありません。

 提出者に続けて質問しますけれども、第七条は、首都直下地震緊急対策区域のうち、首都直下地震が発生した場合における首都中枢機能の維持を図るために必要な基盤の整備を緊急に行う必要がある地区を首都中枢機能維持基盤整備等地区として指定するとしております。永田町や霞が関が想定されるというふうに言われているんですけれども、首都中枢機能とは何かというのは、第二条第二項に、東京圏における政治、行政、経済等の中枢機能となっています。ですから、政治、行政となると永田町と霞が関というのはすぐわかるわけですが、経済の中枢機能、これはどこを考えているんでしょうか。

土屋(正)議員 先ほど私が答弁したことについて一部訂正をさせていただきますが、先ほど御質問の中に首都直下地震緊急対策区域のお話が出されたのを、協議会のお話と若干混同して御答弁いたしましたが、第三条で言うところの区域は、実際に被害が甚大になるというところを想定しておりますので、より具体的な地域の指定ということになるだろう、このように考えております。そのように訂正をさせていただきます。

 ただいま御質問のありました経済の中枢機能とは一体何かということにつきましては、基盤整備が必要な地域については、主に中央銀行や主要な金融機関等による決済機能、企業本社機能等を有する地域を想定しておりますけれども、本案成立後に緊急対策推進基本計画の作成を通じて政府内において適切に処理されるもの、このように考えている次第でございます。

高橋(千)委員 中央銀行等というのは、なるほどと思いました。

 そこで、法案の第二十条には、首都中枢機能維持基盤整備等地区内で認定を受けた基盤整備等計画に対し、都市再生特別措置法に定める都市再生安全確保計画とみなして適用する規定がある。こうした規定が必要とされる理由は何でしょうか。

高木(陽)議員 本法案の第八条に定める首都中枢機能維持基盤整備等計画は、基盤整備等地区における、首都直下地震が発生した場合の首都中枢機能の維持を図るために必要な基盤の整備のほかに、滞在者等の安全の確保を図るために必要な退避のために移動する経路、また、一定期間退避するための施設、備蓄倉庫そのほかの施設の整備等に関し定めるものでございます。

 この計画によって整備を促進する施設等が都市再生特別措置法に定める都市再生安全確保計画と共通することから、当該計画を都市再生安全確保計画とみなして都市再生特別措置法に定める特例措置を適用させ、これらの施設の整備の促進を図ることとしたものでございます。

 ちなみに、都市再生安全確保計画に係る法律上の特例というのは、建築確認の特例、建築物の耐震改修の計画の認定の特例、備蓄倉庫等の容積率の特例、都市公園の占用の許可の特例等が規定をされております。

高橋(千)委員 現在、全国六十二地域に都市再生緊急整備地域が指定されておって、東京圏だけで二十三地域あるわけですね。この都市再生計画というのは、地域の住環境破壊ではないかとか、いろいろな形で地域住民との意見の違いなどもある。ただ、今回、地震対策ということでそれが置きかえられるということになっては困るというのが、指摘されなければならないことだと思うんですね。

 これは、例えば事業の実施に密接な関係を有する者が計画の策定や実施について協議する協議会の構成員となれるという規定がございます。同時に、これらの者が構成員に加えるよう申し出た場合、正当な理由がない限り、申し出に応じなければならないと書かれているわけですね。そうすると、当然、開発の業者が手を挙げたときに、なかなか、よほどのことがなければ断れないということもあります。

 実際には、住民も含まれるんでしょうか。

高木(陽)議員 委員が御心配されているように、地域住民との関係だと思うんですね。

 その中におきまして、協議会、御指摘の二つの協議会については、いずれも、協議会を組織する関係地方公共団体が必要があると認めるとき、計画及びその実施に関し密接な関係を有する者を協議会の構成員として加えることができることとしておりますので、この地域住民は、密接に関係を有する方々であれば、関係地方公共団体が協議会の構成員として加えることは法律上可能である、このように考えております。

高橋(千)委員 そこはまず確認しました。

 ちょっと時間がないので、次の質問をして、最後に言いたいことを言わせていただきますが、今、中枢部の話をしてきましたけれども、一方で、実際に住民が生活している市街地の対策というのは、地方自治体任せになっていると言えないでしょうか。

 法案第一条では、「首都直下地震が発生した場合において首都中枢機能の維持を図るとともに、首都直下地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、」というふうに規定をされているわけです。しかし、そのための具体的な手当て、何をするかということでは、法案第二十一条の地方緊急実施計画で定めるとされている事項、これはできる規定になっているんですね。

 これはなぜなのか。

林(幹)議員 地域防災計画は、首都直下地震等特定の災害に限りませんで、当該地域の防災に関し、関係機関が処理すべき事務の大綱を定める総合的かつ基本的な計画でございます。地方公共団体に対して作成が義務づけられているところであります。

 地方緊急対策実施計画は、首都直下地震対策のために緊急に実施すべき施設整備、木造密集地域対策、帰宅困難者対策等の対策を円滑に推進するために重要な計画であることから法律で規定したものでありますけれども、地方みずからの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにする観点から、作成の義務づけは行わなかったものでございます。

 義務づけされていないものの、積極的な活用を期待したいし、政府においても、法第二十二条の規定に基づいて、計画の実施に必要な援助を行っていただきたい、このように考えております。

高橋(千)委員 援助ということで、先日も参考人質疑の中で、木造密集地域の問題でいろいろ要望も荒川区長さんから出された、そういうことがございました。

 それで、やはり実際に市街地、住宅地、そういうところでは、燃えないようにすることや耐震化とか避難道の確保とか、さまざまな対策が求められるわけであります。

 そういうときに、できる規定にした、だけれども援助はしていくといったときに、多分、百八十国会、つまり昨年出されたときは、一定そういうことも担保するものを考えていたのではないかと思うんですね。

 というのは、昨年提出された首都直下地震対策特別措置法案では、交付金制度を設けて財政的にも支援する、あるいは、地方の計画に対して補助するというふうなことが要綱にありました。そして、予算も一千億円必要とされていたんですけれども、当初は何を予定していたのか、また、本法案でなぜそれをなくしたのか、伺いたいと思います。

林(幹)議員 先生御指摘のとおり、第百八十国会に提出した法案においては、補助率のかさ上げ等の当該法案に係る経費として、耐震化あるいは不燃化等の対策について約一千億円を想定したところでございます。

 しかしながら、政府からは、首都直下地震に係る新たな被害想定が年内にも出されると聞いておりまして、財政措置のあり方についても適切な検討がなされるものと考えているところでございます。

 本法案においては、第三十九条に、財政上の措置等に関する国に対する努力義務規定を置くにとどめているものでございます。

高橋(千)委員 被害想定が発表されれば、今後、一定の措置がされるという意味でおっしゃっていたのかなと思っています。

 本当に、国がもちろんリーダーシップを果たしていくと同時に、東京都ももちろん被害想定を出しておりますし、対策をやると言っています。ただ、本当に地に足のついた、住民の暮らしの身近なところでの対策をどうするかという点では、まだなかなか具体化をされていないわけですね。

 そういう中で、さっき言ったように、都市再生計画がすごく進められていて、超高層ビルによる再開発を柱とした都市再生が進められ、繁華街や地下鉄などへ広がって、一極集中の是正どころか、新たな投資と開発が集中的に行われてきたというのが首都圏の実態ではないかと思っているんです。その点では、首都直下地震対策の名目で新たな大規模開発を進める根拠になりかねないということをあえて指摘しなければならないと思います。

 住民の生命財産に直接かかわる部分については、地方自治体任せにしないということでしていただきたいということを強く求めて、そういう立場からこの法案については賛成できないということを述べて、終わりたいと思います。

坂本委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 おはようございます。みんなの党の椎名毅でございます。

 本日、首都直下地震対策特別措置法案について、質疑時間を二十分いただきました。時間も短いですので、早速質疑に入っていきたいと思います。

 今般提出された法案によれば、首都直下地震に対する対策として、三条で緊急対策区域の指定が行われた後に、閣議決定によって緊急対策推進基本計画が決定されて、行政中枢機能の維持に関する緊急対策実施計画、それから地方緊急対策実施計画の策定などが行われることになろうかというふうに思います。

 本日は、私の質疑のテーマとして、こういった緊急対策実施計画、それから地方緊急対策実施計画等を定めていくに当たりまして、対応していかなければならない課題を明確にしていくこと、これを中心に伺ってまいりたいというふうに思います。

 まず、第一点目に確認を申し上げたいんですけれども、本法二条一項で定める首都直下地震の定義に関連してでございます。

 一昨日ですけれども、朝方ですが、茨城県沖で最大震度五弱、マグニチュード五・五クラスという地震が発生しました。茨城県沖には日本海溝というものがあって、プレートの境界があるというふうに言われています。

 こういった状況を踏まえた上で、首都直下地震の定義そのものを見てみると、「東京圏(東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県の区域並びに茨城県の区域のうち政令で定める区域をいう。)及びその周辺の地域における地殻の境界又はその内部を震源とする大規模な地震」ということになっています。

 ここは、茨城県の区域のうち政令で定める区域というものまで含んでいるわけですけれども、実際に、政令で定める区域というのがどこまでなのかという話に恐らくなろうかというふうに思います。

 茨城県には、東海第二原発という原発が今あるわけでございます。今現状はとまっています。いずれ再稼働することも想定はしなければならないかというふうに思いますけれども、茨城県のうち政令で定める区域を定義するに当たって、どの程度のことまで考慮に入れて考えることになるのか。特に、東海第二原発が再稼働した場合にどの程度、要するに、原発が災害に遭うことを含めて想定した方がいいんじゃないかと思いますけれども、御見解をいただければと思います。

土屋(正)議員 椎名委員の御質問にお答え申し上げます。

 首都直下地震の定義については、東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県のほか、首都中枢機能が集中する東京都区部と社会的、経済的に一体である茨城県の一部の区域を震源域とする大規模な地震を想定しているわけであります。

 今御質問がございましたが、今の委員の御指摘も含めて、具体的にどういう地震を対象とするかについては、この法律が成立した後に、政府において最新の科学的知見をもとにして適切に検討されるもの、このように考えているわけでございます。

椎名委員 済みません、政府の方にもお願いできますか。

亀岡大臣政務官 定義の方は今提案者の方でお話がありましたので、想定のことについてお話を申し上げますと、確かに、一度に二つの大地震が起こらないとも限りません。

 特に、日本海溝プレートの境界で地震がありましたので、千葉県の日本海溝沿いの地震としては、一六七七年に延宝房総沖地震というのが発生しております。これは、大きな津波が発生して大変な被害をこうむっておりますけれども、内閣府の首都直下地震モデル検討会では、延宝房総沖地震も含めて、南関東地域に大きな被害を生ずる可能性のあるさまざまな地震を対象に、津波高や地震動の検討を行っているところであり、これは、もし延宝房総沖地震とマグニチュード七クラスの首都直下地震が同時発生した場合においても、しっかり今考慮に入れて検討しているところであります。

椎名委員 ありがとうございます。

 茨城県那珂郡東海村、ここは本当に原子力関係施設が非常にたくさんあるところだと思いますので、ここが被害に遭うことまでを想定に入れた形で政令で定めてほしいというのは、私自身の希望としてお伝え申し上げておきます。

 二点目について質問させていただきます。

 三条の区域指定、首都直下地震緊急対策区域の指定に関連してなんですけれども、実際にどこを重点的に対応していくかということを考えたときに、やはり港湾地区というものを考えていかなければならないのかなというふうに思っています。

 先ほどは千葉県沖の日本海溝のプレートという話もしましたが、逆に、相模湾沿いの相模トラフというところでも同じくプレートの境界が存在しているというふうに言われておりまして、相模トラフの地震が首都直下地震とあわせて発生するということも想定しなきゃいけないんだろうというふうに思います。

 こういったときに、神奈川県から東京都、千葉県にかけて、港湾部にたくさんの高圧石油ガスタンクなんかが存在しています。東日本大震災のときに、地震が起きた直後に市原市にあったガスタンクが爆発をした、そういうこともあったかというふうに思います。

 首都直下地震について対策を講じるに当たって、港湾部の、特にこのガスタンクを含めて、津波対策それから地震対策等を行っていかなければならないというふうに思います。石油コンビナートそれからガスタンクを含めて、こういったものに対する対策等の現状と今後の方向性を教えていただければと思います。

田中大臣政務官 お答え申し上げます。

 東日本大震災発災時に、千葉製油所のタンクが倒壊しまして、爆発火災事故が発生いたしました。これを踏まえまして、経産省といたしましては、現在、高圧ガス保安法上の球形タンクの耐震基準の見直しを行っているところでございます。そして、本年十一月末をめどに基準を改めるという予定でおります。

 また、さらに、首都直下型地震、こうした大規模災害を想定いたしまして、高圧ガス設備の耐震基準について、将来的な見直しも含めまして、本年度から検討を開始したところでございます。

 また、昨年度から、津波による高圧ガス設備への影響、それを踏まえた基準の策定の必要性についても調査検討を実施しているところでございます。

 また、それに加えまして、首都直下型地震等に関する石油コンビナートにつきましては、地震あるいは液状化等に対する耐性を総点検する、そういう事業も進めております。特に、製油所につきましては、大規模な災害時にあっても、ガソリン等の入出荷機能を早期に回復し得るように、石油会社による災害対応能力、この投資に対しても支援を行っております。

 今後も、石油コンビナートの災害対応能力強化に経産省としても万全を期してまいりたいと思います。

椎名委員 ありがとうございます。

 先ほど高橋先生の質疑の中でも言及がありましたけれども、平成二十四年に発表されたワーキンググループの中間報告でも、石油コンビナートそれからガスタンク等についての対応をするということは、次の課題として明確化されております。今、経済産業省の方で非常に力強いお言葉をいただきましたけれども、ぜひ引き続き継続して進めていただきたいなというふうに思います。

 特に、首都直下地震、結構高い確率で近い将来起きるというふうにも言われておりますので、本当に、非常にたくさんある首都圏の石油タンク及びガスタンクなんかを、爆発で火災が起きるということは結構大きな問題になるので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 三点目に伺いたいと思います。

 首都中枢機能の代替という話に関連して伺いたいと思いますが、特に、首都中枢機能のうちの経済の中枢機能という観点で伺ってまいりたいと思います。

 東京は、世界でも有数の金融の中心地なわけでございます。兜町の東京証券取引所を初めとして、ニューヨーク、ロンドンと並び称されるような本当に大きな金融マーケットなわけでございます。その中で、この東京が被害を受けるということになると、国際取引にすら大きな影響がある可能性が高いというところもあるかと思います。

 そういった中で、首都直下地震が発生することを想定したときに、手形交換所だったり、証券取引所だったり、銀行、コンビニの中にあるATMなんかも含めてですけれども、金融決済機能というものをいかに確保していき、その取引の安定性と国際的な信用を確保していくということが非常に重要になるかというふうに思います。

 金融庁の参考人に伺いたいんですが、今現状の対策と今後の方向性等について教えていただければというふうに思います。

坪内政府参考人 答弁させていただきます。

 各金融機関やその決済ネットワークのシステムにおきましては、危機発生時に必要最低限の業務の継続を確保するために、平時より業務継続体制を構築していくことが重要であると考えております。

 各金融機関や全銀システム等におきましては、バックアップセンターを用意いたしまして、有事の際に速やかに切りかえ可能な態勢等を整備するとともに、危機管理態勢につきましては、業務継続計画を策定しまして、訓練等によりまして実効性の確保が基本的に図られているものと考えております。

 こうした業務継続計画の策定等によりまして、海外との取引の安定性も図られるものと考えておりまして、これに加え、金融機関等におきましては、平時より海外への影響可能性及び危機のレベル、類型に応じた海外当局との連絡体制を整備することが求められております。

 いずれにしましても、各金融機関等におきましては、御指摘の決済業務の確保を含めまして、業務継続計画等の不断の見直しが重要であると認識しておりまして、金融庁といたしましても、検査監督を通じて、金融機関の業務継続体制等について、引き続き的確なモニタリングに努めてまいりたいと考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 バックアップセンターという話がありましたけれども、本当に金融はシステム命なところでございますので、このバックアップセンターを確保しておくこと、そして、そのバックアップの場所は、同時に被災するような場所ではないということが非常に重要な要件になってくるかというふうに思います。こういったことの準備が本当に重要になってくると思いますので、どうぞ引き続き金融機関の業務継続計画の整備状況等をモニタリングしながら、ぜひ金融庁の方も頑張っていただければなというふうに思います。

 引き続き、もう一つ課題を明示させていただきたいと思います。

 先日の参考人質疑の中で、荒川区長の方から、首都直下地震の中、最も重要なことの一つとして、木造密集地域の解消ということを指摘していただきました。これもやはり、この三条の緊急対策区域の指定に関連して、非常に重要なことなんだろうというふうに思います。木造密集住宅地というものが存在していることによって、火災により災害が非常に大きくなるということ、これがやはり想定されるわけでございます。

 それと同時に、電線が地上にあることによって、電線が落下すること等によって通行人等の安全性にも問題が生じることが非常にあるかというふうに思います。

 そこで、国土交通省の参考人に伺いたいんですけれども、首都圏におけるこの木造密集住宅地の解消、それから首都圏における、電線を地中化して、実際に電線が切れて落下する、そういったことが起きないようにする対策、電線地中化の対策等の現状、それから今後の進め方というところについて、お伺いできればというふうに思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 地震時に大規模な火災の発生のおそれのある密集市街地、この整備改善を進めることは、もう委員の御指摘をまつまでもなく、大変重要な課題だというふうに思っております。

 平成二十三年三月に閣議決定されました住生活基本計画、この中で、全国の危険な密集市街地、五千七百四十五ヘクタール、これを公共団体と情報共有いたしまして公表しておりますけれども、これについて、平成三十二年までにおおむね解消するという目標を立ててございます。

 この解消を図るためには、骨格となる道路とか公園、こういうもので延焼を遮断するとか、それから街区の中のとりわけ古い木造建築物、これの除却、不燃化、建てかえを進める、こういうことが大変重要になってまいります。

 いろいろな取り組みが必要でございまして、加えて、従前居住者、行き先のないような方にはそのお住まいを用意する、こんな対策も必要になってくるわけでございます。

 私どもといたしましては、社会資本整備総合交付金それから防災・安全交付金、いわゆる補助金でございますけれども、これを活用しまして、こういった事業の取り組みに活用していただいている、さらに加えて、都市再生機構、こちらの方でこれまでいろいろな市街地整備をやってきた経験もあるわけでございますので、このノウハウとマンパワーの活用、こんなことを通じて、全力で支援をしてまいりたいというふうに思っております。

徳山政府参考人 電線類の地中化について、引き続きお答えを申し上げます。

 地中化は、安全な通行空間の確保という意味もございます。良好な景観の確保という意味もございます。しかし、委員御指摘のとおり、防災性の向上の観点からも極めて重要でございまして、東日本大震災のような大きな災害を例に引くまでもなく、ことしも、九月の越谷市の竜巻あるいは台風十八号でも埼玉県、三重県などで電柱が倒壊いたしまして、住民の避難や緊急車両の通行に支障を来したという事例がございました。

 このため、首都直下地震に対応するためにも無電柱化が急がれるところではございますけれども、現在、首都圏における無電柱化率は、市街地の幹線道路、これは国道と都道、県道クラスに限って見ても、例えば、東京二十三区で四八%、川崎市では一五%という状況でございます。

 国土交通省といたしましては、首都圏における防災性を向上させるためにも、電線共同溝の整備、あるいはさまざまな整備方式を工夫して、関係機関と連携して無電柱化を推進してまいりたいと考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 私の地元の川崎市、一五%しかないんですね。非常に少ない数字だと思います。防災の観点からも重要というのはそのとおりだと思いますので、ぜひお願いします。

 今まではハードの話をしてきました。やはり防災の対策は、ハードも重要でありますが、ソフトも非常に重要です。

 最後に大臣に、ソフトのあり方について伺いたいと思いますけれども、先日の参考人、大西参考人の意見聴取において、南海トラフの地震について、住民の単位を細分化し、そして圧倒的なボリュームのコミュニケーションをとることによって防災力の向上を図っているというような趣旨のことをおっしゃっておりました。

 これ自身を首都直下地震に完全に応用することというのは、ほぼ不可能だとは思いますけれども、でも、住民がコミュニケーションを密にとることによってこういった防災力を向上していくということは、非常に重要なことではなかろうかというふうに思います。

 こういった観点について、大臣、ぜひ御所見をいただければというふうに思います。

古屋国務大臣 では、簡単に答弁させていただきます。

 大西町長の話も、私はよく承っております。ただ、ああいう地方都市と首都圏では、直接当てはまらないかもしれませんけれども、考え方は同じだと思いますね。やはり自助、共助、しっかりソフトの充実をさせていく。

 災対法も改正をして、例えば七条では、防災訓練とか生活必需物資の備蓄等を住民の責務として規定をいたしておりますし、またそのほかにも、教育あるいは伝承の実施を推進していく。やはりこういうことをきめ細かく各セクターが取り組んでいく、これが何よりも大切だと思います。結果として、それによって防災対策の万全を期していきたいというふうに思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 実行こそ大事だということで、私も心がけてまいりたいと思います。

 終わります。

坂本委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党の小宮山でございます。

 本日は、首都直下地震対策特別措置法案に関しましての質疑をさせていただきますが、その前に、まず、台風によって、フィリピンでの大きな災害で多くの人命が失われたこと、また、今もまだ実態の把握ができていないということで、心からお悔やみと、そしてお見舞いを申し上げたいと思います。これに対しては、東日本大震災やさまざまなときに、私ども日本も支援をいただきました、その経験を生かして支援するべきものであるというふうに考えております。

 さて、本日、議員立法で出されております首都直下地震対策特別措置法案に関しまして、質疑をさせていただきます。

 閣法であれば、さまざまな審議会など、公においての資料等がしっかり残されるということもありますが、議員立法の場合は、先般、私どもの鈴木幹事長の質問に対しては、六十四回の会議を重ねていらっしゃった、延べ二千四百人ですか、大変多くの議員が、重ねているということであります。

 そうはいっても、これは与党での、正確には自民党及び公明党になるのかな、途中からかもしれませんが、そういった意味においては、正直申し上げまして、行政の資料というわけではございませんので、その点に関しまして、どういった審議がなされたのか、またどういった理念でつくられたのか、どんな議論があったのかということは、なかなか調べるのが難しいところもございます。そういう点におきまして、この理念等に感じることを中心に伺わせていただきたいと思っております。

 平成二十四年三月七日に、中央防災会議防災対策推進検討会議にて設置が決まった、首都直下地震対策検討ワーキンググループで、首都直下地震における被災想定について検討が進められております。先日も、年内に新しい被災想定が示せるように進めているという答弁をこの委員会におきましていただきました。

 首都直下地震緊急対策区域の指定のために意見を聞いたりするのは、新たな被災想定が示された後に行われることとなるのか。あるいは、現在ある、平成十七年に出された被災想定のもとでも、区域の指定の手続に入ることを優先するべきと考えるのか。

 新たな被災想定は年内にも出されるという答弁をいただいておりますが、これまでも少々おくれているような感もございます。また、出てから指定をするということになりますと、またさらにおくれてくる。先週の参考人質疑におきましても、必ず来るんだという御意見も参考人からいただいております。そういう意味においては、早急に指定をするべきというふうにも考えます。

 このタイムラグなど、そういったものに関して、法案提出者はどのようにすべきだと考えていらっしゃるのかお聞かせください。

福井議員 今、被害想定とそのタイミングについて、小宮山先生から御質問を賜りました。

 まさに、想定外をなくさなければならないというのが、あの東日本大震災の教訓でありました。しかし、想定すれば想定外が生まれるという論理学的なパラドックスとの闘いでもございますけれども、大事なことは、今まさに先生がおっしゃいましたような、最新の科学的知見に裏打ちされた新たな被害想定を基にして首都直下地震緊急対策区域の指定をしなければならないというふうに考えております。

 したがいまして、今政府で検討中でございます、この検討をできるだけ速やかにまとめていただくということが大事かと存じます。一日も早くこの法律を成立させて、まさにこの法律の成立が政府を督促させるということになると思いますので、ぜひ御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

小宮山委員 続きまして、地方緊急対策実施計画における国の関係都県への援助について質問したいと思います。

 これは議員立法に対する質問ということで、通常ですとさまざま話をして決めるところでありますが、ペーパーの提出という形であったので、ちょっと順番を変えて、国交省への質問を聞いてから、最後に質問させていただきたいと思います。

 住宅リフォーム助成制度は、秋田県など先行の成功事例もあり、全国の自治体に少しずつではありますが、取り入れられている。本年四月三十日時点で、六県、五百五十六自治体、予定も含んでおりますけれども、全建総連の調べでわかっております。

 比較的小さな予算であっても、地域の中小事業者の仕事の確保や地域経済の活性化、地域内の経済循環創出につながっていて、各自治体の住民にも高い評価が得られています。また、昨今においては、耐震化であったり、さまざまなことが捉えられておりますので、この制度というのは、大変高い評価を得ているという意味においても進めるべきものだというふうに考えております。

 各地に見られる住宅リフォーム助成制度をどのように国交省は評価しているのか、導入しない自治体に対しての情報提供はどのような取り組みが行われているのか、お聞かせいただければと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体によります住宅リフォームへの助成という形の支援制度でございますけれども、委員御指摘の全建総連の調査は、特定の政策目的ということではなくて、もう少し身近な、リフォーム全般を対象にするようなものだと思います。

 そういうものと加えて、耐震化、バリアフリー化、省エネルギー化、こういった政策目的を有するリフォーム、こういった支援制度、合計の数字でございますけれども、私どもの調査によれば、今年度、都道府県では全都道府県、それから市町村では千六百十市区町村において何らかの支援が実施されているということでございます。

 公共団体が、一部国の補助のものも多く含まれるわけでございますけれども、独自または国の補助を得てこういうリフォーム支援をされることは、既存住宅ストックの質の向上、それから地元の工務店の活性化、こういうことにも通じます。非常に意義が深いというふうに思っております。

 国土交通省では、この調査結果を発表し、またホームページで一般の方にもお知らせする、それから公共団体には会議等を通じて情報共有する、こんなことを通じて、情報収集それから情報提供に努めてまいりたいというふうに思っております。

小宮山委員 先週の参考人の提言の中に、やはり首都圏、木造住宅の密集地への対策というのが急務ではないか、特に下町においては、町並みという意味では大変独特の雰囲気を出していて、それは観光資源には資するかと思いますが、その反面、大変燃えやすく、また消防車等が入りづらいという意味で、防災という立場においてはここをやはり手当てしていくことというのは大変喫緊の課題であるというふうに、その点も含めて伺わせていただいたところであります。

 首都直下地震被害の発生を防止し、または軽減するための住宅その他の建築物等の防災対策に関するものとして、耐震化や不燃化、住居内における安全の確保のための住宅リフォームに対して、住宅リフォーム助成制度を地方自治体が導入する場合に、国からの財政支援を求めるということも可能かと考えるんですけれども、その点も改めてお聞かせいただいた上で、法案提出者の方には、国でも同様な助成制度を設けてほしい、あるいは各自治体でのさらなる取り組みを支援する予算措置をしてほしいなどの要望が根強いところだと思っております。

 税金の軽減となる住宅ローン減税と若干事情が異なり、個人の資産である住宅に直接支援することになることもあり、実現に向けてはなお一層努力も必要かと思いますが、法の二十二条、都道府県への援助として、財政上等の支援についても努めるものと解してよいのか、提案者の意図を確認させていただきたいと思います。

高木(陽)議員 まず、地方緊急対策実施計画においては、首都直下地震に係る被害の発生を防止し、または軽減するための住宅その他の建築物等に係る地震防災対策に関しまして、建築物の耐震化や不燃化、住居内における安全の確保に関する事項について定めることができることとしております。

 また、御指摘のように、第二十二条に基づいて、国が、関係都県に対し、当該計画の円滑かつ確実な実施に関し必要な情報の提供、助言その他の援助を行うよう努めることとしておりますので、具体的にいかなる援助を行うかについては、この法律の趣旨を踏まえて、政府において適切に判断されるものと考えております。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現状の取り組みについて御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、密集市街地の整備は、先ほどもお答え申し上げましたように、社会資本整備総合交付金等で支援をしているところでございます。

 また、先ほどお答えしたリフォームの助成に含まれるんですけれども、住宅の耐震改修に対しましても、同じく社会資本整備総合交付金等で支援をしているところでございます。

 あわせまして、耐震改修にあわせて防火改修を行う、こういった場合に、その費用についても助成をしているところでございます。

 一般論でございますけれども、国の制度でこういう個人の資産に補助をするということになりますと、一定の政策目的というのが必要になってこようかと思います。そういう意味で、今補助対象にしていますものは、耐震でありますとかバリアフリー、こういうものに限ってございまして、先ほど全建総連の調査にあったようなものは直接の対象にはなっておりません。

 ただ、交付金制度の中で効果促進事業というのがございまして、一定の枠はございますけれども、これを御活用してリフォーム支援をやっていただいている、こういうケースもございます。

 こういうことが可能だというふうに周知をしっかりしてまいりたいというふうに思います。

小宮山委員 今、法案提案者の方からは、政府において適切にしていただきたいということがありましたけれども、ぜひ国交省におきましては、検討も含めまして、積極的に支援していただきたいというふうに思います。

 さて、震災以外のリスクに対する首都中枢機能維持についてお伺いをしていきたいと思います。

 この法案は、第一条に、「首都直下地震が発生した場合において首都中枢機能の維持を図るとともに、首都直下地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、」と示されております。首都直下地震に対しての防災対策の推進を図ることを目的としているわけですが、首都中枢機能の維持はいかなる場合にも図られるものであり、そのリスクとして首都直下地震が極めて大きく、優先度の高いものであることは間違いないと考えております。

 しかし、首都直下地震以外のリスクもあるんだと思います。テロや安全保障上の危機、航空機事故、大規模水害、津波、隕石落下、台風、最近は竜巻など、さまざまなリスクに対しても首都中枢機能は維持されなければならないんだと思います。

 特に、私、初めて県会議員になった年に、阪神・淡路大震災、また地下鉄サリン事件がございました。本当にそういったことで霞ケ関の駅も大変な犠牲者を払ったわけであります。

 近年たびたび発生しているゲリラ豪雨などと呼ばれている集中豪雨においても、京都や福岡の地下街、また東京都内におきましても雨水が流れ込むなどの被害が生じ、交通網が寸断されるような、とまるようなことも起きております。

 今回の法案では、首都直下地震に係る地震防災対策と明示していることから、地震以外の要因に対しての備えを行うことは直接の目的にはならないと考えてもおりますが、首都直下地震対策特別措置法に一定量含まれる、さまざまなリスクに対する首都中枢機能維持対策特別措置法案のように、法案を先に本来制定した方がよかったのではないかと、法案を読みながら、さまざまなデータを読みながら感じたところでもあります。

 そのような、首都中枢機能をしっかり維持するというところに特化した法案をつくろうという議論はあったのか、そのあたりをぜひお聞かせいただければと思います。

福井議員 今先生御指摘の、首都中枢機能維持に着目したその対策のための特別措置法という御提案は、極めて傾聴に値すると思います。

 しかし、今回のこの首都直下地震対策特別措置法は、大きな地震があって、前後はあるけれども、十年以内に必ず首都直下地震が来る、大きな津波が来るということを前提に、もう一日も早くこの法律を出さなければならないということで、前国会で提案をさせていただきました。そのときはまだ二〇二〇が決まる前でございました。それでも出さなければならない、政府が前に出てこの対策に当たらなければならないというのが、この法律の思いでございます。

 もちろん、テロ、大規模水害、ゲリラ豪雨、台風、風速につきましても大きなリスクがございます。そのような、首都圏の大規模水害を初め、さまざまなリスクに対する首都中枢機能維持につきましては国家的な課題であります。今先生御指摘のとおり。なので、政府・与党一体となってその対策を進めてまいりたいと存じております。

小宮山委員 政府・与党という内輪ではなく、これに関しましては、恐らく、負託を受けさせていただいている国会議員全てが考えるべき問題かと思いますので、クローズドではなく、しっかりと議論をしていただきたいというふうに思っております。

 さて、八日の委員会におきまして南海トラフ地震対策特別措置法案の審議が行われ、提案者を代表して二階先生から、建設業界へのばらまきではないかというような批判は度が過ぎていて憤慨にたえない、無駄な事業をやりたいなどという政治家はいない、いいかげんなものが紛れ込んでくることはあり得ないと明言をいただいたところであります。

 東日本大震災からの復興事業でも不適切なものとして見直された事業も、無駄な事業とかいいかげんなものということではなく、震災復興という目的に照らしてみれば、目的から外れた事業であったり、優先度に疑問が生じるものが見受けられるなどありました。なぜ、このような事業が震災復興の予算で行われているんだろうと多くの方が思いを共有したのも確かであります。

 また、二階先生は特に、長年この問題に大変熱心に取り組んでいらっしゃると私自身認識しておりますけれども、例えば二〇〇二年の小泉首相のときには、公共事業受注企業の規制の検討などはされましたけれども、自民党の政治資金団体であります国民政治協会に対して、日建連に三億円の目標で資金集めを依頼していたり、また先般も、建設業のみに依頼しているのではないとは言いますけれども、自民党の方からは四億七千百万円の依頼というような文書が出回ったりということが話題になりました。

 やはりこういったところから、これらの法案がそういった建設やさまざまなところにつながるものですから、どうしてもいまだに懸念は拭えないんだというふうに思います。あり得ないと私も言い切らせていただきたいところではありますけれども、また、過去のさまざまな中において、最初はそうかもしれないけれども、いずれ、ひとり立ちをしてあり得るというときも多々見受けられることもあります。本法案に対して、計画される事業についてやはり同様な懸念は持っておく必要があるかと思いますが、ぜひ、ここは二階先生に改めてお聞かせいただきたいと思います。

二階議員 お答えを申し上げます。

 私は、この前に答弁をさせていただいたことと気持ちは全く変わっておりません。というのは、あのような大災害を受けて、これに対してどう対応するかということは本当に神に誓ってでも真剣な対応がなされなくてはならないわけで、そのときに便乗して何かをするというようなことは全く許されないことであって、これは関係省庁においてもそういうことに対して十分な対応をしていくものと確信しております。同時に、今大臣はちょっと席をお立ちになっておりますが、担当大臣もこの問題に対しての対応ということはしっかりやってくれるものと思っております。

 首都直下地震対策の推進に当たっては、法律第四条に規定する緊急対策推進基本計画において首都直下地震対策の基本的な方針を明らかにし、その計画に基づいて、国、地方公共団体において円滑な、しかも迅速な施策が進められていくことが重要であります。

 特に、災害に対して、いかなる災害であっても命だけはしっかり守っていかなきゃいけない、国家や社会の重要な機能、これに損傷、致命傷を与えてはならない、ハード、ソフト一体になった対策により、できるだけ被害の総額を減らしていく、被災に対しても速やかな復興をするというふうなことが、私ども国土強靱化の基本的な考えであります。

 当然優先順位をつけて、無駄なことはやらない、やらせない、これはしっかりしていきたいと思いますし、不要不急の事業を行うというようなことは、地方においても知事、県議会、市町村、災害に対して御協力をいただかなきゃいけない諸機関がありますが、私は、いずれもそれらの人たちは無駄をしようとか、何かこの際に便乗して適当なことをやろうとかという人はいないというふうに、これはもう断言していいと思います。それらに対しては、何かがあった場合には特別厳しく処罰をしていくというふうなことは当然考えていくべきだと思います。

 いずれにしても、この首都直下の問題に対しては、私は、東京都及び周辺の関係県、そして知事を初め東京都議会あるいは区長会、そうした方々の真剣な協力がなくてはならないわけでありまして、時によっては米軍のトモダチ作戦にも御協力を願うなどして、万全を期していきたい。

 ですから、建設業に何か仕事を与えてどうかするとかという、何か特別の考えを持って、ねじ曲げて考えているような気がしてならぬわけでありますが、そうしたことの懸念のないように、私どももやってまいりますが、これは御出席の議員各位の御協力を特にお願いしておきたいと思います。

 以上。

小宮山委員 無駄はない、またそれぞれは必要だと考えて恐らく提案するんだと思いますし、その中において、今提案者の二階先生がおっしゃっておりましたとおり、しっかりと与党におきまして目を光らせていただきたい。特に、各省庁、自民党政権に戻ってからは、大変な陳情合戦が繰り広げられているといううわさも入ってまいります。

 そういう意味において、やはりよこしまな思いと勘ぐられないように、しっかりと二階先生ににらみをきかせて頑張っていただきたいと思います。

 その上で、私どもも、首都直下という問題は真摯に受けとめ、そして中枢機能におきましても、国会がきちんとやはり責任を持って日本を守る、その思いは一緒にして働いていかなければならないということを伝えさせていただきたいと思います。

坂本委員長 では、時間も来ていますので、簡単にお願いします。

二階議員 このことに関しては、各党、各議員の皆さん、思いは同じだと思うんです。神戸の震災の話をされましたが、私どもも、神戸の震災の日、その日に現地に赴いて、以後、本部を立ち上げて対策をやってまいりました。悲惨なものでありました。

 こういうことに対しての対応ですから、建設業者に何か仕事を与えるようにしようとか、建設業者の協力なくしては実行できませんよ。薬屋さんや八百屋さんをいっぱい呼んできても、瓦れきを片づけることにすぐ大きな役に立ちませんよ。

 だから、建設業者だけを特にやり玉に上げて御批判をいただくことは、私は建設業者でもありませんが、本当に失礼だと思うんです。彼らに対しても、もっと御協力をいただいていることに感謝すべきだ、こんなふうに思っています。

 以上。

小宮山委員 ありがとうございます。

 最後です。私が先ほど指摘したのは、建設業者に仕事をやろうというのではなく、建設業者から献金をもらおうとしたことを取り上げさせていただいただけでございますので、その辺、ちょっと訂正させていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

    ―――――――――――――

坂本委員長 この際、お諮りいたします。

 第百八十三回国会、二階俊博君外十六名提出、首都直下地震対策特別措置法案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

坂本委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、首都直下地震対策特別措置法案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、福井照君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び生活の党の六派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの首都直下地震対策特別措置法案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。山之内毅君。

山之内委員 提出者を代表いたしまして、本起草案の趣旨及び内容について御説明を申し上げます。

 首都圏においては、歴史上、関東大震災級の地震が発生以来、八十年ほどを経過すると、マグニチュード七クラス、まさに阪神・淡路大震災と同じクラスの直下型地震が何回か発生するという歴史を繰り返してきました。本年は、大正十二年に発生した関東大震災から九十年目に当たります。首都直下地震は、好まぬことではありますが、きょうこれから起きても不思議ではありません。

 戦後の我が国は、大きな地震を経験することもないまま、高度経済成長を背景に、さまざまなインフラ、高層建築、臨海部のコンビナート、高度情報ネットワークなどを首都圏につくり上げてきました。これらが大きな災害に見舞われたらどうなるか。その対策はまさに喫緊の課題であります。帰宅困難者等の安全確保を図るための措置、木造密集地域対策も大きな課題となっています。

 首都直下地震は、大規模な災害であるというだけでなく、我が国の政治、行政、経済等の中枢機能をいかに維持するかということが重要であります。首都中枢機能の維持を図るために必要なライフライン等の基盤の整備や管理を適切に行うなどの措置を講ずる必要があります。

 次に、本起草案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、内閣総理大臣は、首都直下地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、緊急に地震防災対策を推進する必要がある区域を、首都直下地震緊急対策区域として指定するものとしております。

 政府は、首都直下地震緊急対策区域の指定があったときは、首都中枢機能の維持に関する事項、首都中枢機能維持基盤整備等地区の指定に関する事項等を定める緊急対策推進基本計画を定めなければならないこととしております。

 第二に、政府は、緊急対策推進基本計画を基本として、政府及び各行政機関の業務の継続に関する事項、行政中枢機能の一時的代替に関する事項等について定める緊急対策実施計画を定めなければならないこととしております。

 第三に、内閣総理大臣は、緊急対策区域のうち、首都中枢機能の維持を図るために必要な基盤の整備及び滞在者等の安全確保施設等の整備等を緊急に行う必要がある地区を首都中枢機能維持基盤整備等地区として指定するものとしております。

 基盤整備等地区の指定があったときは、関係地方公共団体は、共同して、首都中枢機能の維持を図るために必要な事項及び滞在者の安全の確保を図るために必要な事項について定める基盤整備等計画を作成し、内閣総理大臣の認定を申請することができることとし、認定を受けた基盤整備等計画に係る特別の措置として、開発許可の特例、道路の占用の許可基準の特例等を定めております。

 第四に、関係都県の知事は、緊急対策推進基本計画を基本として、石油コンビナート等の改築、補強、木造密集地域対策、帰宅困難者対策等について定める地方緊急対策実施計画を作成することができることとするとともに、住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織のうち、被害軽減を図る上で効果的な活動を行うと認められるものを、住民防災組織として認定することができることとしています。

 第五に、特定地方公共団体は、単独でまたは共同して、特定緊急対策事業推進計画を作成し、内閣総理大臣の認定を申請することができることとし、認定を受けた特定緊急対策事業推進計画に基づく事業に対する特別の措置として、建築基準法上の用途制限の緩和等について定めております。

 そのほか、地震観測施設等の整備、総合的な防災訓練の実施、広域的な連携協力体制の構築、財政上の措置等の規定を設けることとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 首都直下地震対策特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 お諮りいたします。

 首都直下地震対策特別措置法案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂本委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十八分散会


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