衆議院

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第8号 平成25年11月19日(火曜日)

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平成二十五年十一月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 坂本 剛二君

   理事 うえの賢一郎君 理事 北村 茂男君

   理事 原田 憲治君 理事 福井  照君

   理事 盛山 正仁君 理事 三日月大造君

   理事 山之内 毅君 理事 石田 祝稔君

      井林 辰憲君    井上 貴博君

      伊東 良孝君    石川 昭政君

      泉原 保二君    大島 理森君

      大見  正君    神山 佐市君

      木内  均君    北村 誠吾君

      工藤 彰三君    笹川 博義君

      清水 誠一君    白須賀貴樹君

      高木 宏壽君    竹下  亘君

      長島 忠美君    林  幹雄君

      藤丸  敏君    松野 博一君

      務台 俊介君    湯川 一行君

      吉川  赳君    黄川田 徹君

      寺島 義幸君    中川 正春君

      吉田  泉君    今井 雅人君

      宮沢 隆仁君    濱村  進君

      樋口 尚也君    佐藤 正夫君

      高橋千鶴子君    小宮山泰子君

      畑  浩治君

    …………………………………

   議員           金田 勝年君

   議員           小林 鷹之君

   議員           土屋 正忠君

   議員           二階 俊博君

   議員           林  幹雄君

   議員           福井  照君

   議員           務台 俊介君

   議員           中川 正春君

   議員           三日月大造君

   議員           吉田  泉君

   議員           高木 陽介君

   国務大臣

   (国土強靱化担当)    古屋 圭司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           藤井  健君

   衆議院調査局第三特別調査室長           清水  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十九日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     石川 昭政君

  清水 誠一君     高木 宏壽君

  長島 忠美君     大島 理森君

  松野 博一君     白須賀貴樹君

  小宮山泰子君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     神山 佐市君

  大島 理森君     長島 忠美君

  白須賀貴樹君     松野 博一君

  高木 宏壽君     清水 誠一君

  畑  浩治君     小宮山泰子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防災・減災等に資する国土強靱化基本法案(二階俊博君外十一名提出、第百八十三回国会衆法第一八号)

 国民生活強靱化のための防災・減災対策基本法案(中川正春君外四名提出、衆法第九号)


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 第百八十三回国会、二階俊博君外十一名提出、防災・減災等に資する国土強靱化基本法案及び中川正春君外四名提出、国民生活強靱化のための防災・減災対策基本法案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 第百八十三回国会、二階俊博君外十一名提出、防災・減災等に資する国土強靱化基本法案につきましては、第百八十三回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 防災・減災等に資する国土強靱化基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂本委員長 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房審議官藤井健君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島理森君。

大島(理)委員 二年がかりでつくられた法案が、いよいよ審議入りいたします。改めて提出者の皆様方に敬意を表したいと思います。

 平成二十三年三月十一日十四時四十六分、諸先生方におかれましては忘れもせぬ、二年九カ月前の大災害でございました。ちょうど私は、当時、野党の副総裁として、奈良県に向かわなければならず、新幹線に乗りましたら、静岡で新幹線がとまりました。

 マグニチュード九・〇、災害救助法を適用された県が十都県、適用市町村が二百四十一、死者一万五千八百八十三名、行方不明者二千六百七十六名、住宅の全壊が十二万六千四百十九、さらに原発事故、被害総額十六兆九千億。この数字、我々は忘れてはならないことだ、こう思います。

 いまだ二十八万の方々が我が家に戻ることができないでいるという現状もまた、与野党を乗り越えて、絶対に忘れてはならぬ現実であることも申し上げておきたいと思います。

 この二年間に大きな災害がたびたび起こりました。近々におきましては伊豆大島、国際的に見て、フィリピンのあのレイテの大災害。

 この大災害の危機に、私は四段階あるんだろうなと今考えております。まず、応急措置。ここに黄川田さんもおられますが、我々、野党として、全力を尽くしました。特に、提出者の代表である二階さんと経団連に乗り込み、各県に直接パイプをつくり、そして、救援物資を送ったり、我が党の青年部の諸君、青年局の諸君がみずから運転して現地に入ったり、さまざまな災害対応を経験したことを踏まえて全力を尽くしました。応急、復旧、復興、そして希望だろうと私は思います。

 もう一つ、我々がこの大災害を今思いながら、忘れてならぬのは、その教訓から何を学ぶかということだと思うんです。そして、学んだ上でどう政策として対応するか、このことだろうとずっと思ってまいりました。

 もういろいろなことは申し上げませんし、このごろは英語もたくさん出ておりますが、要するに、安全な国をつくることだ、当時そう思いました。

 したがって、我が党は野党でございましたが、応急、復旧、復興、希望に我が党としても全力を尽くすけれども、と同時に、あの教訓から学び、安全な国をつくる、このためにぜひこの問題に党を挙げて取り組んで、そしてどういう政策体系をつくれるか。

 今も明確に覚えておりますが、平成二十三年の十月の十四日に、提出者の代表である二階先生に私の副総裁室においでをいただき、当時、政調会長は今の経産大臣の茂木さんです。ぜひ、二階先生、あなたは今次まで、災害、そして津波に対する議員立法、とりわけ和歌山のさまざまな大災害、こういう経験をされ、第一人者として国土強靱化基本問題調査会を立ち上げて政策をつくってくれませんかと本当にお願いを申し上げました。

 まだ六カ月か七カ月たっていないからこそ今のうちにやっていただきたいと、大変申しわけないお願いでございましたが、数々の大臣の経験あるいはさまざまな政治経歴を持っている二階さんだからやっていただけませんか、そういうことをお願いして、二年間、我が党の中で七十一回以上の勉強会、現地視察、公明党さんとの協議、その結果、南海トラフに対する基本法、正確な名前は長いので失礼させていただきます、そして首都直下の地震対策法、そして、いよいよこれから御議論いただく防災・減災に資する国土強靱化基本法、ここまで来られたこの二年間の御努力に、提出者の皆さん、また公明党の皆さん、先ほど民主党の中川提出者にもお話ししたら、そんなに違わない法案だ、こう言っていますから、民主党の皆さんにも敬意を表したいとは思います。

 この二年間の中で、この問題に関するさまざまな報道等もあります。ちょっと誤解しているんじゃないだろうかという思いの報道もあったりしますが、提出者の皆様方は私と同じ思いでこの二年間本当に努力をされてきた。その信念あるいは情熱を駆り立てるものは一体何だろうかということを、改めて、この基本法の本旨を国民の皆さんに理解していただくためにも、ぜひお答えいただき、そして御理解いただく努力をしていただきたい、このように思うんです。

 特に、提出者の代表である二階先生には、二年間の御苦労を踏まえて、信念あるいはまた思いをお答えいただきたいと思います。

二階議員 ただいま、大島先生みずからの、東北地方の大災害をお受けになり、その後、復興に向けて大変な御苦労をいただいておる、そのお立場から切々としたお話がございました。

 私は、個人的なことを申し上げて恐縮ですが、昭和五十八年でしたか、大島代議士と同じように初当選をさせていただいて、あと一カ月すれば三十年を迎えるわけでございますが、きょう大島代議士からこんな場で御質問をいただくということはほとんど考えておりませんでしたので、大変奇遇だということでありますが、重要な御質問を頂戴しました。

 その前に、今、御本人からもお話がありましたとおり、二年数カ月前に、国土強靱化というテーマで自民党は次なる選挙を戦う、そのことも含めて、これに対する政策的な肉づけをやってくれないか、こういうお話でございました。

 よくちまたでも議論をいただきましたが、国土強靱化、これはなかなか難しい字を書きますし、読み方も難しい。私は、選挙のテーマにするのにそんなことでいいんだろうか、こういう思いが即座に走りましたが、せっかくの党の幹部からのお話でございますから、私はいろいろな方々に、強靱化というのをどう思うかという意見を随分聞きました。

 三日たって返事すると言ってあったものですから、三日間の間に随分お尋ねしましたが、ほとんどの皆さんは、難し過ぎる、こう言われるわけであります。余りみんながそう言うものですから、それなら、これから時間をかけて一生懸命勉強して、国民の皆さんにも機会あるごとに訴えて、国土の強靱化を理解していただく努力をすべきだ、そう考えて、我々は、きょうまで七十回を超える勉強会、有識者の皆さん、一々ここで名前を申し上げるわけにもまいりませんが、我が国の、それぞれのお立場での第一人者と思われるような方々に党本部においでをいただきました。

 当時は我々は野党でございましたから、お立場上、随分神経を使うといいますか、気になさる方々もおられたのではないかと思いますが、お願いしました全員の方々が快く了承して、この国土の強靱化についてそれぞれのお立場から所見を述べていただきました。

 これらは三冊の本にして出版をさせていただいております。その心は、広く多くの皆さんに問題を理解していただく、そして御意見を頂戴したい。しかも、私たちの勉強会はフルオープンで、マスコミの皆さんにもどうぞお越しください、一般からも御参加を希望される人はどうぞおいでください。そして、その三冊の本の中で、もう二冊は出版記念会を開かせていただいて、千人近い人たちにそれぞれお越しを願っております。来月、私たちは三冊目の本の出版会をやらせていただきます。それは、しっかり御意見を頂戴し、一人でも多くの皆さんの建設的な御意見を期待するがゆえであります。

 今、それぞれの災害について、大島議員からお話がありましたが、私も紀伊半島の生まれでございますから、災害常襲地帯であります。災害だ、台風だとテレビをひねれば、私たちの選挙区のそれぞれの地域がしょっちゅう映像に出てまいります。すぐ飛んで帰らなきゃいけないか。しかし、私一人が飛んで帰ったってどうにもなるものではありません。災害に対する備えというのは常日ごろが大事だということをしみじみと思っております。

 そんな私たちの生まれ故郷の状態でありますが、私たちの紀伊半島だけではなくて、日本全国、ありとあらゆる地域が災害に常に襲われておるわけであります。

 私は、神戸のあの大震災のときには、当時野党でありましたが、いわゆる明日の内閣的な存在で、私が災害の担当でありました。朝、大阪で実際の阪神・淡路地震に、ホテルの十二階でございましたので、かなりの揺れでありましたし、周りの植木鉢なんかがごろごろと転げ回るようなそういう状態。そこからまずは東京へと思いましたが、東京へ出るのにも大変でした。

 しかし、東京に着くなり、私たちのグループは、当時、海部元総理をトップにする、我々のいわゆる明日の内閣でありますが、皆さんが、私の到着を待ちかねたようにして、直ちに現地に行ってもらいたい。私はまた民間機で、たしか岡山に飛んで、岡山でヘリコプターをチャーターしておいて対応した、そういう記憶があります。

 大変な惨事、惨状を当日目の当たりにして、燃え盛る神戸の市街地を目にして、大変な災害だということで、党の幹部ともいろいろそこで打ち合わせをし、その日のうちに私は東京へ帰ってまいりまして、当時国土庁という役所に参りまして、いろいろ意見交換をしたのを覚えております。

 また、私はここで、関係者の皆さんの御努力があったればこそでありますが、そうした意味で、感謝を込めて一言申し上げておきたいことは、北海道の有珠山の爆発であります。

 私は当時、北海道開発庁長官と運輸大臣を命ぜられておりましたが、その中で、災害についての気象庁長官等の報告を日々刻々と伺っておりますと、我々素人にとっても、これは来るな、この災害は必ずやってくる、こういう確信のもとに対策を講じ、私は、噴火の二日前に一万八千人の方々に避難していただくことをお願いしました。

 しかし、もし災害が来なかった場合にはどうするか。これは、役人の責任でもない、学者の責任でもない、やはり政治の責任だ。よって、私は、直ちに現地に伺って関係者の皆さんにおわびを申し上げ、また、そのときに応じた対応をしていきたい、こういう覚悟を決めて、二日前に避難をお願いしました。

 そうしましたら、おかげさまで、私は、ちょうど私の所属する党内の事情もありましたから、やがて大臣をやめるかもしれない、こう思いましたので、最後の指示だけはしておかなきゃいけないと思って現地に伺うときに、有珠山の上空にヘリコプターで参りましたら、その瞬間に爆発したのであります。随分先輩から、あんなむちゃなことをするべきではないと。むちゃでも何でもないんです。見に行ったところ、この爆発に遭遇するというような状況でした。

 しかし、取って返して、官邸からの連絡によって、これから緊急の会議が開かれる。予測しておったことではありますが、私は当時、政務次官の方に、あなたは残って、閣議にも出席して状況の説明もしてもらいたいし、そんな話をしてから私は出たわけでありますが、この北海道の有珠山の問題等を思い起こすたびに、やはり事前の対応が大事だと。

 誰が責任を持つかということ、これも大事なことです。責任のなすり合いでは問題の解決はできません。そういうことからしまして、災害の問題について、やはり我々としては、法律をつくって対応しなければ対応のしようがない。

 私は常に申し上げておるんですが、チリ津波のとき、誰も逃げないんです。逃げてくださいと、これに対しては法律をつくって対応することが大事だということであります。今回提出している法律は、これで決して十分とは言えません。しかし、第一歩を踏み出すことが大事ではないか。これを各党の先生方にお願い申し上げ、また、委員長以下皆さんが熱心に御議論をいただいておりますことに感謝を申し上げて、私の答弁といたします。

大島(理)委員 提出者を代表して、二階先生の情熱と思いと経験からくる志が大変わかりました。

 災害に対する対応、この法律は、私は生活の安全保障だと思います。生活とは生きる場、なりわい。安全、安心、つまり、緒方さんは人間の安全保障という大きな概念を示され、また、日ごろ我々は、国家の安全保障ということを言います。この法律は生活の安全保障なんだ。

 私は、民主党の皆さんもこのようにしっかりと対案を出されて、これから審議に入るわけですが、委員長初め理事の皆様方にお願いを申し上げたく、いまだ二十八万になんなんとする方々が現実に仮設住宅等に入っている事実を見たときに、改めて、生活の安全保障、こういう観点から、この国会でぜひ成立をしていただきたい。

 また、提出者ともどもによく協議をされて、今、二階提出者のお話しのことに誰もが賛成できると思います。その点を心からよろしくお願い申し上げ、また、次の質問者には、できれば今度は具体的に概要を御説明し、本来、私も質問項目には載っけておりましたが、終わりだという委員長の御下命でございますからここで終わりますけれども、改めて、レイテ島の被災地の皆様方にお見舞いと、そして心から哀悼の意を表し、私の質問を閉じさせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、樋口尚也君。

樋口委員 公明党の樋口尚也でございます。

 まず初めに、二階先生初め提出者の皆様方には、長年にわたり、今日までこの法案成立に向けて御尽力、また御奮闘いただきましたことに心から感謝を申し上げ、敬意を表したいと思います。

 また、今、大島先生から具体的に質問をという御指示でございましたので、私の方からは少し具体的に質問もさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず初めに、民主党さんの提出の案について質問をさせていただきます。

 民主党さんの法案提出に当たる説明の中には、国民生活強靱化対策を実施するために必要な財源不足等を踏まえ、財政規律維持の観点から、その重点化を図ることとあります。

 財源不足というふうにおっしゃる以上、民主党さんは強靱化対策を実現するために、そもそも必要な財源をどの程度と見込まれているのか、見積もっていらっしゃるのか、また、どれぐらい財源不足をしているというふうに認識をされているのか、お答えをいただきたいと思います。

吉田議員 御指摘のとおり、民主党の法案の中の基本方針の中で、財源不足という表現をとっております。「国民生活強靱化対策を実施するために必要な財源の不足等を踏まえ、財政規律の維持の観点から、その重点化を図ること。」こうしているわけでございます。

 これは、一般論として、あらゆる大規模自然災害から国民の生命を保護して、その生活を守ろうとすると、相当な規模の予算が必要になるという見込みがあるわけでございます。一方、現下の我が国の極めて厳しい財政状況に鑑みた場合に、十分な財源を確保することはなかなか困難であろうと考えられることから、基本方針にこれを盛り込んだということでございます。

 御指摘の具体的な財源不足の程度につきましては、今後、脆弱性評価を行って基本計画をつくるわけでございます、それによって明らかになってまいるというふうに考えております。

樋口委員 続いて、重ねて質問ですけれども、第九条第二項第三号には、国民生活強靱化に関する予算編成の方針を定める、こういうふうにありますけれども、民主党さんが考えていらっしゃる予算規模は一体どれぐらいなのか、お答えをいただきたいと思います。

吉田議員 予算規模についてのお尋ねでございます。

 ちょっと繰り返しになりますけれども、国民生活強靱化対策については、今後、脆弱性評価を行って、その結果を踏まえて基本計画を作成し、それによって、実施すべき対策の範囲、さらには内容が明確となるというふうに考えております。

 したがって、現時点でこの対策に係る予算規模の見込みをお示しすることは、今現在、数字は持っておりません。

樋口委員 国の債務が現在一千兆円を超える、こういうことでありますから、それは事実としてしっかり受けとめていかなければならないことはよく承知をしております、その上で今後具体的に議論をしていくという御答弁だと思います。

 次の質問ですが、民主党さんはかつて、行政刷新会議において、社会資本整備についても事業仕分けをし、例えばスーパー堤防など、事業廃止をされました。今回の法案と当時の仕分けとの関係について御説明ください。またあわせて、当時の仕分けの結果を今後どう取り扱っていかれるのか、お答えください。

三日月議員 樋口先生、ありがとうございます。

 国の脆弱性がどこにあるのかという評価をしながら、厳しい財政制約の中で、先ほど大島先生の御質疑の中にもありましたように、被害を教訓として捉え、対策を講じていく、政策をつくっていく、この必要性に与党、野党の別はないと思うんです。

 今御質問の、私たちが政権担当時に行った事業仕分けの結果というのは、当然、この脆弱性評価でありますとか評価に基づく対策に反映されるべきものだというふうに考えております。

 これは、政権再交代後も事業仕分けというものを新政権でも行われておりますし、仕分けだけではなくて事業評価、レビュー、さらには決算の審議、また会計検査院からの指摘、ありとあらゆるこれら行政に対する監視の項目を、これから行ってまいります対策には講じられてしかるべきだというふうに考えております。

樋口委員 次に、八条第二号に、内閣府と消防庁を中核とした新組織の設置というふうにありますけれども、この新組織に配置する人員は何名ぐらい予定されていらっしゃるのか。

 また、私は、総理のリーダーシップのもとで、役所や役人の方が、自主性や能力、これに応じて、これを信じてやるということが大事だというふうに思いますけれども、屋上屋を重ねることにはならないのかという点について御質問したいと思います。

中川(正)議員 このような形で、それこそ党派を超えて、防災というものに対してそれぞれが知恵を出し合って対策をつくっていくということ、特に防災についてはそのことが基本だというふうに思っていまして、どうぞよろしくお願いを申し上げたいというふうに思うんです。

 その上で、先ほどのお話ですけれども、これは、ちょうど発災時、災害が起こったときの危機対応と、それからそれに続く支援という体制に持っていくそのフェーズで、我々振り返って考えると、やはり大混乱があった。結局は、どこにニーズがあるか、どこで何が起こっているかという情報と、どこにその資源があるかということを、トリアージするとよく言われますが、優先順位をはかって、一貫したシステムとしてそれに対策を講じなければならないということ、これが発災時から支援フェーズについてのかなめだというふうに思うんです。

 そういう意味でいうと、今の体制というのは、発災時には、自衛隊、警察、それから消防、それぞれ個別に、個別の情報に基づいて動いていたということ。それを統括して誰が指揮するのだということについてはっきりしていないということ。

 それからもう一つは、本来は、内閣府がそれを束ねなければいけないんですけれども、私も内閣府に入って経験したんですが、情報としては全部二次情報なんです。では、それを統括して大臣が指揮できるかというと、結果として上がってくる情報はあるんですけれども、ここで何をしなければならないというところまでは恐らくいかないんだろうということ。

 こんなことをあわせて考えていくと、やはり日本も、日本なりの、アメリカのFEMAのような組織体系というものをとるべきなんじゃないか。

 そのときに、情報の手足としてあるのは、一番どこがふさわしいかというと、やはり消防なんだと思うんです。この消防組織を、それこそ、将来でいえば、防災庁みたいな形で、ぐっと範囲を広げて、企画立案もその中に含みながら、事前のトリアージができるような体制をつくっていく。それを、内閣府の機能とあわせて、統括化していくということ、これが必要な日本の組織改革ではないかというふうに思っております。

 そういう意味でこれを提起させていただきました。ぜひ法定化をいただきたいというふうに思います。

樋口委員 次に、国民生活強靱化対策の基本方針として、五点挙げていらっしゃいます。第七条四号には、大規模災害が発生した場合に、国家及び社会の諸機能の代替性の確保、こういう項目がありますけれども、国家及び社会の諸機能の代替性というのはどのようなものなのか。国の首都機能を別の場所につくるというものなのか、また、各地域で何らかのインフラを集約したようなものをつくるのか、具体的にどのようなことを念頭に置いて、どのような代替性を確保するということなのか、御説明をいただきたいと思います。

中川(正)議員 二つの内容を含んでいるというふうに思います。

 一つは、よく言われるBCPでありまして、これは、国家や行政機能だけということではなくて、それこそ民間の会社であるとか、あるいは民間組織自体が、事が起こったときに、その機能が維持できるような体制をふだんからつくっていくということ。これはもう始めているわけなんですけれども、なかなかそれが徹底していかないというか、あるいは具体性を持ったところまで、展開をしていくところまでいっていないということ。これはよく指摘をされることですけれども。

 それからもう一つは、国家ということから考えると、先ほどお話のありましたように、バックアップ機能というのをしっかり持っていかなきゃいけない。官邸が、事あったときには、例えば今の、内閣府の防災が入っている建物でということであるとか、あるいは、市谷の自衛隊の本部であるとか立川でとかと、いろいろ指定はあるんですけれども、私はこれは十分ではないんだろうというふうに思うんです。もっと大規模なものを想定しながら、これも法定化をしてしっかりとしたバックアップ機能をつくっていくということ、このことが必要だというふうに思っております。

樋口委員 ありがとうございました。

 続いて、自民党さんと公明党の案についてお伺いをしたいと思います。

 いわゆる風評被害についてお伺いをいたします。

 我が党の井上幹事長も、東日本大震災の復興について、風との戦い、すなわち風評被害との戦いの重要性についてよく言及をいたします。風評被害による国家経済そして被災地への甚大な影響をなくしていかなければなりません。

 今後起こり得る災害について、観光業を初めとするさまざまな産業が風評被害を受けた場合には、福島での原発事故同様に、国が前面に立って安全性を説明することが必要だというふうに考えます。現在の災害に関する諸制度の中には風評被害対策は規定をされておりません。

 そこで、提案がございます。

 まず、風評被害については、事前に被害の想定をすること、そして、災害が終息した後に、被災地の首長などの要請により国が安全性等を説明することのできる仕組みを導入することが必要ではないかと思います。こうした仕組みを制度化することで、迅速かつ適切に風評被害対策を実施できるというふうに考えますが、いかがでしょうか。

高木(陽)議員 大規模災害等に伴う経済活動における信用不安や消費活動における買い控えなどの風評被害の発生、これらは我が国の経済や被災地の迅速な復旧復興に甚大な影響を及ぼすおそれがあると私どもも認識しております。

 このため、風評被害対策として、正確かつ迅速な情報の収集、発信を行うことが重要であり、こうした対応が円滑に行えるよう事前に準備しておくことは国土強靱化の取り組みの一つであると考えております。

 なお、今政府が行っている、脆弱性の評価における四十五の起こってはならない事態の一つにも、風評被害等による国家経済への甚大な影響というものも含まれておりますので、今後、この問題をしっかりと捉えて対応していけるものと考えております。

樋口委員 ありがとうございます。

 次に、与党案には、国土強靱化に対する諸外国の理解を深めるよう政府に求める規定があります。すばらしいことだというふうに思っております。

 現在、福島における原発事故では、これまで世界が経験したことのない、汚染水問題が起きております。土木技術分野を中心とした世界の英知を結集することが急務で、IAEAなど原子力機関だけでなく、文字どおり世界じゅうからの知見や技術を得ることが必要であることは論をまちません。通常では役に立つと思えないような知見や技術がこの抜本対策の突破口となる可能性があるという指摘もあります。

 例えば、私も建設会社におりましたけれども、ダム建設における水脈についての経験や技術が汚染水対策に役に立つのではないか、こういう指摘も見られるところであります。

 原子力分野と無縁であった方々にまで幅広く知見、技術を求めるべきであり、例えば土木分野、この土木技術を中心にして、汚染水対策についてはオール・ジャパン体制で、また世界の英知を集める体制をつくれるような仕組みをすぐに構築するべきだと考えますが、いかがでしょうか。

高木(陽)議員 大規模災害による甚大な被害を受けた際には、国際貢献や国際協力を通じて国際社会からの円滑な支援を受けることは、緊急対応、迅速な復旧のために極めて重要と認識しております。

 また、東日本大震災の際にも、さまざまな国、国際機関等から、医療支援、緊急物資、義援金の給付を初めとする多くの支援をいただいたところで、特に、米国の国際協力によるトモダチ作戦においては、津波による被災者の捜索活動等に当たって、米軍から多くの支援をいただいてまいりました。

 そのほか、さまざまな知見というのもございますので、このような国際社会からの円滑な支援を受けるための事前準備は国土強靱化の重要なテーマの一つと考えておりまして、政府において積極的に取り組むべき課題と認識をしております。

樋口委員 ありがとうございます。

 以上のようなことにつきましても、やはり人材が必要でございます。

 内閣府の国土強靱化の担当者は現在十数名というふうに伺っておりますし、災害対策も百名弱というふうに伺っています。それで、今は建物も別々にありまして、強靱化の皆さんと災害対策の皆さん、ばらばらのところにいらっしゃる。今後統合されるというお話も承っておりますけれども、ぜひとも、事務局機能として、人員の拡大、そして体制の強化、この点についても政府にお願いをしてまいりたいというふうに思っております。

 最後に、二階先生にお伺いをいたします。

 今回、東日本大震災で津波被害に遭った三陸海岸には、今から百年以上前の明治二十九年の明治三陸地震などの津波による被害を伝える石碑が約二百基あることは有名なことであります。その石碑が注目される理由は、碑文に記された、ここより下に家を建てるなという警告と、それを遵守してきた市民の皆さんの防災文化であります。

 同様に、東日本大震災という未曽有の災害を経験した私たちは、今回の教訓を後世に伝える責任があります。この時代に生きる私たちは、百年後、五百年後に不幸にも再び大きな災害に見舞われたときに、今回の東日本大震災で被災された人たちのおかげで国土が守られたと言われるような具体的な足跡を残さなければなりません。これが国土強靱化だと私は思います。

 東日本大震災、そして迫りくる首都直下地震、また南海トラフ巨大地震。そして、ことしは、日本列島は台風、竜巻、洪水、土砂災害と、自然災害に多く見舞われてまいりました。

 今、私は、日本列島が自然災害に絶えずさらされるのは、地理的な要因から、避けては通れない、いわば日本の宿命だというふうに言っても過言ではないと思います。だからこそ、今こそこの宿命を使命に変える、使命として捉えるということにしていかなければなりません。宿命、すなわち日本に対する挑戦があるわけです。そして、私たちの世代に対する挑戦に雄々しく応戦をしていかなければなりません。この雄々しく応戦をすることが使命だというふうに考えております。

 世界屈指の自然災害大国の日本で、この日本の宿命を真っ正面から受けとめて、そして、その本質の意味に立ち返れば、いかなる日本の宿命も使命に変わっていく。そして、宿命と戦う日本の姿が世界各国の模範となり、かがみとなっていける、こういうふうに思います。それが国土強靱化の意味だというふうに思います。

 私は、日本の宿命を使命に変えるときに、この国土強靱化をするキーワードは、先ほど大島先生からも御指摘がありましたが、希望だというふうに思っております。二階先生の御著作の中で、先生は、政治は国民に希望を与えるものでなければならない、今日の政治の最大の役割は日本の国民の心に希望の灯をともすことにある、政治家はこの先頭に立たなければならないとおっしゃっていらっしゃいます。

 ぜひ、最後に、二階先生に、希望あふれる国土強靱化にするための御決意を承りたいと思います。

二階議員 ただいま、樋口先生から御提案を含めていろいろな御意見が述べられましたが、私も基本的にはいずれも大賛成であります。

 そこで、これは御承知のとおりでありますが、やはり、日ごろからの備えということが、災害に対する対応で一番大事なことだと思っておるのです。備えがあっても訓練をしておかなければ何にもならないことでありますし、一部の指導者の人たちの備えや認識だけではだめで、末端の、早く言えば子供たち、小学生や幼稚園の子供に至るまで、災害に対するとっさの判断、どういう行動をするかということは、大人とともに行動ができるようなことをやっておかなきゃいけない。

 このごろは、町内会でもそういう準備をそろそろ始められておるようでありますが、これを全国的にやはり広めていくことが大事で、これは、総務省等において、そうしたことがどこまでなされておるか、なされようとしているか、勉強してみる必要があると思うんです。

 そして、警察、消防、自衛隊、これらの皆さんの日ごろからの献身的な御苦労に対して、全ての国民はこのことに感謝をしているわけですが、感謝をしているだけではなくて、御一緒になって協力することは何ができるか、問いかけてみる必要があるのではないか。

 先ほど高木先生の御答弁にもありましたが、例の米軍のトモダチ作戦、私は、このトモダチ作戦なんかが有効に機能していただくためには、事前に、我々日本側の国民とそれぞれの地域、市町村に至るまで、トモダチ作戦との連携がどう図れるかということをみずからに尋ねてみる必要があると思うのであります。

 神戸の震災のときもそうでした。自衛隊が出動の準備をしているにもかかわらず、出動の要請がなかったとか依頼が遅かったとかというふうなことを言いわけしておりますが、その間にどれだけのとうとい命を失ったかという反省を私たちは忘れてはなりません。

 そうしたことから、国土強靱化については、一つや二つの政党がどうこう言うだけではなくて、全ての政党が協力し合える、そういう状況をつくっていくことが大事だと思っております。私たちは数多くの皆さんの御意見を拝聴したり、いろいろなPR作戦等を通じて御理解をいただく努力をしてまいりましたが、正直に申し上げてまだまだ道半ばであります。これからが出発だと思います。

 私は、各党みんなで協力し合って、ぜひ立派な国土強靱化対策を講じて、後世に、あの時代の人たちはあの時代の人たちでやれる精いっぱいのことをやってくれたなと評価されるようなことを考えていかなくてはならない。御協力を心からお願い申し上げるものであります。

樋口委員 ありがとうございました。

 終わります。

坂本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時四十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十六分開議

坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 与党案、防災・減災等に資する国土強靱化基本法案、それから民主党、国民生活強靱化のための防災・減災対策基本法案、これの相違点等についてただしていきたいと思います。

 まずもって、お互いに法案の名称が異なっております。特に、与党案では国土強靱化をうたっておるのに対して、民主党案では国民生活強靱化をうたっております。そしてまた、民主党案では前文を書き込んでおります。

 そこで、名は体をあらわすといいますので、それぞれの法案の基本理念を改めてお尋ねいたします。

二階議員 大規模災害等から人命や財産を守るということは、政治の最も重要な責務であると考えております。大規模災害等から人命を何としても守り抜き、さらに、行政、経済社会も致命的な損傷を負わないためには、狭い意味での防災の範囲を超えて、国土政策、産業政策をも含め総合的な対応を、いわば国家百年の大計の国づくりとして行っていくことが必要であると考えている次第であります。

 事前防災、減災の考え方をさらに進めて、強くてしなやかな国づくりを、府省庁横断的に、地方公共団体や民間とも連携をして、総合的かつ計画的に推進するために本法律案を提出したわけであります。

中川(正)議員 まず、この法案の名称なんですけれども、午前中の大島委員の質疑にもありましたように、基本的には、国土を含んだ国民生活、これをいかに安心感と安定した形でつくり上げていくかということ、これが防災の主眼でなければならないということがございまして、あえて、与党から出てきた国土というものを、私たちは、やはり国民生活を主軸にした強靱化の基本をつくっていかなければならないということ、これをまず名称として採用しました。

 その理念でありますが、先ほど御指摘がありましたように、前文の中でそれぞれ示されております。

 一つは、災害から国民を守って国を守るということは、これは政治の究極の責任であるということ。国難ともいうべき大規模災害を対象にしたものであること。それから、防災の主流化ということを通じて、可能な限りの備えを怠らないということ。特に、それぞれの政策の中に防災という観念を入れていくことによって主流化していく、今、国際的な潮流でもありますけれども、この理念を取り込みました。それから、災害発生時には、官民が連携して資源の大量かつ集中的な投資を思い切って行っていく、そういう体制がつくられなければならないということ。それから、被災を地域社会再興への希望に変えていくんだということ。また、防災ということが我が国の再生のフロンティアであって、かつ、防災先進国日本を世界に発信していくということ。

 このようなことを理念といたしています。

黄川田(徹)委員 東日本大震災を教訓といたしまして、将来に向けて国民の生命と財産をしっかり守っていくんだという決意がお互いに出ていると思っております。

 そこで、次でありますけれども、民主党案の第一条に関連して、民主党案は対象を大規模自然災害に限定しておるようでありますが、これはなぜ限定しておるのでしょうか。

三日月議員 ありがとうございます。

 黄川田先生におかれましては、御家族を初め地域の皆様方、陸前高田で多大なる被害を受けられました。心からお悔やみを申し上げ、お見舞い申し上げたいと存じます。

 与党案では、自然災害のみならず公共施設の老朽化に伴う事故等を想定しているほか、それ以外の事象に対しても、先ほど二階先生の方から御答弁がありましたように、総合的に幅広く対象となり得るよう、その対象を大規模災害等と規定しているというふうに理解しております。

 このため、与党案に基づけば、想定される事象が政府の判断で幅広く拡大し、それに対する対策が無限定に拡大するということを私たちは危惧しているところです。

 これに対して、民主党案といたしましては、東日本大震災の教訓も踏まえつつ、限られた財源の中で、まずは自然災害への対策を進めるべきとの観点から、その対象を大規模自然災害に限定させていただいたところです。

黄川田(徹)委員 それでは次に、民主党案の第七条第五号、それから第十六条第七項の条文に関連しましてお尋ねいたしたいと思います。

 民主党案での基本方針及び国民生活強靱化基本計画の案の作成においては、どの観点から、そして何を重視しておるのか、具体的にお尋ねいたします。

中川(正)議員 まず、民主党案では、先ほど御指摘のありましたように、基本方針として、第七条に以下の五点を規定しております。

 一つは、大規模自然災害に際して、人命の保護が最大限に図られるということ。それから二番目は、予測できない大規模自然災害が発生し得ることを踏まえて、国民生活強靱化対策を推進するための体制を早急に整備すること。三番目は、防災、減災の取り組みは、自助、共助、公助の適切な組み合わせを基本としつつも、大規模自然災害については国が中核的な役割を果たしていくということ。それから四番目は、大規模自然災害が発生した場合の政治、経済、社会の活動を持続可能なものとして、円滑、迅速な復興に資することを旨とすること。そして、財政規律維持の観点から、現在、将来の国民の生命、生活を守るため実施されるべき施策の重点化を図っていくということであります。

 この基本方針は、いずれも重視すべき基本方針ではありますけれども、与党案との相違をここで挙げるとすれば、まず、二点目の国民生活強靱化対策を推進するための体制の早急な整備ということ、それから、三点目の大規模自然災害については、国が中核的な役割を果たすということ、さらに、五点目の財政規律維持の観点から、施策の重点化を図るということであります。

 企画立案のための組織と危機対応をするための組織、この二つをつくっていくということ、これが、国民生活強靱化対策を推進するための体制ということで私たちが付加しておるところであります。

 そういう意味で、国が中核的な役割を果たすために組織の再編をして、日本版のFEMAをぜひつくっていくべきだということをこの中に書き込んでおります。

 また、国民生活強靱化基本計画の案の作成ということについては、脆弱性評価については、最悪の事態を想定して、総合的、科学的に行うということ。これは、言いかえれば、緊急性ということを科学的に精査して、かつ、そのリスクの評価をしながら重点化していく、そういう意味で、この脆弱性の評価をさらに重点化していくという政策が必要であるということを述べております。

 それから、脆弱性評価について第三者の検証を行うということ。それからまた、基本計画の案の作成に当たって、透明性を確保しつつ、公共性、客観性、公平性及び合理性を勘案して、施策の優先順位を定めて、その重点化を図ること。脆弱性があるからといって、それが予算的にも発散をしていくような体制であってはならないのであって、限られた資源を効率的に使っていくためにも、公共性、客観性、公平性ということをしっかり勘案していかなければならないということを指摘しております。

 そして、予算編成の方針を定めること。案を作成する本部の本部員として、ただ行政サイドだけでこの案をつくっていくということではなくて、国会の同意を得た、指定公共機関の代表者であるとか、あるいは経済団体の代表者、学識経験者等々、また地方公共団体の代表等々を踏まえて、そういう人たちに本部員として参加をしていただいて、その識見を加えていくということ。その客観性、公平性、透明性の確保に配慮しつつ、予算編成への縛りを強化していくということ。

 このことを基本にしております。

黄川田(徹)委員 提出者の中川さんからは、次に質問しようかなということも含めて答弁をいただきましたけれども、財政規律の維持の観点から、やはり施策の順位づけといいますか、優先順位をしっかりとつけるというところは私も大事だと思います。

 それでは、民主党案の第八条第一号に関連して、発災から七十二時間以内の迅速、適切な救助活動、生死を分ける活動でありますけれども、そういう活動への認識を改めて提出者にお尋ねいたします。

中川(正)議員 委員御指摘のとおり、まず、人命を救助、これが七十二時間以内に課せられた最大の対策だと思っております。

 八条に定める対策の策定及び実施の方針として十八の項目を挙げておりますけれども、その第一号として、御指摘のとおり、発災から七十二時間以内の迅速、適切な救助活動を行うために必要な措置を集中的に講ずること等により、人命保護を最優先することとしております。

 ただ、現在の状況でいきますと、国としては、自衛隊、警察あるいはまた消防という危機対応、この体制が動き出すわけでありますが、もう一つ、それを統括して、支援対象、いわゆる人命救助の対象が、どの地域で、どこで何が起こっているのかという情報と、それから、持つべき資源、どこの大隊で、どれぐらいの人員が、どういうふうに割けるのかということ、これを総合的に、統合的に指揮していく体制ができておるかというと、そこのところがまだ不十分であるというところから、先ほど申し上げたような、日本版のFEMAというような組織化をしていく必要があるだろうということ、そんなこともあわせて具体的に提案をしながら、この対策の策定及び実施の方針の一番最初に七十二時間の問題を提起したということでございます。

黄川田(徹)委員 発災直後から七十二時間、これは本当に大事な時間でありまして、生死を分けるということであります。ですから、必要な救助活動に集中的に投資できる、そういう形になるような法律になってほしい、こう思っております。

 それから、国の組織体制の整備ということで、中川さんから御答弁がありまして、内閣府防災担当ですか、あるいはまた消防庁を中核として組織を設置するということでありますし、それから、本部においてしっかりと推進事務を行うということでありますので、より具体的な仕組みをつくっていただきたいと思っております。

 それから、ちょっともう一度確認したいのでありますけれども、民主党案の第九条第二項第三号で、予算編成の方針を基本計画の記載事項としておるのでありますけれども、その意味するところを改めてお尋ねいたします。

三日月議員 私たち、もともとの出発点は、強靱化すべきは国土なのか、国土を強靱化すれば私たち国民の生命、生活は守れるのか、むしろもっと総合的に、まずは国民生活を強靱化するということを主軸に置くべきではないか、そういうところからスタートいたしました。

 特にこだわりましたのは国民生活強靱化基本計画。これは、国民生活強靱化対策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画で、例えば社会資本整備計画だとか、ありとあらゆる国の計画に影響を与えるものになります。

 もちろん、どこが弱い、どこが不安だ、ありとあらゆる対策を講じられるほど財政が豊かであればいいですけれども、現下の厳しい財政状況の中で、やはりきちんとこの国民生活強靱化対策に関する予算編成の方針というものを基本計画の中に定めておかなければ、ありとあらゆることが、例えば与党案であれば国土強靱化、私たちであれば国民生活強靱化の名のもとに、私たちが払っている税金、国民の皆様方に納めていただいている税金が必要以上に、時として無駄だと指摘されるようなことに使われるおそれがありますので、この規定を明確に入れ込んだところであります。

黄川田(徹)委員 それでは、次に、民主党案の第十六条第三項、第六項に関連してお尋ねいたします。

 脆弱性の評価についてでありますけれども、これについて、与党案との相違を具体的にお尋ねいたします。

三日月議員 どこが弱いのか脆弱性評価を行う、その評価に基づいて基本計画を定めるという基本的なたてつけは、私たち民主党案、与党案とも相違ありません。むしろ同じです。

 しかしながら、私たちの民主党案は、脆弱性評価を行う本部、この本部員について、与党案は国務大臣までなんですけれども、どこが弱いか評価するのも国務大臣、そして基本計画を定めるのも国務大臣、さらには基本計画に基づいて予算要求するのも国務大臣、いわばお手盛りだ、そういう御批判にしっかりと対応するために、国会の同意を得て内閣総理大臣が任命する指定公共機関の代表者でありますとか経済団体の代表者及び学識経験者を加えた本部というものを組織し、その本部が脆弱性評価を行う、脆弱性評価に客観性を持たせているということが一番の大きな違いであります。

 また、二番目といたしまして、最悪の事態を想定し、総合的、客観的に評価を行うことを法文上明示させていただいております。

 三点目、それでもなお、この脆弱性評価はほんまかいな、そういう御指摘もあろうかと思いますので、この脆弱性評価を行い、基本計画の案を作成する前に、脆弱性評価について第三者の目で検証を行う旨の規定を設けさせていただいている。

 大きくこの三つの点が与党案とは異なる点ということになっております。

黄川田(徹)委員 三日月さんから、三点ですか、防災、減災にはより幅広い主体の意見を取り込まなきゃいけないということでそういう仕組みをつくったということと、それから、最悪の事態を想定して、科学的、総合的、そして客観的に行うということでありますね。加えて、脆弱性の評価の検証にも触れているということでありますね。

 それでは次に、与党案では、第二十八条で、諸外国の理解の増進に関する規定を置いております。また一方、民主党案ではこれを置いておりません。それぞれ、その理由をお尋ねいたしたいと思います。

 まず、与党案の方からお願いいたします。

林(幹)議員 与党案におきましては、我が国が自然災害による危険度が高いと海外から評価されている中で、強くしなやかな国づくりを進めていくことを諸外国に発信して理解を得ることは、訪日外国人の増加や諸外国からの投資を呼び込むことにつながるなど、意義のあるものと考えているところであります。

 このため、事前防災及び減災等の取り組みを進めるとともに、第二十八条を規定することによって、政府に対し、国土強靱化に向けた取り組みの成果を海外に向けて発信する、そのように努力義務を課すこととしたところでございます。

三日月議員 私たちも、与党案にある諸外国の理解の増進というこの規定、全てを否定するものではありません。

 しかし、私たちは、東日本大震災のあの甚大な被害を初め、多くの皆様方が自然災害の苦しい局面を経験されていることを踏まえ、まず国民生活の強靱化という本法案の趣旨を明確にするために、真に必要な大規模自然災害に対する防災、減災対策の推進というものを重視するために、諸外国の理解の増進という規定を省き、国内対策というものに主眼を置かせていただいた次第です。

黄川田(徹)委員 与党案、野党案、それぞれ簡潔明瞭な答弁をいただきましたので、時間があと十六分ぐらい残ってしまいました。

 大臣、今の質疑をお聞きになって、私自身も、それぞれの法案が補う形の中で、あるいはまたそこを満たす中で成立することが大事かな、こう思っておりますけれども、この質疑を通じて、大臣の所感をちょっとお尋ねいたしたいと思います。

古屋国務大臣 私も、民主党案をあらかじめ拝見させていただきまして、この国会答弁も聞いておりまして、ちょうど今改めて見比べておりますけれども、脆弱性評価の部分とか、基本計画をつくるとか、かなり共通した部分もあるのかなという印象は持っております。

 ただ、これはあくまでも議員立法でございますので、ぜひ、ここの場でしっかり審議をいただいて、そして、与野党交渉を通じながら、できるだけ早くこの法案を成立していただければ、我々は、成立した法案に基づいて政府として粛々と速やかに適切に対応していく、これに尽きるというふうに思っております。

 ぜひ、きょうは提案者の皆様もいらっしゃいますので、そういった視点に立って交渉をしていただければな、そんなことをふと席に座りながら思っておりました。

黄川田(徹)委員 それでは、通告した部分は終わりました。まだ時間が残っております。

 先般の質疑で、ちょっと消防団に触れたのでありますけれども、その関係で、大臣、与党案の提出者、それから民主党の提出者に後で御質問させていただきたいと思います。

 東日本大震災が発災後、この教訓をしっかりと生かさなきゃいけないということで、そしてまた、発災直後にどういう形で復旧復興が動いていくかということの中で、福島の原発事故もありましたので、当時の政府も大変混乱した状況にありました。そしてまた、速やかな対応ということで、当時は、阪神・淡路大震災がどのように復興されたかというふうな法案の提出でありまして、本当にそれでいいのかと、私自身も、与党におりましたけれども、そう思っておりまして、結果として、政府案は撤回、そして復旧復興に与党も野党もないということで、議員立法で復興基本法を成立させていただいたところであります。

 そして、この東日本大震災の教訓を踏まえて、先般質問しましたけれども、津波の基本法案、これも議員立法で、それから、災害の基本法もできまして、もちろん、東海地域あるいはまた千島列島海溝型の特別措置の立法はできておりましたけれども、東南海、南海をあわせまして南海トラフという法律もできてまいりました。そして、先般は首都直下型も、これまた皆さんの総意を得ながら議員立法としてできてきたわけであります。

 法律のたてつけの中で、やはり発災直後の七十二時間といいますか、自衛隊の方々、警察の方々、消防の方々ということで最前線で頑張っている方々に対しての、そこに光を当てた法律というのは実はまだできておらないのでありますけれども、自民党さんの方でも、この間、大きな法律をつくりながらも、やはり現場に光を当てた法律をつくるということで動いておることは私も承知しております。

 ここは災害対策特別委員会でありますので、その法律、議員立法を議論する場ではなくて、多分、消防の関係でありますから、これは総務委員会にかかるということになるかもしれません。

 大臣は、自民党の消防議連の会長さんということで、民主党の方でもあす、もともと消防議連はあるのでありますけれども、消防団に関しての議連を立ち上げて、そして、自民党さんが時間をかけてつくってきた法案のヒアリングとか、そういうものも進めていきたいというふうな方向であります。ですから、消防団、そこに光を当てた地域防災、地域消防力、これを強くしていくという法律も、これまた大事だと私は思っております。

 二階先生が午前中の質疑の中で、時間がなくなって取りやめましたけれども、昭和三十五年のときのチリ地震津波、そのときに、声をかけても避難することが鈍かったといいますか、そういう話をされましたけれども、思い起こせば、私も、昭和三十五年は小学校の一年生でありまして、三陸に生まれ骨を埋める者でありますので、小学校一年生の目でも、自分の漁港が、海面が、水が引いていくというのを目の当たりにしました。しかしながら、大人たちは、これ幸いと、水が引くということは、カレイとかヒラメがその引きに取り残されるというか、そんなことがあったわけなんです。

 たまたま、うちは三陸でも半島の先の方でありますので、押し寄せた津波は堤防を越えることはなかったわけであります。しかしながら、地形の関係といいますか、湾の形といいますか、そういう中で、奥まったところに津波被害があった。具体的に言えば、私の隣の大船渡市というところが最大の被害の市町村でありました。

 津波に関しても、すぐ、三陸沖から来る津波もありますけれども、今話したチリ地震津波は、チリから来るということで太平洋を越えてくるということ、時速千キロでやってくるのでありますが丸一日かかるということを、昭和三十五年当時は、科学的知見といっても、太平洋上で地震が起きたときに各国がその情報を共有するということがありませんでした。ハワイにアメリカでさまざまな情報を与えてくれるところができて、そういう情報を共有するということになりました。

 そういう中で、津波体験というのは自分自身にはあるのでありますけれども、その体験は次の世代にはなかなか引き継がれないわけです。今は映像があったりさまざまありますので、引き継いでいける素地はあるのでありますけれども、もっと言えば、私は、明治二十九年、昭和八年にうちを流されて、またも流されておるわけでありますね。

 自分の体験の中で、チリ地震津波の後五十年たって、実は、東日本大震災の前に津波が来たわけなのであります。昭和三十五年以降、三陸では堤防を越えるぐらいの津波は実は来ていなかったんですよ。最近も地震が多いということで、震災前から、一メートル前後の津波が来るということで、そういうものを何度か体験しているものですから、逆にオオカミ少年みたいになっちゃって、まあ一メートルか五十センチか、結果として海辺に住む者もそういう思いになってしまうということです。

 やはり、佐藤委員もしょっちゅう言いますけれども、防災の教育とかは大事でありますし、それから、何といっても最前線で働いていただける消防団の皆さんに、消防団に逆らって何とかする人はおりませんので、そこにしっかりとした情報、それから災害から生命財産を守るという使命感とともに、適切な判断というものを与えられるような仕組みが本当に必要だと思っていました。

 東日本大震災で消防団員二百五十四名ですか、全国で亡くなっております。私のところでは五十一名なんです。二万人足らずの町で五十一人の消防団員を失いました。その七十二時間に何が起きたかというと、遺体を収容しなきゃいけない、もしかすると生きているかもしれないということで、我が町の消防団員は、仲間の遺体を搬出しなきゃいけない、そういう過酷な状況に置かれました。今の消防団長は、実は、命は助かったのでありますけれども、がんに侵されて、それでも先般あった消防の秋季演習はしっかりと指揮をとりました。

 それから、隣町の大船渡では、やはり、人命を守るとともに、みずからの命も守っていかなきゃいけないということの中で、団もさまざま工夫をしております。しかしながら、いかんせん、団員がもともと少なくなっている中で、団を再構築するというのは本当に難儀な話であります。

 消防団、非常備消防ができて百二十年、戦後常備消防ができて六十五年という大きな節目にもなっております。やはり消防行政は市町村行政でありますので、予算の範囲内で消防行政をやるのでありますけれども、ややもすると、これまでは首長も、その予算を消防団員に甘えて奉仕の精神というだけでやっていたところがあるかもしれません。もちろん、地方交付税で算定されてお金は行くわけでありますけれども、もっと消防団が大きな声で、我々の仕事はこうなんだということを住民の皆さんに伝え、そしてしっかりと予算も確保しないといけないと思っております。

 ただ、中山間地、辺地、過疎地といいますか、そういうところの消防団の再構築はこれまた財政的にも大変であります。

 長々と申し上げました。持ち時間が十六分もありましたので、ちょっと十分ぐらい話しましたけれども、言いたいところは、これまで災害対策特別委員会ということで、東日本大震災を教訓とした防災、減災の法律をつくってきた、最後には、最後という言い方もないですが、やはり消防団に光を当てた法律をつくらないと画竜点睛を欠くんじゃないか、こう思っております。もちろん、消防団の法律というのはなかなか閣法を出しにくいかもしれないと思っています。

 そういう中で、大臣、そして与党、野党の提出者の皆さんに、消防団に光が当たった法律の必要性ありやなしや、これを問いたいと思います。

古屋国務大臣 今、黄川田委員の、自分の人生において、一度は御身内を亡くされる、そして三十年代にはそういった経験をされる、人生の間に二回そういったつらい経験をされたということを、今しっかり私は胸の中に刻みながら聞いておりました。

 私は、今、国土強靱化あるいは防災担当大臣ですけれども、むしろ、消防という指摘がございましたが、私は消防議員連盟の会長という立場でもありますので、ちょっとその視点から今の問いかけについてお答えをさせていただきたいんです。

 やはり日本の消防は世界一だと思います。これは世界消防団会議等々でも、世界一であるということがしっかり立証されています。それから、非常に使命感も高いですね。

 ただ、残念ながら、二百七万人いた消防団が今八十七万人ですか、もうちょっと減っているかもしれませんね。消防団を、人的なネットワークをしっかり確保するために団員の数も必要ですけれども、一方、やはり組織強化をしていくということが必要でございますので、我々消防議員連盟として、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法案、こういった法案を国会に提出させていただいて、ぜひ成立をお願いしたいということで、今、総務委員会の方とも交渉しているというふうに承っております。ぜひ御党におかれましても、そういった成立に向けての御協力をお願い申し上げたいというふうに思います。

 そして、やはり地域の消防団がしっかり使命感を持って取り組めるような環境をつくっていく、それはソフト、ハード両面で必要だと思います。そういったようなことも、この議員立法の中には反映をされています。そして、一方では、やはり教育の大切さ、これもたしか二十一条だったように記憶しておりますが、そういうふうな形で記されております。

 やはり委員のおっしゃるように、消防団は、地域の防災、あるいは地域の安心、安全を守るための重要な責務を果たしておりますので、ぜひとも、そういった形の法案の成立、そして実質的な消防団の消防力の強化のための取り組み、私どももしっかり内閣の一員として取り組んでいきたいというふうに思っております。当然、総務大臣あるいは消防庁ともしっかり横の連携を密にしながら取り組んでいく、申し上げるまでもないことでございます。

 大変貴重な御提言でございました。ありがとうございました。

林(幹)議員 先生御指摘のように、消防団というのは、俺たちの地域は俺たちで守る、この消防の精神というか意気込みで、仕事を持ちながら、いざというときに対応している、大変すばらしいことでもあるし、大変なことだと思っておりまして、思いは先生と一緒でございます。

 我々は、災害があったときには、津波てんでんこというふうに、やはり一人一人が理解をする、そして意識をするということが非常に大事だろう、こう思っておりまして、この委員会を通じて基本法が成立すれば、先生の今の意向、御意見というものもできれば附帯決議に入れて進めていきたいな、こういうふうに思っておりますので、これからもよろしくお願いいたします。

中川(正)議員 私も担当していましたときに、阿蘇の外輪山の周辺でゲリラ豪雨があって、土砂災害で多くの人命が失われたことがございました。そのときに現場に入ったときに、当時の町長さんが、真夜中のことであるし、同報無線やなんかで、ああいう機器を通じて避難命令が出てきてもなかなかみんなの心を動かすことができなかった、しかし、消防団の皆さんが一軒一軒回って、日ごろの人間関係の中から、おじいちゃん、おばあちゃん、逃げなきゃいけない、そういうことをしっかり伝えて、そのことが多くの人命を救うことができたということ、そんな報告を聞かせていただきました。

 基本的にそれは公助というよりも自助、自分たちの命は自分たちで守っていくんだという精神の中で消防団というのが今その地域に根差しているんだというふうに思っています。そういう意味で、充実をさせていかなければならないということで、民主党の方でも議員立法でその法案の準備を今しておりまして、でき次第出していきたいというふうに思っております。

 それと同時に、現場で七十二時間の対応をするときに、自衛隊や警察を含めて、誰が現場のことを一番知っていて、そして誰が優先順位をつくっていくか、いわゆるトリアージしていくかというのは、やはり消防が一番ふさわしいんだろうというふうに思います。

 そうした情報という意味でも、大規模災害においては地方自治体消防を超えた形で国が情報統括をしていくような消防の見直し、それから使い方ということを改めてやっていかなければならないんじゃないかということだと思っているんです。

 そういう意味で、日本版のFEMAの中に消防を中心にした、そうした危機対応という体制をつくっていきたいということ、それをこの法案にも反映させているということでございます。

坂本委員長 時間が経過していますので、簡潔にお願いいたします。

務台議員 古屋消議連会長のもとで法案の準備をさせていただいている務台でございます。

 黄川田先生がおっしゃいましたように、ことしは消防団設立百二十周年でございまして、国会の総意として、この法案に盛り込まれた中身を国会として出していきたい、プレゼントしたい、そんな気持ちでいっぱいでございます。

 よろしくお願いいたします。

黄川田(徹)委員 時間ですので、終わります。

坂本委員長 次に、山之内毅君。

山之内委員 日本維新の会の山之内毅と申します。

 本日は、提出者の皆様、お越しいただきましてお疲れさまでございます。質疑をさせていただきます。

 まず冒頭に、私どもは決して公共事業が要らないだとか公共事業が悪だとか、そういったことは当然思っておりません。今極めて厳しい財政状況、国の借金は一千兆円、そして地方の借金は二百兆円、そういった状況の中で、どう効果的に必要なものを投じていくか、こういった観点から質問をさせていただきたいと思っております。

 私は、九州・鹿児島でございます。例えば、鹿児島であれば、南海トラフ大地震、一部、志布志というところが該当する。九州においては、当然宮崎、大分、そういったところが危険とされている。その中で、例えば東回りの高速道路、こういったものは、ミッシングリンク、要は孤立化、または実際に被災した場合には、そこに物資の供給、自衛隊等の派遣のために必要なものであると思っております。

 ただ一方で、では、日南海岸も含めて全て堤防でやってしまうとどうか。例えば、観光の面でマイナスもある。地元の方々からすると、全部堤防だと海岸の観光資源がなくなる、そういったものもある。いわゆる、どこにどのようなものをすることが国土強靱なのか、もしくは国民生活の強靱なのか、こういった観点から質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、当初提出の自公案、こちらについてお伺いしたいと思います。

 そもそも、民主党さんの案では大規模自然災害となっております。片や、自公さんの案では大規模災害等となっております。大規模災害等の「等」、こちらが何に該当するか、教えていただきたいと思います。

金田議員 お答えします。

 私ども与党案におきましては、第一条の目的で、事前防災及び減災その他迅速な復旧復興並びに国際競争力の向上に資する大規模災害等に備えた国土の全域にわたる強靱な国づくり、これを国土強靱化ということに規定いたしております。

 ここで言います大規模災害等というのは、基本的には大規模自然災害を想定しておりますけれども、一方で、大規模自然災害のみに限定しているわけではありません。大規模災害等の「等」としては、例えば、先般発生いたしました笹子トンネルの天井板崩落事故といったようなもの、こういう公共施設の老朽化に伴う事故、そういったものにより生じる被害も想定いたしているわけであります。

山之内委員 続きまして、民主党案におかれましては、片や大規模自然災害に限定していらっしゃる。「等」がない。この趣旨についてお答えいただけますか。

三日月議員 今、与党から御答弁がありましたように、確かに、これはNEXCOのトンネルですけれども、老朽化に伴う笹子トンネルの崩落事故も、これは甚大な国家的な事故だと思います。

 ただ、そういうNEXCOが所有しているトンネルの老朽化のことまで対象にした強靱化対策をやれば、国家予算が幾らあっても足りないのではないかという問題意識のもとで、私たちは、あえて大規模自然災害に限定した対策を講じるべきだということで、文言にも大規模自然災害という形で示させていただいたところです。

山之内委員 ありがとうございます。

 私どもも、限られた財源ということは認識しております。その中で、修正案を拝見させていただいております。

 その中で、当然、自公さんの案と民主党さんの案をどこまですり合わせできるのか、こういったところがあると思います。

 例えば、民主党さんの前文といいますか、その中に、「その一方、当該対策を実施するための財源は限られている。」という文言がある。こちらが、二つが合併したときには見受けられない。やはり、財源をどこまで確保するのか。また、この根拠ですね。

 例えば、優先順位が必要になってくると思います。当然、ここは弱いから優先順位は高い、もしくは、ここはある意味強いから優先順位は下位だ、こういった評価になると思うんですけれども、この脆弱性評価、これをどのようにするのか、この点について教えていただきたいと思います。

 こちらについては、まず自公さん、お願いいたします。

林(幹)議員 国土強靱化に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために推進本部を設置することにしております。

 国土強靱化推進本部は、内閣総理大臣を本部長として、また、官房長官、国土強靱化担当大臣及び国土交通大臣を副本部長とし、全ての国務大臣が本部員となるものでございます。

 脆弱性評価については、推進本部が、一つは、大規模災害等に対する脆弱性評価の指針を定める、そして、その指針に従って、国土強靱化に関する施策の分野ごとに評価を行うわけであります。その際、施策の分野ごとに投入される人材その他、国土強靱化の推進に必要な資源についても評価を行うということにしているところでございます。

 脆弱性評価というプロセスは、我が国が直面する大規模災害等のリスクに対して、真に必要な対策は何か、何を優先的、重点的に行うかを知る上で不可欠なものでございます。

 したがって、施策の重点化、優先順位づけについては、脆弱性評価の結果を受けて、リスクを回避できなかった場合の影響の大きさや、あるいは緊急度等の観点から行っていくものであると考えているところでございます。

三日月議員 これまでも多くの自然災害に見舞われてきましたし、これからも大規模な自然災害の発生が想定されているところです。

 もちろん、もう先生とも共通認識ですけれども、そういった大規模自然災害から私たち国民の生命財産をどのように守るのか、また、そのために、どこが弱くて、どう備えていくのか、また、どう備え過ぎないのか、どのような対策を講じていくのかということも含めて、取り決めていくこと、論じていくこと、これは極めて大事なことだということで、私たちも脆弱性評価というものを入れさせていただいております。

 しかし、先ほど来先生が累次にわたり御指摘いただいているように、財源に限りがあるこの財政下で、やはり、きちんと客観性と公平性、また公共性、合理性のある脆弱性評価と、それに基づく計画でなければならないということから、この脆弱性評価を行います本部の構成員につきましては、今、与党の方から、本部員が国務大臣どまりだという御答弁がございましたけれども、私たちは、内閣総理大臣の本部長、そして、内閣官房長官、国民生活強靱化担当大臣を充てる副本部長のほかに、内閣総理大臣が国会の同意を得て任命する、指定公共機関の代表者、経済団体の代表者及び学識経験者を本部員に充てることにより、より広くさまざまな知見をこの脆弱性評価の中に入れられるようにしているところです。

 また、脆弱性評価という名のもとに、あらゆる事態が想定されるのではなくて、起きてはならない最悪の事態を想定した上で、科学的知見に基づき、総合的、客観的に行われる旨を法律に明示するほか、この脆弱性評価の結果を得てすぐ計画をつくるのではなくて、一度検証を行う、そのプロセスを経た上で、より広い皆様方の御知見を生かした脆弱性評価と基本計画をつくるプロセスを定めさせていただいているところです。

山之内委員 ありがとうございます。

 また、この脆弱性評価でございます。民主党さんの案で第十六条でございます。こちらで文言が入っている。十六条の六項に該当すると思います。「本部は、脆弱性評価を行ったときは、国民生活強靱化基本計画の案を作成する前に、当該脆弱性評価について、政令で定めるところにより、検証を受けなければならない。」

 先ほど言ったように、財政の問題から適正に検証していかなきゃいけないということだと思いますけれども、こちらを入れた趣旨について教えていただけますでしょうか。

三日月議員 先ほども答弁いたしましたとおり、多くの国民の皆様方に関係する防災対策です。生活であれ、国土であれ、強靱化対策です。であるならば、より多くの皆様方に理解、納得をしていただく、そういう脆弱性評価である必要があるだろうということで、国務大臣が脆弱性評価を行ってすぐ基本計画をつくるのではなくて、国務大臣以外の方も一緒になって脆弱性評価を行って、さらに第三者の方々の検証を受ける仕組みにして、一人でも多くの方々の御知見を入れていきたいという趣旨で、この十六条六項を定めさせていただいたところです。

山之内委員 ありがとうございます。

 先ほど来申しておりました、まず、限られた財源の中で優先順位を決めて実行していく。その観点から、大規模災害等となると、極端なことを言えば何でも使えるんじゃないか、こういった議論もある。ですので、大規模自然災害に限定して、ある意味、それに特化しよう、また脆弱性評価も入れよう。当然、優先順位があると思います。

 理想は、日本全国土、災害が来ても何でも防げる、そういった防災、減災の仕組みがあれば、これにこしたことはない。ただ、それを言ってしまえば切りがない。例えば、南海トラフ大地震に対して、全ての海岸に防波堤、防潮堤、またそういった高台移転、費用は莫大になります。その中で、果たして、この脆弱性評価がどのように行われて、どのように推進されるのか、この点が気がかりでございます。

 例えば、土砂災害地域、こういったものが三十万カ所ある。例えば島根でございますと、たしか、日本で一番多くて、三万カ所ある。そういった場所を優先するのか。それとも、いや、南海トラフが優先だ、もしくは首都直下が優先だ、こうなるのか。

 こういった優先順位について、もし今の段階で具体的にお話しできることがありましたらお話しいただきたいんです。

林(幹)議員 本法案においては、大規模災害等に対する脆弱性の評価を行い、その結果に基づいて国土強靱化基本計画を策定するということにしているわけでございます。

 また、法案では、九条において、施策の策定、実施の方針として、一つは、既存の社会資本の有効活用等により、施策の実施に要する費用の縮減を図る、また、施設または設備の効率的かつ効果的な維持管理に資する、そして、地域の特性に応じて、自然との共生及び環境との調和に配慮する、あるいは施策の重点化を図る、そして、民間資金の積極的な活用を図ると規定をしているところでございます。

 このように、国土強靱化の推進に当たっては、基本計画に基づき、また施策の策定、実施の方針を踏まえながら、必要な取り組みを計画的に進めることが重要だというふうに考えておるところでございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 今後、その具体的な評価の仕組み、推進本部の仕組み等が決まっていく。やはりここは本当に重要な点になっていくと思います。

 先ほど来言っております、国と地方の借金が増大していく。当然、南海トラフでは、経済被害は今のままであれば二百三十兆円と莫大なもの。私が危惧するのは、こういった災害が起きたときに、実際にそれで、財政破綻までは言わないですけれども、極めて厳しい状況になってしまう、日本国にとって極めて重大な状況になってしまう。その中で、可能な限り、財政規律、プライマリーバランスの黒字化も含めて、そういったものと両立していただきたいと思っております。

 また、その観点で、二十五年度の国土交通省の予算がございます。その中で、概要が今手元にあるんですけれども、国土強靱化の計画的推進、命と暮らしを守るインフラ総点検、再構築等。

 ある意味、今国会でも提出されました南海トラフや首都直下、そしてこの国土強靱化、この国土強靱化法案がなくても、今の法体系の枠組みで同じようなことはできないのか、不可能なのか、こちらの点をお聞きしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 私ども、今先生御指摘がありましたように、今回の予算でも、減災、防災対策、さらにインフラの老朽化対策、こういうことに全力で取り組んでいるところでございます。

 こういうふうな私どもの取り組みで、例えば二十六年度の概算要求におきましても、公共施設等の耐震化等のハード対策に加えまして、情報などのソフト対策もあわせて要求しておりまして、防災、減災、老朽化対策に対しましては、公共事業予算の半分以上を重点化して要求させていただいているところでございます。

 ただ、今度、今回のような国土強靱化法が成立いたしますと、例えば情報化対策につきましては、他省庁との連携というものも非常に重要になってまいります。先ほど来御議論いただいております脆弱性評価、こういうふうなことについても、政府としての全体的な、横断的、統一的な方針が示されることになります。

 こういうことを受けまして、国交省としては、国民の命と暮らしを守るための施策をより一層充実発展させることができるのではないかというふうに考えておりまして、引き続き積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 この法案を通すと、ある意味、国土強靱化に向けて邁進できる、推進できるということだと思います。

 その観点で、次は、古屋大臣にお聞きしたいと思います。

 先ほど、私も再三言わせていただいている財政健全化との両立。二〇一五年にはプライマリーバランスの赤字を半減させて、二〇二〇年には黒字化する、そういった中で、この国土強靱化との両立があると思います。

 大臣の感覚で、これを両立していく極めて厳しいバランス感覚が必要だと思いますが、この点について、大臣、一言お願いいたします。

古屋国務大臣 財政健全化との両立、これは可能かという御質問ですけれども、目指していかなきゃいけないんですよ。

 そういう意味で、今、私どもも法案とにらみ合いをしながら、政府でも並行的に取り組んでいますけれども、要するに、脆弱性の評価をして、重点化をして、できるだけ集中的に行う。そして一方では、ハード事業だけじゃなくて、ソフト事業も一緒にできるだけやれるものをやる。そして、何といっても、先ほど林提案者からも答弁がございましたけれども、民間資金の積極的な活用、やはりこれは非常に重要ですね、こういったものに取り組む。そして、結果として、強靱性を身につけることによって平時も競争力がつく。そうすると、やはり海外からの投資も呼び込める、成長戦略につながる。結果として、それが税収を生む。この好循環を目指していくのが我々の考え方でございます。

 そのためにも、この法案が成立をした暁には、先ほど国交省からの答弁もありましたように、省庁間の連携のために、本部のもとで、全閣僚が入ってそういう連携ができることに、現時点での連携は、あくまでも省庁連絡会議というのをつくって、今そこの連携をしていますが、むしろそれがパワーアップしていくことになりますので、ぜひこの法案の早急な成立を私ども政府としても望んでおりますし、財政健全化ということとの両立もしっかり視野に入れながら頑張っていきたいと思っています。

山之内委員 質疑時間も終了いたしました。

 最後に、この脆弱性評価、こういったものをきちっとしていただいて、本当に必要なところの優先順位を決めていただいて進めていただく、こういうことをお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 随分重複している部分が質問の中でありまして、少し割愛をさせていただく部分があろうかと思います。

 通告で、国土強靱化法案に大規模災害等とあるが、この「等」は何なのかという御質問を最初にするつもりでありましたが、もう維新さんの方から今質問が出ましたので、重複しますので、これは割愛をさせていただきます。そしてまた、民主党案においてはその「等」がないということについても、先ほど御答弁がなされましたので割愛をさせていただきたい、このように存じます。

 今、国交省の審議官は、強靱化の公共工事は今のままでも十分できるのではないかという維新さんの御質問に対して、いや、やっていると。例えば、大臣は何を言ったかというと、横串を刺していないんだ、そういうことを言われましたが、ではこの国土強靱化推進室はこれまで一体何をやってきたのかということが大事なんですよ、問題は。

 これについて、国交省の方は国土強靱化推進室のことは御存じですか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 常に連携をとりながらやらせていただいております。

佐藤(正)委員 そうなんですよ、連携してやるんですよ。連携してやればいいんですよ、もっと徹底的に。

 国土強靱化推進室の方から、今どういうのをやっていますか、四十五から最終的には十五に絞って、こういう案件が出ていますよと。中身を見せていただいたら、今までやっている公共工事を羅列しているような状態なんですよ。

 私が言いたいのは、この国土強靱化推進室を、脆弱推進室から強靱化推進室に変えていくことの方が優先するのではないか、このように思っているわけであります。

 ですから、今これで法案をつくらなくても、もう既に概算要求も含めてやっているんですね。ところが、立ち上げたのはことしに入ってからというふうにお聞きをしていまして、まだまだ本当に脆弱なんですよ。しかも、スタッフもまだまだ少ない。であるならば、やはりそこをしっかりと調べることが先ですよ。

 これまで、公共工事、笹子トンネルもそうですけれども、いろいろな災害がある場合に、何が大きな原因かというと、事前の調査がうまくいっていないということなんですね。事前の調査をしっかりやっていれば防げることがたくさん実はあった。であるならば、今、その事前の調査に全力を挙げるときが来ていると私は思います。

 我々みんなの党は、南海トラフも直下型地震も賛成です。なぜなら、広域の範囲の大型自然災害が来るだろうということでありますから、これはやはり国が率先して指揮をとってやるべきであるということで、我々はこの二法案には賛成をさせていただきました。

 しかし、今度の国土強靱化法案を見てみますと、先ほど維新の方が質問されたように、例えば序列、順番、これを考えたときに、それに輪をかけて今やれるだけの人、物、お金があるのかということなんです。いわゆる震災復興を第一に考えなきゃならない。しかし、この国会でもいろいろな議論がありました。公共工事で景気対策、それも必要なんでしょう。しかし、それによって震災復興がおくれているという現実も実はあるんです。

 となれば、我々が言っているのは、まず序列を、優先順位をしっかりやって、そこからやるべきではないかという考えをもとにして質問をさせていただいているわけであります。

 そこで、民主党案の中に、国民生活強靱化法案第七条第五号に財政規律の維持と書かれておりますが、この財政規律の維持について御説明を願いたいと思います。

吉田議員 民主党案の七条五号で財政規律の維持という言葉を使っております。先ほどから議論になっておりますが、あらゆる自然災害から国民を守ろうとすると、相当な規模の予算が必要であるということはもちろんでございます。

 一方で、極めて我が国の財政状況が悪いということも御承知のとおりであって、なかなか完全に十分な財源を確保することは困難であろうということでございます。

 そのために、我々の法案の基本方針の中に、財源の不足等を踏まえて、財政規律の維持の観点から、その重点化を図るべしということを書いたところでございます。

 この財政規律の維持というのが具体的に何を意味するのかという御質問だと思いますが、結論を申し上げると、脆弱性評価等を通じて、その中で重点化をしていくということがこの財政規律維持の肝かなというふうに思っているところでございます。

佐藤(正)委員 それは、実は自公案にも重点化して優先順位を決めると書いてあるんですよね。ということは、自公案と民主党案は違わないという意味でよろしいんですか。その辺をもう一度、民主党、答弁していただきたいと思います。

吉田議員 民主党案は、より財政規律維持という観点を強めるべきだということで、そういう表現を具体的に盛り込んだというふうに御理解願いたいと思います。

佐藤(正)委員 今の民主党のお答えに対して、自公の方はどのようにお考えですか。

福井議員 佐藤先生御指摘のとおりでございまして、一般的に霞が関、閣法ですと、インプリシットで、行間で、財政規律を守るのは当たり前のことなので、わざわざ法文にはいたしませんが、今回、民主党さんの案では、さらに強調して、ここはやはりそういう世間の批判なりが、善意も悪意もあるんですけれども、その御疑念があるということで民主党さんの案があるので、先週お示しした修正案には、財政規律も重点化という意味で法文に明示したらどうかということを先週お話ししたところでございます。

三日月議員 霞が関では当たり前だと今、福井先生はおっしゃいましたけれども、その当たり前のことができていないから私たちはきちんと定めようとしているんです。

 先ほど吉田先生の方から御答弁がありましたように、優先順位を定めることと重点化すること、これは私たち明示していますし、与党案にも入っています。

 しかし、明確に違いますのは、私たちの案の九条第二項の三号です。脆弱性評価に基づいてつくっていく基本計画の中に、きちんと予算編成の方針を入れておくべきだ。

 要は、今先生おっしゃったように、現行の推進本部がむしろ脆弱で、その組織体制こそ強靱化すべきじゃないかという御指摘、私も半分当たっていると思うんです。ただ、そのときに、推進本部で行われる脆弱性評価とそれに基づく予算要求が膨張してしまって歯どめがかけられない、その歯どめをかけるための仕組みをきちんと制度の中にビルトインしておかないと、単に財務省の査定だけではこぼれ落ちてしまうもの、もしくは既存の事業との重複が避けられないものというものがありますから、ここはやはりきちんと明示をし、制度として定めておくことが私は必要だと思います。

佐藤(正)委員 自公の方はそれでよろしかったでしょうか。今の民主党さんのお答えでよろしいですか。

福井議員 これは切った張ったのやりとりではなくて、お互いに気持ちは一致していると思います。法文でどう表現するかということだと思います。

 もちろん、財政全体の、そして社会経済全体の制約条件、その境界条件からスタートして、ことし、来年、そして、この中長期的な国土強靱化をどう進めるかという答えを見出さなければなりませんので、お互いに歩み寄るべきところは歩み寄らせていただきたいというふうに思っています。

佐藤(正)委員 要は、脆弱性評価をして、今は、内閣府の中で各省庁からこういうものはないのかと集めてきているんですね。集めてきて、チェックを今一応入れている。入れた結果を見させていただく限りは、通常やっている公共工事がそのまま載っかっているというだけなんですね。だから、そこをもう少し時間をかけて、しっかりとチームをつくりかえてやるべきだということを私はずっと言っておるんです。

 なぜなら、先ほどから申し上げているように、震災復興もある、南海トラフもある、直下型もある、優先順位が決まっているじゃありませんか。そしてなおかつ、今までの公共工事についてはそこでしっかりと脆弱性を判断していく、さらには、これまでの公共施設についてしっかりと点検、これをまず一番にやらなきゃいけない。

 総務省がやっている部分においても、実は、橋についてもまだまだその事前の調査が進んでいないという実態があるんですよ。だったら、何を先にやらなきゃいけないのかというのは、おのずと知れてくるんだろうと思います。この点は、優先順位をしっかりやっていただくということで要望させていただきたいと思います。

 次に、国交省の藤井審議官がお見えでございますので、お尋ねをさせていただきます。

 全国総合開発計画、俗に全総と言われているんでしょうが、国土形成計画に変わった理由、そして形成計画の考え方。要するに、全国総合開発計画の考え方と国土形成計画に変わった形成計画の考え方、これについてお尋ねをしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 現在の国土形成計画は平成二十年に策定されておりますが、それ以前に、委員から御指摘がありましたように、五次にわたる全国総合開発計画が策定されておりました。

 その根拠法であります国土総合開発法というのが制定されたのが昭和二十五年でございますけれども、その当時、人口の急増や右肩上がりの経済発展といった社会情勢の中で、開発を基調とした量的拡大を志向したものというふうになっておりました。

 しかしながら、その後、人口減少社会を迎え、今後の成熟社会ということに対応していくために、開発一辺倒ではなくて、既存ストックの有効活用といった利用面、あるいは自然環境との調和や美しい国づくりという保全の側面、そういうものがより重要になってきた。それから、東アジアの経済成長等で日本各地域がグローバル化に直面する中で、人口減少を克服する新しい成長戦略の構築が求められていた。そういったことから、総合開発という名称、法律の名前につきましても国土形成計画法というふうに抜本改正をいたしました。

 その特徴といたしましては、国土の利用、整備、保全の指針となる総合的かつ基本的な計画を策定するということと、全国計画と広域地方計画の二層計画、こういうふうな形になっております。

 これを受けまして、平成二十年七月に国土形成計画の全国計画を閣議決定いたしました。この計画では、新しい国土像として、多様な広域ブロックが自立的に発展する国土を構築するとともに、美しく、暮らしやすい国土の形成を図るという方針が示されまして、その実現のために、東アジアとの円滑な交流、連携、さらには災害に強いしなやかな国土の形成といった五つの戦略目標が示されております。

 現在は、この計画に基づきまして、その推進に取り組んでいるということでございます。

 以上です。

佐藤(正)委員 国の形、国の仕組みを今まで国主導で全て地方に押しつけていた、僕の考えですよ。それが、やはり地方も独自性を持った地域づくりをやろうということで、例えば地域にはいろいろな伝統文化がある、また観光資源もある、国が一律に決めて、金太郎あめを切ったがごとく押しつけるのではない、もうそういう時代ではないということだと思うんですね。だから、今言われた、多様な広域ブロックが主体となる、まさにそのとおりだと私は思っています。

 そこで、今回の法案の与党さん、民主党さんからいただいた資料の中にポンチ絵がありますが、そこで見ると、脆弱性を審査して国が方針を決める、そのときに地方に御意見は聞きますよと。しかし、そこで決まったものが地方に行く、地方に行ったときに、国の政策に調和をしなさいと書いてあるんですね。では、調和とは一体何なのかということが一番大きな問題点だと私は思っています。

 地方には財源がないんです。そして、国が方針を決めて、こういうものをつくりましょうといったときに、それに調和したものでなければ地方にはお金が来ない、こういう仕組みなんです。となれば、当然、調和とはいいつつ、地方は国が決めたものを基軸にして物をつくるしかないんですね。

 国の形として、これから自民党さんも公明党さんも、当然我々みんなの党も維新の会さんも、道州制を見据えてこの国の統治機構を変えようという考え方があるわけでありますが、そうなると、先ほど私、佐藤が言ったように、大きな大きな、またがるような大規模災害はやはり国がやるべきなんです、間違いなく。私は、だから、南海トラフだとか首都直下型はみんなの党は賛成なんですといち早く言わせていただいたんですね。

 しかし、そうでないものについては、これからは、今までどおりの、もっと言うなら、全総から一歩前に進んだものがまた全総に戻るようなことになっては、いわゆる道州制も含めて地域が主役の国づくりが後ろ向きになると私は危惧をしております。その点について、与党さん、民主党さんにお答えをいただきたいと思います。

務台議員 お答え申し上げます。

 今回の法案の第十四条で、国土強靱化基本計画と自治体のつくる地域計画は調和をとらなければならないと書いてございまして、この規定の趣旨は、国土強靱化に関して地域の取り組みと国全体の取り組みが相まち、整合的に推進されることが効率的、効果的な強靱な国づくりの推進に資するというふうな考え方に基づくものでございます。

 そういう意味で、国土強靱化に向けて、地域がそれぞれの特性に応じた強靱化を進めるべきだという中でも、国との調和を図るという両方の要請が入っているものと考えますので、昔の全総の考え方に戻るという考え方は私は当たらないというふうに思っております。

三日月議員 先生の御指摘は大事だと思います。

 それで、私たちは今回、大規模自然災害を対象にしておりますので、先生も御指摘いただきました、国が主導しながら行う対策というものがほとんどだと思いますが、しかし、やはり地域がそれぞれの特性に応じて行うことが大事だということで、第三条の地方公共団体の責務というところに、地域の状況に応じた施策を総合的かつ計画的に策定しという規定を設けているほか、私どもの案では、十三条のところに、調和が保たれたものでなければならないと規定しているところです。

 ここは、どちらが上か下かということではなくて、むしろ、今回の法制定を契機に、地方発意の、また広域連合発意のさまざまな防災対策や何かも国の計画に反映されるような、そういう仕組みを一緒につくっていければいいなと思っておりますので、また御協力、御指導、よろしくお願いいたします。

 以上です。

佐藤(正)委員 今回の参考人の中でも藤井先生が言われたように、一極集中だけじゃだめなんだ、やはり分散しなきゃいけないというお話でした。そのときに、道州制の考え方はちょっと藤井先生と私は違っておりましたけれども、やはり分散しなきゃいけないんです。東京がだめになったら日本がだめになっては困るんですね。それは同じ考えです。だからこそ、私は、この国のことを考えるならば、いち早く、自民、公明、みんなの党、維新、民主さんで道州制に向けて一緒にやらせていただきたいということだけ申し上げまして、質問を終わります。

坂本委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 与党案、民主案、それぞれ順序がさまざま不同になりますけれども、また、通告の順番を少し変えて質問させていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、民主党さんに伺いたいと思うんですけれども、法案の名称ですね。国民生活強靱化のための防災・減災対策基本法案と書いているんですけれども、この法案の条文のどこにも国民生活強靱化とは何かという定義がございません。与党案については、国土強靱化については、「という。」という形で定義が明記されているんですけれども、民主案は、私の見落としではないと思うんですが、定義がございません。一体、国民生活強靱化とは何なのか、伺います。

三日月議員 難しい御質問であり、また大事な質問だと思います。

 私どもは、この国民生活強靱化という言葉について定義を置いておりません。特に定性的、定量的に定められるものではないというふうに思っております。

 ただ、私たちの案では、国民生活を強靱化するための大規模自然災害に備えた事前の防災及び減災に係る対策を国民生活強靱化対策という形で定義をいたしまして、関連する諸施策を推進することにより、大規模自然災害に強い国土及び地域をつくるとともに、地域住民の力を向上させていくことが国民生活強靱化だと捉えさせていただいているところです。

高橋(千)委員 やはりこれは、失礼ですけれども、定義をきちんと書くべきではないでしょうか。なぜなら、議員立法でありますので、これから、幾ら重点化ですとか編成方針ということを書いても、どこに重点を置くのかとか、どういう視点でやっていくのかという立法者の意思が入っていなければ、やはりそれは、結局、最終的には政府にお任せということになるわけですね。だから、それはやはり明記されるべきではなかったか。今の説明を聞いても、ちょっとまだ理解しかねるところがあるわけですけれども、そこをちょっと指摘したいと思います。

 そこで、国民生活強靱化基本法案における脆弱性評価とは、与党案と、つまり、国民生活ということをあえて言っている点において、どういう違いが出てくるとお考えでしょうか。

三日月議員 お言葉ですのであえて申し上げますと、私どもは、だから前文を置いて、どのような強靱化対策が必要なのかという理想を掲げさせていただいているところです。そこに思いを表現させていただいています。

 また、今御質問の、私どもの法案における脆弱性評価は与党案とどう違うのかということは、大きく三点です。

 一つは、脆弱性評価を行う本部、この本部により客観性を持たせるために、国務大臣までとされている与党案と比べて、私たちは、そこに指定公共機関の代表者、経済団体の代表者及び学識経験者、これは国会の同意人事というたがをはめて入れるんですけれども、これを設けさせていただいているということ。

 二つ目は、最悪の事態を想定する。何でもかんでも脆弱性の中に入れるのではなくて、最悪の事態を想定し、総合的かつ客観的に評価を行うことを法文上明示させていただいているということ。

 最後は、この脆弱性評価から基本計画をつくる段階に入っていくんですが、その間に、これは政令で定めるところにより、脆弱性評価の検証を受ける仕組みというものを設けさせていただき、より公平性、公共性を担保させていただきたいと考えております。

高橋(千)委員 今の三つのポイントについては、言ってみれば手続論ではないかと思うんですね。私は、脆弱性について、どういう視点、国民生活というからには視点が違うんだろうと。だから聞いているのであります。

 政府のレジリエンス検討会は、脆弱性評価についてのさまざまな検討を重ねていますし、起こってはならない事象ということを明記されています。私はどれも大事だと思っています。決して頭から反対するという立場ではございません。どれも大事なことで、やるべきことだと思っております。

 ただ、意見を聞いたのは地方と経済団体だけなんですね。そうすると、例えば農業団体、漁業団体あるいは医療、福祉関係の団体ですとか、商工団体、経済団体だけではない、もっといろいろなところから聞かなければ国民生活とは言えないのではないか、そういう問題意識を持っているからこそ聞いているわけなんです。

 そこで、次に与党に質問しますので、それを踏まえて、もう一度、民主党に質問していきたいと思います。

 与党に質問するのは、まず、第一条の目的に国際競争力の向上に資するという文言を入れた意図は何でしょうか。また、そのために具体的にどのような施策を考えていらっしゃるのでしょうか。

金田議員 委員御指摘の、第一条の目的に国際競争力の向上に資するという文言を入れた意図でございますが、この国際競争力の向上というのは、さまざまな災害が頻発する我が国においては、国土を強靱なものにするということが、結果として我が国の安全性に対する国際的な理解と評価を高めるのではないか、その結果、諸外国からの投資を呼び込むことにもなる、こういった国際競争力を高めることに資するということを意味しているものであります。

 具体的には、この法案の第二十八条に規定しておりますように、諸外国の理解の増進、すなわち、我が国の国土強靱化に対する諸外国の理解を深めるように政府が取り組むということを想定しているものであります。

高橋(千)委員 そうすると、法案にわざわざ防災、減災ということを書いたこととは趣旨が違ってくると思うんですね。それは、政府として日本再興戦略というものをもともと持っているわけですし、それを何もここでやる必要はないんじゃないか。

 この間の参考人質疑の中で、おいでになられた藤井参考人は、レジリエンス検討会の座長でもありますけれども、災害があっても成長戦略、成長できる国土という表現をされておりました。

 今の表現は、国土を強靱化することが結果として国際競争力ということで、どこに防災、減災が行ったのかなというふうに、私は、どちらがいいという意味ではなくて、しかし、あえてこういう法案にしていることとの関連性において非常に疑問を持っているわけであります。

 そこで、重ねて質問しますが、第八条第四号の地域間の連携の強化、国土の利用のあり方とは具体的に何を想定しているんでしょうか。

 百八十国会に提出された国土強靱化基本法案では、第十八条に同じような表現がございます。地域間の交流及び連携の促進という名目で、国は、大規模災害に対処するための強靱な経済社会の構築に資するよう、高速自動車道、新幹線鉄道等の全国的な高速道路網の構築その他の地域間の交流及び連携を促進し、日本海国土軸、太平洋国土軸その他の複数の国土軸が相互に連携することによる多軸型の国土の形成を図るために必要な施策を講ずるものとするとあります。

 要するに、新たな全総なのかなという受けとめをいたしたわけです。

 これは、今回の法案は同様の趣旨を言っているのかどうか、伺います。

高木(陽)議員 まず最初に御指摘の、第八条第四号の地域間の連携の強化、国土の利用のあり方の見直しとは、大規模災害等からの迅速な復旧復興を目的とした、例えば、一つ目として、被災地と他の地域との間の情報共有や連携協力が円滑に行われるよう自治体間で協定を結ぶことや、二つ目に、人流、物流の大動脈が自然災害等により分断、機能停止する場合を想定して、広域的な視点からの代替輸送ルートを確保すること、また、三つ目に、社会の諸機能が適切に維持、確保できるような必要なバックアップを同時被災しないような場所に確保すること等を想定しております。

 また、百八十国会提出の国土強靱化基本法案の件についてでございますが、今回、私どもが提出している法案では、まず、脆弱性評価をしっかり行い、我が国として重点的、優先的に取り組むべき課題を検討した上で、国土強靱化に関する施策の策定に係る基本的な指針として、国土強靱化基本計画を策定することとしております。

 お尋ねの、地域間の連携強化、国土の利用のあり方の見直しについても、同様に、脆弱性の評価を行って、その結果に基づいてその方向性を明らかにしていくこととしておりますので、脆弱性の評価を行った上で、結果的に、高速道路ですとかそのほかのさまざまな社会インフラに対して、必要なものはしっかりと対応していく、こういうふうになると思います。

金田議員 先ほど高橋委員から、私の答弁の後、お話がございました。理解に資するために補足をさせていただきたいと思います。

 例えば、公表されている資料なんですけれども、ドイツのミュンヘン再保険会社の公表資料なんですが、世界の大都市で災害危険度指数というものを出しているんですね。そのときに、世界第一位が東京、横浜になっている。そして、世界第四位が大阪と阪神地区ということになっている。

 こういう現状からすると、防災、減災、まさにこの国土強靱化に取り組む姿勢で我が国の安全性に対する国際的な評価、そういうものを高めていかなければいけない、諸外国のそういう理解を深めなければいけないというこの第二十八条に込められた思いを先生にはぜひ理解していただきたい、こういうふうに思っております。

高橋(千)委員 集中した木密地域や、あるいは行政、経済の中枢機関が集中した地域であるから危険度が非常に高い、世界的に見ても高い、当然だと思います。それが一足飛びに、これまで議論されてきたように、例えば高速道路、東名高速道路ですとかリニアですとか、そういう話に結びつくんでしょうか。

高木(陽)議員 先ほども申し上げましたように、私どもの法案というのは、まずは脆弱性の評価をして、その上で国土強靱化を図っていこうと。その脆弱性の評価をした段階で、それが、例えば、高速道路はしっかりとミッシングリンクを推進した方がいいであろうとか、または、その老朽化について手を打たなければいけないとか、または、その代替の輸送路として例えばリニアが必要であるとか、そういうような評価がなされたときに、この国土強靱化計画の中でしっかりと位置づけられていく、こういうようなことであると思います。

高橋(千)委員 代替の輸送路としてリニアが必要な場合も、評価されるということが今指摘をされました。国土交通委員会で、代替性ということでそういう議論がされましたので、何も私の想像で質問したのではなくて、確認をさせていただきました。それがやはり脆弱性の評価と成長戦略を結びつけていることから出てくる議論なのかな、では老朽化対策はどこに行ったのかな、そういう点で非常に疑問を持つわけであります。

 ここで、改めて民主党の提案者に伺います。

 百八十国会から今の国会の中で、脆弱性評価を踏まえてやっていくんだということでこうした法案を出されている。全く同じではないようですけれども、民主党が考えている脆弱性評価の視点、このような、評価されれば、リニアも高速もやはり同じように必要であるというふうな立場でよろしいでしょうか。

中川(正)議員 一番最初に御指摘があったように、国民生活ということを基本にしているということは、国土の強靱化ということではなくて、人間の生活の安全性そして安定性といいますか、そういうもののリスクに対してトータルで私たちは評価をしていかなければならない。

 そういう意味では、御指摘のように、福祉関連の制度的なものであるとか、あるいは教育関連の部分であるとか、こういう広い分野にわたった評価をしていくということ、その思いを込めて国民生活ということであります。

 同時に、もう一つは、脆弱性の中に時間軸を、時間軸とは緊急性というのを入れていかなきゃいけないんだと思うんです。

 それぞれの分野で脆弱性は出てきますけれども、優先順位をつけていく中で、どこまで緊急性が問われているかという評価があって初めて効果のある投資ができるということにつながってくるということでありますから、そこの部分を第三者的な目でいろいろな皆さんに参加をしていただいてつくっていくということと同時に、もう一回、再度チェックをして、第三者のチェックシステムをその中に入れながら、この分野で本当の意味で効果のある、一番必要なところに投資が向かっていくような仕組みを入れたということであります。

高橋(千)委員 そこで、最初の予定していた質問に戻りたいんですけれども、各党が同じ質問をされました。与党案の大規模災害等の「等」とは何を指すかということと、民主案にある大規模自然災害と限定した意図は何かということを質問されておりました。

 先ほど三日月提出者の方から、与党案は老朽化なども指しているわけであるということと、民主案はむしろ財政に、優先順位をつけるということに注目をして、大規模自然災害ということでまずは限定をした、そういう趣旨のことをおっしゃったと思うんですね。

 ただ、私は、災害からの復興のときは、それは、大規模災害という場合は特例が必要だったり、特別な財政措置が必要だったりということで理解できるんです。だけれども、防災、減災といった場合には、大規模でなければならないとなったら、ちょっと違うんじゃないか。

 つまり、国民生活と銘打っている以上は、もっと国民に身近な分野、例えば年じゅう起こっている台風ですとか豪雨ですとか竜巻ですとか、耐震化を図っていったり、東日本大震災でも本当に問われた医療や介護の体制、あるいは消防の体制もそうです、体制そのものをやはりきちっとやっていく。そういうもっと市民に根差したきめ細かな対策がやはり必要なんじゃないか、それは市町村になればなるほど、住民に近くなればなるほど必要なんじゃないかと思うんです。

 だから、大規模災害に対して国がやるのは当然です。だけれども、調和をとって、そこに優先順位をつけていくよ、自治体もそれに合わせた方針をとりなさいとなると、そこにお金がつかなくなるんじゃないかという懸念を非常に持っているわけですね。

 そういう点に対してどのようにお考えか、与党と民主党にそれぞれ伺いたいと思います。

福井議員 今回の肝は、先ほど霞が関の常識という話を財政規律の話で申し上げましたけれども、答えのない事態というのは想定しないように建設省も運輸省もしてきたんです。今回は、脆弱性調査ということで、東京湾全体が炎上したり、南海トラフで何百兆円という被害額が出たりという今まで想定してこなかった事態、そして、この前のトンネル事故にありましたように、もう本当に情けないようなチェックの抜け落ち、ありとあらゆることを、脆弱性調査を通じて、私たちは、今まで答えはなかったけれども、自分たちの弱いところを見つけて、そして対策を講じよう。

 そういう法案を昨年から出して、そして今、政府の方で担当大臣ができて、内閣官房に推進室ができて、そしてこの法案で予定している、総理大臣が本部長で全ての大臣が本部員という、そういう組織の予備的な組織で今政策を打ち出そうとしておるわけでございます。

 まさにそれは今、高橋先生がおっしゃった趣旨に沿うものと考えておりますので、ぜひこの法案に賛成をしていただければというふうに思います。

三日月議員 先生御指摘のように、国民生活というんだったら、大規模自然災害だけに限定するのはおかしいのじゃないのというのは、私も今伺いながら、そういう面もあるなというふうに思いました。

 ただ、私たちは、まずは、国家の存亡にかかわる、地域の存亡にかかわる大規模自然災害に限定をした脆弱性評価を行い、対策を講じること、強靱化すべきは国土ではなくて国民生活だと。

 したがって、いろいろな仕組みを入れることによって客観性を保ち、より多くの方々に御理解いただけるような評価を行ったり計画をつくったりという仕組みを提案させていただいているところでありますので、ぜひ、先生におかれましても、賛同の方、よろしくお願いいたします。

高橋(千)委員 また次の機会をいただきたいと思います。

 終わります。

坂本委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 国土強靱化なり国民生活の強靱化の法案ということで、私は、日本の国土条件を考えますときに、法律をつくるかどうかは別として、しっかり防災、減災対策をやっていくことは当然だと思っております。それなりの公共事業費もかかると思っております。

 そういう前提で、やることには賛成でありますが、やる以上は、やはり、いやしくも、この公共事業についてうさん臭さが見られないようにしっかりやらなきゃいけないという論者でございます。しっかりした適正な手続と透明な基準とか、あるいは目的に即してしっかりとそういう体制になっているかどうかということ、こういうことを含めてしっかり詰めなきゃいけないだろうと思っております。

 そういう観点からお聞きしますと、まず自公案ですけれども、さっきも議論がありましたが、第一条に国際競争力の向上がありまして、基本理念にも、国際競争力の向上に資することに鑑みと規定されているということにちょっと違和感を感じるわけであります。これは、国土強靱化という名のもとで、行け行けどんどんでいろいろな関連するものを加えてくるんじゃないか、せっかくいいことをやろうとしているのに、そう疑われてはもったいないだろうと私は思っております。

 もとより、私も国交省におったし、国土庁土地局にもおったことがありますけれども、この国土行政というのはすぐれて国内行政であります。国土整備、国土行政は、本来的には安全、安心な国土をつくるということにあるわけです。国民生活の安心に資することにある。だから、先ほど答弁がございましたが、結果として国際競争力の向上に資することはあるわけですが、それを目的に大上段に書くことは、ちょっとやはり違和感を感じて、おかしいんじゃないかなと思っております。

 特にこの第一条は、国際競争力の向上に資する大規模災害等に備えた国土の全域にわたる強靱な国づくりとあって、あえて国際競争力の向上に資すると書くというのは、正面から目的規定にするというのはちょっと変な感じがして、違和感を感じておりますが、改めて、なぜこのような規定が入ったのか、ちょっと御答弁をお願いしたいと思います。

金田議員 畑委員の質問にお答えします。

 先ほども申し上げましたが、さまざまな災害が頻発する我が国においては、国土を強靱なものにすることによる海外からの理解と評価、我が国の安全性に対する認識というものが高まる、これが私どもの生活や経済に与える影響というものにプラスになるということは間違いのないところだと思うんですね。

 ですから、本法案の目的や基本理念に、確かに、国際競争力の向上、あるいは国際競争力の向上に資することに鑑みという文言で入っています。これは、競争力の向上のためということではなくて、結果として我が国の安全性に対する国際的な評価が高まる、そして競争力が向上する、これに資するという考え方でございますから、その辺をよく、違いを御理解いただければありがたい、こういうふうに思っております。

畑委員 今のは厳密な法的説明になっていないと思うのは、二条に入るのは百歩譲っていいんだろうと思うんです、結果としてということであれば。基本理念で国際競争力の向上に資するようにということはいいと思うんですが、結果としてと今答弁でおっしゃいましたが、結果としてというものが目的規定の一条に入った例は、法制的に私はないと思います。

 これは、いろいろな法制を見ても、例えば国土形成計画法、これは国土形成の基本法なんですが、ここにも一条にはそういう規定はありませんし、社会資本整備の基本法的性格を持つ法律であります社会資本整備重点計画法にも、さすがに目的規定にはない。もちろん、災害対策や復興に対する基本法的な性格がある災害対策基本法とか大規模災害からの復興に関する法律にも、その国際競争力というのは、残念ながら、一条にはないわけですよ。

 これはやはり、比較法的にもちょっと変な規定だなと思っておりまして、ほかの規定が十分いいですから、この国際競争力という一条を削除すべきじゃないかと私は思うんですが、ちょっとそこも改めて御見解をお伺いしたいと思います。

福井議員 今先生の御指導もいただきながら、採決に向けて、自公案、民主党案、それぞれ譲るべきところは譲って、この委員会としての、できれば総意、できなくても過半数の賛同を得られるような、次なる案を今模索中でございますので、先生の御指摘、十分勘案させていただきたいと思います。

畑委員 よろしくお願いします。いい法案をつくりましょう。せっかくなら、堂々と、疑われないような法案でやるべきだろうと思っております。防災、減災は私も大賛成でありますので。

 そして、次に、民主党案についてちょっと御質問させていただきます。

 実は、民主党案、私は一つ、やはり大きく納得できないというか違和感を感じている部分がございまして、それは第七条第五号です。財政規律が出過ぎているなと思っております。要は、これはすさまじい規定なんですよ、読んでみると。必要な財源の不足等を踏まえ、財政規律の維持の観点から、こういう立法例を私は見たことがございません。

 はっきり言って、何でも財政規律というのは出てくるし、社会保障だって聖域じゃないわけですよ、国の財政の中でやっていますので。社会保障と同様、防災や命を守る施策について、財源不足とか財政規律を前面に出すべきではないと私は思います。ちょっとそこは、私、被災地の議員でもありますが、心ない規定だなと思っております。

 これは結局、どの分野にも財政制約というのは当てはまるんですよね。その当てはまるものを、この防災、減災について特出しして書くという意味はどこにあるのか、ちょっとそこのところをお伺いしたいと思います。

吉田議員 民主党案のポイントの一つが、実はこの財政規律の維持を明記したというところで、先生の御指摘もなるほどなというふうに承っておりますが、要するに、あらゆる大規模自然災害から国民を守ろうとすると、膨大な予算が必要になる。ところが、現実は、極めて困難な財政状態に今日本の国は置かれている。さあ、どうするかということでございます。

 強靱化と財政健全化というのは両立をせねばなりませんけれども、片っ方でやはり健全化ということを考えながら、この予算配分の重点化というものをやっていくべきだという趣旨でございます。

畑委員 そういう答弁であれば、私は、書き方は別にあるんだろうと思います。財源不足とか財政規律と書かずに、私もちょっと修文を、こんなのはどうかと思っていろいろ考えた文面があるんですが、要は、適正な手続で、持続的な水準でやると言えばいいだけでありまして、つまり、既存の立法例でも、財政資金の効率的な使用による云々という規定もございます。効率的に使う、しっかり使いなさいよと書けばいいだけなんです。だから、例えば、財政資金の効率的な使用による当該施策の持続的な実施に配慮して、その重点化を図る、そう言えばいいだけだと思うんです。

 結局、社会資本整備、防災対策というのは、私は次の議論でまた申し上げますけれども、思いっ切り上げて、そして無原則で、いずれはまた下げる、アップダウンの歴史があって、それが社会資本整備に対する不信感を生んだと思っております。こういうのは、本当は、一定の水準はどれぐらいかとしっかり国策的に議論しまして、それで二十年、三十年やるべきものなんですよ。

 だから、急に、今回、東日本大震災でも、資材が足りないとかあるいは人が足りないということになるわけです。減らし過ぎた弊害が出ておりますね、私は減らし過ぎるのは反対だったわけですけれども。

 ただ、勘違いしてほしくないのは、無原則にふやすのもよくないんですよ。補正予算で積み増しして、消化できないようにしていく。これは実務を考えれば、例えば、補正予算で十積むのと、五ぐらいのレベルで減らすというものの中間の七、八で二、三十年いった方が、こういう分野は私は一番いいと思っています。

 ちょっとよそにずれましたが、それは次の質問として、条文的な話をちょっと今申し上げました。財政規律とかそういうことを言うのではなくて、今言ったように、財政資金の効率的な使用による持続的な実施に配慮する、そういう書き方に修正するのが一番合理的だと私は思うんですが、民主党提案者に対して、そこに対するコメントをお願いします。

吉田議員 御指摘のように、財政資金の効率的使用に配慮するという表現、さらには、強靱化対策を持続的にやるべきだという考え方、大変重要だということは承知しております。

 ただ、先ほども申し上げましたが、一方で、財政状態が極めて逼迫している。やはり、施策の重点化を図る、強靱化というニーズも大震災以降非常に強まっている中で、重点化ということは避けて通れない考え方ではなかろうかと考えて法案をつくったところでございます。

畑委員 今の答弁とそんなに認識は私も違わないだろうと思います。重点化、適正化、透明化、客観化が必要である、そう書けばいいんですよね。財政規律だとか、殊さら財源不足を持ち出す必要はない。

 結局、切って切って縮小した中でやろうというのは、ちょっと、縮小均衡の議論であって好きじゃないんですが、いずれにしても、重点化するために、公共投資の基本的な準則を初めとして、その基準なり手続をしっかり決めましょうというところに行き着くはずなんです。

 だから、私は、本当は、公共投資基本法的なものが、手続法的なものが必要だと思っております。それは年来の私の主張ですが、それはともかくさておいて、だから、そこを言えばいいのであって、重点化が必要だから財源不足、財政規律というのは、ちょっと飛躍した論理だと私は思っております。

 これは、いろいろまた、両方あわせてつくるのか、どうなっていくかあれですが、今の指摘を踏まえて検討いただければ本当にいい案ができると思いますので、やるならばいい案をぜひともつくろうではありませんか、この国土強靱化、国民生活強靱化を。そういうことを申し上げておきたいと思います。

 両案に対してまた引き続きお伺いしたいんですが、もう質問というか議論に入っちゃっていますけれども、さっき申し上げたのは、社会資本整備、特に防災、減災、安全、安心の観点のものを経済対策の具にされ過ぎるのも私は不適切だと思っております。経済対策のためにやるものじゃないんですよね、防災、減災、社会資本整備は。国民生活の安全、安心、快適性のためにやるものであって、さっきの議論に戻りますが、ましてや外国のためにやるものでもない。

 そこの基本を押さえながら、やるべきことは何なのかということを決めてしっかりやっていく。私は、そういう意味であればこの強靱化法案は意味があると思っていますけれども、そういうことが必要だと思っております。

 国土政策的観点からは、さっき申し上げたように、アップダウンさせずに、一定の水準で持続的に中長期でやっていく、そういう体制をつくって議論していくということだと思っております。

 そういう観点がこの法案にどのように反映されて規定されているか、それぞれの法案についてお伺いしたいと思います。

福井議員 先ほど申し上げようと思ったんですが、畑議員におかせられましては、東日本大震災への対応を初め、阪神・淡路大震災、近畿地建の路政課長として陣頭指揮をとられて、その後、大きな経験を積まれて、その知性と教養で大政治家になることを期待申し上げておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 この日本で今起こっていることは、補正予算で若干一息つきましたけれども、しかし、もう来年度の公共事業費、教育費も防衛費もそうですけれども、〇・九七をベースとしてしか考えられない、一を超えることは到底、常識的には考えられないという状況に置かれているということ、補正予算も去年度の半分ぐらいしか予想されないということ。

 それが来年度、再来年度はどう違うのか、その次の年はどう違うのかということを、公共事業を実施する、そして防災、減災を実施する者が、建設に携わる者が実はもう既にわかっていて、だから人を雇えない、機械は買えないということになっているわけでございます。

 まさに畑先生のおっしゃるとおりで、そこから先、ずっと中長期的に、持続的に、ある一定規模で、ある地域の、国民の命はおまえが守れ、防災、減災に従事しろ、そういう、従事する人の希望なり矜持なりプライドなりを維持するための一定の予算維持というのが必要だ、そういう指摘に今受け取らせていただきました。

 自公案では、行間で読み取るべきであり、そして、今、畑議員がおっしゃったように、ほかの法律で財政規律と書いたことがないということがあって、わざわざ明示はしなかったんですけれども、しかし、今までの議論があり、そして世論があり、そして民主党の案がありということで、財政規律も含めた、明示をした、言葉として法文上にそれをあらわすということをぜひさせていただきたいというふうに思います。今、畑先生がおっしゃった持続性、そして重点化、効率化ということについて明示をした条文でぜひ皆様方に御納得いただけるように、頑張らせていただきたいと思います。

吉田議員 御指摘のように、国土政策的な観点から、余り急激なアップダウンじゃなくて、一定の水準で投資をしていくべきだというお考えは大変基本的な認識であるというふうに思っております。

 民主党の案ではその観点がどのように規定されているかというおただしでございますが、特に、国民生活を強靱化するための大規模自然災害に備えた事前の防災及び減災に係る対策というものを国民生活強靱化対策と定義して、その推進に関し基本計画等に定めるということで、そういう防災、減災の投資を総合的かつ計画的に推進するという規定を設けているところでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 実は、今の国交行政の最大の問題は、まさに、中長期で持続的にやるための財源というか、そういうのも含めた中長期計画の存在がなくなったことだろうと思っております。五計というのは非常に柔軟性を失うということで否定されて、今、数字が入らない抽象的な計画ということになっています。

 そこは、単年度予算でやっていくと先の見通しがないので、ある程度の見通しという意味で本当は数字も含めたものは私は必要だという論者ですけれども、これはこれで、今の体制の中でつくった法案ですからあれとして、しっかりとした基準と手続、こういうことをまず押さえておくべきで、そこはもう入っているという御答弁だったと思います。

 また、福井先生におかれましては、ありがとうございました。こういう場で言うのもなんですが、福井先生も、阪神・淡路大震災のとき、浪速の所長でおられて、ちょうど一緒のときにおりまして、大変御尽力されたことに改めて敬意と感謝を申し上げます。よそごとを言って済みません。

 それで、最後の質問になりますけれども、そういう流れで申し上げますと、二十八条の諸外国の理解、さっきの国際的な云々の部分、これと絡むわけですけれども、これは、諸外国の理解を得ることは当然でありますけれども、やはり条文で書くというのは何となくおかしいなと思っていまして、そこを明記する必要性というのを改めて、先ほどとの関連で、同じことになりますが、お答えいただければと思います。

福井議員 済みません、エールを交わしたばかりで恐縮でございます。お言葉ではございますが、やはり、防災は一国ではもう閉じられない、そういう時代になったんだと思います。二階先生がずっと答弁しておりますように、トモダチ作戦で本当にたくさんの命を、財産を、家族を救っていただきました。

 では、どうしてフィリピンにアメリカ軍が先に行って、自衛隊が何日も何日も後なのかということで、やはり世界に一刻も早く貢献できる国でもありたい。そして、二〇二〇にはオリンピックがあって、全てのアスリートを守らなければならない、観光客を守らなければならないという立場でもあるし、そして、ふだんでも全ての観光客、全ての日本人の命、財産を国家が守る国であるということをみずから確認し、そして、それを世界にアピールしなければならない。

 そういう国土強靱化の思想をぜひ世界にアピールする、そういう意味でわざわざ条文化したということでございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。

畑委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので質問を終わりますが、実は、大きな論点、私が気にしているのが二つありまして、一つは、一条の目的に入るのは変だというのと、財政規律、財源不足が出るのは変だ、そこは、しっかり客観的にやっていく、そういう条文になればいいなというこの二点、私、被災地議員でもあります観点から危惧している部分も含めて、きょう議論させていただきました。

 どうぞ、いい議論が進みまして、いい法案ができて、みんなでハッピーな形で成立すればいいんだろうと思っておりますので、ちょっとその辺の御検討と御協議、引き続きよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十一分散会


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