衆議院

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第5号 平成27年6月11日(木曜日)

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平成二十七年六月十一日(木曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 梶山 弘志君

   理事 大見  正君 理事 工藤 彰三君

   理事 櫻田 義孝君 理事 高鳥 修一君

   理事 務台 俊介君 理事 小宮山泰子君

   理事 足立 康史君 理事 石田 祝稔君

      池田 道孝君    今枝宗一郎君

      加藤 鮎子君    金子万寿夫君

      金田 勝年君    神山 佐市君

      木内  均君    熊田 裕通君

      今野 智博君    坂本 哲志君

      笹川 博義君    新谷 正義君

      鈴木 憲和君    橘 慶一郎君

      谷川 とむ君    冨岡  勉君

      藤丸  敏君    松本 文明君

      三ッ林裕巳君    森山  裕君

      泉  健太君    岡本 充功君

      神山 洋介君    小山 展弘君

      伴野  豊君    今井 雅人君

      河野 正美君    升田世喜男君

      松田 直久君    中川 康洋君

      濱村  進君    大平 喜信君

      堀内 照文君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       山谷えり子君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日原 洋文君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         富永 昌彦君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           室田 哲男君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森  晃憲君

   政府参考人

   (気象庁長官)      西出 則武君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   清水 康弘君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   衆議院調査局第三特別調査室長           佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十一日

 辞任         補欠選任

  金田 勝年君     橘 慶一郎君

  河野 正美君     升田世喜男君

同日

 辞任         補欠選任

  橘 慶一郎君     金田 勝年君

  升田世喜男君     河野 正美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)


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     ――――◇―――――

梶山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山本哲也君、内閣府政策統括官日原洋文君、総務省総合通信基盤局電波部長富永昌彦君、消防庁国民保護・防災部長室田哲男君、文部科学省大臣官房審議官森晃憲君、気象庁長官西出則武君、原子力規制庁次長清水康弘君及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神山洋介君。

神山(洋)委員 おはようございます。神山でございます。

 きょうは、活火山法の改正案についてということでございます。先週に引き続きということでまた質問させていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、個別具体的な法案の中身についての前段で、それも含めた災害対策の基本的な方針ということについて数点確認をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 災害対策の基本的な大きなフレームワークとして、いざ発災に至るまでの予防のフェーズ、発災をした後の応急対応のフェーズ、その後に復旧に至るという、大きなこの三つのフェーズがあるというのはよく知られているとおりでございます。

 もちろん、どのフェーズにおいても最善を尽くされるべきであるということは当然前提であるわけですが、近年の災害対策の一つの特徴として、やはり、いざ発災に至る前のところ、平時の段階、予防の段階、普通の段階で何ができるだろうかということをでき得る限りきちんとやっておいて、いざ発災に至った段階での被害を極小化するべきであるという前提で、この間さまざまな政策がとられてきたものというふうに私は理解をしておりますし、当然そうあるべきだというふうに考えているわけですが、まずは大臣、この点、こういう認識でよろしいですよねという確認をさせてください。

山谷国務大臣 災害対応全般についての考え方でございますが、我が国は、その自然的条件から、各種の災害が発生しやすい特性を有しております。こうした我が国の特性を踏まえ、あらゆる災害にしっかりと備え、被害の最小化を図り、一人でも犠牲者を少なくすることが最大の使命と考えております。

 そのためには、予防段階においては、常に最新の科学的知見を取り入れつつ、防災関連施設の整備などのハード対策と情報伝達や防災訓練などのソフト対策を適切に組み合わせた総合的な防災、減災対策を推進することが重要であります。

 委員おっしゃられるように、事前防災で被害の最小化を図っていくということを大切に考えてまいりたいと思います。

神山(洋)委員 ありがとうございます。それは、ぜひこれからもそういう方針であるべきだと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 大事であるというこの予防の段階、発災に至る以前の段階をどうしていくかということが、この後議論にもなります活火山法改正案についても大事な一つのポイントであろうと思っているわけですが、そこに行く前に、もう一点だけ。

 予防段階について、もう少し厳密に考えると、私は、二つのフェーズに分かれるんじゃないかなというふうに思っています。

 それは、つまるところ、予知、一定の予見をされるというタイミングに来てから実際に発災に至るまでというところ。本当に何にも、いつ起きるかわからないというものに対して事前の備えをするという部分は当然あるでしょうけれども、特に火山の場合が中心になるかと思いますが、そろそろそういうことが起きそうな予兆があるという段階、もしくは、この後質問させていただきますけれども、地震ではどこまでいけるかというところは限界があるかもしれませんが、一定のレベルで予知ができる段階、予見ができる段階から発災に至るまで、ここをどうするかというのは、一つの予防の段階ではありますけれども、くくりとしては別にくくってもいいのかなというふうに思っています。

 少し申し上げてしまいましたが、ただ、予知であり予見をするということにおいては、全ての災害において、いつから必ず起きて、いつまでに終わって、いつ必ず発生をするなんということはなかなか言えないわけでありますけれども、予見をする、もしくは予知をするということがどの程度可能なのかという、予知に対しての評価、そして、その予知を踏まえて、では、それをどういう形で政策論に生かしていくのかという点。

 この二点、これは、主に予知が可能と言われているのは火山であり、若干括弧つきではありますが地震かなというふうに思いますので、地震と火山、双方において、予知をそもそも政策上はどう評価していて、それをどう取り込んでいこうとしているのかということ、この全体方針について御確認をさせていただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 地震災害や火山災害が発生した際、避難誘導等を確実に行い、住民の生命を守るためには、地震や火山噴火の前兆現象の観測や、それらの調査研究を充実させることは極めて重要であると考えております。現在、大学や気象庁を初めとする関係機関において研究が実施されているというふうに認識しておるところでございます。

 まず、火山噴火につきましては、気象庁において、火山ごとに、火山性地震、火山性微動、地殻変動、噴気等の観測データ、あるいは過去の噴火の際の観測データ等を総合的に判断するなど、可能な限りの予測を行っており、この結果、火山活動の活発化が認められる場合には、臨時の解説情報や噴火警報等を速やかに発表することといたしているところでございます。

 例えば、過去、平成十二年三月の有珠山の噴火、あるいは平成二十一年二月の浅間山の噴火におきましては、過去の噴火事例の蓄積があったこともあり、火山活動の活発化を示す変化を観測した段階で、事前に噴火警報等を発表したところでございます。

 一方、現状におきましては、火山全体に関する知見、あるいは個々の火山に関するデータの蓄積等が必ずしも十分でないこともございますので、火山活動の変化があった場合でも、噴火に至るか否かの判断が困難な場合もあるというのが実態でございます。

 また、地震につきましても、その規模や発生時期等を確度高く予測することは、現状では一般的に困難とされており、地震予知、予測に関する研究成果を十分に防災対策に生かすという段階には必ずしも至っていないということでございます。もっとも、必ずしも予知ではございませんが、緊急地震速報のようなものはかなり定着しておりますので、こういったものを活用していただくというのも一つの方法だと思っております。

 いずれにいたしましても、地震、火山災害の前兆現象をより正確に把握し、防災対策に生かしていくことは重要であり、今後とも、関係省庁と連携して、地震、火山噴火に係る監視観測、調査研究体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 前兆現象というお話をいただきました。

 前兆現象が必ずしも、どこまで正確に把握をすることができて、それを実際の発災に向かってどこまできちんと結びつけることができるかというのは限界があるということは当然ではありますけれども、ただ、やはり、これからの科学的知見の蓄積も含めて、そこをでき得る限り精度の高いものにしていくということはこれからも必要であろうと私は思っているわけです。

 今この話に触れさせていただきましたのは、これは後で議論させていただきます今回の活火山法改正案についてで言えば、当然これはもうお集まりの委員の皆様は御承知のとおり、御嶽山の噴火を踏まえて、その経験であり知見を今回の法改正の中に盛り込もうという発想で今回来ているわけではありますが、それ以外も含めて、やはりでき得る限り、想像力の働き得る範囲で、我々が今予防の観点で何ができ得るだろうかということを盛り込むべきではないかというふうに思うわけです。

 御嶽山の事例を念頭に置けば、もちろんこれは事前の予知ができなかったに等しかったというところのいろいろな批評等はあるわけですが、そこの問題と、加えて、実際に発災をした後にどういうオペレーションをすべきだったのかという二点に分かれると思います。

 私のこれからの議論は、主に発災に至る前の部分に重心を置いて少し議論をさせていただきたいと思っております。

 その際に、今回の法案に至る中央防災会議等のさまざまな資料等も読ませていただきました。

 活火山が全国で百十ほどあって、常時観測をしている火山が、今四十七を五十にしようとしているタイミングだというふうに伺っております。

 では、我が国にある活火山が一体どういう山なのかということを考えたときに、おもしろいデータがありまして、登山主体の山が大体六割強である、三割強が観光主体の山であると。もちろん、両方あるというところもあるんだと思うんですが、大体そういう数字がありました。登山の方が数としては多くて、観光主体の山というのは三割ぐらい、大体そんなものかなというふうに思うわけです。

 まず初めに、これは事実関係のみ簡潔に御答弁をいただければ結構なんですが、今回の法改正の第一条の目的のところで一つ修正が加わったのが、生命及び身体の安全を守る対象者として、今まではこれは住民等というふうになっていたわけですけれども、そこに、登山者その他の者という表現が入りました。これは、今回の法改正が御嶽山の事例を引き合いにしてここに至っているという意味で登山者という言葉が入ったものだというふうに思うわけですが、先ほどお話をさせていただきましたように、登山主体の山と観光主体の山と両方ありますという中で、登山だけが入っていて、何で観光客が入っていないのかなという素朴な疑問があります。まずは、ここに何か理由があるかどうか、御答弁いただければと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正案で目的規定を改正し、住民等というものを、住民、登山者その他の者と改めているというのは、委員御指摘のとおりでございます。

 これは、御案内のとおり、御嶽山の噴火災害で、噴火自体は比較的小規模だったにもかかわらず、火口近くで多くの登山者が被災したという教訓を踏まえて、山に立ち入る者、すなわち登山者ということを明示したものでございます。

 登山者その他の者につきましては、観光客が当然含まれているわけでございます。従来から、住民等の等の中には、火口周辺というんですか、温泉とかそういうのも含まれた周辺エリアの観光客等も当然含んでおります。今回も、そういった意味では当然含んでおりまして、改正案におきましても、火山防災協議会の構成員の者として観光関係団体を明示したり、あるいは観光客の円滑かつ迅速な避難を確保するための集客施設の管理者等に対する避難確保計画の作成義務づけを行っているところでございます。

神山(洋)委員 読めるというのは、私も当然読めるんだと思っていますけれども、どうせ登山者等と書くんだったら、そこに観光客も入れてもよかったんじゃないかなというふうにも思うわけです。

 続いて、同じような質問ではあるわけですが、今も少し触れていただきましたけれども、今回の法改正の中で一つの大きな眼目は、各火山ごとに火山対策の協議会を設けますということになっているわけです。その協議会に、必須のメンバーと、今お話もありましたけれども、例えば観光団体であるとか、場合によっては山小屋の経営者の方であるとか、いろいろな方も任意で参加をしていただけるようにしたという話を伺っているわけです。

 一つここで疑問なのは、この必須のところではないかと思っていますし、必須でなかったとしても、これはほぼ必須に近いぐらいで、地域経済の担い手の部分が漏れているんじゃないかと私は思っております。例えば経済産業省の中小企業庁の出先である経済産業局であるとかそういった部分、要は地域経済に関連をするような部局がこの火山防災協議会の必須メンバーとしては念頭に置かれていないというところが少し、ううんと思ったわけです。

 ここも先ほどと同じですが、何かそれにも理由がありましたらお答えをいただければと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 火山防災協議会は、火山全体で一体的な警戒避難体制を構築するために、火山の爆発による人的災害を防止する観点から、その専門的知見が必要となる者を必須構成員としております。

 具体的には、都道府県、市町村、あるいは、噴火の影響範囲を検討し、噴火警報などを発表する気象台、泥流などの影響範囲を検討し、噴火後には土石流対策のための緊急調査を行う地方整備局、避難誘導や救助活動を行う自衛隊、警察、消防、それから、専門的知見から検討全般にわたり助言を行う火山専門家という者を必須構成員としたところでございます。

 お尋ねの経済産業局等地域経済関連セクションは、人的災害の防止とは直接関係がないために、必須の構成員とはしなかったところでございます。

神山(洋)委員 理屈としてはわかるわけですが、この後お話しさせていただきますように、実は、この火山対策協議会の中で検討していくさまざまな意味での規制であり避難計画の作成、そしてそれの実行ということに当たっては、もちろん生命の安全を確保するということが第一であることは言うまでもありませんけれども、しかし、事前の計画の作成、そしてそれを実際に実行に移していく段階には、どうしても経済との絡みの話が各地域ごとに出てこざるを得ないという局面があります。そこをも含めて我々としては全体の法的なスキームをつくっていくということが私は大事ではないかと思いますので、一応、前提としてその話を伺わせていただきました。

 やはり、今の話を伺っても、経済へのいろいろな意味での影響、配慮というものは、正直ちょっと薄いんじゃないかなというふうにも思っているわけです。

 その話を少し御理解を深めていただければということも含めて、私の地元の実例を少し御紹介させていただきながら、これ以降の議論をさせていただきたいんです。

 お配りさせていただいた資料の一枚目は、報道はいろいろあるんですが、十月四日に毎日新聞で報道されたもので、要は、生命の安全を確保するというオペレーションと、実際にはその地域の経済の大きな担い手である観光との相克がやはりいろいろなところにあらわれてくるよねということが幾つかコメントとして紹介をされているものです。全て読み上げることはしませんが、お目通しをいただければと思います。

 ただ、やはりここにも書かれていますとおり、安全を第一にということで、規制をできるだけ早目に、そして保守的に大きくしようとすればするほど、実際の現地の経済に対してはマイナスのインパクトがあるということは御想像いただけるかと思います。

 では、今、具体的にどうなっているかというと、一枚おめくりをいただいて、ちょっと真ん中辺に丸く、濃くなっている部分が立ち入り規制エリアということで、これは半径約三百メートルぐらいの部分ではありますけれども、立ち入り規制エリアというのが今設定をされていて、この中には立ち入ってはいけませんということになっています。ちなみに、レベルでいうと、1から5まである中でいうとレベル2で、今半径三百メートルでこういう状態ということです。

 もう一枚おめくりをいただいて、これは今の立ち入り規制エリアの中のさらに限定された中心部の航空写真で、箱根の大涌谷というところに行かれたことがある方は御想像がつくかもしれませんが、この建物でいうと、一番はロープウエーの駅です。二番、三番、四番はお土産屋さんです。五番が公衆トイレということで、この三番と四番の間の遊歩道を通って、ここの写真には写っていませんが、この奥の方に温泉卵、黒卵をぼこぼことゆでているような池があって、そこで卵を売っている売店があるようなところです。ちなみに、この写真に写っているところは、今現在全部入れなくなっているという状態です。

 ゴールデンウイーク中、五月六日の朝六時だったと思いますが、レベル1からレベル2に上げますという発表が気象庁からなされて、そのことによって立ち入り規制区域が三百メートル設定されて、今あるこの写真のエリアも含めて、ロープウエーの駅も含めて、入れなくなりましたという話になったわけです。

 それ以降、お土産物屋さんが、そもそもここに現金を置きっ放しだとか、生ものも置きっ放しだからとりに行かせてほしいんだけれども、それも入れないという話から始まり、ロープウエーは、運行中止とまではいきませんけれども、なかなかお客さんが乗ってくれないので、前年度比で売り上げ八割減なんという話も今伺っているところであるわけです。

 前回の質疑をさせていただいた際にも、大臣とも最後に少し議論をさせていただいたわけですが、こういうさまざまな予兆現象があった中で、多くの方々の安全を守るためには、できるだけそのことをきちっと捉えて、あらかじめそこに立ち入らないようにして、そして生命の安全を確保するということは政策的に私は正しいというふうに思っています。なので、今回のオペレーションも、これでよかったんだと思っています。

 ただ、公の権限によって立ち入りの規制をするわけです。その中で、平時行われている経済活動は当然ながら制約をされて、そのことによって経済的な実害が生じるということは、これまで実は余り大きく取り上げられていませんでしたが、観光地として有名なところであるがゆえにかもしれませんけれども、今回かなり大きくクローズアップをされております。

 よくよくこれは後追いで調べてみますと、例えば蔵王であっても同じようなことは起きておりますし、これから各火山ごとに協議会を設けて、その中でいろいろな意味での立ち入り規制区域の検討をしていくという中では、当然、今回の事例はそれぞれのエリアの中で例として考えられると思うんですね。そのときに、では、経済活動が公の規制によって封じられて経済的な実害が出るということは、一体これは誰の責任なんだ、誰の負担とすべきなんだという大変難しい議論が出てくると思うんです。

 前回申し上げたとおり、私は、全部が全部、公が担保すべきだということを申し上げているつもりはありません。しかし、予防措置をこれからどんどん強めていきましょうということを考えていったときに、やはりここに対して一定の配慮はあってもいいのかなというふうに私は思っているわけです。

 ただ、その後段のことはこの後とさせていただいて、まずは前提として、基本的なところを伺いたいわけです。

 今申し上げたように、噴火警戒レベルを2、3、4と上げていくことによって、物理的な規制区域ができます。その中で、実際に経済的な実害が生じるという場合に、この負担主体は一体誰なのだろうという基本的な視点について、大臣、どうお考えか、まずはこの点を御答弁いただければと思います。

山谷国務大臣 噴火警戒レベル2から4を念頭に、予防措置により生じる経済的実害についての基本的な考え方でございます。

 火山災害から人命を保護するためには、火山活動の状況に応じて警戒が必要な範囲と避難など住民等がとるべき防災対応を五段階に区分して発表する噴火警戒レベルの適切な運用が極めて重要であります。

 災害対応において第一に優先すべきは人命の保護であり、仮に、噴火警戒レベルの運用等の予防措置の結果、経済的損失が発生したとしても、直ちに行政が支援するということにはならず、まずは避難等のおそれのある活火山周辺地域で事業を営む事業者自身が対応すべきものと考えております。

 他方、甚大な被害が発生した場合には、災害復旧貸し付けや信用保証制度といった既存の救済措置の活用等について、個々の災害の実情に応じて、関係省庁と連携し、適切に行ってまいります。

 なお、経済的損失を軽減するための風評被害対策については、国としても、正確かつわかりやすい情報発信を行い、必要な対策を講じてまいることが大切だと思っております。

 箱根町の現状について、お地元の方々からたくさんの御要望や現状の報告、御意見をいただいています。実際、大涌谷周辺の火山活動に際しても、官房長官や私の方から国民の皆様に、大涌谷以外の箱根町の地域は安全のための必要な措置が確保されていることや、冷静に対応いただくことについて、繰り返し呼びかけているところでございます。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 ここで、その負担主体がどうだということをばしっと言いづらいのはよくわかります。よくわかりますが、しかし、今回の活火山法改正案の中身をより実効あらしめるためには、実は、この問いに対しては何らかの結論を、本来であればこの場でですし、おくれながらであっても出さなきゃいけないタイミングが来るんだろうというふうに私は思うわけです。

 今大臣からもお話がありましたが、風評被害という部分も確かにあります。規制エリア外の部分で、風評によって被害がある。それは、ちょっと厳しいですけれども、何とか既存法でカバーできなくもないかなという雰囲気はありますよ。ただ、規制エリアの内側に関しては、これは風評被害では完全にないので、どうにもならないという実態があります。

 お配りをさせていただいた資料の一番最後を見ていただければと思います。

 これは私の手元のところで簡単にまとめたものですので、余り厳密さを求めた資料ではありませんが、冒頭申し上げたように、災害のフェーズが、予防があって、応急があって、復旧があってという三つのフェーズに分かれて、予防と応急の間に発災というタイミングがあります。予防の中に、一部、予知もしくは先ほどお話のあった前兆現象があって、ほぼ起こることが確実視をされるようなタイミングというところがあるわけです。

 これは、それぞれのタイミング、フェーズによってどういう法律が適応するだろうかということを簡単にばっとまとめたものなんですが、一見しておわかりいただけるように、災害が起こる可能性が高くなってきたタイミング、前兆現象があって発災に至るまでの間のさまざまな被害なりに対しての適応する法律というのはほとんどないに等しいわけです。

 一部、今大臣のお話のあったような、セーフティーネット貸し付けであるとか、これは規制エリア外の話だと思いますが雇用調整助成金であるとか、部分的には少し絡まなくはないかなというものはありますが、発災に至る前の予防段階で、しかも、一定の予知、予見が可能な段階、このタイミングでそこに生じた経済的な被害というものに対してどうアプローチをするかということは、これはほとんど今まで考えられてきていない。私は、法の穴だということを言い続けています。

 そういう意味でいえば、私自身も立法府の一員として、この問題に対しては何とか対処をしなければいけないという問題意識は持っているわけですが、やはり防災行政をつかさどっていらっしゃる大臣にもこの問題意識は共有をしていただきたいわけです。

 なぜ私があえてここでこの点を取り上げているかといえば、もちろん、今の私の地元の状況を何とかしたいという思いは、正直、当然あります。ただ、この公の場でそのことだけを強く申し上げたいわけではなくて、この問題を放置した場合にはどうなるかということを考えると、この法案が成立をして、この後、各火山、四十七もしくは五十火山の中で火山防災協議会が設置をされて、その中で、まずは、レベル1はいいですけれども、2、3、4、5と段階が上がる中で、どういう規制範囲を設けようか、それが百メートルなのか三百メートルなのか、場合によっては一キロなのかということを火山ごとの状況に合わせて設定しようとしていくわけです。

 やはりそのときに問題になるのは、この規制をしても、例えば、ここのラーメン屋さんは営業ができなくなっちゃいますよ、このロープウエーはだめですよ、山小屋は営業できなくなりますよという話の中で、本来は、安全、合理的に、いざこの山が発災をしたときには、このぐらいが危ないからここを制限しなきゃいけないという話になるべきだと思いますが、やはり人間ですから、どうしてもそういうときに、でも、もう五十メートル手前までの規制エリアにすれば、ここのお店は大丈夫じゃないかとか、ここの駅は大丈夫じゃないかという話は、これは公の議事録には残らない部分かもしれませんが、必ず現地でそういう話になると思うんです。

 べき論からいえば、安全、合理的に、きちんと科学的に規制エリアを設定すべきだ、正論はそのとおりなんです。しかし、やはり我々としては、そういうふうになる可能性、人間のいろいろな意味での経済活動の中から、調整をしたい、してほしいという願いを、そういう部分でぶつけなくても済むような手だてを考えることが、今回の法の趣旨に基づいて事前に合理的な設定をできるような、いざというときの民間経済活動における被害を何らかの形で配慮するという姿勢ぐらいはあるべきであろうと私は思います。

 それがないと、どうしてもそういう人間の感覚的な部分というのが現地で働いて、端的に言えば、その協議会の長には地域の首長さんがなるわけですが、非常に苦しむことになるんじゃないかと思います。そこを仮に乗り越えたとしても、いざ本当に前兆現象が起きて、レベル2に上げました、規制エリアを設定しますというときに、また同じぶつかり合いが出てきてしまう。これを私はやはり避けなきゃいけないと思うわけです、安全確保を第一にするために。

 だとすれば、公の権限で規制エリアを設定するからには、全部が全部とは言いませんし、どこまでかというのはいろいろな難しさはあると思います。そして、この法案の中に書き込むことも、今のタイミングでは難しいでしょう。しかし、これから例えば指針をつくるわけですから、そういった部分についてそれなりの配慮をしますよとか、少しそこは問題意識を持って考えますよというぐらいのサジェスチョンはあってしかるべきじゃないかと思うんです。大臣、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 火山ハザードマップの作成やそれを踏まえた噴火警戒レベルの設定といった予防的措置を講じるには、人命の保護が第一でありまして、経済的損失を恐れ、これらが適切に行われないということはあってはならないことだと考えております。

 観光客の安全確保と風評被害防止の両面から重要なことは、正確かつわかりやすい情報提供であり、このため、活動火山対策特別措置法の改正法案では、火山防災協議会の構成員に観光関係団体等必要な者が参画し、情報共有を密にするようにしております。

 また、適切な火山ハザードマップの作成等に関しては、火山防災協議会に、気象台や砂防部局、火山専門家が必須構成員として参画することで専門的知見を取り入れたものになるようにしているところでありまして、協議会の議論を通じて、関係者が一体となって適切な対策を講じていただくことを期待するものでございます。

神山(洋)委員 なかなか渋い御答弁かなという気はしますけれども、ぜひ御検討いただければと思います。

 あってはならないというお話がありましたし、私もあってはならないと思いますが、ある可能性があるところの可能性をどれだけ減ずることができるかということはやはり我々の定めだと思っています。その問題意識だけは共有をいただけたと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 時間も限られてきましたので、最後に一点ですが、今お話のあった噴火警戒レベルの上げ下げというのは、実際にその対象エリアの人間になってみて初めてわかりましたけれども、生き死にと言うとちょっとオーバーかもしれませんが、安全を確保するという意味においてもそうですし、一方で、とまってしまった経済活動を再開するという意味においてもですが、現地にとっては極めてこれは重要なポイントになります。

 これまでのこの法案の検討過程の中で、御嶽山の事例以降、このレベルの引き上げ、引き下げの具体的な基準をどういう形で決めていて、それをどういう形で各地域にリリースするのかということは今まで余りオープンになっていなかったので、基準を精査して、もう一回これをオープンにしますという話になっていて、まだそれはできていないというお話も伺っているわけです。

 現時点で可能なレベルで構わないんですが、噴火警戒レベルを上げる、もしくは下げるという場合に、どういうフローに基づいてその決定が行われていて、かつ、その基準が具体的にどうなっているのかということを、一般論も含めてではありますが、今申し上げた例も踏まえて言えば、今回の箱根の大涌谷、五月六日には、前日にやや深いところでマグニチュード三・幾つの地震があったことが原因ということで上げられているわけです。逆に今度、下げるときはどういう基準で下がるのかという観点も含めて御答弁をいただければと思います。

西出政府参考人 噴火警戒レベルを導入した火山については、当該火山の過去の噴火事例等に基づきまして、火山専門家の御意見も聞きながら、火山性地震の発生回数や地殻変動の有無などについて、火山ごとに各レベルの基準を設定しております。

 火山性地震の発生回数等があらかじめ定めた基準に達した場合、もしくはこれに近づいた場合には、火山専門家の御意見も聞きながら、速やかにレベルを引き上げます。また、火山活動が低下し、レベルを引き上げる前の火山活動状況になった場合には、同様に、火山専門家の御意見を聞きながら、レベルを引き下げます。

 今般の箱根山大涌谷周辺につきましては、委員御案内のとおり、四月二十六日から、体に感じない火山性地震が増加し、同時に、山体の膨らみを示す変化が観測されておりました。また、気象庁が五月四日から行った現地観測では、大涌谷の温泉施設で蒸気が勢いよく噴出していることを確認いたしました。五月五日には、御紹介がありましたとおり、箱根町湯本で震度一の地震が三回発生し、このうち、同日の二十一時の地震は、やや深い場所を震源とするものでありました。

 これらのことにより、噴火警戒レベル2の基準に該当すると判断したため、五月六日午前六時に火口周辺警報を発表したものであります。

神山(洋)委員 本当はもっと伺いたいんですけれども、時間もありませんので、これで終わります。

 大臣、ぜひ問題意識を共有していただきまして、よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

梶山委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 私も、活動火山対策特措法の改正案につきまして、質問の機会をいただき、何点か御質問をさせていただきたいと思っておりますので、大臣以下の皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 昨年九月二十七日に発生をいたしました御嶽山の火山噴火は、週末で登山者も多かったということもありまして、幅広い年代の登山者が山頂付近で被災をし、死者五十七名、また行方不明者六名を出す大惨事となりました。

 さらには、最近でも、先月の二十九日には、鹿児島県の口永良部島の新岳で爆発的な噴火災害が発生をし、住民は着のみ着のままで島外に避難。現在、国や自治体は全力で救援に当たっておりますが、いまだ帰還の見通しは立っておらず、今回の事案によって火山噴火の恐ろしさを改めて国民の皆様が認識した、そういった事案であったのではないかというふうに思っております。

 そのような中、今回の法律案は、火山防災の体制を強化し、火山地域の関係者が一体となった警戒避難体制の整備などを行うため提出されたものでありますが、本日は、この法律案の中身について、その中身を具体的にするために、確認的に幾つか伺いたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず初めに、火山防災協議会の構成員について伺いたいと思います。四条関係でございます。

 この火山防災協議会の設置については、常時観測火山、現在は四十七火山、法施行後五十火山にふやすということですが、この常時観測火山に設置が義務づけられており、現在の四十七火山については既に設置がなされております。

 しかし、おのおのの協議会の中身を見ますと、例えば気象台や地方整備局、さらには自衛隊や火山専門家など、いずれかの必須構成員が未参画の火山防災協議会が、現在四十七の常時観測火山中十七もあることがわかります。

 私は、この必須構成員が未参画の火山防災協議会については、今回の法施行を待つのではなくて、その状況を早急に解消すべきであると考えますが、国としてこの状況をどのように解消されようと考えているのか、大臣の御所見を伺います。

山谷国務大臣 今回の改正法では、火山全体で一体的な警戒避難体制を整備するため、関係する都道府県及び市町村に加え、火山現象に専門的知見を有する者、具体的には気象台、地方整備局、火山専門家、自衛隊、警察、消防を必須構成員とする火山防災協議会の設置を義務づけたところであります。

 改正法が成立した暁には、通知等により改正法の趣旨を自治体に周知するなど、改正法の施行後速やかに必要な関係者が各火山防災協議会に参画できるように、しっかりと取り組んでまいります。

 また、特にその不足が指摘されている火山専門家についてですが、内閣府において、各火山防災協議会における火山専門家に関するニーズの把握に加え、地元大学を含めた大学や研究機関の研究者に関する情報収集を行い、各火山防災協議会に必要な知見を有する火山専門家が参画するように、調整を行ってまいりたいと考えております。

中川(康)委員 大臣、御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 まさしく、やはり火山専門家が非常に足りないという状況の中で未参画の状況が起きている、このように思っております。後半、この部分も少し伺いたいというふうに思っておりますが、常時観測火山四十七、法施行後は五十になるということで、やはりその体制をしっかりと整備していただく、その御努力を国を挙げてよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 次に、火山防災協議会、ここには、前述の必須構成員のほかに、必要に応じてメンバーを追加することができる、このように表記がされております。

 私は、この構成員の中には、日ごろから火山の近くで火山の変化をつぶさに見、火山の変化をある意味肌で感じている、例えば山小屋の管理人でありますとか、またホテルなど集客施設の管理者などを積極的に加えていく、こういった作業が必要ではないかというふうに思いますが、その点、国のお考えを伺いたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 ホテルや山小屋は、登山者あるいは観光客の緊急時の避難場所となると同時に情報伝達の拠点となるなど、火山防災の拠点となり得るものであり、これら管理者との連携を推進することは、火山防災上、大変有効であるというふうに考えております。このため、委員御指摘のとおり、地域の実情に応じて積極的に火山防災協議会に参画いただくことが重要であると認識しておるところでございます。

 今後、火山防災協議会にホテルや山小屋の管理者に積極的に参加いただけるよう、法律が通りました暁には、法律に盛り込まれております基本指針等におきまして必要性について周知するとともに、地方団体に対して働きかけてまいりたいというふうに考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今御答弁をいただきまして、火山防災協議会は必要に応じてメンバーを加えるということになっておるわけですけれども、火山の変化を日ごろから見ているのは山小屋の管理人であったりとか、火山の近くにホテル等があったりしますので、その変化をつぶさに見ている方、こういった方も積極的に参画いただくことがやはり火山防災協議会そのものを実効性あらしめるものにするのではないか、このようにも思うわけでございます。

 法施行後、それぞれの状況というのはあるわけでございますけれども、やはり積極的に参画をいただいて、そして、実効ある火山防災協議会、そういったものをおつくりいただきたい、こんなふうにも思うわけでございますので、そこを御要望申し上げさせていただきたいというふうに思っております。

 次に、法の六条関係、関係市町村における避難計画の策定のところについて何点かお伺いをいたします。

 避難計画の策定につきましては、常時観測火山、四十七火山の関係市町村、これは延べで現在百三十市町村になりますが、この関係市町村で策定することになっております。そして、このうち既に具体的な避難計画を作成済みの自治体をずっと数えてみますと、これは実に二十市町村にとどまっておって、余り進んでいない状況がございます。

 今回、この法律案が施行されますと、関係市町村は地域防災計画にこれら避難計画の内容を具体的に書き込んでいくことになるわけでございますけれども、国としては、関係市町村の策定状況、今は二十市町村というところでありますが、それをどう捉えて、そして、この作業を今後どのように支援していこうとお考えなのか、伺いたいと思います。

 また、その中においても、特に町や村などいわゆる小規模自治体では、担当職員の確保が難しかったりとか、さらには、火山防災の専門職員が足りない、こういった状況が原因となって計画作成がおくれている、こういった問題も見聞きするところでございます。

 そこで、私は、これら町や村などいわゆる小規模自治体に対しては、国が今後より積極的にバックアップをしていく、こういった必要があるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その辺、国の御所見を伺いたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 火山災害は、一たび噴火が発生すれば、短時間で広範囲にわたる地域の住民や登山者が避難する必要がありますので、あらかじめ具体的な避難計画を策定することが極めて重要でございます。

 しかしながら、火山災害は、他の災害と比べ発生頻度が低く、かつ専門的知見も取り入れながらさまざまな関係者が連携して検討することが必要なことから、これまで具体的な避難計画の策定がなかなか進まなかったというのが実態でございます。

 このため、改正法案におきましては、火山の特性に応じて、想定される噴火シナリオ、噴火による影響範囲を想定した上で、これに対応した具体的な避難計画を地域防災計画に位置づけることを義務づけ、避難計画の策定を強力に推進することとしております。

 委員御指摘のとおり、小規模な自治体では避難計画の作成のための体制が必ずしも十分でないという場合もございますので、改正法におきましては、都道府県や市町村に加えまして、気象台、地方整備局、火山専門家等の専門的知見を有する者から成る火山防災協議会を設置し、具体的な避難計画を協議するための体制を構築するとしたものでございます。

 内閣府におきましては、既に火山防災協議会等連携連絡会議というものを設けてありますので、そういった場を活用いたしまして、先進的な事例の紹介、あるいは協議会間の意見交換等を行うことによって、全体的な取り組みが進むようにしていきたいと思っております。

 また、火山防災協議会には都道府県も構成員として参画しておりますので、都道府県から市町村に対する技術的助言につきましてもお願いをしてまいりたいというふうに考えております。

中川(康)委員 御答弁ありがとうございました。もう少しゆっくり御答弁いただいても結構ですので。聞き取れないと、次に進めない状況があったりするものでございますから。火山があった場合は迅速に進めることも大事ですけれども、きょうはゆっくりと御答弁いただければ。よろしくお願いをいたします。

 先ほど御答弁いただいたとおり、火山防災協議会が設置されて、それに従って関係市町村が地域防災計画をつくっていく。

 火山があるところを見ますと、やはり結果的に町とか村が点在しているというところが多いんですね。今御答弁をいただいたとおり、やはり発災の頻度というのがどうしても低いものですから、関係職員とか専門家がいないという状況があったりします。

 しかし、今回義務づけるということになっておるものですから、やはり義務づけるとなると、それと同時に、しっかりと支援をしていく、そういった体制をつくっていくことが大事だというふうに思いますので、連携も図りながら、また国や都道府県もしっかりとバックアップをしながら、実効性あらしめる地域防災計画、そして、この地域防災計画をつくった後に、いわゆる集客施設等における避難計画とか訓練、こういったものもつくっていくという一つの流れがありますので、そこのところ、お取り組みをよろしくお願いいたします。

 続きまして、八条関係、まさしく地域の防災計画がつくられて、そこで指定をされましたいわゆる集客施設とか要配慮者利用施設における避難確保計画、さらには避難の訓練等について、具体的に少しお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の法律案では、第八条におきまして、ホテル等集客施設や学校、病院等要配慮者利用施設の管理者などに避難確保計画の作成や避難訓練の実施を、これもやはり義務づけをいたしております。

 私は、この計画作成の義務づけは、これら施設を利用している人の命を守るという観点からも、大変大切であるというふうに考えております。しかし、今回その対象となる施設のほとんどは、例えばホテルとか旅館とか、民間施設であることが多いために、この避難確保計画の作成については、国や都道府県から何らかの支援がないと実際には余り進んでいかないのではないかな、こんな危惧を私自身持つところでございます。

 そこで、この点についてお伺いしたいと思いますが、国としては、今回、集客施設や要配慮者利用施設など避難促進施設における避難確保計画の作成などについて、具体的にどのような支援、例えばマニュアルをしっかりとつくるとか、そういったことの部分、具体的な支援の方策があるのかどうか、この辺のところ、確認をさせていただきたいというふうに思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 避難確保計画は、委員御指摘のとおり、あらかじめ、火山災害発生時に利用者にどのように情報を伝え、避難誘導するかなどを決めておき、これに沿って訓練しておくことを義務づけるものでございます。避難確保計画には、具体的には、あらかじめ、施設の従業員の体制、あるいは情報収集、伝達ルート、避難誘導方法などを定めていくことになります。

 運用に当たりましては、計画作成の手引を示したり事例紹介を行うことなどによりまして、実務的な負担がなるべく軽減されるよう、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 やはり具体的に、ひな形とかそういったマニュアル、それに沿ってただつくればいいというだけ、これも問題になるのかもしれないですけれども、民間施設が多かったりとか、義務づける以上は、こういった内容をという部分がしっかりとつくられている、そして、それに基づいて、例えば学校とか病院とか老人ホーム、さらには旅館とかホテル、さらにはロープウエーを経営しているところ、そういったところにしっかりと避難確保計画、さらには避難の訓練等ができるような体制をおつくりいただくこと、ここも大事かと思います。

 法が施行されたけれども、実際に現場のところでは、例えば火山防災協議会とか地域防災計画、これは都道府県であるとか市町村の段階であります。やはり現場のところまで、具体的な計画がしっかりとあって、そして、訓練とか、いざというときにその動きが実際に行える、こういったところまで落とし込んでいくことも必要だと思いますので、この辺のところもぜひ具体的なお取り組みをいただきたいというふうに思っております。

 あわせて、避難促進施設、特にホテルや旅館などいわゆる集客施設における訓練について少しお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 ホテルや旅館など集客施設につきましても、今おっしゃっていただいたとおり、今回の法律案では、避難計画を作成する、そして訓練を実施することが義務づけをされております。

 これら施設は、ホテルとか旅館ですが、日ごろからいわゆる観光客など不特定多数の方が利用をするために、他の施設以上に実効性ある計画を策定し、かつ、日ごろから定期的に、例えば従業員や関係者などによる訓練を実施していくことが大事であるというふうに感じております。

 そこで伺いますが、国としては、今回、これら旅館やホテル、さらにはロープウエーの会社等集客施設に対して訓練の実施を義務づけるに当たり、具体的にどのように実効性ある訓練を担保し、もって観光客の安全を確保していこうと考えているのか、この点、確認をさせていただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、地域にふなれな観光客や登山者に対しても迅速かつ円滑に火山活動に関する情報を伝達し、避難誘導を行うためには、日ごろからの訓練が大変重要であるというふうに考えております。

 このため、先ほど来お話あります避難確保計画を定めると同時に、その計画に基づいて従業員が避難訓練を行わなければなりませんので、そのこと自身、義務づけをしたところでございます。また、従業員だけで訓練が完結するわけではございませんので、こうした施設において避難訓練を実施する際には、施設利用者にも協力を求めることができることとしたところでございます。

 今後、制度を実効性あらしめるために、避難確保計画を作成し、これに基づき従業員が避難訓練を定期的に行うということにつきまして、関係省庁と連携しながら、地方公共団体あるいは関係事業者に周知してまいりたいというふうに考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 観光客等不特定多数がお越しになられるところというのは、いざそういった事案が発生したときに、しっかりと迅速に避難、どう動かすことができるのか。例えば、学校とか病院とか老人ホーム、そこを利用している人とか患者とか入所者というのは、やはり一定、決まっているわけでございまして、訓練もその方々を含めてすることができるわけでございます。しかし、旅館とかホテルとかロープウエーの鉄道会社、いざそういった事案が起きたときには、その対象となるのはお客さんであり、不特定多数の方であります。特に、旅館とかホテルというのは宿泊を伴うわけでございますので、日ごろ従業員とか管理者を中心にしっかりとした訓練をしておかないと、観光客やお客さんまで動かすことができる、また避難することができるというのはやはり大変難しい状況があるのかなというふうに思っております。

 私は、今回、人の命を守る、さらには、そのために迅速な行動をすることができるという意味においては、やはり実効性ある計画をつくって、そして日ごろからそういった従業員や社員の方が訓練をしている、ここをしっかりとつくっていく、さらには担保していくことが大事だというふうに思いますので、関係自治体を通して、こういったところ、ぜひとも周知をいただくようによろしくお願いをしたいというふうに思っております。

 それでは、四点目につきましては、一点目のところにも少し絡んでくるわけでございますが、火山研究者の確保、育成について、これは法律案では三十条のところでございますが、そこについて二点ほどお伺いをしたいというふうに思います。

 この件につきましては、先ほどの火山防災協議会の必須構成員のところでも少し触れさせていただきましたが、我が国の火山研究者の人数は地震研究者などに比べて決して十分ではなく、結果、火山防災に資する研究が進んでいない状況があると言っても過言ではございません。

 今回の法律案では、第三十条で、火山研究相互の連携強化や火山専門家の育成、確保という点がうたわれておりますが、私は、この火山研究体制の強化については、決して例えば大学とか研究機関に任せる形ではなくて、国として、プロジェクト研究などを組んで、そして、いわゆるポスドク人材などを初めとした人材の確保、育成を積極的に図っていくべきであるというふうに考えますが、その点について国のお考えをお伺いさせていただきます。

森政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省では、御嶽山の噴火を踏まえまして、平成二十六年十一月に、文部科学省に置かれております科学技術・学術審議会の測地学分科会の地震火山部会におきまして、火山観測研究の課題と今後の進め方について、報告にまとめたところでございます。

 この報告では、次代を担う若手研究者が少ない中で、将来的に観測研究を担う火山研究者の減少が懸念され、人材の育成、確保は喫緊の課題であること、特に観測研究と人材育成を一体的に行うプログラムの構築を目指す必要があることなどが提言されております。

 文部科学省といたしましては、この報告を具体化するために、現在、省内に藤井副大臣を座長とする局課横断的な検討の場を設け、若手を含む火山研究人材の育成のための方策について検討を進めているところでございます。今後とも、関係機関と協力して、火山研究者の育成、確保に努めてまいります。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 きょう冒頭、大臣から、火山防災協議会の未参画のところをどうしていくのかというところで御答弁をいただいたわけでございますけれども、やはり一番ポイントとなるのが火山研究家、ここが足りていないところが多い。さらには、これから市町村が地域防災計画をつくっていく意味においても、やはり火山研究家、また火山研究者等の知見とか、そういったものを活用せざるを得ない状況があるというふうに思うんですね。

 しかし、途中の答弁でもありましたけれども、火山というのは、発災頻度からいくとどうしても地震等に比べると低いものですから、安定的に火山研究者が仕事を続けていく、さらには研究をしていく、こういった体制がやはり我が国では少し弱かったのではないかな。統計を見ましても、地震研究者というのはそれなりの人数がおるわけでございますが、これが火山研究者となるとがたんと減ってしまう。そして、どちらも研究しているという研究者もおるわけでございますけれども、では、専門はどちらですかと聞くと、やはり地震研究の方が多いということがございます。

 今回、全国において、火山のレベルが上がったりとか、噴火が頻発している状況がございます。また、日本はいわゆる地震大国であると同時に火山大国でもあるわけでございますので、やはり火山研究者をどう確保し、そして育成していくか。そのためには、国として、彼らが安定的に研究を続けられる状況、そして各自治体に対してその知見をしっかりと供給できるというか使っていただく、こういった状況、これは結構長いスパンがかかりますので、より喫緊の課題であるという認識を国全体として共有していただいて、その育成、確保にお取り組みをいただきたいと思いますので、ここは強く要望をさせていただきたいというふうに思っております。

 あわせて、従来から火山の状況に携わっております気象庁の職員体制についてもここで伺っておきたいというふうに思うわけでございます。

 火山活動の監視などを行っている気象庁、やはりここにおいても、近年、火山現象の知識や経験を有する職員が年々少なくなってきている、こういったお話を聞くのと同時に、火山活動の評価を的確に行える人材が不足しているとの指摘がございます。

 そこで、気象庁としては、火山活動の監視を行う職員の確保、育成についてどのように考えているのか、さらには、気象庁として蓄積しているそういった知識をどう継承していこうとされているのか、気象庁の御見解をここでお伺いしたいと思います。

西出政府参考人 気象庁において火山の観測や監視、評価といった業務を的確に遂行するためには、火山分野の専門人材の確保と、その育成や能力の向上が大変重要であると認識しております。

 気象庁においては、基礎的専門知識を持つ人材を採用するとともに、気象大学校や噴火が続く桜島での実践的な研修、大学や海外の研究機関への派遣等、能力の向上に必要なさまざまな機会を提供することにより、人材の育成を図っているところでございます。

 今後、関係省庁や研究教育機関とも連携しつつ、選考採用制度などを活用しながら、火山分野の専門人材の確保及びその育成に努めてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 気象庁の研究分野においては、いわゆる博士のレベルの方々を途中で確保するというか、入れることはできると思うんですね。だけれども、気象庁本体の職員として、やはりその中にも、火山研究をしっかりとできる、そして、世代にわたってそういった職員を配置していく。そうじゃないと、やはり知識とか知見の継承というのはできないというふうに思います。

 職員の確保というのは、職員定数にもかかわってくるし、予算にもかかわってくるというふうには思うんですけれども、やはり気象庁として、また国交省、外局でありますけれども、予算要求を含めて、ここは強く行っていっていいんじゃないかなというふうに私は思います。そこのところはきょうは御答弁を求めませんけれども、それぐらいの強い思いで、最終的には国民の命を守るというところを担っておる気象庁でございますので、要求なりお取り組みをしていっていただいていいのかなというふうにも思いますので、よろしくお願いいたします。

 ここでちょっと、通告をしていないんですけれども、少し時間もあるので、先ほどは、人材の確保、研究者の確保というところで何点かお伺いをしたわけですけれども、人材の確保をすることも大事なんですが、今回は、火山の今の我が国における状況を見ますと、体制として、やはり一元的に火山についてお取り組みをすることができる、こういった省庁そのものを検討していってもいいのではないかなというふうに思ったりもいたします。

 今、全国的に、レベルが上がったりとか、噴火が散発をしておる状況がございます。しかし、火山のお取り組み、では、どこがするのかといいますと、例えば内閣府であったりとか気象庁であったりとかさらには国交省であったりとか、そういった状況があるわけでございます。私は、今回のこの法律案の提案も機に、さらには、これからの火山の状況を考えると、やはり我が国としてそこをしっかりと取りまとめて、例えば火山庁の設置、こういったものも検討する段階に入っているのではないか、こんなふうにも思うわけでございます。

 ちょっとここのところ、通告をしておりませんが、もし御見解等あれば御答弁賜れればと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 関係機関が連携し、より一体的に火山防災を推進する体制を整備することは大変重要であるというふうに認識しております。

 まずは、気象庁、大学、研究機関など、火山現象の監視観測、調査研究を実施している各機関において、火山監視観測の強化、火山防災協議会への専門家の参加、あるいは個々の火山の特徴に応じた観測や研究体制の強化などを推進するとともに、これらの機関同士の連携強化を図っていくことが必要だと考えております。

 この点、今後、内閣府に火山防災対策推進検討会議というものを設置いたしまして、具体的にどのように進めていくかということを検討していこうと思っております。

 こうした検討を踏まえつつ、火山庁の設置など将来的な組織体制の見直しにつきましても、中長期的な課題として検討してまいりたいというふうに考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 ちょっと通告がなかったもので失礼いたしましたが、結構的確な御答弁をいただきまして、中長期的に火山庁の設置も含めてというお話をいただきました。やはりいつこういった状況が起きるかわかりませんので、私は、しっかりと具体的に火山庁の設置を検討する段階に我が国はもう入っているんじゃないかな、こんなふうに思うわけでございますので、そこのところ、また検討、研究をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 最後に、退避ごう及び退避舎等、いわゆる避難施設、シェルターの整備についてお伺いをいたします。

 避難施設につきましては、昨年の御嶽山の噴火を契機に、その整備の必要性が大きくクローズアップをされました。報道等でも出たところでございます。

 そこで、まず初めに伺いますが、現在、噴火レベルが2以上の火山で、避難施設緊急整備地域として指定をされていないところはどこがあるのか、お答えください。また、それらの火山にシェルターは整備されているのかどうかについても、あわせて御答弁を願います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 四十七の常時観測火山のうち、六月十日現在で噴火警戒レベルが2以上の火山は十一火山ございます。

 そのうち、蔵王山、吾妻山、草津白根山、御嶽山、大涌谷周辺の箱根山、それから硫黄島、口永良部島、諏訪之瀬島の八火山につきましては、緊急整備地域に指定されておりません。

 また、八火山のうち、草津白根山、口永良部島、諏訪之瀬島の三火山につきましては、退避ごうまたは退避舎が整備されているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 現在、噴火レベルが2以上でありながら、避難施設緊急整備地域に指定されていないのが八火山ある、そして、その中においてシェルターが整備されていないのが五火山ということになりました。

 私は、緊急整備地域に指定されないと、やはりシェルターの設置は、補助率の関係もあって、なかなか難しいというふうに思っております。

 そこで、ここは提案ですが、現在の避難施設緊急整備地域はいずれも火山の噴火が起きた後に指定をされておるというふうに認識しております。しかしながら、今後、やはり事前の警戒避難体制を万全にしていくためには、この指定については、噴火が起きた後にのみ指定するのではなくて、噴火のおそれが高まっている段階、まさしく噴火レベル2というのはそういった段階に入るわけでございますけれども、噴火のおそれが高まっている段階で、もう幅広く避難施設緊急整備地域として指定をし、もってシェルターの、避難施設の整備を促進、進めるべきではないかというふうに思いますが、最後に大臣の御所見を伺います。

山谷国務大臣 御嶽山の災害を踏まえると、噴火の予測が難しい水蒸気噴火等は突発的に発生する可能性が高く、その場合はシェルター等の避難施設が有効であると考えられますが、避難施設を整備するには一定の時間が必要です。

 避難施設緊急整備地域に指定された地域においては、シェルター整備に係る補助率が通常の三分の一から二分の一に引き上げられておりますが、先生の御指摘のとおり、これまで当該地域の指定については、実際に噴火によって被害が生じた地域が対象とされておりました。

 火山噴火から住民等の生命を守るためには、火山活動が活発化した段階でシェルター整備を進めることが有効であると考えられることから、避難施設緊急整備地域の指定のあり方についても検討してまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 この整備地域のあり方、検討してまいりたいという御答弁をいただいたわけでございますが、やはり防災という観点では、未然に対策をどうとっていくかということが大事であります。

 シェルターというのは、基本的には市町村が設置をするということになっておるものですから、そこに対して補助が出るということで、やはり三分の一の状況ではどうしても足踏みをするところがあったりするわけでございます。そこは、やはりおそれがある段階から早く指定をしっかりとしていって、そして各市町村がシェルターを設置しようというインセンティブがよりかかるような方向を国としてつくること、これが私は大事だというふうに思っておりますので、その点を踏まえて、今後の御検討をよろしくお願いいたします。

 今回は、火山の特措法についての質問をさせていただき、命を守る体制を強める、そういった質問をさせていただくことができました。

 以上で終わります。大変にありがとうございました。

梶山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 きょうは、維新の時間を五十分いただきまして、法案について質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、原子力規制庁からも清水次長、櫻田部長においでをいただいておりまして、今恐らく電事法等でお忙しい中かと存じますが、原発についても、私、火山とのかかわりで大変重要な論点がまだ残っていると思っておりまして、ぜひ御協力のほどお願いを申し上げます。

 まず、法案の議論に入る前に、私、党の口永良部島の災害対策本部の事務局長もさせていただいておりますが、今回の口永良部島の噴火については、死者等は出なかった、亡くなられる方等は、そういう被害はなかったことについて、不幸中の幸いというか、大きな事態にならないようにできたことについては本当によかった。もちろん、今避難されている方々に対しては心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 今申し上げた、大きな被害が出なかったということ、亡くなられる方等が出なかったことについて、報道等でも、これはやはり常日ごろからの訓練の成果であるというような見方もあれば、いや、これはもう本当に奇跡なんだ、本当はあれだけの噴火が起これば大変な事態があり得るわけだけれども、これは大変な僥幸である、こういう指摘もあります。

 これは端的に、大臣の方からぜひ、今回の口永良部島の噴火について、今申し上げたような観点からどのように御認識か、御答弁いただければと思います。

山谷国務大臣 五月二十九日朝九時五十九分に口永良部島が噴火し、噴火発生直後、地元屋久島町から全島に避難勧告、指示が発出され、警察、消防、自衛隊、海上保安庁等の関係機関が連携し、迅速な対応を行い、当日夕方までに在島者百三十七名全員の避難を完了しております。

 これは、昨年八月の噴火を踏まえ、鹿児島県と屋久島町を中心に気象庁等の関係機関が連携し、観測体制の強化や避難訓練の実施など事前の準備を行っていたこと、五月二十三日に震度三の火山性地震が発生したことを受け、気象庁において臨時の火山解説情報を発表するとともに住民説明会を開催するなどの対応を行っていたことに加え、天候に恵まれ、噴火時刻が午前中であったことなど、避難を行う上でよい条件が重なったこともあり、大噴火にもかかわらず、迅速で冷静な避難につながったものであると認識をしております。

 子供たちも、噴火の音が聞こえた途端にヘルメットをかぶって、さっと車に乗って番屋ケ峰に向かえたということ、本当に、避難訓練、防災意識の向上というのが大事だと考えております。

 今回の全島避難は、高い防災意識や避難訓練等の効果を如実に示す模範事例でありますが、今後とも、各地域において、関係者が緊張感を保ってさらなる連携に努め、防災意識の向上や避難訓練等の準備を推進する必要があると考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 私も、今大臣おっしゃったように、これは両面あるわけですが、本当に、ふだんからの訓練等が生きた一つの事例と言ってはいけませんが、すばらしい取り組みがこの結果としてあらわれているのかな、こう思います。

 もちろん、まだ避難が続いているわけですし、警戒レベルも高い状況が続いています。地元の皆様ができるだけ早く、火山ですから、これは自然災害で、わかりませんが、平穏な生活が早く訪れることを心から願っておるところでございます。

 今回のことも含めて、それから御嶽の大変悲しい事件もあったわけでありまして、今回の法律案ということになっているわけですが、一連の流れの中で、火山の噴火の予知というのは、先ほども質問者の委員の方々から、できるだけ早期に警戒をしていく、そういう必要性の御指摘もありましたが、そもそも予知というのは、これも報道等で専門家の方が出てきて、いやいや、予知というのは、端的に言うと、ほとんどできないんだ、余り期待しないでくれというような発言も出ます。

 実際、政府として、火山の噴火の予知はどの程度可能だとお考えなのか、これは、気象庁と文科省、両方、ぜひちょっと御見解をお願いしたいと思います。

西出政府参考人 気象庁では、全国の百十の活火山について監視をしております。特に、火山活動が活発で、監視観測体制の充実が必要と火山噴火予知連絡会によって選定された四十七の活火山については、地震計、傾斜計等の観測機器を整備し、常時監視しております。

 具体的には、火山ごとに、火山性地震や火山性微動、地殻変動、噴気等の観測データ、そして過去の噴火の際の観測データ、これらを総合的に判断することにより、可能な限りの予測を行っております。この結果、火山活動の活発化が認められる場合には、臨時の解説情報や噴火警報等を速やかに発表しております。

 例えば、過去の例でいいますと、平成十二年三月の有珠山の噴火や、平成二十一年二月の浅間山の噴火では、過去の噴火の事例の蓄積もあり、火山活動の活発化を示す変化を観測したことから、事前に噴火警報等を発表いたしました。

 一方で、現在の火山全体に関する知見、個々の火山に関するデータの蓄積等の科学的水準から、火山活動に変化があった場合に、噴火に至るか否かの判断が困難な場合もあります。

 今後、噴火予知に関する研究の成果を取り入れ、また、観測データを着実に蓄積することにより、より適切な火山活動の評価に努めてまいります。

森政府参考人 火山噴火の予知に関連する研究の状況についてでございます。

 文部科学省の科学技術・学術審議会より平成二十五年十一月に建議をされました、災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画におきまして、火山噴火現象については、非線形性が強く、これまでの研究の蓄積があるにもかかわらず、予測が確実に行えるという状況ではなくて、予測の実現には今後も息の長い取り組みが必要であるとされております。

 具体的には、火山監視体制の強化と噴火前にあらわれる地震活動や地殻変動に基づき、有珠山などでは噴火発生の予測が実践されたという一方で、噴火の規模や様式、活動推移の予測に成功するまでには火山噴火現象の理解はまだ進んでいないということも述べておりまして、火山噴火現象の予測の研究の到達度については、一律にここまでということを申し上げるのは困難な状況にもございます。

 今後の取り組みといたしまして、平成二十六年十一月に、科学技術・学術審議会の測地学分科会地震火山部会の報告書におきまして、水蒸気噴火が起こる前の先行現象に関する研究を強化することなどが提言されておりまして、文部科学省といたしましては、地震火山部会の報告を踏まえつつ、今後も引き続き、火山観測研究の支援を行ってまいりたいと考えております。

足立委員 今、長官と文科省の審議官に御答弁いただきましたが、気象庁も、予知、予測が困難な場合もあると。そういう状況だと思います。また、文科省は、予測が確実に行える状況にはない、こういうお話でありました。

 これはしかし、できないから何もしないんだというわけにはいきません。気象庁から、先ほどおっしゃったように、事前に警報を出せたケースもあるということでありますから、十分な監視カメラの設置、地震計の設置、あるいは、文科省でいえば研究の観点からのいろいろな取り組み、それが相まって、できるだけの予測、予知が進むことを期待いたしたいところでありますが、今申し上げたような、監視カメラとか、研究のためのカメラを含めて、あるいは地震計の整備、これは整備状況を今御答弁いただいた両者から御答弁いただきたいと思います。

西出政府参考人 気象庁では、全国の百十の活火山について監視をしております。特に、火山活動が活発で、監視観測体制の充実等が必要と火山噴火予知連絡会によって選定された四十七の活火山については、地震計、空振計、傾斜計、遠望カメラ、GNSSの観測機器を整備し、常時監視しております。また、大学等関係機関の観測機器によるデータも気象庁に提供されており、これらも監視に活用しているところであります。

 さらに、気象庁では、昨年九月の御嶽山の噴火を踏まえ、水蒸気噴火の兆候をよりよく捉えるための火口付近への観測施設の整備、設置や、近年、火山活動に変化が見られる八甲田、十和田、立山の弥陀ケ原、この三つの火山への観測施設の整備を進めているところであります。

 今後とも、関係機関との連携の上、火山観測体制を維持してまいります。

森政府参考人 大学等におきましては、火山観測研究を重点的に進めるという観点から、重点火山というのを一定設定いたしまして火山観測を行っておりますけれども、これにつきまして、先ほど申し上げました平成二十六年十一月の地震火山部会の報告を踏まえまして、この重点火山につきまして、従来、十六重点火山であったわけでございますけれども、新たに、研究意義が高く、水蒸気噴火の可能性が高い火山を重点研究の対象に加え、二十五重点火山とすることが提言されております。

 この提言を踏まえまして、火山の観測研究体制の強化を図るため、平成二十六年度補正予算におきまして、観測機器等の更新、強化に必要な経費や機動的な火山観測研究体制の構築のための経費等を計上したところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも、関係機関と協力して、火山研究体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

足立委員 先ほど予知の議論もしたわけですが、今御答弁いただいた監視カメラとか地震計の整備状況は今おっしゃっていただいたとおりで、今の予知のいろいろな科学技術、科学的な知見の中で、例えば、もう少しこれが、要はお金があれば、財源があれば、もう少しデータをとって、より精緻な予測の余地があるのか、いやいや、それはもう五十歩百歩で、やるべきことは今も、監視すべきものは監視している、十分なカメラや計測機器の設置が今行われていると。

 十分ですかというのを、ちょっともう一度、両者、お願いします。

西出政府参考人 現在の四十七常時監視火山プラス今後追加する三火山については、一定レベル以上の監視体制を組んでおります。

 先ほども申しましたように、御嶽山の噴火は水蒸気噴火でなかなか現象の把握が難しかったということもございまして、今般、火口付近への観測監視体制の強化というのを順次進めているところでございます。

森政府参考人 火山観測研究の基盤を維持する上で、過酷な観測環境下において故障や老朽化した観測機器等の計画的な更新を着実に進めることは必要と考えております。

 また、今後、突発的に火山活動が活発化して研究意義がさらに高まるというような状況等があれば、それを踏まえながら機動的に観測を実施するということを基本としつつ、さらに整備の必要性について検討していきたいというふうに考えておりますし、また、観測からの研究方法についても、さらに充実を図っていきたいというふうに考えております。

足立委員 質疑の時間が十分にあれば、財務省に要求したのが認められたかとか、そういう意地悪な質問もできないことはないんですが、きょうはちょっと割愛をします。

 いずれにせよ、国民の生命財産にかかわるテーマでありますから、十分な予算が措置されることが必要である、こう意見として申し上げておきたいと思います。

 それから、通告で四つ目の火山防災協議会の話は後回しにさせていただいて、ちょっと原子力の話をさせていただきたいと思います。

 もちろん、きょうは法案の審議ですから、法案そのものについていろいろな議論があってしかるべきでありますし、私も意見がないわけではありませんが、先ほど大臣からも御答弁いただいた口永良部の話も含めて、そういう先進的な取り組みの地域があって、そうしたものを多くの火山地帯で実現をしていくために、今回の法案の枠組み、私は基本的には大変充実した法律案を提案いただいている、こう思っているわけであります。

 ただ、一つだけ、原子力との関係でちょっと気になったのは、いわゆる避難確保計画ということが今回の法案で規定をされています。先ほどもありましたように、人が集まるところについて、その事業者、旅館であれば旅館、あるいは駅であれば鉄道、そういう事業者に避難確保計画の作成を義務づける。私は、大変すばらしいというか、この法案の枠組み自体は、大変負担も大きいとは思いますが、これだけの火山国でありますから、これぐらいの法律の枠組みがあることはいいのかな、こう思うわけであります。

 原発の話については、今ちょうど、川内原発がこの夏にも再稼働される見通しだと承知をしているわけでありまして、すると、例えば九電、今回の法律上の枠組みにおいても、今規定されている、避難確保計画の作成を義務づけられている事業者に加えて、例えば電気事業者に、避難計画、避難支援計画でもいいんですが、何かそういうものをこの法律の枠組みで義務づけてもいいんじゃないかな、こう率直に思ったわけでありますが、いかがでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 火山災害に対応するためには、いち早く火山現象に関する情報を住民や登山者に伝達し、いざ噴火したときには大勢の住民や登山者を一斉に避難させるということが重要になってまいります。

 このため、今回の改正法案におきましては、施設管理者等に対し、あらかじめ火山現象に関する情報収集、伝達ルート、あるいは施設利用者の避難誘導体制などを定めた避難確保計画を定めておくことを義務づけたところでございます。

 このように、避難確保計画は、民間事業者の事業活動を安全に継続するといういわゆるBCPの観点ではなくて、施設の利用者の安全を確保するためのものでありますので、電気事業者というものは特に対象と考えておらず、火口周辺のロープウエーの駅、宿泊施設など不特定多数の方が集まる施設、いわゆる集客施設や避難に時間を要する高齢者などの要配慮者が利用する施設を対象にしたところでございます。

足立委員 今の御答弁は、噴火があったときの、噴火があると噴石が飛んでくる、そういう中で、人が集まっているところについては、当然、利用者の安全を確保する必要がある。したがって、今の御答弁では、BCPではないんだ、事業継続のために何かやろうということではなくて、むしろこの法律は、そこに集まっていらっしゃる利用者の方々の安全を確保するための計画作成である、こういう、一次的影響と私は理解をしましたが、噴火があって、その一次的な影響から国民を守る、そのための取り組みであるということは理解をしました。

 一方で、川内原発は、川内原発の話はまた後でちょっとやりますが、噴火がある、すると、噴火の結果、仮に原発に何か問題があれば、そこで二次災害というか、噴火が一次災害だとすれば、その結果、二次災害としての、原発に課題が発生する、そして、もしそれが悪い形で進めば避難をしていただく必要がある、こういう議論だと承知をしているわけであります。

 それで、きょうは原子力規制庁においでをいただいています。

 川内原発にちょっと話の焦点を、一番早い、再稼働一号かもしれないというふうに承知をしていますが、川内原発に係る火山対策、これは議論になったことがあると思いますが、現在の取り組みは十分であるとお考えでしょうか。御答弁ください。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、川内原子力発電所に対する今の規制の現状でございますが、御案内かもしれませんけれども、今、ちょうど設備の検査を行っているという状況でございますので、そういう意味では、最終的にこの原子力発電所そのものが新規制基準に適合して運転を再開するというレベルの安全性を確保しているかということについてはまだ確認中である、こういう状況であるということは御理解いただきたいと思います。

 その上で申し上げますが、設置変更許可でありますとか工事計画認可といった設計に関する審査を終えて、許認可を発動してございます。

 その際に、どのようなことをやったかということでございますけれども、まず、原子力発電所の安全審査におきましては、新規制基準の適合性審査におきましては、その対象の発電所に影響を及ぼすような火山を抽出して、その影響の度合いというものを評価する、こういうふうにしてございます。

 その結果、今般の口永良部島もその対象火山の中に入ってございますし、そこで、今回起きたような規模の噴火よりもはるかに大きな規模の噴火が発電所の周辺で起こるということも想定をして、それでも、例えば、火砕流というような非常に大きな影響を及ぼすような事象はこの敷地に到達しないこと、それから、大きな規模の噴火が起きたとして、その際の、降下火砕物といってございますけれども、例えば火山灰のような、そういったものの降灰の量が十五センチの厚さまで積もる、そういう保守的な設定を行って、その仮定に基づいて原子力発電所の安全性を損なわないような対策を講じる、こういうことを確認しているところでございます。

 それから、この地域では、過去に極めて巨大な噴火、もう少し申し上げますと、カルデラを形成して九州全域に壊滅的被害をもたらしたと言われるような、そういう巨大な、破局的な噴火が起こってございますけれども、そのような破局的噴火につきましては、地下のマグマの状況や過去の噴火履歴等を総合的に勘案しまして、川内原発の運用期間中にこの発電所への影響を及ぼすようなこととなる可能性は十分小さいというふうに判断をしたところでございます。

 その上で、念のために、今のこの状態、破局的噴火が起こる可能性が十分小さいという状況が継続している、現在の状況に変化がないということを継続的に確認するために、火山活動のモニタリングの実施を事業者に求めた、こういうことでございまして、今、その対策について、先ほど申し上げました火山灰の対策も含めて、事業者が講じたものについて検査を行っている、こういう状況でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 御説明はよくわかったわけでありますが、幾つかありますが、例えば、灰が積もる、これは十五センチという見立て、これを今保守的な見立てである、こういう御紹介をいただいたわけですし、それから、破局的な噴火については、この川内原発運用期間にそれが起こる可能性は十分に小さい、こういう御紹介をいただきました。

 これはどういうふうに伺えばいいかわかりませんが、気象庁に伺うのもいいかどうかわかりませんが、気象庁長官おいでですから、そういう見立ては納得というか、気象庁としては、そうだ、そういうものだということでしょうか。

西出政府参考人 川内原発の火山の影響評価につきましては、原子力規制庁において行われるものと承知しております。

 ただいまの原子力規制庁からの答弁に、気象庁として新たに申し上げることはございません。

足立委員 ごめんなさい、今、気象庁としては新たに申し上げることはございませんとおっしゃったのは、規制庁がおっしゃったことについては同じ意見だということですか。それか、そもそも規制庁がおっしゃったことについてコメントする立場にもないし、知らぬということですか。同じ意見なのか、知らぬのか、どっちですか。

西出政府参考人 気象庁としては、火山周辺の住民の安全という、防災という立場で火山の監視等を行っております。そういう立場で、原子力施設の安全という点については特段のつけ加えるべき知見もありませんというところでございます。

足立委員 長官、申しわけない、申しわけないと思うんですけれども、本当に。

 先ほど、規制庁の方から、川内原発が所在している、あるいは川内原発という施設にまつわる、想定している噴火についての紹介があったわけです。要は、灰が十五センチ積もるのは保守的だ、破局的噴火が起こる可能性は十分に低い、何が十分かわかりませんけれども、そういうコメントが今この委員会の場であったわけです。

 その規制庁が紹介をした火山の噴火の事象、噴火がどう、予知とかいうことも含めて、先ほど、きょうは予知の議論をしました。予知の議論をしたときに、なかなかわからない困難な場合もあるんだ、あるいはなかなか予測が確実に行える状況ではないんだ、こういう御紹介が気象庁あるいは文科省からあった。それに対して、原子力規制庁は、こういう想定をしているんだと。何を想定というと、別に原子力施設の想定じゃないんですよ、噴火についての想定なんですよ。

 十五センチが保守的である、破局的噴火が起こる可能性は十分に小さい、それは同じ意見ですか。

西出政府参考人 過去にあった非常に低頻度で大規模な噴火に対する知見というのは、さほど多くないという認識でございます。その中で、それを踏まえた上で、規制庁の方で御判断をされているものと承知しております。

足立委員 これは、こだわるようですが、規制庁は、火山の専門家、ある程度専門的な知見があるという前提になっているのかもしれませんが。

 では次に、規制庁は、火山の影響、火山が原子力関連施設に与える影響というか、そういうものについて、原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チームというものを昨年の夏に設置されておられます。この検討状況はどういう状況ですか。

櫻田政府参考人 お尋ねの検討チームでございますけれども、まず、設置の経緯から申し上げた方がよろしいかと思います。

 原子力規制委員会におきましては、先ほどの答弁で御紹介しましたが、巨大噴火の可能性について、現状では可能性が十分小さいと思っていますけれども、その状況に変化がないことを継続的に確認するためのモニタリングというものを事業者にしていただくこととしてございます。

 そのモニタリングによって、万が一、巨大噴火の可能性につながるようなものが検知された場合には、どのような措置を行う必要があるか。例えば、運転の停止を求めるといったことも想定はできるわけで、そういうことがあり得るというふうに考えてございます。

 そういったことを考えまして、原子力規制委員会としてどのような対応を行うべきかを考えるためには、やはり火山学上の知見や考え方を整理することが必要であろうということで、原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チームというものを設置したということでございます。

 これまでに合計で六回、この会合を開催してございまして、検討チームに御参加いただいた専門家の先生方から、過去の火山噴火の事例あるいはモニタリングの方法などについての御紹介をいただいて、知見の収集等を行ってきたところでございます。

 現時点におきましては、原子力施設における火山活動のモニタリングに関する御提言をいただきたいということで、今、取りまとめに向けた議論を行っていただいているところでございます。

 その中では、まだ検討中でございますけれども、先ほど申し上げた原子力施設の火山活動のモニタリングの方法あるいは観測結果について、今後、個別の電力会社から規制委員会に対して情報が共有されると、先ほど申しましたように、原子力規制委員会としてどのような措置を講じる必要があるかというふうなことについて検討することになります。その際に、このモニタリングの方法とか観測の結果について科学的に助言をいただくような専門家から成る体制の構築といったようなものが必要なんじゃないかというふうなことも含めて御検討いただいている、そういう状況でございます。

足立委員 この手の話は大変難しいテーマですから、原子力規制庁を初め関係の皆さんが十分御努力をいただいていることは私も十分承知をしているところでありますが、今あったように、火山活動のモニタリングについては気象庁も文科省もまだわからないところが多いと先ほど御答弁をいただいた。そして、規制庁自身も、自分たちの問題として、先ほどあった、知見の整理を行いつつある、取りまとめも近いということだと思いますが、そういう段階なんですね、多分まだ。

 そういう段階というのは、私も、今パブリックコメントにかかっているこの報告書を拝見していますが、大変薄いものです。薄いと言ったら大変失礼でありますが、いわゆる規制庁が火山に関して十分な知見を有しているとはとても思えない内容に、私の私見でありますが、思うところであります。

 規制庁、これは通告というか、ちゃんとしていませんが、先ほど規制庁の方から、川内原発について十五センチがどう、云々という御紹介がありました。これは気象庁とは協議をしているんですか、そもそもしていないんですか。

櫻田政府参考人 お尋ねは、川内原子力発電所の審査に当たって気象庁に御相談したか、そういうことかと思いますけれども、適合性審査そのものは原子力規制委員会として判断をしてございまして、その過程において気象庁に意見を求めるといったことはしてございません。

足立委員 これはまたちょっと別の機会に。きょうは法案の審議でありますから、余りこればかりやると、何をやっているんだということになりますが、私は、別に川内原発の再稼働自体に反対だとか、そういう趣旨で申し上げているのでは全くないです。むしろ、しかるべき手続を踏めば、それはあっていいと思っているわけでありますが、ただ、今申し上げたような、何かあたかも、十五センチは私も保守的なんだろうなと思いますが、そういう、気分で何となく進めるわけにはいきません。

 日本の英知を集めて、そもそも、文科省、気象庁、原子力規制庁、さまざまな役所がある中で、これは火山も含めて原子力施設だから規制庁だということで、規制庁がすとんと今御紹介があったような形で見解を述べられて、国民は、政府がやっているんだから何とか大丈夫だろうと思うんだけれども、気象庁にも照会していないというのが現状であるとすれば、私は、この火山の法案じゃないですよ、原子力政策の枠組みとして、若干課題が残っているのではないかなという印象をきょうは持ちましたので、また別の機会にこれを深めてまいりたいと思います。

 きょうは法案ですので、法案の枠組みについて、この関連で一つ申し上げたいことは、これはぜひ大臣から御見識を開陳いただきたいんですが、私は、今回の活動火山対策特措法改正案を拝見して、すごいなと思いました。非常によくできているというか、よくここまでしっかりとした内容の法案を立案していただいたなということで感謝をしているところでありますが、実は、避難計画については、きょうはちょっと原子力に焦点を当てていますが、原子力災害についても避難計画の取り組みがあります。これは、原災法の関係で、基本計画だったか基本方針だったかがあって、そこでいろいろ規定をされているわけであります。

 端的に言えば、活動火山についての今回の法案の枠組み、これはさまざまなことを法定し、協議会まで法定し、そしてその協議会がハザードマップもつくる、噴火シナリオまでつくる、そしてそれに基づいて避難計画をつくる。避難計画をつくる主体は、誤解がなければ、これは協議会がつくる、市町村任せにしない、法定協議会がつくる。私は、すばらしい枠組みだと思うんです。

 これぞ本来のあり方だと思うわけでありますが、一方で、地域防災計画、避難計画における原子力防災編の規定、原子力防災編をどうやってつくるか、これは大臣の御担当じゃないわけでありますが、原子力防災の望月大臣の御担当になるわけでありますが、広く防災全般、この法律を立案していただいた大臣のお立場から見て、原子力のこの部分というのは、ちょっと手抜かりがあるように思いませんか。

 逆に言うと、もし原子力の規定が今のような形で、原子力防災に係る制度枠組みが今のような形でいいのであれば、この法案だって別にこんなにつくらなくていいわけで、基本計画に書いちゃったらいいわけです。別に、協議会を法定する必要はないんです。

 なぜ、今回の法案はこれだけ立派な内容で、原子力防災に関する規定はあんなにふわふわしているのか、ふわふわというのは言葉が悪いですね、下位規定で処理をしているのか。

 何かそこの全体の御理解、所管を外れているのは承知していますが、もし御見識がおありでしたら、御紹介をいただければと思います。

山谷国務大臣 今回の改正法案においては、これまで必ずしも自治体において十分な取り組みが行われていなかった火山防災対策について、御嶽山の噴火災害を教訓に、登山者を含めた警戒避難体制の整備を着実に推進するため、火山防災協議会の設置や、協議会の意見聴取を経た具体的な避難計画の地域防災計画への位置づけを法律上義務づけたものであります。

 原子力防災対策については、原発の所在地ごとに内閣府が設置する地域原子力防災協議会及び同協議会における避難計画の具体化、充実化等の取り組みを本年三月に法定計画である防災基本計画に位置づけ、原子力防災担当大臣のもと、適切に対応いただいているものと考えます。

 いずれにせよ、防災対策には不断の見直しが必要でありまして、各災害の特徴に応じた適切な防災対策が行われるよう、引き続き関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 山谷大臣のお立場からはそういう御答弁で結構でありますが、同じ問いを規制庁に申し上げてもいいでしょうか。

山本政府参考人 原子力防災の立場からお答えを申し上げます。

 原子力災害に対します避難計画につきましては、まず地域の実情を熟知している自治体が中心になって策定するということで、避難計画、防災計画をそれぞれ地域ごとにつくっていただいておりますが、一方で、原子力災害への対応につきましては、当該自治体だけではなく、国の関係機関が大きな役割を担わなければならない、そういう形でないと実効性ある計画はできないというふうに考えております。

 そのために、内閣府といたしまして、今御指摘がありました、原発の所在地域ごとに、関係省庁それから関係自治体などが参加いたしました地域ごとの原子力防災協議会を設置してございます。この設置主体は内閣府でございます。国が設置をするものでございます。

 そして、この協議会のもとで避難計画、防災計画の具体化、充実化を進めまして、この協議会のもとで、まず、地域の緊急時、原子力災害が起きた場合の対応の計画が具体的で合理的なものであるかということを確認いたします。その上で、その確認した内容を、総理が議長を務めておられ、かつ全閣僚がメンバーとなっております原子力防災会議、これは原子力基本法に基づく会議でございますけれども、ここに報告し、了承する、こういう形をとっているものでございます。

 この取り組みは、今御指摘がありましたように、ことしの三月に、災害対策基本法に基づく法定計画であります防災基本計画に位置づけまして、現在、各地で着実に取り組みが進んでいるということでございます。

 このような形をとりまして、十分実効性があるような取り組みが行われているというふうに認識しているところでございます。

足立委員 全然わからないですね。

 内閣府も、あるいは政府も、原子力防災については、もちろん法律の枠組みそれ自体はありますが、しかし、避難計画については、防災の枠組みの中で市町村、都道府県が当事者であるというふうに強調しておきながら、いやいや、地域原子力防災協議会は国が設置しているんだと。それはそれでいいですよ。それはそれでいいが、なぜ火山防災協議会は都道府県、市町村に必置、要は設置義務を課して法定協議会としているのか。あるいは、今御答弁があったことでいえば、国の機関が参画をしている。これは、火山防災協議会についても、自衛隊、整備局を含めて、気象庁、警察、消防、入っています。

 私は、今、御答弁は零点だと思うんですけれども、補足はありますか。もういいですね。私は零点だと思いますね。

 何か文句を言っているというよりは、これは本当によく整理をして、場合によっては原子力の避難計画についても、今、原子力の避難計画というのは本当に法的な枠組みがすかすかです。要は、再稼働の条件でもないんです。したがって、今回の活動火山対策特別措置法は、私はこれは百二十点だと思います。でも、この百二十点の法案をテーブルに置くと、政府全体の取り組みの中で、やはり原子力防災の空白が大変目立つということだけは強調しておきたいと存じます。

 内閣府に更問いです。

 火山防災協議会にあっては、事故シナリオやハザードマップも開示する、そういうスキームになっていますが、原子力について、原子力で事故が起こると、安全神話はもう払拭するわけですから、事故は起こり得る、こういうお立場なわけですが、川内原発で事故が起こると一体どういうハザードがあるのか、どういう事故シナリオを想定しているのか、本来そういうのがあってしかるべきだと私は思いますが、政府に問い合わせると二つしか資料がありません、そういう類いの資料は。

 一つは「拡散シミュレーションの試算結果」ということで、二十四年の十二月にこういうものが、SPEEDIを使ったものだと思いますが、出ています。それから、去年の五月に「緊急時の被ばく線量及び防護措置の効果の試算について」というものが出ています。もうこの二つの紹介は結構です。

 これ以外に、こんなものでは何もわかりません、火山のこの法案で決められているようなシナリオ作成とか、ハザードマップというものを政府としてしっかりとつくって、それを住民の皆さんにしっかりとお示ししていく。今は、国がつくっているシミュレーション以外に都道府県もシミュレーションをつくっていますが、いろいろばらばらです。一体、住民は、国民は、地域の方々は何を想定して覚悟をすればいいのかわからないんですね。

 内閣府、火山の今回の法案を片手に持ちながら、しっかりとこれを再検討、検討していただけますか。

山本政府参考人 原子力災害に当たっての、万が一、事故が起きた場合の対応ということになるかと思います。

 この基本的な考え方につきましては、原子力規制委員会におきまして、原子力災害対策指針が今策定されておるところでございます。この指針の中では、原子力発電所の状態に応じてその対応策の要否を判断するために、いわゆるEALと呼ばれる、施設の状態がどのように変化し、この状態になれば緊急の防護措置が必要だという判断基準を示してございます。これは一つの事故のシナリオに相当するかと思います。

 加えて、事故が発生をし、そして放射性物質が外部に出ていった場合、周辺地域の放射線量が上がってくる可能性がございますので、そういう放射線量の条件に応じた対応、これはOILと呼んでおりますけれども、こういう判断基準も示しているところでございます。

 すなわち、事故の進展や放射性物質の拡散に応じた防護対策の考え方がこの指針の中で示されているというふうに考えておるところでございます。

 したがいまして、そういう考え方、指針に基づいて、現在、地域の防災計画あるいは避難計画を策定している、こういう状況になっているものでございます。

足立委員 ちょっと時間がなくなってきましたので原子力の話は以上にしますが、内閣府の皆さん、規制庁の皆さん、本当によくお仕事を頑張っていただいているとは思うんですが、だから、きょうはいろいろ申し上げましたが、エールだと思って受けとめていただいて、頑張っていただきたいと思います。

 さて、最後に一つだけ、この地図を拝見すると、私は大阪なんですけれども、関西とか四国、中国というのは全くこれはないんですね。これは何でないんですかね。

西出政府参考人 関西に活火山が存在しない理由につきまして、一般的な火山学の考え方でお答えいたします。

 日本列島では、陸のプレートの下に沈み込んだ海のプレートの上面が百キロより深くなった場合に、そのすぐ上にあるマントルの一部が溶けてマグマとなり、それが上昇して地表に出ることで火山がつくられるとされております。

 関西エリアでは、沈み込んだ海のプレートの上面の深さが最大で六十キロメートル程度でありまして、マグマが生成される深さに達していないため、活火山が存在しないとされております。

足立委員 ありがとうございます。

 最後に、大臣、私、地元だからということではありませんが、やはりこの地図を見ると、明らかに関西が、火山の観点では、そういうプレートのあれに当たっていないということで、地震はあっても、活火山はないということであります。

 首都のバックアップ機能という議論がありますが、いわゆる東京圏外についてのバックアップ機能、まだ検討課題だということで課題として置いてあるようですが、ぜひこれは前向きに、いつ、東京というか、いろいろな形で震災があるかもしれません。大阪を念頭に、東京圏外の首都のバックアップ機能、ぜひ早期の御検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。御答弁いただけますか。

山谷国務大臣 首都直下地震などの大規模な災害が発生した場合に政府機能が麻痺することなくその継続性を確保するためには、あらかじめ業務継続計画を策定し、政府機能のバックアップを行う代替拠点を確保することは重要であります。

 このため、昨年三月に閣議決定されました政府業務継続計画では、官邸が被災により使用できない場合の事態を想定して、内閣府中央合同庁舎、第八号館のことですが、そして防衛省、立川広域防災基地の三カ所を政府の代替拠点として位置づけているところであります。

 東京圏外を含むその他の代替拠点については、同計画において今後の検討課題としておりまして、平時から活用できて、発災時にバックアップ拠点としての機能を発揮するといった観点から、既存施設の活用等を念頭に置きつつ、同時に、被災する可能性が低いことなど、大阪市を含め、一定の要件を満たす複数の都市を対象に検討を進めてまいります。

足立委員 時間を超過して、大変失礼しました。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、金子万寿夫君。

金子(万)委員 自民党の鹿児島県の金子でございます。

 今回の御嶽山の噴火災害を踏まえまして、活動火山対策特措法の改正案が提出されました。まず、このことについて触れさせていただきたいと思っております。

 昨年の九月の二十七日、大噴火がありました。火口周辺の多くの登山者が被災をした。亡くなった方々が五十七名、いまだ行方不明が六名、戦後最悪の火山災害ということであります。昨日は捜索再開を前提にした調査が行われた、このようにもお聞きをいたしているわけでございます。

 今回の噴火災害では、住民のみならず、登山者の安全対策に万全を期すべきではないかというような教訓や、あるいはまた、噴火情報をもっと早目に捉えていち早く避難する体制をどうすべきか、その他もろもろの課題が浮かび上がってきたわけであります。

 百十もの活火山を有する我が国、有数の火山国であるわけでございますが、この痛ましい火山災害、噴火災害を教訓に火山の防災対策の強化を図っていくことが大切なのでございますが、そのことによって今回の特措法の改正がなされる、それが契機になった、こういうふうに思っております。

 具体的に、今回の噴火災害の教訓を、どのような部分を受けとめたのか、それをどのような形でこの改正案に盛り込んでいかれたのか。この改正案については、先ほど来、質問者の方々それぞれから評価の声が上がっております。先ほどは一二〇%だというようなお話もあったぐらいでございますが、その教訓と法改正の関係をどのように捉えているのか、まずその点をちょっとお答えいただきたいと思います。

山谷国務大臣 昨年九月の御嶽山の噴火では、予測困難な水蒸気噴火が突如発生し、火口周辺の多くの登山者が被災いたしました。

 この御嶽山の噴火災害では、噴火の兆候となる火山現象の変化をいち早く捉え、伝達することが重要であること、住民のみならず登山者を対象とした警戒避難体制の整備が必要であり、このためには専門的知見を取り入れた火山ごとの検討が必要不可欠であること、これらの取り組みを支える火山研究体制の強化と火山専門家の育成が必要であることなどの課題が改めて認識をされました。

 これを受けまして、政府において、中央防災会議のもとに火山防災対策推進ワーキンググループを設置し、本年三月に、今後の火山防災対策の推進について最終報告を取りまとめたところでございます。

 本法案は、この最終報告を受け、法制化すべき点について措置したものでありまして、具体的には、目的規定を初め活動火山対策の対象として登山者を明記すること、火山現象の変化や予警報の伝達、住民や登山者がとるべき避難行動など、警戒避難体制の整備に関する事項を地域防災計画に位置づけること、この際、専門的知見を取り入れた検討を行うため、国、関係する地方公共団体、火山専門家が参画した火山防災協議会の意見聴取を経ること、登山者等が集まる集客施設の管理者等は避難確保計画を作成すること、研究機関相互間の連携強化や火山専門家の育成、確保の努力義務化などの措置を講じることとしております。

金子(万)委員 今いろいろと御説明をいただきました。

 そこで、この特措法の改正によって、地方自治体、公共団体にはいろいろな義務が発生をしてくるわけですよね。防災会議の設置でありますとか、いろいろな義務が発生してくる。そのことに対する国の財政支援というのが必要だ、このように考えますが、この財政支援という点についてどのような体制をとっていかれるのか、そのことをちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

山谷国務大臣 火山防災協議会への財政支援について、多くの自治体から御要望をいただいております。国、地方公共団体が協力し、火山防災協議会における火山防災のための取り組みに対し、財政支援措置も含め、必要な各種支援策を検討してまいりたいと考えております。

金子(万)委員 ぜひ、国、地方連携のもとに、後ほど口永良部のことも触れさせていただきますが、この対策はとっていかなければならない。万全の対策をとるためには、強固な連携が必要だということは当然でございます。

 その上においては、やはり国の責任として、支援すべきは支援していく、そういう体制、人的、財政を含めた支援体制というのが大変重要だ、このように思っておりまして、そのことをぜひ、今御答弁にありましたように、具体的にお進めいただきたい、このように思います。

 さて、この特措法の改正案を閣議決定した一時間後に起きたのが口永良部の大噴火でありました。二十九日の午前九時五十九分でございます。

 島民百十八名を含む百三十七名の方が屋久島に避難をいたしました。私も噴火後に鹿児島までは戻りましたけれども、お地元の森山先生は屋久島までその日のうちに飛んでいかれたわけでございます。知事さんから、私もいろいろとお話をお聞かせいただきました。国、地方団体、後ほどちょっと触れたいとは思いますが、密な連携プレーがしっかりできた、このように評価をいたしておりました。

 避難に対しましては、屋久島町長が全島避難を迅速に決断された。そして、町営フェリーの太陽を住民避難にすぐに向かわせた。県の防災ヘリでありますとか海上保安庁の巡視船等による搬送も行われたわけであります。島内に残留者がいらっしゃらないかどうか、警察や消防関係者が確認をし、その際にも海上保安庁が適切に支援を行った、このようにお聞きをいたしております。

 ですから、今回の全島避難については、町、県、警察、消防関係、あるいはまた海上保安庁、多岐にわたる関係機関が有機的に連携した結果、一人も命を落とすことがなく、無事に全島避難を行うことができた。もちろんこれは、政府がこの対応の中心的な役割を担って御尽力をいただいたということが当然あるわけであります。

 それと同時に、避難訓練を屋久島町が昨年の噴火を契機に綿密に行ってきた、あるいはまた、もう一つやはり強調したいのは、地域コミュニティーというのがしっかり、離島ゆえの特徴といいますか、非常に強いコミュニティーがあって、それが避難を進める上において大きな力になった、私はこういうふうに思っております。

 今回の無事に全島避難がなされたという結果について、赤澤副大臣は調査団の団長としてすぐ現地に飛んでいかれたわけでありますが、赤澤副大臣のその間の取り組み、あるいはまた感想、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

赤澤副大臣 御質問ありがとうございます。

 鹿児島県選出の代議士として口永良部島の噴火以降さまざまな御心配を賜りまして、まことにありがとうございます。

 御案内のとおり、五月二十九日九時五十九分に噴火が起きたということで、発生直後に地元屋久島町から全島に避難勧告、指示が出されました。政府も直ちに官邸対策室を設置し、関係省庁災害対策会議を開催し、総理からの指示を踏まえ、対応方針を確認しました。

 私もこの会議の冒頭だけ出席をして、直ちに鹿児島に向かったわけでございます。団長として政府調査団を率いて現地に入りました。屋久島町に政府現地連絡調整室を設置するなどして、政府と地元自治体が一体となって災害応急対策に当たったところでございます。

 こうした取り組みのもと、御指摘いただきましたように、国も非常に速やかに動けて、警察、消防、自衛隊、海上保安庁などの関係機関が連携し、迅速な対応を行いました。

 御指摘の町営のフェリー太陽も直ちに引き返したんですが、避難に若干困難を伴う地理的な問題のある湯向地区などに海上保安庁の巡視船が直ちに向かうこともでき、本当に速やかに対応できたところはよかったなということで、夕方までに在島者百三十七名全員、避難を完了いたしました。

 委員御指摘もありましたように、昨年八月の噴火を踏まえて、鹿児島県と屋久島町を中心に気象庁などの関係機関が連携し、観測体制の強化、避難訓練の実施など事前の準備を行ってまいりました。御指摘のコミュニティーがあったということ、地域のきずなが本当に大きな力になったと思います。

 余談でありますが、その後の住まいの確保についても、皆さんが一緒に住みたい、家族だけでなくて、まとまって住みたいという御要望が非常に強く出ておりまして、その辺にも、委員御指摘のコミュニティーの大きな力というのを非常に感じるところでございます。

 五月二十三日に震度三を観測した後も住民説明会を開催するなど、荒木町長のリーダーシップも非常に働いておりまして、さらに、どうしても申し上げておかなきゃいけないのは、天候に恵まれて、噴火時刻が午前中であったことなど、避難を行う上で非常によい条件が重なったということも忘れてはならないと思っています。結果、大噴火にかかわらず、迅速で冷静な避難につながったという認識でございます。

 今回の全島避難は、備えあれば憂いなし、高い防災意識や避難訓練などの効果を如実に示す模範事例でございます。

 ただ、繰り返しになりますが、好条件に恵まれたということがあるので、今後とも、各地域において、関係者が緊張感を持ってさらなる連携に努め、防災意識の向上や避難訓練などの準備を推進する必要がございます。

 あと、委員から、現在の課題、住まいの確保あるいは一時帰島などについてもしお尋ねがあれば、別途またお答えをさせていただきたいと思います。

金子(万)委員 地域コミュニティー、あるいはかねての備え、これが大変大きな力であったというお話でありますが、まさにこれは他の地域においても今後の大きな教訓になることだ、このように思っております。

 この監視体制、現在、噴火警戒レベル5、島民が口永良部島にお帰りになるには、帰島するには、やはりこの警戒レベル5が下がっていかないとできないわけであります。

 昨年の八月三日の噴火によって、気象庁や研究機関が設置した複数の機器が故障したままになっているというふうにお聞きをいたしておるのでございますが、この観測体制を充実強化することには、ここら辺の体制整備というのが非常に重要な部分になってまいります。

 そこら辺、この現実を踏まえて、政府のお考えをちょっとお聞かせいただけますか。

西出政府参考人 口永良部島は、全国四十七の常時観測火山の一つでありまして、気象庁の地震計や空振計、遠望カメラ、GNSS、傾斜計に加えまして、大学や関係機関が設置した地震計やGNSSのデータとあわせまして、気象庁において二十四時間体制で監視をしております。

 気象庁では、昨年八月の噴火後、機動観測を強化してきたところでありまして、本年三月からは、職員を常駐させて体制を強化してきたところです。

 五月二十九日の噴火後は、地方整備局と県の協力によりまして、上空からの観測、また、火口から放出される火山ガスの船上での観測を随時実施しているところでございます。

 また、六月一日に口永良部島のヘリポート付近に地震計を増設いたしまして、監視に活用しております。

 さらに、屋久島町に職員を常駐させており、地元自治体等に随時、火山活動状況の解説を行っております。

 今回の噴火については、火山噴火予知連絡会において、京都大学の井口教授を班長としまして、気象庁、大学、研究機関等で構成する口永良部島総合観測班が設置され、関係者が一体となって総合的な観測を行う体制が整備されております。

 気象庁としては、この総合観測班と連携しつつ、厳重な監視を行ってまいります。

金子(万)委員 ひとつよろしく、今の御答弁に沿って体制強化をしていただきたい、このように思っております。

 鹿児島県には有名な桜島があるわけでございまして、昭和三十年以降、継続して活発な噴火活動を行っております。先月の三十日には、ことしに入って六百回の爆発的な噴火が行われたというふうになっておりまして、先月の二十一日には、噴煙の高さが四千三百メートルに達する、こういうような活発な爆発的噴火が発生をしているわけでございます。

 桜島の噴火活動の現状といいますか、それと観測体制、今後の桜島の活動の見通し等についてどのような見解をお持ちなのか、お聞かせいただきたい。

西出政府参考人 最初に、火山の観測体制についてでありますけれども、桜島では、気象庁を初め、観測所を設置している京都大学等の関係機関が、地震計九台、空振計五台、遠望カメラ十一台、GNSS九台、傾斜計四台等の観測機器を整備しております。

 気象庁では、関係機関と連携し、共有している観測データ等に基づきまして、火山活動を二十四時間体制で監視しております。

 また、噴火が発生した場合には、噴煙の高さなどの観測情報を用いて降灰の及ぶ範囲と降灰の量などの予測を行いまして、降灰予報として随時発表しております。

 桜島の今後の噴火活動の見通しでありますけれども、委員御指摘のとおり、爆発的噴火の回数は例年と比べても多い状態が続くとともに、ことし一月から山体の膨張と考えられる変化が続いており、引き続き活発な噴火活動が継続すると考えております。このことから、気象庁は、噴火警戒レベル3、入山規制を発表しております。

 なお、現在、大規模な噴火に至る兆候は見られておりません。

 今後とも、桜島の火山活動の変化をしっかりと監視していくとともに、随時適切な情報発表に努めてまいります。

金子(万)委員 現状の状況についてはお伺いをさせていただきました。

 ちょっと飛ばしていきたいと思っておりますが、降灰被害についてお伺いをさせていただきたいと思うんです。

 しばしば道路が機能不全に陥っていきますね。私どもも、車で走っていると、前方から煙がわあっと舞い上がって前が見えないというようなことがしばしばありまして、たまには車を横にちょっと駐車して、休憩をしてから再度また動かしていくというようなことなどもあるわけであります。

 特に、学校などでも、窓をあけることができないとか、空気の循環に支障を来しているというような状況、教育現場でもそういう環境悪化があるわけでございます。

 特別措置法に基づきまして降灰防除地域というのが指定をされているわけでありますが、しかし、今日は地域を超えた被害というのが非常に多くあります。学校現場においても、道路、公共施設においてもあるわけであります。指定地域の隣接地域の対策というのもやはり行ってほしいという要望が非常に強いんですよね。

 ですから、より広範な対策が必要であります。県や市町村からも強い要望があるわけでありますが、この点をやはり検討していただかなければならないというのが、私たち鹿児島に住んでいる者の実感といいますか声、私自身の実感としてあるんですが、そこら辺、どういうふうにお考えなのか、ちょっと教えてください。

赤澤副大臣 降灰防除地域の指定を受けると、教育施設や社会福祉施設における空調施設などの整備等、委員から御指摘のあった内容の支援が行われるということは御指摘のとおりでございます。

 その指定については、活動火山対策特別措置法に基づくもので、一定以上の降灰量があること、近い将来において降灰がやむ兆候が見られないことなどが要件となっております。これまで、桜島では、鹿児島市、垂水市、霧島市、鹿屋市が指定されております。

 近年、桜島では活発な活動が続いておりまして、先ほどの委員のお話にもありましたが、私が五月二十九日に到着したときに、やはり車の上に灰が積もっていて、動かされるときにワイパーでかき分けてから発進するというような状況に現にありました。

 現在指定されていないような地域でも、噴火による降灰の状況を確認するとともに、地域の要望をよくお聞きしながら、関係省庁と連携して検討してまいりたいと思います。

金子(万)委員 地域指定を、支援の地域を広範に広げていくという取り組みについては、副大臣、ぜひ具体的に検討していただきたい。各省庁との連携のもとに、ぜひこれは、地域の要望がいろいろな形で上がってきているはずでございますから、具体的に支援体制をとっていけるように、リーダーシップを発揮してやっていただきたいということをお願いいたしたいと思います。

 それからもう一つ、口永良部、幸いにして亡くなった方はおられませんけれども、住居の被害とか、あるいは全壊をするとか、そういうようなことはありませんけれども、被災者生活支援制度の適用基準を満たしていないということから、避難が長期化する方々の生活支援というのが非常に大きな問題になっております。ですから、生活支援は、義援金などの善意に頼っていかなければならないような状況であります。

 地元自治体である鹿児島県からも要望が出ているとお聞きをいたしておるのですが、屋久島町そして鹿児島県を含めて、生活再建支援方策、それから応急仮設住宅の設置費用の特例の基準設定、これらについてぜひ考慮していただきたいというような声がありますが、大臣、ちょっとこのことについて。

赤澤副大臣 避難されている方々の生活再建につきましては、避難者の方々の気持ちに寄り添いながら、きめ細かく対応していくことが重要と考えております。当委員会の森山委員あるいは金子委員からも、本当に地元の要望、情報を詳しく教えていただいて、大変助かっているところでございます。

 国としては、関係省庁と一体となって鹿児島県や屋久島町と緊密に連携しながら、さまざまな生活支援策を講じていく予定でございます。

 具体的には、生活福祉資金の貸し付け、あるいは、噴火により一時的に離職した場合の雇用保険の基本手当の支給といった、生活資金に関する利用可能な制度の周知を行うとともに、明日十二日に三カ所の避難所において、ハローワーク職員による労働相談会を開催する予定でございます。

 こうした就労支援対策を積極的に実施していくことや、委員から御指摘ありました義援金の早期の配付に向けた支援、具体的には、過去の災害における配分方法などのノウハウの情報提供にも努めてまいります。

 応急仮設住宅の供与についても御質問がございました。災害救助法に基づく応急仮設住宅の建設に係る基準単価は一戸当たり二百六十二万一千円となっておりますが、国との協議により、この基準単価を踏まえて建設することができることとなっております。内閣府としても、協議を受けた際には、状況をしっかりと確認し、適切に対応してまいります。

金子(万)委員 住宅建設の費用、二百六十万、これは五百万ぐらい、現在かかるんじゃないでしょうか。五百万以上かかるんじゃないかというふうにお聞きをいたしているわけでございますが、これらのことについても、ひとつ具体的な体制をとっていただきたい。早急にこれをお願いしたい、このように思っております。

 今回の特措法の改正によって、火山国、我が国のそれぞれの地域の体制強化、国、地方連携のもとに行われる体制整備を具体的に強力に進めていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 再度申し上げますが、地域の安心、安全は、やはり地域のコミュニティーです。日本古来の村社会の力というのは、やはりいざというときにはすごいものがあるんです。奄美大島が豪雨災害に見舞われたとき、本当にあのときに私は実感しましたが、奄美群島のそれぞれの地域における豪雨災害のときの地域コミュニティー、村社会の共同体の力というものは非常に大きいものがある。

 今回の口永良部もそうでありましたが、生徒さんはヘルメットを常に教室のそばに置き、そして、学校の先生は車を常に避難所に向けて駐車をしているというような状況など、非常にそういうものが大きな力になった、このように思っております。

 お地元の森山先生からもいろいろとお話は届いているだろうと思っておりますが、ぜひ力強くお進めいただきますようにお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

梶山委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十分開議

梶山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本です。

 きょうは、活動火山対策特別措置法の改正案の質疑に立たせていただきます。

 日本で昨今、火山を含む自然災害で、本当に多くのとうとい命が失われています。また、きょうも、火山ではありませんけれども、豪雨に伴い不明者も出たというような報道に、私も昼に接しました。

 そういう意味では、この国にとって災害対策というのは、不断の努力の中で培っていかなきゃいけない、そういう政策だとは思いますので、こうした火山の問題のみならず、私は、この委員会でこれからも幅広く議論をしていくべきだというふうに思っていますが、きょうは法律審議でありますので、法案の中身について問うていきたいと思います。

 そもそも、今回の法改正は、昨年の御嶽山の噴火災害に伴っての事案から始まったと聞いております。今回の法律第四条で、火山防災協議会を設置する、こういうことを義務化するわけでありますが、こうした義務化をした協議会で一体何を協議するのか。

 噴火をする場所は、本当にその山のてっぺんから出るのかわからない。それ以外の場所から出ることもあります。例えば、私が知っているところでは、東北地方の有名な温泉地で、火山性のガスだと思われますけれども、死亡者が出た事件なども過去にあったと思っています。

 こうした噴火の、いわゆる山頂ではないエリアから出る火山ガスは、協議の対象として含むのか。であれば、そうした火山ガスが出る可能性のあるところも含めて、これは対象の自治体になるということでいいのか、まず確認を求めたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 改正法に基づきます火山防災協議会におきましては、都道府県、市町村に加え、気象台、地方整備局、火山専門家等を構成員とし、関係者が一堂に会し、想定される火山現象の状況に応じた警戒避難体制の整備について協議することといたしております。

 今申しました想定される火山現象といたしましては、噴石などの火山の爆発時に基づく現象だけではなくて、委員から御指摘のございましたような火山ガスも含め、およそ全ての火山現象に伴い生じ得る被害を防止するための防災対応というものを想定しているところでございます。

 したがいまして、火山によって大分個性がございますのでさまざまでございますが、特に火山ガスの発生というものが危惧される火山につきましては、協議会の場で、火山ガスがどの程度になればどの範囲で立ち入り規制を行うのかなどの防災対応を協議することも当然想定されるところでございます。

岡本(充)委員 今、あらゆる災害を含むという話でありました。

 それでは、更問いでありますけれども、例えば空振のような事態でガラスが割れるということもあると思いますが、こういうものも発生するところの自治体が入る、こういう理解でよろしいですか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 今回の対策は、基本的に人的災害を防ぐということでございますので、そういった物的被害にとどまるものについては直接の対象といたしておりません。

岡本(充)委員 窓ガラスが割れたら、当然人的被害が出るわけなんですけれども、そういった事態も含む、こういう理解でよろしいですか。

日原政府参考人 程度問題とは思いますけれども、通常、窓ガラスが割れることに伴う、それによってガラスでけがをするというところまで想定しているものではございません。

岡本(充)委員 私は、後ほどお話をしますけれども、やはり大きな火山の噴火の場合には、こうした空振に伴う被害も当然被害想定として含めておくべきではないかと思うわけであります。

 であれば、この改正法の四条における協議事項に含まれるものは一体何なのか、もう一度整理をしてお答えいただきたいと思います。

日原政府参考人 改正法の第三条におきまして、火山災害警戒地域の指定につきまして、火山の爆発の蓋然性を勘案して、火山が爆発した場合に住民等の生命または身体に被害が生ずるおそれがあると認められる地域で、当該地域における火山の爆発による人的被害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき地域を指定することといたしますので、協議内容としては、火山の爆発による人的被害を防止するために定める警戒避難体制が対象となるものでございます。

岡本(充)委員 その人的被害に何が入るのかというのをもう少ししっかりここで明らかにしていただきたいと言っているわけです。先ほど、火山ガスが入ると。つまり、どこまでがこの協議会の義務がかかるのか。これは義務をかける話ですから、それはどこまでなのかというのを明確に答弁でしておいていただきたい。

 先ほどお話をしたように、空振に伴う被害はあり得ます。もちろん、ガラスが割れたって、人的被害です。それから、後ほどお話をしますけれども、では、東海道新幹線が走っています。富士山が万一噴火をした場合には、空振による影響が列車に及ぶかどうか、これはしっかり調べる必要があるんじゃないかと思うんですね。

 そういう意味でいえば、人的被害が起こり得るものについては含むんでしょう。法律だとそう読めるんですけれども、ガラスが割れた結果けがをすることは人的被害ではないというのであれば、それはそのようにここで答弁をされたらいいと思いますし、範囲をきちっと決めて、どこまでの自治体が対象になるのかということを明確にしていただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 火山現象によりまして通常想定し得る現象による人的被害を対象とするものでございます。

岡本(充)委員 国民に義務をかけるのに、そのような抽象的な話だと、どこまでが対象なのかというのがはっきりしない。

 大臣、今の議論を聞いていただいたと思います。義務をかけるわけですから、どこまでの自治体が対象になるのか。普通に火山活動によって起こる事態、先ほどお話をしている空振のような場合もそうですし、ガスもそうです、いわゆる噴石以外の現象、火山活動に伴う現象で起こるそうした人的被害は含まれる、こういう理解でよろしいですね、大臣。

日原政府参考人 ただいま委員からの御質問におきまして、どこまでの自治体が対象になるか不明確であるという御指摘をいただきましたけれども、それにつきましては、三条に基づきまして国の方で指定することとなっております。

山谷国務大臣 今、防災担当の統括官からの答弁と同じでございます。

岡本(充)委員 国が指定をするというけれども、三条で指定するところをしっかりはっきりさせておかないと、私は、どういうところが含まれるのかという、義務を課すんだということを、もう一度、大臣、ここは何らかの形で明確にしていただきたいと思います。

 次の質問があるので、これは不明確だということは指摘をしておいた上で、次に行きたいと思います。

 もう一つは、警戒避難体制の整備に当たって、きょう皆さんにお配りをしています、一体山にどれだけ人がいるのかということを一定程度把握しておく必要があるんじゃないか。

 今回の御嶽でもそうですけれども、不明者が何人いるかわからないと、もう不明者がいないにもかかわらず、自衛隊や消防、さらには警察などが捜索活動に行かなければならないという事態も起こり得る。その際の二次被害も我々はやはり考慮しなけりゃいけない。こういった事態でありますから、一体どのくらいの人がこういう一定程度危険性があると国が思っている山に入っているのかを把握する方法、やはりこれは考えていくべきではないかと考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 火山を訪れる登山者や観光客の数の正確な把握についてでございますが、登山が主体の山と異なり、観光主体の火山では、その実数の把握が極めて難しい。どの範囲を訪れる者を調査の対象とするか、調査主体によって調査方法が異なるのではないかなど、課題があることは事実でございます。

 一方で、例えば各火山でピーク時にどのくらいの登山者や観光客が滞在しているかというのは、避難計画の対象となる者がどのくらいになるかを把握する上で有効なものだと考えております。

 今後、関係省庁や自治体とも連携の上、そうした把握の手法について研究してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 ぜひそれはお願いをしたいと思います。

 今大臣が言われた観光主体の火山、きょうお配りしている資料にもありますように、火口もしくは山頂到着まで徒歩三十分以内だと観光主体の火山、そして山頂、火口到着まで徒歩で三十分よりかかる山は登山主体の火山、こういうふうに分けているそうですが、この分け方一つとっても、これが本当に適切なのかというところもあろうかと思います。

 大きな方向性は、大臣のお考え、私も十分理解しましたので、ぜひこうしたこともあわせて、一定程度把握ができる仕組みを工夫するということが、登山者にもしっかりリスクを理解してもらうことにもつながるというふうにも思います。よもやここが火山だと思っていなかったという人たちがたくさん来ているのでは、やはりこれはまずいということです。したがって、これをぜひ検討していただいて、また教えていただけませんでしょうか。

山谷国務大臣 そのようにしたいと思います。

岡本(充)委員 続いて、火山防災協議会、これで関係団体を追加できると書いてあります。この協議会の中には一体どれだけのステークホルダーが入るのか。

 これは、富士山の話で考えると、先ほどお話をしました東海道新幹線も走っています、遊園地もあります、さまざまな観光施設があります。いわゆる単なる観光協議会というようなメンバーだけでは入り切らない方々がいらっしゃると思いますが、そうすると、先ほどの話、本当に多くの関係者が入ってくると協議体として十分機能するのかという懸念を持つわけでありますが、その点、どのようにされるおつもりでしょうか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、富士山のように大変大きな山になりますと、火山防災協議会の関係者も大変多くなってまいります。

 必要に応じた構成員としては、例えば観光関係団体のほか、現在任意でつくられている協議会のメンバーを見ましても高速道路会社や鉄道会社等が入っておりまして、どこまでメンバーにするかというものは、県及び市町村が検討することになります。ただ、実際問題、任意の組織におきましても関係者が多いことから、火山防災協議会の運営につきましては工夫が必要になると考えております。

 今申しました任意の協議会におきましては、実務者で構成する三県コアグループ会議というものを設置し、避難計画につきましてはこの三県コアグループ会議におきまして検討を行い、適宜その関係者をメンバーに加えるというような形で運営を行っているというふうに伺っておりまして、こうしたことも一つの工夫であるというふうに考えております。

岡本(充)委員 私が富士山の話をするのは、皆さんにお配りをしております資料の二ページ目に、現状、四十七火山における火山防災対策の取り組み状況と書いていますが、この秋には、あと三火山が追加をされるやに聞いてはおりますけれども、これらの山を想定すると、噴火をしたときの影響が大きそうだな、人口が比較的多い地域にあるなというようなことなどを考えると、やはり富士山の対策がどうなのかというのは十分考えなければならないテーマだろうと思っています。

 そこで、三ページ目。こちらは公表されている資料でありますけれども、富士山が、過去、江戸時代、一七〇〇年代ですか、宝永噴火をしたときの状況が下の図です。これで見ると、少なくとも八センチメートルの灰が千葉県にまで到達をしている。そして、この図で見ると、八センチ程度の降灰は東京の二十三区にもかかっているように見えます。

 そういう意味でいうと、かなり大量の降灰が東京都下でも、また千葉県内でも降ることが想定されるわけでありますが、今、現状の富士山の関係都道府県には、山梨、静岡、神奈川しか入っておりません。そういう意味でいうと、今度の協議会は、こうしたデータをもとに、当然、東京、千葉なども入ってくる、こういう考え方でよろしいですか。

日原政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えいたしましたように、今回の対象の範囲といたしましては、火山の爆発による人的被害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき地域ということを対象といたしています。

 火山灰につきましては、神奈川県のように、降る量の重さによって家が崩壊、倒壊するとか、あるいは土石流の発生のおそれがあるというような地域は別にいたしまして、東京とか千葉県になりますと、どちらかというと経済的被害が中心になってくると思っておりますので、現在のところ、そこを入れるということは想定しておりません。

岡本(充)委員 先ほどの議論とこれはかぶるんです。大臣、聞いてください。

 降灰が起こったときの被害は何があるのか。今言われた経済的被害、停電が起こる、例えばそういうものを指しているんだろうと思いますが、灰が降れば、それだけで車は走れない、スリップし始めるんですよ。灰が降ってスリップをすれば、当然のことながら事故が起こります。これは、火山の噴火に伴う人的被害なんですよ。

 そういう意味でいえば、降灰がこれだけ広範囲に及ぶことが想定されるのであれば、当然のこととして、その想定のもとで、どういう被害が起こり得るか、しっかり調査をして、ステークホルダーをきちっと決めて、もちろん、運営の方法ですから、例えば、噴石による被害に対しての対策、降灰に伴う被害の対策を分けてもいいと思います。しかし、降灰に伴う被害が人的被害を伴わないという認識にもし立ってみえるとすれば、これは大きな誤解だと私は思いますし、対策をとるべきだと思います。

 それ以外にも、水道が使えなくなる可能性がある。停電、それから先ほど言った交通事故、起こり得ます。交通機関が麻痺すれば、人的被害と直接言えないかもしれませんけれども、大量の帰宅困難者が出ることも考えられるわけであります。

 こうしたことを踏まえて対策をとるべきだということを私は指摘しているわけですが、大臣、いかがお考えですか。

山谷国務大臣 大規模な降灰による影響については、高度に開発が進んだ現代の都市が大規模降灰に見舞われた経験が他国の事例においてもなく、不明な部分が多い状況であります。

 このため、内閣府におきましては、まずは降灰の影響に関する基礎的な調査として、降灰が道路や鉄道等のインフラ施設等へ影響を及ぼした事例の収集と要因分析を行ってまいりました。

 内閣府としては、この基礎的な調査の結果をもとに、首都圏等の現代の都市が大規模降灰に見舞われた際に生じる事態の想定や影響について、今年度の調査において検討していくことを考えております。

岡本(充)委員 いただいた富士山の火山防災マップ、見せていただいたら、いつの日付かと思ったら、平成十六年六月作成なんですよね。平成十六年六月、その間に民主党政権もあったじゃないかと批判を受けるかもしれませんけれども、これはもう十一年、対策がとられないまま、今ようやっと、今年度中になんという話を大臣は言われていますが、それでは一体いつになったら防災マップ、これをもう一度見直したものが出るのか。すごく先になってしまいます。そんなゆっくりな話でいいのかということを私は指摘したい。

 だから、大臣、もう一歩踏み込んで、これはもう早急にやるんだという御決意をいただけませんか。

山谷国務大臣 インフラ施設等へ影響を及ぼした事例の収集、要因分析は行ってまいっておりますので、今年度の調査において検討していく、それもできるだけ早くというふうに考えております。

岡本(充)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 特に、先ほどお話をしました経済的被害についてはという話ですが、実は、停電すると経済的被害だけにとどまらないんですね。

 私も記憶がありますけれども、計画停電をしなければならなかったときに、やはり想像し得るのは、病院の場合は非常用のバッテリーがあるところが多いですけれども、御家庭だと、電気が来ないと自分の健康、命に大きな影響を及ぼすような、そういう疾病に罹患されている方もいらっしゃるわけですから、そういう意味でいったら、計画停電の、電気を切るというときのあの緊張感というのは物すごいものがあったのを私は記憶しています。

 そういう意味で、停電になったら経済的被害だけではないということも踏まえて、これはぜひ早急にやっていただきたい。

 それとやはり、先ほどからお話をしていますけれども、自治体に含まれない会社ですね、遊園地だとか高速道路だとか新幹線だとか、富士山の周りにありますので、こういうところも、被害が一旦出ると、大変多くの人命が傷つく可能性があるということでありますから、その点も踏まえていただけるかどうか、もう一度大臣に御答弁いただきたいと思います。

山谷国務大臣 富士山における火山防災協議会の構成員で、その他必要と認める者としては、観光関係団体や高速道路会社、鉄道会社等が考えられますが、どのようなメンバーを協議会の構成員にするかについては、都道府県及び市町村が検討することとなります。

 富士山においては、具体的に言えば、例えばJR東海や富士急ハイランドなど、都道府県及び市町村が必要と判断すれば、それぞれの団体に参画を求めることとなると考えております。

岡本(充)委員 自治体が求めることになればという話ですけれども、法律のたてつけ上、三条で、要するに火山災害警戒地域の指定、地域は指定できるんだけれども、どういう業者が入るか、これは国が指定できるわけではないですよね、自治体ですよね。

 そういったときに、今回の法律のたてつけだと入らないという可能性が出てこないように、しっかり国としてそこは目配りをしてもらいたいという趣旨なんです。そこは大臣、大丈夫ですね。

山谷国務大臣 さまざま、個々の火山に応じて考慮して、都道府県及び市町村が判断していくということでございますけれども、国としても、いろいろな個々の火山にそれぞれ個性がございますので、自治体に向けて支援をしていきたいと思います。

岡本(充)委員 本来であれば、特にこういう大規模、いろいろな火山があります、おっしゃるとおり。人が実質的に住んでいない島もありましょうし、また、先ほどから話があるように、ここが火山だと思わずに人が集う観光地もあるでしょうし、そういう意味では、それぞれの特性があって画一的にできないのは当然ですが、しかし、大規模な被害が想定をされるこうした火山については特段の注意が必要だということを私はここで指摘しておきたいと思いますし、ほかの火山と同じような対応をしていたのではこれは追いつかないことになるんだということを、ぜひ大臣、御認識を持っていただきたいと思いますが、いかがですか。

山谷国務大臣 富士山の場合は、大きな、大規模なことになれば、さまざまな計画を含めて、いろいろなことが想定されます。国としても、アドバイスまた支援を考えていきたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひそのようにお願いをしたいと思います。

 それで、この法律、ハザードマップをつくっていくという話でありますけれども、協議会でつくるハザードマップ、今のハザードマップ、どんなものがあるかということで役所にお願いしたら、たくさん来ました、いただきました。

 しかし、見ると、余りにばらつきがある。書いてある情報にも、残念ながら、有意なものと、言い方は悪いですけれども、それほど重要な意味をなさないだろうなと思うようなものと、さまざまであります。

 でき上がるいわゆるハザードマップにはどのような質の担保を図っていくのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

日原政府参考人 火山ハザードマップにつきましては、現在、常時観測火山となっております四十七火山のうち、三十七火山において策定されております。

 まずは、そのハザードマップが策定されていない火山につきまして策定を進めていくことが重要であると考えております。

 その上で、既に策定されている火山につきましても、火山地域の実情がございますので、そういった実情を踏まえながら、必要に応じてハザードマップの改定を進めていくことが必要であるというふうに考えております。

 今回の改正法案につきまして、基本方針におきまして一定の作成についての考え方は示してまいりたいと思っております。

 また、火山防災協議会に各専門家が参画していただきますけれども、その専門家が連携、連絡する会議を開催することを予定しております。そうした協議会における取り組みにつきまして、火山専門家同士で十分議論をしていただき、さらなる質の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 現状でも、そうした専門家がいる協議会もあるんじゃないかと思います。それでもなおばらつきがあるということですから、それだけでは私はなかなか質の担保ができないと思いますし、やはり国が一定程度、いい事例なども含めて紹介をするなり、どういう情報があるのが望ましいかというのを例示するとか、こういう取り組みが必要じゃないかと思いますが、もう一度、更問いで。

日原政府参考人 今委員御指摘のとおり、火山ハザードマップがどのようにでき上がっているかということを紹介する、大変有効な施策だと思っておりますので、そういった取り組みについても考えてまいりたいというふうに思います。

岡本(充)委員 最初の方の質問に戻りますけれども、とにかく、山はいろいろな種類の山がありますし、多くの人たちが入山をする山もあります。

 最後にちょっとお伺いをしたいんですが、こうした情報を入山する方々に周知する方法です。掲示板を立てておけばいいという話でもないと思います。登山道に置いておけばいいというものでもないと思います。なかなか難しいと思いますが、どういう方法で周知をするのか。

 そしてまた、もっと言えば、これから観光に行こうと思っている方々に、自分が行くところは火山なんだという認識を持ってもらうための取り組みはどうしたらいいとお考えなのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 まず、火山とはちょっと離れますけれども、例えば、私どもが海外に行くときには、外務省から出されている海外渡航情報というのを見る習慣があろうかと思いますし、また、そういうものを見るようにということを旅行会社の方でお勧めする場合がかなりあるというふうに思います。

 現在、私どもが考えておりますのは、火山の登山をする場合に、登山者がそういったものを一覧できるような、火山がどういう状況にあるかとかが一覧して見られるようなホームページというものを気象庁において作成しておりまして、そういったものに対しまして、内閣府、あるいは山岳協会、その他関係からリンクを張るような形をとっております。

 また、最近、登山につきましても、個人で行くというよりも旅行会社を通じたツアーで行く場合がありますので、そういったツアーを企画しております旅行会社に対しましても、火山に対します情報でありますとか心構えでありますとか避難のあり方というようなものについて周知していただくようお願いしているところでございます。

 また、途中経由する交通機関におきましても、そういう情報を提供していただくよう働きかけてまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 いや、それは登山が主体の火山ではそういったことができるかもしれませんけれども、観光が主体だと、旅行会社を通じて行かない人もたくさんいらっしゃるし、それから、どこが火山かもわからないわけです。外国に行くのは、みんなわかっています、パスポートが要るから。外国に行くときに外国に行く認識がない人は、生まれたての赤ちゃんを除いては、まずいないでしょう。皆さん、外国に行くという認識があって行きます。

 そういう意味でいったら、今回は、火山に行くという認識なくして行く人たちをどう減らしていくか、その取り組みを私は問うているわけでありまして、もう一度お答えをいただきたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 一つは、今まで火山につきまして、レベル1について、平常という表現をとっておりましたけれども、そもそもそこにつきまして、活火山であることに留意というふうに表現を改めることによりまして、まず、行った先が火山であるということを御理解いただくような方法をとっております。

 その他、実際に現地に入った後に何か異変があった場合には、緊急速報メールの活用でありますとか、あるいは、より緊急度の高い場合には、サイレンによる情報伝達、防災行政無線の活用等につきましても検討されています。

 また、登山道の入り口等につきまして、あるいは観光地等におきましても、ビジターセンター等もございますので、そういったさまざまな手法を活用して、火山であることの御理解を高めたいと思っています。

 また、学校教育等を通じた防災教育にも努めてまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 それは、行った人はそういうところで認識をするという取り組みはわかりますよ。そうじゃないんです。今まさに行こうとする人たち、どこへ行こうかなと言っている人たちに、ここが火山だということを踏まえた上で行ってもらうため。

 その分、いいものがいろいろあるんですよ、火山の周辺というのは。観光地として成り立ついろいろないいところもあります。例えば、温泉が湧くとか、あるでしょう。したがって、私は、そのいい情報も知った上で、やはりここは火山なんだということもしっかり理解して、なおかつ今の危険度を把握し、そしてみずからの判断で行っていただく。

 過度に恐れていただく必要は全くないと思いますけれども、その周知をする手法について問うているわけで、行った先での話ではありません。御自宅で選ぶときにその情報がどう伝わるようにするのかという取り組みについて尋ねています。いかがですか。

日原政府参考人 基本的に、そういった観光地につきましては、山の周辺でもございますし、そういった観光地と連携しながら、観光の中で、火山の周辺地域であるということを伝えるようにしたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 大臣、これはかみ合っていないのが、お聞きいただいておわかりだと思います。

 ぜひ、大臣、別にきょう答えを出してくれということではありません、ちょっとお考えいただいて、また私もできる知恵を絞りたいと思いますので、一緒に考えるという方向で、最後にお答えいただいて、また後ほど担当部局とも私は話をしますので、そういう方向でよろしいですか。

山谷国務大臣 今回の法改正というのは、火山防災対策の特殊性等を踏まえ、活動火山対策の強化を図るものでございます。情報提供のあり方、さまざま、いろいろな角度から考えていかなければならないと考えております。ともに、いろいろお知恵もいただきながら、考えてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 では、これで終わります。ありがとうございました。

梶山委員長 次に、大平喜信君。

大平委員 日本共産党の大平喜信です。

 活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律案について質問をいたします。

 中央防災会議が設置した火山防災対策推進ワーキンググループの提言を見ますと、一、火山防災対策を推進するための仕組み、二、火山監視観測体制、三、火山防災情報の伝達、四、火山噴火からの適切な避難方策等、五、火山防災教育や火山に関する知識の普及、六、火山研究体制の強化と火山研究者の育成と、昨年の御嶽山噴火災害を踏まえた必要な対策が多方面にわたって指摘をされています。

 提言では、その冒頭で、火山災害は発生頻度が小さいため、行政機関においては火山防災専門の職員を配置することが難しく、また、社会一般においては火山に関する知識や理解が必ずしも十分でないという実態、そして、噴火に伴う現象の種類や噴火の規模は多様であることから、火山防災対策を推進するためには、火山ごとに詳細な調査研究に基づいた検討を行う必要があるが、火山研究者の人数は十分でなく、火山防災に資する研究は必ずしも進んでいない、そうした実態を示しながら、結論的に、これらのことは火山防災対策を推進していく上で、必ずしも短期的には解決することができない根幹的な課題となっていると指摘をしています。

 火山防災対策は、短期的に解決することができない根幹的な課題を抱えている、この提言の指摘を大臣はどのように受けとめておられますか。御所見をお伺いしたいと思います。

山谷国務大臣 火山防災対策を推進する上で、必ずしも短期的に解決することができない根幹的な課題として、行政機関における火山防災を専門とする職員の不足、火山に関する詳細な調査研究を行う火山研究者の不足、社会一般における火山に関する知識や理解の不足などが考えられます。

 このため、気象庁や文部科学省、その他関係省庁との連携をより強化しまして、職員の火山活動評価力を向上させるための技術研修の実施、プロジェクト研究を組み合わせた人材育成プログラムの構築等による火山研究人材の育成、出前講座や普及啓発パンフレットの活用等による火山地域の学校における実践的な防災教育への支援、旅行業者、交通事業者を通じた旅行者等への防災知識の普及啓発等の取り組みを進めてまいりたいと思います。

 また、これら取り組み以外にも、今後、内閣府に速やかに設置する火山防災対策推進検討会議において、必要な施策について議論を進めてまいりたいと考えております。

大平委員 提言では六つの点から多方面にわたって提起をされていますが、今度の法改正の内容は、全体として警戒避難体制の整備が中心となっています。

 今回の提言を取りまとめられた気象庁火山噴火予知連会長の藤井敏嗣東大名誉教授も、ちょうどきのうの毎日新聞の夕刊の記事にありましたが、国は制度を決めるだけではなく、早急に財政支援も含めた対策を講じるべきだと述べておられます。

 先ほど大臣からもありました、今後、内閣府に設置される火山防災対策推進検討会議で継続的に検討がされるということも踏まえまして、財政支援を含めた対策も含めて、一つずつ伺っていきたいと思います。

 まず、提言の第四、火山噴火からの適切な避難方策等に関連して、退避ごう、退避舎の問題についてお聞きしたいと思います。

 消防庁に伺いますが、現在、四十七の常時観測火山の退避ごうや退避舎等のシェルターの設置状況はどうなっているでしょうか。

室田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の火山におけます退避ごう、退避舎の設置状況につきましては、御嶽山の噴火を受けまして、昨年十月に緊急調査を行ったところでございます。

 それによりますと、常時観測が実施されています全国四十七火山のうち十二火山におきまして、合計百三十三の退避ごう、退避舎が整備されております。

大平委員 昨年九月の御嶽山の噴火災害では、犠牲者のほとんどは噴石が当たったことによるとされています。

 先ほどありましたが、現在、退避ごう、退避舎、いずれかが整備されているもので十二火山、全体の四分の一となっています。四十七全ての火山につくるかどうか、これは議論があるにしても、現状でいいわけではないということははっきりしていると思います。

 整備が進んでいない原因として、財源の確保が一つ大きな課題としてあると思います。

 退避ごう、退避舎等の整備に関する補助金として、消防庁所管の消防防災施設整備費補助金があります。この間、活火山を抱える地域からの要望もありまして、この補助金の交付対象となる要件として設けられていた下限額、これが撤廃をされました。自治体からは非常に喜ばれていたんですけれども、しかし、その措置は、昨年度、二〇一四年度の補正予算だけで終わってしまいました。せっかくの措置であったにもかかわらず、わずかな期間であったため、この制度を活用した実績は、鹿児島県一県にとどまりました。

 消防庁に伺いますが、この下限額撤廃の措置が終わって、今年度の予算の中でこの制度を使って整備をする自治体はどのぐらいあるでしょうか。

室田政府参考人 委員御指摘のように、地方自治体が行います火山における退避ごう、退避舎の整備につきましては、消防庁所管の消防防災施設整備費補助金を活用することが可能となっております。

 平成二十七年度予算におきましては、十勝岳が所在する北海道美瑛町に対して交付することを予定しております。

大平委員 今年度予算で、わずか一町にとどまっています。

 さらにお聞きします。

 シェルターは整備されているものの、老朽化が進み、どれだけの大きさの噴石に耐えられるかわからないものもあると聞いています。

 現実的に、シェルターを整備しようと思えば、新たにつくるということに加えまして、こうした老朽化したシェルターを補修あるいは改修すること、また、山小屋等の施設を活用するために、その山小屋を補強するということなどが実際には各自治体の皆さんにとっては選択肢として上がると思いますが、先ほど紹介のあった消防防災施設整備費補助金は、こうしたものにも活用できるんでしょうか。

室田政府参考人 消防防災施設整備費補助金につきましては、新規の施設のみを対象としているものでございまして、既存施設の補修、改修については対象外でございます。

 一方で、地方公共団体が単独事業として行います退避ごう、退避舎の整備につきましては、平成二十七年度から新たに地方財政措置の緊急防災・減災事業債を活用することが可能になったところでございますけれども、この場合は、既存施設の補修、改修についても対象となるところでございます。

 消防庁といたしましては、これらの財政支援を適切に組み合わせて御活用いただけるよう助言してまいりたいと考えております。

大平委員 既にあるシェルターの補修や山小屋等の補強というのは使えない、かわりに緊急防災・減災事業債制度がある、そういうお話でしたが、これはあくまでも自治体の借金なんですね。

 では、加えて聞くんですけれども、この緊急防災・減災事業債の事業ができてからこれまで、シェルターの補修や山小屋の補強のために活用された実績があるでしょうか。

室田政府参考人 地方公共団体が活動火山対策避難施設を地域の防災計画に基づきまして地方単独事業として整備する場合、今年度から新たに緊急防災事業債の対象とさせていただきました。

 現時点で今年度の具体的な要望は来ておりませんが、今後、地域の実情に応じた検討がなされた上で、必要に応じて活用がなされるものと考えております。

大平委員 活用の実績はないんですよね。結局、自治体の借金ですから、誰も使おうということにならないわけです。もちろん、財源の問題だけと言うつもりはありませんが、やはり、こういうやり方では、抜本的にシェルターの整備が進んでいくということにはならないのではないかと思います。

 今後も、補助金交付の下限額の撤廃の措置を続けることや、先ほどありました、新設だけの適用ではなくて、老朽化したシェルターの補修や改修、また山小屋等の施設を活用するための補強費用への補助制度としてもこの補助金の制度が活用できる、そういうことにすることも含めて検討するべきだということを指摘しておきたいと思います。

 提言では、シェルターの整備が進まない原因について、財源確保の課題に加えて、場所、構造、機能など専門的知見が必要なこと、国有地などについては国が整備するといった、設置主体が明確でないこと、関係法令に係る手続に時間を要することなどが指摘をされています。

 改めて大臣にお伺いしたいと思うんですが、自治体にとっては、整備したくても、さまざまな困難があり、なかなか簡単には進められないという気持ちがあるんだと思います。関係省庁間のさまざまな連携や調整なども含めて、防災担当大臣の強いイニシアチブが求められていると思いますが、その決意を含めて、改めてお伺いしたいと思います。

山谷国務大臣 昨年九月の御嶽山噴火では、山小屋等に避難して噴石からの被害を免れた事例も報告されておりまして、シェルターは、噴石等の飛来物から逃れるため一定の効果があると考えております。

 一方、関係地方公共団体から、シェルターの設置場所やその構造、機能等に関し参考となる手引の作成を求める声がございまして、火山防災対策推進ワーキンググループの報告書においても、ガイドラインの作成が提言されたところであります。

 現在、内閣府においては、活火山における退避ごうの整備等に関する検討ワーキンググループにおいて、シェルター整備のあり方等について検討を進めているところでありまして、ことしの秋を目途にガイドラインを作成、公表したいと考えております。

 政府としましては、関係省庁と連携し、必要なシェルターの整備が図られるように支援してまいりたいと考えております。

大平委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、提言の第二、観測体制の問題にかかわって質問したいと思います。

 御嶽山でも口永良部島の新岳でも、気象庁や大学、研究機関、自治体が設置している地震計などの観測機器が噴火の際に故障をしていたため、観測データが送られていないというケースがあったと聞いています。

 気象庁にお伺いしますが、観測機器の維持や管理、点検整備なども防災対策の重要な課題だと私は思いますが、気象庁はこの点についてどのように検討されているのか。また、提言では、気象庁は大学等の観測点の保守、維持等にも協力すべきとされていますが、その点についても、どのような検討が行われているのか、お聞かせください。

西出政府参考人 気象庁及び大学は、火山活動の監視あるいは学術研究目的で地震計等の観測機器を設置しており、これらは設置した機関がそれぞれ維持管理しております。

 気象庁では、二十四時間体制で火山を監視する中で、リアルタイムで機器の動作状況を把握しております。故障を確認した際には、積雪や火山活動の活発化などにより機器の設置場所に立ち入ることができない場合を除き、速やかに職員等が出向いて機器交換などの復旧作業を行います。

 大学による観測機器についても、気象庁にデータを提供いただいているものについては、観測データに異常が認められる場合は、各機関にその旨をお伝えしているところです。

 また、気象庁職員が機動観測等で現地に出向いた際、故障が発生している大学の観測機器が近隣にある場合には、復旧のため、機器動作状況の確認、報告や電源の入れ直し等、軽微な作業を行うことについて、可能な限り協力することとしております。

大平委員 大学への、補修、維持等にも協力すべきというのは、私は本当に大賛成なんです。

 国立大学では、二〇〇四年度の独立行政法人化以来、年々、運営費交付金が減らされてきました。独法化に伴い、調べてみますと、それぞれの火山における施設の更新や整備にこれまで年間六千万から一億円ほどが順次充てられていたという仕組みも、削減によって消えてしまいました。御嶽山を研究する名古屋大学では、二〇一四年度の運営費交付金が〇四年度比で七%減となり、これまで数年に一度は行っていた観測機器の手当てもできなくなったと聞いています。

 こういうところにも運営費交付金の削減が深刻な影響を広げているということを厳しく指摘しておきたいと思います。

 さらに質問を続けます。

 火山の被害に遭っている自治体、その地域の住民や営業されている皆さんの暮らしとなりわいは非常に深刻な状況であり、さまざまな点での国の支援が求められています。

 例えば、火山活動が活発化している桜島では、爆発的噴火が相次ぎ、大きな噴石が弾道を描いて飛散しているほか、小さな噴石は大量の火山灰とともに遠方まで風に流されて降っています。噴火警戒レベルは入山規制の3ですが、降灰の影響は、鹿児島市内など周辺市町へ深刻な影響をもたらしています。

 そこで、対策として必要になってくるのが降灰除去事業ですけれども、現行法では、降灰の基準量を超えれば、国がその事業の三分の二以内を補助すると定めています。しかし、その基準量は、連続する二カ月の期間において毎月一回以上降灰があり、一平方メートル当たり千グラム以上であるという非常に実態に見合っていないものであり、地元からも、この採択基準を見直せと強く訴えられています。

 大臣にお聞きします。

 こうした降灰被害についての現状の御認識と、求められている基準の見直しについての御見解を伺います。

山谷国務大臣 桜島では活発な火山活動が続いており、桜島周辺地域の本年の平均降灰量は、四月末の時点で一平方メートル当たり約四千三百グラムとなっておりまして、既に四カ月で最近十年間における一年間の平均降灰量と同程度の降灰に見舞われているという状況になっております。

 桜島における降灰除去事業は、平成二十一年度以降、鹿児島市、垂水市において毎年補助採択され、国も支援しながら多量の降灰を除去している状況であります。

 降灰除去事業は、一市町村の財政力では対応できないほどの多量の降灰があった場合に、市町村が行う降灰の除去に要する費用について、その三分の二以内を国が補助することができるとされており、採択の基準は、活動火山対策特別措置法施行令第一条において、一年間に一平方メートル当たり千グラム以上であること、連続する二月の期間において毎月一回以上降灰があることと規定をされています。委員おっしゃられたとおりでございます。

 採択基準は、国と地方の役割分担のもと、政令で定められているものであり、その見直しについては、基準緩和による追加財政支出等の影響も踏まえて、慎重に検討する必要があると認識をしております。

大平委員 ぜひ、切実に求められている基準の見直しですので、検討していただきたいというふうに思います。

 また、箱根町の大涌谷では、観光客が極端に減り、宿泊施設や土産物店、飲食店などから悲鳴が上がっています。私が伺いましたあるお菓子の製造会社の社長さんは、売り上げが減少し、従業員を四割休ませている、東日本大震災のときに計画停電があり、観光客が一時的に減ったが、このときは期間が区切られていたから頑張れた、しかし、今は噴火警戒レベル2の規制解除が、いつ終わるかわからないので、会社を閉じるに閉じられないし、蛇の生殺しに遭ったような状態だとおっしゃっておられました。

 大手のホテルでも、書き入れどきの七、八月で何万人という規模でのキャンセルが出ており、一日に数万個売れるという大涌谷の人気商品、温泉卵も、立ち入り規制で売れないとのことです。

 地元からは、例えば、気象庁は箱根全体が立ち入り規制対象でないことをもっと伝えてほしいという声や、あるいは、午前中の議論でもありました、セーフティーネット保証制度の適用、雇用調整助成金の条件見直しと対象範囲の拡大などが求められています。

 大臣、これらの要望についてもしっかりと耳を傾け、応えていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

山谷国務大臣 今回の大涌谷における火山活動の高まりによる風評被害については、観光庁を初めとする政府として対応に取り組んでおります。私も、地元の皆様からのお声をさまざまお伺いいたしました。

 これまでも、私も、閣議後の記者会見等において、噴火した場合の影響は大涌谷周辺とされており、安全のために必要な措置は講じられていること、政府、地元自治体からの情報を注視し、冷静に対応していただきたいことについて、国民の皆様に呼びかけたところであります。

 今後も、地域の皆様のお声に耳を傾けつつ、関係省庁と連携して対策に取り組んでまいりたいと考えております。

大平委員 幾つか個別の問題を指摘してきましたが、これらの問題はほんの一部にすぎません。まだまだ課題はたくさんあり、対策をとるよう進めていかなければなりません。

 冒頭にも触れました、内閣府に設置をする火山防災対策推進検討会議では、実施すべき取り組みを確実に実行するために、必要な具体的な方策の検討を行っていくとしています。

 この検討会議では、これまで指摘をしてきました退避ごう、退避舎の設置補助や、観測機器の維持管理のあり方、また、降灰対策や被災者支援などの課題も含め、実質的な火山防災対策のあり方を検証し、必要な見直しを目指していくものということで、大臣、よろしいでしょうか。

山谷国務大臣 火山防災対策推進ワーキンググループで取りまとめられた最終報告では、火山防災対策の強化の取り組みを確実に実行するため、内閣府に火山防災対策推進検討会議を設置し、引き続き具体的な方策の検討を継続すべきとされたところであります。

 これを受けまして、今後設置予定の同会議では、火山の観測研究を行っている機関同士の相互協力、補完や、観測データ共有についての総合調整、火山専門家の火山防災協議会への参加の推進についての調整、火山防災推進のための体制整備の具体的な検討などを重点的に行う予定であります。

 御指摘のようなさまざまな個別の課題については、基本的にそれぞれの関係省庁でしっかりと検討、対応すべきものと考えますが、内閣府としても、動向を注視するとともに、必要な働きかけを行ってまいりたいと考えております。

大平委員 ぜひ、きょう指摘した点も含めて、さらなる検証と具体的な見直しを進めていけるよう求めたいと思います。

 次に、火山防災協議会についてお聞きします。

 今度の法案では、協議会に火山の専門家を必須構成員とするとしていますが、現状の火山防災協議会で見ますと、四十七火山のうち、十一の火山で火山の専門家が構成員となっていません。大きな原因として、火山研究者が絶対的に少ないという問題があると思います。実際に火山の観測点の維持管理にも携わり、観測を基盤として火山噴火現象の解明や火山噴火予知研究を実施している火山研究者は約八十人、うち大学の研究者は四十七人と言われています。大学の研究者であれば、教育活動やみずからの研究活動に加えての役割となるわけです。

 そもそも、この人員で全ての協議会に参加してもらうことが可能なのでしょうか。どのように火山研究者の皆さんに求められている役割を果たしてもらうようにするのでしょうか。大臣、お聞かせください。

山谷国務大臣 委員御指摘のとおり、現在、十一の火山防災協議会において、その規約上、火山専門家が構成員として参画していないところでありますが、有珠山など約半数の火山防災協議会においては、これまで、実質上、当該火山を研究している火山専門家から必要に応じ助言等を受けてきたところであります。

 残りの約半数の火山において、これまで協議会等に継続的に関与する火山専門家がいない理由は承知しておりませんが、今般の活火山法の改正後、各火山防災協議会は火山専門家を必須構成員として参画させることとなることから、今後、四十七の火山防災協議会の全てについて早急に正式な構成員として位置づけられるよう、内閣府としてしっかりと取り組んでまいります。

 具体的には、今後、各火山防災協議会における火山専門家に関するニーズを把握するとともに、地元大学を含めた大学や研究機関の研究者に関する情報収集を行いまして、各火山防災協議会に必要な知見を有する火山専門家が参画されるように調整を行っていくこととしております。

 内閣府といたしまして、しっかりと万全の体制ができるように努めてまいります。

大平委員 ワーキンググループの提言でも、研究者の確保は必ずしも短期的に解決することができない課題としており、そこで、火山研究者とともに、あるいは研究者が確保できるまでの間、気象台が協議会の必須構成員として主導的役割を果たすことが求められているというふうに思います。噴火警戒レベルの設定や避難体制の構築に向けて、専門的知見も求められているというふうに思います。

 ただ、提言でも指摘されているとおり、火山活動の評価をより的確に行うことのできる人材が必ずしも十分でないということに加え、御嶽山のある長野県の地元紙、信濃毎日新聞では、地元が求めているのは、火山活動の変化を的確に捉え、警報を発する専門家の目だとして、人の体制の強化について、努力規定ではなく、気象庁の責務としてはっきりうたうべきだと指摘をしています。

 大臣、努力義務ではなく、気象庁、国の責務としてはっきり人の体制の強化についてうたうべきだというこの地元の声をどう受けとめるのか、ぜひ御決意、御所見を伺いたいと思います。

山谷国務大臣 先ほども申しましたが、今般の法案の改正後、火山専門家を必須構成員として参画していただくことでございますけれども、協議会への参画については、一つの大学等の研究機関や一人の火山専門家に複数の火山の協議会に御参加いただくことによって、全ての火山防災協議会に火山専門家に参画いただくことは可能であると考えておりますが、我が国においては、活火山の数に比べて火山専門家の数が少ないのが現状でございます。

 改正案においては、国及び地方公共団体は、火山現象に関し専門的な知識または技術を有する人材の育成及び確保に努めなければならないことを法律上明記したところでありまして、国は、火山防災対策を万全なものとするため、火山専門家の確保の必要性を十分に認識しております。

 このため、今後、早急に内閣府に火山防災対策推進検討会議を設置して、必要な施策について議論することとしておりまして、この議論の結果を踏まえて、関係省庁と連携の上、火山専門家の育成、確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

大平委員 藤井東大名誉教授が毎日新聞のインタビューの中で、国立の観測研究機関を確立し、そこの研究者たちが火山を常に見張り、必要があれば現場に行く仕組みが必要と指摘をされています。これらの声にも応えることを含め、国の責任をしっかり果たしていくことを求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

梶山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

梶山委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

梶山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

梶山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十二分散会


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