衆議院

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第5号 平成21年6月11日(木曜日)

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平成二十一年六月十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 前原 誠司君

   理事 井上 信治君 理事 嘉数 知賢君

   理事 小島 敏男君 理事 仲村 正治君

   理事 西野あきら君 理事 松木 謙公君

   理事 三井 辨雄君 理事 江田 康幸君

      安次富 修君    飯島 夕雁君

      岸田 文雄君    清水清一朗君

      中根 一幸君    西村 明宏君

      西本 勝子君    橋本  岳君

      原田 憲治君    平口  洋君

      山崎  拓君    若宮 健嗣君

      市村浩一郎君    加藤 公一君

      仲野 博子君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 佐藤  勉君

   内閣府副大臣       宮澤 洋一君

   内閣府大臣政務官     岡本 芳郎君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  清水  治君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大和田幸一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十一日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     西本 勝子君

  馬渡 龍治君     原田 憲治君

同日

 辞任         補欠選任

  西本 勝子君     飯島 夕雁君

  原田 憲治君     馬渡 龍治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄科学技術大学院大学学園法案(内閣提出第四三号)

 沖縄及び北方問題に関する件

 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

前原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、沖縄科学技術大学院大学学園法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府沖縄振興局長清水治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

前原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嘉数知賢君。

嘉数委員 おはようございます。自民党の嘉数知賢でございます。

 本日は、自由民主党を代表し、また私自身沖縄県選出の議員という立場も踏まえて、佐藤大臣、内閣府に質問をいたしたいと思います。

 大学院大学学園法案について質問をしたいと思うんですが、この大学院大学は、現在、開学に向けて急ピッチで私の地元、恩納村で建築が進められております。恩納村を初め沖縄県民は、この大学院大学に非常に高い期待を持っている一方、最近では、この大学院大学とはどういうものなのか、どういう人たちが入学するのか、あるいはまた卒業は何年なんだ、そういう、いわゆる大学院大学に対する基本的な質問が私のところに来ます。それだけまだ大学院大学の内容がよく知られていないということだと思うんですけれども、この際、そういうことについて、事前に、基本的に大学院大学というのはこういうものだ、こういうことができるのだということを質問したいと思っています。

 大学院大学が本当に開学に向けて現実味を帯びてきた段階でそういう質問がいっぱい来ていますので、一つずつ質問したいと思っています。ただ、私もこのプロジェクトには自民党の小委員長としていろいろと取り組んでいますから私自身は承知しているつもりなんですけれども、改めて大臣に細かく答弁をしていただきたいと思っています。

 まず第一に、大臣にお伺いしたいんですが、大学院大学は何のためにつくるのか。当然のことを聞くようですけれども、なかなかそれが理解されていない。県民はもちろんのこと、国民、あるいはまた同僚議員の中にも結構いらっしゃる。そういう意味で、沖縄になぜこのプロジェクトが必要なのか、ぜひ御説明をいただきたいと思っています。

佐藤国務大臣 熟知をしておられる先生に答える立場ではないかもしれませんけれども、担当大臣としてお答えをさせていただきたいというふうに思います。

 政府におきましては、沖縄の置かれた特殊事情にかんがみまして、本土復帰以来さまざまな振興策を講じてまいりました。特に、平成十四年の沖縄振興特別措置法からは自立型経済の構築を目指す施策に重点を移しておりまして、沖縄科学技術大学院大学は、こうした新たな振興策の柱として、開学に向けた取り組みを進めてまいりました。

 目を世界に転じてみれば、各国各地域が科学技術を原動力とした発展を目指してしのぎを削っております。さらには我が国がこうした競争に打ちかつには、沖縄の地にアジア太平洋地域の核となり得る国際的な教育研究拠点を設けることが極めて大きな意義を持つものと思います。

 大学院大学は、このような拠点の形成に向けまして、先端的な学際分野において世界最高水準を目指しておりまして、将来、世界の科学技術の発展に寄与するとともに、沖縄の自立的発展のかぎとなりまして、ひいては我が国の国際経済力の発展に大きく資するものと考えております。

 この大学院大学は、こうした大きな夢が込められた、極めて重要なプロジェクトだというふうに理解をしております。

嘉数委員 ありがとうございます。

 この大学院大学は、真の意味で我が国の科学技術の牽引車になる可能性のある企画だと思っています。

 それでは、その大学院大学の本当の教育目標というのは何なのか。

 それからもう一つ。その目標のために、だれがこの大学院大学で研究活動をするのか。どういう人たちなのか。

 もう一つは、大学院大学は、入学資格があるのか。大学卒業であるとかいろいろな資格があると思いますが、その資格はどうなっているのでしょうか。入学試験というのか、採用試験というのか、あるいは選考基準はどうなのか。いろいろ聞かれます。私、しっかりと答えることができない部分がある。多分皆さんそうだと思うんです。

 それに、入学金があるのか、負担する義務があるのか、授業料があるのかという本当に基本的な、それをしっかり大臣から、あるいはまた担当局長から具体的な形で、大学院大学はどういう形になっているのか、御説明いただきたいと思っています。

清水政府参考人 大学院大学の目標等でございますが、沖縄において科学技術に関する国際的な教育研究拠点の形成を図るということで、世界最高水準の教育研究の実施を目指してございます。

 そのために、内外からすぐれた研究者、学生を獲得して、学際的、融合的な先端分野の教育研究を展開することが必要でございます。また、これとともに、内外の大学や研究所、企業などと連携した共同研究、教職員や学生の交流など、国際的連携を積極的に進めることで質を高めていきたいと考えています。

 入学資格等のお尋ねでございますが、大学院大学は学部を置かない大学院のみの大学でございまして、通常、五年以上の研究を行って十分な研究成果が得られたということでございますと博士号が与えられます。したがいまして、入学資格は、大学を卒業した者、あるいはこれと同等の学力がある者ということになります。

 また、具体的な学生の選抜手続については、筆記試験のほかに、出身学校の学業成績、学位論文、研究計画、推薦状などを審査して選抜することになりますが、世界最高水準を目指しておりますので、内外から優秀な学生を集める必要があるために、論文、研究計画などについては相当高いレベルが求められると想定されております。

 また、定員については、博士課程でもあるのできめ細かい指導ということで、指導教員一名に対して学生二、三名程度、教授五十名程度でございますので、全体でおおむね百から百五十名程度ということでございます。

 また、授業料等も想定してございますが、一方で、奨学金等の制度も検討する必要があると考えているところでございます。

嘉数委員 ありがとうございます。

 この大学院大学に入るためには、相当の学識、相当の学歴がなければ入れないということになると、やはり世界最高水準を目指すという意味ではもっともかなという思いをしています。

 私は、この大学院大学というのは、我が国の数多くある大学と同じであってはいけないと思っています。国際色豊かで、本当に広い分野でさまざまな研究者と交流しながら独創的な研究を行うということであるならば、それに対応できる教育環境というのがどうしても必要だと思っています。

 ですから、そういうことを考えた場合に、文部省の枠内に大学院大学を置くということは適切ではない。むしろ文部省の枠から外れて、独立行政法人、いわゆる機構に持っていって、思い切り自由に、海外との交流も深めながら研究者が研究できる形をつくっていかなきゃいけない、そのように思っています。

 世界に通用する学者を育てる、そのような教育環境をつくるためにやはり国立ではいけないと思っていますけれども、局長にお伺いしたい、そういう理解でいいですか。なぜ国立じゃいけないかということについて詳しく説明いただきたいと思います。

清水政府参考人 御指摘のとおり、世界最高水準の大学院大学実現ということで、先端的な学際分野で世界トップレベルの教育研究を行うということですので、内外の著名な科学者を中心とする合議体による自主的かつ柔軟性のある大学運営が必要である。また、最高水準の教育研究を行うため、沖縄振興の観点から、高水準の財政支援が不可欠でございます。

 こういった点で、文科大臣が任命される学長を中心とした運営を行う国立大学法人ではなくて、自主性、柔軟性のある特別の学校法人ということで提案をさせていただいているところでございます。

嘉数委員 そうであるのでしたら、この大学院大学は、科学者の卵を育てて、それで世界水準に持っていける、そういう研究施設、教育施設じゃなきゃいけないと私は思っています。そのために世界的な、トップクラスの学者を集める必要があると思うんですね。そのことからすると、本当に高い志を持っている人たちを集めて、自立に向けて、一生懸命私どももそれを支援していかなきゃいけないと思っています。

 ところで、お伺いしたいんですが、それだけのすばらしい世界的な学者を集めてそういう教育をするということであるならば、運営自体もしっかりしなきゃいけない。その運営主体というのは、どういう人たちで構成をして、どういう形で運営されていくのか。そしてまた、それは、国の助成をいただきながらやるためには透明性も図らなきゃいけない。そのことについて御説明いただきたいと思います。

清水政府参考人 世界最高水準の教育研究、また国際性にふさわしい教育研究内容を図るための運営方式としては、内外の科学者に参画していただいた理事会を中心として重要な教育研究方針を決定していただき、そのもとですぐれた学長により運営していくということを想定しております。

 また、そういった国際性にふさわしい教育研究環境といたしましては、教員や学生の半数程度は外国人として、授業、研究指導等は英語で行うということも予定しており、きめ細やかな研究指導を前提としつつ、研究者間あるいは学生間の創造的な交流ができるよう、施設面で研究スペースなどの面でも工夫するなどの環境整備に努めているところでございます。

嘉数委員 局長、運営主体、どういう形でこの大学院大学を運営されるか、その主体、組織等について御説明いただきたいと思います。

清水政府参考人 運営主体でございますが、今回の法案により設立されます学校法人、法律に基づく特別な学校法人ということでございまして、その中では、教育研究の重要な方針、重要事項については、内外の科学者が構成メンバーになります理事会で決定をいただく。また、日々の学務、教務等については、この理事会のもとで選任されました理事長、学長が運営に当たっていくということになるところでございます。

嘉数委員 ありがとうございます。

 やはり主体がしっかりしていなければ、どんなすばらしい人を集めてもどうにもならない。そういう意味で、スタートの段階からしっかり運営主体を整えて臨んでいただきたいと思っています。

 それから、この大学院大学はある意味で沖縄振興の観点から進められています。そういうプロジェクトであるからには、世界から優秀な研究者、学生が集まるということはよく理解できます。これがなぜ沖縄振興につながるのかということです。

 私もそれは私見を交えながら御質問をしたいと思うんですが、私は、数年前、科学技術担当の政務官をしていました。つくばの研究学園都市の活性化に向けての方策を検討する中で、フランスのニースにすばらしい施設ができているという話を伺って、ソフィア・アンティポリス、ニースにありますが、その調査に行ってまいりました。ここは、南フランスのシリコンバレーと呼ばれるほど企業の集積が進んでいます。十年前に行ったときにはそういうことはなかったんですけれども、本当にすばらしい施設ができている。

 そこで私はその開発の長官にお会いをして、なぜそこまで急激に発展したのか、我が国であれば、例えば税制上の措置をするとか土地をどうするとか、いろいろな政府の助成を出してやっていますけれども、そういうことをやってきたのか、それで集まってきたのかという質問をしました。

 そうしたら、そんなことは一切していない、ただ、私どもは、このニースはすばらしい環境にある、だから、人間が生活するための施設をしっかりつくっていった、環境を整えてきたと。もう一つは、学者をいっぱい集めて研究施設をいっぱいつくった、そうしたら、結果的にそこにいる学者と共同研究をするために企業が近寄ってきた、共同研究していると、そこにいわゆる特許が出てくる、そのために必然的にそこに企業が張りついてきて大きな地域クラスターができ上がった、そういう話がありました。

 私は、なるほどなと思ったんです。であるならば、私どもとして、沖縄県もそういう設備をしっかりやっていくのであれば可能性があるんじゃないかという思いをしていました。

 私は、そこにあるトヨタの研究所、それはノルウェーにあった研究所をニースに移したんですが、そこの所長ともお会いしました。その所長が言った言葉は、ノルウェーでは幾ら優秀な学者、専門家を募集してもなかなか来てくれなかった、ニースに移った途端にみずから履歴書を持って売り込みに来る、そのぐらい環境が変わりました、その人たちになぜかと聞いたら、生活環境がすばらしいと。もちろんそれはニースですから。加えて、さまざまな学者あるいは研究者がおられる、それと積極的に交流できる。そういうことで、今環境的には一番すばらしいところだという話をしておりました。

 それからしますと、恩納村、これは沖縄県で一番環境のいいところです。ロケーションはいいし、すばらしい環境が整っている。そこに大学院大学を設置するということは、極めてそういう可能性を生むと私は思っています。そういうところで仕事ができるということであるなら、必然的に学者が集まってくるだろうという思いはしています。

 しかしながら、では、単にそれだけで沖縄の振興ができるのかというと、私は決してそうだと思わない。

 局長にお伺いしたいんですが、大学院大学を設置するということで本当に沖縄の振興に、どういう先を見据えておられるのか、可能性を求めているのか。あるいは、現在、そうした研究者も二十人近くおられる、それに加えて研究員が百五十人ぐらいおられると聞いていますが、今何らかの成果が出ているのか。あるならば御説明いただきたいと思います。

清水政府参考人 沖縄振興の方向性に向けたお尋ねでございます。

 御指摘のように、現在、二十名の教授陣、そのもとで百五十名以上の研究者が先端的研究に取り組んでございます。平成二十年度だけでも八回の国際ワークショップが開催されるなど、国際的な拠点が形成されつつございます。こうした積み重ねによりまして、沖縄が科学技術の情報発信、交流拠点に成長することが期待されます。

 また、この大学院大学を核といたしまして、ほかの研究機関やベンチャー企業などが集まってきて集積し、クラスターが形成されることも期待されております。沖縄県でも関係機関が協力して産学連携の推進などに取り組んでございまして、バイオ系ベンチャー企業の立地も進んでいるところでございます。

 大学院大学の高度な研究機能と地域の取り組みが相まって、新たな産業の創出、発展につながっていくことが期待されるところでございます。

嘉数委員 ぜひそういう形で育てていただきたいなと思っていますし、私も、フランスの例、ニースの例を見てみますと、そのことが一つの大きな牽引車になると思う。沖縄に大学院大学ができてすばらしい学者が集まってくることによって大きな牽引車になって、いろいろな企業が張りついてきて、将来的に子供たちが夢を持てるような環境ができる。それを目標にする子供たち、あるいはそこで働くために目標にする子供たち。そういう意味で、沖縄の振興に対しては十分な期待が持てる、私もそう思って大変わくわくしながらこのプロジェクトを党内から進めているということであります。

 それでは、この大学院大学、やはり一番核になるのは、資金をどうするかということだと思います。

 このことは、国費をしっかり投入するということも大事ですけれども、単に内閣府からの補助金ではどうにもならない。国として研究資金をしっかり助成していく。ただ、それが、海外の企業あるいは本土の企業からも積極的に研究資金を受け入れられる形をとらなきゃいけない。そうするために、本当に意欲のある学者、挑戦的な学者をいっぱい集めなきゃいけない。私はそういうことだと思っています。

 そのために、大学院大学がいつまでも国におんぶされて、だっこされていくような形態をとるのは決して好ましいことじゃないと思っています。そうすると、学者が、ある意味で、なれというのですか、安心感を持ってきて、研究を一生懸命やらなくなる可能性もある。そういうのを排除するために、競争資金をしっかり入れて支えていかなきゃいけない。

 もっとも、十年、二十年でそれができるとは思いません。やはり長い目で見て、学者みずからが、そして大学院大学そのものがいろいろな研究資金をいろいろな形で調達しながらそこで勉強していく、研究していくという形をとる必要があると思います。それまで国がしっかり支えていかなきゃいけないと私は思っています。

 そういう意味で、今、いろいろ議論にもなっていましたけれども、国の支援のあり方、自立をさせることを前提と考えながらやる支援のあり方について、大臣から感想を伺いたいと思っています。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃられるとおり、大学院大学が教育研究機関として競争力を高めて沖縄の自立的発展に寄与するためには、単に国の補助金に依存するだけではなく、自立に向けて努力する姿勢が極めて重要であるというふうに私も考えます。

 このため、国の財政支援についても、安定的なものであると同時に、大学院大学が内外の大学等との熾烈な競争の中で、競争的研究資金、企業の受託研究等の外部資金の獲得に果敢に挑戦することを強く促すような仕組みとすべきものではないかなというふうに考えております。

嘉数委員 ありがとうございます。

 やはり自助努力、学者についても、あるいは学園機構そのものについてもやれる環境、それまでの助成はしっかりやっていただくということも必要ですし、また自助努力を一生懸命させる環境づくりも、この大学院大学が成功し世界に羽ばたける学者が育つという意味ではぜひ必要だ、私はそのように思っています。大臣のバックアップをしっかりしていただきたいと思っています。

 私は、沖縄の子供たちが夢を持てる環境、そういう意味で、この大学院大学は絶対沖縄に対して必要だと思っています。

 こういうようなお話を伺いました。高校時代に研究者の銅谷先生の話を聞いて、そして、沖縄に大学院大学ができるんだ、どうしてもそこに入りたいという学生が夢を持って、学校で学んで、大阪大学を卒業して、その後に奈良の先端技術大学に行って、このたび銅谷先生の研究所に入った学生がいる。

 それはやはり、沖縄にこういう施設ができるということが子供たちに対して大きな夢になる、励みになるという一つの証左だと思っています。ですから、そういう意味で、これからの若い人たちの目標になるような、励みになるような大学院大学としての運営体制をしっかりつくっていただきたい、そのように思っています。

 私は、この大学院大学は、本当に高い、世界に通用する研究拠点として育てるべきだし、また育つべきだと思っています。世界水準、競争的環境の中に置いた上で自立させるということが一番大事だと思っています。

 実は、シンガポールが、金融危機を乗り越えて、金融だけじゃやっていけないということから、シンガポールという国自体が科学技術を国の大きなプロジェクトとして、世界じゅうから学者を集めて、科学立国を目指して頑張っております。我が国からも優秀な学者が引っこ抜かれて向こうに行っているということがあるんです。それを防ぐためにと言ったら語弊があるかもしれませんが、そういうことのないように、優秀な、今までずっと研究者として育てた学者を県内、国内にとどめて、そこでその研究成果をしっかり国に還元あるいは世界に還元できるような形をとる必要があると思っています。

 そういう意味で、私は、大学院大学というのはその受け皿になる、そういう可能性が十分あると思っています。そういう我が国の学者の目標になれる大学、そしてそこにおられる大学ということを目指してやっておられると思うんですけれども、ひとつ大臣の決意をいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 これだけの投資をして、立派なものをつくろうという先生の御意思も含めて、皆さんの熱意が集約できるような大学院大学にしなければいけないというのは当然のことだろうと思いますし、それをなし得るためには、世界最高水準の教育研究を実現するために国が責任を持って必要な財政支援等々を行っていくということも不可欠であるというふうに思います。

 そして、自立的な財政基盤の確立に向けた努力を促しつつ、中長期的な視野のもとで、新たな法律の仕組みに従って必要な財政支援を行うということで、この大学院大学を世界最高水準の大学院大学にしていくという先生の御趣旨に沿ったものに近づけるのではないかというふうに私ども考えて、その成功に向けて努力をしていくということではないかなと思っております。

嘉数委員 ありがとうございます。

 実は、話は少し戻りますけれども、この大学院大学、世界じゅうから優秀な学者、学生が集まってくる、国際色豊かなキャンパスにするということでやられています。その中で、日本の地域バランスを考えなきゃいかぬという話もありました。

 しかしながら、私は、大学院大学を国際色豊かでしっかりと世界の学者の目標になるという形にするならば、地域バランスももちろん大事ですけれども、世界の学者があるいは学者の卵が目標にされるような、そういう大学院大学に仕立て上げなきゃいけないと思います。そのためには、やはり我が国の今ある施設の中でも、どんなことがあっても伸び伸びと、しかもしっかりとその地域で頑張れる形をつくっていかなきゃいかぬと思います。ぜひ大臣の御努力を、そして影響力をいただきたいと思っています。

 私がちょうど政務官をしているころにこのプロジェクトがスタートしました。そのときに、最初の会合で、沖縄県の万国津梁館で学者を集めていろいろな会議をした。実は、そのときの学者の先生方の条件の中で一つだけ、日本は、大臣がかわればプロジェクトが変わる、総理がかわればプロジェクトが変わる、それでは私どもに協力をお願いしてもなかなかうまくいかない、終始一貫してプロジェクトが継続できるように、いわゆる世界の先端の大学院大学としてその機能を果たせるようなシステムをつくってもらわなきゃいけないと。

 往々にして、我が国は、大臣がかわれば方針が変わる、規模が縮小されるというようなことが言われています。そのことが国際信用の中では大変、私は、大臣がかわろうが総理がかわろうが、約束したこと、計画したことがきちんとやっていけるということが一番大事だと思っています。どんなことがあっても、大臣がかわろうが総理がかわろうが、このプロジェクトそのものがしっかり世界に位置づけられて運営されていく、そういうことが一番大事だと思っています。大臣の御決意を伺いたいと思います。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃられる御趣旨は十分理解しているつもりでございますし、大学自体、息の長い構想であるというふうに思います。そして、安定的な国の推進姿勢の必要性は先生の御指摘のとおりだと思います。

 沖縄の自立的発展のかぎとなるものとして、平成十四年度の沖縄振興特別措置法及び同法に基づく沖縄振興計画にその整備を明確に位置づけたというふうに思います。さらに十七年には、法律により構想の推進主体となる独立行政法人を設置いたしまして、具体的な開学準備に取り組むことといたしました。このように、構想提唱から私に至るまで、数代にわたりまして一貫して関係法律に基づきまして世界最高水準の大学院大学の実現を目指してきたというふうに理解しておりますし、これによりまして、ノーベル賞級の内外の学者等から信頼と積極的な参画が得られてきているものと承知をしております。

 今般、この提案している法律が成立をいたしますれば、大学院大学に関する国の方針がより確固たるものとなりまして、我が国の決意として内外に示すということがアピールされるのではないかと思いますし、私も、先生の御趣旨どおりに、今後ぶれることなくこれは進めていかなければいけないことなのかなというふうに思っております。

嘉数委員 ありがとうございます。

 このプロジェクトそのものは、我が国の科学技術の振興と、そしてまた一番苦しい思いをしてきた沖縄県の振興に対して大いに寄与する、しかも、沖縄の起死回生のプロジェクトになると私は思っています。これまでいろいろな形で沖縄県がしょってきた課題、難題を一気に解決するだけの大きなプロジェクトだと思っています。ぜひ大臣のもとできちっとスタートしていただいて、沖縄の子供たちが沖縄県に将来夢を持てるような、そしてまた、世界の学者が集まることによって我が国の全国の若い人たちの目標になるような、そういう大学院大学に育てていただきたいと心からお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

前原委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、沖縄科学技術大学院大学法案について、私の方から質問をさせていただきます。

 この沖縄科学技術大学院大学の設置につきましては、平成十三年に提唱された沖縄新大学院大学構想のもとで、沖縄に世界最高水準の自然科学系大学院大学を設立することにより、自立型経済構築に向けて、産官学の連携による研究開発を通じた地域活性化を実現するものとされておるところでございます。

 現在までに、生命科学を中心とした科学技術、これはバイオテクノロジーやナノテクノロジー、また環境科学や脳神経分野等で先端の領域を担う科学技術でございますけれども、世界最高水準の研究や教育を行う大学院大学を平成二十四年度までを目途に沖縄に開学することを目指して準備が進められてきたところでございます。既に、外国人十名を含む十九名の教授級の研究者を初めとする総勢百五十人ですか、これを超える研究者によって先端的な学際分野の研究が進められてきていると承知しております。

 すばらしい環境に囲まれた沖縄の地において、国際的に人材を確保し育成して沖縄の振興を図っていく試み、これは大変画期的なものと思っております。その実現に内外から大きな期待が寄せられているのもまた事実でございます。

 そのような意味で、この沖縄科学技術大学院大学の設置について質問をさせていただきたいと思っております。

 まずは、この大学院大学の設置形態及び政府の補助について、改めて確認をさせていただきたいと思っております。

 大学院大学の設置というのは、国の沖縄振興施策の一環として進められているものと承知しております。大学院大学の設置形態につきましては、国立大学法人ではなくて特別な学校法人という形をとることとしたと承知しておりますけれども、その理由についてお伺いいたします。我が党内でも、国立大学でいいのではないか、私立大学として存在できるのではないか、さまざまな議論があったことも確かでございますので、この際、その理由について明確に大臣より伺いたい。

 さらには、大学院大学は大きく分けると私立大学ということになるわけでございますけれども、この大学院大学に対する国の補助というのは、私学助成の予算ではなくて、沖縄振興の観点から内閣府が行うものであると理解してよいかどうか。それについても確認をさせていただきたい。

 また、開学以後、世界最高水準の大学として育て上げていくためには、政府として中長期的な観点からしっかりと財政支援を行う必要があると考えますけれども、どうか。大臣にお伺いをいたします。

佐藤国務大臣 大学院大学のあり方につきましては、ノーベル賞級の科学者等に検討いただくとともに、政府内部でも十分な検討を重ねてきた結果というふうに思います。

 まず、内外の科学者等の外部理事を中心とした合議体によりまして、世界の英知を結集して教育研究方針等の重要事項を決定いたしまして、自主的かつ柔軟性のある大学運営を行うこと。二番目といたしまして、充実した教育研究環境を提供するため、先ほど先生がおっしゃられましたように、沖縄振興の観点から高水準の財政支援を行うことが不可欠であることから、学校法人制度を基礎として、これらの要件を満たすことができる特別な学校法人という形態としたものでございます。

 大学院大学においては、国の沖縄振興施策の柱の一つとして推進されるものであることから、私学助成法に基づく日本私立学校振興・共済事業団を通じた補助によるものではなく、内閣府が沖縄振興予算で補助することを予定しております。

 そして、大学院大学が世界最高水準の教育研究を実現するためには、国が責任を持って長期的な観点から十分な財政支援を行うことが不可欠でございまして、自立的な財政基盤の確立に向けた努力も促しつつ、十分な財政支援をしてまいりたいと思いますし、先生の御趣旨を踏まえた方向づけをさせていただいているというふうに思っております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 次に、知的クラスターの形成に向けた取り組みについて質問をさせていただきます。

 大学院大学というのは、学際的、融合的な分野において最先端の研究を行うことによりまして世界の科学技術をリードするとともに、沖縄の振興に結びつくものとなることが大変重要でございます。例えば、大学院大学の先行研究として現在沖縄機構で行っている生命システムの解明に重点を置いた融合研究というものは、将来的には医療や創薬への応用も期待される、沖縄の発展にとっても極めて重要な意義があるものと考えております。

 また、沖縄振興計画においては、大学院大学を核として、他大学また公的研究機関、民間企業等が集積する知的クラスターの形成に取り組むこととされております。

 この知的クラスターの形成のためには、大学院大学のような知の拠点が設置されるだけではなくて、その成功のためには、やはり大学発ベンチャーを初めとする企業の集積、また、それを支援する政府や地元自治体の施策等の有機的な組み合わせが大変重要であると私は思うのであります。

 例えば、私も若いころアメリカのサンディエゴで長く研究を進めてきましたけれども、その地域では、カリフォルニア大学のサンディエゴ(UCSD)とか、ソーク研究所とか、そういった中核的な教育研究機関が設立されて、大学発ベンチャー企業のスピンオフとか大手企業の進出によって産学官の連携が進んで、こうした動きがさらに新たに研究者や投資家、ベンチャーキャピタルなどを引きつけていくことで知的クラスターが拡大されてきた経緯がございます。日本でも、再生医療を担う神戸の医療産業都市構想などの例もございます。

 沖縄は、全国的に見ましても、バイオベンチャー企業の立ち上げが盛んな地域でございます。クラスターの形成のための新たな産業を創出しやすい、そういう土壌が整っていると私は思うんですね。既に沖縄県の研究機関においても、次世代のゲノムシークエンサーを複数導入して先端バイオ研究に力を入れているなど、日本有数の研究環境が整いつつあると承知しております。将来的には、バイオベンチャーや大手製薬会社、またベンチャーキャピタル等が集積してきて、サンディエゴのような世界的なバイオクラスターが形成されることも夢ではないと私は思います。

 特に開学から十年間、これが大変重要な期間であって、政府、関係者が連携してこの取り組みを進めていく必要があると私は思います。

 そこで、政府として、沖縄における知的クラスターの形成にどのように取り組んでいかれるおつもりか、例えば地元のバイオベンチャー企業や琉球大学、さらには沖縄県、それらとの連携についてどう考えておられるか、お聞きしたいと思います。

清水政府参考人 沖縄の自立型経済の構築の観点から、大学院大学を核といたしまして、御指摘のように、研究所やベンチャー企業の集積による知的クラスターの形成への取り組みが大変重要でございます。

 そのために、まずは、大学院大学におきまして世界最高水準の教育研究を行い、国際的な評価を得ることが不可欠でございます。また、御指摘のように、琉球大学を初めといたします関係機関と緊密な連携を図りまして、例えば琉球大学との共同研究、あるいは地元のバイオベンチャー企業を含めた産業界との連携、交流を進めて、この大学院大学の研究成果が地域でのイノベーションにつながるよう支援していく必要があると思っております。

 御指摘のように、沖縄県におきましても、バイオ産業を重視いたしまして、例えば、科学技術振興センターなどで研究基盤の整備、高度化等に努めているところでございます。内閣府といたしましても、このような地域の主体的な取り組みとも十分連携して、沖縄におけるクラスター形成をしっかりと支援してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 さらに、沖縄の振興に最終的にこういう最先端の研究が結びつくということにおいて確かに重要となってくるのは、あと一つは、人材の活用であります。

 この大学院大学が国際的に高い評価を得て、日本全体を引っ張っていくモデルとなっていくためには、教員や学生に外国人を積極的に採用するとともに、若手研究者の活用を進めていく必要があると思いますけれども、人材活用の取り組みについてお伺いをいたします。

 また、沖縄に高度な教育研究を行う大学院大学が設置されることによりまして、その存在に触発されて、地元の若い人たちや子供たちの中から大学院大学の学生や研究者を目指す者が出てくる、そういうこともあろうかと思います。大学院大学の設置は、沖縄の将来を担う人材の育成にも大きく貢献することが期待できると思います。

 また、沖縄に内外の多くの科学者や学生、その家族たちが居住することによって、地元における雇用創出効果も期待できると思いますけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。

清水政府参考人 御指摘のように、外国人あるいは若手研究者を含めた多様な人材の相互刺激というのが大変重要でございます。国際面では、教員、学生の半数以上を外国人とすることを目指して、積極的な国際的採用活動を展開してございます。また、若手研究者の活躍の場を広げるということで、若手であっても代表研究者として権限と責任を持って研究できる仕組みを設けてきているところでございます。

 また、人材への、地元での刺激効果につきましても、研究者、教授陣などが、県内の中学校、高校などに出前の実験あるいはわかりやすい説明なども積極的に行ってございます。

 また、雇用面ということでは、開学時には五十名程度の教授級規模が想定されますので、その他の研究者、事務職員等を含めますと直接的にも五百人以上の雇用創出ができまして、御指摘のように、これらの教育研究活動や家族などの消費による波及効果、企業との産学連携活動の波及効果など、さまざまな形での効果が期待できると考えてございます。

江田(康)委員 最後ではございますけれども、この大学院大学の実現に向けた大臣の決意をお伺いしておきたいと思います。

 このような新しい形態の大学院大学の設置というのは、日本の科学技術水準の向上にとって画期的な取り組みになるものと考えます。これまでもノーベル賞受賞者を初めとする内外の著名な科学者の方々がこの大学院大学の構想の検討にかかわってこられたと聞いておりますけれども、大学院大学の設置に向けて、沖縄の関係者のみならず、世界の科学技術関係者が注目して、期待を寄せているわけでございます。

 日本政府として、このような関係者の期待にしっかりこたえていく必要があると思いますけれども、最後に、世界最高水準の大学院大学の実現に向けた大臣の決意をお伺いして、終わりたいと思います。

佐藤国務大臣 先生おっしゃられるとおりだと思いますし、大学院大学の設置は我が国のみならず世界の科学技術の発展に貢献するものと期待されているというふうに思います。

 特に、これまで構想の実現に携わってこられました内外の著名な科学者の方々、既に現地に就任されている内外の研究者の方々、さらに沖縄県を初めとする地元の方々の期待に政府としてしっかりとこたえていく必要があると考えておりまして、私としては、大学院大学の実現に全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 以上で終わります。

前原委員長 次に、三井辨雄君。

三井委員 おはようございます。民主党の三井辨雄でございます。

 本案の審議に当たりまして、五月二十七日に前原委員長初め総勢十名の皆さんで現地視察をし、大変タイトな中、御苦労さまでございました。当日は、仲井眞知事がわざわざお出迎えいただきまして、また、恩納村の機構におきましては、ブレナー理事長、バックマン理事から説明を承ったところでございます。

 この大学院大学法案については、平成二十四年の開学に向けて、現地を見てハード面は大変でき上がってきたな、そういうふうに思ってきたわけでございますけれども、きょうは学園構想のソフト面あるいは法律的な裏づけをより明確にしたいということで質問させていただきたいと思います。

 沖縄振興と大学院大学学園設置との関係ということで、平成十四年に沖縄振興特別措置法が制定されたわけでございますけれども、沖縄に国際的に卓越した教育研究を行う大学院を置く大学を整備することが規定された。以来、この大学院大学については、本年までに約五百六十六億八千六百万円という予算が計上されてきたわけでございますけれども、今後も毎年百億円近い経費がかかる。これだけ大きな費用をかけた学園ですけれども、今後、沖縄の振興に、先ほども御質問ありましたようにどれだけ真に役立っていくのか、そしてまた、沖縄の振興発展に本当に役立っていくのかということを改めてお伺いしたいと思います。

佐藤国務大臣 今先生からおっしゃられましたように、十四年の沖縄振興特別措置法から自立型経済の構築を目指す施策に重点を移しておりまして、沖縄科学技術大学院大学はこうした新たな振興策の柱として開学に向けた取り組みを進めてきたところでございます。

 各国、各地域が科学技術を原動力とした発展を目指しておりまして、しのぎを削っているという状況の中で、沖縄の将来を展望すると、その地理的優位性も生かし、アジア太平洋地域の核となり得る国際的な教育研究機関、教育拠点を設けることに大変重要な意義を持つというふうに思います。

 このような拠点の形成に向けまして、先端的な学際分野において世界最高水準を目指すものでありまして、今後、これらを核に知的クラスターの形成が期待されるなど、沖縄の自立発展のかぎとなるものというふうに思いますし、先生がおっしゃられるようなこと等々もしっかりと目指していかなければいけない、そういう大学院大学という位置づけを私どもは目指していきたいというふうに思っております。

三井委員 まさに大臣のおっしゃるとおりでございまして、次の質問については簡単にお答えいただきたいと思います、ちょっと重複するところもございますので。

 当初、沖縄の自立的発展及び世界の科学技術の発展に寄与すると。実際にこの科学技術の発展にどのような効果をもたらすのか、簡単で結構ですから御答弁いただきたい。それから、沖縄の振興発展にという趣旨を書いてございますけれども、これはどのように期待されるか、簡単にお願いいたします。

佐藤国務大臣 大学院大学を核として、大学や民間の研究所、さらにベンチャー企業等が集積をし、新たな産業が創出、発展をする知的クラスターの形成につながるものというふうに考えておりまして、次世代を担う人材の育成が図られることや、文化面も、いろいろな方が見えるわけでありますから、文化面を含めた国際色豊かな地域振興にもつながるというふうに思いますし、ひいては沖縄の自立的発展を目指すことになっていくのではないかなというふうに期待をしております。

三井委員 ありがとうございます。

 先日、現地調査をして、京都大学御出身のサンゴの研究をされている先生のお話を承ったんですが、この研究者がおっしゃっていたのは、大変充実した機器がそろえられている、世界水準からいっても最高のものが置いておられるというお話をされていました。

 この学園も、先ほどからクラスター産業という中で非常に重要だと思うのは、やはり生命科学ですとか、あるいは物質科学ですとか応用科学を先端的にやる。そしてまた、沖縄にせっかく、せっかくと言うとあれですけれども、沖縄につくられる学園でありますから、海洋性の気候とか亜熱帯の島の特徴が生かせるような環境科学の分野の研究もぜひしていただきたいな、むしろ積極的にやっていただきたいなと。

 先ほどサンゴの問題もございましたけれども、これは簡単で結構でございますけれども、御答弁をお願いします。

佐藤国務大臣 先生おっしゃられましたように、サンゴを初めとする海洋生物学を含めた環境科学分野の取り組みにも着手したというふうに伺っておりまして、場所柄、沖縄のサンゴの保全に貢献するような環境面でのこと等々もいろいろな成果が期待されるものと期待をしておりますし、沖縄の地理的、気候的特徴も生かしつつ、国際的な拠点形成を進めていく必要があるというふうに思っております。

三井委員 次に、先ほど政府参考人からも御答弁ございましたけれども、神経科学、あるいは分子科学、数学・計算科学等の十九の研究ユニットが発足した。また、スタッフについては、主任研究者が十九名、うち外国人が十名、その他の研究者が百三十九名、そのうち外国人が四十三名。この二十四年の開学に向けて、主任研究者数は、先ほど御答弁ありましたけれども、五十人程度を目指すと聞いております。

 前回、前回といいましょうか平成十七年の三月に、独立行政法人整備機構法案の議事録を読んでみますと、学園構想の生みの親ともいうべき尾身幸次委員が、「多様な学問分野を融合して世界最高水準の教育研究を行うためには、」「教授陣が三百人ほど、ポスドク」ポストドクター、「というような若手の研究者が千五百人、学生五百人、サポートスタッフが千人程度の規模がミニマムの規模として必要」だと言っておられるわけですね。

 最低でも三千三百人規模という大変壮大なお考え方でありますけれども、現状では、人員構成、すなわち想定される学園の全体像といいましょうか、どの程度をお考えになっているのか、御答弁いただきたいと思います。

 あわせて、給与を受ける立場の方と授業料を納める方、この辺もどういうことになっているのかよくわからないんですけれども、これも教えていただきたい。

 また、広く海外から人材を求めることは当然大切でありますけれども、教授もポストドクも学園で一定の研究を終えた後にどう転出されていくのか、どう地元にフィードバックされていくのか。これは本当に、私もきのうも考えましたが、日本政府からの手当で研究した成果をどのようにフィードバックというんでしょうか、沖縄あるいは日本に貢献されるのか。

 また、こういう研究をされると、特許も生まれると思うんですね。こういう特許なんかもどういうような形で……。これは機構でありますから、当然、税が入っている場合にはこの特許を民間と共有できるのか、あるいはこれを売却できるのか。まあ、わかっている範囲内で結構です。

 私が心配なのは、これだけの資金を投入するわけですから、生産性と言ったらあれですけれども、沖縄にとっても、沖縄振興にとっても、あるいは我が国にとっても、何か残るものが必要でないかな、こういうぐあいに思いますので、御答弁をお願いいたしたいと思います。

清水政府参考人 まず、教授陣等の規模についてのお尋ねがございました。

 開学時につきましては、御指摘のとおり、五十名程度の教授陣規模を想定しております。このほかに、これを支えますポストドク等を含む研究スタッフについては、現在の機構における人数関係を参考に概略試算いたしますと四百五十名程度。合わせまして五百名程度の規模でございます。

 また、授業料を払う立場の学生につきましては、主要な諸外国の研究大学等でもきめ細かな指導ということで一人の教授に対して二、三名程度ということで、百ないし百五十名程度の規模になろうかと思います。

 こういった教授陣で開学をして、しっかりと教育研究水準を固めていっていただきたいと考えているところでございます。

 また、研究成果についてのお尋ねがございました。

 基礎研究の分野でございますので、それ自体による研究成果については国際的な学術誌等に論文等で発表されることになりますが、そういった研究成果が具体的な発明ということで特許等の関係が生じました場合には、大学の研究費、研究施設を用いて職務として生じた発明でございますので、職務発明といたしましてこの大学、学校法人に帰属することが原則でございます。

 また、大学の学生さんが修了して将来のキャリアについてもお尋ねございましたが、ここでの先端的なトップクラスの博士課程を修了された者につきましては、内外の先導的な大学なり研究所等で研究を継続していく、あるいは先端産業等における主導的な活動についていかれることが期待されるところでございます。

三井委員 どうもありがとうございます。

 大変気の長い話になるんですが、即その研究成果は出るというわけじゃありませんけれども、しかしながら、先般の議事録を見ますと、尾身委員から、ベスト・イン・ザ・ワールドであるから沖縄枠は設けないんだと。しかし、それはぜひとも、本当は沖縄枠ぐらい設けていただいてもいいんじゃないかなと私は思っているんですけれども、これは御答弁は結構でございます。一つの思いとして、やはり地元からも入学枠をつくってもいいんじゃないかなと。お医者さんも今は地元枠もあるわけですから、そういうことでぜひお考えをいただければなと思います。

 それで、この法案の理事の選任の特例についてお伺いしたいと思います。

 当然、監督・決定機関である理事会の役割と業務執行機関であります理事長の役割を明確にすべきでないかな、私はこういうぐあいに思っているのでございますけれども、この特例を設けることによって、一般の学校法人の管理運営と比較して大学院大学にはどのような効果があるのか。

 また、我が民主党では、学園の理事に大学の経営に関して高度な知識及び経験を有する者を含まなければならないと実は考えているわけでございまして、さらに、学園の評議員に、沖縄における経済または社会の事情に精通している者、それから大学の経営における公正性及び透明性の確保に関してすぐれた識見を有する者が含まれることを求めたわけでございますけれども、学園運営の透明性は当然のことながらより高いものにしていただきたい。

 また、地域の自治体関係者などの幅広い関与が必要と思いますけれども、どのようにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。

清水政府参考人 まず、大学院大学の運営でございますが、真に国際的な運営が求められてございます。

 大学運営面における国際的な共通性も確保する観点から、御指摘のように重要な政策の決定・監督機関である理事会と業務執行機関である理事長との分離を徹底するという形で、欧米型の大学運営を実現できる道を開くものでございます。この中で科学者等の学外理事が過半数を占めるという形で、理事会の独立性あるいは監督機能が強化される効果があるものと考えてございます。

 また、大学の経営といった観点からのお尋ねにつきましては、法案の中でも、理事長を含みます学園の理事につきまして、学園業務の適切、効果的運営の能力ということが規定されているところでございまして、御指摘のように、特に大学経営についての知識経験を有する人材を学園の理事に含めるということは、大学運営の適切、効果的な運営を行っていく上で大変意義があるものと考えてございます。

 また、評議員についてお尋ねがございました。

 沖縄振興の観点から、地元の自治体との連携義務ということも法案にございますが、御指摘のように、沖縄の実情に通じた人材等、あるいは大学の経営感覚、そういったものにすぐれた人材を学園の評議員に含めることによりまして、地元の意見を初めとする幅広い意見を大学運営に反映させることも大変重要だと考えているところでございます。

 また、透明性についても必要な手当てを法案で講じられている、これは大変重要な点だと認識してございます。

三井委員 そこでお聞きします。

 先日、ブレナー理事長にもお会いしましたが、ブレナー理事長は常勤なんでしょうか、非常勤なんでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。

清水政府参考人 現在の沖縄研究機構のブレナー理事長は、機構の常勤の理事長として、大学院大学の設立準備を行うことを目的といたします業務、特に、内外の優秀な研究者の採用、あるいは内外の教育研究機関との連携の確立等について鋭意従事していただいているものと承知しております。

三井委員 先ほども申し上げましたけれども、五百六十六億、年間百億。経営というのは、柱になる理事長がやはり常勤でなければ。年にたった一、二回しか来ないとか、それで本当にいい運営ができるかというのは甚だ疑問なんですね。

 まさにこれをぜひお考えいただきたいのは、資金面もそうでしょうけれども、先ほどの御質問の中にありましたけれども、学生を募集するにしても、どのように募集していくのか、あるいは授業料の問題。先ほどいろいろ御質問しましたけれども、本当にこれは真剣にお考えいただきたいなということを一言加えさせていただきます。

 時間もありませんので、次に、一番問題になる補助金についてお伺いしたいと思います。

 当初、政府案では、国は、大学院大学の運営、研究成果の普及、活用、科学技術に関する研究集会の開催等の業務に要する経費の二分の一以内を補助することができると定めてあるんですね。ただし、附則に、第五条ですけれども、施行日から十年間は二分の一を超えて補助できるという経過措置があるんですが、これはよく読んでみますと、経費の二分の一以内と、附則の十年間は二分の一を超えて補助できる経過措置という書き方は矛盾しないんでしょうか。お伺いしたいと思います。

清水政府参考人 法案におきましては、本則におきまして、大学院大学に対する国の支援ということで、二分の一以内で補助できると規定するとともに、附則におきまして、当初十年間について特に教育研究水準の向上のために二分の一を超えてより高いかさ上げの補助ができるような規定をさせていただいているものでございます。

三井委員 では、十年過ぎたらどうなるのか。また、国の関与と責任はどうなるのかということが大変心配なんですね。それで、私たちはあえて補助金の上限を撤廃しようということで今回出させていただいたわけでございますけれども、やはり学園運営の財源基盤というのはしっかりしていただきたいなというぐあいに思います。答弁は結構です。

 時間もありませんので、きょうは緊急上程ということでございますので、最後に私の思いをちょっと述べさせていただいて、質問を終わらせていただきたい。

 この法案の説明を何回も何回も繰り返し聞くたびに、本当にこれで大丈夫なのかなと。私ごとで申し上げれば、私も病院とか老健施設を一応経営しておりますけれども、常に経営戦略を考えながら運営をしているわけですけれども、もし私の病院がつぶれた、介護施設がつぶれたということになりますと、地域医療あるいは地域経済に、もちろん患者さんとか家族ですとか、あるいは職員に迷惑をかけるわけです。そういう大きな影響があるというか、この法案はもっと大きな影響があるわけですから、しっかり取り組んでいただきたいなと思っております。

 いずれにしても、世界的に評価の高い教授陣がそろうわけですから、オリンピックに例えればゴールドメダリストなんかたくさんいらっしゃるわけですね。ぜひとも、これからもしっかりと見守りながら、この法案が、まあ、無責任な大学にならないようにぜひ大臣に申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

前原委員長 次に、加藤公一君。

加藤(公)委員 おはようございます。民主党の加藤公一でございます。

 きょうは、委員会の段取り上、後ろの日程もあるようで、極めてオンタイムで進んでおりますので、私も協力をしなきゃいけないなと思っておりますので、御答弁の方も簡潔にわかりやすくお願い申し上げたいと思います。

 本法案について、きょうは大きく分けて三つの視点でお話を伺いたいと思います。一つは学園の自治、経営の問題、もう一つは研究テーマ、研究内容、教授の問題、もう一つは大学院生の募集、選考、キャリアの問題という、大きく分けるとその三点であります。

 まず、学園の自治と経営の観点から伺います。

 独法が大学院大学学園になった後、学園が設立された後の最高意思決定機関となる理事会でありますが、そのメンバーはだれがどのように決定をされるのか、まずここから伺いたいと思います。

清水政府参考人 学校法人の理事の具体的選任手続については、私立学校法上、法人の寄附行為にゆだねられるところでございますが、この学園の設立当初の理事につきましては、法案に基づいて政府が任命することとしております設立委員が選任することになります。現行の機構との継続性を確保する観点から、機構の運営委員等を設立委員として任命することを予定しているところでございます。

    〔委員長退席、三井委員長代理着席〕

加藤(公)委員 設立委員の方が理事を任命するということですが、その設立委員の方が理事になられることもあり得るわけですね。確認をさせてください。

清水政府参考人 御指摘のとおり、設立委員の方が当初の理事になることもあると考えてございます。

加藤(公)委員 そうそうたる研究者の方々でありますから、その方々の業績等々に私が何か不満があるということは一切ないのでありますけれども、しかし、政府が設立委員を選んで、その方々が理事を選ぶ、自分たちもなれますよ、こういう話になると、ややもすると、自己評価を高くしてお手盛りになるんじゃないか、そんな疑念を持たれかねないところでありますので、これは答弁は結構でありますけれども、せっかくすばらしい研究者の方がお集まりでありますから、設立の段階でつまらないみそをつけられないように、これこれこういう理由で公明正大に決めましたということがどなたから見てもわかるような形でぜひ理事会のメンバーを御選任いただきたい、このことは要望として申し上げておきたいと思います。

 続いて、その理事は、もちろん設立委員の方が決められるということでありますけれども、ただ研究者としてすぐれているというだけではなくて、この学園はあくまでも学校法人の経営ということになりますから、その学園の経営に精通をしている方がその中に必要なのではないかと思うわけですけれども、どうお考えか、政府としてのお考えを伺います。

清水政府参考人 御指摘のように、この大学院大学の運営をしっかり確保する観点から、理事長については理事から選ばれるわけでございますが、そういった理事の要件については、大学院大学の運営について十分な能力、効果的な運営ができる者でなければならないということを求めているところでございます。

加藤(公)委員 先ほど来既に質疑の中でも出ておりましたけれども、国からも大変大きな額の補助を出して、わざわざそこまで税金を使って高い目標を目指そうという趣旨でありますから、研究はよかったけれども経営に失敗したというのでは全く意味がありませんので、その意味では設立委員の方が理事を選ばれる際には、今御答弁のあったように、学園の経営に関しても精通している方をぜひ一つの判断材料として加えておいていただきたいと思います。

 それから、その理事会の一員となられるんだと思いますが、学長というのが、これは経営というよりは、大学院をはたから見たときの一つの顔にもなるところでありまして、その学長というのはどういう方、どういう人材がふさわしいとお考えか、現状の気持ち、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

清水政府参考人 大学院大学の学長につきましては、国際的に卓越した教育研究を適切に経営するという観点から、科学技術の教育研究においてすぐれた業績を有し、かつ、法人の業務を適切かつ効果的に実施できる能力を持たれる方であることが求められると考えているところでございます。

加藤(公)委員 確認しますが、学長は常勤で恩納村にいらっしゃる、こういうことでよろしいですね。

清水政府参考人 御指摘のように、学長は校務をつかさどりますので、常勤で沖縄における活動が中心になるものと考えてございます。

加藤(公)委員 沖縄にいるからというわけではないんですが、先ほどの御答弁ですと、研究者としてという観点と、学園の運営、経営の面からすぐれた方をということでありましたが、研究者としてというのは、この大学院大学の顔としてふさわしい方でなきゃいけないし、もちろん実績もなきゃいけないと思うんですが、それに加えて、せっかく沖縄につくるわけでありますので、御当人の、これは僕の個人的な思いですけれども、その学長になられる方の沖縄に対する思いというのもぜひ重視をしていただけたらありがたいと思います。

 つまり、研究者として非常にすぐれている、経営者としても優秀だ、だけれども、沖縄には何の関心もないとか、別にここじゃなくてもいいんだと言われてしまっては、これはもう身もふたもない話でありますので、せっかく沖縄につくるわけでありますから、それが絶対条件かどうかは別にして、沖縄に御興味、関心をお持ちいただいて、できれば造詣の深い方が学長のポストに座っていただくと本来の趣旨、目的にかなうのではないか、こう思っておりますので、これも要望として政府の方に申し上げておきたいと思います。

 それから、先ほども三井委員の質疑の中で経営的な、財政的な問題が出ておりましたけれども、一般の学校法人が経営する私立大学とは違って、相当に国の関与がないと、中長期的に安定的にこの学園を運営、経営していくのは難しいのではないかと私も思っております。

 これは単にお金の問題だけではないとは思いますが、しかし、政府としても相当な覚悟を持って財政的な支援をしてもらわなきゃいけない、こう考えるわけでありますが、ここに対する決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 大学院大学が世界最高水準の教育研究を実現するためということになりますと、国が責任を持って必要な財政支援を行うことが重要であるというふうに思います。

 その一方で、内外の大学等との熾烈な競争の中で、競争的研究資金、企業の受託研究等の外部資金の獲得に果敢に挑戦することも忘れてはならないというふうに思います。そして、教育研究機関としての競争力を高めていくことにしたいと思っておりますし、こういう点を踏まえまして、大学に対しましては自立的な経営基盤の構築に向けた努力を促すとともに、先ほど先生がおっしゃられておりますように、国民に対する説明責任を果たしながら、長期的な観点から国が必要な財政支援を行っていくことが適切と考えております。

加藤(公)委員 外部資金をぜひ積極的にとっていただくとか、企業からの受託研究なんかを受けていただくというのは、今回の大学院の設立の趣旨からすると大いに結構な話だと思いますし、ぜひそうしていただきたいんですが、ただ、これは今後の議論につながるんですけれども、研究テーマが基礎分野に寄れば寄るほど受託研究がとりにくくなったり、外部資金を入れにくくなったりというジレンマが発生するんじゃないかと僕は思っています。

 しかし、実はそこが中長期に見たら一番大事なところですので、どういう研究者の方がどんなテーマを研究されるかにもよるんですけれども、一番大事な基礎的な部分に重要な研究テーマがあって、それを伸ばそうというときに、外部の資金がとれないからうまくいきませんということだけはないように、つくる以上は政府も覚悟を持ってやっていただきたいんですけれども、大臣、いかがですか。

佐藤国務大臣 先ほど来から局長がお答えしておりますように、そこは経営的感覚というものをちゃんと取り入れながらやらなければいけないという感覚でやらせていただきたいというふうに思っております。

加藤(公)委員 もちろん、無駄のないように、かつ成果の上がるように、非常に難しい話ですが、お願いをしたいと思います。

 では、今ちょっと話しましたけれども、研究テーマ、研究内容、あるいは教授陣に関連をして伺いたいと思います。

 今の独法の段階では研究者の方が二十名程度だったかと思いますが、学園設立後は、教授、研究者の方の人数はどれほどを想定しているのか、あるいはどんな研究分野を想定しているのか。今すべて決まっているわけではないとは思いますが、概略考えていらっしゃるところから伺いたいと思います。

清水政府参考人 開学時におきます規模でございますが、教授陣五十名程度を想定してございます。これらの方々がそれぞれ研究ユニットを構成されるということになります。

 また、研究分野ですが、世界最高水準の教育研究の実現ということですので、基本としては、研究者の方の自由な発想によって学際的、融合的な先端分野のプロジェクトを大胆に研究し展開していただくことが大事だと考えてございますが、現在では先行研究として行ってきているところでございますが、神経科学、数学・計算科学、分子生物学といった生命システムに関連する諸分野を研究してございます。さらに、これに加えまして、沖縄の自然環境や地理的条件に適した環境分野や海洋生物学などの研究も視野に入れた研究に着手しているところでございます。

加藤(公)委員 これは質疑の以前に資料をいただいて拝見をいたしましたが、非常に専門的なテーマで、私も理系の端くれではあるんですが、なかなか勉強しても各論でぴんとくるような研究テーマではないんですね。非常に難しい、高度だな、専門的だなと思って拝見をしておりましたが、大くくりで言うと、今局長の御答弁にあったように、生命システム、環境あるいは海洋科学というお話がありましたが、その枠の中で五十名の先生方、研究者の方をお招きするのか。あるいは、世界の中で飛び抜けた研究をしていらっしゃる方がいて、その方が、そういうすばらしい環境だったら自分の研究拠点をそこに移してもいいよと言われれば、今おっしゃられたところとは全く別のテーマであってもお招きをすることがあり得るのか。そこを伺いたいと思います。

清水政府参考人 御指摘のように、研究者の方の採用については、ワークショップの開催あるいはシンポジウム等によっていろいろなかなり先端的な研究テーマを取り上げて知名度を高めつつ、またポストについて国際的な公募をやることによって、そこから応募された者から先生方が選ばれているところでございますが、両々相まってすぐれた研究者の方を見つけて発掘していく必要があると考えてございます。

加藤(公)委員 本当は、私の思いとしては、今設定されていらっしゃるテーマが悪いと言うつもりは全くありませんし、沖縄でやるのにふさわしいテーマも多いと思うんですが、何せ時代の変化の激しいときでありますので、これから先、設立をした直後でなくとも、新たな研究分野が、ここはもしかしたら光が当たるぞというものが出てくる可能性も当然あると思いますし、そういうテーマもぜひ積極的に取り入れていただきたい。

 五十人の先生方がみんなばらばらなことをやって、大学院として何をやっているんだかわからないというんじゃ困るんですけれども、そこは固定化されないようにお願いをしておきたいと思います。

 もう一つ、研究テーマを選定する段階で重要な視点として、そもそもこの学園の設立の目的として沖縄の自立的発展に寄与するということが大きく書かれているわけでありまして、そのためにどうするかということも少し視野に入れておかなきゃいけないと思っております。

 短期的な成果を求め過ぎると、これは本来のこの学園の設立の意味がなくなってしまうと思いますし、あるいは、そういう方はいないことを望みますが、研究者の方が、自分の研究は非常にすばらしいと、唯我独尊、個人的志向に走り過ぎて余りこの学園設立の趣旨にかなわないような研究ばかりをされても、これもここでやるべき話ではないということにもなりかねないところでありますので、その研究テーマの設定というのは非常に難しいと思うんですが、ここで研究したことを沖縄振興につなげるという観点から、どんな方策をとったらそれが実現できるのか、現在の政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 新たな産業が創出、発展をする知的クラスターの形成に取り組むことが大変重要だというふうに考えておりまして、こうした中でも、大学院大学と琉球大学、そして県の研究機関を初めとする地元機関との緊密な連携が重要だというふうに考えておりまして、沖縄の科学技術水準の向上が図られることによりまして、間違いなく沖縄の振興につながるというふうに考えております。

 さらに、大学を含めた大学研究機関とベンチャー企業を含めた産業界との連携協力ということを推進していくことも重要であると思いますし、地域の主体的な取り組みとともに十分に連携しつつ、これからいろいろな注目を集めると思います。

 そういう中で、もちろん企業は選択をしてくると思いますので、そういうところにもしっかりと目を向けて、アンテナを高くして情報を得るということをしながら運営をしていきたいというふうに考えております。

加藤(公)委員 今の大臣の思いといいますか、御答弁の中身を実現しようと思うと、五十人なら五十人選ばれた研究者の方、教授の先生方に対して適切な評価をしていかないといけない。一回選んだからそれっきりという話じゃなくて、適切な評価をしていかないと今の課題は達成されないと思うんですが、その評価システムはどのように整えられるおつもりか、伺います。

清水政府参考人 現在の沖縄機構におきまして、各研究ユニットの代表研究者は、将来の教授に相当いたしますが、全員五年間のいわば任期制ということになっておりまして、四年目におきましては、それまでの研究成果について外部の専門家らによる評価を受けるということになってございます。

 具体的には、著名な科学者らを含む専門家で構成される評価パネルを立ち上げて、研究業績について厳格な評価を実施した上で、契約を更新するかどうか判断しております。大学院大学に移行後も、各教員について、こういった外部の専門家らによる厳格な評価の実施ということが予定されているところでございます。

加藤(公)委員 今の独法の段階で外部の評価を入れていらっしゃるというのは大いに結構な話だと思うんですが、それを学園設立後も継続をされるというのも結構なんですが、独法では五年の任期制でやっています、大学院大学になったら、その方々が例えば教授になられたと、その途端に評価はするけれども任期制じゃなくて定年までずっと教授ですよという話になると、白い巨塔とは言いませんが、さまざま問題を生み出す可能性がありますし、また、先ほど指摘したように、時代の変化についていけないとか、この学園にふさわしくない方々が居座っちゃうとかというさまざまな問題が発生し得るんですが、学園設立後も、独法のときと同じように任期制で研究者の皆さんに活躍をしていただくというのは一つのアイデアではないかと思いますが、どうお考えになりますでしょうか。

清水政府参考人 御指摘のように、大学院大学移行後におきましても、現在と同様に、原則として五年間の任期制とし、教育研究の業績について厳格な評価の上、契約更新の有無について判断していくような仕組みを導入する方向で検討されてございます。

加藤(公)委員 大いに結構な話だと思いますので、ぜひそうしていただきたいんですが、一個だけ申し上げておくと、実は、任期制で評価をしていくと、研究者としては構わないんですが、学校ですから院生がいるわけですね、そうすると、院生がドクターコースの途中で、突然その先生が首になっちゃったというケースが起こり得るということを意味していますから、そのときにその院生の方が路頭に迷わないように、ここはぜひ配慮をしていただきたい。

 ただ、その研究者の方が業績を残せなかったとか、この学園にふさわしくないとなったときには、それは厳しく評価をしていただきませんと。世界じゅうから優秀な研究者の方を集めるのは大いに結構なんですけれども、どんどんふやせるわけじゃありませんので、そこの新陳代謝が大事になりますから、院生のことは考慮していただいた上で、今の任期制のことはぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 それと、世界各国から最高レベルの教授陣を集めようという方針でありますから、当然、学園の研究環境のみならず、お越しいただく研究者の皆さんの生活環境というのも整えなきゃいけない。果たしてその生活インフラが整っているんだろうかという不安があるところでありますが、これについては今どの程度準備が進んでいるか、お答えいただけますか。

清水政府参考人 御指摘のように、内外から優秀な研究者、学生が集まる環境をつくることが大変重要でございまして、その研究者、家族にとっての快適な居住環境、また、外国人向けの医療や教育などの魅力的な生活環境づくりということが大事だと考えておりまして、こういった点につきましては、沖縄県において周辺市町村や地域住民と連携を図りながら、大学院大学の周辺環境整備ということで取り組んでございます。

 現在までの主な取り組みとしては、教育面では、この大学院大学のスタッフ子弟や、そのほか県民の子弟も含めまして、国際的な教育環境整備ということでインターナショナルスクールの設置が決まってございます。また、生活面では、この大学院大学のキャンパスの周辺、いわば門前町のような形で、複合商業施設の立地促進等、あるいは交通アクセス等について検討が進められてございます。

加藤(公)委員 では、冒頭申し上げた三つ目のテーマ、院生の方の募集、選考、あるいはキャリアの問題について伺っていきたいと思います。

 今回のこの学園は、世界トップレベルの大学院をつくるということでありますから、これは研究者の方ももちろんでありますけれども、そこにお集まりいただく学生というか大学院生の方々のレベルも高いレベルを確保しなきゃいけない。非常に難題がここにあるわけであります。しかも、先ほど局長からも御答弁があったように、研究分野がかなり専門特化しておりますし、最先端の研究ですから、ほかでだれでもやっているという話でもないわけですね。

 そうなりますと、極めて専門特化した研究分野で、しかも、ここに来られる方はドクターコース五年間行かれることを前提としているわけですから、二年修士へ行ってそれでいいという話ではありませんので、五年間の修学を前提としてということになりますと、院生の募集はなかなか苦労するのではないかということを私は考えておるわけですが、この不安に対して政府としてどう対応されるのか、お考えを伺います。

清水政府参考人 御指摘の、すぐれた学生をいかに獲得するか、大変重要な課題でございます。

 現在の機構におきましても、ワークショップの開催などによって、その際に内外の学生にも参加していただきまして、国際的な知名度の向上に努めております。そういったところがかぎになるわけでございまして、例えば、サマースクールを例年開催してございますが、海外の大学からも多数の学生が参加しており、こうした方は、ドイツやフランスの参加者の大学において博士課程の正式な単位と認定されるなどの評価が確立されつつございます。引き続き、こうした活動を通じまして大学院大学のPRを行っていく。

 また、もちろん、国際公募を行いながら、厳正に優秀な学生の選抜に努めていく必要があると考えてございます。

加藤(公)委員 何で集めるのは難しいだろうなと思っているかというと、そもそも理工学部系の学生さんは、大学院に行こうまではかなりの比率でありますし、そんなにハードルが高くなくお考えになられると思うんですが、後期博士課程まで行くということを学部生のうちに決心している方というのは実はそんなに多くないんじゃないかというのが私の実感なんですね。

 いざ行ってみても、自分の適性を考えながら、修士が終わった段階で企業に就職をしようとか別の道に進もうと。普通であればその道が残されるわけですけれども、この大学院大学の場合は、五年間、ドクターコースを出て基本的には研究者あるいは研究職を目指すという前提になりますから、それを学部の三年生ぐらいのときに決心しなきゃいけないんですね。

 しかも、自分が行っている大学の院ではなくて、この沖縄恩納村の学園に行こうということを決めてもらうわけですから、今まで自分が学部のときに勉強してきたテーマ、あるいは卒業研究で取り上げようと思っていたテーマよりもさらにハイレベルの、しかも、専門特化した分野で自分は勉強しよう、研究者を目指そうということを決意させるということになると、これは実はかなりハードルが高いんじゃないかというのが私の正直な感想なんです。

 私も周りに何人か同級生で研究職についている者がおりますけれども、彼らも、ドクター、五年行こうと思って大学院へ行った人間ももちろんいますが、最終的にもう一度考えるのは、マスターが終わる段階で企業に勤めるのか、別の道へ行くのか、それともやはり後期課程まで行くのかということは考えるわけです、みんな。

 この学園の場合にはその選択肢はほとんどないということが前提になっていますから、サマースクール等で海外での評価を上げていただくのも大いに結構なんですけれども、実は、国内の認知度を上げていただいて、理工学部系の学部生が、そういえばこういう選択肢もあるんだな、しかも随分おもしろい研究をしているんだなと認知をしていただかないと、優秀な学生といいますか院生を引っ張ってくるのはなかなか困難が予想されるのではないか。私の感想でありますけれども、そう思っておるものですから、今のお話を伺ったところであります。これは今後の政府の御努力の問題だと思いますので、期待だけ申し上げておきたいと思います。

 では、規模の話。

 先ほどの質疑にもありましたが、もう一度伺います。学園として設立された後、大学院生の人数というのはどの程度を想定していらっしゃいますでしょうか。

清水政府参考人 学生の定員につきましては、海外の主要な研究大学の実例等も参考に検討を行われてございますが、指導教員一名に対して学生二、三名程度、全体で百から百五十名程度と想定されているところでございます。

加藤(公)委員 全体で百から百五十ということは、五年間ですから、毎年でいうと二十人から三十人ぐらいということだろうと思います。すべての先生が毎年院生を採用されるということではないと思いますが、二十人から三十人。

 その二十人から三十人の中に、沖縄振興ということを考えて、県内出身の方を優遇するとか、あるいは日本人を優遇するとか、そんな制度は検討していらっしゃいますか。

清水政府参考人 博士課程ということで、世界最高水準の教育研究の実現ということで、御指摘のように学生の質も非常に高いレベルが必要になることでございます。そういう意味では、特定の地域とか国とか固定的な考え方は難しいところでございまして、内外からすぐれた学生を獲得するということで努力してまいりたいと考えております。

 現在の研究者の状況あるいはワークショップ等の参加を見ましても、かなり幅広い国籍の方が来られてございますし、また、研究スタッフの中にも地元の琉球大の卒業生の方もいらっしゃいまして、多様なバックグラウンドの方が参加しているのが現状でございます。

加藤(公)委員 趣旨からいって、沖縄県の方だけげたを履かせろというのはなかなか難しいんだとは思いますが、ただ、先ほどの研究テーマの問題とも実は絡むんですけれども、せっかく沖縄につくるわけですから、海洋生物の研究であるとか海洋環境の研究であるとか、それに取り組むことによって必然的に例えば日本国内の大学から進学者がふえるとか沖縄出身の方が希望されるということになれば、これは大いに結構な話だと私は思います。

 せっかく我が国政府がかなり大々的に大がかりなチャレンジをされるわけでありますので、その果実が日本に返ってこないというのも寂しい話でありますから、無理やりげたを履かすというのが仮に無理だとしても、研究テーマの設定等々含めて、国内あるいは沖縄県から優秀な研究者の方なり教授が育つように、ここは御配慮をお願い申し上げておきたいと思います。

 あと二つ、時間ぎりぎりまで伺います。

 一つは、今お話があった、百人から百五十人の大学院生が在籍をされることになる。毎年二十人から三十人。こういうことでありますが、その大学院修了者のその後のキャリアについては、学園設立に当たってどうお考えになっていますでしょうか。今の政府のお考えを伺います。

清水政府参考人 大学院の修了者につきましては、日本及び世界の先導的な大学あるいは研究機関で研究を継続される、あるいは先端科学産業において先導的な活動をすることが期待されるところでございます。

 また、この大学の準備をしております沖縄機構においても、こういった観点から起業家活動の重要性なども十分踏まえたカリキュラム編成を行う方針で検討を進めているというふうに承知してございます。

加藤(公)委員 私から申し上げるまでもありませんが、ドクターコースを修了された方が、研究者としてのスキルというのは大変高いものがあるんだろうと思いますし、能力も高いんだろうと思いますが、残念ながら職につけないという大変厳しい状況がございます。

 ポストドク問題等々、申し上げるまでもないことですが、せっかく世界トップレベルの大学院をつくるんだといって、できたはいいけれども、そこの修了者、卒業生が研究者として職にあぶれているという話になれば、それはおいおいだれも来なくなるということになりかねません。私は、実はそのことを大変危惧しておりまして、教育機関をつくるというのと同時に、そこで学んだ方のキャリアサポートを本当に真剣にやってほしいと思います。

 ここは要望にもなりますけれども、中長期的に見ると、学園の成否のかぎを握るんじゃないかというぐらいに私は思っておりますので、ここについて御認識を承りたいと思います。

清水政府参考人 先ほど申し上げましたような起業家支援の観点も踏まえたカリキュラムの編成、あるいは学生のさまざまな支援をするための事務局体制の整備も重要な課題と考えてございます。

加藤(公)委員 多分、きょうの段階だとそこまでなんでしょう。

 これ以上いじめませんけれども、一般の大学でもそうですけれども、卒業生がその後どこでどんな活躍をしているかということは大変注目をされますし、その評価がいわゆる受験生の集まりぐあいにも大きく影響してくるわけです。申し上げるまでもありません。ここは非常に特殊な大学院でありますけれども、せっかく行って先端研究したけれども食いっぱぐれているよという話にだけは本当にならないように、強く強くここは申し上げておきたいと思います。そうでないと志を持って皆さんここに集まっていただけないと思いますので、きょうはここまでにしますが、申し上げておきます。

 最後に一つだけ伺います。

 今回、この学園をつくって世界トップレベルの先端の研究をされるわけですが、その成果というものを沖縄振興につなげていくというのも一つの役割であります。今後、その沖縄振興に研究成果をつなげていくためにどんなことが必要か、どんな支援が必要だとお考えか、伺いたいと思います。

佐藤国務大臣 先ほども申し上げましたが、大学、民間の研究所、さらにはベンチャー企業等が集積をしたクラスターという形態に取り組むこと等々、そして、大学院大学と琉球大学、県の機関等々、緊密な連携が重要だというふうに思います。

 そういうことを通じて沖縄に何ができるかということが当然生まれてくるものと私は信じておりますし、また、そういう方向づけをしなければいけないというふうに思っておりますので、若干時間はかかるかもしれませんけれども、先生から今御指摘いただいたこと等を踏まえて、参考にさせていただきながら、しっかりと担ってまいりたいというふうに思っております。

加藤(公)委員 今の大臣のお答え、あるいは先ほどの局長の御答弁を含めて私が理解をいたしますと、大学院生の方が学園で勉強していらっしゃる間に起業家になる道も指導したいというようなこともありました。

 そんなベンチャーを育てていただくというのは大いに結構なことだと思うんですが、研究者の方がみずから創業するだけじゃなくて、そこの研究成果を他の企業や他のベンチャーに橋渡しをしていく、TLOのようなものも最近盛んでありますが、それもぜひお考えいただきたいと思いますし、自分は研究だけするよ、技術だけは磨くよ、経営はだれかパートナーに任せたい、あるいはそこにだれか資本を入れてほしいと、いわゆるベンチャーを育てていくようなインキュベーション機能というのも沖縄に必要になってくるのかなと考えております。

 大臣のお答えのとおり、中長期的な話だとは思いますが、そこまでいかないとこのきょうの法案が成功だとは言えないと思いますので、ぜひ覚悟と決意を持って取り組んでいただくようにお願いをして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

三井委員長代理 次に、市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。

 三十五分いただきまして、この科学技術大学院大学についていろいろ議論をさせていただきたいと思います。

 私は、今日の沖縄と言われている場所は、江戸時代の琉球、そして薩摩との関係、明治以降における国民国家日本という中でのあり方、第二次世界大戦中の大変不幸な出来事、戦後の占領、返還、そして今日ということにかんがみますと、いわゆる琉球の文化、今日における日本という国民国家の文化、そしてアメリカという文化を融合させつつある場所、いろいろ不幸なこともあったわけでありますが、そういうふうに積極的にとらえるべきではないかと思います。

 今日、そこにこうした大学院大学をつくろうというふうに話が持ち上がっているということは、この大学院大学は大変使命を帯びた機関でなければならないというふうに私は思います。しかも、これだけのお金を国がつぎ込む。これは国民の税金でありまして、これだけのお金をつぎ込むのであれば、先ほどからありますように、加藤委員もおっしゃっていましたが、やはり覚悟を持ってやっていくということが原点になければならないというふうに思っております。

 そこで、先日私も視察ということで、二回目になりますけれども、現地に行ってまいりました。最初のときは何もない、本当にここにつくるんですよというだけのところでしたが、この間参りましたときは、第一号館、メーンの場所が七割ぐらいでしょうか、完成をしているという状況でありました。すばらしい環境で、すばらしい施設であります。

 私は、最初この話を伺ったときは、まずは人じゃないかと私はいつも思っておりますので、そういう施設だけつくって本当にうまくいくのかなと。先ほど議論にもありましたけれども、本当にうまくいくのかなという思いもありますし、実は今でもそういうふうな思いを持っておるんです。だからこそ、きょうはここでさまざまお話をさせていただく中で、政府の覚悟、国の覚悟というものをより固めていただきたいと思うわけであります。

 まず、これはすばらしい仏だと思います。しかし、ここに魂を入れていかなくちゃいけないということであります。

 そこで、私が一つ議論したいのは、実はこの沖縄科学技術大学院大学学園法という、この十四文字の中に学ぶという字が四回出てくるのでありまして、この学というものは一体何なのかということが大変重要だというふうに思っております。

 実は、私もこの学ぶという字を大変大切にしてきておるわけでありますが、私自身の経験の中で最も印象に残った授業というのは、残念ながら学校での授業じゃないんです。もちろん学校の授業も、楽しい授業、大変ためになる授業がたくさんありました。ところが、私が今でも一番記憶に残っている授業は、一年浪人しまして学習塾に行っておったわけでありますけれども、そこでの授業でもないんです。何かというと、授業が終わった後に、その先生がプライベートにやってくれた授業というか時間があったんです。

 何をやったかというと、論語の輪読です。まさに論語の最初は何か。「学びて時に之を習ふ、亦説ばしからずや。」と始まるわけであります。そして、その学ぶという字の解説に何とどれだけ時間をかけたかということなんです。学ぶとは何だということに時間をかけたんです。

 まずは、学という漢字はどういう漢字なのかということなんですね。学という漢字は、本当はもともと学の横には父という言葉がついていたんです。今、父がのけておるんですけれども。結局、あれは社で子供たちに父親が、この場合の父親は長老なんです、長老が教えているというか語っているわけです。

 日本では、「学」に「まなぶ」という字を当てました。これはまねぶ、まねるんですね、まねるということから来ております。すなわち、新しい、新規なものは当然大切なんですが、なかなかそう簡単に新しいものがぽんぽんぽんぽん出てくるものではないということだと思います。

 例えば、先日、同僚議員のパーティーに行きますと、改める会だと言うんですね。改めるというのは、改革するというだけじゃなくて、年を改めるというように、単に変えるんじゃなくて、また原点に戻ってもう一回スタートだと。こういう意味でもある。

 すなわち、新しいものがぽんぽんぽんぽん出てくるわけじゃないんです。やはり先人が得た知恵、そういう本当にいいものに学んでいく。そして、そういう学びの心を持てるように長老たちが、これは現代的にはお母さんでもお父さんでもいいと思います、いわゆる大人が子供たちにそういう学ぶという気持ち、学ぶとは何ぞやということを教えていくことだというふうに私は思っておるわけであります。

 それを忘れているのが今日の学校じゃないかと私は思っています。学校なんですよ。学ぶところ、学校というところが、まさに学という言葉を用いながら、学ぶということの何であるかということがまだ学ばれていないというふうに思っていまして、そのことを教えてくれたのが、浪人中の、授業ではなくてその後の先生の志でやっていただいた時間だったというわけであります。

 ですから、今回、学園と名づけたのは、ひょっとしたら、放送大学学園だからこれも学園にしようかなという程度の話かもしれません。そうじゃないと信じたいわけですが、とにかく、この法の十四文字の中に学が四回も出てきているということを私は大切に考えていかなければならない。

 特に、せっかくつくるんですから、そうした魂を持ってほしい、学ぶとは何ぞやという魂を持ってほしいと私は思っているわけでありますが、大臣から一言、私は、大臣の思いを受けとめたい、国の決意も覚悟も決めてお話をいただきたいと思います。

    〔三井委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤国務大臣 私はそういう講義を受けたことがございませんので、的確に答えられるかどうかわかりませんが、先生の思いは十分に理解をしているつもりでございます。

 この文字についても、先生の思いが到達できるような学校にしなければいけないというふうに思いますし、今、この経済状況の中でこういう大学院大学をやれるのは私は日本だろうというふうに思っておりまして、この機を逃すことなく、先生方から御指摘いただいたこと等々を踏まえて、しっかりとしたディスクローズをしながら世界に冠たる大学院大学になっていくというのが一つの大きな主眼であります。

 そこで、沖縄にという思いは、当然、沖縄に資するものがそこで生まれなければいけないという思いもございまして、昨年、私、シリコンバレーに行かせていただいて、グーグルという会社に行かせていただきました。まさしくあんな状況が日本で生まれればいいなという思いをいたしておりまして、正直私もこの構想を聞いたときに、先生と同じ思いをしなかったかというと、これは決してそうではなかったというふうに思います。

 ただ、ここ数カ月、この論議を聞かせていただいたり、ブレナー理事長の思いを聞かせていただいたり、私は英語はしゃべれませんけれども、先生方の崇高な思いを聞かせていただいたときに、これは絶対に成功させなければいけないという思いをしたのも正直なところでございまして、今、学びというお話を肝に銘じつつ、これからしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。

市村委員 ありがとうございます。

 今、ブレナー理事長の話を出していただきました。私も、先日、ブレナー理事長のお話、そこではバックマン教授の話をお聞かせいただきました。私は、大変すばらしいお志を持ってこの事業に当たっていただいているというふうに感じました。

 特にバックマンさんは、かつてハーバード大学に日本の研究者がたくさん来ていて師事をしていた、日本人の研究者たちはとてもすばらしい、ところが、日本に帰るといわゆる普通の研究者に戻ってしまう、何でなんだろうというふうに思っていたと。奥様は日本人でいらっしゃるということもあって、恐らくあれだけの経歴の方だったらアメリカで悠々自適な生活を送れる立場の方だと僕は思います、しかし、あえて人生の一つの集大成をこの日本でやろうということで、もちろんお子様も半分は日本人の血が流れているということであれば、よし、この日本で人生の集大成をやってあげようという思いで来られているというふうに私は感じましたし、やはり人だと思いますので、そういう思いの方がいらっしゃるということは大変とうといと思ったわけであります。

 そのときに私が思い浮かべた言葉は、伯楽という言葉であります。私は、この日本には何が足りないか、伯楽が足りない、このように思っているのであります。というのも、一日にして千里を駆ける馬を千里馬といいますが、これを見抜く力を持っているのが伯楽なんですね。私は、日本には千里馬はたくさんいると思っているんです。ところが、結局、千里馬が千里馬であることを見抜く人間がいないんですね。むしろそういう人間をどんどん足を引っ張って、引きずり落とすというようなことをやっているんじゃないかという気がしてならないんですね。

 私は、バックマンさんとかブレナー理事長のお話をお聞きして、こういう伯楽たるべき方にこうやって来ていただいていることはありがたい、こういった方がもっと自由に伸び伸びとやれるような環境を私たち日本も与えなくちゃならないというふうに思っています。何かすぐに成果を出さないといけないぞということになりますと、自由闊達な空気が失われていくということでもありますし、一回その方に任せた以上はしばらくは様子を見るということでないとだめだと思います。

 逐一あれはどうなっている、これはどうなっているんだと言われると、やる気をなくしますので。ここまで覚悟を決めてやっている以上は、お金を入れる以上は、一たん任せた以上は、十年黙る。それだけの期待にこたえられる人を選んでいるはずですから。

 あのお二人は、そこで、よかった、十年間悠々自適だなんということを絶対思われる方じゃないと私は思っています。志を持って来られている。また、そのお二人だけじゃありません、あそこに集おうとしておられる方はそういう場だということで志を持って集まるわけでありますから、そういうことにはならないと私は思います。

 かえって、ああだこうだ、予算をつけないかぬから何か成果はないのかとか言い始めると、そこでまた世知辛い環境になってしまって、おおらかさが失われ、せっかくの事業も頓挫することになると思います。

 私は、本当にこれがちゃんとなれば、今、二分の一を超えて、十年後も大丈夫だろうという財源論の話もありますが、ちゃんとやれば、例えば特許とかを申請して、十分に新しい技術が世界に広まれば、そのロイヤリティーで十分食っていけるだけの大学にしなくちゃならないと思いますし、そうすれば国庫負担は要らないんですね。

 本当はありがたいことは、五年ぐらいで国庫負担、日本の支援はもう要りません、この土地と建物を与えていただいただけで十分です、人も十分にロイヤリティーで賄えるようになりました、人件費も賄えるようになりました、だからこれ以上日本の税金にお世話になることはないというふうになる可能性を持ってほしい。そういう思いを持ってやってほしい。

 しかし、そうはいっても、そう簡単にならないから、十年で日本国はもうさよならしますよということは、ちょっとそれは違いますから、十年後も支援はしますけれども、できる限り早く自立をしてほしいということではないかというふうに私は思っておりますが、大臣の御見解を聞かせていただきます。

佐藤国務大臣 伯楽の話がございましたけれども、伯楽のような指導者が必要であるという点では私も全く同意見でございます。

 そして、いろいろなことは一応ある程度任せて、いろいろな細かい検討等は私どもが責任を持つという形態をとらない限り、やはり人間というのは意気に感じて事をなすということが私は大事なことだろうというふうに思います。

 そういう面では、ブレナー理事長がノーベル賞をとった、そしてブレナー理事長が育てた人材の中には五人もの方々がノーベル賞をとっているという実績もこれありでございまして、そういう方に私どもは全幅の信頼を置かせていただいて、少し見守りたいなという思いがいたします。

 細かい点という点では、細かくないかもしれませんけれども、ぜひ私どもができることは精いっぱい努力をして、自由に研究ができるような施設にしないと意味がないのではないかな。ひいては、それが先生おっしゃられるようにいろいろな形で予算等々のことにもはね返ってくるというふうに思っておりますので、先生の御意向は全く私も同意見でございますので、これからもしっかりとそんなことを踏まえて頑張ってまいりたいというふうに思っております。

市村委員 ありがとうございます。

 何か大臣の御答弁が、私の次の質問を予期したかのような御答弁をいただきましてありがたい話なんですが、今、ノーベル賞という話を大臣からしていただきました。もちろん、言うまでもなくノーベル賞というのは世界的に最も権威のある賞であろうとは思います。ただ、このノーベル賞についても、ノーベル賞受賞者がいるからいい大学なんだ、いい学園なんだということにしてはならないというふうに思っています。

 先ほどノーベル賞級のという表現もありましたが、私はそうではないと思います。当然、ノーベル賞の受賞者の中にも、教えることに対して本当の意味でしっかりできる方と、研究はすばらしいけれども人に対して学びの場を与えるということではちょっと苦手な方もいらっしゃると思います。だから、ノーベル賞学者だからとかいうことではないと私は思っています。

 これは本当かどうかわかりませんが、九〇年代に経済学賞をとった方が顧問を務める会社が、ノーベル経済学賞をとった翌年につぶれた、破綻したというんですね。まさに今回のサブプライムローンに象徴されるような、たしか金融工学での受賞であったとお聞きしていますが、その金融工学で受賞された方、お二人が受賞されたらしいんですが、その翌年にその方たちが顧問を務めた会社が破綻をするということでありました。

 やはり、ノーベル賞をとったから、それでその学者がやったことがすべてうまくいくわけではないわけでありまして、もちろん、それはその方がどこまでコミットしていたかという問題もありますし、いろいろ事情はあるとは思いますが、しかし、ノーベル賞学者がかかわっているから何でもうまくいくんだという話ではないと思います。

 もっと根本的に申し上げれば、完璧なものというのはないわけでありまして、ノーベル賞学者がやるから絶対うまくいくなんということも絶対あり得ないわけであります。

 ただ、世界最高権威と言われるノーベル賞を受賞された方であれば、それ相応のすばらしい人格者であろうということは言えるということでありますし、その方が数名、この沖縄科学技術大学院大学学園に大変な御関心を持っていただき、志を込めて、また自分の集大成も込めて来られているということについては、これは最大の敬意を払わなくちゃならないと思います。

 ただ、ノーベル賞級の学者とよく強調されるんですが、だからいいということではないはずだということを私は申し上げたいし、かつ、もしこれがうまくいかなかった場合、あれだけノーベル賞級の学者をそろえたのにうまくいかないんだから仕方ないですよねという言いわけだけにはしてほしくないわけでありまして、この一連についても大臣の御見解を賜りたいと思います。

佐藤国務大臣 おっしゃられますように、ノーベル賞を受賞しているから大学の経営に精通しているという観念は私ども持っておりません。

 ただ、一般論からすれば、先ほど先生がおっしゃられたように、それなりの権威のある方でありますから、それなりのことはしていただけるという指標にはなるわけでございまして、まずはそういう方々等々に集まっていただいて、大学の経営に関してどんなことをしていただけるのか等々、学長が日常的に業務についてよく把握をしていただくということが大切だろうというふうに思います。

 また、先ほど加藤先生のお話にございましたように、経営的感覚ももちろんなくてはいけないわけでございまして、先生がおっしゃられるように、後々何かの形で大ブレークをするなんということはもちろんあり得る話、可能性の非常に高い話でございますから、そのときに間違いのないような運営を、そして皆様方にディスクローズをいかにできるかという経営感覚を持った方も当然いなければいけないという気持ちで私ども運営をサポートしていきたいというふうに思っております。

市村委員 ありがとうございます。

 まさに大臣がおっしゃった、経営というところは本当に重要なことだと思います。先ほど三井委員からも大丈夫かと。三井委員はずっと経営者でもあられますから、本当に経営という観点を持ってやらなくちゃいけない。

 実は、これはこの学園の問題だけではなくて、日本だって国家経営がうまくいっているのか、地方自治体の地域経営はうまくいっているのかと、こういうことがあるわけであります。

 私は、委員長も出身でありますが、松下政経塾というのはよく松下政治経済塾というふうに誤解されておりますが、違うんです。あれは政治経営塾なんです。だから、政治経営、つまり、国家経営、地域経営をしっかりと考えなさいということで我々塾生は言われておったわけでありまして、国の経営、地域の経営、またこの大学の経営ということで、欠いてはならない二文字がこの経営という観念であると思います。

 ですから、先ほどから大変な御議論がありましたが、本当に大丈夫なのかということについて、経営が大丈夫なのかということに私は尽きると思っておりまして、経営というのは、もちろんお金の算段だけの話ではありません、人をどう配置し、どうやっていくのかということも含めた総合的な判断が経営観念だと思っていますので、こういうものをやはりしっかりとするのは言うまでもないということであります。

 特に、先ほどから申し上げるように、早く税金を使わなくても自立できるようにするのが私は経営者の最も主眼としてほしいことの一つであるわけでありまして、それを心して経営者、まあ、理事長が経営者なのか、CEOというような、いわゆる学園の統括官と別に経営の統括官という方をひょっとしたら設けるのかどうかわかりませんが、そういったことも含めて経営ということがしっかりと透徹されるような場所でなければならないと思いますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 もちろん、世界有数な大学院大学にしていくという面では、研究も大切でありますが、やはりその大学が成り立つというのが基本的な考えだとすれば、今先生がおっしゃられたような経営というのは研究と横並びにあるような非常に大事なことだろうというふうに理解をさせていただいております。

 それと相まって、沖縄につくる意味合いというのが経営に必ずはね返ってこなければいけないということでございまして、先ほど来から答弁をしておりますクラスターという観点からも、企業家がそこを見直すというか、企業が目ざとく目指して来ていただける、それにはやはり魅力的な研究等々もそこでやらなければいけないということにもつながりますので、この大学院大学は両方相まった観点で行っていかなければいけない大事なことではないかなというふうに理解はしております。

市村委員 ありがとうございます。

 まさに今大臣がおっしゃったように、沖縄ということがやはり意味があるんだと思うんです。だから、先ほど冒頭に申し上げたとおりなんですね。さまざまな文化が今ミックスしている、これは融合しているとまではまだ言えないと思いますが、ミックスしているところだと思います。

 実は、この話というのは、日本国の成り立ち自体の話だと私は思っているんですね。

 日本という国はどういう国なのかというところを考えると、さまざまな民族が、人種が、北方系、南方系、大陸系、いろいろなところからやってきた。そして、多分いろいろな対立があったでしょう。しかし、すべてを認め合うという、まさに大和の精神ですけれども、すべてを認め合う和の精神で、いろいろいざこざがあったり合戦もあったりしましたが、今日においてそれを融合しながら、そのすべての文化をまず受容し、いいものを高めていく。まさに学んできたんですね。いろいろなものに学んできて、それをよりよいものにしてきたんだと思います。

 守破離というのがあります。まず守って、それを破って、そして離れていくという守破離ですよ。これをやってきたのがこの国の成り立ちであって、私はまさに、大臣もさっきおっしゃったと思いますが、この国の持っている価値というのは、これからも世界において大変大きなものを持っていると思っています。

 そのときに、こうした文化のミクスチャーがある沖縄でこういう学びの場ができるということは、冒頭で申し上げたように、使命を帯びた組織でなければならないと思いますし、そうあってほしいと思っています。

 特に、今回はアメリカという、ある種、オバマさんも就任演説でアメリカはまだ若い国であるとおっしゃっていましたけれども、アメリカという国はまだ若い国です、しかしその若い国が民主主義ということではやはり一日の長を持った国なんです。民主主義とは何ぞや、民主主義を維持するには何をすればいいのかということをさまざまな苦悩の中から築き上げてきた国で、僕はそれが今のアメリカの価値だと思っています。いろいろな問題を抱えながらも、民主主義とは何なのかということを本気で考えてやっていく国だと思います。

 そういうアメリカという国の文化も沖縄にあるわけでありまして、近代日本の国民国家の文化、そして江戸時代からも含めた文化、また琉球の文化、こうしたいろいろな文化を融合、ミックスしている。そこに今これがある。これはとても大きな意味を持っています。だからこそ沖縄ということだと思っていますし、この沖縄における大学院大学を、日本の将来を占うものとしても、しっかりと私は考えていくべきだというふうに思っています。

 何回も繰り返しますが、やはりアメリカという文化をあそこに包含しているということが、私は特に現代日本における特異な存在、場所だと思っています。それは不幸な歴史もあります、占領という。それから、今の米軍基地という、これは日本人からすれば残念なことでもあるんですが、結果としてアメリカの文化があそこに根づいているということも含めてこれをよしとして、未来に向けて、これはやはり未来志向でやるしかないんです。過去は過去でしっかりと見詰めながら反省し、正すべきは正していく。しかし、未来志向に向けては、ここにアメリカという国の文化も大きな核として持っている場所があるんだということであれば、それもしっかりと思いを持って有効に使っていくということが大切だと思っています。

 だからこそ、今回、英語ですよね、まあ英語というか、多分米語だと思いますけれども、米語を中心としてやっていくというわけでありますから、そういうことも含めて、今後の日本の行く末を占う場所としても、私は大変意義を持ったところだと思っておりますが、大臣のお考えをいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃられる趣旨は十分理解しているつもりでございます。

 私は、沖縄という場所で、世界に発信するいろいろな施設ができ、そしていろいろな研究が進み、沖縄の方々がある意味ではモチベーションを高める大事な施設だという位置づけをしたいというふうに思っております。

 したがって、沖縄からこういうものが発信をされ、常にそれが沖縄からだというのは、今まで今おっしゃられたいろいろなことがありましたので、それを覆いかぶす一つの大きな出来事になるような大学院大学にしたいと私は思っておりまして、先生の御趣旨とそう変わらないというふうに思っておりますので、ぜひ御理解を賜りたいというふうに思っています。

市村委員 今、沖縄といいますと、きょうの主題ではないんですが、米軍基地の問題がある。これは本当に返還後の沖縄の主要な課題の一つということであります。韓国も今米軍の撤退等々も含めて議論がされているところでありまして、こうしたときに、決してアメリカに出ていってくれという話ではなくて、ある意味でいえば、さっきから申し上げているように、アメリカの文化というものもあそこに今根づいているわけですね。

 アメリカという国は本当に民主主義を大切にする。それは大変なことをやっています。しかし、私は実験国家だと思っていますので。さまざまな人種が、あれはメルティングポットと言われていますが、私はメルトしていないと思います。まあ、ごった煮です。多分、千何百年前は日本もああいう感じだったのかなと思うわけでありまして、いろいろなところからやってきて、何だ、あの人たちはという感じもあったと思います。しかし、その中でも、民主主義という旗のもとに、大統領を選んで、その人に託していく、そこに参画していくという仕組みをつくり上げているわけでありまして、これはアメリカの持っている本当に現代的な価値であります。

 ですから、私たち日米の同盟というのが本当にこれから大切だというところにつながっていくわけでありますが、あそこはそれを体現している場所なんですね。その意味でも、アメリカのこれまでのことには感謝をしなくちゃいけないと僕は思うんです。

 しかし、戦後六十年以上たったときに、本当にあれだけの米軍基地が今沖縄に必要なのかということも含めて、ここは、出ていってくれとか要らないとかということではなくて、こういうアメリカの文化も受容しながら、もう六十年たって日本も戦後の痛手の中から復興して未来に向けて歩み出そうとしているんです、その中でこういう大学院大学ができて米語で授業をするんですということを含めて、アメリカに対しては感謝をしつつ、アメリカとは、今の米軍基地というのはあれでいいのかどうか、これからの日本の国の守りという総合的な判断の中であの米軍基地について話し合う。そういう素地というか、心の素地ですね、単に、だめだ、出ていってくれ、どこかに行ってくれとかじゃなくて、受容しつつ、しかし本当に未来に向けてこれでいいのかどうかという議論に結びつけていかなくちゃいけない。

 そのときに、こういう学びの場で、いろいろなところから来られて、そういうことも話がされていく。もちろん、科学技術ですけれども、科学技術だけで成り立つわけじゃありません、やはり人の心、人の生活というのがベースだと思いますので、今後の沖縄が抱えているさまざまな課題に対しても、この大学院大学は、いろいろな方がここに集まってきていろいろ議論をするわけですから、そういうところでどんどんいい方向につながっていくような流れになっていただければなと。

 また、日本の学生も大学院大学を利用する。僕はお願いしているんですが、せっかく宿泊施設をつくるなら、日本の学生に対しては安く提供していただきたいんですね。とにかく沖縄に来なさい、ホテルは高いからここに泊まりなさい、布団の交換代千円ぐらいでいいよ、そのかわり必ず沖縄大学院大学の中をちゃんと見ていきなさい、こういう大学が日本にあるんですよ、こういう研究をしているんですよということに触れなさい、そして二時間ぐらいの研修を受けてくれたら後はビーチで遊ぼうが何しようが構わない、ここで二泊までは泊めてあげよう、そうしたら安くつくだろう、だから沖縄に来なさいねというぐらい日本の学生にも門を広く開放していただいて、この大学院大学の持っている意義、意味というものをしっかりと伝えていくような工夫もしていただきたい、こう思うわけでありますが、大臣の御見解を賜りたいと思います。

佐藤国務大臣 いろいろな観点でのお話があると思います。

 いろいろな方々が、また各国からいろいろな知見を持った方々が集まってくるわけでございますから、当然そういう議論は生まれるだろうというふうに思います。非常にレベルの高い話かもしれませんし、全く沖縄を知らない方がそこに来て議論をするかもしれません。そういう議論が生まれるだけでも大きなことだろうというふうに思いますし、その御家族も当然見えるわけでありますから、そういう議論はかなり大きなものになってくる。そして、沖縄をしっかりと理解していただけるということにつながると思います。

 いずれにいたしましても、沖縄の自立型経済ということを掲げて久しくなるわけでございますが、私はまさしくこの大学院大学は自立型経済の拠点となり得るものであろうというふうに思いますし、そうでなければいけないというふうに思っております。

 いろいろな面でいろいろな論議を醸し出すかもしれませんけれども、逆に、十年たった後、二十年たった後、ああ、こんな文化も残していってくれたんだなというのも当然生まれてくるものだというふうに思いますし、先ほど局長が御答弁申し上げましたが、門前町なんという構想は、当然これは自然発生的にできる話でありますが、やはり政府としてもそういうものを促していくことも必要だというふうな観点で、一つの拠点といいますか、町がそこで生まれ、文化が生まれという、非常に興味深い場所にしていきたいなという思いをしております。

市村委員 最後に、たしか恩納村長でしたか、魚よりも釣りざおが欲しいとおっしゃっていました。まさにこれぞ米百俵の精神だと私は思いますが、こうしたことがしっかりと実現し花開くことを願って、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

前原委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 沖縄振興法に基づいて沖縄に自然科学系の大学院大学をつくるという本法案には賛成であります。ただ、議論を聞いておりますと、やはり沖縄振興について、この問題に取り組んできた立場から一言申し上げたい気持ちになりました。

 長い沖縄の振興策の取り組みの中で、もう四十年近くなるわけですが、日本の自然科学研究の成果と沖縄の産業の発展がしっかり結びついた成功の事例があります。それはウリミバエの根絶です。

 亜熱帯地域の農業というのは虫との闘いでありまして、ウリミバエが存在し、広がっていくために、沖縄のマンゴーも本土に持っていけない、沖縄のゴーヤーも本土に持っていけない。これを何とかしようということで、農林水産省の数名の研究者と沖縄県の農事試験場の研究者が力を合わせまして、ウリミバエ防除事業を始めました。一九七二年です。それが成功したのが一九九三年です。それ以降私たちは、東京でも本土でもゴーヤーを目にすることができ、食することができた。マンゴーを食することもできる。虫に悩まされた沖縄の農業の発展に多大な貢献をしている。

 その科学者たちは、不妊化したウリミバエを放して、どんどんウリミバエを不妊化して、最後の一匹まで根絶する。虫を放って虫を滅ぼす、こういうことを言いました。もし、沖縄県民あるいは沖縄の農家にノーベル賞を与える権限があるとすれば、私たちはそういう方々にノーベル賞を差し上げたいな。これが沖縄振興の原点じゃないか。

 沖縄は大変貧しいです。四十年近くにわたって振興策を続けても、所得は全国最低です。全国平均の七割です。失業率は全国一高い。四十年近くの沖縄振興策で、一番の中心的な問題を解決できないで今日まで来た。今度は大学院大学をつくれば成功するぞという単純な話ではないと思うんです。

 沖縄の一番の貧しさの大もとは米軍基地でありまして、沖縄振興策の第一次、第二次、この中には、沖縄振興発展の最大の障害は米軍基地であるということが書かれております。米軍基地は優良な農地を基地として囲っている。

 こういう中で我々は沖縄振興の問題を議論しているし、貧しさから抜け出すためには国は何をやるべきで県民は何をやるべきだという真剣な議論が必要で、その中の一つとして、私はこの大学院大学について議論をしていきたいと思います。さまざまな問題がありますが、きょうはその点について一つ一つ聞いていきたいと思います。

 まず、教員の確保について聞きますが、政府は、世界最高水準の教育研究を行う大学として、大学院大学の二〇一二年度開学を目指して準備を進めるとしてきました。開学時までに五十名の主任研究員をそろえるとしておりますが、現在までに集まっているのは二十人であります。今後どのようにして五十人確保するんでしょうか。

清水政府参考人 御指摘のように、現在、直近で二十名の主任研究者、教授がございますが、今後の開学に向けまして、すぐれた内外の研究者の採用を進めるという観点から、主要な国際学術誌、関連のウエブサイト、学会などを通じて積極的に人材を求める、透明性、公平性に留意しつつ国際公募を行っていく、また、そのために研究者の処遇あるいは研究環境、生活環境の整備に努めていくということを考えているところでございます。

赤嶺委員 実感を伴った確信がなかなか生まれてこないんですが。

 今回の大学院大学は教員の半数を外国人にするとしているわけですが、一方で、これまで教員の確保などで中心的役割を果たしてきたシドニー・ブレナー氏の任期は二〇〇九年八月までであります。

 今後、いわば教員確保の中心になってきたブレナー氏の任期が切れた後、教員の確保についてどうするのか、説明してくれますか。

清水政府参考人 大学院の開学準備を業務といたします沖縄研究機構の現在の理事長の任期は御指摘のように四年間でございますので、これにつきましては、沖縄研究機構の運営委員会において理事長について推薦をすることになっています、そこの意見を踏まえて検討されるわけでございますが、これまで研究者の採用について、先ほども申し上げたような内外の学会等に働きかけながら採用していますし、引き続きこうした方針で採用を進めていくものと考えているところでございます。

赤嶺委員 学生の確保も先ほどから議論になっておりますが、全国的に学部を持たない大学院大学は学生集めが特に困難であります。

 内閣府の説明によりますと、大学院生の授業料は二百五十万円だと説明を受けました。しかし、今、百年に一度と言われる世界同時不況や、あるいは少子化など、非常に社会情勢の厳しい変化があるわけですが、この中で学生をどうやって集めるんでしょうか。

清水政府参考人 大学院の学生についても、国際的に内外のすぐれた意欲ある学生を公募するようにしていくところでございますが、特にその際にかぎとなりますのは、さまざまなワークショップ等によって内外の学生の受け入れを行い、具体的な研究活動等を見ていただく、そういった国際的な知名度の向上によって努めていく必要があると考えているところでございます。

 また、もちろん授業料は諸外国の、内外の例を参考に設定されますが、奨学金の制度等も踏まえ検討しながら、国際的かつ戦略的な学生募集を行うことが期待されているところでございます。

赤嶺委員 大学院大学がどこまで沖縄の振興につながるかという点についても伺いたいと思います。

 政府は、大学院大学を核として、産学連携、知的クラスターの形成に取り組むとしておりますが、その知的クラスターも、全国的には構造改革路線のもとで産業再生のためとして大学発ベンチャーがたくさん生まれましたけれども、その経済効果については余り高くないということを聞いています。

 全国的にこういう状況がある中で、産学連携、あるいは知的クラスターの形成、これが沖縄の振興にどうつながっていくのか、今の全国の情勢も踏まえながら答弁していただけますか。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃられるように、今の経済情勢の中で企業等々に期待するのは、確かに難しいものがあるかもしれません。

 ただ、この大学院大学は、あくまでも、いろいろな世界の知見を集めて研究をし、それをどう評価するか。決して日本の企業だけではなく、世界の企業も含めたクラスターの形成というのは、当然あるべき話ではないかなというふうに思います。

 それと、大学院大学の存在が刺激となりまして、次世代を担う人材の育成が図られるということや、キャンパス周辺の生活環境の整備、先ほども申し上げましたが、文化面も含めた国際色豊かな地域振興にもつながるものと期待しておりますし、大学の設立は、長期的な視野に立って沖縄の自立的発展を目指し、将来に投資するともいうべきものではないかなというふうに考えております。

赤嶺委員 文科省から知的クラスターについていろいろ説明を受けました。全国的には国際的競争力、高い競争力を持った知的クラスターを配置しているということでありましたが、うまくいっているところはどこかと聞くと、それはなかなか一概に説明できるものではないということだったんですね。ですから、沖縄振興のいわば中心的な問題です。

 そこで、もうちょっと具体的に伺いますが、現在の機構、これは先行的な研究を実施しております。その機構の周辺に企業の進出はどの程度あるのか。企業からの受託研究及び企業との共同研究、これはどの程度実施しているんでしょうか。

清水政府参考人 まず、共同研究等でございますが、企業からの共同研究、受託研究等に努めているところでございまして、昨年度で申しますと四件の実績がございます。

 また、ベンチャー企業等の立地でございますが、現在の沖縄研究機構の中心的な研究テーマでございます生命システムとの関連が深いバイオ産業について見ますと、ベンチャー企業の沖縄県内への立地については、平成十四年度では一社でございましたが、平成十九年度の時点では十二社に増加していると承知しています。その中には、大学院大学の先行的な研究を行っております沖縄研究機構に対して、研究に必要な海洋物質の供給やプログラム開発等を行う企業も出始めていると承知しているところでございます。

赤嶺委員 大学院大学が設置された以降の共同研究あるいは委託研究について、企業などから申し入れは来ておりますか。どうですか。

清水政府参考人 先ほど申し上げましたように、現在、共同研究等の実績がございます。こういった実績の積み重ねをさらに続けながら、開学後に産学連携のための体制整備に努めていきたいと考えているところでございます。

赤嶺委員 大学院大学の研究を沖縄振興につなげていくということと、世界水準の自然科学の研究分野の関心やテーマが直接結びつかないことはあり得ると思うんですね。

 それは、沖縄における琉球大学などの研究機関も、すべてが沖縄振興にかかわった研究ということじゃなくて、研究者、科学者のそれぞれのテーマに基づいてやっている。そこはそれで私はいいと思うんです。いいと思うんですが、ただ、大学院大学は沖縄振興というようなものがありますので、沖縄ならではの地域特性、亜熱帯である、そういう自然を生かした研究、本当に沖縄県民がノーベル賞を与えたくなるような、そういう研究を促進することが必要になってくると思うんです。

 そういう分野はどういうところか、内閣府の方で、あるいは大臣の方で、具体化するにはいろいろあるでしょうけれども、こういうところならというのがあるんでしょうか。いかがでしょうか。

清水政府参考人 科学技術の振興を通じた沖縄の自立的発展への貢献ということでございますので、さまざまなすぐれた研究、それがまた産学連携に結びつくいろいろな分野がございます。

 例えば、現在でも、生命システムの関係で、神経科学や分子科学の分野でのいろいろな研究についても、創薬ですとか、そういった医薬面への可能性ということも秘めていると考えますし、また、沖縄ならではの地理的特性等に関したものでは、これまでも御質疑の中に出てございましたが、サンゴを初めとした海洋生物学についての、環境科学分野の取り組みも始めてございまして、そういったサンゴ、褐虫藻のゲノムの解析といった研究も始まっております。こういったものがいろいろな成果を生み出すことが期待されるところでございます。

赤嶺委員 サンゴのゲノムの解析、大事な研究をやっているなということを私も機構の現場で説明を受けてきましたが、同時に、サンゴを守るためには海を大事にしなきゃいけませんので、辺野古のサンゴを米軍基地でつぶすことがないように。それから、内閣府がやっている泡瀬干潟の埋立地の中に生きたサンゴがありますので、せっかく大学院大学で学際的な研究として、サンゴのゲノムが今世界じゅうから注目されているときに、肝心の沖縄でサンゴはどんどん開発でつぶれていっているよということになりますと説明がつきませんので、これは内閣府の責任でできることですから、ぜひ検討していただきたいと思うんです。

 ただ、大学院大学の産学共同、企業との共同研究のあり方の問題ですが、多くは大企業との連携であるわけです。そうなってきますと、各大学は生き残りのため大企業の意向に沿った研究をせざるを得ない状況でありまして、事業化しても地元の利益になることは少ないということが懸念されるわけですね。

 沖縄振興や地元貢献のためには、地場産業の振興や地元中小企業などの連携が必要と思われますけれども、その点はいかがですか。

清水政府参考人 大学院大学は先端的な学際分野での研究を中心としてございますので、そのための共同研究等の直接の連携関係による相手方、これは高度な研究開発能力を有する企業が想定されますが、こうした企業の中には、大きな企業ばかりではなくて、大学発ベンチャーなどの規模の小さな企業も想定されるところでございます。

 さらに、琉球大や沖縄県の関係研究機関との緊密な連携を構築することによりまして、沖縄県全体の科学技術水準の向上も期待されるところでございまして、地場産業に対しても、波及的な技術の高度化等の効果も期待されるものと考えてございます。

赤嶺委員 これらの地元の企業の意見だとか、地元産業界の意見だとか、あるいは地元の研究機関の意見だとか、そういうことが大学院大学の運営に反映されるような、そんな仕組みというのはあるんですか。

清水政府参考人 法案においても、大学院大学においては地元の自治体等を初めとして連携をするように求められているところでございます。

 具体的には、地元の市町村とさまざまな形で今も協議が行われておりますし、また、研究機関等とは共同の研究等を通じて協議をしていきますので、引き続きそういった連携、提携関係を維持していく必要があると考えてございます。

赤嶺委員 これも先ほどからほかの委員の皆さんからも懸念事項として出されておりましたが、アメリカのカリフォルニア、サンディエゴのようなハイテク産業集約都市を目指したいというわけですね。ところが、サンディエゴが今のような成果を出すまでには二十年から三十年という年月を要しているわけです。

 自然科学系の研究が実を結ぶまでには特に長い年月が必要と言われるわけですが、設置するからには国の責任が重大であります。国は最後まで責任を持たなくてはならないと考えますが、この点は、佐藤大臣、いかがでしょうか。

佐藤国務大臣 先ほど来から先生方にお話し申し上げておりますように、財政等々の基盤についてはしっかりと支援をしてまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 開学時に五十ユニットを目指して、将来的には三百ユニットが理想と説明しているわけですが、かなり多額の経費になると思います。政府は、この大学院大学は年間どのぐらい経費がかかると見込んでおりますか。

清水政府参考人 開学時の姿といたしまして、教授陣五十名規模で開学をして、それでしっかり実績を積んでいくことを考えてございます。そのために必要な経費につきましては、現在の先行研究における研究規模と事業の関係から概略的に試算いたしまして、百億円規模というふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 今回、修正案も出ているわけです。与党も賛成なさるということでありますので。

 今回の修正案で、国からの補助は、期限を設けず二分の一を超えて補助することを原則といたしました。将来、心配になりますのは、大学院大学の関連予算がほかの沖縄振興予算を圧迫することにならないかという不安であります。この点について、政府はどのように考えておりますか。

清水政府参考人 沖縄振興のさまざまな施策につきましては、この大学院大学のほか推進されてございますが、それぞれの進捗状況に応じて予算について措置をされてきているところでございます。それぞれの沖縄振興施策の観点に基づいて要求をし確保されるところでございますので、この施策がほかの沖縄振興施策に直接影響するという関係ではございません。(発言する者あり)

赤嶺委員 御心配なくという声も上がりましたけれども、大臣、内閣府が今までやってきた振興策、例えば特別自由貿易地域でも、企業は進出しておりませんよね。雇用の創出と言いながら、実際には雇用の創出に成功していない。ITコールセンターは非正規の低賃金。貧しさから抜け出せないわけですよ。

 今後、沖縄振興について本格的な検討が始まりますが、どうあるべきかということをきちんとして、沖縄振興とは何かということについて、それはやはり低賃金、低い所得、高い失業率、この貧しさから抜け出していく。その大もとになっているのは米軍基地であるわけですが、そういう中でも、どんな振興策を真剣にやっていくか。

 きょうは盛りだくさんの質問を用意してきたんですが、時間がありませんので、あとの質問はまた、我が党は参議院でもやっていくことになると思いますから、質問を終わります。

前原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

前原委員長 この際、本案に対して、嘉数知賢君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。三井辨雄君。

    ―――――――――――――

 沖縄科学技術大学院大学学園法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

三井委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、修正の概要を御説明申し上げます。

 本修正案は、第一に、法律の目的に、沖縄の振興に寄与するとの趣旨を追加するものであります。

 第二に、学園の評議員の選任に関する特例を新たに設け、評議員に、沖縄における経済または社会の実情に精通している者及び大学の経営における公正性及び透明性の確保に関して優れた識見を有する者が含まれなければならないものとするものであります。

 第三に、国は、予算の範囲内において、学園に対し、業務に要する経費について、その二分の一を超えて補助することができることに改めるとともに、十年間に限り業務に要する経費の二分の一を超えて補助できるものとする規定は削除するものであります。

 第四に、国は、この法律の施行後十年を目途として、学園に対する国の財政支援のあり方その他この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとの規定を設けるものであります。

 以上が、本修正案の概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

前原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

前原委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、沖縄科学技術大学院大学学園法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、嘉数知賢君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

前原委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

前原委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

前原委員長 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、理事会等において御協議いただきました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。

 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から御説明申し上げます。

 我が国固有の領土である北方領土が、昭和二十年八月以来、旧ソ連に不法に占拠されたことにより、北方地域の元居住者は、北方地域に帰島することはもとより、その周辺の漁場において我が国漁業者が円滑に操業を行うこともできないという特殊な状況のままに、今なお置かれています。また、根室市、別海町、中標津町、標津町及び羅臼町の一市四町は、かつては北方領土と一体の社会経済圏を形成して発展した地域にもかかわらず、北方領土問題が未解決であることから、地域社会として望ましい発展が阻害されるという特殊事情のもとにあります。

 こうした特別の事情を抱えた北方地域元居住者や北方領土隣接地域に配慮し、昭和五十七年、北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律を制定し、北方領土問題等についての国民世論の啓発、北方地域元居住者に対する援護等措置の充実並びに北方領土隣接地域の振興及び住民の生活の安定に関する計画の策定及びその実施の推進を図るための特別の措置について定めました。

 北方領土の返還実現に向けたさまざまな活動が行われる中、昭和三十九年から実施されていた北方領土への墓参に加え、いわゆるビザなし交流と呼ばれる四島交流が平成四年から、自由訪問が平成十一年からそれぞれ開始され、交流等事業が定着した一方、元島民の高齢化の進展や北方領土返還運動参加者の減少傾向といった経年による変化、北方領土隣接地域における活力の低下が顕著になってまいりました。

 本案はこのような情勢の変化を踏まえ所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、法律の目的に、北方領土が我が国固有の領土であることを明記すること、

 第二に、四島交流、墓参及び自由訪問の交流等事業を定義に追加するとともに、国は、北方領土問題が解決されるまでの間、交流等事業の積極的な推進に努めることとし、交流等事業の円滑な推進のため必要な財政上の配慮をすること、

 第三に、国は、北方地域元居住者が北方領土返還運動の有力な担い手として引き続きその重要な役割を果たすことができるよう、返還運動の後継者の育成を図るために必要な措置を講ずること、

 第四に、振興計画に基づいて特定事業を行う北方領土隣接地域の市及び町が実質的かつ確実に特別の助成が受けられる仕組みに改めること、

 第五に、国は、北方地域の領海における我が国漁業者の操業の円滑な実施を確保するために必要な措置を講ずるよう努めること、

 第六に、北方領土隣接地域振興等基金の対象事業として、技能研修に係る事業に加え、知識の習得に係る事業を加えること

等であります。

 なお、この法律は、平成二十二年四月一日から施行するものとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

前原委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。佐藤沖縄及び北方対策担当大臣。

佐藤国務大臣 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、政府としては、特に異存はございません。

前原委員長 お諮りいたします。

 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を委員会の成案として、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

前原委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

前原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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