衆議院

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第3号 平成22年5月10日(月曜日)

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平成二十二年五月十日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 山本 公一君

   理事 杉本かずみ君 理事 玉城デニー君

   理事 福嶋健一郎君 理事 松木けんこう君

   理事 向山 好一君 理事 伊東 良孝君

   理事 佐田玄一郎君 理事 遠山 清彦君

      石関 貴史君    石津 政雄君

      小林 興起君    瑞慶覧長敏君

      高野  守君    仲野 博子君

      鉢呂 吉雄君    藤田 憲彦君

      三宅 雪子君    皆吉 稲生君

      山岡 達丸君    井上 信治君

      北村 茂男君    小池百合子君

      宮腰 光寛君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君    下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 前原 誠司君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   厚生労働副大臣      長浜 博行君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   防衛大臣政務官      楠田 大蔵君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 正司君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  清水  治君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           小河 俊夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森岡 雅人君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   衆議院調査局第一特別調査室長           湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  土肥 隆一君     藤田 憲彦君

  仲野 博子君     石津 政雄君

  若泉 征三君     皆吉 稲生君

  井上 信治君     小池百合子君

  稲津  久君     遠山 清彦君

同日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     仲野 博子君

  藤田 憲彦君     土肥 隆一君

  皆吉 稲生君     若泉 征三君

  小池百合子君     井上 信治君

同日

 理事稲津久君同日委員辞任につき、その補欠として遠山清彦君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に遠山清彦君を指名いたします。

     ――――◇―――――

山本委員長 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官原田正司君、内閣府沖縄振興局長清水治君、内閣府北方対策本部審議官小河俊夫君、厚生労働省大臣官房審議官森岡雅人君及び環境省総合環境政策局長白石順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小池百合子君。

小池委員 小池でございます。

 本日、沖縄北方対策委員会にて質問の機会をちょうだいいたしました。簡潔にお答えをいただければ、このように思います。

 まず、昨今の報道、流れを見ておりまして、私は本当に情けない、その一言でございます。

 例えば、沖縄の普天間の移設先をめぐりまして、あたかも旅行先もしくは不動産を探すかのような報道が毎日出て、その名前が挙がったところでは反対集会が行われ、疑心暗鬼が生まれている。そして、国外だ、いや、最低でも県外だとおっしゃっていた鳩山総理でありますけれども、最近では辺野古、そして環境に優しいかどうかわかりませんけれども、くい打ち方式でなどということで、最低でも県外と言ったのがいつの間にか、何のことはない、一番ワーストであるとそこから察することができる沖縄にまた舞い戻ってきて、そしてくい打ち方式なるもので、今は地名から工法へと話がすりかわってきているわけでございます。

 二十一世紀に入って約十年、そしてまた万博が上海で行われ、ことしにも日本の経済の規模が世界第二位から中国にその座を奪われるというような状況、そしてまた環境なども中心として今世界が大きく動いている中において、国内問題もございます。宮崎の口蹄疫の問題もございます。諸々、我が国としての課題が山積している中で、この迷走ぶりを見ておりまして、国家としての形態を整えていないのではないか、このように諸外国から見られてもおかしくないような状況でございます。そういう中におきまして、きょうはこの沖縄の委員会でございますので、幾つかその情けない事案の件をお聞かせいただこうと思っております。

 まず、事業仕分けで、先月二十三日に沖縄科学技術研究基盤整備機構に関しましての仕分けが行われたわけでございます。その結果でございますけれども、運営委員会、ボード・オブ・ガバナーズの経費の予算縮減、そして事務体制の強化の必要性が判定として下された、このように聞いているわけでございます。

 そして、そのとき、私もこの流れにおいて沖縄担当大臣として担当もいたしていたということも振り返りますと、ノーベル賞の受賞者でありまして理事長のシドニー・ブレナーという方が、おひげをいっぱい蓄えられまして、そして仕分け会場にちょこんと座っておられたわけでございます。最後に、シー・イズ・ア・チャーミング・レディーという、この言葉をどう受け取るかが問題かと思いますけれども、その言葉を残して去られたということでございます。

 辺野古の問題はだめだけれども、このOISTの方は残すということでございますから、それはそれでいいかと思いますけれども、例えばシドニー・ブレナー先生を初めとして、ボード・オブ・ガバナーズにかかわっている方々というのはずらりとノーベル賞学者の方々がそろっておられて、そして、その会議費が高い、会議をするのがサンフランシスコはおかしい、そんな議論があったと聞いております。しかしながら、この方々をそろえ、そしてまた会議費、一回出席すれば五十万が高いかどうかというのは、これは知識に対してどれぐらいの敬意を払っているのかという一つの目安にもなるわけでございます。

 そしてもう一つ申し上げますと、このノーベル賞学者のメンバー、ヴィーゼル先生はノーベル医学賞の受賞、フリードマンMIT教授は物理学賞、ティモシー・ハントさんは二〇〇一年の医学・生理学賞、李遠哲さんは台湾の方で、八六年、化学賞受賞、そして一番活発に動いてくださってきた利根川進先生、MITの教授でございますが、八七年の医学・生理学賞、そして今名前は消えておりますけれども、スティーブン・チューという、同じく物理学賞を受賞された方もこのボードメンバーでございます。

 この方々を一カ所に集めて議論をしていただいて、それは大変熱のある議論で、この世界をどうやって救っていくか、科学で救っていくか、その中心を日本の沖縄に置くんだという、そのパッション一つで動いてきてくださっているんですね。そこでもって会議費一回五十万円は高いじゃないかというのは、私は非常に矮小化した見方であって、その方々は日々、メールでやりとりをずっとされておられるんですね。

 だから、一回行きましたといって、演歌歌手の公演じゃないんですよ、演歌歌手の方も日々努力されておられますけれどもね。だけれども、そういう見方で、ただただ計算、高いじゃないか、このように一刀両断するのは、私は日本からのメッセージとして、ああ、日本というのはそういう国なんだなということがこの方々のメールで回っているという事実、これについて担当の前原大臣はどう考えますか。

前原国務大臣 この機構発足当時の沖縄担当大臣は小池委員だというふうに承っておりますし、今おっしゃったことについては、私も大きな方向性といいますか、考え方としては委員と共有するものであります。

 今回は、事業仕分けというもので、さまざまな観点から議論がなされたというふうに伺っておりますけれども、この沖縄科学技術大学院大学というのは、沖縄振興もさることながら、日本に世界水準の大学院大学をつくろうということでスタートしたものでございまして、知的クラスターの形成、そして人材の育成につながるものでありまして、大変重要な国家プロジェクトであるというふうに認識をしております。したがって、今の準備はしっかりと進めていく中で、予定どおりの開学につなげていきたい、このように考えているところであります。

 今、小池委員からお話ございましたように、先般の事業仕分けにおきまして、機構の運営委員会の経費、ガバナンス体制等について議論が行われて、結果として、事業規模を縮小するとともに、ガバナンスを見直すべきということがございました。

 一回の謝金五十万円が高いかどうかということについては、今委員がおっしゃったように、世界のトップレベルの方々に集まっていただき、またその準備等もしていただくということを考えれば、私は決して高い金額だとは思っておりません。ただ、今までの準備の過程にありまして、予定を四十億円も超える支出が行われていたということが明らかになって、このことについては私の方から厳しく、体制の見直し、そして予算管理とか事務管理体制の見直しというものを指示したところでございます。

 今回の仕分けの結果も踏まえまして、これまで以上に、立派な方にも来ていただくと同時に、さはさりながら、ガバナンスがしっかりしていなかった面もあるというのも事実でございますので、管理運営体制の抜本強化を図りながら、平成二十四年の開学に向けて努力をしてまいりたい、またさまざまなアドバイスをちょうだいしたい、このように思っております。

小池委員 ガバナンスの問題というよりはマネジメントの問題ではないかと思います。四十億円膨らむなどというのは、これは研究者の言うことを全部聞いていたらそうやって膨らんでしまうわけですから、専任事務局長を置くというのは正しい、このように私は思っております。

 また、前回のときに、二位じゃだめなんですかという有名な言葉があったときに、日本のノーベル賞学者がずらっとそろわれて、歴史の法廷に立つ準備はあるのかということを訴えておられましたね。私は、あのとき日本の科学者たちがずらっと並ばれましたけれども、今回の仕分けの負の遺産は、すばらしく人格が高く、そしてまた世界じゅうにネットワークを持っておられるブレナー先生を通じて、日本という国はなあということがどう広がってしまうか、このことが大変恐ろしいなと思っているんです。

 このOISTの出身者が今後ノーベル賞を受賞するということを一つの目標にしながら、わかりやすい目標としてやっているわけでありまして、また、ノーベル賞の世界というのは、専門の学賞は専門家がチェックをするんですね。ですから、このボード・オブ・ガバナーズが開かれているときにどんな会話をしているかといったら、いや、あの学者はもう少し勉強してもらわないといけないとか、もう少しこの辺のところを研究した方がいいとか、このOISTに自分の弟子を送るかどうかとか、そんなことを言っておられるわけでありまして、そこを五十万円だ何だかんだの話になってしまうと、非常に矮小化してしまう。

 それこそ、この方々は世界に散らばって研究を続けておられるので、わざわざそのために集まって抗議集会を開くなどというようなことはされないと思いますけれども、実は、目に見えない形で、ノーベル賞のネットワークにこのOISTが下に位置づけられてしまうということは今回のマイナス面になっている。そのことは余り日本では喧伝されておりませんけれども、せっかくOISTをつくるんですから、もっと知に対しての深い配慮というものがなければ、科学者も世界じゅうから今引っ張りだこなんですよ。わざわざ日本に来て、そして沖縄で知のコアをつくろうという心意気でやってくださっているところを絶対に忘れないでほしい、このことを強く申し上げておきたいと思います。

 そして本題になりますけれども、ああ情けないと思ったのは、冒頭に申し上げましたように、国外、最低でも県外とおっしゃっていたあの鳩山総理が進められているのが、また結局、辺野古の地に戻ってきている、各種報道を見ておりましてそのように受けとめているわけでございます。

 もっと情けないと思ったのは、例の、学べば学ぶにつけ、沖縄の米軍全体が連携して抑止力が維持できるという思いに至った、浅かったと言われればそのとおりかもしれないと。聞いたときに一言、情けないと思いました。そしてまた脱力をいたしました。

 十三年、十四年、くいの一本も打てなかったじゃないかと。だけれども、その間にはさまざまな苦労があり、そしてまた沖縄の皆様方に、それはそれは苦渋の決断もしていただき、それを積み重ねてきて用意をして環境アセスも整い、あとはゴーサインだけといったところでちゃぶ台がひっくり返されたんですね。その上で、今になってまた沖縄に戻ってくるんですか。あり得ないじゃないですか。

 これまでの間だって、この期間、普天間の問題で迷走を続ける、そしてそのことが世界に喧伝される、ルーピーなどというような恥ずかしい言葉を世界の一流紙の、たとえコラムとはいえ、そんなところに載せられる。みっともないじゃないですか。

 前原さん、どう考えますか。

前原国務大臣 鳩山総理は、御自身の思いの中で、できるだけ沖縄の負担軽減をしたい、こういう思いをずっと一貫して持っておられると思いますし、また、その思いの中で今までも行動されてきたんだというふうに思っております。

 我々今申し上げられることとしては、五月末までに決着をさせるという総理の思いの中で、一致協力をしながら沖縄の負担軽減、そして最も大きな問題である普天間の飛行場の少なくとも危険除去、そして返還というものにつなげていくためにしっかりと努力をしていきたい、このように考えております。

小池委員 けさも関係閣僚会議が開かれたと聞いております。急に開かれたのではないでしょうか。そして今、沖縄の負担軽減に対しての思い、これは私たちだって持っていますよ。当然のことであります。

 その中において、理想と現実の中で一つ一つの作業を重ね、そして沖縄施設庁、今は防衛局と言っていますが、職員たちが一升瓶を片手にしながら県民の皆さんと、それぞれの地域の皆さんと、信頼の醸成を重ねて重ねて重ねてやってきたわけであります。一升瓶といっても泡盛ですから結構きついですよ。そういう中において準備を重ねてきたわけでありまして、環境アセスについても、二年たっぷりかけてやってきたわけであります、潮の流れがどうなるのか、藻場の変化はどうなるのか。そういったことを重ねてきて整えた、そのちゃぶ台をひっくり返されて、そして今ひっくり返ったちゃぶ台を皆さんが一つ一つ集めようとして、結局、何のことはない、もとの辺野古ですか。

 辺野古の案は今どうなっているんですか。生きているんですか、死んでいるんですか。

前原国務大臣 現時点で、鳩山総理から政府としての、また総理としての正式に決まった考え方というのは示されておりません。その環境整備に向けて、今あらゆる選択肢の中で、政府の中で議論をしている最中でございます。

小池委員 今議論をしているとおっしゃいましたけれども、御自分で勝手に区切られたリミット、デッドラインというのは五月末でしょう。五月末までに、これまで担当してきた我々とすれば、どう考えても、物理的にも心理的にもこれは無理ですよ。そのことをきのうテレビでお認めになったんじゃないですか、前原大臣。

前原国務大臣 とにかく、政府一体となって総理の思いを実現すべく努力をしていく、それに尽きるわけであります。

小池委員 では、努力が実らなかったらどうするんですか。

前原国務大臣 実らなかったことを考えるよりは、今、実るように努力をしていく、こういうことでございます。

小池委員 だれに祈るんですか。祈るというのはだれに対して……(発言する者あり)実る。わかりました。聞き間違えましたけれども、祈るとしか聞こえませんでした。もはやそういう状況なのかな、このように思うわけでございます。

 そもそも抑止力を、もう総理になっているんですよ、一国の総理ですよ、そして軍ではないけれども、いわゆる三軍の長ですよ、その方が、今抑止力というものがわかりましたと言っておられることについて、これは重要な国家機密を漏らしたと言わざるを得ません。つまり、この国のトップというのが安全保障という一番重要な必須科目をただいまお勉強中であるということを認めてしまうということは、これは安全保障上問題だと思いませんか、前原さん。

前原国務大臣 当然、鳩山総理は、日米同盟関係の重要性、そしてまた抑止力、そういうものはよく御存じなわけであります。

 ただ、鳩山総理の性格であると私は思いますけれども、謙虚さからああいう発言になったということで、全くもって抑止力を御存じなかったということは、私は日ごろずっと鳩山さんとお話をしておりますけれども、そういうことは全くないということは断言できます。

小池委員 謙虚さによって徳之島の人たちの気持ちを翻弄し、そしてまた沖縄の皆さんに最低でも県外と言っておきながら、また辺野古に戻ってくるというのは、これは謙虚なんですか。

前原国務大臣 とにかく、政府一体となって五月末に向けてしっかりと、沖縄の負担軽減のために、普天間の返還のために努力をしていく、それに尽きると考えております。

小池委員 さっきから、とにかくばかり出てくるんですけれども、それはもう思考停止の言葉ですね。現実にこの国の安全を担っている国家として、とにかくとにかくばかり言って、そしてまた混乱が広がっていくというのは安全保障上問題ではないかということを尋ねているんですが、いかがですか。

前原国務大臣 いろいろと報道はされておりますけれども、政府として公式に申し上げたことについては、総理は徳之島に一部機能をお願いできないかということはおっしゃいました。これはおっしゃった。それからもう一つは、すべて県外にということはなかなか難しいということも沖縄に向かっておっしゃった。

 これが、二つが公式的に述べられたことであって、それ以外は、まさに報道がいろいろされる中で、その報道でまた違った報道がなされるということでありますので、今申し上げたように、政府から総理のメッセージとして出されているのはこの二つである。そしてこの二つをベースに、最終的な取りまとめに向けて、今、政府一体となって努力をしているという状況でございます。

小池委員 今改めて確認をしておきたいんですが、この問題の決着、五月末までに区切られたわけでありますけれども、決着の中身をもう一度おさらいをしておきたいと思います。

 これまでの政府答弁などをまとめますと、まず第一に政府・与党内の合意ができていること、二つ目に地元の合意があること、そして三番目にアメリカ側の合意があること、これをして決着と、このように既に国会などでも述べておられるんですが、これで間違いありませんね。

前原国務大臣 そのときの地元の合意というものをどのように定義づけるかということだと私は思っております。やはり、しっかりと地元の方々とお話をしながら、そして、その地元の理解を得るための不断の努力というものは五月を超えてでもやっていかなくてはいけない点ではないか、私はそう思っております。

小池委員 その時々によって合意の定義が違うというのはどういう意味ですか。

前原国務大臣 今私が申し上げたとおりでございまして、基本的には五月末の決着ということに向けて、今、内閣として努力をしているところでございますけれども、その中身の地元の合意ということについては、何をもって合意とするかということについて、私は、やはり人と人のかかわりの中で話し合いがなされることでございますので、当該地域の方の御理解を得るためには不断の努力というものが必要だろうということを申し上げたわけであります。

小池委員 それは、例えば町長、徳之島の場合、町長は三町長おられます。どこの町になるのかによって違ってくるのかもしれませんけれども、その町長がよくわかりましたと言って、言葉を明確に発するということで合意とみなされるんでしょうか。

前原国務大臣 そのような明確な言葉の定義を我々は申し上げたことはございません。

小池委員 では、雰囲気として合意というんですか。

前原国務大臣 そのことも含めて、今、政府一体となって各関係方面に努力を働きかけているという現状でございます。

小池委員 努力は常に続けなければなりませんが、政治は結果責任であります。この一点であります。そして、言葉には沖縄への思いとか、思いという言葉をすぐ連発される総理でありますけれども、そのたびにころころ変わりますので、その思いはいかにも軽いと言わざるを得ないと私は思っております。

 そういう中において、今、合意の話にしましても非常にあやふや、そしてまた五月末ということを今もう先延ばしに入っているかのような発言があちこち散見されるわけでありますが、国民とすれば、やはり託した政府が、言ったことをちゃんとやってくださいよということが目に見えないと、これはまさに政府に対しての不信につながる、支持率などはそのあらわれかと、このように思うわけであります。

 それに対して、五月末までに明確な、先ほど三つ申し上げましたけれども、それらが明確にできなくても、引き続きその努力を重ねるから、五月末で明確な合意がなくてもいいんだ、このようなお考えでしょうか。

前原国務大臣 とにかくと言うと怒られますので、いずれにいたしましても、政府として、先ほど申し上げたように、総理がおっしゃっていることは、徳之島に一部、部隊もしくは訓練の移転をお願いできないかということは明確に外に向けておっしゃっております。そして沖縄に対しても、すべて県外というわけにはいかないということについて御理解をいただきたいということはお話をされておりますけれども、さらに明確に政府としての考え方については今月中にしっかり決めて、そして、それについての合意を得るための努力を行うということになろうかと思います。

小池委員 五月末と期限を決められて、きょうはもう五月の十日であります。二十日という期日の中でできる合意というのはそう大したものではない。これがもし北朝鮮でしたら、えいやっでやっちゃうんでしょう。しかし、そこは全く民主的ではありません。

 そういう中において、先ほどの三つの段階での合意の中で、最初に申し上げたのが政府・与党内の合意ということでありました。今既に国民新党は、辺野古にまた戻るなどということはあり得ないということを代表がおっしゃっておられます。そして、後ほど照屋寛徳先生も、これからどんな御発言をされるのでありましょうか。政府はともかく与党内でさえ、合意に向けて、五月末までに決められるというのはもう曲芸に近いと思うんですが、いかがですか。とにかくと、いずれにしてもという言葉は使わないでください。

前原国務大臣 先ほどからお話をしておりますように、総理が明確に今までおっしゃったのは、徳之島に一部の訓練やあるいは機能の一部を受け入れてもらえないかということはおっしゃいました。そして、それと同時に、沖縄の負担をすべてなくすということはなかなかできないかもしれないということは率直におっしゃっております。

 その中で、今さまざまな努力がなされている過程でございますけれども、その段階で連立与党にもお話をし、合意が出るように努力をしていくということでございます。

小池委員 それはなかなか、これまでの流れを見ていましても非常に困難ですね。連立方程式はもう瓦解しているんじゃないでしょうか。

 そして、先ほど与党の中でと申し上げましたけれども、民主党の中でも、けさの毎日新聞では、小沢氏とアメリカ・ルース大使が極秘会談をされておられて、「ハトヤマは信用できない」ということが見出しに書かれております。そしてまた、「鳩山首相は信用できない。岡田克也外相じゃ話がまとまらない。北沢俊美防衛相じゃ話にならない」ということが漏れているんですね。これは、小沢さんと会食をされた方、複数の関係者に会議内容の一部を明かしたということがまた記事になっているというのは、あえて小沢さんは外に出していますね。

 そしてまた、不愉快でしょうけれども、「岡田克也外相じゃ話がまとまらない。」などということが言われちゃっていますけれども、これに反論しませんか。

岡田国務大臣 委員も大臣まで経験されたわけですから、十分わかっていて質問されているんだと思いますが、メディアの報道、いろいろな思惑もあり、あるいは不正確さもあります。そういう中で、一々記事について私はコメントすることはございません。

小池委員 しかし、これは小沢さん側から出ているとしか思えないんですね。(発言する者あり)推測で、間違いだったらこれは記事の訂正を出されるべきでありますね。そういうことにおいて、与党の中でもその内容が、流れが非常に混迷を続けているというところでございます。

 さて、今また訓練を全国各地に拡散をするんだということが述べられて、報じられてもいるわけでございますけれども、そもそも、訓練をあっちこっちでばらばらやるということを私はアメリカ側がのむとも思わない。そもそも徳之島案についても、これをアメリカがのむとは聞いておりません。

 このように、とにかく、私もとにかくと言っていますが、国外、最低でも県外という言葉に自縄自縛になることによって、結果として日本の安全保障が守られなくなるというのは本末転倒になるんじゃないでしょうか。前原さん、いかがですか。

前原国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、さまざまな報道がなされておりますけれども、それはあくまでも推測の域を出ないものでありまして、それを前提にお答えすることは建設的な議論ではないんだろう、このように私は思います。

小池委員 報道は、それではいつも推測ばかりかといったら、時にはそうではなくて本当のことが、どきっとするようなことが書いてあったりして戸惑って、大体そこで、そのことは推測にすぎないと否定をするのがお約束なのでありましょう。

 しかしながら、今の日本が置かれている状況というのは、中国そして台湾、もちろん北朝鮮、韓国の各国が、この地域の安全のためにどうなるのかと、実は最もはらはらどきどきして見ているわけでございます。中でも、最近の中国の動きが活発であることは岡田外務大臣もよく御存じだと思います。それは、四月八日、二十一日と、日本の海上自衛隊の護衛艦に対しまして艦載ヘリを至近距離に接近させたという事例がございます。また、五月四日、中国の調査船が奄美沖のEEZの中に入って、そして四時間近く海保の測量船の追跡を行っているわけでございます。

 前回、抗議が遅いじゃないかと私どもは述べさせていただいているわけでありますが、今回は中国政府に厳重に抗議したということでございます。これはあたかも、日本とアメリカの間のすき間風を瀬踏みするかのような行為という見方も存在するわけでございます。

 そしてまた、実は、北の空では時折ロシアの空軍がやってまいりまして侵犯をしたり、またこちら側からスクランブルをかけたりするわけでありますけれども、これは日ロの間での暗黙の了解とでも申しましょうか、それらが既にある意味であるわけですね。偶発的なことが起こることが一番危険であります。

 そこで、こういった問題について、防衛省、もっと緊密な連携をとるべきではないかと思いますが、どのような努力を今されておられますか。

榛葉副大臣 お答え申し上げます。

 ロシアについても常に我々は、警戒監視を含めて、さまざまな情報を得ているところでございますが、ロシアに固定せず、さまざまな状況で各国との信頼醸成もしくはそういった情報交換をしているわけでございます。

 政治状況が変わる中でさまざまな防衛交流も、防衛関係も変わるわけでございますが、常に我々は、ミリタリー・ミリタリーでは信頼関係を醸成していくということに鋭意努力をしているというところでございます。

小池委員 ここは緊密にしていただかないと、前回の中国の場合も、これは実は司令官というか、指揮の系統の中での行動だったかどうかというのが疑問視されているわけですね。そこはむしろ危ないところでありまして、あたかも挑発的な行動が非常に危険な状況を引き起こすということはまさに避けなければならないわけでありまして、いろいろな対話が進んでいることも承知をしておりますけれども、特にこの点は新しい事例として詰めていかなければ本当に危険である。

 もう一つ伺いますけれども、与那国島に自衛隊を置こうということを浜田靖一防衛大臣のときから特に進めてきております。

 かつて北澤防衛大臣は、この点については、いや、相手国、近隣の国を刺激してはいけないからみたいなことで非常にナイーブな発言をされておられました。それを最近は少し改めようという動きがございますけれども、その事実関係はどうなのか。そしてまた、何をもってそれを変えようとしているのか、お答えください。

榛葉副大臣 小池委員にお答え申し上げます。

 北澤防衛大臣が、大臣就任当初そのような御発言をされたということは、私は副大臣として承知をしておりますが、決してそれは日本の安全、そして抑止力を軽減して、過度に近隣諸国に不安を与えるという発言ではなく、政権がかわり、こういった問題はやはり慎重に、きちっと調査し、考える必要があるという意味で申したものでございまして、北澤大臣を初め我々、島嶼部の防衛という問題は極めて重要であるというふうに認識をしており、また昨今の事例を申すまでもなく、こういった問題は真剣にとらえていかなければならないというふうに考えております。

 なお、北澤大臣も、先日現地に行っておりまして、この問題の重要性は重々承知しているというところでございます。

小池委員 要は、北澤大臣、大臣になられて学べば学ぶにつけ、与那国の防衛が必要だという考えに至った、このように理解してよろしいでしょうか。

榛葉副大臣 与那国に特定せず、特に南西、そしてさまざまな、日本は島国でございます、六千を超える島で成り立っている国でございます。そういった観点において、各地における島嶼防衛というものは極めて重要だというふうに大臣も把握をしているというところでございます。

小池委員 今、中国の海軍が空母の建造を進めている等々、海軍力を非常に増大させていることは周知の事実だと思います。

 二〇〇七年にアメリカ太平洋軍のキーティング司令官が中国の海軍の司令官から聞いたとして、議会証言を翌年に行っておりまして、そのときは太平洋分割管理を提案されたんだという話、前原大臣も御存じのとおりでございます。ハワイ以東、東をアメリカ、西を中国ということで、アメリカ側は、これは中国の非常に露骨な野心であるということでとらえたわけでございます。

 また、例のソマリア沖の海賊の問題でありますけれども、あのときも中国はいだてんで海軍を送って、今配備されている。また、行く中において給油の訓練なども行っていて、あたかもインド洋から我が国の海上自衛隊が撤退した後をねらってもおかしくない。

 また、真珠の首輪ということについては、岡田大臣、御存じでいらっしゃいますね。真珠の首輪と言われている中国の最近の活発な動きについてどのようにとらえておられるのか、ここで伺っておきます。

岡田国務大臣 私の理解では、インドを取り巻く拠点を整備している、そういうことだと理解をしております。

小池委員 中国の海軍の動き、パキスタンやスリランカ、バングラデシュ、ミャンマーだけではなくて、アフリカにも着々と足を伸ばしているのが現状であります。

 ついこの間、北澤防衛大臣がインドに出向かれた。私も大臣の折に、インドとの対話で、海上におけるシーレーンの確保、安全の確保ということで、日印で連携をしていこうということなどを進めていたところでございまして、いらっしゃる意味はよくわかっております。

 これらのことを考えますと、太平洋そしてインド洋という海の覇権をめぐる、今、世界史上まれに見るような大きな変化が起こりつつある中において、例えば普天間の基地の問題一つ片づけられない日本、それで政府が迷走している日本、ルーピーと侮られる日本。そしてまた、ルーピーの部分だけじゃないんですね。あそこで重要な記事は、ルーピーをどういうふうに訳すかということではなくて、あそこに書かれているポイントは、要は、核の傘の下で日本は何十億ドルも節約してきただろうということが書いてあって、これがアメリカ側の見方なんですね、日本はもちろん違う見方もしておりましょうけれども。

 この辺のパーセプションギャップを一つ一つ埋めていかなければ、日本の国防ということ、そして将来への禍根を残すようなことになってしまうからこそ、五月末で決着というんだったら、びしっと決めてほしいですよ。さもなければ、さっさと総理をやめるべきですよ。その任にあらずと私は申し上げたいけれども、岡田大臣、前原大臣、どのようにお考えでしょうか。

岡田国務大臣 今、委員のお話を聞いておりまして、私は二つのことを考えておりました。

 一つは、地元の合意ということを委員は盛んに言われるわけでありますが、それでは、日米合意案というのは地元の沖縄知事は合意していたのかということであります。今のままではやはりだめで、もう少し沖合に出すということを主張されていたのではないか。まだそういう意味での知事との合意はなかったのではないか。そのことについて委員がお触れにならないのはどういう意味なんだろうかということを感じておりました。

 それからもう一つは、徳之島に機能の一部を移す、それは総理の、沖縄の負担を何とか軽減したい、そういう思いの中で、しかし距離的に離れ過ぎるということはできない、そういう中で徳之島への一部の移転ということを、総理は苦しんだ中でいろいろ考えておられるわけであります。

 そういう中で、私はこれは映像でしか見ていませんが、徳之島の移設反対集会に委員は出ておられた。私は、防衛大臣まで経験された方がどういう思いで出ておられたのか、それはぜひ一度お聞きしたいと思っておりましたので、この機会ですから、もしお答えになれるということであればおっしゃっていただきたいと思います。

前原国務大臣 できなかった前提の議論をしても仕方がありませんので、しっかりと政府としての考え方を決めて、実行できるように努力していくということであります。

小池委員 今、岡田大臣の方から御質問をちょうだいいたしました。

 御答弁申し上げますと、日米合意についての知事の微妙な立場などもおもんぱかりながら、微妙に、また繊細にこのことを進めてきたのであって、ないからといって、それでは、この間、沖縄の仲井眞知事は反対集会に出られて、そしてノーとはまだ言っておられませんね。このようなところを大切にしていかなければいけないわけであります。

 それからまた、徳之島についてはデュープロセスが全く違っています。それについて、何の地元の言葉も聞かないうちにそれを進めるというのは民主主義のやり方ではないということを申し上げているのであって、地元の気持ち、特にあの島は米軍に対しての大変センシティブな感情を持っていることをおわかりではないんじゃないだろうか、また、そのことをちゃんと総理に伝えているんだろうか。

 五月十五日が復帰の記念日であるにもかかわらず、その日に総理を行かせるというのは、一体官邸は何をしておられるのか。私はこのことを非常に不思議に思っていて、もはや官邸崩壊ということが言えるのではないか、こう思っておりますので、お答えにかえさせていただきたいと思います。

 さて、今、くい打ち案ということが喧伝をされているわけでございますが、自然に対する冒涜云々発言が鳩山総理からありました。そして、くい打ちの場合は埋め立てではないのだから、あたかも自然への冒涜にはならないといったように私は理解をしたわけでありますけれども、環境アセスの観点から、桟橋案云々については、まず環境アセスが要るのか要らないのか、そしてまた、それが環境に与える影響は一体どうなのか、環境省、答えてください。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 報道されている中身ということなので、私どもといたしましては具体的にどういう案なのかということがわからないわけでございますので、その意味ではコメントは非常に難しいわけでございますので、あえて一般論でお答えをさせていただこうと思いますが、埋め立てでございます。

 公有水面埋め立てによる埋め立ての事業というものは、御案内のように、一定規模以上の場合はアセス法の対象でございますけれども、いわゆるくい打ち桟橋の部分というのは公有水面埋立法上の埋め立てとはみなされない部分でございますので、その部分はアセス法の対象外になるというのが一般論でございます。

 それから飛行場でございますけれども、これは最終的に、アセス法の対象の規模がございませんので、沖縄県の条例の解釈ということになるわけでございます。

 沖縄県の条例及びその施行規則を拝見いたしますと、事業規模の縮小、あるいは滑走路の長さの増加が二〇%未満かつ新たに飛行場及びヘリポートの区域となる部分の面積が十ヘクタール未満の場合、あるいは滑走路の長さ、飛行場及びヘリポートの区域の位置以外の修正、最後に環境への負荷の低減を目的とする修正、こういったもののいずれかに該当する場合には、現在、評価書の直前まで行っておりますアセスメントの継続ということになります。

小池委員 いろいろ報道がされているわけでございますけれども、あの地域のどこに、キャンプ・シュワブにおいてどのような方向で、どのような形で、どのような工法で進めていくべきかということは、これはもうありとあらゆることを想定して、そして今環境アセスの問題も出ました。これらのことを総合的に考えたのが今の現行案なわけですね。そのことをよく理解していただかないと困るということと、もし変えていくのならば、軽微な変更ではないという場合は、特に県条例、こちらにひっかかってくる可能性は私は大いにあるのではないだろうか。自然への冒涜ということをおっしゃるのであるならば、この環境アセスというのをきっちりやらなければならない、そう思っております。

 そしてまた、辺野古の近郊、宜野座村に小沢幹事長が土地を保有されておられます。このことは既に国会において後藤田議員から質問もさせていただいているところでございますが、これがちょうど日米合意後の十七年の十一月に買われている。五千二百平方メートルの原野である。普通、こういうとき何を考えるかというと、埋め立て用の土砂でも提供するのかなというふうに一般論として考えられるわけでありますけれども、登記簿であるとか資産報告書で既に明確になっているわけでございまして、これらの問題について、また疑惑について御本人にお話を聞かなければならない、このようにも考えておりますので、ここで改めて小沢幹事長の国会での招致をお願いしたいと思っております。これは、さまざまな委員会でお願いをしたいと思っております。

 また、普天間が移設した後でございますけれども、その跡地に大型スーパーの建設計画が既に進められているということでございます。岡田大臣、この件については御存じですか。

岡田国務大臣 普天間の移設についてそこまで具体的にお考えだというのは、私は初めて聞きました。

小池委員 そういう情報もあるということでございます。

 きょう五十分間で、さらに伺いたいことは多々あったわけでございますけれども、これで五月決着、我々が国会の答弁などを通じて受け取っていた合意には至らないであろうということを確信を持ったところでございます。

 努力を重ねるのは政府として当然でございます。しかし一方で、国民、そして何よりも沖縄の県民、そして今回名前が挙げられて、そのたびに町が混乱をしている徳之島の町民の方々、そのほか各地の方々の混乱を招いているということ、これをよく理解していただかなければ困りますし、何よりも、学べば学ぶにつけ抑止力の重要性がわかったということを軽く公言してしまう総理のもとで、日本国民、本当に大丈夫だろうかと、本当に不安に思っている方が圧倒的に多い、このことを申し上げておきたいと思います。

 何よりも、先ほど申し上げましたように、もはや官邸崩壊、政権崩壊、そしてまたそのことをお二人の大臣、それぞれ専門の分野と申しましょうか、特に前原さん、抑止力とは何ぞやというと一番的確に答えられる人だと思います。それをこのまま、鳩山総理を裸の王様のままにしていくのはだめだと思います。言うべきときはしっかり言わないとこの国がもちませんよ、本当に。もう情けないの一言ですよ。

 そしてまた、ジャパン・ディッシングなどという言葉が書かれている。これは軽蔑するということであります。日本国は世界から軽蔑されていいのでしょうか。もっと日本は大きな力でもって、そしてまた大国としてのリーダーシップを今こそ振るわなければ、これからの大きな世界のメガコンペティションの中で埋没してしまいます。これは自爆テロに等しいと私は言わざるを得ないと思っております。このことを申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、北村茂男君。

北村(茂)委員 自由民主党の北村茂男でございます。

 きょうは、大臣所信に対する質問をさせていただきますが、とりわけ普天間問題を中心に議論をさせていただきたいと思います。

 今ほど我が党の小池委員の質疑がございました。小池委員は、かつて防衛大臣を務められた専門家でもございます。私は、そういう意味では経験も浅く、どちらかというと国民目線での質疑をさせていただきたいと思っております。もしも小池委員の質問と重複することがあれば、お許しをいただきたいと思います。

 今、小池委員の質問にもありましたが、国民の間では、今、この国大丈夫、日本は将来大丈夫というのが合い言葉だと言われております。それは、国内政治にもその原因がありましょうが、とりわけ日本という国が諸外国の中でどのように生きていくのかという立場から、この普天間問題をめぐる議論、あるいは政府の迷走ぶりが、国民の間からこの国大丈夫と言われているのではないかというふうに思っています。

 その認識は、先ほど来のお答えを聞いておりましても、苦渋に満ちた答弁に思えてなりません。それは多分、鳩山総理と、同じ閣内にあっても、前原大臣、岡田大臣との認識に、表現は今ほどの表現であろうかもしれませんが、若干認識の違いがあることが何となくうかがい知れるのであります。したがって、しっかりと大臣としての思いをこの国の将来を憂える多くの国民の皆さん方に、明確な答弁をすることによって国民の不安を取り除いていただきたいという思いで質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、鳩山総理の過日の沖縄訪問の翌日、地方紙でありますけれども、購読者数でいえば県内で圧倒的な部数を誇る北國新聞という地元紙がございます、その地元紙のコラムにこんな記事が載っておりました。

  七カ月も練りに練った命がけの腹案とはこれだったのか。意外性も苦渋の決断の跡も見られない。

  「どうせそんなところだろう」と皆が思っていた通りの案を並べて沖縄へ再度負担のお願いである。怒り、落胆、失望などの言葉が飛び交っているが、普通の感覚の持ち主ならとてもできない対応だ。鳩山首相の不思議な思考回路を心配したくなるほどである。

  先日の基地県内移転反対集会を地元の女子高生たちが取材した。その後に感想を話していたのを放送で聞いた。県外移転をためらう女生徒の言葉が胸にしみた。同じ日本人として「人のいやがるものを押しつけるのは何だかいや」と。

  日本国内の米軍基地の七割強が沖縄に集中している。なぜ沖縄だけが犠牲を強いられるのかとの思いが基地移転の力となっている。その現実を十分知っていて、なお女生徒はそう言うのだった。戦後六十五年の沖縄の苦悩がここにある。

  わずかでも「県外」の名がつけば公約違反にはならないと見る分析もある。だから徳之島の名を出すなら、これほど島民を愚弄した話はない。「最低でも県外」の実態は「最低の県外案」である。

というものであります。

 今回の沖縄訪問において、鳩山総理は、すべて県外にというのは現実問題として難しい、率直に、最低でも県外案を撤回された瞬間であります。そして、沖縄の皆様、徳之島の皆様に、率直に、普天間飛行場移設で負担の協力を願えないかという思いだと発言をされました。

 またその後、五月七日には、もう御案内のとおり、徳之島の三町長が官邸を訪れ、鳩山総理との面談がありました。総理からの要請に、明確に訓練の一部の、施設及び訓練を含めてこれを拒否するということがありました。

 これら一連の流れは、いわゆるキャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる現行計画を修正し、くい打ち桟橋方式を軸に代替施設を建設し、徳之島へ一部訓練移転するという案を、正式にはまだ聞いておりませんが、政府案ともなっていないというお話でありますが、これを念頭に置いた総理の発言であったと推測をいたします。

 しかし、きょう午前中に報じられるところによると、関係閣僚で政府案を決定するとも報じられておりました。この最低県外案という案を持って総理が地元沖縄や徳之島の三町長にお話しされたことは政府案となるであろうという認識は、関係閣僚として既にお持ちなんだろうと思います。総理だけが持っているのであって、私たちは知らないという立場ではないんでしょう。

 岡田外務大臣、あなたは先月の参議院外交防衛委員会において「総理、そして防衛大臣、外務大臣、それから沖縄担当大臣、官房長官。五閣僚間で共通の認識はある」と答弁されていますので、この政府案の方向性はこれで間違いないというふうにお答えいただけるのでしょうか。外務大臣に伺います。

岡田国務大臣 まず、今委員御指摘の総理を含む五閣僚で、きょうも集まったわけですけれども、意思疎通をしながらお互い共通認識を持ってこの間ずっとやってきているということは申し上げておきたいと思います。

 それでは、それは具体的にどういう案なのかということでありますが、これはまだ政府として正式に表に出す段階に至っておりませんので、私から、具体的に今どういう案を我々として持ってやろうとしているか、そういうことについてコメントすることは控えたいというふうに思っております。

北村(茂)委員 もう既にきょうは五月の十日ですよ。しかも、案をつくるまでが五月末ならいざ知らず、五月末には明確に決着をする、こう言っておったんです。国益に関する問題ですから、私は正直言って、一日や二日違ったからといってどうこう言うつもりは私個人はありません。しかし、あれほど明確に国民の皆さんにお約束をされた総理の言葉は決して軽くはない。

 そういう立場からいうと、五月十日現在で、関係閣僚である主要閣僚のお二方が、いまだに決めていないんだと。これは私一人へのお答えではありません、国民へのお答えです。方向性は間違いないんですか、それも答えられないんですか。お答えください。

岡田国務大臣 方向性ということの意味をもう少し明確にしていただければというふうに思いますが。

 ただ、委員、率直に申し上げて、いろいろな考え方がメディアで報じられます。そうすると、先ほど私は小池委員に指摘したんですけれども、例えば徳之島という名前が出ると、徳之島で反対集会が持たれる。そのこと自身は、徳之島の方々の中でそういう意見が出ることは、これは当然だと思います。しかし、そこに元防衛庁長官が行って反対を叫ぶ、こういうことがあちこちで起こりますので、我々としては、慎重にも慎重を期してしっかりと、地元も含めてある程度の納得、受け入れというもののめどをつけた上で発表したい、そういうふうに考えているところでございます。

北村(茂)委員 沖縄が集中的な過重な負担を強いられているということについて、私の地元でも残りの四十六県が一つずつでも分けて担当できないかと言う人もおるぐらいに、沖縄の置かれている現状については国民の皆さん方も一様に認識はしていると思います。

 私は、冒頭申し上げましたように、専門家でもなければ、技術的にこれを議論するほどの能力はありません。しかし、あえて言うなら、政府の余りにも国民の皆さんに対する不誠実な姿勢、きょう十日ですよ、政府案をいつ決めるのかわかりません、もしもそれが五月いっぱいで決着するということであれば、余りにも不誠実じゃありませんか。やっていることはわかるんですけれども、やっているからというだけじゃだめなんです。結果をきちんと出さなければだめなんです。私はそう思います。

 そこで前原大臣、あなたは三月下旬に総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣とともに、米軍普天間飛行場の移設問題に関する関係閣僚会議と報じられている、普天間移設問題を五月末までに決着させるための調整協議に参加されているようでありますが、最終的な政府案を決定するために必要とされる手続上のどんな段階に今あるんですか。もう最終段階にあるんですか。どんな状況にあるんですか。教えてください。

前原国務大臣 今、関係閣僚が中心になってさまざまな方面との調整を行っている段階でございまして、今、明確にこの段階だということを申し上げる状況ではございません。

北村(茂)委員 この問題がクローズアップされた時点では、総理は国会で官房長官を中心に検討委員会を設けて鋭意やっているということでありました。その後、官房長官がどこかで、いや、関係閣僚会議は今後開かないんだと。多分、連立与党の中でいろいろな意見があるから、開いても結論が出ないという意味だったのかなと思っておりましたが、総理はそれを打ち消して、いや、やらなきゃだめなんだという話で、その後、開かれたというふうにも聞いておりません。

 各党の代表から、今となって国民新党の亀井大臣は、桟橋方式はだめだ、あれはマリコンと鉄鋼業者を喜ばすだけだと明確に言っておられるんです。あるいは社民党の福島党首は、堂々と閣内において国民新党と連携してでもこれは反対するんだと言っているんです、テニアンだと今でも言っている。

 このような状況の中で、いわゆる連立与党の基本政策を調整する委員会なのか、あるいは関係閣僚会議なのかわかりませんが、官房副長官、今どのような状況にあるんですか、あるいはどうしようとするんですか。お答えください。

松野内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 普天間飛行場の移設問題に関しましては、昨年来、官房長官を委員長とします沖縄基地問題検討委員会におきまして、精力的にいろいろな意見をいただいていたところでございます。また、この委員会に関しては、連立与党の各党の委員の皆さんも入られて、委員の皆さんの案もいただき、精力的に議論を重ねてまいりました。

 そして、関係閣僚が今最終調整をしているところでございまして、それを経てから基本政策閣僚委員会を経て、連立与党の考え方として出したいというふうに思っております。

北村(茂)委員 スケジュールとしては、もちろん五月いっぱいを想定しているんですね。

松野内閣官房副長官 五月いっぱいでございます。

北村(茂)委員 官房副長官、この後公務があるようです。どうぞ、時間も過ぎましたので退席していただいて結構であります。

 五月いっぱいに、連立与党として、あるいは内閣として結論を出すと。出されるんでしょう。出すんでしょう。あるいはまた逆に、出すことを私は国民として期待もします。しかし、事実上、私は出せないのではないかと。もう既に先送りすることを容認するような発言が各閣僚から幾つも出ているじゃありませんか。

 前原大臣だって、先ほど小池委員への答弁で、最終の詰めや協議事項などは残るかもしれないと言われたでしょう。だから、私は、最終決着とあれほどまで言った総理の言葉は重いということも申し上げつつ、詰めぐらいは残ったって、場合によっては知らないのかもしれないが、あなた方の言っている方向は五月いっぱいには出せないと。

 関係方面の了解を得た上での、アメリカ、地元の理解、合意、そして与党三党の政権の中での合意でこれを出すというんです。出せなかったらどうするんですか。出せますか。もう一度答えてください。

前原国務大臣 出すべく今努力をしているところでございます。

北村(茂)委員 もう本当のことを言うと、出すように努力をすると言うだけで、主要閣僚じゃありませんか、場合によっては次期首相として名前の出ているお二方ではありませんか、はっきり明確に言わないと、次期首相だと言われているだけで、国民の皆さん方から協賛を得られるかどうかわかりませんよ。特に社民党の福島党首などは、五月六日の党常任幹事会の席上、沖縄に首相が行ってこういう声があるわけだから、今こそ日本は米国に県内は地元の合意が得られないとはっきり言うべきだと述べているんです。改めて鳩山総理に、米国グアム、テニアンなどの国外移設を求める考えを強調されております。

 閣内の意思統一は可能だと思いますか、岡田外務大臣。

岡田国務大臣 私は、海兵隊は少なくとも日本の中にある必要があるというふうに思っております。国外という考え方はとっておりません。今の在日米軍の抑止力ということを考えたときに、やはり、例えば福島党首の言っておられるグアムとかテニアンということでは、これは遠いというふうに思っております。

 福島党首がみずからのお考えをお持ちになることは結構だというふうに思いますが、最終的にはこれは閣内でしっかり統一をして進んでいかなければいけない問題である、そのために努力をしたいというふうに考えております。

北村(茂)委員 私は、そもそも、どうもちぐはぐなのは、今回の総理の沖縄訪問そのものが何となく閣内一致した方向性を内外に示している行為だとは思えない。だって、総理が沖縄入りしたときに前原大臣も岡田大臣も日本国内にはいなかったんでしょう、海外出張でしたよね。本来なら、特に前原大臣は、私は閣内における沖縄の代弁者だ、場合によっては沖縄の声を閣内にも伝える橋渡し役をすると記者会見で言われてきたんです。

 私は、今回の総理の沖縄訪問、視察について、前原大臣の心中を推しはかることはできませんけれども、決して適切ではないというお考えを持っておられたんでしょう。あるいは逆に言うと、もっとお手伝いをして根回しするとか事前の調整をするとか、何らかのことがあってもよかったのではないでしょうか。

 この段階での総理の沖縄訪問及びその視察等については、前原大臣、あなたの評価はどういう認識を持っておられますか。

前原国務大臣 私は、内閣府特命担当大臣として沖縄も担当しておりますけれども、国土交通大臣も兼務をしております。その中で、アメリカとベトナムを訪問して、日本のインフラ技術の輸出というものが国益にかなうという思いで官民一体となって行ってきたところでございます。

 総理につきましては、沖縄の負担軽減をという従来からの強い思いの中で、御自身がみずから行動するということで行かれたんだと私は思っておりますし、総理のお気持ちというものは閣僚としても重く受けとめなくてはいけないと思っておりますし、総理が五月末までに決着ということをおっしゃっておりますので、しっかりと沖縄担当大臣としても連携をして努力させていただきたいと考えております。

北村(茂)委員 しかし、沖縄の県民の皆さん方はどう受けとめているか。その代表である沖縄選出の国会議員の方々は、きょうも官邸前で強い沖縄県民の声の意思表示をされているという報道が今手に入りました。

 私は、先ほど申し上げましたように、日本国民ひとしく今の現状をよしとしていない状況はよくわかるし、ましてや沖縄県民の皆さん方の思いというのは、過去の歴史を顧みればだれだって理解できるところであります。総理だってそのような思いであることは十分理解できます。

 だからといって、一国の、責任を担っている総理の発言や行動は、それに期待を寄せる国民のことを考えれば、しっかりとそれにこたえる、あるいはこたえるだけの成果をしっかりとつくり上げるという方向性を明確にする、そのことがなければ、いたずらに期待をあおって、落とすところはとんでもないところだった、今そんな状況になっているんです。(発言する者あり)いや、なっているんです。ならないと言うのなら、この残りの二十日間でどんな結果が出せるんですか。(発言する者あり)いやいや、沖縄を離れて違うところへ行くのならいざ知らず、どこにそんな条件が整ったところがありましょう。そんな沖縄の県民の方々の心をもてあそぶようなやり方は、内閣総理大臣として、あるいは関係する閣僚として、あってはならないし、してはならない、私はそう思えてならないのです。

 したがって、今、総理が沖縄の皆さん方に、もはや戻ってしまって、最低でも県外はなくなったんでしょう。桟橋方式といえどもアメリカから了解を、理解を得られなきゃ、これは実現できないんでしょう。そんなことをいまだにあるかのごとき振る舞いをするのは、責任ある政権の、あるいは政治の姿勢だとは思えないのです。したがって、総理の言う、衆議院選挙で最低でも県外は、私の冒頭の地元紙のコラムにありましたように、最低でも県外じゃなくて最低の県外案であると。これは一地方紙だけの、一地域だけの声ではないと思います。そう思いませんか。

 したがって、沖縄を訪問された後の報道のインタビューに答えて、公約というのは選挙のときの党の考え方だとお答えになられたじゃありませんか。私が言った、最低でも県外、国外もしくは最低でもと言ったのは、私が代表として個人の発言だと。それは言ってはならないし、為政者の発言とはとても思えない。私のような専門家でない、国を憂える一国民としても、あの発言だけは許せない。

 こういう発言について、公約でない、私個人の意見だったという発言について、両大臣から意見を聞かせてください。

岡田国務大臣 これはどういう状況で聞かれたかということにもよると思いますが、実は私、去年のたしか十一月ぐらいだったかと思いますが、同じようなことを記者会見で聞かれて述べております。つまり、質問は、県外、国外というのは公約だったのかという質問でありましたので、私は、党の公約というのはマニフェストである、マニフェストにそういうことは書いていない、県外とか国外という言葉は出てこない、そういうことは申し上げました。

 しかし同時に、私は選挙のとき幹事長だったわけですけれども、鳩山総理は代表で、代表の言葉としてはそれは重いものがある、そういうふうに思います。しかし、それが選挙公約かマニフェストかと言われれば、マニフェストに書いていないというのが事実であります。

前原国務大臣 マニフェストには書いていなかったというのは今岡田外務大臣がおっしゃったとおりでございますけれども、私は、当時代表であった鳩山総理の言葉は重い、このように思います。

北村(茂)委員 私は、マニフェストに書いてあるかないかという、そんなことは見ればわかるんです。しかし、あれほど生きるか死ぬかをかけて皆さん選挙でしのぎを削っているときに、沖縄の皆さん、私たちが政権を担ったらこうしますと言ったじゃありませんか。何度も報道されていますよ。それは、私はマニフェストよりもより重いと思っているんです。マニフェストになかったからいいのではなく、マニフェストに書いてあるよりも重いと言っているのです。皆さんは信じたんです。過重な負担を強いられている沖縄の人たちは期待を寄せたんです。だからきょうも官邸前でマイクを持って沖縄の代表の方々はやっているじゃありませんか。そんなことを軽んずるような、あるいは掲載してあるからないからという次元でこの問題を軽んずるような議論はあってほしくない、私はそう思うんです。

 私も言ったという岡田大臣、私もそう言ったんだ、別にそれは大したことないんじゃないかというような思いだったら、私は国民は納得しないと思いますよ。

岡田国務大臣 私が申し上げたことは、先ほどと同じですが、民主党のマニフェストの中に県外という言葉は出てこない、しかし、代表が言われたことは重いということであります。

北村(茂)委員 私は、だから、逆に言うと総理の言葉が軽いと言わざるを得ないし、皆さんも本当はそう思っているんですよ。そう抗弁せざるを得ないんでしょう。それはわかっているんですよ。もう堂々と言えばいいんですよ。そうすれば、素直に国民も、ああ、言い過ぎたのかと理解するんですよ。

 私は、もう少し誠実味がある内閣であってほしいし、日本の政治は、我々も含めて、もっと誠実なものだ、信頼関係はあるんだというような政治にしなければいけない。その場しのぎの、あるいは点数稼ぎの、選挙目当ての、そういう政治が横行することに、極めて違和感と将来に危惧を感ずる一人であります。

 いま一つは、先ほども話がありましたけれども、海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならない理由はないと思っていた、ただ、学べば学ぶほど、海兵隊の役割を考えたとき、すべて連携し抑止力を維持していることがわかった、認識が浅かったと言われればそのとおりかもしれない。

 どのメディアも含めて、今ごろこんなことを言う総理を日本国民として持ちたくないと言っているんです。恥ずかしいと言っている。(発言する者あり)人がいいだけじゃ困りますよ、この厳しい、激しい国際競争のある中で。

 一つ見ても、中国の潜水艦の話もあったじゃありませんか。間違えば国と国との紛争になりかねない、そういう事態も全く想定できないわけではありません。日本とアメリカとの関係が損なわれると思えば、抑止力がどんなことになるか。今がチャンスだという国があると言っても、違うと言う人は少ないんじゃないでしょうか。

 そんなことを考えれば、この抑止力としての機能は十分知らなかった、なくても別に問題はないというふうに思っていたけれども、聞いてみれば、抑止力というのはやはり必要だったんだね、あったんだねということですよ。

 外交防衛の専門家を自任される前原大臣、この発言に対する認識はどうですか。

前原国務大臣 先ほど小池委員にもお答えを申し上げたとおり、私は、国会議員になって十六年間、ずっと鳩山総理と政治活動をともにしておりますけれども、全く知らなかったなんということは絶対あり得ないし、今まで、こういった勉強会や、あるいはさまざまな形での御認識を持った発言はされているわけであります。

 総理として認識を新たにしたという思いでおっしゃったことが、謙虚な方でありますので、そういった言葉になって、あたかも全く知らなかったけれども認識したというふうにとられているのは、私は、少し事実とは異なるのではないかというふうに思っております。もともと、安全保障についてもしっかりとした認識を持っておられますし、抑止力についても十分に御認識を持っておられたと私は確信をしております。

北村(茂)委員 あれほど、国外、最低でも県外と言ったのは、海兵隊が沖縄にいなくてもそんなに問題はないという認識のもとに言っておられるんですよ。そのとき既に、八千人、家族九千人という、海兵隊の移動は前政権時代に決まっておったわけです。それでもなおかつ、しかも、一方で普天間の騒音や危険の除去ということは、十数年かかってきた日米間の大きな課題であったわけであります。

 そんなことを考えれば、鳩山総理の抑止力云々のこの議論は、かばえばかばうほどそうでなかったということを露呈しているように思えるのです。(発言する者あり)人柄だけではないと私は思いますね。私は、国民が本当に日本の政治あるいは現在の政権に不安を抱くのはこんなところにあると思うんです。もっとしっかりと、すべてお任せください、言ったことは責任を持ちます、そういう姿勢が見えないからだと思うんですよ。

 我が国の面積の〇・六%しかない沖縄に、米軍専用施設の約七四%が集中するとよく言われております。沖縄県の調査によれば、沖縄には在日米軍の全兵力の約六八%、人数で言うと、総数の約六八%である二万四千六百人が沖縄に駐留しております。それから、その中で各軍別では、陸軍が六八%で千八百人、海軍が三二%で千二百人、空軍が五三%で六千七百人、海兵隊に至っては全日本駐留海兵隊の中で八九%の一万五千人が沖縄に駐留していると伺っております。圧倒的に海兵隊の沖縄への集中配備になっているわけであります。もちろん、極東最大の嘉手納空軍基地もあります。

 我が国の安全保障にとって、在日米軍が沖縄に集中して存在するその意義、その理由、なぜそういうことになっているのか。地政学上の問題もあるのかもしれません。あるいは朝鮮半島や台湾海峡の問題があるのかもしれませんが、この辺についての認識を、外務大臣、沖縄北方大臣、それぞれお答えいただきたいと思います。

岡田国務大臣 まず、先ほど委員が海兵隊が沖縄に抑止力としてあることの自明さということを言われました。私もずっと国会答弁で一貫して、海兵隊は日本にある必要があるというふうに申し上げております。

 ただ、本当に沖縄でなければならないのかというところは必ずしも自明ではなくて、そこは議論がいろいろあるということは申し上げておきたいと思います。現に、前政権時代、官房副長官補を長く務められた防衛省出身の官房副長官補は新聞に投稿されて、そのことについて疑念を呈されたわけであります。専門家でもそういう意見もあるということは申し上げておきたいというふうに思います。

 しかし、私は、やはりグアムでは遠過ぎる、したがって日本の中にある必要があると。その中で、しかし分散して海兵隊が違う場所にいるということは現実には非常に困難という中で、我々は、総理を初め、いろいろ苦しみながら、どうすれば一体性を損なわない中で機能の分散ができるかということを議論している状況であります。現政権の日米合意の中でも、空中給油機については岩国に移すということになっているわけですから、そういうことが全くできないわけではない。一体性を損なわない中で、運用に実質的な害がない中で、どういったことができるかということをいろいろ検討しているということでございます。

 私は、そういう意味で、沖縄にということはちょっと避けた表現にしたいと思いますが、現在の状況を見れば、先ほど来いろいろ議論になっておりますが、例えば海軍力を急速に増しつつある中国の存在もありますし、朝鮮半島の状況もあります。それから、現に今、これは調査中でありますけれども、韓国の軍艦が沈没をした。その理由の調査を今行っております。その調査結果が出るまで、予断を持って言うわけにはいかないと思いますが、どうも事故ではないのではないか、こういう議論もある。そうすると、これはやはり、どう対応するのかということについて、かなり緊張した場面が来るかもしれません。

 そういう状況の中で、日本の自衛隊は攻撃能力を持たないわけですから、日本だけではこの日本という国を守れない。あるいは、少なくとも攻撃能力は持たない、そういう中で米軍の役割というのは日本自身の安全にとって重要である。私は、そのことを国民の皆さんにもっと率直に今までも語るべきだったし、今ももっともっと御理解いただかなければいけない、そのことの理解を欠いたままの移転の議論というのは、それは適切ではない、そういうふうに思っております。

前原国務大臣 第二次世界大戦後、日本を取り巻く環境というのは、まずソ連、これは長らく仮想敵国として防衛白書にも書かれていたわけでありまして、自衛隊は特に北方重視、また、米軍もまさにいかにソ連に対する抑止力を持つかということで行ってきた。と同時に、この東アジアの戦略環境というのは今なお冷戦の残滓がある。これは朝鮮半島の分断であり、中国と台湾の問題であるわけであります。

 沖縄でなければいけないのかということについては、ピンポイントで絶対沖縄でなくてはいけないということではないかもしれませんけれども、歴史的な経緯の中で沖縄に基地がつくられて、そして一九七二年の五月十五日に返還をされたというところまでは、米軍の占領下で銃剣とブルドーザーでアメリカが基地をつくって、それを既成事実化してきている中で今基地が存在をしているという歴史的な経緯もあろうかというふうに思っております。

 だからこそ、我々としてはできるだけ沖縄の負担軽減のための努力をしていかなくてはいけないと同時に、戦略的な環境の中での問題がまだまだある。先ほど岡田大臣が言われたように、韓国の艦船が爆破をされる、恐らく魚雷だったのではないかと言われているし、また、中国の軍事力の増強というのは、この十九年間で約二十倍になっていて、前年度比一〇%以上の軍事力増強を行っており、公表数字の二倍前後もあるのではないかと言われておりますし、我々の主権の及ぶところである尖閣についても中国のものだと言っている、我々の実効支配をしている沖ノ鳥島についても、あれは島ではないということで大陸棚や排他的経済水域は認めないと言っている。

 ということになれば、当然ながら、この地域の我々の主権をどう守っていくのか、安全をどう守っていくのかということを考えたときには、やはり、現状を考えた場合は、沖縄を中心にある自衛隊あるいは米軍の存在というものが日本の大きな抑止力になっているということは間違いない事実だと思います。

北村(茂)委員 今ほどお答えの中にもありましたように、防衛白書の中でも、対ソ連、最近では中国の防衛費の予算の大幅な増加は目をみはるものがあるという記述をされております。この問題については、今お話もありましたから、時間の関係もあって飛ばします。

 そこで、普天間問題にもう一度戻して、一方でアメリカの理解を得るときには日米実務者協議を既に行われておりますね。報道によると、私どもは報道以外はわかりません、四日に既に審議官級が行われ、七日にはこういうような会議が行われたという報道しかわかりませんが、報じられております。

 そこで、既にアメリカはこれを拒否した、これは乗れない、これはだめだ、こういうような話が既に出回っておるからあえて申し上げるんですが、キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる現行計画をくい打ち桟橋方式に修正し、徳之島に海兵隊の一部を移転させる案について部隊運用や土木技術などの観点から実現可能性を検討しているが、関係者によると、米側はくい打ち桟橋方式について過日の日米協議でテロの危険性が高いことを理由に却下した経緯などを指摘して、これは受け入れられないというふうにアメリカ側が拒否をしたというようなことを報じられております。

 このことについては、外務大臣、明確にお答えください。

岡田国務大臣 日米間の協議というのは、今行っていることは事実であります。行っているという意味は、ことしは日米安保五十年、日米同盟を深めるための議論ということを一月からスタートして随時行っているということであります。その集まったときに普天間の問題もテーマになっていないわけではございません。しかし、そのために集まっているわけではないということはまず申し上げておきたいと思います。

 そして、さまざまメディアは報じますが、そういったことについて何か決定的なことがあったということは、それはいずれも憶測の域を出ないものであって、我々は、その報道をそのまま受け取る必要はないというふうに考えております。

北村(茂)委員 そうですか、私どもの受けとめ方と若干違うようですね。

 これほどの政治的な課題を、これだけをもってしてでも実務者協議を一方で進めているというのは当然だろうと思うんです。そうじゃない、別の問題の日米協議を深化するための議論はしているけれども、これもその枠の中の一環だ、やっているにはやっているけれども、それは主題ではないというような認識だったんですか。私はそうは思わない。そんなことをやっておって、この問題をそんな軽々に扱ってもらっては困るし、そんなことをしているはずがない。今言えないだけなんじゃないですか。そんなことがあったのでは、この五月いっぱいにアメリカの了解を得られるなんということはあり得ないのじゃありませんか。

 もう時間がありませんので先へ急ぎますが、逆に、報道が本当に間違いだというのであれば、きょうもマスコミが入っていますが、そんなことはついでにやっているんだというような認識でこの問題に取り組んでいるとしたら極めて遺憾。もっと真剣に国民の期待にこたえられるような、不安を取り除いてもらえるような、しっかりした協議をやってもらわなきゃいかぬ。それもたまに加えているんだというような発想では、とてもとても真剣に普天間問題に取り組んでいるとは思えない。この後いろいろ質問をされる方がおりますから、しっかりただしていただきたいと思います。

 そこで、もう時間がありませんので、最後にもう一問。

 もしも伝えられているくい打ち桟橋方式を採用した場合、小池委員からもありましたが、環境アセスの面で、環境影響評価は現行の環境影響評価をそのまま利用できるのかできないのかということが一点。

 もう一点は、いわゆる公有水面の埋め立てであれば、公有水面埋め立ての知事免許、許可が要るわけですね、これが桟橋方式になったら要らないという報道もありますが、この辺について、防衛副大臣、お答えいただきたいと思います。

榛葉副大臣 北村委員にお答え申し上げます。

 いわゆる環境評価の点でございますが、現行案に基づく普天間飛行場の代替施設における環境影響評価については、国では環境影響評価法、及び県では沖縄県環境影響評価条例に基づいて今手続を進めてきたところでございますが、このうち、環境影響評価法については、対象となる飛行場の滑走路の長さについては規定があるということでございますが、県の条例では、対象規模にかかわらず飛行場が環境影響評価の対象になるということでございます。

 他方、具体的な移設先の環境影響評価の話があったわけでございますが、今、沖縄北方担当大臣並びに岡田外務大臣からるるお話があったとおり、現在政府を挙げて真剣にこの問題に取り組んでいるところでございまして、現時点において、環境影響評価のやり直しの必要性の有無を含めまして、具体的な内容についてお答えする段階にはないということでございまして、いずれにせよ、関係法令に従いまして適切にこの問題を進めてまいりたいというふうに考えております。

北村(茂)委員 そういうお答えだと、今までどんな質問をしても、まだ政府案が決まっていないんだ、したがって、案が固まっていないんだからお答えのしようがないという一連の発言で終始しているんですよね。これだと本当の質疑にならないんじゃないですか。もう少し誠実に、現段階での政府の考え方はこういう考え方だと。やはり、環境影響評価が要るのか要らないのか、必要なのか必要でないのか、知事の免許、許可が要るのか要らないのかぐらいは誠実に答えなければ、私は政権として国民に対して不誠実だと思うんですよ。もう少し、現段階ではA案だった場合にはこう、B案だった場合にはこうぐらいのことは言わないと、固まっていないんだから、要るか要らないか、必要か必要でないかも今は言えないというのでは、私は決して誠実ではないというふうに思います。

 まだまだ聞きたいことがいっぱいあるんですが、普天間返還後の跡地の問題、時期の問題や、どんなことを想定されているのかということを聞いても、多分まだ案が固まっていないから答えられないということになるんでしょう。ましてや、跡地の問題についてただしても回答が得られるとは思えません。

 時間もやってまいりましたので、最後に、国民の皆さん方が新政権に対する期待も大きかっただけに失望も大きかった、しかも、今日の迷走ぶりは目に余るものがある、この認識です。私が冒頭申し上げたこの新聞のコラムは、一地方、一個人の見識ではない。国民の多くの皆さん方がそんな思いを持って今の政権に対して評価をしている、認識をしているんだということをぜひ理解をしていただいて、一日も早く信頼を得られる政策運営をしていただきたい。単に前政権時代のお荷物を引きずってきたからということだけを言い逃れにするようなことでは決していけないというふうに思います。

 最後に、この普天間問題は、国の根幹にかかわる極めて重要な問題であります。したがって、我が党としても、予算委員会での集中審議を含めて、いろいろ要求をいたしております。場合によっては、この特別委員会においてでも、さらにこの問題の集中審議を強く求めておきたいと思います。

 以上で私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

    〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕

伊東委員長代理 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 私は、先月八日に神崎武法衆議院議員の辞職に伴いまして繰り上げ当選となりまして、初めて衆議院の方に来させていただきました。参議院を二期七年務めまして、その後、一年七カ月浪人をしておりましたけれども、参議院時代も七年間通しで沖縄北方特別委員会に所属をさせていただきました。また、私自身が沖縄の那覇市に事務所を構えて、沖縄を拠点として参議院で活動してきたということもございますので、きょうは忌憚のない議論を前原、岡田両大臣とさせていただきたい、このように思っております。よろしくお願いいたします。

 まず、質疑に入る前に若干、やはり私も苦言を呈したいと思っております。

 それは、いろいろ政策論としては普天間の基地問題についてはあるかと思うんですが、私が沖縄に通っておりまして、沖縄の一般の県民の方々と触れ合う中で、なぜ今の政権に対して沖縄の皆さんが怒っているかといいますと、どうも沖縄県民を軽く見ている、あるいは日本国民として見ていないという空気というか雰囲気が、政権与党第一党である民主党の中にあるのではないか。

 その象徴が、私も先般の代表質問で本会議場で言及をさせていただきました、鳩山総理が、北海道の後援会の方々の前でしょうか、一言、その場の雰囲気でおっしゃってしまったのかもしれませんが、普天間なんて、皆さん知らなかったでしょうという言葉がありました。

 また、つい最近では、五月六日になりますが、これも報道されております、御本人も謝罪して撤回されたということですが、山岡国対委員長が、民主党の党本部で開かれた女性議員ネットワーク会議で普天間基地の問題に触れて、直接国民の生活には影響しないと。具体的には、普天間の話あるいは政治と金の話は、直接国民の生活に影響しないと発言された。それに対して、これはさすがだと思いますが、民主党の沖縄県連の糸満市議の女性の方が猛抗議をその場でされて、山岡さんが撤回した。しかし、これは沖縄でも報道されているわけですけれども、普天間の話は国民の生活に影響しないと言ったら、沖縄県民は国民じゃないと言っているに等しいんですね、裏から読めば。

 謝罪して撤回されましたけれども、こういう発言を公の場で、党の会議でしょうけれども、党の枢要な立場にある方がされるということに対して、非常な不信感、怒り、やるせなさというのがあるわけです。もちろん、私は、沖縄を担当されている前原大臣や、沖縄の問題で大変御苦労されてきている岡田大臣がこういうことをプライベートな場でもおっしゃるとは全く思っておりませんけれども、ぜひ、民主党の党内でこういった軽々しい発言が出ないようにしていただきたいということをまず申し上げたいと思っております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、先ほど来も出ておりますけれども、岡田大臣にお聞きしたいんですが、私も浪人中、国会中継を見ていたんですけれども、今の政権閣僚の方々が、総理も含めてなんですが、十四年間、くい一つ打てなかったではないかということをよくおっしゃるんですね。私は、これは非常に乱暴な議論だと思っております。

 というのは、私自身、小泉内閣で外務大臣政務官をやらせていただいて、そのときに私自身も辺野古地区に何度か足を運びまして、地元の住民の代表者の方とお話をして、地元の方々の率直な御意見を、総理官邸に参りまして、官僚の方に席を外していただいて、当時官房長官をされていた安倍さんに直接地元住民の意向を伝えたり、私は当然小さな役割しか果たしていなかったと思いますが、前の政権でも真剣にこの問題に取り組んだ人々がいるわけでございまして、かなりの努力を積み上げて十四年間やってまいりました。

 先ほど、前の質疑者の方への岡田外務大臣の御答弁の中で、仲井眞知事は必ずしも一〇〇%、二〇〇六年の日米合意案に合意されていなかったじゃないかという御指摘があって、それはそのとおりなんですが、私がお聞きしたいのは、岡田外務大臣が就任されてすぐに、去年の十一月に沖縄に来られました。名護にも行かれて、当時市長だった島袋市長さんにも会われて丁寧に懇談されていることは私も地元で伺っているわけですが、その一連の名護での話し合いの中で、岡田外務大臣から、二〇〇六年の日米合意案を念頭にだと思いますが、今の案は九合目まで来ていると自分は考えているとおっしゃったと、私は地元の方々から伺っているわけですね。

 恐らく、山登りでいえば、九合目というのはほとんど山頂に近いところに来ているわけで、一合足りなく岡田大臣が表現されたのは、まさに知事の合意がないところを一合足りないということで九合目と言ったんですね。しかし考えてみれば、完全な合意ではないにしても、九合目まで来ているということは、あと一合登れば山頂に着くわけでございます。

 ですから、なぜ、そういう御認識を持たれていた岡田外務大臣が、ではあと一合、民主党、政権交代したんでしょうけれども、新しい政権でこの一合をしっかり埋めて、そして日本政府、アメリカ政府、沖縄県民、各当事者が合意できるような形でまとめ上げようとされなかったのか、それを政府内で、あるいは国民に向かって説明されなかったのか、そこが非常に疑問に思っております。

 外務大臣、今でも現行案というのは九合目まで来ていたという御認識でしょうか。

岡田国務大臣 当時、私が十一月の段階で九合目までと申し上げたのは、今委員御指摘のように、知事の完全なる合意というのはないけれども、そのほかのことについて日米で合意があって、沖縄もおおむねそれに対して、少なくとも地元の市長はそれに賛成をしておりましたので、そういう意味でほぼ合意ができつつあるということを申し上げました。

 当時、私は、沖縄の外に全部出すのは非常に難しいとこれも記者会見で申し上げておりますが、そういう中で、一体どういう答えがあるんだろうかということでいろいろ模索をしておりました。結局、沖縄の皆さんの負担を少しでも減らす、そのために何かほかに知恵はないか、そういう思いの中でいろいろ模索をしていた段階でございます。九合目までできたものではあるけれども、ほかにもっといいものがないかということも政権交代を機にいろいろ試行錯誤している、そういう状況で申し上げた言葉でございます。

遠山委員 率直な御答弁、ありがとうございます。

 確認のために外務大臣に再び伺いますが、大臣としては、今の時点でこの二〇〇六年の日米合意というのは有効だというふうに考えておられるかどうか、お聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 有効ということの意味ですけれども、日米合意としては今もあります。しかし、地元の状況はかなり厳しくなっている。先般の沖縄の県民大会とか、あるいは地元の市長選とか、そういうものがあって困難さを増しているということは率直に認めなければならないと思います。それを、どうやって全体を乗り越えて沖縄の負担を軽減していくか、そこに我々内閣の苦しみがあり、総理の大変な御努力が今あるということでございます。

遠山委員 今岡田大臣がおっしゃったとおりだと思うんですが、一つだけちょっと、質問じゃないんですが、私なりの注釈をしたいと思うんです。

 二〇〇六年の日米合意は今でも生きている、日米間では有効だと。しかし、地元である沖縄、あるいは今名前が出てきている徳之島では、地元住民が反対集会を開いて、地元の合意というのは非常に厳しくなっている、それで内閣が苦しんでいるというお話だったんですが、これは沖縄から見ると、今、外務大臣の説明はちょっと途中の箇所が抜けていました。

 それは、民主党政権になって、岡田外務大臣だけではないんですけれども、だけというよりも、ほかの閣僚の方の発言の方がもっと大きいんですが、ゼロベースという言葉が出てきましたね。政権の閣僚からゼロベースという言葉を何度も使われたものですから、結局、沖縄県民は、ああ、九合目まで来ていた案は日本政府が一方的にゼロに戻したと。つまり、一回そこから下山して、山のふもとまで日本政府は下ったんだ、これからもう一回山を登ろうとするんだったら、もう辺野古、県内じゃなくてほかの山がいい。そのほかの山が県外、国外なんですね。

 さらにそこに拍車をかけたのが、ゼロベースと言いながら、総理をある意味先頭に、極力県外、最低県外ということがずっと発言として続いたものですから、もう皆さんはそっちの山しか見なくなったんですね。だから、心理的には、岡田外務大臣は九合目とおっしゃった、だけれども、その後の政府全体の状況としては、民主党政権としては九合目から一たん下山したんですね。下山して、ふもとからもう一回どこに登るか考えようねと。

 ところが、そのときに、ゼロベースの後に来たのは極力県外、最低県外ばかりですから、みんな県外の山を登り始めたわけです。私ども公明党の地元もそうですが、みんな多分、県外、国外で九合目まで来たんですね。そうしたら、鳩山総理が五月四日に沖縄に来て、済みません、皆さん、こっちの山で九合まで登ったかもしれませんけれども、私、こっちの山で六合目まで登り直しました、こっちに来てください、こういう状況でにっちもさっちもいかなくなっているというのが、ある意味、やや客観的な説明じゃないかなというふうに私は思っております。これは私の個人的な解釈ですから、岡田外務大臣に同意を求めることはありません。

 次に、もう一回外務大臣に聞きたいんですが、先ほど、最低でも県外と鳩山総理がおっしゃったことは党の公約ではない、なぜならマニフェストに書かれていないからだと。先ほど北村委員も、それはちょっとおかしいんじゃないかということをおっしゃっていたんですが、私もちょっとおかしいと思うんですね。確かに、党の政策としての公約集に載っていないということで、党の公式なものではないということは言えるかと思いますが、選挙のときに、普通の民主党の議員の方が沖縄に来られて、集会で、最低でも県外やりますと言うのと、いわゆる党首がおっしゃる発言とは大分意味が違うと思うんですね。

 前原大臣も岡田大臣も御存じのとおり、マニフェスト選挙の本家本元であるイギリスは、もう一個、マニフェストと表裏一体なのは、総理選択選挙を選挙でやっていると言われているわけでありますから、先ほど岡田外務大臣は代表としての発言ですとおっしゃって、やや逃げているんですけれども、やはりマニフェスト選択選挙であり、かつ党首選択選挙、つまり総理を選択する選挙という形で選挙をやっていると考えれば、党首の選挙期間中の御発言は、そのままマニフェストと同等の重みがあるというふうに私はとらえるべきではないかと思うんですね。

 もしそれを、今この普天間問題で苦しいから否定なさると、これは将来大変なことになると思うんですね。つまり、こんなことを言って失礼ですけれども、また将来政権交代があるかもしれない。そのときに、今野党の我々の側の党首がまさにマスコミの目の前で、私たちが政権をとったらこうしますと言ったことを、今度、私たちが政権を奪い返した後に、いや、あれは党首が勝手に言ったことで公約ではありませんということを容認したら、それこそ選挙目当てのパフォーマンスで、お互い何でも言い合えるということになって、これは、常に野党が有利な選挙の体制になっていくんじゃないか。

 実際に今、総理とか大臣をやられている方々というのは無責任な発言はできないでしょうから、野党の方は、党首であっても野党だから何言ってもいい、選挙が終わったら、いや、あれはマニフェストに載っていないから公約じゃありませんということになってしまうので、これは問題だと思いますけれども、外務大臣、どうですか。

岡田国務大臣 党のマニフェスト、これは党によってつくられ方はあるいは違うかもしれませんが、党の中で議論を重ね、そして最終的には党の意思決定機関できちんと議論をして決定するという手続を経たものであります。これが党の公約であるということであります。

 一般論として申し上げますと、党の代表の発言がマニフェストと少し矛盾があるということになりますと、やはり党としては、より党のマニフェストが正式な手続を経たものであるだけに、どちらが正しいかという選択を迫られるならそれはマニフェストの方だ、そういうふうに言うことになると思います。

 ただ、委員の言われることもよくわかるわけでありまして、党の代表でありますから、その代表の発言は重いわけで、選挙のときに発言があれば、やはりそれはそのことについて、その重さは十分自覚して対応していかなければいけない。そこは総理も、そういう思いは十分お持ちの上で言っておられることだと思います。

遠山委員 わかりました。ぜひ民主党内で、鳩山総理というか、当時代表で過去の話ですからあれですけれども、党の公式の政策と違う御発言を堂々とされた場合は、すぐ幹事長なり政調会長が撤回をされるような安全保障をしていただきたいなと、内政干渉のような話ですけれども、申し上げたいと思います。

 次に、ちょっと時間の関係で二つぐらいはしょりますけれども、鳩山総理の五月四日の沖縄訪問中の御発言で、大変懸念をしている御発言がございます。

 それは宜野湾市での住民との対話集会で、総理が、沖縄の負担を軽減させるために協力してもらいたいと米側に言ってきたと発言をされた後に、これは新聞でも報道されていますが、オバマ大統領として、あるいは米国がどこまで理解しているか、まだ判断がつかないということをおっしゃったんですね。つまり、沖縄の負担を軽減するために、アメリカに協力してくださいと総理は言っているんだけれども、アメリカやオバマ大統領がどこまで理解しているかわからないという発言を対話集会という公の場でされたわけであります。

 これは、もし事実と違っていたら、アメリカ側は相当不愉快な発言でありまして、こういう発言が総理から出るというのは、何か総理の発言の根拠になるような公電とか御報告が外務省から官邸に上がっていたんでしょうか。それとも総理の思いつきだと外務大臣は思われますか。

岡田国務大臣 まず、アメリカ側に、沖縄の負担を軽減する必要性ということについてはいろいろなレベルで議論しておりますので、それは一定の理解は進んでいるというふうに思います。

 私もクリントン長官と何度か会見をいたしましたが、そういう中では、沖縄の過去の歴史、つまり独立の国家であった時代もあったこととか、その後日本に編入された経緯とか、第二次世界大戦における状況とか、そういうものもかなり時間を割いて説明したこともございます。ですから、そのレベルではかなり理解が進んでいると思います。

 大統領ということになりますと、それは総理と沖縄の問題で何度か言葉を交わすことはございましたが、限られた時間の中でのことでありますので、率直に申し上げて、オバマ大統領が沖縄のことについてどのぐらい御理解があるのかということは、率直に言って、それは推測するしかないわけでございます。そういうことを総理としては言われたのではないかなというふうに思います。

    〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕

遠山委員 いずれにしても、総理の御発言、やはり危なっかしいと思うんですね。ですから、いろいろな、沖縄県民にも大いなる誤解を与えてきたと思いますし、アメリカ側にもこういう不用意な発言で無用な誤解を与えてどんどん問題がこじれないように、やはり外務大臣として頑張っていただきたいと申し上げたいと思います。

 次に、前原大臣にお伺いをしたいんですが、先ほど小池百合子委員とのやりとりを聞いておりまして、前原大臣が、とにかくとか、いずれにしてもという言葉から答弁を始めていたのを拝見いたしまして、それは心理学的に分析をしますと、私が本当に言いたいことはおいておいて、私が本当に思っていることはこれだけれども、とにかく、いずれにしてもというふうにしか聞こえなかったですね、申しわけないですけれども。恐らく、前原大臣が本当に本音でしゃべれる、完全に密封された、マスコミに漏れない空間でお話をされると、大分違う御答弁がそれぞれ返ってきたのではないかというふうに想像しております。

 実は私、正直申し上げて、前原国土交通大臣でありますけれども、沖縄担当大臣が、もうちょっとこの普天間基地の問題で中心的な役割を果たしてこれなかったのかなという思いを抱いてまいりました。

 自他ともに認める外交、安保の論客、政策通の大臣でございますし、また、沖縄を担当しているということは、先ほどもありましたけれども、やはり沖縄県知事と前原大臣が何度もやりとりをして、沖縄の側の意見とか実情を官邸に伝える、外務省に伝える、防衛省に伝える、そういう役割が期待をされていたのではないかと思うんです。

 ところが、平野官房長官がどちらかというと調整役になって、そして前原大臣は何となく後ろの方に引いてしまったような感がありまして、私としてはもうちょっと積極的に動いていただきたいと思っているわけでございますが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 まずは、遠山議員、御当選おめでとうございました。

 今お話ありましたけれども、どのように見えているかどうかということでありますけれども、政治家というのは、立場についているついていないは別にして、見えるところもあれば、見えないところでも仕事をするということもあります。

 とにかく、またとにかくと言ってしまいましたが、申し上げられることは、総理を中心に、内閣一体としてこの問題をしっかり解決して、沖縄の負担軽減のために努力するということでございますので、私も沖縄担当大臣として、これからも陰に陽に頑張っていきたい、このように考えております。

遠山委員 きょうは、もうこれまでにかなり普天間基地につきましてやりとりがありました。同じ答弁しかできない状況だということはよくわかりましたけれども、とにかくはっきりしていることは、あと二十一日、三週間でこの問題を決着しなければならないということでございまして、とにかく努力するという御決意の表明、先ほどからありましたので、ぜひ、逃げずに、内閣一体となってこの問題の解決を、沖縄県民が納得できる、満足は一〇〇%できなくても納得できる解決策を提示していただきたいということを御要望申し上げて、次の質問に行きます。

 次に、厚生労働省にお伺いをいたします。沖縄の市町村の国保特別会計の赤字問題についてでございます。

 地元の新聞では大分報道されているわけでありますので、内閣府及び厚生労働省は十分認識をしていると思いますが、今、沖縄県内の多くの市町村、二十六市町村で国保会計の赤字が増大をしております。県都である那覇市の場合ですが、平成二十一年度会計は累積赤字で十九億四千万まで参りまして、前年度が十三億でございましたので、約六億円赤字がふえている。那覇市の方は、この赤字補てんのために、既に平成十九年度から一般会計予算から繰り入れをしているわけですね。

 ところが、問題は、一般会計予算から国保の赤字の補てんで繰り入れをいたしますと、一般会計予算というのは、当然、市民税等、国保に加入をしていない、国保の恩恵を受けていない市民の税が国保の赤字補てんに投入をされるということですから、不公平感が増大をしてしまいますので、そういう観点からも放置ができないということでございます。

 これについては、私調べましたら、ことしの三月二十三日、参議院の沖縄北方特別委員会で自民党の秋元議員が質問されているんですね。ところが、私、議事録を読んでちょっと驚いたんですが、質問と答弁が全然かみ合っていなくて意味不明のやりとりになっております。

 どういうことかというと、ちょっと簡単に説明します。秋元議員は、沖縄の市町村の国保財政の赤字がふえている、その赤字がふえていることに対してどういう財政補てんをするのかと聞いたんです。ところが、厚生労働省の足立政務官の答弁で、今回の減収分についても、半分は国と都道府県でやります、さらに、残った半分については平成二十年度の特別調整交付金で補てんします、こう答えているんですね。

 私、これは、最初は正確なことを言っているという前提でいろいろ調査していたんですが、どうもおかしい。まさか答弁がおかしいと思わなかったので、ほかがおかしいと思っていたのでありますが、結論は答弁がおかしいんですね。この特別調整金で補てんしますと言っている補てんは、平成十九年度に、医療制度の改正前の退職者医療制度で交付された交付金よりも、平成二十年度の前期高齢者交付金の額が少なくて、かつ、被保険者の所得が低い自治体に対して補てんをするという特別調整交付金なんですね。秋元議員が聞いているのは、国保の特別会計の赤字そのものを補てんすべきじゃないかと聞いているのであって、別に、退職者医療制度の交付金と前期高齢者交付金の差額を二分の一補てんすることを聞いているわけじゃないのに、そこを足立政務官が答えて、それで終わってしまっている。

 なので、これはすれ違い答弁なんですが、改めて伺います。ぜひ、厚生労働省として、沖縄の市町村の国保財政の赤字に対する補てんの方法を、今私が言及した特別調整金とは別枠で考えていただきたいということなんです。

 なぜこういうことを申し上げるかというと、こういうことを申し上げると、四十七都道府県みんな一緒の制度でやっているのに、何でまた沖縄だけ特別扱いかと言う方がいるんですが、違うんですよ。それは、沖縄の国保の財政が赤字になっている原因は、沖縄県において前期高齢者の層に該当する人口が少ないんです。第二次世界大戦中に唯一白兵戦が行われた沖縄県。県民の三分の一が亡くなりました、犠牲になりました。この方々がちょうど今、前期高齢者なんです。数が少ないから、被保険者全体に占める前期高齢者の割合は極端に少ないんです。そうすると交付金は低いんですね。

 さらにもう一個ある。沖縄県は今、全国トップの出生率です。子供が一番生まれている県です。だから、前の政権もそうですし今の政権もそうですけれども、少子化対策に一番貢献しているんです。ところが、生まれてくる子供が多いから、割合として高齢者の割合が減っているから交付金が減っているんですよ。

 御存じだと思いますけれども、被保険者の数がほぼ同数の市があります。九州の宮崎市。宮崎市は、平成二十年度に前期高齢者交付金を六十二億円もらっているんです、国保に。同じ数の被保険者がいる那覇市は三十億円なんです。三十二億円も少ないんですよ。だから、もし宮崎と同等の交付金をもらっていれば全然赤字じゃないんです。

 だから、私は、私の部屋に来た厚生労働省の官僚と大分議論したんですけれども、これは要するに、第二次世界大戦で亡くなった方が多い、それから出生率が高い。これは、国保の運営が悪かったとか、市町村の財政運営が悪かった結果赤字になっているのではなくて、全くの不可抗力でなっているんですね。

 だったら、厚労省の方で、何か算定方式の中に沖縄だけ時限措置で、例えば前期高齢者が少ない人口層の間だけ、三年とか五年の時限措置でも結構ですから、算定方法の中に係数をちょっと掛けて、そしてこの六十二億の宮崎市と三十億の那覇市のようにならないように調整を図る。そこで調整がちゃんと算定方式でできれば、国保財政全体への影響も避けられると思うんですね。別の財源を持ってくる必要はない。これはどうでしょうか。

長浜副大臣 冒頭お話がありましたように、沖縄県内に事務所も構えておられるということで、大分御心配の点が多いと思います。

 多分、参議院の足立の答弁というのは、沖縄県における、今御説明いただいた部分の中における財政補てん策をどうしたらいいのかというのを素直に答えた部分だと思います。

 国保財政における赤字の問題というのは、先生御指摘のとおり本質的な問題で、問題の赤字補てん分を一般会計から投入している市町村国保の問題をどうとらえるかというのは、厚生労働委員会でも十分議論されているところであります。

 大変少ない時間の中においてお答えを申し上げるとすれば、医療制度改正あるいは保険制度改正に伴って、市町村国保全体の経常収支は、平成十九年の五百八十一億の赤字から、実は今先生が御説明いただいたスキームによって四百五十六億の黒字に転換をしているんですね。しかし特殊な事情、まさに御説明いただいたとおりの、前期高齢者の対象になる年齢世代が、歴史的状況のことも含めて、形がちょっと沖縄県の市町村の中において特徴的に、二十六ですか、今対象になっている市町村の中においてはそういう状況になっているということの中において、何も手段が打てないということはできないものですから、先ほど申し上げた手法の中においての補てんという形を考えたことであります。

 ダイレクトに短い時間で答えろということであれば、二十五年に後期高齢者医療制度の抜本的改正、二十三年度に、来年度ですね、法案提出ということになっておりますので、このときに合わせての制度改革というのが予定をされているところであります。

 ですから、先生が今御提案のありました、この短期間の中で沖縄県の算定方法だけを特に変えて対応しろということは、現在厚生労働委員会の中でも議論になっていないところでありまして、今目指しているところは、新たなる制度改正の中における、先生の質問の趣旨を生かして、それを二十五年度に向けてどう変えていくかというところにあると思っております。

遠山委員 なかなか難しいという御答弁だったと理解しておりますが、前原大臣、ぜひ沖縄を代表する立場の閣僚として、厚生労働大臣にもこの件でちょっと配慮をいただけるようにお願いをしたいと思いますが、一言コメントをください。

前原国務大臣 今、遠山委員がおっしゃったように、十九年度退職交付金と二十年度前期高齢者交付金との差額がマイナスで、しかも、二十年度、被保険者一人当たりの所得が全国平均より低い市町村というのは八十九あって、そのうちの二十五が沖縄なんですね。

 ですから、先ほどおっしゃった二つの要因において、沖縄が極めてそういう意味では不利益をこうむっているという認識は共有しておりますので、私の方からも長妻厚生労働大臣に、今委員の趣旨を踏まえてお話をしたい、こういうふうに思っております。

遠山委員 ありがとうございます。

 続きまして、前原大臣に伺いますけれども、沖縄の観光振興という観点で申し上げると、今、一千万人の観光入域客数を目指しているわけですが、今ちょうど六百万人前後。これから一千万を目指していく中では、外国人観光客がまだ二十四万人にとどまっておりまして、少ない。そうしますと、これからやはり大事なのは国際アクセス。もっと具体的に言うと、那覇空港に第二滑走路をこれから建設して、さらにオープンスカイ政策、これはもう大臣御存じのことですが、これを徹底的に推進しなければいけないという点が一つ。

 もう一つは、できれば沖縄県全体を観光特区として指定していただきたい。特区というからには規制緩和をしやすくするという趣旨なんですが、沖縄は金融特区とか情報産業の特区とかいろいろ特区があるんですけれども、やはり沖縄の基幹産業は観光でございますので、それを振興させるという意味で、もう県全体を一くくりで特区にして規制緩和を図り、いろいろな工夫ができる形にすべきだと私は思っておりますが、御答弁をいただきたいと思います。

前原国務大臣 沖縄に限らず、日本の観光というものを観光立国という考え方に基づいて基幹産業にしていこうというのが今の政権の基本的な考え方でございまして、柱は三つございます。

 一つは、インバウンドをどうふやしていくのか。先ほど委員おっしゃったように、ことし一千万人を目標に頑張りたい。去年が六百七十九万人ですので、一・五倍、なかなか厳しい数字でありますけれども、一月が前年度比一〇%増、そして二月が、これは春節がありまして六二%増、そして三月が二四%増ということで、ちょっと今ヨーロッパの問題とかで不透明なものはありますけれども、しかし、特にアジアにプロモーションをしっかりして、また、ビザの見直しも今岡田大臣とも相談をさせていただいているところでございますけれども、さまざまな形でのインバウンドをふやしていくというのが一つ。

 二つ目は、他省庁との連携。例えばメディカルツーリズムとか、あるいはグリーンツーリズム、エコツーリズム、こういったものをしっかりとやっていきたいというのが二つ目。

 三つ目が、休暇の分散化による、いわゆる平準化をすることによって観光需要をふやしていく。

 この大きな三つに今取り組んでおりまして、これは公明党さんも賛成をしていただけることだと思いますし、今までも、さまざまな衆参両院議員の方々と建設的な意見交換をさせていただいております。

 沖縄につきましても、先ほど特区をということでございましたけれども、沖縄というのは、沖縄振興特別措置法というのがございまして、これも委員よく御承知のとおり、特定免税店制度とか観光振興地域制度とか航空機燃料税の減免とか、そういったものをやっております。

 まずはこういったものをしっかりと行い、日本全体の観光施策というものを充実させていく中で、また沖縄は、これも沖縄に本拠地を置かれている委員もよく御承知だと思いますけれども、例えば去年は、インバウンド観光は減ったんですけれども、リゾートウエディングとかはふえているんですね、それからMICEもふえている。こういうことで、これは沖縄県とも話をしておりますけれども、さまざまな観点での努力を沖縄の方でもやってもらう。国全体としての底上げは我々としてやるけれども、例えば中国でも広いですよね、各省に違ったプロモーションをするなんということもぜひやってくださいということを私は沖縄県にも、この間伺ったときに申し上げました。

 特区ということはしっかり頭に入れておきますけれども、まずは日本全体のパイを大きくしていく中で沖縄がどれぐらいの伸び率を示すかということを見させていただいて、またそれを踏まえて建設的な議論をさせていただきたい、このように考えております。

遠山委員 ちょっと時間がないんですけれども、防衛省に簡潔に伺います。

 沖縄県内の企業を回っていて頻繁に聞く苦情の一つに、防衛省発注の公共事業に伴う履行保証証券による保証金額が高いと。具体的には請負工事代金の十分の三、三割になっている。同じ公共事業でも、国土交通省発注の場合は一割。防衛省の工事の場合、なぜ三割なのか、その法的根拠と説明を伺いたいと思います。

長島大臣政務官 お答え申し上げます。

 今御指摘の点でありますけれども、私ども防衛省が発注をしております建設工事というのは、自衛隊及び在日米軍の運用に供するものでございます。したがいまして、保証金を払っていただいたけれども、工事が続行できずに施設の工事が完成できなかった、こういうわけにまいりませんので、部隊の運用に多大な影響を及ぼす可能性のある場合につきましては、おっしゃいますように、多少厳しい基準ではございますけれども、残された工事の代替履行を確保する、そういう目的のために十分の三という基準を、これは中央建設業審議会作成の公共工事標準請負契約約款の規定等を踏まえて、請負代金額の十分の三という基準を設けさせていただいております。

 運用に支障と申しますのは、端的に申し上げまして、それは国防に直結する問題でございます。この工事が成立しなければ国民の生命財産を守り切れない、こういう観点からこのような制度になっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

遠山委員 今の御説明を御説明として承りまして、私の方もさらに勉強をさせていただいて、本当に十分の三でなければならないのかどうかということを引き続き追及させていただきたいと思っております。

 以上で私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

山本委員長 赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、最初に、沖縄県における戦没者遺骨収集について質問をいたします。

 戦後六十五年たった今でも、県内各地から戦没者遺骨が発見されます。厚労省の資料によりますと、沖縄戦の戦没者概数は十八万六千五百人と推計されているわけですが、遺骨の送還概数は十八万六千三百九十五柱となっております。差し引くと、残りの戦没者の遺骨は約百柱ということになりますが、厚労省、沖縄県における遺骨収集は終わりに近づいているという認識ですか。

森岡政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄におきます遺骨収集につきましては、NPO法人等から御遺骨の情報が沖縄県等に寄せられていると聞いているところでございます。

 今後とも、沖縄県等とも連携しまして、収集可能なごう等について積極的に収集を実施していくこととしているところでございます。

赤嶺委員 百柱を超えるような遺骨がどんどん出てきているわけですね。戦没者の数を超える遺骨の数が出てきている。この数字はどんな認識ですか。

森岡政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省におきまして推計しております沖縄におきます戦没者数は、委員御指摘のとおり、十八万六千五百人でございます。また、収集いたしました遺骨につきましても、二十二年三月までに十八万六千三百九十五柱でございます。

 いずれにいたしましても、沖縄県におきます遺骨収集につきましては、いまだNPO法人等から御遺骨の情報が寄せられているところでございますので、こういった御遺骨につきまして、今後とも沖縄県等とも連携しまして積極的な収集を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 沖縄戦の戦没者の遺骨収集の第一義的責任はNPOじゃないですよ。政府ですよ。NPOから何か情報の提供があればやる、こんな姿勢ではなくて、やはりあれだけの戦没者が出ていた島で国の責任を果たしていただきたいと思うんです。

 それで、最近発見されている戦没者の遺骨の現場では、遺品も一緒に見つかります。しかしながら、本人を特定するためにはDNA鑑定しかありません。厚労省は、沖縄の戦没者遺骨については、DNA鑑定要件を満たして、希望する遺族についてはすべて鑑定を行うということにしていますか。そして、そのための体制、市町村の窓口の対応もきちんととっておられますか。

森岡政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県におきます御遺骨のDNAデータでございますが、沖縄県におきます御遺骨でございましても、保存状態が良好であればDNAデータが得られる場合もあるところでございます。

 こういったことから、身元特定に至ります手がかりがありまして、かつ御遺骨からDNAデータが得られる場合につきましては、関係の御遺族等に対しまして、DNA鑑定の申請を行うよう働きかけているところでございます。また、関係行政機関に対しても、こういったことについて十分周知を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 最近、浦添市経塚という地域で区画整理が始まりまして、かねて亡くなったお父さんから聞かされていた、あなたのお姉さんの亡くなった場所はここだよ、開発があったときには必ず遺骨を拾いに行きなさいという、その場所で区画整理が始まりまして、六十年間待ち続けたその場所で遺骨が発見されたというニュースが流れて、本人はいても立ってもおれずに現場に行って、自分の姉ではないか、こうやっているんですね。

 見つかった遺骨は五体で、それも提供された情報どおりであったわけですが、どれが姉の遺骨か、それもDNA鑑定してみないとわからない。DNA鑑定の手続を今とっておりますが、遺骨が出てくる現場では、この事例以外にもみんなそうなんです。自分の肉親じゃないか、身内じゃないかということなんですね。

 そこで、遺族の方々から出ている要望は、今まで沖縄で亡くなった遺骨の九九%は身元がわからないということで、戦没者の方に合葬されているわけですね。みんな一緒にされているわけです。遺族に返っていないわけですよ。せめてこれから見つかってくる遺骨については、まず遺骨をDNA鑑定して厚労省で記録を保存してくれ、そして、もしかしたら自分の父じゃないか、母じゃないか、こういう思いでいる人たちが自分のDNAの検体を提出した場合には、その厚労省の記録と照合すれば自分の身内の遺骨が見つかる、こういう仕組みをつくっていただきたい、これはかなり強い要望なんですが、いかがですか。

森岡政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県を含みます南方地域におきまして発見されました御遺骨につきましては、高温と多湿ということもございましてDNAが破壊されているというケースも多く、身元の特定のためのDNAがなかなか得にくい状況にあるところでございます。

 しかしながら、こういった南方地域の御遺骨でありましても、先ほど申し上げましたように、保存状態が良好であればDNAデータが得られる場合もあるところでございますので、こういった身元特定に至る手がかりがあって、かつ、遺骨からDNAデータが得られるといった場合につきましては、関係の御遺族等に対しまして、DNA鑑定の申請を積極的に行っていただくよう働きかけてまいりたいというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 前原大臣、厚労省は趣旨を理解していないんですよ。しかも、高温多湿で遺骨の保存状態が悪いからというようなことで、沖縄戦で亡くなった人の九九%は国立の沖縄戦没者の墓苑に納められているわけですよ。

 でも、やはり、父親からあの場所であなたのお姉さんが亡くなったんだよと聞かされていて、その場所から遺骨が出てきたら駆けつけるのが普通ですよね。駆けつけても、特定される手がかりがない場合が多いんです。その場合にあきらめて帰らざるを得ない。

 しかし、その遺骨についてDNA鑑定の記録が厚労省に保存されてあれば、いつか、もしかして自分の身内が保存されているのではないかということで、自分のDNAと記録を照合する新しい仕組みですよ、こういう仕組みをつくってほしい、このように思っているんですが、それはそういう理解で答弁していらっしゃるんですか、厚労省は。

    〔委員長退席、松木委員長代理着席〕

森岡政府参考人 繰り返しになりまして申しわけございませんが、お答え申し上げます。

 戦没者の御遺骨のDNAデータにつきましては、特定できる資料、また、こういった埋葬地の状況のわかる確たる証拠等がございます場合におきましては、かつ、こういった遺骨からDNAデータが得られるという場合におきましては、関係の御遺族方に対しまして、DNA鑑定の申請を積極的に行っていただくよう働きかけていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 繰り返しの答弁は無意味ですよ。あれだけの戦没者に対して、遺族のもとに返したいという気持ちが全く感じられない政府の答弁でありました。前原大臣、こういう問題も沖縄にはあるんだということで取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、前原大臣にもう一つなんですが、今、遺骨は、大体、厚労省はああいう数字の認識ですから、もう出てこないだろうぐらいに思っているんですが、激戦地で公共事業を始めると、遺骨がどんどん出てくるんです。しかし、一体たりともブルドーザーで砕くようなことがあってはいけないと思うんですよね。やはり遺骨の保存をきちんとしないといけない。本人特定につながるようなこともしないといけない。その場合に、一たん事業がとまるんですね。公共事業がとまるんですね。とまった場合に、業者としてはやはり大変な負担になるわけです。そういう遺骨の収集にかかわるような、しかも今、公共事業に関連して出てくる場合が多いですから、そういうものも念頭に置いた支援策が必要であるだろう。

 特に、これから、激戦地、与那原町運玉森での国道工事が始まります。ここではどれだけの遺骨が見つかるか、想像もつきません。そういうところに対しては、公共事業の事業者に対して、遺骨収集に対しても丁寧にやっていくような、負担を感じないような支援策、そういう仕組みを検討していただきたいんですが、いかがですか。

前原国務大臣 赤嶺委員にお答えをいたします。

 いまだに発見されていない御遺骨が存在をするということで、その場合のDNA鑑定については、先ほど厚生労働省から答弁がありましたように、積極的にDNA鑑定というものを申し入れてもらう、こういうことでございますので、これは赤嶺委員がおっしゃったことが、私は、一〇〇%満足していただけないかもしれませんが、方向性としてはそこはしっかりとやっていくということだと思います。我々としても、その辺は厚生労働省としっかり話をして、特に御遺族の方にできるだけ御満足いただけるように、今お話のありましたことに取り組ませていただきたい、このように思っております。

 この公共事業についてでございますけれども、もし公共事業を行っているところでそういった御遺骨が出てきた場合においては、迅速な対応が図られるように関係機関と連携を図ってまいりたい。

 補償ということでありますけれども、今の段階でそういったものをということについては、なかなか難しい部分もございます。

赤嶺委員 引き続き、この問題を議論していきたいと思います。

 次に、普天間基地問題について外務大臣に伺います。

 五月四日に鳩山首相が沖縄を訪問しました。すべてを県外にということは現実問題として難しい、沖縄の皆様方にも御負担をお願いしなければならない、このように述べて、普天間基地の県内移設を受け入れるように求めました。県内移設断念を総意として求めてきた県民に対する重大な裏切り行為だ、私はこのように考えております。首相が訪れたどの会場も騒然となりました。怒号も首相は浴びせられました。

 七日には、首相は徳之島の三町長とも会談し、普天間の機能または訓練の一部を受け入れるように求めたわけですが、三町長は断固拒否し、これ以上の協議に応じない考えを示しました。移設先探しの破綻は明白であります。

 外務大臣は、この一連の会談についてどのように受けとめておられますか。

岡田国務大臣 総理が沖縄にみずから行かれ、沖縄の負担をできるだけ減らしたいという総理の思いを直接お伝えになったことは、これは私はよかったというふうに思います。いろいろなことが予想されましたけれども、それでもなおかつ直接お話ししたいと、そこに総理のやはり沖縄の負担をできるだけ減らしたいという強い思いが、沖縄の皆さんにも少しでも感じていただいたのではないか、そういうふうに私は期待をしているところでございます。

 意見の相違はいろいろあります。それを埋めていく努力をしっかりとしていかなければならない、そう思っております。

赤嶺委員 総理に一縷の望みを託していた人でさえ、総理から絶縁状を突きつけられた、裏切りだ、恥ずかしくないのか、こういう声が飛んでいることをお伝えしておきたいと思います。

 くい打ち桟橋方式も蒸し返しているようでありますけれども、多数のくいによってサンゴ礁を破壊し、光が遮断されることによって、ジュゴンのえさとなる海草、藻場は消滅をします。まさに自然に対する冒涜そのものであります。海であれ陸であれ、辺野古に新たな基地をつくることは、一月の市長選挙で示された名護市民の意思を真っ向から踏みにじるものであります。

 徳之島に加えて、本土の自衛隊基地への訓練移転を新たに検討しているようでありますが、繰り返し私はこれまでも国会で追及してまいりましたけれども、沖縄の基地をそのままにして一部訓練を移転しても、沖縄の負担軽減にはつながりませんでした。全国に基地の負担を拡大するだけでありました。これは、県道一〇四号越え実弾砲撃演習や、嘉手納基地のF15訓練の本土移転を見れば明らかであります。鳩山内閣は、県内であれ県外であれ、移設先探しは不可能だということを認識すべきであります。

 それで、鳩山首相が県内移設受け入れを求めるに至った根拠として挙げたのが、海兵隊の抑止力であります。県民からすれば、また抑止力の名で沖縄に基地を押しつけるのかという思いです。外務大臣、宜野湾の対話集会の会場で総理大臣が抑止力を繰り返したときに、もうやめてという悲鳴が起こりました。

 外務大臣に率直に聞きますが、鳩山内閣の言う海兵隊の抑止力、これは具体的にどういうことでしょうか。ちょっと説明していただけますか。

岡田国務大臣 まず、在日米軍の抑止力ということがあって、その上で海兵隊の抑止力ということがあると思います。

 委員もよく御承知いただいていることだと思いますが、日本の自衛隊というのは、敵を攻撃する能力を持ちません。防衛力ということで整備をしてきております。そういう中で、それを補うものが米軍の存在でありまして、日本の安全あるいはこの地域の平和と安定、そのために米軍の存在というものは日本になくてはならないものである、そういうふうに私は考えております。

 そういう中で、海兵隊というのは、即応力といいますか、足が速いといいますか、最もそういった能力を持ちますので、その海兵隊の抑止力というものがあって日本の全体の抑止力というものが構成されている、そういうふうに考えております。

赤嶺委員 日本の防衛という角度で考えてみたときに、もともと在日米軍は、海兵遠征軍、それから空母打撃群、遠征打撃群、航空宇宙遠征軍、すべてが海外への展開を任務とする部隊であるわけです。とりわけ海兵隊は、今外務大臣がおっしゃったように、常時即応態勢をとり、ヘリや上陸用舟艇で真っ先に相手陣地に上陸し拠点を確保することを任務とする殴り込み部隊であります。

 こうした特性を持つ海兵隊、これがなぜ我が国への侵略に対する抑止力になるんでしょうか。

岡田国務大臣 それは抑止力というものをどうとらえるかということでありますが、抑止力というのは、攻撃をしたときにそれに対して反撃をされる、反撃というのは、単に防衛するということだけではなくて、その攻撃した相手国に対して攻撃を加える、そういうことも含んだ概念である、そういうふうに私は考えております。日本の自衛隊には基本的にそれがございません。それを補っているのが米軍、在日米軍であります。

赤嶺委員 ですから、我が国への侵略に対する抑止力ということ、これは総理も、先月、本会議の私の質問に答えているわけですよ。しかし、海外展開部隊ですよね、殴り込み部隊ですよね、これが何で我が国の侵略に対する抑止力ということになるんですか。

岡田国務大臣 ですから、日本に対して仮にある国が侵略をするということになれば、その国に対して在日米軍が攻撃をする、そういった能力もあるということを見せることで抑止になっているということであります。

赤嶺委員 海兵隊初め在日米軍が日本防衛のために駐留しているわけでないというのは、アメリカの政府当局者は何度も発言してきております。

 これは外務大臣も御承知だと思いますが、例えば、一九八二年には当時のワインバーガー米国防長官が、沖縄の海兵隊は日本の防衛任務には充てられていない、このように述べました。九五年には、当時のナイ国防次官補は、日本における我々のプレゼンスは依然として我々の地球的規模の前進展開態勢にとって死活的に重要な側面である、このように述べております。

 アメリカの政府当局者自身が、海兵隊は日本防衛のために駐留しているのではない、こう言っているわけですが、何で日本政府は日本防衛のためだと言えるんですか。

岡田国務大臣 日本にある米軍の役割というのは大きく言って二つある。それは、日本自身の安全、そしてもう一つは地域の平和と安定、二つの意味があるということであります。したがって、どちらを強調するかということで、その時々、言い方に若干の差が出るということだと思います。

 日本の安定と言うときに、日本の防衛そのものは基本的には自衛隊が担うわけでありますが、それに対して抑止力という意味では、先ほど私が言いましたような形で、相手を攻撃する能力を持つということで抑止する、そういった役割を果たしていることは明らかであります。

    〔松木委員長代理退席、委員長着席〕

赤嶺委員 非常に漠然としているんですね。沖縄県民はもう六十五年間、それぞれの時期に応じて、時代に応じて、いつでも抑止力、抑止力と言われてきたものですから、やはりもっと具体的にきちんと説明していただきたいんですよ。

 最近、海兵隊の抑止力をめぐっていろいろな議論が行われるようになってきておりますが、海兵隊必要論の立場の人からでさえ、日本への侵略を阻止するために海兵隊が必要だという主張は、残念ながら私は見たことがありません。

 例えば、元外務官僚で外交評論家の岡本行夫氏は、最近書いた雑誌論文の中で、中国が日本に戦争をしかけてくることはないだろう、沖縄にいる海兵隊は尖閣を直接に防衛するわけではない、このように述べております。

 それでも鳩山内閣が日本防衛のために海兵隊が必要だということであれば、一体どんな事態を想定しているんですか。具体的に説明していただけますか。

岡田国務大臣 先ほど来申し上げていると思いますが、例えば日本がある国から攻撃を受けた際に、もちろん日本そのものを防衛することは自衛隊の役割であります。いわば盾の役割。しかし、矛、つまり、その相手国を攻撃するということは、それは米軍の役割。役割分担であります。そういった能力を持つということで日本に対する攻撃を抑止しているということであります。

 それから、これは余り語られないことでありまして、抑止力とは少し別の次元の話になりますが、在日海兵隊が災害の救助という意味でも非常に大きな役割を果たしてきたことは事実であります。インドネシアでの津波、台湾での地震、その他さまざまな災害の場面で、現地に真っ先に駆けつけて行動してきたのが海兵隊であるということも申し上げておきたいと思います。

赤嶺委員 どんな事態が想定されるから海兵隊が必要なのかと聞いているんですよ。

岡田国務大臣 ですから、日本がいずれかの国から侵略を受けるということを事前に抑止するために海兵隊の存在があるということであります。

赤嶺委員 かみ合わないわけですが。私は、日本防衛のために海兵隊の抑止力が必要だという根拠は、今までの答弁を聞いていてもよくわからない。

 北朝鮮や中国との関係ではどうかということで考えてみました。幾つか挙げられているのが、北朝鮮で政権崩壊などが起こった場合の邦人救出であります。外務大臣も、四月二十七日の記者会見で、海兵隊の必要性の一つに邦人救出を挙げております。しかし、北朝鮮に直接対峙する韓国では、今、米軍再編の一環として、在韓米軍の削減や従来の張りつき部隊から海外展開部隊への転換が進められております。

 もし政府が北朝鮮への対応として海兵隊が必要だと言うのであれば、なぜアメリカは在韓米軍の削減を進めているのかちょっと理解に苦しむんですが、いかがですか。

岡田国務大臣 委員は今北朝鮮のことを言われましたので申し上げたいと思いますが、北朝鮮はミサイルを持っております。核についても、核実験を行っております。北朝鮮が例えば日本に向かってミサイルを撃とうと考えたときに、日本にはそれに対抗する手段、もちろん、それを撃ち落とすための若干の装備は持っておりますが、しかし、北朝鮮に対して報復をする手段は持ち合わせておりません。それを持っているのが米軍であります。それがあるからこそ、日本に対してミサイルを撃とうという、そういう気持ちといいますか、それがより抑止されるということであります。私が先ほどから申し上げているのはそういうことであります。

 それから、今、朝鮮半島、韓国から在日米軍が数を減らしているという話がありました。しかし、必要最小限のものはしっかりと維持をしながらの話であります。

 もう一つ申し上げれば、先ほども申し上げたんですが、韓国の軍艦が沈没をいたしました。その理由については現在調査中であります。余り予断を持って言うつもりはありませんが、しかし、もし仮にそこに北朝鮮が絡んでいるとすれば、朝鮮半島はそれだけでかなり緊迫をすることになるわけであります。やはり、そういう現実をしっかり踏まえて、日本を守るために、国民の生命、財産を守るために、一体何が必要なのか、そういう議論をしっかり行っていくべきだと考えております。

赤嶺委員 ミサイル防衛のために海兵隊が必要だと言わんばかりの外務大臣の答弁でありましたけれども、北朝鮮に直接対峙する韓国でも、米軍は削減され、しかも、張りつき部隊だった米軍は域外展開、海外展開への転換も進められている。一方で、日本は海兵隊が必要だと言う。それを北朝鮮の例を取り上げてやるのは本当に矛盾だらけだと思うんですよね。

 しかも、日本への侵略どころか、北朝鮮が崩壊した場合の自国民や邦人の救出のために広大な沖縄の海兵隊基地が必要だという説明は、およそ納得できません。

 中台紛争についても、先ほど大臣は防衛省の政府高官であった人の発言を引用しておられましたけれども、今、防衛研究所特別客員研究員の柳沢協二氏は、「「海兵隊が抑止力」という考えの本質的な意味は、いざとなったら海兵隊を使うということだ。例えば、中国が台湾に進攻した場合、海兵隊を投入すれば米中は本格的衝突になり、核使用に至るエスカレーション・ラダーも動き出すかも知れない。」「それが正しい選択なのか。」とメディアで述べております。

 こういう見解については、外務大臣、どのようにお考えですか。

岡田国務大臣 現実にどういう手段をその場において用いるかという話と、なるべく選択肢を多く持っている、そういう話というのは違う話であります。選択肢がなければ、やはりとり得る手段というのは限られるわけで、多くの選択肢を持ちながらその状況に応じて最善のものを判断していく、こういうことだと思います。

赤嶺委員 非常に抽象的で漠然として、何で沖縄の県民が海兵隊を受け入れないのか、何でわからないのかというと、沖縄にいると、実態は、海兵隊はイラク戦争とアフガニスタン戦争への殴り込みですよ。国際法違反の戦争と言ったのは外務大臣じゃないですか。国際法違反の戦争に、我々日本が出撃拠点として沖縄をいつまでも提供する、これが正当であるかどうか、主権国家として正しいかどうか、このことが沖縄の普天間基地の問題では問われているんだということを申し上げまして、きょうはもう時間がなくなりましたので、引き続きその質問をやっていきたいと思います。

山本委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 きょうは、普天間問題、沖縄の基地問題は質問いたしません。いたしませんが、両大臣おそろいでございますので、私は、鳩山総理が、辺野古現行案、いわゆる辺野古を埋め立てるのは自然への冒涜だとおっしゃった、同じように、今いろいろ報道されている辺野古の海へのくい打ち桟橋方式は、ウチナーンチュあるいは国民に対する冒涜であるということだけを言っておきたいと思います。

 さて、宮崎県における口蹄疫発生は、沖縄の畜産農家の経営にも深刻な影響を与えております。

 沖縄県畜産課は、四月三十日、県内八カ所での競り開催の中止を決定しました。口蹄疫防疫のための競り中止は、沖縄県内で初めてであります。その結果、牛、豚合わせて約三千頭、約八億円分の取引ができなくなりました。

 前原大臣よくおわかりのとおり、沖縄の食文化の中で豚肉は必要不可欠のものであります。沖縄ではよく、豚は鳴き声以外は全部食べられる、こういうふうに言われております。同時に、沖縄の子牛は全国への供給源となっております。

 そこで、農水省に、宮崎県で発生した口蹄疫について、現段階での発生状況と処分された牛や豚の頭数について伺います。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 まず、口蹄疫発生農家及び関係者の皆さん方に心からお見舞いを申し上げ、さらにまた、防疫対策に当たっておられる方々に心から敬意を表するところであります。

 現在の状況についてお尋ねがございました。現在まで五十六例発生してございます。約六万四千頭、牛で約五千頭、豚で約六万頭を殺処分したところでございます。

 また、宮崎県における口蹄疫の発生を踏まえて、全国の農場に対して聞き取り調査を実施いたしておりますが、現時点では、宮崎県の農場以外の口蹄疫の疑いはないことを確認してございます。

 防疫措置についてでありますが、宮崎県に加え、隣接県、大分、熊本、鹿児島でありますが、ここには全額国庫補助による消毒の散布。それから、殺処分をしました後の洗浄、調査などについて、さらに迅速化を進めさせていただいてございます。さらにまた、農水省の幹部の現地派遣、それから、獣医師等の派遣、延べ八百六十四名を派遣させていただいてございます。

 さらに、五月一日からは、宮崎県知事の要請を受けて、自衛隊が防疫作業に出動しておりまして、一日百名程度の出動をお願いしているところでございます。

 五月七日の閣僚懇談会においては、官房長官から、各府省連携して万全の対策をとるようにという発言があり、農水省としても、これを受けて各府省との連携を強化して防疫措置を的確に実施しているところでございます。

 以上でございます。

照屋委員 国を挙げての口蹄疫防疫態勢の強化は当然でありますが、沖縄のような離島県における口蹄疫発生予防とウイルス侵入予防の具体策、これを沖縄との関連でお答えください。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 沖縄県を含む各都道府県に対しましては、直ちに情報の提供を行いまして、早期警戒、衛生管理の徹底など、万全を期すよう要請をさせていただいたところであります。

 さらにまた、我が国への口蹄疫の侵入を防止しなければなりませんので、入国の際の消毒など、水際対策についても徹底をさせていただいてございます。空海港において、入国者の靴底の消毒、車両消毒を実施してきたところでありますが、本年一月、韓国での発生を受けて、本病発生国からの入国の消毒はさらに徹底をさせていただいているところでございます。

 発生を予防するためには、生産者の努力も必要でありますが、各都道府県を通じて、家畜の健康観察、異常を認めた場合の早期通報、部外者の出入りの制限、それから農場関係者の徹底した消毒、これも大変重要でございますが、野生生物や害虫の侵入防止など、周知徹底をさせていただいているところであります。

 また、沖縄を含む全国の牛、豚飼育農場に対しまして、聞き取り調査を実施させていただいてございまして、五月三日の時点では、宮崎県の農場以外に口蹄疫の疑いはないということを確認しているところでございます。

 以上です。

照屋委員 先ほど沖縄でも競りが中止になったと言いましたが、競りの中止によって畜産農家は飼料代がかさむわけですね。それから、防疫態勢のための消毒用品代などが要る。そういう状況で、畜産農家を直接支援する対策はどのように講じるのでしょうか。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 先ほど沖縄でも市場の封鎖、自粛をされているということで、三千頭、約八億円という市場がストップをしているというお話がございましたが、沖縄の家畜市場も、沖縄県からの要請を受けて市場の開催を中止したというふうに伺ってございます。飼育期間が結果として長期化するわけでありまして、今御指摘のように、えさ代等に特別な費用がかさむことになります。

 そこで、えさ代については、飼料購入に要する低利融資を用意させていただいてございまして、家畜飼料特別支援金、〇・八五から一・〇五%の資金を措置させていただいてございます。

 さらにまた、運転資金でありますが、これは農林業セーフティー資金、これも〇・八五から一・〇五でございますが、これの利用も可能となっているところであります。

 そのほかいろいろ対策は講じてございますが、市場自粛ということで対象になるのは以上の二点でございますが、家畜農家の皆さん方が心配されるようなことがないように、必要な措置に万全を期していく決意でございます。

照屋委員 それでは次に、沖縄県に存在する民間の自主夜間中学校、NPO法人珊瑚舎スコーレと、学齢期を過ぎた義務教育未了者の問題について文科省に伺います。

 まず、全国で学齢期を過ぎた義務教育未了者は何名いると推定されますか。そのうち、沖縄県は何名でしょうか。最も新しい統計資料に基づいて答えてください。

高井大臣政務官 お答えいたします。

 いわゆる九年間の義務教育を受けるべき者のうち、義務教育を修了していない者の数を実は正確に把握しておりません。

 平成十二年の国勢調査がございまして、国勢調査は十年ごとにやっておるわけでありますが、その中で小学校及び中学校に在学したことのない者または小学校を中途退学した者という項目がありまして、全国で十五万八千八百九十一名でございます。そのうち、沖縄県における人数は九千二百二十六名となっております。

照屋委員 全国に公立の夜間中学校は何校あり、在籍者は何名でしょうか。また、民間の自主夜間中学校は何校あり、在籍者は何名でしょうか。

高井大臣政務官 現在、公立の中学校で夜間中学校を設置しているものが、全国に八都府県で三十五校ございます。平成二十一年五月一日現在で二千五百二十六名が在籍をしております。これが公立の夜間中学校、夜間学級及び在籍数でございます。

 全国の自主夜間中学校及び在籍生徒数でございますが、実は、先ほど来お話がありました、NPO法人の珊瑚舎スコーレなどが含まれると思われる自主夜間中学校の数については、公立の夜間中学校以外でボランティアなどにより自主的に運営されているものというふうに我々は承知をしておりますが、幾つかの例があることも存じております。しかしながら、これについて確たる定義を設けていないもので、自主的な運営に基づくものでございますから、我々が国として、幾つあり、何名おるかという生徒数は把握していないというのが現状でございます。

照屋委員 それは、文科省、怠慢ですよ。義務教育は憲法上も無償とすると書いてあるんですよ。いろいろな事情で学齢期を過ぎた義務教育未了者の問題というのは、もっと真剣に考えてもらわぬといけませんよ。民間の夜間中学も何校あるか、在籍者も知らぬ、掌握していない、こういうことでは通りませんよ。

 それでは聞きますが、沖縄にはなぜ公立の夜間中学校はないんでしょうか。その理由は何でしょうか。

高井大臣政務官 御指摘ございました公立の夜間中学校ですが、住民に最も身近な機関である市町村教育委員会が、こうした住民の教育ニーズ、学習ニーズ、どの程度、どこまで必要かということを把握するということがまずは第一でございまして、一番近い市町村教育委員会が判断することが適当というふうに私どもは考えております。

 その際、この中学校の夜間学級を設置するかどうかということについて、市町村教育委員会等と事情を勘案しながら判断をしておると思いますけれども、沖縄県教育委員会から聞くところによりますと、同県内における公立の夜間中学校の設置につきましては、対象者の実態把握や設置の基準、それから財政上の課題等、解決すべき点がまだ多く残っており、設置の可否も含めて検討しているというふうなことを伺っております。県議会を通じても、そのような議論があったということを承知しておる段階でございます。

照屋委員 私は先ほど義務教育は本来無償であるべきだということを言いましたが、ところで、沖縄にあるNPO法人珊瑚舎スコーレに対する国からの財政支援は一切ございません。沖縄の義務教育未了者というのは、悲惨な沖縄戦と、沖縄戦終結後の混乱と貧困の時代に学齢期を迎えた方々であり、平均年齢はとうに七十二歳を超えております。NPO法人珊瑚舎スコーレ、夜間中学校への国の財政支援は、すぐれて沖縄の戦後処理の問題であり、復帰処理の問題なんです。国としてどのような財政支援を行えるのか、行っていこうとするのか、文科省の考えを尋ねます。

高井大臣政務官 御指摘は本当にそのとおりというふうに受けとめますけれども、先ほど申し上げましたように、自主夜間中学校の開催等支援については、一番身近な存在である地方自治体が実情に応じて判断し、また、支援が行われているというふうに承知をしております。国として、これから自主的な夜間中学校に対する直接支援をどうやっていくのか、また、現在行っていないところではありますけれども、その実態把握とか地方自治体の支援の状況等を踏まえた上で、どのようなことが我々にできるのか、目下いろいろと検討している最中でございます。

 先生御指摘のとおり、沖縄においては、特に戦中戦後の混乱期における義務教育未修了者への就学機会の提供と卒業認定ということで、特別にこうしたことが認められておりまして、いろいろな就学の方法を幾つか選択できるという現状もございまして、その中で、先ほど来話があったNPO法人の珊瑚舎スコーレの方でも、事実上、連携する中学の方できちんと卒業の認定等も認めているという状況等もございますので、いろいろな形で連携する中で、御指摘も踏まえてできるだけの努力も前向きにしていきたいと思っております。

照屋委員 私は、かねてより沖縄問題に深い関心と理解を持っていらっしゃる前原沖縄担当大臣に最後に伺います。

 義務教育における学習権の保障の問題、戦後処理としての沖縄県における公立夜間中学校の設立の問題、あるいは、今唯一あるNPO法人珊瑚舎スコーレへの財政支援の問題というのは、大臣、この珊瑚舎スコーレは教材費等を一万五千円ぐらい徴収しているらしいんです。運営費が足りなくて個人の善意に頼っている。本当に勉強したい、義務教育をせめて終えたい、ところが一万五千円が出せない。財政支援はない。勉強したくても、沖縄戦があった、沖縄戦の後にアメリカの軍事支配があった、食うや食わずの生活を強いられた。こういう状況の中で、私は、勉強したいという七十過ぎの、しかも幾らもかかりませんよ、そういう人にこたえて、やはり、文科省だけではなくて、内閣府沖縄担当大臣としてもこれは真心を持って解決していかなければいけない課題だと思いますが、私が信頼する大臣のお答えをお願いします。

前原国務大臣 照屋委員にお答えをいたします。

 義務教育未修了者への就学機会の提供につきましては、沖縄県と文部科学省において検討していただく問題と考えておりますが、今先生から御指摘がありましたように、戦争のために義務教育を修了できずに現在もNPO法人で学ばれている方がおられるという現実は、これは真摯に受けとめなくてはいけない、このように思っております。

 先ほど高井大臣政務官が答弁をされましたけれども、沖縄県の教育長が沖縄県議会で答弁をされておりますが、夜間学級の設置については、対象者の実態把握や設置の基準、財政上の課題等解決すべき点も多く、設置の可否を含め引き続き検討してまいりたいと。要は、制度的なものとお金の問題があります。

 今の委員のお話ですと、珊瑚舎スコーレへの財政支援ということも含めて、少し前進するように文部科学省と沖縄県と早急に相談をさせていただき、また御報告をさせていただきたい、このように考えております。

照屋委員 終わります。

山本委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 沖縄県第三区選出の衆議院議員玉城デニーでございます。

 民主党は、昨年の八月三十日の総選挙で県内から二人、私三区の玉城と四区の瑞慶覧長敏という衆議院議員が初めて誕生いたしまして、県民の皆さんからも日々叱咤激励をいただきながら、沖縄のことを一つ一つじっくりやってくれということで大きなお力添えをいただいております。

 きょうは、沖縄北方問題に関する特別委員会で、先ほど来、各委員の方々からは、沖縄の現状、まさに日々たくさんの県民の皆さんが英知を重ねつつも多大な苦労をなさってこられた、そのことも紹介をしながらいろいろな質問をされておりますが、私も、今、沖縄の最も大きな、国の大きな問題となっております普天間基地の移設問題に関する事柄なども含めまして、各担当大臣、副大臣、政務官に質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、最初に、普天間基地の移設問題におけるさまざまなことに関して質問をさせていただきます。

 今月の四日に、総理が就任後初めて沖縄県に来られました。そして、当然、キャンプ・シュワブからの、いわゆる今までのシュワブ埋め立て案の場所、それから、現在普天間基地がある宜野湾市の普天間第二小学校という、滑走路のすぐ近くにある小学校の屋上からの現場視察を行い、関係者の方々とも話をさせていただき、さらには、仲井眞県知事、稲嶺名護市長、伊波宜野湾市長ほか、議会の関係者、並びに、総理が一番率直にお話を聞かせていただきたかったという住民の方々からの多くの大変厳しい御意見をいただいたことと思っております。

 その面談の際に、総理がこれまで述べていた、昨年の八月三十日の総選挙前から言葉になさっていた、最低でも普天間の県外移設というものを努力していきたいというふうにおっしゃっていたそのお考え、言葉から、先日は抑止力の維持という観点からすべて県外というのは現実問題として厳しいという認識に変わられた、その御発言がありました。その発言で、当然のことながら、地元の沖縄タイムス、琉球新報の二紙はそのことを大きく取り上げまして、私は決してこうは思っていないんですが、新聞に普天間移設、県外を断念という見出しが載りまして、大きな動揺と波紋を与えております。

 そして、せんだっては、五月七日ですか、徳之島の三町長さんとも官邸でお会いになられ、徳之島の方々からも嘆願書とともに厳しい御意見をいただいた、徳之島は反対だという意見をいただいたというニュースも載っておりました。

 そのことも沖縄県民にとって、今後どういうふうにこの普天間の問題を解決していこうとされるのかという、総理のすべて県外というのは現実問題として厳しいという言葉から、各担当大臣、副大臣から御所見をまず伺いたいと思います。前原大臣からお願いいたします。

前原国務大臣 玉城委員にお答えをいたします。

 沖縄選出の議員として大変御苦労をおかけし、また、沖縄県民の気持ちに立って今まで御尽力をされてきたことに心から敬意を表したいというふうに思っております。

 鳩山総理も、議員と同じようにできる限り沖縄の負担軽減をやりたいという本心から今まで最大限の努力をされてきたわけでございますけれども、種々の状況の中で、今お話をされているのは、すべて県外に移すのは難しいということを、この間、五月四日に率直にお話をされた。そして同時に、徳之島の三町長に対して、一部の部隊あるいは訓練でも何とか受け入れてもらえないか、こういう話をされたわけでございます。

 私どもといたしましては、玉城委員や瑞慶覧委員、あるいは先ほど御質問された照屋先生も含めて、日々沖縄の気持ちを伝えていただいておりますので、今総理がおっしゃっていることを実現するために、できる限り残りの期間しっかりと努力をしていく、今はそのことだけ申し上げておきたいというふうに思います。

岡田国務大臣 総理の思いは、沖縄の負担をできるだけ軽減したい、そういう思いの中で非常に困難な道を歩んできておられるということであります。

 他方で、米軍が日本にあることで日本の安全というものが保たれている、あるいはこの地域の平和と安定が保たれている。そういう役割を認識しつつ、そのことと沖縄の負担の軽減ということをいかに両立させるかということで、総理は大変苦しみながら、さまざまなことにチャレンジをして少しでも実現していきたい、そういう思いの中で頑張っておられる、そのことは私は沖縄県民の皆さんにぜひ御理解いただきたいというふうに思っております。

玉城委員 ありがとうございます。

 県民の思いは、きょうもこの沖縄北方問題特別委員会でるる各委員からありますとおり、昨年の八月三十日の政権交代は、これまで沖縄県民が求めていたタイミングの一番最大にして、もしかすると最後のチャンスではないかというふうなのがとても強かった、今でもそれは当然強いと思うんですね。

 歴史的な、時系列的な話をさせていただきますと、よく話に出るのは、一六〇九年の薩摩の侵攻という、今まで薩摩と仲よくしていた沖縄に薩摩がやってくるということで、和睦の使者まで送ったけれども、ついに首里城まで来て、もう開城せざるを得なかったという状況。そしてさらに、いわゆる明治政府が樹立したことによって、廃藩置県で琉球藩がお取り壊しになった。それによって、文字どおり琉球が王国としてはなくなってしまったということ。そしてさらに、もう一つ加えるのであれば、一番近々は、一九七二年の祖国復帰なんですね。

 実は、それまで私たちは、あのときまだ小学校から中学校に上がる前で、大変復帰運動が盛んなときで、習字紙に茶わんをかぶせて鉛筆で線を引いて、それに朱色の色をつけて、それを探してきた竹の棒に御飯粒ののりでくっつけて、いわゆる復帰闘争の行進団をこの日の丸を振って応援をした、そういう経緯があります。

 一九七二年の五月十五日。もうすぐやってまいりますその祖国復帰の日に、私たち県民は、先達を含めて、これでやっと平和な日本に帰れる、基地のない、本当に安心して安全に暮らせる、その暮らしが実現できるという大きな思いの中にあった。しかし、復帰以降、やはり米軍基地があり続けているという状況の中で、忍従を強いられてきているという現状なんですね。

 それが昨年の、つまり、今までの自民党政権、そして公明党との連立政権の間、基地問題がなかなか動かなかったという現実の中にあって、総理の言葉と国民全体のうねりが、沖縄でもその期待が高まっていった。これは沖縄だけの期待ではなかったと思うんですね。そこで県民が選択をさせていただいたその総理への思いというのは、大変大きいものがある。そして、今でもまだ県外への移転を望み、普天間の早い時期の閉鎖を求めている、まずはそこからやってくれという気持ちがあるということを、ぜひお伝えしたいと思います。

 しかし、他方、これまで話を聞いていますと、どうしても日米同盟関係や近隣諸国との関係を考えたとき、一番出てくるのは抑止力の維持という言葉、その考え方であります。

 その抑止力を維持していく、海兵隊の役割ということを、総理も、この五月四日、沖縄を訪問されたときに対話の中で述べていらっしゃるんですが、この海兵隊の抑止力というものを沖縄から見た場合、沖縄には空軍もある、海軍もある、そして一部陸軍もある、四軍すべてがそろっている沖縄の米軍の状態の中で、なおかつ海兵隊の抑止力で沖縄の普天間の問題が解決できないというのは本当なんだろうか、それはどこなんだろうかと、海兵隊の抑止力について多くの県民がそれを問いかけています。

 ここでいま一度お伺いしたいのですが、外務大臣、沖縄における海兵隊の抑止力、これは具体的に何を示しているんでしょうか。

岡田国務大臣 海兵隊は即応力があるということでありますから、何か事件があったときに最も早くその現場に行くことができる、そういう能力を持っているというふうに思います。もちろん、空軍も海軍もありますが、そういう意味で海兵隊の役割というものはほかの軍にない機能がある、それが海兵隊の果たしている抑止力ということであると思います。

玉城委員 この海兵隊の抑止力に関しては、常に私たち沖縄県民の中で、どうしても抜けられない一つのからくりみたいなものがあると思うんです。それは、沖縄における海兵隊の存在、抑止力なんですね。つまり、その抑止力が我が国の安全保障にとって大変重要なものであるのであれば、地政学的な理由、あるいはこのアジア全体のさまざまな状況がある中で、本来ならもっと国民的な議論を喚起して、日本全体で安全保障の議論をもっと持つべきではないかという大変素朴な思いが県民の中にあると思います。そのことに関しては、外務大臣、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 それは委員のおっしゃるとおりであります。

 日本も非常に平和な時代が続きましたので、日本の安全というものが具体的に脅かされる事態に対する想像力を欠いてきた、あるいは政治がそのことを率直に語らなかったということが私はあったというふうに思います。そういう中で、平和な時代が続いたことで、実際にそんなことが起こるのかという思いが平均的な日本国民の意識ではないか。それは実際起こってからでは遅いわけでありまして、やはりそれはしっかり政治が、政治家がそういったことに備える必要があるんだということを率直に語らなければなりませんし、沖縄の皆さんには大変申しわけないことですが、本来であればそれは日本全体でその負担は担わなければいけない。しかし、歴史的な経緯があって、今は沖縄に集中している。それをできるだけ減らしたい。それは、総理の思いでもあります。

 しかし、現実に、それを引き受けるところが一体どれだけあるのかというと、たちまち反対運動が起きてしまうというのは徳之島でも御案内のとおりであります。ましてや、沖縄の海兵隊というのは、訓練地域も含めますと非常に大きなボリュームがありますので、それを丸ごと引き受けるということになると、それは現実的になかなか難しい。そういう中で、総理も大変苦しみながら、やはり沖縄にかなり残さざるを得ない、そういう判断に今だんだんなってきている、そういうことだと私は推測をしております。

玉城委員 このように沖縄における米軍のこれまでの、いわゆる彼らなりに言うレーゾンデートル、存在意義と、しかしその一方で我が国の防衛任務を果たす組織である自衛隊との関係というものが、この抑止力の議論でも大きなポイントになってくるのではないかと思います。

 そのいわゆる島嶼防衛も含めたきちっとした任務を備えた自衛隊が、沖縄にも、那覇空港には陸自、海自、空自とそれぞれの組織がありますが、この防衛任務を果たすための組織、自衛隊は、果たして我が国の抑止力にどのように機能しているのかということを少し大臣にお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 現在の我が国の体制というのは、よく言われる盾と矛。ですから、防衛については自衛隊が責任を持つ。相手に対する攻撃ということになれば、これは米軍が行う。そういうふうに基本的には考えられているということであります。

 したがって、日本に対する侵略があったときに、日本を守る役割というのは自衛隊が基本的に担わなければならない。現在の能力で十分かどうかということについてはいろいろ議論があるところで、それは今後の防衛大綱その他でどういう能力を自衛隊が備えていかなければいけないのか、そういう議論は行っていかなければならないところであります。ただ、基本は自衛隊が行う。

 しかし、単に防衛し続けるだけで物事が終わるかといいますと、やはり、そういった形で日本を侵略したときに、それに対して反撃をするという能力があることによって日本に対する侵略そのものが手控えられる、そういう意味での抑止力はまさしく米軍が果たしているわけでありまして、米軍が具体的に攻撃をしなくても、侵略すれば反撃される、自分の国が危うくなる、そういう中で日本に対する侵略というものが事前に抑止されている、こういうことだと思います。

玉城委員 まさに今大臣がおっしゃるように、今年度策定される新防衛大綱との関係において、実はアメリカが核体制の見直しや二〇一〇QDRの中でも、地域抑止、地域抑止の中のリバランス、本来の日米同盟の中のさまざまな抑止力関係もさらに見直していこうというふうな書き込みが新しく出てきているというふうに私は理解をしておりますが、このアメリカ政府の発表した戦略の同盟国間協議、つまり、例えば我が国の自衛隊が十年先の防衛大綱でどのようなシステムを構築すべきなのかという協議は、果たしてアメリカ側と今進められているんでしょうか。

岡田国務大臣 今、日米安保五十年という一つの区切りの年を迎えまして、日米同盟をいかに深めていくか、こういう議論を日米間で行っているところであります。

 一月からスタートしてまだ議論は初期の段階にありますが、今現在行っておりますのは、日本を取り巻く東アジアの安全保障環境、これをどういうふうに認識するか、共通認識を持つかということであります。北朝鮮、中国、あるいはその他の国々も、これから次第に経済成長を遂げ、豊かになっていく、それにつれて軍事力というものは増強されることが予想されます。そういったことに対して日米でどういうふうに協力していくことができるのか、これは日本自身の安全であり、そして地域全体の平和と安定、そのために日米同盟というのはどういう役割を果たしていくか、そういう議論を今行っているところでございます。

 具体的にはそういう安全保障環境の共通認識を持つための議論を今行っている、そういう状況でございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 さて今度は、普天間の問題と抑止力に関連して、せんだっての沖縄近海を中国海軍が行動した件について少し関係政務官から伺いたいと思います。

 四月十日に沖縄近海で中国海軍の行動があったということなんですが、これが発表されたのが十三日でした。その場合に、どのような規模の艦隊、あるいは我が国としてどのような監視態勢を行ったのかということを簡潔にお伺いしたいと思います。

楠田大臣政務官 大変失礼でありますが、その時系列的なものについて事前に用意できておりませんので、ここでお答えできかねることであります。申しわけございません。

玉城委員 ぜひその時系列的な点をまたさらに別の委員会でもお伺いしたいと思いますが、実は私が調査したところによりますと、ソブレメンヌイ級の大きな軍艦から潜水艦から含めて十隻単位の大変大規模ないわゆる軍事演習だったという報道がありました。

 その際、我が国の護衛艦隊への二度にわたる近接飛行があった、中国艦隊からのヘリコプターの近接飛行があったというふうに伺っております。その点に対してはどのような監視態勢、あるいは中国政府への申し入れを行ったのかをお伺いしたいと思います。吉良政務官からお願いしていいですか。

吉良大臣政務官 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、四月八日及び二十一日に艦艇搭載ヘリによる我が国護衛艦に対する近接飛行が確認をされました。

 これに対して、外務省としましては、まず第一の八日の事案につきましては、少し遅いという御指摘もあるんですけれども、十二日を初めとして、正式な外交ルートを通しまして申し入れを行っております。

 その申し入れ内容も必要だと思いますけれども、申し入れ内容としては、護衛艦の安全航行上危険な行為であると認識しており、相互の安全確保の観点から、我が国船舶に対して今後このような行動をとることのないよう申し入れを行っております。

 そして、二回目の二十一日の事案につきましては、八日を踏まえて、たび重なる事案となりましたので、今申し上げた安全航行上危険な行為であるという申し入れに加えて、同様の事案が再度発生したということで中国側に強く抗議をしておるところでございます。

 あと一点申し上げれば、岡田大臣からも程永華駐日中国大使に対して遺憾である旨の抗議を行っております。

玉城委員 それに対して中国側からの反応、回答はどうであったか、もしお答えできればお聞かせください。

吉良大臣政務官 中国側の論法といたしましては、日本側の警戒監視活動に対して必要な防衛措置をとったという立場が中国の立場でございましたけれども、私ども日本政府としましては、我が方の活動こそが正常な行為であり、中国側によるヘリ近接は危険な行為であり、今後このような行為をとることなきようということで申し入れております。

楠田大臣政務官 大変失礼しました。先ほどの一つ目の点でありますが、恐縮でありますが、ここでお答えできる限りでお答えをさせていただきます。

 四月七日から九日までは、東シナ海の中部海域において艦載ヘリコプターの飛行を行う等の訓練があっていた。そして、先ほど御指摘もありました四月八日午前十一時ごろには、東シナ海の中部海域において中国軍艦載ヘリコプターが護衛艦「すずなみ」に対して近接飛行をした。また、四月十日の午後八時ごろには、沖縄本島の西南西約百四十キロほどの南西諸島を、中国海軍艦艇十隻が東シナ海から太平洋に向けて南東進した。また、その後、洋上補給なども行っているということであります。

 そうしたことに対する自衛隊の警戒監視態勢でございますが、この点は、大変恐縮でありますが、我が国の手のうちをまさに明らかにすることでもありますので、この場でのお答えは差し控えさせていただきたいと思っております。

玉城委員 ありがとうございます。

 実は、大隅半島から台湾までの距離というのは、我が国の本州と同じ距離があるんですね。その間の沖縄本島と宮古島が公海になっていまして、そこから中国艦隊が出ていったというニュースでした。ここは、実は我が国の大切なシーレーンが通るところでもあり、まさに防衛上の要所、十字路だと思うんですね。そういう日ごろからの防衛監視態勢そのものも、自衛隊の能力を強化していくという防衛大綱の中での必要な協議事項になっていくのではないか。

 さりとて、その軍事行動だけを強調するのではなく、外交的な努力としてふだんから中国との関係性を持っていく。あるいはアメリカとの連携をもってアジア全体の安全保障に資するための自衛隊として、防衛大綱の中ではしっかりアメリカ側の戦略的な方向性と、我が国が将来国内に米軍基地の抑止力に頼らなくても十分安全が確保されたという状況が来るまでしっかりとその協議を進めていき、抑止力の存在をしっかり日本側が受け取るということで国民議論を進めていっていただきたいというふうに伝えておきたいと思います。

 さて、最後に一点だけ、大学院大学について前原大臣にお伺いいたします。

 二〇一二年の開学に向けた沖縄科学技術大学院大学ですが、先日、私も一号キャンパスのオープニングセレモニーに御招待をいただきました。大変すばらしい施設、すばらしい環境の中で、この大学院大学のベスト・イン・ザ・ワールドの方向性が楽しみだという、大勢の方々が詰めかけておりました。

 しかし、その一方で、先般、残念なことに事業仕分けにもこの部分がかけられてしまいましたが、少しそこの御説明をお伺いしながら、国における大学院大学の位置づけをどういう方向性で考えていらっしゃるのかをぜひお聞かせいただきたいと思います。

前原国務大臣 恩納村が御地元の玉城委員にお答えをいたします。

 この沖縄科学技術大学院大学というのは、知的クラスターの形成あるいは人材の育成を通して、沖縄の自立的発展につながるものと大いに期待をしておりますし、沖縄振興策の柱となる重要なプロジェクトでありまして、引き続き平成二十四年の開学に向けて努力をしていきたい、このように考えております。

 他方、予算の管理などで事務管理体制に問題があった、四十億円ちょっと膨らんだりといった問題があって、本年三月に私の方から抜本的にこのガバナンスを見直すようにという指示をしたところでございます。

 今般の仕分け結果は、委員も御承知のとおり、この大学院大学そのものをやめるというわけではありません。この管理体制とか、あるいは先ほど小池委員の話もございましたけれども、通常かかる費用などの見直しということがありました。ただ、私はこれは先ほど答弁させていただきましたように、世界の一流の方々を集めてくるということになればそれなりの費用はかかるし、まだ明確に公表できる段階ではございませんが、学長の選考過程にも入っております。学長の選考過程に入って、どのような給与水準にするかということを考えたときに、やはりこれは沖縄の振興と同時に、日本における最も高いレベルの研究施設にしていきたい、こういう思いを持っておりますので、それなりの給与、待遇面も必要なんだろう、私はこのように思っております。

 事業仕分けで議論されたことも真摯に受けとめながらも、平成二十四年の開学と、そして、一流の方々に集っていただける環境のためにマネジメントも含めてしっかり努力をしていくということでございます。

玉城委員 この科学技術大学院大学は、今後さらにキャンパスだけではなくてさまざまな企業を誘致する、そして企業とともに研究をする。そして、その企業とともに研究をしている中で、外国からたくさんの研究者の方々がやってきて、本当に日本に資する技術を根づかせていくんだ、そこから世界に出していくんだということで、大変県民も期待をしております。

 さらには、少しつけ加えさせていただきますと、基地が返還された後、今後はLRTなどを整備して、新しいまちづくり、新しい公共、さまざまな、民主党の政策にまさにこの科学技術大学院大学とこれからつくっていくであろう基地のない沖縄の未来について、今後ともしっかり政権には力を入れていただきたい、そのことを含めましてきょうの質問とさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、山岡達丸君。

山岡(達)委員 民主党の山岡達丸と申します。

 きょうは、御質問の機会を与えていただきまして本当にありがとうございます。

 質問も私で最後でございます。残り二十分、皆様にも最後まで力強く御答弁いただければと思っております。

 さて、私の質問でございますけれども、きょうは大臣所信に対する質疑ということです。私は北海道で選出させていただいた議員ということで、その北海道の立場から、沖縄の地上戦について、また、昭和二十年に樺太、現サハリンにおいて行われた地上戦に関しての政府の御認識、こういったことをお伺いしていきたいと思っております。

 さて、皆様のところにお配りさせていただいた資料がございます。「ソ連軍侵攻後の樺太被害状況」という資料でございます。こちらは現在のサハリンなんですけれども、ここではあえて樺太と言わせていただくところでございますが、戦中戦後に樺太から引き揚げていらっしゃった方々の聞き取りを中心に、当時の被害、犠牲者の方の数などをまとめている資料でございます。

 こちらの資料は昭和三十七年に北海道がまとめた資料なんですけれども、この資料によれば、昭和二十年八月九日から、日本がポツダム宣言を受諾した後になりますけれども、二十五日前後まで、当時のソ連軍が南樺太に侵攻してきて、その間、各町村で、少なくともこの資料を見る限りでは千人以上の一般市民の方が犠牲になられておる。もちろん聞き取り調査ということもございますので、その数には誤差もあることなんだろうと思いますけれども、やはりはっきりと犠牲者がいる、そういった資料になっているところでございます。

 きょう本当はこちらの原書をお持ちできればよかったんですけれども、樺太引揚者の方々がお持ちだったんですが、大変数も少なくて貴重だということで、こちらにお持ちして間違いがあってもよくないので、きょうはこの資料で数字をまとめさせていただきました。この資料の後半にもあるんですけれども、この本だけではなくて、民間の資料には数々、樺太で地上戦があって犠牲者も出ている、そういうことが確認できるところでございます。

 さらに、民間の資料だけではない。こちらはお持ちしたんですけれども、「北東方面陸軍作戦」という本なんですけれども、こちらは防衛庁防衛研修所戦史室が著作している。防衛庁の当時の出先機関だと思うんですが、そちらがつくっていらっしゃるこの資料でもはっきりと、樺太の地上戦については、あったということが書かれているところでございます。

 これはすべて私の方で個人的に集めさせていただいた資料ではあるんですが、きょうは防衛省から楠田政務官がいらっしゃっていただいているということで、防衛省側、政府側の方でこうした資料が確認されているのかどうか、樺太で当時、地上戦があったということが確認できる資料があるのかどうか、ぜひお伺いしたいと思います。

楠田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 我が省といたしましては、防衛研究所というのがありまして、ここにおいて自衛隊の管理及び運営に関する基本的な調査研究、また隊員の教育等といった所掌事務に基づいて、これに必要な戦史資料というものも約九万三千冊を保管しているところであります。

 御指摘の、第二次世界大戦時に樺太周辺で行われた戦闘に係る資料についても、同様に防衛研究所において保管しているところでありますが、戦後に作成された回顧録、聴取録等がほとんどでありまして、戦闘詳報のような、戦争当時の資料は保管されていないということを確認しております。

山岡(達)委員 ありがとうございます。

 戦後つくられた資料ではきちんと確認できていると。当時、当然体制も変わっておりますから、引き継ぎもきちんとされていないところもあるんだと思います。こちらの方は当時の記録ということで、引き続きこれも御調査願えればと思います。とにかく政府にもこうした資料を、民間の資料とはいえ確認することができるということで、続いて質問させていただくところでございます。

 これは、聞くまでもないことであえて政府側にお伺いしたいことでございまして、当時、昭和二十年八月現在の時点で、樺太、正確には南樺太なんですけれども、この南樺太が帰属していた国はどこか。これは聞くまでもないかもしれないんですけれども、あえてお伺いしたいと思います。吉良政務官、ぜひお願いいたします。

吉良大臣政務官 一九四五年当時、日本の領土でございます。

山岡(達)委員 ありがとうございます。聞くまでもないことで御答弁いただきました。

 答弁いただいたとおり、日本はサンフランシスコ条約で領土権を放棄するまで、南樺太は日本に帰属していたわけでございます。きょうはあえて伺わせていただきました。

 さて、私が以上の二点を御質問させていただいた意図は、沖縄戦に関します政府の御認識を改めてお伺いしたいところでございます。

 さきの大戦では、沖縄において大変大規模な地上戦が行われ、私が生まれる前のことですので、私は先人の方からお伺いしたり、資料等を読ませていただいたり、または伺ったりして知るところなんですけれども、多数の一般の方もお亡くなりになったということで、これはもう皆様も御存じのとおりだと思います。

 そして、このこと自体は本当に重く受けとめなければならない。そのことはだれもが承知されていることだ。そのことはそのとおりなんですけれども、しかし、この沖縄戦において、各民間の方の資料とかパンフレットとかに特に多いんですけれども、国内唯一の地上戦であるという表現であったり、国内唯一の住民が巻き込まれた地上戦という表現が多数見受けられるところでございます。

 今もお話ししていただいたとおり、政府側でも樺太周辺で地上戦が確認できる、それは民間の資料ではあるかもしれないですけれども、確認できると。さらに、当時は日本に帰属していた地域であって、今現在も、樺太から当時引き揚げてきた方も多数いらっしゃって、きょうも傍聴席にいらっしゃっていただいているんですけれども、命からがら苦労して、本当に悲惨な思いをしていらっしゃったという方が、その表現を聞くたびに心を痛まれる、地上戦は沖縄だけじゃないんだという声をお持ちでいらっしゃる。そういったことはずっと言われてきているところでございました。

 これは、民間のパンフレットだけでは実はなくて、政府側の議事録、私が議員になる前ではあるんですけれども、私いろいろ調べさせていただいたところでございます。この中で、やはり政府側の皆様もこういった誤解のお話をされていらっしゃる。

 例えば、二〇〇七年四月二十日に教育再生に関する特別委員会というのがございまして、当時の安倍総理大臣なんですけれども、こう述べられています。「沖縄におきましては、日本で唯一地上戦が戦われたわけであって、多くの島民の方々が亡くなられた」と。さらに、同じ年の四月三日の安全保障委員会で久間元防衛大臣も、「かつての戦争で我が国唯一の地上戦が行われた沖縄というのは」というふうに述べられている。そういうことが、私、議事録をいろいろ調べさせていただいても出てくるところでございました。

 こうした各大臣に誤解が見られるわけでございますけれども、これはもちろん政府側の皆様だけではないわけでございます。議事録を見させていただきますと、沖縄について質問をされていらっしゃる議員の方というか委員の方々も、実はきょうもいらっしゃったんですけれども、誤解というか、そういう表現をされている方がいらっしゃるところでございます。

 これは理屈の問題なんですけれども、もちろん、唯一住民が巻き込まれた地上戦という言葉が、今の日本、今現時点で日本国に帰属している地域内に限定すれば、沖縄戦だけが唯一、住民も巻き込まれた地上戦と言えるかもしれないんですけれども、しかし、この唯一という言葉で伝えたいメッセージというのは、いかに当時の戦争が悲惨で悲しいものであって、そしてそれを伝えたい、その意図が含まれているものなんだと私は思っております。

 その意味においては、当時あった地上戦で、今日本の国なのかどうかとかいうことではなくて、引き揚げていらっしゃった方も多数いらっしゃる中で、その地上戦に差をつける、そういう表現はやはり本来の意味ではないと私は思っております。その意味において、こういう唯一という表現が非常になじまない、地上戦は樺太でもあったということを先ほども言っていただいた中で、なじまないと私は考えております。

 最近でこそ、私いろいろ議事録を調べさせていただいて、各大臣が沖縄戦について、国内最大の地上戦という表現を使われているところが見受けられるようになりました。この国内最大の地上戦というのは私は正しいと思います。しかし、過去に誤解の答弁がありながら、現時点まで、きょうここまでの間、地上戦は沖縄だけではなかったということを政府が述べられる機会はなかったわけでございます。ですので、きょうこの沖縄北方特別委員会、私も質問に立たせていただいて、ぜひそんな機会の場にさせていただけないかな、その思いできょうは前原大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 政府として、沖縄戦の御認識、地上戦の御認識を改めてお伺いしたいと思います。その際、日本国内において樺太などでも地上戦があったということで、沖縄戦の認識として国内唯一のという表現は不適切ではないのか、その指摘も含めさせていただいて、このことについて前原大臣にぜひ御見解を伺いたいと思います。

前原国務大臣 山岡委員にお答えをいたします。

 当時の我が国の領土、陸上部分において戦闘が行われたという意味におきましては、沖縄戦が国内唯一の地上戦であるという表現は、委員御指摘のように、必ずしも正確ではないという認識を持っております。

 確かに、沖縄戦は、県民の約四分の一に当たる約九万四千人もの一般住民のとうとい犠牲者を出した、極めて悲惨な戦いではございましたけれども、例えば、先ほどは言及されておりませんけれども、硫黄島の戦いについては、これは小笠原村のホームページによりますと、戦没者は日本軍で二万百二十九名、そのうち八十二名が軍属島民であったということで、多くの方が亡くなられておられるわけでありますし、また、多くのとうとい命が失われたという意味においては、今委員が御指摘をされた樺太戦も同様だという認識を持っております。

 沖縄戦にいたしましても、樺太戦にいたしましても、このような悲惨な戦争が二度と起こらないためにも、その実情が正しく後世に伝わっていくことが重要であると考えておりまして、国内唯一の地上戦が沖縄だということについては、それは訂正した方がいいというのが政府の考え方でございます。

山岡(達)委員 ありがとうございます。

 北方領土のお話もいただきました。そして今、樺太以外のお話もいただきました。唯一の地上戦というお話、本当に御答弁ありがとうございます。きちんと議事録にも残る形で御答弁いただきまして、本当にありがとうございます。政府としても、そうした公式な場所で、訂正した方がいいという政府側の方の御答弁というのはこれまでなかったものですから、非常に画期的なお話だったと思います。

 もちろん、誤解がないように申し上げなければならないのは、この沖縄戦につきまして、私もそうですし、大臣初め政務の皆様も、ここにおられる先輩の委員の皆様もそうなんですけれども、沖縄で行われた大変大きな、大規模な、非常な地上戦で、本当に大勢の方がお亡くなりになられた、そのことの事実については大変重く受けとめなければならない。決して、沖縄のことを軽んじる、そういうことではないということも改めて確認させていただきたいと思います。

 ずっと私が生まれる前のことでございますので、私自身、訪れるということでしかなかなか体験できないんですけれども、本当に、当時の沖縄のつめ跡といいますか、まだまだ残っている、そういうことがうかがい知れるところでございます。しかし、その一方で、沖縄で行われた戦いが国内唯一の地上戦ということで、そんな表現がこれからも見られるようですと、本当にその他の地域で大変な思いをされた方々、樺太の方々もそうなんですけれども、非常に心を痛まれているということがこれまでずっと続いてまいりました。

 また、きょう御答弁いただいた言葉は本当にありがたいんですけれども、私、この問題をいろいろ調べさせていただいた中で、当時の省庁を引き継ぐところがないので、私たちとしては何とも言えませんというのが政府側の皆様の最初の御対応だったところがございました。

 今、省庁の縦割りということで、なかなか、自分の省庁じゃないことに関しては責任を持たないと言ってしまったら失礼なんですけれども、そういうような傾向を、この問題を調べさせていただくことでちょっとかいま見たところもございまして、今回、政治としての判断として、事実としてやはり適切ではない、訂正すべきだというお話をいただいたこと、本当に貴重な御見解だったと思います。そしてまた皆様にも、ぜひそういう共通認識も持っていただきたいところでございます。

 これから樺太引揚者の方々の会もいろいろございまして、きょう前原大臣にそういう御答弁をいただいたということで、今は大変お忙しいと思うんですけれども、機会を見て、また北海道を初めそういった方々の会にも会っていただいて、いろいろ意見交換もぜひしていただきたいと思っております。

 御答弁いただくのもなんなんですけれども、ぜひそのことについてもお話しいただければと思います。

前原国務大臣 喜んでお会いしたいと思います。

山岡(達)委員 ありがとうございます。

 その際には、私たち北海道の議員として、またいろいろセッティングさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 もう時間がわずかになってまいりましたけれども、きょうは本当は、もし時間がもうちょっとあれば北方四島のこと……(発言する者あり)あと四分ありますか、失礼しました。そうしたら、今、御認識の件でお伺いしたもので、その御認識について引き続きちょっとお伺いしたいんですけれども、当時の樺太のこともそうなんですが、北方の問題でいえば、やはり大きいのは北方領土のことでございます。

 きょうは、たまたまちょっと北方領土の話は余り質問の中に出てこなかったんですけれども、この四島についても、私たちはやはり正しい認識を持ち続けなければならないんじゃないかと思っております。もちろん、交渉のやり方というのはいろいろあるんだと思うんですけれども、その前提として、そもそも歴史的にどうだったのか。あるいは、それに基づいてどんな思いを持っていらっしゃって、その解決に向けていかれたいのか。

 前原大臣は、以前、この委員会の委員長もお務めになられたときに、改正北方領土問題解決促進特別措置法の成立の際、強く委員長としてもその成立に向けて御推進された。もちろん委員の方も政府の方も御推進されたと思うんですけれども、委員長としてもされたということで、その前原大臣に、改めて北方領土についての御認識とその解決への御意欲、またその意気込みについてこの場でお伺いできればと思います。

前原国務大臣 北方四島は我が国固有の領土でございますし、鳩山総理も、二月七日の北方領土返還運動の大会において、非常に力を入れてこの問題に取り組みたいということをおっしゃり、精力的にメドベージェフ大統領や、あるいは岡田外務大臣はラブロフ外相とも議論をされているところでございます。

 そういった認識をしっかりと政府として持ちながら、鳩山総理そしてまた岡田外相の交渉というものをしっかりバックアップしていくということが北方担当大臣としての私の役割だろうと思いますし、また、元島民の方々の思いをしっかりと受けとめながら、地域のことでできることについてもしっかりとやらせていただくということで、引き続き、御指導いただきながら頑張らせていただきたい、このように考えております。

山岡(達)委員 御答弁ありがとうございます。

 私も委員として、また議員の皆様と一緒によくよく勉強させていただいて、そしてまた前原大臣初め皆様をサポートさせていただいて、しっかりとこの問題の解決に向けて頑張らせていただきたいと思います。これからもまた御質問させていただきたいと思いますので、どうぞまたよろしくお願いいたします。

 私の質問を終わらせていただきます。

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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