衆議院

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第3号 平成24年3月7日(水曜日)

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平成二十四年三月七日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 福井  照君

   理事 小川 淳也君 理事 大谷 信盛君

   理事 吉良 州司君 理事 瑞慶覧長敏君

   理事 玉城デニー君 理事 秋葉 賢也君

   理事 伊東 良孝君 理事 遠山 清彦君

      小原  舞君    岡本 英子君

      笠原多見子君    川島智太郎君

      木内 孝胤君   木村たけつか君

      黒田  雄君    福嶋健一郎君

      井上 信治君    岸田 文雄君

      宮腰 光寛君    赤嶺 政賢君

      石田 三示君    照屋 寛徳君

      浅野 貴博君

    …………………………………

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 川端 達夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   内閣府副大臣       石田 勝之君

   外務副大臣        山口  壯君

   国土交通副大臣      吉田おさむ君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   防衛大臣政務官      下条 みつ君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   井上 源三君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  竹澤 正明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 上月 豊久君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    伊原 純一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  長田  太君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  西  正典君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   衆議院調査局第一特別調査室長           横尾 平次君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

福井委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官井上源三君、内閣府沖縄振興局長竹澤正明君、外務省大臣官房審議官上月豊久君、外務省北米局長伊原純一君、国土交通省航空局長長田太君、防衛省防衛政策局長西正典君及び防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瑞慶覧長敏君。

瑞慶覧委員 民主党の瑞慶覧長敏です。よろしくお願いいたします。

 まず、この質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。

 早速質問に入らせていただきます。

 川端沖縄担当大臣並びに各大臣におかれましては、新たな沖縄振興法制定に向けた諸準備等、本当に御奮闘のことと思います。御苦労さまです。

 沖縄は、ことしの五月十五日で本土復帰四十年を迎えます。そこで、これから十年の沖縄振興計画は、これまでの四次にわたる振興計画とは違う、つまり、国の戦略的な観点を踏まえた新しい沖縄を創造するんだ、そういう計画のもとで進められております。

 野田総理もさきの施政方針演説の中で触れておりましたが、重要なのは沖縄の潜在力をどう引き出すか、そういうことをおっしゃっておりました。そしてまた、川端大臣もいみじくも所信でおっしゃっておりました、沖縄の優位性を生かした計画が大変重要であると。全く同感でございます。そのためには、いろいろ具体的なこともしていかなければなりません。

 特に、沖縄の優位性ということになりますと、二〇〇九年の十月から、那覇空港の方で全日空、ANAの国際貨物ハブ事業が開始されました。大きな成果をおさめています。ただ、空と海と連携していかなければなりませんが、海の方の国際物流拠点化、少し課題が残っているのではないかと思っています。

 そこで、大臣の方にお伺いします。

 大臣がおっしゃった沖縄の優位性、そして野田総理がおっしゃった国の戦略的な観点というんですか、それをどういうふうに位置づけるのか、御所見をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 お答えさせていただきます。

 今引用いただきましたように、総理の施政方針演説においても、「アジア太平洋への玄関口として大きな潜在力を秘め、本土復帰から四十周年を迎える沖縄も、フロンティアの一つ」という位置づけをしていただきました。私の所信においても、沖縄の優位性を生かした民間主導の自立型経済の発展、並びに我が国及びアジア太平洋地域の発展に寄与する二十一世紀の万国津梁の形成が重要と述べたところでございます。

 若年層が大変多くおられる、出生率も高い、そして自然環境にも恵まれ、歴史も文化も深くあるという地域でありますが、やはり経済的な部分では非常に弱さを持っているということで、失業率が高い、あるいは所得が非常に低いというふうなところを、何としてでも沖縄を発展させなければいけないというのが政府の共通の認識でありますときに、経済発展の一番大きなこれからの有望株としては、やはり国際物流拠点ということが位置づけられるのではないか。

 沖縄を中心にした円を描きますと、実は、那覇空港から東京へ行くよりはマニラ、香港、ソウル、上海、台北の方が近い、北京より札幌の方が遠いという、よく考えれば経済発展の非常に著しいアジアと我が国をつなぐまさに拠点の位置にあるということは、今まで本土から遠いというのがハンディのように言われていましたが、これは逆に非常に強みであるということで、国際物流拠点の形成を図ることが重要ということを考えております。

 全般的に、沖縄振興特別措置法は、先ほどおっしゃったように四十年を迎えるという節目で、相当思い切って変えていかなければならないという中でも、この国際物流拠点産業集積地域を創設して、新たな高付加価値物づくり企業などの臨空・臨港型産業の集積を図っていきたいというふうに思っております。

瑞慶覧委員 国際物流拠点として沖縄が有望株というお墨つきをいただきまして、本当にありがとうございます。

 そこで、少し具体的なことを園田政務官にお伺いいたします。

 国土交通省の資料によりますと、那覇港で扱っている外国貿易の貨物ですけれども、二十フィートコンテナにして取扱量がなかなかふえていっていない。特に、二〇〇〇年の五万TEUから二〇〇八年は六万TEUになり、空コンテナを含めると二割増しで約八万TEU、そのままでほとんどふえていないのが現状なんですね。そういう結果が出ています。

 どこに問題があるとお考えでしょうか。

園田大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、沖縄の自立型経済の振興というものが大変重要な課題であるというふうに私どもも認識をさせていただいています。したがいまして、今回の振興法、新たな改正をして、しっかりとこの部分を支援していきたいというふうに私どもはまず考えさせていただいております。

 その上で、那覇港と那覇空港、ここをしっかりと沖縄の国際物流拠点の形成という点で図っていきたいというふうに認識をいたしているところでございます。

 これまでは、那覇港におきましては、まず平成十八年度までに国際海上コンテナターミナルを二バース供用させていただいておりまして、現在は、那覇空港と那覇港及び背後地域における効率的な物流体系の形成を目的とする臨港道路等の整備を図ってきているところでございます。

 先生御案内のとおり、うみそらトンネルは昨年八月に開通いたしたところでございます。現在は、浦添線といったところでさらに整備を進めているところでございます。

 御指摘のように、那覇港の外貿コンテナ貨物につきましては、平成十二年と二十二年の十年間で比較をさせていただきますと、航路数は二航路から六航路に増加はしているんですが、取扱個数では、我が国全体は一・三倍という形で伸びているわけでございますけれども、那覇港に限って申し上げますと、約七・六万個から八・四万個で一・一倍と、残念ながら小さな伸び幅になってしまっているということでございます。

 その要因として考えられるのは、これは我が国全体の共通課題でもございますけれども、まず、海外と比較して物流コストが割高ではないかということが言われているところでございます。それに加えまして、沖縄独自で考えさせていただきますと、やはり製造業等の産業集積が進んでいないということなどが原因ではないかというふうに私どもとしては分析をさせていただいているところでございます。

瑞慶覧委員 まさにそのとおりだと思います。物流コストが高い、そしてまた製造業が育っていない、つまり、製造業が入っていきたいというインセンティブがなかなか成功していないんじゃないか。川端大臣がおっしゃっていた優良株、その株を生かし切れていないのかという反省が常につきまといます。つまり、那覇港が使い勝手が悪くて、そのため、船会社あるいは関連企業も寄りつかない。バースはツーバースあるんですけれども、ガントリーも二つしかないんですね。釜山とかそこら辺は、我々も行ってきたんですけれども、もう太刀打ちできないぐらいのもの。

 ただしかし、その中でもやはり沖縄らしさというのを出していけば、それはプラスにつながるんじゃないか。ですから、こういう状況を打破するには、思い切って税制あるいは制度面のインセンティブを置いて、東アジアの主要な国際港並み、あるいはそれ以上の思い切った税の優遇措置、規制緩和をすることではないかと思います。

 例えば、立地企業の法人税を思い切って十年間免除にするとか、あるいは航空貨物については航空機燃料税を全額免除するなどして、思い切った優遇措置を講ずべきだと私は思います。そうすれば、海運や港湾関係だけではなくて、多くの関連企業が進出をして地域経済を引き上げていく、ひいては国あるいは自治体の税収増にもつながって財政に寄与することにもなるのではないかと私は思っております。

 川端大臣、こういう私の考え方について、どうか御所見をお願いします。

川端国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、近々御審議をお願いしたいと思っております新たな振興法では国際物流拠点産業集積地域制度というのを創設したいと思っておりまして、その背景には、今、園田政務官から申し上げましたように、やはり産業集積を図ることと物流コストを下げること、ここは魅力的な地域だから企業がやってこようということ、インセンティブが必要だというふうに、これはもう先生御指摘のとおりであります。

 そういう意味で、新たな制度としては、従来も自由貿易地域と特別自由貿易地域というのをやっておりましたけれども、いろいろと工夫の余地がたくさんあるという御要望もいただいておりました。そういう御意見も伺う中で、一つは、沖縄における国際物流拠点である那覇空港、それから那覇港、中城湾港周辺地域の特区指定を広げさせていただいて、特区に立地する認定法人に対する所得控除を、三五%であったのを四〇%控除するということで、これはほかにはないぐらいの優遇措置でございます。

 それから、専ら要件ということで、そこに専らということで、これが実は一番使い勝手が悪いというふうに言われました。これを、みずから製造した製品の販売を行う事業所等は特区外でもいいというふうに緩めることによって、使えるようにしようということでございます。

 それから、所得控除の対象として、特定の機器等修理業及び特定の無店舗小売業の対象業種への追加、これはまさに、沖縄の地理的優位性と、日本とアジアのマーケットの拡大というんですか、古い電気製品を日本から集めてきて直して持っていくという、こういうビジネスモデルも含めた部分も特区として認めようと。

 また、これは園田政務官から申し上げましたけれども、空港と港湾の道路整備に関しても、臨港道路の整備は今行っているところですし、もう一つは、二十三年度からは特別調整費を生かした物流コストの低減あるいは輸送システムの改善等に向けた社会実験ということで、那覇港物流ビジネスモデル導入事業を実施しておりまして、これは来年度も引き続き継続していきたいというふうに思います。

 また、二十四年度に、国内・国際流通港湾として物流機能の充実を図るためにガントリークレーンの整備等も予定をしておりまして、いろいろな角度から知恵を出しながら国際物流拠点としての活用を進展させていきたいというふうに思っております。

瑞慶覧委員 大臣、ありがとうございます。非常に具体的なことを述べていただきました。私自身も玉城デニーと一緒に港湾研究会もずっとこの一年半やっていまして、今後も提言等させていただきたいと思います。有望株が本当に有望株になるように、我々も頑張ってまいりますので、また今後とも御協力をお願いします。

 続いて、在日米軍再編の見直し等に関してお伺いいたします。

 沖縄の地元紙、琉球新報というのがあるんですけれども、三月六日付で、アメリカの元国防次官補代理モートン・ハルペリンさんのインタビュー記事が載っておりました。恐らくお読みになっていると思うんですけれども、この方は、実は、一九六〇年代に沖縄返還交渉に携わった数少ない生き証人の一人として紹介されておりますが、その中で、アジア太平洋地域重視の米国の新国防戦略のもとでも在沖海兵隊の全てを撤退させることは可能である、こういうふうに述べているんですね。さらに、沖縄に新しい基地をつくることはできないでしょう、普天間は沖縄へ返さなくてはならないと思いますと、実務までやった方が、今この時期、こういう見解を、インタビューではあるんですけれども、述べております。

 玄葉大臣は所信で、在沖米軍を含む在日米軍は我が国に必要な抑止力の確保に不可欠な役割を担っていると指摘されましたが、少なくとも、在沖米海兵隊が沖縄から撤退するとしても抑止力という観点では問題はないんじゃないかという趣旨、私はそういうふうに捉えております。

 大臣のお考えをお聞かせください。

玄葉国務大臣 瑞慶覧委員が沖縄の新聞で紹介をされているこのモートン・ハルペリンさん、私も沖縄タイムスと琉球新報と毎日読んでおりますので、これは出た段階で読んでおります。ただ、ちなみに、残した方がいいでしょうと言っていると思いますけれども。ただ、私は、これは一私人としての発言でありますので、やはり政府としてコメントするということは差し控えたいというふうに思っています。

 その上で、改めて申し上げることになりますけれども、米国は新しい国防戦略の指針に基づいていわゆる世界的な米軍の体制の見直しを行っているということでありますけれども、アジア太平洋全体を考えてグアムの拠点化ということもありますけれども、やはり沖縄のこの地政学的な位置というものを考えたときには、司令部と陸上部隊と航空部隊と後方支援部隊と、つまり、統合して一体となって、ユニットとして運用がなされる、しかも、そのユニットが機動性、即応性を持つ、その海兵隊が沖縄に存在する、そのこと自体がやはり大変な抑止力であるというふうに私は考えておりまして、そういった意味で、沖縄の海兵隊が極めて重要な存在であるという認識は、私だけではなくて、米政府もこれは変わりはないということでございますので、そのことについては改めて申し上げたいと思います。

 ただ、政府としては、この抑止力を維持しながら沖縄の負担というものを早期に軽減するという観点から今回の日米協議というものを行っているということについては瑞慶覧委員も御承知のとおりでございまして、あらゆる努力をしながら、沖縄の皆様の理解を得ながらこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。

瑞慶覧委員 時間がかなり迫ってまいりました。かなりはしょりながらやりたい、それは申しわけない。

 それで、山口副大臣にお伺いしたいんですけれども、嘉手納以南の六施設、特に普天間を除く五施設だけでも一千ヘクタール以上の広大な土地が返ってきます。その跡地利用とかを考えると、特に地主さんとか自治体も含めると、いつ返ってくるのか、どのような形で返ってくるのかというのがないと計画が立てられない、なかなか難しい。やきもきしているのはそこなんですね。ですから、今の時点で、この五施設、普天間以外という言葉を今は使わせてもらいますが、その返還のめど、期間をお聞かせください。

山口副大臣 嘉手納以南の土地の返還については、先ほど大臣からお答えさせていただいた在沖縄海兵隊の移転、まずこれがあって、その中ではっきりしていくということなので、済みません、現時点で返還時期を明示できるという段階には至っておりません。しかし、可能なものから実施をしていこうということで、今、日米間で議論をしています。

 今大臣からもお答えさせていただいたとおり、その際は、特に知事を初めとする沖縄の皆さんの気持ちをしっかり受けとめながら、緊密に意思疎通を図っていきたいと思っております。

瑞慶覧委員 時間が参りました。ほかにたくさん質問があったんですけれども、次に回したいと思います。

 どうもありがとうございました。

福井委員長 次に、浅野貴博君。

浅野委員 新党大地・真民主の浅野貴博でございます。

 本日は、北方領土問題に関しまして、玄葉光一郎外務大臣に質問をいたしたいと思います。

 三月四日、ロシアにおいて大統領選挙が行われ、六〇%以上の圧倒的な得票をもって、プーチン氏が大統領に返り咲く形で当選を果たされました。

 その前の日、三月一日、朝日新聞の若宮主筆との会談の中で、大統領選挙投票の前とは思えないぐらい非常に大胆な発言をされたことは、大臣も御存じかと思います。自身が柔道家であることを引き合いに出して、引き分けだと。始めという号令をかけよう、どちらかが勝利者である必要はない、互いに妥協して歩み寄らなくてはいけないと、非常に大きなメッセージを我が方に送ってまいりました。

 それを受け、野田総理は、恐らくこれは旧ソ連の国を除いて野田総理が初めての国家のリーダーになると思うんですけれども、電話でプーチン首相に祝意を述べられております。そして、アメリカ初め欧米諸国が選挙に不正があったと指摘する中で、玄葉大臣も記者会見の中で、それはそれとして圧倒的な勝利だというのが現実だと思うと、明確にロシア国民の民意を尊重する発言をされました。

 この北方領土問題、日ロ関係、これから非常に大きな発展の段階に、いわばラストチャンスと言ってもいい局面にあると思うんですが、そのことに関する玄葉大臣の認識を端的にお教えください。

玄葉国務大臣 浅野委員にはこれまでも私、お答えをしてまいりましたけれども、私はロシアを重視しておりますし、新たな戦略環境の中で、この日ロの関係の重要性というのは新たな重要性を帯びつつある、あらゆる分野で協力を図りたい、こういうふうに考えておりますが、やはり最大の懸案は北方領土問題であるということだというふうに思います。

 今回の御指摘のインタビューは、プーチン首相は、貿易、経済関係の拡大、そして領土問題の解決の必要性というものを強調しており、日ロ関係の発展に意欲を示したものだというふうに私は受けとめております。

 端的に答えるなら、まずこのぐらいにしたいと思います。

浅野委員 ありがとうございます。

 何をおいても、野田総理が、英知を持って進める、英知ある解決にプーチン首相との間で取り組みたいと、英知あるという言葉を使われたのが非常に大きかったと私は思っております。

 このように日ロ首脳間で信頼関係が再び構築できようとするのも、一月二十八日、ラブロフ外相との会談で玄葉大臣が、四島が我が国に帰属するというのが我が国の基本的な立場であると明確に述べられたことが非常に大きかったんだ、そこから今の信頼関係の基礎が築かれているんじゃないかと私は考えております。

 そこで、プーチン大統領が、三月一日、引き分けというのならば我々は二島では不十分だと若宮氏が述べたのに対して、それならば、私が大統領になったらお互いの外務省に対して始めという号令をかけようという言葉を出されました。

 プーチン大統領が当選された今、玄葉大臣は、外務省職員の皆さんに対して、始めという号令はもう既にかけられていますでしょうか。

玄葉国務大臣 確かに、一月二十八日の日ロの外相会談で、私は日本の立場を明確に述べました、四島の帰属は日本にあると。その上で、それぞれ立場はあるけれども、実質的な議論を再活性化させたいというふうに私から述べました。ラブロフ外相からは、新政権成立後に取り組みたい、こういう反応があったわけであります。

 今引用された、プーチン首相は、大統領就任後にロシアの外務省と日本の外務省を集めて始めという号令をかける、こういうふうに述べております。この発言は、本年一月の外相会談でのやりとりと軌を一にするものであるというふうに感じています。日本の政府としましては、このプーチン次期大統領の発言は、日ロ関係における領土問題解決の重要性を指摘していて、その解決に意欲を示す発言を行ったものであると期待をしているところであります。

 領土問題の中身につきましては、ロシア側が新政権のもとで具体的にどのような対応をとるかを注視したいというふうに思っています。我が国としては、これまでの日ロ間の諸合意、諸文書、そして法と正義の原則に基づいて、北方四島の帰属の問題の解決に向けて精力的に交渉を行っていきたいというふうに考えております。

浅野委員 プーチン新大統領の発言は、まさに、二島だけでは我が方としては平和条約は結べないという日本側の立場を認識された上での発言であると思います。つまり、五六年の日ソ共同宣言を基礎として、二島プラスアルファの妥協も考えているというシグナルだと私は考えておりますが、これはまさに、二〇〇一年、当時の森首相とプーチン大統領とで交わされたイルクーツク声明の内容ではないかと思います。

 そこで、時間もありませんけれども、今後、日本としてイルクーツク声明に基づいた交渉を行っていく、このように理解してよろしいでしょうか。

玄葉国務大臣 まず、政府として、今御指摘があった二〇〇一年のイルクーツク声明を含めて、これまでの日ロ間の諸合意、諸文書、そして法と正義の原則に基づいて、北方四島の帰属の問題の解決に向けて精力的に交渉をしていきたい。

 今御指摘のイルクーツク声明というのは、一九五六年の日ソ共同宣言が平和条約交渉の出発点を設定した基本的な法的文書であることを確認した上で、一九九三年の東京宣言に基づいて、北方四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結すべきことを再確認した重要な文書であるというふうに考えております。

浅野委員 北方領土問題、我が新党大地・真民主、鈴木宗男代表を初め一丸となって玄葉大臣、野田総理を支えてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

福井委員長 次に、石田三示君。

石田(三)委員 新党きづなの石田三示でございます。

 時間も短いので、早速質問に移らせていただきます。

 私は、沖縄の農業問題について質問させていただきたいと思います。

 総理は、通常国会冒頭の施政方針演説において、農業については政府が定めた基本方針・行動計画を政府全体の責任において実行するというふうに明言をされました。沖縄県における農業分野でどのような基本方針・行動計画を検討されているのか、大臣にお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画が決められました。これは、農業の競争力、体質強化と地域振興を五年間で集中展開して、食と農林漁業の再生を早急に図るための戦略等を取りまとめたものでありまして、これはいわゆる基本方針・行動計画ということで、我が国全体としての方針を示されたものでございます。

 そういう中で、いろいろな項目がありますが、沖縄県という立場で見ますと、青年就農者の経営安定支援、生産コスト低減に資する技術開発、流通合理化、六次産業促進などの取り組みは積極的に取り組むべきものであるというふうに思いますし、加えて、沖縄においては、亜熱帯海洋性の気候条件、あるいは東南アジアの大消費地に近接しているといった地理的条件を生かして取り組んでいくことが大事だというふうに思いますし、今後、行動計画における具体的な方策については国民的議論を経て検討する方針ということになっておりますので、その検討を踏まえながら、沖縄県あるいは農林水産省と連携して適切に対応してまいりたいと思っております。

石田(三)委員 それでは、TPPに関して二つほど質問させていただきたいと思います。

 きょうは、仲野政務官もおいでいただきました。私は民主党時代に酪畜ワーキングで大変お世話になりまして、私も酪農をしておりましたので、先生の御尽力に大変感謝を申し上げたいというふうに思います。

 今、沖縄の問題になりますと、どうしてもサトウキビの問題になるわけでございます。TPPが、まだまだこれから検討ということでございますけれども、私はTPPに関しては関税をなくしていくということだろうというふうに思っていますので、そういった中では、砂糖の問題、サトウキビ、あるいは北海道におければビートの問題があるんだろうというふうに思っております。

 昨年の十月には鹿児島県あるいはサトウキビ生産者団体、十一月の二日にJA全中、沖縄県知事が、あるいは、沖縄地区青年大会が開催された折にはTPP参加交渉に抗議をするというような特別決議も行っております。

 そういった中で、沖縄の具体的な農業振興についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。

仲野大臣政務官 石田委員の御質問にお答えしてまいりたいと思います。

 沖縄では作付面積が畑作面積の約半分を占めているこのサトウキビについてでありますが、沖縄県全体の地域経済を支える重要な基幹作物となっているところでございます。したがいまして、沖縄県における農業施策においてはサトウキビの生産振興が重要な課題となっており、糖価調整制度に基づく交付金により、農業者及び製糖事業者の経営を今国として支援しているところでございます。

 このような施策によって農業者及び関連事業者が安心してサトウキビ生産等に取り組んでいただくことにより、県土の保全、地域社会の維持なども含めて、より一層の地域経済社会の発展が図られていくようにまた支援してまいりたい、そのように考えているところでございます。

石田(三)委員 沖縄においては、TPPに加盟することで経済的損失額は一千五百億円になると言われております。それは、いわゆる農業生産額のはるかに大きな額が懸念をされているわけでございますけれども、いわゆる関連産業等々の損失も含めてでございます。

 二月二十四日の記事なんですが、スーパーとJAが提携して県産生鮮品の販売拡大をしていこうということで、これは日経新聞の地方版でございますが、載っております。

 この中で私が非常にすばらしいなというふうに感じたところは、スーパーの社長が、沖縄の自給率を向上させるためにすばらしい目標を持っている、二八%を三五%まで上げようじゃないかというような活動をしている。これは大変すばらしいなというふうに私は思っております。

 日本の自給率を、民主党は五〇%と言っていますけれども、それはもっともっと上げなきゃいけないんだ、もっともっと農業を大事にしていかなきゃいけないんだというふうに私は思っています。日本の自給率そのものも上げなきゃいけないんですが、地域地域がそれぞれエネルギー、食料をしっかりと自給して、全体の食料安全保障に結びつけていく、これがひょっとしたら非常に大切なことだというふうに認識をしているものでございます。

 こういった地域で一生懸命活動している方たちの意欲を減退させないためにも、TPP参加について、国益を守るというようなことをおっしゃっておりますけれども、実際そこで農業をされている、沖縄においてはサトウキビ生産者が主になるわけでございますけれども、沖縄県の生産者が安心できて納得できる御説明をお願いしたいというふうに思います。

仲野大臣政務官 お答えいたします。

 まず、TPP交渉への参加について、関税撤廃が農林水産業に与える悪影響、特に沖縄のサトウキビがもろに大きな損失をこうむるということ、その懸念する声が強いということも十分承知をしております。地方シンポジウム等の場においても交渉参加に否定的な声が多く表明されていることも承知をしているわけでございます。

 こういったことから、農林漁業者ほか、国民各層のこのような声を重く受けとめ、可能な限り情報提供や丁寧な説明に努めていく考えでございますし、今後は、十分な国民的議論を行った上で、国民各層の意見や農林漁業者の懸念を踏まえて、国益の視点に立ってTPPについての結論を得ていくことが重要であると思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。

石田(三)委員 サトウキビは絶対守るよと言ってほしかったんですが、なかなかそうはいかないかもしれません。

 基本的に、私は、国民の命を守る食料をしっかり国民全体で確保するんだということでございますので、そういった観点から食料安全保障を考えていかなきゃいけないんだろうということを考えています。そのことが国益を守ることだというふうに信じております。

 特に、沖縄周辺、離島については、主要生産物がサトウキビであるわけでございます。これは、輸送等々の関係でサトウキビしかつくれないということだろうというふうに思いますが、そういった離島に関しては、国防という観点からも非常に大切なことだというふうに思っております。そこで暮らしが守られていくということがやはりその島を守っていくことだというふうに思っていますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 農産物の関税撤廃のあるTPP参加はあり得ないということで私は認識しておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 以上で質問を終わります。

福井委員長 次に、宮腰光寛君。

宮腰委員 自由民主党の宮腰でございます。

 きょうは質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。沖北では以前、田中眞紀子外務大臣のときに質問させていただいて以来でありますので、十一年ぶりということになりますけれども、よろしくお願い申し上げます。

 まず、沖縄問題についてであります。

 沖縄振興特措法、本改正案には評価すべきところもありますけれども、まだまだ不十分なところもたくさんあると思います。我が党といたしましては、与野党の協議でもって不十分なところをしっかり修正し、今月中に確実に成立させたいというふうに考えております。

 議論の頭出しとして、何点かお聞きをいたします。

 まず、百五条の一括交付金関係であります。

 沖縄一括交付金のうち、ソフト事業に係る特別推進交付金につきましては、沖縄独自の交付金という性格、あるいは計画的、効果的な活用ということを考えれば複数年度での使用を認めるべきであります。これは沖縄県分の三百億円だけの問題ではありません。市町村分の三百億円も、財政力のある大きな市町村だけが十分な予算が計上できて、小さな市町村は指をくわえて見ているということにもなりかねません。

 交付金を次年度以降も計画的、効果的に使用することができるよう、沖縄県が設置する基金への積み立てを可能とすることについて担当大臣からお答えをいただきたいと思います。

川端国務大臣 まず、沖縄北方担当政務官として大変熱心に、今も引き続き取り組んでいただいている先生の活動に敬意を表したいというふうに思います。ありがとうございます。

 沖縄振興の一括交付金は、沖縄が自主的に選択した沖縄振興に資する事業を実施して、沖縄の実情に即した、より的確かつ効果的な施策が展開されるようにという趣旨で創設をさせていただきたいと思っております。

 ただし、この交付金は、地方交付税のように、まさに一般財源で自由に使えるということではなくて、補助金等適正化法の対象となる国庫補助でありますので、沖縄県の特殊事情に鑑み、沖縄の振興に資する事業に活用していただくという大きな枠組みの中にございます。

 したがいまして、交付金の基金への活用については、事業の性格にかかわらず、交付金を安易に積み立てるということは適当ではないということは御理解いただけるというふうに思います。しかしながら、一括交付金の趣旨に合致して、かつ、複数年度にわたり実施することが真にやむを得ないものについて、直ちに基金が排除されるものではないというふうに思っております。

 いずれにしても、まずは具体的に県としてどのように判断されるかが一番肝要でございますので、その上で、御意向があれば適切に対処してまいりたいと思っております。

宮腰委員 排除されるものではないということだけではやはり不十分なのではないかというふうに思いまして、地元の不安をこれでは払拭できないというふうに思います。

 次に、九十一条の交通の確保というところでありますけれども、新たな公共交通機関についての調査検討の規定の中に、調査検討だけではなくて、鉄軌道の整備を明記することにつきまして担当大臣の御見解を伺いたいと思います。

川端国務大臣 沖縄において、かつて鉄軌道があり、思いとして非常に強く思っておられることは私も十分承知をしております。

 そういう中で、路線バスなど既存の公共交通システムとの関係、あるいは今後の跡地利用による都市構造の変化を踏まえた将来公共交通ネットワークのあり方、それから利用需要や事業費、それらを踏まえた事業採算性などの課題があるというふうに思っておりまして、これらの課題について検討を深める必要があるということで、内閣府においては需要予測や採算性等についての基礎調査を実施中でありまして、来年度以降も引き続き課題検討調査を行うとともに、県民の意識調査も行ってまいりたいと思います。法案の条文はこれらの状況を踏まえて規定したものでありまして、現時点では、鉄軌道の整備を法律に明記する段階ではまだないのではないかというふうに思っております。

 整備のあり方というふうに書くということは、整備を行うことを前提として、どのような方法で行っていくかということを調査検討することになりますので、現時点では導入の可能性や課題について調査検討を行っているところでありまして、そのような規定を置く段階ではないということで判断をさせていただきまして、引き続き、沖縄県と連携して、沖縄県の皆さんの声も伺いながら、調査検討にしっかり取り組んでいきたいと思っております。

宮腰委員 十年間の延長ということでありますので、調査検討は当然必要でありますけれども、その先に来るものについてもやはり明記すべきではないか。この点も修正協議の対象にさせていただきたいと思います。

 大臣所信をお聞きいたしました。残念ながら、離島の二文字が全く入っておりません。副大臣の予算の説明にも入っておりません。これはどうしたことなんでしょうか。基地問題や沖縄本島ばかりに目が行って、県土の均衡ある発展のため、離島の振興が極めて大きな課題であることを忘れておいでになるのではないか。沖縄には離島問題がなきがごとしの所信であって、あえて所信の中で関連づけるとすれば観光振興の部分のみであります。

 担当大臣の所信に離島が入っていないというのは、私の知る限り初めてのことではないかと思いますが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 離島問題が極めて重要な沖縄政策の一つであることは十二分に承知をしておりますし、過去の例で申し上げますと、今回が初めてではございません。ほかにも例はありますし、就任のときの所信では申させていただきましたけれども、今回は、法改正を含めた、大きな節目で制度改正をやらせていただくということで、その部分の記述に重点を置きましたので、各論については分量を圧縮したことから直接の言及をしませんでしたけれども、離島政策の重要性をいささかも軽んじることではございません。

 沖縄県は広大な海域に多数の島々が点在しておりまして、離島の活性化を図ることは、住民の方々の生活安定だけではなく、国土保全に対しても極めて重要であるということは私もしっかり認識をしております。

 そういうことを踏まえながら、今般創設した一括交付金制度においては、県が自主的な選択に基づいて実施するものでありますが、離島振興に関しても、島々の実情に即して、よりきめ細かな施策を実施していただくことを期待しておりますと同時に、税制改正については、沖縄路線に係る航空機燃料税の軽減措置を拡充し、本土と宮古島、石垣島、久米島を結ぶ路線を加えるなど、離島の活性化に資する措置も行っているところでございます。

宮腰委員 沖縄県の重要問題の中の一つが、各論ではないんですよ、重要問題の一つが離島の問題であるということを決してお忘れになってはいけないと思いますよ。離島振興に関する国の責務、これは今、与野党全ての政党が同じテーブルに着いて、入り口から離島振興法の改正作業をやっておりますけれども、既に、離島振興に関する国の責務ということを新たに法律に明記するということが合意されているということも申し上げておきたいと思います。

 沖縄の離島政策に関しまして、離島の妊産婦で、その区域外の病院等での健康診断や分娩に係る補助制度、離島航路、航空路に関し本土と同等の条件での往来のための補助制度、離島からその区域外の高等学校に進学した生徒の保護者に係る補助制度、これらの創設について担当大臣の御所見を伺いたいと思います。

川端国務大臣 御質問は、離島地域の活性化のために、住民の方々が安心、安全に暮らせるように、交通コストの低減や航路、航空機の維持確保、生活基盤の整備等が必要であるとの問題意識から御指摘の問題だというふうに思っております。

 ただ、今、妊産婦あるいは高校の生徒の問題等々、個別の事業にお触れいただきました。地域の実情に即して、より的確にきめ細かく施策が対応できるようにというのが今回の交付金の趣旨でもございます。そういう意味では、今回新たに創設する予定の沖縄振興一括交付金の中で県が御判断されるものに含まれていくんだろうというふうに思っておりますが、御指摘の補助制度については、これを別途、国としてといいますか、新たな交付金とは別に補助制度として創設することは交付金の趣旨にはなじまないと思っております。

 交付金というのは、そういうことにきめ細かく対応していただくために、ソフト事業も含めて設置したということですので、ぜひとも、沖縄県の方でそういう県民の大きな願いも含めて対応していただくよう御検討いただけたらというふうに思っております。

宮腰委員 ソフト事業の交付金の中で対応していただくというお話でありますけれども、離島は沖縄だけにあるわけではありません。全国に離島が四百二十数島、これは有人離島でありますが、あるわけでありまして、国の基本的な責務という部分と実はここはかかわってくるところでありますので、ソフト事業一括交付金での対応ということも十分可能だとは思うんですけれども、国の責務としてどう考えるかというところとかかわってくる問題ではないかというふうに思います。

 次に、軍用地跡地利用法について何点かお聞きをいたしたいと思います。

 野党共同提案で、参議院に軍用地跡地利用促進法案を提出いたしております。基本的な部分で政府案との違いがあります。まず、政府案には基本理念というものが書かれておりません。特に跡地利用について、国の責任を踏まえた、国による主体的な跡地利用の推進ということが抜けております。

 川端大臣を初め、歴代の担当大臣は答弁で、国の責任ということについて何度も言及しておいでになります。玉城デニー議員、赤嶺議員、それから参議院の島尻議員、それぞれに対して歴代の大臣が国の責任という言葉を使って答弁をしておいでになります。しかし、今回出てまいりました政府提出法案には、国の責務としか出てきておりません。

 責任という表現につきまして、私どもは戦争責任ということを言っているのではなくて、跡地利用に関する国の責任ということを申し上げているわけであります。なぜ国の責任という言葉を使わないのか、あるいは使えないのか、お聞きしたいと思います。

川端国務大臣 参法で基本理念として提起されている三点の趣旨に関しては、我々の法律でもその部分は、表現ぶりは多少違いますが、趣旨としては含んで書かせていただいていると思っております。

 その中で、今、国の責任と責務という、先般も参議院でも御議論をいただきました。

 歴史的、地理的、社会的ないろいろな背景のある沖縄において、国が沖縄振興をしっかり図ることが国の責任であることは、私もたびたびこの場でも申し上げてまいりました。こうした認識のもとで法律としてどう書くかというとき、国のやるべきことをしっかり徹底するということを基本的に示す意味では、法令用語の解釈というか定義を含めて、政府内において法制局を含めて検討させていただいた結果、国の責務と書くのが適切ではないかということで書かせていただきました。

 先ほど離島振興の方の議員立法のお話をされましたけれども、ここでも国の責務という書き方でして、これは背景が若干違いますけれども、法令用語としては責務の方が多いということです。責任というのを書いてあるものももちろんあります。

 法令用語としての解釈を紹介いたしますと、責務とは、一般的には責任と同じ意味で用いられるものであるが、それに加えて、より広く、職務、任務というような意味にも用いられると書いてあります。

 政府案においては、駐留軍用地が広範かつ大規模に存在するという沖縄県の特殊事情や、跡地利用が沖縄振興にとって非常に重要なものであること等を含め、国の任務としてやるべきことをしっかり徹底するという趣旨に鑑みて、責務という言葉がより適切であろうという判断をさせていただきました。

宮腰委員 沖縄の場合は、一般の離島とは違うんだと思います。

 今、福島復興再生特措法というのが与野党協議中であります。恐らく、近々復興特で採決されて、可決になると思います。その中で、原発事故被害について今どういう議論がなされているかといいますと、国の社会的責任という文言を書き込む方向で議論がなされております。

 私は、沖縄のこの軍用地跡地の特殊性を考えたら、跡地利用法についても同様の考え方ができないわけがないのではないかというふうに思います。これもぜひ御再考をいただきたいというふうに思います。

 次に、土壌汚染や不発弾処理など、跡地の原状回復の問題であります。

 現行の軍転法施行令では、国が調査を行う必要があると認められる場合という要件が設けられておりまして、政府提案の返還実施計画の部分にも同様の規定があります。キャンプ桑江において、地権者に引き渡された後も国による土壌汚染の処理工事が繰り返されております。このような事態に至っているのは、限定が設けられているためであります。

 我が党を初めとする野党共同提案では、このような限定は廃止をし、土地の区域の全部について支障除去を完了した上で地権者に引き渡しを行うこととしております。沖縄にとりましては当然のことではないかというふうに思います。

 仮に、国が調査を行う必要があると認められる場合という記述を残せば、キャンプ桑江のような事例がほかにも数多く出てくるのではないかと思いますが、これは防衛省の方からお聞きしたいと思います。

下条大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 現行の法令においては、国が調査を行う必要があると認める場合について汚染調査を行うことを規定しております。

 おっしゃっているとおり、キャンプ桑江については返還をしてからいろいろな汚染状況が出てまいりました。それは、土地使用履歴に基づいたことが多くあったというふうに考えております。ただ、そのために、その後の泡瀬ゴルフ場については磁気探査を全域にわたって調査をいたしまして、それについては、結果的には多くのものが見つかり、また調査期間は先生御存じのとおり三カ月かかりまして、汚染の除去にも四カ月近くの日数がかかっております。

 そんな中で、今般の法改正についても、国が調査を行う必要があると認められる場合というふうに修正させていただき、駐留軍の行為に起因する土壌汚染等に限定せず実施するということになっております。

 いずれにしても、地元の調整できる範囲内等も含めまして、関係市町村、土地所有者等の意見等を踏まえて、客観的な調査を行う必要が今後ともあるというふうに認識しております。返還後の跡地利用を図る上で、土壌汚染等の支障を除去することが重要であると認識しておりますので、今後とも原状回復に万全を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

 また、沖縄の仲井真知事が報道の中で、泡瀬ゴルフ場の跡地のやり方については、この先の軍用地跡地の利活用でいい手本になる可能性があるとの意見も頂戴しておりますので、今後、万全を尽くして検討に入っていきたいというふうに思っております。

 以上であります。

宮腰委員 万全を尽くすという姿勢が、この文言には残念ながら見えていないんですよ。恐らく、参議院では相当議論になると思いますよ。御再考いただきたいと思います。

 次に、今ほど石田議員の方からもサトウキビのお話が出ておりました。私の方からも質問させていただきたいと思います。

 サトウキビは、沖縄、鹿児島の離島における基幹作物であります。台風の常襲地帯であり、数年に一度は必ず干ばつに見舞われる、そういうところで、サトウキビ以外では島の農業ができない、島を守れないという性格の作物であります。南大東島の製糖工場の煙突には、サトウキビは島を守り、島は国を守ると大書してあります。そのとおりだと私も思います。

 今期の沖縄県の生産量五十六万トンは、復帰後最低水準です。これまでの最低水準、平成十六年、十七年の六十七万トン台、これが最低水準でありました。そこに何とかてこ入れをということで、十八年には七十六万トン、十九年には八十万トン、二十年、二十一年は八十八万トンで推移をしてまいりました。しかし、手を抜いたら途端にどんどん下がって、今期は五十六万トン、過去最低水準でありました。収穫期前の昨年十二月の段階では六十五万トンの予測でありましたが、実際の収穫はさらに九万トンも下回る大凶作になりました。直ちに対策を講じなければ、この影響を来年以降に引きずってしまうことになる。これは確実であります。

 島ごとにある製糖工場の稼働率、三〇%台にまで落ち込んだところもあります。経営が極度に悪化しております。凶作が続き、工場が閉鎖になれば、つまり工場がなくなったら、サトウキビ生産そのものができなくなるんです。現に、伊江島ではそれに近い状態まで陥ったことがあります。

 来年の生産回復に向けて対策を打てるタイミングというのは、春植えが始まる今しかありません。ここで、種苗の確保、肥料対策など危機感を持って緊急対策を講じる必要があると考えますが、川端大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 ことしが大変な凶作で、平年度を約三割下回る五十六・一万トンということで、大変厳しい状況にあるということは私も承知をいたしております。

 そして、今委員御指摘のように、今すぐということは今年度でやること、それから新年度、境目でありますけれども、そういう部分では、今度国会で御議論いただこうという一括交付金のいろいろな世界というのは、あるいは農水省の予算というのは、普通でいうと来年度の話であります。そういうことでできること、やるべきことと今すぐどうするのかということを、これは沖縄県、農水省、そして我々も御相談にあずかる中で、いろいろ取り組めることは最大限取り組むようにしなければならないと思っております。

宮腰委員 主体性が欠けております。御相談にあずかる中でなどと言っている暇はもうないんですよ。春植えの今の時期にしか、来年の生産を何とか確保するための手だては講じられないんです。夏植えは、収穫は再来年になります。今しかないんですよ。

 御相談があればと、まあ一括交付金の関係でそういう言い方になるのかもしれませんけれども、それではやはり内閣府としての、沖縄関係部局の責任放棄になってしまうのではないか、私はそう思います。ぜひ緊急に対策を講じていただきたいと思います。

 何か御答弁はありますか。

川端国務大臣 御指摘、大変厳しく受けとめて対応してまいりたいと思います。

宮腰委員 それでは、北方領土問題に移りたいと思います。

 浅野先生の方からも御質問がありました。プーチンがメドベージェフと入れかわることになりました。四年前のメドベージェフの得票率七〇%には届かなかったものの、六三、四%前後の得票率で、一回目の投票で当選を決めました。当選が決まった後、プーチンが涙を見せたシーンが流れ、必ずしも盤石の勝利ではなかったことを示しました。しかし、プーチンに対するロシア国民の期待度は、野田内閣ほどは下がっておりません。

 メドベージェフの七〇%とプーチンの六四%を比較して、どちらが強固な政権基盤を持っているかといえば、私はプーチンであると思います。恐らく大臣もそうお考えだと思います。メドベージェフは、国後島を訪問するなどして強い大統領であることを誇示しなければならなかったわけでありますけれども、プーチンにはその必要が余りありません。跳びはねた言動ではなく、領土問題を含む日ロ関係全般について、しっかりとした戦略を持って当たってくるに違いないというふうに思います。

 対ロシア外交の日程では、ことし、ウラジオストクで開催されるAPECがあります。プーチンも、この会議を以前から非常に重視しております。それまでに、我が国としては、領土交渉を含む対ロシア外交戦略を政府全体で練り直しておく必要があるのではないかと思います。当然、検討が既になされていると思いますけれども、プーチンの任期が六年ではなく十二年の長期となる可能性があることも視野に入れて、防衛や経済協力、人的交流、ロシアの状況変化など、あらゆる面から戦略を構築しなければならないと思います。

 野田総理は、プーチン次期大統領との電話会談で、領土に関し、英知ある解決に取り組みたいと発言をされました。五月のG8サミットで初の首脳会談をセットしたいということでありますけれども、私は、戦略なしに拙速に交渉開始のゴングを鳴らすのは、これは最低でも県外と言った結果と同じことになるのではないか。

 外務大臣としては、プーチン、ロシアとの交渉をどのように構築しようとしておいでになるのか、伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたが、一月二十八日に、日ロの外相会談を四時間半にわたって行いました。ラブロフ外相との間で行ったものでありますけれども、今回のプーチン氏の発言というのは、そのときの会談を踏まえたというか、軌を一にするものだというふうに感じています。

 私は、ロシアを重視して、あらゆる分野で協力を深めたいと思っているんです。今、アジア太平洋の戦略環境が変わってきていますので、日ロ関係を深化させていくというのは、私は、その重要性は増しているというふうに考えていますので、まず、幅広く話し合っていくということが大切なことの一つだというふうに思っているんです。その流れの中で、領土の問題は最大の懸案でありますから、むしろ、この領土問題を解決して平和条約を結ぶという必要性は一層強まっているというふうに考えています。

 そういう意味で、最大の懸案である北方四島の帰属の問題の解決に向けて、戦略という意味で具体的に云々ということをこういう場で申し上げるのはいかがかと思いますから申し上げませんけれども、そういう意味で、まさに腰を落ちつけて、前進を図るべく取り組みを行っていきたいというふうに思っているんです。例えば首脳同士の対話、あるいは外相同士の対話、これも必要だと思いますけれども、現時点でスケジュール等が確認されている、あるいは調整をしているということではなくて、今後調整をしていくことになるというのが現時点ということで御理解いただければというふうに思います。

 先ほど申し上げましたように、あらゆる分野において協力を深めていくということで、プーチン大統領就任後も、その対ロ外交の基本方針のもとで進めていきたいというふうに考えております。

宮腰委員 基本的な考え方は私も賛同であります。

 やはり気をつけないといかぬのは、半年で日ロ関係を前進させるというふうにある総理がおっしゃったわけでありますけれども、一時的に雰囲気だけが盛り上がったんですが、実際の交渉は全く前に進まなかった。その二の舞になるようなことはぜひ避けていただきたいというふうに思っております。

 三年前の通常国会で、北方領土問題等の解決の促進に関する法律、略称北特法の抜本改正をいたしました。超党派で構成する北方領土返還・四島交流促進議員連盟で改正案を作成し、全会一致で成立を見たものであります。私も、北方議連事務局長として法案の作成に携わらせていただきました。二十七年ぶりの抜本改正で、日本の法律に初めて、「北方領土が我が国固有の領土であるにもかかわらず、」ということを明記させていただきました。これに対するロシア側の反発は当然予想をいたしておりました。

 おととしの三月、モスクワで開催された日ロ専門家対話に、民主党の平岡議員とともに参加をさせていただきましたが、ロシアのある専門家は北特法の改正について、誤った時期に正しい判断がなされたのではないかと発言をいたしました。北方領土は我が国固有の領土であるという法改正について、正しい判断という認識を示したわけであります。これは政府側ではありません、ある専門家ということであります。日本の国会の意思は明確に伝わったと私は思います。

 ところが、前原外務大臣以後の民主党政府は、不法占拠という言葉を使わず、今津議員の質問主意書に対する答弁書で、「法的根拠のない形で占拠されている」との表現に変更をいたしました。これではロシアに誤ったシグナルを送ったことになるのではありませんか。足元を見られた尖閣や竹島の過ちを繰り返すことになるのではないかと思います。元島民や返還運動関係者も大きな幻滅を感じていると思います。

 静かな環境ということにこだわり過ぎると、日本の意思が明確な形で伝わらず、逆にロシアに不信感を与える結果になるのではないでしょうか。相手がプーチンであればなおさらのこと、明確な言葉で日本の意思を語るべきではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 今の宮腰委員の御指摘は幾つかにわたるものでございます。

 まず、不法占拠と法的根拠のない占拠という問題でありますけれども、これは、実は民主党政権になる前からさまざまな表現が使われているんですね。ですから、現実に、法的根拠のない占拠ということを言って法的立場が変わるか、法的評価が変わるかといったら、全くここは変わりません。そういうことを何度も申し上げてきているということでございます。

 そして、その上ででありますが、私が静かな環境ということをなぜ言うか、また、ラブロフ外相がなぜ静かな環境ということを言うかということなんですけれども、私もこういう委員会の場での発言に気をつけなければならないんですけれども、やはりどうしても領土問題というのは、結局、交渉を通じて解決されるべきものだと私は思いますし、首脳間の信頼関係というのが非常に大事だと思うんです。マスコミ等を通じてやりとりを行うということばかりになってしまったときに、決して、私は、この領土問題で実質的な進展が得られるかと言われれば、なかなか難しくなってしまうのではないかという意味で静かな環境という言葉を使っているというふうに御理解をいただきたいと思うんです。

 これは互いの認識なんですけれども、この間も外相会談で、今まさに、互いに信頼関係、信頼醸成ができてきた、こういうふうにラブロフ外相と私との間では基本的な認識を共有しているところでありまして、まさにそういう日ロ間の信頼関係というものをもとにして交渉を行っていくということが大事である。

 その際に、毅然としなさい、こういう論点もございましたけれども、あのときの外相会談でも、四島の帰属は日本にあるということを私は言いました。その上で、立場は違うけれども、お互いにこの議論を再活性化させようじゃないか、この議論を行って進展をさせようではないか、こういうことで一致をして、まさにプーチン大統領就任後、つまりは新しい政権ができてから具体的に始めようということを、あのときの外相会談でも一致をしたところであります。

 冒頭申し上げたように、浅野委員にもまたお答えをしたように、あのときの両者の合意と軌を一にするものであるというふうに思っておりますので、先ほど申し上げたような姿勢で粘り強く、しかも戦略を持って対応したいというふうに考えております。

宮腰委員 昨年の二月七日、北方領土の日の全国大会、ことしは川端大臣も玄葉大臣も御出席でございましたけれども、昨年の大会にも私、出席をいたしておりました。そのときに当時の菅総理が、私どもが聞いていても非常に違和感のあるとんでもない言葉、表現で挨拶をされました。そのことによってロシア側も非常に、恐らく、当時の菅総理は何を考えているのかなということになったのではないかと思います。

 やはり言葉に気をつけて、できる限り静かな環境のもとでという意味はわかります。がしかし、それだけにこだわり過ぎると真意が伝わらないということでありますから、そこはやはり明確な対応をお願いいたしたいというふうに思います。

 川端大臣にお伺いいたします。

 川端大臣は、納沙布岬で連合の現地集会に出席されたことがあるというふうに何かの答弁でおっしゃったことがあると思います。私も、実は、北方議連の事務局長として、連合の現地集会に要請を受けて出席をしたことがあります。北方領土返還運動は、党派を超えた国民運動であるからであります。

 大臣は、現地納沙布岬で、島のかけ橋という大きなアーチ形のモニュメントをごらんになったことがあると思います。その真下に、北方領土返還実現への国民の悲願がこもった祈りの火が赤々と燃えていたという記憶がございますか。

川端国務大臣 私が初めて、ノサップ集会と当時呼んでおりましたけれども、行ったのは、連合ができるより前でありまして、私、ゼンセン同盟という労働組合におりまして、いわゆる民社・同盟という側におりまして、北方領土返還運動というのはそのときの一大運動でありました。これが後に、昔で言う同盟系、総評系が合体したときに、我々の運動が連合に継承されたということでありますが、その前に行きました。

 一番初めに行ったときは、まだあの火がなかったときではなかったかと。直後に、後でできたということも経験がございまして、あの火がともっていることももちろん承知をしております。

宮腰委員 その祈りの火は、いつ、どこで採火をされて、どのようにして根室納沙布まで運ばれたか御存じでしょうか。

川端国務大臣 採火は沖縄でされたものですけれども、ちょっと運んだ手段は、済みません。

宮腰委員 沖縄で採火されたことは間違いありません。

 昭和五十六年、沖縄県最南端の島、波照間島の南十字星を見ることのできる海辺で採火をいたしまして、二つの移動用ケースにおさめ、太平洋側、日本海側の二つのルートで全国をキャラバンいたしまして、いっときたりとも火を消さないよう万全の注意の上、日本最東端の納沙布に運んだ。私も富山県内のキャラバンの責任者を務めさせていただきました。

 この年、二月七日を北方領土の日とする閣議決定がなされ、翌年、北特法が制定をされました。沖縄が戻った、次は北方領土だ。日本国民の沖縄返還への思いと北方領土返還への悲願は、ここでつながっております。

 その時々の状況の変化に一喜一憂せず、何としても北方四島の返還を実現する、これが領土交渉と返還運動の原点であるというふうに私は思います。政権がかわったとしても、これは政府の一貫した姿勢でなければなりません。返還運動の長い歴史を踏まえ、川端大臣と玄葉大臣から、改めて返還実現に向けた決意を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

川端国務大臣 改めて、沖縄そして北方問題の原点にお触れをいただいて、思いを新たにしたところでございます。

 先ほどからお話ししましたように、三十年以上前に始まったときに、まだその当時は戦後三十数年でありました。先般、この職を拝命して、十年ぶりぐらいでしょうか、寄せていただきましたけれども、島の形は目の前に見えているけれども、三十数年もたって、もう六十七年もたってしまったということと、御案内をいただいた元島民の方が、Uターンするときに、このまま真っすぐ行ってしまいたいというふうにおっしゃいました。その部分では、年月だけたって事態が進歩していないということの深刻さというのも改めて感じました。

 先ほど来の御論議で、外務大臣が一番の当事者として、非常に難しい外交交渉を粘り強く続けていただきたいのと同時に、私は、これを大きく支える世論喚起というものが、いろいろな問題のときに世論がすぐ反応するということが、やはり一番その応援としては大事だというふうに思っております。これを所管する者として、しっかりと覚悟を決めてやってまいりたいと思っております。

玄葉国務大臣 私は、北方領土を洋上から視察したときに、千島連盟の小泉理事長さんがお隣にいらっしゃったんですけれども、このまま色丹島に帰りたいな、こうおっしゃったんですね。あの言葉を私は一生忘れないし、元島民の方々が高齢になっておられるということで、私としても、あのときに改めてその思いを強くしましたし、北方領土交渉について、まさに四島の帰属の問題を解決して、平和条約を結んでいくんだ、精力的に交渉を、強い決意を持って行っていきたいというふうに考えております。

宮腰委員 終わります。ありがとうございました。

福井委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 自由民主党の伊東良孝でございます。

 私は、昨年の八月三日、この部屋で元島民の皆様方のお話を聞かせていただきました。それを受け、十月二十六日に、玄葉外務大臣、川端大臣に御質問をさせていただきました。以来であります。この間、情勢はちょっと変わってきているようでございますので、北方領土問題から入りたいと思います。冒頭通告しております沖縄の予算の問題は、時間がもしありましたら、後ほどさせていただきたいと思います。

 浅野委員、宮腰委員からもお話がございましたように、ロシア大統領選挙でプーチン氏が返り咲きました。この三月一日、選挙直前に、メディアとの会見におきまして、日本との領土問題を最終的に解決したいと強く願っている、両国と双方の国民にとり受け入れ可能な形でやりたい、また、我々は互いの協力関係を強化する中で問題解決を見出すことができる、私がロシア大統領になった後、日ロの外務省担当者を呼んで、交渉始め、この号令をかけよう、こう呼びかけて発言をしたのであります。我が国との北方領土問題の解決に意欲を示した。また、このほかにも、一九五六年の日ソ共同宣言の重要性を強調しているのであります。

 三月一日、我が国の外務省幹部が、歯舞、色丹の二島先行返還も排除せずに柔軟な姿勢で領土交渉に臨む方針を明らかにしたとの報道もありました。

 一連の報道を外務大臣としてどのように受けとめているのか。先ほど、プーチン大統領が意欲を示した、あるいは期待感を持っているというお話でございますけれども、昨年十月、私が、プーチン氏が返り咲いた場合、日ロの領土交渉に進展があるのではないか、こういうお話をさせていただきましたけれども、あの当時は、過大な期待はしないというような慎重な答弁であったというふうに思うところでもあります。

 大きく局面が変わってきた、こう思うわけでありますので、この点について、先ほどの御答弁もいただいておりますが、まず基本的な受けとめ方をお伺いします。

玄葉国務大臣 プーチン大統領の今般の発言につきましては、これまでも繰り返し述べましたけれども、経済、貿易関係、そして領土問題の解決に意欲を示したものということで、期待をしているというのはそのとおりでございます。

 あわせて、かつては慎重な答弁だったのではないか、こういうお話もいただいたわけでありますけれども、やはり慎重に発言をしていくということは必要なことでもあるというふうに私は思っていまして、今回も、例えば領土問題の中身そのものについては、では具体的に新政権のもとでどういう対応が行われるのかということについてはやはり注視をしなければならないというふうにそこは思っているんです。

 ただ、互いにあらゆる分野の協力を深めながらこの領土問題、帰属の問題を解決して平和条約を結ぼうということについて、両首脳の気持ちが同じ方向を向いているということは、私は、日ロ関係の発展にとってプラスであるというふうに思います。最大の懸案の北方領土問題の解決に向けて、精力的に交渉を行っていかなければならないというふうに考えております。

伊東委員 四島の帰属問題、あるいはまた、国内でこれまで言われております四島一括返還であるとか、さまざまな意見があります。帰属問題に徹底してこだわれば、これはなかなか前に進まないのかなという話もありますし、また、四島一括返還でなければならないということであれば、なかなかこれは交渉にもならないというお話も一方であります。

 さまざまな考え方があって、やはりこれらを排除すべきでないという、それが外務省幹部の言ったお話ではないかなと。柔軟な姿勢で領土交渉に臨む方針を外務省の幹部が明らかにしたという報道を受けたものでありますけれども、この点、大臣としてお聞き及びでしょうか。また、この外務省幹部の柔軟な領土交渉に臨む方針というのは、外務省としてやはり御検討されていることでしょうか、お聞きします。

玄葉国務大臣 報道はあくまで報道でございまして、私もあのときにそれを読んだ記憶がございます。

 我が国の立場は、北方四島の帰属は日本にある、そういう立場で、そのもとで、この領土の帰属の問題を解決して、この間の諸合意あるいは諸文書、法と正義の原則、先ほど浅野委員からは具体的な一つの文書についての言及もございましたけれども、そういったこれまでの諸合意、諸文書、法と正義の原則に基づいて、この帰属の問題、北方四島の帰属の問題を解決すべく、精力的に交渉を行っていきたいというふうに考えております。

伊東委員 これも先ほど宮腰委員からありましたけれども、ことしの五月、ワシントンのキャンプ・デービッドで開かれる予定のG8、あるいはまたウラジオストクで開かれるアジア太平洋経済協力会議、APEC、この首脳会議であります。このときに日ロの首脳会談が当然予定される、このように思うわけでありますが、このときにこの北方領土問題の話も当然出てくる、こう思うわけであります。

 総理みずからロシア大統領から領土返還の糸口を引き出すことができればこれにこしたことはないわけでありますけれども、そのためには、我が国の北方領土に対する基本的な、きちっとした方針を立てなければならないという気がします。これは、行き当たりばったりとか出たとこ勝負などということにはもちろん全くならない話でありまして、戦略的方針、こうしたものをきちっと決める必要がある、このように思うものであります。

 これにつきまして、まださまざま言えるような話ではないかもしれませんけれども、お考えがあればお伺いいたします。

玄葉国務大臣 まず、APECの話などがございましたけれども、昨年十一月十二日、ホノルル・APECのときに日ロ首脳会談を行っておりまして、メドベージェフ大統領から野田総理に対して、また、一月二十八日の日ロ外相会談におきましてラブロフ外相から私に対して、訪ロの招請がございました。この点についてはまさに検討中でございまして、現時点で具体的な見通しを申し上げるというわけにはまいりません。

 それと、具体的な戦略などはどうなのか、こういう問いでありますけれども、先ほど来申し上げている基本的な考え方のもとでどのように行っていくのか。まさにこれは交渉でございますので、こういう場でどこまでそのようなことを申し上げてよいのかということがございますから、私は、必要なメッセージは必要なメッセージとして出すし、適切な場所で、適切なタイミングで、しっかりと考え方を伝えていくということが大事。

 それと、やはり最終的には領土問題は、信頼関係のもとでの交渉ということに尽きるのではないかというふうに私は思っております。

 我が国の立場は、基本的立場は一貫しています。

伊東委員 私、交渉までの間、環境整備を含めてきちっとするべきだと思うし、国民の理解を得る、また元島民初め関係者の理解を得る考え方を政府としてまとめるべきだという思いがあります。

 それと同時に、私が言いたかったのは、一月の十七日から二十日にかけて、民主党の国会議員さん、衆議院八名と私とで、日ロ友好議連でモスクワに行ってまいりました。昨年十二月にロシアの下院議員選挙が行われまして、相当メンバーの入れかわりがあった。それで、日本とロシアの友好議連がこの十年間ほとんど余り動きがなくて、国同士のちょっとした冷え込みと同じように議員間交流もほとんどなくなっていたということもありまして、これの再開を目指したものでありました。

 各政党の幹部、党首等々とお会いさせていただいて、新人の議員さんの中にも、日本びいきの人、日本を理解している人、あるいは、友好関係を構築しよう、相互理解を深めよう、こうした議員さんをふやしていくということが大事なことであろうという、お互いそういう認識であったところであります。また、日本からロシアに進出している企業の代表の方々とも懇談をいたしました。

 私は、プーチン大統領が日本との領土問題解決に当たろうとするとき、政府及びその周辺にいる国会議員、あるいは経済界、そうした人たちのいわゆるサポートというか支援体制がやはり大きな力になるのではないかという気がいたします。ですから、日本として、北方領土返還運動に向けて、そうしたロシア国内の環境整備もやはり積極的に力を入れていく必要があるのではないかという気がいたします。

 そういう面での戦略的な考え方やあるいは進め方等々について、もし御見解があればお伺いをしたいと思います。

玄葉国務大臣 今のお話、確かにそういうところがございます。我が国の国内の世論というのを割らないようにしてまとめていくということが領土交渉においてはまず大事だということがあろうかというふうに思いますし、確かに、相手国の国内の一人一人の国民に訴える、そういう対策も当然ながら必要であるというふうに考えております。

伊東委員 国内の対策、そしてロシア国内のさまざまなチャンネル、あるいは議員、経済界を含めたルートの環境整備ということがあって、大統領がもしかすると一歩も二歩も踏み出してくれる可能性も出てくるわけでありますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 さて、それに伴いまして、北方領土の対策本部の予算についてお伺いします。

 これは川端大臣でありますが、来年度予算案、前年比八八・二%ということで、十八億二千九百万円となりました。沖縄の予算は交付金も含めると四千五百十一億になるわけでありますから、沖縄予算の実に〇・四%しかこの北方領土の予算はありません。余りにも予算的にバランスを欠くのではないか、こう思います。

 野田内閣が沖縄に目を向けて沖縄オンリーというように見えるわけでありますけれども、この予算額につきまして川端大臣にお伺いをいたします。

川端国務大臣 沖縄に比べて、沖縄は例えば二千九百数十億という予算でございました。(伊東委員「それプラス千五百」と呼ぶ)はい、計算の仕方はいろいろあります。

 そういう中で、御指摘のように十八億二千九百万円を計上いたしまして、昨年から比べると一二%の減となりました。二十三年度は前年度の一・八倍ということでありましたので、言いわけがましい話かもしれませんが、前々年度に比べると五六%増というか、前年大幅にふやした分を一割の概算要求削減方針という中でぎりぎり維持できたということであります。

 その中身においては、新しく、若い世代に対する啓発、教育機会の充実に対する経費三億二千百万円、四島交流等事業の安定的な実施のため平成二十四年度より供用する後継船舶「えとぴりか」の用船経費の増額二億八千百万円、元島民に対する支援として、元島民後継者育成対策二千四百万円をそれぞれ計上いたしました。いわゆる啓発の推進経費の中では、メディアミックスによる集中啓発ということで効率化を図って減額とかいうことで、中身を前向きに詰める中でこういう予算を編成させていただいたところでございます。

伊東委員 私も嫌みを言うわけではありませんけれども、大臣の所信表明、これは印刷物にして五ページでありましたけれども、このうち四ページが沖縄への記述であり、残り一ページが、北方領土が申しわけ程度についていたわけであります。

 この沖縄の四ページには、大臣が自慢してきました予算の大幅増額、あるいは公共事業、大学院大学、観光産業など、かなり細かな事業内容まで詳しく述べられておるわけでありますけれども、北方領土のページでは、予算については一円も出てまいりません。

 十年一日の理念的感想を述べられているとしか見えなかったわけでありますけれども、これについて、大臣、いかがでございましょうか。

川端国務大臣 その前に、先ほどの額でありますが、二千九百三十七億円が沖縄予算で、千五百七十五億円は交付金で、これは内数でありますので、総額は二千九百三十七億円でございます。

 それぞれの経過と背景の中で予算を組み、とりわけ今回は、沖縄が四十年の節目ということを含めて、知事の言をかりれば、沖縄に特別振興する最後の十年という部分を政府として受けとめた予算でございまして、北方領土と比較して記述も額も多いというのは、現実にそういうことになっておりますが、いろいろな経過の中で、私として、北方領土に対して大変重要な認識と、しっかり対応していくということについては御理解をいただきたいというふうに思っております。

伊東委員 メドベージェフ前大統領が一昨年の十一月一日に国後、択捉を訪問しました。これはソ連、ロシア時代を通じて初めてのことということもありまして、我が国でも随分、抗議をしたり、さまざまな反応があったところであります。

 国務大臣、要人が相次いで北方四島を訪問し、経済投資を中国、韓国に呼びかけ、一方、軍事施設あるいは武器の近代化を約束しているわけであります。また、八百九十億に及ぶ公共事業の増額、社会基盤の整備を実行するとしているところであります。

 先ほどプーチン大統領のお話をしたわけでありますけれども、今こそ、冷え切った日ロ関係を改善し、領土問題の進展のチャンスと捉えなければならないわけであります。予算が組み上がってから今回のプーチン発言でありましたから、なかなかそうはならなかったのではありましょうけれども、しかし、やはり政府の意欲を見せるのは予算の中身ではないかというふうに思うわけであります。やはり、十八億そこそこで今までの事業をなぞっているだけでは、北方領土の解決に政府が本腰を上げて取り組んでいるようにはどうしても見えないわけであります。

 この点について、川端大臣の今後の意欲というものをぜひお見せいただきたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、予算で政府の姿勢を示すということは、極めて大きなメッセージであることは御指摘のとおりでございます。

 言われましたように、非常に大きな転換期に差しかかる政治局面という指摘も、きょうの委員会でも随分されました。外務省とも連携をとる中で、先ほども申し上げたんですけれども、世論喚起、世論の醸成というバックアップが大変大きなことであることは事実でございますので、予算編成はこのようにさせていただきましたけれども、いろいろな機会を捉えて、より効果的、効率的であると同時に、いろいろな対応も、また連携をとって私たちも頑張っていきたいというふうに思っています。いろいろな御指導、アドバイスがございましたら、またお聞かせいただきたいと思います。

伊東委員 先ほど沖縄の振興策が議論されていたところでありますが、北方領土隣接地域の振興策についてもお伺いをいたします。

 北方四島に隣接する根室地域は一市四町でありまして、近年は大変疲弊している地域であります。基幹産業は漁業そして酪農でありまして、農業は酪農業しかできないと言っても過言ではない地域であります。

 漁業につきましては、既に御案内のとおり、北方四島と日本の北海道の領海、根室海峡といいますけれども、この中間ラインをもってして区切られているわけでありまして、いかにすぐ目の前に島が見えるとはいえ、そこの中間ラインまでしか船は行けないわけであります。少しでも越えると、拿捕、銃撃を含め、命の危険もある海域でもあります。

 さらにまた、近年は、ロシアの大型トロール漁船がスケトウダラをトロールで根こそぎ持っていって、資源枯渇問題もずっとこのところ言われているわけであります。

 また、酪農は、日本一の牛乳の生産地でありますが、最近の飼料や燃油の高騰によりまして、非常に苦しい経営であります。加えて、TPPの交渉参加による将来への不安から、離農者が相次いでいる現状にあります。

 この地域は、医師数が、人口十万人当たり、全国平均二百三十人、北海道平均二百二十九人でありますけれども、この根室地域は九十六人、半分以下となっております。この地域で産婦人科の病院が二カ所しかない、根室と中標津にしかないというような話も出てくるわけでありまして、いよいよ疲弊する、あるいは苦しい医師不足で病院の経営は大変厳しいものがある。

 こうした中で、北方四島から病人、けが人を人道的見地から受け入れております市立根室病院が現在改築中であります。また、根室管内の町村の中でも、町立中標津病院あるいは羅臼診療所が、これも現在改築が進められているところであります。病院は改築しても、なかなかお医者さんの確保が難しいという側面もあるわけであります。

 こうした点、いわゆる北方領土はロシアの財政的なてこ入れによってどんどん近代化してくる、あるいは建物も新しくなってくる、しかし一方で、その隣接地域の根室管内がどんどん疲弊してくる、あるいは寂れてくるということであってはならないわけであります。

 隣接地域に振興策がないわけではありません。百億円の基金の果実をもって振興策を行っているところでありますけれども、これだけ金利の低い時代でありますと、一億円そこそこにしかこれはならないわけであります。沖縄までとは言いませんけれども、せめてもう少し、この北方領土隣接地域に対する振興策、あるいは政府の援助、てこ入れ、こうしたものがあってよいのではないか、こう思いますが、この御認識を伺います。

川端国務大臣 隣接地域のいわゆる北特法があるということですが、背景として、この低金利時代では、国交省所管でありますが、大体一億円ぐらいということでありまして、前のこの委員会の御議論を含めて、医師不足、医療の状況、そしてこの隣接地域の大変厳しい経済環境、地域環境、加えて北方領土においてはロシアのいわゆるインフラ整備が急速に進んでいるという状況はこの前も御指摘をいただきました。この部分では、これは、いろいろな基金の果実でやるという仕組み自体がなかなかもう今の御時世では難しいということも御指摘のとおりだというふうに思います。

 いろいろな環境の中で、先ほども申し上げましたけれども、予算としてのこういう状況ではありますけれども、いろいろなこれからの動きについては、改めて大きく視点を切りかえて研究し、進んでいくという必要性を私も感じておりますので、しっかりとそういうことも議論をして、これから前に進めるようにというふうに思っております。

伊東委員 これは所管が北海道開発局の部分がありますので、きょうは吉田国土交通副大臣がお見えでございますから、ひとつ、支援策あるいは基盤整備というものに絡んで国交省としてのお考えがあればお聞かせください。

吉田副大臣 本当に北方領土の真っ正面で向き合われて活躍されている先生の大切な御質問でございます。国土交通省としても精いっぱいお答えをさせていただきたいと思います。

 今お話ございましたように、北方領土に隣接する一市四町におきましては、北特法という法律におきまして、今は、平成二十四年度までという形で、第六期の北方領土隣接地域の振興計画に沿いまして安定振興対策事業を推進しているところでございます。

 さらに、事業の推進に当たりまして、国土交通省としては二つ対応させていただいています。一つ目は市町事業の補助率のかさ上げ、そして二点目は、今大臣の方からお話がございました、この基金の足らず前のところを少しでもということで、北方領土隣接地域振興等事業推進費補助金を活用しております。こういうふうな施策を通じて、この地域の振興及び住民生活の安定を図っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き地元の皆様方の要望をよく聞きまして、北方領土隣接地域の振興を図ってまいりたいと存じております。

伊東委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをいたします。

 時間が余り残っておりませんので、少し急ぎたいと思います。

 先ほど川端大臣からもちょっと御紹介ありましたように、ことしは、北方領土ビザなし交流の船として、「えとぴりか」という船が五月に就航する予定であります。大いに活用されることが期待されるところであります。去年まで使用していた船はロサルゴサという船でありまして、新造船でありますから、さぞ快適かつ大きな船になったんだろう、こう思うところであります。

 二十四年度では、青年研修の充実あるいは修学旅行の誘致、全国の県民会議メンバーへの啓蒙など、特に若い人たちに根室市の納沙布岬に来ていただいて領土を見てもらう、このような事業に力を入れているようであります。船を活用して若い人たちにどんどん根室の方に来ていただくような運動を展開したいと私は思っているところでありますけれども、この船の活用についてお伺いします。

川端国務大臣 二十四年度から就航する「えとぴりか」については、毎年五月から十月にかけてはいわゆる北方四島交流事業に使用するということがメーンの目的でありますので、北方領土問題対策協会が民間事業者との間で長期用船契約を締結して調達するということになっておりますが、前回の委員会のときにも委員の方から、あいている時間は洋上研修とか、もっと活用した方がいいのではないかというふうな御提言もいただきました。

 我々も検討して、今お触れいただきましたように、若い人にできるだけ北方問題を体で感じてもらって、そして国民世論の大きな中心として支えてほしいという思いもございますので、四島交流事業に使用しない期間には、青少年の洋上研修等に「えとぴりか」を活用することを予定しておりまして、北方領土青少年洋上セミナーということで今回は計画をしております。

 今後とも、北方領土に対する国民の理解と関心を高めるためにどのような活用方法があるか、関係者の要望も伺いながら引き続き検討もしてまいりたいと思っております。

伊東委員 本当はもう少しあるんですけれども、また改めて別の機会に、北方領土問題、沖縄問題をさせていただきます。

 時間も余りありませんので、最後に、カラーのコピーでお渡ししているのでありますけれども、これは、インターネット上の韓国の天気予報の図であります。ここに、独島、いわゆる竹島が天気予報で載っているわけであります。三枚の写真の一番右、独島、まさに竹島が、細かな天気予報図まで載っております。

 政府はこの事実を御存じでしたでしょうか。これは担当はどちらに相なりますか。国交副大臣ですか。

吉田副大臣 これは、気象庁としては存じておりました。さはさりながら、政府としての認識については、私どもの知る限りではございません。

伊東委員 最近、尖閣諸島付近の島を含む全国の無人島に名前をつけたという話が出ておりまして、これに中国、台湾から猛烈な抗議が来ているというお話もあるわけであります。日本が、独島に対して、韓国政府に、我が国の領土を勝手にこうするのはいかがなものか、そういう抗議をされた経緯があるかどうか、外務大臣にお聞きします。

玄葉国務大臣 我が国の立場と相入れないことが起きたときには必ず申し入れを行っているということでございますけれども、ちょっとこの天気予報については、申しわけございません、私、こういう状況にあるということを知りませんでした。

伊東委員 それであれば、我が国としても、少なくても尖閣及び竹島、あるいは北方領土は天気予報をきちっと載せるべきではないかなと。そこの観測所など面倒な面もあるんでしょうけれども、しかし、例えば北方四島の天気予報なんというのは根室の天気予報を借用すればできる、こう思うわけでありますし、これは全国民に、ここは我が国の領土なんだ、あるいは、日本政府としてここに関心を持ってきちっと管理しているんだということを見せるためにも、ぜひ、NHKあるいは民放の天気予報にこれを載せる、あるいは政府の、気象庁の天気予報にこうした領土をしっかりと位置づける、こうしたことが必要ではないかと考えますが、これは政府の見解として、どなたでも結構でございます、お答えいただきたいと思います。

吉田副大臣 まず、天気予報につきましては、気象庁は国土交通省の外局でございますので、私の方から御説明を申し上げます。

 北方四島につきましては、気象庁において根室地方という形で発表しているところでございます。天気予報という部分は、これは国民生活にかかわっているという部分でございますので、北方四島には、残念ながら、今、日本の方はお住まいでもございませんし、生活もしていない、こういう大きな大前提がございます。

 ただ、今先生がおっしゃられた領土、領海という国家の主権の観点からということでございましたら、これは、私ども気象庁ののりを越えることでございますので、政府全体として御判断をしていただいて、そこから何らかの御指示があれば、私どもはそれについてはしっかり対応させていただく、そういうことを申し上げたいと思います。

伊東委員 住んでいないから根室地方に包含するというお話でありますけれども、しかしながら、竹島にはそんなにたくさんの韓国人が住んでどうだという話ではないわけでありますので、これはやはり政府としての戦略上の問題ではないかという気がします。北方四島にしても、漁業者がこの周辺で操業しているわけでありますから、ぜひ政府としてこれは御検討をいただきたいな、こう思う次第であります。

 最後に、これを聞いて川端担当大臣、いかがでございますか。

川端国務大臣 私もこれを見て初めて知ったんですけれども、このウェザーニューズというのは日本の法人で、多分これは韓国の現地法人か何か知りませんけれども、民間会社でやっているという部分であります。私、兼ねて総務大臣をやっておりますので、報道ということは、NHKとか民放なんかの天気予報もそれは独自の編集権に基づいてやっておられるんだというふうに思いますが、これは、そういう意味では、政府としては一度整理をした方がいいのではないかという御指摘でありますので、私が直接その立場にない部分で踏み越えた発言はできませんけれども、こういう議論があったことは政府の中に私は伝えたいというふうに思っております。

伊東委員 もう時間がほとんど、二、三分しかないので、あと一、二問だけ。

 今回の北方領土予算の中で、後継者対策の予算が組まれております。これは、昨年の八月に、領土の返還運動、元島民の三世の方が来られて証言されておりましたけれども、現場の理解、職場の理解、周囲の理解、こういうのがなければ、三世、四世が北方領土返還運動を続けるというのは非常に難しい話だと。ですから、建前の話で後継者対策というのではなくて、実際、本当にこの後継者の方々が運動を継続していけるような環境整備が必要だというふうに思うんですね。もちろんこれは、根室管内、いわゆる隣接地域を挙げて取り組まなければならない話でありますけれども、この後継者対策に今回の予算でどのような意を用いたのか、川端大臣にお伺いします。

川端国務大臣 今まで勘定として、北方領土返還要求運動推進経費の元島民後継者対策推進経費として、今年度ですと一千六百万円をやっておりましたけれども、こういう位置づけではなくて、一般業務勘定運営費交付金ということで、元島民後継者育成費ということで二千三百万円を計上させていただきました。

 これは、御指摘のように、私も現地の人ともいろいろお話をいたしましたけれども、なかなか職場を離れてということができにくいサラリーマンの方が結構ふえてきた、自営業の人は少なくなっていって、自営業もなかなかもうそんな余裕がないということなので、この組織自体がしっかり運営できるという基盤をつくるということの中でお手伝いする方が直接的ではないかという知恵を出させていただきました。いろいろな形での御要望は、またきめ細かく伺ってまいりたいというふうに思っております。

伊東委員 それでは、本当にもう時間ですので最後にしますが、私驚いたのは、根室に行って、望郷の家でも何でもそうなんですが、北方領土返還の歴史、北方領土が不法に占拠されたあの八月十八日以降の当時のソ連のやり方、あるいは返還運動の今日までの経緯、こうしたものが全くビデオにも何もなっておりませんでした。新しい「えとぴりか」が就航するわけでありますから、その中で少なくとも二、三十分それを見ていればおおよその歴史、外郭がわかるようなビデオなんというのは、映像をちょっと集めてくればすぐできるようなことだと思います。ぜひ、こうした修学旅行生あるいは若い人たち、他県から来る県民会議の皆さん方に簡単に理解していただけるようなビデオの作成をお願い申し上げたいと思います。それがまた、北方領土教育、学校の教材の一部にもなるのではないかという、そんな思いがしておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 以上で終わります。

福井委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 まず、川端担当大臣、きょうは後ほど別の委員会でもまた質疑させていただきますが、御苦労さまでございます。

 一つ目の質問でございますが、当委員会で最初から出ております一括交付金についてお伺いをいたします。

 現在、交付要綱というものを内閣府でまとめている状況と理解をいたしております。当然、交付金の予算規模とか、それを法的に担保する振興特措法の改正案については公表されているわけでございますけれども、今回、一括交付金が大幅に上積みをされたということで、特にソフト事業が対象になるということで、沖縄県そして沖縄県内の市町村は、この交付対象事業や手続などを定める交付要綱に大変高い関心を寄せております。

 この要綱が策定されることを受けて、県、市町村では、ある意味もう年度末になっておりますので、来年度の県とか市町村の予算は既に組まれておりますので、この上積み分につきましては補正予算を組んで新たな事業を計画しなければならないという状況でございますので、当然のことですけれども、少しでも早い交付要綱の提示ということを求めております。

 そこで、川端大臣に、現在の検討状況、また、いつごろ沖縄の地方公共団体にこの交付要綱を示すことができるのかについて御答弁いただきたいと思います。

川端国務大臣 一括交付金の交付要綱等については、現在、関係省庁とも調整中でございまして、沖縄県あるいは市町村、団体の年度当初からの事業の執行に支障が生じないように今準備を鋭意進めているところでございますが、交付要綱の国からの正式な発出は、予算案と沖振法の改正案の成立が前提となっております。

 沖縄県等の年度当初からの事業の執行に支障が生じないように、現在、事前にいろいろ意見交換をすることによって県とも相談をしているところでありまして、これからもそういうことを続ける中で、最大限、事業の執行に支障が生じないように努力をしてまいりたいと思っております。

遠山委員 そうすると、大臣、確認ですが、この振興特措法の改正案が成立をすれば速やかに、例えば四月ぐらいには要綱が提示されるという大体の理解でよろしいですか。

川端国務大臣 一部、日切れも入っておりますので、ぜひとも予算等も含めて通していただきたいというのが我々政府の立場でございますが、その部分では、それが通り次第可及的速やかにという意味では、先生が今想定されたようなことを我々も思っております。

遠山委員 ありがとうございます。

 そしてもう一点、この要綱についてお伺いしたいんです。

 要綱が出された後の話で、検討中のことですから恐縮なんですけれども、私の理解では、一括交付金というのは、使う地方自治体側から見ると自由度の高い、使い勝手のいい交付金、こういう位置づけになっておりますので、当然、要綱が出された後の事業化そのものについては沖縄県並びに市町村が、余り国の関与とか指導とかあるいは査定なしに自立的に決定できるというふうに理解をしておりますが、この認識で間違いないでしょうか。

川端国務大臣 今委員が、余りというふうな言葉をお使いになりました。

 これは、自主的に選択した振興に係る事業を沖縄県が実施するために、実情に即して、的確かつ効果的な政策が展開するようにという趣旨で創設を予定しております。

 そういう意味では、基本方針は政府がつくる。今までは、基本計画は国がつくったんですけれども、基本方針を国がつくり、基本計画を沖縄県がつくる。そして、その事業に関しては、これは使い勝手がいいことですけれども、自由な使い方ではないという補助金等適正化法の対象でありますから、一定の関与は当然、全く関与がないということではありませんが、基本方針というものが個別具体の事業を規定するというふうなものではないという想定でございますので、個々の事業は沖縄県が基本方針に沿って、基本計画を決めていただいた中でやっていただく。

 それを事後的に、明らかに基本方針に沿っていないものは是正を求めることができるという関与でございますので、できるだけ自主的な判断ということでやっていただくために、手続面の簡素化を図って、可能な限り必要最小限の関与にしたいというふうに思っております。

遠山委員 わかりました。

 大臣御指摘のとおり、補助金適正化法の対象になるというのはもっともな話でございまして、幾ら自由に使っていいよといっても、原資は国民の血税でございますから、私も参議院にいたときに決算委員会で、補助金適正化法に違反しているさまざまな地方とか独法の事業について掘り出した経験がございますので、そういうところの違反にならないようにしなきゃいけないという意味での国の関与であれば理解をいたしますので、そういう方向でやっていただければと思います。

 続きまして、大臣、先月十四日に沖縄の新聞で大きく報じられた問題でございますが、新沖縄子どもを守る会という団体が自主的に、沖縄の県都那覇市の幼稚園、小中学校、五十三校の校舎を調査したところ、明らかに子供たちにとって危険な校舎がある学校が十校あったということで、地元の新聞にはその十校の小学校、中学校、幼稚園の名前も実は掲載されております。具体的に掲載されたものですから、そこに子供を通わせている保護者は衝撃を受けております。

 これは記事にも書いてありますし、私も地元に確認をしましたけれども、この危険な校舎というのは、沖縄国際海洋博覧会が開催された一九七〇年代に、七二年に本土復帰ですからそれも関係あったと思いますが、これらの小中学校の建設ラッシュが起こったんですね。それで、建設資材あるいはコンクリートの材料が足りなくて、除塩されていない、塩分が抜かれていない海砂が大量に使用されて小中学校が建てられてしまった。

 普通、いわゆる鉄筋コンクリートづくり、RC構造の学校の建物の場合は耐用年数が六十年なんですけれども、塩分が含まれている海砂を使った場合は、これは専門家の指摘では大体二、三十年ということでございまして、今回調査した団体の結果では、剥落したコンクリートとか、クラックが入っている壁とかいろいろ見つかっています。実際に、新聞でも指摘されているんですが、二〇〇九年には那覇市のお隣の浦添市のマンションで、廊下が廊下ごと崩落する、そういった事件があって、その原因はやはり海砂を使ったコンクリートだったということです。

 これは、今私の手元には那覇市のことしかないんですけれども、恐らく沖縄県全体の小中学校で同じ問題があるんじゃないかと思っております。ぜひ内閣府としても、これは深刻な問題です。沖縄も、余り地震や津波が来ないと言われておりますが、江戸時代末期の明和の大地震では、石垣島が五十メートルの高さの津波に襲われるという大地震が起こったことがございますし、そこまで大規模でなくとも、大きな地震が来れば、恐らくこういった学校は崩落してしまう可能性が高いということです。

 ぜひ、沖縄県それから文科省さんとも連携をとって、沖縄県全体の、特にこの一九七〇年代、私が調べたら、一九七七年には当時の建設省が、除塩されていない海砂は使わないようにしましょうという通達を出しているんですね。それ以後は大丈夫かなと思いますけれども、ちょうどその、七二年の本土復帰と七七年の通達が出る五年間の間に建てられた学校は危険な可能性がありますから、ぜひ実態調査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 海砂を使ったということで、こういう記事が載りましたのは私も承知をいたしております。

 御指摘のように、一九七七年に通達が出ておりますので、それ以前の校舎というのも相当数ございます。そういう部分では、内部構造の方へ海砂を使うということは、トータルの強度と同時に、鉄筋がその塩分でさびるという、強度を一番支える部分がさびて、強度を支えられないということが海砂の問題ではよく言われます。そういう部分では、極めて深刻な問題であることは事実でございます。

 各市町村、当然ながら、大変厳しい財政状況に皆さんおられます。そういうことで、これまでも国の補助をいろいろ活用しながら、老朽化を総合的に評価する耐力度調査を実施して施設の改築を進めてきているところでございますけれども、改めて内閣府として、子供の安全に係る重要な問題でございます。沖縄県あるいは文部科学省と相談をしながら、市町村に改めて耐力度調査の実施を働きかけてまいりたいと思いますし、その対応についても、沖縄県、文部科学省、関係市町村とも協議をしてまいりたいと思っております。

遠山委員 いろいろ財政事情等ありますし、そもそも責任を持っているのが地方自治体だということも理解しておりますが、子供の命にかかわる事案でございますので、ぜひ内閣府としても、今大臣がおっしゃった方向で真剣に対応していただきたいと思っております。

 続きまして、川端大臣に伺いますが、内閣府におきまして、平成二十二年度、それから今年度、もうすぐ終わりますけれども、二十三年度の二カ年にわたりまして、沖縄において鉄軌道を含む新たな公共交通システムの導入の可能性についての基礎調査というものが行われております。二十二年度分の調査結果については昨年の六月に報告書が公表されておりまして、私も拝見をいたしました。

 実は、沖縄県は、四十七都道府県の中で唯一、モノレールができるまで鉄軌道が全く存在しない県でございました。私も地元でいろいろな沖縄の方々とお話をすると、やはりこの最大の原因は、本土復帰がおくれたということが最大の背景だろうというふうに思います。もし沖縄が終戦直後から日本の直轄と言ったら変ですけれども、領土としてアメリカの間接統治を受けないという状況になっていれば、国鉄があったわけですから、国の負担で沖縄も鉄道が敷設されたであろうと。

 参考までに申し上げると、戦前は沖縄に鉄道がございました。那覇から与那原というところに鉄道があったわけですが、これが戦後、全く復旧されないまま本土復帰を迎えたということでございます。

 今回の民主党政権になってからの調査は、私、大変ありがたいと思っております。実は、その調査結果を見ますと、鉄道系の需要予測において、那覇から普天間基地のある宜野湾、そして沖縄市、うるま市の間については需要予測の数値がかなり高く出ておりまして、鉄道を導入してもペイするという需要予測が出ております。

 ただ、そこから先の北部、名護市とかあるいは美ら海水族館のある本部の方までいきますと、日常的に使う人の数が低いという予測が出ておりまして、そこまで引っ張るというのは難しいということになっておりますが、観光客が、十年前は入域者が年間四百五十万人に達したといってみんなで喜んでいたのが、もう今や、一度は六百万人まで平成十八年ごろいったということもございまして、その観光客の多くが沖縄本島の北部に行っていることも事実でございます。また、Jリーグとかプロ野球のキャンプも相当数来ておりますので、そういった観光需要の潜在性が高いという意味では、ぜひ鉄道の導入を沖縄で図るという方向で政府としても取り組んでいただきたいと思いますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

川端国務大臣 昔は沖縄に鉄軌道があった、そして沖縄の皆さんの、まさに本土復帰以降の一つの大きな希望の星が鉄軌道による交通網の整備ということはかねがねよく伺っておりますし、承知をいたしております。

 そういう中で、先ほど国鉄のお話にお触れになりましたが、国鉄は、全国津々浦々に鉄道を敷設する中で、民営化していく中で、いわゆる地元ローカル線の問題をどうするのかという、車社会への転換の中でいろいろと、三セクであったり、場合によっては廃線であったりということの経過も現在あります。

 そういう意味で、これから新たにやるときに、今お触れいただきましたように来年度が三度目の調査ということになります。一度目は、需要予測を含めて、どういう状況にあるんだろうかと。それが三千五百万でしたが、今年度は四千万で、検討システムのルートごとの代替案の検討とか、運行計画、総事業費の検討、採算性の検討等々をやって、実現に向けた、これはみそは実現に向けた課題の整理でありますので、何かアリバイづくりのためにやっているんじゃなくて、本当に、何とかうまくいく方法はないだろうかと。

 やったときには、やはり将来ともに安定して事業が運営できないと、またいつもの国庫負担か地元負担をするということではなかなかもちませんので、今年度からは一億円をかけて、地勢、気象、環境的要素を勘案した上で、想定ルート案を複数案つくろうと。そして、それぞれ公共システムごとに導入空間、いわゆる陸路なのか高架なのかトンネルなのかということもありますし、当然、構造形式も用地買収も具体的に費用が違います。

 そういうことで、建設事業費、運行計画、利用需要、採算性を比較検討して、全般的な建設コストの縮減案、まあ、ぱっと見て随分高くかかるとやはりなかなか難しいというのは初めからわかっていますから、できるだけコストが一番かからない方法はないのかということを検討することや、それから大規模なアンケート調査、タウンミーティング等で沖縄県民等の意識を詳細に把握する。これは、NPOの皆さんも熱心にやっていただいている方がたくさんおられます。そういうことで、公共交通システムという位置づけの中で一番最適なものが、どういうものがとれるのかということをしっかり検討していきたい。

 今度の振興法で、先ほどの宮腰先生等の御意見では、初めから整備に向けてと書けという御要望もいただきましたけれども、今はまだ整備という形まで踏み込むためのいろいろな環境整備、検討をしているということでありますので、そういうしっかりとした裏づけ、想定、シミュレーションの中で、前へ進めるように最大の努力をしてまいりたいというふうに思っております。

遠山委員 大臣の今の御答弁、力強く思いました。

 というのは、三千五百万、四千万、一億という規模の調査費をつけて、さまざまな角度から調査をしていただいているということは、単に調査をやって結果を出して終わりということではなくて、真剣に鉄軌道導入の方向に向けて取り組まれているというふうに理解をした上で、当然、今の時代、採算性は無視できませんので、採算性、コストとベネフィットのバランスの上で。

 しかしながら、まずは、今の那覇市のモノレールもそうでございますが、つくるときにはもう絶対赤字になるとか、いろいろ御批判もありました。あと、沖縄の人は時間どおり来る乗り物には乗れないとか、当時、沖縄ではいろいろな説があったんです。しかし、実際つくってみたら意外と多くの人が乗りまして、それで延伸するということになりましたので、ぜひそこは、どこか一つの区間からでもきちんとやるということで、採算性も見ながら着実にやっていくという方向で進めていただければと思います。

 時間がなくなってまいりましたので、今度は、玄葉外務大臣と先日の予算委員会の続きを若干させていただきたいと思っております。

 先日の大臣とのやりとり、いろいろあったわけでございますが、私が申し上げたポイントの一つは、米国政府が普天間以外の、嘉手納以南の五つの施設の先行返還というか、その返還について切り離すと言った背景には、やはりアメリカ側の要求もあるのではないか。その一つが、日本側の財政負担の現行水準を何が何でも維持したいというアメリカの意向と、もう一つは、普天間基地の固定化ということはあえて申し上げませんが、継続使用を前提としたさまざまな要求。大きくくくって、この二つの要求を必ず日米交渉の中で強く言ってくると私は予測しますという話を申し上げました。

 実は、大臣とのそのやりとりは二月の上旬だったわけですが、済みません、私は野党ですし、報道ベースでしか情報がないものですから、その後の報道を見る限り、私が懸念したとおりの内容がぽろぽろと漏れて報道されているように見受けております。

 二つに分けてお伺いをしますが、まず一つ目は、グアムに移転をする海兵隊の規模。それから、最近の報道では、そもそも司令部をグアムに移すと言っていたのが、やはり中国等をにらんで、司令部は沖縄に置いて、戦闘部隊を中心にグアムに送る。ただし、グアムそのものに送る数は当初の八千人から、四千七百人規模という形で報道が続いております。いや、それが本当に日米交渉でそうなっているのか、私は知りません。しかし、そういう報道になっています。

 だとすると、グアム移転の規模が縮小されるという意味において、政府としては辺野古の代替施設の建設を進めるという立場でしょうから、そこのコストというのは変更がないにしても、グアムの移転については、当初よりも減らすということはどうもアメリカ側は方針を固めているようでございますから、その観点においては、やはりグアム移転経費にかかわる部分の日本側負担というものは軽減されてしかるべきだと私は思っておりますが、改めて、外務大臣、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 いろいろ懸念をしているんだ、こういうお話がございましたけれども、まず、先ほどおっしゃっていただいた部隊構成。

 どこに、どれだけの海兵隊が移動するのかということについて、新聞はまさにそれぞれの報道があるというのが現状だというふうに思います。MEF、MEB、MEU、それぞれあって、私が担当局長とか担当審議官に指示をしているのは、まず、戦略的な意義を共有すること。つまりは、アジア太平洋全体の中で、また東アジアの抑止力といったものについて低下しないように維持、もっと言えば、より大きく捉まえれば向上するような部隊配置、そして人数、規模、こういったことについて主体的に議論をするようにという指示をしています。私は、その点、もちろん米軍の再編ですから、まず米軍の考え方というのが示されてしかるべきではあるんですけれども、まさに主体的に議論をしているというふうにまず認識しています。

 その上で、グアム移転経費の話でありますけれども、これはまだそういう話になっておりませんで、つまりは、以前から申し上げていますけれども、やはりまず全体をしっかり、何がどれだけ日本の抑止力、そして東アジア、アジア太平洋の抑止力に資するのかということをきちっと整理しながら、最後に経費の問題というものを結論を出していかなければならないんだろうというのが私の思いでありまして、幾らとか云々とかというのは、先日も遠山委員にはお答えいたしましたけれども、そういった議論というものに留意をしていかなければならないのかなというふうに考えているところでございます。

遠山委員 大臣、わかりました。

 次の質問にも通底することを一点だけ申し上げると、大臣としては、グアム移転経費の負担の増減、あるいは現行水準を維持するのかということについては最後の方で、いわゆる戦略的な問題等の議論をして、双方の主張が並んで、そして合意事項を形成していって積み上げた後に経費の話が最後の方で来るんだというお話でしたけれども、報道だけ見ている、特に沖縄の地元紙を見ている人たちは、どんどん数字がひとり歩きをして、外務大臣が思っている以上に、いろいろなことについてこう決まっている、ああ決まっているというふうに思って大臣の発言をいろいろ聞いてしまうという面がありますから、もし報道の中でこれは完全な間違いであるとか、完全な誤解であるとか、曲解であるというようなものがありましたら、そこは外務省としてしっかり強目に言っていただかないと。

 外交で秘密交渉しているから、一々コメントすると、逆に本当のことがばれるので言うのはやめておこうという気持ちも、私も外務省にいましたからわからないでもないですが、ぜひそこは、大事なポイントについては、きちんと政府の立場とか大臣のお考えを強い形で明示するということをやっていただきたいと思います。

 二問目ですけれども、二問目も、私はたまたま東北にいて、岩手にいたので、岩手日報の記事になっていますが、まさにこういう「普天間を大規模補修」というタイトルで一面に、岩手で、東北でも載っておりました。

 私も先日の予算委員会で指摘をさせていただきましたけれども、もちろん民間空港でも軍事目的の空港でも、日常的なメンテナンスは必要なわけでございまして、特に飛行機ですから、滑走路に穴があいていたら落ちるわけでして、ヘリコプターもそうですけれども、ですから、日常的なメンテナンスという意味での補修が必要だというのは当然のことなんです。だから、一切、普天間の補修をやるなということを言っているのではないんです。

 ただ、大規模な補修工事を特に日本側の財政負担で行ったときに、ああ、いろいろ表では関係閣僚の皆さんは言っているけれども、結局、辺野古にも移設できず、県外、国外にもできず、普天間がずっとこれから何十年もいってしまうということを実は容認する立場から大規模な補修をするんだなと受け取られてしまうと、その後の大臣の御発言もかなり割り引いて聞かれてしまうところがあるんですね。

 ですから、「普天間を大規模補修」の記事の中ではかなり具体的に、二月二十七、二十八日に東京で行われた日米の審議官級協議でそうなった、そう一致したと断言調で書かれているわけですね。ですから、この事実が本当だったのかどうかも含めて、ちょっと大臣の御見解をいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 報道に対して、一つ一つ肯定するか否定するかということがなかなかできにくいところがあることは、遠山委員御存じのとおりでありますが、今、少なくとも今の報道についてあえて申し上げれば、この間の審議官級協議でそういったことについて一致したなどということはありません。

 この問題は、以前も申し上げましたけれども、在日米軍の再編の調整について議論が始まる前から必要な整備というのは行われてきているというふうに思っていまして、今後もそのような形で日米間で議論をされるものであるというふうに私は考えているんです。

 普天間の固定化は、あってはならないというふうに考えています。

遠山委員 時間がなくなってまいりましたので、最後に一言だけ、外務大臣、提案がございます。

 私としては、この普天間基地の補修の話ばかりに耳目が集まることよりも、先日の日米の共同報道発表に書かれているいわゆる先行返還の部分ですね。個人的には、特に牧港補給基地、キャンプ・キンザー、それからキャンプ瑞慶覧、かなり広大ですけれども、ここの一部の返還、この二つの返還を早期にかち取るということを日本政府として、外務大臣として、ある意味、日米の社会に対して宣言をして、そこの部分は退路を断って交渉に臨む。その他のいろいろな技術的な、専門的な細かい議論ということについて触れる必要はないと思いますが、どこを目指すのか、何をまず目指すのかという成果の部分について、私、逆に、堂々と宣言をされて取り組まれた方が、沖縄県民もそこは応援をしようという気持ちになるわけでございます。その点、どうでしょうか。

玄葉国務大臣 今回、確かに、刻々と変わっている安全保障環境に日米ともにしっかり対応していくとともに、沖縄の負担軽減を先行させるというのが私の狙い、あるいは日米両政府の狙いの重要な面であることは間違いありません。

 きょうの時点では、先ほどの遠山委員の提案、つまり宣言しろという提案については、遠山委員という非常に沖縄に精通された、私も信頼をしておりますけれども、そういう方の貴重な提言であるというふうに私として受けとめさせていただきたい、きょうのところはそのようにさせていただきたいというふうに思っております。

遠山委員 終わります。ありがとうございました。

福井委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 川端大臣とは沖振法のときにいろいろ議論をさせていただくということで、きょうは、外務大臣、防衛省に絞って質問をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 普天間基地の問題について聞きます。

 日米両政府が、普天間基地の大規模補修を実施する方向で大筋合意したことが報じられました。外務大臣はきのうの記者会見で、今回の日米協議とは切り離して別の話として、不断に存在する話だ、このように述べられました。

 まず外務大臣に聞きますが、米軍再編の見直し協議とは別の話として、普天間基地の補修が今、日米間で協議されているということですか。

玄葉国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、私としては、この普天間飛行場につきましては、今回の在日米軍再編計画の調整についての議論が始まる前から必要な整備が行われてきているものというふうに承知をしておりまして、今後もそのような形で日米間で議論をされていくものというふうに考えているところであります。

 あわせて、普天間飛行場の固定化は、あってはならないというふうに考えております。

赤嶺委員 外務大臣、私、これまでも話し合ってきたし、これからも話し合っていくだろう、こういう一般論ではなくて、今、具体的な日米協議の対象になっているかどうかを聞いております。

 例えば、外務大臣は、岩国基地への海兵隊千五百人の移転については日米協議のテーブルにはのっていない、このようにはっきりおっしゃってきました。どのような形であれ、普天間基地の補修が今、日米協議のテーブルにのっているのか、のっていないのか、どちらなのかお答えください。

玄葉国務大臣 これは先ほども申し上げましたけれども、もう不断に、これは普天間に限らないんですけれども、案件ごとにそういったことは常々行われていくものであるというふうに思っていまして、今回もそのような形で行われていくものというふうに私は考えているんです。

赤嶺委員 具体的にお答えにならないんですけれども、外務大臣御自身は普天間基地の補修についてどういう立場でありますか。

玄葉国務大臣 これは会見などでも申し上げましたけれども、やはり普天間に限らず、この間も、例えば三沢だって厚木だってそれぞれそうなんですけれども、必要な補修というのは行われてきています。

 普天間の固定化はあってはならないわけですけれども、今のロードマップ上は、二〇一四年より後のできるだけ早く、こういうふうになっているわけです。少なくとも、そういう状況の中で本当に運用上必要な補修というのは、やはりそれはそれとして行っていかなければならないのではないかというふうに思っています。

赤嶺委員 補修は行っていかなければならない、古くなって危なくなれば住民を危険にさらすとも記者会見でおっしゃっております。私、そうであれば、まず閉鎖すればいいのではないか。危険ですから。

 普天間基地の返還を約束されたわけですよ。ところが、移設条件をつけたために返還をおくらせてきたのは政府の責任であるわけです。政府も、この問題の出発点は普天間基地の危険性の除去だと言ってまいりました。そうであれば、補修ではなく閉鎖するのが当然ではありませんか。

玄葉国務大臣 ここは認識が違いまして、普天間というヘリ部隊が存在をする、もちろんこれはヘリ部隊だけではなくて、普天間のヘリ部隊というのがそこにあることで、キャンプ・シュワブとかキャンプ・ハンセンとかの陸上部隊を運ぶ、後方支援部隊もいる、そういった形で海兵隊が沖縄に存在をしているということが、やはり今の日本を取り巻く安全保障上、この即応性、機動性というものは必要不可欠であるというのが私の認識であります。

 確かに、私は沖縄の皆様に、心苦しいんですけれども、そういった一定の基地の負担についてお願いをしていかなければならない。そのために辺野古崎及びその隣接水域ということで日米両政府ともコミットしているということでございますので、何とぞ御理解をいただければというふうに思います。

赤嶺委員 一番理解できないのは、結局、普天間基地の補修についても米軍の運用が優先で、県民の生命、安全はないがしろにしている、この点であります。

 この点にかかわって、防衛省に聞きます。

 日米両政府が名護市辺野古への代替基地の建設に最初に合意したのは、九六年十二月のSACO合意であります。それ以降、防衛省として、普天間基地の補修についてどのような方針で対応してきたんですか。具体的にどういう施設整備に応じてきたのか、説明していただきたいと思います。

下条大臣政務官 先生にお答えいたします。

 SACO合意以降の御質問でございます。

 具体的に申しますと、隊舎等については平成十年、十一年に四億五千万、倉庫等については二棟、平成十年、十二年に九億三千万、また滑走路末端識別灯などは、先生御承知の沖縄国際大学にヘリが落ちた関係がございまして、十九年に一億八千万等がございます。計十六億でございます。

 いずれにしましても、普天間の飛行場の危険性が除去されないままで固定化するというわけにはいかないということを前提に、できるだけ慎重に進めてまいりました。

 以上でございます。

赤嶺委員 普天間基地の補修についてはできるだけ慎重に進めてきましたという御答弁でありましたが、今述べられた隊舎、倉庫の空調設備の整備とか、沖国大にヘリが墜落した後の滑走路の末端に取りつける識別灯だとか、こういうものでも私たちは反対であります。でも、日本政府の立場からいっても、普天間基地の返還に合意した以上、これまでは大規模な補修についてはやってこなかった、そういうことですね。

下条大臣政務官 慎重に対応してまいりました。

赤嶺委員 やってこなかったわけですよ。慎重に対応してきたわけであります。

 外務大臣は、これまでも補修は行われてきた、このように述べておりますが、これまでの滑走路の補修はアメリカ側が基本的にやってきております。二〇〇五年にも二〇一〇年にも滑走路の補修工事が行われております。これはアメリカ側の予算で行われてきたのではありませんか。

伊原政府参考人 今先生の御指摘のありました、例えば平成二十二年の一月から四月にかけて、普天間飛行場の滑走路の維持管理を、米側の経費により行われたというふうに承知しております。

赤嶺委員 二〇〇五年はどうですか。平成十七年。

伊原政府参考人 二〇〇五年、平成十七年二月から四月にかけては、滑走路表示ラインの塗りかえ、それから塗装面にある小さな穴や溝の補修等を米側において行ったというふうに承知しております。

赤嶺委員 滑走路の補修というのは、従来、返還合意がされた基地について、日本政府が日本政府のお金で工事をするのはやはりちょっとおかしいということで防衛省もためらってきた。滑走路の補修工事が行われるたびに普天間飛行場の固定翼機は嘉手納に移って、嘉手納の基地の周辺自治体から抗議の声が上がっていた。このように繰り返されてきたものであります。

 もともと沖縄の米軍基地は、アメリカが国際法にも違反して、住民の土地を強奪してつくったものであります。その基地の返還に日本政府が代替基地をつくらなければ応じない、代替基地の建設が極めて困難になったら、普天間基地の補修費用まで払え、このように言うのは私は言語道断だと思います。

 このような不当な要求には応じるべきではないと思いますが、外務大臣の見解を伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 先ほど来から申し上げておりますけれども、我々としては、今回の在日米軍の再編につきまして公式に協議を開始したその狙いは、刻々と変化をするアジア太平洋、そして東アジアの安全保障環境に日米ともに対応していく、そして沖縄の負担を先行的に軽減する、互いが互いの事情を乗り越えるために行ったものでございます。

 その中で、あくまで今、赤嶺委員は補修の話を出されてきているわけでありますけれども、先ほども申し上げましたように、この補修というのは日常的に、不断に行うものであるだろうというふうに私は考えております。

赤嶺委員 外務大臣、普天間基地では、日常的な補修というのは今まで行われてこなかったんですよ。日本政府もお金を出してこなかったんです。普天間基地の滑走路の補修について、これまでも行ってきたし、これからも同じような形でいくんだというのは、今までとは違う方向に行くことになるのではありませんか。

玄葉国務大臣 確かに、今赤嶺委員がこれまでの御質問でお話をされたように、例えばFIPという防衛省予算で対応してきたものもあるし、あるいはMILCON、つまり米側の経費負担で、先ほど北米局長が答弁したような二〇一〇年、さらには二〇〇五年、そういった補修が行われてきた、こういう経緯があることは私も十分承知をしているところでありますけれども、この間のさまざまな経緯をずっと調べてきますと、日米地位協定二十四条の一と二の問題がありますが、まさに個別に、その時々で判断をしているというふうに思います。つまりは、日米安保条約の目的達成との関係を初め、財政事情等を総合的に勘案して、個別の事案ごとに自主的に判断をしてきているということではないかというふうに思います。

赤嶺委員 FIPのお金の使い方は、普天間基地について言えば、SACO合意後、慎重にしてきた、これは外務省だって共有している考え方じゃないですか。それを今のような外務大臣の答弁で繰り返されたら、何か、戦略構想について戦略的な合意があれば、普天間基地についても日本政府のFIPでやってもいいんだということになりかねない話ではありませんか。私は、これは重大な変更のシグナルを上げていると言わざるを得ないと思います。

 時間がありませんので、もう一点聞きますが、前回の審議官級協議で、海兵隊の部隊の配置の問題などなどを中心に議論が行われた、このように述べておりますが、この中には、沖縄に残留させる部隊をどうするのか、司令部を中心に残すのか、先ほどMEUの話もありましたが、戦闘部隊を中心に残すのか、こういう点も含まれていると理解していいですか。

玄葉国務大臣 まさに、そういった議論を我が国が主体的にしていかなければならない、そのように考えているところでございます。

赤嶺委員 我が国が主体的にしていくということは、外務大臣、御意見としてお持ちなんでしょうけれども、アメリカ側がどう言ってきているか。アメリカはこれまで、グアムに移転する海兵隊は司令部中心だ、アメリカもそう言ってきた、説明してきたわけですね。それをアメリカ側が今、変更しようとしている。これはなぜでしょうか。外務大臣、どういう認識ですか。

玄葉国務大臣 これは、申しわけありませんけれども、協議中の内容でありますので、この場で申し上げるというわけにはまいらない。

 ただ、一般論として申し上げたときに、まさに何の司令部が沖縄にあることが、あるいはグアムにあることが、あるいはそれぞれの場所にあることが、あるいは戦闘部隊がどういう配置をなされることが、より戦略的な意義を日米で共有できるのかということについて、おっしゃるとおり米軍の再編なわけですから、まず米軍の考え方を聞いて、主体的にこちら側も議論をしている、こういう状況でございます。

赤嶺委員 今回の経過で、司令部を移転すれば家族持ちが多くなり、その分、グアムでの施設整備に予算がかかるからだ、これはアメリカの上院のレビン軍事委員長らが去年の声明で述べていたことであります。ウィラード太平洋軍司令官は、この変更の理由について、若い海兵員たちを指揮する最高位の指導者が沖縄に残留することが重要だ、このように述べております。

 沖縄の中では、実動部隊が残ることについて、司令部をグアムに移転して、犯罪を繰り返す戦闘部隊を残すのか、こういう批判をやってまいりました。これを都合よく変更の理由にしてアメリカの方はやっているわけです。

 私は、結局、今度のグアム移転というのは、新たな日米間の安全保障環境の脅威に備える話ではなくて、アメリカ政府に財政的破綻が起こり、そして日本政府にどうお金を負担させるか、これが新たな米軍再編の協議になっているのではないかということを指摘して、質問を終わります。

福井委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 川端大臣に尋ねます。

 沖縄振興一括交付金の交付要綱が定まっていないため、県内市町村は事業選定に苦慮するなど、手探り状態にあります。県の市町村課も、この間、各市町村に対して、分野別の事業イメージしか提供できておりません。そのため、三月二日、琉球新報のアンケートによりますと、一般会計当初予算案に一括交付金活用事業を計上するのはわずか十四市町村、三十六億円にとどまり、二十五市町村は補正予算での対応を予定しておるようです。

 一昨日、予算委員会分科会における私の質問に対し、川端大臣は、沖縄県などの年度当初からの事業の執行に支障が生じないよう、事前に県ともよく相談していきたいと答弁されました。ところが、既に支障が出ているのは明らかで、迅速な対応が急務となっております。

 県が取りまとめ予定の市町村実施事業について、国と県との間で具体的な調整は始まっているんでしょうか、お答えください。

川端国務大臣 お答えいたします。

 現在、一括交付金を活用する市町村の実施事業については、沖縄県が市町村と調整を鋭意やっていただいておりまして、それで沖縄県として取りまとめをしていただくことになっております。今、その段階にあります。その調整が整い次第、具体的に国に、こういうことでやりたいんだけれどもという御相談があるというふうに思っておりますので、その後速やかに県との調整が図れるようにやってまいりたいと思います。

 形式上でいえば、新しい法律ができて予算が成立するということが正式な段階でありますけれども、今、県と市町村がやっていただいています、それが方向性が出たら、我々とまた相談させていただく中で、最大限支障が出ないようには努力をしてやってまいります。

照屋委員 私が沖縄県に確認をしたところ、来る三月九日までに市町村実施事業の第一次集約を行って、それを受けて県と市町村が調整をし、国との間では三月十九日ごろから調整を始めたい、こういうふうに聞いておりますが、そういうスケジュール感でよろしいと思っていいでしょうか。

川端国務大臣 日付のことに関しては我々としてまだ承知をしておりませんので、直接的にその日がどうこうとは申し上げられませんが、先ほど申し上げたように、今県と市町村がやっていただいているのがまとまれば我々と御相談いただくということで、まだその段階でありますので、沖縄県としての見込みをおっしゃったのかもしれませんけれども、先ほど申し上げたとおり、そういうことのステップを経ながら、最大限努力をしてちゃんとやってまいりたいと思っております。

照屋委員 今後、多くの市町村が補正予算での対応を迫られるのは間違いありません。その場合、各市町村は、六月の定例議会、あるいはその前に臨時会を開いて補正予算を通さないと、年度内の事業執行に支障が出てくるおそれが極めて高くなるのではないかと大変憂慮しております。

 沖縄県や市町村は、法案成立後、早急に国から交付要綱を提示してもらい、四月中旬、遅くとも五月初めには補正予算案を仕上げて議会に諮らねばならないとのスケジュールを描いておるようですが、国はこの認識を沖縄県と共有してやっていくという大臣の力強い答弁をお願いいたします。

川端国務大臣 沖縄県におきまして、一括交付金千五百七十五億円のうち、千四百五十一億円を当初予算に計上したと承知をしております。残りの百二十三億円を今後の補正予算に計上される予定と認識しておりまして、その具体的な日程は不明でありますけれども、県や市町村においてできるだけ早い時期に補正予算に計上したいという声があることは我々も十分に承知をいたしております。

 したがいまして、いずれにしても、交付要綱の国からの正式の発出は予算案とこの法案の成立が前提となりますので、国会においては、我々としてはできるだけ早い時期の成立をお願いしているところでございますけれども、それが、条件、環境が整い次第、可及的速やかに正式な交付要綱は決めて出したいと思っていますが、それより前の段階においても、現在、沖縄県とさまざまな情報交換、意見交換を行っておりますので、実情はそれなりに共有をしていると思っていますので、これからもしっかりとよく意見を聞きながら、相談しながら進めてまいりたいと思っております。

照屋委員 川端大臣、ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 玄葉大臣に尋ねます。

 質問の通告の順序を少し変えまして、けさの朝日新聞で、ことし十月からの普天間飛行場へのオスプレー配備に先立って、七月中にも本土の米軍基地や自衛隊基地に一時駐留させることに日米両政府が審議官級協議で大筋合意したと報じております。共同通信も午後の配信記事でそのように報じております。

 これは事実でしょうか。また、本土への前倒し配備の目的は何でしょうか、お答えください。

玄葉国務大臣 先般の日米審議官級協議で大筋合意したかという照屋先生の御指摘だと思いますけれども、そういう事実はございません。あくまでこのMV22オスプレーは本年後半から沖縄に配備されるものというふうに承知をしていますが、現時点で接受国通報はなされていない。それ以上の詳細については決まっておりません。

 いずれにしても、政府としては、アメリカ側からMV22オスプレーの配備時期や方法について通報があり次第、地元の方々に丁寧に御説明をしていかなければならないというふうに考えております。

照屋委員 どうも玄葉大臣は、いつもにこにこして巧みに質問をはぐらかしてしまうんですが、大臣、私は、きょうの報道は間違いないと思いますよ。そして、普天間に恒久配備をする前に、横田基地や三沢基地や岩国へ、一、二カ月、一時的に配備をする。私は、一時的な配備どころか、本土の自衛隊基地や米軍基地に恒久的に配備をしてほしい、そして普天間なんかに配備をしてほしくないと思いますよ。大臣、またうつむいて笑っていらっしゃる。

 大臣がよくおっしゃっておる、沖縄の基地負担は全国で分かち合うべきだ、こう言っているわけでしょう。だから、普天間に、沖縄に恒久配備をするために、本土の自衛隊基地や米軍基地に一時的にアリバイ的に、しかも短期で配備するなんというのは、これはうそっぱちですよ、ごまかしですよ。

 大臣、どうでしょうか。

玄葉国務大臣 まず、本当に、沖縄の基地について全国でその負担を分かち合うべきだという考え方は、私は常々そう思っているところでありますので、そのことは改めて申し上げたいというふうに思います。

 その上で、このMV22オスプレーの沖縄への配備というのは通常の機種更新の一環でありまして、もう先生は御存じだと思いますけれども、結局、その時期とか方法は、では日本側が決められるのかといったらそうではなくて、やはり米側が、通常の機種更新の一環ということで、米軍の運用上の必要性に鑑みて決定をするものだということなんだと思うんです。ですから、先生、これはやはり、日本政府として拒否するとか拒否しないとかという性格のものではないのではないかというふうに認識をしております。

照屋委員 時間がありませんので後ほどまた議論しますが、私はきのう、予算委員会の集中審議で田中防衛大臣に普天間基地をプレゼントしましたから、今度は、オスプレーを石原東京都知事、玄葉大臣にプレゼントいたしましょう。

 国交省。

 日本航空株式会社、JALは、平成二十三年三月二十五日、同社を含む四社と沖縄県との間で締結した下地島空港に関する模擬練習使用料についての覚書を来る三月三十一日をもって終了する旨、沖縄県に通告しております。この通告に対し、沖縄県は、下地島空港の建設及び覚書作成に至る経緯、沖縄県が投資した金額、当事者の関係、JALが国内航空会社として重要な地位を占めていること、覚書締結から三十年以上が経過していることなどの事情から、一年の解約予告期間では不十分であるとして、本年四月一日以降も覚書が相当期間継続することの確認を求め、また、相当期間における操縦練習使用料を、これまで同様、覚書に基づき負担するよう求める調停を裁判所に申し立てるようです。

 国交省はこの沖縄県の対応をどのように受けとめておるのか、また、県とJALとの間に立って調整をする考えはおありでしょうか、尋ねます。

吉田副大臣 下地島空港は、今委員お話ございましたように、昭和五十四年に沖縄県管理の空港として供用が開始されまして、操縦士の養成訓練、民間航空機のパイロットの養成所として活用されてまいりました。

 さはさりながら、日本航空が、平成二十二年一月の会社更生手続開始後、下地島空港で行ってきた副操縦士養成の訓練も今後数年間にわたって不要であるとの判断から、従来、県との覚書に基づいて毎年負担してまいりました操縦訓練使用料の見直しについて、昨年より県と協議を行ってきた結果、本年二月に県に対して正式に、本年三月末をもって下地島空港の利用を終了する旨を申し入れたものと承知をいたしております。

 本件につきましては、一義的に空港管理者である沖縄県と日本航空との間の調整に委ねられるべき事項と考えておりますが、空港設置の経緯等も踏まえつつ、国土交通省としても引き続き注視してまいりたいと存じております。

照屋委員 終わります。

福井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五分散会


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