衆議院

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第2号 平成13年6月13日(水曜日)

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平成十三年六月十三日(水曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 永井 英慈君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 棚橋 泰文君

   理事 蓮実  進君 理事 林 省之介君

   理事 河村たかし君 理事 城島 正光君

   理事 石井 啓一君 理事 中井  洽君

      荒井 広幸君    坂本 剛二君

      竹本 直一君    野田 聖子君

      松本 和那君    茂木 敏充君

      森  英介君    山本 明彦君

      山本 公一君    大島  敦君

      田中 慶秋君    野田 佳彦君

      伴野  豊君    青山 二三君

      矢島 恒夫君    大島 令子君

    …………………………………

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官

   兼国会等移転審議会事務局

   次長)          舩橋 晴雄君

   衆議院調査局国会等の移転

   に関する特別調査室長   冨樫 恒行君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月一日

 辞任         補欠選任

  古屋 圭司君     西川 公也君

同月七日

 辞任         補欠選任

  岩永 峯一君     竹本 直一君

  佐藤  勉君     山本 公一君

同月八日

 辞任         補欠選任

  西川 公也君     荒井 広幸君

  柳本 卓治君     林 省之介君

六月十三日

 理事古屋圭司君五月一日委員辞任につき、その補欠として林省之介君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 国会等の移転に関する件(社会経済情勢の諸事情について)




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     ――――◇―――――

永井委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永井委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に林省之介君を指名いたします。

     ――――◇―――――

永井委員長 国会等の移転に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省政策統括官兼国会等移転審議会事務局次長舩橋晴雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

永井委員長 本日は、特に社会経済情勢の諸事情について調査を進めます。

 本日の議事の順序でありますが、まず政府及び国会職員より説明を聴取した後に、委員間における自由討議を行うことといたします。

 それでは、政府及び国会職員より順次説明を聴取いたします。まず、国土交通省政策統括官兼国会等移転審議会事務局次長舩橋晴雄君。

舩橋政府参考人 おはようございます。国土交通省の舩橋でございます。よろしくお願いいたします。

 私の方からは、社会経済情勢の諸事情ということにつきまして資料を提出させていただいております。

 国会等移転審議会が平成十一年の十二月二十日に答申を出しております。その参考資料の中に「社会経済情勢の諸事情」ということで、これは第二編の第三章でございますけれども、そこに、社会経済情勢の諸事情についてどう考えるかということについて報告がございます。これをなぞる形で御報告させていただきたいと思います。

 資料をおあけいただきたいと思います。「社会経済情勢の諸事情」1、2とございまして、中長期的な諸情勢と最近の経済情勢等の動向でございます。この網かけの部分が、今回数字が新しく入ったり変わったりした部分でございますので、それを中心に申し上げさせていただきたいと思います。

 第一に、「国政全般の改革」におきまして、明治以来の政治・行政システムがこれから変わっていく必要があるんじゃないか、規制緩和、地方分権等の改革が必要なんじゃないかというようなことから、許認可の件数とか、国から地方への関与の件数とかいうのが、数字が挙がっております。網かけのところだけ申し上げます。許認可等の件数は、一万一千五百八十一件、平成十一年。これは昭和六十年に比べて一五・二%増ということでございます。それから、国から地方への関与の件数が二千六百九十九件、これは平成十一年、同じく八・三%ということで、この辺は余り変わっていないと思います。

 それから、東京への一極集中、2でございますけれども、膨大な人口の集中ということで、これは平成十二年に国勢調査がございましたので、この数字が出ております。人口が、二六・三%ということで、若干、平成七年に比べて増加をしております。

 諸機能の集中ということで、企業の本社機能とか、ここにございますようないろいろな機能が何割以上あるかということで、これは前回の数字そのままでございますけれども、最近よく言われますのは、いわゆるネット関連、ITとかネットの関連企業はどうなのかということでございます。前回はそういう調査をしておりませんけれども、今回、首都圏整備委員会、首都圏整備の関係の資料でございますが、ネット関連企業数が、全国のうちで首都圏の占めるシェアが四五・九%、それから二十三区で見ますと二七・四%ということで、いわゆるネット関連ではかなりの集中がそこにあるように承知をしております。

 それから、過密の状況でございますけれども、地下鉄の混雑率が平成十一年度、東京が二〇〇%、大阪一五三%、名古屋一八九%ということで、この二年前の九年度の数字に比べますと、若干混雑は緩和してきているかなということでございます。

 それから、次のページに行っていただきたいと思いますけれども、最近の経済情勢等の動向でございます。

 「地価動向」でございますけれども、近年は下落傾向が続いておりますけれども、国内の大都市や先進国の類似都市と比較しても高いんではないかという指摘が行われております。この網かけの部分で、平成十二年の一三二・五というのがございますけれども、引き続き地価は下落傾向が継続しているというふうに判断をしております。

 地価の比較につきましては、平成十二年のところでございますけれども、東京一〇〇、大阪六七、愛知三六、中位県のこれは岐阜をとりましたが、一七ということで、傾向は余り変わっていないというふうに言えるのではないかと思います。

 それから、「経済情勢」は、これは近年停滞傾向にあるわけでございますけれども、この実質GDPの伸びを、平成十一年の七―九以降、四半期ごとの数字をここに書いてございます。ちょっと間に合わなくて恐縮でございましたが、十一日に発表されました一―三月のQEがマイナス〇・二ということで、これは直近のQEでございまして、それが出ております。景気は弱含みの状況ではないかというふうに見ております。

 それから、財政事情でございますけれども、近年、公債発行額は三十兆円を超す高い水準にあって、依存度、残高の水準も高いということで、平成十三年の当初予算の数字を挙げております。発行額が二八・三兆円、それから公債依存度が三四・三%、公債残高が三百八十九兆円というような数字になっております。

 以上、簡単でございますけれども、社会経済情勢の諸事情につきまして御報告させていただきます。

永井委員長 ありがとうございました。

 次に、衆議院調査局国会等の移転に関する特別調査室長冨樫恒行君。

冨樫調査員 それでは、お手元の「社会経済情勢の諸事情に関する首都機能移転問題Q&A ―最近の委員会審査から―」という資料をごらんいただきたいと思います。

 御承知のように、移転法二十二条には、審議会の答申が行われたときは、国民の合意形成の状況、社会経済情勢の諸事情に配慮し、東京都との比較考量を通じて、移転について検討を行うものとうたわれております。そこで、今まで本委員会でいろいろな審議がなされたわけでございますが、この法の趣旨にかんがみ、審議会の答申前後に本委員会でどのような質疑がなされたのか、とりわけ本テーマである社会経済情勢の諸事情に焦点を当てて取りまとめたものが次のページの目次に該当するところでございます。内容の項目につきましては、先ほど政策統括官からお話がございました項目立てに従って、答申の前後に委員会審議でなされたものを精査いたしましてこのように整理させていただいたところでございます。内容については省略させていただきます。

 以上、簡単でございますが。

永井委員長 これにて説明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

永井委員長 これより自由討議を行います。

 委員の御発言は、挙手の上、委員長の指名に基づいて、自席から着席のままお願いいたします。

 なお、発言の際は、所属会派及び氏名をお告げいただいた上、一回の発言時間は三分以内におまとめいただくようにあらかじめお願い申し上げます。

 それでは、御発言のある方は挙手をお願いいたします。

荒井(広)委員 荒井でございます。冒頭、お許しをいただきます。

 今ほどの分析の中で、統括官がお話しされたのは、IT部分での企業の動向、こういうことを言っておられた程度でございまして、調査室の資料にもそうした視点、ちょっと流し読みですが、ございません。

 実は、インターネットに代表されるIT革命が、広く深く、分野によっては急激に進行しております。

 例えば今回の国会等の移転を考える場合、横須賀市が非常にいい例になると私は思うんです。過去三年間、公共事業の一般競争入札をインターネットによって行っております。神奈川は談合が非常に多かったという反省がありまして、いわゆる税金の透明性、それから効率的に使う、そして談合を防止する、こういった観点からいいますと、談合懸念、談合が極めてなくってきた、事業費が一〇%削減された、同時に、業者が役所に足を運ぶ回数がめっきり減るようになるわけでございます。

 こうした横須賀におけるITによる取り組みなどを考えていきますと、国民が求めている国会等の移転、いわゆる新しい国民生活やら社会現象に応じた国会の機能、中央省庁の機能というものが、移転という手段をわざわざとらなくとも、IT革命の中で、国民に期待されている、例えば社会的問題の解決、今申し上げましたような税金の透明性、効率化、そして国民主役の中で行政との関係が全く変わってきている。こういうことを考えますと、改めて移転の必要性を感じておりますけれども、いわゆる国や中央省庁の役割を、IT時代の中において、移転の形態、中身、それはとりもなおさず立地条件の見直しということにも及ばざるを得ないことであります。

 こういったことについて、大幅に、やはり大胆なその見直し、こういったことをかけて移転をしないと、国民に求めるものが実は単なる引っ越し論に終わってしまう、こういうところを私は懸念するものであり、国民のためにどう機能するか、この機能という一点に問題を集中していかないとならないのではないかと私は思いますので、委員各位の御見識やらをいただきながら、大変恐縮ですが、冒頭申し上げさせていただいた次第でございます。

松本(和)委員 自民党の松本です。

 今荒井先生からお話がありましたように、確かに経済状況、それから一極集中、これも大分おさまっているようですけれども、過密状況も減ってきているという形になりまして、私も十年ぐらい前からずっとこの過密状態を考慮して、首都機能というものを、特に政府機能を栃木とか福島とかその辺に移したらどうだ、きょうは三重や岐阜の先生方もいらっしゃいますけれども、そういうことを考えていました。ところが、経済状況と一極集中というのはほとんど今は停滞しているわけですから、そういう中で、とはいえ、二十一世紀というのは生活者優先、それからまた地域の振興ということを考えますと、行政改革と地方分権というのはやはり非常に大事になってくる。

 それで、規模的には、荒井先生がおっしゃったように今はインターネットの時代ですから、いろいろな情報というのは、全国でもって、世界的にどこにいてもできるわけですから、コンパクトなキャピタルにすべきだ。要するに、今までの五十万とか六十万の人口を想定して六十兆の経済効果なんということをやめて、十万人規模ぐらいのコンパクトな形。

 そして、行政改革と地方分権というのは、これを逃すと恐らくできないと思う、一府十二省になってもそんなに変わっていないわけですから。ここでそういった形のコンパクトなキャピタルで思い切ってやる、そして、場所というのも選定し直す必要もあるのじゃないかというふうな気もいたしております。

 東京の方は、昨年来、大深度地下法とか過密を避けるためのいろいろな法律ができました。ですから、交通の状況というのはいろいろな意味でも、大深度地下を使って緩和をしていく。あわせて、いわゆる東京の魅力というようなもの、首都としての魅力というものは、そういう形によって、土地の経過もありますから、また新たな形でできるというふうに考えておりますので、今そういったITの時代ですから、そういうことなども含めまして、そういった考え方で提言をさせていただきたいということでございます。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 これは長期的な問題ですから、人口という観点も必要かと思います。

 これはこれまでたびたび御議論されたかと思うのですけれども、百年前の日本の人口が四千二百万、五十五年前の一九四五年が七千二百万、昨年が一億二千六百九十万で、ここ五十五年間に五千万人ふえた。それが日本の経済成長の原動力になってきた。それが二〇〇七年から減り始めて、二〇五〇年、中位の推計でも一億五万人、下位の推計ですと大体九千万人を割ってしまう。そうすると、今、一極集中という問題も質的に変わってきているのかな。

 先ほど荒井議員の方から、IT革命、そしてITによって分散化されるというお話もありましたし、非常に今本質に戻って議論し直してもいいのかなと考えております。そして、特に今回の議論の盛り上がりがバブルのときの盛り上がりをちょっと受けているのかなというような気持ちがするものですから、そんな観点も必要かなと考えております。

 以上です。

田野瀬委員 自民党の田野瀬でございます。

 これはもう言うまでもなく、平成二年に首都機能の移転の決議が国会で行われております。それに基づいて平成四年に国会等移転に関する法律ができ上がって、その移転を進める責務を有するという法律に基づいて、今いろいろと調査がいよいよ終盤に差しかかっておるところでございます。

 当委員会におきましても、いよいよ来年の五月をめどに審議会から答申された三つの候補地を一つに絞る、そして同時に移転を行う、ただ、それまでに社会経済情勢と東京との比較考量と国民合意の形成を経て移転を決定する、こういう順序で今日まで来ておるわけでございまして、今、我々委員会は、あるいはまた国会は、その結論に向けて大きな責務を負っておることは言うまでもないことでございます。私は、この国会決議というものは非常に重いもので、これを何としても実現しなければならないと考えておる一人でございます。

 私は、日本は最近経済が停滞しておるとはいえ、一人当たりの日本国民の所得高は世界一、貯蓄高も世界一、世界一ずくめでございます。国民の寿命も世界一、もう数え上げれば切りがない世界一ずくめでございますが、いまいち世界各国から日本に対するあこがれの念が足りない、あるいは信頼の念が足りないと思えてならない。これだけ世界一ずくめの日本が、もっと世界からあこがれられる、それこそ世界各国からやってくる、そういう国にしなければならない。

 聞くところによりますと、ビジネスマンは日本には多くやってくるけれども、観光者はモンゴルに行く観光客と同じぐらいの人数だと。ほとんど魅力のない国だと。

 尽きるところ、そういった彼らに聞いてみるのに、この東京の一極集中、朝のラッシュアワーのあのさまを見たり、一億も二億もかかる家に住みながら、一時間半も二時間もかかって都心へ通勤しなければならない。一億、二億の家ですから、さぞかしすばらしい家に住んでおるんだろうということを想定するんですが、ウサギ小屋に住んでおる。あのさまを見て、とてもとても日本で住む気になれない、日本に観光者でやってくる、そんな魅力がない、こういうことが聞かれるわけでございます。

 逆に、日本の若者がアメリカやオーストラリア、ニュージーランドへ行って、お父さん、お母さん、私を産んでくれる国、これは間違っていたんじゃないか、どうしてああいうきれいな町を持っておる国で産んでくれなかったんだと。アメリカへ行けば、もうそこで永住してしまうというような若者が非常にふえておるわけでございます。

 私は、日本が今までやってきた政策、大方成功しておるんですが、唯一失敗したのは町づくりだろうと思います。いよいよ日本が世界各国から信頼される、あこがれられる国をつくるということになりますと、一番おくれた町づくり、都市づくり、これに取りかからなきゃならない、このように私は考えておるところでございます。

 私は、この際、国会を移転して、そして首都機能を移転して、移転先のその都市が、世界じゅうから、これぞ二十一世紀の究極の、人間が理想とする町だと言われるような町をつくり、日本全国にそれが町づくりのモデルとして行き渡り、そして日本列島が世界各国からあこがれられる、そういう日本列島づくりをこの際するべきだ、この機に何としてもそういう町をつくって、繰り返しになりますが、世界各国からやってくる、そういう町づくりをすべきだ。

 時あたかも小泉総理が各種構造改革、聖域なき構造改革、まさに構造改革の最たるものがまず首都機能移転だ、このように私は考えておる次第でございます。

 繰り返しになりますけれども、今我々国会は首都機能移転に向かっての大きな責務を持っておるということを、委員がお互い確認し合いたいものだ、このように考えておるところでございます。

 以上でございます。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。

 国会決議が九〇年に行われて、それ以降いろいろと論議がされてまいりましたが、一貫して、日本共産党、この移転の問題では反対してまいりました。

 移転の理由がいろいろ挙げられました。例えば、過密を解消するんだ、本当にそうなるのか、これは六十万ぐらいの都市構想だけれども、三十万人ぐらいが移転するんじゃないかとか、そういう問題。あるいは、実際にこの通勤ラッシュやあるいは交通渋滞というのは解消するんだろうか。

 今までいろいろとこの委員会でも論議されてきた問題であるし、なるほどなと国民や都民が納得するような解消策であるかという点では大きな疑問が出されているということや、あるいは震災対策の問題でも、都民を置き去りにして、安全なところへ国が先に行くのかというような意見まで出てくるような状況もありました。

 また、人心を一新するんだということ、これもまことに抽象的な問題でありまして、例えば、例の宇野調査会の報告の中でも、宇野さんは、地方分権を進めるということを積極的に進めていって、これをきちんとやれば首都機能の移転は必要ないという意見もあるという発言を行っております。

 実は私、これは、政策評価法というのはここの委員会に関係することじゃないんですけれども、政府全体としては、今までのいろいろな政策についてきちんと事前事後のチェックをやる、成績評価をしていく。それは、必要性だとか、あるいは効率性だとか、あるいは実際にかかった費用に対してどれだけの効果が上がっているかということを検証しながら進めて、見直しだとかあるいは中止だとか、そういうことも含めてやっていく。これは、ほかの省庁の関係で、一月一日から既にガイドラインで始まっていますが、衆議院ではこの政策評価法が成立しまして、参議院へ送られる、こういう状況にあるわけです。

 では、この成績評価というのを、この問題ではどこがやるのかといえば、現在、ここでやる以外ないわけです。ですから、そういう意味では、十年もたっている、十一年目を迎えています。こういう中で、もう一度実際に移転の問題についての今日的な評価、こういうものをやっていく中で、財政負担の問題もありますけれども、時間が三分間ですから短くしますけれども、そういう意味では、見直し時期にある。見直すということの中には、実際にこれを取りやめるということも含めて、検討して、評価していく必要があるんじゃないか。

 これは、ほかの公共事業については、全部そういうことでこれからやっていかなきゃならなくなるわけで、ここについても同じような、全く同じとは言いませんけれども、考え方を持つ必要があるんじゃないか、こういうことです。

棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文でございます。

 今、委員の皆様方からいろいろと御意見がございまして、平成二年の決議から十一年たっております。確かに、経済的な情勢も含めて、時代の流れが非常に速い時期ですから、諸事情に変化があることは事実だと思うんです。

 ただ、私は、本院の国会等の移転に関する特別委員会で考えていかなければいけない首都機能移転において、やはり、私ども政治家は常に歴史を意識し、それを教訓としながら未来を開いていかなければなりませんので、歴史的な視野から考えていくという本質が大事ではないかと思いますし、この首都機能の移転に関しては、何度か参考人の御意見を聴取する中で、私は特に堺屋太一参考人の御意見に賛同しておりますけれども、長い日本の歴史の中で、時代が変わるときに、東京から大阪、平清盛の福原遷都を入れれば関西圏ということかもしれませんが、この間での首都の移転というのは常に行われてきた。

 今我が国が置かれている情勢は、内外ともに、ITという話、まさにこれは産業革命に次ぐ革命と言われております。そして、大競争時代の中で、一方で、我が国の国内事情としては社会構造の大きな変化がある。その中で、今世紀を新しく開いていくためにはどういう首都機能が大事なのか、そういう観点から本委員会で議論が進められてきたと私は思いますし、その観点からの議論を、やはり枝葉末節にとらわれることなく進めていくことが大事ではないかと思っておりますので、意見として申し上げます。

田中(慶)委員 民主党の田中でございます。

 私は、行政というものを含めながら、時代によって、その変化に敏感に対応していかなければいけないだろうと。

 今求められているのは地方分権であり、小さな政府であり、あるいはまた連邦国家である、こんな議論が盛んに行われているわけであります。その前提で考えてみますと、時代背景は大きく今変わってきております。先ほど来お話にありましたITの時代もその一つであり、そして、分権を推進するに従って地方そのものにより大きな力を持たせる意味でも、町村の合併を初めとする問題を先に行わなければいけないんだろう、私はこのように思っております。

 首都機能の移転だけでこの国のあり方を論ずることよりも、今やらなければいけないのはむしろ、この小さな政府を目指して考えたときに、分権国家、あるいは、省庁の再編に伴って行わなければいけない、地方の分権と財源の確保を含めた、地方にシフトをする、こんな形の国家をつくることが必要だろう、このように意見を申し上げておきたいと思います。

河村(た)委員 民主の河村たかしでございます。

 土地が東京にあるということなんですけれども、それもそれで今の田中さんの話とも若干は似ておるんだけれども、やはり、恐るべきお上下々国家といいますか、これは本当に遺憾ですね。

 経済的に見ても、国のGDPが大体五百兆ぐらいあると言われておりますが、昔経済をやったときは、政府部門というのは一般政府でそのうちの三分の一ぐらいだと思っておったんですけれども、今や、三百兆近くは何だかんだでお金が全部政府に一たん入っていくということだよね。

 ここら辺を地域的に見ても、皇居があって、その横にわしらがおって、それから霞が関があって、その周りに、虎ノ門の公益法人の集団ですか、それから地方事務所があってという。それで、議員はみんな、まことに申しわけないけれども、二世が全部いかぬとは言っておらぬけれども、ブッシュも二世だからあれだけれども、議員も圧倒的に二世と官僚。それで、勲章も役人の方が上。

 それは、明治維新、敗戦後の復興期はよかったかもわからぬけれども、これは本当……(発言する者あり)徳川家康が悪いかね。いや、わしのところは信長の方だな、本当は尾張だから。

 そういうわけで、自立を妨げるというか、私も地元で、国を変えるなら身近から変えないかぬということで、ある高校の建物を壊すなとかいうていろいろやっておるんだけれども、今はもう役所が右だと言ったら全部右になってしまいますね。

 こういう情けない世の中はどうにかせないかぬということで、やはりこれは変えていかないかぬと思います。だから、そういう立場で変えるのであって、場所だけ変えて同じようなシステムをそのまま持っていったら、何にもならぬということですよ。

 というふうで、変えないかぬのだけれども、残念ながら、国民に背番号をつけるとか、とんでもない……(発言する者あり)皆さん、余りわからぬかしらぬけれども、これは中央集権のシンボルですからね。あと二、三年たつと、河村さんの言っておったことがやはり本当だった、えらいものだったというふうにわかると思いますよ。

 そういう中で、ただ移転をするだけでは、お上下々構造がよそに移っただけだからだめだとかですね。

 しかし、抽象論として、例えば消費税なら消費税を地方に移すとか、そういうような徴税構造を変えるとか、それから税金の使い道を国民が選択するとか、本当のNPOをつくっていくとか、そういうことで完全にお金の面でも分権社会をつくる。それだけ言っておっても、これはやはりシンボルがないとできぬですからね。そういう意味では、やはり僕は、まず、東京に集中するのは動いてもらわないかぬというふうに思っております。

 ハードのことの集積というのはよう出ておるんだけれども、たまたま私、ある演劇をやっておる会社に――私はああいうのが大好きなんですわ。宝塚も好きだし、それから今、新宿コマで北島三郎をやっておりますけれども、ああいうのも大好きだし。それで、演劇劇場入場者地域別内訳というのを出してもらったら、そうしたら、東京が六百十万で五七・一%、名古屋が百七十万で一六・一%、大阪が二百万で一九・三%、九州が八十万で七・五%、これで一〇〇%で、あとどうなっておるといったら、実際はありゃせぬわけですよ、いわゆる商業演劇としてホールを持ってみえるところは。そうすると、結局こういうソフトですよね、楽しみというか、そういうことでは明らかに極端に集中していますよね。昔は、多分、どさ回りの役者さんたちがおって、そういう地域文化というのは華やかだったんですよ。戦後の構造の中でこれを全部ぶち壊しちゃった。

 これは本当に、勇気を持ってというか、首都移転だけではだめですよ、ハードを変えるだけでは。だから、お上下々構造を変えるというところまで含んだ本当の大移転を、私が総理大臣になったらやるんですけれども、すぐなれやせぬものだから、どなたかが考えるにしろ、税金の流れを全部国家に納める仕組みを変えていく、地方に納めるだけじゃなくて、国民が選択していくというところまで含んだ大時代転換をやる非常に重要なときだと思います。

 だけれども、背番号なんかをつけておるものだから、与党がそれに気づいておらないかぬ。私は、背番号で日本はくしゃくしゃになると思います。警告しておきます。

 以上でございます。

野田(聖)委員 自民党の野田聖子です。

 今の河村委員、余り仲よくはないんですけれども、納得することもあったので、ちょっと私の意見も申し上げたいと思います。

 一つは、首都機能移転というのが何で大切かというと、先ほどから、東京の状況も変わってきたじゃないか、だから、それによって見直しをしなければいけないという話があったけれども、一番大切なことは、やはり政治主導で国のあり方を決めていく、そういうリーダーシップを発揮しなければならないんじゃないか。

 人が、民間が流れをつくっていくのに、政治や行政が合わせていくのではなくて、中長期的なビジョンを政治がつくって、そこで進めていくという姿勢が、ここのところ、政治の中で欠けていた。首都機能移転というのはそれに対する一つのシンボルじゃないかなと思って、やはりきちっと積極的に進めていかなきゃいけないなと思っています。

 もう一つは、国会内のソフトのあり方。

 建物を変えればいいという話でもないかもしれませんけれども、国会改革というのを随分やってきたけれども、結局はまたどんどんもとに戻ってしまっている。一つは、この施設のあり方にも問題があるのかなと思います。

 例に挙げれば、本会議というのは非常にセレモニー化していて、一方的にみんなが趣旨説明を聞いて、そしておぜん立てされた人が質問をして、そしてそれに答弁をする、それを単にだらだらと三時間も四時間も座って聞いているということが果たしていい政治なのかどうか。ああいう形のあり方も考えなきゃいけないし。

 憲法によると、国会議員というのは、必ず登院してここに来てでしか議決権の行使ができないということがあります。そういったときに、今問題になっている育児の話で、今若い人たちがどんどん、橋本聖子さんを初めとして子供を持っているわけだけれども、彼女の場合は、産前産後というのは登院できないわけですね。そういうときに、国会議員としての権利である議決権を行使できないとか、そういういろいろな問題を今含んでいるわけで、そういうことを大胆に改善していくためには、国会の建物の機能そのものをある程度しっかりつくりかえていかないことには対応できないんじゃないかと。

 どうしても先例とか前例主義になっていて、もう一つの問題は、例えば委員会のあり方一つとっても、急に委員会が立つ、そして前の日に質疑者が決まる、そしてその質疑者の質問に対して役所が対応しなきゃいけない、見ると、深夜までこうこうと電気がついている。

 今、環境問題だ、エネルギーを大切にしようとか、環境負荷を考えようなんて言っていて、言っている張本人たちがそういうあしき慣習のもとでぶち壊しをしていれば、そういうことを含めたときに、システムを一新するためには施設も一新していかなきゃいけないんだ、そういうことはやはり重要じゃないかと私は思っています。

野田(佳)委員 野田が続きますけれども、民主党の野田佳彦です。

 私は、この委員会に入ったばかりで、比較的ニュートラルな立場で皆さんの御意見をお伺いしながら、自分も判断していきたいなと思っていたのですが、少なくとも自分の住んでいる千葉県において、いろいろな集会をやっても、この移転問題について質問を受けたこともないし、促進をしろという声も聞いたことがないし、国民的な関心という意味においては、受け入れ先になるかもしれない地域の人は熱心だけれども、そうじゃないところはほとんどまだ議論も進んでいないし、そのスケジュールの中で来年候補地を選定していくということは本当にいいのかなという実感を持っています。むしろ、首都圏周辺においても移転すべきだという議論が沸き起こってくるような状況じゃなければ、これほどの大きな事業というのはそんなに拙速に進めるべきではないという印象なんです。

 それで、いろいろな移転すべき理由を聞くのですが、国政改革だとかいろいろなことをお話しされますけれども、移転しなくたってやらなきゃいけない問題ばかりであって、移転の問題をすべての万能薬のような議論をされているところに何か私は違和感を感じていまして、これまでの遷都論、これまでの日本の二十世紀の間にいろいろなことが行われた遷都とは違う二十一世紀の移転の仕方でなくてはおかしいと私は思っています。単に物理的な移転ではなくて、先ほど荒井委員がおっしゃったインターネットの問題も含めて、機能を分散してそれをどうやってネットワーク化していくかとか、いろいろな視点でやはり考えるべきものである、これまでの二十世紀型の発想の遷都論ではいけないという意見を私は持っています。

 以上です。

竹本委員 自由民主党の竹本直一でございます。

 私も、当委員会の出席は初めてでございますが、もともとこの問題については強い関心を持っておった者の一人であります。

 さて、首都移転が必要かどうか、そして今やるべきかどうかという問題でございますけれども、そもそも首都移転というのは、あらゆる行政、経済、すべての効率性だけを考えれば、日本に中心は二つもある必要はなくて、一点でいいと思います。

 しかしながら、東京が大地震の起こる可能性の極めて高いところである等々の理由を考えれば、日本の心臓が一つであるよりは、二つないし三つあった方が安全ではないか、一つがつぶれても他方がまだ動いている、こういう状況が中枢機能をきちんと確保するために絶対必要なことではないか。そう考えますと、東京以外に中枢機能を持つところがもう一点あってもいいのではないかというふうに考えられるわけであります。

 もう一つ、きょうは自由討議ということでございますので、私はどうしても申し上げておきたいのは、やはり日本というと東京、東京という町は日本の顔になっております。しかしながら、もう一つ顔があってもいいのではないか。

 といいますのは、香港であれば香港という一つの町。しかしながら、大きい国、アメリカもワシントン、ニューヨークあるいはロサンゼルスとあるように、フランスだってマルセイユもある。このように二つ、三つのふくそうした顔を持っている国こそが、文化の深みという意味において他国から日本を見た場合に、なるほどそういう複雑かつ幅の広い文化背景を持った国だという尊崇の念、尊敬の念がある程度出るのではないか。少なくとも、一つじゃなくて、二つにした方がいいのではないか。

 そういうことを考えますと、今まで世界の首都移転の歴史を見ましても、ブラジリアは成功したかどうか。町へ行きましても、きれいではありますけれども、余りおもしろみはない、賛否両論であろうかと思います。それから、私が少し関係したものでは、ナイジェリアの首都移転、首都はラゴスでございますが、その北に新首都を建設するというプロジェクトがありましたけれども、これは成功しませんでした。

 そういうふうな過去の歴史を踏まえますと、やはり国民的な合意の上で、国民的な情熱の上でどうしても新しい首都が必要だ。そこには、単に効率とかあるいは安全以上の、その国の顔を象徴するような地域に新しい首都を建設するんだ、こういう合意といいますか、思い込みが生じてこないと、なかなか動かないのではないかというふうに思います。

 ですから、今回、ほぼ三点プラス一点に絞られておりますけれども、どの地域に選ばれるかということはちょっとおきまして、私は、もともと都市というのは、文化というのは一日にして成るものではないから、だから、東京に対して京都とか大阪とか、そういう関西に西の京をつくる方がなお実現性があり、かつ日本のもう一つの顔を育てるという意味ではいいのではないかと思っております。

 そういう思いを背景にいたしますと、現時点では、先ほどから議論が出ておりますように、国民的議論の盛り上がりをもう一度もたらすようなそういう仕組みと努力が必要であって、その上でどこにするかを決めていただくことが必要なのではないかというふうに思います。

 以上です。

伴野委員 民主党の伴野でございます。

 基本的に、国会等の移転に関しては賛成の立場で発言をさせていただきたいと思います。

 先ほど来、日本のあるべき姿とかというお話もいろいろあるようでございますけれども、私は、やはり五十年、百年、二十二世紀以降も見据えた二十一世紀の日本の姿というものを見詰めながらやるべきであろう、とりわけ、ハードだけの議論に陥っては絶対ならないという思いがございます。

 先ほども、いわゆる中央と地方のあり方のお話もありましたが、それだけに限らず、日本という国の統治のあり方、意思決定のあり方、税金の徴収のあり方、さまざまな改革が今後なされていかれると思いますけれども、私は、もうそろそろ具体的な新国会のスタートあるいは目標年次を決めて、逆算して今何をやっていかなければいけないかという議論に入った方がいいような気がいたします。拙速であってはいけない、それも思うわけでございますが、いろいろ議論をして、いつかやるだろうということは、結局はやらないということに言いかえられるのではないかという気もいたします。

 ですから、先ほどもございましたように、市民、国民の参加といいますか、実際にプロジェクトにどうかかわってもらうかということも含めて、新しい日本がこれから始まるというシンボリックな、象徴的な呼びかけのプロジェクトとすべきであろうと。ですから、もう具体的にある程度何をやっていかなきゃいけないかという議論に入ってきているような気が、個人的にはいたします。

坂本委員 二年ぶりに戻ってまいりました。来てみてがっかりしてしまったんだけれども、今もどなたか言っていたように、国民的議論を巻き上げなきゃならないこの委員会の役割を果たしていないんです、ずっとここは。眠っていたんですね、眠っていたんです。何をやっているんだという感じで私は今来ているのですが、今ここで移転するかしないかの議論、そんな悠長なことをやっているときじゃないのですよ。

 私は昔から、どこでもいいから新しい首都をつくってほしい、場所なんかどこでもいい、世界の人々が注目するようなすばらしいものをつくってほしい。国会機能、首都というのはその国の国民のシンボルなんです。アメリカなんかも、ワシントンへ、そしてスミソニアンへ、そして国会へ行くことが一生に一度のアメリカ国民の夢、これはもうみんなワシントンへワシントンへと言って生涯に一度は行ってみたいというものを持っておる。

 一方では、オーストラリアのキャンベラのように、あの新しい首都を大きくさせるな、大きくさせるなといって、いまだに特急列車も二千メーター級の飛行場もないんです。メルボルンよりもシドニーよりも大きくさせちゃだめだ、キャンベラはちっちゃくしろ、ちっちゃくしろと。それから、ブラジリアもそのとおり。あれは、戦艦からの艦砲攻撃に当たらなきゃいい、そのかわり、どこの既存都市にも影響がないように山の中へつくっちゃえということで追っ払われちゃったのがブラジリアの存在で、カナダのオタワなんかも、英語圏とフランス語圏の人たちが対立していて、ちょうど中間に、そのかわりこのオタワを大きくするなと。首都でありながら、いまだに三十万都市。そういういろいろなものが、各国、今までの過去のあれにあるわけだ。

 私はもっと違った視点から物を申しますと、今一番日本人が心にしなくちゃならないのは頭脳の流出なんです。どんどん日本からあらゆる人々が、優秀なのが出ていっている。その中で特に考えなくちゃならないのは、建築家。日本は地震国でしょう。だから、宇宙空間的な設計をする場がないのよ。だから、そういう希望と意欲と能力のあるすばらしい設計家はみんなどんどんアメリカへ行っちゃう、ヨーロッパへ行っちゃうんです。ところが、日本には技術があるのよ、そういう能力もあれば技術もある。そういうものをつくって、本当に世界の国際都市である日本の首都にふさわしい新しい首都をここでつくっていって、そういう流出した頭脳を呼び戻す。

 アメリカは、ワシントンDCはランファンというフランス人が設計したんですよ、今のワシントンの町づくりを。二百年前にフランス人の手によってつくられたワシントンは、アメリカ最大の恥辱なんですよ。フランス人から、何を言っているんだ、アメリカ人よ、おまえらはおれらフランス人の力で今首都経営しているんじゃないかと言われる、これが最大の恥辱。

 日本人には、もう本当に世界の耳目が注目するだけのさまざまな要因を持って、ほかの国にはない日本独自の文化、民族の遺産があるわけだ。こういうものを全部活用しながらすばらしい首都をつくっていって、そこに世界の人々においでいただく。今の東京においでくださいと言えますか。物価は高い、交通渋滞、何にもない、これじゃ言えない。もう世界の人々は日本へ行きたいんですよ、東京へ行きたい。東京へ行きたいけれども、来たら、目玉が飛び出るほど大変な思いをする。そういう国際都市はもうあり得ないのよ。

 だから、ゆとりのある、先ほどだれかが言っているような形の新しい首都、これをつくっていくというのがこの国の今置かれている最大の課題なの。我々政治家がリーダーシップをとらずしてだれがリーダーシップをとりますか。

 先ほど来から、千葉県は全然気力がない、どこでも、ある、ない、いろいろありますけれども、これは当たり前なんです。それは、政治家がこの国の将来を考えたときのリーダーシップを発揮する、これがこの委員会に課せられた使命なんです。

 よろしくお願いします。

中井委員 自由党の中井です。

 私は、個人的には、天皇陛下にお移りいただいて遷都をすることが、日本の発想の転換、改革のシンボルとして一番簡単だし、また一番衝撃的だと常々思っています。しかし、天皇陛下にお移りいただくということについては議論もあるし、また、東京都が遷都ということについては絶対御反対でありましょうから到底できない。考えて、首都機能移転ということで、やむを得ず賛成をして、今日まで参りました。日本人の発想の大転換、江戸時代から続いている一極集中、これを変えない限り、どんな改革をやっても日本はよみがえらない、こんなふうにも思っています。東京だけの一極集中じゃなしに、各都道府県における県庁所在地一極集中、この弊害も目に余るものがある、こう考えています。

 本日も、各新聞に、世界各国と比べた日本の物価高の数値が出されていますが、この狭い東京に一千万以上の人たちが住むことによって、水をどうするんだ、電気をどうするんだ、道路はどうだ、地下鉄はどうだ、この公共事業費の高さ、ありとあらゆるものがこの一極集中に言いあらわされた弊害となっておる。一極集中のよさもあるんでしょう。しかし、もうここまで来たら、弊害だと思わざるを得ません。そういう意味で、思い切って首都機能を移して、均衡ある国土、あるいはもっと生活しやすい日本というのをつくる、これを目指すべきだ、このように考えています。

 決まってから十年たった。革命をやったわけじゃないですから、民主主義の時代に、これだけの大きな国会や官公庁をぶち壊してほかへ移そうかというんですから、十年、十五年かかります。私は、ありとあらゆる中から御判断をいただいて実行していく、このために、当委員会として着実な論議を重ねて、そして要所要所決断をしていく、このことが必要だと思っています。

蓮実委員 自民党の蓮実でございます。

 今、坂本先生、中井先生、全く同感であります。

 先ほど田野瀬先生からもお話がありましたように、国会移転というのは平成二年からスタートして、この委員会の立ち上げが平成三年の八月であります。それから何と今日まで、その都度その都度委員会に初めて参加される方、なかなかわからない方が多いと思うんですが、百十九回なんです。この委員会、百十九回目。参考人は延べ六十七人であります。国会始まって以来、今までこんな長い委員会はなかったと私は思います。そのくらい積み重ねてきているんです。しかし、その都度委員のメンバーがかわってきますから、同じような議論が続いて今日に来ているという現状だと私は思っております。

 それで、国会移転の意義、効果というのは、もう皆さんからも先ほどからお話がありますけれども、国政全般の改革、これは、地方分権の推進、中央省庁のスリム化であります。同時に、今、中井先生もお話がありましたように、東京一極集中の是正、それから国土の災害への対応力の強化です。

 この前、私、建設政務次官をやって、その後神戸の大震災がありました。あの神戸の大震災のときに、復旧するのに一体どのくらいかかるだろうとあの当時心配をしたんです。恐らく十兆円はかかるだろうと。まさしく十数兆円かかっております。

 そういうことから考えますと、今回の移転費用の試算を見ますと、公的負担が二兆三千億円です。十年かけるわけですから、一年間に二千三百億程度ですね。そうなりますと、災害があったら大変だということは比較すればすぐわかると思います。東京に、国会を中心としたこの地にもし災害があったら大変なことだと思います。これは、国の機能が麻痺するわけですから、それも五カ月や六カ月で回復しないわけですから、そういう意味で、国土の災害への対応力の強化。

 それから、先ほど荒井先生からお話がありましたように、IT社会の具現化、これもあわせて、実は国会移転の審議会が平成八年に、三十数名のそれぞれの専門家、それ専門にかかった専門家が議論して、そして平成十一年の十二月に実は内閣総理大臣に答申を出して、そしてこの我が国会移転の委員会の方に答申が出て、これまた今日まで積み重ねているということであります。

 ですから、昨年の五月に、あと二年以内に答申に基づいた三カ所、これは思いつきでやった答申じゃないんです。何十人のメンバーの方々が、それぞれの専門家が検討して出した審議会の結論であります。それにのっとって、やはり国会のこの委員会において、もう最終段階に入っているわけですから、ひとつそういうことを認識しながらみんなで議論していただきたい。

 国会移転の経済効果の問題は、これはきょうも経済の問題、出ていますが、三菱総研の平本さん、これは、二兆三千億円の国会移転の費用に対して、経済効果は三十数兆円だろうと言っております。それから、三井物産の寺島実郎さんという参考人、これは何回もこの委員会に来ておりますが、その寺島さんの話によりますと、三百兆円の付加価値の創出があるだろう、それから雇用創出も、何十万人の雇用創出ができるだろう、それからGDPも一年間に二%押し上げることができるだろうという、それぞれの専門家の試算もできているわけであります。

 ですから、この際、皆さんとひとつ鋭意協議をして、先ほど田野瀬筆頭理事が言われましたように、できるだけ早く三カ所を見て、そして結論を出すということが必要だろうと私は思っております。

 以上です。

茂木委員 先ほど来、この国会移転の問題に対して国民的な関心、ありようがどうか、各委員の先生方からそれぞれの見識の中で御発言があったわけですが、私は、現状において、では全国的に国民の関心が非常に高いかといいますと、冷静に考えて、そうでもない面もあるな。先ほど野田委員が千葉の例を出されてお話しされたことも納得もできるわけであります。また、国会移転に対する関心が例えば企業誘致的な発想での関心ではいけない、そう思っています。しかし、政治のリーダーシップというものを考えたときに、国民的な関心が十分ではないから今はいいんだ、そういうことではなくて、大切な問題であったら、いかに国民的な関心を盛り上げていくのか、こういう努力が必要なんだろうと思っています。

 そういった中で、例えば、国会移転を行うことによって東京一極集中の是正が図られる、または組織がスリム化できる、さらに災害対策になる、これは間違いありません。しかし、国民はどうしても、マイナスが少なくなりますよ、こういうことでは十分関心を押し上げることというのは難しいんではないかな。プラスの面というのをきちっと、将来像というか夢を提示していく。いわゆる首都機能移転に伴ってどんな新しい日本ができるのか、また、どんな新しい政府ができるのか、こういう夢を提示していくということが必要だと思います。

 そんな中で、確かに、先ほど自民党の野田委員、それからまた民主党の野田委員もおっしゃっていたように、ソフトの面では移転をしなくてもかなりできる、もしくは移転をするしないにかかわらずやらなければならない国会改革等々はあります。しかし、実際問題、電子政府の実現ということを国会なり霞が関で図っていくことになりますと、私は、箱物的にもいろいろな限界が出てくるな。また、二十一世紀の首都のあり方として、近代化と自然環境の共生等々を考えると、やはり新しい立地というのを考える必要も出てくるんではないかな、こんなふうに思います。

 また、これまでの政治がある意味で、これは立法府も行政府も含めて、富の再配分の場であったとすると、やはり二十一世紀のいわゆる政治、行政のあり方というのは、国の方向、政策の方向についての合意形成の場に百八十度転換をしていかなきゃならない。そのときに求められるキーワードというのは、アカウンタビリティーであり、また参加であり、そして公開である、こういうことを考えたときに、東京において、もしくは今ある国会や霞が関において新しいキーワードのもとでのハードとソフトをつくっていくというのは、やはり私は限界があるんではないかな、こんなふうに考えておりまして、結論から言いますと、将来像を示すという努力を我々もこれから残された期間で続けていかなければならないと思いますし、それに伴って、きちっとした決まっている方向での推進というのを進めていただきたいと思います。

大島(令)委員 社会民主党の大島令子です。

 私は、首都機能移転反対の立場から意見を申し上げさせていただきます。

 まず、地方の知事さんたちが非常に元気になりまして、長野県、千葉県も新しい知事ができました。まさかと思うような地方からの政変というのが起きつつありまして、地方の人たちも、最近はそんなにばかではない、中央政府の言いなりにならずに、自分たちの県や町は住民参加で自分たちでつくっていこうというのが今の流れなんですね。住民に対して説明しない人たちは選挙でどんどん落とされていく。首都機能となると国会での議論になると思うんですが、やはり私たちも、国民に対してこの問題をこの十年間でどれだけ説明してきたかという責任が問われると思うんです。

 この場所で、例えば先回も申し上げましたけれども、九〇年の十一月の国会決議の後、衆議院選挙が三回ありまして、そのときにいた人は四〇%、そして、私も含め、過去三回の選挙で現在六〇%の衆議院の議員の方がかわっているわけなんです。しかし、決議というのは当時のその人たちの責任でやっているわけなんですが、私は思うのは、例えばここで自分が発言したことが、首都機能移転に関しては非常な財源とかがかかるわけで、自分が議員でなくなったときにもう責任を持たなくなるという、政治家というのは、選挙で当選、落選ということによって、そのときの発言がどこまで責任を持てるかということになると思うんです。そうすると、この問題を国民全体がもうちょっと、やはり首都はこうあるべきだということを考える問題提起をする見直しということも、私はやっていいと思うんですね。

 先ほどから聞いていますと、東京に一極集中した人口動態の背景というものを考えていないと私は思うんです。例えば、大学とかいろいろな研究施設、研究施設はつくばの方に移っていますけれども、大学が東京にたくさんありますね。地方に移転してもいいのではないか。そこでまた新しい研究施設とか、そこの町に残る学生もいる。そういう形で、人口がなぜ東京に集まるのかということも考える必要があると思うんです。そうすると、例えば人口が東京に一極集中するから首都機能を移転しようという問題は解決できる方法もあると思うんです。

 それと、電子政府ということで、国会でも、今秘書さんたちでもパソコンやインターネットがないとできないくらいIT化が進んでいるわけで、やはり中央政府というのはスリム化できると思うんですね。

 そういう中で、首都機能を移転して果たして今の経済とか財政状況がよくなるのか。先ほど田野瀬委員は、日本はGDPも国民所得も世界一だと言いましたが、反面、借金も世界一でありまして、物価も世界一高い。だから、所得が高くたって私たちは豊かじゃないわけですよね。スウェーデンとか、北欧で福祉の進んでいる国々は、国民負担率が六五%、日本は三五%。社会保障費の負担が日本は低いといいましても、では残りのお金で豊かな生活ができるかといえば、そうじゃないわけなんです。細かく分析していくと、将来、私たちが、この日本に生まれて、日本の国で育って、老いていくという人生を考えたときに、東京が首都だから私たちは不幸な人生を送らなきゃならなくなる、そういう考え方には至らないと思うわけなんです。

 そして、去年四月から地方分権一括法が施行されまして、国の機関委任事務も非常に少なくなりまして、地方が地方独自のまちづくりをやっているわけですから、私は、おのずと国会改革というのも、もうちょっとスリム化していく、そうすると、首都は東京であってもいいわけだし、長年築いた東京の庶民文化というものもここに温存していていいと思うわけなんです。世界の四大都市、ニューヨーク、ロンドン、パリ、東京とか言われていますけれども、東京が日本の首都というイメージは世界の中で定着しているわけなんですね。

 そういう中で、新たな遷都ということを考える場合、やはり国家百年の大計を考えまして、首都というのは都になるわけで、瞬時にインターネットで世界の情報が回る。いろいろな発言も瞬時にして世界を回る中で、首都が東京、国会機能が、首都機能が東京にあるということが世界の中で認知されている中で、改めてこの機能をよそに持っていく必要があるのかなということを疑問に思っています。

 そして、去年の十一月の参考人、各候補地の知事さんの話でも、三重県の北川知事なんかはやはりいいことを言っているんですよね。地域振興対策、それは首都機能移転というのは細かく言えば小さな公共事業の始まりだと私は思うわけなんですが、北川知事は、やはり国とか県とか市町村という三層制がこのままあっていいのか、そういう大きなところで議論を抜本的にやっていただきたいと述べているわけです。何か誘致合戦のような形でこの首都機能移転の問題を語ってほしくないということを参考人の立場で述べられているわけです。きょうは会議録も持ってきております。

 ですから、改めて首都機能というものがどういうものか。東京の人口の一極集中のためにだけとか、そういう印象で語られるということではなく、なぜ一極集中するのか。集中しないために、いろいろな会社の本社も東京ではなく違うところに移っている。例えばNTTの一〇四も沖縄でやっているとか、そういう情報化時代を見据えて、まだまだ東京であってもいいと私は思うわけです。

 以上です。

林(省)委員 自由民主党の林省之介でございます。

 私もこの委員会に初めて参加をさせていただきました。この委員会に所属することが決まったときに、まず真っ先に思いましたのは、たまたま私は第一議員会館のお部屋を借りておるのでございますけれども、真下に総理官邸が今どんどんと工事が進められて、いつできるのかわかりませんけれども、あんなに立派な、どでかいものをつくって、本当に政府は移る気があるんだろうかというふうなことを率直に思ったわけであります。総理はどうお考えなんだろう。恐らく小泉総理は、いや、それは前の人が決めたことだからというようなことになるのかもわかりませんけれども、いずれにしても相当な金のかかった立派なものができているわけであります。

 一方、私も大阪でございまして、自分自身の経験の中で、あの阪神・淡路大震災。私は大学の教師をしておりましたから本をたくさん家に積んでおったのでございますが、およそ一トンある本棚が東西に一メーター、南北に五十センチずれておるんですよ。私どもなんか、震源地から見ればおおよそ五十数キロ、六十キロ近く離れているところでそうです。

 我が国は災害列島でございますから、時々、ふっとするときなんですけれども、例えば大きな地震がいったら、まずおれの住んでいるこの赤坂の宿舎は間違いなくつぶれるわなと思います。首都高を走りながら、今阪神・淡路並みのものが来たら、恐らくおれは死ぬじゃろうな、そのときは運命じゃからしようがないぞという話を運転している者とたまにしながら、これは阪神・淡路並みだったらとんでもないことが起こるというのが東京のあちこちに見られるわけであります。

 かつて、大手都市銀行のいわゆるオンラインの拠点は大阪にあったというふうに聞いております。しかし、阪神・淡路以降、これがどこに行ったのか私は知らないんですけれども、それぐらい大阪は地震も少なくて安全であろうと言われていた地域でございます。

 いずれにいたしましても、時間帯にもよります。もちろん規模にもよります。しかし、仮に阪神・淡路並みの地震が起こった場合に、この東京は、場合によっては死者何百万人、そして首都機能としては完全に麻痺をする。まして食料自給率一%というような町であるわけですから、あらゆる点で大混乱が起こる。

 それをある意味で緩和するためにも、首都機能の一部、だから国会等と書いてあるところが極めてみそだなと私は思っているんですが、何も国会本体そのものを持っていきなさいというわけじゃないわけですから、しかるべき機能を分散するという意味におきましても移転をすべきである、私はこのように考えるわけでございます。

 とりあえず今思いつくところで申し上げました。また出てきましたら、申し上げることにいたします。

城島委員 民主党の城島でございます。

 先ほどから、田野瀬委員とか、あるいは坂本委員とか蓮実委員とか、おっしゃっていることは非常によく理解できるところでありまして、委員会あるいはこれまでの経緯というものからすると、そういう皆さん方の主張というのはそうだなというふうに思うし、ある面では、特に坂本委員がおっしゃったように、この委員会は何をやってきたんだというような、復帰された方の心情というものも非常によくわかるところであります。しかし、現実がそういうものだ、やはりそういうことも現実だということも、これは何かを意味しているというふうに受け取る必要があるんじゃないかというふうに思います。

 今、林先生もおっしゃいましたけれども、首相官邸の問題なんというのはまさしくその象徴だと私は思うし、それから最近の省庁再編に伴う立派なビルがこの霞が関かいわいでも建設をされた、あるいは埼玉新都心の中に首都機能を拡大していくという、そういう方向が進んでいっているというような現実の動きと、平成二年ですか、国会決議以降この委員会ができて、延べ百十九回、それから六十七人の参考人という、大変重みのあるこの委員会のこれまでの経緯というものからすると、率直に言うと、やはりかなりちぐはぐだなという感じが全体の動きの中でするのも現実ではないかというふうに思うんですね。

 どうもめり張りがついてないんじゃないか。そういう方向で本当にやっていくということであれば、国会全体の流れが、国会等の移転という方向にもう少し大きな流れができてもよかったのではないかと思うけれども、やはりそうなってないところには、今申し上げたような幾つかの目に目えた形の象徴的な動きがあるということも大きな要素ではないかなというふうに思います。

 と同時に、先ほどどなたかの御指摘がありましたけれども、一方で言うと、ある面で新しい公共投資でありますけれども、確かに公的な負担というのは、年間にすると二千億円ぐらいというようなことも含めて、全体から言うとそう大きくないということはわかりますが、ただ、今何せ、国、地方を合わせて世界一の借金を抱えているというような状況からしても、やはりその辺についての国民的な思いというものもあるのではないかという感じがします。

 私も、今まで約四十カ国の首都というのを、首都機能ということで見たわけではありませんが、訪問した体験からしても、首都そのものが大変魅力ある都市だなというのはそう多くないという感じがしますよね。そのかわり、これは皆さん異論がないと思いますけれども、先ほどから皆さんがおっしゃっていることで言うと、それで特徴ある町を、都市をどうつくっていくか、あるいはそういうものができていくかということは極めて大事なことなので、そういう点からすると、やはり本質的な問題は、一極集中になってきた原因、そこをどう解消していくか。まさに地方主権、地方分権、道州制なんかの問題もそこにあると思いますけれども、そういったことを含めて、地方がどう自立していくような方向になるのかということを考えていくということが少なくとももう一つ大きな柱としてないことには、やはり国会を含めた移転というのが国民のかなり多くの合意にはなかなかなり得ないのではないかなという感じが僕はしております。

 そういうことからすると、もう一つ言うと、一極集中になっている都市というのは、いろいろな要素はあると思いますけれども、やはりそこに行けば生活できるということなんですよね。アジアとか南米なんかも首都に集中しています。

 そういう点で言うと、先ほどどなたかもおっしゃっていましたけれども、教育も含めて、大学のあり方も含めて、それから産業のあり方も含めて、やはり地方がきちっと自立できるような政策というものをセットで考えていくということがないと、なかなかこの問題というのは大きく前進していくのは難しいかなという感じもしているということであります。

中井委員 自由党の中井です。三分だというので、二回目の発言を。

 あっちこっちでいろいろな話をする中で、国民の間で一番誤解の多いのは、首都を移すことと首都機能移転とを一緒にしていらっしゃる。これは、私どもは首都機能移転ということできちっと御説明を申し上げてきたと思っていますが、まだまだここのところが国会議員の中にも誤解がある。これら含めて、十分説得をしていかなけりゃならないと思っています。

 それから、東京の一極集中をなくすということで、例えば工場の移転ということを随分やって、特別立法をつくってやったわけです。ところが、地方へ出ていった工場が、もう全部今閉鎖になって、お話があったようなIT時代で、製造業は苦戦をいたしております。IT産業が育ってくれば、どこに本社があっても、どこでやってもできるじゃないかとおっしゃるけれども、現実にはどんどん東京へ集中している。

 大学も、国公立だけで二十七ぐらい東京にある。僕は、一時国会で、東京農業大学まであるじゃないか、どうして東京に農業大学があるんだ、おれの田舎へ引っ越せと言ったこともありますが、依然としてある。

 これ、民間を移すというけれども、今城島先生からお話があったように、例えば民間の方は、東京ほど幅広い商売ができるところはないから、移らないんです。だから、東京一極集中をなくそうと思ったら、官が動く以外ないんです。その中で、国会と官公庁と、それから今度同時に始まります司法大改革、これはお互い議論をしていかなきゃなりませんが、この時期に、やはり司法の本拠も移していく。そして、公団公社、もうみんななくそうと各党言っているわけですから、ちょうどいい時期だ。こんな時期に、コンパクトな中央政府と司法の分野、こういったものを東京から移していく。東京都は、あいたところで、本当にすばらしい都市再生を安い費用でお考えいただく。

 それは、東京や関東の人はだれも賛成しない。こんなおもしろくて便利なところはないですよ。私の郷里なんか、完全な関西圏ですが、今や就職も学校も全部東京。この東京集中というのは異常だ。(発言する者あり)名古屋なんか全然行きません。そういう意味で、本当にお考えにならないと、日本の物価高というお話があったが、物価高は直りません、東京に集中している限り。

 私は、かつて高校のときに、東京の国立というところに引っ越しました。今、東京からその次の立川まで、複々線ですよ、電車。それであの過密ですよ。どうするんですか、これ。もっとゆったりとみんなで暮らせるようにする。東京都は狭過ぎるんですよ。そこに何もかも集中させていく、ますます集中させていく、このことが異常だと思わない国家はおかしい。私は、あえて二度目の発言をさせていただきました。

田野瀬委員 自由民主党の田野瀬でございます。

 今中井先生が、東京一極集中の異常さをお話しされたんですが、私もある外国人の知人と話をしたんですが、東京の山手線あるいは各私鉄のあの朝夕のラッシュ、男と女が肌と肌と触れ合うて、ぎゅうぎゅう詰めのすし詰めに乗っておるあの文化、とてもとても理解できないというんですね。日本人の感覚は一体どうなっておるのか、あのさま。西欧諸国だったら痴漢だらけだと言いますね。日本の男はあの状態でよう紳士だな、こう言いますね。日本人はあの異常さを気がつかないのかと。肌と肌と触れ合うて、夏なんか全く肌と肌ですよ。とてもとても日本人は信頼できないというんですね、あのさまを見たときに。これは東京だけじゃないんです。大阪もみんなそうなんです。あの文化を早くなくさないと、世界各国からあこがれられないですよ。

 もっと、今や世界の感覚は、自然と共生型の、緑いっぱいの、ゆとりのある、ゆったりとした、そういう都市をどこの国も目指しているんです。早くそういう感覚にならないと、日本は、日本人は信頼されないです。これは便利だからというて、もうその感覚が麻痺しているんです。

 日本の感覚は世界の非常識、こう言います。もうそのとおりなんですね。早く非常識をなくさないと、それは幾ら世界一ずくめの指数をつくっても、おかしいということ。これ一つとらえてもおかしいんです、世界の常識からいきますと。それを早く我々国会議員が気がつかないと。複々線にしたり、水をあっちこっちから無理をして持ってきたり。ほとんど日本じゅうの川が死んでしまいました、ダムをつくり、都市へ都市へと水を持っていくものですから。そんな自然に逆らった国づくりを早くやめようじゃないですか。もっと自然そのものの日本列島をつくっていくべきですよ。

 以上でございます。

永井委員長 ありがとうございました。

 まだ時間は一時間ちょっとありますので、ゆっくり御発言をいただきたいと思います。

河村(た)委員 では、えらい権威者が二回目をしゃべっておりますので。

 本当にこの集中というのはすごいので、その集中というのは、今の生活もそうだけれども、僕が言いたいのは、やはりお上にへつらうというのか、役所政治、役人社会主義ですわ、これは。これを本当に何とかぶち破らないかぬのだけれども、残念ながら、先ほどからちょっと野田さんの指摘もあったように、今までの、ただ森の中を切り開いて首都をつくるがどうだと、それをつくっておるのはまた県の役人ばかりで、これはおもしろうないんだよね。

 だから、まあちょっとやるなら、これはどのくらい金がどうやって出るのか知らぬけれども、普通の民間業者に、それはディズニーランドのオリエンタルランドでもいいですよ、ユニバーサルスタジオ、遊びばかりになるけれども、ああいうところに一遍企画を立ててもらうかと、ちょっと銭を出して。それで新しい首都の姿というのを、ああいうやはり――役人はいかぬのですよ、人の金なものだから、ろくなものが出てきやしないんだよ、これは。これは、本当は経済学の理論なんだけれども、人の金で考えるやつは自分の金よりろくでもないというのは、これはかなり高尚な理論なんだけれども……(発言する者あり)いや、それだからいかぬのだわ。

 だから、やはり、この企画をやれば、これはおれのところの会社はもうかるよというのかね、失敗したらおれは倒産するよというようなところにちょっと出してもらうと、何かおもしろいのが出てこやせぬかというような気がちょっと私はしておりますね。

 とりあえずそんなことが提案できぬかね、金がないといかぬかね、それは。(発言する者あり)決まるまでに。雰囲気を出すのに。

 今のもの、正直言って、出るけれども、でも、役所へこの間も行ったけれども、岐阜の方に……(発言する者あり)それは、まあそんな銭はないのでいかぬけれどもね。もういわゆる決まり切った人がずらっと並んでおって、それで何かゼネコン関係のがばあっと来て、役所のあれでしょう。おもしろくなくていかぬわ、それでは、知恵が。

 だから、ひとつそこら辺から、やはりみんなにアピールできるものがこっちでもつくれるとね、そう思いますが。提案でございます。

永井委員長 大変有意義な、しかも活発な御発言をいただきましたけれども、まだ予定した時間はちょうど一時間、正午までございますので、もう心のたけ、思いのたけを御披瀝いただければありがたいと思います。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。二回目の発言ですが。

 今までの発言を聞いておりまして、一つは、国民的な合意といいますか理解といいますか、あるいは国民に対するこの問題での宣伝といいますか、そういうものが非常になされていないということについては、これは委員会としても、今までもいろいろと論議されてきたし、そのことのためのインターネットの活用なども考えてきたというような経過がありますけれども、しかし、残念ながら、候補地域ではいろいろと論議されておりますけれども、やはり、首都機能をどうするか、移転するのかどうかということについての論議が全国的に起きていないということ。これらについては、これから大いにやっていかなきゃならないことだと思います。

 それからもう一つは、いわゆる首都機能を移転しなくてもできる問題、改革しなきゃならない問題、国会改革の問題等、いろいろ出てまいりましたけれども、そういう問題等も意見の中にはいろいろと出てきているわけです。

 引っ越し論というのがありました。確かに、引っ越しするときには、それだけの整理をしたり、建物を壊したり、新しく建てたり、そこで人心も一新するし、IT社会をつくっていく、いわゆるe―Japanの方向というのが出されているわけですけれども、そのためにも、施設とかそのほかについては、初めからつくった方が既存の施設を利用するよりはいいだろうという意見もございました。

 私は、そういうような、移転しなくたってできることというのは積極的に進めていくべきだし、過密の解消というのは、本当にこの辺も説得力のある説明をぜひいただきたいんです。

 というのは、国会等を移転する、あるいは首都機能を移転することによって、過密の解消、それだけのことで成るわけではないと私は思いますし、混雑緩和という問題も、この機能を移転しただけでは地下鉄の混雑の度合いについてもわずかなものという試算なども、今まで当委員会でいろいろと論議されてきたものだと思います。

 そういう面からいたしますと、やはり、移転する理由が見えないといいますか、国民にとって、なぜ移転するのかというあたりのところが説得力がないといいますか、そういう問題等が解決されなければならない問題だろうと思います。

 それからもう一つは、今度のこの移転について、先ほど来、日本の借金の問題そのほかから、バブル崩壊後の事態の中でやるのかという御意見もありましたが、一九九二年に国土庁が試算したところの十四兆円というのが基本になってずっと論議されているんだと思うのです。これは今から九年前の試算ということになるわけなんですけれども、その後、委員会の中で、調査会の宇野会長さんなどは、二十兆円になるか二十五兆円になるかもわからないという発言もあるんですね。

 この国土庁の試算というのは、結局、施設の整備と用地費というところに限定された試算ですから、果たしてあの全体を考えたときに、例えば、今河村さんが言われたように、ディズニーランドのような、どこか一つのところに頼んでやったらどれくらいの費用がかかるのかという点についても、改めてきちんとやる必要があるんじゃないかな。

 そういう中で、今の時期にやるべきことなのかどうか、日本の今の財政事情等を考えて、取り組むべき事業なのかどうか、その辺の判断も、この十四兆円でいいのかどうかというあたりに私は疑問を持っています。

 以上です。

蓮実委員 自民党の蓮実でございます。

 実は、国土交通省の審議会事務局次長にちょっと伺いたいんですが、東京都に首都機能があることに対するデメリット。

 現在の東京は、ニューヨークの中にワシントンDCがあるようなものだ、用地費、人件費等の投資効率が悪い中で、首都機能を維持するため一体どのぐらい年間かかっているか。これは岐阜かなんかが調査した。

舩橋政府参考人 岐阜県の方で調査をした、今蓮実委員の御指摘の資料がございます。

 この調査によりますと、東京都の首都機能維持費ということで、平成七、八、九の試算をしておりますけれども、それぞれ、六千三十五億円、それから五千七百二億円、四千二十三億円という数字になっております。

蓮実委員 わかりました。

 そうすると、今、日本に百八十九カ国の大使館がありますよね。そのうちで、土地が高いために東京に大使館が持てない、これは私の調査だと六十四カ国ある。そのうち二十五カ国は中国と兼務しているんですよ。中国から日本に大使を送っています。こういう環境にあるということ、やはりこれは外交上、このままでいいのかどうかという大きな問題だ、日本は外国との関係が非常に重要な国ですから。

 それから、先ほど林さんが、官邸が今大変な建物を建てていると。実は、これは私も非常に疑問に思いまして、ちょっと調べてみたら、官邸は今七、八百億なんです。

 御承知のとおり、ペルーの大使館の占拠問題がありましたね。あのときには橋本総理は、官邸から直接ペルーへ同時に連絡できないのですね。そのために毎日のように外務省へ行って、あんパンを持って外務省からやっていた。そうすると、今の官邸ではとてもそういう機能ができない、世界第二大国の首相官邸ではない、そういう意味で、早急にやらなきゃならぬということでやったということなんです。

 それで、国会移転との絡みの問題でありますが、国会移転は、仮にことし決まったにしても、ことし工事が始まっても十年かかるわけですね。そうすると、あの古い官邸が十年間、IT社会において外国とも何にも連絡できない、こういうような状況では困るのでやむを得ずやった、こういうのが現状のようです。

 ですから、国会移転があっても、別の意味で利用する。先ほど中井先生からもお話がありましたように、移転することによって、移転の跡地は、理想的な東京の都市再生ができるということだろうと私は思っているんです。

 以上です。

中井委員 ちなみに、ちょっと国土省、役所はあと幾つ建てかえをするのか。建てかえの役所は、今まででいくと、あと、文部省、財務省と、幾つあるのか。

舩橋政府参考人 そこのところは、こういうふうに聞いているということで御承知いただきたいと思いますけれども、今ごらんいただいて外観が古い役所は、文部科学省、それから会計検査院と財務省ですね。この辺は多分戦前に建てられたあれだと思います。そういったところをどうするかという話は、関係者の中には議論があるということを聞いていますけれども、具体的な、予算的なあれについては何もないというふうに承知しております。

中井委員 一番古いのは外務省ですか。建てかえて一番古いのは。

舩橋政府参考人 ちょっとそこは、一番古いのはどこかは……(中井委員「建てかえて一番古いのは外務省かもしれぬね、どうだろう」と呼ぶ)戦後建てかえた後でですか。(中井委員「そう」と呼ぶ)ちょっと申しわけございません。承知しておりません。

河村(た)委員 ちょっと今の話で。ちょっと視点が違うけれども、今の文部省とか会計検査院とか財務省の建物、ああいうものを壊したらいかぬですよ。(発言する者あり)文化財、文化財。これもやはりそういうことなんですよ。町の中にそういう歴史的建造物を大事にしていくということは非常に重要な視点なんです。自民党の人にもこれを訴えたいんだね。一緒にやるメンバーもいますけれども。

 紅衛兵みたいにみんな本当にぼんぼん壊して、まるで共産党より――共産党の人がいるが、そういう意味じゃないです。昔の全体主義みたいな発想で。

 健全な自由主義か保守主義というのは、本当に残していかないかぬと思いますね。

 今ちょっと出たもので。絶対壊してしまってはいかぬ建物三つだでね、これは。いけませんよ、それは。文化財にして残して、活用して、リニューアルしていく、そういうことがやはり町を、人を大切にする、建物を大切にする、地域を大切にする、これはみんな同じなんですよ。ちょっと関係ないわけでもないけれども。

永井委員長 今、公明党の石井啓一理事がお着きになりました。

 各委員から一巡して御発言をいただき、二巡、三巡という形でございまして、ぜひ石井啓一君に御発言をいただければと思います。

石井(啓)委員 他の委員会に今出席をしておりまして、大変失礼をいたしました。今までどんな議論があったか知らないで発言するのはあれでございますけれども、社会経済情勢の中で私が一番注目していますのは、災害対応力の強化でございます。

 いずれこの関東に大きな地震がありそうだというのは、いわば科学的知見からいって確かなわけでございますから、そのときのリスク分散ということ、随分いろいろなところでも上がっておりますけれども、やはりこれは真剣に考えないといけない重要な観点だというふうに思っております。

 そういったことからしますと、やはり着実に首都機能の移転というのは進めるべき課題である、私はそういう認識を持っておりまして、そのことについても、恐らく言及はもう既にあったかと思いますけれども、重ねて申し上げたいと存じます。

野田(佳)委員 意見じゃなくて、ちょっと質問なんですけれども、どれだけ国民の関心があるのかどうかというのはとても大事であって、その視点で、国土交通省だったんですかね、それとも特別委員会だったでしょうか、ホームページを立ち上げましたね。それに対してどれぐらいアクセスがあるのか。

永井委員長 それでは、国会等の移転に関する特別調査室長の冨樫恒行君より、ホームページを開設以来のデータを御報告願いたいと思います。

冨樫調査員 お答えさせていただきます。

 ホームページを開設いたしましたのは、四月十九日でございます。約二カ月ほど経過いたしますが、ホームページに訪れた方約九千件、そしてアンケートにお答えになった方々九百件、意見募集の件数二十六件、以上でございます。

 訪問サイト件数、他の都道府県で一年で四千件とかというデータを承知しておりますが、かなりの関心度が高いことがこれからうかがえるのではないかと感じてはおります。

 以上でございます。

舩橋政府参考人 国土交通省におきましても、この首都機能移転に関連したホームページを開いております。

 それのアクセス数でございますけれども、一日によってあれでございますけれども、大体百二十件から百七十件くらい来ております。

 それから、オンライン講演会ということで、ホームページでいろいろな方が御意見を、例えば先ほどからお話に出ているような三井物産の寺島さんとか、そういう方のお話をまとめたものをホームページで見ることができるような形のものもしておりますので、ごらんいただければと思います。

野田(佳)委員 続けて、今、特別委員会の「ホームページアクセス結果等調」という表を中井理事の御配慮でちょうだいしたのですけれども、四月のサイトの立ち上げのときは四けた来ているのです。それを見ると、後ずっとじり貧で、だんだん落ちている。ということは、やはりPRすれば関心を持って見てくれる、ほうっておけばどんどん減っていくということだろうと思うので、これはぜひとももうちょっとPRをされた方がいいのではないかというふうに思います。

永井委員長 その件について、ホームページ追加になるわけですけれども、国民の意見募集、調査室長の冨樫君から、さらに御説明をいただきたいと思います。

冨樫調査員 現在、ホームページにおいてアンケートそして国民の意見で、国民の意見の件数につきましては、先ほど御紹介しましたように、二十六件、こうなっております。

 このたび、意見募集について、意見を寄せられた方につき次回の臨時国会等の場で、意見募集に応募をされた方々、できるだけ多くの方に委員会に御出席いただき、参考人として意見をお述べいただく機会をということが理事会で協議されておるところでございます。

 それでよろしいでしょうか。

大島(敦)委員 ホームページなんですけれども、私もインターネットを七年間使っているのですけれども、このインターネットを使っている方というのは、ある特定の階層なんです。社会でもある程度の会社にいらっしゃる方であって、国民全体がインターネットを使っているわけじゃないので、ここの意見をもって国民の意見としてとるということは、非常に危険だと思いますので、そこのところを御検討していただければ幸いです。

冨樫調査員 今回のホームページの開設は、今のITに沿った形で、これを一つのチャンネルとして採用しておるということであって、これをもってすべて国民の意見だというふうには判断できない、多少の誤差を持って見ていただければというように私は考えております。

中井委員 それぞれ御発言ありましたように、この法律に基づいて当委員会が決定をしていくのに一番大切なことは、国民の合意形成という項目だと思っています。そういう意味で、過日理事会でも申し上げましたが、今回、東京都そして三つの候補地を視察されるということは、新たに国民の関心を招く出来事だと私は考えております。

 特に、東京都が反対をなさっておりまして、私が委員長のころには三つの候補地を絞り込んで、あとは東京都と比較対照する、こういう発想で来たわけでございますが、東京都の反対を十分頭に入れて今国会中にも東京都を視察する、このことは、私は、委員会として大変大事な決定をしていただいた、こう思っています。ただ、私どもの日程で行きます関係上、かの高名なる石原知事にお目にかかれなかったものですから、私は、理事会においても、もう一度石原知事がおられるときに視察をする、こういうことを提言いたしました。

 賛成、反対、いろいろでありますが、そういった出来事を通じて大いに国民の関心を巻き起こしていく、このことは必要である、あえて付言させていただきます。

永井委員長 今、中井委員からの御発言は、先般の理事懇談会でもお受けいたしまして、理事全員了解をしていると思っております。

 さらに、この件については、今の御発言を受けて理事懇談会で協議をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

林(省)委員 自由民主党の林省之介でございます。

 今、大島委員の方から、インターネットを使っておられる方々はある特定の方々であるというような意見がございました。この意見募集については、ファクスによる受け付けなんというようなのは考えられないんでしょうか。

冨樫調査員 現在、ホームページのみならず、ファクス、郵便等いろいろな手段でもって受け付けております。

林(省)委員 それはもう広報されているわけですね。

冨樫調査員 はい。

林(省)委員 わかりました。ありがとうございます。

大島(令)委員 ホームページ上にファクスでもいいですと書いてあるんですよね。そこにアクセスしないと。

冨樫調査員 現在、ホームページ上に、ホームページのチャンネルのみならず、ファクスでも受け付けておりますというメッセージを流しております。

大島(令)委員 だから、ホームページに行かないと、ファクスでもだめだという。

冨樫調査員 そこで、私どもだけのPR、広報活動では限界があるので、この国会等の移転に関して国がその責務を負うということで、国土交通省さん、その他、自治体、ある財団、社団、関係の方面にPRをしておるところでございます。したがって、意見募集を行っているということを、このホームページのみならず、各方面でPRしているところでございます。

 以上です。

大島(令)委員 調査室長に質問ですが、では、候補地になっていない県はどのような形でこの首都機能移転をPRしているのか、把握していますか。

冨樫調査員 詳細には、受け付けたところで、どの地域からどのようなアクセスがあるかということを、結果から承知するしか、今のところ何ともお答えができないということでございます。

大島(令)委員 ということは、国民に平等な意見を言うチャンスというのは、まだ不十分というふうに理解していいですね。

冨樫調査員 機会はひとしくつくってある、そこでどのような形で結果として受け付けておるかという件数の濃淡とは別に、機会としては全国にPRしている。インターネット、これは世界じゅうに発信しておるわけですから、機会は設けてあるというふうに御理解いただければありがたいと思うんですが、それ以上はちょっと何とも……。

大島(令)委員 ですから、手段がインターネットを活用できる人たちだけであって、活用できない人たちに対する意見というものはどのように徴収するかということが、チャンスが与えられていないということを私は言いたいわけなんです。

冨樫調査員 いろいろお知恵がございましたら、勉強させていただきます。

蓮実委員 自民党の蓮実でございます。

 国土交通省で、全国に対して、国会移転のビラですね、それは資料も含めてたくさん出しているんじゃないですか、インターネットばかりじゃなくて。それを説明してください。

舩橋政府参考人 今、蓮実委員の御指摘のように、私ども、このPRは国政の課題であって特定の地域の課題ではないという立場に立って、今おっしゃられたパンフレットの配布、あるいは、実はあすもシンポジウムをいたしますけれども、そういう形での世論喚起、それから、これはうちの職員が手分けをいたしまして、先ほど来お話にございましたように、やはりこれは将来の課題、幾ら早くたって十年後、若い人たちがどう考えるかということも含めまして、中学校や高校の社会科の授業にうちの職員が講師として行って、そしてみんなで一緒に考えようじゃないかというような、出前講義と私ども勝手に言っておりますけれども、そういうようなこととか、いろいろな形で、先ほどは御質問がホームページだったものですからホームページについてだけのお答えをいたしましたけれども、全般的なPRはさせていただいて、非常に不十分かもしれませんが、努力をいたしているところでございます。

坂本委員 今のお話、私、そのパンフレットを見ていないんだけれども、どういうところに配ってあるかわかりませんが……(発言する者あり)不熱心か。それで、中身、どういう視点でそれが書いてあるのか。

 私は、地震国だということ、先ほどこちらで、二つ三つ首都機能があった方がいいというのは、それは賛成なんですよ、私は。それは賛成で、これはもう地震というのは、この国はどこで、いつ、いずれも人知を超えたところの災害なんだから。そういうのは今の状況で把握なんかできるわけがない。したがって、私は昔から、三カ所ぐらいは国会議事堂と首相官邸は持つべきだという持論なんです、そういうものをね。

 それと、首都機能としての国会、国際政治都市としての、これは一カ所に相当な重みのある整備はしなくちゃならぬだろうと思いますが、国会議事堂は、いわゆる地震災害というものをどんなふうにとらえたパンフレットになっているのかなと思って、非常に気になるところです。

 地震は何も山の中ばかりの地震じゃなくて、海底地震でもって物すごい大きな津波で一遍に飲まれてしまう、そういう被害状況も想定しなくちゃならないし、地震になると津波が大きな川を遡上する、逆に上っていくんだね。

 そういう災害、いろいろなことを想定した中での、だからこういう観点での国会機能というものをつくるべきなんだよというようなものもあっていいような気が私はするんだな。地震国だということを除くとインパクトが薄くなっちゃうよね、非常に弱くなっちゃうと思うんですが、一度見せてください。

舩橋政府参考人 きょう御議論がございましたように、防災の観点や今おっしゃられたものも含めて、いろいろな論点がございます。そういう論点それぞれにつきまして、こういうような形で実は私どもはパンフレット、これは一番小さなパンフレットでございますけれども、定期的に、これはもう二十号になっておりますけれども、委員の先生方には会館の方にお届けをしておりますので、ごらんいただきたい。よろしくお願いいたします。

田中(慶)委員 まず、首都機能の移転と国会移転というものを何かミックスしておられるような気がするんですけれども、少なくともこれは別に考える必要があるだろう。機能分散をすればいいことであって、もちはもち屋といいますか、首都機能を、それぞれの省庁を分散すればその役割は私は果たせるだろう、こんなふうに思っております。

 もう一度原点に返って、この三千三百の市町村をこのままでいいのか、私は、むしろ首都機能とあわせてこのことをもう少し検討する必要があるだろうし、急がせなければいけない。この小さい都市で補助金漬けになって、そして、いつもいつも何か陳情みたいなことばかりやって、おねだり。こんなことばかりやっている日本の市町村のあり方。むしろ、省庁再編とあわせて町村合併をして、そして、少なくとも、連邦国家じゃないですけれども、そういう形で特徴を生かしながら、そのアクセスをうまく、ネットワークをちゃんとすることによって十分な首都の機能というものが発揮できるだろう。ですから、首都機能ということと国会移転というものは分離して考えてもいいんではないかな、こんなふうに思いますけれども、もし皆さんの意見があれば、聞かせてほしい。

永井委員長 舩橋晴雄君、御答弁できますか。

舩橋政府参考人 国政の課題としての地方分権というものは、あるいはそういう中央から地方へと、これはこれまで分権一括法とかそういう形で具体的なあれが行われてきていると理解しておりますし、私どもの分野で申しますと、今度地方整備局というのができました。これは、全国にたしか九つだったと思いますけれども、かつての地方建設局と港湾建設局、これが一緒になりまして、そしてかなりの大きな事業も地方整備局単位で、私は地方整備局にも何カ所か参りましたけれども、地方整備局単位で地元といろいろ相談をして、むしろ道州制を先取りするような地方整備局のあれをやっていったらいいじゃないかと申し上げているんですけれども、大分変わって、国土交通省の中では、今度の地方整備局の誕生で、地方分権に合わせた、わざわざ霞が関まで陳情に来なくても用が足りるような、そういうようなものにしていこうじゃないかという動きは大分出てきているように、ちょっとこの答弁としてふさわしくないかもしれませんが、私はそういう感じを持っております。

田中(慶)委員 地方整備局はなぜつくったのか。やはりそういう形で、ある面では連邦という発想も含めながらあるわけです。ところが、地方分権という、市町村に対して権限を移譲しながら、財源は移譲しない。地方整備局がしっかりとお金を持って、またそこで陳情合戦をさせているというのが今の実態だ。ですから、これをあわせて、極端なことを言えば、首都機能というものを今の九のブロックならブロックに、やがてそこにちゃんと権限を含めていろいろな形で移譲することによって、何もセンターポールの国会は動かなくても、そういうものがしっかりと分散していけば、日本の活力ある国家というものが見えてくるし、それぞれの連邦によって特徴を見出していけばいい。ましてそのことは、厳しい財政の中で予算のより効率的な運用というものができる。私はそう思っているわけです。東京一極集中じゃなくて、分散することによってそのこともすべてが解決になるだろう、首都機能の移転とあわせて、少なくともそれが一番実効性が高いんではないかな、私はこんなふうに思っているわけであります。

中井委員 今の尊敬する田中慶秋議員の御発言は、役所を東京の近辺にばらまけばいいじゃないか、特に神奈川あたりへ建設省を持ってこい、こういう話ぐらいかなと、邪推をしては申しわけないんですが、思っております。

 私は、首都機能の移転というのは、国会と中央官公庁と司法、最高裁、この国家の三つの機能を東京から移すことだ、それが一カ所であるかどうかというのは、一カ所だということで答申がなされておりますが、私どもは、いろいろな論議があったらいいんだろう、こう思っております。だけれども、首都機能移転と国会移転とは違うんだというのは、少し僕は――国会等移転という名前にしたいわれについては、僕も余り承知をしておりません、そのころは国会議員を落選をしておりましたから。

 国会等移転というのは、坂本さんが随分御苦労なすったんだろうとは思いますし、こういう委員会を存続させるためには、当時の各党の理事さんが大変な御苦労をいただいて、特に阪神・淡路の大震災の後、また熱心に御議論いただいて今日まで来たという経過を知っていますから、国会等移転の中に首都機能移転、首都機能移転の中に国会等移転が入っておるんだ、こういうふうに、別じゃなしに一体だという理解を私はしています。

田中(慶)委員 セットで同じようなことを繰り返すと、やはりまた一極集中という東京の二の舞ができると私は思っているわけです。ですから、国土交通省の中に地方整備局が九つに分かれているような形の中で特徴ある連邦国家をつくるのであれば、そういう形で分散をしながら、いろいろなことをやっていくことによってそれぞれの地区が活力を見出すであろう。

 ですから、もう日本は東京一極集中で大変懲りているわけですから、そんなことを含めてやったらどうかな、こんな発想、思いで申し上げました。

中井委員 今の陳情政治をやめる、あるいは例えば各地にあります中央役所の地方局を廃止する、私は賛成であります。また、お話がありました地方自治体の合併促進、賛成であります。私は三百だと申し上げておりますし、候補地であります三重県は、六十九市町村ありますが、政府の定められた期限までに十か十二の市にまとめるんだと今各自治体のいろいろな反対の中で必死でやっております。私の住まいしておるところは、率先して町村合併協議会まで実はつくられようといたしております。

 そういう意味で、そういういろいろな改革と一緒に、シンボルとして、また、日本が変わるんだ、こういう国民の合意形成のもとに首都機能移転というのは一番大事な事業だ、こういうふうに私自身は思っております。

 それぞれ言われたことには賛成であります。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 去年の六月まで十九年間民間企業のサラリーマンをしてきまして、どういう人が出世するのかという観点からこの問題を考えたいと思います。

 五十年代、六十年代、七十年代ぐらいまでは、度胸よく設備投資をした、決断した人たちが後から需要がついてきて成功したということで出世したわけなんです。それが八十年代になってきますと、度胸よく設備投資した人は、これが失敗して第一線から退くケースが多くなったということ。冒頭申し上げました、人口が五千万人ふえてこれから減るということですので、国土交通省の方に伺いたいんですけれども、その辺の中長期の人口を加味した考察というのは御検討されたことはあるんでしょうか。

舩橋政府参考人 今御指摘のように、人口の将来推計というものがございまして、これは社会保障・人口問題研究所が出しております。それから先ほども、二〇〇七年、中位推計、低位推計、高位推計ということでそれぞれ違いますけれども、いずれにしても、中位推計の場合には二〇〇七年に人口がピークアウトしていくというような形での日本の将来人口がどうなるかということについて私どもも承知しております。ただ、この首都機能移転の問題について、これを直結させて部内で議論をし、いろいろな推計をしているということはございません。

坂本委員 先ほど来田中慶秋先生が分都論の話をなさっているようですけれども、国会等移転審議会ではもうその分都論は終わったんだよね。そして、一括移転、新首都建設という方向で審議会は答申も出してきているのですけれども、また同じ一極集中を再度つくるんじゃないかという話がありましたが、この東京は計画都市じゃないんですね。だから、大正大震災が終わった後、後藤新平市長が四十メーターの昭和通りをつくったのがせいぜいだった。戦後の戦災復興では二十メーター道路しかつくっていない。既にもう東京都は首都としての機能の限界に達しちゃっているんですよ。だから、全国民が迷惑を受けているのみならず、世界各国からここへ来る方々がえらい思いをしているわけで、したがって、国際都市として計画都市をつくっていこうというのがこの首都機能移転であり国会移転の発想なんですね。

大島(敦)委員 先ほどの国土交通省さんの意見の中で、人口を加味したような考察をされていないという御発言がございましたので、できれば、これから生きて、三十年後、五十年後、先ほどもお答えの中で、小学生とか中学生とか、いわば若い人たちを対象にいろいろな意見とかあるいは勉強会をなされているという話がございましたので、彼らのためにも、人口と首都機能の問題というのは関連づけて一度御検討をして、この委員会に報告するかしないかはちょっとわからないのですけれども、ある程度資料、あるいはまとめていただければありがたいと思います。

舩橋政府参考人 いろいろな論点をこの委員会から御指摘いただき、そして、私どもがそれを勉強して、サポートして、必要に応じて御報告をするというようなことは私どもの責務でございますので、検討させていただきたいと思います。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

永井委員長 ほかに御発言ございますか。

 それでは、本日の討議はこの程度で終了したいと思います。

 委員各位におかれましては、長時間御討議いただきまして、まことにお疲れさまでございました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十四分散会




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