衆議院

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第4号 平成13年11月21日(水曜日)

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平成十三年十一月二十一日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 永井 英慈君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 棚橋 泰文君

   理事 蓮実  進君 理事 林 省之介君

   理事 河村たかし君 理事 肥田美代子君

   理事 石井 啓一君 理事 中井  洽君

      荒井 広幸君    坂本 剛二君

      竹本 直一君    野田 聖子君

      松本 和那君    茂木 敏充君

      森  英介君    山本 明彦君

      山本 公一君    玄葉光一郎君

      小林  守君    伴野  豊君

      松野 頼久君    青山 二三君

      矢島 恒夫君    大島 令子君

    …………………………………

   参考人

   (東京都知事)      石原慎太郎君

   衆議院調査局国会等の移転

   に関する特別調査室長   内野 隆正君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  牧  義夫君     松野 頼久君

同日

 辞任         補欠選任

  松野 頼久君     牧  義夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 国会等の移転に関する件




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     ――――◇―――――

永井委員長 これより会議を開きます。

 国会等の移転に関する件について調査を進めます。

 本日は、参考人として東京都知事石原慎太郎君に御出席をいただいております。

 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、極めて御繁忙の中にもかかわりませず当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、議事の順序についてでありますが、まず石原参考人から二十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承をいただきたいと存じます。御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、石原参考人にお願いいたします。

石原参考人 多分、首都機能移転というナショナルプロジェクトに関しての参考人としての私の意見陳述はこれが最後と思います。しかるがゆえに、このプロジェクトにほとんど疑義、反対を抱いている過半の国民、そして千二百万の東京都民、また、首都機能というものを構成している首都圏七都県市の三千三百万の国民をも代表しまして、私の責任において大切な意見の陳述をしたいと思います。

 今のお話ですと、委員に対する質問は禁忌のようでございます。しからば、私、この委員会に私が大事な意見を陳述するために必要な質問をさせていただいて、それに対する委員会としてのお答えをいただきたい。

 それは、この委員会が今後どういうタイムスケジュールでこの問題についての結論を出そうとしていらっしゃるのか。

 それと、仄聞いたしますと、自民党の首都機能移転調査会で田野瀬副会長は、従来の特別委員会の決議として、国会等の移転先の現在の三候補地を一カ所に絞り込み、その上で東京との比較考量を通じて移転について検討するという申し合わせにいささか違って、幸か不幸か三つの候補地が答申されたことで、今国会では四カ所並立で比較考量するとおっしゃっていますが、これは果たしてそういう取り扱いになるのかどうか。

 それから、比較考量の方法として、数値化をせずに総合的な判断をするということでありますが、数値化できるものを具体的に数値化せずに、いかなる方法で総合的な判断ができるのか。私には非常に不思議な気がいたしますのですが。

 その三つについての委員会としての姿勢を御説明願いたいと思います。その回答がなければ、私、責任のある意見陳述ができませんので。

永井委員長 ただいま申し上げましたように、参考人からの委員に対する質疑は衆議院規則によってできないことになっておりますので、その規則にのっとって、石原参考人にはまず御発言をしていただきたいと存じます。

石原参考人 事前にあちこち手を尽くしてこの私たちの疑義に関しての回答を得ようと思いましたが、一向に答えが返ってこない。

 私は、国民の税金を膨大に使うナショナルプロジェクトの展開でありますから、こういう審議というものは、疑義を晴らした上で、あくまでも開かれた、公平な、公正な形で行われるべきだと思いますが、私の疑義というものを増幅するような事態というのは、本当にこの委員会の運営について多々あります。

 私が前にこの委員会に出席したときの委員長が、私は共通の友人を持っているもので非常に個人的にも親しかった井上一成君でした。彼は、私と親しいせいか、終わりました後、うっかりか本音か知りませんが、いや、石原さん、あんたを呼んでよかったわ、やはり反対の人も一人ぐらい呼ばなあなということを言った。

 実際、今までの参考人のリストを拝見しますと、その発言の内容を詳しく精査いたしましたが、このナショナルプロジェクトに関して疑義なり反対という意見を表明したのは都立大学の名誉教授の石田頼房さんと私だけでありまして、あとの数十人は全部これは賛成ですね。(発言する者あり)そうじゃないですか。(発言する者あり)そうですよ。(発言する者あり)調べてから物言っているんだよ。(発言する者あり)

永井委員長 ちょっと御静粛に願いたいと思います。

石原参考人 要するに、こういう参考人を羅列することそのものも、私はこれは一種の暗黒裁判だと思う。だから私はここで、だれもが感じている疑義を、最近手に入れた資料も含めてお尋ねしているわけです。これに対して回答していただきたい。(発言する者あり)委員会に尋ねているんですよ。(発言する者あり)いや、委員部に尋ねたり党へ尋ねたりしていましたよ。(発言する者あり)

永井委員長 ちょっと御静粛に願いたいと思います。

 ただいまの御発言について、本職から適切な御回答を差し上げることはなかなか困難でございます。したがって、委員会の規則にのっとって、本衆議院の規則にのっとって御発言を石原都知事からお願いを申し上げたいと思います。

 御承知のように、平成二年にこの国会等の移転に関する決議がされました。そして調査会ができまして、法律ができまして、さらには審議会が設置されまして、四年間の大変な労苦の結果、一昨年、小渕内閣に答申が出されたという、ほぼ十年に及ぶ作業の経過があるわけでございまして、どうか、石原参考人におかれましては、その作業の経過を踏まえて、本日は参考人として御発言をいただきたいと思います。よろしくどうぞ。

石原参考人 ですから、この最終段階でいまだに滞っている、私だけじゃなしに国民なり都民が抱いている疑義に対して回答願いたいんです。もしあれでしたら、閉会して理事会を開いていただいても結構ですし、その席でも結構ですから、私たちの抱いているその疑義に対して正確な御回答がない限り、私は責任のある意見の陳述はできません。つまり、私がこれから申し上げることの、今後の審議における位置というものがさっぱりわからない。これは、委員だけじゃない、国民が注目しているんだから。

永井委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

永井委員長 それでは、速記を起こしていただきたいと思います。

 ただいま、石原参考人からの御発言について、当委員会として正式に質問の要請はなかったとの理事の皆さんからのお話でございまして、今御発言された質問につきましては、後日理事会を開いて対応し、しっかりとした御返答をさせていただきますが、きょうは、衆議院の規則にのっとって、参考人としての御発言をお願い申し上げたいと思います。

 石原慎太郎君。

石原参考人 ですから、理事会をお開きになっても結構ですから、後日になっても結構ですから、私、こういう疑義をここでインパブリックに表明することも大事だと思って改めて繰り返したわけでありますけれども、その疑問に正式な回答がない限り、私、責任のある陳述ができませんので、後日にさせていただきたい。皆さんの委員会として、正式にこの場で改めて質問いたしますから、それに対する回答をいただいた後で、私、お話しいたします。(発言する者あり)あなたが要するに委員に就任される前、何度も何度もこういうことをやってきたんですよ。しかも……(発言する者あり)

永井委員長 本日は、本日の委員会として質疑を行いたいと思いますので、石原参考人に御発言をお願いいたします。二十分程度で結構でございます。

石原参考人 先般も、委員会を代表する委員長に、私、お電話で質問もいたしました。それから、衆議院の、国会対策委員長であります、自民党の国会対策委員長であります大島さんを通じても、自民党の理事諸君にもその意向をただしていただくようにお願いしました。返事は返ってきません。

永井委員長 先日、私、石原都知事から電話にて問い合わせがございました。その問い合わせについては、十分御返事する準備はできておりますけれども、衆議院規則もございます、他の委員会との関係もございますので、きょうはこれだけの大勢の委員が出席をされておりますので、それぞれ石原知事に対する質疑を用意されておると思いますので、きょうは続行して、質疑をさせていただきたいと思います。

石原参考人 でありますから、皆さんが構えていらっしゃる質問に私も責任のある返答をし、この問題に非常に不安と疑義を抱いている多くの国民を代表しての私の意見を陳述するためにも、その私の意見の開陳というものが今後の審議の中でどういう位置を占めるのかということを私自身心得るためにも、先ほど申し上げたことに、一時休憩しても結構ですから、回答を願いたい。じゃなかったら、私は、国民を代表しての要するに返事もできませんし、意見の陳述もできませんよ。この会議を、せっかくのものですから開かれたものにしていただくためにも、ぜひ暫時休憩してでも私の質問に回答願いたい。

永井委員長 速記を中止してください。

    〔速記中止〕

永井委員長 それでは、速記を起こしていただきたいと思います。

 日時は正確には覚えておりませんが、数日前と申しておきますが、石原知事からお問い合わせがございました。

 その質問の趣旨として、東京都と三候補地関係知事の参考人招致後の日程はどのようになっているか、次に、三候補地を絞り込んだ後に東京都との比較考量を行うはずではないのか、こういうお問い合わせがございまして、最初に申し上げましたとおり、衆議院規則上、参考人から委員に対しては質疑はできないことになっておりますと、これは私自身が承知していたことでございます。

 委員会運営に関することであり、特に一言だけ申し上げますと、昨年五月の委員会決議及び本年六月の理事申し合わせにより、来年五月を目途に国会等の移転についての結論を得ることができるよう、現在は、国民の合意形成の状況、よくお話ししましたが、社会経済情勢の諸情勢、東京都との比較考量の三点の観点から鋭意努力を進めておるところでございますとお話を申し上げました。

 その一環として、実は、きょうの石原参考人に対しての質疑も、東京都との比較考量の一環としてこの参考人質疑が行われている次第であり、今後、三候補地の関係知事からも参考人として意見を聴取することが予定されておりますということもお話を申し上げました。

 また、去る十月二十五日には、当委員会ホームページ等に意見を応募された一般の方々からも参考人として意見を聴取いたしました。大変参考人は喜んでいてくれました。

 それらの方の意見も踏まえた上で、その後、具体的にどのような手順で移転先候補地の絞り込みを行っていくか、また、東京都との比較考量についてどのように結論を出すかにつきましては、今後の協議にゆだねているところでありますということも石原知事に申し上げたところでございます。

 私が申し上げるまでもなく、御承知のとおり、特別委員会は国会ごとに新たに設置され、委員長及び理事が互選されることは御承知のとおりでございます。来年一月からの通常国会において選任される委員長、理事のもとで、五月の期限に向けて、具体的な候補地の絞り込みの手順や東京都との比較考量の結論につきまして精力的に協議がなされていくものと認識しているということも申し上げた次第でございます。

 今後は、私からはこれについての発言は控えさせていただきたいと思いますが、概略、電話でのやりとりでございましたので、正確を欠くおそれがございますけれども、以上のようなお話をさせていただいた次第でございまして、委員長個人として私は石原知事に御返答を申し上げたという経過でございますので、御理解をいただきたいと思います。

石原参考人 委員会全体の議事進行についての熱意のほどは抽象的に理解いたしましたけれども、仄聞といったって、こういう資料があるわけですね。その中で、与党の筆頭理事でしょうか、この問題の副会長をしておられる田野瀬さんが、かつての決議と違って、今国会では四カ所立てで比較考量すると言っておられる。

 そういったものが理事会としてどういう扱いを受けたか知りませんけれども、つまり、三者の中から一つが選ばれてその上で東京との比較考量をするのと、東京と並列して三つの候補地を挙げながら三者対一者の比較考量をするということと、大分、比較考量の審議の内容が本質的にも変わってくるのは自明のことでありまして、だから、どっちにするのですかということを最低限伺っていないと私は責任ある意見の陳述ができないということを申し上げているわけです。

田野瀬委員 委員会の規則によって参考人の質問には答えないということになっておるのですが、あえて、知事の御質問でございますので、私がお答えしたいと思うのです。

 本委員会の質疑は、主に、東京都と他の三候補地との比較考量を含めた東京都知事からの意見陳述をいただくというのが趣旨でございます。これを参考にしながら、後日、我々委員会でもって、責任を持って一つに絞り込むという作業が待っておると思います。一つに絞り込まれたときに、もう一度東京都と委員会決議にのっとって比較考量するということは、きょうは言明させていただけるかと思います。

 ただ、その比較考量の仕方が、再びこういう委員会を開いてやるのか、あるいはきょうと二十八日と四日の、すなわち比較考量を中心とする議論を踏まえて、一つに絞った後の比較考量をどういう形でするかということは、これからの我々の議論である、このように考えております。

永井委員長 三候補地が挙がっておりまして、東京都との比較考量、三候補地の中で一つにして東京都との比較考量を行うか、この件については結論が明確に出ているとは承知をいたしておりませんが、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、きょうの参考人質疑につきましては、東京都との比較考量を中心に御質疑をしていただくということが趣旨でございますので、その趣旨にのっとって、石原参考人から二十分程度の御発言をいただいて、その後、自由な討議をさせていただければありがたいと思います。

石原参考人 今の田野瀬委員の発言ですと、平成十二年五月十八日、衆議院国会等の移転に関する特別委員会の国会等の移転に関する決議というのがありますね。その中に、「まず、国会等の移転先の現在の三候補地を一箇所に絞り込み、その上で、」云々とありまして、「東京都との比較考量を通じて、移転について検討する」とあるのですが、この決議を外れるということもあり得るということでございますか。

田野瀬委員 そんなことございません。

石原参考人 そうすると、東京と三者を並列して審議するのではなくて、あくまでもこの委員会の責任で三候補地を一つに絞り込んで、その上で一対一で東京と……

田野瀬委員 再び比較考量いたします。

石原参考人 最終的には一対一でやっていただけるわけですか。

田野瀬委員 一対一でやります。

石原参考人 わかりました。

田野瀬委員 ただ、私ちょっと、ただいまの参考人の姿勢に非常に疑義をそれこそ覚えるのですが、そういうことであれば、この委員会の前にその御質問をいただいて、そしてその上で委員会に出席するということこそが本来の姿ではないか。何だかこの委員会を混乱に落としめるような、そんな意図も見えて仕方がないわけでございますので、どうぞ、参考人の質問にお答えする必要はなかったのですが、お答えさせていただいた経緯を踏まえて、速やかに意見陳述をしていただきたい、このように思います。

永井委員長 それでは、石原参考人、どうぞ御発言をお願いいたします。

石原参考人 この資料を手に入れたのはごくごく最近のことでありまして、あちこち手を尽くしてその信憑性というものを私なりに検討したのですけれども、さっぱりわからぬので、この場所に疑問を持ち込んでお話しすればストレートに疑義が解消し、私も晴れ晴れと自分の意見陳述ができると思いましたので、国会法というのはよく覚えていませんでしたから、その疑問をここへ持ち込んだわけであります。あしからず御了承いただきたいと思います。これもまた開かれた議論のために必要な手だてであったと私は思っております。

 それでは、東京都の立場として意見を陳述させていただきます。

 しかし、ここまで世の中が落ち込んできて、日本がかなり経済的にも他の社会情勢を見ても困難な時期に差しかかり、経済が疲弊している中で、国の試算では十三兆、我々の試算では二十兆をはるかに超すようなプロジェクトを何のために展開するかということに国民の過半が疑義を持っているということは自明でありまして、この委員会の構成そのものに私は疑義を感じるのですけれども、あえて申しますと、時代が変わったのに、そういう肝心な認識がなしに戦艦大和をつくって、大蔵省の役人が自嘲ぎみに昭和のばか査定の一つだと言われたことに、私はこのプロジェクトの展開がならないことを望んでおります。国民もそれほど愚かでないし、やがてこの後国会の審議もあるのでしょうけれども、そこは良識のある判断というものを下して事に臨むということを、国民を代表して強く期待を表明しておきます。

 もう先般、私はいろいろなことを申し上げたつもりでありまして、このコンピューターエージと呼ばれる現代文明の中で、集積、集中というのは歴史的、文明的に蓋然性があり必然的なことであります。そういう意味では、東京の機能というのはいろいろと欠陥がありますが、しかし、これほど現代的な集中、集積というものが歴史をかけて行われた首都というのは世界に例を見ないと私は思います。

 そして、他県それぞれの候補地が、胸をときめかせながらあげつらっている首都移転の構想なるものは、その費用対効果の計量計算そのものが非常にずさんであります。ですから、今後、東京の出した案と、皆さんが信頼している国土庁なり、それぞれの県が出してきた案というものの数値的なすり合わせを、皆さんだけではなしに、私は、専門性のある冷静な第三者も入れてやはり審査していただきたい。それを全くせずに、この委員会だけで、しかもこの顔ぶれで、数値化もろくにせずに事を審査するということに私は非常に疑義があります。国民も疑義があります。

 それで、いろいろな欠陥というものがこのプロジェクトの展開の中にはある。

 例えば、国際空港というのをどういう認識でとらえているのですか。これから二十一世紀が展開していく、そのまさに現代の中で、日本のような国際国家の首都というものが国際性を持ち得ぬわけがない、持たなくちゃならない。その国際性というものを担保する一つの手段は、空路による国際的なアクセスの確保です。

 現に、この首都圏東京にそれが著しく欠落しているから、私は運輸大臣のころからそういう危惧を持っていましたが、無為のままにだんだん月日が過ぎていって、あと三年たったら日本の国際線はパンクするのです、パンク。パンクということはどういうことかというと、あした急用ができてニューヨークに行こう、ニューヨークに会社の運命を左右する大事なネゴシエーションがあるといっても、その飛行機に乗れない。結局、アメリカが一部やっているみたいなオークションにかけて、競りにかけて、幾らかのフィーを払って切符を持っている人から譲り受ける、そういうことになるんです。

 だから私は、森内閣のときに亀井君ともはかって東京の試案を出して、これにこたえて運輸省が別の案を出してきましたが、いずれにしろ、羽田を国際化するその一つの手段として、桟橋方式の、もう一つ新しいランウエーをつくろうという提案をした。調査費も組んだ。あわせて、国会の皆さんがほとんど関知していない、敗戦後、東京の都内に日本で一番長いランウエーを抱えた、アメリカ軍にとってはロジスティックベースでしかない中継基地の横田というものを、せめて共同使用、ジョイントユースにしようということで、議員のときから動いてきました。やっとそのめどもつき出したと思います。しかし、これに対する国会の認識というのはほとんど絶無に等しい。だんだん認識を持つ方もできてきましたが。

 こういった問題も含めて、私は、こういったものが成就していけば、東京という首都にとっての成田があり、羽田が国際化される、横田が国内線で半分使用されるということになれば、少なくともこの三千三百万の人口のヒンターランドのある世界に冠たる首都圏というものの国際性というものは空路に関しては担保されるわけです。

 つまり、そういう現代の首都にとって不可欠な国際空港なるものが、あなた方の議論の中に全然取り入れられていない。要するに、全然取り入れられていない。該当する候補地の県知事さんに話しても、いろいろな答えが返ってきますよ。例えば岐阜の関係者が言っていた。常滑に飛行場をつくる。ニューヨーク、ワシントンあるいはロンドン、パリから、スーパーソニックが間もなく就航して、四時間で日本へ飛んでくる。その飛行機、外国人の大事なお客が、今度の候補地の新しい首都ができたとして、常滑からそこへ一体何時間かかっていくのですか。ナンセンスだ、こんなものは。ナンセンス。

 日本の場合には、要するに羽田のランウエーというのが国際化されれば、あるいは成田が新しいアクセスでつながれれば、つまり、こんなに便利なアクセスというのはないのですよ。羽田なんかは本当に至近の距離にある。こういった要件というものを、新しい首都がこれにまさる国際線というものを、要するに、不可欠な要因というものを備えないで新しい日本の首都になるなどあり得ない。

 私は、やはり現代文明、時間的、空間的に世界が狭小になったこの時代の中で、新しく日本が構えるかもしれない首都というものの不可欠な属性として国際空港というものをしんしゃくしない論議なんていうのは、全くナンセンスだと思うし、皆さんが社会工学的に首都というものをどうとらえていらっしゃるか、その見識を疑わざるを得ない。中には強い認識をお持ちの方がいらっしゃるかもしれませんが、総体、この委員会の今までの審議を拝見していると、そういう疑義を持たざるを得ない。疑義というか、あきれますな、これは。

 それから、いろいろ申し上げたいのですけれども、これは同じ縮尺です、同じ縮尺。これが東京都の二十三区です。これは該当地の、これだけの大きさですけれども、このクラスターとかいう小都市をつくりまして、そこからそこへ移動していくらしいのです、これも。しかし、それをつなぐアクセスというのがない。これは新規に、東京なんかでやっていますけれども、モノレールでつなぐらしいのです。一体どれだけの数の人がどれだけの頻度で新しい交通機関を使うのですか。このための設備投資、べらぼうな金がかかって、これがペイするわけ絶対ないですよ。そういうこともひとつしんしゃくしていただきたい。

 いいですか、これが霞が関、永田町。そして、この横に丸の内がある。こんなに立法、行政、司法の、要するに国家機能、首都機能、そして、その周りに政経不可分の丸の内が密接してある。これだけ機能的な大都市というのは、世界じゅうないですよ。これをあなた方は分散しようという。ナンセンスだ、こんなものは。(発言する者あり)いや、それはまあ、大いに議論をしましょう。

 ということでありまして、このプロジェクトの致命的な欠陥というものをあげつらえば切りがない。

 いずれにしろ、これも本当は質問したかったのですけれども、何か、仄聞すると、比較考量は数値化せずにやると。数値化もせずに、できるものとできないものをやるのですから、一応数値化して、その数値が正確か正確でないかという議論をするのが、私は開かれた議論だと思うし、公正な議論だと思うけれども、その手だてもとらずに、もし一切の数値化をせずに二つの候補地を比較考量するとなったら、これはやはり神様にでも頼まぬ限り不可能なことでしょうな。

 いずれにしろ、私は、国民が眺めていて納得のする手順、納得のする内容で、もうちょっと積極的に、このプロジェクトに疑問を感じ、反対の意見を抱いている学識者がたくさんいるわけですから、そういう方々を網羅して意見を聞いていただきたい。今までの参考人の顔ぶれを見ても、こういう大事なナショナルプロジェクトが、十全な参考意見をしんしゃくして行われたとはとても思えない。これをこのまま世間に諮ってごらんなさい。物笑いになりますよ、こんなものは。

 現に、この国会を構成しているあなた方以外の、賛成派以外の国会議員、衆議院、参議院、聞いてみると、みんな横を向いて笑っている。なりっこないことをやっていると言いながら、それぞれの地方は淡い望みを抱きながら余計な設備投資をして、何か展望台までつくってやっているところがあるらしいけれども、これは気の毒な話で、本当にはた迷惑な話だ。しかも、そこに使われる国費というのは全部国民の税金。この時代に、こういったものをまともに考えて、まともに行おうとしたら、本当に自分自身に傷を負わせることになりますぞ。

 私が申し上げたいことは、とにかく、この間も質問をしたのだけれども、答えが出なかった。まあ、皇居は移転しないと。天皇の国事行為というのは非常に数多くあります。国会の開会式においでになるのは、わざわざ遠いところまでお出ましになるのだろうけれども、それ以外の国事行為というのは皇居でやるということなんでしょう。皇居の定義も私はいろいろあると思いますが、常識で言えば、国家の元首がいない都市が首都であるというのも、私は余り例を見ないというか、知りませんが、オランダあたりはそうだと言う人もいますけれども。

 いずれにしろ、世の中の大まかなコンセプトとして、元首が住んでいらっしゃらない都市が首都というのは、とても面妖な話でありますし、この問題についても確たる議論がここで行われたという話は聞かないし、記録もない。返事も返ってこない。

 ということで、ひとつ皆さん、それぞれ選挙区、地域を代表していらっしゃるかもしれないけれども、お互いに国会議員なんでしょうから、やはり国というものを考え、大局の流れというものの中でこのプロジェクトがどういう意味合いを、今の時点じゃなしに、五年、十年、二十年先持ってくるか。しかも、この集積、集中というものを表象するコンピューターエージに、これだけ、歴史のもたらしたものかもしれないけれども、この二十一世紀になってみて、本当に他者がうらやむような集中というものを行い、機能的な要素というものを蓄えているこの東京というものをばらばらにするということは、私は、国家に本当に弓を引き、国家をみずからの手で毀損することになると思います。

 後は質問にお答えいたします。(拍手)

永井委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。

 本職から申し上げるのは恐縮でございますが、今、石原参考人から御発言がございました内容につきましては、来年の通常国会から開設される特別委員会の方にも十分申し伝えておくつもりでございますので、御了解をいただきたいと思います。

    ―――――――――――――

永井委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 この際、委員各位に一言申し上げます。

 質疑につきましては、理事会の協議に基づき、一回の発言時間は三分程度となっておりますので、委員各位の御協力をお願い申し上げる次第であります。また、御発言は、挙手の上、委員長の許可を得た後にお願いいたしたいと存じます。御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、挙手をお願いいたします。

大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。

 都知事には、きょうは初めてお目にかかり、意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。

 質問に先立って、ここの委員会の委員全員が選挙区や地域を抱えている利益代表者のような御発言がございましたが、それは予断と偏見でございます。私どもは、国会議員として国民のためにまず仕事をするということで来ている委員もいるという認識に立って耳を傾けていただきたいと思います。

 では、質問に入ります。

 先般、私もこの委員会に入ったときに、愛知です、愛知も候補地になっておりますが、東京都が出している資料に私の名前もそういう形で記されて、訂正を申し込みました。そういう経過がありますので御承知おきください。

 質問なんですけれども、先般、東京都から出しているこのパンフレットをいただきました。その中で、基盤と考えている東京外郭環状道路、外環は、小泉内閣の構造改革ですとか特殊法人整理に伴う道路建設凍結宣言で、現在未完成の部分が非常に重要な役割であるというふうにこのパンフレットで説明されております。石原知事の東京首都機能再生論では、外環や圏央道はある意味必須の条件のように、このパンフレット、真ん中ですね、「東京圏の整備こそが日本の国際競争力を高めます」というところなんですが、重要であると。

 個人的なことを申し上げて失礼かと存じますが、御子息が行革担当大臣ということで、この特殊法人見直し論の中で苦労なさっていると思いますが、そういう中で、特殊法人見直し論の中でいきますと、この現在の外環道ですとか都心環状がうまく回らない、これに関してどう考えていらっしゃるのかという点が一点。

 もう一つは、先般の百四十五国会での参考人発言の中で、比較考量する、問題点は、社会工学的には政経は不可分である、情報の伝達はフェース・ツー・フェースとか、経済効果は移転地だけにしかないですとか、いろいろ述べられました。

 私もやはり委員になってから、この国家の一大プロジェクトが国民に知らされていない、ホームページのアクセス件数も少ない、このまま来年の五月に決めてしまっていいものだろうかという疑問を持っているわけなんです。そうであるならば、ここで議論がまとまらないときには、私は、こういう問題は国民投票にかけてでもやはり決める、開かれた議論をもっともっとすべきだと思っているんですね。もう時間がここしかないから無理やりに結論を出そうではなくて、決まらないときには何かやはり違う方向をすることも時代の要請であると思うわけなんです。

 以上の考えに関して、知事の考えを聞かせていただきたいと思います。

石原参考人 おっしゃるとおりだと私は思います。

 この委員会の審議がその後本会議にどういうふうに持ち込まれるか私予測がつきませんが、しかし、やはりもっと開かれた、つまり、どこかの町を合併するとかという問題じゃなくて、首都というものの機能を移すということは、これは歴史的な一つの大きなエベントですよ。それを、この限りでの、要するに限られた議論、議論にもなっているかどうかわかりませんが、意見聴取で決められるということは、非常に危ういと思うし、私は国民はとても納得しないと思う。これは百年後に悔いを残す結果にならなきゃいいなと思います。

 それから、東京の環状線の問題でありますが、これはもし必要でしたら資料を後でお届けしますけれども、日本並みの先進国の首都の環状線というのは、要するに、首都機能で致命的なファクターになっているんですけれども、この完成率というのは、日本が、東京が極めて低いんです、パリに比べても。ロンドンは一〇〇%、パリも八五%ぐらい。ニューヨークとワシントンは、要するに合わせて一本というような感じの首都でありますけれども、ワシントンに関しては余りそんな問題がありませんが。

 いずれにしろ、ですから、私は、道路を一切とめろとも言わないし、それは暴論だと思うけれども、しかし、やはり道路の予算の使い方というのはかなり乱脈なものがあって、これが反省にさらされるというのは必要だと私は思います。

 ですから、この間総理にも私言ったんですけれども、そういった道路なら道路というものの建設の優先順位を、プライオリティーを決める機関というものを開かれた形でつくったらどうだと。そこで百家争鳴しても、やはりそこで順番を決める、順位を決めるということで、道路の建設者が公団で残ろうが、あるいは民営になろうが、そこで国民の納得のいく選択が行われるであろうと。その際、もちろん東京は、トップのプライオリティーとして東京に関する環状線についての主張をしますけれども、それがやはり衆目の認める形で、結論で二番目、三番目に回されるのは、私は決してそれに逆らいません。

 いずれにしろ、もっと開かれた形で道路建設の優先順位をつくる必要があるということを申しました。

松本(和)委員 私は三地区でもございませんし、どっちかというと四地区目の東京都に近いんですけれども、だからといって、別に東京都の擁護とかそういうことではございません。

 実は、感じていることは、この首都機能移転、発案があったのがちょうど四十年前、それから何とか国で取り上げようとした形になったのは十年前、情勢がかなり変わっていると思うんですよね。四十年前というのは、地価がどんどん上がっていましたから、これを引き下げるため、それから十年前も、バブルがはじけた後ですから、かなり土地に対する面ではまだまだ高目だった。ですから、一極集中が問われているわけですけれども、一極集中に対する考え方が、当時の、十年前、四十年前と今と、私は違うというふうに感じておるんです。

 ということは、当時は、十年前はインターネットもありませんでした。それから、グローバルスタンダードもなかったんですよ。ジャパニーズスタンダードだけでよかったんです。こういった中で、今、地価はどんどん下落している、それからインターネットはどんどん普及している。どちらかというと、いろいろな意味でもって都心への回帰も始まってきているわけです。ただ、残念なのは、今まで、そういった機能の変化が、構造の変化が、東京都なら東京都の変化についていけなかった、こういうことだろうと思うんです。

 そこで、知事にお伺いしたいのは、経済の抑揚というような意味からいえば、私は、三地区のうち二地区ぐらいにセキュリティータウン、いわゆるテロに始まって、これから危機管理が非常に大事になってきますから、人口十万ぐらいのセキュリティータウン、これは、アメリカのFEMAという連邦危機管理庁がありますけれども、そういったものを中心にして、いろいろな関連企業を張りつけながらやって、その地区の経済振興も図りながらやっていく。

 そして、東京都に関しましては、もうこれは二十兆かかるとか百兆かかるとかいう問題じゃなくて、どのくらい効果を上げることができるかというのがこれからのまちづくりの問題ですから、昨年せっかく大深度法といういい法律もでき上がったのでありますし、容積率なんかだって、もう二〇〇〇%ぐらいに私はすべきだと思っています、ある地区を設けて。

 それから、戦後五十数年、日本は公の倫理とか私の倫理というものをほとんど調整せずに来てしまいましたので、こういったものを調整するために、緩やかなまちづくりのための私権の制限、私の権利の調整、これをやるべきだと思うんですよ。やっていかなけりゃ、なかなか今の法律の中じゃ、幾ら収用法を適用しても適用し切れない。

 こういう観点がありますので、私はそういう観点の中からぜひ知事にお伺いしたいのは、一極集中に対する考え方が全然今までと違っているんじゃないか、そういう観点でちょっとお尋ねしたいと思います。

石原参考人 おっしゃるとおりだと思いますね。

 かつてバブルのころの、この首都機能移転が持ち上がったときの東京なら、東京の大都市の集中というのは、結局、いい点も悪い点もあったんでしょうけれども、悪い点が、極端に一番わかりやすい地価という形で出ていましたね。それは、新しい事業をしよう、あるいは新しい設備投資をしよう、あるいは新しい住宅を構えようと思っても、地価というものが決定的にマイナス要因になって動きがとれなかった。それが、やはりバブルの崩壊の後、トーンダウンしてきまして、やっとかつてこの問題が持ち上がったときの集中、集積の悪い結果というものが淘汰されてきたということは歴史的に言えると思うんです。

 しからば、片っ方、電子工学の発展でコミュニケーションというものが非常にスムーズになって、便利になって、新しい文明の進展が行われているわけですけれども、しかし、それでもなお、先般も申しましたが、やはり大阪に本社を構えている大企業の社長さんたちが、最低週に一回東京に来ざるを得ないというのは、要するに、インターネットで収集できる情報も、なお人間の感性、情念というもので、フェース・ツー・フェースで確かめることで本当の情報としてしまわれるわけですね。これは、やはり人間の尊厳だと思う。

 そういう機能を、日本は、東京は持ってしまった。これをさらに、政経不可分だと思いますが、分離する形で、例えば、仮にどこか地方に首都の機能が移転し、要するに、そこに霞が関や永田町を構成している人たちが移ってしまったときに、東京にはもちろん経済界は残るわけですよ。東京の心臓部、頭脳部というような機能は残るでしょう。しかし、その人たちが仕事をしようと思うと、政府との兼ね合いでしなくちゃいけない問題がたくさんある。現に私、東京を預かっても、半分以上はやはり国とかかわりを持たなければできないことばかりです。

 そのときに、どこかに首都が移っていった後、東京を構成している人たち、大阪の人は東京を経てまたほかへ行かなくちゃいけないのかもしらないけれども、東京の人たちがさらに新しい首都なりのところに移動せざるを得ないんで、その経費というのはばかにならないと私は思います。

 いずれにしろ、私は、私たちは歴史がもたらしたこの集中、集積というものを評価し、それをフルに生かす努力をすべきだと思うんです。

 現に、こういった東京を含めた首都圏、三千三百万の人口のヒンターランドのあるこの首都圏の機能のすごさというものに一番気づいたのは、日本人じゃなしに外国人ですよ。例えばビル・ゲイツなんかは持ちかけてきて、東京で事業をしようと、日本の資本を募って。そういうオファーが小渕時代にあって、私は、これはある意味でナショナルセキュリティーにかかわることだから、やるなら日本で自前でやろうという方を推したんですが、私は、そういう形で、そのいい集積、集中というものを私たちは生かすのが歴史的使命だと思います。

 それから、ついでに申しますと、皆さんにはこれは釈迦に説法かもしらないけれども、この問題が持ち上がった最初の原因は、つまり地震が関心の対象になって、もしこの霞が関、永田町直下の地震が起こって国会がつぶれる、官邸がつぶれるというときに、まず官邸が問題になったんです。そのバックアップシステムを、そう遠くへ行くわけにいかないから、八王子ぐらいならいいだろう、どこかないだろうか、八王子というのは実は活断層が一番多いところでありますが、いずれにしろ、東京は広いんだから、どこかへ移そうと。そうしたら、国会もやはり移らざるを得ないだろうということになって、その候補地を探したんだ。

 最初は、東京都内の中でどこへ移すかということから問題が始まった。だから、こういう大きなプロジェクトに必ずつきものの建設省が責任を持ってやった費用便益考査というのは、このケースではなかったんですよ。それがだんだんエンラージしていって、首都機能移転、どこへ丸ごと東京を移すかみたいな話になっちゃった。一方では、やるべき費用便益考査というのは一向に行われていないんです。後でつけ足しの数字は出てきていますけれども、そういうものはもっと精査にやはり審査して、そういう考査をすべきだと私は思います。

河村(た)委員 民主の河村たかしでございます。

 石原知事も、大体基本的には僕らと同じ自由主義経済を愛する人間だと思うんですが、結論から言っていきますと、私はやはり移転はすべきだと思うんだけれども、要するに、今のような基準、十年前につくったこの調査会の基準、森の中に宮殿があって、何かイラストを見ると、いつも池があって、その横に国会議員様が歩いておる、僕は、こういうのはとても耐えられぬですね。特に、今の時代的背景というのは、私も小さな企業をやってきましたので、やはりお上下々社会をぶち破らなきゃいかぬですよ、この役人社会主義みたいなのを。そういうことを石原知事もずっと言っておられましたので、そういう方向で考えていただきたいので。

 今、いい集積、いい集中を生かすと言われましたけれども、まことに申しわけないですけれども、今の東京は、天皇陛下がお住まいになって、国会議事堂というおどろおどろしいものがあって、霞が関があって、それから何か公益法人がようけあって、大企業の社長がみんな集まって、こういう構造を形づくっちゃっとるんですよ。

 だけれども、僕は、国会議員というのは、税金で食っておる方は、もっとむさくるしいところにおればいいと思うんですよ、これは本当に。タックスペイヤーこそが偉いのでね。それで、災害災害と言うけれども、災害が来るところにおればいいんですよ、国会議員というのは。(石原参考人「じゃ、東京だよ」と呼ぶ)それは、まあそうですか。もっと海の近くもあります、いろいろ、たくさん。そういうところにおって、やはりそれは、みずから体験をするというふうに変わらないといけない。

 知事の言ったこと、どういう意味を持つかというのは結構重要なので、下手すると、これが一種のスターリンの、ああいうような、巨大な社会主義政策のような、やはり税金を大量につぎ込んで、新たな親方日の丸か社会主義政策のようなことだったら私は断固として反対ですが、しかし、今の東京の状況を見ていると、本当にここに一極集中、これはもう有名じゃないですか、本社の数だとかそんなもの、芝居や何かでも半分以上はここですよ。

 こういうのはもう絶対改めてほしいということで、聞きたいのは、従来のような調査会のその基準ではなくて、まだ六十万都市とか二千ヘクタールとか、とんでもない計画なんですよ。もっと非常にシンプルに、例えば東京でいうと、これは二百ヘクタールぐらいあればいいんですよ。これは、各地区にいろいろな余った土地なんかたくさんあるじゃないですか。そういうところにシンプルに移転して、国会議員というのはもっと税金を払う人のためにあくせく働くんだ、そういう構造をとった場合、これはぜひ賛成していただきたいし、どうですかということでございます。

石原参考人 あなたの言うことは、感覚的にわかるようで、論理的によくわからないんだな。

 集中、集積というものは文明の趨勢であって、私は、それを認めた上で、その集中、集積をいかに運用するかということが大事だと思うんですよね。ですから、それをまたばらばらにするために金かける必要はないので、どっちにしたって、首都というのは何といったってかなめですから、そこにいや応なしにいろいろな形で集中、集積が起こらざるを得ない。

 ですから、そういう社会工学の原理を踏まえれば、この東京を高い金かけてほかへ移すよりも、その金の半分、三分の一でもできることはたくさんあるし、我田引水ではなしに、私は東京に集中、集積というものがあることはもちろん認め、それはとてもいい点だと思うけれども、それが過剰なものに感じられるような反面の機能の悪さというのはあるわけですね。

 例えば、あなたの名古屋はどうか知らないけれども、東京の二十三区の日中の自動車の平均速度というのは何キロだと思いますか。私は二十二、三キロあると思ったら、十六キロですよ。おばさんが自転車で走る方が速いんだ。やはり、こういう都市にとっての致命的な欠陥というものは是正されなきゃいけないし、それが是正されると、例えばこれを二十五キロですか四キロにすることで、試算すると、年間三兆円か四兆円の経済効果があるんですよね。それに対する投資というのは決してむだじゃないし、すぐに利益として上がってくるものだと私は思うけれども、それが、要するにこの種の、とんでもないところへとんでもない形ですべて物を移すみたいなプロジェクトの展開で……

河村(た)委員 それを変えた場合、どうですか。その仕組みを変えた場合。

石原参考人 変えて、何をどこまで移すのよ。

河村(た)委員 全体の規模の構成を変えた場合。

石原参考人 今、規模の構成を変えたら、日本の国家そのものがかなり大きな国で、それを運営する機能というものはそう簡単に、それは役人の数を減らしたり議員の数を減らすのは僕は大賛成だけれども、それでもやはり個人個人の負担というのは物すごく大きくなってくるし、機能そのものの総量というのは減りませんよ、それを合理的に運営することはできても。まあ、人間の数は多過ぎるけれども。

河村(た)委員 そう言いますけれども、一つのシンボルとしては、やはり僕は行き過ぎだと思いますよ、東京は。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。

 最初の知事の発言の中で、この顔ぶれではというのがありましたが、そういう顔ぶれの中に日本共産党も今いるということを申し上げておきたいと思います。

 一貫して私たちはいろいろな面からこの移転問題については反対してまいりました。この委員会に三つの問題、つまり、国民的合意形成、それから社会経済情勢の諸事情への配慮、そして比較考量、こういう問題が提起され、これが私たちの課題になっています。私たちも一生懸命今それらの問題について取り組んでおります。

 その比較考量の問題でいえば、先ほど知事が発言されましたように、数値化の問題も含めてきちんとやれということ、それは私も全くの同感であります。しかも、現時点の、そしてまた同じベースでの比較できるような数値というものも、私の手元にはまだございません。しかし、東京都の方からは資料としていただきました。やはりこれは比較考量をするためにはそういうものが必要だな、こう思っております。

 そこで、比較考量の問題では、これからこれを進めていくわけですが、もちろんそういう問題も私たち取り組んでまいりますが、さらに、比較考量というのならば、こういうところを比較していくべきだ、先ほど参考人や学者の意見というのもちょっと出たような気がいたしますけれども、こういうのが比較考量の中で取り組むべき課題だという点がありましたら、お考えをお聞かせいただきたい。

 それからもう一つは、国民的な合意の形成の問題であります。

 私たち、この委員会の中でも何回か議論しておりますが、到底今の状況で、それは移転先の地域はそれなりにいろいろ宣伝していますから、この問題について関心をほかの国民全体よりは持っているかもしれないけれども、北海道へ行ったりあるいは九州の先、沖縄へ行ったときに、果たしてこの移転問題というのが実際に国民的ないろいろな論議になっているかというと、決してそういう状況じゃない。

 ならば、私たちに課せられた問題は、国民的合意をどう形成していくかという課題ですから、知事、もし、こういう方法で国民的合意を得なきゃだめなんだという御意見でもあったら、ぜひお聞かせいただきたいと思うわけです。

 以上、二つ。

石原参考人 要するに、この委員会の審議というものがもっとディスクロージャーされて国民の関心を引きつけなければ、国民の意見というものも出てきようがないし、反映されようもないわけですね。

 そういう努力を私なりにしてきましたし、ただ、それは東京ひとりがばたばたしてもまさに蟷螂のおのでありまして、だから、やはり事の深刻さというものを、私は私なりにいろいろなメディアを通じても説いていますが、ただ、やはり国民もいろいろな関心がたくさんありますから、これがせっぱ詰まった形で、タイムリミットにひっかかって、えっというようなことにならない限り、国民というのはほかにいろいろな出来事があるから関心を持ってきにくいと私は思います。

 先ほどの、比較考量の対象とすべきものというのは、例えばこれは数値化、計数化しにくいと思いますけれども、国際空港が付随してあるかないかということの経済効果というのですか政治効果というのでしょうか、これは非常に計量しにくいものですけれども、やはり都市工学の原理からいったって不可欠の要因ですから、こういったものはちゃんとしんしゃくしていただきたいと思う。

 それから、きょう役所の方が慌てて何か資料を皆さんに配ったみたいで、私の手元には来ていませんけれども、恐らく東京の出した同種類の数値と違うでしょう。結構なんです、それは。違うことが大事なんですよ。要するに、違うことで、そのディファランシーというものの精査がより専門的に必要になってくるわけでありまして、いろいろなデータをやはり出すことが大事だと思います。データも出さずに、そんなものも踏まえずに、総体的に物を決める、トータリーに決めるということは私はできないと思う。

 東京も、かつて体育館で反対の大キャンペーンをしましたが、あなたのところの不破委員長も珍しく来てくれまして、同じ壇上に座って、僕が石原さんと同じ壇上に座るのは初めてだなんて言うから、これは初めてで最後だろうと言ったんだけれども、まあ、是々非々でいきましょう、お互いに。

蓮実委員 自民党の蓮実でございます。

 今、知事さんからお話がありました首都移転の再検証について、これは事務局からちょっと預かったのですが、この試算でいきますと、東京都の試算では二十兆一千億円かかる。首都機能移転の審議会のモデル試算ですと、これは平成九年の試算なんですが、これでいきますと十二兆三千億なんです。それで、東京都は平成十三年に試算した二十兆。これだと実は七兆八千億円違うのですよ。東京都がべらぼうに高くなっているのです。

 我々が今試算しているのは、当面四兆円、そのうちの国費が二兆三千億円、民間が一兆七千億円、すなわち、国会で決まったら二兆三千億円で十年間かけて建設をしようという検討を今しているわけです。これと比較しますと、東京都がべらぼうな金額になるのです。

 私は、都市再生というのも非常に大事だと思っているのです。先般来都知事さんが、都市再生のために十五兆円ぐらい東京都は必要だと。十五兆円東京都にかけますと、この我々の試算でいきますと国会移転が八カ所できるのです、八カ所。そのくらい東京都というのは金がかかり過ぎるのです。そういうこともひとつぜひ御認識をいただきたい。

 知事さん、これからの日本の社会、経済をどのようにつくっていくか、国会の移転で具体的にしていくべきだろうと私個人は思っています。

 そこで、IT化。先ほど、用があったらすぐ国際空港を使ってワシントンへ飛んでいくとかいろいろお話がありましたが、IT化の時代であります。ITの問題、それから教育、科学技術、産業の空洞化への対応、高齢化の中の医療のあり方、具体的に示すためにも全く新しいところで私はやるべきだろうというふうに思っております。

 また、東京再生、知事さんが心配されている東京再生、これも経済性の東京都市再生というものは具体化すべきだろうというふうに並行して思っております。

 そこで、知事さんにお伺いしたいのは、これからの新しい二十一世紀に向けた日本の国づくりを東京だけで全部引き受けてやれるのかどうか。一億二千万人の日本国民が、全国で安全で幸せで豊かに暮らせるようにできるでしょうか。私は、全国の地域の人たちが生きられるようにしなければならないだろうというふうに思っております。金にしても人にしても物にしても、地域に分散をしなければなりません。そのために私は移転が必要だと思っておりますが、知事さんのお考えをお伺い申し上げたいと思う。

石原参考人 さっき挙げられた数字ですけれども、これはちょっと、もうコンセプトが違うのですよ。あなたの言う四兆円というのは、約十万人の都市でしょう。私たちの試算は、国会、最高裁判所、中央省庁のすべて、将来、成熟段階で五十六万人の規模の都市という形で、おのずと数字も違う。この数字はいろいろひとり歩きしますからね。その背景を問わずに、その四兆円と十二兆では違うじゃないかという議論は非常に乱暴で、世間に誤解を与えやすいから、こういう数字の精査は、その両方の数字を突き合わせて専門家を含めてちゃんとやったらいいと思う。

 今のあなたの後段の御質問だけれども、私は東京だけで日本すべてを賄えるものじゃとてもないと思いますよ。ですから、地方に対する分散ももちろん必要でしょう、それは。それをどういう形で、首都の機能として分散するのか、何まで分散するのか。東京も、抱えていなくていいものもたくさんあると思うし、それは冷静にみんなで精査して、そういう処置をとったらいい。

 私は、特に東京―大阪間の東海道軸というのは日本にとってとても大切な地域でありまして、こういったものの充実は、やはり相当思い切ったプロジェクトの展開でやったらいいと思う。

 私が運輸大臣のときに、あそこでやっているリニアを、宮崎の親友の江藤隆美なんかに随分怒られたんだけれども、やがて、要するに第二東海道線という形でその候補地の中に組み込んで、ちょうど東海道線の、新幹線というのを真鶴―根府川あたりでやったみたいに、やはりその候補地に移そうというので、東京のまず近郊でやったらどうだというので、結果として山梨県へ行っちゃったんだけれども。

 あれでも、つまり、いろいろな技術的なボトルネックがありますが、金丸さんなんて何か勘違いしてか山梨にとめるつもりでいたけれども、とまるわけはないんだ、あんなものは。要するに、名古屋にワンストップして、東京と大阪をドア・ツー・ドアで五十五分で結ぶみたいな、そういう飛行機に近い列車ですから。まあ、これはなかなか時間がかかるでしょう。

 いずれにしろ、そういったものを踏まえて、東海道軸のようなものを冷静にとらえて、ここに東京の分散、機能の分散、その他この他、やはりそういう時代がナショナルプロジェクトとして展開されるべきだと私は思う。

 私、政府にも言っているんだけれども、例えば、日本は外国にたくさん金を貸しているんで、日本が持っている、政府だけで三十兆ぐらい買ったのかな、民間を合わせれば三百兆に近いアメリカの国債を、ボンドにして担保して外国から金を集めたらいいんですよ。それは担保があるんだから。それで何をするかということですよ。私は、やはり東海道軸の開発などということは非常に有効だし、もう既にインフラがちゃんと整備されてあるんだし、これは非常に将来可能性のある一つのプロジェクトだと思うんですけれども。

 要するに、そんな形で機能の分担というものは進んでいくべきで、ただ首都を、東京に物が集中、集積しているからどこかへ移すというのは、私に言わせると、非常に非文明的な暴論でしかないと思う。

中井委員 自由党の中井です。

 石原さん、ごぶさたをしております。あなたの先ほどからのお話を聞いておると、環境庁長官時代のいろいろなことを思い出して、ちっともお変わりになっていないなと懐かしく聞いておりました。

 先ほどのお話の、昨年の決議、そしてことしの申し合わせ、違うじゃないかというお話は、私どもにお問い合わせいただければ何でもないことで、昨年五月は私が委員長をしておりまして、そこにおられる永井委員長が民主党の筆頭理事で、二年かけて三候補地を絞り込む、そして東京都と比較対照する、こういうことを委員会として決議いたしました。

 これを受けて、どういう審議をするかという中で、理事の間で、東京都を抜きにして三候補地を一カ所に絞り込むという作業は大変難しい、したがって、東京都の御意見もいろいろ聞き、あるいは東京都の実情もいろいろと調べ、その中で三候補地を絞っていく、その絞り方について理事間で申し合わせをしたわけでありまして、私どもから見れば方針を変えたわけでも何でもなく、逆に東京都のいろいろな運動に対して極めて配慮をしたと私どもは考えています。そういう意味で過般東京都へ視察にも行かせていただきました、きょうはお忙しい中お越しを賜りました。東京都さんのおとりになっていらっしゃる対応を私はその二回しか知りませんが。

 残念なことに、ああいう対応で御意見を言われるということは、この委員会の中にもかなり首都機能移転については慎重、反対の方がいらっしゃいますが、そういう中でこの賛成者をどんどんとふやしていく方向に動いてしまう、こう心配をしておりますので、東京都も優秀な職員がおられるんでしょうから、十分御連絡をおとりいただき、また資料等もできる限り基礎の数値を合わせていただいておつくりをいただく、こういうことでぜひお願いを申し上げたい。

 例えばここに出ておる二十兆、大変貴重な資料をお出しいただいたことは感謝いたしておりますが、二十兆かかるという費用のうち約一兆円は土地代だということになっております。しかし、今三候補地が候補地として残りました大きな理由の一つは、国有地がかなりあって土地買収にほとんどお金がかからない、こういったところで候補地として残ってきたと私どもは理解をいたしているわけでございます。

 あるいはまた、国会図書館をつくらなきゃならない、これが抜けている、こう言っておりますが、関西国会図書館というのがもう既につくられかけておりまして、これを使うということになればそれも要らないということもあるわけで、それぞれあるわけですから、一方的に反対のためだけの資料をおつくりにならずに、ぜひ事務局同士、もう少し従来の経過も踏まえられて、冷静な資料をおつくりいただいて、比較対照の資料をお出しいただきたい。

 その中でぜひお考えいただきたいのは、依然として首都移転反対だとおっしゃっていらっしゃる、首都移転だと言い続けていらっしゃる。私どもは、首都機能移転ときちっと明確に位置づけてやっている。知事が御提議なすった首都とは何ぞやということは、確かに大変大事なポイントであり、また非常に私どもも気をつけて議論をしていかなきゃならない問題だと思っています。私個人は、元首である天皇陛下のおられるところが首都だ、こう思っております。

 逆に、それじゃ今東京都が首都だとおっしゃるんなら、首都というのは二十三区なのか東京都なのか千代田区なのか、それだって何の規定もないことであろう、こういうふうに思いますから、私どもはここのところを首都機能移転だと言いながら議論をし続けている。東京都も早く同じ舞台にお乗りいただいて、それで反対運動とかあるいは資料提出をしていただく、こういったことで、おっしゃるような冷静な議論をしていかなきゃだめだ。

 今のままだったら、感情論、すれ違いになっちゃって、国会は、石原慎太郎があんなこと言うんなら、もうそれじゃ首都機能移転決めちゃえという空気になっちゃう。それも天下国家でいけば残念なことだぞ、僕はそう思うんです。

 だから、石原知事が、どうぞひとつ事務局にも御命じいただいて、冷静に、また私どもと共通の数値や認識から堂々と反対をされる、他の候補地と比べて東京都はこれだけすごいぞと、こういう議論を展開される、このことを強く要望をいたしておきます。

石原参考人 何かあなたのおっしゃっていること、よくわからぬがね。

 私は、確かに高い声を出したかもしれないけれども、それは冷静に怒っているのでね。

 それから、東京の出した資料が冷静さを欠いているというのは、とてもおかしいですね。

 だったら、国なら国の資料とすり合わせる議論をしたらいいじゃないですか。

中井委員 しましたが、ちょっと数値が違い過ぎているでしょう。

石原参考人 いや、違い過ぎるって……。その背景にあるものが違っているんだったら……

中井委員 いや、基礎が違うじゃないですか。基礎を一緒にしてもらわないとだめだよ。

石原参考人 だったら、幾らでも今度できますよ。そういう作業をしたらいいじゃないですか、委員会が請求して。

中井委員 いや、つくってください。あなたの方がつくってよ。あなたの方がお出しになったんでしょう。

石原参考人 いや、東京が出している。そうしたら二種類のものをつくったらいいじゃないですか。

 例えば、人口五十六万に想定するのか、約十万に想定するのか、これだって物が違ってくるでしょう、背景が。二通りの資料をつくったらどうなんですか。

中井委員 だから、五十六万の想定しかもうなくなっているじゃないですか。東京都が勝手に想定されているだけじゃないですか。

石原参考人 それなら、十五万と十万でつくりますよ。それで、そのすり合わせをしていただきたい。

 それから、首都機能移転、首都移転、これは言葉のあやみたいなようで、実は大事なことでありまして、つまり、首都というものは一体何かという定義を、再三要請をあれしているけれども、法制局を含めてわけのわからない返事しか来ない。それで、辞書を引いても、国家にとっての中枢の機能と。国家にとっての中枢の機能といったら、それはやはり行政、立法、司法でしょう。それをそのまま移せば、あと何が残るんですか。まさに首都機能の移転というのは首都移転じゃないですか。あなた方が移転させようと思ったのは、要するに行政、立法、司法でしょう。これがまさに首都の決定的要因だと辞書にも書いてあって、その三つを持っていって、残ったものは何が東京に残るか知らぬけれども、東京はもはや要するに首都とは言えないでしょう。移ったところが首都になるんだよ。

中井委員 いや、ならない、それは。

石原参考人 ああ、では辞書を読んだらいいよ、もう一回ちゃんと。あなたの言っていることはよくわけがわからぬ。

中井委員 すぐに辞書、辞書と言って、昔から……

石原参考人 いやいや、そうじゃない。では定義をしてくださいよ、あなた。

中井委員 それは天皇陛下のおられるところだよ。

石原参考人 それだけじゃないでしょう。

 それでは、元首のない国は何なのですか。元首のない国は大統領がいるか。

中井委員 世界の首都を定義しているんじゃないですから。日本の首都ですよ。

石原参考人 ですからね、国家の元首がいるところだけが首都ですか。

中井委員 そうですよ。

石原参考人 はあ、それはおかしいな。初めて聞いた定義だね。

中井委員 それで結構です。その理屈で来ていますから。

 結局、首都移転反対と言われ続けるのですか。

石原参考人 いや、首都機能移転、要するに国家の中枢の機能を移転すれば、首都が動くことになるじゃないですか。

中井委員 いやいや、違うな。それは違います。そこのところをわざとやられちゃだめだよ。

玄葉委員 玄葉です。きょう初めて石原都知事の話を聞かせていただきました。二、三御質問を申し上げたいと思うのです。

 一つは、集中、集積というのは文明の趨勢であるということであります。歴史的な集中なんだというお話でありますから、ぜひお聞きをしたいなと思うのは、これまでの日本における遷都と言われるものについて、知事としてどのように評価をされておられるかというのを、まず一つはお尋ねをしたいというふうに思います。

 もう一つは、政経不可分という問題でありますけれども、なぜ政経不可分であることが望ましいのかということであります。これは一つの大事な論点だというふうに思います。例えば、アメリカはもう御承知のとおり。中国も北京、経済の方は上海とか香港が頑張っているという姿が一方であったりするわけですけれども、なぜこれからの日本が政経不可分であることが望ましいのかというふうにお考えになられるかということが二点目。

 三点目は、先ほどの松本さんの御議論にも関連するんですが、私も今三期目なんですが、石原都知事が現職の国会議員であったころの国会等移転の問題に対する姿勢がわからないので、国会議員だったとき、石原都知事はどのような姿勢といいますか、対応をしておられたのか。そこはまだ私も調べていないのでわかりませんけれども、そのことも含めてお尋ねをしたいと思います。

石原参考人 まず三点目からお話ししますが、私は終始反対でありました。

 これは金丸という好ましくない政治家が突然言い出しましてね、社会党まで籠絡されて、みんなるんるんで立ったの、起立して。私は金丸さんの割と近くに座っていまして、金丸さんが、おい、石原君、君反対かいと言うから、私は反対ですなと言って座った。それで、心のある自民党の東京都出身の代議士は私のほかに三人ぐらい座っていましたが、だれだか覚えていません。賛成で他の議員が全部起立した中で、自民党で座ったのは私を含めて四人。それから、はるかかなたに共産党は反対で座っていました。これがあの時点の現況であります。

 それから、遷都の問題ですが、要するに過去の日本の国における遷都はみんな政治的な背景がありまして、例えば典型的なものは、奈良から京都へ移った。これは、とにかく仏教が幅をきかせて、もともと皇室というのは神道から出たプリーストですからね、それが仏教徒の圧力の中で結局あの都を捨てて京都に移ったのですね。そういう、宗教を背景にした政治的な背景があった。これと現代における遷都というのは違うと思いますよ。例えばメルボルンもそうですし、あるいはブラジリアもそうですけれども、一つとして成功した例がない。要するに、都市としてのマチュリティー、成熟というのが一向に見られない。だから、もうこれは完全に失敗したと思います。

 それから、政経不可分は、経済というのはやはり能率を追求する人間の方法ですから、能率ということから考えれば、政治とのかかわり合いというのは非常に密接です。その政治と至近の距離で、いろいろな形で複合的にコンタクトすることが経済にとって必要なので。

 特に過去の日本というのは一種の官僚統制国家でしたから、一種の社会主義みたいな国だったから、この中央集権の中で経済が政治と接触する機会が多かった。私は、それはそう簡単に変わらないと思いますし、これからもそれは当分続くでしょうし、ある意味で経済と政治の連脈というものは日本では非常に成熟した形で来たし、そういう意味で、当分これからも経済と政治というのは物理的に至近の距離にあることの方が能率も追求され得るし。つまり、かなる経済だって、立法、行政というものにコントロールされるわけですからね、いかに自由主義経済社会であろうと。私は、やはりその限りで、物理的にそれが至近の距離にあるということは大変に結構なことだと思います。

玄葉委員 よろしいですか、せっかくなので少し。いいですか、もう一回。

永井委員長 手短に。

玄葉委員 今の話は、だから私もそれがちょっと論理的によくわからない。最後の部分ですね。つまり、これからの社会、なぜ政経不可分でなければいけないのか。

 例えば今は行革相なんかが中心になられて規制緩和の大合唱なんかがあるわけでありますけれども、それは具体的には、やはり政と官の関係あるいは経済の関係というのを少し切り離しましょうということですよね。だけれども、率直に言ってなかなか進まない。なかなか進まないから、これは全くのワン・オブ・ゼムの理由だけれども、なかなか進まないから物理的に離しましょうというのが国会等移転の推進の理由の、ワン・オブ・ゼムですが、一つなんだと私は思うのですけれども。

 あえて成熟という言葉を申されましたけれども、私なんかは、少しそれが、結局悪い言葉で言うと、何か癒着みたいな形に残念ながらなってしまって、少し物理的に離すということが国益論からして必要なのではないかという議論は当然起きてくると思うのですね。

 ほかにも幾つかちょっと申し上げたいことがあるのですが、短くということなので。

石原参考人 規制緩和というのは遅々としてはかどりませんが、それでも、つまり外圧などがあれば、しなくていい緩和までした節もあるし、自由化も進みましたな。

 でも、やはり経済というのは、官僚統制国家に限らず、行政というものにいつもパッシブに非常に影響を受けやすい存在だと思います。私は、経済が政治を強く規制したという例を余りよく知らない。あり得るかもしれないけれども、日本ではまあとにかく余りなかったですな。

 しかし、官僚は、自分たちの経済のハンドリングが功を奏して日本はここまで成長したと言うかもしれないけれども、実はそうじゃない。それはそうじゃないのですよ。松下幸之助だって、ソニーの盛田昭夫だって本田宗一郎だって、そういう人たちは官僚が育てたのではない。つまり、官僚がその成績において彼らに負うているところが大なだけでありまして。

 ですから私は、今あるいろいろな規制というものはほとんど不必要なものだと思いますけれども、しかし、なおやはり規制のないというか、行政というものが全くコントロールしない経済というのはあり得ないと思いますね、それは。かえって野方図になって、要するに利益追求というか、欲望追求というか、そういう形で経済が野方図になっても困る。だから僕は、やはり経済と政治というのは、形は変えても不可分のものだと思います。それじゃなかったら、両方ともいい意味での規制がないと思う。

 だから私は、やはりそれが人間と人間の接触という形で形成されていく限り、物理的に近いところにあるというのは非常にいい集中だと評価しています。

林(省)委員 自由民主党の林省之介でございます。

 私は、この委員会に所属したのが、ことしに入ってからでございます。そして、三候補地もすべて視察に参りました。東京都にも寄せていただいて、浜渦副知事は私どもと同窓でございまして、いろいろと意見の交換もさせていただきました。

 その後、やはり国民の合意形成がどの程度に進んでいるのだろうと、インターネット等でもかなり我々の方としては発信をしておりますが、極めていいかげんな程度の反応しかない。

 選挙区内でもいろいろなことを聞きました。ではなぜ首都機能を移転しなければいけないのかという話をいたしますと、皆さん単に地元のエゴで移転したらいいというようなことをおっしゃる方は極めて少ないんですね。むしろそれよりも、先生、都市部というのはどうしても便利だから人が寄るんですよ、人が寄るから、また不足が出てくるからまた便利にするんですよ、また人が寄ってくる。こんなイタチの追っかけっこみたいなことをやっているんじゃないでしょうかね。東京だって、今知事さん、なかなからつ腕家の知事さんで、どんどんと都市基盤整備もなさり、あんなことをするとまた東京に人が行きますよと。これは大阪の人間が言うんですよ、私の選挙区は大阪ですから。

 そういうことで、どうもこの間の、特に九月以降、あのアメリカの同時多発テロ以降、例えば、日本で東京にああいうことが起こったらどうなるんでしょうねというような議論。あるいは地震、これは避けて通れない、いつあるかもわからない。また、移転先が絶対地震がないとも言えない。ただ、過去の例として、例えば、大きく離れている地域が同時に壊滅的な地震がいったというような例は、私の知っている限りではないはずでございますから、万一のああいう不測の事態に備えて、一定の機能を、いつでもその機能が果たせるところに首都機能の一部を持っていくということについては賛成だという方が、私がいろいろ意見交換した中では圧倒的だったわけです。

 だから、知事のおっしゃるような首都移転、あるいは、機能を全部持っていくというのじゃなくて、いつでも何かがあったときにはそれに対応できる措置が、代替のところがある。私なんかは、そういう意味での、首都というよりはむしろ国会等の一部移転というところで賛成をいたしております。あくまでも一部でありまして、そして、いつでもそういう代替機能が果たせるんだということだろうと思うんです。

 したがいまして、三候補地を絞り、どこにどうなるかということはわかりませんが、僕なんかは、理想的には、もうこれだけ皆さん一生懸命、うちへ来てくださいという各県の候補地の知事さんの御要望なんというのは熱心なものがございますから、三つともに行けばいいじゃないかと。国会はどこどこに。それはもう、連絡は大変ですよ。だから、もうインターネットの時代になっているんですから、そこで十分できるじゃないですか、インターネット会議だってできるじゃないですかというふうなところでけりもつくだろうと思いますので、とりあえず、私の今申し上げた、皆さん方に一番多い意見は、やはりそういう不測の事態に備えて、国会等の一部の機能を持っている都市が他にあるということについて賛成ですという、私もそういう考えに近いんですけれども、この件については、知事はどういうふうにお考えになられるでしょうか。

石原参考人 その限りでは、私はおっしゃるとおりだと思いますね。バックアップのシステムがないというのは非常に不安ですし、それがやはり一つの大きな保険にもなると思うんです。先般の貿易センタービルだって、モルガン・スタンレーなんという、本社があそこにあって、全滅したわけですな。しかし、要するに、本社としての資料、データというものは全部ちゃんとバックアップに、ほかへ分けて置いてあったので、銀行はそこで完全に壊滅するということなしに済んだわけでしょう。

 私は、それは東京の国会なり、特に内閣という機能をどこかにバックアップしておくということは必要。それは、閣僚も全員死んだ、国会議員も死んじゃったと、これは別ですけれども、生きているわけですから、その人たちがどこでどういう会議をしてどういう運営をするかということは、その施設を設けたらいいので。

 だから、最初の始まりは、ここに直下型が来たときに、これだけの建物が、官邸も今度建て直すらしいけれども、壊滅することはまずないと私は思う、耐震構造で。だから、それは余計な心配な気がするのです。

 それにしても、細心に配慮してバックアップの施設をどこかにつくるということは、それは当然だと思うけれども、つまり、ここを空にして機能を全部移すということは、ちょっと本来のバックアップというものの概念から外れてしまって、新規の事業ということになりますから、私は、それは本当に大きなむだだし、東京の特性を全く認めない暴挙だと言っているわけであります。

田野瀬委員 繰り返しになるんですが、平成二年に国会で決議をされまして、それにのっとりまして国会等移転に関する法律ができて、調査会ができて、審議会ができて、いよいよ大詰めの最終コーナーにこの委員会も来ておるところでございます。その間、この委員会は百二十五回を数える開催数でございますし、七十五人に上る参考人にも来ていただいて、十分議論を尽くしてきたところでございます。

 先ほどの知事さんの御発言、非常に先鋭的で侮辱的で、この委員会に対して、あるいは国会に対して、国会の決議という非常に重いことに対しても非常に侮辱的発言が多々あったかと思うんですが、どうして知事に、そんなに先鋭的にならざるを得ない、駆り立てるものがあるのか、どうも私は疑問に思えてならないわけでございます。

 事実、きょうは初めて私も東京都の「再検証について」というのを見せていただいておるんですが、もう一度そのパネルをちょっと見せてくれませんか。

 先ほどの知事の御説明では一つのクラスターに各省庁、あとの一つに国会というような御説明でございましたが、(石原参考人「いや、どういうふうに分散するか知りませんけれども、持っていった機能をそのクラスターに分布させるそうですよ」と呼ぶ)東京都の永田町、霞が関よりまだ小さいクラスターなんですね、それは。そこに政治、都市機能を全部持ってくるんですよ。ここは住宅であったり商店街であったり。

石原参考人 ですけれども、この距離、クラスターとクラスターの距離を考えて。これは同じ縮尺ですから。

田野瀬委員 いやいや、ですから、一つのクラスターに国会議事堂が来、あるいは各省庁が来るんですよ、そういう計画になっておるんです、調査会の報告では。

石原参考人 しかし、それは分散しているんでしょう。

田野瀬委員 分散はしないんです。一つのクラスターにやってくるんです。

 しかも、東京都のこの試算によりますと、先ほど蓮実委員からも話がありましたように、東京都の過密都市の非常に高コストの整備手法でもって計算されておるんです、すべてが。逆に、東京都はこれぐらい金がかかるという裏づけの話になるんですが、東京都がまとめられた資料は、私は反対のための非常に誘導的、恣意的資料に思えてならないんですね。

石原参考人 だから、それは議論したらいいじゃないですか、資料を比べて。

田野瀬委員 だから、これをつくる前に東京都はもっと議論すべきですよ。これはもう既に資料が十分あるんですから、国の方に。国の方に十分あるんですから、それと一つ一つすり合わせしながらこの資料をつくっていただきたい、こういうことを強く思うわけでございまして、いよいよ最終コーナーに入っておりますので、どうぞひとつ冷静に、確実に、的確な議論を我々やらせていただきたい、こんなことを強く思いますので、答弁いただきます。

石原参考人 それから、ちなみに申しますと、これは現地の候補地の出した資料にのっとってつくった図ですから。

田野瀬委員 現地の報告でもそうなんです。現地の報告でも一つのクラスターに……。

 それと最後に、あと一つ。

 これも恣意的に思えてならない。この首都機能なんですね、中井委員の。これをぜひ国会等に切りかえていただきたい、これからは。我々は首都機能という言葉も公式には使っておりません。国会等という言葉をずっとトータルで使っておりますので、東京都もそれにひとつ変えていただきたい。首都機能ということは一切公文書に出てきておりません。

石原参考人 何度も国会等の等に何が入るかという質問をしているんですよ。「「国会等」の定義である「国会並びにその活動に関連する行政に関する機能及び司法に関する機能のうち中枢的なもの」が具体的に何を指すのか、との御質問についてですが、更に具体的に言えば、「国会」としては、衆議院・参議院及びそれらを支える両院事務局及び法制局等、「その活動に関連する行政に関する機能のうち中枢的なもの」としては、」云々で、こんな答えが羅列されているわけだ。要するにあれでしょう、主なものは行政も立法も行くということでしょう。(発言する者あり)行くということでしょう。(発言する者あり)いや、だから、それはとにかく、中枢の機能が移るということは首都が移るということじゃないですか。(発言する者あり)

永井委員長 国会等の移転についてで。

石原参考人 それから、今の御発言で、私は、国会の決議というのは非常に大事なものと受けとめている、私も国会に二十五年いましたから。ただ、国会の決議にもいいかげんなものは随分あるじゃないですか。金丸なんて、けしからぬ、非常に悪い影響力を及ぼした政治家にみんななびいていて、あのときに、とりあえずどこかにいつか首都を移すという、こんなばかな決議をした国会というのは、世界じゅうないよ。

田野瀬委員 そのばかとか(石原参考人「いや、ばかげているからばかげている……」と呼ぶ)あきれたとか(石原参考人「あきれたもの」と呼ぶ)非常に人権を無視するような(石原参考人「いや、人権じゃないよ、国民はこれを眺めているんだから」と呼ぶ)国会を無視したような、そういう発言は、少なくともこの国会ではやめていただきたい。

石原参考人 いや、ただ、私は、国会を重視して、尊重しているから……

永井委員長 今、田野瀬理事が言われましたように、本委員会の権威にもかかわることですし、国会の権威にもかかわることですから、本委員会におかれましては、冷静に、しかも品格のある言葉遣いをもって議論を深めていただくことを希望いたします。

石原参考人 私は、インテリやくざだから品がないかもしれませんが、しかし、国会の決議、国会の権威といいますが、ある悪い影響力を駆使した政治家にこびて、明らかにそうですよ。いつ、どことも決めていない(田野瀬委員「私はいなかった、国会にいなかった、そのとき。国会にいない人はいっぱいおりますから」と呼ぶ)いや、とにかく、いつかどこかへ国会を移そうという決議をするというのは、だから、つまりその残滓というのは今日に及んでいて、この決議そのものがある意味じゃ国会の決議の対象になるほどレジティマシー、正当性がないんですよ。それは過去の歴史だって、日本の国会が全部一〇〇%すべて正しい決議をし、それが国民に納得されたか。随分間違いやってきたじゃないですか、これはその最たるものの一つだ。

田野瀬委員 これは、金丸さんがおるときに国会に在籍しておった人、何人おりますか。一人だけですよ、知事。

石原参考人 いや、だから、過去の歴史を知って物を言ってもらいたいというの。歴史を知って物を言ってもらいたい。あの決議……

永井委員長 石原参考人から今お話がありましたように、決議にもいろいろな決議がある、いいかげんな決議があるというお話でございましたけれども、少なくとも決議を国会で、国権の最高機関で、どんな内容であろうともされたことは事実でございまして、そのことについては、やはり国会議員としての見識を持って対応すべきであると考えております。

肥田委員 私、かねがねちょっと思っているんですけれども、どうもこの委員会でしている議論が国民的に広がらないということ。それで、これはもう若い人たちにこれから任せていくこの国の形でございますので、ぜひ若い人たちがたくさん入ってくださる、そういう場も持ってまいりたいと思いますけれども、一つお尋ねしたいのは、知事ならば、この議論、もう最終コーナーに来ているというお話も先ほどございましたけれども、この議論を国民的に盛り上げるために何かアイデアがあったら教えていただきたい。

 もう一つは、やはりあっちへ持っていこう、こっちへ持っていこうという綱引きの前に、自分がどういう二十一世紀のこの国の形をイメージしているかという、そのことをまず発言していくことも大事であると私は思っておりますし、そうやって皆さんもしていらっしゃいましたけれども、知事に、二十一世紀のこの国の形をどういうふうにイメージしていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。

石原参考人 二十一世紀における日本のあり方、形については、これはもう議論百出でしょうから、ここで私が申し上げても長い話になりますけれども。

 この政治イシューについて国民の関心を喚起するというのは、いろいろな方法があるでしょう。しかし、やはり政府も動きませんと、政府自体がこの問題をどうとらえているかさっぱりわからない。それで、やはり政府は政府ですから、時の為政者というものはこの問題にある意識を持って、タウントークでも何でもそれを国民にぶつければ……。それは、小泉総理大臣にこの問題についての関心を言っても、いや、それは国会に預けてある、彼は逃げるでしょうよ。

 しかし、それぐらい、つまりこの問題というは、限られた人間しか関心を持たない、国民が良識的に、それを調査してごらんなさいよ。国民投票したらわかるけれども、そんなことなかなかすぐにできませんわな。私は、やはりそういう現実というものを皆さん直視されて、結局最終的に冷静な判断をしてもらいたいと思いますよ。

 それで、やはり、こういう時代ですから、情報というものをどんどん公開して、どういう議論が行われているか。

 それは、かつて金丸が全盛のときに、いつ、どこでもいい、とにかくどこかへ、いつか国会を移そうなんて決議をするといったら、国民は笑いましたよ。しかし、それはもう本当に国会という、ばかばかしいでかい建物で、一種の密室の中で行われたんだから。みんな照れ隠しに笑いながら立ったんだから。中井さんだって立ったんだろう。

永井委員長 一言肥田発言について申し上げたいと思いますが、私は、この通常国会から臨時国会にかけて、二つの国会で本職を務めさせていただきました。何とか国民的な議論の盛り上がりを期待して、ホームページも開設し、そのときにわざわざ常任委員長室を使って、記者の皆さん来てください、メディアの皆さん来てください、大声で呼びかけた経験がございます。

 しかし、翌日の新聞にホームページのアドレスを報道したのは一社です。あとはどのメディアも無視する形で、報道をしていただかなかったことをきのうのことのように思っておりまして、一体どうしたら国民的な合意が盛り上がるんだろうかということをつくづく考えているところでございまして、私も、肥田委員と同じように、石原参考人からもこのことをお聞きしたいなと思っていたところでございまして、お許しをいただきました。

松本(和)委員 ただいまの関連なんですが、実はけさ、自民党の都市再生本部の取り組み状況、都市の再生をしようというのが小泉内閣の大命題ですから、その中で、第一次決定で「中央官庁施設のPFIによる整備」というのがありまして、今国民的な理解や盛り上がりが少ないというのは、考えてみますと、移転というようなことを議論しようということが決まってもう十年。その中で、官庁はどんどん建て直している、首相官邸初め。

 それから、私がたまたま出てきたときには、移転もやむを得ないかなという形のものを考えていた。例えば、その跡地を使ってもっと高度な科学技術や医療技術のセンターでもつくったらいいかなというふうに自分で考えていたんですが、実際、そのときに、数字が間違っていればおわび申し上げますけれども、二百十ヘクタールだかなんかが官庁内にあく、移転すれば。ところが、今もうその七〇%の百四十ヘクタールぐらいしかないんだということで、新しい官庁は、党の中でもってこういうふうに、これは自由民主党の方の都市問題ですけれども、民間のPFIを使ってどんどん促進しようという言い方をしているわけですよ。

 そういうことを聞いていますと、私は、冷静に考えていて、これはいろいろな問題を考えるんですけれども、これじゃ、どうせ政府は、首相官邸に総理が入ってしまって、その総理がもう居心地がいいからここでいいということになれば終わりじゃないかというふうに考えちゃいますよ、ほとんどの人は。

 ですから、この議論をあわせてずっとやっていかなかったらおかしいんですよね。これは、もう十年間こういうふうにやって、どんどん建て直ししていて、なおこれを強化しているんですから。それと、中央官庁を移動するということとどういった整合性があるのかということを、少なくともきちっとやらなきゃだめだというふうに私は思いますので、その辺について、知事は、意見は結構でございますけれども、私はそういうふうに考えていますので、今、たまたま国民の理解が得られないと言いましたから、これじゃ理解が得られるわけがないんであります。

永井委員長 御意見でよろしいですか。

松本(和)委員 はい、いいですよ。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。本日は、お忙しい中お越しいただきましてありがとうございます。

 知事のお話の中で、次の三点は賛同させていただければと思っているんですが、一つは、知事は数値化というお言葉を使っていらっしゃいましたが、これは多分工学的には正確には数量化だと思うんですけれども、できるだけ実質的なデータをも含めて数量化の比較をしなさいということは、これはもうおっしゃるとおりだと思います。それから二つ目の、時代の変化に合わせて見直しもする、これもそのとおりだと思います。それから三つ目、この大プロジェクトを国民的論議にもっと沸き上げる、これもごもっともだと思います。

 その上で二つ質問したいんですが、一つ目の、最初の数量化の話ですが、私自身、この世界に入る前、工学的に数量化を専門としてきた人間として申し上げるならば、これほど当てにならないものはない。

 というのは、この国の需要予測や経済見通しを見ていただければそのとおりでございまして、これはあくまでもさまざまな前提条件の結果、正解ではないですね。ですから、知事が数量化ということを言ってくださったことは、専門としてきた人間には非常に喜ばしいことなんですが、半分ちょっと疑わしいというか、どこまで数量化に対して期待をされているのか。私は、知事のさまざまな言動からすれば、哲学的なことをもっと論じていただけるんじゃないかなということを一つ期待していると。

 もう一つは、時代の変化に合わせた見直しというのは、今の特殊法人をあわせて、これからの社会資本整備すべてがどうあるべきかということが問われるべきだと思うのですが、そのあたり、知事の御意見を聞かせていただければ、先ほどの空港の話もありましたが、社会資本整備全般で何かお考えございましたら、お聞かせいただきたいんですが。

石原参考人 僕は伴野さんが数字の方の専門家と知りませんでしたけれども、数字というのは本当に、ひとり歩きしたり、人間の恣意によって幾らでもレトリックできるわけですから、数字だから必ずしも正確無比ということは、私はあり得ないと思います。

 ただ、やはり一つの物を論じる取っかかりになりまして、その示された数字というものの信憑性を議論することでその本髄にあるものが洗い出されてくるケースがあると思うので、私は、やはりそういう議論の要するにつてとして必要だと思います。

 それから、これからの社会資本の整備ということですけれども、言えば切りないことで、私、東京にずっと住んで、東京を選挙区に構えていましたが、東京を預かるようになって、もっと広域に眺めますと、この国家社会のいいところ、悪いところが非常に鋭敏なセンサーのように露呈していまして、これはやり出すと本当に切りがないねという感じがするんですが。

 だから、私は、やはり分散というのを何もかたくなに忌避しているわけでは全くありません。現に、二十三区から大学が出ていって、東京の近郊の三多摩地域に一種の大学都市ができていますし、これはとてもいいことだと思うし、国立大学も、私は都内にある必要ないと思いますね。

 その他この他、それから、さっきちょっと申しましたが、これからの日本のための大きな牽引力、ダイナモになる都市の形成というのは、さっき言いました東海道軸というものが想定されると思うし、それから、現に九州なんかでも博多に非常に大きな集中、集積が行われていますし、大阪のメガロポリスは既存のものとしてありました。

 そういう趨勢の中で、集積、集中というものを見逃しするだけではなくて、やはりもっとあり得べき分散というものを同時に心がけるべきだと思うし、そのための社会資本の整備というのは、必要なものはたくさんあると思います。

 言いたいことはいっぱいあるのですけれども、例えばレジャー一つとっても、かつて日本の貿易が出超で非常にインバランスが問題になったときに、物品税を撤廃して、通産省は小型船舶、つまりプレジャーボート、今まで物品税がかかったのを撤廃して入れましたが、しかし、それで一時期みんな、人はたくさんそれを買ったけれども、それを収容する河川の整備とか、マリーナなんて全くないわけですよ。

 そういうものも、方法をちょっと考えて、発想を変えれば、陸置きの港というのは簡単にできるのに、そういうものに対する着想が全然ない。言っても、建設省も聞いて聞かぬふりする、運輸省もそうでしたね。その他この他、ちょっと発想を変えると、もっと安価で簡単にできる、レジャーも含めての社会資本というのはできるはずなのに、つまり役人の、非常に既存の硬直した発想でしか物が講じられないから、非常にむだが多くてニーズにこたえられない。

 そこら辺はやはり、政治家がもうちょっといろいろな、多角的な聞く耳を持って、そういうニュースというものを、情報というものを摂取すれば随分、役所依存じゃなしに、政治がイニシアチブをとった社会資本の整備というのはできていくと思うし、私は、そのための第三者機関というのが政府によって講じられて、それはもう政府がくるくる変わりますけれども、それでもやはりあるコンティニュイティーを持って、有識者がいかなるプライオリティーでいかなる社会資本というものを整備していくかというのを決めたら、国民も納得できると思うのです。

伴野委員 ありがとうございました。

永井委員長 ありがとうございました。

 それでは、定刻もやや過ぎました。

 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。

 石原参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、厚くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

石原参考人 どうもありがとうございました。いろいろ失礼いたしました。

    ―――――――――――――

永井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 国会等の移転に関する件調査のため、三移転先候補地関係知事等を参考人として出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十八日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十六分散会




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