衆議院

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第2号 平成14年2月21日(木曜日)

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平成十四年二月二十一日(木曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 石原健太郎君
   理事 田野瀬良太郎君 理事 棚橋 泰文君
   理事 西川 公也君 理事 蓮実  進君
   理事 河村たかし君 理事 玄葉光一郎君
   理事 河合 正智君 理事 中井  洽君
      荒井 広幸君    熊谷 市雄君
      佐藤  勉君    七条  明君
      増田 敏男君    松本 和那君
      茂木 敏充君    八代 英太君
      渡辺 喜美君    大谷 信盛君
      小林  守君    中川 正春君
      牧  義夫君    矢島 恒夫君
      大島 令子君
    …………………………………
   国立国会図書館調査及び立
   法考査局国土交通調査室主
   任            亀本 和彦君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官
   兼国会等移転審議会事務局
   次長)          徳留 健二君
   衆議院調査局国会等の移転
   に関する特別調査室長   内野 隆正君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十一日
 辞任         補欠選任
  野田 聖子君     七条  明君
同日
 辞任         補欠選任
  七条  明君     野田 聖子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国会等の移転に関する件


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     ――――◇―――――
石原委員長 これより会議を開きます。
 国会等の移転に関する件について調査を進めます。
 この際、一言申し上げます。
 御承知のとおり、国会等の移転につきましては、平成十二年五月の委員会決議及び昨年六月の理事間申し合わせにより、本年五月を目途に移転先候補地の絞り込みを行い、移転についての結論を導くことになっております。
 本委員会理事懇談会におきましては、移転先候補地の絞り込み方法について、鋭意協議を行っているところであり、現在は、委員会として全議員に対するアンケート調査を行った後、委員会が議決をもって決定するとの案を軸に検討を行っているところであります。
 委員各位におかれましても、忌憚のない御意見をお寄せいただければと存じます。
 本日の議事の順序についてでありますが、本日は、先日配付いたしましたお手元の国会等の移転に関する諸資料につきまして、国会等の移転に関する経緯を含め、国会職員及び政府から説明を聴取した後、それらの資料を踏まえて、国会等の移転に関する件全般につきまして、自由に御意見をお述べいただきたいと存じます。
    ―――――――――――――
石原委員長 この際、お諮りいたします。
 国会等の移転に関する件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省政策統括官兼国会等移転審議会事務局次長徳留健二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
石原委員長 それでは、順次説明を聴取いたします。説明は着席のままで結構でございます。まず、衆議院国会等の移転に関する特別調査室長内野隆正君。
内野調査員 調査室の内野でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元に「国会等の移転に関する資料」というのが配付してございますが、この資料は、国会等の移転に関する経緯につきまして、これまでの委員会の活動などにつきまして、目次にありますように、委員会関係と移転に関する経緯等、こういうふうに分けまして作成したものでございます。
 委員会関係では、委員会の活動状況とか、これまでの参考人の意見要旨とか、あるいは昨年の六月の本委員会での自由討議における意見などを、ごらんのような項目について掲載しております。
 また、「国会等の移転に関する経緯等」では、移転に関する経緯や国会での決議、それから本委員会の決議、国会等移転審議会の答申等についてそれぞれ取りまとめたものでございます。内容は、主に意見及び質疑の要約となっておりますので、説明はこの際省略させていただきます。
 なお、参考人の意見とか雑誌等の中から、移転に対する積極論あるいは消極論を取りまとめたものを一応添付しております。
 次に、委員の皆様には十分にもう御承知のことではございますけれども、最近の委員会の状況も含めまして、国会等の移転に関する経緯について若干御説明いたしたいと思います。
 まず、御承知のとおり、平成二年に、国会等の移転に関する決議が衆参両院の本会議で議決されました。内容は、資料の四十二ページに一応掲載してございます。このために、平成三年には、国会等の移転に関する調査を行うために、両院に国会等の移転に関する特別委員会が設置されました。
 それから、平成四年になりますと、移転の具体化に向けての積極的な検討を行うという国の責務とか、移転の対象の範囲あるいは移転先の選定基準等を調査審議するための国会等移転調査会の設置などを内容とする、国会等の移転に関する法律が議員立法により成立したわけでございます。それによりまして、同調査会は平成七年に、約三年間にわたる調査審議の結果を取りまとめまして、内閣総理大臣に報告し、国会にも報告されたところでございます。
 移転先の選定基準につきましては、東京からの距離はおおむね六十キロから三百キロ程度の範囲であるとか、あるいは地震、災害等に対する安全性があるとか、水供給の安定性があるとか、それから土地の取得の容易性、こういった九項目にわたる提案をしているわけでございます。その報告の骨子は、資料の四十三ページに掲載しております。
 それから、平成八年には移転法が改正されまして、移転先候補地の選定等を調査審議するために国会等移転審議会が設置されました。その結果、同審議会から平成十一年十二月に答申が行われたわけでございます。
 すなわち、答申は、
  移転先候補地として、北東地域の「栃木・福島地域」又は東海地域の「岐阜・愛知地域」を選定する。
  「茨城地域」は、自然災害に対する安全性に優れる等の特徴を有しており、「栃木・福島地域」と連携し、これを支援、補完する役割が期待される。
  「三重・畿央地域」は、他の地域にはない特徴を有しており、将来新たな高速交通網等が整備されることになれば、移転先候補地となる可能性がある。
というものであったわけでございます。
 答申の要旨は、資料の五十二ページに一応掲載されております。
 本委員会におきましては、答申が内閣総理大臣から国会へ報告されました同日の理事懇談会におきまして、国会としては三地域が移転先候補地であるということを確認したところでございます。
 その後、平成十二年五月に、委員会におきましては国会等の移転に関する決議を行っております。すなわち、御承知のとおり、二年を目途に移転先の三候補地を一カ所に絞り込むことができるよう広く国民の意見を聞く措置等によりまして、早急に検討を進めるべきであるというものであります。したがいまして、本年五月には移転先を一カ所に絞らなければならない、こういう状況にあるわけでございます。資料の四十二ページにその決議を掲載しております。
 次に、委員会の活動状況でございますが、平成十一年の国会等移転審議会の答申を受けましてからは、移転先候補地の絞り込みのための論議が本格的に行われております。
 平成十二年及び平成十三年度においては、移転先候補地の知事さん方をお呼びいたしましての意見聴取、それから昨年、平成十三年ですが、各移転先候補地への委員派遣により、詳細な実情調査が行われております。各知事さんの御意見につきましては、資料の十三ページ以降に簡単な要旨を掲載しておりますから、御参照いただきたいと思います。
 また、国会等の移転に関する法律の第二十二条におきましては、答申が行われましたときは、国民の合意形成の状況、社会経済情勢の諸事情に配慮し、東京都との比較考量を通じまして、移転について検討する、こううたわれているわけでございますが、昨年の第百五十一国会におきまして社会経済情勢の諸事情についての自由討議が行われております。その内容につきましては、資料の十九ページに一応掲載してございます。
 それから、国民の合意形成の状況については、平成十二年の委員会決議におきまして広く国民の意見を聞くとされていることにかんがみまして、国会等の移転について国民の皆様に一層御理解を深めていただくために、昨年四月に本委員会のホームページが開設されまして、本委員会の動きをお伝えするとともに、各種資料の提供を行っております。
 昨年十月には、このホームページに対しまして意見をお寄せいただいた方々のうちから意見陳述を希望された八名の方を委員会に参考人としてお呼びしまして、御意見を伺うとともに、質疑が行われました。八名の方々の意見要旨については、資料の三十七ページ以降に掲載してございます。
 そのほか、昨年の百五十三国会には、東京都との比較考量の一環としまして、東京都の石原知事においでいただき、御意見を伺うとともに、第百五十一国会には、東京都庁と、それからJR新宿駅への視察によりまして、東京都の災害対応体制や東京一極集中についての実情調査が行われております。
 なお、平成三年に本特別委員会が設置された以降の委員会の活動状況につきましては、資料の一ページを一応御参照いただきたいと思います。
 以上、簡単ではございますが、国会等の移転の経緯及び委員会の活動状況等についての説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
石原委員長 次に、国土交通省政策統括官兼国会等移転審議会事務局次長徳留健二君。
徳留政府参考人 国土交通省の徳留でございます。
 私の方から、二つの資料につきまして御説明を申し上げます。一つは、「移転反対論に関するQ&A」、もう一つは、「移転費用についての東京都試算と国会等移転審議会試算の対比」でございます。この二つについて御説明を申し上げます。
 まず、「移転反対論に関するQ&A」でございますが、これは、移転の問題につきまして各方面からいろいろと問題点が指摘をされておるところでございまして、指摘されておるそういったものを、幾つか主なものをピックアップして十三に分けて、一応、回答といいますか、考え方をまとめたものでございます。ポイントだけさっと御説明申し上げます。
 国会等の移転よりも地方分権等の行財政改革を優先すべきではないかという指摘でございますが、地方分権等の行財政改革を進めるのは当然でございますが、やはり、国会等の移転というものと地方分権等の推進を、いわば改革の両輪として一体的に推進していくことが重要ではないかということで、移転の意義、必要性は失われていないという論点にしております。
 二番目は、東京一極集中の弊害はそれほど問題ではなくなっているのではないかという点でございますが、平成六年、七年は一時的には緩和いたしましたが、平成八年以降は連続して転入超過となっておりまして、依然として、東京への一極集中の構造あるいは東京の過密状況はさらに進んでおるということでございます。
 三ページにいろいろ関係の資料を出しておるところでございまして、国土の三・五%に二六%の人口が集中しているとか、企業の本社機能あるいは金融機能が相当に集中しているというような状況等を資料としてまとめております。
 三番目は、高度情報化社会において、場所を移す意味はないのではないかというようなことでございますが、フェース・ツー・フェースのコミュニケーションは重要視されているということで、やはり場所を移して政官民の新たな関係を築くということは必要ではないかというような論旨でございます。
 四番目は、まず東京再生のための整備を優先すべきではないかということでございますが、これにつきましても、やはり、過密東京の都市環境の改善あるいは防災性の向上、生活者重視の都市づくり等に必要なものでございまして、東京再生と二者択一的な問題ではなくて、同時に進めていくべきものではないかということでございます。
 それから、移転先で環境破壊につながるのではないかということでございますが、これは、環境に十分配慮した都市をつくっていくということで、環境破壊、環境に対する負荷を小さくしていくということに努めていく必要があるということでございまして、これは移転調査会報告等でもそのように指摘をされております。
 それから、政治と経済の中枢機能は一体であるべきではないかということでございますが、これまでは、政治と行政、経済が緊密に連携することによって日本の経済発展を遂げてきたわけですが、今その問題が逆にいろいろな問題を生み出してきているということでございまして、政官民の新たな関係を構築するためにも分離するべきではないかという論点でございます。諸外国におきましても政治、経済は分離しているというようなことが、次の八ページの資料で、「国会等の所在地と経済中心都市の異なる事例」ということで提示をしておるところでございます。
 それから、国会等の移転と首都移転とは同義ではないか。これは、首都機能の移転でございまして、首都移転とは同義ではないということでございます。
 それから、東京都の石原知事が主張されておりますが、国際空港を考えていないのではないかというようなことでございますが、これにつきましても、候補地の選定基準の中にもそういったことがうたわれておりますし、移転審議会におきましても、候補を選ぶ際にはこのことを十分に考慮しておるということでございまして、参考に各地域の空港等を提示しております。
 それから、九番目の財政負担の問題。予想以上にかかる、移転費用が非常に高くなって現在の財政状況では負担できないのではないかということでございますが、これは後ほどまた御説明申し上げますが、東京都はかなり過大な数値を計算されております。移転審議会の数値によりますと、第一段階ではおおむね毎年二千三百億円程度でございまして、これは毎年の公共事業関係費の二%程度でございまして、必ずしも過大ではないということでございます。
 それから、新都市は分散配置となり非効率ではないか。これも、東京都の石原知事がおっしゃっておりましたが、新しい国会都市は、人口十万人、第一段階で十万人でございますが、この国会都市の中に国会議事堂あるいは政府庁舎、いろいろなものが整備されるということで、約千八百ヘクタールでございまして、これは千代田区、中央区の面積に比べても小さいということでございます。
 それから、首相官邸あるいは議員会館、中央官庁の建てかえがあるのはどういうことかということでございますが、御承知のとおり、首相官邸等は非常に老朽化が激しいということで、今後、耐震性にも問題がある、危機管理にも問題があるということで建てかえをしておるということでございます。
 建てかえた後も、国会等の移転までの間は、当分の間時間があるわけでございますので、その間は官邸として機能する、また、その後におきましても、危機管理の拠点あるいは国公賓等の接遇等の場として活用されるということで、東京における政府の活動拠点になるということでございます。
 議員会館、中央省庁等につきましても、同様に、十分に活用が可能ではないかという論点でございます。
 国民的な議論が低調ではないかということでございますが、これまでのアンケート調査等によれば、全国的には、おおむね賛成が反対を上回っているという状況でございます。もちろん、東京都民を対象とした調査では、反対がかなりの数に上っているということでございます。
 こういう中で、委員会におきましても、インターネットホームページ等で広報されておりますし、また政府におきましても、シンポジウムあるいはパンフレット、ニューズレター等々で広報に努めておるということでございます。
 それから最後に、災害対応力の強化という問題でございますが、どこに移転しても地震から絶対安全な場所はないのではないかという御指摘でございます。
 災害対応力の強化の意味するところは、政治、行政の中枢と経済の中枢とが同時被災するということを回避するということでございますので、この観点からすれば、移転することは意義があるのではないかということでございます。
 それから、二番目の、費用の問題でございますが、横長の資料がございます。簡単に御説明申し上げます。
 国会等の移転費用につきましては、国会等移転審議会が三つのケースにつきまして試算を出しております。一つが、第一段階、国会等が中心となって移転をするというもの。それから、最大ケース。これは数十年かけた後でございますが、移転すべきものとしてすべてのものが移転をするという場合のケース。その中間として、二分の一ケースというものがございます。
 それで、この資料につけておりますのは、まず第一段階の試算でございます。これは、今申し上げましたが、国会の移転が中心でございまして、約十年ほどかけて、人口十万人、開発面積千八百ヘクタール程度の移転を実施する場合にどのぐらい費用がかかるかという試算でございます。
 結果として総額四兆円ほどかかりますが、そのうちの公的負担額、これは、民間がどの程度負担するか、公的の部分をどのように負担するかということを委員会でいろいろ審査されて案分されたものでございますが、二兆三千億円ということでございます。これも、先ほど申し上げましたように、年間の公共事業費の二%程度ということでございます。
 それから、次の「全体費用について」というところでございますが、昨年十月、東京都が、移転費用につきまして、移転審議会の最大ケースに対応して試算を発表されました。審議会答申は十二兆三千億円でございますが、これに七・八兆円増の二十・一兆円かかるということを発表されたわけでございます。
 私どもの方で、東京都の資料の調査、あるいは東京都の事務方に確認をいたしまして整理したところ、いろいろ違いがわかったということでございまして、主な項目をここに書き上げておるところでございまして、施設整備費で差額が二兆円、それから基盤整備費で三兆円、それから土地の取得費で二兆七千億円ということで、大体この差額が出てまいります。
 主なところを申し上げますと、四点ほどございます。
 まず一つは、東京都の方で、国会議事堂の延べ床面積、現状九・二万平米でございますが、これを四十二万平米というふうに非常に大きく間違っておられますということ。
 二番目は、施設整備あるいは基盤整備の工事の、それぞれのいろいろな工事があるわけですが、それの単価が高目に設定をされておるということでございます。
 例えば、中央省庁の単価につきましても、移転審議会では五十万円ですが、東京都は五十七万円とか、あるいは宅地造成費、多摩ニュータウンの実績を適用していろいろ計算したというふうにおっしゃっていますが、審議会の方は、過去のいろいろな開発事例の平均値をとってやっておりまして、ここで約一兆七千億円ぐらいの差が出てくるというようなこと。
 三番目でございますが、施設整備、基盤整備について、高コストの整備手法、スペックの高い工法を使っておられるということでございます。
 例えば、公益施設の建物等につきまして、移転審議会では鉄筋コンクリートというふうにしておるものを、鉄骨鉄筋コンクリートにするとか、あるいは上水道の建設につきまして、導水管を埋設する際にシールド工法を使っておられる、あるいは高度浄水処理施設というものを設置する、そういう仕様になっているということとか、あるいは河川の改修につきまして、河道の改修をする、あるいは貯留浸透施設を整備する、これは状況に応じてのことでございますが、そういったものが追加されている。
 それから、四番目として、用地取得単価が高いということでございます。
 約八千五百ヘクタールの土地を取得するわけでございますが、移転審議会では一万一千円・平米でございます。これに対しまして東京都の方は、岐阜県の都市計画事業の用地費の実績、平成九年度でこれは二万一千円ということでございますが、それを使って、さらに用地費と補償費の比率、通常、用地費に対して補償費が大体四〇%ぐらい、四〇から五〇というところだと思いますが、一対一と想定をされておりまして、結果として、用地取得価格が四倍近くなっておりまして、この差額が二兆七千億円というふうに出ておるということでございます。
 以上、ポイントだけの御説明でございますが、御説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
石原委員長 ありがとうございました。
 次に、国立国会図書館調査及び立法考査局国土交通調査室主任亀本和彦君。
亀本国立国会図書館専門調査員 国立国会図書館で専門調査員をしております亀本でございます。
 諸外国の首都機能移転の主要事例につきまして御説明を申し上げます。
 国立国会図書館で提出してございます資料は三つに分かれております。
 一つは、「諸外国の首都機能移転の主要事例について」というペーパーでございますけれども、これは、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジル、トルコ、西ドイツ及び統一ドイツの首都移転ないしは首都決定の経緯を簡単に説明しております。そのペーパーの別紙として、オーストラリア、ブラジル、西ドイツ、統一ドイツにつきましては、少し詳しく、国会等の動きを含めて経緯を説明しております。
 それよりほかに、ドイツ連邦につきましては、「ドイツ連邦議会における党議拘束」という二枚紙のペーパーを用意しております。
 それから、オーストラリアにつきましては、「オーストラリアの首都決定過程について」という五ページのペーパーを用意し、議会における候補地の絞り込み、決定方法及び投票の結果を詳細に説明しております。
 時間が限られておりますので、この中で、特に本委員会に関連が深いと思われますドイツとオーストラリアのケースについて、資料に即して御説明いたします。
 「主要事例について」というものの別紙三が西ドイツ、統一ドイツの事例でございます。それと、「ドイツ連邦議会における党議拘束」というのがドイツに関するものでございます。
 まず、ドイツでございますが、一九九〇年八月のドイツ統一条約では、「ドイツの首都はベルリンである。議会と政府の所在地についてはドイツの統一の回復の後に決定する。」というふうに規定されております。そして、その附属文書で、その決定は連邦議会でなされることが規定されておりました。
 それに基づきまして、一九九一年六月十九日から二十日にかけて、統一ドイツの首都をベルリンにすることについて連邦議会本会議で審議しております。委員会審理は行っておりません。審議案件の性質から、党議拘束はかけておらず、自由投票となっております。具体的には、審議は夜を徹して行われ、約十一時間連続の討議を行っております。発言者は、百十名が賛否の演説を行い、演説のできなかった百六名については議事録に賛否の意見原稿を記載しております。
 結果、連邦議会及び政府機構の中枢部分をベルリンに移し、ボンも政府機能を保持する旨のベルリン案が、SPDのブラント元首相、フォーゲル党首、CDUのショイブレ内相の連名で動議として提出され、三百三十八対三百二十の僅差で決議されております。表決の結果につきましては、「党議拘束」というペーパーの二ページ目に各党別に詳しく記載してございます。与野党とも賛否が拮抗しております。
 したがいまして、主要な党の幹部でもそれぞれ異なった投票をしております。例えばCDUでは、連邦議会議長、大蔵大臣はボン案を、大統領、首相はベルリン案を支持しております。FDPでは、党首がボン案を、外務大臣がベルリン案を支持しました。また、野党のSPDでは、ブラント元首相、フォーゲル党首がベルリン案を支持しましたけれども、党全体では、ボン案を支持した議員が多数を占めております。
 次に、オーストラリアでございますが、オーストラリアにつきましては、別紙になっております「オーストラリアの首都決定過程について」というものと「主要事例」の別紙一とを見比べながら説明をお聞きいただきたいと思います。
 連邦発足の際に、シドニーとメルボルンとの調整がつかず、一八九七年の憲法議会では、政治的な妥協として、特別な地域を設定して新首都とすることを合意し、一九〇〇年の憲法では、「連邦政府の所在地は議会が決定する。また、その所在地は、ニューサウスウェールズ州内にあって、シドニーから百マイル以上離れていなければならない。」と規定しております。
 その後、現地調査等が行われまして、一九〇三年、一九〇四年、一九〇八年の国会審議を経て、最終的には、上下院とも僅差でヤス・キャンベラ地域、現在の首都でございますが、その地域を首都地域と決定しております。
 具体的な審議状況につきましては、「オーストラリアの首都決定過程について」というものに詳しく述べております。
 一九〇三年の審議は、まず候補地としては、首都選定のための連邦王立委員会で調査対象とされた九地区が候補地として挙げられております。
 投票の方法としては、各議員が最もふさわしいと考える候補地を記名投票し、最も票数の少なかった候補地を落選するというやり方です。いすとりゲーム的なやり方でやっておりまして、徐々に絞っていく。残った候補地を対象に何度も同様の記名投票を行っていくという形で、最終的にはテュームトが三十六対二十五で選ばれております。しかしながら、上院ではボンバラが選ばれまして、修正案という形で投げられましたけれども、上下院の調整がつかずに動議が取り下げられております。
 一九〇四年の審議につきましては、上院は、ボンバラから五十マイル以内という決議を行っております。下院は、南部地区、南東地区、西部地区について、同様の投票方法を経て南東地区が選ばれておりますけれども、結果的にはダルゲティーから十七マイルという形で決められております。
 ただし、これにつきましては地元の州が反対をしまして、結局はそこに決められなかったということで、一九〇八年にもう一度審議を行っております。
 これにつきましては、五名以上の議員が支持をした場所がその候補地になるということで、十一の候補地が提出されております。そして、前回と同様、少ないものを落としていくという形で、最終的にはヤス・キャンベラ地区が三十九対三十三という形で下院では選ばれております。上院では、同様の方法をとった結果、十八対十八ということになりまして、二回目の決選投票を行い、メルボルンの議員一名がヤス・キャンベラ案に乗りかわったという形で、最終的には両院ともヤス・キャンベラという現在の首都に決定しております。その結果、一九〇八年の首都所在地法が、そういう形で可決成立しております。
 以上でございます。
石原委員長 ありがとうございました。
 以上で説明は終了いたしました。
    ―――――――――――――
石原委員長 これより自由討議を行います。
 議事整理のため、御発言は、一回につきおおむね三分以内でお願いいたします。また、御発言は、挙手の上、委員長の許可を得た後にお願いいたします。御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、挙手をお願いいたします。
八代委員 おはようございます。
 石原新委員長のもとで国会等移転の特別委員会、今回初めて私は参加させていただく委員会でございますので、出発点に戻りながら、しっかりと勉強をして、そして、子々孫々にとって悔いのないよう、私たちの日本の機構、また構造的考え方に基づかなければならない、このように思っております。
 今、いろいろ経過を委員部、調査部から聞いてまいりましたけれども、それぞれの国はそれぞれの国の事情があるかと思います。オーストラリアは、日本の国土の二十倍もあって、人口は東京ぐらいしかない、そういう国。また、アメリカ。それぞれの国の首都機能というもの。今この私たちの置かれている日本は、非常に狭い国土の中に一億二千六百万、そして八五%が山岳地帯という状況の中で、山紫水明のいいところだというふうに思っております。
 そういう中で東京が、一つの首都として、そしてまた国会がここに存在をして、三権それぞれがうまい形ですみ分けされている。私は、まさに行政のモデル的地域ではないか、このように思っております。
 かねてから、首都機能移転、あの平成二年の当時の日本の経済状況下、過度な、過密された東京、あるいは地価の高騰、そういうバブル時代の、言ってみれば夢物語のような感覚でこの国会等の移転を考えておりました。
 それからずっと、この委員会が衆参両方にあって、いろいろな形で議論をしてきた。ところどころでその経緯を私どもも散見してきたわけでございますが、しかし国民には全くベールに包まれているような状況下になっているような雰囲気を私は持っております。
 今、今日の厳しい経済状況、そして東京そのものも人口の減少下にある、地価も低下傾向にある、そしてまた地形的に見ても、この東京という存在が、この狭い日本列島の中で、しかも一五%に多くの国民がいるという存在の中で、他の国と比較すること自体も私はやはり考え直す方がいいのではないか。
 そして、これからの日本の前途を考えたときに、一応三カ所のものを選ばれたといたしましても、その三カ所が、私は東京の人間だからそう思うのかもしれませんが、そこへ行った場合一体どうなっちゃうんだろう、ここへ行った場合こんなふうなことがあってどうなるんだろう、ここへ行った場合こういう問題はどう解決するんだろうということを議事録を振り返りながら一つ一つ冷静に見てみますと、とてもとても私たちの現状はそういう状況ではない。
 私は、国会等移転も、平成二年の当時の状況から今日までるるとやってきた努力は可としても、見直すべきときは見直し、決断をし、今の状況、あらゆるものを考えて、やはり原点に戻りながら、この国会の機能のあるべき姿というものももう一回我々は勇気を持って考え直すべきときではないかというふうに思っております。
 そういう意味においても、これから一点に絞って、そこから東京と比較考量ということになるやも聞いておるわけでございますけれども、単に絞り込めばそれでいいというものではないわけであって、どうぞもう少し国民にベールを取り払った形の中で、本当に国民がそれを望んでいるのか、そして東京というものがそのように不便なところなのか、あるいは、新しい二十一世紀、二十二世紀を見通した将来像において、東京のこの国会の今あるべき姿というものがそんなにだめなのかということも含めて、今ここまでインフラ整備され、都市再生ということが考えられている折に、むしろ、この考え方も振り出しに戻るような勇気をぜひ皆さん方にも持っていただきたい、こう思っております。
 私は、国会等移転のこの委員会設置そのものにも実は先般反対をいたしました。反対投票いたしましたけれども、そういうことを踏まえながら、我々の東京には石原慎太郎さんがいて、石原健太郎委員長のもとでありますから、真剣な議論をぜひこれからやっていただきながら、私もこれから真剣に勉強していきますので、どうぞ拙速だけは避けていただくように、私は意見を述べさせていただきます。
河村(た)委員 私は、前から言っておることだけちょっと、やはりせっかく出てきたので言っていかないかぬので言いますけれども。
 私は移転自体は反対ではないということですけれども、移転法二十二条にありますように、社会経済情勢の変化、それから国民の合意状況を見るについて、やはりあの計画はバブルの計画であったということは間違いないことでございまして、規模の縮小というか、災害一つとっても、移転地そのものが絶対的に災害で安全、そういう考え方ではなくて、いわゆるリダンダンシーというか、東京がだめになったときに代替地であればいいというようなことで、規模の縮小といいますか、二百ヘクタールぐらいの土地でそれぞれもう一回計画を出し直すべきだというふうに思っています。これは私の結論ですけれども。
松本(和)委員 前回もちょっと申し上げたんですが、この議論はもう長い間ずっと言い尽くされてきているわけですね。
 反対、賛成、それからそれぞれの、この委員会でも三地区の委員の皆さんが出ているし、そこに関係ない議員というのは私ぐらいだろうと思いますけれども、隣の東京と近いので、東京の肩を持つということじゃなくて、実際は、もう一極集中の意味も当時とは全然違ってきてしまった。
 それから、今国際競争力というのも相当ウエートを占めて考えていかなきゃならぬ時代になってきているわけですから、それともう一方で、セキュリティー、危機管理というものをどうするかということをやはり念頭に置いていかなきゃなりませんので、どの地区に国会等を移転するということでなくて、東京の再生、都市の再生というのも今内閣の命題になっているわけでありますから、当然、あわせて都市再生というものはきちっとやっていかなきゃならない。あわせて、地方分権といいますけれども、なかなかこれは難しい。
 ですから、そういう意味の中で、私は具体的に言えば、東京に非常に近いところ、他の地区の委員の先生方がいて恐縮でありますけれども、栃木・福島あたりに十万都市ということが想定されていれば、セキュリティーをきちっと管理できるあらゆる分野からのシティーをつくっていく、コンパクトなシティーをつくっていく。
 それで、これは国会等の移転でありますけれども、国会ということにこだわらず、このシティーはもう多目的にいろいろ使える、例えば国会を何かのときにそこで開会してもいいというような柔軟性のあるシティーをつくった方がいいのじゃないかと。これは、行政だけじゃなくて経済にも使えるというふうな形。そして、東京の、首都圏の国際競争力を高めるためにも相当な金をつぎ込んでいかなきゃならぬわけでありますから、あわせて両方に思いっ切りこの機能が動くような形のものをつくっていく。
 今、いろいろ法律が、例えば東京都なんか、大深度地下法なんというのは、一昨年つくったけれども全然使われていない。こういったように、法律はどんどんつくられますけれども全然使われていないというのが今現状であります。
 一番ネックになっているのは、戦後五十数年間、日本のまちづくりというか国づくりの中で大変なネックになっちゃったのは、私の利益とそれから公の利益、この調整というものはほとんどしてこなかった。ですから、それが今、いろいろな意味で、まちづくりをする、道路をつくる、鉄道をつくる形になりますと、なかなか遅々として進まない。こういった意味でもって収用法を適用しようとしても、国土交通省で昨年この問題を三十五年ぶりに取り上げてできたのでありますが、ほとんど中途半端。
 こういう状況でありますから、こういった私権の制限、緩やかなまちづくりのための私権の制限ということを、憲法の改正もありますでしょうけれども、きちっとした上で、今言った東京の再生、そしてまた危機管理のためのセキュリティー、多目的シティーというふうに分けて、余り国会移転という形に今この時点でこだわっていても、それぞれの利害でもってそれぞれの地域から代表されている委員の皆さん方がいるわけですから、やはり地域のことを考えないわけにはいかぬでありましょうから、そういった形のものをひとつ考えていった方がいいんじゃないかという気がいたします。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 平成二年の国会決議から十二年が経過しようという状況に今日あるわけです。私どもは、実は、この国会決議のときにも、それからその後平成十二年、特別委員会の決議、このときにも反対してまいりました。
 それは、一つには、この理由、先ほどQアンドAでいろいろと説明があったわけですが、これで国民が納得するような説得力のあるものじゃない。強いて言えば、震災などに対する対策という点は考えなきゃならないだろうと。一極集中ということだとか、あるいは人口の過密という問題について、果たしてこれを実施することによってどれだけの効果があらわれるのかということについても明確ではないというような点で、私たちはずっと反対してまいりました。反対してまいりましたが、いよいよ十二年目に入った現在、候補地の絞り込み、こういう状況になってきたわけです。
 私、この間ずっと、例えば参考人質疑の場合でも、その他フリートーキングの場合でも、一番重要視してただしてきたのが国民との合意形成の問題です。本当にそれができ上がっているのかどうか。確かに、その後いろいろと工夫されて、国民に知らしめるといいますか、まあ一方的なものもありますけれども、いずれにしろ、関心を持ってもらう方向の手だてはとったようであります。しかし、それでありながら、なかなか国民的に、いよいよ国会等を移転するということについての関心度も低いし、同時に、合意が形成されているということは言えない、こういうふうに私たちは認識しております。
 そこで、絞り込みの方法論については、理事懇あるいは理事会等で、この間も、ことしに入ってから四回でしたか、論議してきているわけであります。私、この四回の中でも、はっきり言って私自身も議論の方向がなかなか見出せないでおります。理事の皆さん方はどういうふうにとっていらっしゃるかわかりませんが、私自身としては、どうもこういう方向でこれが議論が進められていくんだなというような方向づけについてもはっきりしない。
 なぜそうなのかといろいろ考えてみましたら、やはり技術的な論、つまり手続論に終始している、そういう中で、国民の目線との間でどんどん離れていっているんじゃないか。やはり、やる必要があるのかどうか、一カ所に絞り込む必要があるのかどうか、この辺の論議が必要だと思うんです。もちろん私たちは、絞る必要はない、こう考えております。
 それならば、どういうふうにこれから進めるのか、こういうことになるわけです。そこで、私たちとしては、今後の方向としては、国会等移転法、正式には国会等の移転に関する法律ですが、これがあるわけですが、この法律を変えていく、あるいはこれを廃止していく、つまり、廃止法案といいますか、これを提出するというような方向を考えざるを得ないのかな、今のところそういうような考え方でおります。
 以上、考え方だけを述べさせていただきました。
棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文でございます。
 今まで各先生からも大変積極的な御意見がございましたが、私は、やはり、首都機能移転に関しては、原点に立ち返るならば、平成二年に国会で議論をして首都機能を移転するという方向性を出して、そして当委員会としても、一昨年、ことしの五月を目途に候補地の絞り込みをするということで議論を重ねてきた、そしてまた、それを積み重ねてきたということをまず前提に私どもは仕事をしていくべきではないかなということを、まず第一として申し上げたいと思っております。
 それから、今まさに矢島先生がおっしゃったように、国民の視線というのは、これは非常に大事な話でございますが、先ほど委員長が冒頭の御発言の中で、理事懇等で、委員会としては全議員にアンケートを配って、そしてそれをもとに委員会で議決するというお話がございましたように、国民の目線、国民の意見をいかに反映するかという観点から、さらにその手続を深めていかなければいけないと思います。
 例えば、当委員会でも、ホームページ等に対する意見の募集等々いろいろな手段を講じているわけですから、さらに国民の目線をいかに私どもの委員会の議論に反映させるかということは大事にしながらも、やはり国会ないし当委員会で今までずっと議論を重ねてきたその方向性をむだにすることなく、粛々と進めてまいるべきではないかというふうに考えております。
西川(公)委員 自民党の西川公也でございます。
 私も、今までずっと積み重ねてきましたので、ぜひ五月までに予定どおり絞り込みをやるべきだ、こう考えています。
 特に、私は栃木県出身でございますけれども、候補地の一つであって、県民は、最有力候補地だ、こういう理解をしています。そういうこともあって県庁も、地価が上がらないようにと、こういう状況の中でもそんな監視をやっていますし、毎年毎年多額の予算を組んでやってきましたので、早く結論を出してほしい、こういう考え方があります。
 そしてまた、きょう説明がありましたように、オーストラリアで首都を決めるときに大変御苦労をして、生き残り方式というか、上位に残ったものでまたやってと、こういうやり方をやったようでありますが、相当御苦労されて決まってきたと思います。
 日本でも、今、国会で決めても、その次に東京との比較考量もあるし、さらには内閣の方で本当に予算化できるのか、こういう問題もありますし、国民の合意がどういう状況で成っていくかとか、たくさん越えなきゃならないことがありますけれども、まず、五月までに決める、この大原則をぜひこの委員会の場で御審議をして、委員会で決めていただくように私は意見として申し上げておきたいと思います。
 以上です。
中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。
 先ほど、原点に返ってというお話が出ておりましたが、私自身は、首都移転、国会移転議論というのは、ただ物理的に国会を移すということだけで始まったものではないと思っているんです。
 その原点は、この国の形、分権型、分権論を前提にして、そのネットワーク化をしていく議論の全体の中でこの国会移転というものがあって、それが一つの、国会移転そのものがきっかけになっていくというか、精神的な気持ちの整理になっていくというか、そんなものがやはり原点にあったんだということ。これは今でもやはり生きていると思いますし、経済状況にかかわらず、私たちのこれからの生き方というものがこの中にかかっているんだということ、このことを確認していくべきだと思うんですね。その議論が最近になって非常に乏しくなってきた。それよりも何よりも、どうやってこの話をまとめていくかということに終始し過ぎる。そこがやはり、国民がこの議論に対して気持ちが離れてきた原因じゃないのかなというふうに思っております。
 そういう意味で、ぜひひとつ、原点に返るということであれば、そこの原点に返ってこの話を進めていただきたいということ、このことをまず申し上げておきたいと思います。
 それから、もう一つは、最終的にまとめるときに、今の方法論ですと、東京に対してほかがどうかというそのまとめ方なんですよね、結局は、一番最終的には。さっきキャンベラの例が出ておりましたけれども、このキャンベラの例のああいう生き残り方式ということ、これも一つのなるほど知恵だなと思ったのは、そういう東京に対してほかがどうかという議論じゃなくて、全体幾つかの選択肢があって、その中で最大公約数を、あの場合は議会ですけれども、日本の場合は国民でいいと思うんですね、国民の中からその最大公約数を絞り込んでいこうという選び方といいますか、これは日本の国民性からいっても、コンセンサスを高めていくには一つ考慮に値するところじゃないかなというふうに思います。
 今の決め方で突っ込んでいくと、小選挙区と一緒で、あっちかこっちかで敵と味方みたいな感じの議論になってしまう。恐らく国民も、石原都知事を中心にして、石原さんに対してどう対抗していくんだ、そういう目でしか見ないようになってきているということですね。そこが一つ考えてみる価値のあるところかなというふうに思っております。
 何はともあれ、最終的にはもう投票でしかこれは決まらないということであるとすれば、その投票をいつやるということをまずはっきり確定させる、それに向かって国民の気分を盛り上げるということ、その辺をしっかり議論していきたいというふうに思っております。
 以上です。
大島(令)委員 社会民主党の大島令子でございます。
 ことしになって四回理事懇が開かれまして、いざ絞り込みをどうしようかというときに、どの委員の皆さんも歯切れが悪かったような印象を私は受けております。田野瀬筆頭理事はいろいろな私案とかを出してきましたし、三分の一条項ですとか、いろいろ提案をされました。
 しかし、私は、国会移転だけを考えて政治を語るのではなく、今の国の財政事情ですとか社会経済情勢がどのようになっているのか、やはり国民の目から見たら、国会等を移転する、ふざけた議論を国会でしているんじゃないかなということがあると思うのです。それは、目に見える形で、まず首相官邸が春に新しくオープンするというんでしょうか、開設されます。そして、五十億円ほどの議員会館の建て直しの予算も組み込まれている。いろいろな角度から見ますと、新しい首都、十年、二十年、三十年先に日本がどこに国会等を移転して政治をやっていくのか。
 国民というのは、今、銀行が破綻し、ちまたではワークシェアリングとか、雇用とか、経済対策とかいう中で、やはりこういう議論に乗ってきてくれない。国会議員だけが自分たちの限られたテーブルの中で議論のための議論をしているのではないかと国民に映っていると私は思うのです。やはり、普通に考えても国の借金をますますふやすだけ、そういうことはもう皆さん本当に御承知だと思うのです。
 きょうの委員会も、理事の人たちだけでいろいろな方向を立てていくのはおかしいと、一回委員会を開会して平場で皆さんの意見を聞こうと。でも、だれも、自分が候補地の出身であっても、自分のところに来てくれとはっきり物を言ってないじゃないですか。東京都の石原知事は、反対だ、ノーだとはっきり言っていますよね。私はこの議論をずっと委員になってから聞いてきまして、やはりどうもおかしいなと思っています。例えば、去年、全候補地の知事さんに参考人質疑という形でこの委員会に来ていただきましたけれども、どうもすっきりした意見をおっしゃらない。
 そういう中で、私としては、社民党としては、今通常国会に当たり、この委員会の設置も初めて反対という態度を党としてとらせていただきましたけれども、やはり、絞り込むのではなく、勇気ある撤退ということを、意見を申し上げておきたいと思います。
 以上です。
玄葉委員 三点申し上げたいと思います。
 その前に、今、大島さんから参考人の意見がすっきりしていないという話でありましたけれども、石原さんは反対、あるいは候補地になっている知事は賛成、うちに来てくださいということで、そういう意味では、私、はっきりはしているんじゃないかというふうには思います。
 その上で、三点申し上げたいと思います。
 一つは、国会の移転そのものは、私はもう何度もこの場で発言していますが、お上依存、情報発信がほとんど九割以上東京発信だということの一点において、移転はなされなければならないというのが私の立場であります。
 二点目でありますけれども、先ほどから話が出ていますけれども、二十二条で国民合意という話が確かに出ているわけです。何とか国民の皆さんとのキャッチボールをしたいということなのであります。では、我々の委員会がこれまで努力してこなかったのかというと、これは私は素直に、相当努力してきたんじゃないかというふうに私なんかは思っているのです。自分がメンバーだったから申し上げるわけじゃなくて、客観的にいろいろ資料あるいはこれまでの開催状況を見たら、頑張ってきたと私は思っているのです。ただ、確かに、事実として国民の関心が高まっていない、これはある程度認めざるを得ない、こういうことなんじゃないかと思うのです。
 しからばどうするかといったら、やはりある程度絞り込みの手順というのを、これは時間をかけて決めたらいいと私は思っているんですが、私の意見は。絞り込みの手順というものを何らかの形で定めたらば、確かに関心は出てくるなと。そこで、私は、まさに正論と正論のぶつかり合いのキャッチボールをきちっとやらなきゃいけない、あるいはやるべきだというふうに思うのです。
 ですから、絞り込みをする前に時間をかけながら手順を決めます、手順を決めたら関心が高まりますから、そこでまさに規模の問題も含めて正論と正論のぶつかり合いをきちっとやって、一定の合意形成を経て、そして一つに絞り込むという形の方がよいのではないかというのが私の意見。多くの国民の目に触れる形で何とか決めたい、決めるべきだ、こういう意見であります。
 三点目。もう簡単に終わりますけれども、具体的にその手順でありますけれども、私は、アンケートというのはなかなかよい方法とは思えないといいますか、判断を留保したいといいますか、そういう思いであるということも最後に申し上げたいと思っています。
 以上です。
田野瀬委員 いろいろ、そもそも論、移転すべきかすべきでないか等々の意見、これはもう各委員、自由に思い、自由に発言することはそれこそ自由だと思うんですが、一方、この委員会の歴史をしっかりと我々は踏まえていかなきゃならない。移転する責務を有するという現在の国会等の移転に関する法律に基づいて、この委員会が過去百二十数回、参考人にして約七、八十人の参考人を呼んで議論に議論を重ね、いよいよ一昨年の委員会におきまして、五月でもって一つに絞り込んで結論を出そうという決議を委員会でしておるということも事実でございまして、我々は粛々とそれを進めていくというこの委員会の委員として責務を有するということも決して忘れてはならないことであります。
 そのそもそも論を訴える機会は、これから東京都との比較考量でもございますし、最後にその移転法案なるものが提出されて、そこで賛否を国会で問うわけでございまして、そのときにも議論できるわけでございます。我々のこの委員会は今何をすべき時期に来ておるのかということを我々お互いしっかりと認識してこの議論を進めていかないと、いつまでたっても行きつ戻りつの議論では前に進まないということを、どうぞひとつ委員の皆さん方、御理解を賜り、そして議論を深めていただきたい。このように、大変僣越でございますけれども、私は与党の筆頭理事として訴えをさせていただきたい。
 いずれ近い将来に、いよいよ三つを一つに絞り込むその方法につきまして、やはりこの委員会に提出しなきゃならない時期が迫ってきておる。五月でございますので、そのこともどうぞよろしくお願いしたい、訴えさせていただきたい、このように思います。
石原委員長 あとの御発言は次回にしていただくとして、最後に、蓮実委員、どうぞ。
蓮実委員 蓮実でございます。
 八代さんが帰っちゃったのでちょっとまずいなと思っているんですが、言いっ放しで帰られると非常に困る。
 この委員会は、やはり賛成、反対がはっきりしていまして、今御発言がありましたように、初めから、どういう意見を出しても反対なんですね。ですから、これは議論にならないので、今筆頭理事がお話しされたように、今まで長い間積み重ねてきた、その積み重ねてきた歴史、それから一つ一つの皆さんの意見、それを今事務当局からも懇切に資料をもって説明をいただきました。
 殊に、非常に大事なことは、皆さん基本を忘れてきちゃった、反対議論の中で。要するに、国会移転というものは、一極集中を是正する、それから災害対策、この問題なんですよ。今、東京は云々というお話ありましたが、実は、いっとき東京の人口集中が少なくなったときがあります。しかし、今、急カーブで、一年間に十五万ないし二十万、また人口がふえつつあります。何事においても今東京一極集中です。これをまさに是正しなきゃならぬ。
 それで、先ほどの移転費用、東京都の試算と我々のこの国会等移転の試算を比較いたしますと、東京都はめちゃくちゃな試算なんです。これは皆さんよく見ていただきたい。何事においてもめちゃくちゃです、数字の出し方が。これらも東京都といずれ委員会として議論しなきゃならないというふうに私は思っております。
 いずれにしましても、そういうことで、今筆頭理事がお話しされましたように、この五月にきちっとした結論を出して、あとは国会マターですから、本会議にかけてどうするかという問題が当然出てくるわけですから、私も、これは速やかに五月までに結論を出すということでぜひ進めていただきたい、そう思っております。
 以上です。
石原委員長 ありがとうございます。
 それでは、本日の討議はこの程度で終了いたしたいと存じます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時十二分散会


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