衆議院

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第3号 平成14年4月4日(木曜日)

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平成十四年四月四日(木曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 石原健太郎君
   理事 田野瀬良太郎君 理事 棚橋 泰文君
   理事 蓮実  進君 理事 河村たかし君
   理事 玄葉光一郎君 理事 河合 正智君
   理事 中井  洽君
      荒井 広幸君    熊谷 市雄君
      佐藤  勉君    野田 聖子君
      増田 敏男君    松本 和那君
      茂木 敏充君    八代 英太君
      渡辺 喜美君    大谷 信盛君
      小林 憲司君    中川 正春君
      石井 啓一君    矢島 恒夫君
      大島 令子君
    …………………………………
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官
   兼国会等移転審議会事務局
   次長)          徳留 健二君
   衆議院調査局国会等の移転
   に関する特別調査室長   内野 隆正君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月四日
 辞任         補欠選任
  牧  義夫君     小林 憲司君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 憲司君     牧  義夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国会等の移転に関する件


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     ――――◇―――――
石原委員長 これより会議を開きます。
 国会等の移転に関する件について調査を進めます。
 本日の議事の順序についてでありますが、本日は、まず、先般、当委員会が理事会協議に基づき行いました国会等の移転の対象となる行政機関等に関する資料提出要求に関し、その経緯及び結果について国会職員から説明を聴取した後、それらの資料も含め、国会等の移転に関する件全般につきまして、自由に御意見をお述べいただきたいと存じます。
 それでは、まず説明を聴取いたします。説明は着席のままで結構でございます。衆議院国会等の移転に関する特別調査室長内野隆正君。
内野調査員 それでは、御説明いたします。
 今回の資料要求の経緯につきましては、去る三月十二日の理事懇談会におきまして、大臣等を長としない外局とか、あるいは施設等機関などについては、国会等の移転に関する法律第一条の、国会の活動に関連する行政に関する機能のうち中枢的なものに該当するか否かが必ずしも明確でないことから、関係省庁に対して、この外局等などが国会等の移転先に移転する必要があるか、東京にとどまる必要があるか、そのいずれでもないのかについて見解を求める方向で合意され、その具体的方法につきましては、委員長に一任となりました。
 その後、三月十九日の理事会におきまして、九十七の機関につきまして委員長名で各大臣に対して資料要求を行うことを協議決定し、直ちに公文書が発送されました。
 この資料要求に対する回答は三月二十八日までに関係省庁から提出されましたが、その結果はお手元の資料のとおりでございます。
 一枚目は、回答結果をABCDに分けて整理したものでございます。二枚目以降は、各省庁から提出されました回答書であります。
 各回答書にはそれぞれ詳細な理由が記載されておりますので、それをお読みいただきたいと思いますが、ごく簡単に概略を述べさせていただきますと、まず、Aの行政機能の中枢的なものとして当然に国会等の移転先に移転するものとして回答されましたものは、国税庁や文化庁などの大臣を長としない外局のほとんどと、統合幕僚会議や農林水産技術会議など一部の特別機関でありまして、その性質上、中枢的な機能を果たすことをその理由としております。
 次に、Bの中枢的なものではないけれども国会等の移転先に移転されるべきものとして回答されましたものは、研究所や研修所の施設等機関などでありまして、各省庁の政策立案機能と密接に関連し本省と一体不可分のものであるとか、あるいは密接な連絡調整が必要であることなどがその主な理由となっております。
 なお、迎賓館につきましては、賓客の接遇が皇室の場合と内閣総理大臣の場合があることから、Bの移転先またはCの東京都の回答をしております。
 また、郵政事業庁につきましては、平成十五年中に日本郵政公社へ移行する予定であることから、別途検討が必要という趣旨でBまたはDとの回答が寄せられております。
 それから、Cの東京都にとどまる必要があるものとしましては、国民生活金融公庫などの金融機関が、金融、経済の集積点である東京都中心部に立地することが適当であることを理由に、また国立博物館や国立美術館などが、交通の利便性や移転のコストなどを理由にCの回答をしております。
 そのほかに、少し変わったところでは、公害等調整委員会が、利用者である国民の利益を理由に、また公安審査委員会が、委員のほとんどが東京ないし東京近郊の在住者であることを理由にしております。
 最後の、Dのいずれにも属さないものとして回答されたものでありますが、既に閣議決定で移転対象機関に指定されているとする大学入試センターと、実態上の本拠地が筑波にあるとする産業技術総合研究所を除きまして、そのほかのDの回答の理由を見ますと、国会等の移転先がよいのか東京がよいのか判断がつきかねることや、移転について慎重な検討が必要であるといったことから、引き続き今後の検討が必要であるという趣旨でDと回答しているものが多く、国会等の移転先に移転する必要もなく、東京にとどまる必然性もないという趣旨でDと回答したと理解してよいものといたしましては、総務省所管の郵政研究所や厚生労働省所管の社会福祉・医療事業団の二機関程度ではないかと思われます。なお、社会福祉・医療事業団は、交通の要衝に位置することが必要との条件をつけております。
 これらの回答は各省庁が提出したとおりのものでありまして、当方で個々の回答について調査したり確認したりしたものではございませんので、御了承いただきたいと思います。
 以上で、簡単ですが、説明を終わります。
石原委員長 ありがとうございました。
 以上で説明は終了いたしました。
    ―――――――――――――
石原委員長 この際、お諮りいたします。
 国会等の移転に関する件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省政策統括官兼国会等移転審議会事務局次長徳留健二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
石原委員長 これより自由討議を行います。
 議事整理のため、御発言は、一回につきおおむね三分以内でお願いいたします。また、御発言は、挙手の上、委員長の許可を得た後にお願いいたします。御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず田野瀬筆頭理事よりお願いいたします。
田野瀬委員 ただいま調査室から先般来の調査につきましての報告がございましたのですが、私、筆頭理事という立場で、もう少しつけ加えて今回の調査につきましてちょっと御説明申し上げたいと思うのです。
 過去の調査会並びに審議会でいろいろ議論されました経緯を調べてみますのに、あくまでも三権の中枢を移転するということの議論でございまして、この回答結果のいろいろな機関につきましての移転の議論はほとんどなされておらない。
 もちろん、この委員会で、三つの候補地を一つに絞って東京都との比較考量という大事な作業が残っておるのですが、いよいよ候補地が一つに絞り込まれて移転するということになったときに、こういった中枢以外の政府の機関あるいは三権の機関がどうなるのか。外れた二候補地にこういった施設を移転させることができるとすれば、非常に絞り込み作業に弾みがつきますし、三つの候補地は非常に期待が大きいということをかんがみたときに、外れた二つにこういった中枢以外の施設を持っていけるということになりますと、その期待に大いにこたえることができる。こういうことから調査をさせていただいて、私、個人的な感想では、非常にまじめに各政府も答えてくれたな、こんな思いでおります。
 もちろん、Dは、その外れた二つの候補地に移すことができる可能性が十分ございますし、私は、B、Cも、これはあくまでも政府、各政府の考え方でありまして、立法府としていろいろ検討する中で、残されたあとの二つ、外れたあとの二つへ移すことのできる施設も十分出てくるんではないか、こういうふうに判断しておるところでございます。
 いずれにいたしましても、この調査の結果を参考にして、いずれ東京都との比較考量を終えて移転法案なるものを国会に提出しなきゃなりませんので、そのときにその法案に、できることなら外れた二候補地に準首都機能移転地としてこういったものを配置するということができないか、これから大いに検討の余地がある、このように考えておる次第でございます。
 以上、そんな趣旨でこの調査をさせていただいたということを御報告申し上げさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
石原委員長 他に御発言ありましたら、どうぞ。
八代委員 今、田野瀬筆頭理事さんからいろいろお話がございましたけれども、この国会等移転もいろいろな形で経緯は私なりに勉強させていただきました。
 当時の、平成二年の経済状況、また東京一極集中にまつわるバブルの全盛期、こういう時代にこういうことが議論されていたというのは、これはしごく当然な時代背景もあっただろう、このように思います。
 それから十二年たって、今日の東京の状況というものは、今や人口も減少傾向にあり、かつまた、一都三県を含むこの地域は、日本の人口の約三分の一弱を占める大きな経済中心的また政治中心的立場にあり、いろいろなことを考え、さらにまた、今月の二十二日には新たな首相官邸もオープンする。そしてまた、各省庁も、新しい省庁再編で機能強化を含めた新庁舎が非常に体制強化されている、こういう状況。それにまた、背景にまつわる日本の経済の状況等々も考えましても、今この国会等移転の問題は、国会等移転の問題という一つの表題のあるとおり、私は、やはり勇気を持って、こうしたことは、また日本の大きな新しい時代要素が生じた、それは十年先か二十年先かわかりませんけれども、我々は生きているころではないかもしれませんが、そういう時代に新たにもう一度検討し直すという勇気を持つ結論も一方では考えながら審議すべきだ、このように思っております。
 今、田野瀬理事が、外れた二候補地、この三権のあり方の中で、外れた二地域にも何かの国会の機能を移すべきだというような御発言にもとれたわけでありますが、そうなってくると、国会機能の一つの細切れ的様相を呈してきてしまう。
 今、この永田町を周辺とする三権のあり方というのは、実に世界に類のないような、整然とした、いわば国の三権というものが並び立ったすばらしい状況下にあるような気が僕はいたします。そういうことを考えましても、三候補地は三候補地のそれぞれの誘致の思いもあるかもしれないけれども、この外れた二候補地が何らかの三権の一権か二権を、もう既に三権分立になっていますから、三つをそれぞれ三候補地に分け与えればそれで丸くおさまるというような、もしそんなふうな発想が根底にあるとしたならば、やはり、この国会等移転の今までの審議は何であったのか。
 また、法案の中に準首都機能というような新たな文言を語るようなことになってしまうとしたならば、あらゆる今の状況下を振り返ったときに、私は、国会等移転を凍結して、その審議を凍結して、そして、三候補地は三候補地のよさもあるかもしれませんが、しかし、今、この東京を中心とした経済と政治の一体化というものが、この厳しい経済の中で、国際の中で生き残っていくには、今を、しっかりと私たちはここを拠点としながら、この狭い日本の中の一億二千六百万、IT化の進展あるいは地方分権、いろいろなことを考えあわせましても、もはやこの東京から移す一つの根拠というものはないのではないかという思いさえ一方いたします。
 したがって、私は繰り返し申し上げているんですが、この委員会は、ただ単に候補地を三つに分けるとか、あるいはその中の一つに絞るとかということの勇気も必要かもしれないけれども、一方では、これを凍結させるんだ、こういうあらゆる政治状況を背景に判断しながら、凍結させるんだという勇気もこの委員会は持つべきだ、そういう押し迫った、押し詰められた日本の状況であるということを私たちは意識することも一方では大切ではないかということを申し上げておきたいと思いますし、拙速に候補地を絞る、あるいは外れた地域への機能の細切れ的な移転のような、そうした考えはない形で、もっともっと深く議論をすることが必要だ、このように思って、最初の発言とします。
田野瀬委員 私の発言に対しての質問でございましたので。
 八代先生の説は説として、ただ、ちょっと二点申し上げたいと思うんですが、一点は、時代が変化してきた、あるいは時代背景が変わってきたというような、過去十二年の我々の議論は、これは百年、二百年、三百年の日本の国家の計を話し合ってきたんであって、わずか五年や十年の時代変化でこれをどうするこうするという議論でないということを御理解賜りたいということと、東京は減少段階に入っておるということ、これも大きな間違いでございますので、参考人からちょっと、東京の人口増、今もって東京はひとり勝ちというか、ひとり人口がふえておりまして、一極集中がどんどん進んでおるということをちょっと御説明いただきたいと思います。
徳留政府参考人 東京圏への人口集中は、御承知かと思いますが、平成六年、七年と一時的には緩和をいたしました。転入が転出より少なかったということでございますが、平成八年以降は五年連続して転入超過となっております。
 また、情報あるいは金融等の諸機能につきましても東京圏への集中が見られております。例えば情報ネット企業につきましては、平成十二年でございますが、事業所数が四二%東京圏に所在している。また、企業の本社機能、資本金十億円以上の法人数でございますが、若干古いですが、平成十一年のデータで五七%、それから金融機能といたしまして、株式売買高で見た数値でいいますと平成十一年八〇%というようなことで、依然として東京に人口あるいは諸機能が集中をしてきているというような状況ではないかと思っております。
 以上でございます。
渡辺(喜)委員 自民党の渡辺喜美でございます。
 私は、歴史的大事業として首都機能移転を実現すべきであるという立場から発言をさせていただきたいと思います。
 五月の絞り込みを控えて、大変残念ながら、この論議が深まっていないことに懸念を覚えるものでございます。
 例えば、この委員会の状況を見ておりましても、これは財務金融委員会あたりだと、野党の皆さんが騒いで、定足数が足りないといってとまっちゃうような状況ですよね。委員長のお人柄でそういうことがないのはこの委員会のよさだと思いますが、それくらいに非常に冷ややかな雰囲気ですよ。これは一体どこに原因があるのか。
 私は、この問題は、やはり議論が深まり、新しい改正法ができたときの原点、つまり、平成七年、神戸の大震災が起こりました、あの大震災を契機に国会等移転法の改正が行われたと承知をいたしております。とするならば、やはり、この首都を襲うかもしれない直下型大地震に対してどういう対応をしていくべきなのかということを我々は改めて深刻に考えなければいけないわけであって、フル規格の移転にこだわり続けていると、こういった現実的な対応すらおろそかになってしまうのではないかという心配をするものでございます。
 自民党の党大会がありましたときに、たまたま私、田野瀬理事と隣り合わせに座っておったのでございますが、党の運動方針の中で国会移転がいつ出てくるんだろうかなと見ていたんですね。そうしたら、全く出てこないんですよ。総理の施政方針演説でも、国会移転のコの字も出てこないんですね。これでは、幾ら我々が真剣に議論をしても、なかなか国民的な議論にはなり得ない。ですから、まさに先ほど申し上げた、原点に立ち返り、そしてフル規格の移転論は、これは一たん神棚に上げて、奉っておく方がいいと思うんですね。
 そして、国会等移転法第九条によりますと、「社会経済情勢の変化に弾力的に対応することができる段階的なものとする」、国会等の移転の計画はこのような段階的なものとして柔軟に考えてよろしい、こういう規定があるわけでありますから、今我々が真剣に取り組むべき問題は、まさに非常時対応のバックアップ機能の移転ではないかというふうに思うのでございます。
 これは、国会が決めれば当然政府もその国会の決定に従った対応をすべき、またそうしなければいけないのであって、ぜひこの委員会において率先垂範して、バックアップ機能の移転をまずやるべきだということを、そういう方向で議論を詰めていただきたいと思うのでございます。
 以上です。
石井(啓)委員 公明党の石井でございます。
 先ほど田野瀬理事の方から、外れた二候補地に中枢以外の施設を持っていくようなことがあれば候補地選定に弾みがつくんではないかというお話がございました。非常に気持ちは私もよくわかりますし、政治的にそういう配慮が必要な面もあろうかと思いますけれども、私自身はちょっと慎重な意見を持っております。
 なぜかといいますと、外れた二候補地を準首都機能移転地というようなことで位置づけをいたしますと、恐らく、全体の事業費は一カ所に移転するよりまた相当膨らんでくるであろうというふうに考えられます。そういたしますと、それでなくてもこの経済情勢の中で、首都機能移転、大変な事業費がかかる中でいかがなものかという批判を浴びている中、さらに事業費が膨らむようなことがあればまた国会移転の議論そのものに支障を来すようなことがあるんではないかということを考えますと、むしろ何か足を引っ張る方向に働くんではないかというふうな考えがございまして、私は、そこはもう少し慎重に考えた方がいいんではないかという思いがございます。
 むしろ、今渡辺委員がおっしゃったように、首都機能移転の議論が本当に広く深く広がってこない、このことをもう少し真剣に知恵を出していった方がいいと思うんですね。昨年もインターネットを使って意見募集しましたけれども、結局、たしか数十件程度だったですね、当初。ということで、非常に、国会の中、特にこの委員会の中だけでこの議論が行われているような状況でありますから、これをもう少し、やはり広く世論を喚起するようなことをやっていかないと、なかなか現実問題進んでいかない、ここのことをもう少しお互いに知恵を出し合って考える方が私は有意義ではないかな、こういうふうに思っております。
 以上でございます。
大島(令)委員 きょうは各省庁別回答結果を踏まえてということもございますので、これを見て、私は移転反対という立場で少し意見を申し上げたいと思います。
 ドイツにおいては、中央省庁の分散とか移転に関しまして、水平分割ですとか垂直分割が検討されたと言われております。水平分割というのは、各省庁を政策決定部門と比較的独立性の高い政策実施部門とに区分けして、全官庁の政策決定に直結した中枢部分をベルリンに移転させる考え方、垂直分割とは、各官庁単位で、ベルリンに移転するものをボンに配置されるということを聞いております。
 この結果を見ますと、外局を一体として、ここに書いてありますA、B、一体として本省とともに移転するという考えではなく、国会との関係を考慮して、より具体的な議論が必要ではないかということを、これを見まして思いました。
 例えば、外務省のJICAがBに入っておりますけれども、これは特殊法人でございまして、主務官庁である外務省を初め関係各府省との緊密な連絡調整が必要であるから国の中枢の機能の移転にあわせてJICA本部も移転が望ましいとか、例えば法務省の公安調査庁研修所も、研修所の職員、指導に当たる人が公安調査庁の職員だから本省とあわせて移転するとか、少し疑問に思う点も私は見受けられたわけなんです。そういうことに関しまして、省庁からの回答書に関しましては少し疑問を持っております。
 一回目はそれで結構でございます。
松本(和)委員 自民党の松本です。
 前回も申し上げたんですが、その前に、先ほど田野瀬筆頭理事からのお話にありました、残った二候補地の分散の意味でありますけれども、やはり首都機能としての持つ意味合いというのがちょっと違ってくるんじゃないかと思います。ですから、分散することは大変結構なんですけれども、機能としてきちっと動くということがなければ意味のないことでありますので、その点で、細切れという発言がございましたけれども、細切れよりも何よりも、動かなければ意味がないということで、ちょっと首をかしげざるを得ない点が一点であります。
 それから次に、前回も申し上げましたけれども、今渡辺委員の発言にもありましたように、非常時に対する原点に返ってという話がございました。私も同感でございまして、前回も、人口十万ぐらいのコンパクトな機能を持つ形の中でもって、セキュリティーを中心にした首都の移転ということをなお強調しておきたいと思う。
 ということは、今回の省庁別の回答結果を見ましても、漠然と考えていたんですけれども、内閣府原子力安全委員会とか情報公開審査会、防衛庁防衛施設庁、当然でありますけれども、また総務省の消防庁、それから法務省公安調査庁、それから食糧庁、林野庁、それから経済産業省でも原子力安全、資源エネルギー、国土交通省では気象庁、海上保安庁と、それぞれ非常時に対するものという意識の中でもって、こういったものは中枢的なものであるからこれはきちっとした方がいいという考え方だと思います。
 こういったことを中心にして、私は、別に東京に近いからということじゃなくて、要は、全体から考えますと十万くらいのセキュリティーを中心にしたコンパクトな都市を東部地区の土地に、福島あたりにつくったらどうかという考えを、きょうこの回答書を見ましてなお一層それを強く感じましたので、一言申し上げます。
八代委員 ちょっと聞きたいんですけれども、この国会等移転審議会答申、平成十一年十二月二十日版、これで、「首都機能移転の歴史的意義」と「移転先候補地の選定」、見出しがこうありまして、一応経過として三候補地になった、こういう経緯になっているんですが、この委員会は国会等の移転ですね。表題は国会等移転なんだけれども、また一方では、中身は首都機能移転の歴史的意義とかというふうに、何かつじつまが合わないというか、妙なんですね。
 首都機能移転なのか、首都機能となれば、またこれは生活も含めた国全体の問題になりましょう。あるいは三権だけなのか。あるいは、こういうものは東京に置かなきゃだめ、こういうものは移転しても差し支えないという各省庁の回答結果のようなものがある。ということで、全体の青写真と国会という一部の青写真と、二班に分かれたような混在した議論になっているんだけれども、どういう形でこのまとめ方をしたのか、ちょっとその説明を伺いたいと思うんです。
徳留政府参考人 国会等の移転につきましては、法律の第一条に規定されておるわけでございまして、国会、それからその活動に関連する行政に関する機能及び司法に関する機能のうち中枢的なものを東京圏外に移転するということが法律でうたわれているわけでございまして、そういう意味で、現在検討されているのは、すべての機能といいますか、それをすべて移すということではなくて、今申し上げました、中枢機能を移すということでございまして、首都移転という言葉も昔ありましたが、それとは同義ではございません。
八代委員 その辺も含めて、国民は混乱していると思うんです。我々、東京に住んでいても混乱をするわけですね。今渡辺委員がおっしゃったように、例えば阪神・淡路大震災、この首都圏にどういう地震があるか、これは日本は火山列島ですからね、どこへどう配置しようと、そこがいきなりどかんとこないとも限らない。これはもう天のみぞ知るという思いなんですけれども。
 それはそれとして、確かにそういう、一つのセキュリティーの問題という松本委員の話も、それも理解できるんですね。ただ、この表題に見られるように、国会の移転だと言いつつも、実はその背景は首都機能である。首都機能ということから始まったものが、いつの間にか国会というものの移転という議論に、まあ矮小化されたと言うと変ですけれども、国会というのは大きなものですからそれは大切なことなんですけれども、その辺が今の説明でもやはり二転、三転というような状況下になっているわけですね。だから、この辺も、都民を含め、国民も含め非常に理解に苦しむというのはそういうところだと思うのです。
 そしてまた、政治の、政治家一人一人の関心が薄い。確かに、渡辺委員おっしゃったように総理の施政方針演説にもない。本当は五月の選定などというときに、総理の施政方針演説の中にこういうものがないということを見ましても、いろいろな人に与野党問わず伺ってみると、いや、そんなことはあり得ないんだ、そんなことがあるはずがないというようなのが根底の中にあるわけですよ。だからそれは、今のような経済状況とか、あるいは東京にあるこの国会を含めたいろいろな機能というものがいかに世界にも誇れるかという一つの私は証左であるとも一方は思うのですね。
 ただ、いろいろな意味で、今まで、平成四年から、この委員会設置から努力をされてきて、毎年三億以上のお金をお使いになって御努力してきた経緯はわかったとしても、やはり私たちは、国会等移転ということが主題なのか、首都機能移転というのが主題なのかということを、まさにこの委員会でも、どちらをまずメーンとして置くかということをはっきりさせておくことが、僕は、むしろ政治家を含め世論を喚起する一つの原点じゃないかな、そんな気がいたします。
玄葉委員 玄葉です。
 今のお話がありましたから、ぜひ私は、委員長、きちっとされたらいいんじゃないかというふうに思うんです。
 私は、この委員会にかなりの期間在籍をしていますけれども、一貫して国会等の移転だというふうに理解をして、変わったことは一切ないんです。
 では、国会等の移転というのは一体何なんだと言ったときに、先ほどお話がありましたように、政府の中枢機能であったり司法の中枢機能であったり国会だということなので、では政府の中枢機能というのは一体何なんですか、政府の中枢機能の定義は何なんですかということだから、今回、国会とともに移転地に移転をする省庁をある意味で明らかにした、こういう理解でよろしいんではないでしょうか。
 委員長、私は、ここはきちっとはっきりされたらいいと思いますよ。
大島(令)委員 大島令子です。
 最初私が聞いていたのは、国会と政府の中枢機能というふうに伺っていました。そうすると、この省庁が出してきた回答を見ますと、このA、Bが外局に該当すると私は思ったんですが、外局が相当入ってきているわけなんです。私は非常にそれにまず一点は矛盾を感じるわけなんです。
 そもそも反対の立場として、私は経済産業委員会に属しておりますので、高度情報ネットワーク社会の中で距離とか場所が今意味をなさなくなってきている中で本当に移転を行うべきか、先般、迷惑メールとかいろいろな法案を審議する過程の中で、外国からの情報も瞬時にネットワーク社会の中で入手できるようなときに距離と場所を一カ所に移すという必然性は何なのかということが私は挙げられると思いますし、やはり政治と経済の中枢機能は一体であるべきだと思っているわけなんです。
 最初に、国会等の移転というのは、東京の一極集中ですとか、災害対応力ということでございましたけれども、本当に、先ほどほかの委員がおっしゃったように、東京以外で最近地震がたくさん起きていますし、国土庁は先般中央防災会議で、東海地震が、GPSという、衛星を使って、毎年三センチぐらい地盤が動いている、東海地区に非常に高い可能性で起きるとか、そういうことも報道されていましたので、私は首都機能そのものをもうちょっと考えるべきじゃないかと思います。
 首都機能というならば、やはり地方分権ですとか規制緩和等を優先して、そういうところから解体すれば一極集中というのはもっと小さくなる。だから、東京に機能を残していても、地方分権とか規制緩和を進めれば問題は回避される。それが十年たった今の社会経済状況であると思います。だから、私はやはり移転には反対でございます。
八代委員 今、玄葉さんのお話からちょっとあれなんですけれども。
 そこで、国会等移転なんですよね。国会等移転なんだけれども、今まで長きを費やした国会等移転審議会の答申を見ると、審議会の答申を求めて、国会等移転または首都機能移転とは、これらの機能の移転を指している、こう言っているんですよ。そして、首都機能移転は新たな段階へと歩む、こう結びつけているんです。それから最後は、審議会は、首都機能移転が我が国の将来に深くかかわり、国政のあり方をも左右する極めて重要な問題である、それで、長期的視点に立って構想すべき歴史的大事業であるとの基本的認識のもとに調査審議したんですよ。つまり、首都機能で審議していたんだ。首都機能で審議して、三候補地に決まったわけよ。
 国会等という三権を、だから、三権のうちのどこを移すかはまた別として、三権という国会等移転ならば、国会等移転に集約した審議会の答申を皆さんは出してこなきゃ変なんだよ。だから、国会等移転という隠れみのを使いながら、皇居も含めて日本の首都というものを三候補地のどこかへというのがこの審議会の答申なのよ。
 だから、そういう意味では、この委員会は、国会等移転という形にはなっているけれども、現実は首都機能移転である。首都機能移転と国会等移転は表裏一体のものである。それに基づいてこの答申が今まで出てきた。その答申の結果に基づいて三候補地が選ばれてきた。こういうことを思うと、私は、やはり根底から、国会等移転というものであるならば、その問題そのものの答申を新たに出すべきではないのか、こういう思いがするんです。ですから、これから見ると、そんな感じがいたします。
茂木委員 関連してなんですけれども、今八代先生おっしゃることは、首都機能の移転ということがはっきり定義されないままに安易に使われているという部分は確かにあるのかもしれないんですが、この前の部分を見てみると、国会等の移転にしても首都機能移転にしても、三権の中枢機能、これの移転のことでありまして、例えば皇居とかそれ以外の部分も含んでの移転という形にはなっていないんだと思うんですね。
 だから、整理としては、国会等の移転というものは、国会以外にも、例えば最高裁判所であったり行政機関であったりと、国会よりも広い。それに対して今度は、首都機能移転というとき、首都機能というときはいろいろな広い言い方があると思うんですけれども、ここで定義している首都機能というのはこの三権に限定している、こういう理解なんじゃないかなと思いますけれども。
玄葉委員 私に対するお答えでもあったので、お答えといいますか、私の考え方というか理解を申し上げますと、茂木さんが言っていただいたとおりなんです。
 私も、どういう理解でこの審議を進めてきたかというか発言してきたかというと、国会等移転というのは、基本的に首都機能の一部をなすものといいますか、首都機能の定義は確かにしっかりしているわけではないと思うんです。でも、少なくとも、私たちがこの議論をするときに国会等移転という言葉を使い、あるいは首都機能と仮に、私は使ったことがたしかないと思いますけれども、使った場合でも、三権の中枢機能という理解でこの審議が行われてきたのではないかというふうに思うということです。
 あと、大島さんから話がありましたけれども、私の理解を言うと、この今回出たA、B、C、D、政府の中枢機能以外のものも含めたA、B、C、Dというのは、ある意味でAが多過ぎる、あるいはA、Bが多過ぎるという議論だと思うんです。これは、私は、あっていい議論で、これから委員会、まさに国会が整理しなきゃいけないテーマだと。もっと少なくしたって場合によっては構わないというふうに私もそれは思いますよ。
 あと、どこでもほかの地域で情報とれるんだからというんだけれども、そうだとしたら、現実に、とれるんでしょうけれども、さらなる今のような東京一極集中は起きてないよなという感じが私はしています。
 あと、政経不可分というか、政治都市と経済都市は一体じゃなくちゃいけないという話でありましたけれども、これも、ではニューヨークをどう考えるのか、あるいは中国の上海をどう考えるのか。あるいはEUだって、今は政治都市はブラッセルで、それぞれ経済都市がロンドンだったりパリだったりという側面がないわけではないんですけれども。本当に政治都市と経済都市というのは一体でないと絶対に発展できないのかといったら、私は極めて疑問だというふうに思います。
 以上です。
大島(令)委員 EUの例を挙げられましたので、私は、EUは、やはりグローバル化の中で、アメリカとヨーロッパ、ヨーロッパはEU参加国で八億人の人口ですよね。アジアだけが、アジア太平洋地域だけばらばらなんですけれども。そういうグローバル化の中の政治と貿易、経済のあり方の中で、EUとしてはEU連合をつくり、その壮大な実験、国境を越えて、民族という壁を乗り越えて八億人のヨーロッパが一つになって、陸続きですから、アメリカという大きな国に対抗しようというところから生まれたものであって、私は今回の議論とは別なところであると思っております。
 EUに関して言えば、欧州評議会が人権とか人道に関するものを、フランスのストラスブールに拠点を置いて活動している。それは、ヨーロッパの一つの世界戦略というふうに私は位置づけておりますので、ちょっと御意見が違います。
田野瀬委員 先ほどからの八代先生の御質問に対して、茂木先生、玄葉先生、非常に的確にお答えになられたと思うんです。
 東京都選出の八代先生ならではの御心配というか御質問でございますので、ここではっきり、ちょっと申し合わせをしておくというか確認し合うというか、あくまでも三権の中枢である、国会等とか首都機能だとかいろいろな言葉を使っておりますが、それらすべて三権の中枢である、委員長、こういうふうに確認をさせていただいたらいかがでしょうか、改めて確認を。
石原委員長 今の田野瀬理事の御発言を、この委員会として確認してほしいという要望でございますけれども、それでよろしいでしょうか。
八代委員 全く異議がありません、異議がありませんからこそ、では今度、国会等移転という三権の問題というのであれば、ではやはり、まさにゼロから出発するような思いで、三権というものの、どこの、どういう形で、何をなすべきかということをやはり議論に、別に振り出しに戻れとは言いませんよ、言いませんが、そういうことをやっていくことも大切だなというふうに思います。
 それから、政経不可分の話が出ましたけれども、私は、オーストラリアにしてもそれからアメリカにしても、当時の、言ってみれば国をつくる途上のところは、全く白いペーパーの上に、どこへ首都を、どこへ経済をと、これは自由な形ができたと思うんですね。しかし、今のようなグローバル化された世の中で、経済が、一分一秒の中で世界が動いていくというような状況の中では、やはり政経というものは不可分な形の方が、しっかり密接した形の方が、国益にとっては重要だなという思いを私自身は持っていることだけ申し上げておきたいと思います。
石原委員長 先ほど田野瀬理事から発言ありました認識の件につきましては、この委員会として合意させていただいてよろしいですか。では、そのように確認いたします。
中井委員 お話はまことそのとおりだと思います。御確認いただくことは結構だと思います。
 しかし、当委員会は、党で縛らずに、個々の意見で参りましたから、現在これは出席者十名ですから、二十五名のところ、十名で決めるというのは、僕は余りにも拙速だ。また後から、きょう聞いていない人が、おれはそんなの聞いておらぬと言いますから、ひとつここでおまとめいただいて、理事会でも御確認いただいて、次の委員会、皆さんがいらっしゃるときに、冒頭、こういうことであったと、これから報告書等も含めてこういうことを中心として書いていくし、引き続き議論をしていくと、こういう形でおまとめいただければ間違いがなかろうかと、あえて申し上げます。
石原委員長 それでは、確認は定数を満たしているときにさせていただくということで……(発言する者あり)田野瀬理事の御発言は法律の第一条に書いてあることですので、改めては……。
 確認ということも申しましたけれども、では、調査室の室長さん、ちょっとそこのところを読み上げていただければと思います、一条のところ。
内野調査員 では、ただいま委員長の指示でございますので、国会の移転に関する法律の第一条を読み上げさせていただきます。
  第一条 国は、国会並びにその活動に関連する行政に関する機能及び司法に関する機能のうち中枢的なもの(以下「国会等」という。)の東京圏以外の地域への移転(以下「国会等の移転」という。)の具体化に向けて積極的な検討を行う責務を有する。
以上でございます。
石原委員長 はい、どうも。
 それから、ちょっと不手際で申しわけありませんが、定足数は十三名で、現在十四名おられますので、定足数は満たしているということです。
蓮実委員 私、非常に残念なことは、もう既に相当数の委員会を開いています。それで、参考人も百人近くお招きをいたして、意見を聞いております。基本的なイロハがわからないで委員会で発言しているんです。非常に残念だと思うんですね。ですからやはり、きょうも、国会移転の審議会の答申、これに基づいて、内閣から国会に来て、我々、委員会でこれを審議しているわけです。そういうことを無視した議論は余りしない方がいいんじゃないか、国会議員なんですから。
 ですから、そういう意味で、基本的なことを認識していただいて、この第一章の「首都機能移転の歴史的意義」ということがあります、これ第一章に。この基本的なことをひとつぜひ認識していただいて……(八代委員「イロハのイの字も知らない、蓮実さん、そんな言い方はないでしょう」と呼ぶ)いや、知らないという誤解を受けるようなことを……(八代委員「いや、誤解じゃないよ。そんなことは違うよ、あなた。審議会の人たちは首都機能という形で審議されてきたんでしょう」と呼ぶ)そうですよ。(八代委員「あなた、首都機能だと、あなたは本心を今言ったよ、首都機能と。ここでは、今、国会等移転と言っているじゃない」と呼ぶ)いや、ですから、首都機能なんです、これは。ただ、それでは誤解をされるから国会等の移転ということに。(八代委員「それはおかしい。では審議会の人を愚弄していることになるよ」と呼ぶ)いや、していません。していません。(八代委員「審議会の人は、あなた、真剣に首都機能のことを答申して、まとめてきたんでしょう。おかしいよ、それは。おれはイロハのイの字は知らないかもしらぬが、蓮実さん、その言い方は訂正してください」と呼ぶ)はい、わかりました。
石原委員長 発言は委員長の許可を得てからにしていただきたいと思います。
 それで、蓮実理事の発言につきましては、また理事会等で話し合いまして扱いを決めたいと思います。
 他に御発言ありましたら……。
 それでは、本日の討議はこの程度で終了いたしたいと存じます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時二十六分散会


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