衆議院

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第3号 平成14年11月14日(木曜日)

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平成十四年十一月十四日(木曜日)
    午後一時四十分開議
 出席委員
   委員長 中井  洽君
   理事 棚橋 泰文君 理事 蓮実  進君
   理事 吉田 幸弘君 理事 大谷 信盛君
   理事 玄葉光一郎君 理事 塩田  晋君
      荒井 広幸君    石田 真敏君
      佐藤  勉君    笹川  堯君
      西野あきら君    福井  照君
      松本 和那君    八代 英太君
      吉野 正芳君    渡辺 喜美君
      河村たかし君    中川 正春君
      前田 雄吉君    石井 啓一君
      矢島 恒夫君    大島 令子君
    …………………………………
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官
   兼国会等移転審議会事務局
   次長)          窪野 鎮治君
   衆議院調査局国会等の移転
   に関する特別調査室長   内野 隆正君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十四日
 辞任         補欠選任
  宮本 一三君     西野あきら君
  牧  義夫君     前田 雄吉君
同日
 辞任         補欠選任
  西野あきら君     福井  照君
  前田 雄吉君     牧  義夫君
同日
 辞任         補欠選任
  福井  照君     宮本 一三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 国会等の移転に関する件


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     ――――◇―――――
中井委員長 これより会議を開きます。
 国会等の移転に関する件について調査を進めます。
 お諮りいたします。
 去る十月三十一日の委員会におきまして、蓮実委員の質疑に対し、国会等の移転に関する特別調査室長が答弁を保留した分につきまして、お手元に配付しておりますとおり、書面により回答が提出されましたので、これを本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔文書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
中井委員長 お諮りいたします。
 国会等の移転に関する件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省政策統括官兼国会等移転審議会事務局次長窪野鎮治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
中井委員長 次に、本日の議事の順序についてでありますが、まず、国会等の移転についての現在の政府の考え方について内閣官房副長官及び国土交通副大臣から説明を聴取した後、国会等の移転に関する件全般について、各委員が自由に質疑を行うことといたします。
 それでは、まず説明を聴取いたします。説明は着席のままで結構です。内閣官房副長官安倍晋三君。
安倍内閣官房副長官 現在、本委員会が取り組まれておられる国会等の移転は、我が国にとって、二十一世紀を展望した極めて重要な課題であり、東京一極集中を是正し、国土の災害対応能力を強化するとともに、国政全般の改革に深くかかわりのあるものと認識しております。
 これまで、国会においては、平成二年の国会等の移転に関する決議を初めとし、平成四年の国会等の移転に関する法律の制定、平成八年の同法の一部改正等、移転に関する議論に積極的に取り組まれてきました。特に衆議院においては、平成三年の特別委員会設置以来、本日で百三十八回もの審議を行うなど、大変熱心に取り組んでこられたものと承知をしております。
 内閣といたしましては、国会等の移転に関する法律に従い、御承知のとおり、平成十一年十二月に国会等移転審議会からの答申を報告したところであります。また、同法に定める移転の具体化に向けた検討責務に基づき、国会における活発な審議が円滑に進められるよう、これまで積極的に協力してきたところであります。
 本委員会理事会においては、去る七月末に、現下の厳しい社会経済状況を踏まえ、移転コンセプトの見直しについて申し合わせを行われたところであり、今臨時国会では、見直しについての本格的議論がスタートしているものと承知しております。
 政府といたしましては、国会において、大局的な観点から移転についての御審議を進められるよう期待しております。
中井委員長 次に、国土交通副大臣中馬弘毅君。
中馬副大臣 国会等の移転につきましては、本委員会を初め、国会において、従来より、大局的な観点から真摯な御論議が行われてきたことは十分に承知をいたしております。
 国土交通省といたしましても、国会等の移転に関する法律第一条に定められた移転の具体化に向けた検討責務に基づき、国会における審議が円滑に進められますよう積極的に協力してきたところでありまして、移転の意義、効果等に関する各種調査を実施するとともに、国民の皆様にもより御理解を得られるよう、シンポジウムや講演会の開催、パンフレットの作成、ニューズレターの発行等の広報に努めてまいりました。
 本年七月末には、本委員会理事会において、「現下の厳しい社会経済状況を踏まえ、移転規模、形態や新たな移転手法(PFI、証券化等)などのコンセプトの見直しについての検討を衆議院移転特において早急に行う。」等の申し合わせが行われましたが、この申し合わせの際、河村前委員長から、コンセプトの見直しについて国土交通省としても協力するよう要請があり、自来、これらについて鋭意検討を行ってきているところであります。これらの検討によって得られた知見については、本委員会の審議に応じ、資料の提出等により審議に役立てることができるよう御協力してまいる所存でございます。
 我が国にとって重要な課題である国会移転等につきましては、本委員会が、引き続き、大局的な観点から御論議されることを期待いたしまして、私のあいさつとさせていただきます。
中井委員長 以上で説明は終了いたしました。
    ―――――――――――――
中井委員長 参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 国会等の移転に関する件調査のため、参考人として、来る二十日水曜日午後三時に、エコノミスト・元経済企画庁長官堺屋太一君及び東京大学先端科学技術研究センター教授大西隆君、同日午後四時三十分に、財団法人日本総合研究所理事長寺島実郎君及び国際日本文化研究センター教授川勝平太君、以上四名の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
中井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
中井委員長 これより自由質疑を行います。
 議事整理のため、御発言は、一回につきおおむね三分以内でお願いいたします。また、御発言は、挙手の上、委員長の許可を得た後にお願いいたします。御発言は着席のままで結構です。
 それでは、挙手をお願いいたします。
八代委員 官房副長官、また副大臣、御苦労さまでございます。
 平成二年にこのことが議論され、そして審議会も開かれて、当初は、首都機能移転、首都移転という流れ、当時はバブル全盛のころでございました。あのころは、一つのこういう夢を描くのは、それはそれなりに、あのときの情勢を見ればむべなるかなという思いをするわけでありますが、自来、ずっと審議に審議を重ねてまいりまして、いよいよそれが三つの地域に絞られた。平成十一年でございます。
 そのとき、私もちょうど内閣に入っておりました。とても一つに絞り切れないという経過もあって、そしてまた非常に経済も厳しい状況下にあって、しかし、審議会の流れが首都機能から今度は国会等移転という新たな局面を迎えてきた。そうすると、この首都機能移転の審議会の答申というものは何であったかということも、これはまた、やはりもう一回原点に戻る必要があるように思います。
 また、国会にこのボールが投げられて、国会で、ことしの通常国会、五月ごろまでには三つの候補地を一つに絞る、こういうことでありましたけれども、国民は、それに対してほとんど無関心に近い状況であった。無関心というよりも、声なき声は、やはり首都は東京であり、国会等は、この永田町を中心とした、実に三権がうまく配置されたこここそが、日本の、国際的であれ国内的であれ、あるいは政経の拠点であるという声なき声だろう、僕はこのように思っております。
 そういう意味で、この委員会でも、私は反対の意見、というのは、やはり英断を持って、今、首相官邸も新しくなって、非常に機能もよくなって、来年度の概算では、さらに整備を整えるために九十数億円も予算化されているという状況下になってきますと、今こそ私たちは、これは立法府の責任として、むしろ白紙に戻すような英断も、政治家としては、政治の中では必要ではないかという思いであります。
 また、この国会でこの移転特が設置されて、そしてまた、しかも反対論というものはなくてという流れの中で、いろいろなコンセプトが次から次に出てきて、今も議決されました、次のやる人は非常に推進型の人が呼ばれるというような状況下であって、何か、どこかに絞り込んでやらなければメンツが立たぬみたいなものをふっと肌で感じているのです。
 この国会等移転に関する法律の第四章には、第二十二条に、「審議会の答申が行われたときは、国民の合意形成の状況、社会経済情勢の諸事情に配慮し、東京都との比較考量を通じて、移転について検討されるものとする。」こういうことになっているわけです。
 しかし、ここは、もう移転だということだけの流れみたいなものをこの委員会に私自身は感ずるわけですね。ですから、反対論はほとんどいろいろなコンセプトの中にも出てきませんし、この前、委員長の報告では、そういう意見もあるけれども今は出す時期ではないと。近々出してくださるかどうかは別として、根強い反対の意見もあるということを踏まえながら、今の現下の情勢、新しい省庁も今立て直しの時期に入って莫大な予算が投じられている。また、いろいろな記事を見ましても、総理は、あるいはまた国土交通大臣は、むしろこの移転というものには消極的な姿勢さえ見られる。しかし、立法府でありますから、立法府はそれなりの責任を負わなければなりませんが、今御両者のお話も、やはりこれは立法府にゆだねたんだから皆さん方やってくださいねということを全体の中に私は非常に強く感じたわけなんです。
 そういう意味において、やはりこの移転問題というものが、いつまでもこのまま議論をしていくのではなくて、やはり私たちのこの委員会で廃止をする、こういうことはもう白紙に戻すという勇気も一方では必要であるということを考えると、第二十二条のこの法律の文言から照らしても、やはり賛成、反対両意見があるということを絶えずあらゆる報告書に、また意見の中に掲載をしていきながら、提供していきながら審議をしていきませんと、何となく、三候補地のむしろ国会等の機能の奪い合いみたいな方向が、いろいろな、福島の新聞、栃木の新聞あるいは岐阜の新聞、そういう地方紙を取り上げても、小中学生に、もし、ここへ国会が来たら、首都が来たらみたいな教育さえも今行われている状況になっていくと、ますます混沌としていくのではないかという気がするんですが、そういう私の考え方に対して、安倍副長官あるいはまた副大臣はどのようなお考えであるか。
 これは、むしろ政治家として、行政府ですから余りきついことは、本音は言えないだろうと察知はいたしますが、率直にもう開かれたところですからお話をしていただければいい、私はこのように思っております。
 私は、国会であれ、首都であれ、やはり東京だ、こういう思いでこの委員会に臨んでいることは、しっかり私自身の本音は申し上げておきたいと思います。
中井委員長 御両君にお答えいただきます前に、委員長として一言申し上げますが、来る二十日の参考人につきましても、国会等の移転に反対する学者さん等の推薦方も各党理事さんにお願いをしましたが、いまだに上がってまいっておりません。そして、本日の理事会におきましても、なおこれからも御推薦あれば参考人として招致をさせていただくと、理事会の席においても私の方から申し上げたところでございまして、意図的に排除をしたり御発言を載せなかったりというようなことは、これは決してありませんので、思いはよく理解はいたしますが、御発言はひとつよろしくお願いを申し上げます。
安倍内閣官房副長官 国会等の移転につきましては、東京への一極集中の是正、国土の災害対応能力の強化、東京の潤いのある空間の回復等に寄与し、国政全般の改革とも深くかかわるものであり、財政情勢を初め経済情勢は確かに厳しくなっているわけでございますが、引き続き重要な課題であるという認識をしております。
 これにつきましては、平成十一年十二月に国会等移転審議会から移転先候補地の選定等に関する答申が出されているわけでございます。現在、国会等の移転に関する法律に基づき、この法律につきましては、ただいま八代委員の御指摘のように、二十二条に「国民の合意形成の状況、社会経済情勢の諸事情に配慮し、東京都との比較考量を通じて、移転について検討されるものとする。」この二十二条を含めて、この法律に基づきまして、国会において大局的な見地から御議論を現在いただいている、このように承知をいたしているわけでございます。
 政府といたしましては、法に定める移転の具体化に向けた検討責務に基づき、国会における審議が円滑に進められるよう積極的に協力をしていくというふうに考えておりますが、それと同時に、国民に幅広く議論を喚起していかなくてはならない、このようにも考えております。
中馬副大臣 私は今、役所の立場ですから、まずその立場であえて申し上げますが、この委員会は国会決議に基づいて設置された委員会でございますし、これは移転をするかしないかを決めるのではなくて、移転をするという国会決議に基づいて、そのやり方等についての審議の場としてこの委員会が設置されたと私は承知いたしております。
 したがいまして、国土交通省といたしましても、この委員会の御指示に従いまして、いろいろの資料を提出したり、また国民に対しましてのいろいろのPR等もいたしている現在でございまして、その八代先生の御意見もまた一つわかりますが、その場合でしたら、この委員会ではなくて、党首討論の場とかあるいはまた別の場で、そのことを直接、もう一度議論を展開されることが必要じゃないかと思っていますし、小泉総理は逆に国会移転賛成の方ではなかったかと私も承知しておりますので、あえてそう申させていただきます。
蓮実委員 官房副長官それから中馬副大臣、ありがとうございました。
 まず、政府にお伺いしたいんですが、国会移転等首都機能移転問題に対する基本姿勢を確認したいと思います。
 百四十七回国会、すなわち、答申が出たのが平成十一年十二月でございますから、その翌年の通常国会でありますが、平成十二年三月二十三日の当委員会において、私の質問に対し当時の青木官房長官は次のように答弁をいたしております。
 政府も、移転法第一条に示された検討責務を十分に果たすべきじゃないかということで、私も当然だと思っておりますと。内閣といたしましては、国会等の移転に関する法律第一条に定める、移転の具体化に向けた積極的な検討責務に基づいて、国会における審議の過程において、その審議が円滑に進められるよう、また、三年間の審議会の検討過程で蓄積された知見の活用等も含めて、今後とも政府として積極的に協力してまいる考えでございますと。
 また、施政方針演説で総理がなぜ施政方針に盛り込まないかという質問に対して、決してこの問題に対する消極的な姿勢ではございません、私どもは、今申し上げたように、積極的に国会の議論を踏まえて対応する気持ちに何ら変わりありませんけれども、一月の施政方針演説におきましては、五つの挑戦というものを掲げたために、個々の問題については、どの問題についてもほとんど触れないで施政方針をやったので、国会移転のこの答申が出たことに対して触れないのはそういうことですから、御理解を願いたい、こういうことでありました。
 また、百回を超える審議、それから今日までの答申までのいろいろな議論がなされた、終着駅のない議論はいけないと思います、できるだけ早く本委員会においてあらゆる方向をお出しになるのが一番早い道じゃないかと。
 こういうことを、当時、平成十二年の三月の青木官房長官の答弁でございました。
 この発言に対して、政府として、現時点でも変わりはないのかどうか、安倍副長官にお伺いをいたしたいと思います。
安倍内閣官房副長官 先ほど申し上げましたように、国会等の移転につきましては、引き続き重要な課題であるというふうに認識をいたしております。また、内閣といたしましても、国会等の移転に関する決議、ただいま委員のおっしゃった平成二年の決議、そしてまた国会等の移転に関する法律に基づき、国は検討責務を有しているところでございまして、国会等の移転の問題は引き続き重要な課題である、こういうふうに考えております。
 しかしながら、まず、国会においてこの問題をどう取り扱うかということにつきましては、大局的な観点から結論を出していただく必要がある、このように思っております。
 重ねて申し上げますが、私どもは、重要な課題である、こういうふうに認識をいたしております。
蓮実委員 よくわかりました。政府としてはいささかも基本方針は変わっていないということがわかりました。
 このことを確認した上で、本委員会としては、この問題にどのように取り組んでいくか、どのような結論を出さなければならないのかということの時期が私は迫っておるだろうと思っています。
 御承知のとおり、本委員会は精力的に審議を重ねて、全国各地の実情、世界各国など、移転をしている都市などの現地調査等によって、そろそろ結論を出す機運は醸成されているのではないかということで、さきの通常国会において、各全委員二十五人から、それぞれの、一人一人の考え方を聞きました。その結果、来年、すなわち平成十五年の通常国会で最終的な考えを決定するよう、次のような方針を決めております。
 すなわち、平成十四年の七月二十五日に委員長、理事一同で申し合わせたのは、別紙にあるんですが、今官房副長官が言われたように、現下の厳しい社会情勢、経済情勢を踏まえて、移転規模、形態、新たな移転手法(PFI、証券化等)などコンセプトの見直しについての検討を衆議院移転特別委員会において早急に行う。上記の検討結果を踏まえて、平成十五年の通常国会の本会議において、移転を行うかどうかを決議する。三番目は、上記の検討を円滑に進めるために、移転特の委員の構成はなるべく、今の二十五人ではなくて、もっと大勢の人にして、三候補地出身議員が半分程度、その他の地域の出身議員も半分程度の構成とする。以上、三項目について、各党において、その趣旨を御理解いただいて、次期国会前に政党間協議の中で合意をしていただいて、しかるべく取り図られるということを強く要望する。理事間でこういう決定をしたわけであります。
 そこで、本委員会がこうした方針を打ち出したのは、第一に、長年審議を続けてきましたが、いつまでも結論を出さないでいることは、さまざまな影響を与えます。全国の候補地である地方自治体の皆さんの熱心な活動に対し、きちんとした方向を示さないと混乱を生じると考えるからにほかなりません。
 第二には、これは私見で、今日の日本経済の状況から、不良債権処理問題、デフレ対策などのいろいろな対策が打ち出されておりますが、これからの我が国の進むべき道としていかにあるべきか、国づくりはどう取り組むべきか、社会基盤を構築するために社会資本はいかにつくっていくか、その具体策として公共投資はどうあるべきか、考えております。
 この国会移転等首都機能移転問題こそが、これらにこたえる柱となるべきテーマではないか。したがって、国会、すなわち立法府として、しっかりした判断を示すときに至ったと、さきの調査局調査報告書を詳細に読ませていただいて、学識経験者の多くの方々が、私と同じように、二十一世紀の国づくりの核として国会移転実現の必要性に言及をしております。同僚議員の多くも同じ気持ちではないかと思っております。
 そこで、政府にもお聞きしたいのですが、このような機運、動きというものをどのようにとらえているのか。とりわけ、新しい国づくり、恐らくこれは今直面している日本経済再生の重大な突破口となるものですが、これとの関連で、国会移転等首都機能移転問題の重要性、関連性に対するお考えをお聞きしたいと思っております。
安倍内閣官房副長官 ただいま委員が御指摘になった点は、私ども政府がこの国会移転について先延ばしにしているという批判もあるのではないだろうかという御指摘なんだろう、こういうふうに思うわけでございます。
 その理由の一つとして、例えば経済情勢が厳しくなっている、それを理由にそう考えているんではないか、そういう指摘もあるわけでございますが、私どもの認識といたしましては、確かに財政事情は厳しくなっているというふうに認識をしているわけでございますが、しかしながら、国会等の移転の問題については、さまざまな観点から幅広く御議論をいただくことが重要である、こういうふうに考えております。それによってよい結論が出てくる、このように考えているところでございます。
 また、当然、国会等の移転に伴いまして行政機能も移転をするわけでございます。その点についてどういうふうに考えているかという御指摘もあったのではないだろうか、このように思うわけでございますが、行政機能が移転をするということは、これは大変な改革にも当然つながっていくということにもなるわけでございますが、国会とともに、この組織、どういう組織が移転をしていくかということにつきましては、各省庁の組織のあり方、政府全体としての効率性の問題等を十分に検討していく必要がある、このように考えているところでございます。それを検討することによって、もしこの移転が実現をする際には、そうした省庁をもう一度考え直すということにもつながってくるということにもなるのではないだろうか、このように思います。
 いずれにいたしましても、国会において、移転について、こうした観点も踏まえて御議論をいただきたい、このように思っております。
中井委員長 蓮実君、短くお願いします。
蓮実委員 政府としても今までにない視点で本問題に検討を加えていくように要望したいと思います。これまでの本委員会での議論から、国会移転を中心にした現実的な移転を考えていこうという考え方が現実化しているからであります。夢のような、あれもこれもと、何でも盛り込もうというものではなくて、現時点で急務となっている新しい国のあり方、体制というものに絞って考えるとどうなるかが問われています。
 規模も経費も従来のものよりぐっと引き締まった内容になってきております。さきの衆議院の調査局調査報告では、従来よりずっと縮減をされております。現実的な対応課題となる数字になっています。これをたたき台に、あるべき国会移転像をつくりたい、そして国民の世論を喚起しなければならないと思っております。よろしくお願いをいたしたいと思います。
中馬副大臣 蓮実先生の御意見もございますが、ともかく、あの国会決議をしたときの一つの条件といいましょうか環境は、東京一極集中、ひど過ぎるではないか、何としてでもこれを排除しなければいけないということが一つであったと思います。それから、関東大震災、またこのような地震の可能性が非常に高まっている、これも国土交通省、気象庁、所掌いたしておりますが、そういう見方ももちろんあるわけでございます。
 その状況のことについてちょっと御説明いたしますと、東京への一極集中といいましょうか、これは、一九八七年ぐらいがピークでございました。その後少し、都心から、人口は減ってまいっておりますが、九四年を底として、現在はまたずっとふえてきておりまして、一極集中、ほとんど一九八七年の状況に近づいております。逆に言えば、地方が疲弊しているというようなことが言えるのかもしれませんが、ともかく現実には、東京一極集中があのバブルの最中のころにまで今比率としては高まってきていることも現実でございます。
 それから、関東大震災のことでございますが、これまた富士山も少し微動があるやにも聞いておりますし、これは現実でございますが。ともかくそういうことで、この関東大震災の危機が、危険が去ったということは何ら証明されていることでもございません。したがいまして、私たちは淡々とこの御決議に基づいた作業をしている、このように認識いたしております。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 この委員会は、三カ所を一つに絞るんだという答申が出されて以来、鋭意その方向での検討を進めてまいりました。しかし、二年半経過したさきの通常国会の会期末、七月二十五日に、どうしても絞り込みに至らずということで、方向を転換する方向へと踏み出したわけです。
 先ほど蓮実委員の方からお話がありました三つの問題、コンセプトの見直し、通常国会での採決の方向等々。日本共産党はオブザーバー参加ですから、理事の皆さん方のこの決定というものをお聞きしたということで、態度は表明しておりません。もちろん、御案内のとおり、私ども当初から、今中馬副大臣がおっしゃられたいろいろな要件、震災対策だとかあるいは一極集中の問題だとか、いろいろと委員会の中で論議してまいりました。また、経済状況も当時と大きな変化があらわれているということも、これまた事実だと思います。
 そこでお聞きしたいのは、コンセプトの見直しだとか通常国会でやるかやらないかも含めて採決していこうという方向を出したことに対して、副大臣としては、先ほどの御答弁にもありました、三つを一つに絞るという方向での論議をここではしてもらうのであって、八代委員のような論議はほかのところでやってもらうということですけれども、この三つの取り決めというのは、やはり大きな一つの方向転換だと思う。それに対して副大臣としてどういうふうなお考えがあるかということと。その際には、移転審議会答申が既にあるわけですから、別の判断を加えるには新たに審議会への諮問が必要となるのかどうか、その辺との関係をお聞かせいただきたい。
中馬副大臣 先ほど申しましたように、これは国会が決議されまして、院の意思といいましょうか、立法府としてこのことの審議がなされているわけでございます。今言いました三候補地に絞るとか、これがいいとか悪いとかといったような判断も、我々行政府がすべきではないと思っていますし、その御決断は、あくまで立法府で、政治的な決断であろうかと思います。
 この経済状況が非常に悪い、財政的にといったような問題につきましても、これまたどういう財源をどういう形で、国債を発行してでもといいましょうか、あるいはまた、この際だからもっと縮小しようかといったようなことも、これは我々行政府がやるべきことではなくて、やはり立法府の御決断かと思います。
 先ほど言いましたように、かなりの実需が不足している大不況の中で、デフレの中で大きく需要をつける要素に働くこともまた逆の立場でいえばそうでございましょうし、逆に、財政が足らないから少し縮小しようという御議論があるやにも聞いておりますが、そういったことも含めて、私どもは、この院の方の、委員会の方の御決議に従いまして、あるいはまた御指示に従いまして、調査あるいはまた資料集め等はやっていくつもりでもございます。
 それと、先ほど私がちょっと申し上げましたように、その御決断をされるのは、やはりこの委員会として、皆様方が、やはり今の時期はまずい、あのときにやったけれどもこういうことで少し見直す必要があるという皆様方の御決議で、またそれを国会、本会議等に差し戻されるならともかくとしまして、それ以外の方法としましては、議運の場とか、先ほどちょっと申し上げましたように、それぞれの、党首討論などということをちょっと言いましたけれども、そういうところで、かなり最高の議決機関みたいなところで御論議いただく必要があるんじゃないかという意味で申し上げた次第でございます。
矢島委員 最後の、方向転換する場合、移転審議会とのかかわり合いというのは特に何かお考えでしょうか。
中馬副大臣 それにつきましても、これはやはり院がお決めになることで、私は、国土交通省としてそのことの判断をするわけにはいかないと思っています。
玄葉委員 玄葉光一郎です。
 とりあえず一点だけお聞きをしたいと思うんですけれども、先ほど蓮実理事からも出ていたんですが、前国会の当委員会におきまして申し合わせをさせていただきました。それは、繰り返す必要はないかもしれませんけれども、現下の厳しい社会経済情勢を踏まえて、移転の規模であるとかあるいは形態であるとかについて見直しの検討をしていこうではないかということがその一つになっているわけであります。
 先ほど中馬副大臣がおっしゃいましたけれども、その検討については衆議院の調査室に委員長から指示があり、同時に国交省にも指示があったわけであります。その意味では、政府の参考人でも結構でございますが、移転の、特に規模を、前置きを変えたときにどの程度になり得るのか、あるいは移転の費用などもどの程度になり得るのかということをこの委員会でお示しいただければというふうに思います。
 以上です。
窪野政府参考人 御説明をいたします。
 本日お手元にも配付させていただいていると思いますが、国土交通省といたしましても、委員長からの御指示を受けまして、さきの審議会試算をもとに、その後の建築単価の変更あるいは行政改革に伴う組織・定員の見直しを行ったケース、この試算をしております。人口規模でいえば五十四万八千人、面積でいうと八千四百ヘクタール、事業費でいうと十一兆七千億という結果でございます。
 さらに、このケースをもとに、さきに当委員会でなされました十四年三月の各省庁アンケート調査、これを反映し、さらにその上に調査局の報告書と同様の考え方を導入した試算もお出ししているところでございます。
 それによりますと、各省庁のアンケート調査を反映しますと、移転従業者数は十万一千人と増加をいたしますが、それをもとに調査局報告書と同様の考え方を導入してみますと、全体としての人口は二十八万七千人、そのうちの居住人口は二十六万九千人、また面積も三千四百ヘクタール、さらに事業費も六兆五千億、こういう試算を提出させていただいたところでございます。
 なお、今後、委員会なり各委員からのお求めあるいは御指導によりまして、こういうケースはどうだというお求めがありましたら、作業をしてまいりたいと考えております。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子です。
 まず、安倍官房副長官に二点と中馬副大臣に二点、質問をさせていただきたいと思います。
 首都機能が移転されますと、政治と経済が切り離されるというふうに私は思っております。ところが、政府のいろいろな戦略を考える会議には今民間の方々の委員がたくさん出ておられます。そういう観点からしますと、首都機能の地理的な移転によりまして、経済は東京、首都機能は移転候補地ということになりまして、今国際競争力の中で日本も非常に重要な岐路に立たされている中、この政治と経済が分離されるということに関しまして、政府の一員としまして、安倍官房副長官はどのようにお考えか、これが一点でございます。
 二点目は、六月の参議院の内閣委員会で、首都機能移転問題につきまして、小泉総理が、自分は移転論者であるけれども自分の内閣の現実の政治課題にのせるべき問題ではないという御発言をしております。これに関しまして、総理を支える官房副長官として、総理のこの考えに関してどのような御感想なり御意見を持っていらっしゃるか、これを聞きたいと思います。
 そして、中馬副大臣には、たしか以前、地方分権推進をする特別委員会の委員として、地方分権をすごく推進する方だと私は思っております。これから地方分権されますと、やはり国の持っているいろいろな機能が地方自治体に移譲されます。そうすると、私は、それに伴いまして国会がここにあっても問題ではないと思っているわけなんですが、そういう観点から首都機能移転に対して政治家としての考えをお伺いしたい。
 もう一点は、先ほど冒頭の御発言ですと、内閣改造が九月三十日に行われまして、扇国土交通大臣は、国会等の移転に対して、以前と同様非常に消極的な御発言をされました。その大臣を支える副大臣といたしまして、この御発言に関してどのような考えをお持ちなのか。二点聞かせていただきたいと思っております。
 以上です。
安倍内閣官房副長官 まず私への質問の一点目でございますが、行政と経済が分離されることについてどういうふうに考えるかということでございますが、この国会等の移転を通じまして、いわゆる東京中心の序列意識が変わっていく、そしてまた政治、行政への民間の過度の依存傾向が改善をされるのではないか、この意識の変革ということは十分考えられるのではないかと思っております。また、物理的な政経分離を通じまして、政官民の過度に依存し合った関係が見直されることになる、新たな政治、国民、行政の関係が構築されるのではないか。また、政策担当者がゆとりある環境に置かれることによって政策立案の視点の変化等の効果が考えられるわけでございます。
 しかし、他方、行政といわゆる民間が分離されたことによって、十分な意見の交換が妨げられるという可能性はないだろうか、あるいはまた官民が一体となった戦略をつくっていく上で問題があるのではないだろうか、そういう指摘があるのも事実でございます。
 そうした点も総合的に踏まえまして、当委員会におきまして、また大きな国民的な議論の中におきまして、この国会移転の問題について御議論をいただきたい、このように思っているところでございます。
 また、もう一点でございますが、小泉総理が国会におきまして、私は前から首都機能移転論者であります、こういうことをおっしゃっておられるわけでございます。しかし、それと同時に、現在は、国会の議論の行く末、結論をよく見守ってから判断しても遅くないのではないかと思っている、こういうふうにおっしゃっているわけでございますが、これは行政の長としては至極当然の御発言だと私は思うわけでございまして、従来から小泉総理は、一議員としては首都機能移転については積極論者であったわけでございます。
 他方、当委員会におきましては、国会の決議をもとにいたしまして、院の移転については院で決めるという認識のもとに御議論をいただいているわけでございますから、それをあくまでも見守っていく、先ほど申し上げましたようないろいろな観点から御議論をいただいた上で御判断をいただく、その上で政府は行政的に事を進めていくということになるのではないだろうか、このように思う次第でございます。
中馬副大臣 大島先生の方から御指摘いただきましたように、地方分権の方にかなり熱心に取り組んできたことは、私、事実でもございます。まさに、今の国会決議の話でございますが、私が地方行政委員長のときに国会決議をいたしました。そのときでも、その決議を読みながら、こんなものは二十一世紀にしか実現できないんだろうなと思って決議文を読んでおりましたけれども、すぐさま推進委員会を立ち上げ、そしてまた法律を出して、一括法という形で、もう一昨年からこのことは実現されておりますね。そして、まだまだこれも財源等が十分ではございませんから推進いたしておりますが。
 そのような形で地方に分権されますと、かなり政府は身軽なものになってくると思います。逆に、身軽になった政府はかなり機動的にあちこちに動けるんじゃないか。スウェーデンなんかでは、国会をあちこちで、何都市かで持ち回りで開いたりもいたしておりますが、そういうことも含めて、身軽になったから東京でいいじゃないかという話には私は直接つながらないんではないか、このように思っております。
 それから、扇大臣が、今おっしゃったことでございますが、これは私は、扇大臣が、あの当時は建設大臣でしたかもしれませんが、そういう立場でおっしゃったんではなくて、参議院の候補者としてあちこちで、街頭演説の席でおっしゃったと私は認識をいたしておりまして、私は現在、扇千景個人の議員を補佐しているんじゃなくて、国土交通大臣の扇さんを補佐してはおりますけれども、個人のお立場と、国土交通省がそのことの消極的な立場になったこととは、私は関係ないと思っております。
石田委員 私は今回の臨時国会からこの会に参加をさせていただきましたので、まず基本的に考え方を申し上げておきます。
 私は、国会決議がなされた当時、先ほどから御議論ございましたけれども、一番大きな眼目であった東京一極集中の問題あるいは防災上の問題、これは悪くなりこそすれ、よくなっているという認識は持っていないわけであります。特に東京一極集中と一概に言いますけれども、これは見方が幾つかあると思うんですね。
 まず一つは、東京と地方との関係という東京一極集中ということがあります。それから、住民の方ですね。きょうここにお集まりの東京近辺在住の方でも、恐らく一時間ないし一時間半とか、そういう通勤を強いられていると私は思います。自分から望んでそういう生活をやっているんではなくて、そういうことを強いられている。
 例えば、少子化の問題が今大きな問題ですけれども、今全国で少子化は一・三三ですけれども、東京の目黒区は〇・八一しかない。そして、悪い順番に並べると、ずっと東京何とか区何とか区というのが並んでいくんですね。東京は子供も産めないような状況になっているんじゃないか、子育てができないような状況になっているんじゃないか、これは住民側から見たときの東京一極集中の弊害ではないか、私はそのように思うんです。
 それから、もう一つは、この東京という町をよりよい町にしていく、そのためには、やはり余り何もかも過密に入れておくべきではない。そういう意味で申し上げますと、私は、先ほど蓮実先生が言われたように、もう決断をすべき時期に来ているんではないか。
 私はこの四月まで地方の首長をしておりましたけれども、この特別委員会に大きな期待を寄せておったわけです。ところが、なかなか結論が出ない。そして、四月に当選させていただいた後で、一たんもう一度何か戻るようなイメージがありましたので、あえてこの会へ入れていただいたわけなんで、ぜひ推進をしていただきたい。
 そこで、ちょっとお伺いをいたしたいんですが、特にこの東京一極集中というのはなぜ起こっているのかということなんです。
 私は、もう十年から前になると思いますが、堺屋太一さんの「日本革質」という本を読んで、これはぜひやらないといけないというふうに思ったんです。というのは、堺屋先生いわくは、今の日本というのは昭和十六年体制だというんです。つまり、戦時体制です。野口悠紀雄さんは一九四〇年体制と言われて、いろいろなことを言われていますけれども、堺屋太一さんも、今の東京集中というのは昭和十六年体制、すなわち戦時体制だというわけです。
 その中で、今、政治も、そして経済でいえば各団体が全部東京に集められた。あるいは文化団体、文化施設も全部東京に集められた。そして今、政治も経済も文化も東京にあるんです。そして、なおかつ、非常に情報の重要性が言われる現在、情報も全部東京じゃないですか。こんな異常な町は世界じゅう、どこにあるんですか。これを変えていくというのがまさしく二十一世紀なんじゃないですか。
 そういうことは、今は景気が悪いとか、あるいは財政的にどうだというようなそんなレベルの議論じゃありませんよ。何十年にかかってこの改革をしていかなければ、東京も地方もよくならない、そして、住んでいる住民もよくならない、そういう考えで私はこの問題に取り組むべきだというふうに思うんです。まさしく今の東京は右肩上がりの時代の東京なんですよ。もう中央集権をなくす時代なんですよ。そうであればこそ、この移転を何としてでも早急に図っていかなければならない、そのように思います。
 そういう意味で、先ほど言いました、東京一極集中は自然に起こっているのか、システム的に起こっているのかということについて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
安倍内閣官房副長官 私の地元も人口は漸減をしているわけでございます。他方、東京につきましては、人口集中におきましては、近年の景気後退局面におきまして一時的には緩和はしているわけでございますが、機能面、情報面での集中は依然として高いということでございますから、それはまさにシステム的な問題ではないだろうか、このように思います。
 東京の人口を見てみますと、東京で生まれ育っている人の数というのは、出生率が低いですからそのものの人口というのはふえないわけでございますから、外からどんどん入っていっている。外から入っていっている一番大きな要素は、私は、やはり、東京にたくさんの大学がございますから、大学にみんな行って、そしてそのままそこに残ってしまうということが一番大きな原因の一つなんではないだろうか、このように思っております。
 私の地元でも、もっと地元を一生懸命発展させたいと言っている人が、実は子供は東京の大学に行って、そのまま東京の企業に残る、娘もそうだという人が大体ほとんどなんですね。ですから、そこをやはり、我々もどうすればいいかということは真剣に考えなければいけない、こう思っております。
 一方、例えばアメリカを見てみますと、大学の問題についていえば、大学は、例えばニューヨークに全部あるわけではなくて、それぞれ個性のある学校が各地域に、必ずしも人口集中地域にはないということもあるのではないだろうかなと。
 これは個人的な意見ではございますが、いずれにいたしましても、東京にどんどん集まる、そういう仕組みになっているというのも事実であろう、このように思います。
中馬副大臣 かなり長期的なお話もされましたが、私は今、この副大臣という立場を抜きにして、こうして国会議員、もちろん賛成しました国会議員の一人として、あえてその長期的な視点を申させていただきますならば、人類の歴史をごらんになっておわかりのとおり、やはり、一つの王朝といいますか、王国といいましょうか、ダイナスティーといいましょうか、これは大体三百年が限度だと言われております、長い短いはありますけれども。それで一つの花が咲いて、また枯れていく、そしてまた次の文明が起こっていく。
 日本の今の状況は昭和十六年という話がありましたが、それ以前に、この東京に、江戸が首都として、江戸に移りまして以来のやはり江戸文明だ、まだ江戸文明の範囲を抜けていないと言われております。
 しかし、過去を振り返りますならば、奈良からあの平城に移った、これは大規模な移転でございますが、ここでまた新たな一つの文化が起こりますし、鎌倉に移ったときには、またそれで生活態度から気持ちの持ち方から家の構造までそこで変わってくる。それぞれ、一つの首都がかわり、王朝がかわってまいりますと、そのような形で新たな文明がそこから生まれてまいります。
 日本が今若干一つの経済的な成熟にも達しまして、新たな文化、文明はどうもこの状況の中から生まれてこないと私は個人的にも思っておりますから、次の二十二世紀までも見据えた展開を考えていくときには、新たな一つの新地を求める方が私はいいのではないかと思います。どの場所をどうだとか、そういうことはここで、院がお決めになることでございますが、いずれにしても、政治的な決断で、次の二十二世紀、二十三世紀を見据えた一つの展開が必要じゃないか。
 それは、国民が今も何か行き詰まった状況を感じていることもこれあり、アメリカが、景気が悪いときにこそニューディールという形で国家予算に匹敵するフーバーダムをつくって、ロサンゼルスの町を興してやっていって、西海岸をあれだけ大きくして、そして太平洋と大西洋に両翼を広げた大国家をつくったんじゃないか。そういうことも考えたときに、今、不況だから規模を縮小するというのじゃなくて、逆に、大きく展開することも一つの事業方法ではないか。あえてきょう、個人的な見解を述べさせていただきました。
大島(令)委員 先ほど、副大臣、扇国土交通大臣の記者会見が、本年九月三十日の内閣改造のときのことでございまして、そのときにも、首都機能の移転は、公共工事のそれだけのゆとりがあったら、もっとこちらへ道路をつくってくださいと言ったりということで、結論的には、国土交通大臣は、御自分が一番公共事業のむだ遣いをしないでおこうという姿勢だと思っていますということで、二回目、こういう発言をしていらっしゃるわけなんです。私は、そのことに関してどうですかというふうに質問させていただきました。
中馬副大臣 そういうことは、私も直接聞いておりませんし、認識をいたしておりませんし、また、私は、一つの国土交通省なりである程度議論した上での御発言じゃなかったんじゃないかと思っています。
 もちろん個人的にはいろいろ、私が今申し述べましたように、それぞれの個人的な、政治家でございますから、意見をお持ちでございましょうが、一つの組織的に、国土交通省がその方向に少し消極的になり始めたんだということにとらえると、少し私は問題があろうかと思います。
前田委員 民主党の前田雄吉でございます。
 先ほど中馬副大臣が言われたように、移転の問題というよりは、国家百年の大計であり、目先のことで判断すべき問題ではないと思うのですね。
 しかし、とはいえ、一方で八代議員が初めに御紹介くださったような、国民世論が静まっているということも現実でございます。また、三つの候補地も、いずれも誘致のための莫大な広告宣伝費を使い、いわば誘致疲れをしているといったことも現状であると思います。
 先ほど玄葉理事、蓮実理事が当特別委員会の申し合わせを確認されましたけれども、とにかく来年の通常国会で結論を出すということでございますので、私は、移転を目指して、国民に対して目に見える形で世論を喚起する必要があるんではないかと思っておるんです。
 これは一つの提案でございますけれども、これは大き過ぎてあれなんですけれども、例えば国会の開会式を三候補地で、いずれかでやるとか、この特別委員会を三地域で順に巡回するとか、こうした目に見える形での国民世論の喚起をぜひ私はすべきであると思っておるんですが、官房副長官、中馬副大臣、いかがお考えでございましょうか。
安倍内閣官房副長官 先ほど八代議員が指摘をされていましたように、二十二条には国民の合意形成ということが書かれているわけでございまして、この国会移転の問題について、国民全体が果たしてどれぐらい議論をしているだろうかといえば、まだまだ足りない面もあるのではないだろうか、こういうふうに私も問題意識として持っているわけでございます。
 今委員が御提起された案につきましては、これはまさに当委員会で御議論をいただき、また院において判断をいただきたい、このように思います。
 いずれにいたしましても、国民の広範な議論、候補地だけで議論をされるというよりも、これはやはり国民全体の議論が必要ではないだろうか、このように思う次第でございます。
中馬副大臣 今安倍副長官がおっしゃいましたように、ただ、PRというのも、三候補地をどれに絞るかといった議論よりも、国民自体が改革を求めて、現在の行き詰まった状況を何とか打破してほしいという気持ちがありますから、たまたまいい時期ではないかと思います。もう少し広範な、首都をどこに持っていくかといったようなことまでも含めて、あるいはまた現状でいいのかということもですけれども、そういったことの議論を起こすようなことをしていただきたい。
 私たち、国土交通省としましても、その方向にこれから力を入れていかなければいけないなと思っている次第でもございます。
塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 最初に、私なりの御意見を申し上げまして、あと、一問、中馬副大臣にお願いいたします。
 まず、意見でございますが、首都移転あるいは国会移転の問題が起こってきたのは、やはり一極集中の排除ということが一番根底にあったと思います。その一極集中の排除という点につきましては、八代議員も言われましたけれども、今そんなに一極集中による弊害があるのかというと、そうも言えない状況があるんじゃないか。
 それは、以前、この問題が大きくクローズアップされたときには、東京に一つの百階近いビルが建つと、そこへ、一万人が一つのビルに入るとすれば、十万人の地方の都市ができるのと同じ交通量があるんだ。それが今や十、二十、三十、あるいはもう百を超えた大きなビルがどんどん建っている。しかし、地下鉄ができ、また道路が整備され、いろいろなインフラが整備された結果、これがそんなに弊害が起こっていない。緩和されている。皆さんの御努力によって緩和されてきている。だから、一極集中による弊害というものは、さほど今の状況ではなくなっている。
 しかも、人口も、ふえておったのがとまってきているという状況から、一極集中排除を一番の眼目にしたこの問題が静まってきて、見直しという声が起こってきたのも当然だし、あるいは防災の点からいいましても、地震は何も東京、関東だけに起こるものではない。関西の大地震が最近もありましたように、思わぬところでも起こるわけです。
 ですから、そういった点からも、東京一極集中でいいじゃないか。しかも、国民の気持ちからいいますと、東京へ行けば人と金とがもうすべて集まっている、だから、仕事を見つけるのにも東京へ行けばいいんだという気持ちが地方にはあります。
 それから、住みやすいという点においては、先ほどもありましたけれども、文化等も含めまして、経済的にもすべて、とにかく暮らしやすい、暮らしたいという希望がやはりかなり全国的国民の中にあるというようなことから、何も東京から首都を移転しなくていいじゃないか、こういう気持ちが全国的に起こってきているのではないか、このように思うわけでございます。
 私の意見としましては、さりながら、やはり一極集中、先ほど中馬副大臣が言われましたように、人口も若干またふえつつあるという傾向もありますが、何といたしましても、この問題は国家百年の計であるし、十年単位、二十年、三十年、五十年といった単位で考えないといけない問題であるわけでございますから、私は、やはりこの際、思い切って首都を移転すべきである、一挙にいかなくても、漸次やっていくということか、あるいは、一括ということが前提にされておるようですけれども、これも、一括でなくて、分都というものも世界には例があるし、機能の分散ということもあり得ますから、そういった点も考えると、いろいろなやり方があるし、百年の単位で物事を考えるとすれば、この際、一極集中を排除する意味からも、あるいは安全の面からいっても、やはり首都は移転すべきである、まず国会を移転すべきだ、このように思います。行政機関も、当然それに伴って必要なものは移っていかなければならない、このように思います。私の意見でございます。
 その観点からいうと、人口の重心とかあるいは面積、距離の中心とか、そういった観点も考慮に入れて、これは本当に、国民的な総意を得て、やはりこの際、人心一新ということも含めて奠都を考えるべきだ、遷都あるいは分都を考えるべきだ、このように思います。
 それから、中馬副大臣にお伺いしたいと思いますのは、前の建設省、今の国交省の中に官庁営繕の部門がありますね。それから、これを認めるのは財務省ですから、両者の共同でできてきていることだと思うんですけれども、中央官庁の建物が毎年大きく変わっていっている。旧内務省の人事院ビルも大きく変わりましたし、首相官邸も変わったし、新しくなったし、外務省も今建設中だ。順次、文科省その他財務関係にもいくでしょうが、これは国民の目から見まして、首都移転に逆行する、これは官僚の抵抗じゃないかと。
 大臣としましても、そういったことを、やはりジレンマというか、矛盾を感じておられないでしょうか。
 以上です。
中馬副大臣 今塩田先生の方は国会等の機能移転に賛成の立場でおっしゃっておられますが、しかし、それにしましても、これはやはり、移転して実際に機能し始めるには十五年、二十年かかってくるんじゃないかと思います。
 一方、例えば首相官邸一つとりましても、もうあの狭い建物の中で、ほとんど旧態依然たる情報管理の仕方だとか、あるいはIT機器だとかそういったものも不十分な今のあれを、まだ十年先までもそれでいいと私は思っていません。やはり、現在に合った形での機能を持たせるためにも、新しい首相官邸をつくったことはもちろん私は間違いではないと思っていますし、そのほかの役所におきましても、外務省も、少し、震災が起こったときには危ないぞということで今補強をしておりますが、そういったことも含めて、これから少なくとも十年、十五年、その間に機能を持たせるためには、私は当然必要だと思っています。
 そして、例えば移転した場合においても、それはもちろん別の使い方が考えられるわけですし、リースでよそに貸すことも考えられまして、今そういうことはむだだと私は思っておりません。
河村(た)委員 河村たかしでございます。
 安倍さん、せっかくお越しいただいて、先ほどから重要な課題だと盛んに言っていただいておるけれども、その割には見守るということばかりですので、見守っていただいておっても何も聞きようがないなと思いますが。
 私は、前からずっと、かねがね、法案の準備もしたことがあるんだけれども、国会移転そのものには反対ではないんだけれども、ただ、森の中に宮殿をつくるような、何か、前から言っていますけれども、各候補地の、私のところもあるんですよ、地元は、あるけれども、そういうような何か自分の地域だけだからということで言うつもりもありませんので。
 要するに、今の時代の背景は、やはり国家にすべてのいろいろな財を集中していって、あたかも本当に社会主義国のようなことをやっているところがすべての問題ですわね、これ。人間に番号をつけることを自民党が賛成するというわけのわからぬとんでもない話が、これは安倍さんにかねがね言っておりますけれども、そういうような国では本当にこれは閉塞感が出てきますよ、これ。
 それで、国会移転も、計画を見てみますと、山の中にそれこそ宮殿があって、なぜか池があるんですね、必ず。池の横に国会議員が歩いておる。これは全く反対でして、国会議員というのは忙しいところであくせく働かないかん。だから、ちょっと、安倍さん、後ろからメモをもらって、これは役所が書いたものだと思うけれども、ゆとりある環境に政策担当者を置くと言われましたけれども、そんなところに置いたら本当にぼけちまいますよ、これ。だから、政治部門というのは、ゆとりあるところにおるのは納税者の方がおるのであって、公僕、パブリックサーバントとしては、とにかくもう忙しく働き詰めに働くというところでないといかぬ。
 だから、そのためには、計画そのものを完全に、僕は、解党的出直し、どこかの党と同じですけれども、ということで、今のあれですと多極的国土形成法にのっとると書いてありまして、それは既存の都市から距離を置くというスタイルでしかできないんですよね。だから、下手したら、これは一たん廃案にして、もっと既存都市を使った分散型、そういうものを進めていくというふうに方針を転換しなきゃいかぬと思いますよ。そうしないと、新しい国家像ってない。
 東京一極集中がいかぬいかぬといって、ほかのところに一極集中して、それも森の中に宮殿をつくってどうするんですかということですよ、これ。社会主義のスターリンの五カ年計画みたいなものですよ、これ。
 そういうふうに、自由主義型に変えるというふうに、どうか政府はお考えにならぬですか。重要な問題だったら、見守っていただくのを重要な問題と言わないので、重要な問題なら、別に国会は国会でやるんだけれども、安倍さんは安倍さんで、私はこう思うがと言っていただいても大いに結構だと思うんですよ。いかがでしょうか。
安倍内閣官房副長官 私の所属している党は自由民主党でございまして、まさに自由主義の政党でございますから、その上に立って政策を立案しているわけでございます。個人情報保護法案もそうだと私は思っておりますが、この法案については、この委員会とは関係がございませんが。
 このあり方、国会移転した新しい首都機能を持つ都市の形については、まさにこれは当委員会で院として御議論をいただくことなんだろう、こう思うわけでございます。その上にのっとって、私どもは行政府としてやるべきことはやっていきたい、こう考えているところでございます。
玄葉委員 二、三、お尋ねをしたいと思います。
 一つは安倍さんに、小泉政権はよく構造改革という話をいたしますけれども、せっかくなので、構造改革の定義を教えていただければというふうに思うんです。もっと言うと、もう一つは窪野さんにお聞きするのでお答えは最後でいいんですけれども、構造改革とこの国会等移転の関係を少し整理していただければというふうに思います。
 あと、先ほど規模の話だけ国交省にお尋ねをしましたけれども、先ほどいただいた資料を見ると、審議会で試算をした結果よりも今度の試算の方が約一・三兆円ぐらい公的負担減りますよという結果なんですけれども、それでも三・一兆かかっているという試算結果になっています。私の感覚だと、これはあくまで感覚ではありますけれども、本当にこんなにかかるんかいなという感じが率直にしております。例えばPFIだとか、あるいは証券化等の公的負担を減らす手法についてどのように検討されているかということも聞いておきたいというふうに思います。
 それともう一つ、移転の形態でありますけれども、私は、国会の移転が必要な最大の理由は、ここでも何度も申し上げていますけれども、国政全般の改革といえばそれまでなんですが、情報発信が九割以上が今東京だと。メディアが東京に本社機能が集中していて、これはやはり余りに過ぎる。これが、もし国会が移転をしたり中央省庁が移転をしたりする、仮に地方分権がなされても、かなり変わってくるんだと思うんです。
 それで、調査室でおもしろい提言あるいは提案を見つけてきているなというふうに私が個人的に思ったのは、一括・分散併用型という提言もありますよということで先般紹介をしていただきました。つまり、国会と行政中枢機能は新都市に移転するけれども、最高裁判所は新都市とは別の地域に移転をする、あるいは省庁の外局も基本的に新都市と別の地域に移転する、特殊法人もエージェンシー化して新都市と別の地域に移転する。こういう一つの形態を調査室は見つけ出してきて報告書に記しているわけであります。
 先ほど申し上げたような、情報発信都市を幾つかつくるかという意味では、なるほどおもしろいなという見方もできなくはないんですけれども、国交省で、先ほど中馬副大臣がおっしゃったように、研究をしていただいていて、このような形態についてどうごらんになっておられるか。もともと国交省というか審議会は、一括移転ということで報告をしておりますから、簡単に逸脱はできないと思いますけれども、考え方として、メリット、デメリットを整理していただきたいというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
中井委員長 お答えをいただきます前に、大谷委員から関連質疑の発言がありますので、これを許します。
大谷委員 大谷信盛でございます。
 関連をしつつも、ちょっと大きな話を、もう一遍官房副長官にお聞きしたいんです。
 これは委員会の決断を見守る、質の高い議論を期待するということで、何もこれは質問できないじゃないかと僕も思っちゃったんですけれども、首都機能を移転するということは、みんな、東京の一極集中や震災対策や、また、おのおのが使う言葉の定義がよくわからないんですが、国家百年の大計だとか、その中に地方分権だとか、もしくは貿易立国から内需を拡大した経済社会にしていくんだとか、もしくは住んでいる家の敷地をもっと大きくしていくんだとか、そんないろいろな文化の高さや社会生活の向上を、その中に皆さんおのおの持っているんだと思うんです。
 それは、この二十五人の特別委員会だけで議論して、やる、やらない、どこに行くというのを決めるのには余りに大き過ぎる話でございまして、やはりそれなりに政府の方からも、将来はこんな国の形をつくるんだ、町をつくるんだというような、ある意味、リーダーシップがあって初めて、では国会、東京集中じゃなくて、こんなところにこんな首都が要るねというような議論になってくるのではないかというふうに思うんです。
 最初、先ほどの話ですと、もう見守る、見守るだけでございますので、それではリーダーシップというか役割を果たしていないんではないかというふうに思うんですが、このポイントについてはいかがか、一言だけ官房副長官にいただけたらと思っております。
 済みません、ありがとうございました。
安倍内閣官房副長官 まず、玄葉先生から、小泉総理の構造改革について、その構造改革とは何であるかという御質問でございます。
 従来から小泉総理も何回か委員会の場でお話をされておられます。私なりに小泉総理のお考えを述べさせていただきますと、過去十年、二十年、そしてまた今後の十年先を見据えて、この間の大きな変化あるいはこれから起こるであろう変化に備えて、この国の発展を確かなものとしていくためには変えなければいけないものがある、そのための構造改革であろう、こう考えております。
 例えば、もうあと数年で日本の人口は減少になっていくということでございます。戦後は一貫して人口はふえ続けてきたわけでございます。また、社会保障を見ましても、そういう中で一九七〇年には三・五兆円であった社会保障の給付が現在は八十兆円になっている。しかし、今までは、確かに個人個人の社会保障の給付は厚くなっていったわけでございますが、今後はなかなかそれは難しい。むしろ、これは社会保障の対象者がふえている、セーフティーネットの面積がふえていくという中にあって、負担を今までのような形、給付と負担の関係を今までのような形で考えていたのでは、持続あるものとしてこれは維持をしていくことができない。そういう中で、やはり、例えば社会保障の問題についても構造を変えていかなくてはならない。
 また、経済におきましてもボーダーがどんどんどんどん低くなっている。そういう中で、かつては、例えば日本の中で、この産業においては日本で五社しか残らない、しかし、今は世界の中で五社しか残らない、その中では日本の会社は何社入るであろうか。そういう中で、やはりこれは経済界においても大きな改革をしていかなくては、当然日本は生き残っていくことはできない。
 また、行政においてもそうでございます。人口が減っていくわけでありますから、行政府が今までのままの形ではとてもやっていくことはできない、当然改革が必要である。これをやはり変えていく、やっていかなければいけないことが構造改革である、これは避けて通れない改革ではないだろうかと私は思っております。
 つまり、二十世紀型の日本から二十一世紀型の日本にモデルチェンジをしていくということが構造改革ではないだろうか、こう考えております。
 その中で首都移転をどうとらえるべきかということでございますが、重複になるわけでございますが、今までのように東京に一極集中させておくことが果たしてこの国土を効率的に使うことに資するだろうか、また、世界からいろいろな人たちがやってきて、働く場所として今の東京が快適なのであろうかという視点から果たしてどうだろうか、そういう観点からもやはりこの首都機能移転を考えていかなければいけない、まさに構造改革の点からも首都機能移転ということを考えていかなければならない、このように思っております。
 つけ加えますと、例えば、これは行政と、政と民、あるいは政と官、そうした関係をもう一度見直すという意味においても、この首都機能の移転、国会の移転ということは、その考え直す契機になるのではないだろうか、こう思うわけでございます。
 もう一点、今、大谷委員の方から御質問というか御指摘があったわけでございますが、政府は見守るばかりなのかということでございます。
 もちろん、政府といたしましても、あるべき新しい都市、国会または首都機能を移転させた都市はどうあるべきかということは当然考えなければならないわけでございまして、私どもは、ただ見守るだけではなくて、それぞれ要求があれば、どういうシミュレーションを考えているかという資料は提出をさせていただきたい、またそういう協力は当然行っていきたい、こう考えているところでございます。
中馬副大臣 玄葉先生の方からの御指摘でございますが、審議会の方は当初一括をということを前提にしまして、三候補地等、皆様方からのお決めいただいたところで、そのことの絞り込み等の作業をしてきたことは事実でございますが、今またいろいろな意見が出ております。御指摘のように、裁判所だけ、司法だけを別にしたらどうかとか、そうしたいろいろなバラエティーに富んだ案が今出てきておりますから、それに基づいて、衆議院の調査局だけではなくて、我が国土交通省も含めて、もう一度、少し幅を広げた試算をしてみる必要もあろうかな、このようには思っております。
 と同時に、今、安倍さんの方からもおっしゃいましたように、やはりこうした国会の決議と同時にもう一段の大きな決断が要る、それはやはり、私は、確かにおっしゃるとおり、総理ではないかと思います。現在の政治課題に景気のことがございましょうから、にはしないとはおっしゃっているようですが、首都機能移転論者でもありますし、最後は総理が、そのときの総理が御決断をされることじゃないかと私は思っております。
窪野政府参考人 まず、PFIや証券化を含めました移転手法の見直しについての検討状況でございますが、これもお手元に配付させていただいておりますが、まず、PFIにつきましては、国や地方公共団体における先行事例のヒアリング等を通じまして、コスト低減率の分析に努めております。また、従来は、単体の公共施設の建設、維持管理の事例が多うございましたが、公共サービスの提供事業全体を対象にすることや、あるいは一定区域の面的開発を民間委託する、そういうことの可能性や問題点についても勉強しております。
 さらに、証券化の導入可能性につきましても、不動産開発や都市整備における証券化の市場の動向や、あるいは最近、地方公共団体でミニ公募債という事例がございますが、そういうものも参考にしつつ検討を行っておりますので、またその成果は逐次御報告をしたいと思います。
 さらに、移転形態に、予備的調査報告書でも一括・分散併用型などさまざまな形態がある、そのメリット、デメリットというお尋ねでございますが、私どもも、首都機能が必ずしも一カ所でなく、複数あるいは広く分散している諸外国の事例をもとに、もちろん三権のチェック・アンド・バランスの関係ですとか国政の遂行の効率性でありますとか、あるいはコミュニケーションのあり方とか、さまざまなメリット、デメリットが考えられますが、そういう事例をもとに今研究をしておりまして、これも何らかの形で取りまとめて御報告したいと、作業を急いでおります。
玄葉委員 ごめんなさい、一言だけ、コメントというか。
 私も、なかなか構造改革という言葉の定義が、正直、よく正確につかめなくているんですけれども、今の安倍副長官のお話だと、結局、少子高齢化に伴って社会保障制度の構造を変えていこうじゃないか、あるいは、より競争力の高い分野に産業構造を移していくという意味で、経済構造改革も含めてそうじゃないか、あるいは国土の構造改革もそうじゃないか、あるいは危機管理のシステムの構造も変えていかなきゃいけないじゃないかと、かなり幅広い意味で構造改革というのをきっと使われているんだろうなというふうに思いました。
 だとすれば、ある意味では、この構造改革の最大の契機に国会等移転というのはなり得るし、あるいは契機というよりは、国土の構造改革あるいは危機管理システムの構造改革という意味ではイコールになっちゃう可能性だってあると思いますので、これは国会の責務ではあるんですけれども、政府としても、より申し上げれば、先ほど中馬副大臣がおっしゃっていただいたように、総理が一歩踏み込む発言をするとこの問題が大きく前進する可能性というのは確かにあるなというふうに思うものですから、ぜひ官邸で御検討いただければというふうに思います。
 以上です。
中井委員長 以上で本日の議論は終了したいと思いますが、先ほどから出ております、国交省におきます、今回お出しいただきました見直しの資料、あるいはPFIや証券化等についての検討状況、これらはやはり前提条件をきちっと当委員会としてつけない限りはなかなか出しにくい数値でもあろうか、このように思っております。
 例えば、審議会におかれましては、全役所の働いている人の三分の二が移動される、こういうふうなもとで計算をされておりますが、過般私どもが、この東京に残るところ、どうしてもついていかなければならないところという形でこの計算をしていただきましたが、それに基づく計算だと、費用がふえている。なぜかといったら、全部の働いている人が移るからだ、こういうことが前提になっておる。それから、土地代が安くなっているだろうと思ったんですが、聞きますと、公共事業の買収費が上がっているんだという驚くべきことがあって、なかなか数値として出しにくいというお話も承りました。
 これらのことを含めまして、ただいま御議論のありましたこの形態についてどう委員会として判断をしていくか、どういう範囲で国交省に正式の計算依頼をするか、ここら辺をもう少し理事会で詰めながら資料提出を求めていきたい、こう思いますので、各委員におかれましては、それぞれ理事さんを通じて御意見等をお出しいただくなり、次回、参考人の質疑の中で御意見等を賜ればありがたい、このように考えております。
 それでは、本日の質疑はこの程度で終了し、次回は、来る二十日水曜日午後二時五十分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時八分散会


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