衆議院

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第3号 平成18年4月3日(月曜日)

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平成十八年四月三日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊吹 文明君

   理事 今津  寛君 理事 園田 博之君

   理事 谷  公一君 理事 谷川 弥一君

   理事 山本 有二君 理事 大島  敦君

   理事 北橋 健治君 理事 桝屋 敬悟君

      安次富 修君    秋葉 賢也君

      井上 喜一君    衛藤征士郎君

      大野 功統君    太田 誠一君

      岡本 芳郎君    加藤 勝信君

      小杉  隆君    佐藤  錬君

      菅原 一秀君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    寺田  稔君

      並木 正芳君    西銘恒三郎君

      西本 勝子君    葉梨 康弘君

      原田 令嗣君    松本 洋平君

      三ッ矢憲生君    水野 賢一君

      村上誠一郎君    石関 貴史君

      大串 博志君    菅  直人君

      近藤 洋介君    武正 公一君

      西村智奈美君    馬淵 澄夫君

      前田 雄吉君    前原 誠司君

      渡辺  周君    石井 啓一君

      谷口 和史君    塩川 鉄也君

      菅野 哲雄君    滝   実君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   法務大臣         杉浦 正健君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   農林水産大臣       中川 昭一君

   経済産業大臣

   環境大臣臨時代理     二階 俊博君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       沓掛 哲男君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     中馬 弘毅君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     松田 岩夫君

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           猪口 邦子君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   内閣府副大臣       嘉数 知賢君

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   財務副大臣        赤羽 一嘉君

   農林水産副大臣      宮腰 光寛君

   環境副大臣        江田 康幸君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   農林水産大臣政務官    金子 恭之君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  上田 紘士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中藤  泉君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   山本信一郎君

   政府参考人

   (内閣府市場化テスト推進室長)          河  幹夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋  進君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   東  良信君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  藤岡 文七君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大石 利雄君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   日野 康臣君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       北井久美子君

   政府参考人

   (国際協力銀行総裁)   篠沢 恭助君

   参考人

   (独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構理事長)           水島藤一郎君

   参考人

   (日本郵政株式会社代表取締役社長)        西川 善文君

   衆議院調査局行政改革に関する特別調査室長     大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  太田 誠一君     寺田  稔君

  加藤 勝信君     西銘恒三郎君

  三ッ矢憲生君     原田 令嗣君

  村上誠一郎君     西本 勝子君

  近藤 洋介君     前原 誠司君

  鉢呂 吉雄君     菅  直人君

同日

 辞任         補欠選任

  寺田  稔君     太田 誠一君

  西銘恒三郎君     加藤 勝信君

  西本 勝子君     村上誠一郎君

  原田 令嗣君     三ッ矢憲生君

  菅  直人君     石関 貴史君

  前原 誠司君     近藤 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  石関 貴史君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  西村智奈美君     鉢呂 吉雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出第七四号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出第七一号)

 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出第七二号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)

 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

伊吹委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 まず、審議が始まるに際しまして、委員長から一言申し上げます。

 これらの法律は、国民から負託をされた国の役割を最小限の国民負担において果たすため、諸般の御協議を立法府として行っていただくものであります。

 委員各位も、私たち国会議員は、国民の血税によってその活動諸費を賄われている特別職の国家公務員であるということに思いをいたされて、効率かつ充実的な審議をしていただくようにお願いをいたします。

 それから、政府の皆さんに申し上げます。

 これら法律案は、一般国家公務員、準公務員にかかわる事項が数多く含まれておりますので、できるだけ、これら公務員が答えるのではなく、大臣、副大臣、政務官等、立法府から議院内閣制の趣旨にのっとって行政府に入っている同志、同僚の皆さんが、みずからの言葉で答えていただくようにお願いをいたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、内閣官房内閣審議官上田紘士君、内閣官房内閣審議官中藤泉君、内閣府大臣官房長山本信一郎君、内閣府市場化テスト推進室長河幹夫君、内閣府政策統括官高橋進君、内閣府政策統括官東良信君、内閣府沖縄振興局長藤岡文七君、消防庁次長大石利雄君、財務省大臣官房審議官佐々木豊成君、財務省主計局次長松元崇君、財務省理財局次長日野康臣君、厚生労働省労働基準局長青木豊君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長北井久美子君、国際協力銀行総裁篠沢恭助君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。

衛藤委員 皆さん、おはようございます。

 自由民主党の衛藤征士郎でございます。

 私は、行政改革推進法案について、小泉総理を初め関係各閣僚に対して質問をいたします。

 まず、総理にお尋ねいたします。

 この行政改革推進法案の目的、そして、この法案の成立によりどのような効果が見込まれるのか、国民にわかりやすく御説明をお願いいたします。特に、なぜ今行政改革をしなければならないのか、一体だれのために行政改革をするのか、この二点に御留意をいただきまして御答弁をお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 行政改革、いわゆる簡素で効率的な政府をつくっていこうという。政府の機関というものは多岐にわたっております。また、今まで、この仕事は政府でやるべきだ、民間ではできないと思われた仕事も、時代の変遷につれ、政府機関でなくてもできるのではないか、民間に任せても、今までと同じようにあるいはそれ以上に政府の仕事を民間に任せても大丈夫ではないか、そういう声が数多く昨今聞かれてまいりました。いわば、行政、政府の仕事はどこまで役所がやるべきか、公務員がやるべきか、この事業は果たして民間人ではできないのか、いわゆる事業の仕分け等も十分点検して、でき得れば政府がやっていた仕事を民間人にやってもらえて、サービスあるいは今までやってきた機能が向上すれば、それにまさることはない。

 いわば政府の仕事というのは、役所がやる、公務員がやる、これはもう国民の税金の負担でやるわけであります。できるだけ国民の税負担を軽減していくためには、政府の仕事というものを、事業というものを厳しく仕分けして、民間なり地方なりにゆだねていく方が、簡素で効率的な政府ができるのではないか。その行政というもの、行政組織というものを見直して、できるだけ国民の創意工夫を発揮しやすいようなそういう体制を構築していこうというのが、わかりやすく言うと、主な趣旨でございます。

衛藤委員 総理、今総理がお考えになっておられる小泉改革の全体像についてお尋ねしたいと思います。

 ただいま総理の御答弁のとおり、簡素で効率的な政府を実現する、そのための基本理念、キーコンセプトは何なのか。また、その目標、その目的を達成するための道筋、ロードマップですが、さらにはそのスケジュール、タイムスケジュールもお示しいただければと思います。

 小さな政府で大きな国をつくる、簡素な政府で豊かな国をつくる、これが総理のお考えでございましょうか。総理は、二〇〇一年四月に小泉内閣をスタートさせましたが、そのスタートされた時点で、小泉行革のゴール、その終着点をどこに見定めておられましたか。また、小泉行革の大きな節目節目となった特筆すべき通過点についてもお尋ねいたしたいと思います。

 小泉行革を登山に例えるならば、総理は多分、富士山を目標にしながら実は世界のエベレストにまっしぐら、私にはそのように思えてなりません。総理、小泉行革山の何合目まで登り詰めたとお考えでしょうか。率直に現在のお気持ちを披瀝いただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 改革に終わりはないと私は思っております。いつの時代においても、その時代にふさわしい改革があると思いますし、あるときは、その改革を実現して目標を達成すると、その目標に向かって進んでいた時点とは違って、達成した時点でまた新たな問題も出てきますから、私は、改革に終わりはないんだと思っています。

 しかし、大きな改革といえば、まず郵政民営化でしょうね。これは、ほとんどの政党が反対していた。事実、国会で否決されたんですから。これは、民間に任せちゃいかぬ、役所じゃなきゃできないと、長年、民営化論というのは暴論と言われました。しかし、これは実現できた。今の郵政三事業を、将来、民間人にゆだねよう、民間の経営者にゆだねて、そして、国営と同じようなあるいはそれ以上のサービス展開してもらおうと。この郵政民営化というのは、今まではまず不可能と思われて、それ以外の改革をやろうという前提で行政改革を進めてきたと思います。しかし、現実に、郵政民営化は一度は国会で否決されましたけれども、総選挙によって国民が民営化は必要であるという審判を下してくれたおかげで、すんなり総選挙後は郵政民営化法案が成立いたしました。

 道路公団も、これまた今まで一番税金を使ってきた分野の特殊法人だった。これもなかなか難しいと言われた。それが、道路公団も民営化が実現した。

 いわば役所がやらなくても、公務員がやらなくても民間でやろうという、いわば民間にできることは民間に、地方にできることは地方に、その一環として郵政民営化、道路公団民営化、そして地方に対して三位一体の改革、いわゆる税源の移譲、補助金の改革、地方交付税の改革、これも進めることができた。

 不断の見直しが大事であります。また、今までなされてきた改革がある時点に来れば、果たしてどうなのかという、その時点での見直しも必要だと思います。いわば改革に終わりはありませんけれども、当初私が目標としてきた大きな目標は実現いたしましたので、あと、この目標がよりよい機能を発揮できるように不断の点検なり監視が必要ではないかと思っております。

衛藤委員 小泉連立政権は公明党との自公連立政権の政策協定に基づいておりますが、特に、少子高齢化のピークを迎える二〇二五年ごろでも国民負担率を五〇%以下に抑制するという政策合意があります。国民負担率五〇%、この数字は行革を進める上で大事な行革の物差しの一つであります。

 昨年二〇〇五年の我が国の国民負担率は、お手元の資料にお目通しをいただきたいと思いますが、約三八%でありまして、本年二〇〇六年の国民負担率も約三八%になると思います。国民負担率は国税と地方税の租税負担と社会保障の負担の合計が国民所得に対してどのくらいの割合を占めているかを示す数字でありますが、本年二〇〇六年の割合は、国税が一三・六%、地方税が九・五%、社会保障負担が一四・七%で、合計三七・七、約三八%の国民負担率となっています。ちなみに、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、この四カ国の平均の国民負担率は約四八%であります。また、総理が来月訪問される予定のスウェーデンは、七一%の国民負担率となっております。

 総理にお尋ねいたします。

 小泉行革の租税負担率と社会保障負担率並びに国民負担率、それぞれの望ましいあり方についてお答えをお願いいたします。また、アメリカのように小さな負担で小さな福祉を目指すのか、スウェーデンのように大きな負担で大きな福祉を目指すのか、総理のお考えをお伺いいたします。

小泉内閣総理大臣 租税負担率等、低ければ低いほどいいという答えが国民からは、聞けば返ってくると思います。

 では、その低い程度の負担でどの程度の社会保障を初め公共サービス等ができるかという問題であって、私は、今の負担をいかにふやさないでサービスを展開していくことが必要だと。そして、日本は今各国と比較しても高齢化が進んでおります。ということは、社会保障を考えますと、年金とか医療とか介護等、高齢者がどんどんふえていきますと、国民の税負担をそちらの方に使わざるを得なくなりますね。負担がふえてきます。

 少子化、かつての時期に比べて、一年間の出生数、赤ちゃんの生まれる数は半分以下になった。となりますと、今、借金をかなり抱えております、国債を発行しています、こういう方たちに今までの借金を負担していただかなきゃならない。

 その点も考えますと、いかにサービスを充実するからといって、さらに税負担を国民に求めていいのかどうか。こういう点も考えなきゃなりませんので、それだけに、行政でどこまで必要か、国としてどこまで必要かという見直しというものは、これからますます重要になるんじゃないでしょうか。

 どの程度が適正かというのは国民が考えることでありますし、今の負担でサービスが展開できないというんだったら、どの程度負担を上げるべきかというのは、これは国会並びに国民の声もよく聞いていかなきゃならない問題だと思っております。

衛藤委員 お手元の参考資料一をごらんいただきたいのですが、国内総生産、GDPに対しての我が国の、今総理のお話しになりましたいわゆる公債残高、債務残高、つまり借金の残高が図抜けて高く一六〇・五%になっています。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの四カ国の平均が六五・六五%ですから、これらと比較しますと、二・四四倍も高いことになります。

 資料六の示すとおり、租税負担率は、OECD二十八カ国の平均三七・七六%に対して、日本はただいま約二三%ですから、OECD諸国の中では二番目に低いことになります。米英独仏の平均が約三一%ですから、これら四カ国の平均との比較では日本は約八%も低い、こういうことになります。

 国民負担率を見ましても、OECD二十八カ国の平均約五〇%に対しまして、我が国は約三八%ですから、下から五番目に低い。また、米英独仏の平均が約四八%でありますから、これと比較しましても我が国は一〇%も低い、こういうことであります。

 一方、所得税率、法人税率につきましては、資料二の示すとおり、サミット構成国はいずれもほぼ同じ水準にあります。ここで特に留意すべき点は、消費税率が世界で我が国は一番低い、逆にGDPに対する債務残高が世界で一番高いという割合になっております。

 小泉総理にお尋ねいたします。

 お手元の資料でごらんいただきましたこれらの数字を見据えて、これからの小泉行革の中で、いかにして財政再建あるいは財政の健全化に取り組まれるのか、そのお考えをお伺いいたします。特に、行革を進めると国民の暮らしや安全が脅かされるのではないかという懸念を抱いている人たちが大勢います。このような国民の真剣な思いにお答えすべく総理の答弁をお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 行政改革を進めると安全が脅かされるのではないかという声があるということでございますけれども、何でもかんでも一律に公務員を減らせということじゃないんです。今の、現在の厳しい見直しの中でも、安全面、警察官とか、あるいは外国人の不法滞在が多い、入管の仕事、こういう点の公務員はふやしております。必要な点はふやしていく、そうでない点は減らしていくのが行政改革であります。一律という考えはとっておりません。その辺を誤解されないようにお願いしたいと思うのであります。

 先ほど申し上げましたように、負担をできるだけ少なくするという観点と、それから、必要な人員はふやす、予算はふやすという両面を見ていく必要があるし、減らす場合も、ある役所では大幅に減らすことができても、ある役所においてはふやさなきゃいけない点も出てくると思います。平均して五%、五年間という目標を掲げておりますので、これは各省一律ではないということも御理解いただきたい。

 それと、消費税率が各国に比べて低い、債務残高が各国に比べて高い、そういう点から見れば、まだまだ消費税率を上げる余地があるんじゃないかという考えを持つ方もあると思いますが、消費税を上げる場合にも法人税を上げる場合にも所得税を上げる場合にも、国民負担については多くの意見があるところでありますので、そのバランスをどうとるか。債務がどんどんふえていくということもよくありません。これは債務をできるだけ減らしていく。国債残高はふえていきますけれども、それだけに、行政のさまざまな事業というものは厳しく効率的に見直していかなきゃならないと思っております。

衛藤委員 私は、行政改革の座標軸は、縦軸が国家軸であり横軸が国民生活軸であると思っています。行政改革の基本は、この国家軸と国民生活軸の双方にいいバランスがとられるべきだと思います。

 資料九をごらんいただきたいのでありますが、御案内のとおり、小泉内閣スタートから本年を比較した表があります。株価あるいは実質国内総生産、雇用者数、有効求人倍率、設備投資、そして不良債権の処理などについて示しておりますが、ごらんのとおり、小泉改革の実績と成果は着実に上がっております。この改革の成果を、格差のある地域、つまりハンディキャップのある地域とハンディキャップのある人たちに最優先に配分すべきであると私は思いますが、総理の率直なお考えを承りたいと思います。

小泉内閣総理大臣 各地域においてはそれぞればらつきがあると思います。また、各企業においても、業績のいい企業とそうでない企業もあります。

 しかし、全体的に見ますと、私の就任時に比べて、各企業も業績を上げられるような状況になってきたのではないでしょうか。また、地域におきましても、地方分権を主張する声が強いということは、自分たちのできることは自分たちでやらせろ、もう余り国からあれこれ干渉されるのは好ましいことではないという考えから、そのような提言なり意見が出てきているんだと思います。いわば、おれたちだってやればできるんだというような意欲が出てきたと思います。

 そのとおり、経済の実態を示す各指標というのは軒並み改善していますね。これをできるだけ満遍なく広げていくのが、これからの経済政策等、財政政策等さまざまな施策の展開で必要だと思っております。

衛藤委員 総理、ありがとうございました。小泉行革の総論を御丁寧に御説明いただき、感謝いたします。

 それでは、これから順次質問をさせていただきます。

 まず行革担当大臣にお伺いいたしますが、政策金融改革についてお伺いをいたします。

 今回の政策金融改革の目的は何か。これにより何を達成しようとしているのか。また、政策金融の本来の役割は政策誘導にあります。それぞれの政策分野ごとに国家の政策目的に沿った役割があると思います。今度の改革で一つの新機関に統合されますが、この一つの新機関でこの役割をどう担っていくのか。中馬行革担当大臣にお尋ねいたします。

中馬国務大臣 今総理からも御答弁いただきましたように、これまで国が関与していたこと、これを民間に移していく、これは大きな一つの時代的な要請でもありましょうし、もう一つは、私は、民主主義そのもののあり方にまでかかわってくる問題だと認識をいたしております。

 戦後のあの民主主義といいましょうか、これはGHQから与えられた形で、しかも官僚が、やはり時の、あの焼け野が原から上がっていくためには一つの中央に権力と金とを集めて、そしてそれで国民をひとつ叱咤激励しながら、護送船団その他の方法で企業等にもいろいろな恩典を与えながらやっていったことは御承知のとおりでございます。

 しかし、そういう時代ではなくなりました。そうしますと、これをそれぞれ民が独自の形で自由に、法律に縛られた形あるいは規制に関与された形ではなくて自由に活動していく、このことの方がよほど国民も願っていることでございますし、そしてまたそれがいかに、効率化を図ること、そして、今衛藤委員が言われましたように、今後のことを考えたときに、急激にこの公的な負担が上がっていく、これを阻止するためにも民間の方にいろいろと移していかなきゃなりません。

 その中での政策金融でございますが、これは、これまでの戦後の先進国に追いつき追い越せの中で、国家がかなり主導した形で政策金融もやってまいりました。しかし、その時代ではなくなりましたから民間の方にかなり移していく。そしてまた本当に必要な部分だけは公的な関与で残していく。これが今回の、一つのことに移してあとのものは民間に移していく、そういう一つの仕分けをしたような次第でございます。

衛藤委員 個別になりますが、谷垣財務大臣にお伺いをいたします。

 JBICの国際金融業務が果たしてきた資源・エネルギー確保や国際競争力などの機能は、資源小国、貿易立国の我が国にとって生命線ともなりかねないものでありまして、国の政策実施手段としてしっかり維持していかなければならないと思います。新機関の国際金融部門が引き続きこうした機能を果たしていくためには、相手国政府との交渉や途上国のカントリーリスクの審査など専門的な知識や経験が非常に重要でありまして、このような高い専門性また人間育成面も含め今後とも維持していく必要があると思いますが、所管大臣としての御見解をお伺いいたします。

谷垣国務大臣 今衛藤委員おっしゃいましたように、JBICというのは、日本のエネルギー開発とかあるいは国際金融危機が起きましたときにどう対応していくか、こういうような側面におきまして、その専門的知識を十分に生かしまして大きな役割を果たしてきたと私は思っております。

 今回の政策金融機関の見直しの中でこのJBICは改組となりまして、その国際金融業務が新しい政策金融機関の中に統合されるわけでありますけれども、今まで果たしてきた役割、機能、これはやはり生かさなければならない。今までの政策金融改革の議論の中でもそういう御指摘があるわけでありまして、これから具体的な制度設計に入っていくわけでありますけれども、私は、そういう側面は十分生かしていくような制度設計にしていかなければいけない、このように思っております。

衛藤委員 大臣御指摘のとおり、JBICはこれまで対外的に高い評価を受けておりまして、また、総裁の対外的なプレゼンスは国際交渉などの場で有益な役割を果たしてきたと考えております。

 検討会報告書の指摘を踏まえますと、詳細な制度設計においてはJBICの対外的なプレゼンスへの配慮が必要である、このように書き込まれています。ただいま申し上げましたJBICの専門性の維持という観点だけではなくて、このような側面からも、新機関の国際金融部門には高い独立性を持たせることが重要である、私はこのように思います。

 この点についての谷垣財務大臣のお考えを承りたいと思います。

谷垣国務大臣 今委員がお引きになりました今までの検討でもそういうことが指摘されておりますので、詳細な制度設計はこれからでございますけれども、十分その点を意識しながら、きちっとした議論を積み重ねてよいものにしていきたいと考えております。

衛藤委員 御案内のとおり、八つの国の政策金融機関が一つに統合されるわけでありますが、中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫がJBICの国際金融と統合されますと、総裁も職員も華々しい海外業務に目を向けるようになりまして、地道な国内支店回りやあるいは融資先回りといった国内部門への目配りがどうしてもおろそかになるのではないかと心配であります。

 中小零細企業者の方にとっても新機関の敷居が高くなるのではないかといった弊害も懸念されますが、国内の中小零細、農業事業者へのきめ細かいサービスは維持されるのか、人材育成や窓口をしっかりつくって、幹部も含めて、中小企業あるいは零細企業、農業を専門に見る人間を置く必要があるのではないか。この点について、中川農林水産大臣と二階経済産業大臣にお尋ねいたします。

中川国務大臣 御指摘のように、いわゆる今度の金融機関で果たすべき役割の中で、農林水産に対して求められているものは非常に重要でございます。

 そういう意味で、農業、林業、水産業、時間がかかるとかあるいは自然を相手にするとかいった農林水の特殊性をきちっと踏まえながら、これから役割を果たしていくことが大変大事だと思いますので、そういうことの御指摘のようなことにならないように、今後とも努力していきたいというふうに考えております。

二階国務大臣 中小企業、零細企業の金融関係につきまして御指摘がございましたが、民間金融機関からの貸し入れが難しい中小企業や零細企業の皆さん、また、特に貸し渋りや貸しはがしが横行しているようなときにでも、安定的に資金を供給してまいりました政府系金融機関が果たした役割というものは極めて大きいものがあると考えております。したがって、統合される政府系金融機関におきましても、この重要な機能はしっかりと引き継がれるべきものだと考えております。

 先ほど来、谷垣財務大臣からもお話がありましたとおり、詳細な制度設計というのはこれからであります。

 私どもは、政府系金融機関についても、閣議決定の方針どおりきっちりと遂行するつもりでありますが、同時に、中小企業の方々が不安に陥ることのないように、そして、改革してむしろよかった、こう関係者が思えるような制度設計の実現に向けて今後努力をしてまいりたいと思います。

衛藤委員 このたび、商工中金が完全民営化されますが、組合金融という商工中金の本質が変わってしまうのではないかと懸念されています。

 個人貯金の受け入れも検討対象になっているとの報道を耳にしていますが、完全民営化して経営を成り立たせるためには業務の範囲を拡大せざるを得ず、中小企業向け金融に特化した経営は困難になる懸念がありますが、この点についてどのようにお考えでありますか。行革担当大臣にお尋ねいたします。

中馬国務大臣 今回の行政改革推進法案におきまして、第四条に、国民一般、中小企業者、農林水産業者等の資金調達を支援する機能、これを明記いたしております。そういうことで、中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、あるいは農林漁業金融公庫、こういった中小零細企業の資金調達の公的な立場での支援ははっきりとこれをすることになりますし、新政策金融機関、これに残すことになっております。

 今お尋ねの商工中金でございますが、これは第六条第三項で、完全民営化することにいたしておりますが、完全民営化に当たり、中小企業等協同組合等に対する金融機能の根幹が維持されるよう必要な措置を講ずることが規定されております。

 そういうことで、中小企業が担う公的なものは新政策金融機関の方でしっかり担保することにしておりまして、そのほか、商工中金が担っておりましたかなり民間的なことはもう民営化の方法で十分に機能できる、そこのところの仕分けをこれからはっきり制度設計の中でやっていきたいと思っています。

衛藤委員 政策銀行の件についてお尋ねいたします。

 このたびの政策投資銀行の完全民営化につきましては、純粋な民間金融機関として収益性を追求することになります。この結果、従来、中立公平な立場から自治体などと協力して進めてまいりました地域再生等の分野は、収益性が低いため切り捨てられるのではないか、こういう心配があります。谷垣財務大臣にお尋ねいたします。

谷垣国務大臣 政策投資銀行につきましては、これは大企業それから中堅企業向けの融資を今までやってきたわけですが、国全体として資金不足であった高度成長期とはちょっと異なってきまして、民間市場から貸し付けだけじゃなく社債やあるいは株式といったようなさまざまな形態で資金の繰り入れが可能である、政策金融として行わなくてもいいだろうという判断で今度は民営化をするということでございます。

 それから、今まで政投銀というのは、収支相償うという、独立採算をするということができてまいりました。しかし、今委員のおっしゃいましたように、地域金融とか、あるいは、例えば阪神・淡路のときの金融機能等々、なかなか民間ではできない機能もやってきたという面がございまして、それを今後どういうビジネスモデルのもとで民間でやっていけるか、今、実はそのモデルを設計するために知恵を絞っているところでございまして、政投銀に期待される機能、高度な金融機能、こういうものを今度一体として生かしていけるように、その政策モデルを今一生懸命詰めているところでございます。

衛藤委員 次に、総人件費改革についてお伺いをいたします。

 国、地方を通じまして財政が非常に厳しい状況にあります。あらゆる手法をもって財政再建をしていかなければなりません。御案内のように、少子高齢化社会を迎え、これに耐え得る行政システムを構築する必要に迫られています。人口減少時代、また、将来の社会的な人材の配置を考えたとき、これらに対応するためには公務員の人件費を思い切って削減していくことが不可欠であり、公務員の定員も大幅に純減していく必要があると考えております。その削減に当たって一定の削減目標を打ち出すことは非常に重要なことだ、このように思っております。

 このような観点から、昨年、私たち自由民主党の行政改革推進本部では、十年間で二〇%純減という思い切った目標を打ち出しました。このように思い切った純減をなし遂げるためには、当面する五年間で実現すべき目標を確実に実行していく必要があると考えています。

 行政改革推進法案では、総人件費改革について、純減の目標として五年間で五%の純減との規定が盛り込まれております。総論賛成、各論反対と言われますように、改革達成に向けて五年間の五%純減を設定してございますが、この総人件費改革に対する総理の決意を承りたい、このように思っております。

小泉内閣総理大臣 人件費の削減につきましても、目標を掲げてやっていかなきゃなりませんし、今までもその分野の抵抗というのは強かったわけでありますけれども、今回はっきりとこの法案に盛り込んで、一つの方針の上に今後五年間進めていきたいということでありますので、この法案に沿って毎年毎年厳しい目標を掲げて、それにのっとって削減していくということを明確に示したわけでありますので、よろしく御理解と御協力をいただきたいと思います。

衛藤委員 竹中総務大臣にお尋ねをいたしますが、御案内のとおり、小泉総理の委嘱を受けました定員純減の方策をただいま精力的に検討している行政減量・効率化有識者会議、この検討状況を見ますと、一部の論点を除き、関係各省の回答は極めて不十分と言わざるを得ないと思います。

 効率的で小さな政府を求める国民の真摯な声を受けとめて、重点事項を所管する関係各省は最大限何ができるかを検討して、五年間五%をはるかに上回る純減数を具体的に明示すべきである、私はこのように思います。

 竹中総務大臣として、これからどのような取り組みをされるか、お答えをお願い申し上げたいと思います。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 今御紹介いただきました行政減量・効率化有識者会議そのものは、中馬大臣の方で御担当をしてくださっておられますので、中馬大臣からも補足をしていただくべきかと思いますが、五年で五%以上の国家公務員の純減を実現するに当たりまして、一応のめどを持っております。

 それは、五%のうちの一・五%以上を厳格な定員管理、これは総務省で行う年々の査定、定員管理で行う。そして、三・五%以上を業務の大胆かつ構造的な見直しというところで、まあ少し言葉はあれですけれども、年々の仕分けとは別枠でしっかりと行っていくということでございます。

 それに向けまして、今、中馬大臣のもとで有識者会議でもいろいろ知恵を出していただいておりまして、大幅な定員純減の方策については関係各省に真剣に検討をいただいていると思います。遅くとも六月までに政府の方針を決定する予定で、いろいろ御努力をいただいているところでございます。

中馬国務大臣 今回の総人件費改革は、非常に財政が苦しくなってきたから人件費を削減しようという話じゃないんです。総理もお話ありましたように、中央から地方へ、官から民へ、そうした仕事をかなり移していく、そうしますと結果的に、公務員は本当に国家的な運営をする非常に絞られた人員だけでよくなってくるわけでございまして、そういう意味で人件費が結果的に減るわけでございます。

 その目標を、五年五%、もうそれだけでいいというのじゃないんですね、対GDP比を十年間で半減しようとしているんです。半減しようとまで、はっきりとした目標をここに掲げております。当面は実現可能な五年五%ということを言っておりますけれども、それはそれぞれのところで、今、減量の有識者会議にお願いをして各省庁とのすり合わせをしていただいております。

 中間取りまとめが出て、この六月までには一つのはっきりとした方向、数字を出してまいりますが、しかし、今お話がありましたように、各省庁は、自分のところは今一生懸命やっているんだということで、これ以上減らせないというのが一つの、まず第一弾の申し出でございますけれども、そういうことじゃだめじゃないかということで、具体的にこれを今は詰めているところでございまして、いずれそうしたことの御理解も得まして、六月にはこうした所要の、決めました数字はちゃんと出せるものと私は確信をいたしております。

衛藤委員 次に、公務員制度改革についてお尋ねをいたします。

 総人件費の削減も定数削減も大切でありますが、同時に、能力主義、実績主義を徹底して、公務員が互いに競い合う中で、持てる力を最大限に発揮し得る環境を整備して、公務の世界をより活性化し、国民の行政に対する期待に十分こたえていく必要があります。また、現在、公務員の天下りについても国民の厳しい批判があり、これにはしっかりと取り組むべきだと思います。

 公務員制度改革につきまして、一昨年六月に、私たち自由民主党と公明党は、公務員制度改革に関し、能力・実績主義と公務員の再就職の適正化を柱とする与党申し入れを行いました。

 政府は労働基本権について検討の場を設置すると連合側と合意したと承知しておりますが、こうした動きも受けまして、今後、公務員制度改革に政府としてどのように取り組んでいくのか。特に労働基本権のあり方、労働基本権の付与について、中馬行政改革担当大臣のお考えをお伺いいたします。

中馬国務大臣 今回の総人件費改革、これの裏腹といいましょうか、その前提となりますのには、現在の公務員制度にいろいろ問題がございます。これを改革せずして、公務員改革、公務員の純減といったことも私はなかなか難しいと思います。そういうことで、衛藤先生以下、いろいろと御提言もちょうだいいたしております。

 この公務員制度改革につきまして、かなり具体的な今までも作業もしていただきました。これをもちろん今後進めてまいりますが、それの前提といたしまして、組合の御了解といいましょうか、御理解がなければなりません。

 私がこうして大臣になりましてから、このことを少し具体的に進め始めております。政労協議という形で、もう二回にわたり労働組合側と真剣な討議もいたしてまいりました。その場で、今、懸案になっております労働基本権につきまして、特にニュートラルな形で、設けるとか設けないとかそういうことではなくて、一つの、このことについて白紙で検討していこうじゃないか、その検討の場を設けることも決めたわけでございます。連休明けには少し具体化してくると思います。

 そうしたことを踏まえまして、この労働基本権も含めたこれからの公務員制度のあり方、これまでのように画一的に年功序列でだんだんと上がっていくということではなくて、能力・実績主義に基づいた人事管理もやっていこう。そしてまた、今言いました、いろいろな人事の配置の問題がございます。これもかなり自由にしていただこう。

 それからもう一つは、分限免職という、公務を少し逸脱している方だとか、あるいはやる気のない人、こういった方にはやめてもらうことの法律的な形はあるんでございますけれども、この法がなかなか実行に移されておりませんが、これははっきりと総理も予算委員会等で答弁されております。この分限制度もしっかりと、こうして分限免職という手段を使いながら、本当にやる気のある方々の効率のいい公務員制度にしていこうじゃないか、これがこれからの課題だと思います。

衛藤委員 次に、資産及び債務改革についてお尋ねをいたします。

 資産・債務改革は、簡素で効率的な政府を実現し、債務残高の増大を抑制するための重要な課題であります。この改革の実施に当たり、まず留意すべき点は、十五年度末時点で約七百兆円に上る我が国の資産規模であります。これほど大きな資産規模を有するということは、物価動向や金融環境に変化が見られる昨今の金融経済情勢のもとでは、国全体として金利変動リスク等に直面していることを意味します。したがって、今後、国の資産規模を積極的にスリム化していくことが法律上位置づけられておりまして、その責任を担う財務大臣の責任は非常に重要であると考えております。

 谷垣財務大臣の、このお取り組みをいかにしてやるのか、決意をお伺いいたしたいと思います。

谷垣国務大臣 今回のこの法案の中には、国の資産、債務をスリム化するということがきちっと書き込まれておりまして、私は大変これは重要なことだろう、委員がおっしゃった、リスクをできるだけ小さくしていくという意味においても非常に重要なことだろうと思っております。

 どういう手法でやっていくかということでございますが、まず、国が保有している資産を厳選して、売却可能な資産があれば、これは積極的に売却する。それから、あわせて、財政融資資金貸付金残高の縮減を今も図っておりますが、さらに歳出削減を徹底しながらこのスリム化を進めていくということであろうかと思います。

 こういう中で、まず、先般、三月十六日の財政諮問会議で、歳出歳入一体改革との関連から、国の資産のうち、財政再建のために財源となる資産について、その売却収入の目安、約十一・五兆円というものをお示ししたところでございます。

 今後は、国の資産規模の名目GDP比を今後十年間でおおむね半減させるという長期的な目安がございますので、それを実現する観点から申しますと、単なるその財源となるというものだけではなくて、財政融資資金貸付金のように財源とならない資産等についても、どう圧縮を進めていくか、具体的な施策、やり方をこれから真剣に検討しなければならないと思っております。

 今回の法案では、こういう国の資産・債務改革の具体的な内容、それから手順、それから実施時期について今年度中に工程表をつくるということになっておりまして、簡素で効率的な政府を実現して国の債務の増大を抑制するために、こういった課題に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

衛藤委員 次に、公益法人制度改革についてお尋ねいたします。

 今回の改革は、民法の百年ぶりの見直しでありまして、公益法人制度の抜本的な改革であると思います。現行の役所の許可制をどのように見直すのか、改革の基本的な考え方について中馬行革担当大臣のお考えをお伺いいたします。

中馬国務大臣 現行の公益法人制度は、明治二十九年なんですね、今から百十年ほど前になりましょうか、そのときに制定された民法の規定によって現在の姿があるわけでございますけれども、それぞれの主務官庁が縦割りで裁量権をもって個々の法人を許可する、こういう形になっておりました。当時の中央集権的な国家運営体制の一つの方法であったかと思います。

 このような、各官庁が裁量権を背景にして、いわばはしの上げおろしまでも関与しかねないこうした制度になっていることにつきまして、さまざまな御批判やまた非常に不便だといったようなお声もありました。

 そういうことから、今般の改革は、営利を目的としない法人、すなわち非営利法人については、普通の株式会社と一緒のように、ただ登記のみで法人格が取得できる、こういう制度を創設することといたしました。そして、法人格の取得と公益性の認定を切り離しまして、公益性の有無は、国会の同意を得て選任される民間有識者の意見に基づいて、各省縦割りではなくて横断的に判断する仕組みを創設することにしたわけでございます。

 したがいまして、新制度にありましては、各省庁が主務官庁として個々の公益法人に関与する道が絶たれるなど、今般の改革は大きな意義を有するものであり、必ず実現しなければならないと考えております。民が独自でそれぞれの役割を果たしていく、こういう形を目指しております。

衛藤委員 最後に、地方との関係について、私の考えも申し上げたいと思います。

 官から民への観点から質問をいたしましたが、もう一つの総理の方針である、地方でできることは地方にということは非常に大事だと思っております。国が元気になるためには元気な地方があってこそであると認識しております。その重要課題として行政改革に取り組んでまいりますが、地方においても行政改革は重要課題であると認識をしております。政府におきましても、三位一体改革により地方の主体性をより発揮させ、地方を元気にする努力をしていることと私も認識をしています。行政改革は国と地方の共通の課題であると思います。本法律案にも、地方の行政改革について一定の方向性が書き込まれておるわけであります。

 私たちは、行政府に改革を求める前に、立法府、国会がみずからの改革を先に行うべきであります。私は、平成十一年の通常国会に、他の同僚議員とともに衆議院議員の定数削減法案を議員立法で提案し、二十名の議員定数を減らすことになりました。もちろん、これからもさらに国会の改革を進めていくべきであります。

 英国のチャーチル首相は、遠くの過去をよく知る者はより遠くの未来をはかり知ることができる、この名言を残しています。小泉行革は、常に遠くをはかり近くを改革する、まさに改革遠図そのものであります。必ずや、ポスト小泉後も小泉行革路線はしっかり継承され、国民の力強い支持のもと集大成されることを確信して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 以上をもちまして衛藤征士郎君の質疑は終わりました。

 次に、寺田稔君。衛藤征士郎君の持ち時間の範囲内で質疑を許します。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田稔でございます。

 今回政府より提出になりました行革推進法案につきまして審議を進めてまいりたいと思います。

 まず、行革とは、政府によります人減らし、物減らし、金減らし、このまさに三つの減量を強力に推進することによりまして、スリムで筋肉質の政府を構築していくことでございます。そうすることによって初めて、国民負担の上昇を抑制することができますとともに、官から民へという流れを確かなものとしていくことができるわけでございます。

 そこで、まず冒頭、総理にお伺いをいたします。

 総理は昨年、郵政民営化こそ改革の本丸であるというふうなことで郵政改革を推進されました。そして、この法案の成立をもって郵政改革はまさに成就をされたわけでございます。確かに、郵政改革は、行革の側面を有しますとともに、金融システム改革、そしてまた、さらには財政構造改革にもつながる大きな改革であることは論をまたないわけでございます。

 しかし、私は、今回政府によって提案をされておりますさまざまな観点からの行政改革、これも郵政改革にまさるとも劣らない大事な改革であり課題であるというふうに認識をしておりますが、総理は、この行政改革はさまざまな構造改革の中で一体どういうふうな位置づけであると考えておられるのか、冒頭お伺いをいたします。

小泉内閣総理大臣 まず、行政というのは、国民のさまざまな必要な施策やサービスをいかに提供するか、そのための組織が必要である、そのための人員が必要である、いわゆる公務員が必要であるということで、あらゆる国家においても必要不可欠な存在であります。ただ、この行政機構、国民の必要な事業、サービスを展開するためにはどの程度の規模が必要か、また、どの程度の国民の負担が必要かということについては、不断の見直しが必要だと思っております。

 そういう中で、私はまず郵政事業の民営化というものを掲げて進めてきたわけでありますが、これだけではありません。郵政事業というのは、いわば今まで一番公務員を必要とし、公務員でなければできないと思われた事業をやってきたけれども、これは民間にお任せしてもできるということで大方の国民の支持をいただいたと思います。同時に、さまざまな機構の中で、郵政事業ほど行政のみならず金融、財政等に深くかかわる事業は国の機関としてなかったわけであります。これについても、国の役割を縮小していくことによって、民間がその分引き受ける、民間の活動分野が広がる。さらに、これが民営化になれば株式売却益というもの、これはあらゆる特殊法人の中で最も大きな売却益を有するでしょう。財政にも貢献します。

 そういう観点からこの民営化を進めてきたわけでありますが、もとより、ほかの分野にも国がやらなくてもいい事業はさまざまにあると思っております。それを総点検していこう、民間にできることは民間に、地方にできることは地方に、そういう観点から総合的にこの問題を取り上げて、多くの国民の皆さんの理解を得ながら、できるだけ国民負担の少ない額で今以上の施策のサービス、事業の展開をしていこうというのが今回の行政改革推進法案の主な趣旨であります。

寺田(稔)委員 今回のこの行革推進法案の中にはさまざまな改革が盛り込まれているわけでございますが、その中で、今回初めて着手をいたしましたのが特別会計の改革でございます。

 国の会計は、一般会計と特別会計、およそこの二つに大別をされるわけでございます。一般会計が国防、治安、教育などのまさに国の一般的政策経費を賄う会計であるのに対しまして、特別会計、これは財政法にも明記をされているわけでございますが、まさに特定の歳入でもって特定の事業を行う、そのための事業収支を区分経理して明確化するための、いわば政府の専用の財布であります。

 現在、三十一の特別会計が存在をいたしております。その予算総額は、四百六十兆円、一般会計の六倍近くに及ぶわけでございます。そしてまた、いわゆるこの会計間の重複を排除した純計ベースで見ましても、十七年度は二百五兆円と多額に上っております。一般会計の純計の三倍の額でございます。

 そこで、財務大臣にお伺いをいたします。

 今回、十八年度予算でいかにこの歳出面での改革が進んだか、検証をしてみたいと思います。

 この二百五兆円の純計から、国債の元利払いに充てます国債償還費、そしてまた年金の支払いに充てます社会保険給付費、そしてまた、地方の本来の固有財源であるところの地方のお金の部分、これを地方に配付するための地方交付税交付金、これらを除いた部分、すなわちまさに特別会計改革として大なたを振るわなければならない部分、これが十七年度は十七・二兆円でございました。私も、四年前、財務省の担当主計官であったころは、まさにこの部分の切り込みに注力をしたわけでございますが、この十七・二兆円が十八年度予算では一体どれだけスリム化をされたのか、御説明をいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 特別会計、三十一あります純計が、昨年が、十七年度が二百五兆、ことしは二百二十五・三兆になっております。その中で、先ほど委員がおっしゃった国債償還費あるいは利払い、それから社会保険の給付あるいは財政融資資金の繰り入れ、それから地方交付税、こういうものを除きましたのが、去年、十七年度は十七・二兆でございましたが、ことしは十二・三兆になっております。

 それで、この中身をちょっと御説明いたしますと、先ほど申し上げた国債の償還とか社会保険給付とか、あるいは財政投融資、あるいは地方交付税等々は、それ自体、財政再建をしていく上でどういうふうにもう少し合理化なりスリム化ができるかという、それぞれ検討の対象でございますから、ここはそれぞれ政策論議をきちっとやらなければいけませんが、そういったところを除きました、本来特会として一番切り込まなければならないところは、そういう今委員がお挙げになりました残余の部分でございまして、この中には、今申し上げた国債費とかあるいは社会保険給付等の事務費も含まれておりまして、そういったものの合理化も徹底してやっていかなければならないということだろうと思っております。

 それで、昨年に比べまして、今申し上げたようなところは四・九兆減額をしたわけでございますが、この中には、十七年度の特殊要因である年金資金運用基金による年金住宅融資事業それからグリーンピア事業の廃止、こういうものに伴います繰り上げ償還が約四・四兆円含まれておりますので、それを除きますと、実質的な削減額は約五千億ということになるわけでございます。

寺田(稔)委員 そうした歳出面での改革もぜひとも強力に続行をしていただきたいと思います。

 他方、特別会計につきましては、今回初めて歳入面の改革にも着手をいたしました。私自身、自民党行革推進本部の特別会計改革チームの一員として、同僚議員とともに、三十一特別会計のすべての財務諸表を精査いたしまして、今後五年間で二十兆円の財源捻出を行うということを党でもお決めいただき、そして、閣議決定にも盛り込んでいただき、そして、今回のこの行革推進法案にも盛り込んでいただいたわけです。そうした歳入面の改革も御尽力をいただきたいと思います。

 さて、特別会計には、一般会計には存在をしないいわゆる恩典があるわけでございます。その代表的なものを三つほど御紹介いたします。

 まず第一に、資金が足りなくなってきたとき、通常であれば、そこで事業をやめなければいけない、しかし、特別会計にはかなりの高い自由度を持って自由に借り入れを行うことができるという借り入れ規定が存在をいたしております。

 そしてまた、第二の恩典といたしまして、歳出がふえる要因が年度内に急に発生をした、一般会計であれば当然補正予算を組まなければいけない、しかし、特別会計の場合は、その都度の国会の承認なくして自由に歳出予算を増額できるといういわゆる弾力条項が存在をしております。

 そしてまた、第三の恩典といたしまして、年度内にお金が使い切れなかった、剰余金が発生をいたします、普通であれば、それはきちんと国庫納付をする、一般会計に繰り入れる、しかし、特別会計の場合は、その剰余金を全額翌年度に繰り越して、当該事業のために自由に使えるという繰り越し規定が存在をしております。

 これらの特別会計の恩典こそが特別会計が肥大化をし自己増殖をしてきた元凶であるというふうに私は認識をいたしております。

 ぜひともこの特別会計ならではの恩典を早期になくしていく、整理をしていくために、なるだけ早期に特別会計の整理合理化法を立法化すべきであると考えますが、財務大臣の御所見をお伺いいたします。

谷垣国務大臣 今委員が指摘されました剰余金の繰り越し等、あるいは弾力条項、こういった恩典が、まさに委員の御指摘のように、場合によっては特別会計を、ややルーズというと語弊があるかもしれませんが、そういうふうに使われてきた原因であろうと思います。

 したがいまして、財政規律をきちっとして財政再建をやっていくために、今言ったような恩典を見直していくということは極めて大事な課題であるというふうに考えておりまして、平成十九年度を目途にそういった特別会計の見直しの法律案を提出する、こういうことでこれから作業をやってまいりたいと考えております。

寺田(稔)委員 ぜひとも早期に、その整理合理化法の提出によりまして、恩典の整理をしていただきたいと思います。

 それでは、以下、この各特別会計の各論について所掌の担当大臣にお伺いをいたします。

 まず、公共事業関係の特別会計でございます。

 これは、今回の法案によりますと、五つの特別会計を一つに統合するというふうな案になっております。ただ単に、この五つの箱を一つにくっつける、がっちゃんこしただけではだめであることは当然のことでございます。その点は法案でもはっきりと認識をしておりまして、法文にはこういうふうに書かれているんですね。すなわち、これらの社会資本整備関係の特別会計については、その事務事業の合理化及び効率化を図るものとすると。すなわち、十分な合理化、効率化効果を上げる、スリム化を行うことが統合の条件であります。

 そこで、北側国土交通大臣にお伺いをしますが、今後、予算面は当然のこと、組織・定員も含めて、一体どういうふうな合理化、効率化を図られるのか、お伺いをいたします。

北側国務大臣 今委員のおっしゃいましたように、道路、それから治水、治水というのは河川でございます、それから港湾、さらに空港、そして都市開発資金融通、この五つを平成二十年度までに統合いたしまして無駄の排除を行うというのが今回の法案でございます。

 当然のことといたしまして、各事業に共通する業務については共同化してやっていこう、例えば調査研究についてそういうものが共同にできるものは一緒になってやっていく、さらには各事業に共通の経費についても統合していく。そうしたことをすることによって、経費の無駄を排除していくということをしっかりやらせていただきたいと思いますが、それとともに、私、より大事なことは、業務をよく連携してやっていくということが非常に大事であると思っております。

 これまでも業務連携をやってまいりましたが、例えば、一つの例を申し上げますと、先般、新北九州空港が開港になったわけでございますが、空港そのものは空港事業でございますけれども、あの空港は海上空港でございました。埋め立てをするのに、関門海峡の海底の土砂を掘削しておったわけでございますが、これは港湾事業です。この土砂を空港の用地として使えました。そして、海上空港ですから道路が必要です。というふうに、空港と港湾とそして道路、これがよく連携をとって空港ができたわけでございまして、こうした連携を、これから会計が統合するわけでございますので、しっかり連携をとって、事業の効率化というものをしっかり図ってまいりたいと思っております。

 そして、その効果として、当然、今委員のおっしゃった、事務事業が効率化されるわけでございますので、組織・定員についても効率化を進めていかねばならないと考えております。

寺田(稔)委員 次に、国有林野事業特別会計について農林水産大臣にお伺いをします。

 これはこの法案にも二十八条で書き込まれております。すなわち、こういうふうになっているわけです。この一部を独立行政法人に移管した上で特別会計を一般会計に統合することについて検討すると。今後の検討としてこういう案が示されているわけですが、現在、この林野特会は、御承知のように、一般会計から多額の繰り入れがございます。そうした一般会計におんぶにだっこの状況であります。こういったような状況にかんがみますと、そもそも区分経理をしていくこと自体の必要性が薄れていると言わざるを得ません。

 したがって、私は、この国有林野事業特別会計については、特別会計としてはこれはもうきっちりと廃止をした上で、国有林野行政の企画立案の部分ともいうべき、国民の安心、安全に直結をいたします緑と水の財産、すなわち国民共有の財産をきっちりと守る部分、これはスリム化をした上で一般会計事業とする、そして残りの現業部門を独法化すべきであると考えますが、中川大臣の御所見をお伺いいたします。

中川国務大臣 寺田委員御指摘のとおりでございまして、一般会計として、国有林の管理、保全、あるいは国民の安心、安全という観点からの治山事業、こういったものは引き続き国の仕事としてやっていく必要がございます。

 他方、森林整備、木材の販売等の事業等は積極的に独立行政法人の方への移行を図って、行政改革の実を上げていきたいというふうに考えております。

寺田(稔)委員 次に、厚生労働省所管の労働保険特別会計についてお伺いをいたします。

 この労働保険特会にはいわゆる雇用保険三事業というものが存在をいたしておりますが、過去もさまざまな無駄が指摘をされておりました。そして、実は、昨年の六月の骨太の方針では、この雇用保険三事業については時代のニーズに合ったものとするように見直しを行っていくというふうな記述でございました。

 そして、今回の法案ではさらに一歩踏み込んで、この法案の第二十三条でございますけれども、廃止を含めて見直すというふうなさらに踏み込んだ言い方になっておりますが、この法文を今後どのように具体化して実現していくのか、川崎大臣にお伺いをいたします。

川崎国務大臣 雇用のセーフティーネットの問題でございますけれども、就労という支援と雇用保険、徴収と給付、こうした仕事を合わせながらやらせていただいております。

 雇用を取り巻く状況につきましては、厳しいながら改善が進んできた、こういう認識をいたしております。しかしながら一方で、地域間格差の問題、また高齢者雇用、女性の雇用、若者の雇用という側面から、まだまだいろいろな課題が残されているところでございます。

 そういった意味では、三事業がやってきた仕事、例えば若者雇用ということになりますと、団塊の世代がそろそろ定年を迎える、職業訓練というものをしっかりしながら、物づくりというのをどう伝えるか。また、フリーター等をジョブカフェという形でどう就労に結びつけていくか。女性の雇用、高齢者の雇用、どれをとりましてもある意味では大切な仕事だと思っております。

 一方で、今委員が御指摘のように、厳しい御批判、無駄があるぞという御批判を常にいただいてまいりました。そういう観点から、徹底した見直しを行う。特に費用は、今御指摘の中で、国からは一切出ておりません。したがって、負担者である事業主の参画を得て、個別事業の見直し、整理案、それを踏まえた上で三事業全体の再編を考えたい、このように考えております。

寺田(稔)委員 そういう時代の流れに沿った徹底的な見直しを行っていただきたいと思います。

 なお、同じこの法案の二十三条において、もう一つ、失業給付に係る国庫負担についても、これも廃止を含め検討というふうな言い方になっておりますので、よろしく御検討の方をお願いいたしたいというふうに思います。

 次に、特許特別会計につきまして、経済産業大臣にお伺いをいたします。

 特許の特別会計については、法案の第三十二条でこういうふうになっております。すなわち、特許審査の中期的かつ定量的な目標を定め、業務の効率の向上及び委託の拡大を図るというふうにされているわけですが、具体的に、一体どのような定量目標を定めていくおつもりなのか、経済産業大臣、二階大臣にお伺いをいたします。

二階国務大臣 特許の迅速な権利化というものは、いよいよ国際化の時代に、しかも国際競争力を一層強化していくために、極めて重要な課題であると考えております。

 そこで、昨年十二月に経済産業省におきまして、特許審査迅速化・効率化推進本部というものを設置いたしました。この本部におきまして、早速本年一月に行動計画を決定いたしましたが、その中で、行政改革の重要方針も踏まえまして、特許審査効率化の三つの目標を設定いたしました。

 まず、審査官一人当たりの年間の処理量でありますが、今後五年間で約三〇%増加させるようにしたいと思っております。また、先行技術調査の民間への外注件数を今後五年間で約二五%ふやしてまいりたいと思います。また、審査に係る直接コストを今後五年間で約二〇%削減をいたします。

 このように、中期的かつ定量的な目標を定めながら、三十二条に示されたとおりスリム化を図ってまいりたいと思っておりますが、限られた人員そして予算というものを最大限に活用して、今後特許の迅速化に一層努力をしてまいりたいと考えております。

寺田(稔)委員 次に、エネルギー特会についてお伺いをいたします。

 エネルギー特会は、経済産業省所管分のほかに環境省所管分がございます。そして、その部分がこの特会の中で区分経理をされている。そして、特会法によりますと、この環境省所管分についてはこういうふうに記載をされております。すなわち、エネルギー起源CO2の抑制のためにとられる施策であって、環境保全の観点から行う事業に対する費用の補助、これが環境省所管事業として区分経理をされております。

 今後、京都議定書の着実な実効を図っていかなければならない。すなわち、この点については歳出増加の要因もあるわけでございますが、やはりこの特別会計改革の観点からは、事務事業の合理化、効率化が必要不可欠でございます。これらの経費についてはいかなる縮減、合理化を図っていくおつもりなのか、江田副大臣にお伺いをいたします。

江田副大臣 小池大臣にかわってお答えさせていただきます。

 深刻化する地球温暖化問題への対応は喫緊の課題でございます。我が国は、京都議定書により、温室効果ガスの六%削減が義務づけられておるわけでございますが、我が国の温室効果ガスの総排出量は二〇〇四年で七・四%増となっておりまして、六%削減約束の達成のためには一三・四%もの削減が必要となっており、さらなる対策、施策の強化が必要となっている状況でございます。

 石油特会によります環境省の事業は、地球温暖化対策の中核として、目標達成のための重要かつ有効な手段の一つでございます。効果的、効率的な運用を図りつつ、今後一層の充実を図る必要があると考えております。

 一方、行政改革推進法案におきましては、石特、電特の両特別会計は、平成十九年度において統合するものとし、これらの事務事業については、合理化、効率化を図るとともに、その運営の透明性は確保するものとすると規定がございます。

 環境省は、これまでの執行実績等を踏まえまして、予算の見直し、また第三者委員会による適切な評価を実施するなど、事業の合理化、効率化に努めてきたところでございますが、今回の改革の趣旨を踏まえて、引き続きその合理化、効率化に最大限努力してまいります。

寺田(稔)委員 今、それぞれ各担当大臣より、特会改革に向けたお考えをお伺いいたしました。

 やはりそれぞれ特別会計改革、個別に行っていく上で大事なことは、決して場当たり的な対応をするのでなく、明確な方針のもとに整理合理化プランを構築していかなければなりません。私は、やはり事業自体の必要性の薄れた特別会計については、これはもう明確に廃止をしていく。そして、一般会計からの繰り入れが多額に上っている会計については、これも区分経理の必要が薄れております。財政法の趣旨からしても、それは特別会計を廃止してスリム化した上で一般会計事業としていく。そして、引き続き特別会計として区分経理が必要なものも、相互の事業連携を図る中で、お互い事業類型が類似をしているものについては特別会計間の統廃合を行う。さらに、民間にゆだねることができる部分は民間にゆだねる。こうしたまさに骨太の方針のもとに、今後、特別会計改革に取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 さて、この特別会計改革は、まさに財政構造改革に直結をいたしますとともに、社会保障関係の特別会計の改革を通じまして、社会保障制度改革にも通じております。そしてまた、交付税特会のスリム化と見直しを通じまして、地方の改革、すなわち三位一体改革にもつながる改革であります。また、さらには、財政融資資金特別会計のスリム化と財投債の縮減を通じまして政策金融改革にもつながる。まさに、さまざまな諸改革のセンター、結節点に位置しているのがこの特別会計改革であると認識をいたしております。

 まさに全閣僚、総理のリーダーシップのもとに一丸となってこの特別会計改革に取り組まれんことを切にお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

伊吹委員長 以上をもちまして寺田稔君の質疑は終了いたしました。

 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 いよいよこの国会の、この国会、行革国会と言われておりますけれども、その重要法案であります行政改革関連法案の審議が始まりました。

 私ども公明党、連立政権に参加いたして以来、あの参加した翌年に行政改革大綱がスタートいたしました、この策定にもかかわってまいりました。以来、行政改革、随分と取り組みをさせていただいた、このように思っております。行政評価法の制定、粘り強く取り組んでまいりました。あるいは、神崎代表が本会議におきまして、さらに無駄ゼロに取り組もう、こういうことを提案させていただきまして、行政効率化、この流れも今進んでいるわけであります。

 小泉総理になられましてからは、きょうもお話が出ておりますけれども、道路公団の改革や三位一体の改革、あるいは郵政の改革と、大体私もずっとおつき合いをさせていただいて、随分苦労してきたなと思いながら、今、自分の席から総理の顔を眺めておりました。

 総理は本当に、官から民へ、国から地方へと何度となくおっしゃったわけでありまして、官から民というのは、もう小さい子供でも、今や多くの国民が知っている言葉になったわけであります。しかし、これは小泉総理がオリジナルでおっしゃったわけではなくて、よくよく考えてみますと、まさに増税なき財政再建ということで始まりました一九八一年以来の第二次臨調、この流れがまさにそれでありまして、だけれども、これは、JRの民営化はやりましたけれども、本当に困難な道のりであった、こう思っているわけであります。

 私は、その途中に、過程に、政治改革ということもあったんだろう、そして、与野党挙げて政治改革も取り組みまして、私は、そうした成果物を小泉総理は見事に形としてお使いになった、政治主導で改革に取り組んでこられた、このように、ある意味では、私は、日本の時が小泉総理を求めたのではないか、こう思うぐらい、昨年の選挙、あの苦しい選挙をやりながら、つくづく感じた次第であります。

 こうした今までの改革の経緯を考えながら、さらに改革の手を緩めずにこれからの道筋を明確にしていくというのが今回の法案の私は趣旨だろうというふうに考えておりますが、今までの小泉構造改革の流れも振り返ってみて、改めて私は、第二次臨調の改革の原点と申しましょうか、行革の理念をここで確認したいというように思っております。

 一九八二年に示されました行政改革を進める観点では、行政を見直す四つの観点を挙げておりまして、一つは変化への対応、そして二つ目は総合性の確保、そして三点目は簡素化、効率化、それで四点目が私は大事だと思っておりますが、信頼性の確保、この四つを、実は一九八一年以来の流れの中で大事な行革の観点だと言われてきたわけであります。いずれもこれからの作業においても私は大事な観点だと考えておりますが、今申し上げた小泉構造改革の取り組みを振り返り、今後の道筋を決めるという今、私は、この四つの観点で、やはり大事なのは国民の信頼性の確保だろうと考えております。

 随分、予算委員会でも、格差の問題もいろいろやりました。総理は、そんなに格差があるとは思わない、あるいは一定の格差は容認されるような発言をされてきたわけでありますけれども、実際に現場を回ってみますと、私、中国地方でありますけれども、陰と陽の格差というのは歴然としたものがある。ある方は、ひずみではないか、ゆがみではないか、こう言う方もあるわけでありまして、総理は、やればできるという気風が醸成されてきた、こうおっしゃいましたけれども、いやいや、やればできるというパワーすらわいてこないという地域あるいはグループがあるということも私は肌で感じているわけであります。もちろん、ともに頑張りましょうと声をかけて私も回っているわけであります。

 私、何を申し上げたいかというと、やはり改革も大事でありますが、国民生活を保障し向上させるというのは国の最大の役割でありますから、今回の法律、ある意味では、今から議論があると思います、先ほども議論が出ておりましたが、言ってみれば方針を定めたプログラム法でありまして、これから詳細設計をやろうというものでありまして、詳細設計の仕込みによっては随分幅があるというように思っております。一番こっち側を行くのか、一番こっち側を行くのか、これは私はいろいろな思いできょうは言っておるのでありますけれども、幅がある。

 こうした幅も考えながら、これからの行革のあり方について、総理が今どのように感じておられるのか。これからバトンをタッチされる次の人のことも想定をされて、きょうはテレビで国民も見ておられます、ぜひとも総理の存念をお話しいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 行政サービスを十分、各地域に、国民に提供してもらいたいという気持ちはわかります。

 仮に、中央の役所、全部、自分の市町村に支分部局を置いてくれ、負担が軽かったらみんな賛成しますよね。一々東京まで来る必要はない。地方で、東京に来なくても、そういう役所、機構、支部があるのかと、みんな賛成します。また、それをもし廃止するという場合、今の便利さが失われますから、恐らく地域の人たちは反対するでしょう。

 市町村合併で町が二つが一つになる、役所を一つに置かなきゃならない、どっちに置くんだ。これだって、一つにするのは容易じゃありません。今までがいいと。一つにするんだったら、どっちかが、今までうちの近くにあったのを、今度は自動車を使って、電車を使ってそっちの方に行かなきゃいけないのか、不便じゃないかと思うのはあるんです。

 行政改革は、端的に言うとそういう面が多いですね。国民の負担とサービス、地方の支分部局を少なくしても、サービスは落ちない、機能は十分保障される、しかも負担をふやさない、減らしていこうということでありますから、行政改革というのは、総論賛成、各論反対。自分の地域じゃなかったら、どんどん無駄な行政機構は要らない、しかし、自分のところだけ置いてくれ、どこでもそうですよね。だから、そういう点は、全体を仕上げていくのは非常に、その各論の反対部分に理解と協力を得るのは難しい分野だと思っております。

 しかしながら、国民全体の税負担というものを考えると、これ以上、役人をどんどんふやしていければサービスは展開されるかもしれない、今までの機構も維持されるかもしれない。しかし、税負担はどうなってしまうのかということを考えますと、今の国の役割というものを厳しく見直して、民間にゆだねられるんだったら民間に任せていこう、地方に任せることができるものは地方に任せて、国の事業の仕分けというものをきっちり見直していこう、そういうことによって国民の負担を軽減して、簡素で効率的な政府をつくっていこう。税負担が多ければ今までのサービスは維持される部分と、いや、そこまで税負担を増加させてさらにサービスを拡充する必要があるのかどうかという、両面あるわけであります。

 ある地域においては、国においては、消費税を二〇%に上げているじゃないか、こんなサービスをカットするんだったら消費税を上げた方がいいという人もいるかもしれない。しかし、日本は五%でやっていく。できるだけ、消費税を上げる前に、もっと無駄な部分、必要ない部分は削れるんじゃないか。それから、どうしてもこのサービスは必要だ、この政策は必要だという場合は、どこでその税金の負担をお願いするかということを考えなきゃならない。

 当面は、できるだけ今の無駄な部分あるいは民間にできる部分は仕分けして、将来、必要なサービスは税負担で賄わなければならない分野においても、その負担分はできるだけ少なくしようとしていくのが今回の行政改革推進法案の趣旨であります。

桝屋委員 ありがとうございます。

 総理の顔を見ておりますと、どうも話がいつもかみ合わないので、きょうも総理は、しっかり我が党の思いも含めて今御答弁いただきました。その御答弁の顔を見ておりますと、本当に格差に対するきめ細かな配慮がにじみ出てくるかなと思いながら、なかなかきょうテレビをごらんになっている国民も、さあ、どうかな、こう思うんであります。

 総理、さっきおっしゃった郵政改革、ほとんどの政党が反対した、こうおっしゃいましたけれども、我が党は最初から、総理がおっしゃるとおりやろう、こう言ってきたことも念頭に置いていただいて、決して我々は小泉さんとぶつかっているわけではない、同じ思いで今取り組んでいるわけでありますが、我が党は、やはり格差に対する是正ということもきめ細かく目配りをしていきたい、こう思っているわけであります。

 総理が今そこまで国民の前でおっしゃったので、大きい話をしたいと思うんですが、行革というのは、先ほどの同僚の寺田委員のお話を聞いても、かなり専門性がないと、きょうの先ほどの議論を聞いても、全体像がどっと頭に入る国民はなかなかないわけでありまして、そうか、そんな特別会計があるのかというイメージは持たれると思います。

 そこで、行革というもの、理念は今申し上げましたけれども、では、どれぐらい国の財政に大きな効果があったのか、国という形を考えたときにどういう効果があったのかということでありますが、先ほど私が申し上げた平成十二年の行革大綱以来、これまでも行革は、郵政も含めて取り組んでまいりました。その改革の成果というのはどれぐらいになるのか、国民の前にわかりやすく説明をする必要が、私は信頼性の確保のためにも必要だろうと。

 今、新聞を見ておりますと、政府の歳入歳出一体改革、十三兆円とか三十兆円とか、大変な対応をしなきゃいかぬでかい数字が並ぶわけでありまして、そうしたことを考えますと、行革は今までどれぐらい成果があったのかというふうに多くの国民は聞きたいだろうと思うんですね。あるいは、あわせて、では、ここから先、どれぐらい、この今回の一連の法案でいかほどの成果があるのか、数字で示してもらいたいというのが国民の声ではないかと思います。

 最初に今までの経緯を財務大臣にお答えをいただき、これからの流れは中馬担当大臣にお示しをいただきたい。

伊吹委員長 財政にどれだけ行革が貢献したかということですね。

谷垣国務大臣 端的に答えろということでございますから、平成十二年の先ほどの大綱、閣議決定から、今後の行政改革の方針、平成十六年、こういったのに基づきましてやってまいりましたのは、徹底した行財政改革で十三・八兆、成果を上げたということだろうと考えております。

 もちろん、中には、なかなか財政効果の算定が難しいものや、あるいは電子政府を進めていこうというと新しい投資も必要だというようなことがいろいろございますから、できるだけわかりやすく言うと、十三・八兆、いろいろなことを圧縮したり無駄を削減したということでございます。

 若干具体的に申しますと、例えば、特殊法人等向け財政支出は五年間で約一・八兆円削減した、あるいは公共事業の総合コスト、こういうものは二年間で約三千四百億円削減した等々のことがございます。

中馬国務大臣 これからのことを少し具体的に、国民にわかるように数字で示せということでございますが、それぞれこれからのことでございますから、何兆円出てくるんだという大きな形しかできませんが、それが一つ大きな目標でもございますから。

 そのことでちょっと御紹介申し上げますと、政策金融改革では、貸出残高、これは十六年度末で約九十兆円でございますが、そのGDP比が平成二十年度末においては二分の一以下になるように、このようなはっきりとしたことを法律にも書いております。

 それから、特別会計改革では、財政の健全化に今後五年間で総額二十兆円程度寄与する、もう十数兆円出てまいっておりますが、こうしたことも数字を挙げて書いております。

 総人件費改革では、今後五年間で公務員の五%以上を純減するといった、手段だけではなくて、長期の目標、目安でございますが、平成十七年度の国家公務員の人件費の総額、十七年度末で約八・六兆円ありますが、現在は郵政も入っております。このGDP比、国民の全体の割合でございますが、GDP比を平成二十七年度以降できる限り半減するといったことまでも具体的に目標とさせていただいております。

 それから、今お話がありました国の資産・債務改革では、長期的目安として、平成十七年度末の国の資産額の対GDP比を平成二十七年度末以降できる限り半減するということも目標といたしております。これも法案に明記しておりまして、非常に画期的なことであると同時に、非常に厳しいものであることも事実でありまして、頑張ってまいりたいと思っております。

 以上でございます。

桝屋委員 ありがとうございました。

 財務大臣から、平成十二年の行革大綱以来、今日まで十三兆八千億、十四兆円という大変な成果を上げた、こういうお話がありました。

 全然質問通告しておりませんが、竹中総務大臣、ニュースを見ておりましたら、四月一日に竹中大臣は和歌山にお行きになって講演をされたと。申しわけないです、聞いていいですか。非常にわかりやすい話をされたようでありまして、我々政府・与党は、二〇一一年ぐらいのプライマリーバランス、何とか均衡を図りたいということで取り組んでおりますが、大臣は、小泉改革でプライマリーバランス、二十八兆円の赤字から十四兆円になったんだというようなことをおっしゃった、前後が多分あるんだろうと思いますが。

 私は、そうした話というのは国民には非常にわかりやすい話だろうと思っておりまして、せっかく和歌山で講演されるんだったら、今の財務大臣の御答弁や中馬行革担当大臣の御答弁を踏まえて、もう一回、テレビの前でわかりやすく国民にお話をいただければと。端的にお願いしますね。

伊吹委員長 それでは、竹中総務大臣、わかりやすく。

竹中国務大臣 御機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 財政の赤字を減らすということはみんな考えるわけですが、とりわけ、我々が基礎的財政収支と呼んでおります金利を払う前の財政、つまりその年々の政策的な経費と税収との差額、これを基礎的財政収支の赤字というふうに呼ぶわけですが、これを何とか二〇一〇年代の初頭にゼロまで持っていきたい。

 二〇〇二年にはこの数字は二十八兆円の赤字でございました。それが今、十四兆円の赤字に、この間増税とか消費税の引き上げとかやっていないわけですけれども、まさに歳出の削減等々で二十八兆あったのが十四兆まで下がってきているわけです。単純にこのままいけば、二〇一一年ぐらいにはゼロになるではないかという単純な計算が出てくるわけですが、しかし一方で、社会保障等々もふえてまいりますので、なかなかそれは難しいかもしれない。そこでどうするかということを今、経済財政諮問会議で一生懸命議論しているわけでございます。

 ただ、いずれにしましても、先ほど財務大臣が、約十四兆円ぐらいの効果があったと。計算の仕方はちょっと違うんですが、数字としてはやはりほぼ一緒になるんですね。二十八兆あった赤字が今十四兆になりました。何とかこれを、基礎的な収支をゼロに持っていって、年々の税収の中で年々の政策経費を賄うというところまで持っていくことができないだろうか。そのためのさらなる歳出の削減と行革。それでもだめな場合は、それは国民にまた税負担としてお考えいただかなきゃいけないわけでございますけれども、過去の小泉改革の成果として、そのように基礎的な財政赤字が過去四年間で半分になったんだ、そのことを申し上げたわけでございます。

桝屋委員 突然お尋ねして申しわけありません。まさにそうした大きい姿を国民の皆さんに御理解いただく必要があるだろう。

 ただ、二十八兆が十四兆になって、このままいくと二〇一〇年代初頭にゼロになるかというと、これは社会保障の給付費の伸びというのは大変でありまして、きょうは時間がありませんからそこまでは言いませんが、そうした大きな姿を国民の皆さんに理解していただき、では行革がどこまで役割を果たせるかということで、これは行革ですべてプライマリーバランスが均衡できるなんて私は思っておりません。これからの社会保障の増ということは大変な数字だろうと思っておりまして、ただ、やはり思い切り今行革に取り組まなきゃいかぬということは事実だろうと思っております。

 先ほどの谷垣大臣のお話じゃありませんが、今までも十四兆円ぐらい効果があった、これは大変な努力でありまして、ここから先の行革というのは、私に言わせますと、まさに岩盤にぶち当たる作業。今まではある程度やれた、ここから先の作業というのは簡単なことではないんだろう、よほどのことをしないとこれから成果を上げ得るような、これから二〇一一年を、例えば二〇一一年を見たとしても大変な作業が続いていくんだろう、こう私は思っております。

 そこで、私ども公明党は、総理も言葉を使っていただいておりますが、やはりここから先の作業はよほどのことをしましょう、一番大事なのは、すべての事務事業について全部俎上に上げて、お役人の手ではなくて、そしてまず不要不急の事業は廃止するということをしっかりと見きわめて、民間にできるものは民間に、そして国と地方の役割もしっかり精査をする、こういうすべての分野にわたる事業の仕分けというものが必要なんだろう、こう提唱いたしました。

 実は、当初はやはり官僚の皆さんの抵抗が随分ありました。事業仕分けというのは、定義は何だ、だれがやるんだということで随分抵抗があったわけでありますけれども、結局のところ法律案に書き込んでいただきました。前文にも基本理念として書き込んでいただき、特別会計改革やあるいは総人件費改革、さらには市場化テスト法案にも書き込んでいただいて、具体的には、政府及び地方公共団体の事務あるいは事業の透明性の確保を図る、その必要性の有無、実施主体のあり方について仕分けを行う、しっかりその整理をする、こういう文言を入れていただいたわけであります。そして、不要不急の事業については廃止をする、こういうことが法文に書かれたわけでありまして、そのことは私は評価をしたいというふうに思っております。

 例えば、総人件費改革についても、五年五%というのは私は大変な数字だろうと。今日までの経緯が大体一・五%ぐらいしか削減できないわけでありますから、五年五%というのは、野党の皆さんは三年で二〇%とか大変な数字も出されていますが、これをやるというのは大変なことでありまして、私は、その大前提に、事業の廃止も視野に入れて事業仕分けをする、こういうことが大事だろう、こう思っております。

 事業の廃止という観点から、大臣、どういうふうにお考えになっているのか。

中馬国務大臣 公明党さんの方からも具体的に、今御指摘のありましたように、いろいろな分野のことを、もう時代が終わったものだとか、あるいは本当に必要なものだ、またもう少し縮小できるじゃないか、こういったことの仕分けを明確にしろということでございまして、もちろん、そういうことで、今回の法律にもかなり具体的に仕分けということも入れさせていただきました。

 それは、今お話がありました、総人件費改革でも五年五%、一律に、シーリングのような形で、全省庁これに従えといった手法はとっておりません。それぞれのところでもう要らないということを自主的に出してもらって、その仕分けをした上で御提示いただくということにしておりますし、ただ役所に任せるだけではなくて、行政減量・効率化有識者会議というのが、それぞれの民間の声も反映しながら、そのことで役所と折衝していただいております。

 そして、それを指摘していただきながらこれを出していただくわけでございまして、それをそれぞれの有識者会議の方々も仕分けをしていただいておりますし、それぞれの役所も必要性についての仕分けをしていただいているもの、このように考えております。

 それからもう一つは、市場化テストというのを、これは法律も出していただいておりますけれども、この市場化テストの中でも、どうしたらお役所の仕事が、民間との競合といいましょうか競争入札にも、そして、むしろ行政サービスをより向上していく、あるいはもっとコストを下げていく、こういったこともそれぞれの仕分けが必要だと思います。

 この仕分けにつきましても、これはまた民間の方々十三人に委員会をつくっていただきまして、その方々に、どれを市場化テストにしたらいいか、こういったことの仕分けもしていただくことにいたしております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 事業仕分けにつきましては、私、これも簡単なことではないと思っておりまして、政治主導で、我々も与党の一員として、自民党の皆さんに御協力をいただきながら、自民党の皆さんとともに、政治も努力をしていきたいというふうに今思っているわけであります。

 時間もありません。最後のポイントをもう一点だけ、きょうは、公益法人改革について、入り口部分でありますから、総論で確認をさせていただきたいと思います。

 そもそも公益法人の改革でありますが、全国に国、地方合わせて二万六千ぐらいの公益法人があるわけでありますが、先ほどから言っております平成十二年の行革大綱では、公益法人も改革するということで流れができておりました。いわゆる検査・認定あるいは資格付与などの事務事業について、とりわけ政府から委託を受けてやるようなケースについて、これはやはりいろいろな問題があるんじゃないかということで、公益法人改革をするということでレールに乗っかっていたわけでありますが、私も覚えております、平成十二年の暮れに発生をしましたKSD事件、この事件によりまして、きょう、厚生労働大臣、もう時間がないので伺えませんが、川崎大臣に聞く前に、私たまたま副大臣で担当しておりまして、随分苦労したことを覚えております。

 あのKSDのときは何が苦しかったかというと、結局、法人内部の管理運営体制が全く不十分であったということ、不適正な会計処理、それから不適正な事業運営、あるいは理事長が財団を私物化していたというようなことがあり、そしてそのことを担当官庁が指導監督できなかった、その状態が放置されていた。そこに、総理、実は政治も絡んでいたということで、多くの国民の皆さんから公益法人全体に不信を買ったわけでありまして、私ども公明党も、実はそのときに、検査、検定とか、そうした社団だけではなくて、財団だけではなくて、二万六千の公益法人全体の抜本改革をすべきだ、このようにお訴えを申し上げて、その結果が今の法律案になっている。

 長い経緯がありましたけれども、中馬大臣、あのKSDの事件のようなことはもう二度と起きないような法律になっているのか。あるいは、社団の皆さんがみんな規制だけ厳しくなるんじゃないかと思っておられる。やはり民間の活動をしっかり支援していくという法律になっているということを最後に御報告いただきたい。

中馬国務大臣 先ほど申しましたように、この公益法人改革は、大きな、明治以来の今までの制度を変えようとするものでございます。KSDの反省から、十三年十二月に与党三党合意ができまして、十四年三月に改革の取り組みを閣議決定した。そして今回、その結果としてのこの法案提出になったわけでございます。

 今回の公益法人の改革、公益法人制度改革は、主務官庁の裁量によって設立許可及び監督を行うこととしていた現行の制度を改めまして、公益法人としての認定等が民間有識者から成る国及び都道府県の合議制の機関の意見に基づいて行われる仕組みとなっております。各官庁のひもつきのような形でなくなりますから、これこそ、今おっしゃいましたように、かなり恣意的にいろいろと政策を押しつけられたり、あるいはまた天下りがあったり、そういうことは少なくともこの制度からは外れてくるわけでございます。

 また、認定基準に適合しないと判断される法人は公益社団法人、公益財団法人となることはできません。また、公益社団法人、公益財団法人が不適正な事業運営を行って法律の事項が遵守されない、こういった場合には、その内容に応じまして公益認定の取り消し等の措置も講じられることになっております。

 また一方で、今回の改革は民間非営利部門の活動の健全な発展を促進するということが重要な目的でありますから、新制度では、公益認定の基準や公益認定を受けた法人が遵守すべき事項を法律で、各項目いろいろ、こういったことが公益ですよということを認定して、法律の事項を明確に定めることにしております。それによりまして、法人によっては予見可能性が高まりまして、安心して活動に取り組んでいただける効果もある、かなり自由に活動していただけるものだと思っています。

 そうした事項を守っていただきつつ、各法人において存分に創意工夫を凝らした活動をしていただくことで、民間非営利部門による公益を目的とした事業の実施の促進が図られる。ですから、今までのようにお役所に縛られた形ではなくて、公益性が認定されたその範囲内においては、どんどんと民間で自由に活動できるということになってくるわけでございます。

桝屋委員 以上で終わりたいと思いますが、総理がさっきおっしゃった簡素で効率的な、本当に国民の皆さんに安心していただける行政改革になりますように、しっかりと公明党も取り組んでいきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

伊吹委員長 以上で桝屋敬悟君の質疑は終わりました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。委員長のお取り計らいで前倒しにしていただいたことを、まず御礼申し上げます。

 さて、総理に主に質問させていただきたいと思いますが、きょうはこういう本を持ってまいりました。「郵政民営化論」、懐かしく思っておられると思いますけれども、これは、一九九九年に郵政民営化研究会というのを小泉総理が会長でつくりまして、二十名ぐらいの議員だったと思いますけれども、私もその一員で、これにも執筆させていただいております。

 その巻頭言といいますか、そこに総理が文章を寄せておられますので、ちょっと抽出して読ませていただきたいと思います。この行革の問題に極めて絡んでくる、示唆のある巻頭言を書いておられますので、読ませていただきたいと思います。

  郵政三事業の民営化は、たんなる郵政省の改革にとどまらない。多くの特殊法人の統廃合、民営化、さらには税金を使って各特殊法人に投融資を行う国営金融機関・財政投融資制度の抜本的改革にもつながるのだ。

こうおっしゃっているわけです。ちょっと長く引用いたしますが、

  今後、消費税の引き上げは、社会保障費の増額への対応や財源の穴埋めといった形で出てくるようになるだろう。その際、現在の官僚機構をそのままにしておいたうえで、財源が足らないからといって消費税を引き上げたのでは、日本はほんとうに重税国家になってしまう。

  現在の無駄の多い官僚機構をそのままにして、消費税の引き上げを認めてはならない。

  現在、各省庁の事務次官経験者たちの多くは、特殊法人の総裁や理事長に天下っている。大蔵省なら国民生活金融公庫、通産省なら中小企業金融公庫、建設省なら住宅金融公庫、郵政省なら簡易保険福祉事業団、厚生省なら年金福祉事業団、労働省なら雇用促進事業団、といった具合である。

  特殊法人をはじめ公庫、公団、さらにはこれらに関連する民間会社と、役所を中心にした一家体制ができている。これこそが、行財政改革を阻んでいる”本丸”なのである。だからこそ郵政民営化は、たんなる郵政省との戦いではなく、全役所、全官僚、つまり現状維持勢力との戦いであり、本格的な行財政改革の第一歩なのだ。

すばらしい巻頭言だと私は思っております。

 ただ、幾つか申し上げなきゃいけないのは、この郵政民営化研究会でまとめた郵政民営化案というものは、政府が出されてきたものとはほど遠いものだというふうに私は思っております。まずそれを申し上げるということと、今申し上げたことの言葉はすばらしいんですが、これは一九九九年に出された本でありますけれども、私もこれは同じ認識なんです。同じ認識で、そしてその二年後にある制度が変わっております、二〇〇一年に。

 これは総理もおわかりだと思いますけれども、財政投融資改革ということで、我々がこの本をつくったときの問題意識というのは、郵貯、簡保あるいは年金というものが、基本的には大蔵省理財局資金運用部に義務預託をされ、それが結果的に特殊法人などの温存につながっている、あるいは国債等の引き受けに自動的に流れていて、それが官の肥大化、そして借金ができる打ち出の小づちになってしまっている、そこを変えなきゃいけないというのが、この民営化研究会、総理が会長、私も一員でございましたが、その研究会の本旨でありました。

 二〇〇一年に財政投融資改革がなされて、入り口と出口は基本的に切り離されましたね、自主運用ということで切り離されました。ということは、まさに総理は、この巻頭言でおっしゃっているように、問題の改革は郵政民営化じゃない、現状維持をもくろんでいる官僚体制打破にこそ目的があるんだ、こういう話をされているわけでありますが、総理が総裁になられて五年目、最終年で、こういう問題意識を持っておられて二〇〇一年に財投改革ができているのであれば、なぜ初めからこういった行政改革というものに取り組まれてこなかったのか、その結果として、極めて中途半端な、プログラム法にもなっていないような法案をやめられる直前に出してこられたのか、私はその点が極めて理解できない。

 あれだけこだわられた郵政民営化、それについては、中身はともかくとして、執念について私は敬意を表します。しかし、その前提というのは、入り口と出口が一体で、特殊法人改革というものをやらなきゃいけないということは問題意識でおありだったにもかかわらず、それが五年目の最終のこの時期に、しかもプログラム法というどちらに転ぶかわからないような法案になっている。

 こういう批判について、総理はどうお答えになりますか。

小泉内閣総理大臣 まず、結論から申し上げますと、その批判は全く当たらないということであります。

 私のその巻頭言に対する認識は、前原議員も共有していると。そのとおりに進めてきたんです。その財投預託を廃止したというのも、年金福祉事業団を廃止せよと言ったのも、私が厚生大臣の時代であります。

 しかし、財投預託だけでは行政改革は進まない。今言ったように、郵政民営化は郵政省だけの問題じゃない、全省庁が関連している。なぜなら、その巻頭言にも話されておりますように、いわば特殊法人等に対する政府からの資金支援、あるいは事務次官等の天下り、こういう問題を考えると、この郵政民営化に対しては、郵政省の反対はもちろん、全省庁から反対が来るだろう、そういう点を覚悟してやらなきゃいかぬ。だから、財投預託廃止で、はい、一件落着とは思っていなかったんです。

 だからこそ、一番役人を使っている郵政事業、政党の中でも公明党以外は全部反対していた、自民党も。そういう中でのいわゆる票田に絡む政治的な改革。選挙になると、自民党、旧社会党を応援する、労働組合は野党、特定局長さんたちは自民党、こういう政治的な構造。そして、全部の省庁に対しての、天下りを通じて今まで権益を確保してきたグループ。そういうものを打破する最も大事な改革、これが郵政民営化だということで手をつけて、案の定、国会では長時間議論されたけれども、最終的には廃案になったんですよ。これで本当だったらおしまい。

 おしまいにしなかったところが私の変わっているところであって、非常識とか八つ当たり解散とか言われましたけれども、結果的には、一部の事業を守るのが政治じゃない、国民全体の利益を考えるべきだ、民間にできることは民間に行っていると言うんだったらそのとおりやればいいじゃないかということで、選挙によって支持を受けた。参議院は選挙がない、構成は変わらない。だから、衆議院が変わっても参議院は何度でも否決してやると言った議員がいたんです。ところが、衆議院選挙で変わったら、参議院もやはり民意を大事にしようということで、反対した議員もくるっと変わった。今、そのとおり、その巻頭言のとおり進んでいるじゃないですか。(前原委員「いいですいいです、もういいです」と呼ぶ)いいですか。

伊吹委員長 お互いに簡潔に、充実した質疑をお願いします。

前原委員 総理、壊れたレコードのように、昔の自慢話を聞くために質問しているんじゃないんです。

 私が質問しているのは二つ。一つは、郵政民営化というものが、その入り口と出口でつながっていたときの巻頭言であって、二〇〇一年の財政投融資改革、僕も完全だと思っていませんよ、基本的な構図はそのままだ。しかし、そこにおいて、郵政民営化で、自動的に金が流れる構図は基本的には断ち切られた。にもかかわらず、郵政にこだわっておられるというのはわかりましたよ、もうその答弁は要らない、その自慢話を聞くために質問しているんじゃない。なぜに財投改革は行われて、本丸は郵政事業じゃなくて霞が関全体の既得権益を壊すものだということであれば、なぜその二〇〇一年で、総理になられたときからやらなかったんですかと。方向性が違っているじゃないですか、郵政民営化ばかりにいって。だから、そのことを私は申し上げているんですよ。(発言する者あり)いや、郵政民営化というのは、二〇〇一年の財投改革で一たん切り離されているんですよ、そこは財投改革において。(小泉内閣総理大臣「全く違う」と呼ぶ)全く違うことはない、それは。それがまず一つ。

伊吹委員長 ちょっと私語を慎んでください。

前原委員 二つ目は、年金福祉事業団の話を先ほどおっしゃいましたけれども、この五年間で、官の天下り、肥大化というのはますます巧妙化されているんですよ。全然そういう既得権益というのは壊されていない。そのことが私は大問題だと言っているわけですよ。

 総理、自慢話はもういいですから、壊れたレコードのような。何度も申し上げますけれども、私が申し上げているのは、この中身の、つまりは、行政改革の本丸と総理が巻頭言でおっしゃっている霞が関の既得権益、それの解体ができてないじゃないか、あるいはもっと早くにやるべきだったじゃないかと。それが、なぜ今このようなわけのわからない法案を出してきているんだと。そのことについて答弁をしてくださいと言っているんです。

小泉内閣総理大臣 答弁したつもりなんですけれどもね。なぜ郵政三事業民営化に皆さん反対したんですか。その最も大きな既得権を守ろうというのをぶち壊したじゃないですか。それがなかったらこの法案なんか出てきませんよ。これは、本丸をぶち壊したから、政府系金融機関の統廃合ももうやむを得ないと観念してきたんです。特殊法人に対する、独立法人にしてかなり自由度を与えよう、天下りももう事務次官が固定的に特殊法人のトップになるのは無理だな、そういう政治的方針を法案にしたのが今回の行政改革推進法案でしょう。

 これは、郵政民営化廃案になったらこんな法案できるわけない。まさに、ここの既得権を守り得た、もう改革はさせないぞといって、この法案すら出せなかったと思いますよ。

前原委員 私は、そのことは全く当たらないと思いますね。

 後で質問しようと思っていましたが、ちょっと前倒しで、では質問いたしましょう。

 この流れができたのは、別に小泉総理になってからじゃないんですよ。橋本さんのときのいわゆる行政改革会議、これは九七年十二月の最終報告書、ここで独立行政法人などが出てきている。省庁の再編というのもそこから出てきていて、中央省庁の再編、内閣機能の強化、独立行政法人の創設、あるいは総理がよくおっしゃっている経済財政諮問会議、これはもうこのときに答申がされていて、流れが今まで来ているだけで、決して、郵政の民営化というものがなければ今のような法案、郵政民営化がなくても、こんなプログラム法、あるいはこれから先どう転ぶかわからないような法案というのはだれだって出せると僕は思いますよ。

 私は、そういう意味では、この法案というものについては、先ほど総理がおっしゃったように、郵政民営化ができたからこの法案、郵政民営化だって、この中身に書いてある、きょうは話しませんけれども、全然違うものをやっている。あんなの官業肥大化法案だ。温存法案で、そういうものについて、私は、実際問題、みずからがやられたことでこれがつながっているということについては、全く違うということをまず申し上げておきたいと思います。

 次に、同じ質問で私は申し上げたいと思いますけれども、簡素で効率的な政府、こういうことがこの行政改革推進法の冠にかかっております。徹底的に無駄を削る、そのことについては私どもも賛成をいたします。

 これは幾つかのポイントの中で後でお話をさせていただきたいというふうに思っておりますが、この簡素で効率的な政府というものについて、今までとは言いぶりが私は若干変わっているんじゃないかというふうに思っております、小さな政府ということについて申し上げれば。このことを、その内容を、今出されている法案のポイントのところで幾つか示しながら議論をさせていただきたいというふうに思います。

 私が、プログラム法にもなっていない、あるいは先にどう転ぶかわからないということを申し上げたこの法案、政策金融改革、独立行政法人、特別会計改革、それから総人件費、公務員制度、資産、債務、こういうものがあるわけでありますが、果たしてこの法案で簡素で効率的な政府になるのかどうなのか。少し大きな観点から今の項目について議論をしていきたいというふうに思っています。

 まず、政策金融機関であります。

 今回の政策金融機関の柱というのは、八つあるものを一つにするということであります。民営化を二つ、そして地方への移管一つ、そして五つを一つのものにする、これについては最終的にどうなるかわからないということでありますが、以前、担当大臣であった竹中大臣が貸付残高のGDP比半減ということをおっしゃっておりました。また、そのことについてこの法案でも書かれておりますけれども、この法案の中身を読んでもわからないのは、例えば、民営化をするのは商工中金と政策投資銀行、この二つであります。それから、地方へ移管するのは公営公庫。この三つを取り除けば、ほかの金融機関がそのままの規模であったってGDP比は半減できるんですよ。つまりは、これを除いたから半減できたというんであれば、これは看板に偽りありですよね。統合メリットの中でGDP比半減というものにしなければ本当の意味はないんじゃないですか。

 このGDP比半減ということの意味は、本当に簡素で効率的な政府にするんであれば、そのような国民の目をごまかすようなものであってはいけないと思いますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。

中馬国務大臣 今、前原委員が御指摘になりました件でございますけれども、政策金融は、一定の政策目的を達成するために、民間金融のみでは適切な対応が困難な分野に対して資金供給を行うものであったわけでございます。

 こうしたことで、今お話がありましたように、一部だけが民営化されたじゃないかということの誤解がおありのようでございますが、一つにまとめます五つの金融機関につきましても、それぞれ民営的な手法でやっていくわけでございますし、経営形態につきましては、独立行政法人にするか特殊法人にするか株式会社的にするかといったようなことは、まだこれからの政策課題ではあります。制度設計はしますけれども、そういったことと今言いましたようなこととは別のことでございまして、これを一緒にしたことによってもっともっと管理機構は簡単になりますし、そうしたものも民営化に、その中から、五つのものからでもかなり民営に移されていくわけでございますから、そういったことも含めて半減ということを言っているわけでございます。

前原委員 何をおっしゃっているか全然わからないです。

 つまり、二つは民営化される、一つは地方に移管される、残りの五つが一つの金融機関になる。沖縄については平成二十三年ということで先でありますけれども、なる。私が聞いているのは、今全体の八つのこの政府系金融機関について、竹中大臣は、当時の担当大臣は、貸付残高のGDP比半減とおっしゃった。民営化するものと地方に移管するものを除いたら、五つだけでもそれは半減になっちゃうんです。それでは全く統合メリットはないということを申し上げているんです。

 何を分母にGDP比半減をするかということを簡潔にお答えいただきたい。

伊吹委員長 中馬大臣、質問している趣旨はわかっていますね。

中馬国務大臣 わかっています。

 今言いましたように、従来のものもかなり民営化的な手法で移していくわけでございますから、それも当然、分母の方はGDPでございましょうけれども、分子の方は減っていくわけでございますから、そういう形でこれが半減されることは、統合による効率化ということをお考えいただいたらおわかりかと思います。

前原委員 やはり委員長、大臣はわかっておられないですね。分母はGDPって、それはもう大きな間違いで、GDPの分母は、八つの政府系金融機関の合計が分母なんですよ。

 では、どうぞ。

与謝野国務大臣 八つが国の政策金融機関として貸し出しをし、保証をしていたわけでございます。これがもとの数字。それから、この改革ができ上がったときに公がどのぐらいの政策金融機関としての貸出残高あるいは保証残高を持っているのか。これを比べますと、当然、二つが民営化され、一つが地方に移管され、また前原委員御承知のとおり、国民金融公庫も中小企業金融公庫もそれぞれ必要のない分野からはどんどん撤退をしていくということですから、別に民営化されたところあるいは廃止されたところだけで勘定するんではなくて、業務を縮小するという面からも対GDP比が縮小していく。しかし、民営化されるものを勘定するなというのは、ちょっと話としてはつらいんじゃないかなと思っております。

前原委員 きょうは入り口の議論ですので、私はトップバッターで立たせていただいておりますので、この半減という意味を一度政府で整理して、委員会の理事会に提出をしていただきたい。それでまた、これからかなりの時間議論すると思いますので、そのための政府の見解を示していただきたい。委員長にお願いしたいと思います。

伊吹委員長 委員長から申し上げますが、今の件は理事会でもお諮りしますが、同時に、国民に見えるところで、質疑において、できるだけ公の席で明らかにしていきたいと思います。

前原委員 ですから、これから委員会が続いていくわけですから、その場で政府の今の見解、半減の定義をしっかり出していただいて、さっき申し上げたように、民営化をするのが全部外に行ってしまうのじゃないということであれば、どういう基準でその半減というものを政府としておっしゃろうとしているのかということをしっかりと示していただきたい。そのことをお願いして、委員長おっしゃるように、国民の前でそれがまた議論できるようにお取り計らいをいただきたいと思います。

 それから、同じ観点で質問でありますが、十六年度の決算において、政府から補給金をもらう前の実態のベースで、中小公庫が三千三百三十三億円の赤字、国民生活金融公庫は百三十二億円の赤字、それから農林漁業金融公庫は三百二十七億円の赤字。この三つを足して、三千七百九十二億円の赤字。

 統合してこの赤字をどのように減らすかというようなことも、つまりは、先ほど中馬大臣は、統合してどういう形態になるかまだ決めていない、民間会社になるのか独法にするのか決めていないけれどもとおっしゃいましたけれども、大事なことは、一緒になったら融資残高のみならずこの確定をしている赤字も統合されるわけでありまして、それをどのように返済していくのか、将来的な国民負担にならないように。そのことをやはりしっかりと示しておかなくてはいけないと思いますが、それについての考え方を示していただきたい。

伊吹委員長 まず、行革担当大臣から答えて、後、与謝野大臣から補足をしてください。

中馬国務大臣 先ほど申しましたように、このことは、それぞれ統合されたものの制度設計はこれからでございますから、今言いました、各公庫が持っていた赤字等も統合して、そしてどういう負担をするかといったことは、今後の一つの制度設計の中で私は検討するものだと思っております。

与謝野国務大臣 政策金融機関というのは、国の政策を行うところでございますから、いわば民間企業の赤字の概念というものを直接適用していいのかどうかという問題はあります。

 かなり中小企業政策というのは苦しいもの、なかなかリスクの高い分野も、リスクをとって出ていくわけでございますから、普通の一般企業の基準で赤字と言われる、これは多分世界が違うんだろうというふうに思っております。

 いずれにしましても、その中身等については、数字をきちんと前原委員にお届けするようにいたします。

前原委員 今おっしゃったように、統合した後の赤字削減計画、それをしっかり示して、国民負担、私は与謝野大臣がおっしゃったことについてはある部分同意いたします。つまり、政策金融機関というのは、民間がやらないところでしっかりとフォローするという意味での政策金融機関、それがなければ全部民間に任せたらいいわけですから、そういう意味では、赤字の定義、リスクの定義が違うというのは、私はおっしゃるとおりだと思う。

 ただ、それが今まで垂れ流しになってきて、結果的にはこれだけの莫大な赤字を生んでしまった。この赤字のマネージメントをどうしていくのかという議論は同時にしていかなくてはいけないので、今お答えになったように、しっかりと赤字削減の目標というものをこの委員会で示していただきたい。お約束いただけますね、うなずいていただくだけで結構です。

中馬国務大臣 同時並行的にこれの制度設計の方は検討を始めておりますから、そのことが、数字のところまでちゃんと出せるかどうかはともかくとして、これは一つの枠組みをつくったわけでございますから、その結果の方の検討の経過等は御報告させていただきます。

前原委員 できるだけ赤字削減計画をしっかり出すように努力をしていただきたいというふうに思います。それだけは要望しておきたいと思います。

 先ほど、与謝野大臣がおっしゃったことに同意すると申し上げましたが、ただ、金融機関であることはこれは間違いないわけでありまして、金融のノウハウというものはやはりしっかりなければいけない問題だと思います。

 これはどちらが答えていただくのか、統一して一人に答弁していただきたいというふうに思いますが、後で議論します独立行政法人、公益法人も含めて、天下りの問題というものを徹底的になくしていかなければ、先ほどの総理の巻頭言じゃありませんけれども、そこが問題だと僕は思っているんですよ。

 それで、この八金融機関について、これは資料要求をしっかりして、今時間がありませんのでお答えいただかなくて結構ですが、官僚の天下りOBがかなりいるということを伺っております。これについてしっかりと数字を出していただきたいというふうに思います。

 その前提で、私は、統合された一つの政府系金融機関にすることを一つの契機に、天下りをなくす、外部からの人で、まさに金融機関のプロフェッショナルという者をこれに充てていくということが私は必要だというふうに思います。天下り先にしてはいけない、税金の無駄遣い、浪費の一つの大きな器にしてはいけない、私はそう思っておりまして、そういう意味で、この統合した政府系金融機関については天下りゼロを目指すべきではないか。

 そのことについて、総理、どうお考えなのか。私は同意をいただけると思いますが、お答えをいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 固定的に事務次官経験者がトップになるという今の慣例、これはなくします。ただ、理事とか何人かいますから、そういう点についてゼロに、これはやはり適材適所というものがあると思います。

 そういう点から、今、人材というのは、民間だけという、全部任せればいいというものでもない。官界にも、政界進出者、政界に出ていこうという者もいるし、民間に出ていこうという人もいるし、あるいは今までの経験で民間から引っ張られる人もいる。

 そういう点から見て、今までのように固定的に考えてはいかぬということで、その辺は適材適所を貫いていきたいと思います。

前原委員 それで結果的には何も変わってきていなかったのが今の霞が関だと私は思いますよ。つまりは、適材適所といいながら、変える変えるといいながら、何も変わらなくて巧妙化してきているのが今の霞が関、まさに天下りの全体像だと私は思いますよ。それでは本当の改革、先ほども申し上げた巻頭言でおっしゃっていることの改革なんということは私はできっこない。それであれば、役所の占める人数についてはこれぐらいにして、とにかく大部分を、せめて比率ぐらいを決めておかないと、適材適所なんということを言っていたら、何年かたったら天下りの巣窟になっている、私はそのことだけはあらかじめ指摘をしておきたいと思います。やる気がないということを今おっしゃったと私は思います。

 リストラにつきましても要望しておきたいと思いますが、この組織統合によって管理部門など重複している部分を削減すると、相当大幅なリストラができるんじゃないかと思います、この五つの統合において。今、合計しますと、中小公庫、国民公庫及び農林公庫の三つを一緒にすると、七千八百人おられますね。これは巨大な金融機関であって、やはり大幅に定員を削減する数値目標というものを定めなければ統合メリットというのがなくなると私は思います。先ほどの赤字削減と同時に、どう職員の削減をしていくのか。

 もちろん、大変労働組合の争議を抱えている政府系金融機関もあるというふうに聞いておりますけれども、この七千八百人を、やはり統合メリットをどう生かしていくのか。これは当然ながら、統合したら七千八百人も要らないと思うんですね。この目標をどう立てていくのか。それについてもお答えをいただきたいと思います。

中馬国務大臣 先ほど申しましたように、これから統合するという一つのことを決めることに対しましての法律でございまして、その中身のことにつきましてはこれからの検討課題でもございます。

 同時に、今申しましたように、同時並行的に制度設計を始めておりますから、そうした管理部門の統合におきましても、どれだけの人間が減らせるかといったことも具体的にその中で出てくるものと私は思っています。

前原委員 だから中身のない法案だと言っているわけですよ。何にも、これからやります、これから考えますということで、方向性だけ決めて、どう転ぶかわからない、どれだけの数値目標の中で行革効果が上がるかわからない。こんな法案だったら、私は本当に議論できないじゃないですか。

 本来であれば、ここで今私が質問したようなことを具体的に詰めるのが本来の審議であって、これから考えますということだったら、この法案は一体何ですか。

中馬国務大臣 具体的にそれぞれのことを全部詰めた上で法律を出しておりますと、これは二年、三年かかるかと思います。そうではなくて、まず大枠を、皆様方、国民の御了解も得てその枠組みを決めた上で、それから詳細設計等も含めた実行に移せる具体的なことに進むわけでございまして、そのことを御理解ちょうだいいたしたいと思います。

伊吹委員長 中馬国務大臣に申し上げますが、行革法案として提出しているわけですから、詳細はともかく、前原委員のおっしゃった、方向で努力をするということはどうなんですか。

中馬国務大臣 もちろん前原委員の今のお気持ち、また国の進むべき方向というのは、大体、私たちも問題点は共有いたしております。それを今後は進めてまいりますこともはっきりここで申し上げさせていただきます。

前原委員 答えていないんですよ。適材適所とか、今後考えますとか、その方向性だとか、そんな抽象的な言葉のやりとりをするんだったら、この委員会の意味は何もないじゃないですか。これは、行革推進法案という名前をつける方が恥ずかしいような法案ではないですか、議論して詰められないじゃないですか。

 どれぐらいのことを考えて出しているんだと。それは政治家ですから、これは後で質問しますけれども、最終的に行政の組織としては半減ぐらいを目指したいということは書いてあるじゃないですか、ばくっとだけれども。だったら、政府系金融機関についても、これの統合メリットがどう生かされるのか、どう考えているのか、大臣としての政治的な方向性ぐらいはちゃんと示さないと、議論をしている時間がもったいないじゃないですか、意味が。

小泉内閣総理大臣 これは立派に方向性を出しているじゃないですか。前原さんの質問の意義はわかりますよ。しかし、同じ方向を目指している点も多々あるじゃないですか。一々具体的に、来年数字がないから意味がない、とんでもないですよ。この方向を決めるということはいかに大事か。

 政府系金融機関を一つにする。今までどうだったんですか、私が総理になる前は。全部必要だ、一指も触れさせないと言っていたじゃないですか。それを一つにするということだけでどれだけ大変か。はっきり方向性を出しているんです。

 しかも、貸出残高はGDP比半減する……(発言する者あり)

伊吹委員長 静粛に願います。

小泉内閣総理大臣 公務員も五年で五%削減する、はっきり方向を示しているじゃないですか。こんなはっきり示している法案、それを、大したことないとか、壊れた蓄音機のごとくだと。私は生身の人間ですよ、何で壊れた蓄音機なんですか。これはよく考えてくださいよ、野党の党首としても。

前原委員 郵政の自慢話をだらだらだらだらおっしゃるから、壊れたレコードだと申し上げたんです。質問をしたことだけに答えればそういうことを言わなかったんです。

 先ほど、八を一にしたから方向性を示しているじゃないかと。小泉改革の本質はそこなんですよ、あるいは自民党改革の本質はそこなんですよ。数にこだわっていて、中身が減っていない。

 今、独立行政法人の議論をこれからしますけれども、前提として、例えば、橋本行革のときに省庁再編で一府十二省庁にした。本来であれば、地方に分権して、民間にできるものは民間に渡して、そしてNPOとかそういうものに対して事業仕分けをしっかりして、小さくなったものを十三の袋に取り分けるんだったら二十二を十三にした意味はあった。だけれども、今の行革というのは、ようかんを二十二に切っていたものを、同じ大きさのようかんを十三に切っただけで、それで行革効果なんということに何もなっていない、省庁再編でも。

 私は、そういう事例を見ているから、今回の政府系金融機関についても、数を一つにするからそれで改革なんだというのは全く暴論で、結果的には、先ほど申し上げたように、温存になってしまうんじゃないかということを申し上げているわけです、既得権益。もしそれを本気で同じ方向でやろうとおっしゃるんだったら、踏み込んで政治的な発言をしていただくのがこの委員会での討議、議論じゃありませんか。そのことを私は申し上げているんです。

 独立行政法人について話をしたいというふうに思います。

 先ほど、二十二の省庁を十三、一府十二省にしたという話でありましたが、この独立行政法人が導入をされたのが、先ほど触れました橋本内閣当時、一九九七年十二月の行政改革会議の答申であります。

 これはイギリスのエージェンシーというものを導入しているわけでありますが、今、十年近くたって定説になっているのは、イギリスのエージェンシーを進めるやり方と日本のこの独立行政法人を進めるやり方というのは順序が逆であったということが言われています。

 イギリスは、まずは今の行政の大きさというものを徹底的にスリムにして、今の仕組みの中でスリムにして、そこから独立行政法人、エージェンシーというものに仕事を任すということをやってきた。しかし、日本は、ずうたいはそのままにして、批判を受けた特殊法人というものをまさに看板だけつけかえて独立行政法人にして、そして天下りは残っている、国からの補助金は残っている、おまけに独立行政法人になったら自由裁量がふえて、天下りをした役員の給料はふえている。お手盛りの、まさに改革に名をかりた改悪というのが行われ続けているというのが私はこの独立行政法人だと思っております。

 つまり、独立行政法人にするから行政改革が進むんだということでは全くなくて、より巧妙化した官の肥大化というものが進んできている。私はこれを、レーダーにかからないという意味でステルス化と言っていますが、ステルス化がどんどん進んでいっている。このことを私は大きな問題として取り上げたいというふうに思います。

 先般の党首討論で取り上げさせていただきました我々の予備的調査でございますが、天下り団体数は、独立行政法人のみならず、公益法人や認可法人、さまざまな出資法人を含めて三千九百九十、四千近くある。天下りしている役職員数というのは二万二千二百三十九、うち役員というのは八千八百八十。そして、天下り先団体への交付額というものは五兆円余りある。こういうことが出されているわけであります。

 総理、もう一度、予算委員会でも党首討論でも議論しましたが、同じ方向だということをおっしゃるのであれば、より明確にこれから議論することについて御答弁をいただきたいと思いますが、繰り返し同じ議論はいたしません。

 天下りを誘発している大きな要因は早期勧奨退職制度にある、そしてそれは総理は今まで過去二回の議論の中で、三年間おくらせます、こういう話をされた。私は、最終的には早期勧奨退職制度をなくす、そのことが天下りをなくす、そしてひいては官製談合をなくし、税金の余分な無駄遣いというものをなくす第一歩だと思いますが、三年のみならず、この早期勧奨退職制度というのは根本的に見直すんだ、そういう意思をぜひ政治家として示していただきたい。

小泉内閣総理大臣 慣例である早期退職勧奨、この三年おくらせるだけでは不十分ではないかという趣旨には私も賛成であります。でき得れば定年まで働けるようにするのがあるべき望ましい姿だと思っております。

 そういう点については、与野党胸襟を開いて今後検討していく、議論していく課題だと思っております。

前原委員 担当大臣、中馬大臣ですので、今おっしゃったように、早期勧奨退職制度をなくすという前提の中でシステム設計をしっかりやっていただきたい、このことをまず第一点申し上げておきたいと思います。

 それから、それが行われれば、私は相当この問題はなくなると思うんですが、公益法人等に対する迂回天下り。

 つまり、発注官庁から直接受注企業へは二年間は天下りできないということになっていて、それが公益法人への迂回天下りになっている。これが防衛庁の、施設庁の、防衛施設技術協会などのそういったものが官製談合の巣窟になっていたわけですね。

 この迂回天下りというものも、最終的に早期勧奨退職というのをなくしていくという方向の中で、過渡的にやはり私はこれも厳しくする、あるいは厳格に運用する、このことがなければいけないと思いますが、総理、これについてお答えをいただきたいと思います。

中馬国務大臣 今の、二年間関係会社、あるいはまた特殊法人に対してはもう少し長くといったようなことを、それぞれ国土交通省も、また今回防衛庁、施設庁の方も打ち出しております。しかしそれは、そうした形で極力、この天下りと談合その他、公務員の倫理に反する税金の横流し的なことにつながるわけで犯罪でございますから、こういったことははっきり分けて考えなければいけませんが、とりあえずのところは、そういう形で今対応させていただいております。

前原委員 迂回天下りというのはなくすと。それは各省庁に対してしっかりと厳格に運用させる、そのとおりですね。

中馬国務大臣 そういうことは各省庁にももちろん自主的にやらせておりますけれども、政府といたしましても、きつくそのことは指示してまいります。

前原委員 ぜひ、言いっ放しじゃなくて、そのことについてはしっかりと対応していただきたいと思います。

 そうすると、でも、公益法人とか要らなくなるケースというのは、今からお話ししますが、多々出てくると私は思っております。

 その公益法人等、独立行政法人も含めてでありますが、天下り先になっている、第二の特殊法人化しているということの中で、幾つか今までも例を挙げてまいりましたが、きょうも少し例を挙げていきたいと思います。

 国土交通省の地方整備局のもとにある八つのそれぞれの社団法人等々、例えば、一つには近畿建設協会、関東建設弘済会、こういったものがあるわけでございますけれども、これも例によって天下りの巣窟になっている。極めて問題だと思っているのは、天下りが行われていると同時に、仕事が特命随意契約ということで、競争原理なく、高い金額で、天下りの官僚を食べさせるために仕事が回されている。これが極めて多いんですね、顕著に見える。

 これは、いろいろこれから具体的な事例をこの委員会で取り上げていくと思いますが、その根本にあるのは、本来、会計法であれば、一般競争入札というものが基本であって、競争に付さなきゃいけないけれども、公益法人、こういう財団等に対しては適用除外になっている。これは私は非常に大きな問題であると思っています。特命随意契約、これをなくす。

 この行革推進法の趣旨は、先ほど総理が、早期勧奨退職制度もなくす、そして今中馬大臣がおっしゃったように、迂回天下りもなくす、徹底する、三つ目のポイントは、随意契約はなくす、会計法の基準に合わせて競争して入札をさせる、これが私は大事なポイントの一つだと思いますが、総理、この点についてお答えをいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 一般競争入札が原則である、そのとおりだと思います。中にはどうしても随意契約でなきゃだめだという部分もあるでしょう。しかし、原則としては、一般競争入札が原則だ、その趣旨のとおりだと思います。

谷垣国務大臣 国会でも、随意契約のあり方、随分御議論は賜りましたので、それを受けまして、二月の二十四日に関係省庁連絡会議を持ちまして、公共調達の適正化に向けた取り組みというのを取りまとめました。

 その中で、委員がおっしゃいましたように、原則は一般競争入札なんです。ところが、各省庁、これは随意契約に当たると判断している中に、かなり私どもから見ますと不適切な事例があったことも事実でございます。

 したがいまして、この取り組みにまとめた結果の中で、単に当該業務に精通していることのみをもって随意契約を行っているとか、それから、契約金額の相当部分が再委託先に支払われている場合、随意契約の相手方が当該事務事業を実施する能力が十分でないもの、こういうものについては緊急に点検して適切でない随意契約を排除するということをまとめましたので、一つはこれで整理ができると思っております。

前原委員 それであれば、内規で、そういう通達でやるんじゃなくて、会計法の見直しの中で、すべて会計法はそんな特例規則なしに、基本は一般競争入札なんだ、それは公益法人も他の財団もかかわらず一般競争に付すのが原則だということにしないと、そういう事例も見られましたじゃなくて、例えば、一般契約において九〇%以上が随意契約で行われているという団体も多々あるわけですよ。これはもうきょうは詳しく申し上げませんが、その先に、特命随意契約を受けておきながら再委託をして、要は、間を抜いて、そしてほかの民間の企業に発注しているケースというのも多々あるわけですよ。見受けられるどころじゃない、多々あるわけです。こんなものは詐欺ですよ、言ってみれば。そういう仕組みがあるということを私は申し上げているわけです。

 つまりは、公団とかのいわゆる天下り団体には一般会計法は原則適用されない。それを適用されるという法律に戻したら、そんな内部で細々決めないでも、堂々と、もう一般競争入札なんだということにすれば済む話じゃないですか。

谷垣国務大臣 確かに委員がおっしゃるように、独立行政法人、公益法人には会計法が適用されていないというのは、これはおっしゃるとおりでございます。

 ただ、独法等は、つくったときの経緯等を考えますと、自律的に業務を運営するという特性がございますので、果たして会計法適用というものがどうなのかということは、これはよく検討しなければならないところがございます。

 それから、今の独立行政法人や公益法人については、随意契約の基準の公表等が必ずしも十分行われていなかったという面はございます。これは総務大臣にお答えしていただく方がいいかと思いますが、総務省より各主務大臣を通じて、各法人において随意契約の基準をもっと具体的なものとしろ、それから、一定額以上の随意契約については随意契約の理由を明らかにするように、こういう通知がなされているわけでございます。

前原委員 きょうが初めの議論ですので、委員長に資料の要求を申し上げたいと思います。

 国がそういった公益法人等、独立行政法人等に会計法適用外で発注するもので特命随意契約というのはどれだけあるのか、それをすべて各省庁に情報をこの委員会に提示してもらいたい。

 それと同時に、その先に再委託という名のもとで丸投げをしているというものが多々ある。我々も調べている中であります。それについても、自己申告でしっかりとこの特別委員会に情報を上げてもらいたい。

 そのことを、資料を委員長に要求させていただきたいと思います。

伊吹委員長 ただいまの要請については理事会で協議いたします。

 しかし、先ほど来申し上げているように、資料として行政府から提出を受けるだけではなく、この委員会の質疑において、必ず国民に見える形でやりとりをしてください。

前原委員 その資料を出されれば、同僚議員がこの委員会でその細かな議論というのは国民につまびらかにわかるように議論させていただきたいというふうに思っております。

 さて、もう一度総理と議論をさせていただきたいと思いますが、行政改革という言葉に立ち返りたいと思いますが、無駄を削るというだけが行政改革でないと私は思うんですね。行政というものをまさに国民の視点からどのようにうまく運営していくかということが私は必要だと思います。

 したがって、一つ申し上げたいのは、簡素で効率的な政府ではなく、我々は、効率的ではあるけれども人に温かい政府、つまりは、大事なところには金は使うよという、やはりめり張りがなければいけない、ただ単に簡素で効率的であってはいけないというのが我が党の基本的な考え方であるということをまず申し上げたい。

 もう一つは、この国の最大の問題点の一つは、省庁縦割りの中で国家の統一した戦略がなかなか決められない、このことが最大の問題点の一つであると私は思っています。

 もう一つ、きょうは本を持ってまいりました。これを総理、見られたことはありますか。「霞ケ関構造改革・プロジェクトK」、Kというのは、霞が関でもあるし官僚でもある。これは、三十前後のキャリアの官僚の人たちが実名で今この国の問題点というものを明らかにしてくれている本でありまして、私は、これを読ませていただいて、また、ある番組でその官僚の人たちとも議論させていただいて、すばらしい考え方を持っておられるなというふうに思いました。また、何よりも、隠れてじゃなくて実名でこういった意見提言をされることの勇気について私は敬意を表したいと思いますし、そのことで彼らが不遇な目に遭わないように要望しておきたいというふうに思います。

 その上で、彼らがどういうことを言っているか。私も十三年間国会議員をやらせていただいて、同じ問題意識を持ったということを披瀝させてもらいたいと思うんですが、時間の関係上、簡単に一節だけ、この書いてあることを取り上げたいと思います。

 一見総合戦略に見えるものは、実務的な流れとしては、内閣官房や内閣府から「○○」に当てはまる各省の政策を出してくれという依頼が来て、適当に当てはまるものを見繕って各省が提出し(内部では「タマ出し」などと呼ばれる)、それらが適当な順に貼り付けられて成立している。つまり、ぎりぎりの判断や決断により政策が選択されて戦略ができているのではなく、誰からも反発が来ないように、良いとこ取りで各種政策がホチキス統合されているのである。小さな政府を目指した規制税制改革と、大きな政府を目指した社会保障の充実が併記されていることも少なくない。結果、各省各種団体とも、「自分のところの意見は○○という部分に反映されている」と満足できるが、全体として何がやりたいのか焦点がぼやけることになる。

こういうことが書かれていて、これはまさに私は、今の政策立案あるいは役所の本旨だろうと思いますし、総理が、一番初めに私が紹介をしたこの「郵政民営化論」の巻頭言に書かれているところも、この点を打破しなくてはいけないという思いは持っておられたと思いますし、実際問題、橋本行革のときに出された経済財政諮問会議、今それをやっておられますけれども、そこも基本的にはその考え方にのっとってやられたことなんだろうと私は思っております。

 その中で、私、この法案で、先ほどから何をしたいのか具体的によくわからないということを申し上げましたが、その一つとして、行政改革推進本部、これは実は、この法案の雌雄を決する大事な本部だと私は思っているんです。これは総理が本部長になられるということでありますが、この仕組みをどうしていくのか。相当リーダーシップを持たなければ、今でも官僚の抵抗が強いと言われております。ゼロ回答の役所もかなりあるということは言われている。この方向性がどちらに転ぶか。本当に正しい行政改革、無駄のない、天下りとかが広がっていって、国民の目をごまかすような税金のむしばまれ方をするようなことのない行政というものをつくるためには、この行政改革推進本部の位置づけというのは極めて大事なのではないかと私は思っております。

 その意味では、この位置づけをどうしていくのか。かなり独立したもの、あるいは極端に言えば、これを永続させて、ずっと官僚の抵抗があるわけですから。ここに集めてくる役人というのは最初は省庁からの寄せ集めになるでしょう、これは仕方がないことです。しかし、彼らには、片道切符にして帰さない。内閣の行政改革本部で、ずっと君たちの仕事は、縦割り行政の弊害をなくして国家戦略というものを考え続ける。常に組織というものは肥大化するものであって、これを未来永劫続けていくんだぐらいの気概がなければ、私はこの法案に魂は入らないと思います。

 どういう位置づけにこの行政改革推進本部をするおつもりなのか、総理の決意をお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 行政改革に終わりはないと思っております。だからこそ、今前原議員が指摘されたように、その本の中にも提言がなされているんだと思いますけれども、自分のところのかかわる役所なり団体の問題には熱心だけれども、ほかの問題については余りそのような関心を示さない。全体的に統制といいますか統合のとれない、全体図が見えないようなばらばらの改革になってしまうのではないかという危惧の念というのは、常に、行政全体をにらむ場合、大事な視点だと思っています。

 我々政党としてもいろいろな調査会なり部会があります。その部会の関係するものについては、削減するということに対しては非常に抵抗が強い。まだやるべきことがあるんだから要求して、もっとふやせという要望については、私はどの政党も似たような面があるんだと思います。しかし、その結果、全体はどうなのかということを見ないといけない。

 行政改革本部におきましても、各省、人員が集まってきた場合に、また戻るんだというよりも、全体を見ながら各部分に対しての削減策を貫いて、全体も一つの視野に入れた改革案を出すという趣旨には私も賛成であります。だからこそ、国会が必要である、選挙が必要である。

 その場合に、決められた方向に進んでいるのかどうか、あるいは無駄がないか、必要な部分をどうふやせないかというのは、我々政党人の使命であり国会の役割だと思っておりますので、そういう、お互いが、政党が違っても競争していく、改革競争していく、そして有権者が選挙でどう判断するか、これは非常に大事なことだと思っております。

前原委員 いや、無駄遣いをなくすための争いはいいと思いますが、方向性は、先ほど申し上げたように、簡素で効率的なだけではだめだということを我々は申し上げているわけです。

 今伺ったのは、各省の優秀な人間を片道切符で出して、ずっとこれに目を光らせる、そして行革推進本部にいる役人がステータスを持つような仕組みにしなければ本当にこれは実現できないということを私は申し上げているんですよ。その意識はあるかという質問です。簡単で結構です、総理。

小泉内閣総理大臣 そういう機能あるいは人員の強化を図っていく必要もあると思っております。

前原委員 最後に、縦割り行政の弊害を打破するという意味では同じものだと思いますが、我が党が従来から緊急事態基本法というものを出して、これは継続審議になって、今国会に出すということは、細田国対委員長と我が党の渡部恒三国対委員長の間で取り決めをされました。

 その中には、平素の危機管理も縦割りの弊害をなくすための総合調整機能、情報も縦割りの弊害をなくすための機能、それから国家戦略を、特に総合安全保障政策をまとめるための機能、それを横断的に行うということが我々の案として盛り込まれています。

 そういう議論をするためにも、ぜひ、我が党と自民党の国対委員長の間で取り決めをされた緊急事態基本法、中身は、それは議論ですから、我々の案がすべて通るとは思っておりませんが、真摯に議論して、約束どおり今国会で成立させるということを、改めて、総理、お約束いただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今各党で協議しているということのようであります。それを見守っていきたいと思います。

前原委員 実現されることをしっかり、我々もしつこくそれについては関与していくということを申し上げて、私の質問を終わります。

伊吹委員長 以上をもって前原誠司君の質問は終わりました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

伊吹委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、参考人として日本郵政株式会社代表取締役社長西川善文君、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構理事長水島藤一郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 午前に引き続き、質疑を続行いたします。菅直人君。

菅(直)委員 昨日は、皇居を一周いたしまして、桜の下を歩きながらきょうの質問を考えておりました。何人かの方から、菅さん頑張って、民主党頑張ってという言葉もいただきまして、そういう皆さんのエネルギーとあのすばらしい桜のエネルギーをいただいて、この質疑に立たせていただきます。

 小泉総理、内閣ができて、この四月で満五年になるわけであります。九月の退任を表明されておりますので、ある意味では、この小泉政権五年間、まさに行財政改革を旗印にスタートした小泉内閣が、この五年間で何をなし遂げ、何ができないで、何を後の私たちに残そうとしているのか、そのことを総決算する、そういう立場から質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、私なりに小泉政権の五年間を総決算いたしてみました。(パネルを示す)小泉政権がなし遂げたことについて、「正の遺産」と書いておきました。確かに、不良債権の処理は進みました。また、景気の回復も進みました。しかし、後ほど申し上げるように、このためには四十兆円を超える公的資金の投入や、さらには低金利、ゼロ金利による、本来預金者に戻ったと考えられるような利息が、先日の日銀の、九一年度からのそのトータルでは三百四兆という答弁も出ておりましたが、そういう国民に対する痛みを重ねてこの不良債権処理と景気回復がなされました。私は、このことはこのこととして認めたい、また、そのことができたこと自体は評価をしたいと思っております。ただ、余りにも遅かった。バブルの崩壊から十五年あるいは十七年、余りにも遅かったと言わざるを得ません。

 そして、「負の遺産」、小泉政権五年間の負の遺産であります。国の借金を、丸めて言えば百七十兆円、小泉さん、積み増されましたね。また、これはこれから話をしていきますが、行政改革、行政改革といろいろ言われましたが、道路公団を見ても、社会保険庁改革を見ても、あるいは防衛施設庁の官製談合を見ても、官製談合による税金の無駄遣いには一円も切り込めていない。そして、地方の切り捨て。私も四国を初めあちらこちらを歩いていますが、駅前がにぎやかなのはほんの県庁所在地の一部でありまして、ほとんどの駅前は今やがらがらの状況であります。格差の拡大、そして特にアジア外交における首脳外交の失敗のツケ。

 つまり、この五年間というのは、不良債権処理と景気回復は確かに進みましたが、負の遺産も大変大きくこの小泉政権のうちに残された、これが私の見る小泉政権の五年間でありますが、小泉総理、もし反論があれば聞かせてください。

小泉内閣総理大臣 久しぶりに、党首討論じゃなくて、党首の方が続いて午前、午後質問されまして、この後、また小沢さんが質問されるのかなと思っていましたけれども、違う方が質問されるようであります。

 今、菅さんが、「小泉政権五年間の総決算」としてこの表を出されました。いろいろ御批判があるかと思いますが、かなり五年間で改革は進んだなと思っております。

 この一、二、三、四、五という負の遺産、取り上げていますが、国の借金を百七十兆円積み増したということを批判されていますが、これは積み増さなかったらどういうことになったかということも考えていただきたいと思います。できるだけ国債発行額を縮減してきたからこそこれで済んだんです。

 経済は生き物であります。民主党が三十兆円枠を法律で縛れと言うのを、私は当初から、内閣で決めることだ、法律で縛ることはない、経済、財政全体を見て判断すればいいことだということで、税収が五十兆円程度あるときには一年間の国債発行を三十兆円以下に抑えればいいだろう。結果的に、税収は四十一、二兆円程度しかなかった、その際に三十兆円枠にこだわって進めていたら、果たして今のような景気回復があったかどうか、疑問に思っております。

 「言葉だけの行政改革」、二番、批判していますけれども、実際に、今まで反対の多かった道路公団民営化にしても、郵政民営化にしても、今ここに出している行政改革推進法案にしても、国民の支持のもとに進めてきたんです。言葉だけの行政改革だったら、私はとっくに退陣していなきゃならないですよ。菅さん、今ごろ総理大臣ですよ。去年の選挙だって、自由民主党に国民は勝利を与えなかったと思いますよ。実際進んでいるからこそ、国民は、自由民主党、小泉内閣、自民党・公明党連立政権に多数の議席を与えてくれたんじゃないでしょうか。

 地方切り捨てと言いますけれども、切り捨てなんというのは全く考えておりません。稚内から石垣まで、地方にみずからの独自色を出してもらおう。全国すべてが東京と同じようでは意味がない、地方には地方のよさがある。一流の田舎になりたいという地方の人が出てきてくれる。田舎という言葉だって悪くはない。東京と同じじゃむしろおかしいのではないか、地方には独自の持ち味がある、それを発揮していただきたいというのが、稚内から石垣までの都市再生であります。

 格差拡大、これは今非常に問題になっておりますけれども、私は、もともと、どの時代においても、どの国においても、また個人においても、企業においても、地域においても、格差はあると思っております。要は程度の問題だと思います。

 人間には格差があります。しかし、一つの格差でその人間全部を評価するものであってはならないと思います。得手不得手があります。それぞれのよさを伸ばし合っていこう、足りないところは優秀な人に補ってもらおう。そして、国全体で考えれば、格差というものを固定させるべきものじゃない、一度や二度敗れてもまた成功するチャンスを提供する、一度二度失敗、挫折があってもまた立ち直るチャンスを与えることができる、またそのチャンスに向かって努力するということによって希望が持てる、そういう社会をつくるべきだと言っているわけであります。

 逆に、格差がなかったらまた別の批判があります。悪平等とか、努力する人も努力しない人も同じだったら、これはまたほかの不満が出てくるんじゃないでしょうか。

 五番目の「アジア外交における首脳外交の失敗」ですが、これも私は失敗とは思っておりません。靖国神社を参拝しなければ首脳会談を行うという先日の胡錦濤中国国家主席の言葉。一つの問題を条件づけて、このことを言うことを聞けば私は会う、この条件を満たさなければ会わない、そんな国はほかにありません。問題があれば、対立があれば、むしろ話し合いによってお互いの友好関係を発展させていけば、その方がいいと思います。

 このアジア外交、要するに、突き詰めれば、靖国神社を参拝しちゃいかぬという中国の政府の考え方を菅さんは結構だと考えているのかどうか。私は、こういう時期において、一つの問題が意見が違うから首脳会談を行わない、その方がおかしいと思っております。

菅(直)委員 まあ結局、小泉総理は全部認められたわけですよね。つまりは、借金がふえましたと。それはいろいろ理屈はあるでしょう、ふやさなかったらどうなるか。

 しかし、もう一つのこれを見てください。これは裏表になっていませんので、まず総理によくお見せしますが、今、普通国債の残高が五百四十二兆円です。そして今年度が終わるまでに、小泉政権下で、この五百四十二兆円の中で何と百七十一兆円が小泉内閣になって積み上がった借金であります。かつて小渕さんはみずからを世界一の借金王だと言われましたが、今やはるかにそれを超える借金王、つまりは、これまで歴代十七代にわたる政権で積み上がった五百四十二兆の借金の何と三一%は小泉内閣が積み上げたものであります。

 これを国際比較してみましょう。先ほど衛藤さんの資料にもあった同じ資料ですが、見事に金メダルですね。つまりは、これは国、地方が入ったOECDの数字でありますが、日本はGDP比一六〇%を超える借金超大国、イタリアが次いで一二六、フランスが七七、これも小泉政権になってから三〇%近く上昇して断トツになっております。

 また、もう一つ、私が確かに不良債権の処理は進んだと申し上げましたが、これは先日も申し上げたように、先ほども申し上げたように、金利を大変低く抑えた結果によってそれが相当部分が生み出されたということを、先日の質疑の中で日銀も認めていたようであります。

 そこで問題は、もともと不良債権処理というのは行財政改革なんですか。もともと不良債権処理というのはやらなきゃいけませんよ。先日、都留重人先生が亡くなられましたが、「市場には心がない」という本の中で、一九五五年から九〇年代に向けて、物価は二倍だったけれども、六大都市の地価は百七十倍に上がった。それが生み出したバブルの処理、やらなきゃいけませんよ。

 私たちは、一九九八年に民主党として金融再生法と厳しい金融健全化法を出しました。二つの法律が実行されていれば、まあ二〇〇一年か二年には不良債権処理は終わっていたでしょう。しかし、再生法だけを丸のみして、金融機関の責任を問う健全化法は骨抜きの政府案を通したために今までかかったんじゃないですか。時間のおくれが何を生み出したのか。時間のおくれが百七十兆の借金の積み増しを生み出した。

 それでは、この百七十兆の借金から、これから何が生まれるんでしょうか。次の表、グラフ、絵を見てください。これは単純に書いておりますが、百七十兆の国債が、平均金利が三%上がれば、単純に言えば五・一兆の利息払いが追加的に発生いたします。従来の三百七十一兆分が十一・一兆ですから、三%上がれば十六兆二千億円の利息払いが追加されます。もちろん、単年度でいくわけではありません。いろいろな国債の発行の仕方をやっておりますから単年度ではありませんが、こういう数字ですよね。

 財務省と内閣府がかなり違ったことを言っていますよね。つまりは、これだけ積み上がった借金を本当に返せるんですか、総理。あなたが残した負の遺産ですよ。あとは後の人がやってくれ、とても返せないんだったら増税でやってくれ、それが本音じゃないんですか。つまりは、行財政改革といっても、不良債権の処理はやった、しかし、財政改革は、やっていないどころか大逆行じゃないですか。百七十一兆返せるんですか、総理。答えをお聞かせください。

小泉内閣総理大臣 財政というのは、短期間で処理できるものと長期間かかるものがあります。今まで積み上げた借金、これを四年や五年、十年で返せるものではありません。その辺は菅さんも御理解いただけると思うのであります。

 そういう中で、基礎的な財政収支は確実に改善しております。これから、今まで積み上げてきた借金、十年や二十年で返せるものじゃありません。返せということになって、歳出削減と増税を組み合わせて、財政が健全化しても、景気が悪くなった、経済がおかしくなった、それじゃ意味ないんです、両方見ながらやっていかなきゃならない。

 現に、民主党が表明していた、三十兆円、国債発行をとどめよ、その目標の二年前倒しで今年度予算は実現しております。民主党の目標よりも早く実現しているんです。ということは、民主党も、毎年毎年三十兆円の国債発行はやむを得ないと考えているあらわれじゃないでしょうか。

 どの政権がとったって、四年や五年でこの積み上げた借金、返済することはできません。そういう中で、少しでも財政赤字を減らしていく。現在の行政サービス、国民に必要なものは維持、発展させていく。そして、できるだけ税負担を軽減していく。その中には、消費税の議論も出てくるでしょう。さまざまな議論が出てくると思いますが、経済全体を見て、将来の方に余計な財政負担を負わせないような、さまざまな行財政改革が必要だと思っております。

菅(直)委員 国民の皆さんは、なかなか小泉総理は言葉が巧みですから、いや、景気もよくなったしプライマリーバランスも何か小さくなったんだから、大変財政再建は進んでいる、こう思われるような言い方であります。しかし、これまでのプライマリーバランスが下がったのは、金利を上げないままです。確かに、地方や国の財源あるいは税収などの増によって多少間が埋まってきたかもしれません。しかし、景気のいわゆる回復、経済の成長というのは両方に効くんですよね。金利が上がってくることと、それによって税収が伸びることと、両方に効いてくるんですよ。

 財務省が出されたいろいろな試案によれば、場合によっては、金利の上昇による国債費、いわゆる国債の利息払いの方が大きくなって、とてもではないけれども財政が改善されないという試算も幾つかの試算の中には出ております。どうしても財政を再建させようとすれば、その財務省的な言い方で言えば、増税がやむなし、こういう結論になっております。

 後ほど、私の方が、少なくともこの五年間、もし小泉総理のかわりの立場にあれば、どうやって財政再建をしたかをきちっとお示しをしますけれども、その前に、まず現職の総理、小泉さんにお聞きしましょう。

 景気回復、つまりはGDPが、これから経済成長したときに、確実に税収の伸びの方が、この百七十一兆を積み増した、三分の一近くを積み増したこの借金返しの利息分ですよ、元本じゃありません、利息分を返すよりも高くなるということを自信を持って言えますか、言ってみてください。

伊吹委員長 まず、所管大臣、財務大臣から答えて、後、総理大臣。

谷垣国務大臣 ただいま手元にちょっとその試算は持っておりませんけれども、今の菅委員のお話は、まず、プライマリーバランス、基礎的財政収支が回復するまでは金利は関係ありません。金利はこのプライマリーバランスの議論では関係ありませんので、金利が、プライマリーバランスが回復した後、これは二〇一〇年代初頭に我々は目標を置いておりますが、その後どうなるかはそのときの成長率、そういう成長率でまた税収が上がってきたり下がってきたりしますから、その成長率の関係と金利の関係がいろいろございますので、いろいろなシミュレーションがございますが、必ず税収の方が高くなるとは、そのときの経済情勢によっては必ずしも言えません。

小泉内閣総理大臣 試算ですから、試しに算定してみる。それが確実にその試算どおりにいくとは、これは言えません。

 しかし、試算であるからには一つである必要はないと思っています。今の経済財政状況をもとに専門家で議論していただいて、この程度の試算だったらば可能性として考えられるというようなものを幾つか提示していただいて、その目標、どの目標に向かっていくかというのは政策手段ですから、そういう中で考えていくべきものではないか。

 試算を出したらこのとおり確実にいくかというものではありません。

菅(直)委員 つまりは、これから先は、経済が回復してきているけれども、その金利負担と税収の伸びがどちらが大きくなるかわからないという、少なくとも好意的に聞いてもそういう答弁ですよね。つまりは、財政再建は進んでいないということじゃないですか。これから始めようというのならわかりますよ。今回の法律で始めようというのならわかりますよ。少なくともGDP比で、国際比較で見ても圧倒的に、このままいけば二〇〇%になるんではないかと言われております。

 そこで、話を少し進めます。

 それでは、どうやって小泉さんは行財政改革をほかのことでやろうとしたんでしょうか。いろいろ小泉総理、政権を担当してから、例えば道路公団、五十兆円の借金返済を優先すると言っておられましたけれども、結果としては採算性の悪い道路は国費、税金で賄う直轄方式に切り離して、そして、官製談合はあいまいなままにして、あの総裁を会長に任命をする。つまりは、一人の総裁が四人の会長と四人の社長になったのが道路公団民営化じゃないですか。官製談合が一つでもなくなったんですか、これによって。

 次に、防衛庁、防衛施設庁の問題。きょうの読売のトップに、談合、天下りと国費の支払いの関係がいろいろ記事に出ております。この官製談合によって入札がやり直された施設において、九七%程度で入札をされていたのをやり直したら六〇%台になったというのが、たしか昨日のニュースに流れておりました。つまりは、三〇%以上、いわば官製談合、天下りのために税金の無駄遣いをしてきた。二十年も続けていたと当事者が言っているじゃないですか。

 小泉総理、あなたの五年間の中で、官製談合によって天下りの先をつくる、つまりは無駄な税金を、わざわざ高い値段を払うことによって天下り先をつくる、この税金の無駄遣いがどこか一円でもなくなったところがあったら教えてください。

小泉内閣総理大臣 官製談合を防止しようということで、これからも取り組んでいかなきゃならないと思っております。

 また、道路公団民営化によって、これは税金の負担を軽減させよう、また税金の投入をできるだけ少なくさせていこう。なおかつ、どうしても必要な道路というのはあります。それのためには国と地方どの程度税金の負担が必要か、この程度の税金の負担だったら道路をつくる必要があるというのをよく見きわめていこうということであります。

 いわば今まで東名で利益が上がった分を別の地方でつくろうというのはやめていこうということで、地域分割もなし遂げた、あるいは道路公団を民営化することによってコストも削減されていく。そういう中にあって、必要な道路はつくっていかなきゃならない、その方法も講じたところであり、この道路公団民営化によって将来予想されるであろう税負担はかなり削減されるのではないか。

 現に、民主党の皆さんは、菅さんが党首のときですか、影の内閣として民間人を国土交通大臣に起用されたようでありますが、そのときには、全部税金負担でやろう、無料化しようと言ったんですから。もうその方は影の大臣をやめておられると思いますけれども。

 いずれにしても、民主党の中にも、現に、必要ないと言われている第二名神でも、民主党の議員は、つくって、つくってと要望が来ていますよ、私のところに。総論は、つくるな、つくるな。実際、具体的な道路になると、つくってください、つくってくださいと民主党議員までが私どものところに要請してくるじゃないですか。

菅(直)委員 これも、国民の皆さん、見て聞いておられると思いますが、結局、私が聞いた、一円でも官製談合による税金の無駄遣いを減らしましたかと言ったら、その一円のことも答えられない。

 結局は、将来の道路公団の税投入が少なくなるだろうとか。それはそうかもしれません、採算性の悪いのを直轄に移すんですから。採算性の悪いのをつくるよりは直轄に移したら、そこで税金を使うんじゃないですか。何が、税金の投入が減ったからといって税金の無駄遣いが減ったことになるんですか。結局は一円も減っていないということを認めているんじゃないですか。

 そこで、私から申し上げましょう。

 きょう、午前の質疑で公共調達という言葉が出ましたよね。今、公共調達、つまりは国や地方がいろいろな民間から買い上げる、もちろん公共事業やコンピューターソフトやいろいろなサービスも含めて、大体総額でどのくらいになりますか。これは財務大臣でしょうかね。もしおわかりでなかったら、私の方から答えてもいいですが。

谷垣国務大臣 突然のお問いかけなので、今ちょっと手元に数字がありません。

菅(直)委員 資料をいただきましたら、これは、国、地方のダブりもありますけれども、三十七兆円ぐらいになりますね。つまり、三十七兆円、約四十兆円近いお金で毎年、国や地方自治体は民間から買っているわけですよ。

 これが防衛施設庁のように、例えば九七%で入札されて落とされていたものが、六一%とか二%、約三割安い値段で入札が落ちていたら、現実にそうなったんですからね、この間やり直したら、どのくらいで済んだか。単純ですよね。三十七兆掛ける三〇%ですから、約十兆円ですよ。つまりは、公共調達における官製談合や、先ほど前原代表も言っていた随契の中での不透明性などをなくしたら三〇%の単価の引き下げは可能だ、昨年の衆議院のときも、昨年の都議選でも、そのことを私は申し上げました。

 どうですか、少なくとも十兆円の国、地方の歳出の削減が可能になるじゃないですか。これもやらないで、一円の歳出削減もやらないで、百七十兆円ふやしておいて、これで行財政改革が進んでいる進んでいる、これを国民の皆さんは信用するのかどうか。もし反論があれば、小泉総理、お答えください。

小泉内閣総理大臣 現に進めておりますし、今の道路公団改革にしても郵政民営化の改革にしても、将来きいてくる改革であります。すぐ、一年や二年で目に見えるような成果が出てくるものでは、あるものとないものがあるんです。その点も考えていただきたい。

 今の談合の話につきましても、九割から六割、その個別の事業をよく点検していく必要があると思っております。

菅(直)委員 これも国民の皆さんにはよく聞いていただきたいんですが、一年や二年でそう簡単にはいきませんよと。小泉総理、いつ総理大臣になられたんですかね。一年や二年ですか。三年ですか。(小泉内閣総理大臣「五年」と呼ぶ)五年でしょう。では、五年の間になぜできなかったんですか。結局はやらなかったんですよ、こういう難しいところは。つまりは、国債を出すとか金利を下げるとかはやったけれども、本当に公共調達に切り込むということはやらなかったんですよ。

 そこで、どうすれば官製談合をやめさせることができるか。なぜ官製談合が起きるんですか。原因ははっきりしていますよ。官製談合というのはお役人が談合するんですからね。お役人がなぜ違法な談合をわざわざやるのか。理由はただ一つ、天下り先を確保するためですよ。それ以外に、何で相手の会社をもうけさせるために違法なことまでやるんですか。天下り先を確保するため以外に理由は考えられないじゃないですか。

 私は、官製談合をやめさせる方法を知っています。総理にお教えしてもいいんですが、本当に効果があるやり方だったら、実行してもらえるでしょうか。もし小泉総理自身がほかのやり方を御存じなら、こうやると言ってみてください。どうですか、官製談合をやめさせるにはどうされますか。

小泉内閣総理大臣 現在、国会においても官製談合防止法が議論されているところであります。さまざまな点を指摘されておりますので、どのようなものが効果的か、よく十分検討して、協議して、少しでもこの官製談合をなくすような方策を講じていきたいと思っております。

菅(直)委員 私が効果的な方法をお教えしたら。やられますか。この場でお教えしますから。どうですか。

伊吹委員長 それは、菅君、まず発言しないとだめですよ。

菅(直)委員 では、総理だけでなくて、皆さんに申し上げましょう。

 私も先日まではNC、民主党のNCの国土交通大臣をやっておりまして、道路公団の天下りなどを大分調べました。いろいろ調べました。そして、天下り禁止法とか談合の法律とか、いろいろ見てまいりました。

 法律は要らないんですよ。ただ一つです、やればいいのは。一つの閣議決定をすれば官製談合はなくなります、一つの閣議決定をすれば。どういう閣議決定をするか。今後、天下りを採用した企業には発注はしない。今後、天下りを採用した企業には発注をしない。それは当たり前でしょう。私が例えば発注者だとしたら、めちゃくちゃに高いものをインチキして売っている人がいれば、そんなところは使わないよと言うのは当たり前ですよね。

 どうですか、総理。総理は、まだ残された内閣の中で、例えば防衛施設庁に、今後天下りをさせるなよ、これから先、天下りを関係業界にさせた場合にはその関係業界には発注はしない、そういう閣議決定をするだけの勇気をお持ちですか。どうですか。

小泉内閣総理大臣 それは、民間企業と役所の役人の間でのそれぞれの人材の活用の仕方は違うでしょうが、公務員でも、どのような職業を選択するか、その権利はあります。そこで、今自主的に、二年かあるいは五年か、その役所によって違うと思いますけれども、役所をやめた後、利害関係のある企業に就職するという点については自粛しようということを決めているわけであります。これを一律に全部、役所に勤めているから民間企業はだめだということについては、またなかなか難しい問題もあると思います。

 そういう点も含めて、法的に何が問題があるかということで、今、官製談合防止法という法律の面において国会で議論されているんだと思います。一つですべて効くということでもないと私は思いますし、その一つのことが、本当にやるべきことか、また、さまざまな法的な問題をもたらすのではないかという点については、御提案があれば、よく各党各会派間で議論すべき問題だと思っております。

菅(直)委員 これも、結局やってこなかったし、これからも、検討はしてみるけれども、やるという約束はできないということですよね。なぜなんですか。

 これは聞いておられる皆さんによく理解していただきたいんですが、例えば私がテレビをある店で買おうと思って三軒ほど見た。裏で談合して、まあ、あいつは金持ちそうだから、私は金持ちじゃありませんが、金持ちそうだから、ほかだと二割引きするけれども、ここは定価どおりで売ろうよと言ってやっていたと後でわかったら、その三軒の店からは私はもう永久に買わないですね。

 つまり、買う、買わないというのは発注者の裁量であると同時に、税金をもって買う行政の責任なんですよ。同じものであればできるだけ安く買うのが責任なんです。官製談合というのは、本来なら同じものであれば安く買うべき責任者がわざわざ高くする。わざわざ高くするのはなぜかといえば、天下り先をつくるためじゃないですか。

 防衛庁長官、長官のところだけでもできませんか。これだけ不祥事を出しているんですから。長官が、防衛庁に関しては、今後、菅さんの提案を入れて、関係業界に、今後でいいんですよ、これまでのことは言いません、今後、天下ったところには発注はやめると一言言われれば、私はがらっと変わると思いますが、どうですか。

額賀国務大臣 お答えをいたします。

 なるほど、国民の皆さん方から聞いておられれば、発注者側から天下りはさせない、天下りをしている企業には発注はしないということは、まさに一刀両断、わかりやすいような印象を与えるかもしれませんけれども、逆に言えば、さまざまな問題も含んでいることであります。

 というのは、あの施設庁の談合事件が起こって、私どもは、十七年度の未発注工事がありました。一千億円程度ありました。この場合、年度末までに発注をさせたんだけれども、その際に、OB企業に対しては、これは入札を認めませんでした。それで、これは警鐘を鳴らす意味で、業者側にも官庁側にも、そういう意味でそういうことをやったわけでありますが、これが制度的にしていくことが本当に公平なやり方なのかというと問題がある。そこはやはり、入札制度のあり方とかあるいはまた早期勧奨退職制度をどうするかだとか、さまざまなことを複合的に考えて、国民の納得ができるような形をつくるのが我々の仕事ではないか、そういうふうに思っています。

菅(直)委員 早期退職勧奨制度とか、それは前原代表もこの場で言われていたように、私も、六十歳、六十五歳まで、給料がそのまま上がるかどうかは別として、働けるようにするというのは賛成です。

 ただ、結局、額賀さんもいろいろ言われたけれども、いろいろな事情がある、ちょっとOBが行っているところは入札から外した。私、道路公団で調べてみましたよ。例えば、鉄の橋がある。鉄の橋の、ある大きさから、つくれるもの全部が官製談合の談合にかかわっているんですよ、全部が。一時入札をストップする、だれがつくるんですかと言ったら、いや、しばらく工事がとまりますと。いつになったら解除するんですか、そのうち解除したときにだれがつくるんですか、いや、やはりそのグループでないとだれもつくれる人がいません。何ですか、これは。単に一時的にとめただけじゃないですか。

 つまり、官製談合のインセンティブ、動機。犯罪には動機があるんですよ。なぜわざわざお役人が、民間企業に高く値段をつけるのに法律まで破って談合するんですか。道路公団の場合は背任も適用されましたよ。背任容疑も含めて逮捕されたんですよ。なぜ背任までやるんですか。すべては、天下り先をつくるというその目的のためじゃないですか。

 今皆さんがやろうとしているのは、天下り先をつくる、そのインセンティブをなくすることではなくて、いろいろな入札の仕組みとか、あるいは天下りの二年間がどうとか、全部これも骨抜きですが、そういういろいろな仕組みの中で、二十年たっても三十年たっても変わっていない。しかもそれは、百億、二百億の税の無駄遣いじゃありません。私の試算でいえば、先ほど申し上げたように、三十七兆にも及ぶ公共調達の例えば三割がそうした形で高いものだとすれば、国、地方、いろいろな団体を合わせて、何と年間十兆円もの税金が無駄に使われているじゃないですか。これもやらないでおいて、財政改革をやった、行政改革をやった。今回の法律だって、やったとは何も書いていない、これからこういう段取りでやりたいと書いてあるだけで、一、二年でできるわけはない、五年やった総理大臣からそんな答弁を聞くとは思いませんでした。

 そういった意味で、私は、小泉政権五年間の少なくとも行財政改革に関しては、総決算をしてみると粉飾決算ではなかったですかね。やったやったと言われているけれども、この場でやった例はとうとう一つも示すことは総理はできませんでした。そうじゃないんだったら、何かやったことを示してください。

小泉内閣総理大臣 五年間で、前回、菅さんがそれぞれの指標を出して表にして、これだけ悪くなった、小泉さんが総理に就任したときに数字がこうでした、随分表に挙げましたね、あれをもう一回出していただくと、いかに改善しているかわかるんですけれども、きょうは別の数字を出してきた。

 五年、行財政改革を進めてきたからこそ、一般歳出を前年以下に下げて、なおかつ不良債権処理を進めても失業者がふえずに、失業率もふえずに、倒産件数も減っていく中で景気がだんだん回復をしてきたんじゃないでしょうか。この五年間、参議院選挙二回、衆議院選挙二回、本当に悪かったら、国民が私をもう退陣させていますよ。しかし、このわずか五年の間に、私が退陣するな、退陣しろと言っていないのに、民主党の方が逆にどんどんやめていっちゃう。これも不思議なことです。もっと継続的に、これから代表をやられる方も頑張っていただいて、次の選挙ではその主張が通るように、国民の理解が得られるように、支持が得られるように、頑張っていただきたいと思います。

菅(直)委員 結局、私が一つでも例を挙げてくれと言ったんですが、別に民主党の代表のことまで御心配いただきましたけれども、そういうごまかしでいつも逃げるんですよね。

 国民が自分を支持したと。確かに昨年の選挙では、行革はこんなに進んでいるんだ、こんなに進んでいるんだ、規制緩和によってホリエモンも生まれたんだと言って、まさに粉飾選挙をやって当選した人がこの中にも大分いるんじゃないですか。つまり、粉飾決算に基づく粉飾選挙をやったんじゃないですか。その前の年の、一昨年の参議院選挙では……(発言する者あり)

伊吹委員長 御静粛にお願いします。

菅(直)委員 一昨年の参議院選挙では、自民党は民主党より一議席獲得議席が少なかったんですね。その前の衆議院選挙では、我が党は小泉さんに、少なくとも、議席を大幅に伸ばすという形で小泉総理に選挙で負けたとは私は思っておりません。勝ったと思っております。確かに昨年は大きく負けましたけれども。

 そういった意味で、小泉総理がこの五年間、まさに強運にも恵まれて勝たれてきたことは確かですが、残されたことが何かということをきょうは冷静に私が数字を挙げて示しているのにもかかわらず、何か他党の代表のことを言ってごまかそうと。これがいつもの小泉流なんです。

 そこで、次に話を移します。

 今回、社会保険庁が何か新しい機構に変わるそうですね。ねんきん事業機構。いろいろ問題がありますが、きょうは一つだけに絞って申し上げてみます。

 ねんきん事業機構に変わっても、一つだけ変わらないものがあるんですね。それは何か。それは、たしか平成十年までは予算として使われていたコンピューターシステムとかそういう費用を、これは国民の皆さん御存じですかね、皆さんが払っている年金掛金そのものから、今年度でいえば一千億円、国民年金の二兆円分の中からだけ、厚生年金と分けていえば、二兆円の中から何と六百六十億円、予算が足りないから皆さんの年金の掛金からもらいますといって使うというのが残念ながら今通過している予算ですよね。二兆円払って六百六十六億というと三%を超える。つまりは、予算が足らないから年金の掛金からもらいますと。

 私はこれを聞いたときに、銀行が例えば手数料をもらいますというんだったら、普通は手数料は手数料でもらいます。まさか預けた預金の中から勝手に手数料なんか取ることはまずないでしょう。しかし、平成十年以降ですか、掛けたつもりの年金の中からそういう事務費を取り出して、当初は何に使っていたか。我が党の長妻議員が取り上げたように、どこやらのゴルフのボールとか、だれかの車のいい車を使うとかやっていた。今回はそれはやりません、しかし、コンピューターのシステムには使わせてもらいますと。同じことじゃないですか、基本的には。税金で使ったっていけないものはいけないけれども、税金で使っていいからといって、預金、掛金から使っていいんですか。

 今、国年の納付率が上がったと社会保険庁は私に説明しておりますが、よく見たら、絶対数は減っているじゃないですか。掛けなければいけない人の数が、いろいろ学生さんとかなんとかで減免できる人が届け出てもらったから、つまり分母が減ったから分子が多少減っても率が上がっている、それだけのことじゃないですか。

 国民の皆さんは今の社会保険庁を信用していない。そして、今の社会保険庁がこのねんきん事業機構に変わったら何が変わるのか、私聞いてみました。そうしたら、名前が変わると言うんですね、長官という名前が執行何とかという名前に変わる。年金に関して権限が何か変わるんですかと。いや、年金に関して権限は特に変わりません。これも、小泉総理、名前だけの改革で、しかも、国民が年金としていわば預けた、払った年金掛金から、税金が、予算が足らないからといってどんどん出していっていいんですか。お答えください。

川崎国務大臣 数字の話が出てきましたので、先に私からお答え申し上げます。

 平成十八年度、厚生年金は三百三十八億、国民年金から六百六十六億、社会保険庁の徴収また給付の、そしてシステム経費ということで、年金の中から社会保険庁に払ってもらっております。これは毎年議論をいただいております。そして、これは一時的な特例措置でやってまいりましたので、社会保険庁改革、この法案はもう既に提出済みでございますけれども、これから細かい議論をいただく、その中で恒久的な措置にさせていただくことを考えております。

 基本的な考え方は、受益と負担という考え方で、特に、私ども所管しております労災保険、また雇用保険、これは、年金の場合は人件費は除いておりますけれども、大体の経費については保険財政の中で面倒を見てもらっているということでありますから、受益と負担ということからすれば、年金だけが特例だというのは、菅さんの御主張でございますけれども、少し違うのではなかろうかな、このように考えております。

 それから、社会保険庁改革でございます。これは、まさに法案のとき細かい議論をいただきますけれども、民間人をまずトップに据えた。これは先ほど前原さんのおっしゃるとおりでございます。公務員がやっていたものから民間をトップにする。二万九千人の職員を一万人、七年間で削減するという目標のもとにやらせていただいております。その中において、政管健保、この運営を国から切り離します。すなわち、三千五百人は民間人になる、こういう形でやらせていただくということでありますので、そういった意味では、こういう機関のトップというものが変わることによって、これは、全部の施設を見てもらいました、現実、強いリーダーシップの中でやってもらっている。その中で、最終的には収納率が上がったかどうかということで御判断いただくだろう。全力をもって頑張ります。

菅(直)委員 厚生大臣もなかなか心臓が強いですよね。従来は臨時的な措置で、財政が厳しい、予算が厳しいから年金から一部をいただいていたけれども、今度は社会保険庁改革で恒久的に年金の掛金からいただきます、それが今度出された改革案ですよ。どうなんです、これは。そして、納付率が云々というのも、先ほど申し上げました。納付率が上がっている、上がっている、二%ぐらい上がったと言うから数字を見てみたら、納付しなきゃいけない人の数字が下がっているわけですよ、いろいろな理由で。そういういわば国民の目をごまかすようなやり方で、社会保険庁改革が進んでいると、小泉さん、総理、言えるんでしょうかね。

 残された時間で、少し前向きな提案も含めて申し上げてみたいと思います。

 雇用に関しては、きょうは特会の中でも少し触れられておりました。今二〇〇六年ですから、来年はいよいよ〇七年になります。団塊世代がいわゆる大量に退職する時代を迎えようとしております。数字を見てみますと、これから十年後になりますと、六十五歳以上の人口が、比率がずっと上がってきて、いわゆる生産人口の比率がどんどん下がってまいります。ですから、私は、これから団塊世代が大量退職をするに当たって、元気な人には、六十歳になろうが、六十五歳になろうが、七十歳になろうが、七十五歳になろうが大いに働いてもらおうじゃないか。逆に言えば、そうしないと若い世代の負担が大変大きくなる。年金についてはまた改めて議論をする機会があるかもしれませんが、高所得の高齢者の人には年金給付は遠慮してもらう、そして、ある水準以下の人だけに年金給付をするという形で、同世代の中での助け合いをする、そういうことも必要じゃないか。非常に高い収入の人は、場合によったら九十になっても年金掛金を払ってもらうこともあっていいんじゃないか。つまりは、リスクの分散という考え方に年金制度も変えなきゃいけないんじゃないか、このように思っております。

 その前提として、高齢者、つまり、何歳だからあなたは定年ですよという今のあり方を変えていく必要があるんじゃないか。既にアメリカには、雇用における年齢差別禁止法というものがたしか一九六七年にできておりまして、少なくとも、年齢だけを理由に雇用の差別をしてはいけないという法律があります。まずそのこと。実は民主党はこれまで二度法案を出しておりますが、残念ながら、与党の皆さんが、自民党、公明党を含めて賛成をしていただけなかったので、廃案になっております。

 あわせて、高齢者になれば、いわゆる正規雇用でなくていい、パート労働であっていい。しかし、パート労働であっても、これは若い人も女性もそうですが、正規雇用、常雇いの人とパートの人も、一時間当たり同じ仕事をしている場合は一時間当たりの単価は均等の待遇をすべきだ、同一労働同一賃金。

 この二つを組み合わせて、つまりは、団塊世代の大量退職〇七年を前にして、雇用における年齢差別禁止法と、そして高齢者はいわゆるパート労働で、できれば若い人は正規雇用になることも含めて、そういうことを誘導することも含めて、しかし同時に、同じ労働に対しては同じ賃金を払う、そういう同一労働同一賃金の均等待遇法、これも民主党は過去に既に出しております。

 この二つをこれからの労働の新しいあり方として実現すべきだと思いますが、総理の見解を伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 労働形態の多様化を図るということについては、私もこれはいいことだと思っております。

 今後、人手不足の時代が来ると予想されております。その際に、日本においては高齢者がどんどんふえていく。菅さんの今の発言だと、団塊の世代が退職を迎えるということであります。六十過ぎあるいは六十五というのは、今の世の中、そんなに働けない年齢ではない。まさに、老年というよりも、壮年の気持ちを持っている方がたくさんおられると思います。

 また、日本というのは、勤労意欲が高くて、定年を迎えても一定の仕事はしたいという方も多いようであります。そして女性も、先進諸国に比べると日本は女性の働く割合が少ないということで、女性が社会に進出しやすいように、また、政府の審議会の委員等、一定の委員についても三割以上を目指す。将来は、男も女も、一定の専門委員会とか審議会等の委員については、両方が四割を超えるような配慮をする。女性ばかり全部でもいけないし、男性ばかり全部でもいけない、男女がともに社会参加できるような道を講じていこうよという目標、方針を立てております。

 そういうことから、労働形態の多様性を図る意味において、今、政府が進めなくても、民間の中には、定年を迎えたらまた六十歳以上から新たに採用するという企業も出ております。それは、正社員のときの給料とは違う、また働く時間も違う。そういうのを割り切って、六十歳以上あるいは六十五歳以上の方も採用する企業も出てきている。そういう、一定の年齢というだけで区切らないで労働形態を考えていくということは、今後の新しい時代の要請にかなっているんじゃないかと。

 若い方々も、新卒だけに偏らない。大学を卒業する、高校を卒業する、一度、すぐ会社に勤めないで、何かの仕事をしたりアルバイトをしたり、あるいは旅行したり、経験を踏んで、新卒ではない若い人も会社から雇ってもらうような、そういう意識の改革というんですか、そういうのも必要ではないかという面で、今の菅さんの提言であります、労働形態の多様化を促すという点だと思いますので、そういう点については、私は、今後進めていくべき課題であると思っております。

菅(直)委員 最後に少しだけ一致点があったようですが、実は、小泉総理が言われた労働形態の多様化ということよりも、もうちょっと本質的なんですよね。

 つまりは、戦前に五十五歳定年制が生まれたときの平均寿命は大体五十歳です。ですから、平均寿命より五年後まで元気で働けた方が五十五で退職した後は、本当にもう余生という思いで十分だったと思うんです。しかし、今、男性でも八十近くですよね。たとえ六十で退職してもあと二十年、六十五で退職しても十五年の平均の余命があるわけです。つまりは、人間がその十五年、二十年を人間らしく生きて、そしてあの世に行くことができるか、つまり、究極的には人間の尊厳にかかわる問題だと思っております。

 ですから、どうも、私も役所の説明を聞きますと、一生懸命、今、退職年齢を延ばしているんだという発想なんですね。私は、そうではなくて、六十五に限らない、七十五になっても、場合によっては、例えばあの有名な日野原先生ですか、九十歳になってもお医者さんを続けられている。定年という形である年齢で一度退職しなきゃいけない、一たん退職するとなかなか戻れないというのが現状ですから、そういう年齢差別を禁止するという法律をきちんとつくって、そういう新しい社会モデルをつくろうというのが提案でありまして、単純に労働の多様化といったような目先のことで申し上げているのではない。

 また、若者の場合も、団塊ジュニアという世代が、だんだんと非正規雇用がふえて、結局、親のところにいて、結婚すると生活水準が下がるから晩婚化が進んでいるという形態も報告をされております。

 ですから、若い人たちにとっても、そうしたフリーターとかあるいは晩婚といった問題の、これだけで解決できるわけじゃありませんけれども、フリーターであっても将来が展望できるんだと言えるような、そういう同一労働同一賃金、新しい社会モデルをつくるという意味で提案をしたんだということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

伊吹委員長 以上で菅直人君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 行政改革関連法案、質疑を行わせていただきますが、今、菅委員の質疑の中でも出ました官製談合防止法案、これは、ちょっと私も、質問通告にはないんですが、引き続いてぜひ総理にお願いをしたい件がございます。

 二〇〇二年、民主党も官製談合防止法案を提出いたしました。それに先立って、当時は与党が、特に公明党の久保哲司議員、残念ながらもう亡くなられましたが、大変熱心に官製談合防止法成立を目指していた。なかなか与党の調整がつかずに民主党が先に出した経緯があり、そして両案を衆議院でそれぞれ審議した経緯がございます。審議の結果、官製談合防止法、与党案が採決をされ可決をいたしましたが、それが終わった後に、法案提出者、私も法案提出者として答弁席に立ちましたが、やはり今のこの官製談合防止法、まだまだ不完全だな、早くさらに強化、改良しなきゃいけないね、そういうことを、法案可決後、与野党の法案提出者で話したことを今も覚えております。

 民主党は既に二度目の法案提出を今国会いたしました。与党もようやく出されたようでございますので、私は、やはり両案をそれぞれ、どちらの案がまさっているのか、よいのか、あるいはどこが足らないのか、両案をちゃんと並べて審議すべきだというふうに改めて思います。

 総理、自民党の総裁として、この法案提出に当たって、今の私の考え方、どのようにお考えでございましょうか。

小泉内閣総理大臣 私は、昨年十二月でしたか、党の政調会長に、党としても、官製談合防止法、改善策を検討してほしいという指示を出しております。今国会において、与党、自民党、公明党、それぞれ協議して、国会に提出していると聞いております。民主党も出されたと聞いております。よく国会等において協議を進めて、効果的な法改正を実現していきたい、また、していただきたいと期待しております。

武正委員 きょう、私のこの法案での担当が、先ほど来話が出ております独立行政法人でございます。

 独立行政法人、この言葉、なかなかかたい言葉で、国民の皆様もちょっとなじみがないのではないかなというふうに思うわけでございます。今、百十三ある独立行政法人のうち、なじみのある言葉、昔、特殊法人、この特殊法人が独立行政法人に生まれ変わったものが三十六、約三分の一。そのほかは、今から五年前、この独立行政法人、独法がスタートしたときは、研究所が中心でありました。そして、先ほどお話がありました、高速道路民営化に伴って、日本高速道路保有・債務返済機構、あるいは年金・健康保険福祉施設整理機構、そして郵政民営化に伴って来年秋誕生する郵便貯金・簡易生命保険管理機構、これらはいずれも独立行政法人でございます。次から次に独立行政法人が生まれている。そして、この法案でもそういった制度設計がなされているのでございます。

 そこで、お手元に資料を配付させていただいておりますが、その一ページ、二ページをごらんいただきたいと思います。

 まず一ページでございますが、国の行政機関の定員の推移。ここに、特に「郵政公社化、独法化による制度的な減」というのが右に書いてあります。次の二ページをまたごらんいただきたいと思いますが、それこそ、この五年間に国家公務員がこれだけ減ったよ、このような表でございます。今や三十三万三千人。しかし、例えば独立行政法人十二万二千人、もちろん郵政公社二十六万二千人も含めてでありますが、この独立行政法人をとってみると、次の三ページをごらんいただくように、平成十六年度で約三兆円、そして平成十七年度で三兆三千億円の補助金が、運営費交付金など交付をされております。

 すなわち、国家公務員の定数外になった、あるいは、特に今国会でたくさん出されてきた法案、国家公務員の身分を非国家公務員化しましたよといっても、相変わらず人件費のもとである運営費交付金の額は変わらない。ということは、単なる総定数を削減するためにこの独立行政法人は使われたのではないのか、こういう指摘があるわけでございます。

 ましてや、非国家公務員化いたしますと、人事院の天下り対象外になる、こういったことも指摘をされておりまして、この法案で、国家公務員である独立行政法人の、その国家公務員を非国家公務員化するんだ、こういった条文もありますが、一体これは何のためにこうした非国家公務員化をするのか。しかし、相変わらず人件費は税金からと。

 こういった指摘を踏まえて、この五年間の独立行政法人の評価を総理としてどのようにお考えでございましょうか。

中馬国務大臣 委員はもう既に御承知のことと思いますが、今まで役所がやっていた仕事を、もう少し自由度を増して、そして場合によっては民間との連携もしながら、給料もかなり自由に決めていける、それが独立行政法人でございます。そういう形でこれが離れていっていること、そして、それに対して一時的には国から人件費相当額を支給している、交付していることもこれまた事実ではございます。

 しかし、だんだんと自由度を増していくにつれまして、これが効率的にもっと運営されることになるでしょうし、もちろん予算管理も含めまして、人件費等も減らしていかざるを得ない状況に追い込まれるわけでございますから、そういうことを期待しながら、これがもうそういうふうに形を変えただけだとおっしゃるのは当たらないと思います。

武正委員 今報道では、例えば気象庁なども独法化しろ、しかし、それについて抵抗している。総理は、最初は抵抗はあるけれども、必ず過去こうした改革は実現できたんだと言われておりますが、例えば気象庁さん、本当に官から民へで、そうした独立行政法人にしていく必要があるんだろうか。台風、地震、地球温暖化、ヒートアイランド化、こういったことにとって本当に民間のそうした力を必要とするんだろうか。やはりこれは国がやるべきことではないのだろうか。こういったところが本当に検証されて独法化を進めているんでしょうか。総理、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 今言ったような抵抗もあります。必ず、特殊法人等においても国の機関においても、独立行政法人化するあるいは非公務員化すると、いや、国家公務員でやるのが筋だとか、これは民間でやる必要はないと、今武正議員が言ったような抵抗、反対があるわけです。

 そういう中でもよく見きわめて、それは公務員でやる必要がないんだったら民間に任せてもいいじゃないか、よくそういう点の点検は必要だと思っております。

武正委員 そこで、先ほど来話題になっております天下りということで、独立行政法人の役員、これが一体どういう出身になっているのか。

 お手元資料五ページをごらんいただきたいと思います。これは、昨年十月十四日、民主党にとっては三度目の独立行政法人に対する予備的調査を、衆議院総務委員長名で、衆議院調査局で各独法にお願いをして、出た回答でございます。各省庁からそれぞれ独法に役員としていわゆる天下り、どうなのかということでございます。

 これは、文部科学省が多いわけですが、国立大学のそうした学長、教授などもここに加えておりますので、ここはちょっと解釈が政府と分かれるようであります。しかし、独立行政法人、六百五十七人のうち約五割、半分が、その役員は所管省庁から来ている、他省庁と公的な団体、法人を含めると四人に三人、独立行政法人の役員はいわゆる天下りであるというのがこの表でございます。

 過日、国土交通委員会で独立行政法人の統合という話をしましたときに、北側大臣に、そのときは土木研究所と北海道土木研究所の統合について聞きまして、それぞれ四人に三人が建設省あるいは北海道開発庁出身、独立行政法人に統合するについて、こうした四人に三人も所管省庁天下り、どうですかと尋ねましたら、国土交通大臣は、業務の適切な執行という意味ではこうした本省並びに北海道開発庁からの出身であることをもっておかしいとは私は考えていないと容認をする考え。あるいは、今後どうですか、統合して人事はと。今後の人事は、やはり本省の業務との連携は密にしていかなければならないと。こういうような、引き続きやはり天下りやむを得ないというような認識を国土交通大臣は示されたわけでございます。

 総理大臣、この認識、閣内不一致ということはないでしょうから、総理も同じ認識ということでよろしいでしょうか。

北側国務大臣 前の国土交通委員会でもお答えさせていただきましたが、連携は必要だと思います。やっている業務自身が非常に国土交通省そのものの業務と関連があるわけでございます。連携は必要だと思います。

 ただ、当然効率化も必要でございまして、ちょっと今数字を持っておりませんが、統合されることによって役員の数は減らしているということだというふうに思います。

武正委員 総理、今国土交通大臣が答えられましたが、連携が必要なんだ、本省とで。ですから、お手元の表のように、四人に三人、独法の役員がその出身省庁を含めた公的な団体から就任している、これは必要なんだ、こういうお話ですが、総理も同じ考えでしょうか。

 できれば民間のトップをリーダーにとか、あるいはエージェンシーですから、国でやらなきゃいけないけれども、民間がやらないおそれもあるけれども、やはり何とか民間の力を、それが独立行政法人、本省からのある面独立性みたいなものもあったんじゃないでしょうか。

 この点、総理も同じ考えで、四分の三、やむを得ないとお考えですか。

小泉内閣総理大臣 これは、すべて民間じゃなきゃいけないとかあるいは役所から天下りを全部禁止しろということではなくて、できるだけ自律性を保たせるように、民間の優秀な者を起用するようにした方がいいと。どうしても民間からもいないという場合には、適材適所で役所出身の人も選んでもいい。しかし、総体的には、今の機構が役所別に分かれている、この役所の固定したポストにとるのはいけないということであります。

武正委員 そこで、この独立行政法人で、これは役員数なんですが、百九の長を調べました。トップがどうなのか。そうしますと、トップ百九人の内訳、所管省庁出身が七十一人、六五%。他省庁を含めると九十二人、八二%。これもやはり政府と解釈が分かれるんですよ。それは、文科省のところの所管省庁に国立大学を含めないという解釈で分かれるんですが、ただ、予備的調査、答えをいただきますと、皆さん、文部省東京大学、入省というんですかね、そういうような形で文部省と必ず頭にも書きますし、私はやはり、ここも含めていくと、この八割のトップが所管省庁もしくは他省庁。八割ですよ、総理、八割。独法の八割のトップが所管省庁もしくは他省庁。この数字もやむを得ない、今適時適切とおっしゃいましたが、やはりこれを見直すお考えはありませんか。

伊吹委員長 ちょっと総理、待ってください。今のところは、解釈が違うと言っておられるわけですから、文部科学大臣小坂憲次君、まず説明をしてください。

小坂国務大臣 国立大学が独立行政法人化されたときに国立大学は国立大学法人となりましたけれども、その際、それまでは、すべて国立大学の職員というのは文部科学省本省の職員というふうにされております。それが国立大学法人になりまして、そのままこの長が再度学長として選任をされるような場合に、理事が選任をされる場合に、出身省庁は文部科学省、こういうふうになることについて、私どもとしては、専門的な分野で大学に所属をしておった方が大学経営の専門家として国立大学法人の方に移行されることが天下りというふうにとられることは、やはりほかの部門のいわゆる天下りとして次の人生をそこで過ごされることとは若干違うのではないか。

 しかし、いずれにいたしましても、国立大学法人にいたしましても、その後のいろいろな推移の中で、できる限り外部の皆さんの理事就任等も図っているということも事実でございまして、そういった独立行政法人の移行と、大学が国立大学法人化したことを同一にとらえるのはいかがなものかというふうに私どもは考えているところでございます。

小泉内閣総理大臣 独立行政法人の類型によっても違うと思いますが、現に、独立行政法人のトップあるいは役員に対しては、国家公務員出身の割合は二分の一以下にする、できるだけ国家公務員以外の者を採用するようにという指示を出して、そのとおりこれからは進めていくつもりでございます。

武正委員 さっき文科大臣が言われたのは、国立大学法人へ文科省で採用された大学教授なんかが行く場合のことを言われたわけですが、先ほど来私が言っているのは、独立行政法人、いろいろたくさん研究所とかありますが、そこに文科省出身の方以外に国立大学出身の方が行っている、そのことを数に含め入れているということを言ったわけでございます。

 そこで、先を急がせていただきますが、六ページをごらんいただきますと、今回、非国家公務員化するといろいろな仕事を兼職ができるんだ、こういうふうなことを言われるんですけれども、実際、今六百五十七人の役員のうち、四分の一、百七十四人が有給兼職をしているんですね。つまり、役員がほかの仕事を有給で兼職しているんですね。

 実際に兼職できるほどそんなに暇なんだろうか。独立行政法人、会社でいえば役員あるいはトップが、いろいろな会社の、それこそ名前だけなら別にせよ、有給でそんなにできるんだろうか。ある独法の理事長は、六十三の兼職があって、そのうちの十一は有給でございます。これから非国家公務員化すると、この有給の兼職がふえていく。本当にいいんだろうか、本当にそんな暇なんだろうかということでございます。

 次は、パネルがあるんでしょうか、出向者なんですね。七ページをごらんいただきたいと思います。

 これはちょっと数字が若干訂正がございましたので、これは所管省庁等からの出向者ですが、内閣府は同じですが、総務省は二百六十人、財務省は二百人、文部科学省は千六百六十九人、厚生労働省は七百三十七人、経済産業省千三百四十五人、国土交通省二千百二十九人、合計七千三百九十四人ですか。この中で、常勤で五万人弱が国立病院ですので、国立病院の分を除きますと、この七千三百九十四人から国立病院の分を除いて七千百人出向している。全体は七万人になりますので、一割が出向ということなんですね。

 出向ということは、定数外だけれども、またその本省に戻りますよと。特に、その下、三つ見ていただきますと、自動車検査、航空大学校、工業所有権情報・研修館は全員が本省からの出向。その独立というものが、官から民へといいながら、本省の縛り、あるいは全職員が本省から出向。一体何のための独立行政法人だったのかというところでございます。

 次のページは、この独立行政法人の制度設計で大事な評価委員、第三者として独立行政法人の役員の給与まで決める、そして独法通則法で言うと八つの条文にまたがる大変大事な評価委員。その評価委員数合計六百三十七人のうち、半分近く、四五%が同じ所管省庁の審議会の委員を兼ねて、その所管省庁からやはり報酬を受け取っている。これで果たして独法に対して適正な評価ができるんだろうかというものでございます。

 そこで、次に質疑をさせていただきたいんですが、九ページをごらんいただきたいと思います。

 貸借対照表、高齢・障害者雇用支援機構。昨年、労働保険特別会計、雇用・労災保険料から六十九団体に三千八百億円が流れていると言われましたが、そのうちの三番目に多い額がこの独立行政法人に出されております。

 ここで、四角で囲ったこの金銭の信託二百億円、このお金について、厚生労働大臣、どういうお金なのか御説明をいただきたいと思います。特にこれは、やはり障害者の雇用ということに関するお金がもとの勘定だと思いますので、どういう勘定なのか。

 あわせて、現在の実雇用率、障害者をある程度の規模以上の企業は雇用が義務になっておりますが、その目標と実際、これがどうなのか、これもあわせてお答えをいただけますでしょうか。

川崎国務大臣 一・八%に対して何%になっているか、ちょっと御質問になかったものですから、後で御回答申し上げます。

 御承知のように、高齢・障害者雇用支援機構がやっておりますのは、障害者雇用の促進、未達成企業から納付金を一人に当たり月五万円ちょうだいいたしております。この資金をもちまして、障害者雇用を達成している企業に対して、調整金、報奨金、二万七千円、二万一千円を支給することによって、納付金と調整金、両方の性格のものを持ち合わせて運営をするという事業でございます。

 一方で、御下問の趣旨にあるかもしれないが、未達成企業が多い、したがって納付金が正直言って多い、黒字じゃないか。今、四百四十億の黒字になっております。そのうち二百四十億については手元資金として預貯金をいたしております。残りの二百億につきましては、独法通則法、余裕金の運用というものに基づきまして、信託業務を営む金融機関へ金銭信託を行う、二百億を金銭信託。すなわち、余剰資金としては四百四十億、十八年度資金として持っている。これはもう委員会で、予算委員会でも二、三回御質問いただきました。

 一つは、未達成の三百人以下の中小企業にもこの制度を適用すべきではないかというのが一つ。もう一つは、もう少し前向きにこの四百億のお金を使え、こういう御下問をいただきました。後者の御下問に対しましては、昨年、障害者雇用促進法を改正していただきました。したがって、この五年間ぐらいで二百億ぐらいの余裕資金に戻るというような計画をかかせていただいておりますので、目的に合うようにしっかり、正直言って前向きに使ってまいりたい、こう考えております。

武正委員 資料四ページに戻っていただきたいと思うんですけれども、今のお話でございます。

 独法、これは財務諸表、全部合計いたしますと、現預金が今、独立行政法人には二兆二千億、財政融資預託金七千億、有価証券一兆七千億、投資有価証券七兆二千億、つまり、これだけ、資産が十二兆円、土地もやはり十二兆円あるわけでございます。

 今、厚生労働大臣から、二百億を信託預金していると。独法の方に聞きますと、高利で運用するためにということでございますが、その障害者の、先ほどのお話でありますが、今、一・五、目標一・八、やはりこの乖離を埋めるということに、本来はこの独法は目的を果たさなきゃいけない。しかし、それができない。

 しかし、そもそもこの独法を考えてみると、このお金があって初めてその運用というか経営が成り立つような仕組みに制度設計がされている。ということは、障害者の雇用率を上げるというモチベーションがわかないような仕組みになっているのではないか、このことを指摘させていただきたいと思います。

 そうしましたら、次に移らせていただきますが、資料の十一ページをごらんいただきたいと思います。本来であれば、十ページの海員学校の沖縄校が、四億円の不動産鑑定であったのが、五年たって、閉校に伴って売却しようとした再鑑定額が一億に達せず、しかも、売却額が五百万円ということで、三億九千万円の繰越欠損金が出たこと、改めて統合前に鑑定が必要なことを指摘させていただきたいと思います。

 そこで、この十一ページでございますが、日本芸術文化振興会。文科大臣にお聞きをしたいんですが、これは、新国立劇場に伴って、総理にもぜひ見ていただきたいのですが、十一ページのところにありますように、移行前、土地の値段が三千億、発足時、独法は時価評価になりますので九百九十億、その差額二千億。新国立劇場というのは、初台にある東京オペラシティの横にあるわけですが、要は、評価したら土地が二千億円下がっているということなんですね。

 これは時間もかなり限りがあるので、本来であれば文科大臣にお聞きをしたかったのですけれども、総理、私の方からちょっと説明させていただきますと、新国立劇場の土地は、独法発足前には二千八百四十七億円の簿価評価、簿価だったんですね。独法は、時価評価しますと二百億円、その差額二千六百四十七億ということでございます。バブル期に買っているから値段が下がってしまったんだというのかもしれませんが、これは税金であります。税金で二千八百億で買った新国立劇場の土地が、時価評価したら二百億と。このことを、まず総理としてどのようにお考えになりますか。

伊吹委員長 文部科学大臣小坂憲次君、では、事実関係だけ簡潔に。時間が押しておりますから。

小坂国務大臣 簡潔に説明させていただきます。

 これは、特殊法人日本芸術文化振興会に国有地を現物出資したものでございまして、当時の評価額が二千八百二十一億でございます。そして、独立行政法人に移行しました十五年十月一日の簿価は当時の二千八百二十一億でございましたけれども、独立行政法人に移行したときに時価評価を再鑑定いたしまして、そのときの地価が暴落をいたしておりますから二百億四千六百万円ということになって、その差額の二千六百億円が下落をしているわけでございます。

 同様に、近隣の土地を見ますと、渋谷区本町で一平米当たり平成二年の価格が九百八十九万円、平成十五年には六十九万円となっておりまして、これも九三%の下落をしているように、このように簿価そのものが地価の下落による評価でございまして、税金とおっしゃいますが、これは現物出資した国有地の評価の変動でございます。

武正委員 私が言いたいのは、これから国有財産を売却されていくと思うんです。総理も自民党に対して指示をされたようでありますし、自民党内にもプロジェクトチームがあるというふうに聞いておりますが、要は、国民の財産が、資産が安く売却されたり、あるいはこれまでそこの土地や建物に対してお金をつぎ込んだ分が、見返りというか、それが評価されないで、ただ売りさばかれる、こういったことがあってはならないということで、その事例として出させていただいたわけでございます。

 このことを申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊吹委員長 武正公一君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 各論の質問に入ります前に、まず小泉総理に御決意を伺いたいと思います。

 我々政治家が今期待されていること、やるべきことは、増税ありき、負担増ありきではなくて、まず税金を垂れ流している壊れた蛇口、緩んだ蛇口を直すこと、あるいはとめることなんです。そのためには、我々政治家、やはり納税者の負託を受けて、国民の負託を受けている限りは、オール永田町で全官僚組織あるいは全行政組織に対して対峙していかなければならない、これは異論がないところだろうというふうに思います。

 日本の国民というのは決してそんなに身勝手ではありませんから、国家存亡の危機ということであるならば、応分の負担も求められればするだろう。ただ、しかし、今の現状では納得がいかない。説得の政治ではなくて納得の政治。つまり、痛みを伴う改革は、税金を使う側、我々政治家もそうでありますし、まさに先ほど来一貫して議論されているこの行政機構、行政組織の無駄、これを本当にぎりぎりと絞って、なくした上で、それでも国の維持のために必要であるというならばそれなりの負担には応じよう、国民多くがそう思っているところだろうと思います。

 今回のこの法案、残念ながら、この法案だけでは、努力目標を書いてあるだけでございまして、これで、この法案が直ちに可決成立をしたからといって、国民が望む税金の垂れ流しがとまるものではない。だとすれば、いかに我々は実現をしていくかということについて、まず小泉総理、その御決意、お考えを簡潔に伺いたいと思います。

小泉内閣総理大臣 もとより改革を進めていく際には、基本的な方針、これが大事であります。方針を決めたら、この方針にのっとって、それぞれ具体的な問題についてこの方針どおりに進めていく。でありますから、改革に終わりはなく、不断の見直しが必要だと思っております。

渡辺(周)委員 その方針を立てても、結局実現をしなければ意味がないわけでありまして、一つは、これからいろいろな個別の具体例を挙げながら、今申し上げた壊れた蛇口、緩んだ蛇口について指摘をしながら、お考えを伺いたいと思います。

 午前中の質問で前原代表が申し上げました、国土交通省の出先機関、地方整備局が全国に八つあります。この八つの出先機関に対応したいわゆる公益法人、天下り団体がございます。八つの公益法人の四十九人の役員、理事全員が国土交通省のOBであります。その数にして、発注している件数が二千六百件、金額にして八百四十五億円であります。

 一つ例を挙げますと、大阪にあります、これは近畿の地区の国土交通省の出先機関に対応して存在している近畿建設協会、こういう団体があります。ここに発注している業務で、河川の管理事業というのがございます。この河川の管理事業収益のうち、十八億六千七百万円、すべてこれが特命随意契約。つまり、ここでしかできないからということで、入札にもかけられずに、ここだけでもう全面的に委託をしている。

 私、細かく資料をいただきまして、取り寄せまして、調べてびっくりしたんですけれども、この河川の管理事業、五つに分けて業務を発注しているんです、五つに分けて。

 例えば、河川のパトロール、堤防あるいは護岸の状況把握、こういうパトロール業務。それから、観測所の点検の業務、それから水質観測の業務、あるいは周辺状況の把握、河川に関する情報収集。それぞれ別個のものとして、五つに分けて発注をしているんですけれども、これをよく読んでみたら、これは流域を歩いたら一つでできることなんです。一つでできることを五つに分けて、それぞれに予算をつけて実は発注している、こういう実態がございます。

 まさにこれだけを聞くと、もう効率性も経営感覚もないのがある。こんな無駄な発注の仕方というのがあるんだろうかというふうに指摘をせざるを得ないわけですが、国土交通大臣、こういう実態は御存じですか。

北側国務大臣 この建設弘済会というのは、もう委員は御承知のとおりでございますけれども……(渡辺(周)委員「近畿建設協会」と呼ぶ)はい。中立性とか公平性を確保しつつ、社会資本整備についての専門性だとかこれまでの現場経験なんかを踏まえまして、河川、道路等の工事の監督や施設管理の補助を行っている法人でございます。

 ただ、これにつきましては、この建設弘済会については、今委員のおっしゃったようなことも含めまして、さまざま御指摘をちょうだいいたしました。私の方から、こういう公益法人ではなくて、そもそも民間でできることは民間で当然やってもらえばいいわけでございますので、しっかりこの業務内容について総点検をしてもらいたい、業務のスリム化、効率化をしていただかないといけないということで、総点検、見直しをさせていただきました。三月末に取りまとめられたところでございますが、従来やっていた業務の中で、もう詳細は申し上げませんが、民間でできるものにつきましては原則として民間事業者に委託するということの見直しをしっかり行わせていただいたところでございます。

 これにつきましては、今後とも不断の見直しをさせていただきたいと考えておるところでございます。

渡辺(周)委員 今、見直しをしていくというふうにおっしゃいました。弘済会とおっしゃいましたけれども、弘済会というのは、これは地域によって名前が違うんですね、八つの団体で。これは、近畿の場合は近畿建設協会という名前でございます。関東の場合は関東建設弘済会というふうになっております、大手町にあるんです、これはまた後ほど触れますけれども。

 この近畿建設協会というところの考え方として、こういう業務をなぜ国土交通省は委託しているかというところを見ますと、これは、専門的な知識と豊富な経験が必要である、法律も知っていることが必要である、だから専門的な知識と豊富な経験を有する社団法人近畿建設協会に発注するというふうに、もうここしか専門性を持っているところがないという理由でこれまで特命随意契約で発注をしてきた。

 今、国土交通大臣の答弁ですと、民間にできるものもある、民間にできることがある。ということは、これは民間でできることを、あたかも専門性が必要だということにして、天下り団体の存続のためにいかに仕事を出してきたか、そういうふうにとられても仕方ないと思いますが、国土交通大臣、いかがですか。これは、見直しを出すに当たっては。

北側国務大臣 もともとこれは、近畿整備局なら近畿整備局、整備局で行っていた、本来はもとの事務でございました。それが、人員の縮減等々、事務の効率化等々、また外部委託できることは外部委託していこう、こういう効率化の流れの中で、こうした公益法人もでき、公益法人に業務委託をしてきたという経過があります。

 今、委員のおっしゃったとおり、その内容については私は反省すべき点があると思っておりまして、これはもっと民間で広く公募をしてやっていけばより効率的にできるものもたくさんあるわけでございまして、そうした見直しを指示し、そして三月末に見直し案、第一次でございますが、見直し案が出てきたということでございます。

渡辺(周)委員 もう一つ例を挙げます。

 同じように発注している仕事で、今度は道路管理の補助業務というのがございます。これも近畿建設協会でありますけれども、道路管理補助業務というのを見てみますと、道路巡回業務というのがございまして、中身は、不法占有等に対して適宜の措置を講ずる、ここに四億二千万円の発注をしている。もう一つは、許認可等補助業務で、中身は、道路の不正使用、不法占用に係る指導、取り締まりの補助、十億七千万円で委託をしている。そしてもう一つ、適正化指導業務ということで、中身は、不法占用物件の是正、三億九千万円。言葉でこう言うとちょっとわかりにくいと思いますけれども、全部同じような内容なんですね。

 つまり、道路の管理業務というのは、一つにまとめて発注すればいいものを、結局同じようなことをわざわざ三つに分けて出している。これはもう税金を使うことが目的なんであって、効率性だとか経営的観点というのは全然ないんですね。

 これも恐らく見直しの対象になっていると思いますけれども、事ほどさように、今おっしゃったような、国土交通省が発注をしたこの仕事というのは、よくよく見てみると、一つに束ねてもいいこと、どうしても専門性が必要だったら一つにすればいいことを、わざわざ五つに、三つに分けて、それぞれに予算をつけて発注しているわけでありまして、これは多分、民間の経営者の方あるいは普通の納税者の方の感覚からすれば考えられないことなんです。実際こういうことがまかり通ってきた。きょう例に挙げたのは近畿建設協会だけでございますけれども、ほかに調べたら恐らくいっぱいあるんですよ、全国に八つあるわけですから。

 この点について見直しを指示して、見直しを指示されても、自分たちの業務というのは正直言ってあれも必要だ、これも必要だ、無駄なものは何もない、これは公益性が高い、これは間違いなく我々専門知識を持った者にしかできませんと言って、結果的にやらないんです。ですから、指示をしただけじゃなくて、実際これは本当に進んでいるかどうか、ちゃんと検証をして、ちゃんと結論を出す、ここまでやらなければ現実的な無駄遣いの解消にならないと思いますけれども、国土交通大臣、いかがですか。次は行革担当大臣です。

北側国務大臣 この三月末で取りまとめ、第一次でございますが、させていただきました。その中で、この業務についてはもう民間にやってもらおうというふうに決めた業務がございます。それについては、もうこの十八年度からしっかりと実施をさせていただきたい。今委員のおっしゃったように、よく監視をしていきたいと思っております。

 また、一つの業務の中で、これはやはり専門性がある、また秘密を保持しないといけないから公益法人がやった方がいいものでも、その中には、分割をして民間に委託したらいいじゃないかというのもあると思うんです。そういうものについても精査をしてもらいたいというふうに今指示をしておりまして、しっかりとそうした取りまとめをさせていただきましたので、それがしっかりと実行されるように見てまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 それで、類似の例を幾つか挙げますけれども、北海道開発局がございます。旧北海道開発庁、今、北海道開発局が北海道開発協会というところにもこういう事業を委託しているんですよ。ここもびっくりするのが、理事がすべてOBであるということでございます。

 そこで、平成十六年度を見ますと、この北海道開発協会というところが北海道開発局、国の出先から受けている一番大きい仕事が何かといいますと、七億一千三百万円、七十三件の委託を受けている、中身を見まして、これは何かと思いました。複写等業務というんですね。これは何だというと、コピーの複写です。コピーをとるのに、書類が多いからといってコピーをとることを委託した。これが七十三件で、何と七億一千三百万円。本当なんです。こういうことがあるんです。もう考えられないです。我々だって、膨大な数があったら、輪転機を買ってきて、輪転機で印刷した方がよっぽど安上がりなんですね。こういうことが実際ある。

 こういう例を挙げたら切りがなくなりますから、もうこれ以上は細かく申し上げませんけれども、この点について、行革担当大臣、どうお考えですか。

中馬国務大臣 こうした関係につきまして、かなり国民の間から批判も出ていることも十分に承知をし、この改革にも今取り組んでいるところでございます。

 今の問題は、一つには、やはりまずは内部的な監査で、行政監察とか、あるいは会計検査院がもう少し厳格に私は監査をしてほしい。それと同時に、これははっきり言いまして、我々の税金を横に流用した形に、結果的に横流し的になるわけですから、悪質なものはこれは犯罪でございます。こういったことももう少し厳格に私は法を適用していただきたい。そうすることによってこのことはかなり防がれていくんじゃないかと思いますし、同時に、先ほどから出ておりますように、各監督官庁は、今言いましたようなことに対しましてもう少ししっかりと監督していただきたい。これが私どもの今回これに取り組んでいく所存でございます。

渡辺(周)委員 公益法人なんですよね。公益法人といいながら、民間ができる仕事を、我々でしかできませんといって、こういう仕事をやっている。

 このほかにも挙げたら、例えば、農林水産省の関係している公益法人、これは農水省と同じ敷地内にある農水弘済会。ここが、つくばにあります研究所の電気、機械の保守管理を随意契約で請け負っている、二億円、これが一番大きい仕事です。農林水産省書籍の印刷、出版、これも独占的に行っていて、民間と競争入札していない。これははっきり言って、農水省の仕事をするために存在しているところなんですね。これを民間と競争させたらもっとコストダウンできる。こういうのが官の論理なんですね。

 それから、もう一つ挙げます。

 今のは農水弘済会ですけれども、もう一つは林野庁との関係の深い林野弘済会、ここも二十五億五千万円の事業を林野庁から受けまして、八割の二十億円に当たる金額が随意契約。庁舎の清掃でありますとかあるいは警備業務、これも全部随意契約。

 とにかく、こういうことがもうたくさんあるんです。ですから、これはとにかく見直していかなければいけない。これこそ税金の垂れ流しをとめる手段だと思いますが、総理、いかがですか、聞いていて。簡潔にお願いします。

小泉内閣総理大臣 今渡辺議員が指摘されたような点は、多かれ少なかれ、各省庁あるんだと思います。

 私もよく言うんですけれども、もっと仕事を減らすことを考えたらどうか。そうじゃなくて、いかにこの仕事を減らさないかということを考えるんですよ。今ある存在は全部必要です、国民のためにやっているんです、省益は国益です、そういう返事ですよね。だから行政改革というのは難しいのであって、それをいかに役所は、仕事熱心はいいんだけれども、少しは自分の仕事を減らすことを考えろと。

 そういう点を考えて、お役人の皆さんは随分仕事が好きだなと思うんだけれども、そうじゃなくて、自分の仕事を民間に任せられるんだったら民間に、地方にゆだねることができるんだったら地方に、統合できるんだったら統合、こういう点については、各大臣、局長、そして今のような国会の審議で、具体的にどうなっているのかということを国会で取り上げていただいて、いかに不必要な、無駄な仕事は役所がやる必要ないというふうに意識を改革して、徹底していきたいと思います。(渡辺(周)委員「では、行革大臣、一言お願いします」と呼ぶ)

伊吹委員長 ちょっと待った。勝手に指名しちゃだめだよ。質問してください。

渡辺(周)委員 では後ほどお答えいただきます。

 今申し上げたことは、民のための官ではなくて、官のための官なんですね。役所のためにやっていることなんです。

 これはちょっと別の観点から申し上げます。これは私どもが調べた数字であります。

 今さまざまな本省あるいは役所の方が、定員が削減をされているから、その分を外部委託、外注という形で委託をして要は事業を遂行しているというふうに各役所が言うんですけれども、それとは別に、これは本会議でも私は質問で申し上げました、非常勤国家公務員という方々が、これは人数でいいますと、昨年の七月一日の時点で十三万六千人。うち四万八千人、保護司の方がいますから、大体九万人弱です。

 この方々が、先ほど申し上げた河川のパトロールを例に挙げますと、全国で四千二百人、水門等操作員という方がいるんですね、水門等操作員という非常勤公務員の方にかかっている経費がおよそ六億六千万円です。

 これは先週、質問をするからといって資料をくれと言ったら、国土交通省の方が飛んできまして、済みません、実は報告した数字を間違えていました、二千二百人ふえましたと言うんですよ。つまり、水門等操作員というのは、最初は二千人だと言っていたのが、今度二千二百人ふえて四千二百人になった。ですから、金額もその分ふえます。

 中央省庁ですら、この非常勤公務員の数を、あるいは幾ら人件費がかかっているかということを把握していないんです。何でわからないのかと聞いたら、各局で採用している例もあれば、各出先で、あるいは各出先のその先の所単位でやっているから、実態を把握するのに物すごい時間がかかりますと言われました。

 考えてみればおかしな話でありまして、税金を使っている非常勤公務員ですら、聞かなかったら、実はどの役所も人件費として把握をしていなかった。これが、全部足します、さっき慌てて、集まった資料、三月三十一日に何とか集めた資料を計算しました。そうしましたところが、一千億円を超えているんですよ、非常勤公務員だけで。いわゆるアルバイト職員、あるいは顧問とか参与とか審議会の委員、全部足しますと、一千億円を軽く超えております。

 これも実は、御存じのとおり、人件費という中から出るのではなくて、庁費ですね、庁の維持管理費の中から人件費が捻出をされている。あるいは事業推進費、中にはIT化推進費とか、何かもう違う名目から、たしか内閣府だったと思いますけれども、青年の船事業費の中からも人件費が出ているんです。

 つまり、実態が把握できないんです。この金額が、人数は、総務省の人事・恩給局というところで人数だけは七月一日時点把握していますけれども、人件費はどこもとっていないから、こちらで独自に調べたら、一千億円。平成十六年度です。十七年度の予算ベースは決算していません。十八年度の予算ではどうなっているかと聞いたら、これは各省ともふえているんです。一千億円強から、わかるだけで約六十億円ふえているんですね、非常勤公務員に対する人件費をさまざまな名目から出すというのが。

 つまり、人件費が減る分、定員外の非常勤公務員をふやすことによって、結果的にはバランスをとろうとしている。こういうふうに言わざるを得ないわけですけれども、この本省でも把握をしていない非常勤公務員、この実態について、私たちはやはりはっきりさせる必要があると思うんです、だれもつかんでいないわけですから。

 この点について、行革担当大臣、いかがお考えですか。

中馬国務大臣 非常勤職員にはいろいろの職種があるわけでございますが、審議会の委員等も非常勤職員になっておりますし、もちろん事務補助職員までさまざまでございます。職務内容に応じた管理が必要であることから、行政改革推進法案の対象にはいたしておりません。

 しかし、非常勤職員というのは、各省庁、各府省の予算の範囲内で、予算で統制をされているわけでございまして、それぞれが個別の業務の必要性に応じて採用されておりまして、その給与につきましても、一般職給与法で基準が定められております。

 非常勤職員の業務につきましても、無駄の排除の観点から、徹底した見直しをしていく必要があるとは考えております。

渡辺(周)委員 今申し上げまして、時間の関係で、農水大臣にも御意見を伺いたかったんですが、まさに、民のための官ではなくて、官のための官がもうこれだけ存在するんですね。

 私たちは、大きな政府、小さな政府よりも、だぶついた政府をやはりまずスリム化させること。そこで行政経費を削減できたら、例えば、少子化が問題になっているんだったら、奨学金に充てればいいじゃないか、もっと奨学金を拡充すればいいじゃないか、あるいは夜道、あるいは通学路で子供たちが歩いているところにパトロールする人たちをふやしたらいいじゃないか、必要なところには税金を使ったらいいんです。ただ、官のための官は、もうこれは本当にスリム化させなきゃいけない。

 そのためには、霞が関から目の届かない地方支分部局、地方の出先、本省ですら把握できないこの地方支分部局の実態をやはりちゃんと明らかにして、情報公開させて、県や市町村にできるものはもうそちらに移行させる。実際、河川の管理は、これだけじゃなくて、市町村にも委託をしているというんですね。そうすると、一体、河川のパトロールだけでどれだけの人がいるんだろうか、本当に果たして必要なんだろうかということを考えれば、我々は、まず必要なことに、地方分権を推進することも含めて、最も必要なサービスは身近な行政体がやる、このことを申し上げたいと思うんです。

 少し時間がありますから申し上げたいと思いますが、今やるべきことは、人件費をこれぐらい減らす、我々も、地方分権が進めば、三年間で二〇%以上は削減できるだろうと。それは、あくまでも今申し上げた三十三万人の国家公務員のうち、二十一万人は地方の出先なんです、三分の二が地方の出先なんです。しかし、中央から見ると遠くてわからない。今申し上げたように、実態は、随意契約だとか非常勤公務員の採用だとか、まさにだれでもできるようなことをわざわざ税金を使って委託に出している。こういう問題を本気で解決しなかったら、まさに、穴のあいたバケツに幾ら増税だ、負担増だといって税金を入れたところで、とてもじゃないけれども、下からどんどんどんどん出ていくんですね。

 これに対して、総理、うなずいていらっしゃいますけれども、いかがですか。今の話を聞いていて、頭にきませんか、これはおかしいと思いませんか。ぜひ御見解を伺います。

小泉内閣総理大臣 渡辺議員の指摘を参考にして、より不必要な仕事を減らす努力をしていかなきゃいかぬ。

 地方の支分部局の話も出ましたけれども、地方の裁量権を拡大する。例えて言えば、北海道特区で今議論していますけれども、北海道開発局のこの部局でさえも、北海道に譲ったらいいじゃないかというと、中央の国土交通省北海道開発局も反対、地方の北海道も反対、どうなんだ、両方反対じゃ、何のために裁量権拡大するんだ、仕事減らすんだと。

 そういう点もありますから、具体的に、よく問題点を出して、そして無駄な部分を減らして、地方だったら地方にやってもらうし、国の事業の仕分け、これをきっちりやっていこうという趣旨には私も同感であります。

渡辺(周)委員 ぜひ、具体的な提案をしながら、これはオール永田町として行革を進めていく、そのことを申し上げまして、終わります。

伊吹委員長 以上をもって渡辺周君の質疑は終わりました。

 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉です。

 まず冒頭に、国民の皆さんにとってわかりやすい、極めて、もう本当にあいた口がふさがらない、あきれる税金の無駄遣い、二点挙げさせていただこうかと思います。

 行革の意味は、行政機関をスリム化して、そして税金の無駄遣いを一円たりともさせない、これが行革の意味であると思いますけれども、何と、北京の大使公邸の地下に温水プールがあることが発覚しました。私、モスクワ大使館の百億円の追及もやらせていただきましたけれども、まだこんなことを平然とやっている。この一月から定率減税縮減、サラリーマン大増税、そして四月一日から国民年金の保険料も上がる、国民負担が増大する、その中でこんな無駄遣いがあるんですね。

 外務大臣に予算の分科会のときに私は質問しましたけれども、外務省が、残留孤児の息子さんの原博文さん、四十歳を使ってスパイ活動をさせていた。それで、七年間中国に拘留されていまして、そのとき、最初の一年目は毛布ももらえずに、北京の極寒の刑務所の中にいたんですよ。そのときに、阿南中国大使はのうのうとこの温水プールで泳いでおるわけですね。

 こんな税金の無駄遣い、許していいんでしょうか。総理、どう思われますか。

伊吹委員長 まず、麻生外務大臣、事実関係を述べてください。

麻生国務大臣 今プールの話が出ましたが、委員御記憶かと思いますが、一九九〇年、クウェートで、大量の在留邦人というものがクウェート大使館に逃げ込んだ、逃げ込まざるを得なかったというあの事件を御記憶だと思います。イラクの侵攻であります。そのときに、その多くの在留邦人は、あの地域、水が、水道が極めて限られております中で、無事、取り囲まれながらも生き延びたのはプールのおかげです。あのプールの階に全部いたんです。そして、その人たちは、このプールの水で洗濯をし、いわゆる体を洗う等々、皆、このプールがなければもっと悲惨なことになっていたことは確実です。

 私どもは、そういった点も忘れていただきたくないのであって……(発言する者あり)少なくとも私どもとしてはそうです。基本的には、今申し上げましたとおり、ほかの国を見ましても、カナダ、豪州、イギリス、ドイツ、いずれもそういったものを非常事態のために使っておりまして、防火用水に自動的にこの水が流れていくように全部施設をつくり上げておるというのが実態でございまして、泳いでいる等々、少なくとも、その点だけを取り上げられると、非常事態の点もぜひ御配慮をいただかないと、現地に行かされている者の身にもなっていただかぬといかぬところだと存じます。

前田委員 それだったら、これは公邸です、大使館じゃありませんよ、まず。それから、温水プールである必要はないでしょう、水を使うんだったら。外務大臣には、学校の教室の中で十人に一人は給食費が払えない、そうした子供たちの気持ちがわかるんですか。こんな税金の無駄遣いを許していたら、本当に国民の皆さんの批判の的になりますよ。

 確かにそういう非常時のケースもありましょう、だったらちゃんと、それは温水プールじゃない普通のプールでもいいじゃないですか。それを、こんなものをつくって。モスクワ大使館のときにもそうです。

 ぜひ私は総理に、これはどういうふうにお考えなのか伺いたい。

小泉内閣総理大臣 私は、プールのみならず、どのような施設を大使館なり大使公邸に置くか、日本国民を代表して外交活動を展開してくれているわけであります。体面もあります。彼らの健康管理もあります。それは、国のあり方あるいは国の活動、それぞれ違うと思いますけれども、大使館としての、館員としての活動のためにどういう施設をつくるか。温水だからだめ、温水にするな、温水でなければいいという問題ではないと。プールもあってもいいと思います。運動施設もあってもいいと思います。それは、日本の外交官に対して、しかるべき活動をしてもらうと。一概にそのような施設がいけないから廃止しろということは言えないのではないか。

 現に、日本は経済大国と言われておりますが、そうでない国にゴルフコースがある首相官邸もあります。別に私がつくれとは言っていませんよ、私はつくってくれると言ったって断りますけれども。

 そういう一国の国会議員、政府の閣僚、首相、大統領、大使館、それについては、その人たちが国民を代表してしっかりとした活動をしていくための施設なり、そういう点は考えてもいいのではないかと私は思っております。

前田委員 では、総理はこの温水プールを容認するわけですか、認めるわけですか。

 私は、国民意識として、この苦しい不況の中、例えばタクシーの運転手さんで二百万円の収入がない方もみえるんですよ。そんな方たちから見て、苦しい生活をしてこられて、一握りのスーパーリッチで、八割以上が、上中下だったら自分の生活は下だと言っている国民の皆さんが多いんですよ。こうした国民感情の中でこうしたものを容認できるんですか、総理。もう一度お願いします。

小泉内閣総理大臣 私は、どれがいい悪いというのは私の口から言う話ではないと思います。大使館員の健康管理なり、あるいは外交官としての活動のためにどのような施設を提供するか、大使がどのような施設が必要と判断するか、それは、私は、一々この施設がいいとか悪いとか言うのは控えたいと思っております。やはり、国民を代表して活動される方々ですから、十分健康的に活動できるような配慮というのは必要ではないかと思っております。ただし、どれがいい、どの施設がいい、そこまで私は答えるつもりはございません。

前田委員 これは、明らかに質問からの逃げじゃありませんか。

 でしたら、次の独立行政法人の無駄遣いについて一つ提示させていただきたいと思います。安倍官房長官、一言、独立行政法人は官ですか民ですか。

安倍国務大臣 公務員型と非公務員型があるわけでありまして、公務員型はまず間違いなく官だというふうに申し上げてよろしいと思います。

前田委員 非常に官よりは自由度が高い、先ほどの質疑にもありましたけれども。

 そこの中に、私は、税金の無駄遣いのもう一つの例、NEDO、独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構の研修センター、ここへ行って写真を撮ってきました。

 ちょっとごらんいただけますか。これですけれども、この大理石の入口。そして、ここには本体に、十五年度二千五百六十億円、十六年度二千五百一億円、皆さんの配付資料にありますけれども、十七年度が二千三百七十七億円、十八年度が二千二百九十億円の補助金等が投入されるわけであります。

 ここは、そこにも利用人数、これは経産省に出していただきましたけれども、二日に約一人しか宿泊しない、もう空室ばかり、そして、一日平均四人しか会議をしないような会議室。

 次のパネルを見ていただけますか。

 これは、白金台の一等地です。地下には高級料亭のような宴会場がある。この利用をホームページの方で調べましたら、経産省OBの方あるいはNEDOのOBの方の同窓会がほとんどであります。

 こうした施設は、会社だったら、この苦しい不況の中で真っ先に保養施設は売り払っております。それにもかかわらず、こんなゴージャスな研修施設をいつまでも残しておくというのは、独立行政法人が幾ら自由度が高いからといって、こんな税金の無駄遣いをさせておいてはいけない、私はそう思いますが、総理、いかがですか。

伊吹委員長 事実関係をまず確認してから総理に聞きますから、所管大臣である二階経済産業大臣。

二階国務大臣 ただいまお尋ねのNEDOの陽光会館、白金台の研修センターであろうと思いますが、職員の研修のほかに、国際共同研究に参加する外国の著名な技術者などの意見交換、技術者や研究者同士の交流等のために利用されておると伺っております。御指摘の和室についても、研修や交流、懇親のための附帯設備として使われているものと伺っております。

 経済産業省としましては、ただいま政府一体となって推進する行政改革の趣旨を踏まえ、改善すべき点があれば改善するように求めてまいりたいと思っております。

 私は、まだ残念ながらその現場を見たことはありませんから、また機会があったら……(発言する者あり)

伊吹委員長 静粛にしてください。

二階国務大臣 機会があったらその現状を見てまた判断をしたいと思いますが、今のところはそういうふうな状況であります。

小泉内閣総理大臣 私も、その会館を実際に見たわけではありませんので、今のような指摘も踏まえて、その会館の責任者なり担当大臣が、必要か必要でないか、十分判断していただければいいと思っています。

前田委員 独立行政法人の私は税金の無駄遣いだと思いますけれども、テレビをごらんの多くの国民の皆さんも、これは税金の無駄遣いだと思いますよ。

 これから、この行革法案の中身に入っていきます。

 国際協力銀行、JBIC、これはこの行革法案の後に国際金融等業務が新しい政府金融機関になる、そしてODA部分は外務省下のJICA、国際協力機構と一体化するという話ですけれども、私は、JBIC、国際協力銀行を解体しなければいけない、これはもともとそう思っておりました。なぜならば、小泉内閣は、小泉首相は、今までの五十年間の援助で最大級のプロジェクト援助である八百二十億円のマレーシアのパハン・セランゴール導水事業というのを決めております。こうした歳出削減の折に最大級の援助を決める。しかし、その援助に説明責任がしっかり果たされていればいいんですけれども、私は、この三年間、さんざんこの援助の透明性を求めて、あるいはこの八百二十億円、国民の血税ですよ、これの根拠を伺ってきましたけれども、残念ながら、なかなか資料が出てこない。これは外務省もそうですけれども、JBICもそうでありました。

 ですから、もうそんなJBICのあり方ならば、例えばパブリックコンサルテーション、いわゆる公聴会を開いても、関係のステークホルダー、関係者全員が呼ばれるんではなくて、NGOが呼ばれるんではなくて、受注をする企業の、大企業の代表者しか呼ばれない、そんなことがありました。

 そうしたJBICのあり方、海外では、皆さん、JBICウォッチというホームページもあるぐらいですよ。JBICが説明することと事実とどう違うかということを説明しているホームページがありますよ。これぐらいのJBICのあり方ですので、これは、小泉総理は分割して解体されるというのは、私は正しいことだと思います。正しいことは正しいと言いますのでね。

 早速これは財務大臣に伺いたいんですけれども、最近、きょうの新聞でもそうですけれども、米軍のグアム移転、住宅整備案というのが出ております。これも、JBIC、国際協力銀行の融資によってやったらどうだと。あるいは、昨今、先進国への原発に対してJBICが融資したらどうだという案件も出てきております。

 しかし、国際協力銀行法というのがありまして、これは発展途上国に原則融資先は限る、そういう法律があります。にもかかわらず、そして、二〇〇一年には閣議決定されて、先進国への融資は制限されるという閣議決定がありましたけれども、それを破って、何か国際協力銀行法を改正してまでこうした米軍のグアム移転費用、この住宅整備費用に融資したり、あるいは先進国の原発に使ったり、JBICが政府の財布のようにばんばん使われていく。これは、小泉行政改革の、新しい行政改革そのものの目的であります政府系金融機関の役割の縮小、こうした流れに逆行するものではありませんか。これは、もう限りなく政府の財布でばんばんとお金を出していく形ではなく、やはり縮小していく形に、財務大臣、持っていくべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 今幾つかおっしゃいましたが、原発の融資をするという話は、今JBICを所管している財務省としては、そのような話は検討してはございません。

 それから、グアムの移転の問題がございましたけれども、これは、いわゆる2プラス2のプロセスで外務大臣、防衛庁長官が一生懸命取り組まれておりまして、まだ結論が出ておりませんので、私として申し上げることは何もございません。

 その上で、今、JBICが、今度分割されるわけですが、どんどん肥大化していくのではないかという懸念をおっしゃったわけですが、これは今度の行革推進法案におきましても、「国際協力銀行法第二十三条第一項に規定する国際金融等業務は、」これは限定するという意味ですが、もう少し申しますと、「我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得を促進し、並びに我が国の産業の国際競争力の維持及び向上を図るためのもの並びに国際金融秩序の混乱への対処に係るものに限定して新政策金融機関に承継させる」、こういうことになっておりまして、具体的な、詳細な制度設計はこれからでございますが、この方針にきちっとのっとってやってまいります。

前田委員 ということは、このJBICの政府系金融機関に統合される方は、拡大、肥大化されることはないということですね。確認いたします。

谷垣国務大臣 先ほど申し上げたこの行革法案に基づきまして、きちっとやってまいります。

前田委員 それでは、先ほど例に挙げましたマレーシアのODA、パハン・セランゴール導水事業ですけれども、実は、これは昨年末に私ども決算委員会が視察で参りまして、現地の取水口まで見てまいりました。

 これは報告書がこうありまして、クアラルンプールが水不足だと。それで、現地にゴム林がありまして、クアラルンプールから二時間バスで行って、さらにまだゴム林の中に入っていくと、取水口。ここにダムをつくって、この地域というのは、オランアスリ、オランというのは、森の人という意味ですけれども、オランウータンとか、オランアスリという先住民族がおります。先住民族は移住させて、移住の同意書もとって、そして、本当にクアラルンプールが水不足なんだというフィージビリティースタディーもやっているというんですね。しかし、両者は、私は外務省もJBICにも要求しましたけれども、出てきませんでした。

 これは、今の話で大体どんな援助かわかると思いますけれども、ダムをつくって、そこから地下の大体五メーター二十の直径のパイプラインで四十キロ、クアラルンプールまで引いてきて、壮大なる計画ですよ。首都の水不足に備えるという計画ですけれども、実際には、私が調べましたら、無収水率、収入にならない水、これがクアラルンプールに四〇%あるんです。

 何かといいますと、これは、管が古くて水が漏れる、あるいは水を盗む、盗水ですね。収入にならない水が四〇%もあるということですので、まずそれを直したらどうだ、それを直すことが水不足解消の第一策ではないか。しかも、費用も安くつく。わざわざ四十キロも、新幹線のぞみの倍ぐらいある太さの地下の配管を通して引っ張ってくる必要はないんじゃないか、こういうことを言ってきました。

 それで、フィージビリティースタディー出せと。そうしたら、マレーシア政府が所有していて、向こうの政府のこともあるので出せない。さんざん私は外務省とやりました。そうしたら、外務省は何と説明したか。これは、私どもが交渉して、現地でだったら見せていい、そう言われました。それで現地へ行きました。行ったら、いや、これは初めから見せていますよ、JBICさんにもこれは同じものを渡してありますよ、こう言われました。ですから、やはり八百二十億の国民の血税を使うわけですから、きちんと説明責任を果たしていただきたい、私はそう思うんですね。

 外務大臣、JBICのODA部門とJICAと統合された後でも、こうした援助に関してはきちんと説明責任を果たしていただきたいと思うんですけれども、それを確約してください。

麻生国務大臣 今のお話は、十一月の三十日から十二月一日まで、決算行政監視実情調査団のマレーシア訪問の話ですね。

 今のお話は、先ほどの、その後のクアラルンプールまでの間のパハン・セランゴールとの関連でお話をされておられますけれども、この住民の同意書の話を求めたが提出されなかったというお話が最初の点だと思いますが、これは基本的に、マレーシア側に照会したところ、これは原則非公開ということになっておりますので、現地に来ればお見せしますよという意味で、原則非公開と私どもの方では伺っております。したがいまして、先ほどの、担当官同席のもとの閲覧は可能ということでしたので、それで御連絡を申し上げたと聞いております。

 それから、JBIC等々がその後一緒になった後も、相手国の事情を踏まえつつ、私どもとしてはできる限り情報開示をしていくというのは、これは当然のことだと存じます。

前田委員 ありがとうございます。きちんと開示していただきたい。

 つけ加えて申しますけれども、同意書については、もう既にJBICに渡してある。マレーシアの経済企画院の副院長が、副長官が説明していただいていますので、これはJBICが速やかに開示していただきたいと思います。

 とにかく、こうした援助は国民の皆さんにもきちっと納得していただいて出せることが私は一番だと思います。

麻生国務大臣 今、混線されると困りますので、JBICは外務省ではございませんからね。何か分かれたOECFが、ちょっと混線されると……

伊吹委員長 前田君はよく御理解の上で質問しておられると思います。

前田委員 もちろん、もちろん。それで、援助についての説明責任を果たしていただきたいということです。

 いろいろ質問してまいりましたけれども、これでJICA、国際協力機構と統合される。JBICさんも、立派な環境ガイドライン、実際に援助したその内容が相手国の社会環境に悪影響を及ぼさないかどうかということをきちんとガイドラインをもって決めておられます。これは、私はすばらしいことだと思うんですよ。JICAとJBICさんの基準がどちらが厳しいかというと、JICAさんの方が厳しいですね。

 ですから、外務大臣、下の方に合わせるんじゃなくて、統合後もやはりJICAのこの社会環境基準、環境ガイドラインをぜひお使いいただきたいと私は思うんですけれども、例えば、JICAさんの方がどういうすばらしいところがあるかといいますと、外部の専門家による環境審査会なんというのを設けておりまして、援助の透明性を担保しております。ですから、高い方のJICAさんの環境ガイドラインをぜひ使っていただきたいと思いますけれども、外務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 お褒めをいただいて恐縮ですけれども、冷静に見て、大した差はありませんね、私らから見て。JBICの方がいいと言っていただくといいところもあるんだと思いますけれども、どうかねこれはというところは私も比較してみました。

 歴史も大分、JBICの方はもう八九年からやっておりますし、JICAの方は二〇〇〇年からやっておりますので、そこでまず経験差が十一年ぐらいありますし、今言われた点につきましても、異議申し立てのやり方は、異議申し立てをやれるようにしろと言ったのは、JICAの方は平成十六年、もうJBICはその前からとか、差をどこでというのはなかなか難しいとは思いますけれども、基本的には、きちんとしたところをやらなだめだという御指示だと思いますので、踏まえてやらせていただきます。

前田委員 今ちょうど、どちらも差がないよと言われたんですけれども、私は、JBICの異議申し立て制度についてちょっと触れますけれども、これほど間違ったものはないと思いますね。締約後しか異議申し立てができないと言っているんですよ。つまり、例えば、家を買ってからしかその家に対して苦情を言えない、もう買うことをやめたというのを言えない、そういう制度なんですよ。ですから、JBICのこの異議申し立て制度は間違っている。だからそんな、比べて同じだというふうにしてもらっては私はいかぬと思いますね。JICAさんの方が私は上だと思います。この点だけ指摘します。

 大分時間も押してきておりますので、この援助のあり方ですけれども、きょう、国際協力銀行篠沢総裁が見えています。篠沢さんは、こちらは大蔵省事務次官をやめてJBICに天下って、まるで天下りの代表選手みたいな方ですけれども、そうした大蔵省権益とそして外務省の天下りを受けているJICAさんとを一致させるということは、これは財務省とそれから外務省の権益を守るための統合じゃありませんか。

 もともと総理は、国際援助庁をつくって総理のもとにこの援助をやる。人道援助もありますけれども、国民の血税ですので、やはりストラテジックエード、安保理に入りたい、だったらそのために動いていただけるところに集中的に援助するとか、そうした援助のあり方が官邸主導で行われる。確かに、何かODAの戦略会議をつくるという。そんなことでお茶を濁さずに、そんな官僚の省益に負けずに、総理、また援助庁をきちっとつくったらどうですか。これだけ伺います。

小泉内閣総理大臣 でき得るだけ今の機構を整理、統合、縮小して仕事をしているのに、また新たにふやせというのは、私の内閣ではちょっとやるつもりはありませんね。いかに有機的に統合、整理、重複を排していくか、そしてよく各省の連携をとって一つのあり方を示すか、その方がいいと思うんです。

前田委員 これは明らかに官僚たちの抵抗に遭って援助庁ができることがなくなった。援助庁が、また一つ箱物つくって、すぐ、ふやしちゃいかぬ、そういう話じゃなくて、私は、きちっとそれは精査すべきで、先ほど小泉さん言われましたけれども、そうした援助の形を求めて、私の質問を終わらせていただきます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

伊吹委員長 前田君、国際協力銀行の篠沢総裁も、本来の業務があるところをお呼び出しになっているんですが、質問はいいんですか。

前田委員 時間ですので。

伊吹委員長 これは行革ですから、無駄なことをできるだけしないようにしてください。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 総理、私は、日本経済あるいは産業、ある意味で世の中全体のことを根っこで支えているのは、活力の源は中小企業、零細企業だと思っているんです。この思いは、恐らく閣僚の方々も、そして党は違いますけれども与党の先生方も、代議士であれば共有できるのではないか、こう思っています。

 ところが、この十年間、民間銀行の中小企業への貸し出しは激減してまいりました。

 お手元の、委員長のお許しを得て配付させていただいております資料の一をごらんいただければと思うのですが、この棒グラフ、上の方が国内銀行の中小企業向け融資の総額であります。ごらんいただいてもわかるとおり、九七年は二百五十二兆円あった貸出残高が昨年後半には百七十兆円を下回っています。銀行による貸しはがし、貸し渋りも含めて、その減少額は実に八十四兆円であります。率にして三割以上です。特に、総理、総理が御就任する直前は若干ふえたんですけれども、総理が御就任されて、また坂道を転げ落ちるように減っております。

 その裏腹として、中小企業、零細企業の数も減っているんです。全国の中小零細企業の数は、この四月で約四百三十四万社であります。総理御就任の五年前の同じ時期と比べて約三十五万社も減っています。倒産したり自主廃業に追い込まれている。数がぐっと減っているんです。

 総理、この結果についてどう受けとめていらっしゃるのか。とりわけこの民間銀行の貸し出し姿勢について、総理は、議員としては長く大蔵委員会に所属をされている、大蔵委員長も御経験であります。銀行行政に大変お詳しい先輩議員だと伺っておりますので、ぜひお答えいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私は、民間金融機関等がどういう業務をやっているか、詳しく承知しておりません。

近藤(洋)委員 この現実についてどう受けとめていらっしゃいますかということを聞いているので、もう一度お答えいただけますでしょうか。

小泉内閣総理大臣 それは、民間金融機関ですから、必要なところには貸し出す、必要でない、あるいは融資した金が返ってこないという点についてはちゅうちょするでしょう。一々私が、どの融資が適当か不適当か、その判断をする知識、能力はございません。

近藤(洋)委員 総理、私は、全体でこの十年間で三割以上もの民間銀行による中小向け融資が減っている、激減しているというこの総体、全体についてどうですかと聞いているので、個別の融資云々を聞いているんではないんです。お答えとすると、私は知らない、民間のことは民だ、知らないということでよろしいんですか。

小泉内閣総理大臣 それは、その資金の需要がそんなに多くなかったのか、減るけれども、ほかの部分、ふえた部分がどういう点があるのか、詳細には承知しておりません。

近藤(洋)委員 私は、大蔵金融行政にお詳しい、長い経験を持っている先輩政治家としての御見識を聞きたかったわけですが、そういうことであればよろしいでしょう。

 しかし、総理、そういう中で、民間銀行の中小零細企業向け融資が激減する中で、実を言うと、若干、最近少し、ほんの少しふえている傾向にはあるんです。最近ほんの少し、若干ふえています。しかしながら、全体としては三割以上減っている。

 こういう中で、見逃せない事件、事案が昨年十二月、発生をいたしました。公正取引委員会により摘発され、明らかになった事案であります。三井住友銀行による独占禁止法違反の事件でありますが、いわゆる大銀行による中小企業に対する押しつけ販売事件です。

 お手元の資料に事件の概要を、二ページ目、配付させていただいておりますが、三井住友銀行は四年前から、自分の取引先で、かつ三井住友銀行以外の銀行から借り入れが困難な中小企業に対して、融資をするときに、金利スワップと呼ばれる、いわゆる金融派生商品を契約するよう強要してきた、繰り返してきた、こういう内容であります。

 公取の調査によりますと、契約しないと融資をしないよ、引き揚げるよと言われて、被害に遭ったその中小企業たちは、余分な金利を払ったり、元本の返済が終わったのに金利の返済を続けなければいけなかった。

 三井住友銀行も、十二月十二日にこの事実を認めまして、公正取引委員会による排除勧告、すなわち、こういった営業はやめなさいという行政処分に従っております。大銀行に対する公正取引委員会の行政処分は、ほぼ五十年ぶりのことであります。

 総理、この事件について、この事案について、それこそ大蔵行政にもお詳しい内閣の代表として、どのように受けとめていらっしゃいますか、御所見を伺います。総理。

伊吹委員長 与謝野金融担当大臣。(近藤(洋)委員「総理、お答えください」と呼ぶ)待ってください。議場整理は委員長の仕事です。

与謝野国務大臣 今御質問になった事案につきましては、広く報道もされております。公取の排除勧告を大きな銀行が受けるということは、それ自体、遺憾なことだと思っております。

 金融庁といたしましては、このような事案に対しまして、銀行法に基づきまして報告徴求を求めております。報告徴求は、まだ完全なものとなっておりません。幾つか私どもとしては伺わなきゃいけないことがありますので、報告が完全なものが出され次第、関係法令に照らして金融庁としての処分を行うつもりでございます。

小泉内閣総理大臣 せっかく全閣僚が出席しているんですよ。何でも総理、総理じゃなくて、専門の担当の大臣がおられるんですから、聞かれた方がいいんじゃないでしょうか。

 私に問われれば、今、金融担当大臣が答弁したとおりであります。

近藤(洋)委員 当然、総理、担当大臣にも聞くつもりです。

 ただ、本件は、まさに五十年ぶりの案件であり、かつ、貸し渋り、貸しはがしが行われている一方で、銀行による優越的地位の濫用を行っているという大変ゆゆしき事件であるから総理に伺った、こういうことでありますが、総理は、民のことは民へということでしょうから、お答えしたくないということだと受けとめたいと思います。

 金融担当大臣、本件は、お話あったとおり、十二月に報告徴求命令を出された、銀行法に基づいて出されたということでありますが、確認です、いわゆるその報告を受けて、何らかの行政処分はきょうの時点で下されたんですか。

与謝野国務大臣 これは、委員御承知のとおり、三井住友側が、いわば貸し手としての優越的な地位を利用して抱き合わせ販売を行ったというケースでございます。

 これは、公取が独禁法違反として認めたもののほかにそういうものはないのかどうかということは我々として知りたいところでございまして、三月三十一日現在で三回目の報告をいただき、また、それをこれから精査するところでございます。

 したがいまして、この件につきまして、金融庁としての処分等はまだ決定をしておりません。

近藤(洋)委員 大臣、事件発覚からもう四カ月たっているんですね。

 公正取引委員会の竹島委員長は、私の質問に対して、この事件は少なくとも二けたの事案があった、複数の全国の支店で行われた事案であった、公取が把握しているだけで。そしてその結果、組織として、体制として問題があったということでこの処分を下したという御答弁をされています。

 大臣、金融庁のこのルールブック、主要な銀行等向けの総合的な監督指針という本がございます。私も読みました。この本に、資料に添付しておりますが、こういう押しつけ販売、独占禁止法違反はしてはいけないよということが明確に書かれているんですよね。明確に書かれているんです。にもかかわらず、ここまで処分が延び延びになったというのは、どうも解せないわけであります。ほかの生命保険や損害保険でもさまざまな事件は起きましたけれども、金融庁は即座に処分を出している。一定期間、一カ月、二カ月内にはです。何で四カ月間も延びるんですか。もう一度お答えください、理由を明確に。

与謝野国務大臣 公取が独禁法違反と認めたもの、同じ類型のものは非常に多数ありまして、恐らくトータル、取引件数としては数千ないしは万を超える可能性があります。そういうものを全部きちんとチェックをしてやることの方が誠意のある対応だということでやっておりまして、何か意図あって最終結論を延ばしているというわけではありません。

近藤(洋)委員 今、与謝野大臣から、同じような事案が金融庁の調べでは数千ないしは万単位あるという御答弁がございました。

 としますと、少なくとも過去の金融行政に照らしますと、これだけ、まさに数千ないし万、全国の中小企業者が、この契約をしなければ融資引き揚げるぞと言われて泣く泣く契約に追い込まれたということであるならば、銀行法二十六条に基づく業務改善命令は当然、中身はともかくとして改善命令を下され、かつ過去の事例に照らせば業務停止命令も当然その中になるという判断で今、金融大臣、よろしいんでしょうか。そういうことでよろしいんですか。

与謝野国務大臣 この種の取引が行われたといっても、全部が全部違法性があるという、あるいは独禁法違反というわけではありません。これは、融資の際に長期の金利を一定のものにしようといういわゆるデリバティブの抱き合わせ販売でございまして、借り手側の方でむしろそういうものが必要だったケースもあるかもしれない。そういうものを全部精査しなければなりませんが、個別の案件あるいは行政処分、法の適用の仕方について、申しわけございませんが、予断を持ってここで申し上げられる立場にはございません。

近藤(洋)委員 いずれにしろ、大変ゆゆしき事態であるということだけはよくわかりました。

 ところで、この事案が起きているときの担当大臣は竹中平蔵総務大臣であります。当時の金融担当大臣であられます。竹中大臣、御自身が今まで進められた、金融担当大臣のときには、いわゆる地域金融を大事にしろ、横文字で恐縮ですが、リレーションシップバンキングとか、さまざまなことをおっしゃっていましたよね。大臣がおっしゃっていたことと全然違うことが大銀行で行われてきたということ、少なくとも独占禁止法違反が行われてきたということの行政責任というか、見逃してきたという責任、竹中大臣、お感じになりませんか。いかがですか。

竹中国務大臣 公取の報告書によりますと、その排除勧告対象の行為は二〇〇一年から二〇〇四年まで、私は二〇〇二年から就任いたしましたので、その意味ではダブった期間に確かになっております。

 金融当局としては、従来から金融機関に対して、適切な業務運営そしてコンプライアンス体制の確立を求めてきたところでありまして、私も金融担当大臣のときにはそのことをとりわけ注意してやってきたつもりでございます。その意味では、同行に対して今回このような勧告が出されたことはまことに遺憾であるというふうに思っております。

 今後、金融当局において、業務運営体制における問題の所在など総合的な判断の上で、今与謝野大臣がおっしゃったように、必要に応じ対応がとられるものというふうに承知をしております。

近藤(洋)委員 責任はお感じになりますかと聞いたので、もう一度。一定の責任はお感じになるということでよろしいんでしょうか、竹中大臣。

竹中国務大臣 私も金融当局の中におりまして業務運営、コンプライアンス体制の確立を求めてきたということでありますので、それに対して今回のような勧告が出たことは、まことに遺憾であると思っております。

近藤(洋)委員 大変責任を感じていただきたいと思うわけであります。

 さて、総理、大事な話なんです。当時の竹中大臣も遺憾である、与謝野大臣も遺憾であると言ったこの大銀行の独禁法違反事件でありますけれども、大変広がりを見せる可能性もある。要するに、公取が把握している以上のものが見つかる可能性もある、今、金融庁が整理をしていると。私は、四カ月間という期間はちょっと遅過ぎると思いますけれども、いずれにしろ、それだけ慎重にやられているんでしょう。

 しかし、それだけ慎重にやられているこの事案の中で、三井住友銀行の当時の経営陣が、現在、政府関係機関のトップに昨年から就任をされております。お一人は水島藤一郎さんであります。元三井住友銀行の専務、副頭取を経られまして、昨年十月から独立行政法人年金・保険福祉施設整理機構の理事長に就任されています。そして、もうお一方は西川善文さん、当時の頭取でありますが、ことし一月に日本郵政の社長に就任をされていらっしゃいます。

 委員の皆様の御理解をいただきまして、本日、参考人として当委員会にお呼びいたしました。お二方には、お忙しい中お時間を割いていただきましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。

 あえてこの場にお呼びしましたのは、総理、今回の行政改革法案というのは、午前中の質疑でも、入り口は郵政改革、そして出口がこの法案だということだったんですよね。政府系金融機関の改革、柱であります。まさに入り口を担う方の社長さんが西川当時住友銀行頭取であり、かつ、もう一つの法案の中の柱にあります政府の資産の圧縮、売却、このことも今回の法案に盛り込まれていますが、水島理事長は、年金の資産でつくったさまざまな施設を売却するという、これまた大事な仕事を担われているトップの方でありますから、ぜひとも当委員会にお呼びしなければいけないお二人だと思ってお招きをいたしました。

 さて、水島理事長、理事長の御経歴を見ますと、三井住友銀行の幹部として、取締役としては法人部長、そして支店統括部長、資料の方に添付をさせていただいておりますが、法人、支店の総括責任者として、専務、副頭取になられました。今回のまさに法人営業、中小企業に対する法人営業でありますから、水島理事長は当時の幹部として今回の事案について当然御存じであり、そして、みずから指揮をとられたかと思いますが、少なくとも今回独占禁止法違反を犯した点について、その責任をどのようにお感じになられていますか。

水島参考人 公正取引委員会から排除勧告を受けました金利スワップ問題につきましては、私は既に銀行を退職しておりまして、公正取引委員会の審査の内容及び銀行の調査の内容についてはいずれも承知をいたしておりません。したがいまして、この場で責任ある回答を行う立場にはないというふうに考えておりますが、ただし、三井住友銀行では、公正取引委員会からの排除勧告を応諾し、当該違反行為を取りやめるとともに、再発防止に努めているというふうに承知をいたしております。

近藤(洋)委員 理事長、おっしゃったとおり、銀行側は既にこの事案を認めているんですよ、認めているんです。ですから、理事長は、当時の法人総括の責任者として各支店にこういった金利スワップ取引をやりなさいという大号令をかけたんじゃないんですか。少なくとも、こういう取引を指示されたんではないんですか。もう一度お答えください。

水島参考人 お答えいたします。

 金利スワップは固定金利と変動金利を交換するものでございますので、極めて低い金利の情勢におきましては、取引先に対してそのような低い金利を長期間にわたって提供するというサービスというのを提供するのは、銀行としてやるべきことの一つだというふうに考えております。

 その中で、もちろん、コンプライアンス面には十分に留意をした上でこのような活動を行うように指示いたしましたが、御指摘のような事案について発生いたしましたことについては、まことに遺憾に存ずる次第であります。

近藤(洋)委員 理事長、私は、理事長はバンカーとしては大変優秀なバンカーだということもよく存じております。ですから、この場で何も糾弾するつもりはないんですが、その事実を、少なくとも独禁法違反だと確定している話でありますから、当時の責任者が、遺憾に思いますという一言で済まされるのかなという感想だけ申し上げたいと思います。

 西川社長は、三井住友銀行のトップとして長くその座につかれ、そしてその経営手法は、ある意味でトップダウン方式。まさに、頭取時代はトップダウンでみずから切り開かれてきた。とりわけ当時の三井住友銀行の置かれた状況を考えますと、水島頭取に指示を出されて、こうした支店営業、号令をかけたと思うわけでありますが、その事実、頭取は、頭取時代、こうした不当な取引、不公正な取引の実態を把握していたのかどうか。さらには、知らなかったとすれば、当時の三井住友銀行のコンプライアンス体制に大きな問題があったと反省はされますか。いかがでしょうか、西川社長。

西川参考人 お答えいたします。

 三井住友銀行におきましても、独禁法を含めまして法令遵守につきましては、本部並びに営業店におきまして責任者を設けまして徹底してまいったつもりでございます。

 そもそも、融資とヘッジ手段であります金利スワップと申しますのは全く別個の取引であります。変動金利の場合、金利上昇に備えて一定の範囲内に金利をおさめたいというニーズがある場合に金利スワップが行われる、こういうことでありまして、それによりまして銀行は一定のフィーをちょうだいする、こういう取引であります。したがいまして、これらをクロスセルするというような指導をしていたとは私は考えておりません。

 しかしながら、私の在任中に御指摘のような事態が起きたということにつきましては、私自身、深刻に受けとめておりますし、まことに遺憾に存じております。

近藤(洋)委員 まさに別個の取引を銀行という強い立場を利用して押しつけたというのが問題になっているわけでありまして、西川社長、深刻に受けとめているという御発言がございました。深刻に受けとめていただきたいと思います。

 少なくとも、しっかり金融庁が透明なルールの金融行政であれば、間違いなく今回の事案は業務改善命令、少なくとも業務停止命令に相当するだけの事案だと私は認識しております。それだけのことをやられて指揮をとられたわけですから、指揮をもしとられてなかったとしても、最高責任者としての責任は免れないと私は思いますが、私がここで問題にしたいのは、こうした方々を政府の要職につけさせられた総理、西川頭取は総理等が任命権者であります、総務大臣とともに。この任命責任、銀行法違反のおそれのある経営をされた方、独禁法違反の経営をされた、この事件が発覚する直前に総理は任命されていますが、その任命責任をいかがお考えですか。問題があると思いませんか。総理、いかがでしょう。総理が任命権者です。

小泉内閣総理大臣 西川氏におきましては、今までの銀行経営、金融の専門家としての経験を踏まえて、今後、立派な会社にこの日本郵政公社を仕立て上げていきたい、それを期待しております。今までの点も踏まえて、すべて含めていい経験にされて、大事な役割を立派に果たしていただきたいと思っております。

近藤(洋)委員 総理、逆なんですよ。西川さんのトップダウン経営、かつ、まさに向こう傷を恐れずにどんどん利益拡大をしてきたあの経営が、今、日本郵政の社長になられて逆作用されている。すなわち、日本郵政は、限度額の撤廃もする、融資もする、何でもかんでもする、西川さんの指示のもとで、今、日本郵政はそういう経営をされようとしていて、そのことが逆に、民間銀行界から肥大化する官業だといって、全国銀行協会さらには地方銀行協会からも大反発を食らっているんです。金融をゆがめているんですよ。

 あなたの人事が、総理の行われた人事が、今までやっていただきたい、そのままいったら今の金融をゆがめてしまう、この改革をゆがめる懸念があるから問題があるのではないかと申し上げているんです。

 竹中大臣、いかがですか。

竹中国務大臣 まず、西川新社長には、これは本当に世界最大規模の民営化でございますから、やはり民間の大企業の経営の経験がおありで、かつ、非常に難しい金融の問題がございますので、そういう経験をぜひ生かしていただきたい、そのような中での経営をしていただけるというふうに期待をしております。

 今おっしゃいました限度額云々の話は、これは西川社長がインタビュー等々で、将来の可能性としていろいろ御発言されたものというふうに承知をしておりますが、そもそも、これは法律に基づいて民営化が行われるものでありますから、法律で枠組みが決まっているわけです。

 法律の枠組みというのは、まず、来年の十月に民営化する時点では、郵政は公社と同じ範囲から始めるんです。その上で、十年という経過期間をかけて徐々に自由を得て、十年後には移行期間を経て完全な民営化をする。そういうことを含めて経営者としていろいろお考えだというふうに思いますが、そういう法律の枠組みに沿ったもので、かつ、郵政民営化委員会できちっと議論をしていただいたものでなければ、これは承継計画等々、私たち認可をいたしませんから、そういうことはあり得ないわけでございます。そういう法律の枠組みの中でしっかりとやっていただく、そこはしっかりとやっていただけるものというふうに思っております。

近藤(洋)委員 私は大変不安ですね。金融を大きくゆがめるという懸念を禁じ得ない。

 さらに、今回の法案で、政府系金融機関は何をするのかとか、こういった大事な議論をしないで、中小企業に対して押しつけ販売をして、それを野方図にして、少なくとも四カ月間金融庁は何もしなかった。官から民へと言うけれども、民がしっかりしなければ、民のルールがしっかりしなければ、官から民へはできないんですよ。大前提が今崩れているということをぜひ指摘したいし、今全くなっていないということを指摘申し上げたいと思いますし、かつ、そうしたやや問題のある人事の中で、さらに言えば郵政改革自体もゆがめられようとしている。

 そして、その一方で、総理、総理のこの政策の中で金利をもらえない人がたくさんいるんです。これまで百八十兆円、資料の方には添付いたしましたが、日銀の試算によると百八十兆円の金利が家計から失われている。そういう全体の、中小企業も苦しみ、そして家計も苦しみ、一方で大銀行に甘い金融行政をし、そして行け行けどんどんと官業の肥大化をしている、そうした今回の総理の改革、私はとても納得できません。

 こうした問題をこれからの当委員会で一つ一つ、総理の目指されているものが形だけのものなのか、中身があるのか、魂があるのか、しっかり議論させていただきたいと思いますので、私の質問を終わりたいと思います。

 以上でございます。

伊吹委員長 以上をもって近藤洋介君の質問は終わりました。

 両参考人には御苦労さまでした。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 行革推進関連法案にかかわって質問をさせていただきます。

 まず最初に、中馬行革担当大臣に伺います。

 国民の安心と安全、また最低限の国民の暮らしを守ることは政府の大事な役割の柱だと考えます。このような政府の役割を果たす上で公務員の役割は大変大きいと思いますが、日本の公務員数というのは国際的に見て多いのか少ないのか、この点について確認をさせていただきます。

中馬国務大臣 いろいろと各国によって制度が違いますから、一概には言いにくいわけでございますけれども、日本の公務員の数、必ずしも多いとは言えないと思います。

塩川委員 お手元の配付資料、またこちらのパネルで記しましたけれども、「人口千人あたりの公的部門における職員数の国際比較」であります。イギリスが七十三・〇人、フランスが九十六・三人、アメリカが八十・六人、ドイツが五十八・四人、これに対して日本が三十五・一人ということで、主要国の中で日本の公務員数が少ないということはここにもあらわれていると思います。この日本の公務員が、国際的に見て少ない人数で、公務、公共サービスを担っているわけであります。

 そこで、法案の中身に沿って何点かお伺いをしますが、公務員の削減の手法につきまして、国、地方とも公務員の削減を打ち出したわけですけれども、地方公務員を減らすために「地方公務員の配置に関し国が定める基準を見直す」とあります。地方公務員の削減に当たって、国が定めている配置基準を見直す。

 中馬大臣に伺いますが、国が定める対象となっている分野というのはどういうものがあるのか、お示しください。

中馬国務大臣 今回の公務員の削減におきましては、当面、五年間で五%、国の方は一つのはっきりとした数字を出しております。地方の方は、かなり地方のそれぞれの自治体の自主性もございますから、これまで減らしてきた、純減ですね、約四・六%でございますが、それを上回る範囲で、ひとつ国家公務員とあわせてこの公務員の効率化に臨んでほしい、こういうことでこの法律にも規定されております。

 その中で、今お尋ねのことでございますが、地方公務員の純減を後押しする観点から、政府においては、教育、警察、消防、福祉関係の地方公務員の配置に関しまして、国が幅広く基準を定めている分野を見直すとともに、地方公共団体の事務及び事業に係る国の実施する施策について、地方公務員の増員をもたらすことのないように努めることとしております。

 地方公共団体においても、定員については幅広く見直しの対象としていく必要があると考えておりますが、いずれにしましても、地方の場合には、地方の自主性、選択性にゆだねることといたしております。ただ、国が、必置義務的なことは、これは極力、地方の方に権限をゆだねるということにいたしております。

塩川委員 地方の自主性を尊重するというお話ですけれども、ここに書いてあるのは、国が定めている配置基準を見直すということなんです。国が行う仕事になるわけであります。その分野として、今御答弁がありました教育や警察や、また消防や福祉など、いわば国民生活に密着をした地方公務員の分野が含まれているわけであります。国として最低限の公共サービスを保障するために定めた人員配置の基準が、いわば国が定める配置基準であるわけであります。

 対象となっているこれらの分野について見ますと、国の行政機関の職員は全体で三十三万人、これに対して地方公務員は全体で三百万人の人数がございます。そのうち、国が配置基準を定めている、いわば最低限の水準、基準を定めているこの分野というのが二百万人に上ります。そういう点では、公務員の中で見た場合に大きな規模になっているわけであります。教育が百万人、警察、消防、福祉関係で約百万人、これを減らそうというのが今度の法案の中身ということです。

 そこで、そもそもこういう基準が決められているのはなぜなのかということを、それぞれ関係のところに具体的に確認をしたいと思います。

 最初に、文部科学省、小坂大臣にお伺いをいたします。

 公立義務教育学校教職員の配置基準というのは四十人、四十人学級でありますが、この基準に合わせて教員が配置をされております。なぜ四十人学級なのか、その基準の持つ意味、理由について御説明をいただけるでしょうか。

小坂国務大臣 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数につきましては、現在、御指摘のように四十名となっております。

 そもそも、昭和三十四年、第一次の定数改善というものが行われまして、いわゆるすし詰め学級と言われた学級を解消するために学級編制の上限を五十名と明定したわけでございます。それ以来、順次、第二次、昭和三十九年に四十五人に、そして第三次、第四次と同じように四十五名を維持しながら、第五次の五十五年に、昭和五十五年から平成三年まで、この改革において四十人という定数を、上限を定めたわけでございます。

 それが現在まで続いているわけでございますが、第六次改革、平成五年から十二年、また第七次改革、十三年から十七年も、同様の四十人を上限としたままで、個に応じたきめ細かな指導を実現するための、習熟度別などの少人数指導が可能となるような教職員定数の改善を図ったところでございまして、例えば、第六次の改善計画、平成五年から十二年におきましては、改善数三万四百人、これに対して自然減が七万八千六百人ございましたので、差し引き四万八千二百人の人員削減を行いましたけれども、定数といたしましては三万四百人の改善を行ったところでございます。また第七次におきましては、改善数と自然減が同数でございまして、二万六千九百人の改善を実施したところでございます。

 今回御審議いただいている行政改革推進法におきましては、学校教育の実施に当たっての根幹である標準法対象の教職員数の純減につきまして、基本的には児童生徒の減少に伴う自然減によるとしたところでございまして、現在もこの四十名という形で定数の上限が定められております。

塩川委員 きめ細かな教育を実現するということで四十人学級の中での工夫もされておられる。もともと四十五人から四十人になったときも、教育条件の一層の充実を図るためということであります。国民の教育の要求にこたえての対応でありました。

 次に、消防庁、消防の仕事についてお伺いをいたします。

 地方自治体の仕事、自治体掌務ではございますが、国が基準を定めている理由というのは何なのか。また、具体的に言いますと、例えば消防ポンプ自動車ですとかあるいは救急車の配置基準というのを決められているわけであります。それには当然のことながら合理的な理由があると考えますが、この点について御説明をいただけますでしょうか。

大石政府参考人 お答えいたします。

 市町村の消防に必要な施設及び人員は、それぞれの市町村がその責任を果たすべく、みずから決定するものでございます。

 しかしながら、国民の安全の保持は国家としての基本的な責務でありますので、国がその役割を十分に果たすために、市町村が整備すべき消防力について、専門技術的な観点から、基本的な考え方とその具体的な水準を整備指針として示しているものでございます。

塩川委員 そういう意味では、国民の安心、安全の保持のためには、国としてもきちんとした、最低限基準を定める必要があるということですが、例えば消防ポンプ自動車などについても、これは火災の発生件数に応じて配置をするということもございます。また救急車につきましては、基本的には出動件数との関係がありますから、大体、人口の規模、密度の規模などに対応しての救急車の配置基準というのがあると承知をしています。ですから、同じように、消防ポンプ自動車には五人の人を配置するとか救急車には三人の人を配置するというのは、やはり合理的な理由としてその配置が求められているわけであります。現場の消防の方にもお話を聞きましたけれども、そういう中で、大変、人数が多くない、少ない人数の中で体を張った仕事をしておられました。

 この国も示している指針、消防の配置基準というのは、全国的に見て、この達成状況というのはどうなっているのか、充足率はどの程度なのか。この点をお答えいただけますか。

大石政府参考人 お答えいたします。

 消防職員の充足率、いわば整備指針に基づいて算定された数に対するところの実人員の割合でございますが、これは、平成十五年四月一日現在でございますけれども、七五・五%となっております。

塩川委員 残念ながら四分の三の水準というのが現状であります。今、事態が複雑化をする中で、例えば救急救命士のような新たな職務も求められている、質の向上も求められている。そういう中で、少ない人数でやっているのは大変な御苦労のあることだと思っております。

 もう一つ、厚生労働省にお伺いしますが、福祉の分野につきましてもいろいろな配置基準が求められています。

 例えば、保育所の保育士にも配置基準というのがございます。ゼロ歳の場合につきましては、ゼロ歳児三人に一人以上の保育士を配置する。私には二歳の娘がおりますけれども、一歳、二歳の乳幼児についていえば、六人に一人以上の保育士を配置する、こういうことが定められているわけであります。

 例えば、ゼロ歳児の場合は、かつては六人に一人、それをこの間三人に一人とかという改善も行ってきているわけですけれども、変更してきた理由というのは何なのか、その配置基準の意味についてお聞かせいただけますでしょうか。

北井政府参考人 保育士の配置につきましては、児童福祉施設最低基準に基づきまして、今御指摘がありましたように、例えば、ゼロ歳児は三人につき一人以上、一、二歳児は六人につき一人以上、三歳児は二十人につき一人以上、四、五歳児は三十人につき一人以上と定められているところでございます。

 こうした基準につきましては、児童の身体的、精神的、社会的な発達のために必要な生活水準を確保するものとして児童福祉法に基づき定められているものでございますが、具体的には、例えば、乳児三人につき一人以上となっております現行基準は、厚生科学研究の成果を踏まえ、保育士の業務内容の実態や保育士と子供との必要な接触関係に関する検討を行いまして、中央児童福祉審議会の意見具申を踏まえて定められているところでございます。

塩川委員 小さな赤ちゃんであれば、抱いたりあやしたりするということが当然必要ですから、そういった関係をつくる上でも、ゼロ歳児については三人に一人以上の保育士の配置、こういう点での合理的な、もともと実態に合わせて定められた基準だと思っております。保育の児童数に対する職員配置というのは、子供たちの安全を確保する上でも必要な人員を配置するという点でも意味のある、根拠のあるものだと考えています。

 このように、教育や消防や保育といった分野での国の定めた配置基準の理由を確認してまいりました。

 国の配置基準というのは、国民の安心、安全の確保、また福祉、教育の充実など基本的な公共サービスを支える指標となってきたものであり、国の責任として公共サービスの最低限の基準を設けたものであります。今回、この公共サービスを支える配置基準というのを崩そうというのが今度の法案の中身です。地方では、三百万人の公務員のうち、国が基準を定める分野、先ほど申し上げましたように二百万人が削減対象となります。

 総理に伺いますが、これは公務員削減先にありきで、公共サービスの最低基準を破壊する配置基準見直しではないか、これでは最低限の国の責任を放棄するものになるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 先ほど申しましたように、日本の公務員制度全体の縮減といいましょうか、無駄なところを排して減らしていこうということで、ここには聖域を定めないことにいたしております。

 そういうことから、ここも対象にさせていただいておりますが、すべて一律に何%カットしろという意味ではないんですね。また、サービスをカットしろという意味でもございません。このことを確保しながらも、中身につきましてもう少し精査していただくならば、そこには民間に任せていい職種もあるんじゃないか。あるいは、学校の先生でも、質の問題ももちろんございましょう、民間の方を先生にする道も、その登用の道も、今回のいろいろな改革の中でもう始まっております。

 そういうことを通じまして、ただ機械的に福祉だったら何人おればいいとか、あるいは学校教員だったら何人だということの規定じゃなくて、そこまでも柔軟に見直してほしいというのが今回の改革の意図でもございます。

塩川委員 総理に伺いますけれども、今の中馬大臣がお答えになったように、一律にやるものじゃないんだ、もちろん機械的に対応するものではないと言いますけれども、対象となる配置基準の二百万人を減らすということでははっきりしているわけで、そういう点では必ず減らすところというのは出てくるわけです。

 今、地方の中においては、国の定めている基準そのものが今の国民、住民の実情に合わないということで、上乗せの措置、引き上げの措置をとっているというのは幾つもあります。少人数学級のそれもそうですし、あるいはこの保育についての配置基準などの上乗せの措置があります。

 つまり、最低限の水準で足りないから上乗せをしているわけで、この最低限の基準を引き下げるという方向について、いずれにしろ、これについて具体化をするということでは国民サービスの後退につながるんじゃありませんか。総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 配置基準について、時代が変わり、また一つの基準というものを設けなくてもサービスできるのではないかということを考えて、できるだけ公務員の数も国、地方ともに削減していこうという中で、配置基準の見直しを進めているわけであります。

 もとより、どの程度の基準がいいか。それは、一番いいのは一対一でしょう。しかし、一人に対してどの程度目配り、気配りできるか。また、公務員じゃなくても、それにかわり得る人間というのは今の資格がなきゃいけないかどうかという点もあると思うのであります。そういう点も含めて、配置基準というのは見直しがあってもいいのではないかと思っております。

塩川委員 公務員でなくてもいい、例えば民間の保育所の仕事というのもあるかもしれませんけれども、配置基準というのは、公務であれ民間であれ、同じであるわけです。それを見直すということになれば、公務サービス、公共サービスが後退するだけではなくて、民間のサービスそのものも後退させることになるんじゃないか、ここが今問われているんじゃないでしょうか。

 その上で、具体的に聞きます。

 文部科学大臣、小坂大臣に伺いますけれども、中馬大臣もめり張りをつけるという話がありました。その具体例として少人数学級のことをお伺いしますが、昨年の夏に第八次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画というのを立案しておりました。これはどういう中身だったんでしょうか。御紹介いただけますか。

小坂国務大臣 若干簡潔に申し上げたいと思いますが、第八次の義務教育諸学校教職員定数改善計画につきましては、学力向上のための少人数教育推進プラン、こういうふうに申しておりまして、十八年度としては、トータルで一千人の改善というものを目指しておりましたけれども、学力向上支援、少人数教育の推進、あるいは小一問題・不登校への対応、そういったそれぞれの問題がございまして、小中学校合計で九百六十八人、また特殊学校のコーディネーターとして三十二名、トータル一千名という改善計画を立案はいたしました。

 しかしながら、その後の行政改革の重要方針等にかんがみまして、年度末、大臣折衝におきまして、この改善計画そのものを組むというよりは、むしろ十八年度の定数改善について交渉した方がより現実的であるとの判断によりまして、別途対応を行って、三百二十九名の定数改善を行ったところでございます。

塩川委員 お答えがなかった点で一点確認をさせてもらいますが、昨年夏に計画を立てた第八次改善計画の中で、せめて小学校一年生だけでも三十五人学級を可能とする教員定数の改善を掲げていたんじゃありませんか。その点確認していただけますか。

小坂国務大臣 若干認識の相違があるようでございまして、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、定数としては四十名を維持した中で、そして、加配によってそれぞれの地域に、あるいは必要とされる食育、あるいは特別支援等の状況に対応していこうということで考えておりましたので、四十名という定数の上限は維持したままでございます。

塩川委員 去年夏に作成をした改善計画は結局策定をされませんでした。しかし、文科省の中で計画として立案をした中に、「小学校一年生に基本的な生活習慣や学習態度を身につけさせたり、不登校の児童生徒への対応を行うため、副担任の配置あるいは、三十五人程度の少人数学級編制を行うことが可能となる教員定数の改善」を行うためのものと説明をしているじゃないですか。

 つまり、こういう三十五人学級をせめて一年生だけでもやろうという計画があったのに、この行革推進法案ができたことによって取り下げたんですよ。結局、この行革法案そのものが国民の要求を抑え込むようなことになっている、具体的な実害としてあらわれているんじゃないでしょうか。

 そもそも国民が行革に求めているのが、暮らしや福祉、教育を豊かにして、安心、安全を確保するために無駄遣いを正すことであり、政官業の癒着など行政のゆがみを是正することであります。

 資料でも、私、パネルにもしましたけれども、この間、公共工事の入札談合事件が続発をしております。防衛施設庁の官製談合事件を初めとして、成田空港公団談合事件や道路公団橋梁談合事件など相次いで、枚挙にいとまがありません。橋梁談合では、受注総額二千三百六十億円もの公共工事であります。ここにあるのが、九五年以降に入札談合を行った企業のうち、公正取引委員会が刑事告発または法的措置を行ったもので、一度ならず二度三度と繰り返した企業であります、その日本経団連の役員企業の一覧であります。経団連役員企業が談合の常習犯と言われるような実態となっている。

 総理に伺いますが、行革というんだったら、こういうところにこそメスを入れるべきじゃないでしょうか。国民の税金を食い物にするような、談合企業が何度も繰り返す、こういうところにはもう発注をしない、そういうところからは企業献金を受け取らない、こういうことによって政官業の癒着を断ち切るということをはっきりと宣言すべきだ、このことを総理にぜひお伺いしたい。いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 官製談合は排除しなくてはなりません。そのために現在、国会に法案を提出している。与党にしても野党にしても、法案を準備していると聞いております。その審議を進めていただいて、この官製談合防止に努めていかなきゃならないと思っております。

 また、政治献金の問題につきましては、民主主義の中で政治献金というのはどうあるべきかという中で議論されるべき問題であると思っております。

塩川委員 時間が参りましたので、終わります。

伊吹委員長 以上をもちまして塩川鉄也君の質疑は終わりました。

 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党・市民連合の菅野哲雄でございます。

 行政改革推進法案について総括的に質問いたします。

 まずお伺いしなければならないのは、法案の表題にもなっております簡素で効率的な政府とは一体何なのかということです。

 昨年末に閣議決定された行政改革の重要方針では、小さくて効率的な政府となっておりました。しかし、小さな政府というのであれば、今も議論がありましたけれども、人口一千人当たりの公務員の数は、日本は三十五・一人であります、先進国中最低です。そして、GDPに占める政府最終消費支出で、人件費が占める割合も先進国中最低です。公務員の数、人件費のどれをとっても、先進国の中で最も小さな政府なのが日本であります。既に小さな政府になっていることを承知しているからこそ、簡素で効率的な政府という言葉に置きかえたとしか私は思えません。

 このような小さな政府にもかかわらず、行政改革を進め、より一層小さな政府を目指すことによって、社会保障や税負担を含め将来像がどうなっていくのか、国民は理解できている状況とは思いません。

 そこで、簡素で効率的な政府の定義、また政府の将来像について、総理、簡潔に御説明いただきたいと思っています。

小泉内閣総理大臣 小さな政府とよく言われますが、これよりも簡素で効率的な政府の方がわかりやすいであろう、簡素で効率的な政府、これがいわゆる小さな政府であるということから、簡素で効率的な政府という言葉を使っております。

 逆に、では大きな政府はというと、この逆でありまして、重複が多い、随分不必要な仕事をしているな、非効率的だな、役人の数も多いなというのが大きな政府でありますから、できるだけ小さな政府、簡素で効率的な政府を目指すというのが今回の一つの大きな趣旨でございます。

 また、外国に比べて日本の公務員の数は少ないじゃないか、もう既に小さな政府じゃないかという御質問でありますが、これは、外国に比べて確かに公務員の数も少ないと、それぞれ統計に出ております。

 しかしながら、現在、財政状況を考えますと、毎年度の予算においても四〇%近く国債を発行している。ということは、この国債というのは将来に対する増税ですから、この国債の借金をだれが返済するかというと、これからの子供たちあるいは孫の皆さんに、累積債務なり、この国債の返済、消却、それぞれの負担をお願いしなきゃならない。ということは、高齢化社会、少子化社会というのを踏まえますと、ますます社会保障関係の費用がふえていきます。

 その負担を今の子供たちあるいは生まれていない若い人に背負っていただかなきゃならないということを考えますと、できるだけ不必要な部分は削減していかなきゃならない。また、国家公務員じゃなくても地方公務員じゃなくても、民間でできるものは民間にやっていった方が税負担は少なくなるという観点から、長い目で見たこの行政改革推進法であるということを御理解いただきたいと思います。

菅野委員 簡素で効率的な政府の方が言葉としてわかりやすいからそうしたんだというのは、私は納得いきませんし、今の総理大臣の答弁において、本当に、将来、政府をこういう形にしていくんだ、公的サービスをこういう形にしていくんだという将来像は私には見えてきません。

 それで、小泉総理、一月の二十四日の本会議において、施政方針に対して、我が党の重野安正議員がこの小さな政府について質問しております。そして総理は、小さな政府とは、政府活動の各分野で改革を進めていくことが重要であるとの考え方をわかりやすく説明するものである、こう本会議で答弁しています。今の答弁でも一月の二十四日の本会議の答弁でも、私は、これからの政府の将来像というのは見えてこないんです。国民への公的サービスが低下しても将来に備えて効率化、行政改革が最優先するんだと言っている、そういうふうにしか聞こえてきません。

 効率化というのは必要なんです。それと同時に、公的サービスのあり方、これをてんびんにかけて検討することが行政改革において一番必要なことだと私は思っております。そして、その検討結果をもとにして、国民にしっかりと示して理解を求めていく、このことが私は一番重要だと思っておりますけれども、総理、この見解に対して再度答弁をお願いいたします。

小泉内閣総理大臣 公的なサービスが果たして公務員じゃなきゃできないのかという問題があります。

 かつては、鉄は国家なり、鉄鋼会社も国営である。電信電話、これも国がやらなきゃいけない公的サービスである。鉄道も国営事業だ。しかし、確かに鉄鋼会社、これはある時期においては国家の基幹産業である、国営だという時期がありました。だんだんだんだん産業が育つにつれて、民間に任せても大丈夫ではないか。電信電話におきましても、今や民営化されても、かつての国営の時代に比べればはるかに電話の数もあるいは機能も、民間会社が経営しても、公務員がやらなくても、さまざまなサービスが展開されております。いわば公的サービスは公務員じゃなきゃできないのか、そういう時代ではないと思います。

 今、公共的な仕事は官がやるんだ、役人がやるんだ、役所がやるんだという時代から、公共的な仕事でも、民間人でできるんだったら、民間企業でできるんだったら、その方にやってもらいましょう。そうすることによって、民間がやれば利益を上げる、利益を上げなきゃ倒産しちゃいますから、利益を上げるために必死になる。そうすると、税金も納めてくれる。役所がやる限りは、税金を使っても、税金を納めることはいたしません。

 そういう観点から、できるだけ公的なサービスでも民間に任せられるんだったら民間に任せていこう、そして、重複、不必要な仕事は整理して、公務員の数も減らしていこう、これが今回の行政改革法案の一つの大きな趣旨でございます。

菅野委員 総理、私は本会議の質問でも同じことを言ったんですが、かつて行革先進国ともてはやされたニュージーランド、再国有化や公共サービスへの政府関与の重要性が認識されてきているということは、総理、御存じだと思っています。そして、市場経済至上主義に立ったサッチャー政権で強制競争入札制度が導入されたイギリスで、サービスの質が低下したとして、ベストバリューという制度にもう改革されてきているんです。

 本当にニュージーランドやイギリスというものを私どもはしっかりと参考にしていかなければならないというふうに思っています。このことは、行き過ぎた規制緩和や効率が人々の安全、安心を奪っている、そういうふうに言わなければならないというふうに思っています。

 そして、この五年間、格差社会の急激な進行に加えて、耐震構造設計偽装、そしてライブドア問題、米国産輸入牛肉の危険部位混入などの問題、まさに効率や採算だけを重視してきた構造改革路線の弊害に私はほかならないと考えています。効率と採算を追求する市場原理の導入を最重要視するのではなくて、国民に安全、安心を保障すること、このことこそ政府の役割であり、そのための改革、将来ビジョンを提示することこそが問われていると、私は政府に強く感じていただきたいと思っております。

 これまでの経過を振り返るときに、経済財政諮問会議あるいは規制改革・民間開放推進会議、行政減量・効率化有識者会議など、経済界のトップが名を連ねる諸会議に具体化が丸投げされているようにしか見えません。

 市場化テスト法案でも、入札対象を選定する公共サービス改革基本方針の決定に際し、民間事業者や地方自治体の意見を聴取するとありますが、もう一つ行政改革で必要なのは、公共サービスを利用する当事者の意見が反映できる仕組みになっていることが私は重要だと思っています。

 国及び地方自治体の事務事業の見直しに当たって、サービスを利用する国民、住民の意見をどのように反映していかれる考えなのか、答弁をお願いいたします。

中馬国務大臣 今総理が御答弁されましたように、公共サービスはすべて公務員がやらなければならないというものじゃないんですね。これから民間の方々にもいろいろとお願いして、そして、より公共サービスをきめ細かいものにしていこうといたしております。

 その方法にしましても、経済財政諮問会議や、あるいはまた、これからやります市場化テストの一つの、どの項目をやるかという、この会議の方、この方の中にも、ただ財界のトップだけが入っているんじゃないんです。学者の方も民間の方も、また地方自治体、それもかなり小さなところで実績を上げていただいている委員の方々に入っていただいて、その方々がちゃんと御審議をいただき、そして、やはりこれは民営化すべきだ、これは市場化テストに付すべきだ、こういったことをやっているわけでございまして、今の委員の御指摘は少し当たらないかと思います。

菅野委員 大臣、私の申し上げているのは、こういう形で制度設計がなされて、法案を提出する経過を申し上げながら、これから行政改革を進めていくに当たって、サービスの提供を受ける方々の意見というものをしっかり聞いていかなければならないというふうに思うんです。

 しかし、きょうは時間がございませんから、後からまた議論しますけれども、一律に何%削減、そういうことが前面に出ている状況というのは、私は、国民の意見を聞いたと言える状況ではないというふうに思っています。

 このことを申し上げておきながら次に進みますけれども、行政の将来像を語るのであれば、もう一方で税財政のあり方も示されなければならないというふうに私は思っています。

 今、行政改革推進法案が出ていますけれども、この法律案は、先日の本会議で、今回の改革案は消費税率の引き上げを含めた増税の下地づくり、すなわち、行政も公務員もこれだけ痛みを受けたのだから国民も増税を受け入れてくださいということになるのではないかと私は指摘いたしました。それに対して総理は、全く逆であります、この一言で答弁を終えているんですね。

 しかしながら、その後に谷垣財務大臣は、来年の通常国会に消費税率引き上げ法案を提出するのが一番自然な姿、安倍官房長官は、いずれは議論すべき課題だが、国民的理解をいただくために努力すべきことがあると記者会見でおっしゃいました。

 財政制度審議会に至っては、増税だけで財政再建するなら二〇一五年に消費税率二二%、歳出削減だけで財政再建するなら年金支給年齢は七十一歳からとなるなどと試算を出しました。行革はするけれども社会保障のカットと大幅増税は避けられないとうたっているように見えます。

 やはり、私が指摘したように、行革を進めた後に消費税率を引き上げることは政府の既定路線なのではないでしょうか。総理も、消費税増税について、将来的に考えれば引き上げは不可避との考え方を示したと報道されています。

 総理、安倍官房長官それから谷垣財務大臣に、消費税率引き上げについての考え方、その時期や引き上げ率についてお答え願いたいというふうに思います。

谷垣国務大臣 先ほど総理から御答弁がありましたように、今、国、地方合わせまして、公債残高がGDPの一五〇%、それから平成十八年度の予算で公債依存率が三七・六%。先ほど総理のお話にもありましたように、これは将来の世代にしょっていただこうということになっているわけですから、どこかでこれに歯どめをかけるということは我々の世代の責任なんだろうと思うんですね。

 それで、それをやるにしても、できるだけ負担を、将来に先送りの量が大きくならないように、この行革法案でいろいろ盛り込まれた手法を利用しながら、できる限りそこのところの負担を軽くしていくことがまず第一にやらなければならないことでありますが、先ほどのような公債依存率ということになりますと、では歳出カットだけで事柄が成り立つかというと、なかなかそうはいかないんだろうと私は思っております。

 したがいまして、ことしの半ばをめどに、経済財政諮問会議で歳出歳入一体改革の選択肢と工程表を明らかにしていくということになっておりますので、そういう選択肢をできるだけ具体的にお示しした上で、広く国民的な議論をしていただくということが肝心ではないかと思っております。

 それで、時期の問題もいろいろお触れになりましたけれども、時期ももちろん大事でございます。社会保障、特に基礎年金等の財源をどうしていくか等々考えますと、そんなに時間の余裕があるわけではないと私は思っておりますが、一番大事なことは、国民に、そうかということで理解をしていただくことが大事でございますので、今後、歳出歳入一体改革で方向性を示しながら、広く議論をして、結論を見出していくべきことだと考えております。

安倍国務大臣 もう既に、財務大臣、また総理からも御答弁がこの委員会を通じてもあったわけでございますが、小泉構造改革をスタートし、今、財政状況についても、何とか財政を再建させていこうという目標に向かっているのも事実であります。

 また、プライマリーバランスの黒字化に向けて大きく歩みを始めたというのも事実であります。今年度は昨年度よりもプライマリーバランスについて言えば四・七兆円、そしてその前年度には三兆円、そしてその前年度には六千億円、それぞれ改善をしているわけでございます。そして、プライマリーバランスを均衡化した後に、果たしてそれからどれぐらい財政再建を進めていくか、そこがいわば第一期、第二期、第三期と言ってもいいのではないか、こう思うわけであります。

 そしてまた、さらには、二〇〇九年には基礎年金国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げていくということもあります。また、少子化対策について思い切った手を打たなければいけない。その財源は何かということも議論をしていかなければいけないわけでありますが、まず私たちが取り組まなければいけないことは、しっかりと無駄をなくしていく、歳出を削減していくということではないだろうか。そしてまた、経済を力強く成長させていく、それによって自然増収も図っていく、その中で国民的な議論をしていかなければいけない、このように考えております。

菅野委員 時間ですので終わりますけれども、今、財務大臣と官房長官の答弁を聞いておりましても、この歳入歳出の大改革の時期、方向については、私は一致しているとは思いません。やはり国民にこれからの税制のあり方とあわせて行政改革関連法案を一体のものとして提示することが必要だ、そういうことを申し上げて、質問を終わります。

伊吹委員長 菅野哲雄君の質疑は以上をもって終了いたしました。

 きょうの最後の質疑者は、滝実君。

滝委員 国民新党・日本・無所属の会の滝実でございます。

 十五分ほど時間をいただいておりまして、まとまった時間をいただきましたことを感謝申し上げたいと存じます。

 時間の制約もございますから、きょうは、総理以下各大臣みんなおそろいでございますけれども、主として行革担当大臣、そして財務大臣を中心にしてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 行革ということになりますと、公務員の無駄遣いだけがいろいろ批判をされる。その中で、本当に無駄遣いをとめる、そしてその反面、行革を進める、その行革の進め方が日本の場合には大変難しいということを私はけさからの議論をお聞きいたしまして感じるわけでございます。いろいろ見方があるでしょうけれども、日本の公務員は、世界でも有数というか、むしろまれに見る少ない人数の公務員でございます。その中で、行政改革を断行して財政再建の足しにしようというのは至難のわざではないだろうかな、こういうふうにも思うわけでございます。

 その点、けさからのお話を聞いておりますと、行革担当大臣は、今度の行政改革は単なる財政再建の問題じゃなくて、国から地方への事務事業の移譲に伴う、そういう大きなダイナミックなものを根底に踏まえた行政改革であるということをおっしゃっていますし、財務大臣の方は、それはそうだろうけれども、やはり必要なのは財政再建だ、こういうことが立場上にじみ出るような御答弁が続いているように思います。

 その中で、私は、国民から見ると、公務員が無駄遣いだ、公務員が遊んでいるという批判がいまだに絶えない、その中でやはり行政改革というものを理解してもらうためには、今回のこの行政改革三法はなかなかそういう意味では戦略的であるように思います。

 なぜ戦略的かというと、そもそも政府系金融機関を一つの金融機関にまとめるのにどういうスタイルをとるかとか中身はどうするかというのは、たびたび御答弁いただいておりますように、これからだと。この行革三法は、要するにプログラム法律というふうに民主党はおっしゃいましたけれども、行政改革の道筋をここで示していただいて、それに基づいて国民全体が共有の認識を持ってもらおう、こういうようなねらいもあるんだろうと思うのでございますけれども、それにしては、例えば新設の政策金融機関、初めからなぜ株式会社として堂々と国民の理解を求めないのかとか、そんな問題があるように思いますし、そして、例えば特別会計にいたしましても、財務省としては財源を全部洗い出ししても二十兆円出すのがようやく、二十兆円というのは大金でございますけれども、それにしても二十兆円出すのが精いっぱいのところだ、こういうようなことも示しながらの法案でございますけれども、こういった国民の共感を得るための方策、訴え、そういうものについて、まず行革担当大臣から伺っておきたいと思います。

中馬国務大臣 滝委員は、先ほど私が申し上げましたこの行革の私なりの理念につきましては御理解いただきまして、感謝いたしております。

 大きな一つの日本の民主主義をもう少し国民が自立した形で、何か問題が起こると、学校が悪いんだ、あるいはまた政治が悪いんだということではなくて、自分たちのこととして受けとめて、しっかりと責任を持ってやっていく、こういう形に一つの日本の国民の意識改革も含めた民主政体をつくっていきたいというのが、私は、少なくともこの改革の中に大きく含まれていると思います。

 そういうことから、先ほど申しましたように、今後の人口減少のこともございます。官から民へ、そしてまた地方の方に、滝委員は一生懸命頑張っていただきましたが、少なくとも、そういう形になっていきますと、そして本当に国の仕事は、いろいろ計画を立案したり、国土計画をつくったり、そういうことに特化していきますならば、これは公務員の数は大幅に減ってくるわけでございまして、結果として、その先まで見通したときに、これから減らしていく、十年間で総人件費を対GDP比半減するといった大きな目標もしっかりと立てておりますのは、そういう意図でございます。

 と同時に、それにこたえて、それぞれの地方が、また企業が、また個人がしっかりとした自立した形でやっていただく、それが、私の表現で言いますならば、民主革命とあえて言わせていただいておりますが、こうした新しい一つの時代を画していく今回の改革だ、このように認識させていただいております。

滝委員 ありがとうございました。

 次に、財務大臣に一言コメントをお願いしたいと思うんですね。

 日本の場合は、建設国債はとうの昔に償還期限六十年、赤字国債もそれに引き続いて六十年になりました。そんなことで、毎年毎年の元金償還費はほどほどということが、幸か不幸かという事態を招いて、これから、これだけ行革だ、財政再建だという御時世の中でも、国債の残高というのは当分減らない、むしろこれからもふえていく。そういう中でぎりぎりの財政再建を進める必要があるんだろうということだろうと思うんですね。

 ですから、国民の皆さん方には、やはり国債残高は当分ふえざるを得ないんだ、幾ら財政を圧縮し、国債を三十兆円以下に抑えたって、当分ふえるんだということをやはり理解してもらわないことには、この財政再建のいわば非常事態性というのは理解できないと思うんですけれども、その辺についてのお考えを伺っておきたいと思います。

谷垣国務大臣 今、滝委員がおっしゃるとおりでございまして、ことしは一生懸命圧縮しましたけれども、三十兆ちょっとを切った国債発行高ということは、少なくとも来年三十兆はふえますし、それから利払いというものもあるわけでございますから、相当努力をしても、当分国債の総額というのはふえざるを得ないというのが趨勢でございます。

 今、二〇一〇年代の初頭に基礎的財政収支を回復しようという政策目標を掲げて努力をいたしておりますが、これができますと、その年いただいた税金でその年の政策を打つということでありますから、ツケを先送りする形には少なくともならない。しかし、それから先、金利と成長率の関係がありますので、今度はどういう目標を持っていくかという議論がやはりあろうかと思います。

 しかし、それにしても、そういう新しい目標をつくるにいたしましても、それは、十年、二十年というのではない、相当長期間のいろいろな努力が必要であるということを申し上げたいと思います。

滝委員 私は、とにかく、そういう非常事態だということをやはり認識してもらう必要があるんであろうと思うのでございます。

 そこで、中馬大臣に伺いたいのでございますけれども、私は、総人件費改革で国家公務員の人件費を抑える、もちろん当然であると思うんですけれども、地方団体についても、過去の五年間の人件費の節約が四・六%だから、四・六%というか、人間の数、地方公務員の数が四・六%減少したから、これから五年間もやはり四・六%の純減でいくんだというのは誤解を招くように思うんですね。国家公務員を減らして、その分だけ地方に事務事業を移譲していけば、それに見合うものはどうするのかということを説明していただかないとなかなか素直には受け取れないように思うんですけれども、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 国の仕事を地方に移したから、それだけまた地方の方の人員がふえる必要があるとは私は認識をいたしておりません。

 特に、地方の方々は、よく一般の市民、村民の目に触れております。その方々が、やはり一生懸命仕事をしていらっしゃる方もあることも事実でもございますが、また一方で、非常に、あんな仕事をまだ役人がやっているのかとか、こうして昼間からだらだらしているのかといったような御批判もたくさんあることも十分にお聞きになっていることだと思います。

 そういったものを大幅に改革していく、またもう民間の方に移していく、あるいは要らない仕事を外していく。これも、何といいましょうか、少々問題のある方、分限免職の対象にならぬとも限らない人がずうっと役所におられることもこれまた事実でございます。

 こうしたことをどんどんと改革することによって、地方の方においても、少なくとも今まで減らした、あるいはそれ以上の人員減を一つの大きな国の施策としてやるわけですから、それも歩調を合わせてやっていただきたいというのが今回の四・六%以上という数字の根拠でもございます。

滝委員 確かに、学校関係職員が児童生徒が減れば減っていくということでございますから、多少いろいろな、それによって政策的な積み上げがあったにしろ、人員は減っていくということを踏まえれば、中馬大臣のおっしゃるようなことがあるいはあるのかもしれません。

 しかし、もう少しダイナミックに、現在でも少ない公務員を前提にして行革を進めるとすれば、かなり思い切った事務移譲という格好で国家公務員の数、少なくとも地方出先機関の方々がどういう格好で仕事をするかということもこれからの問題でしょうけれども、そういうことも兼ね合わせて考えていかなければいけない問題だろう、こういうふうに思います。

 最後になりましたけれども、公共サービスの官民の競争入札の問題につきまして若干申し上げておきたいと思います。

 私は、当然のことながら、今言われております官製談合の問題にいたしましても、それから、新しく民に移す事務事業について、民間との競争入札に付していくというのはそのとおりでいいと思うんでございますけれども、ただ問題は、この種の問題は、どちらかというと最初は物すごく格安の入札が行われるんでございますけれども、次回、二回目、三回目とたつに従って、当然のことながら、官と民と一緒になってしまうんですよね。

 なぜかといったら、民だって最初は安上がりの経費を計上できるんです、とにかく職員も若い人を採用してくるとか。ところが、だんだん長くなってくれば、それだけのスタッフも養成せないかぬ、それだけの設備も必要だということになってくると、その官民の競争入札を、結局、十年とかそんな単位でやったら全然意味ないんですね。それでは三年でやったときに十分なサービスができるか、スタッフが集まるかということになってくると、これまた大変。特に、大都市ではできるかもしれませんけれども、地方へ行ったらそんな簡単にはいかない問題があるんではなかろうか。

 したがって、私は、そこのところはよっぽど、経費を初年度は安くしても、次年度以降同じような見直しができるのかどうか、そういうことがまず必要だろうと思う。今、長野県で入札の問題をめぐって議会と知事が対立しておりますけれども、基本的にはそういう問題が背景にあるように思います。

 最後に、その辺のところの考え方を行革担当大臣からおっしゃっていただきたいと思います。

中馬国務大臣 今の市場化テストでございますが、そう安易にコストだけで民間に、あるいはまた、官民の競争で官が受託する場合もあるわけでございますが、ともかくそういったときには後の契約で相当細かいことを規定しておりますし、それが実行されるかどうかをちゃんと担保するように一つの監理委員会が監理することにもなっております。

 そうしたことがありますから、今御心配の向きも十分にしっかりと踏まえながら、制度設計といいましょうか、今回のこの法律の施行に当たりましては気をつけてまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

滝委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

伊吹委員長 以上をもって滝実君の質疑は終わりました。

 次回は、明四日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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