衆議院

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第4号 平成18年4月4日(火曜日)

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平成十八年四月四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊吹 文明君

   理事 今津  寛君 理事 園田 博之君

   理事 谷  公一君 理事 谷川 弥一君

   理事 山本 有二君 理事 大島  敦君

   理事 北橋 健治君 理事 桝屋 敬悟君

      安次富 修君    阿部 俊子君

      秋葉 賢也君    井上 喜一君

      石原 宏高君    衛藤征士郎君

      大野 功統君    大前 繁雄君

      太田 誠一君    岡本 芳郎君

      加藤 勝信君    木原 誠二君

      小杉  隆君    佐藤  錬君

      塩谷  立君    篠田 陽介君

      菅原 一秀君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    並木 正芳君

      葉梨 康弘君    馬渡 龍治君

      松本 洋平君    三ッ矢憲生君

      御法川信英君    水野 賢一君

      村上誠一郎君    市村浩一郎君

      大串 博志君    川内 博史君

      近藤 洋介君    武正 公一君

      鉢呂 吉雄君    馬淵 澄夫君

      前田 雄吉君    渡辺  周君

      石井 啓一君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    吉井 英勝君

      菅野 哲雄君    滝   実君

    …………………………………

   総務大臣

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   法務大臣         杉浦 正健君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   農林水産大臣       中川 昭一君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     中馬 弘毅君

   国務大臣         猪口 邦子君

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   総務副大臣        山崎  力君

   財務副大臣        赤羽 一嘉君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  上田 紘士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中藤  泉君

   政府参考人

   (内閣府規制改革・民間開放推進室長)       田中 孝文君

   政府参考人

   (内閣府市場化テスト推進室長)          河  幹夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   高橋  進君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大石 利雄君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   鈴木 正規君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   日野 康臣君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       北井久美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           中村 秀一君

   衆議院調査局行政改革に関する特別調査室長     大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     御法川信英君

  衛藤征士郎君     塩谷  立君

  太田 誠一君     阿部 俊子君

  加藤 勝信君     木原 誠二君

  鈴木 淳司君     大前 繁雄君

  鉢呂 吉雄君     市村浩一郎君

  前田 雄吉君     川内 博史君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     太田 誠一君

  大前 繁雄君     篠田 陽介君

  木原 誠二君     馬渡 龍治君

  塩谷  立君     衛藤征士郎君

  御法川信英君     石原 宏高君

  市村浩一郎君     鉢呂 吉雄君

  川内 博史君     前田 雄吉君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     秋葉 賢也君

  篠田 陽介君     鈴木 淳司君

  馬渡 龍治君     加藤 勝信君

    ―――――――――――――

四月四日

 安全・安心な公共サービスの確立を求めることに関する請願(荒井聰君紹介)(第一一八三号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一一八四号)

 同(郡和子君紹介)(第一一八五号)

 同(重野安正君紹介)(第一一八六号)

 同(高山智司君紹介)(第一一八七号)

 同(辻元清美君紹介)(第一一八八号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一一八九号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一一九〇号)

 同(日森文尋君紹介)(第一一九一号)

 同(保坂展人君紹介)(第一一九二号)

 同(横光克彦君紹介)(第一一九三号)

 同(荒井聰君紹介)(第一二七七号)

 同(石関貴史君紹介)(第一二七八号)

 同(内山晃君紹介)(第一二七九号)

 同(大串博志君紹介)(第一二八〇号)

 同(金田誠一君紹介)(第一二八一号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一二八二号)

 同(小平忠正君紹介)(第一二八三号)

 同(後藤斎君紹介)(第一二八四号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一二八五号)

 同(重野安正君紹介)(第一二八六号)

 同(篠原孝君紹介)(第一二八七号)

 同(園田康博君紹介)(第一二八八号)

 同(田島一成君紹介)(第一二八九号)

 同(田名部匡代君紹介)(第一二九〇号)

 同(高井美穂君紹介)(第一二九一号)

 同(高木義明君紹介)(第一二九二号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一二九三号)

 同(土肥隆一君紹介)(第一二九四号)

 同(中井洽君紹介)(第一二九五号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一二九六号)

 同(原口一博君紹介)(第一二九七号)

 同(伴野豊君紹介)(第一二九八号)

 同(日森文尋君紹介)(第一二九九号)

 同(平野博文君紹介)(第一三〇〇号)

 同(藤村修君紹介)(第一三〇一号)

 同(細川律夫君紹介)(第一三〇二号)

 同(牧義夫君紹介)(第一三〇三号)

 同(森本哲生君紹介)(第一三〇四号)

 同(山口壯君紹介)(第一三〇五号)

 同(吉田泉君紹介)(第一三〇六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出第七四号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出第七一号)

 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出第七二号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)

 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

伊吹委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、内閣官房内閣審議官上田紘士君、内閣官房内閣審議官中藤泉君、内閣府規制改革・民間開放推進室長田中孝文君、内閣府市場化テスト推進室長河幹夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小杉隆君。

小杉委員 おはようございます。

 伊吹委員長を初め与野党の理事の皆さん、委員の皆さんの御協力を得てこのような貴重な機会を与えていただいたことを、まず冒頭、お礼を申し上げます。また、中馬担当大臣、谷垣財務大臣、安倍官房長官、そして政府の皆さん、本当に御協力ありがとうございます。

 それでは、昨日の総括質疑に引き続きまして、私、質問をしたいと思います。

 昨日、終日この質問を聞いておりまして、大変総括的な、あるいはまた専門的に掘り下げた、あるいはまた建設的な、そしてこれから留意すべき点など非常に貴重な御提言、御意見等を聞いておりまして、私も非常に印象を深くしたわけであります。ほとんどの論点が網羅されていると思いますが、きょうは、そうした昨日の総括質問を受けまして、確認的に、あるいは補足的に、あるいはまた新しい視点を交えて質問をしたいと思っております。

 まず、総論的といいますか、そもそも論で申し上げますが、これから日本の社会は人口減少あるいは少子高齢化という時代を迎えるわけですが、その中で、健全な財政を実現するために、昨日、総理からも、できるだけ官から民へ、官は民の補完的役割を果たすんだ、そして行政改革には終わりはないという視点からのお話がありました。行政のスリム化、効率化ということは重要だと考えますけれども、改めて中馬大臣、担当として本法案あるいはこの行政改革にかける決意を伺っておきたいと思います。

中馬国務大臣 おはようございます。

 今、小杉委員の方から御指摘いただきましたように、日本が大きく転換のところに差しかかっていることは、いや、もう過ぎたのかもしれません、そうした中で行政がそれに対応していかなければいけない時代が参っております。

 急速な高齢化あるいは人口減少が昨年から始まりました。経済の国際化、またIT化、そうしたもろもろの社会的な変革の中で、行政が従来どおりの形であればそうしたものに対応できない、あるいはまた民の力を新たな観点で引き出していかなければいけない、それがなかなか思うようにいかない。そうしたこれまでの制約を取り払って、少し大きく次の時代に向かって動き出すためには、どうしても今の行政機構を変えていかなければいけない、これがまずは一つだと思います。

 それともう一つは、きのうもちょっと申し上げましたように、日本のこの民主政体のあり方。戦後、民主主義という形はとりましたけれども、その国家運営の方式は中央に金と権力を集めた中央集権的な形態で、現在まで大変な勢いで、高度成長もなし遂げましたし、欧米先進国に追いつき、またアメリカに次ぐ経済大国をなし得たこともこれまた事実でございます。

 しかし、一方、このままの形であるとするならば、やはり、国民も官の主導に頼ったような形、いろいろと何事をするにも許認可が必要で手続が必要だ、こういったものを取り払わなかったら本当の意味での自由主義も達成できない、そういう何かうっせきしたものが国民の間に高まってきております。

 これをここで、今までの本当の、真の民主主義といいましょうか、民が責任と自律をした形での国家運営もしていく、あるいは社会生活面においても自分たちの責任において、すぐ行政の方に、国の方に責任を転嫁する国民の意識改革まで含めてやっていく必要があると思います。

 大変重要な国家的な課題でございますから、これはこの間の、国民がやはり継続して改革は進めるべしという大きな世論をあの選挙に示したわけでございますから、国民の負託を受けた我々としては、これは与野党問わずにこの改革を早くなし遂げなければいけないと思っています。よろしくお願いします。

小杉委員 おっしゃっていることは大体了解いたしますが、ただ、私、ここでやはり留意しておかなきゃいけないことは、何でもかんでも民へゆだねるという発想がともすると大きくなりがちですけれども、やはり国は国の責任というものは厳然としてあるというところはしっかり押さえておかなきゃいけないと思います。

 私は、官としてやらなきゃいけない部分というのは、やはり国家の存続、国富、国の富の確保、拡大、あるいは国民生活の保障、教育、文化の伝承などというものが根幹的な国の責任だと思っております。そうした意味で、安心、安全の外交、防衛、治安、あるいはまた国富という観点からの国際競争力とか科学技術、あるいは国民生活の保障としての社会保障、あるいは教育、文化の伝承などという問題、これはやはりきちんとその責任を果たしていかなきゃいけないと思うんですが、言うまでもないと思いますが、一言決意を述べていただきたいと思います。

中馬国務大臣 御指摘のように、簡素で効率的な政府を実現する上で、国としての責任を持って当たるべき仕事はしっかりとこれは実施すべきだと考えております。国家の存続そのものや、国民の安全、安心等に関する政府の責任は極めて重大だ、このように認識をいたしております。

 特に、国民生活の安全や暮らしの安心につきましては十分に配慮すべきことは当然でございまして、改革に当たっては、国民が安心して暮らせる社会の実現を目指すとともに、国民生活の安全に配意しつつこれを進めていくということで、この法案にもその趣旨はしっかりと盛り込んでございます。

 また、官でしかできないことは何かは、時代に応じてこれは少し変わってまいりますけれども、そういうことも事実でありますが、公共サービスの質を高めつつ国民負担を抑制するためには、官と民との役割分担について不断の見直しを行っていく必要がある、このことも念頭に置く必要がある、このように認識いたしております。

小杉委員 基本論といいますか、そもそも論はこのくらいにしまして、早速各論の部分に入りたいと思います。

 まず、政策金融なんですが、今までの日本は欧米諸外国に追いつき追い越せということで、政策金融の役割というのは一定の役割を果たしてきたと思います。しかし、今お話があったように、時代とともに民間の資本も充実をし、また資源の配分機能も阻害される、肥大化のために。そういったことも弊害として出てきているわけです。私たちは、やはり今までの政策金融というものを抜本的に見直して、先ほど申し上げた民業補完に徹するということをもう一度考えなければいけないと思っております。

 今度の行政改革法案におきましては、現在の政策金融機関の機能と組織を再編成して、政策金融に係る機能というものを一つの政策金融機関に担わせるということになったわけであります。この改革を通じて政府は何を実現しようとしているのか、この政策金融改革に当たっての基本的な考え方を申し述べていただきたいと思います。

中馬国務大臣 先ほど申しましたように、戦後、限られた資源や、あるいはまた資金も含めて、これを集中的にやっていくために政策金融という形で、それぞれの省庁に責任を負わせまして、それで日本の社会や産業を大きく進展させたことは御承知かと思います。

 それなりの意義がありましたけれども、時代がこうして変わってまいりまして、現在の時点において見直すならば、今本当に必要がなくなった分野だとか、民で十分にやれる、一々これをお役人さんが監督してやるものでもないといったもの、それと、本当に国家的な役割として緊急の場合も含めてこれに対応しなければいけないもの等があります、これをはっきりと分けまして、詳しくは申しませんが、住宅金融公庫はもう分かれましたけれども、八つの金融機関を民営化、そしてまた一つに統合することをやったわけでございます。

 このことによりましてかなり時代に対応した形でやっていくことができると同時に、もう一つの要素としましては、それぞれの各省庁が担っておりました、省庁が全部監督をしておりましたこういったことが一元的に管理できることになりますから、重複だとか、もっと効率的にそれぞれの分野において資金の調達があるいはまた緊急のときの対応ができてくるのではないかと思います。また、今問題になっております各省庁ごとの天下り先という要素は、これでなくなってくるわけでございます。そうした副次的なことも含めて、今回のこの政策金融改革は、大きな、私は時代に合ったものだと認識いたしております。

小杉委員 その中で、特に中小零細企業、農林漁業、こういう分野は、やはり一般の民間ではなかなか貸してくれない。貸し渋り、貸しはがし、そういうのが現実であります。そこで政策金融がバブル崩壊後の日本の経済の中でかなり私は頑張ったと思いますね。そういう機能というものはやはりしっかり守っていかなきゃいけないと思うんですが、これは昨日からもいろいろお話が出ておりますが、改めて確認しておきたいと思います。

中馬国務大臣 今回の行政改革推進法第四条第一号におきまして、新政策金融機関の担う機能として、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援する機能が明記されているわけでございます。

 今までそれぞれの金融機関がそれぞれの立場で、中小企業や国民一般、農林水産業者、こういった、一般銀行からは少し信用等の面で融資がなかなかままならぬところに対しまして、国の責任において融資をしたりいたしておりました。この機能は非常に大事でございますから、これは新金融機関においてもしっかりとその機能を担わすことにいたしております。

 ただ、今までの重複しておったこととか、完全民営化することの中におきましても、もう一部民間に移すことにしました、その一部で、本当に国が責任を持たなければいけないのは、新金融機関の方がこれを担っていく、今後はそのような制度設計にもしていかなければいけない、このように考えております。

 以上でございます。

小杉委員 それで、今までの中小企業金融公庫、あるいは農林漁業金融公庫、あるいは国民生活金融公庫、こういうものはそれぞれやはり国民のニーズがあってやってきたわけですね。今その機能は残すと言われますけれども、一方において組織はできるだけ簡素化、効率化する、こういうことでありまして、ちょっと矛盾するような要請にこたえなきゃいけないわけですが、この法案自体はプログラム法ということでこれから詳細な制度設計をやっていくと思いますけれども、この辺をどうするのか、組織再編のあり方についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 それと、ちょっと別の問題ですけれども、国際金融、これもかつてアジアにおける金融危機におきましては、いわゆる日本の輸銀あるいはOECF等が非常に活躍をし、IMFとか世銀とか国際金融機関と協調をして非常に短い時間に収束をさせたということは、私は高く評価しているんですよ。今回、そういう国際金融の機能は新しい金融機関の中に取り込む、それから、いわゆる経済援助とか経済協力の部分はJICAというところに移す、こういうことですけれども、その新しい統一された金融機関の中で従来のようなそういう国際金融にかかわる機能をちゃんと果たせるような仕組みができるんだろうか。

 これは両大臣からお答えいただきたいと思います。

中馬国務大臣 今委員お話ございましたように、新政策金融機関の中にかなり統合されてまいります。そうしますときには、もちろん、各公庫が持っておりました窓口がそれぞれあるんですね、各府県にも相当な支店網を持っております、これも、もちろん必要性があれば分けておくことも考えられますが、大きく統合してまいります。そうしますと、かなり管理部門等共通のところもたくさん出てまいりますから、これもかなりの合理化にはつながってくると思います。

 そして、今お話がありました、統合された中での再編成といいましょうか、こうしたことは私は十分していかなければいけないと思っていますが、同時に、ただ束ねるだけではなくて、その中で機能の少し異質なものといいましょうか、国際金融を担っておった面があります、これは統合しますけれども、一応、そこの法律の中にも国内的な役割を担うものと海外的なもの、これは対外的な信用の問題もありますから、JBICという名前も含めて、そうしたものはかなり尊重した形でそれぞれの機能を発揮できるような組織再編をやってまいります。

 しかし、今のところは、法律ができてから実際には動き出しますけれども、もう既にいろいろな論点整理が始まっておりまして、その中にはかなり具体的な論点も出ておりますから、そのことも参考にしながら、法律ができ次第、すぐにでも一つの個別法が成立できるようにしてまいりたいと存じております。

谷垣国務大臣 今小杉委員がおっしゃいましたように、アジア金融危機のとき、あの当時は、旧輸銀、旧基金が緊急融資を相当やりまして、アジア危機を早期に克服するために大いに力を発揮したと私は思っております。そういう危機が起こったときだけではなく、その未然防止という観点も大事な点でございまして、さっきおっしゃったIMFとかあるいはアジア開発銀行、こういうようなところと連携をして、金融危機が起こらないような未然の手を打っていく協調というのも私は重要な政策金融の分野ではないかと思っております。

 今度のこの法律の中では、新しい政策金融機関に引き継ぐべき今のJBICの機能として国際金融の混乱の防止ということが加えられておりますので、中馬大臣のもとで、そういった機能がしっかり受け継がれていくような制度設計に努めなければいけないと思っております。

小杉委員 今言われた中で、未然防止という機能、これは、世界の経済はこれだけ激動しておりますからいつ何どきどういうことが起こるか予測がつかない、こういう時代ですから、ひとつ、従来から持っていた未然防止機能というものは今度の新しい機関の中でもしっかりと担保していただくように特にお願いしておきたいと思います。

 それでは、次の質問に入ります。

 もう一つ、政策投資銀行は今度民営化するということなんですけれども、私は、政策投資銀行が果たした役割というのは非常に大きかったと思います。私が議員立法で提案しましたPFI、これは、民間と官が一緒になって公共事業とかサービスとかいろいろなことをやろうという、いわば今回の行政改革の先駆けともいうべき法案であったと思うんですよ。こういうPFIについては、新しいこういうアイデアというものは、なかなか民間金融機関がすぐ乗り出してくれない。そういう際に政策投資銀行は非常に積極的にこれを取り上げていただいて、そして、いろいろな人材もノウハウも蓄積してきているんですね。

 こういうPFI、あるいはまた、これから地域再生とか都市再生というのが非常に大事になってくるんですが、ともすると民間ではなかなか手をつけてくれない、民間ではしり込みしてなかなかやってくれない。そういう部分は、やはり、従来せっかくここまで蓄積してきた人材なり経験なり手法というものを生かすことが必要だと思うんですね。そこで、この政策投資銀行というものが民営化するんだということで、一定の経過期間がありますけれども、それを直ちに民営化させてしまうということに私は一抹の危惧を抱いているわけなんです。

 そこで、政策投資銀行が民営化する、あるいはその前の移行期間、五年か七年ですか、その間、どういうふうに資金というものを調達するのか。今まで預金を集めたことはなくて、ほとんど政府の保証とか起債とかそういう形でやってきただけに、その辺に不安があるわけですけれども、こういう政投銀の制度設計については、やはり移行期間、そして民営化後もしっかりと見据えた案を考えていただかなきゃいけないと私は思うんですが、これは両方に。

谷垣国務大臣 政策投資銀行につきましては、今おっしゃったようなPFIとかあるいは地域再生をどうしていくかというだけではなく、いろいろな新しい金融技術、こういうものを相当中で蓄積してきておりまして、それは今後とも生かしていかなきゃならぬということだろうと思います。

 具体的には、この今御審議をいただいている法案や、それから、詳細な制度設計に向けた論点整理というものがございますが、そういうものを見据えてきちっとしたものをつくっていかなきゃいかぬ。どういうビジネスモデルができるか、今一生懸命検討しているところでございますが、ポイントは、政投銀の強みというのは出資と融資を組み合わせて長期の投融資を行うということだと思うんですね。そういうビジネスモデルをどうしてやっていけるかということに知恵を出さなきゃいけない、今、七転八倒しながら脳を絞っているところでございます。

 それで、こういうビジネスモデルを通じて、さっきおっしゃったようなPFI等々のところにリスクマネーが供給できるようにしていかなきゃならないわけですが、そうすると、ポイントの一つはまさにどうやって資金調達をしてくるかということになるわけでございまして、論点整理に幾つか掲げられておりますが、債券を発行する、あるいは他機関からの借り入れということもあると思います。それから、預金によるホールセールの調達というようなこともあるかと思います。その辺をこれからしっかりと検討して、おかしくならないように持っていきたいと考えております。

中馬国務大臣 政策投資銀行は、開銀時代からいろいろな国家的な大きなインフラ等に相当な役割を果たしてまいりました。しかし、最近では、今小杉議員がおっしゃったように、かなり地域再生とか地域開発に大変な能力を、蓄積がありましたから、これをやってくれております。そのことが失われることを逆に自治体等が心配してもおりましたけれども、こういう形に結果的になりました。

 しかし、この間総裁ともいろいろと話をしましたけれども、今谷垣大臣からもおっしゃいましたように、これは両方持っているというのは非常に強みですよと、そうなんだということで認識を新たにしたということもおっしゃっておりました。といいますのは、一つのゼネコンに任せても、やはり金融の問題等もございましょうけれども、政策投資銀行はそうした地域の開発のノウハウを相当なところまで持っております、立ち退きの方策から自治体との交渉とか、そういうところまでかなりやれるんですね。この一つのコンサルティング業務といったものが逆に主流になって、そして、金融もちゃんとつけてあげますよといったならば、かなりの、民間だけではなくて、各自治体の需要も大きく出てくるんじゃないか。都市再生は今これからの課題でございます。そのときに私は大きな役割を果たせると思っておりましたところ、総裁も、そうなんです、中馬さんというようなことでございました。

 そういう形の新たな、国の、社会のニーズに合った一つの金融機関といいましょうか、銀行が民間として活躍できるんじゃないかと私は思います。

 金融のことにつきましても、この政策投資銀行が発行する債券というのは、私はみんな喜んで買うんじゃないか、そこまでも思っている次第でございます。

小杉委員 政策金融についてはこのぐらいにして、次に、特別会計に移りたいと思います。

 それで、特別会計の歳出の半分以上は国の借金を返済する国債償還費などであって、国の借金、現在これだけ膨大な借金を抱えているわけですから、しかもそれも毎年ふえているわけですから、それの返済額がふえる。つまり、特別会計の支出がふえていくというのは、やむを得ない側面があると思うんですね。しかし、一部には、昨日来指摘されていたように、特別会計のあり方について、いろいろ無駄遣いがあったんじゃないかとか、あるいは天下りの問題とかいろいろ不祥事があったことも事実でありまして、そういうものは徹底的にうみを出していかなきゃいけないと思うんです。

 ただ、一般会計は歳出がどんどん減っているのに特別会計はふえているじゃないかという批判もあるわけですけれども、それはちょっと認識が誤っていると思うんですけれども、この誤解を解くためにも、財務大臣に改めて、この特別会計の経費の特徴というものを明らかにしていただきたいと思うんです。

谷垣国務大臣 これは、特別会計というのは随分批判も受けまして、たくさんあり過ぎるものだから何をどうしているのかわからない、それから、各役所が自分のポケットみたいに自由に使って隠し金を動かしているんじゃないかとか、いろいろな批判があったことは事実でございます。

 そこで、この特会改革をしていくメリットということになりますと、そういったところをできるだけ圧縮したり数を減らしたり不要なものを減らしていく努力をして、全体の国の財政のありかというものを明確にしていく、こういうことがメリットだろうと思います。他方、デメリットは、特別会計というのはそれぞれ給付と負担というものの関係を明確にすることができますので、やはり物によってはそういうことをはっきりさせておかなければならないものがあるわけでございます。

 そういうことをよく見据えた上で、無駄なもの、もう必要がなくなったものは廃止する、そして一般会計に繰り入れていくとか、いろいろなことをやりながらこれから特会改革をやっていくわけですが、あわせて、そういう中から厳しい財政に対する貢献ができないかということで二十兆を目標に、そういう目標を達成できるようにやっていきたいと思っております。

小杉委員 ちょっと補足的に質問をしたいんですけれども、現在、特別会計三十一、中にはこれを二つにしてしまえとか六つにしてしまえというような議論も横行しているようですけれども、大体この特別会計の数というものをどのぐらいにお考えでしょうか。

谷垣国務大臣 今三十一ありますのを大体二分の一から三分の一に持っていこうと。それは、ある意味でそれぞれの特会の性格を見た上で、大体そのぐらいのところに持っていこうとしているわけでございます。

 さっき申しましたように、特別会計はそれぞれ給付と負担の関係を明確にする等々の役割を今まで担ってきたものでございますし、例えばそれぞれの中身は、社会保険に関する特会であるとか、外為に関する特会であるとか、財投に関する特会というのは、それぞれの政策目標が当然あるわけでありますから、同時にそのことは、それぞれの政策をどう持っていくかということがなければいけないので、最初に数ありきというようなことでは私はうまくいかないだろうと思っております。しかし、いろいろそういう検討をいたしまして、二分の一から三分の一、何とかできるだろうということで努力をしてまいりたいと思っております。

小杉委員 今後五年間で二十兆円程度、これを剰余金、積立金の活用で財政健全化に寄与させる、こういうことが言われているわけですけれども、今私が懸念しているのは、金利が上昇傾向にあるという中で、果たして、今御指摘になった外為特会とか、あるいは財融特会、財政融資資金特会ですか、こういうものが一体金利の上昇によってどういう影響を受けるのか。私はこれはちょっと軽視できない問題だと思うんですが、財務大臣の見解を伺っておきたいと思います。

谷垣国務大臣 財投改革の中で、今後五年間で二十兆、財政再建、健全化に対する寄与をしていこうという目標を立てているわけでございますが、平成十八年度予算ではそのうち十三・八兆活用しようということでやりました。その一番主な部分は、委員が今おっしゃいました、財政融資資金特会の金利変動準備金を十二兆取り崩したというものでございます。それから、毎年、これは委員がお挙げになったものでございますが、外為特会の剰余金というようなものも今まで一般会計にかなり貢献をしてきたわけでございます。

 ただ、今おっしゃったように、今後、金利の動向というものをやはりよく考えなければならないだろうと思っておりまして、外国為替資金特別会計の積立金は、これが余り少なくなりますと、日本政府は為替介入するような力はもうなくなったなというような観測がマーケットにございますと望ましくない為替変動を招来するおそれがあるわけでございまして、そういう思惑を生じないような額はやはり持っていなきゃいけないわけでございます。そして、そのもとになる毎年毎年の剰余金というのは、結局、内外の金利差というところによって得られているわけでございますので、今おっしゃったような、今後我が国の金利も少しずつ、きのうあたりを見ましても上がってきているところがございます、それをどう見ていくかというのはよくよく慎重に判断しなきゃならない面がございます。

 それから、財政融資資金特別会計の方の金利変動準備金というのも、かつて非常に高金利の時代に貸し付けたものが、現在はこのような低金利でございますから、その差額で現在かなりたまっているわけですけれども、今後の金利変動によってはそこのところに相当ストレスがかかってくるということも予想されるわけでございまして、財政審議会等では千分の百の金利変動準備金を積み立てろという基準を出していただいてございますが、現在千分の五十三でございます。したがいまして、そのあたりも十分考えておかなければなりませんので、二十兆の目標を達成するには、単にここのところだけを見るわけにはなかなかいかないのではないか。

 全体をよく見て、無駄である、あるいは余剰であると思われるところから二十兆の残額を達成していく努力をしなければいけないんではないかと思っております。

小杉委員 二十兆のうち十三・八兆を今回消化すると。残りが数兆円あるんですが、今いろいろと内外の状況の説明がありましたけれども、そうすると、現状では二十兆円は実現可能と考えてよろしいですね。

谷垣国務大臣 これは、一部には、毎年毎年外為資金から剰余金を入れているんだから、それを考えれば楽々達成するという、割合楽観的な見通しをされる方もございます。

 しかし、今おっしゃったような金利の動向を背景としますと、そんなに甘い考えでいくわけではありませんので、もちろん、金利の状況が十分低いものが続いた場合には今のような状況が続くかもしれませんが、それを頼りにするのは間違いでございますので、やはり全体を見て、どこから無駄を削っていくかという視点がなければ簡単には達成できない。努力しなきゃいけないと思っております。

小杉委員 次の問題は、特別会計の中で道路特定財源の問題について。

 これは非常にいろいろな御意見のあるテーマでありますし、政治的にも非常にセンシティブな問題でありますし、また各党ともこれから税調その他、伊吹小委員長、自民党の中でもこれから議論されるわけですけれども、少なくとも、今回提案された法案の中にはこう書いてあるわけですね。「厳しい財政状況にかんがみ、及び環境への影響に配慮し、」「税率の水準を維持する」ということと、「特定財源制度に係る税の収入額については、一般財源化を図ることを前提とし、」こういう文言になっているわけでございます。

 そこで、具体的に財務大臣に伺うんですけれども、今ここに読み上げた中での「環境への影響に配慮し、」というのは、具体的にどういう趣旨を考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 今おっしゃった「環境への影響に配慮し、」といいますのは、自動車を走らすということが大気汚染とかあるいは騒音といった公害とか地球温暖化の一因となっている、そういう二酸化炭素等を排出するということでございますから、そこのところに留意すれば現行の税率水準を維持することが適当である、こういう趣旨で入れたわけでございます。

小杉委員 大事なことは、納税者とかユーザーの理解を得るということが大事だと思うんですね。そういう努力はこれからもしていかなきゃいけないと思うんですが、今谷垣大臣からお話しのとおり、従来、自動車というと、道路を損壊するとか、高速道路を走らせてもらっている、道路を利用させてもらっているという、いわば受益者負担という形ではっきりしていたと思うんですよ。だけれども、最近、社会経済状況はもう相当変わりまして、自動車に限らずCO2あるいは温室効果ガスを出す、これはそれだけ一つの社会に対してあるいは経済に対して悪い負荷を与えている。そういういわば原因者負担という発想に、受益者負担から原因者負担という発想に変えなきゃいけないんじゃないかというふうに考えるわけです。

 そういうふうな位置づけになりますと、国民の皆さんもユーザーの皆さんも、税率を維持するその本来の税率の上乗せ分は、そういう新しい環境という視点に立った目的に使うのか、そういう使途に利用されるのかということであれば比較的納得が得られやすいのではないかと思うんですが、この点についてちょっと。

谷垣国務大臣 暫定税率等々ございますので、やはり国民の理解を得ながらやっていくというのが、この問題を考えていく場合の一番基礎的なポイントの一つだろうと私も思っているわけでございます。

 ただ、何に使うかということを特定いたしますと一般財源化を目指すということとややそごが生じてまいりますし、それから、それが環境対策等の新たな財源をつくる、こういう意味合いになってまいりますと、現在でもなかなかタイトな財政でございますから、また新たな財源をほかに今度は探してこなければいけないということにもなってしまうかもしれない等々のことがございますので、その辺、どうやって国民の理解を得られるかということは、議論を大いに闘わせてよくよく煮詰めてまいりたいと思っております。

小杉委員 これ以上答弁を求めるのは谷垣さんも苦しいと思いますから、私は問題提起的に申し上げたいと思うんですよ。これだけ社会経済状況が変わってきまして、これは日本だけではなくて世界的に環境と経済というのは密接不可分な関係になってきたと思うんですね。このリンケージということを考えますと、やはり今までの税制についても少し視点を変えて、税制全体の中で環境という視点をもっと考えて取り入れていかなきゃいけないんじゃないかというふうに私は考えるわけです。

 そこで、質問はいろいろあるんですけれども、集約して申し上げますけれども、こういった税制全体の中で環境配慮型の税制にするという、いわばグリーン税制化ということについて見解を伺っておきたいと思います。

谷垣国務大臣 環境問題については小杉議員が昔から大変御尽力をされているわけですが、高度経済成長期を中心とした過去では、やはり産業公害型といいますか産業型公害といいますか、そういうものが中心であったと思いますが、現在では、まさに委員が今おっしゃいましたように、オゾン層破壊とか地球温暖化とかそういった地球規模の環境破壊であるとか、随分、環境をめぐる意識といいますかそういうものも変わってきたというふうに思っております。

 先ほどおっしゃったように、環境というのはもはやただではないのであって、社会的費用を要することだ、その費用をどうやって負担していくかという意識が恐らく税制の中にもなきゃいけないという御指摘、私もそのとおりだろうと思っております。

 京都議定書目標をどうやって達成していくかというさまざまな課題がございますので、関係省庁における環境対策の取り組み等も十分我々も視野に入れて、御一緒に議論しながら、その社会的費用をどう負担していくか、議論をこれから工夫しなきゃいけないと思っております。

小杉委員 この問題はこれでやめますが、今御答弁にあったように、私どもも党の税調あるいは各部会でこの問題については議論をこれからも熱心に続けていきますが、私は党の環境調査会長で、余り狭く考えないで、もうちょっと、あらゆる角度から環境と経済の関係あるいは環境と税制の関係、こういったことについて幅広く勉強していきたいと思いますので、またいずれ機会を見てこの問題を取り上げたいと思いますが、きょうはこの点でこの問題については終わりたいと思います。

 それでは次に、総人件費改革ということでございます。

 昨日来の議論を聞いていますと、一律五%削減がけしからぬとか、あるいは最初に数字ありきというような議論も多かったわけですけれども、私は、これだけ膨大な組織の人件費なりあるいは組織なりを縮減していこうと思ったら、ちょっとドラスチックに目標というものを、数値をぱっと示さないと、口で縮減すべきだと言っていても現実はなかなか難しいと思うんですね。その意味で、私は、具体的な数値目標を掲げたというのは評価しているわけですけれども、これは、実際にはこれからやるべき仕事はたくさんあると思うんですが、まずその辺について、きのうからも御意見ありますけれども、もう一度確認しておきたいと思います。

中馬国務大臣 先般申し上げましたように、一つの大きなこれからの行政のあり方を考えたときに、地方に移していく、民間にゆだねていく、こうした中で公務員の数は必然的に現状のままでいいということではありません。

 どのくらい減らすかということに対しましては、大きな目標としまして、これはただ五年で終わるというものじゃなくて、十年でGDP対比、率として半減していくといったことまでも、これもちゃんと明確にしたわけでございますが、その中での具体的な方法として五年間で五%というのは、こうした有識者会議の皆様方からの御意見も含めて、実現可能な範囲でこの数値も明確にしたわけでございます。

小杉委員 今度の案では国の行政機関の職員三十三万人を対象とするということですけれども、国家公務員には行政職員だけではなくて、自衛官とか人事院とか会計検査院、そして私たちのこの国会、あるいは裁判所というところの職員もあるわけですね。今回のこの行革法案における総人件費の改革は専らこの三十三万人のところに焦点を当てていると思うんですけれども、私は、今申し上げた他の省庁の職員についても国の行政機関と同じような取り組みをしていくべきではないかと思うんですが、行革担当大臣の意見を聞きたいと思います。

中馬国務大臣 これは法案にも書いておりますように、ただ三十三万人だけを対象にしているんじゃなくて、総人件費改革は公的部門全体で取り組んでいくことが必要な課題であることから、法案においては、行政機関の職員の定員に加えまして、委員が御指摘になりました自衛官、人事院、会計検査院、国会、裁判所等を含むすべての国家公務員を対象として、五%の純減目標を国の目標として掲げているわけでございます。

 自衛官の人数につきましては、自衛隊の隊員に対する教育や食事の支給等の民間委託などによりまして、行政機関の職員の定員の純減の例に準じた純減をさせることも可能だということで法案には規定しておりまして、今後しっかりとした取り組みが進められていくものと考えております。

 また、人事院におきましては、国家公務員の総数を十八年度から五年間で五%以上の純減を行うとの政府の方針に沿った定員の純減を行うことについて、本法案の閣議決定までに既に決定、公表したことから、措置済みのものとして本法案で具体的に規定しておりませんが、政府の取り組みに歩調を合わせて純減に取り組まれるもの、このように思っております。

 また、国会、裁判所及び会計検査院の職員については、三権分立の観点や各機関の独立性の観点から、その取り組みについては、これらの機関の主体的な判断にゆだねるべきであり、一方、政府としては、各機関の特質にも留意しつつ、行政機関に準じた取り組みを行うよう要請、これは二月二十一日に官房長官名で要請書を出しておりますが、要請したところでありまして、それぞれの機関において適切な御判断が自主的にされるものと期待をいたしております。

小杉委員 地方自治体、これはいろいろ問題が指摘されております。今回、五年で四・六%の地方公務員純減を要請するとありますけれども、きのう来の議論にありますように、地方自治体がやっている仕事というのは非常に住民に密着した行政が多いですね、警察、消防、福祉、教育というようなことで。そういうものを含めますと、約六五%はそういった住民の公共サービスに従事している。これは一説によると、病院なんかも加えますと、実に八〇%の職員がそういう密着したサービスをやっている、こういうことでありまして、この四・六%という数字というのは、私はかなり努力を要すると思うのですが、どういう考えで臨もうとされているか。

山崎副大臣 お答え申し上げます。

 今の四・六はかなり厳しい数字であるということは認識しております。当方としてその数字が出たのは、御承知だと思いますが、過去五年間、すなわち、平成十一年から十六年で地方公共団体関係の純減実績が四・六%であったということを踏まえて、今後ともそれを上回る努力を地方自治体にお願いしたい、こういう趣旨でこの数字を出させていただきました。

 そういった関係でございますけれども、今委員御指摘のとおり、教育、警察、福祉、そういったいろいろなことがございまして、特に司法警察関係あるいは消防といったところは、昨今の情勢から見て増員しなきゃいかぬくらいだということになりますと、トータルとして四・六減らすという純減でございますので、そういった意味では非常に厳しい内容であるというふうに認識しております。

 ただ、こう言ってばかりもおられないという財政状況、これは地方も共通でございますので、その辺は各団体に自主的に一生懸命努力していただきたい、こういうふうに考えております。

 それから、もう一点つけ加えさせていただければ、こういった地方公共団体の公共福祉、そういった関係の数字というのはかなり多くの部分が国からの基準で決まっておりまして、そういった部分の見直しもある程度必要ではないか。こういった点と、それから、いわゆる厳格な維持管理の要請、そして必要な助言と協力という形で、もう一つつけ加えさせていただければ、市町村合併等に伴う職員定数の見直しという点も含めまして、何とか厳しい中でもやっていただけるのではないかという考え方で出させていただいております。

小杉委員 市町村合併の話が最後に出ましたけれども、三千を超える地方自治体が千八百二十ですか、そこまで集約されたわけですから、平成の大合併と言われる、こういうことを最大限に、ちょうど今タイミングがいいわけですから、それを一つてこにして目標を達成していただきたい。

 最後に、市場化テスト……。もう一つあったんだけれども、ちょっと時間の関係で。それでは、財務大臣に資産・債務の改革について一つ伺いたいと思うんです。

 きのう来話が出ているように、国、地方を合わせた債務残高は七百七十五兆円、GDP比一五〇%を超える、あるいは毎年の国債発行高がようやく四十兆円を切るという状況の中で、今回、財源となり得る資産のカットを約十一・五兆円示されたということは、これは非常に評価すべきだと思うんですが、これから十年間で国の資産規模を名目GDP比半減するということですが、この長期的な目安に向かってどういうふうに取り組んでいくのか、ちょっともう一度確認の意味で聞きたいと思います。

谷垣国務大臣 国の資産・債務改革の一環として、まず国の資産規模を圧縮していくということをやるためには、一つは、国が持っている資産を厳選して、売れるものがあれば売って、そしてそれは積極的に売却して、そういうものとあわせて財政融資資金貸付金残高の縮減ということも考えていかなければならないだろう。これは今もやっておりますが、さらにそれを圧縮していくということをやらなきゃならないだろう。そして、歳出削減につなげていくということが必要だろうと思っているわけであります。こういう中で、あれは三月十六日だったと思いますが、諮問会議で、歳出歳入一体改革との関連で、売却して財源となって財政再建に資するものという観点から、その売却収入の目安を約十一・五兆ということでお示しをしたわけでございます。

 ただ、今後は、今おっしゃったように、国の資産規模の対名目GDP比を今後十年間でおおむね半減させるといった目標があるわけでございますので、これをやる観点からは、財源となるものだけじゃなくて、先ほど申しましたような財融特会の貸付金、これはそれを売却したからといって見合いのものがあるわけでありますから財源とは必ずしもならないわけでございますけれども、それをどう圧縮していくかというような具体策を検討していかなければならないわけであります。

 今回の法案では、こういった資産・債務改革の具体的内容、それから手順、実施時期、こういうものについては今年度中に工程表をつくるということになっておりますので、簡素で効率的な政府をつくるという目的に資するように今年度内に具体案を詰めていきたいと思っております。

小杉委員 金融資産の証券化というような考え方、これは我が党の方でもいろいろ検討していますが、政府の方としても検討されていると思いますが、これはきょうは時間の関係でこれ以上は申しませんが、ぜひいい案をつくっていただきたいと思います。

 それから、最後に市場化テストの問題を取り上げたいと思います。

 官と民が競争するということはメリットと同時にデメリットもあるわけでございまして、メリットとしては、適正な競争によってサービスの向上とかコストの削減ということが言われております。しかし同時に、民間によって安かろう悪かろうというデメリットが生じないようにすることも大事でございます。法案の枠組みというものは出ていますけれども、これから具体的にどういう決意で臨もうとしているのか、まずそこを聞きましょう。

山口副大臣 今委員の御指摘でありますが、公共サービス改革法案は、もう何度も申し上げておりますけれども、民間にできることは民間にゆだねるとの考え方に基づき、民間の意見を踏まえ、民間の創意工夫を反映することが期待できる公共サービスを適切に選定した上で官民競争入札を実施することにより、まず第一に、公共サービスの質の維持向上とコストの削減を実現するものであります。

 このため、本法案によりコストの効率化を進める上に当たっても、公共サービスの質は最低でも従前のレベルを維持することが大前提でございます。むしろ、民間の創意工夫を生かすことにより限られた財源の中で公共サービスの質の向上を実現することを目的とする本制度となっているわけでございます。

 具体的には、安かろう悪かろうとならないように、公共サービスの実施に当たり確保されるべき質を国や地方公共団体の責任においてまず明確化する制度となっておりますし、このような公共サービスの質に関する要求水準を上回ることを条件とした上で、質と価格の両面で最もすぐれた落札者を決定する制度となっております。また、落札された民間事業者は、本法案に基づき、契約に従いまして適正かつ確実に実施していくこととされております。

 さらに、これを担保するために、国や地方公共団体は報告徴収、立入検査等さまざまな監督上の措置を講ずることとしておりますので、御安心をしていただければと思います。

小杉委員 本当に最後の質問になりましたが、中馬大臣に伺います。

 市場化テスト、これは官と民と差別しない、無差別でやっていくんだということはわかりますけれども、私は、必ずしもそれになじまない部分があるんじゃないかと思うんですね。例えば、国立大学の教育研究とか文化芸術の振興とか科学技術の推進なんという部分はいかがなものかな、なじむのかなということを考えるんですが、それについてどういう取り組みをしていこうとしているか、聞きたいと思います。

中馬国務大臣 今回、そうしたものも対象には上げさせていただいておりますが、これは何かこちらから強制するものでもありません。それぞれの委員のメンバーの方々が各省庁といろいろと協議いただいたり、そうした対象のところとの折衝の中で決まっていくものと考えておりますから。今ちょうど平山先生あたりがこれに対して、若干私は誤解もあると思いますが、全部を民営化するわけでも何でもないんですからね。ともかく、そうしたことも含めて検討課題に上げております。

 これも、民間に全部任せるんじゃなくて、例えば博覧会の展示だけを民間でやりますと非常におもしろい展示をしたりする例が外国にもありますし、各自治体で一部の博物館、美術館でやっております。そういったことも柔軟に取り入れてほしいという願いを込めて、今回それも市場化テストの一つの対象項目に上げさせていただいております。

小杉委員 ありがとうございました。

 これで終わります。

伊吹委員長 これにて小杉君の質疑は終了いたしました。

 次に、三ッ矢憲生君。

三ッ矢委員 おはようございます。自由民主党の三ッ矢憲生でございます。

 本日は、小泉改革のいわば総決算とも言える行政改革関連法案で質問の機会を与えていただきまして、感謝申し上げておるところでございます。

 この簡素で効率的な政府を実現するための行政改革に関する法律案、大変網羅的で、しかもいわゆるプログラム法でございます。中身がないとの御批判もございますが、私自身は公務員時代に実は何度か行政改革も経験しております。政府の決意と約束を法律の形で示すということは、改革をあやふやなものにしない、あるいは後戻りさせないという意味で、大変大きな意義があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。

 もちろん、それぞれの改革の細部につきましてはこれから制度設計がなされるわけでございますが、それだけに、当委員会での議論が今後の制度設計のベースになることと思っておりますので、これまでの議論の確認も含め、また私自身は実は役所で人事の仕事もしておりましたのでその経験も踏まえまして、特に総人件費抑制、公務員制度改革を中心に何点かお尋ねしたいと思っております。

 まず、総人件費改革でございます。

 現在、日本の行政システムは大きな転換期にあることは間違いございません。二十世紀には、大量生産、大量消費という民間経済の仕組みの中で、行政の方も画一的なサービスを提供することに重点がございました。しかし、情報化の進展や人々の価値観の多様化が進む中で、行政サービスは、このような画一的なサービスを提供するだけでは必ずしも十分ではなくなってきております。

 ただ、およそ組織あるいは定員といいますか、一度組織ができてしまう、人がついてしまうと、業務の中身が変わりましても、なかなかこれを変えられない。それどころか、むしろ余計な仕事を自分たちで探してくるというようなこともあるわけでございまして、私自身もちょっと経験したことがございます。したがって、今回のこの行政改革に関しましても、役所の方で大きな抵抗があるということは当然予想されるわけでございます。

 ただ、このためには、今回の法案にもございますように、平成十七年度末で、国家公務員、国の行政機関の公務員の数は三十三万二千人でございますが、これを行政ニーズの変化に合わせた、業務の大胆な整理を行っていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。このようなめり張りある業務の見直しを通じて、この公務員の五%純減をどのように行っていくのか。とかくすべて一律ということでは、ひずみもできますし、業務が多忙な部門での職員の士気にもかかわると思います。

 ちょっと一例を申し上げますと、昨年の十二月に私はアフリカに出張いたしました。ナイジェリアとガーナに行ってきたんですが、非常に少ない人数で、しかも幾つかの国を一つの大使館で兼轄しているという例がございまして、何にもないときならいいんですが、国連の常任理事国になりたいというようなことを各国に説いて回るときに、およそあの体制で私は成功するとは思えませんでした。外務省の定員の数が今やっとイタリア並みになったというようなことでございますけれども、いろいろな部門のことを考えますと、やはりめり張りをつけてきちんと整理をしていく必要があるんじゃないかなというふうに思っておるわけでございます。

 また、もう一つ申し上げますと、現在公務員がやっている仕事について、今までどおり公務員がやるということではなくて、包括的あるいは抜本的な民間委託も検討すべきだと考えますが、一方で、これは規制緩和が進んだ結果かもしれませんが、現在、民の分野で自由にやられているものについても必要に応じて逆に公的な規制を行うということもあり得るのではないかというふうに考えるわけでございますが、以上二点について、中馬大臣にお尋ねしたいと思います。

中馬国務大臣 三ッ矢委員は、官僚時代のことも踏まえて、いかに官僚組織が自分たちの自己組織保存の方に動かれるかということを率直におっしゃっていただきました。事実、そういう場面にも直面しておるわけでございます。

 御指摘のとおりに、これを一元的に、一律に純減していこうとするものではありません。それぞれ業務の内容に応じまして自主的にそれぞれのところでひとつ判断して、五%という目標だけは達成してほしいというのが今回のこの法律の趣旨でございます。その方法としましては、有識者会議の方々にゆだねまして、我々が命令するとかあるいはまた強制的にやれというんじゃなくて、これとこれはかなり思い切って減らせるんじゃないの、もうこれは時代的な役割が終わった業務ではないか、こういったことを指摘させていただいております。そして、各省庁と一つのすり合わせをしながら、これを積み上げていく方式をとっております。そういうことから、決して一律にやるわけじゃなくて、事務事業の必要性に照らしてめり張りをつけて推進していく必要がある、そしてその手段をとっていることも申し上げる次第でございます。

 事務事業の大胆な見直し、これは先ほど言いましたような形で、方法論も含めて今ちょっと申し上げましたが、今もう一つ御質問ありました規制改革につきましては、消費者等による多様な選択と民間事業者等の創意工夫を通じまして、豊かな国民生活の実現や経済の活性化に貢献するものである。このために、経済的規制は原則自由、社会的規制は必要最小限、あるいは事前規制から事後チェック型へ、この考えのもとに積極的に推進してきておりまして、その際、事業者間の競争や消費者等の選択が適正に行われるように、場合によっては官が必要な公的規制を行うこともあり得る、このようにも考えております。

三ッ矢委員 ぜひ、大胆にかつ注意深く、効率のいい仕組みをつくっていただきますようにお願い申し上げたいと思っております。

 さて、いわゆる治安部門の職員でございますが、私ども政府・与党で、平成十四年末では治安関係四・九万人、四万九千人の職員がおったわけでございますが、これを平成十七年度末には六万三千人まで増加させております。そういうことで国民の安全、安心への切実なニーズにおこたえしているわけでございますが、今後も増員が見込まれますこのような治安の分野などについて、業務のやり方などをできる限り見直して、増員を最小限に抑える努力がやはり必要だと思うんですね。

 一例を申し上げますと、特定の分野を取り上げて申しわけないんですが、例えば出入国管理。これは、入る方は厳しくチェックしないといけない。ところが、出る方は、アメリカなどでもそうですが、先生方も御経験おありになると思いますけれども、もうパスポートのチェックなんかは航空会社に委託しているような状況もございまして、そういったことも含めて、一部公権力の行使にかかわるような部分についても聖域なくぜひ大胆に見直しをしていただきたいなというふうに考えておるわけでございますが、この点につきまして竹中総務大臣の御所見を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 委員の御指摘は、まさにめり張りをつけながらも、やはり厳しくやれるところはやれということだと思います。

 十八年度におきまして、治安、徴税、安全、安心など重要な施策に重点的に定員を配分した、めり張りをつけた、そういう努力を私たちもいたしました。千四百五十五人、行政機関全体で純減しているわけですけれども、その一方で、治安、徴税にはプラスで八百七人つけております。したがって、その分、その他の部門ではマイナスの二千百六十九人ということで、そういうめり張りはつけさせていただきました。安全、安心はやはり重視をしなければいけないと思います。

 しかし同時に、やはりそういう分野においても、民間委託ができるかとかITが活用できるかとか、そういう減量、効率化に取り組みまして、その意味では、めり張りをつけながらも増員を最小限に抑える努力が必要であるというふうに思っておりまして、そういう方向をぜひ目指したいと考えております。

三ッ矢委員 今申し上げました治安部門につきましてもぜひ聖域なく切り込んでいただきますように、また、これは公平性の観点からもぜひお願いしておきたいと思っております。

 それでは次に、公務員制度改革の関連でお尋ねしたいと思っております。

 私も、先ほど申し上げましたように、以前、国家公務員の職におりましたこともございまして、これまでの人生の中でもいろいろな公務員の方にお会いしてまいりました。全員というわけではございませんけれども、私の印象では、恐らく九五%以上は本当にまじめに献身的に国家のために努力をしている。きょうはこうやって国会で質問させていただいておりますが、この答弁をつくるのに大変な御苦労もされているわけですね。本当を言いますと、国会の方で、質問の通告をできれば前日の夕方までにやれとか、そのぐらいのことを決めないとなかなか本当の行政改革というのはできないと思うんですね、それは余計なことでございますが。なかなか今の状況、特に最近のいわば公務員バッシングのような状況の中で、どうも国家公務員全体の士気が余り上がっていないんじゃないかというふうに見えるわけでございます。

 ちょっと話に聞きましたら、若い職員の中途退職もかなりふえてきているというようなこともありますし、公務部門に優秀な人材が来なくていいというんだったらそれは全く話は別でございますが、やはり官僚機構、これからも一定の非常に重要な役割を政府の中で担っていくのは間違いございません。

 そういう意味で、優秀な人材の確保ということも含めまして、今後、公務員制度改革を進めていかれるに当たって、優秀な人材が生き生きと仕事ができるような環境を整備していくことが私は必要ではないかというふうに思っているわけでございますが、この点につきまして中馬大臣の御所見を伺いたいと思います。

中馬国務大臣 今委員がおっしゃいました公務員の、特にこうした本省で頑張っていただいている皆様方も含めて、公務員の大方の方は、それが八割か九割かはともかくといたしまして、本当にまじめに一つの使命感を持ってやっていただいていること、それからまた、この国会の今のあり方等も含めて、今委員が御指摘されていましたことと、全く私も共通認識を持っている一人でございます。

 ところで、それの改革にも資することになるかと思いますが、簡素で効率的な政府への道筋を確かなものにするためには、本法案におきまして、今後の行政改革の方向性を定めることと相まって、委員御指摘のとおり、行政を担うこととなる公務員についても改革を進めていく必要がある、こういうことをはっきりと書かせていただいております。このため、職員の意欲と仕事の成果を引き出すような能力・実績主義の人事管理に移していこうではないかということで、これが必要と考えておりまして、新たな人事評価の試行を本年一月から開始しているところであります。さらに、官民の人事交流の推進などを促進することによりまして人材育成に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

三ッ矢委員 ありがとうございます。

 ちょっと今のお話とも関連するんですが、公務員制度改革において能力・実績主義の導入ということが言われておるわけでございますが、職員の評価につきましては、民間企業でも、最近はどうも成果主義、能力主義というのはちょっと行き過ぎだったんじゃないかというような反省もあるようでございます。たしか、一番最初に日本でこのシステムを採用したのは富士通だったと思いますが、もうこれもやめてしまいました。

 そういう意味では、公務員は、どうも一周おくれでこの制度を導入しようとしているのかなというような気もするわけでございます。

 民間の場合は、実績というのが、数字で出てくるとか、利潤あるいは営業成績、非常にわかりやすい形で出てくるわけでございますが、なかなか公務員の場合は成果、実績が目に見える形で表に出てこない、あるいは見にくいということがあろうかと思います。また、評価のやり方によりましては、逆に失敗を恐れて伸び伸びとした仕事ができなくなってしまうというような弊害もあるやに聞いております。

 こうした中で、今中馬大臣もおっしゃいましたが、ことしの一月からでございますか、評価の試行を導入して、着実に、非常に難しい取り組みだと思いますが、この取り組みを進めておられるというふうに承知しております。その実施状況と今後の取り組みにつきまして、これは竹中大臣にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 三ッ矢委員は、この面での、まさに人事の御経験、大変深いわけでいらっしゃいますが、能力・実績主義、どちらかというとやはり公務員の世界は、鉄の年功序列といいますか、それが強過ぎるものですから、何らかの形で能力・実績主義的な考えを入れなければいけない。そこはやはり方向としては目指さなきゃいけない当面の方向であると思います。ただし、客観的にこれを把握して適切に評価するというのは、これは大変難しい。

 そういう観点から、ことしの一月から、まず、人事評価の第一次の試行を開始しております。この第一次試行といいますのは、本府省の課長級、課長補佐級の職員約二千九百人を対象にしています。六月末までの六カ月間これを実施しまして、やはり公務の世界にふさわしい評価のあり方というのが求められると思います。その実証的な知見を得たいというふうに今考えてやっているところでございます。この一次試行が終わった後ですけれども、これはその結果を丹念にやはり検証しなければいけません。そして、必要な改善を行いました上で、対象範囲をさらに拡大して、十八年度中に第二次試行を開始したいというふうに思っております。

 いずれにしましても、昨年十二月の閣議決定の行革の重要方針に沿った取り組みを、今申し上げたような形で着実に、しかし堅実に進めてまいりたいと思っております。

三ッ矢委員 実は、私が某省の人事課長をやっておりましたときにもこの試行の話がございまして、そのときはちょっと立ち消えになったんですが、私も、そのときやっていなくてよかったな、助かったなというふうに思っているわけでございます。今度は本気で、着実にやっていただくようにお願い申し上げておきたいと思います。

 それから、再就職の関係で一つお尋ねしたいと思います。

 生涯現役というような時代になりました。公務員の場合、早期退職慣行という制度があって、これが天下りの温床というか元凶になっておるというような指摘があるわけでございます。人材の活用という面では、退職された公務員には能力も知見も非常に優秀な方が多いですから、社会全体としてこの方々を有効に活用するというようなことも当然考えてしかるべきだと思うのではありますが、そうはいいましても、さまざまな弊害がこれには伴うというのも事実でございます。

 公務員を退職後、今は二年という冷却期間がございますが、これを五年にしようとかという議論もあるわけでございますけれども、公務員の再就職管理といいますか、この適正化に向けて今後どのように取り組まれるのか、どのような制度設計を考えておられるのか、中馬大臣にお伺いしたいと思います。

中馬国務大臣 私も天下りという言葉は好きじゃないので余り使いたくないんですが、世間では天下りと、それから、きのうも議論になっておりました官製談合、何か混同されたような形にされております。

 これからの時代、今おっしゃいましたように、官民が人事交流もかなり自由にし合っていくとか、あるいは、限られた本当に優秀な方々ですから、その人材を生かしていくためにも、一将功成りて万骨枯るといったような形で、だれか局長や次官になられた後全部やめていく、しかも、それもかなり不本意ながら別の会社に行くといったような、一部でしょうけれども、方があっては私はならないと思うんですね。そういうことから、今回の実績・能力主義といった形も一つの方法としてこうして提言されているわけでございますが、このことを私たちも制度化していかなければいけないと思っております。

 能力・実績主義というのは、ただだれかをぽんと引き上げるという意味じゃなくて、ある人がそういう次官の役割を務めることになられても、次の人は別の能力をお持ちでございますから、別の局長として頑張っていただくとか、あるいはどこか一つ大きな、それは外郭団体であっても私は構わないと思いますが、そこでやられてもいいと思います。二年間しばらく待機しろとか五年間とかいうのは、私は本来の姿ではないと思います。せっかくの人材をそこで塩漬けにしてしまうわけですから、本来であればそれは自由に行って、また新たなところで、民間におりた場合でもそこの中で活躍をしていただくのが私は本来の姿だと思っています。

 ただ、今そうした不祥事が起こっておりますから、各省は自主的にそのような方式をとっておりますし、また政府としても、そういうことを現在の制度のもとではせざるを得ないところであって、やっておりますが、ともかくそうした再就職によりまして公務の公正な執行がゆがめられない、そういうことがないという範囲の中では、職員が在職中に培った経験や能力を退職後に有効に活用していくことが私は必要なことだと思っております。

 今回の防衛施設庁あるいはまたそうした問題につきましても、今申し上げましたように与党申し入れがありますから、あのことで少しやってはおりますけれども、本来は、いい意味での公務員制度改革におきまして、能力が十分に発揮できると同時に、外部に行かれまして、そこの時点でまた大いに、公務を逸脱した形、倫理観を失った形でのことは絶対してはなりませんけれども、それ以外の形では大いに能力をそれぞれの場所で発揮していただきたい、そのように、願う制度にしていきたいと思っています。

三ッ矢委員 たしか公務員の退職年齢を五年間で三歳引き上げようという計画があったように思っておりますし、まだ進行中ではないかと思いますが、私が当時経験しました感じで申し上げますと、たしか平均が五十三歳ぐらいだったですね、当時、五年ぐらい前でございますが。それがどのぐらい上がっているのかわかりませんが、五十三ぐらいでやめて、後その手当てもしないということになりますと、これは生活に直接響いてくるわけでございますし、なかなか再就職もできないというようなことでは、公務員も人間でございますから、何かやはり食べる道を残してやらないといけないということだと思います。

 もう一つ申し上げますと、再就職して、そのした人がハッピーかというと、必ずしもそうではないんだと思うんですね。職場環境も変わりますし、人間関係も全く新しい中に飛び込んでいくわけでございますから、今まで長年いた職場を離れてそういうところに入っていくということは決してハッピーではないんだと思うんですね。ただ、これは食べるためにやむを得ないというような事情もあるんだと思います。

 私は、再就職の問題に関しては、やはり受け皿を絞るということももちろん大事だとは思うんですけれども、一番大事なのは、公務員が公務を天職として全うできるようなシステムを霞が関の中で構築することだと思うんですね。今、事務次官の定年がたしか六十二歳だと思いますが、これを場合によってはもう六十五まで引き上げて、全体として公務員の定年の延長にもつなげる。ちょっとその場合、気をつけないといけないのは、若い方の活力を阻害しないように注意する必要があると思っていますけれども、ぜひ、霞が関の中のシステムを、今申し上げたように、繰り返しになりますけれども、公務員が公務を天職として全うできるような制度設計をお考えいただきたいというふうに思います。

 だんだん時間がなくなってまいりました。一つ飛ばしまして、地方行革の話を伺いたいと思います。

 今回の法案では、平成十七年四月現在ですか、地方自治体の職員が三百四万二千人おられるわけですが、これを四・六%以上削減する、純減すると規定されておるわけでございます。全体として地方の行政のスリム化、これはなかなか進んでいないんじゃないかなというような印象も受けておるわけでございますが、例えば人口一万人当たりの職員数は大阪市が百九十二・四人、福岡市が八十・四人なんですね。物すごく差がある。同じような業務をやっておってこんなに差があるわけですね。これはどこから来ているのかなと、ちょっと私も中身を全部知っているわけではございませんので非常に不思議に思っておるんですが、今後ここの部分に切り込んでいかないと、やはり日本全体として本当の行政改革はできないと私は思うんですね。

 今後、地方自治体の行政改革に対しまして、なかなか強制ということはできないと思いますが、国としてどういった助言などを行っていかれるのか、これは竹中大臣にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 地方自治体に関しましては、今三ッ矢委員御指摘のような問題が確かに存在していると思います。一方で、今大阪市の例を挙げられましたけれども、やはり極端な例がある。しかし、また他方で、物すごく思い切って人件費を削ったり努力しているところもあるというのも事実なんでございます。したがって、全体としては、これまでも定員管理、給与の適正化、民間委託、それなりに一生懸命取り組んできておられるというふうに思います。同時にしかし、国民の厳しい目が向けられているというのも、これも事実。

 我々としましては、各地方団体に対して、原則として平成十七年度中に集中改革プランを公表するように、新地方行革の指針として要請をしました。これは十七年度中で出てきておりますので、我々としては、今後、この出されました集中改革プランを平成十八年度の早期に公表状況を取りまとめて公表したいと思っております。そして、地方行革の取り組みに対する情報提供とか取り組み状況に応じた適切な助言を、これは我々としては助言をする立場にあるわけですので、しっかりと進めて、地方行革の推進に積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。

三ッ矢委員 ありがとうございます。

 市場化テストでの御質問を一つ申し上げようと思ったんですが、今の地方行革の問題と関連しまして、実は地方では、これは市場化テスト以前の問題だと私は思うんですが、とっくにアウトソーシングしていてもいいような、例えば清掃業務ですとかあるいは給食の業務ですとか、まだ官がやっているところがいっぱいあるんですね。これに関連しまして、これは要望にとどめたいと思いますが、市場化テストの法案を審議していく過程、またその制度設計されていく過程で、ぜひ地方に対しても切り込んでいただくように強くお願いを申し上げておきたいと思います。

 それから、最後になりましたが、特別会計改革の中で道路特定財源の問題でお伺いをしたいと思います。

 先ほどの小杉委員の質問とも若干重複する部分もあるかと思いますので繰り返しませんが、やはり私も、道路特定財源については、一般財源化を前提として使途の特定を行えないような見直しを行うということについては若干危惧の念がございます。地方におきましては道路整備の需要が実はまだまだ根強いものもございますし、また、これまでの経緯にかんがみますと、納税者の十分な理解を得ていく必要があるというふうに思っております。

 一つの例で申し上げますと、例えばその財源を使って高速道路の料金を下げるとか、あるいはそういうことも考えられると思うんです。なかなか今の時点でお答えになりにくい面もあろうかと思いますが、谷垣大臣の御所見を伺いたいと思います。

谷垣国務大臣 先ほど小杉委員にもお答えしたところでありますが、一般財源化を目指していくという方針でやっているわけでありますが、同時に暫定税率等々で納税者の御協力をいただいているということでありますから、根本は納税者の理解をいただきながら、率直に申し上げまして、その水準等は、今の危機的な財政状況を考えますと暫定税率等をもとに戻すということはなかなかしにくいということがございまして、そういたしますと、やはりどうやって御理解を得られるかということがポイントになってくるだろうと思います。

 もちろん、では、こういう目的に使え、ああいう目的に使えということを余り強く今度打ち出しますと、一般財源に向かっていくということとそごが生じてまいりますので、そこがなかなか難しいところでございますけれども、今後、十分よく議論をさせていただいて、落ちつきのいいところに持っていきたいということを考えております。

三ッ矢委員 どうもありがとうございました。以上で終わらせていただきます。

伊吹委員長 これにて三ッ矢君の質疑は終了いたしました。

 この際、委員長から一言申し上げます。

 行政府の最大の仕事の一つは、立法府の法案審査へ協力をすることでございます。しかし同時に、行政府は行政府としての独自の仕事もあることは、委員各位御承知のとおりです。

 行革の最大のねらいの一つは、やはり公務員に効率的に働いてもらうことですから、要請をされた政府委員にはできるだけきちっと質問をするようにしてください。安倍官房長官は、当初からここにずっと座っておられます。そのこともよく考えて御質問をしていただくように。

 石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。

 委員長の御発言でございますが、私の質問の中で安倍長官への質問はございませんので、申しわけございませんが、これはあらかじめ質問通告をしているものでございますので、よろしくお願いを申し上げます。

 私は、本日は行革推進法案につきまして質問をさせていただきたいと思いますが、まず、政策金融改革でございます。

 この法案の第四条「趣旨及び基本方針」、この第四号で、いわゆる危機対応についての規定がございます。「内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症等による被害に対処するために必要な金融について、新政策金融機関」、新しく統合する政策金融機関ですね、「及び第六条第一項に規定する機関」、これは民営化する商工中金、それから政投銀、「その他の金融機関」、これは現在の民間の金融機関ですね、「により迅速かつ円滑に行われることを可能とする体制を整備するものとする。」こういう規定がございますけれども、民営化する商工中金、政投銀も含めまして民間金融機関に危機的対応で役割を期待すると。これにおきましては、これは詳細設計に向けた論点整理でも指摘をされているところでありますけれども、政府として何らかのリスク補完の仕組みは必要になるだろうというふうに私は思っております。

 かつて、貸し渋り、貸しはがしの激しい時期に、信用保証協会の特別保証三十兆円枠を設けまして、ここで事実上リスク補完をしてきた、こういう工夫をしてきたということもございますし、どういう仕組みが必要かというのはこれから詳細設計に向けての議論になるかと思いますが、この点について私は必ず必要になるだろうというふうに考えていますが、まず、この点について確認をさせていただきたいと思います。

中馬国務大臣 今、石井委員御指摘のとおり、今回の行革法第四条第四号におきまして、内外の金融秩序の混乱または大規模な災害、テロリズム、感染症等による被害、そうした形で混乱が起きたときの民融機関も活用した危機対応体制を整備するということが規定されております。

 詳細につきましては、今後の制度設計にゆだねることになりますけれども、その中でも、今おっしゃいましたようなバブルがはじけた後の金融不安のときに三十兆枠をやったとか、あるいは阪神大震災の後の金融的な支援の方法だとか、いろいろとあると思います。それを全部一々細かく規定することは難しいかと思いますが、いずれにしましても、そういうことは柔軟に政府として対応できる、そしてそれが民間金融機関やこの新政策銀行が対応できる形は制度設計の中にはっきりとうたっていきたいと思っています。

石井(啓)委員 続きまして、新政策金融機関のあり方でございますけれども、これは法案の第五条第三号で「新政策金融機関の経営責任者は、これを適正かつ効率的に運営するため、」「特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮するものとする。」こういうふうにされております。一方で、昨年十二月二十四日に閣議決定をいたしました行政改革の重要方針の中には、新政策金融機関につきましては「トップマネジメントへの天下りの速やかな廃止」、こういう規定ぶりになっておりまして、この行革の重要方針と今回の法案との間で違いがあるのかどうか、これを確認をいたしたいと思います。

 特に、行革の重要方針に「トップマネジメント」と書いてありますから、これは通常は総裁とか理事長とかそういうトップの方が想定されますけれども、今回法案の中で「経営責任者は、」ということになっていまして、これはトッププラスアルファ、少し幅が広くなったのかなという印象を持っておるんですけれども、この法案に言う経営責任者の範囲というのはどこまでなのか、この点についてもあわせて確認をいたしたいと思います。

中馬国務大臣 先ほど言いましたように天下りは、この言葉は私は好きじゃありませんが、世間の批判的な形で、また、事実そうした政策金融機関のトップにほとんど事務次官経験者が就任されておったといったようなこともありまして、その反省から、これは特定の経歴を有する者を特定のポストに就職させるということを意味するものとなっておりますから、行政改革の重要方針におきましてはこのような形のいわゆる天下りを廃止する旨を規定をさせていただいております。

 これを受けまして、今般の行政改革推進法におきましては、その趣旨を法律上初めて明記することといたしました。特定の公務の、先ほど言いましたような形で「固定的に選任されることがないよう十分に配慮するものとする。」といった旨を織り込んだところであります。

 このように行政改革推進法案の内容は、行政改革の重要方針の文言、トップマネジメントという片仮名がそぐわないといったこともございました、そうしたこともございまして、この文言を条文化したものが現在の表現でございます。そういう意味で、行政改革の重要方針の内容とは違わない、このように御理解をちょうだいいたしたいと思います。

 なお、経営責任者の範囲は、長及び長に準ずる地位にある者を指し、具体的には、新政策金融機関の具体的な組織の姿や各人の職責等を踏まえて定まるものである、このように考えております。

石井(啓)委員 ありがとうございます。

 同じく第五条の第四号、これは新政策金融機関の組織のあり方につきまして、例えば国内金融の業務を行う部門と国際金融の業務を行う部門に大別する、その部門ごとに専門的能力を有する職員の配置及び育成を可能とする、そのほかにも記述がございますけれども、この新政策金融機関の組織のあり方でございますが、これは、私は、新政策金融機関の利用者でございます個人あるいは中小零細企業の方、また農林水産業者の方、こういった利用者にとって利便性が維持向上されるということが最も重要な配慮事項の一つであろうというふうに考えますが、この点について行革大臣のお考えを確認いたしたいと思います。

中馬国務大臣 昨年末の閣議決定されました行革重要方針におきまして、借り手側の視点に立った効率的な組織となるよう努める、あるいは、専門の窓口設置、人材育成など専門性の活用・強化に取り組む、こういうことが規定されております。それを受けまして、今回の本法律案におきましては、「国内金融の業務を行う部門にあっては、当該業務の態様に応じた区分を明確にしてその内部組織を編成するもの」とする旨や、「専門的能力を有する職員の配置及び育成を可能とするもの」といった旨の規定をしておるところであります。

 今後、詳細な制度設計を行ってまいりますが、その中で、簡素でかつ効率的な組織とすることを基本としつつ、借り手の利便性の維持向上という点も踏まえまして、適切な窓口、職員配置、専門能力の維持強化を行う観点から具体的な方策について検討してまいりたい、しっかりとした形で入れていきたいと思っています。

石井(啓)委員 今の点についてはよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それから、この政策金融改革につきまして有権者の皆さんにお話をしますと、実は、私、商工中金からお金を借りているんだけれどもこれはどうなるんだろうかなということで、現在、現行の政策金融機関から貸し付け等を受けている方、あるいは債券を保有している方、こういった方に不利益が生じないことが重要だと思います。

 これは法案の第十三条の二号にその旨の規定が書いてありますけれども、例えば貸し付けを受けている方について申し上げれば、金利とか返済期間あるいは返済方法、こういった貸し付け条件を新政策金融機関に移行したからといって一方的に変更するというようなことは、これは毛頭あり得ないことであるということを確認させていただきたいと思います。

中馬国務大臣 委員御指摘のとおり、十三条第二号では、この政策金融改革を実施するに当たりまして、現行政策金融機関が行った貸し付け等を受けた方々や現行政策金融機関が発行した債券の所有者の方々の利益が不当に侵害されないようにする旨規定をいたしております。

 そういうことから、この規定に照らしますと、政府は、現行政策金融機関が行った貸し付けにつきまして、特段の事情がないにもかかわらず、一方的に利用者の不利益となるように金利、返済期間、返済方法等の貸し付け条件を変更することのないよう留意しなければならない、このように考えております。

石井(啓)委員 ありがとうございました。

 続いて、特別会計改革につきまして、きょうは一問だけ質問させていただきたいと思います。

 先ほども小杉委員あるいは三ッ矢委員の質問にもございました道路特会の見直しでございますけれども、法案では第二十条「道路整備特別会計等の見直し」の第三項に規定をされておりますが、御承知のとおり、道路特定財源につきましては、道路整備の必要性から本則税率に加え暫定税率がかさ上げをされております。

 従来は、道路整備五カ年計画、五年ごとに、どれだけの道路整備が必要なんだということで五年ごとにその整備のために必要な財源としてこれだけ要るから税率はこれだけにしてほしいということで暫定税率を決めてきている、こういう経緯がございます。暫定税率も、過去の経緯をたどってみると、少しずつ税率も上がってきておりまして、現状では本則税率に加えて二倍ないし二・五倍、こういう水準になっているわけであります。したがって、暫定税率をお願いしてきた経緯というのは、あくまでも、道路特定財源を納税していただいている方に、受益者負担という観点から、あなたたちは道路を使っているわけだから道路整備のために本則税率にかさ上げして暫定税率をお願いしたい、こういうことで従来はお願いをしてきたわけでございます。

 したがいまして、一般財源化するならば、本来は、私は、暫定税率を本則税率に戻すということが税の立場からすると筋だ、こういうふうに思うんですね。これは、私ども公明党としても、そういう考え方をそもそも持っていたわけでございます。

 そういう立場で昨年秋の特定財源の見直しも臨んだわけでありますが、さはさりながら、現下のこの厳しい財政事情等を考えると、あるいは環境への負荷等を考えると、税率を維持することはやむを得ないのではないか、こういう一方の課題もございまして、私どもも、道路特定財源は、納税者の理解が得られることを大前提として税率の維持はやむを得ない、こういうふうに受け入れたわけでございました。したがって、今後、この特定財源の使途等の具体的な見直しが行われるわけでありますが、あくまでも納税者の理解を最も重視して具体的な見直しをしていただきたいと思います。

 財務大臣と国交大臣からそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。

北側国務大臣 今、石井委員がおっしゃっておられましたとおり、現在の道路特定財源につきましては、平成十五年から十九年度の道路整備五カ年計画、この五カ年計画の中で、必要な道路整備にかかる費用ということをまず前提にいたしまして、そして各税目につきまして暫定税率を定めさせていただいている。その暫定税率については、税目によって違いがありますけれども、それぞれ二倍前後の暫定税率になっているわけでございます。

 おっしゃっているとおり、これは自動車利用者の方々、ユーザーの方々が負担していただいております税でございまして、なおかつ、今申し上げましたように、暫定税率をお願いしているところでございます。

 今回、道路特定財源の一般財源化を図るということで、これから本格的な論議に入っていくわけでございますが、今委員のおっしゃったように、これはやはり、今申し上げたことからするならば、当然のこととして、自動車利用者の方々、税負担者の方々の御理解をしっかり得て論議を進めていくということが一番肝要なことであるというふうに考えております。

谷垣国務大臣 石井委員から、過去の経緯等も踏まえて御意見の御開陳がございました。

 私も、今委員がおっしゃっていただきましたように、今の極めて厳しい財政状況をかんがみますと、この税率を維持して有効に使わせていただくということはお願いせざるを得ない、こういうふうに思っているわけでありますが、今まで自動車のユーザーに道路整備に使うということで御負担をいただいていたという経緯をかんがみますと、今、北側大臣からも御答弁がございましたように、一般財源化を図るに当たっては、そして新しい仕組みをつくっていく上に当たっては、ユーザーに十分、納税者に十分御理解がいただけるような手だてを講じながら一般財源化を図っていくということでないかと思っております。今後、十分議論をさせていただきたいと思っております。

石井(啓)委員 よろしくお願いいたしたいと思います。

 一般財源というのは、本来は使途を特定しない財源ですから何でも使えるわけですけれども、初めから一般財源でこの税がつくられていればそういう議論もあるかと思いますが、今申し上げましたような経緯からしますと、一般財源化したとはいえ、その使い道については、やはり道路特定財源の納税者の理解が得られるような使途でなければならないということを重ねて申し上げたいと思います。

 続きまして、総人件費改革でございますけれども、法案の第四十二条の第二項におきまして、総人件費改革で、十七年度におけます郵政公社の職員を含む国家公務員約九十四万六千人の総人件費、これは十七年度の人件費がまだ出ていないようで、十五年度の人件費でいくと約八・六兆円になるようですけれども、この対GDP比を長期的に半減をするという目安が示されておりますけれども、これはなかなか難しいんじゃないかと思うんですね、数字を分析していきますと。その実現可能性についてはどういうふうにお考えになっているのか。

 また、この記述が「できる限り近づくことを長期的な目安として、これに留意する」ということで、随分いろいろな縛りがかかっていまして、目標じゃないことはよくわかりますけれども、どういうふうにこの表現は理解したらよろしいのか、この点について伺いたいと思います。

中馬国務大臣 総人件費改革は、もう五年五%という言葉がずっと定着しておりますが、それだけで終わってしまうものではない、一つの日本の国の、冒頭から申しておりますように、相当長期的な行政機構そのもののあり方を変えていこうとすることでございますから、その中における公務員の位置とかあるいは割合といったことも一つのめどをつけておく必要がある。そういうことから、短期的じゃなくて長期的なものですよということも含めてこの表現になっております。まさにその目標であり目安であるわけでございまして、これが実現をする一つのものだという形でここに表記されているものではありません。国民にわかりやすく提示した、このように御理解いただきたいと思います。

 いずれにしましても、九十五万人の国家公務員の約三割を占める郵政公社職員、二十六万人ですか、これが二〇〇七年に民営化により非公務員化されるわけでございますが、そうしますと、少なくとも人間と金額、給与とは必ずしも一致はしませんが、約三割のものがそこから落ちるわけですね。

 それから、もちろん、五年五%、その次のことも踏まえまして、これはやはりそうしたものも継続していく、努力をしていく、あるいはまた加速するかもしれません。IT化といったことでかなり行政がオンライン化したりすることによって、これも人によらずに、そうしたソフトや機械に頼ることになってくるかもしれません。そうしたもろもろの時代変化を踏まえるならば、必ずしも荒唐無稽なただの目標ということでもない、そういうことでひとつ御理解もちょうだいいたしたいと思います。

 いずれにしましても、義務づけられているわけではありませんが、そういうことでの一つの目標として、今後の日本の国が目指すべき方向という形でこれを表現とさせていただいています。

石井(啓)委員 行革の重要方針の方では「長期的な目安も念頭におきながら改革を進める」となっていまして、これを法案化するので非常に御苦労された表現かと思いますけれども、長い目安としてこういう目標が示されている、こういうことで理解をさせていただきたいと思います。

 続きまして、行革の重要方針の方では、国会、裁判所、会計検査院、人事院の職員の定員、これは約三・二万人ですか、これについても各機関の特質等にも留意しつつ行政機関に準じた取り組みを行うよう求める、こういうふうになっておりますが、今回の法案の中では、今言いました国会、裁判所、会計検査院、人事院の職員に関する規定は特段明文化されていないと承知しておりますけれども、この部門についてはどのように実現を図っていかれるのでしょうか。

中馬国務大臣 これは国の方針でございますから、全体ではそうしたことも区別なく五%減る、一つの国の方針としてはここにはっきりと書かせていただいております。

 しかし、国会や裁判所及び会計検査院の職員につきましては、御承知の三権分立の観点から、国会が命令することではございませんし、また、それぞれの、会計検査院等は独立した機関ということで位置づけられております。そういうことから、これらの機関の主体的な判断にゆだねるべきでありまして、一方、政府としましては、各機関の特質にも留意しつつ、行政機関に準じた取り組みを行うよう要請しているところでありまして、この要請につきましては、もう既に、重要方針で決まりました後を受けまして、二月二十六日でしたか、官房長官名で各機関に要請をいたしております。

 また、人事院におきましては、国家公務員の総数を十八年度から五年間で五%以上純減を行うとの政府の方針に沿った定員の純減を行うことについて、本法案の閣議決定までに決定、公表したことから、措置済みのものとして、先ほど申しましたように本法案には具体的な規定はしておりませんが、政府の取り組みに歩調を合わせて純減に取り組まれるものだ、このように確信いたしております。

石井(啓)委員 続いて、法案の第五十二条に、特定独立行政法人につきましては、「平成十八年度以降に中期目標の期間が終了する特定独立行政法人については、その業務を国家公務員の身分を有しない者が行う場合における問題点の有無を検証し、その結果、役員及び職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められないときは、特定独立行政法人以外の独立行政法人に移行させる」、こういうふうにされていますが、この中で「その業務を国家公務員の身分を有しない者が行う場合における問題点」、これは法文を読んだだけではよくわからないんですけれども、これはどういうことでありますか、ちょっと御説明を。

大藤政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人は、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務事業を実施する法人でございまして、独立行政法人通則法に基づき法人格を付与され、国とは別の法人格となっております。

 また、その役職員につきましては、同法第二条第二項の特定独立行政法人として個別法によって規定されたものを除き、国家公務員の身分は有しないこととされまして、独立行政法人通則法におきまして、このような公務員型の特定独立行政法人とする要件を、その業務の停滞が国民生活または社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるもの、その他法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して、その役職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められるものとしているところでございます。

 行政改革推進法案第五十二条におきまして、平成十八年度以降に中期目標の期間が終了する公務員型の特定独立行政法人につきまして、その業務を国家公務員の身分を有しない者が行う場合における問題点の有無を検証し、必要と認められないときは、特定独立行政法人以外の独立行政法人に移行させる旨を規定しているところでありますが、その際の問題点としましては、独立行政法人通則法の規定に則し、その業務の停滞が国民生活または社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすこととなる事態が生じること等を想定しているところでございます。

石井(啓)委員 では、最後の質問でございます。

 法案の第五十五条に地方公務員の職員数の純減があります。これまでの質疑の中では、この地方公務員の純減目標四・六%以上、厳しい目標ではないかという指摘もございましたが、私はちょっと逆の見方をしておりまして、一つは地方公務員の年齢構成というのが団塊の世代が非常に多いんですね、国家公務員の年齢構成に比べると地方公務員は非常に多い。この団塊の世代がこれから退職時期を順次迎えるということが一つございます。もう一つは、ここ数年の市町村合併、約三千二百あった市町村が千八百まで合併をしたわけですから、この市町村合併の効果がこれから順次発揮できる。この二点を考えますと、この四・六%というのは直近の五年間の実績に基づく数字でありますから、私はこの実績の四・六%を大きく上回る純減が期待できるのではないかというふうに考えております。この点について行革大臣と総務大臣から御答弁をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 四・六%を上回るというのは、確かに、これは厳し過ぎるという御意見もあるし、委員がおっしゃったように、いや、これは期待できるのではないか、いろいろな御意見があるというふうに承知をしております。

 地方公務員、前年に比べて十七年も四月一日現在で四万一千人、過去最大の純減というふうになっているわけですけれども、平成七年から十一年連続した累計は二十四万人の純減、四・六%、過去かなりやってまいりました。国家公務員の純減というのはわずかだったことを考えますと、地方は減らしてきた、努力をしてきたということも事実だと思います。

 地方公務員の場合、定員の純減に向けた取り組みを行うに当たりましては、例えば教育、警察、福祉、こうした問題は、国が法令等でその配置基準を定めております、そういう分野が約三分の二を占めているという点がある、そういう制約があるというのも一つのポイントであろうかと思います。

 いずれにしても、私たちとしては、これまで努力をしてきたということを踏まえて、さらに地方公共団体においてこれまで以上に徹底した行政改革を進めていただく必要があるというふうに思っておりまして、そうしたさらなる上積みを期待しているところでございます。

中馬国務大臣 委員おっしゃるとおりでございまして、私の方は今ここだということまでは断定はいたしませんが、ともかく、行政改革という大きな観点ではなくて、もう少し具体的に、町村合併が行われております、かなり縮小しておりますし、それから、集中改革プランというのを各都道府県が出しておりますが、これの数字を見ましても、ほとんどが、向こうが出してきている数字ですよ、四・六%をかなり上回る、我が県は何千人といったような数字を出し始めております。そういうことからするならば、私は、これは「以上」と書かせていただいておりますが、以上が達成されるものと確信いたしております。

石井(啓)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。

 次に、大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志でございます。

 きょうは行革推進法案の審議ということで、小泉総理は、この行革推進法案を今国会に提出になり、今国会を行革国会というふうに位置づけされて、この行政改革推進法案、非常に目玉法案の一つとして重視されているわけでございます。私も、この法案は非常に重要な位置づけを持つ法案だというふうに認識しております。

 何となれば、一番大きな点を申しますと、やはり財政の面があろうかというふうに思います。国の債務残高のGDP比が一五〇%を超え、この財政の再建、健全化の道筋を今後どうしていくかという喫緊の課題の中で、この行政改革推進法案、しっかりとした結果を出していけるようなものになっているかどうかということが非常なかぎになっていようというふうに思うわけでございます。

 そこできょうは、この行政改革推進法案、本当にこういう面からしっかりとした実効性を持つものになっているかという観点からの質疑を行わせていただければというふうに思います。その中でも、本日は特に、私の目から見まして、財政健全化という面から見て極めて重要な意味を持つというふうに思われます特別会計の改革、これを中心に議論させていただければというふうに思います。

 特別会計の改革ですけれども、これはこれまでも議論がありました。塩川元財務大臣が、母屋でおかゆをすすっているときに離れですき焼きを食っている状態、こういうふうに話もされたように、非常に無駄の多い部分がまだ残っている、そういうふうに指摘されております。この無駄をいかに削って効率的にしていくか、これが一番重要な課題だろうというふうに思っております。ですから、この行政改革推進法案の中にも特別会計の改革が大きな柱として入れられている、これは内容としては非常に重要なことだろうというふうに思っております。

 そこで官房長官に、まず政府を代表する立場としてお尋ねしたいと思います。

 昨年九月の予算委員会のときにも、前原代表からこの特別会計の議論が提示され、そのときに総理も、各省いろいろな抵抗はあるだろうけれどもしっかり頑張っていきたいということを言明されました。経済財政諮問会議でも一連の議論がずっと行われてきております。この一月の施政方針演説でも、総理は、再び特別会計の改革にも触れられて、行政改革推進法案の中でしっかりやっていくということを述べられております。

 この特別会計改革の意義、そして特別会計の何が問題で何をどういうふうにしていこうとされているのかということを、政府を代表する立場として官房長官に御答弁いただきたいと思います。

    〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕

安倍国務大臣 特別会計につきましては、まずその数が多い、その結果、監視が不十分になっている、そしてまた無駄な支出が行われやすいのではないかという批判がございます。こうした批判を踏まえまして、財政健全化に貢献を果たすため、そしてまた国民にしっかりと説明責任を果たしていく、そういう目的のために、今回、特別会計を対象とした徹底した見直しを行い、改革案にまとめたわけでございます。

 具体的には、まず、今後五年を目途に特別会計の数を二分の一から三分の一に大幅に削減をしていく。そしてまた、明治二十三年の制度発足以来、削減して最少とするとともに、今後五年間において合計約二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指すこととした踏み込んだ改革案を策定したところであります。そして、その第一歩として、十八年度予算において合計十三・八兆円の余剰金を財政健全化のために活用し、着実に成果を出しているところでもございます。

 政府としては、今後とも、この改革案に沿って、簡素で効率的な政府の構築に資する実質的な効果を伴った改革にするように努力していきたい、こう考えております。

大串委員 ありがとうございます。今官房長官が政府を代表しておっしゃられた特別会計改革の考え方、そのねらい、意図、これに関しては私も全く意見を異にすることはありません。特に、冒頭おっしゃいました、数が多い、監視が不十分になっていて、無駄が多い、そういうことから、特別会計の数を減らして、そして今般は余剰金等々を財政健全化のために利用し、簡素で効率的な政府をつくっていく、こういう考え方自体には全く私も異を唱えるものではございませんけれども、実際にこの法律案の中に掲げられている具体的な内容を見てみますと、本当に実効性のあるものになっているかというところはやはり議論が必要なんだろうというふうに一つ思います。

 委員長のお許しを得まして資料をお手元に配らせていただいております。一ページ目が特別会計改革の工程表ということで、これは政府の方からいただいた資料でございますけれども、その左手のところに特別会計の名前がずらりと、全部数えると三十一ございますけれども、並んでおります。その中で、四角で名前を囲んでおりますけれども、ぱっと見まして、統合されるものが非常に多いということがございます。これについて少々具体例を挙げながらお話をさせていただければというふうに思います。

 統合というものの考え方ですけれども、行政改革の重要方針、昨年の十二月二十四日に定められたこの重要方針の中に、どういう場合にどのような特別会計の改革を行っていくんだということは見事に書かれています。この考え方は、私も非常になるほどというふうに思って見ているところでございます。

 この重要方針の中には、個別特別会計の見直しの方針として、必要性のないものは廃止しましょう。それから、国自体が行う必要性のないものは民間もしくは独法化です。それから、一般会計からの繰り入れが多額に上るなど区分経理の必要がない、あるいは薄れたというものに関しては、一般会計あるいは独法化していくんだというようなことが言われる。最後に、特別会計としての区分経理の必要性は認められるけれども事業類型が近似している特別会計で、行革の効果を出すためには統合した方がいいと思われるものは統合していくというようなことが書かれております。

 今回、一つ例を挙げさせていただきますと、農業経営基盤特別会計そして食糧管理特別会計の統合案がこの工程表の中でも記されているわけでございます。資料を一枚おめくりいただきまして、このイメージを農林水産省の方々と議論させていただきまして、今政府の方で考えられているこの特別会計を統合していく際のイメージ、これがこの図だというふうに聞いております。これを見ますと、統合という形におきまして、食管特会と基盤特会は新しい特別会計に、一つになるわけでございます。その際、品目横断的経営安定対策という新しい対策に対応していくために、一般会計からのお金も受け入れて三つの勘定をつくってやっていくということになっております。

 ここでちょっと疑問が生じるわけですけれども、まず、先ほど重要方針の中にもありました、事業の類似性があるものに関しては統合を考えていきましょうというふうになっております。この食糧管理特別会計そして基盤特会はどこが類似して、統合することによってメリットが出てくるのか、どういうふうなメリットが出ていくというふうに考えてこの特別会計の統合は考えられているのか、農水大臣に御答弁いただければと思います。

    〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕

中川国務大臣 平成十九年度から抜本的な農業政策、新たな農業政策を導入するわけでありますが、その大きな柱がいわゆる品目横断的経営安定対策、委員の資料にも書いてあるところでございます。

 今までは、食糧管理特別会計は主要食糧の需給、価格の安定を図る事業、それからもう一つの基盤強化特別会計はいわゆる担い手への農地の利用集積を行う事業を主にやってきたわけでありますが、品目横断ということになりますと、米、麦、大豆、砂糖、でん粉といったものに対して総合的に、米はちょっと違いますけれども、総合的に支援をしていくということでございますので、今まで食管の中にあったものを、同じようなものを経営安定に関する勘定ということで一まとめにしたわけでございます。

 他方、基盤強化の方は、これからも引き続き土地改良とかあるいは就農支援事業であるとかいったものが必要になってまいりますが、これは直接的には品目横断とはかかわりはないわけでありますので、勘定を一つにしながら同じ目的のものをまとめる、品目横断のものをまとめる、そしてまた、経営基盤強化に対する勘定は一つの特会の中で別勘定としてやっていくことによって区分経理をしていくという考え方に基づいて改革を行おうとしているものでございます。

大串委員 今お答えいただきました、一つの特会の中に勘定を三つつくっていくわけですけれども、特に最後におっしゃいました基盤特会に関しては、直接は品目横断とは関係ないわけだけれども、そういう中で一つの勘定をつくってやっていくんだということでした。

 一つの特別会計の中に統合したとして、そしてその中にまた個別にそのもともとの特別会計に対応する勘定をつくっていくのであれば、先ほど官房長官がおっしゃった、数が多い、監視の目が届いていない、ですから数を減らしていく、そして無駄を削っていくということにどのような効果があるのかという点が非常に疑問なのでございます。その点が一つ疑問なことで、もう一つ申し上げれば、この改革案については、ここで一たん特別会計として一つに集約した後に、また一般会計への統合や独法化を検討している。これはツーステップで考えていらっしゃいますけれども、どうせ改革するのであればワンステップでやってもよかったんじゃないかという思いすらあるわけでございます。

 勘定を分けるのであれば透明性の向上につながらないのではないかという点と、そして、ワンステップでの改革ができるんじゃないかという点について、農水大臣、いかがお考えでしょうか。

中川国務大臣 先ほど申し上げましたように、品目横断と経営基盤強化と目的はそれぞれでございますけれども、しかし、まず、勘定を区分することによって経理の透明性を確保するという意味があろうかと思います。それから、資金の効率的な活用の観点から、勘定間の資金の移動も検討をしているところでございます。あしたからこの法案そのものの審議が始まるわけでございますけれども、今後検討される部分が残っているということでございます。

 それから二点目の、なぜ最初に統合して後になって検討なのかという御質問でございますけれども、まず統合をしていくということを、これはスピードを持ってやっていかなければならない。農政においてもスピードが必要でございまして、合理化、効率化を図るためにまず統合をしていく、そして、統合後の特会におきまして事務及び事業のその後の移行等について改めて検討するということで二段階で作業を進めていくことが、大改革でございますので、あえて二段階でやっていくということにさせていただいているわけでございます。

大串委員 今申し上げましたように、この特別会計を一つの特別会計にしていく。ところが、一つの特別会計にするのはいいんだけれども、その特別会計の中にはまた分かれた勘定が残っていく。これは、実際問題、どこにどういうふうな改革のメリットが出てくるか、非常にそこが不透明なわけでございます。

 先ほど、勘定間の資金の移動もあり得ると。それはあり得る、そういう話になると思いますけれども、一番重要なのは、特別会計を統合したならば、その重なる部分に関してできる限りの合理化、効率化を図っていく、管理部門等々の重なる部分があるんだったら、そういう点をしっかり効率化していくというところが大切なんだろうというふうに思っております。

 こういうふうに、これは今回一例を挙げさせていただきましたけれども、今回の特別会計改革の工程表の中には、先ほど申しましたように、非常に統合をするというものが多うございます。先ほど官房長官はおっしゃいました、全体の数を二分の一から三分の一に少なくする。現在は三十一ございますので、おっしゃらんとすることは、十五か十、そういうふうな数に最終的にはされていこうということだと思いますけれども、この特別会計の統合だけで数が減る効果は九ございます。最終的に十五あるいは二十減らしていく中で、既に九は統合という形で結果が出ている。

 かつ、先ほど農林水産省のケースで見ていただきましたように、その中に勘定が残って、その中で効率化の効果や合理化の効果がどのくらい出てくるかということをしっかり出していかないと、この本当に数が減ったという効果は出てこないんじゃないかと思うんです。

 ですから、特別会計の改革のこのポイント、数を減らすということに関しても、統合が余りに多い、その実効性が出てくるかどうか、そこがよくわからないという点に非常に私は危惧を覚えるわけでございますけれども、財務大臣、この点に関して御見解をお願いします。

谷垣国務大臣 今度の特会改革は、先ほどからの御議論のように、わかりにくいというのを、できるだけ数を少なくしていって国民へのわかりやすさということに対応していこうということと、もう一つは財政健全化の貢献がそれによってできるのではないか、二つを目標として徹底した見直しをやって今度の案をお出ししたわけですが、今御指摘のように、まず統合して、その後に一般会計化とかあるいは独立行政法人化というものを検討していこう、二段構えになっているのが多いのは事実でございます。

 その趣旨はどこにあるかということになりますと、これは、それぞれの特会がやっております政策ないし行政事業の内容や方針にもよりまして一概には言えないんですが、あえて一般化して言えば、基本的には、先ほど大串委員がおっしゃったように、まず、特会同士の統合を行うことによって無駄の排除とか合理化、効率化、そういうものに早急に手をつけていこうということでございます。これと並行して、一般会計化あるいは独立法人化、それぞれの事業に着目してより根本的な改革をしていこう、検討していこうという考え方でございます。

 統合をしないで一般会計化やあるいは独法化を行うという場合には、これはある程度時間をかけませんと、個別特会の政策内容に着目した改革がなかなかつくりづらい。二段階にしたのは、まずそういう統合することによるメリットを少しでも出していこう、こういう考えでやらせていただいているわけでございます。

大串委員 御答弁、わかりました。御答弁はわかりましたけれども、本当に統合したときに、一つの特会になって勘定が仮に分かれたとして、先ほど農水大臣、スピードが大事だから先にまず統合するんだとおっしゃいました。統合したときにメリットとして期待される間接部門あるいはそれ以外のオーバーヘッドの部分の合理化、効率化が本当になされるか。ここが非常に実質的なかぎであると思われるんですが、そこがこの法律案の中にきちっと書かれているかどうかというと、こういうふうに質問せざるを得なくなるような書き方になっているものですから、そこは非常に私は危惧しているわけでございます。

 ぜひ、これから実体の内容を組まれる際には、統合して一つの特別会計になって中に勘定が分かれている、それでもそこには効率化、合理化のメリットがあらわれるように、いろいろな合理化の取り組みをしっかりやっていただきたいというふうに思います。この数が減るという点、統合が多いんだというこの点、これが私の懸念のまず第一でございます。

 第二に、この特別会計の改革の部分を見て非常に懸念を覚えるのは、検討という文字が非常に多いということでございます。これは法律案として出されていますので、できる限りこの法律案の中できっちりとした方向が出される方が法律としてはより実効性があるということになろうかと思いますけれども、実際に法律案の内容を見ていただきますと、お配りした一番最初のペーパーにもございますように、波線を引いております、ちょっとわかりづらいかもしれませんけれども、検討という文字が随所にあらわれてきております。

 この検討の結果が実際どういうふうな形に結論としてあらわれていくか、これが、この特別会計の改革の最終的な帰趨を決めるんじゃないかというふうに思っております。この方向性が非常に大事であって、例えば食管特会、農業基盤特会についても、最終的には一般会計化や独法化、こういうふうに言われている。あるいは、同じような例で、自賠責あるいは車検特会も、最終的には一般会計化あるいは独法化と言われている。

 検討という言葉で今投げられているわけですけれども、財務大臣、この検討という言葉はたくさんございます。この検討という言葉は、今、検討のままなのか、それとも何かある一定の方向性があるというものなのか、あるいは全く白地の検討というものなのか、検討してみなきゃわからないというものなのか、その辺についての感じのところを、財務大臣、教えていただければ幸いでございます。

谷垣国務大臣 三十一ある特会のうち二十一会計につきましては統廃合の内容は明示的に打ち出しておりまして、検討という言葉が書いてありますが、その内容は示しているわけであります。それから、統廃合などについて今後検討することとしている特会は十あるわけでございますが、これらの多くについては、一般会計化とかあるいは独立行政法人化といった目指すべき方向が明確に示されておりまして、こういう条文についてはそういう方向で検討せよとこれは政府に義務づけている、こういうことであろうかと思いますので、中身は全く漠然としたというような御批判は当たらないというふうに思っております。

大串委員 確かに、文言上は一般会計化あるいは独法化、あるいは検討という内容にもいろいろございます、事業のあり方を検討するとか廃止を検討するとか、そういうことがいろいろあります。

 ただ、これは最終的なしりが検討ということになっているものですから、例えば廃止を検討というふうに書かれても、本当に最終的に廃止になるのか、そこがこの法律案では決まっていない。つまり、この法律案をつくる中では、廃止を検討するというところまでは決まったけれども、これは済みません、トートロジーみたいになりますけれども、廃止を検討するというところまでは決まったけれども、本当に廃止するのかどうかという肝心かなめのところをやはり固め切っていないようにお見受けするわけでございます。

 例えば、また例を挙げさせていただきますけれども、空港整備特別会計というものがございます。これは、一般会計からの財源を受け入れつつ、あるいは航空機燃料税の十三分の十一、これは特定財源でございますね、これを受け入れつつ、また空港使用料、その他雑収入、これは飛行場を利用しているテナント等からの収入だと思いますけれども、こういうのを歳入としながら羽田空港の沖合展開、沖展やその他一般空港の開発事業等を行っている会計でございます。

 例えばこの空港整備特別会計に関しましては、航空機燃料税の一般財源化について、「その廃止について検討」というのがこの法文上に書かれているわけでございます。一つこの点で非常に気になるんですけれども、重要方針の中では空整特会に関しましての一般財源化については「原則として一般財源化を検討する」というふうに、「原則として」と書かれているわけでございます。ところが、この法案の中身を見ると、原則としてというところがない。小さなことかもしれないけれども、原則という言葉がなくて、「一般財源化を検討する」という言葉だけになっているわけでございます。こういうところからしても、本当に一般財源化されていくのかというところに非常な疑問をやはり持たされてしまう、そういうふうな思いになっていくわけでございます。

 この特別会計に関しましては、自前の収入、例えばこれでいいますと航空機燃料税あるいは空港使用料、いろいろな特定財源も含めて自前の収入が常にあって、それが歳出の方の事業の見直しを行わせるインセンティブをそいでいる、そういうふうな批判もあります。ですから、この歳入の方もしっかり考えていかなきゃいけないという意味においてこの一般財源化は非常に重要。

 特に空整特会におきましては、例えば過去十年に開港した空港、これを調べてみますと、先日新北九州の空港も開港しまして、これがどういうふうに利用されていくのかというのがマスコミなんかでも非常に取り上げられていました。過去十年間に開港した空港を見てみますと、十年の大館能代空港、また十年の佐賀空港、私の地元でございますけれども佐賀空港、そして十五年の能登空港等々ございます。大館能代空港であれば、開港当時の旅客数の予測値が四十七万人だったものが、実際には十六万人しか開港翌年度では使っていない。佐賀空港では開港時の予測値が六十七万人年間使われるというふうに予測していたものが、翌年度には三十四万人しか使っていない。あるいは能登空港では、開港当時予測値が三十一万人年間使用人数を見込んでいたものが、翌年には実際には十六万人しか使っていない。こういうふうに、本当にそれは実効性のあるプロジェクトだったのかということに関して大きく疑問が寄せられているわけでございます。

 こういう観点からして一般財源化をどうしていくかは非常に重要なポイントなわけでございますけれども、国土交通大臣にここでお伺いさせていただきたいんですが、この一般財源化、「検討する」となっていますが、重要方針の中では「原則として一般財源化を検討する」、これはどういうふうな方向性になっていくんでしょうか。

北側国務大臣 委員よく御承知のところだと思いますけれども、空港整備特会、平成十八年度でございますけれども、合計が五千七百二十六億円の会計でございます。このうち、現在半分以上を大都市圏の拠点空港整備に係る事業費に使っておるわけですね。地方空港というのはごく一部でございまして、実際は特に羽田の再拡張等、羽田が大半使わせていただいておりまして、これは我が国のこれからの国際競争力の強化という観点からはしっかりと進めていかないといけないというふうに考えております。

 この歳入の方でございますが、歳入につきましては、今委員のおっしゃったように一般会計からの受け入れが一千六百七十億あるわけですが、そのうち航空機燃料税の相当額というのは八百五十億円でございます。約半分。残り半分は純粋の一般財源を繰り入れている、こういう状況でございますし、またその他の収入もあるわけでございますが、いずれにしましても、現時点では航空機燃料税を大幅に上回る一般会計からの繰り入れを行っておりまして、そして事業を進めているという状況でございます。

 この一般財源化の問題につきましては、当然、まず歳出だとか、それから借入金の抑制の努力をしっかりと講じていくことが重要であると考えておりますが、将来的には、空港整備の進捗状況、特に大都市圏拠点空港の整備の進捗状況を踏まえまして、その検討をしっかりやっていきたいというふうに考えております。

大串委員 空港整備の進捗状況等々を踏まえながら検討していくということでございましたけれども、それは、重要方針に書かれている、これは閣議決定している文書でございます、原則一般財源化なんだという理解でよろしゅうございますでしょうか。原則一般財源化を検討するという理解でよろしゅうございますでしょうか。

北側国務大臣 将来的に一般財源化を検討するということでございます。

大串委員 もう一度お尋ねさせていただきますけれども、原則をあえて答弁の中でおっしゃらなかったというのは、重要方針とは異なった判断をされているという理解でよろしゅうございますでしょうか。

北側国務大臣 先ほど財務大臣も答弁しておられましたが、一般財源化という基本的な方向について定めているものでございまして、その方向で将来的に検討するということでございます。

大串委員 原則とか基本的な方向性とか、そういういろいろな言い方があると思います。ただし、申し上げたかったのは、この検討という文字が多く並ぶ、これが非常にやはり問題なのではないか。検討、検討として、実際に実効性が出てくるかというところが非常に心配なわけでございます。

 例えば、もう少し具体的な例を申しますと、全く年限が区切られていない検討という言葉も多々見られます。

 例えば、空港整備特会の独法化の部分、あるいは、今話をしました航空機燃料税の一般財源化の部分、それから、非常に問題が多いとしてマスコミ等々でも大変取り上げられました雇用保険三事業の廃止の部分、これらについては検討するということになっておりますけれども、年限が全く書かれていないんです。

 つまり、検討をし続けていると言い続ければ、いつまででもこの法律の内容と異なった、対応はしていないけれども、全然内容は変わらないという状況が続き得る、こういう状況になっているわけでございます。

 財務大臣にお尋ねします。

 この検討が多いということの中で、本当に実効性があるのかどうか、実効性を確保していかなければならないと私は思うわけです。財務大臣として、この検討が余りに多いということをどう評価されているのか、そして、この検討を実際に実効性のあるものとしていくためにどのようなことを考えられているのか、そこについてお尋ねさせていただければと思います。

谷垣国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、検討するんですが、一般会計化、独法化というような内容は明瞭にして、行政府に義務づけているということでございます。

 それからもう一つは、年限が切れていないじゃないか、そうすると永遠に検討しておしまいということもあるんじゃないかという御指摘だったと思いますが、今度の特会改革につきましては行政改革の重要方針で今後五年を目途に完了することとされておりまして、法案の中にも、十七条第一項ですが、「平成十八年度から平成二十二年度までの間を目途に計画的に推進されるものとする。」とされておりまして、個別に年限を区切っていないものについても基本的にこの規定がかかってくる、だから今後五年を目途に改革が行われることになる、こういうことであります。

 もっとも、そうすると、多分その次に、五年以内に完了しないものもあるんじゃないかというお問いかけがあろうかと思います。空港整備特会とか、あるいは産投会計等々につきましては、条文上、「将来において、」との文言がございまして、法形式上は必ずしも五年との規定が、五年以内にやれというのがすぐ当てはまるものではないじゃないかという理解もあるかもしれませんが、改革の迅速な実現という観点からは、十七条一項の趣旨を尊重して、可能な限り速やかな検討措置を行うということではないかと思います。

大串委員 こういうふうに、検討という言葉だけれども、その前にちゃんと、一般会計化とか、あるいは独法化とか、あるいは一般財源化、そういうふうな言葉が入っているところに一つの意味があるんだということでございました。

 それはそうでしょう。法案の中に書かれているから、恐らくその方向性を打ち出していらっしゃるんだと思います。これを見て、国民はみんな、それなりのある期待値なりある意思を読み取ると思うんです。ですから、ぜひそこは実行していただきたい、ここに書かれるんであればぜひ実行していただきたいということを、この場で申し上げておきたいと思います。

 それから、先ほどおっしゃった、二十三年で、また五年間で見直していくという点、この点について後ほどまた議論させていただきますけれども、先ほど一般会計化と独法化という議論がございましたので、ちょっと一つ総務大臣にお問い合わせさせていただきたいと思います。

 今回、一般会計化、独法化、そういうふうな流れがございます。性質に応じて一般会計化、独法化ということになろうかと思います。それぞれ、一般会計化するものと独法化するもの、どういうものがフィットするかというので意味合いが違います。独法となった場合には、それが本当に効率化に資するのか、そこを確認していくことが非常に大切なんだろうと思います。

 特別会計というのは、今役所の中で運用されております。現在の、既存の人員の中で行われております。独法になった場合には、これは私の杞憂かもしれませんけれども、独法の通則法によれば、役員がおり、監事がおり、そして、通例でございますけれども、独法としての組織、場所を借りて、建物を借りて、一つの体裁を整えてやっていくというのが通常でございます。

 独法になった場合に、今役所の中でやっているものが外に出て、逆に効率化に資さない、効率化の反対になってしまうようなことがないのか。そうであってはいけない。本当に効率化になるような実績を出していかなければならないと思うんですけれども、この点について、総務大臣、御見解をお願いします。

竹中国務大臣 大串委員御指摘のように、総務省は今御指摘のような点について重要な役割を負っていると思っております。

 総務省の設置法の第四条第十四号で、法人の新設、目的の変更、改正、廃止、そういうことについて総務省は審査をすることになっているわけでございます。法人の、この場合は独法ですけれども、新設に係る要求については、これは通則法がまずございますから、そこで公共性、効率性、透明性、自主性等の観点から精査をして、業務が肥大化しないように、組織が肥大化しないように厳正に審査する方針で臨まなければいけないというふうに思っております。特会の独法化に当たっても、まさにこの方針が必要でございます。

 もう一つ、独立行政法人化された後につきましても、これは中期的な目標管理、そして第三者による事業評価を通した仕組みがございますので、この点でも業務の透明性の確保などを通しまして業務運営の効率化を図る、そういう役割を果たさなければいけないと思っております。

大串委員 ぜひ、独法化した際にも、しっかりとした効率化の実が得られるようにお願いできればというふうに思います。

 財務大臣、先ほどお話のありました五年ごとの見直しという点でございますけれども、重要方針を見たときに、私は非常にこの点は期待しました。重要方針に書かれているのは、「五年ごとにその設置の要否を見直す条項を導入するものとする。」これは非常に重要ないわゆるガバナンスの仕組みでございまして、こういうことを盛り込むことによって継続的に見直しが行われるということを私は期待したわけでございます。

 ところが、十八条二項に書かれております、政府は、「二十三年四月一日において設置されている特別会計について、その存続の必要性を検討するものとし、その後においても、おおむね五年ごとに同様の検討を行うものとする。」これも検討という言葉で終わってしまっているわけです。これをどう具体的に五年ごとにきっちり見直しが行われるようにしていくのか、そういうものになるのか、ここでははっきり言ってよくわからないわけでございます。

 行政の中でいろいろな物事を見直すときに、いろいろな知恵があります。例えばゼロベースの見直し、いろいろなやり方がございます。一たん全体的にゼロベースにしてみて、そこから新たに考えるといったやり方もございます。

 財務大臣、この規定が実効性を持つために具体的にどのような工夫をされていくおつもりなのか、この点について御意見をいただければと思います。

谷垣国務大臣 十八条二項は、「おおむね五年ごとに同様の検討を行うものとする。」と書いてございます。これは、所管している行政庁に関して、一定の作為義務、見直しをせよという作為義務を課すものであります。その内容がどういうものかというのは、今から全部見通すわけにはまいりませんけれども、やはり、きちっとそのときの状況を踏まえた実効性のある検討をしていただかなければいけないんだろうと思っております。

 それで、私どもも特会全体を見ているわけでございますので、それぞれ所管の省庁に対しまして、きちっと実効的な見直しをしていくように促していきたいと思っております。

大串委員 今からどのようにこの見直しを行っていくのかは今の段階では言えない、促していきたいという答えでございます。

 それは私にとってはやや残念でございまして、本来であれば、いろいろな知恵を尽くしていただいて、こういうふうな仕組みを今の段階から法案に盛り込んでおけば、必ずや、ゼロベースでもいいし、基本的には白紙に戻してでもいいし、一たんきれいに見直しが行われる、物すごくそこに力のある見直し条項になるということを期待していたわけでございます。それが検討という言葉だけだったことから若干ここは残念なわけでございますけれども、ぜひ大臣、五年ごとにこの見直しはしっかり行っていただきたい。そうでないと、この条文はほとんど死文に近くなってしまうんじゃないかというふうに思います。大臣、どうぞ。

谷垣国務大臣 この見直しにつきましては、今回の特別会計の原理といいますか原則と申しますか、先ほど委員にも若干触れていただきましたけれども、事業の必要性の減じた特会は廃止するんだ、それから、事業の必要性はあるけれども国が行う必要性の薄いものは民間にゆだねる、あるいは独法化していくんだ、それから、一般会計と経理区分する必要性の薄れたものは一般会計の事業とするんだ、こういうような幾つかの原則で今回やりまして、やはりこの見直しには、こういう今回の見直しの原則がかかってくると理解しなければいけないと思っております。

大串委員 その原則をぜひ実効性のあるものとして、確実に結果が出るものとして実行していただければというふうに思います。

 この二つが私が特別会計の改革の面で一番気になった点です。まとめて申しますと、一つは、統合というものが余りに多くて、本当に数が減ったということの実効性があるかという点。もう一つは、検討という文字が余りに多くて、これが実効性を最終的に担保するかという点。この点について再度述べさせていただいて、もう一つは、特別会計に関しまして財務面の質問もございます。

 その前に、この特別会計の見直しを恐らく考えられたより大きな政府全体の財政のお話、まずスターティングポイントとして、そちらの話をさせていただければというふうに思います。

 特別会計の改革などもしっかり考えていかなければならない、この点は、日本政府全体の、国と地方を合わせた財政の厳しさ、これがあると思います。その点について議論させていただきたいんですが、まずその前に一点指摘をさせていただければと思います。

 昨日、この委員会の場で、竹中大臣は桝屋委員からの質問を受けられて、プライマリーバランスが二十八兆円から十四兆円に二〇〇二年から二〇〇六年で減ったというお話をされたということで、もう一回、テレビの前ですからわかりやすく国民にお話しいただければということで御指摘を受けられて、竹中大臣はこういうふうにお話しされています。

 二〇〇二年にはこの数字は二十八兆円でございました。この数字というのは国と地方のプライマリーバランスです。二十八兆円の赤字でございました。それが今十四兆円の赤字に。この間、増税とか消費税の引き上げとかやっていないわけでございますけれども、まさに歳出の削減等々で、二十八兆あったものが十四兆まで下がってきているわけです、こうおっしゃいました。

 これに関して、事実関係の指摘としまして、増税とか消費税の引き上げとかやっていないわけでございますけれどもとおっしゃいましたけれども、定率減税の縮減というものが十七年、十八年と効果を持ち始めておりまして、数字的に申しますと、この二年間で二兆円ほどのいわゆる歳入を上げる効果を持っております。ですから、増税とか消費税の引き上げとかやっていないわけでございますけれどもという点については、やや事実関係と違いがあったのかなというふうに思っておりますので、その点について指摘をしておきたいと思います。もし御意見がありましたら、どうぞ。

竹中国務大臣 昨日、桝屋委員から突然御質問をいただいて、それで大枠だけ申し上げたわけでございますが、答弁はまさに今御指摘くださいましたように、この間、消費税引き上げとかやっていないわけですが歳出の削減等々でというふうに申し上げました。

 その趣旨は、プライマリーバランスの赤字が二十八兆から十四兆に縮減した、これは事実でございますけれども、消費税引き上げ等の明示的な増税がなかったということを申し上げたつもりでございます。もちろん、その間、毎年毎年、税制の改革は行われておりまして、それなりの増収措置というのはとられております。その点は私も認識をもちろんしているところでございます。あくまで、そういった消費税引き上げ等の明示的な増税がなかったという趣旨に御理解をいただきたいと思います。

大串委員 定率減税の縮減というのは明示的な増税ではないかもしれませんけれども、減税の縮減ということかもしれませんけれども、恐らく、国民一般の方々が受け取られている生活感は増税ということだろうと思います。ですから、そういう思いもあって指摘させていただいたわけでございます。

 そして、ここで議論を進めさせていただきたいと思いますけれども、経済財政諮問会議でも議論が進んでおります、六月に発表されるとされている歳出歳入一体改革に関しての議論でございます。これは非常に重要な議論だと思っています。

 今、地元を回っていても、皆さんから聞く端的な、非常に素朴な疑問は、ところで、長い目で見て日本の財政はもつんですか、この言葉一言です。これが今、一つ皆さんの心に非常にひっかかっていらっしゃる。これに対する答えが、私は、六月の歳出歳入一体改革で出される答えなんだろうというふうに思っております。

 そういう中で、竹中大臣にまずお尋ねしたいんです。

 竹中大臣は、この前提となる金利と成長率の関係ですけれども、これまで国会審議の場においても、過去の成長率と金利を見てみると成長率の方が日本において高かったということを繰り返しおっしゃっている。最近の諮問会議での議論においても、成長率をできるだけ高くするべきとか、あるいは、成長率と金利を並べてみると四%、四%が自分の立場に近いんだということもおっしゃっています。

 一つ、私、素朴にこれは大臣にお尋ねしたいんですけれども、私自身は、中長期的な財政の持続可能性を考える際には、金利や成長率の前提は保守的な前提を置くべきだというふうに思っています。

 以前に政府に勤めていたときに、IMFで何年も勤めました。そのときに、財政で破綻したいろいろな国がございました。ブラジル、アルゼンチン、ロシア、いろいろございました。そういう国の構造改革プログラムをつくる際に必ず置く前提は、やはりいわゆる市場のコンフィデンス、クレディビリティーをどうやって回復できるかという点が議論の肝でございまして、そういう点からすると、金利とか成長率の前提は、極めてとは申しませんけれども、基本的には保守的に、皆さんが見てなるほどなと思えるような前提を置くというのが、それ以外の議論は正直言って私の経験ではなかったわけでございます。

 そういう中で、恐らく、保守的な前提を置くということは大臣も岡田委員との予算委員会の場でもおっしゃっていますので、これは御認識なんだろうと思いますけれども、その上で、なぜ成長率をできるだけ高めるというような発言を繰り返しされて、そういうふうに考えていらっしゃるのか、その点について、なぜなのかということをぜひお尋ねさせていただければと思います。

伊吹委員長 この件は、将来の見通しにかかわるものでございますので、御質問の竹中総務大臣に答えていただいて、同時に、現在の担当の与謝野大臣に引き続き答えていただきます。

竹中国務大臣 大串委員もいろいろな財政の健全化の議論をこれまでしてこられて、私は、財政当局として、ないしは財政の運営に責任をとる立場として、保守的な前提で議論するというのは、その立場としては当然のことであるというふうに思います。したがって、財政審等々でそういう議論を今しておられますけれども、私は財政審の役割としてはそういうことだと思っております。

 しかし、私があえてそれでもいろいろ発言をさせていただいているのは、政府全体が果たしてそういう保守的な見方一色でよいか。社会全体がそういう一色でよいか。それについては、私は、やはり複数の見方を考えておく必要があるのではないか、その一点でございます。これは、最終的にはどこかで、責任を持って、責任ある立場の人が決めなければなりません。それは非常に大きな政治選択になると思います。その際に、やはりいろいろな選択肢を議論した上で、その上で責任を持って決めていくということが必要だと思います。

 あえてそのことを一つ申し上げておきますと、ちょっと極端な例で恐縮ですが、成長率で、金利のことは議論するとややこしくなりますので、一%成長か三%成長なのかというちょっと極端な例を議論させていただきますが、一%成長であるということを、これは非常に保守的で、それはそれで結構な前提なんですが、前提にしてすべての政策を行ってしまうとやはり高い増税が必要だ。ちょっと景気がよくなると金融の引き締めが必要だ。そういうアクションをとると、結局それは一%成長しか実現しないということになってしまう。潜在成長力がもう少し高くなる可能性があるときに、その芽を摘んでしまう可能性もあるわけでございます。

 その意味では、繰り返しますが、最終的には責任ある立場の政治決断はしっかりしなきゃいけませんが、それに至る過程としては、やはり複数の見方を用意しておいて、あらゆる角度から検討する必要がある。私自身は、期待成長率、高いという個人的な見解を持っておりますけれども、政府の中での議論としては、複数の議論をやはり当面しなければいけないのかなというふうに思っております。

与謝野国務大臣 長期金利は理論的にどう決まるかという実は大変アカデミックな議論を諮問会議でしていたわけでございますが、長期金利は、潜在成長力プラス期待インフレ率プラスリスクプレミアムだろう、これは学問的な話でございます。もう一つは、実績としての成長率と金利の関係、こういう問題も実は考えなければならない。

 これは、日本の場合は、一九八〇年前とそれ以降とは様相が違っておりまして、一九八〇年以降をとりますと、どうも名目金利の方が成長率より高いということがわかっておりますが、それでは最近数年のアメリカを見たらどうかといいますと、これは成長率の方が名目金利より高くなっているということで、この二つの関係の説明というのは実績等を見ましてもなかなかすっきりいかないわけでございます。

 そこで、成長率を考えるときどう考えるのかといいますと、やはり、日本の経済を確かなものにしよう、豊かな社会を維持しようというとき、政策目標としての成長率目標というのは、みんなの元気が出るように高目に置いた方がいいと私は思っております。ただ、国の家計である財政を計画するときには、プルーデンスという言葉がイギリスの財政を考えるときに使われているようですが、今先生が言われたように、やや控え目な、用心深い前提で物事を計算したらどうかという考え方も大変有力な考え方であると思いますが、諮問会議においては幾つかの組み合わせを計算して国民の議論に資することにしたい、そのように思っております。

大串委員 この金利と成長率の関係、財政の持続可能性をどこでとらえるかという問題もございますけれども、なかなかその定義は難しいというか、いろいろな理論があるわけですけれども、今の政府の中で進んでいる議論を見ると、債務残高のGDP比というふうなとらえ方がおおむねされているかのように思います。それが収束するか発散するかということだろうと思いますけれども、それは私おおむね間違いないんだろうというふうに思います。

 それはなぜかというと、最終的に重要なのは、私は、市場のコンフィデンスあるいはクレディビリティーをしっかり得られるものになるかというところが、日本の財政状況が危機的だということを考えると非常に重要なんだろうと思います。その点からすると、一般的に非常にわかりやすい指標として、債務残高のGDP比が収束するという点、これを考えるというのは非常に重要なんだろうというふうに思います。

 金利と成長率の関係は、その点において非常に重要な意味を持ってくる。ここでこれを保守的な想定を置くか、それとも期待を込めた想定を置くかという、非常にそこで重要な点が私は二つあろうかと思うんです。

 一つは、先ほど竹中大臣がおっしゃったように、金利、成長率、その置き方によって、成長率を高目に置くことによって、財政のその後の要調整額、我々もIMFでフィスカルアジャストメントと言っておりました、財政の要調整額、どれだけ財政を引き締めていかなければならないか、これは対GDP比で見て計測していくケースが多いわけですけれども、それが大きく変わってくる。先ほどおっしゃいましたように、成長率をどれだけ見るかによって、今後、財政をどれだけ引き締めなきゃならないかということが国民の皆様の目に大きく変わってくるわけですよね。成長率を高く持てば、ああ、これくらいでいいのかというふうに思われるし、低く見れば、こんなにやらなければならないのかというふうに変わってくる。つまり、実相を見る目が相当これで変わってくるわけでございます。

 私は、今の日本の財政の実態というのは非常にやはり厳しい状況だというふうに思っていまして、そういう観点からすると、先ほどおっしゃった成長率を高めるという期待を込めて政策運営を行っていくのはいいんですが、財政のベースラインを引くときには、国民の皆さんに、どれだけ財政がきついんだというベースラインに対するきっちりとした認識の目を持っていただかねばならないんじゃないかというふうに私思うわけです。それが一つ。

 もう一つは、先ほど申しました市場のコンフィデンスという点でございます。

 これから日本の財政が一番怖い状況になるとすると、よい金利上昇、悪い金利上昇という言葉も最近ちらほら出てきていますけれども、やはり金利上昇期に金利の上昇がアウト・オブ・コントロールになって、国債市場に非常な混乱が出てくるという点が非常に心配なわけでございます。

 これは、私、以前に銀行監督を自分でやっていた観点からしても、銀行がどういうふうな思いで、あるいは管理の手法で国債を持っているかという点、これを見てみても、私がIMFで経験したアジア通貨危機のときの、いわゆるヘッジファンドのポートフォリオマネジャーが持っていた行動準則と実は非常に似たリスク管理手法を今使っております。ですから、そういう点からしても非常に心配なわけです。

 ですから、市場のコンフィデンスを維持しておくという点が極めて重要だというふうに思う。その点からも保守的な見積もりが必要なんだと思うんですけれども、すなわち、これは、歳出歳入一体改革、六月に出てくるものの性質をどうとらえるかということだと思うんです。

 つまり、成長を期待する、そういう政府の意図表明のものにするのか、それとも、これをもって財政は大丈夫なんです、中長期的に大丈夫なんですというふうに国民に安心感を与えるためのものとして出すのか。その性格づけの違いによってスタンスが大きく変わってくるんだろうと思うんですけれども、私は、保守的な見積もりを置いた方がいいというふうに言っていることからもおわかりいただけるように、やはりこれは国民の皆さんに財政はこうすれば大丈夫なんですという安心を与えるための文書になるべきだと思うんです。

 この辺、ちょっときちっとした通告はしていなかったんですけれども、もし話の流れでお答えいただけるのであれば、与謝野大臣、竹中大臣、御意見をいただければと思います。

与謝野国務大臣 委員おっしゃるように、日本国政府あるいは政治が日本の財政規律を真剣に考えているというきちんとしたメッセージがいわば先生の言われる市場のコンフィデンスというものにつながるというのは、全く私は同感でございます。

 それともう一つ大事なのは、二〇一一年に仮にプライマリーバランスを達成できたとしても、発散型では困るわけでございまして、やはり水平飛行ないしは望むべくは収束型のプライマリーバランスの到達、これを我々は目指さなければならないと思っております。

 ただし、もう一つ考えなければならないのは、歳出削減をすることによって経済に対して過度の負荷をかけるということは、これは常に注意をしなければならないわけでございまして、その際に、成長政策と財政再建というものを両にらみでいく、このこともやはりこれから考えなければならないことであると思っております。

竹中国務大臣 今の与謝野大臣の御説明で私は尽きていると思います。コンフィデンス、重要でございます。しかし、コンフィデンスを得るためには、そのベースラインの見積もりだけではなくて、やはり国債管理政策、さまざまな、総合的な立場からの対応が必要だというふうに思っております。基本的な考え方は、与謝野大臣がお述べになったとおりだと思っております。

大串委員 金利と成長率との関係、それとの絡みで、先ほどもう一つの論点、歳出削減を重視するのか、歳入の増加策を重視するのかという論点もあろうかと思います。

 これはリンクするわけですけれども、先ほど申しましたように、金利、成長率、保守的な前提を置くと、財政の要調整額が非常に大きく出てきてしまう。そうしたときに、その大きく出てきた要調整額をどういう手法でどういうふうな、歳出策でいくのか歳入策でいくのか、管理していくのかという問題になろうかと思います。

 この点につきましては、これは諮問会議でも議論が出ておりましたけれども、国際的な論文もあって、過去の先進国の事例もかなり分析されています。アレシナさんという方が幾つもの文献を出されて分析されていまして、私も有名な論文でたくさん読みましたけれども、やはり歳出策をしっかりやった上で、それでどうしようもなければ歳入策を考えるというのが、国際的な大体のコンセンサスなんだろうというふうに思います。

 先ほど話のありました、保守的な見積もりをした場合には要調整額が多くなってどうしても消費税という議論になってしまうということを考えるのであれば、例えばこの歳出歳入、この策を考える際に、私も今きちっとした案があるわけではございませんけれども、何がしかの財政ルール、日本は財政ルールというのは非常に少ない国と国際的に比べて言われておりまして、財政ルールを考えて、歳出削減がきっちり行われることを前提に歳入策が考えられる、あるいは検討される、導入できるような仕組みをきちっと考えることによってその面の心配はなくすようなことができるんじゃないかというふうに思うわけでございます。

 こういうふうにやった例もほかの国ではありますし、この点について、この財政ルールを入れて考えるべきじゃないかという点について、これは財務大臣と与謝野大臣に御意見いただければというふうに思います。

谷垣国務大臣 何らかの財政ルールをどうしていくかということは私どもも考えていかなければならないと思うんですが、しかし、その前提に、例えば社会保障をどうしていくのか、あるいは国と地方の関係をどうしていくのか等々の問題は一片のルールではなかなか片づけられないところがございまして、要するに、それらの政策をどういうふうにしていくかという議論があわせてなければ、ごくわずかの削減で済むならそれでいきますけれども、かなり思い切った削減が必要だということになりますと、どうしてもあわせた議論が必要なんだろうと思います。

 したがいまして、何らかのルールのもとで行動したいという気持ちもあるんですが、今それをどういうものにしていくかということについては、相当個別の政策をきちっと議論した上で答えを出さなければいけないのかと思っております。

大串委員 最後に官房長官にお尋ねさせてください。

 今、金利と成長率の話を議論しました。それから、歳出削減でいくのか歳入でいくのかという話もしました。この点について、政府を代表して、官房長官はどういうふうなお考えをお持ちか、教えていただければと思います。

安倍国務大臣 先ほど来、歳出歳入の一体改革、六月までに取りまとめを行うわけでありますが、その考え方についてはもう既に答弁をさせていただいているとおりでありますが、財政再建に向けての政府としての意思、そしてロードマップをお見せする、そして、国民の皆さんに対して、日本の財政規律はしっかりとしているということに対して安心感を持っていただきたい、このように思います。そして、それと同時に、今後、日本がしっかりと経済成長していくんだ、実質経済成長、潜在成長率を上げていくという努力もちゃんとしていくということも私たちはお見せをしていきたい、こう考えています。

 そして、基本的には、まず、この行革推進法の中でも御議論をいただいているように、我々は無駄をしっかりと省いていく、歳出をしっかりと切り詰めていく、そして国民の皆様の御理解をいただく、そしてさらには、経済成長をしていく中にあって自然増収も図っていく。しかし、その上で、これからも伸びていく社会保障費がございます。二〇〇九年には基礎年金の国庫負担分を三分の一から二分の一に上げていかなければいけない、あるいはまた、さらなる思い切った少子化対策が必要かもしれない。そういう中で、これは例えば消費税によるかどうかということも含めて御議論もいただかなければいけない。その中で、税体系はどうか、こういう議論も当然考えていくわけでありますが、まずは私たちは国民の皆様にしっかりと御理解をいただくためにも歳出削減について全力を挙げていきたい、こう考えているところであります。

大串委員 財政の安心感が与えられるように、ぜひよろしくお願いいたします。

 以上です。終わります。

伊吹委員長 これにて大串君の質疑は終了いたしました。

 本日は本会議がございますので、午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

伊吹委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りをいたします。

 各案審査のため、政府参考人として内閣府政策統括官高橋進君、消防庁次長大石利雄君、法務省大臣官房審議官深山卓也君、財務省大臣官房審議官佐々木豊成君、財務省主計局次長鈴木正規君、財務省理財局次長日野康臣君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長北井久美子君、厚生労働省社会・援護局長中村秀一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 質疑を続行いたします。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。

 これから一時間五分をいただきまして、公益法人改革につきまして質問をさせていただきます。

 私は、公益法人を含む非営利法人のことにつきまして、十六年間、いろいろ研究し、提言し、また行動してまいりました。また、民法三十四条、後ほど法務大臣にもお聞きしますが、民法三十四条改正につきましても、国会の日本新党時代、日本新党のスタッフのときに民法三十四条改正を初めて国会に申し上げた、まだ当時は議員じゃありませんでしたが、スタッフとして代表質問で申し上げさせていただいたことがありまして、そういう立場から、きょう質問をさせていただきたいと存じます。

 まず、公益法人は、実は先日お聞きしたこともありますけれども、公益法人は民に属するものでしょうか、官に属するものでしょうか、きょう御出席いただいている六人の大臣の皆さん、お一人ずつお答えいただきたいと思います。

中馬国務大臣 公益法人そのものは、これからは民になっていきます。

谷垣国務大臣 民法三十四条、今まで決められていた公益法人は、民法に書いてありますから、あくまで民ということで出発したはずでございます。

安倍国務大臣 既に財務大臣が答弁したとおりであります。

竹中国務大臣 民でございます。

杉浦国務大臣 竹中先生のおっしゃったとおりでございます。

猪口国務大臣 民法規定に基づきまして、民であると考えます。また、行政でも企業でもなく、第三の主体というふうに位置づけております。

市村委員 ありがとうございます。

 一つ、中馬大臣だけこれからは民というのはどういう意味でしょうか、お答えいただけますでしょうか。

中馬国務大臣 これは、この間、内閣委員会でしたか、委員からの御質問ではっきり民ですと言いました。しかし、あのときの御質問の向きがありましたから、これから、より官の関与もなくなってくるわけですから、これからはより民の立場が強くなってくるという意味で、今、これからはと申し上げました。

市村委員 今、大臣のお言葉の中で官の関与というものについて言及がありましたが、どのような構造で民のものに対して官の関与があったんでしょうか。

中馬国務大臣 明治二十九年のこの規定以来、民法に規定されておりますが、ともかく、公益法人を認定する場合に、それぞれの所管官庁が受け付けて審査をして、場合によっては基金等も積ませて、そしてまたその後もずっとこれを指導監督いたしておりました。そういう意味で、かなり官の指導のもとの公益法人だったということを申し上げています。

市村委員 大変素直にお認めいただいて、まさに官の指導のもとの公益法人ということだったわけですね。これを今回変えていこうということだと思います。

 さて、財務省の方からきょうは谷垣大臣にも来ていただいていますけれども、一方で、もともとこの公益法人改革が出てきたスタートの段階で、財務省の中に税制調査会の基礎問題小委員会がありまして、その中で、「新たな非営利法人に関する課税及び寄附金税制についての基本的考え方」という資料がありますが、平成十七年六月十七日ですけれども、この公益法人改革のスタートというのは、新たな非営利法人をつくるということだったと私は認識しながらこれまで議論をしてまいりましたが、財務大臣、この認識で正しいでしょうか。

谷垣国務大臣 新たなとおっしゃいましたか。(市村委員「はい、新たな非営利法人に関する課税及び……」と呼ぶ)ちょっと私、今頭がよく整理されておりませんけれども、民法三十四条に規定された公益法人制度を変えようという中で何をしていくかという問題の整理ではなかったかと思います。

市村委員 もちろんそれもあったんだと思いますし、あってほしかったと思いますし、あったんでしょう。

 ただ、財務省が出している資料だけじゃなくて、私も内閣委員会でこれまで議論を進めてきましたが、まさにこの「新たな非営利法人に関する課税及び寄附金税制についての基本的考え方」概要にありますように、これに大変いいことが書いてあるんです。だから、すばらしいと私は思って、これまで政府の動きを評価してきた部分も多々あります。少子高齢化の進展、右肩上がりの経済の終えん、社会の多様化の進行といった構造変化が進む中、きめ細かな社会ニーズに対応し得る柔軟で厚みのある社会システムを再構築し、民間が担う公共の領域を拡充していくことが重要であるという、まさにすばらしい考え方に基づいてこの公益法人改革の議論が進められたという認識を私はしていますが、この私の認識は正しいんでしょうか。もう一度、財務大臣、お願いします。

谷垣国務大臣 公益性を有する非営利法人というものをもう少し推し進めていこうということだったのではないかと思います。

 私の認識を申しますと、もともと近代法で結社の自由というものが大変みずみずしいものであったと思うんですね。そういうものをもう一回発揮させようというような議論が背景にあったのではないか、私個人はそういう整理をしております。

市村委員 いや、実はなぜ冒頭にこういう質問をしているかと申し上げますと、結局、今回の公益法人の目的というのは何なのかが私は見えなくなってしまっているんです。

 そのような新しい社会のシステムを再構築する、民間が担う公共の領域を拡充する、まさに私が十六年間追い求めてきたことがここに書いてあるんです。だから、この方向で公益法人改革は進められているものと思っていたんですが、そうじゃないんでしょうか。官房長官、いかがでしょうか。そうじゃないんでしょうか。

伊吹委員長 市村委員に申し上げますが、多分、今の、主税局の出したそのペーパーは、公益性に着目をして税の優遇を与えるためのペーパーじゃないんですか。だから、質問を少し絞って。税のお話として、公益性の認定をした上で税の恩典を与えるかどうかということで出しているペーパーだと思いますので。趣旨をよく財務大臣に伝えていただけますか。

市村委員 今の委員長のお言葉でありますが、これは極めて重要なことなんです。この公益法人改革の目的は一体何なのかというところが、つまり、法を設立するための、法の目的、法哲学が一体何なのかということが私はわからなくなったから率直にお聞きをしているんです。

 それで、ここは行革推進特別委員会です、実は、我が党、民主党の方からこの公益法人改革は行革にはなじまないと、行革ではなくてまさに民である公益法人ですから。民間が担う公共をつくる主体として公益法人というものはとらえ、そしてその公益法人改革をするんだから、どうして行革なんですかということで、我が党から、この法律はこの行革推進特別委員会から引き離して、内閣委員会なり、関連があると思われる委員会でやるべきだと私は思っているんです。にもかかわらず、なぜ行革なのか。ここがわからないので、私は、まず目的をはっきりさせていただきたいということで、この質問をさせていただいています。

伊吹委員長 わかりました。

 私から申し上げます。よく質問の趣旨を理解して、そして、公でできるものを民に任せるという役割がここにあるのかどうなのか、それが行革委員会のテーマにそぐうのかどうなのかという観点から答弁をしてください。

 官房長官。

安倍国務大臣 現行の公益法人制度そのものは明治二十九年に創設をされまして、基本的にはこれはほとんど変わっていない、大変古いものでございます。そして、その基本的な考え方としては、いわゆる公益については基本的に官が担うものとの思想に基づいておりまして、官が許可したもののみが公益を担うことになっております。

 そして、今回の改正において、それを抜本的に変えていくということでございまして、今回の公益法人改革は、まさにこの考え方を変えて、裁量制に基づく官の許可権限を廃止するものであるということでございまして、つまり、民間が公益を担う、そこでいわゆる民間のみずみずしい力を公のために生かしてもらう、これは基本的に民間の意思によってやっていくということにするわけでありますが、それを行っていくためには官の側の改革が必要になってくるということでございまして、行政改革の一環として位置づけられているものでございます。

 また、今回の公益法人改革は、簡素で効率的な政府を実現するために民が公を担うための環境整備でもあり、行革推進法案第六十六条にはこのことを的確に規定しているものというふうに考えています。

 委員御指摘のように、公益法人改革は、それ自体は民の領域にある公益法人を改革するものであるわけでありますが、政府としては、行政改革との関連がある、このように認識をしているところでございます。

市村委員 今の官房長官のお答えは、御自分のお言葉もあり、ちょっと原稿を読まれた部分もあって、何となくわかるようで実はわからない、最後のところで。やはり何で行革なのかというところがですね。

 私も何度もこのことについては内閣委員会でも質問していますが、何で民の領域である公益法人の改革が行革になるのか、行政の改革に入るのか。だって、官の世界じゃないわけですよね。民の世界の話なのに、何で民の世界のことが官の世界である行革に入るのか。これがやはり私わからないんです、何度お聞きしても。

 もう一度、私にわかるように説明していただけませんでしょうか。

安倍国務大臣 小泉総理が構造改革を進めるに当たって最初に宣言したことは、民間にできることは民間にお願いをするということであります。つまり、公益を担うのは、本来、官が基本的に民に許可を与えてやらせていたという今までの仕組み、つまり、官が基本的に民に許可を与えて、その民が公益を担う仕事をしている、これを根本的に改めて、もうそういうことはしません、民は民にしていきますよと。これはまさに私たちが進めている行政改革の一環である、このように考えているところであります。

市村委員 改めてお聞きしますが、もともと民の世界の領域だったものが官の世界の領域に入ってしまったと官房長官はお考えですか。もともと公益法人は、民と皆さんおっしゃいました。では、なぜ官の世界にこの公益法人が入ってしまったのか、なぜ行革なのかについてもう一度その根拠となることをお示しいただきたいと思います。

安倍国務大臣 先ほど冒頭でお答えをいたしましたように、公益法人制度自体は明治二十九年に創設をされている。そして、そのときの思想によって、公益は官が担うという思想が根底にあった。その思想の中で、官が許可した者のみが公益を担っていく。つまり、ここで許可を行うというところによって、基本的に民でありながらも官が深く関与し影響を与えるということになったのではないか。その考え方を今回は根本的に改めていくということではないか、このように思います。

市村委員 なぜこうなったかということについて私なりに思っていることを申し上げますと、後ほども議論したいと思いますが、今、残念ながら民法三十四条ということを的確におっしゃっていただけなかったので、官房長官の口から民法三十四条なんだというふうにぜひともおっしゃっていただきたかったなと思っていますが、民法三十四条の世界だったと私は思っています。

 では、民法三十四条に一体何が書かれてあるか、まあ、今回変わるわけですけれども。ありていといいますか、かいつまんで申し上げますと、この国で公益活動、公益事業を法人格をとってやりたいならばお上の許可を得なさいということが書いてあったのが民法三十四条でありました。しかも、許可というのは、原則禁止であって、いわゆる主務官庁という名のお上がいいと言ったらそれでいいというのが民法三十四条の趣旨であったわけですね。

 まさに、だからこそ、先ほどから中馬大臣にもお答えいただいているように、それが結局官僚がこの民法三十四条をある意味では悪用したと私は思います。本来であれば、そういう趣旨じゃなかったんです。ところが、自分たちはオーケーなんですね、主務官庁がオーケーと言えばオーケーなんですから、どんどんどんどん公益法人をつくっていった。そこに予算を流していった。今の中では独法を通じて流している場合もある。そして、公益法人というものを官の世界に。本来であれば、きょう冒頭で全員からおっしゃっていただいたように、民の世界のものなんです。民法に書かれていますから。民の世界のものが、民法三十四条によって実は官の世界に引き込まれていったという過程があった。それを今回いよいよ変えていく。これは、私は今回の政府を高く評価しています、この民法三十四条を変えるということを高く評価しています。

 そのことについては私は高く評価をしているんですが、しかし、先ほど官房長官が言及いただきました今回の行革推進法の改正案の六十六条を見ますと、そしてまた、先ほど財務大臣にお聞きしました、すばらしい志の言及とは裏腹に、これに書かれていることは、第六十六条公益法人制度改革で言えば、行政改革の実現には、政府及び地方公共団体の事務及び事業をこれらの法律による法人、いわゆる一般財団とか一般社団にゆだねる方策を検討する。これが今回の公益法人改革の目的なんでしょうか。

 今まさに財務大臣、官房長官、中馬大臣におっしゃっていただいた志と、この行革推進法六十六条に書かれている志は私は明らかに違うと思うんですが、中馬大臣、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 先ほどから今回の行革法に公益法人が取り上げられたことはおかしいというお話でございますが、民主党の市村先生がそうおっしゃるのは少し奇異に感じます。

 明治二十九年につくられたときは、少なくとも民主主義じゃないんですよね。国家社会主義的な、中央集権的に民を統制し従わせる、そして、民を使って一つの国家的な目的でいろいろな事業をやっていくという、その一つの形じゃないですか。

 今回は、そうではなくて、それぞれ主管官庁があって、そこに一々届け出を出して許可を得て、しかもお金まで積んで、それでなかったらこうした活動ができないというのは決して民主的ではない、それを大幅に変えるのが今回の行政改革そのものだと私は認識いたしております。それに沿った形のこの法律にしているわけでございますから、そういう意味で御理解いただけるんじゃないでしょうか。

市村委員 まさに中馬大臣が今おっしゃったことこそが、私も申し上げたいことなんです。ただ、中馬大臣、もう一度この行革推進法の六十六条を読んでください。つまり、この目的、今回の公益法人制度改革の目的を読んでください。「政府及び地方公共団体の事務及び事業をこれらの法律による法人」、いわゆる今回の法律ですよ、「にゆだねる方策を」、つまり、今回の目的は、政府及び地方公共団体の事務及び事業をこれらの法人にゆだねるということが目的として書かれているんです、ここに。それが目的として書かれているんですね。

 だから、先ほどから申し上げるように、官房長官やほかの大臣、皆さんがお答えいただいていることと違うと私は申し上げています。つまり、政府の事務をこの新しい法人にゆだねるということが書いてあるわけです。ゆだねると書いてあるわけです。それが今回の目的なんでしょうか。

 そして、あわせてお聞きしたいんですけれども、この六十六条は、一体、官僚がつくった条文なんですか、それとも政治家から官の世界に今行っていただいている皆さんが意見を出してつくった六十六条なんでしょうか。私は政治家の方がつくったらこうならないと思うんですけれども、どうでしょうか。

    〔委員長退席、今津委員長代理着席〕

安倍国務大臣 こうした法案の作成に当たっては、その法案の作成の過程に当たっていろいろな議論が行われます。当然、今議院内閣制でありますから、我々内閣に入っている議員が基本的には主導し、最終的な責任を負うものであります。その間、与党との法案の議論もあるわけでありまして、そういう意味では、基本的には政治主導で現在は法案は作成されている。ただ、条文の、逐条的には、もちろん、いわゆる役所の方々が法案を作成していくということもあるんですが、要旨その他については、要綱については、基本的に政治が主導しているということを申し上げてもいいのではないか、このように思います。

市村委員 それでは、官房長官、官房長官もこの六十六条に書かれていることはこれでよろしいという認識でいらっしゃいますか。目的はこれでいいと。また、中馬大臣にもお聞きしたいと思います。

安倍国務大臣 そもそも、これでよくなければ私も中馬大臣もこの国会に提出をしていないということであります。

中馬国務大臣 同じでございます。

市村委員 いや、それならば、先ほどから高い志でお話をしていただいていた内容とこの目的は、やはり違うと私はどう考えても思うんですが、いかがでしょうか。違うと思いますよ。

 だって、先ほどの、まさに民間の公共をつくろうという、新しい社会システムを構築しようという大きな志と、政府及び地方公共団体の事務及び事業をこれらの法律による法人にゆだねる方策を検討するというのとは、全く違うと私は思いますけれども、どうですか、私の認識は間違っていますでしょうか。中馬大臣、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 私は、市村議員の方がこの解釈をそういう形で解釈されるのがわかりません。私はこれでいいと思っています。

市村委員 これでいいとはっきりおっしゃられても、本当にそう思われますか。

 先ほどから大臣や官房長官がおっしゃっている、また谷垣大臣がおっしゃっていることが本当に、この法律の目的は国の政府や地方公共団体の事務及び事業をゆだねるということなんですよ。すなわち、民間の新しい創意工夫を求めていこうではなくて、今ある国や地方公共団体の事務及び事業を新しい法人にゆだねるということですよ。だから、その意味では行革なんです。だから行革なんだろうと思いますけれども。

 しかし、先ほど冒頭で私がお聞きした、政府はすばらしい志を持っているというのと一体これはどう関連してくるのか。これは、公益法人改革といいますか、もともと新たな非営利法人法をつくろうというのとは違うと私は認識すればよろしいんでしょうか。つまり、新しい非営利法人体系をつくろうという流れとは全然違うものがここにあるというふうに私は認識すればいいんでしょうか。どうでしょうか、官房長官。

安倍国務大臣 ただいま委員は、六十六条の、「政府及び地方公共団体の事務及び事業をこれらの法律による法人にゆだねる方策を検討し、」というふうに書いてあります、そして、「その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。」ここを読まれたわけでありますが、この前段に、「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の実現には、営利を目的としない民間の団体による公益的活動の発展を推進することが重要であることにかんがみ、」このように書いてあるわけでございまして、我々の目的であります、行政改革を行って簡素で効率的な政府をつくって、民にしっかりとこの公益を、まさにみずみずしい活力を活用していただいて担っていただくという趣旨のことが書いてあるわけでありまして、これを総合的にあわせていけば、先ほど来私どもが答弁している趣旨に沿うのではないか、このように思います。

市村委員 どうしてもこれを行革でやりたいということのあらわれだというふうに思うんですが、そこのところが私は本当に何であえて行革でいうのか。

 というのも、もともと、これは官の世界に行ってしまったこと自体が、それは先ほど申し上げた民法三十四条の問題があって、それ自体が問題なんですね。(発言する者あり)わかりやすいですか、そうですか。民法三十四条の世界というものがあったときのものをどうするかという話を進めていくと、それも一方でありながら、しかし、もっと積極的な意味を込めて、民間の公共、民間の公、民の公というものをどうつくっていくかというところからこの話はスタートしなくちゃならなかった。いや、実はスタートしているんですよ。しているんですよ、政府は。していて、どうして結果として出てきたものが行革になるのか。どうしてなんですか、これは。もっと大きな意味で、民間の公をつくるという観点から、この発想でやられるべきじゃないんでしょうか、これは。

中馬国務大臣 何度も申し上げますけれども、市村委員は、もう少しこうした形でどんどんと、かねておっしゃっているNPOも含めて、民が大いに活躍していって、自分たちのことは自律した形で責任を持ってやっていこうというお気持ちでございましょう。そうしたら、これはまさにそうですがね。その形に持っていくわけで、条文がどうだという話よりもそちらの目的に御賛同いただけるのであれば、ここの解釈の仕方は私は逆におかしくなってくるんじゃないかと思います。

 官の関与から外して、主務官庁が、今おっしゃっていただきましたように、天下り先にも使っているといったようなことまでも、今回これがなくなるわけでございまして、しかも、それも第三者の有識者がちゃんとした形でこれを認定した形でなかったら公益性は担保されないわけでございますし、また一方で、今までのような、主務官庁に対していろいろ許可証、認可証の手続を出さなくても、株式会社の登録と同じように簡単に一般社団法人、財団法人はできるわけで、その方々がどんどん、今まで官がやっておったようなことまでも含めて民がその責任を担ってもらうことの方が私は大事だと思います。それが一番今回の行政改革の目的に沿っている。行政改革のこの法案の中に入っていない方がおかしいと思いますよ。

市村委員 それでは確認させていただきますが、今の政府としては、これまで民法三十四条に基づく公益法人というものは、本来民であるべきだったにもかかわらず官の世界というものに取り込まれたと、そして、それが余りいい意味で活用されていなかったという認識を持って今回の公益法人改革を行うということで確認させていただいてよろしいでしょうか。官房長官、お願いします。

安倍国務大臣 これは、最初に申し上げましたように、もともとの明治二十九年にできた制度の基本思想を変えていく、つまり、官が許可したもののみが公益法人になっていくというこの考え方を変えていく。本来、これは民間である公益法人がしっかりと民間の活力を生かして、公益のために活動していくという姿にしっかりと変えていくということではないか、このように思います。基本的に、この問題を専門にずっと研究をしてこられ、また活動してこられた委員の目指すべき方向性とは我々は全く同じ方向性を見ておりまして、同じ結果を出そうとしている、こういうことではないか。

 そこで、では、なぜこの行革の中でやるかというところのみが違うわけでありますが、結果をお互いに協力をして出していきたい、こんなふうに思っております。

市村委員 わかりました。確認させていただきました。ありがとうございます。

 それでは、まさにそういった思いを持ってやられているということであれば、一番重要なことは実は税制であります。済みません、谷垣大臣。

 実は、この税制がこの秋からの議論になるんですね。私は、本来であれば税制からまず議論すべきだと思っています。税がつくる社会というものがありまして、やはり税の優遇措置等々を検討することによって新しい社会の仕組みをつくる、先ほど私が引用させていただきました財務省の資料がまさに意図するところが重要なわけですね。本来であれば税の世界から議論していくことが重要だと思います。ところが、この公益法人改革の法律は、税のことが全く触れられないまま今実は議論をせざるを得ない状況に至っています。

 さて、谷垣大臣、そして地方税については竹中大臣、この新しい社会に向けて、新しい社会システムの再構築に向けて、民間が担う公共の領域を拡充していくためには、国税の立場から、また地方税の立場から、一体どのような方策を模索しようとされているのか。

 一つ具体的にお聞きしますが、例えば寄附税制について、今日本では千ぐらいしかありません。私たちが寄附をして、それを個人においては所得控除、企業、団体においては損金算入できる組織は千ぐらいしかありません。片や、アメリカという国は百万団体以上あると言われています。彼我の差があります。さて、これからそうした寄附優遇を持った団体を少しふやしていくのか、もっとふやしていくのか、飛躍的にふやしていくのか、どのような志をお持ちでしょうか、そのこともあわせてお聞きしたいと思います。

谷垣国務大臣 市村さんの問題意識と重なっている部分と重ならない部分が私どもの態度の中にはあるような気がするんです。

 それで、確かに税が、いろいろな物事が動いていくときに後押しをしたり誘導をしたりするということはあると思いますし、私もそれを否定するものではありません。ただ、私は、税がつくっていくというよりも、やはり、どういう仕組み、制度があって、それをどう動かすために税が要るんだという、私どもの作業はどちらかというと、そういう作業をしてきたんじゃないかと思っております。

 したがいまして、今度の行革の重要方針、去年の暮れに決まったものの中にも、公益法人制度改革関連法案の具体的内容を踏まえて、新しい制度が平成二十年度中に動き出すわけですが、それまでに、施行までの間に税制を講じようと。それは、この新しい制度が動くときには税制もそれに合わせていこう。ただ、そのためには、その中核となる新しい公益法人制度がどのような制度設計がされるのか、それを見きわめてやっていこうという考え方をとってやっているわけであります。

竹中国務大臣 基本的な考え方は、今財務大臣がお話しされたとおりであると思っております。

 地方税の取り扱いについても、これは新制度移行、これは平成二十年度施行予定でございますので、それまでに税制上の措置を講ずる、どういうことをやるべきかということを詰めていくということになろうかと思います。

 基本的に、税が重要である、民間非営利の活動を広げるためには税が重要であるという認識は持っております。しかし同時に、これは税体系全体の整合性の中で議論をしていかなけりゃいけない問題でございますので、今財務大臣がおっしゃったような点を考慮しながら、しかるべき時期までにしっかりと議論をしていくということであると思っております。

市村委員 税が公平であり、簡素であり、中立であるべきだということはよく言われることです。ただ、今は、小泉政権というのはいわゆる規制緩和をうたっています。一つ思い浮かべるのが、あのレーガノミックスという、レーガンさんがアメリカの規制緩和を徹底的に進めました。実は、日本でいう租税特別措置法とかいうものですね、いわゆる税の優遇に関してはあのときほとんど撤廃したと言われていますが、唯一例外があるんです。唯一の例外が、実はNPOに対する税制なんです。これは強化したんです、特別に。特に寄附、寄附税制については強化しているんですね。

 なぜか。やはり、政府が小さくなっていく、政府が提供する財・サービスがだんだん小さくなっていく。政府ができなくなったものが、もう政府ができなくなったからそれでおしまい、もうだれもやらなくていいよというのじゃ済まないんですね。済まないんです。政府ができなくなった分、だれかがやらなくちゃならない部分もあるんです。もちろん、やらなくていい部分もあるでしょう。しかし、だれかがやらなくちゃいけない部分が出てきます、これは。それが民の公の分野、つまり、NPOが担うべき分野なんです。だから、そこについては、そこにお金が集まりやすいように税の優遇についてはむしろ強化をしているんですね、そこだけは。

 ですから、谷垣大臣や竹中大臣がおっしゃること、税というのは公平、中立、簡素でなくちゃならない、これは私も重々認識しています。中立性。ただ、このNPOに関する、特に非営利法人の世界に対する税制というのは、それは別であってもいい、別に考えてもいいと私は思っていまして、むしろ、この世界こそ税が誘導して新しい社会をつくると。本来ならば中立でなくちゃいけないけれども、この分野にだけは税が誘導して新しい社会の仕組みをつくっていく、新しい社会のシステムをつくっていくということが求められる分野ではないかと私は思っていますが、谷垣大臣、竹中大臣、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 委員のおっしゃっていることの大きな流れと、私が考えていることとはそんな違いがあるわけじゃないんですね。

 先ほどからの御議論ですが、何で行革の中でこれなんだという御疑問を先ほどから述べておられましたけれども、やはりできるだけ簡素で効率的なものをやっていく、民でできることは民でやろう、そういう形でスリムな行政をつくろうと行政改革をやれば、当然、今まで行政がやっていた、公がやっていた、公という言葉が適切かどうか、官がやっていたというものにすき間が出てまいりますから、そこはやはり民がパブリックを担うんだという気持ちでやっていただかなきゃいけない。そのために、今までの民法三十四条も変えて、公益法人制度をもっと柔軟な、そういう今の社会の流れにふさわしいものにしていこうということで今度こういう改革ができるわけですね。

 それで、その制度設計を見ながら税を考えていこうと。それは何も、税のバックアップを全然しないぞという意味ではありません。今さら繰り返す必要もありませんけれども、今までの一般的禁止を官が解除してあげるよという仕組みであった、許可をするよと。それを、第三者機関が公益性ありと認定したものは法人として認めようじゃないかというふうになった。税制もそれに合わせてやっていこうという基本的な考え方ですよね。

 それで、政府税調で昨年六月に基本的考え方を出させていただいたわけですが、そこでも寄附文化をはぐくんでいくためのインフラ整備に積極的に寄与するという視点に立って寄附金税制を構築していくことが重要であるというふうに指摘されているわけでございまして、その順序は委員は税が先だという御認識をお持ちのようですけれども、全体的なそういう民の力を十分に使ってパブリックを支えていこうという流れをつくろう、仕組みをつくろうという点では、私は矛盾はないものだと思っております。

竹中国務大臣 市村委員の御指摘は、これは、日本の場合、そういう寄附文化というのが十分に醸成されていないから、一種のアファーマティブアクションのようなつもりで積極的にやるべきではないか、そういう御提言だと思います。そういう声が広くあるということは私も承知をしております。

 ただ、ここはなかなか難しい問題で、まさに民の自由な、多元的な価値に任せることにこそ民間非営利の意味があるんだということを考えますと、政府が、アファーマティブアクションというのも一つの価値でありますから、そういうものに対して余り踏み込むことはいかがかという意見も片方であります。そうでないと、中立性を損ねて資源の配分をゆがめる。そこは当面は、今財務大臣がおっしゃいましたように、一般的に言えば、寄附文化をさらに広めるためのそういう措置は私は必要だというふうに思っております。

 だからこそ、先ほど申し上げましたように、税体系を大きくゆがめない形で何ができるかということを平成二十年までにしっかりと考えていきたいというふうに思っております。

市村委員 もう一度、さっき実は明確にお答えいただけなかったので。

 では、寄附をしたときの優遇措置を持った団体を圧倒的にふやしていく方向性だけ教えていただきたいんです。そう思っていたのか思っていないのかでは全然違いますので。どうでしょうか。

谷垣国務大臣 それは、第三者機関がどういう姿勢で認定をされて新しい法人が出てくるかということにもよると思いますが、基本的に、そういうところでお認めになったものに対してはやはり税制というものも考えていきましょうという流れですから、私は、これは税制を優遇する対象がふえていく、それは当然そういう方向だろうと思っています。

竹中国務大臣 日本の所得水準の高さ等々と、にもかかわらず寄附文化が必ずしも定着していないということを考えますと、長期的な方向としては、私もこういう形での活動というのはふえていただきたいと思うし、その範囲でやはり政府として対応すべきことを考えていかなければいけないというふうに思っております。

市村委員 税については、また別途の機会をこの委員会でとらせていただいて、改めて議論をさせていただきたいと思いますので、またそのときにいろいろと細かい議論をさせてください。

 それで、きょうは法務大臣にもいらっしゃっていただいていますが、先ほど民法三十四条の話が出ました。そして、民法三十四条が今度いよいよ変わる、これはすばらしい画期的なことだと思います。これは高く高く評価されてしかるべきだと思います。

 ところが、その改正案というのが、私の手元にあるんですが、今度は三十三条二項にこういうことが書いてあるんですけれども、この改正案が実に私は情けないというか残念というか、中途半端な思いがあるんです。

 三十三条二項、「学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。」と書いてありますが、そこでは非営利法人の体系をつくろうというのが、政府の、特に先ほど委員長から御指摘のありました財務省の資料の中に出てくるんですが、非営利法人は一体どこにあるんでしょうか。大臣、お願いします。

杉浦国務大臣 今度の改革、いわば大幅な規制改革ですが、それによりまして、今回の民法の改正案では公益法人の設立及び組織等に関する規定がすべて削除されました。もうごっそりと条文に穴があきまして、条文を詰めたらどうかと言ったら、民法七百八条とかそういうのが移るんで、まあ仕方がないからあけておくということなんですが、二十何条ですか、穴があいたわけであります。

 公益法人については、新しい法律で準則主義、商法等と同じですね、自由に設立できる。自由設立ではありませんが、許可制ではない公益法人が設立される。公益性の認定はまた別途やるという法律ができておりますが、そういう新しい法体系になるということに伴いまして、ここでは法人一般に関する規定だけを残すことにしたわけでございます。

 御指摘の民法三十三条二項では、すべての法人、会社法に基づく株式会社等、すべての法人に共通する原則として、法人の設立、組織、運営及び管理については個々の法人設立根拠法の定めるところによる旨を明らかにしたわけであります。株式会社等でしたら商法、宗教法人でしたら宗教法人法等々でございます。たくさんございます。

 このような趣旨に基づきまして、現行の民法三十四条に規定されている公益を目的とする法人、現在の民法に書いてありますから、祭祀、宗教とかいろいろございます、そのほかの法人の類型としては営利事業を営むことを目的とする法人が代表的な法人類型でございます。法人にはこのようなものがあるということを基本法である民法典において示すのが望ましいという理由から、これらの類型をその他の法人と並べて例示して掲げることにしたわけでございます。

 先生が非営利法人にこだわられるお気持ちはよく理解できますが、別に他意があったわけではございません。

市村委員 他意がなくても、民法は民法ですので、民法は、やはりすっきりと、それこそ公平、中立であってほしいと私は思います。

 では、大臣、非営利法人と公益法人というのは概念的にどういう整理をされていますでしょうか。

杉浦国務大臣 公益法人は非営利法人の一種だと思いますね。それから、いわゆる中間法人と言われております協同組合とかいろいろございます、そういったものを包含した概念だと思います。民法としては、今まで公益法人とその他法人としておりましたから、そういたしたわけであります。

市村委員 今まさに大臣がおっしゃっていただいたように、公益法人は非営利法人の一種なんです。

 そこで、その後に「営利事業を営むことを目的とする法人」が出てきますね。まさに営利法人です。営利法人との並びというのは、公益法人ではなくて非営利法人ではないんでしょうか。どうでしょうか。

杉浦国務大臣 先生のお気持ちはわからないわけじゃありませんが、今まで民法に公益法人、その他法人とあったわけですから、それを例示しただけでございます。

 ここは一般的な法人についての原則を示すだけということですから、公益法人、その他法人としたわけでして、営利法人は会社法その他で決めておりますし、宗教法人、学校法人とかそれぞれ法律によって、公益目的の法人でも規定する法律がございますから、それらのことはそこで決める。新たに今回は、一般の財団法人、社団法人と、公益性の認定は別途法律に従ってやるということで、改革の全体像を示したわけであります。先生がおっしゃったとおり、これは画期的な改革だと思います。

市村委員 今、これは例示だとおっしゃいました、例示だと。今までの民法にそう書いてあるから例示でこう書いたんだとおっしゃいましたけれども、まさに、先ほどから何度も中馬大臣にも強調していただいているように、明治二十九年に民法ができたときに、本来であれば非営利法人と営利法人というその二つの体系で書いておけばまだ問題なかったものを、公益法人と営利法人と書くものだから後の世の中ややこしくなっているんですね。

 せっかく、今回、民法三十四条を変えようとしているわけですから、そういった今までのくびきから解き放たれるというようなところに行けばいいんじゃないでしょうか。わざわざ、何で問題があるような例示をここにまた書かなくちゃいけないのか。いかがでしょうか、大臣。

杉浦国務大臣 先生のおっしゃりたい気持ちはよく理解できますが、そんなにややこしいことではないと私は思っておるんです。

 先生御指摘のとおり、営利事業を営むことを目的とする法人、会社その他ですね、これ以外は非営利事業を営むことを目的とする法人であります、営利、非営利で分ければ。今回の民法三十三条二項の改正案では、後者の法人について、従来から民法で公益を目的とする法人という類型が掲げられておりましたことから、その他の法人とともに、これを営利事業を営むことを目的とする法人と対置させるという趣旨で規定したものでございまして、そんなにややこしい、難しい問題はないと私は思っております。

市村委員 ですから、何度も申し上げて申しわけないんですが、要するに、今例示でおっしゃいましたから、民法三十四条と三十五条の関係になるんですけれどもね、その関係が非営利、営利じゃなかったのがそもそも問題なんですから、この際、営利と出すんだったら、非営利事業を営むことを目的とするとか、どうせ例示するんだったら、営利の対は非営利ですから、そう書くべきではないかというふうに私は思っております。

 しかも、気持ちをわかっていただけるんであれば、これは民法ですし、民法はやはり中立であってほしい、民法は一般法の先輩格というか上位概念ですから、ここはすっきりとした民法にすべきじゃないんでしょうか。であれば、この例示の部分を取っても十分に通じるんです、この条文。もしくは、公益を目的とする法人を含む非営利事業を営むことを目的とする法人とか、そういうふうにしないと。

 結局、銀河系と何々系を比べなくちゃいけないのに、銀河系と何か一つの惑星を比べているようなものでありまして、これは対になっていないんですよね。対になっていないんです。やはり、何々系というのだったら、何々系が来なくちゃいけないわけですよ、対になって。例えば何々系と地球を比べても意味がないというか、やはり意味がないですね。何々系ならば惑星と比べちゃいけないわけです。何々系ならば銀河系とか何とか系と比べてもらわないとだめなわけでありまして、これはまさに営利の方は銀河系が書かれているのに、非営利の方は地球しか書かれていないとか、そういうような状況になっていると私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。

    〔今津委員長代理退席、委員長着席〕

杉浦国務大臣 先生の例えはよくわからないところもありますけれども、要するに、今回は公益法人を特別な法律をつくって、いわば準則主義で自由に立ち上げる、官庁の許可が要らない、認可は要りますが。準則、のっとっておれば認めると。役所が一々酢だのコンニャクだの言わないという形で公益法人ができるようになったわけでございます。

 今までの民法三十四条、私も民法三十四条の財団法人で十何年働いておりましたのでよく官と民の関係は、官が民をいろいろさまざまな形で指導監督する、なかなか新しい財団は認めない、社団法人もですね、そういう今までの三十四条の運用からしますともう大幅な規制緩和で、国民各界各層の方々が、それぞれその法律の定めるところによって、準則主義ですね、届け出るといいますか、申し出れば今までよりはるかに容易に許可される、活発な活動が、公益活動が展開されると見込まれる改革でございます。

 そこで、もうその公益法人部分は民法から抜けますから、ごっそり抜けましたから。ただ、民法としては、法人としての基本的な規定を、すべての法人に共通する原則を決めるべきだということで、法人の設立とか組織、運営、管理については、個々の法人設立根拠法に定めるところによるという旨を明らかにするにとどめたわけであります。

 そういう趣旨で、現行の民法三十四条に規定されている、公益を目的とする法人とか、あるいは、会社が代表的ですが、営利事業を営むことを目的とする法人が代表的な法人類型であることも常識でございます。そのほか中間法人とかいろいろありますが。そこに、それは先生のおっしゃるように非営利という概念を持ち込んでもよかったかもしれませんが、それはそれとして、淡々と、民法に規定されている公益法人と、まあ営利事業が典型、その他の法人とを並べて例示して掲げたわけでございまして、すべての法人に共通する基本だけを決めたんだということを明らかにしたにすぎないわけでございます。

 若干言葉をひねりますと、営利と非営利という用語でございますが、事業の種類が営利目的かどうかという意味で用いられるほかに、剰余金とか残余財産の処分ですね、分配を目的とするかどうかという意味で用いられることもあるわけです。ですから、一義性とか明確性の点で適切でないとも考えまして、私どもは、公益を目的とする法人とその他の法人を掲げることとしたわけでございます。

市村委員 最後のところをちょっと議論させていただきたいんですが、今、非営利の多義性をおっしゃいました。では、営利は多義的じゃないんですか。営利という言葉を使ったときは、法律上は明確に一義的な規定になっているのでしょうか。

深山政府参考人 お答えします。

 今の営利の概念の問題ですが、先ほど大臣から非営利について二義性があると言ったのと同じ意味で、つまり、事業が金もうけの営利目的事業なのかという意味と、剰余金、残余財産の分配を目的としているのかと、両方の意味で営利も使われます。

市村委員 こっちは営利はいいと書いているのに、非営利はだめだという理由にならないじゃないですか、それならば。それは多義性をもってして、こっちはこうで、非営利はこうで、営利はこうだというふうにならないじゃないですか。「営利事業を営むことを目的とする」ならば、非営利事業を営むことを目的とするで、なぜ素直に非営利、営利に。しかも、さっき法務大臣は別に非営利の概念を持ち込んでもよかったんですがとまでおっしゃっていただいているんであれば、持ち込んでいただければいいじゃないですか。なぜ素直にそうならないのか、よくわかりません。

伊吹委員長 政府参考人、今大臣の御答弁をよく聞いて、もう一度、所管局の審議官として答えなさい。

深山政府参考人 言葉が足らなくて済みません。

 営利という言葉だけの御説明をしましたが、大臣が言われたのは、営利を目的とする事業、つまり営利、非営利の二義性というのは、事業の目的はお金もうけかどうかという意味と法人が営利法人というときの残余財産の分配を目的とするタイプの法人であるかという意味での二つの意味で使う。それは営利も非営利も同じなんですけれども、大臣が言われたのは、この条文もそうです、「営利事業を営むことを目的とする」、このときの営利はお金もうけという意味です。それは一義的です。営利法人、非営利法人とつづめて言った場合には二義性があるということを先生も御指摘になり、先ほども私が言ったつもりです。

 それで、ここでこう書いてあるのは、先ほど大臣が答弁差し上げたように、いきなり法人の設立、組織、運営及び管理については云々と書いても、法律上の意味は同じです。ただし、法人といきなり出るよりは、わかりやすさの意味から例示を挙げた。その例示の挙げ方がまさに問題になっているわけですが、これは民法の法人全般に通則的な規定です。

 そのときに、法人というのをいきなり出すよりは、一般の国民の方にわかりやすいようにということで例示を挙げるときにどういうやり方をするか。先生は営利事業を目的とするなら残りは非営利事業を目的とするなんだから二つを挙げたらと言われましたが、例示ですから全部をカバーする必要はありません。国民にとって典型的な法人、これは一つは株式会社、有限会社等々の営利事業を目的とする法人でしょうし、もう一つは、民法にもともと公益法人の規定がずらっとあり、民法の中では法人といえば公益法人を指すという一つの法文がございます、この二つを、例示ですから全部の法人を覆うものではなくて、一番わかりやすい二つを挙げて、その他にすべて、もちろん非営利のものも含まれておりますが、この二つを例示として挙げるのがそういう意味でよろしいだろう、こういうことでございます。

市村委員 今までの民法に書いてあったからこうだという理由しかないんですね、今お聞きしていても、どう考えても。

 だから、民法が非営利、営利じゃなくて公益、営利としているところにもともとの問題の一つがあるんですから、この際、民法三十四条を含めどさっと今改正される、すばらしい改正だと私は大評価しています、せっかく大改正するんであれば、素直に、営利の対は非営利なんだから例示で非営利と書けばいいんじゃないですか。

 今、国民にわかりやすいとかという説明をされましたけれども、どっちにしてもわかりにくいです、はっきり言いまして。それなら、どっちにしてもわかりにくいならば、素直に、営利の対は非営利だというふうに書くのが素直な発想であり民法らしい。もしくは、例示をしないで、法人の設立、組織、運営及び云々とした方が民法としてはすごくすっきりとして私はいいというふうに思っていますが、いかがでしょうか、大臣。

杉浦国務大臣 先ほど来、再三申し上げておりますが、今回の改革の主眼は、現行民法第三十四条が規定する許可主義を改め、法人格の取得と公益性の判断を分離することにあるわけでございます。

 現在の民法第三十四条が規定する規律のうち、許可主義の部分は廃止する必要があります、廃止いたしますが、法人の一類型として公益目的の法人が存在するということを規定する部分は今回の改革ともちろんそごするところじゃございません。今の改正法三十三条二項の改正案は、単に代表的な法人類型を例示として掲げたにすぎませんので、御指摘は当たらない。先生のお気持ちはこれでも十分包容されている、こう思うわけでございます。

市村委員 本当に、気持ちはわかるとおっしゃっていただいているそのお気持ち、すごくありがたく思っております。

 ただ、事は、私の気持ちではなくて、この国の民法をどうするかという大変大きな話でありまして、また改めて、ぜひともこれは一遍検討していただけませんでしょうか。これは極めて重要なんです、民法の改正のこの部分。結局、今議論をさせていただいておっても、別にこれは例示がなくても十分通用する、民法としてはむしろそっちの方がすっきりとして格調が高いと私は思えるような気もしますので、一度また御検討いただけたらと思いますし、後で別の機会に、ぜひともこのことについてこの委員会でまた検討する時間をいただきたいと思います。

 きょうはせっかく猪口大臣に来ていただいておりまして、本当に済みません、残り時間少なくなって、せっかく来ていただいているのに、余り私、質問できなかったんですが。

 なぜ猪口大臣にきょう来ていただいているかといいますと、この間の内閣委員会の大臣所信表明演説の中で、NPOという言葉を使っていただきました。あのNPOという言葉は私の言葉ですが、ある意味では大臣が初めて私の思いと同じような意味で使ってくれた。大臣が初めてなんです。

 あのNPOは、いわゆる特定非営利活動法人のことじゃなくて、広く一般的非営利法人を指すというふうに、これは内閣府の方から回答を得ていますので、大変ありがたく思っています。その大臣にお聞きしますが、大臣が所轄している特定非営利活動法人について、なぜ今回の公益法人改革の中に含まれないのか、私は大変疑問でありますが、御見解をお聞きしたいと思います。

猪口国務大臣 市村先生にお答え申し上げます。

 私の所信表明におきまして、「国民が安全に、かつ安心して暮らせるよう、」「NPOの活動基盤の充実、」ということを述べております、御指摘のとおりでございます。

 今の御質問につきましては、NPO法人のことをお聞きになったと……(市村委員「特定非営利活動法人」と呼ぶ)そうですね、特定非営利活動法人について御質問でございます。

 先生よく御存じのとおり、これにつきましては、既に、例えばパブリック・サポート・テストなどの要件緩和をしておりまして、その定着、発展につきまして、十分な措置を講じてきていると考えております。

 先生よく御存じのとおり、非常に広い広がりを持っていまして、日本の社会において順調に受け入れられていると考えておりますので、今回は、そのようなパブリック・サポート・テストなどの要件緩和、そのように実務的な実質的な改善をすることによって、先生がこの一時間かけてお伝えしようとされました、この社会におきまして民間の担う公益性の領域の拡大とその健全発展ということに、また内閣府として全力を尽くしていきますということを、今申し上げました特定非営利法人、NPO法人につきましてやっているところでございます。

市村委員 ぜひとも、せっかくNPOという言葉を私が思うように使っていた大臣でありますれば、NPO法人という言葉は使わないで、特定非営利活動法人というふうに使っていただけたら幸いでございます。

 最後に、きょうは、また改めてお時間をいただけると思いますが、私としては本当に、やはりまだわかりません、心から納得しているわけじゃありません、なぜ行革推進特別委員会でこのことが議論されるのかわかりませんが、幸か不幸かここの委員会で議論されるということでありますので、私はこのことはずっとやっていくということを申し上げますので、この場をかりまして、また改めてしつこくやらせていただきますことを最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて市村君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内委員 川内博史でございます。

 委員長並びにこの行革特別委員会の与野党の理事の先生方に許可をいただきまして、発言の機会をいただきました。心から感謝を申し上げます。一時間五分、さまざまな観点から聞かせていただきたいというふうに思います。

 まず、この行革推進法の第一条、目的の部分から聞かせていただきますが、平成十七年の十二月二十四日、行政改革の重要方針、閣議決定文書でありますが、この中には、この行政改革の方針として基本中の基本の概念である「小さくて効率的な政府」という言葉が使われております。しかし、二十七日後の平成十八年一月二十日、小泉内閣総理大臣の施政方針演説では「簡素で効率的な政府」という言葉に変わっております。さらに、二月十日の閣議で了承された行政改革推進法案の作成方針なる文書の中では、法案の名称が簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案ということになっておりまして、三月十日に国会に提出をされたということでございます。

 私は、この小さくて効率的な政府という言葉と簡素で効率的な政府という言葉は、若干意味合いが異なるのかなというふうに思うんですけれども、まず、この小さくて効率的な政府という言葉と、簡素で効率的な政府という言葉の違いについて御説明をいただきたいと思います。

伊吹委員長 総理の施政方針演説その他に関係することですから、まず安倍内閣官房長官。

安倍国務大臣 簡素で効率的な政府といたしましたのは、総理が、小さな政府ということでは国民にわかりにくいのではないだろうか、もう少しイメージとしてわかりやすいということで、簡素で効率的な政府、つまり、将来にわたって国民への負担をよりふやしていかないためには、しっかりと簡素なかつ効率的な政府をつくっていく、こういうことでございます。

伊吹委員長 中馬大臣、つけ加えることがあれば、どうぞ。

中馬国務大臣 少し経緯から申しますと、昨年の二〇〇五重要方針、骨太と言われるものですね、ここにおいても諮問会議等では小さな政府という言葉を使っておりました。それを受けた形で年末の行革重要方針には、今おっしゃったように小さな政府という形で言っておりました。

 しかし、今安倍長官がお話しになりましたように、総理は施政方針演説で、やはりそれを少し広い概念でもう少し根本的にやろうじゃないかというお気持ちでしょう、簡素でという言葉をお使いになりました。それを受けた形でのこの法律でございますから、総理のお気持ちも含めて、こうして簡素でという形で書いておりますが、同じものでございます。

川内委員 今行革担当大臣から、同じものだと最後に御発言がございました。小さくて効率的な政府と簡素で効率的な政府は、同じ意味であるということでよろしいですか。

中馬国務大臣 大きく概念が変わったのではないという意味で同じと申しましたけれども、今申しましたように、総理はこの意味をもう少しはっきりさせる意味で、この重要方針に掲げたよりも、こうした法律にしていく場合の概念等を含めて、これを少し枠を広げたと考えた方がいいのかもしれません、簡素でという形にさせていただきました。

川内委員 意味をはっきりさせるためにというのであれば、小さな政府という言葉の意味の方が、人口に膾炙しておりますし、より意味ははっきりわかるわけであります。ところが、簡素で効率的な政府というのは、余り一般的な言い方ではないと私は思います。

 小さな政府というのはよく言われておりますし、特に与党の政策責任者である政調会長のホームページには、小さな政府を真っすぐに目指すというふうに出ております。そういう意味では、小さな政府、小さくて効率的な政府という方が、より意味がわかりやすいしイメージもわくというふうに私などは思うんですが、もう一度、同じなのかどうか、違うんだったら何がどう違うのか、目指すところの何が違うのかということを明確に、これは大事なことなんですよ、委員長、わかりますでしょう、説明していただけますか。

中馬国務大臣 一つの名前でございますから、これを厳格に、これがというような規定をする必要も私はないんじゃないかと思います。

 ただ、あえてそういう理屈的なことでおっしゃいますならば、小さくて複雑なものもあるかもしれませんが、簡素でというのには、一つの効率性といいましょうか、そうしたこともむしろはっきりするんじゃないかと私は思います。

川内委員 小泉内閣の方針である、しかも最重要方針である行政改革について、どのような政府を目指すのかということに関して、小さくて効率的な政府を目指すのか、あるいは、若干ニュアンスは違うが簡素で効率的な政府を目指すのかというのは、私は、これが同じ意味だというのであればいいですよ、同じ意味だ、全くイコールであるというのであれば、それは政府の方針としては了解します。しかし、ちょっと違うんだけれども、言葉でよう説明できんわというのであれば、これはきちんと政府の見解として、簡素で効率的な政府というのはこういうことだ、こういう方針を目指しているんだ、こういう姿を目指すんだということを述べていただかなければ、この特別委員会の審議自体が何を審議するのかということになるんじゃないでしょうか。

伊吹委員長 中馬国務大臣、簡素で効率的な答弁をしてください。

中馬国務大臣 目指すところは一緒でございまして、ただ、幅広くこの方が理解していただけるという、総理を初めとした我々スタッフの認定のもとにこの名前にさせていただきました。

川内委員 それでは、小さくて効率的な政府を目指すという平成十七年十二月二十四日の行政改革の重要方針、閣議決定文書に示された意味と全く同じであるが、国民の皆さんに対してわかりやすく説明するために、簡素でという言葉を同じ意味ではあるが使ったという理解でよろしいですか。

安倍国務大臣 この表現につきましては、総理とも議論をしたところでございます。そのときに、総理として、自分の目指す政府について、その姿について、簡素で効率的な政府とした方が自分の目指す政府についてより国民にわかりやすく伝わるのではないだろうかということでございます。

 つまり、簡素で効率的というのは、無駄がない、かつ効率的であるということでございまして、総理が目指してきた、民間ができることは民間に、そして地方ができることは地方に、かつ、国民にとって受ける受益、享受する受益については、これはなるべく質を落とさないようにすることができるように効率的な政府をつくっていくという意味において、簡素で効率的という表現の方がいいであろうということでございます。

 また、いわゆる小さな政府ということが入りますと、この小さな政府というのは割と意味するところが広いわけでありまして、例えば社会保障についても給付と負担そのものを外に出してしまうということもあり得るわけでありまして、そうではなくて、あくまでも簡素で効率的ということで説明をした方が総理としては自分の意を酌んだ形になる、こういうことでございます。

川内委員 今の官房長官の説明だと、小さくて効率的な政府から簡素で効率的な政府という言葉は、意味は違っているわけですよね。変えたわけですよ。内閣の方針を、変えたなら変えたでいいんですよ、別にそのことで、何だ、変えたらだめだとか言う気はさらさらないわけですから。お変えになられたのならお変えになられたということでいい。

 そうじゃなくて、官房長官、政府の方針を示す文書の中で、重要な方針として使われる言葉は、その言葉の解釈、意味というものが確定していなければならないはずですよ。そうでなくて、何となく漠然と、いや、僕たちは小さくて効率的な政府を目指すんだもんというんじゃなくて、こういう政府が小さくて効率的な政府だ、それを我々は目指すということを全閣僚が内閣として決定するわけですよね、その政府の方針として。

 であれば、言葉が変わるのであれば、言葉の意味が変わったのではないかということを当然に我々は聞きたいし、変わっていないのであれば、なぜ変わっていないのに言葉を変えたのかということを聞きたいし、もうちょっときちんとした御説明をいただきたいというふうに思いますが、委員長、私の言っていることは言いがかりでしょうかね。

伊吹委員長 私は中立的な立場で司会をいたしておりますから、官房長官から答えていただきます。

安倍国務大臣 意味合いを変えたということでもありませんし、また、方向性を修正したということでもございません。

 そもそも、最初に私が申し上げましたように、総理としては今申し上げている簡素で効率的な政府という考え方の中で表現として小さく効率的という表現を使ったわけでありますが、小さくというのは、ある意味ではいろいろな方々が小さな政府ということをおっしゃっておられます、その中にはいろいろな概念も入っておりますので、そこは、総理が目指しているものをもう少し明確にするためには簡素で効率的と言った方が、総理の目指している政府、また、お気持ちにも合うのではないか、総理もそのようにお考えの上でこういう表現にしたということでありますから、変えたということではない、よりわかりやすくした、こういうことではないか、このように思います。

川内委員 よりわかりやすくしたというのは、結局変えたということになるんじゃないでしょうかね、言葉は変わっているわけですから。小さくて効率的な政府を目指すという言葉の意味を、よりわかりやすくしたというのが簡素で効率的な政府という言葉であると。

 それでは、小さくて効率的な政府という言葉の意味は何だったのか。そして、簡素で効率的な政府という言葉の意味は何なのかということを、ちょっともう一度わかりやすく教えていただけませんでしょうかね。政府の方針が示されている文書の中で使われている言葉が変わるというのは、非常に重要なことです。これをしっかり、まず私どもに教えていただかないことには。いや、それは適当でいいんだ、別に変わっていないんだ、わかりやすくしただけだということでは、後でこんなに行き着く先が違ってしまうかもしれませんので、ぜひもう一度教えていただきたいと思います。

安倍国務大臣 意味は、当然同じ意味であります、私が申し上げましたように。そして、簡素で効率的な政府という意味については、先ほど申し上げた方向を目指しているわけであります。

 つまり、それを、その前の段階で小さく効率的な政府ということで御説明をしていたわけでありますが、もちろんそれでも、表現は違うわけでありますが、これは意味としては同じ意味であって、実際その方向を目指しているわけであって、内閣の方針はみじんも変化をしていないわけでありますが、総理としては、これは簡素で効率的という表現を使った方がわかりやすいだろう、こういうことではないか、こう思うわけでありまして、それについてそれほど違和感を感じておられる方々は余りいないのではないだろうか、このように思います。

川内委員 いや、違和感を感じるとか感じないとかではなく。今の御答弁では、小さくて効率的な政府という言葉と簡素で効率的な政府という言葉は、意味は一緒である、目指すところは一緒であると。最終的な像は一緒であるということなわけですから、最初からそのように目指すところは同じだというふうにお答えいただければ、ああ、小さくて効率的な政府という言葉と簡素で効率的な政府という言葉は同じなんだな、言葉遣いを変えたんだなと。では、なぜ言葉遣いを変えたんですかと。その方がわかりやすいと思いましたという二問で済んだわけですよね。それが、ここまで十五分かかっておるわけでございます。

 しかし、私はこれは大変重要なことだと思いまして、小さな政府、結局政府が目指しているのは小さくて効率的な政府、小さな政府ということですから。その小さな政府という言葉の意味は、

 アダム・スミス以来の伝統的な自由主義に立した思想から生まれた経済政策。政府の市場への介入を最小限にし、個人の自己責任を重視し、国家による社会政策を最小限にする考え。それを徹底したものを夜警国家という。「安上がりの政府」とも言う。基本的に、GDPに占める政府活動の割合を低下させるために、低い税率とより少ない歳出を志向する。主に古典派経済学者及び資本家が主張する政府形態である。

 小さな政府の政策においては、格差拡大は是認される。消費性向の低い高所得者層から消費性向の高い低所得者層への所得再分配機能が緩められるため、消費の停滞が懸念される。

これは小さな政府という言葉を解説した用語辞典から引いております。

 まさしく格差拡大はある意味仕方のないことだと小泉総理が御発言になられていることも、この文脈の中ではなるほどなるほどということになるわけでございます。

 そういう意味では、私たちは、しかしそういう立場はとらない、小さな政府という、政府が今目指している立場とは若干違う立場から質問を展開してまいりたいというふうに思います。

 そこで、この市場化テストの、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案第一条は、「この法律は、国の行政機関等又は地方公共団体が自ら実施する公共サービスに関し、その実施を民間が担うことができるものは民間にゆだねる観点から、これを見直し、民間事業者の創意と工夫が反映されることが期待される一体の業務を選定して官民競争入札又は民間競争入札に付することにより、公共サービスの質の維持向上及び経費の削減を図る改革を実施するため、その基本理念」などなど「を定めるものとする。」というふうに書いてあるわけでございます。

 さらには、先ほどの推進法の中でも「政府又は地方公共団体が実施する必要性の減少した事務及び事業を民間にゆだねて民間活動の領域を拡大する」というふうに、いわゆる市場化あるいは競争などの理念がこの行政改革の推進法あるいは市場化テスト法の中に盛り込まれてきている。これも、先ほどの小さくて効率的な政府あるいは小さな政府を目指す文脈の中からは、なるほど、そうだろうというふうに思うんですが、この官から民へ、あるいは民間活動の領域を拡大するという場合に、この民間あるいは民営化というのは、事業会社、株式会社が中心になっていくというふうに私などは思いますが、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 現実問題としては株式会社が手を挙げられるケースが多いと思いますけれども、NPOやその他地域団体等が手を挙げられても、もちろん結構だと思います。

川内委員 今、中馬大臣がおっしゃられたように、現実問題としては株式会社がその中心となっていくというのは、今の政府が目指すところからいえばそのとおりの御答弁だというふうに思います。

 それでは、そもそも株式会社とは何か、株式会社とはだれのもので何を目的とするものかというものに関して、法務大臣にお運びをいただいておりますので、御説明をいただきたいというふうに思います。

杉浦国務大臣 お答えいたします。

 株式会社は、会社法に定義されている四種類の会社のうちの一類型でございます。

 会社法制は、営利事業を行おうとする者が共同して出資を行い、これを用いて事業を行うことによって利益を得ることを可能にするために設けられた制度でございます。したがいまして、換言いたしますと、株式会社とは、事業を行い、それによって得た利益を出資者である構成員に分配することを目的とした団体と言うことができるわけでございます。

 だれのものかということでございますが、株式会社は、法律的には、営利法人として株主の出資によって成り立っております。これによって株主が利益を得る仕組みとなっている制度でございますから、第一義的には、株式会社は株主のためにあるものと言うことができます。

 もっとも、株式会社は、その活動が債権者などの利害関係人に重大な影響を与える場合も少なくございません。取引もいたします。そこで、株式会社法制は、株主だけでなく債権者等の利害関係人の保護にも十分に配慮した制度になっております。その意味では、株式会社は、株主のみならず債権者等の利害関係人のための法的な仕組みであるという面もあるものと考えております。

 さらに、株式会社は、雇用を生みますし、我が国における経済活動の中核的な存在であることから、社会全般にとっても重要な存在ということが言えると思います。

川内委員 重要な存在であるということは、否定しないというか共通の認識であるというふうに思いますが、そもそもその株式会社の設立目的の中に公益性あるいは公共性というものが含まれているのでしょうか。

杉浦国務大臣 株式会社におきましては、定款に目的、すなわち、その株式会社が行う事業の内容を記載する必要がございます。

 先生の御質問は、公益性のある仕事をすることがあるのかということですが、わかりやすい例が、例えばJRなんか、かつては国有鉄道は国の事業だ、民間のやるべきことじゃないとされていたのが民営化されまして、今は株式会社で、民間会社でやっております。公益的な仕事、例えば電力会社にしてもガス会社にしても、やっている仕事は公益的な仕事でございますが、株式会社が行っているわけであります。

 先生の御質問は、恐らく会社法上、定款に目的としてこのような公共サービスということを提供する旨を記載することは差し支えないのかという御質問の趣旨もあるかと思いますが、それは差し支えないと思います。

川内委員 それでは、定款の中で公益性あるいは公共性をうたうことは可能であるということで確認をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、郵政民営化のことについて若干聞かせていただきます。

 郵政民営化法の第二条で、「基本理念」のところにさまざまな目的が書いてございまして、それを若干読み上げさせていただきたいというふうに思います。

 この二条に郵政民営化の基本理念というのが書いてあるんですね。「郵政民営化は、内外の社会経済情勢の変化に即応し、公社に代わる新たな体制の確立等により、経営の自主性、創造性及び効率性を高めるとともに公正かつ自由な競争を促進し、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上及び資金のより自由な運用を通じた経済の活性化を図るため、地域社会の健全な発展及び市場に与える影響に配慮しつつ、公社が有する機能を分割し、それぞれの機能を引き継ぐ組織を株式会社とするとともに、当該株式会社の業務と同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じ、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを基本として行われるものとする。」というふうに書いてございます。

 今、これをなぜ言うかというと、先ほどの、公共目的あるいは公益目的を定款に書くことができますかというのと同じことで、郵政民営化は四つの会社に分割される、貯金銀行、保険会社は全く一般の銀行、保険会社に変わると。しかし、この郵政民営化法第二条の基本理念、要するに、「国民の利便の向上及び資金のより自由な運用を通じた経済の活性化」とか「地域社会の健全な発展及び市場に与える影響に配慮しつつ、」「国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与する」という、この公共目的というかこの二条の基本理念は、貯金銀行、保険会社が完全に民営化されても、貯金銀行、保険会社は尊重をしなければならない、拘束力を持つ条文になりますかということを、ちょっと竹中大臣にお伺いをさせていただきます。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 基本理念、今、第二条を委員が読んでくださいました。そして第三条では、公社及び公社を承継する組織は、この基本理念にのっとって郵政民営化に関する施策が確実かつ円滑に施行されるよう必要な取り組みを行う責務を有するということになっております。そういうふうに規定をしておりまして、この規定は、郵政民営化の完了、つまり完全民営化までの国等の責務について規定するものであって、完全民営化前には四つの事業会社に当てはまる、そして、完全民営化後にはその役割を終えるものであるということになります。

 したがって、公社を承継する組織は民営化後の郵便貯金銀行、郵便保険会社を含む概念ではあるけれども、完全民営化後の郵便貯金銀行と郵便保険会社についてはこの規定は意味を失っているということになります。

川内委員 なるほど、ちょっと私誤解していました。今竹中大臣に教えていただいて、貯金銀行、保険会社は、完全民営化後はこの郵政民営化法第二条の基本理念については拘束されないという御答弁であったというふうに思います。

 それでは、もう一問ちょっと郵政民営化について聞かせていただきます。

 平成十七年八月二日の参議院での答弁で、小泉総理は、民営化後の株式会社について、これは貯金銀行、保険会社でございますが、「アメリカが株を買う、買収される、乗っ取られる、心配はありますけれども、私は」、「私は」というのは小泉総理です、「外資警戒論よりも外資歓迎論を取るべきだ」というふうに御答弁をされていらっしゃいます。

 竹中大臣は、この小泉総理の外資歓迎論についてどのような御見解をお持ちか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。

竹中国務大臣 委員御指摘のとおり、総理は外資歓迎論をとるべきだというような御発言をされました。これは、言うまでもなく、決して外資に乗っ取られることを歓迎するという意味ではございません。外国資本から注目されるような魅力ある企業に育ってもらいたい、総理はまさにそういうお気持ちでおっしゃったんだと思います。その結果、日本経済に刺激を与え活性化をもたらす、それが重要であるという思いでお話しになったんだというふうに思っております。

 この外資ないしは敵対的買収につきましては、郵政民営化法の質疑のときもいろいろ御議論させていただきましたけれども、それに必要な一般的な規定はこの法律の中に設けてあるというふうに考えております。

川内委員 それでは、民営化法七条二項の株式の処分の具体的方法について、あり得るとする方法をすべて挙げていただけますでしょうか。

竹中国務大臣 非常に大きな規模での株式の処分でございます。この規模が大きいということを考えますと、市場で売却するということが基本になると考えられるわけでございますけれども、ここで言う処分というのは、市場での売却に決して限らない。これも民営化議論でいろいろさせていただきました。

 それに限らず、要は、郵便貯金銀行、郵便保険会社に対する国の信用と関与、これは国が今まで持っていたわけでありまして、国の信用と関与を断ち切るために、国の出資する日本郵政株式会社が両社に対する所有が、つまり銀行と保険に対する支配権を、すなわち、議決権を保有しない状態とすることである、そのように考えております。これはもう何度か御答弁をさせていただきました。

 その具体的な処分の方法として何が考えられるかということでございますが、グローバルオファーリング、要するにオファーリングというのは一つの……。それと、ブロックトレードないしは自社株買いといった、これは一種売却でありますけれども、その売却にもいろいろな手段があるというふうに今申し上げたわけですが、それによることが一般的であるというふうに思いますが、それに加えまして、委託者が議決権行使について指図を行わない有価証券の処分信託等も含み得るところである。結果的に、支配権、議決権を保有しない状況をつくり出す、そういった処分信託等々も含まれるというふうに理解をしております。

川内委員 もう一問だけ郵政民営化のことについて聞かせていただきます。

 郵便貯金銀行が自社株を取得すること及び郵便保険会社の株を取得することは可能でしょうか。また、郵便保険会社が郵便保険会社の自社株を取得すること及び郵便貯金銀行の株を取得することは可能でしょうか。

竹中国務大臣 基本的に、先ほど申し上げましたように、要は議決権を保有しない状況にするということを目指していろいろな処分を行うわけでございますけれども、郵便貯金銀行、郵便保険会社による持ち株会社からの自社株買いにつきましても、両社によって株式が所有され、持ち株会社の議決権がなくなるということになれば、これは処分に該当するということになります。

川内委員 それでは、具体的に市場化テスト法の中身についてお聞きをしていきたいというふうに思います。

 先ほど会社とはだれのためかということをお聞きしたらば、一義的には株主のためであるというふうに法務大臣から御説明をいただいたわけでございますけれども、株主のための配当あるいは利潤追求を第一の目的とする事業会社等に公共サービスを担わせるというのはなぜなんだろうということを御説明いただきたいと思います。

中馬国務大臣 これもこの行革法で一つ貫いていることでございますが、民にできることは民に、お役所の仕事は極力民間に、あるいはまた地方にということの理念でございまして、そういうことだと御理解いただきたいと思います。

川内委員 事業会社というのは株主のためにあるいは利潤を追求するためにやるわけで、当然、コストは競争すれば若干は低下するんだろうというふうに思いますが、では、価格が低下するかというと、価格の低下は恐らく保証していないというふうに思うんです。

 私などは、官と官の競争、例えば、経済産業省の仕事を、もうこれからは環境面に配慮したものが大事だから環境省が市場化テストでとっちゃうとか、官と官が競争する、あるいは官と公が競争する。要するに、公共サービスをするという観点については、みんな日本国憲法で全体の奉仕者として位置づけられているわけですから、公務員として仕事をする。しかし、公務員同士で競争する、すなわち、官と官の競争、官と公の競争という方がより国民の利益に私はつながるというふうに思うんです。

 その辺の議論をされたのかされないのか、されたがそれを採用するに至らなかったということはなぜなのか、ちょっと詳しく御説明をいただきたいと思います。

中馬国務大臣 これは、私どもが議論したというよりも、有識者会議の皆さん方あるいはまた諮問会議の皆さん方等のいろいろな議論の結論としてここにこうして出てきておりますが、現実問題として、一つの役所が別の役所の仕事をわしがやってみせてやるとか殴り込みをかける的な形で競争入札に参加するということは、まあ考えられませんから、そういう議論はなかったんじゃないかと思います。

川内委員 今後ぜひ議論をしていただきたいというか、それこそが真の行政改革ではないのかなというふうに思うんですね。

 サービスの質の向上というものをうたう以上は、官と民の競争というのはどうしても価格あるいはコストの競争というのが一義的には表に出る。しかし、私は、質については恐らく保証できないであろうというふうに思うんですね。しかし、官と官の競争であればコストも質も両方十分に保証できるのではないか。これは提言ですから、今後の検討課題にしていただければありがたいなというふうに思うんですけれども。

 そこで、公共サービスの質の維持向上ということに関して、公共サービスの質というのは何なのかということを具体的にお示しいただきたいというふうに思います。

中馬国務大臣 具体的といいますと、いろいろな公共サービスがありますから、どれがどうだということは言えませんが、四時で今までとめておったものを八時も九時もサービスができるといったことは、今度は利用者の立場からいえば、非常に利便性が高まるかと思います。

 そういったことも含めて、今回の市場化テストの中では、民が手を挙げて、そういう形を実例的にもやり始めているところもあります。そういう意味で、御理解いただきたいと思います。

川内委員 今、何と言いましたか。公共サービスの質とは何ぞやとお聞きしたんですが、よく説明できないとおっしゃられたんですか。もう一回、済みません。

中馬国務大臣 いろいろな公共サービスのケースがありますから、どういうサービスの例を挙げたらいいのか問題でございますけれども、例えば窓口業務ということを一つとれば、今までだったら五時でお役所仕事は終わりますね。しかし、それが八時も九時も受け付けて手続をしてくれるといった場合には、少なくとも利用者は質がよくなったと感じるでしょうから、そういったことも含まれるのではないか、このように申し上げました。

川内委員 法律案の中に「公共サービスの質の維持向上」という言葉があるので、具体的にそれをどうやっていくのかということを含めてお伺いをしているわけでございます。

 政府は、モデル事業という形で幾つかの事業もやられていらっしゃるわけでありますから、もう少し端的に、このモデル事業の場合にはこういうものがこうなってお客さんからこういうような評価を受けて質が向上しているんだということを、きちんと根拠になるものをお示しいただけますでしょうか。何となくこうなるんじゃないかなということではなく。

中馬国務大臣 既にモデル的にこの市場化テストをやり始めております。そのことについて例をお示ししますが、ハローワーク関連のキャリア交流プラザ事業では求職者の再就職支援などをある程度実現することができるかということでございますが、また、社会保険庁関連の年金電話相談センター事業では年金電話相談にどの程度の対応ができるか、また、国民年金保険料の収納事業ではどうか、こういったことが具体的に挙げられるかと思います。

 今、まだまだ終わっておりませんが、その途中経過としましては、先ほど言いましたように、かなり受け付け時間が長くなったり、あるいは年金電話相談センターでも電話の相談数が以前よりもかなりふえたとか、国民年金の収納率も今までの事例ではかなり上がっている、こういったことが言えるかと思います。

川内委員 国民年金の収納率がかなり上がっていると。どのくらい上がっているんですか。

伊吹委員長 具体的な数字はわかりますか。ちょっと待ってください、直接の年金の所管大臣じゃないので。

 中馬国務大臣。

中馬国務大臣 保険料の納付率は、官が実施していた前年同期に比べまして、各月ごとに異なるものの、前年同月に比べおおむね二%の改善が見られるところでありまして、また、コスト的にもおおむね四割程度低いコストで落札されているということでございます。

川内委員 国民年金の収納率が前年同期比で二%向上していると。それが公共サービスの質の維持向上とどう関係するのか、もうちょっと、よく私も勉強して……。今初めて二%という数字を聞いたので。それでは、質が維持向上されるとしましょう。

 民間事業者が公共サービスを実施した結果、逆に公共サービスの質が低下した、あるいは何か不祥事が発生をした、あるいはどなたかが損害を受けたというような場合に、だれが責任をとるのかということに関して御説明をいただきたいというふうに思います。

中馬国務大臣 まだ私もそうしたそれぞれのモデルの実例を全部精査しておりませんから、マイナスの面があったのかどうか、そこのところはつまびらかではありません。

 しかし、このことにつきましては、イギリスを初めとして先進的なところがかなりの効果を上げておるわけでございまして、お役所仕事が相当民間に移っていった。先ほどありましたように、官官でやった場合には官の仕事が減るわけじゃありませんけれども、そうじゃなくて、かなり仕事が民間に移っていった、官がスリムになっていく、そういう効果があるわけでございますから、そういう意味で、今回まだ途中経過で、きっと二%で何だというようなこともあろうかと思いますけれども、方向性としては私は間違っていないということだと思います。

川内委員 イギリスの場合にかなり効果を上げたというふうに大臣がおっしゃられるわけでございますけれども、私が、大臣などに比べたら読んでいる資料の量は随分少ないとは思いますが、読ませていただいた資料の中では、イギリスでは安かろう悪かろうということが発生をして、最近では、市場化テストというか、日本で言う競争の導入による公共サービスの改革というものに関しては、最近の政権では余り前向きではなくなったというふうに書かれてある資料の方が多かったような気がいたしますけれども。

 いずれにせよ、コスト的に下がることは私も否定はいたしません、恐らく競争すればコストは下がるでしょう。しかし、では、公共サービスの質が保証されるのか。さらには、民がとった場合に、そこで仕事をしていらっしゃった公務員の皆さんは配置転換をして新しい仕事をしていただくなりなんなりということになるわけで、そうなれば、別に公務員の皆さんの総人件費が減っていくわけでもないし、結果としては全体のコストは上がってしまうのではないかということも考え得るわけでございます。

 そういう中で、少なくとも、官が民に対して競争する場合、官の側というのは、従来いわゆる仕事のやり方というのが決まって、ずっと法令にのっとってやってきているわけでございますけれども、従来の方式というのを全く改めて、その入札に応ずる自由というものが官の側にあるのかどうかということをちょっと教えていただきたいというふうに思います。

中馬国務大臣 市場化テストは、すべてのことをどれでも市場化テストにかけるということではなくて、これは第三者で、決められた有識者がこのことは民間に移せるんではないかということを決めるわけですね。その範囲内でもちろん行うわけでございますが、安かろう悪かろうといったような話もございました、しかし、それを防ぐためにかなりのいろいろな手だてを講じております。

 公共サービスの実施に当たりまして、確保されるべき質を国や地方公共団体の責任においてまず明確化しなければいけない制度になっております。このような公共サービスの質に関する要求水準を上回ることを条件とした上で、質と価格の両面で最もすぐれた落札者を決定する制度となっております。また、落札した民間業者は、本法案に基づき、契約に従って適正かつ確実に実施していくとされております。さらに、これを担保するために国や地方公共団体は報告徴収、立入検査等のさまざまな監督上の措置を講ずることとしていることでもございますので、委員の御心配の向きはこれで私は何とか救えるんじゃないかと思っております。

川内委員 大臣、コストは低くなると思いますよ、その事業だけ見たときの。ただ、その質がどう保証されるのかというと、先ほど具体的にお答えくださいと聞いたところでは、国民年金の収納事業に関しては前年同期比で二%ふえている、それが質の向上であるというふうに大臣は御答弁になられたわけでございますが、では、この国民年金の収納事業に関してのモデル事業で質を維持向上させるための条件というのは、前年同期比を上回ればいいという条件だったんですか。

中馬国務大臣 たまたまこれまでやったモデルで実績が出ているのはそれだけでございましたから、その二%がこれからのすべての累計でも何でもございません。そうした方向で、少なくとも、これはマイナスでなくプラスが出ておりますが、そうした市場化テストで民間に移譲することによりまして、私は、五%、一〇%のところも当然出てくるものだ、このようには思っております。ともかく、そうしたようなことも含めて質の向上をちゃんと目指すことがここでは一つ担保されております。

 と同時に、いつも御心配でございますが、何か国鉄の場合でもあるいはまた電電公社の場合でも、民営化するとなると、サービスが悪くなるんだ、あるいは、利益追求に走っていろいろと安全がおろそかになるんだといったようなことが言われておりましたけれども、株式会社というのは、民間でそれぞれ客の目があるわけでございますし、そこのサービスが悪くなりますと次のコンペティターが出てまいりましょう、そういうことから必ず質はよい方向に行くのが自由主義としての資本主義社会での一つの企業のあり方だと思っております。御心配は要りません。

川内委員 いやいや、資本主義社会では質がよくなる方向に行くんだから心配するなと言われても、イギリスなどではこの市場化テストを導入して安かろう悪かろうになってしまって、その反省が今生まれているということも聞いておりますし、民間の事業者の場合には、当然利益を出さなければならない、株主に配当をしなければならないということが大前提としてあるわけですから、その中で公共サービスの質がどう向上するのか、さらには、その公共サービスの質の向上に関してどう担保していくのかということに関しては、いや、心配するなということが担保には全くならないわけでございまして、そういう中で業務目標あるいは質の維持向上に関する目標などをしっかりと定めることができるのかどうかということをお尋ねしているところでございますが。

中馬国務大臣 先ほども言いましたように、イギリスの例も、こうしたことをやり始めるに当たりましてかなり心配する向きもあって、そういう事例が幾つか紹介されていることも事実でございますが、私も見てまいりましたが、刑務所そのものをPFIで、そして、管理もすべてゆだねているところもございます。また、非常にコストも、何と言いましょうか、効果を上げている、そのように認識いたしております。

 何度も言いますが、今回のことにつきましても確保されるべき質の明確化、これを前提とした落札者の決定、適正かつ確実な公共サービス実施の義務づけ、国による監督等の措置を講じているところであります。

川内委員 ぜひ、定量的にその質の維持向上というものを明確にしていただきたいというふうに思います。

 それでは竹中大臣に、この市場化テストの前に地方自治体は既に指定管理者制度とかいう形でどんどんこういうアウトソーシングをされていらっしゃるわけでございますが、地方自治体の業務のアウトソーシングによるコスト削減効果というものがどのくらいあるのかということに関して御説明をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 コスト削減効果額でございますけれども、全体として把握しているわけではございませんで、例示として申し上げますと、例えば愛知県高浜市において、これは、高浜はアウトソーシングで大変有名な自治体でございますけれども、市が設立したサービスの株式会社にアウトソーシングすることによりまして、正規職員を配置した場合と比較しまして年間約四億円の経費削減効果が得られたという例が報告されております。また、大阪府において給与及び福利厚生等の事務をITを活用して集中化してアウトソーシング化した、それによって三十七億八千万円程度の経費削減効果が得られたという例が報告をされております。

 我々としましては、このような事例を含めまして、先進的な取り組みを把握して、いわゆるベストプラクティスといいますか、そういうものを広く周知するなど積極的に情報提供を行ってまいる所存でございます。

川内委員 もう一つ聞かせてください。

 アウトソーシングで、違法行為による契約解除の事例というものが地方自治体であったかどうか。さらには、この民間事業者の従業員がその業務に関する違法行為あるいは契約違反があった場合にどのような取り扱いになるのか、契約を解除した場合にその後の業務というものはだれがやっていくのかということについて教えていただきたいというふうに思います。

竹中国務大臣 委員御指摘の事例等々について、総務省においてすべての自治体について個別の事例を統一的に把握するというのはできないわけでございますけれども、研究会の報告書等において、民間委託にかかわるノウハウを提供して、また助言などを行ってきたところでございますけれども、これまでに委員御指摘のような事例があるというふうには特に聞いてはおりません。総務省においては、各地方団体に対しまして地域の実情に応じてしっかりとやってほしいと、何よりも適切な事業者の選定や評価管理を行うことを要請しているところでございます。

 二点目の、万が一そういう問題が起きた場合にその契約はどうなるのかというのは、これは恐らく、その契約の内容とかサービスの性質とかケース・バイ・ケースで実際的な判断をしなければいけないことになるのだと思います。

川内委員 それでは次の、全く視点を変えて、二階大臣にお運びをいただいておりますので、聞かせていただきたいというふうに思います。

 行政改革あるいは規制緩和というのは、国民が生活しやすくするために、そしてまた国民の利便が向上をするために行政を改革する、あるいは規制を緩和するというのが大前提であろうかというふうに思います。

 そこで、三月から四月にかけて大変大きな話題になりました電気用品安全法、いわゆるPSE法について、これは行政改革の視点から見て、果たしてこのPSE法が正当であるのかどうかということを若干議論させていただきたいというふうに思います。

 そもそも、このPSE法、電気用品取締法が電気用品安全法に改正をされた、平成十一年でございます、これは規制緩和推進三カ年計画に基づいて、規制緩和の一環として国の基準・認証制度を見直すということで、経済産業省、通商産業省の関係では十一本の法律がまとめて審議をされた。その審議をされた過程の中で、国会ではもちろんのこと、その前段の産業構造審議会、消費経済審議会の製品安全合同小委員会という審議会の場でも、中古の電気用品については一切議論をされていないし、国会でも議論をされなかった。

 そういう中で、いよいよ法律の施行が四月の一日から始まっているわけでございますが、中古の電気用品の販売をする皆さんにもこの電気用品安全法を厳格に適用するとすれば、PSEマークを張ってくださいということになるわけでございます。

 それで、PSEマークを張るためには、その中古の電気用品が技術基準に適合しているかどうか、「電気用品の技術基準の解説」というこんな分厚い本があるんですよ、この技術基準に適合しているかどうかを確認した上で、外観検査をして、通電検査をした上で、さらには千ボルトを一分間その電気用品にかけなさい、そして漏電しないかどうかを確認しなさいということになっております。

 通常、新品の電気製品を買うと、二階大臣、取扱説明書がついてきますよね。その取扱説明書を読むと、大体普通の電気製品というのは百ボルトから百二十ボルトの電圧なんですね。それ以上の電圧をかけるとこの製品を保証しませんよと取扱説明書には書いてありますよね。ところが、中古の電気用品を販売する人たちに、千ボルトかけなければ、千ボルトの検査をしなければ売っちゃいけませんというのが電気用品安全法の体系になっているわけです。規制緩和の一環として、行政改革の一環として定められた電気用品安全法で。

 それで、電気製品自体の、今委員長ごらんになりましたでしょう、この解説書は平成十年三月改正ですから、電気用品取締法と電気用品安全法は安全性の基準については一切変更はないんですね。全く差がない、安全性は一緒なんです。それにもかかわらず、販売業者に製造事業者の届け出をさせて、これらの難しい基準を確認させて、しかも検査をさせて、それでPSEマークを張って売りなさいというのは、私は、これは、国民のための行政改革あるいは規制の緩和という趣旨から見たら、ちょっと外れていると思うんですね。

 さらには、最近、リサイクル、リユースという市場が大きく発展してきております。経済産業省も、恐らくまだその市場規模については正確なところを把握していらっしゃらないと思います、ここ数年ですからね。この法律が改正をされた七年前には予想もつかなかった市場規模に、リサイクル、リユースが発達をしてきている。それで、小泉内閣総理大臣も、ことしの施政方針演説の中で、「物を大切にするもったいないという心と科学技術の力を結びつけ、」「使えるものは繰り返し使い、」というふうに方針を述べていらっしゃいます。そういう中では、リサイクル、リユースの市場というのは、大体、業界に携わっている皆さん方は四千億とおっしゃっていらっしゃいます。この四千億の市場が、今、この電気用品安全法によって大きな影響を受けているわけでございます。その中では、七年前には予想できなかったけれども、今こういう大変な事態が起きているというときに、即座にしっかりと対応するというのも行政の大きな役目である、行政改革の大きな視点であるというふうに私は思います。

 そこで、最後に二階大臣に御答弁をいただきたいと思います。

 この電気用品安全法を初めとする製品安全四法について、七年前には想像もできなかったリサイクル、リユースの市場が、今我々の目の前には何千億という市場が出現をしている、こういう状況の変化を受けて、立法事実の変化を受けて、製品安全四法の見直しの検討に着手すべきだというふうに私は思いますが、二階大臣の御見解を最後に聞かせていただきたいと思います。

二階国務大臣 川内委員からは、この問題につきまして、経済産業委員会におきましても大変熱心な御質疑をいただいておりまして、私どもも大いに参考にさせていただきました。先般、またわざわざ経済産業省の方へお越しをいただきまして、消防庁からちょうだいしておりましたデータ等につきましての御意見もいただきましたので、私は、川内議員との約束どおり、消防庁長官に対しまして、我々の持っておるデータが若干説明不足のところがあるのかどうかお尋ねをしてみましたが、消防庁としては、電気用品安全法に基づいて事故の整理をしているわけではありませんから、直ちにということになりますと、私どもの経済産業省が積み上げた方が正しいわけでありまして、そのことに対して消防庁長官もお認めになりまして、それで結構だという回答をちょうだいしているところであります。

 いずれにしましても、今、川内議員から展開されました、いわゆる規制緩和という点から、今お示しいただいているようなそういう分厚い、言いかえれば規制のようなものを考えておって時代の流れに合うのかという意味のお尋ねであろうと思いますが、もう一面、私どもは事故を防止しなきゃいけない、そういう観点があるわけであります。したがいまして、電気製品の評価技術基盤機構のデータによれば、年を加えて劣化しているという、いわゆる経年劣化以外の原因によっても多くの事故が起こっておることは事実であります。したがいまして、中古品に問題がないということを意味するものではないと我々は考えております。

 例えば、先週末には、中古品販売事業者の協力を得まして、店頭の中古品について検査を行いました。その結果、PSEマークのついていない約六百五十製品では不合格率が約二%でありました。二%といいますと簡単な数字のようでありますが、そうではなくて、一万台、二万台というオーダーでこの電気製品は動くわけでありますから、二%というのは我々としては看過できない数字だと思っております。PSEマークのついている六十製品については、そのすべては検査に合格をしているという事実があります。

 そこで、電気用品の出火原因等につきましては、既に川内議員もいろいろお調べになって大体御了解いただいているのではないかと思っておりますが、委員各位にも御理解をいただくために申し上げれば、今、火災が年間三万件起こっておる。そのときに、電気製品にかかわるものが約三千件、一割を占めておるわけであります。そのまた内訳を見ますと、電灯等の配線が千二百四十件、配線器具九百二十件、電気機器が六百五十件、電気装置百六十件、このような内訳になっておるわけであります。

 したがいまして、私どもは、中古の製品を、今議員がお述べになりましたように、もったいないということでリサイクルして使うということ、そういう時代ではないかということは、それは我々もよく承知をいたします。しかし、それでも、これが原因になって事故が発生し、そしてまた家が焼かれ、あるいはまた死亡事故等が起こっておる、この状況に対して我々は対応しようとしてきた歴史的な経緯があるわけであります。

 そこで、今、そんな分厚いものでというお話でございますが、それはもっと簡易に、簡便にやれるように方法を変えて対応しておりますし、また、ビンテージ等の問題につきましても、これは我々のこの法律から外していこう、こういうことで対応しておりますので、今現在、御心配をいただいたおかげで順調にこの一日から現場では推移をしておりますので、それを受けて、これから全国各地で講習会なども一層進めていきますから、どうかこれからもよく見守っていただいて御協力をいただきたいと思っております。

川内委員 時間が終わっておりますので、二階大臣、もう一回、経済産業委員会でじっくりとまたやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて川内君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは最初に竹中大臣に一言伺っておきたいんですが、竹中さんは小さな政府担当大臣でいらっしゃるわけですね。

竹中国務大臣 就任させていただきましたときに、行革等々を担当させていただきます、それで、公務員のこともございますので、そのようなつもりでやると。そういう意味で、小さな政府担当大臣のつもりでやるというふうに申し上げました。

吉井委員 つもりどころの話じゃなくて、昨年十二月二十六日に全国の都道府県知事さんあてにお手紙を出してはりますね、総務大臣竹中平蔵ということで。それで、もちろん今おっしゃったように、政府として閣議決定した小さくて効率的な政府を実現するので頑張るんだという決意を述べられ、総務大臣就任時の会見で私の務めは小さな政府担当大臣であると申し上げましたと。それから、行政改革の重要方針では小さくて効率的な政府を実現していくんだと。これは昨年の十二月末におっしゃったばかりであります。ですから、私は、これからもこの委員会へは常時出ていただいて、小さな政府担当大臣にも行革担当大臣とともに質問をしていきたいというふうに思います。

 最初に伺いますが、行革推進法五十五条第一項では、地方公務員の定数を五年間で四・六%削減する。第二項の方で、「政府は、前項の規定の趣旨に照らして、地方公務員の配置に関し国が定める基準を見直すほか、地方公共団体の事務及び事業に係る施策については、地方公務員の増員をもたらすことのないよう努める」としているわけですね。

 最初に伺っておきたいんですが、これは総務大臣でも行革大臣でも結構ですが、この国が定める基準にはどういうものがあるのか、何があるのか、伺います。

中馬国務大臣 今回の行革推進法におきましては、地方の方、これは地方自治でございますから政府が命令するわけにはいきませんので、国がこういう方針でやりますよという形で、竹中大臣も、地方に対しましてその方針を伝えて、御協力を願いたいというお手紙を出されたんだと思います。

 ともかく、それには国が規定している事務がございまして、こういったことの御協力を得なければ、その部分がかなり地方公務員の中では大きな比重を占めております。そういうことから、教育、警察、消防、福祉関係の地方公務員の配置に関しまして、国が幅広く基準を定めている分野を見直す、これはもうやります。そして、地方公共団体の事務及び事業に係る国の実施する施策について、地方公務員の増員をもたらすことのないように努めることといたしております。地方公務員の配置に関する国の定める基準については、定員について幅広く見直しの対象とするため、特定の分野に限定せずに広く見直しの対象としていくべきだ、このように考えております。

吉井委員 それは法案、法律をお読みになっただけの話で、経済財政諮問会議配付資料では、地方公務員三百八万三千人のうち二百万八千人、六五・一%については、政府は国が基準を定める分野としてきたわけですね。ですから、二百万人のこの数の裏づけとなる法律とか、政令とか、施行基準とか、あるいは標準数なり最低基準なりがあるわけでしょう、それをお示しくださいと言っているんです。

竹中国務大臣 今中馬大臣が既に大枠をお答えしてくださっておられますけれども、国が法令等によって職員の配置基準を幅広く定めている。教育、警察、消防、福祉、これは委員も今おっしゃいましたように、十六年四月一日現在における地方公務員の職員数、全体の三百八万人のうち約二百万人となっております。

 どういう形でそれが決められているかというのは、これは実に多様なものがあるということでございますけれども、まず、国が法律または政令等によって特定の行政分野に関して一定数の職員の配置を義務づけるというものがございます。これは、例としては、公立の義務教育諸学校学級編制及び教職員定員標準法による都道府県ごとの標準数がこれに当たると思います。第二に、職そのものの設置を義務づけるもの。例としては、農業改良助長法による農業普及指導員の配置などがこれに当たると思います。第三には、職員の資格基準を義務づけるもの。これは、例としては、地域保険法施行令によります、保健所長に医師を配置すること、お医者さんを配置することですね。そういった多様なものがあるというふうに認識をしております。

吉井委員 大臣の答えとしては私はそれで結構なんですけれども。この二百万人ですね。それぞれ、これはこの法律で、この基準によってということでカウントしていったら二百万人になるはずなんですね。もともと経済財政諮問会議に出された資料は二百万人、根拠があってですから。それを欲しいと言ったら、いや、これはすべてを把握しているわけじゃないとか、そういう話が出てくるわけです。これはやはり委員長さんにもお願いしておきたいんですけれども、二百万八千人の根拠となる法令とか標準数とか、これは各省庁にまたがると思うんですね、そういうのをきちんと、私たちが二百万人読み取ろうと思ったら読める資料を出していただいて、よくそこがわかるようにしていただきたいなと。これをお願いします。

伊吹委員長 吉井君に伺いますが、くれと言ったらというのは、だれにくれと言われたんですか。

吉井委員 これは政府の方にレクチャーをお願いして、この定める基準に、それぞれ、二百万になるのがあるはずですから、いただきたいと言ったんですが、それは各省庁とも、いえば省庁の中でも必ずしもつかめていないようなので、それで把握しがたいということですから、これはぜひ努力をしていただきたい。

伊吹委員長 ただいまの資料の要求については、理事会にお諮りをいたします。

 各省庁にまたがることでございますから、特定の省庁に言われても、当然、すべてを把握していないという答えを出すのは、これは当然のことだと思います。

吉井委員 大体、総まとめで総務省の方でやっているかと思ったら、そこもまとまっていないんです。つまり、どこもまとめていないからわからないんです。ですから、こういうのはきちっとまとめて、出していただきたいと思います。

 次に、教育、警察、消防、ケースワーカー、あるいは保育士など福祉関係の配置基準、これは地方が自由に定めることはできないもので当然国が定めるということになっているものですが、国が基準を定めるには、やはり定めるだけのきちんとした、それぞれについて義務的にというお話がさっき若干ありましたけれども、やはりこれは、国民生活にかかわる分野について、国が責任を果たすとか、あるいは補助金なり交付税の措置をする根拠、それから、やはり国民の安全を守るという、国の基本にかかわる責務ですね、何かきちんとした意味があって国が基準を定めるということになっていると思うんですね。ここのところは、大臣、どうなんですか。

中馬国務大臣 国が地方公務員の配置基準を法令等において定めるもの、これはさまざまなものがあります。その意義はそれぞれの行政分野における必要性の観点から設けられているわけでございまして、その各省庁の方にそれぞれ理由がありましょうから、それぞれからまた御聴取願いたいと思います。

吉井委員 それでは、今中馬大臣がおっしゃったように、必要性の観点から定めているわけですね。では、最低必要だとした基準数に比べて現状はどうなのかということが、やはりこれは吟味しておく必要があると思うんです。

 それで、最初は政府参考人で結構ですから、消防の方に伺いますが、消防職員、国の基準数からいうとどれだけで、現況はどれだけで、要するに何人の人が不足しているのか、伺いたいと思います。

大石政府参考人 お答えいたします。

 消防につきましては、消防力の整備指針を定めて必要な人数を算定しているわけでございますが、平成十五年四月一日現在の調査におきましては、その必要数は二十万五千百九十九人でございます。この十五年四月一日現在の実員数は十五万五千十六人でございまして、おおむね五万人ほど足らない、こういう状況でございます。

吉井委員 さっき地方の方でこの基準で二百万人というお話がありましたが、義務教育関係を除く百万人の中で五万人、つまり五%が今不足しているのが実情だということがお話を伺ってわかりました。

 次に、これも厚生労働省の政府参考人に伺っておきますが、児童福祉司、専任の職員の方が、専任の方ですが、何%今いらっしゃるのか。それから、配置されている中で有資格の職員の方は何%なのか。これを伺います。

北井政府参考人 市町村の児童家庭相談体制についてのお尋ねでございますが、平成十七年四月より改正児童福祉法が施行されまして市町村が児童家庭相談の第一義的な窓口となったところでございまして、その施行後の状況を把握するために平成十七年六月一日現在で調査をいたしました。

 その結果によりますと、児童家庭相談に従事する職員数が六千九百五十一人でございますが、そのうち専任の職員は二千十六人、二九・〇%でございます。それから、児童福祉司たる資格を有する者は三百七十一人、五・三%となっております。

吉井委員 ですから、五・三%ということは、有資格者でいいますと九四・七%少ないということですね。それから、専任職員数でいったら、今二九・〇%ということですから、要するに実は七割その基準に足りていない。これが現状だということがわかりました。

 余り細かいことを聞いていましたら時間もあれですから、私は、この前、国土交通省の方に伺っておりますが、構造審査をする建築主事の配置の特定行政庁が幾らかといったら二百七十一あるんですね。その中で、ちゃんと構造審査する主事を配置しているところは幾らやと言ったら三十八の行政庁なんですよ。つまり、八六%の行政庁では構造審査をする人が、建築主事がいらっしゃらない。あれだけ耐震偽装の問題が出ている中で、やはり本当に消防だとか児童福祉司だとか建築主事などで、安全だとか暮らしを支えていく面、そういう点では実は国の示してきた最低基準に達していない、こういう状況がいろいろなところで見られるんですが、中馬大臣に伺いますけれども、国の示したこの最低の水準なり標準数というのは必要性の観点からだとさっきおっしゃったわけですね。そうすると、やはり必要な部分はちゃんとやっていかなきゃいけないわけですから、それを実現していく取り組み、これは中馬大臣としてはどのように取り組んでいかれるんですか。

中馬国務大臣 国が定めます配置基準、これは法令等において定めるもの、さまざまなものがございますけれども、今御指摘ありましたように、かなり定員を割っているところもあるやに聞きます。

 しかし、その必要性の観点から、それぞれの自治体の要求や、また、各省庁がそれをよしとしているか、あるいはまたそれの増員を一生懸命図っている上においてもなかなかそれが達成できないのか、ちょっとその事情はわかりませんが、いずれにしましても、そうしたものの財源措置等も設けられていることは事実でございます。配置基準を自治体において充足していない場合においては、国が定める配置基準は、それぞれの行政分野においてさまざまでありましょうけれども、各省において適切な対応がなされているもの、そのように認識をいたしております。

吉井委員 三位一体で交付税もどんどん削られてきて、実質的に補助金もなくなって、大変だという地方の悲鳴が今上がっているときなんです。そういう中で足りないところをどう補って充足していくかということですね。これは、大事なことを充実する方も行革だと思うんですね。中馬大臣としても、そこのところはやはりきちっとやってもらわないと、私は行政改革ということになってこないと思うんですね。

 そこで、消防について少し総務大臣と、それから細かいことは消防庁の政府参考人に伺いたいと思いますが、本来、国が示している基準だと二十万五千人必要なのに十五万五千人しかいない、五万人、二五%不足しているというお話が先ほどの答弁でありました。

 それで、総務大臣の方も、この都道府県へのお手紙の中でも書いてはるのでよくわかるんですが、この配置基準の見直しというわけですが、現在の十五万五千人を、全国で、見直しというのはこれはマイナスの方の見直しだけですか。不足数をどう充足していくということで見直していって、そして国民の安全がきちんと保たれるようにしようということで総務大臣としてお考えなのか、これを伺います。

竹中国務大臣 まず、我々は、必要な手当てはやはりしっかりやらなきゃいけないと思います。そのことはしっかりとやってくださいということを常に自治体に申し上げなければいけない立場にございます。一方で、定員に関しては全体としてはやはり削減をしていただかなきゃいけない。そのために、必要な手当てそのものに対してもやはりこれは不断に見直していくという姿勢が必要であるというふうに思っております。したがって、短期的にはこの必要な手当てをやってくれということはしっかりと申し上げます。一方で、必要な手当てが本当にどれだけかということは不断に見直していく、そういうことは中期的にもやっていくということであります。

吉井委員 それで、消防職員については今五万人、二五%不足しているということですが、実は、これは国の方でも、東海、東南海・南海地震が連動して起こる可能性、それも遠くない将来ということを、今、その可能性や時期が近づいているということを言っているわけですね。

 実際そのときには、阪神大震災を上回る被害の発生や、あるいは、最初の大きな地震の後、これは長周期地震動といって、三大都市圏の超高層ビル、竹中大臣にはこの間も聞いてもらっていますので、あなたも超高層ビルに住んでいるから大変だというお話でしたが、その超高層ビルが危険な状態になる。

 そこまでいかない、被害が大きくならなかったとしても、二〇〇三年九月の十勝沖地震のときのように、長周期地震動で、三大都市圏のコンビナートの石油タンクでは、浮き屋根の破損だとか、フローティングルーフと言われる、委員長もびっくりしはるかと思うんやけれども、直径七十メーターとか八十メーターの大きいタンクですよ。そこにナフサとか原油が入っているタンクですが、これが破損してリング火災になりましたね、苫小牧の出光興産で。あるいは全面火災も相次いだという実例を既に私たちは長周期地震動では経験済みなんですが、だから国の中央防災会議の専門家からもこのことについて警告が出されているんですね。

 だから、私はこういう点では消防職員を、もちろん機材の充実もそうなんですが、やはり二五%も足りない、一〇〇%充実をどのようにさせていくかということは総務大臣として相当考えていただかないと、国民の安全を守るということにとっては大変だと思うんです。大臣、どうですか。

竹中国務大臣 長周期地震動、これも委員いろいろ御指摘、御懸念を表明しておられますけれども、中央防災会議等々も含めまして、対策をいろいろ我々も勉強しているところでございます。

 そうしたことを含めまして、安心、安全のよりどころ、極めて重要でありますから、先ほど申し上げましたように、やはりそのための必要な手当てというのはしっかりと行っていかなければいけない。その分、自治体にも適切に対処していただくように我々もお願いをしているところでございます。

 一方で、先ほども言いましたけれども、定員全体をしっかりと改革、行革していかなければいけないという観点から、その必要な手当てそのものも、同じ安心、安全の中でもめり張りが今後は出てくるでありましょうし、いろいろな研究調査の結果も踏まえましてしっかりと見直していきたいというふうに思っております。

吉井委員 大規模地震災害の経験は、日本は地震国ですから、我々いっぱい繰り返しやってきているわけですね。

 それで、三年前の二〇〇三年九月の十勝沖の話を先ほどいたしましたが、三大都市圏にはこの浮き屋根式のタンクだけで一千八基あるんですね。それだけのタンクがありますから、長周期地震動のときに、苫小牧の幾つかのものでも、六つのタンクで浮き屋根が沈没してしまって、全面火災になったりスロッシング現象でリング火災になったものが出ているわけです。そういう共振による問題、これはタンクの構造とかいろいろな面からの改良ももちろん大事なんですが、やはり何といっても消防力の強化を図っていかなきゃいけないわけです。

 例えば、これは中馬大臣もよく御存じの堺泉北コンビナート、あそこにある堺高石消防本部の管内を見てみますと、国の基準で消防職員は九百九十五人必要なんですね。ところが、現在は八百八十三人で百十二人不足しているんですね。ですから、これは消防庁の方はよく御存じで、私もレクを受けましたけれども、消防ポンプ車もはしご車も、それから高圧化学消防車も兼務という状態なんですね。

 そうすると、地震のときに、最初のプライマリー波の次のセカンダリー波、S波が大きい被害が都市部では来ますけれども、そのときにポンプ車が出てしまうと、時間おくれで長周期地震動でコンビナートの石油タンクが幾つか火災になったとき、実は出かけていくのにその化学消防車を出動させる職員が不足してくる、そういう事態になりかねないわけですね。

 だから、中央防災会議の専門委員から、南海大地震とそのときの長周期地震動によるコンビナートや超高層ビルの危険性について警告が発せられているわけですが、消防職員は現在も不足しているんです。近い将来に予測される南海大地震など、そのときには直径七十メートルとか八十メートルという大規模石油タンクの災害に対応できない、非常に難しいという状態にあるわけです。

 だから、その必要な手当てをするとかめり張りをつけるというお話なんですが、めり張りどころかそもそも充足していない。だから、これをどういうふうにやっていくかということは、総務大臣として、大臣も超高層ビルで、大変なところに、場合もあり得るわけですから、やはり相当、一〇〇%の充足を早くまずやり抜くということを考えなきゃ、何しろこれは最低基準で設けたものですから、大臣に考えてもらう必要があると思うんですね。大臣、どうですか。

竹中国務大臣 先ほどから御答弁させていただいていますように、住民の安心、安全のための人員確保、これは極めて重要であると思っております。それに対する適切な配慮はこれまた極めて重要なわけで、各市町村において適切に対処していただく必要があるというふうに思っております。我々もしっかり調査をしておりますし、そうしたものに関して必要な助言等々は行ってまいりたいと思います。また、今回、消防研究所についても改組を行いまして、そうした全体的な防災に対するプランニングといいますか、そういう面でも機能を強化したいというふうに思っておりますので、総合的な観点から、国民の、住民の安全、安心を支えるための努力を引き続き続けていきたいと思っております。

吉井委員 充足してもらうといっても、財政的な支援を含めて、どうしていくかということを本当に真剣に考えないといけないと思うんです。

 京葉コンビナート、千葉の市原の方に、以前、チッソ五井の事故があったりとかで私も事故調査に行ったことがありますが、その石油タンクを抱える市原市では、六百六十六人が国の基準なんですね。しかし、現況は三百九十八人で充足率は五九・八%。つまり、あれだけ巨大な石油基地を持っているところで六割しか充足されていない、四割は不足しているというわけですね。

 専門家が指摘しているように、例えば、あの場合は南海地震じゃなくて東海地震になりますが、その東海地震動があったときに、東京都心部の地下構造からすると、非常に波が増幅されて、最も被害が大きくなるのは千葉県側だろうということまで言われているわけですね。六割足らずしか消防職員がいない中で一律四・六%も削減をかけたら、これは本当に大変なことになってしまう。しかし、中馬大臣は、四・六%削減せいと、あんた法律出してはるわけやから、この場合、そんなに削ったらどうなるか、やはり大臣としては深刻に考えてもらわなあかんと思うんですが、どうですか。

中馬国務大臣 今、さまざまな御指摘をちょうだいいたしました。私は自民党の消防議連の幹事長もいたしておりまして、消防の実情もよくわかっております。その基準そのものもしかしそれでいいのかどうかということももちろんありますけれども、かなり未充足なところが多いことも現実でございます。しかし、一方で、日本古来のボランティアの自主的な消防組織としての消防団があります。この消防団が果たす役割は非常に大きいのでございますが、これがまた最近では、若い人たちがなかなか消防団に入ってくれなくて、その役割も昔ほどの大きな力がなくなってきている。こういったことが相まちまして、これは私たちも少し真剣に考えなければいけないということを我が党の中の会議でも言っているところでございます。

 ただ、今回のことを一般論として申しますならば、教育であれ、警察であれ、あるいは消防であれ、周辺のところではかなり民間に移管してもいいような職種が、それをお役人としてやっているものもありましょう。そうしたものも十分に一つは検討していただきまして、そしてまた充足の必要性のあるところ、特に安全とか保安とか、こういったものは非常に大事でございますから、今後の高齢化社会にも対応する意味におきましても、これで必要なところはふやしていかなければいけないものもありましょう。

 いずれにしましても、そうしためり張りをはっきりつけるというのが、今回のことで一律に何かすべて四・六%に合わせなさいとか切りなさいと言っていることではございませんので、そのことはひとつ御理解をちょうだいいたしたいと思います。

吉井委員 今消防団も言わはったんやけれども、しかし、リストラに遭ったりとか、大型店がどんどん進出して大阪市内も商店街は大変ですよね。今まで商店主の方たちが消防団を支えてくれた、その人たちがそこにおれなくなってきている。高齢化もしてきている。そういう中での、私は、基本的な公設消防について、やはり二五%も充足率が足りないわけですから、これは本当に考えなきゃいかぬと思うんです。

 消防業務というのは、消火だけじゃないんですね。火災現場へ行ったときに、例えばコンビナートでいえば、委員長も行かれたことがおありと思うんですが、パイプラインが走っていますね。ここで起こっている化学反応と、反応塔を過ぎた先の工程での化学反応で、化学溶液の性質が全然違ったりとか、それから、それに応じて消火をどういうふうに変えていくかとか、爆発の可能性とか、有毒ガスの発生の可能性はどこにあるかとか、こういうのをきちんと日常的に押さえておかぬと対応できないですね。それから、所によっては、高圧放水すると断熱材として使われているアスベストがどんどん飛び散ってしまう。ですから、そういう実情を日常的につかむ。これはまた、都市部でいえば雑居ビルの実態に至るまでそうですが、これが消防査察業務ですね。

 だから、火を消すということだけじゃなしに、消防査察業務を含めて、これらはマンパワーなんですよ。ですから、人を採用し、教育し、経験を積んでもらう、それなしには、石油化学コンビナートのすべての装置から雑居ビルの現状に至るまで、日常的に把握して、災害時にきちんと頑張ってもらうことができるということにならないわけですね。だから、せめて国の最低基準に計画的に近づける、私はそのことが必要だと思うんです。

 中馬大臣の方は、削る方は五年間で四・六%、削る数値目標を挙げていらっしゃるわけですが、では、消防の方は、しかも、それは法律の第三条で、削減することを国と地方の責務として、責務規定で縛っているわけですね。だけれども、充足する方、国民の安全や国民の暮らしを支える方の、この基準を充実させる方の数値目標とか具体的な計画は何かお持ちですか。

中馬国務大臣 これは、国の方ではなくて地方でございますから、要請した形になっております。命令した形ではございません。

 そのあり方につきましても、それぞれの分野において、国の場合でしたら各省庁にかなり、その中ではめり張りはもちろん考えますけれども、枠として五%と今言っておりますが、この四・六につきましては、かなり大きな地方行政の中の問題でございますから、先ほどからお話しになっております教育やそういったものを含めて、それぞれの自治体ごとにそういうことを努力していただく、その総体としての日本の国全体の地方行政関係が四・六%減ることを私たちは期待しているところでございます。

吉井委員 これは、自治体でやってくださいというただのお願いじゃないんですね。国の方で基準の見直しをすると言っているんですよ、削りなさいと。そのことを、国も地方も責務だということを言っているんですからね。だから、削る方は責務なんだけれども、今、国の基準から不足してしまっているものを充足する方の数値目標や計画はない。これは幾ら何でも、これじゃ行革の名に値しないと言われても仕方がないと思いますよ。

 私、次に、暮らしの方にも移りたいと思うんです。

 厚労省の政府参考人に先に伺っておきますが、今、不況が長期化してきた中で、リストラ、失業、不安定雇用の拡大などで、セーフティーネットの役割というのが非常に大事になってきております。それを担っているのがケースワーカーの方たちですが、今、国の基準に照らしてどういう状況ですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるケースワーカーでございますが、現在、社会福祉法に基づきまして福祉事務所に置かれる現業員につきましては、国が標準を定めております。平成十六年十月現在で、全国で、国の標準数で申し上げますと一万三千五百三十七人の現業員の配置が必要でございますが、現に配置されております数は一万一千三百七十二名、標準数に対し八四%となっております。

吉井委員 だから、およそ二千人ほど足りないわけですよね、国全体で。

 それで、中馬大臣は大阪のことにお詳しいから大阪市でいいますと、国の標準では八百四十三人のケースワーカーが必要なんですね。だけれども、現況は四百二十七人で充足率五〇%と、半分しか足りていない。四月一日から政令指定都市になりましたお隣の堺市、ここは百四十二人必要なんですが九十二人ですから、国基準の六五%しかケースワーカーの方がおられない。

 大体、国の標準は、ケースワーカー一人当たり八十世帯を担当していただくということになっておりますが、大阪で見ますと、大阪市、門真市、八尾市など、大体百三十世帯から百四十世帯を担当している例があって、基準をはるかに超えてしまっているんですね。

 ケースワーカーの方の仕事というのは、担当している世帯をお訪ねするとかして実情を把握し、激励したり、職安へ御一緒に行く場合もあるでしょうし、それ以外のやり方も含めて、就職活動をできる人だったら応援してあげたり、体の悪い人は病院を紹介したり、早く自立できるように支えてあげるということで頑張ってはるわけですね。しかし、一人で百二十ケース担当とかなると、一年に二、三回しか顔を見ることもできないような状態になったりして、今、失業とか、あるいは社会の変化の中でうつ状態に陥った人など、さまざまな人たちを支えることが必要なときなんですが、この格差社会、社会がゆがんでいるときには特にそれが大事なんですね。それが、全国でもそうなんですが、大阪で見れば本当にこれは不足しているわけですね。

 まず伺いますが、大臣はこういう大阪の実情を御存じですか。

中馬国務大臣 ケースワーカーの配置基準を充足しているか否か、これは所管大臣がございますので、見解を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

 一般論としましては、各地方公共団体における人員の配置については、関係する法令や条例を踏まえて、各地域のニーズに照らして適切に判断されているものと考えております。

吉井委員 それで、川崎大臣に伺いますけれども、充足させる取り組みですね。一律に四・六%削減ということじゃなしに、現に厚労省が示している基準からも不足しているし、社会的にサポートしていかなきゃならない大事な仕事をしてもらっている人が不足しているんですから、これは充足をしていく、そういう立場で取り組まないと、現場はお手上げになってしまいますね。

 厚労大臣として、これは削減を第一とするんじゃなくて、こういう部分では、やはり国民の暮らしを支える面では充足をさせるように頑張る、そういう何か計画とか数値目標をお持ちだったら、それを伺いたいと思います。

川崎国務大臣 まず、福祉事務所における現業員の定数は、従来、法定の最低基準として定められておりましたが、平成十二年に施行された地方分権一括法により標準数という表現になり、自治体が地域の実情に応じて適切に人員配置すべきもの、このように決定をされております。一方で、平成七年段階におきましては、この標準数を各自治体とも満たしていたと考えております。

 しかし、一方で、御指摘のように生活保護の世帯がふえてきております。そういった意味では、地方自治体に保護の実施体制の整備が重要であるということをお願いしてきております。監査の機会等をとらえながら自治体に配置の充実をお願いしてきております。

 そうしたことで、特に大阪につきましては標準数から大きく下がっておるという認識をいたしております。

吉井委員 認識してもらったら、次は、それをどのようにきちんと、名前を法定が標準になろうと、標準が法定であろうと、これはこれだけ必要だという基準として考えてきたわけですから、それを満たすために取り組んでいくのが私は当たり前のことだと思うわけです。

 時間があと二、三分になってきましたから、最後に……。質問時間終了ですか。そうしたら、あとは、続きはあしたやるようにしたいと思います。終わります。

伊吹委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。昨日に引き続いて質問させていただきたいと思います。

 本来の質問に入る前に、昨日、滝委員の質問に対する中馬国務大臣の答弁で、私は、見過ごしてはならない、看過できない答弁だというふうに思っておるわけでございますから、そのことについて質問させていただきたいというふうに思っています。中馬大臣、笑い事じゃないと思いますよ。

 本当に、地方はこの間、非常に厳しい状況に追い込まれて、大きな努力をしながら人員削減を行ってきております。そして、非常に一人一人の人がそういう状況の中で頑張っているという実態を私は申し上げておきたいと思います。平成七年から十一年連続して二十四万人もの職員を減らして、そして、血のにじむ努力をやってきております。そして、地方自治体は、市町村長、あるいは県庁においては知事を中心としながら、議会制民主主義というものをしっかりつくって、地域における一つ一つの課題に取り組んできているというのが実態であります。

 それで、昨日の答弁において、全部は申し上げませんけれども、あんな仕事をまだ役人がやっているのかとか、こうして昼間からだらだらしているのかといったような御批判もたくさんあることも十分お聞きになっていることだと思います、こう言っていました。あんな仕事というのは何を指すんですか、大臣。

中馬国務大臣 きのう他の議員の質問に答えたことを、また別の議員からこうして御指摘されることは、余り本筋じゃないと私は思います。ただ、ここで言ったことも事実でございますから補足して申し上げますが、これは、滝さんの御質問に対しまして、私が一つの、地方の方もかなり努力してもらわないと、それは一般の市民、住民の目に触れるところでございまして、民間の、一般の方々の声にはそういうものがありますよという紹介の意味で私は申し上げた次第でございます。

 あんなというような、ぼやけた形で言いましたけれども、具体的に言いますならば幾らでも事例が挙げられるわけでございまして、一つあえて事例を申し上げますが、ごみ処理なんかの場合、これはもう家庭の主婦がこういうことをおっしゃっているんです。

 民間業者に委託したところは、車に二人乗って、運転手さんとごみ収集の人が乗って、四つ角に来ましたらぱっと飛びおりて、両方の方が行ってごみ袋を清掃車の後ろのごみの投げ入れ口にほうり込みます。ところが、お役人の、大阪市とか書いてあるところの方は三人乗っています。運転手は乗ったままで、おりません。二人の方がおりて、そしてごみをそこに投げ入れて、また飛び乗って次のところに行きます。それと、お役人の方々は、もう四時ごろになりましたらさっと仕事を終えられます。しかし、民間に委託したところは、決められたところの契約の範囲のところは、夜八時になっても、それを一生懸命集めていかれます。しかも、給料は、一般論として言いますけれども、民間の方々の方が給料が安いということはもうみんな知っております。

 私は、そういうことを具体的な形で申し上げるのもなにかと思いましたからあんなという表現をとりましたけれども、そういうことで、一般の方々の、住民の目に触れているそうした無駄なところはやはり民間に移したり、あるいは、そのほかにまた例を挙げましたら切りがありませんが、特に大阪市で問題がありましたから、私、身近でございますからよく見ておりますから、その声は痛いほど聞いております。

 そのことがありますから、そういうことはやはり避けて、しっかりした公務員もたくさんいらっしゃるし、また、本当に一生懸命やっていただいている自治体もあります。非常に限られたということで、市民がボランティア活動でやりながら非常にスリムな行政体を運営していただいている地方自治体もあるわけですから、そういったことを含めて、地方におきましても行政の改革にひとつ大いに取り組んでいただきたい、国民の、住民の批判を浴びないようにしていただきたいという願いを込めて私は答弁したつもりでございます。

菅野委員 一つの事例としてごみ処理の問題が中馬大臣から今答弁あったんですが、これは、三人乗車とか、ごみ収集の場合は本当に安全性を重視してやっていかなければならない、そういう大きな意味も含めて、それぞれの自治体において、このことをどうするのかというのは市町村長と議会が真剣な議論を行ってきているという事実を申し上げておきたいというふうに思っています。それで、大阪府の例を出して全国一般の例というふうにおっしゃっていますけれども、特殊な例を引き出して全国一般の例にしていくということに対しては、私は問題があるというふうに思っています。

 そして、あるいは要らない仕事を外していくという、この要らない仕事というのはだれがどういう基準で判断するのかという問題です。私は、地方自治体においても、この議論というのは市町村長と議会が真剣になって議論している課題でもあるというふうに思うんです。これはだれが要らないと判断していくんですか。中馬大臣として、要らない仕事が地方自治体には存在するというふうに考えているんですか。

中馬国務大臣 何度も言いますように、これは、私がどの業種が要らないと言っているわけじゃありません。先ほどから申しますように、そうした声が、直接住民の目に触れるところで、たまたまですけれども、地方公務員の中でそういうことをされる方がいらっしゃったらそういう批判も浴びていくわけですから、そういったことをなくすように行政改革に取り組んでいただきたい、こういう意味で申し上げた次第でございます。

菅野委員 それも私は答弁になっていないというふうに思うんですね。答弁で、この厳粛な特別委員会の中で、要らない仕事を外していくという答弁というのは、要らない仕事がまだ地方には存在しているという認識を示されているということに対して、憤りを感じているというふうに思います。

 それから、もう一つです。

 何といいましょうか、少々問題のある方、分限免職の対象にならぬとも限らない人がずうっと役所におられることもこれまた事実でございますと。こういう事実があるとすれば、この事実というのを示してください。

中馬国務大臣 これまた他府県他市町のことまではあえて言いませんが、大阪市の中でもこの間ああした問題が出ました中で、大阪市の中にそうした分限対象者といいましょうか、そうした方々が、数字をちゃんと役所側が出しておりますし、また大阪府におきましても、教員の中で、本当に不祥事を起こしながら、あるいはまた退職に値すると我々が見ても思われる方々が、ずらりとその中に入って、やめさせられずに我々の税金でございます給料を取っておられることは、これは私はいかがなものかと思っております。

菅野委員 今も大臣の地元の一つの例をとって、これが全国展開されているというおっしゃり方をしているわけですけれども、大阪府の例は特殊な例だというふうに私は申し上げておきたいと思います。

 それで、最後にこう言っています。大臣、いいですか。こうしたことをどんどん改革することによって、地方の方においても、少なくとも今まで減らした、あるいはそれ以上の人員減を一つの大きな国の施策としてやるわけですから、それも歩調を合わせてやっていただきたいというのが今回の四・六%以上という数字の根拠でもございますと言っていますね。こういう、今まで挙げたものが、改革することによって、それが四・六%の根拠だという答弁をしています。

 こういう人たちが、地方公務員、今三百万人として、四・六%という数字を掛け合わせると十三万八千人もの人をこういう状況に置いている、これが大臣の答弁じゃないですか。だから、私は、これから問いただしていきたいと思うんですけれども、この四・六%という数字の根拠でもございますと言っているこの中身を、中馬大臣、答弁してください。

中馬国務大臣 数字の根拠という意味じゃなくて、滝委員からの御質問の趣旨では、これも一つの地方に対する督励の意味でおっしゃっていただいたんだと思いますが、ともかく、中央から地方に権限が移っていきます。仕事が移っていくことになりますと、逆に地方の方は少し増員にもせざるを得ないようなことのあれがあるのではないかといった話がありましたので、私は、そうではなくて、相当無駄な部分もありますし、その無駄な部分が、今私が例に挙げたことの話だけじゃありません、相当な、もう役割が終わった仕事をしているとかあるいは二重的なことをやっているとか、いろいろなことがあるわけでございますから、それが市民の、住民の目に触れております。

 こういったことがありますから、それを正す意味においても、今のことでもう精いっぱいやっておって、どうしても、一人たりとも減らせないといった今の委員の御発言ではなくて、私は、そういうことも含めて、もう少し大まかな、四・六%という今までやってきたことぐらいは十分にできるのではないかという意味で申し上げた次第でございます。

菅野委員 先ほど申し上げましたように、地方は本当に無駄を省くという努力のもとでこの二十四万人もの人員削減を行ってきているという実態があるわけです。そのことをずっと積み重ねてきて、そしてなおかつ、今四・六%の、法律条文にして削減していくという責務を課しているわけです。そうしたときに、この四・六%削減する根拠、この数字の根拠というのはどこにあるんですか。大臣、答弁願いたいと思います。

中馬国務大臣 何度も申し上げておりますように、過去五年間において地方自治体は四・六%の純減をいたしております。過去においても努力したことも十分に私どもは認めておりますが、今後その努力を引き続きやっていただきたいということでございますし、先ほどこの委員会でも少し議論が出ておりました。地方は市町村の合併によりまして、かなりこれは統合されました。その中でもう自主的に数字が出てきております。それと、府県におきましても、この集中改革プランの中で、もう四・六%よりもはるかに高い数字を、我が県は七千人減らす、我が市は五千人減らすといった数字がどんどんと出てきておりまして、全国はまだ集計されておりませんが、それを合わせただけで四・六%は十分に達成できるものと私どもは一つの確信を持った数字でもあります。

菅野委員 そうすると、この四・六の根拠というのは、これまでの五年間で地方自治体が削減してきた数字をまた五年間の数値目標にした、これだけの根拠なんですか。再度答弁をお願いします。

中馬国務大臣 国が五%という数字を挙げたわけでございます。五%ということも一つの目標値になり得ると思いますけれども、やはり過去のことの数字、一応四・六という数字が出ておりますから、少なくとも過去努力していただいた以上のものは、五%と言わず四・六はできるであろうという一つの目標値としてこれは要請したわけでございまして、命令ではございません。

菅野委員 もう一方で、国は五年間で五%削減という数値を挙げました。私は、法律の条文に五%、四・六%、こういう数字を挙げるということは非常に重い意味を持っているというふうに思います。政府としてしっかりとした削減根拠という部分を持っていながら法律条文に書くことだというふうに思うんです。

 それは、今大臣の答弁で、これからも国の五%というのは目標数字だ、具体的な中身はそこには存在しないんだという答弁が来ると思うんですけれども、国が五%とした削減目標を掲げた本当に具体的根拠は何なんですか。答弁願います。私が冒頭言ったような答弁では、私は納得しません。

中馬国務大臣 各民間の方々で構成される財政諮問会議あるいは減量の有識者会議、こういった民間の方々も含めた多様な方々の議論の中から、やはりそのぐらいは十分可能であろう。そして、もう少し、先ほどから申していますように、この改革というのはただ人減らしではないんです。お役所の仕事、これを民間に任せていく、中央の仕事を地方に任せていく。そうすると、必然的に、お役人の数は現状のままでいいはずがありません。そうしたことを踏まえ、今後の高齢化社会、あるいはまた人口が減少していく中で、お役人の数だけが現状のままでいいというはずもこれまたありません。そういうことから、こうしたことの総合した形の五%という形をその方々に出していただきましたので、それにのっとって、この五%という当面の五年間の目標を定めた次第でございます。

菅野委員 大臣、地方でできることは地方で、民間にできることは民間でと言って、私は、昨日の滝委員の質問を聞いていて、滝委員の言っていることはそのとおりだと思ったんです。一方では、中央省庁の人員を削減するために事務事業を地方に移管していく、こういう体制がとられています。そして、一方では、地方は四・六%、この法律案の三条で言えば責務を課せられているわけですね。そして、法律条項に四・六という数字を挙げているわけです。ここは矛盾と思いませんか。

 だから、現状から言わせれば、過去五年間、まだ事務事業が移行なっていない中で、努力して四・六%の人員削減というものが行われてきた。これから五年間、国が五%削減したのを、地方や民間が受け皿となって、地方も仕事がふえていく。それに伴って、人員はふやされないで、減少という方針が示されている。私は、非常にここに大きな矛盾があるというふうに思うんですけれども、大臣、どう思いますか。

中馬国務大臣 何度も申しておりますように、地方の行政体がやっております仕事の中では、公営企業というものがございます。バスを動かしたり、地下鉄ですね。こういったものも、もうかなりのところが民営化している。これは、国鉄を例に挙げるまでもなく、それを民営化することによってどれだけ効率がよくなるか、人員が少なくて済むかということはもう実証されているわけでございまして、それをまだまだ公営の形でやっている自治体もたくさんあるわけでございます。

 それから、市場化テストという手法を今後は使うことにいたしました。この市場化テストによって、幾つかの、あるいはかなりの部分の仕事も民間に移管されていきましょう。

 そうした中で、何度も申しますが、これは自主的にそれぞれの自治体が出してきている数字がこの四・六%よりもはるかに上なんですね。私どもの立場でこうした数字を挙げておりますと、民間の企業の方々から、何で五%なんだ、私のところはこの不況の中で三割減らしてこれだけまた業績を上げましたよとか、何でこんな五%という、一けたなんだということを逆になじられるようなことがございまして、御党は別としまして野党の中でも我々がこうして目標にしているところよりももっと大きな数字を挙げておられるところもあるわけでございまして、決して、五%が、四・六%が過大だとは私は思っておりません。

菅野委員 大臣、もう一つ、次に進みたいんです、納得したわけではございませんけれども。

 法律条項にこの四・六という数字を書きました。なぜ、地方公務員の削減目標を政府が一律に決めることができるんですか。私は、これは憲法の地方自治の本旨、分権の趣旨に反するものと言わなければなりません。先ほど申し上げたとおり、地方自治の本旨に基づいて、地方自治というものが形づくられて、市町村長あるいは知事、それに伴う議会制度というものがあって、地方のことはみずから治めていく、そういうふうな制度がつくられているにもかかわらず、この行革推進法においては四・六という条項を設けております。

 そしてまた、教育の充実を望む国民の期待を踏みにじるように、生徒数の減少を上回る数で教職員数を純減させるとまで言っているわけでございます。これらについて、今地方は、教育の質を向上させようということで、三十人学級あるいは三十人以下学級を目指して取り組んでいるという姿、国からお金がおりてこなくてもみずからの力でやっていこうという動きも出てきている中で、こういうことを国として地方に押しつけるというのは、私は地方自治の本旨にももとるというふうに思うんですが、大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。

中馬国務大臣 ここは国会でございます。国会は国権の最高機関で、すべてのことを決めることができるわけでございます。政府は別でございます。政府はこういうことを提言いたしましたが、国会でこうしてこれを法律としていただきます。そうするならば、国の方針として、部門を問わずに、聖域を求めずに、五%、公務員の総人件費を減らそうといたしております。

 その中で、今度は政府としての要請の場合には、自分たちは五%をカットいたしますけれども、国会とかあるいは裁判所とか、そうした三権分立の中で、それぞれの部門であったり、また、地方も自治組織でございますから、ここに対しては一つの要請という形、国としてはこれだけの方針を決めましたよ、政府としてはこれだけのことをやりますが、しかしそれぞれの部門も御協力くださいという形で、要請の形で今申し出をしているようなことでございます。

菅野委員 それじゃ、第三条の関係は、国、地方自治体は行政改革を推進する責務を負うというふうに第三条で責務規定を設けているんじゃないですか。大臣、読んでみてください、三条を。このことは要請ではないでしょう。要請と責務という言葉の使い方は違うと思います。どう思いますか。

中馬国務大臣 ここで法律になりましたら、これは国のはっきりとした国民の意思でございます。

菅野委員 大臣、今何と答弁したんですか、国民の意思。(中馬国務大臣「国会が……」と呼ぶ)いや、政府が法律案を提案していますから、私はここで質疑しているんです。国会の意思はまだ決まっていません。(発言する者あり)

伊吹委員長 お互いに私語を慎んでください。

菅野委員 答弁願います。

中馬国務大臣 提案権がありますから、政府としてこの法案を出させていただいております。国会でこうして与野党で御審議いただきます。賛成の方も反対の方もいらっしゃいましょうけれども、しかし、これが可決された場合には、これははっきりとした国民の意思、国家の意思でございます。

菅野委員 政府が今この法律案を提案しています。そのことは、地方自治の本旨を定めた憲法に私は抵触するというふうに思っているんです。そのことを大臣としてどう考えるんですかと質問しているんです。正対して答弁していただきたいと思います。

中馬国務大臣 法制局ももちろんクリアしておりますし、これは何度も申しますが国会に諮っているわけでございます。国会でお決めになりましたら、それははっきりとした国の意思になるわけでございます。

 今、委員のおっしゃるような形で、それは自治体を縛るものでないと言いましたら、自治体は何をしてもいいということに結果的になるんじゃないですか。

菅野委員 国会で決めれば国民の意思という形になるかもしれません、なります。ただし、政府が提案するに当たってこのことをどうクリアしたんですかと。私は、努力目標で、閣議決定で行うんだったら理解します。それを三条で縛りをかけて、そして四・六という数字を条文にして、そして法案にするということに対して、憲法に反することだというふうに私は申し上げておかなければならないというふうに思うんです。

 ここは平行線でございますから、これ以上議論しません、次に移りますけれども、こんな問題が存在する法律案を政府が提出してきているということに対して、私は非常に憤りを持っています。

 そしてもう一つは、非公務員化した独立行政法人に対しても五%削減の目標数字を掲げて法案にしています。本来、この独立行政法人をつくったときに、本当にその法人の独立性を確保していこうという流れの中で、この独立行政法人化の流れというのはつくられたというふうに思います。にもかかわらず、その独立性を阻害するようなことが今行われようとしていることに対して、中馬大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。

中馬国務大臣 独立行政法人につきましては、独立行政法人通則法におきまして、独立行政法人の業務運営の効率化に関する事項を主務大臣が中期目標において示すこととなっておりまして、また、法人の人件費についても、その見積もりを中期計画に定め、主務大臣の認可を受けるべきものとされておりまして、本法案におきまして、この通則法の範囲で人件費削減の取り組みについて規定しているところであります。

菅野委員 大臣、今の答弁で、主務大臣の権限ですよね。主務大臣の権限で独立性は図られていくんじゃないですか。そこをこの法律案で、主務大臣の権限を越えて、そして縛りをかけていくということに対して、独立性は損なわれているんだという私の質問なんです。答弁願います。

中馬国務大臣 それぞれの主務大臣は、行政改革本部のメンバーでございます。

菅野委員 本当にこの行政改革推進法案というのは、地方自治の本旨も踏みにじるし、独立行政法人の、非公務員になった独立行政法人に対しても独立性を阻害する、そういう中身になっているということをここで申し上げておきたいというふうに思っています。

 そして、次に移りますが、公務員の身分や労働条件の保障についてです。

 人員削減目標を達成するに当たって、大臣、退職不補充、新規抑制だけで私は削減目標を達成できるとは思いません。行政減量・効率化の有識者会議が重点十五分野を対象に削減の具体化を進めて六月までに結論を出すと承知しておりますけれども、法案の審議が続いているかどうかわからない六月に詳細な内容が決まるというのも、私は逆立ちしたものだというふうに思うんですね。

 行政改革法案では、国家公務員の純減に際して、府省庁横断的な配置転換の措置を講じる、こうありますが、行政機関のあらゆる分野で五%削減という数字が重荷になっている中、本当にその対象職員が納得する形で円滑な配置転換が進むと考えますか。全部の省庁で五%削減なんです。それを配置転換していくというこの矛盾を大臣はどう考えているんですか。

中馬国務大臣 五年間で五%でございまして、極力生首は切らないという表現も一部使っておりますけれども、現職の方々を無理やり意に沿わずにやめさすといったことはするつもりもありませんし、そのような形をとらなくてもいい形の範囲が五%ということも言えるかもしれません。

 といいますのは、三十三万二千人を対象としただけで考えましても、これは、定年でおやめになる方々、これが約九千人から一万人いらっしゃるんです。五年間たてば五万人なんですよ。それは、一万六千六百人ですか、その五%というものをはるかに上回るものでございまして、減員の補充をしていただいても結構です。

 しかし、それを今度三割ぐらいのところでとどめておかないと、やはり今後のところで、その要請はしておりますけれども、ともかく、配置転換さえ、ある程度めり張りをきかそうとするならば、ひとつもう時代的に不要になった部門だとか、これはダブっているじゃないかといったようなことは、やはりその方々が、少しそこが過剰な人員であればよその部門に行っていかなければなりません。組合の方々もそこはある程度御理解いただきまして、その配置転換等には何とか応じていただきたい。そうするならば、これはそうしたいわゆる生首を切ることなしにこの五%は十分に達成するものだ、このように私たちは認識をいたしております。

菅野委員 大臣、私は、組織において人事ローテーションというのは大切なことだというふうに思っています。退職した人たちが生じたならば新たな職員を補充していく、こういう人事ローテーションなしには組織というのは永遠に続いていかないというふうに思うんですね。今、一年間九千人退職するから五年間で十分なんだという、そんな暴言は私は許せないというふうに思います。

 ただ、大臣、出血整理はしない、今も生首は切らないんだという決意はお聞きいたしました。そして、国家公務員雇用調整本部を設置するという考えもお聞きしております。であるならば、私は、この法案に、職員の生首は切らないことや、配転や民間への移籍は当該職員の意思を最大限尊重するという、明記まではいかないです、ここは信義ですから、この場で本当に、後でも触れますけれども、公務員の置かれた状況というのは、本当に大変な状況の中で今この行革が進められようとしているわけですから、大臣、しっかりとした答弁を、そのことでしていただきたいと思います。

中馬国務大臣 何度も申しますように、それにはめり張りをきかせていこうというならば、また、時代的な役割が終わった部門があるとするならば、その方々をやめさせるということではなくて、転勤をしていただく、あるいは部門をかわっていただく、そういうことはやはり必要でございます。そういうことも御了解いただくという前提でやれば、今言っておりますような、いわゆる不本意な形で退職することは私はしていただかなくても済むのではないか、このことははっきりと申させていただきます。

 また、先ほど言いましたように、我々の雇い主といいましょうか、これは国民なんですからね、国民の税金なんです。ですから、少し無駄にわたるようなところ、それは、そういう方がいらっしゃったら、その方々はやはり引き取ってもらう、そういうことはもちろん別でございますけれども、普通の方に心ならずもやめていただくことは必要ないかと思っております。

菅野委員 最後の質問になりますけれども、大臣、ILO、国際労働機関がこの三月二十九日、事実上三回目となりますが、公務員に労働基本権を付与すべしという勧告を出しました。日本の公務員制度はもはや国内問題の域を超えた課題になっていると言っても過言ではないと私は思っています。

 それで、この行革推進法案では、公務員制度改革についてわずか一条の条文を置いただけです。しかも、その内容は、能力・実績主義の導入については必要な措置を講じるとしながらも、公務員への労働基本権付与については幅広く検討を行うという非常にあいまいな規定を置いたわけです。

 だから、先ほど言ったように、この行革が進められていくことによって、公務員という立場から団体交渉や争議権というのがないわけです。それで政府の一方的な形で行革が進められていく流れというのは、私は、この国会審議でしっかりと議論し合っていかなければならない大きな課題だ、私自身に課せられた課題だと思って今質疑しているわけです。

 労働基本権付与について大臣はニュートラルな立場で臨むという形で表明されているようですが、労働基本権を付与した上で、業務の見直し、労働条件の変更を労使間で合意していくことが本来の姿だと私は考えているわけですけれども、この労働基本権の付与について大臣の考え方をお聞きしておきたいと思います。

中馬国務大臣 戦後、GHQからの指示等もございまして、公務員に国民に大変大きな混乱を起こしてしまうストをさせないといったようなこともございました。こういったことの背景の中で、公務員というものを労働基本権から一つ外した形を、人事院をそのかわりに置かせていただいておりますが、そういう形で今日に来たことは事実でございますが、時代が変わってきたことは私も認識をいたしております。

 政労協議、労働組合側と私どもかなり率直に話をいたしました。その結果として、従来のように労使が対決するという形ではなくて、これから大きな日本の次の段階に向かっていくについて、お互いがひとつその方向で協力していこうじゃないかということに対しまして、本当に快く合意ができているわけでございます。

 そうする中で、今御指摘ありました労働基本権につきましても、これは、与えるとか与えないとか、そういう前提条件つきじゃなくて、白紙の段階からお互いに検討する場を設けようということが合意されたわけでございます。そこで率直に、もちろん国民の意思もありますから、国民の意識も含めながら、そこでの検討を重ねていった上で一つの結論が出てくるのではないかと私は認識いたしております。

菅野委員 行政改革というのは、私は、その該当する人にとっては本当に大きな労働条件の変更を伴うものなんです。そういう立場から考えたときに、憲法で認められている団結権そして団体交渉権、そして協約を結んで、それが守られないときには争議行為までも発展していく、こういう一連の労働者の基本的な権利というものが保障されて、そしてその中で進められていくということが大原則であるというふうに私は考えているものでございます。そういうことをしっかりと政府としても、この基本原則に立ってこの問題に対処していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて菅野君の質疑は終了いたしました。

 次に、滝実君。

滝委員 五時を回りまして時間を三十分いただきますのはまことに不本意でございますけれども、皆様方の御好意でございますから、質問を続けさせていただきたいと思います。

 今し方、地方公務員数の問題をめぐって、ぎりぎりした議論がございました。これはどちらかというと余りぎりぎりした議論をするような法案ではないのかもしれませんけれども、少しは確認をしておかなきゃいかぬかもしれませんので、きょうはずらっと政府参考人を私が呼んだことになっているものですから、やはり政府参考人に登場もしていただかないといけないのかな、そういう思いで、まず、今の地方公務員数の四・六%の削減の問題で、そのベースをお聞きしておきたいと思うんです。

 四・六%、何を数字のベースにしているかということなんですね。これは我々も相当いろいろなことをやってきましたから、そのテクニックを恐らく今でも引き継いでいるんだろうと思うんですけれども、条例定数でいくのか、実人員でいくのか、あるいは給与実態調査の人員でいくのか、それから、あと、いわば正規職員でない人たちをどういうふうにするのか、まあ三種類ぐらいの数字のとり方があるんだろうと思うんです。余り細かいことは説明していただかなくてもいいんですけれども、大体どういうような感覚で四・六%の実績を積み上げてきたのか。これは上田審議官でございますか、よろしくお願いいたします。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公務員の四・六%の削減のベースの数字でございますけれども、基本的には給与実態調査で把握をしております全国の定員数ということでございます。これは、いわゆる非常勤は基本的には含みませんので、常勤職員数の総数ということをベースにしております。

滝委員 給与実態調査ということは、基本的に本当の実人員でとっているんだろうという一応の推定が成り立つ数字でございますから、恐らくそうだろうと思うのでございますけれども、ただ、中馬大臣が、定数の減らし方のテクニックの中で欠員不補充のことをお述べになりました。これをやってまいりますと、これは人事当局が常に使うテクニックでございまして、欠員不補充をする、それは欠員になったのは別に組織の責任ではございませんで、定年退職者が出たからということがほとんどなのでございますけれども、これをやりますと、どうしても正規職員でない人を後がまに埋めるということになりがちでございます。

 これはそのときそのときの時代の風潮がございますから、パートやアルバイトはけしからぬという風潮があるときには手控えるわけでございますけれども、えてして民間企業でも、このごろは派遣職員だ、派遣社員あるいはパートだという時代になってくると、定数を削減するのは簡単でございますけれども、その後の欠員補充は臨時職員だということがかつては大流行をした時代がございます。特に昭和二十六年から二十九年にかけては、もう五十年も前の話でございますけれども、そういう時代には盛んに使ったテクニック、それがいまだ残っているわけでございまして、こういうことについてもう一遍、事情を御存じの上田審議官から、そういうことについてはどういうふうに考えていくのか、お述べいただきたいと思います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 行政改革を通じて定数を削減していく、仕事を省いていくという観点から申しますと、常勤の職員の定数を削減したからといって、それをそのまま非常勤に置きかえることがあるということにはならないと思います。

 基本的には仕事をやめていただく、場合によってはアウトソースがあるかもしれませんが、外に出していただくことによって、かわりの人を単純に充てるということにはしないように、そういうマネジメントが求められると思います。

滝委員 私は当然そうあるべきだろうと思いますけれども、やはり組織内の治安対策も必要でございますから、なだめる理由としてそういうテクニックが盛んに使われやすい、そういうことだけを注意しなければいけない、こういうふうに思います。

 そこで、昨日も質問させていただきましたので、多少関連することを中心にして、まず意見を申し上げていきたいと思います。政策金融機関の整理統合の問題でございます。

 私どもの記憶にあるのは、通産大臣の堀内光雄先生の時代に石油公団を廃止した。石油公団を調べてみたら一兆三千億ぐらいの借金がある、これを赤字垂れ流しでやっていったらひどい目に遭うというので廃止の方向にかじを切った、こういうことが言われておりますよね。その結果、今どうなったかといえば、それに関連する各種の機関を整理して、そして子会社も整理をさせて、見込みのないものは整理をしていく、それから、多少なりとも見込みのあるところは株式を売却してやってきた。その結果、一兆三千億からの推定赤字が、どうも株式売却によって二兆円ほど売却益が出てきて、何とか赤字は十分ぬぐえるようなところにまで来ている、こういうようなことを聞かされてきたわけでございます。

 したがって、今回のこの政策金融機関の整理統合の中で、そういった面から、そんなに財政に寄与しないものをやるはずがないだろうと思いますので、そういうようなことをどの程度この政府系金融機関の整理統合として考えていらっしゃるのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと存じます。

大藤政府参考人 今般の政策金融改革は、単なる数合わせということではなく、民間にできることは民間にとの考え方のもと、簡素で効率的な政府の実現に資するため、現行政策金融機関の担っている機能を抜本的に見直しまして、完全民営化、廃止される機関の機能を政策金融の外に切り出すとともに、その他の機関の機能についても絞り込んだ上で、必要最小限の業務を一つの新たな政策金融機関に担わせることとしたものでございます。加えて、管理部門、支店の一元化、事務経費の削減等により統合効果を発揮するよう努めることとしておりまして、これらの取り組みにより新政策金融機関が簡素で効率的なものとなると考えているところでございます。

 なお、新政策金融機関へ現行政策金融機関を統合する際に必要となる経費等につきましては、新政策金融機関の具体的な組織形態等が決まっていない現時点において確たることは申し上げられないわけでございますけれども、いずれにせよ、行革効果を最大限発揮するとともに、統合に伴うコストを極力抑制し、統合効果をできるだけ大きくすることを念頭に置きつつ、今後の詳細な制度設計並びにこれを踏まえた制度の企画及び立案の過程で、統合のために必要な経費についても精査してまいりたいと考えております。

滝委員 いろいろ計数的なことを作業するような段階じゃないのかもしれませんけれども、少なくとも、こういう政策金融機関を整理統合するというのはそれなりに経費がかかる話ですよね。最近は、そろばんだけあれば、あるいは電話だけあれば仕事ができるわけじゃありませんで、統合すれば当然膨大な、コンピューターの経費がかかるとかいろいろあるわけでございますから、当然それを上回る財政寄与と申しますか、そういうこともある程度計算しているんだろうというふうに私どもは推測をしているわけでございますので、その辺のところは何とか、それは当該金融機関がやっていけるというのは前提条件ですけれども、それによって国にもメリットがあるということを当然お考えになっているんだろうと思いますから、そういうことに全力を挙げていただきたいというふうに思います。

 次に、特別会計の問題が当委員会でも出ております。私は、この特別会計はいろいろな種類があるでしょうけれども、一つには、各省と旧来の財政当局との、いわば不信感を媒介とするせめぎ合いめいたところがあると思うんですね。要するに、特定財源をふやした、しかし全部とられちゃったらたまらぬ、したがって特別会計でよくわかるように整理をしておきたい、こういうことがありますね。

 登記特別会計なんかは、その典型的なものだろうと思います。昭和四十二年に登録免許税をつくるときに、恐らく財政当局と法務省の間でいろいろな駆け引きがあったんだろう、そういうことの結果がああいう特別会計になっているんだろうというふうに私は推測をいたしているわけでございます。それが今回、整理統合という格好で、本来、財政当局が整理統合したがっているということは何となく推測できるのでございますけれども、片や、一生懸命それによって何とか事業の充実をしたいというところは、泣く泣く従っているのかなということも想像できるわけでございます。

 したがって、私は、特別会計の整理統合が一律にいいのかということに対しては、半分ほどクエスチョンマークをつけておかなければいけない問題だろう、財政当局はもろ手を挙げて賛成するような話じゃないのかなという感じがいたします。

 それはそれとして、私は、その意味で、外国為替特別会計、これに全く手をつけないというのはいかがなものだろうかなという感じがするわけですね。世評言われているのは、外為会計のため込んだドルにしたって外国証券にしたって膨大なものだ。何でそんな膨大なものを置いておくのかといえば、これは財政当局としては大変便利なポケットなんですね。

 予算編成の際に、玉手箱のように毎年経常的にそこから資金が注入されてくる。その注入する基準というのは実はないんです、これ。担当局長に尋ねたって、大体それを外為特会から一般会計に繰り出す基準はあるのかと言ったらないというのが、これはそれしか言えませんからそうなるだろうと思うんですけれども、しかし毎年必ず、当然のことながら入ってくる。いわば小銭入れみたいな、便利に使われていますから、財政当局としてはこいつに手をつけては困ると言うに決まっているのでございますけれども、その辺のところは私はやはり何か基準というか規律をつくっておいた方がいいように思うんですけれども、財務大臣、どうでしょうか。

谷垣国務大臣 外為特会で少し手をつけたらどうだというような御議論は今までもありまして、その中に幾つかの議論のタイプがあると思っております。

 一つは、資産圧縮のために、たくさん外貨準備を持っているじゃないかということで、外貨資産を売却するようなことはどうだ、こういう議論もあるんですね。

 ただこれは、率直に言うと、今、日本は相当大きな外貨準備を持っておりまして、それを政府としては売却するぞといったときに、為替市場を非常に不安定にしちゃうという危険性がございます。むしろこれは、要するに、為替がファンダメンタルズを安定的に反映すべきもので、それをしないときに介入する資金だとして、動かしにくいものではないかなと思っているわけです。

 もう一つは、結局、毎年毎年運用しておりますと、要するに内外金利差というのがございますから、そこで剰余金が出てくるということが毎年大体あるわけでございますね。特に、日本の介入の仕方と今の国際金利の状況からすると、今は出やすい状況にあるということも事実でございます。

 それは、委員がおっしゃるように、毎年必要な部分だけ積み立てて、これはもう積み立てる必要がないというのは、一般会計で要するに税外収入の大きな部分になっているということは事実でございます。

 ただ、こちらも、ではその積立金を全部取り崩せということになりますと、なかなか日本の外貨の為替介入の機動性というものが出てまいらないということがございます。それから、今申し上げた、では剰余金の中でどれだけ一般会計に税外収入として入れていくのがいいのかということになりますと、やはりそのときそのときの日本と海外との金利差というもの等々をよく考えませんとなかなかできないということがございまして、一般的にこういう基準がいいんだというのはなかなか難しい側面があるのかな、このように思っております。

滝委員 今財務大臣のおっしゃるとおりだと思いますけれども、しかし、これについてはそれなりの批判があるということはやはり念頭に置いていただいて、私は、やはりきちんと基準なら基準をおつくりになっておいた方がいいんだろうというふうに思います。特に、ドルが高くなったときに、恐らく売却もしていないと思うんですね。買う一方だと。では何のために買うんだということになったときに、ひたすら買い続けるということしかないというところに、私は何となくしっくりしないものがあるように思います。

 次に、この市場化テストでいろいろ問題があると思うのでございますけれども、まず法律の二条の四項で言うところの公共サービス、いろいろ並んでいますよね。施設の運営管理とか、研修だとかいうことがいろいろ並んでいます。その並んでいるのは、私は、大半は、これは別に公共サービスというよりも、やめた方がいいんじゃないだろうかなと。この施設の中には、例えば刑務所があります。今これから民間の力を導入するという刑務所の運営管理の問題もあるわけですから一概には言えないと思いますけれども、どうも、なぜこういうものを公共サービスとして麗々しく並べ立てておくのだろうかなということが一つございます。

 それからもう一つ、三十一条以降に、これは特に地方に関連する戸籍の問題でありますとか印鑑登録の問題とか、こうあるんですよね。ある中に、それ以外にも例えば年金の収納事務を特定公共サービスとして民間参入を改めて認める、こういうようなことが出ているわけでございます。

 特にそれを、例えば年金なんかの収納事務に民間の参入を認めるというのは、それは一つの考え方で、そのこと自体は悪いことではないと思うんでございますけれども、そこまでやるならば、国税、地方税それから社会福祉関係、そういう納付金ですね、これをイギリスみたいに内国歳入庁方式でやるべきだというのは昔から議論があるんですよね。ところが、これを一括してやると、そこで出てきたいろいろな問題点がそれぞれ国や地方団体にフィードバックされてこない。それは制度の運営管理に、やはり自分のところで集めて、汗を流して、やはりそこはそこでもって問題点を常にフィードバックしながらシステム、制度を運用するのがいいんだ、こういうことで来たはずなんでございます。

 したがって、日本ではイギリスのような内国歳入庁というものは余り具体的な議論が進まなかったんですけれども、ここで年金の収納事務を、まあ全部とは言わないでしょうけれども、一部でもおやりになる、どの程度やるのか知りませんけれども、そういうことになってきたときには、むしろここは、歳入庁までいきませんけれども、もとに戻して、市町村はこれを、官民競争入札に参加するという道が開けるのかなと思ったら、それは条文がないんですよね。

 その辺について、総務大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

竹中国務大臣 今、前半と後半とおっしゃいましたので、後半の部分につきましてお答えをさせていただきます。

 国と地方公共団体の事務分担というのは、これはやはり事務の性質によって区分されるべきものであるというふうに思います。この役割分担の議論は、これは不断に見直していかなければいけないと思います。ただ、市場化テストと同じような形で入札というようなことが果たしてできるのかなという思いはございます。

 御指摘の年金収納事務につきましては、これは地方分権一括法によって国の直接執行の事務とされたところでございます。一方で、今国会に提出されております国民年金法等の一部改正法案によりましては、みずから申し出をした市町村も一定の納付事務を行うことができることとして審議をお願いしているところでございます。

 そういった形で、基本的には、国、地方の役割分担については不断の議論が必要であるというふうに認識をしております。

滝委員 いずれにいたしましても、私は、今度の市場化テストで、そういうような年金の収納事務、あるいは、余り外国でやっていないと思うんですよね、印鑑登録だとか戸籍とか納税証明書の発行とか、そういう行政権能に直接付随するようなところまで入ってくると、これは一体全体どういうことになるのかなと。

 いよいよ、民間の派遣会社をむしろ初めから雇い入れるとか、それから、アメリカで出てきているようなシティーマネジャー制度とかタウンクラーク制度とか、日本ではもう四、五十年も前に一生懸命になって勉強したことをもう一遍ここで蒸し返してやった方が早いんじゃないだろうかな、こういう感じも持つのでございますけれども、ここはひとつ中馬担当大臣殿に意見をお聞きしておきたいと思います。

中馬国務大臣 滝委員とも私も党の方で地方行政の調査会としていろいろと議論をしてまいりました。このことに関しましては本当に抜本的な、地方制度調査会も答申を出しておりますが、ただ道州制だけではなくて、そうした事務の配分の問題も、前の一括法のときに、こうしたそれまでやっておりました年金の収納業務その他は地方の自治事務にするべきだ、そういうことを出したんですが、当時の厚生省は、これはやはり国の責任だということで法定受託の方にしてしまったわけでございますが、その結果、徴収率が非常に悪くなったといったこともございます。

 今後のことにおきましては、そうしたシティーマネジャー方式までも含めた地方自治体のあり方まで私はもっと抜本的に考えていかなければいけないと思いますし、また、先ほどからいろいろと地方との役割の中で出ています教育の問題もございました。教育委員会の必置義務もなくすべきだという議論も出始めている中でございますから、今のところはまだそこら辺の決着がついておりません。そうする中での現在のこの段階における行政改革推進法におきましては、こうしたことを規定させていただいております。

 ただ、今の窓口業務等につきましては、郵政の民営化のときに議論もされました。地方の郵便局を、特定郵便局なんかはかなりそうしたワンストップサービスの中で、印鑑証明だとか、あるいは住民登録、こういったこともできるんではないかといった議論もありました。そういうこともこの法律でやりますと、これも一つの可能な範囲に入っていくんじゃないかと思います。そういう幅広いことも含んだ上での今回の法案だということで御理解いただきたいと思います。

滝委員 中馬大臣の構想については私は理解できますけれども、ただ、それがその範囲内にとどまっていればまあまあという常識的な判断ができるんですけれども、一般的な、恐らく参入をしろという声が強くなってくるだろう。こういうふうなときにどうするかという問題は地方団体としてやはり真剣に考えておかないと、私は、そこまでいくならば、もう少し抜本的にいろいろなことを考えた方がいいという話になっていくんだろうと思います。

 そこで、時間がありませんけれども、最後に、実は、三位一体の問題に関連して、国庫補助負担金の整理統合の問題、それは十八年度で終わったわけではない、こういうことを私は予算委員会に際しまして竹中総務大臣から大臣としての感想をお聞きいたしているわけでございますけれども、私は、日本の財政難、財政の非常事態ということを考えるならば、日本の地方行政のあり方、要するに、国がやはり相変わらず地方の問題に関与する、都道府県も担当する、市町村も担当する、そういう三重構造でこのまま行って本当にいいんだろうか、やはり基本的には、限界があるんじゃなかろうかなということを考えると、もう少し国も身軽にする、地方もそれを契機として行政のあり方を変えていく、そういうことが必要だろうという感じがするわけでございます。

 したがって、これから五年間ではなかなか難しいという問題もあるんだろうと思いますけれども、しかし、この五年間にやっておかなければできない問題もあるんだろうと思うんです。

 私は、そういう意味で、せっかく官房長官にずっとお出ましをいただいておりますので、官房長官に一言感想をお述べいただければありがたいと思います。

伊吹委員長 それでは、いろいろ広範にわたりますので、内閣を代表して、安倍官房長官。

安倍国務大臣 さすが地方行政の専門家の滝委員の御質問、ずっと拝聴しておりました。

 私が官房長官に今就任をいたしまして、いわゆる三位一体の改革を進めてまいりました。地方分権をしっかりと進めていく、この地方分権を進めていくということについては終わりはない、このように考えているわけであります。

 また、市町村合併も順調に進み、いわば地方分権の受け皿となる中核的な自治体もしっかりとでき上がりつつあるわけでございまして、地方にできることは地方にとの精神のもとに、我々、今後ともしっかりと地方分権を進めていきたい、このように考えております。

滝委員 時間がまだ多少残っておりますけれども、もう五時半も過ぎたことでございますから、本日は、これにて終了をさせていただきます。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 滝君の質疑は終了いたしました。

 本日の質疑は以上でございます。

 次回は、明五日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十二分散会


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