衆議院

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第7号 平成18年4月7日(金曜日)

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平成十八年四月七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊吹 文明君

   理事 今津  寛君 理事 園田 博之君

   理事 谷  公一君 理事 谷川 弥一君

   理事 山本 有二君 理事 大島  敦君

   理事 北橋 健治君 理事 桝屋 敬悟君

      安次富 修君    秋葉 賢也君

      井上 喜一君    衛藤征士郎君

      大野 功統君    大前 繁雄君

      岡本 芳郎君    加藤 勝信君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      小杉  隆君    佐藤  錬君

      坂井  学君    菅原 一秀君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      並木 正芳君    西本 勝子君

      葉梨 康弘君    広津 素子君

      松本 洋平君    三ッ矢憲生君

      水野 賢一君    市村浩一郎君

      大串 博志君    武正 公一君

      西村智奈美君    鉢呂 吉雄君

      古本伸一郎君    馬淵 澄夫君

      渡辺  周君    石井 啓一君

      谷口 和史君    石井 郁子君

      菅野 哲雄君    滝   実君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   農林水産大臣       中川 昭一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     中馬 弘毅君

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           猪口 邦子君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   財務副大臣        竹本 直一君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   農林水産大臣政務官    金子 恭之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  上田 紘士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中藤  泉君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            鈴木 明裕君

   政府参考人

   (内閣府規制改革・民間開放推進室長)       田中 孝文君

   政府参考人

   (内閣府市場化テスト推進室長)          河  幹夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    衞藤 英達君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            石川  明君

   衆議院調査局行政改革に関する特別調査室長     大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  衛藤征士郎君     川条 志嘉君

  大野 功統君     広津 素子君

  菅原 一秀君     坂井  学君

  松本 洋平君     木原 誠二君

  近藤 洋介君     西村智奈美君

  武正 公一君     古本伸一郎君

  前田 雄吉君     市村浩一郎君

  塩川 鉄也君     石井 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  川条 志嘉君     衛藤征士郎君

  木原 誠二君     松本 洋平君

  坂井  学君     大前 繁雄君

  広津 素子君     大野 功統君

  市村浩一郎君     前田 雄吉君

  西村智奈美君     近藤 洋介君

  古本伸一郎君     武正 公一君

  石井 郁子君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     菅原 一秀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出第七四号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出第七一号)

 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出第七二号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)

 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

伊吹委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、内閣官房内閣審議官上田紘士君、内閣官房内閣審議官中藤泉君、人事院事務総局人材局長鈴木明裕君、内閣府規制改革・民間開放推進室長田中孝文君、内閣府市場化テスト推進室長河幹夫君、総務省自治行政局公務員部長小笠原倫明君、総務省統計局長衞藤英達君、財務省主計局次長松元崇君、文部科学省高等教育局長石川明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 おはようございます。民主党の西村智奈美と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、いわゆる市場化テスト法案について質問をさせていただきます。

 官から民へと言われてまいりました。ただやみくもに官から民へ流せばいいというふうには、恐らくどなたもお考えになっていないのではないかと思います。民間に任せるときに、きちんと国の責務として一定の質の確保を図る、先進国諸国がやってまいりました失敗を教訓にして、日本でどうそれをつくっていくか、それが問われることだと思っております。

 さて、今回の市場化テスト法案、公共サービス改革法案と恐らく政府の方はおっしゃるんだと思いますけれども、非常に中身がわかりにくい。これは恐らく多くの方が指摘されていることではないかと思います。この法律が成立した後で内閣がその基本方針をつくる、それに沿った形で各省庁で実施要項をつくるということなんですけれども、これはどうなっていくのかわからないということで、私たちの目からいたしますと非常にこの先がどうなるのか見通せない、そんな法律案であると思っております。

 ところで、質問ですけれども、この市場化テスト法の対象には、既に幾つかのものをそのテストの対象とするというふうに決まっております。実施要項や基本方針が決まっていないのに対象業務が先に決まってくるというのは、これはちょっとおかしな話ではないかというふうには思いますが、伺いたいのは、統計調査業務がこの対象に含まれていることについてでございます。

 そもそも、この対象業務の決定はどういう判断基準で行ってこられたのでしょうか。

中馬国務大臣 公共サービス改革法案が名称でございますが、市場化テストと略称しておりますから、それを使ってもらって結構でございます。

 ともかく、今回の、今の御質問にございましたこれらの統計業務を初めとした、これをどうして選んだかということでございますが、そのほかにも、この法律が成立、施行されますと、ハローワーク関連事業、社会保険関連業務、統計調査関連業務等について官民競争入札等を実施することを予定しております。

 これらの業務につきましては、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現するという観点から、これは、民間業者からこういったことができるじゃないかといった提案がありまして、この提案を踏まえまして、テスト的な意味も含めまして始めたこともございます。そして、関係省庁との協議を行った上で、民間の創意工夫の活用等により、効率的、効果的な業務の実施が可能となるものであることから、官民競争入札等の実施を予定しているものでございます。

西村(智)委員 民間業者からの要望、提案を踏まえてということですけれども、この統計調査業務について、民間業者からの提案はありましたか。

中馬国務大臣 どの業者からということではなくて、既にそうした実施を民間的にやっておられることから、これは私たちでもできるんじゃないかといった声があったようでございます。それをこうしてテストの形で、まずは対象に挙げさせていただいております。

西村(智)委員 民間業者からの提案があって統計調査業務を市場化テストの対象業務に加えたという今の大臣の御答弁でございました。これは記録に残りますので、しっかりと私の方も記憶にとどめてまいりたいと考えております。私が承知しております限り、統計調査業務がこの市場化テストの対象業務に含まれたというのは、むしろ省庁の方からの要請が非常に強かったというふうに承知をしております。

 この後質問いたしますけれども、そもそも統計調査業務は、個人情報を扱う非常にデリケートな業務でございます。個人情報を扱うということから、民間事業者には非常に厳格なコンプライアンスが求められてくると思いますし、また非常に多くの人員を動かさなければいけませんので、このことについて民間業者が積極的に手を挙げるのだろうか、そのことについては私はちょっと疑問を持っているわけでございます。

 それでは引き続いて伺いますけれども、秘密保持義務ですね。法案の二十五条では、公共サービス実施民間事業者、その他ございますが、「知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。」などなどと書かれております。そもそも市場化されたときに、守秘義務、秘密保持義務と言ってもいいと思いますが、それはどのように課せられるのでしょうか。昨年度、モデル事業で行われた国民年金の収納事業では、事業者、受託者に守秘義務は課しているんですけれども、そこで働いている一人一人の個々の労働者に守秘義務が課されているという仕組みにはなっておりません。そこのところを踏まえてお答えいただきたいと思います。

 また、法案の中を見ますと、秘密保持義務の規定が適用される範囲として、公共サービス実施民間事業者、その職員等々が含まれると想定されるというふうに書いてありますが、秘密保持義務をどのように課されていくつもりなのか、伺います。

中馬国務大臣 この法案の第二十五条第一項におきまして秘密保持義務規定を置いておりまして、これによりまして、民間事業者が公共サービスの実施に関して知り得た秘密の漏示または盗用、これを禁止しております。あわせて、本法案では、民間事業者が公共サービスの実施に関して知り得た秘密を漏らし、または盗用した場合の罰則規定、これも置いております。こうした措置によりまして、個人情報その他の秘密を保護することとしている次第です。

西村(智)委員 今のお答えの中でも、事業者のもとで働く一人一人に、個々にきちんと守秘義務が課せられるのかということについては明確な御答弁がなかったと私は理解をいたします。

 既に官公庁などで相談業務を行っている、行おうとしている事業者が、そこで働く人たちを募集したりしておるわけでございます。今手元に、「年金相談のお仕事」「官公庁での電話応対スタッフ」という見出しで募集をかけているチラシがこのようにあるわけですけれども、ここでは、守秘義務が課せられますというようなことは書いてございません。これは、きっちり採用のときから周知なりしていく必要があるのではないかというふうに思いますが、この点についてはもう一点あわせて、重ねて伺いたいことがありますけれども、つまり、受託者に責任を課すということでよろしいんでしょうか。派遣労働者あるいはそこで従事している労働者の方々にも守秘義務が課せられるというふうに私は当然なってくるんだろうというふうに思いますけれども、基本方針や実施要項にはそういった点は書き込まれないのでしょうか。

河政府参考人 先ほどの大臣の答弁に尽きるわけでございますけれども、正確に、今回提出させていただいております公共サービス改革法案の第二十五条そのものを読ませていただきますと、「公共サービス実施民間事業者若しくはその職員その他の前条の公共サービスに従事する者又はこれらの者であった者は、当該公共サービスの実施に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。」という条文を二十五条で用意させていただいておりまして、今先生の御質問の件でいいますと、そこに従事する職員もこの秘密保持義務を法律上、課せられている形になっておりますし、また、先ほどの大臣が御説明させていただきました罰則規定も、当然、これに違反した場合には罰則がかかるということで、まさに公法上そういう規定が設けられているということでございます。

 先ほど委員がおっしゃった部分は、契約上これまでやってきた、委託契約の中でやってきた部分がございますけれども、この法律ができて、こういう形で行われるものについては、この法律上、義務が課せられるという形にさせていただいているところでございます。

西村(智)委員 それで、国勢調査を含む統計調査業務もこの市場化テストの対象に含まれるということなんですけれども、統計局の方からも来ていただいていると思いますが、国勢調査、どのくらいの予算で、それから、全国で多くの調査員の方々から従事していただいて行っていると思いますけれども、その規模について教えてください。

衞藤政府参考人 御説明いたします。

 昨年十月一日現在で実施しました平成十七年国勢調査の予算額は約六百五十億円、また、調査票を世帯に配付、回収等の事務を行いました調査員の数は全国で約八十五万人ということでございます。

西村(智)委員 中馬大臣、六百五十億で八十五万人の調査員の方々が実施した昨年の国勢調査でございます。これで本当に民間業者からやってみたいなどという声が上がるのでしょうか。私は、これは今、国勢調査のあり方そのものを含めて、有識者会議でしたか、今三回まで会議を重ねて検討中だというふうに伺っております。これから次の本格的な国勢調査、四年後に実施をされるわけでございます。簡易国勢調査で昨年は項目も少なかったわけなんですけれども、多くの調査票が回収されずに、また、にせ調査員を名乗って個人情報を引き出そうというやからが出てきたりしまして、非常にいろいろな問題が発生いたしました。こういった業務を本当に民間開放できるとお考えでしょうか。

 この後、仮にこれが成立いたしますと、基本方針をつくって、各省庁で実施要項まで策定することになるわけでございます。しかし、民間開放する見込みがない業務を市場化テストの対象にして、そのことから発生する業務量の増加、これは率直に言って税金の無駄遣いにつながるのではないかと私は考えております。どうですか、一社も手が挙がらなかったときのことをぜひ想像していただきたいと思います。いかがですか。

中馬国務大臣 国勢調査だけでなくて、いろいろな工業統計調査その他、全国規模でやっているものはたくさんあります。

 こうした統計調査の民間開放につきましては、その弊害の可能性や防止の措置を検討するための試験調査を平成十八年度中に実施することといたしております。こうした取り組みを通じまして、総務省など関係省庁と連携しつつ、どのような形、全国一律なのか、御承知のように、こうした国勢調査などは各府県ごとにそれぞれ委任事務のような形でやっていますが、そういう形で地域を限ってやるのか、そうしたことも含めて官民競争入札の可能性といいましょうか、どうして実施すべきかについて具体的な検討を進めてまいる所存でございます。

西村(智)委員 いや、その具体的な検討を進めてまいるの前に、例えば統計調査業務、国勢調査が一番大きいわけですけれども、本当にこれで、民間事業者が参入してみたい、そういう民間事業者が出てくるというふうに、では大臣はお考えなわけですね。

中馬国務大臣 今言いましたように、全国で全部任せてみろという事業者なのか、地域で限定した形でおやりになるのか、業者の方も、また業者でない方もいらっしゃいましょうけれども、これを引き受けてみようというところは、私は、いろいろな方法をまた考えてこられるんじゃないかと思います。

西村(智)委員 そういう民間事業者というのは一体どういう民間事業者か、私はぜひ出会ってみたいと思います。

 この市場化テスト法案の提出に当たっては、恐らく各先進国で既に行われているこれまでの経験をベースにされていると思いますけれども、それでは、統計調査業務を市場化テストを行っている、市場化しているという国はございますか。

山口副大臣 お答えしたいと思います。

 今御指摘の諸外国にあってはどうかということでございますけれども、国勢調査が民間委託されているかどうかについては把握をしておりませんけれども、統計調査を民間にゆだねている例はございます。

 一つは、米国で、森林統計のデータ収集を、過去、政府職員のみならず大学や民間企業などの非政府団体によって行っておりまして、今後も質を維持しつつ最も効率的な担い手として選択をしていくと聞いております。

 また、もう一つは、オーストラリアで、青少年の教育、仕事、生活等についての電話による聞き取り調査を民間委託すべく現在入札をしている。

 さらに必要に応じて諸外国の事例を参考にして検討してまいりたいと思っております。

西村(智)委員 副大臣、御答弁中に、あれ、ちょっとこれは国勢調査とは規模が違うのではないかというふうにお感じになったのではありませんか。どのくらいの規模でそれは行われているものか、把握されていられますか。

伊吹委員長 山口内閣府副大臣、答弁をしながら考えたことを答えてください。

山口副大臣 米国の農務省森林局、これは、草原や都市部の樹木の本数の把握、そして調査対象は、四十八州及びアラスカ、ハワイ、プエルトリコ、米国が領有する太平洋の島々のすべての森林ということに聞いております。

 また、今入札をやっているオーストラリアでありますけれども、このタイトルは、二〇〇六年から二〇〇八年のオーストラリアの青少年に関する長期調査のためのデータ収集。この概要については、毎年多数の青少年に関する教育、訓練、仕事、社会生活に関するデータを収集する、二〇〇五年度からは、三つの異なる年齢層から一万八千人のデータを収集して、データ収集と分析から構成される。この調査の受託者は、正確で時宜を得たデータの収集を行い、分析担当者にそれを提供することが求められる、受託者には高い回答率、九〇%以上達成すること、高い水準のデータを収集すること、抽出したサンプルを長期にわたって維持することが求められるとあります。調査対象は四つの異なる年齢層、十五歳から二十五歳の青少年、〇六年が約一万三千三百三十人、〇七年が二万三千三百三十人、〇八年が一万九千八百三十人と聞いております。

 以上でございます。

西村(智)委員 アラスカの森林の調査が統計調査業務とおっしゃる、その御答弁をこの場でされたというその神経が私はちょっと理解できないわけでございます。

 一万八千人ですとか一万三千人、これは日本全国でやる国勢調査と全く規模が違うじゃないですか。それを、あたかもほかの国でも統計調査業務はやっていますということで出してこられるというのは、これはいかがな了見でなされたのか、本当に私は憤っております。これはぜひ考え直していただきたい。

 これは、市場化テストの対象とすることで既に業務量は発生するわけでございます。実施要項を策定しなければいけない、これは膨大な量ですよ。今、統計局が、有識者の方々から集まっていただいて、どういうあり方で四年後やろうかということで議論している最中でもございますし、大きな問題がある、このまま国勢調査を対象業務にするなどといったら、それこそ、この市場化テスト法案というのは一体何なのか、その本質を疑われるというふうに思いますし、そこのところはぜひ改めていただきたい、私はこのように思っております。

 時間がなくなってまいりました。二点目の質問に移ります。

 この市場化テスト法案、質の維持というのは常々言われておるところでありますけれども、一方で、政府がこの間、男女共同参画が二十一世紀の我が国の最重要課題である、男女共同参画基本法に高らかに掲げて取り組んでこられた経緯がございます。

 ところで、今、国家公務員で女性がいわゆる指導的地位に占める比率というのは、どうも依然として低いようでございます。任用者、新たに採用される女性の割合も、1種でいいますと七・七%というふうに非常に低いわけでありますし、また、これが指導的地位、いわゆる管理職というところで占める割合でいいますと非常に低くなっているわけでございます。数字はちょっと細かくなりますので、また大変恥ずかしくなるような数字でございますので申し上げませんけれども、もう既に、ナイロビ宣言の要請から、行政における指導的地位で女性が占める比率は三〇%であるべしということで、これは国際的な要請としてあるわけですが、依然として我が国においては達成にはまだ道が遠いという感がいたしております。

 人事院にお伺いいたします。

 女性の公務員、指導的地位に占める女性の比率をふやすためにいろいろな取り組みをされてきたと承知をしておりますけれども、その内容と効果について、できれば簡潔にお答えください。

伊吹委員長 人事院鈴木人材局長、簡潔に答えてください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 人事院は、公務における男女共同参画の実現のために、女性国家公務員の採用、登用の拡大を図っていくことが大変重要だと認識しておりまして、このために、平成十三年に「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」というものを策定いたしまして、各省庁にお示しして、各府省はこれに基づきまして女性職員の採用・登用拡大計画を策定して、全府省が一体となって取り組んできているということでございます。さらに、昨年十二月にはこの指針を改定して、計画年度を五年間延長しているという状況でございます。

 それによりまして、役付の方に占める女性の割合で見てみますと、係長級で見てみますと、平成十一年度が……(西村(智)委員「そこまではいいです」と呼ぶ)よろしいですか。着実に少しずつ進んでおるということで御理解いただきたいと思います。

西村(智)委員 それで、男女共同参画基本計画が、これは昨年末に改定されて、第二次基本計画が出てまいりました。

 ここで、項目の一として「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」ということで非常に高らかな目標が掲げられておるわけでございますけれども、ここに「国が率先して、あらゆる分野における政策・方針決定過程への女性の参画の促進について取組を進める必要がある。」ですとか、民間に先行して政府が積極的に女性の登用等に取り組むとともにという記述ですとかがあるわけです。

 「国が率先して、」「民間に先行して」、こういうふうに書いてあるわけなんですけれども、なぜ、国が率先して、民間に先行してこういった指導的地位における女性の占める比率を上昇させる、拡大させる、そういう取り組みを行う必要があるんでしょうか。

猪口国務大臣 お答え申し上げます。

 男女共同参画社会の形成に当たりましては、女性のさまざまな方針決定への参画が重要であるわけですけれども、実際には、諸外国と比べて、我が国のそのような状況が不十分であると考えております。そのような状況の中で、やはり国は率先垂範して、新たなる目標を掲げ、男女共同参画社会形成の観点から女性の活躍の領域を拡大していく必要があると考えております。先生御指摘のとおり、第二次男女共同参画基本計画におきまして、二〇二〇・三〇と呼んでおります、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%になるよう取り組むというような方向性を打ち出しております。

 民主主義社会におきまして、構成員の意思を公正に反映できる参画の制度の運用が必要であると考えております。そのような中で、活力ある経済あるいは社会を創造していくためにも、幅広い議論を行い、新たな発想を取り入れ、多様な視点を導入していくことが必要であり、そういう観点からも、女性の方針決定、政策決定への参画は重要であると思います。ですから、国として率先垂範するという決意でございますので、よろしくお願いいたします。

西村(智)委員 少し飛ばします。

 自治体で、一九九九年に地方自治法施行令が改正されて、総合評価方式というのが導入されました。つまり、入札して業者を決定するときに価格以外の要素をそこに加味することができる、こういうふうにしたところでございまして、自治体によっては、事業者の男女共同参画度、これを価格以外の要素として報告を求めるとか、入札のときにそういった調査項目を一つつけるとか、そういうようなことをやっている自治体もあるというふうに聞いております。私はこれは非常に注目をしてまいりました、残念ながらまだ広がってきていないようではありますけれども。

 大臣、市場化テストの導入で、ぜひこういったことを考えられないでしょうか。つまり、二十一世紀の最重要課題であると基本法にうたわれているこの男女共同参画、今ほど猪口大臣からの御答弁にもありましたように、これからの経済社会を考えていく上で、また少子化社会への対応ということを考えても、男性も女性も、ともに働きやすい職場、そして仕事と生活のバランスのとれた働き方ができる、そういうワークルール、これを確立するために、この市場化テストの導入に際しまして、価格以外の項目として、こういったことをぜひ基本方針に盛り込んでいただきたいと思いますが、いかがですか。仮にこういう基本方針をつくるときにですね。

中馬国務大臣 政府の審議会のメンバー等につきましては、もうこのごろははっきりと三分の一以上加えることといったことを、これはみずから官がやることでございますが、こうして民間に委託する場合には、そこを強制的に、それを条件にするのは、と思います。

 しかし、今委員おっしゃいますように、目的はやはりこうした業務の内容でございますから、そうしたこととあわせて、それ以外の入札参加資格評価等におきまして、これもひとつ慎重に検討されるべき項目であるとは思います。

西村(智)委員 私にとっては不満足な答弁でございましたけれども、時間ですので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて西村君の質疑は終了いたしました。

 次に、市村浩一郎君。

市村委員 おはようございます。民主党の市村でございます。

 二十五分間いただきまして、本日は、市場化テスト法案につきまして議論をさせていただきたいと思います、公益法人ではありません。

 それではまず、早速質問を始めさせていただきたいと思います。

 この法律なんですが、私の理解をしているところによりますと、結局、行政の無駄を省くというよりも、すなわち、税金を含んだ公費をなるべく少なくしていこうという考え方よりも、今、税金を含む公費でやっている事業を、今までは官の公でやってきた部分を民の公にも領域を拡大していこう、この民には、株式会社だけじゃなくて、この間から公益法人改革の議論をしております非営利法人を含んだ、つまりNPOを含んだ民に拡大していこうということで理解してよろしいでしょうか。

 まず、そのことを、中馬大臣、よろしくお願いします。

中馬国務大臣 御指摘のとおり、官民競争入札は、税金等で国や自治体がみずから実施してきた公共サービスの実施主体を官民間の競争によって決めていく仕組みでございます。

市村委員 そうですね。ですから、やはり株式会社のみならず、非営利組織も含んだ民に対して、こうした税金を含む公費の使い方をゆだねていく道もつくっていこう、こういうことだと思います。これ自体、私は決して反対するものではありませんし、ぜひともそういう方向で考えていくべきだと思います。その立場も含めて、今からもっと具体的に質問させていただきます。

 ここで、対象業務というのは、官民競争入札等監理委員会が実際は選定してチェックすることになっていますが、この委員会の人選というのはどのようにされるんでしょうか。

中馬国務大臣 監理委員会は、官民競争入札等の過程の透明性、中立性、公正性を確保することを目的として設立されるものであります。委員任命に当たっても、この目的を踏まえて、内閣総理大臣が公共サービスに関してすぐれた識見を有する方を適切に任命していく、こういうことになってまいります。

 さらに、監理委員会の委員と直接の利害関係にある主体は、入札への参加資格を与えないものとしております。

市村委員 本当は、細かくこの委員会の日程とかお聞きしようと思ったんですけれども、そこはきょうの議論にしません。

 きょうの議論にしたいのは、では、その委員会の人選によって、今、なるべく利害関係者は入れないという話はありましたが、それをどうやって担保、つまり、例えば委員の構成によってはどこかの事業者に一方的に有利になるようなことだって考えられなくもない、そういう可能性をどうやって防いでいこうというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。

中馬国務大臣 これは、いろいろな分野の方々、十三人で構成されております。特定の方が何らかの意図を持たれたとしても、十三人の合議制でございますから、特定のところに偏った判断が下されるとは思っておりません。

市村委員 最近の記憶に新しいところにおいては、中医協が、人選の偏りがあるんじゃないかということで、いろいろ議論があった上で、バランスをとろうということになったというふうにも記憶しております。大体そういうことにならないようにしておく必要があると私は思いますので、ここは重々、この委員会が重要でありますから、きちっと人選等も考えて、その辺のところもしっかり考えた構成にしていただけたらありがたいと思っています。

 それから、例えば、これもこの前からの議論ですけれども、結局、社団、財団といういわゆる公益法人、これは、中馬大臣のお言葉のように、これからは民だと。これまでは許可主義によって官の関与がどうしてもあったということは、この間の議論で六大臣からもお話をいただいているところであります。官の世界にありましたけれども、一応は民なんですね、表向きは民なんです。だから、民の世界である公益法人が、民間だということで官民競争入札に入ってくるわけですね。入ってくるわけです、官民競争入札に。

 この公益法人というのは、今の状況を考えると、大変、特典、有利な点がありまして、すなわち、この事業については安くできる。例えば、百のものを八十で言っておいて、さっき西村議員も話されていましたけれども、今回のこの市場化テストは価格だけで見ますから、価格なんですね、価格が重要なんです。それで、例えば百かかるところを八十に入れておいて、まず安値で入札をとる。では、あとの二十をどうやって穴埋めするか。ほかに補助金がある、ほかにある。

 この間もここで、ある公益法人の議論をしたときに、四十億もの余剰金がある。結局、公益法人はそうして結構余剰金を残しながらやっていることがあって、まず一回目とれば、それこそ一円入札というのがありますね。なぜあれは一円入札が成り立つかというと、一回目一円でも、そこで関係をつくれば、二回目、三回目はいけるということに、ずるずる、だらだらといける、人間、関係さえつくればいけるんだということがあるわけです。

 だから、そういう観点から、一回目は安く入れておいて、とっておいて、その穴埋めはほかの補助金か余剰金で賄うという公益法人がもし登場した場合どうするのか、これをどう防ぐのかということにつきまして、中馬大臣の御見解をお願いします。

中馬国務大臣 官民競争入札の中におきまして、公益法人や独立行政法人、こうした官から補助をいただいているところが加わった場合に、今言いました、そこは若干ほかの純粋の民のところとは、有利になってしまうんじゃないかという御質問のようでございます。

 これは、補助金や委託費はそもそも目的外使用が禁止されております。それから、御指摘のようなことが生じないよう、公益法人や独立行政法人が補助金や委託費を別途受けている場合には、それらの補助金や委託費がそれぞれの目的に従い使用されるよう所管官庁が適切に監査すべきが当然でございまして、もう一つ、これを競争入札のときに、そういうハンディがある、イコールフッティングでもちろん監査委員の方々はこれを判断されるわけですから、そうしたハンディがあるものに、こちらが有利だなんということは、判断を下されるはずもないと思っています。

 それから、一円入札のことでもございますけれども、これも、この法案では、複数年にわたる契約が通常と考えられておりまして、落札者はこの期間全体を通じた金額で入札することになります。したがいまして、当初の契約期間が終了した時点で随意契約に移行するものではございません。ですから、いわゆる一円入札は想定しがたいことだと思っています。

 このため、そもそも委員御懸念のような超低価格入札は生じにくいと思われますが、仮に一円入札が行われた場合にも、質の確保に問題があると認められた場合にはその者は落札できないことで、実際にはいわゆる一円入札は行われないものと考えられます。

市村委員 一円入札は極端な例として申し上げたのでありまして、例えば一円でなくても八割ぐらいで入札をして、公益法人であればそれが可能になる可能性はあるんですね。今中馬大臣がおっしゃったこと、いや、そんなことはあり得ないんだと。それは性善説に立てばそのとおりなんです。当然そのようなことはちゃんとやっていらっしゃると思うし、考えていらっしゃると思うんですが、実際に余剰金とかあったりするとですね。

 しかも、もう一点、この議論のためにお聞きしますが、例えば、そうした事業のコスト構造とかというのははっきりさせておくんでしょうか。すなわち、入札した、はい、お金を出しました、あとはアウトプットだけ教えてくださいなのか。それとも、この出した補助金がどのようなコスト構造の中で使われるのかということですね、そういうのもしっかり把握できていないと検証のしようがないんですね。どこにほかのお金が入ってきたかというのはわからないんです。

 コスト計算がちゃんとできていてコスト構造が明らかになっていれば、確かにこの競争入札で得たお金を使って、この分野がここにお金が行って、こうなって、こういうアウトプットが出てきましたということで、後から検証し、確かに外部からのお金がここに補てんされていないということがわかるんですが、そのコスト構造がしっかりしていない限りにおいては、ここはブラックボックスになっていますから、ほかにちょこっと、ちょっと足りないからここにちょっと回しておきなさいと言っても、これは実は検証のしようがないわけです。

 その辺のところについての情報公開のあり方について、例えば役員とか資本金とか、すなわち、今回は民間の事業者が落札する可能性がありますから、どこが落札しようと、公共サービス、すなわち税金を含む公費を使っていることには変わりないわけですね。官の世界だったら当然チェックが働くんでしょう、こうやって国会でもチェックさせていただいています。でも、民間事業者だった場合、何のコスト構造も公開されていないと、どうやってチェックするのかわからない。だけれども、使っているお金は税金なわけです、税金を含む公費なんです。

 だから、その辺のところはしっかりしていなくちゃいけないと思いますが、中馬大臣、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 市村委員御懸念のことはかなり詳しくここで規定をされております。ちょっと御紹介申し上げますと、本法案では、落札者の決定のための評価基準は、公共サービスの質と価格に着目して、監理委員会の審議を経て公正に決定され、入札の前にこれを公表することといたしております。

 また、この基準に従いまして、随意契約を排除し、競争入札によって落札者が決まる仕組み、このようになっております。したがいまして、御指摘のような、なれ合いによって落札者が決定されるということはございません。

 また、補助金等はそもそも目的外使用が禁止されておりまして、目的に従って使用されているかどうか、所管省庁が適切に監査することから、補助金等を受けている公益法人等が不当に有利になることはないものと、先ほど申しましたが、考えております。

 また、本法案では、入札者の対象業務の内容、要求されるサービスの水準、契約期間、評価基準等を詳しく規定した実施要項の内容、それからまた、落札事業者の名称、落札金額、申し込みの内容、落札者の決定の理由等につきまして、情報開示を義務づけているところでございます。

市村委員 いろいろ競争入札のこと、今までも国会でもかなりの議論になっていますから、今のところは一般論としてはよくわかっています。

 それで、今私が申し上げているのはコスト構造なんですね。すなわち、質の部分と落札価格とかいうのはもちろん明らかにし、かつ、その他のいろいろな情報は明らかにされていると思いますが、コスト構造は多分まだ明らかにされていないと思うんですね。

 すなわち、どの分野にどれだけの補助金が、どんぶり勘定じゃだめなんです、やはりこの部分はこの事業に使ってこれだけの成果が上がっているとか、そういうようないわゆるお金の流れが、やはりアウトプットの間まで、インプットとアウトプットがブラックボックスになっていますから、このインプットとアウトプットの中の、この箱の中身がもう少し明らかにというか、かなり明らかにされていないと、官の世界でも今議論していてなかなか明らかにならないことが多いのに、今度は民間事業者がそれを落札してくると、ますます我々は知りようがないわけですね、知りようがないという状況になってきます。

 だから、やはりその辺のところをしっかりとしておかないといけないと私は思いまして、例えば、内閣府で作成する公共サービス基本方針に情報開示原則というのをしっかり盛り込むことはできないんでしょうか。今度、公共サービス基本方針というのをつくるらしいんですが、ここに情報開示サービス、例えば開示内容とアクセス権というものをしっかり盛り込むことはできないんでしょうか。いかがでしょうか。

中馬国務大臣 非常に細かいところまでは規定されていないかもしれませんが、ここに、何度も申しますように、かなりの部分の情報開示を義務づけた中に項目としては入ってくるものだと私は思っています。

市村委員 大臣が入ってくると思いますとおっしゃっていただいたので、それを信じたいんですが、ぜひともここは重要です。

 特に、民間の事業者が今回公共サービスをやられるということは、何回も申し上げておりますが、税金が入るということ、税金を含む公費がそこの民間事業者に入るということですから、ここははっきりと、私たちが、国民が、一体どういうふうに使われているんですかと言ったときに、いや、ちょっと私たち、義務がありませんからそんなの教えられませんということではなくて、この公費についてはこのように使っています、いただいたお金はちゃんとこのように使って、これだけの収益を上げましたと。

 もちろんこれは赤字でやれという話じゃないですね、当然収益も上がるわけです。だから、収益構造もしっかりとはっきりさせてもらえばいいわけですね、では、これだけやって何%の利益を上げさせてもらいますよということを。それによってまた新しい収入も入ってくるわけですから、この事業をやることによって新しい収入も入ってくる、それによってとんとんになったとか、黒字になったとか、何%の収益が上がったとか、こういうことぐらいまではやはり明確にしてもらわないと、我々の税金ですから、しっかりとここはチェックしていただくような仕組みをちゃんと担保していただきたい、このように思う次第でございます。

 最後にもう一つ、情報公開でもう一点だけお聞きしますと、もし情報開示されない場合の不服審査というのは、例えば、どうなっているか教えてほしいと言ったときに、教えませんと言ったときの不服申し立てはできるような制度になっているんでしょうか。

中馬国務大臣 ここに直接は規定はされておりませんが、行政に対するそうした一般の不服申し立てとかこういったことは当然のことだとして御理解いただいて結構でございます。

市村委員 行政に対してではなくて、民間事業者です。民間事業者も今回公共サービスをやる可能性があるわけですから、民間事業者に対して私たちが言ったときに、いや、私たちは民間だから、そんなことをあなたたちに申し上げる必要はありませんということになるのか。それとも、これは公共サービスですから、一応税金が入っていますから、その部分についてはちゃんとお話をしますということになるのか。

中馬国務大臣 そうした事業内容等につきましても情報開示が義務づけられておりますから、その情報開示が、今、市村委員がおっしゃるように、ここのところがちょっと不備じゃないかと言えば、もう一段の御請求をされるならば、これはやはり開示しなければいけないでしょうね。

市村委員 ありがとうございます。

 それで、財務大臣、少しお時間をいただきまして、いろいろ提案をさせていただきたいと思います。

 今回のこの法案の中の特例、法令の特例の中で、社会保険庁の関連業務ということで国民年金法等の特例があります。これは結局、年金の未納者というか滞納者に対して、ぜひとも払ってください、あなたは未納ですよ、滞納ですよということを伝えて請求までできるという制度ですが、これに関しては、今、年金の大きな議論が行われているところですから、私はこれはちょっとまだ年金の大もとの議論をしなきゃならないというふうに思っていますが、それはきょうの議論じゃありませんので、ここで申し上げません。

 ただ、私は、年金ができるのであれば、税金の滞納者に対して、この特例で、あなたは税金を滞納されていますね、だから払ってくださいということを、民間の事業者がこれを請け負うということは可能じゃないかと思いますが、財務大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 国税の職員も限界がありますので、できるものは外部委託化とかアルバイトを活用するとかいうことを今もやっておりますし、これからもやらなければいけないと思います。

 委員のおっしゃったのは、要するに、徴収の手続そのものを丸ごと委託せよということをおっしゃっているわけではないんですか。これはイロハのイみたいなことから申し上げて恐縮ですが、国税の徴収に当たりましては、捜索をするとか差し押さえをするとか、強力な公権力というものが付与されておりますので、やはりその公権力の行使に当たる部分は、外部委託をするというのはなじまないんじゃないかと思っております。

市村委員 先にお答えいただきましてありがとうございます。今から徴収のこともお聞きしようと思っていたんですが、まさに私は今、徴収もいいのではないかなということを御提案申し上げて、お聞きしたかったんですが、今、公権力にかかわるんだということであります。ただ、これこそまさに、公権力とは何かという議論になってくると思います。

 ただ、私も、「マルサの女」という映画もあって、いかにも国税というのはああいうイメージで、徴収に行くのかというイメージですが、そうでもないと思いますね。あんなのは本当に特例中の特例でありまして、一般的には、まずははがきを送られますよね、未納ですよ、あなたは滞納していますよということを。だから、はがきを送る部分を、例えば民間の宅配業者や、今回郵政民営化もあって、今度は公社も民営化するのであれば、そういうところは毎日地域を回っているわけですから、そういうところが競争入札で入っていって、ぜひとも、ただ単にはがきを置いてくるだけじゃなくて、おたくちょっと税金を滞納されていますから払ってくれませんかということで、そういったものを置いてくる。できれば、国民年金も請求できるんですから、請求ぐらいまではしてくるということで、それぐらいのことは、これはまさにコストですから、官が、国税庁の職員がやるのがいいのか、民間に委託するのがいいのかということで、まさにこういうことこそ市場化テストで競争入札をして、コストが安い方に任せていくということもあり得べきと思います。

 徴収まではいいとして、そういうことを一部でも、そうした手続の中で民間にできるものは民間にということで考えられませんでしょうか。

谷垣国務大臣 滞納整理の流れを申しますと、まず督促状というのを今おっしゃったように送るわけですが、その督促状を送る前に、払ってくれというような、慫慂といいますか、そういう行為がございます。それから督促状を出して、それから催告をして、その後に、必要に応じて滞納者の調査をしたり、あるいは面談をして、いろいろ相談に応じて、ではこういう形で払ってくださいということになったり、場合によってはそこでさらに捜索をしたりというようなことになって、差し押さえ予告をして、それで財産を差し押さえて、公売予告をして、公売する、こういう手続があるわけです。

 督促状の発送とか、あるいは催告とか、これは今も、外部に委託したりアルバイトを使う、これはできるわけであります。それから、滞納者の概況や財産調査ということになると、これはやはり公権力の行使だろう。ただ、それも、そのときの滞納処分票の整理をするとか、差し押さえ予告通知書を袋に入れて送り出すとか、そういうものをシステムに入力するとか、こういうものは外部委託が十分可能なわけでございます。滞納者と面接して、あなたの財産状況はどうなっているか、それならこういうふうに払ってくださいというようなことになりますと、それはすぐその後に、では捜索をするとか、そういうものに結びついてきますから、そこはちょっとなじまない、こういうことじゃないかと思います。

市村委員 外部委託をしているというところで、だから、結局、今国税庁だけじゃなくていろいろなところが外部委託をしていますが、今回の市場化テスト法案というのは、それをもっと積極的に一歩進めて、ではこの部分は民間でもやれるんじゃないか、一応競争させてみよう、それで官民が争って、官が勝てば、官がやるわけですね。

 だから、それなら、そういうふうな余地があれば、外部委託とかいうことじゃなくて、ではこの部分は一遍入札にかけてみようかというぐらいの思いでこの市場化テスト法を使わないと、多分これは使う人が余りいないのかな、こう思いますので、ぜひとも、私は一つの提案として、国税の徴収につきまして、滞納者に対する税の徴収について、年金でやれるんであれば税もやれるんじゃないか、こういう思いできょうは質問をさせていただいた次第でございます。

 中馬大臣、最後に一点だけお聞きします。これは民間の自主的な提案をまつ形になっていますが、本来的には、内閣府がむしろ積極的、主体的に総合調整機能を発揮して、市場化テストにふさわしい案件を積極的に提案していくべきではないかというふうに私は考えておりますが、これについて御見解をいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

中馬国務大臣 対象業務の選定は、公共サービス改革基本方針におきまして、毎年度、民間から募集した提案等を踏まえまして、関係省庁間での協議や監理委員会での審議を経て、閣議決定によって行われる仕組みとなっておりまして、内閣府が対象業務を提案することも否定はされておりません。

 本法案で規定する手続に従いまして、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現していくため、適切に対象業務を選定していくよう努めてまいりたいと考えております。

市村委員 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて市村君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 おはようございます。

 まず、衆議院の記録部の皆さんには、伊吹委員長のお計らいもありまして、前の日の議事の内容につきまして、翌日の朝には議事録を速報版として出していただいていることに感謝申し上げます。このことは、我が委員会で国の根幹である行政改革の議論をより深めるためにも大変必要だと思っておりますので、改めて感謝申し上げまして、公益法人の改革につきまして、質問をさせていただきます。

 今回の公益法人の改革は、なかなか議員の中でも関心を持っていらっしゃる方が少ない法案でもあるんです。しかしながら、この法案が通ると、世の中が大きく変わるわけです。

 例えば、私も所属しておりました青年会議所、これは社団法人です。この社団法人格が五年のうちには見直されることになります。あるいは、これまで当委員会で、一昨日ですと馬淵委員、そして渡辺委員から御質問がありました委託あるいは随意契約、その先が財団であったり社団であったりもしております。その数は、国の所管で六千八百九十四、約七千、そして都道府県の所管ですと一万八千八百三、約一万九千ありまして、二万六千の社団、財団が、これから五年のうちに、その法人格につきましてすべて見直されることになります。このことは、これから我が社会の中で大きな変容を及ぼす、その可能性と期待、あるいは、ひょっとすると何も変わらないという危惧もあるかと思います。

 私、考えるに、それぞれの制度、使いやすい制度を人は使うと考えておりまして、今回の一般社団、一般財団、そして公益社団、公益財団が使いやすい制度であれば、それぞれの団体がこのプラットホームの上で、その共益、私益あるいは公益を担ってくると思います。

 そこで、今回、一番私がポイントを置いておりますのは、この法文の中ですと、公益認定等委員会があるわけです。

 国の所管の七千の公益法人の皆さんは、私たちは、今回の法案が通れば、ほぼ間違いなく、一般社団、一般財団ではなく、公益社団、公益財団になる、こう誤解されている方も多いのかなと思っております。このことは、今回の法案の審議の中でそのガバナンスについて深めることによって、恐らくことしの末には議論されるでしょう税制のあり方が変わってくるかと思います。したがいまして、今回、公益の定義について、あるいはその定義をしっかりと見きわめる機関があることによって、この制度が充実してくるかと思います。

 したがいまして、今回、法文の二条で規定されております、公益というのは不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するという、この文言の理解というのは、恐らく中馬大臣に伺ったとしても抽象的な答えしか返ってこないことは予想をしておるのですけれども、恐らくこの定義については、公益認定等委員会が指針を出しながら公益性について深めていくかと思うのです。

 その中で、まず具体的に、今回の議論の中で、馬淵委員の議論からはこういうのがございました。民事法務協会の収入のうちの九六・六%が要は登記特会からの受託事業であったり、あるいは、渡辺委員からありました近畿地方整備局あるいは関東地方整備局、関東整備局に至ってはその収入のうちの九九・八%が随意契約であったり、このような社団あるいは財団が公益法人として、公益社団、公益財団として認定されることは、私は深く考えてみる必要があるのかなと考えております。

 なぜかというと、この委員会でもたびたび議論がされました、六月の税制調査会の基礎問題小委員会の中で、寄附金税制のあり方ということで、企業の損金算入の限度枠について拡大するという方向が出ているわけです。この企業の損金算入の枠を拡大するというのは、これは私たちの社会において大きな可能性を持っていることだと思うのです。

 一般民間の寄附というのは、それほど大きな金額を寄附することはないと思うのです。ただ、企業家が、その収益の中から寄附が損金に算入できるということで、大きなお金の流れ、あるいは社団、財団には大きな収入源になるかと思うのです。

 まず、中馬大臣に伺いたいと思いますのは、今私が申し上げました、これまで議論になりました民事法務協会とか、あるいは近畿建設協会、あるいは関東建設弘済会とか、このように随意契約あるいは国からの収入が非常に多いものが公益社団とか公益財団と認定される可能性があるかどうかについて、中馬大臣の御所見を伺わせていただければ幸いでございます。

中馬国務大臣 今回の公益法人改革は、これまで各省庁がそれぞれ所管をして、そこでかなり複雑な手続で認定をするといったようなことでございましたが、本当に官から民へという形でやることになりました。

 その認定のことでございますが、公益法人認定のこの案では、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する事業を公益目的事業として定めておりまして、御質問の法人が公益性の認定を受けるためには、主たる目的として行う事業がこの公益目的事業と言えるものでなければならないわけでございます。

 そして、御質問の法人が公益法人認定法案で定められている認定基準に適合していると判断されれば、公益財団法人として認定を受けることになるわけですね。

 その公益認定の申請をした法人が行う事業が公益目的事業に該当するか否か、その法人が法定の認定基準に適合しているか否かは、その法人が行う事業や法人の組織、財務の実態等についての具体的な内容を踏まえまして、国または都道府県、これまでの主務官庁じゃございません、国または都道府県の合議制の機関の意見に基づいて、内閣総理大臣または都道府県知事が判断することとなります。

大島(敦)委員 その判断というのが委員会にゆだねられておりまして、その委員会の構成は、国の場合ですと七人、常勤の委員が四人。ですから、先ほど申し上げましたとおり、七人でこれから七千に迫る法人の公益認定、公益かどうかの認定を行っていくわけですから、例えば、委員会が一時間で一つの協会ごとに審査していくとすれば、一日八法人、週で四十法人になって、年間で五十週その業務に携わるとすれば、年間でも二千しか公益の認定についてはできないと思うんです。

 恐らく政府は、この機関につきまして、下部組織をつくって、それによって事務作業をしていただいて、その七人の委員が公益について認定されると私は理解をしております。

 ここでポイントなのは、私も大きな会社、鉄鋼会社で勤めたことがありまして、上司の人からは、説明資料というのは常に中立でなければならないという指摘を大分受けておりまして、しかしながら、社内で資料を見ると、社内文書には二つあるわけなんです。純粋経営的な資料と社内政治的な資料と、二つあるんです。自分の地位とか自分のポジションとか、自分の失敗を隠す資料が社内政治的資料でして、私も議員になってから国のさまざまな資料に目を通すときに、まず、これが純粋経営的な資料なのかあるいは社内政治的な資料なのか、見きわめながら判断するようにしているわけなんです。

 この七人の委員しかないわけですよ、この七人の委員と事務局のあり方がこの制度のポイントだと思っているんです。私は、この事務局が、これまでですと、役所のそれぞれのところから、皆さん出身母体を持ちながら事務局として機能して、この七人の委員会の皆さんにこの法人が公益なのかあるいは公益ではないのかの認定を上げるときに、私は中立であることを信じるんですけれども、そうではないケースも多々あるのかなと。委員会と事務局とのあり方が非常に私はポイントだと思っているんです。

 したがいまして、例えば、事務局の事務局長の就任に関しては委員会の同意人事に私はすべきだと思うんですけれども、そのことについての御所見をお聞かせください。

中馬国務大臣 まず、七千、約六千八百幾らでしたか、これをすべて申請されるかどうかはともかくといたしまして、大変な事務量になることは事実でございましょう。しかし、五年間の移行期間を認めていますから、時間的なゆとりも持たせてはいただいております。

 そして、合議制の機関である公益認定等委員会には専属の事務局を設けて事務に当たらせるなど、公益認定等の業務を的確かつ迅速に遂行できる体制をつくっていくこととしております。

 そして、公益認定制度を創設する趣旨は、先ほど言いましたように、主務官庁の裁量による縦割りではなくて、統一的に判断する透明性の高い仕組みをつくることでございますから、その事務局につきましても、これは今の、中立的な委員の皆様方が選任される形で、これの判断を適切に補佐できるよう、国の合議制による機関である公益認定等委員会の専属の事務局ということになるわけでございます。

 そのトップである事務局長は、委員会の七人の委員を代表する委員長の命を受けて事務局業務を処理すべき旨、公益法人認定法案の中でこれも明記いたしております。

 そして、事務局長以外の職員につきましても、この合議制の機関の委員が独立性、中立性を保ちつつ、各分野における専門的な知見を持った、欠けることのない、適切な判断ができるような所要の体制を整備することが必要である、このように考えられます。

 いずれにしましても、合議制の機関の委員を的確かつ迅速に補佐できるために必要な体制の具体的な内容については、御指摘の趣旨も踏まえつつ、今後、新制度の詳細を詰める過程において検討してまいりたいと思います。

大島(敦)委員 中馬大臣に改めて確認したいのが、その事務局長の任命というのは、委員会が任命、人選あるいは選任するということでいいかどうか、ちょっと具体的に答弁してください。

 なぜかというと、今回のその委員の皆さんは国会の同意人事案件になっているわけです。したがいまして、国会の同意人事案件で国会の同意を得た委員ですから、これは私は、同意人事案件ではない委員の皆さんとは違って非常に重い立場にあると考えております。その委員の方が、その事務局長及びその事務局を構成する陣容について人事権を持っているかどうか、そのことについて御答弁いただければ幸いと存じます。

 そして、中馬大臣の政治家としての判断で、そうすべしという判断もあっていいかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 今おっしゃいますように、これはかなり中立的で、今までのように各省庁の一つの下部機関的なことではなくて、国がしっかりと責任を持って、この七人及び事務局もこれは総理大臣の任命事項にもなっておりまして、そういうことで、私は、今御懸念のことは心配ないといいましょうか、担保されるものと思っています。

大島(敦)委員 改めて、その事務局長について、事務局長は多分内閣府の中に置かれるかとは思うんですけれども、その人事はだれが決めるのか。総理大臣が決めるのか、あるいはその委員会の委員長が決めるのかによって、この認定委員会が機能するかどうかが決まるんです。

 その点についてもう一度御答弁いただければ幸いです。

中馬国務大臣 先ほど申しましたように、この七人の方々は、本当に世間的にも識見を持って、幅広い分野の方々で、その中から委員長が選ばれる、そして、もちろんその方の合議の上で最終的には総理大臣が任命する、こういう形になります。

大島(敦)委員 今のお話ですと、その委員の方が、ちょっとまだ私も不明確なんですが、総理と相談して事務局長なり事務のスタッフを決めるのか。人事というのがサラリーマンにとっては本当に大切でして、経理と人事、この二つが会社を動かす根幹なんです。ですから、だれが人事権を持つかというのが、委員会と事務局の、イコールなのか、事務局が上なのか、あるいは委員会が上なのか、上位にあるのか、ここがポイントを決めるものですから、ここについて中馬行革大臣としての御見識を示していただいて、その事務局及び事務局のスタッフは委員会が決めるということで、その方向で検討するという御答弁をいただければ非常に幸いなんですけれども。

中馬国務大臣 委員会の方々といいましょうか、委員会そのものでございますね、これと相談して総理が決める形になります。

大島(敦)委員 委員会と相談して総理が決めるというのは、そうすると、総理が事務局長の任命権者になるということでよろしいでしょうか。

 私は、委員会の委員は、総理の任命で、国会で同意人事で決まる、これは多分公正な人たちが選ばれると考えるわけです。その委員の人に、要は、総理と相談するというよりも、もう一歩踏み込んで、事務局長の選任について委員会の合意が必要だと私は思うんですけれども、その点について御検討をされる余地があるかどうかについて伺えれば幸いです。

中馬国務大臣 今申しましたように、七人の方々が合議制で、この人がいいではないかといったような一つの形が具体的に出てくる、それを総理が、逆に言えば、もちろん総理との相談の上で、最終的には、決定の過程としましては、総理に相談した形で、総理が直接任命する形になってまいります。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 そうすると、委員会の独自性が発揮をされて、委員会が協議をして、だれが事務局長であるかどうかについて総理と相談して、総理が決める、そういう理解でよろしいわけですね。わかりました。ありがとうございます。

 もう一つは、その事務局のスタッフなんです。先ほど言いました、書類というのはいかようにでもつくれるわけです。純粋な経営的な正しい判断を求める書類なのか。

 今回の第二条の別表を見ますと、公益というのはこういう仕事であるということでいろいろと例示が列挙してありまして、例えば「公衆衛生の向上を目的とする事業」とかあるいは「勤労者の福祉の向上を目的とする事業」とか、これはどのような事業でも、こういう仕事をやっているよと言われれば、解釈としては非常に幅広い解釈があるわけでして、その七人の委員の方が、この認定等に関する法律にのっとって、何が公益なのかどうかを判断するかと思うんですよ、指針をつくられると思うんです。

 それは、今の世間、世の中、国民が、これでしたら公益性があるなという常識的な線だと思うんですけれども、それにのっとって、事務方、この事務方の中に役所の方も入ってくるでしょう、民間の方でも中立的な立場で公認会計士の皆さんに入っていただいて、この七千ある社団、財団について、その委員会の指針を受けて、やはり公認会計士等の専門家による中立的な判断でその資料を委員会に提出するという、その運びがいいかと私は思うんですけれども、その点についてのお考えを聞かせてください。

中馬国務大臣 今回の公益法人制度改革でございますが、主務官庁による公益性の判断を、できるだけ裁量の余地の少ない、客観的で明確な判断要件に基づいて統一的に判断しよう、こうするものでございます。

 具体的な公益性の判断につきましては、多くの人々の健全な常識、言いかえれば社会通念に照らして納得性があるかどうかが重要であると考えられます。また、各法人が行う事業の公益性や法人の組織、財務の状況が認定基準に適合しているかどうかの判断に当たって、その事業の内容についての正確な理解、法律や財務に関する専門的な知見、これがもちろん必要でございます。

 このため、国及び都道府県に合議制の機関を置き、公益社団法人、公益財団法人の認定に当たっては、その判断に基づいて認定を行うこととし、この合議制の機関の委員には、人格が高潔で、公益法人の認定等に関し公正な判断ができて、そして法律、会計、公益法人に係る諸活動に関しましてすぐれた識見を有する者を選任することといたしております。この委員には民間の有識者を登用することを考えております。

 先ほどお話がございました、公認会計士をという話もございますが、公認会計士と指定することによって、士業はたくさんございますから、公認会計士も含めたそうした方々ももちろん先ほど申しました者の対象になってくるんだと思います。

 そうしたことによって、これらの方々が事務局も含め論議を尽くして判断を下すことによりまして、適切な公益性の認定を行うことができるものだと考えております。

大島(敦)委員 中馬大臣の御答弁は役所の方がつくられたかとは思うんですけれども、行政改革特別委員会ですから、中馬大臣の思いが入った資料だとは思うんですけれども、中馬大臣が役所の考えから御自身の考えを明確にされると、行革というのがもっと形が見えてくるかと思うんです。

 したがいまして、先ほどの事務局のあり方というのがこの公益認定の根幹だと私は思っているんです。七人の委員の方は、めくら判ではないんですけれども、書面審査なんです。私は、本来であれば、七人の委員の方が現地に行って、どういう仕事をしているのか見ていただいて公益性を決めるべきだと思っている人間なんです。ただ、七人ですと、常勤が四人しかいませんから、なかなか難しいでしょう。

 そうすると、指針に従ってしっかりと中立的な立場で資料を作成されて委員会に諮る、その中立性が私は必要だと思っていまして、そこには、これまではやはりさまざまな委員会があって、事務局を役所の優秀な方が担うものですから、なかなか中立を目指しても中立を目指せないところもあったかと思うんです。

 ですから、この点について、最後にもう一度中馬大臣から、この事務局、長はわかりました、事務局のスタッフについて、民間あるいは公平に判断できる方を中心として構成するかどうかについて明確な御答弁をいただければ幸いでございます。

中馬国務大臣 まさにこれまでのような形で各省庁の意向を反映した形ではないことを願っているわけでございまして、そうするには、今委員が御指摘になりましたような形、民間人も含めてそうした方、また役人であったとしても、役人というのは案外そこの部署につきますと、かなり今回の我が行政改革推進事務局でも、出身の省庁の立場を忘れて、今一生懸命日本全体の行政改革の事務に当たってくれております。

 そういうことも含めて、役人を除外するものじゃありませんが、そうした本当に中立的な形で公益性の有無を判断してくださる事務局ができ上がるものだ、私はこのように確信をいたしております。

大島(敦)委員 ものだと確信をしていただくとともに、これは中馬大臣が今後決めていただければそのとおりになるものですから、ぜひ中馬大臣の御尽力をお願い申し上げまして、私、大島からの質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて大島君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 行政改革推進法案の五十三条にあります国立大学法人の人件費削減問題で質問をいたします。

 五十三条は、「役員及び職員に係る人件費の総額について、平成十八年度以降の五年間で、平成十七年度における額からその百分の五に相当する額以上を減少させることを基本として、人件費の削減に取り組まなければならない。」としておりますけれども、各大学の人件費総額の支出を五%以上削減せよということでしょうか、大臣。

中馬国務大臣 委員おっしゃるとおり、人件費削減の取り組みにつきまして、国立大学法人につきましても対象となっております。

石井(郁)委員 法人になっているわけですけれども、これはちょっとできないとか取り組まないという場合が出てきた場合はどうなりますか。

中馬国務大臣 これは今回法律で規定することでございますから、恣意的な形は私はできないと思います。

石井(郁)委員 恣意的はできないと。その場合、やらなければいけないんですが、やらなかった場合にはペナルティーみたいなことは考えておりますか。

中馬国務大臣 特に罰則は設けておりませんが、要請は引き続きやらせていただきます。

石井(郁)委員 伺うところによりますと、これは各大学が中期計画、そして目標を掲げなければいけなくて、そしてその後には事後評価という形で、その事後評価においてマイナスの評価になるというようなことも聞いているわけですけれども、これは明らかにペナルティーがかかるというふうに理解せざるを得ないわけですね。

 そうしますと、やはりこういうことをしてまでも人件費総額の五%以上を減らせということに今回の法案はなるわけであります。私は、これはもう定員削減の押しつけと同じことだというふうに思うわけでございます。

 そこで、中馬大臣にお聞きいたしますけれども、国立大学法人法の審議に当たりまして、国立大学法人の定員管理についてどのような議論をされたか御存じでしょうか。質問を通告しておりますから確かめていただいたと思いますけれども、こういう国会答弁がございました。

 国立大学が行政機関である以上、行政改革の対象に必ずなる、定員削減は免れない。一切聖域を設けないという行革の中で今まで九次にわたって定員が削減されてきたから、それが嫌だというなら行政機関から出ていくしかない。今のままでいっても予算は絞られる、定員は減らされる。それが法人化すれば、少なくとも定員削減という問題は片づくし、大学の自主性、自律性は拡大をする。これは当時の文科省の高等教育局長の御答弁でございます。

 だから、こういう形で、法人化へ法人化へと、いわば政府は誘導していきました。ところが、今、法人化三年目にして、これは事実上、定員削減の押しつけということになるのではありませんか。大臣、いかがですか。

中馬国務大臣 定員削減の強制といいましょうか、こうした国全体で取り組もうという、この五年間で五%という一つの枠でこうしてお願いをし、また場合によっては、直接のところではそれが一つの大きい、何といいましょうか、強制力が働くことになりますが、これは大学法人でございますから、一つの枠の中ではあっても強制はできないかもしれませんが、要するに強く要請することになると思います。

石井(郁)委員 私は、国会での審議そして国会での政府答弁に照らして、こういうことが許されるかという御質問でございますが、大臣からは明確な御答弁はいただけませんでした。

 明らかに、人件費総額を五%以上減らせということなんですから、これはもう本当にそれに見合った定員を今後減らさなきゃいけない、そうなるわけですね。

 重ねて、こういう問題について、二〇〇三年、平成十五年の大学法人法審議の際には参考人質疑も行われまして、参考人として出席されたお一人で、石弘光、一橋大学の学長でございます、当時は国立大学協会の副会長でもあります。政府税調の会長もしていらっしゃる方で、もう言うまでもありませんけれども、法人化に賛成の立場でこのように述べていらっしゃったわけです。ちょっと御紹介します。

 交付金という形で、資金、俗に言われます金は与えられますから、その配分は自由になりますし、人、定員管理も自由になります。ポスト、組織、これも大学の独自の方法によって自由に運営できるはずです。実は、この面に関しまして、これまでは著しく不便でありました。金、人、組織、すべからく、はしの上げ下げまでと言われるぐらい、官ないし政府の縛りがあったのは事実でございますということで、これからはこの辺に風穴があくということだったんです。

 つまり、ここからわかりますように、当時、こういう国会審議の中から、大学人、多くの方々は、これは定員削減の対象から外れるんだ、定員管理も自由になるんだということを信じていたわけですね。

 重ねて大臣に伺いますけれども、今、法人化三年目にして、この人件費五%削減という形で定員削減だ。しかも、これは法律による、これは義務だと先ほどおっしゃいました。さらに、やれないとか従わないという場合はペナルティーがある。だから、法律とペナルティーという、いわば二重の縛りが今度は大学の定員にかけられるということになりませんか。

 私は、これは極めて、大学の教育研究への介入という問題に照らしても、またやり方の問題としても、本当に強権的なやり方だと言わざるを得ないと思いますけれども、大臣、いかがですか。

中馬国務大臣 国立大学法人の人件費につきましては、中期目標におきまして文部科学大臣が示す業務運営の効率化に関する事項でありまして、各大学法人は、中期計画に人件費の見積もりを定めまして、文科大臣の認可を受けるべきものだ、このようにされております。

 このように、国立大学法人法上、国立大学法人の人件費、業務運営の効率化に関しまして文科大臣が関与することとなっている中で、その範囲内で行政改革推進法案において人件費削減の取り組みについて規定しているものでありまして、国立大学法人法の趣旨に抵触することにはならないと考えております。

 また、人件費削減に取り組むに当たりまして、その内訳である人員数や給与水準をどうするかという具体的な取り組み方につきましては、各法人がその実情に応じて最も適切な方法を選択されるものと考えておりまして、本法律案が人員数の削減を押しつけているものではない、このように御理解をちょうだいいたしたいと思います。

 ただ、今言いましたような形で、五%という数字を挙げましても、これは、すべて研究員まで全部切れという話じゃないじゃないですか。いろいろと前からも言っておりますように、用務関係の方々とか、大学に所属されておりましても直接研究にタッチしていない方もいらっしゃいます。そういう方を民間にアウトソーシングするとか、いろいろな方法を考えていただきたいというのが、この独立行政法人的な形で大学法人という形にしたわけでございまして、研究者の方々には手厚くすることだって可能でもございます。何かすべて縮小されるんだということの誤解をされると、ちょっとこの大学法人にした、自由度を増して、自由に研究活動等もやってくださいという、その趣旨にそぐわないことになるんじゃないかと思います。

石井(郁)委員 大学は、先ほど申し上げましたように、法人化前に既に九次にわたる定員削減で、もう職員の方は削減削減してきたんですね。今、これから申し上げますけれども、もう教員の定員に手をつけざるを得ないというところまで来ているんです。その辺はちょっと中馬大臣は少し御認識が甘いのではないかというふうに思いますけれども、それはこれから申し上げたいと思うんです。

 法人化後の国立大学の現状がどうなっているかということでございます。

 法人化では、運営費交付金で効率化係数一%というのが毎年掛けられます。病院の経営改善係数は二%です。なかなかこれは厳しいものであります。だから、運営費交付金は減額になっていく。それで、教職員の削減ということがもう既に始まっているわけですね。

 それで、大臣、三月十五日、NHKの「クローズアップ現代」で大学特集がございました。こういう表題です。「大学大競争時代 生き残りをかけた闘い」という放映でした。ごらんになったでしょうか。また、きょうの質問に際して、もし準備できましたら、御感想をお聞かせください。

中馬国務大臣 残念ながら、それは見ておりません。

石井(郁)委員 私は、きょうはその質問をするので、ぜひ事務方の方からお聞きいただけたらよかったなというふうに思うんですけれども、これは長々と実態を放映していますから、やはり大変反響のあった番組だったというふうに私は思うんです。

 そこの番組で、いろいろな大学の例が出ておりました。これは京都教育大でございましたが、運営費交付金の毎年一%の削減で、定年退職した教授の後任は置かない。それで教員数を減らしているわけですよ、退職された後はもう埋めないんですね。

 理科教育の担当の方が十九人から十四人になりました。各教官が専門外の授業を受け持つという形で当座をしのいでいます。結局、理科だけで六つの科目を廃止せざるを得なかった。だから、学生がこういう声で述べていらっしゃいましたが、無機化学がない、液体の化学のところもない、とろうと思ったら全部その関係が廃止になっていたということでありました。

 私は、番組の中で大変印象的だったんですけれども、学生が、高い授業料を払って大学に行ったのに講座がないじゃないか、開かれていないじゃないか、これは契約違反じゃないかということを訴えておりました。

 だから、こういう形で、結局、定員を埋めない、不補充ということで、実際は削減になっているわけでしょう。研究室がなくなる、講義も開かれていないということになっています。

 こういう形、幾つかの大学での実情を告発したものでございましたけれども、私はここで、では文科大臣に伺いたいと思いますが、文科大臣はごらんになったでしょうか。胸を痛めなかったでしょうか。

馳副大臣 二回ほど繰り返しビデオで拝見いたしまして、いろいろな複雑な思いを持って拝見いたしました。

 東京大学では寄附金の募集事業をやったり、とかいいながら、また国際的な大学の評価として下位にちょっと低迷してきているということとか、とりわけ寄附金を募集する事業についても、大都市部とか、大企業とか研究機関が身近にある国立大学法人ならば非常に有利な条件でしょうが、これは一つ複雑な思いで拝見したのが、地方の国立大学法人は大変厳しいんだろうなというふうな印象を持ちました。

 また、先ほどから石井先生がおっしゃるように、定員という概念は、国立大学法人法においては、国が管理する定員という概念ではなくて、就業規則に基づいた適切な事業運営に当たるための人数というふうな概念になっておりますので、定員の削減ということよりも、各大学の学長、経営陣として、いかに必要な事業運営をしていくかという中での、文部科学大臣が中期目標の策定をし、中期計画の認定をしていくという中での対応であるし、基本的には各大学の経営陣の判断によることになるんだろうというふうに思って、いろいろなことを思いながら、複雑な思いでビデオは見させていただきました。

石井(郁)委員 本当にいろいろな問題があるんですけれども、法人化のときにも大変議論になりましたけれども、やはり外部資金の導入といっても、本当に、その研究のテーマや性格によって得られるところと、また都市部と、条件が違うわけですよね。だから、今、大臣の御答弁のように、教員養成系大学などは外部資金の導入というのはほとんど期待できないということになりませんか。

 だから、私は、定員にこだわっているようですけれども、やはり予算で大学は運営されるわけですよ。だから、運営費交付金、それが一番大事なものなんですね。そこが削られていけば、結局、定員に手をつけざるを得なくなるじゃないですか。予算の縛りで大学がどうなっていくかということになるわけですよね。この問題を申し上げているわけです。

 ちょっと、もう一つ例を申し上げたいと思います。

 これは、ある教員養成系大学の例でございますけれども、平成十三年度から平成十七年度まで、事務系職員が二十一名減っている、教員が十二名減らされた。今後、十八年度から二十一年度まで、これからの計画で、教員を四十名減らす、事務系職員は二十名という計画を立てておられるというんですね。

 では、そうなりますと、教員養成系大学というのは大学院設置基準で教員の基準数というのがございますから、それが満たないという事態にもなる。現実に、ちょっと計算をしていただいたんですけれども、平成二十一年度末には、幼稚園課程が最低要件数五名のところが四名になっている、家庭科が八名が七名になる、技術科は八名のところが五名になってしまう。ちょっと細かい数字でございますけれども、これはちゃんと大学院設置基準で決められているんですよ。こうでなければ大学として開校できない、そしてまた免許が出せないという基準、これは文科省がお決めになっているわけですから。

 では、こうなりますと、今後、教員養成大学でなくなる、そういう事態に大学を追い込むのではないか。この問題はちょっと文科大臣に御答弁いただきたい。

伊吹委員長 それでは、まず、基準と実態について、政府参考人文部科学省石川高等教育局長。

石川政府参考人 今、委員から、教員養成系大学での実態あるいは見通しについてのお話がございました。

 小規模な教育あるいは文化系の国立大学の場合におきましても、人件費の削減の具体的な方法としては、先ほど副大臣の方からもお話し申し上げましたけれども、退職者の不補充等による教職員の数の削減、あるいは一人当たりの給与水準の調整、さまざまな方法があり得るところでございまして、これらにつきましては、各法人におきまして、自主的な判断に基づいて適切に対応していくものと考えております。

 そして、今、将来的に設置基準上必要な教員数を割り込むことになる大学があるのではないかというようなお話でございますけれども、各法人では、今回の人件費削減につきまして、教員も含め大学の職員全体を対象として対応していくということになるものでございまして、そのような事態に至ることのないように適切に検討された上で、今回、人件費削減の計画が策定されているものと私どもとしては考えております。

石井(郁)委員 大変な事態にならないように、私は本当に、文科省しっかりしてほしいと思っていますけれども、心配なんですよ。

 それで、具体的な例をもう一つお聞きしたいんですが、国立大学法人化後、運営費交付金に効率化係数を掛けてずっと減額してきたということを申し上げましたけれども、これがどれだけ大学を今苦しめているかということなんです。そういう大学の実態を本当にきちんと見るべきだというふうに私は思います。

 そこで、これは北海道大学をちょっと例に取り上げますが、北海道大学に対する運営費交付金の交付額ですね、この三年でどのぐらいだったのか、お示しください。

石川政府参考人 北海道大学の運営費交付金についてのお尋ねでございます。

 北海道大学の運営費交付金につきましては、平成十六年度で四百四十八億円でございます。そして平成十七年度では四百三十二億円ということで、対前年度十六億円の減でございます。そして平成十八年度は四百二十九億円となっておりまして、対前年度三億円の減ということでございます。法人化後三カ年では、合計で十九億円の減ということでございます。

石井(郁)委員 どうでしょうか。わずか三年間で十九億円国費が減らされている。これは大変なものですよ、一大学にとっては。約四・四%の減なんですね。

 それで、北海道大学では昨年七月に、教員に係る人件費についてということで検討をされた。このように言っています。毎年度、効率化係数による減額となる教員人件費については、各部局の配置定員数を職種別に削減することによって対処する、各年度の効率化係数一%削減分の財源を人員に換算して、当該年度当初に削減するというふうにしたそうです。

 その結果がどうかといえば、平成十八年度からの教員の削減数は、四年間で今後百五十一人に上ると。十八年度、今年度ですね、教授三十八名、助教授三十二名、講師一名、助手二十七人、計九十八人の削減をするという計画なんですよ。

 どうでしょうか。これはもう、ある面で一学部がすっぽりなくなるぐらいの規模じゃないですか。これでは本当に大学の存立というか、その地域のいろいろな研究基盤、そしてまた学問の衰退につながりかねないと私は思いますけれども、これは異常な削減ではありませんか、中馬大臣。

伊吹委員長 今の政府参考人の参考意見、それから石井先生の御質問を踏まえて、中馬国務大臣。

中馬国務大臣 どの大学にどれだけの予算が減らされた、人件費がどうだといったようなことにつきましては、これは私の所管ではありませんで、それぞれの監督をしております文部科学省であったり、あるいはまた予算の査定をしているところの話でございますから、私からそのことにつきまして答弁することは不適切かと思いますが、ただ、言えることは、日本の人口が本当に減少を始めまして、特に子供の数は大いに減ってきておりまして、もう数年後には大学全入だと言われておることも御承知かと思います。それが、教員が一人たりとも減ってはだめだとかそういうことではなくて、私はそのことも今後の対象になり得ると思っています。

 それから、大学という大きな中ではやはりいろいろな職種がありますが、もう一度繰り返しになるかもしれませんが、車の運転手さんだとかいろいろな方々、かなりアウトソーシングできることがある、あるいはまた削減できることがある。人間にわたることであっても、わざわざ研究者のことに言及しなくても、そちらのことを対象にしていただくことも十分に可能でございまして、そういうことを柔軟に運営していただけるのがこの独立行政法人的な大学法人でございますから、そういったことで、ひとつ今回のこの法案の趣旨は十分御理解をちょうだいいたしたいと思います。

石井(郁)委員 先ほどから、大学が柔軟に対応できるだろうとか職種がいろいろあるだろうとおっしゃるんですけれども、その職種のところ、事務系とか技術系でもうどんどん削ってきたんですよ。これは今、北大の例で申し上げましたけれども、ここでも事務系職員は百三十人、一三・八%削った、技術職員も一三・八%、三十五人ももう削っている。

 事務系職員とか技術系職員というのは、例えば実験をやる場合に絶対必要な人員じゃありませんか。だから、そっちを削ったらいいだろうと簡単に言うような話では大学は成り立たないんですよ。今、そこも目いっぱいのことがされて、そしてもう教員にまで手をつけざるを得ないというところが非常に深刻な問題だということで、本当にこの事態をこのまま進行させていいのかということを私は強調したいわけであります。中馬大臣は少子化の時代と、またちょっと論点がそれておりますけれども、そういう話ではないんですね。

 では、もう一つの例を申し上げます。埼玉大学も再構築計画ということを出していらっしゃいます。

 ちょっと御紹介しますと、効率化係数の適用による運営費交付金の減額という問題を抱えながら教育研究を十全に行っていくということは至難のわざだ、そして、この状況を民間企業に例えれば、売上高が確実に減りつつあるにもかかわらず、減収をカバーできそうな新しい有望商品が出ない状態で、このままでは立ち行かなくなるためリストラ策を打ち出さざるを得ない状況だと言えるというふうに述べております。

 では、ここの大学での運営費交付金がどのぐらい減額したか。平成十七年度から毎年六千四百万ずつ少なくなっていく。平成二十一年度の運営費交付金は、平成十六年度と比べると約三億千五百万円減だ、そのほかの要因もあるので約四億円近い。だから、本当に一つの大学がこれだけの規模を数年の間に国費として投入されないというか、手当てがされないということになるんですね。

 こうも言っています。六千四百万円というのは、大学によると、教養部の平成十六年度年間総支出の約八〇%だ、だから、三億円余りというのは、教育学部と経済学部の年間総支出額を合わせたようなものだと。

 だから、今、大学はこんなところに来ているんですという問題ですよね。実際、教育学部、経済学部の年間総支出に見合う額が減らされようとしている。本当にこれは大学の存亡にかかわる問題じゃないんでしょうか。私は本当に深刻だと思います。

 ほか、群馬大学もしかり。いろいろもう申し上げませんけれども、例を挙げれば、新潟大学では十三億円が減る、東京大学でも二十八億円相当の削減を行うということなんですね。

 この点で、私は文科大臣に伺いたいと思います。

 文科省としてはこういう大学の実情を当然把握しているはずでございます。そして、この運営費交付金の削減によってこれほどの影響が出ていることについて、どのような御認識をお持ちなんでしょうか。

馳副大臣 当然、現状も把握しておりますし、苦しい声も伺ってはおります。

 ただ、国立大学が法人化されるに当たって、中期目標の策定、中期計画の認定ということに当たっては、各国立大学法人の計画を、その意見を尊重しながら認定して、事業を進めておるということは御理解いただきたいと思いますし、そのほかにも、特別教育研究経費については増額も図ってきているところでありますから、各大学の意欲的な取り組みというものは下支えをする、こういう形で取り組んできております。

 委員の御指摘は非常に理解できるところもございますが、基本的には、国費をもって運営される運営費交付金のもとで事業展開をしていただくということを文部科学省としてはより推進する体制をとっていく、こういう考え方でおります。

石井(郁)委員 私、ここで二つ申し上げたいんですけれども、今回の経過の中で重大な問題が一つあるのは、大学は中期計画を立てていますけれども、その途中でこの総人件費の五%削減ということが出てきているという中で、昨年暮れの閣議決定以降、それを書きかえさせる、そういうことも行っている、異例のことまでしています。そして、各大学の中期目標を出させている。だから、政府は非常に強引に、中期目標を書きかえさせて、これに合わせるようにやれと言っているんですよ。大学自身はそれは努力するでしょう、もうその予算の範囲内でやらざるを得ないと思うんですけれども、問題は、これほど国費を、あるいは大学の運営、教育研究に必要な予算を削りに削っていいのかという問題だと思うんです。

 この点でも、国立大学法人化法案のときには、衆参での附帯決議もございました。運営費交付金についてはこう言っていましたよね、法人化前の公費投入額を踏まえて、従来以上に国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること、これが国会の意思だったんですよ。従来以上に教育研究が確実に実施されるように確保しなきゃいけないと。それがもうこの三年でどんどんと、一大学、億単位で削りに削ってきていて、さらに総人件費の五%削減ということになるわけですから、全然国会の審議と附帯決議にも反しているじゃありませんか。この点はいかがですか。

中馬国務大臣 人件費を強制的に削れと言っている話じゃございません。この法文にもございますように、百分の五に相当する額を減少させることを基本としてということに、御理解をちょうだいいたしたいと思います。

石井(郁)委員 ところで、この五%削減に見合う国立大学の人件費削減の総額、今後、総額は一体幾らになるでしょうか。

伊吹委員長 まず、文部科学省石川高等教育局長。それを受けて、中馬大臣、答弁してください。

石川政府参考人 具体的な数字のお尋ねでございますので、まず私の方からお答えをさせていただきます。

 国立大学法人全体での人件費が約一兆円でございますので、五年間で五%というその相当額は約五百億円程度になろうか、このように考えております。

中馬国務大臣 今般の総人件費削減は、簡素で効率的な政府を実現するため、公的部門全体で聖域を設けることなく改革を進めるものでありまして、この方針のもとに、国立大学法人においても、公的部門の一員として、行政改革推進法案においてその人件費の削減に取り組むこととしているわけでございます。

 今後は、各法人におきまして、中期計画に沿って人件費削減に取り組まれるものと考えておりますが、人件費削減に当たり、その内訳であります人員数や給与水準をどうするかという具体的な取り組みについては、各法人がその実情に応じて、その法人に最も適切な方法を選択していただければいいわけでございます。

 公的部門全体が簡素で効率的な政府に向けた改革を進める中で、いずれも厳しい状況にありますが、各国立大学法人においては、このように自律的、効率的な運営を実施していくことによりまして、自主性を生かしながら、学問の府としての場を提供していかれるものだ、このように考えております。

石井(郁)委員 作文をお読みいただいたという感じがするんですけれども、やはり国立大学法人、五年間で五百億円がこれから削られる。これは一体、本当にどんな大学にこれからなっていくのか、あるいは日本社会、日本の地域がどうなっていくのか、このことが問われると思うんですね。

 私は、五百億円と聞くと、国会の中では億や兆という話になるのでぴんとこないわけですけれども、ちょっと考えてみました。

 例えば、運営費交付金というのは、小さい大学では年間十億円単位のところなんですよ、それが幾つもございます。そして、二十億円、三十億円という大学もございます。そういう規模で大学は運営しているんですよ。例えば、小樽商科大学は年間十四億円です。鹿屋体育大学は十五億円です。そのほか、二十億円規模そしてまた四十億円未満というところを含めて数えますと、十八大学がございました。これは本当に、やはり地方になくてはならないそれぞれの大学だと思うんです。

 この十八大学の運営費交付金を合わせるとちょうど五百億円になるんですよ。だから、ある意味で、五%の人件費削減額総額というのは十八大学の運営費交付金に相当する、こう言ってもいいわけですよね。大変なことじゃないでしょうか。いわば十八大学の存立が危ういというか、日本から消えていくという計算までできるという点でいきますと、私は本当に中馬大臣に申し上げたい、これは行革の名による大学つぶしと言えるんじゃないですか。これはいかがですか。

中馬国務大臣 そこまでおっしゃる必要があるかなとは思いますけれども、先ほど言いましたように、日本の国全体の効率化といいましょうか、政府の役割ももう少し民間に移せる、アウトソーシングもできる。そうした中で、大学も例外ではなく、そうした効率化に合わせていかなければ、子供が集まらなくて定員割れの大学もでき始めている中で、それだけは聖域のように守らなければいけないということではないんじゃないかと私は思います。

石井(郁)委員 行革担当大臣のそういう御答弁では、私は本当に日本の将来は危ういと言わざるを得ないわけです。今、NHKの「クローズアップ現代」の番組の御紹介もいたしましたけれども、中馬大臣、ぜひ見てくださいよ。もう生き残りをかけている、大学にとっては死活の問題です。

 これは一大学の問題として言っているんじゃないんです、私は。日本の地域社会、日本全体の発展、そして大学というのは長年築き上げてきた知の拠点ですよね。そしてまた、地域で人材育成の拠点でもあるし、その基盤をつくっているというところでございます。少子化だから、子供が少ないから、なくなってもいいんだなんという、そういう話じゃないと思うんですよ。そんなふうに聞こえますよ。

 だから、こういう形で大学を疲弊させていくのは日本の発展にとっての大きな損失だと言わなければならないと思います。その点で、私は、運営費交付金の効率化係数の一%、これ自身が大変厳しいものです、これはやめるべきです。それから、その上で五%以上の人件費削減と、支出抑制がかかるわけですから、本当にとんでもない方針、計画だと言わなければならないと思います。

 いかがですか。これは文科大臣と、両方にお聞きしたいと思います。

馳副大臣 先ほどからお伺いしておりましたら、石井先生、どうもマイナスの面ばかり強調されるんですけれども、国立大学が法人化されて非常に各大学が積極的に取り組みをされている面も多くあります。幾つかありますが、これは今紹介している時間はありませんし、御承知かと思います。そんな中で、先ほども申し上げたように、特別教育研究経費といった形で意欲的な取り組みといったものも推進しておるわけであります。

 ただ、私は最初の答弁で申し上げたように、複雑な思いというのは、例えば京都教育大学でも廊下の電気を消して歩いたりとか、当然、こういう人件費の問題になってくると、人を減らすかあるいは給与水準を下げるか、いずれかになってきますね。そうすると、やはりどうしてもしわ寄せは非常勤講師などにいってしまったり、従来は期待されていたカリキュラムが今後はできないといったような実態があるようです。

 ただし、それにしても、各大学法人の経営陣の取り組みということ、これを尊重するという形で文部科学大臣が認可をしておるわけでありますから、そういった中で積極的な取り組みも文部科学省としては支援しているということもぜひ御理解をいただきたいと申し上げたいと思います。

中馬国務大臣 独立行政法人という形、これは大学法人という形にしておりますけれども、従来のような、一つの大学設置法で、何をどのぐらい置かなければいけないとか、そうしたことの制約は外れるわけで、かなり自由度が増してくるわけでございます。そうした中で、いわゆる必置義務的なものもなくなっていくわけでございますから、そうしたことを、時代に合わせた形の効率的な、しかも人を育てることでございますから、形とかあるいは広さとか、そういうことは余り問題ないわけでございますから、そういうことを十分に生かしながら、現代に合った形の、効率的で、簡素でとまでは言いませんが、すばらしい人材を育てるような大学を目指してほしいとあえて申させていただきます。

石井(郁)委員 もう時間が参りましたけれども、大学陣は定員削減の対象から解放されるということで法人化に踏み出したんですね。しかし今、法人化後の運営費交付金の削減で、北海道大学の場合はもう十九億円減らされているじゃないですか。だから、こういうやり方で、大学の自由度が増すどころか、ますます窮屈になっている、縛りがかかっているという状態じゃありませんか。

 だから、その中で、もちろん各大学は努力をしているということも私は承知しています。本当にそれはもう大変な努力だと思います。だけれども、今回はこんな形で、大学の本当の支援につながらない五%の人件費削減という措置が出されているわけでございまして、私は、最後に、小泉内閣の構造改革の総仕上げとしてこの行革推進法が出されておりますけれども、きょうは大学という角度から見てまいりましたけれども、やはり日本の教育研究の発展あるいは日本社会そのものの発展をこれは阻害するものだと言わざるを得ないと思います。これは到底認めることができないということを申し上げまして、質問を終わります。

伊吹委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。

 一昨日、社民党の日森委員が公共サービス改革基本法、いわゆる市場化テスト法案について質問しましたが、最初に、関連してこの質問をいたしたいと思います。

 まず冒頭、市場化テストで民間事業者らが事業を落札した場合に、定数の改廃や過員が生じた場合の分限免職を規定した国家公務員法七十八条第四号あるいは地方公務員法二十八条四号について、中馬行革担当大臣は、適合しない形で運用すべきだと思っているとの答弁がありました。この点については、私は理解いたします。ただ、さらに、分限免職の他の規定についても公務員の純減あるいは市場化テストで濫用されるようなことがないよう強く要請しておきたいというふうに思います。

 一昨日の日森委員の、どのような公共サービスを入札に付すかという質問に対し、中馬大臣は、原則として制約は設けないと答弁いたしました。また、入札に当たって確保されるべきサービスの質について、山口副大臣から、実施要項で個別具体的に定める、そして、官民競争入札等監理委員会の意見も聞きながら検討するという答弁がありました。

 そうすると、市場化テストで最も懸念する、入札に付すサービスの選定やサービスの質の確保に当たり、官民競争入札等監理委員会、地方自治体でいえば審議会または合議制の機関ということになりますが、その役割は重要になってくると私は考えます。

 法案では、官民競争入札等監理委員会は、内閣府に十三人以内で委員を置き、透明性、中立性、公正性を確保するとされておりますが、極めて重要な監理委員会の人選、人員配置についてはどのような構成を想定しているのか。

 中立性を確保するということであれば、前にも申し上げましたが、利用者である住民の代表あるいは労働組合の代表らが委員として選ばれるべきと考えるんですが、中馬大臣、どうお考えですか。答弁願います。

中馬国務大臣 監理委員会は、今委員御指摘のように、非常に大事でございまして、十三人の方々から構成されます。こうした役割をしっかりと果たしていかれますように、公共サービスに関するすぐれた識見を有する方を選定いたします。そして、具体的な委員につきましては、法の趣旨、目的や監理委員会に期待される役割を踏まえつつ、任命権者たる内閣総理大臣により適切に選定されるものだ、このように考えております。

 また、本法案に基づいて官民競争入札等を実施しようとする地方公共団体におきましては、合議制の機関を設置することとしておりますが、その委員構成につきましても、法の趣旨を踏まえ、それぞれ公共団体が適切に判断することになる、このように考えております。

菅野委員 私は、中立性の確保というのが非常に重要だというふうに思うんです。内閣総理大臣が任命するというふうにおっしゃいましたけれども、今言った、利用する住民や労働団体、労働組合の方々を入れる考えはあるのかないのかということは答弁なさっていません。

 ぜひ、大臣、この部分は今後の大きな検討課題だと思うんですが、今の段階でどう考えているのか、答弁をお願いしたいと思います。

中馬国務大臣 まだ具体的な人選の、ここでどなたがということは申し上げられませんが、いずれにしましても、労働組合を代表するような方々あるいはまた住民を代表される立場の方々、こういった者も十分にその中に加えてもらう、加えていく所存でございます。

菅野委員 次に移りますが、法案の三十一条、民間事業者が事業を落札した場合に、当該職場の職員が民間に移籍し、契約期間を経て公務員として再任用される場合を想定した国家公務員退職手当法の特例を設けています。

 ここで少し議論しなきゃいけないと思うんですが、この場合、当該公務員に不利益が生ずることは避けなければならない。落札した民間事業者への移籍は、民間事業者からの要請と本人の意思が一致した場合に限定されるのか、また、本人の意思が最大限尊重されるのかという問題がございます。

 そして、三十一条は、任命権者またはその委任を受けた者の要請に応じて民間事業者に使用される者が対象とされています。管理者や上司から退職勧奨を受けてのものと想定されておりますが、くれぐれも職員に退職が強要されることのないよう、中馬大臣、答弁願いたいというふうに思います。

中馬国務大臣 当然でございまして、本人の意思にかかわらずその落札した民間業者の方に転勤を命ぜられるといったことはありません。

菅野委員 同意して民間に行った場合、その民間で人事管理が公務員であった職員については行われるというふうになると思います。

 その場合に、市場化テストで、政府の都合で民間が入っていったわけでございますから、その民間にゆだねられた職員の人事についても、政府は、上司というものは常に監視する体制はとっておく必要があるんじゃないのかなというふうに私は思うんですが、この考えについて、大臣の考えをお聞きしておきたいと思います。

中馬国務大臣 事業を民間事業者の方に移したわけでございますから、そこにまたかつての官の方が人事にまで口を差し挟むことはいかがなものかと思います。

 しかし、今委員御懸念の、そこからまた役割を終わって、あるいはまた何らかの形で官にまた戻られることまでもこれは想定して、それも受け入れることといたしております。

菅野委員 そこが、後でも触れますけれども、民間に行った場合に人事権が完全に民間企業にゆだねられてしまうんですよね。そうした場合に、私の想定しているのは、民間企業ですから多くの事業を抱えています、市場化テストで公的サービスを受けた場合にそこにとどめておくということじゃない事態が起こるというふうに思うんですね。他の部署に配置転換することも可能になってきます、考え方によっては。その場合の歯どめ措置というのは、かかるんですか、かからないんですかということです。

中馬国務大臣 先ほど申しましたように、そこに行かれた方は、行った事業者のところでその役割が終わったといいましょうか、そしてまた別のところに転勤させられるといったような中で、これはもとの業務から外れることになるわけでございますから、そうした場合には、もちろんそれに従って行かれる方もありましょうけれども、また、それはもう自分の役割は終わったということで官に戻られる場合、この場合は国家公務員として採用することができることとしております。

菅野委員 副大臣でもいいんですが、正対して答弁していただきたいと思うんです。

 民間に人事権がゆだねられます。そうしたときに、民間事業者はその人事権を使って他の部署に配置転換してしまうというようなことは想定されるんですが、そのことに対する制約というものはどう考えていくんですかという質問なんです。

河政府参考人 先ほどの大臣の答弁とやや重複することをお許しいただきたいと思いますけれども、落札した民間事業者に雇用された者というのは公務員を退職して行かれるということでございますので、その労働条件は、労働基準法令に従って、個々の労使当事者間で定められるべきことでございます。

 先ほど大臣も御答弁させていただきましたけれども、そういう民間の個々の労使当事者間で定められるべきものにつきまして、もとおりました役所の側が、この人はかつてうちにいたんだからこういう使い方をしてもらっちゃ困るということを言うのはいかがなものかというふうに考えておりまして、そこにおきましては、当該労使の関係の中で、労使当事者間で定められるべきものというふうに考えております。

菅野委員 先ほど、民間企業とその職員の間で合意、あるいは退職勧奨によって民間に行くということです。その行った先においては、もう退職したんですから、公的部門は一切そこには関与できないという今の答弁なんですが、そのことをやはりはっきりさせておかなければならないことだというふうに思うんですね。この本人合意のときに、そんなことを知らなかったなどということのないような措置をしっかりと講じておく必要があるというふうに私は考えるものであります。

 そのことは、地方においても同じようなことが起こることだというふうに思うんですが、竹中総務大臣、地方公務員の場合もこの三十一条を準用するという考えでいいんですか、このことを答弁願いたいというふうに思います。

竹中国務大臣 結論から申し上げますと、地方公務員についても国家公務員と同様の取り扱いをするのがやはり適当であるというふうに思っております。そういう観点から、私たちとしては、地方公共団体に対しまして必要な助言を行っていくつもりでございます。

菅野委員 総務大臣、今の前段のやりとりをお聞きになっていたというふうに思います。この法体系においては、民間に行った場合はすべて民間に人事権はゆだねられるんだ、ただし退職金の継続規定だけは三十一条で設けたんだというふうに、そのこともしっかりと私は全体が認識するような措置というものを講じていただきたいというふうに思います。

 それから、次に移りますが、本人と事業者との合意によって民間事業者に一たん移籍した職員は最優先で再任用されることになるのかどうかということなんですね。行ってしまって民間に人事権がゆだねられて、戻ってくるということは可能性としてはあるんですが、この雑則四十八条で規定した他の府省庁への配転の規定では、定員の範囲内でこれを行うとされています。

 そうしたときに、この前も話したんですが、どの省庁でも職員数の五%純減が定められているわけだから、配転と同様、再任用にあってもその条件は非常に私は限られているのではないかと懸念するものであります。再任用を希望する職員の意思に反して、片道切符で公務職場に戻れないという事態が生ずることのないよう、再任用は最優先で行うべきだと考えるんですが、中馬大臣、どうお考えですか。

中馬国務大臣 落札した民間事業者に移籍した役人さんでございますが、公務への復帰を希望する場合は優先的に任用すること、これを保証することは困難かと思います。しかしながら、その者を選考採用するか否かを判断するに際しましては、以前に同様の業務についた経験があるということは十分に考慮されることになると思います。

菅野委員 私が言っているのは、今後五年間で五%純減というのがすべての省庁にかけられていきます。そのときの方法として市場化テストというものが行われるわけでございます。そうしたときに、もうぎりぎりの定員に定員削減がどんどんどんどん行われていくわけですね。そうしたときに、職員が戻りたいと言った場合に、戻る職場はもうないんですということのないような措置を私は講ずる必要があるというふうに思っています。

 それじゃ、戻ることができないというならば、前に議論したこの法の三十一条条項というのが機能しないことになるんじゃないかという問題意識なんですね。そのことに対してどう考えるのか、答弁願いたいと思います。

中馬国務大臣 いろいろなケースが考えられますから、個々に、それぞれこの場合、この場合ということはなかなか規定しにくいかと思いますが、先ほど言いましたように、一つの前提条件をつけた上でその事業者の方に行かれるわけですから、それと余りにも違った環境であったり、あるいはそうした問題点があってまた戻らざるを得ない状況になったときには極力、優先的とまでは申しませんけれども、個々のお役所では、その事業者との間の契約といいましょうか、違約条項にもならぬとも限りませんから、この場合には、そうした方の復帰ということがかなり前提になるものだ、こういうふうに解釈いたしております。

菅野委員 そうしたときに、この雑則四十八条との関係をどう考えればいいんですかという問題なんです。定員がもう枠がないときに、この雑則四十八条で、他の府省庁への配転の規定では、定員の範囲内でこれは行うと定めているわけですね。定員が満杯だったらどう考えるんですか。このことを答弁願いたいと思います。

河政府参考人 先ほど大臣の方からお答えさせていただきましたように、民間事業者の方に、仕事との関係で、本人の同意あるいは民間事業者の希望で移られた方がいらっしゃるというところが今の先生の御質問のスタートだと思いますけれども、いらっしゃった方が、その仕事についておられて、その後また戻りたいというケースだと思いますけれども、一般的に、先ほどの三十一条で想定しておりますのは、そのお仕事の関係でまた戻られるということがあるのではないかということが三十一条で考えられているわけであります。

 したがいまして、そのときに、先ほど先生の御質問の中では定員がなくなっているということをおっしゃっていましたけれども、全体のその仕事の関係の定員の中でそういうことがあり得る場合についてのお話ということで先ほど大臣の方から御答弁させていただいたわけでございますけれども、その仕事以外のものについても必ず戻れるようにしろということについては基本的には難しいことだと思いまして、まさに一般的に公務員になるということの採用をどういう形でやっていくのかということでありまして、過去公務員であったということがいわば権利であるかのような形での議論は難しいのではないかというふうに考えております。

菅野委員 今議論いたしましたけれども、あたかも法三十一条は戻ることができる規定というふうになっていますけれども、今のやりとりの中では、市場化テストで民間が落札して、本人が同意して民間企業に行った場合はもう片道なんだ、こういう一連のやりとりになっています。そういうことでいいんですか、中馬大臣。そういうことにならないような、本人が希望した場合は戻ることができるような制度設計というものは考えられないんですかという私の強い意見なんです。答弁願います。

中馬国務大臣 そちらに移られるというのは、強制的に何か役所の方が人減らしのためにそちらに移すということは前提にいたしておりません。その方も自分の経験を、新しい仕事を引き受けた事業者の方で自分を生かしたい、ぜひ来てもらいたい、そういう一つの両者の合意の上でそちらに行かれる。

 ですから、もちろんそこでちゃんとした仕事をされて、一定期間を過ごすと私は思っておりますから、強制的に行かされたのであれば何か無理やりにということになりましょうけれども、そうじゃないという前提でございますから、今委員が挙げられたようなことは、非常にレアなケース、まれなケースじゃないかと私は思いますから、そのときには、今言いましたように、もとに戻れる制度はありますけれども、優先的かどうかというところは、その経過した年数もございましょうし、また向こうの、新しい事業のところをおやめになった経緯のこともいろいろケースがございましょうから、ここで一概にこれはこうだということは言えないんじゃないかと思います。

菅野委員 私は重要なことだと思うんです。

 それじゃ、政府委員でいいですから、法三十一条は何のためにつくったんですか、答弁願います。

河政府参考人 先ほど来大臣が御答弁させていただきましたとおり、その仕事とともに民間の方に退職して行かれるというケースはあり得ます。これはあくまでも御本人の希望と民間企業の側の御希望が合致した場合であります。その後、例えば三年間だけ来てほしいというお話もあり得るかと思います。その場合も今のような形であり得ると思います。結果として、役所の側で、そのお仕事にもう一回戻ってきてほしいという話があったときに、再採用ができるかどうかというのは一般の採用のルールの問題でございます。

 ただ、戻られたときに、三年間そのお仕事を民間企業のもとでやっていらっしゃったことというものをもって退職金が不利な取り扱いにならないようにする、結果としてそれが不利な取り扱いにならないようにしようということが三十一条の規定の趣旨でございます。

菅野委員 この部分は、非常に私は重要なことだというふうに思うんです。経験豊かな人、公務員が、民間で手伝ってくださいという形で行ったときに、本人が同意して行ったときに片道にならないような、そういう三十一条を設けたんですから、そこは、政府としても今後片道にならないような方策というものを、大臣、しっかりと検討しますという答弁が私は必要なんじゃないのかなというふうに思うんです。そうじゃないと、今後いろいろな問題点が生じてくるというふうに思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 そして、民間事業者が入札で事業を落札し、当該公務職場から職員が民間事業者のもとへ移籍した、しかし、民間事業者が契約期間中に倒産、あるいは何らかの事情によって事業を履行できなくなることが想定されます。実際に、地方自治体では、指定管理者制度のもとでそのようなケースが生じているという状況もございます。

 細かい話になりますが、そのような場合、民間事業者に移籍していった職員は、公務職場へ復帰、再任用されることになるのか。このことも私は想定しておかなけりゃならない課題だというふうに思っています。大臣、どう思いますか。

中馬国務大臣 先ほど申しましたように、新しくそれを引き受けた事業者が、もともとそこの公務に携わっておった方を、引き継ぎの意味においてもこれは有用だ、ぜひとも欲しいといったようなこともありまして、三年間というようなケースがかなりの場合だと私は思います。ですから、その方はその役割が終わったら戻ってくる。

 それと、戻ったときの状態が、ちゃんと退職金の通算も引き継がれますよということを規定したのがこの条の主たることでございまして、いろいろなケースを考えたら、そこで何か倒産したとか首切られたとか、それを全部想定したらこれは大変なことになりますので、そこまでは規定しておりませんことは御承知いただきたいと思います。

 しかし、今言いましたその趣旨だけは、その役割が終わってまた戻ってきていただいた方は、ちゃんともちろん引き受けることが前提だということは、私もはっきり申させていただきます。

菅野委員 なぜこのことを議論するのかということなのですが、日森議員も一昨日このことを申し上げました。他の国の例では、公務員の雇用確保のルールがかなり厳格に定められていると私は承知しているんです。

 ただ、今回の市場化テスト法においては、公務員の純減目標を達成するための手段だけが先行していって、職員に著しい不利益が生ずるということが、この法では担保されていないという状況がございますから、ぜひ、今大臣答弁したように、そういうことの起こらないような、しっかりとした仕組みを考えていっていただきたいということを強く申し上げて、次に移りたいというふうに思っています。

 農林水産大臣に出席していただいております。大臣、ここで、行政改革の特別委員会ですから、農水委員会でかなり議論していることではございますけれども、大臣と少し議論させていただきたいというふうに思っています。

 特別会計改革並びに総人件費改革の中で取り上げられている国有林野事業の改革について、大臣の考えをお聞きしたいということなんです。

 ここで申すまでもなく、森林は、水源を涵養する、自然災害を保全する、生活環境を守る、保健休養の場を提供する、木材を供給する、自然環境を守る、地球温暖化を防止するなどの公益機能を持っております。林野庁は、平成十二年の林業白書で、森林の公益的機能の評価額について七十四兆九千九百億円という試算を行っています。

 次世代に美しい自然環境を手渡すためにも、森林の公益機能の発揮こそが今求められていると思っております。そのために活力のある健全な森林の造成を図っていく必要があるわけで、森林の果たしている公益性について、中川大臣の認識を伺いたいものであります。

 そして、あわせて、今、民有林など農山村林業就業者が高齢化などを理由に大幅に減少する中、国有林野事業の果たす役割は以前にも増して重要になると私は思っているんです。この点について、大臣、今の森林の果たしている役割と現状をどう認識なさっておられるのか、国民の前に示していただきたいと思います。

中川国務大臣 菅野委員御指摘のように、日本は国土の三分の二が森林であります。そしてまた、日本は、細長い背骨のような三千メートル級の山があって、急速に海に向かって落ちていく。しかも、雨の量は、千七、八百ミリ平均で降るという地域でありますから、仮に森林がないと、これはもう洪水という状況になって、農業用水も生活用水も工業用水もできませんし、もちろん治水事業も非常に厳しいものがあるということであります。

 木材の生産という経済面だけではなくて、公益的機能というものは菅野委員が御指摘のとおり文字どおり多面的であって、これを守り育てていくということは、その意義は、プラスになることがあっても減ずることはないというふうに考えております。

 ただ、国有林野事業ということになりますと、やるべき仕事は何かということは、いろいろと常に見直されていかなければならないと思いますし、そして、この法案、御審議いただいている法案のように、やるべき事業、そしてまた人員、財源をどういうふうにしていくかということは、この法の趣旨にのっとって適切にやっていかなければなりませんが、いずれにしても、森林の果たす役割というものは極めて大きいということは菅野委員と同じ認識を持っております。

菅野委員 平成十年の国有林野改革二法案について、当時、この法律案を議論したときは中川農水大臣だった。この経過については、私から申し上げるまでもなく、重々承知している中身というふうに思っています。当時三・八兆円あった累積債務のうち、二兆八千億円は一般会計に、残り一兆円は林野特会で返済する、そういう処理に本格的に踏み出した時期ですね、平成十年です。

 あれから七年経過しているわけですけれども、今回、国有林野事業が改革の対象になるに当たって、この国有林野改革二法の審議結果、経過、閣議決定、与党農政協などの経過を私はきちんと踏まえるべきだというふうに思うんですけれども、今、大臣の考えはどうなんですか。

中川国務大臣 御指摘のように、平成十年、十一年のとき、私のときに、国有林野の抜本改革ということで、あのときは、三・八兆円、うち一兆円を五十年かけて返すという計画を立てて、今、少しずつではありますけれども前進をしているわけであります。

 営林署等も随分と縮小し、私のところも随分と営林署職員の数も減りましたが、しかし、そのとき定められました本来の目標というものは、着実に、今職員の皆さんが先頭に立って一生懸命やっているわけでございますので、基本的には、そのときの方針、法律、計画に基づいて進めさせていただいているということを前提にしながら、さらに、この法の趣旨というものを踏まえて、人員、事業、あるいはまた予算、あるいは抱えている借金の問題をどうやって解決していくかということに、さらに努力をしていきたいというふうに考えております。

菅野委員 行革大臣の前でもあるんですが、林野事業は、定員数で、昭和四十二年度の四万一千二百十七人から、平成十年度には七千九百七十九人まで削減してきた、こういう状況ですね。今も、大臣は数字は述べないで人員削減の努力というものを披瀝されましたけれども、十七年度末には五千二百六十四人まで削減してきているんですね。

 そして、なおかつ、今、五年で五%という数字が議論になっているわけでございますけれども、営林局、営林署も十四局、三百五十署から、平成十年度には十四営林支局、二百二十九営林署となって、今は七営林局、九十八森林管理署とまで減量・効率化、私の地元にあった営林署も、もう統廃合されてなくなっているという状況です。私は、そこまで血のにじむような国有林野事業の改革が行われてきたんだというふうに思っています。

 そういう状況を踏まえて、今、総人件費改革、あるいは独立行政法人という形で、特別会計の見直しと総人件費改革の観点から、独立行政法人への移行を検討するというふうになっているんですけれども、大臣、今までの経過を踏まえてこれからの対処方針というのはしっかりと取り組んでいただきたいというのが私の願いなんです。

 ただ、今の全体の流れの中では、特別会計改革が平成二十二年までに多くの議論がなされていくというふうに思っています。そう考えたときに、この独法、独立行政法人への移行についても、これまでの経過をしっかりと踏まえて多くの議論を積み重ねていくべきだと私は思うんですけれども、大臣の考え方をお聞きしておきたいというふうに思います。

中川国務大臣 この法律、今御審議いただいている法律では、二十八条で特別会計の見直し、それから、五十条で事務及び事業の見直しということで、今、国有林野関係についても取り組んでいるところでございます。

 しかし、冒頭、菅野委員からも、また私からも申し上げた、国有林野の、あるいは山の果たす公益的な部分のサービスといいましょうか、目的の質は落としてはならないということは大前提でございます。国有林野に従事する皆さんが大変減ってきた、また、つい最近は二つの大きな林野関係の労働組合が合併をするということになったわけで、昔と違いまして、国有林野に従事している皆さん方も、大変に、ある意味では、山の大切さと同時に人員削減についても、我々もきちっと説明をしなければいけないと思いますし、また、その趣旨あるいはまた意義を説明しながら、この改革を職員の皆さんにも御理解をいただきながら進めていくわけでありますが、冒頭申し上げた、また委員が申された趣旨は、いささかなりとも変更すべきではないというふうに考えております。

菅野委員 特別会計改革とこの独法化の議論というのは一体となって進めていくべきだということを私は強く申し上げておきたいと思います。

 最後になりますが、平成十一年七月の中央省庁等改革関連十七法案に対する附帯決議では、「職員の雇用問題、労働条件等に配慮して対応するとともに、関係職員団体の理解も求めつつ行うこと。特に、独立行政法人化対象事務・事業の決定、独立行政法人個別法案の策定に当たっては、中央省庁等改革基本法第四十一条を遵守し、関係職員団体等、各方面の十分な理解を求めつつ行うこと。」とされております。

 中川大臣、中馬大臣、改革基本法の附帯決議を遵守し、労使との話し合いを進め、しっかりと理解を得る努力を行っていただくことを強く要望して、私の質問を終わります。

伊吹委員長 これにて菅野君の質疑は終了いたしました。

 次に、滝実君。

滝委員 滝実でございます。本日も、二十分時間をちょうだいいたしておりまして、大変感謝を申し上げながら質問をさせていただきます。

 簡素で効率的な行政を目指す、これが今回の行革五法の趣旨だというふうに認識はいたしておりますけれども、しかし、行政の中には、当然のことながら、この簡素で効率的なというところが必ずしも当てはまらないところがあるんだろう、そういうことで、入札の問題を取り上げてみたいと思うんです。

 官製談合が当委員会でも大分話題になりましたけれども、基本は指名競争入札、それが官製談合の温床にあるというようにも考えられるわけでございます。しかも、一般競争入札が基本であるのにかかわらず、主流はやはり指名競争入札。なぜそうなっているのかということを考えなければいけないように思うのです。

 なぜ一般競争入札じゃなくて指名競争入札かといえば、一般競争入札は実際の実務からいうと手間がかかるんですね、物すごく手間がかかる。したがって、その入札事務をこなすということになると、どうしても指名競争入札、これが本流だという意識になってくるわけでございます。

 明治三十三年に今の会計法の前々身の法律ができました。そのときには一般競争入札しかなかったんですね。しかし、それではやはり不便だというので、勅令で指名競争入札を入れました。そして、それを大正十年の全面改正の際に、指名競争入札を初めから入れました。そうしましたら、貴族院の委員会で反対を受けました。指名競争入札をまともに本文の中に入れるといろいろ弊害が出てくる、したがって貴族院としては反対だということで、委員会修正が行われたのでございますけれども、本会議で政府原案どおりということになりました。これが大正十年でございます。

 年明けて、大正十一年の一月の閣議決定で、実は特別にこの指名競争入札についての閣議決定をいたしました、限定をする意味でですね。四つばかりあるのでございますけれども、その一つが、同業者が連合して不当な競争をあおる場合があり得る、それから、不信用の業者も参入しておかしなことをする、あるいは、当時は技術的なレベルもあったんだろうと思いますけれども、検査が難しいような工事、そういうものは指名競争入札でいい、それから四番目が、これが問題なのでございますけれども、契約が不履行、契約どおり履行されなかった場合には政府に著しい支障になるようなもの、これは指名競争入札でいい。この四点の閣議決定をして、限定的に貴族院の趣旨を踏襲しよう、こういうことであったわけです。

 現在の指名競争入札の条件は何かというと、大きく分ければ、業者が少数しかいない、そういう場合は指名競争入札でいい。それからもう一つは、政府にとって不利なとき。あとは、金額が少ないときはいいんだと。これはまあ事務的な話でございますけれども。そういうような三つの要件から成っているんです。

 ところが、その中で、政府にとって不利なときは指名競争入札でいいんだというんですけれども、今どこの省でも、中央省庁ほとんどが指名競争入札です。これが九〇%以上ですよね。なぜそうなっているかといえば、先ほど申しましたように、手数がかかるからだろうというふうに言わざるを得ないと思うんです。

 事実、不利なときじゃなくて、何を手がかりにして各省がやっているかというと、実は、大正十一年の一月の閣議決定の、契約が履行されないときには政府に著しい支障を来すとき、これを手がかりにして、実務上は指名競争入札でやるのは当然だというような解説書になっているんです、会計法の解説書が。これは個人でやったんですからね。個人の解説書ですから、別に政府は責任を負わないといえば負わないんですけれども、実際の実務はそういうことを手がかりにしてやってきた。

 事実、長野県では四年前にこの指名競争入札が九割以上ありました。それを田中知事になってから、一挙に一般競争入札に切りかえました。大変手間がかかるんです。手間がかかるのでございますけれども、長野県の落札率は大体六八、九%。要するに、予定価格の六割から七割の間で落札している。別に安ければいいというものじゃないと思いますけれども、数字的にはそういうのが出ている。

 私は、官製談合ということが叫ばれますけれども、その前段階として、どうして一般競争入札をしていくかということが一番大事な問題だろうと思うのでございます。

 特に、その中でその後もいろいろな知恵が働いてまいりまして、制限一般競争入札だとかそういうようなことも言われておりますけれども、この辺のところを、指名競争入札に付するときには各省大臣は財務大臣に協議をすること、それが本来の建前だったと思いますけれども、これは政府参考人の主計局松元次長の方から御答弁をいただければありがたいと思います。

松元政府参考人 お答えいたします。

 国の契約におきます手法といたしましては、委員御指摘のとおり、原則的な契約方法としては一般競争入札ということになっておりまして、指名競争入札は一般競争入札の例外として、契約の性質または目的によって競争に加わることができる者が少数である場合、または一般競争入札に付することが不利と認める場合に行われるということになっております。

 そういったことで、一般競争入札が原則ということでございますので、特に公共工事についてそういったことが言われておるということでございますので、政府といたしましても、本年二月二十四日に公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議を開催いたしまして、公共調達の適正化に向けた取り組みを取りまとめておるところでございます。

滝委員 報道でもございましたし、そして今松元次長からも、政府全体としての取り組みの改善という方向づけがされたようでございますから、これ以上のことは申しませんけれども、これは地方団体における自治法の規定の仕方も同じなんですね。

 地方自治法の方ではやはり一般競争入札を原則としているんですけれども、その施行令で指名競争入札ができる場合を挙げております。三つほど挙げているんです。二つはもちろん会計法といいますか予算決算会計令に準拠しているんですけれども、しかし、その一番目に、一般競争入札に適しないときという、基準たり得ない文言がずっと伝統的にこの施行令に載っているんです。そういう基準たり得ない基準があるというところに、この問題が、実際問題として一般競争入札は難しいということのあらわれでもあろうと思いますので、その辺のところは、これは総務大臣もおいでになりますので、地方自治法あるいは自治法の施行令を含めて、改正についてやはり私は基本的な線を出さないといけないんじゃないだろうかなと。やはり実務は、だれが考えたって指名競争入札の方が楽なんです。あるいは随契の方が楽に決まっているんです。それではやはりこの会計法の公正さを旨とするものが一貫しないだろうと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それから、その中には、実際に各省が、実際の指名競争入札の指名基準というか要件というか、業者のランクづけをやる場合に、前年度実績とかそういうのを総合評価方式と称しながら入れているんですよね。そうすると、昨年やった業者は翌年度も有利になるんです。そういうふうに、仲よしクラブになるように総合評価方式が決められている。そういう例もございますので、その辺もあわせて、私は、この際きちんと、指名競争入札の実際の所管庁は財務省でございますから、ひとつ各省を督励して、きちんとしたことができますようによろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それからもう一つ、簡素で効率的なことがなかなかできにくい問題がもう一つあります。それは審議会の議事録なんですよね。

 当委員会の議事録は、これはすばらしい。先ほども、最初のときに御指摘がございましたけれども、もう翌朝にできているというのは、これはやはり国会だからできるんですよね。

 各省が所管している審議会で、議事録がそう簡単にできない。議事録をやろうと思ったら二、三カ月かかるんです、これは。録音テープをとっておいて、それを文字にあらわすというのは相当時間がかかりますから、どこまで読んでくれるかわからないものを議事録にするというのは、各省なかなか難しい。したがって、どうしても議事録じゃなくて議事の概要、要するにメモ程度を出すんですよね。

 ところが、問題になっております規制改革会議の議事録が、過去にさかのぼってないと言われているわけでございまして、何でだろうということが報道もされているのでございます。私は、こういう規制改革会議のような、いわば業界の利害に関連するような部分は、余計にだれが何を発言したかというのを記録に残すべきだろうと思うんです。しかし、今申しましたように、これをやっていると手間がかかる、お金がかかるということで、どうしても議事概要になっているんです。

 現在までのこの規制改革会議の議事録の模様につきまして、政府参考人として、これは田中室長ですか、お呼びしていると思いますから、よろしくお願いいたします。

伊吹委員長 それでは、内閣府田中規制改革・民間開放推進室長、現状、実態だけを説明してください。

田中政府参考人 御説明申し上げます。

 平成十三年四月から平成十六年三月までの間、内閣府に設置されておりました総合規制改革会議におきまして、議事の公表について、議事概要及び会議後の記者会見で対応しており、議事録が作成されていないことが判明いたしました。

 こうした事態に立ち至りました背景といたしましては、総合規制改革会議の前身の組織であります、行政改革推進本部のもとに設けられておりました規制改革委員会の当時より、比較的詳細な議事概要が公表されており、これを踏襲し議事概要を作成、公表すればよいと認識していた可能性も考えられますが、現在なお、当時の事務局担当者からも経緯を確認しているところでございます。

 いずれにしましても、本来、同会議の議事運営規則に照らせば、作成、公表されることが適当である議事録が公表されていなかったことは遺憾なことでございます。

 なお、平成十六年四月に発足いたしました現在の規制改革・民間開放推進会議におきましては、すべての議事録について作成、公表しているところでございます。

中馬国務大臣 現行の規制改革・民間開放推進会議、これの前身であります総合規制改革会議の議事録が作成されていなかったことにつきましては、本来、同会議の議事運営規則に照らせば、もちろん作成、公表されるべきものでありまして、こういう事態になったことは非常に遺憾であると考えております。

 現在、内閣府としましては、当時の状況の把握を行っているところでありまして、当時の経緯等を十分に認識するとともに、今後このようなことが起こらないように、再発防止に努めてまいりたいと考えております。

滝委員 現在は改められているようでございますからこれ以上のことは申しませんけれども、やはりどうしても手間のかかるものは手抜きになる。これはもうしようがないんですけれども、しかし、事柄の中身によって、そこはやはり必ずしも簡素にならない部分があるということで取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それから三番目に、これは総人件費削減の問題に関連するものですから、あえて取り上げたいと思うのでございますけれども、この国会の冒頭で、国会議員の互助年金法は廃止になりました。しかし、地方議員の互助年金法は存続ということになろうかと思います。

 もともと、国会議員の互助年金法を恐らくなぞって地方議会議員の互助年金法ができたと思います。現在までの国会議員の互助年金法は昭和三十三年にできたんです。国会法の三十六条ができましたのが昭和二十二年ですから、十余年かかって国会議員の互助年金法ができました。それの三年後に、地方議会議員の互助年金法が昭和三十六年にできて、翌年、地方公務員の共済組合法ができたときにそこに移しかえられた。

 そういう経緯をたどっていますから、当然のことながら、国会議員互助年金法が廃止になれば、地方議員の互助年金法をどうするかというのは、これは基本的な問題として議論すべき問題だろうというふうに思います。

 ただし、違いがありますよ。二つあるんですよね。これは私の方から、時間がありませんから言っておきますと、国会議員の場合には、毎年の支払い額の全体の一割ぐらいしか国会議員の負担金が充てられていない、そういう仕組みでございますし、二番目には、積み立て方式をとっていませんから、毎年の予算方式でこの法律を運用している、こういうことですね。ところが、地方議員の互助年金法は、議員個人の負担が六割ある、四割が公的負担だというぐらいの話になっているんですね。それからもう一つは、積立金方式ですから、毎年毎年の予算でどうこうということもありますけれども、基本的には積立金がベースになって支払いをしている。こういう違いはあるんですけれども、基本的には同じじゃないだろうかな。

 ただし、そこのところは同じですけれども、四割ぐらいはやはり公的負担があるんですから、この際、その辺をどうするかというのは、改めて私はこの問題は取り上げていかなければいけないんだろうと思うんでございますけれども、これはまず、公務員部長の方から経緯を簡単に説明していただけますか。

伊吹委員長 総務省小笠原公務員部長、経緯を説明してください。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 地方議会議員年金の制度についての立法の経緯は、今、滝先生からお話があったところでございますが、その制度の比較につきまして申し上げますと、今先生から御指摘があったこと以外に、国会議員互助年金につきましては、御承知のとおり、国会法三十六条に基づく退職金としての性格を有しておりますが、地方議会議員年金は、制度創設時から互助年金としての性格を有しております。また、その運営方式につきましては、これは御指摘にあったところでございます。

 また、先生御指摘になかった点について申し上げますと、例えば地方議会議員年金につきましては、被用者年金、兼業している場合がございますので、そういったところに重複して加入している期間につきましては、公費相当部分を控除している、カットしているといったようなこともございます。

 このように、制度の性格や仕組みが異なっておりますので、必ずしも地方議会議員年金を国会議員互助年金の取り扱いと同一にすべきものとは考えておりません。

 なお、この地方議会議員年金につきましては、市町村合併の急速な進展等によります年金財政の悪化に対応するため、給付の引き下げなどを大要とする改正法案を今国会に提出しているところでございます。

滝委員 今、経緯につきまして、それから性格についてもお話がありましたけれども、もともと国会議員の互助年金法、これも互助年金法なんです。

 なぜ年金法という言葉を使ったかというと、当時、昭和二十二年の国会法の制定以来ずっと、この退職手当、三十六条では退職手当と言っているんですけれども、退職手当を受け取ることができるという条文なんですけれども、これをめぐって、どうしようかという議論が当時の国会の議運の中で、小委員会を設けて、続けられてきました。そのときに、実は当時の国家公務員の退職手当が恩給法なんです。恩給しかなかったんです。したがって恩給になぞらえてやればよかろうというので、恩給法の議論をして、互助年金法ということにしたんです。しかし、この互助年金法が実際にでき上がるまでに、実は国家公務員は恩給とは別に退職手当法をつくっちゃったものですから、それで話がややこしくなりまして、国会議員のいわば退職手当が、恩給に準じた年金の性格なのか退職手当なのか、表面上からはわからなくなったというのがその経緯なんです。

 したがって、地方議会議員の場合も当然国会議員と同じように、常勤なのか非常勤なのかよくわからないところがありますけれども、同じような性格のものであるんですから、当然同じように考えるべきであって、問題は、公的負担をどうするかというところで議論をしていくのが本来の筋道だろうと思うんですけれども、せっかく総務大臣お見えですから、感想だけをちょっとお述べいただきたいと思います。

竹中国務大臣 今、滝委員の方から、経緯を踏まえて、非常に深いところからの御議論を賜ったと思っております。

 我々の基本的な考え方というのは、既に公務員部長がお話しさせていただいたとおりでございます。

 互助年金として、社会保険方式として、そして給付を行っているという中で、この仕組みそのものについては持続可能なように改めていかなければいけない性格のものでございまして、そのための準備もしておりますが、これはその性格及び成り立ちが、今回御議論いただいた国会議員互助年金とはやはり違うというふうに位置づけざるを得ないのではないだろうか、そのように思っております。

滝委員 ありがとうございました。

 きょうも安倍官房長官にも御答弁いただこうと思ったんですけれども、時間切れでございますから、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて滝君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十日月曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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