衆議院

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第9号 平成18年4月11日(火曜日)

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平成十八年四月十一日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 伊吹 文明君

   理事 今津  寛君 理事 園田 博之君

   理事 谷  公一君 理事 谷川 弥一君

   理事 山本 有二君 理事 大島  敦君

   理事 北橋 健治君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井上 喜一君

      衛藤征士郎君    小野 次郎君

      小野寺五典君    大野 功統君

      岡本 芳郎君    加藤 勝信君

      小杉  隆君    木挽  司君

      佐藤  錬君    菅原 一秀君

      鈴木 馨祐君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    高鳥 修一君

      とかしきなおみ君    並木 正芳君

      西本 勝子君    葉梨 康弘君

      橋本  岳君    広津 素子君

      藤井 勇治君    松本 洋平君

      三ッ矢憲生君    水野 賢一君

      山本ともひろ君    小川 淳也君

      大串 博志君    岡本 充功君

      小宮山泰子君    近藤 洋介君

      篠原  孝君    田島 一成君

      武正 公一君    鉢呂 吉雄君

      馬淵 澄夫君    前田 雄吉君

      横光 克彦君    笠  浩史君

      渡辺  周君    池坊 保子君

      石井 啓一君    谷口 和史君

      石井 郁子君    塩川 鉄也君

      菅野 哲雄君    辻元 清美君

      滝   実君

    …………………………………

   総務大臣

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   農林水産大臣       中川 昭一君

   経済産業大臣

   環境大臣臨時代理     二階 俊博君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     中馬 弘毅君

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   財務副大臣        竹本 直一君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   環境副大臣        江田 康幸君

   農林水産大臣政務官    金子 恭之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  千代 幹也君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  上田 紘士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中藤  泉君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          谷口 隆司君

   政府参考人

   (内閣府市場化テスト推進室長)          河  幹夫君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高部 正男君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 林  信光君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (文化庁次長)      加茂川幸夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         金子 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           松井 一實君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            鈴木 直和君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          上村 隆史君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   政府参考人

   (林野庁長官)      川村秀三郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           深野 弘行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        近藤 賢二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      安達 健祐君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   政府参考人

   (国際協力銀行総裁)   篠沢 恭助君

   衆議院調査局行政改革に関する特別調査室長     大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     広津 素子君

  秋葉 賢也君     藤井 勇治君

  衛藤征士郎君     小野 次郎君

  小杉  隆君     鈴木 馨祐君

  鈴木 淳司君     高鳥 修一君

  薗浦健太郎君     橋本  岳君

  松本 洋平君     山本ともひろ君

  大串 博志君     篠原  孝君

  近藤 洋介君     田島 一成君

  武正 公一君     岡本 充功君

  馬淵 澄夫君     小宮山泰子君

  前田 雄吉君     小川 淳也君

  渡辺  周君     笠  浩史君

  石井 啓一君     池坊 保子君

  塩川 鉄也君     石井 郁子君

  菅野 哲雄君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     木挽  司君

  鈴木 馨祐君     小杉  隆君

  高鳥 修一君     鈴木 淳司君

  橋本  岳君     薗浦健太郎君

  藤井 勇治君     秋葉 賢也君

  山本ともひろ君    松本 洋平君

  小川 淳也君     前田 雄吉君

  岡本 充功君     横光 克彦君

  小宮山泰子君     馬淵 澄夫君

  篠原  孝君     大串 博志君

  田島 一成君     近藤 洋介君

  笠  浩史君     渡辺  周君

  池坊 保子君     石井 啓一君

  石井 郁子君     塩川 鉄也君

  辻元 清美君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     とかしきなおみ君

  横光 克彦君     武正 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   衛藤征士郎君

    ―――――――――――――

四月十一日

 安全・安心な公共サービスの確立を求めることに関する請願(赤松広隆君紹介)(第一三三二号)

 同(小川淳也君紹介)(第一三三三号)

 同(大島敦君紹介)(第一三三四号)

 同(奥村展三君紹介)(第一三三五号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第一三三六号)

 同(郡和子君紹介)(第一三三七号)

 同(辻元清美君紹介)(第一三三八号)

 同(長安豊君紹介)(第一三三九号)

 同(松本龍君紹介)(第一三四〇号)

 同(三日月大造君紹介)(第一三四一号)

 同(村井宗明君紹介)(第一三四二号)

 同(山井和則君紹介)(第一三四三号)

 同(泉健太君紹介)(第一三七〇号)

 同(岩國哲人君紹介)(第一三七一号)

 同(大畠章宏君紹介)(第一三七二号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一三七三号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第一三七四号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第一三七五号)

 同(高山智司君紹介)(第一三七六号)

 同(達増拓也君紹介)(第一三七七号)

 同(筒井信隆君紹介)(第一三七八号)

 同(中川正春君紹介)(第一三七九号)

 同(長島昭久君紹介)(第一三八〇号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一三八一号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一三八二号)

 同(古川元久君紹介)(第一三八三号)

 同(松本剛明君紹介)(第一三八四号)

 同(三谷光男君紹介)(第一三八五号)

 同(三井辨雄君紹介)(第一三八六号)

 同(柚木道義君紹介)(第一三八七号)

 同(岡本充功君紹介)(第一四〇三号)

 同(川内博史君紹介)(第一四〇四号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一四〇五号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一四〇六号)

 同(羽田孜君紹介)(第一四〇七号)

 同(前原誠司君紹介)(第一四〇八号)

 同(松木謙公君紹介)(第一四〇九号)

 同(山田正彦君紹介)(第一四一〇号)

 同(松野頼久君紹介)(第一四二六号)

 同(横光克彦君紹介)(第一四二七号)

 同(阿部知子君紹介)(第一四八八号)

 同(北橋健治君紹介)(第一四八九号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一四九〇号)

 同(仲野博子君紹介)(第一四九一号)

 同(保坂展人君紹介)(第一四九二号)

 同(松本大輔君紹介)(第一四九三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出第七四号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出第七一号)

 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出第七二号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)

 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

伊吹委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官千代幹也君、内閣官房内閣審議官大藤俊行君、内閣官房内閣審議官上田紘士君、内閣官房内閣審議官中藤泉君、内閣府大臣官房政府広報室長谷口隆司君、内閣府市場化テスト推進室長河幹夫君、総務省行政管理局長藤井昭夫君、総務省自治行政局長高部正男君、総務省自治行政局選挙部長久保信保君、財務省大臣官房審議官佐々木豊成君、財務省大臣官房参事官林信光君、財務省主計局次長松元崇君、文化庁次長加茂川幸夫君、厚生労働省大臣官房総括審議官金子順一君、厚生労働省大臣官房審議官松井一實君、厚生労働省医政局長松谷有希雄君、厚生労働省職業安定局長鈴木直和君、厚生労働省職業能力開発局長上村隆史君、社会保険庁運営部長青柳親房君、林野庁長官川村秀三郎君、経済産業省大臣官房審議官深野弘行君、資源エネルギー庁資源・燃料部長近藤賢二君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長安達健祐君、国土交通省道路局長谷口博昭君、国土交通省自動車交通局長宿利正史君、国土交通省航空局長岩崎貞二君、環境省地球環境局長小林光君、国際協力銀行総裁篠沢恭助君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 本日は、各案の審査に関し、特別会計改革、資産・債務改革及びいわゆる市場化テスト法案に関する問題を中心として集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤錬君。

佐藤(錬)委員 おはようございます。自由民主党の佐藤錬であります。

 けさは、トップバッターで、与えられた時間はわずか三十分ということでありますので、細かな議論をするゆとりがありません。根本の問題に絞って単刀直入に問いますので、ひとつ、閣僚各位におかれても、簡潔に、わかりやすく御答弁をいただければ幸甚に存じます。

 まず、行革の質問に先立って、きょうは総理は御欠席ですから、内閣のかなめである官房長官に、政治不信の問題について、今日の政局をどう見ているか、お伺いをいたします。

 小泉総理もよく色紙に書かれるんですが、いにしえより、政は信なくんば立たずとあります。兵を断ち、食を断っても、国民の信頼こそが最も大切だという政治の要諦を示しております。

 今日、我が国会はまことにお粗末さを露呈しました。国民の信をなくしております。このたびの民主党によるにせメール事件。これだけ世間を騒がせ、国会の品位と権威を失墜させ、国政を大混乱に陥れたこの問題の真相が、すべてやみの中に葬られようとしているように思います。

 政治的には決着したかのように見えますが、国民の多くは、だれが何の目的で仕掛けたのか、この疑問を抱いたままにいるのであります。証人喚問を通じて明らかにされるものと国民は期待していました。国会は主権者たる国民のために存在するのです。この際、与野党を含めて、国会の信頼回復のために、国民の期待にこたえて一日も早く国会の場で真相を究明し、明確なけじめを国民に示さなければなりません。

 国民にうそをつき、ばれたら責任を放棄しようとする態度、国民をだまして、そして平気でいるこの姿を見ると、もういろいろ言いたくありませんが、子供の政治ごっこではあるまいに、政治を余りにも軽くもてあそんでいるように見えます。政治の責任は重く、命をかけて取り組むものであります。我が国の政治が真に国民の信頼を取り戻すために、我々政治家がなすべきことは何なのか。きょうは総理がおられないので官房長官に、現在のこの政局に対する御感想を、どう見ているか、思いをお聞かせください。

安倍国務大臣 ただいま佐藤委員からは、まさに政治の本質にかかわる御質問をいただいたのではないか、このように思う次第でございます。

 小泉政権が約五年前に成立をして以来、日本を変えていく、構造改革をしっかりと行っていかなければ日本の未来はない、その信念で構造改革を進めてきたところでございますが、改革には、時には痛みが伴うわけであります。その改革を進めていくためには国民の信頼が何よりも大切である、私も、また総理もそのように考えているところであり、昨今の風潮の中で政治に対する信頼に揺らぎがあるとすれば、我々はしっかりとまた政治に対する信頼を取り戻していかなければならない、このように考えております。

 そのためにも、まさに本委員会で議論をしております行政改革についてはしっかりと道筋を示していく、そして、私たちがこの行政改革を進めていくという強い意思を示していくことが大切であろう、このように思っております。

 今までも、民間ができることは民間に、そして地方ができることは地方にとの信念のもとに改革を進めてきたわけでありますが、さらに、今まで成果を出してきた金融あるいは税制、規制緩和等々の改革だけではなくて、歳出歳入の一体改革あるいは行政改革をしっかりと前に進めてまいる決意でございます。

 また、昨今言われております格差社会に対するいろいろな議論があるわけでありますが、我々は、その中でもしっかりとフェアで公正な競争が担保される社会をちゃんとつくっていくんだということについても説明責任を果たしてまいりたい、このように考えておりますし、また、一回失敗しても、再びまた何回もチャレンジできる社会を私たちはしっかりつくっていくんだということもしっかりと我々は示していきたい、このように思っております。

佐藤(錬)委員 我が国は、敗戦後もう六十年余り、平和を保ち、自由と民主主義を守り、経済の発展にあわせて国民生活の豊かさと世界一の長寿社会を築き上げました。一方、これまで野党の主張する、税や社会保障などの負担は軽く、行政の給付サービスは重く、最大限に拡大せよという無責任な要求にこたえてきたことによる財政の赤字も拡大したのであります。

 国と地方の借金は合わせて一千兆円を超えたと聞く。こうした巨額の借金を次世代の子や孫に残して、自分たちはぜいたくな暮らしを続けていたのでは、いずれ愛する子や孫から恨まれることになります。少子化の時代、子孫の負担を軽くしてやらねばなりません。

 今日の財政赤字は自民党政治の過ちが原因だ、こう民主党の皆さんは主張するが、国民生活向上のために積み上がってきた借金であるということを、国民に対してわかりやすく、国民がすっきりと納得できるように、担当の谷垣財務大臣から国民に対し説明を賜りたい。

谷垣国務大臣 今、佐藤委員が指摘されましたように、我が国の財政は非常に厳しい状況にある、これが現実でございます。平成十八年度末で申しますと、国の長期債務残高、これは結局最後は税金で返さなければいけないという借金でございますが、五百四十二兆円、これは我が国の一年間のGDPの規模を超えているということでありますし、さらに、国と地方を合わせますとGDP比の一五〇%を超えている。これは、国際的に見ても先進国の中で成績は一番悪い。財務大臣として言うのは甚だ残念でありますが、そういう状況でございます。

 しからば、そうなったのはなぜかということでありますが、今の佐藤委員のお話の中にもありましたけれども、大きなものは、国民経済の伸びを超えて高齢化というようなものがここまで参りましたので、社会保障経費が国の経済の伸びを超えてはるかに伸びていく、負担が強くなっているというのがやはり指摘しなければならない理由だろうと思います。

 それからもう一つは、景気の低迷に伴いまして税収が減ってきたということもありますが、さらに、景気の低迷を何とか下支えしようということで減税等をたびたび行ってきたということがやはり大きかったろうと私は思います。これは、経済が本当に底割れしてしまわないためには、やむを得ざる負担であったというふうにも私は思うわけでございます。

 では、政府は、小泉内閣は何もしていないのかというと、そんなことは決してないわけでありまして、今御審議をいただいている行政改革関連法案も、もちろんその努力のいわば集大成でありますけれども、簡素で効率的な政府をつくって無駄を排除していく、そして、子や孫に負担を残さないようにと最大限の努力を傾けてまいりました。

 小泉内閣になりましてから、大体十三・八兆ほど無駄を省いてきたとお考えいただいていいんじゃないかと思います。それから、税制につきましてもいろいろ適切な手を打ってまいりました。その結果、二年間連続、要するに一般歳出、政策経費の額を圧縮する。それから、先ほどの圧縮した中に公共事業も四割削減してきたということがございます。その結果、一般歳出、政策経費を二年連続で削減をしてきた。

 それから、民主党は、昨年のマニフェストで、二〇〇八年度までに国債発行額を三十兆に圧縮するということを言っておられましたが、私どもは、それより二年早くと言ってはちょっとあれでございますが、今年度でその三十兆よりも借金を下回らせる、こういうようなことをやってまいりまして、今後も引き続きその努力を継続しなければなりません。

 ただ、依然として厳しい状況にあることは変わりがございませんので、ことし六月を目途に歳出歳入一体改革の道筋をきちっと国民にもお示しして、国民の理解を深めながら、さらに財政再建を進めていこう、こういうふうに考えております。

佐藤(錬)委員 もう十五分過ぎましたから、急ぎます。

 今日、一千兆円を超える巨額な財政赤字に対して、国会における議論は一般会計に集中しがちである。一方、特別会計があります。国民にとっては全体がわかりにくく、今日では、無駄遣いなどさまざまな疑念や批判を受けて、国民の信をなくしているのではないかと思います。事業ごとの受益と負担の関係を明確化するという特別会計制度のメリットもわかりますが、三年前、当時の塩川財務大臣が国会答弁で例えたように、母屋が倹約しておかゆを食べているのに、離れ座敷では子供がすき焼きを食べている、その姿は変わりません。

 三十一ある特別会計を二分の一から三分の一へ削減する具体化の法案を一年以内に提出する、さらに五年ごとに見直すとのことですが、国営土地改良事業特会を一般会計に統合しようとしたり、道路特定財源までも一般財源化しようとするのであれば、この際、いっそのこと、特別会計制度は原則廃止し、国の経理は基本的に一般会計に集中させて、特会の剰余金や積立金を活用して財政再建を進め、ここで原点に返って、財政の健全化を図るという観点から、全体をまとめて大局的な議論を一度やり直してみてはいかがかと思うんですが、谷垣財務大臣の政治判断を伺います。

谷垣国務大臣 確かに、私の前任者の塩川先生がおっしゃいましたように、母屋で一生懸命おかゆで我慢しているのに、離れで子供たちがすき焼きを食っていると。確かにそういう状況もなかったとは言えない。それから、たくさん、三十一もあると全体が見通せない、こういうこともありましたので、見直していかなきゃいけないというので今特会改革をやっているわけです。

 そういう中で、やはり全体を見渡して日本の財政がこうなっているとわかりやすいようにしなきゃいけないという面と、それから、今おっしゃったように、少しでも財政再建の足しになるように、無駄なものは省き、そして使えるものは使っていくということをやらなきゃなりません。

 ただ、今委員おっしゃった、全部一般会計を原則とせよとおっしゃいますのは、やややりにくいところがございまして、例えば年金のようなものは、いただいたお金、預けていただいた保険料、そういうものを中心に将来の年金にしていくという形になっておりますから、要するに、全体の仕組みが一般会計に入れてしまうと何だかわからなくなってしまうということもあります。

 そういう意味で、確かに一から見直していく必要はあると思います。今回、そういうので、やる必要のないものは民営化するとかあるいは一般会計化するかとか、いろいろやってまいりましたけれども、そういうことで、全体の受益と負担が、ここはやはりわかりやすいようにさせておいた方がいいなというものがやはり残ると思います。そういうことを考えまして、さっきおっしゃったような、二分の一から三分の一程度へ圧縮するということでやらせていただいているわけであります。

佐藤(錬)委員 次に、独立行政法人について竹中総務大臣に伺います。

 簡素で効率的な政府というのは、公務員こそがなさねばならない事業以外は民間にゆだね、簡単で質素で無駄のない小さな政府を言うのでありましょう。官から民への実現によって、民間の主体性や自律性を高め、民間活力が発揮される社会環境を整えて、国民が豊かで元気に安心して暮らせる国づくりを目指すものであろうと思います。

 ならば、独立行政法人制度なるものは、この小泉改革の官から民への理念に沿わないのではないか、まことに中途半端で矛盾する新たな組織を創設することになるのではないかという疑問があります。

 制度導入から五年経過したが、随意契約や天下りの問題やお役所意識は相変わらず、運営費交付金という名の血税支給の中身も変わらない。非公務員化することで、形式的な、公務員定数削減の表面的な数字合わせになるのではないか。結果的に、衣がえのまやかしということが起きて、国民をだますことになって、政治不信につながらないかというようなおそれも感じます。

 そこで、政策の企画立案機能と分離した、実施・実行機能はこの際思い切って民間にゆだね、国の歳出の削減を図るとともに、民間の自由な競争原理と厳格なる事後評価によって、公共サービスの質の保証と効率化を目指すべきではないか。中期目標期間終了時の見直しに当たっては、交付金支給の独法制度を今後は温存することなく、将来のすべての法人廃止、市場化、民営化の方針をこの際明確に打ち出すべきではないかと思いますが、竹中大臣の決断を問います。

竹中国務大臣 独立行政法人の見直しに当たりましては、佐藤委員御指摘のように、本当に厳しい姿勢で臨まなければいけないという非常に強い思いを私も持っております。

 この点に関しましては、この行革推進法案の土台となりました行政改革の重要方針、昨年の末に取りまとめたものの中にも、次のような趣旨のことを書いております。官から民への観点から法人の事業、組織の必要性を厳しく検討して、その廃止、縮小、重点化等を図ることはもとより、法人の事業の裏づけとなる国の政策の必要性にまでさかのぼった見直しを行う、そして国の財政支出の縮減を図る。まさにそのとおりであろうかと思います。

 そのために、具体的な進め方としましては、ことしの夏を目途に政府としての基本的な考え方をまとめます。そして、それを踏まえた総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会としての見直しの方針というのを取りまとめたいと思います。その上で、個別の法人ごとに業務の見直しを行いまして、本年度中に政府としての結論を得るということとしております。総務省としましては、既に政策評価・独法評価委員会での見直しの方針の取りまとめに向けた検討開始をしたところでございます。

 委員言われましたように、企画立案と、そして現業での執行でございますから、その執行すべてを民営化するということにはなかなか困難があるというふうに思いますが、中期目標期間終了後の見直しに当たりましては、法人の廃止、民営化も視野に入れながらこれはしっかりと検討を進めてまいりたいと思います。

佐藤(錬)委員 政策金融について伺います。

 官業は民業の補完に徹するだけではなくて、国策誘導の機能が肝要であります。平成二十年度に、農林漁業、中小企業、国民生活という業務の異なる各金融機関をまとめて、新たな一つの政策金融機関に統合するとあるが、利用する国民は心配と不安に陥っております。

 この政策金融改革については、これまでの機能が引き継がれるからよしとするのではなく、むしろ改革してよかったと思えるように、国民の不安と心配が安心と喜びに変わるようにしっかり取り組まなければ、国民の期待にこたえられません。

 そこで、国民生活に密着する極めて重要な特殊機能の存置だけではなく、国策誘導のため必要かつ十分な資金源、財政基盤の確保措置やサービス体制、審査体制はいかようになされるのか、谷垣財務大臣に具体的措置を伺います。

 あわせて中馬大臣に伺います。

 単なる金融の知識だけではなく、異なるおのおのの個別の政策や実情に精通した専門職員が経営や融資業務を行う体制をつくる必要があります。新機関の担い手を含む具体的な制度設計について、その人的仕組みづくりをどう考えておるか、時間がありませんので簡潔に御答弁願います。

伊吹委員長 谷垣財務大臣より新機関のイメージについて。

谷垣国務大臣 政策金融機関は、何が必要な機能かというのを相当議論しまして、まとめました。あと大事なことは、それをどう制度設計して、それから御指摘のように、資金がきちっとなければできませんから、それは中馬大臣のもとでしっかりこれから議論して、御心配のないような制度をつくってまいります。

中馬国務大臣 統合されます五つの機関は、それぞれ本当に国民のための施策と、また海外的な協力もしてまいりました。そういう中で、これをただ五つを束ねるというだけではなくて、それぞれ専門的な知識を生かしながらこれが合体するわけでございますから、それぞれが機能的に、一足す一が二になるんじゃなくて三にも四にも機能できるものになってくるもの、私はこのように確信をいたしております。

 そして、今の制度設計の話でございますが、ここにはただ人の寄せ集めではなくて、そうした総合的に連携をとりながら、また、それも政府の責任において、各省庁の出先的なものではなくて、政府が責任を持った形でこれを運営してまいります。そういうことで大いに期待していただきたいと思います。

佐藤(錬)委員 次に、競争入札について伺います。

 簡素で効率的な政府をつくるに当たっては、公務員定数を減らしつつ、公的サービスを民間委託していくことが必要であります。この民間委託に当たっては、当然、随意契約でなく一般競争入札を行うことになりますが、入札が行われても、実績や売り上げなどのハードルが必要以上に高く、中央の企業のみが入札に参加でき、地場の中小企業が参入できない実態があります。

 入札参加資格などの条件を厳しくして、役所のOBが天下りしているような中央の関連企業しか参加できないようなシステムをつくって、既得権益を守ろうとすることがあってはなりません。地場企業の育成、地方経済活性化のためにも、当然、政府としては出先機関までの対策の徹底を図ることが重要だと思います。入札制度を所管する財務大臣の、その出先までの徹底した実施への決意を問います。

谷垣国務大臣 随意契約から一般競争入札原則にきちっとやるんだといっても、今委員の御指摘のように、参加の条件を厳しくして、事実上特定の企業しか参加ができないというようなことじゃ、これは意味がないわけであります。

 会計法令でも、個々の入札における入札参加資格は、その競争を適正かつ合理的なものにするために必要なものに限られております。それから、政府としても、先月、二月の二十四日に関係省庁連絡会議で取りまとめました「公共調達の適正化に向けた取り組みについて」におきましても、入札参加資格や仕様書について、競争を事実上制限するような内容であってはならないと、これを明確化する措置を講じたところでございまして、中央関連企業だけで地場企業を締め出すような措置は防止されるようにこれからもきちっとやらせていただきたいと思っております。

佐藤(錬)委員 公務員制度改革について伺います。

 このように天下りが批判されています。勧奨退職年齢の引き上げなど、退職管理の適正化はいかが取り組むのか。また、天下りなどの公務員に対するバッシングが世論になっています。まだ若くして退職する公務員の、その後の社会貢献のための能力活用策。無関係のところに行くよりも、関係の業界に行ってこそ国家国民のために役に立つ仕事ができる。これは退職後の能力活用を考えてやらないといかぬのじゃないかと思いますが、そこら辺の対策。さらに、余り公務員バッシングをすると、将来に、いわゆる優秀な人材が官界に集まらなくなってきたらこれも大変です。優秀な若者を新たに公務員に採用するための対策。また、能力・実績主義を人事管理に生かすというが、うまくいくのか。どう評価してどうするのか、口で言うほどそう簡単ではないような気がするが、そこら辺の御答弁を求めます。

中馬国務大臣 余り時間がないから、もう今は御理解の上でおっしゃっていることはよくわかりましたから、そのような形で今度の人事管理を進めてまいります。

 能力・実績主義で、今までの、途中でどなたかが次官になられたらあと全部やめて、民間企業の方にあるいはまた関係の業界の方にいらっしゃるという形ではなくて、本当に希望される、また能力のある方は公務員としてしっかりと働いていただく。また逆に、民間の方から求められたり、あるいはまた民間の中で大いに自分の経験と実績を生かしていこうという方には、二年待機という形ではなくてでもどんどんと行っていただく。そのような根本的な公務員制度の改革を進めておりますので、ひとつそれにも御協力のほどお願いいたします。

竹中国務大臣 いわゆる天下りについて国民の大変厳しい目があるということは、もう言うまでもございません。そうした観点から、再就職管理を適正化するということは、これはやはり必要なことであろうかと思います。また一方で、早期退職慣行の是正を進めていくことも必要であるというふうに思います。

 しかし一方で、公務員が培った能力を生かしていただくのは、それは公務員御自身のためでもありますけれども、実は、社会貢献という観点からも大変大きな意味を持っていると思います。そのためには、人材育成の面においてもやはり専門性の向上をさらにしていただくというようなこと、そしてキャリアパスの多様化を進めていくというような、そういう総合的な人事政策とやはり表裏一体になって進めなければいけないと思っております。

 とりわけ我々としては、人材の活用、育成の観点も含めまして、内閣官房と連携をしながら、そのような形での人材の育成とキャリアパスの多様化、そして公務員の適正な退職管理に取り組んでいきたいというふうに思っております。

佐藤(錬)委員 御答弁どうもありがとうございました。終わります。

伊吹委員長 以上をもちまして佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、松本洋平君。

松本(洋)委員 どうもおはようございます。自由民主党の松本洋平でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本日は、この行革特委の場で質問をさせていただく機会をちょうだいいたしました。私、質問を考えながら思い出したのが、やはり、昨年九月の総選挙のことが非常に私自身脳裏によぎりながら質問を考えさせていただいたわけでございます。

 と申しますのも、私、初当選を前回の衆議院選挙でさせていただきましたけれども、郵政民営化が問われた選挙といいながらも、有権者の皆様方の関心というものが一体どこにあったのか。郵政民営化をするかしないかだけではなくて、やはり、簡素で効率的な政府というような言われ方がされていますが、官から民への構造改革、こういったものを本当に我が国は前へ進めることができるのかどうか、少子高齢化社会の中で持続可能なそういう社会をつくり上げることができるのかどうか、そういったことを有権者の皆さんが問うたのが前回の衆議院選挙であったというふうに私は思っております。だからこそ、つい最近も地元に帰りますとよく言われるのは、これからさらにさらに改革を進めてほしいけれども、どういう形で進んでいくんだ、そんな質問が地元の皆さんからも数多く寄せられているわけでございます。

 そういう意味におきまして、今回のこの行革特別委員会で議論されている法案といいますものは、大体五年後ぐらいだと思うんですけれども、そのぐらい先の日本の姿はこういう方向を目指しますよというようなことを国民の皆さんに対しましてしっかりとお示しをしている、そして、それを達成することを国民の皆さんにお約束する、そうした法案であるというふうに私自身は理解をしているところでございまして、極めて画期的で重要な法案だというふうに私は思っているところでございます。ぜひ早期に成立をさせていただいて、国民の皆さんに国としてのしっかりとしたメッセージを発信して、そして、そのための努力を我々も一丸となってやっていかなければならない、そのように考えているところでございます。

 そこできょうは、特別会計の質問をちょっとさせていただきたいというふうに思っております。

 先ほど佐藤委員からもお話がございましたけれども、今回、特別会計は三十一個あるものを大体三分の一から二分の一に数を減らしますですとか、あと、剰余金ですとか資産をスリム化することによって今後五年間に約二十兆円ほどの財政健全化への寄与を果たす、そうしたことが盛り込まれているわけでございます。

 しかしながら、本来、特別会計を例えば三十一から二分の一とか三分の一とか、そういうふうに整理統合をするということは、特別会計の効率化という観点からすると、お互いに一緒にできることは一緒にやることによって統合効果を出す、私が前に勤めていた銀行なんかもついこの間合併をしましたけれども、やはり合併効果の大きなものの一つは、余剰な人員といいますか、重なる部分を効率化していって、その部分の資金を事業に使うというようなされ方がされているわけでございます。

 現在、特別会計の予算定員は八万三千七百三十三人、一般会計と特別会計の予算定員合計が六十一万三千四百二十八人というふうに聞いております。ということは、この特別会計の予算定員というのは全体の一三・七%を占めるわけでございまして、この定員をどういうふうにしていくのかというのも私は極めて重要な事柄ではないかと思っております。

 そこで、特別会計の定数の人員削減につきまして、どういうふうにお考えなのかを財務大臣にお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 今後五年間で五%削減していくということでございますが、これは今おっしゃったように、一般会計、特別会計を通じてやらなきゃいけないということだろうと思います。

 特に、特別会計につきましては、今のお話にも含まれていたところでございますが、今後の特会の見直し、合併をしていくとか、あるいは事業を外していくとか、そういった特会改革の動向を的確に反映していかなければ意味が減じられるということだろうと思いますので、十分その点、頭に入れてやりたいと思っております。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 その五%という話ですけれども、民間企業でもそうです、例えば合併すると、専門性が求められますいわゆるフロントオフィスの部分というんですか、そういう部分というのはやはりなかなか人員を削減していくというのは難しいと思うんですけれども、いわゆる事務的な作業といいますか、バックオフィスの部分というのは、かなりそれぞれの特別会計によっても共通する業務というのはあるというふうに思っておりまして、そういう意味では、この特別会計を整理統合するという観点からも、この公務員数の削減そして効率化というのが、ほかに比べても非常にやらなければならない分野じゃないかというふうに私自身は考えているところでございますので、ぜひともそこはしっかりと、その五%という枠を超えて達成していくぐらいのぜひ気構えを持って前へ進めていただければというふうに思っているところでございます。

 また私、今、特別会計の人員をどうするのかという話をさせていただきました。先ほども言いましたけれども、財政健全化への寄与ということで、資産、剰余金、こうしたものをスリム化して、それを約二十兆円というようなことがよく話として出ているわけでございます。一方、我が国といたしましては、今政府が、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスの黒字化を何としてでも達成するというようなことで国民の皆様方に御説明をしているわけでございます。そう考えたときに、そういう特別会計のストックを取り崩して財政健全化するということも当然重要ですけれども、先ほど申し上げましたような、例えば人員の削減ですとか、特別会計を効率化することですとか、そういうことによってフローの面でお金をどんどん節約して無駄をなくし、そしてそのお金をきちんと一般会計へと繰り入れていく、そういう仕組みづくりをしていかなければならないというふうに私は思っているわけでございます。

 しかしながら、特別会計の改革の議論をしている中で、具体的な数字ですとか、そういったものがフローの面からどれだけ財政健全化に寄与するのかというようなことがなかなか見えてこない、私はそのような印象を持っているわけでございます。

 ですので、ぜひ財務大臣に教えていただきたいんですけれども、特別会計のフローの部分の削減効果のほど、これをどういうふうに考えていらっしゃるのか、それがどの程度プライマリーバランスの黒字化に対して寄与するというふうな見込みを持たれているのか、その辺の御説明をどうぞよろしくお願いいたします。

谷垣国務大臣 特別会計改革で二十兆円の財政再建への寄与ということで御説明申し上げているわけですね。初年度であることしは十三・八兆円やったわけですが、そのうちの十二兆円は財政融資資金特別会計を取り崩したものでありまして、これは国債の償還、買い入れ消却に充てていくということでありますから、ストックを減らしていくという寄与でございます。あとの一・八兆円がいわゆるフローを削減していくという効果を出しているわけでございます。

 あとの、残りの六・二兆ということが残っているわけですが、これがフローの部分なのかストックの部分なのかというのは、まだ数字の部分ではっきり出てきておりません。これからそこはよく検討していかなければならないところだろうと思います。

 それで、プライマリーバランスの改革という点から見ますと、フローを削減していくということがプライマリーバランスをよくしていくことにつながっていくというのは御指摘のとおりだろうと思いまして、ここのところを相当努力しなければいけないということはおっしゃるとおりだろうと思っております。

 ただ、他方、やはりプライマリーバランスの改革というのは、いわば財政再建の一里塚でございますので、やはり最終的にはストックをGDP比で削減していくというようなことがございませんと、例えば、今度、十二兆、国債の消却に充てるわけでございますが、これで国債費は平成十八年度において約四百億円削減が見込まれる、利払いがそれだけ軽減される。それから、それ以降、平年度ベースになりますと、毎年度約四千億ほどの利払い費の削減というものが見込めるわけでありますが、これは、プライマリーバランスはこういうことは視野に入っておりませんので、プライマリーバランスの削減という効果から見ればないんですが、実は財政の上から見ますと、それだけ利払い費を削減できる効果というのは非常に大きいんだろうと私は思っております。

 ちょっと今の答弁は、ではどれだけフローで削れているかというのは、ことしのところはお示しできますが、まだこれから先は必ずしも十分見通しができているわけではありません。ですから、フロー、ストック、両方にらみながらやらせていただきたいと思っております。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 大変な御努力をされていることは私自身も大変評価をさせていただいているところでございます。さらに積極的に進めていただきまして、とにかく無駄を徹底的に排除し、そして持続可能な社会をつくっていくというもとに私も一生懸命頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、個別の特会に関してなんですけれども、地震再保険特会に関しまして、ちょっと教えていただきたいと思います。

 地震再保険特会でございますけれども、衆議院調査局からいただいた資料で「設立経緯と背景」というものをちょっと読ませていただきたいと思いますが、「我が国における地震災害の特殊性から、地震保険は長年の懸案でありながら、民間保険会社のみではこれを制度化するには至らなかった。昭和三十九年六月の新潟地震を契機として高まった社会的要請を踏まえ、昭和四十一年に「地震保険に関する法律」が制定され、民間の超過地震保険リスクを国が再保険する新たな枠組みを前提に、地震等の被災者の生活の安定に寄与することを目的として」云々かんぬんというふうに書かれているわけでございます。

 私、これを見ると、ああ、なるほどな、そしてこの特会というのは非常に重要だなというふうに思っているわけでございます。

 つい最近の記憶からすれば、阪神・淡路大震災ですとか、新潟中越地震というような被害があったわけでございます。また、実は、私が住んでおります、小平に住んでいるんですけれども、近くには立川断層が通っておりまして、また東京に関しましては首都直下型地震の恐怖というものも、やはり住民みんながだんだん持ち始めているというふうに思っております。

 そこで、教えていただきたいんですけれども、この地震再保険特会に関しまして、現在の積み立て状況を教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

伊吹委員長 それでは、数字のことですから、竹本財務副大臣。

竹本副大臣 お答えします。

 先生おっしゃられましたとおり、この地震特会でございますが、現在、責任準備金残高として九千五百二十九億円となっております。

松本(洋)委員 ありがとうございます。九千五百二十九億円ということでございます。

 この地震再保険特会を見てみますと、政府として、目標としては一応五兆円ぐらいを目標にしているというふうに資料上書かれているわけでございます。その根拠といたしましては、関東大震災級の地震が発生したときには保険金支払い予想額が約四・五兆円ぐらいかかるんじゃないかというような、そういう見込みのもとに現在積み立てが進められている。しかしながら、実際にはまだ一兆円を欠ける程度しか積み立てが進んでいない、そういう状況があるわけでございます。

 そのような中、平成十九年度から、所得税から地震保険料控除を創設することになっております。要は、民間の力で地震が起きた際の保険といいますか、そういったものをきちんとやっていこうというような発想で、こういう所得税控除というものが創設されるようになったというふうに認識をしているわけでございますけれども、そう考えたときに、じゃ、本当に、その地震保険に入ったところで、何か地震が起きたときにきちんとそれが保障できるような仕組みがあるのかどうかというところが、私は大変大きな論点になってくるというふうに思っております。

 五兆円の積み立て目標、政府責任額が約四兆一千二百二十二億円でございますから、約三兆二千億円ぐらいまだ足りないというような状況であるわけでございまして、その点に関しまして、今後の政府のお取り組みに関しまして財務大臣にお伺いをしたいと思います。

伊吹委員長 先ほどのフローというのは、一般会計から特別会計への繰入額を減らすことによって財政再建という御趣旨だと思いますので、その点も踏まえて、谷垣財務大臣から答えてください。

谷垣国務大臣 地震再保険特会に関しましては、今までもいろいろと意見がございまして、今委員長がちょっと示唆されたところでございますが、これは一度一般会計の財政を立て直すのにもう少し取り崩したらどうかというような御意見も過去にあったところでございます。しかし、日本は地震国でございますから、じゃ、地震保険を普及させて、いざとなったときに何とか助けにしたいと思いましても、再保険をやってくださる方が民間でなかなか得られなかったという事情もございます。

 確かに、今民間で地震再保険の会社をつくっておられますが、我が国で一番考えなければなりませんのは、阪神・淡路のときもそうでございました、阪神・淡路のときはかなり再保険は少額で済んだわけですね。一番備えなければならないのは、やはり首都直下型の関東大震災級の地震が起こったときにどう備えるかということを考えておかなければいけないんだろうと思うんです。

 そういたしますと、先ほどおっしゃったように、そのときは大体五兆円が対応するためには必要な額と算定されておりますが、この五兆円のうち政府が負担する責任額は四兆一千二百二十一億円ということでございますので、今の一兆に満たない積み立てではまだまだ積み立て不足だということではないかと思います。

 今おっしゃいましたように、税制でもこの地震保険が普及するようにバックアップをしておりますが、本当は、やはり地震が起こったときに最後大丈夫なんだという保証がありませんと、なかなか入っていただけないということがありますので、私どもとしては、まだ地震保険というのは普及をもっともっと推し進めなければならないのではないか、そのために一兆ぐらいの金を積み立ててはおりますが、もう少し積み立てないと、この地震保険というものが本当の意味で国民の安心、安全にならないのではないか、このように考えているところでございます。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 私も、過去の議論の中で、例えば地震再保険特会を取り崩したらとか、廃止してもいいんじゃないかとか、たしかそんな議論が過去なされたということは重々承知しているところでございます。

 一体どのぐらいの積立額が適正水準なのかというところは議論の余地があると思いますけれども、私は、やはりこの地震再保険特会というのは、我が国の特性にかんがみましても、国民の安全、安心のためにはどうしても必要なものではないかというふうに考えている部分がございます。また、そもそも地震保険というものは、公共性が高く、営利目的を排除して、ノーロス・ノープロフィット原則に基づいてそうした地震保険の商品が提供されているというような現状もございますので、そうした観点からも、さらに安全、安心のために政府としてのお取り組みをよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、空港整備特会についてもお伺いをしたいというふうに思っております。

 先ほどの地震再保険特会ではないですけれども、整理しなきゃいけない、縮小しなきゃいけない、無駄は排除しなきゃいけないと言いながらも、やはり必要なところにはお金を使っていく、それは私は極めて重要なことだというふうに思っております。

 そう考えた中で、東京には羽田空港があるわけですけれども、羽田空港というのは、私は、国内のハブ空港として極めて重要な役割を果たしているというふうに思っております。また、空港というのは、例えば、羽田から飛び立てばどこかに着陸しなきゃいけないわけですし、羽田に着陸する飛行機というのはどこかから飛んでこなければならないわけですから、羽田がより一層効率的に、効果的に使われていくということは、それはとりもなおさず地方の活性化にもつながる、そうした事業なんじゃないかというふうに私自身は考えているところでございます。

 そこで、羽田空港の整備の概要とその財政スキームについて、ぜひ教えていただきたいと思います。

岩崎政府参考人 お答えいたします。

 羽田空港でございますけれども、現在、三本の滑走路で運用しておりますが、年間約三十万回の発着容量でございます。既に能力の限界に達しているという状況でございます。

 今、四本目の滑走路の整備、再拡張事業と呼んでおりますけれども、それに取り組んでいるところでございます。こうなりますと、発着容量が約一・四倍の四十万回強になります。先生御指摘のとおり、地方の活性化にもつながると思いますし、それから、今、羽田空港は原則国際線は飛ばしておりませんけれども、発着容量がふえることによって近距離の国際線なんかも飛ばしていきたい、このように思っておりまして、我が国の国際化にも非常に貢献するものだ、このように思っております。

 お尋ねの財源スキームでございますけれども、新しい滑走路の事業費、約六千七百億円かかる予定でございますけれども、その二割の相当額、千三百億円については地方公共団体から、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市でございますけれども、無利子貸し付けによる協力をいただく予定にしております。残りの事業費につきましては、国費とそれから財政投融資、おおむね三対五の比率でございますけれども、これで手当てする予定にしておるところでございます。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 さらに整備を進めていっていただきたいと思うんですけれども、一点ちょっと、御注文じゃないですけれども、お願いをしたいと思っているのは、私は、こうした公共事業という言い方がいいのか悪いのか、そのときにやはり費用対効果というものをもっと明確にして、国民にきちんと見せていくべきじゃないかということを強く思っております。そこの部分がしっかりと国民に示されることによりまして、私は、正しい判断というものが国民に促されていくのではないかというふうに思っておりまして、ぜひそこの部分も含めまして政府としての御対応というものを御検討いただきたい、そのように考えているところでございます。

 続いて、市場化テスト法案について質問をさせていただきます。

 簡素で効率的な政府を目指すということでございますから、聖域なく官から民へのそうした検討というものも進めていくというふうに思っております。

 そのような中で、国がしっかりとやらなければならないことがあるのはごくごく当たり前のことでございまして、一つ例としてお伺いしたいのは、独立行政法人の国立大学というのは、公共サービス法、市場化テスト法の対象事業として該当するのかということをぜひ教えていただきたいと思います。

 また、それが該当するに当たりまして、私は、施設管理などに関しましては民間開放の対象としてもいいと思うんですけれども、事教育そのものに関しましては慎重であるべきだというふうに思っているところでございます。私は、教育というのは、裕福な家庭の出身であるか否かによって教育の機会に大きな影響を与えてしまうということは、まさにこの国の活力を奪うことになってしまうという思いがございましてこういう御質問をさせていただいたわけでございますが、ぜひ中馬大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

山口副大臣 松本委員には青少年特でもお答えさせていただいて、大変歯切れのいいあれなので、私も歯切れよく答えたいと思います。

 公共サービス改革法案は、もう何度も言いますけれども、国民のため、公共サービスの経費の節減を目的とするだけでなく、その質の維持向上をまず目的としているものでございます。本法案では、こうした目的を達成するため、国立大学法人も含め、広く国の行政機関等が実施する公共サービスを検討の対象としております。

 その上で、こうした幅広い公共サービスの中から具体的に何を官民競争入札の対象とするかについては、関係する国の行政機関との協議や監理委員会における審議などを経て、慎重かつ適切に検討を行うこととしているところであります。

 先生御指摘の国立大学法人が行う教育業務についても、関係者との適切な協議などの本法案に規定する手続を通じて検討が進められることになります。その際、独立行政法人制度とは別途の国立大学法人制度を創設した趣旨を尊重いたしまして、また、国立大学法人における教育研究の特性等を十分に配慮して、先生の御意向を踏まえていきたい、こう思っております。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 何が官でやるべきことで何が民でやることなのか、恐らく正解はなくて、さまざまバランスを見ながらやっていかなきゃいけない部分だというふうに思っております。

 しかし、二月に行われました予算委員会の場で、伊吹委員長が小泉総理に質問をされた際におっしゃっていましたけれども、市場経済というのは決して万能ではないんだ、厄介なものであるという自覚とそして謙虚さを持たなきゃいけないという言葉は、私はまさにそのとおりだというふうに思っております。ぜひそのあたりのこともしっかりと念頭に置いた上で、何を民間に任せられるのか、そして真に官がやらなければならない業務というのは一体何なのか、その辺の御判断をしっかりとお願いしたいというふうに思っております。

 時間もありませんから、最後の質問をさせていただきます。

 先ほども、きちんと国民の皆さんに、行革というものが何なのか、もっと大きく言ってしまえば、我が国政府が一体何をやろうとしているのか、どういうことをやってきたのか、こういうことをきちんと理解してもらうということは、私は、この国の将来を国民の皆さんが判断する上で、正しい判断をしてもらうためには必要不可欠な情報だというふうに思っております。しかしながら、今回のこの行革法案についてもそうですけれども、やはり地元に帰って話をしてみると、あれ、松本さんからこの話は初めて聞きましたという人が実は非常に多いわけでございます。

 いろいろと今回の行革法案の中でメニューが並んでいますけれども、実は、これらと並んで、行政の透明化ですとか、きちんと国民の皆さんに、どうしたら我々がやろうとしていることを知ってもらえるのか、これもまた一つ大きな行革の課題ではないかというふうに私は思っているところでございます。

 政府の透明化といいますか、政府がどういう広報活動を行っているのかとか、その辺に関しまして最後にぜひ御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

中馬国務大臣 松本委員、大変大事な御指摘をちょうだいいたしました。

 今回のこの改革に対しまして、財政赤字の赤字減らしのためだとか、あるいは増税のための下ごしらえ、こういったようなためにする御批判もありますけれども、それはそれとして謙虚に受けますが、そうではなくて、今回のこの改革というものが国民にとってどれだけ大きな影響を及ぼしていくか、そしてまた、日本の大きな次の発展につながるものだということの御理解のためには、私はこのPRは大事なことだと思っております。

 政府の方としましても、これにつきましては、パンフレットの作成だとか配布をいたしております。「知ってなるほど行政改革二〇〇五」というのも出しておりますし、特別会計改革等でもパンフレットも発行いたしております。また、インターネットテレビ等で「大臣のほんね」といったようなものもやらせていただきました。テレビでも「そこが聞きたい!構造改革」ということで、八チャンネルから放映もされました。広報誌も出しております。インターネットテレビ、ホームページ、政府広報、「時の動き」、それぞれ努力をしておりますが、まだまだ不十分であることも十分に承知いたしております。

 また、行革コンペをやっております。東京、大阪でやりましたし、また、タウンミーティング等でもこういったこともこれから取り上げていきたいと思います。

 おっしゃいますように、特区、これが案外知られていないんですね。まだまだかなりの自治体で、そういう制度があるのかということでございますから、これもやっていただきまして、それぞれ特色ある町づくりを自分たちの町や村で自主的にやっていただきたい、これも願いの一つでもございます。

 公益法人改革でも、これからは、一々それぞれの所管、主管官庁に手続をしなければならないのじゃなくて簡単に登記ができるわけで、そうしますと、法人としての活動が今後展開されていきます。また、市場化テストでは、御承知のとおり、いろいろなことが業者だけではなくてNPOの方々も、そんな仕事だったら、私たちに任せたら、お役人にやらせなくたってできるよということもできるんです。

 そういったことも私はPRしていただきたいと思いますし、規制改革、これも学校の選択が、これからは自分の決められた校区だけではなくて自由に選べることができるわけでございますから、こういったことも十分に御理解いただく必要があろうかと思います。

 そういった意味でも、我々政府としましてもしっかりとPRに努めてまいりますが、議員各位もそれぞれの選挙区で大いに、そうした時代が変わっていくんだ、自分たちが責任を持って、自分たちのことがお役所の管理じゃなくてできるんだということも、ひとつあわせて、今回の改革の目的ということで御吹聴いただきたい、心からお願いをする次第でございます。

松本(洋)委員 ぜひ、しっかりやっていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。

 次に、水野賢一君。

水野委員 自由民主党の水野賢一でございます。

 私は、本日は、特別会計、特定財源の問題を中心にお伺いをしたいと思うんですけれども、その前に一点、公益法人のことについてお伺いをしたいと思います。

 公益法人が政治献金をするというのは、これは一定の限度内において可能なわけですけれども、そういう点では企業献金と似ているわけなんです。企業献金というのは、外国企業とか、もしくは外国人、外国法人が実質的に支配しているような、そうした企業から献金を受け取ることは禁止されているわけですね。政治資金規正法の二十二条の五で規制をされているわけですけれども、この規定というものは公益法人にもかかってくるわけですね。

 ところが、では、何をもって外国人とか外国法人に事実上支配されているのかということになると、企業の場合は、総務省の解釈というのは明らかであって、五〇%超の株式を保有されている場合には外国人が事実上支配したりしているわけであって、そういうところから献金を受けちゃいけないというふうになっているわけですね。これは今、議員立法で改正しようという動きがありますけれども、このことはちょっとさておいてですね。

 ただ、公益法人の場合、何をもってそういう状態なのか。法律の用語をそのまま言えば、「その主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織」というふうに、どういう状態のときに財団法人や社団法人がこういう状態だと認定されるのか、つまり、そういうところから献金を受けちゃいけないと認定されるのか、解釈が今まで余り明らかじゃなかったと思うんですけれども、これは参考人で結構ですけれども、お願いします。

久保政府参考人 御質問の中にもございましたように、政治資金規正法第二十二条の五というのがございまして、この規定は、「何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。」こういう規定でございまして、その場合、外国人あるいは外国法人というのは明らかでございますけれども、「その主たる構成員」というのが何かということになってまいりますけれども、これは、従来から解釈上、その構成員の過半数、これが外国人もしくは外国法人である団体である、こういうふうに解釈をしております。

 したがいまして、株式会社の場合でございますと、株式に会社の構成員としての地位が与えられておりますので、発行済み株式、これの過半数を外国人等が保有しているといったような状態、これが寄附をすることが禁止されているということになっております。

 そこで、公益法人でございますけれども、社団法人の場合は、これは社員総会というのがございまして、その社員総会の決議によって法人の運営が決定をされるということでございますから、社員の過半数ということになろうかと思います。

 財団法人でございますけれども、財団法人におきましては、この社員総会に相当するような機関がございません。ただ、実質的にこの意思決定を行っているというものは理事でございますので、私どもといたしましては、財団法人につきましては、理事の過半数、これを外国人もしくは外国法人が占めているといったような状態、このときに政治活動に関する寄附をしてはならないものだというふうに考えております。

水野委員 それでは、道路特定財源についてお伺いをしたいと思います。

 谷垣大臣にお伺いしたいと思いますけれども、去年の十二月の九日に、政府・与党で道路特定財源についての基本方針というのが合意をされましたね。その中に、要するに、環境面への影響にも配慮をして、暫定税率を維持するんだ、そういう趣旨のことが基本合意をされたと思うわけです。そして、今回の法案の中にもそうしたことが盛り込まれているわけですが、環境面への影響にも配慮ということの意味するところというのは、私は、要するに、税率を下げてしまうと、例えばガソリン税とかの税率を下げると自動車交通量がふえてしまって、それがひいては沿道での大気汚染とか、もしくは騒音とか、そうした環境面での被害をもたらす、もしくは二酸化炭素の排出量が増加して地球温暖化につながってしまう、そうしたことを意味しているのではないか、そうしたことが懸念されるから税率は下げないという、これが環境面への配慮という意味だと思うんです。確認ですけれども、そういう意味でよろしいでしょうか。

伊吹委員長 財務大臣、確認ですから簡単に。

谷垣国務大臣 今、水野委員おっしゃったように、大気汚染とかあるいは騒音とかいう公害ですね、それは、地球温暖化の一因となる二酸化炭素の排出、こういうことにつながるおそれといいますか、そういうものがあるだろう、そのあたりを留意しながら今後考えていけよというのが、環境への影響に配意ということでございます。

水野委員 それでは、環境省の政府参考人に、地球環境局長ですか、お伺いをしたいと思いますけれども、もし、ガソリン税とか、もしくは軽油引取税の税率というのを、今の暫定税率から本則にまで引き下げてしまった場合には、二酸化炭素の排出量の場合で結構ですけれども、どのぐらい増加してしまうというふうに試算されているのか、お伺いをしたいと思います。

伊吹委員長 環境省小林地球環境局長、数値を答えてください。

小林政府参考人 今の件につきましては、国立環境研究所が昨年十月に、経済モデルによりまして試算をしました結果、それを公表してございます。仮に、二〇〇六年から、今御指摘の揮発油税そして軽油引取税、地方道路税の暫定税率が廃止された場合ということで計算をしました。

 二酸化炭素の排出量ということでございますと、二〇〇八年から二〇一二年、京都議定書の期間でございますが、毎年平均で約一千万トン、そして、京都議定書の基準年が終わった直後ということになりますと、二千二百万トンぐらいになるということでございまして、今までの自動車の燃費規制等の効果を相殺する程度の大変大きな排出量の増加をもたらすものと試算されました。

水野委員 今、京都議定書を達成する、つまり、六%の温室効果ガスの削減を日本は国際約束をしているわけですから、これを達成しなきゃいけないわけですけれども、そのために政府は、去年の四月に京都議定書目標達成計画というのを閣議決定しているわけですね。

 この計画を立てたときというのは、道路特定財源の暫定税率というのは維持しているということを前提にして計画を立てていたんじゃないか。つまり、暫定税率を下げてしまえば、さらにそういう一千万トン単位でCO2を排出してしまうわけでしょうから、こうしたことは勘案していないはずだと思うんですけれども、この点は、政府参考人で引き続きで結構ですけれども、いかがでしょうか。

伊吹委員長 環境省小林地球環境局長、確認をしてください。

小林政府参考人 重ねてのお尋ねでございますけれども、そのとおりでございます。

水野委員 今の六%削減を達成するというだけでも、非常に今厳しい状況にあるわけですね。その上にさらに、もし千万トン単位でのCO2の排出要因というのが加わってしまっては、これはとても大変なことになるわけですから、私は、この道路特定財源の暫定税率が維持をされたということは、そして法案にもそのことが明記をされたというのは、環境面から考えても非常によかったというふうに思うわけであります。

 つまり、価格が下がってしまえば、いわば逆の意味での価格インセンティブ効果が働いて、環境に負の影響を与えるということが促進されてしまうわけですから、この暫定税率維持というのは私は非常に評価をするわけなんですけれども、下げろ、下げろという声が一方であるのは、これは財務大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、どうも一部の人たちは、例えば日本のガソリンの税率というのが高いんだというふうに言う人たちがいるわけですね。特に石油関係の人たちは、石油への課税というのが多重、多段階で複雑で、なおかつ高いと言っているんです。

 確かに私も、多重、多段階で複雑ということは、ある程度そういう面があるかなとは思うんですけれども、高いのかどうかということでいうと、国際的に比較したら、私は、必ずしも諸外国に比べて税率が高いということはないと思うんですけれども、財務大臣、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 これについては、国際エネルギー機関、IEAのつくった比較があるんですが、OECD加盟国二十九カ国の国際比較から見ますと、ガソリンの小売価格にかかる税、これが高い方から見て二十四番目、二十九番中の二十四番目でございますから、私は、諸外国と比べて、委員のおっしゃったように、高いとは言えない、むしろ低い水準であるというふうに考えております。

水野委員 つまり、諸外国に比べても、日本のガソリンに対する課税というものはむしろ低い方なわけですね。

 しかしながら、どうしても、それでもなおかつ引き下げろ、引き下げろという声が出てくる背景には、私は、今、揮発油税などは暫定税率という制度が続いているからじゃないかというふうに思うわけであります。暫定税率なんだから、暫定的なものだから本則に引き下げろというような、そういう声というのは常に出てくる背景があると思うんですね。

 ところが、暫定税率というのは、これは何十年もずっと暫定税率でやってきているわけですね。である以上、むしろ、例えば揮発油税だったら、確かに本則は二十四・三円ですね。一方で、現行の暫定税率というのは四十八・六円、地方道路税を含めればガソリン全体にかかるのが五十三・八円です。これだけ乖離があるわけなんですけれども、私は、本則自体がフィクションになっているのではないかというふうに思うわけであります。

 だから、これは、先ほど大臣の答弁にもあったように、諸外国に比べて税率というのも低いということを考えれば、むしろこの暫定税率の方を本則にしてしまうようなこと、現在のフィクションを解消するようなことというのは考えてよいのではないかと思いますけれども、財務大臣、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 フィクションと言ってしまっていいかどうかはわかりませんけれども、御指摘のように、この税率水準は昭和五十四年以降変わっていないということがございます。

 それから、直近におきましても、平成十五年度改正で、自動車の社会的コスト、それから今おっしゃった外国との比較、それから環境の保全、こういったことを考慮に入れて、道路特定財源の確保の要請ということもございました。五年間延長したというところでございます。

 これについては、この法案の二十条三項各号に定められた基本方針で見直しをしていくわけでございますが、その具体案をつくるときには、暫定税率という制度、それから適用期限をどうしたらいいかということは当然検討課題になるのではないかと思います。

水野委員 さて、今、税率の話をずっと伺ってまいりましたけれども、今度は使途についてお伺いをしたいと思います。

 道路特定財源として徴収したものであるから道路に使うというのは一つの原則論としてあるわけでしょうけれども、今、これの使途をやや拡大しようとしてきている、環境配慮などについても使っていこうとしているわけですね。私は、この流れというものを非常に評価するわけなんですけれども、そのときに、これは道路財源として徴収したものだから、やみくもに何でも、環境だからといってやみくもには使えないという論もわからなくはないんですけれども、やはり、ちょっと今まだ環境というのをかなり道路関係ということで狭く解釈し過ぎているのではないか、もっと広げてもいいのではないかと私は思っているんですね。

 例えば、道路特定財源として徴収をした税金というものを、フロン対策とか森林吸収源対策とか、これは二酸化炭素を吸収するという意味で森林の役割というのは極めて大切です、こうした部分に現状では使っていないと思うんですけれども、こうした部分にも使途を拡大していくべきではないかと思いますけれども、財務大臣、いかがでしょうか。

谷垣国務大臣 今後の見直しの方針は、この基本方針にも書いてございますように、「一般財源化を図ることを前提とし、」とされていますので、一般財源化というと、これにしろあれにしろというのはちょっとなじまないところがあることは事実でございます。

 それからもう一つ、委員の御趣旨は、やはり広く環境というものを配慮しながらやるんだったら、環境の対策と申しますか、そういう財源にももう少し意を用いるべきではないかという御主張だと思いますが、仮に、そこが現行の歳出を上回る新たな財源を手当てせよということでございますと、今も非常に歳出歳入の関係はタイトでございますから、やはり何か新しい財源をつくっていかなきゃならぬというようなことも配慮しながら物事を考えていかなきゃいけないと思います。いずれにせよ、もう一つ、やはり納税者の理解を得ながらということが入っておりますので、そこらあたりをにらみながら、なかなか私も言葉を選びながら申し上げているわけでございますが、今後、十分議論をしていきたいと思っております。

水野委員 新たな財源、特に環境目的ということでいうと環境税の議論とかがあるわけなんです。私は環境税の導入論者なんですけれども、その問題も後ほど伺いたいとは思うんですけれども、その前に総務大臣にちょっとお伺いをしたいと思うんです。

 この道路特定財源になっているガソリン税、揮発油税とか地方道路税ですね、一方で軽油引取税があるわけですね、これは軽油にかかってくるわけですけれども、この税率格差が問題だという指摘があるわけですね。要するに、ガソリンに関してはガソリン税が五十三・八円、リッター当たりかかっている一方で、軽油については三十二・一円だ。この差があるから、結局、軽油が人為的に安くなっている、優遇されている、だからディーゼル車が実態として優遇をされてしまって、いろいろな排ガス問題、例えば尼崎の公害訴訟とか、こういうような、ディーゼル車を優遇して大気汚染問題を引き起こしているんじゃないか。その根底の一因としては、このガソリン税と軽油引取税の税率の格差があるという指摘があるし、私も基本的にはそういうふうに思っております。

 この税率の格差というのは縮小していくべきだというふうに、これは、ことし、来年とかですぐできることではないかもしれませんけれども、大きい流れとしては、この税率格差は縮小されるべきだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 ガソリンにかかる揮発油税と、そして地方道路税の税率の合計というのが一つかかる。もう一つは、軽油にかかる軽油引取税の税率、これの対比の問題でございますが、軽油引取税が創設されたときから、今申し上げた比率というのはおおむね二対一で推移をしてまいりました。それに対して、直近の軽油引取税の税率を引き上げたのは平成五年度の税制改正でございますけれども、そこでは、一つには地方の道路財源の確保というのがあった、もう一つは、委員御指摘の環境問題、いわゆるNOx対策の観点から、ガソリンと軽油の格差を縮小するという観点で、軽油引取税についてのみ税率の引き上げが行われました。二対一だったものが、今大体、おおむね五対三ぐらいになってきていると思います。

 道路特定財源の見直しに当たりましては、これは政府・与党の基本方針がある、さらには、今御審議をいただいている行革推進法におきましても、厳しい財政状況のもとや環境面への影響にも配慮をして、現行の税率水準を維持することを基本方針として見直すことというふうにされているところでございます。その際には、御指摘のガソリンと軽油とのバランスという視点も含めて、これはいろいろな要因がございます、まさに総合的に検討をしていく必要があるというふうに思っております。

水野委員 今大臣がおっしゃられたように、昔に比べれば格差は縮まってきたんですね。ただ、この問題というのは、常に軽油を優遇すべきだというような主張もあり得るわけなんですね。

 何で私がこれを申し上げたかというと、おととし私は自民党の環境部会長というのを拝命しておったんですけれども、そのときに環境省が環境税というのを提案したわけです。これは残念なことに実現はしなかったけれども、今もこれは議論としてあるわけなんですけれども、そのときに提示をした。

 そのときの環境省案というのは、ガソリンに対してはちゃんと環境税をかけるんだけれども、軽油に関しては軽減税率で二分の一という案だったんですね。だから、私は、これはおかしいと。環境税そのものは賛成だけれども、この軽油の優遇措置というのは、ただでさえ格差があるガソリンと軽油の価格差というものを、さらに環境税の部分でも一方で軽油だけ軽減してしまえば、ただでさえある格差を広げる形になってしまって、さらにディーゼル優遇になってしまうからおかしいんじゃないかということをかなり言ったんです。

 それは、環境省からすると、恐らくそのときは、反対するであろうトラック事業者とかそういうような運輸事業者に対してなだめるという意味もあって、そういうような案を出していたんだと思うんですけれども、常に軽油の方を優遇すべきだというような、何かの配慮をすべきだという声というのは今後も出てこないとは限りませんので、大臣に、そうならないようにということを要望したいというふうに思います。

 さて、経済産業大臣にお伺いをしたいと思います。今ちょっと触れましたけれども、環境税の話なんです。環境税に対して、環境省は前向き、推進、導入をすべきだという立場、経済産業省は、反対というか慎重というか、ちょっとそこは言葉はあれですけれども、どちらかというとネガティブな姿勢であることは間違いないと思うんです。

 大臣が言ったという意味ではなくて、経済産業省は、環境税について今まで議論をしていると必ずこういう反対論を言っていたんですね。つまり、環境税というのを導入すると、エネルギー課税をして景気に悪影響を与えるとか、もしくは国際競争力を失うとか、製造業を外国に追い出してしまう追い出し税だとか、そういうことを言っていたんですね。

 ところが、私はそれ自体が当たらないというふうに思っていますけれども、仮にそうだとして、経済産業省が所管している石油石炭税という税金がございますよね。既存の税制でいうと、環境税とこの既存の石油石炭税というのは非常に似た税金なわけですね。そうすると、私は非常に疑問に思うのは、経産省が、環境税に対しては、そうやって、追い出し税だとか景気に悪影響だとかというふうに言っていながら、自分の所管する石油石炭税に対しては、これは非常にもう擁護の姿勢で、今度のエネルギー特別会計の見直しのときも、これは必要だと言い張っていたんですね。

 これは非常に矛盾があるし、自分の所管するところは守ろうとして、環境税はけしからぬというのは、私は論理矛盾だというふうに常に思っているんですけれども、二階大臣、いかがでしょうか。

二階国務大臣 石油石炭税につきましては、今御主張のように、これまで、石油等の備蓄や、あるいは開発や省エネ、新エネ等を、これを財源として実施していることは御承知のとおりであります。

 そのことに対して、環境省側から見てどうかというお尋ねであろうと思いますが、エネルギーの安定供給等にこれは大きな役割を果たしておりまして、受益者負担の考え方から、石油利用者等が財源を負担することが合理的であると考えておるわけであります。

 最近の原油高の状況、そして、ちょうど私が経済産業大臣就任のその日から環境税についての御質問を各所でちょうだいしてまいりましたが、その当時は、まだまだ景気も低迷が続いておるような状況で、まだ明るさがはっきり見えてこない。そういう状況の中で、ここで環境税を取り入れるという、それこそそのような環境にはない、そういう思いがありましたので、私もこの問題に対しては消極的な発言を繰り返してきたことは事実であります。

 一方、昨年の四月に京都議定書目標達成計画を閣議で決定したところであります。そこで、昨年の環境税提案につきましては、既存の温暖化対策を総合的に評価することが先決だということを主張してまいりました。

 今までの答弁は経済産業大臣としての答弁でありますが、これからは、小池大臣がお休み中でありますので、環境大臣の臨時代理としてお答えするならば、昨日、私も環境省の幹部会を招集しまして、当面するいろいろな問題について話し合う中で、特にこの環境税の問題については、私が今担当しております経済産業省と正面からぶつかるわけでありますから、ちょうど今がいい機会だから両省の幹部がよく話し合いをして、そして、環境問題ということを十分配慮するし、一方、日本の経済のさらなる伸展のためにどうあるべきかということを考える必要があるということで、両省協議に入ろうということを申し上げまして、環境省の幹部一同の積極的な賛同の声を伺ったわけでありますが、経済産業省としては、当然そういうことに対して話し合いをしてまいりたいと思います。

 なお、一点つけ加えておきたいと思いますが、地球環境という面から考えまして、例えば、京都議定書の問題に対して、あの大きなアメリカ、この問題に対しては、私も今、経済産業委員会でも再三御質問いただいておりますが、これはこのままにしておくわけにはいかないということで、先般、ポートマン通商代表と電話会談のときも、我が国の国会内における議論の主な点を紹介すると同時に、アメリカとしてもこのことを十分考えてもらいたい、同時に、例えば中国、例えばインド、そして今ちょうどお越しになっておりますがブラジル、ここらのような本当に超大国が発展途上国だということで、この京都議定書の目的に向かってどうあるべきかということで、まだ十分な結論は得ていないわけでありますが、地球規模で環境を考えるという場合に、今申し上げたそれぞれの国を大体押さえてしまえば、これは地球上全部それらの国がほとんどを占めておるわけでありますから、この小さな国の日本がこれだけ一生懸命頑張っておるわけですから、他の国々にも積極的な協力が得られるように、進んでこの問題に対して対応してまいりたいと思いますし、両省相談しながら、今、水野議員の御指摘を踏まえて勉強してみたいというふうに思っております。

水野委員 二階大臣も非常に、両方相対立とは言わないまでも相反するようなところを今兼ねていらっしゃるというようなことで、微妙だと思うのですけれども、それをいい契機に、この環境税議論についてもしっかりと前向きに進めていただければと思いますし、エネルギー課税というのは、先ほど谷垣大臣もおっしゃられたように、国際的に見て決して高くないわけですから、石油石炭税だって必要があれば、これは必要性があるわけだからかけていいわけです。環境の方も高度な必要性があるから私は炭素に課税をすべきだというふうに、環境税というのを導入すべきだというふうに考えているところでございます。

 最後の質問にしたいと思いますけれども、これは安倍官房長官にお伺いしたいと思いますけれども、政府が購入する電力というのがあるわけですね。その入札などについてお伺いしたいんですが、以前であれば、政府の各省庁の庁舎などで使う電気というのは、東京電力から買うとか、そういう東京電力を初めとする一般電気事業者から買うのが当たり前だったんだけれども、今、電力自由化によって、ほかのところから、新規参入事業者からも買えるようになってきたわけですね。いわゆるPPSと言われるところから買うこともできるようになってきたんですけれども、そうすると、一方で、そういう電気事業者から買うと、石炭火力などで発電をしていると発電時に二酸化炭素が大量に排出をする、そうした発電方法の電気というのを買うこともあり得るわけですね。

 そうすると、最近の動きというのは、政府が買う電力ぐらいはせめてCO2を余り排出しない発電の電気を買うようにという動きが出てきている。私は、それ自体は非常にいいことだと思うし、賛成なんですけれども、この運用方法をちょっと間違えると、特定の電気事業者だけが落札できるような、そういうようなルールになってしまう懸念というのも一方であるわけですね、この入札のルールづくりにおいては。

 これは全省庁に関係してくる話ですので、官房長官に、特定の企業を優遇するような、そうしたルールづくりにはならないように注意をする必要があると思いますけれども、官房長官にお伺いして終わりたいと思います。

安倍国務大臣 ただいま水野委員が御指摘になったように、地球温暖化政府実行計画においては、電力使用に伴うCO2排出量を削減するために、電力使用量を削減するとともに、省CO2化の要素を考慮した電力購入方式を導入するということになっております。現在、電力購入方式について、使用電力量当たりのCO2排出量などに着目をして入札の競争参加資格を設定する方式の導入を開始するとともに、さらなる検討を進めているところであります。

 これは、今水野委員がおっしゃったように、CO2排出を削減していくという、この政府の意思を示していく、またやはりそれなりのインセンティブを与えていかなければいけないということでありますが、今後とも会計法などの関係法令を踏まえるとともに、また、ただいま委員が御指摘になったように、特定の企業に対する不当な優遇にならないように配慮をしながら、地球温暖化政府実行計画の目標達成に向け、適切な方式の導入を検討していきたいと思います。しっかりとまた今水野委員の御指摘も受けとめていきたい、こう思っております。

水野委員 ありがとうございました。終わります。

伊吹委員長 これにて水野君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷口和史君。

谷口(和)委員 公明党の谷口和史でございます。私の持ち時間は十五分でございますので、簡素で効率的な質問にしてまいりたいと思います。

 私の方からは、特別会計についてきょうはお伺いしたいと思います。

 今回、さまざまな改革が盛り込まれているわけですけれども、改革のポイントの大きな一つは、やはり透明性の確保、いかに透明性を確保していくかということだというふうに思います。現在の制度では予算の全体像が見えにくい、こういう批判が強いわけですけれども、この全体像をわかりやすくするためにどういった措置をとっていくのか、財務大臣にまずお伺いをしたいと思います。

谷垣国務大臣 特別会計は、出発したときは、ある特定の分野について給付と負担との関係を明確にして、むしろ透明性を高める目的のためにつくられたんだろうと私は思うんですが、その後、数も大きくなって、いろいろな運用が見にくくなってきたという御批判があったわけですね。

 それで、今までどういうことをやってきたかといいますと、一般会計と特別会計を合わせた国全体の財務書類を整理して、昨年の九月に国の財務諸表という形で発表をいたしました。それから、今回の改革案では、さらに国民への説明責任を充実させるために、この法案の十九条で、予算の一覧性を確保するため、純計ベースで表示した所管別や主要経費別の予算参考資料を予算参考書類に含めろとか、あるいは、企業会計の考え方に基づく資産、負債などの会計情報の開示を行うというふうにされております。

 こういったことを通じて、数もこれから減らしていこう、そういう中で今のような措置を通じて透明性や明確性というものを、国民に対する説明責任も高めていこう、そして財政の再建にも寄与していこう、こういう考えでこれから進めていこうと考えているわけであります。

谷口(和)委員 ぜひ国民の皆さんからわかりやすくなったというふうに、そういう改革を進めていただきたいと思います。

 次に、今回の法案の多くのところに、我が党が主張してきました事業仕分けというものを盛り込んでいただいております。また、特別会計につきましても、「仕分けを踏まえた検討を行うものとする。」こういうふうに明記をしていただいているわけですけれども、地元に戻りますと、特別会計、本当にこの無駄を省いてくれるの、こういう声が非常に強いものがあります。

 そこで、改めてになりますけれども、実際に事業仕分けを行っていくに当たっては非常に難しい面もいろいろあるかと思います。そこで、改めて、この事業仕分けに対する決意をお伺いしておきたいというふうに思います。

中馬国務大臣 今回の改革法案の中で随所に仕分けが出てきておりますが、これも、公明党さんの方も非常に熱心に取り組んでこられました。やはり今の既存のお役所仕事、もう時代が変わってやめたらいいのがあるじゃないか、あるいは、これは民間に移せるんじゃないか、こうしたことの仕分けの前提があってこそ初めてこれが可能なわけでございまして、それに基づいていろいろと、特別会計や市場化テスト等の法案もずっと構成されております。

 ただ、総論は賛成であっても、各論を詰めていく場合において、御指摘のとおり、大変困難が伴うことはもう現実でもございまして、政府が行っている事務事業はいずれもそれなりに何らかの意義と必要性があって行われてきたものでございますので、各論の仕分けに当たっては困難が伴うこと、これも御指摘のとおりでございます。

 しかし、これにつきましては、今、私の方の決意ということでございますが、もちろんこれはそれぞれのお役所との、有識者会議の方々とのヒアリングを通じましてやってまいっておりますけれども、最後はやはりトップ同士の、大臣同士の一つの率直な議論もしなければいけないかと思いますが、最終的には行革推進本部、総理が本部長でございますが、そこの決断に基づいてこれは実施してまいりたいと思っています。

谷口(和)委員 続きまして、今回の特別会計による財政健全化への貢献についてでありますけれども、今後二十二年度までの五年間で二十兆円貢献をするということで目標としているわけでありますけれども、十八年度予算で十三・八兆円を既に措置済み、残り六・二兆円を十九年度から四年間でやるということになりますけれども、先ほどもちょっとお話があったかと思いますけれども、この六・二兆円の削減を具体的にどういうふうに進めていかれるのか、ちょっとこの辺をお伺いしておきたいと思います。

谷垣国務大臣 特会の中には剰余金、積立金等、死蔵と言うと言葉は悪いかもしれませんが、活用されていないじゃないかという御批判がありましたので、今後五年間で二十兆やっていこうということで、平成十八年度は十三・八兆やった、御承知のとおりでございます。それで、あと六・二兆、どこを出していくかということですが、これについて、今具体的にここというのが明確になっているわけではありません。むしろ、積立金、剰余金の中には、特定の歳出に充てるための歳入として納付された保険料、そういったものを財源とする剰余金、積立金もございますし、それから、翌年度の事業執行に充てることとした公共事業の剰余金といったようなものもありますので、なかなかそこらは活用することが難しい。いろいろなところを全部見て厳格にやっていきませんと六・二兆はなかなか捻出できないと思いますので、各特会の精査を行いながら六・二兆を達成していきたいと思っております。

谷口(和)委員 次に、民営化についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。

 財政審やそれから諮問会議などでは、民営化も検討すべきという指摘もあったかと思いますけれども、ただ、今回の法案の個別の特別会計を見ていきますと、民営化という文字がなくなってしまっております。しかし、今後の議論の中では、公的な関与の必然性の薄くなったものについては、民営化をタブー視するのではなくて、民営化も視野に入れて検討していくべきではないかなというふうに思うわけですけれども、財務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 確かに、今委員おっしゃいましたように、この法案の中には民営化という文字があるわけではありません。

 今まで、見直しの方針は、まず、事業の必要性のなくなったものは特会を廃止する、それから、事業の必要性はあるけれども国の行う必要性が薄いものは民間にゆだねるかあるいは独立行政法人化する、それから、一般会計と経理区分する必要性の薄れた特会は廃止して一般会計の事業とする、それから、事業類型が似ているものはまとめて統合効果を打ち出す、こういう方針でやっているわけですが、これで三十一ある特会についてそれぞれ検討を行いまして、官から民へという趣旨に照らして、一部の特会については特定の事業の民営化とかあるいは外部委託の拡大を含む見直し案をつくったわけでございます。

 ただ、こういう検討の結果、事業全部について国の関与なくして独立の企業として存続できると見込まれる特会はないという結論に達したわけでありますが、今後とも、特会において経理されている事業で、要するにくくり出して、民間に任せられるものは積極的にそういうふうに図っていきたいと思っております。

谷口(和)委員 わかりました。ありがとうございます。

 もう時間もあと三分ですので、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 民営化に関連して、自動車検査登録特別会計についてですが、財政審においては、民営化もしくは独法化を検討すべき、こういう提言もあったわけですけれども、今回の法案では、統合後に一般会計への移行や独法化を検討するということになっております。

 軽自動車の検査については、民間の軽自動車車検協会が行っているわけですけれども、自動車の検査登録を軽自動車と同じように民営化できない理由はどこにあるのか、最後にお伺いをしておきたいと思います。

宿利政府参考人 自動車検査についての御質問でございますが、現在、我が国は、自動車の保有台数が七千九百万台を超えるに至っております。一方で、交通事故、大気汚染といった深刻な社会問題もありますし、大手自動車メーカーのリコール隠しとか不正車検といったような、いろいろな課題が山積しているわけであります。

 そういう中で、私ども国土交通行政といたしましては、自動車検査などを通じて車両の安全確保を図る、あるいは、環境の保全を完全なものにするということを通じて国民の安全、安心の実現を図るということが極めて大きな行政課題の一つだとまず認識をしております。

 今御指摘がありました軽自動車の検査でございますけれども、これは、最初は検査制度がありませんでしたが、昭和四十年代以降、いろいろ車両がふえて、事故がふえてきましたので、昭和四十八年に軽自動車についても検査の対象にすることにいたしました。

 その際に、議論といたしましては、軽自動車は、車体が小さくて重量も軽い、大体一・四トン以下でございます。したがって、事故のときの相手車両などに与える被害の加害性が小さいということ、あるいは、長さとか幅とか高さが画一性のある中でつくられておりますから、基準適合性の判定が比較的容易であるといったこともありまして、また当時の行政効率化の観点もありまして、実は、民間ではありませんけれども、国土交通大臣が検査方法や予算などを認可して厳格にやってもらっております、特別の法律で設けられた軽自動車検査協会というところに検査をしてもらっております。

 一方、軽自動車以外の車ですけれども、これは総重量二十五トンぐらいまでの大型トラックを含めて……

伊吹委員長 政府参考人、時間が限られていますから、簡潔に。

宿利政府参考人 はい、わかりました。

 そういう意味で、軽自動車と違う、事故の際の加害性であるとか、あるいは環境上の特別の規制であるとか、あるいは不正車検、二次不正改造などが横行しているとか、あるいは実際に検査の場でいろいろなトラブルがあるとか、そういう事情もありまして、国土交通大臣が、独立行政法人であります検査独立行政法人、ここが保安基準の適合性の審査をやっておりますけれども、そこと一体となりまして安全の確保に万全を尽くすことが適当であると考えて、現在やっているところでございます。

 いずれにしましても、効率化努力というのは引き続きやっていきたいと思っております。

谷口(和)委員 ネクストバッターが控えておりますので、終わります。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて谷口君の質疑は終了いたしました。

 次に、池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 私は、公共サービス改革法案について質問したいと思っております。

 官と民との競争入札により、サービスの質の向上、経費の削減を図り、簡素で効率的な政府を実現することは大変重要だと考えております。

 ただ、私は、市場化テストの対象になじむものとなじまないものがあるのではないか、それはきちんと仕分けしなければならないと思っております。

 私は、五百年続きました日本の伝統文化の一つである生け花の発展、育成に努めてまいりました。文化芸術は、経済優先、自由競争や効率性、合理性とは相反する側面を持っていると感じております。もし経済性だけを考えたら、文化芸術は成り立ってまいりません。現に今、私の住んでおります京都、委員長も住んでいらっしゃいますが、その京都の室町や西陣では、着物産業の一部がマンション業、貸しビル産業になっているのを見ても明白ではないかと思っております。

 世界に尊敬される品格ある国家になるためには、文化芸術の果たす役割は大であると考えております。文化芸術は、市場原理にとらわれず、持続可能なしっかりとした機関が長い年月をかけ、試行錯誤を重ねながら、辛抱強く、次世代のためにすばらしいものを生み出し継承していく、そういう責務を負っていく、そのことが必要だと思っております。

 例えば、採算性を重視すれば、業務の運営が人気とか流行に左右されて、次の世代に伝えるべき芸術性の高いものが軽視されることもあり得るのではないかと思います。市場化テストが導入されている国においても、文化芸術の分野に市場化テストが適用されているという話は聞いたことがございません。

 私は、文化芸術に過度の市場原理や効率性、採算性のみを求めるのはなじまないと考えるのですが、制度を所管するお立場から、山口副大臣、どのようにお考えでしょうか。

伊吹委員長 内閣府山口副大臣、文化的な答弁をしてください。

山口副大臣 池坊先生ほど文化的でありませんけれども、心は文化的にお話をしたいと思っております。

 まさに先生のおっしゃる点は、私も全く同感でございます。この法案は、国民のため、公共サービスの経費の削減だけではなく、その質の維持向上は、もう先ほども申しましたとおりでございます。こうした目的を達成するため、広く国の行政機関等が実施する公共サービスを検討の対象としております。

 この上で、こうした幅広い公共サービスの中から具体的に、何を、どの部分を官民競争入札の対象とするかという点は、繰り返しになりますけれども、関係する国の行政機関との協議や監理委員会における審議、それを通じまして慎重かつ適切な検討を行うこととしているところであります。

 先生御指摘の、先生がずっとやっておられます生け花、お茶もそうでありましょうけれども、また、幅広く美術館、博物館、そういった伝統文化の振興についても、しっかりと、それぞれの館長さんですとか関係者との適切な協議など、本法案に規定する手続を通じまして検討を進めることになります。その際、長期的かつ継続的な観点に立った対応の重要性にかんがみ、その特性には十分配慮してまいりたい。また、もう先生御存じかと思いますけれども、平山先生を初めとして、多くのそういった識者から要望が寄せられたこともつけ加えておきます。

池坊委員 文化への認識と御理解の深い委員長のもとで質疑できて幸せでございます。

 市場化テストは、経費の削減も目的の一つになっております。でも、質の高い文化芸術を生み出すためには、投資もまた必要ではないかと思います。

 先ほども申し上げましたけれども、経費の削減と質の高い文化の創造は、基本的に両立しないと長い経験からも感じております。それぞれの公共サービスが市場化テストになじむかどうかは、第三者機関の意見を聞いて決めることとされておりますが、文化芸術の専門家の意見も十分に聞くことが必要と考えますが、山口副大臣、いかがでございますか。

山口副大臣 まさにそのとおりだと思いますけれども、御説明をさせていただきます。

 この法案は、どの部分を入札の対象とするかというのは、釈迦に説法かもしれませんけれども、民間の業者の意見を踏まえつつ、関係者間の協議、そして何度も言うようですが、監理委員会における審議を経て、慎重に検討していくことであります。

 この中で、例えば、協議を行う各大臣が、御指摘のような、いろいろな分野の専門家の方々の意見も踏まえつつ、政府としての検討、協議に臨んでいくことと考えております。

 いずれにしても、適切にこの法案を運用することにより、国民のため、質の高い文化芸術の振興に努めることが最も重要と考えております。

池坊委員 昨年、国立美術館と国立博物館を市場化テストの対象にしてはどうかという指摘が規制改革・民間開放推進会議からございました。これは、文化人の方々の大反対により、今回は市場化テストの対象にしないこととなったと聞いております。先ほど山口副大臣もお触れになりましたけれども、平山郁夫さん初め文化人のメッセージでは、目先の利益にとらわれることなく、息の長い取り組みによる文化の創造が、世界に誇れる国づくりになると指摘されております。

 国立美術館並びに国立博物館の展覧会というのは、私は万博のテーマパークとはまた異なるのではないかと思っております。国立の美術館、博物館の展覧会には、その裏に脈々と続いてきた調査研究、あるいは、地味で、余り日の目は見ないけれども、辛抱強く研究を重ねてきた、そういう方々の努力というのがあるわけです。国内外の美術館との交流とか信頼の積み重なりもあるのじゃないか、それが美術館、国立博物館を形成しており、それが命なのであるというふうに私は考えております。

 今後の市場化テストの運用に当たっては、このような経緯を十分に踏まえる必要があると考えております。ぜひそれは考えていただきたいと思います。

 文化芸術とはちょっと外れるんですけれども、先ほども議論になっておりました公共サービス改革法案では、対象となる国の行政機関等に国立大学法人が含まれておりますので、これに関連してちょっと質問をしたいと思います。

 国立大学法人については、公共サービス改革法案の運用に当たって、独立行政法人制度とは別途の国立大学法人制度を創設した趣旨を尊重し、国立大学における教育研究の特性に配慮した対応が必要であると考えております。このことについて、これは確認の意味も込めて、山口副大臣、もう一度御答弁いただきたいと思います。

山口副大臣 お答えいたします。

 先生の御指摘の国立大学法人等が行う教育業務についても、関係者との適切な協議などを進めて、本法案に規定する手続で検討を進めながら、その際、先生の御心配がないように、独立行政法人制度とは別途の国立大学法人制度を創設した趣旨を尊重しながら、そしてまた、国立大学法人における教育研究、また、大学によってはいろいろ伝統、文化があると思いますけれども、そういったことを先生のおっしゃるような方向でしっかりと検討してまいりますので、御安心をいただければと思っております。

池坊委員 私の日々のモットーは迅速、簡潔、合理的ですけれども、それだけで私たちの人生や生活が形成されていったら極めて味気ないものになってしまう。尊敬される国家の品格どころか、貧困なる日本、国家になってしまうと思います。

 最後に、国立美術館、国立博物館は文化庁の管轄です。そしてまた、国立大学法人は文部科学省です。今、すべて小坂大臣の所管のもとでなされております。二十一世紀、品格ある国家をつくるために、このような市場化テストとあわせながらどのように進んでいらっしゃるのか、その御方針並びに御決意を伺いたいと思います。

小坂国務大臣 池坊委員にお答えを申し上げます。

 委員には日ごろから文部科学行政全般にわたりまして御支援を賜っておりますことに、また、大変深い御理解をいただいていることに、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 御指摘のございました競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案の関連でございますけれども、この法案に基づく官民競争入札の対象事業の選定に当たりましては、それぞれの公共サービスの特性を十分に踏まえて行うことが大変重要なことだと認識をいたしております。

 既に内閣府の副大臣から御答弁をいただいておりますが、御質問の国立美術館、国立博物館及び国立大学法人への市場化テストの適用につきましては、国立美術館、博物館につきましては、おのおのの文化芸術の創造と発展、次世代への文化の継承など重要な使命を担っておりまして、人類の長い営みの中で築かれた文化、この文化をしっかりと研究し、そしてそれに基づく展示やいろいろな企画を行って、国民の広い理解を得て、国民の支援のもとに文化の新たな発展そして創造に向けて努力をしていくことは、我が国が国際社会において認識をされ、そして尊敬をされる基盤になることでございまして、そのためには長期的な、あるいは継続的な視点に立った研究調査というものが必要でございますし、それに基づく企画そして展示、そういった長期的な、継続的な視点というものを大変重視していかなければいけない、このように認識をいたしております。そのような観点に立ちまして、この選定に当たりましては慎重に対応してまいりたいと存じます。

 また、御指摘の国立大学法人につきましては、独立行政法人とは別途の国立大学法人制度というものを創設した趣旨につきまして、内閣府副大臣の答弁にありましたとおり、教育研究の特性に配慮するということが必要であることを踏まえまして、慎重にかつ適切に今後とも対応をしてまいりたいと存じます。

池坊委員 日本に数多くございます文化芸術は、今までほとんど自助努力によって今日を迎えてまいりました。でも、これからは自助努力ではなく、公助も必要であるかと思っております。

 そして、政府を範として、政府を見ながらそれに見習っていくのではないかと思いますときに、やはり私は、合理的な社会を構築していくと同時に、また、無駄に思えるけれども無駄ではない、そういうものも大切にしていく社会にしていかなければ、二十一世紀の本当の意味での繁栄はないのではないかと思います。特に、文化芸術というのは、二十一世紀の経済の繁栄に大変に大きな要素を持っていると思っております。

 中馬大臣も住んでいらっしゃる、そして私も所属しております大阪は、商人の町と言われておりますが、また同時に、庶民の文化も大切にしております。どうか御一緒に闘っておりますこの大阪の人々の気持ちも考えながら、大臣、最後に一言、大丈夫だよと、安心してくださる御答弁をいただきたいと思います。

中馬国務大臣 一つの成熟社会になってまいりました。やはり文化といったものは、若干の無駄あるいはまたゆとりから生まれてくるものでもございます。池坊委員の今の御指摘は本当に大事なことでもございますし、関西のことにも触れていただきましたが、これは、大阪人も含めまして、余り規制がなくて自由にやらせたら本当におもしろいことあるいは活気のあることをやる地域でもございますから、そういう特性も踏まえて、この法律が次の発展に資するように私も頑張ってまいります。

池坊委員 安心しながら質問を終わります。ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて池坊君の質疑は終了いたしました。

 次に、小川淳也君。

小川(淳)委員 民主党の小川淳也でございます。初めてこの行政改革特別委員会に参戦、参画をさせていただきます。委員長初め委員の皆様、閣僚の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、特別会計改革また市場化テスト法案に対する集中審議ということでございます。

 まず、特会改革について端的にお尋ねをいたします。谷垣大臣、この特会改革の主眼、どこに置いておられますか。

谷垣国務大臣 特会改革の出発点となりましたのは、私の前任者、塩川財務大臣が、母屋で一生懸命おかゆで我慢しているのに、離れで子供たちがすき焼きを食っているようなことがあってはいかぬとおっしゃったことからスタートしたわけでございます。

 塩川大臣が何を問題にされたかというのを今考えてみますと、一つは、本来、特別会計というのは、ある分野に関しての経理関係をはっきりさせて、透明化、今の言葉で言えば説明責任をはっきりさせる点にあったと思うんですが、たくさんあることによって、そういうことが難しくなっていることがあるじゃないか、目が届いていないじゃないかという点が一つあったと思います。

 それから、固有の財源等があって、必ずしも今その歳出が必要ではなくなっているのに、固有の財源があるがゆえに無駄な事業が行われているのではないかということもあったと思います。

 それから三番目に、そういうことの結果、不要不急の積立金というんですか剰余金というようなものが中にため込まれていて、これだけ財政の厳しいときに、そういう財源が有効に活用されていないじゃないか、こういったようなことが問題であったのではないかと思います。

 これを踏まえますと、今回の改革の目的は、一つは、複雑になっている特別会計というものをもう少しわかりやすいものにしていく、明確にしていく、そして説明責任を果たしていくということであると思いますし、それからもう一つは、無駄に使われている支出、それから、必ずしも有効に活用されていない、中にたまった滞留している資金を財政再建にどう役立てていくかということであろうと思います。

 ちょっと長くなりましたが、まとめますと、説明責任をはっきりさせるということと、無駄な資金を活用して財政再建に役立てていく、こういうことではないかと考えております。

小川(淳)委員 幾つかポイントをおっしゃっていただきましたが、説明責任を果たすとか、透明にする、見えやすくする、これはすべて恐らく最初に谷垣大臣がおっしゃった無駄をなくしていくための手段ではないかという気がいたします。

 とにかく、この特会改革の主眼は、私は、無駄をなくするんだということに尽きるんじゃないかと思います。そのために、透明性を増さなければなりませんし、説明責任も果たせる体制をつくらなければならない、数も減らさなければならない、すべて手段ではないかという気がいたします。

 その上で、これは一体何が無駄で、それをだれが判断するかという大変大事な問題が残るわけでありますが、今度は、無駄だ無駄だと言われ続けてきた分野について、担当の大臣にお聞きをさせていただきたいと思います。

 川崎大臣、けさ、朝五時半から、私がTBSをかけましたら、大変さわやかな時間帯でしたけれども、みのもんたさんがさわやかに主張されておられました。雇用保険を用いた赤字施設に関して、一億円の体育館が一万円で売り払われた、二千万円かけてつくったプールが千円で売り払われた、勤労者福祉施設、全部合わせて四千億円かけた施設が百億で売り払われた。こうした例は枚挙にいとまがないと思います。

 グリーンピア、この言葉は大変有名になりました。北は北海道大沼から南は鹿児島指宿まで、全部で十三カ所、売却、よく御存じだと思います。最近よく言われています、我が党からも視察に参らせていただきました京都の私のしごと館という施設は、建設費が五百億、運営費二十億、入場料等収入一億という実態だそうです。例を挙げれば切りがありません。年金会計の保養施設、外国旅費やマッサージチェアなどの備品購入。

 川崎大臣、もうこういう批判にはややなれっこになっておられるかもわかりませんが、こういう批判をお受けになられて、どんな感想をお持ちでいらっしゃいますか。これは、本当に無駄ですか、それとも堂々と胸を張ってやってこられたことですか。川崎大臣、いかがですか。

川崎国務大臣 まさに、まとめて全部言われると、全部悪いじゃないかという議論になってしまう。一つ一つの事業を吟味していただいて、国会でも御議論いただいてやってきた経過はございます。例えばグリーンピアでも、年金積立金を被保険者の福祉還元に使うべきという附帯決議が当時の国会ではあった、その経過の中でやってきた。

 しかし、振り返れば、五十五年当時ですか、まさにリゾート開発の時代、民間も争ってホテルを建てゴルフ場をつくった時代に、何で官まで一緒になってこんなことをやっちゃったのかね、振り返ればこんな反省はあるだろう。一方で、つくって、それを地方公共団体がお使いをいただいたわけですから、一定の成果はあったんだろうと思っております。しかし、一方で、地価の下落、そういうものも重なって年金に大きな損失を与えてしまったということは間違いないだろう。そういう意味では大いに反省をしなきゃならぬだろうと思っております。

 もう一つの切り口の私のしごと館は、今日的な役割を考えますと、若者に仕事というものをまず理解してもらう、特に高校の時代、中学の時代に仕事というものを理解してもらう、そして、自分はこういう仕事をしたいなという意欲を持って勉強にいそしんでもらう、そういうものを早くから醸成していくことが大事だなという目的でつくられました。

 ただ、こうしてつくられたものが、大変多くの方々に御利用いただくようになってまいりましたけれども、その払っていただくコストだけで合うかということになるとなかなか難しい問題があるんだろう。これは、NTTが持っている展示場にしたって、トヨタさんが持っている展示場だって、そこへ来る人の入館料で何とか賄えといったって合う話ではない。要は、今の若者に仕事というものをしっかり理解してもらうという中でつくってきた制度でございますから、そういう意味では、知事さんや地元の財界の皆さん方から、いろいろな批判はいただいているけれどもより効率的にやらせます、やっていきますから残してやってほしいという強い陳情を、私が大臣になって一カ月目ぐらいかな、いただいたところでございます。

 そういった意味では、国会において説明責任をしっかり果たしながら、私自身は、グリーンピアの問題を初め、この問題については至らない面があったと認めますけれども、一方で、私のしごと館が持っている今日的な意義というものはどうぞ御理解を賜って、そして、できるだけ経費の削減も努めてまいりますけれども、より多くの人たちがここへ訪れていただくという方がより大事だろうと思って、これは残しますと宣言をしながらやらせていただいております。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 とにかく、無駄なものは無駄ですし、反省すべきは反省すべきだと思いますし、一方で、今大臣がおっしゃったように、これは自信を持ってやったんだ、何が悪いんだとむしろ胸を張って言えるぐらいのことがもっとほかにもあっていいと思います。一々、国会で批判された、世論から批判された、それを乗り越えて、堂々とやっていますというぐらいの自信を持つ施設、施策、あっていいと思います。その上で、まずかった、悪かった、反省しなきゃというものに関しては、どうしてそうなったかということに関しての深い洞察をお願いしなければなりません。

 この無駄遣いの例と関連をいたしますが、もう一つ、きょうは経済産業省から副大臣にお越しをいただきました。一つ、昨年までの状況で、私どもクレームをいただいた件があります。御紹介をさせていただいて、実態の御説明をいただきたいと思います。

 これは、石油エネルギー特会に関連をした公益法人、財団法人エコ・ステーション推進協会というものがございます。ここへこの特会から補助金が流れまして、その補助金を使って、例えば、天然ガスステーションとか自然エネルギーを使ったLPガスとか電気自動車の普及推進に努めておられるということだと承知をしております。この財団の補助金収入が三十億余りですね。この補助金収入を使って各種事業を行っておられます。

 副大臣、お尋ねいたします。この三十億余りの補助金収入以外に、この財団には一般会計というものがおありのようですが、これはどういったものですか、御説明ください。

伊吹委員長 西野経済産業副大臣、要点を簡潔に説明してください。

西野副大臣 お答えをいたします。

 今御質問されましたエコ・ステーションは、運営補助金のことだろうというふうに思っておりますが、これは、新エネ等に対する、天然ガス等の御指摘がありましたが、それらの設備を設置するために、事業者の負担を軽減する意味で、例えば、当初三年間は年額で百九十八万交付をいたしておるわけであります。また、その協会の方に、賛助会員として、一口五万円以上を十口以上、そして四年目以降は一口以上、実はこういう内部規定があったわけでありますが、この賛助会費はあくまでも事業者の自主的な自発的な判断によるというものでございますから、補助金を受けている事業者の中でおおむね一二%程度は、実はこの賛助会費は払っていないという事実がある。そういう事実関係だけは明確に申し上げておきたいというふうに思います。

 しかしながら、いやしくも不適正な補助金執行が行われておったのではないか、そういう誤解を招くようなことがあってはいけないわけであります。そのために、賛助会員の規則のうち、補助金を受給している事業者とそうでないところを区分しておりました、こういうものを指導いたしたわけでございます。早速協会の方では、内容を申し上げますが、過ぐる三月の十六日、理事会を開いて、これらについては、指導のとおり撤廃をいたすこと、削除いたすことになったわけでございまして、四月一日からその旨訂正をして執行しておるところでございます。

 今後とも、この協会の運営等につきまして誤解を招かないように、しっかりと経産省としても管理監督を進めていきたいというふうに思っておりますので、御了承いただきたいと思います。

小川(淳)委員 今のお話、整理して申し上げますが、このエコ・ステーション協会というのは、さまざまなそういう天然ガス等々の事業に対して、年間二百万円の補助金を三年間交付しているわけですね、年間二百万円を三年間。そして、その三年間、補助金を受けた会社に対して、年間五十万円を支払う賛助会員になってくれということを言っているわけなんですね。

 つまり、そういう話なんですよ。七千万近い収入をこれで上げているわけですが、賛助会員二百七十社のうち二百三十四社が補助金を受けた会社、二百万補助金をもらったら五十万会費で納めている、こういう格好がまかり通っているわけなんですよね、少なくとも去年三月まで。

 これは、この財団だけなのか、あるいは賛助会費という形であればほかにもたくさんあり得るのか、よく調べてみないといけないと思いますよ。いみじくも副大臣おっしゃった、自主的、自主的という話が通る場合と通らない場合があります。対等な関係にはありませんよ、補助金を交付する側と交付される側。いみじくもおっしゃったとおり、こういうことが疑われることすらないような、襟元を正した対応を私はすべきだと思います。

 先ほどの年金厚生施設等々の無駄遣いの話、そしてこういった不透明ととられかねないような対応の仕方、これらすべて襟元を正さないと、この特別会計に対する信頼あるいは一般会計を含めて政府全体に対する信頼は上がらないということだと思います。

 そこで、はっきり申し上げたいんですが、これは、特別会計三十一をたとえ二十にしたって十にしたって、無駄遣いをなくす、本質的な議論になりますという話には全くならないと思います、数を減らしたところで。もっと申し上げますよ。なぜ特会でこんな無駄遣いが続いてきたか。これは、各省庁の裁量の範囲が広いからですよ、独自の財源を持っているからです。

 私は、やや突っ込んで申し上げますが、この特会改革で財政規律を高める唯一の手段は、もちろん透明性を高める、いろいろありますが、財務当局の関与を徹底的に高めることだと思います。財政再建に関心を持った財務当局の関与を徹底的に高めるべきだと思いますよ。

 今回、十三・八兆円の余剰金を引っぺがしましたね。十三兆円の余剰金を五つの特会から引っぺがして借金の返済に充てました。これ、大いにこれからも恒常化すべきだと思います。このためには法的な手当てが必要なはずです、そんな手当てをこそ、今回の法案に書き込むべきだと思います。

 電源特会、電源促進税制については、特会への直入をやめると御判断された。これは一般会計に一たん受け入れてから、必要な分だけ出しますとおっしゃった。すべての特会についてそうすべきだと思います。それこそ、法律に書かなければできないことです。法律に書かなければできないことこそ、今回の法案に書き込むべきだと思います。そのために、今回の法案をわざわざこうした大変な労力と時間をかけて審議する、そういう場にすべきではないかという気がしてなりません。

 財政当局の規律を高める、これは、入り口でまず、一般会計で全部整理する、必要な分しか出さない。もう一つは、今度は出口、さっきの公益法人とか特殊法人に流れるときに全部財政当局で規律を持ってチェックする、余ったものは全部一般会計に引き揚げて借金の返済に充てる。こういう法律に書かなければできないようなことこそ、この法案に盛り込むべき、審議をすべきだと思います。

 関連して、この特会、少し皆さん萎縮しておられるんじゃないかという気がしてなりませんので、お尋ねを続けさせていただきます。

 今、日本でも、ニートとかフリーターというのは大変な問題になっていますね。厚生労働省さんの推計ですと、日本のニートが六十万人、フリーターが二百万人強ですか。イギリスでは、七十万人のニートに対していわゆるニューディール政策というのを打たれたそうです。これによって、半分近くが就労に成功していると言われています。

 こういう若年者の雇用対策というのは、まさに厚生労働省さんにとっては今、喫緊の課題の一つだと思いますが、川崎大臣、この若年者雇用対策、フリーター、ニート対策、どういう形で今とっておられますか、概要だけで結構です。

川崎国務大臣 まず、ニートとフリーターというのは基本的に分けなければならないだろう。フリーターというのは、労働意欲があります。ニートは、労働意欲をまず引っ張り出すという作業をしなきゃならない、そういう意味では、文科省と私どもの共同作業という認識の中でやらせていただく。ここは切り分けていただきたい。

 それから、ニートという表現で同じ表現を使っておりますけれども、イギリスのニート、移民政策の中での、要するにその国の言葉がしゃべれないという人たちの政策と、先ほど言いましたように、少し、高校進学の過程なり大学進学の過程の中で労働意欲を失った子をどうやってもう一度引っ張り出すかということについては、政策的には違うということはぜひ御理解をいただきたい。

 フリーター政策全体につきましては、やはり今、若者の雇用、特に二十五歳から三十四歳ぐらいにフリーターの数がふえてきてしまっております。簡単に言えば、自分たちが大学や高校を卒業したときに、我が国の経済状況が極めて厳しかった時代に就職というところへ挑戦をした人たち、この人たちが、就職できずに、もしくはしっかりとした正規雇用に結びつかずに、残念ながら次のチャンスを求めている。この人たちにどうしていくかということでございますから、今ハローワークで二十万人常用雇用計画を組みまして、この五月前ですけれども、二十万人は突破するめどがつきましたので、来年は二十五万人に上げさせていただきます。

 その中で、一つの事業としては、今フランスでも議論になりました、とりあえず若者を雇ってくれということで、トライアル雇用というのがございまして、これで九十九億円を使わせていただいています。それから、ジョブカフェ二十六億円、日本版デュアルシステム、これは教育と仕事と両方兼ね合う、これが八十七億円というような形で、雇用保険を利用しながら若者の雇用促進のために努力をさせていただいているところでございます。

小川(淳)委員 ありがとうございました。

 本当にこれは喫緊の課題だと思いますが、いただいた資料によりますと、もちろんそういうところにもお金を使っておられるんでしょうね。その他、ニートの自立を支援するための地域における体制の構築三億円、若者自立塾十一億、若者の就業をめぐる悩みに対する専門相談体制四億等々、もっとお金を使っていいんじゃないかなという気がしてなりません。イギリスでは、例えばこのニューディール政策ですか、約四百億円を投じて若者の就労を支援している。

 そこで、今、雇用保険三事業ですか、廃止する廃止する、廃止を含めた見直しとおっしゃっていますが、それは本当に廃止でいいんですか。四千億円のお金を持っているわけですよね、雇用三事業だけで。やっていることに関して後ろめたいことが多いと、廃止しろと言われると廃止しますと言わざるを得ない。だけれども、自信を持ってやっていれば、やめなくて済むじゃないですか。もっとこういうことに金を使わなきゃいけないんだ、日本ではまだまだ若年者対策弱いんだと堂々と言えるじゃないですか。

 例えば、さっきの無駄遣いの話、それから不透明な運用、こういうことで政府御自身が後ろめたさを抱えておられると、新しいところへ打って出られないんですよ。しっかりと自分たちに自信のある施策を打っていれば、多少どんな批判にさらされようと、もちろん無駄なものはやめます、必要なものはやらせてくれと堂々と言えるじゃないですか。単にそんな、全部減量します、やめます、ダイエットしますに単純に乗らないでいただきたい。必要なものはしっかりやらなきゃいけないですよ。これは厳にお願いをしておきます。

 とにかく、申し上げたいのは、しっかり襟元を正さなければ、必要なところにすらお金が使えない、堂々とそれを主張できない、そういうところが、私は、行政改革の本当の意味、本当の話だと思います。単に特会を三分の一にしたって二分の一にしたって、さしたる財政再建効果ありませんよ、こんなものは。ありませんが、襟元を正すことで信頼を回復する、信頼を回復して本当の議論に入る、こういう道筋、手順の話ですよ、本当は。そういう御認識をぜひいただきたいと思います。

 市場化テストに関連してお尋ねしますが、中馬大臣、もし官民でこういう仕事を奪い合うというような結果になりますと、それまで雇用されていた公務員の方の処遇の問題、これは大きな問題だと思いますが、中馬大臣、いかがですか。

中馬国務大臣 市場化テストは、従来国がやっておりましたことを民でやれる分がかなりできてまいりまして、力もついてまいりました。それをいわゆる仕分けをいたしまして、そして、こういったものができるじゃないか、民間業者からの手も挙げていただきまして、監理委員会でそのことの是非をしっかりと議論した上で、最終的には政府が決めるわけでございますが、そういうことによりまして、かなり民間の力も活用できてくるんだ、このように認識いたしております。

小川(淳)委員 もし仕事をとられた公務員の方は、その間どうするんですか、これは。民間へ移るんですか、いかがですか。

中馬国務大臣 とられたというわけじゃなくて、官もこれは入札に参加してもいいわけでございますから、その刺激をもとに、公の方が頑張って、いや民間よりももっとサービスよく効率的にやっていけば、従来どおり官でできるわけでもございますし、また、その経験を買われて民間の方に移籍される方もいらっしゃいましょう。

 しかし、そうしても、それでも行けない方は、これはもちろん皆様方の御協力も得るということを非常に今やっているところでございますが、そうした形で他の部門に移る、その場合もちゃんと研修等をして他の部門でも十分に活動できる形をつくっていく、そのことがちゃんとこの法律で担保されております。

小川(淳)委員 恐らく、担保されているとおっしゃったのは退職金のことだと思いますが、日本の退職金制度というのは、御存じだと思います、一年たったら一年分、三年で三年分、五年で五年分というふうに比例曲線になっていませんよね。つまり、少しでも空白期間があると不利になる仕組みになっているんですね。それから、年金だってそうですよ。官民で今断絶があるこの年金制度、これは一本化してやらないと自由に行き来ができない。

 つまり、申し上げたいのは、市場化テストというのは多分イギリスの強制競争入札がモデルになっていると思います。思いますが、イギリスの官民雇用文化には格差がない、区別がない。ところが、日本には厳然たる区別がある。

 申し上げたいのは、私は、本来議論すべき公務員制度改革とは、こういう市場化テストとか、あるいは、右肩上がりが終わった時代、終身雇用が難しくなった時代に合わせた公務員制度をつくることではないかと申し上げたい。ところが、今のこの法案では、定数を、五%を何年以内に削減するだとか、何割以内に減らすだとか、その数字ばかり躍っている。もっと本質を見きわめた、本当に今の時代にとって何が必要かという、施策を含めた、理念に基づいた制度改革を志すべきではありませんか、中馬大臣。

中馬国務大臣 まさにおっしゃるとおりで、この法律の中にも公務員制度の改革のことをうたっております。

 これから詳細のところの議論も、労働組合の方々との御議論も踏まえてやっていきますけれども、そういうことをあわせて、これまでの公務員のあり方も含めて官の役割というものを大きく民間に移していく、こういうことをこれから進めるわけでございます。

小川(淳)委員 とにかく、総じて申し上げますが、そういうことも含めて、政府全体が本当にやれることをやっていますという迫力を取り戻さないと、本当に必要な議論に入れないんですよね。

 そこで、関連してもう一つお尋ねします。

 今まで政府系金融機関とか周辺のことをお尋ねしてまいりましたが、この間、会計検査院の報告を拝見してあれっと思ったんですね。職員に対する旅費の不正支給、これを還付させた。厚生労働省と財務省の資料を拝見しました。これは、全部で七千万ぐらいでしたですか、厚生労働省さん。

 これに課徴金を何%課してその不正受給した旅費を戻させたか、御存じですか、谷垣大臣あるいは川崎大臣。

伊吹委員長 事務的なことだけれども、谷垣大臣、答えられますか。極めて事務的なことだと思いますが。

谷垣国務大臣 御答弁する前に……

伊吹委員長 ちょっと待ってください。

 厚生労働省金子総括審議官。(発言する者あり)まず答えてから政治的な答弁はいたします。

金子政府参考人 遅延利息を付して国庫に返還した際の年利につきましては、五%を付しまして返還をさせていただいております。

谷垣国務大臣 この御答弁の前に、先ほど特会改革の中で、やはり法律にきちっと書き込まなければこれから先進まないぞという御指摘がございました。

 これは、来年に向けまして、特会改革の法案をまとめまして提出いたします。そのときに、今まで特会のいわばメリットとされていたような例外規定、こういうものを見直して、法律の中にきちっと書き込んでお出しをするということにいたします。

 それから、今の点でございますが、今まさに厚生省から御答弁がありましたように、やはり私どもも、払った金を返せという場合には法律の根拠がなければいけないということでございまして、これは、民法の不当利得の場合に、悪意の場合には五%と民法で決められておりますので、それに従って返還請求をしたということでございます。

小川(淳)委員 例えば、政府系金融機関からお金を借りた方が何%の延滞税を支払っているか、御存じですか、谷垣大臣。

谷垣国務大臣 今ちょっと延滞税の数字は頭に入っておりませんが、十数%、一三%台ではなかったかと思います。

小川(淳)委員 一四%台なんですね。国税の延滞税もそうです、一四%。この低金利の時代に、国は、おれたちにきちんと期限までに払わなかった場合は一四%払えと言っているわけです。一方、国家公務員が不正に旅費を受給した、この返還は五%でいいよと言っている。もっと言えば、政府が債務の支払いがおくれた場合は、私たちは三%の利息を払いますと言っている。こういう不均衡も、やはり襟元を正すという意味では、一つ一つ見直していく必要があると思います。

 それで、竹中大臣、ちょっと話が飛び飛びになって申しわけありません。政府系金融機関、ずっと見直していくわけですが、たった一つ廃止だと言っている公営企業金融公庫、これは本当に廃止で大丈夫ですか。

竹中国務大臣 公営企業金融公庫に関しましては、これを廃止しまして資本市場等を活用した仕組みに移行するということ、そして必要な財政基盤を確保する等廃止に向けた一定の移行措置を講ずる、この二つを基本的なボトムラインとして決めているわけでございます。

 資金の流れを官から民に変えていくということは、これは必要なことでございましょう。同時に、国は地方公共団体の資金の調達に支障が生じることのないようにしっかりと対応しなければいけないというふうに思っております。これは、地方公共団体が個々に創意工夫して資金調達するということがまず基本、重要である、そして、財務上の戦略として共同調達するという選択肢もあり得るというふうに思っておりますので、今後の制度設計の中で具体的に検討してまいる所存でございます。

小川(淳)委員 竹中大臣、地方にはいろいろな事情を抱えたところが千差万別あります。ぜひそういったことも含めて、よく御検討いただきたいと思います。

 時間もなくなりました。非常に限られた時間でしたが、とにかく申し上げたかったのは、この法案に書いているようなことは、言ってみれば庭先の掃除みたいなものです。これから本当の本丸の議論に入るに当たって、庭先の掃除、門前を掃き清める、みずからの身を正す、そういう話にすぎません。この改革が行き着いた先に国民の幸福とか幸せはまだまだ遠い、それをしっかり認識していただきたい。

 三つ警鐘を鳴らしたいと思いますが、一つは、小泉内閣の路線、小さな政府ですか、簡素ですか、効率的、この減量路線は、私は体質改善を伴った減量路線でなければ意味がないと思っております。単に減量、減量と並べ立てることはかえって危うい。そのことを厳しく警鐘を鳴らしたいと思います。

 もう一つ、小泉内閣が登場した五年前と今では大きく時代背景が変わりつつあります。既に世の空気としては、格差社会あるいは光と影。谷垣大臣御自身が、きずなが大事だとおっしゃっている。この五年間で時代の空気は変わりつつある、そういうことにもっと敏感であるべきだと思います、この法案を提出されるに当たって。これも警鐘として申し上げたい。

 最後に、法律に書かなくてもできることは、わざわざ法案化して審議の時間をとって浪費する必要もない。法律に書かなくてできることは、さっさと黙ってやればいい。法律にどうしても書かなければならないことだけ、しっかりとコストをかけて議論すべきだと思います。

 このことを最後に御指摘申し上げて、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて小川君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 この委員会におきまして、私、初めて質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私、この委員会、本当に毎日、連日、熱心な議論が続いておりますけれども、そもそも小泉内閣においての改革というものは何だったのか、また、何を残してしまうのか、そういったことをぜひお聞きしていきたいと思っております。

 その一つには、国民の負担と国の給付、サービスの関係がございます。

 小泉内閣では、改革、改革と、本当に、何をするのかというのは具体的にはわからないところもたくさんありますけれども、年金制度改革だったり、介護保険制度改革だったりと、ともかく改革と名のつくものをたくさん取り上げていらっしゃいます。しかし、その結果どうだったかといえば、国民の負担が本当にふえて、給付やサービスというのは削減する内容だったのではないかという思いがしてなりません。そして、実際には、昨年末、国の借金、財務省の発表ですけれども、八百十三兆円を突破しています。恐らく、今もっと突破しているでしょう。一人当たり六百三十六万円ですか、国民に対して赤字というものを背負わせてしまっているというのも現実であります。一生懸命国民はその中でも働いて、そして苦しい中で、景気回復と政府が言っても、多くの人たちはその実感がわかないというのも現実であります。

 だからこそ、今回、この法律が出てきたのは、やはり政府でいえば、私たちからいえば多くは無駄遣いをやはりなくすべきだ、だからこそこういった改革をしなければいけないんだという思いのもと、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革であるといってこの法律案が出てきているんだと思います。

 その認識は間違いないとは思うんですが、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革という法案の審議を今しているわけでありますけれども、独立行政法人や政府系機関の周辺にある無数の財団や社団とか、また政府系の公益法人や天下りの組織、法人があります、団体やいろいろなものがあります。大量の国費もそこには投入される結果となっております。そして大きな借金につながる。これは恐らく、委員の皆様も、皆さん共通の認識なんだというふうに確信をしております。

 それでは、小泉内閣の改革というのは実際何を残しているのかといえば、国民に負担増を残して長期債務残高を増加させたというのが客観的な事実なんではないでしょうか。この事実をなぜ改革と呼べるのか。恐らく内閣が発足したときには、痛みの後はそういった借金や次の世代の借金が減っていくんだとみんな思ったんです。この九月には退任する、やめられると明言もされております。しかし、その結果としては、何のことはない、借金がふえ続け、子供や孫の代までの負担がふえてしまっている。こういう改革を多くの人は望んだわけではない。

 それでは、本当に小泉政権、長期にわたりました、借金がふえてしまった、長期債務残高がふえ続ける原因の御見解をまず財務大臣にお伺いしたいと思います。

 そして、それに引き続いて、この改革を叫んでいらっしゃいます、それを補佐されています内閣官房長官には、独立行政法人を切り離して考えていらっしゃるようですけれども、長期債務残高がふえた原因についてもあわせて御見識、御見解を伺いたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

伊吹委員長 谷垣財務大臣、国債残高増加の原因について。

谷垣国務大臣 なぜ長期債務残高がこれだけふえたのかということでございますが、まず、国の借金がどのぐらいかというのは、いろいろな数字があっていろいろな方がいろいろ引用されますが、私どもは、最後は税金で返さなければならない額がどれだけかという観点から整理しておりまして、それは今、国、地方合わせますと、平成十八年度末で七百七十五兆という数字でございます。GDPの一五〇%を超える膨大な数値。

 なぜこれほどまでになったのかという原因を簡単に申し上げますと、一つは、高齢化が進展して、国の国民経済の伸びを超えて社会保障負担費が増嵩していくということがあると思います。それからもう一つは、バブル崩壊後の景気低迷に伴いまして税収も減りました。それと同時に、景気の底割れを防ごうということで減税等々もやってきた。そういうことの積もり積もりがこういう形になったんだろうと思います。

 それで、小泉内閣の残した客観的な結果はこの数字じゃないかというのが小宮山委員の御主張でございますが、小泉内閣として手をこまねいて見ていたわけではもちろんございません。無駄は省かなければならないというので、十三・八兆の歳出カットというのをやってまいりました。公共事業は四割削減をしたということでございます。それから、財投なども最盛期の今四割を切っている状況でございます。そういう中で、政策経費も二年連続縮減する。それから、公債の発行額も一年三十兆未満というのをことしは実現いたしました。

 そういうようなことをいろいろ積み重ねてきているわけでございますが、さっきも申しましたように、GDPの一五〇%を超えるというのはまだまだ厳しい数字でございますから、さらに削減、そして立て直し、歳出歳入一体改革というのを追求しなければならないゆえんでございます。

安倍国務大臣 ただいま財務大臣からお答えをいたしましたように、いわば債務がふえた理由は大きく言って二つあるわけでありまして、一つは、年々伸びている社会保障に対する対応でありまして、もう一つは、不況の中でその不況を何とか反転して景気をよくしなければいけない、まあ景気対策といってもいいだろう、こう思うわけであります。

 五年前に小泉総理が総理に就任をして、誕生したときのことを思い浮かべていただきたいというふうに思うわけでありますが、当時は、金融において、銀行はいわゆる不良債権を山ほど抱えていました。その問題を解決しなければいけない。そして経済は低迷をしていた。そしてさらに、今委員が御指摘になったように、国の借金の問題があったわけであります。

 その中で、私たちはまず金融の分野を正常化させなければいけない。そして、銀行の不良債権を正常化させることに挑み、そしてそれに成功したわけであります。

 さらには、景気を回復させなければいけない。我々、いよいよ十八年度、名目経済成長二%という目標を達成できるかもしれないというところまで、これは景気を自律的な回復軌道に乗せたと言ってもいいんだろう、こう思うわけでございます。そしてその中で、例えば企業の経常収支も改善をしています。GDPにおいても順調な伸びを示している。そしてさらには、失業率も改善をしてきているわけであります。

 そしてまた、借金の問題についても、我々は、二〇一〇年代の初頭にプライマリーバランスを、これはバランスをして黒にしていくという目標を立てておりますが、今年度は昨年度よりも四・七兆円改善をしています。そしてその前年度はどうだったかといえば三兆円改善をしていて、そしてその前年度は六千億円改善をしてきている。

 つまり、プライマリーバランスの黒字化に向かって着実に歩みを進めているということにおきましては、改革を進めながら、そして借金を減らしていく方向に大きくかじを切っている、そしてさらには、しっかりと景気の回復に向かっても我々は成功していると言ってもいいのではないか、こう思います。

小宮山(泰)委員 借金を大きく減らす方といっても、実際にはふえ続けているのが現実なんだと思います。

 先週金曜日の四月七日に経済財政諮問会議が、国内総生産に対する国の債務残高比率を二〇一〇年の半ば、今おっしゃっていましたけれども、半ばに引き下げる必要性を指摘し、歳入歳出一体改革の中間取りまとめを了承されています。新たな国民負担にも言及されておりまして、増税路線の継続を強く示唆していらっしゃいます。

 安倍官房長官に伺います。

 報道では、経済財政諮問会議は、今後、自民党と連携し、歳出削減の目安を定め、地方財政の削減や社会保障費の抑制、消費税率引き上げを含む増税策などの議論に入る、六月に改革の選択肢と工程表を示すとされております。もちろん、今大臣たち、皆さん自民党でもありますし、当然それは与党として、一体として頑張っていらっしゃるんでしょうけれども、それでは、ポスト小泉の名立たる皆様方もここにいらっしゃいますが、消費税の引き上げを含む増税路線というものもこれで続けていかれるのか。そういうふうに読み取られても仕方がないと思うんですが、その点は、官房長官、どういうふうにお答えになりますか、御見識を伺います。

安倍国務大臣 先ほどの私の答弁に付言をいたしますと、確かに絶対額としての借金はふえているわけでありますが、まずはプライマリーバランスを黒字化する、そういう意味での、これをどんどんどんどんふやしていくという方向から減らしていくという方向に向けて歩みを始めたということにおいては、大きな一歩を記したのではないか、こう思うわけであります。そしてまたさらに、歳出を削減していくということと、いかに景気を回復していくか、この両立を図ることが大変難しいわけであって、その中で我々は改革を進めることもできたし、景気を回復することもできたのではないか、そう思います。

 その中で、今、将来の歳出歳入の一体改革と、それにあわせて消費税、また増税をどう考えているんだという御下問がありました。

 我々がまずやるべきことは、徹底的な歳出の改革をしなければいけない。無駄を省いていく、しなければいけない歳出はしっかりとこれは減らしていくという、その改革をまずしっかりとやっていくということではないか、こう思います。

 そしてまた、しっかりと生産性も上げていくという中において、景気対策をしっかりとやっていく。改革を行っていくことによって、自律的な景気回復をさらにしっかりとしたものにしていく中で自然増収も図っていく。

 しかし、その中で、将来ふえていく社会保障費の対応もございます。二〇〇九年には基礎年金の三分の一から二分の一への引き上げもあります。その対応もある。あるいはまた、将来に向けた少子化対策の対応もあります。その費用をどうするかということについては、これは消費税を含めた検討をしていかなければいけない。ただしかし、その前に、やることはしっかりとやっていかなければ国民的な御理解をいただくことはできない、このように考えております。

小宮山(泰)委員 議論をするというか、できることならば、もう九月、総裁任期が切れてまた次になられるわけですから、だれになるかわかりませんけれども、やはり来年度の予算や、そして中小零細企業にとっては消費税の引き上げというのは非常に重要な問題であります。特に国の出している平均の所得を考えてみれば、それから地方で実際の所得の平均を各県出しています、しかし、そこにはかなりのギャップがあって、実際、私の埼玉に住んでいたら平均で四百万円ぐらいという試算を考えれば、本当の意味で、この消費税の問題、早くに言ってくれなかったら対応ができないんですよ。それによっていろいろなことを皆さん計算して家計は頑張っていらっしゃるし、中小零細企業もそれによって考えていますので、この点に関しては、自分の任期中はやらないなんという無責任なこと言わないで、出すなら早くしっかりと責任を持って答えていただきたいと思います。

 今お答えの中で、多少はしょりますけれども、徹底的な無駄の廃止をしなければ国民の理解を得られない、そういった認識があるんだと。先ほど財務大臣もおっしゃられておりましたけれども、やはり無駄というものはなくしていかなければいけないというのがこの法律を出された根源なんではないか。そして、そのためにはいろいろ努力されたということも今おっしゃられていました。

 それでは、先般、私、都市計画法の一部改正で質問をさせていただいたんですが、そのときに、国保有の地下駐車場というものが出てまいりました。これは全国で現在十四カ所ございます。建設費、総額九百九十五億円です。つくりまして、空調設備とかは委託している一つの団体、財団法人駐車場整備推進機構。ちなみに、こちらの方の理事長さんは、建設省の元事務次官をされていた鈴木道雄さんという方。常勤、非常勤も合わせまして、最終官職、国土地理院から警察庁、建設省、運輸省、通産省と、本当に天下りと言うには非常にわかりやすい役員構成になっています。

 ここのところを調べていて思ったんですけれども、国が基本的につくり、渋滞緩和とかいろいろな目的はあったらしいんですけれども、なぜこういった財団に一括して結局のところ決めてしまったのか。こういった予算の使い方、つくって、実際には設備費とかそういった負債もあるから、先般の答弁では、パーキングでお金を取っても、売り上げがたとえ出たとしても、国の方には一銭も戻ってくる仕組みではないと。実際にそこの辺の売り上げが、どこの施設は幾ら取っているかは知らないんだというような説明も受けております。こういった財団の使い方というもの、いいんでしょうか。

 まず、この財団にどうして決めたのか、お答えいただけないでしょうか。

伊吹委員長 国土交通省谷口道路局長、事実関係だけ述べてください。

谷口(博)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の国が建設する駐車場につきましては、兼用工作物ということで、国と財団の駐車場整備推進機構が締結した協定に基づき、国は駐車空間である本体等の整備を行い、財団は、みずからの負担により空調設備や中央監視施設等の機械設備の整備を行うとともに、駐車場の管理運営をも担当しているところでございます。

 財団は協定に基づき駐車場の料金を徴収しておりますが、料金収入のすべてが財団の負担した整備費の返済並びに管理運営費に充当されているということでございます。

 なぜ駐車場整備機構を選定したかということでございますが、三点ございます。

 まず、料金設定に関して、公共駐車場の性格から利潤を追求する料金設定は好ましくなく、駐車場の利用をできるだけ促進できるように、かつ近傍の民間駐車場の経営を圧迫しないように均衡を図りながら適切に料金水準を設定しなければならないこと。二点目は、サービスレベルにつきましては、身体障害者用駐車升の確保を初め、安全、防犯等の観点から、その時々に必要となる公共駐車場にふさわしい水準を確保していかなければならないこと。三点目は、料金収入によりみずから負担した整備費用を返済した上で、仮に将来剰余金が発生した場合にも、公共駐車場の料金収入から生じたものであることから公益的な事業に還元されるべきであること等から、駐車場の整備に関する調査研究、幅広い支援等を行うことを目的に設立された財団の駐車場整備推進機構を選定させていただいておるということでございます。

小宮山(泰)委員 一番多いところでは、建設費に百十三億円もかけていたりするんですね。

 今これから質問しようとしていることは何かといえば、国が保有をしていた、もしくは保険料とかを充てていた建築物、それを財団とか独立行政法人などに委託をし、そしてその運営費が上がっても何しても、結局のところもとに、支出したところに戻らないという仕組み。一番端的なところ、よく無駄遣いの代名詞に上がるのが、現在、厚生労働省の独立行政法人の関係でありますグリーンピアとか、そういった施設でよく言われることでありますが、ちょっと一つだけ、おもしろい例が出てまいりましたのでお伺いします。

 内閣府に置いてあります、東京タワーにあります「感どうする経済館」。中身は、正直言って余り褒められたものではないんでしょうけれども、こちらの方、昨年オープンされまして、オープニングには官房長官も行かれたと思うんです。もともとは社団法人の日本広報協会、石原信雄先生が代表者ということでされていたところですが、ここを十八年度になりまして入札をされて、そういう意味では運営の主体が新しくかわった。東京タワーにもともとこの社団法人で広報室を持っていたところを、全額これは政府がお金を出して借りている形をとっております。どうして入札に変えて、その効果は何だったか、簡単に教えてください。

谷口(隆)政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の「感どうする経済館」でございますが、これにつきましては、従来、政府広報の紹介、展示を行うという趣旨で、政府広報展示室という形で運営をしておったものでございますが、これを全面改装いたしまして、昨年の十一月二十五日に「感どうする経済館」としてオープンをしたところでございます。

 この改装に伴いまして、従来、御指摘のこの社団法人日本広報協会との間で随意契約を行っておりました管理運営につきましても見直しを図ったところでございます。この見直しに当たりましては、ただいま申し上げました全面改装が年度途中に行われたものでございます関係上、翌年度、十八年度の当初からこの見直しを実施するということといたしまして、競争性、透明性の観点から、一般競争入札によることといたしたところでございます。この一般競争入札の結果でございますが、十八年度の管理運営につきましては、民間企業と契約を行ったところでございます。

 それから、この効果について御指摘がございましたが、入札の結果、この管理運営にかかわる契約金額がどうなったかという点について、事実関係として申し上げますと、当初、十七年度におきましては、この維持管理に要する経費は二千四百四万一千円でございましたが、これが十八年度、入札いたしました結果、一千三百六十万八千円となっております。

 この要因といたしましては、何点かございますが、一つは、施設の維持管理内容を見直しまして、また、人件費の合理化をしたということと、それから、資料作成費を直轄にしたことなどのほかに、入札による競争の効果もあったものと考えております。

 以上でございます。

小宮山(泰)委員 入札の効果があった。やはり、こうやって委託をするのにきちんと入札するというのは効果があるんだというこれは一例だと思います。

 ちなみに、「感どうする経済館」、ホームページ上は内閣府のホームページの一番下のところに出てくるんですけれども、官房長官行かれたと思いますし、そこには、一分間に日本の借金がふえる率ということで、重さのリュックがあった、それは背負われましたか。ちなみに、ごらんになられて、これは感動するほどに記憶に残られたのか、ちょっと感想を聞きたいと思います。

伊吹委員長 では、内閣官房長官、感想を述べてください。

安倍国務大臣 極めて短時間ではありましたが、視察をしてまいりました。私と竹中大臣と与謝野大臣で見てきたわけでありますが、今、委員が御指摘になられましたように、日本の借金の重さというのを体感してもらうためにリュックサックを背負ってくれということで、リュックサックを背負ったわけでありますが、その重みはしっかりと背中に残っておりますので、これを一日も早くしっかりと削減していくように努力をしていかなければいけない、こう考えております。

小宮山(泰)委員 当時ですと、一分間に大体六千五百万円分、六・五キロを背負われたと思います。一分間だからまず背負えたんでしょうけれども、これが百分になったら恐らく背負えないものだと思います。それだけ本当に重たいものだということを考えていただきたいと思いますし、これにも税金でいえば、三千万や本当に大きなお金が投入されています。本当に必要なのかどうかは、常に見直さなければいけないんだと思います。

 時間が大分迫ってまいりましたので簡潔に聞きたいと思いますけれども、今まで保険料やそういったもので積み立てていたものを処分する例も出てきております。

 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構、これは、三百の施設を早く高く売るために五年間という時限でつくられた独立行政法人ではありますけれども、本当に高く売れるんでしょうか。独立行政法人雇用・能力開発機構やグリーンピアとかやっていたところですけれども、どう考えても、当初予算から見ても、たたき売ったと言われてもしようがないようなことになってきている。また、その中においては、今のところは福祉を目的にするということで、そのまま継続できるように、施設を行政とかに数分の一という本当に小さな額で譲渡していますけれども、十年たてば自由にできるというようなところでもあります。

 これを見ていると、この五年間で、独立行政法人整理機構の方ですけれども、本当にこうやって高く売れるんでしょうか。はっきり言って、独立行政法人にわざわざしてまでやる意味があったのか、本当に疑問であります。その点に関して、答えをお願いいたします。

川崎国務大臣 年金福祉施設等の整理合理化に当たって、平成十六年三月十日に与党で、「年金福祉施設等の見直しについて」で、独立行政法人を設置し整理合理化を進めると。こうしたものを経て、昨年の通常国会に、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案提出、国会における議論を経て、スタートをさせていただきました。そして、年限を区切って仕事を進めてもらうということで、民間人をトップにしながら鋭意努力をしているところでございます。

 そういう意味では、野党の皆さん方は当時この法案に賛成したか、多分反対だったんだろうと思いますけれども、国会での議決に基づいてさせていただいている仕事でございますから、勝手につくって勝手にやったという表現ではない、そこだけはどうぞ御理解を賜りたい。

小宮山(泰)委員 いや、勝手につくって勝手にやったと言っているのではなくて、それだけ、例えば勤労者福祉施設に関しては、建設費四千四百六億円かかっているけれども、売却益百二十七億円。取り壊しとか原状復帰すればもっとかかったからこの方がよかったんだ、その分は戻るからいいんだというような説明も受けました。しかし、結局のところ、消費されてしまった雇用保険料、これが四千億円を超すという現実は変わりません。そして、それは戻ることがないのも明らかであります。

 こうやって今まで国が使ってしまった保険、そして委託していた保険料、この先いろいろなもので、こういった、国が所有して、そして使い方が悪かった、そして、当時は必要だといってやっていたにもかかわらず、結局のところ必要ではなかったと後で思う、それがまずもって指摘したいところでもありますし、先ほどから、無駄を抑制していく、そういった言葉が随所にあります。それでは実際に、現在何を無駄ととらえているんでしょうか。予算案で、必要なものしか予算は恐らく与党の皆さんは賛成していないと思いますし、政府も、恐らくは出した時点において、また賛成した時点において無駄だと思っていることはないんだと思います。では、何を無駄だと思っているんでしょうか。その無駄の概念というものが余りにもわからない、あいまいである。その点について、官房長官、概念を、定義をぜひお聞かせいただきたいと思います。

安倍国務大臣 何が無駄かといえば、これは大体、常識的にこれは無駄だなという我々の判断は大体正しいんだろう、こう思うわけでありますが、それを概念で整理するとすると、小泉総理がおっしゃっている、例えば民間ができることを国が税金を使って、あるいは公務員を使ってやっているのであれば、それは民間に任せるべきではないだろうかという考え方があります。

 そこで、では、何を民間に任せて、何を公でやらなければいけないか。何を民間に任せて、何が官でやらなければいけないかということでありますが、そこは時代によって変遷していくわけであって、これは不断の見直しが必要なんだろう、こう思っております。

 そのために、例えば、総人件費改革においては事務事業の見直しの重点課題を設定して、個別具体的な取り組みについて、これは、いわゆるお役人に任せていたのでは、お役人の観点から見た無駄になってしまうわけでありますので、民間有識者から成る行政減量・効率化有識者会議の意見をまとめていただきまして、それを踏まえながら検討を進め、事務事業の整理合理化を行うことにしているわけでございます。

 そうした意味で、我々は今後とも不断な見直しをしていく、無駄を省いていくという努力をしていきたい、こう思っています。

小宮山(泰)委員 不断な無駄の直しというのはいいですけれども、ぜひそこら辺に関しては、隠れ公務員とか外出し公務員と、いろいろな形で国の国費がいろいろなところへ流れていってしまって、実際に国でカウントされていない、それも無駄だと私は思います。はっきりとそのガイドラインを明示すること、提示すること、そしていつから無駄に変わるのかということも提示していただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて小宮山君の質疑は終了いたしました。

 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十分開議

伊吹委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 それぞれ大臣、御出席をいただきまして、ありがとうございます。

 先般、官房長官に、環境省の契約、総契約の九三%が随意契約である、こういう報道に接しまして、これについて資料をぜひ委員会の方に提出をということでありましたが、すぐさまお取り計らいをいただき、また委員長を初め理事のお力もいただいて、即日資料を提出いただいたこと、心から感謝を申し上げる次第です。

 このように大部な、五年間にわたる、一件五百万円以上の全契約、これを御提出いただきました。これは聞いてみると、昨年秋にNHKが情報公開で要求をした資料ということでございますので、各省でこうした資料もお出しいただければこの審議もより深まるなという思いを強くしたところでございます。

 そこで、きょうは、環境大臣、今入院中ということでお見えいただいておりませんので、二階環境大臣臨時代理にお見えいただいております。ありがとうございます。

 そこでまず、この九三%の随契について、詳細は、副大臣もお見えですからこの後伺うとして、まず臨時代理として、この九三%、もうお聞きになったり報道を見聞きされたりしておると思うんですが、私、正直、非常に驚きました。全契約の九三%が随契かということでありますが、臨時代理として、率直な御感想をお聞かせいただけますでしょうか。

二階国務大臣 お答えいたします。

 環境省の契約の九三%が随意契約であること、予算決算及び会計令第九十九条の六に基づく見積もりを徴取していないとの報道がなされております。しかし、これらは、専門性の高い調査研究であるなどの理由で、その執行上随意契約としたもので、会計法令に反するものではないというのが現在、環境省の見解であります。

 しかし、今議員も質問でお述べになられたとおり、この九三%というのは、環境省契約のすべての中の九三%ではなくて、そういう専門的な分野における契約が随意契約に偏したということでありますが、いずれにしましても、透明性、効率性の見地から、私は見直す必要があると考えております。

 昨日も環境省へ参りまして幹部の皆さんにもお目にかかってまいりましたが、けさほど来もいろいろな意見を交換する機会がありましたから、これはできるだけ透明性、効率性をしっかり踏まえて対応するべきだという私の考えを申し述べてまいりました。

 なお、本日、閣議におきまして、内閣総理大臣及び安倍官房長官からも、各大臣がこの随意契約の見直しに積極的に取り組むようにという御指示があったところでありますが、私は当然のことだと思っております。

 環境省としては、今指摘されている問題を含めて、随意契約の見直しの中で詳細に点検をし、効率的で信頼性のある契約体制を確保するということが大事だと考えております。

 ただ、言いわけではありませんが、環境省の仕事の中で、特殊な、しかも、その会社でなければ、その団体でなければ調査が十分やれないという部分もあるようでありますが、そうしたことなどはできるだけ公表して、そして、他に参入をしたい希望の人たちがおればどんどんと参加をいただいて、やがて透明性のある入札にしっかりと移行していくということをやっていくことは当然のことだと思っております。

 よく御趣旨を踏まえて、今後に対処したいと思っております。

武正委員 今臨時代理からお話がございましたが、この資料は五百万円以上の全契約なんですね。ですから、細かいところは随意契約があるのかもしれないけれども、やはり五百万円以上、これは会計法あるいは予決令にのっとっても一般競争入札原則というものの全契約でございます。その九三%が随契という、それが今言った専門性があるからというのは、私はやはりとても説明にならないというふうに言わざるを得ないのでございます。

 そこで、今の御指摘の中で、副大臣に伺おうと思いますが、その全二千七百六十四件の随契、報道によると、これは全部相みつをとっていない、単独の見積もりである、こういう報道に接しているんですが、これは企業でいっても、どこの会社でも、五百万円以上の支出で相みつをとらないでいいという会社なんてないですよ。必ず企業内で相みつをとる、これは当然のことであって、五百万円以上どころか、それこそ五万円以上とか十万円以上とか、そのぐらいから、みんな企業はできるだけ安いそうした契約を交わそうと、内部での牽制、チェックが、会計に関して、支出に関して働いている。これについての報道の真偽。

 それと、今お話がございましたが、実は既に我が党の近藤委員からのこの委員会での資料でも、随契から、さらに公益法人への再発注というんですか、丸投げ、これが二〇〇五年度五百十一億円に上るということでありますが、そのうち最多が経済産業省と法務省ということで、実は独法から、さらに公益法人、この丸投げ、この指摘もあるわけなんです。

 実は、環境省のこの五百万円以上の資料を見ると、これも報道に出てくるんですが、天下りの公益法人が四十九団体、そのうち三十四団体が随意契約で受注をしていると。その天下り公益法人のうちで、五年間で一番多いのが二十七億円、自然環境研究センター。この財団法人は、事務次官と局長が天下りをして、江東区のビル全体を借り切っていて、天下り法人でも最も多い受注額であるということでありますが、この財団法人自然環境研究センター、ここにまた最大の額が環境省から流れている。

 こうした公益法人への再発注、これについては、改めてやはり、随契で九三%、そしてその先が公益法人。先ほどの分類、十六年度の分類だけしても、全体で五百八十七件の件数、うち五百四十二件が随契。そのうち、今言った財団法人、社団法人が二百四十七件、独立行政法人四十四件、そして株式会社二百五十一件ということで、随契の中でも半分以上が公益法人、独立行政法人でございます。

 この二点について、この財団法人とはいかなるものなのかも含めて、副大臣からお答えをいただけますでしょうか。

江田副大臣 先生からの御質問にお答えさせていただきます。

 まず、予算決算会計法令九十九条の六に基づく見積書の徴取に関係する御質問だったと思います。

 この法令によりますれば、「契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。」とされておるとおりでございます。しかしながら、報道で指摘されております調査研究費等につきましては、その専門性のために、相手が一人しかいない場合、ほかの者と契約することができないことから随意契約としているものでありまして、その性質上、他者から見積書を徴することは困難と考えてきたところでございます。このことは会計規定上も許容される範囲であると考えております。

 しかしながら、先生の御指摘にもありますとおり、契約の透明性、効率性を確保していくということは、我が省においても非常に重要な点でございます。随意契約の見直しを求められていることにもかんがみまして、このような随意契約にありましては、極力、何らかの方法、工夫によりまして、複数の見積もりをとる等の方策を検討していくことが重要と考えております。

 ともかく、六月までに見直し計画を行っていくわけでございますけれども、その中におきましても、見直すべきものは見直すという方向でしっかりと取り組んでまいる所存でございますし、そのように行政にも指示をしているところでございます。

 それと、先生の後の質問でございますけれども、自然環境研究センターの件でございます。

 まず、自然環境研究センターというのはいかなるものかといいますと、このセンターにおきましては、非常に高度な、専門的な仕事をやっておられるところでございまして、人間社会と自然との共存関係の構築等について科学的、政策的に研究する機関として設立されたものでございます。

 この事業内容というのは、自然環境の保全に関する調査研究、また情報の収集整理、提供、そして自然環境保全に対する技術的な支援ということでございますので、私も科学技術の専門家でもございますけれども、そういう非常に専門性が必要とされる仕事をやっているところでございます。

 その自然環境研究センターに対しましては、環境省は今回、野生生物の保護管理に関する調査とか自然環境情報の解析等に、平成十六年度には三十四件、五億円の業務を環境省から発注したところでございます。

 先生御指摘の天下りについてでございますけれども、現状はどうなっておるかと申しますと、この財団法人自然環境研究センターの環境省出身理事というのは、理事数は全部で十二名でございますけれども、そのうち常勤理事に一名、元自然局長、そして非常勤理事に一名、ここは無給でございますけれども、元環境省の職員であった者が行っているという状況でございます。天下りの数的にも少ないものではございますけれども、決してそのことに影響してそのような発注が行われているというようなことはないものということでございます。

 以上です。

武正委員 先ほど指摘をした二千七百件すべてが相みつをとっていないということでよろしいんでしょうか。

江田副大臣 そのとおりでございます。

武正委員 臨時代理、今のお話を伺って、さっき専門性と言いましたけれども、自然環境保全調査費とか、これも財団法人ですね。自然公園の管理費とか、あとは研究費ですね、公害防止等調査研究費、これも財団法人が随意契約で受注をしております。決して専門性、専門性と言っても、さっき言った調査だけじゃない、いろいろな名目がある。その随契二千七百件以上、全契約五百万円以上、見積もりを一切とっていない、このことを聞かれて、担当大臣としてどのように思われますか。

二階国務大臣 私も新聞等で最初拝見したときに大変奇異に感じたものでありますが、その後、環境省からいろいろ事情を聞いておりまして、一応、今お話にありましたように、専門性とか、あるいは特殊な技術を必要とする、またその会社でなければ、その団体でなければ発注に応じられない、そういうことの説明といいますか、そういう実情であるということは伺っておりますが、やはり透明性という面におきましては、もう一度洗い直してみるということが大事であると思いますので、早速環境省にも、よく御質問の趣旨、あるいは、きょうたまたま閣議におきまして総理及び官房長官から御指摘のあった点を踏まえて、徹底的に調査をし、改善に努力をするという方針で臨みたいと思っております。

武正委員 官房長官もお見えでございます。

 先日は、資料を出していただきたいということで、このように、環境省、五年間の五百万円以上の全契約の資料を出していただきました。今の、随契九三%、全契約にわたって五百万円以上です、五百万円以上の契約で相みつをとっていない、このことを聞かれて、官房長官として率直な御感想をお聞かせいただけますでしょうか。

安倍国務大臣 随意契約の適正化につきましては、二月の二十四日に「公共調達の適正化に向けた取り組みについて」を取りまとめたところでございまして、現在、緊急点検を行っているところであります。六月にはその見直しについての取りまとめを予定いたしております。

 さらに、先ほど来、臨時代理から御説明を申し上げておりますように、本日の閣僚懇談会におきまして、国民の納得を得られるように、これらの点検、見直しに各大臣が積極的に取り組み、十八年度予算の執行に反映をしていただくように、私からも、また総理からもお願いをしたわけであります。環境省においても、これを踏まえて、積極的に随意契約の問題について点検、見直しに取り組んでいってもらいたい、このように思うわけであります。

 いずれにいたしましても、政府としては、簡素で効率的な政府をつくっていくために、出すべきうみはしっかりと出していく、襟を正すべきはしっかりと正していくという気持ちで努めていきたい、このように思っております。

武正委員 まず、六月であるというのは、この法案の審議ももう終わってしまうわけでありますので、私は、速やかにそれぞれの再点検をしていただきたい、この審議中にぜひ出していただきたいというふうに思っております。

 これは改めて委員長にお願いをしたいというふうに思いますが、具体的な要求といたしましては、環境省でこのように五百万円以上の五年間の全契約が出てきたわけですから、私は他省庁でも出せるというふうに思いますので、改めてこれを他省庁にもお願いしたい。委員長には資料要求をお願いしたいと思います。

伊吹委員長 今の御要求については、後刻理事会で協議をいたします。

武正委員 そこで、経産大臣でもある臨時代理にお伺いをしたいと思うんですが、今、官房長官は環境省だけというようなお話だったんですけれども、五百十一億円丸投げ、随契は、二〇〇五年度で、再委託が五百十一億円、トップは経産省ということで百二十億円、このように相みつをとらないで随契をやっているというケースは環境省だけじゃないんじゃないか、そういうことなんですね。ですから、私は資料要求をしたわけです。

 経産大臣でもある臨時代理、経産省ではこういったことはないということでよろしいでしょうか。

二階国務大臣 経済産業省及び当省所管の独立行政法人や公益法人との間で平成十七年度に契約を行った件数は、いわゆる少数の契約を除きましても六百七十二件、一千三十九億円であります。少数契約というのは、二百五十万円以下の印刷あるいは百六十万円以下の物品調達等は、会計法上、事務合理化の観点から、随意契約によるということが認められているわけであります。

 このうち、件数ベースで約三割は、契約を行う旨ホームページで公表し、調査企画等を公募して、競争していただいて契約相手方を選定する企画競争という方式によっております。残りの約七割は随意契約によるものとなっております。当省では、平成十七年度から企画競争の積極的な導入を進めるなど、経済産業省の契約について競争を広げてきているところであります。

 現在、政府全体で随意契約の緊急点検を行っており、六月に取りまとめを行うという方針になっておりますが、経済産業省としましては、けさほど来の閣議におきましての総理及び官房長官の指示に基づき、随意契約の積極的な見直しを行ってまいりたいと思っております。

武正委員 ちょっと順番が逆になってしまいましたが、官房長官、先ほど資料要求を委員長にしましたが、政府から出していただかなければこれは何ともできないことでございますので、先般も出していただきました、ぜひ他省庁も含めてこの五年間の全契約を出していただくことを改めてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍国務大臣 先ほど委員長から、理事会で協議をされるということでございますので、理事会から要求されれば政府としてもこたえていきたい、こう思っております。

武正委員 そこで、ちょっと時間も押しておりますので、独立行政法人の役員への天下りについて伺いたいと思います。

 総務大臣、独法通則法では二十二条で、「政府又は地方公共団体の職員は、役員となることができない。」こういう規定がありながら、平成十三年の公務員制度改革大綱で、役員への出向は例外とするということで、過日申し上げましたように、長にあっては、八割を超える長が役員に出向しているというか、国家公務員、退職公務員である。全役員では五割ということであります。私は、やはり独立行政法人の性格からして、この役員出向はやめるべきだというふうに思うんですが、これについての御所見。

 並びに、一体、出向した役員はどのぐらいで帰ってくるのか。二年なのか三年なのか、これもよくわからぬということでありますから、私はこのことを明らかにすべきだと思うので、やはりこれについては資料も提出していただきたいというふうに思うんです。

 以上二点、総務大臣、御所見並びに御回答をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 独法の役員でございますけれども、まず、政府の職員、これは国家公務員法が適用されますから、それによりまして、職務に専念するということが義務づけられております。そういうような意味で、これは通則法において、そういう人が役員になるというのは適格性を欠いているという、欠格条項に規定しているわけでございます。

 しかしながら、政府から独立行政法人へ役員出向者、これは政府職員ではない、つまり退職して行っているということでございますので、またこれは国家公務員法が適用されないということでありますので、法人の業務に専念をしていただけるという可能性があることから、これは欠格条項にはなっていない。仕組みはそのとおりでございます。

 委員のお尋ねは、その上で、これはやはりやめるべきではないかという御指摘でございますが、仕組みとしては今申し上げたような仕組みで、これは、平成十三年の公務員制度改革大綱及びその後その制度化が行われた平成十五年の国家公務員退職手当法の改正により国会でも制度化をしていただいたものだと思っております。

 もう一つの、この中身を明らかにすべきだということでございますが、ちょっとこれは今急に御指摘いただいた点でございますけれども、これも委員会の御指摘に従いまして、委員会の御決定に従いまして、調べられて出せるものは、当然のことながら出させていただきます。

武正委員 独立行政法人についての議論がきのうもありました。イギリスのエージェンシーでは、やはり国会に対する説明責任、そしてあくまでも独法の責任者はその主任担当大臣である。しかしながら、独法に対しては独立性を持たせたいということで、さまざまな権限を、お金、財源も含めて付与している。しかしながら、身分は国家公務員である。今やイギリスは国家公務員の八割近くがエージェンシーである。

 こういったことが、もともとお手本にした独法、エージェンシーとは随分日本の独法は制度設計が変わっている。その最たるものが、役員の大方を国家公務員の出向者で占めている、そして何年かでまた戻っていく、こんなおかしなことがあるというのはやはりこの際やめるべきであるということを重ねて申し上げまして、委員長には、今総務大臣は委員会から御指摘があればということでありましたので、ぜひ、どのぐらいで出向者が独法から本省に戻っているのか、その年数なり、これをつぶさに委員会に資料として御提出いただかなければ、やはり独法のこの出向者の是非、議論ができませんので、資料要求をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊吹委員長 それらの扱いは、先ほど申し上げたとおりでございます。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて武正君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介です。

 先ほどの同僚の武正議員の質疑を聞いておりまして、やはり随意契約を取り巻く問題、ますます疑念が深まったなという感を禁じ得ません。

 昨日の理事会で民主党が資料要求をしてまいりました随意契約に関する資料、与党の理事の先生方そして委員長のお取り計らいもあり、昨日また新たな資料が提出をされました。本委員会の議論を深める上でも大変ありがたいことだなと思っているわけでございますが、委員長のお許しを得て、資料を配付させていただいております。

 一枚目の資料でございますが、「各省庁による所管公益法人への随意契約の状況」という資料でございます。

 平成十七年度の所管公益法人への随意契約の額は、総額で、現時点でわかっている限りでも五千三百九十五億円。これは地方分局の数字を入れておりませんから、もっと膨れ上がるかと思います。大変な額です。

 私たち民主党はこの随意契約に何でこんなにこだわるのか。それは、公共調達をめぐって、これまで競争入札が行われても官製談合が横行しているわけであって、ところが、随意契約というのは、談合という策を弄すまでもない極めて不透明な面が多い。だから、会計法で法令上原則禁止と条件も厳格に定めている。こういう随意契約の実態を調べなきゃいかぬ。本委員会で調べてみたところ、五千億円を超えるマーケットがあったということなんですね。

 政府は、今回の法律で市場化テストという中身を入れております。しかし、市場化テストということを言う裏腹で、全く市場にない官製市場を五千億円、六千億円つくっている、これはどう見てもおかしい。まずこの随意契約のことをきっちり明らかにすることが本法案を議論する大前提だということだから、我々はこだわりこだわりこだわり続けているわけでございます。

 そこで、官房長官、ぜひ総理大臣の名代としてお答えいただきたいわけでありますが、本日の閣議でも、随契についてしっかり調査せいという指示があったという話でございました。であるならば、今回の、昨日の資料にも、いただきましたら、残念ながら昨日の資料では足らないところがまだあるんです。それは、なぜ随意契約に至ったのかという理由が付されていない。これについて、本委員会委員長の御指導のもと、とにかく出せるものは出してくれということで、きょう昼までに、行政監察をつかさどる総務省、そして予算をつかさどる財務省、さらには法案提出である内閣府、これについては理由を付して出していただきました。突貫作業で大変だったなと思いますが、出していただきました。

 ぜひ、六月と言わずに、これは委員会の指示とかいうのではなくて、内閣はきょうの閣議で随意契約を点検せいという指示を出したんですから、官房長官、大至急、本委員会が審議をしている間に、ぜひ政府みずから、市場化テストの法案を審議していただきたいのならば、先ほどの武正議員の言った資料、さらにはすべての随意契約について、少なくとも昨年度分については理由を付して資料を出し直していただきたいと思いますが、官房長官、いかがですか。

安倍国務大臣 資料につきましては、理事会でお取り扱いを決定していただけるということでございますので、それに従っていきたい、こう考えております。

近藤(洋)委員 私は、官房長官、政府の意思で公開する気はないのかということなんですね。法案を審議するわけですから、しかも市場化テストを入れているわけですから、ぜひ政府の意思で、今、随意契約はこうですと。少なくとも、会計法令上グレーな部分があると財務大臣が答弁しているんです。であるならば、明らかにするのが政府の責任だと僕は思うんですが、それが、次の時代のリーダーの、安倍官房長官の責任じゃないですか。もう一度御答弁ください。

安倍国務大臣 ただいま私どもが緊急点検をしているということについては先ほど申し上げたわけでありまして、六月を目途ということで鋭意努力をしているわけでありまして、また、対象が大変膨大であることから、作業もなかなか大変なわけでありますが、しっかりと結果を出すべく努力をいたしております。

 一方、当委員会におきまして、先ほど来お話をいたしておりますように、理事会において御指示をいただければ、私ども、その資料についてはしっかりと、さらに作業を速めまして、提出をしていきたい、こう考えております。

近藤(洋)委員 行政が逃げるのであれば、やはり三権分立、これは立法府の責任で調査をしなければなりません。

 委員長、ぜひ、随意契約の理由も含めて、情報を公開するようにお取り計らいいただければと思います。

伊吹委員長 本件については、各会派から出ておられる理事と理事会で協議をいたしますが、委員長からも近藤委員に申し上げます。

 行政は、立法府に対して法令審査に最大限の協力をするというのは、これはもう一番大きな仕事であります。しかし、同時に、行政は行政権の執行という仕事を持っております。

 それから、立法府といたしましては、立法審査のために必要な資料は最大限行政府から出してもらうということは当然でありますが、やはりその資料を使ってのやりとりを必ず議事録に残して国民の目に触れさせるということをしなければ、資料をとるというだけでは意味がありませんので、その点も含めて理事会で協議をさせていただきます。

近藤(洋)委員 次の議論に移りたいと思います。

 さて、情報の公開というのは極めて重要でございます。その観点から、非常に気になる事例について伺います。旧日本輸出入銀行、現在の国際協力銀行が行いました東シナ海における石油ガス田向けパイプライン融資の事業でございます。

 資料の2と3をごらんいただければと思うのでございますが、東シナ海では、御案内のとおり、日本と中国の中間線をまたがる地域において、中国側が石油、ガスの生産準備を進めており、日本側は権益が侵されるとして、政府間の協議が難航しているところでございます。

 いわゆるこの係争地域におきまして、旧輸銀は、九六年の十月に、中国側が中間線上にある油田と一体的に開発している平湖と呼ばれる油田と上海を結ぶ四百キロのパイプライン事業に対して、総額九千万ドルの融資を行っています。日本円にして約百十億円でございます。金利はLIBORプラス〇・二五、当時としては非常に中国側に有利な条件でございます。

 旧輸銀は、この融資に際して、当時、財務省とのみ形式的な議論をしただけで実行してしまった。この融資は、後ほど明らかになった後、エネルギーの関係者からは、係争地域において日本側が、政府系金融機関がその事業に関して資金を供給するということで、結果的に中国の開発事業にお墨つきを与えてしまった、人によっては、敵に塩を与えるような融資事業であったと多くの批判を受けている事業でございます。

 まず、官房長官、係争地域に関して、政府系金融機関が、政府内で外務省や経済産業省と協議もなくアンタイドローンを行ったこと、私は、これは配慮を欠いた決定だったと思うわけでございますが、このことが結果として国益を損ねかねない。

 生産が今や始まろうとしています。今やもう春暁で始まろうとしている、春暁という油田で始まろうとしている。平湖というのは隣のガス田ですが、いずれにしろ、もうパイプラインでつながっています。春暁で生産が始まれば、輸銀が融資したパイプラインを通じて中国にガスが運ばれる、こういうことであります。

 こういった国益を損ねかねない事態に今現在陥っているということについて、どのように受けとめていらっしゃるか、当時の輸銀の判断は適正だったと思うか、官房長官、お答えください。

安倍国務大臣 平湖石油ガス田は、日中の中間線から約七十キロ中国側に入った位置にございます。現在問題とされている春暁、日本名白樺石油ガス田とは鉱区としては別個の石油ガス田であるのは、もう委員御承知のとおりだと思います。

 当該プロジェクトへの融資は、当時、我が国企業が多数進出をしております上海市等に必要なクリーンエネルギーを提供することにより、環境改善を図ることなどを主たる目的として融資が行われたというふうに聞いているところであります。

 融資決定に当たっては、先ほど委員が御指摘になったように、当時の旧日本輸出入銀行が旧大蔵省に対して一般的な協議を行ったわけでありますが、他の省庁とは調整をしていなかったものというふうに承知をしております。しかし、現在は、旧日本輸出入銀行の業務を引き継いだ国際協力銀行の同種の融資については、財務省、外務省、経産省を含む関係省庁と密接に連絡調整をとっているというふうに承知をしております。

 つまり、当時の判断としては、先ほど申し上げましたような目的があったことと、当時の状況で、今のこの東シナ海、この地域の他の春暁等々との関連を十分に予測できたかどうかという点もあるんだろう、こう思うわけでありますが、現在は、今申し上げましたように、関係省庁と密接な連携をとっておりますし、また、戦略的な観点からもこうした融資等についても判断をしていくことになっていく、このように思います。

近藤(洋)委員 しかし、官房長官、当時としてはやはり適切な協議を欠いたんだと思うんですね。時間がないのではしょりますが、少なくともこの件については、会計検査院も、果たして手続として適正だったのか、結果として違う目的に使われたとしたら会計検査院の観点からも問題だという答弁をしている案件だということだけをこの場では指摘したいと思うわけでございます。

 そこで、きょうは、お忙しい中、国際協力銀行の篠沢総裁にお越しいただきました。ありがとうございます。

 篠沢総裁は当時の総裁ではございません。当時は保田さんが総裁でありましたから、当時の責任を問うのは多少酷かなという気もするわけですが、しかしながら、現総裁として、現在もまだ融資残高が残っておりますから、現在も続いている融資でございますから、私は、この不適切な融資は、少なくとも融資を引き揚げるべきだ、場合によってはそういう措置も講ずるべきではないか、本来の目的と違うことに使われた場合は融資を引き揚げるということもあり得るのではないかと思うわけでありますので、現総裁に伺います。

 現総裁、このアンタイドローンは手続において不適切な面があったとお認めになりますでしょうか。いかがですか。

篠沢政府参考人 お答え申し上げます。

 今官房長官から詳細御説明がございましたとおり、平湖石油ガス田は日中の中間線から約七十キロメートル中国側に入った位置にあったわけでございまして、中国名春暁石油ガス田とは別個の鉱区としてあるというふうに考えるわけでございますが、特に、本行といたしましては、当時の状況を調べましたところ、九五年当時、中国が中国名春暁の試掘に成功していたということを承知していない状況にあったということでございます。

 そして、中間線から七十キロメートル中国側に入っている、そういう状況の中で、当時、我が国政府の施策として、いわゆる資金還流の続きでございます開発途上国への資金協力計画などを進めておりましたので、アジア開発銀行からのお話がありましたときに、これに乗りまして融資を行った。融資目的は先ほど官房長官が申されたとおりでございますが、そのような事情にあったということを御理解いただきたいのでございます。

近藤(洋)委員 聡明な篠沢総裁とは思えない答弁ですね。

 当時の石油関係者からは、あのあたりにはもう油田があって、日本の石油関係者も十分注目していたわけですよ。こんなのはエネルギー関係者の常識なんですよ。輸銀には通産省からも理事が出ているんじゃないですか。何のための理事なんですかね。どういう情報を得られていたんでしょうか。もし戦略的融資をされている政府系金融機関ならば、この事実を知らなかったです、アジア開発銀行からお話があったから乗りましたというのであれば、何のための輸銀なのか、全く意味がないということだけを指摘したいと思います。

 そこで総裁、お伺いしたいんですけれども、国際協力銀行は、旧輸銀の業務について、アンタイドローンの例えば金利であるとか条件であるとか、投資向け融資の情報について、非常に公開をしていない、閉鎖的だと思われるんですが、なぜ公開をされないんですか。こういったことをしっかり公開することが、今回のような、私に言わせれば不用意な融資を防ぐ一つの方策だと思うんですが、いかがでしょうか。簡潔にお答えください。

篠沢政府参考人 お答え申し上げます。

 今、事業開発等金融と言っておりますが、いわゆるアンタイドローンでございます。海外諸国の政府あるいは政府機関に対して貸し付けを行っておりますが、これにつきましても、借入人や融資対象案件の概要あるいは融資金額等はプレスリリースを通して対外公表をしております。

 ただ、今先生からお話ございましたような金利等の貸し付け条件というところでございますが、これは、金利等の細かい貸し付け条件ということになりますと、借入人の信用情報にそれぞれかかわるものになってまいりますので、これを公表することは、借入人の個別の利益を害するということにつながってくるわけでございます。

 先生御理解いただけると思いますが、それぞれの国あるいはそれぞれの政府機関に対して、我々の方から見ますと、それぞれリスクプレミアムが違っておりますので、多少の融資条件の違いというものは起こるわけでございます。この点をひとつ御理解いただきたいと思います。

近藤(洋)委員 準ODAなんですね、アンタイドローンは。可能な限り公開すべきだと思いますが、しかし、仮に公開しないとすれば、国際協力銀行はこれまで累計二兆三千億円近くのアンタイドローンを中国に対して実施しています。

 財務大臣にお伺いしたいのですが、政府は、政策評価法という立派な法律を平成十三年につくっています。対中国向け融資について政策評価法に基づく政策評価を行ったのか、イエスかノーかとあわせて、今回の政府系金融機関の統廃合に合わせて、財務省は財務省として、所管の金融機関に対して、政策金融業務について政策評価法に基づく評価を行ったんでしょうか。行っているのかいないのかだけ、簡単にお願いします。

谷垣国務大臣 ちょっとお答えの仕方が、政策評価法は政策金融機関が対象になっておりませんので、評価法に基づく評価はしていないというのが正確な答えでございます。

 あと、平成十六年度の政策評価書で、JBICの国際金融業務の融資状況について概括的に触れているのがございますが、今後、よりきめ細かい政策評価について、どういう形が適切か、検討していく所存でございます。

近藤(洋)委員 ここは、もう時間がないので、解釈の違いだと思うんですが、私は、JBICそのものを政策評価しなくても、政策金融という範疇で政策評価法に基づいて政策評価をすべきである、少なくとも、政府系金融機関をこれだけ統廃合するのであれば、やはり政策評価法に基づいて政策評価を下すのが法の趣旨にのっとると思うわけであります。それをしないのは、私はおかしい。

 本来なら総務大臣にお伺いしたいところだったんですが、飛ばしまして、いずれにしろ、私は今回、事前のレクで伺いました、政策評価法に基づく政策評価はしていないと。少なくとも、各政府系金融機関の果たしてきた役割は何だったのか、どうだったのかというのを、今回の政府系金融機関統合において政府がした痕跡は見られないんです。にもかかわらず、米農家の方から床屋さん、さらにはプロジェクトファイナンスまでする、お化けのような、うわばみのような金融機関をつくってしまうんです。今まで政策評価もしてこなくて、合併して、そして今度やりますというのでは、私はとても耐えられないと思うんですね。

 どんな民間企業でも、合併するときには事業計画というのは明らかに株主に説明するわけです。今回の行政改革法にはそういった説明が全くないということを、恐縮ですが、次の話題に、大事な話なので、どうしても聞きたい話があるので移らせていただきまして、時間がだんだん迫ってまいりましたので、またの機会にやらせていただきまして、ぜひ次の話題にさせていただきたいと思います。

 公営企業金融公庫についてお伺いしたいと思います。

 五ページ目に資料を載せていただいておりますが、公営企業金融公庫の財務諸表を見ますと、金利変動積立金という、これは債券借換損失引当金、別名こういうことも言うようでありますが、線を引いているところでございます、2のところでございます。この貸借対照表の2に、二兆二千八百五十億円の積立金が積まれています、この積立金が積まれている。債券は二十二兆円でございますから、約一〇%の引き当てが行われております。

 さて、竹中総務大臣にお伺いしたいんですが、公営公庫は廃止されます。廃止されるわけでありますから、しかも、先ほど大臣は、各自治体がリスクに応じてみずから資金調達する時代になるんだという話をされました。となれば、新たな仕組みになったときに、この二兆二千億円は当然減る、大幅に減るという認識でよろしいんでしょうか。

竹中国務大臣 先ほども御答弁しましたように、公営公庫に関しては廃止をしまして、資本市場等を活用した仕組みに移行いたします。そして、必要な財政基盤を確保する等、廃止に向けた一定の移行措置を講ずるということにしております。

 具体的な制度設計はこれからでございます。言うまでもなく、これは金利変動リスクに対処して持っているものでございまして、この審議の中でも、例えば外為特会に対して準備金を積んでいる、それと同様の性格のものであろうというふうに認識をしております。

 これは今後どのような制度設計をするのか。そして、これは残高が残っておりますので、その残高の管理をどのようにしていくのか、これはまさに移行期間の話ですね。それと、リスク評価をどのように行うのか。また、そういったことも含めて、地方団体の意見も十分に聞きながら適正に対応してまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 私は、この二兆二千八百五十億円をそのまま新たな金融機関に移すのは大問題だと思います。大臣がおっしゃったように、財政融資特別会計と同じ性格だというのであれば、少なくとも、財投はこのたび十二兆円を借金返済へ回したんですね。その結果、積立率は一〇%から五%に減りました。同じ率に考えるのであれば、この二兆二千億円は少なくとも半分以下にすべきである、これをそのまま移すというのはとても納得できないと思うわけでございます。

 そこで、せっかく来ていただいた与謝野大臣、財政金融担当大臣として御見識をお伺いしたいんですが、この二兆二千八百五十億円、これを私は基本的にはゼロベースで積み立てるべきだ、上限でも半分だと思うんです、上限でも。この一兆数千億円を借金返済に回せば、公務員宿舎を売るとかなんとか、そんな小さなことでは済まないだけの大きな財政再建の貢献になるんですね。ぜひこのお金をしっかり借金返済に回すという判断を政治的に、ここは恐らく財務省と総務省との引っ張り合いの世界になると思うものですから、ぜひ行司役としての与謝野大臣の御見識をお伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

与謝野国務大臣 公営公庫は国の組織でございますから、そこに引当金として残っている二兆円は国のものだと考えるのが私は自然だと思います。一方では、地方にすれば、高い保証料を払った結果このような積立金ができた、払い過ぎだという意見も当然出てまいります。その辺は、これからの公営公庫廃止に至る過程で、国と地方がどのように物を考えていくのか、これで決まってくるのであろうと思っております。

 しかし、原則は、公営公庫は国の組織、したがいまして、そこにある引当金は国のものである、一義的にはそのように考えるのが自然であろうと思っております。

近藤(洋)委員 ここは明確に、借金返済に回すべきだと思うんですね、財政再建が今回の行革法の趣旨でありますから。そこを与謝野大臣ほどの方が明確に言えないところに今回の法律のまたいいかげんなところがあるということを指摘して、質問を終えたいと思います。

伊吹委員長 これにて近藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 本日、この特別委員会では初めて質疑をさせていただきますけれども、これまで私どもの党の武正委員が独立行政法人について三度ばかりいろいろと議論をしております。私も、民主党の中でこの独立行政法人の見直しをどうやって行っていくのかということでやっております関係で、きょうは幾つかこの独立行政法人のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、中馬大臣にお伺いをいたしたいんですが、本法案の第二節の第十五条に「独立行政法人に対する国の歳出の縮減を図る見地から、」というようなくだりがあるわけでございますけれども、この「国の歳出の縮減」というのは、具体的に運営費交付金あるいは補助金といった財政措置が行われているわけですけれども、これをきちんと減らしていくということが今回のこの行革関連法案の独法にかかわる部分のねらいである、目的であるということで理解してよろしいでしょうか。

中馬国務大臣 結構です。

笠委員 きょう資料の方を委員長の御許可をいただいて配付させていただいておりますけれども、この一番目の、最初のペーパーの方に、平成十六年度、そして平成十七年度、そして平成十八年度の予算ベースの運営費交付金あるいはその他の補助金、一般会計、特別会計、それぞれの金額を並べておりますけれども、後ほど改めて細かくは聞かせていただきますけれども、運営費交付金一つとってみても、全く減額がされていないわけですね。ということは、もう既に十八年度に入っている中で、そもそもが、行革をしっかりと行っていく、独法に対しての歳出を削減していくんだ、こういった精神が全く感じられないわけですね。

 その点について、中馬大臣、お答えいただけるでしょうか。

中馬国務大臣 独立行政法人は、御承知のとおり、今までのいわゆる役所がやっていた仕事を、別の、何といいますか、実施部隊を離しまして、そして、これを永続とするんじゃなくて、一応当面は公務員でございますけれども、それも非公務員型にして、できれば民間までという、こうした一つの流れの中にあるわけでございまして、今、三カ年の中でのところでは、もう少しこれも、もちろん改革といいましょうか交付金等の改革も進んでおりますけれども、しかし、これは今後の課題でございまして、今それが減っていないからこれは効果がないということではないと思います。

笠委員 いや、今後の課題ということではなくて、まさに今後もやらなければいけないけれども、先般ちょうど、二〇〇一年度に発足をした独立行政法人の見直しといったものも、三月のいろいろな委員会の中で対象法人についての議論も行ったわけです。

 これまでにもう、この中期目標の中でしっかりとした、当然ながらそれぞれ法人ごとに見直しを行っていく、業務もあるでしょう、あるいは組織のあり方、あるいは人件費等々、事務費等々、そういったものをしっかり削減していくんだというようなことは、そのたび、その都度言われてきているわけですね。しかし、こうした形で全体で見ると、全くそこに使われている税金の金額が変わっていない。

 そして、特に独法の場合は、今、非公務員化をするということが、先般の対象独法、この二〇〇一年に発足をした独法でも、これが大きな法案の見直しの柱であったわけです。しかし、幾ら非公務員化しても、確かに少しは人事交流がしやすくなるかもしれないけれども、その給料というものは、結局は人件費というものは税金から支払われている構図は全く変わっていないわけです。どこが変わっているのか、何がどう変わるんだと。見せかけの改革に終わる可能性が非常に高い、あるいは隠れみのになっているんじゃないかということが、これはさまざまなところで私も指摘をしてまいりましたし、指摘もなされているわけです。

 そこで、もう一つお伺いをさせていただきますけれども、後ほどこの補助金のことについてはまた触れさせていただきますけれども、本法案の五十三条、これに関して幾つか伺わせていただきたいと思います。

 この中に、役員及び職員の人件費の総額について、今年度から、この平成十八年度から五%減額するということになっております。これは今、平成十八年の四月現在の独法は百四法人あるわけですけれども、それぞれ法人ごとに一律という解釈でよろしいでしょうか。

中馬国務大臣 目標といいましょうか、全体的なことは、一応の目安として五・五ということを言っております。

笠委員 ちょっと一応の目安ということでは、これは、私的にいえば、普通でいえば、最低でも百分の五、百分の五以上しっかりと削減するぐらいにやらなければ、一応の目安なんということを、まさに行革の担当大臣、これからいろいろな抵抗がありますよ、そこで切り込んでいこうという、まさにリーダーシップを発揮していかないといけない大臣が、一応の目安なんて言ったらだれもやりませんよ。ちょっとそれは非常に適切じゃないんじゃないですか、言葉が。

伊吹委員長 中馬国務大臣、もう一度しっかりと決意を述べてください。

中馬国務大臣 五・五と言いましたが、五%です。公務員ではございませんから、公務員と同様に、一つの国家的な今回の大きな目標でございますから、これはそういう意味での制約はするものでございます。

笠委員 しっかりとした答弁をお願いしたいと思います。

 それで、大臣、人件費の総額ということを書いてあるんですけれども、この人件費の定義というものを教えていただけますか。

中馬国務大臣 ここで言うところの人件費は、国家公務員に支払われる給与でございます。

笠委員 それでは確認なんですけれども、退職金あるいは福利厚生費、そしてもっと言えば非常勤の職員、アルバイトを使うお金、こういうのは全く含まれないということでよろしいでしょうか。

中馬国務大臣 非常勤職員は、これは正式の公務員ではございません。ですから、これは計算の中に入っておりません。

笠委員 私がお伺いしたいのは、この人件費というものの中は、これは定義がさまざま、狭義なものからあるいは広義なものまであるわけですね。その中で最も狭義な給与だけだというところをベースにした、それは、どこで、どういう形で決まっていったのかをちょっと御説明いただきたいんです。

中馬国務大臣 どこで決まっていったということではなくて、従来、こういう形で一つの統計的にも連続性を持って、公務員の給与、これを人件費ということにしております。

笠委員 それはちょっとおかしいんじゃないですか。平成十七年度における額、これがベースになっていくわけですよね。ここから百分の五、五%削減をするということなんですが、では、このベースになっている金額というのが総額で幾らなのか、お答えください。

中馬国務大臣 独立行政法人だけでございましたら、九千三百五十五億円でございます。

笠委員 恐らく、広義に、先ほど申し上げましたような退職金の引当金であるとか福利厚生費とか、あるいはアルバイト、非常勤、そういった形でかかわる人件費まで含めると一兆二千億円ぐらいにはなるはずなんですね。私の試算ではそれぐらいに伺っているわけですけれども、その一兆二千億円がベースではなくて、今おっしゃったのは、これは恐らく九千七百億円でしょう。まあいいですけれども、要するに、最も狭い意味で人件費を定義して、それをベースにして削減をしていくということは、やはりそれだけ削っていく金額というものが小さくなるわけですね。

 普通、人件費と言えば、この委員会でも問題になっていましたけれども、今物すごい非常勤職員がいるわけですね。あるいは今、一般の企業でもそうですけれども、正規の職員というものを減らして、それにかわってアルバイトを雇ったり、非常勤の職員を雇ったりということをやっていく。これは独法に限らずですけれども、この非常勤職員の給与というものがどこから支払われているのかが、またそれぞれの法人あるいは省庁によってばらばらであったりなどという問題もあるわけですね。

 しかし、やはりそこまで含めての人件費の定義をしておかないと、例えば、表向きの人件費は減らしたとしても、結局はほかのいろいろな支出の項目にそういう非常勤職員の人件費等々を潜り込ませて、結果としては削減できない、していないという、まさに見せかけの数字というものが出てくる可能性があるんですよ。

 だから、スタートの年ですから、やはりベースになる金額をはっきりとさせておかないといけないし、先ほど大臣は何か一連の流れみたいなことをおっしゃいましたけれども、これは広義に解釈してもいいわけでしょう、できるわけでしょう。それは何で規定されているんですか。

中馬国務大臣 今回の大きな流れは、人件費を減らすことが目的ではないんですね。御承知のように、今までお役所がやっておった仕事を民間の方に移していく、公務員でない方々でできるじゃないか、そういったことを移していく。これも一つの、独立行政法人ですから、その基準が九千五百億円であれ一兆二千億であれ、これをどんどん減らしていくことが目的なんですね。

 そうしますと、国家公務員に準じまして、独立行政法人につきましても五年五%以上の人件費削減を基本とする取り組みをすることといたしておりまして、お話があります非常勤の扱いにつきましても、国家公務員における人件費削減と同様、このようになっております、含まれておらないわけでございます。

 非常勤につきましては、専ら補助的な、定型的な事務を、これも恒常的にではなくて、季節的に大きく仕事の繁閑によって変わってまいります。そういうことでございますので、また個々の事業の必要に応じて採用されているところでございます。このため、一般に長期雇用を前提としている常勤職員とは異なって、従来からその費用については経理上の人件費としては扱っておりません。

 また、非常勤職員の業務内容及び勤務形態の特性から、常勤職員の業務は単純に非常勤職員に振りかえ得る性格のものではなくて、非常勤職員の業務量にはおのずと限度がございます。このため、非常勤職員に係る費用を第五十三条の人件費には含めずとも、独立行政法人における人件費改革の取り組みの趣旨が損なわれることはない、このように考えられるわけでもございます。

 以上から、独立行政法人の削減対象となる人件費には非常勤職員に係る費用は含まれておりませんが、独立行政法人においては、五年五%以上の人件費削減を基本とした取り組みが適切に行われるように推進して、これからもやってまいりたいと考えております。

 また、これに加えまして、今後とも、中期目標終了時の組織、業務全般にわたる見直しを通じて、独立行政法人の効率化に努めてまいりたい、このように考えております。

 なお、一般に非常勤職員の単価は低いために、補助的、定型的な事務については非常勤職員によって担わせることにより、厳しい財政状況のもとで、コストを抑制しつつ、適切な行政サービスの水準を確保されるように努力してきたところでございます。

笠委員 大臣、もう少し御自身の言葉でポイントだけ、私、別に揚げ足をとろうとかそういうつもりはありませんので。今、よくわからないですね、本当に。

 確かに私も思うんですよ。人件費を、特に独法の場合は、ある意味では、これは国家公務員と違って、今、どんどん非公務員化しているという中で、ある種の独立性というものを担保してあげるということが大事なんですね。冒頭、大臣にお伺いしましたよね。要するに、あくまでも税金の中からその運営費交付金等々、これを削減していく、その歳出の削減を図っていくことがやはり独法改革にとっては大きなねらいになってくるわけですよね。

 であるならば、例えば、人件費の総額の云々じゃなくてもいいわけですよ。むしろ、これだけの今回の行政改革推進のための法案であるならば、例えば、その責任者として大臣が、では、独法については、運営費交付金あるいは補助金等々、そういったものの五%を、やはり百分の五を減らしていこうとか、そういったことを逆に本来は盛り込めばいいわけですよ。

 ただ、それを削減していく方法は、それぞれ事業を削っていくこともできるでしょうし、あるいは、事務費、人件費、それぞれを切り詰めていく中でそうやって削減をしていく法人もあるでしょうし、私はそれでもいいと思うんですよ。ただ、そのことが本当に明確になっていないので、唯一、この人件費を削るということだけですよね。

 だから、そこあたりについて、大臣が、独法の見直しについて、行革を推進するお立場から、どういう気持ちでリーダーシップをとっていこうと思われているのかということを確認させてください。

中馬国務大臣 独立行政法人は、先ほど言いましたように、今までの役所の仕事を離してやっていくわけでございまして、これはそれぞれの主務官庁、また全体の場合もございますけれども、そうした形で、今、運営費交付金も含めて、その業務遂行のために、各年度、一つの財源措置はとっておりますけれども、これも予算管理で減らしていっているわけでございますから、そういう形で、特に人件費ということに限らなくとも、この中の運営費交付金そのものが非常に効率的に今後運営されざるを得ない。それぞれの独立行政法人でそういうところに追い込まれるといいましょうか、そういうインセンティブが働いてくるわけでございまして、そうしますと、それがまた、独立行政法人の中で、もう少し人を減らして効率よくするとか、あるいは給料を高くしても非常に少数精鋭でやっていくとか、外部に委託するとか、これは、それぞれの独立行政法人が、また次の時代を担った、また次の自分たちの置かれた立場を担った形で効率化していく、そのようなインセンティブを与えるのが今度の制度でございます。

笠委員 ここで確認したいのですけれども、五年で五%以上削減、あるいは、今言ったような運営費交付金等々の削減というものについては、今現在、各省庁の評価委員等々ございます、同時に、総務省の方でも評価委員が独法を評価、チェックしていく機関があるわけですけれども、これは今後、具体的にはどこでどうやって、チェックは内閣官房でやっていくんですか。そこあたりの指導、トータルの指導をどういうふうにしていくのかというのは、どこでやるのか。

 では、竹中大臣。

竹中国務大臣 五年間で五%、人件費の削減を行うとして、その進捗をどのようにチェックしていくのかという委員のお尋ねでございます。

 まず、独立行政法人につきましては、事業年度終了後三カ月以内に主務大臣に財務諸表を提出することになっているわけですね。そこで、提出して、その承認を受けなければならないとされておりますので、人件費削減の取り組みの基準となる金額というのは、この十七年度の金額になります。したがいまして、これは十八年の六月末までに算定されることになる、そこで基準額が明確になるわけでございます。

 この法案では、独立行政法人の人件費削減の取り組みの状況は、主務大臣が的確な把握を行うものとされております。これは、独立行政法人を管理する責任は主務大臣にそもそもあるわけでございますから、それは主務大臣においてしっかりやってください。我々総務省としましては、これらの状況を取りまとめて公表して、しっかりとフォローアップをしていくようにしたいと思っております。

 そして、委員も今御指摘くださいましたように、各府省の独立行政法人評価委員会が行う厳格な事後評価がございます。また、総務省が行う二次評価がございます。そういうものを通じて、人件費削減に向けた取り組みが適切に行われるように、まさにフォローアップをしてまいりたいと思います。

笠委員 それでは、六月の末までに、先ほど中馬大臣の方にもお伺いしましたけれども、この基準となる金額が算定をされる。ということは、その金額というものはまだ明確になっていないわけですね。

 ちょっと竹中大臣にもお伺いをしたいんですけれども、ということは、この算定のベースとなる金額は、先ほど言いましたように、狭義なものでもなくても、広い意味でこの人件費というものをきちんと要するにチェックをしていくためには、やはり非常勤の職員あるいはそういうアルバイトの人件費というものも含めないと、人件費ということでは別に常勤も非常勤もございませんから、そういう意味では、そこに変えていくということもまたできるわけですよね。

 その点、ちょっと竹中大臣、お伺いしてよろしいですか。

竹中国務大臣 これはもう何度か中馬大臣が御答弁くださっていると思いますが、我々は、やはり簡素で効率的な運営を目指すという観点からこの人件費に着目をしているわけでございます。物件費の中に含まれるいわゆる非常勤のものというのは、確かに委員御指摘のとおりあるわけです。しかし、例えば、仮にアウトソーシングして別の会社になった場合、その中にも人件費が当然含まれるわけでございますから、ほとんど人件費のようなアウトソーシングもございますから、そこはなかなか正直言って線を引くのは難しいだろう。その意味では、やはり人件費に対してその焦点を当てようではないかというのが今回の法案のそもそもの考え方であろうかと思います。

 それと、狭義、広義について、広くとらえるか狭くとらえるかについても笠委員御指摘ございましたけれども、例えば広くとらえると、そうしますと、福利厚生費が入るのか退職金が入るのかというのもございます。ただ、これは一種の管理ですから、福利厚生とか退職金というのは、短期的に五年でコントロールできるような話ではございません。

 その意味では、我々は、コントロールの当面の指標として、福利厚生費や退職手当を含めない方がよいのではないかというふうに考えているわけですが、これはしかし、その他の狭義のものが縮まれば、長期的にはほかのものもそれに追随してまいりますから、そういう意味では目的は達せられるのではないかというふうに思っております。

笠委員 ちょっと時間があれなんで、もう一点お伺いしたいんですが、きょう、資料の二番目、これは先般武正委員の方からも提出された資料でございますけれども、この出身内訳ですね。

 その次、三番目、実は、統合されたことによってこの平成十八年度からスタートした六法人がございます。これはまだホームページ等ができていないところもございますので、その六法人の役員、これを資料を提出していただきました。

 そうしたら、驚くことに、まず三―一からいきますと、土木研究所、これは常勤四人のうち四人が役所出身の方でございます。そして海技教育機構、これも理事長さんだけが民間で、ほか三人の常勤はすべて役所出身。そして次の三―二に参りまして、国立青少年教育振興機構、これも常勤はすべて官出身、要するに役所出身の方です。そして三―三、見ていただければわかりますけれども、これも四人中四人。そして三―四、この方々も、出向を除くと、民間人は十五名の常勤の中でわずか一人です。そして、三―五の水産総合研究センターにおいても、まさに出向以外については社団法人の方がおられますけれども、あとは役所、天下り。

 これでは、一対一とかなんとか割合を言っていますけれども、この十八年度から統合してスタートをした法人なんですよ。確かに役員の数は減っている。しかし、常勤役員のほとんどが天下りで占められているわけですよ。それでは今後も改革を本当にしていくのかと。

 中馬大臣、この状況についてどう思われますか。

中馬国務大臣 それぞれの主務官庁がその必要性等も十分にチェックしているものだと私は考えております。

笠委員 そういう他人事の答弁じゃなくて、竹中大臣にお伺いしますけれども、こういったことは、今回、今、行政改革を推進するための法案を審議しようと。三月にこれらの独法の見直しの法案審議をしたときにも、私も文科委員会できちっと大臣にも注文をつけておきました。しかし、これだけ見事にほとんど天下りの法人をスタートさせるということは、では、どこが、だれがリーダーシップをとってそこあたりはチェックするんですか。結局は、独法、役人任せなんじゃないですか。

 いかがですか、竹中大臣。

竹中国務大臣 今、例としてお示しいただきましたものは私が直接担当しておりませんので、その評価そのものをちょっと下せないのでございますが、基本的な考え方としては、天下り問題に対しては国民の厳しい批判があるということは我々も重々承知をしております。それに対して厳しい態度で臨まなければいけないという思いを強く持っております。

 そして、独法、その運営でございますけれども、そもそも公共性の高い独立行政法人の運営を効率的に行うというわけでございます。ここは、民間企業でありますとか、今回大学も多いわけですけれども、大学等で培われた経営感覚や専門能力を生かすということも必要でございましょうし、そして行政における知識、経験も当然反映させなければいけないと思います。

 このために、基本的な考え方は、この長、役員に選任される方というのは、やはり官民出身者のいずれに偏ることなく、バランスよく適材適所でなければいけない。その意味で、ちょっと委員も言及くださいましたけれども、国家公務員出身者の割合を二分の一以下にするという明確な基準は持っているわけで、それに基づいて主務大臣に適切に運用してもらわなきゃいけないわけでございます。

 もちろん、その場合に、官の出身者をどう定義するかという問題はございます。これに関しては、内閣官房の方でも基準をつくっておられまして、その基準に基づくしっかりとした運営は、これは行われているというふうに全体としては私は承知をしております。

笠委員 官民バランスといっても、これは民二人ですよ。ということは、今の総務大臣のお話を伺っていると、結局はそれぞれがやってくれるだろうというだけで、今後こうしたことはどこがチェックをしていくのか。要するに、それぞれの大臣が指導力を発揮してちゃんとやればいいんだけれども、なかなかそういう実態になっていない。だから、これは多分一対一どころじゃないですよ、九対一よりもひどいかもしれない、民間は二人しかいませんからね。こういうことであれば、本当に取り組む姿勢があるのかなと。

 中馬大臣、むしろこういうことは適切に指導していくべきじゃないですか。

中馬国務大臣 御承知のように、これは一つの期限を切っております。中期目標という形で、ことし、十八年度にまたその終了する期間が来るわけでございますけれども、十八年度以降に初めて中期目標期間が終了する独立法人につきましては、国の歳出の削減を図る見地から、その組織及び業務のあり方について見直しを行うことにいたしております。

 そうした規定もちゃんと規定をしているわけでございまして、こうした基本方針に沿って組織、業務全般にわたる必要性を見直すことが運営費交付金等の抑制にも資する、このように考えております。

笠委員 最後に、もう時間が来たので御指摘だけさせていただきますけれども、十八年度からとかなんとかじゃない、もう十七年度で終わったものを、それをもとに十八年度からスタートしている法人について今私は取り上げたんです。そこでしっかりとできるはずでしょう。それが全くこういう現状であるということをきょうは御指摘申し上げて、また機会を改めてやらせていただきたいと思いますけれども、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。

伊吹委員長 これにて笠君の質疑は終了いたしました。

 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 引き続き、中馬大臣以下、皆さんに質問させていただきたいと思っております。今回のこの行革推進法案そして市場化テスト法案について、きょうは私の方から基本的な問題についてお尋ねをしたいと思っているんです。

 基本的な政府のあり方、政府としては明確に今回の法案の中身を、目的を、小さくて効率的な政府ということを主張されているわけなんですけれども、私たちは、どちらかといいますと、徹底したサプライサイドの改革で、提案型で申し上げるというよりも、もう一つ、今やはり深刻な格差社会にあるという現状を踏まえた上で、ディマンドサイド、雇用労働者そしてその方々の家族の利益というような立場をしっかりと踏まえた、そんなスタンスでこの法案を見詰める必要があるのではないか、そんなふうに実は考えているところであります。

 そもそも、政府が今回、小さくて効率的な政府というふうにおっしゃっているんですけれども、その判断基準は一体何なのか。例えば、人口当たりの公務員数の比であるとか国民の負担率、いろいろな物差しがあろうかというふうに思うわけですけれども、一定、そのあたりを具体的にお示しいただかないとわからないかというふうに思うんですが、どのようにお考えなのか、まずお示しをいただきたいと思います。

中馬国務大臣 指標といいましょうか、判断材料と申しましょうか、これにつきましては特定のものがあるわけじゃございませんが、一般的に政府の規模に関する指標としては、国民負担率、これが重要な指標であろうかと考えます。将来に先送りしております財政赤字を加えた潜在国民負担率、過去の財政赤字も加えた分でいきますと、これが四三・九でございますが、今後はどんどんと高齢化社会でふえてまいりますけれども、そのめどを一応五〇%、どんなにふえても五〇%程度ということを、政府の規模を抑制する、骨太の二〇〇四ということにしております。

 そういうことで、国民負担率は、高齢化の進展に伴いまして今後とも上昇していくことが見込まれておりますが、本法案に基づく取り組みを進めることによって、簡素で効率的な政府を実現し、政府の規模の上昇の抑制、これを抑えていくということでございます。

 また、簡素で効率的な政府、これを目指す上では、公務員の数とか人件費の規模も重要な指標である、このように考えておりまして、我が国の人口当たりの公務員数は他の先進国に比べて低い水準にありますが、本法案においては、今後五年間で国家公務員の五%以上、何度も言っておりますが、地方公務員を四・六%以上純減させるといったことのほかに、長期的な目安としまして、国家公務員の人件費の総額の対GDP比を十年間でできる限り半減に近づけるよう留意する、このようにもいたしております。

 さらに、長期的な目安としましては、国の資産の額の対GDP比を十年間でできる限り半減に近づける、このように留意することとしておりますし、フローの面のみならずストックの面からも政府の規模の圧縮に努めていることでございます。

 さらに、経済の血液であります金融でございますが、この規模が大きく、金融資本市場の資源配分、これをゆがめているとの批判がございました。こういうことで、政策金融につきましても、対GDP比を半減するということにしております。

 これらの改革が総合的に推進されることによって簡素で効率的な政府が実現されるもの、このようにはっきりとした目標を持っております。

田島(一)委員 次に質問しようとしていたお答えまで先にいただきましたので、ちょっと流れが変わるんですけれども、諸外国と比べても日本のこの水準というのは非常に低いところに抑えられているという状況にあることは、今大臣もお答えいただいたとおり、お認めになっていらっしゃるわけなんですけれども、では、政府が主張している小さくて効率的な政府というものは一体何なのか、具体的に言えば何を目指そうとしているのか、このあたりをもう少し整理していただきたいというふうに考えるわけです。いかがでしょうか。

中馬国務大臣 今回のこの改革を何か少し矮小したような形で、増税のための下ごしらえだとか、そういったお話もございました。そういうことではなくて、私たちのこれからの日本の国のあり方、これまでお役所の方に少し依存し過ぎておった、ところが最近では、それぞれの個人も地域も企業も大きな力を持ち始めて、お役所に任せておくよりもはるかにこちらにした方が効率的だ、サービスもよくなる、こういったことの大きな改革でございますから、そういうことを目指して、それが結果的に今回の効率的で小さな政府という表現となりましたが、ともかくそういう形で次の時代の国家運営の規模、政府のあり方をこれから規定していっているわけでございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 日本の国のあり方、そしてまた、これまで役所依存体質にあった国民の意識を改革していきたい、そんな思いで今おっしゃってくださったのかもしれません。

 私ども民主党としては、今国会、冒頭から安全国会という位置づけをしてまいりました。民主党の話ですから関係ないとおっしゃるかもしれませんけれども、食べ物、乗り物、そして建物、子供の安全を政府でしっかりと担保していこう、そんな思いから安全国会という位置づけをしたわけであります。

 これにもう一度振り返って考えていきたいんですけれども、この安全、四つ申し上げましたけれども、これのベースとなるもの、これはやはり雇用の安心といいますか雇用の安全、ちょっとこじつけかもしれませんけれども、安心できる、安全な雇用というものも一定担保していかないとだめだろうということも私は考えるわけであります。

 四つの安全に加えて雇用の安全、合計五つですけれども、この安全という視点からとらえた課題を一つ一つ見ていくと、国民一人一人がリスクを背負うには限界のある問題点ばかりではないかというふうに思うわけであります。となると、最終的に、自己責任では転嫁できない問題点、こういう問題点については、我々、政府が、また政治がしっかりと責任をとっていくという立場にあるのではないかと考えるわけであり、今大臣もおっしゃってくださるような、政府の大小が問題なのではなく、結局は、いかに有効にして安心と安全を確保していくかが問われているのではないかというふうに考えるんですね。

 大臣はいかがお考えになっていただくでしょうか。

中馬国務大臣 今おっしゃいました、本当に政府が担わなければいけないのは、いろいろな企画立案のこと、そしてまた、安全、健康面の基準をはっきりとしてつけること、もちろん外交、防衛もございます。そうしたことに限って、それを実施することは極力民に任せていこうというのが今回の趣旨でございます。

 今申しましたように、雇用も含めた、セーフティーネットの方も含めた安全、それはやはり政府が責任を持たなければいけない。しかし、実施はまた別の方がやる。しかし、本当の企画立案をして、その安全の制度設計、これはやはり国家が、公務員がしっかりと責任を持たなければいけないと思っています。

田島(一)委員 確認なんですけれども、国民の暮らしそして社会の安全に対する責任、これは最終責任というものは政治そして行政が担うものだというふうに御理解を申し上げてよろしいかどうか、明確にお答えをいただきたいと思います。

中馬国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、国際化、人口構造の変化等社会構造の変化、大きなそうした流れが起こっているわけでございますが、その中で国民が安心して暮らすことができる社会の実現、これが大きな目標でございます。

田島(一)委員 明確に、最終責任は政府と行政が負うものだというふうに理解をさせていただきたいと思います。

 次に、市場化テストの方の質問に移らせていただきたいと思っております。

 これまでも議論が随分進んできたと思うんですけれども、改めて、この先の質疑をさせていただく前提として、大臣の方から、この市場化テストの目的、もう一度改めて簡明におっしゃっていただけませんでしょうか。

中馬国務大臣 先ほど申しましたように、もうかなりの部分が民間に移せる、民間に移した方がはるかにサービスがいい、効率がいいといった面がかなり散見されるわけでございます。制度的にそういうことをつくっていきますのが今回の市場化テストの法案でございまして、この市場化テストの導入によりまして、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現することを目的といたしております。

 本法案では、こうした目的を達成するため、民間事業者の方々からの具体的な意見を踏まえまして、民間の創意工夫の反映が期待される業務を選定して、官民競争入札等を実施していくことといたしております。

 民間の創意工夫につきましては、さまざまな公共サービスが存在しますために一概には申し上げられませんが、例えばモデル事業として実施しておりますキャリア交流プラザ事業、これでは、本年の五月に終わるようでございますが、モデル事業終了後の評価の中で最終的にどのような質を確保できたかが明らかになるもの、このように考えております。現時点においては、求職者の方々のニーズに応じて、平日の営業時間を延長するとともに土曜日もサービスを提供する、こういった例が見られるわけでございます。

 いずれにしましても、個別の公共サービスの特性等を踏まえまして、民間事業者の方々の創意工夫を生かしつつ、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現していけるように取り組んでいくことが重要だと考えております。

田島(一)委員 私は、この市場化テストの基本的な考え方の大前提として、実はこれは連合の方からも提案をされていることなんですけれども、制度保障に三つの大きな課題があろうかというふうに思っております。

 今ほども御答弁の中で効率性が重要ということを随分おっしゃってくださいましたけれども、この効率性の重要さは理解するものの、それに先立って、しっかりとした良質な公共サービスを提供していくこと、安定的に提供することができるかどうかという保障が一つ。二つ目が、公共サービスを利用する側、国民が、サービスの質であるとか提供の状況、形態といったものをしっかりと見詰め、また関与し、コントロールすることができるような制度保障。そして最後のポイントというのが、実際に公共サービスに当たって仕事をされる方、これは、公務員であれ民間人であれ、どのような状況であったとしても、働くことについて誇りを持って、それに見合うだけの適正な賃金、それから労働条件というものが保障されること、これはILOの方でディーセントワークというような扱いを言われているわけなんです。

 この三つのポイントが押さえられてこそ初めて、大臣がおっしゃるような効率性を優先させた市場化テストというものを図るべきだというふうに考えるんですけれども、そもそも大臣、この三つのポイントという点についてどうお考えなのか、お答えをいただけないでしょうか。

山口副大臣 今、田島委員がおっしゃった質の問題については、質と効率性が今回の大きな二つでありますけれども、そのうちの質についての御質問でございまして、官から民に移ったとしても、当然、今までの質は落とさない、それ以上になる。また国民から見ても、当然、サービスについて、官庁、これは監理委員会があるわけでありますけれども、その中でサービスの精度が落ちない、そういう面で、両方から見ていくということで対応していきたいと思っております。

田島(一)委員 随分あっさりで、お答えをいただいたんですけれども、できれば大臣、私が申し上げたのは決して難しいことでもなく、ごくごく当たり前のポイントだと思うんですね。

 安定的に提供することができるかどうか、そして利用者が関与し、コントロールすることができるかどうか、さらには働く人たちがその労働に適正な賃金と労働条件が保障されるかどうか、この三つの保障条件、これが確保できるかどうかがポイントだという提案をさせてもらっているんですけれども、大臣、もう一度お答えをいただけないでしょうか。

中馬国務大臣 今の、市場化テストで、それに移った場合のお話かと思いますけれども、公務員の方々が移った場合のことだと思いますけれども、それは、今おっしゃいましたように、給与の問題や、あるいはまた、身分として、一時的に行かれた方が帰ってこられたときには退職金の継続ができるとか、そうしたことも十分に今回の中に制度設計されております。

田島(一)委員 担保されているということで理解をし、次に質問を進めていきたいというふうに思います。

 この法案の四十八条の規定のことについて確認をさせていただきたいんですけれども、民間事業者が例えば公共サービスの提供を落札した場合、言ってみればそこに従事されていた公務員は過員、オーバーになるわけですから、それに対する措置としては、採用抑制、それと配置転換で対応するという考え方だというふうに伺っておるんですけれども、そのとおり承っていいのかどうか、確認をお願いしたいと思います。

山口副大臣 お答えいたします。

 委員のおっしゃった四十八条は、国に対し、競争の導入による公共サービスの改革を円滑に推進するための措置を講ずる旨の趣旨でございます。

 そして、具体的には、今おっしゃった、民間業者が落札した場合に、それまで従事していた公務員の処遇については、省庁間を含む、今までの省庁または他の省庁を含む配置転換により対応することを基本と考えております。

 これに加えまして、公共サービス改革法案では、本人の同意のもとで、公務員を退職して、落札した企業に一定期間雇用され公共サービスに従事した者が再び公務員として採用された場合における退職手当の計算方法の特例までも見込んでいるところでございます。御安心をいただければと思います。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、雇用問題、労働問題というのが生じてくるわけなんですけれども、その場合の労使関係上の当局というのはだれになるのか。言ってみれば、使用者の責任者というものが問われてくるかと思うんですけれども、だれになるのか、今お答えいただけませんでしょうか。

山口副大臣 今の御質問を確認させていただきますと、官にいた場合と民に移った場合、両方ということでいいわけですね。

田島(一)委員 配置転換をされるわけですよね。配置転換をされたりするときに起こってくる労働問題等に対しての責任の所在、つまり、大臣なのか任命権者なのか、だれがその責任をとるのか、当局者はだれなのかという点をお答えいただきたいと思います。

伊吹委員長 山口君、質問の趣旨は、そのような場合に交渉の相手方はだれになるかということです。

山口副大臣 当然、民に行った場合は、その行ったところの使用者の……

伊吹委員長 ちょっと待った。

 それでは、河市場化テスト推進室長。

河政府参考人 今所属していらっしゃるところの公務員が新しく所属することになるだろう場所に移るときの人事権はどなたが持っているかということであれば、今所属しているところの人事権者がまさに人事権を持っているわけでありますね。それで、そこの部分で雇われている人たちが、そこが今先生の御指摘によると過員になった場合に、別のところに移るとなると、また新しいところの人事権者のところに移るということになるわけですね。ですから、それぞれ人事権者というのはしかるべきところにいる形になっていると思うわけであります。

 それで、あと、定員の関係でこちらに移るということを全体をだれが決めるのかというと、定員の配分については、まさに総合的な組織をつくりながら、その後定員の移動というものをどうするかということを検討しなければいけないという問題になるんだろうと思います。

 ですから、人事権者は人事権者として、それぞれのところにおられるということであると思います。

伊吹委員長 田島君、ちょっと理解が十分行き届いていないから、もう一度質問してください。

田島(一)委員 それぞれのところにいらっしゃるというふうに今お答えいただきましたけれども、要は、配置転換であるとか採用抑制であるとかこういったトラブルが、トラブルといいますか、交渉がなされていく段階で生じてくるであろう雇用問題、労働問題、この問題を当たられる方は結局だれになるのか。わかりやすく、そんなに難しい質問はしていないと思うんですけれども。

山口副大臣 当然、その官側の、発令した側の方に最初はあるし、また、民に移れば民の、当然使用者側にあるということだと思います。(田島(一)委員「ニュアンスがちょっと違うと思うんだけれども」と呼ぶ)

伊吹委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊吹委員長 速記を起こして。

 田島君。

田島(一)委員 もう一度申し上げたいと思います。

 採用抑制や配置転換等々で対応していくというお考え、お示しをいただいたというふうに思うんですけれども、そのような状況の中で雇用労働問題が生じてきた場合、その場合の労使関係上の担当する当局というのはだれなのか、責任の所在はだれなのかをお答えいただきたいと思います。言ってみれば、担保はできているのかどうかをはっきりとお答えいただきたいと思います。

中馬国務大臣 ようやく少し私の頭の中も整理できました。

 これは、市場化テストで出ていくわけでございますから、そのときにはやはりちゃんとした契約を相手と結びます。契約のときの条件、それを、締結したそこの人事担当者が、それは総務省であったりあるいはまた経産省であったりするかもしれません、何らかの理由でそこに戻ってくるわけですから、そうしたときに、これはちゃんと受け入れる、そして退職金の通算もします、こういうことを言っているわけですから、そして、そこに戻ってこられたときの一義的にはその人事責任者といいましょうか、契約を結んだところの責任者であるのは当然でございます。

 しかし、その中でまたいろいろと不服があれば、これは人事院等の、また公務員の不服審査等の申し出があれば、従来の公務員制度の中にちゃんとあるわけでございますから、そういう意味で、私は、一つの担保された形の中のこの市場化テストの法律だ、このように申し上げた次第でございます。

田島(一)委員 何か余計に複雑になってきたんですね。私、河室長のお答えをもう一度聞かせていただけませんか。

河政府参考人 先ほど委員の御質問の四十八条という条文ではなくて、多分三十一条に関する御質問かと思いますけれども、三十一条で想定しておりますのは、民間が落札した場合に、民間の事業者もこれまで通暁していた人が欲しいというケースがあって、それから、今勤めていらっしゃる公務員の方々が、では自分が退職して行きましょうというケースがあって、そのときに退職して民間事業者へ移った場合には、これは純粋に公務員の身分はなくなって民間の株式会社のサラリーマンという形として従事される、こういう形になるわけであります。

 それで、一定期間が仮に過ぎまして、もう民間の事業者の方もこの仕事は通暁したということができました、それから御本人も、もうそれなりに役割を果たしたから、もう一回公務員としてこれからまた仕事をしていきたいと思われたケースについては、いわば採用を役所の方にしてもらうということが必要になるわけであります。それは、やめたときの将来の約束というのは、これはすべての公務員はそうですけれども、一切ございませんので、全く形式的には新しく採用するということになるわけであります。

 ただ、かつて公務員として仕事をしていてその業務に属していた人というのは、一般的には公務員は試験採用でありますけれども、選考採用として、もしそのポストがあるとすれば選考で採用することができるというシステムは一般的に用意されておりますけれども、それは、そのAさんを必ず戻すとか、かつてAさんがいたからまた戻ってくることができるとか、そういう再採用を約束したものではございません。

 結果的に、それで再採用された場合の退職金はどうなるのかということにつきましては、先ほどの三十一条で、その場合には通算をする、かつての公務員期間と二回目に公務員として働いた期間が一定程度過ぎて、またしかるべきとき、定年か何かで退職されたときの退職金は通算するという形の規定を三十一条に設けさせていただいているわけでございまして、それは結果的に、先ほどの例でいいますと、三年間民間に行っていたことをもって公務員の二つの期間の通算がマイナスにならないようにという措置を三十一条で講じているものでございます。

田島(一)委員 結局は、今おっしゃったように、採用するかしないか、再採用するかしないか、もうこれにかかってくる。何一つ担保されていない。こんな不安定な状況で公務員のモラールであるとかを維持していくなんというようなことは到底あり得ないわけですよね。

 先ほど、私、三つのポイントというのを市場化テストに当たって申し上げ、大臣も山口副大臣も、当然のことだというふうに御理解をいただきました。この公共サービスの提供に誇りを持って、そしてさらにそれに見合っただけの適正な賃金、それから労働条件が保障されることというのを、今、保障の条件として当然のことだというふうに副大臣はおっしゃってくださったんですけれども、今の話だと全然ずれているような気がするんですけれども、いかがですか。

伊吹委員長 山口内閣府副大臣、しっかりと答弁するように。

山口副大臣 先ほどおっしゃった、当然、官から民へ移ればそこでそれなりの、私も中小企業の経営者の端くれですけれども、そこで働いて、今言った三つの条件ということは、そこで一生懸命やれば、当然私は、そこで評価をされて、また帰るときにもそれなりの、企業で評価をすれば、戻るところの方でも、おまえよくやった、そういう評価に値して、今の三つの条件というのは、当然個人の能力で迎えるのではないかな、こう思います。

田島(一)委員 副大臣、いいですか。今おっしゃったのは個人の能力云々であって、何一つ制度的な担保はないということですよ。これはおかしくありませんか。何かおっしゃってくださっている答弁が全部食い違っているんですよね、委員長。

伊吹委員長 委員長から申し上げますが、政府側の答弁は統一的に。運用として副大臣がおっしゃったことと、制度としてできるかできないかということは別です。ですから、今議論になっているのは制度のことですから、制度として答えてください。

山口副大臣 制度としては、やはり今委員がおっしゃった方が正しい、正しいというか、おっしゃったとおりではないかと思います。

田島(一)委員 まず、こうした矛盾が生じている、答弁に矛盾を来しているということ、これはどう考えてもやはりおかしいと思うんですね。はっきり申し上げて、担保はきちんとできるというふうに当初おっしゃっていたはずなのに、なぜこういうふうに今になって変わってきているのか。ここのところの問題点はよく認識をいただかないと非常に困ることであります。

 もしまだこの上にかけておっしゃりたいことがあるんだったら、聞かせていただきます。

伊吹委員長 時間が来ておりますので、大臣が最後に責任を持って答えてください。

中馬国務大臣 これは少し、二つのケースで混同された議論になっているんじゃないかと私は判断をいたしております。

 一つは、役所をやめてそちらの民間企業に自分の意思で移られたケースと、それから、一時的にちゃんと契約の上で、この方はうちが預かって、今までやっておられた経験を生かしてやらせて、しかしその後ずっと引き受けるか、あるいはまた戻してもらうか、そのことも含めた契約で私ははっきりしてくるんじゃないかと思います。そして、その場合、戻った場合と本当に自主的に企業に移られた方では扱いが違うんじゃないか。そういうことで分けて議論をするなり、また御意見をちょうだいいたした方が、物がわかりやすくなるんじゃないかと私は思います。

 ともあれ、そこのところは少し混同しているようでございますから、役所の方でまた整理しまして、後日、機会がありましたらこのことをちゃんと御説明したいと思います。(発言する者あり)

伊吹委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊吹委員長 速記を起こしてください。

 では、田島一成君、もう一度質問をして、政府から明確に答弁をするように。

田島(一)委員 二転三転いたしましたけれども、今回、私申し上げたことは、公務員の身分に関する非常に重要な部分であり、根幹の部分だと思うんですね。果たして再採用であるときに公務員の身分というものが保障されるのか、何が担保するのか。もともと答弁されていたことと随分食い違うから非常に疑問に思ってお尋ねをしたまでであり、どこに責任があるのかということなんです。

 最後、もう一度大臣の方から明確にお答えをいただけますでしょうか。

中馬国務大臣 その前に、市場化テストでの相手側の企業、民間企業に行く場合には、これは自主的に行くわけでございますから、任命権者が再採用を約束するものではございません。

 また、私が、担保があるという表現をとりましたけれども、これは訂正させていただきたいと思います。

田島(一)委員 時間も参りました。またこの続きは他の同僚議員に譲らせていただきたいと思います。

伊吹委員長 これにて田島君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民主党の岡本でございます。

 きょうは、行政改革特別委員会において、これまで私が厚生労働委員会並びに予算委員会の分科会等で質問させていただいた公務員のあり方、またさらには独立行政法人改革に関する一連の話について、少し整理をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず最初に、先月審議に付されました厚生労働省関連の独立行政法人の状況について、今資料をお配りしておりますけれども、さまざまなはっきりしない数字がある中でこの独立行政法人改革の審議をしてきたところがありました。それで、厚生労働省に資料を要望したところ、例えば厚生労働省関連の定員がどのように推移しているか、非常勤職員の数がどのように推移しているか、こういったところについての数字はおいおい出てきたところでありますが、今般、その審議の最中にもお願いをしたんですが、めくっていただいて三ページ目になりますが、厚生労働省に関する非常勤職員に係る人件費、この人件費の総額が一体幾らになるのかということについて数値を出してくださいというお願いをしたところ、これが出せないというか、推計でしかこの数値が出せない旨の連絡が参りました。

 なぜ人件費でありながら推計しかできないのか、もしくは、推計でなくてもきちっとした数値が出せるのであれば出せるという答弁をいただきたいと思います。

伊吹委員長 それでは、数値のことですが、厚生労働大臣。

川崎国務大臣 たしか審議の中で副大臣からお答えしたことだと思いますけれども、私の方からお答え申し上げます。

 非常勤職員の職務、勤務形態が、審議会の委員から事務補佐員まで、ここにありますように、事務補助職員、技術補助職員、技能職員、労務職員、医療職員、教育職員、専門職員、統計調査職員、委員顧問参与等職員、その他の職員と、こうした形態が、業務内容に応じて庁費や諸謝金として予算計上をいたしております。

 したがって、伝票をめくりながら、委員の御要求にこたえなきゃならないということでやってまいりましたけれども、過去分につきまして、保存期間、三年でございます、過ぎたものがありますから、一部推計によらざるを得ないということで御報告いたしたところでございます。

岡本(充)委員 人件費がなぜ鉛筆や消しゴムを買う例えば庁費のようなもの、また謝礼の意味を込める諸謝金などのお金で出ているのかということがそもそも私にとっては大変疑問でありますし、一般的な会計学的に項目立てをするときに、そういう事務物品と人件費が同じところから出るということは考えにくいわけでありますけれども、こういった慣行については政府部内でもしっかり検討して変えていく必要があるのではないかというふうに思っています。

 きょう質問通告しておりませんけれども、きょうは行革大臣もお越しでありますから、こういった諸謝金や庁費などというような形で人件費を出すのではなく、人件費はきちっと後から見返すこともできるような会計学的な項目立てをしていくべきだと考えますが、それについての前向きな御答弁をいただけますでしょうか。

中馬国務大臣 このことは会計的なことでございまして、私の所掌といいましょうか、財務の方の所掌だと思います。

岡本(充)委員 いや、行政改革の一環なわけですよね。これまでのいわゆる予算立ての方式、いろいろある、それは確かに財政的な大臣の管轄でありましょう。しかし、行政改革の一環として、人件費が消しゴム、ノートと同じ項目から出ているということは変えていく決意は大臣としてもおっしゃっていただけると思います。お願いします。

中馬国務大臣 これは一つの大きな会計の今までの慣行でもございますから、私がここで答弁するテーマではないと思っています。

岡本(充)委員 非常に残念なお答えでありますけれども、これは私は大変大きな問題だと思っていますので、今後また場を改めて聞かせていただきたいと思います。

 続いて、国立高度専門医療センターの独立行政法人化に伴う議論でございます。

 この独立行政法人については、今後、平成二十二年をめどに独立行政法人になるのではないかというような話も聞こえてきますし、まだ検討中だという話も聞こえてきます。今後、どういったスケジュールで独立行政法人に向けての検討を進めていくのか、このスケジュールについて大臣から御答弁をいただきたいと思います。

川崎国務大臣 国立高度専門医療センター、例えばがんセンでございますけれども、このことについて、特にがん対策というものをどうしていこうか、今与党内でも議論はありますし、民主党からも法案が提出をされております。お互いに、充実しろという御意見でございます。

 しかし、がんセンターの機能をどうやって充実していくかという中で、このまま国の機関としてやっていくか、独立行政法人化をする中で民間との交流も含めてしっかりしたものをつくり上げていくか、こんな議論をいたしてまいりました。

 結論といたしましては、今回の判断として、独立行政法人化をしよう、民間との交流の中でしっかりとしたものを築き上げていきたいと。しかし、その条件としては、国立高度専門医療センターがこれまで担ってきた機能をいかに充実発展させていくか、その役割、位置づけにふさわしい法人形態というものをつくらなきゃなりません。三番目に、制度的、財政的な措置を講じなければならない。簡単に言えば、独法になったから小さくしていくというものではなくて、財政的にもしっかりとしたものをつくり上げなければならない。民間との関係もありますので、非公務員型独立行政法人にしたい。こうしたものを逐次詰めながら、二十二年には独法化をするということで結論を出しております。

 したがって、それをどういう年度でどうやるかというスケジュールはまだ決めておりません。正直申し上げて、つい最近この決断をいたしたところでございますので、これから詰めます。

岡本(充)委員 ぜひお願いをしておきたいのは、このセンター、六センターあるわけですけれども、それぞれのセンターの事務的部分については統合できる部分もあると私は思っています。それぞれの病院の機能が違うという議論もありますけれども、国立病院でも、機能の違う国立病院を一つにして国立病院機構という形で独法にしています。

 さらに言わせていただくと、独立行政法人の国立病院機構、この中期目標の終了期間は平成二十二年と重なりませんけれども、この国立病院機構等も含めて、今後一つの独法にできないのか、非公務員型の独法にできないのかということについての議論もしていっていただきたいと思うわけですけれども、それについて、大臣、お答えいただけますでしょうか。

川崎国務大臣 私の今の考え方、これから詰めますから、最終どういう結論になるかははっきり申し上げませんけれども、がんセンターについては相当充実したいと思っております。予算額もふやしたい。

 そうした中において、他の機関と一緒にやることがなじむかどうか。これは多分、民主党さんも公明党さんもそれぞれの御主張があると思うんです。そういったものをしっかり聞かせていただきながら、がんセンターなり循環器病センターなりの役割をどう考えるか、国立病院機構と一緒にしてしまうのがいいかどうかというものも含めて、もう少し私は議論をした方がいいだろう。ただ、委員の御提言でございますから、こういう考え方もあるということできょうは聞かせていただいた。

 一方で、二十二年までにやるということになる。片方で、国立病院機構は二十年度で中期計画が終わる。そういう意味では、議論全体としては歩調はそう外れた話ではないだろう、一緒にするかしないかは別ですよ、流れとしては同じような時期になっていくんだろうなというふうに考えております。

岡本(充)委員 もう一つ、国立病院の今後のあり方についてですが、国立ハンセン病療養所、今、入所者が大体三千人前後と伺っておりますが、高齢化が進んでいく中で、今後入所者が減っていくことが予想されます。

 十三病院あるこの病院の今後の見通し、最後のお一方までもちろん国としてきちっとした対応をとらなければいけないというのは事実でありましょうけれども、現実問題、本当に、数が減る中で、この職員の処遇を含めてどのようにお考えなのか、大臣から御答弁をいただきたいと思います。

川崎国務大臣 この歴史的な経緯は委員が御存じのとおりでございます。そういった中で、現在、平成十八年三月現在で三千百十三人の方々が入所されております。高齢化等に伴って年々減少しております。

 療養所のあり方について、これは、厚生労働省とハンセン病の患者、元患者の代表者から構成されるハンセン病問題対策協議会において、平成十三年十二月、入所者の終生の在園保障に最大限努める、こうしたことを明確にいたしたところでございます。

 したがいまして、入所者の終生の在園保障について、入所者の高齢化、医療、介護の必要性の高まり等に伴う医療需要の変化等に適切に対応するため、療養所内の医療はプライマリーケア、リハビリテーション等の充実が必要、医療の高度化、専門化が進む中、専門的な医療について外部委託医療機関との適切な連携等々につきまして同協議会と合意をいたしたところでございます。

 そうした経過の中でございますから、平成十八年度予算においても、施設整備費は対前年度比十二億増の五十七億の予算を実は組ませていただいております。

 冒頭申し上げたように、一つの経過の中で、私どもは責任を持ってこのハンセン病療養所を運営してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 続いて、公務員の仕事のあり方についてですけれども、これは衆議院の予算委員会分科会でも文部科学大臣の方にお尋ねをしました。以来、一カ月以上たつわけですが、大学病院における看護師の業務の内容について調査をする、このように伺っておりました。その調査の結果がいかがであったのか、そして今後それを踏まえてどのような対応をとられる予定なのか、御答弁をいただきたいと思います。

小坂国務大臣 岡本委員の御指摘にありました静脈注射について、従来、看護師の業務の範囲を超えるものとされていたわけでございますけれども、平成十四年の厚生労働省医政局長通知によりまして、医師または歯科医師の指示のもとに看護師が行うことを診療の補助行為の範疇として取り扱うことになったわけでございます。

 お尋ねの大学病院における看護師の静脈注射等の実態調査でございますが、現在取りまとめ中でございますけれども、多分にそのアンケートの項目が、私も聞いてもなかなかわからなかったわけでございますが、診療科ごとに全部当たっているものですから、病院としての統計だけではなくて、病院の中の診療科ごとに全部区分けして当たっておりまして、集計に大変時間がかかっているわけでございます。原則として医師が実施しているところも多いものの、医師、看護師の区別なく実施しているところや、原則として看護師が実施しているところも見受けられるような状況でございます。

 私ども文部科学省といたしましては、静脈注射を医師が行うか看護師が行うか、これについては、各大学病院の診療体制や診療業務の状況等にも関係するというふうに考えられます。それぞれの実情に応じて適切に判断されるべき事柄であると考えております。

 集計がまとまりましたら、また御報告できる体制になると思っております。

岡本(充)委員 もう一カ月以上たっているんですね。もう集計ができてもしかるべきですし、前回の委員会でもお話をしました。

 文部科学省の所管の病院では看護師は静脈注射をしない、厚生労働省が所管をするというか一般の病院では看護師さんが静脈注射をする、これでは縦割り行政も最たるところで、患者さんとしては、特に入院している患者さんは困ってしまう。自分の点滴がずれたら、文部科学省所管の大学病院では注射をし直してもらえない、そのままほっておかれる。だけれども、そんなことはあってはならないということで、今言われたように、平成十四年に医政局長が通達を出している。であれば、その通達に従って通知を出すべきですよ。何で文部科学省の病院だけその通知に従わないわけですか。

 厚生労働大臣としても、ぜひ文部科学大臣と話をしていただいて、この部分について閣内一致の方針で、そしてそれぞれの病院で差が起こらないようにするべきだと思いますが、それについて厚生労働大臣からお答えをいただきたいと思います。

川崎国務大臣 医療行為に関することでございますから、それは私どもが所管をする。ただ、大学病院の中で、要は、看護師等が行えるようにしたということでございます。これはおわかりのとおりです。その中で、医師でもできる、看護師でもできるという範疇の中で、大学病院の中において、お医者さんはみずから全部をされているという解釈なんだろうと思います、解釈として。

 要は、正直申し上げて、法律的な行為ではない、法律的には看護師さんもできる。これはもう法解釈でございますから、これはそのとおりやってもらう。しかし、その中において、それぞれの大学病院がどういう医療行為をされるかということについては、それは自由な選択があるだろう、こう思っております。

岡本(充)委員 今、医療制度改革が話題になっている昨今ですから、委員の皆様にもぜひお教えをいただきたいんですが、なぜ地域で医者が少ないか。私は医師出身ですからわかりますが、大学病院で、結局、医者が注射もしている、カルテの紙ののりづけも医者がやっている。胃カメラをやった、検体をとる、この検体のお運びさんをだれがやるんですか、医者がやっているんですよ。医者がたくさんここでとられていっているんじゃないか。だから、こういう部分はほかにできる人に任せる。まさによく小泉総理が言われますけれども、官でできること、民でできること、もちろん有資格者の中でだれができるのか、それを考えてやっていっていただかなければ、これは医師不足の解消にならないじゃないか。

 だからこそ、文部科学大臣、もう一度、この部分についてはきちっと通達を出して、できる業務範囲をきちっと解釈してもらって、看護師に静脈注射もやっていただく、こういう話を答弁いただきたい。

伊吹委員長 小坂文部科学大臣、先ほどの川崎厚生労働大臣の答弁を受けて答えてください。

小坂国務大臣 この大学病院における実態というものを調査で把握しているわけでございまして、その中でも、看護師が実施しているところも相当数見受けられるという状況でございます。

 そういう中で、委員が御指摘のように、できるものはできる人に任せたらいいじゃないか、そのとおりでございまして、できるものはできる人に任せた方がいいのでございますが、その判断はだれがするのかといえば、それはそれぞれの病院における実態、それぞれの診療科におけるその責任者が決めるという体制にならざるを得ない。それは、看護婦と医師等の配置の数とかそういったものを病院がそれぞれにやっているわけでございまして、大学病院におけるそれぞれの実態に合わせて、その大学病院において適切に判断されるべき事項であろう、このように考えているところでございます。

岡本(充)委員 言っておきますけれども、今言われた、そういう判断をしていると。医師に検体の運びから注射まで全部やらせているのは大学病院だけですから、ぜひ、その点を踏まえて、もう一度検討いただきたい。

 最後に、もう一問だけ。

 大学病院において、大学院生や研究生が正式な雇用契約を結ばずに誓約書をとる形で無給で医療行為を続けている。これは、雇用契約の形態としてもおかしいし、万が一、先ほどの話じゃないが、針刺し事故を起こしてHIV感染やC型肝炎ウイルスに感染した場合には、だれもこの補償をすることがないわけです。刺した人がばかだった、こういう話になるのでは、ただで働いた上に労災の補償もない、こんな雇用契約はあり得ないと思うわけなんですが、これについて改善を求める質問を私はしております。

 これについて前向きな御答弁をいただきたい。最後にします。

小坂国務大臣 御指摘の問題につきましても、大学院生や研究生が、自身の研究や診療技術の向上等を目的として、大学病院において診療に従事しているということでございまして、これらの大学院生の診療行為につきましては、その目的にかんがみ、雇用契約ではなくて、大学病院長の診療許可を得て行われるという形になっております。

 その診療の実態が大学院生等の診療目的とかけ離れているような場合には、本来の目的に沿うように改めるという必要が生じ、雇用契約による対応も考えられるところでありますけれども、現在、私ども調査いたしましたところでは、このように、大学院生の診療行為について本来、目的や診療行為の実態等に応じて適切な対応がなされるべき、こう考えております。

 委員が御指摘なさいました誓約書というようなものは存在せずに、医療従事者許可願という形の書式が返ってきておりますが、何かもし委員の方で誓約書というような書式でやっているところがあるということであれば、私ども、その実態を把握させていただいて、また対応させていただきたい、このように考えております。

岡本(充)委員 もう時間が来ましたので、終わります。

伊吹委員長 これにて岡本君の質疑は終了しました。

 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 二十分ほど時間をいただきまして、国有林野改革を中心に質問させていただきます。

 行政改革、私は非常に大事なことだと思います。私も役人生活を送りましたが、農林水産省というかつて八万騎とかおりました役所におりまして、行革の対象になりまして、行革事務局には感謝されるぐらいいっぱい仕事をさせていただいたんじゃないかと思います。

 これがいいか、これが官か民かというのを考えていかなくちゃいけないんですが、よくよく見てみますと、行革行革で、行革はすべて善だ、絶対的正義だ、絶対的善だという形で議論が行われてきてしまったんじゃないかと思っております。

 国有林野事業特別会計ですけれども、特別会計というと、お金がいっぱい余って、どこかで何かぬくぬくとおいしいことがあるんじゃないかと国民の皆さんには誤解されていると思いますけれども、委員長などはよく御存じだと思いますけれども、赤字の代表でして、一般会計に迷惑をかけ通しです。一体、こういったものをどうやって見ていくかというのを考えなくちゃいけないわけですけれども、国有林野事業は、この法律あるいは行革の方針のところを見てみますと、企業特別会計として特殊な地位にあるわけですが、一部を国のものとして残して、一部分を独立行政法人にするというふうになっているわけです。

 私は、一括して独立行政法人にしたり、どこかとどこかと統合していくんだったらわかるんですが、一部を国として残したりするというのは、どうも業務をかえって拡大させるような気がするんですが、この点については議論はどのように進んでいるんでしょうか。農林水産大臣にお答えいただきたいと思います。

中川国務大臣 篠原委員はこの問題、御専門でありますが、九八年から九九年にかけまして国有林野の抜本的な見直しがあって、業務の見直し、あるいはまた収支、支出、債務の見直し、そしてまた人員につきましても見直しをやっているわけであります。

 そもそも、山あるいはまた木が果たしている役割というのは、文字どおり多面的でありまして、経済的な観点から位置づけられるものと、それから公益的な観点、つまり、収支をある意味では短期的には度外視して、国土保全あるいはまた水源涵養その他多面的機能、これはもう篠原委員、よく御存じのことだと思いますので、一々省略いたしますけれども、そういう観点とに分けて、今回の法律というものは、民間でできるところは民間でやっていくと。

 しかし、国有林野の果たす、民でできない部分については、これは引き続き、重要でありますから、国有林野事業の中で特会から一般会計に行く行くはという議論は五十条、二十八条であるわけでありますけれども、そういう分野については引き続き残していくという観点で、決してダブりではございません。

篠原委員 今資料を配られましたので見ていただきたいと思います。一つを除いては私が全部つくった資料でございますけれども、まず、二ページ目の資料をごらんいただきたいと思います。これはつくっていただいたというか、もともとある資料でございます。

 主要諸外国の国有林の管理のところを見ていただきたいんですが、一番いいのは、「その他」のところを見ていただければわかると思いますけれども、皆公務員なんですね、国有林の管理というのは。それから左側の方、国有林と私有林が一体どういう割合かというのも、国によって違うんです。カナダなんかは、天然資源の天然林はみんな州に所属している。それからイギリスのところを見ていただくと、「国有林等の特徴」のところですね、木材備蓄のため、国がみずから土地を買い上げて造成している。フランスは、公益的機能を重視しつつと書いてあります。

 今、世界ではどうなっているか。日本でもそうですけれども、森林は、パブリックグッズ、公益財、公共財として、国が責任を持って維持していくというような方向に行っているんじゃないかなと思います。まして、後で触れますけれども、日本は、地球温暖化防止条約、京都議定書と、先頭に立って地球温暖化を防止していくということでやっておりますけれども、その中で、森林が、日本の下げなければならないCO2のうちの三・九%も吸収するというようなことを言っているわけです。ですから、大事にしなくちゃいけないんじゃないかと思いますけれども、その前の一ページ目を見ていただきたいのです。

 これは、林地、森林、上の方は民有林ですけれども、民有林は非常に冷遇されているわけです。まず、不在地主が認められちゃっているんです。それから相続税、これは、財務大臣に来ていただいていないんですけれども、財務大臣にぜひ長期的には考えていただきたいことなんですが、農地には、相続税の猶予制度というのがあります。長期営農継続制度といって、二十年やれば相続税要らないと。生産手段です、だから当然だと思います。生前一括贈与というのもあります。農業をやっていくためには大変ですから、一々農地が高いからといって税金を納めていたらたまらぬと。評価としても、農地として評価されるだけです。

 ところが、林地はどうかというと、納税猶予というのはありません。生前贈与もありません。ただ、評価だけは時価評価なんですけれども、四割軽減措置というのがあるんです。しかし、都市部で四割なんか軽減したって、どうということないわけですよ。

 それで、右側を見てください。まず、不在地主を認めるということで、今長野県、私は長野県ですけれども、地主がわからないんです。それで、山を管理する人がだれもいない。崩れて崩れて、困って、だれもやらない。そして、県が管理に乗り出している、乗り出さざるを得ない、市町村がやらざるを得ないというふうな状態になっているんです。遊休農地、三十八万ヘクタールあると言われています。しかし、放置民有林はこれっぽちじゃないわけです。ただ目に触れないだけなんです。めちゃくちゃになっている。

 それから、都市近郊ではどうかというと、山林、民有林がある、特に埼玉県なんか多いわけですけれども、物納も認められずと。それで、相続税を払うために切り売り。昔よくあったですよね、高額納税者の一位が、相続税を払うために泣く泣く売ったと。それでどうなったかというと、所沢です。所沢の産廃銀座を皆さん覚えていられると思います。あれ、亡くなると、相続税を払えずに産廃業者に売らざるを得なくて、そこに産廃が生まれていったんです。相続税がまずいからです。

 それから、今、生前贈与は、これは農民も知恵があります。民有林が一ヘクタールある、これを農地に地目変更するといいから、きれいな林を農地にして、何か林地でつくれるような作物をつくって、そして林地を偽装農地にする、里山がなくなっているという。こういうふうに冷遇してきているわけです。私は、これは絶対よくないと。

 そして、国有林制度を見ていただきたいんです。農地は国有地でちょっとしかない。金額としてはいっぱいありますよ。金額というのは、道路や河川を除いても、公共、百兆円とかいいますのがありますけれども、国有林制度というのがあって、国土面積の二割、森林面積の三割です。これは非常に大事なんです。農地は、中山間地域は荒れ放題。そして、国有林はどうなっているかというと、皆さん御存じのとおり、輸入材に押されて、そして木材価格が低迷し、そして先ほど言いましたような行革の対象になり、現場の山の手入れをする人たちは、ひどくなる一方ですよ。だから、これを何とかしなくてはという、逆の観点からやらなくてはいけないのにもかかわらず、独法化して、さらに人員を削減して、予算も削減していこうというのは、これはよくないんじゃないかと思います。

 ですから、行革は必要だと思います。官から民へというのは流れで必要ですが、こういったものについてはもっとじっくり考えて、いや、行革をやるんだ、基本法をつくってやるんだといって、全部官から民じゃなくて、民から官になっていくべきものがあってもいいんじゃないかと思うんです。その典型的なのは国有林野だと思っております。これについては、大臣、いかがでしょうか。

中川国務大臣 篠原委員からいただいた資料を前提に答弁をさせていただきますならば、まず、諸外国と日本、それぞれ事情があるわけであります。イギリスの場合には、国土保全ということで、ナショナルトラストという一つの国民運動があったわけでございますし、これはもう篠原委員の名著に農的小日本主義という本がございますが、あれにもたしか書いてありましたけれども、日本の川は滝だと、そういう地形等もあるわけでありまして、そういう中で国有林の占める役割あるいは山全体の占める役割があるわけであります。

 御指摘のように、民でできるところは民でというのが今回の法の趣旨でございますし、また農地と林地との間にいろいろと違いがあって、農地の方が有利ではないかということで、毎年の税制改革で篠原委員とも一緒に仕事をさせていただいた記憶がありますけれども、例えばドイツのグラーゼル法といいましたか、ああいう税制を導入できないかとか、あるいは伐期に一挙に税を負担するという議論もあるのではないかと、いろいろと議論をやりました。これは税務当局の方の御判断もあったわけでありますけれども。

 そういう中で、そういうきちっとした公益的機能を果たすという観点と、それから数年前の抜本改正というものを前提にして、さらに民でできるところは民でという観点から、逆に言いますと、民でできないところは国でやっていくという観点から、引き続き、国有林野事業あるいは仕事というものを残していくというのが今回の法の趣旨でございます。

篠原委員 国有林は大事ですから、これは官でやるということをぜひ考えていただきたいと思うんです。ところが、国有林野は、ちょっとほかのところと違うんですね。片方を国に残し、片方を独立行政法人にして民間にしていく。

 きのう、おもしろいことがありました。私、質問取りがちょっと遅くなってしまって、事務方に大変迷惑をかけたんですが、私の前で行革事務局と総務省管理局が口論をいたしまして、どっちで答弁するかと、消極的権限争い。下手に組織をつくるとどっちがやるかともめるわけです。これは、片方独立行政法人で、片方国にしたら、今まで一気通貫してやっていたのを国と独立行政法人では、仕事がかえってふえたりするようなことがあるんじゃないでしょうか。中馬大臣、いかがでしょうか。こういうことも考えていただきたいと思います。

中馬国務大臣 その前に、今の日本の林野のあり方でございますが、やはり御指摘のように、戦前は、山を持っているといったら大変な資産家でございまして、ほとんど、その地租で日本の国は運営されておったようなことでございましたが、今の時代になってきますと、本当に山を持っておっても荒れ放題、だれも管理をしてくれない、まただれも買い手もないといったのが現実の山持ちの方々のお声のようでございますから、そうしたこともひとつ今後の課題として、私は今行革大臣としてではなくて、一代議士として申しますが、ちょっとそういうことを感じた次第でございます。

 今の、これを独立行政法人と林野行政との間で二つ、かえって効率が悪くなるんじゃないかという御指摘でございますけれども、国有林野事業のうちの非公務員型独法に移行すべき範囲につきましては、現在、有識者会議の場を中心に、これは農林水産省からのヒアリング等に基づいて検討を進めているところでございます。

 独法制度は、国の事務のより弾力的、効率的な実施を確保するため、政策の実施部門に独立法人格を与える制度でありまして、国の事前関与、統制を極力排して、事後チェックへ移行することを基本としておりますので、この制度を活用して、国有林野行政としましてもその効率性が高まる、このことを期待しているわけでございます。

 今、ちょっと地方公共団体との関係もおっしゃいましたが、国から与えられた中期目標の効率的な実施を図る独立行政法人と違いまして、国と地方公共団体の関係は対等でありまして、これを比較することは必ずしも適当ではないと思います。

篠原委員 やはり行革、行革と、行革様がまかり通るみたいな感じで来ているんじゃないかと思います。

 こういった状況の中で、やはり竹中大臣の役割は大事だと思うんですよ。政治なんか全然関係がありませんでしたけれども、途中から入ってこられまして、いろいろ斬新なことをやっておられる。こういう方にいろいろびしばしやっていただかなければいけない。

 さっきから、官から民へ、官から民へと、もう本当に何とかの一つ覚えみたいと言っちゃいけないんですけれども、やっているわけですよ。だけれども、民から官にしなくちゃいけないのがある。例えば、この前、独立行政法人の消防が独立行政法人から国の方に移ったですね。僕は、これは国民の生命、財産を守ったりするんだから、もともとそうだと思います。伝染病というのがそうです。そういう逆のもあっていいと思うんです。

 もう一つ、官から民へ、官から民へといって民、民、民、民といっている中で、国から地方に、国から地方にというのがあるんですね。この三ページ目を見ていただきたいんですが、これは試験研究です。実は、農林水産委員会で独立行政法人のことでお聞きしたんですが、事務方に聞いただけなので、大臣にぜひ考えていただきたいんですが、都道府県の農林水産試験研究機関だけでこれだけあるんです、見てください。人数で二・六倍、金額で一・四倍。これは、工業関係の試験研究機関も物すごくあるんです。工業なんというのは、北海道だって九州だって同じもの、手続的にもやり方が違わないですから、同じでいいはずなんです。県がやる必要は私はないんじゃないかと思う。

 ですから、国から地方へ、国から地方へという中でも、見直して、地方がやらなくて、国が全部やるのもあってもいいような気がするんですが、この試験研究については典型的なものだと思うんですが、大臣の在任中に、ぜひこういうのをきちんと見直していただきたいんですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、本当に何を国がやるべきか、何を地方でやるべきか、また、何を官でやるべきか、何を民でやるべきか、これは時代の変化に合わせてやはり不断に見直さなければいけないと思っております。

 委員も研究所のマネジメントをやられたというふうに承知をしておりますが、私も研究所のマネジメントをやった。研究所のマネジメントいうのは、マネジメントの中でも実は最も難しいものの一つであると私は思っております。

 そういう意味では、これはいろいろなチェックのシステムを我々は持っておりますから、これは国でやるべきことか、地方でやるべきことか、そういうことについてはぜひ不断に見直して、今問題の提起をいただいた試験研究のあり方についても、これは、できるだけ現場に近いところでやる方がよい研究もあれば、基礎的研究のように、一種の重複投資を避けて、規模を生かしてやらなきゃいけないものもあろうかと思います。ここはまさに実体判断でございますけれども、日ごろの行政のチェックの中で、私自身もぜひそこはしっかりと見たいと思います。

篠原委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

 それだけじゃなくて、これは時間がないのでやめておきますけれども、あちこち、県がばらばらにやらなくたって、国が責任を持ってやっていいんです。中川大臣はよく御存じですけれども、WTOでも、試験研究のお金というのは緑の補助金というので、幾らふやしてもいいんです。国が専属的にやるべきだと思います。こんな小さい国ですからね、各県ばらばらにやらなくたっていいんだと。これをぜひ考えていただきたいんです。

 次に、せっかく竹中大臣に来ていただいているので、最後にもう一つ。四ページを見ていただきたいんですが、新聞販売店の話。これは覚えておられると思います。まず、皆さん初めての方がおられるので、六ページの写真を見ていただきたいんです。公民館の前に突っ立っているのが私でして、前、郵政民営化特別委員会のときにちょっと見ていただいたんですが、これは公民館の郵便受けです。ここは郵便が配られておりません。

 田舎の山の中で新聞が配られなくなってしまったので、農家の皆さんは工夫をして、公民館に配ってもらう。バス停から公民館に持ってきて、この郵便受けの中に新聞を入れる。毎日欲しい人は自分でとりに行く、三日でいい人は三日に一回しかとりに行かない。

 これで、私は竹中大臣に当時質問いたしました。新聞がこうだ、今、郵便は各戸配達されている、郵便が民営化されたら新聞と同じ運命をたどると質問をしました。大臣はそんなことはないと。それから六カ月、今どういう問題になっているでしょうか。公取の関係で、再販制度を見直し、特殊指定を解除して、新聞はみんなここと同じようになるんです。

 前に戻って五ページのところを見てください。これは私が勝手につくった表ですけれども、平地、過疎地、超過疎地、超超過疎地と書いてあります。超超過疎地は今でも郵便ですよ。それに対して、超過疎地、ここが今申し上げたのです。おもしろいんです。バス停で当番がいて、広告折り込みを一週間で一万円ほどもらって喜んでおられる。しかし、これは大問題で、今回も、もう一回、半年たったのでお答えいただきたいんです。

 ケース一、ケース二を見てください。今、このままいくと、ケース一は、数年後、新聞の特殊指定も、なくなってほしくないですけれども、なくなって、辛うじて郵便で配達。十数年後は、民営化された郵便事業は、もうそんなに高い、重いものは山の中まで配らないというので、過疎地は新聞も読めない。ケース二は全く違うんです。これは某大臣とちょっとお話ししたときに出てきたとんでもない考えなんですが、民営化した郵便事業は、朝六時に新聞配達と同時にあらゆる郵便物を配達する。そのときに小包も一挙に配達、折り込み広告も一手に配達、全部独占する。郵便事業による早朝の新聞配達で新聞販売店は要らなくなる、小包は独占して宅配会社は要らなくなる、新聞会社も広告収入がなくなる、こんなことを考えられるんです。まだ、それでも郵政民営化をやって問題ないとお思いでしょうか。

 この点だけお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。

伊吹委員長 竹中郵政民営化担当大臣、申し合わせの時間が経過しておりますので、簡単に答えてください。

竹中国務大臣 簡単に申し上げますけれども、これは、法律で、郵便に関しましてはユニバーサルサービスの中に義務づけられております。今は郵政公社でやっておりますけれども、これは公社だから届けているのではないわけです。これは、法律とそれに基づく政令によって、要するにあて先のところに届けなければならない、そういう義務を負っているわけです。民営化された後もこの法律は残ります。したがって、民営化された特殊会社である郵政の事業会社はその法律を実行する義務を負います。

 したがいまして、しかも、法律をちゃんと守るように総務大臣の監督権限もあるわけでございますし、それを保障するために政府の持ち株会社に対する三分の一以上の出資も続くわけでございますので、これは、指定、各戸配達の問題とは基本的に違う、法律の中できちっとされた問題でございますので、郵政民営化によっても御心配のようなことは起こりません。これは、以前に、何カ月か前に委員に答弁をさせていただいたとおりでございます。

篠原委員 新聞も過疎地に大事なので、過疎地担当の大臣ですから、新聞についてもきちんと配慮していただきたいと思います。

 以上で終わります。

伊吹委員長 これにて篠原君の質疑は終了いたしました。

 次に、横光克彦君。

横光委員 民主党の横光克彦でございます。きょうは、差しかえをお願いして質問席に立たせていただきました。

 本委員会では、質疑で、与野党を問わずこの改革案に対し本当にさまざまな問題点が指摘されております。

 本法案の趣旨は、公共サービスの効率化ということが中心になっておりますが、その中の市場化テストについてお尋ねしたいと思うんですが、戦後、高度経済成長のもとで、福祉国家を目指して、国、そしてまた地方を含めて財政規模が非常に大きく膨らんできました。しかし、右肩上がりの経済成長も終わって、これに高齢化も加わり、先ほどからお話がございますように、いわゆる官から民へ、つまり公共サービスの効率化という課題が、これは我が国のみならず、世界先進各国の共通の課題であり、世界的な流れである、このように認識はいたしております。

 そのための本法案でございますが、市場化テストは公共サービス事業に聖域を設けないとなっております。これも私は大変問題点があると思っておりますが、また、余りにコスト削減にウエートを置いてしまうと、肝心なサービスの質が低下してしまうのではないか、そういう危険性があるのではないかと、これまでさまざまな議員の問題提起がございました。

 このように、コスト削減とサービスの維持、このバランスは非常に私は難しい課題であると思っておりますし、一朝一夕にはいかない大変な改革だという思いを持っておるわけです。

 例えば、イギリスにおいては、サッチャー政権時代にCCT、いわゆる強制競争入札を義務づけましたね。しかし、この入札の結果、サービスを受けるユーザーの評価は必ずしも高くはありませんでした。つまり、コストばかりを重視してサービスの質がおろそかになったんではないかという批判が出たわけですね。そこで、ブレア労働党は、政権に返り咲いたときのマニフェストの一つにこの強制競争入札、CCTの廃止を掲げて、結果的には政権に返り咲いた。そして、政権に戻った後、約束どおりCCTを一回廃止しておるんです。そして、新たなベストバリューという仕組みに変えております。つまり、試行錯誤した後に利用者本位を重要視した仕組みに変えたわけでございます。

 この利用者本位という基本は、イギリスのみならず、OECDの規制改革の提言にもしっかりと盛り込まれております。

 そこで、私は今回、この市場化テストが利用者本位、つまり国民、ユーザーのための制度に果たしてなっているのかどうか、その点を中心にして、幾つかお尋ねをしたいと思っております。

 まず、民間事業者の責務でございますが、その中での情報開示。

 行政による公共サービス実施過程で作成された書類は、保存期間の長短はあるにしても、すべては公文書として保管され、そしてまた国民が情報開示請求を行った場合には原則開示されることになっております。それでは、公共サービスを落札した民間事業者に、公共サービス実施過程に関する書類の保管を義務づける規定はあるのか、あるいは情報開示の義務づけはあるのか、お尋ねをいたします。

山口副大臣 お答えいたします。

 法案では、官民競争入札等の落札事業者について、文書保存を義務づける一般的な規定は設けておりません。文書の保存については、個別の業務に応じて、どのような文書をどの程度の期間保存するか等について、法令の特例や実施要項に記載すること等により対応することとしております。

 なお、本法案の三十三条五項においても、国民年金法等の特例について、公共サービス実施民間事業者は、その実施する業務に関する帳簿書類を作成、保存が義務づけられておることを申し添えます。

横光委員 そのような形で公共サービスを民間事業者に任せる、そういうことで本当によろしいんでしょうか。これは各委員が口を酸っぱくしてこれまで言っていますね、あくまでもこの市場化テストの原資は公費であるんだと。公共サービスがやっていた事業、これは民間がやることになったとしても、あくまでも公費なんですね。であるなら、公費のときの情報開示義務というのは、たとえ民間事業者がそれを請け負ったとしても、当然同じ義務を課さない限り、大変不公平、不平等になるんじゃないでしょうか。いかがですか。

山口副大臣 通常は、民間事業者による事業の適正な実施を確保する観点から、民間事業者から業務の実施過程に関する報告等を求めるのが通常であります。こうした報告文書や、民間事業者の業務実施状況に関し行政機関等が作成した文書等の情報公開により対応することを基本と考えております。

横光委員 いや、それではしかしはっきりとした情報公開にならないじゃないですか。

 民間事業者が実施している過程、事業を展開している過程での書類の保管とか情報公開、これは、確かに民間の場合は内部情報というものは公開する必要はございません。しかし、これは民間業者がやるといっても公共サービスなんですよ。そこのところを勘違いしないでいただきたいんですね。ですから、ここのところをしっかり義務づけておかなければ、何かあったときに、つまり後から検証ができなくなるんじゃないんですか。

 私は何かあったときと申しましたけれども、例えば事故とか倒産、あるいは契約違反、こういったことはない方がいいにこしたことはないんですが、だからといって、では絶対ないかといえば、そうも言い切れないわけですね。

 もし、万一そういったことが起きた場合、サービスの利用者としての国民が事業者から何らかの損害をこうむった場合、被害者と民間事業者間で訴訟となるようなケースも考えられるんですよ。そうした場合、今のようなお答えでは、利用者には情報が一切入らないということになる。つまり、公共サービス実施過程の記録は民間事業者がすべて握って、しかも被害者は訴訟においては極めて不利な立場に立たされるという事態になるわけでございます。

 私がこれを質問しているのは、国民の権利擁護という意味からの質問をしておるんですけれども、民間事業者に、行政同様に、公共サービス実施過程に関する書類の保管及び情報開示請求の応諾を義務づける、その必要性があると思うんですが、そのようなお考えはありませんか。

山口副大臣 再度になりますけれども、行政機関等から事業の委託を受ける民間事業者について、情報公開を義務づけるか否かについては、個人情報保護や情報公開全体のあり方の中で慎重な検討が必要と考えております。

    〔委員長退席、今津委員長代理着席〕

横光委員 そうなりますと、やはり私は、公平性あるいは公正さを欠くと言わざるを得ません。また、国民の権利擁護に対する配慮が全然足りない、こう申し上げざるを得ません。

 また、契約が解除できるということになっております。そのときに、解除された場合は、新たに入札を実施する、または行政機関等が対象公共サービスを実施する、つまりこれまでどおり自分たちでやる、この二つが例示されております、法案では。倒産や違法行為の発覚などによる契約解除の場合も、直ちに別の実施主体に引き継ぐことが求められるわけですね。つまり、公共サービスには空白は許されないわけでございますので。

 そうした場合、新たな入札には相当な時間が必要になってきます。また、行政機関が実施する場合は、翌日からすぐさま対応できると考えてよいのか、それともこれは空白を容認する仕組みになっているのか、どちらなのかをお答えいただきたいと思います。

山口副大臣 お答えいたします。

 本法案では、契約解除といった事態に至ることなく、落札した民間事業者による公共サービスの適正な実施が確保されるよう、さまざまな措置を講ずることができる制度となっております。

 具体的には、事業者は、契約に従い、公共サービスを適正に履行する法的な義務を負っているわけであります。したがって、仮に契約を履行しないような場合には、損害賠償や違約金等を請求することが可能でありますし、また、事業者が契約に従った公共サービスを提供するよう、国は、事業者に対しまして報告を求め、また必要に応じ立入検査も行い、また必要な措置をとるべく指示をすることができることになっております。さらに、事業者が報告徴収や指示に従わなかった場合には、事業者に対して罰則を適用できる制度となっております。

 このような措置にもかかわらず、万が一事業者が契約に従った公共サービスを実施しない場合には、先生御指摘のとおり、国は契約を解除することが可能であります。この場合においても、本法案の規定に基づきまして、公共サービスが中断することのないよう、新たな競争入札を実施することや、国がみずから公共サービスを実施する等、必要な措置を講じる制度としているところであります。また、他の事業者と緊急に契約を締結し、残された契約期間について公共サービスを継続させることも考えられます。

 このような措置をとり、公共サービスが中断しないように適切に対応していきたいと思っております。

横光委員 中断しないように適切に対応すると言われましたけれども、できるんですか。罰則とか罰金とかいうのは言われましたけれども、これは当然のことです。しかし、サービスに空白ができる。この空白ができないようにすると言われましたけれども、新たな入札をする制度になっていますね。解除ということは突然来るんですよ。そうした場合、急に新たな、次の日に入札して決めるということは不可能でしょう。

 そしてもう一つは、いわゆるこれまでどおり公共サービスとしてやるんだということですけれども、そのときにはもう事業を投げているわけですから、そこの対応者はいないわけですよ。配置転換等で別な部署に移っていて、すべて新しい民間事業者にお任せしている。そういったところがだめになったときに、すぐだれが公共サービスをちゃんと実施、行政が対応すると言われましたけれども、対応できるわけないじゃないですか。

 どうしても空白が生まれる。空白が生まれるような業務もある。あるいは、空白が生まれては絶対ならない業務もあると思うんです。そうした空白が生まれてはならない業務に対しては、私は、最初から市場化テストの対象にすべきでない、このように思うわけです。

 例えば、指定管理者制度で、契約期間が終了しないのに指定団体が撤退した事例があるんですよ、奈良県立の温泉施設で。これももちろん罰金、罰則はありますが、ここにそのサービスの空白ができたわけです。しかし、これは温泉施設だから、まあ、言えばよかったようなものの、事国民の生命とか人権とか、そういうものにかかわる事業が今のような形で空白ができたら大変なことになりますよ。

 ですから、そういったかかわるような事業に対しては最初から市場化テストの対象にすべきでないということを申しているんですが、そのような選別の仕方というのはお考えになられていないんですか、大臣。

中馬国務大臣 これは、そうした危険性のあるものは例の監理委員会等で十分にチェックされておりますし、病院等のような場合、これを市場化テストにするとは言っておりませんが、例えばそうした生命財産にかかわるようなことであったとしても、その事業体がつぶれるようなことがあったとしても、急に全部、お医者さんも看護婦さんも用務を停止するわけじゃございませんので、そうしたことはほとんど考えられないんじゃないかと私は思います。

横光委員 考えられないようなことが起きるというのが現在なんですよ。

 ですから、例えば児童虐待なんか、そういったことは空白なんか許されないんですよ。こういったことはもう最初から市場化テストの対象にしないとか、それぐらいのしっかりとした選別をすべきだ、私はこのように申し上げているんです。

 そしてまた、国、地方の自治体の監督能力についてちょっとお尋ねをしたいんです。

 行政機関の長は報告の徴収と立入調査ができるということになっております。しかし、行政の内部に当該公共サービス実施部門が皆無となった後に、つまり移したわけですから、そこの担当者はいないわけですね、そういった後に、実施状況、あるいは帳簿、書類その他の物件を検査する能力を行政機関は果たして確保することができるのか、このことをお尋ねいたします。

山口副大臣 お答えいたします。

 御指摘のように、公共サービス改革法案において、国や地方公共団体は、公共サービスを提供する民間事業者を監督する責任を負っていることは当然であります。国や地方公共団体においては、他の一般的事業と同じように、法に基づく監督責任を果たすため必要な措置を講じていくことになっております。

横光委員 どうも全然私の質問に答えていないですね。

 結局、実効性ある監督能力があるのかということを私はお聞きしておるんです。入札の段階では、確かに、私たちはこういう質が高い事業を展開しますということで落札しても、その後の事業展開の中で本当に質の高い事業が行われているかどうか、ここが大変重要なことなんです。それを担保するのが監督能力でしょう。その監督能力、それさえも担保できないじゃないですか。事業を請け負ったときは質の高いものをやると言いながら、事業を展開したときにはそこに至っていない。至っているか至っていないかというのを監督するのが、先ほども言った調査権があるわけなんですよ。

 ところが、自治体には、そういうベテランの人たち、あるいはそういったノウハウを持っている人は、民間に移したわけですから、もうその人たちは別なところに配置転換すると言ったではないですか、いないんですよ。そうしたときにそういった事業に対して監督能力ができるのかということを聞いているわけでございますが、そういった意味では、私は非常にこの問題も重要だと思うんですね。

 逆に、自治体にそういったものがなければ、結局、専門家による高度な監督機能をアウトソーシングあるいは外部調達をせざるを得ない、そうするとコストがかさむ、何のための市場化テストか、こういったエンドレスの問題にもなりかねません。

 そういった意味で、私は、実効性ある監督能力を行うことを行政内部にしっかりと確保すべきじゃないか、法律に書いている以上、調査できるとなっている以上、調査できる体制をつくっていただかなければ空文になってしまうということを申し上げているんです。

 それで、もう一つ、監理委員会の件ですが、これも、先般、山口副大臣は、公共サービスに関してすぐれた見識を有する民間人の方々による非常に権威のある機関とすることが重要である、このようにお答えになっております。

 それで、まずお尋ねをいたしますが、この監理委員会の勧告、これは総理大臣や内閣を拘束するのか、そしてまた、勧告内容に基づき措置を講ずることを総理大臣に義務づけているのかどうか、お答えいただきたいと思います。

    〔今津委員長代理退席、委員長着席〕

山口副大臣 お答えをいたします。

 監理委員会の判断や勧告は、内閣総理大臣その他の各大臣を法的に拘束するものではありません。ただし、監理委員会の判断は、官にも民にも偏らない中立かつ公正な立場からなされるものであり、各大臣等は当然その判断を尊重すべきものであると考えられます。

 また、監理委員会による勧告については、勧告の内容を公表しなければならず、また、各大臣は、勧告に基づいて講じた措置を監理委員会に通知しなければならないとしているところであります。

 このような透明性を確保しつつ、各大臣に説明責任を求める本法案の枠組みを通じ、勧告がなされた場合には、各大臣等はこれを真摯に受けとめ適切に対応していくことと考えております。

横光委員 真摯に受け入れ適切に対応すると言いましたが、勧告があった場合は各大臣は必ずこれを受け入れるんですね。どうぞ。受け入れない場合もあるんですか。

山口副大臣 繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように、これは法的に拘束をするものではないということで御理解をいただきたい。

横光委員 それじゃ、何のための監理委員会なんですか。中立性、公正性、公平性、ここに疑義が生じたときに監理委員会は申し立てるんでしょう、勧告を。それを、今、受け入れないことだってあるということになれば、私は、何のための監理委員会かと言わざるを得ない。

 受け入れたとしても、今度は、措置を講じないこともあるんですね。どうぞ。仮に受け入れたとしても、措置を講ずる講じないは大臣の勝手なんですか。

山口副大臣 ちょっと同じ答弁になって申しわけないんですけれども、あくまでも、この監理委員会というのは有識者の優秀な方たちになっていただいておりますので、今言った指摘ですとか勧告は非常に重いものと受けとめておりますので、それを各大臣や地方の長が適切に判断していただけるのではないかと解釈をしております。

横光委員 どうも言葉があいまいです。適切に判断するでなくて、勧告を受けたら、必ずその勧告を受け入れて、そしてちゃんとした措置を講ずる、そういった形になっていなければ監理委員会の存在がないじゃありませんか。

 ですから、ここが非常にあいまいなんですね。拘束はしない、義務づけはない、勧告を受け入れ、措置を講じた場合は措置内容を監理委員会に通知するのみ。私は、これで本当に監理委員会の非常に重要な役割が果たせるのだろうかという気がしてならないんですね。やはりここは、むしろ独立性の高い第三者機関にしっかりしなければ、これまた大きな問題が生じてくるのではないか、私はそんな気がしてならないわけでございます。

 また、次に、冒頭申し上げましたいわゆる利用者本位の件でございますが、国民の関与ですね。冒頭イギリスの例を紹介いたしましたが、公共サービスの質や水準の改革のために、イギリスではサービスの利用者の参画が不可欠、こういう認識に立っておるんです。

 しかし、今回の市場化テスト法案においては、国民の参画の余地はほとんどありません。この法案の中に国民という言葉が出てくるのは、定義で一カ所、国民に対するサービスの提供、それから理念のところで、国民のため、より良質かつ低廉なサービスをする、この二カ所しか国民という言葉はないんですね。あとは、政府か自治体か民間事業主、こういった文言しかありません。

 ですから、対象事業を基本方針で定め、そして閣議で決定する、そのときには民間事業者の意見を聞くということは法律に書かれておりますが、サービス利用者である国民の意見を聞くことは一切そこにはありません。なぜ国民の意見を求めないのですか、事業を選定するときに。

山口副大臣 お答えいたします。

 サービスの担い手であります、国民のニーズを踏まえた質の高い公共サービスを提供していくこととなるよう、官民入札の対象については、くどいようでありますけれども、民間事業者の意見を踏まえ、そして関係大臣等との協議を行い、そして各界の有識者から構成をされております監理委員会において審議を経て、閣議決定する制度でございます。

 その際、関係各大臣は、公共サービスの受益者である国民の意見をしっかりと把握した上で、本法案に定める協議に臨むことは当然であります。また、各界の有識者から構成される監理委員会においても、国民各層の意見を適切に踏まえて業務をすることが期待をされているわけであります。

 こうしたことにより、国民各層の意見を適切に踏まえた上で、この対象公共サービスの選定は行われるものと考えております。

横光委員 国民の意見を適切に判断すると答えますけれども、どこにそういう項目があるんですか。意見を聞く、国民が意見を言うところがないんですよ、この法律には。イギリスの場合は、それはすべて国民、利用者の意見をということでブレアが変えたんですね。ところが、今回のでは一切国民が関与することができない。

 となりますと、この法律は、この市場化テストというのは一体だれのための改革なのかということなんですね。本当はこれは、最終的には国民、利用者のための改革なんじゃないんですか、もちろんコスト削減をしながら。ところが、国民が意見を言うところが全然ない。まさに国民の意見は聞かない仕組みになっている法律である、こう言わざるを得ないんですね。本当に国民の声は、今、形だけでは適切に判断すると言ったが、適切に判断しようがないじゃないですか、意見を言うところがないものですから。本当におかしな、不備な法案だと私は思いますよ。

 それで、今は事業を選定する場合。今度は、廃止対象事業を選定する場合、もうこの事業は要らないと廃止する場合も、国民の意見を言う機会はないんですね。勝手に政府や事業主の意見を、事業主の意見は聞くことにはなっていますが、勝手に決めることになっている。

 廃止となりますと、これは大変国民に与える影響は大きいと思いますよ。公共サービス、これはもう廃止するんだと。しかし、その場合は、やはり廃止する必要があるということを、いつ、だれが、どのように把握して分析するのか。こういうことはどのようにして分析するんですか、廃止する場合。

山口副大臣 同じような答弁で申しわけないのでございますが、御指摘のように、公共サービスの廃止とは、国または地方公共団体の事務事業としてこれをやめるということであります。

 ある公共サービスの廃止を公共サービス改革基本方針で決定するためには、関係省庁と協議し、監理委員会で審議をすることはもう先ほども何度も述べておりますけれども、この過程で廃止の要否やその影響等について適切に議論をされるもの、要するに、選ぶときと同じような方法でやりたい、こういうことでございます。

横光委員 ちょっと意見だけ言わせてください。

 本当に、適切に判断すると言うけれども、なかなか理解できないんですね。これは釈迦に説法でございますけれども、やはり公共サービス改革は、効率化を図るのみならず、最終的には本当にサービスの利用者である国民にとっての改革でなければならないと思うんですね。その国民の意見が聞けないという法案になっている、このことを強く指摘して、質問を終わります。

伊吹委員長 横光君の質疑は以上をもって終了いたしました。

 次に、石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 市場化テストの問題で質問をいたします。

 独立行政法人に関する有識者会議は、昨年十月二十八日に、国立美術館、博物館、文化財研究所の再編統合について、さらなる検討を行うべきであるという要望を出しました。また、規制改革の民間開放推進会議は、これらの機関を市場化テストの対象にすべきだという要望も出されております。こういう経営効率優先のあり方について、平山郁夫東京芸大学長、高階大原美術館長らが「効率性追求による文化芸術の衰退を危惧する」という声明を発表し、いろいろ行動されたということはよく知られているところでございます。

 そこで、最初に文科大臣にお伺いをいたしますが、先日、文科委員会で大臣の次のような御答弁がございました。競争あるいは採算性のみを追求するようなことのないように、市場化テストに適するものと適さないものをしっかり分けて考えなければいけない、従来の形でしっかり計画性を持って取り組んでいくという必要性を強く認識していると。これは保坂議員の質問に対する御答弁でございました。

 それで、伺いたいんですが、国が責任を持って行うべき分野はしっかりと国が維持していく、美術館、博物館などは市場化テストの対象とはしないというふうに受けとめてよろしいでしょうか。

小坂国務大臣 お答え申し上げます。

 先日もお話を申し上げたわけでございますが、財政厳しい折、どのような分野にあっても採算性、効率性ということを常に考えなければならない、このようには考えるわけでございますけれども、国立美術館と国立博物館の業務というのは、長期的かつ継続的な視点に立って進めることが必要でございまして、短期的な評価に陥りがちな効率性や採算性というものを余りに重視いたしますことは必ずしも適当ではなく、なじまない面がある、このように考えております。

 昨年、多数の文化人の方々からも同様の危惧が示されたところでございまして、これらにつきましては十分に配慮することが必要であるという認識を持っておるわけでございます。市場化テストの適用につきましては、このような文化芸術の特性等を踏まえつつ、慎重に対応することが必要である、このように考えております。

石井(郁)委員 平山郁夫さんらだけではなくて、本当にこの間いろいろな方々の発言がございますが、先月には日本学術会議が、経営効率だけを重視する国の文化政策について警鐘を鳴らすために、学術・芸術資料保全体制検討委員会を立ち上げました。ことしの秋にも提言をまとめるということでございますけれども、その中で、日本学術会議がこういう委員会を設置したその必要性を次のように発表していらっしゃいます。

 少し読み上げますけれども、「効率化で改善される部分も多いが、実物資料の管理をも改革の潮流に放すことは、あまりに無謀である。安易な民営化で、学術・芸術の礎である無二の実物を将来にわたって守ることができるのだろうか。」「公的施設の運営及び民間委託が、その収益性向上と効率的活用を重視するあまり、人間文化の継承と創造に等しく役割を果たすはずの基礎的文化資源や管理業務を切り捨てさせ、それ本来の社会的役割を見失わせつつある」という指摘でございます。

 そこで、この点は中馬大臣に伺いたいと思いますけれども、日本学術会議から、これは三月ですから先月、こういう指摘が出ていることを御存じでしょうか。また、今お話ししたようなことに関しての御感想をお聞かせください。

中馬国務大臣 そのことは承知をいたしております。

 委員御指摘のように、文化芸術といったものは、これはいわゆるコスト競争には私はなじまないと思っています。ですから、そういう意味での市場化テストの対象には私たちの方も余り考えておりません。

 しかし、そういったこともすべて判断されるのは監理委員会の方々でございますけれども、ここで言っているのは、それを全部丸ごと、コストが低いからということで市場化テストの対象にしようという意図ではないんですね。聖域なくいろいろなことは対象にしていただきたい、その中で、今言いましたような、同じ博物館を運営するについても、その展示の仕方とか、その部分は民間の方がよほどサービスがよくなるんじゃないかとか、そういったことは十分、今、各自治体なんかでやっておりますものを見ましても、すべて役人に任せて博物館がずっと象牙の塔のような形でやっていることじゃなくて、もう少し住民の立場に立って、サービスだとか展示の仕方だとかそういったことを幅広くやる場合には、場合によっては、場合によってはですよ、そのことも一つの対象になり得るんじゃないか。

 そういうことで、市場化テストの対象に入っていることは事実でございますけれども、だからといって、丸ごと、もうすべて、やるのはけしからぬといった議論には直接は結びつかないかと思います。

石井(郁)委員 しかし、まだ何かあいまいなものを感じざるを得ないんですけれども、市場化テストの対象に入らないということは私は初めてお聞きしました。

 平山郁夫さんなどが、美術館、博物館の市場化テスト導入については本当にはっとすることをおっしゃっていましたよね。それは、ちょっとこれも読み上げますけれども、太平洋戦争末期、日本軍の参謀本部は前線の情勢を一切知らないまま、耳を傾けようともせず、机上の作戦を立てて、将兵を玉砕に追いやった、市場化テストはこれに似ていると。なかなか激しい口調ではございますけれども、そういうやはり非常な危惧、怒りというか、心配を感じるわけでございます。

 それからまた、高階さんですけれども、例えばゴッホやセザンヌの展覧会を開けば、大勢の観客が集まって人々に大きな喜びを与える、文化的にも経済的にも極めて有意義な、国民のためになる催しだ、だが、ゴッホもセザンヌも、生前にはほとんど作品は売れなかった、もしその当時彼らが市場化テストにさらされていたら、歴史の上でその名前は消えてしまったであろうというようなこともございました。

 そこで、私は、市場化テスト全体もそうなんですけれども、特にこの分野は本当に市場化テストなどにさらしちゃいけないと思うわけですが、改めて、国立美術館あるいは博物館、これは国として担っているその業務の意義とか目的というのは何でしょうか、これをお答えください。政府委員でいいです。

加茂川政府参考人 御説明を申し上げます。

 国立博物館でございますが、国の文化財保護政策の一翼を担う機関として、貴重な国民的財産でございます多数の国宝、重要文化財を初めとする文化財を収集、保存、展示をいたしまして、次世代へ継承するとともに、これらを活用して国内外に我が国の歴史、伝統、文化を発信するという役割を担っておるものでございます。

 また、国立美術館でございますが、我が国における芸術文化の創造と発展、国民の美的感性の育成を使命といたしておりまして、美術振興の中心的拠点として、美術に関する作品等を広く国民に紹介をしております。また、同時に、海外の主要な美術館、作家等と連携をいたしまして、美術を通した国際文化交流推進にも役立っておる、そういう役割を担っておるものでございます。

 したがいまして、これらの役割を踏まえますと、いずれも我が国の文化振興の基盤として、長期的、継続的観点から、国が責任を持ってその運営に関与する必要があるものと考えておるものでございます。

石井(郁)委員 どうもありがとうございます。

 繰り返す必要もないんですけれども、美術館とか博物館というのは、やはり展示や企画というのは、長年にわたって蓄積されてきたそういう調査研究をもとにして開かれているということだと思います。それからまた、外国の美術を受け入れるというような点でも、また逆に日本の美術の発信の窓口にもなるというようなことだと思うんですね。ですから、やはり一国の美術振興の拠点として位置づけられ、設けられているというふうにも思います。

 そういう意味で、国民共有の文化財を保存、活用する、次世代に継承するというナショナルセンター的な観点から設けられているというふうにも確認をさせていただきたいと思うんですね。やはりそういうナショナルセンターとしての役割というか、あるいは外国からの信頼も得て運営されてきている、また開かれているということだというふうに思います。

 さて、次の問題は、市場化テストの法案によりますと、その趣旨には、質の維持向上を図るというふうに書かれています。それから理念のところには、国民のために良質なサービスを実施するということも書かれています。この二つはやはり大変大事なことだと私は思うんですけれども、しかし、具体的にどういうことになっていくかといえば、官民競争入札です。もしくは、最初から官を排除した民間競争入札によって落札者を決めることになっているということですね。

 そこで、その落札者を決める評価の基準なんですよ。これがどうなっているんだろうか。法案によりますと、評価基準は入札実施要項で決めるという一文があるだけなんですね。具体的なことは書かれておりません。評価の基準が明確でないというのは、これは美術館、博物館だけに限ったことではありません。私は、この法案が抱えている大きな問題点の一つだというふうに思うんです。

 ここで市場化テストの推進室にちょっと伺おうと思うんですが、価格だけではなくて質も考慮に入れて評価をすると、一応質ということは言われるわけですね。しかし、具体的な説明はお聞きしたことがありません。

 一体、評価基準があいまいなままで、結局入札の価格だけがやはり重視されるんじゃないのか、入札価格の安い業者がその事業を受け入れ、また実施することになるのではないかというふうに思うんですが、この点はいかがでしょう。

山口副大臣 お答えいたします。

 今の先生の御指摘でございますが、この法案は、国民のための公共サービスの質の維持向上とコストの削減をともに実現することが目的であるということは、もう何度も言っております。そして、公共サービスの質については、最低でも、今までやってきた、従来のレベル以上を維持することが大前提であります。そして、むしろ、民間の創意工夫を生かすことにより、限られた財源の中で公共サービスの質の向上を実現することを目的とする法制度となっております。

 具体的には、官民競争入札などの結果、民間事業者が公共サービスを実施することになった場合にも公共サービスの質の維持向上が確保されるよう、このサービス実施に当たりまして確保されるべき質を、国や地方公共団体の責任においてまず明確化する制度となっており、このような公共サービスの質に関する要求水準を上回ることを条件とした上で、質と価格の両面で最もすぐれた落札者を決定する制度となっております。

石井(郁)委員 一応そういう御説明ですけれども、大変抽象的ですよね。抽象的ですよ。いわば言葉で繰り返されているだけにすぎないと言わざるを得ないんですよね。

 一体、質の維持向上という、質というのは評価基準の中でどのように考えられるんですかという質問なんですが、それはこの段階でも明示されないんですか。

伊吹委員長 内閣府河市場化テスト推進室長、もう少し具体的に。

河政府参考人 今委員御質問の件、質というのは、事業ごとにその評価する質というものが異なっているということになろうかと思います。

 今回御提案させていただいております、例えば人材銀行の事業についてはどれぐらいの人数を紹介してもらえるか、あるいは国民年金の収納事業でいえば、どれぐらいの方々にお声をかけて、どれぐらいの方々から保険料を納めていただけるか等々具体的な形で、例えばそれを昼間、別の場所でも受け取れるようにしようということの提案をしていただくとか、そういうことがいわばサービスの質ということになると思います。

 具体的に、実施要項の段階で今申し上げたようなことを明らかにしながら、参加をしていただく。これが結果的に、お約束が守れたかどうかが評価になるわけでありますし、もうちょっと細部にわたっての評価基準をつくった上で、まさに入札に参加をしていただくということになろうかと思います。事業ごとにそのようなことを丁寧におつくりした上で、まさに入札をしていただくということになろうかと思います。

石井(郁)委員 今、少し例をお出しになって説明いただきましたけれども、この市場化テストの本格的導入のためのモデル事業という形で実施されている社会保険庁の業務などでは、落札者の決める評価基準をやはり数値化しているわけですね。

 恐らくいろいろなところでその数値化がされていくだろうというふうに思うんですが、美術館、博物館については本当に市場化テストの対象としないとは言っていないんでしょう。だからお聞きするわけですが、そうすると、美術館、博物館も、例えば数値化なんてあり得るのか。美術品、芸術品、歴史的遺産など文化財を扱う業務ですよね。業務です。調査研究をする、企画、展示の業務というようなことになりますと、これは機械的に数値化して基準をつくるということは不可能ではないのか。

 そういうことがありますから、質で基準を決めるといったときに、今の御説明でも多くは数値化されていくようなことになるので、果たしてそんなやり方で、例えば美術館、博物館ということはできるのかということなんですね。もう一度、いかがでしょうか。

 そうして、入札になるわけだから、結局、価格競争、そして、価格と質と両面見てというふうにおっしゃるわけですけれども、その質の部分というのはどのようにして入札にかけるんでしょうか、もう少し。

中馬国務大臣 先ほどちょっと誤解があったようでございますが、私は、丸ごとこれを市場化テストの対象にする、それはそういうケースもありましょうけれども、少なくとも、このウエートも含めまして、文化人の方々からの御心配もありますが、しかし、これを完全に聖域にするというんじゃなくて、それぞれの部門で市場化テストの対象になり得ることはあるのではないか。そういうことはひとつ間違いなく私の発言を御理解ちょうだいいたしたいと思います。

 その際に、今、質の問題が出ておりますが、何度も申しますように、私たちは質をよりよくするために、今までのお役所任せよりもよっぽどこちらの方が住民のサービスになるのではないか、そういう観点から、今度は役所仕事を民間に移していくというこの作業でございまして、イギリスの場合に失敗したという話も先ほどありましたけれども、これは、そのときにはかなりコスト重視でやりました。しかし、今回は、その反省も踏まえて、逆にこちらとしましては、日本の場合に、今回のこの法案では、かなりそのことを書いているつもりでございます。

 そして、これにつきまして少し御説明しておきますと、まず、これを対象にするかどうかといったことも民間事業者の方々からの意見を聞くわけですよね。そして、関係機関での協議、これは各省庁が担当しておりましょう、それにつきましての協議が行われます。協議が調わなかったら、これは対象にはなりません。

 それと、監理委員会でございますが、これは本当に幅広い方々に入っていただいているんです。文化人の方も入っていらっしゃいますし、それから、もちろん経営者の方も入っていらっしゃいましょう、住民を代表する形の方ももちろん入っていただくんですよ、これは。それから、ちょっと労働組合のことをおっしゃっている方もいらっしゃいましたけれども、労働組合を、その方を入れるということじゃなくても、労働組合的な立場を代表する発言もしていただける方も入るんです、これは。幅広い国民の方の意見を入れた形の監理委員会ですから。そこで、こちらの、役所にいるだけで何かコスト削減でやるんだというような誤解だけはしないでいただきたいと思います。

 ともかく、そうした形で、その中で、ここで細かく、美術館の場合はこうだといったその質の基準を全部列挙することはもちろんできません。そういうことで、それぞれの対象になったものにつきまして、こういうことがやはり必要じゃないかという質の項目を挙げた上で、これがそれぞれの評点までした上で、金額、コストではない形の、住民サービスの方の評点も大いに、その方を逆に重い形で評価の対象にしますということを言っているわけで、それは今後の政令、省令の方とか、そういったことの中で規定されていくものだと思っております。

石井(郁)委員 やはり入札というのは、価格以外に評価の客観的な基準というのが大変心配になるわけで、そのことがないと、国民にとっての良質なサービスというか、そういうことが本当に保障されないということだと思うんですね。だから、その問題は大変大きな問題としてまだ引き続いて残るというふうに思います。

 もう一点伺いたいのは、こういう分野に市場化テストを導入するということのやはり危険性、無理ということについては、先ほど関係者の皆さんからの非常に強い御懸念があるということを申し上げましたけれども、私は、一連のこの間の民間開放推進会議などの内容を見ておりまして、手続上でも大変問題があったんじゃないかと言わざるを得ないんですね。

 先ほど、冒頭の平山郁夫さんらの抗議声明に対して、この規制改革の民間開放推進会議が一応反論もしていらっしゃいます。決してこれは初めに民営化ありきではないんだ、また、民間主体が常にすぐれているという決めつけをやったわけじゃないんだということでの反論も読ませていただいております。

 しかし、この民間開放推進会議が文科省あるいは文化庁を数回にわたって呼びましてヒアリングをしている、あるいは公開討論なども行っていますけれども、その議事録をちょっと読ませていただきますと、こういうやりとりをしているのかというような、実は驚くような中身になっているんですね。

 何か、ヒアリングといったら、冷静にいろいろとちゃんと聴取しているのかという印象なんですが、そうじゃなくて、まさに、決めつけ的な事情聴取、恫喝的な内容の印象というのが随所に見られるんですよ、これは。本当にお読みになったら、これはよくわかります。だから、端々に断言的な形で言っておられます。どういうことかと申しますと、これは民間開放推進会議の市場化テストワーキンググループ、福井専門委員なんですね。その方の発言というのは、ヒアリングといいながら、それは答えになっていない、あるいは、もう論理は破綻した、そういう一方的な決めつけに終始しているという感じを本当に私は受けました。

 そこで、この点について文科大臣に、こういうやりとりがあったんだということについては文科大臣はどのように御報告を受けていらっしゃるんでしょうか。

小坂国務大臣 今委員が御指摘になりましたものにつきましては、第六回の官業民営化等ワーキンググループ、第十六回市場化テストワーキンググループとか、いろいろ私も読んでみました。かなり厳しい御指摘といいますか、一方的といいますか、表現があるような気もいたしまして、もとより、公の議論、そういう場では互いに品位ある建設的な議論をするということが大事であると思います。

 そういうようなことに関しまして、御指摘の議論に関しては、博物館、美術館の実態等を十分勉強していただいた上で文化芸術の特性にも配慮した議論を展開していただきたい、そういうような思いはありますけれども、あくまで規制改革を推進する立場からの発言と承知をしているわけでございまして、当方の事務方からもきちんと反論を、説明をさせていただいたところでございます。

 お互いに建設的な議論というものを心がけながら、譲ることなくしっかりと議論をしていく、こういうことでございますので、御理解を賜りたいと思います。

石井(郁)委員 もうちょっとだけありますので。

 何しろ、ちょっともう本当に紹介するのも私もどうかと思いながらですけれども、例えば、こういう資料を堂々と出してくる文化庁の感性が信じられないだとか、博士号取得者が少ないというのに、アカデミックな権威づけを受けていない者が大部分なのに業務としてきちんと運営されているのか、これは通るわけのない荒唐無稽な主張だ、というようなことがありまして、博士号を取れないような集団がどうして高度の専門家集団なのか、審査を経ていない論文は雑文、エッセーだ、こういう言い方というのは、私は、本当に専門家の言う話かなと逆に思いますし、こんなふうに決めつける権限というのは本当にどこにあるんだろうかというふうにも思いますし、やはり大変な個人攻撃もしていると言わざるを得ないんですよね。

 そういう点で、もう時間になりましたけれども、この方は、日経新聞でこうも言っておりますよ。展覧会のよしあしは基本的には入場者数ではかるべきだということで、やはりすべてはコストだというふうに言っておられます。それで、採算に合わない場合は国に返還する、国は不必要な美術品、文化財を売却する、こうすれば四割はコストが減る。こういうのは本当に暴言だというふうに思うんですよね。

 ですから、もう時間ですが、市場原理万能論者の、やはり採算だけの論理で規制改革の民間開放が進められているということを指摘せざるを得ないということを申し上げまして、もう時間でありますので、終わりにしたいと思います。

伊吹委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻元清美君。

辻元委員 社会民主党・市民連合の辻元清美です。

 私は、きょうは、公益法人のあるべき姿は一体どういうことだろうということを中心に質問させていただきたいと思います。

 まずは三つに分けまして、安倍官房長官には、公益社会といいますか、活力あるさまざまな社会活動が行われる社会というのはどういうことだろうという総論で、そして中馬大臣には、今回の法案の中身について確認させていただき、そして谷垣財務大臣には、税制も非常に大事ですので、特に、谷垣大臣はきずなということを言っていらっしゃいますので、このきずな実現のためにも非常に大事な議論ではないかと思いますので、分けて質問をさせていただきたいと思います。

 私自身も、二十代からいろいろな国際交流のNPOの活動などをしてきました。その経験からも、いわゆるNPO法を議員立法でつくる折も、その立法者の一人として、民法三十四条とNPO法との関係など、さまざまなことを考え悩んでまいりました。

 その中で痛感したのは、日本では、公益と国益の概念の違いとか、それから公益と非営利、これは本委員会でも大分民主党の市村議員が議論したようですけれども、この概念をどう切り分けるか、そこのところが十分議論されないまま制度設計されてきたので、自発的な社会活動が育ちにくかったのではないかというようなことをNPOの立法過程でも痛感いたしました。

 まず、公益と国益というところから入りたいんですが、安倍官房長官にお伺いしたいんですけれども、公益と国益の違いをどのようにお考えでしょうか。

安倍国務大臣 公益と国益の違いということでありますが、国益は公益の中に含まれることもございますし、公益というのは、一般に、国家であったり、あるいは社会であったり、不特定多数の利益というふうに我々は考えているわけでありますが、もちろん国家の利益イコール公益ではないということではないか、こう思っております。

辻元委員 国家の利益イコール公益ではないという御発言だったんですけれども、先日、ドイツの市民社会団体の役割についてという研究者たちとの国際シンポジウムがありまして、私も参加してきたんです。そこで、こういう切り分けがありました。

 いわゆる日本で言う社団や財団、それからNPOなど、広い意味で、私は社会活動とあえて申し上げれば、四つのタイプがある。政府がまだ認識していない問題などを先駆けて提起し行動し、政府を刺激するという先駆けタイプというタイプ。それから、次は補完者として、次はパイプ役として、次は対抗者として。二点目の補完者というのは、補助金などで政府の補完的な問題に取り組む。

 例えば先駆けというのは、この国会でもドメスティック・バイオレンスに関する法律などもつくりましたが、あれは、最初はなかなか理解されなかったことが、国際的な女性団体などを中心に社会活動が広がって、各国が法律をつくっていった先駆けだったと思います。

 それで、補完的な問題、二つ目。これは、介護とかそれから町づくりとか、いろいろな場面で行政などとも協力してやっている。

 そして三番目が、外交や利害衝突の解決のために政府がやりにくいことをパイプ役として行う。これは、北欧などで、例えば紛争の予防や解決に、いきなり政府が乗り出していくとうまくいかないところを、さまざまな社会活動の団体が先に入っていって、人道支援とか学術団体とか、それぞれの対立する派と協力関係や信頼関係を結んだ上で紛争の仲介役として活躍していくとか、そういうような活動も今広がっております。

 そして最後に、政府の批判者として問題を提起し行動する。例えば、今まで公害の問題とか労働者の人権、あるときは激しくぶつかり合ったりしながらも、しかし、最終的には環境政策が充実していく、または労働者の人権が充実されていくことで高度経済成長も担っていったように私は思います。

 そのように、それぞれの分類があると思うんです。

 それで、日本の風潮を見て思うんですけれども、この委員会でも、NGO参加拒否問題があったかなかったかという、数年前には随分大きな議論もありましたが、どうも、お上に盾突くとか、それから政府の方針と反している場合は反政府というレッテルを張ってしまうというような風潮が今まであったのではないか。特に、これから、私たち政治の場でそういうような風潮があると、自由濶達な社会活動は広がっていかないと私は思うんですけれども、そういう、レッテルを張ったり、政府の意見と合わない批判者であるということも非常に大事な公益活動の中に入ると私は思いますが、安倍官房長官、いかがでしょうか。

安倍国務大臣 私が先ほど申し上げました国家というのは、いわゆる政府とイコールではないという意味の国家であって、例えば、国民、地域、社会、総体としての国家という意味でも申し上げたわけでありますが、今回の改革におきましても、いわゆる官という意味において、官がすべて公益を担っていく、官こそ公益を担っていくということにおいて、許可についても官が全部見て許可をしている、この公益法人を。その考え方を根本的に変えていこうというのが今度の改正であるわけであります。

 基本的には、今委員がおっしゃったように、予防外交においても、例えば、かつてイラクのクルド地区においても、政府として支援できない段階においてNGOの方々が支援をしていた、それが結果として、現在のクルド地域の人たち、あるいは今度大統領になった方との関係においても、これは大きな財産であったということも事実でありますから、そういう意味においては、大体辻元委員のおっしゃったとおりではないだろうか、こう思っております。

辻元委員 今回の改革の中に、それぞれ所管の省庁の恣意的な判断、社団や財団、そこが入らないようにするというのは一つの大きなポイントだったと思います。それは、先ほど申し上げましたお上意識といいますか、政府に反するような団体なのに補助金をつけるのはおかしいとか、それから公益法人にするのはおかしいという風潮がやはりあったから、それを改めていこうということだと思うんですね。

 ただ、最近の風潮を見ていますと、先ほどのNGO参加拒否問題なんということで、あった、ないというので、この国会でもさまざまな議論があったり、例えば男女共同参画で、ジェンダーという言葉などをめぐっても、いろいろな議論が飛び交っている中で、一部の行政が、その中の関連する言葉を使いかねない講師の人を呼ぶのを行政がやめるようにというように持っていったととられかねないような現象が起こったりしているんですよ。

 ですから、むしろ、自由濶達にというよりも、何か一つの基準を決めて一部に従わせようというような動きが、この法案の趣旨とは反して、風潮が広がっているんじゃないかという懸念を私は持っているんですが、安倍官房長官、いかがですか。

安倍国務大臣 私どもがやろうとしているこの改革については、公益という考え方をこれは根本的に変えていくという、明治二十九年のときの設立当時とは根本的に変えていくということであって、まさに公益については民間団体も、民間もみずみずしくその公益を担っていただくという考え方に変えるものであります。

 また、今委員が御指摘になった、ある考えというのは、例えば政府が、行政上においてこういう範囲内においてこれは解釈すべきであるということは、当然これはあるだろうというふうに思うわけでありますが、いわゆる公益団体との関係においては、これはそれぞれが、今回においては、思い切った改革によって、国が全部許可をしていくという許可制を今度は変えていくことになるわけでありますが、そういう意味では、根本的な変化になっていくということではないか、こう思います。

辻元委員 そうしましたら、次にその中身について二、三、お聞きしたいんですが、認定委員会というのをつくるということで、今までは社団、財団になるならないは所管の省庁ということでしたが、この認定委員会の構成なんですけれども、一つ重要な点で、事務局は一体どこが担うということになっているかということをお聞きしたいと思います。

中馬国務大臣 辻元委員は本当に社会的に、こうしたNPO、NGO等を通じまして大変な社会的な活動をやっておられます。そういう中で、今お話がありましたように、お役所がかなり関与してきたり、はしの上げ下げまで文句をつけたりといったような御経験のことも御披瀝されました。

 今回、本当にこれを外して自由にできるわけでございますから、そして、今までお役所がやっておったことも、そうした民間の方々、NPO、NGOの方々が担っていただくという大きな転換でございまして、そういうことを御評価いただいたことは私もうれしく思いますし、逆に、どんどんとこれからも大いに活躍していただきたい、期待もする次第でございます。

 今お話がありました公益委員会の事務局でございますが、これは内閣府に置くことといたしております。そして、内閣府に置かれる公益認定委員会には専属の事務局を設けることといたしております。

 この事務局のトップであります事務局長は、委員会の七人、これは識見のある、もう規定されておりますけれども、幅広い意見を代表される七人の方々でございますが、この七人の委員を代表する委員長の命を受けて事務局の業務を処理すべき旨を、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案、ここで規定されておりますが、この中で明記をいたしております。

 また、事務局長以外の職につきましても、この委員会の委員が独立性、中立性を保ちつつ、各分野における専門的な知見にも欠けることなく適切に判断できるよう、所要の体制を整備することが必要である、このように考えております。

 いずれにしましても、委員会の委員を的確かつ迅速に補佐できるために必要な体制の具体的な内容につきましては、今後、新制度の詳細を詰める過程において検討してまいりたい、このように考えております。

辻元委員 私はやはり事務局は大事だと思うんですね。ここを、思い切って切り離した第三者機関みたいなところにした方がいいと思うんです。それの方がはっきりしていると思います。

 もう一点。そうしますと、次に、公益性の認定があった後に、例えば補助金とかそれから事業の委託というのがありますね。これは、公益性の認定はあったんだけれども、それぞれの省庁が判断して、ここに補助金をつけるとか業務委託するというのは、結局、それぞれの省庁が判断することになって、その判断基準というのは今までと変わらないんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 今般の改革によりまして、主務官庁の裁量による縦割りの設立許可制、これは廃止されることになるわけでございまして、こうした今般の改革は補助金や業務委託の制度とは直接関係しておりません。

 そういうことで、それぞれの制度を所管する省庁といいましょうか、府省において適切に運用されることになる、このように考えております。

辻元委員 そうしますと、公益の認定はされたけれども、補助金とかそれから業務委託というところで結局省庁の裁量が入ってくるわけですよね。省庁が判断するわけですから、補助金を出し続けるかどうか。私は、やはり実質的には、なかなか余り、先ほど公益の認定というところでは認定委員の独立性ということを言いましたけれども、その後、補助金や業務委託というところも何らかの改革をしないと一個も変わらへんのと違うかなと思うのが一点目ですね。

 それから、なぜかといいますと、公益法人については、先ほどお上が云々ということの問題点を指摘しましたけれども、もう一つは、天下り、談合の温床ということ、これも問題にずっとされてきております。特に業務委託の場合は、天下り、談合の温床になってきたじゃないかと多々指摘されたりしていて、その中で、中馬大臣が画期的な御発言を四月四日の委員会でされております。今、速記録があります。これは市村委員への答弁で、官の関与から外して、主務官庁が、今おっしゃっていただきましたように、天下りの先にも使っているといったようなことまでも、今回はこれがもうなくなるわけでございましてとおっしゃっているわけですよ。

 天下りがなくなるわけでございまして、この根拠は法律のどこにあるんでしょうか。大臣の御発言ですから。

中馬国務大臣 直接に関与して自分たちの意図的な形でその団体に行くということがなくなるということでございまして、別の意味で、能力を請われて行くケースとか、それはあるかもしれませんけれども、そのように役所から直接、自分の支配下だから、そこに一つの、天下りといいましょうか転職の方をそこに充てるとか、そういったことの主務官庁の直接の差配の中には入らないということです。

辻元委員 それは法律のどこに書かれているんでしょうか。

中馬国務大臣 法律に書かれていなくても、普通、天下りというのはそういう状況のもとで置かれるわけでございまして、今言いました補助金の話とこれとを直接結びつけられることとは、主務官庁があって、そしてその出先という形のこれまでの関係はなくなる、そういう意味での天下りはなくなると言っているわけです。

辻元委員 私、そんなに甘くないと思います。

 この間、例えば一年間に退職した国家公務員、つい最近、一千二百六人のうち四百三十八人、三五、六%が公益法人に天下っていて、この間ずっとなんですね。全然減っていないわけですよ。

 私は、やはりこの天下りの問題というのは、実質的に法案で、公益法人改革の中の、先ほどお上問題を申し上げました、もう一つの肝だと思うんですね。そこでさまざまな無駄遣いをしたじゃないか、だからそこをスリム化するんだという意図があったと思うんですけれども、この法案じゃ、私はどこにそれが担保できているのかがさっぱり読み込めないんですね。

 例えば、大臣、ここに人件費の問題があります。これは有給常勤役員の、国所管のすべての公益法人と言われるところを分母にした場合に、有給役員なし、有給者がいないというのが四〇%なんですね。それで、例えば、年収一千万とか一千二百万とか二千万ぐらいまでの役員を雇用している公益法人は二九・七%なんですけれども、天下りを受け入れている団体の報告を見てみますと、有給役員なしが二・四%だけなんですよ。そして、一千万とか一千二百万とか二千万とかというので八〇・二%なんですね。急に人件費がぼんとはね上がっているわけです。

 かつ、先ほどNPOの話を申し上げましたけれども、このNPO法人というのはさまざまな活動をやっています。例えば、ニートの自立の手助けのNPOとか、それから、これは安倍官房長官もやり直しのきく社会とおっしゃっていますけれども、起業、これのNPOとか、子育てを支えるNPOとか、それからシニアNPOということで、技術指導のNPOとか、自殺者の遺族を支えるNPOとか、それから患者同士が慢性病の管理をするNPOとか、それから金融NPOとか、もうさまざまなものができているわけですが、このNPO法人の方は、例えばさっき、年収が一千万、二千万が八〇%ぐらいいる、天下りを受け入れている団体。ただ、NPOの方を見ますと、一年間の予算が五百万円未満が六一・九%、そして五百万から一千万が一三・三%、年間の予算がなんですよ。これは私は、日本のNPOも含めての公益法人の非常なひずみだと思うんです。

 ですから、谷垣財務大臣にお伺いしたいんですけれども、一つは税制をどうするかということ、それから、この天下り問題について率直な御意見を聞かせていただきたいと思います。私は、今回規制をきちっとかけるべきだと思うんです。余りにもNPOなんかでこつこつやっているところと差があって、ひずみが生じ過ぎていると思うんですね。いかがでしょうか。

伊吹委員長 谷垣財務大臣、申し合わせの時間が経過しておりますから、要点のみ簡潔に答えてください。

谷垣国務大臣 税制につきましては、今度の法律の中にも、寄附金税制について一層充実を図れという趣旨で、この公益性を第三者機関が認定したときは、それをバックアップするような形での税制という含みでこの法案にも書いてございますので、まだ制度が固まっていませんから、判断がこれからですけれども、基本的な精神はそういうことでやっていこうということであります。

 それから、天下りの問題というのはなかなか難しいですね。要するに日本は、公務員もそうですし、また民間でも大企業なんかみんなそうですけれども、いろいろな形で、何とか生涯食っていけるような形をどうするかというのをつくってきてもたれ合っているところがあることは、私は事実だろうと思います。そこにメスを入れるのはなかなか簡単な話ではないんだろうというふうに思うんですが、先ほど中馬大臣がおっしゃられましたように、やはり第三者機関が公益性というものを基本的に認定していくというのは、今までの形から比べますと、官庁がこういう法人を、官庁の下請機関みたいな法人を排除していくという流れの上では、私は極めて大きな意味があるんだろうと思っております。

 私は、もう一つ考えなきゃならないことは、では、公務員も天下りしちゃいかぬと言うけれども、引退した後といいますか、定年を迎えた後、みずみずしく生きるためには、やはりこういうのに積極的に参加してもらう必要があると思うんですが、それが官庁の下請機関みたいなことで行くようなことになったら今までと何も変わらない。もう少し自由に行って、今までの経験や能力を生かしてもらう。そういう意味での流動化と言っていいのかもしれませんが、そういうことをあわせて考えていきませんと、問題はなかなか解決しないんだと思っています。

辻元委員 それでは、天下りの問題は、余りにも非常識なことがたくさんこの委員会でも出ておりますので、常識に戻していただきたいということです。

 この公益法人改革は引き続き議論させていただきたいと思います。終わります。

伊吹委員長 これにて辻元君の質疑は終了いたしました。

 次に、滝実君。

滝委員 大分時間が遅くなって恐縮でございますけれども、十五分ばかり質問をさせていただきます。

 私は、いわゆる市場化テスト法案につきましてお尋ねをいたしたいと思います。

 この法案は、言うまでもなく、官の業務へ民間が参入する、こういうようなことの原理原則の手続をうたっているんだろうと思うのでございますけれども、しかし、よく見ると、すべてのそういう民間参入をこの法案が対象としているとは限らないように思うのでございますけれども、その辺のところの考え方。どういうものをこのテスト法案で対象としようとしているのか、あるいはこのテスト法案以外にはどういうようなことを考えようとしているのか、これは政府参考人で結構ですから、お願いをいたします。

河政府参考人 まず、この法律がいわば検討の対象としている事業は国の事業すべてということで、聖域なきということを考えております。

 ただ、この委員会でも大臣、副大臣からも御答弁申し上げさせていただいておりましたとおり、一定のプロセスを経て選んでいくということで、具体的に、官民競争入札、あるいは民間競争入札の対象とする事業は、具体的なプロセスを経て、閣議決定をもって決めていくということでございます。

 今回、法の特例を用意させていただいておりますものは、やや時間が前後いたしますけれども、この法律が可決、成立させていただければ、早速それらの事業についての具体的な作業に入らせていただければありがたいというふうに考えているものでございます。

滝委員 すべてのということでございますけれども、既に実施している部分はございますよね。

 例えば、刑事施設でございますと、山口県の美祢市にある施設。これはPFI方式でやるわけでございますけれども、その運営管理の相当部分を民間でやる。これは既に決定したことですから、この法案よりも先行しているわけでございますけれども、続いて、今島根県の旭町で予定をしている、これもやはりPFI方式の刑事施設でございますけれども、これなんかは基本的にこのテスト法案のモデル的な事業としていいんじゃないかと思うんですけれども、これは外れるんですよね。その辺のところをちょっと説明してください。

河政府参考人 いわゆる、今公務員が担っている事業を官民競争入札に付して、その結果いずれかがやることを決めるというルールは、この法律で初めて我が国で発足するわけでございますので、これまで、今委員御指摘のようなケースにつきましては、それぞれの省が、これからの設計としてこういう事業をやっていきたい、こういう形でやっていきたいというお話とあわせて、規制改革を伴った形で法律を国会で御承認いただいているものというものがございまして、それらについては、結果的には似た形になる部分は多々あろうかと思います。

滝委員 結果的にはこの法律に乗っていけないものがあり得る、こういうことでございますから、したがってややこしくなるんですよね。何のための法案かということなんですよ。

 私は、今の、PFIでやっている、これからやる旭町の刑事施設、これは新しい施設ですけれども、そのほかに、現在、刑事施設で、テスト化のためのテストをやっている刑事施設もあるんですよね。これはやはり、聞いてみると、なかなかこの法案に乗りにくいという感覚がございまして、そういう意味でお尋ねをいたしていたのでございますけれども、そういう意味では、何か一本筋が通っていないようなことじゃないだろうかなと。

 それからもう一つ。その前提として、私は、この委員会ですけれども、これを一本化でやるというのはやはり難しいところがあるんだろうと思うんですよ。やはりもう少し専門家の集団でなければ、刑事施設なんかの民間参入は私は議論できないと思うんです。それを一方的に、画一的に議論するという必要がどこにあるんだろうかなと。例えば、公益法人なんかの認定を一律でやるというのは、それはわかりますよ。しかし、具体的な個々のいろいろな事業所の中身が違うのに、何で一本化でやるんだろうかなと。

 先ほど来議論がございましたけれども、刑事施設の民間参入は、決して恫喝のもとに実施するわけじゃありませんからね。これは、その中の専門家集団の議論の中で、やはりやるべきだということで踏み切ろうとしているのであって、お聞きするような恫喝とか一方的な決めつけでやっているわけじゃない。そういうことを見るにつけても、やはりもうちょっと柔軟性のある、あるいは、専門家集団なら専門家集団によって議論をすべき問題があるんじゃないだろうかなということだけを申し上げておきたいと思います。

 それから、代表的な公共サービスの例として、この法案にございます年金収納業務を民間業者が行える、こういうものですね。これは、現在でも、社会保険庁の年金収納業務で多少やっていると思うんでございますけれども、この法案によって何が変わってくるのか、何ができるようになるのか、それを説明していただきたいと思います。政府参考人に。

青柳政府参考人 国民年金の収納業務のうち、これは御存じのように、最終的には保険料を徴収するということが仕事になってくるわけでございますが、現在市場化テストのモデル事業でも一部それを実施しまして、これをこの法案に基づくいわば制度的なものに切りかえていくということが基本的な内容になるわけでございます。その際に、市場化という形で具体的に仕事をしていただこうと思っておりますものは、いわゆる納付の督励が中心になる業務でございまして、例えば、強権力の行使に当たるような、強制徴収にわたるような事務、これは私どもの方で引き続きやらせていただきたいと考えております。

滝委員 いや、要するに、この法律で何ができるようになるかということをお尋ねしているんで、具体的におっしゃっていただきたいと思うんでございますけれども、実は、先般、吉井委員がこの年金収納業務に関連して、どうもクレジット会社との連携をしていくんじゃなかろうか、こういうことについて大変不都合なことが予想されるおそれがあると。それに対してどうも答弁がはっきりしていませんので、そういうようなことが、指摘されたようなクレジット会社との連携とか、あるいはそれによって残高がない場合でもクレジット会社が支払い代行といいますか、そういうようなことをした場合には、代行というか、立てかえ払いというんですか、そういうようなことができるおそれがあるんじゃないだろうかな、こういうような御指摘もございましたから、もう少しそこのところをきちんと説明してもらいたいと思います。

青柳政府参考人 お答え申し上げます。

 実は、クレジットカードによる年金保険料の支払いは、この法律によって初めてできるようになるというのではなく、今国会に別途提出をさせていただいております国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部改正法案においてこれを導入するということにしております。

 具体的な中身は、現在行われております口座振替による納付と同様に、今後納付期限の到来する保険料、すなわち、将来、これから発生する債権ということになるわけですが、これにつきまして定期的にクレジットカード会社からの納付を認めるということを考えているものでございます。

 今回の市場化テストによります民間事業者への委託業務は、あくまでも納期限が経過をいたしました未納保険料の収納業務ということでありますので、クレジットカードによる納付の対象とはならず、御懸念のような問題は生じないものと考えております。

滝委員 どうも議論がかみ合っていませんけれども、こういうことだと思うんですよ。現在の、例えば国税でも地方税でもそうなんですけれども、銀行振替、金融機関の振替がありますよね。それは社会保険庁もおやりになっているわけでございますけれども、今おっしゃったように、今度のこの国会に年金法の改正を出す、九十二条の二の二というものですかね、そこでもって立てかえ払いというのが出てきているわけです。

 立てかえ払いの条文があるものですから、そうすると、それはクレジット会社が立てかえるということができるんじゃないだろうかな、素直に読むとそういうふうになるんですよ。そこのところはどういうふうに考えているんでしょうか。

青柳政府参考人 確かに、ただいま議員から御指摘のあったような形で条文を構成させていただいております。

 この際、繰り返しになる部分はお許しいただきたいと思いますが、この立てかえ払いが許されるのは、将来に向かって発生する年金の保険料について立てかえ払いという形にはなりますが、これは、いわば過去の債務について、それを滞納していた部分を払っていただくためにクレジットカードを使うのではなくて、将来払っていただく保険料の支払い確保のためにクレジットカードを使うという点が、この委員会で御議論いただいておりますものとの違いであるというふうに御理解をいただければと思います。

滝委員 それは承知の上で申し上げているので、このテスト法案でやっているのは、滞納分、過去債務の問題だ、こう言っているんですけれども、今度の九十二条の二の二の改正規定では、立てかえ払いが出てくると、このテスト法案でやっている民間事業者の参入とは別に、残高がないのに、クレジットカードでもって自動的に、クレジットカードですから幾らまでは金を貸しますという格好になるんじゃないんでしょうか。そうすると、大変高い利息が自動的についてくる、そういうおそれがあるということを前回吉井先生が指摘し、私が今それを指摘しているものですから、それをきちんと答弁してください。

伊吹委員長 青柳運営部長、論点をよく理解して、明確に答えてください。

青柳政府参考人 先日、吉井先生の方からお尋ねのあったものの中には、この法案に基づきまして民間事業者が納付督励をする際に、クレジットカードでの支払いをいわば勧めるという形でその問題が生じるのではないかというふうに私承知をしております。

 ただいま私どもお答えを申し上げておりますように、このクレジットカードで今回私どもがやろうと思っておりますのは、そうした既に発生した債権についての支払いを勧めるのではなく、あくまでも将来に向かってクレジットカードでの支払いを勧めるということでございますので、例えば、この事業に基づきまして、既に発生しておる債権を徴収した後に、将来の債権についてクレジットカードでの支払いを、いわば支払いを確保するためにお勧めをするということはあるかもしれません。

 しかし、あくまでもこれは将来の保険料を確保するためのものでございますので、例えば支払い能力のない方にクレジットカードで支払いを勧めるというようなことは想定をしておりませんし、これは通常の場合には起こらないものというふうに考えております。

滝委員 わざわざ政府参考人に答弁を求めているのは、大臣とは違ってきちんと私の言っていることを受けとめて答弁してもらいたい、こういう願いを込めて私は質問をしているので、全くすれ違いになっているのは、まことに遺憾でございます。

 私は、今の国税、地方税あるいは今までの社会保険料、これはいずれも残高がなければ振替はできないということになっているんですけれども、それを今度変えていこうというから、そこもあわせて私は指摘して心配をいたしているわけでございます。

 そこのところはくれぐれも省令とか何かでもうちょっときちんと書いてもらわないと、いつの間にかクレジット会社が自動的に、いわば普通の預金金利よりは高い利息でもってこの立てかえ払いなんというのが出てくるおそれがありますから。そうじゃなかったら、クレジット会社が入ってくるはずがないんです、これは。

 それを指摘しているので、これは年金法改正法案の審議の問題でしょうけれども、やはり民間参入というのはどこかでそういうようなわながあるということも心配しなきゃいけませんので、あらかじめそれは、きょうは時間がなくて、せっかくの中馬大臣に、おいでになっていますけれども、意見を聞かせていただく機会がありませんけれども、最後に何かあったらひとつ。

中馬国務大臣 先ほど、この市場化テスト、刑事施設の例でおっしゃっていましたが、今回のこの改革は、市場化テストは、そうした民間からあるいはNPOから手を挙げて、このくらいだったらあの役所の仕事は自分にできる、そういったときの、地方自治体も含めた手段でございます。

 そのほかに、今度は、地域限定で、そこで民間が手を挙げてやっていく場合は、これは特区という形で、それもまた制度ができております。

 それから、通常の業務の中でその役所が民間に委託したりすることもあるわけでございまして、幅広い形で役所の仕事を民間に移していく、その一つのツール、市場化テストという方法もこうして設けましたということでございます。

滝委員 大変遅くまでありがとうございました。

 終わります。

伊吹委員長 これにて滝君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十三日木曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時四十三分散会


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