衆議院

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第13号 平成18年4月19日(水曜日)

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平成十八年四月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊吹 文明君

   理事 今津  寛君 理事 園田 博之君

   理事 谷  公一君 理事 谷川 弥一君

   理事 山本 有二君 理事 大島  敦君

   理事 北橋 健治君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井上 喜一君

      井上 信治君    衛藤征士郎君

      小野寺五典君    大野 功統君

      大前 繁雄君    加藤 勝信君

      佐藤  錬君    篠田 陽介君

      菅原 一秀君    鈴木 馨祐君

      鈴木 淳司君    平  将明君

      土屋 正忠君    冨岡  勉君

      並木 正芳君    丹羽 秀樹君

      西本 勝子君    葉梨 康弘君

      広津 素子君    増原 義剛君

      松本 洋平君    三ッ矢憲生君

      水野 賢一君    山本ともひろ君

      若宮 健嗣君    荒井  聰君

      大串 博志君    菅  直人君

      近藤 洋介君    武正 公一君

      馬淵 澄夫君    松野 頼久君

      渡辺  周君    渡部 恒三君

      伊藤  渉君    石井 啓一君

      谷口 和史君    佐々木憲昭君

      塩川 鉄也君    吉井 英勝君

      日森 文尋君    滝   実君

    …………………………………

   議員           馬淵 澄夫君

   議員           枝野 幸男君

   議員           武正 公一君

   議員           渡辺  周君

   議員           大串 博志君

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         竹中 平蔵君

   法務大臣         杉浦 正健君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   農林水産大臣       中川 昭一君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   環境大臣

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       沓掛 哲男君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     中馬 弘毅君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)     松田 岩夫君

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           猪口 邦子君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   財務副大臣        竹本 直一君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   政府特別補佐人     

   (内閣法制局長官)    阪田 雅裕君

   政府特別補佐人     

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府特別補佐人     

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   会計検査院長       大塚 宗春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  上田 紘士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中藤  泉君

   政府参考人

   (内閣府市場化テスト推進室長)          河  幹夫君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      長尾 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            青木  豊君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房政策評価審議官)       高橋 英樹君

   衆議院調査局行政改革に関する特別調査室長     大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  大野 功統君     平  将明君

  岡本 芳郎君     大前 繁雄君

  加藤 勝信君     丹羽 秀樹君

  小杉  隆君     鈴木 馨祐君

  葉梨 康弘君     山本ともひろ君

  広津 素子君     冨岡  勉君

  三ッ矢憲生君     増原 義剛君

  鉢呂 吉雄君     松野 頼久君

  前田 雄吉君     菅  直人君

  谷口 和史君     伊藤  渉君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

  菅野 哲雄君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     岡本 芳郎君

  鈴木 馨祐君     小杉  隆君

  平  将明君     篠田 陽介君

  冨岡  勉君     広津 素子君

  丹羽 秀樹君     土屋 正忠君

  増原 義剛君     三ッ矢憲生君

  山本ともひろ君     葉梨 康弘君

  菅  直人君     渡部 恒三君

  松野 頼久君     鉢呂 吉雄君

  伊藤  渉君     谷口 和史君

  吉井 英勝君     佐々木憲昭君

  日森 文尋君     菅野 哲雄君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     大野 功統君

  土屋 正忠君     若宮 健嗣君

  渡部 恒三君     荒井  聰君

  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  若宮 健嗣君     加藤 勝信君

  荒井  聰君     前田 雄吉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出第七四号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出第七一号)

 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出第七二号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)

 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(内閣提出第三四号)

 国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(松本剛明君外五名提出、衆法第二一号)


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     ――――◇―――――

伊吹委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案並びに松本剛明君外五名提出、国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、内閣官房内閣審議官上田紘士君、内閣官房内閣審議官中藤泉君、内閣府市場化テスト推進室長河幹夫君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長長尾和彦君、厚生労働省医政局長松谷有希雄君、厚生労働省労働基準局長青木豊君、経済産業省大臣官房政策評価審議官高橋英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。園田博之君。

園田(博)委員 審議を始めましてから、ずっと長時間議論を聞いておりまして、野党の方々の御質問、御意見、もちろん中には非常に参考になるものがございまして、そうは思うんですが、全体的に見ると、この法案に対する本質的な議論というのが余りなされなかったのが非常に残念に思っているんですね。

 そこで、私は、法案提出までの経過というものが重大に関係をしておりますので、ちょっとそのことに触れてみたいと思うんです。

 特に、総理が郵政民営化をおっしゃると、今でも郵政民営化を言っているということを言われる方があるんですが、これは実は重大な関係がやはりあると思うんですね。

 昨年の総選挙、郵政選挙、郵政解散、総理は郵政民営化が是か非か国民に聞いてみたいんだとおっしゃった。街頭演説で報道される内容を聞くと、もうほとんど郵政のことばかりおっしゃるんですね。それに対して野党の方々は、郵政よりも大事なことがある、それは、年金その他の社会保障制度がちゃんとこれからうまくやっていけるのか、経済対策等はうまくいくのか、地方がこれから本当に再生できるのか、そういう重要な問題があるのに郵政ばかり言っているという批判をされました。

 実は、私もそう思ったんです。郵政だけで選挙に勝てるのかなと私は思ったんですね。ところが、ふたをあけてみると、有権者の方々の理解というのは私をはるかに超えておりまして、つまり、私、終わって考えたのは、郵政民営化を初めとして行財政改革をまず徹底的にやらなきゃならないんだという理解を、総理の演説を聞いて有権者が理解をして、このことを全面的に支持したんですね。

 そこで、我が党でも政府でも当時公約をしておりまして、公約の内容を見ますと、いろいろな公約がございますが、郵政民営化だけではなしに、幾つかの項目にわたる、特に行財政改革を公約に掲げておりました。したがって、選挙が終わってから、これは政府だけではなしに、我が党では、公明党さんも含めて、この公約を実現するための方策を直ちに検討を始めました。

 それから結構時間はかかりましたけれども、簡単にこの法案の提出ができたように思われる方がおりますが、今までの仕組みを変えていくというのは、これはやはり大変なことなんですね。仕組みを変えますと不安も生じますから、そういう不安を生じる方々から反対に近い意見が出てくる。それを議論しながら納得させた最後の決め手は、あの総選挙で多くの国民がこれを後押ししているという事実があって、今度の国会にこれだけの法案を提出できたということをやはり重大に考えなきゃならない、こう思っているわけですね。

 そこで、我々にしてみれば、今度の法案というのは、政府がおつくりになって与党が認めたという形にはなっておりますが、これは実は、同時に政府と与党が議論を始めて、最後に両方の意見を調整させてでき上がった法案でありまして、そう簡単な法案ではないということを私は最初に申し上げたかったわけであります。

 さて、小泉総理、私の言っていることに間違いがあれば間違いがある、足らざるところがあれば足らざるところがあるということで、十分に総理の御意見をおっしゃっていただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 率直な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。

 確かに、郵政解散前は、郵政改革は大したことない、ほかにもっとやるべきことがあるんじゃないかという意見も多く聞かれたわけであります。と同時に、郵政民営化を大きな争点にして国民は支持するかどうかという、与党内に疑問が出ていたのも承知しております。また、与党にも、また民主党を初め野党にも、郵政民営化反対論者が数多くいたわけでありますから、今、園田議員が言われるようなことを考えるのは当然だと思っております。

 そういう中で、官から民へ、あるいは行政改革、できるだけ民間にできることは民間にということを考えるんだったら、どうして郵便局の仕事は公務員じゃなきゃできないんだろうかと。これも規制改革の一環であります、公務員だけで握っていた仕事を民間の人にも開放しようと。そういう一般の人にとっては、公務員でなくてはできない仕事ではないなと思っていたにもかかわらず、この仕事だけは公務員じゃなきゃいけないという点に疑問を感じたのではないでしょうか。

 同時に、政党ですから支持団体を大事にします。この郵便局に勤める正規の常勤の公務員が約二十五、六万。これが、与党自由民主党、野党民主党、手分けして支持母体として選挙のときには一生懸命応援していた。だから、選挙の支援団体を大事にするというのはいわゆる政党人だったらば常識でありますから、その自分たちの選挙を一生懸命応援してくれる支持母体の郵政関係の職員の皆さんが嫌がることをやるなんというのは非常識だと。これは自由民主党にも民主党にもいたわけであります。自由民主党については、特に特定局長さんの皆さんが熱心に今まで自民党を応援してくれていた。郵政関係の労働組合は民主党を熱心に応援していた。だから、両方とも、与野党を手分けして選挙を応援するんだから、考えてみれば、自分たちの既得権を守ろうというこの郵政関係の職員というのは巧みですよね。与野党を応援しているのだ、だから、とんでもない、この改革はさせないぞと。

 そういう中で、支持団体に関係なく、一部の特定団体の利益を守るというのが政権政党であってはならない、国民全体のことを考えるんだ、民営化できるのは民営化していこうと。これは与野党共通してそうだと言うわけです。役人じゃなくても民間にできる仕事は民間に開放していこう、これも総論賛成。しかし、これは郵政だけは別だぞと。ここに問題があった。私は、ここがおかしい、これができなくてどうして民間にできることは民間にと言うんだと。

 そういうふうに、私は、政党の支持団体を大事にするのは結構だけれども、支持団体というのは一部なんだと。自民党にとっても民主党にとっても、特定局長さんにおいても郵政関係の労働組合の組合員にしても、考えてみれば、一選挙区で十万票以上の票を、支持を得ないと当選できないときに、与野党、特定局長さんの支持を受けても、野党が労働組合員の支持を受けても、まあせいぜい千票か二千票でしょう。その千票、二千票の動きによって全体の利益がおろそかにされちゃいかぬということで、国会で否決されましたけれども国民に聞いてみようと。これが多くの国民の共感を得て、郵政民営化賛成だということで、選挙が終わったら反対していた人も賛成に回った。

 参議院で否決されたのに衆議院が解散されるなんというのはこれまたおかしい、非常識だと批判されましたけれども、参議院は選挙はないんだから、衆議院の議席が変わっても参議院の構成は変わらないんだから、衆議院で賛成しても参議院では何度でも否決してやると言っていた反対派の人たちも、民意を尊重して、参議院の選挙はなかったんですけれども、あの結果を見て、参議院で反対した人もくるくるくるくる賛成に回っちゃった。そして、成立した。やはり、これは民意を尊重しようという国会議員の良識が働いたんだと思います。

 そういう中で、今回の行政改革、これはやはり国民の支持を得て、これからの行政改革、簡素で効率的な政府をつくろう、あるいは民間にできることは民間に任せようという方針を、国会の支持によってこれを続けていこうと。郵政民営化だけじゃない。ほかにも民間にできることはあるだろう。政府系金融機関の問題についても一例であります。また、公務員の市場化テスト、民間にできることは民間に任せていこうと。五年間で五%の公務員削減というのも、これは容易なことじゃありません。

 現に、この質疑を聞いていますと、民主党の議員から、こんな大勢の人数を削減できるのか、民間にゆだねることができるのかと疑問が出てきたぐらいであります。それだけ、五年間五%というのは、一年間で大体六千八百人ぐらい公務員を削減するんですから、これは容易でないというのはわかりますけれども、こういうかなりきつい方針をとっていくというのも、国会の支持があった上での決定の方が今後削減しやすいであろうということでこの法案を出したわけでありますので、やはりあの郵政民営化を大きな争点にした選挙で国民の支持を得て自由民主党、公明党が勝利を得ることができなかったら、この法案は国会に提出して審議いただけなかったんじゃないかと思う点においては、園田議員と同じような認識をしております。

園田(博)委員 そこで、今度の法案について、プログラム法案だ、中身がないとか、いつになったらできるかわからないとか、目標値が定かでないとか、中には、新聞の論評によると、小泉内閣が終わると実施できるかどうかもわからないなんという論評があったんですね。これは私は非常に腹立たしいことでございまして、それはなぜかというと、我々も一緒になってつくった法案ですから、そんないいかげんな法案をつくったつもりはないわけでありまして、事実、中馬行革大臣が初日に具体的な法案は二、三年かかるかもしれませんと言われたことがちょっと気になっておりまして、これは最終的に確定するのがという意味でおっしゃったんだろうと思いますが、私の理解では、これは一年以内には個別の法案というのをほとんど国会に出さざるを得ないんだろうと思うんですね。

 しかも、その方向性について云々される覚えはないんですね。なぜなら、この方向性を決めるために、それは大変な議論があったんです、さっき申し上げましたけれども。ある意味では、政と官の対立になる場面もございます、さっき申し上げたように基本的には仕組みを変えるということはいろいろな不安が出てきますから。では、その不安はこういうふうにして除去していこうじゃないかということまで議論し合ってできた法案でありまして、方向性は当然示されております。しかも、目標値はそれぞれ明確に示されております。期限も明確に示されております。したがって、この法案が今度の国会で成立をいたしますと、小泉総理の後どなたが総理大臣をやっても、法律に定められておりますから、これはやらなきゃいけないんです、そのプログラムにのっとって。そのことを小泉総理にただしたいが、これは間違いなく答えは一緒ですから。

 中馬大臣には、具体的に、これから詳細設計をして国会にいつごろまでにどういうスケジュールで上程をして、個別に決めていかなきゃならぬのかどうかを一つ一つの項目についてお答えいただきたいと思います。

伊吹委員長 行政改革担当中馬国務大臣、個別にスケジュールを答えてください。

中馬国務大臣 園田理事が今おっしゃった誤解や危惧が私どもにもございまして、本当に党と一緒になって制度金融等も含めて園田理事は直接タッチいただきまして、これがいわゆる官僚任せの一つの法案であれば官僚の都合に若干埋もれたようなことにならぬとも限りませんが、これは、議院内閣制の、本当に議員が主導した形でこの法律ができたことは、ある意味じゃ一つ画期的なものだと私は思っています。

 ともあれ、今回、プログラム法だという一つの見方がありますが、これは昨年末に行革の重要方針を決めました際に、これを確定するためにも法律にすべしという話がありました。その法律にすべしという中で、基本法にすべしというのが経済界等からも出てまいりましたが、これにつきましては、教育からすべてのことを包含した形の行革法にしますと、これは大変な時間もかかります。まずは重要方針に掲げたものだけは早急にできるようにということで、この今回の法律になりました。ですから、プログラム法と言われましても、その方向とか具体的な目標ははっきり掲げております。

 それを御指摘でございますから御披露させていただきますと、本法案におきましては、政策金融改革では、二十年度において、貸付残高のGDP比を半減するほか、現行の政策金融八機関を廃止または民営化、統合する、これも決めております。

 特別会計改革では、今後五年間において、特別会計の数を現行の二分の一から三分の一程度に大幅に削減、そして、合計二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指す、これもはっきり書いております。

 総人件費改革では、国家公務員について五年五%以上、及び地方公務員についても五年で四・六%以上の定員の削減を確保するとの方針を明確に定めております。

 このように、この法案は、簡素で効率的な政府の実現のためにしっかりとした内容と重い意義を持つ法案だ、このように認識をいたしております。

 同時に、この実施のことでございますが、この法案が上がりましたら、これは早速にそれぞれの制度設計に移ってまいります。三年、五年と言いましたのは、法律の一部で五年ないし七年で完全民営化に持っていくということがありましたから、急に変わるのかという御心配の向きがありましたから、そのことで私がちょっとそういうことを申し上げたかもしれませんが、ともかく、これは早急に法案化して、実施に移していく体制をすぐつくることも規定をされておりますので、よろしく御理解のほどをお願いいたします。

園田(博)委員 実は、これはもう少なくとも党では議論を始めております、詳細設計について。政府でも始めておられるんですよ。だから、私は大臣にお聞きしたかったのは、例えば政策金融については、臨時国会で法案に関係するものは個別なものをお出ししますとか、一年後の通常国会になってしまいますとか、そういうことをお聞きしたかったんですが、お答えできますか。

中馬国務大臣 その点で御報告申し上げます。

 政策金融改革につきましては、行政改革推進法案成立後、速やかに政策金融改革推進本部において詳細な制度設計の成案を得るとともに、政策金融改革関連法案の国会提出時期について結論を得ることといたしております。

 特別会計改革については、特別会計の廃止及び統合、一般会計と異なる取り扱いの整理並びに企業会計の慣行を参考とした資産及び負債の開示等のため、行政改革推進法案の施行後一年以内を目途として法制上の措置その他の必要な措置を講ずることといたしております。

 総人件費改革については、行政減量・効率化有識者会議を数次にわたり開催しておりまして、去る三月三十日に中間取りまとめを行いまして、今後の方向性を示しております。今後、さらに有識者会議において検討を重ね、与党における御議論や必要に応じて閣僚折衝を行うことによりまして、遅くとも六月ごろまでに政府の方針を決定する予定であります。

 独立行政法人の見直しにつきましては、中期目標期間の終了の都度行う仕組みとなっておりますが、十八年度の見直しについては、国の歳出削減を図る見地から、ことしの夏を目途に政府としての基本的な考え方を取りまとめる等を通じて見直しを行うことといたしております。

 資産・債務改革につきましては、今年度中に改革の具体的な工程表を作成することとしております。その上で、国の資産規模の名目GDP比を今後十年間でおおむね半減させるという長期的な目安に留意しつつ、引き続き資産の圧縮に努めていくこととなる、このように決めております。

園田(博)委員 内容について、一部御意見も申し上げたいし、大臣の御意見もお聞きしたいと思います。

 政策金融についてなんですが、この政策金融については、野党の方から、融資残高を半分以下にするということを書いてあるが、これはまやかしじゃないかと。それは、八機関を統合することによって同時に半減以下になるということをおっしゃっているので、何とよく御理解をしておられないのかなと私は思ったんですね。なぜならば、八機関のうち、二つの機関を民営化して、一つの機関を地方に移管したんですね。こんなことが今まではできたのかということが大事なんです。

 私は、この政策金融機関、何回か改革のときにかかわり合いを持ちました。二つの機関を合併させるのが大騒動なんですよ。それは、総理がおっしゃる従来の既得権益の問題が絡んできて、大騒動してやっと幾つかできたんです。それを今度は、民営化なんという話は今まで全然ありませんでしたよ、政策投資銀行と商工中金は民営化をいたします。それは、この二つの機関の方に私が申し上げているのは、ただ単にあなたたちが邪魔になったから民営化するんじゃないんだ、あなたたちが力をつけてきたから、民間会社として十分やっていけるから民営化するんだと。

 しかし、民営化した結果、政策投資銀行の資金を政府がお世話することはまずなくなるんですね。商工中金では金融債を発行しておりますが、これに対して事実上の政府保証を与えなくてもやっていけるようにしていただくということになるんですね。地方に移す公営企業金融公庫は、今まで政府保証でございましたが、これは、ある程度の時間が要りますが、最終的には地方の責任でお金を集めていただくということになるんですね。

 この三つの事柄をやって、残る機関も一つの機関に統合するなんということは、今までの私たちの常識からいえば考えられなかったことが今回できるようになったんですね。そういう意味で、何だ、ただ一つにしたから半分以下になったんじゃないかと。半分以下になったが、中身も実は関係があるわけでありましてね、というふうに私は思っておるわけですが、担当大臣としての御意見を。

中馬国務大臣 園田理事は、先ほど申しましたように、党で特に政策金融改革の座長として大変な御苦労をされました。今お話しのとおりでございます。まさに官僚ではなくて、党主導、政治家主導でこの改革を進めてきたことの今生々しいお話がございました。

 八つを、統合する、あるいはまたそれをそれぞれ切り分けることは大変な作業でございました。

 結果的に、今二つの金融機関、そして特に大きな残高を持っております公営企業金融公庫、これが離れたから、もうそれで半分になっているじゃないかというのが野党さんのあれですが、そこに至る、到底できっこなかったと思われたようなものを、総理の一つのお声もありました、そういうことでこれが一挙にここまで進んだことを逆に評価すべきであって、これを早く実現していくことがこれからの政府の関与をなくした形の金融、民間の活力を大いに活用できる制度になっていくわけでございまして、このことをはっきりとここでうたわせていただいているわけでございます。

園田(博)委員 政策金融については、二つの機関が民営化されます。だから、この二つの機関が民間会社として立派にやっていけるだけのビジネスモデルの設計と、それから、それだけの猶予期間がございますから、この中においては我々もいろいろな意見を申し上げますが、ぜひ、自立していけるだけの、細かい配慮と細かい意見交換の中で立派な制度設計をしてもらうようにお願いをしておきたいと思います。

 大事なのは、やはり中小企業に対する、これは幾つも御意見ございました、確かにおっしゃるとおりでございまして、そうかといって、政策金融から後退するという意味じゃないんです、これは。余計なことをする機関があるから、それは省きなさいということを申し上げただけで、政策金融本来の目的は十分に果たせるように、特に中小企業に対する、民間の金融機関では対応できない分野での中小関係への金融に対しては、以前よりもさらに細かい配慮を持って金融面で対応はしていかなければならないということも、あえて加えて申し上げておきたいというふうに思っております。

 さて、今度のこの委員会で野党からの御質問で非常に数が多かったのは、天下りの問題と、それに関連して各省庁が発注する事業が随意契約が多い。しかも、随意契約について競争の原理が全く生かされていないんではないか、こういう御指摘がありました。このために、我々は政府にお願いをしまして、過去五年間ぐらいにわたる各省庁の随意契約を中心とした各事業の発注内容、発注結果の膨大な量の資料を出していただきました。それに伴って数多くの質問がございました。

 私は、こういう指摘をするというのは、やはり大事なことだと思うんです。特に野党の方々の役割として、政府がやっていることをただすという意味で、具体的にそういうものを指摘して改善を志向させるということは極めて大事なことであります。ただ、余りにも多過ぎるなと私は思ったんですが。

 それはそれとして、政府としては、今までどうであったかということも検証しなきゃなりませんが、あの資料は政府としても一つ一つ検証していただいて、一番大事なのはどう改善するかなんですね。どう早く改善していくかということが大事なことであります。そんなことが国会だけではなしに報道などでいろいろ報道されますと、国民の側から見れば、我々の血税が無駄に使われているんじゃないかと思うのは当然のことでありまして、そのことによって行政改革が全部できるとは思いませんが、一つ一つを丹念に点検をし直していくということは極めて大事なことだと思うんですね。

 これは、ぜひ総理から、そういう考え方について政府としてはどうお考えになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 私は、野党の提案についても、いいところは取り入れていきたいという方針のもとに今までも答弁し、もし指摘されるような御批判があるのだったらば、その批判にこたえて改善していく努力をしていこうという考え方で、いつもこの答弁席に立っているつもりでございます。

 今、園田議員が言われたように、野党の御批判の中にも、もっともだと言われる点もございます。例を挙げれば随意契約の問題、あるいは天下りの問題、こういう点につきましては、原則一般競争入札でありますし、建築費のことを考えますと、費用の削減ということを考えても、随意契約である必要がないものは競争入札が当然ではないかということもありますので、批判は批判として、今後どのような改善ができるか、真剣に検討していくべき課題であると思っております。

園田(博)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 総理にもう一つお聞きしたいことがありまして、総理はこの五年間で、確かに、いろいろな改革を志して、一つ一つ実現をしてこられました。ただ、私は、改革が、日本の仕組みを変えるという意味でちょっと足りないかなと思っていることが一つあります。それは、地方分権なんです。これも、三位一体改革を通じてそういう志向をされましたし、幾つかの結果は出ておりますが、日本のルールを変えるというところまではなかなかいっていないと思うんですね。

 実は、民主党さんから今度提案がございまして、国家公務員を三年間で二〇%、さらに顕著な改革をやるんだという提示をしておられます。理由を聞くと、それは地方分権によってできるんだということをおっしゃいまして、理屈からいうと、私も、確かにそういう志向というのは考えるべきなのかなという気はするんです。

 ただ、実行する側からしてみれば、三年間で二〇%なんて、それは不可能ですよ。地方分権というのは、仕事をどれくらい地方に渡すのか、残す中央省庁の仕事、中央政府の仕事とは何なのか、まずこれから決めていかなきゃならぬ。当然、仕事を持たすんですから、財源も渡さなきゃならぬ。それは、税制の議論をするだけでも、今の税の体系を全部組みかえなきゃならないわけですから、これは大変な議論とそれを移すための期間は相当な年数がかかります。ましてや、それに伴って人員を異動させるなどということが、残念ながら三年や五年でできるはずがない。できるはずがないし、そんな短期間にやったら、失敗することは間違いないんです。

 ただ問題は、そういうことを志向するかどうかということは非常に大事なことなんですね。これは、国だけじゃなしに、よく地方分権を言われる地方の方々にも申し上げますが、片っ方では受け皿づくりもできなきゃだめなんですね。今、町村合併で役場の職員数はだんだんだんだん減らしておられます。合理化しておられる。それだけではだめなので、県のあり方とか、こういうものも相当の時間数をかけて、地方では地方で受け皿ができる体制をつくるためにも相当な年数がかかると思うので、そう簡単ではないんですが、総理大臣として、この将来の地方分権の進め方等についてはいかなお考えをお持ちなのか、御意見をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 地方分権の一つとして、補助金、税源、交付税、この問題を一緒に改革していこうということで、今回、税源も移譲し、補助金もかなり廃止をし、そして交付税等もそれぞれ見直しを進めてきたわけであって、私はこの問題ですべてだと思っておりません。

 税源移譲が三兆円ですか、補助金改革が五兆円を超える、交付税改革も四兆円。この成果を見て、今後とも、地方にできることはできるだけ地方にと。

 今言った地方も税源は欲しいけれども人はもう要らないというところもありますし、各論を見ていくとなかなか難しい点があるんです。補助金も、この補助金は必要だけれどもこの補助金は要らないとか。お互い、いい方をとろうとしますからね。それは、両方、やはり全体を見て改革していかなきゃならない問題でありますので。

 今回の改革というのは、補助金、交付税、税源、これは、しばらく時間を見て、点検して、まだできることがある、まだ足りないところがあるということを見て、さらに地方にできることは地方にゆだねていく、そういう方向で今回一つの結論を出したということでありますので、私はこれですべて終わりとは思っておりません。

園田(博)委員 これは、次の政権の大きな課題になるかもしれません。いろいろな議論をしながら大きな取り組みをしていくというのが、今、地方再生に向けては、こういう仕組みの問題というのは重大な関係があると思うんですね。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、法案の名称について、私、関心がありますのでお聞きしたいと思いますが、小さな政府を実現する、今までずっとそう言ってこられましたが、今度の法案では、「簡素で効率的な政府を実現する」というふうになりました。わかりやすくしたんだという答弁をお聞きしたことがありますが、私は、意味も若干あるんではなかろうかなと思っているんですね。

 私は、従来からの小さな政府論、もちろんそうだと思っておりますが、小さな政府という言葉の定義が、必ずしも今志向していることと、正確なのかどうかということについてはちょっと疑問を持っております。例えば、社会保障制度をこれから堅持していくという一言をとっても、これは厳密に言うと小さな政府ではないなと。今よりも、より小さな政府を目指すんだなという意味ではわかるけれども、究極的な小さな政府ということではないなという気がしております。

 その辺のことと、今回の「簡素で効率的な政府」という法案の名称にしたことが関係があるのかないのか、一度官房長官がこのことに対して答弁されましたが、改めてお答えをいただければと思っております。

安倍国務大臣 お答えをいたします。

 当初は、小さくて効率的な政府、こういう表現を使っておりましたが、この法案を提出するに当たりまして、簡素で効率的な政府という呼び方に変えたわけであります。目指すところは基本的には一緒であるわけでありますが、誤解されない、また、わかりやすくするために名称を変えたということで御理解をいただきたい、このように思うわけでございます。

 私どもが目指す政府は、無駄を省き、民間ができることは民間に、また、地方ができることは地方に、そして、その中で大幅な役割の縮減、政府を小さく、ある意味では機能的な政府をつくっていくわけでありますが、その中での無駄をしっかりと省いて縮減をしていくということにおいては、まさに、小さな、そして簡素で効率的な政府であるわけでありますが、しかし、そもそもは、この質疑の冒頭に先生がおっしゃったように、大切な社会保障制度を守っていくためにも無駄遣いを一切省いていかなければいけない、民間がやるべきところを政府がやっているのであれば、それは民間にやっていただかなければならない、こういうことではないか、このように思うわけであります。

 小さな政府という意味合いの中には、社会保障制度そのものを、例えば公的な保険制度を民間の保険にかえていくという意味も含まれているのではないか、給付と負担をそれぞれ両方とも外に出していく、公的なものから外に出していくという方向を目指しているのではないだろうかという、そういう誤解を避けるためにも、簡素で効率的な政府、まさにこれは無駄遣いを一切なくしていかなければいけない、思い切った見直しをしていく。そういう中で、今までの非効率があれば、そういう非効率を大幅に縮減していく、こういうことではないか、このように思うわけであります。

 我々が目指すところは、社会保障制度、この我々のまさに安心の仕組みを、セーフティーネットそのものを小さくしていくということではない、このことは申し上げておきたいと思います。

園田(博)委員 終わります。ありがとうございました。

伊吹委員長 以上をもちまして園田君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本有二君。

山本(有)委員 自民党の山本有二でございます。

 総理に行革の基本理念についてお伺いをさせていただきたいと存じます。

 マザー・テレサという人が、貧しい国の民を救うには、病める人々に薬を与え、飢えたる子供にパンを上げれば救うことができる、しかし、先進国の人々には私は何もすることができない、こう言われておりました。これは、病気も飢えも克服し、自由の中で余暇を満喫するようになったとき、その国の国民の価値観は多様化いたします。その多様化した国民は、どんな施策に対しましても賛否両論に分かれます。満足することがなくなるわけでございます。

 そして、今、議会、国会は、混沌の中で、多様化した社会の中で、逆にアイデンティティーを求められるわけでございます。それは、より強いメッセージがなければ国民は許してくれません。その意味では、政党政治、政党こそもっとアイデンティティーを持て、個性を持てと国民は叱咤激励するわけでございます。他方で、多様化した社会、そのことを考えましたときに、国民一人が、日の丸の件にしても、年金の件にしても、道路にしても、あるいはそのほかのいろいろな施策にしても、自民党と全部が一緒という人は逆に少なくなるわけでございます。

 そうした中にありまして、私は、無党派層が先進諸国で大きなシェアを占めていくということは理の当然だろうと思います。この先進諸国の典型でありますイタリアを見ましてもベルルスコーニは、あるいはフランスを見ましてもドビルパンは、今苦戦をしておるわけでございます。

 しかるに、我が国の小泉内閣、小泉総理は、五〇%を超える高い支持率。これは、政治学の本を、最近のものを見ますと、社会科学のなぞである、こう書いてありました。まさしくなぞかもしれませんが、行政改革をやろうとする政権は安定政権でなければなりませんし、また、安定しているからこそみずからを切る、あるいは仲間を、泣いて馬謖を切るという覚悟でやっていかなければ、行政改革なんというものは国民の納得するものになりません。その意味では、高い支持率を得ておられる小泉総理こそ、この行政改革が断行できる唯一の人だろうというように思います。

 そこで、私は、この行政改革の基本理念の中で、小泉総理が言外に強いメッセージを放っているような気がしてなりません。それは、国民負担と国家形態ということでございます。国民負担と国家形態でよく言われますのが、高福祉・高負担、北欧型の国になるのか、自助自立、アメリカ型の国になるのか、はっきりしてくれなんという質問が飛びます。しかし、小泉総理は、日本型福祉国家でいいじゃないか、それを目指すのだと堂々と答えておられます。その含意、真意は、私はもうこれ以上国民負担はふやさないよ、しかし来るべき少子高齢化にも万全の体制を組んでいくよという精神がこの行革の中に込められている、国民負担をふやさないというメッセージであるというように受けとめました。これについて、小泉総理、どうお考えでしょうか。

小泉内閣総理大臣 国民負担と行政改革、この問題については、人によってとり方も違ってくると思うのであります。増税だけが国民負担ではないわけですね。

 例えば地方分権におきましても、市町村合併すると、賛成も出ますが反対も出ます。二つの町村を一つにするとなると、その町村の役所の職員も減るでしょうし議員も減ります、あるいは庁舎も二つを一つにする。近くの人が役場に行くのに遠くなる、不便だ、自分たちにとっては決して便利になるものじゃない、これが行政改革かということにもなります。また、税金の投入を少なくすれば負担が軽減されるかというと、今まで必要な部分が、じゃ、自分の負担になってくるということになると、これはかえって税金を投入してくれ、あるいは国債を発行していろいろな事業をやってくれと言う人も出てくる。

 だから、なかなかとりようによって難しいんですが、その点はやはり民間の活力を活性化といいますか潜在力を顕在化させるために、この部分は税金を負担しなくても個人の負担でできるんではないか、あるいは民間が公務員にかわってすることによってサービスを下げないでいろいろな事業が展開できるんじゃないか、それぞれ具体的に見ていかなきゃならないのが行政改革ですから。ある部分によっては賛成、ある部分によっては反対、自分たちが削減されるところは反対、それ以外は賛成、これが総論賛成、各論反対。行政改革はそういう部分が多いですね。自分たちに関係する、自分たちの団体の定員が減るのは反対だと。もう自分たちは精いっぱい仕事をしているんだから減らす部分はない、減らすのならほかの部分を減らせということでありますので。その点を、全体を見ながらどのように御理解と協力を得るかというのが行政改革の難しい点だと思います。

 また、税負担をしないかわりに、じゃ、国債をどんどん発行するというのも将来の税負担と変わりありませんから、これもやはりおのずから節度というものがある。公務員を削減しろ、これはみんな総論賛成ですけれども、実際、生首切るわけにいきませんから。余った部分をどこが採用するのかというのは、この委員会でも与野党から出た質疑であります。

 そういう点、どこまで国民の協力を得るか、理解を得るかというのがまさに国会の審議の中での議論でありまして、そういう点についてはできるだけ民間にできることは民間にという、総論賛成ならば各論にも進めていこう、地方にできることは地方にということであるのならば具体的に一つ一つ進めていこうという、総論賛成に沿って各論を進めていけるような議論が必要ではないかなと思っております。

山本(有)委員 行革推進法二条に基本理念のことを書いてあります。「民間の主体性や自律性を高め、」という言葉であります。総理の言葉をかりれば、官から民へというメッセージでございます。

 しかし、間々、この官から民へのメッセージは、民至上主義だとか万能主義というように受け取られがちでございます。しかし、私は、じっと総理のお話を聞いておりまして、そんな至上主義をとっているというようには到底思えませんでした。むしろ、素朴に、こんなことを考えていらっしゃるんじゃないかなということを思いました。

 どういうことかといいますと、総理が御就任になりましたときには、不良債権がたくさんございます、その処理すらできないだろう、十年でも二十年でもできないだろうというような不況の時期でございます。それを見事に克服しました。最近では、アジア経済の中で、原油高の中で、本当に日本の民間部門は頑張ってイザナギ景気を抜くまでに実力を発揮してくることができました。その意味においては、民でできたんだという確信、民がここまでやったんだという自信、それがまず総理にはおありになる。そしてまた、よく役所の方々を見ますと、学校を出るときには民へ行く人よりも優秀なんだ、民よりも優秀な人がここにいたら、何でくすぶって暗いトンネルの中に入ってうつぼつとしているのかな、ここにやはりメスを入れなきゃならぬのだ、やればやれるんだということを早く示せ、早くやってみろというような思いが込められているように思えます。

 そんな意味で、総理のこの時代的認識、これをお伺いさせていただければ幸いです。

小泉内閣総理大臣 人には向き不向きがあります。能力によっても違いがあります。必ずしも学校の成績がいい人が将来活躍するかどうか、これはまた別であります。学校の成績ですべてを判断したら大間違いだ。政治家を見ればわかるでしょう。学校の成績がそれほど優秀でない人の方が政界では活躍している場合が多いですよね。逆に、学業成績が優秀な人はむしろ公務員になる方が向いているかもしれない。公務員の世界ではおれは成績トップだといって、政界へ入って成功するかどうかわからない。だから、人には向き不向きがありますから、そういう中で、自分の持っている能力を最大限発揮するにはどうしたらいいかというのは個人が考えることでありますけれども、要は政府としては民間人がそれぞれの能力、創意工夫を発揮しやすいような環境をつくることだ。

 どんどん活躍すると足を引っ張られるとか税金を取られちゃうとかいうような社会だったらば、自分たちの持ち味を発揮してもそんなに評価されないんだったら努力しないよ、努力する人と努力しない人が同じだったら努力する必要ないじゃないかと。そういうような気持ちにさせちゃいけない。我々はそれぞれの持てる能力が十分に発揮しやすいような環境をつくるということが、政治で私は一番大事なことだと思っています。

 だからこそ、民間にできるところは民間にやって、政府ができるということは、民間じゃできないけれども、これは民間じゃやらないけれどもどうしても必要なんだと、安全とか防衛、治安、教育、福祉の必要最小限度の部分。こういう、どうしても必要な部分は政府がやる、あとはできるだけ能力のある人は自由に活動してくださいと。そういう強い人がたくさん出ることによって、自分だけではできない人も支えることができると思うんです。その能力ある人の足を引っ張ったりしたら、自分じゃ能力ない人まで助け合うことができない。そういう面において、私は、多くの方々が活躍しやすいような環境なり制度を整えていくことが政治では一番大事な役割だと思っております。

山本(有)委員 二階経済産業大臣にこれからお伺いしたいと思います。

 土光敏夫さん、土光臨調がございました。そのときは中曽根内閣でございます。行政改革が我々の目に極めて鮮明に映った時代でございました。その少し以前に、レーガノミクスだとかサッチャリズムだとか、欧米先進諸国でも大きな行革が断行されました。なぜ時を一にしてこんなことが起こるのかなと私は調べてみました。

 そうしますと、一九七一年にJ・ロールズという学者が「正義論」という論文を書いておりまして、個人の自由、私有財産権、自由競争市場を最大限尊重することという論文を書いてあります。そしてまた、個人をできるだけ尊重すれば国家や政治は縮小すべきだというように説いているわけでございます。

 実は、七〇年安保、日本では盛んなころ、直後でございます、冷戦構造の時代。つまり、この人は何が言いたかったかというと、冷戦構造を打破するには国が小さくなきゃならぬよ、平和をもたらし、個人の自由を謳歌するためには、できるだけ政治や政府を小さくすることで個人の自由が謳歌できるんだという、そういう思想が徹底したわけでございます。

 そのことにおいては、次に、アメリカの民主党の政策がそれを思い切り取り上げて自分たちの政策に反映したわけですが、そのまた逆に共和党の政治家のノージックだとかブキャナンという人が共和党の政策にまで取り入れた。そうすると、与党、野党全部が行革になっちゃった。アメリカのそういう考え方がイギリスに、あるいはそのほかにと、どんどん世界を行革の渦に巻き込んだのが一九八〇年代であった。

 このことを考えたときに、もう一方で我々が確かな位置づけをしていかなきゃならぬのがグローバル企業なんです。この人たちが、行革、小さい政府と言うその意味の反面には、グローバルな企業がもっと活躍することによって小さな国のGDPよりも大きな売り上げを上げる、そういう企業をつくることによって世界は平和を維持できるんだ、そういう考え方が反面にあったということでございます。この認識は今も続いているわけでございます。

 グローバル企業というのは変容いたしました。今、グローバル企業を考えてみましても、随分その一九七〇年代とは違います。しかし、我々はこういう考え方が正しいと一方で思っておりましても、他方で、例えばグローバル企業についていえば、私の高知県須崎市というところに松下寿がありましたが、突如工場閉鎖して天津に工場を移しました。そうすると、三百人の雇用が失われました。日本、あるいは地方都市の現実というのは、平和を維持するためだ、グローバル企業は必要だといいましても、なかなかそれを素直に受け入れることはできません。こんなことを考えましたときに、こういう厳しい現実も直視させていただかなきゃならぬ。

 そこで、日本企業が海外で生産している製造業の製造総額、あるいは現地雇用総人数。つまり、本来日本で雇ってくれて、そして生産してくれたその額が外に移転しているんだ。こんな数を知らせていただいてちょっと厳しい現実を把握してみたいと思います。二階大臣、お願いします。

二階国務大臣 議員が御指摘のように、一九九五年度から二〇〇四年度までのいわゆる十年間、我が国の製造業の海外現地法人の売上高は二・二倍になっております。そしてまた、現地の雇用人数も一・八倍、約二倍に伸びておるわけであります。特に、東アジア地域では国際的な生産と流通のネットワークが構築されつつあるわけであります。新たな市場の確保や最適な生産体制を構築することなどを通じて競争力を強化していく上で、今や企業のグローバル化は我が国経済の発展のためにも不可欠となっておる現状であります。

 経済産業省では、こうしたグローバル化のメリットを我が国経済の成長に活用していくという観点から、先般、私たちはグローバル経済戦略なるものを取りまとめました。本計画におきまして、国際分業において、技術開発を初め、付加価値の高い事業活動の拠点とするための基本的な政策の方向性を示してまいりたいと思います。

 今議員が御指摘のように、地域経済や中小企業への影響ということを十分考えなくてはなりません。我が国企業のグローバル化への対応を積極的に支援していくと同時に、また一方で地元の、あるいは地域の経済、中小企業、この点につきましては、積極的にこれまた推進をしていくという姿勢が大事ではないかと思っております。

山本(有)委員 厳しいことを嘆くのは容易なんですが、要は、その中から何を学び取るかということがもっと大事なことでございます。その意味で、グローバル企業というものを精査してみなければなりません。

 自由貿易世界というのは、なお拡大しております。二〇〇五年の貿易統計は十兆ドル、一千二百兆円、前年度対比一三%の伸びでございます。世界の相互依存体制というのはますます進んでまいりました。相互依存というのは各国の役割分担ということが広がっているということとも言えるわけでございますが、それとともに産業間でこんな傾向がございます、利益率に格差が生じてきた。どういう利益率かというと、農業分野の利益、工業分野の利益、情報通信分野の利益、そして金融分野の利益、それぞれ言った順に利益率が高くなるわけでございます。

 どうしてこんなことが起きるのかということを考えますと、土地との関係だそうでございます。土地との関係が強ければ強いほど、その土地にしがみつかなきゃなりません。土地というのに縛りつけられますと、天候異変だとかあるいは景気循環だとか、そこにおける諸事情に拘束される、そこから呪縛を解けば解くほど利益が高くなっていくという構造が産業間にあるそうでございます。

 事実、一九六〇年代、主権国家はまだ領土を欲しがりました、占領政策をつくっておりました。やがて八〇年代になりますと、グローバル企業がもう当たり前になりまして、特にグローバル企業というのが土地と国家の呪縛を解き放ったときに現地法人、現地生産ということを始めました。そのことによって巨大化という道を選択することができたわけでございます。自動車、電機、石油の製造業は、貿易摩擦と雇用問題を片づけて、今や巨大化の一途をたどっております。

 ところが、このグローバル企業も変化がございます。製造業はむしろ主人公の地位を明け渡しつつございます。何が主人公になってきたかというと、例えば、フォーチュン上位五百社のうち、四百九十四社をたった五社の監査法人が見ております。グローバルもここまで来ました。たった五社がグローバル企業で頑張っています。債券市場、国債を売り買いするところの格付会社というのはたった四社で、日本がaだとかアメリカがスリーAだとかいうことで、国の資金調達能力まで左右するようになりました。パソコンソフト会社は、たった一社で世界シェアを占めています。

 そんなことを考えたときに、いわばやりようによって、土地とまるっきり関係ない、何がどう関係あるのか、何がどう我々を救ったり捨てたりすることになるのかというと、これは土地ではなくて、資源でもなくて、資本であり、情報であり、労働力だという、移動可能なものが逆に大きくもうかる要素になっているんだということを考えさせられるわけでございます。

 例えば金融の方が一番もうかるというわけでございますが、一九八〇年代、為替市場というのは〇・六兆ドルの市場規模でございました。それが十年たったら、一九九〇年には一・二兆ドル、二〇〇〇年には二兆ドル、もう瞬く間に四倍、五倍にすぐなってしまうわけでございます。

 そんなことを考えましたときに、我々はもはやヘッジファンドや金融市場においてもう一国では抗することができないというような感すらするわけでございます。逆に言えば、シンガポール、香港、スイス、小さな国、小さな町ですけれども、資源も何にもないけれども勝ち組になっております。これを目指すといって、インドのバンガロール地区とかアイルランドのダブリンというのは、教育によってグローバル企業の人的資源になろうと戦略を立てております。

 このことを考えたときに、私は、三位一体と市町村合併で本当に悩み苦しんでいるという姿の地方に、むしろあなた方がやれるんだ、我々日本人はもっとできるんだ、そういうメッセージを送ってもらいたいなと思っているわけでございます。二階大臣、いかがでしょうか。

二階国務大臣 議員お説のとおり、グローバル化が進展する中で、地方都市の活性化を、いかなる戦略をとっていくかという御指摘であろうと思います。

 経済産業省では、今、地域活性化ということを重要な柱の一つとする新経済成長戦略の最終の取りまとめに入っております。私は、この中で、それぞれの地域、やる気のある地域がこれから活性化していくために、例えば観光業などを通じあるいはまた地域産業の国際競争力の強化という点からいかに対応するか、海外からの投資を通じて新たな技術、ノウハウ等の受け入れを積極的に進めていくための対日投資促進にも取り組んでまいりたいと考えております。これは小泉総理もたびたび国会でも御答弁されておられますように、対日投資というふうなことに対して何も怖がる必要はないんだ、この国がしっかり対応して、対日投資を受け入れて、それによってさらに発展をしていく方向を考えるべきだという御指摘だろうと思っております。

 そして、地場産業でありますが、これは御承知の一村一品運動ということによって大分から発したことが今海外にも展開しつつありますが、今度は逆に、我が国の一村一品が国際展開できるようなことなどを考えて地方都市の魅力を一層高めていく、そういうことにみんなで競い合っていく、そういう社会をつくっていくことが分権の時代に極めて大事なことだと思っております。

山本(有)委員 これで終わります。ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 次に、増原義剛君。

増原委員 自由民主党の増原でございます。

 本日、こうして、総理を初め各閣僚の皆様に御質問できることを非常に光栄に思っております。ちょうど総理が小泉内閣をつくられた当時、五年前でございますが、私も、自由民主党の中の行政改革推進本部というところのメンバーになりまして、本日、規制改革から公益法人、サービス化法、いろいろ並んだ一連の行革関連法案の事項について、ずっと党の本部の方でいろいろ議論をしてまいりました。そういう意味で、よくぞここまで来たなというのを、私も率直な気持ちとして持っております。

 いわゆる特別会計の問題にしましても、あるいは資産の問題もありますけれども、いわゆる政策金融につきましても、本当に大きく時代が今変わりつつある、そういうことをひしひしと感じておる次第であります。特に、サービス化法、公務を民間と競わせて、そして民の方でできるものは民でということであります。これもまさに全く新しい発想であるというふうに思っておりますし、さらに、公益法人の改革でございますが、これは民法三十四条の、本当に百年来なかったことをやる。いわゆる主務大臣の認可という、公共とか公益というものは、主務大臣の認可によって公益法人がつくられる、いわば官が公共なり公益を規定する、こういうふうな法体系であったわけでございますが、これを思い切って、このたびは内閣のもとの民間有識者による第三者機関でもってそれをきちっと認めてつくっていく。これは本当に、そこには哲学的な考え方の転換があるというふうに私は思っております。

 そうした意味で、このたびのいろいろな関連法案がございますが、さらに各項目を見てみますと、やはりそこに流れておるのは、平素より総理がおっしゃっております、官から民へという強い総理の御意思が表明されているのではないかというふうに思っておりますが、これまでのことを振り返りながらその点について総理の御所感をお聞かせいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 行政改革の難しい点は、先ほども申し上げましたが、総論賛成、各論反対、ほかのところを削減するのはいいけれども自分に関係するところはやめてくれ、人員にしてもあるいは機関にしてもそうですね。その典型が一つは郵政民営化だったわけです。ほかの役所の公務員は民間に任せてもいいけれども、郵便局だけは公務員じゃなきゃいかぬ、各論反対の典型的な問題でした。

 これも、私が総理になる前は、こんなことできるわけがないと。与野党そうですから。何で小泉は与党も反対のことを民主主義国の日本の総理ができるのかと、外国人によく聞かれましたよ。聞くところによると、与党もあなた、反対しているのを総理はどうしてやるんだ、日本は民主主義じゃないのかと。そういう疑問を持つのは、外国の民主主義の人から見れば当然だと思うんです。しかし、日本の自由民主党は割合柔軟である、国民の意思というものを尊重するのは与党なんだ、だから政権をこれまで長く担当してきたんだ、国民全体、多数が支持すれば必ず変わる、結果的にそうなったんです。

 こういう一部の利益を守るために全体の重要な問題をおろそかにするというのは、これはだめだということを前回の総選挙で与党の議員は感じてくれた。だから今回も、それまでは政府系金融機関、全部必要だと。数年前に、この政府系金融機関も各省別に、財務省、経産省、農林省、総務省、一つ一つ政府系の金融機関を持っていて、果たして行政改革、あるいは必要性をよく点検したらどうかといったときも、最初は、これは全部必要だから一指も触れさせないと与党が言ったんですよ。政府の必要な役割はあるじゃないかと。しかし、民営化が通った後は、やはり各役所が政府系金融機関を持つ必要はないな、統合が必要だということで、自民党も賛成して今回の法案、方針が出ている。

 こういうことから見ますと、各論反対も、この各論反対が本当に全体のために役立っているんだろうか、いいことだろうかということをよく見直す契機になった、今回のこの行政改革法案は。一部の利益が全体の利益に波及するなら結構だ、しかし、一部の利益、既得権を守ることが全体の利益を阻害しているというのだったらば、これは見直していかなきゃならないという点で、意識を大きく変えたなと思っております。

増原委員 私も、かつて大蔵省に勤務しておったものですから、各省庁のいろいろな抵抗というんでしょうか、それについてはよくわかっております。そういう意味も込めまして、よくぞここまで来たなという感を持っておるわけでございますが、そうした中で、気になるところが一、二ございますものですから、中馬担当大臣からお聞きしたいと思います。

 今総理も触れられました政策金融改革のところでありますけれども、いつまでも大きなそういうものをやっておりますと、いわゆる民間の地域金融機関、地銀とか信金とかいうところ、これは、リスクの高いものは公的な分野に行ってくれ、リスクの低いものだけを自分たちがやるんだというふうな、いわゆるリスクに対するモラルハザード、こういったものを起こしかねないわけでありますから、これを着実に縮減していくということは、もうあるべき姿であろうというふうに私は思っております。

 ただ、問題は、確かに大手の銀行なんかになってきますと、今期、相当な収益、利益を上げられるようでありますが、いわゆる地域金融機関に至りましては、昨年でしたか一年前に、金融庁の方できめ細かな通達のようなものを出されました。まだまだ足腰は十分強くなっていないというところがあります。そうした中で、これを徐々に移していく。まだ二年先ですから、すぐにというわけではありませんで多少時間はありますけれども、そういったときに、いわゆる民間の中小金融機関がそれをカバーできないというようなことがあったのでは、いわゆる商工ローンと言われているところに中小企業の方々が行かざるを得ないといったような懸念も出てくるわけであります。

 そこら辺につきましてどういうふうな配慮をなさっておられるのか、その点をお聞きしたいと思います。

中馬国務大臣 今回の法案におきましては、第四条第一号におきまして、新政策金融機関の担う機能、今御心配の中小企業や一般の零細企業でございますか、そこに対することでございます。国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援する機能が明記されておりまして、これまで中小企業金融公庫、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫が担ってきた機能のうち、中小零細企業者、農林水産業者の資金調達を支援する機能、これは新政策金融機関がしっかりとこれに残していくことにしております。

 また、本法案四条四号におきまして、内外の金融秩序の混乱または大規模な災害等による被害に対処するため、新政策金融機関を中心とした危機対応体制を整備すること、これも規定をされております。

 このように、本法案におきましては、中小零細企業者、農林水産業者の円滑な資金調達に配慮がなされておりますが、さらに、適切な窓口設置や専門職員の育成、配置等につきましても、今後の詳細な制度設計と、それを踏まえた制度の企画立案において検討していきます。

増原委員 もう一点でございますが、これは中馬担当大臣がよろしいのか財務大臣がよろしいのかよくわかりませんけれども、国の資産、債務を圧縮していく、特に資産をGDP比で半減するということを平成二十七年ということでやっておられますけれども、そうすると、既に財政投融資というのはかつての規模の半減にしているわけですから、順次減っていくことは間違いないんでありますけれども、一番大きいところは財投であろうというふうに思っております。

 それを半減するということになりますと、スピードを上げなくちゃいけない。ということは、既存の財投の貸付金、これをやはり証券化して、そして政府から切り離していくということをどうしてもやらないといけないんだろう。それをやらないと、とても半減は達成できないということになろうかと思いますが、この証券化というのは、実は、国の信用で最も安いコストで集めて、そしてそれをスルーして貸し付けているわけですから、証券化するといった場合には、民間の金融機関が持っている国債を売ってその証券を買うためには、国債よりもより有利なものでないと買わないですよね。

 どういう形でこれを証券化していこうとされているのか、ちょっとその点につきましてお尋ねしたいと思います。

谷垣国務大臣 今の論点でございますが、世上、この点は、増原委員はもうそこをよく区別して議論しておられるわけですが、いろいろな誤解がありまして、私どもは、いろいろ国の債務・資産改革で十一・五兆程度、財政に貢献させていこう。一方、百兆を超える圧縮ができるじゃないかという議論があって、全然数字が違うじゃないかという議論があるわけですが、何を目指して議論しているのかということを、まず頭をよく整理する必要があると思います。

 私どもが十一・五兆と申し上げているのは、国の債務、資産をよく点検して、そして、例えば、売却ができるというようなことによって国の財政再建に役立ち得る、国債を消却することに使える、そういうものを今後十一・五兆出していこう、こういうことで言っているわけでございます。

 それで、そこから先にもう一つ課題があるわけでございまして、今後、国の資産、債務の規模をGDP比で見た場合に半分程度に圧縮していくというような目標を立てる、それをどうやって達成していくかという課題があるわけでございます。

 そこで、その一番の大宗は、私は、今、増原委員がおっしゃいましたように、財投規模をまず圧縮していく努力、今までやってまいりました。最盛期は四十兆ぐらい一年間にやっておりましたのを、現在は十五兆台でございますから四割を切っている。それから、残高にしましても最盛期から三割は圧縮してきておりまして、今後、やはりよく精査をしていく。これは、財投機関の改革、公益法人の改革、政府系金融機関の改革等々と平仄を合わせて財投改革を行っていくことによって圧縮していくということが一番私は問題の基本だろうと思います。

 その上で、今残っております、大宗であります財投の債権を証券化する手法が使えないか。ここは、今委員がおっしゃいましたように非常に悩ましい問題がございまして、一番安い資金調達の手段を行ってやっているけれども、これを証券化して民間に売り払っていくとなると、その信用力の差による金利の差というものはどうしても負担していかなきゃいけない。これは、財投、今言う証券、例えば百兆やろうとすると、数兆規模でやはりその差が出てくるのではないか。それからコストもございます。財政再建をしようとしているときに、やってみて損をしてしまったということでは元も子もない。

 それからもう一つある問題は、財投は政策的な目的のためにそういう貸し付け等をやっているわけです。ですから、きちっと政策目的に合わせて運用してくださるというコントロールの手段が必要でございまして、それは恐らくいろいろな金融技術との関係もよく検討しなければならないのですが、証券化した結果、それができなくなってしまうということになっても困る。そのあたりの技術的可能性をよくよく詰めないといけません。今私どもも、そのことをよく頭を柔軟にして検討しよう、こういうことでやっているわけでございます。

増原委員 御丁寧な説明、ありがとうございました。我々も党の方でしっかりウオッチをしていきたいというふうに思っております。

 最後に、残された時間はわずかになりましたけれども、いわゆるプライマリーバランスについてお聞きしたいと思います。

 この行政改革推進法の第二条にも、行政経費を抑制し、国民負担の上昇を抑えることを旨としてと、基本理念の中に入っております。そういう意味で、財政のプライマリーバランスを達成する第一歩、あるいは前提というような位置づけになっているんだろうと思っております。

 そして一方で、我が国の国債の残高、累積債務が巨大になっていることは御承知のとおりでございまして、GDP比でいっても先進諸国の二倍になっておるというわけでございます。

 プライマリーバランスといっても、例えば、今、新発債でもって約三十兆弱調達します、一方で、元利払い、利子が八兆六千、定率償還六十分の一が約十兆、十八兆六千ぐらいですね。差し引いた残りの十一兆何がしが実は赤字で、これを達成すればいいんだ、こういうふうなことをよく言われるのでありますが、実は、金利上昇局面におきましてはそれで本当にいいのか、こういうことになるんだろうと思うんですね。十八兆六千、元利払いを引くわけですから。ところが、利子の方が、最近の長期金利の動向を見ておりましても、一・五であったものがもう二%を超えましたように、どんどん上がっていくわけですね。そうなると、これはどんどんふえていく。

 だから、プライマリーバランスというのはほんの一里塚にすぎないのではないか。どんどんふえていく。まだ我が国の国債残高が百兆、二百兆というのであればいいですけれども、巨大になっているわけでありますから、そういう意味で、むしろGDP比を減らしていくというのが本来あるべき、目指すべき財政の姿ではないかと思いますが、財務大臣そしてまた与謝野経済財政担当大臣、御答弁をお願いいたします。

伊吹委員長 それでは、谷垣財務大臣、簡潔に答えてください。

谷垣国務大臣 全く増原委員のおっしゃるとおりだと私は思います。

 いわゆるプライマリーバランスを回復していく、それはその年いただいた税金でことしの仕事をしようということですから、その限りにおいて、ツケを後の世代に回さない、現役世代がそれだけの責任を担っているところまでいくわけですが、今委員がおっしゃいましたように、それからも膨大な借金の利払いはふえていく、それから成長率の方が金利よりも低ければそのGDP比もふえていくわけですから、それはやはり下げていくという目標が私は必要だろうと思います。

 今、与謝野大臣のもとでその議論を詰めていく必要があると考えております。

与謝野国務大臣 増原委員言われるように、プライマリーバランスに到達するということは極めて重要なことでございますが、これは委員御指摘のようにまさに一里塚でございまして、まずここに到達して、さらに、国が持っています債務の残高が発散的に増大しない、借金が借金を生んでいくという体制にはしないということをやはり実現しなければならないと思っております。

増原委員 時間が参りましたので終わりますけれども、我々も党の方でしっかりこの行革についてウオッチをしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて増原君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。

 まず、行革推進法案の全般につきまして総理にお尋ねをいたしたいと思いますが、この行革推進法案は、昨年閣議決定をされました行政改革の重要方針に基づいて、主に五つの分野、すなわち政策金融、特別会計、国家公務員の総人件費、独立行政法人そして政府の資産・債務改革、この主要五分野について、今後の改革の基本方針、方向性、具体的な目標が定められたものでございます。

 先ほど園田委員の御発言にございましたように、この内容を決めるに当たっては、昨年の秋、政府・与党内で相当の議論をいたしました。特に政策金融あるいは特別会計については、自民党、公明党の中で相当けんけんがくがくの議論をいたしまして、私も、政策金融では最後まで園田先生と本当にぎりぎり内容を詰めた、そういう経験がございます。したがいまして、役所任せにせずに、政治のリーダーシップでこの改革案をまとめたという自負がございます。

 この中身は、先ほどから説明ございますように、従来にない画期的な内容になっております。政府系金融機関も、八つの政府系金融機関のうち一つは廃止して二つは民営化して、残り五つを一つにしてしまうという本当に大胆な改革でございますし、また特別会計も、現在三十一ある特別会計を将来的には半分または三分の一に統廃合していくという内容でございます。国家公務員の総人件費につきましても、従来から国家公務員の定員削減計画というのがございましたけれども、定員を削減する一方で増員をしておりましたから、トータルでいきますと国家公務員の総数というのはほとんど減っていなかったんですが、今回初めて五年間で五%の純減をするという、従来にない大変画期的な内容の法案でございます。

 きょうの総括質疑が終わりますと、いよいよ採決、成立のめどが立ったということは大変意義のあることだというふうに思っています。

 ただし、この法案では、各分野におきます詳細な制度設計あるいはその制度設計に基づく立法措置といいますのは、これは別途定めるということになっておりまして、必ずしも立法化しなくても、昨年の行革の重要方針、閣議決定に基づいて詳細設計等を進めることもできたというふうに思いますけれども、あえて立法化したということは、私は、総理の行政改革にかける意気込みのあらわれであろうというふうに理解をしておりますが、今回立法化したことにつきまして、総理の御真意をお伺いしたいと存じます。

小泉内閣総理大臣 今回あえてこの行革法案を国会で御審議いただくということは、これは、国民の支持を得て、この方針に沿ってこれからの内閣も進めていただきたいという気持ちを強く持って提出したわけであります。

 その意思があれば、別に法案を出す必要はないじゃないかという議論もありました。しかしながら、総理大臣がかわると逆行するんじゃないかというようなわざわざ心配までしていただきまして、私が九月にやめるんだったらば、この方針は、次の総理大臣も、国会の支持を得て、国民の支持を得てこういう方針なんだということをよくわかってもらおうという与党の親心を感じまして、それならば、その意思を尊重して、今考えている政府の方針を国会で御審議いただきましょう、そして、国民もこの法案を支持しているんだということをはっきり形で示していけば、後の内閣もこの方針に沿って具体的に詰めていただけるだろうということであります。

石井(啓)委員 簡素で効率的な政府を目指すというこの路線を内閣がかわってもしっかりと維持しよう、こういう総理の御決意でございました。

 続いて、天下りの問題について質問をいたしたいと思います。

 官製談合の問題、それから、最近では各省庁が所管の公益法人に随意契約を行っている、こういう問題の背景には幹部職員の天下りの問題がございます。この問題にやはり抜本的な対策を講じなければいけない、そういう時期に来ていると思います。

 天下りの現状がどうなっているかといいますと、一般の職員は六十歳定年制でありますけれども、特にキャリアの公務員の場合は年功序列がはっきりしておりますので、年次が上がるにつれてだんだんポストが少なくなってくる。課長、審議官、局長、最終的には事務次官は一人しかいらっしゃいませんから、だんだんポストが少なくなってくるということで五十過ぎから肩たたきが始まる、早期勧奨退職が始まるということです。五十過ぎではまだまだやはり働かなければなりませんから再就職をするということになりますが、これをその本人に任せるということになりますと、その職務の権限を使って再就職先を探すような、そういうふらちな人間が出てこないとも限りませんので、役所の方であっせんをする、こういう仕組みになっているわけですね。

 したがって、こういう構造をそのままにしておいて天下りを禁止する、あるいは役所のあっせんを禁止する、こういうことをやりますと、むしろ弊害が起きる。職業選択の自由ということにも抵触をいたしますし、先ほど申し上げましたように、本人に任せるということになりますと、仕事そっちのけで再就職先を探すというようなことがあっても困りますので。

 私は、天下り対策というのは、定年年齢まで勤め続けられる、天下りをしなくても済む、そういう人事制度をつくるということが重要だというふうに思っております。そういった意味で、今、小泉総理が進めていらっしゃいます早期勧奨退職年齢を五年間で三歳引き上げようという試みは、私は大変意義のあるものだと思っております。

 総務省の方で調べていただきましたところ、総理が御指示をする直前の平成十四年では、この早期勧奨退職年齢、幹部公務員で五十四・四歳でありましたが、昨年の時点では五十五・八歳まで一・四歳引き上がっておりまして、政府の計画どおりに進みますと平成二十年には五十七・四歳ぐらいまで引き上がるということになりますので、私はこれはしっかりとそういうふうに進めていただきたいと思います。

 その上で、さらにもう一段改革を進めるために、きょうは具体的な提案を二つ申し上げたいと思っております。

 一つは、やはりトップの退職年齢が引き上がると、それにつれて全体がやはり引き上がるということがございますので、今事務次官級の退職年齢は六十二歳でございますけれども、これを六十五歳まで引き上げたらどうか、それにつれて局長級の退職年齢も六十三歳ぐらいまで引き上げたらどうかということが一つでございます。

 もう一つは、先ほど申し上げましたように、年次が上がるにつれてポストがなくなってくるからやめざるを得ないというところがございますので、ライン職を目指さない専門スタッフ職で処遇するという複線型人事制度について、これもかねてからいろいろなところで提案等をされておるんですけれども、なかなか具体化に向けて検討が進められておりませんので、この早期導入を目指して具体的な検討をぜひ進めてはどうか。

 この二つの提案を申し上げたいと思いますが、総理、御感想はいかがでしょうか。

竹中国務大臣 石井委員、今まさに言われましたように、天下りしなくても済む状況をつくるということがやはりこの問題の根本、根幹であるというふうに私も思います。公務員の皆さん、まさに志を持って行政に専念していただきたいと思いますし、できるだけ長く、活力を持って勤務していただきたい。その意味で、今御紹介ございましたように、総理の御指示のもとで、今、早期退職慣行の是正をしているわけでございます。

 そのための方策として今二つの御提案をいただいたわけでございますが、一つは、今委員言われました複線型の人事管理を進めるというのは、これは大変重要であると思います。単に年次主義やピラミッド形ではなくて、必要なスタッフ職の整備充実、その過程では、やはり幅広い官民交流等々も当然必要になってくると思います。そうすることが、個人の能力を生かして、人材活用にもつながる。実は、そのための必要な整備を含めて我々の方ではしっかりと考えているつもりでございまして、これは順次、ぜひ実現をしていきたい、今その方向に向かっているということを申し上げておきたいと思います。

 もう一つの提案であります、事務次官級の定年について、今六十二歳となっているわけで、それの長期化についてのお尋ねがございました。

 国家公務員の定年の引き上げについては、これはやはり民間の動向等々を十分踏まえながら検討を行わなければいけないというふうに思っております。今御提案をいろいろいただいておりますので、今申し上げたように、民間の動向も踏まえながら検討をぜひ行っていく必要がある、そのように考えております。

小泉内閣総理大臣 できるだけ定年まで働けるような環境整備等、私も努めていきたいと思っております。

石井(啓)委員 よろしくお願いいたしたいと思います。

 それから、これは質問ではないんですけれども、私の個人的な意見で、さらに人事制度という意味では、先ほど申し上げましたように今相当厳しい年功序列といいますか、これは法律とか規則ではなくて慣習でやっているわけでありますが、慣習を正すというのはむしろ大変なことなんです。やはり、若いうちからはなかなか難しいかもしれませんが、一定年齢以上になったら実力本位あるいは実績本位の人事制度に改めていくということも重要だというふうに思います。これは意見として申し上げておきたいと思っています。

 続きまして、行革推進法案の方にも盛り込まれておりますが、政府の資産の売却でございます。

 先日、財務省の方では、十年間で十一・五兆円の政府資産を売却されると。これは例えば、郵政民営化で、今政府が持っております郵政会社の株式を売却したり、あるいは未利用国有地を売却したり、あるいは庁舎、宿舎も売却したりということで、特に、最近、宿舎についてはテレビ等でも大変取り上げられておりまして話題になっていますけれども、都心三区は全部売却する、二十三区内の容積率の利用が半分未満の低利用のものについては、集約化して、あいた土地は売却する、こういう方針というふうに伺っております。

 これはしっかりと進めていただきたいと思うんですが、私は、霞が関の庁舎ももっと有効利用したらどうかというふうに考えまして、ちょっと調べてみたんですけれども、霞が関の行政府は容積率が五〇〇%なんですね、都市計画。調べますと、ほとんどの区画がもう容積率満杯で使っているんですよ。ところが、唯一残っている区画というのが、財務省と内閣府の区画が実は容積率三三〇%ぐらいで、七割未満なんです。三割、容積率が使われていないということでありますから、ここを有効利用するということを考えてはどうか。PFI等を活用して、民間資金を使って高層化しますと三割床がふえるわけですから、役所が使わない床を売却したり、あるいは賃貸したりということが考えられますし、もっと大胆な提言をすると、全部民間に売却をして役所が使う分だけ借り受けをするといういわゆるリースバック、こういったことも含めて有効利用というのを考えたらどうかと思いますが、これは総理、いかがでございましょう。

小泉内閣総理大臣 私も、今の石井議員の考え方に基本的に賛成なんです。

 今、公務員の宿舎等を有効活用しよう、売却にしても、あるいは今の状況よりももっと有効に活用できるんじゃないか。その中で、中央官庁、財務省、率先して見本を見せたらどうかと今指示しているところなんです。国有財産を管理している自分のところだけやらないでほかにやらせるのは、ほかが余り承知しないから、まず自分が率先垂範。七階ですよ、今、財務省、旧大蔵省。戦前に建てている。七階ではもったいないんじゃないか、この一等地で。中央官庁の庁舎に緊急用の、危機管理用の公務員住宅、住めるようにだって、考えようによってはできるんです。PFI、民間の事業者を活用しても、安く、もっと高層、有効に活用できる。そういう点も考えて、戦前建てたこの永田町周辺の庁舎、もっと有効活用できないか、まずは財務省、率先して考えたらどうかと指示を出しているところでございます。

谷垣国務大臣 こういう時世ですから、国有地を民間の知恵をかりて有効活用していくということは極めて大事だろうと思います。

 今委員がおっしゃいましたように、ほかのところはだんだん容積率が高くなってまいりまして財務省のところが残っております理由は、戦後の時期に建った耐震性の悪いものから建てかえていこうというので、何か財務省が建ったころはしっかり建てているそうでございまして、後回しになってきたという事情もございます。

 それで、今総理のおっしゃったような手法を検討するために、公務員宿舎の件で伊藤滋座長に有識者会議をつくっていただいてやっていただいておりますが、さらにそこを改組して、国有地等々の有効利用、特に民間の手法を活用した手法を検討していただいておりますので、そういう中で、霞が関の官衙地域は都市計画の中、景観等々でも非常に重要なところでございますから、そしてまた、伊藤滋先生はそういう都市計画の大家でもいらっしゃいますので、そういうあたりも含めて十分検討いただいて、よいものにしていきたいと思っております。

石井(啓)委員 これはぜひ、総理のリーダーシップでお願いをいたしたいと思います。

 それから、民主党案について総理にちょっとお伺いしたいと思うんです。

 昨日もこの委員会で民主党さんの案について審議をさせていただいたところなのでありますけれども、例えば公務員の総人件費改革につきましては、政府案では農林統計とか食糧管理とか北海道開発局など具体的な分野を挙げて減量の検討を規定しておるんですけれども、民主党さんの案ではどうなっているかといいますと、行政刷新会議というのを設けて、そこが作成する行政刷新計画に全部ゆだねられておりまして、この法案の中にはどういうところで改革するかというのがわからない、私は具体性に欠けているというふうに思っております。民主党さんは政府案をプログラム法にすぎないということで随分御批判されましたけれども、私は批判する資格はないんじゃないかなというふうに思いました。

 また、政府の総人件費改革、五年で五%の定員の純減、これは大変な苦労をしながらこれから計画をまとめていかなければいけないんですけれども、民主党さんの方では、三年で二割、総人件費を削減するという目安を示されているんですね。これは地方分権でおやりになるということでありますけれども、これもなかなか実現は難しいんじゃないかというふうに思っております。

 民主党案に対する総理の御感想をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 方針としては、民主党も対案を出されたということは、これは私は悪いことではないと思っております。

 しかしながら、方針は方針として、この政府案の質疑のときにも、政府案で五年間で五%の公務員の純減ということについて、民主党の議員からも、どうやってできるのかと厳しく指摘されました。これは、五%五年間でも、年間六千八百人ほど削減しなきゃならないんですよ。それをどのように削減するのか、大丈夫か大丈夫かと質問されたものですから、民主党に聞いてみたら、今度は三年間で二〇%でしょう、人件費。当然これは定員純減も行わなきゃならない。となりますと、一年間、政府案の六千八百人どころじゃない、四万五千人削減しなきゃならない。どうやって削減するかというものも、今後具体的に提案していただければ、政府としても、これが可能かどうかよく検討したいと思います。

 政府案は自衛官も削減の対象としておりますが、民主党では自衛官は対象としていないということであります。そうなりますと、それ以外のところはもっと削減しなきゃいけませんね。そういう点も含めて、今後、民主党が対案を出されたんでしょうから、この説明の中で、また質疑の中で、民主党は具体的にどこをどのように削減していくかということを出されることを期待しております。

石井(啓)委員 それでは、残る時間は市場化テスト法案についてお伺いしたいと思います。

 これも今回初めての試みで出された法案でありますが、今、国あるいは地方自治体が担っている公共サービスについて、民間の方の提案で、いや、自分たちもやれる、こういう御提案をいただいて、御意見をいただいて、そういった意見等を踏まえながら、いや、そういう意見はもらったけれども、やはり引き続き国や自治体でやった方がいいというものなのかどうか。あるいは、意見を伺って、官と民とでお互いに競争入札をしてどちらがやるか決めようと。あるいは、いっそのこと、もう官がやらずに民間だけにやってもらおう、民間競争入札。あるいは、この際もう公共サービスとしてはやる必要がない、廃止する。この四つの分野に仕分けをするわけですね。

 この仕分けの基準がどういうふうになされるのか。特に、官で引き続きやるという分野についての基準というのはどういうふうにお考えなのか。これは中馬大臣からお伺いしたいと思います。

中馬国務大臣 今委員がおっしゃったとおりでございますが、この仕分けをするのは、監理委員会と申しますが、民間からの方々が選出されまして、これは内閣総理大臣の方も関与しておりますが、ともかく、その方々に判断していただくことになります。

 そういうことで、切り分けた、もう必要がなくなった仕事であったり、あるいは民間に任せた方がサービスもよくなる、効率もよくなるといったようなこと、そうしたことを御判断いただきまして、民からの提言だけではなくて官の方からでも結構でございます、そういう形で提言されたものを、関係省庁、これも大事でございますから関係省庁の協議や、その監理委員会での審議を経て、閣議決定によって行われる仕組みとなっております。

石井(啓)委員 閣議決定で行われるということですけれども、恐らくそれは具体的な個別の案件に応じて検討していくということかと思います。ここは今後実施していくに当たっておいおい明らかになってくると思いますけれども、どういう考え方で仕分けをしていくのか、これが非常に重要になってまいりますので、今後、こういった点をより詳細に詰めていただくようにお願いいたしたいと思います。

 今申し上げましたように、民間から意見等をもらうわけですけれども、意見等をもらった分野については、その分野を引き続き国がやるのかどうか、あるいは、いっそのこと民間に任せた方がいいのかどうかという検討が行われることになるわけですけれども、民間から意見をもらわなかった分野についても、これはやはりみずから国や自治体がきちんと不断の見直しを行う必要があると思います。

 法案の第三条の中でも、国の行政機関等または地方公共団体がその事務または事業の全体の中でみずから実施する公共サービスの全般において不断の見直しを行う、こういう規定がございますので、民間から意見が出なかった分野も含めて公共サービス全般について不断の見直しを行う、そのことの制度的な担保がどういうふうになっているのか、中馬大臣にお伺いしたいと思います。

中馬国務大臣 法案の第七条第七項で、公共サービスに関しまして不断の見直しが確保されるよう、毎年度、公共サービス改革基本方針の見直しを行って、必要に応じ、官民競争入札等の対象業務の追加、拡大を行うことといたしております。また、本法案では、官民競争入札等の対象業務の選定に当たりまして、民間から意見が出されていない業務についても、例えば我が内閣府などが対象業務を自主的に提案することも否定されておりません。

 本法案では、規定する手続に従って、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現していくため、適切な対象業務を選定していくように努めてまいりたいと思っております。

石井(啓)委員 私ども公明党は、かねてより事業仕分けということを相当提言しておりまして、この市場化テスト法案の中でも、あるいは行革推進法案の中でも盛り込まれておるんですけれども、やはり今後、国なり地方自治体が行っている公共サービス全般についてきちんと不断の見直しをしていくということを制度化していくためにも、私は、事業仕分けということをきちんとルール化していくということが必要だということを、これは意見として申し上げておきたいと思います。

 それから引き続いて、官民競争入札を実施して民間の方が落札をしたというケースで、これは民間の方がずっとやるというわけじゃなくて、ある一定の契約期間、三年とか四年の契約期間がありますから、その契約期間が終わりますと、再度、だれが実施をするかということで入札等が行われることになるわけですが、その時点で再び官の側が入札に参加するのかどうか、これを確認したいと思います。

 といいますのは、公共サービスで民間の方が落札をいたしますと、その分野で働いていた公務員というのは他の分野に配置がえ等が行われることになるわけですよね。したがって、実施期間が終わって再入札というときに、では官側がもう一度入札に応じるかというと、そのときはもう既にその分野で働いていた人は他の分野で働いているわけですから、官の側がこの再入札に応じるというのは、私は事実上非常に難しいんではないかなというふうに思っておるんです。官民競争入札で官側が再入札するということを想定されているのかどうか、そのとき、その困難性というものをどういうふうに克服されていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。

山口副大臣 官民競争入札の対象となる公共サービスについては、その実施期間の終了に、先ほど言った三年から五年でありますけれども、対象業務の全般にわたる評価を行い、見直しを行うこととしております。この見直しにおきまして、再度官民競争入札を実施するのか、民間競争入札を実施するのか、これは個別具体的な判断をするものであります。

 その際に、御指摘のように実施期間終了後に官は入札せず民間競争入札を実施するケースもあり得ますし、他方、官側が他の部門の業務の合理化、効率化等により人員を確保し、実施期間終了後に官が再び入札に参加する余地を残すことが適当な事例もあると考えております。具体的には、例えば民間事業者の独占等のゆえに業務の質の確保やコストの削減が実現できないと想定される場合などは、こうしたケースに該当されると考えられております。

 いずれにしても、対象公共サービスの見直しに際しましては、本法案に規定された手続を経て適切に検討していきたいと思っております。

石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 石井君の質疑はこれにて終了いたしました。

 次に、北橋健治君。

北橋委員 民主党の北橋健治でございます。

 委員会はきょうで十一日目、質疑時間は六十時間を超えてまいりました。昨日は民主党の対案に対する質疑も行われまして、これから国民の皆様方に、大島理事と手分けをいたしまして、民主党対案の本旨につきまして御説明をいただき、そしてまた、それに対する総理初め関係閣僚の御所見を承ってまいりたいと思っております。

 私は、この質疑を通じまして、国民の皆様方は改めて行革に注目をされていると思います。それは、最も期待されるのは、やはり税金の無駄遣いはきっぱりとやめてもらいたい、それが一番国民の期待する行革ではないかと思うのであります。最近では、医療費や介護保険料やあるいは障害者の負担が上がる、税金も何もかも上がっていく、そして官製談合やいろいろな無駄遣いというものが次々と明るみに出まして、納税者の怒りは頂点に達しております。その納税者の負託にこたえて、この行革を通じて我々はいかにしてこの血税の無駄を排除し切るか、これが行革の論議に求められている重要な諸点であると私は認識をいたしております。

 その観点から、まず民主党の提出者にお伺いしたいと思いますが、政府の提案に対して幾つかの提案を各論に盛り込まれました。具体的なプログラムであります。その本旨は、昨日の提案理由説明にありましたように、国は地方を信ずる、地方分権を徹底するときに必ずや国の新しい地平線が開けてくるという確信だったと思います。そしてもう一つ、政府への信頼という言葉を強調されました。重ねまして、この委員会におきまして、そのポイントにつきまして御説明をまず承りたいと思います。

馬淵議員 お答えをいたします。

 私ども民主党の提出案、ポイントは二つございます。

 一点は、まず、現在の政府の事業、政府の行っている仕事、これの丸洗いです。

 今、政府は大変多くの仕事を抱えているわけでありますが、これらの必要性に対しては大変疑問が持たれる部分が多々ございます。例えば、政府が地主から農地を買い上げて、そして自作農創設のためにそれらを販売するという、こうした農地解放、これを二十一世紀の今日においても今も特別会計で行っている。また、高度成長期、人口が増大をしていく中での水需要、これを想定して、そして架空とも言えるようなこの水需要に基づくダム建設を全国各地においてもいまだ行っております。

 このような時代に合わない事業、本当に無駄遣いと思われるようなもの、こうしたものを我々民主党の案はすべて徹底的に洗い直して、これらの事業について、平成十九年までにこれを見直していくということをこの法案の中に盛り込んでおります。

 また、我々がこうした政府の事業の見直しを図る上では、徹底的な国と地方の役割分担、これを明確にしていく。これによりまして、例えば、国と地方が同様の事業を同時に行うという二重の業務、あるいは地方が行おうとすることに対して一々国が口を出すといった非効率な事業、こうしたものの見直しを図ってまいります。我々が訴えているのは、住民の方を向いて、そして判断できる環境を整えるということであります。

 こうした我々の考えのその原点に流れるものは、根底に流れるものは、補完性の原理と呼ばれるものでございます。この補完性の原理というこの言葉自体は、例えば、地方において、地域において、自治体における課題はその自治体において解決をしていく。市町村で起きた問題については市町村、そしてその市町村が十分に解決できないことについては都道府県なり、そして都道府県なりが解決できない課題並びに国が本来担うべき外交や通貨の問題といったものは国が行うという形で、その解決すべき課題は身近なところで解決していくという、この補完性の原理を徹底的に我々の案の中の根底に理念として盛り込んでおります。

 住民から見れば、一々霞が関に行って解決方法をゆだねるということではなくて、地域の、まさに自宅の近くの役所に行って、カウンターの向こうのあの方にお願いをしていく、あるいは相談をしていくという身近な解決の方法ということを私たちは考えております。これこそが行革の第一歩である、こうした観点を持たねば行革はなし得ないと考えております。

 また、もう一点、これも重要なポイントでございますが、この委員会の中でもたびたびその審議の中で明らかになってまいりました天下りあるいは官製談合、こうしたものに対して、徹底的に抑制を図る厳しい措置を盛り込んでおります。こうしたことを行っていく中で、我々は、信頼できる政府、これこそをこの天下りや官製談合の抑制、厳しい措置ということをもって現実のものとしていくということを私どもの法案の中に盛り込んでおります。

 政府案につきましては、例えば、格差があるのは当然だとおっしゃるそのリーダーの理念に基づく弱肉強食の社会をつくっていくという政府案に対して、私どもは、共生の理念を持って新しい政府をつくるという法案であるということをこのポイントとしてお伝えさせていただきます。

北橋委員 今、民主党の説明にありましたように、税金の無駄遣いをきっぱりとやめさせるために、民主党は具体的な対策を対案に盛り込んでおります。それは、政府案には極めて乏しいか欠けているところでございます。

 私は、それを中心に、これから両案の比較をしながら所見を伺うわけでございますが、たまたま、先ほどの与党質問におきまして、民主党の総人件費二割削減について、根拠なき、いろいろな誤解といいますか偏見に満ちた言葉がありました。それについて、民主党の枝野さんの方から一言、これについての御見解をいただきたいと私は思います。

 総理、民間におきましては、二割削減なんて、そんなところでリストラをやり切ったところはありません。五割だとか七割だとか、この国際競争の厳しい中で、あの金融不安の中で、命がけのリストラをやって耐えているところでありまして、私は、総理に対して不満なのは、三年で二割ができるかできないかではなくて、それぐらいやろう、おれも考えてみる、それぐらいの決意を国民は期待しているのであります。

 私は、地方制度調査会のメンバーの一人です。そして、このたび道州制について総理に答申をさせていただきました。国と地方出先機関、国の役人の三分の二は地方におります。それが地方とダブっているんです。そういったことも含めて、道州制を導入すれば全く国家公務員の定員は変わるわけでありまして、要するに、民主党の提案に対してもっと前向きにとらえてほしい。五%でなくて二割ならば、できるならやってみようじゃないか、話し合おうじゃないか、それぐらいの決意を示してほしかったのです。

 枝野さん、一言おっしゃっていただきたいと思います。

枝野議員 先ほどの石井議員の質問の中では、我が党が五%だってできないのにというお話がございました。

 確かに、現行のこの政府の案に基づいて定数を削減していこう、あるいは人件費を抑制していこうということを考えたときには、あくまでも現行の行政システムを前提として、その中でどこを削れば、どこを削れば、こういう議論をしておられます。

 しかし、今、馬淵議員から説明させていただきましたように、私どもは、根本的に行政のあり方、特に国と地方の仕事の役割分担を変えよう、そして、私どもの法案では明確に、国がやるべきことは皇室、外交、防衛、通貨等の国家の根幹にかかわる業務、そして地方ではどうしてもできないということで、地方からこれは国がやってくださいと言われた業務だけを国が行う、残りはできるだけ身近な地方でやってくださいということで、国のやるべきことを逆に初めに固めてしまって、決めてしまって、それ以外は都道府県あるいは市町村あるいは民間のセクターでやってくださいと。こういうことで考えますと、現行の八割の人員すら実は要らないのではないかというぐらいの仕事の規模になると思っています。

 もちろん、それを一気に、例えば身分を変える、人を減らすということは決して簡単なことではありませんが、しかし、そうやって役割分担を明確にすれば、例えば、それぞれの行政について意欲を持って、熱意を持ってなされている皆さんは、これがもう国の仕事でないならば、その仕事を中心にやる県で仕事をしたいとか、あるいは民間で仕事をしたいとか、みずから出てくる方もたくさんあると思います。

 したがって、こうした抜本的な改革をすることによって国家公務員の総人件費を抑制するということは、十分に意欲があれば可能であると判断しております。

伊吹委員長 北橋君、総理の答弁について引用がありましたから、国民が見ておられますから、総理の簡単なコメントをいただきます。

小泉内閣総理大臣 三年間で二〇%。五年間で五%、これは難しいという批判を私は受けたものですから、それよりもっと大きな、三年間で二〇%削減する、私は別に趣旨について批判しているわけじゃありません。では、どこを削減しているんですかという、どの役所のどの数と言っていただければ検討しますよと申し上げているわけであります。

 五年間で五%でも、毎年約六千八百人の公務員を減らさなきゃならない。これでもきつ過ぎるんじゃないか、配置転換できないんじゃないかという御批判を野党の皆さんからも浴びたから、そうすると、民主党の三年間で二〇%、人件費ですから、全然定員に手を入れないということはないでしょう。人件費だったら、どこの人件費を減らすのか。三年間で二〇%ですから、人員に直すと、これは一年間で約四万五、六千人ですよ。どの役所の公務員を減らしたらいいんですかと、具体的に言っていただければ検討しますよということを申し上げているわけであります。

北橋委員 私は、要するに、国は本当に地方を信ずるかどうかの違いだと思うんです。国も地方も一緒に定員管理をして、法律では「要請する」と言っていますけれども、要するに、地方を、これまで明治以来、補助金や許認可や情報や、いろいろなことで縛ってきたんです。その国の構造を根本的に変えなければ、官が民を縛り、国が地方を縛る、その鎖を解き放とうというのが民主党の本旨でもあります。

 そういった意味で、地方分権、地方を信ずる、地域の住民の英知を信ずるという哲学に大転換をすれば、私は必ず三年二割は達成できると申し上げておきたいと思います。

 続きまして、きょう私は、この質問を中心にしたいと思います。(発言する者あり)

伊吹委員長 静粛にしてください。

北橋委員 これは、御案内のとおり、随意契約に関する資料でございます。随意契約というのは、これは国民にはなかなかなじみが余りないかもしれませんので、この委員会におきまして、これだけの資料は、中央省庁における近年の随意契約の実態の調査の資料であります。まだ出ていない官庁もあります。

 これは、民主党の議員が再三にわたり委員会で、国民の税金を大事にするために、随意契約の実態が余りにも放置されている、一つの官庁で九割以上も相みつもとっていない、こんなことが許されるのかと、再三にわたる質疑によりまして、委員長に御裁定をいただきまして、委員会の資料要求、実質国政調査権の発動という形で、業務繁忙の中を霞が関の皆さん方に協力して出していただいたものであります。

 これは、国民が非常に大きな関心を持っておりますので、私は、地方公務員の問題をもっと議論してもいいんですけれども、まずこれをやらせていただきたいと思います。

 まず、民主党の提出者にお伺いしたいと思います。

 随意契約、どこに問題点があると考えるのでしょうか。そして、きのうやっと間に合わせるように出てきた資料が大半でございますので、分析も大変だと思いますけれども、この随意契約の驚くべき実態に対してどういう総括をされているか。まず、あわせてお伺いしたいと思います。

武正議員 北橋委員にお答えをいたします。

 この随意契約、総理も先ほど来、随意契約に、必要なければ競争入札だ、こういうことを言っておられます。

 そもそも会計法では、一般競争入札が原則である、こううたっているわけでございます。国民の皆様にも、随意契約というのはちょっと難しい言葉だなというふうに思われると思うのですが、要は、競争にしないで、それこそ、ある一社あるいは一団体、そこともう契約を結ぶ。そのときに、競争にしていないので、その価格が適正な価格なのかどうか、この判断が、果たしてだれがするのか、適正なそうした価格になっているのか、これが大変疑わしく思われるのが随意契約の一つ仕組みになっております。

 そこで今、北橋委員から、それこそその机の上に積み上げている資料でございます、この資料は、もともとは、昨年十一月でございましたでしょうか、情報公開請求に基づいて、環境省、きょう環境大臣お見えでございましょうか、環境省に対して、五百万円以上の本省発注全契約に占める随意契約の割合、これを情報公開請求したというのが事の発端でございます。

 それにより、報道で、環境省全発注五百万円以上、九三%が随意契約である、しかも、その二千七百件を超える件数すべてにわたって相見積もりをとっていない、こういったことがわかったものですから、この間、委員会では、財務大臣、農水大臣、厚労大臣、それぞれお伺いをしますと、それぞれ随意契約の高い比率を述べられ、また、相みつは一切とっていない、こういう答えもありまして、それではということで、全省庁同じように資料を求め、昨日出していただいたところでございます。

 その分析をいたしますと、平成十六年度に限ってでございますが、全省庁の中では、やはり平均八割、随意契約比率でございます。その八割のうち四割は公益法人、独立行政法人ということでございます。既に民主党の要求に基づいて、千七十八法人、二千六百四人の天下りの団体、ここに六兆円のお金が流れている。こうしたお金と人の流れ、それに介在するのが実はこの随意契約ではないのかということでございます。

 政府のさまざまな理由も出していただきましたが、この一社しか、この一団体しかできないんだ、こういった理由がずらずら並びます。本来随意契約は、やはりバリュー・フォー・マネーでありますので、本当にその団体そしてまた企業でなければできないのか、それをどうやって見きわめるのか、それがないまま随意契約が続いている、これが実態でございます。

北橋委員 そこで、きのうの昼までに間に合わせよというのは、伊吹委員長から特段の御配慮をいただいて霞が関の方に要請をして成ったわけでございますが、これを集計するのは大変でございます。しかし、官庁の方はパソコンで処理していると思いますので、足し算することは一瞬のうちにできるわけでございます。

 そこで、財務大臣にお伺いしておきたいと思いますが、事務当局の方からどういう報告を受けているかということです。国民が知りたがっているのは、これからの審議の中で私もじっくりかけて分析いたしますが、まずは、各省庁において契約件数が何件あって、そのうち随契が何%だったのか。件数そして金額ベースにおいてその数字は集計されて上がってきているでしょうか。まずお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 各府省の随意契約の資料につきましては、今議員お持ちのものがそれだと思いますが、きのう、十八日に行政改革事務局を通じて委員会にお出しをいたしました。

 それで、これは、充実した審議のために早急な資料提出が必要だという御指示によりまして、短期間で可能な範囲で提出したものでございまして、今各府省で集計が進められているところでございます。そこで、全部は実はまだ集計ができておりません。

 例えば、私の所管でございます財務省の例だけ申し上げますと、平成十二年から平成十六年に本省で契約された五百万円以上の契約は千四百十二件ございまして、総額は千六十九億円でございます。このうち随意契約は九百九十四件、九百七十二億円となっておりまして、随意契約の割合は、件数で七〇・四%、金額で申しますと九〇・九%でございます。

 確かに公共調達では、先ほどからの御議論のように一般競争入札が原則でございまして、随意契約については、透明性、効率性の観点から、積極的かつ厳正な見直しを行っていく必要があると考えております。特に、随意契約の契約金額が大きいあるいは契約件数が多い府省においては、国民に対する説明責任を十全に果たせるよう努める必要があると考えておりまして、現在緊急点検をしておりますので、その取りまとめ、六月を目途に公表いたしますとともに、各省庁において随意契約見直し計画を策定する、こういうことで今作業を進めております。

北橋委員 各省庁も仕事が大変忙しい中を頑張っていただいたと労をねぎらいたいんですけれども、やはり行革推進委員会というのは、税金が本当に効率的に使われているかをきっちり立法府でチェックしてくれという国民の負託があると思うんですね。そういった意味で、別に手書きでやっている作業じゃないので、パソコンでやっていらっしゃると思いますから、各省庁別にすぐ出してもらわないと、私はここでサボタージュとは言いたくないけれども、国民の皆さんから見ると、やはり熱意というものは感じられないんじゃないか。政府・与党みずから行革に対して襟を正していこうという姿勢に対して、私は失望感を持たれていると思うんですね。

 私どもの入手している情報では、平成十六年に限って言うと、件数ですけれども、七千八百二十二件の契約のうち五千五百十件が随意契約であって、その契約率は七〇%だった、そういう情報も得ておりますけれども、これはやはりきちんと六月までと、六月というのは国会は終わってしまうじゃありませんか。本来ならば、この衆議院を通過する段階に当たってきっちりしてほしい。そういった意味では、改めて資料提出を急ぐように求めておきたいと思います。

 きょうは、環境大臣にお越しをいただいていると思います。このたび御健康になられまして、本当に心からお喜びを申し上げたいと思います。そういう中で気も引けるわけでございますけれども、大臣もこの間、公人として、やはりこれはきっちりとお答えをいただくことだと思います。

 半分までこれから随契を減らしていくという趣旨も含めて記者会見があったと聞いておりますけれども、環境省についてもいろいろな随契ということが言われました。それに対して、環境大臣、率直なお言葉をいただきたいと思います。

小池国務大臣 今回、環境省、最も小さな役所ではございますけれども、随契の比率が最も高いということ、入院中ではございましたけれども、そのニュースに改めて接したところでございます。

 その中で、一つ一つ精査を私なりにもやってみたわけでございますけれども、やはり極めて専門性が高いということは事実、そういう部分の調査研究ということを発注することも事実でございますが、一方で、これまでそうしてきたんだからというような安易な形での随意契約がないかどうか、これから官房長のもとにプロジェクトチームをつくりまして、そしてこれからの契約の透明性、効率性という観点から見直しをしていきたい、こういう気持ちでこれから取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。

北橋委員 もう一度お答えをいただきたいと思いますが、納税者に対する反省の言葉というのはないんでしょうか。

 もう一つ。とにかく一生懸命やって、大臣みずからも取り組んで、何とか減らしていこうということで半分という数字も出たのかと思いますが、これは納税者の目線から見ると、ゼロベースで見直す、基本的に随契をやらないんだ、どうしてもやるものはどれなんだ、そういう決意を示されないと、私はやはりもとのもくあみになってしまうと思うんですね。

 そういった意味で、納税者に対して、環境大臣だけに聞くのもなんでございますけれども、右代表で聞かせていただきますけれども、随契が余りにも多かった、そういった実態に対して、率直に国民に対してどういう気持ちを持っていらっしゃるのか。

 それから、本来は半分じゃなくてゼロベースできっちりと見直すという決意を大臣がお示しにならないと、これは霞が関の官僚集団も私はブレーキかかってくると思いますが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 まず、公共調達というのは一般競争入札が原則であるわけでございます。その意味で、これからのプロジェクトチームにつきましても、このベースということについては一番肝心なポイントであるというふうに思っておりますので、その形で進めていきたい。

 また、調査研究でございますけれども、先ほども申し上げましたように、さまざまな分野にわたります専門的な知識などなど、こういった形のものをどうやって確保して、そして今後の環境行政に生かしていくのかということも一つの責任でございます。そういった観点から、今、また繰り返しになりますけれども、プロジェクトチームにおきまして、専門性がどうしても必要なものであるとか、それから一般入札、競争入札という形にしていくべきものであるというか、そういったものをしっかりと仕分けをしていくということでございます。

 基本に戻りますけれども、公共調達というのは一般競争入札が原則であるということは承知をしているところでございます。

北橋委員 残念ながら、納税者の皆様に対して、会計法令からすると違反ではないか、極めて問題があるのではないかと再三指摘された案件につきまして率直な反省の言葉がないというのは、私は国民の皆様がどう聞かれたかと思います。

 民主党の提出者にお伺いしたいと思います。

 政府の本音は今の答弁に出ていると思うんですね。それに対して、民主党は具体的にこの行革法案に対してどのように改革したいと思っていらっしゃるか、その柱をお伺いしたいと思います。

武正議員 北橋委員にお答えをいたします。

 会計法の原則は、有利な価格による契約締結、これは随意契約であろうとも同じでございます。いかに政府が随意契約で、一社しかない、一団体しかないと言われようとも、どれだけ有利な価格で契約を締結する努力をされているのか、これがまず基本で問われなければならないというふうに思います。

 その上で、民主党案は三点、改革案を持っております。

 それは、まず、一般競争入札の例外というものの基準を厳格にしよう。あわせて、特に官僚OB、天下りがどうしてもこの随意契約と密接なかかわりがある、こういう疑念が晴れませんので、官僚OB就職営利企業入札参加の基準はやはり厳格であるべし。あわせて、官僚OBによる出身官庁への情報提供要請などを禁止する、これが二点目でございます。そして三点目は、既に財務大臣からも御答弁がありますが、独法、独立行政法人あるいは公益法人、ここにも一般競争入札原則、これを徹底する。

 以上、三点でございます。

北橋委員 民主党の対案は、このように、税金をきっちりと間違いなく使ってもらうために、法案の中にこのような柱を盛り込んでおります。

 総理にお伺いしたいと思います。

 これまでも、行革は推進する、そして小さくして、将来の国民負担増を抑制したいということであります。こういう一つ一つの各論について、国民の納得するような改革の案を法律の中に入れますと、ポスト小泉さんがどのようにしようと、仮に行革があいまいになったとしても、法律に残る限りは生きるわけでございます。既に答弁において総理は、こういった問題についても、六月ぐらいをめどにいろいろと考えているという答弁はいただいておりますが、やはり民主党が具体的に提案したようなものを法律案に盛り込んで初めて行革の審議と言えるんじゃないでしょうか。総理の御所見を承りたいと思います。

小泉内閣総理大臣 既に環境省だけでなくて全府省に対して、随意契約というのはそれしか方法がないということだけにとどめて、あとは原則一般競争入札、その原則に従ってやるようにという指示を出しているところであります。

 この指示に従って、各省できるだけ早くその趣旨を生かすように努力していきたいと思っております。

北橋委員 そういう趣旨だとおっしゃるんですけれども、この随契につきましては、今まで閣議決定だとかあるいは関係省庁連絡会議の取りまとめなどいろいろな文書がたくさん出ているわけですよ。最近のところでは、平成十六年十二月二十四日の閣議決定です。「随意契約の適正な運用」と書いてあるんです。

 総理も御発言どおりきちっと守ってくれれば少しは前進があるかもしれませんが、この随契一つをとりましても、事務連絡でありますとか閣議決定でありますとか通達というのがいかにもろいかということを歴史が証明しているんですよ。その意味で、私は、総理の答弁を聞いていて、官僚には大変弱い方だなと思わざるを得ないのであります。

 そういう意味で、時間が来ておりますから、最後に、天下りの抑制という問題に移りたいと思います。

 天下りの問題というのは昔から指摘をされてきたんです。この委員会の審議におきまして、単に役人の身分という、保障という問題点に加えまして、そこで談合であるとかいろいろな税金の無駄遣いの実態が明るみに出たわけです。国民は今、母屋でおかゆをすするように頑張っているんです。ところが、お役人は離れの地下室で税金の宴会をやっている。こういう実態があるわけでありまして、天下りというところが官製談合におきましても重要な問題点だったんです。

 そういった意味で、総理の答弁を聞いておりますと、この質疑で出ておりますけれども、できるだけ三分の一ぐらいに減らしていきたい、内規がある、あるいは早期肩たたきの制度をこれから時間をかけて見直していきたいと言われますが、離職後二年間というのは憲法上で認められているわけです。民主党が提案しているように、離職後二年間の制限を五年にすれば、実態面から見て、天下りの問題は激減するはずであります。ぜひとも民主党の提案を、法律を承認いただきたいのであります。いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 これは、何回か答弁をいたしましたけれども、何年が適当か、二年がいいのか、五年がいいのか、さらに早期退職勧奨制度、この進捗ぐあいも見ていかなきゃなりません。

 いずれにしても、天下りがあるからその会社に仕事を渡すということがないように、今の慣行の見直し、そして天下りの禁止、随意契約ではなくて一般競争入札が原則だという趣旨を徹底して、より効率性、公正性の高い行政を実現していきたいと思っております。

北橋委員 大変残念な御答弁でございますが、最後に総理に申し上げておきたいと思います。

 小泉内閣、五年間、いよいよ最終段階に入っているようでございますが、その間に、定率減税を減らして三兆三千億円増税、年金あるいは保険料、雇用保険料、介護保険料を引き上げて、全体で平年度ベースで八兆七百七億円の負担がふえているんです、内閣の中で。これは消費税率だと三%強ですよ。これをずっと小泉内閣はされてきているわけであります。

 御家庭で見ると、年収五百万円、お子さん二人のモデルケースで見ると、税金が六万六千円も一年間に上がり、保険料が八万三千九百円上がっているんです。年収五百万の家庭では、合わせて十五万円も負担がふえている。年収七百万では、二十三万三千四百円上がっているんです。

 ところが、このたくさんの無駄遣いというのは、談合から何からいろいろな問題がありましたよ、これだけ国会で審議された随契の問題について、各閣僚からは反省の言葉もない。しかも、具体的な民主党の提案に対し何も答えようとしていない。そして、国民に人気のある総理から、六月を目途に頑張りましょうと。

 私は、きょうの審議を通じて、国民の皆様方は、心ある納税者の皆様方は大いなる失望を感じられたと思います。

 終わります。

伊吹委員長 以上をもって北橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党衆議院議員の大島です。

 これまで当委員会では、四月三日から実質的な審議に入りまして、きょうを含めて六十六時間の審議を行政改革関連法案につきましてさせていただいております。この六十六時間の審議の中で、なぜ行政改革が必要なのか。これまでも、土光臨調があり、そして橋本行革があり、今回の小泉首相の行政改革でもあります。

 私、メーカーの出身ですから、行政改革をメーカーの立場から見ると、メーカーの工場、生産会社の、製造企業の工場では、毎年毎年、生産性の向上運動がございます。毎年毎年、それはJK活動であり、QC活動であり、TPM活動であり、さまざまな手法の生産性の向上運動をしております。この一つの手法が、四年から五年たちますとなかなか効率が上がらなくなるものですから、手法を変えていく。行政改革というのも、国全体の生産性の向上運動であるのかなと考えております。

 ですから、今回の行政改革の推進法案が通ったとしても、この行政改革については、今後とも、私たち衆議院議員、国会は行政を監視し、そして監督していくという機能は十分に果たさなければいけないと考えております。

 まず、民主党の今回の提案者に伺いたいのは、行政改革がなぜ必要なのか。その点につきまして、行政改革が絶え間なく、なぜ民主党が行政改革の対案を出したのか。民主党は、野党ですから政府を持っておりません、限られた人数の中で膨大な作業をして法案を提出させていただいております。なぜここまで膨大な時間をかけなければいけなかったのか。その点につきまして、まず一点、御質問させてください。

枝野議員 お答えさせていただきます。

 行政改革という言葉は、今お話しのとおり、いろいろな意味で何度も何度も繰り返し出てきています。そして今回も、小泉総理のもとでこの推進法案が出てきているわけであります。

 税金の無駄を削らなければならない、今の日本の政府の予算の規模が大き過ぎて借金で首が回らないので国民負担がますますふえていってしまう、これを何とかしなければならないという公式発言については、少なくとも総理のおっしゃっていることと大きな方向性、違いはありません。

 しかし、それについて、政府の案は、現状のシステムを前提にして、これが無駄だあれは無駄だというモグラたたきをすれば何とかなるのではないか、そういう発想に立っているとしか、法案の中身それからこの委員会での質疑などを見て、残念ながら感じざるを得ないというのが我々の結論であります。

 この国の形そのものが、これまでの明治維新以来の中央集権で官僚主導で、そして政府が、国が、例えば予算をいろいろ使って皆さんに積極的に暮らしをよくしてあげますよというようなことで何でもかんでもやるということ自体がもう時代に合わなくなってきていて、その財政負担には耐えられなくなっている。むしろ私たちは新しい国の形をつくろう。

 それは、それこそ小泉総理も民間でできることは民間でとおっしゃっておられるように、まず自分のことは自分でやろう、そして、それでできなければ家族で助け合おう、あるいは地域社会で助け合おう、企業の中で助け合おうということがまず基本になければならない。しかし、それでどうしてもできないことが世の中にはたくさんある。それをだれが解決するのかといえば、まず身近な行政、つまり市町村が担うべきである。そして、市町村では小さ過ぎてどうしても解決できないということは都道府県でやろう。都道府県ではどうしても解決できないことだけを、私たちが権限を預けられている中央政府で行っていこう。そうすると、我々中央政府がやらなければならないことは非常にシンプルになる。その分、地方の自治体などがあるいは民間が自由にできるようにしていこう。こちらの発想から私たちはやっていかないと、とてもではないけれども今の財政赤字を解決できない。

 これで、目指すところ、言っていることは同じかもしれないけれども、まずやるべきことを絞るというところから始める私たちと、とにかく無駄が目立つところだけモグラたたきのように切っていくという政府とでは、根本的な考え方が違う。したがって、大変であっても対案を出さざるを得ない、こういうことであります。

大島(敦)委員 今回の政府提出の法案につきまして、当委員会での審議を通じて、また与党側の議員の方からは、今回の法律は非常によくできている、ここまでの政府内での合意形成、特別会計もそうでしょうし、政府系金融機関も合意形成は大変だったという声は聞いております。

 確かに、政府内での、これまでの皆さんの、それぞれの応援団を抱えていた、それぞれの特別会計なり政府系金融機関、それをスリム化するあるいは整理統合していく、その合意形成は与党内でも大変だったということは私も察するところがあります。しかしながら、今我が国に求められているのは、これまでの延長上の行政改革ではないと思っています。抜本的に我が国の仕組みを変えること、このことで初めて、私たちの国の行政あるいは国全体の効率化が図られると考えております。

 その点につきましてですけれども、地方分権のお話がございました。枝野さんは地方分権のことを分権革命と称しております。なぜ分権が必要なのか、もう一度手短に答弁をいただければ幸いでございます。

伊吹委員長 枝野幸男君、手短に答弁をしてください。

枝野議員 幾つかのポイントがあると思っていますが、一つは、国民の皆さんは行政にいろいろなサービスを求めています。しかし、その行政に求めるサービスというのは多種多様で、地域によっても違います。

 例えば、道路というのは、私は埼玉の大宮というところが選挙区ですが、大宮のどこにどういう道路が必要かということは私はわかりますし、大宮の区民の皆さんはわかると思いますが、北海道や沖縄のどこの道路が必要かということは私はわかりません。霞が関の役所の皆さんも、現地の事情まで全部わかっている方はいらっしゃらないと思います。したがって、では、どこに道路をつくるということ一つをとっても、現地の事情、住民の皆さんのニーズが必ずしもわかっていない人たちを通じて間接的にそのサービスが提供される。

 あるいは、教育についても、例えば子育ての支援が必要であるといっても、こういう時代であっても親子三代で住んでいる方の比率が多いところと核家族の多いところとでは、必要な子育て支援のサービスの中身が違う。

 したがって、それぞれのサービスの事情を一番わかっているところでそのサービスを提供することが、サービスを求める住民にとっても一番便利ですし、一番効率的に国民の皆さんから預けられた税金の使い道、節約ができる、こういうふうに考えています。

大島(敦)委員 個別テーマについて伺わせてください。

 一般会計、これは八十兆あることは大体国民の皆さんは存じておると思います。一兆円という金額は、私でも百万円とか五百万円ぐらいだと大体このくらいの金額なのかなとは思うんですけれども、一兆円という金額はなかなか国民の皆さんには理解しづらいと思います。例えば、谷垣大臣が一日百万円ずつ現金を使っていくとして、一兆円を使い切るのに何日かかるかというと、二千七百三十九年かかるというのが一兆円のボリュームなんです。

 この八十兆円の予算のほかに、今四百兆を超える特別会計があると聞いております。その特別会計の、要は国民の皆さんは特別会計についてなかなか十分な理解がされていないと思いますので、その点を手短にお答えいただき、そして政府案での改革の方向について御答弁をいただければ幸いです。

谷垣国務大臣 できるだけ手短に御答弁させていただきますが、国はいろいろな仕事をやっております。外交もあれば防衛もある、それから治安を維持するために警察も動かなきゃいけない、道路もつくる、教育もある。そのために税金をいただいたり、手数料をいただいたり、負担金をいただいたり、いろいろな資金をいただいて、それをまとめると国の会計制度になるわけですね。

 それで、それを全部一本にまとめると、一般会計というのはもともとはそれを全部一本にまとめようということだったんですが、それだけだとわかりにくくなるということがございまして、例えば年金なんかをやりますと、保険料をいただいている、それから年金をお払いしている、その収支が合っているのか、持続が可能なのか、可能でないとすると、一般会計、つまり税金から入れなきゃならないのか。そういったところをきちっと収支の見通しをつける必要があるというところから、例えば年金については特別会計ができて、国民にできるだけその辺もわかりやすくしていこうというのが本来の目的でございました。

 ところが、現在、三十一特別会計がございますが、それだけございますと、たくさんあり過ぎて、なかなかお金のやりくりや全体の資金の流れ、そういうものがむしろつかみにくくなっている、その中に無駄なお金がため込まれたりなんかしているんじゃないか、こういうような批判がございましたから、特別会計を改革しろという議論が出てきているわけでございまして、現在、政府の立てている計画は、三十一ございますものをきちっと見直して、これを二分の一から、一番少なくできると三分の一ということでございますが、その間に圧縮していこうということを考えているわけでございます。

 それと同時に、いろいろやはり、三分の一あるいは二分の一にしましても、全体の政府の会計状態、財政状況をよくわからせるためには、相当工夫もして、説明の責任といいますか、一覧性といいますか、そういうものを確保する努力もしようということでやっております。

 それで、今、特別会計の規模が四百兆を超している、一般会計は八十兆だというお話がございましたが、お金のやりくりがございますので、そういうものを整理いたしますと、特別会計全部合わせた規模は二百二十五兆ぐらいでございまして、さらに、一般会計とのやりくりもありますから、大体その一般会計、特別会計の重複部分を除きますと、全体の規模は二百五十数兆という規模でございます。

 その中で、何が問題か、特別会計をやる場合に何が問題かということになるわけですが、まず二百二十五兆の半分強は、国の借金の返済に充てる国債償還等々、これが大体百十七兆ございます。これは何が問題かというと、要するに、これだけあるたくさんの借金をこれからどう持っていくかということが問題でございますから、一つ一つの特別会計の無駄とはちょっと違った部分があるわけでございます。

 それから、その残りが百兆強あるわけでございますが、その半分が年金や医療など社会保険給付でございまして、ここの問題は、持続可能かどうかというような、制度設計をきっちりしながら改革をしていくというテーマでございます。

 それから、これらを差し引いた残りから、さらに財投という貸し付けがございますから、これは圧縮してまいりました。それをどうするかという問題。

 それから、地方公共団体、国と地方の関係ですね、これが十九兆ぐらいございます。

 そうすると、残額が十二兆なんです。今の申し上げたところは、それぞれ全部見直す必要、検討の必要、いろいろな改革が行われているわけでありますが、特会そのものとして本当に考えなければならないのは、この十二兆をどうするか、こういう問題であろうかと思っております。

大島(敦)委員 特別会計には二つ問題点があると思います。一つは、今、谷垣大臣が申しました、特別会計を見直してスリムにしていくことと、もう一つは、特別会計から出ている、特別会計をもとにして、ここに積み上げられている独立行政法人あるいは公益法人等に委託業務型で業務を委託しているその先が不透明であるという、二つの観点から特別会計については見直さなければいけないと考えております。

 それでは、民主党の提案者の方に伺いたいんですけれども、民主党の特別会計についての改革の行方について、具体的にどういう改革を持っているのか。先ほど谷垣さん、そしてこれまでの小泉総理は、特別会計の数を現在の二分の一から三分の一に削減するという御答弁をいただいておるんですけれども、この点につきまして御回答いただければ幸いです。

馬淵議員 お答えをさせていただきます。

 民主党の特別会計の改革、まず政府との大きな違いについて答えさせていただきますが、基本姿勢でございます。

 私どもは、この特別会計については、抜本的な見直しを図るとして原則ゼロベースと。先ほど谷垣大臣のお話にもありましたが、必要な事業、必要な業務を特別会計として区分経理をする必要性というのは、その歴史的背景の中では十分にありました。しかしながら、それを見直すといいながらも、今日までそれが放置されてきたのも現実であります。財務省がこうした特別会計の見直し並びにフォローアップということでここ数年来取り組んでいたわけですが、それも十分に図られなかった。

 したがいまして、私どもは、まずこの特別会計という制度そのものを、一度これを全部原則ゼロとして、一般会計に全部入れよう、そうすることによって一覧性、透明性を高めていこうという考えに基づきまして、その一般会計化によって、残すものは、国債整理等の基金特別会計を財政再建特別会計として、また外国為替の資金は外国為替のための介入の資金として特別会計を残す、さらに交付税等も残すということで、三つ、これらを特別会計で残して、その他はすべて一般会計化するというのが私どもの考え方であります。

 政府は、抜本的な原則廃止ということについても、当初は政府の中でもそれを言及されておられました。自民党の行政改革推進本部の特別会計改革、その委員長の太田議員は、基本的には不要だ、このようにお話をされていたわけでありますが、その後、この原則廃止の方向が霞が関の抵抗によって二分の一から三分の一へと減じてしまったというのが現状ではないかというふうに考えております。

 私どもは、明確にこの原則ゼロ、廃止ということを打ち出した結果でございます。

大島(敦)委員 今、私の席の皆さんの声を聞いていると、与党側からは、そのようなことはできないのではないのかなという御意見もあります。しかしながら、できないことをやるのが改革だと考えております。これまで私たち政治ができないことをやらなかったから、我が国が不効率になってしまった。できないことをやっていくというのが私たちの使命だと考えております。

 つきましては、一点、民主党の法案の提出者に伺いたいんですけれども、財政に対する寄与度、財政再建の効果というのを民主党案では三十兆としているかと思うんですけれども、その点についてのお考えをいただければ幸いでございます。

馬淵議員 お答えをさせていただきます。

 政府の特別会計改革によって財政再建寄与度二十兆円という数字が出ておりますが、私どもは、これについては三十兆円の財政再建寄与を考えております。

 具体的には、一九八〇年以来四半世紀以降もずっと取り崩されることなく積み立てられてきました財融特会の資金二十四兆円、あるいは外国為替特会の十四兆円、こうした資金からの取り崩しによって三十兆円、またその他の特別会計の見直しも含めまして三十兆円という財政再建寄与というのは十分に実現可能な金額であるというふうに考えております。

大島(敦)委員 続きまして、今回の行政改革の法案の審議で、橋本行革を見てみますと、橋本行革のときに政府の仕事の切り分けというのをしているかと思います。一つは、企画あるいは政策的な仕事、そしてそれ以外の実施の仕事というのは独立行政法人に任せるということで、独立行政法人がその後数多くできたかと思います。

 今、独立行政法人を見ますと、独立行政法人の理事長、これは大臣が決めることになっています。そしてその理事長が各理事の皆さんを決める。目標管理、その独立行政法人の経営目標も大臣が決め、そしてそれを評価する、省内に設ける、役所の中に設ける評価委員会も大臣が決めることになっております。もちろん、竹中大臣にもしも質問するとすれば、そうじゃない、総務省の中にも各役所がやった評価を評価する機関があるということなんですけれども、すべてが要は官による評価かなと考えておりまして、独立行政法人のガバナンス、わかりやすく言うと組織内での規律をどのようにしていくかにつきまして、民主党のお考えを聞かせていただければ幸いでございます。

武正議員 大島委員にお答えをいたします。

 今、政府は次々に独立行政法人をつくっておられます。これからできてまいりますのが、郵便貯金・簡易保険保有機構も独法でございます。既に日本高速道路保有・債務返済機構も独立行政法人でございます。

 本来は、イギリスのエージェンシーを見習って制度設計された独立行政法人、国でやらなければならないけれども民間に任せてはなかなかできない、でもやはり効率性を追求するため民間の方をトップに公募でやろうじゃないか、こういったことで始まったわけなんですが、実はこの五年間、政府が進めてきた国家公務員八十万人を三十万人に減らす過程でこの独法が定数減の隠れみのに使われた。とりわけ各省庁にそのことを認めさせるために、各独立行政法人のトップあるいは役員にいわゆる退職公務員の出向を認めた。その結果、大学の教授などを含めると八二%のトップが退職公務員であるというのが今の独法の現状でございます。やはり、イギリスのエージェンシーと比較すると、その権限と責任、あるいは国会への報告、大臣と独法の長とのすみ分け、これが大変あいまいな存在と化しております。

 また、先ほどの評価委員については、その評価委員の四五%が各省庁の審議会の委員を兼務していて、各省庁からそうした報酬をもらっている人が果たして独立性のある評価が適正にできるのか、こうしたところも甚だ疑わしいわけでございます。

 あわせて、今、独立行政法人、平成十六年度で三兆三千億円の税金、公金が使われております。そのうち一兆円が人件費でございます。身分を非国家公務員化しても、相変わらず人件費は税金から出ているのでございます。

 あわせて付言をさせていただきますと、先ほど来、二割削減のお話が出ております。独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構、その総人件費八十四億円のうち十七億円が非常勤職員でございます。政府の総人件費にはこの非常勤職員が入っておりません。

 民主党は、さまざまな形でこの総人件費改革を非常勤職員も含めてやる、これも選択肢の一つであることを付言して、お答えとさせていただきます。

 ありがとうございました。

大島(敦)委員 先ほど、独立行政法人に対するいわゆる天下りのことについて、武正さんから、法案の提出者から御答弁がございました。

 この天下りの防止につきまして、渡辺委員から意見を伺わせていただければ幸いです。

渡辺(周)議員 今、天下りの抑制についてございました。

 御存じのとおり、民主党案では、早期の勧奨退職を含む退職管理の適正化、それから、役所の人事課が退職した後の就職先をあっせんする、これもやめる、そして、その後どこに就職したか、退職者の情報も公開する、すべて盛り込んでおります。

 とにかく、不公正なお金の使われ方、不公正な競争、天下りを受け入れたところがいい思いをして仕事がとれる、そうでないところは、出向させることによって実は仕事をとっていたという実態もございました。とにかく、我々の税金が役人の第二、第三の人生のために使われている、そのために存続をしている、ここは徹底して直す。このことは法案に盛り込んで、とにかく我々はあらゆる形で天下りを抑制する、このことを我々は国民の前に法案として約束しているところでございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 続きまして、政府案の中でも政府系金融機関の統廃合につきまして記載がございまして、我が党案についても、政府系金融機関のあり方というのは、私としてはそう大きな違いはないのかなと考えております。

 大串さんに伺いたいのは、特に中小企業の方、よく地元でも、商工中金あるいは中小企業金融公庫、よくやっていただいているという声を聞くものですから、今回、総資産の圧縮で半分になってしまうと、人によっては、今中小企業の方で、三千万借りているんだけれども、今回の法案が通ると一千五百万になってしまうおそれがあるのかななんという心配をされている方もいるわけなんです。

 ですから、その点について、民主党のお考えを伺わせていただければ幸いです。

大串議員 お答え申し上げます。

 政策金融の見直しですけれども、確かに民主党案は、一つの新しい政策金融機関をつくるという面において、政府案と見た目に同じように見えるところがあるかと思いますけれども、その理念、考え方において異なるものでございます。

 民主党案におきましては、政策金融の見直しに当たって、借り手の立場に立つということを大原則として考えてございまして、今お話のありましたような我が国の産業を支える中小企業者の方々、零細企業者の方々それから農業を営む方々、これらの方々に関しては、金融環境が極めて苦しい状況にあられる。そして、金融不安が起これば貸しはがし、貸し渋りなどに直面される。そういうことに直面いたしまして、これらに対して政府の役割をしっかりと認めて、法案の中にも、業務の切り分けの中で、これら小口分散化して、情報の非対称性から市場に任せておいてはしっかりとした金融が届かないこれらの方々に対して、業務の切り分けの中で、官の役割として政策金融の役割を盛り込んでいるところでございます。

 あわせまして、民間金融のあり方に関しましても、適切な中小企業金融が行われるように、金融検査のあり方の見直しや、あるいは地域金融機関の情報公開のあり方を見直すことによって、民間金融機関においても適切に中小企業金融、零細企業金融が行われるように配意しているところでございます。

 さらに、新政策金融機関のトップのマネジメントにつきましてでございますけれども、我々の案におきましては、明確なガバナンスを示すために、トップの方については一切天下りを許さず、民間から登用することとし、さらにこれも国会の同意人事として、透明性を高めるというふうにしております。政府案におきましては、この点、我々とは違う取り扱いをされて、天下りを一切許さずという規定にはなっておりませんけれども、我々はここを明確に規定して、その違いを示しているところでございます。

大島(敦)委員 ここで、私、大島の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて大島君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

伊吹委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。菅直人君。

菅(直)委員 大変きれいな桜も散りまして、総理も、総裁任期があと四カ月ということで、そろそろ散り際を考えられているのかな、そんなふうにも思います。最後になるかどうかわかりませんが、きょうの質疑は国民の皆さんもテレビで見ておられますので、ぜひ、私も真正面からこの行財政改革についてお尋ねをしますので、どうか真正面からお答えをいただきたい、はぐらかしのない答弁を冒頭お願い申し上げておきます。

 そこで、まずこの五年間の小泉政治が何であったかについては、四月三日のときにも少し申し上げました。四十数兆円の公的資金を投入して不良債権処理を行った。その間、ゼロ金利を含めて、日銀の計算では、九一年度からトータルすると三百兆余りの家計に戻るべき金利が戻らない中でそうした処理が行われた。私は、不良債権の処理を行ったことは大変な成果だと思います。ただ、十六年かかったのはとても褒められたことではありません。そういった意味で、不良債権処理については一定の評価をしますけれども、しかし、これは行財政改革そのものとは若干性格を異にいたしております。

 そこで、小泉総理が、御本人がやめられると言っているんですからやめられるんでしょうが、その後に残るものが何かというところから少し始めてみたいと思います。ポスト小泉に何が残るか、ぜひ、ポスト小泉を考えられている方はよくこれを見ておいていただきたいと思います。

 ポスト小泉にまず残るのは、間違いなく、国の借金が五百四十二兆円、うち百七十一兆円は小泉内閣で積み増したものであります。

 官製談合は全くやんでおりません。この官製談合による税の無駄遣い構造もそのまま残されます。

 地方切り捨て。議論がありますけれども、私が地方を見ている限り、多くの地方では、切り捨てられてきている、そういうふうに多くの皆さんが感じておられます。

 格差の拡大は言うまでもありません。

 少子化も、この五年間でもさらに出生率は下がっております。

 アジア外交の失敗も、どうもこの四カ月で回復できるとは思えません。

 こういう大きな課題を後に残されることになるわけでありますが、小泉総理に、これだけの課題を残されて、申しわけないなとか、ちょっと間違ったかなとか、もし感想があればお尋ねをしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 よくここまでやってこられたなと。これは、多くの国民が支持して、協力してくれたおかげだと感謝しております。

 この五年間、参議院選挙二回、衆議院選挙二回、自民党の総裁選挙二回、我が党からの支援と国民の自民党、公明党に対する、連立政権に対する支援、支持があったからこそここまでやってこられたんだと感謝しております。これからも、この国民の支持を大事にして、改革に終わりなしですから、さまざまな改革に道筋をつけて、私の後を引き継ぐ方も民主党と改革競争ができるように頑張ってもらいたいと思っております。

菅(直)委員 冒頭に申し上げたように、真正面から答えていただきたいと言ったんですが、これだけの借金を残し、これだけの課題を残されたことについては一言も触れないで、衆議院選挙、参議院選挙、総裁選挙のことしか言われませんでした。これが小泉流なんですよね。中身の議論は一切しない、これが小泉流でありまして、こういう小泉さんだから、ある意味では、けんかは強かったかもしれない。しかし、私から見ると、四月三日のときにも申し上げたように、税金の無駄遣いで一円でも無駄遣いを少なくしたところがあれば答えてくださいと、ちゃんと答える場を提供したにもかかわらず、とうとうその一円のことすら何一つ言うことができなかったわけでありまして、そういった意味では、これ以上、余り小泉総理に中身のことをお聞きしても、後はポスト小泉の皆さんが担うことになりますので、きょうは小泉総理に聞くと同時に、それ以外の方にも少し、いろいろとお尋ねをしたいと思います。

 そこで、国民の皆さんにできるだけわかりやすくするためにどうしようかと思って、こういうパネルをつくりました。特にこれは谷垣さんにも見ておいていただきたいし、安倍官房長官にもよく見ておいていただきたいと思いますが、国の収支を個人の家計に例えるのはなかなか難しいんですけれども、一応こういう形で例えてみました。

 税収五十兆を一応年収で五百万円の家計と見ました。新たな借金三十兆円、これは三百万円の借金であります。五百万と借金三百万円で、計八百万円が収入。これに対して、生活費、国でいえば一般経費と地方交付税等を大きく丸めると六十兆ですので、六百万円相当に当たります。そして、国債費が二十兆円弱ですが、中身は、大きく言えば、半分が借金利息、半分が借金の返済、百万円の利息と百万円の返済であります。そして、この家計では、借金残高が五千四百万円に上っております。このうちの千七百万円は、小泉総理が新たに積み増された中身であります。この家計を見て、もしこの五千四百万円を消費者金融からでも借りていたら大変なことでしょうね。一〇〇%破産ですね。

 今議論されているのは、プライマリーバランス、基礎的収支がよくなったから小泉財政改革は前進したんだと言われるような表現をされていますが、国民の皆さんによく御理解いただきたいのは、プライマリーバランス、基礎的収支というものは、ここでいえば年収の五百万と生活費の六百万がちょうどバランスしたときがプラマイ・ゼロ。しかし、借金の利息とか、それは全くプライマリーバランスには関係していないんです。

 つまりは、国民の皆さんが自分の生活で考えられたらおわかりのように、五百万円の収入の人が、今六百万だけれども何とか五百万で生活をする、それは結構なことです。しかし、五千四百万円の借金とその利息払いは五百万円から出しようがないから、さらにそれを借りて返している、借りて利息を払っている。その状況が、プライマリーバランスがゼロというのは、年収と生活費が一致したのであって、決して借金が減ったわけでも利息払いが減ったわけでもない。まして、現在の利息払いは、十年物の国債で二パーですから、アイフルの一五パーとは言いませんけれども、これが三パー、四パー、五パーに上がっていったら、この利息払いだけで、いいですか、皆さん、五千四百万円で利息払いが五%に上がったら幾らになるか皆おわかりですよね。あっという間に二百五十万円の利息払いが必要になります。

 総理、これでも五年間で財政再建が進んだ、財政再建が前進したと言われるんですか。それとも、いやいや、不良債権の処理はやったけれども、財政は借金を積み増すことによってポスト小泉に大変苦労をかける、そういう認識ですか、どちらですか。

小泉内閣総理大臣 五年前よりも財政収支は改善していることは事実であります。しかしながら、まだまだ道遠いと言わざるを得ない。

 そこで、借金をふやしたという御批判でありますが、これは、民主党がやっても同じなんです。もっとふえているはずです。なぜならば、十八年度、三十兆円以内に新規の国債発行を抑えるという、今回の予算審議でこの予算編成をしたわけでありますが、民主党は、十八年度じゃなかったんです。二十年度までに国債発行を三十兆円以内に抑えるという方針を出していたんです。ですから、民主党が掲げた目標を二年前倒しで小泉内閣が実現したんです。

 そこで、何回もその表を出して菅さんは私を批判されます。ですから、もう一度、同じ質問ですから同じ答弁をさせていただきます。

 私が就任した当初、これだけ借金をしているんだから、五十兆円の税収があったならば新規の国債発行は三十兆円以内に抑える努力をしなければならないと言いました。そうしたら、民主党は、三年間法律で三十兆円以内に発行を抑えるという提案をいたしました。私は拒否しました。なぜか。経済は生き物だ、財政再建は大事だ、しかし、財政再建を急いで経済全体をさらに落ち込ませるようなことがあってはならないから、税収状況、景気動向を見ながら、法律で三年間、年間の新規国債発行を三十兆円以内に抑えることは私はしない方がいい、しかし、その方針でできるだけ抑制することを考えると。

 状況を見ていましたら、年間五十兆円税収がなかったんです。四十兆円台前半でした。だから、五十兆円年間の税収があれば三十兆円以内におさまったんです。しかし、五十兆円に届かず、四十二、三兆円でしたかね。そのときに、それでは三十兆円以内に民主党が言っているように法律で縛っていたらどうなるのか。より多くの増税をしなきゃならないか、あわせて社会保障費も含めて歳出を削減しなきゃならない。あのデフレ状況の経済が厳しい時代に、どっちも大変な状況だった。だから、全体を見ながら、その場合は三十兆円の枠を多少超えても経済全体を見なきゃいかぬということで、三十兆円を超えた。そうしたら、公約違反、公約違反とさんざん批判されましたよ。

 しかし、私は、五十兆円の税収があれば三十兆円以内に抑えると言ったんですから、それがなかった場合は、臨機応変、柔軟、大胆かつ柔軟な対応策をとる、財政再建至上主義で経済全体を落ち込ませたら何にもならないということで、厳しく歳出削減をして、今や公共事業費にあっては、十四兆円台だったのが、半分、七兆円台で済ませている。それでも景気がだんだん上向いている、民間の活力が出てきている、プライマリーバランスも二十兆円から十一兆円台に改善してきた。しかし、まだまだであります。

 これから、民主党でさえも三十兆円ぐらいの新規の国債発行はやむを得ないと認めているわけですから、そういう状況になれば、だれが政権をとったって、すぐ国債発行をやめにして増税しなさい、いや、その分を歳出削減しなさい、これはできない相談ではないか。

 私は、今回の財政運営が適切であったがゆえに税収も上向いてきた、そして経済成長も目標よりもプラスに転じてきた、そしてデフレ脱却の兆しも見えてきた。不良債権処理を進めたときには、倒産がふえる、失業がふえると言っていたにもかかわらず、逆に、不良債権処理が正常化されても、なおかつ今は失業率も減ってきた、有効求人倍率もプラスに転じようとしている、そしてなおかつ就業者もふえてきた、多くの会社が新規採用の枠をふやしてきている。着実に経済の改善の兆しが見えておりますので、この改革の手綱を緩めることなく進めていかなきゃならないと思っております。

菅(直)委員 相変わらず、私の聞いたことは一つも答えていないんですね。

 先ほど申し上げたように、実は、プライマリーバランスがバランスするというのは、あくまで一年間の年収と一年間の生活費がバランスするだけで、借金が減ったわけでも、金利がこれから高くなったらもっと利息がふえることについても、何も計算上関係ないんですから。そういう意味じゃ、財政再建はこれからなんですよ。これは、谷垣さんがよくおわかりだと思います。

 そこで、あえて、総理がいろいろと昔のことを言われましたから、ですから私も申し上げておきましょう。

 一九九八年に私が民主党代表のときに、参議院選挙で与党は過半数を割りました。当時の民主党は、金融再生法と金融健全化法を出しました。この二つの法律がきちっと通って実行されていれば、二〇〇一、二年には不良債権処理は終わったはずです。しかし、残念ながら片方は、再生法は丸のみをされましたが、健全化法は骨抜きの政府案を通されましたので、それから、金融の経営者の責任を問わない形で、つまりは自民党が最もお金をたくさんもらっていた銀行業界の責任者の責任を問わない形で、必要もない銀行まで含めて横並びで公的資金を投入し、だれも責任をとらさない形でじわじわと不良債権処理をやらせた。そのために、今日までかかったんです。

 ですから、過去にこうした方がよかった、ああした方がよかったというのはだれでも言えるんです。私が申し上げたいのは、これからのことを言っているんです。(発言する者あり)総理が、民主党がやったらどうこうと言われるからですね……

伊吹委員長 静粛に願います。

菅(直)委員 総理が、民主党がやったらどうこうと言われるから、今申し上げたように、民主党がやっていれば、一九九八年の段階から、既に不良債権の処理は五年程度で十分終わったということを申し上げているんです。

 そこで、安倍官房長官はいろいろと、後ろでにやにや笑っておられますが、安倍官房長官がこのプライマリーバランスについて発言されているのは非常に少ないんですね。私、議事録全部見てみました。

 そこで聞きたいんですが、安倍官房長官は、この五年近く、いろんな立場で小泉総理の近くにおられて、今はポスト小泉の少なくとも社会的には一番手とみなされております。これはまさに、個人の家計になぞらえましたけれども、ここには実際の国庫のことも書いてあります。五百四十兆円の借金と、金利上昇が、今大体二パーまで来ていますが、それがもっと上がるという状況の中で、安倍官房長官は、この五年間で借金が百七十兆円ふえて、この間は金利が下がっていますから、借金がふえるのに利息払いは減っているんですよ。おわかりでしょう、自民党の人たちも。借金の金額がふえているのに利息払いは減ったんですよ、金利が下がったから。しかし、もうこれ以上金利が下がる傾向はありません、ゼロ金利から日銀も脱却しますから。そうすると、いろんなデータで、三パーの例、四パーの例、五パーの例と出ています。これが上がってくれば、この借金の利息払いがふえてきます。

 安倍官房長官にお聞きしますが、どうやって財政再建をされるつもりか、意見があればお聞かせください。

安倍国務大臣 ただいま委員が、私のプライマリーバランスに関する発言が少ないという指摘がございましたが、質問されなければ私も答えようがない、当たり前のことではないかということでございます。私は担当の大臣でもございませんから、聞かれていないことを答えるわけにはいかないということでございます。

 それとまた、先ほど委員は、これもやりたかった、ああやっておけばよかったと言うことはだれでも言えると。確かにそうでございますが、総理が言ったのは、これをやった、これを実行したと、実行したことを述べたわけでございまして、委員の御指摘は当たらない、このように思います。

 そこで、財政再建でございます。

 まず、プライマリーバランス、これをまずバランスし、そして黒字化に向けていく、これはまず絶対に通らなければいけない道筋であり、まずここに到達することを目標に私たちは歩みを進めてきたわけでございます。歳出の見直し、改革、しっかりとやってまいりました。この歳出の改革については約十三兆円の改革を行った、あるいはまた、公共事業についても約四割を削減したと言ってもいい、こう思います。そして、一般会計については約八年ぶりに七十兆円台になった、こういうことでございます。

 しかし、やみくもに歳出を減らしていいということではない。経済は生き物でありますから、経済が失速をして経済が沈滞をしてしまっては税収も上がらない、まず土台が崩れてしまうわけでございます。

 そこで、小泉内閣としては、五年前にどういう状況であったかといえば、経済が非常に厳しい、またあるいは……(菅(直)委員「今後のことを答えてくださいと聞いているんですよ」と呼び、その他発言する者あり)

伊吹委員長 静粛にしてください。

安倍国務大臣 済みません、私、答えておりますので、聞いていただきたいと思います。

伊吹委員長 委員長の許可を得てお互いに発言をするように。

安倍国務大臣 そこで、我々はまず景気を回復させた。企業の収益も約五割回復をしているわけでありまして、そして、それによって税収も上がってきている中において、この三年間連続、プライマリーバランスについてはプラスになってきているということでございます。ことしは昨年よりも四兆七千億円改善をいたしました。昨年は三兆一千億円改善をした。その前の年には、六千億円改善をしているわけでありまして、着実にプライマリーバランスの黒字化に向けて歩みを進めていると言ってもいいんだろう、こう思います。

 そこで、先ほど委員が御指摘になった金利の問題であります。

 債務残高と金利の問題でありますが、この金利は、市場が不安な状況になれば金利が上がっていく状況になるわけでありますから、我々は常に財政を健全化させていくという努力を示さなければいけない。そういう意味においては、我々は今しっかりと示しているわけであります。そして、それと同時に、景気を回復させていく、また、これは潜在成長力を上げていくという努力もしなければいけないわけでございます。五年前と比べて、実質GDPは七・三%、これはふえているわけであります。

 こういうことをしっかりとやっている中において、先ほど菅さんがおっしゃったように、額としてふえていっても金利が低いままである、こういうことではないか、こう思うわけであります。

 そこで、我々は将来、まずこのプライマリーバランスを二〇一〇年代の初頭にバランスをする、黒字化に向けてさらにそこから歩みを進めていく、そしてGDP比の債務残高を減らしていく努力をしなければいけないということではないか。そして、我々は、まず経済を力強くしていく、潜在成長力を高めていく、一・五から二%ぐらいに高めていく必要があるわけであります。そのための生産性の向上も当然図っていく必要があるでしょう。

 そういう努力をやっていく上において、さらにふえていく社会保障費にどう対応していくかということにおいて、例えば消費税等々の議論もある、こう思うわけでありますが、まず、私どもは、本年六月までに歳出歳入の一体改革について国民の皆様にお示しをしていきたい、こう思っております。

菅(直)委員 まず最初に、自分が発言をする場面が国会でなかったから、そういうプライマリーバランス等について余り発言をされなかったと言われましたが、こういう本が今出ていますよね。ごく最近出た「安倍晋三 対論集」。私も、これをずっと見ました。ほとんど経済について書いていませんね。財政についても、対談集で出ておりません。

 この中に、三人の人が「ボイス」というので出ています。「私の日本改革案」の中で、谷垣さんは、政治の最大のテーマは財政再建と書かれています。安倍さんは、負け組も救える構造改革と書かれていますが、そういった経済的、財政的なことは、ほとんどと言っていいほど書いてありません。だから言ったんです。私は、幾らでも官房長官あるいは政治家として発言の場があるにもかかわらず、別に文句を言ったんじゃなくて、少ないですねと単に事実を指摘しただけなんです。

 そこで、話を戻します。

 今言われた中で、安倍さんはいいとこ取りで話をしていませんか。景気は回復した、GDPが上がった、税収もふえる、だから債務残高が減るんですか。景気が回復するということは、一般的に言うと、金利に対してどちらで影響しますか。これは常識ですよね。景気が回復するということは、ゼロ金利ではなくて、もう少し金利が上がってくる。現実に上がってきているじゃないですか。

 先ほどの表を見ますと、いいですか、五千四百万円の借金を個人で抱えてみてください。一般的に、もちろん国債は一年間で全部にはききませんけれども、二、三年したら、全部にきいてくれば、一パー上がっただけで、この家計でいうと五十四万、二パー上がれば百万、三パー上がれば百五十万利息が上がるんですよ。ですから、いろいろな議論の中で、では、一回谷垣さんに聞きましょうか、谷垣さんはかなり厳しく見ておられますよね。

 金利の上昇とまさにGDPの増大の関係によっては拡散することもあると、たしかきょう、朝も言われていましたよね。拡散するというのは、国の借金が数学上でいえば無限にふえていくということですよね、数学上の概念でいえば。そういう可能性もあるということを谷垣さんは言われていますよね。いかがですか。

谷垣国務大臣 今後の財政再建の道のりで、先ほど来菅さんが、まず基礎的財政収支のバランスをとる、でもそれだけじゃ足りないじゃないか、そこから先にやはり債務のGDP比の削減等々も視野に入れなければ十分でないだろうとさっきからおっしゃっているんだろうと思いますね。私は、それは財政再建の道のりとしてはそうあらねばならないと思っております。

 ただ、今おっしゃった、これから金利が上がっていったら、確かに金利の負担というのはふえていくんです。ただ、これは、プライマリーバランスがどうなっていくかという意味では一応無関係でございます。(菅(直)委員「債務残高を聞いている」と呼ぶ)一応、そこで無関係でございます。だから、そのときに、プライマリーバランスを回復していった後に、今の問題はどちらかというと、金利が上がってくることによって、金利負担もふえますけれども、同時に物価が上がっていくと、いろいろな社会保障経費等も増嵩していく、そっちの方がむしろ私は問題であると思っております。

 それから、プライマリーバランスをとった後はまさに金利と成長率の関係が問題になってきますが、金利というものはやはりマーケットで決まるものですから、なかなかこうだというふうにはまいりませんので、私は、かたい見積もりを立ててしっかり歩んでいくことが必要だと考えております。

菅(直)委員 いや、私は、今の説明ならそれなりに納得できますよ。つまりは、これからの金利動向、経済動向によって、債務残高がもっともっとふえていく可能性も含めて、いろいろな可能性があるからということですよね。

 安倍官房長官、いかがですか。あなたは、確実に債務残高が減っていくというシナリオがあるのなら、国民の前で説明してみてください。この中には何も書いてありませんからね。

安倍国務大臣 それは私の対談集だと思いますが、過去に私が行った対談について出版社がそういうのをまとめて出したいということで出しただけでありまして、それを何か、まあ買っていただいたのは大変ありがたいというふうに思うわけでありますが、経済だけではなくて、そこに入っていることもよく読んでいただきたいというふうに思います。

 そこで、先ほど私が申し上げましたのは、まずプライマリーバランスのバランスをとらなければならない、それを二〇一〇年代の目標にしている、それに向かって着実に歩みを進めている、こういうことを申し上げたわけであります。その中で、当然、その年の政策的な経費はその年の税収で賄うということでございます。(菅(直)委員「どうやって賄うの」と呼ぶ)私、今答えているんですから、やじは本人が飛ばさないでいただきたいというふうに思うわけであります。

 そこで、今、私どもは着実な歩みをしている。そして、その中で税収をふやす努力をしていかなければ政策的な経費もこれは圧縮されてしまう。そして、それはさらに景気に悪影響を及ぼすという中において、我々は、生産性を上げ、そしてまた潜在成長力を高める努力をした結果、今、プライマリーバランスのバランスに向けて着実に歩みを進めている。

 その上で、債務残高については、先ほど申し上げましたように、GDP比を減らしていくようにするためにも、まずプライマリーバランスを、バランスをとった後にこれを黒字化していくというわけでございます。そして、その後、当然ふえていく社会保障の経費にどう対応するかということについては、国民的な議論をしていかなければいけないということでございます。

 そして、この六月に向けて、歳出歳入の一体改革を私どもとしては国民の皆様に提示をさせていただくわけでございます。そのときには、名目成長と長期金利の関係においていろいろなケースをお示しして、そこで私たちはどういうシナリオまた工程によって財政再建を進めていくかということについてお示しをしていきたい、このように思っています。

菅(直)委員 全く答えていませんね。

 何度も申し上げますが、これは国民の皆さんになるべくわかりやすくと思いますが、プライマリーバランスというのは、年間の収入、ここでいうと五百万と年間の生活費の六百万を、例えば生活費の方をもう百万下げる、それは公共事業かもしれませんが、下げる、あるいは年収の方を増税か何かで上げる、これで一致すればいいけれども、それで一応バランスすることになりますが、借金残高は全然減らないんですよ。いや、減らないどころか、利息分だけふえていくんですよね、利息分だけ。

 この五年間で借金残高が百七十兆円もふえたので、私は、これから債務残高を減らすのはなかなか大変だと。先ほど谷垣さんはそういう趣旨のことを認められましたけれども、安倍官房長官は、債務残高を、GDP比を下げていくんだと言われるから、どうやって下げるんですかとお聞きしているんです。それを一切言わないで、過去の話ばかりしても意味がないじゃないですか。

 ポスト小泉の一番手なんでしょう。私だったらこうやりますと、国民の前で堂々と説明してみてください。

安倍国務大臣 今、私は、小泉内閣の官房長官でございますので、政府を代表してお答えをしております。

 そこで、私は……(発言する者あり)

伊吹委員長 静粛にしてください。

 委員長から申し上げます。

 委員長の指示に従って、きょうはテレビが入って、国民が判断をいたしますから、冷静に、品性を持って質疑を行ってください。

安倍国務大臣 菅委員が質問しておりますから私は答えているわけでありますから、私が答えている間は静かにしていただきたいというふうに思います。

 そこで、私は、先ほど申し上げておりますのは、GDP比削減をしていくということでございます。ですから、潜在成長力を高めていくということは、分母のGDPを大きくしていくということでございます。それによって当然比率は少なくなっていくということはだれにでもわかることではないか。その中で当然歳出削減の努力もしていくということでありまして、私は、絶対額について減らしていくということを目標として掲げることは当然重要でありますが、要は、GDP比を減少させていく努力をする。

 そして、それについては、この六月に、歳出歳入の一体改革について、先ほど申し上げましたように、名目成長率と長期金利のそれぞれのケースをお示ししながら、それぞれのケースについて、どのような形で何年ぐらいかけて財政再建を行うことができるかどうかということをお示ししていくということになるわけであります。

菅(直)委員 今の答弁でいいんですかね。GDPを大きくしたら、分子が一定であっても分母が大きくなるから比率は下がる、それは、算数でいえばそのとおりですよ。しかし、金利分は上乗せされるんですよ。金利分は上乗せされるということはおわかりでしょう。この借金残高に上乗せされるんですよ。上乗せされるということは、金利分が上乗せされるのと、分母のGDPが伸びるのと、どちらが大きいかによって比率が上がる場合も下がる場合もあるんですが、ちょっと安倍さん、答えてください。

安倍国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、まずプライマリーバランスのバランスをとった後においてどのように財政を再建していくかということにおいて、金利ということについては、これは長期金利であります、長期金利がどれぐらいになっていくか、そして、そのときの名目成長がどれぐらいであるかということについて、ケースを決めて、どれぐらいの年月をかけていけばどのようにバランスをしていくかということについて、まず歳出歳入の一体改革についてお示しをしていくということを私は申し上げているわけでございます。

菅(直)委員 話が行ったり来たりしているんですね。

 何回も言いますように、プライマリーバランスは、単年度の収入と支出、ここでいうと、年収と生活費が一致するかどうか、国でいえば、税収といわゆる一般歳出プラス地方交付税がバランスするかどうかです。

 先ほどお聞きして、半分答えられて半分答えられていないのが、借金の残高、ここでいえば五千四百万、国でいえば五百四十兆円を減らすと言われたから、どうやって減らすんですかと言ったら、その後言い直されて、いや、絶対額ではなくてGDP比で減らすと。GDP比を減らすのはどうするんですかと言ったら、GDPを上げれば減るんだという趣旨のことを言われたから、確かに、借金がふえないでGDPが上がれば比率は減りますけれども、プライマリーバランスをゼロにしても、つまりは黒字化しても、プラス・マイナス・ゼロにしても、借金は利息分はふえるんですよ。

 ですから、利息分がふえるということを前提にすると、必ずしも、GDPが成長したからといって、比率が下がる場合もあるけれども上がる場合もあるということをわかって言われているのなら、それも含めて、どうやってGDP比の借金残高を減らすのか、そのやり方を国民の前で説明してください。

伊吹委員長 ちょっと待ってください。

 安倍官房長官、まず答えてください。そして、同じ答えになると思いますが、財務大臣、答えてください。

安倍国務大臣 プライマリーバランスについてバランスをすれば、長期金利と名目経済成長が同じになれば、これはまず固定化するということでございます。GDP比は固定化します、当然。プライマリーバランスがまずバランスをとれば、長期金利と名目成長が一定であれば、それは固定するのは当然なんだろう、こう……(菅(直)委員「何を言っているんだ」と呼ぶ)今、私が申し上げておりますから。質問をしていただいているわけですから、私が答えているときにはよく聞いておいていただきたいと思います。

 よろしいですか。プライマリーバランスがバランスしたら、そしてその状況で長期金利と名目成長が同じ、イコールであれば、先ほど申し上げましたように、債務残高のGDP比は固定化されるわけでございます。そして、私どもはそこからGDP比を減少させていくためにどういう道筋をとっていくべきか、こういうことでございます。

 そこで、まず、いろいろなケースについて、この六月の歳出歳入の一体改革においてお示しをしなければいけない。ですから、そこで、長期金利と名目成長の関係がイコールである場合と、そして他方が他方を上回る場合についての、それぞれのケースをお示しして、そして、そのときに、さらにどれぐらいの歳出の削減が必要であるか。一つは、歳出の削減であります。そしてもう一つは、税収をはからなければいけないということでありまして、その税収においては、例えば新たな消費税が必要であるかどうか、こういうことでございます。

 それを、まずモデルケースを決めて、そうした議論をしていく。そして、そのときには、しっかりと我々は財政再建の道筋をお示ししてまいります。

谷垣国務大臣 今官房長官がお答えになったことと基本的に同じですが、現在の状況は、確かに菅さんがおっしゃるように、借金が膨大にあります。それが、さらに金利がありますから、金利と合わせて膨らんでいる状況。さらに、それに加えて、毎年毎年の、家計に例えれば生活費も収入じゃ賄えておりませんから、借金をしながらやっている。つまり、借金と利息の上にさらに生活費の足らず前が積み重なっていくのが現状でございます。

 したがって、まず第一弾の目標として、ことしいただいたものでことし生活できる、ことしの政策を打とうというのがプライマリーバランスを二〇一〇年代初頭に達成しようという目的でございまして、それを今一生懸命やっている。

 そうしますと、その次の目標は、やはり金利がどんどんふえていけば雪だるま式に借金がふえますから、それがふえない手だてをどう講じるかというのが次の問題になってくるんだろうというふうに思います。

 それで、何をやるかということになると、官房長官がおっしゃったように、一つは、パイをふやしていけば全体の中での借金の割合が減っていく、だから潜在成長率を高めようということでございますし、それからもう一つは、やはり無駄を省くというのは徹底的にやって、それで少しでもプライマリー黒字をつくって、そのことによって借金を、GDP対比の率を減らしていく。そういう歳入歳出一体改革の道筋をことし六月までにある程度お示ししていきたい、こういうふうに考えているわけであります。

菅(直)委員 やっと話がそろってきました。つまりは、安倍長官が初めて長期金利と成長率がイコールのときにはという前提を置かれたので、それだと確かに、谷垣さんが言われたのと同じですし、まさにそのとおりです。それまではそのことを言われませんでしたので、GDPが伸びれば比率が下がると言われたから、ちょっと違うんじゃないですかと。しかも、長期金利は今上昇場面にありますから、そういう意味ではそう簡単ではないかもしれません。

 何を私が特に国民の皆さんに申し上げたいかというと、つまりは、この五年間に百七十兆円、この家計でいうと千七百万円も借金を積み上げたために、当然ながら、その積み上げた百七十兆にも金利がかかるわけです。百七十兆の根っこから含めれば、五百四十兆にかかるわけです。ですから、これが百七十兆がふえてないとすれば、それよりも少ない形で金利負担が済んだんです。

 ですから、きょう午前中の質疑でも、例えばヨーロッパ等は、これは前日も出しました表ですが、これは地方と国が一緒ですが、日本という国のいわゆる借金、国と地方の借金がGDPに対してどのくらいの比率になっているかというと、OECD諸国の中で日本は圧倒的に高いんですね、一六〇%と。今、比率の伸びは若干とまっていますが、それでもまだ上昇を続けております。ヨーロッパは六〇%程度を一つのめどにしておりますから、倍どころか、三倍近い。圧倒的なGDP比の借金の大国になっている、金メダルだということをせんだっても申し上げました。

 ですから、そう簡単にこの五年間のツケは、さっき冒頭申し上げましたように、残されたものは簡単なものじゃないんですよと。それを受けとめられるポスト小泉の皆さんがそのことを理解しておられるのかどうかということでお聞きをしたわけであります。

 そこで、少し話を移したいと思います。

 今、この五年間の間に格差が拡大をしている。小泉総理に言わせると、多少格差が拡大したからといってどうってことないんだと言われます。その一つの背景には、雇用において非正規雇用がこの五年間でかなりふえていますね、たしか三百万人ぐらい。そして、若者の非正規雇用もふえています。一部、今、団塊世代がリタイアを前にして若者の正規雇用が戻りつつあることは、それ自身は結構なことですけれども、少なくともこの非正規雇用の若者が、やはり将来の安定性がないためになかなか結婚をしない、場合によったら、結婚しても子供を産むのは控える。少子化の、出生率もこの五年間で、少しずつではありますが、さらに出生率が下がってきております。

 こういった状況について、小泉総理は五年間の中でこういう状況が続いていることについていかがお考えですか。

小泉内閣総理大臣 非正規雇用がふえていると同時に、最近は雇用も改善してきておりますから、正規雇用もふえております。そして、非正規雇用というもの、これをある程度認めていくということによって雇用もしやすくしよう。また同時に、人の中には、非正規雇用でいいという人も最近出てきております。しかし、全体から考えれば、正規雇用の方が望ましいということで、正規雇用をできるだけふやす方向に行く方が私はいいと思っております。

 そういう中で、失業率も改善してきておりますし、過剰雇用というよりも人手不足に今なってきておりますから、もちろんこれには地域的なばらつきもあります、しかし、全体的に見て雇用の改善傾向が見えておりますので、今後格段の雇用がふやされるような経済の活性化が必要だ。

 そういう点から、財政再建も大事でありますけれども、経済全体をにらんだ、歳出削減と歳入を一体的に見ていく必要がある。財政再建を急ぎ過ぎて、まず増税を先に打ち出そうということもまた時期尚早ではないか。歳出削減と歳入というのを両にらみしながら経済全体を見ていって、その経済活性化によって雇用が改善していくという方向につなげていきたいと私は思っております。

菅(直)委員 非正規雇用も選択の中にあるのではないか、それはそのとおりだと思います。

 ただ、私たちが以前法案を出しました。これは川崎さんに聞いた方がいいでしょうかね。私も、せんだってのこの委員会でも申し上げました。やはり同じ労働であれば、それを行った人が正規だろうが非正規だろうが、単位時間当たりは同じ賃金を得られる、そういう同一労働同一賃金の均等待遇を確保するという法律を出しましたが、残念ながら、与党の賛同が得られなくて廃案になっております。川崎厚労大臣、やはりこれは必要じゃないでしょうか。いかがですか。

川崎国務大臣 パートの問題でその仕組みができていることは事実でありますけれども、基本的に、まず男女間で差がある。また、パートで働いておる方々が、正規雇用者と同じ仕事をしていながら現実に差がついている。そこについて私どもは改善を求めるように努力をしなければならないという立場は、一緒でございます。

 そういう意味では、先ほど総理がお答えになりましたように、特に若者は正規雇用という形で方向づけをしていくということが大事だろう。そういう意味では、総理が御就任されたのは平成十三年、雇用がたしか、失業率五%を超えていた時代でございます。先ほど北橋委員が御質問に使われましたように、企業が二〇%、五〇%リストラした時代だ、こういうお話を使われました。まさに、そういった時代に正規雇用のチャンスに恵まれなかった人たちにどうこれからチャンスをつくっていくかというのは、私どもの大きな仕事だろう。そういった意味で、今、懸命な努力をいたしております。

菅(直)委員 我が党の小沢代表も、終身雇用、年功序列という言い方をされましたけれども、つまりは、正規雇用というのは、ある意味ではセーフティーネットの一つだということを別の表現で言われているわけであります。

 川崎大臣からは、我が党の次に出す法案は賛成してもらえるような趣旨でしたので、それは了としたいと思います。

 そこで、仕事と子育ての両立支援という問題があります。たしか総理は、男女共同参画推進本部の本部長ですよね。実は、我が党にも同じような本部がありまして、これは代表代行の私に本部長をやれということになって、今、本部長をやっております。

 そこで、この男女参画推進本部、あるいは男女参画の推進という立場でいろいろな施策をやっておられることを私も知っておりますけれども、最近、それに逆行する行動がある県でとられていますよね。

 つまりは、千葉県において、男女共同参画センターというものが自民党県議の反対で廃止をされる。毎年五千件からの相談業務をやっていたところが廃止をされる。これは各紙に、三月末ですか、これは読売の三月二十五日の地域版ですが出ております。公明党も、それは絶対に必要だと言われたようでありますが、自民党の県議団が廃止を強行する否決を行ったようであります。

 猪口担当大臣は千葉にも行かれているようですが、この事実を認識されていますか。

猪口国務大臣 御指摘の件につきましては、私は承知しております。

菅(直)委員 今、承知しておりますと答えられましたが、承知した上で、たしか基本法の中にも、自治体の努力義務といいましょうか、そういう中に、こういったいろいろな男女参画にかかわることを進めましょうという趣旨の法律もあるはずでありますが、承知しているだけでいいんですか。やはりおかしいと思うのか、いやいや、千葉自民党のやっていることは大変立派だと言うのか、はっきり見解を述べてください。(発言する者あり)

伊吹委員長 静粛に願います。

猪口国務大臣 まず、男女共同参画につきましてでございますが、これは非常に重要であると私当然ながら認識しております。基本法の前文にも規定されておりますとおり、男女共同参画社会の形成は二十一世紀我が国の社会を決定する最重要課題の一つであると認識しておりますから、政府を挙げて施策を推進しているところでございます。

 そして、この基本法に基づきまして、先生御指摘の地方公共団体につきましては、これは、国と並んで、法の基本理念にのっとりまして、男女共同参画社会の形成の促進に関しまして、国の施策に準じた施策や、その地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定して実施する責務を有しているわけでございます。

 しかしながら、各地方公共団体におけます例えば女性センターあるいは男女共同参画センターなどをどのように設置するかは、これは地方自治の問題でありまして、当該地方公共団体において判断される事柄であると考えております。

 また同時に、私、男女共同参画担当大臣といたしましては、基本法の着実な実施を目指しているわけでございまして、先生御指摘の、千葉県におきます男女共同参画の形成に向けた施策の推進に支障が生じることがないということを期待しております。

菅(直)委員 女性センターを設立するということでは今回はなくて、設立しようとしたら、設立を認めないだけではなくて、現在ある柏のセンターも結果として廃止せざるを得ない、予算が、それが使えない、そういう決定が千葉県議会でされたんです。

 今大臣は、地方自治体も国と同じような努力義務があるということを認められたわけですが、少なくとも年間五千件からのそういった相談業務があって、もっとふやそうとして案が出されたようですが、ふやすどころか、現状ただ一つあった、千葉にただ一つあった女性センターを廃止する。逆行しているんじゃないですか、大臣。

猪口国務大臣 基本法に基づきまして、地方公共団体は、国の施策の方針に準じまして、また、必要があれば地域の特性を考慮しながら男女共同参画社会の推進を行う責務を有しております。それを例えばどのような施設において行うか、そういうことの実施の細部におきましては、これは、その当該地方公共団体の立場で、地方自治の原則にのっとり決定されるべきものと認識しております。

菅(直)委員 それでは、この問題では、自民党総裁として私は小泉総理にお聞きします。

 つまりは、自民党の千葉県連が県議会でこういう行動をとっているわけでありまして、自民党総裁としてこのあり方に対して、やはりちょっと行き過ぎがあったんじゃないかと私は思うんですが、総理はどのようにお考えですか。

伊吹委員長 内閣総理大臣として答えてください。

小泉内閣総理大臣 私は、千葉県でどのような男女共同参画社会へ向けて行政運営がなされているか、よくは知りません。しかしながら、地方自治体として、男女共同参画社会の実現に向けてどうあるべきか、よく状況を見きわめて地方自治団体としての判断を下されるということを期待しております。

菅(直)委員 まさに期待してくださいね。自民党の県連がやっている仕事ですから、そのことをしっかりと頭に入れておいてください。

 そこで、次に、話をもう一度、税金の無駄遣いに戻したいと思いますけれども、最近、ある報道がありました。談合をもうやめたいんだけれどもと言ったら、いやいや、談合は続けてほしい、そして、天下りをするためには、官製談合で高い値段で落として、その差額を使ってポストを確保する、そのためには続けてほしい、少なくとも大手新聞がそういうことを報道いたしております。

 公取委に、現在、水門の関係について、自白すればペナルティーが緩和されるということもあって、いろいろとそういうことの駆け込みがあるそうですが、公取委にお聞きしたいと思います。

 そういう聞き取りの中で、聞き取りの中でですよ、皆さんが思っているかどうかじゃないですよ、聞き取られた中に、少なくとも、談合はやめたいと思うんだけれどもなかなかやめさせてくれないんだ、そういう趣旨の供述なりあるいはそういう発言なりがあったのかないのか、おわかりなら教えてください。

竹島政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 三月から、水門の公共工事につきまして談合が行われているという情報に接しまして、立入検査をやって、今まさに審査中でございます。せっかくのお尋ねですが、毎日新聞だったと思いますが、今委員御指摘のような記事が出ております。そのこと自体、公正取引委員会が今把握しているかどうかということにつきましては、これは審査中でございますので、そのことについてコメントすることはできません。

 いずれにしましても、私どもは、この法律に照らしまして、談合があり、それがもしも官製談合である場合は、従来からやっておりますように、厳正に法律を適用して処理してまいりたいと思っております。

菅(直)委員 公取委としては当然の答弁でしょうね。現在調査中なので個別的なことは言えないけれども、少なくとも、委員長みずから言われましたが、新聞にそういう報道があることはよく認識をしているという趣旨でありました。

 きょう、朝から随契の問題も出ておりました。随契というのは、簡単に言えば、役所側が、発注側が、あなたのところに幾らで頼みたいと頼むわけですよね。談合もやらないで頼むわけです。今度は随契を入札制度にしたらどうなるか。この間の形でいうと、官製談合にもしかしたら移るのかもしれませんね。

 それで、官製談合はなぜ行われるのか。これも何度も申し上げておりますが、わざわざ官僚の皆さんやお役人の皆さんが法律違反をして逮捕される覚悟でやるというのは、よほどの動機がなければ考えられません。その動機は何か。天下り先を確保するためですよね。

 私は、以前、国交委員会に属していたときに、二年間は天下りは関係業界に禁じた、二年を過ぎた後は、それぞれが自由なのでデータはありません、では二年間の間にどのくらい天下りを特例措置で認めたんですかと何度か北側国交大臣にお聞きをいたしました。私がその前のときお聞きしたのは、平成十六年の九月から、北側大臣が就任してから昨年の六月まででしたが、そのときは、合計でいうと、交流を含めて二百三十八名、人事交流を抜きにして二百十一名と言われました。その後がどうなっているかお聞きしましたら、昨年の六月から今日、四月十四日までで、また、交流を抜きで百八十三名が二年以内の天下りをしているわけであります。

 各省庁にも聞きました。結局、小泉政権になって、つまりは、公務員法百二条ですか百三条の規定で原則二年間は天下りが禁止されている、国民の皆さんはそう思われているでしょう。しかし、それには例外規定があって、人事院とか大臣が特に認めた場合はオーケーだ。オーケーだというものだけで、国交の例でいえば、この二年間で何と四百二人、人事交流を含めれば六百人を超える人間が天下っています。各役所からも出してもらいました。数千人単位になっております。結局、小泉総理が私の質問に対して、税金が一円でも無駄遣いされないような改革をしましたか、まずは官製談合一つやめさせたことでもありますかと聞いたら、一度としてまともな答えをしていない、イエスと言えない。

 もう一度聞きましょう。小泉総理、この五年間で、天下り先をつくるための官製談合をとめる努力をされましたか。されたとしたら、どういう効果がありましたか。小泉総理、みずから答えてください。

伊吹委員長 まず、事実関係を北側国土交通大臣が述べて、後、総理大臣から答弁をいたします。

北側国務大臣 再就職の問題につきましては、今委員から御指摘がございましたように、以前、国土交通委員会でも御指摘がございました。できるだけ公務の世界に長くいられるような公務員制度改革をしなければならないと思っております。

 きょう、午前中も御質疑があったわけでございますけれども、定年前に退職を勧告していく、こうした慣行をやはりなくしていかなければならないと考えております。今、政府を挙げまして、早期退職慣行につきまして年齢の引き上げをしているところでございまして、そうした取り組みをしっかりさせていただきたいと考えております。

 ちなみに、国土交通省におきましては、幹部につきましては、直轄の工事を受注している企業には再就職はしないというふうに決めさせていただいております。また、昨年、橋梁談合事件がございました。そこで、談合にかかわりました四十七社だったでしょうか、そういう企業には当面の間すべての職員が再就職をしないというふうに決めさせていただいております。

小泉内閣総理大臣 官製談合は法律違反です。法律違反を犯してやる、これは厳正に処罰されなきゃいけない。同時に、官製防止法が今のままでいいのかどうかという問題があります。それと、慣例で天下りをなくしていく、あるいは随意契約をなくしていくという場合に、どういう対応がいいか。早期退職勧奨制度も含めて、今後、官製談合防止に向けて改善策を講じていく必要があると思っております。

菅(直)委員 私は、何度もこの委員会でも申し上げましたが、官製談合というのは発注側がわざわざ高い値段で談合させているわけですから、その理由は天下り先を確保するためですから、逆に、みずからがやめれば、すぐやまるんです。そして、それをやめる方法は、天下りを採用した企業には発注しませんと閣議決定一つすれば、わざわざ発注をやめさせられることを覚悟で天下りをとる企業はあり得ないわけでありまして、総理、もう一度聞きます、先週に続いて。そういうやり方をとられませんか、最後のいい置き土産として。

小泉内閣総理大臣 それは、今、二年がいいのか、あるいはさらに五年に延ばした方がいいのか、あるいは退職勧奨制度というものも含めまして、全体的に検討すべき課題だと思っております。

菅(直)委員 発注を取りやめるということについては検討はされておりません。ですから、天下りを採用したところは発注を取りやめるという閣議決定でいいんです、法律は要りません。やられませんか。

小泉内閣総理大臣 天下りという定義につきましてもそうでありますけれども、人材交流という観点から、今、各方面において官から民へ、民から官へ、両方、人材交流を奨励しております。そういう点も含めて検討すべき課題だと思っております。

菅(直)委員 国民の皆さん、聞いていておわかりだと思いますが、ここになると小泉総理の歯切れが悪いんですよ。つまりは聖域なんですね。つまりは、官僚の天下り先確保というのは、私も知っていますよ、各役所の官房長にとっての大きな仕事、あるいは秘書課とかそういうところにとっての大きな仕事はそれですから。ですから、官僚組織にとってはこれはまさに組織存亡の危機ですから、聖域なんですよ。小泉総理はその聖域を守る総理だった、このことだけは申し上げておきますが、もし反論があるなら、どうぞ。反論はないんですか。

小泉内閣総理大臣 必ずしもそうは言えません。それは個人の職業選択でありますから、官の優秀な人が民間に行く場合もあるでしょう、民間の優秀な人が役所に来るときもあるでしょう。一人でも役所から民間に行った場合に、仕事を受注できないという場合がいいのかどうか。それは、天下り的な利権構造というのはよくないです。しかし、個人個人によって職業選択がありますから、一律に、役所から民間へ行ったらその民間は仕事できないというのもこれまたどうかと思いますので、その辺は、一律に法律で規制する、あるいは閣議決定で決めちゃうということが果たしていいのかどうかも含めて、今後、官製談合防止のために、さまざまな観点から対策を講じていく必要があると思っております。

菅(直)委員 この問題は何度もやりましたが、相変わらず聖域は守る、私にはそう聞こえました。

 そこで、規制緩和についてお聞きをいたしたいと思います。

 いろいろ規制緩和を小泉政権が進められたと言われております。私たちも、規制緩和一般については大いに進めるべきだという立場であります。しかし、あの耐震偽造事件を生じたのは、いわゆる、それまでは公務員である建築主事が建築確認をすることになっていたのを、民間企業でもできるというふうに規制緩和をした。結果として、規制緩和をした途端にああいう事件がどんどん出ました。(発言する者あり)

 民主党の中の時間割りですから、ちょっと黙らせてください。

伊吹委員長 静粛にしてください。品位を持って質疑を続けるように。

菅(直)委員 そういう意味では、規制緩和をするときには、本来はそうした規制緩和に伴ういろいろなことを考えなきゃいけない。

 簡単に言えば、民間が建築確認をするというのは、では民間は何のためにそういう仕事をやるんでしょうか。一般的に言えば、民間という意味は市場という意味ですから、やはり利益を上げるためにそういう業務をやるんじゃないですか。そうすると、利益を上げるためにそういう業務をやるということは、そういう建築確認の申請がたくさん来る方が利益は上がりやすいですね。そうすると、非常に厳しい認定機関と甘い認定機関があれば、少なくとも施工主なりそういうところは、どちらに行くでしょうかね。当然、甘い方に行きますね。

 つまりは、規制緩和をしたときに、民間がやるときにこれまでより甘くなる危険性があることは私は予想できると思うんですよ。それに対して、そのときに何らかの手を打っていますか。

北側国務大臣 今は、耐震強度偽装事件についておっしゃったんだと思います。

 この事件、姉歯元建築士が偽装した物件は九十八物件ございます。この九十八物件のうち、建築確認機関が見落としたわけでございますけれども、民間の検査機関だけではなくて、特定行政庁の建築主事が見落としたものが九十八件中四十一件、半分近くは特定行政庁の方でも見落としてしまったわけでございます。そういう意味で、平成十年の民間への開放があったから今回の偽装事件があったとは私は認識をしておりません。もっと、そういう意味では問題は深いわけでございますが、建築確認そのもののありようについてやはり大きな問題があったというふうに考えておりまして、そして総点検等々もさせていただきました。

 この国会に建築基準法等の改正についてお願いをしておるところでございますが、まず第一弾として、建築確認の際に、一定の建築物につきましては構造の専門家である第三者による審査を義務づける、構造審査については厳格化をしていくということをぜひお願いしたいと思っておりますし、また、民間検査機関につきましては指導監督を強化していこうということで、地方公共団体による立入検査の導入等もお願いをしておるところでございまして、この改正法案につきまして、今後、御審議をお願いしているところでございます。

菅(直)委員 これは国民の皆さんに御理解をいただきたいと思うんですが、確かにプラスのサービスで、公だけでは不十分だからもっと民間の人にも手伝ってもらおうというプラスのサービスの場合には、私は十分あり得ると思います。

 しかし、この建築確認というのは、ある意味では、審査でノーと言われたら大変なんですよね。ですから、イエスと言ってもらわなきゃ家が着工できないんです。ノーと言われたら着工できないんですから。そうすると、当然甘いところに行くというのが構造的にあるんじゃないですかと言ったんです。今の大臣の話は、いや、民間も公も両方ともインチキを見抜けなかったんだから特に民間が悪いわけじゃないという、理屈にもならない理屈を述べられましたが、私は構造的なことを申し上げたんです。

 そこで、もう一つ、別のことで申し上げてみたいと思います。

 二〇〇一年に商法改正がありました。その商法改正によって、株の分割の基準が大きく緩みました。この商法改正法案は議員提案で出されていますね。この商法改正の議員提案をされた方が閣僚の中におられますか。

伊吹委員長 菅君、具体的にお気づきのことがあれば、お名前をおっしゃってください。

菅(直)委員 提案者の中には小池大臣の名前がありました。賛同者の中には北側大臣の名前がありました。

 現在は、余りにも分割が、一万倍とかという分割が行われていろいろな不祥事を招いたので、東証の自主規制という形で、多分、金融庁が指導されたんでしょう、分割の制限が自主規制でかかっております。

 つまりは、当時、一万倍だろうが何万倍だろうが分割できるという規制緩和を行った。確かに、その趣旨どおり個人株主が大変ふえるという、それは私は大変結構なことだと思います。しかし、個人株主というのは、一般的に言えば、インサイダーとか、いろいろな財務諸表とかを詳細に分析する力は小さいわけですから、それだけに、証券取引監視委員会とか金融庁が規制緩和に伴うチェックをしっかりしなきゃいけなかった。しかし、少なくとも、二〇〇一年の商法改正で行われたことが、その後の多くのことを招いたことは御承知のとおりであります。

 もし、提案者である小池さん、その趣旨、そのことについて何か御意見があれば言ってください。

小池国務大臣 当時、私、金融委員会などを中心に議員活動をさせていただきまして、その商法改正に携わったことは覚えております。

 かつてバブル崩壊の際も、個人株主が余りにも我が国では少ないというような問題があり、また、証券会社も個人株主は大変軽く扱われていたような時代もございまして、そういったことを踏まえまして、個人株主をさらに参入させることによって株式市場を活性化させていくというような趣旨で商法改正を進めたものと思います。

 それが、その後のさまざまな環境の変化などによって、今回、このライブドアのような事件などが起こったことは大変遺憾に思っておりますけれども、その当時、個人株主をふやす、また、経済を活性化する、そういう観点では目的に資するものだと考えております。

与謝野国務大臣 この商法改正はいい法律改正だと私は思っております。これは、株式の流動性を高める、あるいは、今小池大臣が言及されたように個人株主数をふやす、こういう意味ではいい法律改正だったと思いますが、いい法律改正をしても、それを悪用する人が出てまいりますと、それに対しては追っかけ対応せざるを得なかった。

 ライブドアのケースは、きちんと、東証あるいはその他の機関でその後に対応をしております。

菅(直)委員 私が冒頭申し上げたように、一概に悪いと言っていません。規制緩和については、我が党も基本的には望ましいことだと思っています。ただ、そのときに、必ずいろいろな問題が起きることを予想して、それに対するチェック体制をきちんと用意したかということを申し上げているんです。

 今回の場合は、証券取引監視委員会と金融庁の役割が、ここにも出ておりますが、当時の金融庁の責任者であった竹中さんが金融担当のときに、今話題に出たライブドアは、十倍に分割して、さらに百倍に分割して、さらに十倍に分割しました。つまり、在任期間中だけで一万倍に分割したんですね。先ほど申し上げたように、そういうやり方はちょっと行き過ぎじゃないかということで、今は東証の自主規制がかかっています。

 当時は竹中大臣が、本来なら、そういう新しい制度を導入したことに対して、制度が本来の趣旨を外れていれば、それにかわる制度を入れるべき担当の責任者であったわけですけれども、竹中大臣、それに対する反省はありませんか。

竹中国務大臣 私は、二〇〇二年の秋から二年間ですか、金融担当大臣をさせていただきました。

 御指摘の商法改正は、その前の二〇〇一年の商法改正でございますので、ちょっとその経緯等々、まして、金融担当大臣というのは商法の直接の担当大臣ではございませんので、経緯等々も十分に承知しているわけではございませんが、御指摘のように、この法律改正そのものは、個人の株式市場参入を容易にするということで、非常に大きな意味を有していたんだと思います。

 しかし、残念ながら、そうしたいい趣旨の法律を悪意を持って悪用する人が出てきてしまったのではないかということが問われている。それについて、これは、当然のことながら、市場を監視するということはやっていかなければいけないわけでございます。

 実は、私の時期を含めまして、小泉内閣になってから、そうしたことを監視するための証券取引監視委員会の人数は、この五年間で二・六倍になっております。

 そういうことに関して常にチェックをしてきたわけでございますが、にもかかわらず、今、司法の場でそういうことが問われている。これについては、当然、証券取引監視委員会等ともしっかり協力をされて、そして、司法の場でしっかりと、悪意を持って悪用したということであるならば、それに対する追及がなされなければいけないというふうに思っております。

菅(直)委員 何か竹中さんの話を聞いていると、私は全然悪くないけれども、悪い人がいたんだということですね。

 これがそのときの経緯です。株式を分割できる商法改正は施行が〇一年の十月です。その前にも三分割されていますが、これは旧商法のもとでの、従来の規制がかかった中での分割です。そして、今竹中さんが言われたように、〇二年の九月から〇四年の九月までの間、竹中さんが金融担当大臣でありました。このわずか二年間の間に、十分割し、さらに百分割して、さらに十分割をしております。

 私が調べている限り、この改正後、一万倍の株式分割をやった会社は、ここにいろいろなデータが出ておりますが、私が知る限り、ライブドアだけであります。そのときの責任大臣は全部竹中平蔵大臣であります。他人事なんですか、そんなことが。そして、その中でいろいろな問題が起きた、悪い人がいた。その悪い人と一緒に手を上げて、一生懸命、この人は立派な人だと褒めたこともあったわけじゃないですか。

 ですから、私は、少なくとも金融担当大臣として、こういうことになったことについて、これは法律が予定していたことではなかったにしても、それは大変不十分であった、だから、これからそれに対しては、今はもう既に東証の自主規制がかかっておりますが、そういうことを含めて誤りは正さなきゃいけない、そういうふうに言われるのが筋じゃないですか。いかがですか。

竹中国務大臣 まず、その株式分割、これは別に金融庁が許認可を与えるものでもございません。そういう制度の中で使われたわけでございます。これが今、本当にどういうことであったのかという真相が司法の場で問われているわけでございますから、それについてはしっかりと私たちも注意を持って見守らなければいけないと思います。

 金融庁としては、当然のことながら、常に市場をしっかりと監視しております。そのために、先ほども申し上げましたように、小泉内閣になってから、その間にこの人数も二・六倍にふやしてやってまいりました。そうした中で、いろいろな証拠をつかんで今回の規制に至っているのだと思います。

 悪用する人がもし出てきて、それが本当に今伝えられているとおりであれば、それは極めて遺憾なことであるというふうに申し上げざるを得ないと思います。そういうことの再発の防止も含めて、まさに今、金融庁でさらにしっかりとした対応をしておられるというふうに承知をしております。

菅(直)委員 今のを国民の皆さんがどう聞かれたかは知りませんが、うまくすり抜けているんですよね、総理と同じように。

 つまりは、証券取引等監視委員会と金融庁は別なんですよ。証券取引等監視委員会は、まさに法律に違反しているかどうかをチェックして、場合によったら告発をするんですよ。そして、当時、竹中さんが責任者をしていたのは証券取引監視委員会じゃないんですよ。こちらが拡充したとかなんとか、それはそうかもしれませんが、あなたはこちらの責任者じゃありません、金融庁の担当責任者です。

 金融庁は、法律に違反しているかどうかを直接やることになっておりません。そうではなくて、制度的な問題とか、そうした行政的な処分とかを行う担当になっている。ですから、逆に言うと、法律改正が、それは法務省の中であるいは議員提案で、この中にもおられますけれども、賛成した人もたくさん、与党は全員賛成ですが、そういう法律をつくったときに、副作用があれば、この副作用を変えなきゃいけないといって、そういうことを立案するのは金融庁の責任なんですよ。金融庁の責任で、当時の責任者はあなたなんです。

 そういうことを、全部他人事のような顔をして、いや、今の金融庁は頑張っているでしょうと。そういう言い方が国民の信頼を政治から失わせている、このことを申し上げて私の質問を終わります。

伊吹委員長 これにて菅君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 質疑に移らせていただきますが、午前中、民主党案の答弁のときに私が例に出しました独立行政法人、これはまずパネルを使って国民の皆様に改めて説明をさせていただきたいと思います。これは四月三日のときにお配りしたので、ちょっとお手元には資料はございません。お許しをいただきたいと思います。

 要は、八十万人の行政職員が平成十七年三月には三十三万人に減った、こういうグラフでございます。このうち十二万一千人が独立行政法人の職員ということで、定数からこの十二万一千人は外れたんですよ、このように政府は説明をされるわけでございますが、先ほど触れたように、平成十六年度でも三兆三千億円の交付金が税金も含めて独立行政法人には投ぜられているのでございます。

 そこで、やはり政府提案の五本柱の一つの独立行政法人から、まず話を進めたいと思います。

 民主党案は、独立行政法人の長は、トップは公募をすべしという対案を出しております。また、独立行政法人の支出に当たっては、先ほども答弁で申しましたように、一般競争入札を原則、こういったことも打ち出しているわけでございますが、お手元に資料を配らせていただきました。

 この委員会では、文部科学大臣からも、そして官房長官からもお話を伺っております。独立行政法人の役員出身内訳、特に文科省の認識が政府と違う、ここを、締めくくり総括質疑に当たって、総理に御所見を伺いたいというふうに思います。もう文科大臣、官房長官からはお話を伺っておりますので、総理にお話を伺いたいと思います。

 この私どもの予備的調査での分析は、文科省出身の、独立行政法人の役員数百四十九名のうち、所管省庁、文科省出身者は八十二名だという私どもは仕分けをしておりますが、政府は、三十六名だと。なぜ、八十二引く三十六、四十六名が民間人なんだという仕分けになるかというと、以下二ページ目をごらんいただきたいと思います。

 この方は独立行政法人国立特殊教育総合研究所の理事長でございます。滋賀大学に講師として採用された、国立大学でございます。そして、平成五年から十年間、文部科学省で勤務をされ、そして退職をされました。政府はこの方を、文部省出身の退職公務員という形で、この独立行政法人の長、いわゆる退職公務員出身には扱われません、民間出身だと言われます。

 三ページ目をごらんください。独立行政法人物質・材料研究機構でございます。この方は、昭和四十四年、文部省東京大学採用でございます。それから、先端科学技術研究センターの長、通商産業省の工業技術院産業技術融合領域研究所長、経済産業省産業技術総合研究所産業技術融合領域研究所長、こうしたところを歴任され、退職されております。文科大臣、官房長官にお伺いしても、この方は、この私どもが分けた文科省出身の退職公務員、文科省のところの八十二名には入れるべきでない、民間人なんだ、このようにおっしゃられます。

 総理は、独立行政法人のトップは五割を目標とすると。昨年十二月、政府の発表では、百十三人中五十七人、退職公務員の割合は五割でございます。しかし、その五割には、今申し上げましたように、滋賀大学で採用されて文科省で十年勤務をされた方も退職公務員ではない、あるいは、東京大学で採用されて政府の幾つかの研究所の所長をされた方も退職公務員ではない。こういう仕分けはやはり国民から見て理解できない、このように思うわけですが、既に文科大臣、官房長官、お話を伺っております。締めくくり総括質疑でございますので、テレビも、そして国民の皆さんも注視をしております、総理の率直な御感想、やはりこの人たちは民間人なんだ、だからこの中央省庁の文科省の八十二名に含める必要ないよ、既に発言があるように三十六名なんだよ、四十六名おかしいんじゃないの、こういうような御答弁なのか、御所見を伺います。(小泉内閣総理大臣「文科大臣じゃだめか」と呼ぶ)いえ、もう何度も伺っておりますので、きょう時間がございませんので、締めくくり総括質疑で、総理の御所見を伺います。

小泉内閣総理大臣 文科省所管の国立特殊教育総合研究所や物質・材料研究機構の理事長について、こういう方々は、学問的な知見に着目して登用しておりまして、民間の学識経験者と同等なものと位置づけていると承知しております。要は、適材適所ではないかと思っております。

武正委員 その適材適所が、いわゆる中央省庁と独立行政法人、そして独立行政法人から公益法人へというお金の流れと天下りを生んでいるのでございます。

 総理は、退職公務員は五割に抑えるというふうに言っておられます。一昨日も、財団法人の、公益法人の理事長さん、名古屋大学の野依先生などを挙げられて、野依先生が独立行政法人の研究所の所長になったときに、文科省の天下りと言うのはおかしいだろう、こういうふうに言っておられました。私もそのことは理解できます。

 ただ、やはり国民の皆様からして、国立大学に入られて、そして政府の研究所を歴任されたり文科省にまた行ったり、こういう人事交流があります、国立大学の教授には。そういった方々を退職公務員でないというふうな扱いをする、これは私は無理があるというふうに思うんです。

 五割というふうに言っているんですから、五割の中でそういった方々もカウントすればいい。そうでない方を五割、民間にはたくさんいますよ、なぜ民間の人をもっともっと独法のトップにあるいは公益法人のトップに自信を持って選ばないんですか。なぜそうした中央省庁の退職公務員ばかりを、あるいは国立大学の教授の、そのことをわざわざ解釈で民間人だなんてやって、五割を達していますと言うんですか。到底理解できないんですが、再度、総理の御所見を伺います。

伊吹委員長 武正君に申し上げますが、これは認識の問題だと思います。総理の答弁は、認識は既に示されておりますので、文部科学大臣からまず答えさせましょう。

武正委員 いや、今聞いているんですから。文科大臣はもう聞いていますので。

伊吹委員長 委員長の議事整理に従ってください。文部科学大臣。

小坂国務大臣 委員長の御指名によりまして……(武正委員「今総理とやっているんです」と呼ぶ)

伊吹委員長 総理は今、認識と所見を述べているんです。(武正委員「だから、再度お聞きしたんです」と呼ぶ)

小泉内閣総理大臣 再度の答弁ですが、国立特殊教育総合研究所や物質・材料研究機構の理事長について、これは学問的な知見に着目しているわけです。要は、適材適所が大事じゃないでしょうか。

武正委員 認識が違うんですね。

 やはり国立大学の教授でも文科省と人事交流をされているんですよ、そして政府の各種研究所の所長をやっているんですよ。つまり、退職公務員なんですよ。この方々を退職公務員に入れないで、適材適所と言って、目標の五割を、独立行政法人のトップ五割を達していると言うのは、やはり私は詭弁だというふうに言わざるを得ないのでございます。

 既に御提出をいただいた資料、平成十七年度、独立行政法人に中央省庁から出向して戻ってこられた公務員、出向ですね、この方々、千五百六十二名の資料も出していただきました。平均を見ますと二十二カ月、千五百六十二名の方が平成十七年度、独立行政法人から中央省庁に戻ってきています。さっきの表を見ていただきますと、定数の枠外にこうした出向者という者がいます。そして、中央省庁の定数の枠外で独立行政法人に行って、二十二カ月たって戻ってくるんです。

 先ほど総理は、官民の人事交流、いいじゃないかというふうにおっしゃられましたが、こうした出向など、実は、この官民の人事交流に伴って、政府のお金が独立行政法人にあるいは特殊法人にということで、お金が人と一緒にくっついている、あるいはまた随意契約も同じようにくっついていっているということですので、この官民人事交流、いいじゃないか、出向、特に独立行政法人の役員出向もいいじゃないか、政府の法律はそういう法律です、独立行政法人の通則法。こういったところに、実は先ほど来話をしている随意契約や官製談合の根っこがあるということを指摘させていただきます。

 それでは、資料四ページをお開きいただきたいと思います。昨日提出をいただいた全省庁の随意契約、これを平成十六年度に限って分析いたしましたのが四ページの資料でございます。

 先ほど答弁でお話を申し上げましたように、ほとんどの、一部除いておりますが、省庁を網羅いたしますと、五千九十件総計に対して四千六十件の随意契約率、約八割でございます。そのうち公益法人の比率が三六%、独立行政法人を加えると四一%ということになってまいります。この随意契約の率が、環境省の九二・三%を筆頭に、平均で約八割、随意契約の比率である。しかも、そのうちの四割が独立行政法人と公益法人である。環境省だけでなかったというところがこの表でございます。

 そこで、きょう、それぞれの大臣にお伺いをしたいんですが、平成十二年度からの五年間、五百万円以上の本省庁発注全契約に占める随契の比率、そしてまた相見積もりをとっていない比率を、財務大臣、この間お答えいただけませんでしたので、お答えをいただき、あわせて国土交通大臣にお答えをいただきたいと思います。

 なおかつ、両大臣に加えまして、先日お答えをいただいた農水大臣、厚労大臣、四大臣には、この平成十二年度からの五年間の随意契約において契約書を作成している割合、それは、全随意契約と、そのうち特に公益法人との随意契約、それぞれでの割合を四大臣にはお答えいただきたいと思います。財務大臣、国土交通大臣には一緒に御答弁をお願いしたいと思います。

谷垣国務大臣 平成十二年度から十六年度の五年間、五百万円以上の本省発注分全契約に占める随意契約の割合は約七〇%でございます。

 それから、御指摘の五百万円以上の随意契約のうち相見積もりをとっていない割合、これは一〇〇%でございます。仮に相手方が二者以上あり得る場合には入札を行っているところでございます。

 それから、契約書は、五年間、五百万円以上の本省発注随意契約、契約書を作成している割合は一〇〇%でございます。

 以上でございます。

北側国務大臣 国土交通省の本省における平成十二年度からの五年間における随意契約の割合でございますが、件数でいいますと八七・四%でございます。金額でいいますと七六・七%でございます。

 それから、相見積もりにつきましては、これは複数の者から見積もりをとるということでございますけれども、これにつきましては、契約相手方が一事業者しかない随意契約でございますので、複数の者から見積もりをとることはできないということでございます。

 それから、随意契約における契約書の作成率ですが、一〇〇%でございます。

 さらに、公益法人の比率でございますが、公益法人の比率は、件数で五六・八%というふうに聞いております。

川崎国務大臣 厚生労働省の場合は、十二年から十六年まで、本省発注五百万円以上の随意契約、契約書、一〇〇%作成いたしております。公益法人も同じように一〇〇%でございます。

 予算決算及び会計令第百条の二により、契約金額が百五十万円を超えない場合などを除き、契約書の作成を要することとされております。したがって、この法に従ってやらせていただいております。

中川国務大臣 平成十二年度からの五年間、五百万円以上、本省発注分の随意契約において、契約書を作成していないものが、電気事業者、ガス事業者、水道事業者との長期契約分、それから造幣局との契約八件がございまして、これは二十件でございます。千百三十二件中千百十二件、九八%が契約書の作成を行っております。

 また、公益法人との随意契約につきましては、百七十七件であり、一〇〇%契約書を作成しております。

武正委員 そこで、総理にお伺いをしたいんですが、この随意契約、先ほど来やりとりをしております。随意契約でなければ一般競争入札なんだということも言われておりますが、改めて全省庁の数字が出てまいりました。八割が随意契約である、この数字を見られて、総理としての御所見、感想、環境省だけじゃなくて、これだけ高い平均の随意契約である、御感想をお聞かせいただけますでしょうか。

小泉内閣総理大臣 どうしても随意契約が必要であるというもの以外は競争入札にすべきだと思っております。

武正委員 そこで、どうしても随意契約でなければというお話でございましたが、予算決算令、予決令、これの九十九条では、随意契約によることができるというものが幾つかございます。例えば、外国での契約とか、あるいは公益法人からの買い入れ、借り入れ、あるいは公共団体への売り払い、特別の縁故のある者に売り払いなどでございます。

 私は、やはりこの予決令も改正の必要があるんじゃないかなというふうに思うんですね。先ほど、随意契約でなくていいものは一般競争入札にということなんですが、予決令でたくさんただし書き、例外規定が設けられているんですよ。ですから、この例外規定を改めないと、やはり随意契約が続いていく。幾ら閣議で随契を改めろと言っても、政令を改めなければいけないんだというふうに思うんですが、これはまず担当の財務大臣に御所見を伺います。

谷垣国務大臣 確かに、予決令九十九条は一定のものについて随意契約によることができる旨を規定しておりまして、今委員が問題にされました関連のものを申し上げますと、第十五号は「外国で契約をするとき。」これは随意契約によることができるとしておりますが、これは、外国の場合は法制度が日本と異なりまして、競争入札によることが困難な場合があるということがございます。

 それから十六号、「都道府県及び市町村その他の公法人、公益法人、農業協同組合、農業協同組合連合会又は慈善のため設立した救済施設から直接に物件を買い入れ又は借り入れるとき。」これは、公益性がある法人から物件を買い入れる場合には、他の営利法人から買い入れる場合に比べまして同等またはそれ以下の価格であることができる場合には随意契約によることができるとしたものでございますので、そういう場合は、私は随意契約でもよいのではないかと思います。

 それから二十一号、「公共用、公用又は公益事業の用に供するため必要な物件を直接に公共団体又は事業者に売り払い、貸し付け又は信託するとき。」これは、例えば国有地を道路用地等に使用するため地方公共団体に売り払う場合には、公益性が認められることなどから随意契約によれる。

 それから、もう一つは二十二号で、「土地、建物又は林野若しくはその産物を特別の縁故がある者に売り払い又は貸し付けるとき。」は、例えば袋地や単独利用が困難な不整形地、こういう場合は国有地を隣地の所有者に売り払うというようなことがございまして、これは、必ずしも競争入札によることが適切なのではなくて、随意契約によることができるものとしたわけでございます。

 委員のおっしゃるように、例外等々を見直していくということは、これは時代に応じて検討しなければならないと思いますが、私どもは今、六月までに緊急点検をすることにしております。その中で、一番使われておりますのは、実は一番最初の、いろいろな競争によることができない場合というようなことでございまして、本当にそれ以外に注文することができないのか、ほかに業者がいないのか、ここのところは私は十分点検する必要があると思っておりますが、先ほど御説明申し上げたようなところは、今後十分社会の推移によって考えますが、私は現在でも合理性があるのではないかと考えております。

武正委員 今の四点、申しますと、外国での契約、これは随意契約でと。実はこれがODAに関して随契が多い根拠になっているんではないかという指摘もございます。

 それから、公益法人からの買い入れ、借り入れ、これが随意契約でいい。先ほどは公益法人であれば安い価格であろうということを言われましたが、それは仮定でありまして、そういった仮定に伴って、だから公益法人との随意契約が多い理由になっているのではないかという指摘があります。

 それから、公共団体への売り払いを公共のためと称して随意契約で、あるいは特別の縁故のある者に売り払いも随意契約で、観念的でございます。これがあるがために、例えばグリーンピアの三千七百三十億円かけた資産を四十八億円で売り払ったり、雇用促進事業団、四千四百六億円でつくった建物を百二十七億円で売り払ったり、その根拠がそれぞれこの予決令にあるという指摘もあるんです。

 ですから、こういった予決令は速やかに改める必要がある。随意契約を、こういったことで免れるようになっているということでありますので、総理、この政令を改正すればできるんです、ぜひ前向きな御答弁をお願いします。

小泉内閣総理大臣 グリーンピアがどういう形で売却されたのか知りませんが、これは随意契約だからとかどうか、私は承知しておりません。恐らく買い手がいなかったんじゃないですか。それをよく確認していただきたい。質問が本当かどうか、私はわかりません。

 それと、要するに、随意契約の必要がなかったら一般競争入札、こうすべきだと思っております。これは意識の改革でできることじゃないでしょうか。

武正委員 私は、予決令を改正すればいいということを言っているのであります。

 もう時間がありませんので、これで終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。

伊吹委員長 これにて武正君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 それでは、時間が押しておりますので、民主党の時間内で質問をさせていただきます。

 まず、北側国土交通大臣、昨日も指摘をいたしました。この委員会で一貫して私、国土交通省の出先が天下り団体に対して随意契約でいろいろな仕事を発注しているということを指摘してまいりました。

 随意契約というのは、もちろん言い値で契約する、まさに役所と天下り団体が一緒になって値段を決めている、こういう契約でありますけれども、一つは、例えば、国土交通省が天下り団体に発注した中でも、専門性のない分野、民間でもできる新聞のスクラップあるいは清掃あるいは雑務、こういうものを発注していた。そして昨日指摘しましたのが、我々が要求をしました資料にも載っておりました、自分たちが出した通達、各業界への通達、この通達をわざわざ天下り団体が本にまとめて通達集にして、それをまた国が買っている、こういう例もある。これを数百万円単位で購入しているということも指摘をいたしました。

 もう一つ、昨日指摘を申し上げたのが、いわゆる駐車場の問題。この公益団体という名の天下り法人が百二十三件あったというふうに昨日おっしゃいました。そして、そこに国が公共物のもとに土地を専属で貸して、独占的に貸し出して、それによって駐車場経営を天下り団体がしている。

 このことを質問しましたら、夜、役所の方が資料を持ってきてくださいまして、平成十六年度の決算ベースで、この公益法人が駐車場事業で上げた収益というのが七億六千万円。ちなみに、この公益法人、天下り団体が役所に支払った、国土交通省に払った占用料は九千万円。つまり、どう考えても、経費を差し引いて六億円ぐらいの利益を上げているんですね。これについて見直されたらどうですか、これこそ官から民じゃないかと。

 今、国の資産を売却する、四千億円から五千億円ぐらい売却をするんだというふうなことで言っておりますけれども、もちろんそれもしなきゃいけませんが、例えば、こういう民間がやってもできることであるならば、民間と競争してやったらいかがですか。これだけの額ですよ。

 ぜひこの点について、昨日に引き続きまして御答弁をいただきたいと思います。

北側国務大臣 まず、全国にある整備局から公益法人である建設弘済会への業務委託でございますけれども、これにつきましては、昨年からさまざまな御指摘をいただいておりましたので、これは私の方から、民間でできることはできるだけ民間に委託してもらいたいということを、ぜひ点検してもらいたいということをお願いしました。

 それで、この三月末に第一弾の改善方針を取りまとめいたしまして、例えば環境関係などの調査のような調査・検討業務だとか、それから広報、イベント運営などの行政事務補助業務だとか、そして今委員の方から御指摘があった厚生福祉業務など、こうしたものは原則として民間事業者に最初から委託をしていくということで見直しを行ったところでございます。

 さらに、今幾つかお話がございましたけれども、駐車場の件でございますが、これは直轄道路の橋の下のスペースについての駐車場のことをおっしゃっておられるわけでございますが、これにつきましては、料金収入が五つの弘済会で七億六千三百万円、占用料が九千百十万円、人件費等の経費がございますが、この経費が五億五千六百三十万円、最終収益が一億一千五百六十万円というふうになっているわけでございます。

 これにつきましては、きのうも答弁させていただきましたが、これは道路という公物の管理をしなければなりません、緊急なことがあるかもしれません、日常の管理も必要でございます。ということで、どなたでもというわけにはいかないというふうに考えておりますが、しかし、地方公共団体等々、そうした管理もできるところもございますので、そういうところも含めて、今後しっかりと見直しをさせていただきたいというふうに思っております。

 さらに、この建設弘済会が今やっておる業務につきましては、民間コンサルの話もございましたが、こうしたことにつきましてもさらに今検討をしておりまして、さらなる民間への委託ができるものについてはしっかりと見直しをさせていただきたいと考えております。

渡辺(周)委員 今、公物の管理、非常に特殊性がある、管理においてはやはりいろいろ問題があろうというような御発言がありましたけれども、昨日この委員会で質問しましたときに防衛庁に、これは御答弁は要りませんが、引用させていただきますが、防衛庁の装備品ですら今民間に委託できないかと言っているんですね。どちらの危険性が高いかといったら、私は防衛庁の装備品を民間に委託する方がよほど危険性が高いんじゃないかと思いますけれども、それを理由に、だから天下り団体にしかできない、これはこれまでの随意契約すべてそうでしたけれども、専門性と豊かな経験、知識を有するからここなんだということで優先的に独占的に発注をしてきたわけであります。

 この点については、この委員会で我々が指摘したこと、こうした問題、あるいは先ほどここに山積みしてありました、入札によらずに言い値で決めてきた随意契約、あれだけあったわけでありまして、この問題について、これからぜひ、国土交通省、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 それで、天下りの問題が先ほどからずっと議論されていますが、私は、ちょっと視点を変えて、天下りの何が問題かということを別の視点からちょっと申し上げたいと思うんですね。

 これは、今申し上げたような、天下り団体に、いわば仲間内のところに採算性も考えないで税金が投入されるということが一つであります。

 あと二つ挙げるとすれば、一つは、不公正が生まれるからなんですね。この不公正というのは何かといいますと、一つ、私のかつての選挙区でありました御殿場市というところの例を挙げます。

 これは、御存じのとおり、自衛隊の演習場がございまして、駐屯地もございます。ですから、その周辺では防音工事が行われるんですけれども、この防音工事が行われるときには防衛施設庁の予算で行われる。そのときに、地元の業者さんたちが防音工事が始まるということで準備をしておりましたら、もう既に、防衛施設庁が天下っている隣の神奈川県の厚木の業者さんなんかが先に来て、先に契約しちゃっているんです。地元の業者たちが知ったときにはもう既に手を打たれていた。なぜか。それは、防衛施設庁の人間が天下りをした会社はもう既に情報を知っているんです、どこのエリアが今年度防音工事の対象になるか。ですから、表に発表される前にはもう既に営業しているんですね。こういうことが実際あったんです。

 これはもう例を挙げたら切りがないですけれども、そういう不公正が、本来、競争というのはスタートをするところが同じじゃなきゃいけないんです。最初からもう情報を手に入れていて、スタートラインが前の方だ、もうフライングしているということがやはりあってはならない、これが一つです。

 もう一つ。ここにございますのが国土交通省の関係の公益法人の要覧、こんなに厚いんです。電話帳みたいな本があります。ここにあるのは、所管されている厚生労働省の厚生行政だけでの公益法人、これだけあるんです、この二つだけでこんなに重たいんです。こんな本があるんですね。

 これを見ていくと、先般も申し上げましたけれども、類似のいっぱい同じような、下水道関係だけで都内に九つある、緑化関係だけで五つある、同じ所管課でこんなにいっぱいあるのだろうかと思うぐらいあります。

 実は、本省が所管をしているこうした公益法人が我々の生活のコストを上げているんですね。この生活のコストは、申し上げますと、例えば、住宅局の建築指導課というところが所管をする団体だけで三十六団体、そして住宅生産課というところが所管するだけで十八団体、住宅局だけで全部で八十七団体あるんですが、この団体が国から例えば随意契約や事業を委託して、そこで委託業務で運営されている場合もあります。

 それ以外にもあるんです。何をするか。そこに参加をしている業界、団体、業者たちから、いわゆる講習会、研修会そして技能検定、こういうものをやるわけです。私の地元のある電気設備の方から、ある独立行政法人から案内が来た、別に参加は任意だというけれども、やはりお上ににらまれちゃ困るから、しかも講習を受けるときは講習を受講しましたよという判をもらうんですね、これを受けに行くんですよ。

 結局、こういうことを幾つもの団体がやっている。そうすると、当然、住宅設備に関係する方々は、お上ににらまれちゃいけないから、その講習会や研修会や年に一回の技能研修会とか技能検定を受けに行く。若い者を連れていけば、当然、そのコストもそうだし、当然のことながら、仕事を休まなきゃいけない。どうするかというと、やはり自分たちが何かやるときには施工費に上乗せをしていかないと、その人たちは零細中小で零細企業ですから、とてもじゃないけれどもこれはやっていけないんですね。それが結果的に積み重なっていくと、日本の住宅費は高いものになる。

 結局、なぜ我が国が、これだけサラリーマンが一生懸命働いても、一生かかって家を建てることが男子の本懐になってしまったのか。家を買ってしまったら最後、退職金と自分が死んだ後に受け取る生命保険まで頭に入れなかったら、家一軒持てない。何か人生それがもう目標になっている。よく考えてみると、こういう天下り団体の方々がそういう幾つもいろいろなことを課すことによって、最終的にそれぞれの建築コストも含めて高くなっているんです。こういう現実があるんですね。

 ですから、随意契約だけの問題じゃなくて、結果的に、やはり我々のコストというのは、何か払うことが、天下りのお役人の第二の人生、第三の人生のために使われているのか、もうそう思わざるを得ないわけであります。

 その点もぜひ念頭に置いて、この天下りという問題がなぜ問題かということについて御認識をいただいて、やはり見直すべきは見直す。もちろん住宅建築にかかわる部分ですから、これは手抜き工事やらいいかげんなことがあってはいけません、安心や安全というものは最優先で行われなければいけませんけれども、こういう現実があるということもぜひ御認識をいただきたい。

 その点について、総理、いかがですか。この点について、ぜひこういう問題もあわせて見直していただきたいんです。

小泉内閣総理大臣 そのような御指摘が事実なら、これは見直していかなきゃならないと思っております。

渡辺(周)委員 昨日も申し上げました例えば行政評価局、こういうところも、あるいは長妻委員が指摘をしました会計検査院、本来、国が行政監視、税金の使い道を監視しなければいけないところにもかかわらず、やはり当然、この評価対象あるいは調査対象になるところに天下る。これは職業選択の自由だといいながらも、最終的には、やはりこれは人間ですから、受け入れられているところは、もしかしたら行ったことによって適正になるかもしれない。しかし、逆に言うと、手心を加えるという言い方かどうかわかりませんが、何か大甘になるんじゃないかということも当然あり得るんですね。

 これについて、これは先日も、総理という立場から、独立した会計検査院のありようについては、内閣の長である総理から発言するというのはいかがなものかという指摘もありましたけれども、例えば、こういう税金の使い道、行政の評価、こういうところに関してはやはり天下りの規制をするべきだ、これはより厳密にするべきだということにつきまして、総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 会計検査院ということに対して、独立の機関ですから私が指図すべき問題ではありませんけれども、お話しのように、固定的に検査対象機関に関連の職員が行っているという疑惑の念を持たれることがないよう、私はよく注意していくべきだと思っております。

渡辺(周)委員 我々は、民主党案を提出するに当たりまして、やはりこの天下りという問題を一つ柱にいたしました。それは、退職までの五年間の部署に密接に関係する利益団体に対して五年間は行くことができない、さらに、今は迂回をすることによって行くことができる公益法人等にやはり行くことができないようにしよう、そういう抜け道をふさいだわけでございまして、実際、そのことを本当にやっていかなかったら、やはりいつまでたっても同じ問題が起きるんです。

 これは、我々が言ってきたことをこの法律にまとめました。それによって今申し上げたような天下りというものの弊害がとにかくなくなるということに関しては、ぜひ評価をいただき、御賛同をいただきたいというふうに思うわけでございます。

 もう一つ、この天下り問題に関連をしまして、一貫してやはり議論されています早期の退職勧奨制度。同期が事務次官、役所のトップになったら同期は全員やめる、それによって、それ以外の団体に、見合うようなところに行くというようなシステムがある、このことも一貫して議論をされてきました。この入り口でありますキャリア制度について、どうお考えかということについてお尋ねをいたします。

 我が党にも官庁出身の議員が大勢おります。いろいろお話を伺いました。この採用試験を受けるに当たって、これはやはり大学卒業時の試験なんですね。大学卒業時の、まだ実社会に出ていない、実務に携わっていない人間が、まずここで、大学卒業時の試験で、1種、2種とある、そこで、キャリア、ノンキャリア、もうゴールが違うある意味で列車に乗るわけです、レールを走るんですね。

 午前中に総理がおっしゃいました、学校で勉強ができた人間が政治家として大成している、逆もある。まさに私もそうだと思うんですよ。どこを出たかではなくて、何ができるか、何をしてきたかということが評価できるような社会というものをつくるためには、私はこのキャリア制度というものもやはり見直していかなきゃいけないんじゃないか。

 我々、公務員制度改革を考えていく上で、やはりここのところは、例えば高校卒業、大学卒業、大学院卒業、こういう形で分けて、実社会の中で仕事をしていく上において、当然、優秀な人間、それなりのスキルを持った人間、向上心を持った人間が、やはり満足いく形でちゃんとそれなりのポストにつく。惰眠をむさぼってあぐらをかいている人間には、やはりそういう当然の評価がある。私は、公正な人事制度、昇進制度があるべきだと思います。

 その点におきまして、このキャリア制度、ノンキャリア制度ということについてどうお考えか。いわゆるこうした採用試験のあり方、どうお考えですか。ぜひお尋ねをしたいと思います。

竹中国務大臣 御指摘のように、天下りを議論する場合は必ずその早期退職慣行の問題が出てまいります。

 しかし、考えてみると、委員御指摘のように、早期退職慣行の背景にある非常に大きな問題として、1種職員を中心とした年次主義の昇進管理があるのではないか、そのような問題意識はやはり重要であるというふうに思います。公務員がやはり志を持って業務に専念してもらいたい、そういう中で、早期退職慣行の是正を進めていくことが必要であるというのは私たちの一貫した姿勢でございます。

 このために、しからばどうするかということでありますが、人事管理におきまして、やはり能力主義、実績主義というのを徹底していく必要があると思います。そうする中で、年次主義やピラミッド形の人事構成の見直しを進める。それは同時に、キャリアパスの多様化を図るということにもなると思います。官民交流はその中で出てくるわけでございますし、特に、外部から民間の方が高いポジションで、責任あるポジションでこの中に入っていただくというようなことも重要でございますし、そういう方向を我々は目指しているわけでございます。

 個々の職員の能力を生かした人材活用を図っていく、そのような方針をしっかりと持ってまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 これは御答弁は要りませんけれども、やはり評価されるシステムがない。評価されるというのは、予算をたくさんとってきた人間がいいんだ、予算を分捕ってきた人間が、そうじゃなくて、逆に予算を使わなかった。

 かつて三重県の知事だった北川知事がたしかこういうことをおっしゃっています。それぞれ役所で、その単年度で年度内に使い切るというのはやめろ、余ったら残していい、残した部署にその残った分の半額を新規の事業として翌年度つけるからと。つまり、無駄な消化をするなというようなことを言いました。

 例えば、本当に効率的に予算を使った、税金を使ったということが評価されるような制度は、キャリア制度の見直しも含めて、やはり評価する中に考えていくべきではないか。これはまた改めて、公務員制度の議論をするときに、もう少し深く議論をしたいというふうに思っております。

 我々の民主党案が昨日から審議される中で、なかなか厳しい御意見もございました。実際できるのか、あるいは、あなた方には公務員の労働組合がついているから、民主党には行政改革なんかできっこないんだと当初は言われました。いろいろ党内で議論がありました。しかし、私そこは、きょう総理も言いましたけれども、支持団体であってもやはり言うべきことは言う、やはり貫くところは貫くということで我々もやってまいりました。

 今週の月曜日に、ここに参考人として公務員の労働組合の自治労の幹部の方が来られました。そのときに私申し上げました。例えば、大阪市役所のおかしな手当、常識から考えて、こんな当たり前なことに何で手当が出されるんだということや、あるいは随意契約についても、自治体を構成する方々でありますから、組合の方も、当然、おかしいということについては能動的に組合の側からだって変えることをしなきゃいけないんじゃないかということも申し上げました。それはちゃんと申し上げます。

 そして、我々が法律をつくる上においては、支持団体の方もいろいろおっしゃるとは思いますけれども、それでも我々としての信念や信条を貫いてやってきたわけでございまして、地方分権というテーマをやるに当たっては、そんなことできっこないと言われました。

 最後に総理に伺いたいと思いますが、今回の法律では、地方分権の視点が残念ながらございません。そして、総理が公約をされた北海道の道州制法案、これは北海道の高橋知事からもいろいろ資料をいただきました。もう北海道では、道がやるべきもの、国がやるべきもので仕分けをして、そして何ならできるということもかなり事細かな資料をいただきました。そして、これが分権のモデルだったわけでありますけれども、残念ながら八項目しか残らない、それによって随分後退したというような今指摘があるわけでございます。

 残念ながら、官庁の職員がつくった行革案ではやはり骨抜きにされる。我々は議員の立場で、少ないスタッフではありましたけれども、それでも各界からの英知を集めて、納税者の視点というものを忘れないように、そして地方自治体の視点を忘れないように、それを主眼に置いてやろうということでやってまいりました。今回、国の機関の自治体受け入れも、この法案では明記を見送られました。

 総理が公約されたこの北海道の道州制の法案、この点につきまして、総理、今いかがな思いでいらっしゃいますか。

小泉内閣総理大臣 地方にできることは地方にというのは、昨年来から、税源移譲、補助金、交付金改革、これを一緒にやってきたわけです。

 今回、税源移譲三兆円、交付税四兆円、補助金が五兆円という、これの実態を見きわめよう、この成果を見てから、今後どこまで、地方にできることは地方にということは国の役割も見直していかなきゃなりません。決して今回の地方交付税、税源、補助金の改革で終わりではありません。まず、今まで百年来でき得なかったことをやろうとして、地方も受け入れたわけです。この成果を見るには時間がかかります。その時間を見て、成果を見てから、今後、それではあとどの分野を地方に任せることができるかということを考えるべきじゃないかと思っております。

 また、道州制は、私はもとより、やるんだったら北海道から先だということを言っているわけです。だから、北海道がいい案を出してきなさい、それで調整しますよということで、今調整中であります。

 私は、国が無理やり北海道に押しつけるということはいたしません。北海道がその意欲を持って、どの程度なら自分たちに任せてほしいのか、どの程度は地方で受け入れられるのか、受け入れるのが嫌なのか、見きわめないと、押しつけになってしまう。その点もよく調整して、北海道がみずから、自主権、裁量権を拡大する、そうしてほしいと言うのなら出してほしい、そういう中で調整しているところでございます。

渡辺(周)委員 最後に申し上げます。

 私は、いろいろな行革が進まずにこれだけの問題が起きてきたのは、決して自民党がすべて悪いとは申しません、自民党しか続かなかったことがやはり問題だった。政権交代がなかったことが政官業の、結局、為政者に都合のいい社会をつくってきた。そのためには政権交代しかない、そのことを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

伊吹委員長 渡辺君の質疑はこれにて終了いたしました。

 次に、大串博志君。

大串委員 民主党の大串博志でございます。

 きょうは、短い時間ではございますけれども、これまで行革推進法案、この委員会で多々議論してまいりました。その議論の内容を振り返る形で、総括質疑でございますので、この行革推進法案の内容の問題点、そして足りないところ等々について明らかにしていきたいというふうに思います。

 先般来、この行革推進法案に関する議論が続いておりまして、この中で、政府の方からは、この行革推進法案、これがベストな法案だ、もちろんそうやって胸を張る発言をいただいております。これによって簡素で効率的な政府が実現できるんだと胸を張った意見が出てきておりますけれども、果たしてこの行革推進法案、本当にこれで実効性のある行政改革、簡素で効率的で、かつ、国民の皆さんのためになる行政改革が達成できるのかという点についての疑問が、これまでの議論の中で呈せられ、それに関する議論がいろいろ起きてきたわけでございます。これを少し振り返ってみたいと思います。

 資料を委員長の御理解を得て配らせていただいておりますけれども、この行革法案の中にいろいろな目標が書かれております。この目標に沿ってこの行革推進法案が実行されていくわけでございます。

 ここにありますように、政策金融改革においては、貸付金残高のGDP比二分の一以下、あるいは特別会計改革においては、二分の一から三分の一程度に数を減少する、財政健全化として二十兆円程度寄与、あるいは総人件費改革においては、GDP比二分の一に近づける、公務員総数五%以上純減というようなことがありました。

 これについてもるる議論をしてまいりましたけれども、例えば、本当にこれが実効性があるのかという観点から、けさほども議論がありましたけれども、政策金融改革について言えば、確かに、一つの政策金融機関にまとめて、政投銀あるいは商工中金、これを民営化することによって大きな改革が進むわけでございますけれども、この貸付金残高二分の一ということに関しましては、政投銀及び商工中金が民営化されることによって、あるいは公営公庫が廃止されることによって、ほぼこれで達成できてしまう。残りの一つ、でき上がる政策金融機関について、これが本当に官のやるべきところだけをやり、民のやるべきところを民に渡して、効率化の実を上げながら適切にやっていくかというところが問題になるわけですけれども、答弁の中では、この具体的な制度設計に関してはこれからという、やや心もとない思いがしたわけでございます。

 そして、特別会計改革でございますけれども、数に関して、これは私は非常に大きな問題だったと思いますけれども、二分の一から三分の一程度に減少するということ。これも議論の中で明らかになりましたけれども、統合という手法を用いて、三十一あるうちの十八は九つに減る。すなわち、十一の減に関しては統合の効果なんだ。すなわち、二分の一から三分の一に減る分については、かなりの部分が統合による結果なんだということが議論の中で浮き彫りになってきておって、さらに、一つ一つの改革の中身を見てみると、検討という文字が躍っている。そして、その検討という文字の中には、期限が付されていない検討もたくさんある。

 二十兆円程度の財政健全化に寄与するということに関しましても、十三・八兆、ことしの予算において既に健全化を果たして、その後に関して言うと、比較的楽に達成できるのでないかという指摘もある。

 そして、総人件費改革、GDP比二分の一に近づけるとありますけれども、これも、郵政民営化の分あるいは独立行政法人を公務員型のものから非公務員型にするというものも仮に加えれば、GDP比二分の一にするという、この半減という目標のうちのほぼ三割五分ぐらいは達成できるわけでございます。

 もちろん、この公務員総数を五%以上純減する、これは非常に高いハードルがあろうと思います。四苦八苦されております。六月に向けて大きな方針を出されようとされていますけれども、その推移が見守られるところ、そういうふうな状況になっているわけでございます。

 ですから、ここにありましたように、行革推進法案のこの中身において、本当にこれでしっかりとした内容がこの法案だけで達成されるかというと、この議論を通じて、内容が詰まっていない、あるいはこれから検討、あるいはその実態においてはまだ数字としてはっきり具体的でないというようなところもかなりあったわけでございます。

 そして、これに加えて、私の目から見ると、行革推進法案に、この審議を通じて見ても、入るべきで入っていなかった面があると思います。行革推進法案の忘れ物ということで、私ここに書かせていただきました。

 議論の中で明らかになっております、地方分権に関する視点の欠落、天下りそれから談合に関する視点の欠落、この二つ、非常に大きなものがあろうかと思っています。三番目に、独立行政法人に対する留意不足。これも後ほど指摘させていただきますけれども、特に1、2、この点は、行政改革というものを問うのであれば、極めて致命的な問題ではなかろうかというふうに私は思っているわけでございます。この一つ一つに関して、時間のある限り議論させていただければと思います。

 まず、地方分権の視点の欠落についてでございますけれども、資料の三ページを見ていただければと思います。

 前回もこれはお示ししましたけれども、カナダにおける行政改革を行ったときに、カナダの政府が使った政策評価のガイドラインでございます。これは一国の例だというふうに思われるかもしれませんけれども、実はこれは、一九八〇年代から九〇年代に各国が行政評価を行うときに模範とした、極めて古典的な政策評価、行政改革をする際の政策評価を行うときのガイドラインなんです。全世界とは言いませんけれども、先進国においてはこれは極めて重用されておりまして、日本においても行政評価法をつくるときにこの考え方は大きく寄与してきたわけでございます。

 これを見ますと、行政改革をするために政策評価する際には、まず公共性の基準を一番に見る。すなわち、これは公益に資するかという点を見てイエスかノーかを判断し、二番目に、政府の役割の基準を見る、つまりそれを政府がやる必要があるのかどうかというのを見る。そして三番目に、連邦政府・州政府の基準というもので、これを中央政府でやるべきか、それとも地方政府でやるべきかというのをチェックすると、三番目に出てきているわけです。

 こういうふうに、行政改革を行う上においては、三番目のチェックポイントとして、国でやるのか地方でやるのかというのは必ず見なければならない。であるにもかかわらず、今般の行政改革推進法案においては、地方分権に関する視点、地方分権を行うことによって行政改革を行おうという視点が欠落しています。

 この点に関して、中馬大臣、法案提出大臣として、なぜ地方分権に関する考え方が盛り込まれなかったのか、御答弁いただきたいと思います。

中馬国務大臣 今大串委員は、全般について、これが実現不可能のような言い方をされましたが、今おっしゃいましたことすべて、その手法も含めて、我々としましては、手続を踏んで、ここまでまとめたのが今回の法律でございます。

 地方分権のことをまずはおっしゃいましたけれども、地方分権につきましては、これはもう、地方分権一括法、その前には地方分権の国会決議、こうしたものも含めて、ずっとここまで進んできております。三位一体の改革でかなりの税財源等も地方に移されました。その中でも重要な一つの条件になっているわけですから、その上に基づいて、今回の改革の方はどんどんそれに向かって進めてまいります。ですから、このことを改めて書いてはおりませんけれども、このことは一つの前提になっているわけでございます。

 それから、先ほどから挙げておられます政策金融や特別会計、こうしたこともありますが、これはこの法案の中で目的のところでちゃんとうたっておりますように、もう既に時代的な役割が終わったものは廃止することにいたしております。それから、いろいろと複雑になってきているのをもっとまとめたらいいじゃないか、これは統合もちゃんと仕分けをさせていただいておりますし、また、もう民が育ってまいりました、逆に、民に渡した方がよほどサービスがよくなったり、そしてまた民の方が効率よくやるということにつきましても、これは市場化テストとかそうした手法を今度は提示いたしておりまして、そこに移していくわけでございます。

 これはもう一々、すべてですから、法案の全部を説明しなきゃいけませんから省略いたしますけれども、個々について見ましても、ちゃんとこの法律ができ次第、すぐこれは制度設計に取りかかって、年内にめどをつけるところまでひとつ皆様方にお約束しているわけでございますから、今委員の御指摘は当たらないと思います。

大串委員 地方分権に関して申し上げますと、確かにやってきていらっしゃる。やってきていらっしゃるけれども、もっと抜本的にやる必要があるんじゃないかということを申し上げているわけです。

 そして、地方分権一括法等々のことをおっしゃいましたけれども、確かに国と地方の業務の仕分けはできているけれども、一番重要な、国の権限、つまり規制の権限等々を地方におろす、あるいは税財源を地方におろす、こういうことに関してはまだまだこれから、先ほど総理もおっしゃいましたけれども、これから続けるという点があるわけでございます。

 であれば、この法律、プログラム法というふうに我々申しておりますけれども、いろいろなプログラム、今後やっていくことのプログラムが書かれているのであれば、地方分権を重視されているのであれば、ここに書かれるというのが筋ではなかったか。そうでなかったら、地方分権に対して本当にこの内閣が熱心にやっているのかというところを疑われても仕方がないんじゃないかという思いで私はこの点を申し上げているわけでございます。

 何か所見がありましたら、竹中大臣、どうぞ。

竹中国務大臣 地方分権の担当の立場からぜひ申し上げたいと思いますが、地方分権について記述がない、ないしは取り組みが少ないということは、これは全くそうではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 我々は、先ほども総理の御答弁がありましたように、三位一体の改革ということをこの三年間進めてまいりまして、はっきりとした数字、方向性を出しました。そして、それを実現いたします。むしろ、その三位一体の改革に象徴されるように、その地方分権の中で一番難しい部分、税源移譲を含む部分を既に枠組みとして決めて、それはもう実施に入っているわけであります。それをまずしっかりと定着させるというふうに総理おっしゃいましたけれども、それがこの地方分権に関する今の方向でございます。

 しかし、それでもなお、改革に終わりはありません、地方分権に終わりはありません。そういう形で今実施するということを一つの事実としながら、私の方で地方分権の、まさに委員おっしゃった国の役割、地方の役割、そもそも論の議論をまた別途開始しているわけです。そして、そのことは地方六団体にも明確にお願いをしまして、私たちも検討するから、あなたたちも検討して、地方の意見として聞かせてくださいということを申し上げております。これはもう、まさに断続的にといいますか、エンドレスに続くわけでございますので、そういう位置づけになっているということに対して御理解を賜りたく存じます。

大串委員 地方分権に関して、我々の民主党の案に関していいますと、より抜本的な地方分権を前提として考えております。どう進むかということもしかることながら、もっと進めてほしい、そういう思いも込めて申し上げているわけでございます。

 第二番目に、行革推進法案の忘れ物として、天下り、談合に関する視点の欠如という点を指摘しました。これに関して、先般、長妻議員の方からこの委員会でも議論がされました。質問主意書が出ております。質問主意書におきまして、政府が天下りのあっせん、仲介をした例、これに関する質問主意書が出ておりまして、一昨年の八月の末にこの回答が出ております。

 これによりますと、一、二、三とございますけれども、中央政府が天下りのあっせん、仲介をした例が過去五年間で三千人に及ぶということが指摘されております。そして、この質問主意書の一番最後、ちょっと字が小さいんですけれども、あっせん、仲介に関してはこう書かれております。「職員の再就職のあっせん、仲介等については、職員の在職中の職務の適正な執行を確保するとともに、職員が在職中に培った経験や能力に対する企業、団体等の需要にこたえる等の観点から、必要に応じ行っているものであり、適正に行われる限り、別段問題はないと考えている。」しかし、これを私は非常にショッキングな思いで眺めておりました。

 これだけ天下り、そしてこの天下りを基礎とした、例えば一般競争入札が行われるときにおいても談合が行われ、落札率が、本当なら七〇%、六〇%というところで至るべきところが九十数%にとどまっている。あるいは、一般競争入札が行われないで随意契約という形で公益法人に引き取られている。こういう問題、すなわち天下りという問題がこの大きな無駄遣いの問題の根幹になっているにもかかわらず、いまだにこの仲介、あっせんに関して、政府がそれを行うということに関してこれを認めているというこの現実、これは非常に国民感覚からすると違和感があるんじゃないか。

 この政府公共調達は三十兆円以上にも及ぶと言われております、国と地方のダブりがありますけれども。これによって、落札率が仮に一〇%、二〇%変わると、数兆円オーダーで年間の予算が変わるわけです。にもかかわらず、政府が再就職の仲介、あっせんをする。これはおかしくないかという点に関して、公務員制度を監督される総務大臣、ぜひ御意見をお伺いしたい。

竹中国務大臣 この委員会でもいろいろと本当に御議論いただきましたが、いわゆる天下り問題に対しては国民の厳しい批判があるということを我々も真摯に受けとめております。

 そして、今後とも、国家公務員のいわゆる再就職、これは、再就職はやはり必要な場合はございますし、人材を活用するということも社会的な観点から必要な場合はございます。しかし、それを適正に行っていただかなければいけませんから、再就職の適正化に取り組むということは我々の強い姿勢でございます。

 お尋ねの質問主意書、これは平成十六年の八月に回答させていただいたものだと思いますが、この答弁書につきましては、まさに再就職のあっせん、仲介等を行っている府省の部課名等について、総務省として、これは各府省に依頼をして取りまとめて、そして確認させた結果を取りまとめさせていただいております。

 この中で、今委員直接お尋ねの、再就職のあっせん、仲介等については、これは先ほども言いましたように、やはり職員が在職中に培った経験や能力に対する企業や団体の需要にこたえるということは必要だと思います。その必要に応じて、企業、団体等から照会等に応じて行われているものというふうに認識しております。そして、それが適正に行われている限り、それは別段問題にされるべき問題ではないと思います。

 委員がおっしゃったように、それが非常にゆがんだ発注と結びつくということでございましたら、これはもう適正化していかなければいけないのは当たり前でございますけれども、取り次ぐということはあり得るわけで、そのことそのものが悪であるということではないというふうに認識をしております。

 ただ、いずれにしましても、先ほどから申し上げているように、国民の厳しい目があることをきちっと踏まえた上で再就職の適正化に取り組んでまいる所存であります。

大串委員 先ほどの菅委員からの指摘にもありましたけれども、この天下り問題になると、途端に非常に歯切れの悪い答弁になられるんじゃないかという気が私はするわけです。この法案の中に天下り問題を書こうと思ったら書けたはずなんです。

 例えば、官製談合で今般非常に問題を生じられた防衛施設庁などにおかれては、この天下りの問題が非常に問題として大きかったということから、例えば、早期勧奨退職の問題についてもやらないというような方向を示されたり、あるいは受け皿機関となっていた公益法人防衛施設協会に関しましても清算する方向で考えるというようなことも、問題が生じたところにおいてはやっていらっしゃるわけです。

 そのほかの省庁においても同じような構図が、全く同じ構図が見えてきているわけじゃないけれども、天下りがあって、それの受け皿たる公益法人があってという構図がある。同じように高いスタンダードを持って、この法律の中にきちんと書いて、天下りをしないんだという仕組みを構築されていくということがあってもよかったんじゃないか、そこが非常に私は気になるわけでございます。

 そして、この仲介、あっせんに関して、いろいろな理由をもってして、これはいいんだとおっしゃる。例えば、ノウハウを生かす、あるいはここに書かれていますように、「職員の在職中の職務の適正な執行を確保する」、このことも理由に書かれていますけれども、私、この職員の在職中の職務の適正な執行を確保するために、何で人事担当者が天下りを仲介していいんだろうと率直に思いました。

 大臣、これはなぜか。中馬大臣、答えられますか。

中馬国務大臣 今、竹中大臣からもお話がありましたように、今回のこの天下り、談合問題、これも大変な国民の激しい憤りを浴びているわけでございまして、これは真摯に受けとめなければいけないと思っています。それと、そのことを今回の法律に書くこととはちょっと性格が違うんじゃないかと思います。今回の法律は、一つのそういうことを含めた、時代に合わなくなった、あるいは非常に問題が生じているところの制度そのものを変えていこうとする、大きな枠組みを変える法律でございまして、談合問題につきましては、小泉首相の指示を受けまして、議員立法で、罰則の強化などを内容とする官製談合防止法の改正案、これを取りまとめておりまして、国会に提出されているところであります。

 それともう一つ、このよって来るところの早期退職慣行、こうした今の制度上の問題、これはこの法律の中にも、能力実績主義に応じた人事管理をしていくとか、あるいは一つの公務員制度改革もちゃんとやります、そしてこれは実際に連合の方々とも話し合いをしたり、仕事といいましょうか、そうした検討の場を設けることも含めて前向きにどんどんと今進めておるところでございまして、それもその枠組みはこの中に入っているわけでございます。この中に、この法に記載がないからけしからぬという話とはちょっと違うんじゃないかと思います。

大串委員 天下りの問題ですけれども、法律の中に書かなくてもやっておるということでございましたけれども、より強い姿勢をあらわして、より政府としてきちっとした態度を示し、かつ法律の枠組みとして政府の中で実施していける体制をつくるのであれば、やはり書くべきなんじゃないかという気がするわけでございます。少なくとも我々民主党の案においてはきちんと書いて、それをやっていく姿勢を示している。そこにおいて非常な態度の差を私は感じるわけでございます。

 そして、話は先ほどに戻りますけれども、このあっせん、仲介に関して、ここに申し上げました、職員の在職中の職務の適正な執行を確保するために再就職の仲介、あっせんをしているんだと。大臣、事務方の方に確認しましたら、これはどういうことかといいますと、もし人事担当者がまとめて仲介、あっせんしないと、おのおのの職員の方々が勤務時間中に自分の職探しをされるだろう、これはいかぬ、だから人事担当者がまとめてやるんだということでございました。

 どっちが、どれがどういうふうに大きな問題なのか、その問題があろうかと私は思います。職員の方が勤務時間中に職探しをしてはいけない、これは職務専念義務という国家公務員法の義務をもってしてきちんと取り締まるべき問題。他方、人事担当者が仲介、あっせんをするという問題は、天下りを大きく助長する可能性があるという面において、非常に悪の、あるいは問題の多い問題じゃないかと思うんですね。

 あともう一つ言わせていただきます。「職員が在職中に培った経験や能力に対する企業、団体等の需要にこたえる等の観点から、」というふうにも書かれています。資料の六ページを見てみてください。これは防衛施設庁の方からいただいた資料でございます。黒塗りも防衛施設庁の方からいただきました。これは、あっせん、仲介をしたケースで、採用された企業の方から防衛施設庁の方に届けられた資料だそうでございます。これを見ると、「職務内容 特命事項に対する企画、調査」、防衛施設庁の方が持たれているノウハウや技量と何がここに関係あるか、よくわからないわけでございます。

 こういうふうに、本当にノウハウを生かすためにあっせん、仲介をやっているんだということが正当性を持って言えるかどうか、これも非常に疑問なわけでございます。ですから、やはりこのあっせん、仲介をもってやっているということが天下り全般の問題をより助長している可能性がある。あるいは、長年ずっと同じ立場で天下りが行われている場合には、引き続きそれが行われてしまう可能性がある。これも踏まえると、やはり仲介、あっせんというのはやめるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、竹中大臣、どうぞ。

伊吹委員長 竹中総務大臣、申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔に答えてください。

竹中国務大臣 先ほどの、適正な執行の確保のために云々というのは、これは御指摘のように、一言で言えば、職員の方が現役の時代、安心して働いて職務に専念できるように、そのような趣旨でございます。そういうことはやはり私は必要なことだと思うんです。そして、委員が御指摘のように、いわゆる役所の権益に基づいてあっせんする、そういうプレッシャーがかかるようなことは、これは厳に避けなければなりませんので、そこは我々も常に常に注意して当たっているところでございます。

 ただ、一つ、天下りに関するとトーンが弱くなるという御指摘なんでございますが、ぜひ今度の法律の中でも書いているところを読んでいただきたいんですが、今回、政策金融機関を一つにするわけです。これは、役所から見ると、今までの天下りポストがほとんどなくなる。かつそこに、閣議決定では、トップマネジメントに対しては天下りしない、経営責任者という言葉だったと思いますが、天下りしない。これは正直言って物すごく役所の側の抵抗もありましたが、ここはまさに内閣の意思として、天下りを廃止するんだという意思でそのような法案をつくっておりますので、非常に厳しい法案だという点を御理解賜りたいと思います。

大串委員 天下りの問題、地方分権の問題、より大きな枠組みの問題として取り上げていきたいと思います。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 大串君の質疑はこれにて終了いたしました。

 次に、渡部恒三君の質疑に移ります。

 申し合わせの時間は四時まででございます。

渡部(恒)委員 渡部恒三であります。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、小泉総理の政治姿勢について若干お尋ねしたいと思います。

 早いもので、竹下内閣ができて、あなたと国会対策の仕事を任せられてから十八年たちました。あのとき竹下さんが総理と私に、自民党が多数だから国会で何でも強行採決していいならば、次の選挙まで国会は要らない、やはり国会は少数党の意見も国民の代表として聞くためにあるんだから、少なくとも審議日程等については全部野党の意見を入れて審議しろ、こういう話をしたのを、小泉総理、記憶しておりますか。

伊吹委員長 どうぞおかけください。

小泉内閣総理大臣 十八年前、渡部国対委員長の下で筆頭国対副委員長、毎日毎日、野党との対策を練りながら、あの消費税三%導入法案、苦労した思いが今よみがえってきます。きのうのことのようで、粘り強く、当時は社会党でしたけれども、社会党の大出国対委員長、公明党の市川国対委員長、民社党の中野国対委員長、もう毎日のようにお会いして、渡部国対委員長とは、昼も夜もよく御指導いただきました。

 そういう中で、竹下総理も苦労されて、できるだけ野党と余りぶつからないようにじっくりとやろうと。あの粘り強さ、よく学ばなきゃいかぬと思っております。

渡部(恒)委員 審議については全部野党の意見を聞けということも覚えていらっしゃるわけですね。

伊吹委員長 おかけください。

小泉内閣総理大臣 たしか、全部言うことを聞けとは言わなかったでしょう。できるだけ野党の皆さんの意見も聞きながら、譲るべきところは譲る、原則は曲げないようによく気をつけろというようなお話だったと思っております。

渡部(恒)委員 橋本前総理よりは記憶が若干あるようですけれども。

 なぜ私がこんな質問をしたかというと、今厚生労働委員会でもめているんです。これは、民主党はがん対策の法律を国会に提出しました。ところが、政府・与党である自民党はがん対策の法案がまだ国会に出せないんです。聞くところによれば、あなたの嫌いな族議員の抵抗で何か厚生省案がまとまらないとか。

 それで、当然、民主党が出しているがん対策法案を議運でおろしてくれれば、今国民が関心を持っているのは健康です。あなたも厚生大臣、私も厚生大臣で、人の命は地球より重い、その中でも、がん対策。小児科の先生少なくて困った、産婦人科の先生困った、いろいろ心配しますが、この一番大事な審議が行われないんです。

 理由は、これも変わったものですね、あなたと私が国会をやっておったころは野党の審議拒否で随分苦しんだものですが、今度は与党の審議拒否で審議が行われないので、これはどのようにお考えになりますか。

小泉内閣総理大臣 いや、国会対策は今、私の手から離れておりますので、厚生労働委員会でどのような審議がされているかわかりませんけれども、与党が審議拒否というのはないでしょう、してないでしょう。

渡部(恒)委員 民主党が議会運営委員会にがん対策の法律を出しているんです。ですから、議会運営委員会で厚生労働委員会におろしてくれれば、すぐ審議が始まるんです。あなたと国会をやっていたころは野党が物わかりが悪くておろしてくれないので随分困ったものですけれども、今度は与党がおろしてくれないんです。どう思っているんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 今、議院運営委員会でどのような審議がされているか、私、承知していないんです。どういう状況かお答えできないので申しわけないが、よく協議を進めて、円滑に、早く委員会でしかるべき審議がされるということを期待しております。

渡部(恒)委員 恐らく……

伊吹委員長 渡部君。

渡部(恒)委員 二十六年ぶりなものですから、なれないで、委員長、申しわけない。

伊吹委員長 御心配なく。ごゆっくりおやりください。

渡部(恒)委員 去年の選挙のとき、あなたは、規制緩和、官から民へ。これは、なかなか短い言葉で、国民に受けましたね。あれで選挙に勝った、あなたの方が。私の方が負けた。しかし、よく考えてみると、官から民へとか規制緩和は、これは五足す五は十の話で、当たり前なんです。政治がやらなければならないことは、何は官でやらなきゃならないか、やはり規制はなくなった方がいいけれども、この規制を残さなくちゃならないか、これが私は総理大臣の判断だと思います。

 今、小泉総理になってから、自殺者が何かどんどんふえていると。生活が困って、あるいは中小企業経営に困って、その質問がよくここで行われるとき、あなたは一つだけ自慢話で、交通事故で亡くなっている人は私になってから減っていますと、こう言っているのを私聞いております。あれは、正確に申し上げると、私が国家公安委員長のときに、文句を言われながら、交通規制を二度にわたって厳しくしたので、あのとき交通事故で死んだ者が一万二千人おったんですが、あなたになって、今、七千人になっているんです。あれは私の仕事だったんです。やはり規制は緩和すべきだけれども、交通規則をなくすわけにはいきません、これが政治です。

 官から民もそうなんです。それは、なるべく民の方がいい。これは、あなたは横須賀だから山がない、私は山ばかりのところで育っているので、ぜひ知ってほしいと思うんですが、もう汗を流して一生懸命植林して、刈り払いをやって、後ろの通産大臣なんか山の中だから知っているはずだ、そろばんが全然合わないんです、山林経営というのは、林業経営は。だから、ほうっておけば、山を守る人はいなくなります、過疎地に生活する人はいなくなります。国破れて山河あり。

 ところが、小泉内閣になってこの国から山がなくなったというようなことにはしてはならない。幾ら自由主義経済で自営努力だといっても、やはり官がやらなくちゃならないことが山のようにある。この国の緑と水はやはり国や地方自治体が守っていかなきゃならないと思いますが、いかがお考えですか。

小泉内閣総理大臣 山河、緑、川、海、森、大変大事であり、環境を大事に守っていかなきゃならないという点については共有の認識を持っていると思います。

 私の地元、横須賀ですけれども、米軍基地もありますけれども、大楠山という山もあるんですよ。また、都市の農家、三崎の漁業、都市農業また漁業も盛んなところなんです。そういう面において、海と山というのは密接に結びついているということは私もよく承知しておりますし、渡部国対委員長の地元の会津にもたびたびスキーで訪れたこともあるし、今、会津においては、特区も出ているし、観光客もふえている。さまざまな創意工夫を発揮されて、ふるさとはいいな、日本の東北地方はいいな、会津はいいな、そういう状況でかなり活性化してきている点も私は喜んでいる一人であります。

 歴史も、会津白虎隊、あの悲劇の歴史もある。伝統、文化を大事にして、全部日本が東京ばかりじゃおもしろくない。やはり地方のよさを生かしていかなきゃいけないと思っております。

渡部(恒)委員 大変すばらしい答弁をちょうだいしました。

 歴史をあなたは知っているかどうか、小栗上野介を知っていますか、横須賀に造船所をつくっている。あの家族が戊辰戦争のとき会津に来て暮らされて、横須賀と会津若松は姉妹都市になっている。

 それから、そっちの、大学の先生で大臣になった人、竹中さんというのは、市場原理、市場原理と盛んに言っています。これは、自由主義経済、当然なことである。しかし、その自由主義経済で落ちこぼれる人を助けるのが政治じゃないんですか。それで負けた者は死んでいけというのなら、もう総理大臣も要らないし、国会議員も要らないので、私は、この国の経済を戦後六十年担ってきたのは、何といったって中小企業だと思う。雇用の面でも経済の面でも、七〇%、八〇%。

 今度から商工中金民営化、これはしようがないことでしょうが、しかし、私の過去の経験からいうと、この商工中金のおかげで、つぶれそうな会社を助けてもらった、夜逃げしないで済んだという人たちが山ほどあります。これが民営化されても、そういう機能は、今、全国の中小企業、小さな商工業の皆さんは心配しておりますから、そういう方には心配かけないんだと、総理、お約束していただけますか。

小泉内閣総理大臣 別に私は、市場原理主義とか市場万能主義じゃないんです。やはり市場経済を重視していく、これは一つの時代の方向だと思います。役所が計画経済、統制経済という時代ではないだろう、民間の創意工夫を発揮しやすいような市場を形成していくべきだろうと思っております。

 そういう意味において、日本の今大きな企業を支えているのは中小零細企業ですし、今回政府系の金融機関を統合するにしても、今までの国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫の果たしてきた機能、役割、そして民間の金融機関は貸さないであろうというところにも、これはやはりやる気があるな、大事だなという点については、きちんと政府系金融機関の果たしてきた役割というものをよく考えて融資していかなきゃならないと思っております。

 そういう点から、今、渡部国対委員長の地元では、さまざまな古いものも大事にしよう、蔵とかあるいは古い時代の建物を保存しようとか、特に野口英世のふるさとでしょう、これはもう全世界で有名だし、アフリカのガーナには野口英世記念館もあるし、私、連休には行ってこようと思うんですけれども、地域にも恵まれている、人物にも恵まれている。さまざまな地域のよさというもの、それから地方の特色を生かしたような融資というものは政府としても支援していかなきゃならないと思っております。

渡部(恒)委員 大変親切な御答弁をちょうだいして申しにくいんですが、五年間の小泉政治、私は、あなたとお目にかかったころから、この人は総理大臣になると思ったけれども、まさか五年もやるとは思わなかったけれども、この五年を総括すると、やはり今話した地域格差、それから、残念ながら、きのうの日本銀行の発表でもありますけれども、今景気がよくなったよくなったと言っているけれども、北海道は景気が悪い、東北も悪い、四国も悪い。地方はまだまだ、このままなら我々のふるさとがなくなっちゃうんじゃないかと心配するぐらい、田舎に帰るたびに、あのうちがつぶれた、このうちがつぶれそうだという話が多いということも認識していただかなければならないし、やはり残念ながら、あなたが総理になってから首都圏に金も物も人も集中している、地方が切り捨てられていることだけは、これは間違いないんです。

 しかも、それなら、私この前ちょっと勉強して驚いたのは、今どんどん地方は人口が減って困っているときに、唯一人口が集中してふえている東京の人が幸せかというと、就学補助率、これは子供を学校に出す、お父さん、お母さん、一生懸命働いて、そのお金で出してあげたい、しかしお金がない、お世話にならなくちゃならない、この人が、全国一二・八%の中で、東京都が二四・八%、一番多いんです。足立区なんか四二・五%ですよ。子供の教育費、お父さん、お母さん、持ってあげられない。

 地方は過疎になってみんな苦労している、人口が集中している東京の人たちは生活格差で苦しんでいる、これはやはり直していかなければならない。どうすればよいか。私は、この国が今やらなければならない大きな問題は、地域格差の是正、経済格差の是正、企業格差の是正、こういうことだと思いますが、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 格差といえば、東京都内にも格差はあると思います、地域によっても格差があると思います。要は、あるときはよくなくても、また次のチャンスを見出してよくなっていこう、そういう機会をできるだけ提供していくことが大事であって、私は、今の状況において、確かに地方において東京に比べればまだまだおくれているという面があると思いますが、田舎という言葉が使われて迷惑だと思ったら、そうじゃないと。地方の人が、田舎という言葉はいいんだ、一流の田舎にしたいという言葉を青森の御婦人がタウンミーティングで使っていたということを聞きまして、これはなかなかいい言葉だなと。東京と同じようで、すべて地域に銀座があったんじゃおもしろくない。東京にはない、一流の田舎をつくろうという意欲がこれから地方にも必要じゃないか。

 今ちょっと資料を見てみましたら、会津の渡部国対委員長の地元で、かつては観光客が減っちゃった。ところが、今はふえているというんですね。何でかといったら、カヤぶきの民家を保存して、電柱をなくして、舗装を砂利道に戻して、昔の景観を復元している。外国人を初めとして、観光客が今急増している。かつて二十万人だったのが、今、年間八十万人来ている。さらには、会津地域内の電車、バス乗り放題、各種施設の優待が受けられる会津ぐるっとカードなどを発行しているという、これは会津の人は知恵があるなと思った。

 こういう、ほかに都会にはないようなよさを見出して地域の皆さんが活性化しようという意欲は、これはどんどん支援していかなきゃならないな、そして、できるだけ多くの違ったよさを日本人にも外国の旅行客にも見てもらう、こういう振興策が必要だなと思っております。

渡部(恒)委員 会津を褒めていただいて、ありがとうございました。

 今これが売れてとまらないんです、全国から、この起き上がりこぼし。これは何で売れているかというと、やはりこの国は二大政党じゃなくちゃならない、民主党が一日も早く立ち直って、自民党にかわる政権政党になるために起き上がってくれという気持ちで、どんどんこれが売れているんです。

 本当はあなたと話したいことはもっともっと山ほどあるんですけれども、残念ながら時間が来てしまいました。

 やはり政治の本質は、弱い人、恵まれない人、本人の責任でなくて世の中の変化の中に困っている人、そういう人が幸せに暮らせるためにあるんだと思います。まず、地域格差をなくし、生活格差をなくし、東京に生まれた人も、東北に生まれた人も、北海道に生まれた人も、千葉県に生まれた人も、それぞれの地域でこの日本に……(発言する者あり)千葉県で生まれた人も一番大事です。それぞれが、おれは会津に生まれてよかった、おれは横須賀で選挙に出てよかった、そういう品格ある日本をつくることが我が民主党の二十一世紀のビジョンであると申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて渡部君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。

 小泉総理、私は、きょうで総理との論戦がちょうど三十回目になるわけですが、四年前にムネオハウスを初めて取り上げまして、私はそのとき、国から補助金を受けたり受注しているような会社、つまり国民の税金を使って仕事をする、そういう会社からの献金は受け取るべきではないというふうに言いました。そのとき総理は、政治と金の結びつきにいろいろ国民から疑惑を持たれている、そのための防止措置というものをどうしたらいいか、何とか実効性のある対応ができるようにしたいとお答えになったわけです。

 総理、今でもその姿勢に変わりはありませんか。

小泉内閣総理大臣 政治資金の調達方法、また使い方等、国民の厳しい監視の目があるということは承知しております。それだけに、民主主義にはコストがかかるという観点から、この政治資金のあり方については、今後も不断の検討が必要だと思っております。

佐々木(憲)委員 きょうは、公益法人のあり方についてただしたいと思っております。

 公益法人というのは、公の利益のためにつくられた法人であります。つまり、不特定多数の者の利益を積極的に図るというのが目的ですね。特定の者の私的な利益を図るというものであってはならない。

 そこで、前提として確認をしたいんですが、政治資金規正法では、国民の税金を補助金などの形で受け取っている法人は政治献金をしてはならないというのが原則であります。

 その理由について昨年二月八日の予算委員会でただしたところ、麻生総務大臣はこういうふうに答弁されました。国から補助金の交付を受けている会社、法人からの政治資金の授受は、補助金の決定などで不明瞭な関係を生じさせる危険性があることから、規制しようとするものだと。

 現在この問題を所管している竹中総務大臣、同様の認識かどうか、確認をしたいと思います。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、政治資金規正法の第二十二条の三第一項におきまして、国から直接補助金等の交付の決定を受けた会社その他の法人は、この決定の通知を受けた日から一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならないというふうにされているところでございます。この規定の趣旨に関しましては、昨年の予算委員会だったと思いますが、当時の麻生総務大臣から御答弁をしたとおりでございます。

佐々木(憲)委員 日歯連事件で明らかになったのは、その規制を逃れるという手口であります。

 私は、事件後に、日本歯科医師会の後任の会長にお会いをしました。そのときにこういうふうに聞いたんです。なぜ日歯連という政治団体をつくったんですかと聞きましたら、政治献金をするためだというふうに答えたわけです。これは、大変私は印象的だった。公益法人である日本歯科医師会としては直接政治献金ができない、そこで日歯連という政治団体をつくったわけです。

 会長も会計担当も事務所も電話も全部同じ、同一の団体である、名前だけ違う。その団体を通じて自民党に献金があった。こういうやり方は、これは脱法的な行為であって、私は到底許せないと思うわけですが、私の質問に対して、当時、坂口厚生労働大臣は、公益法人と政治団体の峻別を徹底したいというふうな答弁を行いました。それで、医師会、歯科医師会、看護協会に対して指導的調査を行いました。

 川崎厚労大臣にお聞きしますが、二年前の調査によると、問題があった法人のうち、改善が行われたというのはわずか三分の一。その後二年経過しましたが、どうなりましたか。調査はやられていますか。

川崎国務大臣 当時、公益法人の活動と政治団体の活動については、会計面を中心として、両者の活動が一体であると誤解されることのないよう適切な峻別が行われるべき、こういう御答弁だったと思っております。公益法人が政治活動を行うこと自体が禁止されているわけではない。しかし、国等から補助金を受けた法人が、当該補助金の交付決定の日から一年の間、政治活動に関する寄附が禁じられている。

 このような観点から、厚生労働省において、平成十六年四月に、都道府県、区市町村、また郡単位の医師会等千三百五十九法人でございますけれども、公益法人と政治団体の活動が一体であるかのような誤解を生じさせる事例の有無について調査を行った上で、不適切な事例があった場合には公益法人に対し改善指導を行うよう、各都道府県に依頼をいたしたところでございます。

 さらに、昨年一月に、平成十六年四月の調査において不適切な事例の見つかった法人について、再度、各都道府県に対し指導の徹底を依頼し、その後も、全国課長会議においてさらに重ねて依頼をして、各都道府県において改善に向けて適切な指導が行われているというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 私の聞いているのは、その結果どのように改善をされたか。三分の一しか改善されないという報告があった。その後、何%改善されたんですか。

川崎国務大臣 今申し上げたように、地方が所管するものについてはこのような形で指導をさせていただいております。

 一方で、国が直接のものにつきましては、日本医師会、日本医師連盟、日本歯科医師会、日本歯科医師連盟、日本看護協会、日本看護連盟、日本薬剤師会、日本薬剤師連盟という形で、賃料の支払い等も含めて、また会計責任者別個という形で、国が直接関与するところについては、そういうような形で改善をさせていただいております。

 地方については、そうした形でやっておりますので、最終結果についてはまだ調査はいたしておりません。

佐々木(憲)委員 結局、調査結果が十分数字でここで紹介できないというのは、事実上、峻別が行われていないということなんですよ。

 私は、補助金を受け取っている公益法人からの献金というのは、どんな形であれ、政治献金それ自体を規制しないと問題の解決にはならないというふうに思います。厚生労働省所管では、日歯連や日医連以外にも、日本薬業政治連盟、日本薬剤師連盟なども同じようなことをやっている。

 中馬大臣、脱法的な政治団体をつくって献金するようなものは、公益法人としてあるまじき行為なんです。そういうものは公益法人として認めてはならないと思う。行政改革法案の中で、今後こういうものは認めないという原理原則はきちっと貫かれているんですか。

中馬国務大臣 今回の改革によって創設される公益認定制度、これは、今までの主管官庁から離れて認定委員会が認定するわけですが、公益の増進及び活力ある社会の実現に資するため、公益を目的とする事業を適正に実施し得る公益法人を認定する制度となっております。このため、公益認定を行う場合には、申請を行った法人ごとに、個別具体的な事実関係を踏まえ、法令に定める認定基準に適合するか否かを判断することといたしております。

 御指摘のような法人につきましても、まずは、その法人が補助金等を適正に使用し、適正な使用でなかったら別でございます、適正に使用し、その目的を的確に実現しているか否かといった、その法人が行っている事業の実態や、その法人の組織や財務の状況についての事実関係が把握されることとなります。そして、その法人について把握された事実関係を踏まえて、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与する事業の規模の割合が全事業規模の五〇%以上を占めていることなどの、法令で定められた認定基準に適合しているか否かが判断された上で、公益認定が行われるべきものだと考えております。

佐々木(憲)委員 こういう脱法的な団体をつくって政治献金をするようなものは公益法人とは認めないとはっきり言ってください。

中馬国務大臣 今言いました、補助金等が不適正に使われているといった場合には、これは認められません。

佐々木(憲)委員 そもそも公益法人はどうあるべきか。平成八年、一九九六年、今から十年前の九月二十日に閣議決定がありました。その閣議決定、ここにありますけれども、その中で、公益法人の設立許可及び指導監督基準というのが決められているんですね。この中で、公益法人とは、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならないというふうに定めております。だからこそ減税も受けられるものですね。したがって、構成員がその団体の内部の利益を図るだけのものというのは公益法人としては適当ではないとされたわけであります。公益法人にふさわしくないものとして事例として挙げられたのが業界団体であります。その業界団体は、三年以内に基準に適合するように指導するとされたわけです。

 二階経産大臣にお聞きしますけれども、あれから十年がたちました。業界団体は公益法人を返上したと言えるのか。例えば、日本の製造業の三大業界団体である日本電機工業会、日本自動車工業会、日本鉄鋼連盟、これはどうなっていますか。

二階国務大臣 御指摘の法人につきましては、経済産業省が許可した公益法人として指導監督を行っております。

 今お話のありました、平成八年九月に閣議決定されました公益法人の設立許可及び指導監督基準において、やむを得ず基準に適合することができない業界団体等に対して、公益法人に関する抜本的な法改革を待って対応することとするとされております。また、それまでの間は、中立的な監事を選任することなどの経過措置が設けられております。

 ただいま御指摘いただきました法人につきましては、こうした指導監督の基準に基づき、それぞれの業界関係者や経済産業省出身以外の監事を選任することにより、運営の適正さを担保しております。

佐々木(憲)委員 それは経過措置の説明であって、こういう業界団体は公益法人にはしない、三年経過した後はそういうことになるはずなんです。それがなっていないんですよ。つまり、閣議決定さえ守れないという状況にあるというのはどういうことですか。

 では、国から補助金は幾ら入っているか、天下りはどうか。このパネルを見ていただきたいんですけれども、皆さんには資料をお配りしてあります。

 これは二〇〇四年の分ですけれども、国の本省庁所管の公益法人は五千あります。そのうちの二千二百法人に、実に五千七百十人が理事として天下っております。また、五百九法人に三千五百五十五億円もの補助金が出されている。六百七十四法人に千三百五十億円の委託費が出されております。この中には、宅建、不動産、外食関係など、さまざまな疑惑が持たれているものがあるわけです。行革というならば、このような構造全体をやはり問題にすべきだというふうに思います。

 それだけじゃなくて、政治献金まで行っておりまして、これはいわゆる業界の中央団体と言われるような、東京都に所在している公益法人だけを取り出したものですけれども、それだけでも十六法人で三億四千万円、自民党国民政治協会に直接献金をしております。しかも、公益法人と一体の政治団体、十八団体から三億円の献金がある。全国の地方組織も合わせれば、もっとたくさんある。

 中馬大臣、改革というならば、公益法人をめぐるこれらの全体構造、ここにメスを入れるということが必要だと思いますが、いかがですか。

中馬国務大臣 先ほど申しましたように、ある特定の団体が公益認定を受けられるか否か、これは、現時点においては判断を申し上げることは差し控えたいと思います。

 ただし、御質問のいわゆる業界団体につきましては、平成十六年十一月に取りまとめられた公益法人制度改革に関する有識者会議の報告書の中で、構成員が同種の業を営む者等の特定の者に限られていることのみをもって、公益性のない法人とみなすのではなく、法人の本来的目的が公益であって、その目的に応じた事業を行うなど必要な要件を満たしていれば、公益性を有すると判断することが適当である、この旨が指摘されております。

 これを踏まえれば、公益認定の申請を行った法人の事業や組織、財務の実態等を踏まえ、国及び都道府県の合議制の機関が法令に定められた認定基準に適合しているか否かを判断し、これに基づいて内閣総理大臣及び都道府県知事が認定することが適当である、このように考えております。

佐々木(憲)委員 これを見ていただきたいんです。これは三つの業界団体の補助金などと献金であります。

 これは最近五年分の数字ですけれども、日本電機工業会は、国から二・六億円を受け取って、二・九億円の献金を自民党にしております。日本鉄鋼連盟は、十一・八億円を受け取って、三億三千万円の献金をしている。日本自動車工業会は、〇・三億円、三千万円を受け取って、三億二千万円の献金をしている。この三つを合わせただけで、国から十五億円を受け取り、その一方で、そこから直接自民党に九億円献金しているわけです。

 政治資金規正法二十二条の三では、補助金を受けている法人が献金することは、不明朗な政治活動に関する寄附がなされるおそれがある、つまり、新たな補助金を引き出すために献金するなどの不明朗な活動をするおそれがある、そういう理由で禁止されているんです。

 竹中大臣、補助金を受けているこれらの業界団体が政治献金するのは、政治資金規正法の精神を踏みにじる、そういう行為ではありませんか。

竹中国務大臣 今委員がお示しになられた三つの例については、個別の事案について我々ちょっと調査する権限もありませんので、これはお答えすることはちょっとできないわけでございます。あくまで具体の事案に即して判断されるべき問題だと思います。

 その上で、制度論として申し上げますれば、政治資金規正法第二十二条の三第一項におきましては、委員が一部引用くださいましたけれども、国から直接補助金等の交付の決定を受けた会社その他の法人の政治活動に関する寄附が禁じられているわけでございます。ただし、補助金等のうち、試験研究、調査に係るもの、災害復旧に係るもの、その他性質上利益を伴わないもの等については同条の適用を受けないものというふうに承知をしております。

佐々木(憲)委員 適用を受けないという理屈を今説明されましたけれども、これは、国民から見たら全然そういうのは通用しませんよ。補助金が入り、しかも減税まで受けているんですよ、減税まで。こういう五年間で十五億円も受け取っている公益法人、公益法人というのは本来やめるべきなんです、先ほど言ったようにこの三つの団体は。それなのに、公益法人を名乗り、減税も受け、これだけの補助金を受け取って自民党に献金をしている。これは余りにも、国民の税金を私物化するようなものだというふうに言わざるを得ない。

 総理にお聞きしますけれども、補助金が入って減税まで受けている公益法人、そこから献金を受けると、自民党が国民の税金を懐に還流させるということになるんですよ。国民の税金を食い物にするということになる。このような献金はきっぱりと拒否する、疑惑を招くような献金は受け取らない、こういう立場を明確にすべきだと思いますが、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 法律的な措置として詳しいことは今承知しておりませんが、今、竹中大臣が言われたように、研究費等、会として、あるいは企業として受ける場合に特別の、補助金とは別の解釈があるという答弁をされたようであります。また、公益法人でも、今までは所管官庁が許可、認可していたわけでありますが、これからは所管官庁の許認可がなくなりますね。

 そういう観点から、公益法人に属している企業なりが、あるいは個人なりが政治活動をしたいというときには、やはり政治団体と公益法人の活動とはきちんと誤解のないような仕分けというんですかね、区分けというものが必要だと思います。政治活動というのは自由ですから、個人であろうが団体であろうが。そういう点も含めて、直接国からの補助金が政治資金として行っているということではないというような解釈だと思います。

 いずれにしても、この問題につきましては、政治活動をする場合に一企業がどのような資金を提供するか、また、一企業、一個人じゃなくて、団体をつくって、みずからの政治的な主張を政党に反映させたいと思ってどのような選挙活動をするか、あるいは資金的な応援をするかという政治的自由の問題がありますから、その点はよくわきまえて行動しなきゃいけない問題だと思っております。

佐々木(憲)委員 公益法人が政治活動をするのは自由なんですよ。しかし、政治献金を行うということが規制されているわけです。政治献金を行う場合に規制されているものですから、脱法的に政治団体をつくる。その政治団体は、全く会長も会計責任者も組織も同じ。これは見せかけのものであって、実態は、直接補助金を受けているそういう団体がそのまま政治献金するんですから、これはもうまさに法の精神を完全に踏みにじっていると言わざるを得ない。

 それで、調査研究というのは別だと言いますけれども、しかし、そこは内容をよく検討しなきゃいかぬですよ。調査研究という名前で入ってきても、大きな目で見れば、国のお金、つまり国民の税金が入っているわけです。名目はどうあれ、国民の税金が入っているところから直接献金をもらったら、還流じゃないですか。試験研究だとか調査だとかいうのは、それは単なる理屈の話ですよ。ですから私は、こういうことさえまともに規制できないようでは、やはり改革の名に値しないと言わざるを得ない。

 小泉改革の総仕上げという形で今度の法案が出されたといいますが、私はこれは改革ではないと思うんですよ、こんなのでは。やはり、企業・団体献金というのは本来全面的に禁止すべきだ。少なくとも、国民の税金を受け取って仕事をする会社から献金は受けるべきではない。政党助成金は、これも税金を山分けするわけですから、この政党助成金もきっぱりと廃止するというのが筋だと思う。やっていることは、実際に公務員労働を縮小してサービスを切り捨てたり負担を押しつけたり、大企業の利益を守ったり、そんなことばかりやって肝心の改革は何もやらない。

 庶民が安心して暮らせる政治に変えなければならない、私はこのことを主張して、時間が参りましたので終わりたいと思います。

伊吹委員長 佐々木君の質疑は以上をもって終了いたしました。

 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 大変時間が限られておりますので、私は、きょうは、地方公務員や国家公務員、それから独法職員、この方々の労働条件について絞って、総理並びに川崎大臣、中馬大臣に御質問をしたいと思います。

 その前に、今度の出された行革法案、とりわけ行革推進法案あるいは市場化テストの法案なんですが、これについて一言申し上げておきたいと思うんですが、実は、独法化のときの議論でも私同じことを申し上げました。総理からどういう答弁をいただいたか、大変あいまいな答弁をいただいた覚えがあるんですが、今回の市場化テストあるいは行革推進法案の中でも、政府、自治体の事務事業のあるべき姿、これが明確になっていない。明確にしないまま、ともかく減量ありきということで突き進んでいるということになっていると思うんです。

 御存じのように、現在の社会、何が起きているか。耐震構造の偽装問題あるいはBSEの問題、さまざまな問題がありました。それから、先ほど多くの委員が指摘しましたが、格差が拡大をして固定をしていく。こういう大変厳しい条件があって、国民の皆さんは今、安心、安全、そのために一体国が何をしてくれるのか、国は国民が今思っていることについてどういう仕事でこたえてくれるのかということが求められているにもかかわらず、残念ながら、今度の行革法案の中には、そういう国民生活を保障すべき政府の役割であるとかあるいは公共サービスの重要性について、これは自覚が非常に薄い、こう言わなければならないと思うんです。

 言ってみるとこういうことだと思うんです。簡素で効率的な政府、こうおっしゃる。小さな政府と全く同じだと私は思うんですが、外交、防衛であるとか、あるいは治安とか権力に関係する部分については政府がやりましょう、しかし、その他の事業については、これは原則的にというか、もうすべてと言っていいと思うんですが、市場にゆだねてしまえという中身ですよ。それから、金融政策についても、これは、ともかく物価の安定、ここが一点集中であって、それ以外は、政策的に、景気回復のために例えば財政を出動しましょうとかいう金融政策はとりませんということでしょう。そういう中身が出ていて、いわばこれは新保守主義、こう言われていると思うんですが、しかも、そういう立場に立った実は行政改革推進法だというふうに私は思っています。

 結論から言うと、国が国民の暮らしに対する責任をいわば放棄していく、そういう結果になっていくのではないかということを最初に申し上げておきたいと思うんです。

 先ほど申し上げたとおり、きょうは労働条件の問題について集中して質問をしたいということで、最初に総理に御質問したいと思うんです。

 今回の法案というのは、大変いろいろな委員が指摘しました、ともかく政省令で後で明らかにしますという部分が大変多くて、あいまいで不明な部分がたくさんあります。しかし、随分これだけは明確だなというのは、国家公務員や地方公務員、あるいは独立行政法人の職員に対する労働条件が大幅に変更される、これだけは明確になっているんですよ。中馬大臣、首を振っているけれども、これは明確になっているんですよ。そこだけはやけにはっきりこの中で書いてある。

 ここで総理にぜひ確認をしておきたいのは、この法律が具体化をされる、政省令をつくっていって具体化をしていくわけですよ。あるいは、さまざまな制度なんかをこれからつくっていかなきゃいけない。そのときに、労使間の交渉、これをしっかりやっていく。これは当然のことだと思うんです。そして、双方の合意のもとでこの法律が運用されていくということについて、これはもう不可欠だと私は思うんですが、一点目は、それについてぜひ総理の具体的な見解を聞きたい。

 それからもう一つは、同じように自治体にも行革を迫っていくわけですから、その地方自治体についても、労使協議あるいはその中での合意、これを図るように国としてしっかりと働きかける必要があるんじゃないか、こう思いますけれども、ぜひ総理の御見解をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 労使間の話し合いというのはよくなされるべきだと思っております。

 合意という問題については、合意ができればそれは望ましいことだと思いますが、自分たちの主張が入れられない限り合意しないという態度はとることなく、柔軟に対応していただきたいと思っております。

日森委員 総理から、労使の話し合いは当然やるんだということですから、これはきっちりやっていただきたい。もちろん、合意できない場合も当然あり得ます。あり得ますけれども、しかし、合意できないからといって一方的に国の都合で仕事を進めることだけは避けて、合意できる方向を目指してこれは粘り強く話し合いをするべきだというふうに思いますが、そこについて、総理、もう一回お答えいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 この話し合いについては、やはり良識といいますか、常識というものが発揮されなきゃいけない。地方公務員の場合においても、いろいろな手当が批判されておりますし、そういう点もありますから、良識を発揮されて、よく話し合いが柔軟になされるべきだと思っております。

日森委員 総理の良識と当事者の良識は違うかもしれませんから、ぜひそこはしっかり、総理の指導でしっかりした話ができるような、そういうイニシアチブを発揮していただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。

 中馬大臣にお伺いしたいと思うんですが、市場化テスト法の第三十一条、これについて、市場化テストにより自発的に退職し公共サービス事業に従事した者が、再び国家公務員、これに復職した場合は、退職手当法の特例として、その公務員であった期間を通算するということが可能になりました。そこで、政府はこの第三十一条を十分に、しかも柔軟に活用して、貴重な人材を生かすような努力をしっかりとやっていくべきではないのかということを申し上げたいのですが、この決意について、副大臣、ではよろしくお願いします。

山口副大臣 お答えいたします。

 公共サービス改革法第三十一条があるからといって公務復帰を法的に保障しているわけでないということは、前回、菅野先生にも申し上げたとおりでございます。

 公共サービス改革法三十一条は、国家公務員が、落札事業者の希望と本人の同意を前提に退職いたしまして、落札事業者のもとで業務に従事した後に再び国家公務員に採用された場合に、退職手当の計算上、退職前の在職期間と再採用後の在職期間を通算する特例措置を定めたものでございます。

 国家公務員については、試験採用が原則でありますけれども、一定の要件を満たす場合、これは公務員法の三十六条の一項でございますけれども、選考採用を行うことが可能としております。

 そこで、公務員を退職して民間事業者のもとで業務に従事した者についても、任命権者たる各省の大臣等において、その者の退職前の公務員としての勤務経験、勤務態度、落札事業者における勤務経験とを両方勘案いたしまして、選考採用の条件を踏まえまして、採用するか否かを適切に判断したい、こう思っております。

日森委員 その選考採用という制度ですね、これはもう十分に配慮をして、そして、いわば活用の範囲まで、一定の法律の縛りがあることは十分承知をしていますが、活用の範囲を拡大できるような努力をしないと、法的に保障されていないわけですから、これは結局戻れなくなる公務員がたくさん出てくる可能性もあるわけですよ。ここについてはぜひ決意を固めておいていただきたいということを申し上げたいと思います。

 続いて、中馬大臣、こうお答えになりました。行政の都合で仕事がなくなった場合には生首は飛ばさない、こう再三御答弁なさいました。これは大臣、もう口が酸っぱくなるほどおっしゃったのでおわかりだと思うのですが、生首を飛ばさないで余剰となった職員の雇用を維持していく、その具体的な方法、その根拠について、これについて改めて確認をしておきたいと思うのです。

山口副大臣 お答えをいたします。

 十三日に中馬大臣からも菅野先生にお答えした部分がありますけれども、この入札競争で民間事業者が落札した場合、業務に従事していた公務員の処遇については、政府部内での配置転換と新規採用の抑制により対応することが基本でございます。入札の結果、政府部内での配置転換が必要となる場合については、各大臣等の任命権者が責任を持って円滑な配置転換に取り組むこととなり、また、総人件費改革の一環としての官民競争入札が実施され、配置転換が必要となる場合には、今後設置が予定されております国家公務員雇用調整本部において、政府全体として的確に対応することとなります。

 他方、本人の同意があり落札事業者が希望する場合には、公務員を退職し落札事業者のもとで業務に従事することとなります。また、この場合は、さきにも述べたとおり、落札事業者のもとで勤務した元公務員は公務への復帰が法的に保障されるものではありません。そして、落札事業者のもとで勤務した元公務員が、先ほど申し上げましたけれども、再び国家公務員に採用された場合には、公共サービス改革法案に基づき、退職手当の計算上、退職前の在職期間と再採用後の在職期間を通算する特例措置は先ほど申し上げたとおりでございます。

 これらの方法によりまして職員の雇用の確保に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

日森委員 副大臣の決意はわかったんですが、実際、配置転換やあるいは新規採用、これで担保していくということで、それはもうあくまでも雇用者の裁量権の範囲に属する問題で、それだけでは非常に不安だという声は現場にはあるわけですよ。具体的に制度としてこれをどう担保していくのか、そこまで突っ込んできちんとすべきではないのかというのが私の思いなんですが、その辺はどうなんでしょうか。

山口副大臣 政府でこれはしっかりと、今までの雇用調整、省と省とであれば雇用調整本部でありますし、しかし、民間に行った場合は、本人の同意を得て行っているわけでございますので、その辺は日森委員も御理解をいただきたい、こう思っております。

日森委員 その際、先ほども副大臣お答えになりましたが、雇用調整本部、これがもう大変重要な役割を果たすことになるんだと思うんですよ。

 中馬大臣は、実効ある体制にするんだ、しかも、その実効ある体制というのは政府全体として責任ある体制なんだ、こうおっしゃいました。この中身はまだ具体化されていないわけですが、しかし、本当に今副大臣がおっしゃったようなことで、生首を飛ばさないような、そういう措置をこの雇用調整本部がきちんと責任を持ってやるとするならば、しかるべき体制がなければいけないわけですよ。

 総理が、小泉総理以下、ポスト小泉さんかよくわかりませんが、総理が、それはもう全幅の責任を持ってこれはしっかりやる、全閣僚がこの雇用調整本部に入るというぐらいの体制でしっかり責任を持っていかないとだめだと思うんですが、その辺はどうでしょうか。中馬さん、お答えください。

中馬国務大臣 副大臣も答えましたように、新規採用を少し抑制するとかそうした形で、極力、そうした官の都合でどこかへ配転される方、もちろんこれは配置転換あるいは研修、そうしたことをやっていきます。それにもちゃんと応じてもらえることが前提で、そういうことで生首を飛ばさないことで極力やっていきたいということでございます。

日森委員 いや、雇用調整本部の構成、責任ある体制のあり方について現段階で中馬大臣はどうお考えなのか。もう一回お聞かせください。

中馬国務大臣 内閣が責任を持ってこのことは進めていくということにいたしておりまして、まだ細部は詰まっておりません。

日森委員 これはもう文字どおり、中馬大臣が何度もお答えになっていますから、本当に、総理を総責任者とするような、雇用を保障する、そのこともしっかりと任務として持った調整本部をつくっていただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。

 時間が大変なくなりました。最後に、総理に決意をもう一度お聞かせいただきたいと思うんです。

 今まで私が申し上げてきたことは公務員労働者の労働条件の問題ですが、今度の行革推進法全体が、例えば、公共サービスの質が低下をしたり、量において低下をしたりということであっては絶対ならない。このことによって仮に民が行うことになったとしても、公共サービスの質が向上していくんだ、国民の利益に資するようなことになるんだということが絶対条件ですよ。

 さらに、一人の公務員も路頭に迷わさない。国鉄の分割・民営化のときにそういうことがあったんですが、これはもう本当に今回そういう立場で進めていただきたいと思うんですが、生首を飛ばさない決意、公共サービスをさらに向上させるんだということでこの行革推進法があるぞということを改めて総理の口からお聞きしたいと思うんですが、ぜひお願いをしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 市場化テストというのは、いわゆるお役所仕事をなくしていこうと。お役所でやる仕事よりも民間に任せた方がどのようなサービスが展開できるのか、どっちがいいかと比べるわけですから。そういう点を考えて、仮に、これは役所の公務員がやるよりも、同じような仕事で、民間でコストも安い、さらにサービスもよくできるという仕事は民間に任せていこうということでありますので、今言ったような、サービスが悪くなる、コストが高くなるというのを民間人に任せるわけではございません。

 そして、仮に、これが市場化テストで民間に任せた方がいいという場合におきましても、公務員の首を切るということじゃなくて、配置転換とか、あるいは新規採用を抑制するとか、さまざまな話し合いによって円滑に異動できるように政府を挙げて取り組んでいかなきゃならない問題だと思っております。

日森委員 一般論ではそうなるんですよ。そうなるんですが、しかし、例えば、私は前回も申し上げました。イギリスで給食を民営化しました。どうなったか。大変な状況ですよ。いわばコンビニ給食ですよ、民間が受けて。なぜか。民間は利潤追求が一番だからなんですよ。その結果、子供たちの健康状態がめちゃめちゃ悪化したんです。それで、今、改めてこれは誤りだったと、あるシェフが中心になって改革運動を進めていますよ。

 だから、改めて公が、子供たちの、今食育と言われていますけれども、給食をきちんと公が責任を持たなきゃいかぬとなっている例もあるんです。これは給食だけじゃありません。ニュージーランドでもどこでもいろいろな例がありますよ。

 そのことを銘記して、質が低下をするとか、そんなために公務員が減らされたり労働条件が劣悪化していくようなことがないように、ぜひ総理に肝に銘じていただきたいということを申し上げて、時間になりましたので終わります。

伊吹委員長 これにて日森君の質疑は終了いたしました。

 次に、滝実君。

滝委員 滝実でございます。

 国民新党・日本・無所属の会を代表いたしまして、行革法案の締めくくりに当たりまして三点ほど御意見を申し上げながら、これからの検討状況につきましても確認をさせていただきたいと存じます。

 まず第一点。

 本日も自民党の園田委員の方から、自民党としての反省も踏まえて、少しばかり地方分権に対する視点が少なかったのかなというような御見解が漏らされました。私は、全く園田委員の思われるように、もう少し足りないんじゃないかなという感じがさらにするわけでございます。

 先ほど総理は、国から地方への事務事業の移譲につきましては、三位一体の成果を考えながらこれからの問題としてと、こういうような含みのあることを示されました。私は、確かに三位一体で、小泉総理になりましてから、今までにないことをこの三年間ぐらいの間で実現してきたと思うんですね。

 しかし、三位一体の余り、やはり三位一体というのは範囲が限定されているんですよね。国から地方への補助金、負担金という中で、いかにそれを削減して地方の自主財源に回すか、こういうことで終始してきたものですから、ある意味では一番大事な点ではあるんですけれども、実はそれ以外に、国から補助金、負担金が出ていない部分で国と地方団体が事務事業が重複している、こういうのが日本の行政機構の建前でございますから、三位一体ということにとらわれていくと、なかなかそれ以上に発展性がないんじゃないだろうかな。

 私は、これから五年間で国家公務員を五%削減する、これは、総理初め皆さん方がおっしゃるように、並大抵のことじゃないと思うんです。

 そこで、もう少し何とか、せっかくの行政改革のこれからの総仕上げとしての方向づけをするんですから、単なる補助金、負担金の移譲の問題じゃなくて、重複した事務をどうするかということをこれからの問題として私は取り上げるべきだろうというふうに感じているわけでございます。

 この点で、地方分権ということで担当されております竹中大臣から御答弁をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 今御指摘がありましたとおり、我々は三位一体改革を一生懸命やってまいりました。三位一体、本当にこれは、国と地方ががっぷりと重なり合ってなかなか動かないものを、ある種、土俵を限定して、補助金の削減、税源移譲、交付税という形で土俵を限定して、一定の成果を出したつもりでございます。

 委員の御指摘は、それを踏まえた上で、しかし、さらにより広範で根本的な問題がまだ残っているからしっかりとやっていくべしという御指摘だと思いますが、その点については、先ほどの総理の御答弁にもありましたように、まさに改革に終わりはない、引き続きしっかりやっていかなければいけないという思いを持っております。

 とりわけ、その際にやはり中心になりますのは、国と地方の役割の明確化であろうと思います。

 今の行政というのは、国が責任を負っているような地方が責任を負っているような、なかなか一般の方にはわかりにくい部分がすごくあります。それが結局、財政負担をどうするかという問題にも絡んで、問題を非常に複雑にしているというふうに私も認識しております。

 そういう国と地方の役割の明確化、できるだけ地方の事務を、できることを市町村等々に移していく、そういう方向で引き続き検討していくつもりでおります。

滝委員 今の三位一体の問題も、実は、確かにお金の問題は、三兆円を中心にしてきちんとまとまってきたと思うのでございますけれども、しかし、そこで移譲、国から補助金、負担金が、三兆円に見合う格好で事務そのものが簡略されたかといったら、事務はそのまま据え置きになっているんですよね。いろいろな補助金、負担金の関連する事務は相変わらず国にそのまま残り、地方は余り変わりない。やはり同じように国に出向いてやりとりしないと、移譲された残りの補助金、負担金がそのまま国に残っている。

 いかにも大臣がおっしゃるように、土俵を限定してやらなかったらなかなか難しい分野でございましたけれども、三兆円そのもの、今の三位一体そのものについても、事務事業の合理化を図るという観点からはこれからの問題、さらに、先ほど申しましたように、補助金、負担金に関係のない重複している事務をどうするかというのは、これは並大抵のことじゃありませんから、私は、この際に、せめてそういうような、先ほど総理が午前中におっしゃったように、三位一体のこの改革の状況を見て取り組む、こういうような姿勢をこの委員会としてお聞きしましたので、政府の皆さん方におかれましては、真正面から取り組んでいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 次に、個別の問題で恐縮でございますけれども、政策金融機関の整理統合に関連しまして、公営企業金融公庫の廃止の問題があるわけです。

 私は、その廃止は、やはり方針としてお決めになった以上は、それはそのとおりそのまま進めばいいと思います。ただし、問題は、廃止した後、地方債の共同発行機構をつくっていきませんと、なかなか地方団体は、長期の資金あるいは金融が逼迫したときの資金調達の方法、これに事欠くわけでございますから、何とかこの公営企業金融公庫の廃止が、廃止は廃止で結構なんですけれども、共同発行機関につながるように御検討をお願い申し上げたいと思うんです。

 その際に、実は、もう一つ私は考えておくべきことがあるんだろうと思うんです。

 それは、特別会計の問題で、財政融資資金特別会計から現在も地方団体が融資を受けております。これは、資金運用部資金の時代から相当なウエートを持って地方団体に融資をされてきた。それは、原資として郵便貯金があったからということもあるわけでございますけれども、今度それがなくなりますから、当然、特別会計の方の財政融資資金特別会計は地方団体に融資を続ける、しかも、段階的に圧縮するんだ、こういうようなことがこの法案でうたわれているわけでございますけれども、その際に、段階的に縮小するなら、財政融資資金特別会計から地方団体への融資も廃止したらどうかと思うんです。

 実務的にはなかなかつらいところもあると思うんですよ、地方団体としても。やはり資金調達は、いろいろな窓口をたくさん持っていた方が有利に決まっていますから。しかし、考えてみれば、財政融資特別会計も、いわば財投債という国債を発行して資金調達をする。それなら、新しく予定をしていかなければならない地方債の共同発行機構で同じように債券を発行していればいい話。多少条件の違いは出てくると思います、片や財投債という政府保証のついている資金でございますから、多少のあれはあると思いますけれども。

 何となくちぐはぐな感じがするわけでございますけれども、その辺の検討の方向としてはいかがなものだろうか、こういうふうに思っておりますので、まず、それじゃ財務大臣からお願いをいたします。

谷垣国務大臣 財政融資資金、地方向けの、地方公共団体向けの貸し出しは、今まで、委員よく御承知のように、なかなか民間では供給できないような低利で長期なもの、そういうものを貸し出して、地方公共団体、地域に密着した社会資本の整備等々に使っていただいたわけでございますね。

 それで、今後の財融特会の持っていき方としては、既に地方向けも、かつてに比べて、ピーク時に比べまして半分ぐらいに圧縮してきておりまして、要するに、政府資金といいますか公共資金は民間資金の補完に徹するという政策金融機関改革の流れ等々といわば平仄を合わせてやっているわけでございますし、今後の地方公共団体の資金調達能力等々を見ながら、さっきおっしゃいましたように、だんだん圧縮していくと申しますか重点化をしていくというのは基本的な考え方でございますが、何かそういうものがなきゃいかぬというので、必要な機能はやはり維持していくということで考えてまいりました。

 その際、よく考えておかなければならないのは、まさに委員のおっしゃった、公営公庫の今後がどうなるか。これは、一たん廃止して、市場のシステムを活用した方向に変えていくということになっておりますが、詳細設計はこれからでございますので、よくそこらの議論を見ながら財融資金の機能というのも検討しなければならないと思っております。段階的に縮小すると言いますが、一番考えておかなきゃならないのはこの点ではないかと実は思っております。

竹中国務大臣 財務大臣との重複を避けて申し上げますと、委員の御指摘を踏まえて、やはり二つのことを考えなければいけないのだろうなというふうに考えております。

 一つは、今回、公営公庫を廃止いたしまして、できるだけ資本市場を活用していきましょう、つまり、市場の活用というのが一つの方向。しかし、それだけではどうしても資金調達で難しいところが出てきますから、それは市場ではできない財政の仕組みが必要である。その役割をまさに今御指摘の財政融資特別会計が担ってきているわけでございますが、これはこれで可能な限り縮小していかなければならない。市場に任せる部分と財政が担うそこの仕切りをどうするかというのが一つの判断だと思います。

 二つ目は、それぞれをどのような仕組みにしていくのかということであろうかと思います。

 今の委員の御提案は一つの御提案であろうかと思いますが、これは、行政改革全体の視点の中で、しっかりと財務省と総務省がよく話し合いながら制度設計をしていかなければいけないというふうに思っております。

滝委員 いずれにいたしましても、地方団体は国の金融政策あるいは経済政策によって資金調達に本当に難儀を来すことが今までの歴史の中にもございます。かつて、オイルショックの後、昭和五十一年から五十二年にかけては、特に地元の銀行ではなかなか資金調達ができなかった。こういう時代も実はあるわけでございまして、そういう意味ではいろいろな窓口を持っているということは大切なのでございますけれども、やはり手続として合理化していくということも必要だろうと思いますので、その辺のところはよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 最後になりましたけれども、今度の公益法人の制度の改正に関連いたしまして、やはり民間の力をかりて公益的な活動を活性化するというようなねらいもあるんだろうと思うんですね。既にNPO法人はそういう意味でたくさんできておりますし、今度この公益法人制度が改革になれば、それに応じてまた新たに団体も出てくる。

 そういう中で、実は、特に地方公務員は、もっと地域活動の一環としてボランティア活動、特に、ボランティア活動としても、こういうNPO法人でありますとかあるいは社団法人、財団法人、そういうところを足がかりにして、地域に密着した日常の活動というものに少し精を出してもらった方がいいんじゃないだろうかな、こういうふうに私は思っているわけでございます。

 現在、国家公務員も地方公務員も、実はボランティア休暇というのが制度化されているようでございます。要するに、一年間に五日間に限りまして災害の被災地の支援活動、あるいは身障者や高齢者の施設、あるいはその日常活動、そういうものを支援するボランティアについては年間五日間の休暇がある、こういうふうになっているわけでございますけれども、その中身を見ますと、今申しましたように、災害の支援活動と身障者、高齢者のための支援活動、こういうふうに限定されているんですよね。

 そうすると、例えば、特に地方公務員や国家公務員が、もう少し幅広い活動をしたいといっても、なかなかこの恩恵にあずかれないところがあるんじゃなかろうかな、こういう感じがありますので、この辺のところについて御所見を伺っておきたいと思います。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、地方公務員の方々のNPO活動というのは、やはり公的マインドを持って仕事をしておられる方ですから、地域の発展に大変貢献することになると思います。また、そこで得た経験や人脈は公務員として業務をなさる場合にも大変役立つというふうに思いますので、私自身も大変積極的な取り組みを期待しているところでございます。

 地方公共団体の職員が時間外で無報酬でそういう活動を行うことにつきましては、政治行為等々は問題なわけですけれども、そういった特別の場合を除いて基本的には制約をされません。そして、ボランティア休暇の制度等々を活用して実際にいろいろな活動が進みつつあると思っております。そうした制度の積極的な活用、ないしは、地方公共団体におかれてもいろいろな手当てをしていただいて、こういうものが活発化していくということは、私どもも大変期待をしているところでございます。

滝委員 ありがとうございました。

 特に、今総務大臣から心強い御発言をいただきましたので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 時間が参りましたけれども、せっかく総理がおいでになりますので、最後に、例の地方への国の事務の移譲、三位一体との関連につきまして、午前中御発言がございましたけれども、改めて御意見をいただければありがたいと思います。

小泉内閣総理大臣 地方にできることは地方にというのは、今回のいわゆる三位一体といいますか、補助金、税源、交付税、これの改革ですべてじゃありません。この改革の中におきましても議論された課題というのはまだ残っております。

 地方にできることと国にできること、この役割の見直し等、まだまだ課題がありますので、この成果を見きわめて、さらなる、地方に裁量権なり自主権なり持ってもらうような改革、役割見直しが必要だと思っております。

滝委員 ありがとうございました。

 最後に中馬大臣からも締めくくりの御発言をいただこうと思ったんですけれども、時間がとうに過ぎておりますので、まことに残念でございますけれどもこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて滝君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 この際、内閣提出、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案に対し、北橋健治君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。北橋健治君。

    ―――――――――――――

 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

北橋委員 ただいま議題となりました競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 今般提出された政府原案におきまして、競争の導入による公共サービスの改革は、国の行政機関等または地方公共団体が公共サービスの全般について不断の見直しを行い、その実施について、透明かつ公正な競争のもとで民間事業者の創意と工夫を適切に反映させることにより、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現することを旨として行うものと規定されております。

 改めて申し上げるまでもなく、この競争の導入による公共サービスの改革は、何よりもまず、公共サービスの利益を享受する国民の立場に立って行うものでなければなりません。

 そこで、私どもは、これまでの委員会の審議を踏まえ、その旨を条文上より明確にするための修正を行うことが必要であると考えました。

 以下、その内容を御説明いたします。

 第三条の「基本理念」に、競争の導入による公共サービスの改革は、公共サービスによる利益を享受する国民の立場に立って行う旨明記することとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

伊吹委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 これより各案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。今津寛君。

今津委員 私は、自由民主党並びに公明党を代表して、内閣提出の行政改革関連五法案及び自民、公明、民主提案の市場化テスト法修正案について賛成、また、民主党提出の行政改革法案に反対の立場から討論を行います。

 我が国の経済社会が内外ともに激しい環境変化に直面する中、戦後六十年間継続されてきた行政システムのあり方を大胆に見直し、斬新な視点で諸制度を改革することは不可欠であります。国際競争力を向上させ、新たな成長基盤を確立できるか、そして、持続可能な社会システムを構築できるかは、まさにここ数年の改革の進展にかかっています。

 さきの衆議院総選挙においては、国民が、小泉改革に対して、改革をとめるな、改革を続行せよとの審判を下しており、郵政民営化に続く改革の方向性を揺るぎないものとするため、政府・与党は今回の法案を提出いたしました。

 内閣提出の行政改革推進法案は、公務員純減や政策金融機関などにおいて明確なビジョンを示しています。行政をスリム化し、民間の活力を増進するという、小泉政権発足以来、一貫して追求してきた路線が、この法案の成立によって確実に継続されることになります。これに対して、民主党案は、基本理念においてすら聞こえのよいフレーズをつなぎ一貫性を欠くものであります。政府案を方向性しか定めていないと批判をしながら、民主党案では方向性さえ行政刷新計画に丸投げであり、到底賛同することはできません。

 公益法人制度改革関連法案は、透明な手続を確保し、行政改革に大きく貢献するものであります。さらに、市場化テスト法案は、簡素で効率的な政府の実現に有効な手段であり、国民への適切な公共サービスがなされるものと評価をしており、ともに賛成であります。競争の導入による公共サービスを国民の立場に立って行うことを明確にした修正案にも賛成をいたします。

 行政改革は一刻の猶予もない緊急の課題であり、小泉総理の言葉をかりれば、改革に終わりはなく不断の見直しを続けていかなければならないのであります。国民の負託にこたえるべく、政府はいかなる困難をも乗り越えて行政改革の力強い推進に一層努められることを期待いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)

伊吹委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、民主党提出、国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案に賛成し、政府提出の簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案に反対する立場から討論をいたします。

 民主党案は、現在政府が行っている事業を聖域なく見直し、不要な事業、民間にできる事業は廃止することとしております。その上で、補完性の原則に基づき、国と地方の役割を明確化することとしております。より効率的で質の高いサービスを実現するためには事務事業の整理は不可欠なプロセスであり、それを明示している民主党案は真に行政を改革するものと理解しております。

 また、国会審議を通じて政府の不透明な入札、契約の実態が明らかになりましたが、民主党案は、税金の無駄遣いをなくすため、一般競争入札の徹底、契約の透明化などの措置を盛り込んでおります。

 政策金融改革については、借り手の立場に立った改革の推進、債務保証、利子補給に絞った政策金融のあり方などを提案し、特別会計改革については、原則廃止の立場から、それぞれの特別会計の改革の方向性を示しております。

 公務員についても、地方分権の強力な推進の結果として縮小される国の規模、機能に応じた人件費の削減を規定するとともに、労働基本権の原則回復などの抜本改革を示しており、まさに真に行政改革推進法の名にふさわしい法案となっております。

 これに対し、政府案は、国民から税金を徴収してサービスを提供する行政組織をどのように改革していくかという国民生活の根幹に係る議論をしているにもかかわらず、検討あるいは所要の措置について、これから定めていくというものが余りにも多過ぎます。また、民主党案とは異なり、事務事業の聖域ない見直しが盛り込まれておらず、あるべき政府像、政府の担うべき機能といった行政改革の基本理念も欠如しております。政府の不透明な入札、契約といった無駄遣いを解消するための規定も、残念ながら盛り込まれておりません。

 このように、民主党案こそ、現在の我が国において早急に実現しなければならない施策の推進を図ることを内容とするものであり、ぜひとも成立させることが必要であると考えております。賢明な委員の皆様におかれましてはぜひ民主党案に御賛同いただくようお願いを申し上げて、私の討論を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

伊吹委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の行革関係五法案について反対の討論を行います。

 まず、法案が抱える多岐にわたる論点がいまだ十分審議が尽くされないまま、審議を打ち切り、採決を強行することに断固抗議をするものであります。

 反対する理由の第一は、簡素で効率的な政府を口実に、国民の安全や暮らしを支える公務部門を縮小し、国の責任を放棄するものだからです。

 労働者の権利を守る労働基準監督官は不足し、消防職員やケースワーカーなどは国の基準を大きく下回っています。公務員の純減という数値目標は、こうした実態を無視するものです。さらに、国民の要求である少人数学級の推進を停止させました。まさに、国民の安全、教育、福祉の要求、願いを正面から踏みにじるものと言わざるを得ません。また、失業給付に係る国庫負担の廃止、国立がんセンターなど国立高度医療センターの独立行政法人化なども、国が本来責任を負う分野から撤退を図るものであり、重大です。

 第二は、市場化テストなどによる行政サービスの民間開放は、一部大企業へのビジネスチャンス拡大を目的とするものであり、国や地方自治体が国民に保障してきた行政サービスの公平性や専門性などを後退させるものだからです。しかも、開放の対象とされる業務に制限がなく、あらゆる行政サービスが、もうかるかどうかを最大の基準として切り売りの対象となることも重大です。

 第三は、政策金融改革と称して行われる商工組合中央金庫の民営化、国民生活金融公庫などの統廃合は、日本経済を支える中小企業への金融支援機能を後退させるからです。民間金融機関が貸し渋り、貸しはがしで中小企業をつぶしてきたことは記憶に新しく、中小企業支援機能の強化こそ必要です。

 第四は、公益法人改革も含めて、この間、行政改革の喫緊の課題となっていた政官業の癒着を断ち切る対策、天下り規制、談合と企業献金禁止などが何一つないからであります。また、今回の公益法人改革が民間非営利法人の活動を阻害するものとなっている点も問題です。

 なお、民主党の対案は、その基本路線において政府案と変わるものではなく、反対であります。

 最後に、本法案には、公務リストラの次は消費税増税と、その地ならしの役割が与えられていることを指摘し、私たちはこうした小泉改革に対して国民と連帯して闘っていくことを表明して、討論を終わります。

伊吹委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、政府提出、行政改革関連五法案及び民主党提出の対案、修正案にいずれも反対の立場で討論を行います。

 第一に、国際競争力強化や民間活力発揮のために簡素で効率的な政府が目指されていますが、公務の民主性や公共サービスが小さく簡素になるだけで、福祉を削られ、国民の財産は売り払われて、自己負担や不公平税制は拡大する可能性が高まる点です。

 第二に、政府の責任と役割、公共サービスの質と量について十分な議論を行い、国民にとって必要な事務事業は何かを精査することが先決であるにもかかわらず、公務員の純減や総人件費削減が自己目的化され、根拠のない数値目標を挙げている点です。

 第三に、財界が百年に一度の官業の民間開放で五十兆円もの新たな市場が誕生するとする、市場化テストの問題点です。公正労働基準も、雇用継続と均等待遇の制度設計もなく、実際の官民競争は賃金、労働条件の切り下げ合戦になることが危惧されます。サービスの質の保障も、職員、利用者、国民・住民の意見反映の場もありません。入札で民間事業者が落札した場合の公務員の処遇についても、大臣、副大臣、政府参考人からの答弁が混乱した結果、民間に移籍した公務員の復帰については法的担保がないことが明らかになりました。

 第四に、公益法人改革については、準則主義で簡単に非営利法人を設立できるようにし、主務官庁制度を廃止する等の点では一面評価できるものとも言えますが、税制支援措置が明らかでなく、天下りの問題も解消されておらず、自由な市民の公益活動を促進する観点からは極めて不十分な水準にとどまっていることです。

 また、民主党の対案及び修正案は、早期退職慣行の是正、公務員の労働基本権付与、官製談合の防止、地方分権の推進等では評価できるものが含まれていますが、根拠なく三年で総人件費二〇%削減が盛り込まれていることや、労働福祉事業、雇用保険三事業、林野特会等の廃止の方向などの点で賛同しかねます。

 最後に、小泉構造改革が社会の二極分化、格差拡大をもたらし、民営化、規制緩和が安全と安心を失うことが明確になっているからこそ、社会的公共サービスの必要性はますます高まっています。天下りの禁止、特権的なキャリア制度の見直し、公務員の労働基本権確立、政官業の癒着構造の打破など、原点に立ち返った改革こそが必要であることを強調し、反対討論といたします。

伊吹委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 まず、松本剛明君外五名提出、国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊吹委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊吹委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊吹委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊吹委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊吹委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、北橋健治君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊吹委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊吹委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 この際、ただいま議決いたしました各法律案のうち、まず、内閣提出、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案に対し、谷川弥一君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。谷川弥一君。

谷川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の各会派を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺漏なきを期すこと。

 一 政府は、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革において事務・事業を仕分け、その見直しを行うに当たっては、一律ではなく政府又は地方公共団体が実施する必要性を十分精査した上で、適切な対応を行うこと。特に、国民生活の安全・安心については、政府が果たすべき重要な役割の一つであることに鑑み、その必要性の精査に当たっては、政府としての役割が遺漏なく全うされるよう配慮すること。

 一 総人件費改革の一環としての国の行政機関の定員の純減に当たっては、政府全体としての配置転換、採用抑制等の取組により、職員の雇用を確保するよう努めること。

 一 新政策金融機関の組織設計・運営に当たっては、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金需要に質量ともに的確に応えるとともに、専門能力を有する職員の窓口配置など、利用者の利便性を維持・向上すること。

 一 商工組合中央金庫について、政府出資のかなりの部分の準備金化等強固な財務基盤や当分の間金融債の発行を継続するなど円滑な資金調達基盤を確立するとともに、完全民営化後も中小企業向け金融機関であることを確保するよう制度的に措置すること。

 一 日本政策投資銀行について、完全民営化後も、地域経済活性化への貢献を含め、出融資一体で中長期資金を供給できるよう、また、その信頼性等を活かし、財務基盤や移行期の制度的措置等の円滑かつ多様な資金調達基盤を確立するよう措置すること。

 一 新政策金融機関において、国際協力銀行が果たしてきた資源・エネルギー確保や国際競争力確保等の機能を、引き続き適切に果たすため、目的遂行のために信用の維持と業務の積極的展開が可能となるよう体制を整備すること。

 一 危機対応体制については、新政策金融機関における機動的な対応及び完全民営化機関の機能やノウハウの積極的な活用により、迅速かつ弾力的な発動ができるように構築すること。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

伊吹委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊吹委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 次に、内閣提出、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案に対し、谷公一君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。谷公一君。

谷委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の各会派を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)

  行政改革を進める上で、「民間が担う公益」の重要性がますます増大し、その担い手である非営利法人の役割が今後の我が国の社会を活力あるものとするには不可欠であることにかんがみ、政府は、公益法人制度改革関連三法の施行に当たっては、次の諸点について十分配慮し適切な措置を講ずること。

 一 本法の立法趣旨や各条項の解釈について、現在、社会の各所で公益活動に従事している公益法人等の関係者を中心に十分周知徹底すること。

 一 公益性の認定を行う公益認定等委員会の運営に関しては、その重要性にかんがみ、中立性・独立性に配意するとともに、専門的知見に基づく判断を可能とするよう、その構成等に万全を期すること。また、事務局については、委員会を適切に補佐し、認定の審査及び事後の監督に遺漏なきよう、その体制の整備に努めること。ただし、主務官庁による許可主義を廃止した今回の改正の趣旨にかんがみ、公益性の認定に際してはその影響力の排除に留意すること。

   なお、現行の公益法人が新制度下で公益法人に移行するに際して、これまでの活動実績を積極的に評価するなどの配慮を行うこと。

 一 本法に定める政令及び府省令の制定に際しては、本委員会における審議及び公益法人等の関係者を含め広く国民からの十分な意見聴取を踏まえ、上記の立法趣旨に適合するよう、適切に定めること。

 一 一般社団法人及び一般財団法人に対する法人所得課税のあり方に関して、当該制度に包含される法人の性格の多様性に配慮した適切な税制の導入を検討するとともに、公益社団法人及び公益財団法人に対する法人所得課税及び寄附金にかかる税制に関して、適正な規律の下、民間の担う公益活動の促進及び寄附文化醸成を図る観点から、新たな制度における第三者機関による統一的な公益認定を受けた法人について、適切な税制上の措置を講ずること。

 一 この法律の状況に変化が生じたときは、広く国民の意見を聴き、直ちに見直しを行うこと。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

伊吹委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊吹委員長 起立総員。よって、各案に対し附帯決議を付することに決しました。

 次に、内閣提出、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案に対し、山本有二君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大島敦君。

大島(敦)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の各会派を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺漏なきを期すこと。

 一 官民競争入札等の結果、民間事業者が落札した場合の公務員の処遇について、公務員の雇用の確保に配慮し、政府部内での配置転換と新規採用の抑制により対応することを基本とすること。また、官民競争入札等の結果として政府部内での配置転換が必要となる場合については、公務員の不安やこれに伴う士気の低下をきたさないよう、各大臣等任命権者が責任を持って円滑な配置転換に取り組むとともに、総人件費改革の一環として国の行政機関において官民競争入札等が実施され、その結果として右取組が必要となる場合、今後設置が予定されている国家公務員雇用調整本部において政府全体として的確に対応すること。また、落札事業者の希望と本人の同意を前提に公務員を退職し落札事業者の下で業務に従事することとなった者が、公務への復帰を希望する場合には、各大臣等任命権者は、その者の退職前の公務員としての勤務経験と落札事業者における勤務経験とを勘案し、公務への復帰希望について十分配慮すること。

 一 利用者・受益者である国民の視点に立って、国民のため、限られた財源の中で質の高い公共サービスを実現する観点から、公共サービスに関する情報開示に努めるとともに、広く国民の声を聞きつつ、各公共サービスの具体的な内容や特性に十分配慮し、官民競争入札等の対象業務を適切に選定すること。また、各公共サービスの内容を踏まえ、公共サービスの質の低下や中断をきたすことのないよう、適切な実施要項の作成や定期的かつ継続的なモニタリングの実施などを行い、公共サービスを安定的かつ確実に実施していくこと。

 一 国立大学法人、文化芸術や科学技術については、独立行政法人とは別途の国立大学法人制度を創設した趣旨、長期的かつ継続的な観点に立った対応の重要性などを踏まえ、それぞれの業務の特性に配慮し、本法に規定する手続に従い、慎重かつ適切に対応すること。

 一 官民競争入札等監理委員会は、公共サービスについての国民の意見を反映できる幅広い関係者によって構成することとし、委員の人選に当たっては、学識経験者など、委員会の公平性、中立性を確保でき得るよう十分配慮すること。

 一 本法第三十四条に規定する地方公共団体の窓口業務を民間事業者が行うに当たっては、当該業務が住民の個人情報を取扱う業務であることに十分留意し、個人情報の保護等に万全を期すこと。また、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置について、事業開始後も、指導・監督を行うこと。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

伊吹委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊吹委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの各附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。中馬国務大臣。

中馬国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

伊吹委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

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伊吹委員長 各議案の議了に際しまして、委員長から一言ごあいさつを申し上げます。

 去る三月二十九日の審査開始以来、与野党の枠を超えて国民のために委員各位が真剣なる審議を重ねていただき、本日ここに審査を終了いたしました。

 これもひとえに理事、委員、そして立法府の職員の皆さん、また、総理大臣、閣僚初め行政府の各位の御協力のたまものであり、ここに深く感謝の意をあらわします。

 以上、委員長として一言御礼のごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)

 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十二分散会


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