衆議院

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第2号 平成21年2月20日(金曜日)

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平成二十一年二月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 佐田玄一郎君

      尾身 幸次君    木村 太郎君

      岸田 文雄君    土屋 正忠君

      仲村 正治君    大島  敦君

      菅  直人君

   兼務 川内 博史君 兼務 高山 智司君

   兼務 阿部 知子君 兼務 下地 幹郎君

    …………………………………

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 佐藤  勉君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)  甘利  明君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   衆議院庶務部長      向大野新治君

   参議院警務部長      吉岡  拓君

   参議院庶務部長      古賀 保之君

   国立国会図書館総務部長  内海 啓也君

   会計検査院事務総局次長  増田 峯明君

   最高裁判所事務総局人事局長           大谷 直人君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  渕上 俊則君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   浜野  潤君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  清水  治君

   政府参考人

   (宮内庁長官官房審議官) 岡  弘文君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   片桐  裕君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    梅本 和義君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         原田 保夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           稲葉 一雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局技術部長)           宮下  徹君

   政府参考人

   (海難審判所長)     上中 拓治君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    鈴木 久泰君

   政府参考人

   (海上保安庁総務部長)  内波 謙一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   内閣委員会専門員     島貫 孝敏君

   安全保障委員会専門員   金澤 昭夫君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     木村 太郎君

  仲村 正治君     土屋 正忠君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     尾身 幸次君

  土屋 正忠君     仲村 正治君

同日

 第三分科員阿部知子君、第七分科員高山智司君、第八分科員川内博史君及び下地幹郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 〔内閣、内閣府(内閣府本府)及び防衛省所管〕


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     ――――◇―――――

佐田主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村太郎君。

木村(太)分科員 浜田大臣初め皆さん、おはようございます。三十分ですが、よろしくお願いしたいと思います。

 まず最初に、去る十七日、浜田防衛大臣はクリントン国務長官と会談されたということでありますが、その会談を踏まえまして、日米安保条約、日米同盟というきずなのもとで、日本の安全保障と東アジアの安定、世界の平和ということに対して、大臣の御認識をいただきたいと思います。

浜田国務大臣 先日、クリントン米国務長官と会談をさせていただきまして、防衛大臣として、オバマ新政権の主要な閣僚に初めてお会いをする機会であったこともありまして、日米同盟全般といった大局的なテーマを中心に、米軍再編等の日米両国の諸課題についても意見交換を行ったところであります。

 より具体的に申し上げれば、会談において、クリントン長官から、日米同盟が世界で最も重要な同盟関係の一つであることや、日本の防衛への米国のコミットメントが揺るぎないことについて、明確な意思表明がございまして、安全保障面での日米両国の基本的立場を確認することができたというふうに思っているところであります。

 また、米軍再編をしっかり進めていくことについて意見が一致し、さらに、クリントン長官から、二十一世紀の安全保障環境に適切に対応して抑止力を有効に発揮する上でも米軍再編は重要であるとの米側の考えを確認することができたところであります。

 これらの点は、極めて有意義であったというふうに思います。

 日米同盟は、アジア太平洋地域において、安定的で繁栄した情勢を維持するための基盤と考えておるところでございますし、会談では、ゲーツ米国防長官ともできるだけ早い機会にお会いしたいということを私からも申し上げまして、今後とも、米国との間で、よりグローバルな観点から、日米同盟の意義やあり方といった大局的なテーマや日米両国の諸課題についてよく議論をしていきたいというふうに思っているところであります。

 そしてまた、私自身も、就任に際して麻生総理大臣から御指示をいただいているとおり、引き続き、米軍再編等の課題に取り組みつつ、今回の会談の成果も踏まえて日米同盟の強化を進めてまいりたいというふうに思っているところであります。

木村(太)分科員 来週総理が訪米されるということでありますので、今の御答弁を聞きますと、日米防衛首脳会談なるものを具体的に調整していくということでよろしいんでしょうか。

浜田国務大臣 日米のトップがお会いをするわけでありますので、これは当然、今お話しになったとおりだというふうに思います。

木村(太)分科員 では、次に参ります。

 北朝鮮がまたテポドンの発射の準備をしているというような報道が世界じゅうを今駆けめぐっているわけでありますが、私も、副長官在任中、北朝鮮によるミサイルが日本海に発射されたということを経験させていただきました。

 相手に手のうちを見せてはなりませんので詳細は結構でございますが、報道されているような事態が今あるとすれば、防衛省としてどういう状況に対しても対応できるよう万全を期しているかどうか、確認させてください。

浜田国務大臣 弾道ミサイル攻撃に対して我が国の国民の生命財産を守るために、防衛省は従来より弾道ミサイル防衛システムの整備を着実に進めてきているところでございますし、北朝鮮の弾道ミサイルの問題は、我が国の安全保障上の重大な問題であります。その動向については、防衛省としても、平素から情報の収集、分析に努めているところでございます。また、自衛隊は、常日ごろから、艦艇や航空機により、我が国の周辺の海域において常続的に警戒監視活動を行っておりまして、必要に応じて十分な情報収集態勢をとることとしておるところであります。

 今後とも、北朝鮮の弾道ミサイル問題については、十分な情報収集を行うこと、事態に適切に対応できるよう万全の態勢を整えてまいりたいというふうに思っているところであります。

木村(太)分科員 私が副長官をしていたときに北朝鮮がミサイルを発射したと言いましたが、数カ月間、当時は額賀長官でありましたが、額賀長官のもと、私ども、当時の防衛庁の皆さんも、昼夜を分かたず一生懸命対応していたということを思い出しております。あのころ、我々も、地元に帰りたくても、数カ月間缶詰状態になりまして、そういったようなことも今思い出しておりますが、大臣、副大臣初め皆様方、ぜひ御努力をお願いしたいというふうに思います。

 では、今度は地元の関連のことでお尋ねしてまいりたいと思います。

 今申し上げました北朝鮮によるこういった動きなどにも対応する意味でも、私の地元に、世界で初めてXバンドレーダーというものが、つがる市車力地区というところに配備されているわけであります。ちょうどその配備をするに当たって、私も、地元の自治体の方々また地域の皆様方といろいろと交渉しまして、いろいろな御不安に対してもこたえる意味でも努力して、また、米側にも地元の声を届けながら、今現在、車力地区というところにXバンドレーダーが配備されているわけであります。

 浜田大臣として、Xバンドレーダーの重要性と、また一方で、つがる市、地域の皆さんからの御協力の姿に対しての大臣の思いを御披露ください。

浜田国務大臣 先生の御地元に、今回、米軍のXバンドレーダーを配備することになったわけであります。

 このXバンドレーダーは、弾道ミサイルを探知して追尾するための機能を備えた移動式の地上配備型レーダーでありまして、特定の目標を正確に識別する能力にすぐれるということは、もう先生も御存じのとおりでございますし、このXバンドレーダーの我が国における展開は、我が国のレーダーとは仕様の異なるレーダーで目標を探知して追尾することによって、弾道ミサイル情報の確度及び同時追尾能力を向上させるものでもあります。我が国の弾道ミサイル防衛に、より効果的なものだというふうに考えております。

 この配備に関しましては、平成十八年三月、つがる市長から受け入れの表明をしていただいたところでもありまして、また、同年六月以降、同レーダーが円滑に運用されているところでもあります。このことは、日米安全保障体制及び我が国の防衛にとって極めて大きな意義を有するものであるというふうに考えておりまして、つがる市の御理解と御協力には心から感謝を申し上げたいと思っているところでございます。

 木村先生のいろいろな形での活動で、お問いかけも含め、いろいろな細部にわたりまして、今後とも我々も対処していきたいというふうに思いますので、先生もまた、いろいろな形での御協力をお願いしたいなというふうに思うところであります。

木村(太)分科員 大臣から、Xバンドレーダーの重要性ということをお示しいただきましたし、つがる市の皆さんの御協力にも敬意を表したいということでありますので、また地元にもそういったことも私はお伝えしていきたいと思います。

 もう少しお聞きしますが、Xバンドレーダーを受け入れてくれたつがる市から、国に対して、防衛省に対して、いわゆる民生安定対策ということ、いろいろ要望があるわけでありますが、これまでの取り組み状況というか進捗状況はどうなっているのか、政府参考人で結構ですので、お答えください。

北村副大臣 お答えさせていただきます。

 つがる市にXバンドレーダーが配備された平成十八年以降、防衛省といたしましては、つがる市及び青森県からの要望を受けまして、防衛施設の設置及び運用に伴う障害を緩和するため、つがる市の事業として道路改修事業二件及び民生安定事業四件、このうちには消防ポンプ自動車、除雪ドーザーの購入なども含みます。また、青森県の事業として道路改修事業を三件及び民生安定事業を一件、これは農業用施設の整備事業等を実施いたしておるところでございます。なお、このうちで、青森県が実施している農業用施設の整備事業は中期的なものでございますから、農水省と連携をいたしながら実施しているものでございます。

 これらの事業については、つがる市及び青森県の要望に沿って実施いたしているところでありますけれども、今後とも、地元の御要望に沿えるよう努力をしてまいります。また、今後、つがる市及び青森県から周辺対策に関する新たな御要望があれば、障害の実態を踏まえ、関係省庁とも協力を図りながら適切に対応してまいるというところでございますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

木村(太)分科員 副大臣、お答えありがとうございます。

 お答えにあったとおり、すぐ対応できるものもあれば、中期的なものもあるだろうし、また今後も新しいメニューも地元から要望として出てくると思われますので、防衛省だけではなくて他省庁、国としてぜひ対応を今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、もう少しXバンドレーダー関係でお聞きします。

 この配備からきょうまで、米軍関係者のトラブル等が、大なり小なりと言うと言い方があれですが、今までトラブルみたいなものがあったのかどうか。また、仮にトラブルというか不祥事があったとすれば、米側と協力してそういったことを起こさないための対応はどのようになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

北村副大臣 お答えいたします。

 防衛省といたしましては、Xバンドレーダーを我が国で初めてつがる市に配備、そして米軍人等の配置に伴う地元、周辺住民の方々の不安あるいは御懸念、こういうことにつきましては十分承知をいたしているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、平成十八年六月、国、米軍、関係自治体、地域の町内会の代表の皆様方等々関係機関から成る連絡会を設置いたしました。事件、事故等がもしも発生した場合には直ちに関係機関において必要な対応がとれるようにするため、通報連絡体制をつくり上げました。地元住民の方々の不安や懸念の払拭に努めてまいっているところであります。

 また、米軍と地元住民との交流を深めるためには、地元との信頼関係や協力関係を築いていくということが重要であると考えております。そういうことから、米軍及び地元関係者が参加をしたソフトボール大会、もちつき大会、あるいは航空自衛隊車力分屯基地で行われる活動など、さらに、米軍においてもまた、英語教室を平成十九年三月から継続的に開催していただいておりますし、地元の各種の行事に積極的に米軍の方も参加をいただいていると承知しております。

 防衛省といたしましては、今後とも、地元の御意見、御要望を伺いつつ、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

木村(太)分科員 具体的に、不祥事というかトラブル、あるいは日本の法令に違反するようなことが、米軍関係者、家族も含めて、あったのかどうか、ちょっとお聞かせください。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 米軍関係者によります事件等があったのかどうかというお尋ねでございます。

 平成二十年の三月に、車力通信所の所属の警備員によります、飲食店でございますけれども、住居侵入事件があったというふうに聞いているところでございます。また、米軍関係者によります交通事故につきましても、数件あったというふうに聞いているところでございます。

木村(太)分科員 そういったことができる限り発生しないように、先ほど北村副大臣の答弁にあったような協議会を通じて、またいろいろな交流会を通じて、信頼関係を築く努力をしているのだと思います。

 ただ、今御答弁あったとおり、いわゆる日本の法令に違反するようなトラブルも幾つかあったということでありますので、そういったことに対しての対応はどうなっているのか、ずばりお答えください。

井上政府参考人 今申し上げましたような米軍関係者によります事件等があった場合におきましては、私ども、地元の警察、そして地方公共団体、また防衛局におきまして密接なる連携をとっておりまして、それに対して当たっているところでございます。

 先ほどの、ことしの三月の事案でございますけれども、事件の届け出がございまして、警察におきます捜査を踏まえまして、青森地方検察庁におきます書類送検等が行われておりまして、日本の法令等に基づきましての措置が適切になされているところでございます。

 しかし、今後とも、そうしたことが起こらないように、先ほど副大臣の御答弁にもございましたけれども、関係者による連絡会を設置いたしておりまして、事件、事故の防止、対応が適切にとれるような連携を図ることといたしておりますし、また、非常時における通報連絡体制も構築をいたしまして、万が一事件等があった場合に適切に対応できるような体制を整えているというところでございます。

木村(太)分科員 今御答弁の中で、ことし三月と言いましたが、まだ三月は来ていませんので。

 それで、例えば、細かい言い方になるかもしれませんが、交通違反があるとすれば、米軍関係者に対しての日本の交通安全教室を開くとか、そういったことを一つ一つきちっとやっていくことが、先ほどの副大臣の考え方に沿っての、またお互いの信頼関係の構築になると思いますので、ぜひお願いしたいと思いますが、もう一度。

井上政府参考人 先ほど本年と申し上げましたけれども、二十年、昨年の三月の間違いでございました。申しわけございません。

 それから、交通事故が発生しているということを申し上げたところでございますけれども、米軍関係者に対しまして、日本の交通法令を適切に守るようにということにつきましての周知徹底を図っておりますし、そういう教育の機会も与えているというところでございます。

木村(太)分科員 では、一層御努力をお願いしたいと思います。

 さらに地元のことにちょっと触れたいと思いますが、私の地元青森県は、陸海空各自衛隊また米軍があるわけでありますが、陸海空各自衛隊と米軍があるというこの姿は、全国的にはまれなんでしょうか、どうなんでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 青森県には、米軍部隊につきましては陸海空、それから陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊につきましても師団司令部等、非常にメジャーな部隊が配備されておりますので、こういう、メジャーな部隊が全部そろっているというのは、青森県は非常に希有な例だと思います。

 ただ、具体的なケースということだけで申し上げれば、青森県のほか、東京都、神奈川県、山口県、長崎県、沖縄県という状況ではございます。

木村(太)分科員 ということは、御答弁にあったとおり考えますと、青森県は、我が国の安全保障の確立、また東アジアの安定のためにも大変重要な地域の一つと考えるわけでありますが、大臣の御認識はいかがでしょうか。

浜田国務大臣 今先生の御指摘のとおり、大変数少ない県であるわけでございますし、また、我々とすれば、防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画に従って、即応性の高い、また機動性を備えた部隊等を、その特性や我が国の地理的特性に応じて再編、配置をしているところであります。

 防衛省は、青森県を初め全国に陸海空自衛隊の部隊等を配置してきておりますけれども、このような部隊等の整備を通じて、我が国の平和と安全を確保することになると同時に、我が国周辺地域の平和と安定に資するものであると思っております。

 また、青森県を初めとする米軍の軍事的プレゼンスも、我が国の安全確保やアジア太平洋地域の平和と安定を維持するためには必要不可欠というふうに私自身は思っているところであります。

木村(太)分科員 ありがとうございます。

 もう少し地元のことを触れたいと思いますが、私の選挙区には、陸上自衛隊第三九普通科連隊、弘前駐屯地という駐屯地、それから航空自衛隊車力分屯基地、この車力分屯基地にXバンドレーダーが隣接しているわけでありますが、この二つの基地の意義を防衛省としてどう持っておられるのか、御披露ください。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 平成十六年十二月に策定されました防衛計画の大綱と中期防に従いまして、今いろいろな防衛力整備をやっているわけでございますけれども、これは、本格的な侵略事態への備えにも留意しつつ、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応し得る体制を構築するために、即応性や高い機動性を備えた部隊等を、その特性や我が国の地理的特性に応じて編成、配置することとしているところでございます。

 防衛省としましては、この東北北部地区の地理的特性、つまり、津軽海峡という重要海峡に面しておりまして、また域内に原子力関連施設が所在しているというようなことを考えますと、弘前市周辺を含めましてこの地域に各駐屯地、分屯基地等を配置させていただいておりまして、弘前駐屯地、車力分屯基地に所在する普通科や地対空誘導弾等の部隊は、各種事態への対処能力というものを保持することにより、この地域、さらには我が国の平和と安全の確保に重要な役割を担っているというふうに承知をしております。

木村(太)分科員 この二つの基地について、違う視点からちょっとお伺いしていいですか。

 それは、防衛省の施設に限らず、大学なんかでもよく言われますけれども、例えばこの弘前駐屯地あるいは車力分屯基地は、それぞれ地域の経済に対してどのような効果をもたらしていると言えるのか。違う角度から、ちょっと教えていただきたいと思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘になりました、地方大学が地域に及ぼす経済効果分析報告書というのは見せていただきましたけれども、その中では、生産誘発効果、雇用効果、税収効果というようなことが直接的に挙げられております。

 それで、私どもも、例えば弘前、車力ということでいえば、まず一つは、部隊が所在しておりますので、いろいろな施設を整備するというようなことがございますので、そういったことで地元に対する効果があると思います。

 それから、隊員の食事というようなことでいろいろな調達をいたしますので、すべてが地元から調達しているということではございませんけれども、非常に地元に対する経済効果があろうかと思います。

 それから、家族も含めましてそれなりの人数が住んでおりますので、いろいろな消費をするということで、経済的にはあろうかと思います。

 それに加えまして、持ち家があれば固定資産税、それから、自衛隊員として働いておりますので、そういった税金を個人市民税というような形で納めているということで、いろいろな意味で、部隊はいろいろお世話になっているわけでございますけれども、そういった形で地域にも貢献しているというふうに認識をしております。

木村(太)分科員 御答弁あったことを踏まえて、例えば弘前駐屯地の経済効果が年間何億円とか、そういうデータを持っていないんですか。また、そういったことを、弘前駐屯地に限らず、北海道から沖縄まで、それぞれの防衛省関係の基地等がいかに地域経済に貢献しているかということを、ある面では防衛省として不断に備えておくことも必要ではないかな。

 というのは、別に防衛省に限らず、例えば、うちの大学は地域経済にこのぐらいの経済効果をもたらしているということを、自慢という言い方は恐縮ですが、PRしているというようなニュースもよくあるものですから。こういった点、どうでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 いろいろ地域の事情によりまして異なるかというふうに思いますけれども、例えば、自衛隊員が五百人いれば標準的にはどれぐらいの税金が個人の市民税として入るかですとか、あるいは消費額としてはどの程度のものが標準的にあるかというのは、いろいろな形で計算をすることは可能ではないか。

 ちなみに、最近、ある自治体が出しております資料で読ませていただきましたけれども、五百人規模の部隊についていえば、個人の市民税で七千万円以上だ、あるいは消費支出額でいうと二十七億円以上だというような、自治体の方で計算されたものがございます。

 防衛省としても、その辺についてはいろいろ研究をさせていただきたいというふうに思っております。

木村(太)分科員 うちの地域にある基地が地域経済にこのぐらい年間に経済効果をもたらしているんだなということを地域の人に知ってもらえれば、一層御理解というか、そういう角度からも地域の皆さんに御理解が進むのではないかなと思いますので、一度というか、防衛省オリジナルでも結構ですから、経済波及効果がこの基地は、この施設はということをきちっとまとめておいた方がよろしいんじゃないですかね。どうですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 例えば一つの実績でございますけれども、平成十九年度の官公需の契約実績というようなもので見ますと、例えば弘前駐屯地ですと二億七千三百万円、それから車力の関係ですと一億五千五百万円というような実績もございますので、そういったことも含めて検討させていただきたいと思います。

木村(太)分科員 ありがとうございました。

 では、最後の質問というかお願いになりますが、お答えもいただきたいと思います。

 先ほどXバンドレーダーのお話をしましたが、私が副長官をさせていただいたときに、地元と交渉させていただいて、御理解いただいて配備ということを申し上げました。

 ただ、私が副長官として現地に入って以来、政務官以上の方は、多分、つがる市に入ってXバンドレーダーの現場を視察し、また市長さんや地域の方々、あるいは先ほど御答弁あった協議会の方々と接触はしていないのではないかなというふうに思うんです。いわゆる政治家である政務官以上の方々は、ぜひ一度またつがる市に入って、直接いろいろなことを感じていただき、また今後に生かしていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

北村副大臣 お答えさせていただきます。

 御指摘のXバンドレーダーの配備をめぐりましては、平成十八年四月と六月、当時の木村防衛庁副長官が青森県を訪問され、地元に対する説明や交流を深めるとともに、空自車力分屯基地に配備された米軍のXバンドレーダーを実地に視察されたと承知しております。

 その後につきましては、お話しのとおり、このような例はないものと承知をいたしております。したがいまして、Xバンドレーダーが日米のBMD能力の強化に寄与している、また、これに対する地元の協力が不可欠であるということは十分に認識しておりますから、御指摘の点につきまして、今後検討してまいりたいというふうに考えております。よろしくお願いします。

木村(太)分科員 終わります。ありがとうございました。

佐田主査 これにて木村太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、高山智司君。

高山分科員 民主党の高山智司でございます。

 きょうは、まず、大臣にせっかくお越しいただいて、ちょっといろいろ準備も時間がかかるようですから伺いたいんですけれども、これまたきょうの朝の新聞にもどおんと出ていたんですけれども、中川元財務大臣の飲酒の問題なんです。

 浜田大臣は中川大臣とかなり親しいと聞いておりますけれども、実際、ふだんから、飲まれたりするとどういうような影響を持つような人というふうに友人として把握されていたか。また、同じ内閣の閣僚として、このたびのイタリアでの記者会見の様子ですとか、そしてその後の辞任に至る経緯ですとか、どのように今お感じになっているか。まずお考えを述べてください。

浜田国務大臣 今回の件に関しましては、そういう意味では私とすれば大変残念な結果だというふうに思いますが、ふだんは、私がお酒を全く飲まないので、酒席で、そんなに回数多くしているわけではありませんが、確かにお酒は嫌いではないということは私も認識をしておりました。

 そしてまた、腰痛をお持ちであるというのも承知をしておりますし、そういった意味では、今回、お酒をどのくらい飲んだのか私は承知しておりませんし、そしてまたお薬もどうなのかわかりませんが、ただ、ああいう状況になるということは、やはりかなりお疲れだったのかなというのが一つと、そしてまた、逆に言うと、あの会見をするということに対しての準備という面からすれば大変不備があったのかなという気がしております。

 そういう意味では、こういった形で、国民の皆さん方にああいう形で会見が大変まずかったというのを見せたというのは大変マイナスであったと思いますし、いろいろな方々から御指摘があるように、国際的にもやはりかなり問題があったことは事実でございますので、会見のあり方も含め、そしてまた体調管理も含め、我々、しっかりしていかないかぬなというふうに思っているところであります。

高山分科員 本当に、大臣ですから、体調管理だとかそういう飲み過ぎとか、もちろん気をつけなきゃいけないなんて当たり前のことなんですけれども、それ以上に、周りの、記者会見をセットしたり、あるいは同行の、かばん持ちでついていった人たちあるいは秘書官、そういう人たちというのは何をやっていたのかなというふうに思うんです。

 この点、特に規律が重んじられる防衛大臣をやられている浜田大臣から見られて、今回の、中川大臣のあの一行が帰ってきて、周りのスタッフについてどのように今認識をされていますか。

浜田国務大臣 基本的に、大臣がトップでありますので、大臣が言えば通ってしまうこともあるわけで、そこの力関係というのは大変難しいものがあると思います。

 しかしながら、これはあくまでも、周りにいる人間はそれでも、国益そしてまた国を代表する立場というところであれば、より慎重になってこれを支えるというのは当然のことでありますので、たとえ不興を買ってでもやはりそれをしっかりといさめるなり、逆に言えば、自分たちで判断をして行動するということを、大臣の行動も含め、そういったことで逆に周りにいるわけですから、そういった部分での兼ね合いというのも、難しいところはあるかもしれませんが、しかし、お互い国の代表として行っているからにはそこまで考えてやるべきかなというふうに思っておるところであります。

高山分科員 私も本当にそのとおりだと思うんですね。だから、公務員の天下り禁止、わたり禁止みたいなのが、逆に政令で書きかえてしまうぐらい僣越なことがあるわけですから、大臣、お酒飲み過ぎですよ、もうこの辺にしてくださいとか、これぐらいは、僣越とはいいながら、むしろやるべきだったんじゃないのかなというふうに私は思います。

 それで、ただ人のことをあげつらっていても仕方ありませんので、まず、我々国会議員はではどうなのかなということで、今回ちょっと確認しておきたいんですけれども、これは、答弁を要求するといっても、議院運営委員会の申し合わせなんですね。私も今議運委員会の委員もやらせていただいておりますけれども、読ませていただきますと、議院の品位の確保に関する申合せというのがあります。「議員は、審議の場に酒気を帯びて入り、品位を乱す行為をしてはならない。」というようなことが申し合わせられて、当然のことなんですけれども、このような申し合わせがあります。

 これ以外に、一般の公務員ですとかあるいは国会の職員だとか、とにかくこういう国会あるいは行政周りで、今、飲酒のモラルであるとか、あるいは飲酒だけじゃありません、これは中川大臣、飲酒していなかったからといって、今、普通の車の運転、余り薬物をとっていたら運転しちゃいけないんですね。ですから、飲酒だけじゃなくて、そういう自己管理というかモラルの問題がどうなっているのかということを随時伺っていきたいんです。

 まず、国会議員は今のように議運で申し合わせをされているというふうになっていますが、国会を見に来るお客さんといいますか一般の国民の方、この傍聴規則についてまず伺いたいと思います。

 衆議院と参議院でそれぞれ傍聴席がありますね。あるいは本会議場でも傍聴席があります。これはお酒を飲んで傍聴してもいいんでしょうか。衆議院の事務局、お願いします。

向大野参事 お答えさせていただきます。

 傍聴人につきましては、酒気を帯びている者あるいは銃器とか危険なもの、そういうものを持っている人間は入ってはならないというふうに定められております。これは衆議院規則の二百二十九条でございます。

 参観者につきましては、特に定めはございません。

 以上です。

高山分科員 同様の規定は参議院にもありますか。

吉岡参議院参事 参議院の警務部長でございます。

 傍聴者につきましては、参議院規則第二百二十五条によりまして、「銃器その他危険なものを持つている者、酒気を帯びている者その他議長において取締上必要があると認めた者は、傍聴席に入ることができない。」という旨、規定されております。また、参議院傍聴規則第三条におきましても同じ趣旨が規定されております。

 また、参観者におきましては、参議院参観心得によりまして、「不適当と認められる者には参観を許可しないことがある。」という旨が規定されておりまして、明らかに酒気を帯びている者については、不適当と認められる者として参観窓口において参観を許可しない取り扱いをしております。

 以上でございます。

高山分科員 そうしますと、今は国会の話、特に傍聴人、国会は、本当は一般の国民の方に開かれて、議論の場を見てもらおうというところですけれども、酒気帯びの人は遠慮してくださいというような規定が今もうあるということでした。

 では、国会の職員について今度は伺いたいんですけれども、国会の職員が勤務中にお酒を飲んでいたり、あるいは飲んでいた人が勤務するとか、こういうことに関して何か規定はありますか。

向大野参事 お答えさせていただきます。

 勤務中の飲酒につきましては、特段の定めとかあるいは内規はございません。

 それから、衆議院の方、参議院もそうですが、運転手がおりますが、飲酒運転につきましては、これはもう当然法で、道交法に違反するという形になります。

 それから、勤務時間中に飲酒したり、あるいは飲酒運転をやったという形になりますと、国会職員法二十八条によって懲戒処分の対象になり得るという形になっております。

高山分科員 確認ですけれども、参議院はどのように職員の飲酒に関して規定あるいは処分をしていますか。

古賀参議院参事 お答えいたします。

 参議院におきましても、勤務中の飲酒に関する特段の取り決め、内規はございません。

 また、飲酒運転は、法令違反でございまして、国会職員であること以前に禁止される行為でございます。

 いずれの行為も、仮に国会職員が行った場合は、国会職員法第二十八条に基づきまして、懲戒処分の対象になり得るものと考えております。

高山分科員 それでは、国会図書館はどうでしょう。図書館も、私も学生のとき行きますと、入り口のところに、中で飲食をしないとか酒気を帯びている方はとか、いろいろ書いてあるんですね。国会図書館はどのような取り扱いをしていますか。

内海国立国会図書館参事 お答えさせていただきます。

 衆議院、参議院と同じように、国会職員法二十条で信用失墜行為等に当たるものについて、特段の定めはございませんけれども、そのような形で。処分につきましては、国会職員法二十八条におきまして処分をする。量定につきましては、人事院の懲戒指針に基づいて懲戒処分を行うということになると思います。

高山分科員 そうしますと、今度は裁判所に伺いたいんです。

 裁判所もやはり、裁判官が非常に泥酔した状態で判決をううとか言いながら言い渡したり、これは本当に公正な裁判と言えるのかなという疑念を当然抱かせる行為だと思うんですけれども、裁判所に関しては、職員及び裁判官、これは、飲酒に関してどのような取り決めや、また実際、実務上運用されていますか。

大谷最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 特に勤務中の飲酒についての取り決め、内規等はございませんが、今委員からまさに御指摘がありましたように、そういう行為が許されないことは言うまでもないことであります。職務専念義務等に違反することは明らかでありますので、そういう行為があった場合には、当然、処分の対象になるということでございます。

高山分科員 裁判所に重ねて伺いますけれども、今度、裁判員というのが始まりますね。まさに一般の方が何人か合議に加われるということですけれども、これは、一杯ひっかけてから裁判員で合議に加われても大丈夫ですね。

大谷最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判員の方々も非常勤の職員ということでございますので、飲酒等で勤務をしていただくことは困るということは、もう言うまでもないことでございます。

高山分科員 言うまでもないことといいますか、先ほど、まだ国会の職員の方は、国会職員法の何条に違反するので懲戒処分の対象になりますという話でしたけれども、そうすると、裁判所は結構緩いんですか、そういうお酒のルールに関しては。その辺、ちょっとはっきりさせていただきたいんですけれども。根拠法もちゃんと言ってください。

大谷最高裁判所長官代理者 裁判所に関しましては、職員は、裁判所の職員の臨時措置法というのがございまして、国家公務員法を準用しておりますので、先ほど来の御説明、衆議院等々のありました御説明と全く同じ、それは厳正に対処しなければならないということでございます。

高山分科員 では、次に行政の方に伺っていきたいと思います。

 まず、内閣府は、何か職員の飲酒に関して取り決めや実施を行っておりますか。

浜野政府参考人 お答えいたします。

 内閣府におきまして、勤務中の飲酒につきまして、特段の取り決め、内規はございません。

高山分科員 そうすると、これは、居酒屋タクシーの問題とかもありましたので、公務員お酒飲み放題みたいに誤解する人がいると思いますので、ちょっと問題だなと思いますが、時間の関係で、次々聞いていきます。

 まず、宮内庁、これはもう、陛下の身の回りのことから皇室行事すべてとり行うところですので、よりきちんとしているだろうという期待を持って聞くんですけれども、勤務中の飲酒あるいは職員の飲酒に関して何か規定はありますか。

岡政府参考人 宮内庁におきましても、勤務中の飲酒等につきまして具体的に定めました訓令等はございませんけれども、国家公務員法に照らしまして、みだりな飲酒が許されないのは当然のことであります。

高山分科員 いや、当たり前だと思っていたことが、この間の記者会見もありましたけれども、実際には起きているわけですね。だから今聞いているんです。

 では、まさに、本当に酔っていたら仕事にならないだろうという会計検査院はどうしていますか。

増田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院におきましては、一般職員につきまして、勤務中の飲酒あるいは飲酒運転等について特段定めたものはございませんけれども、公用車の運転を職務としております職員につきましては、内規を定めておりまして、毎日、出勤後にアルコール検知器によりアルコール濃度を測定し、その濃度が一定以上の場合には運転業務に従事させないということにいたしております。

高山分科員 会計検査院が一番きちんとしていますね。

 次、皇宮警察及び、聞いたら警察庁も入るということだったので、警察ではどのように取り決めをして運用をされていますか。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 皇宮警察及び警察庁でございますが、今お答えのあった各省と同様に、勤務中の飲酒について格別の内規はございませんが、勤務中の飲酒については、一般的に国家公務員法上の職務専念義務に違反すると考えられていますので、そういうことはないというふうに考えております。

高山分科員 それでは、大臣、お待たせして申しわけございませんでした。防衛省についても伺っていきたいと思うんです。

 防衛省は、まさに職員も非常に多いですし、しかも、勤務時間といっても、例えばイージス艦に乗ったらずっと一カ月以上行っているわけですね。そうなってくると、飲酒や勤務中の飲酒といったことに関してどのような規定をしているのか、まず教えてください。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊員の勤務中の飲酒に関しましては、防衛大臣が定めております隊員の分限、服務等に関する訓令というものがございまして、この第十条におきまして、「勤務中及び駐屯地又は艦船内においては、防衛大臣が特に許可した場合のほか、酒類を用いてはならない。隊員は、いかなる場合においても、品位を失い、又は自衛隊の不名誉となる程度まで酒類を用いてはならない。」ということで定められております。

 また、飲酒運転につきましては、累次、事務次官の方から通達が発出されておりまして、隊員に対し周知徹底し、指導を行っているというところでございます。

高山分科員 これは結構厳しいですね。駐屯地内とか全部いけないとなると、かなり実は飲めないんだなということを思いますけれども。

 この点に照らして各省にまた順次御答弁願いたいんですけれども、もう一々やっていると時間がありませんので、先ほど答弁していただいた順番で御答弁いただきたいんです。

 今まで各省庁で、あるいは衆議院、裁判所もそうですけれども、庁舎内で飲酒をしている職員がいたという事実はありませんね。

佐田主査 一人ずつ一応指名していただきたいんですけれども。

高山分科員 それでは、衆議院、参議院、裁判所の順番でまずお願いします。

向大野参事 お答えいたします。

 勤務時間中はないというふうに思っております。以上です。

古賀参議院参事 参議院におきましても、勤務時間中は飲酒はないと思ってございます。

大谷最高裁判所長官代理者 平成二十年の一月から十二月までということですけれども、全国の裁判所で、遺憾ながら二例ございました。酒気を帯びた職員が庁舎内に立ち入ったという例でございます。一例は、酒のにおいをさせながら赤ら顔で勤務した、もう一件は、宿直勤務中に飲酒をしたというものでありまして、いずれについても戒告処分にいたしております。

高山分科員 それでは、先ほど伺いました行政の方、まあ会計検査院はちょっと違うんですが、内閣府、会計検査院、そして警察、宮内庁、いかがですか。今まで、勤務中の飲酒、また庁舎内で飲酒というのはありませんね。

浜野政府参考人 勤務時間中の飲酒の例はございません。

増田会計検査院当局者 勤務中に飲酒をしているという事例はないと承知しております。

片桐政府参考人 警察庁も、勤務中に飲酒した事例はございません。

岡政府参考人 宮中におきましては、国内外のお客様をお招きした行事だとか功績者をお招きしたいろいろな行事が行われますので、そうした席におきましては酒類が提供される場合もございますので、それに従事した幹部職員が儀礼もしくは常識の範囲内で飲酒するということはあろうかと思いますけれども、みだりに飲酒した、規律違反になるような飲酒があったということはございません。

高山分科員 それでは、今の内閣府と警察にちょっと、余りにも断言されたのでもう一度確認で伺っておきますが、勤務中に飲酒した方はいらっしゃらないと。

 あと、酒気帯びで仕事をされている方というのがいるかどうかも一応確認しておきたいんですが、内閣府、警察庁、お答えください。

浜野政府参考人 ないと思います。(高山分科員「ないと思いますですか」と呼ぶ)ございません。

片桐政府参考人 お答え申し上げます。

 勤務時間外、退庁後に飲酒し、その後に緊急の呼び出しがあって勤務につかなければいけないという場合、これはあろうかと思いますので、その場合には、もちろん勤務に差し支えがあれば帰しますが、そうでなければ、酒気を帯びた状態で勤務するということはあり得るというふうに思っています。

高山分科員 今、とにかくこういう御時世ですので、厳しく公務員の方の飲酒の問題を伺ってきました。

 次に、ちょっと国土交通省に伺いたいことがあるんですが、タクシーとかトラックとかのいわゆる飲酒運転ですね、いろいろなときに問題になりました。そのときに、タクシー、トラック、あるいは航空業界、パイロットとかスチュワーデスさん、こういう方たちに聞きますと、どうも、何時間前には飲酒をしちゃいけないだとか、乗る前に呼気のチェックをするだとか、いろいろな規定があるようですが、どのように指導されていますか。

稲葉政府参考人 トラック、タクシー等の事業用自動車について申し上げますけれども、まず乗務前の点検をすること、それから点呼におきまして飲酒の有無を確認すること、さらに飲酒状態の乗務員を乗務させてはならないということを法令により事業者に義務づけております。仮に運転者が飲酒運転を行った事業者がありました場合には、監査、行政処分を行い、法令遵守の徹底を指導しております。

 それから、国土交通省から各業界団体に要請いたしまして、各業界団体におきまして飲酒運転を防止するためのマニュアルの策定、その周知の徹底を図っておりますけれども、そのマニュアルの中には、勤務時間前八時間以内の飲酒の禁止、それからアルコール検知器の活用等について定められております。

高山分科員 今お話を伺いますと、まさにタクシー、トラック、航空業界、こういうところは、八時間前はもう飲んじゃだめだとか、乗る前には呼気検査をしなさいとか。これは確かに飲酒運転そのものがもう違法ですから、だから厳しくチェックするというのはもちろんなんですけれども。

 これは新聞記事によればですけれども、本当に記者会見の四十分ぐらい前まで飲まれているような人も、例えば麻生内閣にはいたわけですよね。だから、その飲酒の規定というのがどうも、一般の国民に対しては随分厳しくしている割には、国家公務員は全然規定がない。

 それで、国家公務員法に規定があります、国家公務員法に規定がありますというような先ほどからお答えだったんですけれども、では、その国家公務員法の規定というのはどのような規定になっているのか、もう一度説明してください。

 そうしないと、国民にだけ何かやたらお酒の問題を厳しく取り締まっておきながら、肝心かなめの公務員はお酒飲み放題ということでは、やはり二重の基準になるのではないかと思うので、皆さんが先ほどからよって立っているその国家公務員法はどのような書きぶりの規定になっているんでしょうか。教えてください。

 では、これは内閣府に伺います。内閣府が一番初めにこの返事をしましたので。

浜野政府参考人 国家公務員法第八十二条におきましては、職員が次のいずれかに該当する場合において、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給または戒告の処分をすることができるとしておりまして、その中で、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」と定めてございます。

 それから、職務に専念する義務として、百一条でございますが、職員は、法律または命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い云々というふうに定めているところでございます。

高山分科員 私、この後、大臣に見解を伺いたいので聞くんですけれども、このように一応何か総論的な規定があるんですよね。それで、国家公務員の場合、あるいは例えば防衛省職員の場合、例えば勤務の八時間前にはお酒を飲んじゃいけないだとか、何かいろいろそういう取り決めはあるんでしょうかとか、酒気帯びのことをきのうもいろいろ職員の方に伺いましたら、いや、それはお酒の強い人と弱い人もいるし、あるいはお酒を多少は飲んでいても仕事はできるからというような方もいらっしゃいました。

 それは、一般の社会でも昔は言われていたことがありましたよね。飲酒取り締まりが厳しいときに、いや、ビール一杯だったら飲んだうちに入らないよなんと言う人もいました。それはもう許されないことなんだけれども、そういうふうに言ったりなんかしている人もいたんですね。

 私、それでちょっと浜田大臣にも伺いたいんですけれども、一般のトラックだとかタクシーの業界の人には八時間前に飲むなだとか呼気検査をやれだとかいろいろ言っておきながら、結構、身内に甘いですよね。やはり形式的に取り締まることというのは非常に大切だと思うんですね。

 例えば、防衛省の職員の人はお酒が強いからこのぐらいは大丈夫だとか、内閣府の職員の人は飲んでもこれぐらいは仕事できるとか、警察庁の職員の人は自分で飲酒違反の取り締まりの教材までつくっておきながら飲酒運転しちゃったりとか、ちょっと自分に甘いんじゃないかなと思うんですけれども、防衛大臣に伺います。

 まず防衛省だけでもいいですから、きちんと形式的なこういう取り締まりの基準のようなものを、内規のようなものを、まあ防衛省は、私、ほかの省庁に比べたら比較的まともだとは思いますけれども、読むと、隊員の士気向上のためには持ち込んでもいいとかいろいろ書いてあるものですから。トラックとかタクシーとかああいう業界と同じように、厳格なものをつくる必要性は感じませんか。

浜田国務大臣 先生のおっしゃるように、我々防衛省は、基地という中で仕事をしているわけで、住んでいるところもそこになったりとかありますので、当然これはしっかりとやるべきものと思っております。それでも、やはりそこではいろいろなことが起きているわけでありますので、今先生のような御懸念があるとするならば、我々はしっかりとそれにこたえていかなければならないというふうに思っているところであります。

 政府全体としてどうなるかは、これは御指摘を踏まえてまた検討することになろうかと思いますが、もしもそういう御懸念というものを払拭するのであれば、当然我々もそれに対処せざるを得ないのかなというふうに思っているところであります。

高山分科員 私は、そういう懸念という意味では、公務員の方が飲酒でまた職務上支障を来すんじゃないかという懸念はもちろんありますよ。この間も記者会見で財務大臣を見たばかりですから、懸念はあります。

 でも、懸念ということ以前に、国民には、傍聴席に入るのも飲んじゃいけません、そして裁判所の傍聴人心得というのがあるんですよ、傍聴人にも騒いだりお酒を飲んだらいけませんと言っておきながら、公務員は事実上規律がないというのは、二重の基準で、ちょっとお手盛りな感じがするなということを私は危惧しているんです。せめて国民と同じような基準、つまり庁舎内では飲んじゃいけませんよとか、あるいは酒気帯びの人は入れませんよとか、こういうことをきちんと決められた方がいいと思うんですけれども、そういう必要性は感じませんか。

浜田国務大臣 ある一面、公僕としての、要するに自分の意識の高さというものをおのおのが感じて、それを律していくというのが極めて重要だと私は思っています。ですから、もしもモラルという面でいろいろなことが起きているとするならば、当然そういった規律が必要かとは思います。

 ですから、もう一度その確認をして、その後に、もしもそれが確認がとれないということであれば、今おっしゃったような規律というものも考えるべきかなというふうに思います。

高山分科員 時間が来たので、終わらせていただきます。

佐田主査 これにて高山智司君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内分科員 おはようございます。よろしくお願いいたします。

 まず、浜田大臣、ソマリアの海賊問題について教えていただきたいと思います。

 浜田大臣は、一月二十八日、海上自衛隊に対して準備をせよという命令を発出されたわけでありますが、では、具体的には、海上警備行動にいつ移れと、今準備をせよという段階でございますから、海上警備行動の発令というのはいつごろになるのかということをちょっと教えていただきたいと思います。

浜田国務大臣 今準備をしておる最中でございまして、では、いつという話になるわけでありますが、今の進捗状況等々を考えれば、発令する時期については、まあ三月の上旬になるかということで、その辺のところは、今準備の段階でございますのでまだはっきりとは断定できませんので、今の状況からいえば、その準備の状況を見つつというところまでしかお答えができません。済みません。

川内分科員 私たち民主党、さらには社民党、国民新党の三党は、海賊対策というのは第一義的にはソマリア沖であっても海上保安庁の責務であるというふうに考えておるわけでございます。この点については、浜田大臣も再三にわたって、海賊対策というのは第一義的には海上保安庁の責務であるということをいろいろな場所でおっしゃっていらっしゃるわけでございますが、改めて確認をさせていただきたいと思います。

浜田国務大臣 海上警備行動に関しましては、法律上も第一義的には海上保安庁が対処するということになっておりますので、その認識には変わりません。

川内分科員 海上保安庁の見解はどうでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 海賊への対応は、第一義的には海上保安庁の仕事だと思っておりますし、これまでも、東南アジアの海賊等に対しては我々が対応してまいっているところでございます。

川内分科員 昨日、御説明を防衛省の方にいただいたのでございますけれども、自衛隊の場合には、日本との関連性のない外国船が海賊に襲われているとき、あるいは襲われそうなときというのは、自衛隊は現行の法律では対応できないんですという御説明でございました。

 海上保安庁は、外国船が海賊に襲われそうなとき、あるいは襲われているときでも、海上保安庁であれば対応できるという理解でよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 現行法制上は、私どもも、公海上で外国船が襲われたという場合には、事実上の行動は別にして、法制上対応するということは難しいと考えております。

川内分科員 きのうの説明では、割って入ることはできるんだという御説明だったんですけれども。

鈴木政府参考人 これを逮捕するとかそういうことでなくて、事実上の行動として、割って入ったりして阻止するということは可能であります。

川内分科員 今、海上保安庁は、足の長い船、かつてフランスから船を護衛するために使った「しきしま」という六千五百トンの船が一隻しかないということで、なかなかソマリア沖までは難しいということでございますけれども、足の長い船が海上保安庁にほかにもあれば、実績も上げているわけでございますから、海賊対策に十分な能力を持っていらっしゃるというふうに思うのでございます。

 では、海上保安庁は少ない予算の中で一生懸命頑張っていらっしゃるわけでございますが、予算上の制約がないとすれば、船を建造し、そしてそれを海の安全を守るためにしっかりと使っていくというふうにしていくには、どのくらい時間があればソマリア沖の海賊対策にも対応できるというふうにお考えかということを教えていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の「しきしま」という船、私どもで一番大きな船を有しておりまして、これは、かつて、平成四年にヨーロッパから日本までプルトニウムを輸送するときの護衛船としてつくったものであります。

 これは長距離行動も可能でありますが、同じような船を今つくろうといたしますと、準備等も含めまして、契約等の手続も含めまして四年程度はかかると考えております。

川内分科員 私どもとしては、これは浜田大臣とも認識が一致するわけでございますが、一義的には海上保安庁が海賊対策をすべきである。しかし、今からそれに対応しようとすると四年程度かかるということでございますが、その間何もしないというわけにもいかないでしょうという難しい、悩ましい問題が残るわけでございまして、そういう意味では、これから政府の方では具体の法律などもお考えになられるようでございますから、またしっかりとそこを大臣とも議論していきたいというふうに考えます。

 それでは、次の論点に移らせていただきます。田母神さんの問題でございます。

 私は、田母神前航空幕僚長の思想あるいは行為というのは、自衛隊法六十一条の政治的行為の制限違反ではないかというふうに考えております。この行為は、自衛隊法百十九条により三年以下の懲役または禁錮という罰則のある犯罪行為になるわけでございますけれども、しかるに、田母神氏は、反省するどころか、きのうは自民党本部にまでいらっしゃったようでございまして、そこで、これは報道ですから正確に彼の言葉を再現しているわけではないかもしれませんが、このような趣旨の発言をされていらっしゃる。

 石破元防衛大臣は私のことを偏っていると言ったが、偏っているのはあなただと言いたい。石破さんの方が偏っているんじゃないのと、これを自民党本部でおっしゃられたそうでございます。自民党本部でと言うとちょっと誤解が生じるかもしれませんから正確に言うと、自民党本部で開かれた自民党の有志議員の会合でそのような御発言をされたというふうに報道されているわけでございます。

 かつて、田母神さんは、自衛隊の中の鵬友という会報誌の中では、石破大臣というのはすばらしい、私のことを実によく理解してくれている、こう田母神さんはおっしゃっていらっしゃったわけでございますが、今度は全く違うことをおっしゃられる。御自分にとって都合のいいところを取り上げたり、御自分にとって都合の悪いところを攻撃したりという、ちょっと御都合主義が過ぎるんじゃないかなというふうに思うのでございますけれども。

 防衛省は、既に、私の質問に対して国会答弁で、田母神氏の主張、これは自衛隊法六十一条の「政令で定める政治的目的」に当たると。この政治的目的というのは、具体に厳密に定義をされているわけでございまして、民主主義の根幹にかかわることを主張する場合に、その政治的目的に当たるのだということが答弁されているわけでございます。すなわち、日本国憲法の三つの原則、国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義、この三つの日本国憲法の根幹に触れるような、あるいはそれを変更しようとする発言をするというのは政治的目的を有するということになるわけでございます。

 では、その政治的目的を有して政治的行為をなしたかどうかというのが、次、厳密に検証をされなければならないわけでございます。昨年十二月に防衛省がこの田母神さんの問題について報告書を出していらっしゃるわけでございますけれども、どうもその辺についての検証は十分には行われてはいない。それはまた別な機会にしっかり議論をさせていただきます。

 きょうお聞きしたいのは、田母神前航空幕僚長が平成十五年に新設した統合幕僚学校の歴史観・国家観の科目の見直しについて、いつまでにどのように見直しをされるのかということを教えていただきたいと存じます。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 統合幕僚学校が実施しておりました幹部高級課程の科目、歴史観・国家観につきましては、講師の構成が創設時でございます平成十五年度以降大きな変更もなく、また、これが全体としてバランスを欠いていたと言わざるを得ないというふうに考えております。

 このため、この科目につきましては、現在、より幅広くバランスのとれた適切な教育を実施し得るよう、見直しについて検討しているところでございまして、なるべく早く結論を得たいと考えているところでございますけれども、具体的にいつまでということは現時点では申し上げられません。

 ただ、来年度、平成二十一年度の幹部高級課程につきましては、本年の四月一日から教育が開始されるわけでありますけれども、この歴史観・国家観につきましては、見直しの検討についての結論がきちんと得られるまでは実施しないというふうに考えております。

川内分科員 四月一日から新しい課程が始まるのはもう具体の予定として決まっている、他方で、歴史観・国家観の講座の見直しについては作業を進めているが、いつまでかかるかわからないので、結論が出ない場合には新年度から始まる課程においては歴史観・国家観の講座は実施をしないということでよろしいですか。

渡部政府参考人 御指摘のとおりでございまして、この見直しの検討について結論を得るまでは実施しないということでございます。

川内分科員 大臣、要するに、田母神さんがこの歴史観・国家観の講座をお始めになられて、講師の中のお一人が、その講座の内容をウエブサイト上で公開されていらっしゃって、防衛省の事務方も、その方の講座の内容については、その方のウエブサイトで公表されている資料どおりですということを御答弁されていらっしゃるわけですけれども、そのある一人の講師の方は、日本国憲法は改正すべきなんだ、日本の今の歴史観や国家観というのはもう間違っておると、まさに偏った講義をされていらっしゃるわけでございますね。だから憲法改正すべきなんだというようなことをおっしゃっていらっしゃるわけでございます。

 では、そういう方を講師として選定したのはだれなんだ。これは明らかになっていないわけでございまして、もし田母神さんが、ああ、自分も憲法改正賛成だ、しなきゃいかぬ、集団的自衛権、行使すべきだ、専守防衛とんでもない、先制攻撃をすべきなんだというようなことでその方を講師に入れたということになれば、これは政治的目的を持って政治的行為をなした、しかも、自分が所属する、あるいは自分が指揮命令をする統幕学校の中でなしたということで、これは国家公務員法上の大きな問題につながると思うんですけれども、その辺の検証というのは実は全然なされていないんですね。

 講座が、偏りがあって不適切な講座であった、バランスを欠いていたというのは、今御答弁があったとおりですね。ところが、では、その講座をだれがどういう目的でつくったのかということについては調査報告書にも出ていない。私は、これは再三にわたって、その辺の経緯を明らかにすることこそが、自衛隊の皆さんがそれこそバランス感覚を持って行動していくという上において重要な出発点になるというふうに思うんですね。

 特に、指揮官あるいは部隊の長になられるべき人たちが物すごく狭い視点でしか物事を見られない人たちだったら、本当にいざというときにバランスのとれた判断なんか全然できっこないわけですよ。思い込みで行動します、思い込みで命令しますというようなことでは困るわけでございます。

 そういう意味で、幅広く全体をしっかり見て、そして国を守る、そして自分の指揮下にある部下を守っていくという指揮官こそが有能な指揮官であるというふうに私は思うんですけれども、そういう指揮官を育てていくためにも、何でこんなことが起こったのか、その講座がつくられたのはバランスを欠いたね、不適切だったねという結果だけではなくて、なぜそれができたのかということについてもやはりしっかり調査をすべきであるというふうに思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。

浜田国務大臣 今先生から御指摘のあった点というのは、確かに我々としても把握しておく必要があるかもしれません。しかし、我々とすると、逆に言えば、今回の田母神さんの要するに航空幕僚長としての資質等も踏まえて、そしてまた今後それを、こういった事案が起きたときに、対処として、その結果として、航空幕僚長をおろして、そして退職願ったということでありますので、我々の意識の中に、そういったカリキュラムの決定の仕方についての経緯というものは当然そうすべきところもあると思いますので、今後、我々の知る範囲内で、逆に言えば、私自身も、今回の田母神さんの事件の責任者として決定を下したわけですので、その経緯のところも含めて見てみたいというふうに思うところであります。

川内分科員 またこの件についても大臣といろいろ話をさせていただこうと思います。

 次に、これもまだ懸案事項として残っていることなんですけれども、江田島の海上自衛隊特別警備隊訓練生の死亡事件でございます。

 昨年十二月に、事故調査委員会の報告書の期限が延長をされたということでございます。これはいつまでに最終報告書が提出をされるのかということについて教えていただきたいと思います。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 特警隊の事案につきましては、昨年の十月二十二日に中間報告として取りまとめまして公表させていただきました。

 それから、川内先生御指摘のとおり、この事故調査を今やっているわけでございますけれども、十二月に延長の措置をとらせていただきまして、他方で捜査をやっている関係もございまして、本件事案につきまして、書類送致をされた時点から一カ月を一応の期限としてこの調査をまとめることにしておりますけれども、現時点におきましてまさに捜査中でございまして、そちらの方の見通しというものも現時点では立ちませんので、いつまでにということはなかなか申し上げられない。御理解いただきたいと思います。

川内分科員 今ちょっと発言で出ましたけれども、警務隊の捜査でございますけれども、防衛大臣はこの警務隊の捜査も指揮されるお立場でいらっしゃるわけでございますが、これまで何回捜査についての報告を受けられたか、直近の報告はいつだったか、どのような内容であったかということを差し支えのない範囲で教えていただきたいと思います。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 昨年の十月以降、防衛大臣に対しまして警務隊の捜査状況につきまして報告した回数は四回でございます。直近の例を申し上げますと、先般、二月十日に、現在の捜査状況、どういうところをポイントにして捜査しているか等につきまして御報告させていただいております。

川内分科員 大臣、今の答弁でいいですか。

浜田国務大臣 はい、そのとおりでございます。

川内分科員 大臣、この事件発生から既に半年がたとうとしているわけでございます。警務隊の捜査あるいは事故調査委員会の報告にしても、公的組織の中で起きた出来事についての捜査であり調査報告書なわけでございますね。私は、それはちょっと時間がかかり過ぎなのではないかと。たくさんの人がその場にいました、そしてたくさんの人がかかわっています、そういう中で訓練生が一人死んだという事件ですよ。それで、捜査がなぜこんなに時間がかかるのか、あるいは事故の調査がなぜこんなに最終報告が出るのに時間がかかるのか。

 これはやはり、国民の皆さんの自衛隊あるいは防衛省に対する信頼というものをしっかり回復していく意味でも、間違ったところは、間違ったね、ここがよくなかったねというところをしっかりとみんなで検証し、そして新たにスタートをしていくということをしなければならない。

 いや、慎重にやっているんです、時間がかかるんですということなのかもしれませんが、それにしても、たくさんの人が見ていた中で起きたことですから、そんなに、六カ月過ぎても、いや、まだ捜査中ですというのはちょっと、私からすれば理解しがたい部分があるわけでございまして、早急に捜査も、そしてまた調査報告書も結論を得るということにしていただかなければならぬというふうに思いますが、どちらも最終的な責任は防衛大臣が担っていらっしゃるわけでございまして、御決意のところを聞かせていただきたいと思います。

浜田国務大臣 先生の御指摘のとおり、我々とすれば、その捜査、調査報告書も含めてできるだけ早くというのは、これはもう先生のおっしゃるとおりだと思っておるわけでございます。しかしながら、我々の捜査だけではございませんので、そういった状況も踏まえながら、先生のおしかりを受けないように、しっかりと早目に出させるように努力してまいりたいというふうに思っておるところであります。

川内分科員 それから、遅いといえば、もう一つ。イージス艦「あたご」と漁船清徳丸の衝突事件についても、これも実は最終の報告書というのが出ていないわけでございます。

 昨年八月以来、「あたご」に装備されていたARPA、OPA―6Eというレーダー指示器の持つ自動衝突予防援助機能が、これは警報音が鳴るわけでございますが、事故当時、作動したのかしなかったのか、鳴ったのか鳴らなかったのか、そしてまた、それを聞いたのか聞かなかったのかということを、今までの海難審判所のさまざまな書類あるいは防衛省が中間的に出された報告書にも、この自動衝突予防援助装置のことは一切触れられていないわけでございます。

 私も、海上自衛隊の方に船に乗せていただいて、このARPA機能について実際に見せていただきましたけれども、ぶつかりそうな船があらわれるとピーと音がする、それを回避行動をとる、あるいはその船のマークを消すということをしなければ、ぶつかりそうになるたびに、ぶつかるよというたびに音が鳴るわけでございます。

 これがきちんと作動していたのかどうか、聞いたのか聞かなかったのかということは、私は重要な論点だというふうに思っているわけでございまして、このことについても調査してください、教えてくださいというふうに申し上げているわけですが、調査中ですということで、なかなか教えていただいておりません。一体どういう状況なのかということについて教えていただきたいと存じます。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 護衛艦「あたご」と漁船清徳丸の衝突事故につきましては、防衛省の艦船事故調査委員会におきまして、捜査当局による捜査にも十分配意しながら、まさに事故原因の究明それから再発防止策について必要な調査を実施しておるところでございます。

 この中で、御指摘のARPA、自動衝突予防援助機能、これの作動状況につきましても、このような調査の中で事実関係をまとめたいと考えておるところでございます。現在も、今調査の途上ということでございます。

川内分科員 ずっと調査していて、永遠に調査中になってしまうんじゃないかと思って私は不安なんですけれども。

 国会答弁で、昨年二月、当時の防衛省寺田政務官という方が、この事故の核心に触れる部分だ、このARPAの警報音が鳴ったか鳴らなかったは核心に触れる部分であり、当事者である防衛省からのお答えは、これは差し控えさせていただきたいというふうにおっしゃっていらっしゃるわけでございます。

 しかし、防衛省の調査と、捜査は海上保安庁がやっていることで、全く別でございますから、防衛省のARPAについての調査報告と海上保安庁なりがやっている捜査とは全く別物ですよね、関係ないですよね。きょうはちょっと海上保安庁さんを、別ですと最後に言っていただけますか。

鈴木政府参考人 この「あたご」の事件に関しましては、私どもも捜査をいたしまして、昨年の六月二十四日に、横浜地方検察庁に当時の航海長と水雷長の二名を書類送致したところでありますが、その捜査と防衛省さんの調査とは関係ないものと承知しております。

川内分科員 終わらせていただきますが、なるべく早く、別だと今言っていますから、期待しておりますのでよろしくお願いします。

 終わります。

佐田主査 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部(知)分科員 社会民主党の阿部知子です。

 私も、ただいまの川内委員の御質疑に引き続いて、自衛隊という組織のあり方ということについて、主に浜田防衛大臣と、そして特に人事教育にかかわられる担当部署にお伺いを申し上げます。

 自衛隊という組織が、一九五〇年に警察予備隊という形で日本に、前身、そうした形で発足し、さらに一九五四年、自衛隊という名前になり、今日に至っております。防衛大臣も御承知おきのように、この間、任務も拡大の一途でありますし、その分、国民から見て風通しのよいというか、どういう組織であるのかということが、この段、格別に問われていると私は思います。

 そうした中で、大臣が御就任になってからも、二つ、大きな事案と私は思いますが、起こっております。一つは、今川内委員の御質疑にありました田母神問題、そしてもう一つ、九月九日の江田島での訓練中の死亡事故でございますね。

 こうした事態があると、例えば、自衛隊という組織の中がどうなっているのか、教育から訓練に至るまで、やはり国民としてはきちんと知っておきたいし、その上で任務をきちんとこれからも果たしていただきたい。いわゆる国民が望む形での自衛隊のあり方と国際貢献ということが最も肝要になると思います。

 私は、かつても予算委員会で少し取り上げた事案ですが、この前段に、大臣のお手元にもし資料として届いておればお目通しいただきたいのですが、ここには、自衛官のいじめによる自殺などの人権侵害裁判というタイトルで、これは御遺族が、うちの息子は隊でのいじめが原因で自殺したのではないかという形で裁判に訴えている事案であります。

 もちろん、個別の事案は係争中であるということで深い言及はできないという前提はもう存じておりますので、私がここでぜひ大臣に知っていただきたいのは、例えば「さわぎり」という一例目の事案は、これは二十一歳の三等海曹となっておりますが、奥さんもあってお子さんもあって、人生のこれからというやさきに自殺をされた事案で、そして福岡高裁判決がもう確定しております。

 これは、当時の指導に当たる上司の、ある意味で指導の域を超えた言動が、この方の思い詰め、自殺をされるところに結びついたんだということで、隊での指導のあり方ということを、自衛隊の側も確定ということで認めておられますし、並びに、安全配慮義務違反といって、そうした事態に及ばないように安全配慮をしなければいけないという非常に教訓的な事案だと私は思います。

 次の「たちかぜ」と申しますのも、実は私は神奈川でございまして、これは横須賀の事案で、ボイラー室等々で、ある上司がこの亡くなった方をエアガンでおどしたり、あるいはカードを取り上げて、サラ金等々に、本人のあずかり知らぬところでお金を使わせたという事案で、これも係争中でありますが、この事案の場合は、まだ判決は出ておりませんけれども、そうしたエアガンでのおどし等々は認められておる。ただ、それが自殺ということまで至ったかどうかがただいま係争中。

 三例目の浜松裁判は、二十九歳。この方は自衛隊にお入りになって十年以上で、実はこの方はイラクにも行っておられる方なのです。

 私は、こうした裁判は、できる限り傍聴もいたし、御両親とも会っておりますが、実は、個人的なことを申せば、この浜松の事案の御両親はもともと自衛隊員であられて、そしてお子さんにも期待されて、自衛隊に入った、十年頑張ってきたと。つらいということもおっしゃったこともあるけれども、頑張れとむしろ励ましたことがこうした結果になったのではないかと大変悩んでおられますし、しかし、この方も御家族がありますし、どうしてこうなったのかということで、今浜松で係争中であるということです。

 私が一番案じますのは、やはりこれから本当に、人格的にも、それから素養の面においても優秀な方が自衛隊を担っていただかないと、この難局の時代を乗り切れないだろうと。

 ちなみに私は医者で、今、医療崩壊が叫ばれておりますが、私にしてみれば、この現状というのは、医療の担い手の崩壊ということもすごくあるように思うのです。それは私が身を置いた場だからそう思いますし、自衛隊の場合もさまざまな面で、人的な崩壊と申しますか、そういうことが進んでいるのではないか。これは、任務が多忙になる、さまざまな要請がなされる、その中で自分の位置が見えなくなる、そして組織はひずむ。どこでもあることだと思うのですが、しかし、これが国防を預かる非常に重要な部署であるということで、浜田大臣にはぜひ、私は、ちょっと前ぶれが長くて恐縮ですが、どうした事案がどういうふうに係争されているかという背景をお話しさせていただきました。

 そういう前提に立って、これまで、いじめと申しますと、小中学校等々では現状、いじめから自殺される子供さんが多くなったので、いじめということがあるんだというまず認識と、それを認識した上で対策をする。これはどこでもそうなんだと思うんですが、さて、自衛隊にあっては、そうした認識、本当に自衛隊だからいじめがないというふうに思われると、いじめという概念が幅広いということもありますが、先ほど申しました上司の、ある域を過ぎた、指導に名をかりた、ある意味での精神的なプレッシャーをかけた、これをも称していじめということがあろうかと私は思うのです。

 そうした現状認識について、これは、私の望みは、ないというのではなくて、そうしたことも含めて、自衛隊としての組織のあり方を再度本当にこの段お考えいただきたいと思うのですが、まず大臣にはどのような御認識であるか、お願いいたします。

    〔主査退席、岸田主査代理着席〕

浜田国務大臣 今先生御指摘のように、以前からずっと、この問題に関して大変深くかかわりを持たれ、そしてその中で、我々に対してもいろいろな御指摘をいただいているわけであります。

 当然、人間が組織をつくっているわけでありますので、いろいろなことが可能性があるわけでございまして、我々の防衛省・自衛隊においては、先生のおっしゃるような、いじめというその定義については今の現段階では設けているわけではございませんけれども、我々の組織の中において、上位の階級等にある者が部下等に不法または不当に精神的また肉体的苦痛を与えるような行為を行った場合には、事実関係を把握した上で、私的制裁、傷害、また暴行、脅迫として厳正に処分を行う等の対応をしているところでございます。

 また、先生からのお話にあった私的制裁、暴行の防止に関して、そのための対策、そしてまた被害隊員に対する対策の両面から、服務指導の徹底、そしてまた隊員の心情把握、カウンセリング体制の整備等の措置を講じて、これらの措置をしているところでございますし、また、自殺の事故防止対策も実施をしているところでございます。

 先生の御指摘のように、我々の自衛隊として取り組むべき問題等は大変、この問題は、人間を多く抱えている組織でありますので、当然のごとく、高い意識を、そしてまた高い知識を持って今後対処していかなきゃいかぬというふうに思いますので、さらにまた先生からも御指摘いただければというふうに思う次第でございます。

阿部(知)分科員 次に人事教育局長にお伺いいたしますが、こうした自衛隊のあり方ということについては、社民党でもずっとこの間いろいろな場面で取り上げてまいりましたけれども、特にその中で、現実に、今防衛省ですが、の方に動いていただいた面としては、メンタルヘルスケアといいまして、隊内でのメンタルヘルスについて、さまざまな事案を、いわば小さな芽のうちに見つけて、それに対処していくということでお取り組みをいただいているかと思うのです。

 私は、あわせて、メンタルヘルスケアと同じように、いじめという言葉がもし自衛隊の中でまだ市民権を得ていなければ、上司による過度の、指導の域を超えたさまざまな言動ということについて十分注意を促すような、これは先ほど申しました「さわぎり」の裁判で確定しておりますから、確定したことを今度は人事教育にどう生かしていくかという面でのお取り組みについてのお考えをお伺いしたいと思います。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 メンタルヘルスも含めまして、あるいはいわゆるいじめの問題等につきまして、私どもとして措置しております二つの方向からの措置がございます。

 いわゆる私的制裁等を防止するための対策といたしましては、服務指導の徹底、これはハンドブックを配付したりして、どういう指導の仕方をすればいいかというようなことを指導しているということでございます。

 それからもう一点は、隊員の心情把握。部隊の指揮官は、まさに隊員の日常の行動とかあるいはどういうことを考えているかというのを常に掌握しておく必要があるわけでございますけれども、そういう把握に努める。

 あるいはもう一点は、私的制裁等を行った隊員に対する処分。これにつきましては、まさに私的制裁あるいは暴行、傷害といったようなケースに当たる場合にはきちんと厳正な処分を行うということで、先ほど先生の方から御指摘ありました事案に関しましても適切な処分がなされているケースもございます。

阿部(知)分科員 処分がなされると同時に、そうした事案がいわゆる先ほどの、上司の指導を超えた言動であるということを隊内にも、私は事案として周知徹底していただきたいのですね。ハンドブックという形では、とてもとても再発が防止できません。

 これは恥ずべきことではなく、これから自衛隊が本当に隊としてオープンで、隊員のやる気と和をたっとぶ組織になるために必要な、私は避けて通れない道だと思います。裁判が確定したということはそれだけの重みがあることですから、この点、大臣、急で申しわけありませんが、いかがでしょう。そういう向きに検討していただけまいか。

浜田国務大臣 当然、我々、今先生の御指摘のあったことに対して、あってはならないことでもありますし、我々もよい組織をつくろうと思って努力をしているわけでありますので、そういった面においては、決して我々も後ろへ下がることなく、しっかりと前に進んでいきたいというふうに思っているところでございます。

阿部(知)分科員 ありがとうございます。

 続いて、大臣のお手元にもございますが、実は、二〇〇三年から二〇〇七年に至る陸・海・空別の病気休職者数というのを、私は昨日データとして求め、いただきました。簡単に申しますと、〇三年度は大体二十四万人くらいの自衛隊の方で二百二十人だったのが、〇七年度には四百四十人。簡単な集計ですけれども、正直言って、私はこれをいただいて、私自身もびっくりしました。所得倍増ならぬ病欠倍増という事態であります。

 さまざまな理由があると思いますが、お時間の関係で人事教育局長に伺いますが、どんな御病気を理由に休職中であるのか、その内訳等々は点検されておるのでしょうか。お願いします。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 病気休職の場合の内訳あるいは理由、これにつきましては分類をいたしております。

 一つは、精神、行動の障害。いわゆるうつ病等の精神的な問題でございます。もう一つは新生物、これはがんとかそういう問題。それから三番目が、損傷、中毒その他の外因の影響ということで、これは外傷等でございます。それから、筋骨格系、結合組織の疾患。骨とかそういうものでございますね。それから、消化器系の疾患、その他ということで分類いたしております。

 先ほど先生御指摘になりました平成十五年から平成十九年の間に休職者数が倍増している、まさにおっしゃるとおりなのでございますけれども、それの要因分析をしてみましたところ、先ほど申しましたうつ病等の精神、行動の障害の人数の増加によるものが最も増加の要因として大きくなっているということでございます。

 具体的な数字を挙げさせていただきますと、これらの人数は、平成十五年度におきましては約百二十名でございましたが、平成十九年度におきましては約三百名ということで、増加した数の約八割が精神、行動の障害というふうになっております。

阿部(知)分科員 社会全体でもこうしたメンタルヘルス問題は格段に、最近ストレスの多い時代ですから、ふえておりますが、しかし、先ほど申しました自衛隊という極めて重要な組織でここが倍増するということは、さまざまな要因も改めて自衛隊としてお考えいただかないといけないと思うんです。考えていただいて、対処できるものには対処するということで、この点さらに、今、疾患別分析までありましたが、本当に多因子だと思いますが、いろいろな分析をなさって対策していただけると思いますが、いかがでしょうか、大臣。

浜田国務大臣 今までにも、先生、前にもいろいろな形で御指摘を受けているわけでありますので、カウンセリングから始まっていろいろなことをやってまいりました。そしてまた、要因も我々も大分わかってまいりましたので、そういった意味では、いろいろな通達を含め、部隊に対しての指導等も含め、我々はやっているところであります。

 ただ、その中でもやはりどうしても防げないものもあるわけでありますので、今先生の御指摘にあったように、やれるものをしっかりとやって、そこからまたあぶれたものをあぶり出してそれに対処していくということを繰り返すしか、これは方法がないのかなというふうに思っていますので、先生の御意向を踏まえながらしっかりやっていきたいというふうに思います。

阿部(知)分科員 ここでは御答弁を求めませんが、この点については、社民党ではオンブズマンという組織を、ドイツにございますけれども、さまざまな問題を抱えた隊員が、自衛隊の中じゃなくて外に、でもこれはそんなに秘密が漏れてはいけませんので、しかし、外に相談ができる、自衛隊という組織と少し独立した形、例えば内閣府に置かれてもいいですし、そういうところに置いて、もう少しいろいろな相談なりいろいろな訴えなりを早目に、SOSを出せたら、私は、これはもう当然、先ほど申しましたメンタルヘルス関連で、部外のカウンセラーを置いていただく等々も進言し、取り上げていただいておりますが、さらに充実させていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、実は、二〇〇七年に、北海道のレーダー基地で二十一歳の女性隊員の方が、恐らく自衛隊では初めてだと思うのですが、セクシュアルハラスメントを受けたということで、これも裁判に訴えられました。

 現下、自衛隊では女性がもう一万人を超えるということで、私は女性隊員の増加というのは非常にいいことだと思いますし、逆に言うと、自衛隊も、スマートパワーというか、あらゆるいろいろな働きをしていただきたいので、女性隊員を大事にしていただきたい。

 ただ、そこで、一九九八年にも、まだ防衛庁の時代にセクハラの実態調査というのをなさって、かなりの数が上がっておるわけです。

 この二十一歳の女性隊員が裁判に及ぶというのは、私はもう、ようようぎりぎりのところと思いますが、セクハラ対策のこの十年の進展、これは人事教育局長で結構です、どのように認識しておられるのか。そうした中で、裁判にまで訴える方が出ておるということで、今後、何か取り組みの改善なり進展があるものでしょうか。お願いします。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 防衛省におきましては、平成十一年にセクシュアル・ハラスメントの防止等に関する訓令というものを制定いたしまして、職員に対する研修等を通じまして、徹底するべく努力しているところでございます。

 また、平成十八年には男女雇用機会均等法が改正されまして、事業主がセクハラ対策として雇用管理上必要な措置を講ずることが義務づけられたという背景がございましたので、これも訓令におきますセクハラ防止に関する努力配慮規定というものを義務規定に強めたというのがございます。

 それから、平成十一年度からは、セクシュアルハラスメントホットラインというようなものを開設いたしまして、苦情相談あるいはいろいろな相談に応じているということでございます。

 さらに、最近のお話を申し上げますと、平成十九年度からは、セクシュアル・ハラスメント防止週間というものを設けまして、隊員の意識の高揚等を目的といたしまして、ポスターの掲示でありますとかパンフレットの作成等々、いろいろな施策をやっているところでございます。

 今後とも、今御指摘のように、いろいろな事案が発生しているわけでございますし、最近でもセクシュアルハラスメントを原因とした懲戒処分等も行われている現状でございますので、引き続きセクハラ防止のための施策を強化していきたいというふうに考えております。

阿部(知)分科員 一九九八年の調査でも、また二〇〇二年に自衛隊の隊の方が行われた調査でも、約二割がセクハラ被害に遭ったというふうにアンケートで答えておられるわけです。これはとても深刻なことだと思いますし、みずからの隊内でやられた調査ですから、こういうこともさらに私は進展させていただきたい。

 何がセクハラであるかというのはいろいろ幅広い。ですけれども、やはり、そうした事態があるということを、これも認識して対策するのとしないのでは全然違ってきますので、今の御答弁は私にしたらちょっと不満でありますので、もうちょっと実態を、例えばアンケートをなさるとか、それはやってやれることですから、ぜひお願いしたいと思います。

 最後に、先ほど川内委員もお取り上げの江田島の事案についてお尋ねをいたします。

 これまで警務隊の調査が四回にわたってありますが、調査のための委員会の方の報告は中間報告からずっと出ていないということで、私もいつ出るんだろうとずっと待っているわけです。

 私は江田島にも実際に行かせていただいて、私なりにどこが問題かということの認識を幾つか持っておりますが、まず、警務隊の方で四回調査されて、どういう点を主に問題意識で持っておられるのか、それをちょっと端的にお答えいただけますか。

渡部政府参考人 お答え申し上げます。

 警務隊の捜査にかかわることでございますので、具体的に申し上げるわけにはいきませんけれども、まさに事案の原因、事実関係の解明、どこに原因があったのかというところを一つのポイントとして捜査をしているところでございます。

阿部(知)分科員 まあ、そういう実のない答弁ですけれども、それで人が亡くなっているわけです。

 私は、例えば、もう指摘しましたけれども、格闘技の訓練に、そういう指導に当たる資格のない教官が当たっていたという事実や、あるいは、そういう訓練をするときに、ほかの隊であれば衛生隊員がちゃんとそばにいるんですね。この事案では、訓練をしながら、そういう待機がないんです。密室とも言っていいような体育館のようなところで格闘訓練をやるわけですから、何が起こってもおかしくないし、倒れたらそれはやはり脳に何かあるかもしれないから、衛生隊員がそこで待つとかは、当然の安全配慮義務なんですね。

 その訓練をやっているときにも、もう医師は帰ってしまうわけです。ですから、一回お帰りになった医師を呼び戻すから、倒れてから初期の対処が、初動が遅くなります。プラス、この倒れた方を病院搬送するのに二時間かかり、二時間かかったがゆえに手おくれになっていくわけです。

 本当に、幾重にもこういうことが続けば、先ほど申しました、自衛隊員として頑張ろうという気持ちが、何か、人として大事にされていないな、人権として、人としてです。非常に深刻な事案だと、私は江田島に行ってみて、なおさらに強く思いました。事故が起きたことは、もしかして、やむを得ないとは言わないけれども、それは資格のない方がやっていたんですから、これも問題でしょう。でも、事後処理も問題でありました。

 大臣、お願いがございますが、先ほどの警務隊の捜査は、捜査だから言えないと。調査委員会というのは、私は、それとは違った、やはり一段高い見地から総合的に見て、そして、私の考えは、外部の機関の方がいいと思いますけれども、既にある調査委員会でも、私が今言ったような視点で物を見ていただく。

 と同時に、この指導に当たった教官二人は、今、教官は外されて、呉の総監部というところづきになっているわけです。本来であれば、その方たちの問われるべき責めというものが明らかになって、事がもっと早く進むべきと私は思います。

 そうした事態でもう半年近く経過しているということについて、大臣の方も鋭意情報を集めて、迅速にこのことに対処していただきたいが、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 先生のおっしゃるとおり、先ほども私申し上げましたが、大変時間がかかっているということ、これは大変、はたから見ていればそういうことだと思います。

 しかしながら、一般論として申し上げて、捜査中というのがございまして、情報の開示、また関係者の名誉、プライバシー等々、このことを考えますと、当該情報を開示することによって罪証隠滅を招くなど捜査への支障があるおそれがあるということで、基本的にこの開示を差し控えているということもありまして、大変おしかりを受けるわけでありますけれども、先生の御指摘というのはよくわかっておる中で、できるだけ早くそのことが解決し、そしてまたこれが開示できるように努力してまいりたいというふうに思っているところであります。

阿部(知)分科員 聞き及ぶところによると、今度のソマリア沖にも、この方が亡くなった特別警備隊は配属を検討されておるやにも伺います。しかし、組織内にそういう問題を抱えたままに、次の任務というふうに拡大していくこともできないと私は思います。

 そして、国民の目は、ああ、相撲部屋と同じようなリンチなんじゃないの、こう思ってしまうわけです。本当にここを解明しないと、自衛隊という組織への信頼が揺らぎますので、ぜひ、大臣は本当に今多忙と思いますけれども、人あってこその組織ですから、心に重く受けとめてやっていただきたいと私は思います。

 終わらせていただきます。

岸田主査代理 これにて阿部知子君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

岸田主査代理 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、これを許します。下地幹郎君。

下地分科員 まず、不発弾の件についてお聞きします。

 民間地域での不発弾の処理について、きょうの新聞でも少し載っておりましたけれども、これをどうするのかというふうなことを考えなきゃいけないわけですね。それで、マップをつくるというふうに言っていますけれども、マップをつくると土地の売却にも影響するんですよ、この地域には不発弾がいっぱいありますねと。これを全部図面の上に載せて民間と共有するというふうなことを言っていると、これは安全面からするといいみたいだけれども、なかなか、人様の財産のところの地域にこういうふうなものをやるというのもよし悪しがあるような感じがしますよね。

 だから、本来ならば、マップをつくることも大事かもしれませんけれども、民間の工事をやったら、ちゃんと磁気探査をやるというふうなものを決めている方が私はいいんじゃないかと思うんです。

 それで、全部をやるとなると、今でも相当なものが残っているわけですよね。あと全部をやっても二千八百トン、それに七十年かかると言われていますから、政府がここのところで及び腰になるのは、予算がどうなるのかというふうなことになってくると思うけれども、百坪当たり大体十万から十五万ぐらいの料金でやりますからね、磁気探査。民間住宅、特に一戸建ての住宅に関しては、それは国が出す。しかし、マンションとか商業地域に関しては、県に条例をつくってもらって、それで必ずやらなければいけないでやるというふうなやり方の方が私は合理的だと思うんです。

 大体、今沖縄の年間の住宅のどれぐらいですかね、一年間で、四千世帯ぐらいですか。四千ぐらい。ちょっと、では、これだけ。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県におきます新設住宅着工戸数でございますが、直近の平成十九年度、九千六百十四戸でございます。

下地分科員 沖縄の住宅、そう豪華なものはないので、三十坪から四十坪のものになりますから、それを十万やっても九億ですね、九億。これぐらいの予算を民間住宅では組んで、あとは条例でつくって、マンションとか商業地域は自分でやる。その中で、一回だけ、固定資産税の部分、地方税の部分だけを一年間だけ特別安くする。二年目からはまたそのとおりに取ればいいわけであって、今までの税金を取っているものが減るわけでもないし、不動産ができ上がってくるわけですから、この固定資産税の価値が上がってくるというふうなやり方があるので、とにかく民間のものまできちっと方向性を示してやるということが大事だと思いますので、大臣のお考えをまずお聞かせください。

佐藤国務大臣 先生のおっしゃる趣旨はよく理解した上でお答えをさせていただきたいと思います。

 民間工事における不発弾の探査というところで、今回の見直し等々でも大変悩ましいところもあったんですが、総理の強い御意思もございまして、民間にも共有できるようなデータも取り入れるべきではないかという話がございました。したがいまして、探査等々も含めて、先ほど先生がおっしゃられたマップ等々も含めて、特に民間工事における不発弾の問題等々についてはしっかりと取り組まなければいけないというふうに思います。

 もちろん、それが公表をされて、先生がおっしゃられるように地価が下がるなんていうことがあってはいけないと思いますし、そういうところに配慮をさせていただいた上で、今後対応していきたいというふうに思います。

 この民間の部分については、まだこうだというふうに決めたところもございませんが、今後、しっかりと先生の御意見も踏まえて、取り入れられるものは取り入れさせていただいて、事故があってはいけないわけでありますから、そういうことも含めて、先生のアイデア等々も十分に配慮した上で、今後対応していきたいというふうに思います。

 ただ、個人のものに公金をという話になりますと、なかなか難しい問題もございますので、マップをつくって把握をさせていただくということも含めて提案をさせていただいたということでございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。

下地分科員 マップは事故を起こさないための一つの方法としてはいいんですけれども、最終的には予算なんですよ。予算がない対策というのはあり得ないんですよね。

 だから、国が直接出すということができなくても、県がやる、そういうことに関して、交付金制度だとか、そういうようなものを認めて、毎年これが九億円ぐらいかかるか、そこまでかかるのかどうなのかわかりませんけれども、かかったものに関しては交付金制度でやるというふうなやり方も、一つの方法なので。

 大臣、もう一回だけお聞きします。予算をつける方向で考えているのかというようなことを少しお願いします。

佐藤国務大臣 従来から全体的な探査というのはやっておりまして、それを充実することによって、いろいろな意味での民間の工事を行う方々にその情報を提供するということをしていきたいというふうに思っております。

 そうなれば、沖縄全体を探査すれば一番いいのは、理想なんですけれども、そういうところに予算を若干投入させていただいて、これが幾らぐらいの額になるかはちょっとこれから検討させていただきたいと思いますが、おっしゃられるような予算というのは、全体的な探査をしてマップをつくるという意味合いでございますので、決して予算をつけないということではないというふうに私は理解をしておりますので、よろしくお願いいたします。

下地分科員 マップの予算じゃなくて、直接の予算はつけるの。

佐藤国務大臣 個別につけるということになりますと、ちょっとなかなか難しい問題があると思いますので、沖縄全体の問題として、マップをつくるというところに意を用いたいというふうに思っております。

下地分科員 マップには予算をつけるけれども、この個別の案件には予算をつけないという意味ですね、これは。(佐藤国務大臣「はい、そうです」と呼ぶ)実際、そうなるわけでしょう。

佐藤国務大臣 ただ、例えば、その地域での開発がもう決まっているとか、そういうところ等々には積極的に予算をつけさせていただいて、その地域の探査を積極的に行うということはやれるんではないかなというふうに思っています。

下地分科員 これは民間でもですか、民間でもね。その地域が開発されるというものに関しては、民間でも国がお金を出してやると。(佐藤国務大臣「なるべくその近辺の」と呼ぶ)では、今言っているマップだけじゃなくて、開発が決まっている地域が出てきたら、その地域に関しては、国がお金を出してその探査をしていくというふうなことを民間地域でもやるというふうな解釈でいいんですね。

佐藤国務大臣 総理からの指示は、なるべくそういう方向でやりなさいという方向づけをいただいておりますので、なるべく先生がおっしゃられるような方向に向けたいというふうに思っております。

下地分科員 しつこく聞かせていただきましたけれども、大体、二十五歳の若者がですよ、六十年前の戦争の被害で失明の危機に遭うなんというのは、これは政治家としてあってはいけないことですね、私たちは。そういう意味では、戦争の被害というのを私たちはもうつくらないということを考えると、やはり私は、国が責任を持つ。やはり私たち政治が責任を持たなければいけないのは、今の時代にも責任を持ちますけれども、未来にも責任を持ちますけれども、過去の歴史にも責任を持たなければいけない。

 そういう意味では、この不発弾、これは不発弾と沖縄では言わないんですよ、未発弾と言うんです。未発弾、いつ爆発するかわからない。不発弾というのは、ずっと爆発しないのを不発弾というようなイメージですけれども、これは未発弾なんです。それがあと二千八百トン残っていて、七十年処理するまでにお金がかかるというふうに言っている。そのことを考えると、今の大臣が言った方向で、予算をつけて一つ一つやるというのが大事かと思っていますから、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 それで、大臣、これはもう、私も自民党政権のときの議員もやっておりますから、ただ責任をだれかに押しつけてというよりも、一緒になって考えなければいけないと思っていますけれども、今、振興開発計画を見て、この前、新聞記事に大臣のコメントが載っておりましたけれども、下方修正をしなければいけないというふうなことを大臣がおっしゃっていて、この下方修正しなければならないというのは、決して目標数値を下げる下方修正じゃなくて、やり方を変えなければいけないんだという役所の方々の説明でしたよ、このやり方。

 そうしましたら、話をすると、この沖縄の今の現状を見ると、全部の数字が悪いんですよね。県民所得もそうでありますし、そして観光の数字もそうでありますし、県の借金の数字もありますし、さまざまなものが、その数字が、失業率を初めとして決してよくなっていない。

 委員長も沖縄担当大臣をされていますから、そういう意味でも、沖縄振興開発計画というのは全部計画を出しているんですけれども、正直言って達成されていないですね。県内総生産も達成されていない。四兆九千億目標であったものが二兆八千億ぐらいしかならない。この前の第三次振興開発計画では目標値四兆九千億だったけれども、今度の振興計画ではもう四千億ぐらい落として四兆五千億にする。それでもこの数字も達成できないだろうな、失業率も上がることになるだろうなというふうになって、何一つこの振興策の目標数値が達成できていないという現状があるんですけれども、これについては、大臣、どう思いますか。

佐藤国務大臣 沖縄振興計画においてのフレームとして示されている一人当たり県民所得等々、数値の現実は、先生おっしゃられるように、現実では非常に厳しいものがあると認識をさせていただいております。

 計画があと残り三年という中で、必要に応じて施策の見直し等々を検討する必要があると考えておりまして、いずれにいたしましても、計画の残り三年間、より一層沖縄県等とも連携をいたしまして、地域の特性を生かした産業振興等を進めるなど県民生活の向上に全力を尽くしてまいりたいと思います。

 厳しい数字というのは認識した上で、しっかりとこの三年間という区切り、区切りとは言えないかもしれませんけれども、見直していきたいというふうに思っております。

下地分科員 私は決して大臣を責めるつもりはないんですけれども、お互いが責任をとらなきゃいけないということで考えて私はお話しさせていただいているんです。

 十四年度も三兆五千億、そして十五年度は三兆六千二百八十億、十六年度は三兆六千百四十億、十七年度も三兆六千、十八年度も三兆六千ですから、あと三年あるといっても、大臣、建前上はもうこれは無理ですよね、四兆五千億に届くというのは。総生産が伸びなくて失業率が下がるということもあり得なければ、総生産が伸びなくて自立経済が達成するということもあり得ないわけですね。

 しかし、一次振計、二次振計、三次振計の振興策と、全部達成されていないんですよ。達成されていなくても目標値だけは置いて、やり方を変えていない。これでずっと沖縄振興策は来ているんですよ。達成されていない現状の一番根幹の問題は何だと大臣はお考えになりますか。

佐藤国務大臣 確かに、目標値の問題はいろいろ考えなければいけないというところもあるのではないかなというふうに思いますし、こういう景気の状況もございまして、なかなかその目標値に達成しなかったということも影響しているのではないかなというふうに思います。

下地分科員 沖縄県の知事は、大田昌秀知事のときにも稲嶺恵一知事のときにもこう言うんですよね。私は頑張ったけれども、国が厳しくなったからだめだったとか、そういうふうなことを言って、みずからの責任というのはなかなか認めない。

 私は、沖縄担当相も沖縄県も、目標を達成しなかったときには反省をして、このやり直しをして振興策を見直すというふうなことを常時やることが行われてこなかったから今のような現状がある。もう役人の中で固まった、もう決めたものは変えないというふうな考え方で物事をつくってきたところに、やはり私は大きな問題があると。

 だから、これまで沖縄は、外から予算を入れて、外から企業誘致をするというのが大きな政策でしたけれども、自分のところの企業を伸ばしていくというやり方に視点を当てた細かい振興策をなかなかつくってこなかったことが私は大きな問題があるんじゃないかなと。この結果の原因は、外から入れるというのじゃなくて、中から私たちは企業をつくって、産業をつくって外に出していこうというようなものにもう少し力を入れるべきだったのではないかなというふうに思いますね。

 そういう意味では、いま一度この振興策を私たちは練り直さなければいけない。大臣、これはもうはっきり、お互いに責任を持ちながら、政治家として責任を持ちながら、この三年間ではもう無理ですよ、無理。だから、今はこの三年間でこの目標をどう達成するかという戦略図をつくられるより、この三年間で、この一次振計、二次振計、三次振計、振興計画が何でだめだったのか、私は次も振興計画は必要だと思いますよ、今の環境だと。だったら、この次に絶対に失敗しない、そういうふうなものにどうするのかということをあと三年間の中できちっとおつくりになって、次につなげる作業をしていくことが大事だと私は思いますけれども、そういう作業に入って物事をやるおつもりはありませんでしょうか。

佐藤国務大臣 先生おっしゃられることはよく理解をできます。

 そういう中で、この三年間、しっかりと見直すという御提言はまさしくそのとおりだと思いますし、今おっしゃられた沖縄内の企業の振興等々も含めて、もうちょっと緻密な計画をこの三年間でしっかりと見直していくという方向づけをさせていただきたいというふうに思っております。

下地分科員 それで、今現状頑張らなきゃいけないので、この前も衆議院の予算委員会で言いましたけれども、二千四百億と予算が少ないんですよね、今度。今、沖縄県、この十八年間で一番少ない予算ですね、今回。

 ある内閣府の方に聞いたら、もう弾がなくなったんじゃないかというふうにおっしゃっていまして、そうかな、弾はいっぱいあるのになというふうに思いながら、なぜ、国の予算が八十八兆円の史上最高の予算で公共工事も伸びているのに、この程度の予算しか獲得できなかったのか、そのことについて、大臣のお考えはどうですか。

佐藤国務大臣 先生おっしゃられるように、沖縄担当局の予算は二千四百四十七億円でありまして、前年度比でありますけれども、九五・九%ということになっております。

 とはいえ、ITとか観光産業の振興、新産業の創出、人材育成などの分野で新事業が認められるとともに、大学院大学、不発弾対策の拡充等々に、特に重要な施策を含めまして、沖縄振興にとって所要の額を確保させていただいたものと考えておりまして、これからも少ないという意味合いも含めてしっかりと対応していきたいというふうに思っております。

下地分科員 大臣、ここはお互い政治家同士だから、これは役人が言うような言葉じゃなくて、やはり少なかった、中身はしっかり頑張っているよと。しかし、ボリュームも欲しかったというのは、県民もだれもそういう思いになっていますから、なぜ二千四百億しか予算がとれなかったのか、そこのところの部分だけを、内容の話は私はけちつけているわけじゃありませんから、ボリュームが必要だと思うんですよ、いろいろなもので。

 量のボリュームがあれば、間違いなく五年で開発するものが三年になるし、さまざまなものが早期に完成するわけですから、そうなったら景気にも大きな刺激を与えるわけなので、そういう意味では、この部分に関して、なぜこの程度の予算だったのかということをやはりもう少し具体的にわかりやすく、そして、いや、おれが少し悪かったなら悪かった、もっと本当はとれたはずなんだ、国の予算からしてもとれたはずなんだ、そういうふうなことを謙虚にやらないと、振興策と同じ間違い、また同じようにやると思うんですけれども。

佐藤国務大臣 おっしゃる趣旨はよく理解をできるんですけれども、全体的な予算等々も含めてこういう数字になったということでございますので、今、内容の話もございましたけれども、この内容についてもしっかりとする中でこれをカバーしていきたいというふうに思っております。

下地分科員 沖縄が特別視される理由というのは、大きく分けて、一般的に三つあると言われるんです。一つは地上戦が起こったということ。一つは、二十七年間アメリカの施政権下に置かれて、日本人でありながら日本の領土として加算されないで、苦しい時代を送ってきたというのがあります。施政権が違う。三点目には、今でも七五%も基地を抱えているという現状がある。この三つの、ある意味、沖縄の負の遺産ですよ。

 この負の遺産の中で、復帰して、今三十六年たつわけですけれども、この負の遺産があるから、今大臣もいるし、この沖特委員会もあるしというふうな国の制度の中で、特別に何かをしてあげなきゃだめだ、まだ沖縄は足りないぞというので、総合事務局から何から置いてやっているわけですよね。こういう負の遺産が三つある。そして、まだ基地問題が解決しないというようなこと。先ほどの不発弾の問題も、あと七十年残るという歴史的な悲劇もある。

 こういうような中で、この二千四百億、最高時は四千億ありましたよ、予算。私は、これが沖縄の正しい評価なのかということを言っているんですね。

 今、役所の方々は質だとかなんとかと言うかもしれませんけれども、沖縄県民から見たら、ああ、国が一生懸命沖縄のことをやろうとしているね、頑張ろうとしているねというのは、予算規模にも必ずこれは理解を示す最大の要因があるんです。そういう意味では、私は、予算規模だってぜひ評価がされるようなものであってしかるべきだと思うんです。そのことが沖縄の評価にもなってくると思うので、そのことをぜひもう一回大臣がやってもらいたい。

 それで、大臣はもう私以上に閣僚の中に入られているからよくおわかりだと思いますけれども、一兆円の予備費がありますよね、今度の八十八兆円の中に入っている。この一兆円の予備費が、今、内閣の中で初めて何でも使えると言われる、今度の二十一年度予算の目玉としてあるわけですけれども、これで一千億ぐらい分捕ってきてくださいよ。それで今の二千四百億、少なかった分を、もう一回大臣のお力で。この予備費の中から一兆円あるんですから。基地も七五%あるんですから。

 この予備費の中からメニューをつくって大臣が分捕ってくる、こういうふうなことをぜひやってもらいたいと思うんですけれども、お気持ちだけいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 先生の御趣旨はよく受けとめさせていただきました。

 とはいえ、先ほどの不発弾の対策等々も今までやれてなかったということも含めて、今回、早い角度でそれをなし得た等々も含めて、これから先生がおっしゃられるようなこと等々も含めて、沖縄に対する思いをその予算等々にぶつけていきたいというふうに思いますし、どこまでできるかわかりませんけれども、頑張ってまいりたいというふうに思っております。

下地分科員 ぜひ頑張っていただいて、沖縄県民からも、今、沖縄は非常に厳しいですよ。ガソリン高騰の対策で、四十七都道府県で一番影響を受けているのは沖縄ですね。なぜか。鉄道がないから。必ず車に乗らなければいけない。そういうような中で、いつでも大きな負担を背負う環境が沖縄にあると思っていますから、先ほど言った予備費の問題、具体的に、ぜひ頑張ってやってもらいたいというふうに思います。

 この次、大学院大学の話について聞きたいんですけれども、大学院大学の成果をぜひ大臣にきちっとお示しをいただきたい。

 今、建設費で三百五十億円、それで一年間の維持費が百億円かかる。きょうは尾身先生もおられていますけれども、あのとき私たちが考えた、ベスト・イン・ザ・ワールドというふうなことをおっしゃっていまして、そのときには、初めの方は、沖縄担当局の予算ではやらない、科学技術庁のお金でやるというふうなことをやっていて、決して沖縄開発庁の予算は使わなくてこの大学院大学をやるというのが、これが私が自民党にいるころのスタートでしたよ。しかし、今は毎年百億円使うわけですよね。

 沖縄の中では、今度学力テストをしたら、四十七都道府県で全科目平均点以下ですよ。身の丈に合ったやり方をした方がいい。毎年百億円、こうやってお金を大学院大学に使うとおっしゃるなら、百億円、沖縄の子供たちのために予算を使った方が沖縄の将来のためにはなるんじゃないか、そういう声は間違いなくあるんですよ。

 だから、この声を打ち消すには、経済的にも文化的にも、さまざまなものでこの大学院大学がどこまで成果をあらわすのか、具体的に示せないと、私はなかなかのど元からすっきりこない。身の丈に合った沖縄の政策ではないんじゃないか。これが、別の省庁が沖縄にお金を落としてくれるならいいけれども、毎年百億円とられるということは、他の政策が進まないということになってくるんですから。

 そのことの数字をきちっとお示しする、この場じゃあと時間がありませんから、そのことについてお約束できますでしょうか。

    〔岸田主査代理退席、主査着席〕

佐藤国務大臣 大学院大学については、もちろん、沖縄のこれからの大きな発展に寄与するということもしかりでありますが、日本全体を考えても、私はかなり大きなものがあるのではないかなというふうに思います。

 それと、今、数字でお示ししろということでございますが、きょうちょっと用意をしておりませんので、後でまた先生のところにできる限りお届けをさせていただきますが、そういう観点からもしっかりとやっていかなければいけない。

 いろいろな意味でこの大学院大学がもたらすものというのは、これから大きく取りざたされるというふうに私は考えておりますし、ぜひ御期待をいただきたいと思いますし、それにこたえられるような施策等々、また、今先生からお話にございましたように、毎年百億円というところもございますが、それに合うようなものが必ず私は戻ってくるのではないかなというふうに期待をさせていただくとともに、特に沖縄においては、お話にございましたようなレベルアップも含めて、いろいろな成果が必ず落ちてくるのではないかなというふうに期待をさせていただいております。

下地分科員 大臣、税金を一円でも執行したときには、期待をするんじゃなくて、こうです、こうなりますと。下地さん、先ほどあなたが言った振興計画の中の予算が、四兆五千億が足りないというふうに言っておりますけれども、大学院大学をやったら、この四兆五千億で足りないものがこうやって伸びてきて、補えることになるんですよと。

 税金をこれだけ使っておきながら、役所に聞いたってわからないと言うんですから、経済効果も。数字ありますかと言ったら、ないと言っているんですよ。ありますか。成果の数字はありますか。

清水政府参考人 大学院大学の構想につきまして、今、先行的な研究事業等を行ってございますけれども、この大学院大学を整備することによりまして、国際的な研究交流拠点となることに……(下地分科員「中途半端な話じゃなくて数字で示せ、数字で」と呼ぶ)はい。具体的には、そういった研究交流拠点としての地位が確立する、またあるいは、それの周りに研究所やベンチャー企業などが集積していくことによってさまざまな経済的な効果が生じてくると思っています。

 なお、予算につきましては、それぞれの施策に応じて確保しているところでございます。

 例えば……(下地分科員「短くしてください、時間がないから」と呼ぶ)はい。公共事業については、沖縄の全国の中のシェアは近年もずっと維持しているところでございます。

下地分科員 大学院大学で公共工事の仕事の話をしているわけじゃないんですよ。道路をつくるときにはBバイCというのが出るんですよ。ここの道路をつくったら経済効果がどうなるのかと、はっきり示しますよ。あなた、周囲にどれだけの会社ができるのか、研究機関ができるのか、数字出しているの。一つもないと言っているよ。こういう中途半端な話で、期待をしていますとかできますで、毎年百億使うのかと言っているんです。やるなとは言わないけれども、やる以上は成果を出しなさいよ、それ。見せなさいよ、県民にも。

 これは、私は、これからこの成果をきちっと出さなければ、この大学院大学に関しては相当問題が出ると思いますよ、県民の間では。毎年百億ですから。沖縄の普通の予算として、病院だとか保育だとか教育だとかいうのに百億つけたら、沖縄は十年間でもっと変わりますよ。国に貢献するとか、国には貢献しなくていい、沖縄県民が今よくなることが大事だ。国に貢献するのはもう基地だけでいいんだ、今は。こんなのは東大にやらせい。何で沖縄がそんな、国に貢献することをやる必要はない。まずは自分のことをやるべきだ。

 もう少し数字を明確に出してこの成果を見せない限り、これはいつまでたっても理解されない。そのことを申し上げて、時間ですから終わります。

佐田主査 これにて下地幹郎君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

佐田主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。土屋正忠君。

土屋(正)分科員 きょうは、公務員制度改革について、甘利大臣を初め関係の皆様に質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に、私は昭和五十八年、一九八三年に武蔵野市の市長になったわけでありますが、そのとき、高額退職金の是正の問題が出てまいりました。まだ就任一カ月もしないうちに、天下を揺るがす大騒動になったわけであります。なお、私は就任する前に、自由民主党と新自由クラブの御推薦をいただきまして、甘利大臣のお父様の活躍ぶりを若いころよく存じ上げておりまして、中選挙区のころ、箱根あたりに行きますと、いろいろあれがあって、それから二十数年後に、御子息が内閣の中核におられて、また私がこういう立場で質問するということについて、大変感慨深いものがあります。どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に、公務員改革を進める際に、私がこれから質問する根本的な立場は、国家の統治機構の制度に関することは慎重にやるべきことと、それから、時には果断にやるべきことがあるわけでありますが、制度改革は慎重にやるべきであるという角度から質問をさせていただきます。

 まず第一点に、大臣のお手元に一枚の写真をつけさせていただきました。これは昭和五十八年五月二十六日のことでありますが、左に見えるのが武蔵野市役所の建物でありまして、そして、これは建物の前の広場を埋め尽くした二千人の全国で動員をかけられた自治労の青年部を中心としたメンバーであります。実は、これはもちろん違法ストなのでありますけれども、この中に武蔵野市の職員も入っているわけであります。こういう実態があり、これはわずか二十六年前、二十五年とちょっと前のことであります。

 では、現在はそういうことがないのかと言われますと、香川県の職員労働組合、岩手県の医療局労働組合、全駐労、北海道教組など、平成十九年から二十年にわたって時限ストを今も行っているわけでありますが、このような状態についていかがお感じになるか、大臣の所見をお伺いいたしたいと存じます。

甘利国務大臣 先生、市長職時代、二十年以上やっていらっしゃったと記憶をしておりますが、いろいろな御苦労をされてきて、公務員制度改革についても実体験に基づいて、こういう点が心配だとか、ああいう点は不備がないかというお話をしていただいていまして、非常に説得力のあるお話といつも伺っているわけであります。

 今のお話にもありましたように、公務員には争議権、ストライキ権というのは認められておらない。ですから、今いただいた写真は明確に違法行為であると思っております。

 団結権、団体交渉権はあっても、協約締結権とストライキ権はないわけでありまして、法律で禁じられているものについてそういう行為を行った場合には、首謀者は懲役刑、あるいは参加者にも懲戒をされるという法の規定があるわけであります。

 公務員は法令遵守というのを特に強く求められているわけでありますから、法令に従うということが第一義的に求められることでありますし、法令に違反すれば処罰を受けるということであろうというふうに思っております。

土屋(正)分科員 甘利大臣から、法的な位置づけ、その他についてお答えをいただきました。

 確かにそのとおりなのでありますが、ここから先は実態論で非常に難しいところなのでありますが、この労働争議、違法のストライキ、そして夜を徹する団体交渉、これは協約締結権がないわけでありますけれども、団結権しかないにもかかわらず、残念ながら、実際にはこういうことをやるわけです。

 こういうことにもかかわらず、残念ながら、一人も処分できなかった。これはこちらが弱腰だったということもあるかもしれませんが、これだけの処分をするとなると、少なくとも職員の一〇%ぐらいを処分しなきゃならない。

 それからさらに、処分といっても抽象的な処分じゃありませんから、土屋なら土屋が実際にいつからいつまで職場離脱したといったようなことを一つ一つ現認しなきゃなりませんから、その現認をするのは、私が現認をしただけではだめで、それを証明する管理職なら管理職の申し立て書、こういったようなことも必要になってくるわけであります。これだけの大騒動になると、管理職にそういう申し立てをしろと言ってもなかなかしません。これは実際に力関係からいってなかなかできない。

 これは後刻御説明いたしますが、社保庁などの問題の根っこにあるもので、法律どおりいかない、こういう実態が国家公務員の出先機関やあるいは地方公務員にいっぱいある、こういうことをぜひ大臣に御認識いただければ、こんなふうに思っているわけであります。

 そして、これほどじゃないにしても、先ほど申しましたように、この一年間でも時限ストなどを行っている全駐労とかそういうのがあるわけですけれども、これは明快に処分できたかどうか、一つ一つの事件について私は調べておりませんので、何とも言えませんが、なかなか難しいことであります。

 そういう実態があって、法の建前と現場における力関係とはまた違うということを、これから公務員改革を進める際に大臣の心の中におとどめいただきますように、まず最初にお願いをいたしたいと存じます。

 次に、きょうは、公務員改革の中でも労働協約権について中心的にお話をしたいわけでありますが、まず事務方にお尋ねしたいのは労働協約の内容についてであります。

 労働協約の内容については、勤務条件について労働協約を結ぶ、団体交渉をした結果、その結果として書面で結ぶのはいわゆる労働協約権の中身だろうと思いますが、給与とか労働時間とか福利厚生などと考えるけれども、これで間違いないですか。簡潔に願います。

渕上政府参考人 給与、勤務時間は一般的に典型的な勤務条件でございますけれども、具体的に協約締結権を付与する場合に、給与、勤務時間、その他の勤務条件のうち、どの範囲を協約締結権の対象にするかにつきましては、今後、具体的に労使関係制度検討委員会において検討すべき重要な論点の一つというふうに考えております。

土屋(正)分科員 模範答弁のような話なんですけれども、しかし、普通、民間で考えた場合、あるいは労働法制上の通常の労働協約権の中身に、一番肝心な給与や労働時間を規定しないということは通常あり得ないんですね。もしそうだとすれば、それは労働協約権とは言わずに、一番大事なところの、言ってみれば、大部分が抜けちゃうわけですから、福利厚生程度のことをやったって、こんなものを労働協約権とは言わないわけですよ。だから、もし労働協約権というなら、当然これらが入るのではないですか。

 それから、逐次申し上げて、まとめて質問いたしますが、労働協約権を与えた場合に労使でいわゆる協約締結をしないと給与が決められない、こういうことになるわけですね。通常、民間の場合には、労働協約を結ばない限り給与は決定しないわけですから、この場合に、国会の場合は法律、地方議会では給与条例があるわけであります。労使協約と異なった内容で法律や条例を決められるのかどうか。あるいは、この協約した内容に縛られるのか。縛られるということになれば給与法なんというのは必要ない、こういうことになるわけであります。給与法定主義との関係はどうなのか。

 それから、協約で定めた給与が高いのか安いのか妥当なのかということはだれが決めるのか。これは当事者同士で、力関係で、団体交渉でわせわせやって、夜中まで団交をやって決めるのか、それともこれは一体だれが決めるのか、質問したいと思います。

 次に、超勤命令についても、労働協約を結ばなければ超勤命令を出せないわけですから、三六協定を結ばないと超勤命令を出せないわけですから、国会に携わる若い職員なんかは大変ですよ、協定を結ばなければ。しかも、今の実態は、三六協定を結ばなくていい、特別権力関係になっているから命令すればいい、こういうことになっているわけですけれども、これは実際に国会を初めとするさまざまなところで問題が起こってくるんじゃないですか。だからこそ、警察とかあるいは消防とか、緊急を要するところについては労働協約権を認めていないわけですよね。

 つまり、公務という性格上、問題があるんじゃないでしょうか。国会審議にも影響が出るんじゃないでしょうか。こういうことについてどう考えるか、事務方にお願いします。

渕上政府参考人 まず、給与についてでございますが、給与決定原則のうち、現在国家公務員では官民準拠という内容の情勢適応の原則が適用されております。仮に協約締結権を付与した場合に、給与決定原則としてどのような考え方をとるのか、あるいはどの範囲を法定事項とするか、これらについても、具体的な、重要な論点でございますから、労使関係制度検討委員会で御検討いただきたいと思っております。

 それから、交渉により合意が得られなかった場合にどのように勤務条件を定めるかという重要な論点がございます。これは、一つには仲裁制度をどのように組み立てるかという問題でございますし、仲裁によらない場合に、具体的な勤務条件を従前のまま適用するのか、あるいは当局の方で定めた勤務条件を適用するのかといった点についても、具体的な論点でございますので、検討委員会において検討いただきたいというふうに考えております。

 それから、先ほど議会制民主主義あるいは財政民主主義という御指摘がございました。これは極めて重要な論点でございますので、協約締結権が仮に付与された場合におきましても、議会制民主主義、財政民主主義の見地から適切な関与が必要だと考えておりますので、これについても、具体的に検討委員会で御議論いただきたいというふうに思っております。

 それから、勤務時間の関係でございます。現在、国家公務員には労働基準法が適用されておりませんので三六協定の問題は生じておりませんが、地方公務員においては適用されております。そのときには、やはり公務に支障がある場合には具体的に三六協定の適用をされていないという実態もございます。したがいまして、協約締結権が付与される場合にありましても、そして、勤務時間、超過勤務命令の与え方について、協約事項になった場合におきましても、適切に公務に支障がないかどうかという観点から制度が仕組まれるべきものと考えておりまして、具体的には検討委員会で御検討いただきたいというふうに思っております。

土屋(正)分科員 今の点についてさらに申し上げますが、仲裁制度という話がありますが、これは、現行の民間の完全にストライキ権も含めた労働三権が保障されている場合に仲裁制度があって、そしてその仲裁制度は、当然のことながら中労委からだんだん始まっていくわけでありますけれども、これは一種の準司法的な処分の性格を持っている。

 この場合に、公務員の場合には、今ちょっと説明がなかったんですけれども、現在は仲裁制度がないですね。それは人事院がきちっと役割を果たしているということなんじゃないですか。それを説明しないと、今仲裁制度がないから新しく仲裁制度をつくるように聞こえますよ。これはうっかりした質問者だと、そうとっちゃうんですね。それはそういうことなのかどうかということをきちっと。

 それから、官民準拠といっても、官民準拠の具体的な作業はどこがやっているのかというと、それは人事院がやっているし、あるいは人事委員会がやっているわけでしょう。だから、官民準拠の作業や根拠は一体どうなのかということを一応念のため確認してほしいと思います。

 それから、地方公務員の場合には三六協定がなくてもということがありますが、地方公務員の場合でも、三六協定の範囲というのはいわゆる公営企業法の適用でしょう。一般職にも適用するんですか。

渕上政府参考人 まず、給与につきましては、現在、協約締結権が制約されておりますので、代償措置機関として人事院の勧告に基づいて給与法を定めて給与を決めているということでございますから、仲裁制度というものは、人事院が勧告により定めるということからしますと、不要であると思っております。そして、協約締結権、争議権で、もし争議権が制約されるのであれば、最終的には仲裁制度は必要ということでございます。争議権がもし認められる場合には、必ずしも仲裁制度は必要ではないということもあり得るかと思います。

 それから、三六協定の適用関係についてでございますが、地方公務員の関係につきましては、少し細かくなりますけれども、労働基準法の三十三条の三項の規定にございまして、公務のために臨時の必要がある場合においては、超過勤務を命ずるということができております。そして、三十六条、いわゆる三六協定の根拠規定の中には、別表の第一に掲げる事業として、具体的には民間と同様の事業については三六協定の対象となるということでございまして、一般職員でありましても、公営企業の職員でなくても、三六協定の対象になる職員がいるということでございます。

土屋(正)分科員 最初からそういう答弁をしてくれればいいんですよ。

 今の答弁をもっとわかりやすく言うと、公営企業ではなくても、例えば技能労務職のようなものについては三六協定の対象になり得る、こういう解釈でしょう。だけれども、最初の答弁だと、一般職も包括的に三六協定が結べるように聞こえるんですね。ですから、公営企業であろうと、あるいは一般職の技能労務職であろうと、言ってみれば、実際に権力行為に携わらない範囲の職員については三六協定を結ぶことができる、こういう趣旨なんじゃないですか、法の趣旨は。きちっとそういうふうに言っていただかないと、先ほども若干中途半端なような気がしたので、ぜひこれから正確に答弁をお願いいたします。

 次に、民間と公務員の違いについてお尋ねをいたしたいと存じますが、これはぜひ大臣もお聞き取りいただきたいわけであります。

 私は、まず民間と公務員の違いには、自律的労使関係と関係するわけですが、民間と決定的に違うところがある、このように考えているわけであります。

 民間の組合が賃上げ要求やストライキができるのは、会社単位で使用者と従業員が一体となった活動で生産性を向上し利益を生み出しているから、その利益をどのように株主に配分するのか、あるいは内部留保にするのか、あるいはそれを従業員に配分するのかという分配率の話であります。つまり、原資があるからそれをどう分配するかであります。

 ところが、公務員の場合にはその原資は税金でもって、例えば、極端なことを言えば、固定資産税なんかの場合には、子供が固定資産を持っていたら、子供からも税金を取っている、あるいは株の配当なんかも。わかりやすく言えば、ゼロ歳から百歳までの中で、所得とか資産とか、あるいは消費とか、こういうものから取っている原資ですから、自分たちで富をつくり上げているものじゃないわけです。そういう自分たちで富をつくり上げているものじゃないものに、どうして分配要求ができるんですか。

 私は、これは今回の労働協約権の根底にある根本的な考え方だろうと思いますね。これについてどう考えるか、担当からお聞きしたいと思います。

渕上政府参考人 公務員の給与が租税で賄われているという点につきましては、公務の重要な特徴であるというふうに考えております。

 ただ、そのことが直ちに公務員に協約締結権を付与することが適当でないということまでは必ずしも言えないのではないかというふうに考えております。

 例えば、公務員ではございませんけれども、特定独法のように、主に租税で給与が賄われている一方、協約締結権が付与されている職員もおります。

 いずれにしても、国家公務員給与あるいは地方公務員給与が租税で賄われていることを十分踏まえた上で、今後具体的な検討を行うのが適当ではないかというふうに考えております。

土屋(正)分科員 今の局長の答弁は、独法というのは、一つは政策的につくったわけだけれども、政策的につくったものを基準にして本体を説明するという、これはなかなかうまいですよ、そういう説明の仕方は、答弁としては。だけれども、申し上げておきますけれども、その答弁が公務員の本質を指すものじゃないということはあなたもわかっているはずですよ。

 そもそも、協約締結権で最大のものというのは給与と勤務時間なんですから。何といっても給与なんですから。その給与の原資が、強制徴収権を持つ、国民に対する負荷、負担によって成り立っているということと、民間が、トヨタならトヨタが、みんなで、労使で頑張ってどれだけ売り上げが上がったか、その分配率をあれするというのとは基本的に違うじゃないですか。普通、そういうことは大学の教養課程で勉強するんですよ。私もだんだん思い出してきましたよ。

 だから、独法をつくった後で、そういうことになっているから本体もいいんだというような説明の仕方はちょっとどうなんですか、これ以上は言いませんけれども。もし必要なら、独法についてはよく調べて、その上でまた議論しますけれども、いろいろ議論があるだろうと思います。

 それから、今回の法律の中で、自律的労使関係と言っているわけですけれども、自律的労使関係の中には、民間の場合には決定的な自律性を促す動機があるわけです。それは市場の淘汰、いわゆる経済学で言うところの倒産の保証であります。つまり、ストライキばかりやっていて、勝手なことをやっていて、いつまでもうまく妥結しないと、そのことが商品の売れ行きに影響して決定的に市場から退場させられる、こういう市場の保証があるから、だからこそ自律的労使関係ができるんじゃないですか。公務員の場合にはどうやって自律関係ができるんですか。

渕上政府参考人 民間と異なりまして、倒産がないといいますか、破産がないというのは事実だと思います。

 しかしながら、労使双方が勤務条件を真摯に向き合って交渉により決めていくということにつきまして、市場の抑制力が働かないという特殊性を有するからといって、当然にそういうことを認めてはならないということにはならないのではないかというふうに思っております。

土屋(正)分科員 そもそも行政とは一体何なのかというところにかかわるわけですね。

 それでは、今のような議論を踏まえて、大臣にもぜひお聞きしたいんですが、公務員は協約締結権がないかわりに身分保障がされているわけであります。国家公務員法の第七十五条、地方公務員法の第二十七条、実はこれが組合にとっては最大のよりどころでありまして、処分をしようとすると、「その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。」ということで、不利益処分だということでもって必ず訴訟になるんです。全国で訴訟になっているケースがたくさんあります。私も不利益処分で組合から何回か訴えられました。こういうケースが多々ありますと、大概、大臣がびびるかどうかは別にしても、地方の小さな首長なんというのはみんなびびって、ちょっと俗な言い方で恐縮ですけれども、なかなか本来的に処分をしたり、あるいは、懲戒処分や分限処分ができないというのが実情にあるわけです。

 ですから、これはぜひ大臣の心にとめていただきたいのは、もしも労働協約権を与える方向に行くんだったら、この身分保障の撤廃ということをセットでやらないと、身分だけはがちがち、だけれどもその中でぬくぬくと自分たちの利益を追求する、こういう場面が必ず出てくるというふうに思っております。

 でありますから、これについてどんなふうなお考えなのか、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。

甘利国務大臣 まず、私どもが新しい公務員制度を詳細設計しておりますその前提は、自律的な労使関係について検討せよということを基本法から指示を受けているわけであります。そこで、労使関係検討委員会、三者構成になっておりますが、そこで検討をしていただいています。

 そこでは、交渉システムのあり方であるとか、あるいは不調の場合の調整システムのあり方だとか、あるいは労使交渉の透明性の向上、社保庁でやみ協定、これが今の事態を引き起こしたという指摘があります、やみだから国民の監視が行き届かないと。

 いかなる協定を結ぶ際にも、表にたなざらしにして、国民の批判に耐え得るようなことにしていくということ等々、使用者である全国民の監視のもとに、その代表者たる政府が働く側との交渉を行えるという制度にするということでありまして、細かな論点につきまして、年内にということで検討をしていただいているというところであります。

土屋(正)分科員 時間がなくなりましたので、大臣に要望ということで申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、社保庁の問題は、私も公務員の管理で苦労したのでよくわかるんですけれども、あれはやみ協定もさることながら、管理者の数とノンキャリアで管理される側との比率とか、労働組合の職場支配とか、こういう問題が圧倒的でありますから。その結果としてのやみ協定ですから。だから、やみ協定が問題なんじゃなくて、そのやみ協定の裏にある適正なあれを超えた力関係、そこが私は問題じゃないかなと思っております。

 それから、甘利大臣が先ほどおっしゃいました、もう公務員改革法の中に自律的労使関係を築くという文言が入っているんだと。私は、党のときも、一番最初に甘利大臣がおっしゃったことをよく覚えております。おっしゃるとおりだと思います。

 もし、甘利大臣が最初からこの制度設計をされておられたら、私はもう少しちょっと違ったものになったんじゃないかなと。率直に言いまして、前の方の批判をするわけじゃありませんけれども、少し跳びはねて、しかも労働協約のところも、与党の自民党でやったときは検討するという文言だったのが、いつの間にか付与の拡大ということになってしまっているわけです。最後の最後になって、野党との調整でそうなったんですね。私も何回かこの問題で出ましたけれども、あれあれあれという感じで、いつ、どこで、どうしてなったのと。恐らく、甘利大臣が最初からやっておられたら、もう少しちょっと違った、慎重な体制になったんじゃないかな、こんなふうに思います。しかし、法の枠の中でこれから進められることですから、御苦労があると思いますが。

 結びに申し上げたいことは、国民の批判というのは、特権的な天下りだとか何回も渡っていくだとか、いろいろな問題があるんですけれども、しかし、それは表面に出た一部でありまして、社保庁の問題とかあるいは地方農政局の事故米の問題とか、ああいった問題の本質というのは、そこにあるのじゃなくて、キャリアの問題じゃなくて、むしろノンキャリアが組合を通じて職場支配をしている、こういうことが最大の問題点でありますから、国民からいろいろ批判されることについて今取り組むことは当然でありますが、問題の本質はそういうところにある。

 そして、労働協約権を与えればますます相手にとっては有利になる。我々は現場で、交渉だけすればいいんでしょう、あなたに労働協約権はないんだから、場合によっては打ち切って、議会に出しますよということが言えたんですけれども、労働協約権を与えたらそうはいかなくなる、こういうことをぜひ御理解いただきたいと存じます。

 なお、法律の中にあります条項は、国民に広くして、その利益等を論議する、こういうことになっていますが、ロードマップ、工程表の中にはその条項が抜けております。工程表の中身を読みましたらば、この七ページの「労働基本権の検討」の中に、法律が予定した文言よりもさらに書き込んでありますので、どうぞ法律の枠の中で、いろいろ御苦労があると思いますが、それでぜひ進めていただきたいと存じます。

 私も、この国をいい国にするために、また機会を見つけて御意見を申し上げさせていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。

佐田主査 これにて土屋正忠君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


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