衆議院

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第1号 平成19年2月28日(水曜日)

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本分科会は平成十九年二月二十六日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      小野寺五典君    金子 一義君

      細田 博之君    三原 朝彦君

      前原 誠司君    阿部 知子君

二月二十七日

 三原朝彦君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十九年二月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 三原 朝彦君

      小野寺五典君    金子 一義君

      杉田 元司君    土井  亨君

      橋本  岳君    細田 博之君

      松本 洋平君    石関 貴史君

      黄川田 徹君    阿部 知子君

      照屋 寛徳君

   兼務 飯島 夕雁君 兼務 田島 一成君

   兼務 三日月大造君 兼務 三谷 光男君

   兼務 塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 竹林 義久君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   増田 優一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          上田 紘士君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            鈴木 康雄君

   政府参考人

   (消防庁長官)      高部 正男君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小林 裕幸君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小山 亮一君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   参考人

   (日本放送協会理事)   小林 良介君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  細田 博之君     土井  亨君

  前原 誠司君     黄川田 徹君

  阿部 知子君     重野 安正君

同日

 辞任         補欠選任

  土井  亨君     杉田 元司君

  黄川田 徹君     石関 貴史君

  重野 安正君     照屋 寛徳君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     橋本  岳君

  石関 貴史君     前原 誠司君

  照屋 寛徳君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     松本 洋平君

  保坂 展人君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 洋平君     細田 博之君

  日森 文尋君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  保坂 展人君     阿部 知子君

同日

 第一分科員飯島夕雁君、三日月大造君、第四分科員田島一成君、塩川鉄也君及び第五分科員三谷光男君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

三原主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました三原朝彦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算及び平成十九年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。菅総務大臣。

菅国務大臣 平成十九年度の総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 一般会計の予算額は、十六兆千八百四十五億円であります。

 簡素で効率的な政府を実現するとともに、日本経済の成長力を強化するためには、抜本的な行政改革を強力に推進し、二十一世紀にふさわしい仕組みをつくり上げていくことが必要であります。

 本予算案は、これを踏まえ、行政改革、地方分権、ICT政策、国民の安心、安全の確保等を重点的に推進するとの考えに基づいて取りまとめたものであります。

 以下の事項の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願い申し上げます。

三原主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三原主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三原主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

三原主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井亨君。

土井(亨)分科員 おはようございます。自由民主党の土井亨でございます。

 きょうは、トップバッターということで、大臣に直接質問をさせていただきますこと、大変光栄に存じております。

 地方の財政というのは大変今苦しいというのは、もう周知の事実でございます。また、地方もしっかり行財政改革に取り組んでいるというのも、私は事実だというふうに思っております。そういう中で、夕張市が財政再建団体ということで申請をし、市議会で財政再建計画を議決して、大臣のところに御提出いただくというようなことになっております。そういう意味では、私は地方財政の厳しさを物語っているのではないかというふうに思っておりまして、私も地方議員出身でありますので、そういう観点で、細かい質問は省略をしまして大まかに、夕張を中心に質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 第一点目でありますけれども、大臣も総務委員会の所信表明の中で、地方の行革をこれからもしっかりと推進していかなければいけないという説明もございました。ただ、私自身からいいますと、一部まだまだ進んでいない自治体もあるのだと思いますが、大方の自治体はやはりもう行財政改革を今目いっぱいやっている、職員の定数管理も含めて、事務事業見直しも含めて。歳出削減がイコール行財政改革とは私は思っておりません。やはり、最小の経費で最大の効果を引き出す、行政をしっかり効率的なものにするということが、私は行革の本旨だと思っておりますので、今、現実を見ると、歳出を削減するということに主眼が置かれているのではないかな、本当にこれでいいのかなという思いはあるんですが、とにかく今自治体は、大方の自治体は、真剣に、職員の給与もカットしながら事務事業も見直し、ありとあらゆる方策を行使し、考えて実行に移して、何とか財政を健全化していきたい、そういう気持ちで頑張っているというふうに私は思っております。

 そういう中で、今申しましたとおり大臣の所信の中では、もっともっと地方行革をやらせるんだ、やるんだというような強い御決意はありますが、今私がお話をした、今日までの自治体の行財政改革というものをどのように評価されて、まあ私のような地方議員出身からすると、これ以上どうしろというんだというような思いもあるんですが、その辺の評価も含めて、まず大臣の御所感を賜れればというふうに思いますが、いかがでしょう。

菅国務大臣 実は、私も地方議員経験者であります、お互いに政令市でありますけれども。そういう中で、地方自治体が大変努力をしている、このことは私も率直に認めさせていただきたいというふうに思います。

 例えば、集中改革プランの中では、平成二十二年までに地方公共団体で、骨太二〇〇六によれば総人件費、職員が五・七%純減という形になっておりますけれども、現にこれを上回る数字が今出ております。そのほか、給与の適正化、民間委託、そうしたものを地方自治体、かなり進んでやっていただいている、このように私も率直に評価させていただきたいというふうに思います。

 ただ、そうした団体と、そうでない団体もやはりまだ数あることも、これもぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 私は、過日、頑張る地方応援プログラム、こういうことで徳島県に行きました。非常に財政力指数は低いんですけれども、しかし、そこの特徴を生かして、産業を生かして高齢者の人も生き生きと働いている、そういう現場も見てまいりました。こういうことを通じながら、頑張っている地方を応援していきたいというふうに思っています。

 しかし、今、これは夕張市もそうだったんですけれども、いわゆる広い意味の第三セクター、ここがやはりまだまだ私は手をつけられていない部分、不透明な部分というのが残っているというふうに思っておりますので、こうした問題も含めて徹底した情報公開をすることによって、地方自治体が高齢化社会の中で、さまざまな福祉の関係、どんどんどんどん伸びていますから、そういう中でも安定して発展をするような、そういう仕組みづくりというものをやっていきたい、こう思っています。

土井(亨)分科員 確かに、今お話をいただいたとおりだというふうに思います。ですから、私は、大方の自治体は懸命に取り組んでいると。一部、夕張のような禁じ手というか、使ってはならないような手を使って、決算も隠して黒字に見せかけるというような手法というのは、これは許されないと私は思います。しかし、やはり国に頼らざるを得ない地域というのは、これはまさしくあるわけですから、交付税依存、国依存というような地域、自治体もあるということも承知をいたしております。その辺しっかりと私は区別をして考えていただかないと、一生懸命取り組んでいる自治体からすると、これ以上何を国はやれというんだ、それよりも国の方がもっともっと行財政改革やるべきじゃないのかというような反感というものも出てくるんではないかというふうに思っておりますので、ぜひその辺はしっかり、まあ区別というと、どこまで区別というのはちょっと判断できませんが、やはりしっかり、現在、平成九年の閣議決定以来、改革大綱もつくって頑張っている地域というところはところでぜひ御評価をいただいて、その分もぜひ大臣として、いろいろな場面で、頑張っているところがあるよということで、お話しいただければというふうに思っております。

 夕張についてちょっとお話を聞かせていただきたいと思うのですが、その前に、朝日新聞に「夕張 光と影」という記事が載っておりまして、かいつまんで言うと、炭坑閉山になったり、いろいろな意味で苦しいんですけれども、夕張の近隣には、夕張と同じような町が、自治体があります。一生懸命、夕張がこれからやろうとしているいろいろな計画はもうおれたちやっているんだ、それこそ再建団体にならないように、こんなに苦しい思いをして頑張っているのに、夕張は再建団体ということで、道や国からいろいろな支援、支援というかいろいろな形で応援をいただきながらこれから再建に向かおうとしているけれども、私たちは再建団体に陥らないように、夕張と同じような形で努力をしているけれども、財政的支援がすべてだとは思いませんが、何も国からないねというような記事も見ました。

 まさしく、頑張るプログラムという中で、こうやって財政再建に、本当に厳しい状況の中で何とか乗り切ろうということで、一丸となっている住民の皆さんと協力し合いながら頑張っている、こういうところに何かプログラムみたいなもので国が支えるというような形にできないものか。もうやっていらっしゃるならやっていらっしゃるでいいんですけれども、新しく頑張るプログラムの中でも、そういうものも含めて対応していただければ、本当に自主再建に向かって頑張れるんだと思うんですが、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 地方に対しての考え方というのは、委員と私、全く同じかなと、実は今、お話を聞いていて思いました。

 頑張っているところとそうでないところというのはあるわけですから、頑張っているところをやはりもっと支えるべきであるという考え方だというふうに私も思います。私自身も、一定水準の行政サービスを維持しながらも、やはり頑張っているところにはきちっと応援をしていきたいという思いが非常に強いものであります。

 特に、夕張と同じような条件という話、産炭地のことだと思います、周辺にも夕張市のようなところがたくさんあるわけであります。あるいは福岡にもあります、そういう団体も、そうした産炭地の政策転換にもかかわらず、今一生懸命に頑張っておられるわけでありますから、そうした地方自治体を何らかの形で私どもが支援をしていくというのは、ある意味では私は当然のことではないかなというふうに思っております。

 昨年も若干やりましたけれども、財政力指数の低いところ、例えば平均以下の部分でも、行革に頑張ったところにはインセンティブを与えるとか、そういう交付税の仕組みというのを実は考えておりました。今回、頑張る地方応援プログラムの中では、そうしたもの、特に財政力指数の低い、条件不利地域というのですか、そうしたところに特別のものをやはり考える必要があるだろう、そう思っております。

土井(亨)分科員 頑張っているところ、いろいろな意味で頑張るという表現はあるんでしょうけれども、よく言われる、頑張りたくても財政が厳しくて、まず財政再建をするためにということで頑張っている地域には、それなりにこういう形で国は考えているよという大臣の強いメッセージをもっともっと出していただくと、自治体としても、国も頑張って考えてくれているなというような思いが出てくるんだと思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 それで、私たちが地方議員のときに、行財政改革をやるときに、一番合い言葉は、赤池のようになっては大変だということだったんですよ。赤池町、旧赤池町ですけれども、平成三年から再建団体、全国初というか全国で一つだけだったわけで、赤池のように再建団体になると、鉛筆一本、消しゴム一個買うにも国の関与があってなかなか大変だという、これはどこまでが事実かはわかりませんが、そうなったらだめだということで、赤池町のようには決してなっちゃだめだ、ということは再建団体に陥っちゃだめだ、だから頑張ろうというお話で、頑張ってまいりました。

 そういう中で、二〇〇六年に都市問題研究というところが出した冊子に、元の赤池町財政課長さんの安武憲明さんという方が、「はじめに」という形で、こういうことをおっしゃっているんですね。「午前中の農作業を終え昼食をとったあと、うとうとしていると北海道新聞社からの電話、「夕張市が再建団体の申請を検討していることは知っていますか」とのこと。 思い起こせば、赤池町が再建団体への指定を検討していた平成三年、当時の自治省幹部が、「夕張市も一緒に再建団体になりそうだ」と言っていたのが頭の中を過ぎた。」というような文章を書いておられます。

 平成三年当時、赤池町が再建団体の指定を検討しているときに、時の自治省の幹部が、夕張も一緒に再建団体になりそうだというふうな発言というか、安武さん、当時赤池町の財政課長さんにしたということであれば、当時の自治省は、夕張も大変な状況にあるという認識があったからこそ、こういう発言になったというふうに思うんですよね。そうでなければこういう発言にはならないというふうに思っているんです。

 自治省から総務省になりましたが、平成三年に幹部がこういう発言をされたということで、その後、夕張市の財政状況等々に、どういうふうに認識されて、どういう対応をなされていたのかということを少し御説明いただければと思います。

菅国務大臣 当時の夕張市の財政指標でありますけれども、実質収支は黒字であるものの、経常収支あるいは起債制限比率が高い、これは事務方に聞きまして、そのことを言っていました。夕張市も人口が急減している、そういうことで当時の事務方、だれかわかりませんけれども、そういうことを言ったのかなというふうに思いますけれども。

 まず、赤池と夕張の違いをぜひ御理解いただきたいんですけれども、赤池というのは当時の赤字が標準財政規模の一・三倍です、夕張は八倍ですから、全く違うということですよね。同じ再建団体でもそんなに違うということを御理解いただきたいというふうに思います。

 総務省では、平成五年以降は経常収支比率が一〇〇%を超えていたものですから、厳しい状況であるので、北海道庁に財政健全化というものを、実は、説明を受けながら取り組みの必要性というものを指導していました。

 しかし、夕張市では多額の一時借入金による会計間の操作を行っていたわけですね。そして、平成十二年度からは地方債の許可を得ないで長期借り入れ、空知産炭地域総合発展基金、ここから、これもやはり許可を得ないでお金を借りていた。これが平成十二年から十四年ごろ顕著になる。

 そして、平成十四年に、これが私は決定的だったと思いますけれども、マウントレースイスキー場とホテル、これを民間企業から取得するために地方債の許可を求めて北海道に来た。北海道から相談があって、私どもは、それは無理だ、そういうことを指導したという経緯があります。結局、申請しなかった。それでどうしたかといえば、土地開発公社がそこで取得をして、市が公社から取得をしていた。

 そういうことで、一時借入金でやりくりしながら、表面化しないようにやってきて、これだけの莫大な赤字になった、そういう経緯であります。

土井(亨)分科員 そういう経緯も踏まえてお話をさせていただいたのですが、ただ、私が一点どうしてかなと思うのは、再建団体という言葉を使って、そしてまた夕張市もという固有の自治体の名前も出して再建団体になりそうだということは、明らかに私は、その当時自治省幹部も、夕張の先ほど言った一時借り入れも含めたいろいろな手法を、禁じ手を使っていたということ以前に、よっぽど、炭鉱閉鎖を含めた自治体の中でもとてもとても大変な状況だという認識があったからこそ、夕張という固有自治体名と再建団体になりそうだという表現をされてお話ししたんだろうというふうに、私は自分なりに考えております。

 これはこれでいいんですけれども、そういう中で、この文章を見たときに、知っていた、そういう話をしているのに、何でもっともっと夕張に関心を持っていただけなかったのかなという、関心はお持ちだったと思いますが、そういう疑問があったものですから、ちょっと御質問させていただきました。

 さて、それでは夕張市が本当に自主的に財政再建を頑張っていたのかと。形だけ頑張っていても、先ほどお話しした禁じ手を使い通しているということであってはどうしようもなかったんですけれども、そこには、私は職員を含めた執行部の危機意識の欠如というのがあったのではないかというふうに思っております。

 聞くところによると、昨年の六月の期末手当ですか満額職員に支給したり、その上ベースアップも含めて支給したりという、大臣もそこは大変御立腹されていたようでありますけれども、何かこう、おれたちはこんなに、今まで夕張市は頑張って努力してやってきたんだ、何とか立ち直ろうと思ってやってきたんだという努力というものが私は見えないですね、どうしても。そこにはやはり首長初め執行部、一般職員の皆さん方の、今申しましたとおり危機意識の欠如というのがあったんだと思います。

 NHKも含めて、やはり、事何か起きたときに一番最初に前面に出てくるのは、職員の意識改革ということだと思います。いかに計画をしっかり立てても、その計画を実行する職員、執行部がそういう意識を持たなければ、絵にかいたもちになりかねないということでございますので、これは大臣がどうのこうのということではありませんが、ぜひ、夕張の職員の皆さん方、もう住民の皆さんは十分にそこをとらえて頑張ろうという気になっているわけですから、夕張市の職員の意識改革というものを大臣としてどういうふうに、総務省としてみずからかかわるわけにはいかないと思うのでありますが、しっかりとやらせるという、その思いというものがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 今お話しありましたけれども、私が副大臣当時に、昨年の六月に財政再建団体を表明した、その翌月にボーナスを昨年比上回る支給をしたと。私は副大臣当時に、これはあきれて物も言えなかったんです。私は担当課長を呼びつけてどなりつけました。しかし、私どもにその権限はないわけでありまして、なぜかわかりませんけれども、私がクレームをつけて一週間後に、市長が給与の五〇%を引くとかそういう形に実はなってきました。完全に私は、親方日の丸というのですかね、国に対しての甘えの構造があってそうしたことを行ったんじゃないかなというふうに思いました。それから多分事態が変わったというふうに思っています。

 そういう中で、私どもの立場からすれば、やはり全国で一定水準の行政サービス、これは保障しなければまずいわけですから。ただ、保障するためには国民から、夕張市がここまで頑張っているんだということがなければだめなわけでありますので、そことのバランスというものに私は気をつけながら、今再建に努めているところであります。

 そういう中で、職員約三百人、これも同じ人口規模からすれば倍以上いたわけですから、それは約半分以下にさせてもらう。そういう中で、住民の人たちも、私、昨年の暮れに現場に行ったときに、やはり自分たちの町をつくっていこう、そういう雰囲気をひしひしと感じました。

 そして、職員組合の委員長、議会の議長、副議長、市長とも会ってきましたけれども、市長と議長、副議長は、私に対して不適切な財政についてのおわびがありました。

 市民の皆さんも、やはり自分たちの町を何とかしていきたい、そういう思いを感じてきましたので、これだったら全国の皆さんも、国が支援をしても理解してもらえるんじゃないかな、そういうことを感じてきましたので、子供、お年寄りを含めて素案を見直しという形に、私は実は踏み込ませていただいた。今は、意識改革も終わって、何とかみんなでこの夕張をつくっていこう、そういう思いが強い、そういうふうに私は理解しています。

土井(亨)分科員 私もいろいろメディアの報道を見て、市民の皆さん方が何とか頑張ろう、再建に向かって頑張っていこうという意気込みを感じます。現地には行っておりませんが、市民の皆さんのそういう思いというのが何か伝わるような感じもいたします。

 ただ、やはり、言葉だけで幾らきつい再建計画をつくっても、それをしっかりと実行するのは職員、執行部でありますから、そういう甘えがあってはならないと私は思っております。大臣含め総務省がどうのこうのということではありませんが、やはり道からも職員の皆さんが派遣されているという話もお聞きしていますので、しっかりと、とかく半年たち一年たつとその思いが消えていくところもありますので、再建期間中は本当に意識改革というものを常に頭の中に入れて、頑張れというような形で大臣もぜひ、監視とは言いませんが、見守っていただきたいというふうに思います。

 今、三百人いた職員というお話もありましたが、これも報道等々、資料なんか見させていただくと、今年度末で百五十二人の退職が予定されていると。定年退職もありますし、勧奨退職もあると思いますが、一挙に百五十二人というと大変だなというふうに思います。これで行政サービス、最低限の水準というものが、本当にここ一、二年担保されるんだろうかと。まして、計画からいうと百六十六人。二百五十何人いる職員を二十二年までには百六十六人にする。二百五十何人中の百五十二人が退職するというと、あと十四人ぐらい退職をすると百六十六人になるんですが、こんなに急激に退職をされると、まさに行政水準を保つというのも行政側からすると大変だなというふうに思います。

 やめたい人は早くやめてください、退職金五〇パーもらえるなら今のうちやめた方がいいよという職員の意識、倫理観のない人がやめるんだろうと思いますけれども、残された人は一生懸命頑張ろうということなんでしょう。道からもいろいろな支援があるんだ、職員も派遣したりしていると思いますが、その辺について、こんなに急激に、一挙に今年度末にやめられると、来年からの行政というものに支障を来すことがないのか。率直に大臣のお話を聞かせていただきたいと思います。

 時間もないのであと一、二問しかできないと思いますので、ちょっと九問目の、総務省から職員をどうか夕張に、そういうのも含めた中で、やはり派遣をしていただいて厳しく、何か監視という言葉は嫌いなんですけれども、一緒にやっていくんだ、そういうことができないものかなというふうに私は思っているんですよ。

 道と夕張は常に意思疎通がきちっととれるんだろうと思いますが、総務省というと何かこう東京ということで機動的な、効率的な、いろいろな運びというのができなくなるんだろうというふうに思いますので、ちょっと安直な考えなんですが、その辺も含めて二点、お考えいただいているのかどうなのか、お話しいただきたいと思います。

菅国務大臣 まず、一挙にこれだけの方が退職をされる。確かに、従来どおりのことであれば支障を来すと思いますけれども、これは再建をしようという、先ほど申し上げましたけれども、現実的に今の平均で、半分以下で全国でやっておりますので、それをやりくりすればそれなりのことは私は対応できるだろうと思っています。

 しかし、それでもできない部分というのは当然応急的にあると思いますので、北海道が専門職の人だとか支障を来さないような形で、今六名ですか、派遣をするということを聞いていますし、またOB、退職されたOBの方も暫定的に雇うとか、そういう形で急場をしのぎながら本来の姿にしていきたいというふうに思います。

 私ども総務省、北海道庁に今総務部長が行っているということですけれども、それだけでなくて、私は先ほども実は冗談めかしく言ったんですけれども、ある意味では一つのシンボルですね、これは財政再建の。そこに若い人が行きたいというのであれば行かせてやるぞという話をしたんですけれども、実は私どもにとってもこの再建というのは極めて大事なことだと思っておりますので、北海道庁とは連携をとりながらしっかりと再建をし、今住んでいらっしゃる方が安心して住み続けることができるような、そんな夕張にしたいと思います。

土井(亨)分科員 時間もありませんので最後の質問にさせていただきたいと思いますが、その前に、やはり現場を知るというのが大切だというふうに思います。

 国家公務員の皆さんの批判をするわけではありませんが、やはりいろいろ地域を回って、自治体を回っても、それなりのポストにつかれてなかなか現場を知ることができないんだろうというふうに思っていますので、こういうときこそぜひ優秀な職員の方を一年でも二年でも、行って現場を見てこいというような形で派遣をされると、ますます総務省の中の自治体というものに対するとらえ方も変わってくるのではないかと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

 簡単に一問だけ申し上げます。

 先ほど赤池のお話をしましたけれども、赤池と夕張ではそれは全然違う、それは承知をいたしております。赤池の場合は、借金返済というよりもまず公債費を返済する、そのことによって財務体質をしっかりとしたものにして借金を加速して払ったという経緯がございますが、夕張は、そういうまず公債費というような形から入られるのか、公債費は公債費としてしっかりと償還をしていって、借金は借金として同時に償還、払っていくのかという形で、どちらか方向性をお聞かせいただければ、私自身、今後のいろいろな議論の参考にさせていただきたいというふうに思います。最後に、簡単で結構ですので、お話しいただければと思います。

菅国務大臣 赤池は計画が十二年で、結果的には十年でした。夕張は二十年で、今十七年ぐらいですかね、十八年ですかね、という形になっております。その内容については、先ほど申し上げたように、こんなに金額が違うということであります。

 平成十九年からの三年間で徹底した行革、経営改革を行う地方公共団体に対して、私ども五兆円規模の繰り上げ償還というのを行い、補償金を免除することを、今回、十九年度からこれをできることにしました。夕張市では、対象となる地方債は二十四億円ということになっております。検討されている財政再建計画においては、地方債の繰り上げ償還の実施を見込んでおり、これにより将来の金利負担の軽減を図りたい、こういうふうに思っております。

土井(亨)分科員 本当にいろいろ御質問させていただきました。大臣には体を張って頑張っていただきたいというふうに思っております。

 ありがとうございました。

三原主査 これにて土井君の質疑は終了いたしました。

 次に、飯島夕雁君。

飯島分科員 自由民主党、北海道選出の飯島夕雁でございます。本日は、総務大臣に直接質問させていただく機会をありがとうございます。

 早速ですが、今、土井委員の方からも質問の対象になっておりました夕張、私自身の選挙区でもございます。改めまして、さきの十二月二十九日、忘れもしないのですが、総務大臣が忙しい中を夕張に訪れていただきまして、そのときには本当に、どの分野においても聖域なく洗い出しをして再建のために頑張らねばならないという中で、住民自体が消沈しているところへ大臣が来てくださいまして、高齢者や子供たち、そういった人たちへの配慮はすべきという見解を述べていただいたことで非常に明るい兆しが戻ってまいりました。それ以降、現実に今最後の調整をやっておりますが、住民たちの中には、間違いなく、破綻する前よりも自治について関心を持つ人がふえ、また自主的な活動もふえておりますことを改めてこの場をかりて感謝を申し上げます。

 そういった中で、さきに土井委員からもありましたが、夕張の近隣には破綻をする以前のところで頑張っている自治体が大変多うございます。同じ旧産炭地で、似たような状況でも踏ん張っているところもまた多くございます。夕張についてのさらなる支援と同時に、頑張っている旧産炭地、あるいは農業を基幹産業とするようなところはなかなか主産業の米がお金が上がらないために自治体の財政も困難な状況がありますので、そういった地方全体について、やはりまた御配慮のほどを改めてお願いしたいと思っております。

 週刊誌なんかで次の破綻する自治体はどこだなんという特集があると、大体うちの選挙区が五、六個入っているのでがっかりしてしまうんですけれども、本当にがっかりするのはその自治体に住んでいる方たちでございます。夕張はたまたま夕張メロンというブランドがあった。それから、初めての破綻。まあ、赤池に続くんですけれども、最初だからこれだけ注目してもらえる。自分たちは苦労しているけれども、いつどうなるかわからない、でも、二番手だったりブランドがなければ、今の夕張のようにやってくれるだろうかという声が地元を回るとしばしば聞こえてまいります。

 そういった中で、今の夕張再建というのは、破綻しても最低限どのように国がまた支援もし指導もしてくれるのかという一つのモデルであり、再建の大きなモデルになることだから今大臣も一生懸命頑張ってくださっている、そういう話を地元を回るたびにしている次第であります。

 そういった背景も含めまして、ぜひとも夕張再建がきちんと遂行できるよう、またそういったものをかたずをのんで見守っている近隣自治体にもエールを送れるように、また総務省の御指導のほどを引き続きお願い申し上げたいと思います。

 私自身は、こういった地方の現状、人口の激減、流出、北海道においても札幌一極集中、それから日本でいえば東京に集中、都会に集中する人口や、それに伴う医療についても何についても全部一極集中という、なかなか自治体単独では解決しがたい大きなうねりの中で、何とか各自治体も努力をしていますし、それのお手伝いができないかと悩んでいます。そういう中で、企業の誘致とか新産業の創出とか、そういったことをとにかく積極的に取り組んでいって少しでもチャンスを逃さないようにしていきたいというふうに考えているんですが、そこのところで、ちょっと細部にわたりまして恐縮ですが、情報通信のあり方ということについて総務大臣にいろいろお伺いしたいと思います。

 私は、バッジをつける前に伊豆諸島の青ケ島村というところにおりました。そこは船便しかございませんで、船がなかなか就航率が悪くて、来ないときは十日も二週間も来ないんです。そうすると新聞も来ないんですね。ですので、新聞をとっている人は島の中にほとんどいませんでした。教育委員会がとりまして、図書館にそれを、どかっと届いた新聞を並べて見てもらうというぐらいで、非常に情報性の乏しい状況でした。

 また、現在住んでいる北海道でも、地方紙と呼ばれるものは割と読んでいますが、基本的な何大新聞と言われる全国版の新聞は手に入らないことが多いです。コンビニエンスストアに行けば売っているんですけれども、そのコンビニの数も少ないということで、新聞から情報を得られる中身も薄い。そういう中で、地方と都市との距離は埋められないけれども、情報については、できるだけ地方や過疎地や離島についてはより手厚く入手できるチャンスを用意していくのがやはり国の配慮でないかというふうに私自身は考えております。

 そういった中で、ブロードバンドの整備状況というのを改めて大臣にお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 まず夕張問題でありますけれども、夕張の市民の皆さんが自分の生まれ育ったところで安心をして生活ができるように、そうした一定水準の行政サービスというのは、これは国が確実に保障させていただきたいと思いますし、今度出てまいります再建計画、これについて私が同意をする立場に立っておりますので、将来の発展も踏まえる中で、将来に希望の持てる、そうしたものにしていきたいと思っておりますので、ぜひ皆さんにも、そういう方向性というものをお伝えいただければありがたいというふうに思っております。

 また、周辺地区の皆さんも、やはり非常に難しい状況の中で生活をしていらっしゃいますけれども、そこについては、今申し上げましたように、私ども、一定水準、日本国内どこに住んでも住民サービスができるように、そういうことを行うのが私どもの役割でありますので、そうした問題についても全力で取り組んでいきたいと思っております。

 ブロードバンドの整備状況でありますけれども、基本的には民間主導原則のもとで着実に今整備が進められております。いずれかのブロードバンドを利用できる世帯は、二〇〇六年十二月末現在で、全世帯では九五%、四千八百五十九万世帯であります。しかしながら、過疎や離島などの投資効率が悪い、いわゆる条件不利地域でありますけれども、そうしたところで整備がおくれておりまして、いまだブロードバンドを利用できない世帯が二百五十一万世帯、区域内で全くブロードバンドが利用できない町村が三十存在をいたしております。

 なお、北海道に限りますと、二〇〇六年十二月末現在で、ブロードバンドを利用できない世帯が二十五万世帯、区域内で全くブロードバンドが利用できない町村が五つ存在をいたしております。これが今の整備状況であります。

飯島分科員 ありがとうございます。

 企業誘致や新産業の創出をするときに、やはり企業が、情報分野、その辺がうまく使えるのかということが、その場所を選定するときの一番大きな基準になっております。地元では広大な敷地はありまして、工業団地もあるんですけれども、そういったことが十分活用されていないことなどは、ほかにも原因は当然ありますけれども、やはり情報通信の整備がおくれているところにも大きな原因があるのではないかと思います。

 今大臣の方から、民間主導で行っております、また九十数%の高い確率でこれからも整備を進めてまいりますというお話がございましたけれども、やはり過疎や離島などの条件不利地域については、何か特別の施策を講じないと、やはり民間ですと利益追求の中でカバーし切れないものもあるのではないかと思います。また、限りなく一〇〇%に近く整備がされればされるほど、その九十数%整備された残りの〇・数%に住んでいる地域というのは本当に致命的な状況になり得る可能性もありまして、そういったことを考えますと、過疎や離島などの条件不利地域についての整備はどのように取り組んでおられるか、ぜひもう一度お願いいたします。

菅国務大臣 ブロードバンド全国整備につきましては、IT戦略本部において、二〇一〇年までにブロードバンドゼロ地域を解消する、こういうことを国の政策として決定をいたしております。これを踏まえまして、昨年八月にブロードバンド戦略二〇一〇を総務省としては策定しまして、全国整備の基本的な考え方、官民の役割分担、推進体制、そうしたものを明らかにいたしております。

 この戦略に基づきまして、民間事業者に低利融資や税制優遇措置による投資インセンティブを与える、二つ目は、地方公共団体に対する交付金や補助金の交付などの支援策を活用し、ブロードバンドの整備を積極的に推進いたしております。

 それと同時に、地方公共団体、事業者とも連携をして、二〇一〇年度に向けて、都道府県単位での整備目標等を示すロードマップの策定、整備の手法や事例をまとめたマニュアルの作成に取り組んでいるところでありまして、二〇〇七年度当初ごろまでには公表の予定であります。

 私自身も総務大臣として地方に行きますと、地方交付税の要望というよりも、逆に、携帯電話が使えないと若者が住まなくなる、ブロードバンドがないと企業が誘致できないとか、そういう陳情を非常に多く受けるようになりました。いずれにしろ、私ども、二〇一〇年に全国ブロードバンド、これはすべてを配信できるようにするわけでありますから、それは約束でもありますので、しっかりとどんな地域でもできるように行ってまいります。

飯島分科員 ありがとうございます。

 二〇一〇年に向けて、各自治体もさまざまな交付金や補助金の制度を活用していただきながら、何とか一〇〇%になるようにお互いに協力をし合いながら、私自身の選挙区も含めて頑張っていかなければならないかと思っております。心強い御回答をありがとうございました。

 今大臣もおっしゃっておりましたように、本当に携帯電話も同じようなことが言えまして、私自身も、地元を回っていますと、しばしば圏外になってしまいます。そういう中で、携帯電話のカバー状況というのも、地方においては大変深刻に感じられるところであります。

 東京にいますと、ドコモがいいかauがいいかソフトバンクがいいか、好きに選べる、どこを使っても割引の安いところを選べるという状況ですが、地域によっては、選べないどころか、実際、圏外であってしまう。

 私自身の選挙区は大変な豪雪地帯でもございます。また高齢化も大変進んでおります。さまざまな意味で、携帯電話が災害のときに人命の救助に役に立ったとか、いろいろな例も出ている。また、最近では子供にまで携帯を持たせる親が大変ふえてきた。これがいいか悪いかは別にして、携帯のニーズというのは全国津々浦々あるように思います。

 そういった意味で、まだ普及していない現状において、さまざまな携帯のサービスエリア拡大に向けた取り組み方針というものもぜひお伺いさせていただきたいと思います。

菅国務大臣 まず、普及率でありますけれども、北海道に限れば九九・八%ということになっております。また、全国の過疎地域に限れば、人口カバー率は九五・四%であります。

 そうしたところにどのような取り組みかということでありますけれども、過疎地域等における携帯電話のエリア拡大を目的として、携帯電話の鉄塔施設に対して補助する移動通信用鉄塔施設整備事業、これは平成三年度から実施をいたしております。

 また、平成十七年度からは、鉄塔施設までの伝送路に対する補助として無線システム普及支援事業を創設して、携帯電話のエリア整備の一層の推進に取り組んでおります。

 また、内閣の情報通信技術戦略、いわゆるIT戦略本部でありますけれども、重点計画二〇〇六においては、二〇〇八年度末までに過疎地域等の条件不利地域において新たに二十万人以上が携帯電話を利用可能な状態にする、こういうことにもなっておりますので、総務省としては、こうした計画に基づいてしっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。

飯島分科員 ありがとうございます。

 こういった鉄塔施設整備事業費等ほか、そういったものを活用しながら、ぜひ一〇〇%のカバー率にしていかねばならないと私自身は感じています。しかし、実際は地方に行くほど疲弊しておりまして、なかなか民間企業だけでは採算が合わない、また自治体も、この整備事業についても、持ち出しがあるとなかなかできないというようなことで、また鉄塔自体も、小さなものですと最近単価も下がってきているようですが、山間部の方に入りますと、ある一定程度の大きさを確保しないといけないとか、いろいろな背景がございますので、私自身は、携帯電話を持つ持たないは自由ですが、使える条件整備というのはぜひ一〇〇%に近づける努力をさらにしていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 そして、情報通信、さまざまなものがあるんですけれども、地方について一つ心配になっているのが、最近CM放送で、アナログ放送が停止します、今度は地デジですよ、買いかえてくださいというコマーシャルがよく流れておりますけれども、これなんかも、ブロードバンドの整備状況、携帯電話の普及状況、こういったものを見ますと、地デジ、地デジと言っているけれども、地方においてもこれはちゃんと地デジを全部見られるようになるんだろうかというような素朴な疑問がわいてきてしまいます。

 そういったことが、中継局の整備というのは、きちんと地方においても離島においても完了する予定でいらっしゃるんでしょうか。

    〔主査退席、小野寺主査代理着席〕

菅国務大臣 昨年の十二月一日までに、全国の都道府県でいわゆる地上デジタル放送が開始をされました。その結果として、全国三千九百五十万世帯、全世帯の八四%がデジタル放送によりカバーをされております。放送事業者の計画では、二〇一〇年までに、NHKと民放を合わせて九千局の中継局を整備し、アナログ放送受信世帯の九九%でデジタル放送の受信が可能になる予定であります。

 これまで総務省としては、アナログ放送を受信していた世帯に対するデジタル放送の一〇〇%カバーに向けて、中継局の建設に最大限努力を行うよう、放送事業者に協力を要請してきました。また、そうした放送事業者の設備投資が円滑に進められるように、金融、税制による支援措置を講じてきたところであります。

 これに加えて、平成十九年度の政府予算原案におきましては、放送事業者の経営努力だけでは実施の見込みが立たない条件不利地域のデジタル中継局整備に対して、ICTの交付金の活用が盛り込まれております。

 なぜ、私、こうしたかといえば、従来ですと、民間にやれるところだけやらせて、最後に、受信できないところに国がお金を出す、そういう手法でありました。しかし、この地上デジタル、最初から、民間でできない部分というのは必ずあるわけですから、そこから先にやったらどうだということで、今回、十九年度予算案にこのことを入れさせていただきました。

 そういう面におきましては、最初から難しいと言われたところも早くできるような仕組みをつくらせていただきましたので、ここについて二〇一一年までに全国で転換できるように最大限行っていきたいと思います。

飯島分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも、現在アナログ受信ができている方については必ずデジタルへの移行ができるようにしていくことが、当然、今テレビがあることは普通の生活の中の状態かと思われますので、それがきちんと移行できるようにというふうに強く願っております。

 最近、例えばヨドバシカメラなんか、店名を出しちゃいけないのかもしれませんが、大手電化製品店なんかに行きますと、大分テレビが、地上デジタル対応ということで安くはなってきているようにも伺っていますが、十数万円とか二十数万円とか、高いのでは三十万円近くするということで、まだまだ一般的に高価な商品なのではないかという印象を持ちます。私自身も、もう少したったら安くなるのかななんて買い控えているんですけれども、なかなか、一一年までにそれを買いかえなきゃいけないという焦りにも似た印象をちょっと個人的には持ってしまいます。

 片一方では、コマーシャルで、多分チューナーという制度で、チューナーを一つ設置することで今の使っているテレビも廃棄しないで使えますよということは聞いているんですけれども、あのCM放送を見る限りでは、何かテレビを買いかえなきゃいけないという印象がすごく強くあって、草なぎさんが優しく話しかけるので買いかえなきゃいけないのかなという印象になるんです。

 ぜいたく品ではないかどうかはわかりませんが、買える方はいいんです。ですけれども、やはり日々の生活の中でそれだけの資金繰りをして、テレビを今あるものからわざわざそのシステムが変わるために買いかえなきゃいけないという作業をある程度国民にこちらからお願いするというか、それに合わせてもらうという背景があるわけですので、ぜひ、数万円で買えるチューナーという方法も大変有効な手段ですということがもっとPRできるようなCM内容に、今のが悪いとかそういう意味ではないんですけれども、そういったものもさらにしていただくとか、そういった形でみんながシステムの移行にうまく乗れるように、総務省としても、あれは政府広報なのかもしれないんですけれども、していただけたらなという印象を持つんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 私は飯島委員のおっしゃるとおりだと思っています。それは、私ども政府の政策として、放送事業者にお願いしてデジタル放送をする、そしてまた国民にもデジタルのテレビにお願いをするわけでありますから、できるだけ負担のかからないようにしなきゃならないというふうに思っています。

 現在、地上デジタル放送に関する周知広報についてでありますけれども、放送事業者、メーカー、販売店、地方自治体と連携して取り組んでおります。

 地上デジタル放送の受信方法について総務省で作成しているポスターやパンフレットでは、デジタルテレビへの買いかえのほか、デジタルチューナーを買い足す方法やケーブルテレビの視聴がある旨を周知いたしているところであります。

 一方、放送事業者は、情報番組やテレビコマーシャルによる周知広報活動を推進しているところであります。このテレビコマーシャルでは、デジタルチューナーが必要である旨のナレーションをしている、このように私どもは承知をいたしております。

 総務省といたしましては、今、委員の指摘も踏まえて、さらにそのチューナーの問題も広報の中に大きく取り入れられるように指導していきたい、こう思っています。

飯島分科員 ありがとうございます。

 今、この次に質問しようかなと思っていたのですが、視聴者の負担でデジタル受信機を購入することとなるわけであります。そういった中で、経済的な理由により受信機の買いかえができない方々への配慮というものをしていくというお話と伺いましたので、そのように、買いかえが困難な方々への配慮をぜひともこれからも引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。

 今回、情報通信のことで、ブロードバンドと携帯電話とデジタル放送という三つを主に質問させていただいたわけなんですけれども、この中には、一番最初に申し上げましたように、過疎化が進む地方において、何とか新産業を創出してそこの人口減を食いとめたい、企業誘致をしたい、それから地域のよいもの、そこに魅力的なものを伸ばしていきたい、さまざまな思いの中でこの情報通信というものが必要不可欠であるということが大きくございます。

 それから、もう一つとしては、例えば、これまたCMで、テレビばかりよく見ると思われるかもしれないんですが、CMで、最近はレントゲンでなくデジトゲンですなんというコマーシャルが流れていますが、私自身の選挙区でも、各自治体に自治体病院がありまして、それぞれの自治体がその自治体病院の運営のために窮しているという状況で、自治体を圧迫している。そして、病院機能が特殊性を持たずにみんな同じような要素を持っていて、非常に悪循環を来しているように思うんですね。

 そういった中で、中核病院をつくるとか、特殊性のある病院をつくるとか、そういったときにも、例えば、こういった情報通信がしっかり整備されていることによって、特殊性を持たせても、近隣の病院には別の機能を持っているということで、それぞれが連携し合っていますから大丈夫ですよという安心感を持っていただかないと、やはり自治体病院をなくすのは嫌だという住民の声、それからまた首長さんも、自分の時代にあるものをなくす勇気はなかなかないしということで、行政改革もなかなか進まないというようないろいろな悪循環があるのでないかと思うんです。

 そういったものをちゃんと後押しして大丈夫にしていく、あるいは工夫や知恵によって、今あるさまざまな情報通信機器を駆使することによって、これらをこのように解消しますよということを、国ができる道を指し示してあげることが、やはり工夫をしなさいという前に必要なのではないかと思うんです。

 二十数年前の東京八王子市内にある病院のCTの数が、当時のロンドン、イギリスの中にあるCTの数と同じだったという笑い話にもならない話がございます。現在、高齢者がふえて医療費が大変ふえてきた、将来心配だとよく言われていますが、私自身は、医療費を圧迫している原因というのは、多数の複数医師による多剤投与とそれからMRI等の機器をばらばらに持っている、そういった無駄な部分を削減していくことで、本当に必要なものは残し、要らないものはスリム化するということができると思うんです。そういったことについては、また厚生労働省マターの部分も多いかと思いますが、これのやはり基礎をなすものも情報通信でございます。

 そういった意味で、ぜひとも総務省におかれましては、総務省が中心となって、この情報通信のあり方については、今いろいろな交付金、補助金、ロードマップをつくる、いろいろな御意見と御回答をいただきましたけれども、例えば医療においては、厚労省と省庁をまたいで、あるいは北海道においては国交省が既に光ファイバーを地中の方に随分もう配線が終わっているというようなお話も伺います。そういったことであれば、それを何とかそれから先へうまく活用できないか、お金をかけてつくって整備されているものなわけですから、それを逆に、もっときちんとさらに広げていくにはどうしたらいいかということで国交省とも連携をとっていただきたいと思います。

 また、これは厚生労働分野になるかもしれませんが、生活保護においても、テレビというのは決してぜいたく品ではなく認められているものでございます。災害情報も入りますし、それからニュース速報だけでなくて、今NHKの受信料を義務化するかどうかというのも検討されているということは、裏を返せば、テレビというのは必需品だということでございますので。

 先ほど大臣からは、限りなく一〇〇%に近づけるように努力をし、それに向けて今進めているところというお話も伺いましたが、そういった地域、庶民、一個人のテレビから、企業の情報、光ファイバーまですべて網羅した形で、地方にこそ、僻地にこそ、また離島こそ、好きこのんでどこかの山の山頂におれは住むと言っている人は別ですけれども、そこに自治体があり、そこに生活をしているという基準がある以上は、どこにおいてもやはりそれが使える体制づくりというものにはぜひ御尽力をいただきたいと思います。

 そういったことを含めまして、最後に、まとめてと言っては変ですけれども、総務大臣の御所見をまとめてお伺いできたらと思います。

菅国務大臣 まず、私自身が地方を所管し、そしてまた情報通信も所管をする、そういう中で、やはり地方のどんな過疎地でも一定水準の行政サービスができるような、そういう仕組みをつくるのが私どもの役割であります。

 そういう意味で、ぜひ私の考え方を御理解いただきたいんですけれども、地上デジタルテレビ、従来の方式というのは、民間にやらせられることだけは最後まで民間にやらせて、最後の一%を国がやる、そういう仕組みでした。しかし、今回、私、地上デジタルの中継局の予算をとらさせていただきましたのは、一%できない部分というのは最初からわかっていますから、そこについてはもう国が、二〇一一年を待たないで、二〇〇七年度のこの予算でお願いしようとしていますから、そういう思いでそうした地方対策というものに取り組んでいるということを御理解いただきたいと思います。

飯島分科員 大変心強い御意見、ありがとうございました。

 やはり、普及率がこれほど高まってまいりますと、普及率五〇%というときにまだ普及されていないと感じるよりも、九九%普及されていますという中で残り一%に当たってしまった地域の人の気持ちというのは全然違うと思いますので、菅大臣は常に、夕張のときもそうでしたが、本当に地方に対して御配慮いただいていることに改めて感謝しつつ、このような情報過疎ということが起きないように、これは人間の力によって、距離は縮められなくても情報過疎は改善できることだと思いますので、どうか引き続き御支援のほどをお願いしまして、質問を終了させていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

小野寺主査代理 これにて飯島夕雁君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉田元司君。

杉田分科員 おはようございます。自由民主党の杉田元司でございます。

 私の出身は愛知県であります。午前中の土井委員あるいは飯島委員の質問を聞かせていただいておりました。赤池、そしてまた夕張、こうした立て直し、私も全くもってそのとおりだと思っております。

 実は、愛知県も、平成十一年には二百五十億という多くの赤字を抱えて、財政再建団体に転落の寸前まで落ち込みを来したときがあります。思い出すと、徹底した行政、財政改革を図ってまいりました。公務員の削減を初め、切り詰めるべきものは切り詰め、そして、今ものづくりの愛知と言われておりますけれども、反面、輸送機器関連を含めて大変な努力をしてまいりました。十一年当時は、法人二税の落ち込み等も含め、一般税収はたしか八千五百億程度でありましたけれども、今年度伺ってみますと一兆三千億の税収が見込めるという、そこまで立ち直りを図ってまいりました。およそ四千五百億の増収に当たりますが、当時、愛知県は、中部国際空港あるいは愛知万博の開催を控えて、多くの投資もまた進めていかなきゃいけなかった。二兆円にも満たなかった県債が、三兆八千億の県債発行というような現状を来したわけであります。しかし今、見事に愛知は立ち直りを図ることができた。これも、菅総務大臣が進めておられる徹底した行政改革を行ってきた、そのあかしだと思っております。

 ただ、私が愛知県の出身だと申し上げると、全国の議員の方々は、愛知はうらやましい、こういうことを言われます。私の選挙区は、実は愛知の一番山間部を抱えておる奥三河地方であります。これは静岡、長野、岐阜の県境に位置する選挙区でありますけれども、昔から私どもの地域のことを称して西高東低、西は名古屋あるいは豊田市であります、東は私どもの東三河地域でありますけれども、こうして西高東低と言われたことが一つの呼び名でもありました。それだけ地域の格差というものが大変広がっておりまして、すべての投資が西側に傾斜をする、しかし、東側はその反面どうしても薄くなりがちな様相というものが長く続いてまいりました。

 三十年あるいは四十年にわたってこの傾向が続いてきたんですが、私が今思っておりますことは、この二〇〇六年の骨太の方針あるいは三位一体改革の中で、いろいろな地域格差を抱えながら、それでも地域は住民のためにしっかりと頑張っていかなきゃいけない。そして、過疎地も、集団離村や、あるいは来年度から国の大きな事業として設楽ダム計画が始まります、また水没地域の住民の方々は村を離れなければならない、そういう現状の中でいかにしてこれから頑張っていくか。このことは、私ども地元から選出をされておる政治家の一人として大きな責任を感じさせていただいております。

 そういう意味では、私は、菅大臣が今日まで訴えてこられたこの改革に、大いに賛成の声を上げさせていただき、御支援を申し上げてまいりたいと思っておる一人であります。

 そこで、私からの質問に入らせていただきます。

 地方の活力なくして国の活力というものはないと考える一人でありますけれども、大臣も御承知のとおり、今私が申し上げましたとおり、都市部を除き地方は大変苦しい状況にあります。地方の活力のためには、今後とも、基礎自治体である市町村、これが頑張らなければいけない。そこで、その市町村を支援することは最も重要なことであろうと思っております。

 この新型交付税というものについてお伺いをさせていただきますが、人口と面積を基本として算定をするこの新型交付税、創設の趣旨を含め、基本的な考えをお伺いいたします。

菅国務大臣 私は、総務大臣に就任をしたときに地方に対して考えたことが、一つは、まず地方に安心感を与えることが必要じゃないかなと思いました。地方交付税がことし幾ら来るかわからない、来年幾ら来るかわからない、その先もわからないと、よく地方の皆さんから言われました。そしてもう一つは、地方に頑張ってもらえる仕組みを何らかの形でつくりたい、頑張ったらそれが成果となる、そうしたものをつくりたい、こう思いました。地方には、どこの地方に行っても特色があって魅力があるはずですから、そうしたものを生かせる、そういう仕組みというものを考えました。

 その一つとして、新型交付税であります。竹中大臣のとき、私は副大臣でしたけれども、竹中大臣に私から申し入れました。それは、今の交付税というのは余りにもわかりにくい、算定項目が九十数項目ありますから、それをできるだけわかりやすくする、そして予見可能性を高めたい。そういう思いの中で、ことし約一割導入をさせていただきますのがこの新型交付税であります。それは人口と面積を基準として配分をするわけであります。

 しかし、とはいえ、これが急に変わってしまうといろいろな支障も来しますので、人口と面積を考える中で、今までの実績というんですか、そういうものも踏まえての考え方であります。いずれにしろ、このことを導入することによって簡素化と予見可能性というのが高まるというふうに思っております。

杉田分科員 予見可能性。地方にとりましては、今まさに予算編成の時期であります。確かに、こうした簡素化と予見可能性、新型交付税の導入の意味合いはあろうかと思っております。ただ、小規模の町村などが安心してこれからも行政サービスを提供できるようにすべき、このことは当たり前のことであります。

 この導入によって、人口の少ない過疎地を含めた町村、基礎的な自治体にはどのような影響が出ると予見されますでしょうか、お伺いをいたします。

菅国務大臣 新型交付税導入に当たっては、何回となく地方公共団体の皆さんとの意見交換もさせていただいています。そうした意見も踏まえて、例えば、過疎団体のように人口が少ない地方公共団体ほど一人当たりの行政コストは非常に高いわけでありますから、こうしたことを反映させる。あるいはまた、離島だとかにおいては通信、移動の費用、これはほかと比べると非常に高い。あるいは寒冷地においては除雪というものがあります。そうした財政需要というものを適切に算定する、こういうことによりまして変動額を最小限にとどめております。

 現在、各地方公共団体と試算結果について確認を行っているところであります。町村についていえば、千四十一団体中、増加団体は約七百八十、減少団体は二百六十団体となり、増加団体及び減少団体とも平均の変動額は二千万円前後であります。

 いずれにしろ、これを見ていただきますように、そうした町村部分については従来より相対的に多くなる、そういうことになろうと思います。

杉田分科員 ぜひ、今大臣がお話しいただいたような方式で、地方に元気を、活力を生み出すようなこうした新型交付税の導入であっていただきたいと思っております。

 そしてまた、先ほども前委員で質問がありましたが、頑張る地方応援プログラム、この創設の趣旨を伺ってまいりたい。成果を上げやすい元気な地方団体に対して交付税の傾斜配分を行うことのないように、総務省としてどのようにお考えでありますか、お伺いをいたします。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、私は、地方を見渡したときに余り元気がないんではないか、しかし、地方にはそれぞれ特徴があって魅力がある、その特徴を生かす形で魅力ある都市に生まれ変わるには何らかの政策が必要じゃないかなと思いまして、この頑張る地方応援プログラムというものを実は創設させていただきました。

 このプログラムでは、具体的な成果目標を掲げてプロジェクトに取り組んでいただいて、すべての地方公共団体にその取り組み経費を特別交付税という形で措置したいというふうに思っております。また、成果指標に基づく普通交付税の算定方法の検討に当たっては、委員の発言をされています条件不利地域、こうしたものについては配慮したいというふうに思っております。

 こうした考え方の中で、条件不利地域にあっても頑張る地方応援プログラムに参画できる、最初から頑張ろうにも頑張るお金がないという自治体の長の皆さんもいましたから、そういうことも含めて、しっかりと取り組みができるような仕組みにしていきたいと思います。

杉田分科員 ありがとうございました。

 傾斜配分、先ほどの新型交付税もそうでありますけれども、私はあえて冒頭に愛知の様相をお話をさせていただきましたのは、人口や、あるいは頑張る応援プログラム、こうして西側に傾いてきたというのは、行政が意図的にしたものではなく、流れがそのように傾斜せざるを得なかった。そこに光の部分と影の、当たらない町村がはっきりと色分けをされてきた。こうしたことにならないような、こうした頑張る応援プログラムあるいは新型交付税等々も大臣には十二分にお考えをいただいてお進めを賜りたいと思っております。

 続きまして、全国で今市町村の合併が取り進められております。私どもの愛知は八十八ありました市町村が今六十三、そして、現在もまたその合併の動きは進んでおります。ただ、奥三河という私の地元、千三百人の豊根村と二百人に満たない富山村が合併をいたしました。今、旧役場から新役場に向かうのに車で一時間。今までは高齢者は送迎バスが無料でありましたけれども、料金をいただくという現実の問題が出てまいりました。

 合併というものが、国の、あるいはこれからの行財政改革を進める中で先進的に行ったにもかかわらず、まだ先が見えてまいりません。そんな中で、総務省として、合併規模の小さな山間地、山間地に限らないかもしれませんけれども、そうした小さな自治体に対しましてこれからどのような支援というものを行っていただくことができるのか、お伺いをいたします。

菅国務大臣 合併市町村において、人口規模の小さい団体であっても合併後に一層の行政効率化を進めていただく、これはある意味では当然のことだというふうに思います。その効果を活用して住民サービスの維持向上に努めるよう取り組んでいく、このことが求められているというふうに思います。

 また、今お話がありました過疎地でありますけれども、都道府県とも協力をしながら、合併市町村取り組み事例を情報提供するとともに、合併市町村補助金や合併特例債、合併算定がえなどの各種支援措置等を通じて、まず、過疎地域も含めて、合併した後もそうした市町村が魅力ある町として運営ができるように支援をしていきたいというふうに思っています。

杉田分科員 ありがとうございました。

 先ほど飯島委員からも質問がありましたけれども、さらに二〇一一年からは地上デジタル化が図られることになります。現在でも、アンテナをつけてもテレビが視聴できないという地域、これは全国津々浦々、いろいろな山間地域が抱えている大きな課題だと思っております。

 一一年からの地上デジタル化に向かって、こうした地域に対して、総務省、大臣としてはどのようにお考えになっていくのか、お伺いをしたいと思っております。

菅国務大臣 二〇一一年の七月までに全国でデジタル放送が見られるようにする、それが私どもの約束でもあります。そういう中で、例えば山間部における共同受信施設、いわゆる辺地共聴施設、全国に一万八千四百の施設がありまして、百六十四万世帯が加入をいたしております。

 放送の受信設備は基本的には受信者みずからが整備する、こういうことになっておりますけれども、一方で、こうした辺地の共聴施設については受信点設備の移設が必要になる。こうしたことから、住民の負担が従来と違った形になることも、これは十分あり得るわけであります、電波はアナログとデジタルは違いますので。そういう中で、辺地共聴施設のデジタル化に当たりましては、国が一定割合を補助するということで、先ほど申し上げましたけれども、この十九年度予算政府原案に盛り込まれております。この予算が成立をすれば、この補助制度というものをうまく活用して、辺地共聴の施設のデジタル化、こういうものが推進できるだろう、こういうふうに考えておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

杉田分科員 山間地域というのは、医療体制や、あるいは防災等々につきましても、非常に今格差を感じ取っておる地域であります。また、それだけに、この地上デジタル化というものは求めてやまないところであります。そうした意味合いからも、ぜひ大臣としても、こうしたデジタル化に向けた補助金、そしてまた、これも現場の状況をまたよく認知していただいて、それなりの手当てをお考えいただきたいと思っております。

 最後の質問になりますけれども、デジタル受信機、価格が安いものではないと思います。そしてまた、今どの過疎地もそうでありますけれども、高齢者世帯、そして収入もなかなか安定しません。これは、山間地の林業を含め、あるいは農林公共事業も含め、土木事業も含め、なかなか今厳しい現実であります。

 そういう中で、実は私は、せんだって奥三河山間部に入りました。そこは、愛知県でありながらも、長野県を通り、岐阜県を通り、それからまた我が愛知へ戻ってくるという、非常に、道路事情、あるいは先ほど申し上げたテレビの受信もままならない地域でありました。私が伺って、国会議員がこの地域に入ってこられたのは五十一年ぶりだという、五十年間どなたもその地域には国会議員が入ってきたことがないという地域でありました。一番若い方が六十八歳、十六の集落でありますけれども、まさに皆様方が気が沈んでいた、目が輝いていなかった、そういう地域であります。

 そういう方々が、先ほど申し上げた防災や、あるいは過疎地医療、そうしたものをこれからしっかりと情報だけでも得ていかなければいけない。そんな中で、高額なもの、こうした世帯に対して、国としては何か、あるいはどのような支援というものを、先ほどの質問と重なる部分がありますけれども、お答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 デジタル放送を視聴するための受信機というのは、原則として視聴者の負担で購入をいただくものである、こう考えております。受信機の多様化や価格の低廉化は着実に進行しているというふうに思っています。引き続き、視聴者ニーズに合った購入しやすい価格帯の受信機が実現できるように、受信機メーカー等関係者に働きかけをしていきたいと思っております。

 とはいえ、このデジタル化というのは国の政策で行っているものであります。例えば、今委員から御指摘がありましたような、経済的弱者というのですか、そういう配慮について、アメリカでは、一定の額以下の所得の世帯に対して、デジタル放送を受信するためのアダプターの購入に補助する政策というのを行っております。このような海外の事例、こうしたものを参考にしながら、やはり我が国においても、経済的弱者と言われる人たちに対して配慮の必要性というものを検討していかなきゃならない、こう私は考えているところであります。

杉田分科員 大変ありがとうございました。私も、国会に上がらせていただいて一年と六カ月目を迎えることになりました。かつて地方議会で仕事もさせていただいておりましたけれども、地方議会当時から、実は私は菅大臣のことは遠目で私淑をさせていただいておりました。また、こうして、まさに私どもは地方に立つ議員であると思っております。地方の現状というものは決して楽観を許さない、そういう中で、先ほど申し上げました、地方が元気がなければ国は滅びてしまう、そういう信念で私は議会活動を続けさせていただいております。

 ぜひ最後に、総務大臣、私の私淑を申し上げる菅総務大臣の、地方に対する御所見をお伺いして、質問を終わらせていただきたいと思います。

菅国務大臣 私が生まれ育ったのは実は秋田県でありまして、山の中なんです。高校に通うのに、雪でバスがストップしてしまいますから、その高校のある場所に下宿をしている、そういう生活を私は送りました。ですから、どのぐらいの山村かということをわかっていただけるというふうに思います。今、そうした地域であって、携帯電話が通じない、あるいはブロードバンドがないと、若者が住まない、企業誘致がないというのが地方の大方の問題だというふうに思っております。

 そして、私も大臣に就任をさせていただいて以来、できるだけ地方に出向いて、地方の実態というものを、自分のこの目で、もう一度この肌で感じる必要があるなということを今再認識いたしております。

 先ほど夕張の話をさせていただきましたけれども、横浜で生活しますと、バスの初乗りが二百十円ぐらいですね。そんなにバス代は高くない。夕張に行って、病院に行くのに一つの市で片道九百三十円かかるというお話でした。そういうことというのは、やはり現場に行って実際に見ないとなかなかわからない部分が多いわけでありますから、現にそうした地方で生活をしている皆さんが安心して生活をすることができるようにするのが国の役割だというふうに私は思っています。

 しかし、何も都会と同じことを求めるのではなくて、先ほど言われましたけれども、五十数年ぶりで国会議員が初めて来た集落がある、しかし、そこにはやはりそこのよさというのは必ずあるわけですね。十六世帯ですか。そうした人たちが、やはり、そこにいることに誇りを持って生活できるようにすることが私どもの役割だというふうに思っておりますので、思いは同じだと思いますので、全力で取り組んでいきたいと思います。

杉田分科員 これにて質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小野寺主査代理 これにて杉田元司君の質疑は終了いたしました。

 次に、黄川田徹君。

黄川田分科員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたいと思いますけれども、私、総務委員会に所属しておりませんので、項目は総務委員会でいつも議論になっているところだと思います。菅大臣、初めてでありますので、よろしくお願いいたします。

 それからまた、総理は美しい国をつくるということで頑張っておるわけなんでありますけれども、我々地方に住む者にとっては、そこに生まれ育ち、骨を埋める、そういう中で、将来にわたってやはり安心して生き残れる、そういう社会をつくることが先決ではないのか、そう思っているわけであります。地方を取り巻く医療、あるいは保険、介護、年金、あるいはまた教育、雇用の場、本当に厳しいものがあります。地方をあらかた大きな目で大所高所から見られる総務大臣でありますので、その役割も大変なものだと思いますので、よろしくお願い申し上げる次第であります。

 それでは、まず地方の財政問題から入っていきたい、そう思っております。

 国と地方を合わせた債務残高ですか、七百七十三兆円というふうな形で言われております。速やかな財政再建を国、地方ともやっていかなきゃいけないということだと思います。そしてまた、政府においては、国と地方を合わせたプライマリーバランス、基礎的な財政収支ですか、これを二〇一一年に黒字化するという目標達成に向けてさまざま取り組んでおると思っております。

 また一方、昨年ですか、いろいろ議論された中で、国と地方のプライマリーバランスなんでありますけれども、これを比較して、国が大幅な赤字である、そしてまた一方、地方は黒字である。国と地方のバランスのとれた財政健全化を目指す、そういう主張のもとに、交付税の交付率の引き下げであるとか、あるいはまた、交付税の特例減額というような議論があったと思っております。

 地方にあっては、二〇〇〇年からは財政再建も含めて交付税にメスが入ってきて、大変な状況になっている。その前の時代を振り返れば、バブル崩壊後に、総合経済対策ということで、国がさまざまな補正予算、追加予算ということで、それに対応する場面で、地方に現ナマがないものでありますから、とりあえず地方債発行しなさい、その発行の裏負担は交付税で見るとか、いろいろさまざまなやり方があったんでありますけれども、いずれ、この地方交付税にメスが入るということの部分では、自治体間の格差といいますか、財政力の脆弱な自治体がますます大変になる、厳しくなるというようなことじゃないか、そう思っております。

 国と地方のプライマリーバランスの比較、地方財政に余裕があるという議論があったわけですが、この部分について、その評価を含めまして、まず、地方財政の現状について大臣の認識を伺います。

菅国務大臣 安倍内閣の基本方針というのは、地方の活力なくして国の活力なし、この考え方に基づいて私も地方行政に携わっていることをまず冒頭御理解をいただきたいと思います。

 二〇〇七年のプライマリーバランスは、よく言われていますけれども、国が九・〇兆円の赤字である、一方、地方は五・九兆円の黒字である。これは、多くの地方団体が、今委員から御指摘ありましたけれども、行政改革に取り組んできた、そして歳出削減を行ってきた、そういう結果であって、地方の財政の余裕を示すものではないというふうに私は思っています。特に、財政力の弱い地方団体というのは、歳入の減少を上回るぎりぎりの歳出削減を行ってきて、その結果としてプライマリーバランスが黒になってきているというふうに思います。

 昨年の財政審で、地方財政に財源余剰が生じた、そういうような実は表現がありましたけれども、現実的には、十九年度にあっても、地方財源の不足というのは四・四兆円ありますし、百九十九兆円もの債務残高を地方は抱えております。今後は交付税特別会計借入金の償還を増額して、財源余剰が生じるような状況では地方財政はないという認識であります。

 このような状況でありますけれども、厳しい状況の中、必要な一般財源の総額確保に努めて、全力で取り組んでいきたい、こう考えています。

黄川田分科員 平成の合併で、三千二百から千八百ということで、例えば三百五十万の横浜市、ニュージーランドみたいな、国みたいな人口のところから千人単位の村まで一律に地方自治法ということでさまざまな事業が展開されるのでありますけれども、そういう中にあって、日々、自治体は行財政改革ということで、財政の健全化、それとともに、やはり住民サービスを安定的に提供するということが大事なことでありますから、ただ財政の削減、健全化だけがどんどん行きますと、目的が、公共サービスをしっかりと住民に与えるんだということから、歳出削減そのものが自己目的化するようなことになってはいけないと思っておりますので、大臣、よろしくお願いいたします。

 それから、先ほども触れましたけれども、この五年、六年にわたる地方交付税の削減の部分で、地方の将来見通しといいますか、法的に地方は基本構想であるとか、それに基づく基本計画とかをつくっていかなきゃいけないんだけれども、財政の脆弱な部分では、地方交付税の占める割合が極めて大きいわけでありまして、その将来見通しが立たないと首長もなかなか新しいものを打ち出せない。もちろん、菅大臣は元気な地方をつくるんだということでありますが、つくるためにも将来見通しがなければ大変だということの中で、質問なんでありますが、地方公共団体が長期的な視点に立って財政運営を行う、そのためにはやはり、地方交付税の予見可能性といいますか、そういうところが大事だと思うのでありますが、いかがでしょうか。

    〔小野寺主査代理退席、主査着席〕

菅国務大臣 私は、総務大臣に就任をしたときに、地方の皆さんの不安というものを解消しなきゃならないと実は思いました。それは、副大臣当時からも、また、私の高校の同級生に、行政の市町村長が何人かいますから、言われているのは、交付税というのはその年になってみなければわからない、来年どのぐらい来るかわからない、全く国のそのときそのときによって予見できないという不満がずっとありましたので、私は、まず安心感を与えることが必要だろうと。それは、少なくとも三年間ぐらいの予見可能性を高める必要があるだろう、そういうふうに実は思いました。

 そして、私自身が大臣になって、このことを事務方に指示しまして、少なくとも三年先ぐらいについては、自分のところの財政事情はどうなるかというぐらいは予見できるような資料を今出させておるところでありますので、地方はそういうものができるようになってくるというふうに思っております。それだけ予見可能性を高めることは大事なことだというふうに私は思います。

 平成十九年度の地方財政対策におきましては、交付税法定率分を確保しました。特別会計借入金の国と地方の償還責任を明確にしました。新たな償還計画を策定し、これに沿った計画的な償還に着手をしておるところであります。交付税総額の決定方式、これもわかる仕組みというものを地方に対して示すようにいたしております。

 さらに、個別の地方団体の交付税の算定について、十九年度から、人口と面積を基本とした簡素な算定を行う新型交付税というものを導入する予定であります。これについては、九十数項目あった算定項目数を六十幾つにすることであります。

 いずれにしろ、今委員の御指摘のありますように、地方が予見可能性を高めるそうした仕組みについて、私ども全力で行ってまいりたいと思いますし、また、十九年度においては、地方税、交付税総額、昨年と比較して約五千億円増加になっております。さらに、高い利率で借りています上下水道の整備等、そうした五%を超えるものについては、補償金なしで繰り上げ償還五兆円、そういうものも考えておりまして、その効果というのは八千億円ほどあるというふうに認識をいたしております。

黄川田分科員 今、大臣、新型交付税導入に触れましたので、引き続いて、その新型交付税の導入についてお尋ねいたしたいと思います。

 交付税には、御案内のとおり、財政調整機能と財源保障機能があるんですが、どうも財政調整機能の部分が声高に言われまして、財源保障の部分で過疎地とか辺地の自治体なんかが大変不安と心配を持つわけなのであります。新型交付税の、面積と人口ですか、基本的に交付税は人口から始まっているんですが、なおかつ人口と面積ということの中で、やはり財政力の弱い団体、人口が少ないところでは、交付税の総額がどうなるのか、突然変わっていくのかとか、激変緩和があるのかとか、いろいろな心配をしているのでありますけれども、この十九年度導入の交付税は、財政の脆弱なところの自治体で支障がないのかどうか、改めてお尋ねいたします。

菅国務大臣 新型交付税の導入に当たっては、地方公共団体の意見というものを十分に踏まえた中で、例えば過疎地域のように人口が少ない地方公共団体というのは行政コストがかかりますから、そういうことも反映をさせる、あるいは離島とか寒冷地においての通信・移動手段とか、あるいは除雪、そういうものは当然算定に組み込むことにいたしておりまして、地方公共団体の財政運営に支障がないような形で制度設計をさせていただいております。このことによってできるだけ地方がその予見可能性を高める、そういうことも当然含んでおるところであります。

 ちなみに、各地方公共団体の試算結果でありますけれども、町村について、千四十一ありますが、増加団体は七百八十、減少が二百六十でありまして、委員の御指摘のように、そうしたものに配慮したものになっているというふうに考えています。

黄川田分科員 交付税は、毎年度議論されて、できるだけ細かいところにも行き届くような形ということで、余りにも精緻になり過ぎたというところがあって、簡便も必要なんでしょうけれども、やはり不交付団体をどんどんふやして、そしてめり張りのある交付税体系になればということであります。地方の活力を取り戻すといっても、スタートラインが違うところがたくさんありますので、最初から一周早く行っているところは不交付団体にどんどん行けばいいんでしょうけれども、どうしてもやはり条件格差の中で一周おくれで始めなきゃいけないところにはそれなりの対応がなければ大変な状況になると思っております。

 国土交通省ですか、国土形成計画、昔の全総ですか、過疎地に対策どうするということで調査すると、将来的に二千六百の集落が消滅していくであるとか、あるいはまた、限界集落ですか、六十五歳以上の人口が五〇%を超えて、もう消滅だということで、農業政策であるとか教育の政策であるとか、さまざまな政策があるのでありますけれども、きちっと地方に光を当てないと、国家を支えている地方がなくなる。では、国というのはどこなんだということですね。北海道に住まなくていいよ、九州に住まなくてもいいというのであればどういうことになるかということですよね。国家の形は地方があって形があると思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、時間も半分過ぎましたので、次は平成の合併についてちょっと確認しておきたいと思います。

 平成の大合併も大体峠を越えたといいますか、ただ、旧法から新法ということで、まだ動いているわけでありますけれども、総務省によりますと、平成十一年三月三十一日付で見ますと三千二百三十二の市町村、これが千四百二十八減少して、平成十九年の三月三十一日には一千八百四市町村になるというようなことであります。

 それで、この大合併の結果といいますか、首長たちがどう認識しておるか。そういう中でのさらなる新法での展開だと思うのでありますが、昨年九月下旬に行われた読売新聞の市町村アンケートによりますと、昨年三月三十一日までに合併した自治体のうち、六八・六%の三百七十四市町村が、今後も厳しい財政状況が続くと答えておりますし、二九・五%は再合併が必要と答えております。そしてまた、市町村全体では、四五・二%が今後の合併は必要としており、財政不安を背景に、自治体の再編はさらに進む可能性があるとしております。合併理由のトップは、行財政の基盤強化のため、足腰を強くするということでしょうが、これが八六・八%も占めていることからも、結局、自治体の財政不安といいますか、昨今における財政再建団体が出てきておるということですかね。九州にあった再建団体が終わったと思ったら、またぞろ出てきたという状況だと思います。

 それで、大臣、まだ一、二年ですから、平成の合併の評価というのも大変なのでありましょうけれども、マクロで見たこの合併による効率化といいますか、そういう効果について認識はどうでしょうか。

菅国務大臣 委員御指摘にありましたように、三千二百三十二あったのが千八百四になる。そういう意味では、地方自治体の皆さんの大変な御努力によってこれだけの合併が進んできているというふうに思っております。しかし、一方では、人口一万人未満の市町村もまだ五百程度あるわけでありまして、住民に身近な行政サービスを将来にわたって総合的、安定的に提供ができるように、現在も市町村合併というのを推進いたしているところであります。

 これまでのこうした合併によって、市町村の三役及び議員が二万一千人減少をいたしております。これだけで年間約千二百億円の削減効果があったのではないかなというふうに思っています。また、合併後十年経過以降においては、人件費などの削減によって年一・八兆円ぐらいの効率化が図られるだろうということになっております。

 市町村合併というのは行財政的には非常に効果があることだなというふうに思いますし、また、市町村合併をすることによって住民の皆さんの自治意識というのが物すごく高まったんではないかなというふうに私は思っています。自分の町が合併するしないで大激論、議論を行う中で、自分たちがそうしたまちづくりにどのような形で取り組んでいかなければならないのか、そうした意識が非常に高まったということは私はこれからの地方自治を推進する中で一つの目に見えない大きな財産ではないかなというふうに思っております。

 いずれにしろ、やはり一定規模の市町村でないとなかなか、この少子高齢化時代、さまざまな政策展開というのができなくなってくる可能性というのは高まっていますので、こうした合併というものも、今、それぞれの地方自治体にお願いしますけれども、さらに推進をしていきたいと思っています。

黄川田分科員 大臣お話しのとおり、自治意識といいますか、住民の意識が高まってきているとか、あるいはまた、一つ二つの市町村の合併だったらいいんですけれども、七つとか八つの合併になれば、地域自治区とかいろいろな面で、まちづくりはお上がやるんじゃない、みずからやっていくんだという意識が高まればということでしょうけれども、ただ、その面でも裏づけとなる財政の部分の支援がないとなかなか厳しいところがある。ただ、かつての、何でもかんでも行政がやるという時代じゃないですから、みずからできること、それから、ともにやらなきゃいけないこと、そして公が差し伸べなきゃいけないことということで、その部分ではかなりいいところがあると思っております。

 また一方、別な質問なのでありますけれども、合併できないといいますか、合併協議会に、まないたに乗っても、それぞれ自治体の債務負担行為の額であるとか地方債の残高であるとかいろいろな関連があって、結局不調に終わって合併できなかったところとか、あるいはまた、先ほど一万人未満の町村がまだまだあるということで、また、その中には、自立といいますか、そういうまちづくりをしてみたいというところもあるみたいなんでありますけれども、そういう合併とはまた一つ線を画しているところに総務省はどんな手だてといいますか、支援を考えておるのか。

 そしてまた、もう総務委員会をやめてしばらくたって、農水とかに行ってしまったので、かつて西尾私案といいますか、一万人以下の小規模の町村に対する事務配分特例制度とか、いろいろな仕組みづくりとか、議論されたときもあったんでありますけれども、これが生きているのかどうなっているのか。県がかわりに何か事務をやるとか、そんな話もあったんですが、それを踏まえてお答えいただけますか。

藤井政府参考人 お尋ねは、合併が困難な小規模市町村をどうするのかということと、西尾私案の現状についてということでございますが、御案内のとおり、今残っている市町村というのは、ますます合併の条件が厳しいところが残っているというふうな認識は持っております。

 ただ、私どもの立場としては、あくまでやはり合併を推進していただきたい、新法に基づいて合併を推進していただきたいという立場でございます。そういう市町村でも、行政基盤の強化を図って、みずからの努力と責任で魅力あるまちづくりをやっていただくというためには、やはり合併をやっていただきたいという立場で、引き続き合併新法に基づいて合併の推進を積極的に行っていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

 次の西尾私案でございますが、これは、御案内かと思いますが、西尾私案については、平成十五年十一月十三日の第二十七次地制調で、これについて検討していただいて、引き続き検討する必要がある、そういう御答申をいただいているところでございます。

 その後の二十八次地制調の答申もあったんですが、たまたま前の合併推進法に基づいた強力な合併を推進しているというところで、その後の検討というようなのは深まっているという状況ではございませんが、ただ、私どもとしては、このような特例的団体の制度の導入についても、今後、引き続きさまざまな観点から検討すべき課題であるというふうには認識しているところでございます。

黄川田分科員 では、時間が少なくなってきましたから、そのことについてはこれで議論はやめまして、いずれ、合併しても合併しなくても財政状況は厳しいんだ、ただ、行政にかかわる人たちが厳しい厳しいと言ってもしようがない、しようがないという言い方もないですけれども、むしろ住民一人一人、市民一人一人がそれをきちっと理解しなきゃいけないということだと思っております。

 そういう意味もあるんですかね、地方行政改革のさらなる推進に向けまして、新たな指針が昨年八月末に総務省から公表されました。その指針の中では、地方公会計の改革が取り上げられておりまして、貸借対照表であるとか、行政コスト計算書、資金収支計算書、純資産変動計算書の四表の整備を推進すること、及び、未利用財産の売却促進や資産の有効活用等を内容とする資産・債務改革の方向性と具体的な施策を策定すること、こういうことが示されたわけであります。

 質問なんでありますけれども、普通会計のバランスシート、それから公営事業会計等の連結バランスシート、これらは、市町村、市町村といっても、都道府県もあれば、政令市とか中核市とか、さまざまあるわけなんでありますけれども、この作成状況はどうなっているんでしょうか。

岡本政府参考人 お答えをいたします。

 普通会計のバランスシートの作成状況についてでございます。普通会計のバランスシートにつきましては、平成十八年五月三十一日現在でございますと、都道府県、指定都市では全団体、指定都市以外の市及び特別区では六七・五%、町村では四〇・七%で作成済みとなっております。

 また、公営企業、地方公社、第三セクター等を含めました連結のバランスシートについてでございますが、都道府県、指定都市では同じように全団体で作成済みでございますが、指定都市以外の市、特別区では六・三%、町村では一・二%という団体の作成にとどまっている状況でございます。

黄川田分科員 普通会計のバランスシートは、まずまず、半分ぐらいですか。大事なところが、第三セクターとか、あるいはまた地方公社とか、ちょっと目に見えない部分といいますか、一般会計というものの債務負担の部分であるとか、そういうところをやはり住民がしっかりとつかんでもらわないと、我が町の、我が市の財政状況ということになりますので。

 それから、矢継ぎ早に総務省もいろいろな対策を講じておりますし、地方の財政再建といいますか、健全化のための法案も考えているということでありますので、あと、都道府県あるいはまた市町村の監査委員制度もあるんでありますけれども、内々の監査ということで、流れの中で、外部監査ですか、都道府県であるとか政令市とか、中核市までですかね、そして普通の市も条例か何かでつくればやれるんでありますけれども、なかなかそこまで行っていないというところもあるかもしれませんが、今後ともそういう部分の必要性をしっかりととらえていかなきゃ、こう思っております。

 それでは、もう本当に時間がなくなりましたので、ちょっと最後に聞きたいところがあります。

 自治体の再建法制といいますか、先ほど言った自治体の再建、健全化のための法制の中で一番大変な課題というのは、債務、借金といいますか、そういう債務の調整をどのように持っていくかというところの部分の議論が大変なんじゃないか、こう思っております。

 仮に債務放棄等の債務調整がなされた場合には、一たんデフォルト宣告がなされると、それはそれで自治体も楽になるかもしれませんが、では、その後その自治体がどのように評価されるかといったら、これまた大変なことになるわけですよね。貸し渋りとか貸しはがしとか、民間で言うような話で変な話ですが、大変になる。今でさえも、例えば地方債の利率ですか、国から借りるとしても、あるいは縁故債ということで市中の銀行から借りるとしても、多分、財政力といいますか、体力があるかないかで利率も違うんじゃないかと思うんであります。

 債務調整に関して、総務省は、研究会のもとに、債務調整等に関する調査研究会というんですか、これを設けて、地方分権推進改革と同時並行的に議論を深めていくというような話でありますが、まだまだ議論は道半ばだと思うんですけれども、大臣、この件の基本的な認識といいますか、その辺をお尋ねいたします。

菅国務大臣 この債務調整の問題のとらえ方について、正直な話、私と事務方の間で差があるんです。

 私は、債務調整というのはやはり重要な課題だと認識をいたしております。例えば、夕張市が昨年六月に財政再建団体になった。しかし、七月はその前の年よりもボーナスを余分に出した。通常ですとお金が出ないわけですね。しかし、地方自治体というのはつぶれるわけがないという形で銀行も融資をしているわけでありますから、やはり私は、ある程度の緊張感というのが必要ではないかなというふうに実は思っておりまして、債務調整についての勉強会を省内に置いたところであります。

 そして、債務調整によって、今委員から御指摘がありましたけれども、地方自治体で金利がこんなに差がつくんじゃないかとか、いろいろな問題が出てくるんじゃないかなということで、事務当局はこれについては余り乗り気じゃなかったと思いますけれども、私は逆に、問題というものを整理して、導入する導入しないは別にして、債務調整問題というのは一つの課題だ、そういうふうに思っておりまして、これについての問題点を今研究会で整理をしていただいておるところであって、それをもし導入したらどんな問題が出るか、それは導入するしないは別にして、検討する価値はある、私はそういう考え方であります。

黄川田分科員 時間でありますので、一つだけ要望をさせていただきます。

 モラルハザード、そういう問題もありますし、ちょっとまた合併の話になるんですが、旧法があって、新法ができた、その財政支援は格段に違うわけなんでありますよね。ただ、かつて法定協議会に乗った、しかしながら、背中にかなりの負債を抱えているものだから一緒にはだめだよというような形で、なかなか動けないところ。しかしながら、総務省とすれば、いずれ、さらなる足腰の強い団体をつくっていかなきゃいけないということでしょうから、その辺の旧法の支援と新法の支援がちょっと格差があり過ぎるので、そういう部分の、中をとるというわけではないですけれども、それは別に総務省だけのことじゃなくて各省庁連携の対応というのがあると思うので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

三原主査 これにて黄川田徹君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

三原主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。照屋寛徳君。

照屋分科員 社民党の照屋寛徳です。

 質問の冒頭に申し上げますが、私は別にNHKに恨みがあるわけでもなくて、ただ、基地の島沖縄に生きる者として、また沖縄県民から選出をされた国会議員として、特にNHK放送受信料の公平負担という観点で質問をいたします。

 まず最初に、全国平均に比べて、沖縄放送局におけるNHKの受信料の収納率が低いんです。例えば、二〇〇三年度ですと沖縄は五二・六%、全国平均は九六%、二〇〇四年度が沖縄は五三・四%、全国平均は九四・四五%、二〇〇五年度は沖縄が五五・一三%、全国平均が九〇・三三%、こういう数字を私も承知しております。

 この沖縄における収納率が悪い原因について、政府並びにNHKの見解を伺います。

菅国務大臣 委員御指摘のありましたNHKの受信料収納率、確かに今言われましたように、全国と比較をして非常に低くなっております。その大きな原因というのは、やはり戦後、沖縄というのは民間放送が先行していた。ですから、そういう意味で、テレビというのは受信料を支払わなくてもいいという、そういうことがあったのではないかなというふうに思っております。そこのことが一番大きな原因ではないかなというふうに私は思います。

 いずれにしろ、NHKにおきましても、受信料の公平の原則、そういう観点から、組織を挙げて経営改革に取り組むと同時に、国民の信頼を得て沖縄の皆さんにも御理解をしていただく、そういうことが必要だろうと私は考えております。

小林参考人 御答弁いたします。

 ただいま総務大臣の御答弁にもありましたが、これまでの歴史的経緯から、沖縄につきましては残念ながら受信料の制度がまだ十分に理解されていると言いがたい面もございます。そのため、NHKでは、視聴者に対しまして受信料制度の理解促進に積極的に取り組んでいるというところでございますけれども、特に平成三年からは、沖縄県民のニーズにこたえるための地域放送、地域番組の編成を一層推進する、それを通じまして受信料制度の理解を得るための広報活動等を展開しているところです。

 いずれにしましても、沖縄県に対しまして存在感のある公共放送でなきゃいかぬ、そういうことがベースになりますので、それのための努力とあわせまして、営業業績の向上に向けまして業務改革に努めているところです。

 現在、受信料の理解を促進いただくための訪問活動の徹底、あるいは継続支払い者を増加させていただくための口座振替の利用の推進等に今努めているところでございます。

照屋分科員 私は、原因についての分析というか、それは今大臣がお答えになった理由が一番当たっているんじゃないかな。というのは、一九七二年の五月十五日、いわゆる復帰前のNHKの沖縄における法的性格と、復帰後は変わったわけですよね。そこら辺が、放送受信料に対する県民の意識の問題ではないか。

 加えて、復帰後も、例えばNHK放送で天気予報とかそういう場合に、沖縄地方が抜けておったりしたことが一時期あったんですね。それと、やはり膨大な米軍基地が存在する、それがゆえに電波障害あるいは爆音の激甚被害があって、なかなかNHK放送を含めてテレビ放送がちゃんと受信できないという理由もあるのではないかと思います。この電波障害あるいは爆音との関係は、後ほどお伺いをしたいと思います。

 ところで、NHKに尋ねますが、放送法に基づく放送受信契約の成立の始期はいつなんでしょうか。

小林参考人 お答えいたします。

 受信契約は、受信機の設置の日に成立するとしております。これは、NHK、日本放送協会の放送受信規約第四条に規定されているものでございます。

照屋分科員 そうすると、放送受信規約等に基づいて受信機を設置した場合、この受信機の設置というのは法的にどのような状態なんでしょうか。いわゆるテレビを購入した時点なのか、あるいは世帯や事業所に備えつけた状態なのか、あるいは徴収員がアンテナを見て、あ、この家はテレビを設置しているに違いない、NHK放送を見ているだろうといって尋ねて、そのテレビの有無を確かめて、それを当該所有者が承知をした時点なのか、どっちなんですか。

小林参考人 設置の日につきましては、我々の解釈といたしましては、本来、設置いただきますと、速やかに御通知いただくということも規定でございまして、それに基づきまして、いつ設置したかを確認させていただく。その設置の日というのは、NHKが受信できるという受像機を設置した日であるというふうに考えております。

 ですから、訪問集金活動をしているさなか、例えばそれを発見してお願いしたとき、その日をもってするものではなくて、あくまでも設置した段階からのものであるというふうに考えております。

照屋分科員 次に、最近、私の選挙区内にある浦添市や宜野湾市で、NHKからの支払い催促、振り込み用紙を同封して、二十年分、あるいはケースによっては三十年を超える受信料請求書が舞い込んで困惑している市民から、たくさん、苦情あるいは相談が寄せられておるんですが、この支払い催促をする基準というのはどうなっているんですか。

小林参考人 支払い催促につきましては、本来御契約いただいている方がある時点から支払いが滞っているという以降につきましては御請求を申し上げるということでやっております。これは、今、支払っていない方が非常に多いということが課題で、そのことにつきまして、もちろん公平負担の徹底のためにきちっとお払いいただくべきだという声もいただいておりますけれども、そういった中で、より公平を徹底するために支払いの請求を申し上げている。その期間は、未払いの期間全期間をお願いしているという状態でございます。

照屋分科員 支払い催促は毎年あるんですか。二十年以上、三十年分を一括して請求するというのは、これはちょっと世間の常識にはそぐわないんじゃないでしょうか。

小林参考人 今、文書による未払い督促のことでありますけれども、NHKとしましては、実はそれだけではなくて、当然ながら、訪問活動あるいはお電話等によりまして、従来から支払いについてお願いしているというところでございます。それがたまたま文書で来たときをもって突然来たように受けとめになっているかもしれませんけれども、我々としては、日常の活動の中でも支払いについてはお願いに伺っている、もちろんお会いできないケースもございますけれども、活動としては、そういうことを常にやっているという中でのものでありますので、それはぜひ御理解いただきたいと思います。

照屋分科員 そうすると、先ほどの放送受信契約の成立の始期との関係で伺いますが、なぜかというと、二十年分以上、三十年分以上も請求を受けた人は、受けた本人自身が放送受信契約を締結したかどうかという意識がないんです。正直言って、人間の記憶は十年も、あるいは二十年、三十年たつと薄れるんですよ。だからこそ、民法は消滅時効制度というのをつくってある。

 それで、放送受信料についても、私の質問主意書に対して、政府は、十年で消滅時効にかかると答えておる。そうすると、徴収員が各家庭を訪問して、そして受信料を払ったということで受信契約が成立しているんですか。それとも放送受信規約に基づいて契約書を交わしたときなんでしょうか。

小林参考人 基本的には契約書を交わしたときでもありますし、その後は、当然ながら支払いいただいているという実績がございます。そういったことをもとにお願いしているところでございます。

照屋分科員 それでは次に、政府は、私の質問主意書に対して、在日米軍人軍属、その家族についても、基地内外の居住の別なく、受信契約を締結して受信料を支払う義務があると答えております。ところが、現実には、在日米軍の軍人軍属、家族は、全く受信契約も結んでいない、受信料も払っていない。一体、支払うべき金額は幾らなんですか。未払い金額は、現在で累計幾らなんでしょうか。一説によると、あるいは報道によるとという表現が正しいのかもしれませんが、未払い額は三十億を超えている、こういう報道もありますが、どうでしょうか。

小林参考人 NHKの考え方としましては、NHKの放送を受信できる受信機を設置された場合は、当然ながら、在日米軍の軍人の方々につきましても、受信料の支払い義務はあるというふうに考えています。

 ただ、現実には、これまでも米軍基地内への立ち入りを要請しても、それは認められていないことなどから、契約の対象となる受信機を設置している世帯数、あるいはその受信料額については、残念ながらつかめないという状況でございます。

照屋分科員 大臣、沖縄だけではなくて、東京でも神奈川でも長崎でも、いわゆる在日米軍が存在をするところでは、NHKは、当然のことながら米軍人軍属、その家族も、受信契約を結んで、支払い義務がある。ところが、現実には全く払っていないし、立ち入りを求めて支払い催促をしようにもできない。そうすると、公平負担という観点から余りにも不平等なんですね。その点は、大臣、どのように思っていらっしゃるでしょうか。

菅国務大臣 極めて遺憾なことである、こう考えております。

 政府としましても、従来より、NHKの受信料というのは日米間のこの地位協定によって免除されている租税には該当しない、こういう観点から、アメリカ軍人等にも受信契約を結ぶ義務があると考えておりまして、在日アメリカ大使館及び在日駐留アメリカ軍に対して、必要な働きかけを行ってきているところであります。

 これからも、受信料に対する日本側の主張というものを粘り強くアメリカ軍に説明をし、この問題の解決に努めていきたい、こう考えております。

照屋分科員 今、大臣の丁寧な御答弁がありましたが、NHKとしては一体どういう認識なんでしょうか。在日米軍が地位協定十三条を根拠に支払いを拒んでいる。しかし、NHK放送受信料というのは地位協定十三条の租税ではないんですよ。そこら辺をやはり強く交渉して、説得して徴収しないと、これは受信料の公平負担の原則に反するし、このNHK放送受信料だけではなくて、基地の島に住んでいると、日米地位協定を盾に不平等、不公平がまかり通っている。NHK、どうしますか。

小林参考人 まさに公平負担を徹底しなきゃならない課題の一つだと思っております。

 ただいま総務大臣からも御発言いただきましたように、NHKは総務省にお願いし、それを通じまして、さまざまな働きかけで既にお願いしております。それだけでなくて、NHK自身の取り組みとしては、これまでも、数を数えれば過去十一回にわたりまして米軍に対しまして基地内立ち入りを要請しました。いずれも認められていません。

 そういう中で、さまざまな取り組みをやっておりますけれども、残念ながら現時点では、より具体的に展望を開ける道は見出していないという状況でございます。

照屋分科員 この問題については、私が質問主意書を出した、政府の答弁書が出た。そのことが地元のマスコミで報道されて、一方では支払い催促をして、米軍は、表現は悪いかもしれませんが、野放し、お手上げ、そして租税だと言い張って払わない。こんな不公平では、県民感情としても公平負担という観点からも、私は好ましくないと思うんですね。だから、やはりしかるべき、具体的でかつ強力な改善措置をとらぬと、とてもNHKに対する信頼は県民から得られないと思います。

 そのこととの関連で、昨今、放送法を改正して受信料支払いの義務化を明定する動きがありますが、現段階での大臣の所見をお伺いいたします。

菅国務大臣 私は、副大臣当時に、政府・与党の間で、この通信・放送の在り方懇談会、その中でNHKに関しての合意というものを結びました。その合意の主なものは、NHKのまず内部改革を行う、そして受信料の支払い義務化、さらに受信料の引き下げ、この三点がセットになる、私はこう考えております。

 そして、今委員からも発言がありました。私も日ごろ、これは地元に帰る、あるいはさまざまな方によく言われていることでありますけれども、NHKの受信料の不平等感であります。現在は約三千三百万の方にお支払いをいただいています。しかし、本来支払うべき方、約千五百万前後の方が私はいらっしゃると思いますけれども、そうした方から支払いはされていない。この三千三百万という人の受信料によってNHKが今成り立っている。そして、この六千億円というNHKの予算の中で、受信料を集めるのに八百億円もかかっている。やはり、改革すべきことは徹底して改革をして、そして平等感になるようにこの義務化というものを私は提言しているわけですけれども、しかし、それがNHKの改革と値下げというもののセットでなければ、国民から理解を得られない。

 今、状況は、そういう中で、私の考えで放送法を変えるかどうかという検討をしている、そういうところであります。

照屋分科員 最後に、NHK受信料の助成の問題との関係で、防衛施設庁にお伺いをいたします。

 防衛施設庁訓令第十一号に規定するいわゆるターボジェット発動機を有する航空機、この航空機が離発着する飛行場は助成対象になっている。このターボジェット発動機を有する航空機の機種についてお伺いします。

渡部政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま照屋先生が御指摘になりました防衛施設庁訓令第十一号、これは交付要綱でございますけれども、この要綱に規定されておりますターボジェット発動機を有する航空機、これに該当する機種につきましては、米側公表資料等によりますと、嘉手納飛行場につきましてはF15、E3、KC135、RC135、WC135が配備されている、また普天間飛行場につきましては、UC35という航空機が配備されていると承知いたしております。

照屋分科員 そうすると、私は、先々週でしたでしょうか、防衛施設局の佐藤勉那覇局長に直接お会いをして、宜野湾市の上大謝名自治会の会長と一緒に。沖縄で、嘉手納基地と伊江島と出砂島訓練場だけが助成対象になっている。墜落の恐怖がある、爆音被害がある、それから電波障害がある普天間基地は入っていない。ところが、普天間基地にUC35というターボジェット発動機を有する航空機も配備され、戦闘機も飛来している、それでNHKの助成措置はない、これはおかしいですよ。

 速やかにそういう改善をしないと公平負担にもならぬし、現に、電波障害、爆音被害に苦しんでいる普天間基地周辺の市民から、助成措置をとってほしいという強い要望があるんですよ。施設局に、この問題について、私は速やかに実現すべきである。恐らく大臣が防衛大臣だったらすぐ実現したはずだ。なぜ実現しないんですか。防衛施設庁。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 防衛施設庁が行っておりますNHK放送受信料の助成措置につきましては、自衛隊または米軍が使用する飛行場等で、ターボジェット発動機を有する航空機の離陸、着陸等が頻繁に実施される施設の周辺地域のうち、一定の区域を助成措置の対象としているということでございまして、普天間飛行場につきましては、先ほど申し上げましたように、高速連絡軽人員輸送用の航空機としてUC35という航空機が一機配備されていると承知しておりますが、この航空機につきましては、前述のとおり、交付要綱に規定されておりますターボジェット発動機を有する航空機に該当はいたしますけれども、その用途といたしましては高速連絡軽人員輸送ということでございまして、戦闘機などのように離陸、着陸等を頻繁に行うような機種ではないというふうに理解しているわけでございます。

 このため、このターボジェット発動機を有する航空機に該当いたしますけれども、このUC35という航空機が一機配備されていることをもって直ちに助成措置の対象施設に指定するという考えは持っていないところでございますけれども、いずれにいたしましても、防衛施設庁といたしましては、今後、普天間飛行場を助成措置の対象施設に指定するか否かを含めまして検討してまいりたいと考えております。

照屋分科員 頻繁かどうかという問題じゃないので、早期にやるべきだと思います。

 以上で終わります。

三原主査 これにて照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、橋本岳君。

橋本分科員 自由民主党の橋本岳でございます。

 菅大臣は、きょうは一日じゅうこちらにおられるということで、本当に大変お疲れさまでございます。ちょっと風邪ぎみのようにもお見受けをいたしましたので、本当でしたらゆっくりお休みくださいと言いたいところですが、答弁の方はしっかりとよろしくお願いしたいと思っております。

 さて、余り長くない時間で四つほどテーマを取り上げたいと思いますので、ぜひ進行に御協力をいただければと思っております。

 まず一つ目、高病原性鳥インフルエンザの対策についてであります。

 もう既に御案内と思いますけれども、ことしの一月に入りましてから、宮崎県それから岡山県の高梁市で、合計合わせて四例の発生がありました。幸いにして、それ以降、新規に拡大していったりあるいは発生したりということがなくて、ちょっとほっとしているところなわけであります。

 私も自民党の鳥インフルエンザ対策本部の幹事ということに任命をいただきまして、実際に発生した岡山県の高梁市、それから県庁の方にも伺いまして、直接高梁市長あるいは岡山県知事にもお話を伺ったわけであります。市長、県知事、それぞれの自治体としてしっかりとした対策をしているのだと。鶏の処分もそうですし、あるいは鶏ふんだとか飼料だとかを埋めてしまう、あるいは移動するとき消毒をするだとか、あるいは風評被害の防止だとか、そんなことに一生懸命取り組んでおられる。

 また、家畜伝染病予防法というのがありまして、発生された農家に対して、実際移動制限などがかかっているときに国と県で補償するのだという制度がありまして、これは農家にとっては大変助かるわけでありますけれども、一方で、岡山県もしくは宮崎県にとっては、急に臨時の財政負担になったということにもなるわけであります。

 そこで、大臣にお伺いをしたいんですけれども、ぜひ岡山県あるいは県下の自治体、もちろん宮崎県もそうですけれども、こうした鳥インフルエンザの被害が起こってしまった自治体に対しまして、特別交付税などの措置で財政的な負担を肩がわりしてあげる措置をお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 私は亡きお父様に大変御指導いただきました。非常に優しい方でしたけれども、岳議員も輪をかけて優しいのかなと実は思っております。

 岡山県、宮崎県の鳥インフルエンザでありますけれども、岡山県においては、一月末に県内で発生した鳥インフルエンザに対応するために、感染鶏の殺処分や移動制限区域内の農家への損失補償、さらには監視プログラム下にある鶏の焼却処分への助成等に多額の財政需要が生じている、このように私ども伺っています。また、高梁市におきましても、風評被害対策や事業者の経営支援等に取り組んでいる、このことも伺っています。

 鳥インフルエンザ対策につきましては、地方公共団体の対策経費のうち、蔓延防止策については八割、風評被害対策については五割を特別交付税により措置いたしているところであります。

 今般の鳥インフルエンザの発生についても、岡山県などから経費等の実情をよくお聞きし、財政運営に支障がないように適切に処理をしていきたい、こう考えています。

橋本分科員 ありがとうございます。

 それでは、これは参考人にお伺いをしたいんですけれども、岡山県及び県下の市町村、自治体に実際にいつごろ幾らぐらいの交付ができる見通しなのかというのを教えていただけますでしょうか。

 それとあわせて、起こった時期が一月下旬ということでありまして、経費の積算が年度内にできるのかという問題があるんじゃないかと思います。だから、来年にまたがって発生してしまうこともきっと残るでしょう。そうした場合について、来年度までそれを継続して支援をいただけるのかどうか、あわせて教えていただければと思います。

岡本政府参考人 お答えをいたします。

 今、委員御指摘のように、岡山県におきます鳥インフルエンザに係ります岡山県の財政需要につきましては、本年度の特別交付税、三月下旬ごろに交付する予定でございますが、この交付に反映をさせたいということで、現在、岡山県等とも連絡をとりながら算定作業に努めているところでございます。

 現在、今まさに委員も御指摘ございましたように、岡山県が焼却あるいは消毒あるいは損失補償等のいろいろな対策に取り組んでいらっしゃるわけでございますが、現在の予算が、あるいは取り組みの途中の段階では七、八千万ぐらいの事業費だというふうに伺っておりますけれども、なおまた補正予算をお出しになるというようなお話も伺っております。そういうこともございますので、早急に、一定のどこかの時点で切って、その額を確定といいますか、その段階での数値として確定をさせていただきまして、そこに、先ほどのルールに従いましてその交付額といったものを計算していきたいというふうに考えております。

 したがいまして、その段階で岡山県なりが実行しているのに、一応その段階では仮に置いた数字から漏れたような数字でございますとか、あるいは新たに対策をこれから講じるということが場合によってはおありになるかもしれませんが、そういうような事情もきめ細かくお伺いをして、そういうもので十八年度の算定に反映できないものにつきましては、十九年度の算定においてこれをきちんと反映させるというやり方でやらせていただきたいというふうに思っております。

 高梁市それから美作市、美咲町等で行われているものにつきましても同じような考え方でございますが、今のところ市町の方はそういうことは伺っておりませんが、なおやはりそこはきちんと、実際の実負担、どのぐらい発生したのかをきちんと追いかけて、どこかの時点で整理をしていって、ルールに従ってちゃんと反映をさせたいというふうに考えております。

橋本分科員 ありがとうございます。

 ぜひきめ細やかな対応のほどをよろしくお願い申し上げます。本当に、それぞれの自治体の、高梁の秋岡市長にしても岡山県の石井知事にしても、大変頑張っておられますので、もちろんそのほかの自治体についてもですけれども、ぜひよろしくお願いをいたします。

 ちょっとこれは農水省さんへの質問になるわけですけれども、今申しました家伝法というものが今回適用されるだろうということでありまして、これはこういう場合の農家に対するセーフティーネットとして大変意味があることだなと思うわけであります。実際、移動制限がかかったときに卵の値段が下がったとか、あるいは保管に費用がかかったとか、そういったものをある程度というか大部分補償してもらえるということで、農家の方も万一のときの安心ということには大変役立っているだろうと思うわけであります。

 一方で、実際起こったのを時系列的に見てまいりますと、発生が疑われた、要するに鶏が鶏小屋で何十羽とか何百羽とか急に死んでいる、ある朝見たら。それがわかって、実際に簡易検査をまず行って、ちょっと陽性かもしれないというのが出た段階で、一度移動自粛要請というのがかかります。それがかかってから、かかってからというか同時にだと思いますけれども、ちゃんとした検査に回して、実際にこれは鳥インフルエンザが検出されましたという段階になったら移動制限がかかる、こういう段取りになっています。

 実際に高梁市の場合だと、一月二十七日の午後三時に移動自粛が要請をされた、そこで簡易検査で陽性が出たのだと。それから、一月二十九日の月曜日、朝の八時半に移動制限がかかった。要するにそのときまでにこれはインフルエンザだということがしっかり検出をされたということで、丸二日はないですけれども、一日少し時間があるわけであります。これは土日を挟んでいるのでしっかり対応していただいたんだろうということは思うわけですけれども。

 家伝法においては、移動制限なのだ、だから例えば何日間移動させてはいけませんというときについてはその補償の対象になるわけですけれども、移動を自粛してくださいという要請をしている段階で、例えば保管にお金がかかったとか、そういうことについての経費を補償するという規定がないわけで、実際、素直に今の法律を読むと、見ないということになっているんだろうと思うわけであります。

 けれども、実際に、今回の高梁の例、よくお話を伺いますと、早期に農家の方がまず通報してくださったんだ。何百羽も亡くなる前に、鶏ですから亡くなるじゃなくていいんですけれども、死ぬ前に、十羽、二十羽といった段階で、これはおかしいといって早くに通報されて、陽性が出た段階で即自粛というのが早くかけられた。その結果が被害の拡大を防ぐことにつながったんだろうということで、やはりいち早く通報をまずしてもらうことが大事なんですけれども、してもらった上で自粛という段階をまず早くしてもらうのだ。もちろん、それからちゃんと検査をするまでの時間はできるだけ短くするべきですけれども、移動制限ということになったら、かけるのだということで、そのいち早い対応というのがすごく大事だと思うし、そのためには、移動自粛というものに対するハードルを下げなければいけないんだろうと思うわけであります。

 ということで、今、家伝法では、移動制限の期間について補償の対象としているわけですけれども、その前に必ず生じるであろう移動自粛の期間についても、発生した経費について、それは家伝法でということになるのか、あるいは別の方法でそれと同等にでも構いませんけれども、補償をしていただけないのかなということを思っております。

 実際、去年などもありましたので、これまで発生した事例にも基づいて、そうした自粛期間と制限期間でどうだったのか、その自粛期間についても見ていただいたのかどうかということが一つ。

 それから、これはこれまでにそういう例がないと聞いておりますけれども、簡易検査で陽性が出た、では移動を自粛してくださいといってとめたんだけれども、ちゃんとした検査をしてみたら検出されなかった、ある意味杞憂で終わった、これはめでたい例なわけですけれども、そうした例について、やはり自粛期間を見てあげないと自粛要請というのはしにくくなるおそれがあるんじゃないかと思うので、ぜひそこを見ていただけないかと思うんですが、そうした御検討をいただけないでしょうか。

小林政府参考人 鳥インフルエンザについて、家伝法上の補償ということについてのお尋ねでございます。

 今先生から御指摘いただきましたように、今回の鳥インフルエンザ、宮崎の場合も岡山の場合も、農家の方が大変素早い通報をしていただいた。それは、専門の方からも、信じられないぐらい早いタイミングの通報であったというふうなことがあって、大きく広がることなく処理ができたということだろうと思います。そういった意味で、御指摘いただきましたように、早期に通報していただくということが何よりも重要なことであります。

 そのことを前提にして、今お尋ねのまず第一点目の、移動自粛がかかって実際に移動規制が行われた場合、その場合には、移動自粛から規制まで、今お話しのように大体二日間程度ですけれども、この間のロスというのはどうなるのかということでございますが、家伝法の中で、移動規制に起因する損害は補償するということになっておりますので、結果的に、移動規制が終わった段階での損害というのはみんなプールで計算しますので、補償されることになるというふうにお考えいただいていいと思います。

 二つ目の御指摘のところで、では、幸いにも移動自粛のみで終わって確定診断が白であったというふうなことも、理論上はもちろん考えられます。その場合にどうするかということでございますけれども、まず一つは、まだはっきり高病原性でないという段階で果たしてどこまで移動自粛がかけられるのかというふうなことが基本的な問題としてあると思いますけれども、こういったことについて、今の場合でしたら二日程度、実際の経営への影響というのは、必ずしも、それでそのまま解禁されてしまえば大きなものではないというふうには考えておりますけれども、農家の理解と協力も得つつ、そういった期間をできるだけ短くして農家への影響を小さくする、そういった工夫をいろいろと今から考えていかないといけないと考えております。

 以上でございます。

橋本分科員 ありがとうございました。

 第一の問いで、プールされて結局は同じことになるのだという、理屈上、確かにそうだと思いますし、今の御答弁で、多くの農家の方あるいは自治体の方は大分安心していただいたのではないかと思いますが、なお、やはり杞憂で終わったときというのは、例えばその期間倉庫を借りたとか、実際に余りないんだと思いますけれども、発生することというのは考えられますので、ぜひ引き続き御検討をいただければと思います。

 なお、幸いなことに、高梁での移動制限というのは、あした三月一日をもって解除となる見込みであります。岡山も、これは宮崎もですけれども、鶏も卵も大変おいしゅうて、栄養にもよろしゅうございますし、きっと風邪にもいいと思いますので、ぜひ菅大臣にもお召し上がりをいただきたいと思っておりますけれども、大臣、一言いかがですか。

菅国務大臣 私、今、宮崎の知事からちょうだいした鶏をまだ食べてなかったから風邪になったのかなという思いを深めていますけれども、いずれにしろ、私ども、万全を尽くして取り組んでいきますことをお約束します。

橋本分科員 ありがとうございます。

 それでは、次のテーマに参ります。

 次は、小中学校など義務教育施設の耐震改修についてであります。全国的にこれは早急に取り組まなければいけない課題なのだということで、地震特措法あるいは地震財特法、そういった法律で、校舎、体育館の補強というのを国が交付金で二分の一補助するのだということになっています。

 これは全国的にどこでもそうなんですけれども、一方、自治体が二分の一負担をする、当然、起債をするわけですけれども、起債をして、償還分について交付税への算入が認められるところと認められないところがあります。

 これは、もちろん、いろいろな事情があってそうなっているということは承知をしているわけですけれども、一方で、住民の方にとってみると、それは、うちのところもぜひ早くやってよというところは、子供たちの安全、安心というのは関心が高いところですから、あるわけでありまして、自治体としてもそれにこたえていかなければいけないだろうと思うわけでありますし、それを国は当然後押ししていただきたいと思うわけです。

 ということで、今、義務教育施設の耐震改修について、どの地域でも起債したものの元利償還分を交付税への算入対象にするということをぜひ御検討いただきたいと思うんですが、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。

菅国務大臣 既に御承知のとおり、従来から、地震財特法が適用されて、東海地域についてはそのようなことで処理されています。

 そして、十八年度からは、地震特措法の改正に合わせて、別に地域限定の法律が制定をされました、日本海溝・千島海溝、東南海・南海の各ところですね。

 総務省としても、地震というのは、今私挙げさせてもらいましたけれども、それ以外のところでも、はるかに多く実は発生をしますね、新潟とか、例えば秋田沖だとか。そうなっておりますから、いずれにしろ、極めて重要な政策課題である、このことについては私ども認識をいたしております。

 交付税措置を全国に拡充するということでありますけれども、これについては、地震防災に係る法体系だとか、あるいは既に整備をしている地域との均衡などを踏まえるとともに、地方団体、関係団体とさまざまな連携をとりながら前向きにやっていきたい、こう思っています。

橋本分科員 前向きにということで、確かに、既にやったところと比べると後でやった方が得だというのはおかしいという議論もわからなくはないわけであります。ただ、しかしながら、逆に急がなければならないところで、できなかったところはできなかった、事情があってできなかったのでしょうから、さらに、今前向きにというお話があって大変安心をしたわけですけれども、ぜひよろしくお願いをしたい。

 なお、保育園とか幼稚園とか、そういった施設にもぜひと思うんですが、それはまた複雑な問題が絡んでいるようですので、ここで取り上げるのは控えます。またお聞きとどめいただければ幸いでございます。

 それからもう一つ、三つ目のポイントですけれども、繰り上げ償還の措置についてであります。

 今、総務委員会の方で、地方交付税法等の一部を改正する法律案の審議をしているところであります。そこで、自治体の債務について補償金なしで繰り上げ償還をすることができるのだということを定めていただいておりまして、これは、大変、自治体の方々からも、ありがたいということもよく聞きますし、当然ながら、そこで財政的余裕ができれば、住民の方々の福祉サービスに回せるわけで、いいことなんだろうと思いますし、私も総務委員会のメンバーなんで、ぜひ、これは速やかに実現をすべきだ、それにお力添えができればと思っているわけであります。

 けれども、細かく見ると、例えば、行革をするのだ、あるいは経費節減に対する取り組みをちゃんとするのだといった制限がかかっている。あるいは、財政力指数が一以上、不交付団体については対象にしないということになっているわけであります。気持ちはわからなくはないわけですけれども、そうはいっても、現時点で、例えば今税収がよくて不交付団体になりましたといっても、公債費の負担が大きいのだというところには変わりがないわけでありまして、これはどの自治体でも共通の願いなんじゃないかなと思うところであるわけであります。

 そこで、これからできる法律制度に向かって今後のあれをというのもちょっと変なんですが、やはり、条件の緩和ですとか、対象となる団体を拡大するとか、対策を拡充するとか、そういったさらなる拡大の取り組みへのお考えもしくは意欲などについてお聞かせいただけませんでしょうか。

菅国務大臣 今回の繰り上げ償還というのは、今日までも数多くの自治体から強い要望がありました。たしか数年前だったと思いますけれども、七%を超えるものについては償還をした例があります。

 私も地方議員をやっていまして、今どきの金利の中で、八・五%もの、上下水道だとか地下鉄だとか、地方自治体が数多く今そういう意味で負担をいたしておりますので、総務大臣になって、これは全力でやろうと実は思って取り組んでまいりました。結果として、三年間で、五%以上、今十兆円あるんですけれども、五兆円を補償金なしで繰り上げ償還ができる、今こういう形になりました。

 かといって、これも、財政力指数、不交付団体だとか、あるいはやはり行革というのも一つのこれから地方にとって大事なことだと私は思っていますので、不交付団体はだめですよ、そしてまた、行革もやはりきちっと熱意を持ってやっている場所というのは、条件的にある意味ではいたし方がないのかなというふうに実は私は思っております。

 例えば、この繰り上げ償還を行うことによって約八千億円の地方自治体にとっては余裕ができるというふうに思っていますから、ということは、八千億円、どこかでその分がしわ寄せを食っているわけでありまして、例えば、私が所管をしている簡保でも、数千億円、五千億円だったと思いますけれども、本来であれば預金者の方に行くものがそうでないということにもなるわけでありますから、それはやはり一定の縛りというのはなきゃならないのかなと実は私は思っております。

 とはいえ、地方自治体も、高齢化社会、福祉の問題も含めてということで非常に負担が多くなっていることもわかっておりますので、表に出して、これはそうだろうなという、やはりそういう理屈づけというのは必要じゃないかなというふうに思います。

橋本分科員 ありがとうございます。確かに、一定の歯どめというのは要るんだろうということは私もよく理解をするところではありますけれども、その状況などを見ながら、ぜひ、都度、御検討をいただければと思っております。

 さて、四番目のテーマに移ります。道州制と地方分権改革について、最後、お伺いをしたいと思っております。

 安倍内閣になりまして、初めて道州制の担当の大臣が内閣府に置かれた、今渡辺大臣ですけれども、積極的にビジョン懇などを立ち上げて頑張るのだということをしておられて、これはすばらしいことだと思うんです。自民党といたしましても、積極的にこれをバックアップしたいということで、道州制調査会がありますけれども、そこで五つの小委員会をつくりまして、積極的な議論を今行っています。もうみんな、廃藩置県以来の大改革をやるのだぐらいの勢いで、すごい議論をしているわけでありまして、私も、その事務局の一人として、積極的にそれを進めたい、応援をしたいと思っているわけであります。

 ところで、昨年、臨時国会で地方分権改革推進法が成立をしております。たまたま大臣はその担当大臣でもあるわけでありますけれども、それはそれとして、総務大臣としても、「地方分権を一層推進します。」ということを最初のお話の中でもおっしゃっておりました。

 個人的には、道州制というのは、地方分権を進めていくのだ、いった、今市町村合併も進めておられます、そうした基礎自治体の受け皿というものが大変にしっかりしてくるのだ、そこに権限を渡していくのだ。そうしていったときに、初めて都道府県の枠というのが余り意味がないよね、あるいはもっと広域で物を考えないといけない時代ですよね、だから道州制というのが必要なのだということで、つながっているものだと思うんですね。本来であれば、地方分権などを所管している、市町村合併などを所管している総務省が道州制についてもぜひ所管をされるべきだ、これは私が個人的にそう思っているわけであります。

 最近読んだのですけれども、慶応義塾大学の上山信一さんという教授の方がおられまして、上からの道州制の改革の議論というのはちょっとおかしいんだ、本当を言うと、ヨーロッパの国々がまとまってEUというのを自分たちでつくったように、例えば、関西なら関西、中国地方なら中国地方の各県が、自分たちがまとまってこのぐらいの枠組みで考えるんだ、そういう道州をつくるから国は権限をよこせぐらいの勢いで、本当は地方からの議論というのが基礎にないといけない。なのであれば、なおのこと、国がどこが受けるべきかというと、総務省が受けるべきなんだろうと私は思うわけでありますが、現実的には内閣府に道州制担当大臣が置かれている。

 本来は、これは任命権者である安倍総理に伺いたいことではあるんですけれども、総務大臣として、どうしてそこが分かれているのかということをどう考えていらっしゃるか、教えていただけますでしょうか。

菅国務大臣 実は、私は、総理から地方分権改革担当大臣を任命されるについて、こういうことを言われました。総理は、総務大臣の菅だから地方分権担当大臣じゃないよ、地方分権を左右し得る政治家に対してお願いをしたい、任命をする、私は総理からそういう指示を受けて担当大臣を今行っているところであります。

 逆に、もっと言うと、総務大臣の立場で今答弁をしているわけでありますけれども、地方分権というのは、日本の国が少子高齢化、国際化時代の中で安定し発展をしていくために避けて通ることのできないことだと私は思っています。国と地方の役割を明確に分担して、地方に権限とか財源とか税源を移譲させる。そして、ある意味では地域主体の主権というのですか、そうした地方自治体というのが望ましいというふうに私は思っております。

 そういう中で、今、市町村合併も、三千二百から千八百まで進んできています。当然、これから先も市町村合併というのは進んでいくと私は思っています。そこに権限とか財源とか税源が落ちてくると、必然的に県の果たす役割というのが非常に薄くなってくる。そういう中で地方分権を進めることによって、その先に道州制というのがあるのだろうというふうに思っております。

 そして、道州制というのは、言うならば、国民の皆さんも、いまだに、今はまだ道州制のイメージというのは多分統一していませんよね。それぞれ、こんな道州制、こんな道州制というのは持っていると思いますけれども、やはり国民の議論を高めるために道州制担当大臣というのは別にあっていいのかなと逆に私は思っています。

 そうしないと、どっちみち道州制になるんだから、地方分権なんかまだ先でいいじゃないか、こういう議論も当然出てくるわけでありますから、そういう意味では、総務大臣と地方分権担当大臣がいいのかどうか、これは別にしまして、地方分権の担当大臣と道州制の担当大臣は逆に違った方がいいのかなというふうに私は思っております。

 それは、どういう形でこのような形をとったのかわかりませんけれども、少なくとも道州制というのは十年以上先の話と考えて、それまでの間に国民世論を喚起する、そして国民合意を得て、片一方で地方分権が進んでいく、そういう中で道州制というものがあるのかなというふうに思っています。

橋本分科員 今大変力強いお話をいただいたわけでありますけれども、逆に、分かれていることで、例えばそれぞれがそれぞれに責任を押しつけ合うというか、かえって、例えば道州制の議論を待たないといけないから地方分権改革はこのぐらいでいいのだとか、分かれていることの悪いシナリオとしてそういうことがあり得るんじゃないかと思うわけであります。

 地方分権にしても道州制にしても、これは本当に強いさまざまな方面からの抵抗というのを排除していかなければならない、それこそ政治のリーダーシップが問われる重要な課題でありまして、ぜひそんなことのないように、それが二つに分かれているなら分かれているで、相互にそれぞれが力をさらに発揮して強めていけるような形で進めていただきたい。いろいろな抵抗なんぞはどんどん排除していくのだ、どんどん地方分権を進めていくのだ、道州制というのももちろんそこで起こっていくのだということに進めていただきたいと思っておりますので、そうしたことに関する総務大臣としての御決意を最後に一言お願いしたいと思います。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、日本のこれからのあるべき姿というのは、中央集権から地方分権、そして道州制、このことが日本の、まさに安泰し発展をする、その国の形だというふうに思っております。もっと言うならば、安倍内閣というのは美しい国創り内閣、私は、新しい国の形をつくる内閣だ、その一つにこの道州制がある、渡辺大臣と緊密に連携をしながら全力で進めていきたい、こう考えております。

橋本分科員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

三原主査 橋本君の質疑は終了いたしました。

 次に、田島一成君。

田島(一)分科員 民主党の田島一成でございます。

 きょうは、菅大臣、三十分間でございますけれども、よろしくお願いをしたいと思います。

 まず冒頭、実は一昨年のこの第二分科会でも麻生大臣に対してお尋ねをした消防行政のあり方、その中でも、とりわけ消防団が今本当に行き詰まっているんだという状況を大臣と共有をしながら、その問題点の解決につながるような質問をぜひさせていただきたいと思っております。

 消防庁長官にもきょうはお越しをいただいておりますので、適宜御答弁をお願いしたいと思います。

 現在の消防団員の数の推移については、私が申し上げるまでもなく、昭和二十七年の二百万人をトップにして、年々もう減少を続けております。平成元年百万人、これを最後にして、平成十八年の四月一日ではついに九十万人という数字にまで激減をすることとなりました。また、明くる四月一日付で平成十九年の数字が出てくるんだというふうに思いますが、このままでは恐らく九十万人を切るんじゃないかなと想像をするところでありますが、現段階でのこの見込みの数、まずお示しいただきたいと思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘をいただきましたように、消防団員の数というものがずっと減少傾向を示しているところでございます。

 お尋ねは、この四月一日時点の数がどういう見込みになるのかということでございますが、実は、これまでの例でいいましても、この年度末の時期にかなりやめられるというのが一般的でございまして、そういう意味で、今の段階で、こういう数字になるのではないかというような予測はなかなか難しいところがございます。ただ、なかなか楽観を許さない状況ではないのかなというふうに思っておるところでございます。

 そういうこともございまして、私どもといたしましては、この年度末の時期をとらえまして、入団促進キャンペーンというようなものを張らせていただいているところでございます。

 いずれにしても、何とかこの減少傾向に歯どめがかけられないものかということで、最大限の努力をしてまいりたいというのが現在の状況でございます。

田島(一)分科員 今、答弁の中でも、入団促進キャンペーンを実施するということをおっしゃいました。少し調べたところ、去る一月十六日、ニッショーホールで「消防団員 めざせ百万人」というイベントを開催されたというふうに聞いております。

 本当にこういう、全国各地で激減をしている消防団員の数を補っていこう、百万人を目指そうというのに、東京で一カ所、何人お集めになられたか存じ上げませんけれども、予算を投入してイベントをやって、本当にそれで効果があるのかな、私はそんなふうに思えてならないんですけれども。実際、危機的状況にあるという認識の中で、このイベントが功を奏しているのかどうか、そのあたりの御認識をぜひ聞かせてください。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、この種のキャンペーンというのは、いろいろな手段を工夫して効率的なものをやっていく必要があるということではあろうかと思っております。

 この入団促進キャンペーンの中で、キックオフイベントについて御指摘をいただきましたけれども、地道な、地域ごとでのいろいろな活動とともに、やはり全国的な認知度アップというようなことも一方では必要なのではないかというふうな思いをしているところでございます。

 私どものアンケート調査の中で企業等にお尋ねしても、活動をよく知らない、まだ名前を聞いたこともなかったなんというお答えがあることも残念なんですが、これは少ないんですが、活動内容を知らないというような情報もあるものですから、全体として、こういう全国的な催し物の中でマスコミ等にも取り上げてもらう中で、消防団の問題について国民の多くの方々が触れていただくということも意味あることではないかというふうな思いの中でやったわけでございます。

 おかげさまで、いろいろなメディアに取り上げていただいたということでございます。直接的にこういうものがどれだけ、何人の入団に結びつくか、これはなかなか難しいことではございますが、取り上げていただいて、国民の方々がいろいろなこういう消防団の課題について接していただくというのが非常に大事なことなのではないかなというふうに思っております。

 無論、いろいろな活動をやっていかなきゃいけないなというふうには思っているところでございます。

田島(一)分科員 認知度アップということをおっしゃいましたけれども、その認知度の状況というのは、これまで調査か何かされたわけですね。もしそれがあるんでしたら、また後日で結構です、資料をぜひ提供をいただきたい、このことをお願いしておきます。

 私も、実はおととしまで消防団員でございました。ある意味、地域に対して非常に誇りを持って活動をしてきたわけであります。この年末年始は恐らく国会議員の多くの方々も、消防の夜警であるとか出初め式に、大臣はお忙しくて行っていらっしゃるかどうかわかりませんけれども、実際に伺うと、ことしはとりわけ市町村合併に伴う組織再編等があって、随分形態も変化をしてきています。そんな中で、それでも現場で活躍する消防団員の声を聞くと、やはり新しい団員がなかなか集まらない、そんな声を例年変わらず聞かせてもらっております。

 一昨年の質問の中ででも、企業に対しての働きかけというのを随分熱心にやっていくという御答弁もいただきましたし、とりわけ公的団体、自治体であるとか、いわゆる第三セクターなどなど、そういったところの職員に入団をしてもらうような通知をしていくということもやっていらっしゃるという報告も聞いたんですけれども、具体的にそのような取り組みが数として成果に出ていないとするならば、相当これは方向転換なり、またやり方を変えていかないとだめなんじゃないかと思うんですけれども。

 例えば、具体的な企業に対する働きかけも含めて、どのような状況にあるのか、お答えをいただきたいと思います。

高部政府参考人 委員よく御案内だと思いますが、消防団、いろいろな課題がある中で、人数が減ってきているということが一つございますが、もう一つは、やはり社会経済環境の変化の中で、消防団員に占める被用者、サラリーマンのウエートが非常に高まってきているということが一つの課題だろうと思います。消防団の活動というのは、それぞれの地域のことをよく知っておられて、いろいろな職業の方々がいろいろな能力を持ちながら参加するというのが強みだった面もあったわけでございますが、そういう面での形態の変更が出てきているということが一つ課題だと私ども認識しているわけでございます。

 その中で、やはりサラリーマンのウエートが七割ということでございますので、団員数の確保についても、あるいは実際の活動環境を整えていく上でも、企業あるいは事業所の御理解が欠かせないものだというふうな認識を持っているところでございます。

 御指摘ございました、私どもといたしましては、やはりこういう時代でございますので、地方公共団体でありますとか郵政公社でありますとか農協だとか、こういうところで何とか協力していただけないものだろうか、そういう働きかけをしてみたらどうかというようなことがまず一つございました。こういうような面についても、おこたえをさせていただいているところだと思っております。

 数がどうなのかということでございますけれども、今の時点で、顕著にこれだけの数がというようなことは、トレンドもございまして、例えばある時期にちょっとふえたけれどもまた減るとかというようなこともございまして、なかなか申し上げにくいところではありますが、一方で、こういう地道な努力の中で、少しでも減る数が少なくなるようにというような思いもあるところを御理解いただけたらと思うところでございます。

 いずれにいたしましても、事業所との協力関係というのは非常に重要だというふうに思っているところでございますので、そういう方面への働きかけをお願いするとともに、協力事業所の表示マークの制度というようなものをつくらせていただきまして、消防団員を多く抱えていただける、あるいは活動について理解をいただけるという企業について、そういうことをやっていただいているんだというようなことのマークをつくらせていただいて、そういうものを消防の方から交付させていただいて、それを表示するということが、地域の中で企業がそういう活動に理解を示しているということで、御理解をいただく上での少しでも資するものになればというような試みもさせていただいているところでございます。

 今後ともいろいろな努力をさせていただけたらと思っているところでございます。

田島(一)分科員 先ほど、その前に質問をした中でも、イベントで、目指せ百万人という数字が出てきておりました。

 消防の構成比率が、サラリーマンがふえてきたという、率ではふえているんですけれども、その人数自体も実は減っておりますね。当然今の時代背景等からしても、お勤めになられる方々が入っていただかないと消防団は成り立たないという現状に来ていること、これはもう私ももちろん理解も認識もしておりますけれども、全体として本当に必要な人数というのは一体何人なんだろうか。目指せ百万人とおっしゃるけれども、百万人いれば絶対に大丈夫なのかという、数字的な根拠みたいなものが一切ない中で、切りがいい数字だから、百万を切ったという一つのサインに対して、アナウンス効果というんでしょうか、そういったところでその百万という数字が出ているんじゃないかな、そんなふうに思うんです。

 実際に火災件数は年々微減していますが、それでも地域の消防力は、自治体が合併をしようとも消防力自体は衰えさすことはできないんだ、そう考えると、本当に必要な消防団員数は全国で幾らなのかという数字がそこそこ具体的な根拠を持って示されていかないと、なかなか、百万という数字だけが躍っていても、これは認知度をアップするだけにとどまってしまうんじゃないかなというふうに思うんですけれども、具体的にどうお考えですか。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、やはり目指す上でももう少し具体的なものをと御指摘いただく趣旨は十分わかっているところでございます。

 一つには、先生も御指摘いただきましたけれども、かつて二百万を超える数がいたということが一つであります。それから、火災件数が減少傾向の中で、従来型の消火活動への関与という面は随分姿を変えて、一方で常備消防が随分整備されましたから、その姿は変わってきているということではあります。

 やはり現時点でも、従来型の消火という活動の面でも、例えばちょっと郡部へ行きますと、やはりまず駆けつけるのは消防団だというところがいまだにありますし、つい先般、大都市の消防局長からお聞きした話でもありますけれども、合併して市域が広くなった、山間部で大きな火事があったときに火を消しに行ったら、消防水利についてやはり一番よく知っているのは消防団だ、かなりホースを延ばして沢まで行った、それでやっと消防団の人たちの指示で水利を確保したというような話も聞きました。そういう意味で大事だろうと思います。

 もう一方では、やはりこのごろ災害の大規模化というのが懸念されるわけでございます。特に直下の地震なんかがあった場合には。火の手があちこちで上がったということになりますれば、常備消防、十六万弱の人数がいますけれども、これはなかなか対応し切れないという状況があるわけでございます。そういう意味では、私どもとしてみると多々ますます弁ずというような面もないわけではございません。

 現時点でいいますと、各市町村が団員の定数というのを持っておりますが、この数字が九十五万ぐらいの数字がまずあります。実態は、欠員があるものですから、九十万やっと確保できているといったような状況でございます。私どもとしてみると、当面の目標としてみると、そういうものはぜひ確保してきてほしいなというふうに思っているわけでございますが、一方では、全国で取り組むときに、ある程度ふやしていかなきゃいけないんだなというムードを守り立てる上でも、ひとつわかりやすい百万人をみんなで目指そうじゃないかというようなこともあっていいのかなということでキャンペーンをさせていただいている面もあるわけでございまして、御理解いただけたらと思います。

田島(一)分科員 名簿上どんなに数だけがそろっていても、実際地域の消防力としては何の意味も持たない、そのことは恐らく長官も一番御承知だと思います。私も、現場を存じ上げておる一人でございますから、実態と定数状況と実数、このあたりの乖離を少なくともゼロに近づけていくことは言うまでもないことだと思います。どうぞ、数字だけに追われることなく、実際に地域の消防力を維持するために、人数以上に機動力という点で、消防団がどうあるべきかというところから問題の認識とそれから解決策を取り組んでいただきたい、このことを強くお願いしておきたいと思います。

 さて、大臣、この問題について最後、締めくくりの答弁をいただきたいんですけれども、今それぞれの企業に対して、先ほども長官から消防団協力事業所表示制度をスタートさせたというお話もありましたけれども、看板でステッカーだけ企業に張って、それでインセンティブが本当に与えられているのかというと、なかなかそこまでは行っていないかと思います。ある意味では、本当に協力してくださっているところへは表彰制度だとかも行っていただいているんですが、これがなかなか波及していかないという現状を考えると、そこそこ企業に対しての何らかのインセンティブを与えて、消防団改革を断行していかないといけない。そうしないと、人数がもうどんどんどんどん減っていって、理解も得られない、認知度どころではないという状況に来ているんではないかと私は思います。

 そう考えると、団員も正直言ってどんどん高齢化していっています。女子団員はふえているというけれども、一方ではやはり男性の団員が減ってきている。そして、自治体においても、予算のつけ方が随分財政力によって差が出てきていますから、私のところの消防団は新しい作業服を更新したけれども、隣はもう少し待ってくれなんといって言われている、こういう隣の町ですら消防団の処遇が随分違ったりしているということを考えると、国がもう少し、地方分権とはいいながらも、財政的な支援を手厚くすると同時に、もう少しダイナミックな消防団改革に乗り込まないと、私はもう手おくれになってしまうのではないかという危機感を持っているんですが、大臣、いかがか、その方向性も含めてお答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 消防庁長官と田島委員との今のいろいろな議論の中で、委員がみずから消防団に身を置いて頑張っておられた、そしてまた非常に消防団活動に理解がある中での御指摘、私も真摯に受けとめていきたいというふうに思っています。

 私も、地方議員を実は二期八年やりました。それで、昨年の暮れは大臣で公務があって行けなかったんですけれども、毎年暮れに夜警のところを回っています。回ることによって地域の問題だとか皆さんのいろいろなことを聞くわけでありますけれども、やはり消防団が地域の中でまさに防火防災の中核的な役割を果たしている、このことに対しまして私自身も心から敬意を表するところであります。

 残念ながら、そうした人がだんだんと少なくなってきている中で、実態は、これはそれぞれの市町村で行うことでありますけれども、入団、役割等について国もできる限りの支援をしていくというのは、ある意味では当然のことだというふうに考えております。

 具体的には、特定の役割、活動を行う機能別団員だとか機能別分団制度の導入だとか、あるいは今言われました事業所の消防団への支援、協力を顕彰する表彰制、あるいは消防団員入団促進キャンペーンによる全国的な広報、そういうのもこの一環であるかなというふうに思いますし、消防団員確保のアドバイザー派遣体制の構築、あるいは新聞広告、ホームページのバナー広告のあらゆるメディアを活用しての消防団のPR、こうしたものを国も支援していくという、物すごく大事だというふうに思います。

 それと、これは一つの例でありますけれども、私が議員をやっていた横浜市というのは家庭防災員というのを物すごく充実させていました。消防団員というのはなかなかサラリーマンで入ってくれる人はいませんけれども、家庭にいる奥さん方を家庭防災員として委嘱する、こういう制度を実はつくっておりまして、これが防火防災に大変な威力を発揮したわけでありまして、それぞれの都市、都市によって考え方はあろうかと思いますけれども、こういうことも一つの仕組みではないかなというふうに思っております。

 社会情勢というのは消防団員に入っていただく中で非常に厳しい状況でありますけれども、消防団員の皆さんが地域の安心、安全の担い手である、そうした観点から、私どもも市町村に対して消防庁としてしっかりと支援をしていかなきゃならない、そう思って頑張っていきたいと思います。

田島(一)分科員 消防団員と家庭防災員というのは、もともとその機能が全然違うわけですね。

 私も、実は、去年、自分の住んでいる自治会で防災会を立ち上げました。そういった防災会で底辺を広げていくことはもちろん大事なんですけれども、消防団をどうするのか、消防団のかわりはその家庭防災員では補い切れないんだということも認識をすると、消防団に対しての改革というものを真剣にやはり考えていただきたい。どんなに底辺が広がっても消防団員のかわりはできないんだということをぜひ忘れないでいただきたいと思います。

 さて、時間もあと十分少々になりましたので、公務員制度改革の関連法案と評価の試行についてお尋ねをしたいと思います。

 行革推進本部が公務員制度改革関連法案を今国会に提出する、そんな作業を進めているというふうに聞き及んでいるところでありますが、この公務員制度改革については、政府が二〇〇四年の通常国会に能力等級制を中心とした法案を提出しようとしましたけれども、関係者間の調整がつかずに断念をした、そんな経過があることは、私が言うまでもなく、大臣も御承知のことだと思います。

 その点、現在、新たな評価制度というものが試行されているところであります。この第二次試行はことしの一月から六月という予定で入っているわけですけれども、この試行状況について、まず冒頭、お聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 御指摘のとおり、第二次の人事評価の試行でありますけれども、ことしの一月から六月までを評価期間として、本府省の課長級、課長補佐級、係長級、係員級から抽出した約九千人の職員を対象に実施をいたしております。

 内容としては、能力面を見る職務行動評価部分と実績面を見る役割達成度評価部分で構成しておりまして、これに加えて、自己評価、上司との面談、評価内容のフィードバックなどを実施する、このようになっております。

田島(一)分科員 この評価の試行というのは、現在の評価制度を廃止して新たな評価制度の仕組みをつくるということでよろしいですね。そのためには、やはりこの評価というものが公平公正に、そして透明性を確保しながら信頼性を高めていくことというものが必要でもありますし、評価基準と評価結果を開示することが極めて重要だというふうに私は感じております。

 ところが、この試行を所管している総務省は各省に対して開示を求めていただいているというふうに聞いているんですけれども、どうも第二次試行の中で開示をしている省とそうでない省があるやに聞くんですけれども、一体どこが開示をしていないのか、そしてその開示をしない理由というのはどういうふうに聞き及んでいらっしゃるのか、御答弁をいただけますでしょうか。

    〔主査退席、小野寺主査代理着席〕

菅国務大臣 新たな人事評価制度については、評価の透明性、納得性を確保するというのは極めて重要なポイントであるというふうに思っております。評価内容をどのようにフィードバックしていくかが論点の一つであります。

 試行につきましては、フィードバックについて、各府省の状況に応じて適切な態様により実施することとしており、第一次試行では、実施十九機関のうち、部分的なものも含めて、評語の開示を伴う形で行った機関が十です。そして、評語の開示を伴わない形の助言、指導を行った機関が九でありました。

 評語の開示を行わなかった府省からは、その主な理由として、低い評価を受けた職員の士気の低下や評価制度自体への不信を招くのではないかなという懸念が示されております。

 フィードバックが十分機能するためには、関係者の十分な理解が不可欠であって、評価者訓練の実施による評価者のコミュニケーション能力の向上や評価のばらつきを減らすなどの環境整備を進めつつ、評価結果の開示についても論議を進めていく必要があると考えております。(田島(一)分科員「第二次の数字は。今おっしゃったのは一次ですよね」と呼ぶ)出てくるのは、これからです。

田島(一)分科員 十九分の九ある、一次の開示しない理由というのも、それが活用の方法がはっきりしていないからだということを聞いていらっしゃるというふうに御答弁いただいたんですけれども、任用や給与に活用するということが具現化していくと、やはり評価結果を開示しないということはあり得ないんだと私は感じます。やはり本格実施の段階で混乱しないように準備するように、ぜひ徹底した理解と認識を深めてもらうように、主務官庁である総務大臣からしっかりとした方向づけをしていただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。

 公平公正にこの評価が行われるかどうかというポイントは、苦情処理のシステムをつくるかどうかということではないかと私は一方で思っております。今まで苦情相談というのは、一定、あるかもしれませんけれども、それとは全く別の形で、上がってきた苦情に対して各府や省そして職場の段階で処理する仕組みをつくるかどうか、このあたりが私は今回のこの試行で大きなかぎを握るんじゃないかというふうに思っているんですけれども、苦情に対する処理委員会を例えばつくるとか、当局サイドだけで解決をしよう、ひた隠しにしてやろうというのではなく、できる限りオープンにして、第三者を入れるであるとか、また職場の代表を参画させるといった、いわゆる極めてガラス張りの処理の方法をやはり検討するべきだというふうに考えるんですが、この検討状況について御報告をいただけますか。

菅国務大臣 人事評価に対して、不満だとか不服だとか疑問だとか、苦情に適切にこたえるというのは極めて大事だというふうに思っています。評価に対する納得性を高める意味で、今言ったことというのは必要だと思います。

 しかしながら、具体的な苦情処理システムをどうするのかということでありますけれども、どのような機能を持たせ、あるいは職員団体や第三者の関与をどのようにすべきか、こうしたことを職員団体とも今、意見交換を行っているところであります。

 そして、こうした試行を通じ申し出のあった苦情等の情報を丁寧に把握するとともに、引き続き職員団体とも意見交換をしながら、苦情処理の仕組みについて具体的な検討策を立ち上げていきたいと思います。

田島(一)分科員 ぜひ、そういった第三者なり労働団体等々との協議を進めていただく中で、合議の中で進めていただくことを強く要望しておきたいというふうに思います。

 さて、最後ですけれども、行革本部が今国会で任用、給与、分限等に活用するということを明記した法改正を行うというふうに言ってきております。私、どう考えてもこれは矛盾しているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、大臣、組織が違う中でどうお考えか、試行をやっているだけだというふうに切り捨てるような状況には今ないというふうに思うんですけれども、この矛盾点についてどのようにお考えか、お答えください。

菅国務大臣 行革本部において試行の結果等の情報提供を行っている。今後も、私どもとすれば、連携をとりながら制度設計に向けて行っていきたいと思います。

田島(一)分科員 試行において評価結果を開示する、これを拒否したり、それからまたいろいろな団体との話し合いを避けている、そんな府省当局がやはりある。このことは総務省としても試行をやっていらっしゃる段階で非常に残念なことだというふうに私も思います。

 こういった状況で、これから先の新たな評価制度をつくっていく、それに抵抗しているというような中では、本当に任用であるとか給与に使えるような評価制度がつくれるのかどうか、非常に不安もあろうかというふうに思います。どうか、行革推進本部に対してこの試行をゆだねられている総務省という立場から、その状況であるとか、また意見がそろっていないという状況の問題点等をきちっとお伝えしていただきたいというふうに思うんですけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

菅国務大臣 そのようにさせていただきます。

田島(一)分科員 はい、ありがとうございます。

 まだまだありましたけれども、また次回、機会を見てお尋ねしたいと思いますので、これで終わります。ありがとうございました。

小野寺主査代理 これにて田島一成君の質疑は終了いたしました。

 次に、石関貴史君。

石関分科員 民主党の石関貴史です。順次御質問をさせていただきます。

 まず、合併特例債というものがありますが、この制度の概要をちょっと詳しくお聞かせをいただけますでしょうか。

藤井政府参考人 合併特例債についてのお尋ねでございます。

 合併特例債というのは、合併に伴って必要な事業に充当するために特例的に地方債が認められているというものでございますが、一番重要なのは充当率ということでしょうが、充当率は九五%、それから交付税算入率は七〇%ということになっております。

 それで、合併を図るために必要な事業というものにはどういうものがあるかというようなことでございますが、合併後の市町村の一体性の速やかな確立を図るための公共的施設ということで、例えば旧市町村の交流や連携が円滑に進むような施設の整備とか、あるいは、合併後の市町村の住民相互が一体感を持つために行われる施設の整備、例えば住民が集う運動公園といったようなものもあると思います。

 それから、合併後の市町村の均衡ある発展に資するための公共的施設というので、例えば合併の市町村内の行政サービスの水準の均衡を図るための施設の整備ということで、例えば福祉施設が整備されていない地区、そういったものの施設の整備なんかが挙げられると思います。

 また、同一内容の施設の重複を避けて行う施設の整備ということでは、例えば合併後の市町村全体としてのバランスのとれた発展を図るための公共的施設の整備というものが挙げられると思います。

 また、合併後の市町村の公共施設で統合整備するということもあるわけですが、むしろ類似の目的を有する公共的施設を効率的、効果的に統合して整備しようという場合でございますが、例えば新市の処理能力に応じたごみ処理施設の整備が挙げられるかと思います。

 また、ちょっと長くなって恐縮でございますが、合併後の市町村の振興のための基金造成というようなことも認められておりまして、新市町村の一体感の醸成に資するものということで、例えば、イベント開催とか新市町村のCI、それから、新しい文化の創造に関する事業の実施、民間団体への助成等。それから、旧市町村単位の地域の振興ということで、例えば、地域行事の実施、あるいは伝統文化の伝承等に関する保存事業の実施、それから民間団体への助成、コミュニティー活動への助成等。

 このように多様な事業で、合併のために必要な事業に充当するということになっているところでございます。

石関分科員 済みません、ちょっと一部よく聞き取れないところがあったので、私が承知していなかったら申しわけないのですが、これは公園とかそういったものには使えるという御答弁だったと思います。そうすると、合併したところで交通のぐあいが悪いから道をつくろうとか、こういったものに使ってもいいということでしょうか。それから、例えば、A市というのができて、一体性を高めるためにA市立の何とか学校をつくる、こういったものにも使えるのですか。

藤井政府参考人 事業内容については、今ほど申し上げましたように非常に多様なものがあるわけでございますが、ただ、法律上の要件といたしましては、「合併市町村の一体性の速やかな確立を図るため」、こういう法律上の要件がございます。ですから、むしろこちらの要件に該当するかどうかというのが私どもとしては一番重視してチェックしているところでございます。

石関分科員 今申し上げたのは、具体的に、例えば学校をつくりますよ、三つの町村が合併をしてAという市ができました、これが一体性を高めるためにAという名前を冠した市立の中学校なり市立の高校をつくる、こういった申請が上がってきた場合に、これに許認可、この場合は同意というんですか、されるべきなのかどうかというのは、御判断される立場だと思うんですが、いかがですか。

藤井政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、一つは、施設だけで見るわけじゃない。施設は学校とか公園とかいろいろなものがあり得るわけですが、そういう施設があればすぐ特例債の対象になるかというと、そうではなくて、むしろ、学校なら、統合した結果どうしても一つの大きな校舎が要る、それはなぜかというと、まさに合併市町村としての一体性を確保する、そういうために必要だということで、そこは法律の定めている要件でございますので、私どもは、そういうような理由、まさにこの法律に沿うような目的があると言えるかどうか、そういったところを中心に見ているということでございます。

石関分科員 そうすると、その使途について、ぎりぎりした基準というか、こういうもの、こういうもの、こういうものには使えるけれども、これはだめ、だめ、だめ、こういった基準なり例示というのはしていない、その都度個別に判断をする、その趣旨に合った一体性を高めるものであるかどうか、こういったことでよろしいですか。

藤井政府参考人 具体的な基準というものが、例えば政令とか省令で定められているかというと、そういうものではございません。施設の名前も、限定的に列挙しているとか、そういうことはしてございません。やはり、案件ごとに個別にケース・バイ・ケースで状況なり背景、理由をいろいろお聞きして、そこで判断する、まさにこの法律の要件に合致しているかどうかということを判断するというようなことになります。

石関分科員 例えば、新しく合併をした市町村の交通の循環をよくしようということで巡回バスをつくりました。巡回バスというのは、通常、私が知っている限りではかなり安くやるのですけれども、便利なものだということで大変利用者も多くて、これを回したら大変な収益が上がった。これは新市も潤うし、そして一体性も高まるし、結構なことではないかと。どんどんこのバスを回すことによって大変もうかる、一体性も高まる、結構なことではないかと。こういうような計画をつくって実施をしたい、合併特例債を充当したい、こういうのは可能ですかね。

藤井政府参考人 御指摘のようなケースも、結局個別具体的なケース・バイ・ケースの判断ということになります。ただ、御参考までに申し上げますと、例えば、いろいろ山奥の集落なんかも含めて大きな市町村が合併した、それで、従来は診療所が近くにあったんだけれども病院がちょっと離れたところになったとか、あるいは学校も統合したとか、あるいは集会施設なんかも統合したという場合、そういう各集落のお年寄りの方もいらっしゃるわけですが、そういった方の足を補てんするという意味で、いわゆるコミュニティーバスとかいうようなもの、これを村あたりが経営して、どうしてもやはり住民の方々のコミュニケートとかあるいは市としての一体性確保に必要だという場合は、コミュニティーバスのようなものを認めるということはあり得るということでございます。

石関分科員 御質問申し上げた後段の部分ですけれども、先ほどのをちょっと変えます。

 計画の中ではコミュニティーバスを回して利便性を高める、これは達成ができた、しかし、予想以上に利用者が多くて、これは大変もうかりましたということになって、既存の民間のバス事業者と競合するようになったりして、ルートが若干違うと思っていたら、こっちの方が安いからこっちの方を使うと、民間の方が廃れて合併特例債を使った事業の方が大変もうかったということになって、住民の間からいろいろな批判が出てきました、こういう場合はどのようにとらえますか。

藤井政府参考人 私ども、この合併特例債というのは、あくまで合併を進める際あるいは合併直後に地方公共団体としての一体性を確保するために必要な事業ということでチェックした上で、必要なものは特例債で御支援申し上げるということになるのですが、今委員のおっしゃったのは、その後ですね。その後、実は発車してみたら結構乗客が多くて利益が出る、どうするかというような場合、これはまた別の問題になろうかと思うんです。一つは、私ども、別途地方行革というのを進めておりますけれども、できるだけ民でできることは民で、それから、官でできることでも合理的、効率的な方法でやるというようなことになって、そういう観点からの改善、改革が行われていくべきだろうと思っております。

 ただ、収益が上がるかどうかということ自体、これは合併特例債を検討する際に、既に民間でもそういうバス事業なんかをやれるところが十分あるじゃないかというような事情があればそれはまた考慮の対象になりますが、そういうものもないという場合は、コミュニティーバスの収益というのは結果の話のようなことになろうかと思いますので、直接にはチェック対象とする必要がない場合の方が多いんではないかと思います。

石関分科員 省として事前に判断をするのはそういう判断をされると思いますけれども、現実にやってしまったら起こり得るということも、想定外のことも十分あり得ることで、今申し上げた例で、大変もうかってしまって、それで民間から、これは民業圧迫じゃないか、何だ、合併して特例債や何かを使ってこういうことをしてしまうのかと大変な批判があり、それがまた住民的にも盛り上がってきた。総務大臣に対して、合併特例債の趣旨に合っているのかどうかと。

 事後的にこういうことが起こってしまったというのを仮定した場合、この段階で総務大臣なり総務省から、好ましくないですよ、こういった指導をすることというのはあり得るんですか。それとも、使ってしまったものですから後は自治体の中で判断してください、我々は制度をつくって同意をするところまでが我々の仕事であって、後は知らぬ、こういうことなのか。いずれでしょうか。

藤井政府参考人 今御指摘の事例というのは、その場その場で実際どういう状況であったのか、よくお話を聞かなければわからない場合が多いと思います。ただ、一般論として申し上げれば、合併特例債の助成の法律の趣旨を逸脱しているというような場合は、それは我々としても看過できないということになって、しかるべく処理をお願いするということはあり得るかと思いますが、一般的には、事業がむしろ成功してよくなっているということであれば、それはそんなに問題があることではない。

 ただ、場所によっては、先ほど先生が御指摘のとおりでして、民間でも十分代替できるような企業がある、何も行政機関みずからがやる必要がないというような場合があると思うんですが、それはむしろ、先ほど言いましたように、地方行革というかそういう観点からできるだけ民でやっていただくよう、あくまでもそれは自主的な御判断ということを介在としてではありますが、国としてもやはりそういう方向での要請をするということになるんじゃないかと思います。

石関分科員 先ほどの御答弁だとかなり広範にいろいろな事業に使えるということで、何か物をつくるだけじゃなくて、広報にも使える、いわゆるイベントにも使えるということでよろしいですね。

 では、こういう事業をやろう、こういうものをつくろう、そうなったときに、自治体でそれをやろうと決めて、それから許認可、同意ですか、ここに至るまでの一連の手続の流れというのはどうなっているんでしょうか。

藤井政府参考人 合併特例債発行に際しての手続についてのお尋ねでございますが、非常に大ざっぱな言い方になりますが、各合併市町村がそういう合併特例債を発行しようとする場合、法律上は、県と総務省の同意が必要という要件がかかっているわけでございます。

 したがいまして、まず、市町村でそういう事業を実施するということの判断をされた後、県それから総務省に、こういうことに特例債を使いたいんだけれどもというような内容の申請が行われて、私どもはその同意をするに際して審査する、同意の意思表示をした上で合併市町村の方で事業を進められる、そういう手続になるということでございます。

石関分科員 これは、市町村がこれをやろうということを議決して、議会で決まりました、やろうということになったら、都道府県に申請をしそこでまず同意を得て、それから国に申請をしそこでまた同意を得るということなのか。同意の順番というか順位というのはあるんですか。それとも、それぞれが同時期に同意をする、決定をするというようなことになっているのか。県がクリアできなければ国に上がらないということなのか。そこを明らかに教えてください。

藤井政府参考人 運用上の問題と形式上の問題があると思いますが、運用上は、実際は、手続が始まる前から非常に意思疎通をしながら、県と国の考え方が反するということは余り想定されないとは思うんですが、ただ、一つの手続的な順番ということであれば、ちょっと細かい手続になりまして恐縮ですが、最初は、市町村から起債計画書というものを都道府県に提出します。その起債計画書を都道府県知事が受けた場合、さらにそれを総務大臣に提出します。そして、総務大臣から各市町村の属する都道府県ごとに同意予定額を通知するということでございます。

 それに対して、通知された範囲内で都道府県知事は総務大臣に協議するということになるわけでございますが、その協議をした結果、総務大臣が都道府県知事に対して同意を示すということになります。

 それから、それを受けて、都道府県知事は総務大臣から通知された同意予定額の範囲内で市町村ごとに同意予定額を通知し、市町村は通知された同意予定額の範囲内で都道府県知事に協議します。都道府県知事は、限度額及び資金についてあらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得た上で市町村に対して同意するということになります。

 ちょっとぐずぐず言いましたが、要は、まず総務大臣の同意があって、その同意の範囲内で知事が同意をする、そういう形になるということです。

石関分科員 詳細な御説明、ありがとうございました。

 この特例債について、私の地元であります群馬県伊勢崎市で、合併記念交流施設整備事業と称して、具体的には大きな観覧車をつくろうという計画がありました。この経緯について、把握をされていると思いますが、簡単に、把握をしている範囲で御説明をお願いします。

藤井政府参考人 伊勢崎市を含めた近隣の四市町村が、平成十七年一月に新設という形で合併をなされているわけでございます。

 合併されたということで、よりその合併を効果あらしめようという目的だったんだろうと思うんですが、市長さんが、観覧車、これは何か既に古いのがあるようですが、新たな観覧車というものを今度新たにできる高速道路のインター付近、そこに整備しようというようなことで、合併特例債を発行することでその事業をしようということを平成十八年六月に市長さんが表明されております。

 ところが、十一月には、住民の方々が観覧車建設反対署名というものを市に提出されて、実は当省にも、ことしの一月ですか、反対署名が提出されているところでございます。それで、一月二十六日に、伊勢崎市から、市民の合意を得るために当面の間観覧車建設計画を延期するという旨の発表があって、私どももそういうような連絡を受けているところでございます。

 その間、合併特例債の発行について、群馬県、総務省は、同意が必要なものですから、いろいろ御相談を受けていたところでございます。

 繰り返しになりますが、合併特例債については、法律上、合併市町村の一体性の速やかな確立を図るために行う公共的施設の整備事業、こういう要件に係るかどうかということで、地元の事前の相談に対していろいろお聞きしていたところですが、私どもとしては、現段階でなかなか一体性の速やかな確立に資する事業ということに合致するというまでの判断に至っていなかったということでございます。

 具体的には、観覧車というのが、公園施設と言えばそれまでですが、レジャーランドなんかで見られる典型的な遊戯施設でもあるものですから、しかも、規模が十億円規模と極めて巨額で、特異な例でございまして、今までこういう例はございません。そういうこともあって慎重に御相談に応じていたわけでございますが、いずれにしましても、やはり合併市町村の一体性を保つための事業ということであれば、市民のコンセンサスなり支持、そういったものは非常に重要な要素かとは思っております。

 そこで、市においても慎重に検討されて、また十分な住民への説明、理解も必要というようなことで、私どももそういうような考え方をお伝えしていたところでございますが、むしろ市の側で中止を判断されたというふうに承知しておりますが、市の方で今申し上げたような諸般の事情をいろいろ勘案されてこういうような判断をされたというふうに理解しているところでございます。

石関分科員 今、経緯について、承知されている部分の御説明をいただきました。

 伊勢崎市議会、私も一期四年間ここで仕事をさせてもらいました。議会の人たち、ここに出ている議員も大体どういう人かよく知っている。地方ですから、議会運営委員会の会議録をとりました。市長さんが延期ということを表明して、即この会議を開いたんですね。ここの議事録です。

 この議事録を読みますと、これは市長の発言です。「昨日、午前十時に総務省に行ってきましたので、その総務省の見解を申し上げたい」「出席していただいたのは、」総務省側、「丸山合併推進課長、瀬脇課長補佐、それから前山市町村課係長の三名」。結論的に申し上げますと、一万人を超える反対署名の陳情があったので合併特例債を認めるわけにはいかないという見解だったと。

 それから市長が、「いろいろなやりとりがあったのですが、私が一人だといろいろなことがあるので、財政部長、企画部長、地域振興課長、市の職員はこの三人を同席させました」ということを言っていますので、発言に間違いはないということでこの市長は発言をされているということであります。

 その後もいろいろ市議の皆さんとのやりとりがあるんですが、また矢内市長は、「議会で説明したときに」、これは以前ですね。それまでに、たしか六月の議会にかかり、九月の議会にかかり、十二月の議会にかかっているという案件であると思います。「観覧車は合併特例債が使えるということで私は答弁しております。」市長はこのように答弁をしている。「それが今度は認められなくなったよというのは、どこでどう変化したのか、市長がうそを言ったのかということになるんだろうと思います。」と。これは、総務省に御相談に行ったけれども、最初はいいという返事だったので始めてみたけれども途中で態度が変わったということで、私がうそつきというふうに思われてしまうじゃないかという趣旨の発言です。「先ほど、総務省の三人の名前を申し上げたのは、その中の瀬脇課長補佐というのが五月十日のときに総務省で認めるよ、観覧車は合併特例債でいいよとそういった経緯がございます。」と。まず、これがあるのかないのか、一点、御答弁をいただきたい。

 続けます、時間がなくなってきましたので。

 それから、細かいことは担当に話させますということで、市の企画部長が次に発言をしている。この件で合併特例債が活用できるのか五月十日に総務省を訪ねたということで、「基本的に適用可能であると思われますと、こういう御回答をいただいてきた」というふうに発言をしていますが、これは事実でしょうか。

藤井政府参考人 根本的に、伊勢崎市さん側がどういうふうに総務省の職員の発言を受けとめられたかということについて、ストレートに私ども物を申し上げるということは困難であるし、適当でもないと思います。

 ただ、私ども、先ほど来申し上げておりますように、この問題については、基本的に、法律の定める要件、合併を進めるため、合併の一体性を確保するために本当に必要な事業なのかどうか、それに特に必要な事業であるということが法律の要件になっているわけですが、そういう観点からいろいろ協議に来られた方に対して物を申し上げていたということは言えると思います。

 ただ、これも冒頭の方で御説明したとおりなんですが――よろしいですか。

石関分科員 では、今ここで、市長と同行した市の職員が、議会運営委員会で、伊勢崎市議会で言っていることは事実でないということでよろしいんですね。一点ちょっと確認をして、後でまとめて答弁してください。

 続けて市長は、こういった経緯だ、やれると思ったんだけれども途中で総務省の見解が変わったのでできなくなったと、このことを説明しているんですね。その後での発言でこういう発言をしています。「全く、私が総務省で一番憤慨したのと同じことです。」と。意見を変えられてしまったので憤慨しているんだ、こういうことを言っていますね。時期の問題ではない、「三月に行っても、何月に行っても、例えばそういうものが」これは住民の反対運動ですね、「出てきたら、総務省は認めませんということなんですね。」と。ちょっとはしょりますが、その後、市の考えていることが間違えているとは思っていない、「伊勢崎市の間違いだと、一度も指摘されたことはないし、ただ、こういうものが」反対運動が「出てきたから認められないのですよと、説明で、それ以外の説明はなく。」だから説明をしたということですね。「もう少し早くしたらどうですかとか、」何とか何とかというそういう指導はなかったと。ただ、「伊勢崎市は今やってはいけませんとか、こういうことは一度も言われたことはなかったです。」と。

 先ほどの確認をして御答弁いただきたいんですが、総務省の方でこれは認められませんよという趣旨の発言をしたのかどうかということをもう一回。今私が読み上げた部分です。この発言が正しいものかどうか、総務省の認識と合致しているかどうか。総務省側の出席者は今挙げましたから、恐らくそれからヒアリングもしていると思います。この発言が、その職員の発言とヒアリングの結果と合っているかどうかを教えてください。

藤井政府参考人 まず、事実かどうかということについては、申しわけないんですけれども、そういうことを言う立場でもありませんし、裁判だったら何か証拠とかそういう話になるんでしょうが、そういうものも持ち合わせていませんので、御容赦いただきたいと思います。

 認識と合致しているかどうかということについては、合致していないと。私どもは、従来から、合併特例債というのは合併の一体性確保のために必要な事業で特に認められているものだということで申し上げてきたことは一貫しております。

 それを確認したということと、もしよろしければ一言つけ加えさせていただきたいんですが、ただ、合併特例債の事業内容は非常に広範であるということと、なかなか施設ごとに、形式的にいいかどうかということは割り切れない、やはり総合判断ということなので、そのやりとりの間でいろいろな誤解なり行き違いが起きたということはあり得ることかなと、これは想像でございますが、想像はします。

石関分科員 私は、総務省になってからは勤めておりませんけれども、旧郵政省にいましたので、大体中央官庁というのは、地方とこういうやりとりをすると、やりとりメモをつくりますよね。

 ですから、もう一回確認しますが、ある意味これは、市側のメモをもとにして市長や職員が発言をしたということが事実かどうかということは、それはわかりません。ただ、総務省が把握をしているやりとりメモの内容と合致しているものかどうかというのをもう一回御答弁いただきたい。イエスかノーだけで結構です。

藤井政府参考人 やりとりメモというのは、ちょっと恐縮ですが私は見ておりませんし、いずれにしても、認識は異なります、その認識は私ども一貫していると思っております。

石関分科員 それでは、この会議録の内容と認識は違うということでよろしいんですね。

藤井政府参考人 御指摘のとおりです。

石関分科員 大臣も地方政治の経験がありますから、今、地方分権を進める中で、なかなか地方の実態と、それから、この議事録の中にも出てきますけれども、我々が一生懸命やってきたことを、上がだめと言ったら、お上がだめと言ったら一発でだめになってしまうのか、議会制民主主義は何なんだ、こういう発言もいっぱいここで出てきます。地方分権を進める中で、この観覧車がいいか悪いかということは別にして、住民の代表である議会が議決をしたものがこういう趣旨に合わないと、今後もいろいろな部分が出てくると思うんです。住民自治あるいは民意ということと議会制民主主義のあり方、大変難しい問題であると思うんですが、最後に、大臣の、地方分権を進める立場からのこの問題についての見識を披露していただければと思います。

菅国務大臣 私も、地方議員時代に同じようなことがあったことも事実であります。多分、今、市役所の方がそういう形で書かれたこと、それに例えば国会議員が同席していて、違うじゃないかと言えば変わらなかったのかなとも逆に私は思います。

 いずれにしろ、私ども内部の問題でありますから、それは精査して措置をしたいというふうに思いますし、やはり地方分権、まさに地方にできることは地方に、そのかわり責任も持ってもらう、そういう中で地方分権ができるように全力で取り組んでいきたい、こう思います。

石関分科員 ありがとうございました。

 よく御承知のとおり、地方分権もまだ過渡期でありまして、まだまだ大変ないろいろな問題を抱えている。大臣も御苦労されていると思いますが、長年日本でやってきた、最終的にお代官様何とかしてくれという部分もまだあるのかもしれませんし、なかなかその住民自治の部分も難しい部分があるということですので、勝手に地方の側が国の意思なりをそんたくして間違うことがないように、場面によっては、明確に、明快に指導するなり、いろいろな意思表示をして、間違いのない形で地方も国も進んでいけるようにさらに御努力をされることを期待して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

小野寺主査代理 これにて石関貴史君の質疑は終了しました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、プール事故の問題についてお尋ねしたいと思っております。

 これは、昨年二〇〇六年の七月三十一日に、埼玉県ふじみ野市の大井プールにおきまして、小学生の女の子が流水プールの吸水口に吸い込まれて死亡するという痛ましい事故がありました。これは私、隣の市の所沢市の住まいで、このプールにも毎年子供を連れて行っているものですから、本当に当事者のような思いでこの事故を受けとめたわけであります。梅雨明けが遅い時期でしたから、夏休みに入って最初のいい天気の中でのプールでのこういう事故だったものですから、大変衝撃もありましたし、同時に、その後の調査の中でいろいろ問題点が浮き彫りとなった。

 この吸排水口について、ステンレス製の格子状のふたが外れ、これをボルトで固定するのが針金でくくられていた、それもとれていたという問題ですとか、管理業務を民間の業者に委託していたわけですけれども、その委託を受けた業者がさらに別な業者に丸投げをしていた、こういうことも明らかになって、業者の責任と同時に、自治体としての管理運営の責任というのが大きく問われる問題となりました。

 当然ですが、地方自治体として、当該市のふじみ野市として独自の安全対策を具体化することが必要であります。あわせて、政府としての取り組みの強化が求められていると思います。政府は、このプール事故の問題につき、内閣官房のもとに関係省庁の連絡会議を置いているそうであります。そのメンバーとして総務省も参加をしております。

 最初に大臣にお伺いしたいんですが、こういう大井プールの管理を民間に委託する、さらにその業者が別業者に丸投げをする。地方行革という中で、コスト最優先になって安全が軽視される、こういう事態がまかり通るようになってはならないと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思っております。

菅国務大臣 私もまだ記憶に新しいわけでありますけれども、大変痛ましい事故であって、もう二度と再びそうした事故が起こらないように私ども最善の配慮をしなきゃならないということを、今、肝に銘じているところであります。

 地方公共団体の施設の管理業務の委託でありますけれども、これについては、コスト削減という観点だけでなくて、やはり安全、安心、そうしたサービスの質の向上、そうしたものにも当然考慮すべきであるというふうに思います。

 また、民間に委託した公共サービスについて、最終的に責任を負うのは委託を行った地方公共団体でありますので、このことを十分にやはり認識し、委託業者が公共サービスを適正かつ確実に行えることができるような契約等に基づき、監督等の措置を講ずる、このことも必要なことであるというふうに思います。

 各地方公共団体においては、引き続き、指定管理者による施設管理や民間委託した事務事業についてもしっかりとモニタリングを行って、委託先業務に対し適切な評価、管理を行うことができるように措置をしていく、このことに努めるように私どもからも指導していきたい、こう考えます。

塩川分科員 最終的に責任を負うのは自治体だ。当然、契約に基づいたふさわしい監督を求めていくということは基本とした上で、同時に、やはり全国に同じようなプールがある中で、そういうプール事故もなくなっていないわけですね。そういう意味でも、こういったプールの施設をつくる上で、あるいは管理運営をする上でふさわしい基準というのが求められているんじゃないか。

 そういう中で、議論としても、当時事故で明らかになったように、厚生労働省と文部科学省と国土交通省の通達の内容が食い違っている、こういうことなんかも出ていたわけですから、そういうのを踏まえて、文部科学省と国土交通省の方でプールの安全標準指針の案が昨年の末に出されて、パブリックコメントにかけられて、今取りまとめの作業を行っていると聞いております。

 そこで、国土交通省に伺いますけれども、指針案そのものは、これまで言われていましたように、各省ばらばらだったものを統一するという点ではいわば当然の措置であるわけですけれども、私も、昨年質問主意書も出しまして、この点、何点かただしましたけれども、そことの関係で幾つかお聞きしたいんですが、一つは排水口の安全防護さくですね。これは、二重構造にするということについてはどういう対応を行おうとしているのかというのが一点。二点目に、緊急停止ボタンが必要なんじゃないのか。これについて、どういうふうに指針案では示しているのか。三点目に、プールの監視員の資格要件ですね。これについて、指針案ではどういうふうに示しているのか、お答えください。

小山政府参考人 お答えしたいと思います。

 まず、一点目の排水口の安全防護さくにつきましてでございますけれども、まず、今回取りまとめておりますプールの安全標準指針は、プールの設置管理者に対する国の技術的助言ということで、プールの施設面、管理運営面で配慮すべき事項につきまして遵守を要請するものということで作成を行っております。プールの排環水口における安全対策につきましては、吸い込み事故を未然に防止するために、排環水口のふた等を、ねじ、ボルト等で固定させるとともに、配管の取りつけ口には吸い込み防止金具等を設置する等、二重構造の安全対策を施す必要があるというふうに考えておりまして、その旨を安全標準指針案において記述しておるところでございます。

 それから、二点目のポンプの緊急停止ボタンの設置につきましてでございますが、異常発生時にポンプを緊急停止させるための停止ボタンにつきましては、プールサイドや監視室等に設置することが望ましいというふうに考えておりまして、その旨を安全標準指針案におきましても記述しているところでございます。

 それから、三点目のプール監視員の資格要件でございますが、プールの監視員は、プール利用者が安全にプールを利用できるよう、利用者の監視及び指導等を行うとともに、事故等の発生時における救助活動を行う者ということでございます。その選任に当たりましては、一定の泳力を有する等、監視員としての業務を遂行できる者とし、また、公的な機関や公益法人等の実施する講習会等を受講した者とすることが望ましいと考えておりまして、その旨を指針案において記述しているところでございます。

塩川分科員 大井のプールの場合については、吸排水口のところに吸い込み防止金具が設置をされていなかった。本来、金具として外れた場合でも、防止金具があれば、そこでとまって中まで吸い込まれることはなかったという点でも、文部科学省と厚生労働省の通達には二重構造にすることがありながら、国土交通省の方にはない。実際、そういう通達文書が現場まで届いていなかったという点が自治体としての問題としてもあるわけですけれども、こういうばらばらであってはいけない、安全の方に基準をきちっと設定するということが求められていると思います。

 それと、緊急停止ボタンにつきましても、やはり動いているわけですから、動いているものについて、事故に対応してすぐとめられるような対応措置というのを求められている。そういう点でも今回挙げられているわけです。

 いずれの場合につきましても、お話にありましたように、あくまでもその管理責任者に対して国が技術的にアドバイスをするという趣旨ですから、要請、望ましいという言い方、必要という言い方にしてみても、そういう意味では、まあお願いベースというのはあれですけれども、自治体としての責務は、それは第一義として当然ですけれども、私、これにとどまらないんじゃないかと率直に思うんです。本来であれば、プールというものはこういう基準でつくるべきなんだ、こういうことをしっかりと定める必要があるんじゃないかということなんですよ。

 これまでプール事故というのはどのぐらい起こっているか、把握はされておられますか。

小山政府参考人 国土交通省の所管の公園施設のプールにおきまして何件事故が起こったかということについて、御答弁をまず申し上げたいというふうに考えております。

 平成八年以降、国土交通省に報告のあったものでございまして、これは公園のプール施設におきまして、三十日以上の治療を要する重傷者あるいは死者でございますけれども、平成八年以降で事故が二十件、そのうち死亡事故が十八件という数字でございます。

塩川分科員 全体、学校現場なんかを含めてというのは、国土交通省の方ではあわせて把握されておりませんか。

小山政府参考人 学校の事故につきましては、こちらは文部科学省の方で把握をされているというふうに思います。

塩川分科員 五十数名に上るような死亡事故が起こっているというように、専門家の調べで私は承知をしております。そういう点では、事故はなくなっていない。これは、もう何年も前から指摘をされているわけですね。吸排水口のところに足を吸い込まれて溺死をされるような、そういうことも含めて続いているわけですから、これはやはりきちっと構造上の基準で定める必要があるんじゃないのか。

 つまり、拘束力のある建設上の構造基準、あるいはこれを運営する上での管理運営の基準というのをしっかりと定めていく、こういうことが事故を防ぐ一番の基本だと思いますけれども、そういう方向での対応をされるお考えはありませんか。

小山政府参考人 この安全の確保につきましては、本来、設置管理者の責任で行われるべきものというふうに考えておりまして、今回の指針につきましても、設置管理者に対する国の技術的助言という位置づけでございます。

 今後のその履行の確保という点につきましては、この指針を各省におきましてプールの設置管理者に対して周知徹底して、設置管理者において適切な管理運営がなされるように努めていきたいというふうに考えております。

塩川分科員 プール事故が全国で続いているわけですし、今回、関係省庁連絡会議で各省通じてプール全体を把握した中で、やはり不備のあるプールが全体の一割に上っていた、こういうことも明らかとなりました。私は、その点でも、国としての統一的な法制度上の基準が必要だと考えています。

 ですから、その上で、特にプール一般についても、例えば二重構造にするのはきちんと基準で定めるべきだと考えますけれども、特に流水プールですとか造波プールと言われる動力を使うことによって波を起こすような、流れ、水流をつくるようなプールというのが、これは遊戯施設としても多数つくられているわけです。今回の大井プールの事故も流水プールの事故なんです。流水プールにおいてやはり水流をつくる、流れを起こす、そういったポンプに吸い込まれるという形で起こった事故であるわけですね。

 そういう際に、私、少なくとも、流水プールや造波プールのように思わぬ事故が起こりやすいこういう施設について、しっかりとした構造上の基準などを設ける必要があるんじゃないのか、こういうふうに率直に思うんですが、こういった流水プールとか造波プールでの過去の事故の例とかというのは承知されておられるでしょうか。

小山政府参考人 先ほど申し上げました都市公園内のプールにおきまして、流水プールの構造に起因して起こったというような事故は起こっておりません。

塩川分科員 私が承知しているので、例えば、一九九三年の千葉県の酒々井町で、これは公益法人の経営の流水プールで吸い込み事故がありまして、少女が吸い込まれて重体、男子も大けがをするような事故がございました。あと九四年に北海道の稚内のこれは市営プールですけれども、小学校六年生が重体、これは吸水口に引き込まれる事故だということを新聞報道で承知をしているところです。

 私は、お聞きしますけれども、こういう流水プールですとか造波プールと言われる動力を使用して水流を発生させるプールについては、例えば非常どめ装置、緊急停止ボタン、こういうものの設置を義務づけるべきじゃないのかと思うんですけれども、いかがですか。

小山政府参考人 先ほどの安全標準指針におきましては、御指摘の流水プール等につきましても含めて、緊急停止ボタンをプールサイドや監視室等に設置することが望ましいという旨記述されておるところでございます。

塩川分科員 いや、望ましいじゃだめなんですよ。やはり設置を義務づけるということが必要なんじゃないのか。

 例えば、遊園地の遊戯施設がありますね、観覧車ですとかジェットコースターとか。こういう落下系のジェットコースターのような遊戯施設、あるいはよくぐるぐる回る観覧車とか、こういった遊戯施設がありますけれども、こういうものについては緊急停止ボタンというのが定められていますよね。こういうのが盛り込まれた経緯というのは、やはり過去の事故を踏まえて対策を強化する中で生まれてきたものなんじゃないですか。その点どうですか。

小山政府参考人 御指摘の点につきましては、そういう中で、安全性を一層確保するという観点から、そういう形で停止ボタン等の設置がなされてきたものというふうに考えております。

塩川分科員 建築基準法の中に、「工作物への準用」ということで一連のいろいろな規定がありますね。広告塔のような高さのあるものについての基準を定めるということですとか、擁壁のようなものについても、これは建築物ではないけれども、それを準用するという形で基準を定めるとか、そういう流れの中で、この遊園地の遊戯施設などについても基準を定めているわけですよ、構造基準なり必要な要件というのを。

 それと同じようなことを流水プールや造波プールについてもつけ加えればいいんじゃないのか。流水プールについては、やはり過去の事故例を踏まえて緊急停止ボタンの設置、これを義務づけるということをしっかりと行っていく、こういう措置をとるべきだと思いますが、いかがですか。

小山政府参考人 建築基準法につきましては、一義的に建築物の敷地、構造、設備等の最低基準を定めるということで、御指摘ありました煙突とか、広告塔とか、高架水槽等につきまして、工作物に準じて、工作物についても建築物の構造に関する基準を準用しているところでございますけれども、プールの遊泳槽はこういう工作物とは性格を異にするということから、建築基準法の基準を導入することにはなじまないというふうに考えております。

塩川分科員 貯水槽とか擁壁とかまで工作物、建築物に準用してということがあるんですから、これは準用という範囲の中で当然考え得る方向じゃないですか。遊戯施設という形での流れもあるわけだし、当然工作物であっても、一定の建築基準法の要件を定めていくということを一項目加えればいい話であって、そういうのは直ちにできると思うんですけれども、そういうことを行う考えはありませんか。

小山政府参考人 工作物につきましては、建築物の構造に関する基準が準用できるかどうかということで、やはり建築物あるいは工作物の性格が同様のものかどうかということがございますので、プールの遊泳槽について基準法の基準を導入するということは困難であると考えております。

塩川分科員 いや、過去の経緯の中で拡大をしてきているわけですから、そういうのは大いに工夫して研究すべきですよ。全国で同じような事故が起こっているわけだから。それも同じプールという構造物によって生まれているわけだから。

 それについて、事故の発生源というのはほぼ限定されているわけですよ。構造上の問題についていえば、吸排水口の問題というところで大きく出てきているわけですから。さくを二重構造にする話とか、今言ったように緊急停止ボタンを設置するとか、こういうのは大いに考えようによってやるべきだ、そういうのは大いに研究してほしい、この点、ぜひお願いしたいと思いますが、いかがですか。

小山政府参考人 プールの安全の確保のために現在安全標準指針を策定しておりますけれども、それの履行の確保につきまして、いろいろな方策を考えてまいりたいというふうに考えております。

塩川分科員 しっかりとした基準というのをやはり定める必要がある。その点について、内閣府に伺います。

 内閣府の国民生活審議会におきまして、国民生活における安全・安心の確保策に関する検討委員会が設置をされて、先月の検討委員会で小早川光郎委員長が、官から民への動きを具体化する制度における官民の役割分担について、この基本的な考え方を示しておられます。この官から民への動きの具体化の中での官民の役割分担、その内容、基本的考え方の内容について御紹介いただけますか。

竹林政府参考人 国民生活審議会のもとに、昨年十二月に設置されました国民生活における安全・安心の確保等に関する検討委員会では、去る一月二十六日に官から民への動きを具体化する制度における官民の役割分担についての検討を行ったところでございます。

 その中で、本委員会の委員長から、このテーマに関する私的な案も含む取りまとめ案が示されたところでございまして、その基本的考え方においては次の四点、一点目は、少子高齢化が進む中、経済の活力を維持し、小さくて効率的な政府へ向けた改革を進めていくため、官から民への取り組みが進められていること、二点目、官から民への動きの中では、従来官が行ってきた業務が民へ移管されるが、同時に、民間開放に伴い新たな官の役割が生じ、官の役割は変質するが消失するものではないこと、三点目、近年、民へ移管される業務が、行政の補助的業務としての事実行為のみならず、サービスの本体部分や行政としての判断へも広がりを見せていること、四点目、民間に開放された業務においても、国民生活の安全、安心の確保の要請は変わるものではなく、こうしたことを十分踏まえ、新たな官の役割を検討し、実現することが必要であること、以上の四点を基本的な考え方として提示されまして、検討を進めているところでございます。

塩川分科員 今御紹介いただきましたように、官から民への動きがあると。そういう中で、民間開放に伴って新たな官の役割が生じてくるんだという指摘ですね。新たな官の役割を検討し実現することが必要だということで、この検討委員会で進めていこうと。これはあくまでも委員長の私案ということですから、これがイコールそのまま動き出すという話ではありませんし、今後、このたたき台として議論がされていくんでしょう。

 しかし、こういった検討を行うような背景、きっかけですね、なぜこういう検討を行うことになったのか、その理由を教えていただけますか。

竹林政府参考人 昨年十二月にこの検討委員会を設置しました経緯でございますけれども、全体としていいますと、家庭、学校、職場、地域など、多くの国民にとって身近な場所においてこれまで予期しなかったような生命、身体に危害が及ぶ事件、事故が相次いでおりまして、身近な場における安全、安心に対する関心が高まっている。

 こういう中で、昨年の十月に開かれました国民生活審議会総会におきまして、安倍総理から、身近な場における安全、安心の確保に関する所要の対応策を審議していただきたい、そういう御発言がありまして、国民生活審議会のもとに新たにこの検討委員会が設置されて、今検討を進めている、そういう状況にございます。

塩川分科員 そういう身近なところでのいろいろな事故の一つに大井プールのことも当然挙げられているわけですけれども、今、官から民へという場合に、いろいろなメニューがこの間ふえました。従来のような業務委託だけではなくて、指定管理者制度もあり、PFIもあり、今度は市場化テスト、こういうふうに新たな官から民へのスキームが生まれていく中での新たな官の役割というのを定めることが求められているというのも、大きな要因の一つだろうと思っております。

 私どもは、これらの民間への業務委託や指定管理者制度、PFI、あるいは市場化テストについては、これは本来公共が担うべき役割をコスト優先で民間企業のもうけの対象にする、それがひいては安心、安全を損なうものになる、こういう立場でこれを批判してまいりました。近年、懸念された諸問題もそれに起因すると私たちは率直に思っております。

 同時に、現行でこういうふうに動き出している中で、ふさわしい対応策がなければもっとひどいことになるということを訴えざるを得ません。民間開放に伴う新たな官の役割を検討することは、その点でも重要な課題の一つであろうと思っております。

 総務大臣、この問題についてのお考えがございましたら、ぜひお聞かせいただけますか。

菅国務大臣 小早川委員長は、私も非常に尊敬をしています。そして、そのことは私は事実だと思いますね。官から民の中においても、やはり官の役割というのは、先ほども私申し上げましたけれども、委託しても事実上は最終責任というのは委託を行った公共団体ですから、そこが十分に新たな役割を果たさなきゃならないということは事実だというふうに思います。

 民間委託に関しましても、新地方行革指針等においては、各地方公共団体に対し、地域の事情に応じて積極的に民間委託を推進するとともに、あわせて、委託した事務事業について行政としての責任を果たし得るよう適切に評価、管理を行うこと、このことを私どもは要請いたしております。

 今後とも、地方公共団体が委託した事務事業の適切な管理が行われるようにしっかりと指導していきたい、こう思います。

塩川分科員 内閣府に確認しますが、この安全基準の話で、日本経済新聞の夕刊に「自治体施設民間委託」「安全基準作成へ」ということがありまして、そういう中で、例えば公園とか美術館などの公共施設の管理運営を所管する各省が施設ごとの安全基準を示す段取りになっているという報道になっているんですけれども、こういう趣旨で受けとめてよろしいですか。

竹林政府参考人 先般の検討委員会の中でも委員の方からそういう発言もあったことはあったんですが、それは議論の一つとしてあったことでございまして、まだ政府としてこういう形でのことを決定したという状況には至っておりません。

塩川分科員 委員長の私案の中でも、民間事業者による公的施設の管理ということで、自治体が独自の取り組みをするのは重要だ、しかし、自治体がそれぞれ独自に基準を策定するのは容易ではないから、やはり各省として主要な分野ごとの安全、安心確保に係る必要最低限の指針を策定することが必要だ、こういうことを述べているのはそのとおりだと思います。

 そういう意味でも、私として、しっかりと国としての基準を定めるということが求められていると思います。あわせて、個々の自治体ごとにしっかりとした対応策をつくっていく、条例などの制定をしていく、こういうこともプール事故を防ぐ上で基本になっていく、そういう条例制定などを進めることが望ましいと率直に思いますが、大臣に一言伺って、終わりにしたいと思います。

菅国務大臣 住民の安全、安心を確保するためには、やはり最も近い地方公共団体の判断においてプールの安全に係る条例や指導要綱をつくっていく、これは大事だと思います。

 しかし同時に、先ほど来申し上げていますように、私どもも国交省と文科省と一緒になってプールの安全標準指針を取りまとめておるところでありまして、こうしたことを取りまとめ次第、関係省庁と連携の上、地方公共団体に対してしっかりと周知を徹底することによって、二度と再びあのような痛ましい事故がないように全力を挙げて取り組んでいきたい、こう考えております。

塩川分科員 終わります。ありがとうございました。

小野寺主査代理 これにて塩川鉄也君の質疑は終了いたしました。

 次に、松本洋平君。

松本(洋)分科員 自由民主党の松本洋平でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 本日は、消防団活動及び地域の防災について少し御質問をさせていただきたいと思います。ちなみに、消防団のことに関しては多分これまでもいろいろな委員から質問があった部分があるかと思いますけれども、その点も含め、ちょっとかぶる部分もあるかもしれないですけれども、御容赦いただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 私の選挙区は、東京第十九区というところになります。西東京市、小平市、国分寺市、国立市、この四市で構成されているわけですが、一番東端は練馬区に接しているところ、一番西側は東大和市とか立川市に接しているということでございまして、東京の多摩の入り口からちょうど中盤にかけてというところが私の選挙区になるわけでございます。いわば、ある意味都心に通う人たちのベッドタウンというような位置づけができるかもしれません。

 そんな地域でございますけれども、そんな中におきましても、消防団の方々、それこそ日々献身的な活動をされているわけでございます。一たん何か起きたときには、生業をなげうって、それこそ危険を顧みず市民の安全、安心のためにさまざまな活動をしてくださっていますし、また、そうしたいざというときのためには、日々の訓練というものもしっかりとしていただいている。また、安全、安心の啓発活動といいますか、そういう防災意識を植えつけるためのそうした火災予防活動等をしてくださっているわけでございまして、そういう意味では、常日ごろ、ポケベルといいますか、そういうものを持たされて活動しているわけでございまして、二十四時間三百六十五日、それこそ地域の安全、安心のために一生懸命活動していただいているのが消防団の方々だと思っております。

 そうした消防団員の気持ちにこたえたい、また、地域の安全、安心というものをしっかりと守っていきたい、そんな思いで本日は質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、消防団の現状について教えてください。お願いいたします。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 消防団の現況いかんということでございますが、全国ほとんどすべての市町村に設置されておりまして、平成十八年四月一日現在の数字でございますが、消防団の数が二千五百八十四団、二万三千九百四十六分団、それから団員数は、残念ながら減少傾向にございますが、現在は約九十万人といったような数字になっております。こういう中にありまして、女性の消防団員が徐々にふえておりまして、現在、約一万五千人といったような数字になってございます。

 なお、平均年齢でございますが、現在は三十七・八歳といったような状況でございます。

 それから、古い時代と比べますと、就業構造が大きく変化していると思われるわけでございますけれども、現時点の数字でいいますと、いわゆる被用者、サラリーマンの数が約七割を占めているということでございまして、こういう状況が消防団活動にもいろいろな影響を及ぼしているといったようなところだろうと思っておるところでございます。

松本(洋)分科員 ありがとうございます。

 今御答弁がありましたとおり、団員の数はだんだんと減少を続けているという話でございます。この問題というのは、つい最近言われ始めたことではなくて、もう以前からさんざん指摘がされてきて、それらを何とかしなきゃいけないという思いでさまざまな施策を打っていただいているけれども、なかなか決定的な対応というのが打てない、そして結果になかなか結びつかないという、大変厳しい状況にあるんだろうと思います。

 先ほども申し上げましたが、私の地元というのは東京の都心に非常に近い多摩の地域にあるわけでございまして、そういう意味では、残念なことではありますけれども、御自身で家業を営んでいらっしゃるという方もやはり年々減ってきてしまっているというような現実があるわけでございます。これ自体も何とかしなきゃいけないなと思うわけですけれども、現実としてそういう姿があるという中において、やはり被雇用者、いわゆるサラリーマンの方々の団員をいかに確保していくのかということが抜本的対策として求められているんじゃないかと思います。

 平成十七年に、消防団と事業所の協力体制に関する調査検討会というものが開かれてさまざまな検討がされたというふうに認識をしております。この調査検討会等の検討結果を踏まえて、今後具体的に事業所と消防団との協力体制をいかに図っていくかということを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、これも先ほど申し上げました、サラリーマン、被用者の方が約七割という状況でございます。こういう状況にかんがみますと、まず、消防団員の数を確保する、それから活動環境を整備する、できるだけ活動しやすい状況を確保するといった面におきまして、事業所の協力というものは不可欠だというふうに思っているところでございます。

 そういう中で、今先生御指摘いただきました検討会を設けていろいろ御検討いただいたわけでございますが、この提言の中で特に私ども具体的に今動いておりますのが、事業所の理解と協力を得て、できるだけ入団しやすく、かつ、活動しやすい環境を整備するために、消防団協力事業所表示制度といったものはどうかといったようなことがございまして、現在、その導入を促進しているところでございます。

 企業にしてみると、いろいろ協力するということ、地域の中でそういう評価を受けるということがやはり非常に大事だろうと。そういうことの中で、団員の確保の面でも御協力いただけますし、活動していく上でも、例えば時間内に活動に出るといったことについても理解を得やすくなるといったようなことが期待できるのではないかということでこういう制度をつくらせていただいたところでございます。

 これは、市町村の方で協力事業所ということを認定いただきますとマークをつけていただくような格好になるんですが、これを現在いろいろ検討いただいておりまして、多くの市町村の方で、この年度がわりの四月に向けていろいろな検討を進めていただいているといったような状況でございます。

 こういうことを通じたり、あるいは個別にいろいろな協力をお願いする中で、事業所との協力関係がさらに発展しますように、我々努力していきたいなというふうに思っているところでございます。

松本(洋)分科員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、恐らく大変な苦労をしながら、消防庁としても、この問題解決のためにさまざまな方策を考え、そしてできることからしっかりやっていこうという思いでやっていただいているんだろうと思います。

 しかしながら、やはりシールだけで本当にいいのかという話もあるわけですよね。かといって、ではそれ以外の、例えば企業に対して何かしらの恩恵をもう少しつけましょうという話があるにしても、とはいえ、地域地域でそういうものをやっていくというのはなかなか難しいと思っております。

 もちろん、消防というのは市町村が一番の基本になって行われているというふうに認識をしているわけですけれども、しかしながら、そういう市町村単位でしっかりとできるようなバックアップをどういう施策を講じていくのか、何をやっていくのかということは、これはやはり国として責任を持ってしっかりと考えていかなければならないことだと思っていますので、ぜひそんな点もお願いしたいと思います。

 また、先ほども申し上げましたけれども、東京都の中、いわゆる都市部の消防団なんですけれども、実際に、例えば訓練をするにしても、実は訓練をする場所を確保することすらなかなか難しいという現実があるわけでございます。そういう意味では、消防団の方々も、訓練をするに際しては、さまざまなところに、訓練場所を探すことですら非常に体力を使いながら、いざというときのために備えて一生懸命頑張っていらっしゃるという実態もあるわけでございますので、消防団と事業所の協力関係というものの中に、例えば、団員の確保というだけの観点ではなくて、それこそ、消防団活動を応援し、そのために、人的な面だけではなくて、さまざまな協力をしてくれる人たちに対してもう少ししっかりとした応援をしていく。やはりこういう観点でもう少し国としても支援をしていただけるように、今後ぜひとも御検討をいただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 また、地域の防災力を高めるという観点で、昨今、消防団から引退されたOBの方々の活用という話も出ているかと思います。実際、私の地元でもそういう活動をしているところがございまして、一昨日にはある新聞の地域版にそのことが記事にもなったようなこともあったわけでございます。引退されたとはいえ、そういうプロの知識だとかいざというときのノウハウというものをしっかりと持っていらっしゃる方々ですから、やはりこういうものの活用というのも一つ大事な要素じゃないかと思っております。そういう意味では、そうしたOBの消防団員の活用方法、こういったものに関しても御答弁いただきたいと思います。よろしくお願いします。

    〔小野寺主査代理退席、主査着席〕

高部政府参考人 消防団に御理解をいただいて、大変ありがたいことだと思っております。

 企業との関係もさらに努力してまいりたいと思いますが、御指摘ございましたOBの消防団員の活用ということでございます。

 実は、先生もよく御案内のとおり、社会経済環境が変わる中で、いわゆるフルセットの消防団というような言い方をすることがあるんですが、先生ごらんになったことがおありかと思いますが、御指摘ございましたように、消防の操法大会等に向けての訓練等、非常に熱心に、非常に時間をとってやっているといったような状況があるわけでございます。いろいろ事情の中でなかなか対応し切れないというような方で、消防団をやめられる方もおられたりといったような事情もあるわけでございます。

 そういう中で、我々も、消防団のあり方自身も、昔のままではなくていろいろな対応も考えていかなければいけないということで、機能別団員だとか機能別分団、消防団のいろいろな幅広い業務の中で例えば予防活動だけを担うとかといったようなことで、少し柔軟なあり方というのも検討し、そういう方向についても進めているところでございます。

 御指摘いただきましたOBの活用というのも、御地元の稲城市の消防団でやっておられるということで報道されているところでございますが、このほかにも、愛知県の瀬戸市でございますとか福岡県の立花町、平常時は自主防災組織の指導というようなことを中心にやっていただいて、大規模な災害のときは活動する。いわゆる訓練等には参加しないけれども、そういうできる活動をしていくというようなことで動いているところもある。現に、ほかにもあるところでございます。

 先ほど言いましたように、ともかく、トータルとして安全、安心確保のためにどういう策を講じていけばいいのか、頭もやわらかくしながら、いろいろな制度も考えながらというのが私どものスタンスでございまして、このOB団員の活用というのもそういう中でのいろいろな知恵の一つではないかなというふうに思っているところでございます。こういうのにふさわしいところ、地域の事情の中で、例えば定年制をしいておられるところ、ないところとか、いろいろな事情もございますので、地域の事情はいろいろおありかと思いますが、活用されることも一つの方法ではないかなと思っているところでございます。

松本(洋)分科員 ありがとうございます。

 今、機能別消防団という話もあったわけでございます。もちろん、それぞれの地域事情によってなかなか全国一律にというのは難しいということは承知をしているんですけれども、しかしながら、それにしても、進んでいる地域と進んでいない地域の差というのは非常に大きいのかなと思っています。東京においてもそういった観点はこれから極めて重要な観点になってくると思っていまして、その意味におきましても、消防庁としても、しっかりと、例えばこういう事例があってこういうことができます、ああいうことができますというようなことを、もっと積極的に広報、周知徹底のようなものをしていただいて、地域の防災力向上のために、できる限りの努力というものはさまざま尽くしていただきたいと思います。

 また、消防団が活動するためには、どうしてもハード的なものの整備というものも必要だ、ハード、インフラの整備というものも必要だと思っていまして、例えば消防ポンプ車だったりとか消火栓だとか、また貯水槽だとか、いろいろそういうものの整備も必要だと思っております。よく言われていますけれども、東京では首都直下型の地震というものがありまして、ある意味、それに向けてどう対応していくのかということが地域の防災を考える上でも一つ大事な要素になっているのは間違いない話だと思っております。

 そんな中で、消防ポンプ車、また消防水利の配置について、消防力の整備指針、消防水利の基準というものを消防庁で示しているというふうに聞いておりますけれども、その基準というものをぜひ教えていただければと思います。よろしくお願いします。

高部政府参考人 消防力の整備指針でございますけれども、国民の安全の確保という責務を有する国が、それぞれの区域においてその責任を果たすべき市町村に対しまして、必要となります消防力に関する基本的な考え方と具体的な水準等を専門的、技術的観点からお示ししたものでございます。

 これはなかなか詳細でございまして、一口では申し上げられないんですが、例えば、人口が一万人ぐらいの市街地ですとポンプ車が二台要る、それで人口規模が大きくなるとそれに応じてどのくらい要ります、あるいは地域の状況に応じて消防署所の配置をどういう形でやっていったらいいのかというような形で基準を示しているところでございまして、例えば消防署所なんかでいいますと、六・五分ぐらいで到達できるようにといったようなことを示させていただいているものであります。

 それから、消防水利の基準でございますけれども、これも、消火活動のために必要となる消防水利の種類とか給水能力とか配置等について示しているものでございまして、例えば、地域の状況によりますけれども、何メートルぐらいで到達できるようにといったような観点から基準を示させていただいているものでございます。

松本(洋)分科員 ありがとうございます。

 ただ、先ほども申し上げましたように、通常の、いわゆる火災に対応するそういったことももちろんあるんですけれども、やはり大災害というものもある意味もう少し酌み取っていただいて、基準というものももう少し考えていただけないかなというのが思いとしてちょっとあるわけでございます。

高部政府参考人 御指摘のように、基準そのものは、火災時ですから平時というのは必ずしも適切な言葉ではありませんけれども、今御指摘ございましたような大変広域にわたるような大災害を予定してつくられている指針とか基準ではございません。

 今おっしゃられたような視点も非常に大事だと思っておるところではございますけれども、そもそも、常に備えておくようなものとしてどういうものを備えるかといった観点からコストパフォーマンスも考えながらということになりますので、今のような形になっているわけでございます。

 現時点では、御指摘ございました大災害等々についていいますと、緊急援助隊というような形で広域応援の中で補完するとか、あるいは、なかなか常備と同じ形にはならないわけでございますけれども、自主防災組織あるいは消防団、そういうもののいろいろな活動の中で対処するというふうな考え方でこの基準はできているところでございます。

松本(洋)分科員 ありがとうございます。

 もちろんおっしゃることはわかるんです。だからこそ計画的な整備というのがとても重要なんじゃないかと実は私は思っておりまして、一気にそれに対応できるようなものを備えよとか、そういうことを言っているんじゃなくて、やはり少しずつでもいいからそういう備えというものをもう少し進めていってほしいなという思いがあります。

 実際に地元からは、例えば、道路が不通になっちゃって通行できなくなっちゃってポンプ車が走れなくなったときの手引きの可搬ポンプ車みたいなものとか、過去の大震災の例で、消火栓が破損して結局そこから水が供給できなくて、しかしながら貯水槽が足りなかったとか、そういうこともいろいろとあるわけですから、ぜひそんなこともお含みおきいただいた上で、今後ともしっかりとしたお取り組みというものをお願いしたいと思います。

 また、今お話の中で、緊急消防援助隊という話がありました。大震災、特に広域にわたるようなときには、やはりこういうものが、機動的にしっかりと、高い技術レベルと装備を持って対応していくというのがとても大切なことだと思っております。実際に、東京消防庁のハイパーレスキュー隊も、新潟県中越地震において大変な活躍をしたということでマスコミ等々でも大々的に報道されたわけですけれども、こういう高度なレスキュー隊というものを、やはりしっかりと、今もおっしゃったようにちゃんと整備をしていくために、私は、その予算確保というものも含めてやっていかなきゃいけないと思っているんですけれども、そのあたりの見解をお聞かせいただきたいと思います。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、やはり大災害のときには広域的な応援体制というのが非常に重要だというふうに思っているところでございまして、緊急消防援助隊の仕組みについても、平成十六年でございますか、制度化させていただいたといったようなことの中で、現在も、特にブロック訓練等々を通じて、こういうものが機能するようにいろいろな訓練も努めているところでございます。

 その中で、資機材の整備というのも非常に大事な視点だというふうに思っておりまして、御指摘ございましたように、妙見堰の優太ちゃんの救出といった中で東京消防庁が大変活躍いただいたわけでございます。活躍いただくにはそれなりの資機材を備えないと対応できないという面がございまして、私どもで現在進めておりますのは、陣容も多く抱えてそれなりの備えもある政令都市等を中心に特別高度救助隊というのを置くように、それから中核市等を中心に、等と申しますのは、中核市が全国くまなくあるわけではございませんので、各県に一つぐらいはという意味で、中核市のない県にも置かれるようにということで、高度救助隊というものを整備するような形に努めておりまして、そういうところでは、電磁波探査装置といったものとか地中音響探知機といったような機材を備えて対応できるようにというふうに考えているところでございます。

 こういうものを備えるには、やはりそれなりの財政措置というのが非常に重要だというふうに考えているところでございます。全体の中で補助金についてはいろいろな改革が行われておるところではございますけれども、緊急消防援助隊の整備費補助金につきましては五十億円を確保して整備を進めているところでございまして、大変厳しい中で、来年度も同額について確保して提案させていただいているという状況でございます。

 こういうもの等々を通じて整備に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

松本(洋)分科員 ありがとうございます。

 やはり国民の安全、安心を確保するための組織及び装備でございますから、そうした部分には大変厳しい中でもめり張りをつけてしっかりと予算づけしてやっていくことがとても重要だと私は思っておりますので、そんな点におきましても、ぜひ今後ともよろしくお願いをいたしたいと思います。

 ちょっと雰囲気が変わって、時間もないので簡単に御答弁いただきたいと思うのですけれども、地域の安全、安心、防災力という観点で私がとても大切だと思っているのは、例えば、どこに救援が必要な人がいるのかいないのかとか、やはりそういう情報をしっかりと持てるかどうかということがこれからとても大切になってくるのじゃないかというふうに私は聞いております。

 実際に過去大震災の救助に行った消防隊員の方々とちょっといろいろと立ち話とかでお話を聞いたときに、何が一番助かるかといえば、例えば、あそこの家にはまだおばあちゃんが一人いるから助けに行ってあげてとか、いや、そこの家はもうみんな避難しているから次のところに行ってくださいとか、やはりそういう声かけというのが災害発生時の救助活動にはとても助かるというような話も聞いたわけでございます。それはそうだなと思ったのですが、片や我々が暮らしていますこの都市部においては、なかなか隣の人の顔もよくわからないというような状況もありますし、また、核家族化が非常に進展して、お年寄りのひとり暮らしというようなものもふえてきているわけでございます。

 そこでお伺いしたいのですが、そうした大規模な災害が発生したときに被害を最小限に食いとめるために、先ほど申し上げましたようなひとり暮らしのお年寄り、そういう情報を消防機関として平時から把握しておく必要があるのではないかと思っております。その対策をお伺いしたいと思います。お願いいたします。

高部政府参考人 御指摘いただきました問題意識は、私ども全く同じ意識でございます。

 特に、平成十六年七月の梅雨前線豪雨の中で高齢者の方の被害が多かったということがございましたので、関係府省と連絡いたしまして災害時要援護者ガイドラインを取りまとめたところでございますが、その中におきまして、災害時要援護者対策を進めていく上では、消防を含めた防災関係部局、自主防災組織、民生委員などの関係機関の間で地域の災害時要援護者に関する情報を収集、共有することが不可欠であるという認識に立っておるところでございまして、地方公共団体に対しまして、避難支援計画の具体化などについて働きかけているといった状況でございます。

松本(洋)分科員 ありがとうございます。

 今お話がありましたけれども、災害時の要援護者の避難支援ガイドラインですか、こういう対策が取りまとめられてという話がございましたが、しかしながら、残念なことに、では各地域においてそうしたものがしっかりと認識され取り組まれているかというと、まだまだなかなか進んでいないのが現実の姿としてあるのではないかと私自身は思っております。

 そうした意味からも、これはちょっと内閣府に聞きたいんですけれども、災害時の要援護者の避難支援ガイドライン、これを周知徹底しなきゃいけないということでございますが、具体的にどういう取り組みをしているのか、教えていただきたいと思います。お願いします。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 災害時要援護者の支援プラン、これをつくるためには、福祉部局が持っている障害者等の情報、高齢者の情報を、防災部局、さらには地元の消防団員、自主防災組織が共有する必要がございます。一番大きな問題は、実は、個人情報保護との関係で情報共有が非常にうまく進んでいないという状況でございます。

 私ども、これにつきましては、一つは、個人情報保護法でありますとか法に基づく条例の適用上、そういった防災に使う情報ですから、これは明らかに本人の利益になるものですから、そういった法の適用上も、目的外使用や第三者への提供は可能だという考え方を常々伝えております。まずは、この基本的考え方を徹底したいと思っております。

 さらには、ガイドラインそのものはまだ抽象的でございますので、現在、福祉部局と一緒になりましてガイドラインをもっと具体化した手引をつくっておりますので、こういった手引をつくり通知する、あるいは、そういった取り組み、先進事例も多うございますので、そういった先進事例の啓発ビデオをつくりましたり、あるいはシンポジウムをつくって普及に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

松本(洋)分科員 特に我々の住んでいる都市部においては、本当に死活的な問題だと思っております。個人情報に絡む問題ですから、その取り扱いには厳重に注意をしなきゃいけないとか、さまざまなそういうルールづくりというものが当然必要にはなるわけですけれども、しかしながら、何か起こってからではもう遅いわけでございますので、早急にそうした対応というものをしっかりと周知徹底していただきまして、各地域において具体的な行動に移れるような、そういう努力というものをよろしくお願いいたします。

 もう時間でございますので、最後に、これまでいろいろと、消防庁さん、また内閣府さんと議論をさせていただいたんですけれども、ぜひ菅総務大臣から、日ごろ一生懸命頑張っていらっしゃる消防団の方々に対して激励の意味も込めて、充実強化に対する見解というものをお伺いして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

菅国務大臣 松本委員が、まさに地域に根差した消防活動に対して非常に適切な意見また応援等をいただいて、所管する大臣として大変感謝申し上げます。

 そしてまた、消防団というのは、まさに地域住民の安全、安心のために極めて大事な存在であります。さらに、昨今は、通常の活動以外にも、国民保護の問題だとか、さらに高齢者等の戸別訪問、あるいはさまざまな地域のコミュニケーションなど、消防団に対しての期待というのは非常に高まっているというふうに思っております。

 そういう中で、私ども総務省も、都道府県、市町村と連携を深めながら、消防団確保に全力で取り組んでいるところであります。具体的には、特別の役割とか活動を担う機能別消防団員や機能別分団員の導入、あるいは全消防団の中で非常にパーセンテージの少ない女子消防団員の促進、あるいは先ほどお話ありました事業所の消防団、またOBの皆さんの活用など、そうしたものを踏まえて、消防活動というものがいかに大事であり、そして国民から期待をされているのか、そして多くの若者にも消防団に入団してほしい、そうしたことに全力で取り組んでいきたいと思います。

松本(洋)分科員 ありがとうございます。

 私も、しっかりとこの問題に取り組ませていただいて、大臣と一緒に頑張らせていただきたいと思います。地域の安全、安心のために頑張らせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

三原主査 松本洋平君の質疑は終了いたしました。

 次に、三日月大造君。

三日月分科員 民主党の三日月大造です。

 大臣、いつもお疲れさまです。ありがとうございます。

 それでは、きょうは、地方税の徴収率ということと地方公務員の大量退職という二点に絞って質問させていただきたいと思うんですが、今お手元に資料を配らせていただきました。

 もう大臣既に御承知のことだと思うんですけれども、地方税の徴収率、市町村税の部分とそして都道府県税、これは、総務省の皆さんからいただいた資料をもとに私なりに一枚にまとめてみたんですが、ちょうど二年前に、決算行政監視委員会で、都道府県ごとに徴収率であるとか滞納額であるとか不納欠損額を把握するように指摘させていただき、そのことが徐々になされているということについては評価をしたいと思いますし、また、各自治体の、地方公共団体の税務担当の皆さんの並々ならない日夜分かたぬ努力によって、このお手元の資料にありますように、十五年度、十六年度、十七年度、市町村税及び都道府県税ともに徴収率が改善していることについても、私は感謝とともに評価を申し上げたいというふうに思うんです。

 しかし、一番右端に手書きで書いております不納欠損額、これは市町村税で千五百億を超え、そして都道府県税においても七百億を超えているんですね、まだまだ。これは非常に大きな額だと思うんです。かつ、折からの不安定雇用の増加でありますとか、各種控除の廃止、高齢者世帯の増加、そして、ことしいよいよ影響が出てまいります税源移譲の問題、このあたり、現状の数字と、そして、今後、ことし予想されるさまざまな施策との関係で、現状、どのように評価なさっているのか、まずお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 地方分権を進めていく上で、今後、地方の自主財源であります地方税を充実させていくことは極めて大事なことであります。その際、地方団体の歳入を確保するとともに、税負担の公平を保ち、納税者の信頼に基づく行政を展開する観点からも、地方税の徴収率の向上を図ることは極めて私どもは大事だと思っております。

 現状を見てみますと、十七年度においては、当該年度中に九八・五%が収納されており、残り一・五%分についても翌年度以降に徴収を進めていく結果、最終的には九九%を超える徴収率になる、こう考えております。

 地方税の徴収に関しては、基本的には、地方団体が自発的な努力を行うことがこれは当然のことでありますけれども、近年では、滞納整理組合等設立など広域化、あるいは都道府県、市町村間の連携強化、地方団体の創意工夫による滞納処分の実施など、積極的な取り組みが行われておるところであります。こうした努力がその収納率の向上に反映されてきている、こう考えております。

 総務省としても、地方交付税の算定における、徴税努力を反映する仕組みの導入、さらにはコンビニ収納の民間委託の推進などの、収納率向上のための環境整備に取り組んできたところであります。

 ことしから、先ほど御指摘のとおり、いよいよ三兆円の税源移譲がされるわけであります。今後とも、地方税収の現場の声をよく伺いながら、必要な制度改正を行いながら徴収率向上のために取り組んでいきたい、こう思っています。

三日月分科員 さらに、ちょっと踏み込んで現状評価についてお伺いしたいと思うんですけれども、これは大臣でなくて局長でもいいんですが、特に普通徴収と特別徴収、いわゆる特別徴収の方、源泉徴収ですね、源泉徴収されている方についてはある程度しっかりと取れている部分があろうかと思うんですが、普通徴収の方、いわゆる給料等の天引きではなくて払ってもらうということについては大変御苦労があろうかと思うんですが、このあたり、普通徴収、特別徴収別にどのように実態を把握されておりますか。

河野政府参考人 お話ございましたように、地方税の場合は非常に手間暇かかる税が多うございまして、その中でも、賦課そのものにも手間暇かかりますし、それから徴収の際も普通徴収の形をとっているものが多うございまして、典型的な例でございますと固定資産税などがそうでございますけれども、こういった税につきましては、相対的にでございますが、全体的には非常に徴収努力をしていただいている中で、相対的に比較をしますと、やはり徴収率としては若干低目になっているというのが現状でございます。

三日月分科員 若干低目どころか、取れていない分はやはり普通徴収の方が多いと思うんです。かつ、源泉徴収だから、特別徴収だからこれはきっちり一〇〇%取れているだろうと思いきや、実は、事業主のさまざまな問題によって取れていない部分もあるんです。それは私も、自治体の税務課の皆さんとお話をさせていただいて、一定把握をさせていただいているんですけれども、国としても、このあたり、普通徴収と特別徴収に分けてどの程度取れているのか、捕捉できているのかということの調査をやはりすべきだと思うんです。というのがまず一点。

 そして、ぜひ大臣の御見解もお伺いしたいと思うんですが、特に、先ほども一部触れましたけれども、若い人たちを中心に派遣労働者やなんかがふえています。そして高齢者世帯も増加しています。老年者控除なくなりました。年金控除も変えられました。そして外国人労働者もふえているんですね。そういう意味では、市町村の税務課、これは特に市町村税に限って申し上げるんですけれども、平成十九年六月ですか、いよいよ税源移譲が導入されるという段階において、これは深刻なる影響、今よりも大変厳しい状況が予想されると思うんですが、このあたり、どのように把握をされて、この税務の面から見た格差というか、税が払えない方々がふえているというこの実態について、大臣はどのようにごらんになっていらっしゃいますか。

河野政府参考人 まず、普通徴収との関係について御説明させていただきます。

 先ほど定性的に申し上げましたが、例えば固定資産税について申し上げますと、平成十七年度の現年課税分でございますけれども、徴収率が九七・九%となっております。市町村税全体の現年課税分の徴収率、九八・二%でございますので、若干下回っているという状況でございます。一応、税目によって基本的には普通徴収のものとそれから特別徴収のものと分かれておりますので、およそ把握できておるというふうに考えております。

菅国務大臣 外人労働者等がふえますと、やはり地方の直接徴収に当たる職員の方の努力というのは大変なものだろうというふうに思いますし、困難が伴うものであると考えています。

三日月分科員 外国人労働者だけではなくて、若者の中に、パート、派遣含めた不安定雇用、そういった方々がふえているということ、そして、高齢者世帯がふえていて、その方々がいよいよ平成十九年六月に住民税を払われる。もちろん、国税である所得税の減免と、そしてふえてくる住民税、相殺すればバランスがとれるのかもしれませんが、大量退職の中で、これは翌年度課税と現年課税、所得税と地方税の違いの中で、新たに平成十九年に重税感を感じられる方も少なくないと思うんです。

 外国人労働者だけではなくて、やはり非常に厳しい生活実態にある方々、もちろん、税は払っていただかなくちゃいけないと思うんですが、しかし、このあたり、こういう地方税務の面から見た格差の問題について、もう少し大臣の踏み込んだ御見解を。

菅国務大臣 確かに、所得税が減税をされて住民税がふえる。しかし、差し引きゼロであることは間違いないことですよね、プラス・マイナス・ゼロになるわけでありますから。ただ、定率減税が減されれば、その分だけそういう思いになられる方があろうというふうに実は思います。しかし、そういう状況の中であっても、やはり納めていただくものは納めていただく中で、私どもとすれば、この高齢化時代を乗り越えるための一つの手段ですか、それと同時に、地方分権という中で御理解を求めていく、そういう方向で進めていきたいと思います。

三日月分科員 大きな大方針のもとで、それぞれの自治体も、税の徴収、主体的に本当に努力をしてやっていただいております。

 加えて、特に市町村税の問題でいけば、国民健康保険税、この問題もあると思うんですね。これは、地方税法の七百三条の四ですか、これに含まれたいわゆる地方税だと私は理解をしておるんです。もちろん、税のところと料のところがあると聞いています。国民健康保険のお金を税として取り扱う自治体が千六百一あり、料として取り扱う市町村が二百四十三という実態もあると思うんですけれども、この国民健康保険税まで含めますと、地方税の徴収率というのはやはりもう少し厳しい状況にあるんではないかと考えるんですが、いかがでございましょうか。

河野政府参考人 国民健康保険税でございますが、税の形をとっておりますけれども、この実質は、医療保険でございます国民健康保険の財源を賄う保険料でございます。また、財政上も、これは特別会計を設けて、事業会計という独立採算で経理をしておるところでございまして、地方財政計画上も、普通会計の税収としては入れておりません。そういう取り扱いになっておりますので、税のグループとは、若干特殊でございますので、我々、通常、徴収率というものを申し上げるときには、国民健康保険税を含まない形でお示しをしているところでございます。

 なお、国民健康保険税そのものの徴収状況でございますが、十七年度の、これは現年課税分の実績でございますけれども、税の方で九一・四%という徴収実績になっておりますので、お話ございましたように、先ほど申し上げた地方税全体の徴収率と比べますと、相当低い水準にあることは事実でございます。

三日月分科員 済みません、その確認なんですけれども、今言われた九一・四%ですか、それは現年、繰り越しもすべて含めて。

河野政府参考人 先ほど申し上げました数字は、現年課税分の数字の国民健康保険税の徴収率でございます。

 ちょっと申しわけございませんが、滞納繰越分まで含めた数字は今手元にございません。

三日月分科員 そうなんです。やはり各市町村の税務当局は、現年分だけではなくて滞納分も含めて徴収、滞納整理をなさっておりまして、加えて、大きな自治体は別です、それぞれに対策をとってやられているんでしょうが、今大臣お手元の部分は現年分なんですね、滞納分が入っていないんです。そして、小さな自治体では、この国民健康保険税も税務課で一緒に取り扱って徴収をやっている実態があるんです。したがって、マクロの部分でいけば、そして現年分だけを見れば、ほとんどのものが取れ、徴収できているのかもしれませんが、しかし、市町村の実態はそうではないという認識に立った実態の把握と、そして対策が必要だと思うんです。

 加えて、いかがですか、お考え。

河野政府参考人 もちろん、滞納になったものも含めまして、課税したものすべて徴収することが理想でございます。

 なお、滞納繰越分まで含めた徴収率という形で比較をいたしますと、若干これは、滞納繰越額というのはどんどん累積をしてまいります、収入済みになるか、あるいは不納欠損処分をしなければどんどん調定額そのものは増加しますので、非常に低くあらわれるわけでございますけれども、ちなみに、国税と比較いたしましても、国税は徴収率という形で公表しておりませんので、単純な比較はちょっと難しいところもございますけれども、現年課税分についての徴収率で申し上げますと、地方税、都道府県税、市町村税合わせてでございますけれども、九八・五%、現在、十七年度決算でなっております。国税につきましては、国税関係での資料から同様に十七年度の課税額と徴収済み額の比率を出しますと、九八・一%というふうになっておりまして、地方税は非常に手間暇かかる税目の中で徴収しているということを考えますと、これは相当頑張っているなということであろうかと思います。

 それから、滞納繰り越しにつきまして、国税全体で滞納の総額をちょっと我々把握しておりませんのでわかりませんけれども、そういうことも勘案いたしますと、地方税も国税に遜色ない程度に取れておると思いますし、それから、不納欠損額については、国税も地方税も大体データはございますけれども、国税の不納欠損額の国税収入に占める割合、大体、平均して〇・五%程度ございます。それから、地方税もこういう同じような比較をいたしますと、大体〇・六%台ぐらいでございますので、最終的に取れておる額ということでありますと、国税と地方税、それほど違わない、遜色のない水準になるのではないかと思っております。

 なお、もちろん課税した額すべて徴収できることが理想でございますので、地方団体にもまた一段の努力をお願いしたいと思っておりますし、それから、私どもの方も、こういった徴収確保をしていく上で必要なことがあれば、地方団体の意見もよくお聞きをしながら、必要な制度改正等にも取り組んでまいりたいと思っております。

三日月分科員 ですから、大変手間のかかる作業をやっていただいていることは理解しているんです。それで、マクロで数字が向上していることについても評価しているんです。しかし、現年分だけで見るのではなくて、やはり滞納繰り越しも含めて見ていかないと。払っていただくべき税なわけですから、そういう見方をしていただきたいということが一つと、国税と比べてというような言い方は、総務省の自負を持って、余りしていただかずに、地方は地方で応援するんだ、頑張るんだという形でないと、そういうところだけ調子よく、国税と、財務とということは、私は違うと思うんです。

 もう一つ、やはり私はちょっと強調するんですが、国民健康保険税も含めて、市町村の税務課は対応を、何とか払ってもらえるようにしようということで努力をなさっているんです。したがって、必要なことがあれば支援しますということではなくて、こういう状況の中で、かつ平成十九年の六月には税源移譲も行われるわけで、このあたり、やはり踏み込んだ実態の把握というものと、そして新たな支援というものが、私はあってしかるべきだと思うんです。

 そのあたり、頑張っていただいていることは認めつつ、特に、ことししっかりと払っていただく、そういうための決意をお伺いしたいと思うんですが。

菅国務大臣 税源移譲の初めての年でありますので、そこについて、私どもも、地方もこれは大変なことでありますから、当然その収納についてできる限りの努力あるいは助言等はしていきたい、こう思っています。

三日月分科員 これは、さっき大臣の答弁の中でも言われましたけれども、やはり、徴税努力を地方の財政において反映していく仕組みも一部つくられていると思うんですが、私は、頑張って徴収率を上げた自治体をプラス面で評価するような仕組みを、まあ、払ってもらえなかった、徴収率を上げられなかったところにマイナスの評価までということになると、かなり厳し目の制度になろうかとは思うんですが、そのあたり、もう少しきちんと公表して、皆さんに頑張ってもらえるような仕組みをつくっていくべきではないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

菅国務大臣 私は、それは大賛成でありまして、今まで総務省というのは、どちらかというと平等にすることに気を配り過ぎていたような感じがありまして、私は、副大臣に就任をしてからも、インセンティブの積算というものを行革等も含めて行わせておりますので、こういう厳しい状況の中で徴収に努力をされた自治体に対してそうしたインセンティブを与えるというのは当然のことだというふうに考えています。

三日月分科員 もう一つ、きょうは限られた時間ですから、地方税の徴収率については引き続きトレースをしていきたいと思うんですが、公務員の大量退職の問題。

 これはやはり、御多分に漏れず、地方の公務員の皆さんもこの数年、ここ十年、大きくやめられていこうとされているんだと思うのですが、これは、退職手当を払うのに借金をせなあかんようになっているらしいですね。

 私はびっくりしたんですけれども、建設国債や何かだったらまだしも、過去の債務、これまで働いてきていただいた方に対するいわゆる労働債務に対して借金をして手当てしなければならないということについて、私は根本的な疑問を感じるんですが、大臣はいかがですか。

菅国務大臣 特に団塊の世代が大量に退職する、そういう時期の中で、厳しい情勢の中でこのような手当てをしなきゃならないということは、本来の地方自治のあるべき姿からすれば疑問に感じられるかもしれませんけれども、ある意味では、ここを乗り越えることによって地方財政の健全化にもつながるというふうにも思っておりますので、ここはやむを得ない判断だと思っています。

三日月分科員 せっかくの機会ですから重ねてお伺いしますけれども、しかし、ある程度の年齢構成がわかっているわけで、準備もできたんじゃないんですか。それが、借金、手当債でなければ確保できない。すべてじゃないですよ。私は退職金を払うなと言っているわけじゃないんです。しかし、それはやはり、仕組み上、監督上問題があったんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 市町村の中には、年度間の額の変動が激しい退職手当の支給に備えて、負担の平準化の観点から積み立てをしてきている団体も数多く実はあるわけであります。

 しかしながら、一般的に言えば、近年のこの非常に厳しい財政状況の中で、基金を取り崩しているような状況の中で退職手当の余裕がなくなってきている、そういうことも事実であります。

 こうした状況を踏まえて、私どもも、総人件費の削減を進めると同時に、やはり退職手当債の発行を拡充する措置を講じてきたということであります。

三日月分科員 いや、今大臣も言われたように、いろいろな積み立てや準備によってそうならずにおれる自治体もあるんです。しかし、結果的にそういう手当債を発行せざるを得なくなる自治体もある。そこの部分も、さっき大臣が言われたインセンティブの部分で、そういう団体とそうでない団体と、やはりそれぞれ財政状況が違うんでしょうけれども、もちろん債券ですから後ではね返ってくる部分ではあろうかと思うんですが、やはり、一定の監視と、そしてそうでない団体との差別化を図っていく必要があると思うんですけれども、いかがですか。

菅国務大臣 この手当債の発行の条件として、例えば私どもは、行政改革だとか、あるいはやみ手当があったところはそういうものを廃止させるだとか、そういう形のところで対応していきたいというふうに考えております。

三日月分科員 ちなみに、今年度の措置額は二千六百億円程度となっておりますが、今年度許可される退職手当債の発行総額の落ちつき見込みは、どれぐらいの団体で、総額どれぐらいになるのか。また、それはいつ明らかになるんでしょうか。

岡本政府参考人 本年度の退職手当債につきまして、一月に要望を照会して、現在必要な手続を進めております。

 都道府県で三十四団体、千八百六十億円程度、市町村で百二十二団体、六百五十億円程度、計二千五百億円程度の発行額というような見込みで今手続をやっておりますが、都道府県が多くなっておりますのは、団塊の世代ということも、特にございますのは、教員の人件費、退職手当が多い。要するに、市町村と都道府県ではそういう点で要素が違っているということでございます。

三日月分科員 当然、教員の方もいらっしゃれば、警察、消防、それぞれ都道府県で負担をしていただいている方の退職手当がかさむためにその手当債の発行を余儀なくされるという状況はわかるんですが、すべてでないにしろですね、条件があることも理解するんですが、しかし、それだけの団体でそれだけ多くの債券を発行しなければ手当てができない状況なのかということについて、私は一抹の危惧を、強い危惧を覚えます。

 そして、来年度の予算案が示されて、各地方議会においても議論がされておると思うんですが、地方債計画の中には、五千九百億円程度、言ってみれば今年度の倍以上の見込み額が示されておりますけれども、この地方債計画内におさまるということの見込みでよろしいんですね。

岡本政府参考人 現段階ではそういう中におさまるというふうに見込んでおります。

三日月分科員 そのときに、私は、地方自治体においても、そこに住んでいる住民とそして議会にきちんと、そうなる前も含めて、公務員の皆さんの年齢構成であるとか、退職手当であるとか、給与がどうなっているのかということについて、もう少しつまびらかに示しておく、またはふだんの監視を受けておく必要があると思うんです。

 十七年八月二十九日ですか、総務事務次官の「「地方公共団体における職員給与等の公表について」の全部改正について」、要は、都道府県はわかりやすくホームページにも示しなさい、かつ、市町村にもそのことを通知するように、させるようにということが出ているのは私も承知しているんですが、しかし、これはごらんになったことがありますか。フォーマットは合っているんですよ、フォーマットはこのとおりにやられています。きょうはそれを具体的にお示ししませんけれども、しかし、ホームページ上のどこにその項目があるのかということについて、まあ探さにゃわかりません。

 一度総務省の皆さんもそのあたり、公務員の皆さんの給与の状況が、フォーマットは合っています、しかし、どこにそれがあるのか、私はきょう電話をして聞きました、一体どこにあるんですかと。そういう状況で、市民の皆さんや議員の皆さんに監視をしてもらってください、チェックを受けてくださいというのは、私はちょっと問題があるように思うんですが、そのあたりの実態をどのように把握されていますか。

上田政府参考人 給与関係の公表の状況でございますけれども、先生御指摘のように、お示しになった通達に、ほとんど給与関係情報をすべて盛り込むようになっておりますけれども、ホームページ上はたしか、地方行革か何かのところをクリックして、それから給与の公表に行って、それから各府県に行って、そこで各市町村へ行く、そういうような四ステップ、五ステップあろうかと思います。その部分はホームページの使い勝手の問題ですので、各団体の方じゃなくて我々の方で工夫を加えてやっていかなきゃいかぬと思います。

 それと、もう一つこれから考えていこうと思っていますのは、今クリックして飛んでいける給与情報というのは、各団体それぞれ別々に行かなきゃならない。要するに、集計ができる状態になっていないんです。これは、技術的に今の段階ではやむを得ないのですけれども、今後は、できるだけ最初のところから、例えば一々北海道、沖縄とアクセスしなくても比較できるような形にこれから工夫をしていきたいというふうに思っております。

三日月分科員 すべて、例えば千八百自治体、総務省で見てみてくださいとは言いませんし、地方自治がありますから、そこに住んでいる人たちとそこで選ばれている議員がしっかりとチェック機能を果たしていくという、いわゆる自治が私は大事だと思います。

 しかも、すべての自治体に対して安易な手当債が認められているわけではなくて、行政改革努力も含めて一定の条件があって許可されているということも承知をしておりますが、しかし、前提となるのは、やはり、公務員の給与の状態について、退職手当について、しかも一体どれぐらいに大量退職のピークが来るんだという、わかる範囲の情報公開があり、それを共有化するということが前提になろうかと思うんです。

 しかし、その情報公開の中身が、フォーマットは統一されているけれども、我々が、ではそこに住んでいる者が一回調べてみようということでやれば、今言われたような形で簡単には入っていけませんよ。そこはホームページのつくり方もあるのかもしれません。いろいろな自治体があるんでしょう。

 しかし、一定、実態の把握と公開のあり方がどうなっているんだ、共有化はどのように行われているんだ、これから来年度はより多くの退職手当債を認めていかざるを得ない状況の中で、十七年に通達は出したけれども、それぞれの市町村、都道府県でどのような工夫が凝らされ、努力がなされているんだということについて把握をして、そして指針や何かも示していくべきではないかと私は考えるんですけれども、いかがでしょうか。

菅国務大臣 まず、今御指摘いただきましたそのホームページの点については、私もしっかりと精査してわかりやすいようにしたいというふうに思います。

 いわゆる情報公開というのは、地方自治の中で極めて大事なものであるというふうに私も考えております。もっと言わせていただくならば、例えば夕張の問題がありました。あれ一つとりましても、同じ規模の人口で大体どれぐらいの人件費等が、職員等が必要なのか、そういうものも、グループごとでもいいですからわかるような形で示すような、今私ども指示もいたしておりますので、そうしたことも含めてしっかりと検討して実施したいと思います。

三日月分科員 最後になりますけれども、若干中長期的な課題も含めて、地方公務員の皆さんの大量退職に備えるに当たり、この退職手当に対する手当債、私は大きな疑問を持っているんですけれども、制度として認められているのであれば、その厳正な実行を監視していきたいと思います。とはいえ、多くの地方公務員の方々が、地域を知り、技術を持ち、人柄のすぐれた地方公務員の皆さんが大量に退職されていくというこの状況下にあって、地方公務員の人材戦略についてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

菅国務大臣 これからは地方分権というものがさらに進んでいく、そしてまた進ませなきゃならないというふうに私は思っています。

 そういう中で、住民の行政に対するニーズの複雑化あるいはさまざまな要望、そうしたものを考えたときに、やはり地方自治体というのは、いかに、しっかりした人材がいなければその自治体が発展をしない、もっと言うならば、行政の長によって市町村がかなり変わってきているということもこれは事実であります。

 そういう意味においては、優秀な人材が地方に活躍できるような、そうした仕組みづくりというものを戦略を持って行っていかなきゃならないというふうに考えておりますし、そうしたものを総務省としても側面から応援をしていく仕組みもつくっていきたいと思います。

三日月分科員 ありがとうございました。

 この大量退職の問題と地方税の徴収率の問題はまた引き続き議論をさせていただくことを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

三原主査 三日月大造君の質疑は終了いたしました。

 次に、三谷光男君。

三谷分科員 民主党の三谷光男でございます。

 きょうは、三十分という貴重な時間をいただきまして、菅総務大臣に質問をさせていただく機会を与えていただきまして、本当に感謝をしています。主に三点聞かせていただきたいと思います。

 まず最初の質問ですが、交付税特別会計借入金の償還計画についてお尋ねをいたします。

 新規の借り入れをしない、そして計画的に償還をしていこう、この交付税特別会計を健全化しようというのは大変結構なことだと思います。ぜひやらなければなりません。地方負担分約三十四兆円の借入金を、約二十年間、平成十八年度補正分を入れると正確には二十一年ということになりますけれども、約二十年間で償還をするという計画になっています。

 ただ、問題はその償還方法ですけれども、年々一〇%ずつ償還額をふやす、一〇%の定率逓増の償還計画になっていますが、どうして一〇%定率逓増の償還計画なんでしょうか。まずこのことから説明をお願いします。

岡本政府参考人 交付税特別会計の借入金の償還につきましては、これまでも、委員御指摘のように、借入金が累増してきている中で何回か償還計画をつくっておりますが、その中におきましても、大体定率的な一〇%の率で償還をふやしていくというような形でこれまでも償還計画をつくっておりましたので、今回もそのような形にさせていただきました。

 また同時に、二十年間という中で政府としての経済成長の一定の見込みを立てておりますので、その成長していく見込みの中で、二十年間、その一定の経済成長を前提とすれば、一〇%の定率で伸ばしていっても償還はその中で可能だというふうに判断いたしまして、一〇%という率で設定をいたしました。

三谷分科員 今、これまでも一〇%の定率逓増の償還計画でとおっしゃいました。それは、昭和五十九年に一回きれいになっておりますので、そこまでの話も踏まえてのことだと思います。経済成長のお話もございました。

 ただ、確かに今も上げ潮路線ばやりではありますけれども、イノベーションで経済成長していく、二十年でこの償還計画、かなり無理があるのではないでしょうか。

 借金がふえるのは、あっという間にふえたわけであります。私も実はよく存じ上げておるんですけれども、平成六年ぐらいからもう本当にあっという間にふえてしまいました。だけれども、逆にこれを返すのは、昭和五十九年までと異なりまして、経済成長の話はもちろんありますけれども、今はもっと大変だというふうに思います。

 単純に数字だけ見ましても、では、例えば十年後に、今、平成十八年度補正分で償還額五千三百億円、十九年度当初五千九百億円ですけれども、十年たてば一兆五千億、二十年、最後のところは三兆五千億にまで膨れ上がります。一方で、これはもう大臣もあるいは皆さんも御承知のとおりですけれども、これはこのこと自体問題ですけれども、地方交付税自体はカットしちゃいけないという話をずっとし続けてまいりましたけれども、これも大幅にカットされている。

 つまり、税収がふえるか、もちろん、今のお話のとおり成長をしてふえるか、あるいは交付税の割合を、大臣にも頑張ってもらって、あるいは頑張ってもらっても二十年先のことまで考えなければいけませんから、地方交付税そのものの割合がふえていくということでもなければ、これはかなり苦しい話に先々なってしまうと思うんです。

 いわば先送りということではなくて、もう少し健全な償還計画ということで考えると、成長を大きく見込むということではなくて、むしろ定額で、あるいは二十年よりももっと、三十年なら三十年と長いスパンをとって償還計画を着実に行っていこうということの方が間違いがない償還計画だと思うんですけれども、どうでしょうか。

岡本政府参考人 確実な償還をしていくということは、もう御指摘のとおりだと思っております。

 今回の償還計画に計上しております数字は、毎年度の償還の増加額、今委員御指摘のように、当初は五千六百億円を始めまして、当初は五百億円程度、数百億円程度増加してまいります。最終年度でも、一年間で三千億円程度の増加ということになります。

 また一方、政府の「進路と戦略」の経済成長を前提としますと、地方交付税の現行の法定率分で毎年度平均五千億円程度増加をしていくという見込みとなりますので、今回の償還計画はその前提のもとで可能なものと考えているわけでございます。

 もちろん、先ほども申し上げさせていただきましたように、経済には不確実性が伴うものでございますので、償還計画の今の前提でございます経済が順調に推移しない場合につきましては、今後の経済動向とか地方の財源の状況を十分踏まえて検討し適切に対応する必要があるということは、当然のことだというふうに考えております。

三谷分科員 地方の財政状況あるいは景気、税収も関係ありますから、そういうことも踏まえてということだと思いますけれども、やはりそれが一番実は怪しい話になるわけでありまして、そういう意味で、この踏み出しを本当はもう少し大きく、そういう意味で定額の方がいいのではないか。そうすると当然つらいけれども、今年度、来年度、それは大きく苦しまなければいけませんけれども、先に重荷を背負うことになるぐらいなら、あるいは、先ほども微妙なお話をされましたけれども、途中でまた状況を踏まえてまたこれが後退するような話にならないためにも、今のようなお話ですので、時間がどんどん過ぎてしまいますので先に参りますけれども、きちんと返していくということを改めて決意しなければいけないというふうに思います。

 先に進みます。

 二点目は、頑張る地方応援プログラムについてお尋ねをいたします。

 これは安倍総理の肝いりのメニューでありますけれども、この頑張る地方応援プログラム、支援措置三千億円、平成十九年度分は二千七百億円。これは、さまざまな委員会でも同じような指摘がございますけれども、交付税の名をかりた奨励的補助金そのものじゃないだろうか、そして地方分権に逆行するプログラムではないだろうか、このように思います。その内容ですけれども、市町村が特定のプロジェクトに取り組むための経費について、特別交付税措置、一市町村三千万円、三年間、まさにこれは交付税の名をかりた奨励的補助金そのものじゃないだろうかというふうに思います。

 成果指標を用いての交付税の算定、算定のための補正係数はまさにふえるわけです。複雑になる、イコール国の裁量は高まるという意味で、地方分権を進めていく方向性に逆行しているというふうに思うのですけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 これはまさに、地方分権を推進していくための一つの方策であると理解をいただきたいと私は思います。

 それは、地方にはさまざまな市町村があります。その市町村には、それぞれの地域の特徴とか魅力があるわけであります。そうした特徴、魅力を生かすために、そこの市町村で独自のプログラムをつくって魅力ある都市にするための政策ということであります。

 従来、地方交付税も二つありまして、例えば、教育だとか福祉だとかという義務的な、基礎的な経費、あるいは、全国の過疎対策だとか行革に対しての政策的な算定というものも今日までやってきておりました。

 そういう中で、この頑張る地方応援プログラムというのは、まさに全国一律の中の一つの指標ということであります。確かに、委員指摘されるように、算定項目がふえるということは事実でありますけれども、しかし、それよりも、地方がみずからの思いで物事を行おうとする、それを支援する、そういうふうに理解をしていただければありがたいと思います。

三谷分科員 地方分権を推進していくためのものだと。だけれども、そう言い切られるだけで、例えば交付税でありましたら、地方の自主性を高めるためにより単純なものにしていくというのがその方向性だと思いますけれども、その意味では複雑になります。

 大臣おっしゃるように、地方にはそれぞれ特色、特徴があって、その魅力を引き出していく、あるいは、よく言われることでありますけれども、地方が頑張るものを引き出したい、応援したい、そのプログラムの名前のとおりでありますけれども、そのこと自体はもちろんだれも否定をいたしません。ぜひそれはやってもらいたいわけだけれども、頑張った御褒美を交付税でやる、そしてその頑張った度合いをこの交付税で判定するのはまさに国である。その分、国の裁量は高まるわけでして、地方の自主性を高めるためには、先ほども申し上げましたように、交付税をなるべく単純なものにしようというのがまさに地方分権の方向性でありますけれども、先ほども申し上げたように、算定のための補正係数は高まるわけであり、複雑になるわけであります。また、交付税の趣旨からも少しこれは逸脱をしているように思います。

 もちろん、これはもうやるという話でありますので、この後お聞きをしますけれども、先ほどの片方の大きな柱である成果指標の話ですけれども、これもいろいろな議論がここまでにもございます。なるべく単純な、あるいは明快なものにしなければならないと思いますけれども、この成果指標を用いての交付税算定、まず、その算定の基準、決め方についての詳細を御説明願いたいと思います。

菅国務大臣 これについて、今私ども、私、副大臣、政務官が地方に出向いてこの算定についての説明等を行っております。そういう中で、地方から、例えば今までの頑張りはどうなるんだとか、いろいろな地方自治体の長の方からも意見も出ています。そうしたものを参考にしながら、七月の早い時期にはその指標というものを明確にしていきたいというふうに思います。

 その中で非常に難しかったのは、例えば都市と農村の交流とか、地方でやっているところがよくあります。やはりそういう交流によって地域が活性化するわけでありますから、ではそういう指標をどういう形でとるかとか、非常に難しい指標のとり方というのはありますので、そういうものも七月までには検討して、客観的な中で、私ども総務省が決めるのではなくて、そこは、その指標というものを表に出して、明らかにわかるような形で交付税に反映できる仕組みにしたい。これはあくまで交付税ですから、自由に使えるお金、そういうふうに思っています。

三谷分科員 もう一度。

 成果指標の場合、個々にさまざまな項目がございます。例えば、行政改革指標であるとか転入者数。転入者数の話もいろいろ出ています。例えば、大都市はちょっと不利になるんじゃないかとか、あるいは、ふえ方、減り方を単純にとらえるのか、あるいは、同じ過疎地でも、減っているんだけれども、その減り方がだんだん減っているとか、もっとふえているとかというようなとらえ方もございます。先ほどまさにその逆のことを申し上げましたけれども、さっきも大臣は客観的という言葉を使われましたけれども、客観的であり、かつ明快、明確なものでなければならないと思うんです。

 あわせて、平成十九年度の普通交付税の決定まで、七月ということだと思いますけれども、いつごろまでをめどにということでは、普通交付税の決定までというようなお話がこれまでにあります。今も、市町村長のお話も大臣の答弁の中から出ましたけれども、これも早くしなければいけないと思います。いつごろをめどにそれを示していくのかということも含めて、もう一度、もう少し具体的にお答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 成果指標に基づく算定に当たっては、先ほど言いましたけれども、各地方団体から、指標のとり方について、今、三谷委員から話もありましたけれども、過疎地においては、減るのを少なくした、そういう話も当然出てきますよね。そういうことも含めて、七月の末に交付税決定をするわけでありますから、それまでには明らかにしたい、こう思います。

三谷分科員 七月末まででは遅い、もっと早くというお話を申し上げております。もっと早くしなければいけないと思います。

 それは、厄介な交付税だというお話をしましたけれども、ただ、このようにプログラムになってメニュー化をされますと、前段のお話でも申し上げましたけれども、市町村は金が欲しいわけです。そういう意味では、早く明快な基準というものをつくっていただきたいと思います。

 そして、話を三点目の質問に変えます。全く話の中身が変わりますが、民営化に向けて歩を進めております郵政事業についてお尋ねをいたします。

 時間の関係もございますので、的を一つに絞らせていただきます。移行期における郵貯銀行の新規業務、特に貸出業務についてお尋ねをしたいと思います。

 この郵貯銀行ですけれども、ことしの十月ということになりますけれども、民営化時から、商法上の会社、そして銀行法上の銀行になるわけであります。といえども、完全民営化するまでは、御承知のとおり、事実上政府が株を持つ、まさに政府関与の銀行ということになります。

 この政府関与の銀行が、先般出されました実施計画の骨格の中に示されております、民間銀行が行い得る、あえてそう申し上げますけれども、貸付業務を初めといたします民間銀行が行い得るほぼすべての業務と言っていいんじゃないかと思います、すべての業務がそこの中に羅列をされています。そのすべての業務を行うことについては問題だということをずっと指摘し続けてまいりました。すべきではないというふうに思っているんです。

 また、加えて言えば、この移行期において、保険会社を含めた一般事業会社を子会社に持つ持ち株会社の傘下に、まさに特例的に法律を定めて置かれているわけですから、民間企業には、保険との兼業はもちろんですけれども、同じように一般事業会社を傘下に持つ持ち株会社の傘下に置かれるということ自体認められていないわけですので、明らかに一般の金融機関にない優位性を持つことになります。

 もちろん、これまでにもこの議論をさせていただきました。竹中前大臣も、その優位性については答弁の中でもお認めになられました。そして、さらに加えて言えば、規模が巨大で、また国が行ってきた郵便局のネットワークそのものが使えるという優位性もあります。まさにイコールフッティングではありません。イコールフッティングではないというふうに断じます。

 この企業向け貸出業務を初めとする新規業務、信用リスクビジネスについて、もちろん、法律のたてつけは、経営の自由度と民業圧迫になるかどうかを勘案して郵政民営化委員会が判断をして、主務大臣、総務大臣が認可をするということになっています。郵政民営化委員会の意見もあると思います。あると思いますが、主務大臣の、このことに関する明確な基準、ガイドラインと言ってもいいと思いますけれども、そのガイドラインが必要だと思っています。

 ここまでの議論の中でも竹中さんもおっしゃいましたけれども、何も収益率が何%とか、細かい規定の話をするつもりはありません。株を放出していくわけですから、持ち株比率が例えば一割以下になったら認めるとか、完全にというのは難しい話かもしれません、売り切れるかどうかわからないわけですから。というようなある程度のガイドラインを主務大臣が示すことが必要なんではないでしょうか。必要だと思うのですけれども、総務大臣の御所見を伺いたいと思います。

菅国務大臣 まず、今委員が指摘をされましたように、移行期における業務範囲については、郵政民営化委員会の意見を聴取の上、地域金融機関を含めた他の金融機関とのイコールフッティングの状況や同銀行の経営状況等を勘案しながら、内閣総理大臣及び総務大臣の認可により段階的に緩和していく、このようになっております。

 そこで、新規業務の認可に当たっては、この枠組みにのっとり、郵政民営化委員会の意見を踏まえた中で適切に対処していくというのが私の基本的な考え方であります。

三谷分科員 私も問うときにも申し上げました、今も大臣もおっしゃられました、まさに法律のたてつけの話があります。郵政民営化委員会が、まさに貸出業務を初めとする、この郵貯銀行の場合、ほかの会社も同じ話になりますけれども、もちろんそれぞれに違うところもございます。郵政民営化委員会が意見を言う、判断をする、そして主務大臣である総務大臣が認可を与える。

 だけれども、先ほども冒頭に申し上げましたように、移行期のこの十年においては、紛れもなく、競争条件という意味ではイコールフッティングではありません。また、先ほども申し上げたとおり、前の大臣も優位性を持つということはお認めになられました。そのとおりだと私も思います。この郵貯銀行の場合だったら、紛れもなく政府関与の銀行ということになります。

 もちろん郵政民営化委員会の意見はあるのですけれども、それは法律のたてりの問題です。だけれども、その意見の前に、主務大臣が、新規業務をどの段階で始めるか、そういう大事な部分についてのガイドラインを大臣のお考えとして示すということは必要なことだと私は思うのですけれども、どうでしょうか。

菅国務大臣 私が示す前に、民営化委員会で、そうした他の金融機関とのイコールフッティングの状況だとか同銀行の経営状況を勘案しながらの意見があるわけでありますから、私が具体的なことを示すこと云々については、考える必要があると私は思います。

三谷分科員 ここまでの議論の中でも出てきた話ですけれども、今の菅大臣のお答え、今までにもこういう答弁がございました。余り細かいことを先に用意するというのは柔軟な判断の妨げになるというような御答弁もございました。

 私が申し上げているのは、細かいやりとりを、事前に大臣が判断をして、こうすべきだ、ああすべきだということを申し上げているわけではありません。一番大事な、あるいはやってはならないことについて主務大臣が考えを示すということは、これはあっていいんじゃないでしょうか。そのことについての意見を示していただきたいということを申し上げているわけです。

 もう一度お願いします。

菅国務大臣 私の考え方が民営化委員会を束縛するようなことがあってはならないというふうに私は思っています。

三谷分科員 束縛することになりますでしょうか。

 先ほども、優位性があるということについては竹中前大臣もお認めになったというお話をしました。言ってみれば、そういうのも一つの考えだというふうに思うんです。もっと言ったら、先ほど来申し上げているように、政府関与の銀行が完全民営化をすれば、もちろん、別に今申し上げているようなことは何もないわけであります。だけれども、まさに先般の郵政民営化委員会の中でも、地銀協会の方々を初めとして同じような意見もございました。

 だけれども、大臣がおっしゃるように、郵政民営化委員会だって、大事な部分で、もちろん、出てきたものに対して適切に対処するというのは、それは答えとしてはそういう話になるかもしれませんけれども、間違った判断、意見というものもあるかもしれない。だから大事な部分については考えを示すべきだという話を申し上げているわけです。

 時間が参りましたので、最後にもう一度お尋ねをいたします。お願いいたします。

菅国務大臣 私は、大枠というものは、やはり私から逆に示さない方がいいと思います。今までの民営化委員会の郵政民営化の議論の中で、民営化委員会がその方向性を総理大臣と私に報告する、私どもはそれに基づいてということになっていますので、それはやはり、先ほど申し上げましたけれども、大臣がその方向性を示すということは、そうした民営化委員会そのものを束縛することになるのではないかなというふうに私は思っています。

 当然私も、認可をする場合には、そういうあらゆる情報、情勢というものを判断しながらそれは行いたいと思います。

三谷分科員 質問時間を超過しておりますのでもうこれで終わりにいたしますけれども、ぜひ示していただきたいと思います。全部束縛するのではなくて、大事なところはきちんと考えを示すというお話を最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三原主査 これにて三谷光男君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明三月一日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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